第120回国会 文教委員会 第3号
平成三年三月七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     真島 一男君     下条進一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         下稲葉耕吉君
    理 事
                石井 道子君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                小林  正君
    委 員
                秋山  肇君
                木宮 和彦君
                田沢 智治君
                仲川 幸男君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                山本 正和君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  井上  裕君
   政府委員
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      遠山 耕平君
       文部省生涯学習
       局長       福田 昭昌君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       菴谷 利夫君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省高等教育
       局私学部長    逸見 博昌君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       文部省体育局長  野崎  弘君
       文化庁次長    遠山 敦子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       防衛施設庁施設
       部施設取得第二
       課長       荒木 丈彦君
       防衛施設庁建設
       部建設企画課長  田中 幹雄君
       国土庁大都市圏
       整備局計画官   遠藤 昌雄君
       外務省北米局地
       位協定課長    原田 親仁君
       厚生省児童家庭
       局育成課長    秋山 勝喜君
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  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
○国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、真島一男君が委員を辞任され、その補欠として下条進一郎君が選任されました。
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○委員長(下稲葉耕吉君) 教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林正君 先日、井上文部大臣の所信表明を伺いました。私、存じ上げておりますのは、文教行政について通暁されておられますし、また教育の条理という問題についても卓見を持っておられる大臣というふうに承知をしておるわけでございます。二十一世紀を展望する我が国の教育行政という点で大変なキャリア、ベテランを配置をされておるわけでございまして、そういう点で大変心強く思っております。
 何よりも大事なのは、二十一世紀を展望する我が国の教育におきまして、担い手である子供たちという問題が一番重要な課題であります。私は、子供たちにやはり何よりも豊かな自然を残す、そして長い歴史と伝統のあります我が国の文化の厚みといいますか、そういうものをちゃんと継承していける条件づくりをどうするかということが非常に大きな問題であろうかというふうに考えているわけでございます。
 そういう点で、最近我が神奈川県の内部で起こっております問題を中心にいたしまして御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、外務省の関係の方おいででしょうか。実は社会党として、話題になっております神奈川県逗子市の池子米軍家族住宅の建設予定地につきまして、実はこの一帯に、これは六十三年の衆議院の外務委員会で我が党の岩垂議員の方からも御指摘を申し上げたわけでありますけれども、シロウリガイの分布状態といったようなものを中心にいたしましてその調査と保存について御質問をしているわけですが、ここへ来て工事が急ピッチに進んでいるという状況もこれあり、私ども社会党としても、現地の要請もいただきまして、二月二十一日の日に衆参の文教委員が、逗子の池子米軍住宅建設予定地内への分布状況調査という学術調査について一定の期日内に名簿を提出いたしまして、これは外務省の地位協定課長あてに許可を求めたわけですが、このことについて最終的には湾岸情勢ということを理由に立ち入りについては断られた、こういうことがございました。
 ゲートの前で当該市長からお話を伺ったり、あるいは小高い丘がありまして、そこへ行って予定地内全体を見渡すようなところからも状況を調べてきたわけですが、こういったようなことになるというのは極めて異常、異例だというふうに言わざるを得ないわけで、このことについて、外務省としてこの扱いについてどういう見解をお持ちなのかお伺いをしておきたいと思います。
○説明員(原田親仁君) お答えいたします。
 先生ただいまおっしゃられたとおり、小林先生を初めとする先生方が二月二十一日に池子の住宅建設用地への立入調査を行いたいとの御要望を二月七日に外務省はいただきまして、直ちにこれはアメリカ側に連絡したところでございます。その結果、二月十五日にアメリカ側から、現在都合が悪いと。加えて、先生今おっしゃいましたように、現下の湾岸情勢にかんがみて各施設は厳戒態勢がとられておって、あらゆる立ち入りを規制しているという回答がありましたので、その旨先生方の方にお伝えした次第でございます。
 地位協定上アメリカ側は、米軍に提供された米軍の排他的使用になる施設、区域においてはいわゆる管理権が与えられております。具体的には地位協定第三条におきまして、施設、区域においては「それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」ということになっております。したがいまして、あらかじめ特段の合意がなされている場合を除きまして、米側の個別の同意なくして米軍の施設、区域に立ち入って調査をすることはできない法的な建前になっております。
 以上でございます。
○小林正君 実はシロウリガイの問題と別に、このアセスの結果、縄文後期以降のいわゆる埋蔵文化財等の発掘も現在調査が行われております。アルバイトも使われまして、百六、七十人の方がその用地内に入って連日発掘調査を進めているわけですね。湾岸情勢が緊迫をしたからその発掘調査が中断しているというような状況は全くないわけで、どんどん出入りをしながらやっているわけです。そういう状況で、米軍の判断云々というお話もございましたけれども、僕はあそこのゲートの前に立ちまして、異常だなという印象を持ちました。
 もう一つの理由は、これはあくまでも住宅用地なんですね。アメリカの軍事施設で有刺鉄線で囲って将来使うような性格のものじゃない、そういう場所なんですよね。ですから、そういう点で考えましても、そして現に埋蔵文化財の調査がどんどん進んでいるというような中で、私たちとしても希望する調査項目について知りたい。全く目的がそういうところにあるにもかかわらず、それを理由にしてお断りになるというのはいかにも不当、不自然だというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(原田親仁君) 繰り返しになるわけでございますが、米側は先生方の御要望を受けて、現在は都合が悪いということを申したわけで、地位協定上アメリカ側に施設、区域につきましては管理権が与えられておりますので、米側の個別の同意なくして米軍の施設、区域に立ち入って調査することはできな‐いことになっておりますので、我々としてはこれについて云々する考えはございません。
○小林正君 この池子地区というのは、御存じの方もおありだというふうに思うんですけれども、戦前日本軍によって接収をされ、引き続いて米軍弾薬庫として使用されて、現在は弾薬庫ではありません、跡地です。そして、その跡地問題として、自然の豊かな、そして縄文期以降の文化財の宝庫と言われ、さらには地質学や古生物学等の面からも重要な場所となっているわけであります。と同時に、古い逗子の市民の皆さん方からすると思い出深い遊びの場所でもあった。言ってみれば心のふるさとのようなところでもあります。この場所に逗子の市民が立ち入ることができたのが、現富野市長一期目の六十年の三月に住民の要望に基づいて逗子市が、実はそこに前に人も住んでいたわけですからお墓もあったわけで、それで墓参ということで二百人ほどの人がそこに立ち入りをしたという事実があります。それは接収されて以降の問題、そこにあったお墓等はそれぞれ近くのお寺等へ移されたわけですけれども、その場所に墓参をするということで許されたのが六十年三月。
 それ以降、逗子市側の行政上の必要からの調査、例えば河川管理にかかわる問題、それから埋蔵文化財の問題、そして今回のシロウリガイの問題、さらには防衛施設局と県との関係の中で言いますと、いわゆる環境評価、アセスについての調査結果に基づきまして市としての意見を述べる、その条件といたしまして自分たちの目で行政側としても確かめたいという立ち入りについての要請も行ったわけです。それらも全部断られているわけで、ゲートは非常にかたく閉ざされているというのが現状なわけです。
 実は、二月八日に県環境部、教育委員会、そして防衛施設局等との間で、その保存状態、保存方法等について一定の合意がなされて、それに基づいて市側としても立入調査について要請を行っております。これについての回答がこういう形で来ているわけで、大体今まで断られた文脈というのはこういう形になっているわけですね。「池子米軍提供区域内への立ち入りについて(回答)」ということで、
 御要望のありましたシロウリガイ化石層の確認及び文化財調査の状況把握のための現地への立ち入りにつきましては、当該地が提供施設・区域であり、米軍の管理しているところであるため、米軍の許可が必要であります。なお、一般的には、立ち入りを望む者が直接現地の米軍に申請することになっていることを念のため申し添えます。
  また、事業計画区域外の文化財分布調査につきましては、既に逗市市長の照会にも回答しておりますが、当該区域が現に米軍が管理し使用している土地であること、また現状を変える計画がないことなどから、現段階では米軍の同意が得られておりません。
こういうことで、直接的には米軍に許可を求めなさいということの指導といいますか言い方がされて、これについて米軍に要請をしますと回答がないという実態なんですね。
 そういうようなことが、ずっと六十年の三月の墓参以降続いているというのが現実であります。こういうことで一体いいのだろうかということなんです。
 地位協定との関係、この問題について、今までの問題の経過、それから今後も引き続いてこういうような対応で完成するまでいくのかどうなのか、その辺外務省として米軍との関係、特に日本人、日本国民と米軍の対応をどう調整するかという機能もある外務省だというふうに思うので、そういう意味で主体的にどう対応されようとしているのか、お伺いしておきたいと思います。
○説明員(原田親仁君) 甚だ繰り返しになって恐縮なのでございますけれども、外務省としては、国会議員の先生方から立ち入りの御要望をいただきますれば、これはアメリカ側にかかる要望はおつなぎするということで、それでアメリカ側はかかる要望を管理権に基づきまして、その判断によって立ち入りを認める、認めないを決めるということでございます。
 以上でございます。
○小林正君 このパンフレットがございますが、これは横浜防衛施設局がつくった池子の米軍家族住宅建設事業に関するPR用のパンフなんですけれども、これで「アセス審査書及び知事調停案を尊重して最大限環境に配慮しました。」と、こういうことで概要がそこに載っているんですが、一つは、「提供施設全体について」。「弾薬庫としての再使用がないようにとの地元の意向に沿って配慮する。」とか、「将来返還された場合には適切な利用計画を策定する。」とか、それから二番目は「米軍家族住宅計画地について」ということで、現状保存に配慮するといったような内容がありまして、三番目が防災、四番目は、特にこれは聞いておいていただきたいんですが、「親善交流について」。「米軍住宅と近隣住民の親善交流が図られるよう配慮する。」と、こうなっているわけです。
 これはどういうことかといいますと、いわゆるオープンスペース方式ですね。これは住宅ですから軍事施設じゃないんで、さっき言いましたように有刺鉄線で囲って外界とシャットアウトしてやるといったような性格のものではなくて、どちらかといえば住宅ですから当然だと思うんですが、オープンスペースということを考える、こういうことなんですね。親善交流という言い方もしていますが、こうなりますと最も身近な隣人というのはだれかというと逗子市民なんですよね。そして、この市民並びに行政に対して、六十年の墓参以来いろいろな必要上の要請に基づく立入調査という問題が出てきても、一切これはだめですよと、こういうことを言い続けてこられているわけです。そうなりますと、親善交流どころかオープンスペースと言ってみても、実際問題として今逗子市民の多くがこの住宅建設対応について、今までの対応をずっと見ておりまして、だんだん悪感情を積み上げていくという結果になっちゃっているわけです。ということは、だんだん悪感情を増幅させながら今日があるという実態なわけですね。
 ですから、そうなりますと、文字どおり安住の地ということになるのか、あるいは逗子市民と家族との関係がよき隣人という関係を取り結ぶことができるのかどうなのか。外務省というのは、そういう点について最大の配慮をして、まずスタートの時点から地域との関係を重要に考えていくというのが本来あるべきじゃないのかというふうに思うんです。それらの点について、外務省のお考えを伺いたいと思います。
○説明員(原田親仁君) ただいま先生から御指摘になりました、神奈川県知事が提示された調停におきましては、家族住宅が完成して米軍家族が入居する際に、近隣住民との間に開かれた親善交流を図れるよう配慮しようという内容が組み込まれておることは承知しております。政府としては、これを尊重して住宅建設を進めていくという考えであります。
 と同時に、先ほど申しましたように、地位協定という枠組みがあるわけでございますから、これを考慮しつつ、米側ともかかる親善交流が図られるよう折衝をしてまいるという考えでございます。
○小林正君 今の最後におっしゃった点、親善交流ということに配慮して、今後要請があれば前向きに対応するということですか。それとも、例えば具体的に私たち調査団が再び、湾岸戦争が一応終結という段階を迎えているわけなんですけれども、そのとき理由にされたものは既になくなっているはずで、それらとの関係で再度御要請を申し上げたら受け入れますか。
○説明員(原田親仁君) 先生今、再び要望があれば受けるかどうかという御質問なんですが、先ほど来申し上げておりますように、この問題は米側がその管理権に基づいて判断する問題でございますので、政府として前向きに回答がある、ないとかということを予断することはできないということでございます。
○小林正君 米軍側のさっき言ったような理由による断りということは、問題が解消しているわけですから、そのことについて取り次いだ外務省としては、そういう事態なので、こういう要望の窓口という立場で受けとめて、今度はいかがでしょうかということについてどう積極的に対応されるのか、再度お伺いします。
○説明員(原田親仁君) 先ほど米側の同意が得られないときの理由としまして私が申し上げたのは、現在都合が悪いと。加えて、現下の湾岸情勢にかんがみて厳戒態勢がとられているために立ち入りを規制しているという答えを得た次第でありまして、湾岸情勢のみを理由とした回答ではございませんでした。
 他方、もし先生の方から具体的に新たに御要望があれば、外務省としては米軍にこれをつなぐということにいたしたいと思います。
○小林正君 湾岸情勢だけではないと今度おっしゃっているわけですけれども、湾岸情勢が緊迫をしている事態なので全国の米軍の施設については厳戒態勢に入っていると、したがってこの池子についてもそういうことなのでというのが理由だったというふうに承っているんですが、違いますか。
○説明員(原田親仁君) 先生おっしゃるとおり、それは理由として挙げておりましたけれども、その前に現在都合が悪い、それに加えてということで湾岸情勢のことに言及があったということでございます。
○小林正君 冒頭私が申し上げているのは、埋蔵文化財の調査は営々として続けられているわけですよ。みんな学生アルバイトのような人たちも含めて自由に出入りしてやっているわけですよ。そんな緊迫した情勢は何もない。弾薬庫がまだそこにあって火をつければ爆発するという場所でもないんですね、跡地なんですから。何にもないんですよ、実は。山と谷があるだけなんですよ。そういう場所で何を守ろうとしているのかよくわからないけれども、一番そこで問題になるのは、オープンスペースで、親善交流でということを言いつつも、やはりそこに壁をつくって遮へいしていくという精神構造みたいなのがあって、それで隠そうとしている。そこからいろいろな悪感情が生まれるのだから、そういうことを、一方で埋蔵文化財はどんどんやっていて、中断もしないでやっていて、我々に対してはお断りだ、湾岸情勢ですと。今度は湾岸情勢だけが主たるあれではないというような言い方で、しかし将来的にあそこに米軍家族が住むんだということになって、よき隣人として逗子市民とちゃんとできるんでしょうかね、そういうことで。
 私は、今の雰囲気、この間も行って感じてきているんですけれども、到底米軍家族にとっても安住の地にもなれないし、今の外務省の対応の仕方によって一層逗子市民との関係でよき隣人という関係を結ぶことは難しいんじゃないかなということを懸念するからあえてたびたびそのことを繰り返してただしているわけで、目的がそういう場所なんだから前向きな回答があってしかるべきじゃないかなということを重ねてお聞きしておきたいと思います。
○説明員(原田親仁君) 外務省としては、先生の方から具体的要望がいただけますならば米側に改めて伝えたいということでございます。
○小林正君 そういうことであれば、私どもとしても再度そうした手続を経て、事実として、外務省の考え方なりを事実をもって対応していきたい、このように考えます。
 次に、防衛施設庁の関係についてお尋ねしたいというふうに思います。
 県と防衛施設局との関係の中で環境評価の調査が行われて、その過程で発見されたシロウリガイ化石の調査の報告書が平成二年の三月と、それから十二月に続編というのがまとめられているわけですが、この二つの報告書の関係についてお尋ねしたいと思います。
○説明員(田中幹雄君) 防衛施設庁は、池子米軍家族住宅建設事業区域内のシロウリガイにつきまして、神奈川県と調整の上、六十三年の九月から地質学及び古生物学の専門家によりまして現地調査をいたしました。それで、平成二年三月にその調査研究の成果を報告書として取りまとめて、その過程でシロウリガイ化石層は西側丘陵地のほか建設事業区域内に広く分布している可能性が強く、この分布状況をできるだけ正確に把握する必要があるということの意見を得ましたので、専門家の指導によりボーリング調査等を開始しまして、同年の十二月に調査結果を報告書の続編として取りまとめたものでございます。
○小林正君 報告書によると、特に続編の方なんですけれども、この調査の目的について、「シロウリガイ化石層の地下での分布を確認し、地質構造との関連を検討する。」、「前報告書の段階でシロウリガイ化石層の堆積環境については、海底谷の埋積層との見解を得たが、さらに地下での岩相変化をおさえてこのことを確かめる。」、三つ目として「池子層、逗子層の新鮮なサンプルをボーリングにより採集し、微古生物学・岩石学・地球化学的研究を行う。」、四つ目は「これらの結果にもとづき化石の評価と保存についての基礎となるデータを提示する。」、こういうようなことを調査目的とされてこれが進められたわけですが、この保存の指針として、結語としてここに六項目が述べられているわけです。
 この中で、「まず、本区域のシロウリガイが現状のまま保存されれば、それが一番の対策であることは明らかであり言を要しない。」ということをまず冒頭述べているわけですね。そして二以降で、しかし工事が行われなければならなくなった場合の保存方法についてどうするかということが出ておりまして、六番目に「本区域に手がくわえられようともなかろうとも、シロウリガイ化石層の研究に対して現在とりうる最大の努力をし、さらに国民的遺産としての化石層の保存、そして後世への研究機会を残すうえで、誠実で最善の方策をとるべく常に努力することが必要である。」、こういう結びになっています。
 そして、二月八日の神奈川県環境部、教育委員会、防衛施設局等との関係で三項目にわたって保存措置についての対応がなされたわけですが、この報告書とこの三つの措置との関係について、施設庁としての見解をお願いしたいというふうに思います。
○説明員(荒木丈彦君) お答え申し上げます。
 まず、先生お尋ねのシロウリガイ化石の報告書の関係でございますけれども、これにつきましては六十二年二月の神奈川県の環境影響評価審査書におきまして、シロウリガイ化石の調査を行い、その内容を明らかにし、また保存の方法を検討するよう指摘がございました。そして、六十二年九月に神奈川県に提出いたしました環境影響予測評価書におきまして、その保存について関係機関と調整し適切な措置をとるよう努めるという評価書を提出したわけでございます。
 このような審査書並びに評価書に基づきまして、六十三年九月から先ほど申し上げましたように、地質学及び古生物学の専門家によりまして現地調査を行ったわけでございます。そして、先ほど先生お尋ねのように、平成二年三月にその調査結果をまず報告書としてまとめたわけでございますが、その過程におきまして、シロウリガイ化石層が西側丘陵部のほかに広く分布している可能性があるということから、この分布状況をできるだけ正確に把握する必要があるという意見を得まして、私ども専門家の指導によりましてさらにボーリング調査も行いまして、十二月に調査結果をまとめたところでございます。そして、先生お示しのような報告を十二月に私どもいただいたわけでございますが、この報告書、最初に申し上げました三月の報告書並びに十二月にまとまりました報告書を、私ども最初にこの調査をするきっかけになりました神奈川県に対しまして提出いたしました。そして、神奈川県環境部、県教育委員会、それに私どもと調整会議も行いまして、現地調査を含めましてシロウリガイの保存措置について協議を行ってまいったわけでございます。
 そして、その結果といたしまして、私ども西側丘陵部につきましては、今後工事の過程におきまして記録の整備を図るとともに、露頭等の削除に当たってはできるだけ大きく切り取り、学術的教育的利用に配慮するということ、そして中央ブロック、東ブロックのシロウリガイ化石露頭地とか化石埋蔵地につきましては、将来の学術研究を行う場合を考慮いたしまして、現状を保存するということにいたしたわけでございます。
 以上でございます。
○小林正君 二回に分けて報告がなされていますね。これはどういう関係になるんですか。その報告書の続編という関係になっていますね。その関係が、一部からは、何か施設局としての報告を受けてどう対応するかという関係からすると、やりにくい面が出てくるというようなことがあったんではないかというふうな指摘もされているんですが、そういった点はどうでしょうか。
○説明員(荒木丈彦君) 先生お尋ねの点につきましては、先ほども私どもから申し上げましたように、これは環境影響評価審査書並びに環境影響評価書に基づきまして調査を行っているところでございまして、まず三月にまとめました調査、その中で、専門家の方から、建設事業区域内にシロウリガイ化石が広く分布している可能性があるから、この分布状況をできるだけ正確に把握する必要がある、こういう意見をいただいておりますものですから、さらに専門家の方の指導を受けまして私ども施設内十二カ所にわたりましてボーリング調査を行い、そしてそのボーリング調査の結果も踏まえまして十二月に調査結果をまとめたというところでございます。そして、この二つの報告書をそろえまして、先ほど申し上げましたように神奈川県に提出したというところでございます。
○小林正君 報告書によりますと引き続く調査の必要ということも指摘をしているわけであります。また、逗子市の教育委員会も、事業区域内全域にわたる調査によって全容を把握をしたい、その上に立って国の天然記念物指定を望んでいるわけであります。こういう当地の状況。既に逗子市の文化財保護委員会から市の天然記念物として指定することを望むという答申も出されているわけで、こうした逗子市当局の再調査の要請というものについて防衛施設庁としてどういうふうにお考えなのか。
 この二月八日の決定については、いろんな方がいろんなことをおっしゃっているわけですが、「例えば、県文化財保護委員会に諮問し、評価を得るといった手続が一切省略されており、根本的な疑問を禁じ得ない」という指摘をされる方もありますし、全面的な再調査が必要との声もあるのに、十二月の報告そして二月の決定ですから、かなり短期的な期間の中でこれが決定されたということに対して疑問の声を述べられる人もおります。また、切り取りということなんですけれども、「百メートルぐらいのブロックで残せないと意味がないし、標本として残したものならどこにでもある。」ということであります。国民にとって大切なかっての地学現象を知る生きた証拠としてそれは意味がない、こういう言い方をする人もあります。さらには、「失礼かもしれないが、池子化石群の貴重な意味を、協議した人たちは知らないんじゃないか」といったようなことを言っているというんで、これは神奈川新聞の記事で出ている内容でございます。これらの問題についてどのようにお考えでしょうか。
○説明員(荒木丈彦君) 私ども、先ほどから申し上げておりますように、神奈川県の環境アセスというところから、審査書並びに評価書に記載されましたところから調査を行っているところでございまして、その調査に当たりました先生方につきましては、八名の方の専門家を委嘱しているわけでございます。地質学については六名、古生物学については二名という八名の専門家、日本における高度の専門家に委嘱してこれまで調査を行ってきたところでございます。
 それから、先生お尋ねのありました、神奈川県の文化財保護委員会でございましたでしょうか、この点につきましては、神奈川県の手続でございますので、私からは申し上げる立場ではないと思っております。
 それから、最初に申し上げておりますように、このような専門家によります調査、そして現地調査を行いまして、平成二年三月それから十二月に研究の成果を報告書としてまとめているところでございまして、この一連の調査研究につきましては、学際的に多方面からの検討が十分綿密に行われたものと私ども理解いたしております。
○小林正君 そういうことで、続編の中でも、冒頭言っているように、現状保存することが一番望ましいんだという指摘をされているわけです。そしてまた、県のアセスの関係で言えば、あくまで事業を行うためのアセスということですから、その調査結果がこういう形で出てきた場合、それは計画そのものについてかかわる部分というのも当然、切り取り部分なんていうのがあるからあるわけなんですけれども、それらについても、この調査結果が基本的に現状保存をすることが望ましいという立場からすれば、このことをもって計画変更という判断も一つの選択肢としてあるわけなんですね。そのことについて施設局としてはどうお考えでしょうか。
○説明員(荒木丈彦君) 先生お尋ねの報告書におきましても、「工事を行わなければならない事態になった時、」と、ほかにも「豊富に分布することは一つの救いであり、保存に対して段階的な方策を講じることが可能であることを示す。」といったような記載もされておりますけれども、いずれにいたしましてもこのシロウリガイの調査につきましては神奈川県の環境アセスということから始まったことでございまして、私どもこれを、調査報告書をそろえまして神奈川県にお示しし、そして今後の取り扱いについて御協議してきたところでございます。
○小林正君 経過としては確かにそういう手続を経てやってこられたと、それは一つの筋としては、あるいは流れとしてはそのとおりだというふうに思うんですけれども、しかし、当初こうした計画がされた時点で予期していなかったことがそこから出てきているというこの事実に着目をして、判断として、それが切り取りで保存することが意味がないという指摘もあるんですから、当然のことながらこれは埋蔵文化財の関係も含めまして、やはりそうした貴重な、失われてはならない一部として、これが破壊されないためにどうしたらいいのか。工事全体についても見直してもよいと、その判断は施設庁としてはできないんですか。
○説明員(荒木丈彦君) 先ほどの報告書におきましても、これを見ますと、「十分な露頭の調査と化石層の移転、保存がなされ、また最大の化石層の分布域であるNo.7」、ちょっと地点、数字が出てまいりますが、ここにおきましては本邦最大層の七十メートルの長さにわたりまして化石層が発見された、こういうことがございますが、この「丘陵が保存される場合には、」「本区域のシロウリガイ化石層の学術的価値をすべて失わせるものではない。」と、こういった報告の記載もございますが、いずれにいたしましてもこのような報告書を、まとまりましたものをそろえて神奈川県と御調整をしてきたわけでございます。
○小林正君 恐らく今後の問題として、こうした天然記念物の扱いについてこれから文化庁にも御質問さしていただきたいと思うんですが、そういう関係の中で、既に当該の逗子市が天然記念物指定を早急にという答申もされているという段階を踏まえますと、やはり貴重な文化財としてこれをできるだけ生の形で保存をして後世に伝える、こういう課題があるわけで、今日的な意味で選択肢は、やっぱり計画を変更する、そしてそれを守るというのが住民の意向であるし、多くの日本の国民の期待でもあろうかというふうに思うんですが、こうしたことにさかのぼって二月八日の決定について変更するという意思はございませんか。最後にお聞きします。
○説明員(荒木丈彦君) 私ども、池子米軍家族住宅につきましては、米海軍からの住宅の不足の解消という希望を受けまして私どもがこれの実施に当たっているところでございまして、シロウリガイ化石につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり神奈川県からのアセス、これに基づきまして調査を行ったところであり、その調査の結果につきましては報告書をそろえて神奈川に提出し、今後の措置について協議を行い、その保全措置を決めてきたところでございます。
○小林正君 大体同じお答えを繰り返しおっしゃっておられるので、きょうのところはそのぐらいにさせていただきましょう。結構です。
 次に、文化庁にお尋ねしたいんですが、いわゆる文化財保護法に基づく天然記念物指定について、まあいろんなケースがあるんでしょうけれども、こうした類似の場合の天然記念物指定の要件について、簡単で結構ですが、手順といいますか、お願いをしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 文化財保護法の規定によりますと、まず天然記念物に指定することができるものについて書いてございます。同法の第二条におきまして、動物とか植物とか地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いものであることがまず第一ですが、そのうち我が国の自然を記念するものとして重要なものということの規定が第六十九条第一項にあるわけでございます。
 この文化財保護法に基づきまして、文化財の保護につきましては、こういう学術上価値が高いということのまず確証があることと同時に、「関係者の所有権その他の財産権を尊重しなければならない。」ということが第四条第三項で書いてございます。特に天然記念物の場合には、そういう土地の所有者でありますとか開発の関係とかと非常にかかわりがあるわけでございますので、規定上別の条項がございまして、天然記念物等の指定に際しては、財産権を尊重するとともに、国土の開発その他の公益との調整に留意することが求められるというような規定があるわけでございます。
 このような規定を総合的な基盤といたしまして、従来、文化庁では天然記念物の指定については次のような手続でやっているわけでございます。
 まず第一に、これまでの学術的な研究の結果として、我が国の自然を記念するものとしてその価値の重要性が確立していることというのが第一の条件でございます。そして次に、天然記念物に指定して保護するということにつきまして、土地の所有者その他の権利者や公益的な事業を計画している機関などの了解が得られているものであることというのが第二点でございます。そして、第三点といたしましては、天然記念物としての将来にわたる保護を国とともに推進していくことになる関係の市町村、都道府県の教育委員会が指定について了解しているかどうかなどの要件が整っている場合に行われるわけでございます。
 通常の場合には、関係の市町村あるいは都道府県の教育委員会からの申し出によりまして、その後の文化庁としての判断に基づくいろいろな作業があるわけでございますが、簡単にということでございますので、大前提を御説明申し上げました。
○小林正君 今回のこのケースについて、そうしますと今の御説明ですと、地元なり逗子市の文化財保護委員会等の答申というものを踏まえて神奈川県というものを経由する場合、あるいは直接的という場合もあり得るかと思いますが、要件は満たしているというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) シロウリガイのことにつきましては……
○委員長(下稲葉耕吉君) ちょっと声を大きく張り上げてやってください。
○政府委員(遠山敦子君) はい。シロウリガイの化石につきましては、先生御存じのように、このシロウリガイというのは生物学的にもあるいは地質構造を解明する角度でも貴重な資料ではあるわけでございますが、学問的にはまだその価値というものについて確立されたものではなくて、どちらかといいますと最近になって注目され始めた化石であるわけでございます。そのようなことから、先ほど申しましたように、第一の条件でございます学術的な価値が確立しているかどうかということにつきまして、まだそれは十分確立していないわけでございまして、その第一段階においてまだ将来いろんな研究、調査というものが行われた上での次の手順としてお申し出があり、というふうなことになっていくのであろうと考えております。
○小林正君 確かに技術の進歩とかあるいは研究の発展ということを通して、無意味なものが意味を持ってくるということがありますし、価値があるものに変わってくるということもあるんですけれども、この問題についてはかなり学術的に既に海底移動、いわゆるプレートテクトニクスの理論から巨大地震の問題に至る一つの証拠として、三浦半島一帯の地質の問題として指摘もされてきているわけで、これらをさらに究明なり解明をしていくということ、その手がかりを与えていく上で非常に重要なものだという指摘もされているわけです。そういう点で逗子市としてもこれを重要視しているということなんですね。ですから、まだその価値が必ずしも学術的にも定説化していない、しているということではなくて、今後を展望する中でそうしたものについて失われてしまう前に保存をしていくということの意味が大きいんだろうというふうに思うわけです。
 既に、報告書の内容というのは、公式とはいわないまでも、私のお伺いしているところでは、仄聞するところでは文化庁としても既に御存じだというふうにも伺っているわけですが、その問題指摘と評価、そして二月八日の三項目の保存措置について、これとあわせて、文化庁として現時点でのお考えがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○政府委員(遠山敦子君) 防衛施設庁が環境アセスメントの手続としまして、神奈川県の当局と調整して決定されましたこれらの化石の産地の取り扱いの内容は、私どもも承知しているところでございます。これらの化石産地は天然記念物にまだ指定されていないものでございますから、文化庁として公式に発言をする中身ではないわけでございますけれども、その内容について今まで聞いておりますところから申し上げますと、調査団の調査結果、それからその意見を踏まえまして、防衛施設庁が神奈川県の関係部局と十分協議、調整して決定したものと聞いております。そして、その調査のやり方につきましては、関係の学界のすぐれた研究者を構成員とされまして、大変綿密に十分な調査をもっておやりになったというふうに考えております。
 そして、その後そこをどうするかということについての防衛施設庁等の御判断では、三カ所の化石の露頭箇所があるわけでございますけれども、そのうち二カ所につきましては現状のまま保存されるということでございます。さらに、これらの化石の露頭の土地のほかにも、地下にはその包含層が豊富に存在するということが確認されているようでございます。
 現状保存ができないという西側の丘陵地にある露頭地につきましても、関係分野の研究者による調査を行いながら、可能な限り大きなブロックで切り取る、そして保存をするということでございますので、文化庁としましても、この取り扱いの方針等につきましては妥当なものと考えているところでございます。
○小林正君 ちょっと今の結論の部分が聞こえなかったんですが、もう一回お願いします。
○政府委員(遠山敦子君) 先ほど来申しましたような報告書の内容については、文化庁としては妥当な内容と考えております。
○小林正君 報告書というか、県と施設局の間の三点にわたる保存措置、概要、そのことについて妥当だとお考えだという意味ですか。
○政府委員(遠山敦子君) 防衛施設庁が定めております池子米軍住宅建設予定地のうちのシロウリガイ化石の産地の取り扱いについての意見でございます。
○小林正君 実は、この件については、池子シロウリガイ化石群を国の天然記念物に指定することを求める署名ということで、文部大臣のところにも要請署名が集中しているというふうに思います。また、文化庁というのはやっぱり文化行政の最高の責任ある立場として、こうした地元の要請等を受けて、現時点で文化庁として主体的にこの問題について調査を行う意思があるかどうか。特に、今までの報告というのが、いわゆる県のアセスメント条例に基づく言ってみれば事業アセス、事業を進めるという前提に立ってアセスメントが行われるという関係の調査が行われたわけですね。ということではなくて、あくまでも純粋学術的な見地に立って、こうした地元なり学者の多くの方からの御指摘もあるわけですから、そうした立場から文化庁として主体的に独自の調査といったようなものを行うお考えがあるかどうか、お聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) シロウリガイの化石あるいはその産地につきましては、今全国的には新潟県の松代町あるいは愛知県の南知多町等全国二十四カ所から産出が報告されているところでございます。まだしかし全体的に、全国的な状況は把握できていないものでございます。また、先ほど来申しておりますように、シロウリガイの持つ学術的な意味につきまして学界から着目されてからまだ日が浅いわけでございまして、まだ学問的に未解明の部分が非常に大きいわけでございます。
 文化庁として独自に調査するかどうかというお話でございますけれども、これまで池子米軍住宅建設予定地において行われております調査そのものは、専門家の英知を集めまして綿密な調査が行われていると考えておりまして、現在の段階で文化庁が独自に調査ということは考えていないところでございます。
○小林正君 現時点では考えていないというふうな御回答として承っておきたいと思います。
 私は、冒頭申し上げましたように、やはり緑とか自然、文化、こういうものについて、そのときの都合で破壊をしてしまいますともとには戻らないという苦い経験を私たちは持っているわけであります。
 実は、このことにつきまして、数年前ですけれども、朝日イブニングニュースという夕刊紙の投書欄、「ボイス」というのがあるんですが、そこに米軍家族の投書が載っておりまして、逗子の人たちが池子に米軍住宅をつくることに反対をされている理由、それはよくわかると。その理由は、私たちにとってはそこに住むのは一時的で一過性のものだ、しかし逗子の人たちにとっては住んでいるところの緑や自然というものは子や孫にまで伝わっていく、そういうことを考えればやはり反対をされる気持ちはよく理解できると、当該の米軍の家族の方がそういう投書をされているのを読んだことがあるわけです。
 そういう点で考えてみますと、今一時的な問題として、そしてさらには日米安全保障条約が冷戦構造以降の経過の中で言えば新たな段階を迎えた今日、こういう形で貴重な自然なり文化というものが失われていくということは、選択の問題として、国を守る、国土を守る、そして文化を守る、自然を守る、いろんな選択肢があろうかと思いますが、そういうことの中で、二十一世紀を担う子供たちに本当にそうしたものを貴重なものとしてバトンタッチできるかどうかということが今求められているわけで、その一つの焦点化した場所が池子の米軍住宅地だというふうに私は思います。そういう意味であえてこの場で御質問をさせていただきました。
 ありがとうございました。
○会田長栄君 会田であります。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、文部大臣、就任まことにおめでとうございます。二十一世紀の主役を務める子供たちのために、御健闘を祈念申し上げます。また、前文部大臣を含め、文部省一丸となって長年の懸案でありました教職員定数改善十二カ年計画というものを平成三年度で達成できたこと、そしてとりわけここ五年間、まことに学校現場の事務職員、栄養職員が年ごとに不安に駆られていた義務教育国庫負担除外の問題、そして私学振興費の増額の問題等、文部省一丸になって取り組まれて今日の平成三年度予算になったということについての御努力に対し、敬意を表する次第でございます。今後ともなお一層の御努力をまずお願いする次第でございます。
 さて、私は、一昨日の文部大臣の所信表明、そして平成三年度文部省所管予算概要説明に対しまして、文部大臣並びに関係局長に幾つかの点について御質問申し上げます。
 その第一は、文部大臣から所信の一端を聞きました。とりわけ、一月二十五日に、文部大臣に就任されて文部大臣としての抱負というものをマスコミ等で述べられて、国民の前に明らかにされたことは事実であります。そこで、文部大臣がこの抱負の中で第一に取り上げていたのは、二十一世紀を目指しての教育の課題は多々ありますが、とりわけ第一に私学の振興を図りたい、こういうことを申されまして、この点については、私も私学の振興という問題については賛成でございます。しかし、この私学振興を推進しなければいけないというその中身の背景なり、あるいは当面の問題点なり、そして具体的に文部大臣が今日の私学をめぐる状況の中で何をなさろうとしていて私学振興を第一に掲げたいとしたのか、その中身なども含めてひとつ御所見を伺いたいものと思います。
○国務大臣(井上裕君) まず最初に、大変ありがたいお言葉をちょうだいして恐縮でございます。
 私も実は十余年間、私学のことを一生懸命先生方と一緒にやらしていただきまして、厳しい財政の中で今回の五兆五百五十九億四千四百万の中で、私学予算、大学教育が二千五百六十億、高校教育七百九十九億、また八十二億、そして二十一億、それぞれ大学の装置、設備。新たに高校の方の四億というようなこと。確かに伸び率は少ないですが、そういう中で新しい問題の私学、今までこの私学は、特に高等教育の中におきまして八〇%、正式には七八%ですが、さらにまた高等学校教育におきましても二七から二八、そして幼稚園教育が八〇%という中で、それぞれ自主的な建学の精神のもとに今日の日本の教育を支えてきた。そういう意味において私はやはり私学の重要性、そういうものもあわせて考えていきたい。特に今度、人口減によります過疎地帯の私学、そういうものも含めて私なりにやはり私学の今後の育成、また許された財政事情の中で私学問題に取り組んでまいりたい、このように考えます。
○会田長栄君 二つ目の問題は、中教審に絡む問題でありますが、これは後ほど具体的に中身をお尋ねしたいと、こう思います。
 そこで、この私学助成に限ってお尋ねいたしますが、限られた予算の中でというのが実は問題でありまして、その点についてもっと積極的な所見というものをいただけるものと期待しておりました。
 御承知のとおり、日本は日米構造協議の中で四百三十兆円の公共投資という問題が出てまいりまして、この公共投資四百三十兆円の中に、いわゆる教育、文化、学術、スポーツ、こういうものを含めまして、大臣として積極的にこの四百三十兆円に切り込む姿勢がありや否やということを本当は聞きたかったわけでありますが、その点についてひとつ。
○国務大臣(井上裕君) さっきちょっと数字を挙げて申しましたが、わずか三十九億といいますか、これは御案内のようにこの補助金、概算要求基準でマイナスになって一〇%切られておりますから、正式には二百九十一億円の増になっておる、こういう考えをいたしております。
 しかし、いろいろな面の文部省全体の国におけるシェア、その中で非常に私学が、私ども本当に申しわけないという感じはいたします。この間、実は私学団体連合会の西原会長は非常にいいことを言っていただきました。それは、私どもは文部省の予算から私学だけいただくということでなく、文部省全体をひとつ何とか上げてくれ、そして私学も上げてくれと、大変ありがたい言葉をいただいたんですが、それについてひとつ一生懸命私なりに努力をいたしたい、このように考えております。
○会田長栄君 これは昭和四十五年に初めて百三十二億円の私学に対する経常費補助というのが閣議で決定をされて、五年後に私立学校振興助成法というのが議員立法で制定されて今日まできています。だから、年々恒常的に私学の振興に役立てるようにこの助成費というのがふえてくれれば、私学関係者にとっても日本の教育にとっても問題は非常に解消されるわけでありますが、昭和五十五年度をピークにしてまた下がってきています。これはもう大臣、御承知でしょう。したがって、今日の根元になっている第二次臨時行政調査会が国の財政再建のためということを答申して以来、非常に助成費が下がりっぱなしであります。どこまで下がるか、ここが大きな節目になって、昨年から関心を持ってきたところであります。しかし、実際にこの種の問題は、議員立法が出て国会の附帯決議があるわけでありますから、このことを目標にしてやらなければいけないと、こう思っているわけであります。その点私も遺憾だと思っています。しかし、第二次臨調の答申が出て以来、なかなかこういう傾向になっていません。
 そこで、大臣が就任して第一に掲げた以上、このことを目標にしてどうしても私は取り組んでほしい、こう思うわけでありますから、御所見を承ります。
○国務大臣(井上裕君) 今申し上げましたとおり、私学の振興というのはもう本当に私ども長年の、私学振興助成法ができましてずっと今日まで、ほとんど文教委員の方々は党派を超えて一生懸命やっていただいた。そういう中で私もそれを掲げていたわけでございますから、私なりにできるだけのひとつ努力をいたしたい、このように考えております。
○会田長栄君 これはもう局長にお伺いしますけれども、議員立法で私学振興助成法というのが制定される時代背景というのは何でございましたでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 大学といたしまして国公私立三つのタイプの学校があることは御承知のとおりでございます。その中におきまして、私立大学が果たしている役割は量的にも質的にも大変大きい。しかるに、その教育条件、研究条件その他が大変劣悪なものであったということ。これは、我が国の高等教育全体の八割を占める私立でございますから、これをこのまま放置しては我が国の高等教育の水準そのものが大変なことになるということからこういった法律ができまして、教育研究水準において早く国公立に追いつかせるように、そういった配慮、背景があってこういった立法がなされたと理解しております。
○会田長栄君 本来であればもっとわかりやすく聞きたかったんです。この昭和三十年代というのは高度経済成長期でありましたね。学生の急増期でありました。同時に大学も設備投資に大変金がかかりました。学費の値上げというものが大きな問題になりました。これが学園紛争の出発点ではなかったんですか。
○政府委員(逸見博昌君) そういったことも大きな背景にあったことは承知をいたしております。
○会田長栄君 そういったこともと言うけれども、これが一番大事じゃなかったんですかと私は聞いているんですよ。したがって、政府の私学助成にかかわる、私学振興にかかわる問題ではなくて、議員立法という形でここに法律を制定していったという過程があるんです。今日の私立大学、私立高等学校、中学校含めまして、これは似たような状況になっていませんか。お伺いします。
○政府委員(逸見博昌君) 似たような状況というのが、授業料が高くて大変な状況にあるというふうなことで受けとめさせていただくといたしますと、例えば大学等におきます授業料、これはこの補助金制度を始めます前、大変な格差があったわけでございます。五倍近かったと思っております。これは現在では大学等におきましては一・九倍、二倍を切るというところにまで至っております。高等学校以下におきましてはまだ格差は少しございますけれども、そういったことでこの補助金の成果も、先生がおっしゃいました学園紛争の種になった授業料の大変な値上げ問題、こういったことにもこの補助金が徐々にではございますが浸透していきまして、鎮静化に向かわしている、こういった実態もあることを御承知賜りたいと思います。
○会田長栄君 それでは、私学の経営状況、財政状況というものを幾つかの視点で教えていただけませんか。どのような傾向になっているか。
○政府委員(逸見博昌君) これは、現在、私学助成を行います私どもの基本的な立場でございますけれども、国公立大学と比べて一体どういう状況にあるかということをまず把握いたしております。
 例えば申し上げますと、初年度学生納付金では、先ほど申し上げました一・九倍でございます。それから教員一人当たりの学生数、現在二・六倍、学生一人当たりの経費が国立に対して六四%である、学生一人当たりの校舎面積が五二%である等々幾つか指標をつかまえておりまして、こういった状況でございますから、まだまだ私学の財政状況は国公立と同じような水準で教育研究を行うには不足しておるというふうな状況でございますので、私ども、先ほど大臣がお答えいたしましたとおり最重点課題の一つとして私学助成に取り組んでいるところでございます。
○会田長栄君 ところで、これは文部大臣も所信表明、抱負の中で、日本の教育、二十一世紀を目指して公立、私立の役割はまことに大きい、とりわけ私立の教育に果たしている役割は量的にも大きいということを指摘して、振興を図らなければいけないということを力説しています。
 そこで、御質問申し上げます、局長。
 日本の大学というのは幾つあって、そのうち私立大学は幾つで、パーセンテージにすれば国立公立対私立大学はどのような比率になっておりますか。
○政府委員(逸見博昌君) まず学校数で申し上げますと、大学では、私学が三百七十二校ございまして、これが七三・四%を占めております。それから短期大学について申し上げますと、四百九十八校でございまして八四%を占めております。そういったことで、これでは全体の中におきます私学の比率だけが出ておりますので、今直ちに国立公立が全体の中で何%を占めるかちょっと計算しておりません。
 以上でよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(井上裕君) 全体で大学が五百七校、短大が五百九十三です。その中でです。
○会田長栄君 端の数を捨てると、もう八〇%がこの私立大学に日本の教育というのは依拠しているということになりましょう。したがって、議員立法でこの私学振興助成法が制定された当時というのと今日の状態というのは、実際は学費、入学金などを含めまして状況が似てきているんですね、いわゆる国立大学、公立大学に必要な父母負担というのは。そして、私立大学に通わせている父母負担というものの割合からいくと、まことに昭和三十年代に似ている。
 こういうときに、文部省自身が実は私学振興助成費を増額すると言っても、必ず公共施設などを含めて文部省の予算を減額をして私学助成に回すという傾向があるんです。これでは、日本の二十一世紀を目指す教育というものの財政的基盤を整備していくという視点にはどうしても立たないと私は思うものだから、その点を含めまして、文部大臣が私学振興を第一に充実していきたい、振興を図りたいと言うからには、国の財政要求に対してどうも教育には金をかけたくないというのが大蔵省のようでございますから、これに金をかけなければ世界に共通する日本人を育成することはできない、国際的に指導するその役割を担う日本人の教育はできない、こういう視点に立ってひとつ次年度の予算編成に向けて努力してもらえないかという点について御所見を伺います。
○国務大臣(井上裕君) いや先生、お言葉を返すようですが、大蔵省もそれなりに今一生懸命やっていただいていると思います。かつては私も大蔵政務次官をやりましたので、その中で確かに文部省全体の中のいろいろな公立学校の施設整備、そういうものも私学に入れているという中で、それぞれ一生懸命努力をしているわけでありますから、先ほど申し上げましたように、世界の中で資源の乏しい日本の国がこれだけ成長発展したということは教育であろう、こういうように私は思っております。
 そういう中で、西原前総長のように、私学だけでなく文部省の予算から私学をということを、分け前ということじゃなくて文部省予算全体をひとつ上げていただいて私学も上げていただくと。大変私も感銘を受けたものですから、そういう中で八月概算要求に向かって今からひとつ各局長、また審議官、そしていろいろ課長を督励して、ぜひともひとつ幾らかでも御期待に沿いたい、このように私は感じております。これはやはり人間ですからできることとできないこととありますから、私なりにひとつ努力をいたしたい、このように考えております。
○会田長栄君 長年の文教のベテランでありますから細かいことを申し上げなくたって百も承知だと思います。先ほど申し上げたとおり、四百三十兆円の公共投資の枠の中に教育、学術、文化、スポーツなどを含めましてひとつ積極的に働きかけをして取り組んでほしいということを申し上げて、この私学助成問題は終わります。どうぞよろしくお願いします。
 第二の問題は、教職員の定数改善計画の見通しの問題であります。
 これは冒頭申し上げたとおり、義務制の第五次教職員定数改善計画などにつきましては、大臣折衝までやっていただいて十二カ年計画というのを完成させていただきました。その点については敬意を表します。
 しかし、一方振り返りまして、教育条件整備をする際に何といっても大事なのは、これは文部省の予算の大部分が人件費でありますとおり、教職員の定数改善計画というのはどうしても必要になってくる。十二カ年計画、やれやれよかった、うまくいったといっても、国際的な比較と関連をいたしましてこれは一年でも休むわけにはまいらないだろう、こういう視点に立ちまして、一体平成四年度以降の教職員の定数改善計画というものはどのような見通しを持って今日取り組まれているのかという問題についてお伺いいたします。
○国務大臣(井上裕君) 今先生おっしゃった、昭和五十五年から私どもの悲願でありました四十人学級が、平成三年度の予算を通していただければ完成する、早く通していただきたいんですが、こういうわけでございますが、すぐ私どもそれに向かって次の問題を考えなくちゃならない、このように考えております。もう二千七百万という調査費もついておりますし。
 さりとて、じゃ四十人学級すべてこうかというと、過密都市におきましてはそのようなところでありますが、しかし過疎地帯に行くと二十六あるいは二十一というようなところもありまして、これはやはり調査して、将来は必ずこれは西欧並みにやらなくちゃならないと思いますが、さて来年何人にしろということはやはり調査を、今まで十二年かかってやっと四十人学級に皆さんのお力でしたわけですから、私は、文部省の難しい言葉が書いてありますが、そういうものより私自身今考えて、調査費をつけていただきましたので、そういう中で地域のいろいろな配分、またその地域の状態、そしてまた学級関係、そういうものをすべて見比べてそのようにもっていかなくちゃならないのかなと。
 さて、すぐ来年概算要求で何人にしろということは、ちょっと私、さっき言ったように、正直ですからできることとできないこととありますから、なかなか難しい。しかし、今先生おっしゃるような状態には向かって、二千七百万という調査費をつけたわけですから、そういうことで文部省としては調査をいたしたい、そのように考えております。
○会田長栄君 かつて教職員の定数改善計画というのは昭和五十四年度に一度お休みになった年があります。この年は児童生徒急増期でありました。しかし、今日の現況から言えば、平成四年度一年空白にするなどということは、これは父母や国民の願いにこたえるものではない。四十人学級ができた、いよいよ一人一人の子供に行き届いた教育のできるように今度はできるんではないのかという期待が大きいわけであります。
 そこに関連をして実は聞くわけでありますが、この平成三年度文部省予算の中に標準法実施に関する臨時調査費というのが、今大臣が申されたとおり、あります。しかし、文部省は既に教育指標の国際比較ということで平成二年度、日本の教育と主要外国の教育の比較表を出して詳細に調査結果がまとまっているようであります。これを整理統合すれば済む話なんだなと私は思う。よくまとまっています。よく海部内閣が国際協調、連携、連帯、そして国際的にもリードする人材の育成ということを言います。したがって、この時期に国際比較を見て日本の教育というものも行き届いた教育のできるように一学級当たりの児童数というのを次の第六次に早期に着手をしてやるべきだという条件が整っている、こう見ているんですがいかがなものでしょう。
○政府委員(菴谷利夫君) 先生が今御指摘になりました国際比較も、文部省では外国の実態を、これは主として文献でございますが、わかる範囲で調べております。それによりますと、いろんな学級編制基準あるいは教員一人当たりの子供の数等現在わかっておる段階では、いわゆる先進国と言われている国は日本と比べて若干進んでおります。そういう点は大いに参考にして過去にも改善をしてきましたし、今後とも一つのよりどころになると思います。
 いずれにしましても、先ほど御指摘のありました調査費につきましては、十二年かかって、大分先生方も我々もいろいろ努力して苦労してようやく完成したわけでございまして、それについて完成時点において各市町村まで当てはめて一体どういう実態になっておるか、それから今後教職員定数のあり方を考える場合にどういうふうな児童の推移が現実の現場、学校や市町村に当てはめて考えたら将来どうなるか、そういうことをいろいろと基礎的に調査をしまして、そして慎重に検討していきたいという姿勢であります。
 したがって、外国における基準があるからすぐ次は何人にするとかいうことをやりましても、計数がなかなか出てこないということもございまして、調査が必要だということでございます。
○会田長栄君 文部省は、毎年何百人という方を海外研修に派遣をしているという状況ですね。もう何十年にもなります、派遣してから。同時に、もろもろの資料を実地に調査をいたしましてこういうものをまとめられている。こういうものを総括すれば、今後日本の一学級当たりの子供の数というものはどこを目指していけば先進主要国の水準に達するのかというのは、私はもうおわかりになると思うんですよ。わかっているが何となく、先ほどから出てきますが、本来であれば大蔵大臣と教育論議やりたいぐらいなんですけれども、もう十二カ年計画というのも本来であれば子供らが減ってくるんだからこの機会に二、三年延ばしてもいいんじゃないかと、第五次計画を。そういう中にあって、文部省一丸になって標準法、法律でありますから何としてもやってほしいというところで、その努力が実ったと思うんです。
 私でなくても、子供が減れば先生減るのが普通ではないのかなと、こう思うでしょう。そういうことを言いたくなると思うんですよ、大蔵大臣は。しかし、言いたくなるけれども、一面でどうしてもやっぱり国際理解とか国際協調とか連帯とか、国連中心の指導的役割を日本人が果たすような人材を育成したいというなら、やっぱり国際比較をしてその水準に一日も早く到達できるようにしていかなきゃいけないと私は思っているからこの質問をしているんですよ。
 したがいまして、どうぞこの臨時調査費に基づきまして概算要求の時期、八月のようでありますから、この間まことに短い日時しかございません。総力を挙げて今日までの調査の総結集を図って新たな計画をしてほしい、こう思うわけでありますから、大臣の決意のほどをお聞きしたい。
○国務大臣(井上裕君) 先ほど申し上げましたが、この問題は学級編制及び教職員配置の状況、また児童生徒の推移等、こういう調査をいたしますので、今先生おっしゃるようにすべてがそういうような方向で向かっておりますが、さてこれをそれまでできるかという形になりますと、四十人学級をやったのが十二年かかっておりますから、我々なりに一生懸命努力をいたしたい、このように考えております。
○会田長栄君 それでは方向を変えて、現場の実態から関連をしてお聞きをしますよ。
 今、国際的な理解、連帯、そして指導的な役割というところで、教育課程では中学校の外国語、とりわけ英語の時間は最低限三時間でしょう。週三時間なんですよ。ところが、そういう指導、助言のもとに今全国の各自治体は、三時間ではどうも履修できない。そこで、一時間ふやして四時間にするというふうに動いているんですよ。
 ところが、昨年まで三時間できて、ことしから四時間にしますよと言ったって、そんなに簡単に英語の先生充当できるわけがない。今まさに全国の各農村地域における中学校、この一時間ふえたために英語の教員をどう補充するかというのでてんやわんやでしょう。それ御承知ですか。
○政府委員(菴谷利夫君) 例を今英語で先生おっしゃっていますが、中学校の英語について触れてみますと、おっしゃるとおり、選択教科の範囲の一つですが、大部分の中学校では英語をとっている、こういう実態でございます。そしてその選択教科の一週間における時間配分でございますが、従来三時間の授業、これを選択教科としては三ないし四時間に拡大といいますか、変えるという方向が出されておりまして、平成五年の中学校の指導要領から全面実施される、そういう構えでございます。それで、この指導要領の告示でございますが、平成元年三月に告示をしまして、そういうふうにシフトしていくという予告をし、かつ各都道府県等にいろいろ伝達し指導してまいっております。
 そこで、平成五年までですから、言いますと四年くらいございまして、各市町村、都道府県等のいろんな考え方で、この三時間から三ないし四時間にしたものをどうしていくかということはそれぞれで考えておられるわけですが、それに即して、もし英語をふやしていくということがかなり多ければ、そういう先生を足りなければふやすということはもちろん先生のおっしゃるとおり必要でございます。それについては、一週間の授業時数は従来どおり全体で週三十時間は変わっていないということから、担当する先生全体の数は同じでいいと思うんでございますが、どういう教科を担当する先生をどういう比率にするか、これは大ざっぱに言えば四十七都道府県でそれぞれでまずは考えていただいてということで我々は期待しておりまして、平成元年三月以降そういう取り組みでやっていただいているものと思っているわけでございます。
○会田長栄君 私が今の例を挙げたのは、いわゆる教職員定数改善計画というのはやっぱり中長期的に見ても休むことなく次々と水準を上げるために計画を作成していかなければいけないんだということを言いたくて例を出したんですよ。実際に困っているんです。困ったときには臨時免許状を出してやれ、こういうことなんでしょう。それは格差がますます広がるだけであります。だから、単年度でそのような変更をしようとすれば必ず現場に無理が出る。したがって、教職員定数改善計画のようなものはもう中長期的に目安をつくってやっていかないと、いわゆる教員の採用問題と絡んで非常に難しい現実が出てきます。したがって、どうしても私心配しているから、平成四年度お休みになってしまうんでないかなと。お休みにはしていきませんよと。どうぞその点は、新たな決意で平成四年度から改善計画を新しく策定して出発してほしいという願いがあるからこういう申し上げをしているんです。どうぞよろしくお願いしますよ。
 それで、その次に文部大臣にお伺いしたいのは、この点は私も賛成なんです、この抱負は。昔一緒に遊んでくれた先生は忘れない。それは忙しい教員もいるけれども、気の持ちようだというところがちょっと違う。ちょっと違うんですよ。前半は賛成なんです。ところが、大臣も御承知のとおり、こういう雰囲気が学校にあったころというのは昭和三十一年までなんですね。三十三年以降というのは、そういう雰囲気が徐々に減ってきたんです。それで、文部大臣が、そんな理屈ばかり並べてないで気持ちさえ変えれば結構差し支えないんだぞと、子供は忘れないで遊ぶよと、こう言っている。この前半の言葉というのは、私はもう先生である限りどなたもノーと言わないです。みんな賛成ですよ。そうだと、こうなります。しかし、後段の気の持ちようだけでは、ちょっとここへ来ると幾つかの方法が出てまいります。気の持ちようで何とか遊べるというのもいるだろうし、それは無理したら自分はどうにもならぬというのも出てくるだろうし、一々そんな子供と遊んでいることなんかないんだというのもいるだろうし、いろいろ出てくるだろうと思う。
 そこで私は、文部大臣がこんな新鮮な発想、抱負を持っているわけでありますから、昭和三十年代の後半から今日まで続けているところの学校現場の実態の状況というものをもう少し関係各局の皆さんが率直に大臣に申し上げてほしい。私は前回、昨年も大臣に申し上げました。一つは、今の学校の研修体制というのは並み大抵な日程ではございませんよ。教員の資質向上、これも反対する人はいないんであります。だけれども、資質向上として文部省がここ二十年やってきたことについて、もうちょっと考え直してみませんかということにならぬと、この言葉にはつながらないんです。
 一例を言います。文部省は研究指定校というのをつくります。文部省が各県に一つ研究指定校をつくる。大体各県教委当て一つずつつくる。多いところで二つある。この一つか二つだと思っているんですね。ところが、この方式を実は各都道府県教育委員会はいいことだというんで、よしこの方式をとろうといって、今度は一つが十五になるんです。十五になるんですよ。これは十五のところもあるし、十のところもあるし、二十のところもある。ところが、この二十を今度はいいことにして、市町村教育委員会がまたふやすんですよ。
 これだけじゃとどまらないんです。小中学校の、高校も含めてですが、昔は自主的な教育研究団体というのがあったんです。ところが、小学校教育研究会、中学校教育研究会、高校教育研究会に整理統合して各自主的な研究団体はやった方がいいといって、文部省が指導して出発したんですね。出発した当初は、初中局長いわく、この団体は自主的、創造的で、結成するも解散するも、あるいは中身をどのようなものを研究しようとも、先生方の御自由でございますと。そして結成したんです。
 今、どうなっていますか。もうこの研究会も、研究指定校をつくってすべての実践研究をやってもらって発表していただきましょうというところまで発展してきている。綱の目のようにこの研究指定校があるんですよ。そして、研究報告まである。これは一例ですよ、これは研究指定校というシステムの中でどう現場がなっているかという一例です。
 長くなるからこの辺で質問申し上げますが、こういう指導というものについて一度皮をむいて、文部大臣がおっしゃっているように、先生方が子供と一緒になって遊んで、一生忘れられないようなお互いの関係をともに育つ関係にしていきましょうという状況のゆとりある学校、潤いのある学校、お互いに切磋琢磨する環境のある学校に育てていくために、私は、振り返ってみる必要があるのではないですかということなんです。そうでないとゆとりも潤いもないですよ。だから、文部省の言う一言というのはそのように波及するということなんです。恐らく今度は、文部大臣が抱負を語って発しましたから、これがだんだん職場に行ってもっと活発になるでございましょう。そういう意味で、これはどうか一度、一昨年文部省が今日の子供や学校現場におけるもろもろの困難な状況、課題というものを教育白書で発表しましたから、それをもう一歩深みにはまってひとつ分析してみて発想の転換をしてもらいたい。そういう気持ちがありますかということをお聞きしたい。
○国務大臣(井上裕君) 非常に難しい質問でありまして、研究指定校のことは専門的なことになりますから局長に御答弁願おうと思いますが、私はこの間ちょっと新聞だか本で読んだんですが、教育というのはそれぞれ一人一人の子供にそのそれぞれの花を咲かせればいい、その花が小さくても目立たなくてもいいんじゃないか、それが私は教育だと。それは、長い間教員をやって、そしてその子供たちに教えられ、家族にも教えられたと。そういう一節を見たんですが、まさに私はその教員がおっしゃるとおりの言葉であろうと思います。
 専門的な研究指定校、私は不勉強でよくわかりませんが、その問題は、この間もちょっとインタビューで言ったように、私は昔教わった先生の夢を見る。やはりそういう先生方ですね。今、学校の潤いのある教育、それが豊かな日本を形成したわけですから、そういう点ではやはり先生の言われるとおりにやりたい、このように思っておりますが、細部のいわゆる専門的なことは局長から御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 研究指定校に限って申し上げますと、御指摘のように、文部省はそんなにたくさん指定をしているわけではございません。これはカリキュラムの改善のためのデータを得るとか、学校五日制について考えるためにその実践をやっていただくとか、そういうことでいろいろな目的を持ってお願いをしているわけでございます。その後、都道府県ないし市町村でそれぞれまた研究指定校を設けられている例は私どもも承知しております。承知しておりますが、これはあくまでも都道府県ないしは市町村の自主的な御判断で設けられるものでございます。さらに、その教科の研究団体が設けられますのは、まさにこれはもうその団体で御判断なさることでございまして、それぞれ日本の教育をよくしようという観点から御指定になっていらっしゃるものだと思います。
 学校教育にゆとりを持たせるということは私どもも同じ考えでございまして、昭和五十年代の教育課程の改訂、さらにはこのたびの教育課程の改訂におきましても、ゆとりとか充実とかそういうことは一番の重要な課題というふうに受けとめて改訂をしているわけでございます。
 また、先ほど切磋琢磨も大事だとおっしゃいましたが、研究指定校などでは、まさに一つの目的を持って全教師が挙げて切磋琢磨をなさるという観点からも、相当な成果を上げている例が多く報告されているということを付言させていただきます。
○会田長栄君 私は、文部大臣が抱負の中で、昔を振り返って、子供と一緒に遊んだ先生は一生忘れられないということを言われたので一例を示したんですよ。それでは今の先生は子供となんか遊ばないというのかというと、そうじゃないですよ。できる限り遊ぼうと心がけているが、なかなかできない環境の中に追い込まれているということもこの機会に忘れないでほしいということなんですよ。
 だから、一つ一つ、できる限り子供と先生が一緒になるということを中心にして整理してみるという気持ちを持ってほしいから申し上げたんです。そういうことでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。気持ちの持ちようだなんて言ったら、弱い先生はもうみんななくなってしまう、それぐらい厳しい環境にいますよ。国会議員も忙しいけれども、土曜日も日曜日もないから。しかし、今の教職員も似たようなものですよ。中にはそれは日曜やっている先生もいますけれども、余り幅が広くて。そういう状況です。そういう点でひとつ心がけてみて、洗い直してみたらどうですかという意見でございます。
 では、次に移ります。
 次の問題は、在日外国人教員採用で教員の国籍条項を廃止し、そして身分の安定や待遇について配慮する問題について具体的にお聞きします。二つだけ教えてください。
 一つは、非常勤講師としての採用の道を開くということでございますから、身分の安定や待遇といったことがどのように一体配慮されるのか、この機会に聞かせてください。
○政府委員(菴谷利夫君) お尋ねの在日外国人の問題でございますが、これも先生御承知のとおり、一月十日に日本と韓国の大統領及び首相の間で話し合いが行われて、さらに両国外務大臣のいわゆる覚書でもって決着をした内容からスタートしているわけでございますが、従来公立の学校の教員に外国人がなりたいという場合には非常勤講師ないしは助教諭という制度がありますけれども、そこまでということが方針でございまして、各県もそれに即してやっておる。それで、この日韓の交渉の過程で、いわゆる身分が保障され待遇も安定した教員になりたい、こういう韓国側からの在日韓国人の方々への要望でございまして、それを受けていろいろな折衝を行ったわけでございますが、今言いました一月十日における覚書に基づいて、今後これから申し上げますような内容にしましょうということで決着したわけでございます。
 その第一点は、先生おっしゃった身分の保障でございます。身分の保障といいますと、非常勤ではやはり暮らせないということもありますので、いわゆる常勤の講師に採用いたしましょうと。常勤といっても、期限がついていますといつやめるかわかりませんので、いわゆる通常の人が定年まで勤められる、そういう期限をつけない常勤の講師に、もちろん採用試験に受かった方についての話ですが、採用しましょうと。そうしますと、当然給与体系上通常の給与が出るわけですが、それについてもできるだけ改善をしていきましょう、こういう内容で話がついたわけでございます。
 このことについては、日韓の問題として話し合われたわけでございますが、いわゆる日本に住んでいる外国人ということでは一般的に敷衍できることですので、そういうふうにしたいということで、現在その方向で通知をするための準備をしているわけでございます。
○会田長栄君 私は、これは内閣総理大臣と韓国の盧泰愚大統領との確認でございますから、しかし身分の安定や待遇についても配慮するという、こういうことまで言ってきたら、もっとわかりやすくしておかなけりゃ大変なんだなと、またこれ国際的に。実際に常勤の講師、こう言っても期限つきでしょう。ところが、それは期限つきでないと。しかし、期限つきでない講師というものは、今度は給与体系ですよね。
 そうすると、給与体系でいけば、新たな給与体系をつくるんですか、それとも今の助教諭の給与体系にするんですか、それとも期限のつかない常勤講師の給与体系というのは別につくるんですか。そこだけちょっと教えてください。
○政府委員(菴谷利夫君) 給与に関しましては、御承知のように公立の場合には国に準じてやるということから、国というのは国立の学校の同種の教員に準じて決めますということからできているのは御承知のとおりでございます。
 それで、高等学校が教育職の(二)、それから小中学校が教育職の(三)、給与法で通常の先生はそういう格付をされておりますが、それと同じ表を使って講師に該当するところで運用していく、こういうことでございますが、それについても今後いろいろ検討してできるだけの改善を図りたいと文部省では思っているわけでございます。
○会田長栄君 社会保障関係のやつもそれに準じて適用させるんですか。
○政府委員(菴谷利夫君) 社会保障が外国人としてどのように適用されるか、これは実は余り詳しく精査しておりませんし、多分厚生省関係の問題だと思っておりますが、今のところそれについて日韓でがちゃがちゃと交渉があったということは聞いていないわけでございます。
○会田長栄君 これは厚生省管轄と言ったんですか、今。
○政府委員(菴谷利夫君) 社会保障という概念ではそういうふうになると思います。
○会田長栄君 これはやっぱり、教員に採用される種類は別にして、教員に準じてそういう社会保障関係も準ずるとやらなけりゃ、幾ら常勤講師で先生に採用されたってそれは身分が不安定ですよ。じゃちょっとやってみようかというような人が今先生になろうとしているんじゃないんですね。本気になって先生という、教師という職業を選んでいこうという人たちの門を開いたわけでありますから、どうぞその点よろしくお願いします。
 最後でありますが、前回の委員会で同僚の小林委員から、朝鮮学校などが日本の公式大会に参加する問題についてございまして、その後御努力によって、一昨日、高野連が朝鮮学校などの参加を正式に決めました。その点ではまことに御苦労さんでございました。
 そこでお伺いいたしますが、野球だけでなくてその他の高校生の競技、中学生の競技なども含めて今後検討する、助言をするお考えありや否や、お伺いいたします。
○国務大臣(井上裕君) これはもう先生一番御存じのように、各団体が主催する大会、これはやはり時代の流れを踏まえつつ各団体において自主的に判断していただく、そういう問題であると思います。
 今回の日本高等学校野球連盟が決定した特別措置も、まだ文部省は報告いただいておりません。きょうあたりいただくかどうかわかりませんが、これも高野連において自主的に判断された一つでございますので、文部省がこうやれとか助言というものでなく、自主的にその団体が判断してやっていただく、そういうことでございます。
○会田長栄君 これは、私は、この種の議論になったときに必ず文部省の立場というのはどういう立場でございますかと委員会でも聞いて、それは指導、監督、助言する関係にありますと答えられているんですね。それはそういう答え方をしているんです、文部省の外郭、学校関係の団体問題については。だから、前回も大変厳しい御返事だったんですが、しかし今日の国際状況などを見て積極的な役割を果たして高野連は自主的に判断したんでしょう。しかし、これは野球だけでは半端なんですね、御承知のとおり。それはいっぱいあるんです、これは。だから、そういう意味で私は、やれ、やるななんという関係ではないでしょうから、ひとつ御助言を求められたら当然そういうふうに国際的な関係を前進できるように御助言いただけるようにしてください、そういうお気持ちございますかと、こう聞いているわけであります。
○国務大臣(井上裕君) これはやはり文部省としては、助言というよりも自主的に皆さんが判断してこうやりたいと言えば、もうそのとおりにやっていいわけですから、やっちゃいけないなんということは言えませんし、そうかといってぜひというようなことは文部省は、やはりこれはそれこそ民主的なこういう状態の中でなかなか難しいと思います。
○会田長栄君 わかりました。やっていけませんと言わなければいいんです。
 ありがとうございました。終わります。
○森暢子君 昨日の新聞とかテレビによりまして皆さん御承知だと思うんですけれども、横浜の市立大学の医療機器納入汚職事件が報道されております。これは前にありました千葉大学医学部の汚職事件が横浜市立大学医学部に波及したというふうなことが言われておりまして、国公立大学医学部をめぐる大変構造的な腐敗の事件であるというふうに思います。
 私ども教育関係また文教の委員といたしましては、こういうことについて大変心配しておりまして、これ以上こういう問題が広がらないということを願っておりますけれども、文部省としてどのように考えていらっしゃるか、またどう対応なさるか、お願いします。
○国務大臣(井上裕君) 最初の千葉大の問題におきましてはまことに遺憾でございますし、またその点につきまして大変国民の信頼を裏切って、教育行政を預かる者として大変申しわけないと、このように思います。再三衆議院の文教委員会におきましてもその問題が取り上げられました。そして、私は、それこそ大臣としてこういうことのないようにひとついたしたい、努力をいたしますと。そういうことで文部省内に、これは詳しくは官房長から説明ありますが、そういうことのないように対応してくれと。もうそのときに各幹部を大臣室にお呼びして、そして二度とないようにということを指示いたしましてそういうことをつくりました。しかし、国立大学ではございませんが、やはり公立の市立大学に検察のメスが入った。大変申しわけないということでいっぱいでございます。
 詳しくは官房長から御説明いたします。
○政府委員(坂元弘直君) 最初に千葉大学の事件からお答え申し上げますと、私どもが現段階で事実関係を把握している、表面上の事実関係でございますが、これは一応私どもが指導しておる、あるいは契約上規定されておる法令にのっとった手続を経て大型機器が調達されておるという、表向きはそういう形になっております。ただ、今先生も御指摘ございましたが、この問題は単に医学部だけではなくて大型機器、最近日進月歩の科学技術の進歩で機器が大型化してまいりまして、理工系学部でもかなりの、何億とする大型機器を入れているわけでございます。
 そこで、今大臣がお答えしましたとおりに、大臣の御指示もございまして、昨日、国立大学における大型設備の調達に係る仕様策定の在り方等に関する検討委員会という、これは課長レベルの検討委員会をつくりまして、医療機器だけではなくて大型設備の調達に関する実態調査を全国立大学を対象にして行いまして、その実態調査をもとに有識者の意見も聞きつつ、適切な調達のあり方について総合的に検討していこうということでそういう体制づくりをしたところでございます。来年度の概算要求に間に合うような早い段階で結論を出して、適正に対処してまいりたいというふうに考えております。
 それから横浜市立大学の問題でございますが、これは国立大学ですと私どもとしましては任命権者としての服務監督上の権限がございますが、横浜市立大学につきましては、これは市で設置している大学でございまして、任命権者が持つ服務上の指揮監督権がないということ、それから市で調達する場合にはあくまで市の条例あるいはその条例に基づく規則に基づきましてこういう大型機器の契約等をやっておるわけでございます。ただ、一般的には私どもも医科大学について、医科大学の運営ということで一般的な指導はする立場にございますので、国立大学に関する今申し上げました実態調査に基づく検討結果が出たら、国立大学ではこういうやり方でやりたいと思うので御参考までにこれを配付するということで指導したいというふうに考えております。
 なお、横浜市立大学の方からは、そういうことでございますので、まだ具体的な事実関係の報告はいただいておりません。
○森暢子君 それじゃ、調査をしっかりいたしまして、今後こういうことのないようによろしくお願いしたいと思います。
 さて、私ども参議院の方から今回文部大臣を決めていただいたということで、大変期待しております。文部行政というのは、次の時代を担う子供たちを育てるという意味で大変大切なポストであるということで、頑張っていただきたいというふうに思います。
 文部大臣の所信をいただいたんですが、これはやはりどの分野にも触れなきゃいけないということで総花的になっていると思うわけですね。そして、井上大臣が文部大臣になられて、教育というものを自分はこういうふうに考え、このようにしていきたいという、今ちょっと会田委員の方にもお答えがあったと思うんですけれども、そういうことを簡単に一言、どういうことをやりたいかということをお聞かせ願えたらと思いますが。
○国務大臣(井上裕君) 私は、就任のとき言いましたが、一日の楽しいことは花を見ることであり、また一年先は庭に花の種をまくこと、十年先は山に木を植えること、百年先の楽しみは人をつくることだ、教育である。そういう観点に立って、教育というものは非常に地味でありますが、一朝一夕に成ることではない。そういうことで、その日その日のやはり積み重ねが、そしてまた私どもも含めて社会、そして教員、また家庭、こういう三者が総がかりで今子供たち一人一人に、何を差し伸べたらいいか、そういうことをも考えて、私この所信表明には、これは文部省の専門的な言葉も入っておりますが、これに目を通しまして、私はここをちょっと入れてくださいということもお願いしまして、そしてそこに書いてあるとおり私の所信をお願いをしたわけであります。
○森暢子君 ありがとうございます。
 ちょっとこの中の言葉に、三ページなのですが、「婦人の社会参加」という言葉があるわけです。それから同じく説明を受けました予算の概要説明の中にも、二ページに「婦人」という言葉があるわけですね。これはやはり「女性」というふうに、もう社会的な言葉が女性になりつつありますので、婦人というのはやはり限られた女の人の範囲を示すものとして、だんだんに女性と改めていっていただきたいということをお願いします。
 また、「青少年」一という呼び名、それから「海外子女教育」、また「帰国子女教育」、「中国等帰国孤児子女教育」というふうに子女、女子供というのですかね、いろいろこの言葉について配慮願えたらと思います。言葉は社会をつくると申しますので、ひとつ文部省のこういう記録に残るところからはよろしくお願いしたい、これは要望でございます。
 次に、この大臣の所信の中の三ページに、「初等中等教育の充実」というところの終わりのあたりですが、「今日大きな問題となっている校則の見直しや登校拒否等に対しても適切な対応を図ってまいります。」という一節があるわけです。
 私は、主にこの登校拒否の問題についてきょうはお願いしたいと思うんですが、昨年の十二月に中央教育審議会の学校制度小委員会の審議経過が報告されまして、いろいろと論議を呼んでおります。その中で、現在の子供を取り巻く状況が示されて、学校や社会のあり方がこれでいいのかというふうなことを投げかけているわけです。それらの状況を反映して、小中学校の学校へ行かない子供たち、それから高等学校での中途退学者がもう近年大幅に増加している。これは私たちに教育とは何か、じゃ学校とは何なのかということを根本的に突きつけられたというふうに大変な危機感を持っているわけです。
 そういうことで、学校に行かない、行けない、こういう子供たちの問題についてお聞きしたいのですが、文部省は学校へ行かない不登校の児童生徒の状況を、どのくらい生徒がいるか、または高校では中途退学者がどのくらいなのか、そういう現状を少し話していただきたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 登校拒否の問題は大きな社会的問題になっております。私ども聞いた範囲では四万七千人、それから高等学校の方は十二万。その登校拒否、中学が〇・七、小学校が〇・〇七、こういうことを聞いております。
 登校拒否は年々ふえておりまして、本当にこれからかけがえのない学校生活を、個々の子供たちにとって行けないというのは本当に大きい問題であろうと思います。この問題の対応は非常に重要であろうと私も考えております。
 登校拒否の問題も含めて、生徒指導問題の取り組みに当たって、先ほど申しました児童生徒一人一人、これを生かして私たちは人間味のある温かい指導、愛情のある指導、こういうものをしなくてはならない。文部省としても、今後とも学校全体として積極的に取り組みたい。また、いわゆる高校の十二万と言われる中退者数、これは大変大きい問題でありまして、これも中学校における登校拒否の子供とちょっと違った進学指導、それを充実するとともに、生徒一人一人がやはり生き生きとして充実感を持って高校生活を送れるような環境、それにはいろいろなことがあろうと思いますが、そういう点でやはり一人一人を指導できる体制に持っていきたい、このように考えております。
○森暢子君 今数字が示されましたんですが、小中学生四万七千人、それから高校で十二万人、合わせまして十六万七千人の児童生徒、高校生ですね、十六万七千人の子供たちはどうしているんでしょうか。どこでどうしているとお考えですか。すごい数だと思うんですね。学校で考えまして、千人規模の学校で考えると、千人規模といったら大規模校になると思うんですが、小中学校では五十四校が消えているわけですね、この数でいきますと。高校では百二十校が消えているんです。この状況をどう考えるか。その中で子供たちは、不安といら立ちと孤独感と、その周りにいる家族とそれからそれを抱えている教師。これは大変な問題だ、文部省の大きな課題だと思うわけです。つまり、十六万七千人の子供たちが今の学校に対してノーと発言しているわけです。嫌だと言っているわけです。行けない。行きたくても行けない。それから、行けないことがいろいろあるわけですね。
 そういうことで、今私は登校拒否と申しましたし、文部省の方からも登校拒否という言葉を使われたんですが、登校拒否とはどういう生徒のことをいうのか、その定義づけについてお話し願いたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 登校拒否といいますのは、明確な定義があるわけではございません。昭和三十年代からこの問題が生じているんですが、当初は学校恐怖症、スクールホビアなどというような外国で出てきた用語を日本に翻訳して学校恐怖症なんというようなことで扱っていたわけでございますが、その後だんだんふえまして、これは単にそういう特定の問題じゃないということで、登校拒否ということでもう少し大きくとらえているわけでございます。したがいまして、個々の事例とかその形態とか程度もさまざまでございます。私どもとしましては、主として何らかの心理的ないしは情緒的な原因によりまして児童生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあるというふうにとらえております。
 そして、先ほど大臣から申し上げました数字は、登校拒否の場合には年間五十日以上休んでいる者の統計でございまして、それが小学校が七千、中学が四万、中学が非常に多いわけでございますが、そういう数字であると。ですから、五十日以下で休んでいる子もいるわけでございまして、こうした者も広く登校拒否の状況にあることには変わりないわけでございますので、私どもはこれは大変深刻な問題だというふうに受けとめております。そして、文部省でもいろいろ外部の方の専門家ないしは実際に学校でそういうお子さんに対応していらっしゃる先生方にもお集まりいただきまして、どういう手だてをとったらいいかという検討会議を進めているところでございます。
○森暢子君 今のお話によりますと、欠席が年間五十日以上の欠席者の数であるんですけれども、それ以外の子供たちでも潜在的に学校へ行きたくない、行こうにも行かれないつらい思いをしながら行っている子もいるわけですね。そうしますと、それを合わせると大変な数ではないかと思うわけです。(「みんなそうだよ」と呼ぶ者あり)先生方もそういうのがあるかもわかりませんね。
 それで、学校に行きたい、行こうとすると身体的、精神的に拒否症状があらわれる。おなかが痛くなるとか頭が痛くなる。お医者さんに診てもらってもどこも悪くないんですね。しかし、保健室へ逃げ込んでじっとしているとか、そういうふうな拒否症状があらわれて学校へ行かないというのを登校拒否、またはそれ以外に怠学ですね、怠けて行かないとか、その他いろんな事情があって学校へ行かない状況というのを全部登校拒否と結びつけるのは、幅が狭いと思うんですね。それらすべてを含めて私どもは不登校、不登校の子供たちというふうに呼んでいるんですけれども、そういう呼び方については文部省、もう少し今後考えていっていただきたいというふうに思います。
 それで、次に、学校不適応対策調査研究協力者会議というのが持たれて、その中間まとめが出たと思うんです。そのことについてどういうふうなまとめか、そのあたりどのように評価しているか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 今御指摘のありましたように、学校不適応対策調査研究協力者会議というのを文部省で設けておりまして、これは千葉大学の坂本先生を座長にいたしまして、学校の先生方とか一般有識者とか、それから関係機関の専門家とか委員十八名で検討会議をずっと進めているところでございます。その中間まとめを、平成二年十一月に中間的なまとめを出しております。
 まとめの中身としましては、まず第一に登校拒否の問題に対しましてどのような基本的な認識をしているか、第二番目に登校拒否の現状、三番目に登校拒否問題への取り組みの現状、そして四番目に今後の対応ということでいろいろ御提言をいただいているわけでございます。これは中間まとめでございますので、今各方面から御意見を聞きまして最終的な御報告をいただきたいと考えております。
 その中で、特に重要と申しますか注目すべき点は、基本的な視点として四つ御指摘いただいているところでございます。
 その第一は、登校拒否というのはどの子供にも起こり得るものであるという点でございます。従来、登校拒否といいますのはどちらかといえばその子供の特別な傾向と申しますか、ないしは家庭の問題というような形で、特別な子供に起こることではないかという認識で対応をしていた面がなきにしもあらずなわけでございますが、この検討会議では、いやそうではない、登校拒否はどの子供にも起こり得る可能性があるんだ、そういう視点でこの問題に取り組まなければならないという点を御指摘いただいております。
 第二番目に、この登校拒否というのは学校生活上の問題が起因して起きる場合がかなりある。これは実態として私どもでも調査いたしておりますが、学校生活上の問題、例えば教師との人間関係あるいは生徒同士の人間関係、そうしたものが原因になって登校拒否を起こしている場合がある。ですから、これはやはり問題の解決に向けて学校、教師がその専門的立場から一層の努力をもって取り組まなければならない問題である、こういう指摘でございます。
 三番目に、これはしかし学校だけではなかなか解決は難しい、やはり家庭の問題とか関係機関とかいろいろな努力によってこれに取り組めばかなり改善している例も報告されておりますので、そうした学校、家庭、社会と申しますか関係機関と申しますか、そういうものがやはり協力連携して取り組む課題であるという点が三点でございます。
 そして第四点に、子供や親が登校拒否が起きると何が何でも学校に行かなければならないという義務感を抱く。その結果、それがプレッシャーとなって登校拒否がかえって悪化する例も報告されている。ですから、登校拒否児童生徒の対応に当たっては、学校生活への適応を図るということも大事でございますが、子供の自立をいかに促すか、そういう視点からこの問題に取り組む必要がある。
 おおむねこうした新しいと申しますか視点を指摘されておりまして、学校としてはこれらの問題、視点から予防的に取り組む、それから問題が起きたら具体的にその子供たちにケアをしていくということを私どももしなければならないというふうに考えているわけでございます。
○森暢子君 今おっしゃったとおりで、今までは学校へ来ない子供は病気である、特別な子供に起こり得る現象で、中にはひどい学校では児童相談所または病院へ連れていって、これは精神病であるということで病院に入れられて、薬を飲まされて、そして家族から離されてなかなか親も面会できない、そういう中でつらい思いをしている両親もいた、そういう現状が現にあります。
 そういう中で今回のこの中間まとめが、基本的な視点として、特定の児童生徒のみに起こるものではなくてどの子供にも起こり得るという見方を出されたということは大変評価したい、このように思っております。しかし、この題目が「学校不適応対策」という、この不適応というのがおかしいと思うんですね。適応できない、当人が悪いんだという印象を持ちます。ですから、本人の責任であるとか、または家庭責任とか教師責任とかいうことに転嫁されるような感じがするわけです。
 それからもう一つ、今もお話がありましたが、学校の教育体質そのものに問題があるんではないかという視点もされている中で、教師との人間関係が大事だというようなことをおっしゃったわけです。それで、井上文部大臣が日本教育新聞のインタビューですか、その中に、不登校の子供の問題についてインタビューがありましたら井上文部大臣は、「教師、家庭、社会にそれぞれ責任があるとしながらも、第一義的に教師が責任を負うべきだ」と指摘されたというふうに答えていらっしゃるわけです。もちろんそれはそうでありますけれども、じゃそれで片づけていい問題かということを思います。
 私も中学校で教師をしておりまして、私はどういうわけか問題を持って暴力を振るったり学校へ来なかったりいろいろする子供に好かれる存在でありまして、なかなか学校へ来れない子がたまに来ましたら、給食だけ食べに来るわけです。ところが、やっぱり本人は給食だけ食べに教室へ入るのが入りにくいわけです。先生ちょっとついてきてと、こう言うわけです。私、ついて行きましてちゃんと席へ座らせてやって、この子にも配ってやってよというふうなことをやって帰ってきたりする。それから、いじめられそうなんで便所の隅に逃げているわけですね。先生、いじめられそうなんだと言うから一緒についていってやったり、大変忙しいわけです。
 そういう子供一人一人に私がいろいろ、それも教師との人間関係だと言いますけれども、限度があるわけです。これはもうやり切れないんです。その子一人の世話をしております間にほかの学級の子供はもうほったらかしになるわけです。ほっておかなければいけない。そんな中で教師はもうくたくたになってしまうということで、一生懸命取り組んでいるんです。いるんですけれども、限度があるということをぜひ知っていただきたいというわけです。
 ですから、やはり私ども考えてみまして、管理主義の、まあ管理にならざるを得なかった。子供を管理すれば教師も管理されているという管理教育の中で、画一主義ですね、そういう中で子供がもうやり切れなくなってくる。
 皆さん御存じだと思いますが、校則の中でどんな校則があるか、大臣御存じでしょうか。スカートの長さも一定にされて、教師が差しで床からはかっていく、ソックスの色も決められているとか、髪の形も耳が出るまで何センチとか、そういう中で一つでも違ったらみんなから特別に見られ、そしていじめの対象になるわけですね。そういう校則が今学校現場ではあるわけですね。そういう中で子供が学校へ行きたくない、もうあの中へ行きたくないという気持ちにもなるわけです。
 そのほか、競争主義ですね、学歴の重視の競争主義。それから、受験競争の中でいろいろとやはり勉強のできない子は教室の隅にじっとしている。その中で体育のできる子はまだいいわけです、スポーツのできる子は。バレーができるとか陸上競技で一等になるとか、こういうふうなのはやはり存在感がクラスの中で認められるわけです。じゃ、勉強も不得意である、スポーツも不得意、そういう子供たちはどこでどうしたらいいか、存在感がないわけですね。だんだん学校へ行きたくなくなる。そうするとお母さんは心配して、学校へ行きなさい行きなさいと言う。学校へ早く行きなさい、早く行って早く帰ってきて、早く宿題をして早く寝なさい、早く起きなさい。これでは子供の逃げ場がない。そういう状況の中でやはり人間不信に陥って学校へ行きたくない、そういう状況にあるわけですね。
 そういう中で、だれが悪いというふうなことで矮小化していくことではないと思うんですね。そういう意味で、やはりもう一度学校のあり方、文部行政のあり方そのものを考えていっていただきたいというふうに思います。先般、十二月十八日に高校教育改革に関する中教審の報告がありまして、その中にやはり学歴主義はもういけない、これは子供たちを心理的に抑圧しているというふうなことを明確に批判しているわけですね。そういう状況に今なっているということであります。
 今お話がありましたように、文部省だけではなくて他の省庁も含めた総合的対策が必要ということをおっしゃったんですが、何か厚生省にお聞きしましたところ、厚生省もこういう不登校の子供に対して対策を考えていらっしゃる。例えばメンタルフレンド事業とかいうのをお聞きしたんですが、どういう対策がございますか。よろしくお願いします、厚生省の方。
○説明員(秋山勝喜君) 学校の長期欠席児、いわゆる不登校児童でございますけれども、この問題につきましては、各都道府県に設置されております児童相談所というのがあるんですけれども、こちらでも相談を受け付けているわけでございます。これが年々ふえておりまして、平成元年では約八千四百件というふうな実態になっております。
 この不登校に至りました原因としましては、いろいろあるというふうに思いますけれども、そのうち家庭的要因であるとかあるいは心理的要因、こういうふうなものによると思われるものにつきましては児童福祉の観点から対応が必要であるというふうに考えまして、文部省とも連絡をとらせていただきながら、これらの児童に対する平成三年度の事業といたしまして福祉対策事業をモデル的に実施しようということでことしの新年度予算に計上をいたしているところでございます。
 この事業は、今申し上げた児童相談所やあるいは児童福祉施設など、その機能を十分に活用しまして、不登校の児童の社会性や自主性の伸長であるとか、あるいは心理療法また家族療法というようなものを実施することによりまして登校意欲の回復を図り、児童福祉の向上に資するものでございます。事業の実施に当たりましては、円滑な実施を期するということで、各都道府県に教育関係者と福祉関係者、こういう人たちによる福祉と教育の連絡会議というようなものを設けていただきまして、ここでいろいろ調整を図りながら実施させていただくというふうに考えております。
 なお、このモデル事業は、今先生のおっしゃったメンタルフレンドも含めまして四つの事業から成っておりますので、ちょっと説明をさせていただきます。
 一つは、先生今お話のありましたふれあい心の友訪問援助事業、これはメンタルフレンドというふうに呼んでおります。この事業でございますが、これは児童相談所の相談指導の一環といたしまして、不登校児童の家庭に児童福祉司の指導のもとに児童の兄さんとか姉さんに当たるような学生をボランティアとして派遣をいたしまして、この児童の心を開かせ、悩み事の相談あるいは社会性の向上等を図る、こういう援助をするというものでございます。このためメンタルフレンドは、児童福祉に理解と情熱を持った大学生というような者を募集をいたしまして、これを審査し、研修を実施するというようなことで、この研修費や研修の活動費それから実際に派遣されるときの活動費、こういうようなものを援助しよう、こういうものでございます。
 簡単にあと三つの事業を説明させていただきますと、二つ目は、不登校児童の宿泊等の指導事業でございます。これは夏休みの期間などを利用いたしまして、不登校児童を児童相談所に付設されております一時保護所あるいは児童福祉施設に一週間程度宿泊または通所をさせまして、心理療法とか生活指導あるいは野外活動などを通じまして自主性や社会性の向上を図って登校意欲の回復の支援を図るというようなものでございます。
 三つ目は、家族療法事業でございますが、不登校の原因のうち、家族関係に問題がある事例も非常に多いというふうに言われております。このため、私どもの方の施設で情緒障害児短期治療施設というのがございますが、こちらの方で土曜、日曜を利用いたしまして、その不登校の児童と保護者、家族、これを短期間宿泊していただきまして、ここで集団カウンセリングとかあるいは家族関係の改善の御指導をするというようなものでございます。
 最後の四つ目ですけれども、養護施設、家庭に恵まれないような児童の施設があるわけですけれども、ここに不登校児童の家庭環境に問題のある児童を入所させまして、ここで指導をするということで考えておりまして、こちらでは基本的な生活訓練であるとか共同生活の体験授業、あるいはカウンセリングなどを実施してその一助にしようというふうに考えております。
 以上でございます。
○森暢子君 厚生省の方からも援護射撃をしていただきまして、各省庁がそれぞれに子供の問題に取り組んでいただけるというのは大変ありがたいことだと思います。厚生省、ありがとうございました。
 じゃ、文部省の方は具体的にどのようなことを対処なさっておられますか。
○政府委員(菱村幸彦君) この問題につきましては、文部省、教育委員会、学校、それぞれいろいろな立場から取り組まなければならないと思っております。
 私どもの文部省といたしましては、まず先ほど申し上げました、この検討会議をやっておりまして、そこで中間まとめをいただきましたし、また最終的な報告をいただくと思いますが、それらに基づきまして、より一層の施策を進めなければならないというふうに考えております。
 現在のところ私どもがやっております事業としましては、この協力者会議のほかに学校不適応対策全国連絡協議会というのを設けておりまして、学校の関係者とか関係機関等の専門家が参加いたしまして、いろいろこれまで取り組んできた情報交換を行う、それから地域に根差した連携のあり方等について協議をする、そういう場も設けております。
 それから、学校不適応に対します総合推進事業としまして、十の県に研究委嘱をお願いしまして、それぞれ地域におきます登校拒否ないしは高校中退の問題にどう地域が取り組んでいったらいいか、とりわけ学校と家庭とそれから関係機関がどのような協力をしていったらいいかというようなことを研究する事業をお願いしているわけでございます。
 それからもう一つは、登校拒否児の適応指導教室の委託という事業もございます。これは子供たちが学校には通えないけれども学校以外の場所、例えば教育センターの中に一定の施設を置きまして、そこで教育相談をしながらいろいろ学習指導も行う、ないしはカウンセリングを行うというようなことをいたしますと、そこには出てくる子供もいるわけでございます。そういうことで、現在のところ各市町村等でそうした適応指導教室というものを設けられているところがございます。
 私どもも、そうしました方法が登校拒否児の治療の過程として有効であるならばそれを推進していきたいというふうに考えておりまして、平成二年度の予算からこれにつきましてモデル的に助成金を出しております。全国二十カ所でございますが、来年度はもう少しこれをふやしていきたい。現在のところかなり成果があるようでございますので、最終的にはやはり学校に復帰していただく、復帰させるということが大事だと思いますが、その治療の過程としてこうした学校外の治療教室的なものが有効であるならば、それも積極的に進めていきたいというようなことを考えております。
 また、都道府県は都道府県で、私どものこうしました事業を受けましてそれぞれいろいろ御工夫をいただいておりますし、学校はやはり先ほど申し上げました新しい視点に立って、とにかくまず予防的な措置をとる。起きてからという前に、起こしそうな傾向のある子供ないしは起きるような状況にある子供については、あらかじめ積極的な手を打つ。それから、実際に登校拒否の状況が起きた子供に対しては、それに対して適切な対応をとっていくということが一番大事であろうというふうに考えて、いろいろな形ででき得る限りのことはやっているつもりでございます。
 しかし、まだいろいろ検討会議でも御検討いただいておりますので、より有効な、こういう方法がいいという御提言がありましたら、それにつきましても今後とも積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○森暢子君 四万七千人の子供たちへの対応として登校拒否児の適応指導教室が十二カ所から十五カ所になったというのは、これは予算書に出ておりまして、それから調査研究協力者会議が一千六百万の予算がついているということなんですが、こういうことで本当に対応できるのかという気持ちがいたします。もっともっと何か急いでやらなければ、今悲鳴を上げている子供たちがたくさんいる、まだまだ潜在的にいるということを考えますと、本当に急がなければならないというふうに思っております。
 岡山でも、私岡山県なんですが、適応指導教室の中に一カ所入っております。しかし、それは一カ所ではなくてまだたくさん、後でお伺いしますが、個人でやっているそういうところがたくさんあるわけですね。そういうあたりも調べておいていただきたいというふうに思います。
 やはり、文部省や厚生省もやってくださっているんですけれども、これらはいわば対症療法的でありまして、そのときに集まって元気出して、じゃ学校へ帰ろうかという気になって学校へ帰りますね、その子は。しかし、帰っても学校の環境が変わらなかったら同じことなんですね。またもとに戻ってしまう。だから、私が申し上げたいのは、やはり学校のあり方というものをもう一度根本的に考え直さないと、こういう子供たちはどんどんふえていくというふうに思います。例えば学習指導要領の中身を検討するとか、または管理主義を問い直して子供を中心にした学校運営にするとか、それから学歴主義というものをもう一度考え直してみるとか、受験競争をどうするとか、そういうものをやはり文部省が考えないと、そして社会にそれを啓蒙して皆さんにお知らせしないと、本当に一番弱い立場の子供たちにそれが行っているのではないかということを思います。
 それで、登校拒否じゃなくて今厚生省の方はきちっと不登校とおっしゃいましたよ。この不登校の子供たちの生活実態ですね。学校へ行かない子供が、じゃどうしているのか、何をしているのか。それから彼らがどういう声、何を思っているのか、そういうふうなことについて調査とかというものをなさっておられますか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 登校拒否の状態にある児童生徒がどのような生活を送っているかということにつきます私どもの全国的な調査はございません。ただ、その子供たちがどのような原因ないしはきっかけでそういうことが起きたかとかというようなことは調査をいたしておりますが、起こした後の状況につきましては調査はございません。
 ただ、今登校拒否につきまして、そういう子供たちの状況も含めてどのような指導方法が有効かという研究を千葉大学の坂本教授を中心とするグループに研究委嘱をしておりまして、平成元年度から三カ年かけて、これはケーススタディー的でありますが、登校拒否児童生徒の実態について調査をする。そして、その個別事例を分析研究を行いまして、どのような方策が有効であるかということをするようにお願いをしているところでございます。
○森暢子君 私の身辺に学校へ行かない子供が一人いるんです。その子は何をしているかと申しますと、家の中にじっといるわけです。お母さんが先生で、お母さんは子供を閉じ込めて学校へ行かなきゃしょうがないんですね。そして、家の中で一日じゅう漫画を読む、それからVTRで録画をし、パソコンをし、食べて寝るだけです。ですからどんどん太っているわけです。太っているから、学校へ行くと太っているとかと言われるからまた行かない。体育はできない、跳び箱も一人だけ跳べない、もう行かない、こういうふうな繰り返しになるわけですね。親がそれを見ているとだんだん腹が立ってきまして、ちょっと外へ出て散歩したらとか、買い物だけでも行きなさい、犬の散歩に行きなさいとかというふうにますます子供を追い込んでいく状況もあるわけです。そういうふうな中で子供が何を叫んでいるかということをぜひ文部省は知っていただきたいというふうに思います。
 ここに一人の子供の作文があるんです。
    私の経験したこと

  私が学校に行きたくなくなったのは、今から考えてみると、小学校一年生ごろからだと思います。
  そのころから私は学校と言う小さな箱の中に入れられて、決められた時間で決められたことをやらされていました。初めは、何とも思もわなかったのですが、だんだんと学校に行くのがいやになってきました。
  私が学校を休もうとすると、皆で行きなさいと言って、4年生ごろになると先生まで家に来てむりやりにつれて行こうとしました。
  皆には、病気で休んでいると言ってうそをついていたけれど、本当のことを言うと皆に、悪口を言われると思っていたので本当のことは言えませんでした。
  でも、登校拒否は悪いことではないと気づきました。
  学校で同じことをやると言うことは、考え方も同じになって自分の意見が、もてなくなってしまうのではないかと思います。
  とにかく、学校は子どもを見えないくさりで、しばり上げて、むりやり勉強をさせている所だと思います。
  私は、自分で考えて行動する事が出きないという事を、とても息苦しく思いました。
  私は今登校拒否をしている事にほこりをもっています。それは人が感じないことを感じとれるからです。
  人が引いたレールに乗るのではなく、自分でやりたい事は自分で判断して行動出来る人になりたいと思います。
こういう作文を書いているわけです。これは大臣がおっしゃった、一人一人の子供に一人一人の花を咲かせる、そしてそれぞれの子供に潤いのある教育をという、つまり自分でやりたいことは自分で判断して、そして行動できて考えていく。そういうことを、同じようなことを子供が考えているわけですね。こういう声もぜひ聞いてこれからの教育についてよろしくお願いしたいというふうに思います。
 さて、連係プレーの中で民間団体がすごく前向きにやっております。その中に民間団体の主催する私塾の活動がいろいろあるわけですね。そういうことについて文部省は把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 先ほど申し上げましたように、市町村が適応治療教室的なものを開いているのもございますが、そのほかに今先生から御指摘のありましたような民間のいろいろな施設があることは私どもも承知しております。
 ただ、全国的な調査はいたしておりませんが、先ほど申し上げました文部省でその検討会議を進める過程におきましては、例えば東京シューレのような代表的なこうした民間の施設の方に来ていただきまして、いろいろお話も聞かせていただきました。先ほど先生が読み上げられましたような子供たちの考えていること、まあ叫びといいますか、そういうようなことも御紹介がございました。
○森暢子君 登校拒否を考える会といって、登校拒否をしている子供たちを持った親たちが集まって電話相談を受けている、そういう会もあります。
 私、岡山県なので岡山のを調べましたら、「不登校児に交流の場を 親の会、岡山にスクール開設」ということで、そういうのができております。それから、私が直接相談を受けましたのは、「あすなろ学舎」というのが岡山にできておりまして、これは私が勤めておりました田舎の学校が廃校になりまして、これ懐かしい学校なんですが、廃校になった学校をもらって、元教師をしていた御夫婦の方が譲り受けたわけです、廃校を。そして、手入れをいたしまして、全国から子供たちを受け入れているわけです。ところが、お金が足りないんですね。一人の方の年金で生活して、一人分の年金はこの「あすなろ学舎」の運営費に回しているわけです。その中で子供たちが来て、自由にして元気出して、また学校へ帰っていっているわけですね。
 そういう事情もあるんですけれども、そういう民間団体に対する財政援助ですね、そういうふうなことをお考えになっていらっしゃるかどうかというのをお聞きしたいと思います。
○政府委員(菱村幸彦君) 先ほど申し上げましたように、こうした適応治療教室的なものにつきましては、私どもも関心を寄せておりまして、現在では公の市町村が設置しておりますものをモデル的に、これは文部省が全部全国にそういうものをつくるという性質のものじゃございませんので、やはりモデル的にやっていただいて、その中で有効なデータを全国の市町村にフィードバックするということを考えているわけでございます。今その過程にあるわけでございますが、公のそういう施設以外に民間でも、先ほど来御指摘のように、あることは承知しております。そして、そうしたものでもいろいろ御苦心があると思いますので、もしその治療に有効であるならば、それはそれとして一つの方法であろうかと思いますけれども、私どもは、やはり最終的には学校に復帰して公教育を受けるのがその子供たちにとっても必要なことだというふうな考えをとっております。
 現在のところ、そうしました民間のいろいろな諸施設に対しまして国ないしは私どもが、文部省が補助金のようなものを考えるということはございません。
○森暢子君 財政援助をぜひ考えてあげていただきたいというふうに、ここで強く希望しておきます。全国にこういうことを民間でやってらっしゃる方、いっぱいあると思うんです。大変悩みながら、もう見捨てておけないということで、ボランティアで始めていらっしゃるんですけれども、やっぱりお金の面で苦労していらっしゃるわけですね。ぜひ財政的援助をお願いしたいというふうに思います。
 それから、学校へ行かない、不登校のまま、一応学校へ行かなくても卒業していきますね。高校中退した若者がそのまま社会に出ていく。そうしますと、その子供たちがどのように過ごし、それから社会的に自立できるには大変長い時間を要すると思うわけですね。そういう中でやはりこの問題について、今後その人たちが社会に出て社会人になって働く意欲を持っていくために、文部省はそういうところまで考えていかなければいけないというふうに強く思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間が少しになりましたが、この不登校の生徒の問題を考えておりますと、やはり私は子供の権利条約に結びついてきてもう仕方がないわけですね。やはり子供は大人と同じ固有の尊厳をもって基本的人権を認めるというのが子供の権利条約の趣旨でございますので、そういうことから考えますと、校則の見直しというのも、文部大臣おっしゃっておりましたように、子供の意見を聞かないで管理主義の中に子供を閉じ込めるということは、この子供の権利条約にも反対するようなものであります。先般の予算委員会の中でそのことを文部大臣に私お聞きしましたら、やはりこれは重要な条約であるというふうなお答えをいただいているわけですね。しかし、いつまでたってもなかなか中身がわからないんです。
 文部省は、あれ以後、去年の十二月十四日に中山外務大臣が、早ければ今国会に条約を出していきたい、国会で決めていきたいとおっしゃったんですが、どうもその気配もないし、その後文部省は、文部省に係る権利条約の中身についてどのように検討をなさったか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(長谷川善一君) これは前の保利文部大臣が先生にもお答えしたとおりでございまして、昨年の九月、政府はこの条約に署名いたしております。
 この条約に盛り込まれております条項、非常に多いわけでございますし、関係いたします省庁も多岐にわたっております。現在のところ、我が国の国内の関係法規とこの条約との関連、あるいは日本語の訳、一条一項ごとの意味内容等々につきまして関係省庁の間で検討会が進められておるわけでございます。
 この条約の批准の案件につきまして、いつ提出するのかというお尋ねでございますけれども、これは外務省が中心にやる案件でございますし、関係省庁それぞれがみんな問題を抱えて検討をいたしておる段階でございますので、文部省の方からいつまでということは申し上げる立場にないわけでございます。そこのところは御了承いただきたいと思います。
○森暢子君 文部省は今鋭意努力しているところでしょう。そうしたら、それに訳があるでしょう。日本語の訳ですね、翻訳。何を中心に検討していらっしゃるのかということになりますと、どこかにあると思うんですね、日本語に訳した文が。それが公表されていないんですね。文部省は何をもとに検討なさっているんですか。どの訳文をもとに検討なさっているんですか。
○政府委員(長谷川善一君) 条約の正文というのは英語、フランス語、スペイン語、中国語となっておりまして、それぞれの言葉を比較対照しながら日本語の仮の訳をつくり、その意味内容を確かめてまたそれを変えていきながらやっておるわけでございます。条約の一字一句というのは非常に大変なものでございますので、そういった条約の逐語の訳が確定しないときにそれを公表するということは、外務省としてはいたしていないと聞いております。
○森暢子君 その仮訳をください。文部省が使っている仮訳ですね、それを私どもにください。
○政府委員(長谷川善一君) 仮訳をつくりましたのは外務省でございまして、これは検討のためにつくられる仮訳でございますので、外務省は恐らくそれはお渡ししないことにいたしておると思います。すべての条約がそうでございます。
○森暢子君 でも、それはおかしいですよ。仮訳が外務省にあって、外務省にお願いしても多分渡さないでしょう、ということでしょう。そうしたら、それはおかしいですよ。この条約を批准するためには大変たくさんの国内法の整備をする。国が決めてぱっと批准するんではなくて、これ大変な子供の憲法に値するようなものなんですね。これを国民世論を盛り上げないで、国民に何も知らせないで、そしてその条約の国内法の中に国民の意見を言う場も何もなしに批准してどうするんですか。これはおかしい話ですよ。
 文部省は、もっと国民世論を盛り上げるために、イベントをするとか、小さなパンフレットを出すとか、学校の先生にそれをやってもらわなきゃいけないんですから出すとか、シンポジウムをするとか、そういうことをする責任があります。
 よろしくお願いします。
○委員長(下稲葉耕吉君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時四十分まで休憩いたします。
   午後一時一分休憩
     ─────・─────
   午後二時四十分開会
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○石井道子君 二十一世紀を見据えて、教育、学術、文化、スポーツの充実は国家の発展の基礎をなすものでございますので、文部省を初め大いに頑張っていただきたいと思っております。
 大臣がまだお見えになっておりませんので、順序をかえましてまず文化の振興対策についてお伺いをしたいと思います。
 今日、世界に誇る経済大国となりました。経済面での豊かさと同時に、潤いとゆとりのある生活を通じてだれもが豊かさを実感できる社会の実現が国民の共通の願いとなっております。このような社会の実現のためには、心の豊かさを求めて多様な文化活動が活発に展開されることが重要と考えます。この点で、最近多くの地方公共団体が、文化の振興が個性豊かな地域社会の発展に欠かせないものであるということを認識いたしまして、地域の活性化事業の中核として特色ある文化事業を積極的に進めておりますが、これらの地域の文化活動を支援し、一層推進していくために、文化庁ではどのような施策を行っているのか、お尋ねいたします。
○政府委員(遠山敦子君) 先生御指摘のように、最近地方公共団体におきまして各地域の特性に基づいたいろいろな文化活動が行われてまいっております。そして、その文化活動を盛んにすることで地域おこしというふうなことにも裨益しているわけでございますけれども、私どももまた各地域において特色ある文化活動が盛んに行われることが日本の文化の全体を押し上げる非常に大事なことと考えております。そのようなことから、文化庁といたしましても、地域の文化の振興に資するために従来からさまざまな施策を講じてまいったわけでございます。
 例えて申しますと、従来から地域住民の文化活動の拠点となります文化施設の整備につきまして補助をいたしましたり、あるいはすぐれた舞台芸術を各地に巡回していくような巡回公演の仕事でありますとか、あるいは国民文化祭というふうなフェスティバルを開催していただきまして、それによって地域における文化の振興に役立てていただいているわけでございます。また、おかげさまで昨年でき上がりました芸術文化振興基金におきましても、地域の文化振興にかかわる事業についても援助できるような仕組みになってございます。さらに、今年度から新たに新規の事業として始めましたものがございます。これは地域文化振興特別推進事業と称しておりますけれども、地域文化振興のモデル事業といたしまして各地域の特色ある事業に着目いたしまして、それの活動の水準向上あるいは活性化を図るために、文化庁と各地方公共団体と協力をしながら進めていくという新しい仕事でございます。
 このような例を行っておりますけれども、今後ともさらにこの面について力を尽くしてまいりたいと考えております。
○石井道子君 底辺の広がりを充実するという点も大切でありますが、またよりレベルの高い芸術文化活動を創造していく必要があると思います。そのためには、これからの芸術活動を支える若い優秀な芸術家を育てていくということが大切でございますが、この点についての文化庁の基本的な方針と具体的な方策についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 先生御指摘のように、これからの日本を担っていきますのはまさに若手の芸術家等の力によるものでございます。そのようなことから、文化庁では、従来からも日本のすぐれた若手の芸術家を海外に送りまして研修をしていただくような制度を昭和四十二年から実施いたしております。これは在外研修員制度と申しまして、既に六百人を超える若い人たちが学んで帰っておりまして、今日の日本の芸術界を支える中核となっていただいております。
 さらに、最近では私ども海外から、東南アジアあるいは世界各国から日本の芸術水準の高さというふうなことを学びたいという希望もありまして、それにこたえるために海外の芸術家招聘研修というふうな仕事を今年度から始めさせていただいております。
 さらには、国内的な整備といたしまして、特に来年度新しく事業として始めたいと考えておりますものが芸術インターンシップ制度でございます。これは従来、芸術家の国内研修の制度を行っておりましたけれども、それを充実いたしまして芸術インターンシップという名前のもとに若手の芸術家が自分でプランをして研修計画を立てて、それのすぐれたものに対して月々の援助の額を抜本的にふやしましてインターン制度ということで若手の研修に資したいというふうに考えているわけでございます。
 このほか、伝統芸能の分野あるいは伝統工芸の分野でも、国として指定をして後継者養成に力を尽くしておりますし、さらには国立劇場において若手の伝統芸能の担い手たちの研修を行っている、そのような形でさまざまな施策を講じているところでございます。
○石井道子君 昨年できました芸術文化振興基金制度、これ昨年一応第一回の応募が行われたと思いますが、その状況についてお知らせいただけますでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 先生方の御尽力によりまして昨年でき上がりました芸術文化振興基金、元年度末にでき上がったわけでございますが、政府出資金五百億円、それから民間からの百億を目途とする拠出によりまして、その果実をもって運営をしているわけでございますが、運営の母体は特殊法人の日本芸術文化振興会でございます。昨年の三月末にでき上がったわけでございますけれども、全国の芸術文化関係者の要望にこたえるためにできるだけ早く援助の仕組みをつくろうということで昨年来大変な努力をしてもらいまして、平成二年度から助成を実施することができているわけでございます。
 この助成金の配分に関しましては、配分の審査を行うために、専門的な立場から公正かつ的確に御審査をいただくために、百人を超える芸術文化関係者あるいは学識経験者の御協力を得まして審査の態勢を整えております。昨年の九月中下旬に申請を受け付けまして、十月に審査に入り、十二月には初年度の助成活動の内容を決定したところでございます。昨年は初年度でございまして、しかも年度途中の募集であったわけでございますけれども、七百八十件の申請がございまして、そのうち採択件数四百四十六件、助成金の総額は二十一億三千万円ということで実施できたわけでございます。さらに、来年度に向けましては既に募集を開始いたしております。できるだけ早く援助の内容を決めまして助成活動を充実してまいりたい、そのように思っております。
○石井道子君 この制度の趣旨を十分生かされまして、適正に運用されますことを期待しております。
 次に、吉野ケ里遺跡についてでございますが、一昨日の文教委員会の視察の報告にもございましたが、先日佐賀県の吉野ケ里遺跡を視察いたしまして、地元からも特別史跡指定と国営公園事業の採択について熱心な陳情を受けました。吉野ケ里遺跡は全国最大規模の環濠集落でありまして、幻の邪馬台国の研究にも重要な遺跡でありますし、古代の歴史へのロマンを誘い、また歴史的にも非常に価値があるものと思われるわけでございます。発見されましてから一年半で約三百六十万人の方が見学に訪れたということでございます。文化財の保存の重要性をまた再認識したところでございますけれども、保存と同時に、それを公開して積極的に地域振興にも活用するということ、これも大切であると思いますが、文化庁のお考えと対策を伺いたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 先生方、現地においでいただきまして吉野ケ里の現状をごらんいただいたこと、この間の報告で承ったところでございます。
 吉野ケ里遺跡は、先生御指摘のように、我が国の歴史的な史跡といたしまして大変意味のある、特に弥生時代における村から国へという原始的な国家の形成過程を物語る大変重要な史跡と私どもも考えているところでございます。
 そのような認識のもとに、平成二年の五月に既に文化庁では国の史跡に指定をいたしております。今年度から佐賀県に国庫補助金を交付いたしまして、年額三億円でございますけれども、史跡地の公有化を進めているところでございます。さらに、先生御指摘のように、佐賀県の方では特別史跡にすること、さらには国営公園化についての御要望があるというふうに承っております。私どもといたしましても、今後公有化の作業を計画的に進めると同時に、その保存、活用をさらに一層充実したいということで、特別史跡の指定につきましては、佐賀県からの強い要望の背景もありますので、現在検討を進めているところでございます。
 また、国営公園化につきましては建設省の関係でございますけれども、文化庁といたしましても、史跡の保存と活用を図る観点から関係省において検討されるように期待をしているところでございます。
○石井道子君 次に、生涯学習についてお伺いいたします。
 我が国は国際化、高齢化、情報化が進んでおりまして、また技術革新も進み、産業構造も非常に変化が著しいわけでございますが、国民の求めております学習の内容も非常に複雑化しておりますし、多様化、高度化をしております。できる限り学習の場を提供してその要請にこたえなければならないと考えるわけでございますが、文部省では昨年、生涯学習審議会を発足させました。文部大臣から諮問をされたと伺っておりますが、今後どのような内容を調査、審議されていきますのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(福田昭昌君) 審議会、昨年八月に発足をいたしましたが、去る二月一日に「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」という諮問をいたしたところでございます。
 生涯学習につきましては、御承知のようにこれまでも中央教育審議会あるいは臨時教育審議会等から種々の提言がなされておりまして、文部省におきましてはこれらの提言を受けて、生涯学習の振興のためのさまざまな施策や生涯学習の推進のための基盤整備に資します施策を展開してまいったわけでございますが、こういったこれまでの施策の現状と、そして我が国社会の変化等にかんがみまして、今後さらに重点を置いて推進すべき課題について検討する必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
 この諮問に当たりまして、当日、文部大臣から諮問理由説明の中で申し上げたところでございますけれども、具体的な課題といたしましては、一つは一人一人の学習の成果を生かしたボランティア活動の推進といったような課題、二つ目は社会人を対象とした体系的、継続的なリカレント教育の推進という問題、三つ目が時代の要請に即応した現代的な課題に関します学習機会の充実という問題、そして四つ目に青少年の学校外活動の充実といったような課題、そういうようなことが大変これから重要な課題ではなかろうかということを指摘さしていただいたわけでございます。
 審議会におかれましては、この諮問を受けましてこれから審議を進めていかれるところでございます。精力的な御審議をいただくことを期待しておるところでございます。
○石井道子君 リカレント教育の場として、多様な学習内容を提供できる専修学校の役割が非常に重要だと考えられます。文部省は、生涯学習社会における専修学校の意義をどのように認識されて、どのようにその振興を図っていくお考えでございましょうか。平成三年度の予算案の中に新規事業としてリカレント教育推進事業も盛り込んでございますが、その内容についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(福田昭昌君) 専修学校は、御承知のように職業や実際生活に必要な能力の育成、あるいは教養の向上を図るということを目的とします教育機関でございまして、五十一年に発足以来着実な発展を遂げておるところでございます。今日、学校の数で三千三百校、生徒数で約七十万人を数えるようになっているわけでございます。
 この専修学校は、社会の変化に伴います多様な要請に対応して、実践的な職業教育あるいは専門的な技術教育等を行うところに特色があり、生涯学習社会におきます人々の多様な学習ニーズに柔軟に対応し得る教育機関というところに特徴があろうかと存じます。そういう特徴を生かして、地域の要請あるいは社会人の学習ニーズに対応したコースの展開あるいは開設科目の多様化など、多様で柔軟な教育活動を積極的に展開していく、そういうことでこれからの社会の中で生涯学習を推進するという観点に立ったとき、大変大きな役割を果たしていくものというふうに考えておるところでございます。
 また、今御質問がございましたリカレント教育の問題でございますが、これは来年度の予算案としてお願いしておるところでございますけれども、今後の生涯学習社会といったことを考えましたときに、社会人あるいは職業人のリカレント教育というのが大変重要だということが指摘されておるところでございまして、大学あるいは短大、専修学校、そういったところにおきます社会人の再教育の機能を高め、リカレント教育の推進を図るということを目的としてこの事業を取り上げた次第でございます。
 このため、具体的な事業の説明をいたしますと、今申し上げましたような高等教育関係者、地方公共団体の関係者、あるいは産業界の関係者、そういった方々で構成します地域リカレント教育推進協議会といったようなものを地域でつくっていただきまして、これを拠点として社会人等に対しまして幾つかのプログラムをやっていただこうと。
 一つは、地域におきます社会人あるいは職業人の学習に関するニーズといったもの、需要といったものをしっかり把握し、その他の情報の収集、そして提供、また学習のコース、カリキュラム等に関する相談の実施といったようなことをひとつ事業として行う。また二つ目には、高度な職業教育、技術教育といったものにつきましての学習プログラムの研究開発。三つ目には、具体的に大学、短大あるいは専修学校等のこの高等教育機関におきます社会人あるいは職業人を対象とした学習コースの開設をしていただく。こういったことを総合的に実施をしていただこうということでございます。とりあえず、来年の予算におきましては三地域においてこの事業を実施するという予定にいたしておるところでございます。
○石井道子君 あと、答弁者がちょっといらしていないようでございますので……。
○委員長(下稲葉耕吉君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 速記を起こして。
 暫時休憩します。
   午後三時四分休憩
     ─────・─────
   午後三時十二分開会
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○木宮和彦君 それでは私から、大学、高等教育につきまして二、三質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、平成三年度、来年度の入学試験が今行われている最中でございますが、昨年は四十万人の浪人が出たということで社会的な問題にもなりました。ことしは受験生の数が百二十万と聞いております。臨時定員増などをやったと思いますが、その結果、現況はどのようになっていらっしゃいますか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) まだ御案内のとおり正確な集計がございませんが、志願者について見ますと、御指摘のように十八歳人口の増加また志願率の上昇ということもございまして、今年度より五万人程度の増加、すなわち百二十一万人程度になろうかと推測をいたしております。入学者につきましては、平成三年度に向けまして約五万六百人の入学定員増を行っておりますので、入学者は約六万人程度は増加するであろう、このように見込んでおります。
 したがいまして、不合格者につきましては、志願率の上昇傾向、入学定員の超過率の改善など不確定な要素はございますが、入学定員の大幅な増加によりまして今年度よりも改善するものと推測いたしております。つまり、今年度は四十三万八千人、こう言われておりましたが、私どもの現在の推測では約四十二万人程度になろうか、このように推測いたしております。
○木宮和彦君 来年度の入試につきましては御説明いただいたとおりだと思いますが、一九九〇年、昨年でございますが、大体百二十万くらいの大学志願者がいたと思います。去年、ことし、来年あたりがピークではないかと思いますが、昨年生まれた出生数を調べますと、大体百二十万くらいでございます。そのうち、高等学校を卒業する者が百十万くらい、なお大学を受験する者は大体六十万か六十二、三万というような推定数が出ておりますが、これから十八年間大体子供の数は決定しておりますので、それが年々歳々ずっと減っていくわけでございます。
 そうしますと、今の規模で大学がそのままもし維持している、しかも進学率が毎年一%ずつぐらいふえたと仮定しても、かなりの数の大学で欠員が出るであろう。特に紀元二〇〇〇年ごろには、満たないという学校が相当数出ると思います。現在のところ、大体偏差値で言いますと今半分ですか、百二十万の受験生のうち入るのは大体六十万ですから、四七、八というような学生が今大学の大部分の学生だと思いますので、どうやら現状では大学生の資質といいますか、学ぶだけの資質を持っておると思いますが、今後十年たちますと、恐らく今の偏差値三〇ぐらいのを入れないと到底充当できないというのが大学の現状だと思います。
 そうなった場合に、果たして大学としての機能あるいは活躍ができるかどうか、私は非常に疑問に思っておるんです。将来、長い展望に立って、大学教育というものはいかにあるべきかということを今から文部省さんもお考えいただきたいと思いますが、その辺の将来に対する御考察がありましたらひとつ、なければなくて結構でございますが、ありましたらひとつお答えを願いたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のように、今後十八歳人口が減少してまいりますときに、大学として、あるいは高等教育機関としてどのように対処すべきかということは大変重要な問題でございます。先ほど不合格者の数についてお尋ねがございましたように、不合格者の数というのが近年大きないわば社会的な課題というふうにもなっておりますが、一方におきまして、ただいま先生御指摘のように、高等教育の質ということについても留意をする必要があろうかと、このように考えております。
 そこで、私ども現在、今後における高等教育の規模というものをどのように見ていくかということにつきまして大学審議会で御審議をいただいておりますが、現在の審議の段階におきましては、平成十二年度における高等教育の規模の想定ということをお考えいただきますときに三つのケースを想定いたしまして、これは既に公表をし関係方面の御意見もいただいているわけでございます。
 一つは、高卒の進学率を四〇%程度ということに考えるべきではないかというのがございます。もう一つは、といってもやはり若干進学率を高目に設定しなければいろんな状況からして難しいのではないかということで、高卒進学率を一・二ほど上げまして四一・二%とするという考え方がございます。ケース三といたしましては、さらにこれは合格率といったものを考えまして、やはり合格率というものは高等教育を考える場合に八〇%を超えるというのはちょっと考えにくいのではないかということで、七九%とこう置きますと、高卒進学率が若干上がりまして四二・二%。
 こういう三つのケースを想定して関係方面にも公表し御意見をいただいておりますが、基本的には、この大学審議会の審議の現在の過程では、高卒進学率四〇%というのが高等教育の質の維持というところからしても考えるべきラインではなかろうか、このような方向での御審議をいただいておるところでございます。
○木宮和彦君 大体四〇%が望ましいというお話でございます。それが大体七九%というお話でございますが、将来、むしろ大学がたくさんあった方がいいという御意見もたくさんあると思います。私も決して悪いことではないと思いますが、ただ、今の高等学校を直視してみますと、現実問題として学校の授業についていけない高校生が非常に多数いるということも事実でございます。
 高校生が隠れてバイクの免許証を取りに行っても、学科試験が五回やっても六回やっても十回やっても通らないという生徒がいるそうでございます。なぜそうなるかとある警察官に私も聞いたんですが、それは日本語がわからないからだ、こういう答えが返ってまいりました。要するに意味がわからないから解答ができない。英語の試験をやっているようなものでして、やはり日本語そのものすらもなかなか理解できないような高校生が今相当数いるということも事実でございます。高校でしたらある程度これもやむを得ないと思いますが、事大学になりますと、やはりそこら辺に一つの問題点が惹起すると私は思います。
 その意味で、将来大学というものをもう少し以前のように、高等専門学校あるいは専門学校のような、旧制の専門学校令に基づくような実務を十分加味した、研究というよりも実務的なものを教えるような学校に学制そのものをやはり見直す必要が将来、今すぐじゃございませんが、将来あるのではないかなと。そしてまた、エリート教育というのは語弊がございますが、エリートというものがやっぱりある程度いないと、技術にいたしましてもあるいはその他いろんな国の中の活性化というものが非常に衰えると思います。今のような状況を続けていきますと、大学教育そのものがぐしゃぐしゃになって、良貨が悪貨に駆逐されるような、そういう状態が来るのを私は非常に恐れておりますが、その辺について大学審議会あるいはその他でもって御検討を願えるようなことが今後考えられますか。それとも、今のような大学制度は古今永久に変えるべきではないという御趣旨なのか、その辺はいかがでございますか。
○政府委員(前畑安宏君) 現在と申しますか、平成二年度の大学、短期大学の進学率というのは三六・三%でございます。これを、先ほど申し上げましたように平成十二年度に向けて四〇%、あるいは若干高めのもの、ケースを三つほど想定をいたしております。いずれにいたしましても、ここまで拡大してきた高等教育の規模を、進学率といった面で縮小をするということは極めて困難であろう。社会的に見てもそれは非常に難しい問題であろう。このようなことから、進学率は現在よりも若干上がるんではないかという想定のもとに、今先生御指摘のようなことを課題として大学審議会で御議論をいただいておるところでございます。
 大変ラウンドの数字で申しわけございませんが、御理解いただきますようにラウンドで申し上げますと、現在我が国の大学は五百と御理解いただきたいと思います。短期大学は六百でございます。五百、六百という大学、短期大学を同じような基準で律し、同じような教育を求めるということは、これはもう至難のわざではなかろうかということで、現在大学審議会で御審議いただいております基本的な方向は、大学を規制する設置基準であるとかその他の規定を大幅に弾力化をいたしまして、そして各大学、短期大学がそれぞれの理念、教育目標あるいは教育対象者等を考えながら多様な発展を遂げていく、その中で我が国の今後における高等教育の進むべき道というものをおのずから各大学、短期大学で探していただこう、こういうふうなことが基本でございます。
 そして、それによってもたらされると申しますか、懸念される一つの問題として御指摘のような質の低下という問題がございますが、これにつきましては各大学、短期大学がまずみずからを点検し、評価をするということを始めてもらおう。そして、それがさらに進みますと、アメリカで行われておりますように、自己点検、自己評価を基礎としたアクレディテーション・システムというところまで進むということが期待をされようかと、このように考えておりますし、そういう方向の御審議をちょうだいいたしているところでございます。
○木宮和彦君 自己評価を各学校が正当にできるようになれば大変すばらしいことだと私も思いますが、まあ将来のことでございますのでこれからひとつ大いに検討されて、立派な教育体制ができますように心からお願いをいたしたいと思います。
 明治以降、今日の日本の発展があるのは、私は教育のおかげが大きいと思います。特に、質のよい労働力をたくさん提供できたのも、実にこの学校教育のたまものだと思いますし、それによって今の自由世界の体制が、日本の貿易を支えて今日の繁栄があることはまず間違いないと私は思いますが、その意味でもこれからの日本の教育というものは今までとは違った、なお一層発展するような、個性が生かされる丁寧な、そういう教育がなされるべきだと思いますので、どうぞひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
 さて、大臣もお見えでございますが、学校の中には私立学校と国公立学校、つまり私大あるいは国立大学とございます。これは設置者が違うことは当たり前でございますが、それ以外に大臣のお考えとしては、大臣も非常に造詣がお深いですから、一体私立と国公立とはどう違うのか、もし御見解がありましたら、いやそうじゃない、一緒だというならそれはそれで結構でございますが、もしありましたらひとつお教えを願いたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 先生は専門家でございますが、私はやはり国立大学には国立大学の使命があり、私学にはやはり建学の精神あり、自由にそしてまた大学教育をみずから学ぼう、これは国立大学も同じではありますが、そういう点に立ちまして、国公立にはやはり国公立のまたよさがあり、私学にはまた私学のよさがある。私は、それぞれの道で両者相まって日本の教育が世界の水準にあるのではなかろうか、このように考えております。
○木宮和彦君 私立と国公立の学校は自動車の両輪のようなものでございまして、どっちが大きくてもぐるぐる回っちゃって前へ進みませんので、やはりこれはそれぞれの任務といいますか、役目があると思います。今大臣がおっしゃったように、私立学校というものはある立派な建学者がおりまして、建学の精神に基づいてそれから出発する。私は、私立学校は人が先で物は後だ、逆に国公立の学校というものは、必要に応じて議会で予算をつけて、物をつくって、それから人間が来て、そして教える機関をつくるのだというふうに、私は私なりに今理解しておるんです。
 ところが、現実問題として最近の設置問題、例えば大学設置にいたしましてもそうですが、やはり私立学校そのものの精神よりも物的なもの、あるいは審査の仕方ではそうならざるを得ないのかもしれませんが、やはり私立学校のよさ、例えば変な話でございますが、現在の早稲田にしても慶応にいたしましてももとは私塾なので、私塾から今日の発展があるわけでございます。そういう意味で、本当の意味の私立学校というものを育てるにはどうしたらいいかということを、やはり文部省当局もお考えをいただきたいと私は思うんです。
 例えば、最近もそうですが、高等学校以下の場合には知事の所管でございますが、公立学校は教育委員会、片方の私学は知事の総務部とかあるいはほかの部局でやっております。やはり私学としては、同じ教育委員会で扱われると、公立学校即私立学校と同じだというふうにどうも行政の方は考えやすいので、文部省もややもすると国立大学が大学で、私立学校はあれは大学じゃないというような、まあそんなことはないと思いますが、ややそれに近いような行政があるんです。
 例えばの話ですが、学長選任にしても、国公立はそれぞれ教授会で選任する場合もあるでしょう。私立学校なんかの場合には、むしろ理事会が決定する方が順当なので、私に言わせればむしろ国公立といえども理事会みたいな、アメリカあたりはそうなんですが、地方の有力者なりあるいは学校の中の代表者とか父兄の代表者によって一つの理事会みたいなものを構成されて、そこでもって学長を選任する方がより合理的なこともあると私は思うんですが、どっちもどっちで、どっちとも言えませんけれども、その点もう少し明確に国公立の学校と私学とは、私学にはこの自由は許されるのだ、国公立はだめだけれども、私学のこういう点はあなた方の長所なのだから、これをひとつ大いに利用して頑張っていい学校をつくりなさいというような姿勢を高々と上げる方が、その車の両輪に私は非常にふさわしいような気がいたしますけれども、その辺大臣はいかがお考えになるか、ひとつお教えをいただきたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘ございましたように、私立大学の学長の選任の方法につきましては、法令上特別の定めはございません。したがって、いわばそれぞれの設置者において決められる事柄ということでございます。しかしながら、学長が学長としての職務を適切に遂行できるということには、やはり教学側の支持ということも大変重要な問題ではなかろうかと思っております。
 したがいまして、それぞれの設置者において選任方法を定めるに当たりましては、私どもとしては教学側の意向が適切に反映されるよう御配慮いただきたい、このようにお願いをいたしておるところでございます。
○木宮和彦君 そのとおりで、私も別に教学を無視するなんということを全然考えておるわけではございません。いろいろ学校それぞれにおいてある程度やはり、これから特に私立学校の場合にはサバイバルで生き延びていかなければならぬ一つの必要性がございますので、それだけにやっぱりマネジメントをしっかりしていかないと生きていかれないと思います。そういう意味で、いろんな工夫が施されていかないと生き残れないんじゃないかという気がいたします。その辺、私立学校は、在野精神というと大げさですが、やはり補助金も大事ですが、補助金だけに頼って経営していくようなことはとるべきではないと、私はそう思っているので、今後そういう問題も大いに論議しながら、ひとつ私立学校にも温かい目で文部省さんもお願いいたしたい、こう思います。
 さて、もう時間も余りございませんので、同じ将来のことで、看護婦の養成です。
 これは、厚生省がかなりタッチしておりますが、これからあと十年もいたしますと、先ほど私申し上げましたように、大学にはほとんど九〇%ぐらいが眠っていても入っちゃうというような事態が来ることはまず間違いがないわけでして、今はなかなか難しいんですけれども。そうなった場合に、例えば看護婦養成学校があって、そして看護婦さんという資格の上からいって理科系の教科、特に数学とか生物とかいうものはどうしても入学試験に課さなくちゃならない。そうなると、なかなかやはり子供たちが、それまでやってわざわざそこまでいく必要はないと。
 しかも、看護婦さんという職業は三Kと最近言われるように大変きつい仕事でございますので、将来果たして看護婦さんが、今ですら足りないのにあと十年後あるいは十五、六年後にはもうほとんどいなくなっちゃって、我々老人になったときには看護婦はいないぞと。まあベッドへそのままロボットでもやってくれれば別ですけれども、どうもそういう事態が、深刻な問題が来るような気がして私はならないので、この辺で抜本的に、これは厚生省だけじゃとても任せちゃいられないので文部省さんに、ひとつどうやったら看護婦養成がスムーズにいくか。
 私の静岡県ですら、公立病院はあってベッドはあるし医者はいるけれども、看護婦がいないからベッドをふさいでいる、クローズしているという病院がたくさんございます。ですから、今からひとつ、泥縄ですけれども、養成学校をつくりたいという相談を私よく持ちかけられます。そこの地方の町が三つ四つ集まって、そして高等看護学院をつくろうとしているんですけれども、将来、生徒の側からいえば看護短大とかあるいは看護の大学とかいうところなら行きたいけれども、今の制度の学校へ余り行きたがらないというのも事実でございまして、高等学校にも看護科ありますけれども、実際そこの卒業生は余り使い物にならぬということも私聞いております。
 何とかひとつ、その辺の将来性について、これは文部省だけじゃなくて厚生省ともども、国民の問題でこれは非常に悲壮な問題だと私は感じておりますから、ひとつお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 御参考までに、看護系の大学、短期大学に対しまするいわゆる志願倍率というものを御紹介させていただきますと、昭和六十一年度が、大学への志願倍率が五・三九で、短期大学は五・三〇でございます。平成二年度におきましては、大学につきましては七・一五、短期大学は五・三六ということで、看護系の大学、短期大学を志願しようという意欲は決して衰えているわけではないと思っております。これはもう先生つとに御案内のとおりではありますが、この看護婦問題についての一つの大きな問題は離職者ということと、それから新規に卒業した者のうちの看護婦への就職状況ということが大きな問題であるわけでございます。
 私どもとしても、もとよりこの看護婦の養成規模は、厚生省所管の看護学校、そして私どもが所管いたしております大学、短期大学、あるいは若干の看護学校がございますが、厚生省所管のものが非常に大きい規模でございまして、私どもとしてはむしろ養成規模ということよりは看護教育の充実ということに力を注ぐべき立場にあろうと思っておりまして、例えば昭和四十二年度以来、従来医学部附属の看護学校としてありましたものを、当委員会を初め国会の御理解も賜りまして国立の医療技術短期大学部としていわば昇格をし充実をしてきましたが、これが二十二に上っております。また最近では、平成元年度に東京医科歯科大学にございました看護学校、これを学部の四年制の学科に移行をしたというようなことで、私どもとしては最善の努力をさせていただいているつもりでございます。
 そういった離職者の問題、あるいは卒業しながら看護婦に就職しないといったような問題についての改善ということがやはり望まれるのではなかろうかと、このように考えております。
○木宮和彦君 もう時間も一分しかございませんが、ぜひひとつ、今まで医科大学を各都道府県に一校ずつつくる計画がございましたが、せめてその医科大学に看護短大をみんな附属をつけるようなことをお考えいただくと、多少なりとも私は違うような気がするんです。これは実行しようと思えばすぐできるはずなんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 看護婦の需給につきましては、これまた先生も十分御案内のところではあると思いますが、かなり地域的な相違がございまして、各新設の医科大学について見ましても、県内において若干看護婦の取り合いを関係の病院等でやっているような状況がある場所もありますが、十分に地元の養成で間に合っているといったようなところもございます。
 また、もう一つお考えいただきたいことは、新設の医科大学につきましては、特に病院でございますが、まだまだ整備をしていかなければならない特殊診療施設等の問題もございます。そういったことを総合的に勘案しながら対処をさせていただきたい、このように考えております。
○木宮和彦君 終わります。
○石井道子君 先ほど答弁者がおいでになりませんでしたので、後回しにさせていただいた分をやらせていただきたいと思います。
 まず、国際協力交流問題でございますけれども、実は世界的にも大変大きな関心を呼びました中東湾岸紛争に関係をいたしまして、日本も九十億ドルの問題に関していろいろと大きな論議を呼びました。やっと停戦を迎えたわけでございますけれども、湾岸地域の平和と安定を図って、また国際秩序の回復のためには、日本が果たすべき役割というものは大変大きなものが求められているわけでございます。
 特に、せんだっても外務省あるいは厚生省、文部省で医療団を派遣しようというような話が出てまいりましたけれども、実は応募者も少なく、まあ準備不足という点もありましたけれども、実現の運びに至りませんでした。今後も被災民の救済でありますとか災害復旧とか、あるいは伝染病の防止、治療とか、そのようなことで多くの課題が残されておりますし、これは中東湾岸問題に限らず、やはり発展途上国など幅広く医療や医薬品に対する協力が非常に今要望が多くなっておりますので、それを踏まえまして医学の分野の交流を一層進めまして国際協力に貢献する必要を痛感した次第でございます。
 しかし、それをするにはこの協力がやりやすい環境を国として考えなければならないときに来ているのではないかと思いまして、その環境づくりが速やかに行われる必要があると思うわけでございます。医師の養成に関しましては、非常に重要な役割を果たしております文部省でございますが、このたびの緊急かつ重要で貴重な経験を踏まえまして、そのためにどのような条件を整備する必要があるでしょうか。そのような点について文部省のお考えをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
○政府委員(長谷川善一君) このたび戦時、あるいは戦争が十分に予想されるというような緊急事態の発生時におきます医療協力の体制がかなり問題になったわけでございます。これは、今後国全体として当然考えていかなければならない重要な課題であるというぐあいに認識いたしておるわけでございます。
 平時におきまして、我が国の発展途上国を中心といたしました医療協力あるいは援助の事業というのは相当数行われておりまして、外務省、国際協力事業団、厚生省等々と一緒になりまして文部省も非常に大きい一翼を担っておるわけでございます。特に人材養成が極めて重要であるということから、平成元年度におきましては、医療協力といたしまして専門家を派遣いたしましたり研修員を受け入れしたり器材を供与したりいたしておるわけでございます。
 そういった意味の技術協力で、きちっとした形態で数年続いていきますものは、例えばタイの国立衛生研究所と大阪大学、あるいはミャンマーの教育病院と京都大学というようなぐあいに提携して行われておりますものが十八件ございます。それから、例えば長崎大学の熱帯医学研修コースのように、特に低開発国から参りました研修生を受け入れて長期間にわたって研修をいたしておりますものが、大学関係で六件ございます。そういうようなことで、専門家の派遣は百二十三、研修生の受け入れ百四十七、これは国立大学だけの数字でございますけれども、平成元年度その程度の規模に上っておるわけでございます。
 今後とも、発展途上国に対します一層の医療協力ということは、各大学の協力を得ながら、文部省としてもその体制に不備なところがあればそういったところを十分に注意しながら努めてまいりたいと考えております。
 なお、学術の面におきまして医学という観点から低開発国の大学、特にASEAN諸国の大学と日本の大学との間には拠点大学方式という交流計画がございまして、これは研究者の交流のほかに共同研究、シンポジウム、あるいは論文博士号を与えるための指導、そういうようなものを組んでやっておるわけでございまして、これもプロジェクトが四つ実施されております。なお、こういった方面でもさらに協力を深めていかなければならないと痛感いたしておる次第でございます。
○石井道子君 最後になりましたけれども、このたび文部大臣御就任おめでとうございます。参議院の文教委員会の委員として、文教行政には大変精通をしていらっしゃる大臣でございますので、ぜひこれからも御活躍を期待する次第でございます。私どもも大いに協力をさせていただきたいと思います。
 時間がありませんので、以上で失礼させていただきます。ありがとうございました。
○針生雄吉君 若干唐突に聞こえるかもしれませんけれども、一つの例え話をお聞きいただきたいと思います。ある生き物の体に発生したしこり、できものの話でございます。
 この宇宙上に住んでいるある高等生物の一族の中で、すなわち地球家族としての人間一族の中で、一人の人のおなか、腹部に体の表面から見てもはっきりとわかるしこりができました。本人は単なる筋肉の塊で力こぶだ、生理的なものであって健康上無害。である、こう主張しておったのでありますけれども、そのしこりが伝染性のものかもしれないしあるいは悪性のものかもしれないとその一族みんなが心配をしまして、医師団で相談いたしました。医師団の中にはいろいろな意見がありましたけれども、手おくれにならないうちに早目に治療を開始した方がよいという結論に達して治療を始めました。
 まず手始めに、第一歩として点滴による薬剤の投与からスタートしました。しかし、医師団の中の非常に腕自慢の外科医たちが、このしこりの状態が進行しないうちに切除すべきだと主張いたしまして、早期手術に踏み切ってしまったわけであります。
 ところが、おなかをあけて中を見てみましたら、そのしこりはおなかじゅうに根っこを張りめぐらせておりまして、そう簡単にはとれないということがはっきりしました。このまま手術を続行すれば手術中の出血量の増加など生命の危険をもたらすこと、あるいはむしり取るようにとってみても、万一摘出に成功しても、手術後の障害とかあるいは体力の低下、そういうものがはかり知れないものがあると予想されるに至りました。それでも血気にはやる腕自慢の外科医たちは、一定期間根治手術を目指して一生懸命手術を続行しましたけれども、ようやくあきらめて手術は中止となりました。そしておなかを閉じました。患者さんはまだ麻酔から完全にはさめていないので患者さん自身の意思表示ははっきりしない点もありますが、これからどういうふうにするか、いかなる治療方法をとるべきか、患者さんの親戚や医師団を含めてみんなで相談しなければならない。
 こういうたわいのない例え話でございますけれども、実はこの例え話はこのたびの中東湾岸戦争の状況をわかりやすく説明しようとしまして私が使った例え話であります。かえってわかりにくいという話もございましたけれども。これに似たような事態は実際の臨床でも起こることでありまして、必ずしも荒唐無稽な例え話だけではないと思います。このしこりのできた場所がイラク・クウェート地域であって、腕自慢の外科医集団をアメリカを中心とした多国籍軍に置きかえていただければよくわかると思いますけれども、その例え話は後の伏線としてさておきまして次に話題を変えたいと思います。
 先日、井上大臣の教育に対する、あるいは教育行政に対する御所見はお伺いしたところでございますけれども、見方を変えましてネガティブな面から、大臣が常々明治期以来の我が国の教育において最も欠けていたものは何かという方向から、お役人さんの作文から離れまして、人間井上として今後我が国の教育において最も力を入れるべき方向は何かということについて、ひとつぶっちゃけた話をお願いしたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 私はもうそのままのお話をしたわけでありますが、やはり人間性豊かな教育をいたしたい、まずそれのみでありまして、それには知、徳、体それぞれそろった、やはりそれには先ほど言ったように長い目の地味な教育、それはやはり人間教育、豊かな教育をいたしたい、それが一番の望みであります。難しい言葉じゃなく、やはり我が国が国際社会において積極的に取り組んできた。そしてまた、これから「創造的で活力ある」という言葉のように、活力ある社会をつくるためには、教育、あるいは学術、スポーツ、そして文化の振興が必要である。そういうためにも人間の心豊かな教育をいたしたい。そういうものの中に幾つもこの間言ったものが含まれておりますが、まずそういう一点であります。
○針生雄吉君 今後、人間性豊かな、人間味あふれる教育行政に御期待申し上げたいと思います。
 いろいろお考えというものがあろうかと存じますが、私は次のような見方というものもあながち見当違いではないのではないかと思っております。
 二つほどあるんですが、一つは、先ほどの中東湾岸とも関係しますけれども、アラブ、イスラエル等の中東文化圏、あるいは中国、朝鮮半島の文化圏、アフリカ、インド、アジア諸国や、いわゆる環太平洋文化圏などと言われますような、ヨーロッパ、アメリカ以外の国々の文化に対するアプローチが少なかったという反省があるのではないかと思います。一つは、和魂洋才という考え方につながる流れとも言えますけれども、我が国の伝統的な思想体系が、経済的に発展途上にあった中国大陸や朝鮮半島やアジアの国々の伝統文化よりもまさっているという誤った民族主義的な考え方が、特に第二次世界大戦以前には存在していた。まあ侵略行為とみなされる見解もあるわけでございますが。と同時に、ヨーロッパ、アメリカの文明が日本の伝統的な文明よりもすぐれているという、こういう舶来崇拝といいますような考えも牢固とした流れが続いているわけであります。あるいはキリスト教的思想を基盤としたいわば唯心的文明に対するアンチテーゼとしての社会主義的唯物論的な文明観が、特に第二次世界大戦後の我が国の歴史の舞台で重要な役割を演じてきたというのも事実であると思うのであります。
 すなわち、我が国の伝統的文化優先という流れの対極に位置する、学ぶべき外国の文明としては欧米の文明が中心であって、その欧米の文化の学習、受け入れというものが我が国教育の基本的中心的な姿勢であり過ぎたのではないかという反省があってもいいのではないか。すなわち、中東、アラブ、イスラエル文化圏、中国、朝鮮半島の文化圏、アフリカ、インド、その他アジアや環太平洋文化圏の国々のことを知らな過ぎたというような反省がある。
 そういう意味におきまして、今度の湾岸中東戦争においても、アラブとは一体何だとか、湾岸地帯とは何だと。月の砂漠でアラビアンナイトを語っているところがそういう国かなんというふうな認識、その程度の認識しかなかったということも事実でありますが、こういうことで今後の教育行政において価値判断の基準となるべき知識を与え、涵養する方向に教育というものが向かわなければならないと思うんです。偏った教育というものは誤った判断の原因となるわけであります。
 例えば、先ほどのしこりの例で申し上げますと、健康維持のために害になる悪性腫瘍なのか、あるいは反対にむしろ健康のシンボルであり生理的な力こぶなのであるかという、そういう価値判断の基準というものはやはり片一方の理論だけでは決められない。両方突き合わせてアウフヘーベンした基準が必要になるわけであります。
 そういう意味において、我が国の教育において今後そういった、まあアンデベロップドカントリーと言うと申しわけないんですけれども、そういう国に対する教育というものが非常に大切になると思うんです。
 そういう点において文部省はどういうふうなお考えなのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今先生言われましたように、国際化が進む中におきまして次代を担う日本人を育成するためには、私は、学校教育において、諸外国ですね、これは今おっしゃった欧米のみならず、その文化を理解し尊重することが我が国の発展につながる。また、自分たちの国の伝統と文化を大切にする態度、これが必要であろう、このように考えます。
 学校教育におきましても、私自身小学校、中学校の子供たちの本を読ませていただきました。その社会科には、欧米だけではなくやはりいろいろ、例えばアジア、アフリカの地理や歴史、そういうものも書かれておりますし、また今後、欧米はもとよりそれ以外の国々と、日本がかかわり合う他の国に関心を持つために、今おっしゃるように欧米だけでなく、これはシンガポールの教材も中学の本に入っております。
 今おっしゃったような幅広い世界各国の、アジア、アフリカ、そういうものとのこれからの国際交流を含めて、欧米のみならず――やはり欧米には欧米のいいところがあると思います。しかし、アフリカあるいはアジアにもそのいいところがあるわけでありますから、これは日本として、やはり私どもの日本の伝統と歴史を守りながら、この国際交流の中でお互いにひとつ切磋琢磨したい、こういう考えでおります。
○針生雄吉君 ひとつ具体的に中長期的立場でいろいろなそういう高等教育においても、初等教育、中等教育においても、それぞれの取り組みをしていただきたいと思うのであります。
 例えば中国語にいたしましても、アラビア語にいたしましても、そう短期間で修得できるわけではない、十年、十五年とかかるわけでございますので、そういう学習者に対する政策的な誘導といいますか、おもしろくなさそうだから、欧米文化に比べると魅力がなさそうだからといって敬遠する傾向があるのかもわかりませんけれども、そこにやはり国としての文部省としての政策的な誘導というものが必要になるのではないかと思います。そういう人たちが育っていかないと、国連中心主義の外交、その中心的な人材というものも育っていかないと思います。あるいはまた、大臣がさっきおっしゃったように、初等教育なんかにおきましてもそういう国際交流、国際親善という心を養っておかないと、民間外交の大切さが言われている今日、そういった国際理解の輪というものも広がっていかないというふうに思います。具体的にもっとお聞きしたかったのですけれども、時間もありませんので。
 次に、先ほどネガティブな面で見ていこうと申し上げましたけれども、明治期以降の我が国の教育の基本姿勢において欠けていたものを私はもう一つ挙げたいと思うのであります。それは目に見えないもの、心とかあるいは生命などに対する取り組みの弱さというものがあるのではないかと思います。その典型的な例として、医学教育の分野における伝統医学、東洋医学、トラディショナルメディシンに対する姿勢というものを挙げることができると思うのであります。
 東洋医学に対する取り組み方、この問題に入るに当たりまして、最初に、デンタルドクターでもある大臣は東洋医学、はり、きゅう、あるいは漢方医学に対してどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただければ幸いでございます。
○国務大臣(井上裕君) 私は、東洋医学、今先生のおっしゃる、文明がどんどん進んでいると。専門家もいらっしゃいますが、薬ができる。それはやはり病気に対します抵抗ができる。そういうものが東洋医学にはない。だから、そういう点においては、確かに今言う漢方薬にしてもあるいは鍼灸にしても、これはやはりそれを信じてまさにやれば効くわけですから。よくゲンノショウコという一つの粉がありますが、これはきっと私は、細菌性のものでどうしてもやはり抗生物質でなくてはならないというようなものでは、これまた副作用もありますから、そういう点については、今おっしゃる先生の東洋医学は、まさに漢方薬あるいは鍼灸、そういうものにはやはり、東洋医学のよさというものを知っております。
○針生雄吉君 大学の医学部の医学教育における東洋医学の取り組み方について、文部省の御見解といいますか、計画があればお聞かせ願いたいと思いますが、どなたかいらしていますか。
○政府委員(前畑安宏君) 私どもの方では、昭和六十二年の九月でございますが、医学教育の改善に関する調査研究協力者会議をお願いいたしまして、今後における医学教育のあり方についていろいろと御議論をちょうだいいたしましたもののまとめをいただきました。その中で、「今後要請が高まると思われる分野」という問題の御指摘をいただきました。リハビリテーション医学であるとか、あるいは老人医学であるとか、そういったものと並べて、今後における要請が高まる分野として「漢方薬、はり、きゅう等を活用する東洋医学の教育」という御指摘をちょうだいいたしたところでございます。
 先生御案内と思いますが、現在東洋医学に取り組んでいる大学も幾つかございますが、まだ講座というところまではいっておりません。いろんな学科の中で東洋医学を取り入れていくというのが二十九大学において行われております。麻酔学の教育の中でペインクリニックとして扱っているのが大方でございますが、これまた御案内と思いますが、富山医科薬科大学では、これはもうかなり東洋医学を重視をいたしまして、伝統的中国医学の病理観等々かなり幅の厚い教育を行っているというように承知をいたしております。
 今後とも、私どもといたしましては、こういった新しい分野に、新しいというわけではございませんが、必要とする分野に関する教育の充実ということについて、各大学の種々の改善について努力を促してまいりたい、このように考えております。
○針生雄吉君 今の御説明の中にもありましたけれども、現在、東洋医学の専門講座を持った大学というものはないわけでございます。これは、私立の大学の中には研究機関も含めまして多少ございますけれども。そういう要請があればというよりは、人々の健康増進のために必要であるというものを先取りして誘導していくという政策も必要ではないか。
 例えば、WHOの中嶋事務局長が去年の六月の第四十回の日本鍼灸学会、これは大阪で行われたものでございますが、その特別講演の中から、ちょっと長くなりますけれども引用いたします。中嶋事務局長は「一九九〇年代における伝統医学 WHOの活動と展望」というテーマでお話しになりました。
 しかしながら、伝統的なシステムによるケアを受ける人々の数は増加傾向にあるように思われます。それは特に多くの先進工業国において、現代医学にかわるべき何かが模索されていること、いわゆる薬づけに対する批判や、急速にその活動が展開しつつあるいわゆるグリーン運動、あるいはエコロジー運動への同調などがその契機として考えられます。また、医療費の高騰あるいは医療経済の破綻等が伝統医学へ目を向ける要因となっていると思われます、と。
 あるいは、次のようなこと。既にこの複合製剤、これは漢方製薬のことでございますけれども、既にこの複合製剤あるいは鍼灸の総合的治療法につきましては、数千年来の伝統的なシステムが既に成立しているわけでございます。このシステムを有効かつ安全に用いるということが至上の問題でございます、と。
 こういうふうに、これは去年の日本の鍼灸学会における特別講演での中嶋事務局長のお話でございますけれども、そういう世界的な認識というものがあるわけであります。
 あるいは、厚生省におきましては既に、これはダイレクトに東洋医学を取り込んだものではございませんけれども、長寿科学研究センターというものを長寿科学総合研究費の中に組み入れまして、今年度中には実施設計に入るというふうに聞いておりますけれども、その長寿科学総合研究費を用いた研究項目の六つの柱の中の一つに、東洋医学・漢方分野というものがありまして、これは九〇年代半ばまでの発足を目指して総合的な研究施設、医療施設というものをつくろうという構えでございます。つまり、もうあと四、五年で厚生省の運営するそういった東洋医学・漢方分野での研究診療機関ができるというわけであります。これは愛知県内の国立中部病院を中心としてできるということでございます。そういう傾向というものもあるわけでございまして、まあ言葉を返すようでございますけれども、大臣の仰せになったような、信じてやれば効くゲンノショウコというような簡単なものでは決してないわけでありまして、きちっとしたそういった理論体系というものがあるわけでございます。
 もう既に、中国はもちろんのことでございますけれども、例えば韓国、台湾などでも伝統医学と現代医学の統合などのテーマのもとに高度な研究体制がとられておるわけであります。日本はおくれをとる一方でございます。そういう意味におきましても、日本の医学教育において文部省がぜひ先頭を切ってそういう誘導をしていただきたいと強調を申し上げ、あるいは警告を申し上げたいというふうに思うんであります。
 先ほどのしこりの例をとって申し上げますと、せっかくしこりの例を出しましたのでしこりにこだわりますけれども、しこりが健康の維持増進のためにマイナスになるという判断がつけられました場合に治療を始めるわけであります。そうする場合に、我々がなれ親しんできた西洋医学的な方法論からすれば、手っ取り早くそれを根治的な切除、摘出してしまおうというような、いわゆる手術によって切ってしまおうという方法が考えられるわけでありますけれども、東洋医学的な理論から言えば、しこりの原因である血(けつ)であるとか水(すい)、そういうものを処理――血(ち)と言わず血(けつ)と言うんですね、血や水を処理することによってそのしこりをなくすることができる。つまり、その血にしても水にしても目に見えない「気」、気というのは気のせい、病は気からなんという気と同じでございますが、元気とか大気とか空気とか、その目に見えない気をコントロールすることによって処理が可能であるというふうに東洋医学の理論では言うわけであります。すなわち、目に見えない気によって目に見えるしこりを処理するというのが東洋医学的な考え方なのであります。
 そういうように、我々が明治以来親しんできたいろいろな考え方の中には、我々が教えてもらわなかったがゆえにわからないという面がいろいろあるわけでございますので、大臣が所信の中で仰せになりましたような、「二十一世紀を展望した学術研究の総合的推進」、あるいは「大学等の教育研究の高度化、多様化、活性化等を図る」とか、あるいは「我が国の国際的役割の増大に対応して独創的、先端的な学術研究をより一層推進し、世界の学術研究の進展に積極的に貢献していく」というような大臣の御所信からすれば、こういう面においても例えば今まで余りクローズアップされていなかったいろいろな中東、アジア、アフリカ、そういう諸国との学術交流あるいは理解に努めるということとともに、ぜひ東洋医学の蘇生といいますか再評価といいますか、そういう面におきましてもお力を尽くされますようにお願いをいたしまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○高崎裕子君 昨日、高額医療機器導入をめぐる汚職事件で横浜市立大学医学部の前教授が逮捕されました。千葉大学事件といい、今回の医療機器導入をめぐる汚職は構造汚職の色彩を帯びていると言ってもいいと思います。文部省としても再発防止のために調査をされるということでしたが、この医療機器導入については、三月六日、改善策の検討委員会が設置されました。しかし、これも極めて対応が遅いと言わなければならないと思います。既に二月十四日に千葉大での事件が明らかになって、このときに、これは氷山の一角だ、こう指摘もされていたわけです。本来ならこの千葉大事件の直後に対策委員会をつくって総点検を行うべきであったと思うわけで、文部省としては導入の実態調査を行うということですけれども、調査状況に応じて本委員会にその結果を報告すべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。そして、調査の内容はどのようなものになっているのでしょうか。そして、現時点での改善策はどのように考えておられますか。
○政府委員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 文部省としましては、二月十四日に直ちに事実関係の確認、それから今後の対応策につきまして千葉大学に対しまして指示をいたしました。逐次大学当局から事実関係について報告を受けているわけでございます。
 それで、事実関係でございますが、その報告によりますと、CTの購入経緯につきましては、予算の配分後五名の教官から成ります仕様策定のための検討委員会を平成二年八月三十日に設置をしました。それから入札等につきましては、平成二年の九月十一日に官報で入札公告を行ったわけでございます。それによりまして横河メディカルシステムと東芝メディカル、この二社が入札を行いまして、入札者の提案に係るそれぞれの機器について五名の技術審査委員で技術審査の結果、それに合格したものが横河メディカルシステムの製品であったわけでございますが、それについて開札した結果、予定価格の範囲内であったことから同社が落札をしまして、平成二年十月三十一日、同社と契約をしたところでございます。
 それで、文部省としましては、千葉大学における医療機器の導入をめぐるこの事件を契機にしまして、国立大学における医療機器等大型設備の調達の適正を期するためにその調達手続の改善方策を検討したいということで、関係局の課長をメンバーとする国立大学における大型設備の調達に係る仕様策定の在り方等に関する検討委員会を省内に設置をしまして、きのう三月六日に第一回の会議を行ったところでございます。
 それで、会議でこれからその仕様策定のあり方等について検討していくわけでございますが、まず実態調査をやることとしまして、仕様策定委員会の運用の実態、技術審査の実態、それから入札の状況等について総合的に調査をすることとしております。
 このようなことと並びまして、引き続き事実関係の把握を行うとともに、検討委員会でさらに検討を行い、有識者の意見も聞きながら、競争性の確保の観点から仕様策定のあり方あるいは技術審査のあり方等について総合的に検討していきたいというぐあいに考えているところでございます。
○高崎裕子君 改善策として、選定のプロセスに個人の独断や情実が入らないようなものも検討されていると聞いておりますが、そうでしょうか。簡潔にお願いします。
○政府委員(遠山耕平君) 今の手続におきましても個人の単独の意見でもって選定の機種が決まるとい、つシステムにはなっていないわけでございますが、そこのところが現在の制度で万全なのかどうかについて実態調査も行いながらさらに検討して、穴があったらそこをふさいでいくというようなことを検討していきたいということでございます。
○高崎裕子君 横河メディカルシステムの高額医療機器、CTやMRIは相当な範囲で購入されるようになっているわけで、国公私立大学の医学部のどこの大学に何台購入されてきたか、大学別に購入機器と購入日時、購入価格、各大学の機種選定委員会の実態などを明らかにしてほしいのですが、明らかになりますでしょうか。
○政府委員(遠山耕平君) 私どもが現在調査しようとしておりますのは、国立大学についての大型機器の購入状況あるいはその選定状況でございますので、私立大学、公立大学について現在調査する予定は持っておりません。
○高崎裕子君 国立大学については今調査中で、その結果は出次第資料としては出していただけるということになりますね。
○政府委員(遠山耕平君) はい。国立大学については調査の結果、購入状況等については提出をいたしたいと思います。
○高崎裕子君 国立大学は任命権が直接ということで当然ですけれども、文部省としては、公立、私立大学についても所管であるという点では同じように購入機器等々実態調査をぜひしていただきたいと思います。
 時間がありませんのでこの程度にいたしますが、このような事件はあってはならない事件ということで、再発防止のために最善を尽くしていただきたいということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 全国の父母や教職員が長年待ち望んでいた四十人学級などを柱とする定数改善計画が、ようやく来年度で完成することになりました。文部省、とりわけ担当者の皆さんは大変御苦労さまでございました。しかし、まだまだこれは不十分だということで、義務制の学校についてもいろいろ指摘もしたいところですが、きょうは高校の問題に絞って質問をいたします。
 まず最初に伺いますが、高等学校設置基準では一学級の学級定数は何人となっていますか。
○政府委員(菴谷利夫君) 高校設置基準では、「同時に授業を受ける一学級の生徒数は、四十人以下とする。但し、特別の事由があるときは、この数をこえることができる。」、こういう規定になっております。
○高崎裕子君 この十二年計画策定時の諸澤初中局長の答弁では、設置基準に「四十人以下とする。」と書いてありますからあれにのっとってやるのが妥当だということを強調もされていたわけですよね。
 そこで、次に諸外国の高校の学級編制基準ですけれども、これはどのようになっていますでしょうか。
○政府委員(菴谷利夫君) 基準という意味では、例えばアメリカですと、中等学校について基準はなしということでございますが、州によって若干違いがありまして、各学校の自由裁量に任せるところもございますが、インディアナ州の例では、例えば高校に相当するであろうと思われます第九から十二学年のところでは二十八人以下となっているところもあるようでございます。イギリスは、同じく基準はなしでございます。
 フランスにつきましては、例えばリセの後期一年生から二年生までが四十人、第三学年が三十五人。西ドイツも、十一の州がございまして州ごとに違うようですが、例えば高校に相当しそうな十一ないし十三学年というところでは、上限二十五というようなところもあるようでございます。これはノルトライン・ベストファーレン州の例でございます。
○高崎裕子君 今お聞きした限りでも日本は大変立ちおくれているということはもうはっきりしているわけですが、これはこの国際比較が十二年前のときにも問題になっているんですけれども、その当時も文部省は、諸外国に比べて立ちおくれているということをお認めにもなっているわけです。この十二年計画策定の際に小中学校は学級編制基準を改善したのに、なぜ高校については四十五人学級のまま据え置いたのでしょうか。
○政府委員(菴谷利夫君) 今おっしゃいましたように、例えば高校設置基準に四十人以下と書いてありますのは、これは新制高校ができました昭和二十三年当時ですか、新制高校ですからその設置の例がないということから、とりあえず何か基準をつくらなきゃいけないということで、若干旧制学校のイメージを下地にしてとりあえずつくられたものでございます。その後高等学校の進学が非常に普及しまして、各県では学校をつくりつつ教員も整備していかなきゃいけない。そういう背景のもとでいろいろ努力しできたわけでございますが、どうしても進学希望が高いものですから規模が大きい学級がふえたりする。それらがありまして、何とかいわゆる学級編制の適正化を少しでもするとともに教職員数も確保するという裏づけをつくるために標準法ができたわけでございます。
 それは、当時、現実を踏まえつつ少しずつでも望ましい基準に持っていくということからスタートした関係上、今日外国と横断的にすぐ比べますとそういう違いがあるだろうという御指摘でございますけれども、当時と比べれば随分改善をしてきたということでございます。
 なぜまだ例えば四十人になっていないかということでございますが、十二年前の昭和五十五年当時も急激なべビーブームの波で児童生徒がふえるという、そういう時期でございました。同時に、進学率も上がってきたという中で、各県が高校急増対策に追われて基準の改善という望ましい方向へなかなか持っていけないという実情の中で、とにかく基準をダウンさせないで新増設に対応する、それには来年度で達成します一万人程度のいろいろな要素による改善が精いっぱいだというのが実情でございます。
○高崎裕子君 当時から文部省としても学級定数を引き下げる必要は認めておられたわけなんですよね。でも、この十二年計画策定当時は生徒が急増するという、いわばそれを唯一の理由として高校については学級定数の改善を見送ったというのが事実なわけです。ところが、現在はどうかといいますと、昨年から中卒者は急減期に入っているわけで、この減少傾向というのは今後ずっと続くわけです。ですから、当然文部省としては、これはもう来年度からとは、もちろんそれは望ましいですけれども、とは言いませんが、次期計画で高校は学級編制基準を四十人以下に改善する方針であると、こういうふうに考えていらっしゃるというふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(菴谷利夫君) 学級編制の今後の改善についてですが、その前に、ようやく達成いたしました高等学校に係る第四次計画、これに基づいて完成時の平成三年度におきまして、要するに学級編制及び教職員配置の状況のいわゆる標準のあり方と実際のあり方がどうなっているか。それから、子供が減っていくという全国的傾向はもちろんでございますけれども、現実に教職員定数のあり方を考える場合には各県各地域ごとに見ていかないと、全国のただ丸まった数字だけではなかなか数字が出てこない、そういった点もございまして調査を行っていきたいということで、平成三年度調査費を計上さしてもらう案を出さしていただいているわけでございます。
 それで、学級編制の改善についてはどうかということでございますが、お話のような点は今後の検討課題であろうと思っているわけでございます。
○高崎裕子君 実態を踏まえながら今後の検討課題ということですけれども、これはもう既に設置基準で四十人以下とするということで、生徒が現に減っているということですから、これは四十人以下にするということでぜひ検討していかなければならないというふうに思うわけですけれども、今文部省がおっしゃったような、言ってみれば煮え切らない態度なので、もう急減期に入って教育条件を改善する絶好のチャンスが来ているというのに、多くの県では一クラスの定数を四十五人から縮小するのではなくて、学級数を削減したり募集停止をするということで生徒急減に対応しようとしているというのが実情なんです。
 例えば北海道では、来年度、六十校六十四学級というかつてない学級削減が強行されて、対象校の多くが過疎に直面する弱い自治体だという点で大変な問題に今なっているわけです。学級削減で言いますと、宗谷管内の離島の利尻町では「最北端の町がまた寂しくなる。若者が町に定着せず、さびれるのが寂しい。」、あるいは岩見沢市の定時制の農業高校が募集停止となりましたが、「定時制に通わなければならない生徒がいる以上、たとえ小さくてもその農業後継者の場を残してほしかった」という父母の声を無視して強行されたんです。そしてまた、あるお母さんは、「子どもの夢を育てられる教育行政を望みます。地元の高校に入学できなければ下宿をさせなくちゃなりません。十万のお金がかかることがどんなことかおわかりですか」と、本当に切実に訴えておられるわけです。
 地元の北海道新聞の社説でも、これは昨年十月二十五日付ですが、道教委の公立校の学級削減に対してこのように述べているんです。
  このままでは学級削減に伴う募集停止によって、進路変更を迫られる生徒、遠距離通学を余儀なくされる生徒、泣く泣く進学をあきらめる生徒が続出することになる。鉄道がなくなり、閉山が続き、農業後継者の目減りに歯止めのかけようのない地域にとって、公立高校の規模が縮小されるのは身を削られるような思いだろう。
  第二次ベビーブームの子供たちが高校進学期を迎えた四、五年前には、急増対策として特別教室の普通教室への転用とか、一クラスの標準定員を四十五人から四十六人にする「すし詰め」の応急策で、その場をしのいだ。
  急減期を迎えたいま、なぜ、このときの子供たちへのシワ寄せのツケを払おうとしないのか。学校を新しく建てるのは大変な財政負担だが、生徒の減少に合わせ、学級定員を四十人に近づけるのは比較的、簡単なのではないか。ゆったりした環境で勉強する場を、教師と生徒に与えようとしないのは、カネばかりを気にして、子供の顔を見ようとしない道教委の体質にあるような気がする。
ここまで社説で言い切っているわけですよね。
 十二年前、当時の諸澤初中局長は国会で、設置基準の問題を考えますと、将来の課題としてはやはり下げる方向で考えるべきではないかと、もうその当時から答弁をされているわけです。国際的な水準から見ても、十二年計画策定時の経緯から見ても、四十人以下学級はもう当然のことで、高校の学級編制基準の改善にいつから手をつけるのかという問題だと思うんです。
 そこで、この問題について大臣の考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今お話を伺いましたが、御案内のように第四次の改善計画が、一万人の改善で、平成三年度で計画どおり達成するわけであります。
 そこで、今局長もおっしゃいましたように、教職員の定数、これは現行改善計画が完成した時点における学級編制及び教職員配置の状況、そしてまた、先ほど申しましたように、今後の児童また生徒数の推移、こういうものの実態調査をしませんと、今すぐどうだということは私どもやはり責任者としてちょっと申し上げられませんので、その結果を踏まえまして、また財政事情なども勘案しつつ慎重に研究いたしたい、このように考えます。
○高崎裕子君 午前中は不登校や登校拒否の問題も指摘されました。目の行き届く教育をするためにもこの四十人以下学級という問題は本当に切実な問題だということで、九二年度から改善計画をぜひ実施してほしいということを強く申し上げて、次に私学、特に私立高校の問題について質問をしたいと思います。
 私学の状況は、教育条件の面でも父母負担という点でも大変深刻な状況にあることはもう御承知のとおりですね。そこでお伺いしますが、私立高校の教育条件が公立と比べてどうなのかという点で、まず専任教員一人当たりの生徒数で見るとどうなっているか、お答えいただきます。
○政府委員(逸見博昌君) 教員一人当たりの生徒数でございますが、一・四倍という状況でございます。公立に対して私学がということです。
○高崎裕子君 本務教員一人当たりの生徒数は、八九年で、公立十八・八人に対し私立は二十五・三人ということで今言った数字になるかと思うんですが、これは公私格差が依然として解消していないということを端的に示していると思うんですね。私学の教育条件の実態を見ると改めて驚くわけですけれども、北海道の場合は全国平均よりもひどくて、専任教員一人当たりの生徒数が公立の十八・七人に対して私立は二十六・七人となっています。そしてその差は年々拡大をしている。東京の場合を調べますと、専任教員一人当たりの生徒数が三十五人を超えるところもあるということで大変私は驚いているんですけれども、学級定数の面でも私学は今大変な状況で、北海道の私立高校の場合五十人以上のクラスというのはもうざらで、東京では一クラスの生徒数が六十人を超える、あるところでは七十人というところもあったということで、この状況もぜひ知っておいていただきたいと思います。
 そして、次に父母負担の面から見ていきたいと思うんですが、授業料と入学金を合わせた額で公私格差は五年前と比較してどうなっていますでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 現在、平成二年度でございますが五・七倍、その前の五十一年度、この制度が法律によって始まりましたときが九・七倍、こういった状況でございます。したがいまして、その差は近づいておる、こういった結果が出ております。
○高崎裕子君 近づいているというのは、私立が公立に近づいたのではなくて、公立の授業料が上がって私立との格差が縮まったということで、私学の授業料と入学金が高いという点ではこの問題は全く解消されていないわけです。今年度の私立高校の初年度納付金で見ますと、六十年度以降最高のアップ率で五十二万七千円を超えているということで、十年前と比べると一・四倍にもなっている。
 北海道の私立高校で授業料に関する生徒の意識調査を行っていますが、大部分の生徒が授業料が高過ぎる、公立と比べて不公平であり格差があり過ぎる、こう答えています。そして、約半数の生徒が物を買ってもらえなくなった、お小遣いが減った、お金が欲しいと言いにくくなった、食事の品数が減ったと家庭内での経済的な悩みを具体的に訴えているわけですね。そして、高校に入学して何か家庭内に変化がありましたかというアンケート調査では、半数の生徒が変化があった、こう答えて、そのうちの六割が母がパートに出るようになった、父の残業が多くなった、母が働き過ぎでやせた、こう答えているわけです。
 十五歳から十七歳といえば、本来は家のことで悩むことなく思い切り学びたい、思い切りクラブ活動もしたい、スポーツもしたい、友達と語りたい、人間として本当にそういう家庭内のことに煩わされないで伸びたい、そういう時期なのに、そういう子供たちに暗い影を落としているというのが実情なんです。子供たちに行き届いた教育をと思っても、先生も大変だ、父母の負担も大変だ、これが子供たちに与える影響が深刻だということは今言ったとおりなんですが、私学が急減期を迎えているという中で、今こそ本当に考えていかなきゃならない問題だと思うんです。
 総務庁が、毎年こどもの日にちなんで我が国の子供の数を発表しているんですけれども、中学卒業の生徒数、十五歳人口ですね、これは八九年のピーク時と比べて十年後の九九年には三割近く減る、十五年後には三分の二以下に減少する、北海道では十年後には現在の私学の生徒分だけ減る、こう言われているわけですが、文部省としてはこのような生徒数の急減が私学にどういう影響を与えると認識されていますか。
○政府委員(逸見博昌君) 十五歳人口の減少、これは全国的に見ますと今おっしゃいましたとおり約十年で三割減ってまいります。ただ、各県ごとの状況を見ますと、大変激しく減るところと余り減らないところもございます。例えば東京、大阪などは約四割減ってまいります。それに対しまして沖縄、鹿児島県など、これは中高連というところの調査でございますが、一〇%ばかりしか減らないということでございますので、各県によりましてさまざまな状況がある。それから、各県の中におきましても各高等学校ごとにまた違ったような対応を迫られてくるのではないか、こういったふうに考えております。それで、一部の学校にとりましては、極端に申しますと存亡の危機にかかわる、そういった事態にもなりかねないような高等学校も出てくる可能性もあり得る、こういうふうに考えております。
○高崎裕子君 余り具体的な形では出ませんでしたけれども、存亡にかかわるような事態という言葉が示されましたように、経営面では本当に経営不安定、困難校というのが経常費助成だけでは大変だと、三一・九%の学校がそう答えているという実情もありますし、学費の面でも、十年後には二倍になるという予測もされている。教育条件の面でも、専任教員を採用しないために修学旅行も学年の先生だけでは行けないという実情。あるいは北海道では、私学は生き残りに必死だという中で、スポーツで特徴を出すかあるいは有名校に進学をすることで特徴を出すかということで、公立高校の優秀な先生を引き抜いて、そして親が転勤をするという生徒に下宿代も学校が出して、親だけ行かせて子供に一年その学校に残ってもらって北大に入学をする、北大に進学できる高校ということで売り出そうとするなど、本当にサバイバルのために必死だというのが実情なんです。
 急減期で私学が大変だ、そういう認識を文部省としておありだというふうにこれは再度確認をさせていただきたいんですけれども、いかがですか。
○政府委員(逸見博昌君) 全国のすべての高等学校がそうであるということではございませんが、一部の県の一部の学校におきましてはそういった大変な状況になる可能性があり得る、それは各学校の取り組みの姿勢いかんにもよると思いますけれども、そういったところもあろうかと考えております。
○高崎裕子君 文部省は、昭和五十三年から過疎県の私立高等学校に対する特別補助を実施しております。それから、五十一年から六十三年には、生徒急増対策として私立高校生徒急増対策建物整備費補助も行われています。このように過疎化とか生徒急増という社会的要因に対応して特別な助成が行われてきたわけですが、逆に今度は生徒急減期、四十人学級の実現など、劣悪な私学の教育条件を改善したり父母負担を解消するといういわば絶好のチャンスになっていると思うんですね。ですから、生徒急減期という社会的要因に即した新たな特別助成を実施すべきだ、そういうふうに思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 先生今御指摘ございましたとおり、幾つかの特別対策を講じたことがございます。ただ、それにつきまして若干御説明申し上げますと、過疎対策でございますが、これはあくまでも現在の経常費補助金の中で一般補助とは別に特別補助という形で県が実施をする、それに対して文部省がバックアップをする、こういったふうなことになっております。ひのえうまのときもそうでございましたが、あくまで経常費補助金の中での処理。ところが、先生が今おっしゃいました急増の場合でございます。この場合にはどうしても施設が必要だ、しかしこれはいわゆる経常費補助金では賄えないということで、これは昭和五十一年から六十三年までであったと思いますが、別の制度をつくりまして施設費として出した。これは経常費補助金とは別でございます。
 ところが、今回の減少問題、これもまさに先生方の数がどういうふうな形で余剰になってくるかどうかというふうな問題が大きな問題であろうかと思います。そういったことで、これはまさに経常費の中で対応すべき問題というふうに私ども考えておりますので、まず第一義的には高等学校の補助金を着実にふやしていくこと、これをまず私どもは心がける。それから、各県におかれましてはそういった大変な高等学校に対しまして特別の助成をまたやっていただく。そうしますと、それに対して国が当然かぶってまいりますので、そういったふうに県におきます急減期に対する特別の対応、これを期待したいと思っております。
 現に、一部の都道府県におきましては、生徒数に重きを置いた配分の方法から教職員に重きを置きました配分の方法、こういったふうに予算の要求も配分の方法も変えてきておるところもございます。そういったふうに知恵を働かせまして、生徒数が減っても応分の補助金が県から行く、したがって、それに国もかぶっていく、こういった仕組みを整えることは可能でございますので、私ども機会あるごとに都道府県の私学担当主管部課長会議等では、そういった方法等をぜひ講じていただきたいと。私どもどんぶりを可能な限り大きくして、それがバックアップできるようなそういった体制をとってまいりたい、こういったふうなことを行っておるところでございます。
○委員長(下稲葉耕吉君) 高崎君、時間が参りました。
○高崎裕子君 はい。時間ですのでもうやめますが、急減期特別助成の柱として授業料補助の問題も大変切実で、今二千四百万にも上る署名が全国から寄せられているということで、ぜひ私学助成の拡充、とりわけ急減期特別助成の実現が国民的な願いであるということを踏まえて対策をされることを特に強く要望をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○笹野貞子君 午前中の質疑の中で大臣は、一日の楽しみを持つなら花を見ろ、百年後の楽しみを持つならば人を教育しろというふうな名言をおっしゃいましたけれども、まさに私もそのとおりだというふうに思います。私たち、教育という国家百年の計のことをこうやって議論をするわけです。大臣は直接その百年の計を具現化する非常に近い距離にいるわけですから、どうぞ私たちの意見を十分聞いていただきまして、今後の文化行政に頑張っていただきたいというふうにまず激励を申し上げたいと思います。
 そこで、質問に移らせていただきます。
 文化行政、文化ということですけれども、私は、文化というのは当たり前のことですが、非文化的なことというのは野蛮、残虐な行為というふうに定義をしてもいいんではないかというふうに思います。そういう意味では、戦争などというのは全く非文化的な野蛮、残虐な行為だというふうに思います。先般以来の中東湾岸戦争については、そういう意味では私も心を痛めました。そこで、この中東戦争のことについて文部行政の面からお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 イラク、クウェートには日本人学校があるわけですけれども、こういう戦時中の生徒に対して危機管理の面で十分対応できたか、そしてこういうときに文部省といたしましてはどのような情報を得て対応できたかどうか、その現状をまずお知らせしていただきたいと思います。
○政府委員(菴谷利夫君) お尋ねの湾岸戦争期間中における湾岸地域の日本人学校に関する対策でございます。
 もう既に御承知のように、八月の二日にイラク軍がクウェート侵攻ということで、これはえらいことになったと。すぐもちろんニュースでわかりますので、我々の仕事としては日本人学校がどうなるかということを即座に考えて反応したわけでございます。
 それで、あそこには関係する学校としては八校私どもとしては勘定しております。ちょうど夏休み期間中でございますので、学校には一応通ってこないで保護者のもとにあるのが原則で、家庭にいた子供さんもございますし、近くを親と旅行中とか、あるいはたまたま日本に帰っていたとか、いろんな子供さんがいました。先生はもちろん大部分学校ないしは自宅にいたわけですが、外務省を通じて情報をとるとともに、直接電話も通じますので校長先生等と連絡をとり、それに応じて事態の推移を見ながら安全の状況あるいは危険があるかどうか等を見ながら、派遣教員とそれからその派遣教員を通しまして児童生徒に対していろんな連絡をとり、国外退出――といいますのはその国から安全な地域へ一たん出るということ。それから、一たん出て近くでうろうろしていても到底見込みがないというようなケースについては、一時日本に帰ってもらうというような措置を講じたわけでございます。
 その途中でもいろいろと情勢が変化しまして、外務省から避難勧奨が出たり、退避勧告が出たり、地域によっていろいろございましたが、それぞれ外務省と連絡をとりつつ状況を把握して対応したわけでございます。中にはまた、安全だろうということで親御さんたちとともに帰ってきたりした子供たちが若干いる。そういうところについては、安全を確認しつつ必要最低限の先生にもう一度帰ってもらって授業を続けたところもございます。いよいよ一月十五日のイラク軍の国連による撤退期限通告の到来等危なくなりましたときには、関係する学校、地域から全部退避して日本に帰ってもらうということでございます。
○笹野貞子君 こういうことがたびたびあってはいけないことですけれども、ぜひともそういう子供の身の安全ということを常に今後とも考えていただきたいというふうに思っております。
 戦争のときに人間的にも人道的にも非常に被害者があるということは大変心が痛いんですけれども、あの戦争のときにはチグリス、ユーフラテスのそういう非常に文化の栄えたところの遺産が破壊されるということもまた地球的規模によってみんなが心配した、そういう事実があります。
 そこで、私は、きょうはこの遺産というものは一つの国とか一つの地方というのではなくて、もう今私たち人類は地球的規模でこの遺産を守っていかなければならないという観点に立ちまして、ひとつ同志社大学のことをお聞きいたしたいというふうに思っております。
 同志社大学というのは、明治八年、キリスト教主義を理念として、新島襄によって創立された由緒ある総合大学ですが、京都市上京区にある今出川キャンパスは緑豊かな木々の間に洋風建築が建ち並んで、その歴史の古さを示しております。そして、落ちついた雰囲気は在学生や同校出身者によっても大変貴重なものと受けとめられています。また、この大学の存在は京都市全体の都市景観にとっても価値のある貴重なものと考えております。
 そこで御質問いたしますけれども、この同志社大学の構内にはどのような近代建築があるかどうか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 同志社大学の構内にはすばらしい近代建築が多数あると聞いておりますけれども、明治から昭和にかけて建てられた近代建築の数は約十棟というふうに聞いております。そのうち、明治十七年グリーンという方の設計によります彰栄館、それから明治十九年同じくグリーンさんの設計による礼拝堂、あるいは明治二十年に建てられた有終館、それから明治二十三年にハンセルという方の設計によるハリス理化学館及び明治二十七年にゼールという方の設計によるクラーク記念館の五棟は、既に重要文化財として指定されております。礼拝堂は昭和三十八年七月一日、そのほかのものは昭和五十四年五月二十一日に指定をしているところでございます。
○笹野貞子君 重要文化財に指定している建物のほかにも、今出川キャンパスには清和館、ジェームズ館、栄光館などのような戦前の建物があります。これらは同校の教師であったM・F・デントン女史という方の尽力により建設されたもので、女子教育の歴史にとっては貴重なものであると思います。このうち最も古いものが清和館なんですけれども、この建物について文化庁はどのようにお考えになっておりますか。
○政府委員(遠山敦子君) 清和館は、先生御指摘のように女子教育に大変御尽力されましたM・F・デントン女史の努力によりましてアメリカからの寄附を集めて大正元年に建設されたれんがづくりの建物でございまして、設計者は名建築を残しておられます武田五一さんでございます。昭和二年に失火によりまして内部を全焼したと聞いておりますけれども、外観はよく残っておりまして、キャンパス内の景観の形成に大変意味を持っている建物と考えております。
○笹野貞子君 ただいま御答弁していただきましたように、清和館は多数の人々の善意によって建設されるなど歴史的な背景もあり、またキャンパス内において景観上重要な位置を占めている建物です。ところが、同大学は教育施設拡充等のため、このほど同館の取り壊しを計画しております。これに対して、同大学の卒業生にとっては心のふるさととなっており、また広く市民から親しまれたことから、清和館の保存が訴えられております。京都において同志社大学は格調ある雰囲気を醸し出していますが、そのキャンパスの中でも重要な位置にあるこのような建物が次々と取り壊されていることは、大変な文化遺産が壊されていることに等しいと思います。私は、単なる卒業生の一人として言うんではなくて、一国民としてこのような風潮を大変残念に思っているところです。文化の振興あるいは文化財の保護に諸施策を推進している立場にある文化庁といたしまして、この清和館の取り壊し問題についてどのような御見解を持っているのか、お尋ねいたします。
○政府委員(遠山敦子君) 同志社大学の校内にあります近代建築のうち重要なものにつきましては、先ほど申し上げましたように、既に指定をしているわけでございます。
 先生御指摘の清和館の保存につきましては、御指摘もありましたこともあり、またその取り壊しについて惜しむ声もあるということを承知いたしております。そのようなことを背景といたしまして私どもも、権限に基づくものではないわけでございますけれども、事実上の措置といたしまして、京都府と相談をした上、建物の価値を判断するための第三者による調査をしてはどうかということを同志社の当局に進言したことがございます。これまでのところ、大学側としては、教育施設拡充のために清和館の保存は難しいというふうに判断をしていると聞いているところでございますけれども、なお調査が行われるような場合には、文化庁といたしましてもできるだけの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○笹野貞子君 文化庁のお立場は承知しているところですけれども、同志社大学だけの件ではなくて、この件だけではなくて、全国にはまだまだ数多くの未指定の近代建築があったり、あるいは社会的、経済的な諸々の事由によって取り壊されていることがあるというふうに思うんです。こういう建築というのはやっぱり先人の文化遺産というふうに私は思いますので、できる限り文化庁はそういう保存のために今後とも努力していただきますようにここで要望いたしまして、この質問を終わらせていただきます。
 続きまして、先日大学審議会の答申が出されましたけれども、高等教育について二、三お尋ねをいたしたいというふうに思います。
 この高等教育の中で、高等教育改革の推進に積極的に取り組むという大臣の御所信からいたしまして幾つかの提言があるんですけれども、この答申の中で、大学教育の改善について、一般教育と専門教育について随分指摘がされておりまして、非常に今までとは違った見解がこの中に書かれております。
 そこで、大臣にちょっとこの文章を聞いていただいて、大臣がこの文章についてどう思うか御見解を伺いたいんです。これは別に恐ろしいものではなくて、第一次米国教育使節団の報告書、ミッションレポートと言っておりますけれども、これからの日本の高等教育についてこのように米国の使節団は言っているんですね。
  日本の高等教育機関のカリキュラムにおいては、既に述べたやうに、大概は普通教育を施す機会が余りに少く、その専門化が余りに早くまた余りに狭すぎ、そして職業的色彩が余りに強すぎるやうに思はれる。自由な思考をなすための一層多くの背景と、職業的訓練の基くべき一層優れた基礎とを与へるために、更に広大な人文学的態度を養成すべきである。この事は学生の将来の生活を豊かにし、そして彼の職業上の仕事が、人間社会の全般の姿の中に、どんな工合に入ってゐるかを了解させるであろう。
こういう文章が、アメリカから日本の教育を視察に来たときにそのように報告されているわけですけれども、どうでしょうか、この文章はもう今は全然通用しないというふうに大臣はお考えでしょうか。このときのこのアメリカの進言に対して、もう今はそんなものは全然通用しないというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) 私、今でも通用すると思います。
○笹野貞子君 ありがとうございます。
 私は、とってもすばらしい提言だったというふうに思っているんですね。そして、日本のこれからの新しい、当時出た「大学における一般教育」という本の「新制大学の使命」というところなんかを見ましても、これからの日本というのは人間を養成するという大学においては確固たる世界観、人生観を確立するんであって、ただ専門的知識を持っていたらいいというものではないということがるる書かれているんですね。そして、今大臣は現在でも立派に通用するとおっしゃいましたけれども、この答申を見ますと、一般教育はいろんな批判があるから余り力を入れない方がいいという形で垣根を取ってしまう、一般教育と専門教育との垣根を取ってしまった方がいい、もう大学の自由に任せた方がいいという箇所がたくさん出てきます。これをどうしたらいいものでしょうか。この点は私、これはちょっと考えものだなというふうに今思っているんですけれども、大臣、いかがなものでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) この大学審議会の二月八日の答申につきまして、先生今お話しのような御理解をいただいたということであれば、大変私どもとしては残念に思います。この答申の中では、一般教育の理念ということが我が国の大学にとって極めて重要であるということは随所に述べておるところであります。
 ただ、これも先生には申し上げるまでもないことでございますが、先ほど御指摘ございましたような理念に基づきまして新制大学が一般教育をきちっとその基礎に据え、学校教育法におきましても「学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させること」ということを大学の目的に据えて今日まで参ったわけでございますが、一つにはこの各大学のカリキュラムに設置基準がかなりな枠組みを決めておることから、一般教育が端的に申し上げれば形骸化しているということはかねてからの関係者の指摘するところでありまして、今後はこの一般教育の理念、目標というものを十分認識しながら、各大学が一般教育の理念、目標を教育全体の中でどのように実現するかを真剣に検討し、取り組んでいただきたいというのがこの答申の真意でございます。
○笹野貞子君 私は、これを読ましていただきましたけれども、確かに目的としてそういうことは重大だというふうに書いております。しかし、欠点があるというふうにその欠点の箇所がたくさん指摘されているのもまたあるわけですね。そして、今までのようなカリキュラムを一、二、三、四としないで、その垣根を、枠を払ってしまって学校の自治に任せるという書き方ですので、こういうふうなカリキュラムになりますと、やっぱり大学を出てすぐ使い物になるようなそういう職業的な考え方とか、技術者として間に合うようなそういう教育に陥ってしまうんではないかという、私は非常に危惧を持ちました。
   〔委員長退席、理事柳川覺治君着席〕
ですから、ある程度これはどうしても必要な科目ということで、枠組みをやっぱりつけておいた方がそういうことに陥る危険性はないんじゃないかというふうに思います。
 私もこれからもう一度よく研究はいたしますけれども、こういうふうに高度に学問が発達し、科学が発達してきますと、かえって人間的、人格的に豊かな人の方が要請されていきます。具体的に、例えば脳死の問題をするとか、あるいは高度のすぐれた科学技術を研究するなんていうときには、自分の専門しかわからない、社会全体と自分との立場がわからないというような人が学問をしていきますと、大変私は危険な状態になってくるというふうに思います。そういう意味で、その点をしっかりと踏まえながらこの答申に対しての見解をまとめていただきたいというふうに思います。
 続きまして、もう一つこの答申の中のことをお聞きしたいというふうに思います。
 つまり、この答申で、大学というものはいろんな意味で社会的責任もあり、学問的な水準を高めなければいけない、そのためには大学の質的向上というのはもう絶対的なものだというくだりがありまして、そのために各大学は自分の大学がソフトの面、ハードの面、そして業績の面、いろんな面でしっかりするために自己評価をしなさいと。先ほど局長もちょっとそれに触れられておりましたけれども、自己評価をしなさいと、こういうふうに言っております。
 そこで、私は自己評価というのはこれはとっても楽しいというふうに思います。大臣、どうでしょう、文部大臣として自己評価をするとしますと、大臣は御自分に百点満点として何点おつけになりますか。
○国務大臣(井上裕君) 非常に難しい問題ですが、自己評価システムというのは、私は、教育活動、また研究活動、あるいは国際交流、さらにまた施設整備とか、そういう中での自己評価、すなわち自分自身の大学の自己評価というのは、それぞれの持ち味もありまして非常に点数つけるのは難しいと思います、笹野先生だと百点満点かもしれませんが。
 私どもとしては、なかなかこの自己評価システムというのは、九十ページになりますこの答申、見せていただきましたが、この答申で提言された大学の自己評価システムというのは、各大学においてやっぱりそれぞれ研究、教育研究の状況をみずから点検するというわけですから、これはお互い自分自身が点数つけて、その評価結果をまた教育研究活動の向上に資すること、これがねらいだということでございますから、自分で何点ということは難しいと思いますが、自己評価、まあ非常に難しい質問でございますが、それぞれのひとつ自己評価で頑張ってもらいたいと思います。
   〔理事柳川覺治君退席、委員長着席〕
○笹野貞子君 大臣は何点か、どうでしょう、御自分の大臣としての評価は。まあ私からつけさせていただきますと、私たちの意見をしっかり酌んでいただける大臣ですから百点をつけたいというふうには思っております。
 こんなふうに、自己評価というのは、何かわかったようなわからないような感じのものじゃないかというふうに思うんですね。それで、これは自己評価表がついていまして、このように自己評価しろというんですけれども、これは自分でうちの大学百点だ百点だというふうになったら評価する意味がなくなりますし、まさか自分の学校を五十点だというふうにつける人もないと思います。そうすると、この自己評価というのは、何かわかったようなわからないような、効果があるようなないような感じが私にはするわけです。評価というのは、これは自分がするんじゃなくて客観的な第三者がするから評価だというふうに思うんですけれども、どうでしょう、大臣、評価という意味は客観的な判断のものじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
○政府委員(前畑安宏君) 先生御指摘のように、評価ということになりますれば、行き着くところは第三者による評価ということが望ましいところであります。御案内のとおり、アメリカの大学について行われておりますアクレディテーションのシステムというのは、各大学がアクレディテーションを行う団体の示したところによって点検をし評価をしたところ、当該協会がさらに第三者の立場からそれを評価をし直す、その結果によって当該団体に加盟を認めるかどうかを判定する、そして加盟を認められたものと認められないものの間に社会的にもあるいは学問、教育の面でもきちっとした処遇がなされておるという状況がございます。
 私どもも、まずは現在の大学の状況からすれば、評価を求めること自体について、これは先生も御関係でございますので甚だ失礼ではございますが、アレルギー的な感覚で受けとめられるところがございますので、まずは自己点検、自己評価から始めていただきたい、そして答申にも書いておりますように、この結果を公表してもらいたい。公表することが望ましいというようなことを述べております。
 先ほど先生御指摘の点検・評価項目として出しておりますのは、これについても各大学関係者から、こういうことについて評価をせよと審議会が言うのかという御批判もございます。しかし、これは答申にも書いておりますように全くの例でございまして、各大学がどういう項目について評価をするかというのは、それぞれの大学において理念、目的を実現するという観点から適切な項目をまず設定するというところから始めていただきたい、このように考えておるところでございます。
○笹野貞子君 これは非常に難しい問題で、やり過ぎると大学の自治を侵しますし、やらなければ非常に質の悪い大学ができ上がってくる。これは大臣が言うように国家百年の計ですから、そういう質の悪い学校が出てくるということは、これはゆゆしき事実になってくるわけです。もしも自己点検をしてみんな百点であるならば、千葉大とか横浜市大のようなああいうことは起こり得なくなるわけですけれども、ああいうのが起こっているというのは自己点検が働いてないから、自己評価が働いてないからということになるわけです。
 そこで、アメリカのアクレディテーションなんていうものがありますけれども、どうでしょう文部省としては、客観的な第三者が評価するとするならば、そしてアメリカのいろんなそういう機関が、アメリカはこれは自主的な機関だというふうに聞いておりますけれども、何か今そういうふうな具体策がありますか、大学の質を向上するために。私は、この自己評価というのはやっぱりこれは機能しなくなるというふうに思いますので、でなければ何かありますでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) この自己点検、自己評価につきましては、関係の団体の意見を伺いました際にもかなり説が分かれるところでございます。果たしてこれが機能をするか、これがどういう意味を持つかという御指摘のところもあれば、これをきちっと定着をさせ、アメリカにおけるアクレディテーション・システムのようなものに機能させたいというところもございます。しかしながら、私どもとしてこういうふうにあるべきであるということを申し上げることは、先ほども申し上げましたように、大学関係者の現在の意識からすれば非常に難しいところがございます。
 まずは、この答申でも指摘されておりますところでありますが、私どもとしては、今後大学審議会にもお諮りするところでございますが、大学設置基準において各大学がそれぞれ自己点検、自己評価を行ってほしいといういわば努力規定みたいなものは設けていきたいなと、このように考えておるところでございます。
○笹野貞子君 この問題は非常に重大ですし、しかも難しい問題だと思いますので、どうぞ十分検討し、研究し、またこの委員会でも論議していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小西博行君 きょうは私も三十分という時間でございますので、教育の国際化という問題について少しお尋ねをしたいというふうに思います。
 最近は国際化ばやりでありまして、科学技術の関係からいきましてもそういう技術の交流という意味で各省庁の研究者の交換というふうなことも割合積極的に最近やり出したわけです。大体、日本の方からアメリカだとかイギリス、ドイツあたりへ研究者が留学していく、あるいは協力するというのは非常に多かったんですが、最近は何とかいろいろな条件を整備しまして、諸外国の若手の研究者が日本に入ってくる。こういうことは非常に私はいいことだというふうに考えております。あるいは日本人が外国へ留学する、学生が留学する、これはフルブライト制度というような立派なものができまして、戦後非常に助かったわけです。その結果、すばらしい学徒が大勢できまして、今日の発展につながったのではないかということを考えます。
 同時に、外国から日本への留学生というのも、これ年々ふえておりますが、一つは日本語学校というのがまた最近ふえまして、これが文部省の領域ではないというような問題も実はございます。その問題ももう何回か議論もさせていただいたし、私の党の方で外国から日本へ来ている留学生の問題の責任者という形で、たびたび大勢の留学生を集めて、そして日本の大学の現状は一体どうだろう、生活はどうかというような話をしております。文部省は、十万人構想という非常に大きなものを持っておりますから、将来必ずそのような形でふえていくんだろう、そしてまた条件整備もできていくだろう、こういうように思います。
 きょうは、それとはまたちょっと違いまして、最近、聞きなれないかもわかりませんが、海外大学日本校と。海外大学日本校というのは本当に聞きづらいんですけれども、そういうような現象が非常にたくさんあります。
 特に、最近は海外大学といいましてもほとんどアメリカの大学の分校というふうに理解した方がいいかもわかりませんが、日本の中に現在三十三校ございます。これは新幹線で大阪の方へ行きますと、窓からよく見られますように大きなPRもたくさんございます。中には非常に立派にそれをやっておられるような中身の充実した学校もございますけれども、何か塾そのものみたいな感じで、そしてこれはごく最近にできたわけですね。五十年の後半ぐらいから今日までずっとふえ続けておりますが、もはや閉校している、学校を閉じてしまった、あるいは中には政治家がそれに深く介入していろんな問題を引き起こしているとか、新聞、雑誌にはそういう問題が大分出ております。
 そこで、まず文部省にお聞きしたいんですけれども、これらの実態調査というものを、文部省はらち外だというふうにお考えかもしれませんが、やっぱり教育という分野になりますと知らぬ顔はしておれないんじゃないか。そういうことで、現在来ている学校のカリキュラムだとかあるいは教育方法、内容、こういうものが受験生あるいは受験しようとしている高等学校に対してどういうような形で説明が行われているのか、実際どういうようなトラブルが最近出ているんだろうか。そういう意味で、その辺の実態をやっぱり調べてもらいたい。きょうは、実際その学校数がどのぐらいあって、どうなっているんだという実態についてまずお伺いしたいというふうに思います。
○政府委員(前畑安宏君) 学校教育法の形式的な解釈は別といたしまして、現在我が国におきましては教育の授業を行うこと、それ自体は格別の規制がない、だれでも自由に教育の授業を行うことができるというのが基本的な考え方として社会的にも定着をいたしております。ただその中で、教育を行うことによって一定の地位を取得するということにつきましては、一条学校、専修学校あるいは各種学校、こういう制度があるわけでございます。
 ただいま先生御指摘の、いわゆる外国大学日本分校と言われるものは、私どもとしてはいろんな情報を通じて先生御指摘のように約三十校というふうに承知をいたしておりますが、これが我が国の学校制度の中において各種学校あるいは専修学校となっているものは極めてわずかでございます。これらの情報として承知をしているものに対して何らかの調査をするということになりますと、現在社会に定着をいたしております、教育の授業はだれでも自由にできるということに対して、私どもが一定の届け出を求める、こういうことにもなりかねないという問題がございます。当面は静観をしてまいりたいというのが私どもの現在の態度でございます。
○小西博行君 今たまたまおっしゃいましたが、株式会社とか有限会社、これが十七校あるわけですね。学校法人とか財団法人、これが八校。地方自治体が助けながらやる、こういうのも実はあるわけです。どうして最近このようにアメリカから、アメリカの大学を日本へどんどん持ってきたいか。これはアメリカと日本と両方の要望がやっぱりうまく合うから大学をどんどんつくるんだろうと思うんです。
 そこで、調べてみましたら、どうしてという一番目ですが、国際化の進展あるいは留学ブーム、これがまず一つだろうというふうに私は思います。二つ目は、さっきちょっとお話がありましたように、日本の大学の定員制の問題が実はありますね。受けたいんだけれども、全部入れない。四十二万人ぐらいの人が今あふれているだとか、そういうような状況があります。ましてや、もう来年がピークだというふうに言っているんですから、大勢の浪人生がいる。そういうような環境の中で、国際的なそういう外国の大学へ入学したいという、そういうのがあるのかなと。それから、三つ目は過疎化。田舎の方へ行きますとだんだん過疎になってまいりまして、どうも町の活性化が弱い。そういう場合に、ぜひともそういう学校を誘致して学生数をふやして、そしてそこに出る月謝その他のことで町が活性化するんじゃないか。
 それからもう一つは、アメリカでの十八歳人口の減少ということがありまして、向こうの学校でも学生集めというのが非常に難しくなって学校の経営というのも非常に大変だと、そういうようなことが多分あるのではないか、そのように考えるんですが、その辺の問題点、原因、こういうものを文部省はどのように把握しているのか、お伺いしたいと思うんです。
○政府委員(前畑安宏君) 今先生御指摘のところ、そういうふうなお考え方もあろうかと思いますが、私どもが一番その原因であろうと考えておりますことは、やはり我が国の学校教育法体系におきます大学のつくり方というところに一番大きな原因があろうかと思っております。
 もちろん国際化等々の問題もありますが、例えば今御指摘の、過疎化の町が外国大学の分校を呼ぼうというのをいきなり考えた例というのは余りないのではないかと思います。まずは我が国の私立大学を誘致したい、あるいは国立大学をつくりたい、こういうふうなところがあって、しかしながら国立大学はもとよりのこと、学校法人による私立大学ということになりましても、これは現在私どもがとっております設置のシステムからいたしますと、学校法人をつくってそこに必要な資金を提供し、土地あるいは建物といったものもすべて学校法人の所有にする、こういう仕組みでございますので、なかなか過疎の町ではそういう対応はできない。そこで、法的な規制がないアメリカ大学日本分校というものをいわば簡便に設置ができる、こういうのが一番基本ではなかろうかと、このように考えております。
○小西博行君 私もそうではないかと思うんですが、このデータを見ますと、東京圏が十七校、大阪圏が七校、それからあと九校あるんですが、これは北海道、秋田、福島、栃木、新潟、富山、岡山、広島、こういう割合郡部の方に九校、こういうことになっております。
 今言われたとおり、やっぱりいろんな学校をつくりたいと思いましても、時間と金と、なかなか文部省の認可を受けるのに大変だということがありまして、ちょうどいい状態にこれが入り込む。こういう状況で今日までなっておるんですが、ただこれが教育法上、法律上、いわゆる大学というふうに呼んでいるわけですね。これはむやみに大学と呼んじゃいけないわけです。つまり、日本のそういう教育法上間違いなく大学として認定できるというものに対しては大学と呼んでもいい、私はそのように理解をしておるんですが、その辺の見解はどうなんでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のように、学校教育法では、一条学校以外の教育施設は同条に掲げる学校の名称を用いてはならないという規定がございます。これをどこまで形式的に当てはめるかという問題でございますが、先生御案内のように、この外国大学の日本分校というのは、ある意味では関係者の間にもはや定着しつつあり、そういう教育施設だけを集めたカタログといったようなものも市販をされておるという状況にあります。
 また、具体の名前にいたしましても、幾つかの名前を挙げさせていただきますが、例えば○○ユニバーシティー、地名を冠して○○校、あるいは○○ユニバーシティー日本校といったようなことで、ストレートに○○大学というものを称しているのは極めて少ない、このように考えておりまして、これに対して大学の名称使用禁止に触れるからということで今直ちに関与をするということを必要とする社会的な情勢はないのではなかろうか、このように考えております。
○小西博行君 いや、関与せぬでもいいと言うんですが、現実問題としていろいろな問題が発生しているからこれを文部省は知らぬ顔しておるわけにいかぬでしょう、もっと拡大解釈をしながらも何かの手を打っていかないといけないというのが私の考え方なんです。これ、ほっておきましたら例の日本語学校と同じような状況ですね。あれも長い間やりまして何校かに絞りましたよね、調査して、ここなら一応許せるという範囲で。そういうようなことで、結局ずっとおくれるわけですね、対応が。
 ですから、私は、文部省の領域ではないといいながら、やっぱり高等教育という一つの分野ではあるわけですから、これに文部省でどうこれから取り組んでいくか。物すごい勢いでこれがふえようとしているわけでしょう。ことしは十五校申請があるというふうに聞いてます。物すごく加速的にふえている。アメリカでは、いろいろ情勢を調べてみますと、百校とか百五十校ぐらいの大学がぜひ日本に行きたい、このように言っていると。こういう状況だからこそ今の御答弁のような形だけではどうもぐあい悪いのじゃないか。これは、大臣にお伺いした方がいいかと思うんですけれども、そういう感じを私は受けておる。そのままほうっておいたんじゃぐあい悪いのじゃないか、そう思いますが。
○政府委員(前畑安宏君) 大臣にお答えいただきます前にちょっと申し上げさせていただきたいと思っております。
 あるいは御案内かと思いますが、現在この日本分校の関係者によりまして、一つの団体をつくろうかというふうな動きがあるやに聞いております。今後私どもとしても、今先生御指摘のように、十分関心を払っていかなければならない問題でございますので、仮にそういった団体でもできますれば、その団体と連絡をとることについても検討をしてみたい、このように考えております。
○小西博行君 そういう大学は、一応大学と名前がついておるんですが、それが全部悪いというふうには私は思わないんです。日本の大学を出ますと、当然大学卒の資格をもらえるわけですが、これはなかなか資格がもらえない学校も実はあるわけですね。アメリカに一つそういう審議制度がありましてね。どうも日本の分校というのは、一年かあるいは一年半ぐらい語学を勉強しておいて、そして正規にアメリカに行って大学に入って卒業する、大体そういうような形態が多いような感じがするんですね。
 そうなりますと、例えば大学卒という資格を今まで非常に大切にされたですね、産業界も研究機関も。ところがそうじゃなくて、実際に英語がしゃべれる、あるいは何か専門的な技術が自分に身についた、あるいは独創性が豊かになった、そういうことで今までの学歴偏重の社会というのが今度また新しくなってくる、こういう面では、私はあるいはそういう方向もいいのかなと。必ずしも学士だから優秀だとは限らない世の中ですから、そういう感じも実はするんですけれども、その辺はある程度文部省が全体のものをよく押さえた上でそういう指導をしてもらうということがあるでしょう。
 それから、限界もそこにおのずから、法的な根拠も文部省が取り締まるとかなんとかいうことがなかなかできない分野でもありますね。だから、その辺の限界をどこへ持っていくのかなと、実は私自身はちょっと心配しておるんですが、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 先生御案内かと思いますが、私どもが市販のカタログ等でもって承知をしておるところによれば、この日本分校と称するものの募集人員の総数は、大体八千人程度でございます。とともに、現実にその中に在籍しておる者の数はかなり少のうございまして、在籍者で約七千人程度ということでございますから、募集定員が八千人で在学が七千人程度、こういうことでございまして、まだ必ずしも大きな規模には至っていない。一方で、先生御心配いただいておりますように、幾つかの問題を起こして撤退をするとか、あるいはアメリカの大学との間でそれを日本分校として承認するかどうかというような問題があるというような事例もあります。
 そういうことを踏まえながら、先ほど申し上げましたように、この日本分校について、アメリカのいわゆる本校といいますか、そういう大学の間でも現状のままに放置していたのではぐあいが悪いのじゃないかという声が出て、一つの団体をつくって、いわばアクレディテーションに類するような仕組みを考えていこうというような動きもあるやに聞いておりますので、そういうふうな団体ができますれば、私どもとしてはそういう団体との連絡というものを考えていきたい、このように思っております。
○小西博行君 大臣、どうですか。
○国務大臣(井上裕君) 私は、外国の大学の日本分校というのは、今先生がおっしゃいました英語を習う、あるいはまた英語と一般教育をして、そして卒業して外国へ連れていく、それでまた外国で自分の学校を出してやる、あるいはまた日本にいたまま外国語、いわゆるその卒業証書をやるというお話を聞いていたわけでございます、今まで。しかし、今のお話の中で、三十三校が今どんどんふえているということでございますので、これはやはり捨てておけない問題である。今局長の答弁にありましたように、文部省としてもいろいろその対応、これはやっぱり外務省といろいろな対応をして善処いたしたい、このように考えます。
○小西博行君 学生の方もいろいろ問題点は当然あるんだろうと思うのは、いろいろ新聞広告、きょう読売新聞に出ているんですが、こういう新聞広告とかいろいろなところから私も情報を聞いて、大学も失敗したし、じゃアメリカへ行って勉強しようかと。だから、大体受験というか入学のときの試験というのは余りないんですね、入れるわけです。ただ、授業料が高いですよ。百二十万、百四十万というような高さなんです。さっきもお話ししましたように、株式会社というのが大分あるわけですから。そういう意味で、その点を全然知らずに、大学に入れば何とかいけるという現代っ子の甘さというのも当然そこにあるだろうと思うんです。
 ところが、入ってみると、やっぱり英語ができないと向こうへ行って授業を聞いても全然わからないということが一つあります。それからもう一つは、こういうことがあるのだそうです。COPAという認定制度というのがあるんですね、アメリカの大学。アメリカも自由に大学をつくっていい分野があるのだろうと思うんですが、一万ぐらい大学があるのじゃないか。その中で限られた学校がCOPAというような認定制度、これは全米高等教育基準認定協議会というCOPA、ここでカリキュラムとか教員の質が一体どうなのか、その水準を認定するような制度があるんです。
 ところが、日本へ来ているような学校の中で認定を全然されてないのもあるわけですね。あるいは、名前は勝手に使っているけれども、実はアメリカの大学とは全然関係ないというのも何か全体のうち七校ぐらいあるという調査も出ているんですね。そうしますと、せっかく向こうへ行っても全然入学できない、あるいはその資格が向こうにないような学校に入っても、いわゆる日本で言う卒業ということができない、資格がもらえない。そういうような問題が物すごく複雑に絡まっている、そういう感じが実はしてならないわけです。
 だから、これがだんだん進んでまいりますと、日本語学校と同じように塾みたいな感じでどんどんふえていると。しっかりした学校、相当歴史のある早くから日本へ来ているような学校というのはかなりいい学校もあるんですけれども、これはなかなかやっぱり最後までやり通すというのは、学生数が非常に少なくて、というのは英語が難しくてとてもだめだというので途中でみんな、一年ぐらいやるとほとんどやめてしまう、そういうような現象すら出ている。そういうような問題があるだけに、その辺のCOPAの認定基準というんですか、その中身というんですか、そういうものをやっぱりある程度文部省あたりは調べて、十分それにたえられるのかどうか、その辺の実態調査ぐらいは何かの形でやらないと困るんですね。
 国土庁は、これは後で申し上げるが、きょう国土庁にも来てもらっていると思うんですが、国土庁は割合詳しく調べているんですよ。いわゆる村おこし運動的なものがあったんでしょう。だけれども、文部省の方ではそれを全然押さえていないとするなら、ちょっと私は問題がありはしないか、そう思うんですが、その辺調べてもらえるという大臣の決意はどうでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 先ほど申し上げましたように、私ども文部省と国土庁とは立場が違うわけでございまして、国土庁の方は国土庁のお立場としておやりになれるんでございましょうが、私どもは教育を所管している立場として、先ほど申し上げましたように、今の我が国の社会においては教育の事業は自由にできるというそういう社会的風土がある中で、特定の施設について一定の調査をし報告を求めるということはやはり慎重に対処しなければならない課題ではなかろうかと思っております。
 したがいまして、繰り返しになりますが、今先生御指摘になりましたようなことで、アメリカにおいても日本分校というのはこれでいいのか、アメリカの大学の評価を落とすことになりはしないかということを心配する向きもあるようでございまして、関係の大学でひとつ協会をつくって日本におけるいわゆる日本分校なるものの水準の維持向上について考えていこうというような動きがあるやに聞いております。そういう団体ができましたならば、そういう団体と連絡をするということについて考えてみたい、このように思っております。
○小西博行君 だから、それは慎重にやらなければいかぬというのは当然です。慎重にやるんだけれども、前向きによくその辺の実態を押さえてもらいたい、そのことを申し上げているんです。
 それからもう一点は、さっき申し上げたように高校からそういう学校を受けるわけですから、高校でのいろんな進学指導とかいうようなときでもその辺の中身についてよくわかるような説明をしておかないと、今言った余りいい状況じゃない、何となく入ればいいぞというそういう雰囲気で、たくさんの金を取られて学校はつぶれる、こういうような現象も事実起きて、これは裁判に持ち込まれたような事例も、はや出ているわけですね。そういう意味で、高等学校に対してのそういう予備知識とか情報ということについてはどのように考えていますか。
○政府委員(前畑安宏君) 先ほど申し上げました日本分校の募集定員が、カタログでトータルをいたしますと約八千という数字と承知をしております。この八千という数字はどれくらいの大きさを持つかと申しますと、我が国の高等専門学校という制度がございますが、これが入学定員が約一万でございます。この一万というのは非常に小そうございまして、中学校の進路指導等におきましてもいわばほとんど問題にされない数字で、私どもとしては高等専門学校への志願者の募集に大変苦慮をしている、こういう状況にございます。したがって、八千という数字はそういう感じの数字としてひとつ御理解をいただきますと、今のところ格別高等学校における進路指導で問題が起こっていることはないと承知をいたしておりますが、今後そういったことで必要がございますれば、進路指導担当の主事を対象とした会議等において相談をするということについても検討してみたい、このように考えております。
○小西博行君 それでは最後になりますが、国土庁、せっかく来ていただいておるので一つだけお伺いしたいんですが、昨年の十一月の海外大学日本校の実態に関する調査、これ見せていただきましたが、この実態調査をした目的と、それから実態調査してみてどのような感想をお持ちでしょうか。
○説明員(遠藤昌雄君) 私どもで実態調査をしたねらいでございますけれども、四全総の中で国際的な高等教育研究機関の適正な受け入れについても位置づけがなされておるというようなこともございましたことが一つ、それから実態面からこのところ米国の大学の日本校がふえておるようだ、その二点の理由で調査をしたということでございます。そしてまた、実際に立地している学校の中には自治体が財政支援をするというようなものも出てきておるということもございます。これもまた理由の一つでございます。そうしたことで、とりあえず実態がどうなっておるかということを把握しようというねらいでやったものでございます。
 どういう感想を持ったかということでございますけれども、感想ということとはちょっと外れるかもしれませんのですが、現状、制度としては日本の大学制度の枠外にあるということでございますので、自治体が仮にそういったものを誘致するということを考えるに当たって、やはり留意をしなければならぬ点が幾つかあるだろうなというふうな感じを持ったわけでございます。
 例えば日本の大学を誘致するということでございますれば、誘致は自治体がやる、誘致をした後の経営は大学が独自にやる、経営には自治体は関与をしないという形になるのが通例でございますけれども、米国大学を誘致したという場合には、その米国大学が私立であっても州立であってもおおむね誘致をする自治体としては、誘致をするだけではなくて経営に携わることにならざるを得ないというようなこともございまして、そこら辺もよく認識をした上で誘致をするならするということでなくちゃいかぬ、そんなこともあるだろうというふうに思っておる次第でございます。
○小西博行君 そういう意味で、大臣、これからまたどんどん、日本はいい市場だというような感じをアメリカでは持っているようですから、まだまだふえる要素がありますので、その点にひとつ関心を持っていろいろな意味での対応をしていただきたい、そう申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今局長から申し上げましたように、これは大変大事なことでありますので、アメリカの大学のほかイギリスのオックスフォード大学も来ているそうですが、外国大学の本国の学校制度、こういうものにも留意しつつ、当面なおこの状況の推移を見きわめた上で慎重に対処したい、このように考えております。
○小西博行君 ありがとうございました。
○委員長(下稲葉耕吉君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ─────────────
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) このたび、政府から提出いたしました国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、国立学校設置法において国立の大学の新設、短期大学部の設置及び廃止並びに学位授与機構の新設を行うほか、あわせて学校教育法を改正して、学位授与機構の行う学位の授与等について規定するものであります。
 まず、国立学校設置法の改正について御説明申し上げます。
 第一は、奈良先端科学技術大学院大学の新設についてであります。
 これは、近年の先端科学技術分野の急速な進展に対応し、これらの分野に係る基礎研究を積極的に推進するとともに、高度の研究者、技術者の組織的な養成及び再教育を行うため、学部を置かない大学院のみの大学として、奈良先端科学技術大学院大学を設置しようとするものであります。
 なお、奈良先端科学技術大学院大学は、本年十月一日に設置し、平成五年度から学生を入学させることとしております。
 第二は、岐阜大学医療技術短期大学部の設置についてであります。
 これは、同大学の医学部附属の専修学校を転換して医療技術短期大学部を併設することとするものであり、本年十月一日に開学し、平成四年四月から学生を入学させるものであります。
 第三は、小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部の廃止についてであります。
 これは、小樽商科大学及び岐阜大学に併設されている短期大学部を廃止し、それぞれ当該大学の商学部及び工学部に統合しようとするものであります。
 なお、小樽商科大学短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部は、平成四年度から学生募集を停止し、平成五年度限りで廃止することを予定しているものであります。
 第四は、学位授与機構の新設についてであります。
 これは、生涯学習体系への移行及び高等教育機関の多様な発展等の観点から、高等教育段階のさまざまな学習の成果を評価して、学校教育法に定めるところにより学位の授与を行うほか、これに関し必要な調査研究及び情報提供を行う機関として、学位授与機構を本年七月一日に設置しようとするものであります。
 次に、学校教育法の改正について御説明申し上げます。
 第一は、学士を学位とすることについてであります。
 これは、現在大学卒業者が称し得る称号として位置づけられている学士を、諸外国と同様に、大学が授与する学位として位置づけるものであります。
 第二は、学位授与機構が行う学位の授与について定めることであります。
 これは、大学が行う学位の授与について規定を整備するとともに、生涯学習の振興等の観点から、学位授与機構が、短期大学または高等専門学校の卒業者等で大学等においてさらに一定の学習を行った者及び大学以外の教育施設において大学または大学院に相当する教育を受けた者に対し、その水準に応じ、学位を授与することとするものであります。
 その他、この法律におきましては、以上のことと関連して、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
○委員長(下稲葉耕吉君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会