第120回国会 文教委員会 第4号
平成三年三月二十六日(火曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 三月七日
    辞任         補欠選任
     下条進一郎君     真島 一男君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         下稲葉耕吉君
    理 事
                石井 道子君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                小林  正君
    委 員
                秋山  肇君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                仲川 幸男君
                真島 一男君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                山本 正和君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  井上  裕君
   政府委員
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部省生涯学習
       局長       福田 昭昌君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       菴谷 利夫君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       文化庁次長    遠山 敦子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
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  本日の会議に付した案件
○国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月七日、下条進一郎君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。
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○委員長(下稲葉耕吉君) 国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案及び学校教育法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、学校教育法等の一部を改正する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) どうもいろいろお世話に相なりまして、委員長初め皆様に御厄介になりましてありがとうございました。
 このたび、政府から提出いたしました学校教育法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、学校教育法について、医学、歯学の教育における教育課程の区分に関する規定の廃止、短期大学及び高等専門学校の卒業者に対する準学士の称号の創設並びに高等専門学校の分野の拡大と専攻科制度の創設を図るとともに、あわせて教育職員免許法を改正して、小学校教諭等の二種免許状の基礎資格を短期大学卒業者に係る準学士の称号を有することとする等について規定するものであります。
 まず、学校教育法の改正について御説明申し上げます。
 第一は、医学、歯学の教育における教育課程の区分に関する規定の廃止についてであります。
 これは、現在、医学、歯学の教育課程については、進学課程と専門課程とに区分する場合には、進学課程は二年以上、専門課程は四年とすることを法律上規定しておりますが、このような規定を廃止し、医学、歯学の教育はすべて六年制の課程において行うこととし、より弾力的な教育課程の編成ができるようにするものであります。
 第二は、準学士の称号の創設についてであります。
 これは、国際化の進展に対応し、また関係者の要望にこたえ、短期大学及び高等専門学校の卒業者について、新たに準学士と称することができることとするものであります。
 第三は、高等専門学校の分野の拡大についてであります。
 これは、現在、高等専門学校については、工業と商船に限って学科を設置できることとなっておりますが、これを改め、工業と商船以外の分野の学科をも設置できるようにするものであります。
 第四は、高等専門学校の専攻科制度の創設についてであります。
 これは、高等専門学校卒業者に対し、さらに高度の教育機会を整備充実するため、高等専門学校にも、短期大学等と同様に専攻科を置くことができることとするものであります。
 次に、教育職員免許法の改正について御説明申し上げます。
 これは、学校教育法の一部改正による準学士の称号の創設等に伴い、小学校教諭等の二種免許状授与の基礎資格を短期大学卒業者に係る準学士の称号を有することとする等、所要の規定の整備を図るものであります。
 その他、この法律におきましては、以上のことと関連して、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
○委員長(下稲葉耕吉君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより両案を一括して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○粕谷照美君 大臣、きょうは甲子園の高校野球始球式、御苦労さまでございました。皆さん御心配をされまして、テレビにかじりついて無事届くかどうかを見ていたという話でございますが、見事に届きまして安心をしたという、そういう話が
先ほど理事懇のときに出ておりました。
 その御感想なども含めましてお話をちょっといただきたいわけですが、来年あるいはそれから後も、あの甲子園にやがて朝鮮学校の高等学校の子供たちが入るような条件が出てくる芽生えがしてきているわけですね。小林正委員がこの文教委員会で質問をしたときには、もう全くかたくてかたくてその気も見えなかったのが、非常に大きな前進を遂げてきているような感じがいたしました。子供たちが非常に元気ではつらつとしてさわやかにプレーをするのをごらんになって、文部大臣、いかが御感想ありますでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) 先ほどお礼を申し上げましたが、委員長、また理事の皆さん、そしてまた文教委員の皆様方の御配慮で甲子園に行ってまいりました。練習ではストライクが入ったのですが、なかなか本番になりますと、案外心臓が弱くて、左バッターでございますので若干失敗いたしましたが、まあまあ球は届いたようでございます。本当にありがとうございました。
 私も、半世紀ですから五十年ぶりの甲子園、前は自分は行かなかったのですが、甲子園の砂を持ってきていただきました。おかげさまで、本当にありがとうございました。
 高等学校の大会もこれは教育の一環でありまして、また子供たちが貴重な青春の体験をしたということで、非常に有意義であったと思います。さらにまた、その選抜に漏れた方々、テレビでまたラジオで聞いている子供たちも、やはり来年に向けてあるいは夏に向けて頑張っていただけるものと、このように信じます。
 文教委員会、さらに衆議院の予算委員会、さらにまた分科会でも、朝鮮人学校の日本高等学校野球連盟、あるいは全国高等学校体育連盟に対しますお話が出ております。今、文部省といたしましては、あくまでも自主的にその大会、それぞれの大会の自主的な判断を仰いで、そしてみずから大会の運営の中で入れていただく。文部省としてはそういうことでございまして、あくまでも自主的な運営の中でみずからそのことをお互いにいろいろお話し合いをしていただいて進めてまいりたい、そういうことでございます。
 国際化やあるいはまたいろいろな状態の中で、野球のみならずいろいろな各運動すべて、スポーツ面すべてにそういう要望もあるようでございますが、これはあくまでもやはり、先ほど申し上げました自分たちの主体性を持ってみずからその中で判断して適用をしていただくよう、私の方はそれを見守っておるわけでございます。
○粕谷照美君 あの甲子園は兵庫県にございます。同じ兵庫県内で先日、農業高校の入学試験に絡まりまして考えることすらできないような、校長が命令をして教員がそれに従って入試の不正改ざんをやったという事件があります。これについて文部省は、文部省としてどのように実態を把握しておられるか、そしてそれに対してどのような対応をされようとしているのか、お伺いします。
○国務大臣(井上裕君) 今回の事件につきましては、現在、兵庫県の教育委員会、また兵庫県警において調査中であります。高校入試をめぐって学校関係者が逮捕されるという事態に至ったことはまことに遺憾でありまして、我々は重大に受けとめております。
 今、警察におきましても取り調べ中でありますし、また兵庫県の教育委員会ともいろいろ打ち合わせをいたしておりますので、確固たる処分もしなければならない、このように受けとめております。
○政府委員(菱村幸彦君) 県教委におきましては、三月二十日に県立農業高校の教頭と事務長から事情聴取を行っておりまして、その内容について私の方で文書で報告を受けております。県の教育委員会には、ただいま大臣からお話がありましたように、この件について早急な調査、報告をするように私どもから求めておりますが、そのうち、第一の報告としてございました。
 それによりますと、三月二十日までの事件の概要は大体新聞報道のとおりでございまして、試験終了後校長の指示で答案を入れた段ボール及び金庫に封印をしなかったこと、ないしは答案の再採点により改ざんされた受験生は十五人であること、それから十五名のうち五名については改ざん箇所についての得点を認めないという措置を経て合格していることなどが報告されております。
 なお、三月二十一日以降の状況、それからこの問題をめぐりますいろいろな背後関係等を含めた事件の詳細につきましては、現段階では当事者であります校長と関係教諭が警察に身柄を拘束されておりますので、教育委員会としての調査はなかなか難しいようでございます。
 いずれにしましても、文部省としては早急に事態の報告をするよう求めておりますので、私どもでも報告がありました段階で適切な措置をとってまいりたい、このように考えております。
○粕谷照美君 私は、処分のこともさることながら、そういう事態に立ち至ったその背景のことをもう少しきちんと調査をされますようにお願いをしたいと思います。これについては、これで終わります。
 それでは、今回提案をされております法律案について質問をいたします。
 この法律に入る前に、まず何といっても大学審議会の答申からこれが出ている。その大学審議会の答申の前は臨教審の第二次答申から問題が起きているわけでございます。今回の答申の中の法律事項というのが法律になって今回出ています。答申の中から法律事項と書いてあるものが法律になっている。ところが、法律事項と書いてない部分については、これからどのような対応が行われるのでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 法律事項以外の部分につきましては、例えば学位の問題につきましては省令であります学位規則、さらに大学、大学院、短期大学、高等専門学校の設置基準につきましては、これも省令であります設置基準、こういうことでございまして、基本的には省令で対応するということになっております。
○粕谷照美君 大学審議会は五つの柱で答申をやっているわけでございますが、その中で設置基準の大綱化というのが非常に大きな柱になっているわけであります。この設置基準の大綱化と現行設置基準、これの関係についてお伺いをいたします。
○政府委員(前畑安宏君) 今回の答申で、設置基準につきましては基本的には大綱化、こういうことでいただいておりますが、ただ大綱化を図ります部分は主としていわばソフトの面でございまして、カリキュラムの組み方であったり、あるいは単位の計算方法であったりといったところについて大綱化を図るという答申をいただいておりますが、いわばハードの面と申しますか、必要専任教員の数であるとか、あるいは校地・校舎の面積であるとかという部分については基本的には現在の、現行の設置基準をそのまま持ち越すということになっています。
 さらに付言いたしますと、ハードの面では、例えば図書館につきましてはさらにレベルアップを図るような基準を決める。また、情報処理、語学あるいはスポーツに関する施設につきましても、その整備について配慮をするというようなところが定められておるところでございます。
○粕谷照美君 今の面で、ハードの面については現行が重点になっていくという点では、大学の質を落とさないということを考えての問題だというふうに思います。ところが、全体的に言えば、大学関係者の中には、この答申で法律がつくられて、また運営されていくということになりますと大学の質が低下をするのではないか、こういう心配を持っているように思いますけれども、文部省はどのように受けとめておりますか。
○政府委員(前畑安宏君) この大綱化の問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、関係者からは二つの指摘を受けておるところであります。一つは大学の水準の低下という問題、もう一つは大学らしからぬ大学が出てくるのではなかろうか、この二点でございます。
 第一点の大学の水準の低下ということにつきましては、ただいまも申し上げましたように、この設置基準において大学の水準を支えているいわばハードの面につきましては、現行の水準を下がらないように、むしろ施設設備の面については水準を高めるようにという方向で答申をちょうだいいたしておりますので、直ちに水準の低下には結びつくことはなかろう、このように考えております。
 ただ、もう一つの大学らしからぬ大学の出現という点につきましては、これは関係者が指摘をいたしておりますところは、特に一般教育科目、専門教育科目、そして保健体育科目、外国語科目、こういった科目の区分を現在設置基準は決めておりまして、そしてその科目の区分に従いまして卒業をするときの卒業を認定する要件というものを決めております。一般教育科目につきましては三十六単位、外国語科目につきましては八単位、保健体育科目四単位、そして専門教育科目七十六単位、こういうふうに卒業要件を決めております。
 この中で、一番大きく問題にされておりますのは一般教育科目でございます。御案内のとおり、戦後の新制大学の一つの大きな理念は一般教育の重視ということでございまして、この点について弾力化、あるいはさらに申し上げますと自由化が図られることによって一般教育を軽視する大学が出るのではなかろうか、このようなことが関係者から指摘をされておるところであります。
 しかしながら、同様の心配につきましてはこの答申におきましてもその点を憂慮いたしまして、授業科目を設置基準で決めてしかも卒業要件として一般教育科目の履修を要求をするということはしないけれども、一般教育の理念というものはやはり各大学のカリキュラム編成において尊重されなければならない。そういう趣旨からして、新しく設置基準を定めるに当たっては、一般教育の理念としたところが具体にカリキュラムに実現できるようなことを促す規定を設けよ、このような答申をちょうだいいたしておりますので、私どもとしてはそのような方向で、これまた大学審議会にお諮りするということが法律で定められておりますが、その方向で設置基準の制定に当たりたい、このように考えております。
○粕谷照美君 一般教育を大事にするということは、私ども社会党としても非常に重要視しているわけであります。今、大変評判が悪い。その評判が悪いところをどのように直していくか、こういう観点が必要ではないだろうかと思っております。
 きょうの新聞に、駿河台大学が六十七人を温情卒業させた。選択科目に変えて、不可欠のこの必修単位の問題が挙げられておりますけれども、このようなことは一体どういうふうに理解をしたらよろしいのですか。
○政府委員(前畑安宏君) 大学におきます卒業の認定というのは、学校教育法の施行規則でもって、学生の卒業は「教授会の議を経て、学長が、これを定める。」と、このように規定をいたしております。私どもは、各大学がそれぞれの自主的な判断で卒業の認定をするということについて介入をする立場にはございません。ございませんが、この大学審議会の答申の全体を通じましても一つの大きな柱になっておりますところは、大学における教育機能の重視ということでございます。よく言われますように、我が国の大学は入学試験は非常に難しい、けれども入学をしてしまえばところてん式に卒業させるではないかというのが我が国の大学に対して広く寄せられている批判でございます。そういう点も踏まえまして、教育機能の重視ということが今回の答申でも強く打ち出されております。
 各大学においても、そういう観点を十分踏まえて卒業の認定をしていただきたいと、このように考える次第でございます。
○粕谷照美君 そうしますと、今の話では文部省としては介入することはないということになりますと、こういう卒業のあり方というのは認められるということになりますね。
○政府委員(前畑安宏君) 当該大学が教授会の議を経まして学長が認定をした以上は、それはそのようになるということでございます。
○粕谷照美君 こういうことが大学の水準を落とすことになるのか、そのままでよろしいというふうに考えるのか、その辺の判断はいかがですか。
○政府委員(前畑安宏君) ただいま御指摘の問題は設置基準とはかかわりのない次元の問題でございまして、この答申でも提言をされておりますが、各大学において今後私どもとしてはいわゆる自己評価、自己点検ということを行っていただきたいということを考えております。
 例えば、この答申が例として出しておりますところでも成績評価、単位認定のあり方ということを掲げております。こういう点について各大学がそれぞれの成績評価、単位認定、さらには卒業の認定のあり方について厳しく点検をし、評価をすることを期待をいたしておるところでございます。
○粕谷照美君 大変苦しい答弁ですね。こういうことはやっぱり社会的に大学の評判を落とすということを、私は、大学関係者はきちんと胸の中にしまっておかなければならないというふうに思います。
 今回の大学審答申、これを発表されるときに石川審議会会長はこういうことを言ってらっしゃるわけですね。答申が提言した改革を各大学が心がけるかどうかでその見識が問われると、こう言って問題を大学人、大学に投げ返しているわけでございます。私も本当にそのとおりだというふうに思いますけれども、文部省、いかがですか、大学関係者及び大学人だけにその見識が問われているものでしょうか。私は、監督者としての文部省ではなくて、設置者としての文部省もこの問題を真剣に受けとめて対応しない限りこの改革は成り立たないというふうに思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(前畑安宏君) ただいま御紹介いただきましたように石川会長の御発言ということでありますが、基本的に大学の改革というのは各大学が自主的な努力で取り組むべきものである、このように考えております。何よりもまず大学の自治あるいは学問の自由ということは十分に尊重してまいらなきゃならない、このように考えております。
 ただ、私どもの立場から考えますと、各大学がそれぞれの創意工夫に基づきまして自主的な改革を志すときに、それを支援するような、あるいは促進するようなことは十分考えていかなければならない、このように考えております。
○粕谷照美君 そうですね。その支援する、促進するということは、一体具体的にはどういうことなのか。いろいろなことがあろうかと思いますけれども、私は財政面における対応というものが非常に大事になってくるんではないかというふうに思います。そういう意味で、我が国の高等教育におきます財政というのは一体どのような状況にあるでしょうか。国際的に比較してみても結構でございます。ちょっと年次を挙げて御報告いただいても結構でございます。
 そして、夏のシーリングもやがてこの国会が終わりますと間近にやってまいりますが、文部大臣としては高等教育に対する財政、これをどのように大蔵省のところに持っていってきちんと確保するかということが大きな課題になっていると思います。多分そのころも文部大臣だと思いますけれども、その決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今の問題は、局長が答弁したとおり、学問の自由、また大学の自主に任せ、また私どもはそれの支援をしなくちゃならないと思います。高等教育の改革は各高等教育機関の自主的な改革努力が重要でありますが、このような努力を奨励し、また実効あらしめるためには適切な財政上の措置が必要であろう、このように考えております。
 この点につきましては、さきの大学審議会答申におきましてもその旨の指摘が行われておりま
す。私もよく見せていただきました。文部省といたしましては、この答申の趣旨を踏まえ、また行財政事情も勘案しつつ高等教育財政の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
 この国会が終わりますと同時に、いろいろこのヒアリングの問題始まると思います。八月三十一日の概算要求に向けて省を挙げて、ひとつ先頭に立って予算獲得に頑張りたい。与野党の先生方に一層の御支援もお願いをする次第であります。
○政府委員(前畑安宏君) お尋ねがございました高等教育費の国際比較についてお答えを申し上げます。
 我が国の高等教育費に係る国、地方のいわゆる公費の負担ということは、国際比較をいたしますと、国民所得に対する比率ということで見ますと〇・八%となっております。それぞれの国における制度の違いの問題あるいは高等教育と初等中等教育との配分の問題等がございますので、一概に比較をすることが適当かどうかという問題はありますが、数字を申し上げますと、我が国の〇・八%に対しましてアメリカが一・五%、イギリスが一・六%、従前の西ドイツが一・七%、このようになっております。
 また、最近いろいろな方面から御指摘をいただいております国立学校の施設整備費のことにつきましては、昭和五十四年度に千五百四十六億円でございましたが、平成三年度には八百九十八億円。この八百九十八億円も、平成二年度に比べますと五十一億円の増ということで現在御審議をいただいております予算に計上いたしておりますが、五十四年度が千五百四十六億に対しまして三年度お願いしております予算が八百九十八億、こういう状況になっております。
○粕谷照美君 徐々に上がっているということはよくわかりましたけれども、一層の文部省の健闘を期待します。
 次に、大学審答申は学位制度の見直しと大学院の評価についても答申をしているわけでありますが、この学位制度の見直しの文章の中に、課程制大学院制度の趣旨を踏まえ、学位授与の円滑化を図るとともに学術研究の進展に適切に対応し得るように学位制度を見直すと、これが概略になっておりますが、この問題に対して厳しい指摘が行われておりますね。
 例えば、私大連などはこういうことを言っているわけです。「「課程制大学院及びそれに基づく学位制度の考え方が十分に理解されていない」ことが、その円滑化を制約する基底にある要因であると考えられる。」、このことをぜひ答申で強調してほしいということを昨年の十一月二十九日に意見として発表しているわけであります。この辺のところをどういうふうに文部省は受けとめておりますか。
○政府委員(前畑安宏君) 課程制大学院といいますのは、基本的な考え方としては学部とは違った教育施設、いわゆるスクールがそこにあるということが基本にあろうかと思っています。しかしながら、我が国の大学院制度発足時のいろいろな経緯もございまして、先生も御案内のとおり、例えば教員につきましては、「大学院の教員は、教育研究上支障を生じない場合には、学部、研究所等の教員等がこれを兼ねることができる。」、こう規定をし、また施設につきましても「大学院は、教育研究上支障を生じない場合には、学部、大学附置の研究所等の施設及び設備を共用することができる。」、こういうふうなことで、いわば学部の上に必ずしも実体がない大学院があるというのがこれまでの我が国の大学院に対する批判でございます。
 現在御審議いただいております大学審議会におきましても、現状においては教員組織、施設設備、運営などすべての面において学部に依存している場合が多いという指摘もいただいておりますし、固有の目的を持つ教育研究組織としての実体を具備するような方向で教員組織、施設設備の充実を図り、その運営のあり方にも改善を加えることが必要となっていると、こういう指摘も大学審議会の部会の報告からちょうだいをいたしておるところでございます。基本的に、課程制大学院としての実体を備えるということがまず何よりも大事であります。
 また、その上でもって、その実態を踏まえてスクールとしての大学院ということについての一番大きな問題は、先ほど学部についても申し上げましたが、大学院における教育、さらには研究指導という面について、我が国の大学院の場合には必ずしも諸外国に比べて遜色がないというところまではいっていない。そこで、大学院の教育課程あるいは研究指導というものが体系的に整備を行われるということが何よりも重要なことであろうと、このように考えておりますし、審議会等でもそういう御指摘をいただいているところでございます。
 ただいま御審議いただいております大学院の充実の問題についても、そういう点について審議を深めていただいておりますし、また先般答申としてちょうだいいたしましたこの評価の問題につきましても、「大学院の自己点検・評価項目(例)」の中でも研究指導の方針、方法、体制といったようなところも例示をさせていただきまして、各大学でそういう点についてさらに努力を図っていただこうと、このようなことが現在の私どもの考え方でございます。
○粕谷照美君 私は、法の制度が、昭和四十九年度に大学院設置基準が制定をされた。そして、その後もずっと何回か変わっているわけですよね。そういうふうに制度が変わっていくことが、今の指摘によれば課程制大学院制度の趣旨の徹底を欠いているという指摘なんですね。趣旨の徹底を欠いている、ここのところが問題だと思うんですよ。趣旨の徹底を欠いているから学位の授与が円滑ではないと、こういうふうに読み取れるわけです。趣旨の徹底を欠いたという理由は一体何だろうか。強引にそういう制度をつくり上げていったということなのか、大学人が勉強不十分であったということなのか、この辺のところを私は文部省としてきちんと見定めていただきたかったわけでありますが、今の御答弁ではどうも納得がいかないんですけれども、時間がありませんから次に移ります。
 同じようなわだちを踏まないためにも、今度の制度改正につきましては十分な審議というものが必要になってくると思うのであります。ところが、具体的に法律に出されてまいりました例えば学位授与機構について、随分たくさんの大学から、反対という言葉は文章には載っておりませんけれども、慎重に審議をされたい、こういう言葉でやっているわけですね。慎重に審議をしてきたかということを、これをお答えいただきたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のように、学位授与機構にかかわる事項につきまして大学審議会の部会から総会に報告をし、それを公表した段階で各方面からいろいろな御意見をちょうだいをいたしました。そして、その御意見を直接に審議会の部会において、いわゆるヒアリングという形で意見交換をさしていただきました。そういう過程を踏まえていわば各団体の理解を求めながら進めてきたということがございます。
 ちょっと時間を追って申し上げますと、平成元年の十月段階で、審議の概要その一に対しましてもヒアリングをいたしました。さらにそれを、ヒアリングの意見等をもとに若干の修正を行いながら、審議の概要その二につきましても平成二年の十月にまた関係団体のヒアリングを行いました。さらに、学位授与機構の問題につきましては、大学教育と大学院と両方にかかわる問題ございますので、大学院部会におきましても平成二年の十一月にヒアリングを行った。こういうふうに関係団体の意見を徴しながら、酌み取りながら審議を深めてまいったところでございます。
 幾つかの反対あるいは批判的な御意見をいただきましたが、やはりその中で基本的にございましたのは、学位というものは大学という体系的、組織的な教育を行った上で与えられるべきものであるという意見が一つございました。また、もう一
つの大きな御意見としては、論文博士という問題がございました。論文博士というものは、先ほども御指摘がございました課程制大学院ともかかわりますが、我が国には特有の制度として、大学院を経由しないで論文を提出することによって学位を取得するという道がありますが、これがこの学位授与機構においても行われるということについて若干の危惧というようなものも表明をされたことはございました。
 そういう点を踏まえながら審議を深めてまいりまして、まず論文博士については、この学位授与機構は取り扱わないということを明らかにいたしました。また、体系的、組織的な教育の基礎の上にという点につきましては、御提案さしていただいております法律案にもございますように、短期大学、高等専門学校あるいは大学の中退といった、ある程度の体系的教育を受けたその基礎の上に立って、さらにしかるべき短大の専攻科あるいは御提案いたしております高等専門学校の専攻科といったような組織的、体系的な教育を積み上げた上での学士という学位の授与と、こういう方向で明確にしたところでございます。
○粕谷照美君 その後段の部分については大体納得がいくわけでございますが、国大協が、とにかく大学による学位授与との混同を避けるために、学位授与機関という名称ではなくて適当な名前を考慮されたい、こういう要望を出しているわけですね。ずっと学位授与機関という言葉で文部省も文書を出してきましたけれども、今回は機構とこうなっているわけです。この辺のところを御説明ください。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のように、国立大学協会からは平成二年の十一月二十日に御意見をいただきまして、学位授与機関というのは学位を出す一般的な組織といいますか、大学が学位を出す機関であると同様な性格の学位授与機関というのが別途、極端に申しますと複数できるのではないか、そういうふうな危惧をお持ちであったかと、このように受けとめております。いわば、学位授与機関という制度ができて幾つかの学位授与機関が全国にできると。そうなると、学位を出すのは大学であるという概念と混同するではないか、こういうふうな御批判というふうに受けとめたわけであります。
 そこで、私どもとしては、学位授与機関といういわば普通名詞的な色彩を避けるために、学位授与機構というふうな名前に改めまして御提案をさしていただいているところでございます。
○粕谷照美君 そうしますと、国大協なんかはそれで納得をしたと、こうお考えになっていらっしゃるわけですね。
 では、その学位授与機構の内部について質問いたしますが、この構成というのは一体スタッフはどのようなことになっておりますか。
○政府委員(前畑安宏君) 学位授与機構につきましては、できるだけコンパクトなものにするということを基本に置いて考えております。任務を遂行するための必要最小限の組織ということで私どもが現在構想いたしておりますのは、定員で申しますと二十七人でございまして、機構長が一、教官が九、事務官が十七、これに客員教官を四人お願いする、こういう構想でございまして、機構長のもとに審査研究部、それから事務的な組織であります管理部というものを設けます。そして、審査研究部のもとに学位の審査を行います審査部門というものと、それから今後におきます単位累積加算等々の生涯学習的な発展といったようなものを考えまして調査研究部門というものを設ける、このような構想を持っております。さらに、国立大学共同利用機関として設けますので、今までに設置をされております国立大学共同利用機関と同様な管理運営形態ということで評議員会及び運営委員会を設ける、このようにいたしております。
 しかしながら、これだけの二十七人という組織では到底学位審査にはたえるものではございませんので、約百二十人ほどの非常勤の委員の方にお願いをいたしまして、学位の申請に当たって必要に応じ当該学位の専門にかかわる委員の方々に御参集いただいて審査を行っていただこうと、このような構えにいたしておるところでございます。
○粕谷照美君 この学位の審査というのが今この機構の中では一番大事なことだと思うわけでございますが、この学位審査に当たる教官は現役の研究者でございますね。
 それから、学位授与機構というのは研究機関を伴わない機関でありますが、ここの教官は教授の名称を持っても研究を行わない学位審査専門委員ということになるのでしょうか。日進月歩の科学技術の世界で、現役研究者でない人が博士号の認定を行うということについてはいかがなものかという意見が非常に強く上がっているわけであります。この学位審査に当たる教授の資格、教員の資格というのは一体どういう人を選ぶのかということでございますね。あわせまして、こういう人たちに任期というものはあるのでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) この機構に置かれます専任の教官と、それから具体に学位審査に当たります、私ども専門委員会とこう言っておりますが、専門委員会に参加する専門委員というものと、この二つの役割のいわば分担があろうかと、このように考えております。,
 現在、私ども具体に仕事をいたしておりますものといたしまして大学の設置認可の仕事がございますが、これにおきましても大学の設置認可の申請がありました場合に、その具体的な構想あるいは基本的な考え方というものを審査いたします大学設置・学校法人審議会の大学設置分科会というところにおける審査と、当該申請に係る大学の教員組織について審査をいたしますものは、それとは別に大学設置分科会の専門委員という方を私ども非常勤でお願いをいたしておりますが、その方が具体の専門分野についての教員審査に当たる、こういう仕組みになっております。
 この学位授与機構におきます学位の審査におきましても、専任の教官の方々の果たす役割といったものは、学位授与機構の基本的なあり方であったり、あるいは具体にどういう短大の専攻科あるいは高専の専攻科が学士の学位の基礎となる教育を行っているかということについての基本的な考え方を示すという役割を担おうかと、このように思っております。そして、具体の論文審査、あるいは当該学生が学士の学位を授与するにふさわしいかどうかという審査については、個別にお願いをいたします専門委員の方々が専門委員会を組織して審査をする、こういう運びになろうかと思っております。
 したがいまして、これは現在でもいろいろ議論があるところでありますが、博士の学位審査に当たる方が博士の学位を持っていないではないかという問題の指摘もあるわけでございますが、基本的にこの専門委員の方には現役の教育研究者にお願いをする、こう考えております。
 なお、専門委員の方につきましても、または教官につきましても、その任期をどのように定めるかということにつきましては、学位授与機構が発足をいたしまして運営委員会あるいは評議員会で御議論がされるところでありますが、当然のこととして専門委員の方には任期はつくのではなかろうかと、このように考えております。
○粕谷照美君 学士の学位の授与の審査は、取得単位及びその履修の内容が該当学士の学位の授与に相当するか否か、及び当該申請者が大学修了者と同等の水準の学力を有するか否かを審査するという、非常に難しい大変なお仕事なわけでございます。
 「学位授与機構の構想の概要について」というものを出しました機関創設調査委員会の資料を見ましたら、この場合に「学習の達成度を確認するための適切な方法(例えば、試験、レポートの審査等)については、授与する学士の専攻分野等に応じ、引き続き検討する。」と、こういうふうになっていますね。その達成度を確認するための適切な方法をこれから検討するわけでございますが、ちょっと何か白紙委任でこの法律を私どもはオーケーしなければならないような感じを持つわけでありますけれども、これはいつまでにこの方
針をきちんとなさるのですか。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘いただきましたくだりは、「この場合、学習の達成度を確認するための適切な方法(例えば、試験、レポートの審査等)」ということでございますが、現在大学が卒業を認定するに当たってどのような方法をとっておるかということにつきましては、専門分野によってかなり相違がございます。そのことがこの「概要について」というものを取りまとめるときにも議論になったわけであります。
 ちょっと申し上げさせていただきますと、人文科学系で、例えば英米文学関係の専攻のところでは卒論を課すというのがかなり多うございます。また、教育学関係専攻でも卒論というのが一般的であります。これに対しまして、法学関係あるいは経済学関係というところでは、卒論を課すというのはこれは極めてまれな例になっております。また自然科学の方では、御案内かと思いますが、物理学あるいは機械工学を例にとりましても、卒業研究というものを課すのが一般的でございます。
 そういう状態の上に立って、工学系の先生はやはり卒研を課すべきではないかと御主張になりますし、法学関係の先生は、いや、そこまで一律に主張するのはと、こういうようなことでございまして、それでは具体にこの機構が発足をしてどういうふうな端的に申しますと短期大学の専攻科をいわば具体の履修の機構として考えることになるわけでございますが、実態としてどういうものが出てくるかということも見る必要があろうということもございまして、ここではしばらく先送りをして、お願いいたしております平成三年度の予算でも、この機構が法律案によりますと七月設置、こうなっておりますが、それまでの間は引き続き創設調査委員会ということで仕事を進めますし、また機構発足後は当該機構が主体的に判断をする、こういう構えになりますので、いわば先送りにした、こういうことでございます。
○粕谷照美君 そこのところが非常に心配になるわけですね、私どもといたしましては。
 それで、教官の九人でまともな学位審査ができるのだろうかという心配を持っております。例えば、文部省告示によりまして、大学院及び大学の専攻科の入学に関し大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者の指定の中に入っております防衛大学校、防衛医科大学校、気象大学校、職業訓練大学校、水産大学校、それから海上保安大学校、こういうものも今度はそれらの中に含まれるんだと思うんですけれども、この卒業生の数だけでも大変ですね。この学校を卒業した者には自動的にというわけじゃないんでしょう。一人一人を調査するわけでしょう。それでこの人数で十分だという判断をお持ちになるわけですか。
○政府委員(前畑安宏君) 学位授与機構が出します学位は、法律案で御提案させていただいておりますように、学士の学位、修士の学位、博士の学位、この三種類でございます。そして博士の学位、それから修士の学位につきましては具体に論文審査をし、必要に応じて試験をやるというようなことはこの「学位授与機構の構想の概要」というところでも考えておるところであります。ただ、学士につきましては、今先生御指摘もございましたように、かなり数が多いということ、それから先ほども御紹介いたしましたように、専攻分野によって違いはありますが、必ずしも論文あるいはレポートといったようなものを現在の大学でも求めてないということもございますので、学士の学位についてはある程度の包括的な審査ということができないか。
 端的に申しますと、当該教育施設をきちっと審査をして、そこにおける卒業の認定のあり方等も審査をすれば、その認定をした教育施設が卒業を認定した者についていわば半ば自動的に学士の学位を出すという方法が考えられないかというのが今一つの検討課題ということでございます。
○粕谷照美君 そこがまた問題の種になるわけですね。
 そうしますと、例えば防衛大学校を卒業すれば自動的に学士になる、水産大学校を卒業すれば自動的に学士の学位がもらえる、こういうことになるんだと思うんですよね。この辺のところはいろいろと意見のある団体もたくさんあるわけでありますから、十分過ぎるぐらいの議論をしていただきたい、こういうことを要請をしておきます。
 あわせまして、防衛大学の話になりましたからちょっとお聞きしますけれども、今度防衛大学は女性に門戸を開放するというのが入っていますね。何かマスコミによりますと大体七%ぐらい女性を入れたいんだと。今の学校の中で女の枠を決める、男の枠を決めるなんというそういう学校があるんですかね。婦人差別撤廃条約が通っている我が国において、そのような非近代的な運営をとっている大学というのがあるんですね。これ、防衛庁のことですから文部省はお答えになれないと思いますけれどもね。しかし、まあ三十五人ぐらいしかまず一年目は入れませんよなんというのはおかしいと思いますし、例えば、「男子入学者の学力の低下、中途退学や任官拒否の急増など」と、これ日本の国を守るなんというあのうたい文句からいえばまことに恥ずかしいことを書かれないようにお願いをしたい。
 女性の問題もそうであります。この婦人自衛官という言葉もちょっといけないですね。アメリカあたりですと、外国あたりですと、あの多国籍軍ね、女性兵士、女性という言葉を使っていますね。十八歳で高校卒業して入った人が婦人なんて言われたんじゃびっくりするんじゃないかなという気持ちもいたします。これは質問で言えばやや蛇足でありますけれども、御留意をいただきたい部分であります。
 それで、文部省の「学位授与機構の構想の概要について」の骨子、非常にいいですね、わかりやすくて。余り勉強しない私なんかにも、これ見ますと一目で見てよくわかります。その中で、対象者がどのような単位を取得するかということの中に、学位授与機構が認める短大、高専の専攻科と、こういうのがあります。これは「短期大学・高等専門学校の卒業者等で一定の要件を満たした者に対する学士の学位の授与」についてという項目のところであります。この短大の専攻科については、私大連から指摘が行われていると思いますね。これ、文部省御存じでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 短期大学の専攻科の設置につきましては、現在の制度ではこれは届け出ということでございまして、大学の設置あるいは短期大学の学科の増設、あるいは大学の学部の増設の場合と違っておりまして、認可という仕組みがございません。
 そこで、かなり具体に見ますとさまざまなものがある。それをいわば一律につかまえて短大の専攻科云々という議論は適当ではないんではないか、こういう御指摘であるというふうに承知をいたしております。
○粕谷照美君 そうしますと、それに対して文部省としてはどのような対応を考えていらっしゃいますか。
○政府委員(前畑安宏君) 学位授与機構の授与機関創設調査委員会での議論の中では二つの考え方が示されておりました。
 一つは、この際、専攻科を認可制にする、そしてすべての専攻科をきちっとしたものにするのがいいのではないかという御意見が一方にありました。しかしながら、これに対しては、今まで自由な発展ということで届け出事項にしていたものを、学位授与機構と関連をして認可制度にするということは、いわば考え方が逆ではないかという意見が大方でありまして、専攻科の設置それ自体は従来どおり届け出制にする、しかしながら、学位授与機構における学士の学位の授与の基礎となる教育を受ける専攻科については一定の基準を示して、それぞれの専攻科の申し出に基づいて学位授与機構が審査をする、そしてそれが大学の教育に準ずる教育を行っているかどうかということを審査の上認定をしていこうではないか、こういう考え方が現在のところでございます。
 したがいまして、すべての専攻科がここに言う学位授与機構の学士号の基礎になる専攻科に該当
するわけではなくて、学位授与機構による審査の上、学位授与機構が認めた専攻科、こういうふうないわば審査の上に立ってそれぞれの専攻科を学位授与機構の学士号授与の基礎となる教育ということにしていこうということでございます。
○粕谷照美君 学位授与機関創設調査委員会が二月に「学位授与機構の構想の概要について」というのを出していますね。これは実に詳しく、これをもとにして局長は答弁をしていらっしゃるんだというふうに思いますけれども、非常に各大学関係者の疑問に対して、この調査委員会はまことによく答えていると思うんです。
 そうすると、この答えについてさらにまた大学関係者からのいろいろな意見を聞くという、こういうシステムをとられるわけですか。
○政府委員(前畑安宏君) 先ほどお答えをさせていただきましたが、大学審議会において学位授与機構についての答申を取りまとめるに当たりまして、大学教育部会で二度にわたり各団体の意見を承りました。また大学院部会でも一度、審議会としては都合三度にわたり意見を伺ったわけであります。そういう意見を受けとめまして答申を取りまとめ、そしてその答申を基礎に置いてさらに具体の細目を決めたというのがこの「学位授与機構の構想の概要について」という平成三年二月の取りまとめでございます。
 したがいまして、これについてさらに関係団体の御意見を承るということではなくて、私どもが現在御提案を申し上げております法律案につきまして国会の御審議をちょうだいいたしまして、それに基づいて機構を創設し、そして機構に設けられます評議員会あるいは運営委員会といったところに関係の方々の御参加もいただこう、このように考えておるところでございます。
○粕谷照美君 私どもも大学審議会の答申、衆議院の吉田理事も、我々としてはこれはおおむね了承するところであるという旨の発言をしておられます。
 そういたしますと、今回の審議でもつて非常に条件が整ってしまう。さらにまた、そこからは具体の問題が調査委員会に出されるということですね。この辺の議論というものをやっぱり国会の中でもまだまだやっていかなければならないな、こういう感じでいっぱいでございますが、日本の高等教育の前進のために私どもも努力をしていきたい、こう思っていることをつけ加えまして、質問を終わります。
○西岡瑠璃子君 私、けさ地元から上京してまいりますときに、文部大臣が少年のころにお返りになって始球式をなさっていらっしゃるお姿を飛行機の中で拝見しながら参りました。本当に御苦労さまでございました。
 先ほど粕谷理事の方からお話がございましたように、私の県にも百周年を迎える県立農業高校がございます。兵庫県の方は九十周年というふうに伺いましたけれども、日本の農業の現状を憂えているたくさんのナイーブな青少年の心に与えた影響は今回の事件は大変大きいと思いますし、また伝統ある学校の名誉も傷つけたというふうに思います。二度とこのような不祥事が起こらないように私からも切にお願いをいたしたいと思います。
 それでは、今回の法案のうち国立学校設置法関係につきましては粕谷理事が御質問されましたので、私の方からは学校教育法等の一部改正案、すなわち主として短期大学、高等専門学校関係の改正に関連して質問をさせていただきます。
 まず、位置づけと今後の展望ということでございますけれども、短大は戦後の新制大学発足に伴って設置基準との関係等で当面の暫定措置として二年または三年の短期の大学としてスタートを切ったわけですけれども、三十九年に恒久的な制度となっております。一方、高専は戦後の教育改革によりますいわゆる六・三・三・四という単線型の学校教育制度の例外として、当時不足をしていた中堅技術者の育成という目的を持つ中学校卒業者の五年間の一貫教育という制度として三十七年に発足していることは御承知のとおりでございます。そしてこの二つの制度は、四年制大学に比べて短期ではありますけれども、高等教育機関として大きな役割を果たしておると思います。
 そこで、まずお尋ねいたしますけれども、短大、高専という二つの学校制度について、発足以来どのような役割を果たしてこられたか、また今後の役割、位置づけなどについてどのような展望をお持ちになっておられるのか、文部省のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(井上裕君) 野球のお話が出まして、大変ありがとうございます。
 御案内のように、短期大学は二年または三年という短期間で高い水準の専門教育を受けることができること。また、地方に分散しているということ。また、身近に地方に存在するために地元での進学が非常にしやすい。さらにまた、この制度発足以来、女子を中心に著しくこれが拡充いたしました。女子の高等教育への進学の道を拡大するという点では私は大きな役割があったのではないか、このように感じます。
 現在、短期大学を取り巻く環境は、社会経済の高度化、あるいはまた情報化、さらにまた生涯学習社会の進展などにより大きく変わりつつあります。これに伴いまして、各方面の教育の改善充実が求められております。今後は、男子学生のニーズにも配慮した教育を実施するとともに、生涯学習社会への移行に伴い、そして地域に密着した身近な存在として、社会人の受け入れやまた公開講座の実施を図るなど、生涯学習社会の中核としての役割を担っていくことが期待されると、このように思います。
 一方、高専の果たす役割は、もう先生御案内のように、高等専門学校は中学を卒業して五年間一貫した専門職業教育を行うという特色のある教育によりまして、実践的技術者といいますか、その養成を行っておりまして、これは産業界からも高く評価をされておるわけであります。また、早くから専門職業教育にはっきりした興味や関心を持ち、これに対する適性を有する生徒に対しその専門教育の機会を確保するなど、独自の複線型の学校制度としてその役割を果たしてきたことは、非常に私は自分自身評価してもいいのではなかろうかと、このように思います。
 しかしながら、科学技術の高度化、あるいは社会の情報化、国際化、そういうことを考えますと、今後ますます進展することが予想されまして、高等専門学校におきましてもこのような社会の変化に対応して、今までは工業、商船だけだったものを、それ以外の分野においても人材の養成に貢献することが求められておりますので、そのような方法で私どももぜひお願いをいたしたいと。こういうことから、文部省として本年二月の大学審議会の答申を踏まえまして、今回高等専門学校の分野拡大等に関する法案を提出して今御審議をいただいておりまして、本法案成立後は、産業界また地元関係者の要望にこたえた弾力的な展開が可能となり、そのような発展が期待されると、このように私は思います。
○西岡瑠璃子君 短大と高専、二つの制度にかかわって我が国の教育制度における積極的な役割とかあるいは展望についてお示しになられたと存じますけれども、もう少し深くお伺いしてまいりたいと思います。
 まず、短大に関する基本的な問題として、二年間という教育期間は中途半端ではないかという意見が、卒業後の受け入れ側である企業、会社にも、また実際に教育に当たっている教員側にも根強くあるようでございます。例えばある先生は、入学して大学生活になれるのに半年かかり、そしてその後半年勉強して、二年次になるとすぐ就職活動で大変忙しくなり、落ちついて教育をする期間がほとんどないと短大の実情を嘆いているわけでございます。もしそうであるとすれば、教育制度のあり方としては基本的に考えないといけない問題であると思うわけでございますけれども、こういった見方について文部省はどういうふうにお考えになっていられるのか。また、先ほど大臣がお話しになられました大学審議会におきましては、この点についてどのような議論が展開された
か。その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 修業年限二年というこの高等教育機関のあり方には、先ほど先生御指摘いただきましたが、この短期大学制度を恒久化するという段階でもかなりな議論があったところであります。しかしながら、御案内のように既に広範に発展をいたしておりまして、それ自体社会の評価を得ているということから制度の恒久化を図ったという経緯がまずございます。
 いろいろな見方もございますが、この審議会におきましては、まず短期大学の現状と課題というものについて十分審議をし、そしてそれぞれの課題に応じた改善の方策ということについて御審議をいただいたわけでありますが、もとより二年間ということについての一つの問題は、そこであるまとまりを持った専門教育を行うということになりますと非常にカリキュラムが過密になるということがございます。現在でも、先生も御案内だと思いますが、短期大学の学生はアルバイトをする暇もないというようによく言われております。
 そういうふうな状況の中で、短期間で水準の高い専門教育を受けるようにするために、今後どのように対処すべきかということが一つの課題でございまして、その課題にこたえるために改善の主な方向として出されましたのが、一つは設置基準におけるカリキュラムに関する規制を大綱化して、各短期大学がその目指すところに従って自由かつ多様な形態で教育が行われるようにするということがございます。さらに、短期大学とある意味では競合をするといいますか、競り合う機関として専門学校というものがございますが、そういったものとも連携を深めるということによってさらに教育の質を高めるというような配慮もこの答申では指摘をされているところでございます。
○西岡瑠璃子君 先ほど大臣の方から、短大は非常に女子学生が多いとみずからお認めになられました。短大の特徴として本当に女子学生の比率が高いということはデータにもあらわれておりまして、平成二年度で見てみましても五百九十三校の学生総数四十七万九千人のうちの女子学生四十三万八千人という、実に九一・五%も占めているわけですね。これは、学科が家政学系あるいは文学系、教育・保育系、こういったものが多いということと表裏の関係にあるかとも思いますけれども、短大の学生に女子が多いという現状について、どういうふうにこの現状をお考えになっていられるのか。また、短大は女子の教育に適しているというふうにお考えになっていらっしゃるのか。その辺をちょっとお聞かせください。
○政府委員(前畑安宏君) 先ほど大臣からも御答弁がございましたように、短期大学は、一つには地域にいわば密着したと申しますか、各地域に広く所在をいたしておるがために現時点では女子の学生が非常に通いやすい、こういうふうなこと。それから、若干の問題はございましょうが、余り長い教育を受けさせてもという一般的な考え方の中で短期大学がこのように発展をしてきたところであります。しかしながら、今後は必ずしもこの短期大学が二年間ということ、しかも女子の教育機関として順調に発展をするかということについては、各方面からいろんな疑問も提示をされております。
 一つには、先生御案内のとおり女子の四大志向というのが非常に高まっております。そういう中で、この短期大学につきましても、先ほども大臣の御答弁にもございましたが、一つには男子学生に対する教育カリキュラムというものを開発すべきではないかということが言われております。これは、いわゆる専門学校というものが一方にありますが、これは必ずしも女子だけではなくて、かなりな割合でもって男子学生も集めているという現状もあります。
 それから、もう一つは、専攻科の設置ということについて、もっと充実した専攻科教育ということを行って、さらに高度な教育を行うということを考えるべきではないかという指摘もございます。また、この大学審議会の答申でちょうだいをいたしておりますのは、短期大学から四年制大学への編入学ということを積極的に推進をする、そのためには必要な制度の改正も図るべきではないか、このような提言もちょうだいをいたしております。
 結論的に申し上げますと、今後短期大学は二年制のままで女子の高等教育機関として順調に発展をしていくということについては、必ずしもそうとばかりは言えないような状況があるというふうに認識をいたしております。
○西岡瑠璃子君 世間の一部には、従来短大は花嫁学校だという風評もございましたけれども、私は、女性が教養を身につけることは大いに結構だと思っております。ただ、今日、社会通念と申しましょうか、社会の認識の変化や女性の積極的な社会進出、また男女の雇用機会の平等の保障などの運動が高まってまいりまして女性の活躍の分野が広がりますと、先ほど御答弁にもありましたように、高学歴志向が強まりまして、現に四年制の大学における女子学生の割合が年々高まっているようでございます。
 このような状況の中におきましては、短大も教育内容の充実に真剣に取り組まなければ社会や学生の要求にこたえられないのではないか、取り残されるのではないかというふうに危惧をするわけでございます。女子が多いという現状の中で、男子のカリキュラムのお話もありましたけれども、今後短大教育の充実策をどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 今後の短期大学の振興方策につきまして、この大学審議会の答申でちょうだいをいたしておりますのは、一つには設置基準の大綱化によりまして、各短期大学がそれぞれの特色を発揮して教育研究内容を充実をするということがまずございます。さらには、先ほど大臣の御答弁にもございましたが、地域性というものを踏まえて科目登録あるいはコース登録といった新しい制度を設けまして、いわゆるパートタイムの学生を受け入れるというふうなこともございます。
 そういったことで、生涯学習というふうな観点からの対応ということも考えられますし、また都会地におきます短期大学については、これは専門学校との連携というものも制度として設けるということもこの答申では指摘をされております。さらには、これは短期大学としては一つの難しい行き方ではありますが、短期大学と四年制大学の連携を図りまして、地方における短期大学の卒業者が都会地における四年制大学へ編入をしていく、そういうふうなことで女子の高等教育の充実に貢献をしていくというようなことも今後は考える必要があろうかと、このように考えております。
 さらに、これは直接には我が国の卒業生には必ずしもそれが有効な手段だとは思えませんが、国際的な観点に立った場合に、御提案させていただいております法律案にもございますように、短期大学の卒業者に称号を与えるということも一つの振興方策になろうかと、このように考えておるところでございます。
○西岡瑠璃子君 大学の地域性というお話がちょっと出ました。私は、地方の大学とか短大の現状についてこれからお伺いするわけですけれども、短大のみならず大学全般の問題といたしまして、平成四年の十八歳人口のピークを過ぎますと厳しい学生獲得競争が始まり、大学淘汰の時代が訪れるとさえ言われております。近年、学生の大都市志向が顕著になっておりまして、地方の大学の中には四年制、短大を含めて学生の確保が大変困難という状況もあるかに聞いております。定員割れとか、あるいは廃校になったというような例があるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 現在のところは、御案内のとおり、まだ平成四年まで十八歳人口の増加が続きますし、さらに五年になりましてもいわゆる浪人の蓄積ということがございますので急激な減少にはならないわけでありますが、それを過ぎますと急激に十八歳人口が減少していくという状況になろうかと思っております。
 ただ、そのような中で、いわゆる志願率というのがどういうふうに推移をしていくかということが一つの大きな問題でございまして、志願率の推移いかんによっては十八歳人口の減少が直接的には入学者の減に結びつかないという見方もございます。しかしながら、現在の二百万という十八歳人口が西暦二〇〇〇年には百五十万ということで、五十万人の減になるわけでございますので、決して楽観は許さないということは先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたような現状からいたしますと、この現在の時点で学生の募集難によっていわば廃校になったというケースはそんなに多くはございません。学生募集難になって廃校した例もないわけではありませんが、それは十八歳人口の減に伴うものではなくて、当該大学の教育研究条件にそもそも大きな欠陥があったということに由来するものというふうに理解をいたしております。
○西岡瑠璃子君 廃校になったケースがあるかとかいったようなことは、具体的にはおわかりになりませんですね。
○政府委員(前畑安宏君) ちょっと今具体に名前を記憶いたしておりませんが、数年前でございますか、日本海側の方で一つの短大が廃校になりましたが、これは極端なケースでございまして、全く短大としての実体がなかった。いつの間にか実体がなくなってしまって、そして本来は学生募集を停止をし短期大学の廃止の認可を求めるべきものであったのが、そういう手続をとっていなかったというケースがあったことは承知をいたしております。
○西岡瑠璃子君 私も定員割れというような例はよくお聞きすることがございますけれども、今申し上げましたような厳しい状況を展望いたしますときに、短大がどうやって生き残り策を行っていくか。そういった点で先ほど文部大臣の方から、大学審議会の答申を受けて生涯学習への対応を打ち出していきたい、こういう御答弁があったと存じますけれども、今回の大学審議会の答申ではそのほかに短大教育の充実策につきまして短大への対応、いわゆるパートタイム学習とかあるいは昼夜開講制、そういった点も提言されたというふうに伺っております。
 しかし、これらに必要な財政措置といいますか財政支援については触れられておりませんですね。こういった事柄の実現に向けた教員の配置とかあるいは施設、設備の整備なんかについての具体策は、どのようになさるおつもりでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) 事務的なことは局長が御答弁いたしますが、私も今非常にこの問題は、放送大学を入れますと大学の数は五百八校ですね、それで短大が五百九十三。そしてその中で、ちょっと私今はじいてみたんですが、大学の中で私学、私立が三百七十二、七三・四%ですね。そして、短大の場合は五百九十三のところ実に四百九十八、これが私立なんですね。しかも、地域に密着しているとはいいながら、三大都市圏以外の地域の短大の数は、四百九十八のうちの二百十九、四四%。
 こういうことを考えますと、やはりこれは私学の振興によほど頑張らなくちゃならない、こういう状況になったと、そういうことを今私は強く考えておるところであります。
○西岡瑠璃子君 今申し上げました点につきまして、早急に具体化をしていただくように強く要請をいたしまして、次に今回の法律改正点の準学士の称号付与ですね、その点について伺いたいと思います。
 短大、高専の卒業者につきましては、今回準学士の称号を付与するということになっていらっしゃるそうでございます。新たに称号を付与することは大変結構なことでございますけれども、今回こうした措置を講じる理由と、学位ではなく称号とした理由をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、諸外国では短期高等教育修了者の扱いはどのようになっているかということがもしおわかりでしたら、お知らせいただきたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) この短期大学卒業者に称号を与えるという問題は、かねてから短期大学の関係者に非常に大きな要望としてあったところであります。しかしながら、法律改正を伴う事項ということでなかなか踏み切れないでいたということが一つございますし、またもう一つは、どういう称号が適当であるかということについて、必ずしも関係者の間で共通な結論が得られなかったということもあったかと思います。
 そういう中で、大学審議会の審議におきまして進学士という称号にしようということに関係者の意向もまとまりまして、御提案をさせていただいているところでありますが、それに至ります一つの大きな理由としては国際的な問題がございます。
 短期大学の卒業生が外国に留学をするというときに、外国ではその持っている資格というものを問われますが、具体に称号として何もない。片や、先ほど外国のことについてお尋ねがありましたが、この短期の高等教育機関が一番普及をいたしておりますアメリカにおきましては、アソシエートという称号がございます。そういうことから、我が国においても称号を考えた方がいいのではないかということになったわけでありますが、ただ御指摘ございましたように、これは諸外国においても、短期の高等教育機関について学位を出すということは、基本的には私どもとしては承知をしてないような状況でございまして、アメリカにおきましても、それからイギリスにおけるポリテクニクにつきましても、それは学位、デグリーということではなくて、称号という取り扱いのように承知をいたしております。
 そういうことから、我が国におきましても短期高等教育機関の卒業者については、学位ということではなくて称号ということにするという方向で大学審議会の答申もいただき、こうして御提案をさせていただいているところでございます。
○西岡瑠璃子君 承知いたしました。
 それでは次に、高等専門学校に関しての質問に移らせていただきたいと思います。
 高等専門学校、高専は昭和三十七年に制度化され、現在全国で六十二校が設置されていると伺っております。しかし、五十年には六十五校あったのに比べますとずっと減少し、入学者の数でもほとんど横ばい状況であるということでございます。これは、短大が依然増加傾向を示していることと全く対照的でございます。高専の分野が工業、商船の分野に限られていることもあると思うわけですけれども、この間に大学の工学部の入学者は増加をしていることを考えますと、高専の役割が相対的に減少しているのではないかと思うわけでございます。
 ちなみに、入学競争率でもこのところ二倍から二・五倍程度でございますし、全体的な高学歴志向、特に工学系統では科学技術の高度化や進歩の速さに対応するため、大学院への進学も相当に上るという状況の中では、中堅技術者養成という高専の目的が困難になりつつあるのではないかというふうに思うわけですけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 先生御指摘のとおりに、高専についての一番の問題は、高専が必ずしも社会に正当な評価を得てないという点ではなかろうかと思っております。
 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、関係の分野の方々にとっては大変高い評価を受けておりますが、何分今先生のお話ございましたように、入学定員が一万人という極めて小さな規模でございます。現在、十八歳人口が二百万、こういうふうな状況からいたしますと、端的に申し上げますと、二百人のうち一人という進学でございますから、特定の中学校にとってみますと、その卒業者のうち一人が高専に行くか行かないかというようなことで、中学校の進路指導の先生の頭の中にも高専というのがなかなか浮かばないというようなことがよく言われております。
 そういう状況にあることと、もう一つは卒業者
について、これが短期大学とは違っていわゆる大学卒にはならないという問題があります。このことから、臨教審の当時からも高等専門学校については、制度としては極めてすぐれた制度であるので、これを例えば専科大学というような名前に変えたらどうかというような御指摘もあったわけであります。しかしながら、大学と高等専門学校では、制度として明確に違いますので、これに大学という名称をつけることはなかなか論理的にも難しい問題があります。
 そこで、御提案さしていただいております法律案にもございますように、今後における高専の発展ということを考えますときには、現在は工業と商船とこうなっておりますので、工業の分野の中におきましても、その工業の枠を少し破って、例えば情報という分野がありますが、情報工学から一歩踏み出して経営情報というようなことを考えたいという高専があった場合にも、それは工業の枠を被るからだめだと、こういうことになりますので、今後における高専の発展を考えますときには、弾力的な発展が図れるように、どうか工業、商船という分野の制限を廃止していただきたいというお願いで御提案をさしていただいているところが一つございます。
 さらには、学位授与機構における学士の学位とも関連をいたしまして、高専にも専攻科というものを設置できるように法律を改めていただきたいというのが御提案さしていただいている第二点でございまして、これは高専自体においてさらに高度の教育をしたいということと、その卒業生に大学卒業と同等の資格を与える道を開きたいということでございます。
 この分野の拡大と専攻科の設置、そして学位授与機構の設置と相まって、高専のさらなる発展を私どもは期待をいたしているところでございます。
○西岡瑠璃子君 今、高専における一般教育の教科をどういうふうにしていくかということを御質問申し上げていろいろとお答えをいただいているわけですけれども、皆様も御体験があると思うんですが、私ども学校で一生懸命勉強をしたことが社会に出てなかなかそれがすぐには役に立たないと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、とりわけ今日、社会の動きや技術の進歩が速うございまして、学校で学んだ知識や技術だけではすぐに陳腐化してしまうという現状でございます。こうしたことからも、先ほどからもお話が出ております生涯学習への対応が必要だと存じます。
 また、従来高専はすぐに役立つ技能的知識の教育を重点的に行ってきたわけでしょうけれども、今のような状況を考えますと、当面の知識よりも将来幅広く応用のきく基礎知識を教えていくということが今後ますます重要になるのではないかと考えるわけでございます。この点につきましては、高専ではとかく一般教育が軽視されがちで、例えば語学に弱いとも言われておりますし、短大、高専の設置基準を見ますと、一般、専門科目の単位数はそれぞれ半分程度ずつになっております。しかし、短大の入学者は高校時代ほとんど一般教育のみを受けてきたわけでございまして、それを考えますとき、高専の一般教育はやっぱり少ないのではないか、そういうふうに思われます。
 今回、短大、高専の卒業者を同じ準学士というふうに位置づけるわけでございますから、やっぱりそれにふさわしい教育内容を保障していかなければならないのではないかというふうに考えるわけでございます。その点いかがでございましょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のところは、高専の今後のあり方を考えるに当たって大変重要な問題だと思います。今先生御指摘いただきましたように、現在におきますような非常に科学技術の急速な発展ということが一方にあり、また社会の流動化というものが急速に進むという状況の中では、高専の卒業生が単なる学校で学んだ技術だけでもって社会に出て、それでとまるということであっては大変大きな問題になりますので、一般教育についてもこれを重視していくということは当然考えなければならない問題であります。
 そこで、今回の大学審議会の一連の答申の中で、設置基準の大綱化を図っていき、そして一般教育科目というのを設置基準の規定の中から削除をしていこうと、こういうふうな方向の中でありますが、高等専門学校につきましてはやはり一般教育というのはこれをきちっと科目の区分として設けるべきであるというふうに答申をちょうだいいたしているところでございます。
○西岡瑠璃子君 ぜひそのような方向でお願いしたいと思います。
 それで、高専と短大を比較いたしますと、短大は圧倒的に私立が多うございますね。逆に高専はほとんどが国立なわけです。私の県の高専はなぜか私立でございますけれども。この国立が高専に多いというのは、工業分野というのは私学経営が非常に難しいということの反映かもしれません。最初にも触れましたように、近年は学校数、学生数がずっと横ばいで推移をしておりますが、高専全体の規模についてどのようにお考えになっておられるのか。すなわち、将来とも現状程度の規模でよろしいのか、あるいは増設することが必要なのか、逆に減らす方向をお考えなのか、文部省の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 高等専門学校におきます国公、私立の割合の問題につきましては、今先生御指摘ございましたように、一つには発足当初に非常な期待を担って発足をいたしましたが、その際の設置基準の定めというのがかなり高いレベルに設定をされたということがございます。それは各般、各方面の要望を受けてそれにこたえるための卒業生を送り出すということからすれば、これだけの基準がなければならないというふうに考えたからでありますが、そのことから、御指摘のように私学ではなかなか対応できない面があった。そして、これまでの間に幾つかの私立の高等専門学校は廃止をされて、大学の工学部に転換をしていったということもございます。
 ただ、あるいは御案内かと思いますが、この平成三年度からでございますが、札幌にインダストリアルデザインということを学科の中身といたします市立の高等専門学校が設置をされました。したがって、高等専門学校教育ということに対する評価は決して衰えてないというふうに私どもは自負をいたしておりますが、ただ、これから国立の高等専門学校を積極的に増設をしていくかということになりますと、行財政の問題もあってなかなか取り組みにくい課題でございます。既存の高等専門学校について私どもとしてはその教育、研究内容の充実ということを図っていきたい、このように考えておるところでございます。
○西岡瑠璃子君 増設はこれからはそういうわけにはいかないけれども、その中身を充実していく、分野を拡大していく、そういうふうに受けとめられると存じますが、先ほどからおっしゃっております高専の分野拡大について文部省の御見解をお伺いしたいと思います。
 高専の創設の経緯からいたしましても、分野の拡大に当たりましてはむやみに拡大するよりも、むしろ学生や今日の社会のニーズに沿いながら慎重に対処していかなくてはならないのではないでしょうか。なぜなら、短大や専修学校の教育と競合することになりかねないからでございます。文部省はこの点についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 今先生御指摘ございましたように、制度の発足のときにはいろいろな関係の方々の御意見もございまして、工業に限定をし、その後商船に係る国立の高等学校の昇格ということが課題になりまして商船というものをつけ加えた経緯がございますが、いずれにいたしましても、分野を限定した学校制度ということでいわば非常に特異な学校制度であったわけでございます。しかし、こうして設置以来二十数年を経過いたしたわけでありますので、一つの完結した学校制度ということからいたしますと、学科の限定という不自然な形はもうこのあたりで改めていきたいというのが提案をさせていただいた趣旨でもあ
ります。
 ただ、具体にどういうふうな学科を設置するかということになりますと、今先生御指摘がありましたように、これは複線型の学校制度でありまして、スムーズに上へつながっているというものではありません。そこで、その複線型が袋小路にならないような配慮というのがどうしても必要になるわけでありますので、新しい分野をつくりますときには、その卒業生の将来の進路ということも十分に見定めて、袋小路にならないような配慮を当然に考えながら対処をする必要があろうと、このように考えております。
○西岡瑠璃子君 その分野の拡大、情報化社会でございますから、情報とかあるいは外国語と、いろいろと分野の拡大が考えられるわけですけれども、その際にはぜひ高専の現場の声も踏まえて対応していただきたいというふうに希望いたします。
 次に、技術の進歩や高学歴志向といった社会的な変化に対応する高専の対応策につきまして、編入学のことをお伺いしたいと思うんですけれども、高専は制度的にいわゆる単線型の教育制度の例外として設置されたものであったために、卒業者が大学進学希望を持っている場合におきましても、実際に進学することは大変困難であることは想像にかたくないと思われます。高専卒業者の大学進学希望に対応するため、長岡と豊橋に技術科学大学が設置されておりまして、高専卒業者のための一定の編入枠が確保されているというふうに伺っておりますけれども、その状況はどのようになっているのか。また、その他の大学につきましては、一般に編入については極めて例外的だと思いますけれども、どういう状況であるかということをお伺いしたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 高専設置いたしまして以来、この編入学という問題は一つの課題になっておりまして、幾つかの大学に高専編入のための定員というものを若干ずつではありますが設置をしてきた経緯がございます。
 申し上げさしていただきますと、例えば東京大学の工学部につきましても十人といったような定員を設定しましたし、北海道大学の工学部にも十人といったようなことで、このような若干ずつの三年次編入学定員というものが、長岡、豊橋の両技術科学大学を含めて現在千二百六十三人という編入定員が設定をされております。もちろん、これはすべて高等専門学校のみを受け入れるという現実ではございませんけれども、このような状況になっております。
 ちなみに、お尋ねがございました豊橋、長岡の両技術科学大学について申し上げますと、平成二年度では入学者数は三百七が豊橋でございます。長岡の場合が三百六という数字で、合計いたしますと六百十三人が編入学いたしております。
○西岡瑠璃子君 ちょっと最後の方をはしょりますけれども、専攻科を設けられるということを先ほどお伺いいたしました。専攻科の制度は、現在でも短大にはあるわけで、例えば保健婦、助産婦など国家試験との関係で活用されていることは理解できますけれども、一般的には社会から専攻科の存在と意義がよく理解されているとは言いがたいのではないかと思うんです。学歴としても評価を受けていないのではないかというふうに思います。
 一方、高学歴志向やより高度の勉強をしたいという、そういう観点から高専卒業者の大学への進学希望も多くなりつつあると見られます。より高度の教育という観点から考えまして、専攻科がよいのかそれとも大学進学がよいのか、基本的には学生本人の希望にもよるでしょうけれども、文部省はこの点どのようにお考えでしょうか。専攻科の入学希望者数の見通しも含めて御見解を承りたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘のように、短期大学の専攻科につきましては国家資格と結びつく医療技術の分野というのがかなりな割合でございまして、在学者の比率で申しますと、医療技術系が二三・九%を占めております。
 ただ、先ほど先生の御指摘もありましたように、これは学歴には結びつかないというのが基本的にあるわけでありますが、学歴とは結びつかないということが逆に実力の分野であるというところから、芸術の分野というのが非常に大きな割合を占めております。芸術の分野の在学者の割合というものは医療技術系の専攻科を上回りまして三六・八%、このようになっております。現在この在学者は、短期大学について申し上げますと三千七十五人という状況でございます。
○西岡瑠璃子君 私は、法改正以外のことにつきましても、例えば現在の施設や設備が非常に不十分であるということ、学生の寮も老朽化しているのではないかとか、いろんなそういった施設整備の点についても今回充実策の中で考えていただきたいと思うわけでございますけれども、我が国の高等教育が非常に多くの問題を抱える中で、今回の大学審議会の答申では我が国の高等教育の一層の充実について種々の施策が提言されておりますけれども、ぜひそれを実現させるためにはどういったようなお考えで今後大臣が臨んでいかれるのかといったようなこと、財政措置あるいは整備計画なども含めた全体計画の中から御決意をお伺いさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今、局長と先生のお話を伺っておりましたが、高専には高専の今まで言われた特徴がございまして、産業界からも非常に歓迎されていた。しかも五年制の高専、その特徴があった。また、短大にはやはりその地域に密着した、しかも女子教育、二年または三年。しかしながら、今やはり高等教育の中で女子教育、特に皆さんがいろいろな情報化、国際化の中で非常に勉強したいという意欲があるわけでございますので、この点も今回皆さんにお願いをいたしました審議の中で、十二分に財政的にも私ども頑張って、一生懸命頑張りたい、このように考えます。
○西岡瑠璃子君 ありがとうございました。終わります。
○針生雄吉君 私は、学位授与機構の創設に関して質問をいたします。主として博士号の学位の審査に関してお伺いをしたいと思います。
 最初に、学校教育法の六十八条の規定によれば、現在の大学においてはいわゆる論文博士の学位を授与することができるとありますけれども、この学校教育法六十八条の規定は、大学ないし大学院の課程を経た上で論文を提出した人、ほかの大学でそういう課程を経て論文を提出した人もいると思いますし、いわゆる学校教育、大学、高等教育を受けないで論文をつくって提出した人もいると考えられますが、その辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 現在、いわゆる論文博士というものは、学位規則におきまして原則として大学院の博士課程を修了した者に博士の学位を与えるという建前のもとで、それに定める者のほかということで、「大学の定めるところにより、大学院の行う博士論文の審査に合格し、かつ、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者にも授与することができる。」と、こうございまして、論文を提出する者の教育歴あるいは研究歴といったものを問うておりませんので、今先生おっしゃったようないろんな態様の方がこの論文博士の中には含まれようかと思っております。
○針生雄吉君 先ほどからお伺いしていまして、前畑局長もお答えになっておられた御説明の中にもございましたが、今回の学位授与機構においては、論文博士の審査ないしは授与というのは行わない。つまり、複数の博士の授与機構をつくるものではないというお答え、御説明がありましたけれども、それはそのとおりでございますね。
○政府委員(前畑安宏君) 御提案さしていただいております改正案の六十八条の二にございますところは、大学は「大学院の課程を修了した者に対し修士又は博士の学位を授与するものとする。」とこう定めるとともに、「大学は、文部大臣の定めるところにより、前項の規定により博士の学位
を授与された者と同等以上の学力があると認める者に対し、博士の学位を授与することができる。」と、こう二つが決めてありまして、後半に申し上げましたところがいわゆる論文博士でございます。
 そして、さらに六十八条の二の第三項で学位授与機構が行います学位の授与について定めておりますが、その第二号でもって「学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるものに置かれる課程で、大学又は大学院に相当する教育を行うと認めるものを修了した者」、これに対して学士、修士または博士を授与する、こう決めて御提案をさせていただいております。
 したがいまして、これに該当しないもの、すなわち論文博士につきましては、この学位授与機構の授与権限の範囲外ということでお願いをいたしておるところでございます。
○針生雄吉君 当面の御提案の趣旨はわかりましたけれども、文部省として本当に将来ともにいわゆる論文博士の審査というものを、あるいは論文博士の授与というものをこの学位授与機構においては行わない、将来ともに、そういうお考えでしょうか。そこら辺をお伺いいたします。
○政府委員(前畑安宏君) 先ほど粕谷先生からのお尋ねもございましたが、我が国の学位制度、それからそれを支えます大学院制度ということを考えますときには、論文博士の制度というのはいわば極めて制度的には例外に属するものでございます。大学審議会の審議の中でも一つの意見としては、この際諸外国には例が見られない論文博士の制度は廃止したらどうかという御意見もございましたが、現実の論文博士の状況等も勘案をして制度としては残そう、こういうことにはなっております。
 そういうことを考えますと、この学位授与機構が積極的に論文博士を取り扱うという方向はなかなか難しいんではなかろうか、このように考えております。
○針生雄吉君 話題を転換しまして、諸外国の場合にはいかがでございましょうか。日本のいわゆる論文博士に相当するような学位機構があるか。あるいは、学位審査機構というものが諸外国にもあるわけでございますけれども、その中において、いわゆるほかの課程大学院、その教育課程を修了した人が学位審査機構に論文の審査を依頼するという、そういう機構を持った外国というものがありますでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 私どもが承知をいたしておりますのは、諸外国における学位制度は大学院における課程を修了するということが要件になっているというふうに承知をいたしております。
 ただ、先生今お尋ねがございました大学院以外のものといたしましては、御案内かと思いますが、イギリスにおきますCNAAと申しますか学位授与機構というものがございまして、そこが大学としての勅許を得ていないポリテクニク等の卒業者に対して学位を授与するという制度を持っている、このように承知をいたしております。
○針生雄吉君 CNAAの例もございますし、将来そういった要望があれば行うようにする、そういう国民的な要望があれば行うようにしたいというぐらいのことはお考えになっておられないでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 先生御案内のことではありますが、ちょっと申し上げさせていただきますと、具体の論文博士の授与の実態というものを私どもなりに理解をいたしましておるところは、現在の論文博士も全く大学院の課程を経てない人というのは非常に少ないというのが一つあるようでございます。いま一つは、大学院の課程を、例えば修士課程を修了して博士課程には行かないけれども、現実には当該大学院における指導教授の人と密接な連絡をとり、そして指導を受けながら論文を作成する、こういうのが実態のようでありまして、ほとんどその実態は大学院博士課程に在籍をしておるのと同様な研究指導を受けておるというような状況が一般のようでございます。そういうことからいたしますと、いきなり論文がどんと送りつけられてきたものを審査をして、そして学位を授与するというのは、ありましても極めてまれな例というふうに承知をいたしております。
 そういうふうな実態からいたしますと、この学位授与機構で具体に論文博士を出せるかということになりますと、そういった研究指導の能力ということを考えますときには大変難しいんではなかろうかと、このように考えております。
○針生雄吉君 ひとつ将来の課題としてお考えをいただきたいと思います。
 次に、大臣の見解をお伺いいたしたいんですが、今大学院の医学研究科の特に臨床系統の博士というのは粗製乱造の傾向にあるのではないかということが巷間言われておりますけれども、大臣はどういうお考えをお持ちでいらっしゃいますか。
○国務大臣(井上裕君) 今私も昭和三十二年のときからの統計をこう見ているんですが、私自身三十六年のときいただいたんです。そのころは本当に、理学博士二百三十二、医学博士八百二十三。そんなに開きがなかったんですが、今は確かに昭和六十三年度で見ますと、課程制博士及び論文博士とも他のすべての分野を通じて最も多い状況にあるわけです。この背景としては、大学院博士課程の入学定員が他の分野に比較して大きいこと、また論文博士を含め博士の学位の取得を希望する者が多いことがあると私は考えております。私は三十年前にちょうだいしたわけですが、そのころはそういうあれもありませんから。現行の学位制度のこの趣旨に沿って、やはり適切に審査を実施し、そして医学博士を授与したいと、私、今こういう考えでおります。
 ただ、医学の分野におきまして、臨床研修医制度、先生御専門ですが、他の教育、あるいは社会、法、政治、経済、商、工、農、獣医、あるいは薬学、理学はちょっとふえてまいっておりますが、こういう大学院におきます研究指導体制が必ずしも課程制大学院の趣旨に沿って組織的、体系的なものとなっていないこと、これが関係者から指摘されているところであろうと思います。
 文部省としては、これを踏まえて今後とも学位授与の水準の維持に配慮いたしまして、適切に授与されるよう各大学に対しても指導してまいりたいと、このように考えます。
○針生雄吉君 前段で大臣の率直な御感想を聞くことができまして心強い次第でございます。
 私も三十九年度に医学博士という称号、学位をいただきましたけれども、まさに某大学院ではございませんけれども、温情医学博士でございまして、顧みましてじくじたるものがございます。こう自分の卒業した分野、自分の専門の分野の悪口を言うのは、非常にこれは恩を忘れたやからの言うことでございますけれども、医学博士の審査、授与に関しましては、現在と言わずにある時期とこう申し上げれば差しさわりがないと思いますが、専門医としてのお墨つきを授けるという意味合いがありまして、さらに悪口を言いますと、臨床の教授の副収入、アルバイト、そういうことだというふうに悪口を言われた時代がございました。そういう傾向も、各分野での専門医の認定制度とかあるいは専門医制度というものが定着するにつれて、いわゆる教授の医学博士製造業の景気も下向きになってきておるのは、これは大変結構なことだと思います。
 学位というものを考えた場合に、従来の医学博士に見られたような、つまり私が授けられたような医学博士に見られたような、その分野の専門の勉強をしてきたということを証明する認定証みたいな役割を持った学位であるとか、あるいは学士という学位であれば、これは学歴の認定証に相当すると思いますし、これから生涯教育の場で一般市民の方々がいろいろなプロセスで単位を取って積み上げてこられた成果は、まあ御褒美であるとか勲章的な意味合いもあると思います。あるいは、留学生から非常に要望が強いといっても、一年か二年で日本留学のしるしとして学位を授与し
ろと言われても大学、研究所では大変困るんだそうでありますけれども、しかしそういう諸外国からの御要望も強いということを伺っておりますが、いわばそういう意味での学位と、それから国際的にもハイレベルで科学技術発展への基礎として大いに期待されるような堂々たる論文。あるいは文学博士とか法学博士なんかの、ちゃんとその課程を経て単位は取ってあるけれども論文がなかなか出せない、つまり四十や五十にならないと論文が書けない、一生の間に一つか二つぐらいしか書けないというような分野の論文もあると思いますね。
 ですから、そういうふうな立て分けをして考えてみないと、学位授与機構において今後どういうふうになっていくかということが、何となく文部省の御説明によるとあいまいになっているんじゃないかなというふうに感ずるわけであります。
 それはそれとしまして、学問的に高い水準にある論文成果、そういった程度の高い論文をつくれるような大学院制度というものをぜひつくれるように、学部大学院にしても連合大学院にしても大学院大学のコースにしても、一層の施策上の御努力をお願いしたいと思います。
 次に、別のことをお伺いしたいと思いますが、この機会に学問の自由ということについて考えてみたいと思います。
 憲法第二十三条には、「学問の自由は、これを保障する。」とこうありますが、今回テーマとなっております学位の存在理由あるいは存在価値の一つとして、学問の発展、学問の前進といいますか、あるいは世界的なレベルにレベルアップするというような意味、そういう関連もあると思いますけれども、憲法に明記されていて日本国政府が日本国民に保障しなければならないとされている学問の自由とは何か。これは非常に大きなテーマでございまして、それこそ憲法学博士か何かの博士論文のテーマになりそうでありますので一口では言えないと思いますけれども、大臣のお考えの一端をお示しいただきたい。
○国務大臣(井上裕君) 非常に難しいお言葉でございます。
 まず、先ほどの先生のお話でありますが、今御案内のように、二年やって四年やって、まあ医科大学四年、十年。そこでもやはり論文を書いてなるわけでありますが、私的なことで恐縮ですが、今うちの子供も行っております。やはり今七年ぐらい大学を出て大学院へ行かない人は一生懸命やっておりますから、これは私の場合は医学博士でしたけれども、歯学博士取るのにもやはりそう簡単には今いかないようで、一生懸命勉強しておりますことをこの席で申し上げたいと思います。
 非常に今のお話難しいと思いますが、学問の自由は、今先生おっしゃいましたように、憲法第二十三条に定められて保障されているところであります。大学の自治はこの精神に由来するものでありまして、大学の自主性を尊重するために、また歴史的に長年かかって積み上げられた制度また慣行であろうと、こう私は理解しております。
 この大学の自治の一環として、国公立大学の教員人事につきましては、やはり教育公務員特例法によって大学の自主性を尊重する制度がこれは今定められているところであります。また、大学におきます教育研究が多様かつ独創的な発想のもとで活発に行われるためには、やっぱりこのような学問の自由あるいは大学の自治は不可欠なものであろうと、こういうように考えます。
 しかし、また同時に、大学の社会的責務の重要さにかんがみまして、それぞれ大学人自体が、みずからが時代やあるいは社会の変化、そして国民のニーズを十分に把握して、このような制度と自分たちのそれぞれの伝統、そういう長所を生かした活発な教育研究を推進して社会の発展に積極的に貢献していく、そういうものを私は期待いたしております。
○針生雄吉君 大臣から社会的責務あるいは社会の発展のために責任を持ってという言葉がありまして、私も同感なんでありますけれども、学問の自由を守るために大学の自治を守るという、そういう考え方があります。これは、批判をする人は、こういう主張というものは今の大学では実体のない幻想であるということを言う人もおりますけれども、いずれにしてもこういう学問の自由のために大学の自治を守るという主張というものが、従来しばしば大学の自己評価であるとか自己点検、あるいは大学教官の自己評価の試みがどうしても徹底的に行われない、そういう言いわけのために、あるいは大学の社会的責任の放棄に対する批判を封ずるために使われてきたという傾向も否定できないと思うんですね。こういう考えは、あるいはこのような考えを持つ人々のよって立つ学問というものは、時の流れ、歴史の批判の中で光を失っていく運命にあると私は思いますけれども、歴史上存在した学問としてそういう学問を研究する自由もまた学問の自由であると思います。
 少し難しくなりましたが、これとは逆に、現在いかに社会的に受け入れられていなくとも、あるいはいろいろなひんしゅくを買うような学問であったとしても、人類の英知の結晶としての学問、あるいは人類の歴史の遺産としての学問を研究することを妨げてはならないと思うんです。そういう意味における学問の自由というものもこれは国民の選択の自由の一つとして保障されなければならないと思うのであります。これは、私が執拗に主張しております東洋医学の学問的な研究ということを念頭に置いて申し上げているわけであります。政府は、こういう学問に対しても平等に取り扱うべきである。さらには、バックアップをすべきである。
 それと関連いたしまして、防衛大学校の方に学位を授与する、あるいは防衛大学校の方が将来大学院で勉強して、防衛医学博士というようなものがもしできるかできないか。そういうものがもしあったとしても、戦争の歴史であるとか、まさか人を殺すのにどうやったら有効に殺せるかなんという研究をするわけではないと思いますけれども、もしそういう学問であったとしても、やはりそれは学問研究の自由というものは保障されなければならないと私は思うのであります。その果実を国民が受け入れるかどうかということは、その学問の果実を受け入れるかどうかということは国民の判断にゆだねるべきであり、あるいは時代の流れによって決定されるものだと思うのであります。
 これは私の意見だけを申し上げますけれども、ひとつそういう意味において大臣からもう一点だけ、現在評価されていない学問であってもそれをやってみろというぐらいのジェネラスな、寛容な態度で文部省は向かうべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(井上裕君) 今先生の言われるその学位機構というのは、大学は放送大学とか五百八ありますが、文部省でやっていない大学校というのもあるわけですね。その方々全部にそれをやろうということじゃなく、例えば農林省でやっている水産大学校とか、運輸省でやっている気象大学校とか、海上保安大学校とか、あるいは労働省でやっております職業訓練大学校、いろいろあるわけですね。その中で、防衛大学校とか防衛医科大学校とかがある。その方々にも、大学と同じようなレベルに達して、せっかくここで学位機構というものができまして、今までは修士・博士課程、これを今度学士も学位に入れてやろうというときには、もしその大学校を出た方でも実力があれば、私はやはり学士号、修士号、博士号、いわゆる学位も認めてやっていいのではないか。それはあくまでも学位機構で専門的に審査をしてからのことでありますから。今まさに先生がおっしゃる東洋医学におきましても、これはもう学問の自由で歴史があるわけですから、そういう意味で私はそれは賛成であります。
 また、今言うこの五百八の大学、放送大学を入れると五百八、あと短大五百九十三ありますが、そういう大学とか短期大学でない大学校というようなものがあるわけですね。そういう方々もやはりそれだけの教育を受けているわけですから、その方々が外国に行ったらそれだけの価値を受けら
れるというようなことでは、そういうものをやってやりたいということが学位機構の、防衛大学校のみならず、水産大学校、あるいは職業訓練大学校、気象大学校、海上保安大学校と、そういうこともこの機構には含まれているわけであります。
○針生雄吉君 ありがとうございました。
○高崎裕子君 最初に、兵庫県の農業高校入試答案改ざん事件についてお尋ねいたしますが、これは高校入試選抜制度の公正さを大きく損なう事件として、社会的に極めて大きな問題と言わざるを得ません。
 同校の畜産料二年の男子は、けさテレビで連行されるシーンを見て、先生が信じられなくなった。園芸科二年の男子は、僕たちに謝ってほしい。そして、合格した男子生徒のお母さんは、この事件は子供たちの心に一生悪夢として残るでしょうと、こう言っています。
 大臣から先ほど、遺憾であり重大なことと受けとめている、報告を受けながら確固たる処分をという御答弁もありました。そして、要因、背景について調査を行いたいという答弁もございました。とりわけこの事件では、同校のOB県議が仲介を依頼、断り切れず腹心の二名の教諭を抱き込んで答案の改ざんを行ったとされております。報道によれば、県議らは教育長のポストを約束したとも言い、県の人事に影響を持つ県議からの依頼であり、断り切れなかったとも言われています。逮捕された石田校長は、県教委の指導主事を経て校長に就任をしています。これは、教育委員会を舞台にして、しかも教育長のポストとの引きかえでこのような改ざんが行われた、こうであれば極めてゆゆしい事態だと思わなければなりません。県教委のあり方につながる問題でもあり、文部省として今この指摘した事実について徹底した解明を行うべきではないかと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) 今、先生の御質問の中に、文部省としては厳重に処分するということ、私これはそういうことを言ったかどうか、これは文部省としては処分することはできませんし、また処分する権限はございません。これは先生の御質問の中にございましたが、それは私が言ったら取り消しておいてください。
 先ほど申し上げましたように、今回の事件につきましては、現在兵庫県の教育委員会及び兵庫県警におきまして調査中であります。高校入試をめぐって学校関係者が逮捕されるという事態に至ったことは、まさに私どもも寝耳に水と言ってはあれですが、大変なことでありまして、重大に受けとめております。特に、入学者選抜の責任者である学校長自身がこの改ざんにかかわっていたことが事実だとすれば、これはもう厳正かつ公正に行われるべき高等学校の入学者の選抜の信頼を大きく損なったものでありまして、極めて遺憾なことでございます。あくまでも県教育委員会の裁断、または警察当局の今捜査中でございますので、そういう点につきましては私どももよく反省をして、しかと受けとめているわけであります。
○高崎裕子君 これは県教委の人事がやりとりされたという点で極めて重大な問題だと認識しています。文部省としても無関心ではいられないという大臣のお言葉でしたが、これまでの取り調べでも、石田校長は四名の県議に合格依頼されたと、具体的な名前も挙げていると言われているわけです。
 また、今回の事件の背景について関係者は、校長の一存で何でも決まってしまう、校長に気に入られなければ管理職へ登用されない、人事でも不利益を受けるといった長年の教育行政の体質、つまり徹底した管理主義教育を指摘する声もあるわけで、こうした点にもこの際メスを入れなければならない。
 そういう点で、今回の事件の背景を徹底的に調査をして、事件の全容を明らかにすべきだと、そういうふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま大臣からも答弁がございましたように、私どもはこの事件を重大な問題と受けとめておりまして、事件の発覚後直ちに、兵庫県教育委員会に対しまして早急に事実関係を解明して報告するように要請しております。
 この点につきましては、現在まだ警察当局の取り調べ中でもございますし、県教育委員会も県教育委員会として真剣にこの問題の解明に取り組んでいるところでございますので、私どもとしましては、これらの対応を見守りつつ、先ほど申し上げましたように、県教育委員会の報告を聴取しまして、適切に対応をしてまいりたいと考えております。
 事件の詳細につきましては、事実関係のほか、その背景等につきましても十分詳細な報告を受けたいというふうに考えております。
○高崎裕子君 これは再発を防止するという点では文部省の積極的な対応が求められているというふうに思います。とりわけ兵庫県では、例のリクルート事件の高石のパーティー券を県の教育長が市や町に押しつけた事件がございました。また、教育委員会の文化財課の幹部の公金詐取事件もございました。そして昨年は、大変衝撃的な神戸高塚高校の女子高校生の校門圧死事件も起き、重大事件が神戸で相次いで起きているわけです。
 この神戸の高塚高校事件以来、兵庫県教育委員会の教育姿勢をずっと取材しているフリーライターの保坂さんは、今回の事件に関連して、「教育者として一番やってはならないこと。改ざんの手口も稚拙で無警戒なのには驚かされる。子供の方を向いて対話の出来た昔の校長が少なくなり、管理が上手な教育行政にピッタリの人ばかりに変わってしまったからだろうか」と強い口調で述べていると毎日新聞も報道しています。問題は、県教育委員会に対して、その県教育委員会のあり方も含めて事実の究明を徹底して行いたい、そのための文部省の指導と助言を行っていただきたいという点で、重ねて文部大臣の御決意と御見解をお聞かせください。
○政府委員(菱村幸彦君) 御指摘のように、兵庫県におきましては昨年の高塚高校の門扉事件、そして今回の事件と大きな社会的な問題が続いていることは事実でございます。これらのことにつきましては、兵庫県も重大な問題として受けとめていると存じます。文部省としては、先ほど申し上げましたように、その詳細につきまして今報告を求めているところでございますので、報告を受けまして、必要に応じまして適切な指導、助言等の対応を行ってまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(井上裕君) ただいま局長が申し上げましたように、私どもまだ、先生は弁護士さんですけれども、起訴、また裁判のあれもわかりませんし、教育委員会から今報告を受けている最中でございますので、文部省としてそれを処分するとか処分しないということはできませんので、あくまでもこれは兵庫県の教育委員会自体のことでございますので。
 ただし、いろいろな問題があれば適切に指導なり助言をいたしたい、このように考えております。
○高崎裕子君 大変重大な問題ですので、文部省として責任ある対応を強く要望いたしまして、本法案にかかわる質問に移りたいと思います。
 まず最初に、小樽商科大学の短期大学部の廃止についてお伺いいたします。
 今回の措置は、これを商学部の主として夜間コースに発展的に転換するものということですけれども、これは商学部全体の入学定員が現在の商学部と短期大学部合わせた数よりふえるのでしょうか。そして、それに対応して教官や職員もふえることになるのでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 現在、小樽商科大学の商学部は入学定員が四百二十五人でございます。短期大学部は百六十人でございまして、合計いたしますと五百八十五人という状況でございます。これを御提案いたしておりますところに従いまして、小樽商科大学の短期大学部を廃止いたしまして夜間主コースというものをつらしていただくわ
けでありますが、その場合考えております定員は、商学部の通常のコースが五百五人で、現在の商学部よりも八十人増ということでございます。夜間主コースの方は百人でございまして、これは現在の短期大学部の百六十人に比べますと六十人の減でございまして、差し引き二十人増の六百五人、こういうことを予定いたしております。
 なお、この場合の教官定員につきましては、短期大学が現在夜間で三年課程でございますが、これが夜間主コースになりますと四年になるということが一つあります。さらに、入学定員が総体として二十人ふえるということもございますので、それらを勘案いたしまして、全体として教員定数では二十四人の増ということで現在御審議いただいております予算にもお願いをいたしているところでございます。
○高崎裕子君 それから、現在の短期大学部の教官の定年が六十五歳であるのに対して大学は六十三歳ということで、これは転換することによって定年が縮小するのではないかという問題があるわけで、この点の配慮が必要だと思いますけれども、この点はどうなっているでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 短期大学部を廃止して、そしてそれを学部の夜間主コースに転換をするというような構想につきましては、これは大学で十分御議論をいただきました上で大学として私どもの方に予算要求が来たところであります。したがいまして、その際に両者の定年規定における定年の年数が違うということについても、関係者の間で十分そのことを認識した上での私どもに対する予算要求であろう、このように考えております。したがいまして、その間のギャップにつきましては私どもの方でとやかく申し上げることではなくて、大学として適切な対処がなされることになる、このように考えております。
○高崎裕子君 それでも二歳というのは大変大きいので、この点はぜひ配慮していただきたいと思います。
 次に、学位授与機構の創設についてお尋ねいたします。
 衆議院の質疑の中で前畑局長は、創設の必要性について説明しておられますが、その中で、各省所管の大学校で行われている「教育あるいは研究指導の水準というものに着目をいたしまして、大学または大学院に相当する教育を行うものにつきましては、学士、修士または博士の学位を出そう、これも関係方面からかねてから強い要望が寄せられているところでございます。」と、こう答弁されております。関係方面からの強い要望という中で、例えば防衛庁、気象庁、農水省などからの要望があるやに伺っておりますが、この中で防衛庁はどう言っていますでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 私どもに対しまして事務的にはいろいろな話を承っておりますが、文書で寄せられたものとしては、昭和六十一年の四月に水産大学校の校長から、卒業生に対する学士号の付与ということについての要望をいただいております。なお、防衛庁、気象庁、それから海上保安庁からは、臨時教育審議会においてこれに関連する問題が御審議を行われている段階でそのような要望書が提出をされたというふうに承知をいたしております。
 なお、今回この法律案を提出するに当たっての具体の話ではありませんが、従来から防衛庁からは、口頭ではありますが、幾つかの機会に要望を承っておるところでございます。
○高崎裕子君 防衛庁の中身を聞いているんですけれども、時間の関係で、九〇年七月二十八日付の東京新聞から引用させていただきますが、「昭和二十八年の開校当時から、学士号授与を文部省に働きかけてきた防衛大では、このところ中途退校者や、自衛官への任官拒否者の増加が大きな問題になっている。」とした上で、防衛庁教育訓練局は、「念願の学士号授与が実現すれば、優秀な受験生が集まり、中途退校にも歯止めがかけられる」と述べていることからも明らかなように、隊員獲得などの面から防衛大学校、防衛医科大学校修了者に対する学位授与は防衛関係者の当初からの悲願であったというわけですね。
 今から十六年前に当時の坂田防衛庁長官が、防衛大学校卒業者に対し学士号を授与したり、大学院設置などが実現すれば、防衛大学校在校生の士気も上がり、中途退学者も少なくなろう、こういうことで文部省と協議してその実現のため努力したい、こうも発言をしているわけです。それで、これが国会で問題になった際、当時の佐野大学局長は、「防衛大学校というのは、これは防衛庁設置法に基づく特別の学校でございますから、その卒業生が学士を称するということは学校教育法の規定に照らして好ましくない、」そういう態度ですと明快に答弁をされています。これも衆議院で問題になったところですが、当時は「好ましくない、」とはっきり答弁をされているのに、いつから態度が変わったのでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 佐野政府委員の答弁は、ただいま先生引用されましたように、「学校教育法の規定に照らして」と、こういうことでございまして、そういうことから私どもの方では、この問題は学校教育法の改正を伴う問題である、このように認識をしてきたわけであります。そういうことからこのたび学校教育法の改正をお願いし、また国立学校設置法の改正をお願いをいたしまして、学位授与機構を創設し、学位授与機構によって防衛大学校の学生に学位を出す道を開こうということでありまして、御指摘ありました防衛大学校がその卒業者に称号を与えるということではないということでございます。
○高崎裕子君 これは衆議院でも問題になったところですけれども、法律上学士の道が開かれているか否かという点での形式的な問題ではなくて、好ましくないと明快に佐野局長もおっしゃっているわけで、防衛大学校あるいは防衛医科大学校とも幹部自衛官となるべき者を教育、訓練する機関です。明らかに学校教育法上の大学とは異質の特別の学校だと、だからこそ好ましくないと、こう答弁されたのはこれはもう明確なことなんですね。その学校に優秀な学生が集まり中途退学にも歯どめがかかるように今回学位を授与するということではないんですか。
 十六年前は、文部省はこういうふうに明快に拒否をしていたのに、今度は一転して応援するということになるわけで、当然この防衛大学校、医科大学校では幹部自衛官として必要な統卒論、あるいは陸上軍事技術、空戦論などの軍事教育を現職の自衛官が教えているということで、重ねて確認いたしますけれども、こうした軍事教育は学位認定の対象になるのでしょうかならないのでしょうか、端的にお答えください。
○政府委員(前畑安宏君) 学位授与機構を通じての学位の授与という仕組みは、御提案いたしております法律案にもございますように、学位授与機構において当該教育施設が大学あるいは大学院における教育あるいは研究指導と同程度のものを行っているかどうかというものを認定をした上で、それを卒業した者に対して学位を授与する、こういうふうな仕組みでございます。
 したがいまして、そこで出します学位につきましては、現在私どもの大学院設置基準で決めておりますところに従いますと、「専攻分野について研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。」というこの博士課程の目的、さらには修士課程の目的、あるいは大学設置基準に該当するかどうかという判断のもとに学位授与機構で個別の教育施設を認定をする、こういう仕組みになるわけでございます。
○高崎裕子君 軍事教育が対象になるのかならないのかという点についてはお答えがないんですけれども、いかがですか。
○政府委員(前畑安宏君) 軍事教育がということではなくて、全体としての当該施設における教育のレベルというものを判定をするということでございます。
○高崎裕子君 レクチャーのときには、軍事教育は対象にならないというふうなお答えもあったわけで、その点明快に答弁がされないというのは大
変重大なことだと。これは学校教育制度上、学位制度あるいは大学制度の根幹にかかわる重要な問題であるという点を指摘し、重ねてこの学位授与機構が大学のような学問の自由、管理運営上の自治が保障されているのかという点でも極めて重要な問題、保障されていない点で重要な問題があるという問題点を指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 この二法案は大学審議会の答申に基づくものですけれども、この答申が一般教育と専門教育の区分の廃止ということを打ち出しています。これは、一般教育は大学の判断によってやらなくてもよいということなのでしょうか。
 前畑局長が、これは答申の前の段階になりますが、ある雑誌の対談の中で、「各大学に考えてもらおうではないか。」と。そして、
 それぞれの大学の考え方によって、一般教育的要素を減らすところも出てきましょうし、あるいは一般教育的な要素をふやすところも出てきましょうし、それはいろいろあっていいのではないかというのが、今回の報告の基本的な考え方ですね。
と、こうおっしゃっているわけですが、一般教育を減らしてもいいということが一方で出されているということになると思うんですけれども、そうですね。
○政府委員(前畑安宏君) 一般教育をどの程度やるかというのは当該大学の判断にゆだねるというのが基本的な考え方でありまして、三十六単位やらなければ卒業させないという設置基準における拘束を廃止しようというものであります。
○高崎裕子君 大学の判断で一般教育を減らしてもいいということなわけですよね。
 そしてさらに、この対談の中で局長は、
 今の大学は何にも変わらないと思いますね。
  私どもが期待をしているのは、新しく大学を設置したり、あるいは学部を増設をしたりというときには、ぜひ今までの設置基準ではない、新しい設置基準ができた暁には、それに沿って、本当にやりたいことを考えてもらいたいと思っておりますね。
と、こうおっしゃっておられまして、これ自体問題なわけなんですけれども、それは置いておいて、大学関係者が局長の言うように何も変わらないと決して見ていないということをぜひ知っていただきたいわけです。
 北海道の市立名寄短大の教職員組合では、
 そもそも、今日の短大教育の問題は設置基準があるために引きおこされているのだろうか。答えは否であろう。むしろ、短大設置基準は、短大全体の教育・研究の最低限度の条件整備に積極的な役割を果たしてきたのが主要な側面ではないだろうか。短大教育のさまざまな矛盾の土台には、財政問題がある。
  さらに、こうした問題点がある中で、一般教育と専門教育の区別をなくすことは、いくら一般教育の理念の大切が強調されても、実質的に短大教育の中での一般教育の軽視にさらに拍車をかけることはまちがいないであろう。そして、このことは、最初に指摘した短大教育の弱点とあいまって、近視眼的な職業教育の傾向をつよめることになろう。
と、こういう危惧の念が出されています。
 また、同じ北海道の室蘭工業大学の職員組合の方は、
 現行の設置基準の下で拡大してきた、一般教育科目の教育・研究条件における専門教育科目との著しい格差を是正する具体的な方策もなしに設置基準上の区分を廃止することは、事実上、一般教育等を軽視して専門教育との一体化をすすめようとする動きを助長することは明らかである。
こう言っているわけですね。こういう指摘がここだけではなくて、もう各方面からなされているわけで、そうならない保証というのはないと思うんです。
 次に、時間の関係がありますので、医学部、歯学部における専門課程と進学課程に関する規定の廃止については具体的に触れることができませんでしたけれども、これの廃止もやはり進学課程、つまり一般教育を軽視、縮小するという問題があるわけで、国家試験に手っ取り早く受かるということが助長されている。倫理が問題とされる医者の養成にとって極めて大きな問題を投げかけることになるだろうと思います。
 最後に、局長はさきの対談の中で、これは昭和二十四年に新制大学をつくって以来の大改革になりますと、こうおっしゃっておりますが、局長が言われているとおり極めて大きな変革で、各方面から徹底した慎重な論議、審議が必要であるという意見が出されている。これは極めて当然のことだと思うわけです。二月に答申が出て、もう七月にはそのための設置基準の大綱化、省令改正ということで、国民的な十分な審議、検討の機会もなしに短時間で押しつけてくるということは極めて問題であるという問題点を指摘いたしまして、時間ですので質問を終わりたいと思います。
○笹野貞子君 学位授与機構のことで御質問をいたします。
 日本の社会というのは学歴社会と言われ、学歴というよりも学校歴社会と言った方が的確かもしれませんが、こういう社会機構が非常に弊害をもたらしているということが言われているわけです。アメリカの社会なんかを見ますと、学位があるかどうかということは、会社の中に入って給料とかあるいは仕事なんかということで歴然と学位があるかないかということが重要な要素になるわけですけれども、日本ではアメリカと違って、学位があるかどうかということは余り実生活の上では関係がありません。博士号を持っていらっしゃる方は、大臣とか針生先生のように博士号がある方は名刺に医学博士と書くことは非常に権威がありますけれども、学士を持っている方は名刺に何々学士などということは、日本ではちょっと通用しないわけです。しかし、今度学士を学位にしてそれを与えようというわけです。そういう意味で、日本が学歴社会でありあるいは学校歴社会だと言われているこの状態に対して、今度のこの考え方というのは一体どのように考えたらいいんでしょうか。
 つまり、文部省としては、そういうふうに弊害だと言われているこの今の日本に、これは一体どう考えたらいいのか、ひとつ大臣のお考えをお聞かせください。
○政府委員(前畑安宏君) 確かに、現在既に大学への進学率もかなり高いところへ行っておりますし、先生ただいま御指摘のような考え方もあろうかと思います。
 しかしながら、先ほど高崎先生からも御指摘がありましたように、学士が現在もらえない人、あるいは持ってない人にとっては学士という現在の称号、御提案いたしておりますところによれば学位になるわけでございますが、これに対する非常な関心があるということもまた事実であります。
 そういうことでございますので、こういうふうな制度改正をお願いいたしまして、広く学士という学位を与える道を開くことになれば、むしろそれを通じて学歴社会というものがいわば希薄になっていくんではなかろうかと、このように考えております。
○笹野貞子君 文部省は、じゃこの学位というものをたくさん出すことによってその弊害はなくなるというふうに受け取ってよろしいわけですね。
 そうすると、続いてお聞きをしたいんですけれども、この改革というのは戦後、局長もお話しになったように大改革なんですね。かつてアメリカの要請で学士を学位にするという話があったときには、文部省はかたくなにそれを実行に移しませんでした。しかし、今度この大学審議会の答申をいただいたのが二月の八日ですし、これを法律案にまとめて提出したのが二月十二日。その間四日間ということです。私は、ちょっと不思議に思うんですけれども、これだけ重大な考え方ですね、そして文部省は学歴社会をなくする、弊害をなくするためにこういうことをしようという大変重大な考え方を持っているにもかかわらず、もう
ちょっと国民的な議論、国民的世論というものを喚起するだけの期間というのは必要がなかったんでしょうか。もしも中間報告でそれがなされているというならば、中間報告だけでよろしくて、答申なんか必要がなくなるわけです。
 そこでお聞きしますけれども、この四日間という時間は、そういう重大な問題を国民的世論にするための必要な時間なんでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 学士を学位とするという問題について申し上げますと、これを審議をいたしました大学審議会では、昭和六十三年の九月に大学教育部会というのを設置をいたしまして鋭意審議をしてまいり、その間にも途中段階で審議経過の概要を公表し、各方面の意見を承りながら進めてきたわけでありまして、私どもとしては国会の開会の日程等も勘案をしながら、答申の推移を見守りながら作業を進めてきたわけでございます。答申が出ました暁には可及的速やかにこれを実現するということでございますので、非常な努力をいたしまして今国会に間に合わせた、こういうことでございます。
○笹野貞子君 私は、文部省というのは本当に慎重な省だというふうにいつも思っておりまして、やっぱりこういう文化、学問の府というのは慎重であるべきが当然なんですが、今回のことを見ますと、今局長が言ったように可及的速やかにと四日間でやるというのは、本当に感心しながら、皮肉を言うと敬意を表するわけですけれども、これからいいことがあるときはこういう可及的速やかに実行に移していただくことをお願いをし、今回のように戦後大改造をするときにはやっぱりもっと慎重に、国民的意見を十分に聞いて、こういう重大な問題というのは対処していただきたいということをまず要望させていただきます。
 続きまして、学位を申請する人の人数をちょっとお聞きしたいんですが、この学位を得るには二つのコースがあります。これは省略いたしますけれども、学校基本調査速報、これは文部省が出したのを見ますと、平成二年三月に短期大学の本科を卒業した人の数は約二十万八千人、高等専門学校を卒業した人の数は約九千人。大学二年以上在学し、六十二単位以上を修得して中退した者が資格をもらえるわけですけれども、この中退した人の数を把握していますか。
 また、続けて言いますが、各省大学の中で申請をするという数は何人ぐらいでしょうか。
 あわせて、先ほどこの機構は二十七人、そして非常勤の先生が百何人とおっしゃいましたけれども、つまりどのような申請するサンプリングによってこの数字を割り出したのか、ちょっと教えてください。
○政府委員(前畑安宏君) 大学を二年次で中退した者の数というのは正確には把握はいたしておりませんが、私どもがこの学位授与機構の規模等を想定いたしますときに考えましたことは、一つは短期大学の専攻科の学生の数でございます。いま一つは、現在大学に聴講生として学んでいる人の数、こういうものを念頭に置いて考えたわけでございます。
 概略申し上げますと、現在短期大学の専攻科に学んでいる学生の数は三千七十五人という数字があります。これがすべて学位授与機構に対して学士の申請をするということでもありませんし、先ほど来御議論になっておりますように、すべての専攻科が学位授与機構における学士号の基礎となり得るわけでもございませんので、この数は基本的には三千よりももっと小さな数になろうかと思います。
 また、現在聴講生等で学んでおります数は約五千ございますが、これも通信教育の例からいたしますと、その五千人の数がすべて永続的に大学で学び続けるということでもございませんので、これも半数以下には減る、こういうふうな想定をいたしますと、聴講生あるいは短期大学の専攻料の学生ということをベースにして申請をするであろう数は、大体三千程度ではなかろうかと思っております。
 なお、各省所管の大学校等の教育施設のうちどれが私どもの学位授与機構に対して申請をするかというのは、現在正確にその意向はつかんでおりませんが、従来から大学院への入学資格というものを認定をいたしております教育施設、防衛医科大学校、防衛大学校、気象大学校、海上保安大学校、職業訓練大学校、水産大学校とございますが、これらの入学定員は約一千人ということになっております。
○笹野貞子君 今の御回答ですと、各省大学の数は非常に確実につかんでいますけれども、それ以外はちょっと当てずっぽうというふうに受け取らせていただいて構わないわけですね。
○政府委員(前畑安宏君) 一つの計算の仕方といたしましては、大学の聴講生につきましては、継続的学習意欲の度合いという観点から、短期大学通信制の卒業率というものを当てはめて計算をいたしております。また、短期大学専攻科の学生数の面につきましては、認定の対象となる専攻科というものを全体の半数とこのように考えておりますし、さらにそれらの合計の数から学位が取得できる取得率というものを〇・八五というふうに考えて想定をいたしておるところでございます。
○笹野貞子君 先ほどのお話でもありますように、学位をたくさん出すことによって弊害をなくすことができるんだという文部省のお考えでしたら、本来であるならば学位を取れる人は一〇〇%出せるような、そういう世論形成がやっぱり必要なわけで、どうも余りはっきり数字をつかんでないというのは、私自身は非常に不思議な感じをいたします。しかし、時間がありませんので、本来ならばもっとお聞きしたいんですけれども、次へと進みます。
 続いて、各省大学の学位の取得についてなんですけれども、先ほどの御議論を聞いておりますと、所定の単位を取り、そして所定の学力が認められた者に対してはこの授与機構は学位を授与するんだというお話でしたけれども、それではこの学位授与機構というのは内容にタッチしないということですか。
○政府委員(前畑安宏君) 学位授与機構におきまして、各省所管の大学校から申請がございましたときに、それが大学または大学院に相当する教育を行っているかどうかという認定を行うわけでございます。その際の認定の基準としては、大学設置基準あるいは大学院設置基準というものがそこに当てはめられることになります。そういう認定をした上で、当該教育施設の修了者に対しまして一定の審査の上で学士を、修士を、あるいは博士を出そう、こういうふうなのが基本的な構えでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、学士につきましては個別具体の審査を省略できる方法がないかというのが一つの検討課題ではございます。
 なお、認定をいたしました場合にも、その認定については未来永劫ということではなくて、一定の期間を付して、一定の期間ごとに見直しをしながら、常に当該教育施設が大学または大学院に相当する教育を行っているかどうかを担保していこう、こういう考え方でございます。
○笹野貞子君 これからいろいろなことを想定しながら考えていくんだというお考えですけれども、そうしますと、この学位授与機構というのは、端的に言いましてその認定の方式は形式だけということになりますね。
○政府委員(前畑安宏君) 現在、各省大学校につきまして文部大臣の指定によりましてその卒業者に大学院入学資格を与えるという制度がございますが、この場合にも私どもの方では、便宜ではございますが、具体に指定をいたしますに当たりましては、大学設置審議会の委員の方にお願いをいたしまして、学校を実地に調査をし、カリキュラムの審査をし、さらに個別の教員の業績審査をする、いわば大学の設置認可において行われるような慎重な審査をいたしております。
 この学位授与機構が当該教育施設を認定するに当たりましても、ほぼ同様な慎重な審査が行われるというふうに考えております。
○笹野貞子君 日本の大学というのは、入るとき
には非常に慎重に審査し、つくるときには慎重につくることを審査するんですけれども、つくってしまったり、出るときには余り慎重にしないのが特色だと先ほどから何度も言っておりますけれども、私がちょっと不思議に思いますのは、これが出るときの何千人もの学位申請者に対して一々内容は、認定にはチェックできない。そうすると形式的な授与になってしまう。そうするならば、各省大学そのものに学位を与えてしまうことはなぜ文部省ができないのかということをちょっとお伺いします。
○政府委員(前畑安宏君) 今御指摘になりました点が実はこの学位授与機構創設にかかわる基本的な問題でございまして、先ほども針生先生からの御指摘もありましたが、学位の授与というのは大学の自治、学問の自由が保障されている大学だけが行うことができる。そういう大学が自主的に判断をして、その自主的な判断のもとに学位を授与するというのが国際的に確立された慣行でございます。そういう点からいたしますと、各省大学校は教員の人事等につきまして、私どもの所管の大学にございますような教育公務員特例法といったような仕組みはございませんので、これをもって直ちに当該教育施設が大学と等しいような立場に立つというふうにいたしますことは国際的な慣行から見て適当ではない、このように考えて学位授与機構の創設をお願いいたしているところでございます。
○笹野貞子君 この問題につきましても、学位を授与するときには、今後の生涯学習のニーズの高度化、多様化に合わせてこれからの学位は必要だというふうに片方では言っております。そうするならば、この学位の授与機構というのは、あるときには内容をチェックする、あるときになると形式的になるという非常にそこに矛盾と不安を感じる機構になると思います。
 この問題について本当はもっと質問をしたいんですが、何せ小会派というのは時間が少ないものですから常に質問をするのが舌足らずになりまして残念ですけれども、まだ重要なことがありますので先に進ませていただきます。
 さて、先ほど局長は、学位を与えることが学歴社会の弊害を除去できるんだと言う。これはどう考えていいんでしょうかね。ですから、それに基づきますともう一つまた矛盾が出てくるんですね。学士は学位として授けるけれども、準学士は称号にする。そして四年制大学を中退した人、あるいはそのほかの学位を取れる各省大学いろいろありますけれども、そういう人には非常に寛容に学位を出します。ところが短期大学、三年制の短期大学を三年目で中退したりあるいは高専を五年目で中退したりしている人にはこの学位を、準学士あるいは学位の方法を全く絶っていますね。これは整合性としてはどうなんでしょう。学位を与えることによって学歴社会の弊害をなくするというならば短期大学、三年制短期大学あるいは高専を中途退学した人にもその方法を講ずるべきじゃないですか。
○政府委員(前畑安宏君) この学位授与機構の問題につきまして大学審議会で審議をし、そして中間段階で公表し各方面の意見を承る、こういうふうな過程を経たわけでございますが、その各方面の意見を承る中で一つの大きな御意見としてありましたのは、やはり学士の学位にしても組織的体系的な教育の基礎ということがどうしても必要ではないか、それを細切れな教育の積み上げで、それに対して学士号を出すというのは適当ではない、こういうのが大方の意見でありました。そういう意見を踏まえまして、少なくとも二年間の組織的体系的な教育の基礎の上に積み上げた教育というものを評価をして対処をしようというのがこの学位授与機構についての基本的な考え方でございます。
 そこで、御提案さしていただいております法律でも、短期大学もしくは高等専門学校というのを基本にして考えておるわけでございまして、今御指摘の短期大学中退あるいは高専中退ということになりますと、二年ではなくて一年あるいはそれよりも少ない、こういうことになりますが、そういう場合にどう対処をしていくかということにつきましては、今後学位授与機構による学士号の授与というものが定着していく状況の中で、さらに生涯学習の広まりということを考えながら、この学位授与機構においても調査研究をし、また大学審議会においても引き続き審議をしていただく、このようなことを考えております。
○笹野貞子君 今、体系的じゃなくてばらばらと言いましたが、そういう者には学位を出さないと言いますけれども、これもまた整合性がなくて、これから生涯学習をした人に対してそういう道を開こうとするならば、そういう内容の検討というのはこれは学位授与機構に任せるべきであって、わざわざ法律で枠を決めてしまうというのは私としては余りいい発想ではないというふうに思います。これももっと突っ込みますと時間がありませんので、本当に心残りですけれども、先へ進ましていただきます。
 続いて、大学院大学です。
 奈良先端科学技術大学院大学に話を移さしていただきますけれども、これの設立というのは、今まで学部を持っている大学院というのは学際的あるいは非常に進む学問的なものに枠組みとして追いつけないので、それで融通をきかせるためにこういう大学院大学を設立するというふうなことがありますけれども、学部を持っていてしかも大学院を持っているところの現在のオーバードクターの数はどのくらいでしょう。
○政府委員(前畑安宏君) 学部を持っていてということではございませんが、いわゆるオーバードクターということについて申し上げますと、平成元年度におきましては、課程修了後も継続して学内で研究をしている者の数というのが五百九十九ございます。また、所定の在学年限以上在学し必要な単位を修得した後退学し、退学しながらも引き続き学内で研究を継続している者というのが一千十三ございまして、平成元年度で両者の数を合計いたしますと一千六百十二、こういう数字でございます。
○笹野貞子君 今のお話にありましたように、今現在一千六百十二名もオーバードクターがいるわけです。やっぱり文部省というのはこういう若い研究生をいかに大切にして、文部大臣は百年後の楽しみは教育をしろというふうに所信のときにおっしゃいましたけれども、こういう若い研究生がオーバードクターとなって、現在職がなくているわけですね。こういう者に対してまた大学院大学をつくるという整合性というのは非常に不思議なんですけれども、その点どうでしょう。
○政府委員(前畑安宏君) 御案内のように、大学院におきましては、その研究分野によりましてそれぞれの卒業者のいわば進路というものがかなり違うわけでございまして、オーバードクターについてもその分野の問題があろうかと思っております。
 このたびお願いいたしております先端科学技術大学院大学というのは、まさしく今までの大学院ではできなかった先端の科学技術についての研究を行うということでありまして、具体には情報科学であるとかあるいはバイオサイエンスといったこういう分野について研究を行い、あるいは教育研究指導を行おうという新しいものでございますので、現在のオーバードクターの問題とは少し次元の違うところにあるというふうに御理解を賜りたいと思います。
○笹野貞子君 つまり、私が最後言いたいのは、やっぱり若い研究者をきちっと養成をするというんでしょうか、育成をするというその態度が大変必要です。特別研究員制度というのがありますが、これはたった五百人しか今枠がありません。
 そこで、私の文部大臣に対する最後のお願いというのは、この特別研究員制度の枠を広げまして、こういう若い研究者の育成に文部省としては力を入れていただきたいと思います。
 終わります。
○国務大臣(井上裕君) 大学院の学生というのは、御案内のように、日本は千人に対して〇・七
人、イギリスは二・二、フランス二・九、アメリカ七・一ということでございますから、そういう中で今の先生のお話、ひとつしかと承って対応したいと思います。
○小西博行君 きょうは、法案についてはもう同僚の議員の方からもいろいろ質問ございましたし、特別にそのことについて質問をいたしません。
 ただ、私は、もう前々からこの委員会で文部大臣あるいは皆さん方にもお願いをしたわけですが、とにかく日本の博士制度、我々の時代は学位論文ということで言っていましたけれども、それがどうも特にアメリカ、ヨーロッパの先進諸国の制度と比べて相当違う。定義を見ても、何か日本の場合は相当研究に実績のあるといいますか、顕著な実績というか、そういうものが基本にある。米国あるいはヨーロッパの場合は、研究者として十分これから発展できそうだと、そういうことでその認定をするという、同じ博士と言っても全然違う。フランスの場合は、それではいけないということで二段階の博士というものをつくったということを聞いております。そういう方法でやったんですが、やさしい方の博士の方はやっぱり評判が悪くてどうもぐあいが悪い、こういう議論もあったようで、最近ではたしか一つにまた統合されたというふうに聞いております。
 この博士というのは、もう御承知のように各研究室によって、例えば教授によってある程度それを認定するということになりますから、例えば医学とか理工科系というのは割合論文が通りやすいといいますか、それに比べて特に社会学科、文学あたりはもう非常に難しいと。聞いてみますと、東大の教授あたりでも博士号持っていない。持っていない人が、若い方々がぜひこれ審査してくれと言っても、おれは持っていないんだというような、まあプライドの面もあるんでしょうし、なかなかこれが通らないと。それはもう前々から、国際社会になっているんだから、その問題を何とか調整しながら世界各国、先進諸国と大体同等のような形に整理したらどうだろうという提案を私も前からやっておるんですが、その後どのように調整されて進んでいるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(前畑安宏君) 御指摘の問題につきましては、私どもの大学審議会からこの二月八日に答申としていただいたところでありまして、先ほど粕谷先生からもお尋ねをちょうだいいたしましたが、課程制大学院になって後においてもなおかつ従来の大学院の意識が引き続いておって、今先生御指摘の、特に人文社会系において学位の授与が必ずしも活発ではないということから、それでは学位制度を基本的に変えてはどうかというのがこの答申で提案されておるところであります。
 それによりますと、従来の○○博士というやり方でそれをそのまま持ち越しますと、文学博士、法学博士というところに非常に大きな、何といいますか碩学泰斗のイメージが残るので、依然として出しにくい状況が続く。そこで、もう学位規則上は博士は博士だけ、こういうふうにしてはどうかと。ただ、社会的に博士だけではちょっとぐあいが悪いというならば、それぞれの大学院が博士号を授与するときに、適宜、博士(○○)というふうに専門分野の名前を付記するというふうにすれば、そこで明確に、学位の制度が変わったということが明らかになるので、従来の碩学泰斗のイメージから離れて課程制大学院の本旨に立っての学位授与が行われるようになるのではなかろうかと、このような答申をいただいておりますので、それに沿って今後学位規則の改正について検討していく所存でございます。
○小西博行君 もう一点つけ加えておきますと、例えば私あたりは三十四年に大学を出たわけでありますが、専門が実は経営工学という分野だったわけですね。経営工学というのはもう御存じだと思いますが、むしろアメリカからそういう技術が入ってきた。そして、三十年ぐらいから盛んになったのではないかと思います。当初は製鉄会社中心にそういうものを勉強してきたわけですが、大学としては恐らく早稲田が一番古かったのじゃないかと思います。それから東京工大あたりにできて、最近ではもう全国の大学で相当経営工学というのは盛んになっております。その当時、私どもの先輩の先生方が一生懸命に学位を、いわゆる博士号を取ろうと思いましたら、どこか、早稲田へ勉強にいくかあるいは東京工大へ行って、そこの主任教授との関係がうまくできないとなかなかその学位は取れない。いい年をした先輩が一生懸命にやったことを覚えておるんです。最近でも、恐らく経営工学で学位を持っている、博士号を持っているというのは非常に少ないんではないかと思うんです。
 つまり、新しい学問になればなるほど、あるいは狭い分野であればあるほど、指導教官というのがなかなかいないということもあって、博士号の認定というのがなかなか難しい。恐らくこれからもそういう分野が出てくるのではないか、そう思います。だから、独自で一生懸命勉強して論文を提出しようと思いましても、そういう大学はなかなか受け取ってくれない。当然早稲田の先生方にすると、自分のところの卒業生からできるだけというようなことも働くでしょうし、大変問題があったような気がしてならないわけですが、最近はそういうようなことはございませんでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 特に具体にそういう話を承ったことはありませんが、今先生御指摘のような事態というのはやはり学問の進展とともに常に起こっていくという問題ではなかろうかと思っております。その点につきましても、この学位制度の改善というのは一つの大きな役割を果たすわけでございます。
 と申しますのは、現在は大学院を設置いたします場合に、その大学院では何という学位を出すのかということが一つの審査項目になります。現在、博士の種類を十九というふうに限定いたしておりますので、その十九の中から博士号を探さなければならない。新しい分野についての大学院を構想しても、その分野に当てはまらなければそれはぐあいが悪い、こういうことになるのが今の制度でありますので、これを、先ほど申し上げましたように○○博士を出すか出さないかというのは、直接には学位制度ではない。どういう学位を出すかというのは、博士(○○)の中で各大学院がそれぞれの立場で考えていくというふうにいたしますと、学問分野の広がりというのが的確にいくんではなかろうか。そういたしますと、先生御指摘のような問題もだんだんと解消できるんではなかろうか、このように考えております。
○小西博行君 特に、私は留学生の問題をいろいろ調べておりますと、諸外国から国費留学で来られる方々、これはほとんど大学院、いわゆる博士論文をとにかく成功したいというようなことが相当ありまして、これは東京大学でも相当来られておりますが、会っていろいろ聞きますと、もう八年間一生懸命にやっておりますと。もともと向こうの大学では助教授をやっていたんだけれども、国の方のあれでぜひ行きなさいということで参りましたと。ところが、幾らやってもなかなか博士号がおりないので帰るに帰れないというような、これは女性の方、スリランカだったと思いますが、そういうこともありますし、大勢の皆さんに御意見聞いても、特に留学生の問題というのはやっぱり国際間のいろいろな問題が当然出てくるわけでして、どうもアメリカに行った方が早かったとか、そういう話はこれはもう文部大臣の方もよく御存じのとおりです。
 そういうように、国際社会の中で特に留学生を受け入れてやるという形になればなるほど、日本というのは非常に排他的で難しいところだなと、そういう実感を恐らく皆さんがされるんじゃないかと思うんです。そうかといって、さっき同僚の議員がおっしゃったように、全然力がないのに与えるという必要はないだろうと思うんですね。その辺の説明を十分しないと、これから先留学生として参る場合でも非常に困るんじゃないか、そう
思いますので、その辺の決意なり方向なり、大臣、もしお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今留学生は四万、これが二十一世紀の初めには十万ということですから、そういう留学生の中で、私、日本は留学生には非常に評判がいいということを思っていたら、この間、宮崎緑さんに日本は留学生にちょっと評判が悪いというようなことを聞いて、文部省の局長にお聞きしたんですが、これは局長から後で詳しく答弁させますが、これからの国際化また世界化の中で、留学生に対する配慮というものはやはり私どもよほど考えなくちゃならない、このように思います。
○政府委員(前畑安宏君) 学位制度の見直しということの一つの念頭にあったことは、ただいま先生御指摘の留学生の問題であったことは確かでございます。しかしながら、これまた先生御指摘のように、留学生のためのいわばレベルの低い学位を出すということになりますと、これまた逆に国際的にも問題でありますので、この学位制度の見直しの中ではそういう考え方をとらず、従来の碩学泰斗というイメージを払拭するために、文学博士というのはやめて、博士( )、その中で文学というか、あるいは哲学というか、あるいは歴史というか、そういったところまでつけるようにすれば、そこでイメージが変わって的確な課程制大学院の趣旨に沿った学位授与ができるようになるんではなかろうか、こういう期待で学位制度の改正を進めておるところでございます。
○小西博行君 今の、同じじゃないですか。博士(文学)という――文学博士じゃなくて。僕なんかの感じだと同じじゃないかと、こう思うんですが、局長は相当違うんでしょうね。文部大臣、どうですか。今の(○○)、これは随分違うと、こういう考え方なんですか。いや、それをやると学位は取りやすいということなんでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 取りやすいということではなくて、学位を出す方で従来の博士とは違う課程制博士の本旨に従った、いわば独立して、研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識ということがあればそれは学位を出すべきであるというのが現行の学位規則であり大学院設置基準でありますが、それがそのように運用されていないということでございますので、その間の意識を切りかえるために、先ほど申し上げましたような学位制度の改善を図ろうと、こういうことでございます。
 まあ(文学)と文学、同じではないか、こういう御指摘もありますが、今の文学博士というのはいわゆる文学の三分野と言われております哲学、歴史、文学、これを皆総合したものが文学、こういうことでございますので、それをさらに細分化して、あるいは場合によりましては博士(国文学)というようなことも考えられるわけでございます。
○小西博行君 なるほど、だからちょっと専門を狭くして与えるということなんですね。それにしてもなかなか出してもらえないと。多分そうだというふうに私は思います。
 この問題ばっかりやってますと時間が足りませんので、ちょっと放送大学のことをお聞きしたいと思います。
 私自身が議員になって放送大学の問題というのは相当いろいろ議論した経緯がありますが、一番最初の六十年度ですか、このときは定員の約二倍ほど希望者が多くて、定員をさらにふやすというような処置をとられたというように思います。それがだんだん年々下がりまして、大体九千人から一万二、三千人ぐらいの人が今は入る。少し足らないぐらいですね。定員としては一万七千ぐらいだというふうに聞いておるので、少なくなっておるんです。いろんな理由があろうかと思うんですが、主にどういうような理由でなかなか定員確保、つまり一番最初の初年度みたいに人気がないのか、その辺ちょっとお尋ねいたします。
○政府委員(福田昭昌君) 応募者の数の問題につきましては、先生御指摘のように、現状におきましても入学定員に達していないわけでございます。
 状況を見ますと、例えば六十三年度で一万四百八十五人、元年度が一万三千五十三人、二年度が一万三千五百四十五人、それから新年度の三年度、ちょっと新聞報道等で御心配いただいておりますが、一万五千四百四十九人ということで、着実に増加はいたしておるところでございますけれども、今申し上げましたように定員、入学定員には達しておりません。
 そのことの理由といたしましては、現在まで広報活動いろいろ一生懸命やってまいっておりますけれども、なお広く国民の皆さんの間に放送大学に対する理解が十分に得られていないのではないかということが一つあろうかと思います。それからもう一点は、放送大学は御承知のようにテレビではUHFの電波を活用して放送を行っておるわけでございますが、東京エリアに在住する人々が視聴するのはVHFが主でありまして、そのままではUHFを視聴できないテレビを持っておる家庭が多いということで、放送大学の番組を受信できますようにするためにはアンテナを新たに設置をしなくちゃいけない。そのための費用もかかるといったようなところが指摘されておるところでございます。
 これらの問題につきましては、広報活動をより一層充実いたしていくとか、それからアンテナ設置にかかる経費の補助も今後とも一部行っていくことといたしております。
○小西博行君 私は、大学教授という立場が、例えば米国と日本の場合に相当感覚が違うんじゃないかという感じがしているんです。特に、放送という一つのメディアを使って皆さんにわかりやすく、しかも比較的短時間で専門の講義をしなきゃいけないという非常に大切な分野があります。私は、その辺が一番最初スタートするとき心配だったわけです。
 普通、大学の講義というのは結構おもしろい話もあって、和気あいあいの中で講義が進んでいって、しかも学生にしてみますとそういう先生が特に印象深い。ところが、放送というメディアの中ですから、言葉の使い方一つ一つも相当考えなきゃいけないでしょうし、あるいはアメリカの場合は、どうも大学の先生方も教育というものを非常に大きくウエートを置いているようですね。日本の場合はどうしても、講義なんというのはできるだけ避けたいと、本当は。むしろ自分の研究論文を完成させたいという欲求が非常に強いだろうというふうに思いますね。つまり、いい講義をされる、あるいはいい教育をされる先生方よりも、論文のいいやつをできるだけたくさん出す方が近道だというように、国によっても全く違う。アメリカの場合は、例えば大学院の先生が特に研究一本にいきたいといった場合には、給料は相当下がってしまうというようなことも聞いております。
 その辺、先生方の物の考え方も相当違うんではないだろうかと、そういうふうに思いまして、この放送大学の性格、これは一方では大学の資格が取れる、一方では常識をもっと積み上げていきたい、こういう二面性がありますよね。そこのところが非常に難しいのかなと。
 それから、もっと調べてみますと、放送大学は今テストでやっておるわけでして、その届く範囲でも、放送大学について詳しくわかっているという人は三%という数字が出ていますね。多少わかっているというのを合わせて二一%ぐらい。つまり、放送大学というのは、熱心にやられておられる理事長初め皆さんは大変詳しいと思うんですが、一般の人は余りそれを知らない。その辺のPRの仕方、もちろん中身のPRも十分しなきゃいけませんが、そういう面も少し考え直す必要があるんじゃないだろうか。特に、先ほどからの学位とか、そういう問題も含めて、皆さんが勉強したいという、しかももっとレベルを上げないと現代社会についていけない。そういう状況になればなるほど、この放送大学というのは意味が本当はあ
るんだろうと思うんですが、どうもその点でちょっと政府としてはもう少し頑張らなきゃ、せっかくつくったものが、今度全国に衛星で波及させようとしているわけですから、その辺についての考え方はどうなんでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) これはもう生涯学習に私はなくてはならないものであろうと思います。また、年齢を問わず、それでしかもテレビで、またラジオで、どこでもできるということで。
 私も、先生方と一緒にこの法案のできる最後の質問をした男でありますし、また私的になって恐縮ですが、千葉にもございますので、時々行っているんです。実はおととい卒業式がありまして、これも実は東京でやるよりも千葉でやりなさいということで、千葉でやりまして、六百二十九名の卒業生でしたけれども、今おっしゃるように、やはりこのPRが足りない、そういう点で。それで、卒業証書をもらうのを一人ずつ見ると、千葉で卒業式やったの初めてでしたが、やはり卒業生が高校生と違った感激を受けて、こういただいているんですね。もう七十歳を超えた方もいらっしゃるし、御婦人なんか涙を流している方もいらっしゃる。私は、やはりこの放送大学はつくってよかったなという感じを抱いたわけです。
 しかし、一万七千という今の数字に足りませんが、徐々に、これはことし上がっているそうです、おととい聞きましたら。しかし、例えば新聞なんかにも、六大新聞なんかで一つしか卒業式の内容が出ておりませんから、これはやっぱり今おっしゃるようにPRが足りないですね。そういう点で、ぜひ生涯学習の中ではこの放送大学、せっかく皆さんに予算をかけていただいたものですから、これはやはり取り組まなくちゃならない、このように考えております。
○小西博行君 最後になりますが、今の放送大学もそうであります、文部省もそれにかかわっているわけですからね。その授業のやり方なんかもこれからいろいろ変化をつけないと、相手はもうとにかく不特定多数ですから、本当に学問的に勉強しようという人とそうではない人と同時に聞くわけですから。そういう意味で、いろんな分野でうまいカリキュラムを組まないと、とても大変だなと。
 あのとき、百二十四単位取るためには一日大体二時間は勉強せにゃいかぬ、四十分はテレビを見なきゃいけないという議論がありましたよね。そういうことですから、かたい話ばっかりではいけませんし、特別講義みたいなやつも何かあるようですから、そういうものもうまく含めて、しかもそこの卒業、勉強を本当にしようという人たちは、さっきの学位論文じゃありませんけれども、出ればそういうものにつながっていくようないろいろな種類のことを考えないと困るんではないか。
 私は、皆さんがそういう大学を出るというような感じになってきますと、学歴偏重という、こういう問題もひとつ解決されていくんではないかと、そう思います。文部省も、狭い分野でいろいろやるんではなくて、いろいろ一般の皆さん方のニーズに従ったやり方をいち早く取り入れる、こういうことをぜひともやっていただきたい。それだけ要望をしまして、終わりたいと思います。
○委員長(下稲葉耕吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表して、国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案並びに学校教育法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 まず、国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案についてですが、岐阜大学への医療短期大学部併設、小樽商科短期大学部及び岐阜大学工業短期大学部の夜間主コースへの転換については賛成です。
 しかし、学位授与機構の新設は、学校教育法上大学とは認められない、明確に軍事のための研究、教育を目的とする防衛大学校、防衛医科大学校などの修了者に学位授与の道を開くものであり、教育基本法、学校教育法に照らして問題です。さらに、同機構は大学のような学問研究の自由、管理・運営上の自治が保障されず、こうした第三者機関による学位の授与は学問に対する介入や統制につながる危険もあります。また、奈良先端科学技術大学院大学は、企業丸抱えの寄附講座を多数導入するなど大企業奉仕が顕著であり、国民のための大学とは言えません。以上が本法案に反対する理由です。
 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案についてですが、この法案は二月八日に提出された大学審議会の実施法案です。特に医・歯学部の進学課程と専門課程の区分の廃止、免許法における科目区分の整理については、大学審議会答申が打ち出した大学設置基準の大綱化、すなわち一般教育と専門教育の区分の廃止を前提としたもので、大学教育の根幹である一般教育の軽視あるいは廃止の方向を認めることはできません。
 また、高等専門学校の分野の拡大は、五年制高専の分野を無制限に拡大し、高校教育の複線化をさらに固定する危惧があり、今後慎重に対処する必要があります。
 準学士の称号の創設、高専の専攻科の設置などあえて反対するものではありませんが、以上の立場から、本法案には反対です。
 以上です。
○委員長(下稲葉耕吉君) 他に御意見もなければ、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案について順次採決を行います。
 まず、国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林君。
○小林正君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国立学校設置法及び学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。
 一 学位授与機構の運営に当たっては、学位認定の基準、方法を明確にし、学位の水準の維持に努めること。また、学位認定に当たる教授には視野が広くかつ学問研究の第一線にある者を充て、併せて実質的な学位認定ができるだけの体制の整備を行うこと。
 二 奈良先端科学技術大学院大学については、その目的を達成するための教育・研究組織及び施設・設備等の整備に努めること。また、新構想大学院の管理運営に当たっては、大学の理念を尊重し、その教育・研究の目的が十分にいかされるように努めること。
 三 高等教育に対する新たな時代の要請とその現状にかんがみ、大学、大学院の教育・研究体制のより一層の充実を図るため、財政措置を含め必要な諸条件の整備に努めるとともに、大学院学生及び大学院博士課程修了者の現状にかんがみ、大学院学生に対して奨学金や日本学術振興会の特別研究員制度の拡充を
講ずること。また、学位授与の円滑化を図るための積極的な施策を講ずること。
 四 大学、大学院の新増設及び改組に当たっては、大学の意向や地域社会の要請を勘案するとともに、現在進行しつつある大学入学者の急増とその後の急減に適切に対応するための必要な諸条件の整備に努めること。
 五 大学入学者選抜の在り方については、受験生の立場に配慮しつつ、一層の改善のために最大の努力をすること。また、生涯学習の観点から、社会人の大学、大学院への積極的な受入れに必要な諸条件の整備に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井上文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、学校教育法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
○粕谷照美君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、次の事項について特段に配慮すべきである。
 一 高等専門学校の学科の分野拡大に当たっては、本制度が後期中等教育を含む高等教育機関であることなどの特性を考慮し、慎重に対処すること。
   また、より高度の教育機会を確保するため、新設される専攻科の活用と併せて高等専門学校卒業者の大学への編入学の拡大に努めるとともに、高等学校卒業者の高等専門学校への編入学受入れについても円滑化を図ること。
 二 国立の高等専門学校の施設・設備の現状にかんがみ、その計画的な改善整備に努めること。
   また、今回の教育職員免許法の改正によって、高等専門学校の専攻科等の単位を認定するに当たっては、教育職員養成の質的低下を招くことのないよう留意すること。
 三 高等教育に対する新たな時代の要請に基づき、短期大学教育のより一層の発展を図るため、財政措置を含め必要な諸条件の整備に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 全会一致と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井上文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(下稲葉耕吉君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 我が国の著作権制度については、これまでも逐次改正をお願いし、既に、関係条約の要求する水準を確保しているところでありますが、今後とも、国際的な動向や著作物等の利用手段の発達などを踏まえ、適時適切な改善充実を図り、我が国の国際的地位にふさわしい内容とする必要があります。
 このたびの改正は、最近の国際的な動向を踏まえつつ、歌手や俳優等の実演家、レコード原盤の製作者等の役割の重要性にかんがみ、また、外国の実演やレコードに関し、我が国の国際的地位にふさわしい保護強化を図る観点から、著作隣接権制度のさらなる充実のため、所要の措置を講ずるものであり、その概要は次のとおりであります。
 第一は、レコードの貸与に関する権利を、外国の実演家及びレコード製作者にも認めることであります。
 レコードの貸与に関する権利については、昭和五十九年の法改正で制度化されたところでありますが、現在、作詞・作曲家などの著作権者には、国内外を問わずこの権利を認めているのに対し、実演家及びレコード製作者については、国内の権利者についてのみ認めることとなっております。このたび、著作隣接権の国際的保護の充実を図る見地から、関係条約により保護を受ける外国の実演家及びレコード製作者に対しても、同様の権利を認めることとするものであります。
 第二は、著作隣接権の保護期間の延長であります。
 著作隣接権の保護期間については、昭和六十三年の法改正により、従前の二十年から三十年へ延長されたところでありますが、実演家等の役割の重要性や最近の国際的動向、我が国の国際的地位の向上等を考慮して、これをさらに五十年に延長するものであります。
 なお、これに伴い、旧法下において保護されていた演奏、歌唱及び録音物の保護期間の残存期間の上限についても、現行法施行後五十年までに延長することとしております。
 第三は、レコード保護条約加入前の外国レコードの保護強化ということであります。
 外国レコードについては、我が国がレコード保護条約に加入した一九七八年以後に作成されたものは、現行法による正規の保護がなされておりますが、それ以前のものについては、外国原盤をもとに国内で製造されたレコードからの無断複製及び頒布を禁止することによって間接的に保護しております。しかし、近年、この禁止の対象外である輸入盤レコードからの無断複製等が増加し、現行制度で予定している保護の実効性が憂慮される状況となっております。このため、国際社会における我が国の役割も考慮し、輸入盤レコードについても禁止対象とするとともに、実効性を確保するため、新たにこれらの複製物を頒布の目的で所持する行為についても禁止することとしております。
 なお、これらの行為を禁止する期間については、著作隣接権の保護期間の延長との均衡を考慮して、原盤作成後五十年までに延長することとしております。
 最後に、施行期日等についてであります。
 この法律は、平成四年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(下稲葉耕吉君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
○委員長(下稲葉耕吉君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認ます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十三分散会