第118回国会 予算委員会 第19号
平成二年六月六日(水曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月五日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     上田耕一郎君
     星野 朋市君     秋山  肇君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石原健太郎君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                石井 道子君
                遠藤  要君
                小野 清子君
               大河原太一郎君
                片山虎之助君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                西田 吉宏君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                粕谷 照美君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                堂本 暁子君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教美君
                上田耕一郎君
                粟森  喬君
                池田  治君
                足立 良平君
                井上  計君
                喜屋武眞榮君
                秋山  肇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  長谷川 信君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  保利 耕輔君
       厚 生 大 臣  津島 雄二君
       農林水産大臣   山本 富雄君
       通商産業大臣   武藤 嘉文君
       運 輸 大 臣  大野  明君
       郵 政 大 臣  深谷 隆司君
       労 働 大 臣  塚原 俊平君
       建 設 大 臣  綿貫 民輔君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  塩崎  潤君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
        官)      砂田 重民君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  石川 要三君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       相沢 英之君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       大島 友治君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  北川 石松君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  佐藤 守良君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        有馬 龍夫君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局
       給与局長     森園 幸男君
       日本学術会議事
       務局長      舩津 好明君
       警察庁長官官房
       長        浅野信二郎君
       警察庁刑事局保
       安部長      加美山利弘君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       北海道開発庁総
       務監理官     松野 一博君
       防衛庁参事官   内田 勝久君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       経済企画庁調査
       局長       田中 章介君
       科学技術庁長官
       官房審議官    石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力局長      緒方謙二郎君
       環境庁企画調整
       局長       安原  正君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       国土庁大都市圏
       整備局長     三木 克彦君
       法務省刑事局長  根來 泰周君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房外
       務報道官     渡邊 泰造君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局   林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省理財局長  大須 敏生君
       大蔵省理財局次
       長        松田 篤之君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      吉田  茂君
       文部省生涯学習
       局長       横瀬 庄次君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生省援護局長  末次  彬君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   関   収君
       資源エネルギー
       庁長官      山本 雅司君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        向 準一郎君
       中小企業庁計画
       部長       高島  章君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
       運輸大臣官房会
       計課長      岩田 貞男君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省運輸政策
       局長       中村  徹君
       郵政大臣官房長  白井  太君
       郵政大臣官房経
       理部長      木下 昌浩君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     甘粕 啓介君
       建設大臣官房総
       務審議官     福本 英三君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       消防庁長官    木村  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第四局長   山本  正君
   参考人
       日本銀行総裁   三重野 康君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
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○委員長(林田悠紀夫君) まず、締めくくり総括質疑に関する理事会の協議決定事項について御報告いたします。
 質疑を行う日は、本日六日及び明日七日とすること、質疑時間総計は百八十四分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党・護憲共同九十六分、公明党・国民会議二十九分、日本共産党、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合それぞれ十五分、参院クラブ及び税金党平和の会それぞれ七分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会の決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(林田悠紀夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(林田悠紀夫君) これより本岡昭次君の締めくくり総括質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 まず、海部総理に伺います。
 総理は五日朝、アメリカのブッシュ大統領と電話会談をされたようです。その中で、七月九日から開かれるヒューストン・サミットに先立って日米首脳会談を行うことで一致したということのようですが、その会談での主要なねらいは一体何ですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 昨日の朝、電話がかかってきましたときに米ソ首脳会談の主な点について御説明を受けましたが、向こうからもう少し詳しく話し合いたいということがございましたし、またサミットの直前にNATOの首脳会談も行われるようでありますので、それが終わって、サミットの前に会っていろいろ話をしたいと、こういうことでございました。ですから、私の受けた感じでは、米ソ首脳会談についての報告をさらに詳しくされるとともに、NATOでどのような話をされたかということについても私に知らせておこう、こういう向こうには立場があり、私はいろいろなアジアの問題、特にきのうおとといはカンボジア和平の問題での東京会談も行われており、また韓ソの首脳会談があるなどいろいろな動きがありますので、そういった問題について率直な意見の交換をしたい、こう考えてお受けをした次第であります。
 日時その他については、外務省を通じて今後調整をすることになっております。
○本岡昭次君 それでは、今総理の答弁の中にありました韓国・ソビエト首脳会談について総理と外務大臣に若干伺います。
 四日の韓ソ首脳会談は、近い将来両国が国交を樹立することで原則合意したと報じられております。このことは、戦後四十五年間にわたって続いていた朝鮮半島の南北対立という冷戦構造に根本的な変化をもたらし、朝鮮民主主義人民共和国、そして日本、米国、中国などの関係にこれから大きな波紋を広げていくことになると私は思います。政府はアジア・太平洋情勢の安定につながると歓迎をしております。今後日本としては真の安定した平和のための努力が求められることになると思いますが、そのためには従来の受け身外交と言われている姿勢から積極的な外交へ転換ができるか、文字どおり日本外交が問われるようになると思いますが、総理、外務大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 韓ソ首脳会談が行われて、韓ソの間にまだ時間的、手続的な問題はあるにせよ国交を正常化していこう、これは大きな変化だと思い、また歓迎すべき方向性だと受けとめて私は率直に評価をいたしておりますが、日本の外交は、今、世界の大きな注目を集めておるヨーロッパにおける平和と繁栄と安定、これがアジアにも平和と繁栄と安定がきちっと定着するようにどうしたらいいかということで、できる限り積極的な対応をしていかなきゃならぬと考えておるところでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 今総理から御答弁申し上げましたように、かねて政府は、国交のない北朝鮮との関係の増進といいますか、関係がさらに一層発展することを期待しておりますけれども、そのためにいろいろなところで努力をいたしております。私自身も北朝鮮と外交関係のある国の外相との会談におきましては必ず日本の考え方を申し伝えておりまして、私どもは、今回の韓国大統領とゴルバチョフ大統領との会談の結果が今までの固定された朝鮮半島の新しい政治的な変化を起こす一つのきっかけになれば大変好ましいことだと考えておりますし、日本政府としてもできる限りの環境づくりに協力をしてまいりたい、このように考えております。
○本岡昭次君 次にもう一点、カンボジア和平を目指す東京会議について外務大臣に伺います。
 この東京会談は戦後初めて日本で開かれた和平会談でありますが、和平に向けての停戦について合意することができた。そういうことでホスト役を務められた中山外務大臣に御苦労さまでしたと申し上げたいわけであります。しかし、停戦協定でないだけに、まだ数カ月は戦いが続くと、こう言われております。しかも、ポル・ポト派が強い不満を持っている状況から、本格的な停戦から和平へと当事者間の交渉が発展していくよう日本の役割がまだ残されている、こう思います。
 さらに、この停戦後カンボジアの真の和平、そして経済復興といったことについても、日本として万全の体制をしいていかなければ本当の意味のホスト役は果たせないと思うのでありますが、このポル・ポト派が参加していなかったことに私は何か非常に不安を覚えるんですが、このことについての外相の見解、そしてまた、今後カンボジアの本格的な和平に向けて日本がどういうふうな役割を演じようとされているか、そこを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 四日、五日と東京で開きましたカンボジア和平会議というものは、日本の政府だけではなしに、かねて国境を接しているタイ国の政府がこのカンボジアの紛争を何とかしておさめたいという努力を行っておりましたし、また一方では、かつての宗主国であるフランスが昨年の八月からこの和平のための国際会議を開いておりました。今回、タイ国政府のお話を海部総理は受けられて、日本政府がそういうふうな場所を提供してカンボジア四派の話し合いをしていただく、こういうことになりまして、タイ国からはチャワリット副首相が日本にわざわざこのために来られて、自分はあくまでも黒子役に徹したい、そして東京で各派の調整、折衝に自分は当たるということを私との会談で最初に申されました。事実、夜を徹して各派との交渉に当たられますとともに、一緒に日本の外務省の職員も夜を徹してこの調整に当たりました。
 そういう中で昨晩ようやく三派、いわゆるへン・サムリン政権のフン・セン首相とシアヌーク派のリーダーであるシアヌーク殿下、それからソン・サン派のソン・サン首相といろいろとコミュニケを作成することができた。そういう中でクメール・ルージュのポル・ポト派のキュー・サムファン氏は参加をしなかったということで残念でありますけれども、私どもこのお世話をさせていただいたホスト役としては、クメール・ルージュがこのコミュニケにいつでも参加できる道をあけるということがチャワリット副首相との大きな合意の話し合いでございまして、話し合いがまとまりました七月末までに最高国民評議会をつくってそれぞれが同数の委員を出す、こういう話が一応コミュニケには盛られておりますし、戦闘も自粛するということになっておりますし、我々人類の共通の遺産であるアンコールワット周辺の地域を非敵対地域としてそれぞれ停戦を求めていく、こういうことに相なったわけであります。
 これからさて何が必要かということになりますと、やはりクメール・ルージュにかねてから強力な援助をしている中華人民共和国という国がございます。この国の東京のいわゆる高官の方々も陰ながら今回は御協力をいただいておりまして、何とかしてカンボジアに和平をということには思いが一つになっているわけでありますから、これから日本政府、タイ政府は中国政府とも大いに平和へ向けての努力に協力を求めるという姿勢を貫いてまいりたい。また、ベトナムの政府に対してもそのような姿勢を堅持してまいる。
 こういうことで一日も早く和平が達成でき、パリの国際会議が再開できるように日本政府としては全力を挙げて取り組んでまいりますし、和平達成後は経済の復興のために日本は経済協力をいたしてまいりたい、このように考えております。
○本岡昭次君 それでは、人権問題を四点の角度からただしていきたいと思います。
 まず初めに、国際人権B規約の選択議定書の批准の問題であります。総理に初めに伺っておきますが、今東欧社会主義国では自由と人権を求める巨大なうねりが、ベルリンの壁にとどまらず一党独裁の政治体制を次々と崩壊させていると私は見ています。世界史を揺るがす出来事は本質において自由と人権、すなわち民主主義のないところに経済の発展は望めない、国民に幸せはないという人々の願いが込められている、そうした大きなうねりであると私は思っているんですが、総理はどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 東欧諸国に起こっております一連の大きな変化というものは、今本岡委員御指摘になりましたように自由と民主主義、そして市場経済の理念によって人々の生活を豊かにしていきたいという願いから起こったものであろう、このように私も受けとめております。
○本岡昭次君 私はかねてから人権問題、特に人権は国境がないと言われているわけでありますから、国連の国際人権規約に我が国が率先して加入していくことを求めてきました。その中で、先ほど言いましたように、人権B規約の選択議定書の早期批准、加入というものを求めてきたんですが、その後どうなりましたか。
○政府委員(赤尾信敏君) お答えいたします。
 今先生御指摘の国際人権現約B規約の選択議定書でございますけれども、これは、人権侵害について侵害を受けた個人が直接国連の人権委員会に対して通報を行う制度を認めるという点でございますが、このような制度というのは我が国にとっては経験がない分野が非常に多いということ、それとこのような制度が果たして国際的に普遍性を有する人権保障の実効的な制度としてうまく機能するかどうかという点をもう少し検討する必要があるということ、さらに国内法体系との関係で問題があるかどうかというような点もございまして、今検討を進めている段階でございます。
○本岡昭次君 これは大臣方に聞いていただきたいんですが、予算委員会で昭和六十年十一月六日に私はこのことを質問している。それで当時の安倍外務大臣がこう言っているんですよ。「現在までの本制度の運用状況はおおむね問題はないと考えております。 国会でも附帯決議がございます。承知しておりますが、こうした附帯決議も踏まえまして、今後締結に向けまして積極的に検討してまいりたいと考えております。」。
 それからまた、この参議院の本会議で私の質問に対して、当時の中曽根総理大臣が、「人権B規約等の問題につきましては、アジア地域でB規約選択議定書の締約国は現在のところございません。」ということを言いながら、「国会の附帯決議も踏まえまして、今後締結に向けて努力してまいりたいと思います。」、こういうふうに言っているんですよ。そのときから少しも中身は変わっていない。一体どういうことですかこれ。外務大臣、総理大臣がこういう答弁をやっておきながら。
○政府委員(赤尾信敏君) 毎年このB規約の人権委員会にいろいろと通報されます個人からの通報の内容、それに基づく人権委員会における審議状況、あるいはそれに基づく報告書等を私たちいろいろと読みながら、果たしてこういう制度が日本になじむものかどうか、あるいは国内法制度の関係でどうかということをいろいろと検討している次第でございます。
 ちなみに申しますと、その検討の一環といたしまして、六月十七日から二十日までオタワで国連のこの問題についてのワークショップが開催されますので、そこにも外務省の担当官を派遣いたしまして、各国の経験等について学びつつ、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 検討しておるうちに日が暮れますわ、もう。韓国とフィリピンがこれに加盟したということを知っておられるでしょう、外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 存じております。
○本岡昭次君 アジアの中でどこもやっていないと。そう言う間に韓国とフィリピンが加盟しているんですよ。恥ずかしくありませんか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員からせっかくのお尋ねでございますからこの機会に申し上げておきますが、今政府委員が御答弁申し上げましたように、カナダでのワークショップに外務省から人を派遣いたしまして、その報告を聞きました上で私なりに判断をさせていただき、できるだけ人権尊重の姿勢を貫いてまいりたいと、このように考えております。
○本岡昭次君 私は恥ずかしいことだと思うんですよ。アジアの中の指導的立場に立たなければならない日本が検討、検討、検討と日を重ねている上に、フィリピンが加盟する、韓国が加盟する。何で韓国やフィリピンが加入できるものが日本はできないんですか。政治的判断の問題ですよ。
○政府委員(赤尾信敏君) 一時的に例えば日本国内で人権侵害があれば、そのためのいろんな救済制度というのが設けられているわけです。例えばいろんな司法制度でございますとか法務省の人権擁護局等に提起することもできるわけでございまして、この議定書が定めているところでも、まず国内のいろんなそういう救済制度を尽くした上でなお問題があれば人権委員会に提訴するということでございますので、そういう制度との絡み等につきましても今検討しているという状況でございます。
○本岡昭次君 外務大臣、日本人が韓国へ行ってこの種の問題を起こしたときには国連の人権委員会に提訴できるんですね、日本人は。ところが韓国の方が日本へ来て同じ状態になったときには、日本が加入していないからできないんですよ。しかもその人権委員会の中の委員は日本人がなっておるんでしょう、そこに日本の人が。恥ずかしいと思いませんか、こんなこと。
○国務大臣(中山太郎君) 安倍外相当時にも、先生の御質問に積極的に努力するというふうにお答えをいたしておるようでございますから、私も安倍大臣の意思を受けて、この問題については積極的に努力をさせていただきたいと考えております。
○本岡昭次君 積極的というのはもうずっと聞かされているんですから、時期を切ってください。
○国務大臣(中山太郎君) カナダでのワークショップが近く開かれることになっておりますから、それの報告を聞きまして、その判断に基づいて私は積極的に判断をいたしたいと、このように考えております。
○本岡昭次君 これは総理も含めて政治判断ですよね。この間、盧泰愚大統領と会談をされたんでしょう。それで、こうした問題をどんどんと先を越されていくというのは本当に恥ずかしいことですよ。
 総理に私は政治的な決断を求めたいと思います。どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御引用になりました国会における政府の答弁あるいは「その運用状況を見守り、積極的に検討すること。」という決議等もございます。それを踏まえて、外務大臣が今度のカナダの会議等の経過等も見ながら積極的に判断すると申しますので、私も十分相談をしながら検討していきたいと思います。
○本岡昭次君 次に私がこの質問に立つときに、司じことを二度と私に聞かせないでくださいね。お願いします、本当に。国際的に恥ずかしいことですよ、このことは。
 次に、強制連行の問題についてお伺いいたします。
 竹村委員が前回質問をされたわけであります。その後作業経過がいろいろ新聞に出ておりますが、どういうふうな作業経過なのか、確認作業をやっておられるのか報告していただきたい。
○国務大臣(坂本三十次君) いわゆる徴用者名簿の調査については、先週初めに内閣官房に労働、外務、厚生、法務等の各省庁関係者を集めて、政府として鋭意調査することを確認いたしました。今週月曜日に改めて同じ関係者が集まり、中間的なとりあえずの調査状況を披露したわけであります。
 以上の結果、本件については今後は労働省が中心となって各方面とも連絡しつつ、できるだけの調査をさらに続けることとなったわけであります。法務省からは、本件名簿の手がかりとなるようなことは戸籍面からは可能でないとの調査報告を得ました。
 以上のように政府としては鋭意調査を続けておりますが、何分古い話でもありますので、調査のためには必要な時間をいただきたいと思っております。
○本岡昭次君 新聞によりますと、調査が行き詰まった場合やめざるを得ないが、日韓問題の補償問題が決着している以上深刻な問題ではないとの判断を示したとか、盧泰愚大統領来日のときの日韓外相会談で話題になったが強い要請を受けたわけではない、こんなことも新聞に出ているんですが、これはどうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 今官房長官から御答弁申し上げましたように、この問題は極めて大切な問題だという認識を持っておりまして、私どもはやはりこれを真剣に調査をやって、もし調査の結果が出れば御報告をする機会を持ちたいと、このように考えております。
○本岡昭次君 ここに一九八七年に発行された「鉱山と朝鮮人強制連行」という本があるんです。この本には兵庫県の鉱山における朝鮮人の強制連行の実態が記録されております。
 戦前内務省警保局が作成した極秘資料「特高月報」というふうなものから導き出して、兵庫県でも、一九三九年から一九四三年までに一万六百八人が兵庫県に強制連行された、逃亡者は三千七百十七人であったとかいうようなことが出ているわけです。また、「兵庫県知事引継演述書」というようなものがありまして、その中で一九四五年八月十五日から一九四七年三月まで朝鮮人強制連行者がどう帰国したかということが書いてある。そこには二万五千人兵庫県から強制連行者が帰国した。こんなことがちゃんと兵庫県にもわかるわけです。
 そしてこの強制連行の問題は、私たち日本人にとって抽象的な概念でなくて、身近なものであるということであります。朝鮮人への過酷な弾圧、奴隷的労働からくる搾取、これがすぐ私の今住んでいる近くの鉱山、軍需工場、さまざまな企業の事業所でそういったことが行われていたという、本当に具体的な出来事なんですよ。だから私は、強制連行の実態の解明は、韓国や朝鮮民主主義人民共和国が言うからとか、そこの問題でなくて、日本自身の問題、そして歴史上にしっかりとこれは記憶にとどめて子供たちにも語り継いで、それで二度とこういうことをしてはならぬというみずからの戒めと、そのことを土台にして将来への日本の未来というものをつないでいく大事なものであるというふうに思ったんです、最近になって。
 総理の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 強制連行の問題につきましては、今それがどのような数で、どのような実態があったのかということをできる限り調査するように指示しておるところでありまして、政府としてはそのことの事実ができるだけ解明されるように努力をしておるところであります。
 なお、歴史の中にその認識を正しくして学校教育の現場の中でも引き継がれていくべきだという御指摘でありますが、私もいいことは繰り返し、よくないことは繰り返さないということは、これも教育の持つ大切な一面であると思いますので、教科書を調べてみましたが、教科書にもそのような過酷な労働を強いたとか、強制連行をしてきて日本でこのような扱いをしたという記述がございます。そういったことを現場できちっと教えて、二度と繰り返してはならないということもその場においてきちっと教えていくようにしていかなければならないという問題だと、こう認識をいたしております。
○本岡昭次君 お隣の鳥取県の日本鉱業岩美鉱業所とかあるいはまた荒金鉱山で強制連行されて働いた労務者の名前が、こういうふうにしてきちっとあるんですよ。だから民間がいろんな形で身近なものを掘り起こしてやっているんですよ。私はこのことは大事だと思うんです。政府だけにやれじゃなくて、身近なものはみんながやらにゃいかぬけれども、やっぱりこれは政府責任の問題としてやる努力というものを私はここで改めて強調しておきたいと思うんです。
 それで、こうした強制連行というのは日本のいかなる法令によって行われたんですか。
○政府委員(清水傳雄君) いわゆる朝鮮人の徴用につきましては、昭和十三年に制定をされました国家総動員法及びそれに基づきます国民徴用令、昭和二十年からは国民勤労動員令になっておりますけれども、これらに基づいて実施されたと承知をいたしております。
○本岡昭次君 もっと細かいものがあるんじゃないですか。
○政府委員(清水傳雄君) いろいろと諸手続はあったかと存じますけれども、基本的には以上のような法令に基づいているものと承知をしております。
○本岡昭次君 時間がありませんからまたそれは改めてやりますが、それでは、そうした法令の定めるところによって日本に強制連行された人の人数、そして年次別に報告してください。
○政府委員(清水傳雄君) 当時の徴用関係の資料は労働省には保存をされておりませんものですから、現在まで鋭意調査をいたしておりますが、有権的に申し上げられるようなデータは残念ながら持ち合わせていない状況でございます。
○本岡昭次君 大変なことですね、法令によって強制連行しておきながら、何人だったかわからぬというのは。これ、どうにもならぬじゃないですか。
 その強制連行の目的というのは、一体それは何だったんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 国家総動員法第一条によりますと、「国家総動員トハ戦時ニ際シ国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及物的資源ヲ統制運用スルヲ謂フ」というふうにされておりまして、その意味からいたしますれば、国家総動員の目的は、戦時における国防目的の達成であったということができようかと思います。
○本岡昭次君 この強制連行の方式は、募集それから官あっせん、一般徴用令、軍による強制、女子挺身隊、勤労動員令、徴兵制というふうなものがあるというふうになっておるんですが、このとおりですか。
○政府委員(清水傳雄君) 国民徴用令によりますと、第二条におきまして、「徴用ハ特別ノ事由アル場合ノ外職業紹介所ノ職業紹介其ノ他募集ノ方法ニ依り所要ノ人員ヲ得ラレザル場合ニ限リ之ヲ行フモノトス」ということにされておりまして、これによれば、国民徴用令に基づきます徴用の前段階といたしまして、文書なり門前募集人などによる募集とか職業紹介所の紹介による官あっせんが行われ、それでも必要な労働者が集められない場合に徴用が行われたものと考えられます。
○本岡昭次君 そうしたものを実行に移すために朝鮮半島でどのような体制をつくったのか。また、日本本土ではどのような受け入れ体制をつくったんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 全体としての業務の流れといたしましては、まず当時の企画院が全体の長期計画をつくりまして、それに基づきまして厚生省の勤労局が需給調整の方策についての方針を決めまして、それからいわゆる国家総動員法に基づきます総動員業務なるものがあるわけでございますが、そこに従事をするという形になる。それを所管する所管大臣が内地の場合には厚生大臣に請求をする。それから朝鮮の場合には朝鮮総督府に請求をする。朝鮮の場合ですと、朝鮮総督府におきまして、その下部機構がそれに基づきまして徴用令書を出しまして、それに行き先でございますとか職業でございますとか業務でありますとか、そうしたものが記載をされておったようでございます。
 それで、朝鮮の場合によりますと、これは古い人の話をいろいろ調査してお聞きした状況でございますけれども、大部分は下関なり博多港に連れてこられ、それで国内で受け入れる事業所等に引き渡しをしておった、こういうふうに聞いております。
○本岡昭次君 日本ではどういうところへ引き渡したんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 先ほど申し上げましたように、国家総動員法の三条に総動員業務というものが列挙をされておりまして、総動員物資の生産、修理、配給、輸出、輸入、総動員上必要な運輸、通信に関する業務、金融に関する業務、衛生、家畜衛生の業務、必要な試験研究に関する業務、こうした業務が列挙をされておりまして、こうした業務を営む事業、これは多くは企業であろうかと思いますし、あるいは場合によっては軍が管理する軍用工場というふうなものもあったかと存じますが、そうしたところに配置をされておった、こういうふうに考えられます。
○本岡昭次君 それは政府が配置したんですか、企業が要請したんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 全体の業務の流れといたしましては、総動員業務を所管する官庁の方が厚生大臣に請求をする、そこでいろいろの計画を、企業の状況を把握して、そういうふうな形がとられたのだろうと思いますが、それから、徴用令になりましてから企業も勤労局の方に直接申請をすることができるような規定にもなっております。
○本岡昭次君 募集というのは、企業が募集したんじゃないんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 先ほど申し上げましたように、徴用の前段階としての募集というものがまず行われておったようでございます。これは募集人とか、あるいは文書募集もございましょうし、そうした形で、直接的には企業の募集ということになろうかと思います。
○本岡昭次君 それから海軍作業愛国団とか南方派遣報国団というふうなものもあったようですが、これは一体どこの要求でつくられ、この団の内容は何ですか。それで、どこへ配置されたんですか。
○政府委員(清水傳雄君) 国家総動員法第五条に基づきまして、昭和十六年十一月に国民勤労報国協力令というものが制定をされ、これによりまして国民勤労報国隊が組織をされたということになっております。今の御指摘はこの件のことかと考えるわけでございますが、国民勤労報国隊の参加者は、原則として十四歳以上四十歳未満の男子、十四歳以上二十五歳未満の女子ということでございました。協力業務というのは、先ほどの総動員業務でございまして、生産、配給とか通信、運輸、医療関係、土木建築、警備、こうした業務で、協力期間は三十日以内、無報酬ということであったとされていたようでございます。
 今お尋ねの海軍作業愛国団なり南方派遣報国団の個々の状況につきましては、私どもとしては把握をいたしておりません。
○本岡昭次君 ぜひそれを把握して内容をつかんでいただきたいと思いますが、どうですか。
○政府委員(清水傳雄君) できる限り調査をいたしたいと存じます。
○本岡昭次君 以上のようなことで、これほどの大事をほとんど現在我々は掌握できないということが明らかになったわけなんです。しかし一方では、いろいろとこの実態を記録している文書があるわけであります。私が手に入れたものの中で、一つは米軍の側の書かれたもの、もう一つは帝国議会や特高などの資料、あるいは朝鮮の経済史などから積み上げたと見られるものがあるんですが、それによりますと、昭和十四年から昭和二十年までに強制連行された者は約百五十二万というふうに言われております。また、これが私はほぼ実態ではなかったかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(清水傳雄君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては有権的に申し上げられるようなデータを現在までのところ持ち合わせておりませんので、見解は差し控えさせていただきたいと存じます。
○本岡昭次君 いや、概数もわからないということでは私は納得できませんね、こんなことについて。
○政府委員(清水傳雄君) いろいろな文献はあろうかと存じますし、私どももそうしたものも調べておりますけれども、有権的と申しますか、そうした形で申し上げられるようなデータとしては持ち合わせていないということで御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 私の言った人数、ほぼそのぐらいでしょうとかそういうことも言えないんですか。そんなことでどうして名簿ができるんですか、概数もわからずに。
○政府委員(清水傳雄君) 一つの文献といたしましては、アメリカ合衆国戦略爆撃調査団報告というのがございまして、これによりまして一九三九年から一九四五年までの間にトータルで、これはブロートという数字、表現になっておりますので、その意味内容がどういうものであるかというのははっきりわかりませんけれども、六十六万七千六百八十四名、こういう数字はございます。
○本岡昭次君 この特高外事月報って何ですか。
○政府委員(清水傳雄君) 当時の厚生省勤労局で行っておりました統計ではないようにも考えられますので、私どもといたしましては承知をいたしておりません。
○本岡昭次君 特高外事月報というものがあったんでしょう。
○政府委員(清水傳雄君) 労働省といたしましては、申しわけございませんが、承知をいたしておりません。
○本岡昭次君 だめですよ、こんな。労働省のできることじゃないじゃないの、今ずっと調べたら。
○政府委員(浅野信二郎君) お尋ねのものにつきましては、旧内務省時代の資料であったのではないかというふうに思われますが、ただいま私ども警察庁におきましても、内務省時代とは警察の組織などが非常に大きく違っておりまして、私どももその時代のことはつまびらかにしておりませんので、御了承を願いたいと思います。
○本岡昭次君 そうすると、こういうところの資料に特高外事月報、兵庫県のこれでもやっぱり特高月報一九四二年十二月分、一九四〇年四月分、一九四二年七月分というふうに調べて、そこに人数が出ている。ここにも、特高月報が年度別で出しているのを見たら、一九四〇年八万一千百十九人、一九四一年十二万六千九十二人、一九四二年二十四万八千五百二十一人、一九四三年三十万六百五十四人というふうに出ているじゃないですか。調べる気があるのかな、一体。
○政府委員(浅野信二郎君) ただいま申し上げましたように、私どもの方も警察についての組織などが大きく変わっておりまして、そういう数字につきまして確認できる資料がございませんので、その点は私どもは、その数字がどうであったかというような点の確認はできない状況にあるということの御了承をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 官房長、人数もわからへんのに名簿をどうするんですか、これ。こんな概数もわからへんのに。労働省に責任なんか持たされへんでしょう。だめですよ、こんなの。
○国務大臣(坂本三十次君) 先ほども御報告をいたしましたように、関係省庁会議を開きまして、そして調査の徹底を指示いたしまして、今その調査事業を継続して、そしてできる限りの努力を払うようにと指示を重ねてきておるところであります。もう少しお待ちください。
○国務大臣(塚原俊平君) 労働省が誠心誠意調査をするようにというお話をいただきまして、現在、まず厚生省勤労局の時代の話でございまして、厚生省勤労局から厚生省職業安定局になり、昭和二十二年の九月に労働省職業安定局になったという経緯がございますので、今までも、原爆等で衆議院の森井委員等からも御質問いただきまして、その都度調べてきたわけでございますが、資料等が現在のところございません。ただ、さらにまず省内の資料を調べるとともに、当時の勤労局時代の方々に、古い方々にいろいろな形でお聞きをして、ただいま局長の答弁の中にもその一部分あったと思いますが、できるだけ現実を掌握するようにし、かつ、各県の職業安定課に対しましても、もう一度細かく資料等の調査をしてくれるように等のお願いをいたしまして、現在誠意を持って調査中でございます。
○本岡昭次君 約束してくださいよ。一番やっぱり詳細に記録として残っているのが、これは正式には高等外事月報という特高の外事月報、これが一番詳細に出ておるようですね。ぜひともこれを調査して、そして報告するということを約束してください。
○国務大臣(塚原俊平君) 誠意を持って調査いたしますのが私どもの役目でございますので、いろいろな情報がございましたものにつきましては、精いっぱい当時の事実を把握するように努力をいたしたいと考えております。
○本岡昭次君 そしてその資料をこちらに報告してもらいたいということを要請しておきます。
○国務大臣(塚原俊平君) 精いっぱい調査をしてその調査結果を出したいというふうに考えております。
○本岡昭次君 それから、強制連行の中に従軍慰安婦という形で連行されたという事実もあるんですが、そのとおりですか。
○政府委員(清水傳雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、徴用の対象業務は国家総動員法に基づきます総動員業務でございまして、法律上各号列記をされております業務と今のお尋ねの従軍慰安婦の業務とはこれは関係がないように私どもとして考えられますし、また、古い人のお話をお聞きいたしましても、そうした総動員法に基づく業務としてはそういうことは行っていなかった、このように聞いております。
○本岡昭次君 先ほど言いましたように、海軍作業愛国団とか南方派遣報国団とか従軍慰安婦とかいう、こういうやみの中に隠れて葬り去られようとしている事実もあるんですよ。これはぜひとも調査の中で明らかにしていただきたい。できますね、これはやろうとすれば。
○政府委員(清水傳雄君) 従軍慰安婦なるものにつきまして、古い人の話等も総合して聞きますと、やはり民間の業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いているとか、そういうふうな状況のようでございまして、こうした実態について私どもとして調査して結果を出すことは、率直に申しましてできかねると思っております。
○本岡昭次君 強制連行とは、それでは一体何を言うんですか。あなた方の認識では、今国家総動員法というものの中で、それが範疇に入るとか入らないとかと、こう言っておりますが、それでは範疇に入るものは、一体何人あったからそれはどうだとか言うんならわかるんですけれども、すべてやみの中に置いておいて、そういうものはわからぬということでは納得できないじゃないですか。
○政府委員(清水傳雄君) 強制連行、事実上の言葉の問題としてどういう意味内容であるかということは別問題といたしまして、私どもとして考えておりますのは、国家権力によって動員をされる、そういうふうな状況のものを指すと思っています。
○本岡昭次君 そうすると、一九三九年から一九四一年までの間、企業が現地へ行って募集したのは強制連行とは言わぬのですか。
○政府委員(清水傳雄君) できる限りの実情の調査は努めたいと存じますけれども、ただ、先ほど申しました従軍慰安婦の関係につきましてのこの実情を明らかにするということは、私どもとしてできかねるんじゃないかと、このように存じます。
○本岡昭次君 どこまで責任を持ってやろうとしているのか、全然わからへん、わからへんでね、これだけ重大な問題を。だめだ。やる気があるのか。ちょっとこれ責任を持って答弁させてくださいよ、大臣の方で。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(坂本三十次君) 本件につきましては、政府は労働省を中心に関係省庁協力して調査いたしますので、なお時間をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 今のような労働省の役人の方が来られてぼそぼそぼそぼそやっているこの姿ね、本当に恥ずかしいと思いませんか。
 それは盧泰愚大統領と海部総理大臣が、戦後の問題は終わった、過去はこれでと言ったって、やっぱり戦後処理の中の最大の問題が私も調べれば調べるほどここにあると。本当の信頼関係を樹立しようと思えば、やはりこの強制連行に始まったさまざまな朝鮮の植民地政策の具体的な中身は何であったのかということを我々自身の手で明らかにすることを怠ったんでは、本当の意味の信頼関係なんというものはつくれない、こう思うんですよ。
 それにしても一番けしからぬのは警察ですよ。全部特高月報というところで、こういう民間の資料も全部出してきておるんですよ。当時の特高が何月号何月号という雑誌を出して、その中に強制連行何ぼしてきたかということをやってきているんですよ。それを知らぬ知らぬでは許されぬ。絶対それは警察の責任で、これは民間の人でさえ資料に出せるんですから、あなた方でそれは入手できるはずです。私のところへ持ってきてください、それ。(「関係省庁がやると言っているんだから」と呼ぶ者あり)関係省庁の中には警察は入っとらへんのだ、今までの中には。警察を入れてください。
○政府委員(浅野信二郎君) 先ほどもお答えしておりますとおり、戦前、特高月報等、内務省警保局というふうに先ほどもお話がございましたが、そういうものであるとは思いますけれども、それをそのまま今の私どもが引き継いでいるわけではございませんので、いろいろな形の資料としては私どもどこかで目にするということはできますけれども、直ちにこの場で私どもの保有している資料ということでお示しできるかどうかという点については、回答を保留させていただきたいと思います。(「協力すると言わなければだめだよ」呼ぶ者あり)はい。私の方も調査に御協力することにやぶさかであるというわけではございません。ただ、警察庁の資料として特高を直ちにということについて申し上げたので、私どもといたしましても大変大事な問題と思いますから、できるだけの御協力はしたいというふうには思っております。
○本岡昭次君 特高月報が現にきちっとあるということはあなたは認められているわけですね。ちょっとそれだけ確認させてください、特高月報なるものの存在。あなたはそれは見ることができると言いましたが。
○政府委員(浅野信二郎君) まだ私自身もそういう資料が直ちに目にできるかどうかということは確認しておりません。こういうお話がございましたので、そういうことができるかどうかは帰って調べてみたいと思いますけれども、この場所では私ちょっと確認できませんので、そのとおりお答えさせていただきたいと思います。
○本岡昭次君 官房長官、まことに失礼ですが、やっぱり私は特高月報、これが最大の資料だと思うんです。これを今ああいう形で協力すると言っています。責任を持って資料をそろえて私どもにも見せていただけますか。
○国務大臣(坂本三十次君) 特高月報なるものは私も今初めてあなたからお聞きしましたけれども、ですから、心当たりのところを、こういうところで資料がないかというようなところを、それはもう各省庁においてできるだけ範囲を広げて、そして調査していってもらいたいと思っております。とにかく関係省庁、窓口は昔からのつながりで労働省だけれども、全省庁が協力して、そしてできるだけの資料を集め、調査をするようにと指示をしてありますから、できるだけの協力はすると思います。
○本岡昭次君 それでは最後に、いつごろまでにやるか、おおよそのめどをつけてください、めどを。
○国務大臣(坂本三十次君) 先ほども再三お話しを申し上げましたように、今一生懸命やっておる最中でありまして、私に今めどを言えと言われても、ちょっと私ここでお約束をいたし、幾日までとか幾日間とか、これはまだあなたに申し上げる段階ではありませんが、とにかく隠したりうそをつくような気持ちはありませんよ、できるだけ一生懸命にやろう、こうやっておるんですから、どうぞいましばらく時間をかしてください。
○本岡昭次君 それから、そのほかいろいろ資料によると、朝鮮本土内の労働力動員数が約四百八十万、それから強制連行が約百五十一万、軍の傭人、軍属として約二、三十万、軍隊が二十三万、それから日本軍への従軍慰安婦七、八万、合計六百八十万から六百九十万というようなことが韓国内では常識化されて、そういう資料が私たちにも入るわけで、こうした問題を我々日本人の手ではっきりさせるということを抜きにして本当の意味の日本と韓国あるいは朝鮮民主主義人民共和国との信頼関係は私は築けないと思うんですが、総理、最後にあなたの決意を伺って、私は次の質問に行きます。
○国務大臣(海部俊樹君) 先般、盧泰愚大統領との首脳会談におきましても、過去の我が国の行為によって耐えがたい苦しみや痛みを与えたという歴史の経緯を踏まえて、それを深く反省して、私は率直に日本の過去の歴史というものに対しての反省の意を表明しました。盧泰愚大統領はそれについて、正しい認識をしていただくことを評価し、その反省に感謝すると言われまして、それにおいて過去の歴史に起因する問題には区切りをつけて、近くて近い隣人としてアジアのためのよきパートナーになろう、こう言われましたので、私はその後の記者会見においても、そのためには日本側も誠意を持っていろいろな問題については努力をしますということを申し上げた。そして首脳会談においていろいろ具体的な問題がございました。時間がかかりますから一々御報告はいたしませんけれども、今問題になっておる問題につきましても、政府はできる限り各省庁協力をして、どのようなことであったのかという調査を早急にいたして御報告をいたしたいと思います。
○本岡昭次君 それでは続いて、今現実にある民族差別の問題についてお伺いします。
 朝鮮人学校に通う子供たちと日本人が、同じJRを使ってもそこに負担についての大変な差があるという問題、これは私は民族差別だというふうにとらえているんですが、今大臣のお手元にも「JR通学定期券額差別の実態」ということで、その資料を出しております。
 それで、この三田というところから尼崎の朝鮮人学校に通う子供たち、新三田から尼崎の私立の高等学校に通う子供たち、こう見ますと、これは三カ月で七千九百円もの差というものがあるわけなんですよ。一体JRはなぜこういうふうな朝鮮人学校、民族学校に通う子供と日本の子供を差別しなければならぬのか。日本は、先ほど言いましたように、国際人権A規約、B規約というものを批准しているんですよね。そして少数者への差別というものもやらないし、あるいは教育についてもすべての者の教育を保障する、こういうふうにして朝鮮人の皆さんの教育権も保障している。にもかかわらずこういう差があるんですが、これはなぜこういうことなのか、運輸大臣、ひとつこの問題の解決ができないか、答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(大野明君) 御指摘の点でございますが、JR各社の通学定期の割引は、朝鮮人学校のみの取り扱いという意味じゃございません。ただ、今いただいた資料にもございますように、JRと民鉄との相違というものにつきましては、これはどうしても現況はJRが国鉄時代からの経緯等もあり行われておりますので、運賃改定時期等においてそれをひとつ是正するというようなことが考えられるのではないかと思っております。
○本岡昭次君 運賃改定の時期等をねらって改正できるんではないかとおっしゃっていただいて、これは従来から比べれば非常に前向きの発言で、JRの問題として解決をしようではないかということで私は評価したいと思うんです。結局、問題はJRであったわけであります。学校教育法一条に該当する学校であるかないかというふうなことをもって否定していったわけなんです。現に北海道JRが札幌市にある北海道朝鮮初中級学校に通う二人の生徒に対して、日本人と同じ割引定期券を既に出しているんですよ。だから、JRはそれぞれ独立した会社ですから、北海道がやる、西日本がやる、九州がやる、それぞれが自分の会社の方針としてやっていけばいいことだと、こういうふうに私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(大野明君) ただいまお話がございました北海道のことについては、運輸省として現在聞いておりませんけれども、そういう事実が一つあるとすれば、と言うと疑いになるから悪いけれども(本岡昭次君資料を手渡す)ことしになってからですよね。五月、ああそうですか。それでは一度、こういうコピーもいただきましたから、調査もさせていただいた上で考えさせていただきたいと思います。
○本岡昭次君 これは間違いないんです。高校生と中学生の兄弟なんですが、この定期代、この兄弟の兄の方が一万五百九十円、弟が八千二百三十円。その同じところを日本の高校生、中学生がそれぞれ通っても、同じように高校生の場合は一万五百九十円、中学生は八千二百三十円というふうに同じ金額であり、私は念のために定期もこういうのでコピーでいただいて確認したんですが、こういうふうな在日朝鮮人、在日韓国人の民族差別と言われるような諸問題について、やはり一つ一つ具体的に解決していく姿勢、これが大事だと、このように思うんです。
 それで、兵庫県の場合も、やっぱり朝鮮の方の父母がこういうことを言うんですよね。JRのトンネルの多くは日本に強制連行された在日一世たちの血のにじむような犠牲によって建設された、そのトンネルを今子や孫が差別運賃を取られて通っている、私たちが二重三重の差別に苦しんでいることをあなた方日本人はもっと知ってもらいたい、こう言われたときに、私は返事ができなかったわけなんですね。
 だから、こういうふうな一つの思いというものを大切にして、現在あるこの民族差別に類するものは一つ一つ私は解決していってもらいたいと思うんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろな問題を真剣に検討いたしまして、一つ一つできる限り民族差別というものがなくなっていくように努めてまいりたいと思います。
○本岡昭次君 今の答弁は不満ですが、それにひっかかっておりますと時間がなくなりますから、次に行きます。
 同じようなことに、在日韓国人が公務員になろうというときに起こっている問題、これはたくさんあるわけですが、きょうはひとつ東京都の問題を取り上げてみると、今、金さんとおっしゃる方が東京都杉並区で小学校の給食調理員をしておられて、日本の大学を出ている。そして、三年たつと内規によって次の別の一般職の試験を現業から受けられるというシステムがあるわけですね。それで彼が受けようとすると、あなたは日本国籍じゃないからだめだといってけられた。それで帰化をしたらということです。しかし、帰化をしたら自分の立場はもう変わってしまうから帰化はしないといって、ことしもまた受けるようなんです。
 ところが、調べてみますと、東京都の二十三区は全部だめで、周辺にある東京都下の衛星都市の二十四市はオーケーだと、こう言うんですね。一体東京二十三区と韓国とは何かこれ対立関係でもあるのかと思いたくなるわけで、同じ公務員でなぜこういうことが起こるんですか、自治大臣。
○政府委員(滝実君) 自治省の公務員部長でございます。
 ただいまの御指摘にございましたお話でございますけれども、基本的には、従来地方団体が任用試験をする場合に、外国籍というものにこだわっていると申しますか、そういうものを意識して、国籍を要するとかあるいは要しないとか、こういうような扱いをしている団体もございますし、また従来そういう外国人の任用というものを余り意識せずにしている、こういうような団体もあるわけでございまして、したがって、この東京都の二十三区と、おっしゃるように東京都下の各市の扱いが明文上では区別されているわけでございますけれども、それがどのような観点から出たかという点については必ずしも明確じゃないということになろうかと思います。
 今のところ実態を申し上げますと、二十三区の場合にはおっしゃるように国籍条項というものを明示しておるわけでございます。それから、あとの東京都下のほかの市の場合にはそういう明示がないわけでございますけれども、必ずしも実態の運用がそのとおりになっているかどうかというのははっきりしない点がございます。と申しますのは、東京都下の各市の場合、今までどうもそういうような日本人以外の募集と申しますか、任用と申しますか、そういうような例がどうもないようなふうに私ども承知しておりますので、その辺のところはやはり必ずしも従来明確でないという点があろうかと思います。
○本岡昭次君 余り時間がないのでやりとりしたくないんで、これはひとつ自治大臣と総理に、やっぱりこれは民族問題ですから、基本的な考えを聞かせていただいて、次のところにまた行きたい思うんですが、どうぞお願いします。
○国務大臣(奥田敬和君) 国家公務員も地方公務員も、もうくどくど申しませんけれども、当然の法理、公権力公使にかかわる、そういった形に対しては日本国籍を有するという形が基本的な認識でございます。しかしながら、地方公務員に現在のところ医療技術者とかあるいは保健婦さんとか保母さんとか、一般の運転手職あるいは機械のオペレーターとかいう形では地方公務員としての採用はされておることは事実です。ですけれども、一般職ということになると、やはりそれぞれの自治体の判断にも基づきますけれども、現在のところ採用がないのが現状でございます。
○本岡昭次君 いや、長官、だから考えの方を述べていただきたいと思うんです。
○国務大臣(奥田敬和君) 今後そういった形で、技能職を中心にして雇用はできるだけするようにという形でやっておりますけれども、地方自治体といえどもやっぱり法理には当然かかってまいりますし、私たちとしては、一般職に関しては日本国籍を有する、そのことをやはり採用の条件にされている自治体が多いという実態でございますし、またそうであってほしいと思っております。
○本岡昭次君 ヨーロッパなどの先進国では、一定期間居住した外国人には地方選挙の参政権まで与えている。中には国会議員の候補者になれる国もあるというふうなことが出てきておるんですよね。やはりこうした問題ももう少し、先ほどの国際化の問題、あるいはまた在日朝鮮人、韓国人等のさまざまな日本人との関係の問題を改善していく一つの方策として、前向きにこれをやっていただきたいというふうに思うんですよ。これはもうやっぱり総理なんかの政治的な決断だと思うんですがね、どうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 自治大臣が申し述べましたように、政府は従来から、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員になるためには、日本国籍を必要とすると解釈をしてきております。当然の法理に該当するかどうかは、当該地方公共団体において職務内容を十分検討の上判断されるべきものと考えております。なお、当然の法理に該当しない職員については任用の道を開いていくべきものと考えておりますので、採用の機会の拡大については検討をいたしたいと思います。
○本岡昭次君 大変不満ですが、またこれからいろいろと議論する場があろうと思いますから、そちらの方に譲っていきます。
 それでは次の問題の、農業基盤整備事業問題について若干質問いたします。
 これは非常に工期がこのごろおくれて、事業費の高騰で農家の負担が非常に高くなって深刻な問題があらわれていると思うんですが、そうした問題について農水大臣、政府の責任の重大さを感じ取っていただかなければならぬと私は思うんですが、まずこの認識を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) お答えの前に、委員が非常に長い間農業基盤整備事業問題に大変な関心を持たれて、随時随所で指摘もされたりあるいは助言もいただきましたり、非常な熱意を私は今まで読んでまいりまして感じました。敬意を表する次第でございます。
 さて、この土地改良事業なんですけれども、確かに今御指摘のように工期のおくれだとかあるいは金利負担の増加がございまして、事業に伴う負担金の問題で農家が非常に不満を持っている、割高感を持っているということについては承知をしております。この中身についてでございますが、くどくど申し上げませんけれども、労務費や資材費が上昇してきた。あるいは安全性の要請等に伴う整備水準の向上、これはダムなど必ずやりますから、このダムをきちんとやらないと危ないぞというふうな建設関係などの御注意もある。それで金がある程度かかる。それから地形条件が厳しい地域での工事費の増加、これは急傾斜地やなんかのやっぱり工事費がかさむということだと思うんですけれども、これでどうしても事業費が増加した地区があります。このことも私ども承知をしております。このことで負担金の償還が非常に困難な地区が生じておりまして、その軽減が大切な時期に来ておるということもよく承知をしております。
 そこで、我が省といたしましてはかねがねいろいろこれに対して腐心をしてまいりましたけれども、特に平成二年度予算を通過させていただければ、土地改良負担金総合償還対策事業、先生よく御存じだと思いますが、これは新しく創設をするということですが、これらで思い切ってやらせていただこう。いずれにいたしましても、この制度等を活用いたしまして農家の負担が軽減をされるように、そして不満が少しでもなくなるように努力をしてまいりたい、こう考えております。
○本岡昭次君 そこで、平成二年度における農業基盤整備事業の予算の総額はいかほどですか。
○政府委員(片桐久雄君) 平成二年度の農業基盤整備事業につきましては、総額一兆二百四十九億円を計上いたしまして基盤整備事業の推進を図りたいということでございます。
○本岡昭次君 さらに、現在行われている第三次土地改良長期計画の進捗状況はどうですか。
○政府委員(片桐久雄君) 第三次土地改良長期計画は昭和五十八年度以降十カ年計画ということで総額三十二兆八千億円、これは調整費二兆四千億円を含む数字でございます。これに対しまして平成元年度までの七カ年の進捗率でございますけれども、総額十二兆六千億円、進捗率にいたしまして三八・四%という今の進捗率でございます。
○本岡昭次君 その十年計画で七年たって三〇%台で、結局あと三年で残りの七〇%の計画を完遂するということですか。
○政府委員(片桐久雄君) 私どもといたしましては、土地改良事業が農業の生産性の向上とかまた農村社会のいろんな生活環境整備とか、そういう面で非常に重要な事業であるということで計画の着実な推進を図っているところでございます。ただ、現段階におきまして計画終了年度、これは平成四年度でございますけれども、平成四年度における目標の達成は極めて厳しい状況であるというふうに考えております。
○本岡昭次君 厳しいじゃなくて、達成できないということですよ。
 工事のおくれというのはもう放置できない状況にある。そこで、着工してから二十年以上この工期が及んでいる事業はどういうところがありますか。
○政府委員(片桐久雄君) 国営のかんがい排水事業、これが大体全国で平成二年度現在で百四十七地区ほどございますけれども、その中で着工以来二十年以上経過しているというものが全国で五地区ございます。北から申し上げますと、北海道の厚沢部川、それから茨城県の鹿島南部、それから千葉県の大利根用水、それから兵庫県の東播用水地区及び加古川西部地区の五地区でございます。
○本岡昭次君 この工期のおくれが地元農家にどういう影響を与えておりますか。
○政府委員(片桐久雄君) この工期のおくれは、かんがい排水事業の事業効果の発現が遅延するという問題、それからまた物価上昇による総事業費の増大とか、それからいわゆる財投資金を使って実施しております特別型地区というのがございますけれども、この場合には財投資金の建設利息というものが増加して農家負担の増高を招いておるという状況がございます。私どもは、この工事をできるだけ早期に完了させるためのいろんな予算の重点配分とか、それからまた負担金の軽減のためのいろんな対策に努めているところでございます。
○本岡昭次君 具体的に、兵庫県は二つあるわけですが、この二つの事業はいつ完成するのか。それで着工以来何年経過することになるのか。
○政府委員(片桐久雄君) 兵庫県の地区で加古川西部と東播用水という両事業がございますけれども、加古川西部地区につきましては、昭和四十二年度に着工いたしまして平成二年度に完了の予定でございます。工事期間二十四年という長期にわたっている状況でございます。それから東播用水につきましては、昭和四十五年に着工いたしまして平成四年度に完了の予定でございまして、工事期間二十三年という予定でございます。
○本岡昭次君 それでは、この二十三年、二十四年かけて完成しようとするこの両事業の総事業費、地元農家の十アール当たりの総償還額、年間償還額、維持管理費、これが着工時と完成時とではどのぐらいの金額になりますか。
○政府委員(片桐久雄君) 加古川西部地区につきまして申し上げますと、着工時の総事業費は五十五億円、それから地元農家の十アール当たりの総償還額は三万四千円程度、それから維持管理費は十アール当たりで国営事業の施設についてだけ見ますと千円程度という予定でございました。これが事業完了時に、現在推計いたしておりますけれども、総事業費は三百九十億円程度、それから十アール当たりの総償還額は四十八万七千円程度、それから十アール当たりの維持管理費は三千円程度ではないかというふうに考えております。
 それから東播用水地区につきましては、着工時の総事業費は百七億円、それから地元農家の十アール当たり総償還額は三万五千円程度、維持管理費は五百円程度ということでありましたが、事業完了時点の推計では総事業費は八百三十億円程度、それから十アール当たり総償還額は五十一万八千円程度、それから十アール当たりの維持管理費は七百円程度になるというふうに見込んでおります。
○本岡昭次君 総理、聞いていただいたと思うんですが、農林水産大臣も。この工事の遅延というものが今言いましたように特別会計を利用したことによって農家負担が当初の十五倍から十七倍の金を負担せにゃいかぬということになっておるんですよ。それで、この責任は私は挙げて政府あると思うんですが、どのような軽減策を現在とって農家負担を軽減しようとされているのかそれを示していただいて、その軽減策によってそれではどれくらい軽減が可能なのか示していただきたいと思います。
○国務大臣(山本富雄君) 今具体的に例が出まして、全国で二十年以上にわたっている場所が五地区ある、そのうち二地区が先生の選挙区だと。私もこれを聞きまして、まあ委員の選挙区だからということはありません、五地区が二十年以上ということはこれはおかしいと、いずれにしても。そこで局長、次長を呼びまして数回勉強会をいたしました。
 内容につきましても先生の御指摘のとおりでございます。確かに大変な倍率になっておる。しかも、工期短縮のために途中で特別型という財政投融資の方式に切りかえた。そのときにも先生が中に入って大変お骨折りをいただいたということも承知をしております。ところが、そのことが実は金利負担をさらに増加させる要因になって現在に至っている。これはいろいろ調べてみますと、私から申し上げるまでもありませんけれども、二度のオイルショックがあったということがベースにある。それから、そのことによって公共事業費は非常に伸び悩んでしまった。加えて中国縦貫道、この自動車道の建設等に伴って、それとちょうど重なるわけでございまして、用地補償交渉などによってさらにこれが調整がおくれてしまったというふうなことでございます。
 そういう意味では大いに責任があるというように私考えておりますけれども、問題は平成三年ないし四年、もうすぐでございますからそこを目指して何とか一刻も早く完成させたいということでございまして、今やっておりますのは平成元年度には事業完了前においても償還が開始できる工種別完了制度、全部できなければというのじゃなくて、できたところから償還が開始できるという特別の方式もとらせていただいた。それから二年度につきましては、償還利息の一部につきまして国費助成の実施をする、例の五カ年で千億を積むというふうなことなども含めまして、工期の短縮と農家負担の軽減に全力投球をしたいというふうに考えておりますので、どうかひとつ引き続き地元のことでもございますから御協力を賜りたい、こう思っております。
○本岡昭次君 三百九十億、八百三十億という国費を使ってやっているわけですが、会計検査院もこれについて検査に入っていただいておりますが、どうですか。
○説明員(山本正君) 検査院といたしましては、かつて国営かんがい排水事業等の工期の長期化が工事費を増高させ、ひいては国の負担あるいは県、受益者の負担が大きくなるという事態に関しまして、農水省におかれましては適切な対策を講ずる要があるという旨の意見表示を五十九年の十一月に院法に基づいて行ったところでございます。その後につきましては、その当時と同じ立場に立ちまして重大な関心を持って検査を続けているところでございます。
○本岡昭次君 ちょっと具体的な数字で恐縮ですが、さまざまな軽減策をとっていただいておるそのことは評価するんですが、それでそういう軽減策をとって、先ほど言われた地元農家の十アール当たりの総償還額というものがどのように変化するんですか。軽減するんですか。金額で教えてください。
○政府委員(片桐久雄君) 先ほど大臣から説明がありましたようないろんな軽減対策をこの加古川西部地区及び東播用水地区にも適用いたしたいということで、現在検討を進めております。
 そういういろんな施策を適用した場合の軽減額でございますけれども、現段階で推算しておるものでは、加古川西部地区では十アールあたりの総償還額、これが現行のままですと四十八万七千円ということですけれども、これを四十五万九千円というふうに引き下げたい。それからまた、年々農家が十アール当たり償還していただく額でございますけれども、これが現行のままですと二万九千円ということでございますけれども、これを一万九千円程度に引き下げたいということで予定をいたしております。
 それからまた東播用水地区でございますけれども、十アール当たり総償還額でこれは現行のままですと五十一万九千円ということですが、これを四十六万二千円程度に引き下げたい。それからまた、十アール当たりの年々の償還額でございますが、これが三万一千円のものを一万九千円程度に引き下げたいということで現在検討を進めております。
○本岡昭次君 それで問題は、工事が完成しても計画変更というものをやらなければならないわけで、二十年間の経過があるから受益面積は減っているということ等もあり、また価格も変わっているわけですが、しかしこれには三分の二以上の賛同者がなければ計画変更というものが完成しないという大変な事態にこれは現在それぞれのところがなってくると思うんです。
 そこで、地方自治体がそれぞれこの問題について、農家負担を軽減させるという最後の手段として地方自治体がいろいろと汗をかこうとしているわけなんですが、しかし地方自治体にいたしましてもそうあり余った財源があるわけでないわけでありますから、地方交付税との関係は一体どうなのかというふうなことがいろいろ論議されてくるわけでありまして、農家負担の軽減という問題にかかわって自治体が積極的に対応していったその場合、地方交付税といったものがどういうふうに関係してくるのか自治大臣のお話も伺っておきたい、このように思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 今回のケースは、長期間にわたりましてしかも当初事業計画より数倍の工事費になって、負担増加が農家にとっては大変だという認識は持っております。農水大臣からもこのことについては詳しく状況報告も受けております。したがって、できるだけ地方自治体、この場合だと兵庫県ですけれども、実態を反映した形で交付税措置をとるということで命じてありますから、結果的には農家の資産形成につながる問題でもありますけれども、自治体にとって必ず負担軽減につながっていくような交付税措置をとります。
○本岡昭次君 それでは次に、公務員の給与改善費問題を若干伺っておきます。
 平成二年度予算において給与改善費はどのようになっていますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 平成二年度予算におきましては、給与改善費の計上は行っておりません。かつて従来から毎年度の財政事情を勘案して一定率を計上してまいりましたが、厳しい財政事情のもとで順次その率が引き下がってまいりまして、昭和六十一年度以降は計上をいたしておらないわけであります。
○本岡昭次君 私たちはこの計上を求めているんですが、平成二年度でやはり計上しなかったという理由を改めてここでちょっと聞いておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 給与改善費と申しすものは、公務員給与改定に備えるための財源措置でありまして、給与改定の目安とする趣旨のものではないことは委員がよく御承知のとおりであります。
 我が国の財政は、これまでの連年の公債発行によりまして公債残高が平成二年度末に百六十四兆円にも達するという勢いであり、国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策経費を圧迫する状況になっておりますことも、委員が御承知のとおりの非常に厳しい状況にあります。
 こうした中で、平成二年度予算は財政改革の第一段階である特例公債依存体質からの脱却というものを実現すると同時に、公債依存度の引き下げを図るためにさらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むことによりまして編成をいたしました。こうした非常に厳しい財政事情というものを勘案し、給与改善費を計上いたさなかったわけであります。これは人事院勧告制度尊重という従来の姿勢を全く変えるものではございません。勧告が出ましたならば、この基本姿勢に立って国政全般との関連を配慮しながら対処していくことになるわけであります。
○本岡昭次君 この問題は、ときどきの政府の人勧制度や公務員給与に対する政策を率直に反映していると思います。今大臣は人事院勧告はこのことと関係なく完全実施してきたとおっしゃっておりますけれども、しかし私はやはり政府の姿勢のあり方だと思うんです。財政事情が好転して今もおっしゃったように人事院勧告の完全実施も定着してきた今日、事務的経費である人件費を当初予算のところに計上させるというこの仕組みを復活させてもいいんじゃないか、こう思うんです。これについて総務庁長官と大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) かつて給与改善費が当初予算に計上されたことはもう御案内のとおりでございますが、そのときでも結局は人事院勧告の時期が時期でありますだけに補正予算で精算されざるを得なかった。このようなことを考えてみますと、私もやはり人事院勧告の時期を考えると補正予算でこの給与を完全実施するということに最重点を置かざるを得ないと思うわけでございます。財政上のゆとりがあれば、大蔵大臣の申されますように、私は何と申しますか一部の財源の確保という効果だと思うのでございますが、そういう効果はあるにしましても、やはり根本はオーソドックスな方法としては補正予算で給与改善費を計上させていただいて早期に成立させて、本年のような半月払いのような事態が生じないように努力すべきだと考えております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員、財政事情が好転と言われましたが、私どもは財政事情そのものにつきましては依然非常に厳しい情勢にあると認識しておりますし、その点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。
 しかし、給与改善費というものがさきに申し上げましたように公務員給与改定に備えるための財源措置であり、今先ほど申し上げたことを一応繰り返させていただきますと、給与改定の目安とする趣旨のものではない。従来から人事院勧告について、給与改善費の計上の有無にかかわらず人事院勧告制度尊重という基本姿勢に立って、国政全般とのかかわりを配慮しながら対処してまいりました。しかしながら確かに財政事情が許しますなら、許される範囲で公務員の給与改善に備えるための財源をあらかじめ当初予算において確保するよう努力することは、一般的に言えば望ましいものであると私も思います。
 いずれにいたしましても、今後給与改善費を計上するか否かにつきましては、各年度の予算編成時点におきましてそのときどきの財政事情等を勘案しながら適切に判断してまいりたいと思います。
○本岡昭次君 人事院にも来ていただいておりますから、一言伺っておきます。
 人事院は毎年これを勧告する当事者でありますが、当事者である以上完全実施されることを当然と考えておられると思います。
 そこで、完全実施される環境という意味において、この給与改善費があるのとないのとかなり違うと思うんですが、この給与改善費の計上についての考えを聞かせてください。
○政府委員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。
 給与勧告制度が設けられましたその背景、趣旨等から考えまして、勧告は完全に実施していただかなければならない筋合いのものでございます。勧告する立場から申し上げましたならば、勧告の段階では給与改善費の当初予算における計上の有無あるいはその計上額等に拘束されるわけではございませんので、ただいませっかく先生の仰せのとおり勧告しやすいとかしにくいとかということはございませんが、勧告をいたしました以上は、ただいま申し上げましたとおり、完全にかつできるだけ早期に実施していただくことを心から念願いたしております。
 そのための予算措置はどうあるべきかという問題は、これは予算編成技術上の問題でもございましょうから、国会及び政府で御議論、御検討をいただきたいところでございます。いずれにいたしましても、勧告の早期完全実施のためによろしくお願いを申し上げる次第でございます。
○本岡昭次君 最後に総務庁長官に聞いておきますが、この問題は政府が使用者責任の一端を実現するという意味、また労使関係を安定させるという面からも、私は非常に重要なことだと思っているんです。そして御存じのとおり、連合が発足して労働運動が新しい時代に入ってきた。公務員組合も連合に数多く参加をして、近代的な労使関係の確立というものを強く望んで歩み始めようとしておるんです。こういう時期に、使用者としての立場からこの給与改善費というふうなものも、今までそれを積み上げてきた経緯があるんですから、労使関係の安定あるいは近代的な労使関係の確立、そうした意味を込めながら、やはり使用者責任の一つとして復活をさせるべきではないかということを私は思うんですが、再度総務庁長官の使用者責任の立場からの答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) 私は、何と申しますか、人事院勧告の完全実施だけは総務庁長官として実現していきたいとかたく決意しておるところでございます。
 心理的なそしてまた財源の前取り的な効果という点においては、委員の言われるとおりかもしれません。しかし、財政事情が当初予算の際にそれだけのゆとりがあるかどうかということを考えて私は大蔵省が計上されるかどうか判断されると思いますが、私どもといたしましてはやはり補正予算でこれを完全に実現する努力が最もオーソドックスな方法だと考えております。
○本岡昭次君 それでは、最後に消費税の問題について質問させていただきます。
 最初に、前回五月十六日の私の質問の際、簡易課税制度が持つ致命的欠陥として消費者が納めた消費税のうち七〇%から八〇%が事業者のもうけとして残るということがあるではないか、これを廃止せよという点を取り上げたんです。ところが、大蔵大臣はその転嫁率を取り上げて反論をされたんですが、そのときに引用されたこの通産省の資料のデータの数字が私は間違っていると思うんです。しかし、それを故意に取り上げられたとしたら、何というんですか、議論そのものをゆがめた方向へ持っていったことになりますし、大臣のやはり訂正を求めた上で、再度その問題の議論をしたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 念のため議事録を点検いたしてみました。私が申し上げたのは、このとおり申し上げますと、
  仮に、免税事業者が三%の値上げをしたとすれば、仕入れに含まれていた税額との差額分だけは利益が生ずる。これは理論的にそのとおりであります。しかし、同時にお考えをいただきたいのは、現実の激しい競争の状況の中でまた厳しい合理化努力を続けている企業の立場に立てば、中小企業、零細企業含めてでありますが、コストが下げられるなら価格を下げて拡販を目指すというのが事業者の通常の姿であります。
  中小零細事業者の現実の転嫁状況は、これは通産省でたしか調べていただいたと記憶をいたしておりますけれども、小売業のうちの約三割、サービス業においては七割が転嫁しておられないという状況にあることもこれは御理解をいただかなければなりません。
このように確かに申し上げております。これは御指摘の未転嫁事業者の割合は、私は免税業者を念頭に置いてお答えを申し上げたわけでありまして、この数字が通産省の調査と食い違っているということではないと思います。
 仮に、もし委員の御質問の趣旨が簡易課税制度の対象事業者に限ったものであるということでありますならば、その転嫁状況は小売業者のうち七・四%、サービス業におきましては三五・二%が転嫁をしておられないという状況であります。
○本岡昭次君 だから、私は簡易課税業者の問題を取り上げているのに、大臣は免税業者の問題を取り上げて、本岡さんが言うように業者がもうけると言うけれども転嫁もしてないのにもうけるはずがないじゃないかと言って、あなたは三割と七割の問題を取り出されたわけなんですよ。だけれども、今おっしゃったように小売業者の転嫁をしていないのは七%でしょう、だから、九二・六%のところは転嫁しているんですからね。転嫁しているから、そこに当然企業に利益というものが残るという前提に立ってもらわないと、あなたは前、残らない、転嫁してないんだから残るはずがないという反論としてお出しになったんで、それはちょっと取り下げておいていただかないと議論の展開ができないんですよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今私が簡易課税のということで委員の御指摘でありますならばと、そこに限定した数字を申し上げたとおりでありまして、私は現実に、今委員もお話しになっておられましたけれども、結局それだけの要因があれば価格引き下げその他の拡販要因の方に回るんじゃないかということを申し上げたわけでありますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 それでもう一点、TKCの資料でありますとこれは理論値だ、実態ほどうなるかわからぬ、こういうことでそれもかわされたようなことになったので、私はそれでは一遍調査をしてみようということで、私自身が神戸市内の三月決算期の法人の実態を調査して、お手元に資料として配付してあります。
 これを見ていただいてもわかるように、これはTKCの出てきた数字と全く同じような形ですね。特にC社なんか見てくださいよ。当然納めなきゃならない税金が七百八十三万七千七百円である、しかし、簡易課税によって二百四十四万五千円でいい、その差五百三十九万二千七百円とう数が出てくるんですよ。五百三十九万二千円、これがもう毎年。結構な消費税ですなということになるんです、これを申告しておるんですから。この実態を見てもまだあなたは理論値だとおっしゃいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに先ほどこの資料を、調査された結果を私もちょうだいして拝見いたしました。そして委員が仰せられるように、それぞれの業種幾つかをとっておられますものに相当なばらつきがあることを私は否定いたしません。
 ただ、御指摘の資料にあります七社の売り上げ、仕入れの構造というものが他の同業者と比べて一般的なものなのか、あるいはその七社それぞれにおきましてここで示された数字というものが恒常的なものなのかあるいは特殊な事情を反映しているものなのか、そういうふうにも考えてまいりますと、実情を承知しておりませんから私はこの資料についてのコメントはお許しをいただきたいと思うのです。
 ただ、値決めの問題として一般的に申し上げますならば、現実の激しい競争の状況というもの、厳しい合理化努力を続けている企業の立場に立てば、コストが下げられるならやはり価格を引き下げて拡販を目指すというのが事業者の通常の姿でありましょう。そういう実態をよく把握する必要があるということは先般の御質疑の際にも私はお答えを申し上げてまいりました。
 いずれにいたしましても、このみなし仕入れ率の問題につきましては、簡易課税制度などに対する国民の声にこたえて実態に即した速やかな対応が可能となりますように政令事項とする改正案を提出させていただいているところでありまして、その際、やはり各税務署から納付一巡後の実績を全部取り寄せまして、その上でその実態を踏まえて御議論をいただくことがより適切であると考えております。
○委員長(林田悠紀夫君) 本岡昭次君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 平成二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 午前中のところで、消費税納入の実態の問題に触れました。大臣から一応の答弁をいただきましたけれども、私はどうしても納得ができないのであります。ここにA、B、C、D、E、F、Gと私が簡単に取り上げたもので、もしもっとたくさん出してこいというのなら、私は私なりに二百社、三百社のものをここに並べることはできます。しかし、それを見ましても、典型的にこれと同じような状況が出てくるわけですね。そこの資料の「付加価値率」というのを見てもらったらわかりますように、大変な状況にあるわけなんです。
 そこで、納税事務負担の見返りとしてここまで、言い方はまずいかもしれませんが、事業者の方にあめとして大蔵省は与える必要がどこにあるのか。私は絶対にこれは納得できないんですよ。消費者の方も同じだと思うんです。繰り返しますけれども、これだけのあめを本当に納税事業者に与えなければならない消費税とは一体何か。この問題を再度私は伺いたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど委員から七社の実例をもっての御質問がございました。ですから私どもといたしましては、やはり各税務署からの納付一巡後の実績を全部取り寄せて、その上で実態を踏まえて御議論をいただきたい、そうお願いを申し上げたわけであります。
 税制が国民経済の中で機能いたしますためには国民各層の御協力が必要である。そしてその意味において、税制における公平性と簡素性というのがともに重要な要素である、しばしば御答弁を申し上げてまいりました。消費税におきます事業者免税点制度でありますとか簡易課税制度、中小零細事業者に対する特例措置というのは、この種の税になじみの薄い我が国の現状を考え、この二つの重要な要請の間でどのようなバランスをとるか、ぎりぎりの政策判断の結果として設けたものでありまして、私は事業者にあめを与えるという御指摘は当たらないと考えております。そして、この種の制度と申しますものは諸外国の付加価値税におきましても広く採用され、必要性が認められていると私は承知をいたしております。
 しかし、これらの制度につき、消費者を中心として公平性の観点から種々の御意見があり、また、これらの制度はそのときどきの社会経済情勢というものと深く関連する政策判断の問題でありますから、そもそも税制改革法自体に納税者の事務負担、消費税の円滑かつ適正な転嫁の実現状況等を踏まえて見直すことが定められておるわけであります。政府としてこうした点を踏まえこれらの制度のあり方について今回見直しをすることとし、消費税の申告納付が一巡する平成二年五月までは実態把握を行い、これらの制度をどう見直すか、十分な検討の上提示する旨既に閣議決定をしているところでありまして、今後誠実に対応してまいります。
○本岡昭次君 この制度を見直すということを閣議決定しているとおっしゃっているのでありますから、これはもうぜひとも廃止してもらわなければならぬと思うんですが、一般論として、納税事務としてのコストが要るというのならば、やはりそれを別の名目の補助金というようなことで提示していく方が私は筋が通っていると思うんですが、どうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その事務負担に対して配慮するのなら補助金を出すべきだという御意見、納税事務への配慮というものは、まさに事業者が実際にその消費税に係る経理処理、あるいは納税事務を行う際にその物理的負担を少しでも軽減しようという観点から行われるべきものでありまして、後からお金で補てんすればいいという性格のものではないように私は思います。
○本岡昭次君 そもそもこのことは帳簿方式に私は起因すると思うんですね。それで中小事業者の事務負担等に配慮した諸措置の問題が見直しにあるわけですね、十七条三項。この中には帳簿方式そのものも見直すという意思があるというふうに考えてもよろしいか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 税制改革法第十七条第三項見直し規定の中に、中小事業者の事務負担等に配慮した諸措置というものが明記をされておりますが、この中には帳簿方式の点も含まれていると考えております。しかし、同時に、消費税におきまして、売上税の税額票方式に対する大変強い御批判があり、これを踏まえて事務負担軽減の観点から帳簿方式を採用したこと。また、消費税に係る実際の事務処理において帳簿方式が事業者の負担軽減に寄与していると聞いております。また、帳簿方式のもとにおきまして、税務執行上特段の問題があるという報告を私は受けておりません。そうしたことから、今回の見直しにおきまして帳簿方式に特段の措置を講じておらないわけであります。
○本岡昭次君 私はコストというときはもっと別の観点から議論をしたいんですが、それはまた次回に譲ります。
 そこで、そのことと関係あるみなし仕入れ率を変えるという事柄についてですが、六月四日の日経の朝刊に「みなし仕入れ率、三段階に」という記事が載っているんですね。現在の九〇、八〇に対して七〇%の仕入れ率を新設する案が政府の中で浮上しつつある、こういうことなんですが、この内容について大臣、コメントしてください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、御指摘の新聞報道について大蔵省としては一切関知をいたしておりません。
○本岡昭次君 一切関知してないのでありますか。新聞というのは困ったもんですな。読む者にしてみたら、これだけの記事が出れば、これはやっぱり政府の案かと、こう思いますよね。
 それで、結局のところ仕入れ率を何段階にしようと、私が最初示しました現在事業者の懐に残る金を見たときに、A社が百八万円、B社が二百九十万円、C社が五百三十九万円、E社が百八十一万円、F社が百十五万円、G社が八十三万円と、こういうふうな要するに仕入れ率というこの言葉で言うならばわずか十何%とか二〇%、三〇%というところにこういう金が残ってくるんですよ。だから、仕入れ率をそんな三段階にしたからといって何の解決にならないと、私はこう思うんですが、この何段階かに分けることによって解決すると思いますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中小事業者の納税計算というものを簡素化することが必要だとしてみなし仕入れ率のような形で簡易な課税方法を採用いたします場合には、個々の事業者の実際の仕入れと完全には一致しない形で納税計算が行われ得る、それはそのとおりでありまして、これはみなし仕入れ率を幾つ設定しても生じる問題であります。
 ですから、仮にこの問題の解消が中小事業者の納税事務負担への配慮よりもずっと大事だということになりますと、簡易課税という制度そのものが成立をしないことになります。しかし、仮に何らかの形で簡易課税が必要だということでありますならば、私どもは必要だと思います、そういうものが必要であるといたしますなら、この制度の趣旨にかんがみて、御指摘のように余り複雑な制度にはすべきじゃないかもしれません。また、結果として現在指摘されている簡易課税の問題点が多少残る、しかしそれは御容認いただかなければならないものと思います。
 いずれにいたしましても、これらの視点に立って簡易課税の見直し論議というものは行われるべきものだと考えておりますが、その具体的な検討というのは、実際の申告状況等をくまなく分析した上で行うべきものだと私は考えております。
○本岡昭次君 堂々めぐりのような議論になりますけれども、大臣は簡易課税制度は必要だ、こうおっしゃいました。しかし、消費税が最も堕落した税制だと言われるその最大のものがこの簡易課税制度であるわけですが、なぜそれが本当にこの消費税で必要なんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど公平性と簡素性のぎりぎりのはざまの政策判断ということを私は申し上げました。今お尋ねをいただきましても、同様のお答えを申し上げることになると思います。
○本岡昭次君 あなたが必要だとおっしゃっているんだから、この簡易課税制度の見直しというのは、五億円を例えば一億円に下げたりという、そういう問題が結局考えられるということですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 全部の資料を取り寄せ、分析、解析をいたしました結果でその検討の上の成果をお目にかけたいと思っておりまして、今どうこうという考え方を固定してこれに臨むつもりはございません。
○本岡昭次君 そうすると、最初の一〇%、二〇%というのはどういうところから決められたんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 申しわけありませんが、私その最初の数値を決定した経緯については詳しくありませんので、事務方から答弁をさせます。
○政府委員(尾崎護君) 法人企業統計等に基づきまして、全法人の平均的な付加価値率、それが約二〇%でございます。特に、卸売業につきましては付加価値率が低うございますので、それをやはり実績値等を見まして一〇%ということにいたしているわけでございます。全体の平均とお考えいただきたいと存じます。
○本岡昭次君 だから、今答弁がありましたように、実態を見なくてもそうした統計の中から私はやれると思うんですが、その議論は別にしておきましょう。しかし、私としては絶対にこの簡易課税が必要だという大蔵大臣の議論には納得できないわけで、これを廃止する以外に消費税というものが消費税として成り立っていく基盤はないというふうに私は思います。
 それで、もう一つの問題は逆進性緩和というものなんですが、逆進性を緩和していくという場合に、一つは生活必需品を非課税対象品目とするという方向か、あるいは複数税率を導入して、そして軽減税率あるいはまた割り増し税率というふうなものを課していくかということでなければいかぬと思うんですが、この点はどうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一つは、今生活必需品という御指摘を受けたわけであります。しかし、高級品かどうか、あるいはぜいたく品かどうか、生活必需品かどうかという議論は、今までにも個別の物品税の存在した当時からさまざまな御論議がありましたこと、委員も御承知のとおりであります。殊に国民の嗜好が多様化し、生活様式が多様化していきます中において、画一的、客観的な基準づくりというものが非常に困難になっておりました点、しばしば御指摘を受けてきたところであります。
 むしろ今回の見直し案の中で私どもは非課税範囲を拡大いたしましたが、やはり社会共通の費用というものは広く公平に御負担をいただくという消費税の基本を踏まえながら、国民の強い御要望というものを素直に受けとめて、食料品に対する特例措置を講じたり住宅家賃等の非課税措置をとるなど、逆進性の緩和、社会政策的な配慮という視点から私どもは取り組んでまいりました。また、複数税率という御意見もございましたが、この消費税を御提案いたしますとき、売上税の際の御議論も踏まえて消費の大きさに応じて広く薄く負担をしていただくという基本的な考え方に立ち、非課税取引をできるだけ限定した上で、原則として三%の単一税率を採用したわけであります。
 逆進性の御論議の中には、収入や所得が多い層ほど収入や所得に対する消費支出の割合が低いということがあるわけでありますが、逆に消費税課税の税率が高ければ高いほど負担の割合の差は大きくなる、そして逆進性緩和の要請も大きくなると思います。そういうことから考えました場合に、逆進性の問題を論議いただきます場合、税率水準の高い低いというものも完全に考えの中におさめていただかなければならないと私どもは思っております。
 その意味では、実は我が国の消費税の税率というものは他国が採用しております同種の税制に比べて三%と極めて低いことから、そもそも逆進性の度合いは非常に低いということは御理解がいただけると思います。そしてまた、国民各界各層からの御意見を踏まえて消費税自体でもさまざまな措置を講じますと同時に、他の税制、さらには歳出面を組み合わせ、私どもはできるだけの措置を講じておることを御理解いただきたいと思います。
○本岡昭次君 今度の見直しで複数税率を取り入れたと理解しては間違いですか。
○政府委員(尾崎護君) 三%という税率のほかに、食料品の流通段階につきまして一・五%という税率を採用しておりますので、その意味では複数税率ということが言えるかと思います。
○本岡昭次君 今既に複数税率になったということですから、その複数税率というものは要するに逆進性を緩和するというためにあるわけですから、大臣がおっしゃったように標準課税が何%であるからというのとは別の次元の議論だというふうに思うんです。
 それで、政府が消費税という間接税で課税ベースの広い多段階の課税にこだわることから、生活必需品全体の非課税化というふうなことができないんですよ。だから、野党が共同提案しているように担税力に応じて個別的に課税を求めていくというこの間接税の方法であれば、生活必需品への非課税化の問題も可能ですし、複数税率の問題も逆進性緩和という点でいろいろな取り入れ方がそこにできるし、また消費者が負担した消費税が国庫に納入されないというふうな税制上の欠陥も生まれてこないわけで、私はやっぱり野党の主張している間接税のあり方という方がよほど国民の声に、願いにこたえているのだというふうに思っているんですが、最後にそのことについての政府の見解を求めて、終わります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変私どもとして申し上げにくいことでありますけれども、御指摘のその個別限定列挙方式と言われます間接税の内容を明確に私どもお示しをいただいておりませんが、その中で一応旧物品税を頭に置きながら考えさせていただきたいと思うのでありますが、個別限定列挙方式であれば逆進性の緩和が可能だという御指摘でありますけれども、ちょっと乱暴な例を引かせていただきます。
 例えば洋服といって一つの物を考えました場合に、全国的に見ますと、所得の高い方ほどやっぱり高級な洋服をお召しになるんじゃないでしょうか。そうすると、個別……(「大臣がそうじゃいですか」と呼ぶ者あり)いや、それでしたら、あなたのもお幾らですかと伺うことになります。個別限定列挙方式であれば逆進性が克服できると必ずしも私は言える場合ばかりではないように思います。
 また、国庫不納付という欠陥をつくらずに済むという御主張でありますけれども、個別限定列挙方式と申しますものが課税対象として何を選ぶかという問題でありますし、他方、事業者と国の関係におきましては、事業者の事務負担軽減という視点がもし入るといたしますならば、納付税額計算上簡易な計算方式を認めるとか、少額の税額についての納付の免除という措置が組み合わせられるとすれば、やはり問題は同じように生じてくるのではないかと思います。
 また、個別限定列挙方式と申しますものについて、昨年の国会においてもたしか私は申し上げたことがあるように思いますが、消費生活、価値観の多様化、あるいは国際的な非常に大きな我が国の商品の移動の実態を考えますときに、どういう形でその線引きをするのか。一度御提案がありましたように、例えば消費の五割以上を占めているものは非課税だというような考え方をとるのかどうかについても非常に問題があろうかと思います。また、多様なサービスというものをどう基準づけ定義づけるのかといったような問題もあろうかと思います。
 そうした点で、私は必ずしも委員の御意見をそのとおりであるとお答えをする状況にはございません。
○本岡昭次君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、穐山篤君の締めくくり総括質疑を行います。穐山君。
○穐山篤君 総理と大蔵大臣に伺います。
 いよいよ最終の予算の場面を迎えたわけですが、例年になく異例なことが続いたわけでありまして、六月に入って予算が成立するというようなことは近年まれであります。今回は補正予算、暫定予算、暫定の補正、本予算というふうに異例の連続でありましたが、まとめとしてどういう御感想をお持ちでしょうか。
 それからもう一つは、ことしの経験に照らして次からはどういうふうな予算の編成、あるいは予算の審議をお願いするということを考えられているか、その点を伺います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、平成二年度予算最終の総括をお願いしているさなかでございますが、このように予算の成立が遅滞をいたしますことは、国民生活、国民経済に多大な影響を生じさせることから、政府としてはその一日も早い成立を強くお願いをしてまいりました。また、国会の御審議に当たりまして、政府としては総選挙後に必要最小限の調整を行って、可能な限り早く国会に予算を御提出いたしてまいったつもりであり、速やかに御賛同いただけますようにと御審議に最大限の協力を続けてまいったつもりでございます。
 今後におきましても、財政改革というものを強力に推進する中で、社会経済情勢に適切に対応した予算の編成に努め、いろいろな作業上の制約はございますけれども、できるだけ早く予算を国会に提出できますように努力をいたしますと同時に、国民生活、国民経済に支障を生ずることのないよう、その一日も早い成立に向けて最大限の努力を払いたい、そのように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が申し上げたとおりでございますが、こういったことが決して好ましい姿ではないと考えておりますので、今後におきましても、財政改革を強力に推進する中で社会経済情勢に適切に対応した予算を編成の上、速やかに国会に提出し、国民生活、国民経済に支障が生ずることのないよう今後とも努力をしていかなければならないと考えております。
○穐山篤君 もう一度改めて確認をしておきたいと思いますけれども、予算の編成あるいは国会の審議につきましては、憲法とか財政法の縛りがあるわけです。したがって、その縛りをきちんと尊重して予算の編成、提出、審議、国会の召集というものがなければ、今回のような事態を招くと思うんです。その点について、私は反省を求めると同時に、考え方をきちっとしてもらいたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 予算につきまして十分御審議をいただきますためにできるだけ早く予算を国会に提出することが望ましい、それはそのとおりであります。
 しかし同時に、予算の編成につきましては、基本的に要求から査定に至る作業に多大の時間を要するものでありますほかに、内外の経済情勢の動向などと密接不可分の関係にありますため、翌年度の経済情勢の動向などをできる限り的確に見通して編成をいたす必要がありますため、政府の予算決定がどうしても十二月末になってしまうという実態がございます。またさらに、概算決定後予算を国会に提出するまでにも、予算書の作成等のための膨大な作業が必要であり、相当の時日を要することとなっております。
 このようなことから十二月中に提出しておりませんけれども、政府としては一日も早く予算を国会に提出いたすように今後とも最大限の努力を払ってまいりたい、そのように考えております。
○穐山篤君 次に、国の行政機関の移転あるいは首都機能の移転問題について伺います。
 最初に国土庁と文部大臣に伺いますが、現在行われております行政機関の移転の問題についてどの程度進捗をしているのか、概況で結構でありますので、まとめてお願いをしたいと思います。
○政府委員(三木克彦君) 国の行政機関等の移転につきましては、昨年八月に移転対象機関七十九機関十一部隊等につきまして移転先等が取りまとめられたところでございます。本年三月二十三日に開催されました土地対策関係閣僚会議におきまして、国土庁長官が土地対策担当大臣といたしまして各大臣に、おおむね五年以内に目標である移転が具体化するようにということをお願いしたところでございます。
 具体的な状況でございますが、税関研修所及び宇宙科学研究所の二機関については既に移転を行っております。また、東京外国語大学など十三機関十一部隊等につきましては、移転のための具体的な予算措置が講ぜられており、着実に推進されているところでございます。
 国土庁といたしましては、国の機関等移転推進連絡会議という会議がございますが、ここで各省庁とも共同でいろいろと確認を行い、移転の円滑な実施に努めてまいる所存でございます。
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま概況につきましては国土庁から御答弁申し上げたとおりでございますが、東京外国語大学及び附置研究所につきましては、移転に伴う諸条件が整い次第速やかに移転を推進してまいります所存でございます。また、大学入試センターにつきましては、今後の大学入試センター試験の定着状況などを見極めながら対処いたしたいと存じますが、これは昭和五十八年に竣工いたしまして間もないことも勘案して、今後検討を進めてまいりたいと思っております。
 詳細につきましては、政府委員から御説明を申し上げさせます。
○穐山篤君 文部省のは後ほどにしますけれども、国の行政機関の移転の問題について平成七年度までに完了するというふうに理解をしております。
 さてそこで、ビルの二階、三階のフロアを借りていたものが移転をするというものもあるでしょうし、それから行政機関、研究所がそっくり土地持ちであったのが移転をしたというものも多いと思うんですが、土地を残して移転をした後の跡地の利用については国土庁、いかがですか。
○政府委員(三木克彦君) 先ほど御報告申し上げました七十九機関十一部隊の跡地は約三十六ヘクタールというふうに推定をしておるわけでございますが、これにつきましては移転推進会議でも公共公益の用に供するということを基本とするというふうに決定をしていただいております。そのように措置がされるものと考えております。
○穐山篤君 文部省、その点いかがですか。
○政府委員(國分正明君) 国の行政機関移転等についての基本方針が閣議決定でなされているわけでございます。
 東京都区部の過密解消、あるいは首都機能の分散等というような方針、あるいはまた極力公共公益的利用を図る等適切な利用、処分を行うという方針がございますので、この方針にのっとって対処してまいりたい、かように考えております。
○穐山篤君 国土庁、これによって平成七年度までどれほどの公務員が移転をすることになるんでしょうか。
○政府委員(三木克彦君) 七十九機関十一部隊で移転対象になりました職員の方は一万九千人でございますが、ただこの方々がどのような形で移転するか、全員移転するかどうかについては今後検討すべき課題でございます。
○穐山篤君 跡地利用の問題に関連をするわけですが、行政官庁の移動というのはもう昭和五十二年から問題が発生をしているわけです。年次を追って経過も承知をしておりますけれども、最終的に終わりますのはほぼ十七、八年から二十年かかる。跡地の利用についてもまだ定まっていないというような話は、とてもこれでは本当の意味の行政官庁の移転という話にはならないと思うんです。その点はどういうふうに責任を感じられていますか。
○政府委員(三木克彦君) 行政機関の移転につきましては、昨年の八月に移転先地を取りまとめたところでございます。その後、先ほど御報告申し上げましたように、鋭意移転の具体化に努めるべくもろもろの調整を行っているところでございます。
 しかし、筑波の研究学園都市への移転を考えましても約二十年近い年月を要したわけでございまして、これを先ほど御報告申し上げましたように五年以内にできるだけ具体化しようということで取り組んでいるところでございます。
○穐山篤君 文部省はその点跡地利用はどうなっていますか。
○政府委員(國分正明君) 文部省関係の場合に、過去どこまでさかのぼるかでございますが、大型の大学移転ということが過去随分行われてまいりました。その財源につきましては、跡地の処分をもって基本的には充当するというような考え方で対処をしてきておりまして、例えば最近の例で申しますと、広島大学でございますとか、あるいは大阪外国語大学でございますとかというようなことにつきましても、基本的には跡地処分収入をもってその移転経費を充当するという考え方で対処してきているわけでございます。
 先ほどお尋ねの筑波関係につきましても、東京教育大学が筑波に移転したわけでございますが、その整備につきましてもその処分収入というようなことを念頭に置いて対処する、こういうことで対応してきているところでございます。
○穐山篤君 大蔵大臣、総理大臣にも伺いますが、学校関係にしてみても、行政官庁の一部の移転でもそうでありますが、これだけ大騒ぎをされておって、跡地の国有地の活用の方法がまだ目下検討中でありますというのはとてもいただけないと思うんです。これほど国会でも議論されておりますし、世間でも大騒ぎをしているわけですから、少なくとも跡地の利用について明確に、早急に対応策を出さない限りこれは国民の信頼を得るということにはならないと思うんです。これは率直に言わしてもらいますと、熱意と決断が不足をしている、私はそう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国の行政機関などの移転につきましては、多極分散型国土形成促進法に基づきまして、東京一極集中を是正して大都市地域の秩序ある整備を推進することなどにより、国土の均衡ある発展を目指したものであります。
 跡地につきましても、六十三年七月の閣議決定におきまして、このような移転の趣旨を踏まえて極力、公共公益的利用を図るなど適切な利用、処分を行うとされております。移転跡地が国有地でありました場合には、その閣議決定を踏まえて、具体的な利用計画については国有財産審議会にお諮りするなど、慎重に検討させていただきたいと思います。
○穐山篤君 大蔵大臣、昭和六十三年の六月十四日に、多極分散型国土形成促進法というのが決まったわけです。この審議をする過程でも、地価の抑制という問題、跡地の活用という問題が相当審議された経緯があるわけです。したがって、少なくともこの法案を議論したとき、あるいは提案をするころから跡地利用、土地の価格の抑制という問題は念頭になければ、これは行政機関としては私は不十分だと思うんです。内閣全体の私は決断が不足をしている、実行力が不足をしているというふうに指摘をしますが、総理も、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員御指摘でありますけれども、やはりその跡地を具体的に利用計画として考えてまいります場合には、それぞれの跡地の周囲の環境などを広く考えに入れながら、当然関係自治体等々の御相談もありましょうし、都市機能の改善など、跡地そのものの利用とは別に、その周辺の整備を含めた利用というものが考えていかれるべきものだと考えております。そうした点を考えながら、国有地であります跡地につきましては、国有財産審議会等にきちんと御相談をして処理していきたいと私どもは考えております。
○穐山篤君 了解をするということにはなりませんけれども、私どもの気持ちというものは十分受けてもらいたいと思うんです。
 国土庁長官、よく世間では分都とか展都とかあるいは遷都という言葉が使われておりますけれども、これはどういうふうな概念で呼ばれているんでしょうか、お伺いします。
○国務大臣(佐藤守良君) 穐山先生にお答えいたしますが、たしか五十八年の一月二十五日でございましたか、国土庁が発表しました首都機能移転再配置構想調査というのがございますが、その文によりますと、遷都というのは狭義で言われる主要部門でございまして、国会及び関連部門。それから分都というのはいわゆる首都機能の一部が大都市圏以外に移転するもの。展都というのは同じく大都市圏内で移転するもの。こんなふうに理解しております。そんなことでございまして、今遷都、分都、展都はそういう理解をしております。
○穐山篤君 総務庁長官、臨時行政改革推進審議会が答申をしたわけですけれども、国の機関等の移転の問題と、それから遷都問題について盛り込まれていたと承知をしておりますが、それは正確にどういう答申だったんでしょうか。
○政府委員(百崎英君) ちょっと突然のお尋ねでございますので、手元に正確な資料を持っておりませんけれども、まず、いわゆる土地対策に関する答申が一昨年出されましたが、その際にはいわゆる都市機能あるいは産業機能をできるだけ地方に分散する、こういう答申が実は出されております。直接遷都それ自体につきましての答申はなかったかと思いますが、先般出されましたいわゆる新行革審の最終答申におきましては、今後の二十一世紀を見据えたいわば中長期的な課題としてそういった都市機能の分散、これを積極的に進めるようにと、たしかそういう趣旨の答申が出されていたと思います。
○穐山篤君 これはどなたに聞いたらよかろうかと思うんですが、昭和六十三年の六月二十八日に政治行政機能等の中枢的機関の移転という問題が閣議で決定をされたわけですが、この決定の内容というのはどういう意思であったんでしょうか。明確にしてもらいたいと思います。
○政府委員(三木克彦君) 閣議決定で遷都を論じたものといたしましては、昭和六十二年六月に決定をいたしました第四次全国総合開発計画がございます。ここでは「遷都問題については、国民生活全体に大きな影響を及ぼし、国土政策の観点のみでは決定できない面があるが、東京一極集中への基本的対応として重要と考えられる。そのため、政治・行政機能と経済機能の相互関係の在り方を含め、国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する。」、このように触れられております。
○穐山篤君 国土庁長官、この政府機能というのは、もう少し親切に、こういうものが政府機能である、あるいは遷都に値するというものをもう少し具体的におっしゃってください。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 先ほどちょっと申し上げましたが、五十八年一月二十五日の首都機能移転再配置構想調査という発表によりますと、狭義の首都機能移転と広義があると思います。狭義の首都機能移転、これが主要部門で、これが普通遷都と言われますが、これは国会とか最高裁判所とかそういうものでございまして、全国にまたがる全機能のものを言っておると、こう思います。
○穐山篤君 国土庁長官、ことしの一月二十三日に国土庁長官の私的諮問懇談会ですか、首都機能移転問題に関する懇談会というものが設置をされたわけですが、これは首都機能を移転するということを前提にして懇談会が持たれたんですか、そうでないんですか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 第四次全国総合開発計画がございまして、これは一極集中を排除し、多極的分散型国土をつくる、そんなことで地域振興を図るということとしておりますが、その中でいわゆる都市の機能、産業、いろんな機能を地方に分散するというようなことになるわけでございまして、いろんな議論があるものですから、一度各界各層の人を集めてひとつ十分いろんな幅広く意見を聞こうじゃないか。
 それからまた、首都機能の移転につきましては、基本的に二つございまして、一つは国民生活だけの判断ではいけなくて、国土政策上どうするかという大きな問題がございますものですから、むしろいろんな意見を十分に聞いてみようというようなことでそういう懇談会をつくったわけでございます。現在二回目をやりまして、いろんな方から非常に幅広い意見を聞いておるのが現状でございます。
○穐山篤君 幅広い意見を聞くというのは結構なことですが、これは遷都ということを念頭に置いた作業ですか。それとも、いろいろ問題があるから勉強しましょうという程度の懇談会でしょうか。
○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。
 先ほどちょっと申し上げましたけれども、四全総の趣旨をもとにしましていろんな意見がございますものですから、今先生のおっしゃったような意見もございますが、幅広くいろんな意見を十分お聞きしたい、こんなことでこの懇談会をつくったわけでございます。
○穐山篤君 総理、主管大臣のところでは今のような程度の遷都問題の話題です。最高の責任者として、政治問題になっております首都機能を移転する、遷都をするという問題について、総理はどういう決断をされているんでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 首都機能移転の問題につきましては、国民生活全体に大きな影響を及ぼし、国土政策の観点のみでは決定できない面もありますが、東京一極集中是正への基本的対応として重要であると認識をいたしております。
 政府といたしましては、政治行政機能と経済機能の相互関係を含め、国民的規模での議論を踏まえて、幅広い観点から引き続いて検討をしていかなきゃならぬと思いますが、超党派の議員の皆さんにより構成される新首都問題懇談会においても活発な議論がなされておりますことに政府としても注目をさせていただいております。
○穐山篤君 よく真意がわからないんですが、東西ドイツの例ではありませんけれども、足かけ二年で統合し、通貨も統一をする。非常に改革が急がれているわけですね。それに値するほど大きな首都機能の移転の問題です。慎重でなければならないと思いますし、国民の合意も得なきゃならぬと思いますが、このまま検討ということになりますと、昭和五十二年、三全総からずっと話が始まっているんですよ。これはいつになったら決断をし、あるいは実行に移るかということについて非常に危惧の念を持つわけです。
 今、前段の総理の答弁というのには私も十分深い理解を示しておりますが、遷都について政府全体がまだ決意を持ったというところまでは私理解がどうしてもできない。この点は慎重でなきゃならぬことは当然でありますけれども、それは手順だとか作業だとかということについては慎重にしなければならぬと思うけれども、とどのつまり遷都をするかしないかということは内閣の責任の問題だと思うんです。もうちょっと真意を明らかにしてもらいたい。決意も明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(佐藤守良君) 担当大臣として総理の前にお答えさせていただきますが、実は国土庁では、この懇談会は二年から三年ぐらいのうちに方向づけをしたい、こう考えております。
 それからまた、その後は総理の諮問機関にお願いしまして、四、五年うちに方向づけをしたい、こう思っておりまして、今先生の御指摘の遷都の問題も十分検討に値して、勉強しておるわけでございます。
○穐山篤君 総理、今のようなお話を聞いていますと、検討の期間だけで十年はゆっくりかかりますよ。
 ですから、私どもが主張しております、あるいは今度の予算委員会でも相当土地問題というのは議論されたし、一極集中もあらゆる角度から議論をされたわけです。ですから、遷都をする、ついては国民の皆さんいかがでしょうか、専門的にはどういう手順、作業をやりましょうかということを諮問するぐらいでなければこの大事業というのはとても実現不可能だと思うんです。そういう意味で再三私はその点を総理に伺っているわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 首都機能の移転の問題については、既にその必要性を認め、着手できるところからしなければならぬということで、具体的な動き等も始まっておるんですけれども、全体として見た場合に、大きく遷都になるのかならないのかということになりますと、先ほども触れましたように、それぞれのところから、じゃ我が方へ来たらどうかという誘致の声も確かに届いてまいりましたし、また民間の、あるいは学者の皆さんの御意見も遷都、首都機能の移転というよりも、島をつくったらどうだという具体的な御提案も随分届いてきておりますけれども、いろいろ影響が非常にたくさんあるところでありますので慎重に検討を続けておるところでありますが、できればそのようなことにして問題解決をしなければならないという熱意を持ってそれぞれに取り組ませておるところでございます。
○穐山篤君 今までの説明は分都とかあるいは展都の範囲内の話なんですよ。少なくとも私が今申し上げているのは、それを乗り越えて遷都というでっかい話を伺っているわけです。ですから、前提条件は政府が遷都をしましょうという決断をして、その後でじゃどういうものをどういうところにしましょうとか、どういう範囲にしましょうとか、場所はどこにしましょうかというのはその中の作業だと思うんです。
 今のような消極的な態度であるならば、これはもう十年、二十年かかってもその決断ができないんじゃないか、そういう意味で急ぐべきだというのが私の主張なんです。くどいようですけれども、もう一度その点について伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(海部俊樹君) 委員のお気持ちはよくわかりますが、各党各会派の皆さんが御参加願って御議論願っております昭和五十年以来の新首都問題懇談会の結論を私は注目して見詰めさせていただかなければならぬと思いますし、国民的な合意も必要とする問題でございますが、できるだけ検討作業は早期にやるように関係に指示をいたします。
○穐山篤君 今の遷都の話は十分に聞かれたと思います。
 次に、入管法の改正の問題について、前回も申し上げてあったわけですけれども、六月一日までに相当入管に申請をされた方もあるだろうし、国に帰るという意味で申請をされた方もあるだろうし、それから資格の変更の申請ないしは在留期間の延長など、そういう問題について資料をお願いしてあったんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(股野景親君) まず、冒頭の先生のおっしゃいましたお話は、不法就労者が出頭申告したことだと思います。これは実は今まだ集計中で、概数で恐縮でございますが、本年の年初から東京の地方局についての統計を見ますと、およそ五月の末までに約二万程度の者が不法就労を行っているものとして出頭申告をしてきたという事実がございます。あと、ほかのこの件について我々できる限り早く集計をさせていただきたいと存じております。
○穐山篤君 警察庁にお伺いしますが、この間不法就労などで警察が検挙あるいは勾留とか裁判というものも数々あったと思いますが、概数をちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(加美山利弘君) お答えいたします。
 警察では不法就労者数の統計をとっておりませんので、入管法違反の送致件数、人数等についてお答えいたします。
 平成元年中の同法違反の送致件数は一千八件、送致人員は九百三十九人でございます。
 以上でございます。
○穐山篤君 法務大臣、前回もこの場で議論されましたけれども、おおむね十万人程度不法就労の外国人労働者がおるだろうと。今も説明がありましたように、申請をして退去され本国に帰った人もあろうと思うんです。件数から見まして、まだ七、八万人程度は残留をしているであろうというふうに考えますが、その点についての認識と、これからどういう対策をとられるのか、その点についてお伺いします。
 なお、その点については労働大臣からもあわせて答弁をいただきます。
○国務大臣(長谷川信君) 今委員お話しのとおり総計で約十万から十一、二万いるというのが一応の推定でございますが、今回帰ったのは今股野局長が説明したとおり二、三万程度だということで、まだ大方の者は残留をいたしているわけであります。
 そういう中で部内で今後の問題についていろいろ検討いたしているわけでございますが、改正入管法の運用に当たりましては、附帯決議の趣旨を十分尊重してまいる所存であります。
 なお、悪質な雇用主、ブローカー等に対する規制については、御指摘のとおり厳重に対処していく所存であります。なお、不法就労外国人に対する退去強制手続に当たっては、その人権に十分な配慮をしつつ行う所存であります。また、罰則の適用については従前どおり適当な対応を行っていくものと承知いたしております。
 以上でございます。
○国務大臣(塚原俊平君) 労働省の職業安定行政といたしましては、国内における適正な労働力需給調整の観点から、外国人の適正な受け入れ、不法就労への対処等その対応が必要となっておりますが、このために、一つとして外国人労働者問題に関する事業主への指導等、二つとして外国人求職者等に対する適切な対応、三つとして不法就労に係る実効ある対処の三点を柱といたしまして、全国に通達を出し業務の展開を進めてまいります。
○穐山篤君 労働省、労働大臣に伺いますが、日系二世が日本に訪日をされまして、それぞれのところに労働をされておりますが、代表的な問題として栃木県の真岡市にありますナルカワというところが典型的な二世問題があるわけですが、その点について調査をお願いしてありましたが、状況はいかがでしょうか。
○国務大臣(塚原俊平君) 外務省の調べで、現在ブラジル、ペルー、アルゼンチン等の諸国から我が国に来て就労している方が約四、五万人いらっしゃいます。そういう中でナルカワの件につきまして先生の方からお話がございました。調査をいたしましたので政府委員の方から答弁をさせたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) お尋ねの株式会社ナルカワにつきましては、複数の企業との契約に基づきまして、自動車部品の組み立てとか食品製造等の請負による事業を行っている会社であるわけでございますが、ことしの三月でございますけれども、就労先の一つについて調査を実施いたしました結果、業務処理の実態が適正な請負とはなっておらず、労働者派遣法に違反をいたしておりましたために株式会社ナルカワ及びその就労先に対しまして業務処理方法を改善するよう指導いたしたところでございます。
 また、日系ペルー人につきましては、状況を調べましたところ、日本国籍を有する方のほか、在留資格が四の一の十六の一、すなわち日本人の配偶者または子に相当する者、四の一の十六の三等のいわゆる日系二世、三世でございまして、株式会社ナルカワは平成二年五月におきまして約五百五十人の日系人を雇用などしていたという報告を受けておるところでございます。
 本件につきましては、ナルカワの他の就労先につきましても業務処理の実態が労働者派遣法に違反していないかどうか調査を実施いたしているところでございます。
○穐山篤君 法務大臣、古くから日本におります朝鮮人あるいは二世、三世、それから諸外国に移民で行きましたペルーだとかあるいはブラジルなんかの二世、三世が日本に今相当来ておりますね。去年からことしにかけてペルー、ブラジル、アルゼンチン、チリなどから入国されておりますけれども、その数はおおむねどの程度掌握しておりますか。
○政府委員(股野景親君) ただいまお尋ねの日系の二世、三世の外国人の方については、実はそのものとしての統計はございませんが、国別に新規の入国をした方の数を見てみますと、例えばブラジルについては平成元年で二万七千八百十九人、それからペルーでは五千八百八十人の方が入国しておりまして、この中には親族訪問その他を目的とする相当数の日系の二世、三世の方が含まれていると、こう考えております。
○穐山篤君 総理は日本・ペルー友好議員連盟の会長さんだったそうですからよく聞いておいてもらいたい。
 皆さん方のお手元にこのブラジルから送ってまいりました新聞広告が配られております。よく読んでいただいて、法務大臣、労働大臣、この広告からどういうことを印象として考えますか。
○国務大臣(長谷川信君) ただいま拝見いたしていたところでございますが、今、状況から申し上げますと、日本に行って半年も働いたらもう国に帰ったら大金持ちになれるというふうな、実際はどうかわかりませんが、そう考えておる外国人の諸君が相当いる。だからもう泳いでもいいから日本にたどり着きたいと。こんなに日本の国が高く評価されたということは歴史上余りそうないかもわかりません。
 しかし、やっぱり来ている方が本当に幸せなことに相ならないと、来たあげく、いやもう入管法で手続するんだっても三日も四日も立たせられて大変だったとか、いろんな不平不満を持って帰るようではこれは何のためにやったかわからないということになるわけでございますので、その辺、今入管局としても、いろいろ御注意もいただいたりおしかりもいただいたりしておりますが、これから時間を若干いただいて、日本の印象、何しろ日本の玄関口でありますから、玄関でいろんなことがあったのではこれは適切なことでございませんので、日本という国はやっぱり行っていいところであったというような印象を持って帰るくらいまで入管局あるいは私どもとしても十分これから研究し、勉強させていただきたいというように考えております。
 このチラシを見て感じましたことは、やはり日本に対するあこがれというものはそうそう変わっておらないなというふうな感じがいたしたわけでございます。
○国務大臣(塚原俊平君) 詳しく見てないんですが、今ちょっとこのチラシを見て感じましたことは、私も広告代理店で求人広告を担当したことがございますが、日本の形態、内容、日本に出ている求人広告と大分違うなという感じがいたしました。
○穐山篤君 私の聞いている真意を十分につかんでいないようでありますが、これをよく見ますと、日本で働きたい人はいらっしゃい、月収は二十万から五十万円でありますよ、直接東急建設、フジタ工業とも契約してありますから働く場所については御心配なく、いらっしゃいいらっしゃいというやり方なんです。このこと自体についても非常に法的にも問題があることは御承知だろうと思うわけであります。
 それから先ほどナルカワの話を私は説明してもらいましたが、ペルー、ブラジル日系二世をまとめて日本に連れてきて一定のところに、寄宿舎に入れますけれども、仕事がないから食費千円だけ与えておく、そういうことが明らかになっているわけであります。
 そこで、もう一つ起きておりますのは、日本はやはり差別の国だということがブラジル、ペルーからも今言われているんです。日本は日系の二世、三世だけはこういう広告によって全部連れてきて稼がせている、おれたち外国人労働者はどうして日本は受け入れてくれないのかというのが今ペルーでもブラジルでも世論になっているわけです。そういう問題を踏まえて、この広告を見てどういうふうに皆さん方は考えたんでしょうかということを私は聞いているわけなんです。その点を明確にしてもらいたい。
○国務大臣(塚原俊平君) まずそれぞれの国の国内法とのこれは関係もあると思うんですが、ペルー、ウルグアイ等についてはこのような国内法がどうなっているかちょっとわからないんですが、ブラジルではやっぱりいろんな問題があるように伺っております。
 それで、先生の御質問に対してちょっと私の答弁は的が外れていたのかもしれませんが、この質問御通告をいただいておりまして、それについて役所の方でとりあえずお答えをどのような形でするかということを一回まとめてございますものですから、一応政府委員の答弁を……
○穐山篤君 まだそこまで行っていないんです。
 この広告、それから実際に私は二世で日本に来られている方々とも会いましたし、それからその人たちの救済のために努力をしている東大の病院の先生ともお会いをして、実情は十分に聞いているわけですが、こうやって、いらっしゃいで連れてくる。渡航費、支度金は全部ある特定な会社が立てかえてきているわけです。それで日本に来る。特定な寄宿舎に入れて、仕事がある人もありますけれども、なくて食費だけ千円もらって毎日待っているという状況もあるわけですよ。その意味で言うと非常に受け入れの問題についても問題がなしとしない。法律上は二世、三世は入ってきてよろしいということになっているわけですが、これ問題なしとしないわけです。
 それからもう一つは、外国人労働者、不法就労者についてはもう帰ってもらうという入管法の改正があるわけですけれども、二世、三世についてはどんどんいらっしゃいということになっているものですから、ブラジル、ペルーにおります二世と現地人、ブラジル人、ペルー人との間に非常な相克を起こして、今国際問題になろうとしているわけです。そういう問題について適切に処理をしませんとこれはもう大変なことになりますよということが、この広告の中からも判読できるわけです。送金の方法まで、どこの銀行に預けなさいということが全部明瞭になっているわけですから、日本の金融機関とも十分に連携をとった上の広告になっているわけです。
 そういうことを政府の皆さん方が知らないということになれば、これは入管法改正をしてみても適切な入管法の安定ということにはなかなかならないというふうに思いましたので、あえて答弁を求めたわけです。
○国務大臣(長谷川信君) 委員いろいろお話しのとおりでございますが、何しろただいまの状況は、とにかく日本に行って働けば、ちょうど黄金のジパングの国に着いたように、もう幾らでも金がとれるんだという、実際また一年か二年働いていると四百坪ぐらいの土地に別荘がついている家を買えるという、僕は行って現場を見たわけじゃありませんが、そういう夢みたいな話も喧伝をされているくらいでありますので、この種の二世、三世のペルーの問題、私ども若干不勉強で詳細には承知いたしておりませんが、今委員からお話を聞きますとなかなか深刻な問題もあるわけでございますので、これからも法務省あるいは入管局、関係各省とも連絡をして、それらの問題等々について万全の対策を講ずるように研究いたすことをお約束いたします。
○国務大臣(塚原俊平君) 大変申しわけございませんでした。
 日系人のみを対象として大々的に現地で募集をするということにつきましては、まさに先生御指摘のとおり、現地における反発を惹起するおそれがございますし、ただいま私が申しましたが、その国の法令等に照らして問題がある場合もあるというふうに考えられます。
○穐山篤君 突然ですけれども、外務大臣、今私が申し上げましたようなことが現地で今対立関係になっておるわけです。日本は日系人だけ労働者として受け入れている、おれたちはどうしてくれるのだと、大変な問題です。これは何も中南米のみならずアジアでも今同じような現象が起きておるわけです。国際問題に今なろうとしているわけですが、十分その点は留意をしておいてもらいたいと思うんです。
 さて、前回私は質問をしましたときに、政府の統一見解を示してもらおうということで、私どもの提案も含めて政府側に見解の表明をお願いしてありました。時間の関係で、労働大臣からひとつ統一見解を示してもらいたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 外国人労働者の受け入れ問題は、労働市場を初めとして我が国経済社会全般に影響を及ぼす問題であり、慎重に対応すべきものであると考えております。
 労働省といたしましては、改正入管法施行後の状況を見きわめつつ、労働政策の立場から外国人労働者問題について、中長期的視点から多角的に問題点の検討を進めていく所存であり、その際、広く関係者や有識者等の意見を十分聞くことに努めたいと考えております。
 また、外国人労働者問題及び労働関係法令について、広報活動についても積極的に行ってまいる所存でございます。
○政府委員(清水傳雄君) 先般いわゆる外国人労働者問題についての、政府の基本方針に言ういわゆる単純労働についての御質問がございました。いわゆる単純労働という言葉は、特段の技術、技能や知識を必要としない労働と考えられ、受け入れの圧力が高く、受け入れに伴い広範な問題を生ずるおそれの強い分野の典型として用いられているところでございます。
 外国人労働者の受け入れ範囲は、入管法の在留資格で示されているとおりでございまして、具体的には、専門的技術、技能、知識を有する外国人、外国人ならではの感性を生かして就労する外国人等でございまして、在留資格に示されていないいわゆる単純労働者等は受け入れられないものでございます。
 例えば、建築設計に係る技術を要する業務に従事する者、いわゆる建築設計技術者は在留資格に該当するものと考えており、一方、製本工、土木作業員、運搬作業員等は該当しないものと考えております。
○穐山篤君 まだ統一見解、政府答弁が残っていますよ。法務大臣。
○国務大臣(長谷川信君) 今お話しの外国人労働者の受け入れ問題は、我が国経済社会全般に影響を及ぼす問題であり、慎重に対処すべきものであります。
 法務省といたしましては、改正入管法施行後の状況を見きわめつつ、外国人労働者問題を含め、入国管理行政全般にわたって中長期的視点から多角的な問題の検討を進めていく所存であります。その際、広く関係者や有識者の意見を十分に聴取することに努めたいと思っております。
 なお、改正入管法の定着に努め、広報活動についても積極的に行っていく所存であります。
 以上であります。
○穐山篤君 私の方からは、前回も申し上げましたように、我々社会党もこの入管法改正には賛成しました。定着することを期待するわけですが、その前に、昭和六十三年六月に閣議で決定をしました雇用対策基本計画というのがあるわけです。少なくともまず国内の労働者の雇用の安定、拡大、身体障害者の問題、高齢者の雇用の拡大というものがきちっとなされて、なお不足の部分についてどうされるかという問題があってもいいと思いますけれども、肝心のところが見解の表明で抜けておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塚原俊平君) ただいま御指摘いただきました昭和六十三年の六月に閣議決定をされました第六次雇用対策基本計画は、今後の「構造調整期において雇用の安定を確保し、これを基盤としたゆとりある職業生活の実現を目指すこと」を課題としているところでございます。こうした観点に立ち、同計画において、外国人労働者問題については専門的、技術的能力等を有する労働者について可能な限り受け入れる方向で対処するが、いわゆる単純労働者については十分慎重に対応すると御答弁をずっとさせていただいたとおりのこととされております。
 政府といたしましては、同計画にのっとりまして安定した良質な雇用機会の確保、拡大はもとより、労働力需給のミスマッチの解消を図ることを基本に、適正な労働条件の確保、さらには障害者等特別な配慮を必要とする方々の雇用の促進に努めること等を重要課題として雇用対策の積極的な展開を図ってまいる考えでございます。
○穐山篤君 悪質なブローカーあるいは事業者、この中には派遣業法に違反をしている部分が相当あるやに私どもも調べさせていただいているわけですが、そういう者についての処罰というのは厳正にやることは当然だと思いますが、今非常に問題が各地で起きておりますのは、現に残留をしている、現に働いている方々についての人権だとか労働条件だとか、そういう問題について弾力的に行うというふうなことでないとこの定着というのは難しいと思うんですが、その点についていかがですか。
○国務大臣(長谷川信君) 今委員御指摘のとおり、現に働いている人の人権については、これはもう当然十分配慮いたしていかなきゃならないと存じておるわけであります。
 なお、昨今ちょっと私の感じておりますのは、やはり何といっても人手不足でございまして、昨年の四月とことしの四月を比べますと、求人難で倒産をしているところがかなり出ていますね。それと同時に求人が非常に多くなっておる。その辺の出たり入ったりの要するに環境に妙を得た運営をやらないと、委員おっしゃるようにいろいろ問題が出ないとも限りませんので、きめ細かくなお神経を使いながら、これらの対策につきまして、今働いている人々、その大もとは先ほど労働大臣が申し上げましたように、技術労働者はもうほとんど間口を広げて入れますと。それから単純労働者についてはなるべく国内労働関係との調整をとりながらやろうという基本的な考え方につきましては、私どもも労働大臣の考え方と全く同じでございます。
 結論は、いろいろトラブルが起きないように、人権が守られるように、そういうことを念頭に置きながら法務省としては対処いたしていくつもりであります。
 以上であります。
○穐山篤君 改正入管法が適正に運用されるというのは当然であろうというふうに思いますが、今の経営者の状況とか産業界の実態から考えてみて、これでよろしいんだというわけには私はいかないと思うんです。したがって、中長期的な展望を見ながらこれは十分な対策を講じていかなければならないという意味で私ども一定の考え方を明示してありますけれども、この中長期的な問題を検討、準備することについて政府側のひとつ態度をお願いしたいと思います。
○政府委員(股野景親君) 先ほど来法務大臣及び労働大臣から中長期的な観点についても御説明申し上げたところでございますが、法務省及び政府全体として、改正入管法の施行後の状況を見きわめながら、この問題全般について中長期的視点から多角的に問題の検討を進めてまいりますし、その際広く関係者や有識者等の御意見というものも十分聴取するように努めてまいりたいと存じております。
○穐山篤君 次に、政治倫理の確立について伺います。
 最初に深谷郵政大臣に伺いますが、本予算委員会でいろいろ大臣に対して資料の提出なり、あるいは調査なり報告をみんなそれぞれがお願いしてあるわけですが、どういうものが宿題になったかということをあなたは一つ一つ掌握しているでしょうか。
○国務大臣(深谷隆司君) 穐山委員にお答えいたしますが、今回総理が発表いたしましたときに、私が自主申告がおくれてしまいまして多大の御迷惑をかけましたことをまことに申しわけなく、自来深く反省をいたして今日に至っております。
 今までの委員会を通しましてさまざまな御意見や御批判も承ってまいりました。その中で、資料要求についてもあるいは調査につきましてもそれぞれの方から御意見が出されました。その中身についてはよく承知しているつもりでございます。
○穐山篤君 五月十一日、矢田部委員から質問された事項についてお調べをいただきましたか、あるいは資料をここへ出してもらえましょうか。
○国務大臣(深谷隆司君) 五月十一日に出されたものを日ごとに分けておりませんので必ずしも正確ではございませんが、政治献金にかかわる問題につきましては、現行法制度においては政治資金規正法にのっとりまして政治家としてきちんと書類を提出するという義務がございます。私はその処理はいたしてまいったものでありますから、それ以上の資料を提出するということはお許しいただきたいと考えております。
○穐山篤君 これは正確ではないですね。私が最初質問しましたのは、あなたはそれぞれの委員から宿題で預かった資料、調査、報告というものについて、その宿題は勉強されましたかね、準備されましたかねと。その中で五月十一日分の、その中でも矢田部委員のことについて質問したわけですが、正確に今答弁されていません。議事録を十分にお読みになったでしょうか。
○国務大臣(深谷隆司君) 五月十一日に矢田部委員から調査要求、さまざまなものが出されました。その調査の問題につきましても私なりに調べさせていただいてまいりました。
 調査に関しましては、その折々の委員会で私も事実確認した部分についてはお答えをしてまいったつもりでございます。例えば六十二年の献金について一度に二百万もらったのではないか、これは百万ずつそれぞれの会に入れさせていただいているといったようなこと、それから資金集めのパーティーをいつから始めたかということについて、五十六年からではないかという御指摘もございました。これもそのときに私は細かくお答えしたつもりでございます。正確な、いわゆる今日的で言うお金集めの資金パーティーということではなしに、私は区議会の時代から、都議会の時代から、折々に会費をいただきながら、それが実費であったりあるいは若干活動費が上乗せしていたりといったようなことも含めて長年やってまいった、そういったことなどもお答えを申し上げてまいったつもりでございます。
 それからリクルート社幹部の接待を何回も受けたのではないかということにつきましては、御指摘された二回の分について私は記憶で定かではありませんが、何か物を頼まれてその見返りに接待を受けたという認識あるいは記憶はないといったようなことなどお答え申し上げてまいったつもりであります。
○穐山篤君 理事会で皆預かりました。預かったのは、三月二十三日安恒質問、三月二十六日吉岡質問、五月十一日矢田部質問、以下五月二十九日まで宿題を理事会で預かりました。総理に預けた宿題、官房長官に預けた宿題、郵政大臣に預けた宿題が理事会預かりになっていたわけですから、きょう私が質問をするまでに全部資料をそろえて、調査の結果資料の提出が完了していなければならなかったはずなんです。これはどういうふうに責任をとってもらえますか。
○国務大臣(深谷隆司君) 資料の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、現行法制上では政治資金規正法に基づいて適切な処理を私自身はしてまいりました。それ以外の資料につきましては御遠慮いただきたいということを申し上げてまいりました。
 また、秘書のものにつきましてもプライバシーにかかわる事柄でございますので、私としては、現在は秘書でございますが、その前の分については提出は不可能であると、御遠慮さしていただきたいと申し上げてまいりました。
○穐山篤君 ちょっとそれではいただけませんよ。これは理事会で預かって理事会に報告する話ですよ。何にも今まで出てきていないじゃないですか。これはとても前には進めませんね。理事会で預かった問題をないならない、あるならあると全部報告してもらうという約束になっておったんじゃないですか。全然だめですよ、そんなの。
 官房長官にも宿題を数人預けてあります。総理にも預けてあります。それぞれお答えと資料を出してください。
○国務大臣(坂本三十次君) 郵政大臣とリクルート社との関係に関するさまざまな資料について委員会に提出要求がありました。私に御要求のあった分についてもいろいろ検討してみましたが、やはりこの件は郵政大臣御自身が判断すべきものであると考えております。郵政大臣のところでは十分検討をされておると承知しております。
 また、政府のこれまでの調査についてですが、これまで申し上げてきたように、郵政大臣のところで調査を徹底し、その自主申告に基づき私が確認し、公表してきたものであります。
 この問題は、結局は政治倫理の観点から、御当人の徹底した調査によることが適当であると思っております。
○穐山篤君 時間の都合で一々は申し上げませんけれども、例えば立木委員からも官房長官に質問がありまして、ここで理事会預かりになったわけです。その理事会預かりになった問題について官房長官は正確に理事会に資料も出していないし、答弁書も出していないんですよ。この委員会の質問をこれは聞き逃がしているんじゃないかという心配があります。自覚していないと思いますよ。預かった宿題をきちっとするのがこれは本委員会の役目じゃないですか。とてもだめです、これ。宿題を出してください。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○国務大臣(深谷隆司君) 穐山委員の御質問に対しまして細かく申し上げないでまことに申しわけありませんでした。
 四月に安恒委員から、献金の年月日、名自、支払い者、その他いろいろ御質問がございました。これは官房長官に最初に細かく内訳を書いてお出しして発表しております。ただ、だれが持ってきて、どう受け取ったかというのは、私ども調べたのでございますけれども、明確ではございませんでした。
 それから石塚氏がリクルート社の社員であったことを証明する資料、これは大変難しいことでございますが、彼がリクルートの嘱託社員として給料をもらっていたその事実は私は確認をいたしておりますが、資料としてお出しすることについてはプライバシーの問題があるので御遠慮申し上げたい、そのように思っております。
 それから矢田部委員から五月十一日に御指摘がございました、献金は五十六年以降、毎年、盆暮れにもらっているということでございますが、御指摘のありましたように、五十六年以降、盆暮れに百万なら百万というお金をもらっているということはございません。ただ、それについて明確に発表せよということでございましたが、私どもは政治資金規正法にのっとりまして書類その他三年間保存している、それをもとにいたしましてこのたび報告したものでありますから、ちょうど三年半までの資料は明確に持っておりますので、それはきちんとお出しをいたしましたが、その以前についてはそのような資料がないために明確に申し上げることができないことを残念に思っております。
 それから六十一年も二百万円受け取ったのではないか、これは選挙のときの陣中見舞いということでありました。これは私ども書類をひっくり返し、その当時のメンバーも呼んで徹底して調べましたけれども、選挙の最中にそのような献金はございませんでした。
 それから六十二年十二月の献金はリクルートコスモスの松原氏から一度に二百万もらったんではないかという御質問については、松原氏かどうかについてはわかりませんが、一度に二百万というよりも、二つの団体に百万ずつ会費として出していただいた、献金として出していただいたと聞いております。
 退会届は日付をさかのぼって作成したのではないかという御質問については、退会届はたしか六十三年の七月二十八日でございましたでしょうか、そのときの日付になっておりまして、正確にいつ届けられたということは定かではありませんが、それに極めて近い日付であるということは間違いないことだと思っております。
 なお、そのときに話も出ましたが、本来、退会届というのは一々会をおやめになるときに出してもらうものではございません。当時、六十三年の夏、リクルート問題がかなり社会的に問題になっていたものでありますから、恐らく当時のスタッフが念のためにということで預かっておったのではないか。私、まさかこの委員会でこういう形で追及されるとも思いも寄らないことでございましたので、退会届を何かのあかしに使おうという、そんな考え方があったわけではございません。
 それから資金集めのパーティーについては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 リクルート社幹部の接待については、何回も受けたのではないかという御指摘でございましたが、そんなに何回受けたというようなことはございませんで、過日の新聞に報道された二回について正確な私どもの記憶はございませんが、何かを頼まれて、その見返りに私が接待を受けたという事実はないということは明らかでございます。
 いろいろ調べてまいりまして、資料も本来なら少しでもお出しすべきではないかと存じますが、冒頭申し上げましたように、現行制度の上で書類上きちんと届け出ているものでありますから、それ以上のものについてはどうぞひとつお許しをいただきたい。
 石塚の件については、現在は私の秘書でございますが、そうでない時代の書類についてはプライバシーにかかわりますので御容赦をいただきたい。そのように申し上げさせていただきます。
○穐山篤君 今郵政大臣からは預けました宿題の一部が表明をされました。全部ではないんです。官房長官についても同じであります。
 そこで、この問題にこれ以上かかわっておりますと時間がかかります。今預けました宿題はちゃんと議事録に全部残っています。総理に預けた問題、官房長官、郵政大臣、みんなことごとく議事録に残っています。整理をしていただいて、文書であすの委員会までに出してもらって、その上で最終的に判断をしたい、こういうふうに思いますが、委員長、そういう取り扱いにしてもらいたいと思います。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
 ただいまの穐山君の問題は、後刻理事会におきまして協議をすることにいたします。
○穐山篤君 政治倫理の確立でもう一つ明らかにしてもらいたいんですが、総理、政治倫理綱領というのは昭和六十年十月十四日に決まりました。リクルート事件で環境開発株が七十六人に渡りましたのは昭和五十九年の十二月二十七日であります。それから、昭和六十一年の九月にリクルートコスモス株七十六万株が一株三千円でこれも譲渡されているわけです。言いかえてみますと、政治倫理綱領が作成をされた前と後にずっとつながっているわけですね。このことは非常に重大な問題だというふうに私は意識をしているわけです。リクルート問題については、裁判も行われておりますし、政治的道義的問題もまだ私は残っていると思うんです。
 総括をしてみますとこういう見方ができます。まず、指摘をされますと逃げ回っている人がたくさんいましたね。その次は隠すということが行われた。最後にうそを言ったということで大臣をやめた方もあるわけです。それから、リクルートにかかわりました主として政府・与党の人の中に多かったんですが、最初は私ではないよ、おれではない、妻が妻が、秘書が秘書が、こういうのが第一段階だった。そのうちに、マスコミその他国会でも追及されますと開き直った。この正当な経済行為がなぜ悪いといって開き直った。世間の評判が悪く、政治不信が非常に高まってきますと、お互いにその傷をなめ合ってかばい合うという状況がずっと今日まで続いているわけです。
 そのかばい合っている一つの節目として自民党の申し合わせというのがあったわけであります。これが党内では了承されているんだろうと思いますけれども、国民的にはだれもこれは賛意を表明した人がないんです。そういうところまでの問題について、総理はどういう認識、あるいはどういう責任を感じているんでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のようなことがございましたから、政治倫理の面の問題につきますと、刑事事件になった問題は別といたしまして、刑事事件にはならなかったけれども、自由民主党においては申し合わせを行い、そのけじめ案に従って対処をしたのでありますが、私は政治倫理の問題というのは、これは最後は政治家個人個人の自覚と責任において対応していくべき問題であろうと思いますが、しかし国民の不信を取り戻すためには、二度とこのようなことを起こさないということが極めて大事でございますので、ただいま政治改革を行うことによって国民の政治信頼を取り戻していかなければならない、こう考えております。不幸にしていろいろ取り上げられました人々も、社会的な責任も厳しく受けて、関係者は今後みずからの政治生活の中においてその戒めを厳しくするとともに態度に示していかなければならない、私はそのように受けとめております。
○穐山篤君 政治家個々が倫理を十分に自覚をして清潔で公平な政治をやるというのは当然だと思うんですが、しかし、倫理綱領が作成をされましたのは、その前のロッキード事件からずっと続いてきたこの構造的な政治腐敗、金権という問題に源があるわけです。したがって、個人個人の問題でもあろうと思いますが、特に権力を持っております政府・与党というのは非常にその意味では重大なかかわり合いを持っているという認識があるわけです。したがって、政治倫理綱領というものができ上がった。先ほども言うように、私はその当時議運の理事をやっておりまして、多少この仕事にかかわっていたわけです。この仕事をみんなまじめな顔で一生懸命にやっているその最中に、こういう問題がもう地下で行われていたわけですね。発覚をしても倫理綱領に基づいた行動をとっていない。言いかえてみれば、金権腐敗がもう身にしみついていて自覚がないんです。意識の改革がないところから今日問題が引き続いているわけです。
 そういう意味で言いますと、選挙法の改正、政治改革というふうに逃げ込んでしまったのでは、もとが正されないと思います。構造的な腐敗、金権というものを一掃するために倫理の確立が必要であるという意味でこの倫理綱領が出たわけですが、守られていないんです。守らせるためには一定の規制というものを必要とすると思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃることの意味を私なりに考えてみますと、政治倫理綱領というものを院において委員も御参加の上お決めいただいたということでございますが、せっかく決められたものでございますから、それが適正に守られていきますように、私はそれは当然のことだと思っております。
○穐山篤君 私はこういう倫理の問題について縛るということは余り好きじゃないんですけれども、戦後毎回こういう問題が起きますと、それは構造的、体質的な問題です。ですから、けじめをつけるという意味では、この政治倫理綱領というものを法制化する必要があると思います。野党はこの法制化の問題について積極的に問題意識を持って具体的な提案もしているわけですが、政府・自民党としてはその点についてどういう決断をされましょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 政治倫理綱領は既に両院において各党の合意の上でき上がっておるものでございますから、それをさらに推し進めていくということについては、これは各党、各会派で十分御論議をいただき、適切な結論を得ていただくことが望ましいと思っております。
○穐山篤君 もう一度申し上げておきますと、金がかかる、だから悪いことをするというのは理屈に合いません。選挙法の改正に逃げ込んでも、倫理の問題というのは残るわけですよ。特に権力を持っている政府・与党としては、そのことは十分に踏まえなきゃならぬと思う。したがって、法制化について野党は具体的に行動を起こします。その場合に、政府は十分にこれに立ってもらえる準備がおありかどうか、その決意だけお伺いしておきます。
○国務大臣(海部俊樹君) お答えが繰り返しになりますが、これは院の問題でございますので、各党、各会派で十分御論議をいただき、適切な結論が出ていきますことを政府は期待をさせていただいております。
○穐山篤君 次に情報公開についてお伺いしますが、前回堂本議員からODAに関する資料の提出という問題で理事会預かりになりました。これは情報の公開という意味では非常に大事な問題でありますので、政府の基本的な態度、それから堂本委員が提出しました要求についての見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 我が国が今後ODAを通ずる国際社会への貢献を一層推進していくためには、ODAの実施の一連の過程について、できるだけその透明性を高め、国民の理解と御支持を得ることが極めて重要であると認識をいたしております。
 政府としては、このような観点から、従来よりODAの実施に関する情報公開に意を用いてきたところでございます。今後、さらに実施の一連の過程における各種の資料にかかわる情報の公開を前述の観点からいかに処理することがより適切か、具体的には相手国の需要に対する妥当な考慮、多くの資料が日本政府以外の所有に帰属するとの事実、また第三者間の契約上の守秘義務等も慎重に取り扱う必要があること等、諸般の事情に適切な配慮をしつつ、改善の方向で引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。その間、去る五月二十二日、本委員会にて堂本議員より提起されている資料の扱いにつきましては、どのような資料がどのような形で提出可能かについて検討を含め、相手国政府の協力を求めるなどして最大限の努力を払いつつ、鋭意作業を進めているところでございます。
○穐山篤君 矢田部委員の先日の質問に対して、資料の公開を求めたわけですが、この点について防衛庁の見解を伺っておきたいし、それについて関連質問をお願いしたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 御指摘の資料は報道された資料のことだと思いますが、ソ連太平洋艦隊の動向につきまして日々分析業務に従事いたしております担当者の分析作業メモの一部ではないかとも思われますけれども、いずれにいたしましても、これは防衛庁として公式のものでないことは明らかでございます。したがいまして、防衛庁といたしまして、お尋ねのような資料を提出することはでき得ないことを御理解賜りたいと思います。
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。矢田部理君。
○矢田部理君 お話しの資料は、「ソ連太平洋艦隊の主要艦艇の戦力見積もりについて」という内部文書でありますが、まだ防衛庁としてオーソライズしていないから、したがって出せないという理屈は私は納得できません。したがって、その資料の提出は従来どおり求めていきたいと考えますが、きょうの段階で特に防衛庁に質問をしておきたいのは、その資料に出てきております内容であります。
 一つは、特徴的なのは、ソ連太平洋艦隊の、ソ連総体だろうと思いますが、建艦ペースですね、船をつくるペースが鈍化する傾向にある、老朽艦の廃艦が早まる傾向があらわれ始めていると、そういう認識に立っているかどうかが第一点。
 それから、その資料に記載されていると言われておるソ連海軍太平洋艦隊の隻数が、従前はアメリカが百八十五隻だったのが二百四十隻あった。そのうち水上艦艇百隻ぐらいのところが八十隻ぐらいになる、それから、百四十隻が百隻弱になる、九十八隻と言っておりますが、ということで、それぞれ二一%ないし三〇%減になるというような見積もりは部内では行われているのかどうか、まずその点を承っておきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 私どもは周辺諸国の軍事情勢等の分析を日ごろ行っておりますけれども、ただいま委員が御指摘になられましたように、ソ連太平洋艦隊の就役ペースが、建艦ペースが鈍化している、また除籍あるいは廃艦ペースが高まっている、こういうふうな確たる事実、推定というものができているわけではございません。
 ただ、各艦によりまして、それぞれ就役いたしましてから艦齢が何年たっているか、そういうような点はある程度の把握はいたしておりますけれども、それをソビエトといたしましていつの時点で廃艦するか、除籍するかというような点につきましては、ソビエト政府の方針等につきましては、私どもはまだ定かに読み取れないところでございます。
○矢田部理君 内部の文書であれ、またオーソライズされていないとは言っても、全体に建艦ペースが落ちてきて、そして老朽化艦船の廃艦が強まる傾向にあるという認識は重大なのでありまして、この点は依然引き続き文書の提出を求めていきたいと考えております。
 きょうは関連でありますから、その点はその程度にいたしますが、同時に、ソビエト艦艇に対する過大評価があるというふうに我々はかねてから言ってきたわけであります。
 アメリカよりも多いというようなことは基準の立て方の違いだということだけでは説明がつかないのでありますが、きょうはその一環として、防衛庁からゆうべからの要求に対して私の手元に来ております重大な資料があります。ソ連の太平洋艦隊が老齢化が著しいということであります。潜水艦と主要水上艦艇に分けて、それぞれどの程度老齢化が進んでいるのかの実態を報告していただきたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 重ねて申し上げますが、ソ連の艦艇に限りませず、武器につきましての実態というものはなかなか正確には理解しがたいものでございます。したがいまして、私どもは白書におきまして、ソ連が保有しております艦船あるいは航空機の数を公表しておったということでございます。ところが、例えばアメリカにおきます公表等につきましては、必ずしも正確な算定根拠はわかりませんけれども、年によりましてフラクチュエートしているような状況等を考えますと、それはそれに先立ちます一年間に現実に行動したような航空機なりあるいは艦艇を算出しているのではないか、かように考えられる次第でございます。
 ところで、私どもが把握いたしておりますソ連の艦艇、太平洋艦隊の主要な水上艦艇と潜水艦につきまして、その総隻数、これは保有ベースでございますが、昨年の白書に書いてございます。それと、そのうち客観的に船齢といいますか、艦齢が二十五年以上になっていると推定されるもの、思われるものの隻数、それを申し上げたいと思います。
 潜水艦は約百四十隻でございますが、うち艦齢二十五年以上と思われるものは約七十隻ではないかと推定されます。主要水上艦艇は約百隻でございますが、そのうち艦齢二十五年以上と思われるものは約四十隻ではないかと思います。
 ここで補足説明をさせていただきたいと思いますが、私は艦齢二十五年以上のものを抽出いたしまして御説明を申し上げましたけれども、これは国際的に見まして、二十年ないし三十年程度の艦齢の艦艇が通常老齢艦と観念されているということによるものでございます。したがいまして、これは二十五年を超えたものがスクラップ同然のものであるというようなことではございませんで、仮に就役後装備の改装等が行われていないとしますと、比較の問題として近代化がおくれた艦艇であろう、また旧式艦につきましては維持費が相対的に高くかさみますので、維持費が相対的に高くかさむ艦艇であろう、こういうふうに観念されるわけでございます。
 今後、ソ連の太平洋艦隊の艦艇がもしもソ連の政策によりまして兵力削減等が行われていくということになりますとしますと、まず常識的に考えますと、今私が挙げました老齢艦の中からその対象が選ばれてくるのではないかと思われます。しかしながら、質的に向上した新鋭艦が配備されてくるということになりますと、これは依然としてソ連は新鋭艦の建造を行っているのは事実でございます。その場合には、総体としては戦力の合理化、近代化になるのではないか、かように思料いたしております。
○矢田部理君 あと一、二問で終わりますが、潜水艦の寿命というのは二十年なんです。これは二十五年で計算しています。水上艦艇は三十年ぐらいもつのもあるそうであります。そうすると、二十年という寿命から考えてみますと、もっと数はふえるんじゃありませんか。それはどのぐらいになりますか。
○政府委員(日吉章君) ただいま二十年を経過したものという数字をここに持ち合わせておりません。
 ただ、ソ連の潜水艦約百四十隻のうち、半数以上は原子力潜水艦であると私どもは把握いたしておりますから、まずこの原子力潜水艦というものを船齢が二十年過ぎたからというようなことで老齢艦というような形で把握するということはいかがかと、かように考えております。
○矢田部理君 潜水艦で寿命と言われる二十年以上たったものは、二十五年の数字が出ておりますが、あと何隻ぐらい見込まれますかと聞いているんです。
○政府委員(日吉章君) 何度も申し上げますように、ソ連のこの装備等の実態というものはなかなか正確には把握しがたいものでございますので、委員ただいまお尋ねのようなところまで責任を持ってお話しできるように調査は行き届いておりません。
○矢田部理君 関連ですからまとめますが、総理にも聞いていただきたいのです。
 今まで潜水艦は百四十隻ある、水上主要艦艇があと百隻あって合計二百四十隻だと防衛庁は言ってきたんです。きょうこれは極めて新しい資料で、驚くべきことに百四十隻のうち七十隻、五割は老齢艦だ。実際上使い物にならない艦。潜水艦の寿命は二十年と言われておりますから、もっとこの数は少なくなるはずであります。それから、主要艦艇についても百隻のうち四十隻、何と四割が老齢艦である、二十五年以上経過していると。これが、大変だ大変だ、大量にあるという極東の太平洋艦隊のやっぱり実像なんです。こういう事実を正確につかんだ上で日本の防衛問題というのは考えなきゃならぬ極めて示唆的な数字だと私は思っているのであります。
 特に私が問題にしたいのは、これまでも外交、防衛、原子力、もっともっとやっぱり情報を公開すべきだということなんです。そのことがたまたま今度の国会で大変問題になりました。したがって、先ほどずっと建艦ペースは落ちてきている、廃艦の傾向の方がむしろ強まるという防衛庁の内部文書もまたこれは極めて正確な評価なんでありまして、この文書をやっぱり出していただきたい。
 ということとあわせて、総理に伺いたいのでありますが、情報公開ということを本格的にしなければ、情報を自分たちだけで独占をして本当の論議ができますか。その点で情報公開に対する総理の見解を最後に求めて、私の関連を終わりたいと思います。
○政府委員(日吉章君) 総理がお答えになられます前に、事実の問題を一点だけ補足させていただきたいと思います。
 私は、船齢が二十五年を経過している、あるいは老齢化していると言われているものが、それがスクラップ同然のものであるというようなものでないということを申し上げました。その点をもう少し詳しく申し上げますと、例えば米国におきましても、第二次世界大戦中の戦艦等は、改装の上最近まで使用されていたと、そういうようなものがあるということは委員も御存じのとおりでございまして、これはあくまでもどのような形で維持、運営するかというようなものでございまして、古い船が即スクラップ同然のものだ、あるいは戦力にならないというようなものではございません。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろ私たちではわからないことが専門的に調査をさせたり、いろいろ情報を収集した結果わかる、まさに今ここに配られまして御議論になっておりますような資料も、私どもも専門家のいろいろな調査によって初めて明かされて知るわけでございますから、国会で国際情勢とかあるいは日本の節度ある防衛力の限度とか、いろいろなものについて御議論をしていただくときに、必要な資料でかつ防衛庁が正確に把握しておるようなもの等については、できるだけこのようにしてお示しするようにしたら論議に実りができてくるだろうと私は考えます。
○矢田部理君 一言だけ言っておきますが、内部文書を出せと言ったら出せないと。そして、ぎりぎり実態図を出せと言ったら、一晩かかってこれをつくってきた。この程度の資料、これは私は極めて重要な資料だと思いますが、それならきょうから予算は動かないということになって初めてこの文書が出てくる。これが情報公開の実情なんですよ。まして国政調査権がこれほど妨げられているのでありまして、その点はしかと受けとめてこれから対処をいただきたいと思います。
 以上です。
○穐山篤君 今の問題に引き継ぎますが、政府がよく防衛白書とか経済白書というものをつくられます。これは閣議で決まって出すわけですが、この白書の性格と意義というものについてどなたか御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(坂本三十次君) 白書というものは中央官庁の編集する政府刊行物である、そしてその内容は政治、経済、社会の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするものである、こういうことであります。だから、国民の皆さんに現実の政治あるいは行政の動きをよくお知りをいただいて、そして御批判を願う、そして御協力をいただく、それが私は眼目だろうと思います。
○穐山篤君 官房長官が言われるとおりに、国民が正確に現状と問題点を把握をする、的確に施策の当否を判断できるようにこういう白書というものは構成されなきゃならぬというのは当然だと思うんです。したがって、いやしくも故意にゆがめた情報を提供したり、問題点を糊塗したり、施策の実態をごまかすことはもう絶対に許されないと思う。
 そこで、今も矢田部委員から指摘がありますように、現在の情報の公開というのは差し支えないものを公表しているというのが今の政府全体の姿勢だというふうに言っても間違いないと思う。国会で指摘をされたりマスコミで抜かれて初めて大変な事態になっているということを国民は知るわけであります。
 総理、今回リクルート問題、ODA問題、あるいは原子力問題、さらに防衛問題、この資料の提出、公開で再三再四とまっているわけですよ。これは衆議院でも参議院でも同じだと思いますが、言いかえてみれば、情報の公開について、これは十分に公開をされていないために毎回起きる現象です。
 役所が持っている情報、資料というのは、これは役所の財産だと、こういうふうに考えたがるものだと思う。少なくとも役所が持っているものは役所の財産かもしれませんけれども、あわせて国民の財産であることは間違いないと思う。それをまとめたのがこういう白書になっているわけですが、国民はこれだけでは全体の政策の現状あるいは将来の問題について勉強することは不可能だと思う。
 そういう意味で、情報の公開をもっと幅を広くする、深くするということがなければならないと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(海部俊樹君) できるだけ議論を深めていただくために、できる限り情報を提供するというのは必要なことかと思います。
○穐山篤君 総理、感想を聞いているわけじゃないんですよ、私は。公開をすべきであると。
 今私は昭和六十三年三月の経済協力評価報告書というのを持っております。冒頭ではフィリピンのことから書き始めてありますから興味を持って調べてみましたが、大切なことが全然公開をされていないんです。ODAの中身であります。
 したがって、私は多くを議論するつもりはありませんが、白書を出してもらうというのは当然でありますけれども、もっと幅の広いものを提供するという意味で、情報公開についてのそれぞれの省庁がガイドラインというものを、目標というものを設定すべきだと思うのです。そうしませんと、しょっちゅう国会で審議がとまって国会あるいは政治全体の運営に障害が起きるというのが現実の姿です。その意味で、情報公開についてもっと積極的な姿勢と、具体的な私の提案について総理の見解を伺います。
○国務大臣(海部俊樹君) 突然の御指名でありますから、また感想を述べることになりますけれどもお許しください。
 私は情報というものは国にとってそれぞれの立場で全部一〇〇%オープンにしていいものかどうか、
   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
その時期の問題もありましょうし、いろいろな問題があるのではないかと感想として今直感的にここで感じました。けれども、それを必要以上に拡張解釈して、お示ししてもいいものまで示さないというのは、これはいかがなものかという感じも私は持つわけでありますから、その辺のところを先ほどは率直に申し上げた次第でございます。各省庁のいろいろな立場もございましょうけれども、私の方で一度その基準等について十分検討してみます。
○政府委員(百崎英君) 行政情報をできるだけ国民に広く公開するという御趣旨はまさにそのとおりだと私ども考えております。
 それで、そういう趣旨から、各省庁の本省段階のみならず、出先機関等におきましても、文書閲覧窓口という制度を設けまして一般の閲覧に供しているところでございますが、私ども現状を見ますと、必ずしもまだ十分でないという点もございますし、また各省によってその取り扱いがまちまちになってもいけない、こんなようなことで各省庁の情報公開問題についての連絡会議というところでどういう情報が公開できるのかできないのか、そういうような点について公開の範囲の見直し等の検討を今行っているところでございます。
○穐山篤君 情報非公開体質と言われているわけですから、今準備をされているなら、私が言いましたように広く深く情報の公開をするように準備をされて、いずれは国民の前にその基準、ガイドラインというものを示してもらいたいと思います。
 次に、予算編成の問題についてお伺いをしますが、来年度の問題に入る前に一、二点、消費税問題などについて整理をしておきたいと思います。
 去年、消費税廃止の際に野党側は廃止をした後の代替財源について責任ある態度という見地から積極的にある程度財源を示しました。ところが、今回の政府の見直しによりますと、平年度で一兆円ぐらい減収になる、そういう説明でありましたが、去年の私どもに対する質問から考えてみますと、この減収の補てんについて、例えば自然増収でやるのはけしからぬというのが去年あったお話なんですが、そういう態度からいえば、この一兆円減収になる分については別に予算を組み立てる必要があるというふうになると思いますけれども、大蔵大臣、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府の予算編成、もう既に委員がよく御承知のとおりのことでありますが、毎年、次年度におきます税制改正の内容を織り込みまして個別にそれぞれの税収というものをぎりぎりまで見積もり、積み上げて歳入を確定いたしております。一方におきまして、各省庁から出てまいります概算要求基準に基づく歳出要求というものを突き合わせ、歳出歳入の両面から見合わせながら予算編成をいたしておるわけでございます。
 その中におきまして、平成二年度予算編成に当たりましては、平成二年度における消費税の見直し、それによります初年度の税収減というものも計算に入れ、消費税収というものを積み上げて歳入として確定をいたした次第であります。
○穐山篤君 そのときどきによって都合のいい釈明をされるというのは、これは大蔵大臣のために余りいいことではないと私は指摘をしておきたいと思います。これはいずれまた問題にしますが、問題意識として預かっておいてもらいたいと思うんです。
 それから、先ほども質問がありましたけれども、小売並びに卸の段階で一〇%、二〇%のマージンがあるとみなして税率を考えているわけですけれども、それが議論をしていくうちに一〇%にしろ、二〇%にしろ、もう少し数値を細かくしたい、それを政令で出したい、こういうお話がありました。
 そこで、私は個々の段階の話の前提条件として、少なくとも政府がそういうものを考えられる場合には、政令に逃げ込むというのは、これは法定主義の見地からいってみて、財政法の考え方からいってみて適切ではないというふうに指摘をします。その点について変える考え方はおありでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) みなし仕入れ率につきまして、本院におきましてもさまざまな御議論がございました。そして、それを国民の側からの御要望もあわせて考えまして、より実態に合わせるために政令に委任をするようにお願いを申し上げております。それが私は租税法定主義の中における政府に授権のいただける分野である、そのように考えております。
○穐山篤君 意見の違いでありますが、問題意識としては残っているということを十分理解しておいてもらいたいと思うんです。
 さて、そこで消費税の問題でありますが、片方では廃止をする、廃止が参議院では決まりました。見直し法案が出ています。そこで総理はたびたび、定着をするように御協力をいただきたい、こういうお話があります。
 さて、見直しの税制を見ますと、あれは消費税の手直し程度であって思い切った見直しにはなっていないというふうに判断をするわけです。一言で申しますと、もし消費税の根幹に触れた見直しであるならば、それは思い切った見直しに相当すると私は思う。しかし今回出ておりますのは、鼻の先をちょっと軽くさわった程度の手直しです。そこに私どもと皆さん方の意識の違いが歴然としているわけであります。今までずっと議論をしてきまして、問題点がどこにあるかということはもうおわかりだと思うんです、一々申し上げませんが。その消費税の根幹に触れたものまで海部内閣は前に出て国会で協議なりあるいは各党で協議をしてほしいというふうに考えておるんでしょうか。そこはもうぎりぎりのところですからはっきり聞いておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 消費税につきまして、私どもは国民各層からいただきましたさまざまな御指摘や御要望というものを踏まえて、現時点におきまして最善と確信をいたす見直し法案というものを国会に提出したつもりでございます。政府の立場といたしますならば、この見直し法案を国会で十分御審議をいただき、これが一日も早く通過、成立をいたしますように最大限の努力をさせていただきたいと心から願っております。
 しかし、今委員の御指摘になりましたポイントというものが那辺にあるかわかりませんけれども、例えば事業者免税点制度でありますとか簡易課税制度など、中小零細事業者に対する特例措置についての検討というものを示唆しておられるものであるといたしますならば、私どもは、消費税の申告納付が一巡する平成二年五月までは実態把握を行い、これらの制度をどう見直すか十分の検討の上にお示しをすることとし、既に閣議決定をいたしておりまして、今後誠実に対応させていただくつもりであります。
 そうした中におきまして、いずれにいたしましても、我が国の現在及び将来にとって望ましい税制のあり方というものにつきまして、私どもは国民の全体的な、長期的な利益といった高い次元からの御議論が深まることについては心から期待もし、また願っております。
○穐山篤君 先日、久保委員の、とどのつまりどうされるんですかという質問に対しても、総理並びに大蔵大臣は、定着をするようにぜひ御協力をいただきたいということで話がとどまっているわけです。どういうふうな角度から攻めてみましても、それ以上に出ていないのが今日までの政府の態度です。しかし、それでおまとめになれるという自信がおありでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、自信を持つといったような不遜な申し上げ方をするつもりはございません。院における御論議の結果として、国民のために最善のものが結論としてまとまることを願っております。その中において、政府としては現時点で最善と考えられる法律案を提出し御審議を願っている次第でありまして、当然のことながら政府の立場としては、この見直し法案というものを一日も早く通過、成立をさせていただきたい、そう願っておることもまた事実であります。
○穐山篤君 きょうの段階ではそれ以上踏み込みができないというお立場もわからないわけではないわけですが、片方は廃止、片方は見直し、衆参両院の状況を見ればどういうことになりそうかということも想定がつくわけです。しかし国民の気持ちからいえば、廃止のものもあるし凍結のものもあるし、思い切った見直しというものが大勢を占めていることは間違いないわけですね。ですから、固執をされるということは、これからの国会の審議あるいは消費税問題の解決のためにはならないというふうに思います。したがって、気持ちは気持ちとして十分に私どもも尊重はしますけれども、解決のために特段の決断を必要としますが、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年の四月から行われております税制改革による消費税というものにいろいろな角度の御意見や御不満があることはよく承知もしております。ですから、私も国民対話集会などの意見や税制調査会の意見や、あるいは新聞の世論調査とかいろいろなものを踏まえて思い切って見直し案をお願いしておるところでありますが、国会における各党の皆さん方の御論議を心から期待し、消費税の見直し案の定着をお願いいたしておるところでございますので、いろいろな角度の御議論をちょうだいいたしたいと考えております。
○穐山篤君 最後は最終的に決断を私は強く求めておきたいと思うんです。
 さて、来年度の予算編成の話の前に、ここ数年の概算要求基準というものについて事務当局から説明をいただきたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) 予算編成の前提でございます各省庁の概算要求につきましての概算要求基準の設定、ここ数年の経緯を説明せよ、こういう御示唆でございますが、実は昭和五十七年度から概算要求につきまして、いわゆるゼロシーリングと申しておりますが、概算要求の総額として前年度同規模、こういう基準を設定いたしました。続いて五十八年度には投資的経費を除いてマイナス五%、五十九年度に至りまして経常部門マイナス一〇%、投資部門マイナス五%、その合計額の範囲内、こういう基準を設けました。以後六十二年度まで同じ基準をとってまいりました。六十三年度に至りまして経常部門はマイナス一〇%のままでございますが、投資部門につきましては前年度同額、それ以外にいわゆるNTT株売却収入の活用一兆三千億というものがございますが、経常部門、投資部門につきましては今申し上げましたマイナス一〇%及び投資部門前年同額、この合計額の範囲内、こういう基準を設定いたしました。元年度、そして現在御審議いただいております平成二年度予算に至りますまで、最近三年間は申し上げましたと同様の基準を設定しております。
   〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
 なお、それ以外に例外事項あるいは削減対象除外経費等若干の例外ルールがございますけれども、この点は省略をさせていただきます。
○穐山篤君 この概算要求基準、一々私も申し上げるつもりはありませんが、ここ十数年やってきましたが、これの弊害と利点、これを分けて説明してください。
○政府委員(小粥正巳君) ただいま最近の概算要求基準の概要について申し上げましたが、この概算要求基準は、実はかなり前、昭和三十年代の中ごろから予算要求のいわば手順あるいは技術的なルールということで設けて、内容については変遷がございますけれども、一貫してとってまいりました。そして、これは各省庁の概算要求につきましてその上限を定めるルールでございまして、その上限、これは金額で示されるわけでございますけれども、その範囲内において各省庁がそれぞれの予算要求の内容について十分検討、吟味をしていただき、あるいは必要な制度改正等を織り込みまして、各省庁の具体的な概算要求としてその基準額の範囲内で御要求をいただく、こういうものでございます。
 最近の予算編成を取り巻く大変厳しい財政事情につきましては、委員よく御案内のとおりでございますので、説明を省略させていただきますが、そのような厳しい財政事情のもとで各省庁がそれぞれの要求を作成されるに当たりまして、私どもは、技術的なルールでございますけれども、現在の予算編成をめぐる環境から考えましてどうしても必要なルールであろうと考えておりますし、これがまたいわゆる行政改革の考え方に沿いました社会経済の事情変化に基づきました必要な制度改革を織り込み、かつ非常に厳しい財政事情の中で各年度の予算編成がぎりぎり編成を可能にするために必要な前提であろうと考えております。
 先ほど御質問の内容として、その弊害についてどう考えるか、こういうことでございますけれども、もちろん、これは私ども財政当局の立場から申し上げますと、繰り返しになりますが、非常に厳しい財政事情のもとで各省庁の要求をぎりぎりの限界の中で取りまとめていただきますためにはどうしても必要な前提であろうと考えておりますし、またこのような厳しい要求基準をお示しすることによりましていわば痛みを伴う、しかしどうしても必要な制度改正等が可能になるものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○穐山篤君 大蔵大臣はずっと暫定予算からきょうまでそこに座っておられて、問題点を相当指摘がされました。大蔵大臣からも問題ごとについて問題の指摘がされました、一々申し上げませんけれども。
 さて、来年度の予算編成を考えてみた場合に、内外の情勢の進展、変化に基づいてどうしても政策的に取り上げなければならない問題も幾つか指摘をされたと思うんです。ある問題については行政改革で十分に締めてもいいじゃないかという問題意識も提起をされましたが、今回の予算でとってきました概算要求基準、ああいう基準というものはつくる必要があるだろうというのは今事務当局のお話でありますが、これを改善するあるいは改革するという方向は出ませんでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今事務当局として考える概算要求基準について、主計局長から意見が述べられました。私は事務方とすれば当然の認識であろうと思います。ただ、政治家としてこれを考えますとき、よほど気をつけませんと悪平等を招くという危険性を持っておることは事実であります。しかし同時に、この概算要求基準という考え方が適切に運用されました場合、思い切って新たな施策に取り組む中で既に効果が固定してしまったような古い政策が見直される。そうした意味では、私は概算要求基準というものはなかなか味のある仕組みだという感じを持ってまいりました。もちろん、それには例えば国際条約関連とかあるいはODAでありますとか、当然配慮しなければならない項目が例外としてあることは事実であります。
 こうした中におきまして、今私どもは平成二年度の予算の御審議をいただいておるわけでありまして、今、来年度予算要求をにらみながら概算要求基準をどうするかということを申し上げられるところまで私ども内部でも議論を進めておるわけではございません。ただ、来年度の概算要求基準というものを考えます場合に、当然のことながら、社会保障の成熟に伴う年金絡みでありますとか、あるいは国際条約関連、さらにはODAといった分野における歳出、また、これは現時点においてまだ経済企画庁に御努力をいただいておりますし、今後の成り行きを見なければわかりませんけれども、公共投資の十カ年計画というものが整備をされました段階において、来年度の財政事情、経済情勢等を勘案しながらも、社会資本の充実という視点から改めて考え直す分野は必要になる可能性を持っております。
 しかし、いずれにいたしましても、私どもとしてはまず平成二年度の予算案を一日も早く通過、成立をさせていただきまして、続く作業に取りかからせていただけるように御協力を賜りたいと願っております。
○穐山篤君 事務当局を含めて、この概算要求基準のいい点と弊害が指摘をされました。ことしの予算を見ておりますと、補正がありました。あの補正の状況からいいまして概算要求基準というスタイルは崩れたわけです。私はそういうふうに指摘をしておきます。
 さて、そこで問題は、内外から政策の優先度をはっきりしなさい、当然日米構造協議でもそういう部分について、例えば公共事業投資について指摘をされております。したがって、今までのような概算要求基準では十分に内外の要求、需要を満たすだけの編成は私は困難だというふうにまず思います。したがって、政策の論議をまず閣内で行うとか、あるいは野党の党首の意見を聞いて予算の編成にかかるというふうな従前にない体制をとりませんとこれはうまくないのではないかというふうに思います。
 私は、概算要求は改善することを期待すると同時に、政策に優先度を決める、その議論を深める、それに基づいて予算の編成を行うというふうに、今までのような各省庁の不満が公平に均等化するというような概算要求基準であっては本物の予算編成にはならないというふうに思います。そういう意味で、政策を優先する、その角度から予算の編成をするということについて、大蔵大臣、考え方はいかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 概算要求基準そのものを私どもは夏までには固めて各省に御提示を申し上げ、その後の作業を願わなければならない立場でありまして、今確たる将来についての見通しを申し上げることはできません。
 しかし、今委員が指摘をされました政策を重視するということは非常に大切な視点でありますし、今までも政府としてそうした点について努めてきたつもりでありますが、政策重視という視点は今後ともに我々として大切にしていきたい、そのように思います。
○穐山篤君 そういう意味で言いますと、例えばODAなんかにつきましては量を拡大する、質を変える、よくするというふうなことでは、これは予算の増額というふうなことはだれが考えてもあり得ると思うんです。しかし、防衛費のような問題について今までの議論を整理してみますと、ふやさなきゃならないというふうな認識はどこからも出てこない。そういうものを十分に念頭に置いて議論をしてもらいたいんですが、そういう意味でもう一つ地方財政について伺います。
 これは当然概算要求の中にもかかわるわけですから、自治大臣、来年度の地方財政の問題について伺いますが、日米構造協議の影響だとかあるいは福祉十カ年戦略というふうな問題が必然的に地方にかぶさってくるわけですね。この点について、自治大臣、どういうふうに認識をしておるでしょうか、お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 先生の御指摘のとおりに、もう来年度編成ではゴールドプランとかあるいは公共投資十カ年計画等々大変な形の仕事が地方自治体にしわ寄せになってくる、担い手になってくるということでございます。
 私から申し上げるまでもなく、もう福祉から住宅、上下水道、公園、ごみ処理、住宅といった等々の国民が豊かな生活実感を味わう諸施策が今まさに世論ともなり政策の重点になっているわけですから、こういった形で私は九〇年代はまさに地方の時代を築くスタートの年度にしなきゃならぬという気持ちでおります。地域の特性を生かして活性化するそれぞれの自治体の知恵の出しどころでもございますし、またチャンスでもあろうと思っております。しかし、基本はやっぱりお金の問題でございます。
 それで、幸いここのところ国の財政、景気が堅調でございますから、地方財政も多少堅調な形をたどっておりますけれども、実態は決してそんな易しいものではありません。最近、自治体が少し楽になったんじゃないかというような楽観論が唱えられるのは、まことに残念、遺憾に思っておるわけですが、六十七兆というまだ多額の借金も抱えている実態、また明年度から先生御指摘の諸施策を展開してまいるというそういった責任、そしてまた、それぞれの地域が特性を持ってふるさと創生に励んでいただきたいという願いも込めて、どうかひとつ地方自治体財政の健全化にお力をかしていただきたいということを切にお願い申し上げます。
○穐山篤君 公共事業投資の問題は、よく四百兆とか五百兆というお話が出ているんですが、経企庁長官、四百兆というようなものが作業されているそうでありますけれども、実際に地方も当然負担をしなきゃならぬわけでありますが、その負担割合というようなものはどんな程度のものでしょうか。
 それと同時に、もし数字がきょうありましたならばお願いしたいんですが、平成元年度の公共投資の長期計画のものだけで結構でありますが、全部締めて公共投資の金額を明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(相沢英之君) 日米構造協議に関連いたしまして、公共投資の十カ年間の金額の策定をただいま急いでおりますが、まだこれは各省のいろいろなお考えについてヒアリングを行い、なお庁内で調整を行っている段階でございまして、伝えられるところの四百兆とか五百兆とかという数字は、私どもが今関知している数字ではないのでございます。これは国はもちろんのこと、地方の負担も伴うものでございまして、その点は当然に地方の負担につきましても十分な配慮を行っていかなければなりません。
 そもそもこの公共投資十カ年計画の進め方につきましても、公共事業が「経済・景気対策に大きな役割を果たしていることにかんがみ、インフレ、景気過熱を招かないように留意しつつ、各時点での経済・財政情勢を踏まえ機動的・弾力的に対処していく方針で臨む。」、このようにうたっておりますが、当然地方の負担も考えていかなければならないわけであります。手元に実績として国、地方が、じゃどの程度実際に負担割合になっているかということについて申し上げますと、これは実質的には国が三七・一%、それから都道府県が二八・一%、市町村が三四・八%、大体四割弱が実質的な国の負担になっているわけでございます。そういう点も当然に考えてまいらなければならないわけであります。
 それからなお、お尋ねの公共投資の総体の金額でございますが、実績として手元に持っておりますのは六十三年まででありますが、六十三年が総体で二十八兆四千三十一億、約二十八兆四千億というふうに御承知おきいただきたいと思います。
○穐山篤君 自治大臣、今もお話がありますように、いろんなものが地方に負担になるものが多いと思います。それから新しい問題も先ほど指摘をしましたようにあるわけでありまして、そういう意味で言いますと、需要が非常に膨らむ、これはもう覚悟せなきゃいかぬと思うんです。当然地方には自主性、主体性もあるわけですけれども、もっと財政的に自立の体制をとっていきませんと消化し得ない。これは権限の移譲なども含めてそうでありましょうけれども、こういうものについて財政需要を十分に満たすためには、当然自治大臣としても思い切った決意で臨まなければならぬだろうと思うんですが、再度その点について伺いたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) ありがたい御提言で喜んでおります。
 今経企庁長官からもお話がございましたけれども、いわゆる公共投資一つとってみても、県、市町村の負担率が実質六割近くになって投資的な経費がふえておる実態にかんがみましても、これからますます地方財政の需要の増大ということが見込まれてくる現状でございます。したがって、こういう時期ということをよくわきまえまして、かといって、地方の自治体の活力をできるだけ生かしていくようにしていくのがまた自治省の立場でもございますので、こういった点をよく認識いたしまして、今後とも、はっきり言うと補助金カットの復元問題等々もございます、これらの問題でも大蔵当局と真剣に、今の先生の御意見等も踏まえまして、自治体行政の円滑な推進のために全力投球してまいりたいと思っております。
○穐山篤君 ここの部分について、最後に総理と大蔵大臣に伺いますけれども、例えば補助金の復元の問題につきまして平成四年度から考えたいというふうな説も出ているわけです。しかし実際は、財政需要から考えてみますと、そういうものを含めて来年度からきちっとする必要があるだろう、一般的に地方は裕福ではないかというふうな感じだけで地方財政の問題について対応してもらっては困るというふうに私どもとしては認識をするわけであります。その点について、時間の関係もありますので、地方財政の強化の点について、総理と大蔵大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 全国三千三百の地方自治体、これは例外を挙げ始めますと、悪い方を挙げましてもいい方を挙げましても切りがありません。そして、地方自治体と国とどちらが困っているかといったような議論をすることも、余り私は益のあることだとは思いません。今たまたま委員からもお話が出ておりましたけれども、覚書が交わされておりますことは私も存じております。そして、現にその補助率の問題につきましては、その覚書の趣旨を踏まえながら関係省庁間において相談をいたしておるところであります。また、予算編成の過程において、自治大臣と地方財政全体について十分御相談はいたして、また御協力も得てまいりたい、そのように思っております。
○国務大臣(海部俊樹君) 大蔵大臣が今御答弁申し上げました趣旨に沿って予算編成期に私どもも対応したいと思っています。
○穐山篤君 最後に、防衛、軍縮、平和の問題について時間の中で処理したいと思います。
 外務大臣にお伺いしますが、今度の米ソ会談で、ベーリング海峡を境にして幾つかの協定や共同声明が出ました。その点について考え方を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の米ソ首脳会談の結果、ベーリング海をめぐる両国間のいろいろな協定ができましたことはまことに歓迎すべきことだと考えております。
○穐山篤君 この協定の中に、民間航空だとか、海洋研究、海洋境界線協定というふうに、ちょうど日付変更線を軸にしてお互いに乗り込むといいますか、検証し合うといいますか、航空機の場合には軍事基地の近くまで民間航空が行く、カムチャツカ半島の先に。そういう意味でいうと、対立というのはもはや考えられないし、積極的な協調というふうに米ソ会談を見るわけであります。したがって、そういう意味では、この米ソ会談というものを十分私どもも理解しながら、日ソ関係の改善というものを図らなければならないと思います。
 そこで最後に、先日、二十五日の外務大臣の答弁で、北方領土は間違いなく返還をされるでありましょうという非常に重大な認識を示されました。海部内閣総理大臣も多分そういう認識だろうと思いますけれども、事が重大でありますので、もう一度確認をしたいと同時に、それが政府全体の気持ちであるとするならば、相手を待っているということでなくして積極的な対応が必要であろう、こういうふうに考えます。その点を含めて御答弁をいただきます。
○国務大臣(海部俊樹君) 北方領土の返還の問題は、政府挙げてのというよりも、国民的な願いであると私どもは受けとめて対応をしております。
 そのためには、平和条約を締結して領土問題を解決するという大きな前提があり、ソ連との間で始まっております平和条約の作業グループでもいろいろ我が方の意見も述べておりますし、また、その問題とともに、その問題を後回しにしないように、拡大均衡の形でいろいろな交流の幅も広げていかなければならぬというので、昨年とことしにわたって既にソ連の経済調査団の受け入れもしておりますし、また、米ソの首脳会談の結果等も承りながら、ソ連の大統領自身も来年は日本へ来る、そこでは抜本的な話し合いをしたい、あるいは私のところに参ります文書にも、日本とソ連との関係の質を変えるようなものを準備しながら対応しなければならぬ。いろいろな意味で一つの大切な節目になると私は思っておりますから、拡大均衡の形で日本側も積極的に交流の幅を広めていきながら、領土問題という大きな問題についてはどんなことがあっても解決をしたい、こういう強い希望を持って臨んでおるところでございます。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で穐山篤君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、太田淳夫君の締めくくり総括質疑を行います。太田君。
○太田淳夫君 それでは、最初に大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 かつてテレビ報道で「空から見たプライバシー」という報道番組がありました。それをたまたま見た覚えがあるわけです。もう何年も前になりますので詳しいことは忘れたわけでございますが、それは、コンピューターの発達あるいは情報産業の進歩によりましてコンピューターと地図とを結びつけたらどうなるかということでございまして、実際にそれはもうあるんだそうですがね。一軒一軒のお宅に、こう何というんですか、ブラウン管の上でペンを当てますと、その家庭にある情報があらわれてくるわけですね。御主人の名前は何であるか、奥さんの名前がどういう名前であるか、そして年齢がどうで家族はどうで、車の車種は何であって車検がいつあるか、いつ購入したか、全部それが出てくるわけです。
 その番組の中で、その家庭のお持ちになっていらっしゃる銀行預金の口座、取引銀行あるいは残高まで出てくるという、それを見て驚いたことを今思い出すわけでございます。もう何年も前からそのように、私たちがこれはあってはならないと思うような、そういうことですね、個人が銀行にお預けになっている預金の残高であるとか内容が、そういう情報産業の中で、まあ売買されているのかどうかはわかりませんけれども、流通しているということは、これは気をつけなければならない非常な問題ではないかと思っておりましたが、何か最近の報道を見ておりますと、一部でございましょうが、大手銀行の中でそういうような貴重なお客様のデータが漏れ出しているということが報道されているわけです。
 大蔵省もせんだっての衆議院の大蔵委員会等でもいろんな御発言がありますけれども、これは重大な問題ではないかと思いますね。やはり金融機関、特に銀行関係はこれは一種の公共機関でございますし、それだけで国民の皆様方の信頼というものもこれは寄せられているところでございます。貴重な財産ですから、そういうものがたとえ一部ではあっても漏出をされて、そういった業者ですか、名簿業者と言われておりますけれども、そういうところに流れていくというようなことは、やはり監督官庁である大蔵省も、この問題についてはかねてからもいろんな通達を出されて注意を喚起されたようでございましたけれども、その効果もなかったような感じがいたします。
 大蔵大臣としては、この問題をどのようにお考えになり、そして今後どのように対処されようとお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) こういう御指摘を受けなければならないこと自体、大変私として残念であります。ちょうど昭和六十一年の三月、銀行局長より全国銀行協会連合会会長あてに「金融機関等が信用情報機関を設置又は利用する場合の信用情報の取扱い等について」という通達も出して、こうした事態に対する警告はいたしておりました。今回、幾つかのケースが報道機関の紙面を飾っております。
 金融機関は、預金者、貸出先などの顧客情報について、顧客のプライバシー保護の観点から慎重な配慮が必要であることは当然でありまして、その顧客リストが対外的に流出するということは極めて遺憾であります。現在、本件につきまして事実関係の把握に努めておりますが、その事実関係の究明を踏まえて、具体的な問題点の存在が明らかになりましたなら、その是正措置を講じ、再発防止に万全を期すよう厳正に指導してまいりたいと思います。
○太田淳夫君 それでは、次の問題に入りますが、外務大臣お見えになっていらっしゃるようですけれども、きのうの集中審議、いろいろと内外の情勢等の変化についてお話をさせていただいたわけでございますが、世界経済の流れということを見てみますと、今、EC、それと二つ目には北米と申しますか、あるいはそれから日本と、いわゆる三極の経済圏が今登場しているという、いわゆる地域別の経済統合が一つございます。それと世界的な経済統合という、この二つの流れが今出現している、こう言われているわけでございますけれども、経済大国日本が、この世界化と地域化をどう選択していくか、それによって今後の世界経済の、何と申しますか、座標というかあるいは進路、進むべき道と申しますか、それを変えるとまで言われるぐらい日本の力があると言われておるわけでございますけれども、その点どのようにお考えでしょうか。これは総理にお聞きした方がよろしいでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 世界経済が各地域で、例えばECとかあるいはアメリカ・カナダの自由貿易連合とかいろいろございますが、私はそれぞれのものがブロック化をすることは結構だと思いますけれども、それが閉ざされたブロック経済になってしまってはいけませんので、ECが強くなられることには支持をしますが、それはあくまで域外にも開かれた市場であってほしいということを何回も、ことしの年頭にEC諸国の首脳と会ったときにも申し上げてきました。また、アメリカとカナダの自由貿易連合も米加両方の首脳においてお話し合いをして、あの地域の北米ブロックを強めようということですから、これは強くなられることは結構ですけれども、閉ざされた市場になってはいけないということも強く言ってまいりました。
 また、つい先日、アジア・太平洋地域の、これは民間のPBECという会合に私も呼ばれて参りましたけれども、アジア・太平洋だけのことを考えるんじゃなくて、それはやはり世界に開かれたものでなければならないという趣旨のことを申し上げてまいりましたが、ただいまの御質問の中で、世界経済のグローバル化の流れを私は支持をして世界経済全体が安定をし発展していくことを願っておる一人でございます。
○太田淳夫君 今総理はグローバル化、世界経済統合ですか、その流れを支持していくとおっしゃっておみえになりましたが、そうしますと、総理は西南アジア等を歴訪されておりますけれども、あるいはアジアという問題が今脚光を浴びつつある中でございますが、今後の日本の進むべき方向としましては、世界のそういう経済統合ももちろんそうでしょうけれども、その中でもアジアというものに極力焦点を当てた政策をとるべきではないかと思うんですが、その点どうお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 質問の意味をもし取り違えておったら御勘弁ください。今御質問は、世界の経済は地域で集まっていく、例えばECとかアメリカとかアジアとかある。それから世界全体のグローバル化の流れを志向するのか、こういうことだと思いましたので、私は全体として地域地域のブロックが、ブロックで塀を上げてしまって固まるのはよくない。
 これはあくまでどこの市場に対しても私は世界に向けてオープンに開かれたものであってほしいと言い続けてきたわけでありますが、その問題と、今例に出されました、先日私が参りました南西アジア諸国で話をしたこと、同時にPBECの会議に行ってアジア・太平洋地域の問題について議論をしてまいりましたこと、それはちょっと次元の違う問題でございまして、日本もアジアの一員であるということは事実でありますし、また南西アジアの指導者たちが口をそろえて言ったことは、今まではこの地域は非同盟中立の地域であったから、いろいろな面において自分たちだけで、あれはSAARCといいましたね、南アジア地域協力連合をつくって、そのSAARCは域外の国とは余り経済援助や技術援助やいろんなこともしないんだというような方向であったけれども、どことも仲よくしないといっても、世界の大局が仲よくなっちゃって、非同盟だ中立だと言っておると、それが今度は逆に空白地帯にされる心配がある。
 それは経済的な問題のみならず、政治的にも空白地帯になると大変だが、日本はどうかと、こういうことでありましたので、私は、SAARCも門を開かれたらどうか、日本もお望みになるならばできるだけ御協力するというのはアジアの一員としての当然の務めでありますということをインドの議会でも申し上げましたし、それぞれの首脳にも言ってまいりました。したがって、アジア地域とは、日本はアジアに属する一員でありますから、そこの問題については、アジア・太平洋の協力会議のみならず、二国間でもあるいは南西アジア地域が、SAARCという今まで余り深い交わりのなかった地域が、非同盟そして中立という全体の旗印を変えて、日本にもひとつ参加しろ、仲よく応援しろということになってきますれば、それは積極的に協力もしていきますということでいろいろお話をしてきておるところでございます。
○太田淳夫君 いずれにしましても、日本が今後世界経済の中で中心的な役割を果たしていくためには、アジア諸国の皆さん方と提携をし、信頼と支持を受けていかなければならないことは当然でございますが、せんだって韓国の盧泰愚大統領も来日されたわけでございますが、その来日の中でいろいろと成功の面も評価されるわけでございますけれども、やはり日本とアジア諸国との間にはいろんな侵略という歴史的な事実、この影というものが色濃く残っているんじゃないかということを再認識をしたわけでございます。
 そういった点で、やはり信頼と支持をかち取るためにはそれらの影というものを克服をしていかなければならないんじゃないか、こう思うんですが、総理としてはどうでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 盧泰愚大統領との首脳会談におきましては、委員御指摘のような問題を解決するということも大きなテーマの一つでありますから、私は過去の日本の行為によって韓国の国民の皆さんに与えた耐えがたい苦痛、苦しみに対して率直に反省をし、おわびの気持ちを表明したわけであります。
 そして、そういった歴史の認識というものについては、盧泰愚大統領もその場で、それは高く評価をする、率直に反省をしてもらったことについては自分も今感謝をしておる。過去の問題に区切りをつけて、日本とパートナーになって、近くて近い国としてこれからアジアのためにも協力して先頭に立たなければならぬと思っておる。したがって、今後は未来志向型でいこうと。
 私はそのお話を聞いたときに、これからも過去の問題に対する、後始末というと言い方は悪いんですけれども、引き続いて残っております問題がございましたから、それについては誠意を持って対処をしていくとともに、未来の問題については、盧泰愚大統領が要請された、技術移転をもっとしてほしいとか、いろいろな問題がございましたから、それについても率直にできるだけの御協力をさせていただくということを申し上げた次第であります。
○太田淳夫君 今韓国との問題でお答えがございました。
 シュミット前西ドイツ首相でございますが、中国へ訪問されたときに、ケ小平氏とお会いになったときの話も報道されておりましたね。これは、日本の経済力が軍事力に転用されないよう非常に関心を持っているという一種の対日警戒心もそのときにケ小平氏が表明されたと、そういうようなこともそのとき報道されておりました。
 また日本に参られましたときに、これも報道がされましたけれども、シュミット前西ドイツ首相は、かつて日本は極東や東南アジアに親しい友好国や同盟国を持っていない。中国、韓国やASEAN諸国などとの関係は正常であるが、日本にはEC諸国間や西欧諸国と北米諸国間の親密さに匹敵するような関係は存在しない、こう話の中で指摘をされているわけです。この点についてはどのようにお考えになりますか。外務大臣の方が詳しいかもしれませんね。
○国務大臣(中山太郎君) 今シュミット博士のお話を御説明になりましたけれども、私は、アジアにおいては日本というものは戦争を通じて大変大きな迷惑をかけたという事実がございますけれども、戦後は私ども平和に生きるという国の基本方針が確立しておりますし、そういう憲法のもとで、私どもは再び戦争をしないということをあらゆる機会にあらゆる国に対してメッセージを送っております。
 また、経済協力の面におきましては、日本の全経済協力の中で約七〇%がアジア地域に援助の形として出ておりまして、そういう意味では日本はアジアと経済協力の面では他のいかなる国よりもはるかに濃い密度を持っている。きょうもちょうどお昼にインドネシアの経済調整相がお訪ねになりまして、先般海部総理がインドネシアを訪れられたときのお話でいろいろ出ております経済協力につきましても、近くオランダで開かれる会議で、多国間協力でございますが、日本がどういうふうな考えで臨まれるかということで来られました。これはそのときの話でございますが、実はインドネシアは三〇〇%に上るインフレで困っておった。ところが、福田元総理がいろいろと指導をしてくれて、今日では三%ぐらいのインフレ率になった。そのように、非常に関係が他の地域とはまた違った意味での親しみがあるのではないか。
 今回もタイの首相と海部首相、またタイのチャワリット副首相と私とが手をとりながらいろんなアジアの平和問題というものを昨晩も話し合って、これは本当に歴史的な一つの作業であった、これからもタイと日本は協力しながらやっていきましょうと合意に達した。私どもは、やっぱりアジアの国々とは本当にそういう意味でアジア民族として濃い関係を持っているのではないか、このように考えております。
○太田淳夫君 まさしくアジア諸国とは濃い関係を築き上げていかなきゃならないときなんですが、せんだって外務大臣もOECDの閣僚会議に出席されましたね。そういう会議、また米国でも今いろいろ会議が行われている中で、世界的に資金の需要が今高まりつつありますが、そういう中で日本の貿易黒字についての論議もされているわけです。ジャパンマネーと申しますか、そういうものに対します期待が世界じゅうから今高まっているわけでございますけれども、ASEAN諸国の幹部の中には、世界じゅうに高まっているジャパンマネーに対する期待の中から、日本の援助が東欧などに向かって我々に減ってくるんじゃないかという、そういう不安を表明している方もお見えになるわけです。
 これはある経済研究センターのまとめた結果でございますけれども、日本の二〇〇〇年の貿易相手としてはアジアNIESとASEANの合計が輸出の四四%、輸入の三八%を占めるようになるだろう、アメリカを相手とするそれぞれが輸出が二六%、輸入が二〇%、それよりも大きくアジア諸国との輸出入の関係が上回ってくるだろう、こういう予想をされているわけです。そうなりますと、日本にとりましてこれからの重要な連携を強める先としてはますますアジアが重要になってくるんじゃないか。そこで、先ほど申し上げましたように、総理、経済、外交、これはもう今は一体となって世界各国進んでいるわけでございますから、日本もそれなりのアジアに対する針路というのを決めていかれるべきじゃないかと申し上げたのはそこにあるわけでございます。
 そこで、いろいろと外交のことが問題になりますと、きのうはカンボジア問題では大変御苦労さんでございましたが、やはり指摘されますことは、外交の自主性が日本には少ないんじゃないだろうかということがかねてから言われております。例えばこの委員会でもいろいろと論議されました中国の第三次円借款について、いろいろな人権上の問題もあると思いますけれども、アメリカ政府、議会からも慎重な対応を求められますとこれは凍結をしてなかなか解除されない、その間にアメリカは最恵国待遇の延期を決めたり、あるいはフランス、西ドイツが電話交換機とかあるいは地下鉄のプロジェクトで借款を供与する、そういうことも伝えられてくるわけでございます。日本のアジア重視というのは米国を重視するその前に何となく影が薄くなったり、あるいは政治の力で何となく弱められたりしてしまいます。ベトナムについても、IMFについての要望があっても日本とアメリカの反対でこれができなかったとか、いろいろなことが今現実にあるわけでございます。
 ですから、中山外相はアジア外相会議を提議されておりますけれども、こうしたアジア情勢、いろんな変化に対応する意味で外交に自主性というものを日本もしっかりと確立すべきではないか、私はこう思うんですが、どうでしょうかね。
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のとおりでございまして、ヨーロッパあるいはアメリカ、カナダ等は絶えず、ラテンアメリカも含めていろいろと外相間の協議が行われておりますが、アジアではASEAN拡大外相会議というものが隔年開かれておりまして、本年は七月の二十八日、二十九日、ジャカルタで開かれることになっております。
 私は、御指摘のように日本の外交の考え方の基本というものはやっぱりアジアになければならないし、また日米欧の経済協力というものも捨てるわけにはいかない、大変大事な経済的な連携を強めていかなければならない、こういう意味でございますけれども、発展のおくれてきたアジアというものは、この中で先進工業国として繁栄をした日本ができるだけの協力をしていく、こういうことが必要であろう。そういう中で、先般もモンゴルに対して経済協力を開始する方針を伝えましたし、私どもは数日前に東京に来られたモンゴルの第一副首相に対しましてもアジアにおける外相間の協議の場をつくったらどうかという話をいたしましたら、モンゴルの副首相は全面的に日本の考え方を支持したい、協力をしたいというような話が出ておりますし、私ども新しいアジアの時代をつくるためにこれから努力をしていかなければならないと考えております。
○太田淳夫君 ちょっと話題を変えますけれども、せんだって報道されておりましたね、東欧のいろんな激動の中でルーマニアの大使館員の皆さんのことが報道されておりましたが、外務大臣御承知ですか、ルーマニアの大使館の情報収集の問題。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 先般のあのルーマニアの情勢の際に、私どもの一部の館員が現場の状況を視察する必要性に迫られ、またそういう情報をとることが私どもの外交活動上必要だという判断のもとに、一部の館員が現地に赴いて状況をつぶさに視察したということがございました。また、その状況につきましては当時の報道にも出たとおりでございますが、私どもとしては鋭意状況の把握に努めた次第でございます。
○太田淳夫君 ごらんになりましたか。物すごく活躍をして世界じゅうにニュースが走ったという話、御存じですね。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、当時のあの大混乱の中で日本大使館の人たちは身命を賭して日本に対する情報の伝達に努めた。電話回線は外務省との間にはあけっ放しでやっておったということで、むしろマスコミ各社の方から外務省はこれほどやったことはないというお褒めをいただいたということでございます。
○太田淳夫君 外務省ばかり褒めるとあれですが、このたびの構造協議につきましても各省庁のそれぞれの担当の方々は連日徹夜のようにして頑張られたと聞いておりますけれども、総理御存じですね。
○国務大臣(海部俊樹君) 議長を出しました三省はもちろんのこと、それぞれ関連する省庁が本当に徹夜のような状況で皆が全力を挙げて頑張っておったということはよく承知いたしております。
○太田淳夫君 私が申し上げたいことは、従来から、先ほど外務大臣がおっしゃっておりましたが、日本の外務省は情報収集能力が弱いと、こういうことがいろんな専門家からも指摘をされてきたのは事実だろうと思います。これは諸外国はそれぞれ国境を接しておりますので、一刻一刻いろんな状況の変化をとらえて対応してまいりませんと国家の存亡にかかわるということで、情報というのは物すごくこれは生命より大事なぐらいに必死になって収集されてきたわけですね。国家の存亡のかぎだということでございましょうが、いろんな努力をされてきた。日本は残念ながら隣の韓国よりもそういう面では人も少ないということですね。
 情報を知るということは、昔は外交というと、いろんな意味もございますけれども、人と人が接触をしてそこから得る人間関係からやはり出てくる、そういういろんな面もあろうと思うんですね。総理も外務大臣も大蔵大臣も就任されてから海外へどんどん行かれますけれども、先ほど私が指摘しましたように、ヨーロッパの諸外国の人たちが会う場合には、本当にそれこそ家族ぐるみみたいのようですね。もう何というんですかジョンとかなんとかそういう言葉で呼び合うような仲ですし、会えば抱擁し合うような仲です。ただ、日本の場合はそれがなかなかない。
 今は皆さん方もサミットへ行かれましても、経済大国ですから立派な対応もされると思います。一番最初に福田総理がサミットへ行かれたときはどうだったかといいますと、何か一人ぽつんといつも離れて、会議の場でもそうですが、それぞれの首脳が集まっているときでも何か一人離れているような感じがしておりました。日本の新聞ではそうではありませんけれども、海外の新聞など見ますと、いつもそう。皆さんがこうやって肩を組んで前を歩いているようなところでも、福田さんが後ろからぽつんと歩いてござるというような写真が向こうの新聞に出てきているんですね。経済大国ということでその当時にはへイトされていたかもしれません。しかし、今は状況が変わってきているわけです。日本が、外務省が一生懸命、今ルーマニアの例もお話しになりましたけれども、少ない館員の皆さん方が一生懸命頑張ってみえる。
 じゃ、日本がなぜ情報収集が弱いと言われてきたかといいますと、やはり諸外国と違いましてそれだけの資金とかあるいは人員というものを投入していなかった。国境を接し一瞬一瞬のすきが戦乱に巻き込まれるかもしれないという緊迫感がそれほどなかった。平和を守ってきたから、平和国家であったからそうとも言えますけれども、その面が今諸外国に比べますと大きなおくれになっているんじゃないかと思うんです。そうなりますと、やはり総理、情報収集というのは国家の事業であるので、そういう立場からもう一度いろんな面の点検をしていただきたいと思うわけです。
 大蔵大臣もそこにお見えになりますけれども、外務省が今までも言われておりましたような情報収集が弱いぞというところは、定員は総務庁でしょうが予算は大蔵省、大臣でいらっしゃいますし、皆さん方にもやはり責任があったんじゃないか。海部総理だけの責任とは言っておりません。日本の歴代内閣の政府の姿勢が問題ではなかったかと私は指摘をしたいと思うんですが、いかがでしょう、海部さん。総理、どうぞ。
○国務大臣(海部俊樹君) いろいろと与えられた姿の中でそれなりの努力を各省ともしてきたと思いますし、特に外務省の問題についても、今お褒めをいただいたルーマニアの例がありますように、私はこれからはさらに一層機構の面でも人員の面でも拡充するようにして、おくれをとらないようにしていきたいと思っております。
○太田淳夫君 それではまたちょっと話題を変えます。
 日銀総裁、どうも御苦労さまでございました。
 今回の景気拡大は、先月のこれ五月でございますが、四十二カ月に達しまして岩戸景気に並ぶ長さになったわけでございますが、やはり景気に内在している懸念要因というものがいろいろ取りざたされているわけです。その点について経企庁長官あるいは日銀総裁からお話を承りたいと思いますが。
○参考人(三重野康君) お答えします。
 委員の御質問の景気の先行きを占う場合、私どもは二つの面からチェックする必要があると思っております。それは何かと申しますと、一つは景気失速のリスク、もう一つはやはりインフレのリスクだと思います。
 景気失速のリスクは、結論から先に申し上げますと、すぐに腰折れはないと私どもは見ております。なぜならば、今までの景気を引っ張ってきておりましたのは設備投資と個人消費でございますが、この年初来のトリプル安にもかかわらず設備投資は非常に強い。これはなぜかと申しますと、技術革新のもとにおける企業がここを生き残るためにはどうしても設備投資はやる。しかも企業の利益水準は高いし、多少前広に資金手当てをしたということもあって設備投資は強いわけでございます。個人消費、これは株が下がりましたのでいわゆる逆資産効果が出るのではないかと一部に懸念されておりますが、今のところ全くほとんどその懸念はないようでございまして、良好な所得環境並びにライフスタイルの多様化、高級化というものに支えられまして非常に強い。したがいまして、景気は今のところすぐ腰折れになるようなことはないと思っております。
 インフレの方のリスクでございますが、これは例えば人手不足による労働コストの上昇、あるいは高い伸びを示しておりますマネーサプライといった問題点はございますが、しかし足元の物価は今のところは落ちついております。これはなぜかと申しますと、累次にわたる予防的引き締めの効果もありまして、世の中にいわゆるインフレ心理がほとんど出ていない。しかも景気がよくて利益水準がある程度高いものですから、企業としてはコストの上昇をすぐさま製品価格へ転嫁しようとはしていない。さらに輸入による物価鎮静効果も加わりまして、したがいまして物価は今のところは落ちついております。
 しかし、いずれにしましてもこの景気が長続きするためには物価安定が当然の最大の前提でございますので、私どもといたしましては物価の今後の動向に非常に注意をして誤りなきを期したい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(相沢英之君) 経済の見通しにつきましては、ただいま日銀総裁からお答えがあったと私どもも同じ判断でおりますが、若干つけ加えて申しますと、民間の設備並びに建設投資、公共投資も非常に活発でございますので、それが建設関係の資材あるいは賃金に相当な影響を及ぼしているのではないか、この辺が一つ懸念要因であるわけであります。
 しかし、幸いにいたしまして、例えば賃金にいたしましても、平成元年は六・七%という一般の産業平均の四・八に対しまして大きな値上がりをいたしておりましたが、ただ元年の十二月以降の数字を見てみますと、九・三%、六・二%、四・三%、二・八%ということでだんだんと鎮静化いたしております。並びに建設用の材料を見てみましても元年で六・五%、国内卸売物価三・五%に対しまして倍近い上昇がありましたが、これまたことしの一月以降は七・五、七・一、六・七、三・二、そして五月上旬は二・六、中旬は二・五と大体国内の卸売物価の平均値まで近い程度に鎮静化してまいっておりますから、建設関係の賃金、資材の値上がりについても現在のところではそれほど心配をすることはないんじゃないかと思っております。
○太田淳夫君 私も最大の懸念要因というのはインフレだと思っているわけでございますが、最近のマネーサプライは伸び率が高まっているわけですが、これは今慎重に見守っているというお話でございました。
 金利の引き上げというのはマネーサプライの伸びを抑えてインフレ圧力を低下させる有効な一つであろうと思うわけでございますけれども、最初の引き上げから早くも一年を経過しているわけですね。皮肉なことに、公定歩合を引き上げるたびにマネーサプライの伸びは高くなっている。これは数字的に出ているわけでございますが、日銀総裁は先ほども徐々に引き締めの効果は出てくる、注意深く見守るという見方をされているようでございますが、ちょっと甘いんじゃないかなという感じがするわけです。いつになったら適切な伸びにおさまるとお考えでしょうか。
○参考人(三重野康君) 委員御指摘のとおり、普通は金利を上げればマネーサプライは鈍化するのが常であります。にもかかわらず、これも委員御案内のとおり、昨年の十―十二月M2プラスCDという代表的なマネーサプライの前年比は一〇%、それが一―三月は一一%、四月は一三%台にと、一見じりじりとふえてきているわけでございます。
 これはもちろん景気が非常に強いということがバックグラウンドにあるわけでございますが、それに加えて、金利がこれから上がるということで企業が前倒しにお金を借りてそれを銀行預金にしているということが一つ。さらに、ここのところずっと金融の自由化、金利の自由化を進めておりますが、そのために金融商品の間のシフトが起きている。特に郵便貯金、これは十年前の定額八%と高いのが四月以降大量に満期が来ておりますが、これが預金等に流れますとM2プラスCDがふえる。そういうような一時的かつ特殊な要因があることは事実でございます。したがいまして、M2プラスCDの数字がふえていること自体はそういう点を割り引きして考えなければならないと思っております。
 しかし、割り引いて考えても、実体経済に比してマネーサプライが強いということは争えないわけでありまして、これは、今までの累積的な金利引き上げの効果はこれから出てくるわけでありますからそれを見守っていきたいと思いますが、やはり私どもの非常に気にかかっているところではあります。
○太田淳夫君 現在の長期金利七%台というのは過去の金利水準のほぼ平均値でありますので、統計的に見ますと非常に高いとは言えないと思いますが、現在の日本経済の現状から見ますとより高い金利にたえる体質があると考えておられるのか、あるいはその場合アメリカ経済に与える影響はどういうような影響が考えられるのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(三重野康君) 大変難しい御質問でございますけれども、一般論で申しますと金利水準、短期も長期もでございますが、委員御案内のとおりそのときどきの資金需給、景気、物価その他いろんなものが反映してマーケットで決まるものでありますが、それと同時に政策当局における金融政策がまた強く金利水準に反映することも事実でございます。そして、その決まった金利水準が実体経済面に影響し、その実体経済面がまた金利水準に出るということになるわけでありまして、現状に即して申しますと、昨年五月以来インフレなき持続的成長をねらって金利を上げてきたわけでありまして、それが現在の金利になっているわけでございます。
 したがって、抽象的に申しますと、インフレのリスクが本当に現実のものになろうとした場合はこれは金利を上げなければなりませんし、またもし景気が下降に向かうようなことがあれば金利を下げる場合も出てくるかと思いますが、これは先ほど申しましたように、現在は今まで上げました金利の効果が浸透していくのを見守っているという段階でございます。
 それから日本の金利水準が米国にどういう影響を与えるかということでございますが、もちろん現在のように金の動きに国境がなくなりまして大規模に資金が往来している場合には、例えば経済大国であります日本の金利水準というものは金の動きあるいは為替を通じて他国の経済に影響を及ぼすことはそのとおりだと思います。ただどの程度及ぶかにつきましては、その国の経済状態がどうなっているかにもよりまして、一概に幾らという定量的になかなか、もう少し具体的に説明できればお答えになるわけでありますが、そこまではちょっとなかなか言い切れないというふうに考えております。
○太田淳夫君 物価指数のことでちょっとお伺いしますけれども、日本経済は急速なサービス化、そういった構造変化が進んでいるわけでございますが、サービス価格がかなり上昇しているように思うわけですが、この点はどのようにごらんになっていらっしゃるのか。あるいは現在の物価指数というのは急速なサービス化といった構造変化、こうした動きを捕捉し切れないでいるのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○参考人(三重野康君) 人手不足のいわゆる労働コストの上昇というのが、やはり例えばCPIの価格のサービス業につきましては人件費の占めるウエートが断然大きいものでございますから、そういう点にはじわっと出てきているのは委員御指摘のとおりでございます。しかし、幸いにしてそれが物価全体へ広がるというような気配は今のところはございませんけれども、やっぱり引き続き注目していく必要があるというふうに考えております。
 それから委員御指摘の物価指数、これは消費者物価は家計におけるサービス価格が入っておりますが、私どものつくっております卸売物価指数、これは物だけでございまして、いわゆる企業に対するサービス価格は入っておりません。したがいまして、例えばでございますけれども、企業のレンタルのお金とかあるいはトラック運賃とか海上運賃とか、そういうものは卸売物価指数には入っていないわけでございます。これはやはり私どもとしては問題だと考えておりまして、企業におけるサービス価格を入れた物価指数をつくることを今開発中でございます。有用になるためにはもう少し時間がかかりますけれども、そういうようなものを開発して物価をもっと正確に追っていきたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(相沢英之君) 消費者物価の一番のめどは総務庁の統計局がつくっておりますところの消費者物価指数でございますが、この消費者物価指数の中には、当然のこと、サービスの価格の推移も含まれているわけであります。これはサービスのウエートが高くなりますので、六十年にも基準指数の改定を行いまして五百四十品目ごとの価格指数を加重平均することにいたしておりますが、その中で従来サービスのウエートが一万分の三千八百七十七でありましたが、それを四千百九十六ということで約一割弱高めているわけであります。したがいまして、消費者物価指数の動きには当然サービスのウエートの高くなっていること、あるいはまたその動きというものが反映されているわけでございます。それを含んで非常に消費者物価もまた安定をしているという状態であります。
○太田淳夫君 それでは最後になりますが、西ドイツのことし一―三月期の実質成長率は年率に直しますと一〇%という非常に高い予測になっていると聞いているわけでございますが、その上七月以降六百四十億マルク以上の東ドイツの追加需要が加わりますと、西ドイツはインフレに向かうことは必至だと思われるわけです。このようなドイツのインフレの動向というのは金利政策あるいは為替動向を通して日本経済にも大きな影響を与えてくると思うんですが、日銀はこのどういう点に注目をして対処していこうとされておりますか。
○参考人(三重野康君) 東西ドイツの統合に関連いたしまして、今委員が御指摘になったように購買力がふえるからインフレが起きるんではないかという懸念があることは承知しております。ただ、私が出席しました四月のパリにおけるG7、五月のワシントンのG7、さらにはIMFインテリム委員会で、西独当局はディシプリンの効いた金融財政政策をとることによってそういったインフレは十分回避できるということを申しております。本当に回避できるかどうかはこれから見ていかなければなりませんが、私どもとしましてはそういう政策当局の言のとおりになることを期待して注意深く見ていくしかないというふうに見ております。
 そして、もしドイツにインフレが起きた場合の影響でございますが、これまた委員が御指摘のとおり、為替あるいはインフレを防ぐための高い金利を取るということ、それがほかの国に波及するというようなことを通じて我が国にも影響があるわけでございますが、ただ、ドイツがインフレになったからすぐに日本でインフレが起きるというふうには一般的には申せないと思います。しかし、いずれにしろそういう可能性はあるわけでございますから心してこれまた見ていきたい、こういうふうに考えております。
○太田淳夫君 どうもありがとうございました。お帰りになってください。
 公共事業のことにつきましてお尋ねしたいと思います。
 日米構造協議、その中で一番の大きな問題は公共事業の拡大という点ではないかと思うのですが、我が国は、今までこの委員会でも他の委員からもいろいろ指摘がございましたように、社会資本の整備がおくれております。特に生活関連社会資本が欧米に比べて著しくおくれているということが言われ続けてきて、ここで指摘をされながらなかなか改善がされてこなかった。しかし、このたびその社会資本の整備あるいは公共事業ということをアメリカから要求されて、指摘されてこれが充実に向かうかのような今状況でございますが、その点非常に私ども残念でならないわけでございますが、総理の率直な御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 昭和六十三年の五月に私どもは「世界とともに生きる日本」という計画を閣議決定いたしております。その計画の中で、二十一世紀までの間に豊かさを実感できる国民生活の実現や地域経済社会の均衡ある発展を図るための基盤としての社会資本の一層の充実を図ることが重要な課題であるということを認識いたしておるわけでありますし、また今終わろうとしております社会資本整備の五カ年計画も、その必要性に応じて十五本に分けた閣議決定を既に、物によっては数年前、さらにもっと古くから着手をして努力してきておるわけでございますから、満足できる整備に至っていない面もあるということはこれは御指摘を率直に認めなければなりませんけれども、日米構造協議の始まります昨年のもっと以前からその問題点を自覚して、計画的に充実に努めてきておることもどうぞ御理解をいただきたいと思います。
○太田淳夫君 今経企庁で十カ年計画策定のため関係十省庁を対象にしたヒアリングを実施していると言われておるわけでございますけれども、その結果並びに各省にさせた試算の方法とか試算の結果について御説明願いたいと思うのです。
○国務大臣(相沢英之君) 各省に対しましては、まず過去十カ年間における公共投資の実施額と申しますか、額を精査いたしまして報告をお願いいたしております。と同時に、一応の算定のやり方といたしまして、過去十カ年間において伸び率がゼロ以下のところについては、おおむね今後も推定におきまして伸びなしと見まして算定をする。それから伸び率がゼロ以上のところにつきましては、その伸び率に対して三割増しそれから五割増し、二つの算定方式でやった場合にどの程度の金額になるだろうかということでもって試算をお願いし、またこのような一律的な計算方式で算定される金額につきまして、いろいろと各省としては新しい考え方もありますし御要望もございますので、そういった点もあわせてお聞きしている段階でございます。
 庁内にもこの十カ年間における公共投資の考え方につきまして、これは計画局長の私的諮問機関でありますけれども、そういう委員会もつくりまして各界の権威の方のお話も承り、それを参考にして今検討を進めている段階でございます。
○太田淳夫君 従来の事業別を安全、交流活力、生活、この三つの分野に分けて生活重視で臨むということはこの委員会でも御答弁として聞いているわけでございますけれども、それをどのような配分比率にするかということなんですけれども、平成二年度の公共事業費、一般会計としましょうか、それを三つのカテゴリーに分けますと額はそれぞれどのぐらいになるんでしょうか。また、割合はそれでどうなるのか試算されているでしょうか。
○国務大臣(相沢英之君) 今委員お話しございました安全安定、交流活力、生活環境文化機能というような三つの機能に分ける考え方は、事務当局でひとつそういうような考え方で検討をしてみたらどうだろうかといういわば試案でございまして、これから取りまとめる際にその区分によるかについてはなお慎重に検討したいというふうに考えております。
 そして、今お尋ねの平成二年の実績云々でありますけれども、御案内のように公共投資の中には各地方公共団体の単独事業あるいは公社、事業団等の事業等も含まれておりますので、それらの実績はまだ上がってまいりませんので、私どももしたがいましてその試算はいたしておりません。
○太田淳夫君 試算はしていないというお話でございますけれども、今後試算をされていろんな予算の配分をされると思いますけれども、これは一般会計でございますけれども我々がいろいろと試算してみました。これについてはいろんな御意見もあろうと思いますけれども、せんだってのこの予算委員会でも同僚委員から夢物語のお話の中で、各大臣からそれぞれ提出をした計画は生活重視ということでお話がございました。そうなりますと、十年後にはどの程度にそういった問題を引き上げていくのかということになるわけです。
 我々は一般会計で、それは細かいところは多少の違いがあろうと思いますけれども、できるだけの試算をしてみました。その表は経企庁にも差し上げておるわけでございますけれども、生活関連として住宅対策あるいは下水道、環境衛生関係、そういうもので集めてみますと大体二八%程度のことになっているわけです。したがいまして、その試算の結果にはいろいろ出てまいると思いますけれども、その比率は余り差がないんじゃないかと思うんですけれども、そういった生活分野を重視するということであれば、やはり出てきたその試算というものを踏まえながら、じゃ次は十年間の計画の中でどの程度それをアップしていくのかということが検討されなければならないんじゃないかと思うんです。
 そこで総理にお伺いしたいと思うんですけれども、生活関連分野、私どもの試算では二八%になっておりますけれども、総理としてはせめてこれらの十カ年計画の中では三五%あるいは四〇%ぐらい、生活重視というのであればその程度の割り振りは考えていかれてしかるべきじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から総理への御質問でありますが、今経済企画庁長官から御答弁がありましたように、公共投資十カ年計画そのものがまだ未確定であります。そして、従来からのいわゆる長期計画を有しております各公共事業以外に、その中にカウントすべきものもそれぞれに存在するわけでございます。そしてまた、しばしばその十カ年計画の数字と申しますものは十年間の総枠でありますから、総計でありますから、各年度に今委員が述べられましたような形で割り振って計画的に実施するという性格のものではございません。そして、それぞれの分野における事業量、予算といいましたものは、各年度における予算編成の際そのときどきの経済情勢また財政の状況等を勘案しながら判断をしていくものでありまして、その辺について御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
○太田淳夫君 そこまで具体的な目標を決めるところまでいっていないということでございますけれども、やはり日本の現在の生活の水準というものを見てみましても、生活関連、下水道普及率は三九%、これは六十三年東京二十三区で八七%いっていますけれども平均では三九%でありますし、あるいは一人当たり公園の面積につきましても、これは世界各国に比べて非常に率が低いわけですね。そういうことでございますし、また中間報告の中でははっきりと生活重視の公共投資ということを入れているわけでございますから、それだけに国民も大いに期待をしているわけです。期待を持たせておいて結局組んでみたらそれほどでもなかったということではこれはなりません。
 したがいまして、やはり具体的な計画を立てて整備を進めていくべきではないかと私ども思います。最終報告にもう時期は決まっているわけでございますから最終的な水準を盛り込むか、あるいはでなければ何らかの方法でやはり国民に対しましては、国民はもう税金を納める立場でございますから、十年後にはこういう姿になるんだというやはり展望というものを示す必要があろうと思うんですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) しばしば今までもそうした御論議をちょうだいいたしてまいりました。そして改めて申し上げたいことは、国民生活の質を高めるという視点から私どもは今後十カ年問の投資の総額を今お示しすべく努力をしているわけであります。
 ただ同時に御理解をいただきたいことは、過去において確かに我が国の社会資本に対する投資が少なかった、その結果整備がおくれておるという御指摘はそのとおりでありますが、今日ここしばらくの間を見ていただきます限り、我が国の公共投資に対する伸び率というものは、これはおくれていたせいではありますけれども、各国に比して非常に高くなっておることも事実であります。そして、その中における十五本の長期計画を有する分野のうち平成二年度において終期を迎える八本につきましては引き続いてその後の長期の目標を計画としてつくってまいりますし、同時に平成三年度以降にも継続して計画の組まれております七本の長期計画についてはそれぞれの目標に向けての努力を積み重ねていくわけでありまして、おのずから国民に目標をお示しするという意味ではそれぞれの長期計画というもの、これがそれに当たろうかと思います。
 ただ、それを足し算して公共投資の総額になりませんということは、何回も申し上げてまいりましたとおり、公立文教施設整備費でありますとか社会福祉施設整備費でありますとか、そのほかに地方の事業もございますし民間の投資を必要とする分野等があるということで、この点は御理解をいただきたいと思うのであります。
○太田淳夫君 総理、私たち公明党も昨年、二十一世紀トータルプランというのを発表しました。なかなかこの二十一世紀トータルプランの中でいろんな目標をいろいろと精査して私たちがつくり上げてまいりました。政府と違いましていろんな資料もございませんしコンピューター等もありませんけれども、その中で私たちが目標としまして下水道については二〇〇〇年までに九五%、あるいは都市部については一〇〇%の普及率を目指すことを提言しておりますし、公園についても緑二倍増ということで提言してきたわけですが、やはり欧米並みのそういった水準に近づけようという目標、そのぐらいの目標を持ってこれを推進していかなければ日本はいつまでたったって生活小国、経済大国生活小国のままで推移をしてしまう、国民はいつまでたったって豊かさを実感することができないということになろうと思うんです。
 したがいまして、これらの十カ年計画、これが達成できたら生活関連社会資本についてはせめて欧米並みになるんだということを総理もやはり目標を持ってこの計画に取り組んでもらいたい、こう思うわけですが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中間報告の中におきまして、先ほど私が申し上げたことを繰り返すようでありますけれども、「今後の中長期的な公共投資の在り方については、本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を見据え、着実に社会資本整備の充実を図っていく。このため、平成二年度末に期限の来る八分野」、今委員が御指摘になりました下水道あるいは公園等を含んでおるわけでありますが、「の社会資本整備長期計画については、これらを更新し、最終報告までにその主要分野について現行規模を上回る計画の策定に当たっての積極的かつ具体的な整備目標を示唆するため、早急に検討を開始する。」という中間報告になっておるわけであります。
 私どもとして、財政の厳しい状況というものも一方に抱え、しかも国債残高の累増にいかにして歯どめをかけるかに腐心をしながらも、こうした目標に向かって全力を尽くすつもりであります。
○太田淳夫君 計画が今現在進行中でございますね。この計画を担保する資金という問題があろうかと思うんですね。十年間で各省の要求ベースでは五百五十兆円あるいは四百兆円実際にということも言われているわけでございますけれども、この資金の問題はどのように見通しをつけられておるでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まだその計画の確定いたしておらない状況の中でありますけれども、先般来繰り返して申し上げておりますように、私どもはようやく赤字公債依存体質というものを脱却し得た、財政改革の第一段階を今踏み越えようとしておるところであります。しかも、巨額の国債残高、先進国中最高水準の国債残高を抱えている状況の中で、私どもとしてはその累増に歯どめをかけることには全力を尽くさなければなりません。
 こうした視点からまいりますと、私どもとしては特例公債発行下において続けられてまいりました建設公債を公債発行限度額いっぱい発行する財政運営というものは、当時としてはやむを得なかったものと考えてはおりますけれども、世代間の公平を確保する、また再び特例債発行という事態に追い込まれないために財政体質を改善しようとしていきます限りにおいて、我々として努力目標として必ずこれを実現しなければなりません。そのためには公債依存度の引き下げということが急務でありまして、私どもとしては国民からお預かりをいたす税財源というものを充当してこれらの目標に取り組んでいかなければならない、そのように考えております。
○太田淳夫君 私は去る四月十八日に発表されました臨時行革審の最終答申の中に、例えばとして財投債の考え方が示されておりますね。これから多額の公共事業資金が必要になってくるんですから、この財投債というのはやはり有力な資金調達手段になるんではないかと思われるんですけれども、大蔵省はこの財投債を含めて資金調達手段どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いわゆる財投債と申しますものは、将来公的資金の統合管理運用による資金調達のみでは原資が不十分な場合に預託義務を前提としつつ、追加的、補完的に資金の調達を行うための一つの手段として今後の検討課題とされております。しかし、これは委員がよく御承知のように、当面公共投資十カ年計画の資金調達手段として提起をされているものではございません。また、私どもは現時点におきましては財投債によって財投原資の調達を行わなければならないような状況にはないと考えておりまして、そうした視点から具体的な検討をいたしておらない次第であります。
○太田淳夫君 いずれにしましても、高齢化社会あるいは国民が真の豊かさを実感できるような社会資本整備というものを十分考慮されてこの十カ年計画づくりを進めていただきたい、このことを総理に申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) そのような目標を立ててしっかりやっていきたいと思っております。
○太田淳夫君 最後になりますが、総理は日本海にどういうイメージをお持ちでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 日本を取り巻く海であるというイメージを持っております。
○太田淳夫君 確かに取り巻いております。何となく日本海といいますと今まで暗いイメージというようなことがありましたが、今は最近はそうではありませんね。太平洋よりも日本海ウオーターフロントというような話が今どんどん進められておるわけです。日本海の経済性を高めようということで、地方のレベルでは今日本海を挟んでソ連あるいは中国、北朝鮮、韓国、いろんな各地方団体では交流が今行われているわけですね。これから新しい脚光を浴びていくんじゃないかと思います。それだけ日本海に面した地方ではみずからの活性化を唱えながら、あるいはそういう国際化の時代に対応しようとして真剣にやっていらっしゃるわけです。
 せんだって、同僚稲村議員からもその旨の指摘があったと思います。そういった日本海側の経済活性化のために、政府としてもそれらの国際化に対する動き、それをやはり力強く支援して差し上げるべきではないかと思うんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 今御質問の角度からもう一回考え直してみますと、確かに太平洋の向こうにある国と日本海の向こう側にある国と今日までの経緯を踏まえてみますと、なかなか今日までは日本海を通しての相対する国との間の交流というのは政治的にも経済的にも太平洋に面したものと比べると非常に狭く小さい存在だったという感じが率直にいたします。今後、それはまた距離的には非常に近いことになるわけでありますから、日本海を挟んでの相対する国に最近大きな変化が出てきておることもくどくど申し上げませんが御理解のとおりでございまして、それらの国との間の相互依存関係が高まっていく、その中には経済、貿易の交流、文化の交流等もあろうと思います。積極的な姿勢で対応していかなきゃならぬと考えます。
○太田淳夫君 終わります。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、上田耕一郎君の締めくくり総括質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 私は、今、日本の政治が問われている問題たくさんありますけれども、きょうは時間も限られておりますので二つの問題、一つは核持ち込みの疑惑、もう一つは深谷郵政大臣の問題を取り上げたいと思います。
 首都東京の横田基地で五月二十二日から延べ十一日間、空母ミッドウェーの艦載機E2Cの夜間離着陸訓練が行われました。私も現地に行ったんですが、基地それから公団の羽村団地それから福生市の市役所の屋上で、いやもう大変なもので、夜七時から九時まで何と二機が一分半置きにもう最高八十六ホンで飛ぶんですからいやもう本当驚くべきもので、周辺住民はもとより福生の市長さんも訓練中止を要求している。平和憲法を持つ日本で何でまるで戦場のようなこういう訓練を外務省は承認しているのか、はっきりお答えいただきたいと思います。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御承知のように、在日米軍は安保条約及び地位協定に基づきまして日本に駐留しておりまして、その一環として訓練を行うことが認められております。
○上田耕一郎君 日本の政府の答弁とは思えない。
 この横田基地はさらに核持ち込みの疑惑がこれまでも何回も指摘されてきたところです。核事故の演習、ブロークンアロー、これも目撃されました。核兵器の貯蔵用の1の番号のある貯蔵庫もあって、朝日新聞社が問い合わせたところ、米軍は八一年六月十九日付、有事に備えて核兵器の貯蔵場所を確保していることはあり得ると、こう平然と答弁してきているところです。
 資料をお配りいたしました。これは私どもアメリカの情報公開法に基づいて入手したもので、昨年の八九年度のアメリカ国防総省とアメリカエネルギー省が合同でつくった文書で、核事故対処能力の全世界のリストです。お配りしたのはその一部です。これは全世界の基地、艦船、四百八十六カ所をリストアップしてありまして、そこにどういう部隊があってどういう核事故対処能力があるか全部リストが出ている。その中で、日本では三沢、横田、横須賀、岩国二カ所、嘉手納二カ所で五基地、七カ所に核事故の際に出るアルファ線、ベータ線、ガンマ線の検知器、その数、それから部隊名を明記してあります。横田は何と検知器合計八十六あります。核事故があることを前提にして八十六も検知器を持っている。これは外務省どうですか。これは横田は核の一時寄港、一時通過の基地になっている、あるいは現にあるという新たな証拠ではありませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生が今御提出になりました八九年版の資料はちょうど私も今拝見したばかりでございますので、これに基づいてちょっと御答弁できかねますが、私ども八七年版に関しましては一部持っておりまして、これに関しまして私どもが了解しておることを御説明させていただきたいと思います。
 この文書は、先生も御指摘になりましたけれども、アメリカの米軍施設に対しましてクエスチョネアを出しましてその回答を集大成したものでございまして、これはあくまでも核関連の事故が発生した場合にこれに対処するための装備等の有無について把握するためというものでございまして、これらのリストに掲載されている施設が核を保有しているか否かの観点からそもそも作成されたものではないということを念のため申し上げたいと思います。
○上田耕一郎君 核がなけりゃ事故なんか起きないんだから。核があるかまた必ずあり得るというのでこれだけ置いているんですからね。
 防衛庁、自衛隊はアルファ線の検知器を持っていますか。
○政府委員(鈴木輝雄君) お答えいたします。
 自衛隊は専らアルファ線だけを検知するような目的とした器材はございませんが、陸上自衛隊が糧食の安全を確保する意味で線量率計というようなものを持っております。もちろんベータ線、ガンマ線も一緒に測定できる装置でございます。
○上田耕一郎君 陸上自衛隊。海上自衛隊、航空自衛隊はどうですか。
○政府委員(鈴木輝雄君) 海上自衛隊と航空自衛隊につきましては、アルファ線を検知できる器材は持っておりません。
○上田耕一郎君 私はこの検知器の中で特にアルファ線、これを非常に重視する。というのは、ベータ線は電子線でガンマ線は電磁波です。ところが、これと違ってアルファ線はヘリウムの原子核だ。飛距離が極めて短い、大気圧中で二・五センチなんです。これは核爆発のときにはベータ線、ガンマ線は出ますけれども、そういうときにはほとんど出ないんです。だから、核事故のときに出るんです。
 なぜ米軍がこういうものを持っているかといいますと、プルトニウムを組み立てるわけだ。間違って組み立てたり安全装置が外れると、核兵器からアルファ線が出るんですよ。そのためにこの検知器を持っているんです。自衛隊は核兵器を持っていないから、アルファ線は要らぬのです。米軍は核兵器があるから、こういうアルファ線の検知器がどうしても必要なんです。どうですか、外務省。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、今回の米側の文書、八九年版は私どもまだ十分研究する時間的余裕がございませんので、八七年版について先ほど来申し上げているわけでございますけれども、核を保有しているかどうかということでこういう文書をつくったわけじゃございませんで、核事故に対応する施設等があるかどうかということでございまして、先ほど申し上げたことの繰り返しでございますけれども、一般論で申し上げれば、この核事故に対応する能力を有する部隊が存在していることと核兵器の存在とは全く別の問題である、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、累次国会の場で御説明させていただいておりますが、政府といたしましては、核持ち込みについては事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては何らの疑いも持っておりません。
○上田耕一郎君 首相、だから核事故の能力の部隊だと言うのでしょう。検知器だと言うのでしょう。日本は非核三原則、持ち込まないんだからこんなもの要らないんですよ。アメリカに対して、こういう部隊はまたこういう検知器、これはもう撤去しろということを申し込んだらどうですか。どうぞ。――いや、あなたの責任、あなたの。いや、局長の問題じゃないんだよ。日本政府の責任なんだから。
○政府委員(松浦晃一郎君) 恐縮ですけれども、繰り返しでございますけれども、核事故に対応をする能力を有する部隊の存在と核兵器の存在というのは全く別の問題でございますので、いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、在日米軍は安保条約及び地位協定に基づいて駐留しておりますので、こういう核事故に対応する能力を有する部隊が存在するということと核兵器の存在とは峻別して考える必要がございまして、先ほど申し上げた繰り返しでございますけれども、核持ち込みにつきましては、事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないということに関しましては何らの疑いを持っておりません。
○上田耕一郎君 じゃ外務大臣、こういう部隊へこういう検知器は要らないと、日本は非核三原則なんだから。どうですか、繰り返しでない答弁。
○国務大臣(中山太郎君) 日本は非核三原則の国民的なコンセンサスができております。そういう意味で私どもは日本には核はない、こういうふうに信じております。
○上田耕一郎君 局長、八七年の文書で言いましたが、八七年文書を使って分析したイギリスのショーン・グレゴリー、専門家の著書がある。これで詳細に分析されている問題なんですね。ああいうことを平然と言っておりますけれども、水爆についてもどうもある疑惑が強いですよ。この資料に出ておりますけれども、横須賀、岩国、嘉手納、空母ミッドウェー、水爆用のトリチウムの検知器も持っているんです。水爆というのは原料がトリチウムと重水素化リチウムで、トリチウムの半減期はわずか十年。十年なんで使っているうちにだんだん減りますから、危なくなるとかえなきゃいかぬ。しょっちゅうどのくらい減ったかをこのトリチウムの検知器で調べなきゃいけない。それが横須賀、岩国、嘉手納にある。ミッドウェーには六個も積んでいるんですよ。水爆が日本に持ち込まれているという重大な疑惑がある。放置できないじゃありませんか。
 首相どうですか、こういう問題、今度はあなた。日本国民に責任を持つんなら、こういう新たな疑惑が出ているとき、アメリカ政府に対して少なくともこういうものはもう日本には要らないと、あるいは調査するという答弁をあなたはできますか。すべきだと思います。
○政府委員(松浦晃一郎君) 恐縮でございますけれども、もう一度御答弁させていただきます。
 八七年に、三年前にもこの問題に関しましていろいろ国会の場で御指摘がございまして、そのとき引用されましたのが八四年のアメリカの核安全に関する文書でございますし、それから八二年の米太平洋艦隊司令官の指令文書でございます。当時も同じような御指摘を賜ったわけでございますけれども、その当時外務大臣及び北米局長からも、今回私が申し上げていることと同じことでございますけれども、米軍が核兵器の事故に際してそれの処理の任務を与えられているということと、核兵器が現にそこに存在するということは別の問題であるということを御説明させていただきました。
 これは先生重々御承知のことでございますけれども、装備における重要な変更というのは事前協議の対象になっておりまして、それはあくまでも核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設でございまして、ここで対象になっておりますのは今先生が御指摘になっているような部隊ではございませんので私どもは別の問題として考えて、先生が御指摘のように部隊の撤退を申し入れる必要はないと考えております。
○上田耕一郎君 これだけ重大な問題なんですから、総理答えてください。
○国務大臣(海部俊樹君) 今詳しく御説明を申し上げましたとおり、日米安保条約上、艦船によるものを含めて核の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となり、核持ち込みについての事前協議が行われる場合は政府としては常にこれは拒否をする、こういう方針でありますので、アメリカ政府は核持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を十二分に理解しており、政府としては、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては何らの疑いも有していないということを繰り返し答弁してきたところでありますし、またその後の今具体にお示しの問題については、北米局長がお答えしましたとおりでございます。
○上田耕一郎君 核兵器を持ち込めないはずの日本にこれだけの態勢をとって核事故の対処能力を米軍が常時やっているということは、既に持ち込まれているかまた持ち込むか、それを前提としていることで、政府はそういう国民の疑惑に唯一の被爆国であるにもかかわらず何らこたえようとしておりません。我々は国権の最高機関の国会が国政調査権を発動しなければこの問題は解決できない、国民のためにそういう責任が国会にあることを指摘して、次の問題に移ります。
 深谷郵政相、赤旗の五月二十八日付に、十年余にわたってあなたの秘書を勤めて政治資金担当だった元秘書のインタビューが載りました。あなたの国会答弁のほとんどすべてを覆す内容です。お読みになったと思いますけれども、反論があったらお述べいただきたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御指摘のように、五月二十八日に赤旗に一問一答形式で出ておるのは私も読んでおります。しかし、私が今国会でさまざまな角度から申し上げましたが、私が申し上げたことが事実でございます。
○上田耕一郎君 まるで違うから重大問題。
 あなたの問題、三つですね。政治資金問題、南陽会の会費と退会問題、三つ目は石塚秘書問題。私は特に重大だと思うのは、退会届の問題。元秘書の主張が正しいとあなたが衆議院の予算委員会の理事会にコピーを出されたあの文書、もしかすると偽造かもしれぬという疑いさえ生まれるからです。官房長官の発表によると、十万円返金したのは六十年一月十三日。郵政大臣、振込金の受領書、こういう書類はありますか。
○国務大臣(深谷隆司君) まず委員御指摘の退会届の件でございますが、偽造したものでは全くございません。ただ、この委員会でも何回も申し上げてきたのでありますが、普通そういう会を退会するのに一々退会届はとるものではないと私たちも思っています。たまたまその当時、あのようなリクルート事件があったものですから、私どものスタッフがまあ念のためにということでとっておいたことでございまして、今日のような状態になって私の身のあかしを立てるために用意したというものでは全くございません。六十三年のことでございますから、今日大臣になってこういう形で御批判を招くとは夢にも思っていなかった時代でございます。したがいまして、その当時そのような偽造する必要もなかったことでございまして、それはそのとおりでございます。
○上田耕一郎君 振り込み受領書。
○国務大臣(深谷隆司君) これは事務局のスタッフがやってくれたことでございますが、私も調査をいたしまして、間違いなく振り込んでいるということは確認いたしております。
○上田耕一郎君 その振込金の受取証はあるのですかと聞いている。
○国務大臣(深谷隆司君) 事務所の者たちにこれ調査させたのでございますが、受領書は定かではありませんが、相手に振り込んだ銀行の写しなどはあったようでございます。それは私も見たんですが、これらは今までの資料要求の中にもございましたが、まことにプライバシーの問題にかかわる相手側の通帳等でございますので、提出することはお許しをいただくというスタンスで参りました。
○上田耕一郎君 その振り込み受領書の名義は、名前は深谷事務所の名前ですか。
○国務大臣(深谷隆司君) 深谷事務所の名前であったかどうか私定かでありませんが、間違いなく十万円その分で返したという確認がとれています。
○上田耕一郎君 ここが重要なんですよ。我々は調査して確実な証言を得ました。深谷事務所の名義じゃないんです。日にち、十万円は同じです。第三者の名前なんです。だから、提出しない、定かじゃないと言うんです。第三者の名前なんですよ、これは。しかもその十万円、立てかえてもらったんじゃないですか、その第三者に。
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御指摘のその第三者云々は、多分届けに行った者の名前かもしれません。しかし十万円は、立てかえてもらったなんていうことは全くないとスタッフは証言しております。これは全く事実でございます。
○上田耕一郎君 我々は、十万円立てかえて自分の名前で振り込んだと明確な証言を得ています。ですから、そのあなたが見たという事務所にある受取証、振り込みの。これが出てくれば、あなたが正しいのか我々が得た証言が正しいのかはっきりするんですよ。
 委員長、深谷さんにその大事な振込金の受領書を提出するようにしていただきたいと思います。それではっきりするんですよ。勝負がつきますよ。持っておるわけでしょう。
○国務大臣(深谷隆司君) 同じことの繰り返しになって恐縮でございますが、振り込んだのがだれかということについては私定かではありませんが、間違いなく事務所のスタッフが振り込んでお返しをしておるのでありまして、その日付も十万円の額も間違いがございません。それは本人が立てかえたんだろうとおっしゃいましたが、そういう事実はございません。
○上田耕一郎君 出せばいいんですよ。出すようにしてください。
○委員長(林田悠紀夫君) 今答弁したでしょう。
○上田耕一郎君 だめだめ、あれじゃだめ。だから出せばいいんですよ。
○委員長(林田悠紀夫君) はっきり答弁しているじゃないですか。
○上田耕一郎君 出すか出さないかだ。事務所の名前じゃないんですよ。第三者の……
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○上田耕一郎君 深谷さん、あなたはその受領書を見たと言った、銀行の写し。銀行の写し、僕も調べた。ちゃんと三枚あって二枚目は振り込んだ人に来るんです、控えが。見たと言った。出してください。出すか出さないかです。
○国務大臣(深谷隆司君) まことに恐縮でございますが、十万円振り込んだというのを先生がごらんになったとすれば、振り込んだという事実を逆に証明しているようなものじゃないかと思います。私どもは間違いなく、だれがどうというふうなことは申し上げませんけれども、事務所のスタッフの報告は正確でございまして、期日も十万円も間違いございません。
○上田耕一郎君 だから、名義が深谷事務所の人の名前か、深谷事務所のだれでもない第三者の名前か、それでわかるんです。ここに例の、これ一月十三日なんですよ。どうもセットで、七月二十八日付の退会届をこのかかわりで書いてもらったんではないかという疑惑があるんです。だから出してください。
○国務大臣(深谷隆司君) 委員の御指摘でございますが、退会届については先ほども繰り返し申し上げたとおりでございます。
 それから、五カ月分を返済したというのは、委員御指摘のように、間違いなく振り込んでおるわけであります。それは事実でございます。
○上田耕一郎君 だれが振り込んだかは受領書を出せばわかるんですから。彼の言っていることが事実かどうか、大問題なんだ。国会でこれだけ問題になっているんだから。なぜ出せないんですか。進まないんですよ、こんなんじゃ。紙あるんだから。あると言ったんだから。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
○上田耕一郎君 深谷さん、その銀行の書類を見たんですね。
○国務大臣(深谷隆司君) 私は、その振込何というんでしょうか、領収書というんでしょうか、そういうのを見たんじゃなくて、先方の銀行に振り込んだそのコピーを見たのでございます。
○上田耕一郎君 同じものなんですよ。三枚あって……
○国務大臣(深谷隆司君) いやいや、ですから私は銀行そのものの通帳のコピーを見たんです。そして、それは相手側の会社のものでございますから、私はそのコピーを提出するというのはプライバシーにかかわる問題ですのでできません、御遠慮させていただきたいと申し上げている。
 それからもう一つ、くどいようでございますが、先生は十万円振り込んだという事実を御確認なさっているわけでございますから、だれが持っていったにせよ私どもが申し上げたことは事実であるということはそれをもって明らかではないかと思うんですが、違いましょうか。
○上田耕一郎君 もう六時二十分前なので、進めることに協力します。
 次は石塚秘書問題。これ、石塚秘書の問題で大きな問題があります。
 リクルート社をやめたのは七月だというんですけれども、そうですか。
○国務大臣(深谷隆司君) 六十三年の七月と聞いております。
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。吉岡吉典君。
○吉岡吉典君 坂本官房長官にお伺いします。
 あなたは四月四日の本委員会で、私が石塚秘書のリクルート社入退社を示す雇用関係の資料それから石塚秘書の衆議院事務局に提出してある本人の経歴書の写し、この二つの提出を求めたのに対して、「御趣旨のとおり、検討をいたします。」と答え、さらに私が、提出するということととっていいかと念を押して聞いたのに、はいと答えております。この議事録にきちっと載っております。提出を求めます。
○国務大臣(坂本三十次君) 私に資料提出の御要求があったのは石塚秘書のリクルート社入退社を示す雇用関係資料、それからもう一つ、石塚秘書の衆議院事務局に提出してある本人履歴書の写し、これを御要求なさったわけであります。
 私は、そのときに「検討をいたします。」とお答えいたしました。今、はいというようなお話がありましたが、それは私が答弁を済ませてこの席に帰ったときに、あなたが、提出というのは出すも出さぬも含めてだろうというような趣旨のことをおっしゃいましたから、まあここでうううんとこう言っておったんで、これは私はここで出しますと答弁しませんよ。答弁しません。はいはいと日本人は――まああなたのお気持ちがどこにあるかということがわかったという程度の私は意思表示なんで、ここで答弁しておりませんよ。
 そこで申し上げますが、今申し上げたようなこういうような資料の提出は、これはやっぱり私に出せと言うよりも、これは郵政大臣自身の御判断に属すべき事柄であろうと私は考えております。そして郵政大臣は、ただいまも答弁をいたしましたように、十分に検討をして今の御答弁になったものと思っております。
 それで、政府の今までの調査と申し上げるのは、郵政大臣ならば郵政大臣のところで調査を徹底してした、それでその自主申告に基づいてその内容を私が確認して公表する、こういうことでありまして、自主申告を基準にしてその内容を私が一応点検するというものでありまして、それ以外のいろいろな資料を御要求になりましても、それはちと私の総理から指示をされた、自主申告に基づいてその内容を点検するというのが私の受けた指示でありますから、自主申告。以外のことについて私が資料を提供するというようなことは、それはよほど慎重に考えないといけないのではなかろうか。結局この問題は、政治倫理の観点から、御当人の徹底した調査によることが一番適当である、こう思っております。
○吉岡吉典君 とんでもない答弁です。速記録にはっきり、私が提出することととっていいですかと言ったのに、はいとあなたはその席でですけれども言っているわけです。検討した結果を報告してください。郵政相でははっきりしないから官房長官に聞くと言って私が質問したのに対する答弁です。検討するとあなたは約束したんです。国会の約束ですから、もう一回きちっとしてください。
○国務大臣(坂本三十次君) せっかくあなたがおっしゃったので「検討をいたします。」とお答えをここでいたしました。そして帰りまして検討をいたしましたら、それはちと無理であると、こういうことでございます。
○吉岡吉典君 全く無責任な国会での答弁です。国会での約束ですよ、あなた。国会での約束を守らないんですか。出してください。
 それでは、あなたはリクルート社にはそういう資料があるかどうか、提出要求ないし問い合わせはしましたか。
○国務大臣(坂本三十次君) そういう資料そのものを出すのは私の権限でもないし不適当であると、こういうふうに申し上げておるんですから、そんなリクルート社まで行って調べるなんということはしておりません。
○吉岡吉典君 あなたは検討を約束して、提出もすると、はいと言ったんです。
 それで、国会に提出してある経歴書の写しも出せませんか。これはリクルート社まで行かなくてもいいんですよ。衆議院にある経歴書。
○国務大臣(坂本三十次君) 何度も申し上げておりまするように、石塚秘書の経歴書だとかそれから入退社の雇用関係資料だとか、これを調べるというのはこれはもう私の権限からはちと無理だろうと。これはやっぱりおやりになるのならば御本人の深谷郵政大臣のところで御判断をさるべきが正当であろうと、こう思っております。
○吉岡吉典君 じゃ終わります。
○上田耕一郎君 この石塚秘書問題がこれだけ大問題になるのは、石塚氏は本当にリクルートの社員だったのかどうかと。リクルートが、よくあることですが給与を、つまり政治献金の一種ですよ、持っていたんじゃないかという疑惑が、ほかにもありましたけれども、出ているからです。
 元秘書はこう言っています。秘書の給与を企業が負担することは自民党ではよくあることで、彼もその例だと。社員になるとき、石塚氏は履歴書を出すため五十六年暮れに私と二人でリクルート本社に行って社長室の幹部に会った。深谷氏の指示だと。このとき石塚氏が履歴書を出して仕事について質問したが、その幹部は仕事はないですと答えた。私の知る限り彼はリクルートの仕事などやっていないと言うんです。それで、これは指示だったのかどうかというのを山原健二郎議員が衆議院予算委員会であなたに聞いたら、行けという指示を与えた記憶はありません。聞いた言葉ですね、記憶はありません。やっぱりあなたもちょっと動揺したんですな、これ。
 さて、これは先ほど七月と言ったでしょう、やめたのは。何でも七月が出てくるんですよ。退会届も七月でしょう。で、石塚氏がやめたのも七月なんですよ、六十三年の。なぜ七月かというと、自民党のけじめが夏と言っているから、それにひっかからないように七月にすべてあなたは後で整理したという疑いが非常に強いんです。
 我々はリクルートの人事課に四月六日の午後三時に問い合わせた。そうしたら、その人はしばらくお待ちくださいと言って人事ファイルを見て次のように答えた。石塚猛氏の入社は昭和五十七年一月で、昭和六十三年十二月三十一日に退社しております。七月じゃないんですよ、十二月三十一日と答えた。入社したときの担当部署は何ですか。わかりません。退社した最終のときだけはわかります。非常勤役員です。非常勤役員とは何ですか。それはわかりません。そう書いてあるだけですから。人事ファイルがあるんです。書いてあるんです。十二月三十一日なんです、やめたのは。七月ではないんです。ですから、あなたはどうもいろいろ七月に全部整理したんでしょうけれども、やっぱり上手の手からも漏れることがあるんですよね。天網恢々疎にして漏らさずで、リクルート社の人事資料、そのままだったんですよ。十二月三十一日なんですよ、やめたのは。
 私はさっき受領書を出せと言いました。今度はこのリクルート社にある人事ファイルを出していただけば、これがいかなるものか、本当に仕事をしていたのかどうか、給料をいつまで払っていたのか、ほかのようにあなたに給与を持ってあげましょうと言って毎月十九万円持っていたのか、そうすると、あなたが言っていたこれまでのことが事実だったのかどうかわかるんですよ。だから、リクルート社にこの石塚猛秘書についての人事の資料、国会に出させる必要があるんです。それですべてわかるんですから。
 もうあなたに出せと言っても無理でしょうね。どうです、委員長。これだけ問題になっているんだ。きょう締めくくり総括なんですよ。私は、最大の問題になった石塚秘書の七月にやめたというのは違うという一つの事実を今述べているんです。出すようにしてください、リクルートの……
○委員長(林田悠紀夫君) それは委員長に言うてもだめですよ。本人に言ってください。
○上田耕一郎君 じゃ深谷さん、あなた、リクルート社に行って、やめてからあなたの秘書にしたという石塚猛氏のその人事資料、もらってきて出してください。
○国務大臣(深谷隆司君) 委員の御質問にお答えいたしますが、リクルートのどなたに問い合わせたかは全くわかりませんか、石塚は五十七年に入社以来六十三年の七月に退社したと明確に本人が申しております。私は本人のその申したことを信じております。
 それから、石塚君が勤務していたときの書類関係をリクルートに行ってとってこいということでございますが、彼が私の秘書になる以前の話でございますから、私が彼のプライバシーにかかわることをリクルートまで出かけてもらってくるというのはいささか筋が違うのではないかと思っています。
○上田耕一郎君 あなたの公設秘書になる前でも、これだけ問題になっているんですから。その前の問題についてあなたは何度も国会で答弁していて、その答弁が虚偽であるという疑いが出ているんですよ。だから、私は資料の明示をしたんです。リクルート社から人事資料を出せばどれが本当か、あなたが国会で食言を言ったのかどうか、国会を欺いたかどうかがわかるんですから、あなた清廉潔白だと思ったらそれを晴らすためにも出すべきです。
○国務大臣(深谷隆司君) 私は、自分自身にかかわる事柄でございますので、できる限りの調査をいたして今日まで申し上げてまいりました。私の申し上げておることは虚偽ではありません。
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
 上田君、質問してください。
○上田耕一郎君 大臣はああいうふうに逃げに逃げたけれども、ほぼ真相は浮かび上がってきていると思うんですね。海部内閣の責任になっている。しかし、首相も責任をとろうとしていない。
 そこで私どもは、国民に対する国権の最高機関としての責任と問題の重要性から、一つ、大沢武志リクルート社元専務、石塚猛秘書の二人の国会喚問。二つ、石塚秘書に関しリクルート社の入退社を示す雇用関係資料、保険年金関係資料、リクルート在職中の勤務部署、賃金支払いなどを示す資料。……
○委員長(林田悠紀夫君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 三つ、南陽会の会費十万円をリクルート社へ返却したことを示す振込金の受取証、これの提出を強く要求します。
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で上田耕一郎君の質疑は……
○上田耕一郎君 ちょっと委員長、理事会で協議してください。
○委員長(林田悠紀夫君) 答弁要求ですか。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
 理事会で協議します。
 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十八分散会