第118回国会 文教委員会 第4号
平成二年六月一日(金曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         柳川 覺治君
    理 事
                石井 道子君
                田沢 智治君
                粕谷 照美君
                山本 正和君
    委 員
                井上  裕君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                小林  正君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                高木健太郎君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
   政府委員
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房会
       計課長      吉田  茂君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       倉地 克次君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省高等教育
       局私学部長    野崎  弘君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       文部省体育局長  前畑 安宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局給与第一
       課長       栗田 久喜君
       環境庁企画調整
       局企画調整課長  入谷 盛宣君
       法務大臣官房秘
       書課長      頃安 健司君
       外務大臣官房文
       化交流部文化第
       二課長      槐  惟成君
       外務省国際連合
       局人権難民課長  角崎 利夫君
       厚生省健康政策
       局看護課長    矢野 正子君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    太田 義武君
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  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (文部省所管)
○国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日の一日間、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林正君 二十一世紀という新しい世紀まで十年余りとなってまいりました。これは同時に千年単位の大きな節目でもあります。今、二十一世紀へ向けて人類が直面している生存をかけた課題は、かつてNHKが放映された「二十一世紀は警告する」として、二十世紀を概観しつつ、戦争、難民、食糧危機、環境問題、経済危機、コンピュータリゼーションの進行に伴う問題等々、二十一世紀からの警告という視点から問題を提起しております。これは、二十一世紀の担い手であり、その時代に幸福追求を行う世代のために今政治がやらねばならぬことを鋭く問いかけていると受けとめなければならない課題だと思います。
 「モモ」をあらわしたドイツの作家ミヒャエル・エンデは成長経済に触れて、選択の問題として、自分たちの生きている間はまだ何とか操作できる未来、つまり成長社会の継続の方、そして後は、つまりノアの洪水は子孫に任せると述べています。これらの警告の中で、特に平和と環境について、基本的な問題として政府の今後の施策と関連させながら、以下御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に歴史教育について、これは平和教育と言いかえてもよいと思いますが、お伺いをいたします。
 「我々年長者は若者に対し夢を実現する義務は負っておりません。我々の義務は誠実さであります。心に刻みつけるということが極めて重要なのはなぜか、このことを若い人々が理解できるよう手助けせねばならないのです。ユートピア的な救済論に逃避したり、道徳的な傲慢不遜になったりすることなく、歴史の真実を冷静かつ公平に見詰めることができるよう若い人々の助力をしたいと考えるのであります。」これは、八五年五月八日のドイツ連邦共和国大統領ワイツゼッカーの有名な演説の一節です。大統領はまた別のくだりで、「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって、過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにもまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目になります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」と述べております。私は、今回の韓国の盧泰愚大統領の訪日の経過における日本側の対応、大統領の国会演説をお聞きしながら、このワイツゼッカー大統領の演説が思い起こされてまいりました。
 昨日、朝日新聞は「歴史を学ぶ姿勢」と題する社説を掲げました。日韓両国間の主要な課題だった不幸な過去についての歴史認識の問題として、海部首相が二十五日歴史教育の指導徹底を表明し、これを受けて、謝罪が終わったわけではなく努力を継続していかなければならないという方針から、二十九日からの教育課程講習会を通じて日韓併合など日韓間の歴史を授業で取り上げるよう学校に求める異例ともいうべき指導を始めたと報じられております。一昨日の予算委員会でも取り上げられておりますが、本委員会として極めて重要な問題であると思いますので、冒頭御紹介しましたワイツゼッカー大統領演説とも絡めて文部大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(保利耕輔君) 我が国と韓国は昔から古い歴史がございます。私の地元は北九州でございますが、大変文化的にも交流が盛んでありました。古くは神功皇后などという名前も出てくるぐらい昔からの日韓交流がございました。その中には反省すべき歴史もありましたけれども、韓国を経て大陸の多くの文化が日本に吸収されました。法隆寺へ参りまして百済観音を見ておりますと、そういうことを痛切に感ずるわけでございます。これだけ関係の深かった韓国との間に、歴史の一時期で非常に不幸な事項があった、我々日本人が反省すべきことがあったということについては、国民がひとしく十二分に頭に入れて対処すべきものだと私は考えております。
 それは、特にこれからの若い方々が国際交流ということを目指して諸外国に出てまいります際に、歴史の正しい認識の上に立った行動というものが必要でありましょうし、あるいは経済大国になったからといって、そのことを鼻にかけていろいろと行動をするというようなことだけではなくて、その裏に、我々が外国からどういうふうに見られておるのかということを正しく認識することが私は必要だと思います。そのような意味で、今言われておりますいろいろな日韓間の過去の問題について正しい認識を持ってもらって、こういうことをしたのだという認識の上に立って国際交流をやはり進めてもらいたい、そして次の二十一世紀への新しい発展を期してもらいたい、私はこのように考えておるわけでございます。
 教科書等におきましては、五十七年当時からいろいろ問題が提起をされ、その線に沿って教科書がつくり変えられておりますことは私も承知をいたしておりますが、さらに今回の盧泰愚大統領の訪日等のことを受けまして、文部省といたしましては、教科課程講習会等におきまして、きちんとこの日韓間の歴史の一時期の問題について教えていただくようにお願いをし、関係者に注意を喚起いたしておるところであります。
○小林正君 報道によりますと、文部省は、早目に手を打たないと韓国側から批判が生じ、また教科書の記述の是非にまで議論が発展してしまうことへの懸念からこうした措置をとったようでありますが、八二年の鈴木内閣当時、日本軍の中国大陸への行動を説明した記述についての検定が、中国、韓国、東南アジア諸国の猛反発を呼んで、外交問題に発展したことは記憶に新しいところでございます。
 当時文部省は、教科書検定はあくまで国内問題との姿勢に終始したわけでありますが、朝日の社説は、韓国では「日本の教科書には、なお植民地史観が色濃く残り、それが対日不信、警戒感を増幅している」として、今回文部省がまとめた見解に書かれております「日韓両国は新しい時代の幕明けを迎えた。両国民は相互に尊重し、理解を深める」という見地に立てば、この機会に教科書の中身を改めて見直すべきではないかと述べております。この時点での文部省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 教科書につきましては、御指摘のように昭和五十七年にいろいろ問題がございました。その際に検定基準を改めまして、国際理解と国際協調の見地からアジア近隣諸国に対しまして必要な配慮がされているという基準を追加したわけでございます。この基準によりましてその後の検定が行われておりますので、教科書としては適切なものになってきていると思います。
 ただ、基本的に教科書は御案内のように国定ではございませんで検定制度でございますので、どのような記述をするかということは第一義的に著者、執筆者の執筆方針にかかわる問題でございまして、私どもの検定といたしましては、その申請を待った上で、検定基準、ただいま御紹介しました新しい検定基準も含めまして全体的な検定基準から見て、適切であるか否かということを教科書検定調査審議会におきまして慎重に審議をしていただきまして、その答申に基づいて検定をしておるところでございます。
○小林正君 私は、昨年末の臨時国会の本委員会におきまして、新指導要領に関して与謝野晶子を例に引きながら四十二人の例示的な歴史上の人物について意見を申し上げました。繰り返し述べることはいたしませんが、太平洋戦争という余りにも普遍的な歴史的名称が故意に使われていない不自然さや、今世紀の戦争と平和についての歴史認識を育てる上での不十分さを感じております。
 これを契機に今後再検討されるお考えはないのかどうかお伺いをしておきたいと思いますが、特に学習指導要領というのが大体十年間という一つのスパンというものをとらえて改訂をされてきた経緯というものを踏まえまして、今日的な国際情勢や平和や環境をめぐる大変重大な問題を控えての中で、次代を担う子供たちに正しい認識を育てる上での必要な措置として、そうしたテンポでいいのかどうかということもありますし、これが策定された時点と今日の情勢というものは、やはり劇的な変化をしているということも言われているわけでありますから、このことについて再検討をするお考えがないかどうか、改めてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、学習指導要領は戦後大体十年ごとに改訂をしてきております。昨年でございますが、学習指導要領は小中高、幼稚園とも直近の改訂をしたわけでございます。
 この時代の変化の激しい折に十年ごとでいいかという御指摘でございますが、これはいろいろ考え方がございましょうが、現在の学習指導要領は、学校で指導すべきいわば大要といいますか大綱的な基準を決めているわけでございまして、具体的にそれを教科書にしたり、実際の指導の場においてそれをもとにいろいろ展開をしていただくわけでございます。そして、学習指導要領は、小中高等学校におきます教育の基礎・基本を中心に定めておりますので、私どもは大体十年ぐらいのサイクルで改訂をしていくということは、ほぼ適切ではないだろうかと考えております。
 また、指導要領を改訂いたしましても、これは先生も御案内かと存じますが、教科書をそれに基づいてつくりまして、それに一年以上かかります。それから検定をするのに一年以上かかります。それをまた全国で選ぶ。そして発行、供給をするのに一年かかりますので、どうしても教科書がそろうだけでも三、四年かかるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、現在の改訂のサイクルというものは、そういう事情からいいましてもやむを得ないし、適切と考えていいのではないかというふうに考えております。
 ただ、具体的な指導内容につきましては、これはもちろん教科書や学校の先生方の指導にまつわけでございますが、そこにおきましては当然、統計資料にいたしましてもその他のいろいろな指導内容にしましても、時代の進展に合わせて適切なアップ・ツー・デートな内容で御指導をいただくということは必要かと存じます。
○小林正君 やはり情報化社会という新たな時代に突入しているわけでありますから、今のようなサイクルで指導要領がつくられて、それに基づいて教科書がつくられていく。かなりずれていくわけですね。そして、それを補完する意味でいろんなことを今おっしゃったというふうに思いますが、基本的な認識の問題というのが一つ変わらざるものとしてあるということは、それは大事な要素だというふうに思いますが、と同時に、今日的な要請にこたえ得るものにしていくための検討というものもやはり必要ではないかというふうに思っております。
 あのときにも御指摘いたしましたが、与謝野晶子が外されて東郷平八郎が登場し、東郷平八郎をどう教えるかというので、最近の新聞紙面でも三種三様の教え方というのでいろいろ出ておりましたけれども、私はやはり今こうした国際化の中で平和というものが前面に出されている今日、なぜそうなのかということについては引き続き強い疑問を持っております。また、あの四十二人というものは教えなきゃならないことになっているわけですけれども、それ以外の人は一体どうなのかということについても大変疑問を持っております。
 教えてもいいんだというお話が前回お答えでございましたけれども、例えば日常的に子供たちが出会っております千円札には夏目漱石が出ておりますが、あの四十二人の中には夏目漱石は入っていないわけでありまして、なぜなんだ、こういうこともありますし、松尾芭蕉は子供たちも知っているんですけれども、入っていない、これもなぜなんだと。こういうようないろんな問題があって、あそこに登場してきた人たちは歴史上の位置づけとしても極めて特異な存在ではないかなとすら考えざるを得ないような部分も指摘をされております。その点は再度お答えは求めませんけれども、今後の課題にぜひ御検討を賜りたいというふうに思うわけであります。
 第一問目の質問のテーマにかかわってもう少し申し上げますと、実は先日衛星放送を見ておりましたら、フランスのアンテヌ2の報道として、フランスとドイツの教師たちによって、ワイマール共和国の評価をめぐってそれぞれの国の立場から教科書が書かれ指導がされてきた、こういうことについて、九二年のEC統合というような歴史的事業を前にして、ワイマール共和国という極めてデリケートな存在に対する評価をめぐって双方が意見を交換し、教科書を直していこうじゃないか、こういうことで研究が進められ、両国間の教師の交流が行われて、教科書会社も中に入って、そして今検討が進められているということが報道をされておりました。
 私たちは、各国の教育交流を通しまして、子供たちの未来のために共通の認識を広げ、平和を揺るぎないものにしていかなきゃならないと思うわけですけれども、特に太平洋・アジア地域、戦争の惨禍というものを受けた、そういう思いを持っている国々との教育交流というものを通して、少なくともいろんな差のあった歴史的な認識を一致させる教育現場の交流というようなものを今後進めていくことも大変重要な課題ではないかというふうに思うわけですが、このことについては文部大臣からお伺いをできればと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 歴史の評価というのは各国で大変難しい問題の一つだと私も承知をいたしております。私は詳しくは知りませんけれども、私がフランスにおりましたときに娘が使っておりました歴史の教科書に、ナポレオンのことをどのように書いてあるのか、これは恐らくそう悪いことは書いてないだろうというふうに想像をいたしております。
 そういうふうに、国家と歴史の問題というのは非常に微妙なところがあるような気がいたしますが、私は、この日韓の問題について言えば、やはりこういう事実があったんだということを子供たちがしっかり認識を持ってもらいたい、これがまず基本だと思います。そしてさらに、歴史を書きかえていく、あるいは評価を変えていくというようなことについては、学者の間でもいろいろな議論がありましょうから、これはきちんといろいろそういう交流をして、どういうふうに思っているんだというような情報をやはり集める必要もあろうかと思います。
 そういう意味で、具体的には政府委員からお話があろうかと思いますが、いろいろなそういった面での交流というものがなされつつあるやに承っております。しかし、これは非常に大事な問題でございますから、そしてまた国際化がこれだけ進展してきて、地球が一つになっていくというような中では、やはり避けて通れない問題ではないか、いわゆるすり合せの問題でございますけれども、そういったことがこれから世界の中で随分やられていくんではないか、私はそういう認識を持っております。したがいまして、そういうものに十分対応できるように私たちも研究を重ね、さらに各国と交流を進めていかなきゃならないんじゃないか、これが私の基本的な考えでございます。
 具体の問題については政府委員から御答弁申し上げさせます。
○政府委員(菱村幸彦君) 教師の交流が大事だという御指摘はそのとおりだろうと思いますが、なかなか経費的な問題で難しい面があろうかとも思います。文部省で教員の海外派遣をしておりますが、その際にも、欧米だけではなくてアジア等にも行くというようなことで行っているわけでございますし、そのほかの各種の交流団体でも、教員を対象とする交流というようなことも行われております。今後、こうしたことは国際化が進む中でいよいよ重要性を増してくるであろうと私も考えております。
○小林正君 今文部大臣並びに初中局長からお答えをいただきましたが、今回大変いろんな課題を背負って韓国の大統領が訪日をされ、非常に感銘の深い国会演説もされて、これから新しい時代へ向けて、子供たちが日韓関係について本当に希望の持てる関係の中で友好が深まるということですから、当然のこととして日韓教育交流というものが何よりも今求められているのではないかというふうに思います。ぜひ積極的なお取り組みをまず最も近い国からお願いをしたいというふうに思うわけでございます。
 次に、環境教育にかかわって御質問をしたいというふうに思いますが、一九七二年にストックホルムで国連人間環境会議が開催されて以降、昨年のアルシュ・サミットもグリーンサミットと称されるほど地球環境保全の関心が高まってまいりました。昨年十一月のオランダ・ノールドベイク宣言など二十一世紀への課題は山積をしているわけであります。平成二年度予算案でも地球環境保全関係予算という新しい項目ができてまいりました。
 きょうは最初に、環境庁においでいただいておりますので、環境庁の方から、特に子供たちのための環境教育に関する平成二年度予算関係について、まずお伺いをしたいというふうに思います。
○説明員(入谷盛宣君) お答えをいたします。
 御指摘のように、環境教育は現在非常に重要な課題となっておりまして、特に環境問題が複雑多様化していく中で、都市型、生活型の公害といった国民生活に非常に密着した環境問題が起こってきております。それから、快適な環境づくりとか良好な自然環境を保全する必要があります。さらに、地球環境問題の解決に向けても、国民各界各層に期待される役割は非常に大きくなってきております。
 環境教育のあり方につきましては、環境庁でも環境教育懇談会というものを設けまして検討を進めて、二年前の六十三年の三月に報告書をまとめていただいたわけでございますが、その中で特に環境教育を進めるに当たっては、情報内容を充実する、あるいは情報のネットワーク化、学習のための拠点づくりといった総合的な環境教育の推進体制を整備するとか、あるいは家庭、学校、社会といった教育の各分野で生涯学習として環境教育を充実する必要があるというような指摘が行われております。
 環境庁では、こういうような提言を受けまして、環境教育の充実のためにいろいろと各種施策を推進しているところでございますが、平成二年度におきましては、環境教育の基礎的な情報の整備でありますとか、自然との触れ合いの中での環境教育あるいは国民参加による環境保全活動の普及拡大を推進することとしております。
 さらに、平成元年度の補正予算に基づきまして、全国の都道府県と政令指定都市に地域環境保全基金がつくられております。そこで、今年度からは各地域に根差した環境教育と広範な環境保全活動が全国的に展開されるということを期待しているわけでございます。
○小林正君 環境庁から今御説明を承りましたけれども、私は、環境教育という問題について幾つかの感想を散見いたしましたけれども、これは「内外教育」版の一月十九日付ですけれども、この中で私学の協会の方がこういうふうに言っています。
  環境庁の呼びかけで、都道府県レベルでの国際会議や技術交流、あるいは研究機関、情報センターの設立計画などが軌道に乗り始め、関心の高まりが見られる。しかし肝心の学校教育の中では、指導要領の改訂でも、中学、高校の理科等、一部に環境問題の視点が盛り込まれた程度である。
非常にこの点についての対応が弱いということを指摘をされているわけであります。
 そしてさらに、これは五月二十九日付の同じく「内外教育」版ですけれども、この中で日本環境教育学会の創立大会のことが報道をされておりました。十八日から三日間小金井で開かれた会議ですけれども、こうした会議が積極的に開かれて、さまざまな環境教育についての実践、交流というものが持たれてくるという時代になってきているわけであります。
 この中で強調されておりますのは、自然環境や生活環境のありのままをまず理解することが環境保護、保全の基盤になる、子供たちに自然から学ぶ目を持たせようというのが大きなテーマになっております。五歳児を対象にしたキャンプでの成果の問題ですとか、バードウオッチングなど愛鳥活動のことですとか、あるいは散歩の時間というものを授業の中に特設をいたしまして自然と親しむという、いわゆる散歩教育といいますか、そんなようなことを通して自然と親しむという機会を多くつくる中で自然から学ぶ、そして自然の大切さが実感されていくというようなことを環境教育の一つのねらいとして具体的に取り組まれているところがあるようであります。
 ゆとりの時間というものもできましたが、やはり散歩といったようなことが自然との触れ合いの中で非常に大事なんですけれども、大変過密な子供たちの今の日常生活の中で忘れられている部分だと思います。子供たちにとっては、昔は学校の行き帰り、道草というものがあって、これが大変自然との触れ合いであったんですが、そういうものも失われてまいりました。文部大臣はフランスにおられたそうですが、フランス語で道草というのは、まさに子供たちの学校の行き帰りの道のことを道草という言い方でフランス語では表現をされているほどに、子供というのはそういう自然との触れ合いを通して自然と親しみ、自然の大切さを実感していく、そのことからかけがえのない自然に対する思いというものが育っていくんだというふうに思います。
 今後環境教育の問題については、冒頭御紹介した私学の方は、これは理科教育の一部と書いてありますが、学習指導要領では小学校の社会科でもこの問題について触れてはおりますけれども、やはり残念ながら大変弱いというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 「自然の開発や利用が、自然界のつり合いを変えたり破壊したりすることがあるので、自然の保存や調整により環境保全をすることが重要である」というのが前の指導要領だったんですが、この文言から破壊という言葉が消えてしまっているということが指摘をされました。つまり、自然破壊がより進行しているにもかかわらず、そうした言葉が取り除かれて新しい指導要領になっているということが環境教育についての姿勢の問題として指摘されているんですけれども、こうしたことを含んで文部省のお考えを承りたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 環境教育につきましては、大変これからの教育としては重要な課題であると考えております。
 今回の新しい学習指導要領におきましても、従来のと比べていただきますとおわかりいただけると思いますが、この環境教育の点に関しましてはかなり強化を図っている、重点化をしていると言って差し支えないと存じます。
 例えば小学校の社会科では、「各種の公害から国民の健康や生活環境を守る」ことが大切であるという公害の問題のほかに、国土の保全、環境保全と申しますか、環境の「保全や水資源の涵養などのために森林資源が大切であることに気付くように」させるとか、「環境保全のための国民一人一人の協力の必要性に気付かせる」とか、さらにこれは理科でございますが、人間と環境とのかかわりを調べるようにするというようなことを、単に公害教育だけではなくて環境保全教育という形で、自然の大切さ、環境の大切さを教えるようにしているわけでございます。
 また、中学校につきましても、「公害の防止など環境の保全」が「必要であることを理解させる。」とか、それから「自然環境を保全することの重要性について認識する」とか、単に認識だけではなくて、「自然環境の保全に関する態度が育成されるようにする」というようなことを掲げてございます。
 また、高等学校も同様でございまして、ここでは、「自然環境を総合的にとらえ、人間の活動が物質循環に及ぼす影響、環境汚染や破壊とその防止策、環境保全の必要性などに触れる」ということで、かなり指導要領レベルでも書き込んできたわけでございます。したがいまして、これからこれに基づきます新しい教科書が出てくると思いますが、そこでは従来以上にこうした環境問題、環境教育についての記述が充実していくであろうと思います。
 これはしかし、先生御指摘のように単に教科書だけの問題ではなくて、実際に自然の中で子供たちが自然に触れて、体で森林資源の大切さとか水資源のとうとさを理解するということが大事でございますので、自然となるべく触れるといういろいろな授業活動を行いたい。例えば小学校の生活科、今回新しく設けました、これは、なるべく自然に触れながら授業をしていくというような指導内容もございます。それからもう既に長らくやっているわけでございますが、自然教室の推進授業も行いまして、子供たちを自然環境の中で集団生活を通じて人間的触れ合いや自然との触れ合いを深めていくという形で行っているところでございます。
○小林正君 環境教育の問題について今初中局長から御説明がございましたけれども、私はやはり二十一世紀にノアの箱舟を用意しなければならないような事態というものが最も人類にとっての危機だというふうに思いますし、今この時点で世紀末ということの中で言いますと、大変未来予測でいっても暗いイメージしか描かれないようなそういう時代であります。それが子供の心にも反映して、やはりせつな的な行動に走ったりする。そういうことが十九世紀末にも起こったわけですけれども、特に千年単位で変わるような大きな人類史の上でも節目に今遭遇をしているということの中で、学校教育の中に本当に今後人類社会が永続的に進展をしていけるかどうかということがかかっているわけで、冒頭御紹介いたしましたミヒャエル・エンデの言葉もまたそのことを語っているわけであります。二十世紀の人間が全部使い果たしてしまうということが、結果として何を将来に残すのかということが問われているだろうと思います。
 そこで、今国連等の中でも問題になっておりますのは、持続的な開発ということが言われているわけで、今世紀、今世代がそれを利用できる、同時にまた次の世代もそれを利用できるような開発への考え方といいますか、そういうものでなければならないのだというふうに変わってきている。単に収奪をする、使い尽くしてしまうという時代ではないわけで、子供のころからまずそういうものを養いながら、今の大人が後世に残すことをやはり環境問題全体として政治の課題として取り組んでいく必要があるんではないか、このように考えております。ぜひ積極的なお取り組みをお願いをしたいというふうに思うわけであります。
 次に、養護教諭の問題についてお伺いをしたいというふうに思いますが、平成二年度の体育局の予算の中で、保健室相談活動の調査研究ということで、さまざまな悩みを抱えて保健室を訪れる児童生徒がふえ、保健室が校内の駆け込み寺になっているため、今度日本学校保健会に委託してその実態にメスを入れ、児童生徒の心の健康に重点を置いた相談活動を充実させると、こういうようなことであります。
 頭痛や腹痛などを訴えて保健室に来る子供は、勉強などが原因の心因性によるものが多いと言われております。登校拒否、私たちは登校拒否というよりも不登校と呼んでいますけれども、その増加とも絡んで、こうした子供と最初に対応する養護教諭の相談活動の充実というのが極めて重要になっております。そこで、各都道府県当たり小中高十校ずつを対象に、指定した一カ月間に保健室を訪れた児童生徒数、回数、在室期間、症状、相談内容、処置などの実態を調べるのだと、こういうことで、ようやく保健室についての問題が取り上げられてまいったわけでございます。
 実は、既に文部省の方にはお渡ししてございますが、これは私の出身の神奈川県の養護教諭の皆さんが「ふれあいの中で養護教諭一〇〇人からの提言」ということで、現在保健室がどのような機能と役割を果たし、養護教諭がその中でどんな活動をされて、どんな思いで今仕事をされているかということが出ているわけでございます。そうした単に学校教育法でいうところの「養護をつかさどる。」といったような意味合いでの業務と、今日的な養護教諭、保健室の機能というものが質的に変わってきているということを痛感するわけであります
 障害児学校関係では、重度の子供に対して先生方が格闘をされていて、その中で頚腕症候群になる方が大変多いわけであります。私も県におりましたときに公務災害のそうした関係もやっておりました立場から、大変そういうのが続発をしていたということがわかっているんですけれども、最近は保健室、養護教諭の皆さんの中に頚腕症候群でお悩みの方が大変多いということも伺っております。これは、最近の子供たちが、心の問題、ここでも書いてありますが、心の問題と同様に健康の面でも、朝礼をやっていてばたばた倒れるといったようなことが大変多いわけですし、いろんな問題があって、そうした心身ともに養護教諭の皆さんも疲労されている状況があるわけでございます。
 そういう点で、今の保健室の実態について、保健会を通しての調査というもので今の養護教諭なり保健室の実態というものを浮き彫りにして、これへの適切な対応ができるような対策をぜひお願いをしたいと思うわけですが、この点についての御質問をまずさしていただきます。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま委員からお話がございました「ふれあいの中で」というのを昨日の晩ちょっと見せていただきました。時間がございませんでしたので全部読むことはできませんでしたが、その中で、養護教諭が大変御苦心をなさっていらっしゃる、そしてもろもろの事象にぶつかっていらっしゃるということについての記述が、大変詳しく、そしてまた平易な文章で書かれておりまして、心を動かされるものがあると思います。
 また、私の地元からも養護教諭が大変多忙であるという御陳情は承っておりまして、そうしたことについて十分我々も配慮していかなければならないと思っておりますが、対策等どういうことをやっておるかということの具体につきましては、局長が参っておりますので答弁をさせます。
○政府委員(前畑安宏君) ただいま先生から御紹介をいただきましたように、私どもの方では、現在御審議をいただいております子算案の中に、保健室における相談活動に関する調査研究ということで、所要の経費を計上いたしております。私も「ふれあいの中で」という冊子をちょうだいいたしまして通読をいたしましたが、その中でも、かなり心因性に由来するんではなかろうかというようなことで、たくさんの児童生徒が保健室を訪れるということ、そのことによってかなり多忙になっておるということを拝見いたしております。
 ただ、そういうふうなお話はよく承りますが、本当にどの程度の子供がそういった心因性なのかという実態が必ずしも明らかではないということで、私どもの方では、先ほど御紹介をいただきましたようなことで、保健室を訪れる児童生徒の実態についてまず調査をしよう、そしてその上に立って、この「ふれあいの中で」でも指摘されおりますが、養護教諭の方の、自分たちにもっとカウンセリングの知識、能力があればというような訴えもございます。そういう点を踏まえまして、保健室における相談活動に関する手引書といったようなものを作成をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
○小林正君 そういう点で積極的な調査とそれから対策というものをやっていただければと思うんですけれども、実は保健室がそういう機能で、そしてこれから養護教諭が現に研修をしたいと大変強い期待を持っているわけなんですけれども、実際には今申し上げましたような学校の事情のために、そういう心因性に由来するいろいろな、頭痛、腹痛等とはまた全然別の次元の生活指導上の問題として保健室が一つの駆け込み寺になっているという状況があるわけです。そして、子供たちが教室で勉強していて、頭が痛いということを理由にして授業をサボって保健室へ行く。そこで待っている養護教諭がその子供たちのために適切なアドバイスをする。これはもう教育全般にかかわる、養護教諭本来の任務というよりは学校教育トータルの課題としての問題にも今養護教諭の皆さんが直面をされておりまして、そのこともこの「ふれあいの中で」でも触れているわけですが、そういう点を考えますと大変多忙であるということであります。
 そして、そういう面で果たして十分な研修を受ける機会というものが保証されているのかといいますと、まだ全国的に見ましても配置計画は全体としては進んでいないと言わざるを得ませんし、特に過密地域で考えますと、過大校というようなことの中で、複数配置というようなものがなかなか進展しないという状況もあります。そういう点で日常的に忙殺をされている実態の中で、こうした課題にもこたえていくということは、学校運営全体にとっても大変困難でありまして、校長先生が、養護教諭の皆さんが出張されるということについては、いない間に何が起こるかということで大変心配をされるというようなことが日常でございます。
 そういう点で、ぜひそうした研修が行われるように、後顧の憂いのないような対応、そして過度な頚腕症候群で悩むなんということのないような配置計画の改善ということを、ぜひこうした実態を踏まえてお願いをしたいと思うわけですが、そのことについて一言お伺いをします。
○政府委員(倉地克次君) 今先生御指摘の点は、養護教諭の定数改善の問題につながるんではないかというふうに考える次第でございます。
 養護教諭の定数改善でございますけれども、これは、その問題も含めまして現在第五次教職員定数改善計画が進んでいるところでございます。養護教諭につきましても、職務の重要性にかんがみまして、その配置基準について所要の改正を図っているわけでございまして、この計画では、極めて小規模な学校を除き、ほぼ全校に養護教諭を配置するように進めているところでございます。
 ただ、この計画でございますけれども、国の非常に厳しい財政事情のもとでございますので、十分その実現に努力しているところでございますが、大規模校に係る養護教諭の複数配置等につきましては、この計画の終了後の研究すべき課題ではないかというふうに考えるところでございます。
○小林正君 厳しい財政事情というまくら言葉が出てしまいますと、なかなかその後が言いにくくなっちゃうんですけれども、そういう事情もあろうかと思いますが、今日の状況、そして冒頭文部大臣からもお話しをいただきましたようなことを含めまして、ぜひこの調査結果も受けて、しかるべき措置が進展しますように、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 次に、児童生徒急増市町村等の学校規模適正化の用地取得費補助の関係についてなんですけれども、五月二十三日の日経朝刊に、大蔵省が公共事業費補助率で来年度以降大変厳しい対応をされていくというような記事が出ておりました。そしてまたこの補助にかかわって「内外教育」版の五月二十九日付の記事ですけれども、「用地は資産として残るため、自治体が単独で取得するのが筋」と言ったのかどうか知りませんけれども、と「主張する大蔵省の反発が予想され、厳しい予算折衝になりそう」だ、こういうことで、六十一年からスタートした一般市町村を対象に実施している分離促進のための用地費補助が五年間の期限切れになるというのを受けて、今後私としては文部省にぜひ全力投球で頑張っていただきたいというふうに思うわけです。
 実は今後、神奈川で考えてみましても、ピーク時は平成三年、四年ということで、五カ年計画で平成七年度までやってもそうした対象校があるわけであります。今、地価高騰、特に首都圏の中で大変厳しい用地難の状況の中にありまして、やはり国の財政的な支援というものがこの用地取得については求められているわけでございます。そういう点で、頑張る文部省の決意をお伺いしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 学校用地の取得費の補助の問題については、私自身も大変重大な関心を持っておりますし、各市町村長さん方の大変な御心配の事項にもなっております。一応大蔵省との間では、五年に限ってということでこの制度が発足をしておると私は承知をいたしておりますが、しかしマンモス校解消その他で新しく用地を取得していかなければならない市町村等の立場あるいは土地取得という大変難しい問題にかんがみまして、こうした問題について財政当局と鋭意折衝をし努力を続けたい、このように思っております。
○小林正君 今文部大臣から御決意を賜りましたが、日米構造障壁協議の中でも公共事業の拡大ということで既に約束がされている一方で、具体的には国公用地の保有率が極めて低いというのが日本の特徴であるということもこの中で指摘をされてまいりましたけれども、大蔵省の言っている資産として自治体に残るのだから自治体が勝手に買えばいいということであっては、国土計画全体の中に占めるそうしたものの位置づけという視点から考えてみましても、やっぱり問題がある言い方ではないか、こういうふうに思います。
 また同時に、過大校という問題は、本来適正規模というのは十八―二十四学級、こういうふうに言われていて、それが学校教育を行っていく上で望ましい姿だ、こういうことできているわけですけれども、なかなかそうした規模を守り切れない。一時は過密が教育を破壊するといったような言い方すら行われた時期もございました。それは、学校の中での子供同士の交流や、なかんずく教師間の交流、職員室で、こちらでしゃべって末席の方まで声が届かないとか、第二職員室をつくって、ふだんめったに出会わないというような教職員の問題等々、いろいろマンモス校の抱える教育上の困難性というものがあるわけです。
 そういう点は、やはり適正規模に持っていくということを基本に据えて、当面過大校をどうするかというところだろうというふうに思うんですが、それについて、こうした大蔵省の対応があるということについては極めて遺憾でありますし、そういう状況であればあるほど、文部省としても厳しい予算折衝を強いられるということになろうかと思いますが、私どもとしても、ともに共通の課題として一生懸命アピールをしてまいりたい、このように考えているところでございます。
 次は、初任者研修制度について御質問をしたいというふうに思います。
 この問題については、昨年の百十六臨時国会の中で十二月に申し上げました。初任者研修制度、私はこうした制度よりも、教師というものがスタートをして一人前になる過程というのは、やはり子供と取っ組み合いをしながら、そして先輩教師と子供の間に入って一人前の教師になっていくんだということからすると、現場から隔離して免許皆伝なんということはあり得ないということを申し上げたと思います。その考え方は基本的に今も変わっておりませんし、ぜひそうした視点から、より現場に密着した形での研修が行えるような御配慮をいただきたい、こう考えているわけでございます。県、市町村のそれぞれの地域の中で教育というものは行われるわけですから、できるだけそうしたものに密着をした形で教師が成長していくということが望まれるわけであります。
 ひところ教師にもやはり五月病なんていうのがございまして、大変職業選択の問題として子供と取り組みをしながら悩んでしまって、自殺をするなどというケースも神奈川でも幾つかございました。そうした人たちに対して、共通の問題として手を差し伸べて、自信をつけて頑張ってもらえるようなということが本来の研修、とにかく元気づけて頑張ってもらうということが基本だというふうに思うんです。管理して、そして押しつけていくということでは、その教師の意欲というものがどうなのかということは、やっぱり学ぶ教師の側に立って配慮すべき課題であろう、こう考えているわけです。
 そうした教師観に立ったときに、これは教特法の十三条の二の問題でありますけれども、公務員全般が、六カ月間の条件つき採用期間の中で研修を行いながらそして仕事をスタートをさせていくわけですが、この教特法の立場からいうと、一年間の研修ということから条件つき採用期間もまた一年と、こういうふうになっているわけであります。これはどうしてもおかしいんじゃないかというふうに思うんですね。身分的に不安定な時期が一年間も続くということ、このことが教師を志してなってきた人たちを鼓舞激励をして、条件は整えるから頑張りなさいということであればいいんですが、様子を見てやめてもらいますよというのが背景にあって条件つき採用期間が六カ月から一年になったということでは、ほかの公務員との関係からしてもおかしい。
 仮にこの条件つき採用期間が小学校の段階で行われて、中学校の段階へ行く。その中で言うと、小学校の段階は初任者研修制度がスタートしたから、同じ年に入った小学校の初任者は一年の条件つき採用期間という、そういう制度でスタートするわけですね。そして、初任者研修制度が実施されない段階の中学校では、同じ年に中学に入った初任者は半年の条件つき採用期間、こういうことになってきたわけです。そういうことも矛盾の一つですけれども、大体において公務員公平の原則からいって、何で人権にかかわるような問題について一年なのかということはどうしても納得できません。
 そして今、このことから何が起こっているかといいますと、それは育児休業の問題ですね。条件つき採用期間が六カ月の従来の形であれば問題にならなかったようなことが、一年にしたために、育児休業を受益できるできないという問題にまで今なっている。子供を産むというようなこととのかかわりで、初任者が、そうした言ってみれば人権上の問題、と言っても私はいいと思いますけれども、に今遭遇しているわけです。このことについては何としても問題がありますから、見直しをぜひ早急にお願いをしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(倉地克次君) 先生お尋ねの条件つき採用期間の問題でございますけれども、これは教員の職務の特殊性、それから学校の勤務状況の特殊性という問題からこうしたことは出てきた次第でございます。
 若干御説明さしていただきますと、教員の職務の特殊性でございますけれども、これは教員は単なる知識にとどまらないで、豊かな人間性でございますとか、深い教育的愛情などを備えているということが要請される次第でございます。こうした資質、能力については全人格的に評価することが必要になるわけでございまして、その評価が極めて困難であったということでございます。
 それから、学校の特殊性ということでございますけれども、これは教員には春休み、夏休みなどがあるわけでございまして、教育活動に従事する期間が比較的短くなるということもあるわけでございます。また、教員の活動と申しますのは、何と申しましても教室とか運動場が中心になるわけでございまして、評定者の校長とは離れた立場にあるという点もあるわけでございます。こうしたことから従来とも六カ月ではなかなか勤務評定が難しいという問題があった次第でございます。
 それに加えまして、今回初任者研修が実施されたわけでございますけれども、この初任者研修が実施されますと、その一年間は研修を行いつつ勤務するという状況になるわけでございまして、従来以上に教員の資質、能力の評価ということが難しくなってくるということが指摘される次第でございます。
 また、学校の教育活動全体から見ましても、これはやはり学年を通じて教育活動計画が組まれるわけでございまして、そこにおきます教員の職務の遂行能力というものは、一年を単位として考える方がより合理的ではないかということが考えられる次第でございます。
 こうしたことから、六カ月の条件つき採用期間を伸ばすことは合理的だというふうに考えられるわけでございますけれども、現行の公務員一般の条件つき採用期間の問題を考えてみますと、これが最大一年間ということになっている次第でございますので、そうしたもろもろの事情を考えまして条件つき採用期間を一年とした次第でございます。
 こういうことでございますので、何とぞ御理解のほどをお願いする次第でございます。
○小林正君 育児休業についてお答えをいただきたいのでございますが。
○政府委員(倉地克次君) 御指摘のように育児休業という問題があるわけでございますけれども、この主な理由でございますが、これは女子教育職員が職務に慣熟した時期に中途で退職されるということは、教育界におきましても非常に損失の多い問題でございますので、そうした慣熟した先生方につきましては、ぜひ継続して勤務していただきたいという要請から出ているというふうに考えている次第でございます。そういうことでございますので、条件つき採用期間の職員につきましてこの規定が適用にならないということは、やむを得ないのではないかというふうに考えている次第でございます。
○小林正君 制度をつくって間もない段階ですから、今のようなお答えにならざるを得ないのかなと、一面そういうこともあるのかなというふうに考えますが、冒頭申し上げましたような立場からいたしますと、初任者研修制度というのはそもそも何のためにできたのかというそのことにかかわって考えて、そしてまた教師を志して、大変厳しい試験もある、単位制度も大変厳しいわけですが、そういうのを乗り越えて教師になる。そして一年間は条件つきだよと、研修に明け暮れて、現場との関係でもいろいろあるので、条件つきの採用期間が一年であってしかるべきだと、こういうことなんですけれども、私はやはりそれはあくまでも管理発想じゃないのかと思います。
 せっかく志した人たちをどう育てて、教職という場の中で情熱を持って頑張ってもらえるか、そのための条件整備として研修というものは本来あるんだろうというふうに私は思うんです。権利と義務の関係からいったら、職務を遂行するに当たって必要な研究と修養が保障されるという立場から、自分の仕事に対する専門職ということへの自覚というものも生まれてくるんだろうと思うんです。
 そういうことを含めまして、今の制度の持っている問題点というものは、スタートをしていろいろな事例が出てきているわけですから、やはりそれを検討しながら是正していくという姿勢が基本的にはなきゃならないだろうというふうに思いますし、同時に、条件つき採用期間が半年から一年にといったようなことから生じてくるさまざまな問題というのは、本来そういうものとは次元の異なる、より基本的な人権にかかわる問題ですから、そのことについてまで、今御答弁いただきましたような言い方の中でくるめられてしまうということではいけないんじゃないかと私は思うんです。
 公務員公平というより前の段階の問題として、慣熟した云々というお話がございましたけれども、子供を産むという行為について、いつが適切なのか、たまたまその時期とこれが重なったということだけの問題でありまして、何でそのことが受益の対象にならないのか全く理解できないわけでありまして、このことは人権にかかわる基本問題としてやはり受けとめて対応せざるを得ない課題じゃないんでしょうか、もう一度御質問いたします。
○政府委員(倉地克次君) 育児休業法の問題自体は、今突然のお尋ねでございますので、若干恐縮な点にわたることがあるわけでございますけれども、これは議員立法でございまして、そのときの御説明が、たしか慣熟した女子の教員の方について継続して勤務していただくためにこのようなことを定めるのであるという御説明があったというふうに記憶している次第でございます。
 それで、そういう考え方に従いまして申し上げますと、先ほど御答弁したようなことになるわけでございまして、そのときの立法者の意思に忠実に従って守っていくことが、私どもの職務であるというふうに考えている次第でございます。
○小林正君 この問題、きょう突然ということじゃないんですよ。きのうお伺いをいただいたときにもお話をしてございます、育休問題との絡みもあるよという話は。
 ですから、非常に今現場にいて期待を持っている女子教職員の問題として、文部省としてやはり新しくスタートした制度の中での問題ですから、ぜひ今のようなお答えではなくて、御検討いただいて、しかるべき時期にまたお答えを賜ればというふうに思っているところです。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま拝聴いたしておりまして、初任者研修の問題、私は私なりにとらえておりますが、やはり子供の教育というのは、子供さん御自身とそれから学校の先生、さらにまた保護者との間の連携が必要だと思っております。保護者の方々、それぞれ社会でお働きになっていらっしゃいますから、先生方も社会に対するいろいろなお勉強をなさっていただきたい、これは私自身そう思います。
 そういう意味で初任者研修がスタートをし、さらに今、身分の問題についてもお触れをいただき、いろいろなお話をいただいたわけでございますが、私自身もこの問題については勉強をしてみたいと、こういうふうに思っておりますので、いろいろとまたお説をお聞かせいただきますようにお願いをいたします。
○小林正君 今の文部大臣の答弁で、期待をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、いわゆる第三のテストと言われる問題についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。
 子供の権利条約が昨年十一月に国連で採択をされました。子供の権利条約は大変進んだ条約でございます。これから国内法や条例そしてまた学校の校内における校則問題等さまざまな課題が出てきて、学校を新しく大きく開いていく上での大変大きなインパクトを与える課題だというふうに考えているわけでありますが、そうした子供の権利条約の趣旨等から考えてみましても、いろいろな問題が学校教育制度の中にはまだ山積をしているというふうに思うんです。
 その中で特に最近マスコミでも話題になっておりますIQの問題、その信頼度の問題、それから性格診断テスト、心理テスト、知能テストといったようなものが、果たしてどれだけの信頼度があるのだろうかということと、これが数量的に明らかにされて、それが例えば指導要録といったような公簿に記載をされる、あるいは先生方の指導事項としてそれが申し送りをされていくというようなことの中から、逆にこのことが子供たちのそれぞれの発達というものを保障する上からいって、一定の固定観念を一人一人の子供に植えつけてしまうのではないかということが懸念をされているわけであります。
 今学校現場で、IQというのは指導要録に記載をされているのかどうか、まずその辺からお伺いしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 学校内でいろいろ指導上の必要から、今御指摘の心理テストとか知能テストを実施する場合がございますが、実施されます場合には、それを、指導要録に標準検査の記録欄がございますので、現行の指導要録では必要に応じて記載するということになっております。
 ただ、これは文部省が、ぜひこれはやらなきゃいけないとかやるべきでないとかということを言っているわけではございませんので、学校の先生方の御判断にお任せしているということでございます。
○小林正君 指導要録の問題、今お話がございましたけれども、現行ということで考えてみまして、今、指導要録については改訂の作業が進んでいるような情報も得ているんですけれども、どういうふうに手続的に、そしてまたいつ改訂が行われるのか、その辺伺っておきたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘いただきましたように、現在指導要録の改訂のための作業を進めております。これは、学習指導要領が変わりますと、教科名とかその履修の仕方等が当然変わってまいりますので、毎回指導要領の改訂のたびにこの指導要録の方も改訂をしてきたわけでございます。
 今回は、特に小学校で生活科という新しい科目がふえておりますので、それについての評価等をどうするかということは、小学校では重要な問題でございます。それから、中学校では今度履修の仕方が変わりましたので、その分についての評価はどうするのかというようなことが学習指導要領改訂に直接伴う問題でございます。
 しかし、それ以外にも、もちろん従来からいろいろ御議論がございます絶対評価であるのか相対評価であるのか、ないしはそれをどの程度加味した方法をとるのかというようなことがございますし、とりわけ音楽とか美術とか、そういう従来から言われております一種の技能教科的なものについての評価のあり方が現行のままでいいのかというような問題もございます。
 さらにプライバシーの観点から、その保存年限等につきまして、現行のままでいいのかという御指摘もいただいておりますので、以上申し上げましたようなことのほか、その他必要な事項を含めまして、現在文部省に指導要録の改善に関する調査研究会議を設けまして、教育学者、心理学者、それから小中高の各学校の先生方、さらには一般有識者等を含めます検討会議において鋭意検討を進めているところでございます。おおむね今年いっぱいには何らかの結論をいただきまして、来年の初めには方向を出していきたいというふうに考えております。
○小林正君 現行の保存期間と、それから今検討されている保存期間をちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 現在は学校教育法施行規則におきまして、たしか二十年となっているわけでございますが、実際は二十年たちましても学校はなかなか廃棄し切れないで、ずっと保存をなすっていらっしゃることが多いわけでございます。それで、たまたま何かありますと、二十年前ないしはそれより前の人の記録が表に出るというようなこともないわけではないわけでございまして、こうしたことから、本当に個人のプライバシーの観点から、こういう保存期間が必要なのかどうか御指摘をいただいております。したがいまして、私どもは、個人のプライバシーの観点を含めまして、この保存期間につきましては目下検討しているところでございまして、まだ何年という方向は出ておりません。
○小林正君 指導要録の扱いの問題につきましては、企業の要請にこたえてコピーが出回ったとか、いろいろプライバシーにかかわる問題もあるようでございます。そして、二十年というのはいかにも長過ぎるという気がするわけでありまして、人間形成のある一断面をとらえて全人的評価ということはできないわけですから、そうした意味で、やはりこの扱いについては、できるだけプライバシーという視点、人権という視点に立って対応する必要があるだろうというふうに思います。
 それから、今申し上げました第三のテストですけれども、今までいろいろ言われてまいりました標準検査の記録がございます。現場段階では、一つの指導資料としてそれを使うということは従来行われてまいりましたけれども、全国的に見ますとかなりばらつきがあるというふうに思います。全然こういうものは信用度が低いから利用しないんだということで使っていないところもありますし、あるところでは、ずっと今日に至るまで営々として使い続けているというようなこともあるようです。
 そして、その中で一番問題になりますのは、そうした子供の問題が数量的に明らかになると、それを唯一の客観的基準、よりどころとして指導に利用しようとする傾向というようなものが一部にあるということであります。ある極端な例ですけれども、この子はお掃除をするのに大変性格的に向いているというようなお掃除性格診断テストみたいなものまであったということも聞いているわけであります。そういう形で子供のことを全部、性格、心理、知能に至るまですべて数量的に明らかにして、自分が本来であれば教師として子供の顔を見ながら、子供と会話をしながらその中で自分の知性というもの、あるいは感性というものを通して子供の実態を知り、どういうふうに方向づけていったらいいのか、何よりも子供と触れ合う中で教育なり指導がされていくというのが一番望ましいわけでありますが、そうしたテストをよりどころにして、それを武器にして子供と対面していくといったような教育指導のあり方というのは、基本的に間違っていると私は考えて、できるだけそうしたことが、少なくとも公簿である標準検査の記録として延々と残り続けるようなことがあってはならないというふうに思います。そういう点で、要録改訂に当たって、ぜひそうしたことへの配慮もお願いをしたいというふうに思います。
 最後に、これは総合的な問題になりますけれども、何よりも二十一世紀の担い手である子供たちにとって、今私たちが何ができるかという視点から考えてみますと、NHKで放映された「二十一世紀は警告する」というさまざまな政治的に解決を迫られている課題が多いわけであります。そうした問題について、本当にこの場で子供たちのために何ができるかというのが文教委員会としての使命と課題だというふうにも思います。できるだけ現場実態に触れながら、地域の父母や国民の皆さんの声が反映できるような文教行政のあり方というものも含めまして、これから文部省も九〇年代、新しい時代へ向けて大きくイメージアップを図っていただきたいというふうに思うわけであります。
 そのことの基本原則は何かというと、やはり教育というのは地域で父母と子供とそして教師、これが当事者です。そして、その中で成功するか失敗するかという課題があるわけですから、できるだけそこに着目をする中で教育行政が支援していくという体制が望ましいと思うんです。やはりそのためには、従来のトップダウン方式ではなくて、ボトムアップで教育行政が進行する。
 どちらかというと文部省は大変今まで御苦労され、大変健闘してきたというふうに私は思いますけれども、一部にやはり責任過剰というようなところがなかったのかどうかというふうに思うんです。それは、すべておれたちに任しておけというような気負いというものが、結果としてトップダウンにつながったんではないかというふうにも思うんですけれども、やはりあくまでも教育というものが国民の側からどういうふうに見られているかということを含んで考えてみまして、国民自身が教育に参加し責任を負うといったような体制、教職員が参加し責任を負うといったような体制、そして子供のために全体が協力し合う、この関係をつくっていって、ボトムアップでそのために文部省が力量を発揮していくという関係をぜひつくっていっていただきたいと思うんです。
 いろいろ臨教審設立の経過からいいましても、文部省について当初解体論まで出た経過もあるわけですから、大変マンモス化している教育行政全般の中にあって、やはり文部省ができるだけ権限を地方にゆだね、そして地方から教育への活力がわき上がってくるようなことの中で、責任ある教育行政というものを文部省が志向していく、こういうあり方をぜひ九〇年代の文部行政として追求をしていただきたい。大変若い文部大臣が誕生したわけでありますから、ぜひそういう方向性の中で御尽力をお願いしたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま二十一世紀を見据えての教育のあり方について、委員からいろいろと御指摘をいただき、拝聴させていただきました。私は、教育は、もとより立派な人格を形成していくために、あるいは立派な体をつくり上げていくために努力をしていかなければならない、こういうふうに感ずるところでございますが、やっぱり一つの視点というものは、先ほど「二十一世紀は警告する」というようなお話もございましたが、人間社会、さまざまないろいろな困難にぶつかることが多いかと思います。この困難を乗り越えていく判断力を養うということも必要なことだろうと思っております。
 そういったこと等もいろいろと考えながら日本の教育を今まで進めてきております。御承知のように、世界の中でも日本の教育はうまくいっていると評価をしてくださるところもございますが、なおさらによくしていくために私どもも努力を重ねていかなければならない、このように考えておるところであります。
○森暢子君 幼稚園の問題について御質問をしたいというふうに思います。
 その前に、けさテレビを見ておりましたら、ある十七歳の少年が仲間たちのリンチに遭いまして亡くなったというのをテレビが取材をしておりまして、その中でお葬式の場面がありまして、お父さんが、こういうふうな事件は自分の息子だけでもう終わりにしてほしいというふうなことを涙ながらに訴えておられる場面がありました。けさちょっと出がけに見たんですけれども。こういう問題を見ておりますと、もう胸が痛くてどうしようかと、こう思うんですが、そういう事件が今までにあちこちで起こっておりました。そういうことについて、いろいろと起こった事件につきまして大臣にお聞きしたいと思うんですけれども。
○国務大臣(保利耕輔君) けさたまたまいろいろと勉強いたしておりまして、テレビを見ておりませんでしたものですから、今の具体的な例については、まだ私承知をいたしておりませんけれども、教育行政を預かる文部省といたしましては、早速事態等について勉強いたし、情報等を収集いたしまして、解析をした上で御意見を申し上げたいと存じますが、もしそういう報道されているようなことがあるとするならば、大変遺憾なことだと存じます。そういうことのない社会をつくり上げていくために努力をしていかなければならないと思っております。
○森暢子君 そういう事件を見ておりまして私ども考えますのに、私たちが小さいころは、地域で、六年生とか三年生とか一年生とか、小さい子供が一緒に転げ回って遊んでおりまして、その中で自然に人間同士のつき合いであるとか、それからお互い先輩が後輩をかわいがるとか、いろんな人間関係というものが育っていったように思うわけですね。それで、そういうものから今の生活環境の中で子供たちは本当に隔離されまして、そういう手かげんとか、けんかのやり方とか、友達同士のつき合いとかというものが全然育っていないという現状を大変悲しく思っております。これはひとえに大人の責任であり、社会の責任だと思っているわけです。
 それで、やはり小さい幼児教育のころからの、大人がそれにどう対応するかということが大変大切になってくると思うんですが、先般、学習指導要領も幼稚園教育要領というのが改定されまして、実に二十五年ぶりの改定だということなんです。そういう中で、幼児教育の課題、つまり文部省として幼児教育をどのように思っていらっしゃるのか。何を目指していらっしゃるのか。つまり、幼稚園教育要領の趣旨というふうなものについて、ちょっとこの場でお話し願えたらと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘いただきましたように、幼稚園の教育要領、これは幼稚園だけは教育要領と言っているんでございますが、学習指導要領と同じでございます。二十五年ぶりに改定いたしました。その間、もう少し回数を多く小中並みに改定すべきであったかもしれませんが、そのときどきのいろいろな事情がございまして二十五年ぶりになったわけでございます。
 今回の改定の基本的なねらいを申し上げますと、幼稚園教育といいますのは、幼児期の特性を踏まえまして、環境を通して行うということをまず第一の基本に据えております。すなわち、子供を取り巻く環境といたしましては、もちろん自然的環境もございます。それから幼稚園自体も一つの環境でございます。そこにいらっしゃる先生も環境でございますし、それを取り巻く仲間も環境、そういうことで、その環境を通して行うということを基本としております。
 そして、そのためといたしまして、教師は幼児との信頼関係を十分に築く、そして幼児とともによりよい教育環境をまた創造していく、そういうことに努めるということを基本に据えまして、重要な視点としまして、一つは、幼児は安定した情緒の中で自分を十分に発揮する、そして発達上の必要な体験を得ていく。そのためには子供たちの主体的な活動を促して、子供にふさわしい生活が展開されていくようにする、こういうことを第一の重点に置いております。
 そして第二といたしまして、幼児の自発的な活動、それは遊びを通して行うわけでございますけれども、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である。幼児期におきましては遊びということが何よりも大事なのでございまして、何かを教え込むということではなくて、子供たちが、自発的な活動を遊びという活動を通して行う。ですから、幼稚園の指導はその遊びを中心として、その中で総合的な発達をねらう、総合的な指導をしていくということにしております。
 第三としましては、幼児の発達は心身、心と体の両面が相互に関連し合って多様な発達をたどるわけでございます。幼児の生活体験がいろいろ異なりますけれども、子供一人一人の特性に応じまして発達の課題を達成していく、発達を促していくということが重要である、こんなことを今回の改定の基本に据えて行っているものでございます。
○森暢子君 いいことだと思うんですが、この中で、環境を通して行うと。その環境というのは、幼稚園自体もそうだし、先生もそうだし、仲間もそうだというふうにおっしゃっていただきました。
 その中で、ちょっと幼稚園の教育条件整備の問題についてお伺いしたいんですが、やはり教師が一人一人の幼児に目を行き届かせて、その子供たちのそれぞれの可能性を見出しながらそういう自主的な面を育てていく、こういうふうになりますと、今一クラスの子供の数、それが一応今までは四十人ということできております。一人の教師が四十人の小さい子供を見ていて、どうして本当に環境的に行き届いたそういうことができるかということが大変疑問であります。
 私も、いろんな関係で幼稚園をいろいろ訪問させていただきましたが、小さい子供というのはもう本当に走り回っておりまして、そしてけがもする、泣いている、おしっこもしている、そういう中を一人の女の先生が見ていくというのは大変なことなんです。それで、仕方がありませんので枠をつくって、ある教室の中から出られないようにして入れ込んでいる。私どもが行きますと、子供たちが人なつこくもう両手を上げて跳んでくるわけです。抱いてほしいと言うんですね。スキンシップが足りないといいますか、そういう状況へ行きまして、何か涙ぐましい感じがいたしました。
 やはり四十人というのは無理であるということから、文部省の方もそれを三十五人学級にしようというふうなのを決めていらっしゃるようです。ですが、その状況ですね、三十五人学級以下に引き下げる方針の幼稚園設置基準が文部省省令で出されているということなんですが、その後の状況、それと、今後どうしていくかというあたりをお聞きしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、幼稚園の学級編制につきましては、いろいろこれまでも経緯がございます。臨時教育審議会の答申におきましても学級定員の引き下げの提言がございますし、私どももこの提言などを踏まえまして学級定員の引き下げを促してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 現在の状況を申し上げますと、三十六人以上の学級が国立では一一・四%、それから公立では八・六%、私立では一九%という数字になっておりますので、三十六人を超えます学級というのはかなり解消されてきている、大部分は三十五人以下になっているという実態がまずございます。
 しかし、なおこの三十六人以上の学級がございますので、私どもといたしましては今年度の平成二年度の予算におきまして、各幼稚園において三十六人以上の学級定員を三十五人に引き下げたい。その場合には、保育室等を増築する必要がございますので、そうした場合に新たに増築に要する経費の一部を補助できるように制度を改めていきたい、このように考えております。
 また、それに伴いまして教員等の増の必要がございますが、これは地方交付税等で教員の定数をふやしていただくようなお願いを別途いたしているところでございます。
○森暢子君 児童数がだんだん減ってきておりますので、自然に三十五人になるだろうということもあるかもわかりませんが、今一応三十六人以上が一一%ということなので、これを、もう一一%ですから、早急に三十五人にやれないかという要求が今幼稚園からたくさん上がってきているわけなんですけれども、あと一一%の三十六人以上をどのくらいの期間に解消しようとお考えになっているのかお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(菱村幸彦君) もう私から申し上げるまでもございませんが、幼稚園の設置者においてこれはいろいろ措置をしていただく問題でございますので、各設置者がどのようにお考えになるかということも一つございます。しかし、今御指摘ありましたように、子供の減少等もございますし、各設置者においてもその努力をしているようでございますので、いつまでということはちょっと申し上げられませんけれども、いずれ学級定員の引き下げの方向へ進んでいくものと、また私どももその努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 一日も早くひとつ文部省の方から御指導をいただいて、本当に三十五人、もっともっと少なくていいわけなんですけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。いろいろ訪問していまして、あのたくさんな子供たちの中で一人の女の先生が頑張っている姿というのは大変なものでございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、やはり学校教育法に、「幼稚園に入園することのできる者は、満三歳から、小学校就学」までの間というふうなのがあるんですけれども、幼稚園教育は三年間にわたって行われることを基本としているというふうに言いながら、公立幼稚園において三年保育を実施しているところが大変少ないという現状があります。依存と自立が共存している時期であり、やはり周囲のものに対して大変興味や好奇心、そういうものが旺盛な時期です。創造力豊かな遊びをする時期でもありますし、三歳からそういう大勢の仲間たちの中で大きくなっていくというのが理想であろうかと思うんです。私立の方では今三歳、四歳、五歳と、こうあるんですけれども、公立幼稚園はほとんどが四、五歳で、少し三歳があるということなんですね。
 それで、こんなことを言うと私立に悪いんですけれども、働いている人たちは、やはり三歳から行けるところへ預けようかということになって、御存じだと思うんですけれども、今公立幼稚園はどんどん人数が減って、その存続すら危ぶまれているわけですね。そういうことについて、私立とのバランスもありましょうけれども、公立の幼稚園というものをどう考えていらっしゃるかということに疑問を感じますし、そこに働いている幼稚園の先生たちは幼稚園教育に意欲を燃やしていらっしゃっているのに、自分の身は次はどうなるかという不安もあるわけですね。そういうことで、公立の実情ですね、三歳、四歳、五歳の実情、また、どうしようとしていらっしゃるか、そういうあたりをお聞きしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、三歳児就園は圧倒的に私立の幼稚園が多いわけでございまして、公立につきましては、幼稚園数が六千二百三十九ありますうち、三歳児のいる園というのは二百七十四でございまして、四・四%で、御指摘のように大変低いと思います。これに対しまして私立の場合には、八千七百九十三ございますうち、三歳児のいる園は八千二百四十四でございますから、九三%が三歳児を入れている、こういうことでございます。
 私どもとしましては、公私を問わず幼稚園教育の振興には力を尽くしていきたい。したがいまして、これは設置者の判断でございますけれども、五歳児、四歳児、三歳児の就園につきましては振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 一年間に幼稚園にどれだけお金がかかるかということを調べてみましても、やはり私立の幼稚園の方がお金がたくさんかかるわけですね。それで、今例えば英語教育をするとか音楽教育をするとかというふうな特色を出しまして私立幼稚園が園児を募集しているという園児の取り合いということもあるんですけれども、幼児期の人間形成というのは大変大事ですから、お金のあるなしにかかわらず、子供たちをみんな平等に幼児として健全に育てていきたい、こういうふうに思いますと、公教育の中の幼稚園の教育というのは大変大切だというふうに思うわけですね。
 そのあたり、どうしても教育というのは高校とか大学に主眼がいきまして、幼稚園の教育というと、本当に隅の方に追いやられているという感じが強いわけですね。ですけれども、教育というのは、一番もとは小さいころですから、小さいころを豊かな環境の中で本当にすばらしい人間関係を築きながら自分をつくっていくというのが大事だと思うわけです。そういう意味で、余りにも貧弱な幼稚園の環境とか実情に対して、ぜひ前向きに御指導なり、取り組んでいただきたいというふうに思います。
 その中で、もう一つは幼稚園の園長の問題なんですね。これが兼任園長が多いわけです。つまり、隣接の小学校の校長が園長を兼ねているというのが多いわけですね。もちろん、兼任の園長も積極的にそういう園務を一生懸命やっていらっしゃるということは認めるわけですけれども、しかしやはり幼稚園の先生方といつも一緒におり、そしてそういうことによって子供たちと接する機会を多く持つ。スキンシップをするとか、だっこするとか、手をつなぐとか、そういう機会はどうしても兼務の園長は少なくなります。
 そういう意味で、先生方の悩みを聞くとか、それから保護者の悩みを聞くとか、いろいろとあると思うんですね。できましたら専任の園長、または園長ができなければ教頭の配置、そういうものを園の中に置いていただきたい。これも、回ってまいりましたら、幼稚園の先生のもう切実な願いであるわけですね。このあたり、ひとつどのような状況であるか、それからどのようにお考えか、よろしくお願い申し上げます。
○政府委員(菱村幸彦君) 公立の幼稚園六千二百三十九のうち専任が二千二百十でございますから、御指摘のように専任の園長さんは公立の場合少ないことは事実でございます。私どもも、できるだけ専任であってほしいと思っておりますので、そういう指導は県を通じてお願いしておるわけでございますけれども、しかし、これは設置者の判断なさるところでございますので、なかなか難しい問題もあろうかと思います。
 ただ、前半で御指摘いただきました幼稚園教育がどうしても隅に追いやられるということは、私どもとしてはそういうつもりは全くないわけでございまして、私の初中局をごらんいただきましても、高等学校課から小学校課、中学校課と並びまして幼稚園課も置いてこの仕事に専任で当たっているわけでございます。
○森暢子君 ひとつ厳しく指導していただいて、各市町村に専任の園長または教頭を置くような御指導をお願いしたいと思います。本当を言えば、幼稚園に養護教諭とか事務職も欲しいところでございますが。
 本当に幼稚園に行ってみますと、先生方がみんな出払っております。職員室にだれもいないわけですね。それでどんどん私どもも中に入っていきますと、子供たちとまみれてやっていらっしゃる。電話がかかってきても出る人がいないというふうな状況です。そして、四十人もいるクラスの中で、一人の子供がけがをしますと、それに先生がとられますと、あとの子供はどうするかという問題ですね。そういうあたりが、十分やっているとおっしゃってくださって、それは大変ありがたいんですけれども、ぜひ行ってごらんになりまして、本当に小さい子供たちがあの中で喜々として遊んでいながら、泣いている子もおりますし、大人が訪問しますと、本当に喜んで跳んでくるというあの状況を見たときに、ああもっと大人たちがすばらしい環境の中で子供たちを遊ばせてやりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、幼稚園の待遇の問題なんですが、小中学校と同じように一生懸命やっていらっしゃるというお答えなんですけれども、小中学校に比べて、今言いました施設とか予算の面において諸条件が大変不利になっている場面が多いわけです。それで、幼稚園の先生方は四時間なんですね、つまり子供がいる間は。これも問題なんですけれども、四時間だからいいではないか、こういうふうに思われるかもわかりませんが、実際は一日じゅう腰をおろす間もないわけです。そして、園児が帰った後は、園庭や植物の手入れであるとか、動物の世話、園舎の掃除、それから学級の事務処理、続いて研究・研修、それから保護者や地域の人々の相談に応じてともに解決の方法を考えるとか、大変忙しいんです。大変なものなんです。
 それでいながら、幼稚園教員の俸給なんですけれども、教育(三)表の適用ということを大変幼稚園の先生方はお願いしているわけですが、やはりこれがいろいろ地方によって、または県におきましても、その自治体においても給料表が違うわけです。そのあたり教育(三)表の適用という方向はどうなんでしょうか、お答え願えたらと思います。
○政府委員(倉地克次君) 今先生の御指摘ございましたように、教育公務員特例法二十五条の五によりまして、公立学校の教育公務員の給与の種類と額は国立学校の教育公務員のそれを基準として定めるということになっている次第でございます。
 それで、公立の幼稚園教員でございますけれども、これは国立幼稚園教員に適用されております教育職俸給表(三)相当の俸給表を適用することが原則だというふうに私ども考えているわけでございまして、従来からその旨を指導しておるところでございます。ただ、先生のお話にもございましたように、現実といたしましては、市町村によっては同一市町村内にあります保育所の保母さんとの均衡を考えたというようなこともございまして、行政職の俸給表を適用しているところもあるわけでございます。
 私どもといたしましては、今後とも幼稚園の教員につきましては、教育職俸給表の(三)を適用するように指導を続けてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○森暢子君 私のおりました岡山県のある市ですけれども、そこの市の幼稚園の先生の特別の給料表があったんですけれども、教育職と行政職の給料表を両方出しまして、そして初任給が幾ら、そして皆さんが退職するときには幾らというのを出したんです。行政職の方が、入ったときは少ないのだけれども、終わりに退職するときには教育職よりもランクが上なんです。つまり金額が大きいわけです。それを二つを示しまして、皆さんどっちかに決めてください、こういうことがあったわけです。それで、そこの市の幼稚園の先生は、全員集まりましていろいろと相談したんです。どちらをとるべきか。終わりに給料が高い方がいいではないか、入ったときは少ないけれども、ずっと勤め上げたら給料がよくなるのだからとか、どうするかということを相談したんです。もう二日も三日もみんなでどうすべかといって相談したわけです。
 その結果、そこの市の人たちは何を選んだかといいますと、どんなに少なくても私たちは幼稚園教育者だ、私たちは幼稚園教育の専門家なんだと。そういうことから、教育職でいいと全員一致してそれをはね飛ばした、こういう事件があるわけです。
 その中には、どんどん公立幼稚園の子供が少なくなるので、一緒に集める。その余った先生をどうするか。そうしますと、今度は役場に入れて事務職に回すというふうな考えがあるわけですね。そうするためには行政職の給料表にしておいた方が便利がいいわけです。ややこしいのから逃れるわけですね。そういうことで、そこの市がそういうものを提案してきた、こういうことがあるわけです。
 そのほか、各県の市町村でもいろいろあるわけですね。そういう中で幼稚園の先生方は大変悩んでいらっしゃる。この実情をぜひお考えいただきまして、幼児教育に対して文部省が本当に熱意を持っていらっしゃるなら、本当に厳しくこの教育(三)表適用ということを各県の行政に指導していただきたいということを強く要請しておきます。
 ありがとうございました。
○委員長(柳川覺治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(柳川覺治君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管を議題として、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○森暢子君 それでは、続きまして私がいろいろとお話を申し上げたいんですが、子供の権利条約につきまして次はお願いしたいと思います。
 御存じのように、昨年の十一月二十日の第四十四回の国連総会で、満場一致で採択された条約でございます。五月十六日の予算委員会でも本岡委員が質問をなさいまして、大臣も本条約の締結については、今後検討を早急に進めるというふうな御返事もいただいているようでございます。
 この条約を批准するには、いろいろと国内法の整備が大変だと、前の私の質問の中でそういうお返事をいただきました。大変だと思いますけれども、やはり早期に批准を願う世論が今大変巻き起こっております。特に文部省は、学校現場の対応というのは大変なことではないかというふうに思います。
 そういうことで、まずお尋ねしたいのは、文部省、厚生省、法務省にきょうはお願いしてあるんですけれども、それぞれ自分たちの省にどういう抵触する法律があるか、また批准に向けてどのような取り組みをなさっているかという、現段階のそういう状況をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(川村恒明君) ただいまお尋ねのございました子供の権利条約でございますけれども、御案内のとおり、かなり大きな長い条約案でございます。それで、前回予算委員会での御審議の際にも政府側から答弁がございましたように、現在外務省を中心に関係省庁が集まりまして、各条ごとに内容の吟味をし、中身の確認をしていると、こういう状況でございます。
 その作業がまだ現在進行中というふうなこともございまして、全体としてどこにどういう問題があるかということを、きちんと整理をしているわけではございません。ただ、私どもとして、条文を見た中で、その考え方を整理した方がいいかなという部分も幾つかあるわけでございまして、それは、その条文を私どものつたない英語の読解力で読んでおると、間違ったりなんかすることもございますから、その辺は外務省を中心にその言葉の意味を押さえながらやっていると、こんなことでございます。
 そんなことでございますので、全体としてこれだということを今にわかに申し上げるわけにまいりませんが、例えば気のついた点を申しますと、二十八条に教育を受ける権利という規定がございますが、そこを読みますと、種々の形態の中等教育の発展を奨励するという文脈の中で、無償教育の導入ということも考えてはどうかというふうな規定がございます。この無償教育の導入というのが、中等教育全体について後期中等教育までいうとすれば、これは我が国において高等学校をどうするかという問題もございますし、それ以前の問題として、この無償教育の導入ということが、文脈として、例えばそういうことなどもという意味で言っておるのか、それをやれというふうに言っておるのか、なかなかそこは難しい解釈の問題もございます。そんなことで、内容について現在精査をしていると、こういう状況でございます。
○説明員(太田義武君) お答えいたします。
 児童福祉の分野におきましては、基本法とされております昭和二十二年制定の児童福祉法というのがございまして、これがこの分野における中心の問題になるかと思いますが、この児童福祉法の目的には、「児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努め」るものとするという、いわゆる児童福祉の理念が語られておりますけれども、この理念と本条約の趣旨は一致するというふうに考えております。
 したがって、基本的には私ども問題ないと理解しておりますけれども、ただ個別、具体的にどの条項がどういうふうに関係し合うかについては、さらに、ただいま文部省の局長さんからもお話がありましたように精査する必要がありますので、私ども現在部内で検討をいたすと同時に、ただいまお話ありましたように、外務省を中心として関係省庁と一生懸命検討を進めておると、こんな段階でございます。
○説明員(頃安健司君) お答えいたします。
 ただいまの文部省、厚生省のお答えと同じようなお答えになるかもしれませんが、委員お尋ねの児童の権利に関する条約につきましては、私ども法務省が所管するいろんな法律におきましても、おおむね条約の要求する権利の保障が行われているものと考えておりますが、なおその条約の各条文の細部にわたって意味、内容を確定することが必要であると考えております。
 したがいまして、私どもも現在関係省庁と協力いたしまして、条約の文言の意味、内容を確定し、条約批准のための国内法整備に当たっての具体的な問題点の有無の検討を鋭意進めているところでございます。
○説明員(角崎利夫君) ただいま各省の方々から御説明ございましたとおり、外務省が中心となりまして、各条文につきまして国内法との関係、それから他の条約との整合性等につきまして鋭意検討を進めておるところでございます。この検討を早急に進めつつ、本条約の締結を目指して努力しているというところでございます。
○森暢子君 外務省が窓口でありますので、各省庁をしっかり指導していただいて、早くこういうことはやっていっていただきたいと思うんですけれども、今文部省の方から、やはりあれを翻訳するのに、つたない翻訳で、意味の取り方がいろいろあるというふうなことをおっしゃっておりましたので、前のときに私、翻訳を政府の方がきちっと出していない、民間レベルではいろいろ邦訳が出ているんですけれども、出ていないというふうなことで、急いでほしいということをお願いしたのですが、外務省の方できちっとそれを出されないと、各省庁がそれをどのように読むかが大変だと思いますが、外務省、そのあたりどんなのでしょうか。
○説明員(角崎利夫君) 翻訳の点につきましても、各省庁との間で、その訳をどういうふうに訳すのが一番適当かということも含めまして検討しておるわけでございまして、その辺がまとまり次第に、また翻訳を固めてまいりたいというふうに思っております。
○森暢子君 しっかりよろしくお願いいたします。すぐ急いでいただきたいと思うんです。
 それから、これも先日の五月十六日の予算委員会の中で本岡委員がいろいろとあれした中で、海部総理大臣が、ユニセフの事務局長が訪ねてこられたときも、私は国会の日程等の調整が許されるならば子供サミットに出席したいと申したというふうなことを答弁されておるわけです。
 九月に子供サミットがあるということなんですが、私どもとすれば、やはり文部大臣にぜひ、それこそ日程の調整が許せばこの子供サミットにも参加していただきたいというふうに思います。
 それと、行かれるからには、何か日本の態度とか、どうしようとしているか、批准しようとする姿勢なのか、何かそういうものを持たなければ、ただ参加して見てきただけではいけないと思いますし、参加するお気持ちがあるかどうかということと、参加するためには、どういう姿勢で行かれるかということをお聞きしたいと思います。文部大臣。
○国務大臣(保利耕輔君) 九月に子供サミットがあるというお話は、両院の予算委員会でもしばしば出ておりました。総理からも、前向きにこれに対処したいという御答弁をいただいているところでございますが、この子供サミットへの招待者は、各国の元首あるいは総理大臣といったいわゆる行政府の長に対して招待が来るという形になっております。したがいまして、私が総理にかわって出席というようなことは、この子供サミットの運営からいうと、ないようでございます。
 しかし、私がくっついて見に行くとか、あるいは勉強しに行くとかということは、私の気持ちとしてはしたいと思っておりますが、あくまでも主体的に御参加をなさるのは各国の元首あるいは行政府の長ということでございますので、私はなかなかお答えがしにくうございます。
○森暢子君 それでは、次に移りたいと思いますが、日本はこの条約を審議した国連の人権委員会及びその作業部会に、だれか委員を送っていらっしゃるはずですね。その委員を通じて日本側の考えを表明なさったと思うんですけれども、文書があるかどうかということと、文書が提出できなければ、どういう日本側の意見をそこで述べられたかということをひとつお願いしたいと思います。
○説明員(角崎利夫君) 我が国は、御指摘の人権委員会におきます立場説明の中で、同条約草案を完成させた作業グループの努力に謝意を表明し、条約草案のコンセンサス採択に加わるという旨を述べました。それとともに、条約草案につきまして、国連の第三委員会においてさらに審議を尽くすことが望ましいという観点から、我が国のとりあえずのコメント、例えば条約第九条の親から分離されない権利及び第十条の家族の再統合に対する配慮についての上記作業グループの理解の確認等を指摘いたした次第でございます。
○森暢子君 一九九〇年二月一日発行のジュリストという本の中に、きょうおいでの角崎利夫さんが「児童の権利に関する条約の採択」という一文を載せていらっしゃるわけですね。その中に、採択に当たって「我が国を含め多くの国が投票理由説明を行った。」というのがありまして、その行った文章については、終わりのところに国連人権委員会サマリー・レコードにあるというふうなことなんですね。どういう説明を行ったのかということや、できましたらその文章などが示していただければ大変ありがたい、つまり日本側の態度が知りたいわけです。資料を出してほしいということです。
○説明員(角崎利夫君) その資料につきましては、もし御要望がございましたら後で御提示いたします。
○森暢子君 ぜひいただきたいんですけれども、ちょっと今ここでその内容を、簡単にでもいいですから、おっしゃっていただけたらと思いますが。
○説明員(角崎利夫君) これらのコメントにつきましては、人権委員会における当時の考え方を述べたものでございまして、先ほど申しました条約第九条、第十条に関するコメント及び二十一条、二十二条、二十八条、第四十条に対するコメントを述べておりますが、詳細につきましては、長くなりますので、後でそのものを提出するということでかえさせていただきたいと思います。
○森暢子君 せっかくきょうこれだけ大勢の方がいらっしゃるし、男の方も大勢いらっしゃるし、そういう中で何条何条何条と言っても中身がわかりませんので、簡単でもよろしいから、その内容を言っていただけたらと思いますが。
○説明員(角崎利夫君) 第九条、第十条の諸点につきましては、先ほど申しましたように出入国管理との関連でございます。それから第二十一条と申しますのは養子縁組に関連する条項でございます。それから第二十二条は難民の児童に関する条項でございます。二十八条につきましては、先ほど御指摘がありましたように無償教育に関連する条項でございます。第四十条は刑事手続における児童の取り扱いという部分でございます。
○森暢子君 じゃ、そういうことに問題点があると指摘しながら、やはり日本としては採択し、そして批准に向けて努力するということでございますね。
○説明員(角崎利夫君) 先ほど申しましたように、これらのコメントにつきましては、人権委員会におきまして当時の考え方を述べたものでございまして、現在、これらの諸点を含め鋭意検討しているという状況でございます。
○森暢子君 鋭意検討するという言葉は、よく使われまして大変いいんですけれども、やはり具体的にそういうふうなものは急いでいただきたいというふうに思います。
 次は、文部省に対してなんですが、文部省もこの審議に対しまして、文部省としてはどうするかという、政府部内のそういう協議ですね、そういう中に参加して意見を述べられたんではないかと思うんですけれども、文部省としては、この子供の権利に関する条約について、一番何を問題点になさっていらっしゃるでしょうか、ちょっと重複するかもわかりませんが。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘がございましたように、大変に幅の広い条約でございますけれども、私どもの関係で申し上げますと、ただいまの二十八条の教育を受ける権利、二十九条の教育の目的などが比較的関心の深い分野でございます。
 それで、こういう採択に当たりましては、外務省が中心になられまして、政府としてどういう対応をするかということを事前に相談するわけでございます。これは全く政府部内の相談ですけれども、そんな御相談の中で、私どもとして、やはり事柄を正確に理解をしなければなりませんから、先ほどちょっと例示をいたしましたけれども、中等教育における無償教育というものをどういう位置づけで規定をしようとしているのか、その辺の趣旨を明確にしてもらいたいということが中心であったように思っております。
○森暢子君 それでは、これはちょっと文部省の方にきのうも資料をお渡ししたんですが、田無市の市議会で「子どもの権利に関する条約の批准と政治・行政権力による教育介入の中止を求める意見書」というのが出されているわけです。提出先が文部大臣というふうになっているわけです。その中には、「戦後制定された日本国憲法は、平和、国民主権、基本的人権、地方自治等を柱とし、その実現はひとえに教育にあるとして教育基本法を定めた。」、ところが、教育に不当な支配があるということは、子供の人権、子供の権利に関する条約にも触れるんではないか、だから「学習指導要領や行政指導などによる政治・行政権力の介入・強制はやめるべきである。」、こういうふうなことで、一致してそういう要請を出しているわけです。
 この意見書につきましてどのようにお考えか、ちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま先生から御指摘のありました田無市議会からの意見書は、これは地方自治法九十九条二項によりまして「議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる。」という規定に基づきまして出されたものと思います。したがいまして、私どもは、この意見書は当該地方公共団体の議会としての意見を表明されたものというふうに受けとめております。
 内容につきまして御指摘のありました二点でございますが、第一点の子供の権利条約に関します部分につきましては、先ほど来の御議論のとおりでございますので、私から繰り返すのは避けたいと存じます。
 それから第二点の学校教育に関します学習指導要領や行政指導などが「政治・行政権力の介入・強制」ではないかということにつきましては、これは私どもといたしましては、学校教育につきましては、その性格上、全国的な水準の維持向上とか教育の機会均等の確保ということが強く要請されております。そのために国は、議会で決めていただきました法律に基づきまして教育課程の基準としての学習指導要領を定めるほか、必要に応じて指導助言をしているところでございまして、私どもはこれは必要なことというふうに考えております。
○森暢子君 この例から見ますように、子供の権利に関する条約の中には、やはり集会に自由に参加する権利であるとか宗教の自由であるとか、そういうふうなことが上がってくるわけですね。そうしたときに、話が別の方へ行きますけれども、やはり日の丸、君が代を義務的に強制するということが、やっぱりこの権利条約の中には引っかかってくるんではないかというふうにも思えますし、これからこの条約を批准していろいろと社会や学校の中にそれを実施するに当たりましては、本当にたくさんの問題が山積みしていると思うわけですね。まず大人が、我々が子供に対する考え方を変えなきゃいけない、それから学校の現場の教師もそうですし、社会の大人も親もみんな変わっていかなきゃいけないというふうに、意識変革というのが迫られているんではないかと思います。
 その中で、特にここは文教委員会でございますので、学校現場のいろいろと具体的な問題点が上がってくるのではないかと思うんですけれども、学校現場の問題として、どういうことを具体的に考えていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 子供の権利条約につきましては、先ほど来繰り返し御議論がございますように、まだその条文が確定しておりませんので、その条文が確定いたし次第、学校現場に対してどのような問題点があるのかないのか検討をし、必要がありましたら、それに対応する措置をとってまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 先日の新聞に、「子どもの権利条約の批准を求める十代の会」というのが結成されまして、東京都でございますが、子供たちが既に立ち上がっているわけですね。そして、校則問題なんかを協議している。そういう中で子供たちが、僕たちのことを大人たちが決めるのはおかしい、ぜひ子供の意見も聞いてほしいというふうなことで立ち上がっているわけですね。そういう事態の中で、まだ翻訳もできていない、これから検討して審議して学校におろすというふうなことでは、大変遅いんではないかというふうに思います。
 私も中学校の教師をしておりまして、そういう中で、例えば遅刻してきた子供がおりますね。そうしますと、おまえ遅刻するのは悪いから、そこの廊下へ立っておれと言うわけです。そのときに、どうして遅刻したかという子供の意見は余り聞かれないわけです。宿題を忘れた、それはいけない、立っておれと。じゃ、どうして宿題ができなかったかとか、どうして遅刻するかというふうな子供の意見を聞かないで、それは悪いということで、大人がすべて決めつけてくる、そういう問題もあるわけです。
 それで私が、どうしておくれてくるかというのを、それは一番学校に家が近い男の子なんですけれども、聞いてみましたら、男の子は、なかなか学校で、こんな話もなんですが、大便をしないんです。しにくいというのですか、格好悪いというのですか、しないわけですね。どうしても家でしてこなきゃいけない。ところが学校へ行く時間になるとお便所へ行きたくなる、そう言うんですね。それで、ああおくれると思っても、出たくなるし、今しておかないと、学校でしたら格好が悪いということでトイレへ行く。そういうことで、いつも悪い顔をしながらおくれてきていたということがわかったわけです。
 それは親との話し合いや生活習慣もありましょうけれども、そういう本当に胸を痛めながらおくれてきているその子供に、意見も聞かないで、立っておれ。「僕は遅刻しました」という札をかけて立たせるとか、そういう学校も多々あったわけです。そういう中で、子供の意見を本当に聞きながら学校をつくっていくというのは、大変な時間とそれから教師の意識変革というものが要るわけです。校則を見てもそうであります。校則は往々にして学校が管理しやすいようにいろいろ決めていくわけですけれども、その中に子供の意見というのはほとんど入ってないのが実情です。
 それで、私のまた経験になりますけれども、遠足に行くときにもいつも、ここは木を折ってはいけない、ここでトイレをしていけない、何々してはいけないということを、大勢集めまして、そこで教師が順番に立ちまして言うわけです。しかし、それではいけないということで、子供が下見をいたしまして、子供がここはこうだからこうしてはいけないということを、それぞれの係分担が立ちまして生徒たちに伝えて、規則をつくって遠足に行った、こういう実験をしたわけです。子供たちは自分たちでつくった規則というのはよく守るんです。それから自分たちの仲間が前でそれについて説明しているというのは、よく聞くわけです。教師が一方的にしているのは聞かないわけです。そういうことをするためには、大変な余裕というか時間が要るわけです。しかし、やったのは大変すばらしいことなんです。
 修学旅行一つとってもそうです。修学旅行でも、あれだけの生徒を連れていくためには大変な管理をしないと大変だということで、一列に並んで歩きなさいとか、ここでは出てはいけないとか、いろんな規則規則で縛って旅行へ連れていくわけです。しかし、私どももそれではいけないということで、子供たちで規則をつくらせ、そして長崎の平和公園では自由にグループ別に歩かせたという実験をしたんです。けんかをするんではないかとか、よそのお家のガラスを割るんではないかとか、時間までに平和公園に集まるだろうかとか、大変な教師は心配をしました。
 しかし、きちっと自分たちで地図を頼りに回ってきて、時間どおりに集まってきたわけです。子供も、知らないところだから、早く行って集まらないと連れて帰ってもらえないんではないかということもあったんでしょうけれども、そういうふうなことを子供を中心に声を聞きながらやっていくということはすばらしいことなんです。しかし、そのためには大変なこれから教師集団の意識変革、または学校長もそうですけれども、いろんな問題がたくさんあると思うんですね。そういうふうなことについて、本当にどのようにお考えになっているんでしょうか、ちょっと実例を挙げましたんですけれども。
○政府委員(菱村幸彦君) 校則は、学校が集団生活を行っているわけでございますので、一定の決まりということから必要でございますし、意義があると思います。
 ただ、今御指摘いただきましたように、現実の校則を見ますと、絶対守らなければいけないルールのほかに、努力目標というようなルールもございますし、ないしは子供の自主性に任せてよいと思われるような校則も現実にあるわけでございます。
 そこで、私どもとしましては、校則がつくられてから長い年月を経て、見直されていない校則等も学校によってはございましょうから、時代の変化、社会の変化、子供たちの実態に対応して、最も学校で適切なものを決めてほしいというお願いをして、校則の見直しということを指導しているわけでございます。
 もちろん、その過程におきましては、ただいま御指摘になりましたように、このルールを守るには子供たちが参加して決めるということも一つの方法でございましょう。これは各学校の実態によりまして、校長先生のリーダーシップのもとに取り組んでいただければいいわけでございます。私どもの文部省で出しております生徒指導の資料などにも、生徒が参加して進める校則の見直しの例などを掲げておりまして、そういう取り組みについても全国に紹介したりいたしております。
 いずれにしましても、これは文部省の問題というよりは、実践の場において子供たちの実態に応じた措置を各学校でやっていただきたい、こういうことでございます。
○森暢子君 子供の権利条約につきましては、今いろいろとお聞きしましたけれども、まだまだ早期批准に向けて一生懸命努力しているというところにはいっていないということがきょうわかりまして、ぜひ前向きに、皆さんのお言葉をおかりしますと、鋭意努力を早急に急いでいただきたいというふうに思います。
 それでは、次に移らせていただきます。次は家庭科の男女共修の問題についてお願いしたいと思います。
 今回の学習指導要領の改訂で、平成六年度、一九九四年度から高校において、現行の家庭科女子のみ必修が男女必修教科となるというふうなことで、その改善の具体的な事項とか、そういう内容とか、方向とか、文部省の方でよろしくお願いいたします。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいまお話がございましたように、新しい学習指導要領では、高等学校におきまして家庭科を男女共修といいますか男女必修にしているわけでございます。
 科目といたしましては、従来からもございますが、家庭一般と、それから今回新たに生活技術、それから生活一般という科目を定めておりまして、これらの三科目の中から一科目、四単位でございますが、男女とも必修にするということでございます。
 これらの科目は、いろいろその目標、内容等を若干異にいたしておりますが、いずれにしましても衣食住、家族等の家庭経営の問題ないしは生活を合理化する問題、さらには家庭の健康な生活を管理する立場等からその内容を構成しているものでございます。
○森暢子君 今のお言葉の中に、家庭生活をやっていくとか、それからほかの資料で見ますと、家庭を取り巻く環境の変化に対応して親となるための自覚を高め、よき家庭人として家庭生活の充実向上を図るとか、それから今おっしゃいました家庭生活に必要な衣食住、保育などに関する知識と技術を家庭経営の立場から総合的に体験的に修得させる、こういうふうなことになっているわけですね。
 ところが、じゃなぜ男女とも家庭科が必修というふうなことになったかということをちょっとお聞きしたいんです。今まで別学でしたね、それがどうしてなったか。
○政府委員(菱村幸彦君) これは、男女が協力して豊かな家庭生活を築くということが大事だからでございますが、直接のきっかけは、先生ももう御案内のように女子差別撤廃条約がございまして、その批准がございました。その中で、男女とも同一の教育課程によって教育をするという条項がございますので、それを国内法的に措置をいたします場合において、学習指導要領におきまして家庭科は男女共修にするという措置がとられたのであります。
○森暢子君 きっかけはそのとおりでございますね。女子差別撤廃条約の第十条の(b)というところに、同一の教育課程を受けなきゃいけない。それから(c)項では、ここが大事なんですが、「男女の役割についての定型化された概念の撤廃」、これが掲げられているわけですね。そして、総理府の西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画の中でも、「男女平等と男女の相互協力」を学校教育で充実することを提言している、こういうことになっているんですが、今改善の具体的な事項の目標の中に、この男女平等の視点というのがないんですね。この女子差別撤廃条約では、教育の平等の中には必ず、男女の役割についての定型化された概念を撤廃しなきゃいけない、そのために、家庭科は女子、技術は男子、こういうふうな男と女を育てるための教科、これは平等ではないということから、家庭科を男女必ず同じように勉強しようというのが始まったと思うんですが、その中に男女平等の視点がないということがちょっとはかりかねますが、いかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 男女平等の教育は、これは大変大事でございまして、家庭科だけで行うというものではないと存じます。学校教育全体の中でこれを行わなければならないわけでございまして、ですから、学校教育のまず前提になっているということであろうと思います。
 例えば、これは小学校でございますが、道徳の中で、「男女仲よく協力し助け合う。」というような指導項目もございます。また中学校では、社会科の内容としまして、「個人の尊厳と両性の本質的な平等」について考えさせるということもございます。また、これも中学の道徳でございますが、「男女は、互いに相手の人格を尊重し、健全な異性観をもつようにする。」というようなことがございます。
 さらに高等学校では、今回の新しい公民科の中の現代社会におきまして、「人間の尊厳と平等」とか、さらには特別活動の中でホームルーム活動の内容として、「男女相互の理解と協力」というようなことをいろいろさまざまな場面で取り上げているわけでございまして、これは学校教育全体を通じて行うべき基本的な前提であるというふうに認識いたしております。
○森暢子君 それはもちろんそうなんですけれども、特にこの家庭科・技術というのが男女が分かれて勉強し、そして女は家庭科で食物とかお裁縫とか、女になるための教育、それから男は強くたくましく男らしく生きるというふうなことが行われてきた特別な教科であるから、特に家庭科は男女問わずすべての国民が学ぶべき、これからともに生きていくそういう力をつけるための教科であるというふうになってきたわけですから、特に力を入れてこの共修ができるような実施に向けての取り組みが欲しいわけです。
 それで次ですが、男女共修実施のための文部省の対応についてお尋ねしたいんですけれども、これからそうしていくためには、やっぱり施設設備の問題とか、それから一校当たりの教員数の問題であるとか、それから大急ぎで教員の研修の問題であるとか、いろいろと実施に向けての具体的なものがあるわけですが、その状況をお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、この家庭科を男女共修にいたしますに当たりましては、従来、例えば男子校のようなところは全く施設がないわけでございますし、それから職業高校では、例えば工業学科を持っているようなところは、そういう家庭科の施設設備はないというようなところもございます。したがいまして、まず施設設備の整備ということが必要かと存じます。私どもとしましては、平成六年からこの新しい学習指導要領が全面的に実施になります。したがいまして、ただいま申し上げました男子高とか工業高校などで家庭科教育のための施設などが十分でないところにつきましては、早急に施設設備の整備を図りたいと考えております。
 そのためには、私どもとしましては、まず公私立高校におきます学科別、学級規模別の整備状況につきまして調査をいたしまして、例えば施設設備を全く保有していない学校ないしは施設設備の不足が予測される学校等につきまして、目下調査中でございます。その調査がまとまり次第、その整備についての必要な予算につきまして充実をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、教師の問題がございますが、家庭科の新科目を実施いたしますには、当然教師の研修ということも必要になってまいります。現在新しい指導要領の円滑な実施に向けまして、まず各都道府県の基幹的な立場、リーダーになるような家庭科の先生に対しまして文部省が講習を行いまして、その方々が各県に戻りまして、それぞれ各都道府県で講習会を開く、講座を開くというようなことで、現在計画的な研修を実施いたしているところでございます。
○森暢子君 実施に向けて施設設備の保有状況を平成二年度に調査をして、その結果に基づき補助をしていくというふうなことなんですが、それで間に合うのでしょうかということを心配します。平成二年度に調査をするんですから、いつその調査が終わって発表できるのか、調査はどういうことを調査するのか、間に合うのかということを大変心配します。
 それから、教員の定数改善計画なんですが、大体平成六年に向けて、どれくらいの教員が必要なのかということをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 私の方からは、前半の調査の件につきましてお答えを申し上げます。
 現在調査しております集計は、大体ことしの六月中には何とかまとめたいと考えておりまして、それに基づきまして関係予算の充実を今後していきたい。そして、間に合うかという御指摘でございますが、三、四、五と三年間時間がございますので、この間に早急に各都道府県を通じまして、これらの整備を図っていきたいというふうに考えております。
○政府委員(倉地克次君) 定数のお尋ねでございますけれども、確かに、家庭科について男女共修になることによりまして家庭科の授業時数はふえるわけでございますけれども、一つの学校の教育課程全体の週当たりの授業時数を見ますと、これは三十二単位ということで変わらないわけでございます。そういうことで、定数の面につきましては増減がないわけでございますので、先生のお尋ねの点は、定数の中で具体的にどういう教員を当てはめていくかということになるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 そういうことでございますので、私どもといたしましては、平成六年までに、各都道府県におかれまして家庭科の共修を十分念頭に置いて適切な人事配置が行われるよう指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
○森暢子君 それからもう一つ教員の研修の問題で、家庭科新科目実技指導講座というのを平成元年度より実施して、家庭科のリーダーの教員を養成するというふうなことでございますが、このいただきました文部省の予算書を拝見させていただきますと、三十七ページに、家庭科新科目実技指導講座ということで、今回三会場が四会場になったというふうなことで書いてありますが、全国でこの四会場でやるわけですね。それで、どれぐらいの人数の人がこの指導講座を受けることができるのかということが一点。
 それからこの指導講座というんですか、これは、家庭科をどうして男も女も学ばなければいけないかということを広げるためには、余りにも貧弱ではないかと思います。それに関連しまして、コンピューターの方の指導ということに対しましては大変たくさんの予算がとってあるわけでございますが、私どもといたしましてはどうして男女が家庭科を学ぶかという男女平等の教育の視点を盛り込むためには、これでは大変貧弱ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 家庭科の実技指導講座につきましては、平成元年は確かに三会場でございまして、全国で百二十人でございます。平成二年には四会場になりまして、百六十人を対象にしておりますが、今後少しずつこの会場をふやしていきたいと思っております。最終的には、全面実施までの間に千人の先生を対象に中央講習を行いたい。これは全国の家庭科の先生が約一万人でございますので、その十分の一を文部省で受け持ち、残りは各都道府県におきまして、これらの先生方を中心として指導講座を展開していただきたいというふうに考えているわけでございます。
 現実に各都道府県におきましても積極的にお取り組みいただいておりますので、いずれにしましても全面実施までの間には私どもが予定しております研修はほぼ完遂できるというふうに考えております。
○森暢子君 できるかどうか――もっともっと広げなきゃいけない。
 今の情報化社会の中ですから、例えばビデオをつくりまして、そして全国のすべての高校が約五千五百校、主要な教育委員会を五百と考えまして、計六千本の例えば一巻四十五分ぐらいのビデオを作製いたしまして、その中に授業風景であるとか、例えば文部省の言いたいことをその中に入れるとかしまして、説明パンフレットつきのビデオを配って大勢の人に見ていただくとか。たったこれだけの先生たちを指導するだけでは追っつかない、こういうふうに思うわけです。このビデオをつくりましても、ざっと計算いたしまして一千五百万か二千万で行き渡るわけでございまして、そのビデオは何回も何カ所でも放映できるわけでありますから、例えばこういう方法でもとって、早くその男女平等の意識を学校の中や家庭科の中でどういうふうに取り組んでいくかということの宣伝をしなきゃいけないのではないかと思うんですが、この案に対していかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 貴重な御意見を聞かしていただきましたが、私どもとしましては目下指導書をつくっております。指導書の充実を図って、全国の関係の先生方にお配りしたいと思っておりますが、先生のビデオの点につきましては、研究をさせていただきたいと存じます。
○森暢子君 今家庭科の男女必修の問題について、実施するための方法をいろいろとどのようにしていくかということをお聞きしたんですけれども、私の言いたいのは、やはり世の中、男と女でできておりまして、今女性の働く人たちが大変ふえまして、社会の底辺で、または前面で男性と同じように肩を並べて働いている、そういう時代であります。そういう中で、まだまだ家事、育児が女性の肩にかかってきておりまして、そして職場に出れば男女平等だからということで男の人と同じように働かなきゃいけない、大変女性にとってそれが重荷であるわけであります。そういう中で、家事、育児を男と女が分け合ってすることによって、男も女も働きやすくなるんではないか、そのかぎを握っているのが教育であろうかというふうに思います。
 それで、先ごろ、ある新聞の記事を見ておりましたら、フルタイムで働く妻を持つ夫がする家事ですね、何をするかということなんですが、その第一番は新聞をとりにいくことらしいですね、新聞をとりにいきましょう、こういうことですね。それがトップで三二%だそうです。その次には換気扇の掃除だそうですね。お父ちゃん、換気扇が汚れたから掃除してということで、じゃ大儀だけれどもやろうかということでやるわけですね。三番目が靴を磨くことですね。あなた、自分の靴ぐらいは自分で磨きなさいと、こういうことで、じゃ磨きましょうかと。この三つ程度だということなんですね。そうしますと、女の人にはもっともっといろいろなものがかかってきておるわけですね。
 ところが、これから高齢化社会になりまして、いろいろと夫と妻が生きていかなきゃいけないということですね。そのときに、夫はもう会社で働き続けますね。その間に女の人は、市民運動とか自分の住まいの中でいろいろなところにかかわりながら自分というものをつくっていくわけですね。もちろん生活的自立も精神的自立もできてきますし、それから働くようになりましたから、経済的自立もできてくる。男の人は、本当に会社人間で働きながら、おい靴、おい御飯、おい新聞、こういう中で過ごしてきたとしますね。
 そうしたときに、退職したと。じゃ老後、仕事から解放された夫たちは、今度は妻に、おい一緒に歩こうではないかとか、どこかへ旅行しようではないかとか、そういうことで妻と過ごす時間を大切にしたいと考えるわけですね。ところが、年をとってから急に妻にそのように接近しても、これはもはや手おくれなんですね。そして、余りにも身勝手であるということなんです。つまり、子育ての大変苦しいときに夫と妻が分け合いながら育児をし、家事をし、ともにきたという実感がないと、後からおいおい君君と言っても、私は退職金を半分いただく権利がありますから、自由に私の人生を生きますというふうなことにもなりかねないというふうな事態もあるわけですね。これはたくさんあることであります。
 ここにいらっしゃる男性は、もう本当に妻とお仕事を分け合っていらっしゃるのではないかと思いますけれども。つまり、そういうことをやはり教育の中でずっとやっていかないとだめであるわけですね。教育の中に、男は男、女はこうだというのが知らず知らずのうちにいっぱいあるわけですね。
 例えば出席簿ですね。これが男から順番なんです。それは当たり前だ、管理上便利がいいからそうしているんだと。そうしますと、健康診断も、はい男子から、遠足に行くときバスに乗るにも、はい男子から。もう全部男子からなんですね。たまに男子が何かしていて、じゃ女子が先に乗りなさいと言って乗せますと、男子が入ってきまして、あっ、女が先に乗っておると、こういうふうにちゃんと自分たち男が先だという意識があるわけですね。げた箱でもそうです。男子が上の方で、女の子はいつも下の方のげた箱であるとか、そういうふうなことがいっぱいあるわけですね。それで、だんだんとやはりアイウエオ順に出席簿をしようとか、そういう取り組みが今なされているわけですね。
 やはり主体的に男と女が生きていくためには、この家庭科男女必修というのは大変重要な科目であるというふうに思います。家庭科なんか勉強しなくてもいいという大変――前も私申しましたが、私は美術でございますので、主要五教科が大事で、家庭科、技術、美術とか音楽とかいうのは隅に押しやられているというふうなことがありましたけれども、そうではなくて、家庭科こそ生活を男と女がともに分かち合ってそして生きていくということをいろいろと学ぶ点では大変重要な科目だというふうに思いますが、こういうことについて文部省、もっともっと取り組んでいただきたいんですが、もし御意見がありましたら、よろしくお願いします。
○国務大臣(保利耕輔君) 家庭科の問題について先生の立場からいろいろとお話をちょうだいいたしまして、私も拝聴させていただきました。
 実は、いろいろと私も苦い経験がございまして、単身赴任をいたした経験がございますが、そのときに妻から御飯の炊き方は習いました。お米とほぼ同量の水でやりなさい、炊く前にどんなに少なくとも二十分は水につけたままにしておきなさいと、そういったことを習ったんでございますが、ただ、忙しいものですから、たくさんのことを習うことができなかった。みそ汁はどうやってつくるんだろう、単身赴任中ですから、ぜひみそ汁を飲みたいと思いました。日本食の材料店に行きますとみそを売っておりましたから、みそを買ってきて、お湯の中へ溶いて飲んでみました。これは全くみそ汁にならなかった。だしをとるということを習っていなかったわけであります。それだけちょっと習っていれば、私は単身生活もエンジョイすることができたかもしれませんし、おいしいみそ汁を飲むことができたかもしれませんけれども、そういうことを知らなかったために、みそ汁は妻が来るまで私は飲めなかったわけでございます。そんなことを考えますと、私ども男性としても、やはり家庭科の知識というものは必要だと思います。
 私自身、中学のときに、もう終戦直後でございましたが、靴下がよく破けるので、電球を入れて靴下を繕うということを習いました。しかし、実用にはなりませんでした。今や靴下はそのまま捨ててしまうような格好になってしまって、これまた問題があろうかと思いますが、そういういろいろな経験がございます。
 そこで考えますのは、やはりこうした家庭科というものは、男子、女子を問わず、あるいは女子、男子と言わなきゃいけないかもしれませんが、問わず、これはきちんと勉強しておくべきものだと、こういうことだと思います。
 ただ、一つ私自身が思いますのは、これは結婚式やなんかのときもそう思うんですけれども、私はずっと男子組で育ちました。大学に入っても女子学生はいませんでした。そういうところにずっとおりますと、やはり女性が神々しくも見えてくるわけでございまして、大変あこがれをいろいろ持ったわけでございます。
 そんなこともございましたが、男性の側から女性に期待するものというものがやっぱりある、それから女性の方から男性に期待するものがあるということは私も薄々感じておりまして、うちは女三人に囲まれておりまして、私一人どうも肩身が狭い思いをしておるわけでございますが、それなりに私でなければできない仕事というのがあるようでございます。電気の配線がおかしくなった、これはお父さんでなければ直せないから直してと、こういうことでございますが、そういったことについても、今度はそれじゃ女性の方も勉強していただかなければならないというような、いろいろ入り組みがあろうかと思います。
 私は、そんなようなことを考えながら、家庭科というものは非常に大事だ、今文部省が取り組んでおる仕事も大変大事な仕事だと、このように認識をいたしておるわけでございます。
○石井道子君 日本も大変なスピードで経済大国となりました。しかし、貿易摩擦とかあるいは国際摩擦も生じてしまったり、国民一人一人の生活の豊かさというようなものが大変実感が乏しいというようなこともあります。また精神的な豊かさも足りないということがありまして、さまざまなひずみも生じていると思うのでございます。青少年の非行化が進むというようなこともありましたりして、社会のあらゆる分野において取り組まなければならない多くの課題がございます。
 その点につきまして教育の果たす役割というようなものも大変重要であると思うのでございまして、私は、教育というものはなかなか効果がすぐ出てこないかなり息の長い仕事であるというふうに認識しておりますけれども、教育はまさに人にありというようなこともありまして、教師の育成につきましては非常に今重要な問題ではないかと思います。
 今年度も新任教師の初任者研修の問題が予算に盛り込まれているのでございまして、新任教師であるといっても、やはり一人前の教師として扱われます。そして、大学を卒業したばかりでも、十分な社会経験や実践的な指導力がなくても、やはり非常に期待をされている立場でございますので、多くを期待することは少し酷ではないかと思うのでございますが、この間、教育を受ける児童生徒の立場も考えますと、児童生徒にとってはその機会しか一生のうちでそのような機会がないわけでございますから、この間の教育が児童生徒の一生を左右する問題であると言っても過言ではないと思います。
 教師になってからの一年間は、教師としての基盤を形成し、そしてその後の教師としての成長を図っていく上で極めて重要な時期でございます。初任者研修の制度化はこれまでも多くの教育関係者あるいは父母の皆様方の間で非常に待ち望まれていた問題でございました。この初等中等教育の学校での初任者研修が一日も速やかに実施されることを期待しているところでございます。
 この初任者研修の重要性をどのように認識をされておりますでしょうか。そして、この研修が教師の資質の向上の中でどのように位置づけられておりますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(倉地克次君) 今先生御質問のございました初任者研修でございますけれども、これは初任者に対して実践的指導力と使命感を養うとともに、幅の広い知識や経験を得させることを目的とするものでございまして、これによりまして初任者が円滑に教育活動に入り、かつ可能な限り自立して教育活動を展開していく素地をつくるということで行っているものでございます。
 それで、平成元年度は小学校について実施したわけでございますけれども、平成二年度につきましては小学校と中学校について本格実施を行っているところでございます。平成四年度までには全校種で実施することになっている次第でございます。
 それで、平成元年度の実施結果でございますけれども、これは全体として初任者の実践的指導力の向上が特に著しいということと、また初任者研修に対する学校全体の取り組みを通じまして他の教員の研修意欲も高まったという報告を聞いている次第でございます。
 しかし、年度当初におきましては、研修時間の確保の問題でございますとか指導教員の負担の軽減、それから非常勤講師の確保というような点につきまして一部不十分な点が見られたわけでございまして、こうしたことの改善も必要だというふうに考えているわけでございます。
 今後とも法律の趣旨に沿った初任者研修が実施されますよう、これらの点について十分指導を徹底してまいりたいと、そのように考えている次第でございます。
○石井道子君 平成元年度の全国連合小学校長会の研究紀要を見ますと、ベテラン指導教師の確保の難しさがあります。特に小規模校や複数配置の学校でその困難性が指摘をされているところでございます。また新任教師の配置に伴う増置教員や非常勤講師の配置についても、経験の浅い教師の占める割合が三〇%以上を占めているというふうに指摘をされているわけでございまして、人材確保の難しさがうかがえるわけでございます。せっかくベテラン教師が配置をされたといたしましても、指導教師の負担上の問題や指導時間の確保の問題が言われているわけでございまして、このような点から考えまして、都道府県の条例等で決定をされております非常勤講師の手当の増額を図る必要があるのではないかと思うのでございます。
 現在国の予算上の報酬単価の根拠として、高校の非常勤講師の手当二百二十六万六千円を参考にしているということでございますけれども、初任者研修の重要性を考えまして、非常勤講師の手当を独自に定めまして、その増額を図っていく必要があろうと思います。特に経験の豊かな退職された校長先生とか教頭先生などの職にあった方々を確保することは当然のことと思われるのでございます。退職された校長先生などで非常勤講師をやってもよいと考えられていらっしゃいます方々の名簿を作成いたしまして、そして隣の県同士でも利用し合うような、そういうようなことを文部省として指導されてはいかがでございましょうか。
 現職の指導教師の負担軽減を図るということも大切でございますから、指導教師にはその労に報いるためにも、指導業務手当と申しますか、そのようなものを支給する必要があると思いますけれども、いかがでございましょうか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(倉地克次君) 幾つかの点について御提言があったわけでございますけれども、ベテランの指導教員となり得る方々について、名簿をつくって相互に伝えるようにしたらどうかということなどにつきましては、私どもも非常に貴重な御提言だと思うわけでございまして、都道府県の教育委員会の団体などともいろいろ相談してみたらどうかと思う次第でございます。
 それからもう一点は指導教員に対する手当の問題でございますけれども、手当制度全体のこともございますし、なかなか難しい問題ではないかということを考える次第でございます。私どもといたしましては、まず初任者研修の本格実施を完成させることが当面の課題ではないかというふうに考えているわけでございまして、その辺について御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それから非常勤講師の手当の問題でございますけれども、私どもといたしましては、地方交付税上の単価などを十分参考といたしまして財政措置をしているわけでございますけれども、そうしたことを参照して都道府県におきましても十分な手当の額を確保するよう今後とも指導を続けてまいりたい、そのように考えるわけでございます。
 以上でございます。
○石井道子君 次に、平成二年度の洋上研修のことについてお伺いをしたいと思いますが、この制度はいろいろ実績を積まれているのでございますが、この体験というものは、やはり教師としての知見を広めて、使命感を養ったり、あるいは教師同士の相互扶助の精神とか連帯感を培うという点については、非常に教師の資質の向上に役立つものであると思います。
 しかし、この洋上研修の予算は平成二年度において、わずか二千人の枠しか確保されておりません。できるだけ大勢の教師の方々にこの機会が与えられることを期待をするのでございますけれども、できればこの期間を、二週間あるものを一週間ぐらいにして、その枠を人数を多くするように活用していただく、このようなこともいかがではないかと思うのでございますが、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(倉地克次君) 若干具体的な問題の御質問でございますので、その点については私から御説明させていただきたいと思いますが、二週間を一週間にして人数をふやしたらどうかという点につきましては、やはり船を運航してみますと、二週間程度の日数がございませんと、なかなか皆さんがそれぞれなじむということも難しいわけでございまして、どうしても相当期間一緒に行動していただき、かつ交流していただくことが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
○石井道子君 それでは、来年度はぜひ予算の枠を拡大できますように、また御努力もいただきたいと思います。
 次に、私学の問題でございますけれども、やはり私学の独自性とか学校の特色を出そうということで、大変御努力をされております。その私学の初任者研修の問題につきましては、大変いろんな面で御苦労があるようでございますが、この点についても、やはり積極的に国はその援助、助成をすべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(野崎弘君) 私学におきます初任者研修につきまして、これは先生今御指摘ございましたように、基本的には設置者がそれぞれの学校の実情に応じて自主的に判断してこれを進めていくことが望ましいと、このように考えておるわけでございます。その際、公立学校の場合などを参考にしていくことになろうかと思います。
 そういうようなことで、現在財団法人の日本私学教育研究所におきまして、これは平成元年度からでございますけれども、私立高等学校等におきます初任者研修につきまして、制度の円滑な導入を図るために、初任者研修実施の内容あるいは方法などにつきまして具体的な調査研究を行っております。調査研究会をつくったり、あるいは委嘱などを行ったりして進めているわけでございます。これは元年度から、そして平成二年度におきましても実施を続けておりまして、国としても必要な経費について補助を行っておるわけでございますが、私どもとしましては、その調査結果を見ながら、また私学団体の意向なども十分聞きながら、適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○石井道子君 我が国の教育水準をなお一層高めるためにも、また二十一世紀に向けて我が国の一層の発展を図るためにも、この初任者研修の重要性が高まっていると思います。
 最後に、文部大臣にその初任者研修の充実についての御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 初任者研修につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたが、先生とそれから子供と、そして保護者との間で密接な連携関係をつくっていただく。特に先生と保護者との間の関係というのは非常に大事だと思います。そういう意味で、保護者の方が社会でそれぞれ働いていらっしゃいますから、その社会のありさまについて学んでいただくということは大変意味があることだと、私もそう存じております。
 さらに、洋上研修についてお話がございましたが、これは船の中だけではなく、それぞれの寄港地におりて、その地域の文物に接触をされる機会を持たれるわけでございますから、地理的な意味でもいろいろと勉強をなさる機会があるわけでございます。そういった意味で、大変意味のあることでございます。二週間、それでも短いかもしれませんけれども確保していただいて、日本を一応回っていただくというようなことができればこれはよろしいのではないか。
 そこで、お尋ねのように、もうちょっと予算頑張れというお話でございます。これ、私も努力をしてまいりたいと思っておりますが、昨年度に比べましてことしは一応四百人、一グループといいますか、その分だけ余計に予算をつけることができたわけでございますが、今後ともその充実については努力をしてまいりたいと思います。
○石井道子君 道徳教育の問題につきましては、新学習指導要領の大きな柱でございます。これも十年ぶりに改正をされたということでございますが、昭和三十三年に道徳の時間が設置をされて以来の改訂でございます。
 日本は物が豊かになっても、心が貧しいと反省をされております。学問や知識が豊かになり、レベルが上がっても、人間として、いわゆる人の道に外れてしまうような行動に走ったり、社会生活になじまないというような方が多くなっているということを感じるのでございます。日本は自由で豊か過ぎて、そして価値観の多様化が非常に認められるところでございますけれども、礼儀とか思いやりとか感謝の心とか公徳心とか、このようなやはり心を育てていくということ、ひいては人類愛の心を育てていく、そういうことは、簡単なようですけれどもなかなか難しいことではないかと思います。
 最近は家庭のしつけが非常に弱体化しておりますから、学校教育に非常に期待をしているところが大きいのでございますが、これは幼稚園、小学校、中学、高校と一貫性が必要ではないかと思うのでございまして、この道徳教育について、どのような方針で具体的に取り組まれますか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 道徳教育、大変重要な御指摘でございますし、そのこと自体私も本当に大事なことだと思っております。とりわけ、これは道徳というような言葉で今表現をされておりますけれども、私は人間というものはこの社会の中で一人で生きているのではないということがやっぱり前提にあるのではないかと思います。したがいまして、社会生活上の一定のルールというふうに考えてもいいのではないかと私は私なりにそう考えておるわけでございます。
 そこで、その社会生活のルール、例えばイギリスへ行ってみますというと、あの有名なセントアンドリュースというゴルフ場がございますが、あのゴルフ場の一番のティーショットを打つところに横に道が通っております。そこへ小さな札が立っておりまして、この道は横切ってもいいけれども、そして海の方へ出てもいいけれども、それはイッツユアーオウンリスクと書いてある。あなたの責任ですよということが書いてございます。それはコースが書いたのかもしれませんが、そのようなことが社会的に行われているというようなことを子供たちがきちんと身につけるということが必要なんではないかと、このように思っておるわけでございます。
 具体的に道徳教育をどのように現状行っているかということにつきましては、政府委員から御答弁をいたさせます。
○政府委員(菱村幸彦君) 道徳教育につきましては、その充実を図るために今回の新しい学習指導要領においても全面的な改善を図っております。児童生徒一人一人に道徳性がしっかり身につきますようにその内容を重点化したわけでございますが、例えば、小学校の低学年では、しつけなどの基本的な生活習慣をしっかり身につけさせるということを重視しておりますし、中学年では、日常の社会規範を守る態度を身につけさせる、そして小学校の高学年では、公共に尽くそうとする態度を身につけさせるというようなことの重点化を図っております。また、中学校、高等学校におきましては、人間としての生き方についての自覚などを特に留意して指導するようにしているところでございます。
 また、文部省では道徳教育推進のための施策といたしまして、先先方の指導力を向上するための講習会や実際に実践的なお取り組みをいただく道徳教育推進校の指定とか、ないしは地域ぐるみでその振興を図るということで、学校、家庭、地域の連携による道徳教育の振興策を図るなどの施策をとっているわけでございます。
 平成二年度の予算案におきましては、新しい指導要領の趣旨の具体化を図りたいということで、道徳教育推進のための指導の手引の作成費を計上さしていただいているところでございます。それにはビデオ資料の作成、配布なども加えたいというふうに考えておりまして、今後とも道徳教育の振興、充実のために努めてまいりたいと存じます。
○石井道子君 次に、薬学教育の問題についてお伺いをしたいと思います。
 最近の医学、薬学の進歩は大変著しいものがございます。医薬品に関する科学技術も非常に範囲も拡大をされ、医薬品の研究開発も大変進んでまいりました。医薬品の管理とかあるいは薬物治療とか健康管理など、薬剤師が関与する分野というものも非常に拡大をしているのでございまして、特に昭和六十年に医療法が改正をされまして地域医療に薬剤師が参画をするということから、医薬分業の高まりには非常に目覚ましいものがございます。
 このような現場における変化を踏まえまして、薬学教育における薬剤師教育がどうあるべきかということが非常に今多くの期待と関心を呼んでいるところでございますが、薬科大学なり薬学部なりを卒業した、今は四年制でございますけれども、その卒業後の進路につきましては、薬局とか病院に勤務をする方が約六〇%近いということでありまして、あとは教育研究の分野が二・三%、行政が三・七%、製造関係に関与する方が一〇・四%、それから無職の方が一二・九%と、そんなような構成比でございまして、非常にいろいろと卒業後の進路が多岐にわたっているのが特徴でもあるかとも思います。しかし、ほとんど六〇%近い方が、何らかの形で医薬品を取り扱い、調剤に関与するという仕事に携わっている以上は、やはり薬学教育におけるその分野でのカリキュラムの充実が必要ではないかと思います。
 従来の薬学教育というものは基礎薬学が主体でございまして、少し偏りが見られます。そして最近、薬学を患者のために役立てる教育が期待をされているところでありますし、患者志向の薬学ということで、これは外国でもそのような方向に今動いているのが現実でございます。
 文部省は、外国における薬学教育の実態というものについては、どの程度研究されていますか伺いたいのでございますけれども、日本の薬学教育も薬剤師教育を重視する方向で考えるべきだと思いますし、また、サイエンスの学問を薬物治療に役立てる学問ということで、現場に即役立つ、そういう学問をさらに充実する必要があるのではないかと思うわけでございます。
 最近の状況でございますと、世界で七十四カ国のうち五十一カ国が四年制以上の薬学教育を行っております。それから十四カ国が五年以上の教育を行っているのが実態でございまして、主な国の中で七十四カ国のうち六十五カ国がもう既に四カ年以上の教育を行っている、そういう実態があると聞いているのでございます。この問題につきましては、各国によっていろいろさまざまでございますから一概には言えませんけれども、やはりアメリカでも学校を卒業いたしましてから実習を六カ月から十カ月間ぐらい行っているということもあります。
 韓国におきましては、せんだって非常に長い経過を経まして一九八八年の十一月に六年制を選択をしたということを聞いております。韓国は全部で二十校ばかりあるそうでございますけれども、そのうち女性が約七八%を占めるような状況であるにもかかわらず、やはり六年制を選択したというような結果が最近出たそうでございます。
 そのような状況を踏まえまして、薬学教育の中で、いわゆる基礎薬学の分野も決しておろそかにすることはできないと思いますが、それに加えて、やはり臨床薬学分野の教育をさらに充実する必要があると思います。このようなことを踏まえまして、薬学教育のあり方につきましてどのように今後検討されるところでございましょうか。そして、これからの薬剤師に国が何を期待をして検討されるお考えか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 確かに先生御指摘のとおり、薬学部を卒業いたしましてそれぞれ社会に出ていくわけでございますが、その進路は薬局、病院等の薬剤師になる方あるいは企業等製薬関係の企業へ就職する方あるいは大学院へさらに進学する人という、非常に多方面にわたっているわけでございます。ただ、卒業後いずれの方面に進むにいたしましても、薬学部が薬剤を扱う専門的な教育を実施する上で、調剤等の実践的な内容を重視する教育を行うことが大切であり、私どももそういうことで今までも各薬学関係の大学関係者に注意を喚起してきたところでございます。
 それから先生御指摘の調剤、臨床薬理等について十分薬学部で教育すべきではないかという御指摘でございましたが、調剤は主に薬剤学の講義、実習において扱われておりまして、現在すべての薬科大学で授業科目として開設されているところでございます。それから臨床薬理学に関する教育は、一般に薬物の臨床応用に関して薬物学等の授業で触れられているほかに、特に臨床薬理学という名称の授業科目を開設している例が薬科大学四十六校中十三校あるというふうに承知いたしております。
 さらには先ほど来先生もお話がございましたとおりに、医薬品は日進月歩で改善されてきているわけでありまして、そういう意味で、医薬品情報に関する教育も必要であるわけでして、これも二十二の薬科大学で授業科目として開設されてきているわけでございます。
 それからまた調剤の実習につきましても各大学が真剣に取り組んできているところでございまして、また現在、薬科大学と日本薬学会と日本薬剤師会、それから医薬品工業協会等で組織されております薬学教育協議会というのがございますが、その協議会で、薬学教育と薬剤師教育に関する専門委員会を設置いたしまして、すべての薬科大学で少なくとも二週間の病院における実習を行うためのモデルカリキュラムを検討しているというふうに承知いたしております。これらの検討結果等も十分参考にしながら、私どもとしても各大学に特色ある効果的な薬学教育を実施するよう注意を喚起してまいりたいと思っております。
 それからちょっと長くなって恐縮でございますが、最後に薬学教育を四年制でやるか、あるいは五年制でやるか、六年制でやるかという問題でございますが、これは単に文部省だけの判断ではなくて、厚生省を含めました関係者全体で、薬学教育に何を期待し、どういう内容を盛るのか、その結果四年ではとても入り切れないというような相当慎重な検討の結果、結論を出す問題ではなかろうかと思いますが、私どもとしても、そういう動きにつきましては、今後とも調査研究をしてまいりたいというふうに考えております。
○石井道子君 厚生省の方では、昨年ちょうど薬剤師の研修センターが発足をいたしまして、生涯研修というか、医薬分業に十分こたえられる研修に着手されております。ですから、文部省におきましても、ぜひそのような立場で厚生省との関係の中で十分に今後御検討していただきますことをお願い申し上げる次第でございます。
 それから次に、国立大学の附属病院の問題についてお伺いをしたいと思います。
 国立大学の附属病院は、医師の教育とか研究の場として非常に成果を上げられております。先進的な高度医療の充実とともに、地域医療の発展のために大変な御尽力をされておりますことにつきましては、深く敬意を表するところでもございます。
 現在の我が国の保険医療制度の問題につきましては、診療報酬とそれから薬価基準制度というものがございまして、それによって成り立っているわけでございますが、まさに公定価格で行う医療保険制度でございます。
 そういう中で、医薬品を購入するときに、非常に国公立病院におきまして極端な値引きの要求があるということでございまして、ちょうどこの間、四月十一日の日経新聞にも掲載をされたのでございますが、これは千葉大学の医学部の附属病院の記事でございました。このようなことで、医薬品の流通につきましては、特に特殊な品物でありますし、医療の公共性を考えて非常に関係者は苦労をしているといいますか、努力をしているわけでございますけれども、やはり医薬品の卸業に携わる方々は、メーカーとユーザーの間に挟まりまして、大変に苦労をしているのが実情でございます。そのほかにも、値段を決めないで納入させる方法とか、あるいは仮払いで済ます方法とか、総価山買い方式とか、普通の商取引では考えられないような、そういう状況が長いこと続いているわけでございまして、診療報酬改定とか薬価基準の引き下げのときに、そのような問題が常に著しくあらわれてまいります。
 このような実情につきましては、いろいろとそれぞれのお立場で理由なり言い分はあるのでございますけれども、薬価差益によって医療機関の収入を図ろう、経営安定を図ろうというような、そういうような考え方については、これはちょっとどうかと思うのでございますけれども、このような状態につきましてどのように認識をされておりますでしょうか。また、もしこれを改善するにはどのような方法がよろしいか、そのお考えについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(國分正明君) 医薬品の購入と薬価の問題は従来からいろいろな形で報道され、中にはトラブルまがいのケースがあったというようなことは私どもも承知いたしておるわけでございます。一般的に、これは国立大学の附属病院だけでなくて、あらゆると言ってよろしいと思うんでございますが、医療機関におきましてやはり値引きが行われているわけでございまして、国立大学におきましても、購入者の立場、予算の適正な執行という観点があるわけでございますので、購入価格について交渉して値段を決める、こういうようなことでやっておるわけでございます。
 ただ、過去にございましたように、特に薬価改定のときによく問題になるわけでございますが、価格を決めずにまず納入させておいて、しばらくたってから値段を決めるというような実例は、最近においてはもうほとんど見られないというふうに私ども承知しているわけでございます。一般的なお答えになって恐縮でございますが、やはり国立大学はいろいろな備品等を含めまして物品を購入するわけでございます。医薬品もその一つでございますので、もとより会計法令に従いまして、また同時に広くいろいろな取引の実例について調査を行いまして、予算の適正な執行という観点も考えて医薬品の購入に努めておる、こういうことでございます。
○石井道子君 それから、それに関連をいたしまして第二薬局の問題がございます。
 国立病院の第二薬局というものも大分改善をされて、御努力をいただいておりますことには敬意を表したいと思っておりますが、あと五つの病院と五つの薬局の問題が解決していないというようなこの間のお話を伺ったのでございますけれども、この具体的な対策についてまたお伺いをしたいと思うわけでございます。
 医薬分業の問題、院外処方せんの問題につきましては、いろんな長い間の経過がありまして、それぞれいろんな問題があると思うのでございますけれども、最近は、高齢者の方々ができるだけ副作用を起こさないように、あるいは薬をダブって飲まないように、そういうものを十分チェックする点については、近くの薬局で処方せんを管理していただく、薬歴管理をしていただくということで大きな成果を上げているわけでございますけれども、もしそのような大学病院の薬局があって、その薬局の適正な運営を図るためには、地域の薬局との連携のもとに面分業の方向でいろいろと切りかえていただくといいますか、お考えをいただきますと、なお一層効果が上がると思います。いわゆる第二薬局というものは、経済性の問題でかつて生じたタイプのものでありまして、本来の医薬分業の目的に沿ったものではありません。そういう点で、ぜひ改善方をお願いしたいと思うわけでございますが、対策をお伺いしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先般の本院の予算委員会でも先生の御質問にお答えしたとおりでございまして、二十一の第二薬局というのがございましたが、その後逐次改善されてまいりまして、現在、大学の同一病院内にいわゆる第二薬局があるものが五カ所だけになっております。これらの五カ所の大学につきましても、近い将来、ここ数年のうちに条件を整備して大学の外に出るという計画を持っているところでございます。
 大学附属病院を含めまして大きな病院の中では、私ども国立大学の附属病院は、医薬分業、外部処方せんを発行している率は大体二〇%ぐらいでございますが、これは大きな病院の中のグループでは一番高い率ではなかろうかというふうに思っておりますが、今後とも患者さん等の、先生が先ほど御指摘になったような観点をも踏まえまして、医薬分業の推進に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 ただ同時に、先生も先ほど御指摘になりましたが、例えば薬学部の実習の場として、医学部だけではなくて薬学部を持つような大学の附属病院ですと、そういう実習の場としても大学の附属病院の薬剤部が機能しているというようなこと、それから患者の方から見ますと、近所になかなかいいそういう薬局がないというようなこと、さらには、大学病院はかなり遠距離から通院する方も多いわけでありますが、どうせ一日がかりあるいは半日がかりで大学病院に通うのならば、ついでにそこで薬ももらっていきたいというような患者さんの希望などもありまして、なかなか難しいわけでありますが、いずれにしても、先生の御指摘になったような趣旨を踏まえて指導してまいりたいというふうに考えております。
○石井道子君 それから、話を変えますが、健康教育の問題でございます。
 人生八十年ということで、健康は何よりも大切でございます。健康の増進と体力の向上を図るために文部省もいろいろと御努力をいただいているわけでございますが、その中で、ちょうどこのたび医薬品の問題についても組み入れられたと伺っております。
 最近国際的な影響もありまして、麻薬、覚せい剤などの薬物乱用対策ということについて非常に大きな関心を呼んでいるところでございまして、特にこの問題は青少年の問題あるいは父兄の方々の非常に大きな社会問題となっている面もありまして、ぜひ学校教育の中で大いに取り上げていただいて、そして教育を徹底していただきたいと思うわけでございます。この問題は学校教育だけではなくて、やはり地域とそれから家庭ぐるみでやらなければなりませんけれども、このような健康教育の中での医薬品の問題について、これからどのような地域推進事業を進められますか、学校で今行っております対策、そして今後の問題として御答弁をいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
○政府委員(前畑安宏君) いわゆる薬物乱用の問題につきましては、従来から学校教育において配慮してまいったところでございますが、今回の新しい学習指導要領におきましては、特に中学校につきましても、従来は指導書レベルで扱っておりましたものをきちっと学習指導要領において、例えば「薬物乱用などの行為は、心身に様々な影響を与え、疾病の要因ともなる」ということ、そして、高等学校につきましても従来はどちらかといいますと、欲求と適応規制といったところで覚せい剤の問題等を扱っておりましたが、これも学習指導要領におきまして、「薬物乱用と健康との関係」そして今御指摘の「医薬品の正しい使い方」ということをきちっと保健の中で教えるというふうに対処しておるところであります。
 今先生御指摘になりましたように、この問題をさらに小学校から申し上げますと、喫煙という問題がございますし、それから飲酒、そしてシンナー等の問題、さらには麻薬といったようなところまでいくわけでございますが、なかなか学校現場でそこを押さえるのは――きのうの夕刊、けさの朝刊でも出ておりましたように、教室でというのもまれにはありますが、大体は学校外で行われるということでございますので、この手引書におきましても、特に地域との連携ということに十分配慮して対処するように指導をいたしておるところでございます。
○石井道子君 次に、スポーツの問題についてお伺いをしたいと思います。
 一九九八年、長野に冬季オリンピックを誘致しようという運動が今行われております。ちょうど一九七二年に札幌オリンピック大会が開かれましてから二十六年ぶりということでございまして、これを我が国で開催するということは、国際理解と国際親善を深める意味でも大変に意義深いものであると思います。この招致に成功するようにぜひ努力をしていただきたいと思いますけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 長野冬季オリンピックにつきましては、私どもも今までいろいろな場面で努力を重ねてきておりますが、五月十一日の閣議におきましては、オリンピックの冬季競技大会の長野招致に関しまして、内閣として閣僚全員で取り組んでいくということを申し合わせた次第でございます。さらに、最近は外務省におきまして加賀美元国連大使を招致活動支援の事務に充ててくださるように決めていただきました。
 また、ことし九月に東京で開かれます第九十六次のIOC総会、この総会は大変招致活動を行いますのに格好の機会でございますので、私どもも真剣に取り組んで、いろいろな外国からのお客様方にこの機会をかりてよくお願いをしようと思っております。等々、いろいろな形でこの招致活動について私ども一生懸命取り組んでおりますが、今後とも御趣旨を体しまして頑張ってまいりたいと思っております。
○石井道子君 ここのところ、オリンピックとか国際競技大会で日本の選手の成績が余りよくないのは大変残念でございます。寂しい気がするのでございますけれども、金メダルをとることがすべてではありませんけれども、やはりある程度の成績をおさめていただきたい、それが多くの国民の望みであり、期待であると思います。このような観点から、やはり日本選手が国際競技大会で十分活躍できるようにするために、文部省として競技力の向上のためにどのような対策を講じていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 具体的な対策を政府委員から御説明申し上げます前に、私なりに感想を申し上げさせていただきます。
 オリンピックは参加することに意義があると、こういう言葉がございますけれども、今や参加そのものが大変高いレベルの記録を持った者でないと参加ができないという形になっております。オリンピックの運営その他を考えてそのようになっておるのだと思います。陸上競技を私も選手としてやっておりましたが、その標準記録に到達する者が少ないということは、やはり競技スポーツがそれだけレベルが低いかなという印象を持っているわけでございます。そして、先生もいみじくも御指摘をいただいたんですが、やはり勝つ方がいないと寂しい気がする、そう言われたのは私自身も全く同じ気持ちでございます。
 ここに、ある新聞がおもしろいグラフを書いておりますのを私いつも持っておるのでございますが、今度東西ドイツが統一をされるということになりますと、その人口が七千七百六十四万人であると言われております。日本が一億二千二百九十六万人とこれには出ておりますが、そういう人口の差がある。さらにGNPにおきましては、東西ドイツが統一されまして、一兆三千三百八十五億ドルというのが東西ドイツのGNPだそうでございます。日本のGNPが二兆五千八百二十九億ドルとこれには載っております。倍ぐらいのGNPがあります。しかし、ソウル・オリンピックでとったメダルの数を比較してみますと、東西両ドイツ合わせて百四十二個とっております。日本が十四個とっております。一〇%以下でありました。そういう意味において、やはり競技レベルが低下をしてきているかなということは否めない事実だと思います。
 こういった問題について具体的にどういうふうな考えを持ち、対策を講じているかということについては、体育局長から御答弁を申し上げさせます。
○政府委員(前畑安宏君) 我が国の選手が国際競技大会で最近なかなかすぐれた成績がとりにくくなったということにつきましては、いろんな要因が考えられます。基本的には、日本の選手と外国の選手との体格、体力の格差があるとかという問題もありますし、また最近若干情勢が変わっておりますが、東欧を中心として非常に科学的な選手強化方策がとられてきたが、その点において我が国が若干おくれておったのではないか。さらにまた、選手あるいはコーチに対するいろんな支援体制という問題もあるのではないかというような御指摘もいただいております。
 私どもでは、当面の具体の対策といたしましては、日本体育協会そして今度独立をいたしました日本オリンピック委員会、この団体で具体に選手の強化事業をやっておるわけでございますが、それに対する補助金というものを充実していくということで対処をいたしております。
 ちょっと数字を申し上げさせていただきますと、昭和六十三年度には選手強化事業費というのが八億七千万でございました。これに対しまして、平成元年度では約五割増しの十二億九千八百万という予算で対処をいたしております。現在御審議をいただいております平成二年度の予算案におきましても、さらに四億の増額を図りまして、十七億という予算を計上いたしております。六十三年度に対しまして、この選手強化事業費というのは約倍増をいたしておるわけでございます。こういうことを通じて、関係団体における選手強化事業の充実ということを期待いたしております。
 さらに申し上げれば、若干立ちおくれがございますが、スポーツについて科学的な面で検討を加え、それを通じて選手の強化を図っていこうということで、国立のスポーツ科学センター、仮称でございますが、これの実現に向けて現在鋭意検討を進めておるところでございます。
○石井道子君 最近は、非常に多くの方々がたくさんのいろいろな種目のスポーツに親しんでまいっております。その中で、日本古来からずっと伝統のある武道の問題につきましても、いろいろとその振興対策について御努力をいただいていると思うのでございますけれども、その中で、なぎなたの問題をちょっときょうお話しさせていただきたいんですけれども、なぎなたは古くから女性の武道として非常に長い歴史がございましたが、戦後の長いブランクがありまして、非常に今指導者が少なくなっているというのが欠点でございます。昭和五十八年から国体の正式種目にやっとなったばかりでございますけれども、すぐれた指導者もいらっしゃいますが、そういう方が全国を飛び回って大変な苦労をされているわけでございます。
 この指導者の育成に当たっては、いろいろと御配慮いただいているようでございますけれども、具体的に中学とか高校とか、学校教育の中でぜひ積極的に取り入れていただきたいと思うわけでございます。ちょうど、高校の指導要領の中で、たしか柔道と剣道は入っていたんですけれども、なぎなたは入っていない。学校によって扱い方が違うのかもしれませんけれども、そんなようなことも気がついたのでございますが、できれば教育大学とかで義務教育に当たられる指導者に、このなぎなたの体験をしていただきたいことでございます。
 それから、体育大学などにも、できれば武道学科のようなコースを設置していただきまして、そして二年間いろいろ学んでいただいて、武道の持つ礼儀を重んずる精神的なそういう指導もあわせてやっていただきますと、なお教育の効果が上がるのではないかと思います。また、各都道府県なぎなた連盟がございまして、中学校、高校の指導者のなぎなたの講習会を行っておりますけれども、まだ各都道府県の教育委員会で積極的に協力をしていただけるような態勢でもないようでございますので、ぜひその点の御協力もいただきますと、大変に振興するのではないかと思います。
 それからまた、指導者が少ないために学校教育の中で非常に取り入れにくいという面があります。ですから、できれば外部からも指導者を受け入れていただいて、そして普及を図っていただくことが、底辺を広げる一つの対策になると思います。ぜひ、日本の古来からの武道であります、特に女性の武道としてのなぎなたについて、格別の御配慮をいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
○政府委員(前畑安宏君) ただいま御指摘ございましたように、新しい学習指導要領では、従来格技と称しておりましたものの名称を改めまして武道ということにいたしました。これは、格技ということになりますと、その内容も技術的な形式、技能修得に重点が置かれるといったような偏りもございましたので、あくまでも我が国古来の文化と伝統を尊重するという観点から武道と改めたところでございます。
 そして、さらに申し上げますれば、従来は武道は主として男子、そして女子はダンスを主として行う、こういう構えでございましたので、なぎなたにつきましても、若干そういう点で問題がございました。今回は男女とも履修できる扱いということにいたしましたし、また御指摘がございましたように、従来は中学校においてはなぎなたというのは例示をいたしておりませんでしたが、今回はきちっと中学校におきましても「柔道」「剣道」「相撲」「なぎなた」という例示をいたしたところでございます。
 指導者につきましても、先生御指摘いただきましたように、なぎなたの指導者の講習会といったものをやっておりますが、私どもでは、この指導者の問題につきましては、御案内のとおり特別免許状制度そして特別非常勤講師制度というのがございます。大学を卒業しているが具体に免許状は取得していない。けれどもなぎなた等々の武道に修練をしているという人を学校に教員として迎える。その場合に、都道府県の教育委員会が、地域的な制限のもとではございますが、免許状を出すという制度もございます。さらに、全くそういった学歴にはかかわりなく、そういった一芸に秀でた方を非常勤講師として採用するという方途もございます。
 先般も、武道の関係の方々とこの問題について話をさしていただきましたが、私どもがそういう制度をつくっているということが、必ずしもまだ具体に関係の方々に周知をされていない。そして具体に各都道府県でこの制度を活用してそういった武道の指導者を採用しているというのも、かなり少ないように承りました。今後はこの二つの制度等の普及にも努めてまいりまして、一層なぎなた等々を初め武道の振興に努めてまいりたいと、このように考えております。
○石井道子君 幼児教育の問題について御質問しようと思いましたが、先ほど森委員からももう既にあったところでございますが、その中で、私立の幼稚園、この問題についてちょっと触れさせていただきたいと思います。
 現在、私学が占める幼稚園の割合は七七・四%でございまして、ほとんど私立に頼っているというのが幼稚園の実情でございます。しかし現在、その定員割れがあったり、あるいは職員の待遇が思うようによくならないというようなこともありまして、非常に運営が難しくなっております。できれば私立の幼稚園に対しまして積極的な助成措置を行っていただきたいと思うのでございますけれども、文部大臣の御決意を伺いたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 若干現行制度についての説明を先にさしていただきたいと思いますが、私立の幼稚園につきましては、高校以下の経常費助成というのが都道府県から出ておりまして、その一環として都道府県から私立の幼稚園に対しましても経常費の助成をする、そういうものに対しまして、国としては都道府県に対して補助をするというようなことで進めております。最近財政状況が大変厳しいということで、国の方の補助金は若干ずつの伸びでございますが、一方地方交付税の方で財源措置をしておりまして、そちらの方と相まって年々努力をしているという状況でございます。
○国務大臣(保利耕輔君) 私学の助成は、これは大学とそれから高校以下のものとに分かれるわけでございますが、高校以下については、今私学部長からお話をいたしましたとおり、地方交付税との抱き合わせでやっております。しかし、これはやはりまだ十分ではないというふうに認識をしておりますから、先生の御意思を体して、予算獲得については頑張ってまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○石井道子君 以上で質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○針生雄吉君 私は、大学院教育にかかわる問題についてお伺いをいたします。つまみ食い的な質問になりますが、その点御了解をいただきたいと思います。
 初めに、クイズめいて甚だ恐縮に存じますけれども、今から申し上げます各国ごとの数字は何の数字かおわかりでしょうか。アメリカ百九十三、イギリス八十六、ドイツ六十九、フランス四十六、スウェーデン二十八、ソ連十六、スイス十六、イタリア十三、オランダ十二、デンマーク十一、ベルギー九、日本七。実はこれはオリンピックのゴールドメダルの獲得数ではございませんで、一九〇一年以来の国別のノーベル賞の受賞者数であります。もちろんノーベル賞のみがその国の学問、文化の水準を示すものではありませんけれども、アメリカ百九十三、イギリス八十六、ドイツ六十九、フランス四十六、スウェーデン二十八、ソ連十六、日本七、こういった数字も指標としての価値はあると思うわけであります。
 この数字をお聞きになって、文部大臣はどのような考えを持たれたか、御所見を最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 御指摘のように、各国別のノーベル賞の受賞者数は、アメリカが百九十三、それに対して日本が七ということでございます。大変少ない数だなと思っておりますが、七名の方の中には川端康成さん、あるいは佐藤栄作さんというような科学関係でなくおとりになった方もいらっしゃいますので、五人についていわゆる物理学あるいは化学というような分野でおとりをいただいているわけでございます。
 考えてみますと、やはりこうした数字が少ないということにつきましては、もろもろの事情があるというふうに考えますけれども、やはり基礎研究の分野というものがある国の方に偏っている、日本がその点で多少のおくれがあるんではないかというような印象を持ちましたことを率直に申し上げさせていただきます。
○針生雄吉君 ありがとうございます。
 我が国の大学院に期待されているもの、要するに大学院の存在価値、存在意義というものに関しましては、多様な論議がなされてきたわけでありますけれども、二十一世紀を目指して、というよりは第三の千年へのスタートを目前にした今日の我が国の世界的に貢献すべき立場を考えれば、おのずから明らかであると思います。何といっても産業資源に乏しい我が国の生きるべき道というものは、単純に貿易によって国際的に有利な立場を獲得しようというようなものではなくて、科学技術や文化の発展等を通じて世界の平和、人類の繁栄というものに寄与するという、そういう古い言葉ではありますけれども、文化立国の道であろうと思うわけであります。
 このような観点から見まして、大学院の目指すものの一つは、古い大学設置法の中には、学問のうんのうをきわめ知識の修得に云々というようなこともございますけれども、そういったニュアンスのことで、第一は学問の進化に役立つ創造力豊かな人材の養成、そういうところにあることは異論のないところであると思います。
 先ほど大臣の御所見をお伺いしましたノーベル賞の数だけがその国の文化的水準を評価するメルクマールではないと思いますけれども、このようなノーベル賞に値するような学者を輩出させるような教育文化の土壌の育成というものが大切であろうということでございます。世界の科学技術や文化の向上、発展に貢献できる可能性を育てるということが大切だろうと思います。言葉をかえて申し上げれば、可能性に対する投資、若々しい研究者に対する育成の姿勢、投資というものが必要であるということだろうと思います。
 二番目には、産学協同というキーワードでシンボライズされるように、新しい技術、知識を持った人材を産業界や関連の分野から、そういった国民的な時代的な要請にこたえて育成するということも、また大学院教育にとっては必要なことであろうと思います。
 いずれにいたしましても、ほかの教育分野と全く同じでございますけれども、他の教育文化の事業同様、一年、二年の短期間で成果の上がることではございませんけれども、歴史的な文明の転換期と言われるただいまの時期にこそ、大学院教育確立へのくさびを打ち込むべきであろうというふうに思います。
 このような観点から二、三質問を申し上げたいと思いますが、現場においては大学院の教官の方々は日夜努力をしておられるわけでありますけれども、その現場の先生方の抱えている問題も非常に多いわけであります。きょうは、教えられる側ではなくて、教える大学院教官という立場の方々の声を代弁いたしまして文部省のお考えをお尋ねして、予算上の措置に向けての御配慮を含めて、速やかな対応をお願いしたいと思うわけでございます。
 まず第一に、私もよくわからないんですけれども、大学院学生を教育あるいは研究指導するときの費用というものは、大学院学生一人に対して幾らというふうに配分されるのではなくて、学部とかあるいは研究科の講座の構成員である教授とか助教授、講師、助手というその各個人に配分されるということを聞いております。そのいわば校費、それで賄われるということのようでございますけれども、いずれにいたしましてもその指導教官に割り当てられる校費、研究費というものは極めて乏しい、少ないというのが現状であるようでございます。
 ですから、大学院の教官にとりましては、自分のところに来てくれる大学院の学生が多ければ多いほど一人当たりの研究教育指導費というものが少なくなるということで、来てもらわない方がいいということも極論としては言えるのではないか、こういうふうに思いますけれども、こういう大学院学生の数に応じた研究指導費用の配当というものができないのかどうか、そういうことについて、それができないのであれば、校費の増額、それが図れないものか、そういう視点からひとつ御回答をお願いしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 恐らく先生も御承知だと思いますが、国立大学の教育研究の基本的な経費といたしまして、学生当たり積算校費というのがございます。これは学生一人当たりに対して幾らの校費を出すかということでございまして、大学院で申し上げますと、博士課程の学生が一番一人の単価が高い。それともう一つは、教官当たり積算校費というのがございまして、これは抱えておる学生の多い少ないに関係なく、例えば大学院を持っておる大学ですと、講座当たりに幾らと。これも非実験と実験に分かれております。それから、教官の研究旅費があるわけでございます。
 これらを私ども基幹的な教育研究経費と言っておりますが、さらにこれを補充する形で教育研究特別経費というのを別途また予算化しておりまして、ちなみに基幹的な経費だけ、学生当たり校費、教官当たり積算校費、教官旅費、これだけ合わせまして平成二年度予算額で大体千五百億程度でございます。それから、教育研究特別経費は平成二年度でお願いしておる額が大体二百億程度でございます。これらを総合的に使いまして各大学に配分しているわけでございます。
 確かに、教官当たり校費にしても学生当たり校費にしても、もっと単価を上げるべきだという声は国立大学の先生方からかなり私ども要望を強く毎年いただいているわけでございますが、五十七年から臨調答申が始まりまして、五十八年からマイナスシーリングの予算編成が始まったわけでありまして、この種の教育研究の基幹的な経費につきましても、経常的部門というふうにカウントされておりますので、投資的部門と経常的部門ということで、経常的部門につきましては、現在では前年度予算に対してマイナス一〇%の概算要求の枠しかいただいてない、そういう経緯があったわけでございます。
 そういう中で、まさか一〇%カットするというわけにまいりませんので、ほかの予算をやりくりいたしまして、とにもかくにも平成元年度まで単価を前年度と同額で維持してまいりまして、あとは学生がふえてまいった、あるいは教官が増員されたということに応じて、全体とすれば予算額を年々ふやしてきたわけでございます。
 ただ、教育研究特別経費、先ほど補完的経費と申し上げましたが、教育研究特別経費につきましては、年々若干ではありますがふやしてまいりまして、その結果、単価が据え置かれておるというのを教育研究特別経費の増で補てんをしてきたというのが実情でございます。
 現在お願いしております平成二年度予算におきましては、実に八年ぶりなんですが、今申し上げました基幹的経費であります当たり校費につきまして、本当にわずかでありますが、一%だけでありますが、単価の増をいたしまして、そして教育研究特別経費につきましても増をいたしたところでございます。
 こういう厳しい財政状況の中ではありますけれども、私どもは私どもなりにいろんなやりくりをしてこれらの経費の確保に努力してきたつもりでございますが、今後も、どういうように来年度の概算要求の基準がなるかわかりませんけれども、与えられた条件の中で最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○針生雄吉君 その成果が二十年、三十年後のノーベル賞の数にどう反映するか、期待をしたいというところでございます。
 次に、そういった大学院学生に対する校費による教育研究の指導というものができにくいという場合に、科学研究費補助金というものをその教官が獲得しまして、その研究を大学院学生に手伝ってもらうという形で大学院学生を教育することがあるわけでございます。今年度のは五百五十八億円で前年比六%強の増額であり、評価に値すると思いますけれども、これは特にお答えいただかなくてもいいんですけれども、科学研究費の獲得というのは大変専門分野によって、あるいは学閥というのは今ないことになっておるわけですけれども、大学の系列によっては宝くじに当たるよりも難しいというようなことを言う研究者もおられるわけであります。旧帝大、特に鉄門なんかはすごいと。非常にすぐれた研究者がいらっしゃるということもあるわけでしょうけれども、地方の大学の研究者なんかは、やはりやっかみ半分で見ているという点も、これは一つの恨み事として聞いていただきたいと思います。
 能力ある人、若くして優秀な研究者、そういう研究者の可能性を引き出すことが大切なわけでありますけれども、二十代、三十代の若手の研究者を育てるために、要するに来るべき時代のために、科学研究費のうち、三十七歳以下と伺っておりますけれども、の研究者を対象とする奨励研究費というのが、今年度は五十億八千万円でありますけれども、前年と比べまして五%弱の増加でしかない。これはやはり可能性に対する投資をするという視点の欠落ではないかと思うんですが、若手の研究者を育成するという意味において、科学研究補助金のみならずでございますけれども、どういった予算的な道を講じておられるか、そういうことがあればお答えを願いたいと思います。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘のございました科学研究費補助金、科研費補助金と申しておりますけれども、お話がございましたように、この研究費というのは、大学等におきますすぐれた学術研究を格段に発展をさせる、そのための基幹的な経費であります。
 先ほどお話がございました教官当たり積算校費というのが、それぞれの教官に対して分野別に、自然科学系、人文社会科学系と違いはありますけれども、等しく配分される研究費であるのに対して、この科研費の補助金の方は、それぞれの業績に応じて配分をする。ですから、日本の研究費のあり方からいいますと、そうやって研究者に対して一律に配分される校費と、それから業績に応じてできる人にあげる経費と、二つの研究費の組み合わせという仕組みになっておりまして、これは世界的にもなかなかいい仕掛けになっているんじゃないか。日本の研究者が安定して研究できるために、大いに意欲を出すと科研費が与えられる、そんな仕組みになっている。ですから、先ほどの校費と、何といいますか、車の両輪みたいな関係でこれが進められていると、こういうことでございます。
 それで、なかなか宝くじみたいに当たるのが難しいというお話がございましたけれども、平成元年度で申しますと、申請件数が六万一千件に対して、採択いたしましたのが一万九千件ぐらいでございますから、やはり採択率が低いわけでございますね。特に科研費は、物によって違いますが、継続して三年間補助するというようなものもございますから、そういう継続物を差し引きますと、新規に申請をしたときに採択される率というのは大体二三%ぐらいでございます。ですから、単純計算をすれば、毎年申請して五年に一遍当たると、こういうようなことでございます。その辺が今お話しのようなうわさが出たりなんかするんだろうと思います。
 採択に当たっては、現在学術審議会におよそ千三百人ほどの専門の先生方をお願いいたしまして、この千三百人の先生方がそれぞれの分野に応じて公平に配分をする、しかも一段審査でなくて二段審査を原則とするというような形でやっておりますので、配分自体はそれぞれの申請の中身に応じた公平な審査が行われているのではないかと思いますけれども、その基本は、やはり要望になかなかこたえ切れない絶対的な額の問題があると、こういうことでございます。
 それで、若手の研究者を伸ばすためには、奨励研究費の伸び率が低いではないかというお話がございましたが、科研費の使い方としては、若手を育成をするという観点から申しますと、二つの使い方がございまして、最初は、先ほど先生がおっしゃいましたように、すぐれた研究者が科研費をもらう。それは個人でもらう場合もありますが、グループ研究で、例えば総合研究という形で研究代表者にすぐれた方がなって、そのチームの中へ若手の人が参加するというやり方と、それが基本でございますけれども、先ほど来先生から御指摘いただいておりますように、やはり若手というものを特に大切にしなきゃいかぬ、これは未来への投資だということがございますので、その科研費の中に特別に区分を設けて奨励研究という区分をつくっていると、こういうことでございます。
 この奨励研究というのは、今御指摘がございましたように、若い人にこれを限定をいたしまして配分をするということでございます。しかも、この中で、奨励研究も幾通りかに分かれておりますが、先ほど来お話しいただいております特に大学院の博士課程の学生につきましては、奨励研究の中でも特別の特別研究員という仕組みをつくっておりまして、大学院の学生にも科研費を配分をするというようなことをしています。
 予算的に申し上げますと、今度お願いしております平成二年度の予算案では、奨励研究の中の特別研究員の分は対前年度二〇%ほどの増ということで、先ほど来ノーベル賞のお話がございましたけれども、日本の基礎研究を底上げをしていくためにはやっぱり若手のすぐれた人をともかく育てていくということでございまして、こういう特別研究員制度、これは日本学術振興会の方で生活費の方も面倒を見るという仕組みでございますけれども、そういったものを従来充実しながら若手の育成に努めてきているわけでございまして、今後ともそういったことで若手を中心に科研費につきましてもさらにその充実に努めてまいりたい、こういうことでございます。
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 その科研費に関連して質問を一つ追加したいと思いますけれども、科研費に限りませんけれども、そういう研究費で購入することのできる機器というものも、かなり高額なものが対象となってきております。三百万とか五百万に対しても許されるようになりました。これらの高額機器の購入費はおりるんだけれども、保守管理に要する費用あるいは保守管理のための専門家、そういった人に対する費用というものがなかなか出ない。結局業者のアフターサービスに頼って、あげくの果ては業者との癒着が起こる原因になってしまうというようなことを聞くわけであります。そういう保守管理に要する費用はどうなっているのかということと、それから、特に公立の研究教育機関の間で高額な研究機器の相互利用というものができないものかどうか。
 例えば大学の医学部の臨床研究室で使っていたものが研究の目的を達して、いわゆる廃棄処分まで年数がたっていないというようなものを基礎医学の研究部門で使用することができないだろうかとか、あるいは例えば青森の大学にいた先生が九州の大学に赴任することになったときに、それを一緒に持っていくことはできないものかどうか、そういった相互利用というものができないかどうか。さらには、とりあえず国立の研究教育機関だけでもいいと思いますけれども、そういった備品としての研究機器を、どこに何があるか、耐用年数は何年かとか、そういったものをコンピューターライズした管理システムというものを、もしつくっていなければつくったらどうか。
 そういった保守管理のこと、相互利用のこと、管理システムのこと、そのことについて教えていただきたいと思います。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘をいただきましたように、研究用の設備というのが年々非常に高度化、高性能化し、また同時に大型化しておりまして、それとともに大変にお金がかかるようになっている、こういうことは御指摘のとおりでございます。学問の分野によって違いますけれども、やはりそういう設備がなくちゃどうしようもない、大型の設備といいますか装置というのか、そういうものがなくては研究ができないという分野もふえているわけでございまして、例えて申しますと、筑波学園都市に高エネルギー物理学研究所というのがございます。ここにトリスタンという衝突型の加速器がございますが、この加速器科学というのは、その加速器という機械を使わなくちゃできない。ところが、その加速器という機械は、大型であるほど学問の深いところがわかるということで、現在筑波にあるトリスタンという装置は、建設費だけで約一千億ぐらいかかっておるわけでございますね。
 一千億かかる機械をそれぞれの大学につくるということはとても不可能なことでございますから、そういうものをできるだけ共同利用でいこう。ですから、できるだけ研究に当たっては共同利用ということが現在の我々の基本的な一つの事項になっておりまして、そうやって大学間の共同利用の研究所をつくる、あるいは研究所までいかないものにしましても、全国の大学の共同利用の研究施設にするということで、共同利用化ということを基本にしているわけでございます。そこまでいきませんでも、今御指摘のございましたような大型のものにつきましても、できるだけ研究者間の相互利用というものをやっていただきたいということは、我々折に触れてお願いをしておるわけでございます。
 それから、そういう設備のメンテナンスの問題でございますけれども、確かに設備を購入いたしますと、その保守の人手でございますとか経費がかかるわけでございまして、私どももそういうものにつきましては、必要最小限度の範囲になってしまうわけですけれども、ともかくその設備に応じて定員の配置をしたり、あるいはそれのメンテナンスの経費を措置をするということはさしていただいております。
 ただ、先ほどお尋ねのございました科研費でその設備を買った場合に、科研費というものはそれは個人に対する補助金になるわけでございまして、いわゆる公の経費の校費で購入いたします国有の財産あるいは物品としての設備とは若干そこの扱いが変わってくるわけでございます。
   〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
しかし科研費で購入した設備につきましても、その設備が運転できるように、科研費自体でもそれはできるだけ措置をするというようなことで、工夫は重ねているわけでございます。
 それから全国の研究者の研究設備のデータベースでもつくったらどうかというお話がございましたけれども、現在まだそこまでは至っておりません。しかし、全体の共同利用の流れの中で、今後ともそういうことも考えながら、やはりせっかくの設備、装置の効果的な活用ということに、なお努力をいたしてまいりたいと思っております。
○針生雄吉君 ありがとうございました。
 産学協同、民間資金の導入ということに関しましては、次回に機会があれば御質問させていただきたいと思います。
 次に、大学院の教育研究担当者の報酬の改善ということに関しましてお伺いをしたいと思います。
 現在は大学院教官に対する俸給の調整額の支給ということで、大学院の博士課程の講師以上の担当者には俸給月額の八%、助手には四%、それから大学院修士課程の講師以上の担当者には俸給月額の四%を支給するということになっておるわけでございます。教授の俸給月額を例えば四十五万円といたしますと、博士課程の指導をやっている教授は月に三万六千円の手当が出るということでございます。修士課程の教授が大学院の修士課程の学生を指導した場合、月に一万八千円のお手当が出るということになるわけです。
 私立の大学院の現状に関しまして人事院にお尋ねしましたけれども、ちょっと掌握していないということなので、それこそ十人以内でございますけれども、私の調べたところでは、私立の大学院の先生が週に一回百分の講義をしたとして、一月に四回ないしは五回でございますね。そうしますと、私立の大学院の大学院担当の教官に対しては、どんな大教授であろうとも、二万五千円から三万円程度でございます。一月です、一時間ではございません。公立の大学では、月一万五千円という方もいました。
 本来、大学院の教授といえば、教授の中の大教授が担当して、世界的レベルのそういう専任スタッフによる大学院教育というものが行われなければならないのではないかと、こう私は思ってたんですけれども、このような現状では、よりよい大学院教育が行われることが難しいのではないか。お金ではないと、かつて教職員の方の聖職論というのが話題になったことがございますけれども、やはり大学院の教授、大学院のスタッフといえば、教授の中の大教授に担当していただいて、それ相応の報酬をお払いするというのが文化国日本としては当然の行き方ではないか。そういうわけで、人事院なり大蔵省なりに強力に働きかけを行っていただきたい、こういうことでお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(國分正明君) 大学院担当の教官の待遇の問題でございます。
 大学院教育あるいは大学院における研究というものを充実させるためには、やはり立派な人材を迎え、そしてまた確保するということが大事であろうと思うわけでございまして、待遇面でやはりそれも考えていかなければならないのは仰せのとおりであろうというふうに私ども思っております。
 ただいま先生から、いわゆる大学院担当手当、厳密に言うと俸給の調整額、こういうことになるようでございますが、この仕組みが、現在、大学院の担当教官は学部の教員をやっており、同時に大学院も担当している、こういうような仕組みになっているわけでございます。この調整額というのは、学部だけを持っている人と大学院もあわせ持っている人との間にやはり不均衡が生じてはいけない、それを補てんしよう、補てんという言葉が適当であるかどうかわかりませんが、そういう職務の特殊性に応じて出そうというのが調整額という仕組みになっているわけでございます。これが教授で申せば大学院の博士課程担当者が俸給の約八%、修士課程であれば四%が支給されるということで、先生御指摘のとおりでございます。
 私ども毎年大学の先生方の給与改善につきましては、人事院に対して要望しているわけでございます。ちょっと読み上げてみますと、例えばこれは平成二年度の人勧に向けて平成元年の七月に出した要望書でございますが、「教員については、優秀な人材の確保が図られるよう初任給及び最高給等の改善を行うとともに、その教育、研究上の職務の特殊性に応じた特別の措置を講ずる。」という要望を文部大臣名で人事院に出しているわけでございますが、給与というものは公務員全体の中でのバランスの問題ということもあろうかと思います。年々少しずつ改善はされてきておりますけれども、先ほど先生御指摘のとおり、大学院教官に人材を確保するという観点から今後も要望を続けてまいりたい、こんなふうに考えております。
○針生雄吉君 その御努力の継続を期待いたしたいと思います。
 それに、私学が先か国公立が先か、どっちかよくわかりませんけれども、国公立の大学院の先生の待遇が上がれば私立の大学院の先生の待遇も上がると。そういう関連もございますので、そういう意味において強力な働きかけをお願いしたい。
 さらには、実際的に実質的に教育の現場で大学院学生の研究教育を担当しているマスターコースの助手の方、そういう方に光を当てるという意味で、現在の後期課程の四%をもっとアップするとか、あるいは修士課程を担当している助手の方には出ていないわけでございますので、そういう方にせめて四%というような点についても強力な働きかけをして、現場に光を当てていただきたい。そして、金だけではないとは言うものの、優秀な人材の教育に力いっぱい励めるようにしてあげていただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
 今は大学院担当教官の待遇の全体的な底上げについて御要望したわけでありますけれども、それと同時に、言葉は悪いですけれども、有能な教官と無能な教官、それを厳しく峻別していったらどうかという、非常に憎まれそうなことを申し上げるわけでありますが、勤務評定という言葉は嫌な言葉でございますし、こういう青二才がこんなことを申し上げるのは恐縮なんでございますけれども、大学院担当の教授の中には、人間的にも例えば女子大学生に対してセクハラ的な行為に及んだとか、本来やるべき研究教育を放棄してレジャーやスポーツにうつつを抜かすというような欠陥教授とも言うような、教授以前、人間失格とも言うべき人物もいらっしゃるわけでございますけれども、それは別といたしまして、学問に対する情熱を失ったマンネリ教授、そういう方もおいでになるわけですね。定年になるのを静かに待っているというような方もいらっしゃるわけでございます。
 これはもう常に論議の対象になるところでございまして、その各大学院の教官みずからがその使命を自覚して人格的陶冶に努めることは当たり前でございますし、さらには、これは大学審議会の答申にある文句でございますけれども、「創意と工夫」を重ね、みずからの「責任と判断において、各学問的分野の特質に応じた」「教育研究を実施し得る」力をつけることが要求されるとあります。こういういわば自助努力に期待するとともに、やはり何かの適切な手段による大学院教官の評価システムづくりというものも必要ではないか。
 また、六十三年に出されました大学審議会の答申の中に、さっきも言いましたように、「各大学院の自己評価、各分野における教育研究の相互評価のシステムが確立されることが重要である。」というふうな答申もありますし、また、いわゆる大学審議会設置法をめぐる国会審議の中でも、当時の文部省の高等教育局長さんとか文部大臣も、そういった大学あるいは大学教官の評価について、必ずやりたいと思うとか、必要だと思うとか、検討してみます、新しい時代の一つの文部省のあり方だと思う、検討させていただきたい、そういうふうに答弁されている経緯もあるわけでございます。
 この問題はおのずから大学院教官の任期制、任命するというようなそういう制度的なものにもつながるということではございますけれども、とりあえず大学院の評価あるいは大学院教官の評価という問題について、ぜひ具体的な取り組みにスタートしていただきたいと思うわけであります。
 この大学院ないしは大学院教官の評価制度、評価システムということに関しまして、大臣はどのようにお考えでありますか、お聞かせをいただければ幸いと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 大学の先生は、自分の大学あるいは自分の学部をよくしようとして努力をしていらっしゃると私は信じておりますが、先生から御指摘のようないろいろな点があるということを承りました。
 そこで、大学の自己評価のあり方等につきましては、今大学審議会の中でいろいろ論議をしていただいております。大学はそれ自体、大学の自治というものを大事にしていかなければならないという観点がございますので、この大学審議会における大学の自己評価のあり方の御議論というものを慎重に注意深く関心を持って見守っていきたい。その上で、やるべきことがあればやらなければならないのではないかと思います。
 やはり大学の自治ということこそ私は大事なことだと思っております。
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと補足さしていただきますと、現在大学審議会で大学院部会と大学教育部会、その他の部会もございますが、いろいろ審議をしているところでございます。
 大学院部会、大学教育部会は、昨年の七月に中間的な審議経過というものを公表いたしまして、いろいろ関係団体から御意見を聞いているところでございます。
 その大学審議会の審議経過の中で指摘している点を申し上げますと、まず第一次的に、学部段階それから大学院段階を含めまして、大学が常に自己点検し、自己改革をする努力をすべきではないか。日本の国の場合ですと、一般的に第三者が評価するというのは今までアメリカのようにやってきておりませんので、なかなかなじまないだろう。したがって、それまでの間はまず自己評価でいく。その場合に、自己評価の結果を、場合によっては公表することも課題になるだろうというような指摘がございます。
 これは、もう少し議論を詰めて、来年の春ぐらいに最終的に御答申をいただくというようなことになろうかと思いますが、その中に、特に大学院部会につきましては、自己評価だけではなくて、これは第三者評価の仕組みをどうつくるかというような大きなシステムが問題でありますけれども、第三者が評価を行って、その評価に基づいて重点的な大学院の整備を図るということもあわせて検討する必要があるだろうという、先生が御指摘になったような、大学院部会で大学院に限ってはそういうことを考えたらどうかというような御指摘もなされているわけでございます。現在、これは今申し上げましたとおり検討している最中で、来年の春ぐらいまでには何らかの方向が示されるんではないかと思っておりまして、私どもはその結論を待って、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○針生雄吉君 ありがとうございました。とりあえず来年の春を待つということで、春を待つ気持ちで冬を耐えたいと思います。
 次に、夜間大学院とか通信教育部の大学院とか放送大学の大学院についても御所見をお伺いしたいと思ったんですが、時間の関係で、次の機会があればお教えいただきたいと思います。
 次に、大学院の定員の増加のことに関しましてお伺いをいたします。
 例の第二次ベビーブームに伴って、大学入学志望者は増加するわけでございますね。平成四年まで増加して、その後は減少するという予想なわけであります。そうなりますと、当然四年の周期のずれをもって大学院進学者数も増加することが予想されるわけでありますけれども、そういった大学の入学定員を増す増さないということも含めて、とにかく実質的に大学の学生がふえると大学院の学生がふえるので、臨時に定員を増加させるということになると思いますけれども、それに伴う教官とか施設あるいは機材、そういったものの増加に対する対策ですね、それはもう既にお考えになっておられるかどうか。大学の問題も含めて、同時に大学院の定員増加に対する対策を伺いたい。例えば、いろいろなことがあると思うんですが、図書館をどうするかとか、指導スタッフをどうするかとか、機材、そういったことに対する手は打ってあるかどうか、お考えになっているかどうかということを教えていただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) まず最初に、学部学生の問題から御説明申し上げますが、先生も御指摘になりましたように、平成四年度で十八歳人口が二百五万のピークになるわけでございます。そこで、私どもは昭和六十一年から昭和六十七年、平成四年でございますが、七年間のその急増期に向けてどういうように高等教育を整備していくかという新高等教育計画を立てたわけでございます。
 ただ、その場合に、平成五年から八年間、二〇〇〇年当初までの間に二百五万が一挙に十八歳人口が百五十万になりまして、それから四、五年たちますと百三十万にまで十八歳人口が落ちる。そういう、急増するけれども急減するということも見越して計画を立てる必要があるだろうということで計画を立てて、整備を続けてきたわけでございます。その整備計画は、大体八万六千人、そのうち期間を限った臨時定員、結局十八歳人口が減少したときに定員を削減するという、そういう臨時的な措置としての臨時定員が四万四千、恒常的な定員増が四万二千、トータルで八万六千人という目標で計画を立てたわけでございます。ところが、それが昭和六十一年から六十三年までの間にほとんど計画以上、八万六千人以上達成したわけでございます。
 ところが――ちょっと長くなって恐縮ではございますけれども、私どもは昭和五十八年からこの計画を練ったわけでございますが、昭和五十八年、五十九年ぐらいまでの間の志願率というのが、その段階での過去十年間の平均が大体四四・五、四五%前後の志願率でございました。それが昭和六十一年ごろから急激に伸びてまいりまして、今年度はまだ最終的な数字は出しておりませんけれども、平成元年では四八・五%という数字にまで至っているわけでございます。そういう志願率のやや見込み違いがあったということ。
 それからもう一つは、この計画を立てた段階で、私立大学のいわゆる定員超過率が一・三六倍でございました。三六%余計採っておったという現実がございますが、それが一・二八倍というように定員超過率が改善されてきた。それで、私どもは急増するときであるから、恐らく私学の定員超過率はこのまま一・三六ぐらいでいくだろうというようなことで計画を練ったわけでございますが、この見込み違いもございました。そういうことで平成元年度で申し上げますと、百十万の人が大学を受験し、七十万の人は進学し、四十万の不合格者が出たという事態に立ち至ったわけでございます。
 そこで、なおこれから臨時定員を含めて大学の入学定員の整備を図る必要があるだろうということで、これは昭和六十三年からその傾向が出てまいりましたので、平成二年には八万六千人に対して十一万一千人という一二九%の計画の達成率でございますが、なお今後も臨時定員を含めてふやすということで、各私立大学なりにいろいろと連絡あるいは指導しているところでございます。
 そこで、先般この関係で臨時定員を増加する場合に、従来つけておりました定員の増員枠を緩和するということ、あるいは臨時定員の認可申請の場合に提出すべき書類を簡素化したというようなことで、私立大学が臨時定員を行いやすくするような条件の整備を行ったところでございます。
 それで、当然学部あるいは学科の新増設や既存の学部、学科の入学定員を増する場合には、教員及び施設設備の増が必要であるわけであります。そういう意味で、必要ではございますけれども、臨時定員につきましては、何年か先には入学定員を離すわけでございますので、臨時定員の増に限っては、必要な教員については、兼任、非常勤で差し支えないというような措置を講じておりますので、臨時定員増に伴う教員の需給関係はどうかという点については心配はないだろうと思っておりますし、恒常的な定員につきましては、情報関係分野の教員についてやや供給が逼迫している、タイトだなという感じはいたしておりますが、その他の分野については大体供給は何とかできるだろうというような見通しを持っているところでございます。
 それから、施設設備につきましては、ほとんどの大学が大学設置基準で決められておる施設設備よりもかなり余裕を持って既に整備しておりますので、この点についても問題はないだろうというふうに考えているところでございます。
 それから、大学院の問題でございますが、大学院の整備充実に伴う定員増につきましては、臨時的定員増というような措置も私ども考えておりません。したがって、大学院の整備充実については、従来と同じような考え方で常勤、専任の教官を確保し、それから施設設備も整備したそういう大学院について、私学については認可を認めますし、それから国立大学につきましても、そういうことが立派に整備ができる範囲内で大学院の充実整備を続けてまいりたいというふうに考えております。
 やや長くなって恐縮でございますが、そういうことでございます。
○針生雄吉君 ありがとうございました。要するに、文科系もさることながら、理科系の施設というものが大変重要になってくると思いますので、きめの細かな対策をお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、大学院学生の教育研究に関連することでありますけれども、国立大学に、附置研、附置研究所と言われるものがありますけれども、いろいろスクラップ・アンド・ビルドの作業が進んでいるわけでございますけれども、簡単に、そういった改廃の基準となるものがあるのかどうか。
 と申しますのは、大学院学生、特に修士課程の学生なんかが進学をするときに、どういう附置研がどういうふうに変わっていくのだろうかというような選択の資料とするためにも、全国二十大学の六十数カ所の附置研の今後の改廃の計画など、わかればお教えいただきたいと思います。
○政府委員(川村恒明君) 研究所でございますけれども、ただいま御指摘がございました国立大学の附置研究所、そのほかにその研究をやる大きな固まりとしては大学共同利用機関というのがございます。これは、先ほど申しましたように非常に大きな研究装置を必要とするようなもの、全国の研究者の結集をまって研究をしていくべきもの、そういったものを中心に大学共同利用機関というものが十五ございます。
 それから、お尋ねのございましたそれぞれの個別の国立大学に附置されております研究所が六十三ということでございます。この附置研の中には、その大学だけで研究をするという普通の附置研究所が四十九、それから、特定の大学に附置はされているけれども、全国共同利用という形で全国の研究者に運営を開放している研究所が十四ということでございます。
 そこで、これらの研究所の今後の構想でございますけれども、これは基本的には大学というのは大学の自治という考え方がございまして、それぞれの研究所のあり方につきましても、それぞれの学問分野の発展の動向によってそれは決めていくということになるわけでございますが、ただ、私どもといたしましては、先ほど来申しておりますように、研究活動自体がどの分野でも非常に大型化しているわけでございます。多くの研究者がチームを組んで、しかもできるだけ多分野の方々が入って学際的な研究をするということがいかなる分野でも求められているわけでございますので、今後のこういう研究体制のあり方としては、できるだけ共同利用の方向で進んでいただきたいということをお願いしているわけでございます。
 それからまた、学問の発展によりまして、一応の研究の成果が見えたときには、また新しいステップとして次のあり方も考えていただきたいということをお願いしているわけでございます。
 しかし、研究所を例えば統廃合するというのは、これは先ほど来申しておりますように、大学での自主的な考え方ということがベースになるわけでございますから、そういうものを踏まえながら、また文部省の学術審議会でも、学問研究の全体的な動向を見ながら、将来の方向として、それを当該分野の研究者と相談をしながら決めていくというのが大体の仕組みでございます。
○針生雄吉君 ありがとうございました。これで終わります。
○高崎裕子君 最初に文部大臣にお伺いいたします。
 日本と朝鮮半島との過去の歴史認識についてでございますが、小林委員の質問に答えて、日本と南朝鮮の関係について、歴史の一時期反省すべきことがあった、こう述べられました。具体的にお尋ねしますが、大臣は日本が三十五年にわたって朝鮮を侵略し、植民地支配を行ったという認識をお持ちでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) そのような認識は持っております。
○高崎裕子君 さらに具体的にお尋ねしますが、日韓併合は日本による朝鮮侵略そのものであり、朝鮮の植民地化を完成させたものであるわけですが、したがって、こうしたことは誤りであり、二度と繰り返してはならない、また日本によって実施された植民地政策、例えば朝鮮人から朝鮮人としての存在を奪った創氏改名、あるいは朝鮮人の強制連行、強制労働などは、誤りであり繰り返してはならない、こうした認識を大臣はお持ちだと理解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 我が国の行為が韓国等アジアの国々に対して、その国民に多大な苦痛と損害を与えたことを深く自覚をしなければならない、あるいは「このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って」ということが歴史教科書についての官房長官談話の中に出ておりますが、私も同じような気持ちを持っております。
○高崎裕子君 重ねてお尋ねしますが、私が今具体的に摘示した創氏改名や強制連行、強制労働などについて、誤りである、日韓併合等についても、植民地支配であった、これは繰り返してはならないという認識だというふうに伺ってよろしいわけですね。
○国務大臣(保利耕輔君) そのような認識でございます。そういうことが繰り返されてはならないと思っております。
○高崎裕子君 文部省はこの五月二十九日に日本と朝鮮との過去の歴史教育について見解をまとめたわけですが、これは、日本の過去の朝鮮侵略、植民地支配の歴史的事実を、具体的な例を挙げながらきちんと学校教育の場において教えようということでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 今回、教育課程講習会等で指導しておりますのは、一つは、学校において我が国と朝鮮半島との近現代史の取り扱いにつきまして、昭和五十七年の歴史教科書についての官房長官談話とか文部大臣談話において示されておりますように、国際理解と国際協調の見地に立って友好親善を一層進めるよう指導していただいて――これまで指導していただいているわけでございますが、今回の盧泰愚大統領の来日を契機にいたしまして、日韓両国は政治、経済、文化の各分野において交流、協力する善隣友好の新しい時代の幕あけを迎えることになったという認識のもとに、学校におきまして、日韓両国民が相互に尊重し、理解を深めるよう、我が国と朝鮮半島の関係について一層適切な指導が行われるよう努めていただきたいという指導をしているわけでございます。
 個々の具体的な事例、歴史的事象等につきましては、これは各学校の実践の場において適宜取り上げ御指導いただくことになろうと思います。
○高崎裕子君 五月二十七日付の読売新聞の報道によると、文部省としては、「授業では、日韓併合による植民地支配によって、韓国の人々が日本風の氏名に改名させられたりした「不幸な過去」や現在も残る問題の具体例を挙げながら教え、未来志向の関係構築の重要性を理解させたい、としている。」、こうなっているわけです。
 そこで、今、具体的には現場でというお話でしたが、私が先ほど例示した例も含めて、学校現場でそのような具体例を具体的に教えることが望ましいというふうに伺ってよろしいわけでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 読売新聞につきましては、私どもが方針を決定する前の記事だと存じますので、いろいろ書いてあろうかと思いますが、具体的な指導につきましては、ただいま私が申し述べたところでございます。
 なお、教育課程の講習会におきましては、各教科ごとの部会も持っておりますので、その部会によりましては、今御指摘のような件が取り上げられる場面もあるかも存じませんが、それはそれで、ただいま私が申し上げました方針に従っていろいろお話し合い、ないしは指導があろうと思います。
 それから、歴史教育の学校の実際の場におきましては、日韓併合の具体的事象を扱いますときには、当然いろいろな歴史的事実に基づいて学習が進められるわけでございますので、当時とられました同化政策と申しますか、創氏改名とか日本語の強制とか、ないしは土地を当時収奪した話とかいろいろ具体的事例はあろうと思います。それから強制連行の話などもございます。それらは具体的な指導の問題でございますので、各教室において適切な指導が行われるものというふうに私どもは考えておりますし、そういう指導をしているわけでございます。
○高崎裕子君 このような具体的な例が教えられない場合、文部省のこのたびの方針にのっとったことになるのかならないのかということについてはいかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 私ども文部省としましては、御案内のように、指導の基準として学習指導要領がございますし、その実際の教材として教科書がございまして、その教科書の検定を行っているわけでございますが、各実際の教室でどのような授業が展開されるかということの内容の一々までにつきましては、私どもはその中に入っていかないと申しますか、それは教師の仕事であるというふうに考えております。
○高崎裕子君 時間の関係もありますので、教育の現場で具体的な例が教えられて初めて文部省のこのたびの方針が貫徹されるということになりますので、そのように御指導をお願いしたいと思います。
 次に、現在使われております教科書の中には、日本の過去の朝鮮侵略、植民地支配の歴史的事実を記述していない、あるいはあいまいにしているものがあるわけです。その代表的なものが、前に大問題になった日本を守る国民会議編集の、これは原書房出版ですが、「新編日本史」です。この教科書を見ると、海部首相が述べた「朝鮮半島の方々が我が国の行為により耐え難い苦しみと悲しみを体験されたことについて謙虚に反省し、率直におわび」をするという程度の記述すらないわけです。
 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、この教科書で児童生徒に日本と韓国の過去の歴史的事実が理解させられる、きちんと教えることができるとお考えでしょうか、御見解を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 教科書はもちろんいろいろございます。国定教科書ではございませんので、検定制度をとっておりますので、著者、執筆者の執筆方針によりまして、どのような歴史事実をもって歴史を叙述していくかということは、これは基本的には著者、執筆者にゆだねられているわけでございます。ただ、その際にはもちろん基準がございまして、まず第一には学習指導要領にのっとっていること、そしてそのほか教育内容が正確であるとか、いろいろ基準はございます。
 今回、特に日韓の問題につきましては、五十七年の問題のときに、近隣のアジア諸国との友好親善と申しますか、「国際理解と国際協調」に「配慮がされていること。」という基準がございますので、もちろんその基準等に適合しなければならないわけでございますが、現在出ております教科書は、いずれも教科書の審議会におきまして、これらの基準に基づいて、厳密と申しますか詳細に審査をされた結果、教科書として適切であるということで出ているものでございますので、これらはいずれも検定基準等には適合しているものというふうに考えております。
 ただ、その内容につきましては、もちろん先ほど申し上げましたようにいろいろな教科書があるわけでございますので、それらをどのように活用して最も適切な教育を行うかは、学校の教師の問題であるというふうに考えております。
○高崎裕子君 この教科書の記述で十分教えられるかどうかということについての質問なわけで、しかも大臣に既にコピーで現物をお渡ししてもおりますので、この際大臣に、これで教えることができるとお考えかどうかの見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(保利耕輔君) 確かにコピーを見てみますというと、ほかの教科書と少し違うところがあろうかと思います。それは率直に事実であろうかと思います。
 ただ、これは、今初中局長からお話を申し上げましたように、検定は通っておりまして、これが使われておるわけでございますが、盧泰愚大統領の訪日を機会にしていろいろなことが報道もされておりますし、そういう中で正しい過去の歴史についてよく教えてほしいという文部省からの指導も出ている、そういったものを背景にして、きちんと教えていただくことを私としては希望いたします。
○高崎裕子君 この教科書は、日韓併合については、他の教科書が植民地支配あるいは侵略と書いているのと違い、全くそれについては記述がない。あるいは強制連行の記述も、他の教科書は連行者の数まで挙げて具体的に述べているのに対し、全く記述がない。あるいは実態は朝鮮人の土地取り上げであった土地調査事業についての記述も全くないということで、極めて不十分な内容で、これによって教えることが可能だというふうに考えられたということについては、私は極めて重大な発言であると思うわけです。
 日本の教科書はページにして約一ページ分程度しかこの朝鮮侵略について触れられていないのに対して、南朝鮮などでは二十四ページほどにわたって日本の侵略の事実を記載していると言われるわけです。海部首相の発言の後、南朝鮮の東亜日報紙は、問題は今後日本がとる行動で判断されると、こうしているわけです。加害者としての日本の歴史を日本の児童や生徒が知り得ないなら、東南アジア諸国民との真の連帯、友好関係というのはあり得ないということを述べて、文部省の特別の御指導を期待して、次の質問に移りたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) この歴史の教育の問題については、大変大事な問題だと思います。歴史の真実を子供たちに教えていくということはもちろん大事なことでございますが、基本的には、やはりこれからの日韓関係と申しますか、あるいはアジア諸国との関係といいますか、そういうものを構築していきますのに、子供たちが正確な知識のもとに、そして正しい認識のもとにそういった国々と将来にわたって交渉をし、そして友好親善関係を樹立していくということが大変大事だ、そこの基本的な理念の上に立って歴史を勉強すべきものと私は考えております。
○高崎裕子君 この問題は、文部行政の責任者である文部大臣のリーダーシップも問われる極めて重大な問題だと思いますので、その指導力を発揮されるように期待して、次の質問に移りたいと思います。
 二十四日の文教委員会に続いて、障害児教育の問題について質問したいと思うんですが、障害児学校では、重度の重複障害の児童生徒が教育を受けるという実態が義務制が実施されて以降ふえていると思いますが、実情はどうなっておりますか。
○政府委員(菱村幸彦君) 盲聾養護学校の小中学部の児童生徒の重複障害の状況でございますが、養護学校教育の義務制実施以前、すなわち昭和五十三年の重複障害学級の在籍率を見ますと一八・九%でございました。これが、義務制実施直後の昭和五十五年には三一%というわけで、ぐっと伸びているわけでございます。その後順次伸びてまいりまして、平成元年では三八%になっております。近年はほぼ横ばいの状況にあるというふうに考えております。
○高崎裕子君 義務制実施以降、重度の重複障害の児童生徒が教育を受けるという実態が現実にふえている中で、障害児学校の教職員の腰痛、頚肩腕症候群、妊娠障害などの疾病や健康破壊が進行していると思いますが、その実態はどうなっていますか。
○政府委員(前畑安宏君) 五十九年度の実態につきまして六十年度に調査をいたしたものがございます。この調査は、公立の学校を対象にいたしまして、適宜抽出をして行ったものでございます。
 これによりますと、まず腰痛及び頚肩腕症候群でございますが、その割合を申し上げますと、寮母では腰痛を訴えた者が二一・九%、頚肩腕症候群を訴えた者が一〇・五%、教員では腰痛を訴えた者が一六・二%、頚肩腕症候群を訴えた者が四・八%。また、妊娠障害につきましては、寮母では切迫流産というのが二一・三%、早産が一・九%、流産六・三%、その他七・五%、教員では切迫流産が二〇・九%、早産二・四%、流産七・五%、その他八・八%、こうなっております。ただ、これは養護学校についてこういう調査をいたしておりますが、残念ながら一般の教員について同じような調査がございませんので、これを比較対照することができませんことをお許しいただきたいと思います。
○高崎裕子君 この実態調査は、五十四年と五十九年と行われているわけですが、その後の調査の予定についてはどのようになっていますか。
○政府委員(前畑安宏君) 今年度に六十四年度の調査、つまり前年度の実態について調査をいたしたい、このように考えております。
○高崎裕子君 そこできょうは、障害児学校の寄宿舎で働く寮母の問題を中心に質問したいと思います。
 文部省は、寮母が週に何回くらい宿直をしているか実態を把握されていますでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 寮母一人当たりの宿直日数でございますが、全都道府県ではございませんが、十二都道県につきましてかつて抽出調査をしたことがございます。それによりますと、昭和六十三年五月の実態としては、月平均五日宿直を実施しているという結果が出ております。
○高崎裕子君 月平均五日というと、週平均一・二五日ということになるわけですが、私の手元に東京の調査の結果があるんですが、多いところで週二回、少ないところでも一・四回という結果です。労基法上は週一回を基準とすべきというふうになっているにもかかわらず、こういう実態ですが、早急にこれはもう改善すべきだと思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(倉地克次君) 今のお話でございますけれども、これは定数措置と若干関連するかと思いますが、現行法におきましては、寮母につきましてはいかなる小規模な寄宿舎であっても、最低八人の寮母の定数が付されている次第でございます。八人でございますので、二人一組で四交代制の勤務がとり得るということになっているわけでございまして、今お話しのは、必ずしも宿直というのではなくて、夜間勤務ということになっているのではないかというふうに考える次第でございます。
 定数の関係では、現在、さらにそれを最低でも十人確保するように改善措置が進行中でございまして、私どもといたしましては、適切な定数措置を現在進めているところというふうに考えている次第でございます。
○高崎裕子君 文部省の認識としては、週一回以上になってもやむを得ないという考えではないというふうに伺っておいてよろしいわけですね。
○政府委員(倉地克次君) 私の申し上げているのは、宿直勤務ではございませんで、深夜勤務のことを申し上げているわけでございますから、週一回の基準というものは、深夜勤務のものとは違うものというふうに考えている次第でございます。
○高崎裕子君 私のところに北海道のある養護学校の寄宿舎の勤務実態表があります。これによると、朝の起床時から登校までは、子供四十七名に対し寮母は三名しかいない。下校時は、四十七名に対し寮母七から九名。夕食時は、四十七名に対し五から七名という実態です。ここは精神薄弱の養護学校ですから、子供五名に対し寮母一名という基準であるわけなんですが、実態はこういう状況になっています。
 この養護学校の寮母さんからこんな手紙をいただきました。
  生活面での介助率、自閉的、情緒障害が多い中での自傷、他傷行動、多動、飛びだしなど日常茶飯事で、職員は、神経をピリピリさせながらも、丈夫に、一人で服を着たり、トイレに行けたり、遊べる子になってほしいと、様々な願いをもってとりくんでいるわけです。
  発達レベルは六ケ月から四才位まで、多くは、一才半前後の子供達が中心で、手厚く関わる時期の子供達に、そもそも五人に一人では少ない上に、舎は、交替勤務をしているので、宿直明け、休みの職員がいないので、五人に一人はくずれ、日中の子供の活動時で五・二対一や六・七対一にまでなります。加配のない所はもっと多くなり、病欠や年休がでると、ことさらです。
こういう内容なわけです。
 こうした状況を根本的に解決するためには、どうしても定数の改善が必要になってくるわけです。
 そこでお尋ねいたしますけれども、第五次定数改善計画による寮母の増員数とその実施状況はどうなっていますか。
○政府委員(倉地克次君) 第五次の寮母の定数改善計画でございますけれども、肢体不自由の養護学校につきましては、寄宿舎の生徒四人につき寮母一人というのを、三人につき寮母一人というふうに改善することになっている次第でございます。
 それから、その他の特殊教育諸学校については、入舎児童生徒五人につき寮母一人ということでございますが、これは据え置きになっている次第であります。
 それから、小規模寄宿舎の最低保障でございますけれども、これは八人でございますが、十人に改善することになっているわけでございます。
○高崎裕子君 第五次定数改善計画は九一年度で終了するわけですが、障害児学校で言えば改善率は六四・一%にしか達していないわけですね。来年度で残りの定数増を一〇〇%やるという見通しはあるんでしょうか。必ずやりますと約束していただきたいわけですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府委員(倉地克次君) 御指摘のように、平成三年度が最終年度ということになっている次第でございます。私ども、この定数改善計画の全体の進捗率は七〇・五%ということでございますので、なかなか困難な事態に立ち至っているというふうに認識している次第でございます。大変厳しい財政事情でございますけれども、私どもといたしましては目標に向かって最大限努力したい、そのように考えている次第でございます。
○高崎裕子君 法律で十二カ年と、こう決めているわけで、だからこそ皆さんも期待をしているわけで、文部省の責任は大変大きいわけですから、これをきちんとやり遂げるということで、もうぜひぜひ努力をしていただきたい、そう要望をしまして、人事院に来ていただいていますので、先にその関連の質問に入らせていただきますが、寮母の待遇改善の問題です。
 まず、文部省にお尋ねしますが、文部省は寮母の給与水準について、特に他の教員と比べてどうなのかという点について、どう認識されていますか。
○政府委員(倉地克次君) 寮母の給与水準の問題でございますが、これまでの経過などを若干御説明さしていただきますと、昭和六十年度以降六十三年度までの給与法の改正におきましては、六号俸の増設をいたしている次第でございまして、生涯給与に見合う改善が図られているというふうに考える次第でございます。また、寮母の俸給表の教育職俸給表(二)の一級の俸給月額の改善を見てみますと、六十年以降、二級、これは教諭でございますが、それに比較しますと、若干毎年高目の改善が行われている、そういうふうに考えるわけでございます。
 そういうことでございますので、教育職が適用されている寮母につきましては、他の行政職が適用されている施設の寮母よりも若干有利になっている、そういうふうに考えている次第でございます。
○高崎裕子君 寮母は、他の教員とともに障害児学校の教育に欠くことのできない大変重要な役割を担っておられるわけです。それにもかかわらず、賃金の面では教育職一級が適用されています。このため、同じ教育職員である教育職二級の教諭と比較して、四十歳代で頭打ちとなるなど、退職金あるいは退職年金をも考慮すると大きな較差が存在しているわけで、ある県の調査では、退職するまでに何と四千五百万円近くもの差が出ているというような結果も出ています。このため、その改善が長年の強い要望となっております。
 そこでお尋ねいたしますが、教育職一級の俸給月額を大幅に引き上げ、号俸をふやすなど抜本的に改善をして、他の教員との不均衡を是正すること、当面免許所有者は直ちに、そして未所有者は高卒経験年数十年、短大、高専卒経験年数八年で教育職二級格付を行うべきだと思いますが、この点どうでしょうか。文部省、人事院にそれぞれお尋ねいたします。
○政府委員(倉地克次君) 教育職の(二)の二級の先生方との給与の比較を言われたわけでございますけれども、(二)の方は、免許法に基づく免許を所有した先生との関係でございます。寮母につきましてはそうした免許は必ずしも必要となっていないわけでございますので、そうした比較によってどちらが高いかということは若干問題があるのではないか、そのように考える次第でございます。
○説明員(栗田久喜君) 先生の御質問の点につきまして人事院の立場から給与関係の点について申し上げたいと思いますけれども、先ほど文部省の局長から御説明がございましたように、寮母等に適用になります教育職俸給表一級につきましては、従来から私どもも二つの点から配慮をいたしまして改善を行ってきております。第一点はその水準の是正でございまして、第二点目は号俸の延長でございます。
 第一点目につきましては、先ほども若干触れられたかと思いますが、特に寮母さんの適用が大きい一級の後半号俸でございますね、そういうところにつきまして、ほかのところよりも上目の改善を行うという配慮をいたしておりますし、号俸延長につきましても、実は俸給表を見ていただくとわかりますけれども、教(二)の一級というのは四十号俸まで設けられておりまして、全俸給表で一番多い最高のあれを設けておるわけです。そういう点で、私どもも従来からできるだけの措置をとらせていただいておるわけでございます。
○高崎裕子君 時間ですので質問をやめますが、この号俸の延長等を含めて寮母さんの問題は、賃金の問題でもあるいは妊娠障害等々の問題でも、大変労働条件としては厳しいものがありますので、この点については引き続きまた質問をしていきたいと思います。
 ありがとうございました。
○笹野貞子君 看護教育の重大さ並びにその改善の早急性にかんがみまして、前回に引き続きまして看護教育の問題でお尋ねをしたいと思います。
 三十日の予算委員会で保利文部大臣は、韓国との問題について、私はいわゆる戦後教育を受けた、これは朝日新聞に載った記事から拝読させていただきますと、そのようなことの教育を受けた記憶はないと非常に率直に自分の体験を披露した、そしてこれからはきちんと教育してもらいたいという気持ちだったという大変好感を持った記述の記事が載っております。私も、この委員会の中で、大臣が非常に率直な御意見、特に婦人の社会参加及び婦人の地位の向上につきましては大変率直に述べていただきますので、私自身も大変好感を持っております。そういう意味でこれから質問をさせていただきます。
 今の大臣の戦後教育を受けたというその言葉ですけれども、大臣は、日本の女性の歴史、これは私から言うと、非常に主権性を奪われた悲痛な歴史だったわけですけれども、よもや戦後に教育を受けたので、女性の歴史は知らないというふうにお答えにはならないだろうと思いますが、女性の歴史についてどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 大変難しい問題でございますので、お答えがうまくできるかどうかわかりませんが、私のところにこのごろ吉野ケ里という遺跡が出てまいりまして、卑弥呼という方がおられて、その遺跡ではないかという学説もあるわけでございます。かつて大変女性が尊重されておったというふうに考えておるわけでございますけれども、いろいろな思想が日本の中へ入ってくるに従いまして、いろいろゆがめられた形も出てきたと思っております。
 しかし、私は、昔の平安朝の時代に活躍をされた女性の皆様方、源氏物語を書いた紫式部、そういった方とか清少納言、そういうものを読ませていただきますと、いかに女性が繊細な感覚をお持ちになってああいう文学面でいろいろと活躍をされていたか、あるいは当時の女性の方々が政治面でも活躍をされておったかということをよく承知をしておるつもりでございます。そして、その後いろいろな教育が施されるに従いまして、男尊女卑という言葉も出てきたということも承知をいたしております。
 しかしながら、本来人間社会は、男がおり、女がおり、そして――これは逆に言わなきゃいけなかったかもしれませんが、そういう形で形成をされておるわけでございますし、ある時期には母系制社会というような形で、女性をむしろ中心にして運営をされていた社会もあったということも承知をしております。
 何をお答えしていいかちょっとわかりませんけれども、女性と男性が相携えていい社会をつくっていかなければならない、そのような認識を持っております。
 戦後教育を受けたと申しますが、実は小学校と申しますか国民学校の段階では、私は逆の教育を受けておるわけであります。中学に入りましてから戦後教育を受けましたので、その違いというものがどこにあるかということは自分でも体験的に承知をいたしておるわけでございます。それだけに、戦後もたらされた民主主義教育というものが非常に大事だということを痛切に感じておる者の一人であります。
○笹野貞子君 大変うれしい御発言ですけれども、大臣のそのような女性観をもとにして看護教育というものを考えさせていただいて構わないわけですね。
○国務大臣(保利耕輔君) 幸いにして私は健康に恵まれまして、お世話になることが少なかったのでありますが、しかし、いつお世話になるかわかりません。そういう意味で、これは女性に限らず看護していただくというその仕事の重要性というのは、私は認識をいたしております。
○笹野貞子君 それではお伺いいたしますけれども、看護学という学問がおありと大臣はお考えですか。
○国務大臣(保利耕輔君) 私のつたない知識では、きちんとしたお答えができないかもしれませんけれども、国立では千葉大学に看護学部というものが設置をされているということだけを承知いたしております。
○笹野貞子君 それでは、看護学というのをお認めになった御発言ですので、現在の看護学という学問を、学問の体系の中でどのように位置づけられていらっしゃいますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 人間の生命を預かる医学と相並んで、その医学とともに歩んでいく学問であるかと、このように思います。
○笹野貞子君 ますますうれしい御発言ですので、続けて御質問させていただきますけれども、今医学と並んで重大な学問というふうにおっしゃいました。この医学と並んで重大なというところを、具体的に重大というふうにやっぱり示していただかなければ、私にしてみると、今までどうも看護学というのが重大だというふうに思っていないんじゃないかというところが間々見られますので、ひとつ重大だというところを具体的にお示しください。
○国務大臣(保利耕輔君) もし看護という分野がなければ、医学がいかに理論的に進みましょうとも、人間の生命をきちんと守っていくことができないという意味で重大かと思います。
○笹野貞子君 それでは大臣、それだけ看護学を大切に思っていらっしゃるのでしたら、前回の委員会で私が四年制大学は幾つありますかということをお尋ねしたときに、少ないですねというふうにお答えになったと思いますけれども、やはり重大であるならば、大学も量的に医学と同じようにもっていかなければいけないと思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(坂元弘直君) 看護学を教えておる大学は、先ほど大臣もちょっと触れましたが、平成二年五月一日現在で国立で四校、公立で一校、私立四校の計九校でございます。また、このうち大学院博士課程を持っておる大学は国立で一校、私立で一校、計二校でございます。
 これらの学部の卒業生は、もちろん現場の看護婦になる方もおられますが、大学あるいは短大あるいは看護婦養成関係の専修学校の教官などになっていく方がかなりおるわけでございます。したがって、看護婦さんの養成ということと、大学なりあるいは大学院が持つ指導的な看護婦さん、あるいは看護婦養成のための教員というものを養成するというのとは、やや違うんじゃないかという感じはいたしております。
○笹野貞子君 大学の数の点については後ほど御質問いたしますけれども、今、看護婦はいろいろと違うんではないかということの御発言ですので、続けて御質問させていただきますと、日本の看護婦さんの養成、看護教育は、不思議なことに厚生省と文部省にまたがっております。私は役所の機構はよくわかりませんけれども、なぜ看護教育が厚生省と文部省にまたがっているか。そして今の看護教育のほとんどは厚生省がやっていらっしゃる。例えば正看護婦の教育ですが、厚生省が七九%、文部省が二一%、そして二年制の准看護婦を養成するのと合わせますと、厚生省が八一・二%、文部省が一八・八%この教育に携わっております。
 厚生省の方にまずお伺いいたしますけれども、厚生省は看護教育というものを、どのような理想の看護婦像を目指して教育しているのかをお知らせください。
○説明員(矢野正子君) 厚生省の教育の数につきましては、今先生がお話しされたような実態がございますが、やはり高齢化社会とか、それといろいろと騒がれております福祉の中での医療との連携とか、そういった側面におきましても、やはり身近に国民に接して、そして保健、福祉あるいは診療上のニードに対しまして、それにこたえられるような看護婦ということを目指しまして教育をやっております。
○笹野貞子君 では文部省にお尋ねいたしますけれども、文部省の教育において、厚生省の方が今教育の目的をおっしゃいましたけれども、それとどの部分が違うんでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 看護婦さんそのものを養成する基本的な考え方というのは、今厚生省の課長から御説明したところと私は変わりはないんだろうと思っております。
 ただ、私どもが所管しております大学、短期大学あるいはそれらに附置されました専修学校あるいは高等学校などにつきましては、学校教育制度の中核をなす学校教育法第一条に規定されておる学校などでございますので、そういうものは学校教育と看護教育――看護婦さんの養成学校ですと、極めて専門的な部分を中心にして教育を行うわけでありますが、学校教育でやる場合には、当然高等学校の場合ですと学習指導要領もございますし、それから大学あるいは短期大学になりますと大学設置基準上あるいは短期大学設置基準上一般教育も行うようなことになっておるわけでして、そういう意味で、学校教育と看護教育とが密接にかかわって一条学校で教育が展開されておる、そういうこともございまして、学校教育法第一条学校にかかわるようなそういう看護教育につきましては、文部省の所管になっておるというふうになっているわけでございます。
○笹野貞子君 今のお話の一条校は私も存じております。ですから、私は今形式の問題を聞いているのではありません。教育の内容を聞いているわけです。
 そうすると、今のお答えでいうならば、厚生省の教育している看護婦さんは学校じゃないんだから文部省は知らないと、こういう御意見ですね。
○政府委員(坂元弘直君) 文部省と厚生省が所管する看護婦養成機関について、どういうところで間仕切りをしているかということにつきまして御説明をしたつもりでございます。
○笹野貞子君 そういう形式的なことを聞いているのではありません。
 それでは大臣にお尋ねいたしますけれども、何といっても先ほど重大な看護教育というふうに大臣は力説をなさいました。そうするならば、厚生省に任しておいて、学校じゃないんだから、まあどんな看護婦さんができたっていいやという、そういうお気持ちなんでしょうか。私がお聞きしたいのは、大臣、厚生省がやっているこの看護婦養成所を文部省がやるおつもりはありませんかということです。
○国務大臣(保利耕輔君) これはいろいろ歴史的ないきさつ、経過等がございまして今日の姿になっているわけでございますが、先生御指摘のいろいろな問題等もあろうかと思います。私自身はこの状態については詳しく存じませんので、勉強をよくさせていただきたいと思っています。よろしく御指導をいただきますようお願いいたします。
○笹野貞子君 大臣にそう言われますとちょっと困りますけれども、今この看護教育を粗末にするならば、私たちが年とったときにそのツケが回ってくるわけですから、のんきなことはやっておられません。
 そこで、私は、なぜ厚生省と文部省にこの看護教育というのが、形式はあったとしても、ばらばらにされているのかということをここでしっかり考えなければ、いい内容の質的に高い看護教育はできないというふうに思います。
 例えばその具体的な例をとってみたとするならば、厚生省が看護教育にかけている一人当たりの経費と文部省がかけている一人当たりの経費というものを比べてみると、これがすべてとは言えませんけれども、ある程度の教育水準、教育内容というのがわかると思います。この間、随分やあやあ言って、やっと文部省と厚生省からいただきました。本当にお役所というのは資料を出すのが遅いということをつくづくと痛感をいたしまして、きょうは、私たちも一生懸命勉強しているわけですから、資料の提出は早くお願いしたいということを改めて申し上げます。
 それで見ますと、文部省がかけている生徒に対する費用は大体百五十万から百四十万程度という資料をいただきました。それに対して厚生省からいただきました資料を見ると、六十九万一千円ということでした。これですべてを判定するのは乱暴な判定かもしれませんが、しかし余りにもその一人にかけている経費の違いが歴然とわかります。文部大臣、この現状をどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) これはいろいろないきさつ等があって、教育内容その他について違いがあり、そして予算等の取り方についても違うやり方をやっておるんだろうと思います。しかし、両方とも一生懸命やっているということだけは事実だろうと思いますから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うのでございますけれども、ばらばらではないかという御指摘については、十分に念頭に入れておきたいと思います。
○笹野貞子君 私も、本当に一生懸命やっても効果の上がらないことがありますから、一生懸命やるということはいいことですけれども、しかし看護教育に対しては、一生懸命やるというのはただ前提であって、やっぱり結果が重大だというふうに思います。この厚生省と文部省でばらばらの教育をされているということは、これから大臣ひとついい方向に直していただくように御配慮をぜひともお願いしたいというふうに思います。
 次に、厚生省がやっております准看の制度のことをお尋ねしたいというふうに思います。
 私がこの看護教育のことをやっていますと、非常な矛盾とか不合理さが次々と出てまいりますけれども、准看護婦という制度は、これは私も高度社会に向かうにつれて、非常に危険な看護婦像になるんではないかという危惧を持っております。日本看護協会がこの件について再三請願もし、しかも今まで長らくこの活動をやっております。三月十三日に国会に請願にこの件で来ております。その請願の内容は、一、准看護婦制度を廃止すること。二番目、現在の高等学校卒業後三年となっている看護婦の基礎教育を、近い将来四年制大学に改めるということ。そして、現在の准看護婦制度を廃止し、その後看護婦になれる道を開くことという請願が来ております。
 これは私個人の意見ではなく、もう広く看護協会がこの准看護婦制度は要らないというふうに言っているわけです。そして、この准看護婦制度を見ますと、高等学校三年の課程なんですけれども、今までにいろいろな問題を引き起こしております。
 例えば、この間大変問題になりましたけれども、ある患者さんに絶食を求めていたところ、牛乳があった。それで、その看護婦さんは、これはきっと牛乳を点滴するんだというふうに思って、患者に牛乳を点滴して死なせてしまったということ。それからもう一つは、赤ちゃんに産湯を使わせるためにお湯の中に赤ちゃんを入れたら、熱湯であって亡くなってしまった。これはなぜかというと、ゴム手袋をはめていた。こういう事故はすべて准看護婦という看護婦さんがやっていることです。
 つまり、技術だけではなくて、先ほど大臣は、困難に立ち向かったときに、それを素早く判断する判断力が教育には必要だというふうにおっしゃいました。非常にいい言葉ですね。私などは非常に感銘を受けました。つまり看護婦さんというのは、そういう非常に難しい問題が来たときには、素早く判断する判断能力というのが必要です。こういう問題というのは、これは基礎学力の低下なんですね。基礎学力があれば、こういう問題がないわけです。
 そういう意味で、この准看護婦を養成する高等学校の中の看護教育ですね、これは廃止をして、そして三年制の大学で看護という教育をしっかりとするというそういう方針はお考えになったことがありますか、大臣にお伺いします。
○政府委員(坂元弘直君) 准看護婦制度をどうするかというのは、我が国の看護婦の資格等をどうするかという問題でございますので、私どもの問題よりもむしろ厚生省で当然関係者と意見を交換しながら考えていくべき問題かと思います。
 これもまた厚生省でお答えすべき問題かもしれませんが、准看護婦制度というのも長い沿革が我が国でもあったわけでございます。戦後すぐの、高等学校にまだなかなか進学しないような進学率が低い段階ですと、中学を出てすぐ准看護婦養成学校に行って准看護婦になっていくという、そういう人もかなりたくさんいたわけでして、そういう長い沿革の末に今日のような形になっておるわけでございますので、それを今後どうするかという問題は、相当関係者の意見を踏まえながら慎重に検討していかなきゃいけない問題ではなかろうかというふうに私ども思っております。
○笹野貞子君 よく慎重にとか言いますけれども、慎重というのは大体何年ぐらいの経過を経ると慎重という言葉を使われるのですか。
○説明員(矢野正子君) 准看の廃止に関する御質問でございますが、現在はどういうふうにそれについて考えておるかと申しますと、これは昭和六十二年の四月に看護制度検討会の報告書が出ておりまして、その中では存続とそれから廃止の両論という形になっておりまして、そういう結論ではありますけれども、先生が御指摘のような看護職員の資質を高めるということで、将来に向かっては看護婦と准看護婦の比率を看の方を高めていきましょうとか、それから准看学校につきましては看護婦の養成の方にかえていきましょうという、そういう内容になっております。
 このようなことを踏まえまして、今文部省の方からもお話がありましたように、これをどう進めるかということで今検討を進めているということでございまして、当面は准看護婦学校とか養成所等の看護婦養成の方への切りかえということを積極的にやっておる状況でございます。
○笹野貞子君 高齢化社会はもう着々と進んでおりますので、のんきなことをしていると間に合わなくなりますので、その点はどうぞしっかりやっていただきたいと思います。
 続いて、先ほど大学の数のことを後で質問するというふうにしておきましたので、大学の数のことについてやりたいと思います。
 大臣は、先ほど医学と並んで重大な看護学、看護教育というふうに言われました。先ほど針生委員からも大学院の盛んなる御質問をいただきましたけれども、看護教育に対して大学院の博士コースを持っている学校が幾つあるか、大臣御存じでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 大変恐縮ですが、私ちょっと存じておりませんので、政府委員から答弁させます。
○政府委員(坂元弘直君) 大学院を持っておる、そのうち博士課程を持っておる大学は、東京大学の医学研究科の保健学専攻と、それから聖路加看護大学の看護学専攻の二つだけでございます。
○笹野貞子君 聖路加看護大学は昭和六十二年に初めて博士コースを設置いたしましたので、まだ博士は出ておりません。そうするならば、今博士コースで勉強しているというのは東京大学の保健学専攻一つです。そして毎年博士の単位を取っている者は四人強というところです。そうすると、日本のいろんな学問の中で、一年間にたった四人強が博士の単位を取っているというのは、ほかに私はないというふうに思います。
 ちなみに、大臣は外国にお強いので、アメリカの学校の数字を知っていらっしゃったら、ちょっと述べていただきたい。アメリカでは博士コースを持っている大学は幾つあると思いますか。
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと数字は用意してきておりませんので、また後ほど調べて先生の方にお知らせしたいと思います。
○笹野貞子君 日本と数字が似ていますと、これはちょっとわかりませんというふうに答えてもいいんですけれども、けた違いにアメリカはあるわけです。私の方が看護協会からいただいた資料がありますから、それでちょっと申し上げますと、アメリカでは大学院の博士コースを持っている学校は四十六校、修士コースを持っている学校は百九十七校あります。けたが二つも違います。大臣、この現状をどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(保利耕輔君) 先日もどこかで御質問をちょうだいしたのですが、大学院そのものが日本の場合は非常に少ないということがございます。そういう中での現象かなと、こういうふうに思います。こういうことはやっぱり余り望ましいことではないので、できる限り、財政事情の許す限り教育の充実に努めていかなければならないということはもちろんであります。
○笹野貞子君 本来ならばもっともっと御質問をしたいのですけれども、時間になりました。今までの教育の中で、看護教育というのは男性は余り重きを置いていなかったという現実を、数とかあるいは一人の経費について御理解いただきたい、そのためにきょう私は一生懸命に数字を述べたわけです。今後大変優秀な看護婦さんを養成するためには、まず何といっても教育が重大です。大臣、ひとつ腰を据えて看護教育のことをやっていただきたいというふうに思います。
 質問を終わります。
○小西博行君 きょうは就学生――就労学生と言った方が正しいのかもわかりませんが、新聞その他でもう就学生という言葉で御理解願えるようになっておりますので、就学生で通させていただきたいと思います。
 まず、今までの大体の経緯というのでしょうか、私は、ちょうど三年前だったと思うのですが、そろそろ留学生問題が大きな社会的な問題になってきたときに、予算委員会で二時間ばかり留学生問題、つまり海外から日本に来る留学生、この問題についていろんな見地から質問をさせていただきました。
 一番感じたこと、それを何点か申し上げたのですが、いろんな国々から日本へ参りますけれども、一番の大きな問題点のまず第一は、やっぱり海外から、例えば韓国であれ、あるいは中国あるいはフランス、ドイツという、そういういろんな国々から日本へ留学してくる場合に、日本の大学の事情というものが余りわかっていない。同時に、もっとわからないのは、日本へ来る場合はやっぱり東京をねらってまいりますから、その生活環境が一体どうなのかということも全然わからないというようなこと。
 日本へ来まして、そして大学でいろいろ勉強したいということで、日本語学校へ入りまして勉強をしながら大学へ入学する、こういうのが大体通常の形でありますが、さらに下宿あるいはアルバイトというような問題がいろいろありまして、これもなかなか難しい。ましてや、今度は国費留学の場合は大学院へ大勢来られるわけですが、その場合は学位の認定がなかなか得られない。特に文科系ということになると、もう本当に皆無に近い。
 そういう問題がありまして、まずは海外で日本の様子あるいは大学の中身の問題等日本の実情を大使館あるいはその他の任意団体を通じて、できるだけ詳しく伝えてもらいたいというようなお話をさせていただいたことがあります。十万人構想というのがございまして、時の文部大臣は、ぜひともこの問題を早く解決しなきゃいけないと、前向きな非常にいい答弁をいただきました。
 きょうはそういう留学生ということは別にして、就学生、この問題を考えてみたいと思うのですが、これもやはり同じような要素を持っております。もちろん留学生の場合は文部省が主管でありまして、文部省の方でいろいろ担当してやられる。就学生ということになりますと、入管手続その他の問題がありますから、外務省あるいは法務省、こういう分野が担当するというようになっておりまして、なかなかその辺が非常に難しい。特に就学生の場合は、だまされてというのでしょうか、ブローカーが介在して日本へ入ってくるんだけれども、とても大学に行けるほどの教育は受けられなかったとか、あるいは余り生活費が高いのでアルバイトばかりで疲れ果てて帰る、それが一つは反日運動にもつながる、こういうことがありましたが、最近では少しずつその辺が整理されようとしております。
 きょうは特にその中で、日本語学校――私はあのときにも日本語学校というのは日本で当然やるべきであるし、そして責任を持った学校というものをちゃんとつくっていかないと、半ブローカーのような感じではとてもだめだ。ましてや海外には日本語学校という日本人の教育の機関がありますね。そういう国々というのは相当日本人も大勢いるということもありまして、できれば事前に向こうの国で勉強をしてきて、日本語をある程度わかる、そして日本へ来てさらに六カ月ぐらいの研修を受けて、そして進学すればいいんじゃないか、そういう提案もさせていただいたわけです。
 そういうようなことをいろいろ申し上げておりましたら、最近こういうような「日本語教育施設要覧」というのが出まして、これは先ほどいただいたわけでありますが、この中に、優良学校というのでしょうか、日本語学校の中でも優良と優良じゃないという、いい学校と悪い学校という意味で仕分けがなされているわけです。これは、昨年の五月に日本語教育振興協会というのができまして、それに約五百校ぐらいがいろいろ申請したわけです。ところが、現実は全部が合格したのじゃなくて三百四十五校、これが認定されまして、残りの約百五十校ぐらいは認定されなかったということがありますね。
 その点で、認定基準というのが一体どういうところにあったのか、これをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(川村恒明君) ただいま小西先生からるるお話をいただきましたとおり、ちょうど一昨年の秋に、いわゆる上海問題というのが起こりまして、日本の日本語学校で勉強をしたい、それで現地の上海でお金を払ったけれども日本に入国ができない、これはけしからぬじゃないかというようなことで、大変新聞等にも報道をされたわけでございます。
 ただいま小西先生お話がございましたように、従来日本語学校というのはいわゆる学校教育法の体系の外にあって、言うならば純粋民間の事業、一つの事業として行われているというようなこともありまして、ほかのいろんな要因もございましたけれども、そういう上海の問題になった。これでは非常にぐあいが悪い。
 特に就学生、日本で日本語を勉強したいという方のある部分は、日本語の勉強を終えて日本の大学に入る、言うなれば留学生予備軍という性格を持っておりますから、やはり事前の日本語教育のあり方もしっかりしなければならない。私どもも上海事件を契機に大変反省をいたしまして、外務省、法務省とも十分御相談をいたしまして、やはり日本語学校の質的な充実を図る必要があるのではないかということになったわけでございます。
 そこで、文部省の方で調査研究会議を設けまして、ただいま御指摘のございました日本語教育施設の運営についての一つの基準をつくろうということで、昭和六十三年の十二月にその協力者会議でもって「日本語教育施設の運営に関する基準」をまとめていただいたわけでございます。
 日本語の勉強といっても非常に幅が広うございまして、大学へ進学するための日本語もあれば、一般ビジネスをやるための日本語もありまして、どの辺で押さえるのかということが大変難しいわけでございますけれども、一応ともかく専ら日本語を勉強するという目的で日本に来ている人たちに対する日本語学校、それの運営についてのガイドラインをつくりましょうということでございます。そこでその基準をまとめていただきまして、それが、例えば原則として修業年限は一年以上ですよとか、年間の授業時間は七百六十時間以上はしてくださいねというふうなガイドラインを設けたわけでございます。
 それで、ただいま御質問のございました「日本語教育施設要覧」に掲載されております学校は、この運営に関する基準に該当する、今小西先生優良校というふうにおっしゃいましたけれども、正確に言えば、この「日本語教育施設の運営に関する基準」に該当するものとしてこの協会によって認定された学校、こういうことでございまして、今申し上げましたようなことで、そういう基準をもとにこの認定作業が行われている、こういうことでございます。
○小西博行君 せっかくこういうようなものができたわけです。この中身はまた後で言うとして。ところが私がさっき申し上げたように、在外公館なんかを通じて日本語学校というのはこういうものですよという、このようなものをぜひとも在外公館に送って、あるいは所定の機関に送って、そして新しく就学生としてやってくる人たちの参考になると思うので、そういうことをやっていただきたいと思ったら、新聞ですが、いやこれは送らないことにしたと。送ったとしても、せいぜい在外公館の担当官が見る程度で、現実に向こうの皆さん方にそれをお配りしてどうだということにはいかないんだと。そういうことをちょっと書いておりましたので、その点の理由をちょっとお聞きしたいと思います。
○説明員(槐惟成君) お答えいたします。
 先ほど先生の御指摘になった新聞記事の件ですけれども、私どもとしましても、この要覧というのを在外公館に送るべきかどうか、あるいは送るとして、どのような目的のもとに、あるいはどのような形で送るのがいいのかということについて積極的に鋭意検討をしておりまして、文部省それから法務省とも御相談しながら、この要覧をつくった目的に一番沿うような形でこれが外の方に配布されるという、その具体策を検討しているところでございます。
 新聞記事の経緯につきましては、あるいはそのような観点というのも踏まえなければいけないのではないかと、その検討の過程でその話が若干出たことはございますけれども、しかしながら、あれで外務省は配布しないというような態度をとったとか、そのようなことではございません。今申し上げましたとおり、関係官庁と協議をしながら、今後具体的な配布の仕方というのを検討していこうということでございます。
○小西博行君 だから、そういうことは何カ月もかかって検討するというものじゃないと思うので、早く検討して、できるだけそういう情報を海外へ流してあげていただきたい、こう思うんです。
 ところが、これは英文と日本語と両方書いているんですが、私が見ましたら、やっぱりこれだけじゃ物すごく物足りないですよね。というのは、留学生のときもいろいろな資料をいただきました。文部省でつくっている資料をいただいたりしたんですけれども、現実問題はどういう問題が起きているかといいますと、特に国費留学、これは御承知のようにいろいろな国から奨学金をもらったり、日本からもそれだけの奨学金を渡してやっているでしょう。たしか四千人近くぐらいいるんじゃないかと思うんです。主に大学院ですね。そういう方々が日本の大学へ来たいというので受け入れしますね。
 そうしますと、例えば東京なら東京大学へ来たいと言っても、それは例えば広島の方にこういう専門のがあるから広島大学の方へ行きなさいということで、皆行く。自分の希望していることが全部かなわないわけでしょう。ところが、実際に行ってみると、実は自分が望んでいた専門の中身と自分が研究させられるそれとは全然違っていた。それで、案外その隣の研究室の方が自分の希望とそっくりだ、だからそっちへ行きたいんだと言っても、それはもうだめですよというので、非常に難しいんですね。そういうことが実はありまして、私は、できればそういうものをもっと詳しく資料として出さないと、これだけでは問題にならないんじゃないかと思うんです。
 それから、さっき私が優良校と言ったのは、優良校じゃなくて、審査でそれに認定されて合格したものということなんですが、いずれにしても、省庁も関係して民間の学校の団体と一緒につくられたと思うんですけれども、これを見ると、やっぱり日本の国として認定されたものだという認識があると思います。だから、保証した学校という来られる側は認識だと思うんですね。そういう意味では、私はこれはきっちりとしたものでないと、後で問題がいろいろ出てくるんではないか。ひょっとして、この学校でもいろいろな問題を起こすかもしれない。現に実際に起こして、これに入れなかったというのも聞いております。
 そういうことがありまして、私は、むしろこういうものの中に、東京ではこれぐらい生活費がかかりますよ、例えば、十五万ぐらいかかります、広島なら十万でいけますよと。そういうような実際の生活というのが大きな基盤になります。ただし、アルバイトはこんな感じですというものがないと、これでは一体資料として、ないよりはましですけれども、若者が、じゃここの学校でぜひ勉強しようというようなことにはならないんじゃないかなと思います。日本人が見てもそんな感じがするんですから、多分向こうの方が見られたらびっくりされると思うんですね。そういう感じがするので、これはよく省庁で検討するというのもいいけれども、早くこれを具体化してもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(川村恒明君) ただいまおしかりをいただきましたように、確かにこのたびの施設要覧でございますけれども、何分にも初めてのことでございまして、従来全く野放しになっていたところに、関係省庁協力しながら、民間の方々のこういう熱意を後押しをするということでできたわけでございまして、例えば発行の仕方も、本年度分が第一巻から第三巻まで分かれてしまったとか、内容的にも――その内容と申します意味は、そこに掲載されている学校についても、一部御指摘をいただくようなケースがあることも事実でございます。それは、率直に申しまして、今度が初めてのことで、まあともかくやっとここまで来たというのが実感でございまして、これからこの要覧は毎年刊行するということにしております。
 また、この本に掲載するとして認定された学校につきましても、認定という行為は、この協会でも決めておりますけれども、三年間だけの有効期間でございます。三年たてば必ずこれは再審査をするというふうな仕掛けにしております。そんなことで、学校の選び方についても、もっともっとこれから努力をしていかなきゃならない点もございます。
 それから、今御指摘がございましたように、情報として、ともかくこれは学校の案内しか出ていないということでは、日本に留学をしたいあるいは日本で就学生として日本語を勉強したい方にとっては、まだまだ必要な情報が載っていないかもしれない。その点は御指摘のとおりでございまして、これから毎年版を重ねるごとに、そういう点につきましては、御注意をいただきながら、できるだけ豊富な情報を載せていきたい。
 御指摘がございましたように、日本に留学生として国費で来る場合でも、大使館推薦で来られる方の場合に、なかなか日本の詳しい事情がわからないということがございます。私どもとしては、これは今年度、平成二年度から新しい試みとして、現地での留学説明会をやろうと。様子を聞いてみますと、アメリカでございますとかそういう欧米諸国は、それぞれ発展途上国に行って説明会を随分やっているわけでございますね。それによって、それぞれの途上国の学生なり先生方が大学の具体の情報をキャッチしている。
 従来、我が国の場合、大使館の方や広報文化センター等で大変御努力をいただいて、日本に関する情報をできるだけ豊富に出すようにはしていただいておりまして、その点はそれなりの努力があったと思いますけれども、もう少し直接的な形でそういう具体の説明会をやってはどうかということで、本年の初めにタイ、インドネシア、マレーシア三カ国で日本留学フェアと称しまして説明会をやりました。非常な人気を呼びまして、ともかく各会場に千人以上の人があふれてしまいました。
 こんなことがございまして、やっぱりこういう事前の的確な情報をいろんな形で流すことが必要だなということを痛感したわけでございます。今後ともそんなことで、いろんな形での情報の提供にさらに努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○小西博行君 それともう一つは、就学生というのが物すごく極端に今減っていますよね。一時はもうふえるばかりだったんですけれども、入管するときのいろんな問題もありましてね。ところが、きょうちょうど六月一日なので、六月一日から入国許可の基準が明示されて、きょうからたしかスタートですね。それで、項目も十四種類の場合には、日本へ入ってくる場合にちゃんとそういう許可がもらえるというか、基準ができたわけです。その中には留学とか就学とか、あるいは研修とか、興行というのもありますけれどもね。そういうようなことで、目的を明確にしている場合に、これからどんどん入れようというか、今までとは違った意味で許可しようと、こういうことになっておりますね。
 ところで、これから先はどうなるんだ。厳しくやったものですから、相当学校も倒産したり、いろいろな事件がありました。これから先の見通しです。三百四十何校というものは一応合格はしておるんですけれども、これから先、学生数がもっとどんどんふえていくというふうに考えるのか。もっと言うなら、やっぱり具体的には国も言ってもらいたいんだけれども、それはいいです、通達しておりませんから。この日本語学校はどうなっていくんだろうか、この点をちょっとお聞きしたい。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘をいただきましたように、就学生の数の増減が大変著しいわけでございまして、日本語学習を目的で入国をした就学生の数が昭和六十三年は約三万五千人、平成元年は約一万八千人でございますから、半分ぐらいになっているわけでございます。
 これからどうなるのかと、こういうことでございますが、先ほどのこの本に出ております約三百五十校、その認定校でございますが、そこの入学定員を全部足してみると、六万人近くになるわけでございます。ところが、日本に単年度に入ってくる数が例えば一万八千人ということになると、一体この六万人はどうなるんだと、こうなるわけでございます。
 それで、日本に参ります就学生の数は、その増減の要因が私ども見ておって幾つかございまして、こういうふうに例えば六十三年から元年にかけて非常に減ったということは、それはやはり上海問題以来の特に不法就労問題について、そういう不法就労の隠れみのとして日本語学校の就学生として来るということに対してきちんとした対応をするようになった、したがって、日本語学校が隠れみのとして有効に機能しないということで、そういった意味で入国する人も減っているんであろうということは容易に想像ができるわけでございます。
 しかし、同時にもう一つの要素としては、先ほど来御指摘がございます十万人計画というのがございまして、積極的に留学生を受け入れていこうということに相なりますと、大学や専門学校へ進学するためのいわば進学予備軍としての就学生というものはやっぱりふえてくるはずでございます。
 現在の日本におります就学生の中で、どのぐらいの人たちが大学進学の予備軍か、これは非常に難しいわけでございますが、いろんな推計をしてみると、一万人ぐらいはそれであろうということが推計できるわけでございます。現在日本におります留学生の数は、全部足して三万人でございますから、いわゆる十万人計画を達成しようとすると、ちょうどその三倍にしなければならぬ。非常に単純な計算をしますと、現在仮に予備軍が一万人だとすれば、予備軍だけで三万人になるだろうというふうな推計ができるわけでございます。
 それから、今御指摘がございましたように、今回の入管法の改正でもって、在留資格を非常に明確化する。そういうことに伴って、例えば技術研修生なんかもたくさん入ってくるということになりますと、やはりこの人たちも日本語の勉強の必要はございますから、そういった面での要素はふえるであろう。つまり、これからの我が国が、人の面での自由化、国際化というのですか、開放というのをどこまで進めるかということによってこの日本語学校の生徒の数は変わるんだろうと思いますが、基本的には私どもやはりこれからそういう一時的な要因を別にすれば、今後ともふえていくのではなかろうかというふうに思っているところでございます。
○小西博行君 大臣も聞いてもらって大体おわかりだと思います。私は、政治も経済も、あるいは科学技術、こういう分野で国際化という言葉がたくさん言われておりますね。だから、そういうお互いの研究者同士の交流もやらなきゃいけない。政府で予算も組んでやったり、あるいは大学間でいろんな研究者の交流もやっていますね。そのようにだんだん国際化してくるのは間違いないだろう、そう思います。
 実は、就学生でなくて留学生の問題で、例えばフルブライトの東京の支社がございますね。そういうようなところへ行きましていろんな情報を聞きますと、物すごく親切で、たくさんの情報を持っております、アメリカへ留学したい場合にはこうですというふうに。ところが、日本の場合には非常にその資料が少ないんです。外務省の人も、その資料では判断できないだろうと思うんです、どこそこ大学の何科だと言ってもですね。よほど有名な先生だったら、実はこういうことをやっていますと言えるかもしれませんけれども、あの書類だけではとてもわからない。
 だから、私はそういう意味で、これはやっぱり文部省が相当努力しないといけないのだけれども、外国の留学生を受け入れる、あるいは就学生を受け入れる、そういう場合に、少なくともその資料ぐらいをちゃんとつくられて、そして大使館なりなんなりを通じていろんな国々のちゃんとした広報機関にそれを置く必要があるんじゃないか。
 ちなみに大臣は、そういう例えば日本語学校でも結構ですけれども、また行ってくれと言うわけですけれども、どういう教育をされているか。私も二、三回行ったことがある。やっぱり小さい教室ですね、十五人とか二十人ぐらいで、先生と本当に一対一でやっています。いい学校の場合はそうですね。そうじゃない場合はよくわかりませんけれども、これはかなり大変な仕事だと思います。そういうようないい学校に対しては、これは文部省あたりが中心になって、いろいろまた考えていかなきゃいかぬのじゃないかと思います。
 今は、さっき申し上げた外務省それから法務省それから文部省、こういうようなことで、就学生の場合たらい回しみたいになりかねないんです。留学生は、完全にこれは日本の大学へ入るわけですから文部省管轄ということになっております。もう前々からそうなんですね。就学生問題が出たら、それは外務省だ、あるいは法務省だというふうなことで、いつも問題になっておりまして、この問題は三者でいろいろ協議をすると今局長おっしゃったけれども、もうちょっと早く具体的にして、少なくとも教育内容についてのPR、その資料というのはやっぱり文部省が準備しなきゃいけないと思いますので、こんなちゃちなものじゃなくて、私は何か見出しは見出しでやっていいと思うんだけれども、この中身はと言ったら、ぱっとできるようなそういうものをぜひともこれはつくっておく必要があると思います。
 これはいずれにしても早い段階にそれをやらないと、今でも遅いぐらいですから、ひとつ大きな仕事として取っ組んでいただきたい。つまり文部省中心でそういう中身の検討を大いにやってもらいたい。海外では外務省が中心になってやる、入管は当然法務省の方でやる、こういうようなことだと思うんですが、これもう最後にしたいと思いますが、大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(保利耕輔君) 日本が国際化していく場合に、教育面からの国際化ということも大変大事でございますし、留学生十万人計画というものを持っている政府でございます。その基礎となるような就学生の問題について、きちんとした施策を講じていかなければならない。しかも、喫緊の課題としてこれをやらなければならないという先生の御指摘を大変貴重な御意見として受けとめさせていただきます。そして、これは関係省庁との間できちんとした形で協議をすぐするように、私からもお願いをしていかなきゃならない事項だと思っております。
 ただ、この要覧につきましては、随分苦労してつくった点もございますので、まだあるいは見方によってはふできかもしれませんけれども、努力をしてこれだけのものをやっとつくり上げたと、そしてこれは逐次改良していかなきゃならない、そういう気持ちでおりますが、とりあえずこういうものをつくらせていただいたというその努力だけは御理解をいただきたいと思います。今後とも各般にわたりまして努力を重ねてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(柳川覺治君) これをもって平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柳川覺治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(柳川覺治君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。保利文部大臣。
○国務大臣(保利耕輔君) このたび政府から提出いたしました国立学校設置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、国立大学の学部の設置、北陸先端科学技術大学院大学の新設及び短期大学部の廃止について規定しているものであります。
 まず、第一は、学部の設置についてであります。
 これは、東京工業大学に生命理工学部を設置し、同大学の教育研究体制の整備を図るものであります。
 第二は、北陸先端科学技術大学院大学の新設についてであります。
 これは、近年の先端科学技術分野の急速な進展に対応し、これらの分野に係る基礎研究を積極的に推進するとともに、高度の研究者、技術者の組織的な養成及び再教育を行うため、学部を置かない大学院のみの大学として、北陸先端科学技術大学院大学を設置しようとするものであります。
 北陸先端科学技術大学院大学は、本年十月一日に設置し、平成四年度から学生を入学させることとしております。
 第三は、短期大学部の廃止についてであります。
 これは、茨城大学及び山口大学に併設されている工業短期大学部を廃止し、当該大学の工学部に統合しようとするものであります。
 茨城大学工業短期大学部及び山口大学工業短期大学部は、平成三年度から学生募集を停止し、平成四年度限りで廃止することを予定しているものであります。
 なお、衆議院において、施行期日に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
○委員長(柳川覺治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十三分散会