第118回国会 予算委員会 第18号
平成二年六月五日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     高井 和伸君     粟森  喬君
     山田  勇君     井上  計君
     西川  潔君     喜屋武眞榮君
     野末 陳平君     星野 朋市君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     粕谷 照美君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                斎藤栄三郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                西田 吉宏君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                粕谷 照美君
                久保  亘君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教美君
                市川 正一君
                粟森  喬君
                池田  治君
                足立 良平君
                井上  計君
                喜屋武眞榮君
                星野 朋市君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
   政府委員
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        依田 智治君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁総合
       計画局長     冨金原俊二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房外
       務報道官     渡邊 泰造君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    渡辺  允君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省理財局次
       長        松田 篤之君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省援護局長  末次  彬君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
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  本日の会議に付した案件
○委嘱審査報告書に関する件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 この際、お諮りいたします。
 本委員会は、平成二年度一般会計予算外二案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されました。
 つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございません
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆様方に配付することといたします。
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○委員長(林田悠紀夫君) 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は外交・防衛に関する集中審議を行います。
 質疑者等はお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 これより矢田部理君の質疑を行います。矢田部君。
○矢田部理君 米ソの首脳会談について伺いたいと思います。
 STARTを初めとする米ソの一連の合意、これはマルタの冷戦終結宣言を具体化し、かつ実質化した大きな第一歩だというふうに思いますが、私はその中で二つの意味を見ていきたいと考えております。その一つはSTARTでありますが、戦略核を半減いたしました。実質的には三、四割減で、六、七割方はまだ残るとはいいますものの、したがってまた、STARTIIにその点はさらに期待をしなければなりませんが、その歴史的な意味が極めて大きい。とりわけ、それはヨーロッパだけで進むのではなくて、地球的な規模で、グローバルな形で本格的な軍縮が始まったという印象を深めているのでありますが、総理の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 米ソの首脳会議につきまして、今委員御指摘のように、大きな第一歩がしるされておるということは御指摘のとおりでございます。
 けさも八時ごろにブッシュ大統領から私に電話が参りまして、米ソ首脳会談の成果について知らせておきたいという前置きの話でしたが、特に会談は対決的でなかったということ。また、キャンプデービッドへ移ってからもいろいろ率直に生き生きとした話ができたということ。それからドイツの統一問題、リトアニアの問題等では大きな前進はなかったけれども、意見の相違が縮小しつつあるという印象だった。それから軍備管理・軍縮の問題については、合意に達した問題について既にお知らせをしたとおりであるということ、これは詳しくは昨日電文の形で来ておりますけれども、そういった成果を上げることができたけれども、今後とも戦略核の問題については引き続いて話は続けていかなければならないということでございますが、私はこれは東西の対決が終わりを告げて、冷戦の発想を乗り越えながら、どのようにして本当の意味の世界の平和を安定させていくかということの真剣な話し合いが行われておるもの、そしてその成果の第一歩があらわれておるものと、このように受けとめ、評価をいたしております。
○矢田部理君 本格的な軍縮時代の新しい幕明け、冷戦終結宣言の大きな一歩という認識とあわせて、とりわけアジアとの関係で私が申し上げたいのは、今まで海の核、これに実は手がつけられなかったのであります。アジア・太平洋地域に展開する核は、海中、海上を含めて海の核が大変問題にされてきた。したがって、アメリカはそのことには応じまい、国防総省の報告などにもその向きの記載もあるわけでありますが、今度の核軍縮の中身にはSLBMをその対象にしたという点で画期的なもう一つの内容がつけ加えられていると思うのでありますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今度の基本合意の詳しいものの中に、ただいま御指摘のようにSLCMの上限についても、それからSLBMについてもいろいろ合意事項の中に含まれております。これは全世界的な規模における全アメリカ、全ソ連というものが持っております軍備の上限の総数をお互いに話し合いによって合意したということでございますから、その意味においても私はこれは一つの大きな動きであった、こう思っております。
○矢田部理君 SLCMの方はそれぞれの国が自主的に抑制措置を宣言するという形でのものでありますから、これからのそれぞれの国の宣言にまたなければなりませんが、全体としての戦略核の対象の一部にSLBMを入れたということが大きい、そしてそれはとりわけアジアの軍縮、アジアにおける核軍縮にとって非常に重要な意味を持つということを総理もしかとやっぱり認識をしておいてほしいのであります。
 今まで軍縮はヨーロッパのものであった、アジアのそれではない。アジアは依然として難しい、こういう認識のもとに冷戦構造、冷戦体制が続けられてきたのでありますが、それを見直す大きな転機がこの問題で与えられたというふうな認識に立ちますが、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 私も当初から、ヨーロッパに起こっておるそういったいい方向性というものがアジアにも定着されなければならぬという強い願いを持っておりますので、日本としてもその方向に向かってできるだけの積極的な役割を果たしていかなければならない、こう考えておりましたけれども、今御指摘のように、アジアについてもこの問題は、あれはヨーロッパのことだといってほっておくような状況でないことは私も十分認識しておりますし、委員御指摘のとおりであります。
 現に、現在東京でいろいろ努力を当事者間で行っておるカンボジア和平の問題にしましても、あるいはきょう行われておりますソ連と韓国との首脳会談の問題にしましても、アジアにおける平和をいかにして構築していくかという極めて重要な問題だと思っております。私は、アジアの場合は欧州と違って、ワルシャワ条約機構とNATOという大きな二つのブロックの対立の中で全体的にさっと線を引いて物ができるというようなものでもなく、また、ゴルバチョフ大統領自身が去る三日の記者会見ではっきり言っておられるように、現実にはアジア・太平洋の特徴がある、極めて複雑である。したがって、欧州のバリエーションをそのまま適用できるものとは思わない。しかし、日本を訪問するつもりであり、日本とも抜本的な対話を開きたいと思っておる。我々のアジア・太平洋地域における努力は強まるであろうということも、これはゴルバチョフ大統領自身の記者会見の中で出ておるわけでありますから、私はこういういろいろな角度からのアジアの問題に対する関心も、やはり欧州と同じようにアジアに真の平和が定着するようにそれぞれの立場で皆ができるだけの歩み寄りと努力を続けていくことが極めて大切なことだ、こう思っております。
○矢田部理君 私が申し上げているのは、そういう一般論やこれからの原則論についてはまたお話をしますが、SLBMを軍縮の対象にしたということになると、海の軍縮、これに手がついたということが日本とアジア、とりわけ太平洋圏にとっては非常に重要だ、その認識を総理はお持ちになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 海の軍縮に手がついたということは、お互いにアメリカもソ連も軍縮の中に海の問題も含めたということは、これは認識いたします。そのとおりだと思います。
 ただ、アジア地域についてという具体的な指摘とか、アジアをどうするのかということについては今後いろいろな推移を見守っていかなきゃならぬ問題も多いと思っております。
○矢田部理君 なぜこういうことを申すかと申しますと、アジア・太平洋地域は戦略型原潜を中心にして、それを守るための攻撃型の原潜なり水上艦艇が展開をするということで、ヨーロッパ以上に海の核軍縮をいかがするかということがかねてからの課題だったのであります。しかも、その点ではアメリカが決定的な優位な立場に立っておったわけでありますから、そこに軍縮の手が入るということは、アジアで本格的な軍縮の流れがようやくできることになったというふうに私は受けとめているのであります。したがって、全体の中で海の軍縮も入ったというだけではなくて、アジア・太平洋圏にとってはこのことは非常に重要だということをひとつ認識していただきたいと思うんですが、もう一度だけ。
○国務大臣(海部俊樹君) アジア・太平洋地域の平和のために軍縮の問題、特に海の軍縮の問題に言及がなされておるということは大きな影響がある大切なことだと私は思っております。
 ただ、アジアの場合は、海の軍縮だけじゃなくて、それぞれの地域に、何というか、非常に複雑に込み入ったいろいろな緊張状況がございます。ですから、一つ一つ本当の安定と平和を確立していくためには、東西の対決とか軍縮ということだけではなくて、例えば東西の対決の中に入っていない中国がありますし、同時に、今東京で行われておるカンボジア和平の問題も、あれは東西対立という構図から出てくるものでは端的にはないわけでありまして、そういったアジアの一つ一つの特殊な問題についても積極的に平和と安定になるような努力を積み重ねていくことがアジアにおける真の平和と安定の背景をなすものだと、私はいろいろなテーマの中の重要な一つであるという点は委員と考えを一緒にいたします。
○矢田部理君 今度の米ソ首脳会談でも、アジアを重視していこうという流れの中で位置づけられるかと思います。とりわけ、総理からもお話がありましたように、ゴルバチョフ大統領がその後の記者会見で、日本との対話を徹底的にやっぱり追求をしたいと。つい先ごろ行われたスタンフォード大学での講演でも、アジアの平和の問題とか軍縮の問題、アジア重視の姿勢を示していることも伝えられておるわけでありますが、こういうアジア重視、アジアでもう一回軍縮や平和やさまざまな形の対話と協力を進めていこうという方向づけが国際的な流れの中で強められている。ということになりますと、日本の外交政策も本格的な転機を迎えたというふうに考えられるし、また、それを目指して新しい外交政策の樹立を、先般から私は申し上げておるのでありますが、考えるべきであるというふうに思うのでありますが、その点が第一点。
 それからもう一つは、海の核軍縮が始まったということになりますと、アジアのアメリカの戦力配置あるいは展開というのは、やっぱり戦略型原潜が中心なんですね。それに組み合わせの形で攻撃型の原潜が配備をされる。さらには太平洋艦隊という水上護衛部隊がそれに加わる。これが縮小の傾向に入るということになるわけであります。同時に、シーレーン防衛というのは、いろんな理屈がつけられておりますが、そういう海に展開するアメリカ軍と一体となって対ソ戦略の一翼を担ってきたのが日本のシーレーン防衛の中身でありますから、シーレーン防衛そのものもいずれ根本的な見直しを私は迫られると考えます。
 それを前提として、言うならばイージス艦の配備とかP3Cだとかあるいは対潜へリなどが、いろんな軍備増強の中で大型の装備計画がずっとつくられてきたわけでありますから、そこら辺も見直しを迫られざるを得ないという方向づけがようやく出てきているというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今首脳会談で基本的な合意がなされたという事態を受けとめまして、私どもも、アジアにおいていろいろな意味で平和と安定が本当に定着するように、日本の防衛力整備の問題についても、それらの国際情勢の動きというものも十分に検討しながら、その情勢を踏まえて今後のことについても作業を進めていかなければならぬと思いますが、詳細については防衛庁より答弁をいたさせます。
○国務大臣(石川要三君) 今委員も述べられましたように、いわゆる海軍、海の軍縮、この方向が今回の米ソの中で取り上げられ話題になったということは、さっき総理がお答えしたように、私も大変これは好ましいことだ、かように思います。
 そういう中で、一体今後のイージスシステムなどについてはどうかというような御質問でございますが、そういう戦略的なことでございますので、さらに専門的に防衛局長からお答えをさせていただきます。
○矢田部理君 そこまでで結構です。
 あわせてアジアの平和の関係では、総理も先ほどお触れになりましたように、韓ソ会談がきょうの日本時間の八時ごろから持たれている。その詳細はまだ伝わってきておりませんが、先般、盧泰愚大統領が訪日されたのですが、外務大臣、この辺の感触は何かつかんでおられたんでしょうか。それからさらに、韓ソ会談で語られる中身やこれが持つアジアの今後のいろんな動きにとっての位置づけはどんなふうに考えておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) この会談が行われる前に、日本政府はそういう連絡は既に受けておりました。中身につきましては、私どもはそれに直接触れるわけにはまいりません。
○矢田部理君 連絡は前に受けておったのかもしれませんが、日本に大統領が来られたときに既にその向きの話はあったんですか。
○国務大臣(中山太郎君) 大統領来日時にはそのお話はございません。
○矢田部理君 随分親しくつき合っておられたようですが、日本には一切話がなかったわけです
 この持つ政治的な意味、今後のアジアにおける動きの中における位直づけはどんなふうに考えておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 大変恐縮でございますが、親しくお話をしておりましたけれども、その時点では韓国側でこの大統領の会談の碓定的な合意がまだ見られていなかったものではないかと私は認識をいたしております。
 また、韓ソの大統領の会談がアジアにおいて持つ意味は何かというお尋ねでございますけれども、私はこの持つ意味は極めて大きいというふうに評価をいたしております。
○矢田部理君 私が申し上げたいのは、かつての米中復交もそうでしたが、一番身近なところが大きく動いてきているのにどうも日本は外されている、蚊帳の外に置かれているという感じがいたします。今度も、ついせんだって日本に来られたのに日本には連絡もないということは、やっぱり日本外交がどうも国際的な流れから、これは一つの例でありますが、かつての状況から見てもおくれているんじゃないか、少し消極的に過ぎるんじゃないか、期待が小さいのではないかというふうに感ぜざるを得ないのであります。
 そこで、これだけアジアが動いているわけでありますから、日本外交が本格的な転機を迎えておるし、転換をしなければならぬということを前から申し上げておるわけでありますが、とりわけ朝鮮外交、共和国との関係が依然として不正常であります。この対朝鮮外交を大転換するというような考え方には立ちませんか。
○国務大臣(中山太郎君) 何か日本外交が蚊帳の外にいるんではないかという御心配をかけておりますが、外交には機密性が極めて高いものがございまして、私ども外務省として知っておりますことも国会でもまだ申し上げられない外交上の機密はたくさんございます。そういう意味で、韓国の外交にとりましても、機密性が極めて高いものがあったというふうに私どもは理解せざるを得ません。
 なお、今、朝鮮民主主義人民共和国との関係を抜本的に改善する意思が日本政府にあるのかないのかというお尋ねでございますが、さきの国会で竹下総理が答えられましたように、また我々は前提条件なしに北からのお話があればいつでもこれに対応する用意は常にあるということでございます。
○矢田部理君 今の外務大臣の発言にもあるわけですが、向こうからお話があれば対応する、この姿勢が逆に問われているのじゃありませんか。向こうからのお話も必要かもしれませんが、我が方からお話を申し上げてもいいのじゃありませんか。そこが出ませんか。
○国務大臣(中山太郎君) 大変恐縮でございますけれども、日本の外務省も余りぼうっとはいたしておりませんで、世界のいろんな各地で接触していることもございます。
○矢田部理君 それは水面下の接触を私も全く知らないわけではありませんが、やはり従来やってきた韓国一辺倒の外交政策とか、共和国から言わせれば共和国敵視政策とか二つの朝鮮論とか、いろんな指摘がずっとなされてきたわけでありますが、そういういろんな過去の経緯もあるわけでありますが、こう時代が大きく変化をしているときでありますし、とりわけ朝鮮半島における緊張というのは、アジアの平和にとっても一番大きな問題点でもあるわけでありますから、この際本格的に日本が、竹下さんの、前か前々国会に出された方針をもとにして具体的に対朝鮮外交を進める、展開するという努力が外相御自身の手で、水面下の動きだけではなくて提唱していいのではないかという感じがしますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、政府は政府で在外公館等を通じましてずっと接触の努力を続けておりますし、また政府ではなしに、日本社会党の田邊副委員長あるいは深田議員等が朝鮮民主主義人民共和国への訪問等において、いろいろと先方とのお話し合いもなされているというふうに認識をいたしておりまして、先般も田邊副委員長、深田議員が外務省の大臣室にお越しになりまして、日本と北朝鮮との関係改善についていろいろとお話を承っておりますし、政府は政府なりの考え方もお伝えをしているという状況だと御認識をいただきたいと思います。
○矢田部理君 話題を変えます。
 防衛庁は、今まで対ソ脅威論ということを盛んに喧伝をしています。極東ソ連軍のその地区における展開を過大に見積もって、それを前提に日本の軍備拡大の裏打ちにしてきた、こういうことをかねてから私どもは指摘してきたのでありますが、たまたまですか昨日の夕刊などでその問題が一つ指摘をされました。ソビエトの太平洋艦隊でありますが、防衛白書などを見ますとアメリカの見積もりよりも多いんですね。
 改めて申し上げるまでもありませんが、主要艦艇は、米国防総省は百八十五隻ぐらいだと言う。ところが日本の防衛庁は二百四十隻とこう言う。数十隻アメリカよりも数を多くしているのです。いかにもソビエト太平洋艦隊が強大な力を持っているかのような――力は相当程度あるかもしれません、過剰見積もり、過大見積もりをしてきている。廃船寸前のものまで勘定に入れている。これだけある、これだけ大量だと、こういうふうに言ってきたのでありますが、防衛庁はその過大見積もりを見直す作業に入っていると。事実、主要水上艦艇などが二〇%から三〇%過大見積もりだということを認める文書をまとめたというふうに聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(石川要三君) 先に私の方からお答えをさせていただきますが、今委員から、我が国の防衛庁はいわゆる対ソ脅威論といいますか、ソビエトの軍事能力というものを過大に評価して、むしろそのことが防衛費の増大に結びつけられているというような御趣旨の御質問がございましたが、私はそのようには認識をしていないわけでございまして、先生も十二分に御承知のとおり、大綱の性格というものはそういうものでないということは、本院におきましてもしばしばお答えをさせていただいているわけであります。
 ただ問題は、昨晩の報道について触れられましたのですが、この点については、まずそれは公式文書というものは、そういうものはないということだけは、これは私の方から申し上げさせていただきたいと思います。
 なお、ソビエトのいわゆる軍事力に対するいろいろと数字が米国より日本の方がはるかに多いとか、そういう点につきましては、もし必要ならば担当の政府委員の方からお答えさせていただきたいと、かように思います。
○矢田部理君 ソビエトの太平洋艦隊の見積もりを見直している、その見直しにかかわる文書が複数のマスコミに流れているわけでありまして、ないというのは違うんじゃありませんか。その文書はマスコミにも渡しているわけでありますから、国会に提出してしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(日吉章君) まず最初に、防衛白書と防衛庁がソ連の軍事力をどのように見積もっているかという点を御説明させていただきたいと思います。
 ソ連の軍事力につきましては、実は自由主義諸国のような情報公開がなされておりませんので、なかなか正確に知ることが難しゅうございます。今御質問がございましたソ連の太平洋艦隊につきましてもその例外ではございません。ただ、一般的にソ連の場合には、自由主義諸国であれば老齢艦は廃棄する手続をとりますが、そういう手続をとる艦艇が非常に少のうございます。それで、防衛白書はそういう観点もございまして、従来保有ベースという形で資料を継続性を持って皆さん方に提供をしてきております。
 ただいま矢田部委員から、例えばアメリカの資料等と違っているではないかということでございましたが、私どもはアメリカの資料の積算根拠を正確には把握いたしておりませんが、どちらかといえばこれは行動ベースといいますか、それに先立ちます前年に発行されました時点から今回発行されるまでの間に、現実に保有の艦艇の中でどれだけの艦艇が行動をしたかというような形で把握しているんではなかろうかと思います。そういうような観点から、おのずから保有ベースの方が数字が大きく出てくるということは事実ではないかと思います。
 ただ、そういう点は私どもも白書の中で、既に老朽装備を抱えており、その廃棄などを行っているというようなことを記述いたしております。そういうような状況でございますし、ソ連自身が経済困難に直面いたしておりますような関係もございまして、軍事費につきましても合理化、削減の努力を強力に進めております。そういうことをいたしますと、その老齢化いたしました艦艇等をそのまま保有しておりますとこれにもやはり維持費がかかるわけでございますので、自由主義諸国と同じようにそれらを廃棄あるいは除籍していくというような形で合理化をしていくことが想像されます。
 したがいまして、私どもといたしましては、ソ連の保有艦艇等の実情につきましての勉強をしているのは事実でございます。これは私ども当然の責務だと考えておりますけれども、ただいま御指摘がありました文書につきましては、公式文書は、まだ私たちは担当者段階での検討の段階でございまして、防衛庁としてソ連の実態はこういうものだという確たるところを把握するまでには、推測するまでには至っていないということでございます。したがいまして、そのような防衛庁としての文書というものがいまだできていない。したがいまして、当然お出しするわけにもいかないということで御了承を賜りたいと思います。
○矢田部理君 防衛白書では主要水上艦艇百隻、きのうの報道によればそれが八十一隻で二一%減るであろう、それから潜水艦艇が百四十隻が九十八隻になって三〇%減る、こういうことを内容とする文書がある。相当の新聞社等々に流れているわけでありまして、そういう文書はないというのはおかしいんじゃありませんか。現に文書が出ているんですよ。それが報道にもなり、ニュースにもなっている。知らないとかないとかという説明ではだめなんじゃありませんか。そういうことをやっぱり明らかにしなさいよ、長官、いかがですか。
○国務大臣(石川要三君) 先ほども申し上げ、また今も局長から申し上げましたように、要するに防衛庁としての公式なそういう書類というものは、そういう内容のものはないと、私はこういうふうに申し上げたわけでございまして、現に私の手元にもそういうものは全然上がってまいっておりません。したがいまして、もちろんいろいろと各国の軍事情勢の推移、特に最近のような国際情勢の激変の中におきましては、当然それぞれのつかさつかさではいろいろと勉強しておるのが私は常識ではないか、こういうふうに思います。したがって、今局長からも言われたように、それが一つの防衛庁としてのコンセンサスというか、一つの煮詰めの結果の文書としてのそういうものではないと、かように私は思っているわけでございます。
○矢田部理君 長官が知らないと。あなたはシビリアンコントロールの一番最前線にいるわけですよ。そういうところで知らないことがどんどん作業として行われている。今までの過大見積もりでもち切れなくなってこれは見直さざるを得なくなってきている。長官にはもとの数字だけがずっと並べられて、それをもとにして次期防などの作業に入っている。実際はしかし余り隠しおおせなくなった。もう情報も非常にあれしてきて、アメリカよりも数十隻多い艦艇の数字を毎年防衛白書で何回言われても直さない。もち切れない状況になってきている。数は多少減っても近代化やなんかで能力は減っていないんだとこんな強弁をしている。こういうやり方が実は問われているのでありまして、その文書を出してください。今までの水増しデータの中身をやっぱりはっきりさせる意味でも出してください。
○国務大臣(石川要三君) お言葉を返すようでございますが、長官が何となくぼやっとしていて何にもわからなくてというようなふうにもちょっと伺えたんですけれども、そういう意味じゃなくて、私は秘密を云々というんじゃなくて、要するにこれだけの激変の国際情勢の中では、当然いろんなデータを集めたり、いろんな勉強をする、それは当然だと思います。そういう作業のプロセスの中の一つではなかろうかなと、私はこれは所感でございますが、そういうふうに思うわけでございまして、それを直ちに出せと言われても、そういう意味では私としてはやはりその趣旨にはかなえない、かように申し上げたわけでございます。
○矢田部理君 委員長、これから防衛論議をしていく上においても脅威の見積もりというのは非常に大事なんですね。それを過大に評価してきている。それを前提にして、日本の基盤的防衛力といいながらも脅威対応型でやってきているわけでありますから、事実を正確にする意味でも当予算委員会ではぜひ必要な資料でありますので、委員長として取り寄せていただきたい。厳重に出すように指示していただきたいと思いますが、いかがですか。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○政府委員(日吉章君) まずお断りをさせていただきたいのでございますが、私どもが白書で公表いたしておりますものは、先ほども御説明申し上げましたように、保有ベースにおきます数量を正確に見積もって計上しているつもりでございまして、水増しをしているというようなものでは全くございません。なおかつ、その中には老齢艦船が含まれているということも記述しているつもりでございます。
 ところが、ただいま御質問がございました資料の点でございますが、再三同じことを申し上げますが、私どもはソ連の極東軍、海軍の艦艇の内容を分析しているのは事実でございますけれども、防衛庁としてその分析結果がまとまり、防衛庁の作業として公式の文書にまとめたものはございません。ただ、私も昨日これが掲載されております新聞の夕刊を見ましたけれども、この内容を見てみますと、担当しております者の分析作業過程のメモの一部とも思われるようなものが出ているのではないかと思います。したがいまして、それはあくまでもこれから防衛庁としては、それそのものが土台になるかどうかもわかりませんし、検討を進めていくことになると思います。
 いずれにいたしましても、私どもは白書の刊行も近く迫っておりますので、白書の中におきましては、この計数の計上の基準というものをみだりに変えるわけにはいきませんけれども、したがいまして、そういう点では保有ベースという基準は踏襲せざるを得ないと思いますが、その中におきましてある程度ブレークダウンしたものがわかれば、それを登載するようにしたいと思います。そのときには、防衛庁の責任ある検討結果が出る形で皆さん方のお目に触れるようにしたいと考えております。
○矢田部理君 今の答弁でもメモという言い方でありますが、担当者レベルのものがあるようでありますから、それは委員長の手元に出していただきたいというのが第一点であります。
 それから二番目に、今の質問に関連しますが、従来そういうことで保有ベースと称する数を出しておったが、廃船寸前のものなども含まれているので、実際にどの程度の実態があるのかということについて見直し作業が始まっている。その見直しの結果を、恐らく下方修正して今年度の防衛白書には載せる、正確にするということは約束できるわけですね。
○政府委員(日吉章君) まず、防衛庁としての資料はございません。もしあのような資料があるといたしましても、推測するに作業担当者の作業メモにすぎないものではなかろうかと思います。したがいまして、国権の最高機関であります国会に、防衛庁としてそういう資料をお出しするということは私はできかねる、こういうふうに思います。
 それから白書の問題でございますけれども、私どもは先ほど申しましたように保有ベースという一つの基準でもって計上してきているわけでございまして、決して水増しをしているわけではございません。したがいまして、次の白書におきましては、その保有されている艦艇の中にどの程度老齢艦艇があるかというようなことがわかれば、これはある程度推測のようなものになってくるのではなかろうかと思いますが、それを分析した結果を防衛庁として責任の持てる限りにおきまして記載をさせていただきたい、かように考えております。
○委員長(林田悠紀夫君) ちょっと委員長から申し上げます。
 今の矢田部委員からの要求資料は、防衛庁の正式の資料じゃなくて個人的なメモのようですから、後刻調査いたしまして、必要なものがあれば出すようにいたしますけれども、今のようなお話では出すまでには至らないものと、かように思います。
○矢田部理君 理事会で協議してくださいよ。そんな独断専行はいけませんよ。
 いいですか、ちゃんとした、単なるメモじゃありませんよ、この新聞にきちっと出ているわけですから。
○委員長(林田悠紀夫君) 理事会で調査して、必要なものがあれば提出をする、こういうことにいたしましょう。
 それでは、どうぞ続けてください。
○矢田部理君 次の問題に入ります。
 防衛庁は、限定小規模侵攻を想定して日本の防衛力を持つ、こういうふうに言っておるわけでありますが、ソビエトの極東軍の中で限定小規模の能力を持つ部隊はどんな部隊が想定されますか。
○政府委員(日吉章君) 例えば、着上陸侵攻兵力に例をとって言いますと、現在の配置を前提としまして、我が国周辺に所在します陸上兵力のうちで、例えば通常の師団については、我が国の近傍に所在するものを基本として、これに空挺部隊とか空中機動部隊のように機動的に運用できる部隊を加えたものが考えられると思います。その際、第三国へ控置している兵力、第三国との関係を考慮して控えておく兵力とか、あるいは国境防備兵力、自国自衛のための兵力というようなものは我が国へ指向させることは難しいのではないかというようなことで、そういうものは当然カウントしないというような形で想定をいたしております。
○矢田部理君 極東軍管区の部隊が焦点になると思うのでありますが、そのうちの三、四個師団というふうにも言っているわけですね、防衛庁としては。その極東軍管区のどのような種類の部隊が想定されますか、部隊名を具体的に挙げてください。
○政府委員(日吉章君) 大綱の整備水準であります基盤的防衛力というものを検証してみますと、限定小規模の侵略に対して原則としてある程度独力で対処し得る実力を備えるであろう、こういうことを私どもは申しているわけでございまして、それが現実に限定的小規模侵攻の蓋然性が高いというような形で算定しているわけではない、検証しているわけではないということをかねがね申し上げております。
 したがいまして、具体的に極東ソ連軍のどの師団が来ると考えているのか、こういうふうな考え方はとっていないわけでございますけれども、例えばでございますけれども、常識的に考えますと、ソ連ということで常識的にあえて考えますと、最も近くにあります北方領土の一個師団とか、あるいは樺太にあります三個師団とか、そういうものが中心となって、十分の準備もなく来るということになれば、それらが中心となりまして三、四個師団というようなことが考えられるかと思いますが、冒頭前置きで私が申しましたように、具体的にこれらに対処するというようなことで防衛力を整備しているのではございません。
○矢田部理君 千島や樺太の師団が考えられると。三、四個師団というのは何名ぐらいが想定されますか。
○政府委員(日吉章君) まず最初に、私は樺太におきます三個師団と申し上げたかと思いますが、二個師団ということになります。失礼いたしました。
 それから師団の兵力数は何名かということでございますが、師団には充足率の高いもの低いもの等々ございますが、国際的に大体常識的には一万以上というような兵力ではないかと考えられます。一万人内外といいますか、一万人以上というようなことだと思います。
○矢田部理君 三、四個師団が侵攻してくる場合を想定して、それを限定小規模侵攻と言っておる。それに見合って基盤的防衛力を整備すると言ってきているわけでありますが、ソビエトの師団というのは充足率が非常に低いんですね。自衛隊も相当下がっておりますが、もっともっと低いんです。カテゴリーAとかBとか幾つかのやり方があるから、細かく言えばもっとあるわけでありますが、ですから、せいぜい一個師団一万人としても四万人の軍隊。問題は、その手の軍隊が一気に奇襲してくるということを想定して基盤的防衛力をつくっている。その四万人の軍を運ぶ輸送能力というのはどういうふうに見積もっていますか。
○政府委員(日吉章君) ソ連には極東に強襲揚陸艦というような艦艇がございますけれども、私がここで申し上げておりますのはまさにシュミレーションの世界でございまして、限定小規模侵攻の蓋然性が高い、こういうことではありませんで、基盤的防衛力、独立主権国家として日本のような地政的なところに置かれた場合に、基盤的に整備すべき防衛力を整備した場合の検証の結果として、限定的小規模な侵攻に原則として独力で対処し得ると。したがいまして、そういうふうな能力を持ち得るものを整備しておけばいいということにつながるわけでございますけれども、したがいまして具体的にソ連のどのような艦船でもってその数個師団が着上陸してくるかというようなことまで考えてはおりません。
○矢田部理君 一般論、概念論は今さらここでそらぞらしく説明されなくても、防衛庁が何をねらい何を考えてやっているかぐらいは、だれだって常識でしょう。輸送能力が決定的にないんです。揚陸艦がある。イワン・ロゴフというのが一番大きい。これは二隻あって、極東に配備をされているのは一隻しかないんです。これが最高の揚陸能力を持っておるわけですが、五百五十名しか運べない。中身を言ってごらんなさい、輸送能力の。あとは五十名とか百名ですよ。
○政府委員(日吉章君) 今具体的にイワン・ロゴフのお話が出ましたけれども、それは非常に典型的なものでございまして、それ以外にソ連には唯一の海軍歩兵師団というものが極東に配備されておりまして、輸送能力について申し上げますと、イワン・ロゴフ級の揚陸艦艇以外にも水陸両用の作業能力のあるものといたしまして、軍用に転用可能なラッシュ船やローロー船、こういうふうなものが多数商船というカテゴリーで増強されておりますけれども、これはああいうお国柄でもございますし、軍用には十分転用可能なものとして配備されております。
○矢田部理君 商船を軍艦に転用可能だと。これは港がなけりゃ揚がれないんです。そんな、昔、輸送船なんかを使ったけれども、港がなきゃ揚がれないんです、それから直では。そんないいかげんな説明、抽象的な説明じゃだめですよ。挙げてごらんなさい、それじゃ。
○政府委員(日吉章君) これ以上になりますと、シミュレーションの具体的な中身に触れざるを得ないことになります。それにつきましては、作戦上のいろいろな制約に絡んでまいりますので、その点はこれ以上の説明は御容赦をさせていただきたいと思います。
○矢田部理君 私が軍事専門家などを動員して調べたところでは、今のロゴフ級というので五百五十人しか運べない。その次にロプーチャ級というのが何隻かありますが、これは二百三十人です。あとは百とか二百しか運べないんですよ。それで一万人を運ぶというのは大変なことなんです。四個師団というと四万人でしょう。輸送能力がありませんよ、第一に。
 それから、千島だとか樺太だとか言っておりますが、一番の主力は沿海州にいる。ウラジオ経由で来ますと、あそこの距離は最高速力二十ノットに見て二十時間かかるんです。とても奇襲などということができる条件はないんです。もっとも中曽根さんも奇襲などを考えるのは大間違いだと言ってここで答弁をしましたから、奇襲を考えているとは必ずしも今思いませんけれども、ただ、少なくとも基盤的防衛力というのはそういうことを根拠にしているのでありまして、ソビエトがザバイカルや極東軍管区に大量に展開しているとか誇大にこれも評価をして、いかにも日本が侵攻されそうな情勢を振りまいて、そして日本の再軍備を裏打ちしてきた。ここにもやっぱり大きな間違いがあったのであって、防衛庁長官、そこはしかともう一度自分の目で確かめてほしいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(石川要三君) 今いろいろと先生の御指摘を拝聴しておりますと、もし仮にそれが全くそのとおりであるとするならば、我が国の防衛も大いにこれは変わってくるのかなとは思いますけれども、しかし、それはそれとして、とにかく再三大綱の中でも申し上げましたように、真っ裸でいること自体の方が要するにかえっていわゆる不安をつくり出すんだと、こういう一つの基本的な考え方で大綱ができているわけでありますから、どうやって来るとかどこから何が来るかとかいうよりも、いわゆる限定的な小規模のものに対応するだけのものを持たなければむしろ不安定なんだ、かえってそれが危険を招来し、我が国の防衛上これはゆゆしい問題だ、こういうふうな認識でありますから、目で確かめろというんですけれども、もちろん勉強することにはやぶさかではありませんが、そういう見解を持っておるわけであります。
○矢田部理君 シビリアンコントロールというのは、防衛庁長官、そういうことを自分でよく聞き、第三者からもいろんな意見を聞いて抑え込んでいかなきゃ、軍というのはもともと増殖本能を持っているわけですから、決して彼らは自分の身を縮めるようなことはしないのであります。それを縮めさせる役割を果たすのも防衛庁長官なんでありまして、そこをやはりしかと心得ておいてほしいんです。
 もう一点だけ見合った話をしておきますと、かねてからソビエトの軍用機や艦艇が日本周辺に展開をして大変だ大変だと今まで言ってきたのでありますが、我が国周辺におけるソ連艦艇や軍用機の行動概要が、最近防衛庁に調べてもらったところ、急速に減っているんですね。ピーク時はいつごろで、現在はどのぐらいになっているかということをちょっと説明してください。
○政府委員(内田勝久君) お答え申し上げます。
 ソ連の海軍の艦艇についての御質問かと思いますが、ソ連海軍艦艇の三海峡の通峡状況ということでお答え申し上げますと、各年の通峡状況につきましては、大体昭和六十二年ごろが約七百十、それが対馬、津軽、宗谷の三海峡を通過した2隻数でございます。平成元年におきましては、これが約五百二十隻ということであろうと私どもは把握している次第でございます。
○矢田部理君 飛行機は。
○政府委員(内田勝久君) 航空機につきましては、ソ連軍用機の近接飛行の状況でございますが、近接飛行の総数といたしまして、昭和五十九年に約三百九十五、これも約でございますけれども、三百九十五回程度。それが平成元年におきましては約二百二十回程度というように理解しております。
○矢田部理君 総理、外務大臣、それから防衛庁長官もお聞きをいただきたいのですが、ソ連の軍用機の日本間辺におけるいろんな動きが急速に減っているわけです。今もお話がありましたように、ここ数年間の動きでありますが、一番多いときは四百近かった。この一年間、去年の四月からこの三月まで調べてもらいますと百八十五回なんです。半分以下に減っているのであります。
 艦艇も同様でありまして、六十二年七百十回というのがピークであります。去年一年間は五百二十ということで、極東軍事力の削減がヨーロッパほどまだ顕著ではありませんが、言われているように、全ソビエト軍の四分の一ないし三分の一がアジアに今展開をしているということだけを聞きますと、大変大げさに、日本が今にも押しつぶされそうな印象を受けるのでありますが、実際を一つ一つ詰めていってみますと、充足率も非常に低いし、まして揚陸能力とか輸送能力というのはもう極端に落ちている。とても数個師団が何らの準備なしにある日突然やってくるなんていう状況はないんですよ。中曽根さん自身もそんなことを考えるのは大間違いだとまで言っているわけなんでありまして、そういうことを前提にして日本の軍拡は行われてきた。説明では基盤的防衛力だ基盤的防衛力だ、相手の動きや情勢にはかかわりなしにやるんだと言ってきたが、実態は違うのであります。
 そこで、もう一点だけ申し上げておきたいと思うのでありますが、今度は大蔵省にもぜひ聞いていただきたいのであります。この十年間、西側の先進諸国で毎年のように軍事費を上げてきた国がありますか。あったら挙げてください。
○政府委員(内田勝久君) お答え申し上げます。
 ただいま資料を手元に持ち合わせておりませんが、私どもは毎年防衛費ないし軍事費を増額している主要国は存在するというように考えております。
○矢田部理君 私も全部調査しましたが、八〇年から今日まで毎年のように防衛費を高率でアップしてきた国は全くないんです。日本だけなんです。どこかの年、これはカーブはいろいろありますよ、必ずマイナスになっている、これは歴然とした資料なんですよ、どこですか、あるとすれば。
○政府委員(内田勝久君) 国防費の推移につきましては、どの国の、ドルベースでやるか、各国の自国通貨ではかるかとか、いろいろ問題点はございますけれども、私手元に持っております資料では、例えば英国につきまして八五年から八九年に至るまで一・六%、三・四%、一・二%、八・九%という形で増加している、このように理解、把握している次第でございます。
○矢田部理君 それは数字だけを並べるからそういうことになるんですよ。デフレーターを使用して、八五年ですが、当該国の通貨で算出したものの増減率で掛けませんと実態は出ないのであります。イギリスは相当程度マイナスになっています。いずれにいたしましても、各国を調べましても日本のように高率で毎年のように急カーブで防衛費を増大してきた国はない。
 あわせて申し上げたいのは、その結果世界で第三番目の軍事大国と私たちは言いたいが、少なくとも軍事費大国になっている。ここまで日本の軍事費は肥大化してしまった。これはやっぱりどうしてもこの際大きく下方修正していかなきゃならぬという時期に来ているんじゃありませんか。それがやっぱり日本がこれから外交政策でも、それから防衛問題でもとるべき大きな道だと思います。
 今度のマルタ以降の情勢というのは、あるいはその前後からそうでありますが、米国が毎年度予算の減額に入りました。ソビエトも同様であります。この二つの国について、軍事予算面からどういう方向をたどろうとしているか、わかったら説明してください。
○政府委員(日吉章君) 米国につきましては、名目支出額で対GNP比を九一年度五・〇%から九五年度四・〇%に落とす。これは九一年度予算教書及び国防報告の中に出ております。それから権限額実質では九一年度二・六%減、九五年度までの各年度二・〇%減というふうになってございます。
 ソ連につきましては、ソ連側の発表によりますと、一九九〇年から九一年度に国防費を百億ルーブル、一四%減というふうにゴルバチョフは発表しております。それから一九九〇年度は一九八九年に比べて八・二%の削減、こういうふうに言っております。
 ただ、先ほど御説明申し上げましたように、先ほどはイギリスだけ申し上げましたけれども、手元に主要国のものがございますが、八五年以降は、上がり下がりの違いはございますけれども、各国の国防予算は増加率の増減はございますけれども、絶えず増加をいたしております。
 したがいまして、米国、ソ連が最近におきましてはそれらと違ったベクトルの方向を向こうとしているということでございますが、これは米国、ソ連はそれぞれグローバルな観点から戦略的な防衛力を整備いたしておりまして、STARTに始まりますそういうふうな戦略的な、ある意味では攻撃的な軍事力を削減していこうというそういう努力、性格のあらわれとしてこういう形で出てきているのだと、私どもはかように認識いたしております。
 さらにソ連について申しますと、ソ連のこの数字は非常にフラクチュエートしておりまして、従来ソ連が発表しておりました数字の三倍以上に一たん引き上げまして、かつ減少する、こういうふうな形の発表になってございます。
○矢田部理君 防衛庁の説明によっても、ソビエトもアメリカも減らしてきているんです。これは明白なんですよ。それはアメリカから比べりゃ全然また違いますよ、低いですよ。だけではなくて、何か二つは特別の国だから減らしているんだというのじゃありませんよ。
 ついせんだっての五月二十三日にNATOの国防相会議がありました。NATO諸国は一九七七年に実質三%を目標に防衛費を上げていこうという方針を出した。必ずしもそのとおりにはなりませんでした。しかし、今度のマルタ以降の情勢は、もはやそういう実質三%上げるという防衛費の目標値は今日の情勢で適切でなくなったと、全部その旗をおろしたのであります。その意味で、軍事費を抑えるという傾向は世界的な傾向になっているのであります。
 そして、この間も指摘をしましたように、先般の国連の経済特別総会では日本も参加して、軍事費を抑制します、そして開発途上国の援助に回しますという約束をしてきた、法律的義務があるかどうかは別として。少なくとも政治的に国際的な約束をしたのでありますから、この潮流に沿って総理大臣それから大蔵大臣にも伺いたいと思うのでありますが、日本の防衛費は凍結、そして削減の方向をやっぱり追求すべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) お話の意味は私もよく理解できる面は、これがヨーロッパでありますと、第一線で力の対決に参加をしておったアメリカとソ連の比較、そしてヨーロッパの国々はアメリカの駐留兵力プラスNATOの総計がワルシャワ条約機構と比べてどうなるかということから積算をしておった軍事費の整備の問題ですから。ところが、その力の対決がなくなって、アメリカにもソ連にもそれぞれの国内情勢があり、軍備管理軍縮の方向へ向かって合意をしておるということは、これは非常に結構なことでありますし、また現実の問題としては私は歓迎しておるわけであります。
 ただ、日本の一つ違うことは、その力で世界の枠組みをつくっておった中へ、日本もお役に立ちましょうといって入っておったことは決してございません。だから、アメリカが二カ二分の一戦略というような膨大な力で世界を支えようとしておったものが、話し合いがついて緊張緩和していけば下がるのが当たり前だと私は思っております。
 そういう大きな流れを見ながら、アジアにそれがどう影響してきておるのか、アジアの状況については先生もいろいろ御指摘になったけれども、なおソ連自身が軍事力というものを合理的十分性のところまで下げるということをソ連は考えておる。アメリカの方もソ連の軍事力を見ながら、特にアジア・極東に配備されておるものは防衛の必要性をはるかに超えておるということを、この間の二十一世紀の軍備何とかという報告書にもきちっと書いておるわけで、お互いにまだ多過ぎる多過ぎるということを指摘し合っている状況があるわけでございます。
 私は、それがもっともっと話し合いによって軍備管理の低いところでの合意に下がっていくように心から期待しておりますから、そういったことも踏まえて、日本は日本自身の平和と安全をきちっと守っていくにはどうしたらいいかという角度で、そういう世界の軍事情勢の変化とともに、日本独自の立場で節度のある整備をしていかなければならない、私はこう受けとめておるんです。今まで二カ二分の一戦略に力で加盟してきたというものではございません。御理解ください。
○矢田部理君 大蔵大臣、もうすぐ聞きますからね。
 そうすると、国連総会で日本は国際的に軍事費を下げますという宣言にかかわったのは、それは日本は関係ないという総理の御理解になりますか。国連総会の宣言はどういう効力を持つんですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 関係ないという意味ではございません。その情勢を踏まえて、日本はみずからの国民の平和を確保するにはどうあらねばならぬかということを安保会議なんかで自主的に判断して決めていく問題である、私はそう思っております。
○矢田部理君 ですから、国連総会では、軍事目的のための支出を減らすように努めなきゃならぬ。減らすように努めなきゃならぬという努力義務です。法律的な義務はともかくとして、少なくとも道義的政治的な国際約束ですよ、これは。それは、日本は主権国家で日本のために云々だなんという議論で対応できる内容じゃないんです。そこはきちんと踏まえて、そして対ソ脅威論で日本の軍備はしてきたんです、どんなに弁解したって。その脅威の内容について幾つか私は指摘した。そして、全体は軍縮の方向づけがマルタ以降出てきた。そして、軍事費をNATO諸国も下げようとしている。三%目標を取り下げたのでありますから、この情勢をやっぱり日本は受けなきゃいかぬ。三木さんは、昔一%論を立てましたよ。せめてあなたも、その弟子であれば、一%ぐらいはこれからもう一回戻しますぐらいの約束はできませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 国連決議を無視していいなんということは私は決して言っておりませんので、そういった国際情勢の変化を踏まえながら、我が国としては平和と安全を守っていくためにはどうしたらいいかという角度で節度ある防衛力の整備を検討する、こう言っておるわけであります。ただ、三%ふやしておったのを西欧諸国がそれを取り下げたというのは、ワルシャワとの対決で、ワルシャワとの数字の均衡の上で三%ずつふやさなければイコールしないということをお互いに認識してふやそうという理解をしておったのが、ワルシャワが消えていったのでありますから、それは当然変化に応じて対応されるのは当然であり、しかもそれはまたいい方向性だと私は申し上げたわけであります。
 国連決議の問題については、必要ならば国連局長から答弁いたさせます。
○矢田部理君 国連局長の解釈を何も聞くことはないんです。言葉ははっきりしておるんです。軍事目的のための支出を減らすよう努めなきゃならぬというお努めは、我が国の総理としていかがするのですかと聞いておるんです。(「そんなものは関係ないと言ったでしょう」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(海部俊樹君) 関係ないと申したことはございません。また、同時に我が国独自の、自主的にやはり防衛力整備のときに判断するのは我が国でありますから、そういう意味で言ったわけでありまして、そのように努めなきゃならぬという姿勢については関係ないとは私は申し上げておりませんから、そういう流れがあることも歓迎しておりますし、そういう方向性も歓迎しております。ですから、安保会議においては国際情勢の変化やいろいろなものを十分検討して判断します、こう申し上げておるわけであります。
○矢田部理君 そうすると、軍事目的のための支出を減らすように努力するんですね、そこだけ端的に答えてください。
○政府委員(赤尾信敏君) 従来の事実関係だけ私の方から説明させていただきます。
 例えば、五月の国連経済特総におきまして採択されました宣言の第三十一項におきまして、軍事費の削減によって開発途上国を中心とするすべての国の社会経済開発を強化する可能性を開く努力をするようにという努力目標として一応うたわれております。
 また、削減された場合には、その削減の一部を開発のための資金メカニズムに投入する可能性を探求するようにと、これは従来から国連の軍縮関連の決議ですとか経済開発関連の決議に、特に途上国あるいは社会主義国の提案によりこのような項目が入ったことは過去何回もありますけれども、一応努力目標ということでうたわれておるわけです。
○矢田部理君 余り繰り返して時間をとりたくありませんが、だから、そういう軍事目的での支出を減らすように努めるという努力目標について努力しますかと、国連で。せっかく参加してきたんですから。そこをやはり――それは義務ですよ。国際的な義務、政治的な義務だ。それを簡単に受けてもらっちゃ困るんですよ、国際約束なんだから。
○政府委員(赤尾信敏君) ただいま努力目標ではありますけれども、先生先ほど国際義務と言われましたけれども、国際義務ではございませんので、その点だけ私の方から御説明させていただきます。(「そんなことを聞きたくないんだ、指名した本人が大臣に努力するかしないかということを聞きたいと言っている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(中山太郎君) 今お尋ねの件につきましては、国際的な話し合いもございますし、国連のコミュニケというような点もございますので、これの解釈につきましては条約局長から具体的に説明をさせます。
○矢田部理君 私は解釈を求めているんじゃないんです。ちょっと待ってください。私は解釈はちゃんとわかっている、法律的な義務ではないと。しかし、国際的にせっかく約束をし、日本もそれに賛同をしてきたんだから、そういう国際約束というのは大事にすべきだ。いいですか。そして、軍事費を削減して開発途上国の援助に回しなさい、回すために削減しようじゃないかということを経済特別総会で宣言したんだから、それに沿うた努力をしたらどうですか、それを総理しますかしませんかと、その努力を。それを聞いているんだ。
○政府委員(福田博君) 先ほど国際約束に当たるかどうかという御質問でありましたのでその点を御説明いたしますと、これはコンセンサスで採択された宣言でございます。国際約束という法律的な義務を生ずるものをコンセンサスで採択することはございませんので、これは国際約束というものではございません。要するにできるだけ軍事費を各国が減らすよう努力していくべきではないかと、そういう政治的な意味合いを持つということであればそうですが、それは憲法における国際約束ということであればそういうものでは全くございません。(「その上に立って聞いているんだ、今のはわかっているんだ、総理が答弁しなさいよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣といたしましては、委員のお尋ねのお考えというものは理解はできます。しかし、私はここの外交を預かる最高の責任者として日本の安全保障ということを考えるときに、国連でのコミュニケというものはコミニュケとしての価値を評価しますけれども、現実の我々の国家を防衛していくのに日本の国民が持っている防衛力だけで果たしてこの国を防衛できるのかということになりますと、それはできないということを申し上げなければならない。そのために日米安全保障条約という抑止力を使った我々の国家の安全というもののシステムができ上がっている。
 しかし、世界が今平和へ向かって努力をし始めている時代でございます。こういう中で、先ほどから委員お尋ねのソ連の軍事的脅威というものが果たしてあるのかないのか、これはソ連の軍事力は下がりつつあるじゃないかという今委員からの御指摘でございます。私もそれを確かめたい。そういう意味では、これから行われる日ソ外相会談においてソ連側と、ソ連の実質的な軍事力がどのように展開しているかということを我が国の外務大臣としてはその職務上、国民に対してやはりこれは十分協議をする価値のある問題であると、このように認識をしております。
○矢田部理君 これは大事なことでちょっと看過しがたいのでありますが、ひとつやっぱりきちっと総理、私はちゃんと言っているんですよ、法律的な義務ではないが、しかし政治的道義的にはこれは守る、そのための努力をする立場に立つと。国連総会のコミュニケであれ約束ごとであれ、軽視しちゃいかぬのですよ。人ごとじゃないのであります。そのことをせずして世界に軍縮や平和を語る資格はないと私は言いたい。そのことについて、しかとかみしめながらこれからの政治の任務に当たってほしいと思うのでありますが、時間の、関係がありますから、大蔵大臣もそのことをやっぱり留意してほしいと思うんです。本当は答弁いただきたかったのでありますが。そういう中にあって次期防の策定作業に入っているわけですよ。
 経済企画庁長官、明年からの五年間の経済見通し、成長率を述べてください。
○国務大臣(相沢英之君) 経済成長につきまして、今、公の見通しといたしましては、御案内のように昭和六十三年に「世界とともに生きる日本」で想定をいたしましたものがあるわけでありまして、これは今後三カ四分の三の実質的な成長の伸びを見ているのであります。
 ただ、最近までの実績を見てみますと、六十三年が五・七%、平成元年が四・九%の実績を示しておりますし、平成二年は見込みといたしまして四%でありますので、ややこの想定を上回るところの伸びになっております。
○矢田部理君 九一年から五年間の経済見通し、GNPの成長率は出ているんですか、経企庁として。
○国務大臣(相沢英之君) それは企画庁として公式のものはつくっておりません。
 ただ、世界と日本中長期経済研究会という研究会を持ちまして、これは昭和五十八年か九年だと思いますけれども、そのときに昭和六十一年から平成五年までの想定をいたしておりますが、これが三カ四分の三という成長率の見通しをいたしております。
 ただ、今までの実績はこれを上回ることになっておりますし、また今おっしゃいますように、今後五年間の成長率の見通しというものは公式のものとしては作成をいたしておりません。
○矢田部理君 そこだけお答えいただければいいのでありますが。
 次期防を策定する。五年論も一つあるわけですが、その次期防の策定に当たっては、経済成長はどうなるのか、GNP比をどう考えるのかというのは非常に大事な点なんです。ところが、五年間の景気見通しなりGNPの伸び率についてはいまだ経企庁も出していないんですよ、正式には。竹下内閣のときに出したのがわずかにこれは「世界とともに生きる日本」という中に明年度ぐらいまでのものがあるだけであります。再来年ぐらいまでですかね。ですから、今五年間を見通したGNP比をいかがするか、防衛費をいかがするかという問題を立てることは防衛庁は無理なんですよ。だから私も、国際情勢も大きく動いている、軍事費も大幅に削減の方向に流れている、経済見通しも十分に立っていないという状況下では、少なくとも防衛費は削減の方向、凍結の方向で単年度ごとに仕切るべきだ、このことを言いたいためにちょっと数字を出していただいたのですが、長官どうですか。
○国務大臣(石川要三君) 委員はもう十二分に御承知のとおり、これからの次期防でございますが、当然国会が終わりますと直ちに安保会議が開かれるわけでありますが、そういう中におきまして政府全体という立場で最終的には決定、こういうことになることは当然でありますが、その際には国際情勢さらには我が国の経済状況、そういうものは一つの大きな物差しになることもこれまた当然ではなかろうか、かように私は思うわけであります。
○矢田部理君 その見通しもない、国際的な情勢も流動的だというならば、仮にそれを受けたとして、私は単年度主義をとりあえずとるべきだということが一つと、それから総理に伺いたいのでありますが、もう一度一%枠を、撤廃はしましたが、次期防などを考えるに当たっては少なくとも一%の精神は尊重すると言ってきた。今伸びているのはわずかなんです、超えているのは。この際、三木さんの言に従って一%だけは守る、そのぐらいのことはせめてやると約束できませんか。
○国務大臣(海部俊樹君) 国際情勢及び財政経済情勢を勘案しつつ、私は安全保障会議を中心として適正な文民統制のもとで節度ある防衛力の整備をしなければならぬと考えておりますが、その際憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従っていくことは当然でありますが、三木内閣の昭和五十一年の閣議決定の精神は尊重していきたいと考えております。
○矢田部理君 精神尊重論は前から聞いておるんですが、一%を守るという約束ぐらいはもうこの際決断をしていいんじゃありませんか。いいですか。
 それから、外務大臣に一点だけ。
 軍縮にはなかなか逆らっていて踏み込めないようでありますが、やっぱり軍縮の前提として信頼醸成措置というのをずっとヨーロッパはやってきたんですね。米ソ間でもそのことが一つ土台になって軍縮へ踏み込んだ、こういうことになるわけですが、日ソ間で、外相もおいでになる、あるいはゴルバチョフ大統領の訪日も来年には予定をされておる。その前段階でもう少しやっぱり信頼醸成措置を、これはいろいろ通告制度とか演習の回数を減らすとかいろんな交換とか、あります。これは時間がないから提案はしませんが、それをやっぱり少し本格的に進めてみるということにはなりませんか。
○国務大臣(中山太郎君) 日ソ間の安全に関する信頼醸成措置を進めたらどうかという委員のお尋ねでございますが、先ほども委員の御質問にお答え申し上げましたように、日本は独自の防衛力で残念ながら日本国民を防衛することはできません。そういう観点から立つと、日ソ間の信頼醸成措置を進めるということは、やはり安全に大きな責任を持っているアメリカとの十分な協議の上で、米ソの首脳会談も展開されていることでございますから、そういう中で日ソ間で信頼醸成措置を進めていくということは一つの大きな方向ではないか、このように考えております。
○矢田部理君 どうも依然として冷戦構造を越え切れないでいるというのが日本の外交なり政府の姿勢だということで大変遺憾でありますが、早期に大転換を図られることを心から期待しておきたいと思います。
 最後になりますが、流行性出血熱というのがかねてから問題にされてきました。中国の東北地方で戦前はやった。人体実験で石井部隊が話題に供された。朝鮮戦争でも問題になったんです。米軍が大量に罹患、病気にかかった。その流行性出血熱の研究が既に日本では数年前に解決済みのことであるにもかかわらず、いまだに日本の大学や研究者とアメリカの軍との関係でずっと続いておるというのは、これは厚生大臣に聞いた方がいいのでしょうか、どんな理由なんでしょうか。
○政府委員(川村恒明君) ただいま御指摘のございましたいわゆる流行性出血熱でございますが、御指摘がございましたようにひところ大変問題になった病気でございまして、我が国でも五十年代からそういうことがございました。それで、この病気の原因というのは必ずしも明確でございませんけれども、私どもの方では昭和五十四年から六十三年までほぼ十年をかけましてこの流行性出血熱につきまして日本の研究者による、二十数人でございますけれども、グループを組織いたしまして研究を進めてまいりました。これは十年間でございますが、途中何回かに分けてその都度結果の報告を公表しながら進めてまいりまして、一応六十三年にこれが終わったと、こういう状況でございます。
○矢田部理君 既に血清の開発も進んで病気もなくなったと言われているのに、アメリカの幾つかの軍の研究所があります。日米医学協力計画というのがずっとあって、佐藤・ジョンソン会談で合意されたと言われておるわけでありますが、これ以降日本の研究者や大学や厚生省の研究所はしきりにアメリカの軍と共同の研究をやる。研究者を向こうに配置する。医学会総会でもこのウイルスの研究が報告をされる。これは軍と研究者、軍と大学との癒着を示すものである。断じて日本ではとってはならない政策なのであります。
 かつて野田哲議員の質問に答えて当時の福田総理がやめさせると言ったことでありますが、どうして文部省、そういうことがいまだに続いているんでしょうか。学術会議も軍のそういう研究には協力しないという約束もしておる。厚生省の予防研もこれにかかわっておる、大変遺憾なことであります。詳細はいろいろ説明をしたいが、問題が余りにも大き過ぎるので、問題点提起だけしておきたいと思いますが、厚生大臣そして文部大臣、この点についてはそういう研究には今後かかわらしめない、福田総理がそのことを言明しておるわけでありますが、そういうことを含めてここで所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(津島雄二君) 国立予防衛生研究所は従来から感染症等の病原体の研究は行っておりますが、生物兵器にかかわるような研究を行ったことはございませんし、今後ともそのようなことは絶対にあり得ません。また、誤解を招くようなことはしないようにと強く指示をしてまいります。
○国務大臣(保利耕輔君) 大学におきます学術研究は、真理の探求を目指しまして、また良識あるいは自主的判断に基づいて自由濶達になされるものだと思います。それからまた、そうした成果は広く公表されて人類社会の共有財産として福祉に使われなきゃいかぬ、こう思っております。このような観点から考えてみまして、先ほど委員御指摘のように、大学の研究者等が軍事研究に取り組むというようなことは仮にもあってはならないことだと存じます。
○矢田部理君 もう一点だけで終わりますが、ABC兵器というのがあります。Aは核です。Cは化学兵器です。これを首脳会談でやめることになりました。あるいは核の半減条約を結ぶことになりました、戦略核の。米ソでですね。B兵器という生物兵器が残っているわけです。それにかかわる研究だという指摘があるわけです。もともと学術研究はどちらにも使えるわけです。とりわけアメリカの軍から金をもらったり軍と共同研究をやったりすることは厳に慎むべきだ。幾つもデータがありますよ、ここに。アメリカの軍の研究所に留学までしているじゃありませんか。名前を挙げてもいいですよ。こういうことをやっぱりやめるということを海部総理大臣、一回きちっとしていただいて、質問を終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(保利耕輔君) 先生御指摘の点は北海道大学の件かと存じます。あるいは東京大学の件かとも存じますが、いずれにいたしましてもそれは、北海道大学の場合は学長がこれは軍事研究ではないという旨の御発言をしておられますし、東京大学では共同研究はしたことがないし、それからまた論文を共同で書いたことはないということを関係者が申しております。そのように私も信じたいと存じます。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で矢田部理君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、角田義一君の質疑を行います。角田君。
○角田義一君 外務大臣にお尋ねするんですが、リムパック90に日本が参加しておりますが、これは日米安全保障条約上の義務として参加するということでございましょうか。義務はあるのでございましょうか、ないのでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 具体的な日米間の防衛に関する取り決め等につきまして、詳しい点からまず北米局長から答弁をさせていただきたいと思います。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御承知のように、リムパックはアメリカの近代的な設備を使用し、あるいは従来のアメリカでの訓練では得られないような米海軍の最新の戦術技術を習得するためということで行われているわけでございますけれども、これは安保条約上の義務ということで行うわけではもちろんございません。
○角田義一君 そうしますと、日本が自主的に判断をしまして、仮に判断をしましてリムパック90に参加することはやめさせてもらうということになっても、若干それはいろいろ軍事的な面あるいは外交的な面でも摩擦ということはあるかもしれませんけれども、条約上の義務違反という問題は起こらないわけですね。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今回のようなリムパックに参加すること自体は、今申し上げましたように安保条約上の義務ではございませんので、したがって参加しないということが義務違反になるということはございませんけれども、こういう共同訓練に参加することは安保条約の運用には資するというふうに私どもは考えております。
○角田義一君 だから、それは後の方は余分なんです。僕が一番聞きたいのは、義務違反にはならないということだけは間違いないんですね。局長もう一遍答えてください。
○政府委員(松浦晃一郎君) 繰り返しになりますけれども、義務違反という点は生じてまいりません。
○角田義一君 法制局長官にお尋ねしますけれども、このリムパック90に参加する法的根拠というのは一体どういうんですか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えを申し上げます。
 自衛隊が外国の軍隊と共同訓練を行う、リムパック90はまさにそれだと思いますけれども、その法的根拠といいますのは防衛庁設置法の六条の十二号でございます。六条の十二号は、まず六条で「防衛庁は、」「所掌事務を遂行するため、次に掲げる権限を有する。」と、かように規定しまして、その十二号におきまして「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」、こういう規定がございます。したがいまして、所掌事務の遂行に必要な範囲ということがこの法的根拠ということでございます。
○角田義一君 従前の国会答弁では憲法と防衛庁設置法と両方出てきているわけですよね。今憲法のケの字もないんですけれども、これはどういうわけですか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えを申し上げます。
 自衛隊法の所掌事務を今申し上げましたけれども、自然自衛隊法はその憲法に適合するところに従ってその任務を遂行する、こういうことでございます。したがいまして、自衛隊法でその所掌事務の遂行に必要なということは当然憲法の枠内、かように考えております。
○角田義一君 今自衛隊法と言われたけれども、設置法じゃないのですか。
○政府委員(工藤敦夫君) 失礼しました。防衛庁設置法でございます。これは国家行政組織の一部としてございます。
○角田義一君 憲法の規定といいますと、憲法のどこを見るとそのリムパーック90というような共同演習に参加していいという規定が書いてあります
○政府委員(工藤敦夫君) お答えをいたします。
 従来、憲法の九条の解釈といたしまして、当然集団的自衛権、これは許されないけれども、個別的自衛権、これは九条の枠内であると、かようにお答えしているところだと思います。そうしまして、個別的自衛権の枠内におきまして自衛隊はその任務を果たしていくということでございます。そういうことで、憲法上の九条の解釈といたしましてさように従来から申し上げているところでございます。
○角田義一君 私ははっきり申し上げますけれども、日本の憲法というのは戦争をやらせないための憲法ですよ、本質的に。だから平和憲法と言われているんです。だから、共同演習に参加してもいいなんという解釈は、解釈というか規定なんかどこを見たってあるはずがないんですよ。あなた方が言っているのは、憲法九条というものを解釈して、解釈上合憲だと言っているにすぎないのであって明文の規定はないと私は思っているんですが、どうですか。
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま委員御指摘の明文上のということでございますが、従来から申し上げておりますように、憲法九条、これはいわゆる戦争放棄、戦力の保持の禁止、かように規定してございます。これによって我が国が主権国として持つ固有の自衛権まで否定しているものではないということでございまして、明文のとおっしゃられる趣旨がいわゆるまさに文言上そのようなものが書いてある、こういう意味でおっしゃられるならそういう意味ではございませんが、固有の自衛権まで否定しているものではない。この自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持すること、これは同条の、憲法九条の禁ずるところではない、これが従来から申し上げているところでございます。
○角田義一君 憲法議論をこれ以上ちょっと進めたくないんで先へ進みたいと思いますけれども、教育訓練にとって必要であれば参加してもいいんだと、こういうことでございますけれども、必要というのは単に言葉だけ必要だ必要だと言っていればいいというものじゃないと思うんですね。やはりそこには当然合理的な理由がなくちゃいけない。逆に言えば、共同訓練に参加できない場合も当然私はあると思うんです。必要というまくら言葉さえ使えば何をやってもいいんだということにはならないでしょう。その辺はどうですか。
○政府委員(工藤敦夫君) 今委員御指摘の点はかつてもお答えしているところでございまして、確かに、必要だ必要だ、かように申し上げるだけでは当然許されるところではないわけでございまして、かつて申し上げておりましたところは、その必要であることが合理的に説明されなければならないということを申し上げ、その合理的というのは共同訓練を行うために参加しようとしているその演習が、目的なり内容なりに照らしまして自衛隊の教育訓練のために客観的に必要でありかつ相当である、こういうものでなければならない、こういうふうに考えております。
○角田義一君 その最終的な必要か必要でないかという判断はどこでやるんですか。
○政府委員(工藤敦夫君) 自衛隊法におきまして、防衛庁長官が自衛隊の隊務を統括することになっております。したがいまして、第一義的には防衛庁長官の指揮監督に服し、その指揮監督のもとに行われると。さらに自衛隊法の七条におきましては、内閣総理大臣は、「内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」ということでございますので、最終的には内閣総理大臣のもとに行われる、かように考えております。
○角田義一君 私は最終的には国会だと思うんですよ、これは。国会がシビリアンコントロールの最高の機関ですからね。要するに政治の軍事に対する優位ですから、私は最高の判断をするのはやっぱり国会だと思うんです。果たして合理的なのか、先ほどあなたが言ったように目的は妥当なのかどうかというような判断をするのは国会なんですから。そうすると、あなたの論理で言うと当然その目的なり内容なりというものを明らかにしなければ判断できないことになるんじゃないですか
 まず一つ聞きますけれども、最終的には国会が判断するんだということは間違いですか、どうですか。
○政府委員(工藤敦夫君) この問題につきましては、当然シビリアンコントロールという問題がございます。そういう意味で、今最終的には内閣がその責任において判断するということを申し上げましたが、国会におきましても当然従来から論議されてきておりますところでございまして、そういう意味においてシビリアンコントロールは従来から確保されてきている、かように考えております。
○角田義一君 確保されていないから問題なんです。訓練の内容も目的も肝心なところは全部隠しているわけです。これは大問題ですが、後からちょっと質問しますからいいですけれども。
 そこで、じゃ法制局長官に聞きますけれども、核兵器を持っておる艦船と自衛隊が訓練をするということはどうなんですか。許されるんですか。
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 かつて昭和五十九年あるいは六十年ごろに今委員お尋ねの議論があったと私は承知しております。自衛隊と米軍との間で行っております訓練、今回のリムパック90もそうであろうと思いますが、いわゆる通常兵器による通常の訓練、かように考えております。ただ、委員御指摘のように、その自衛隊と米軍との間で行っている共同訓練というものが仮に米側で核搭載の可能性があるとかあるいはそういうふうなことであろうとしましても、自衛隊にとりましては今申し上げましたような通常兵器による訓練の範囲にとどまるものと、かように承知しております。いわゆる核兵器の使用を想定する訓練、かようなものではないと思います。そうであるとしますと、その訓練が先ほど申し上げましたような所掌事務の遂行に必要な教育訓練、かようなものと認められる限りにおきましてはその共同訓練を行うということは可能であろうかと、かように思っております。
○角田義一君 私は法制局長官に聞いておるんです。防衛庁長官に聞いているんじゃないんですよ、申しわけないけれども。私が言っているのは、核丘兵を持っておる艦船だということがはっきりわかっていて、それと自衛隊が共同訓練をすることは、いわば専守防衛なり個別的な自衛権の行使なりこういう問題と関連した場合に、法律上あるいは憲法上許されるのかと法律解釈を聞いているんです。訓練がどうのこうのへったくれだというのはそれは防衛庁長官なり局長に聞くんだよ。あなたは失礼ですけれども法制局長官ですからね、ひとつ答弁を間違えないでください。
○政府委員(工藤敦夫君) 私は法律的な限界についてお答えしているつもりでございましたが、いわゆる核兵器につきまして憲法上の限界というふうなことで、まず憲法問題として申し上げますと、我が国に先ほど申し上げましたように固有の自衛権がございます。自衛のための必要最小限度の実力を保有することは憲法九条二項によって禁止されるものではない、かようにお答えしているところでございます。
 それで、これも過去の法制局長官の答弁にもございますが、仮にそのような核兵器があるんならば、核兵器であってもそのような限度の中にとどまるものであるならば憲法上はこれを保有することは許されないわけではないと。ただそれは、憲法上の問題ともう一つ分けまして法律上の問題がございます。そういう限度を超える核兵器の保有が憲法上許されないということと、それから、まず法律レベルの問題といたしましては、原子力基本法におきまして我が国の原子力の利用が平和目的に限られている。したがってすべての核兵器の保有が禁じられている。あるいは核兵器の不拡散条約に加入しておりまして、そういう意味で非核兵器国として核兵器を保有しない、かようなことになっております。
 したがって、自衛隊が核兵器を保有する、こういうことは許されない。あるいはさらに国是といたしまして、これは政策問題にわたるかと思いますが、国是としましていわゆる非核三原則がございます。したがって、持たず、つくらず、持ち込ませず、かような政策もまたとられているところでございまして、そういう意味で憲法上の問題、法律上の問題、いわゆる国是と言われる重大な政策問題、かように分けて考えられるところだと思います。
○委員長(林田悠紀夫君) 角田義一君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、角田義一君の質疑を行います。角田君。
○角田義一君 先ほど法制局長官は、日本の憲法の解釈上、核兵器を持っても構わないんだというような驚くべき解釈をしているんですけれども、我々は到底これは納得できません。逆に憲法上核なんか持てないからこそ非核三原則やいろいろな政策があるのであって、あなたの言っていることは本末転倒しておる、そんな解釈は絶対国民の納得は得られないということだけきつく申し上げておきたいというふうに思うわけであります。
 そこで総理、先ほど韓ソの首脳会談が開かれまして、両国で、若干の時間をかけ、手順をきちっと踏んだ上で正式に国交を樹立するということが合意された。さらにまた、朝鮮における軍事的な緊張緩和と統一のためにお互い努力するということが確認されたやに報道されておりますが、私は大変画期的なことだというふうに思うのでございますけれども、総理のこれに対する所信を承りたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま衆議院の本会議が終わってここへ来るまでの間でこれを、私もその報告を受けたところでありますが、韓ソ首脳会談につきましては、韓ソの国交関係は今後具体的に協議をしていく、そして韓ソ首脳が意見交換したことに意義がある、韓ソ首脳会談は朝鮮半島統一に向けた新しい道しるべになる、これは終わってから盧泰愚大統領が記者会見をされたときの要旨というふうに聞いております。
 また、いつ正常化するのかということに関しては、国交正常化問題については、ゴルバチョフ大統領が両者が会ったこと自体が正常化の始まりであると強調をされた、完全な正常化には今後手続等時間がかかるという双方の理解のもとに推進していくこととしたいと、こうなっております。
 したがいまして、私はこの本日午前の会談で緊張緩和に資するものとして韓ソ関係の進展を歓迎いたしますし、同時に、韓ソ関係の進展は朝鮮半島分断の背景にあった東西対立の図式の変化を示すものとしております。我が国の果たし得る役割には限界はあると思いますが、できる限りの貢献を行いながら、この好ましい状況がさらに前進し定着していくように私は努力をしていきたいと、こう考えます。
○角田義一君 外務大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 今総理がお答え申し上げましたとおり、私も総理の今御答弁の内容と全く一緒でございます。
○角田義一君 じゃ、この問題はまた後でちょっとお尋ねしていきたいと思います。
 外務大臣にお尋ねしますけれども、今回のリムパック90ですね、これはアメリカ政府はソ連政府に対してこの演習をやるということの通告をしておるのでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの件は外務省の北米局長から答弁させます。
○政府委員(松浦晃一郎君) 大変申しわけございませんが、私どもソ連に対してアメリカが通告をしたかどうか承知しておりません。
○角田義一君 これは私は極めて大事なことだと思うんですね。
 じゃお尋ねしますけれども、日本政府はリムパックに参加するについてソ連政府に通告をいたしましたか。
○政府委員(米山市郎君) お答えいたします。
 我が国はソ連には通告いたしておりません。
○角田義一君 なぜ通告しないんですか。これは局長じゃないですね、防衛庁長官にお尋ねします。なぜ日本政府はソ連政府に対してリムパック90に参加することを通告しないんですか。あなた、ちょっと待ってくださいよ。私は防衛庁長官に聞いているんですよ。
○政府委員(米山市郎君) このリムパックはアメリカ第三艦隊が主催をする演習、訓練でございまして、我が国はアメリカとのみ直接連携をするような形で訓練をいたしております。そういう意味でアメリカとの調整という形で私どもはこの演習に参加をいたしております。
○角田義一君 私はそんな答弁を聞いているんじゃないんだ。要するに、これだけの大問題なんだ。ソ連との信頼関係をどう醸成するか、信頼関係醸成の一つの手段ですよ、これは。通告をする、あるいはソ連の海軍将校を招待する、こういうことをやるべきなんです。なぜ通告もせず、あるいは招待もせず、まあ招待はさておいても、通告さえしないんですか。これは防衛庁長官に聞きたいんだ。
○国務大臣(石川要三君) 今政府委員から言われたとおり、通告はしないわけでありますが、なぜしないかということは私にもわからないんだけれども、また、なぜ通告しなければならないか、私はむしろそういうふうに思います。
○角田義一君 私は通告した方がいいと思っているんですよ。信頼関係の醸成措置として大規模な軍事演習をやるとき、お互い通報しようじゃないかという今、世界の流れになっているんじゃないですか。それが突発事故を防ぎ、信頼関係を少しずつでもつくっていくということになるんじゃないんですか。
 逆に日本政府はアメリカ政府に対して、アメリカ政府がソ連政府に対して通告してくれないか、あるいはソ連の将校をその軍事演習に招待したらいいじゃないか、このくらいの進言をする気持ちがあっていいと私は思うんだけれども、どうですか。外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) アメリカの海軍と日本の海上自衛隊がお互いの戦闘技術向上のためにこの訓練をやるということでございまして、アメリカ側とソ連との間の信頼醸成措置が進んでおれば、当然米側からこのような演習についての通報はソ連にされる可能性があると、私はそのように思っております。
○角田義一君 そうすると、先ほどの御答弁では、局長は、アメリカがソ連に対して通告したかしないか知らない、こう言っていますな。
 そうすると、外務大臣はどうなんでしょうか、通告すべきである、そのことをアメリカ政府に日本政府としては進言した方がいいというふうに思っておりますかどうかということです。
○国務大臣(中山太郎君) それはアメリカの軍が、あるいは政府が判断をするべきものであろうと思います。
○角田義一君 私はそういう進言をすべきだと思っているんです。そのくらいのことは日本政府としてできるんじゃないですか。
 私は逆に言いたいのは、通告もできない、あるいはソ連将校を招待もできない、ソ連政府に見せられないようなそういうおどろおどろしい演習をやっておるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか、防衛庁長官。
○国務大臣(石川要三君) 残念ながら角田委員と私はかなりその見解は異なっておるように思います。したがいまして、先ほども質疑の中でございましたように、要するに防衛庁設置法の六条第十二号ですか、そういう中での訓練でありますので、それを通告しないということ自体と日ソの信頼の醸成の問題とは私は必ずしも同じものではない、このように思っております。
○角田義一君 私は日本とソ連とは絶対戦争をしてはいかぬと思っているんですよ。どんなことがあっても戦争をしてはいかぬと思っているんです。だから戦争をやらないためにどうしたらいいか。少しでも信頼措置をとることに努力するということでなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。どうでございますか、防衛庁長官。
○国務大臣(石川要三君) 私はソ連のみならずどこの国とも戦争をしてはいけないと思います。しかし、それと訓練の問題とは私はやはり次元が違うと思います。
○角田義一君 そこが一番肝心なところなんですね。そういう発想でいるからもっとも日ソの関係も進展しないんじゃないですかね。これはやはり信頼醸成措置というのはお互い誠意を持って少しずつ少しずつ積み上げていく必要があるんですよ。そういうことをやることが極めて大事だと思うんです。
 じゃ逆に行きましょうか。一九八九年五月にソ連政府は、ソ連太平洋艦隊の演習に日米を含む十五カ国の海軍代表をオブザーバーとして招待したんですね。日本は招待を受けたはずです。これはどうしました。断りましたか、行きましたか。
○政府委員(日吉章君) そのときには日本政府は断りました。その理由といたしましては、非常にショートノーティスな突然の招待であったという点がございます。それから、招待されました訓練内容につきまして、無理にいろいろな日程をやりくりいたしまして行くに値するようなそれほどの訓練内容、そういうふうなものと私どもは考えられませんでしたものでございますから、丁重にお断りをいたしました。なお自由主義諸国で参加した国は限られていたと、かように承知いたしております。
○角田義一君 自由主義諸国で行った国があるんですか。明らかにしてください。
○政府委員(日吉章君) 突然のお尋ねでございますので、資料を持ち合わせておりませんので定かにお答えすることは御勘弁をいただきたいと思いますが、自由主義諸国という定義がよろしいんでしょうか、ASEAN諸国の中では参加した国があったのではないか、招待に応じた国があったのではないかと記憶いたしておりますが、定かな記憶ではないことを御勘弁いただきたいと思います。
○角田義一君 簡単には御勘弁できませんな、こんな大事な問題を。
 私は、ソ連政府からわざわざ日本の海上自衛隊に対して演習を見にきてくださいというふうに言っているんだから、これは私は万障繰り合わせても行くべきなんです。それがやっぱり信頼関係をつくることになるんですよ。それを手間暇へったくれなんという、ろくな理屈もつけないで、要は行きたくないということなんです。ソ連との信頼醸成措置なんかつくる必要はない、こういう発想が基本にあるから例えばこういうソ連の招待に対しても真剣に取り組まないんじゃないですか。これは外交の基本に関する問題ですよ、ソ連と日本とこれからどうするかの。外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) その時点で安全保障上の信頼関係が十分醸成されていた国際情勢ではなかったと私は認識をいたしております。それ以後米ソを中心とするいろんな軍事力の削減問題をめぐる軍縮の交渉が現在進んでいることが、その当時には見られておりませんでした。こういう中で信頼醸成が世界的にまだつくられていなかった、私はこういう環境でなかったかと思います。
○角田義一君 信頼醸成措置がつくられていないからこそやらなきゃならぬことなんです。そんなものができていれば何も苦労は要らないんです。信頼醸成措置というのはそういうものを必要とするからこそ努力をしなきゃならぬということになるんじゃないですか。
 もう一つ、じゃ聞きましょう。ソ連は、海軍の演習というか勉強というか、それに海上自衛隊の将校を呼んでもいいというふうに聞いておりますが、もしそういう招待なり科学アカデミーで勉強してもらいたいという要請があったら真剣に考えますか、日本政府は。どうですか。
○政府委員(日吉章君) ソ連と日本との全体的な外交的な見地から総合的に考えまして検討をさせていただきたいと思っております。
 なお、先ほどのソ連の日本海での演習への招待に対しまして応じまして参加いたしました国は、インド、インドネシア、マレーシア、ベトナム、かような国であったということがわかりましたので、御報告申し上げます。
○角田義一君 この問題については、こういう国際情勢ですから、前向きにひとつ考えてもらわなきゃいかぬと思いますし、私は率直に申し上げまして、リムパック90、来年あるかどうかわかりませんが、仮に万一あるとした場合に、やはり私が今申し上げた問題については真剣に考えてもらわなきゃならぬ問題だというふうに思っておりますが、防衛庁長官、いかがですか。
○国務大臣(石川要三君) 今何といっても突然の御質問でございまして、うかつなことを申し上げるといろいろと影響を及ぼすことが非常に大きいこういうふうに思っております。したがいまして、そういう事態の場合には十二分に慎重な検討を要することではなかろうかと、かように思います。
 ただ、一言申し上げたいのは、角田委員と私は見解をかなり隔てておるわけでありますけれども、事はやはり防衛問題ですから、日ソの信頼醸成というものはこれは各般でやらなきゃいけないと思いますが、やはり防衛というこれは極端に言えば軍事の関係でありますから、そういう点ではいろいろと普通の行政と私はいささか違う点もやはりあるんじゃなかろうかなと、かように思うわけであります。
○角田義一君 防衛庁長官はシビリアンコントロールの親分なわけですからしっかりしてもらって、やっぱりそういう信頼醸成措置についてはこれは先頭に立ってやってもらう。要するに戦争をやっちゃならぬのですよ、幾ら軍備をつくったって。そうでしょう。だからそれはそのようにやってもらわなきゃいかぬということを申し上げておきたいと思います。
 それで、もう一つ聞きますけれども、この「リムパック90の概要について」という政府からいただいた文書を読みますと、訓練が幾つかの段階に分かれておりまして、第五段階では「対潜捜索攻撃訓練」ということで、「ソーナー等を使用して目標潜水艦を捜索、探知、識別し、魚雷等を使用して攻撃するまでの一連の手順」、こういう訓練をやることになっているんですな。これはあなた方示してくれたんで間違いないと思うんですが、そこでお尋ねしますけれども、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、ミャンマー、台湾、韓国等は潜水艦を持っていますか。
 持っていないんです。インドネシアは二隻あるし、今言ったベトナム、タイとかそういうのは持っていないですよ。台湾、韓国は四隻、三隻あるけれども、原子力潜水艦を持っているのはインドが一隻です。あとはソ連。この対港哨戒機で、P3Cで探し当てなきゃならぬそういう潜水艦を持っているのはソ連だけじゃないですか、相手にしなきゃならないのは。ほかにあったら教えてください。
○政府委員(日吉章君) 多数の潜水艦を擁しまして我が海上交通要路周辺を潜航し、行動を常時しておると思われますのはソ連だけかと思います。
○角田義一君 ソ連しかないのですよ、P3Cで追っかけ回さなきゃならぬようなのを持っているのはソ連しかない。それにもかかわらず、いいですか、この「リムパック90の概要について」という文書を見ると、一番最後に何て書いてあるか。この訓練の想定は、特定の国を共同して防衛するといったものでもないし、特定の地域または海域を共同して防衛するといったような地政学的または地理的意味を持つものでもないと、こう言っているんじゃないですか。要するにこれは、はっきり言えば仮想敵国なんていうものはないというふうに言わんとしておると思うんです。ところが肝心なこのリムパックをやる共同声明にはこの文章が落ちている。説明してください。
○政府委員(米山市郎君) 先生お尋ねの共同声明というのは、第三艦隊が各国と調整をしながらまとめて、各国同時に発表するものでございます。ま、それを補完する形で我が国は、この共同発表文と同時に、我が国のリムパック参加についての説明をしているものでございまして、私どもの方はより詳しく内容を説明するというような形になっております。
○角田義一君 じゃ聞きますけれども、この共同声明の責任者はだれですか。日本側の責任者は、どこが責任を負うんですか。外務大臣ですか、防衛庁長官ですか。
○政府委員(米山市郎君) 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、この共同声明と申しますか、声明というほどのものではございません。リムパックの概要についてのいわゆるPR資料でございます。同時発表文の中にはリムパックの日程、参加国それから目的、参加指揮官名筆、同訓練の概要について参加国が同時に発表するためのものでございます。我が国といたしましても、防衛庁長官に報告をし、了解を得て発表しておるものでございます。
○角田義一君 要するにあなた方は、今私が申し上げたような地政学的云々というような条項を共同声明に盛り込ませる、そういうことはできないんですよ、それは。アメリカが納得しませんよ。アメリカは、はっきり申し上げまして、この演習は対ソ戦略の一環としてやっているんだから、日本政府が幾らリムパック概要でこんな説明をしたって、このことを共同声明に書いてくれ、入れてくれとアメリカ政府に言ったって、アメリカ政府がうんと言いますか、どうですか。
○政府委員(米山市郎君) この共同発表文を先生もお持ちかと思いますが、3の中にこの訓練目的が掲げてございますが、「この訓練は、専ら、通常兵器による海上戦闘のほとんどすべての主要な局面において参加部隊の戦術技量を向上させることを目的として行われる。」ということで、リムパックの目的をここにはっきり書いてございます。そういう意味で、先ほど我が国の公表文の中にございますような形の趣旨は、この戦術技量の向上を目的とした訓練であるというところにはっきりあらわれていると思います。
○角田義一君 訓練は戦術技量を高めるためにやるに決まっているんですよ。問題は、いわばソ連をはっきり申し上げまして仮想敵国にするようなことをまさか日本政府としても書けないでしょう、あなた方。だから、こういうおためごかしの文章を書いておるんだけれども、私に言わせれば、アメリカ政府にこういうことを書いてくれと要求したんですか、しないんですか、じゃ、まずそれを聞きましょうか。
○政府委員(米山市郎君) 先ほどの我が国の発表文にございます「特定の国を共同して防衛するといったものではなく、また、特定の地域または海域を共同して防衛するといったような地政学的又は地理的意味を持つものでもありません。」という点につきましては、アメリカ政府とも確認をしている問題でございます。従来からこういう姿勢でリムパックは対応しておりますので、事改めて米政府の方に要請はいたしておりません。
○角田義一君 事改めて共同声明に書く意味があるんですよ。事改めて書く意味があるんです、本当にそうであるならば。私はアメリカは絶対納得しないと思いますよ、そんなことを言ったって。もう一遍聞きましょうか。防衛庁長官に聞きましょう、これ、どうですか。
○政府委員(米山市郎君) 訓練の性格につきましては、先ほど来申し上げておりますように、戦術技量の向上を目的とするものであるという点については、私ども昭和五十四年に参加する当時から米海軍との間ではっきりと確認をされている問題でございます。そういう意味で、共同発表文の中には書いてございませんが、我が国の公表文の中には記載をしているわけでございます。
○角田義一君 これ以上また質疑をしてもしようがない。私はアメリカ政府は絶対認めないと思っているんですよ、これは。だから日本政府もそんな要求をするあれはないのです。意図もないと私は見ておる。
 そこで、もう一つ聞きますが、外務大臣、今度のリムパック90で韓国海軍が参加しております。この韓国海軍が参加することについて、日本政府はアメリカ政府に対してその背景説明を求めましたでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、今回のリムパックには韓国が初めて参加しておりますけれども、どういう経緯で参加したか私ども存じておりません。また、韓国とアメリカの間にどういうやりとりがあったかも存じておりません。
○角田義一君 私は恐るべき外務省だと思うんですよ。恐るべき外務省ですよ。いいですか。御案内のとおり分断国家の一方の韓国海軍と、日本の海軍と言うとみんな笑うけれども海上自衛隊と、アメリカ海軍と共同演習をするわけですよね。一体どういう結果をこれがもたらすか。南北朝鮮の統一という大きな問題を抱えているわけでしょう。その朝鮮統一のために努力するということを再三言っているわけですよ、日本政府は。この韓国海軍と組んで共同演習をするというようなことが一体朝鮮の統一にとってどういう影響を持つかというようなことを全く考えないんですか。これは外務大臣に聞きたいと思いますよ。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、南北朝鮮の平和的な話し合いが一方で進むという中で米ソの話し合い、韓ソの話し合いが進んでおるわけでございますから、この海上自衛隊の演習、米国海軍の演習、それとまた次元の全く違う問題だと私は思います。だから、韓半島あるいは朝鮮半島の平和的な統一のためにみんなが努力をしている、外交的に。こういう中で、海上自衛隊が独自の戦闘技術を向上させるために米国海軍と共同で演習をするということと南北朝鮮の平和的な統一に私どもが協力することとは何ら関係がないと、私はそのように認識しております。
○角田義一君 私は外務大臣を大変尊敬しているんですけれども、ちょっと今のあれは納得できませんですね。
 要するに私が申し上げたいのは、朝鮮と日本の関係というのは非常に複雑なものだと思っている。三十六年間も植民地でもありましたし、ひどい目に遭っているわけですよ、朝鮮の人たちは。その一方の韓国の海軍と日本の海軍が合同演習する。そのことを知ったときに朝鮮の民衆はどう思うかということですよ。どちらと組もうと、これは二つに分かれて演習をしますから。アメリカと日本が組んで、韓国そのほかの軍が組んで演習する場合もあるでしょうし、あるいは日本が韓国と組んで演習をする場合もあると思いますけれども、いろいろなケースはあるにしても、私は非常に複雑な屈折した気持ちを韓国の人たちは持つと思いますよ。日本の軍部と韓国の海軍はなぜ共同演習をしなきゃならないかと。そういうところまで考え抜いて日本の外交なり防衛政策なりというものは進めなきゃいかぬじゃないですか。最低の配慮だと思いますよ。どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 日本政府としては、韓国と日本とが一緒になって米国の海軍と共同演習をするという考え方には立っておりません。
 私どもは専守防衛でありますから、その専守防衛をする海上戦力の中で我々の国の自衛隊がアメリカの海軍と共同演習をすることによって戦闘技能を向上する、こういうことが原則でございます。この原則は私は一切狂わしていないと、このように認識をしております。
○角田義一君 お言葉でございますけれども、この共同演習はアメリカの要するに第三艦隊の司令官が調整をすると言っているんですね、指揮を全部。調整をするという言葉になっています。てんでんばらばらでやるわけじゃないわけですよ。てんでんばらばらでやったのではこれは共同演習になりませんから。どこかがイニシアチブを握って、これは統合という言葉を使ってはちょっときついと思いますけれども、ちゃんと調整して一体のものとして訓練されているんじゃないですか。どうですか。
○政府委員(米山市郎君) リムパックは、今お話しのように、米海軍第三艦隊が主催をする総合的な訓練でございます。訓練計画等の全般的な調整、これは米海軍第三艦隊の司令官が行うものでございますが、個々の部隊の指揮につきましては各国指揮官の責任のもとに実施をされるというものでございまして、ことし行われましたリムパック90が米海軍司令官の全般的な指揮権のもとに行われたといったような事実はございません。
○角田義一君 そんなことはだれも信用しませんよ。てんでんばらばらであれだけの大部隊が勝手に動くなんということは許されっこないんだよ、調整という言葉は使っているけれども。こんなのは軍事常識ですよ。アメリカの海軍がしっかり急所を握っておるわけです。その統制のもとに全部動くんでしょう。そうでなきゃ共同演習の意味がないじゃないですか、どうですか。
○政府委員(米山市郎君) 先ほども御答弁申し上げましたように、全般的な計画の調整、これは第三艦隊司令官が行いますが、そのほか各場面場面における調整といったようなものももちろんございます。しかし、指揮はそれぞれの国の司令官、それぞれの部隊の司令官が行うというものでございます。
○角田義一君 最後に総理にお尋ねしたいんですが、私が今まで申し上げたリムパックのいろいろな問題、核の問題であるとか指揮権の問題であるとか、あるいは今言った韓国の参加の問題であるとか、それからソ連との信頼関係醸成の問題であるとか、こういう問題をいろいろ含んでいるわけですよ、分析していけば。それを防衛庁だけに任せて閣議で決定もしないということで果たしていいんでしょうか。
 私は非常に疑問に思うんです。これは閣議でもって議論をして決めるなら決める、そして国会に報告をして承認を求める、これが私は筋だと思いますが、いかがですか。――これは総理ですよ。訓練局長が出てくるものじゃない。あんたは総理大臣じゃない。だめだよ、そんな。冗談じゃない。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題については事前に私は防衛庁から報告を受けました。しかし、閣議で諮って閣議決定をしなければならない問題だとは考えておりませんでして、閣議に一々諮る問題ではないと、こう理解をしております。
○角田義一君 これはまことに残念な答弁です。文民統制というものを総理大臣がしっかりやってもらわなかったら軍部独走ですよ、これははっきり申し上げて。軍部独走。本当にそうですよ。笑い事じゃない。文民統制なんか全然どこかへ行っちゃっていますわね。これは総理の答弁は納得できない。やっぱり三木さんのまな弟子であるなら、もうちょっと文民統制をしっかりしてもらわなくちゃならぬと私は最後に申し上げておきます。
 それから、時間がありませんから、あと二つの問題をちょっとお尋ねします。
 総理、去年のたしか九月に東京パグウォッシュ会談というのが行われたんですけれども、そのパグウォッシュ会談の宣言、これはお目を通すようにお願いしてございますが、その中で、特にアジア・太平洋における緊張緩和、軍縮の問題については、この緊張緩和をする、あるいは軍縮をする意思というものが不存在である、こういう指摘があるようですね、第四項に。要するに今このアジア・太平洋、北東アジアでもって必要なのは軍縮を起こすためのアクションである、行動である、こういうふうに宣言では書かれておるわけでございますが、総理とすれば、これだけ世界情勢が動く、アジアの情勢が動く中で、アメリカ、ソ連、中国あるいは南北朝鮮、そしてカナダ、日本等が一堂に会す、アジアにおける軍縮のための一歩を踏み出すということで行脚して、そして一堂に会す、こういう努力をする価値が私はあると思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) パグウォッシュ東京宣言というのは私も読ませていただきました。それで、その考え方も、いろいろな方々の御議論も聞きました。今日の国際社会においては力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えているのが現実ではありますし、また米ソ間及びNATO、ワルシャワ条約機構間の軍備管理・軍縮交渉においても、このような考慮を払いながら均衡を崩さないという形で今真剣に取り進められておる最中であると私は見ております。有効な抑止力の維持を考慮しない軍縮措置は実効がないのではないか。また、国際の平和と安定に寄与するためにはそのような本当の信頼関係に基づいた有効な相互の措置が必要であると考えております。
 特に、アジア・太平洋地域におきましては欧州といろいろ異なるということは、米ソの指導者自体も最近の記者会見等でも述べておるとおりでございます。また私は、アジアの地域の人々が一つのテーブルに集まって平和と安全を話し合うということは極めて大事なことだと思っております。現にそれは行いつつある面もございますが、なかなか難しい側面もございます。そういったことで、すべての国々がそういったものに参加をして率直にそのような話し合いができるような環境づくりといいますか、こちらからも積極的にそういったことを提案したいという気持ちは十分持っておりますし、また現に行動しつつある面もあるわけでございますから、そのような考えに基づいて有効的な、効果の出る話し合いを続けていきたい、このように考えます。
○角田義一君 残念ですけれども、これで終わります。どうもありがとうございました。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で角田義一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 最初に、同僚委員から今までも質問がございましたけれども、私たちの党としましても、今回の各国首脳会談につきましては非常に評価をしているわけでございます。米ソ首脳会談の成果につきまして、繰り返してお聞きするようでございますが、総理の見解をお尋ねしておきたいと思います。
 最初に、STARTの調印への前進ですね、これは先ほど、午前中も核軍縮への大きな第一歩であるということでお話しございました。その点について、もう一度御発言願えませんでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 米ソ首脳会談の成果をどう思うかというお尋ねでございますが、戦略兵器削減条約の合意や通商協定の調印に大きな前進が見られました。私はこれについて、米ソ二国間で冷戦時代の発想を乗り越えて多くの努力が積み重ねられておるその一つの段階として今度の首脳会議を評価したいと思います。特に、今御指摘の戦略兵器削減交渉に関して基本合意が達成されたことは、均斉のとれた戦略核大幅削減を目指すSTART条約署名への道を開くものでありまして、私としてもこれを歓迎いたしております。また、米ソ通商協定が署名されるに至ったことも、二国間の経済関係を改善しようとする両国の意欲のあらわれとして私は注目をいたしております。
 ただ、統一ドイツのNATO帰属問題やリトアニア問題等については、依然として両国間に大きな立場の相違が残されているようでありますが、首脳の間ですべての問題を率直に語り合うことのできる信頼関係がさらに強化されたことは、東西関係及び世界の平和と安定にとって極めて有意義なことであったと私は考えております。
○太田淳夫君 ゴルバチョフ大統領が記者会見をされました中で、アジアと欧州の相違点が指摘をされているわけでございますけれども、今までも政府はいろいろとこの委員会でも答弁をされておりましたけれども、そういう情勢分析と軌を一にするんだという御答弁ではなくて、このゴルバチョフ大統領の発言の中で、確かに欧州とアジアの状況というのはいろいろな違いがございます。しかし、その中で日本としてどういうような役割を果たしていかなけりゃならないか、これは大事な問題になってくると思うんですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、軌を同じくしておるというんじゃなくて、私どもが今日までいろいろと委員会の御質疑を通じて答えておりました問題、欧州のような状況でアジアにそのままそれが押し及んでくるというんじゃなくて、アジアにはアジアなりのいろいろな複雑な問題があるわけでありますから、例えば東西の対立が終わったといっても、中国は東西のどちらの陣営に属するのかというようなことについては、どちらでもないという立場もあるわけですし、また現に月曜日からの、呼びかけて行っております東京におけるカンボジア問題の和平会談においてもいろいろなプロセスがあって、これも東西対立ではなくて複雑な問題がございます。けれども、戦火が続いておるという現実は事実ですから、これを抑えなきゃならぬ。
 朝鮮半島の問題についても、それぞれの国の意向を尊重しながら、朝鮮の問題は朝鮮人の間できちっと話し合って決めてもらうのが大前提でありますけれども、日本としても要請があればできるだけの協力はそれぞれしなきゃならぬということは何回も申し上げてきたところでありますが、たまたまゴルバチョフ大統領の記者会見を聞いておりましたら、それと全く同じ見方であって、アジアは非常に複雑である、したがって、欧州のバリエーションがそのまま適用できるとは思わない、そして、日本を訪問するつもりもあるから、日本ともそのときは抜本的な対話を開きたいと思っておる、アジア・太平洋における努力を続けたいということをおっしゃったんですから、我々が今日まで考えて言ってきたことと、やはりアジアの情勢というものを見られた目は同じだったなと、結果としてそうなるということでございます。
 我々は、今日までの努力を引き続き続けていくことには全く何の変わりもございませんし、御理解をいただきたいと思います。
○太田淳夫君 日本としてどういう役割を果たされる決意であるかとお聞きしたわけでございますが、それでは、ゴルバチョフ大統領の来日も確実になってきたようでございますけれども、これはもう来年というのはすぐ参ります。それにどんな準備、対応をされる決意でおいでになりますか。
○国務大臣(中山太郎君) この大統領の来日の前にシェワルナゼ外相が日本に来られる、そして日ソ外相会談を行って、日ソ間の懸案問題、あるいはまたアジア・太平洋の軍縮の問題等、いろいろなお話が出てまいりましょう。また、年内遅くに日本の外務大臣がモスクワを訪問してさらに詰めるというような過程の中で、大統領の訪日についての準備あるいは討議の問題、いろいろな問題が整理されていくものだと考えております。
○太田淳夫君 これ報道を見ますと、総理、ブッシュ大統領が、さきの米ソ首脳会談で北方領土の返還問題をみずから取り上げた、こういうメッセージを海部総理に送った、こういう報道がされておるわけでございますが、その点いかがでしょう。今回のこの米ソ首脳会談で北方領土につきまして討議をされたんでしょうか。
 また、政府の四島返還というその原則は変化はないんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今回の米ソ首脳会談の中で、アジアの情勢についていろいろ議論した中で、日本の北方領土問題をアメリカ側が取り上げて、これはアジアの安定のために重要な問題であるし、アメリカは日本の立場を支持しているということについて話し合いをしたと、これはけさ直接電話で私はブッシュ大統領からも聞きました。ただ、その具体的な進展とか、それについてどうのこうのという結論にまでは至っていないようでございます。
○太田淳夫君 もう一つ、政府の北方領土の四島返還、それはまだ変更はないかということです。
○国務大臣(海部俊樹君) 北方領土返還の北方領土というのは、四島一括を政府は従来どおり主張し続けていくつもりでございます。
○太田淳夫君 先ほどもこの問題につきましては同僚委員から質問がございましたが、韓ソ両大統領会談、この及ぼす影響について、年内に国交回復かということも言われておるわけでございますが、やはりアジアの平和と安定にとりまして両国の対話というのは明るい展望が持てると思うんですが、その点もう一度御答弁願いたいと思うんです。
○国務大臣(海部俊樹君) 韓ソ首脳会談の結果、先ほど盧泰愚大統領の記者会見についての報告を受けましたけれども、韓ソの国交関係は今後具体的に協議をしていく、韓ソ首脳が意見交換をしたことに大きな意義があった、韓ソ首脳会談は朝鮮半島統一に向けた新しい一つの目標になる、国交正常化問題については、ゴルバチョフ大統領が、両者が会ったこと自体が正常化の始まりであると強調され、完全な正常化には今後手続と時間がかかるという双方の理解のもとに推進していくことにした、このような記者会見が行われておりますので、そのような話し合いが行われたものと私は理解をしております。
○太田淳夫君 この両首脳会談ですね、やはり朝鮮半島の問題については討議がされていると思うわけでございますけれども、東西両ドイツがもういよいよ統一されるということが決定しておりますけれども、そうなりますと、やはり最大の懸案というのは南北朝鮮の統一問題ではないかと思うんです。東西両ドイツの統一以上にこれなかなか難しい問題があろうかなと私たちは考えておったわけでございますけれども、世界の潮流でありますところの自由化あるいは民主化という方向、これは国家主権に関する問題でございますので軽々しく申し上げるわけにはいかない点でございますけれども、両国の対話を促進するような方向に今流れているんじゃないかと思うんですね、これは。良好な関係を重視せざるを得ないんじゃないか、こう考えておりますけれども、総理、どうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 過日の盧泰愚大統領との首脳会談におきましても、韓国側は南北の平和的な統一というものを強く願いに出し、今世紀中にはそれを実現するようにしたいという強い希望も表明されました。同時に、今御指摘のように、ドイツにおける東西ドイツの統一が朝鮮半島の南北の統一に、それぞれその国民の合意によって平和的な手段、方法で前進していくことを私はともに歓迎し、ぜひそのように両国間の話し合いが朝鮮半島でも朝鮮人自身の意思と行動によってまず進められていくことを強く願っておるわけであります。
○太田淳夫君 韓ソの対話が進む中で、北朝鮮側ではそれに対する反発ということも報道されているわけでございますけれども、そうなりますと、北朝鮮が孤立化をしていく、あるいは疎外感を持っていくようなことも考えられるわけでございますが、やはり今お話にありましたように、それはもちろん朝鮮の皆様方がお互いにお話し合いになることが大事でございますけれども、私たち一番近くの隣国としまして、歴史的にも文化的にも深い関係を有する我が国でございますし、外務大臣からも総理からも、それぞれ要望があればこちらから行動するというお話は再々いただいておりますけれども、そういう傍観的な立場じゃなくて、何かやはり日本として、隣国の問題でもございますけれども、例えばアメリカと北朝鮮との間を仲介するとか、そういうような行動はとれないものでしょうか。その点どうでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 日本がアメリカと北朝鮮の間で調整をする役目を持ったらどうかというお尋ねじゃないかと思いますが、むしろ北朝鮮と米国との間では、北京にある米国大使館あるいは北朝鮮の大使館を通じていろいろと接触が行われた結果、先日の米国の軍人の遺骨が引き渡される、こういうふうな経過が生まれております。つまり米朝関係ではいわゆる話し合いの窓口が開きつつある。こういう中での韓ソの大統領会談、こういう図式が出てきたわけでありますから、私ども日本としては、米国と北朝鮮の間が話し合いがさらに進むということは日本は歓迎をするものでございますが、それがひいては南北朝鮮の平和的な話し合いに米ソの仲介によってさらに話が進む、日本もできればその環境醸成に協力をするということが日本の立場ではないか、このように考えております。
○太田淳夫君 外務大臣のお答えにつきましては私も十分承知はしているわけです。その上で御質問をしたわけでございます。と申しますのは、この委員会でもお話しございました北朝鮮との関係の中で、富士山丸の問題につきましては外務大臣からもお答えをいただいているわけでございますが、当院の他の委員会でも、あるいは予算委員会でも再三問題として取り上げております日本人妻の皆さん方の自由往来の問題等がまだ残されているんじゃないかと思うんですね。その点に関連してちょっとお聞きしたわけでございます。
 最初に、法務省にお尋ねいたしたいと思うんですが、在日されている朝鮮人の皆さん方の再入国許可による出国について、一九八九年の出国者数並びに本年五月末日までの出国者数は何人でしょうか。
 また、北朝鮮からの来日者数につきましても、一九八九年の人数、そして本年五月末日までの人数をお知らせ願いたいと思うんです。
○政府委員(股野景親君) まず、在日朝鮮人の人々の北朝鮮訪問を目的とする再入国許可の件数でございますが、一九八九年においては合計七千九百七十七件となっております。ことし一九九〇年では、年初から三月末までで八百十三件の再入国許可を出しております。
 他方、北朝鮮からの日本に対する入国者の数につきましては、北朝鮮からの新規の入国者の数でございますが、一九八九年は合計百八十名でございました。ことし一九九〇年は、年始から始めまして五月末までに百四十名となっております。
○太田淳夫君 我が国としましては北朝鮮に対しまして再入国許可による出国をかなりの程度認めていることがわかるわけでございますが、さて、昨年の暮れに、これは外務大臣も御存じだと思いますが、日本人妻自由往来議員連盟ございますね、北朝鮮にお見えになる日本人妻の皆さん方に対しまして約百二十こん包ほどの救援物資を送りました。これは外務大臣も賛同されていただきましたのでよく御存じだと思うのでございますけれども。ところが五カ月を過ぎた現在におきましても、いまだそれに対する一通の返事も届いておらないということが言われております。それのみか、関係の御家族のお話を伺いますと、東欧の情勢変化、それ以後実は日本人妻の皆様方からのお便りも途絶えている、こういう状況だそうでございますけれども、このことについて外務大臣としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 人権を尊重する私どもの日本という国の中での立場で考えますと実は考えられない事態ではないかと思います。私ども政府といたしましても、この北朝鮮に行かれた日本人妻の方々がみずからの健康あるいは安否について日本にいらっしゃる御親族に文書が送られるような、朝鮮民主主義人民共和国での政府の理解が一日も早く得られて、人権が尊重される社会が確立されることを日本としては心から期待いたしております。
○太田淳夫君 そうしますと、先ほどの話にちょっと戻りますけれども、この日本人妻の皆さん方の便りが途絶えましたことは、国際情勢の大きな流れに対応した北朝鮮の態度の硬化なのか、あるいは何か別な事由によるのか私たちにはその判断がちょっとつきかねるわけでございますが、外務省としてはどのような観測をされておりましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) まことに残念でございますけれども、北朝鮮の国内における情報はなかなか入手が難しい、このような情勢でございますが、私は外務省の出先に対しましても、機会があれば北朝鮮の在外公館の方々とも接触をするべきであるという判断で指示をいたしております。しかし、その中の話というものはなかなか入ってこないということはまことに残念なことだと思っております。
○太田淳夫君 それで、情勢判断はちょっとわかりませんけれども、この会談等が北朝鮮を国際的に孤立化させるおそれのないように、やはり私たちは隣国でございますし、半島の安定あるいは緊張緩和のために関係諸国、特にアメリカとの間でございましょうけれども、北朝鮮の問題についてやはり日本から指導的な立場で呼びかけを行ったり関係の良化をしていただきたいと、こう思うわけでございますが、それはやはり何かの意味でそういう日本人の妻の皆さん方の問題にも反応があるんじゃないかと、こう思っておるわけでございます。そういう意味で、我が国の北朝鮮政策の方向性、今後どういうふうにこういう事態の進展の中で考えていこうとされているのか、その点ありましたらちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。
○国務大臣(中山太郎君) 午前のこの委員会での御質問にもお答えを申し上げておりますけれども、竹下内閣当時の国会答弁の政府の考え方というものは現内閣でも変わっておりません。私どもは常に無条件の状態で北朝鮮との関係が改善されることを期待しているわけでございますし、政府としてはできるだけの機会に接触ができるように努力をいたしております。また、各党の中でいろいろと北朝鮮と日本の友好促進のために御苦労いただいている議員の先生方もたくさんいらっしゃると存じておりますけれども、いろんなルートで日本の考え方、また北朝鮮が孤立しないように、国際社会に話のできる窓を開かれることが期待されるものと考えております。
○太田淳夫君 今後もいろいろと接触をされるやに伺っております、交渉ですね。その中で、どうかこういう日本人妻の皆さん方のことも念頭に置いて対応されることを願っております。
 次に、今カンボジアの問題がいろいろあるわけでございますが、これは地域紛争解決の仲介としては戦後日本外交で初めてのことだと承っておるわけでございますが、せんだって三項目の提案をされておりますね。その内容はどんなような内容でしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 具体的にアジア局長から御答弁をさせていただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 私どものカンボジア和平についての基本的な考え方は、第一点は、やはり部分的な解決ではなくて包括的な解決がもたらされるべきである。それが永続的な和平を確保するゆえんであろうということでそういうふうに申し上げておるわけでございます。
 第二点は、やはりオーストラリア等が非常に熱心に進めておるわけですが、国連の役割というのがございますが、やはり時期至らば国連のお役割というものが和平の過程であり得るだろうということ、私どももそういう意味においてオーストラリア等の考え方を支持しております。
 第三点は、ポル・ポト、クメール・ルージュの問題でございますけれども、私どもが繰り返し申しておりますのは、かつてのあのような忌まわしい非人道的な政策というのは繰り返されてはならないということを何回もいろいろな機会に表明しておるわけでございます。
○太田淳夫君 その東京会議、冒頭から休会というような予想外の展開になりまして私たちも驚いているわけでございますが、これは日本外交として初めてのことでございますし、ホストとして外務大臣もいろいろと努力されておりますが、どのような所感をお持ちでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) ヨーロッパのあのような軍事情勢あるいは政治情勢の変化する中で、アジアにおける地域紛争というものが朝鮮半島にもカンボジアのインドシナ半島にも実はあるわけでございますが、去年、私パリにおけるカンボジア和平会議に日本政府を代表して出まして以来、この仕上がったものに日本が平和の監視機構とかいろいろなものに機材とか人員を出すというような意思をそのときは示しておりましたけれども、アジアの中でこのような経済繁栄をして平和を目的とする国家は、やはりこのアジアの紛争を、アジアの国としてこのインドシナ半島の問題は、今までASEAN各国あるいはオーストラリア、いろいろの国の人たちが苦労しております。
 日本もやはりこの平和への構築に日本なりの協力をして、そして平和的に行われる民主的な選挙に向かって努力をする、そしてさらに、カンボジアの復興のためにも日本は協力しなければならない、このような考え方でずっと経過を追ってまいりましたけれども、私はこの一月二日にタイに参りまして以来、例えば二月には外務省の河野課長をプノンペンに初めて入れました。また、今御答弁申し上げました谷野アジア局長をベトナムに派遣をいたしました。あるいはいろんなところで、例えばタイのチャチャイ首相、あるいはおとといから東京に来られてこのカンボジア和平会議に黒子役に徹しておられるタイのチャワリット副首相、このようないろんな方々の御苦労というものが実は今動いているわけでありまして、私どもはそのような努力の中で、単に東京だけでのこの大きな国際会議の動きではなしに、恐らく今まで関与している国々はいろんな立場でこの動きをじっと見詰めながら応分の協力をしていると思います。
 私どもは一日も早くカンボジアでの内戦が終結するような合意文書ができ上がることを心から念じて、ただいまその経過を見ておるという状況でございます。
○太田淳夫君 この東京会議の成功を私たちも願っているわけでございますが、ポル・ポト派の議長が欠席をされたですね、これはどんな理由なんでしょうか。また、会議の見通しについては、今御要望が述べられましたけれども、この東京会議でしっかりしたそういう停戦への合意がなされるでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今お答え申し上げましたように、この停戦――今戦争をやっているわけでありますから、この停戦の合意がとり得るかどうか。また、停戦の合意がとり得た場合に、それがその後の最高国民評議会の人員構成まで話し合いが進むのかどうか。それがリンクしていくことが最も望ましい。
 そのような経過の中で、やがて国連の常任理事国でのこの関係者間の話し合いというものにこれがつながり、さらにパリにおけるカンボジア和平会議にこれがつながっていくという一つの流れができ上がれば最も好ましいことでございますが、昨日ポル・ポト派のキュー・サムファン氏は会議に出てこられませんでした。しかし、今日本の外務省も、またそれぞれの関係者、例えば先ほど申し上げたタイの副首相が夜を徹していろいろと各派の交渉に当たっておられるという状況でございまして、平和を構築することがいかに難しいかということを今つくづく体験しますとともに、こういう努力がこれからのアジアには極めて必要であるということを今感じながら私どもも応分の努力をしているという状況でございます。
○太田淳夫君 いずれにしましても、アジアの諸国は複雑な政治的あるいは歴史的な背景を持っているわけでございますから、短期的に解決される問題ではないと思います。しかし、それは粘り強く漸進主義をモットーにしながらじっくりとカンボジア和平をつくり上げるために政府としては臨んでいただきたいと思っております。
 次の問題に入りますが、いろいろと世界の情勢が変動してきているわけでございますが、せんだっての予算委員会でも私申し上げましたが、ブッシュ大統領の世界戦略ということでちょっとお話しさせていただきましたんですが、やはりデタントの推進、あるいは中国、ソ連を開発して市場経済に取り込んでいく、そういう一つの大きな世界戦略構想のもとに現在の世界が動き、変化をしているんじゃないかと思うんです。
 先ほど申し上げましたように、ソ連、そして中国を自由経済の枠組みの中にだんだん取り入れていこうということも考えられているわけですね。ソ連は五年前からゴルバチョフ大統領のペレストロイカのもとに自由化への途上にあるわけでございますし、中国も天安門事件で多少おくれたとしましても、香港を窓口にしながらやはり自由社会との交易も広げているわけでございますから、これはだんだんだんだんと現代化が進んでいく。これは事実上のやはり自由経済に進まざるを得ない状況にあるんじゃないかと思うんです。中ソがそういう事実上の自由化を目指して動いていく現在でございますから、それに続くところの共産圏の諸国もやはり自由経済に向かわざるを得なくなってきている。まあこれは当然だと思います。東欧あるいはベトナムあるいは東ドイツ、北朝鮮も、そういった意味ではそういう大きな動きの中に今あるわけであろうと思います。
 そうなりますと、やはり先ほどの集中審議の中でも論議をされておりましたけれども、デタントがそういう世界的な大きな動きとなって推進されていくわけでございます。各国は軍事費を削減する中で経済の復興を図りながら進まざるを得ない。それほど共産圏の諸国の国内経済というのは差し迫った危機感にあったんじゃないかと思うんです。世界的なデタントは一層これから推進されてまいりますし、軍縮は世界の一層の潮流になるんじゃないか、こう思うわけでございますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 世界の軍事大国、特に言われておるアメリカとソ連がそれぞれに国内にいろいろな事情を抱えて必要以上の軍備を持っていることは無意味であるという判断をそれぞれされたということが、私はこれからの軍縮の方向に向かって動いていく大きな潮流であろうと思います。同時に、ヨーロッパにおいて行われた東西の対決を乗り越えていく、例えばドイツの統一とかEC統合への動きとか、いろいろなものがやはり今後は力の対決ではなくてお互いに協力、協調で平和と繁栄をつくり上げていきたいというそういう願いに一致してきておること、それがだんだん流れになっていくだろうと思っております。
 したがいまして、アジア・太平洋地域でも、私どもも平和を確立して繁栄していくためにはどうしなければならぬかという、そういった大きな歴史の流れ等も十分理解し認識しておるわけでありますから、アジアに起こっているいろいろなアジア独特の問題についても一つ一つ平和がそこに生まれていくように努力をするとともに、大きな流れとして繁栄に向かっていくように努力をしなければならない、こう認識をいたしております。
○太田淳夫君 防衛庁長官からもこの軍縮の動きについてちょっとお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(石川要三君) 今総理から細かく今日の軍縮の状況につきましてはお話がございました。私も基本的には全く同感でございますから重複を避けたいと思いますが、いずれにしましても、防衛という行政を預かる立場といたしましても、ますます世界じゅうが大いに軍縮を促進していただきたい、かように念願をしておることは当然であります。
 ただ、先生も十分御承知だと思いますが、我が国の防衛というものは、再三申し上げますように、現在の防衛計画の大綱というものにのっとっているわけであります。この大綱は、御承知のとおり、平時において最低必要なものを整備していこう、そういうことの方がかえって無防備でいるよりもさらに平和のためにいい、こういう前提に立っているわけでありまして、したがいまして、憲法の精神あるいは専守防衛という国是、こういうようなことから見て当然私どもはいわゆる専守防衛に徹して最低の防衛力をやっているわけでありますから、急激な大きな米ソの軍縮が直ちに私どもの防衛政策にダイレクトに影響を与えるかどうかということにつきましては、私はそういうものではなく、むしろ今までのような最低の防衛力というものはどうしても維持することの方が賢明な選択である、かように考えているわけであります。
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
 いずれにしましても、そういうことはさることながら、今お話がございましたように、国際情勢を分析し、そしてまた、さらに文民統制の今日までの精神というものにのっとって、そしてこれから安全保障会議の中で政府として全体としてこれを充実していく、こういうわけでございます。
○太田淳夫君 国際情勢を分析すればするほど、ただいまの防衛庁長官のお話は変更せざるを得なくなってくるんじゃないかと思うんですね。軍縮についてはいろいろとお話しされているけれども、やはり日本の国の軍縮になると、これは答弁がなかなかはかばかしくいかないんですね。
 そこで、防衛庁にお伺いしますけれども、平成三年度からの次期防、この策定作業は当初予定されていた五月下旬から大幅にずれ込みそうだ、こう言われていますけれども、状況はどうですか。
○政府委員(日吉章君) 再三申し上げておりますように、次期防の初年度は来年度になりますので、遅くとも来年度の政府の予算原案ができ上がるまでには間に合わせていただきたい、かように考えております。
 いずれにいたしましても、安全保障会議を経まして閣議決定されるということになりますので、防衛庁長官も安全保障会議のメンバーの一人であられますので、その組織といたしましてこの作業に鋭意努力をしているということでございます。必ずしもおくれているとかそういうようなことではございませんで、今言いましたような作業日程でもって作業を進めているというところでございます。
○太田淳夫君 安全保障会議が六月の十九日から大体十回ぐらいの予定で行われるということでございます。
 総理、防衛庁長官も今お話ししてみえましたけれども、安全保障会議で十分な論議をするということでございました。世界的に冷戦構造というのが解消へ向かって大きな変化というものが進行中でございますから、当然そういうことも加味されて安全保障会議で十分な論議をされる、そういう決意でいらっしゃいますね。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりでございます。
○太田淳夫君 過日の衆議院の予算委員会で我が党の市川書記長がいろいろ提起したわけでございますけれども、昭和六十三年十二月、あの安全保障会議以後に国際情勢は激変をしているわけです。その安全保障会議で次期防についての決定がされているということで総理も再三答弁をされておりました。しかし、それ以後に世界的な大きな変動が起きているわけでございますから、今お話しのとおり十分それは論議をしていただきたい。
 大綱の中の国際情勢の基本的な枠組みは変わっていないというお話はよく承りますけれども、その前提ですね、国際情勢の基本的な枠組みの前提、それは「国際政治構造並びに国内諸情勢が、当分の間、大きく変化しない」、こういうふうに前提を置いておるわけです。それがもう再三総理もここで御答弁のように、大きな変化をしているわけでございますね。したがって、私たちが申し上げたいことは、もう十分論議を交わされて昭和六十三年十二月に決定したことも改めるところは改める、新しい国際情勢あるいは政治情勢、経済情勢を踏まえながら国民のコンセンサスを得られるような防衛構想、何か新しいそういうものをやはり政府としては提示をされていくべきではないかと思うんですが、総理、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今いろいろ御指摘くださいましたように、新しい国際情勢の変化がたくさん出てきておるわけですから、そういったことすべてを国際情勢の変化を踏まえて、そして我が国の置かれておる立場、アジアの情勢等も十分に議論の対象といたしまして安全保障会議で議論をし、結論を出していきたい、こう考えております。
○太田淳夫君 ですから、そういう議論をして結論を出す。結論を出すにしましても、もう枠組みを決められたその前提も変わっているわけですから、国際情勢の変更の中で、新しい防衛構想というものをやはり総理としても示す必要があるんじゃないかと今申し上げているんです。その点どうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 世界の情勢が今いろいろ激しく変わりつつあるということは私も率直にそのとおりだと思いますし、どちらへ定着してどうなるかという中長期の見通しを言えと言われると、断言するにはまだ難しい、不透明な点がまだあるのではないかという気もいたします。私は、我が国の平和と安全を確保するためにはどうしなければならぬかという観点に立って、国際情勢の変化等も十分に検討をさしていただきたいと思っております。
○太田淳夫君 ですから、いろいろ検討された結果、六十三年十二月のところへ戻ってしまうんでは、これは何の意味もないと思うんですね。ですから、新しい防衛構想というのは、当然これは海部総理としても考えられる。その間はやはりそういう中期計画をつくらない。防衛構想を考えて、国民の皆さん方へ提示して、コンセンサスを得られるまでは中期計画はつくらないということもあり得るんじゃないかと思うんですね。それは、予算委員会でも市川書記長からも提示しておりましたけれども、防衛計画大綱をつくった際もいろいろと議論しました。その上で単年度方式を決めて、その後あのGNP一%枠なども決めているわけですから、防衛政策あるいは防衛構想の方針が決まった後でいろいろとこれから中身を決めていくのが筋ではないか、こういうことも提案をしているわけですが、その点どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(石川要三君) 今総理からもお答えがございましたように、これから次期防につきましては、安保会議でもっていろいろと現在の国際情勢などを十二分に検討しながら、適正な防衛力、規模というものをつくっていくわけであります。ただ、私が言うとどうも委員の方からあんまり好ましくなく受け取られやすいのでございますけれども、私どもはやはり国際情勢というものには敏感に分析して考えていかなきゃならないことは当然でありますけれども、ただくどいようでございますが、私どもの防衛の基本的な政策、これについてはもう委員は十二分に御承知のとおり、私どもはやはり空白の状態に置いてはいけない、平時においての最低の防衛力をやるべきだという一つの哲学にのっとってやっているわけでありますから、そういうことから見て、私どもはそう大幅な、やはり国際情勢に従って直ちに我が国の防衛の水準というものを変えることは現実にいかがなものか、私はこのように思っているわけでございます。
 特に、実際何回かの質問にもお答えさせていただきましたが、現在の内容を見れば、もうほとんどが義務的経費的なものが多いわけでありますから、そういう意味で、直ちにこれを凍結するとかということにつきましても、実際行動というものはなかなか難しくなる、このようなことも御理解をいただきたい、かように思うわけであります。
○太田淳夫君 凍結とか財源とか、これから言おうと思ったところを先に言われてしまったわけですが、先ほどから申し上げました世界の流れが大きな世界全体を含めての戦略として進められているわけですから、その中でこの防衛力の問題だって考えていかなきゃならない時代が来ているんですよということを先ほど提案しているわけです。
 そこで、我が国の安全保障政策の重要な柱としております日米安保条約体制、これもやはり米ソ間の対話の推進あるいは協調への努力が行われている。並びに、韓ソ首脳会談にありますように、アジア・太平洋地域におけるような平和と安定の動きの中で、当然ながらこれはソ連脅威の対応という側面は薄れてまいりますし、日米安保条約の目的自体が大きく変質をせざるを得ないと思うんですが、この点についてもやはり十分安全保障会議で論議されるべきじゃないかと思いますが、総理いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 安全保障会議においては、御指摘のように、そのような国際情勢の変化とか日本の防衛のために、節度ある防衛力の整備はいかがしたらいいのかという中長期の未来の見通しや、今日の国際情勢の変化や過去の流れなどを十分検討して決めていかなきゃならぬということは、御指摘のとおりだと思っております。
○太田淳夫君 終わります。
○理事(平井卓志君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(平井卓志君) 次に、市川正一君の質疑を行います。市川君。
○市川正一君 本日は、私はODA、経済協力問題について伺いたい。
 我が国の経済協力費は急増し、本年度は実績でもアメリカを抜いて世界一になろうとしております。ところが、今に至るも援助の目的、対象、内容等について基準を定めた法律はありません。どの国に、どういう目的で、どれだけ援助するのか、この決定は政府に任されております。こういう事態に関して、本院は昨年六月二十二日に本会議において、ここに私は会議録を持ってまいりましたが、「国際開発協力に関する決議」を自民党も含め全会一致で行いました。そして、「国際開発協力の理念・目的と諸原則に基づき行うこと」、「国際開発協力行政及び実施体制等の充実を期すること、国会と行政府との関係を強めること」などを政府に求めました。しかるに、今国会においてもインドのナルマダ渓谷ダム建設問題、バングラデシュへの救助ボート援助など、政府開発援助のあり方が改めて問題になってきたところでありますが、政府はこれらの資料も公開せず、真相究明にまことに不熱心と言わざるを得ません。
 そこで、総理にお伺いいたします。
 今、この機会に本院決議の趣旨を体した経済協力基本法を制定し、内外に日本の政府の開発援助の方針を明確にすべきであると思いますが、いかがでしょうか。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国経済協力の実施体制につきましては、全体として順調に機能していると考えており、経済協力の一層の効果的効率的実施のためには、現行の関係法令の枠内で運用、改善を図ってまいりたいと考えております。
 御言及のあったODAに関する決議は、本院の外交・総合安全保障に関する調査会において長時間かけて検討された結果と承知しておりますが、政府といたしましては、これは一つの方向を示すものとして承り、今後、対外経済協力の実施に当たっては、憲法に定められた立法府と行政府との関係を踏まえ、適正効率的な施策の推進に努力してまいる考えでございます。
○市川正一君 私は、本院の決議の重さというものをもっと真剣に見きわめていただきたいと思うんです。これまでのODAは、アメリカの世界戦略に手をかす道具になったり、あるいはフィリピンのマルコス疑獄に代表される汚職、腐敗の温床になったりしてまいりました。
 私は、本日、具体的事例に基づいてただしたいのでありますが、本年三月、インド石油化学省が、我が国のODAが供与されている天然ガス・パイプライン・プロジェクトなどで住友商事などが不正行為を働いたということで、今後同省関係のプロジェクトに関して住友商事などとの契約を一切禁止する方針を決定したと伝えられておりますが、外務大臣、これは事実でしょうね。
○国務大臣(中山太郎君) 経済協力局長からお答えをさせていただきます。
○政府委員(木幡昭七君) お尋ねの件は、インドの石油・天然ガス省の所管する公社のパイプライン案件の入札に関するものであると存じます。
 本件は、さきにインド国会でも論議されたと承知しておりますが、その際には、インド政府は本件について、違法性云々の認定を明らかにはしていなかったと承知しております。
 他方、最近に至りましてインドの石油・天然ガス省が、我が方の企業を中心とするコンソーシアム等に対していろいろ問題があるということで、現在当該の企業グループとインド政府との間で話し合いがなされているというふうに承知しております。
○市川正一君 今答弁にあったように、インド国会でもパイプライン疑惑として大きな問題になりました。そして、ここに文書もありますけれども、住友商事がガス・パイプライン・プロジェクトをわいろを使って受注したのではないかという疑惑が持たれている。そのために住友商事が取引禁止になったというのが事実じゃないんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 私ども承知いたしておりますのは、過去の入札に関しまして、日本側企業がエージェントとして申告しなかったということをインド側が取り上げまして、これは入札条件に違反しているのではないかということで今関係企業等との間で話し合いがなされている、こういう事実関係と承知します。
○市川正一君 その点については逐次解明していきたいと思うんですが、問題は、今答弁にあったように、住商がこっそり雇ったコンサルタントに多額の報酬を支払ったという事実にあります。
 インドでは、応札する際にインド人のエージェントを雇っていることを書類に明記することになっております。ところが住商は、雇っていないと届けておきながら、エージェントではなくコンサルタントだということでジョツナという会社と契約をいたしました。住商の契約したこのジョツナ社との契約内容、支払った報酬について、また、ジョツナ社がコンサルタントであるという、できるという能力を持っている会社かどうか聞かせていただきたい。海外経済協力基金は、円借款を供与するに当たって本件入札の承認、天然ガス公社と住商の契約書の確認をいたしているはずですから、御承知だと思います。
○政府委員(勝村坦郎君) 本件につきましては、経済協力基金がこの天然ガス公社の入札結果につきまして書類等で審査をいたしておりまして、これは通常の業務の手続でございますが、協力基金には調達のガイドラインというものがございます。これに書かれておりますところでは、借款資金の供与は、その経済性、効率性及び資機材等の適格性等にかんがみまして、かつその国際競争入札、公開入札というものが原則的にきちんと行われているかどうか、そういうことを審査をいたしまして借款供与に至るわけでございます。
 で、御質問の件でございますが、これは応札者であります住友コーポレーション、先ほどお配りいただきました契約書、これ私ども初めて見たわけでございますが、これがJH社というところと、これでは明らかにコンサルタント契約と思われますが、を結んでいるわけでございまして、この契約自体が基金の審査の対象になるということは全くございません。
○市川正一君 外務省からも資料はちょうだいしておりますけれども、私どもの調べたところによると、この住商と契約したジョッナ社のラリト・スリという人物は彼の二人の兄とともにインドでは悪名高い政商であります。当時のラジブ・ガンジー首相に密着した人物として、それゆえにスリはコンサルタントに選ばれたとされております、名前はまあスリというそうですが。結局、ジョッナ社は何の専門知識もない、言うならばえたいの知れない会社であります。
 資料でお配りいたしました本件を報道したインドの一流紙でありますステーツマン、八八年の七月二十九日付によりますと、住商はODA案件であるHBJプロジェクトについて、コンサルタント料として九億六百万円をジョツナ社に支払っております。これは住商のHBJプロジェクト契約額二百億円の実に四・五%に当たりますが、これは配付資料のアグリーメント、これは契約書でありますが、二枚目のコンペンセーション、報酬のくだりに四・五%と明記されております。
 ちなみにインドの一人当たりのGNPが我が国の五十分の一であることから見ると、九億六百万円というのは日本での約四百五十億にも当たる額でありますが、それはさておいても、この総契約額の四・五%も取る企業が受注企業の主なメンバーとして届けられていないということ自体まことに不可思議であり、インド側が疑惑を持つのは当然のことではないでしょうか。大臣、どうでしょう。
○政府委員(木幡昭七君) 本件に関しましては、インド側は、これはエージェントであったのか、コンサルタントであったのかということをめぐって関係企業との間でいろいろ話し合いをしているという、その最中であると私ども承知いたしております。双方に見解の相違があるということは事実のようでございます。
○市川正一君 私は、住商側の言い分を代弁されたやに今承るんですが、その問題も引き続き解明いたします。
 このHBJプロジェクトに関する住商、ジョッナ社のコンサルタント契約は、資料にありますように、一九八四年の八月に結ばれております。この八月というのは、日本とインド政府間でHBJプロジェクトへのODA供与の交換公文が締結された月でもあります。
 契約書では、ジョツナ社は住商が当該入札について契約を成功裏に締結することを目的に顧客との交渉において同社を援助するために最善を尽くすとありますが、同時に三ページにありますが、ジョッナ社はパイプの総量に対する確定契約が何らかの理由で住商に与えられない場合は、いかなる費用、報酬に対する権利も有しないことに同意するという、普通常識では考えられない条項があります。つまり、受注できなければびた一文払わないというんです。つまり、ゼロか九億六百万円か、オール・オア・ナッシングです。したがって、この九億六百万円は、インド天然ガス公社に発注を約束させるための経費、つまりわいろという疑惑を深めざるを得ない。そういうインド政府筋から疑惑が出されているのは、これまた自然だと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(木幡昭七君) いわゆる日本側企業グループと先方のラリト・スリ氏との契約は、御案内のように、私契約でございまして、したがいまして、私どもその私契約の内容について十分つまびらかにする立場にないわけでございますが、日本側として本件につき円借款供与の交換公文署名を行ったのは八四年の八月七日署名ということになっております。
○市川正一君 問題はそこなんですね。ODA基金、これをめぐる問題であり、そして私契約の範囲を超えているわけです。
 そして、あなたもおっしゃったように、インドの国会でこれが問題になっている。先ほどあなたが紹介なすった当初の見解というのは、これは八八年八月一日のインド政府の声明はそういう趣でした。しかし、二日後の八月三日のインドの国会における追及に当時の大蔵大臣が答弁をして訂正しています。総理、ここにありますのはインド国会の下院の会議録です。その二百四十五ページでありますが、これは資料にはお配りしておりませんが、当時のS・B・チャバンという大蔵大臣が、明確に取り決めた条項に反して進んでいることを知るようになったということを答弁し、そして、住商がインド天然ガス公社との契約に違反してジョツナ社を雇い、そして金を支払ったというふうに言明いたしております。
 当時のインド政府は、御承知のようにガンジー政権でありました。このガンジー政権もはっきりと契約違反を指摘しています。しかし、それは単なる手続上の、実務上の問題か、そうじゃないということをチャバン大蔵大臣は引き続きこう述べています。この金が他の目的のために、つまりだれかにわいろを贈るためにか、あるいは契約を得るためにか使われたということは、住友が答えて初めて私たちにもわかるようになるだろうと。要するに、住商がこの裏も表も十二分に知っているということを示唆いたしております。そして、新政権は三月に住商の取引停止を行った、これが事実であります。
 大臣、したがって外務省は、これを単なる手続上の行き違いとか、あるいはそういう実務上の問題というんではなしに、住商の弁明をうのみにするんじゃなしに、事実をやっぱり調べる必要があると思うんです。インドの国民の側からすれば、わいろ分まで含めて返済しなければならなくなる。援助どころか経済建設の足を引っ張るということになりかねない。そういう点で、インド政府がとっている措置、特にエージェントを必ず届けよということを厳しく規定しているのは一体何のためと御理解になっているのか、その点いかがでしょうか。
○政府委員(木幡昭七君) 私ども承知しているところでは、インド政府は、外貨事情が非常に厳しいということもございますために、外貨支払いをできるだけ節約するという政策をとっている次第でございます。そこで、エージェントの場合にはそのエージェントに対するフィーは現地通貨で支払うということが可能でございますが、コンサルタントの場合にはそうでないといったそういう事情がある。この観点から我が方の企業が先方と結んだ契約がエージェントであったのかコンサルタントであったのか、またそれを届けるべき義務を怠ったのではないかというようなことをめぐって、インド政府と関係企業との間で現在話し合いが続行中であるというふうに承知いたしております。
○市川正一君 話し合いではなしに、インド政府石油化学省は住商との取引は一切禁止するという措置をとったんです。その事実の上に立って私どもは問題を見ていく必要があると思うんです。今答弁にありましたように、発展途上国の多くは外貨不足に悩んでおります。インド政府が政府関係機関のプロジェクトにおいてインド人のエージェントを届けさせているのは、これは外国企業から外貨で支払われるエージェント料を受け取って、当該エージェントにはインドのルピーで支払うためであります。ODAが経済発展を援助するためのものであるならば、相手国の正当な政策には大いに協力するというのが当然だと思います。まして、その裏をかくような行為は許してはならぬと思うんです。
 私は今回の問題を通じて、住商はインド政府の政策を重々熟知した上で、しかもジョッナ社がエージェントでなくコンサルタントだという、そういう逃げ道でインド政府の政策目的を踏みにじる脱法行為をやることは、これは日本の立場から見ても許しがたいものであると私は思います。
 さらに、この配付しております資料にも明らかなように、報酬の送り先をロンドンの銀行口座、アグリーメントの三枚目にございますが、アドレスナンバー、口座ナンバーもここに記載されております。そしてそこに十一回に分けて実際に送金されておるのであります。
 私は総理にお伺いいたしたいのでありますが、日本企業がこういう姿勢でODA事業にかかわることをどうお考えなのか、承りたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、インド政府当局と関係企業との間で話し合いあるいは解釈を争っているというのが現状でございます。したがいまして、私どもその話し合いあるいは解釈権をめぐる論議について引き続き注意深くフォローして、今後どのような解釈が下されるか、その辺を見きわめたいと考えている段階でございます。
○市川正一君 時間が参りましたので、最後に総理に正式にお聞きいたします。
 今お聞きいただいたようなこういうトラブルがあります。また、こういうような疑惑も生まれております。こういうものを規制するためにも、冒頭に申し述べました昨年六月の本院の決議に従って経済協力計画及び予算の国会審議の実施と国会承認制の導入、対外経済協力関係機関の計画や実施状況の国会への報告、それの義務づけなどを主要な内容とした経済協力基本法を制定すべきであるということをもう一度今の議論を踏まえて私は要求いたしたいのでありますが、いかがでしょう。
○国務大臣(海部俊樹君) 具体的な事案については、これはただいま資料をいただいて聞いておったところでありますが、全体といたしましては、せっかく経済協力をする以上は喜んでいただかなきゃならぬと思いますので、そういった紛争はどのようになっておるのか、またこの具体的な解釈はどのようになっておるのか、私も十分報告を聞いてよく検討させていただきたいと思います。
○市川正一君 基本法は。――宿題を残して終わりましょう。きのうの宿題もありますし。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で市川正一君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、池田治君の質疑を行います。池田君。
○池田治君 軍事超大国の米ソを初めとして世界は今軍縮と平和に向けて大きく動いております。昭和六十一年度から日本の中期防衛力整備計画を立てた際に、北方師団は戦車大隊の戦車数が内地部隊より多く、新計画完成時には青函以北に約六〇%、七百三十両という北方重視型になるということでありました。その方針によって北方九千人編成師団の戦車大隊の戦車約七十四両、北方以外の九千人師団の戦車大隊の四十四両よりも一師団当たり三十両も多い戦車隊が配備された、こういいますが、防衛庁、これは事実でございますか。
○政府委員(日吉章君) 事実でございます。
○池田治君 この事実は、北方というのはソ連であって、北方重視というのはソ連の脅威に対応した措置であることは明らかであります。現在、脅威が次第に低下したことによって平常の体制に戻せば、その分は予算が削減されるのではないか、こう考えますが、防衛庁、いかがでございますか。
○政府委員(日吉章君) 戦車は、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を示しております防衛計画の大綱に基づきまして配備されます陸上自衛隊の基幹部隊の戦闘力の中核となるものでございます。また師団の戦車定数につきましては、我が国の地理的特性等を勘案しながら所要の数量を各師団に配備しているところでございます。
 それで、中期防におきまして師団の配備の考え方を訂正いたしましたのは、陸上防衛力のただいまも申しました中核であります師団の編成というのは、昭和三十六年ないし三十七年度に改編されて以来画一的なものでございましたけれども、この間に諸外国では数度にわたり師団の編成、装備の近代化を行ってきているのが実情でございます。したがいまして、我が国といたしましても、陸上自衛隊の昭和六十二年度からの師団の火力、機動力、対戦車火力等の充実を行うというのを機に、機能面で欠落している分野を整備しまして師団の近代化を図ることにしたわけでございます。
 この師団の近代化を図るに当たりまして、地理的な特性を考慮いたしまして、総車両として一定の中でそれを考慮いたしまして、例えば地理的に他国に隣接し、さらに海峡により本州と分離されている北海道の師団につきましては、戦車や自走火砲を主体に戦闘力を充実し、本州等の師団につきましては、対戦車火器等を主体に機動性を重視した充実を図ると、こういうことが合理的であるということで、編成の多様化を図って効率的な整備を行うこととしたものでございまして、この点は御理解を賜りたいと思います。
○池田治君 地理的条件に従ったということは、北海道は広いですから理解できないこともございませんが、北海道の隣にはソビエト領が広がっておるわけでございまして、北海道だけに多大な戦車部隊を特別に編成したということは、やはりソビエトの脅威というものを前提に置いて編成されたものというふうに私はどうしても疑わざるを得ないんですが、もう一度お願い申し上げます。
○政府委員(日吉章君) 再三申し上げておりますように、我が国の防衛力整備の物の考え方は、具体的に他国の脅威というものを想定いたしまして、それに直接対処するというような形で装備をいたしておりません。まさに国家として平時から基盤的に持つべきものを持つ、それをどのように効率的に配備すべきかという考え方で配備しているわけでございまして、まさに地理的特性、今も申しましたように、他国に隣接して、さらに海峡によって分断されている地域、さらにどちらかといいますと広大な面積の原野がありまして戦車の運用により適しているというようなところを重視して配備しているということでございまして、やはり装備の配備の方針といたしましては、全国画一的に配備するよりもより効率的ではないかと、こういう観点からの配備でございます。
○池田治君 その問題を議論しても仕方がありませんから、次に移ります。
 朝日新聞の六十一年十二月の世論調査によりますと、日本の本土におけるアメリカ軍とその基地は日本の国を守るために必要だと思いますかという問いに対して、必要であるというのが二八%、必要ないというのが五八%、答えない人が一四%、その他二%、こういう統計が出ておりますが、今日ではもっとこの傾向は一段と強いと私は確信しております。
 在日米軍削減計画については新聞報道等も若干なされておりましたけれども、外務省にお尋ねしますが、米軍基地の返還、人員の削減等について連絡があったものや協議なされたものをお教え願えませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 最初に、在日米軍の削減計画でございますけれども、この四月に発表されましたアジア・太平洋の戦略的枠組みに関します報告の中で、今後三年間に日本におきましては五千名から六千名の削減を行うということを打ち出しております。それとは別に、沖縄返還時からの懸案になっております沖縄におきます米軍の施設、区域の整理統合問題を議論しておりまして、これは日米合同委員会で米側と検討しているわけでございますけれども、今最終段階の協議にございまして、一定の成果が出次第、公表したいと考えております。これは今申し上げました削減計画と別のものでございます。
○池田治君 じゃ削減計画はどうなっておりますか。それで、特に首都圏における基地の返還交渉ないしは通告というのはどうなっておりますか。
 何遍も立って質問しないでいいように全部答えてくださいよ。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今御説明いたしました五千名から六千名の削減計画は、これから三年間において行うということで、具体的には太平洋軍司令官のところで詰めていくということでございまして、まだ詳細については私ども承知しておりません。
 それから先生もう一つ御質問の首都圏の基地の整理統合の問題でございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、具体的に検討しておりますのは沖縄でございまして、首都圏に関しましては一連の施設、区域は有効に活用しておりますので、現在検討の対象にしておりません。
○池田治君 次に、在日米海軍の第七艦隊の守備範囲はどこからどこまでか、お教え願いたい。
○政府委員(松浦晃一郎君) 一般にアメリカの第七艦隊の守備範囲ということでお答えいたしますけれども、これは西太平洋からインド洋に及んでおります。
○池田治君 もう少し親切に答えてくれとお願いをしていたんですが、私の調査では、カムチャッカの東経百六十度からアフリカの喜望峰の東経十七度まで、約一億三千万平方キロ、地球表面積の四分の一であったと記憶しております。
 そこで、この第七艦隊の母港は横須賀であるということは間違いございませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 第七艦隊の一部が横須賀それから佐世保に海外居住計画に基づましてこれらの乗組員の家族を居住させております。
 ちなみに、私どもは海外家族居住計画という言葉を使っております。
○池田治君 母港としていることは間違いないようでございますが、安保条約に基づく米国の駐留というのは、極東における平和及び安全の維持のためには駐留することができるということでございますが、カムチャッカの方からアフリカの喜望峰、インド洋一帯までを管轄する第七艦隊に母港を提供するということは、これは安保条約違反ではなかろうか、こう考えますが、いかがでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、米軍は我が国の安全及び極東の平和と安全の維持というために、我が国の施設、区域を使用しているものでございまして、これは安保条約第六条に規定がございます。
 それで、先ほど私が御披露申し上げました第七艦隊の一部が横須賀等に海外家族居住計画のもとで乗合員の家族を居住させておりますけれども、第七艦隊の一部の守備範囲が先生御指摘のような範囲に及びますが、第七艦隊の一部はその抑止力をもって我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与しているということは明らかでございまして、そのような実態があり得ますからには、これらの米軍艦船が先生御指摘のような海域で巡回等を行うということがありましても、我が国の安全及び極東の平和と安全に寄与しているという事実がこれによって損なわれるものではございませんので、したがいまして安保条約第六条に違反するということにはなりません。
 念のために申し上げますが、これが違反ということになりますと、我が国の施設、区域を使用する米軍の艦船はいわゆる極東の範囲の外では行動できないということになりますが、安保条約がこのような機動性という軍隊の属性を損なうようなものを規定しているということは考えられないと思います。
○池田治君 今地球は狭くなってまいりまして、大西洋でも日本を守るためだと言えば守っていると言えるようになります。外務省のお答えは詭弁だと思います。私は米第七艦隊が日本を全然守っていないとは言っておりません。インド洋においてもタンカーを守ってくれるということもあるかもしれません。しかし、横須賀基地を母港とすることに対して安保条約違反ではないかと聞いております。これは外務大臣、どう考えられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 日米安保条約及び日米地位協定の取り決めによって、日本は安全保障条約のもとで米軍に基地を提供する義務を負っていると認識をいたしております。
○池田治君 それは十分承知しております。だから、インド洋の方までを範囲とする艦船に横須賀基地を母港として提供しなければならぬかどうかの問題でございます。
○政府委員(松浦晃一郎君) もう一度答弁させていただきますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、第七艦隊の一部で横須賀等に先生おっしゃっておりますいわゆる母港化ということでおります、その米軍の艦船がたとえインド洋等に行くことがありましても、我が国の安全と極東の平和と安全に寄与しているという事実が現にあってそれが損なわれるものではないということがございますので、したがって安保条約六条には違反していない、こういうふうに私どもは考えているということでございます。
○池田治君 条約に違反するかどうか、後でゆっくりやらせていただきます。
 今直接米軍の経費を払っておるのは、米軍だけとしてはちょっと難しいかもわかりませんが、アメリカ駐留費のうちの何%を日本が分担しておるか、お願いをいたします。
○政府委員(松浦晃一郎君) 在日米軍の駐留経費というのが全体がありまして、それの何%を日本が負担しているという形で行っておりませんので、正確な意味で何%ということは申し上げにくいのでございますが、それからさらに申し上げれば、このアメリカの経費はドル建てそれからアメリカの会計年度、日本側の経費は円建てで日本の会計年度に従っておりますが、しかしながら、私どもがデータを持っております一番直近の会計年度、八八米会計年度と日本の八八会計年度を比較いたしますと、日本の負担は約三五%ということになります。
○池田治君 アメリカの第五空軍司令官ジェームス・B・デービスは、アメリカの戦略は前方展開を基礎として、非常に安全な日本に基地を持つことによって米国の重要な国益を守っておる、こう話しておられますが、これもアメリカにとっても重要な国益なんですから、アメリカの駐留分担金を日本がわざわざ払わなくてもいいのではなかろうかと私は思いますが、これはいかがでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生が引用されました在日米軍のデービス中将がそういう発言をしているということは私ども承知しておりますし、それから一般的に申し上げましてアメリカが抑止戦略、前方展開戦略という点から考えまして在日米軍基地が極めて重要であるというふうに考えているということも承知しております。しかしながら、同時に在日米軍の駐留は、先ほど御説明しておりますように、日本の安全さらには極東の平和と安定に寄与しているところでございまして、したがいまして我が国に駐留いたします米軍の施設、区域の安定的使用を確保しそしてその円滑な活動を確保するということは、このような安保条約の目的達成の上で不可欠と考えておりまして、そういうことを踏まえまして私どもは自主的にできる限りの努力を払っていくということで対応してきている次第でございます。
○池田治君 先ほど三五%くらいが負担だと言われましたが、ここ五年間の負担率の割合をちょっと示してください。
○政府委員(松浦晃一郎君) 最近の五年間の日本側の負担の割合、これは私が先ほど申し上げた意味においての負担の割合でございますけれども、二九%から三五%の間を推移しております。具体的に申し上げますと、一番最後の八八年度が先ほど申し上げましたように三五%でございますが、八七年度が三三%、八六年度が二九%、八五年度は三二%、八四年度が三二%でございます。
○池田治君 それでわかるように、三五%という負担は急激にふえているわけでございまして、このまま進めばアメリカ駐留軍の半分は日本が負担をせにゃいけない、こういうことになって日本の財政も圧迫されるのではないかと思って心配しております。どうぞそれは防衛庁も気をつけてください。
 その次に、ワシントン・ポスト紙が四月二十七日に掲載した同紙とABCニュースとの共同世論調査によりますと、今日の米国にとってソ連の軍事力と日本の経済力とでどちらが脅威かという質問に対して、日本の経済力と答えた人が全体の七五%、ソ連の軍事力という回答は二一%であったと報道されております。安保条約によって米国が日本を守ってくれることになっておりますが、経済的に大変脅威を感じている日本をソ連の脅威から逆に守ってやるというおかしなことになってきたようでございまして、たとえ経済的な脅威であっても脅威と感ずる相手国に軍隊を派遣して駐留させその国の防衛に当たるという現象は、日米安保の基礎的環境が変化したものであると私は思っておりますが、総理はこの点どうお考えになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 世論調査の見方の問題でございますけれども、最近、御承知のように日米両国は貿易のインバランス是正をめぐって構造協議を行ったことも委員御記憶に新しいところと思います。アメリカの国内において日本のそういった経済力についてのさまざまな不安や批判や指摘があることはよく存じております。しかし、日米安保条約の方も、三十五年の改定をいたしましたときにその第二条の中には、ただ単に日本は軍事的な対象国でなくて、第二条という条文には日本との経済関係、そして相互の自由な制度を拡張していく、福祉の条件を向上していく、いろいろなことも書いてあるわけでございます。
 したがいまして、私は日本がアメリカと日米安全保障条約のもとで平和をずっと守り続けてきたという点を大切に考えながら、経済問題についてもできる限り話し合うことによって相互理解を深めていかなければならぬ、こういう努力をしておりますので、アメリカ国民の皆さんにも経済的脅威という考え方でとらえないで、相互依存関係を深めるために経済面でもできる限りの協力と努力をお互いにしていかなきゃならぬものだと、我が方がこう考えております努力もひとつお認めをいただきたいと、このように思うわけでございます。
○池田治君 安保条約は一九六〇年に改定されて以来いろいろ批判もございましたが、今日から見れば日米両国間のきずなとなって極東の平和と安全の維持に役立ってきたということも世論調査の結果からしても明らかでありまして、総理の御答弁もわからぬことはございませんが、それ以来国の内外における政治情勢は大きく変化している。特に最近はソ連、東欧の政治情勢の変化は著しいものがあります。安保条約締結や改定当時はソ連が顕在的脅威ということでありましたが、次第に潜在的脅威となり、今日においてはその脅威論も影を隠しつつあります。
 昨年九月、外交・総合安全保障に関する調査会の一員として訪ソして、ドブルイニン・ゴルバチョフ大統領外交顧問にお会いしましたが、その際、ソ連は国際紛争を解決するためには武力の行使は一切しないと明言されております。またきのうまで続いた米ソ会議で、ゴルバチョフ大統領はワシントン入りしてブッシュ大統領と極東の平和についても話し合いをされたそうでございまして、このような時代的背景の中で総理も安保条約を昔のまま見詰めることなく、もうそろそろ安保条約とそれを取り巻く行政協定というのを見直す時期に来ておるのではなかろうかと思いますが、最後に総理の御所見をもう一度お願いします。
○国務大臣(海部俊樹君) さきに申し上げましたように、平和維持の問題とともに安保条約には政治及び経済の面における両国の協力関係を強化、促進していくということも述べてあるわけでございますし、また日本が平和と安定を維持し続けることができたのも安保条約の存在によるものであると、このようにも私は理解をいたしておりますので、いろいろな問題点については率直に御意見等も踏まえながら研究はいたしますけれども、安保条約の必要性は私は今大切なものであると、こう認識をいたしております。
○池田治君 また機会がありましたらお願いします。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で池田治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、井上計君の質疑を行います。井上君。
○井上計君 アジア・オープン・フォーラムという会があります。著名な経済人や文化人等によって構成されておるわけでありますが、この趣意書があります。この趣意書の一部を読み上げます。
  二十世紀最後の十年間を目前にして、国際関係の基調が大きく変わりつつあります。米ソ関係の歴史的な転換、中ソ関係の大幅な改善はその象徴的な表れでしょうが、このような国際政治の変動を促した一つの重要な要因としても、日本やアジアNIESを中心とする西太平洋地域の活力に充ちた現実を指摘しないわけにはゆかなくなってきております。東アジア地域の新しい発展が、いまや全世界に影響を与え、同時に国際緊張の緩和が、東アジア諸地域の多角的・内発的な動きを促しているとも言えましょう。韓国とソ連との関係の進展や中台交流の活発化などをとってみても、従来の国際関係のテキストには存在しなかった新しい国際諸関係が急速に形成されつつあると言ってもよいように思われます。
  こうしたなかで、特に台湾の新しい経済的・政治的発展には目を見張るべきものがあると言わざるを得ません。昨年一年間の貿易総額は千百億米ドルを超え、経済大国といわれる日本の四分の一という規模になりつつあり、よく知られていますように、外貨保有高でも現在、世界第二位の地位を築いております。しかも、李登輝総統指導下の新生台湾は、大陸との関係においても、国内の政治改革(民主化)においても、きわめて着実な歩みを示しており、今日ではアメリカをはじめとする西側諸国はもとより、ソ連・東欧諸国や中華人民共和国内部からも「台湾の成功」が高く評価されております。その対外的影響力という点でも、たとえば最近の対タイ、対フィリピン投資では日本をすでに追い越すなどしていて、その将来の方向がアジア全体にとっても無視し得ないものになってきていると思われます。
あと省略します。
 実はこの趣意書は昨年の五月十一日、昨年の天安門事件の前にこのフォーラムが趣意書として発行したものであります。今日出してもおかしくないようなものが去年、実は一年前に出ておるんですね。御承知のように、もうこの趣意書が出ました以降一年間の間に、今国会で毎日のように論議されておりますけれども、アジアあるいは国際情勢等については大変なスピードで変化をしておるわけであります。
 きょうは、サンフランシスコにおいて韓国とソ連の首脳会談が開かれております。恐らく外務省でも一月前にはこれは予測されなかったんではなかろうかと、このようにも考えられますが、米ソの問題あるいは中国の天安門事件以降の中国内部の問題、さらには東ヨーロッパあるいはベルリンの壁の問題等々、数え上げると切りがないほどこの一年間は過去の五十年にもあるいは百年にも匹敵するような大変な変化があらゆるところで起きておる、このように思っておるわけであります。
 きのう、きょう、外務大臣並びに外務省あるいは総理もそうでありますけれども、大変な御努力をされましてカンボジア首脳会談が行われております。いろいろと問題があるようでありますけれども、私は我が国がこのようないわば会談をあっせんしあるいは場所を提供したということについては政府の御努力を大変多とし敬意を表するものでありますけれども、このような情勢の中でそこで総理に端的にお伺いいたしますけれども、このように急速に変化をしている中で今後アジア政策について日本はどのような方向をとっていくのか、また日本がアジアの中でどのような位置づけをすべきとお考えなのか、今後の目標あるいは方針等につきましてまず総理の御所見を伺いたい、こう思います。
○国務大臣(海部俊樹君) どのようなアジア政策を行っていくかということでありますが、大きく言えばアジアの平和と繁栄のために積極的に貢献をしていかなければならないという大きな目標を置いておりますが、御承知のようにアジアはそれぞれの地域、それぞれの国が複雑ないろいろな違う問題を抱えております。御指摘をいただいたカンボジアには今和平を一日も早く達成するという当面の急務がございます。お隣の朝鮮半島では、韓国の慮泰愚大統領もこの間首脳会談で言いましたように、南北朝鮮の平和的な統一問題という願いを韓国が持っております。同時にまた、この五月に私が訪問した南アジアの国々は、それまで非同盟中立の旗印でやってこられたけれども、今そこが政治的あるいは経済的に空白地帯に世界の大きな変化の中でなるのではないか、日本がこの地域にもっと積極的な発言と協力をしてほしいという要請等もございます。
 私は、それぞれのアジアの抱えておるいろいろな問題については、それぞれの地域やそれぞれの国の要請を受けてできる限りそれに率直にこたえるとともに、日本としては平和と繁栄が来るように積極的にアジア全体のために貢献していかなければならない、こう考えておるところであります。
○井上計君 総理のお考え、方針、全く同感でありますから、ぜひそのような方向で強力に、しかし情勢の変化は大変なスピードでありますから、言えば変化に対応できるようなそのような方針でぜひ御努力をいただきたい、こう思います。
 そこで端的に伺います。
 我が国と台湾との間では一九七二年、中華民国政府との国交を断絶して中華人民共和国を承認し、日中共同宣言を発表しております。したがって、以降約十八年間にわたって我が国と台湾との間は異常な状態に入ったままで今日に至っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、国際情勢、特に東南アジア、アジア全体の情勢が大きく変わっているのに従来のままの台湾政策で果たしていいのかどうか、私はこれを大変疑問に思っておるわけであります。これについて総理、外務大臣から本当は率直な御意見、御答弁を伺いたいのでありますけれども、お立場上これはお答えにくいでしょうから、きょうは遠慮しておきます。
 本当は外務大臣に、外務大臣でなくて中山太郎個人としての見解を伺えれば多分私と同感であろうと思うんですけれども、きょうはその御答弁はひとつ遠慮しておきますけれども、ぜひこれは総理、外務大臣にお考えいただかないと、従来と同じような、十八年前の断交当時と同じようなかたくなな考え方でこれからも我が国が台湾政策を続けていくということになりますと日本が孤立をしていく、やはりアジアの平和と繁栄のために大変な支障が起きるということを私はあえて指摘して、これは意見として申し上げておきます。
 そこで外務省に伺います。
 アメリカは一九七九年、日本より約六年ほどおくれてでありますけれども中国を承認した際、中華民国と国交を断絶いたしました。しかし、そのかわりに台湾関係法という法律を制定して事実上正規の外交に近いような緊密な間柄を存続しておるわけでありますけれども、このアメリカの台湾政策とはどんなものか、あるいはまたアメリカにこのような法律ができたのになぜ我が国はそのようなものができなかったのか、またつくらなかったのか等々について、簡単で結構でありますけれどもひとつお答えをいただきたい、こう思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 最後にお尋ねのございましたアメリカと台湾との間の関係を律します台湾関係法というのがございますが、その内容をまず御紹介いたしたいと思います。
 目的として二点書いてございます。西太平洋における平和、安全及び安定の維持に寄与するということが第一点。そして第二点は、米国民と台湾住民との間の通商、文化及びその他の関係の維持を認めることによって米国の外交政策を推進するというこの二つの目的が書いてございまして、内容をちょっと御紹介いたしますと、第一点は中国大陸の国民及び西太平洋の他のすべての人々に対すると同様、米国国民と台湾の人々との間の広範かつ友好的な通商、文化及びその他の関係を維持し促進するということ。第二点は同地域の平和及び安定は米国の政治、安全保障及び経済上の利益であり、国際的な関心事項であるということも明記されております。その他いろいろ書いてございますが、少しくユニークな点はこの点でございまして、台湾に防御的な性格の武器を供与するということもこの台湾関係法に明記されてございます。
 経緯的には、これはただいま先生が仰せのように一九七九年一月一日に中国とアメリカが関係を正常化いたしました際に議会に政府が提出した法律でございますけれども、その後台湾との関係を重視されます米議会の議員の方々からいろいろな声、意見が出されまして、例えば最後に述べました引き続き武器を台湾に供与していくというような条項は、そのような議員の方々の発意によってつけ加えられたものだというふうに伺っております。
○井上計君 私は、アメリカに台湾関係法があり我が国にはない、アメリカと日本が台湾に対する態度あるいは関係等で大変な違いがあるということをかねがね残念に思っておりますが、きょうはこれ以上申し上げませんけれども、当然のこと、我が国もそのようなことをやっぱり検討すべき時期にあるんではなかろうか、このように思います。
 さて、我が国と台湾との交流であります。
 昨年、人的な交流は我が国から台湾訪問者が九十四万人、台湾から我が国への渡航者が三十九万三千人。なお中国と我が国とは、我が国からの中国訪問が四十七万七千人、中国から日本に対して十一万四千人ということであります。
 さらに貿易額。経済的に見ますと、中国と我が国との間には、輸入が百十一億ドル、輸出が八十五億ドル、合計百九十六億ドル。日本は二十六億ドルの輸入超過であります、昨年。それから台湾と我が国は、輸入が九十億ドル、輸出が百五十四億ドル、合計二百四十四億ドル、輸出超過が六十四億ドル。実は実質的には七十億ドルに近いようでありますが、このような実は大きな貿易量が我が国と台湾との間にあるわけであります。
 そこで、台湾ではもうずっと前からでありますけれども、我が国に対して何とか輸入をもっとふやしてほしいという要望がしばしばありました。そのために台湾が先般我が国に対して輸出ミッションを派遣いたしたいという計画をつくって早くからその準備に入って、福岡、大阪、名古屋、東京で経済界と懇談をするというふうなことで既にホテルを予約しておったわけですね。ところが日本の外務省が、どういう理由か知りませんが、言えばミッションの受け入れ等について難色を示したのでそれを取りやめにしたというつい近々の例があるわけでありますが、このようなことを、私はもうこれはお答えをいただきませんけれども、やはり私はもっと考えてもらわないといかぬ。アメリカとの間の貿易摩擦が大変な問題になっておりますけれども、率からいうとアメリカ以上の言えば輸出超過になっておるわけです。これだけ大きな経済関係があるにかかわらず、それらのものについてこれをノーと言う。今実はこれは台湾ではもう大変な問題になっておるわけであります。
 それからいま一つは、つい先日のことでありますけれども、乗り継ぎ客、七十二時間以内のトランジットを認めておった現在の制度を五月二十九日に突然口頭で六月一日からこれを認めないという、こういうふうなことを発表しましたね。これらをあわせていろんな問題等から、今台湾ではマスコミも対日批判というものが急速に高まっております。朝野の間に反日的な機運も高まっておる。このようなことを私は知りますと、大変なことだな、こういう実は感じがいたします。だから、ぜひこのことについては総理も外務大臣もあるいは関係閣僚も外務省も十二分にお考えをいただく必要があるんではなかろうかと、このように提言をしておきます。
 そこで、官房長官にお伺いいたします。
 官房長官、先般、韓国の盧泰愚大統領の国会演説の直後であったと思いますけれども、記者会見でこのようなことを述べられたということを新聞報道で知りました。「一銭の賠償も求めず、ただ要望するのは子々孫々の友好だ、と語った中国の故周恩来首相と盧泰愚大統領の影がダブった。かくありたい、と思った」という談話を発表されておりますけれども、この談話が事実であるのかどうか、事実とすればどういうふうなお気持ち、お考えでこういう談話を述べられたのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(坂本三十次君) 盧泰愚大統領がおいでになられまして、そして御案内のように、共通の歴史を認識し合ってその上で過去を断ち切って将来の友好を望みたいと、非常に私どもに感銘のあるお話をしていただきました。私も首脳会談に同席をしたりあるいはまた国会演説も聞いたり宮中の晩さん会のお話なども聞いたりして、非常にその感を深くしたわけであります。その感想を聞かれましたので、つい私の体験として、私自身のこれは個人的な体験でありますけれども、国交回復の一年前でありますから一九七一年の九月に中国へ参りまして、そのときはもうプライベートな団であります。まだ日本の国論が明確に決まってないという時期であります。川崎訪中団という団に私は世話役として、中国流で言えば秘書長ということで参りました。
 そのときに周恩来総理と会見をいたしました。林彪事変の直後でありまして大変なときであったと思いますが、そのときの周恩来総理の言われたことは、中国は一千万人の死傷者を出した。そして当時のお金で五百億ドルの損害をこうむった。だけれども、一銭の賠償も中国は要求をしない、ただ子々孫々に至る友好と協力を期待すると、第一次大戦のあのドイツの例などを引きまして私どもにそう話をされました。私どもはそれを聞いて、これは国交回復の最大の難問がこれで解消したと非常に喜んで、周総理との会談を感銘を持って聞いたわけであります。
 そういう意味で、過去を捨てて将来に向かって手を握ろうという点は共通をするということで、ダブったというようなことを申し上げたわけであります。
○井上計君 官房長官のお気持ちはわかりました。
 ただ、私はあえて申し上げておきます。周恩来総理がそう言われたことについて感銘を受けられたこと、これは当然でしょう。ただ事実認識をひとつしていただかなきゃ困るということは、言えば日本が長い日中戦争の間大変な被害、迷惑をかけた交戦相手は蒋介石政権なんですね。終戦のときに、昭和二十年の八月十五日、厳密にはその前日ですけれども、恨みに対し徳をもって行うという蒋介石総統の布告、それによって日本に賠償を一切求めない、天皇制を護持する、日本の分割占領は反対である、軍官民二百何十万を半年以内に無条件で送還をするという有名な布告があるわけですね。そして、昭和二十七年に正式に中華民国と日本との国交回復のときに、平和条約の締結のときに、そこで正式に賠償の放棄をしてあるわけですよ。だから、現在の中華人民共和国政府は実は賠償を放棄したんじゃないんですね。この事実認識はひとつしていただきたい。これは余り知られておりません。あえてこの機会に申し上げておきます。
 さてそこで、時間がありませんから、幾つも申し上げたいことがあるんですがまた別の機会に譲りたいと思いますが、端的に申し上げますけれども、現在我が国は台湾に対しては非常に冷たい態度をとっておる、中国に遠慮して。台湾のマスコミは日本の中国政策というのは土下座外交である、あるいはもうあきれ果てて物が言えぬと言うほど、そのような実は論調もあるぐらい長い間中国に対して大変な遠慮をしてきていますね。ガットの申請の問題しかりです。それから特に政府要人、政府の人たち、公務員が台湾へ渡航することを禁止していますよね。
 李総統がこの間新聞記者会見で言っていますけれども、李総統は京大卒業、京大の同級生の学者に講演を依頼したら、国立大学の教授であるから外務省の許可がおりないと、こういうことで断られたということさえ新聞記者会見で発表して、大変台湾の人たちは怒っておるわけですね。経済会議がありましても、日本からの出席は要するに課長補佐クラスがオブザーバーで出るだけである。こういうことが続いておったんでは、私は日本と台湾との間の問題の改善どころかますます改悪される。総理、先ほどおっしゃったように、アジアのこれからの発展のためにどういう日本が役割を示すか、どういう日本が責任を持つかということを考えていくときに、あえて私は端的に申し上げますけれども、従来の中国に対する政策、台湾に対する政策をこの際やっぱり変える必要がある。これがアジアのためであり、さらに中国のためである。
 中国は事実上台湾と随分接近していますよね。去年の五月のアジア世銀の総会では台湾の経済部長、日本でいうと大蔵大臣ですが、これを団長とした代表団を正式に受け入れしているわけですよ。中国がそうしているのになぜ日本がこういう状態を続けていかなくちゃいけないのか。私は大いに反省をしていかなくてはならぬと、こう思います。お答えをいただきたいことがあるんですけれども、お立場上できにくい問題もあるでありましょうから、一方的な問題提起と意見発表だけにしておきます。
 以上で終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で井上計君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、喜屋武員眞榮君の質疑を行います。喜屋武君。(拍手)
○喜屋武眞榮君 私は、時間の関係上質問は極めて簡潔でございますので、明快に答えていただきたいことを希望します。
 まず、総理に。
 チェイニー米国防長官が去る四月十九日議会に提出した「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」という報告については御承知でしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 承知いたしております。
○喜屋武眞榮君 それでは尋ねますが、同報告では今後十年間を三段階に分けて米軍の勢力を徐々に削減するとしており、在日米軍については第一段階、一年から三年後に地上軍と一部の支援航空部隊は特に沖縄で削減すると、具体的には五千から六千名程度の人員を削減するとしておりますが、この米軍の方針について政府はどのような見解を持っていらっしゃるか、お聞きしたい。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今先生御指摘のような段階的な削減の方針が今回のアジア・太平洋の戦略的枠組みの報告に出ておりますが、これはことしの二月チェイニー国防長官が来日しました際に受けました説明と軌を一にしておりまして、その際に私どもは、このようなアメリカの考え方は慎重なものとして理解するということで、私どもの意見を伝えております。これに関しまして引き続きアメリカとの間で今後も緊密に連絡をとっていきたい、こう考えております。
○喜屋武眞榮君 どうも頼りないお答えと受けとめますが、総理いかがでしょうか、明快な答えが欲しいんだが。
○国務大臣(海部俊樹君) 米軍の三段階に分けての問題については、本年二月にチェイ二ー長官が訪日の際に受けました説明と軌を一にするものでありました。我が国としてはこのようなアメリカの考え方を慎重なものとしてこれを受けとめ、理解します。同時に本件については、チェイニー長官訪日の際、アメリカがアジア・太平洋地域における前方展開を重要視しておることを評価し、また日本側と緊密な連絡、協議を踏まえて今後とも進めていってもらいたいということを話をしたところでございます。
○喜屋武眞榮君 あえて総理に尋ねましたのは、こういう基本的な国際問題はいつでもどこでも責任ある総理が答えてほしいという私の希望があるからなんです。
 次に、沖縄駐留米海兵隊の削減はあると思うんですか、どうでしょうか。これは外務省、大臣にお聞きしたい。それと防衛庁の両方に聞きたい。
○国務大臣(中山太郎君) 削減問題については、この日米合同委員会で協議をしております松浦北米局長から御答弁をさせていただきます。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほども御答弁させていただいたことでございますけれども、今後三年間の五千ないし六千名の具体的な削減につきましては、現在米側の具体的には太平洋軍司令官のころで検討をしておりまして、詳細に関しましては私どもはまだ承知しておりませんが、先生御指摘の沖縄の海兵隊が入るかどうかという点に関しましては、そのような検討の対象になっているものと私どもは考えております。
○喜屋武眞榮君 次に、沖縄駐留米海兵隊はむしろこの際全面撤退をしてもらったらどうかと思うんです。内外の諸情勢はそれを可能にしまた必要としていると考えられるが、政府はどのような見解を持っておるかということを総理にお聞きしたい。
○国務大臣(中山太郎君) 沖縄に駐留する米軍海兵隊は安保条約に基づきまして日本に駐留しておるものでございまして、今国際情勢がいろいろと変化をする過程でございますけれども、私どもはこれを全面的に撤退を求めるという現状の認識を持っておりません。
○喜屋武眞榮君 それじゃ、時間の関係上最後に在日米軍の兵力についてお尋ねしたい。
 至って抽象的にお思いなさるかしれませんが、在日米軍の兵員数は現在、陸、海、空、海兵、それぞれどれだけか。そして総数、トータルで幾らか。そのうち特に沖縄駐留はそれぞれどれだけおるのか。このことを明確に示してもらいたい。
○政府委員(松浦晃一郎君) ことしの三月二十三日に、アメリカの国防省が昨年末の時点での在日米軍の兵力数について発表しております。全体で四万九千四百二十二名、それから内訳は陸軍二千四十八名、海軍七千四十一名、空軍二万四千三百二十名、海兵隊一万六千十三名でございます。
 このうち沖縄にどのくらい駐留しているかという御質問でございますが、沖縄に関しましては米国防省は発表しておりませんので、私どもは承知しておりません。
○喜屋武眞榮君 私はこのことについて、沖縄に対してまさに治外法権的な日本政府の態度じゃないかということをはっきり申し上げたいことを実は大急ぎでなにしますが、昭和六十二年十月九日、中曽根総理時代にこのことを私は質問主意書で問うたんです。そうしましたら、本土におけるトータルはこう出ておるんです。ところが、事もあろうに沖縄に、「在日米軍の兵員数は別表一のとおりである。」、ここにあるんです、「沖縄に駐留する米軍の兵員数については、承知していない。」と。責任ある総理の名においてこんな回答が私に来ておるんですよ。このことなんですよ。一体沖縄を日本政府はどう考えておるのか。このことのついては、あさって私締めくくりもいたしますので、そのときにはっきり、沖縄に対する位置づけは一体どういう考えによってアメリカに任せているのか。そこに何か考えられるものがあるんです。そのことを必ず私は締めくくりの段階で答えてもらいたい。今から予告をしておきます。
 もうけしからぬ回答なんでしょう。差別であり、犠牲であるでしょう。それと沖縄の現状と照らし合わすと、まさに治外法権のやりたいほうだい、なすがまま、したいほうだい。沖縄県民の生命、財産、人権を一体何と思っておるかという、このことを私はもうこれは我慢ならないという、こういう心境で簡単にきょうはお尋ねしたわけであります。
 コメントを求めて、私の質問を終わります。
○国務大臣(海部俊樹君) 私も今手元にそういった資料を持っておりませんので、どうしてそれがわからないのか、今の段階でわかっていることは事務当局から答えさせます。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、在日米軍の全体については米国防省が発表しておりますが、個々の点については発表しておりません。これはほかの海外においても同じでございまして、私どもはしたがいまして沖縄に関しましては、非常に申しわけございませんが、承知しておりません。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で喜屋武眞榮君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、星野朋市君の質疑を行います。星野君。
○星野朋市君 最初に、海部総理にお尋ねいたしたいと思います。
 まことに唐突ではございますけれども、海部総理は自衛隊の基地の中における自衛隊の隊舎、宿舎、これをごらんになったことがございますでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 愛知県の守山の師団を初め、名前はちょっと具体的に忘れましたが、善通寺というところの基地とか北海道へ参りましたときの基地とか、そういったところは中へ入っていって見せていただいたことがございます。
○星野朋市君 私はどうしてそれをお聞きしたかというと、防衛庁予算の中の実は後方装備、特に自衛隊の隊舎、宿舎について前から話を聞いておったんですが、たまたま先日陸上自衛隊の松戸基地、これは一般物資の補給基地でございますね、それから海上自衛隊の下総基地、これはP3Cの訓練基地でございますけれども、それを見る機会がございました。
 それで、この基地の中には戦前からの建物も残っておりまして、とりわけ自衛隊員の隊舎、それから宿舎については狭さと老朽化が目につきました。これは話に聞いておったよりももっとひどい状態であるのが実感でございます。例えば九・五坪住宅というものがございまして、それは昭和六十三年度に既に解消されたと言われていますが、これを聞いてみますと全くこれは物置同然であったというような回想もございます。現実には九・五坪は解消しましたけれども、十坪余りの木造の老朽家屋が現に使用されておるわけです。これは一言で申しますとちょうど時代劇に出てくる傘張りをしている浪人の裏長家、こんな状態なんですね。これが現実に使われておるわけです。
 私は、申すまでもなく、正面装備も非常に重要なことですけれども、人を最も重要視すべき防衛庁の仕事の中でもっと人間的な環境を整備すべきだと思うんですが、防衛庁長官、いかがでございますか。
○国務大臣(石川要三君) 私も就任いたしましてから陸上自衛隊は練馬の自衛隊に現場を見に行きました。行ってみますると、今先生御指摘のような、私の想像していた以上のいろいろと貧しさといいますか、そういうものでございました。あるいは地方の部隊へ行くともっとひどいのではないかな、こんなふうに思っているわけでありまして、国会が終わり次第今行く準備をしております。
 現在の状態をちょっと申し上げますと、古い隊舎というものが約二〇%残っている。そして、隊舎が非常に狭い。今お話しのとおりですね。四十・九平米に七人、雑居というと言葉が悪いんですけれども、一緒に生活しているわけであります。沖縄の一部を除いてクーラーがないんですね。この日本の非常にべたべたした湿気の多い夏の中で、一体あの狭いところに七人寝て安眠ができるのだろうか、本当に休息がとれるだろうか、こんな心配を今私もするわけでありまして、これは可及的速やかに何とかしなければいけない、こんなふうな気持ちでございます。
○星野朋市君 隊舎だけではなくて、宿舎の方がもっとひどいんですね。大体防衛庁の宿舎は二Kが主体になっているというような状態で、これは夫婦子供一人がやっと住めるような状態と私は認識しております。
 それで、防衛庁の後方装備、特に宿舎、住宅については三年計画とか五カ年計画とか、そういう整備計画がおありでしょうか。それとも単年度計画でこれはなされておるのでございましょうか。
○政府委員(畠山蕃君) お答え申し上げます。
 特に宿舎、隊舎について固有名詞として宿舎の五カ年計画あるいは隊舎の五カ年計画といったものはございませんが、現在の中期防においても五カ年の間にどのぐらいの整備をするかという目標を持っておりまして、例えば宿舎で申しますと平成二年度、現在のこの予算が成立いたしましてこれが実行されますと九〇%の充足率になるというようなことで、個々に具体的に計画を立てて進めているところでございます。なお、次期防においても恐らくそういう形になろうかと思います。
○星野朋市君 私が調べましたところ、防衛庁の宿舎の充足率、これは八八%、一般公務員の充足率は九五%と聞いております。実は過酷な労働や訓練を済ませた後の隊員の休憩施設も満足でなくて、今防衛庁長官がおっしゃられたようにクーラーもないという状態でございます。隊員の真摯な態度とひたぶるな態度を見ておりますと、もう少し何とかしてやらなくちゃならないなという気持ちが起こるんですが、大蔵大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は最近現場を見ておりませんので、過去の記憶しかありません。その当時よりは少しでも改善されたことと信じておりますが、委員の御指摘も恐らく私なりに想像ができないではありません。
 長い答弁を申し上げるつもりはありませんけれども、今長官からもお話がありましたように、宿舎、隊舎など具体的な整備のあり方と申しますものは、現在防衛庁におかれて平成三年度以降の防衛力整備について全般的な検討をしておられると思います。恐らくその御議論の中でいろいろあると思いますが、結果がまとまった段階で財政当局にも御相談があると思いますし、その時点で適切に対応したいと思います。
○星野朋市君 よろしくお願いします。
 次は、防衛大学の任官拒否の問題についてお伺いしたいと思います。
 手元にあります資料でございますと、四年前、六十一年三月は卒業生四百十名に対しまして任官拒否が二十二名、これは五%でございます。ことしの三月は四百二十四名に対しまして任官拒否が六十名、一四%。二年前から任官拒否が一〇%を超えてまいったわけでございます。
 防衛大学の一人当たりの年間経費は千八百万と言われていますけれども、こういうような状態、非常にむだな出費が多いんではないか。これは任官を義務づけて、任官拒否をする者にはその費用を返還させるべきではないか、私はこう考えております。また、現在の者にそういうことができないならば、これは入学時にそういうような誓約書を書かせるべきではないか。そうするとますます人材が集まらなくなるというような意見もございますけれども、そんな目的意識を持たない者は入学させるべきではない、私はそう考えております。真に適格者だけを教育すべきである、そう思っております。もしこういう問題が今示したようなパーセンテージで増大するならば、ここら辺で制度改正の時期に来ていると思うのでございますけれども、防衛庁長官、いかがでございますか。
○国務大臣(石川要三君) 最近、防大卒業者で任官しない人たちが、私は一番気になるのは、だんだんふえているということですね。わずかではございますがふえて、ことしは最高の五十九名あったわけであります。アップダウンが多少あるんならこれもまた考えようでありますが、だんだんふえていくという事態を私は非常に憂慮しておるわけであります。一体この原因はどこにあるか。いろいろと検討するんですけれども、これはという理由はなかなか発見できないわけであります。民間が景気がいいのも一つの原因かもしれない。あるいはまた、十八前後の青年ですと人生のまだしっかりした見定めがないのも一つの原因かもしれない。いろいろとあるでしょうが、それは総合的なものだと思います。ただ私は、それと同時にやはり自衛官に対する国民の見方、認識といいますか、リスペクトといいますか、そういうものが少なからず必要なことではないか、こんなふうに思うんです。
 いずれにしましても、それではどうやったら改善できるか、この方法論ですが、これも人事局長あたりにいろいろと検討させているんですが、なかなかこれという案がない。今先生の御提案の念書を書かせるとか、あるいはどうしてもだめなら月謝を払い戻せとか、これも一つの手でしょう。しかし、それをやって果たしていいか悪いかというのもいろいろ考えてみるとあるんです。
 例えば一定のペナルティーでお金を返してもらうという制度をやったとした場合、景気がいいと民間は今度はわずかの金でぼんぼんと引き抜きに使うかもしれません。あるいは念書を書くということも、これもいろいろと人間的な疑いという点も出てきやしないか。いろいろとありますけれども、私は総合的にまだまだこれを検討して、何とか国民のそういう懸念に対する対策を検討していきたい、こんなふうに思っているわけでございます。
○星野朋市君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で星野朋市君の質疑は終了いたしました。
 これにて外交・防衛に関する集中審議は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十一分散会