第120回国会 文教委員会 第6号
平成三年四月二十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     栗村 和夫君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     栗村 和夫君     会田 長栄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         下稲葉耕吉君
    理 事
                石井 道子君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                小林  正君
    委 員
                秋山  肇君
                木宮 和彦君
                世耕 政隆君
                田沢 智治君
                仲川 幸男君
                真島 一男君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                西岡瑠璃子君
                森  暢子君
                山本 正和君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                笹野 貞子君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  井上  裕君
   政府委員
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部省生涯学習
       局長       福田 昭昌君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文化庁次長    遠山 敦子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       郵政省放送行政
       局業務課長    長澤幸一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○森暢子君 去る四月九日に参考人に対する質疑というのが行われましたが、その中で西岡委員が著作権審議会の構成員における女性の割合について参考人の方に質問をしました。その続きをやりたい、このように思っております。
 著作権審議会の構成員は今十九人ということなんですが、そのうち女性が占める人数は二人にすぎません。御存じだと思いますが、木元教子さんと野田愛子さんという方が入っていらっしゃるわけですね。そこで、文部省とか文化庁の所管の審議会がたくさんあると思うんですが、その中の女性の占める割合がどのくらいかということをまずお聞きしたいと思うんです。
 続いて、政府にたくさんの審議会があると思うんですが、それら全体における女性の占める割合、そういうものをお聞きしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 文部省と文化庁関係の審議会は十六審議会がございます。本年の四月一日現在の審議会の委員は三百七十九人でございますが、そのうち女性委員は三十五名、割合は九・二三%でございます。
 それから政府全体でございますが、政府全体の審議会総数は二百四ございまして、婦人の委員を審議会の委員としておるのが百四十一審議会で、総数四千五百五十九人のうち三百五十九人が婦人でございまして、率として七・九%になっております。
○森暢子君 ありがとうございました。
 四月九日の参考人に対する質疑の中で審議会の先生方も、何かこの著作権審議会には女性が少ないんではないかというふうな御感想を漏らしていらしゃったわけですね。それで、今回の審議会のメンバーを決めるときに、特別に女性を何人か入れなきゃいけないんではないかという配慮があったのか、または意識しなかったのか。この著作権の審議会の中の女性の配慮ということについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 現在の著作権審議会の定員二十名のうち二名は女性でございます。今、現員が十九名でございますから、一割を超す率が女性の委員でお願いしているわけでございます。今回の著作権審議会の委員は平成元年十月一日に発足したものでございますが、当時の委員構成に関しましてやはり女性の方をできるだけ登用しようという角度で、このお二人の方につきましてはもちろん専門的な御知識というのも第一優先ではあったわけでございますが、女性ということも配慮いたしまして二人にさせていただいた経緯がございます。
○森暢子君 御存じと思いますが、婦人問題企画推進有識者会議、これが今月の十日に内閣総理大臣あてに意見を発表しております。その中に「女性の社会参加は進んでいるにもかかわらず、政策・方針決定過程への参画はいまだ少ない。ナイロビ将来戦略勧告は、一九九五年までに指導的地位に就く女性の割合を少なくとも三〇%にまで増やすという目標を目指している。こうしたことをも踏まえ、審議会などの女性委員の登用について、従来にも倍する努力を傾注する必要がある。」「今後およそ五年間に達成すべき目標としては、総体として一五%を」、とりあえず一五%ですよ、それを「目指すべきである。」、こういうふうな提言や勧告をしたわけであります。
 この中で、今お聞きしましたところ九・二三%とか七・九%とかこういうお答えが返ってきたわけであります。日本の状況は今こういうことなんですけれども、諸外国の審議会の構成に占める女性の割合というのはどのようになっておりますか。調べておられましたら答えていただきたいと思います。
○政府委員(福田昭昌君) 文部省としては調査をいたしておりません。
○森暢子君 調べていらっしゃらないということでございますが、今、婦人問題企画推進有識者会議がこういう提言を大臣に行っている時期でありますので、やはり諸外国の状況も調べ、日本として、また文部省として文化庁としてどうあるべきかということはきちっと計画を立てていっていただきたい、このように思います。
 また、こういう有識者会議の意見に対して文部省、文化庁としてほどのような感想を持ってお
り、今後具体的にどういう計画を立てていくかというふうなことをひとつ大臣にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) 今官房長からお話がありましたように、全庁の平均が七・九、私どもの方が九・二三ということで幾らかいいわけでございますが、御案内のようにこの五年間で一五%ということを言われておりますが、私ども審議会委員に女性を登用することにつきましては、今後適任者の選考に意を用いましてひとつ一層努めてまいりたい、このように思います。
○森暢子君 男性、女性と余り意識しないで、そういう見識を持った方とか人間的にそういうことに詳しい人とか、そういう方を登用していただければいいんですけれども、やはりまだまだ今日本の社会はそういういろいろな政策を決める場に女性が少ないということはもう決定的なことでありますので、まずそれを何%にしていくかという配慮、そういうものをやっていただかないと進んでまいらない、このように思っておりますので、御努力をお願いしたいと思います。
 次に、審議会の委員の構成なんですけれども、やはりこの著作権ということは国民生活に密着しておりまして、この影響は各界、各層に及んでいくと思います。その委員の構成のあり方は非常に重要であります。この構成を見ますと、メンバーの経歴などを見せていただきますとその道のエキスパートで構成されているわけであります。芸団協であるとかレコード協会であるとかNHKであるとかですね。関係団体の代表が加わりますと、さまざまな意見や立場が審議に反映するというメリットはあると思いますけれども、反面、団体とか業界の利益代表としての意見を言わざるを得ない。消費者の立場というものが少なくなってくるんではないかと思うわけですね。特に私的録音・録画の問題は本当に大変でありまして、このことについては、第十小委員会で昭和六十二年八月から検討を開始しても報告書が出せないでいる点にはそうした背景もあるんではないかと思いますが、この点につきましてどうでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) まず、消費者の意見を反映し得る委員というのがどういう構成になっているかということを申し上げますと、現在著作権審議会は定員二十人でございますけれども、著作権者等の代表は、先生が今おっしゃいましたように放送事業者とか出版社等の代表などが何人か入っているわけでございまして、そのほかに学識経験者といたしまして大学教授、評論家等、中立的な立場からの専門家を委員に委嘱しているところでございます。そして、これらの学識経験者の中には消費者問題にも詳しいジャーナリストの方等を配置させていただいておりまして、各人の利用者としての立場も含めまして消費者の意見が反映されるように配慮しているところでございます。
 それから、私的録音・録画に関しての審議をしていただいております第十小委員会には消費者団体の代表の委員が入っていただいておりますし、現在結論を出しかねているという御指摘でございましたけれども、現在鋭意私的録音・録画の問題につきましてワーキンググループをつくりまして御検討いただいているところでございます。前向きに少しずつ進捗している段階でございます。
○森暢子君 今回の著作権法の一部を改正する法律案は、ほとんどレコードのものと隣接権にかかわることが大きな骨子になっていると思うんです。そこで、現在すごく全国にレコードのレンタル店というのが、ちょっとお聞きしたところでは六千店ほどあると。もうどこへ行ってもよく見るお店なんですけれども、そのレコードレンタル業界の代表者もその委員に加えるべきだと思うんです。今回の著作権問題はレンタル問題を抜きにしては語れないというふうになっていると思うんですけれども、そういう人たちをこの著作権審議会の委員に加えるというお考えはなかったわけでございますか。
○政府委員(遠山敦子君) 今回御審議をお願いいたしております著作権法改正の中身は三点ございますけれども、確かにレンタルに関する外国の実演家、レコード製作者についての権利の問題が大きいわけでございます。ただ、外国の実演家、レコード製作者に対しまして商業用レコードの貸与にかかわる権利を付与することにつきましては、昭和五十九年から六十三年にかけまして、著作権審議会第一小委員会において検討されてきたものでございます。この審議の過程におきまして、小委員会としましては公平な審議を行いますために、レンタルレコード業者の代表からヒアリングを行っております。昭和六十二年の二月でございましたけれども、そのヒアリングにおきまして意見を十分に聴取しました上で外国権利者に貸与権を付与することについての審議会の結論を得たものでございます。
 それからまた、今回の法改正に当たりましても、文化庁といたしましては、レンタル商業組合の方々を含む関係団体に対しまして、事前に十分連絡をとりまして法案の作成作業を取り進めてまいったところでございます。
○森暢子君 続いて委員の構成なんですが、学校の教職員ですね。各種の著作物を教材として、ここでもいろいろ問題もあるんですけれども、教材として使用するユーザーの立場、それから子供に著作権思想を普及、定着させる役割、こういうものも教職員にあるわけであります。そういう教職員の代表をこの中に加えるべきではないかということが一点。もう一つは、障害者ですね。障害者の人が録音が認められている点字図書館などのこと、それから聴覚障害者のためのスーパー入りのビデオの著作権の問題など、やはり障害者の立場というのは忘れられがちでありますので、そういう人たちがどのような意見を持っているかということで、教職員の代表であるとか障害者の代表であるとか、そういう方たちをこの審議会の委員のメンバーに加えるべきではないかというふうに私思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 著作権審議会委員の選任に当たりましては、著作権問題が御存じのように非常に専門性の高い分野であるわけでございますが、同時に御指摘のように種々の経済的利害が関係する問題でもあるわけでございます。したがいまして、法律、制度について詳しい学識経験者のほかに利害関係者、それから一般消費者などの意見が反映されるように配慮しながら選任していくべきことは御指摘のとおりであると思うわけでございますし、私どもといたしましてもそういう角度から選任に当たっては配慮してまいっているところでございます。
 しかしながら、定員が二十名ということでございます。したがいまして、非常に専門性の高い御議論をいただくものでございますから、そこの中核的な論議に関係のある利害関係者なり学識経験者の数を減らすわけにもまいりません。そのようなことから全体を配慮した上で選任をしてまいっているところでございますが、個別のいろいろな問題につきましては、先ほども申しましたようにヒアリングの機会を設けたり、さまざまな小委員会の中にメンバーとしてお願いをしたり、工夫を行っているところでございます。
 今御指摘がございました教職員のような方、あるいは障害者の方というような方を委員に新たに加えるかどうかということにつきましては、二十名という全体構成の中でどういうふうに考えていくかということがございますし、全体のバランスなどから慎重な検討を要する面はあるわけでございます。しかしながら、教職員の方には著作権思想の普及という問題を大いにやっていただかなくてはならないわけでございますし、また障害者の問題なども衆議院、参議院の御議論の中で、附帯決議などでもいろいろ御指摘がありますし、私どもも障害者に対する著作権の問題の前進につきましていろいろ配慮しているところでございますが、そういう方々の御意見を聞くというのも大変重要なことだと考えております。したがいまして、種々の意見聴取の機会を設けることなど、ほかの方策も含めまして、関係者の意見ができるだけ審議会の審議に十分反映されるように今後とも
留意してまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 こういう審議会に、ひとつ今私が申し上げましたような配慮をぜひしていただきたい、このように思います。
 今お話が少し及びましたが、この著作権の法案が通りましたら、いかにみんなにそれを浸透させていくかという広報活動が問題になってくるわけですが、やはり簡単な広報資料で著作権問題というのはなかなか皆さんに浸透しにくい問題でありまして、これをどのように広げていくかというのが大変大事だと思うんです。それで、文化庁はそういった相談窓口とか皆さんに知らせていくシステムづくりとか、そういうふうなことにこれから取り組む必要があると思いますが、その問題についてどのように考えていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) まず、著作権に関する相談窓口につきましては、私ども文化庁でも専門に担当いたします著作権課がございます。この著作権課におきまして一般からの相談を常に受け付けております。同時に、著作権の関係団体というのがさまざまにあるわけでございますけれども、これらの各団体におかれましても音楽や文芸など、それぞれの分野ごとに相談を受け付けておられるところでございます。これらの窓口におきましては、それぞれ著作権制度について知識の深い職員を担当として置いておりまして、随時適切な助言を行い得る体制を整えているところでございます。
 例えば文化庁の担当課におきましては、毎日全国各地からさまざまな角度の御質問が集中しておりまして、毎日のように応対に追われているところでございますけれども、ほぼ課員全員が対応できる能力を備えるようにいたしておりまして、例えば本年二月段階におきまして約半月間での相談件数は、来庁して相談される方、それから電話による照会者を含めまして約八十件に上っているところでございます。その意味では、全国各地でさまざまな著作権問題について疑問を持っておられる方について、専門的な角度からこの相談窓口において疑問に答えることができる仕組みになっているわけでございます。
 そのほか、一般的にどういう広報システムがあり得るかということでございますけれども、著作権思想の普及といいますものは、文化庁の著作権関係の仕事の中でも一つの柱になってございます。例えばビデオをつくってわかりやすい形で著作権思想の普及を図ったり、あるいは講習会を開催いたしまして年々著作権思想の普及に努めるなど、できるだけ多くの国民の方々に著作権問題の重要性について認識していただくように努力をしてまいっているところでございます。
○森暢子君 著作権に詳しい人、まあ著作権課の方や関係団体の方を用意していると言われましたけれども、やはり著作権に詳しい人、それから専門家といった人たちを育てていく必要があると思うんですが、大学などで著作権を専門に教育研究している人はどのくらいいるか、また大学でそういう講座や科目があるか、その実態ですね。その点について文部省、いかがでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 大学における著作権の教育あるいは研究の状況についてお答えさせていただきたいと思います。
 御案内のとおり、大学における教育研究上の組織として、基本的なものとしては講座制というのがございます。講座制は、教育研究上必要な専攻分野を定め、その教育研究に必要な教員を置く制度ということでございまして、原則的には教授が一、助教授一、さらに助手一、こういうふうな組織になるわけでございます。
 現在、こういった講座制というのは、端的に申し上げますと、国立大学に特有な制度という実態でございまして、公立大学あるいは私立大学には一般的ではないという実態でございますが、国立大学について見ますと、著作権という名を冠した講座はございません。これはただいま申し上げましたように、一つの教育研究の組織ということでありますので、そこで担当いたします中身にある程度のまとまりがあることが必要であるというふうな考え方がございます。
 例えば、新潟大学の法学部で民事法という講座がございます。これは最近の趨勢によりますいわゆる大講座という仕組みでございまして、教授が六人、助教授が二人、助手が一人、こういううなまとまりの講座でございますが、この民事法という講座の中で実は著作権法という授業科目を開設いたしております。この授業科目は二単位でございます。二単位と申し上げますと、前期あるいは後期の十五週にわたりまして、一週間に一こまの授業ということでございますので、どうしても一週間に一こまの授業で十五週二単位という、これだけの固まりではなかなか講座になりにくいという事情があるわけでございます。
 ただ、著作権法ということに限らないで、特許法あるいは意匠登録あるいは商標といったいわゆる無体財産権あるいは知的所有権と言われておるものを取りまとめまして講座を設定している例としては、例えば東京大学では法学部の中に無体財産権法という講座がございます。先ほど申し上げましたようなことでございますので、著作権だけを取り上げて講座にはしにくいけれども、そういった知的所有権あるいは無体財産権という固まりの講座というものはございます。
 なお、多くの大学では著作権、知的所有権、あるいは無体財産権ということで法学部において講義がなされておる、このように承知をしております。
 先生お尋ねの著作権に関する専門の学者がどれくらいいるかという数字については、私どもは詳細把握をいたしておりませんので、大変申しわけございませんが、お答えいたしかねます。御理解いただきたいと思います。
○森暢子君 学校現場でいろいろとこれがこれから問題になってくると思うんですが、例えば日本はコピー天国と言われまして、何でもすぐコピー、コピーで今過ぎていっているわけです。日本人は物理的なものを盗むということには罪悪感を持っておりますけれども、形をなさない情報とかサービスというものはただだと思って、その利用に余り抵抗を感じない中に私たちいるんではないかと思うわけです。この日本人に著作権思想を根づかせるためには、やはり学校教育において小さいころからそういう権利を大事に尊重していくということを教えていかなければならない、育てていかなければならないというふうに思います。
 高校の新学習指導要領の指導書で著作権問題が取り上げられているということなんですが、高校の段階では遅くて、もっと小中学校の間からそれぞれの人の発想とか、それから表現を尊重する考え方というものを育てていく必要があると思いますが、現状はいかがでしょうか。また、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 学校教育の現場におきまして著作権関係の知識がどのように伝えられているかということでございますけれども、現状は、先生御指摘のように、高等学校の教科のうち特に専門科目でございます商業の商業法規、それから工業の工業経営で取り上げられているわけでございます。これは一般的に申しまして、著作権とか特許権等の知的生産物に関する権利につきましては、大変その内容が高度な専門性を有しているものでございますから、なかなか義務教育段階では取り扱うのは非常に難しいということがございます。
 しかしながら、専門科目であります商業とか工業という分野だけで取り上げるのでは十分でないということから、この問題につきまして理解を深めるために、今回改訂されました学習指導要領では、高等学校の現代社会や政治・経済の各科目の中でも取り扱うことにいたしておりまして、解説書に明記されたところでございます。それぞれの専門科目であります商業法規におきましては、著作権等の無体財産権に関する学習を充実するようにする方向で進んでいるところでございます。
 教科として扱う場合には、このような形で高等
学校以降におきまして専門的な内容として伝えられる、教授されるわけでございますけれども、学校教育におきまして一般的に他人の権利を尊重したりする精神を養うということは非常に大事でございます。そのために従前から、他人の権利を尊重することの必要性につきましては、社会科とか道徳の時間におきまして、全体の問題の中で指導を行ってまいっているところでございます。そして、よりわかりやすくするために、先ほどのビデオとかいうわかりやすい教材を利用していただいているところでございます。
○森暢子君 次は、一般国民にどのように著作権の思想を知らせていくかということなんですが、地方公共団体なんかはどういう部署がどのような内容で行っているのか。そのことについて文化庁はどんな態度で臨んでいるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 各地方公共団体におきましても、やはり地域内の方々の著作権に関する疑問に答えることもございまして、各都道府県の教育委員会の文化行政担当部局、これは県によってその所管課の名称は異なるわけでございますし、教育委員会でなくて知事部局に置かれている場合もあるわけでございますが、例えば文化課のようなところにおきまして著作権思想の普及事務を行っているところでございます。
 そして、私どもとしましては、毎年これらの担当部局の職員を対象といたしました講習会を開催することによりまして、著作権制度につきましての啓蒙啓発活動あるいは人材の育成に努めているところでございます。
○森暢子君 今、審議会の委員のメンバーの内容のこととか、それから著作権法を皆さんの中に人権思想として、一人の人間の発想とか着想とかそういうものを大事にしていく、人権意識を育てるためにどのような広報活動をこれから行っていかれるのか、そういう観点について御質問を申し上げたわけでございますが、この討議の中で大臣どのようにお考えですか、まとめて御決意と御感想をお願いしたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 今、次長とのお話承っておりまして、著作権保護の実効を上げるためには、情報伝達技術の発達やあるいはまた社会経済事情の変化、あるいはまた国際的動向の推移等、それに即応した著作権制度の整備、改善が必要であろう、このように思います。
 明治三十二年にできて、そして昭和四十五年、そして昭和六十三年、平成元年、また今回の法改正ということで、いろいろお話がございましたが、やはり国民の一人一人にこの著作権保護の意識を高めることが重要であろうと思います。今お話の中にも、この二月中に約八十件の問い合わせがあった、あるいはまた疑問があったということをお聞きしても、国民の皆さんがやはりこれに注目していることがわかるわけであります。
 今回の法改正の内容の周知を含めまして、今後とも広く国民の各層に、私どもやはり講演会の開催やあるいはパンフレット、ビデオ、そういうものの作成、あらゆる手段を通じて著作権思想の普及に努めてまいりたい、このように考えております。
○森暢子君 終わります。
○粕谷照美君 大臣の御決意をお伺いいたしまして大変心強く思ったわけでございますが、昨年の六月の日本音楽著作権協会JASRACの会報を見ますと、「平成元年度の使用料徴収額は前年度に比して二五・五%増の五百四十一億円を記録した。」と、こういうものが載っておりました。大変なこれは伸びで、二五・五%の収入増というのは大変なことだと。これは、それだけ収入があったということは著作権思想が普及をしたのかどうか、この辺のところと非常に関係が深いと思いますが、内容を見てみますと、伸びたのがオーディオディスク四五・三%、そしてそれ以上に伸びておりますのが貸しレコードなんですね。貸しレコードが五五・一%なんです。大変な伸びで、レンタル商業組合がいかに組織としてきちんとした使用料を支払っているかということの証左ではないかというふうに思います。
 最近、カラオケを営業としているバーやスタンドが、このJASRACの訴訟を受けて、そして次々と和解をしているというような記事が載っておるのを見たことがあるわけですが、このカラオケも三七%の増ということになっているわけで、著作権料を払わなければならないということは定着をし始めてきているなと思います。
 本日、午後から視察に行きます放送大学学園なども、平成二年度から包括契約方式に移行し、平成三年度に適用する使用料、これ昨年並みに二百六万円で契約することになったなどというのがありますけれども、私たちの身近には大変著作権の使用料というものが問題になってきているというふうに思います。
 それとあわせまして、きょうは法律の内容に私は触れて質問をするわけですが、その前にこの法律を出してきた背景について最初に質問いたします。
 アメリカから非常にスーパー三〇一条適用で、いろいろな方面で日本の政府は苦境に立たされていることが多いわけですが、その中でもこのレコード著作権、これは非常に大きく取り上げられているんではないかというふうに思います。このスーパー三〇一条絡みで、著作権に関して日本の政府から米国に対して要求をしたという事項は何かありますでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) スーパー三〇一条といいますのは、先生御案内のとおりに、不公正貿易慣行国に対する対抗措置をアメリカが規定したものでして、このスーパー三〇一条を盛り込みました一九八八年の包括貿易法が昭和六十三年八月に成立したところでございます。
 この法律に基づきましてアメリカ通商代表部USTRが諸外国の貿易障害に関する年次報告書を公表したわけでございますけれども、この中で我が国におきます著作権制度に関しまして、特に外国レコードの保護強化についての指摘がなされたところでございます。この指摘に対応いたしまして、私どもといたしましても国内の状況を十分に説明をいたしまして、必要なものは法改正を行い国内体制を整えていくということでございまして、現在の法改正はこの絡みもあるわけでございますけれども、今回の改正は、単にスーパー三〇一条絡みのアメリカの要望にこたえるということではございませんで、外国レコードのみならず、外国の実演家や放送事業者も含みます著作隣接権制度の改善を図るという幅広い観点から行っているところでございますし、アメリカからの指摘を待つまでもなく、既に私どもも問題意識を持って検討していた案件でございます。
 スーパー三〇一条絡みで日本側から何らか要請をしたのかという御質問、ちょっと御趣旨がわからない点もあるわけでございますけれども、この交渉の成り行きとその内容からいたしまして、私どもからアメリカにこのスーパー三〇一条に絡んでの要求というのはないわけでございます。ただ、アメリカの著作権制度の問題につきまして幾つかの問題点を常日ごろの日米間の協議の場におきまして指摘をしているところでございます。
○粕谷照美君 もっと端的に私の方で申し上げれば、「USTR貿易障壁報告 対日分要旨」というのが昨年の日経新聞にたまたま載っていたわけでありますが、「録音権の有効期間は十年延長されて三十年になったが、米国がガットに提案している五十年には及ばない。」、これは今回の法律の中に入っておりますね。「日本が国際協定に加盟した七八年以前に米国で録音されたものは全く保護されない。レコードのレンタルに対する規制は外国製品に適用されない。二国間協議ではまだ進展がない。」、こういう指摘を受けていると思うのですが、どうですか。
○政府委員(遠山敦子君) 外国レコードの保護強化につきまして、今の保護期間の延長の件、貸与に関する権利、それから一九七八年以前の外国レコードの保護の三点につきましての保護の強化ということについて指摘されているのは事実でございます。
 先ほどの関連で少し具体的に申し上げますと、外国の実演家、レコード製作者にレコードのレンタルに関する権利を認めることにつきましては、日本の国内におきましても既に昭和六十三年一月の著作権審議会報告におきまして方向が出されているところでございます。また、著作隣接権の保護期間の延長につきましても、かねてから著作権審議会においても議論されてきた事柄でございまして、その後の主要各国におきます趨勢あるいはガット・ウルグアイ・ラウンドの知的所有権交渉での動向など、国際的な状況の変化を踏まえながら適切な対応を期することとしたものでございます。
 第三点の外国レコードの無断複製等を禁止いたしました著作権法第百二十一条の第二号の強化につきましても、同号が輸入盤を対象としていないという点につきまして、従来から内外の関係者からその是正を求められて検討してきたところでございまして、アメリカ側の指摘のことも含めましての改正内容となっているものでございます。
○粕谷照美君 それでは伺いますけれども、文化庁の審議会、いろいろありますけれども、その審議会の報告などできちんとこの方針を決めたという項目は、この法律三つの柱になっていますけれども、それでは三つともありますか。
○政府委員(遠山敦子君) 三つの柱のいずれにつきましても、著作権審議会の審議を経て今日の改正法案につくり上げているものでございます。
 一つは、レコードのレンタルに関する権利について外国の実演家なりレコード製作者にも認めようということにつきましては、既に昭和六十三年一月の著作権審議会報告において指摘されているところでございます。それから、著作隣接権の保護期間の延長の件、三十年から五十年に延ばす件。それから、外国レコードの無断複製を禁止した条項の強化、保護の強化につきましても、著作権審議会の指摘にのっとりまして改正法案としてまとめたものでございます。
○粕谷照美君 そうしますと、第二の柱になりますけれども、著作隣接権の保護期間の延長がありますね。三年前にこれ二十年が三十年になった。三年前ですよ。今、三年後で法律が出されていますけれども、この三年の間に三十年を五十年にしなければならないという、そういう結論がどこで出ておりますですか。
○政府委員(遠山敦子君) 著作権審議会の御結論として得ましたものは、平成二年十一月に第一小委員会から審議結果を取りまとめた内容の中で書かれているものでございます。
 じゃ、なぜ三年前に隣接権の保護期間の延長を二十年から三十年にしたのに今回さらに延長するのであるのかということでございますけれども、御存じのように、著作隣接権の保護期間は、当初実演家等保護条約の最低基準であります二十年に従って二十年とされて、六十三年の法改正で三十年に延長されたところでありますけれども、その際の著作権審議会の報告におきましても、著作隣接権の保護期間については国際的な状況の変化等の動向を踏まえて、必要に応じて検討を行うことということで、三十年でこれで完成というものではないというふうな御指摘があったわけでございます。
 その三年前に改正を行いました後にいろいろな国際的な変化があったわけでございます。一つは、ガットのウルグアイ・ラウンドの知的所有権の交渉が行われているわけでございますけれども、そこにおきまして、先進諸国間におきましては著作隣接権の保護期間について五十年とする方向が大勢を占めているところでございます。それから第二の点につきましては、例えば我が国が三十年に延ばした後に、平成二年からドイツにおきましては実演家の権利が五十年に延びております。それから、同時にチェコスロバキアにおきましても実演家の権利とレコード製作者の権利が五十年に延長されているところでございます。
 このように、現に保護期間を延長する例が非常にふえてまいっているわけでございますし、さらに一九九二年のEC統合を控えて、EC諸国におきましては現在五十年より短い保護期間を定めている国でございますイタリー等におきましては全般的にこれを五十年にしようという動き、ドイツにおきましてもレコード製作者については今五十年ないわけでございますが、これを五十年に延長する方向で検討されているところでございます。
 したがいまして、先進諸国の中でこれらの権利につきまして五十年より短い期間を定めている立法例がほとんどなくなりつつあるというのが、先般改正をした後に起きた状況であるわけでございます。そのようなことから、国際的な動向を勘案いたしまして、先般の著作権審議会におきます指摘の方向で今回新たに延長を行うことで法改正をお願いしているところでございます。
○粕谷照美君 今の説明でよくわかりましたけれども、三年前にこの法律を審議するときも五十年はどうか、七十年はどうかというようなことが議論になっていたわけですよね。そのときに、いやこれは三十年でいいんですと、こういうことで御説明があったものですから、私は、このたった三年の間にそんなに急激な変化があったのか、実演家の役割の重要性が変わったわけでもないし、我が国の国際的地位が特別に向上したわけでもないし、そういうふうに思っていたものですから質問をしたわけでありまして、要はガットの圧力が非常に重くのしかかってきているということだけは今はっきりとわかりました。ただ、この内容については賛成でございますから、言うことはありません。
 それでは、法律に入ります。
 我が国のレコードの貸与に関する権利については、昭和五十九年の法改正で制度化をされました。この制度化をされるに当たりましても簡単な経過をたどったわけではなくて、昭和五十五年にレコードレンタル第一号が三鷹に開店をされた。その後、レコード協会が、雨後のタケノコのように伸びていく貸しレコード店に対して非常な脅威を感じて、これ訴訟を起こしたわけでありますね。そして、昭和五十七年には今度はJASRACが訴訟問題を起こしております。
 こういう中から、通産省あるいは文化庁が中に入りまして、貸しレコードのお店がレンタルに関する協議会というものをつくって、とにかく話し合いをしようではないかというようなことになってきたと思います。そして、著作権審議会第一小委員会が一つの結論を出して、昭和五十九年に本委員会で貸与権というものを認める法律が成立をしたというふうに思います。
 この法律が成立しまして、レンタル、それからレコード協会、音楽著作権協会、まあJASRACといいますか、それから芸団協、こういうところのお互いの関係というのはうまく進展をしてきたのでありましょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 結論から申し上げますと、冒頭に先生がおっしゃいましたように、レンタル店から毎年きちんきちんと使用料が支払われているという形で、問題は円滑な形で推移してまいっている面の方が大きいわけでございますけれども、決して平たんな道ではございませんで、御指摘のように訴訟もありましたし、現在も訴訟が係属中のものもあるわけでございます。
 少し御説明させていただきますと、昭和六十年一月の著作権法の一部改正の施行を経まして創設されましたレンタル権につきまして、昭和六十年の六月に国内のレコード各社とレコードレンタル商組との間で貸与に関する契約が成立したわけでございます。これは一年として定められている許諾権をどう行使するかということについての契約が成立したわけでございますけれども、契約の内容につきましては、発売当日から貸与の許諾はするけれども、新人とか寡作のアーティストのレコードにつきましては発売日の翌々月の月末まで貸与を禁止する、その後に許諾するものとする。しかしながら、契約から一年間は特別料金を上乗せすることでこれらのレコードについても発売当日から貸与を許諾するというふうな契約の内容があったわけでございます。
 しかし、一年たってみましたら、昭和六十一年になりましてその契約の解釈をめぐりまして紛争が発生したわけでございます。レンタル店の方の主張といたしましては、特別料金の支払いによる新人、寡作アーティストのレコードの貸与についての取り扱いは一年を経過した後も更新されるという暗黙の合意があったではないかという主張でございますし、レコード会社の方の主張は、その取り決めは一年限りであって昭和六十一年六月からは廃止されるものであるというふうな解釈をとったわけでございます。これが紛争にまで発展いたしまして訴訟が行われて、レコード会社からしンタル業者を相手にしたレコードの貸与禁止の仮処分申請などが行われておりまして、現在四件が係属中であるわけでございます。
 一方で、これらの訴訟と並行いたしまして昭和六十二年より両者の間で話し合いが続けられておりまして、昨年末に貸しレコードにかかわります新たなルールが構築されたわけでございます。これは、今後段階的に貸与の禁止期間を設けていくということで合意されたものでございます。この合意によりまして、係属中の案件につきましては近々和解の運びになるというふうに聞いているところでございます。
 今回の一連の経緯をたどりまして、円滑な国内のレンタル関係の秩序は形成されているものと考えられます。特にJASRAC、芸団協とレンタル業界との関係は極めて円滑でございますし、今説明しましたようにレコード協会とは若干の紛争があったわけでございますが、円満解決によりまして新しい秩序が形成されつつあるというところでございます。
○粕谷照美君 円満解決であると言われましたので安心しているんですけれども、本当に円満解決なのかどうか、ここのところが心配になるわけですね。本当に円満解決が国内でできないでいて、この法律が通ることによって今度は相手が外国になるわけですから、しかももう訴訟、訴訟、訴訟の連続をやっているアメリカを相手にして行われる内容でございますので、この辺のところはきちんと、どのような形でかわかりませんけれども、合意ができたあるいはできるという認識を文化庁としてはお持ちでございますか。
○政府委員(遠山敦子君) 確かに先生のおっしゃいますように、国内の秩序そのものがまず円滑に遂行されているその土俵がありませんと、外国のレコード会社等との関係におきまして混乱が生ずるわけでございます。特に、今回の法改正によりまして外国の権利者に対するレンタル権を認めて付与していくわけでございますけれども、将来のことにつきましては私どもといたしましてもできるだけの指導、助言をしたいと考えておりますし、それより前に、日本のレコードの各社におきましても、今回の法改正が成立いたしましたら日本の制度の内容につきまして外国の権利者等に説明をしたり、あるいは合意の形成につきまして努力をする方針であるというふうに聞いているわけでございまして、まだ今後のことではございますけれども、関係者の努力と、私どもも及ばずながらその方向につきまして関心を持っていくつもりでございまして、その関係の合意の形成についても将来的に適切な解決が図られるものと期待をしているところでございます。
○粕谷照美君 アメリカは、著作隣接権条約に加入をしていませんね、レコード保護条約には加入をしておりますが。我が国はどちらにも加入をしている。ここのところで、この法律が通ることによって何か問題は起きませんですか。
○政府委員(遠山敦子君) アメリカの著作権に関する法体系はやや特異なところがございまして、レコード保護条約は、むしろアメリカが主張いたしましてレコード保護条約というものを作成したという経緯があるわけでございますけれども、一方で著作隣接権条約につきましてはまだ加入をしていないわけでございます。今回、外国の実演家あるいはレコード製作者に対してレンタル権を付与するということになりますと、アメリカのレコード業者に対しましては、レコード保護条約というチャンネルを通じまして日本側もアメリカのレコード製作者の権利を認め使用料を支払っていくという形になるわけでございますけれども、実演家の場合には、アメリカは実演家等保護条約に入っていないわけでございますので、日本側のレンタル店がアメリカの実演家の方に使用料を支払うという必要はないわけでございます。
 そのような形で、著作隣接権関係の条約が二つあるわけでございますけれども、その条約にのっかっている権利を保障していくという考え方は、日本の法体系の中でも今回の法改正によっても踏襲されているところでございます。
○粕谷照美君 アメリカのレコード会社、これが貸与権を認める、あるいは報酬請求権といいますか、使用料を認めるというようなことは考えられますか。
○政府委員(遠山敦子君) この問題に関しましては、アメリカとの間でも協議の場がございました際には、日本のレンタル制度というものにつきまして随時説明をしてまいっているところでございますし、国際的な会議の場におきましても日本の立場は説明をしてまいっているところでありまして、国際的にもかなり理解をされているところでございます。
 レンタル権を認めるということにつきましては、アメリカのような国々におきましてはむしろレンタルというような制度を認めないでそれを禁止するというふうな方向に国内の状況がなっているものですから、日本側につきましてもそのような主張をするおそれもあるかと思われるわけでございますけれども、一方で、そうではなくて、レコードレンタルの評価につきましては御承知のとおり大ざっぱに言いまして二つの利点があるわけでございます。
 一つは、レコードレンタルというものを、通じまして若い人たちの層を中心に音楽愛好家のすそ野を拡大していくという効果がございます。そのようなことから、結果的にはレコードの購買者のすそ野も広がるということでございます。二番目には、一定のルールで貸与を許諾することによりまして相当数のレンタル店向けのレコードの売り上げな確保できるということがございます。それによって貸与にかかわる相当の使用料が支払われるということでございます。現在の法律の国内のレコードの貸与権の行使にかかわる状況では、外国のレコード製作者には何らの使用料を支払う根拠もないわけでございますけれども、今回の法改正があればそのような形での使用料を得るというプラス面があるわけでございます。
 そのような観点から、アメリカのレコード業界におきましても日本の実情について既に理解をいたしておりますし、その方向について法律が成立しました後には、日本のレコード各社を通じましてこの問題について合意の形成に向かうものというふうに考えております。
○粕谷照美君 今次長のおっしゃったことは、日本の中では私はもう了解されていると思いますけれども、アメリカのレコード協会の会長さんはそんなふうな態度ではないんじゃないですか。貸与権一年なんというのは絶対にもう認めない、こういう態度ではないのですか。一番恐れているのはそこだと思いますよね、レコードレンタル商組の方々が。
 今、レコードなんて言いましても全部CD。それで、CDとビデオ一緒になった、六千店のうちの五千店までがもう一緒になったお店を経営していると。純粋にCDだけの経営は一千店ぐらいしかないんじゃないか、こんな統計がありますけれども、つぶれてしまうんではないだろうか、私はそういうふうに思わないわけにはまいりません。現にアメリカでも、八四年のアメリカにおきます著作権法改正によりまして、もうレンタル店は壊滅的状況になっているわけでしょう。
 その辺は、そういう認識でよろしいんですか。ちょっと私は甘いのではないかと思います。もしそういうことで向こうの方が、もう一切貸しませんよと。許諾権があります、貸与権があります、こういうことで一年間は絶対貸しませんというこ
とになったならば、これは内外平等どころではなくて逆差別になってしまうのではないか、こんな感じがしますけれども、いかがですか。
○政府委員(遠山敦子君) 御心配の点はよくわかる面もあるわけでございますけれども、私どもといたしましても、これまでもアメリカ側にも制度の説明を随時してまいっておりますし、特に日本のレコード会社からこの件についての事実上の説明はしてまいっているわけでございます。さらには、国際的なレコード、ビデオ等の保護の団体でありますIFPIの会長にも昨年説明してまいったところでございまして、日本の事情は理解していただいているわけでございます。
 もちろん今回の法改正がありました後に、新たな外国との関係の利用の秩序形成に向けて努力が始まるわけでございますけれども、外国のレコード製作者と密接な関係にあります日本のレコード製作者も、国内におきます貸与のルールの維持のために、外国レコードにつきましても国内ルールに準じた内容で権利行使されるように努力をしたいという姿勢のようでございます。その意味では、今後関係者間におきまして日本のレコードレンタルの実態に即した解決が図られるように期待しておりますし、私どもといたしましても必要に応じて指導、助言してまいりたいというふうに考えております。
○粕谷照美君 ぜひ全力を挙げて頑張っていただきたいわけですよね。内外格差が逆格差になったんでは困ると思うんです。
 アメリカは、この実演家等保護条約、まあ隣接権条約、これに入っていないわけで、我が国の実演家がアメリカからの経済的利益を受けられない、こういう状況は心配ありませんでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 著作権制度はそれぞれの国の法制に基づいて形成されているわけでございますが、アメリカが著作隣接権条約に加入していないということは、私どもとしましても問題の一つであろうと考えております。そのようなことから、いろいろな場でアメリカ側に対しまして署作隣接権条約に加入するように、あるいは著作者人格権を認めるようになるように等の申し入れは行っているわけでございます。まあこれは事実上の話でございまして、強制力もないわけでございますけれども。ただ、アメリカ側は著作隣接権条約に入っていないわけでございますので、今回のレンタル権の問題に関しましても、アメリカの実演者に対する使用料支払いということは行われないということで、この相互主義ということは守られるわけでございます。
 いずれにいたしましても、国によって条約の加入状況等は異なるわけでございますが、少なくとも日本につきましては国際的な条約が要請している内容につきまして水準を達成しているということで、国際的な評価を得ているというふうに考えているところでございます。
○粕谷照美君 衆議院の参考人のお話によりますと、阿部さんがこういうことを言っていらっしゃるんですね。
 アメリカが隣接権条約に加入しておるとするならば、そのレコードの保護やそのほか、あるいは実演家の保護につきましても、それほど相互においては支障がない意見の交換ができるだろうと思います。
日本とアメリカの間で、そう支障のない意見が交換できるだろうと思います、と。
 しかし、アメリカの場合においては、こう申すとまたおしかりを受けるかもしれませんが、都合の悪いことには触れないということがございますので、私としましては、向こうの方で入ってくれれば世界的にも調和がとれるのではなかろうかなというふうな感じは率直に持っております。
こういうふうにお話をなさっております。
 私、やっぱり文化庁の方で、アメリカにもぜひ著作隣接権条約に入ってくださいと。そういう意味では日本も、入ったのはついこの間でございますから余り威張れたものではないと思いますけれども、そういう主張をするべきであるというように思いますが、いかがですか。
○政府委員(遠山敦子君) 国対国の立場で主張するのはなかなか配慮を要すべき点もあろうかと思いますが、実際上いろいろな交渉の場あるいは協議の場等におきまして私どもの考え方はこれまでも述べてまいっておりますし、今後とも折に触れていろいろな形でそういう考えを明らかにしてまいりたいと思います。
○粕谷照美君 今度この法律が通りまして、向こう側との使用料のやりとりなどということが大きくなってまいりますと、どうしても専門的に交渉をするというようなシステムが必要になるのではないかと思うのですけれども、その辺は文部省としてはどのように考えておりますか。
○政府委員(遠山敦子君) 外国の実演家、レコード製作者が今回の法改正によりましてどのような形で権利行使することになるのかという点に関しましては、実演家とレコード製作者の種別によりまして対応は異なると存じます。実演家につきましては、国内の実演家団体であります日本芸能実演家団体協議会が、放送二次使用料にかかわります相互協定を結んでおります外国の実演家団体との間で、この貸与に関しましても権利行使の委任について相互の協定化が進められているところでございます。今回、法改正が行われましたときには、この協定に基づきまして日本側の芸団協が内外の実演家の共同窓口となって権利行使が行われることになろうかと存じます。
 それからレコード製作者につきましては、外国レコード製作者と密接な関係にあります個々の日本のレコード製作者が外国のレコード製作者から権利委任を受けまして、国内レコードの場合に準じた方法で権利行使を行う姿勢であります。その場合には、使用料の徴収につきましては日本レコード協会が共同窓口となると考えられるところでございます。
 ということで、仕組み自体は既に国内においてはでき上がっているというふうに考えていいかと思います。
○粕谷照美君 やや時間が足りなくなってしまいましたので、一応この法律の内容については先ほども申し上げましたように賛成でございますから、この辺で質問をやめますが、私どもの方で原案として皆さんのところに配っております附帯決議に関連して、一体今状況がどのようになっているかということについて御質問を申し上げます。
 一つは、複写複製問題についてでございますが、利用料の徴収窓口設定が今二つになっておりますね。著作者・出版者複写権集中処理センターが設立されたわけです。その前には学協会著作権協議会、これが著作権集中処理システム、二つできているんですけれども、払う方にとっては大変ややこしい話でございますね。
 一体、この辺のところの調整は今どの辺まで進んでいるかということとあわせまして、私的録音・録画に対する、この録音・録画の機器機材に対する報酬請求権制度について検討する審議というのは一体どの辺まで進んでおりますか。二つだけ御質問いたします。
○政府委員(遠山敦子君) まず、複写の関係でございますけれども、複写権センターを設立して関係者の共同の窓口といいますか、権利処理の機構をつくろうという動きは前々からあったわけでございます。この複写権センターに関しましては、まだ利用実態の把握あるいは権利の取りまとめなどに困難な面がありまして、設立をされていないところでございますが、昭和六十三年十月に著作者団体、それから出版者団体、学協会の関係者による設立発起人会が発足いたしまして以来、鋭意検討が行われてきているところでございます。
 本来ならば、最初から一本化した形でセンターができ上がるということが望ましかったわけでございますけれども、複写の問題に関しますいろいろな権利者の団体の考え方がございまして、昨年には学協会と出版者団体におきまして、関係する権利の集中化をさらに進めるために、それぞれ学協会著作権協議会と出版者著作権協議会を発足させたところでございます。
 ただ、こうしたばらばらな形で今後ともいくということにつきましては、国内の権利処理につきましても十分な対応ができませんし、利用者にとりましても煩瑣なことでございます。さらには外国の出版者等あるいはコピーをする人たちにとっての窓口としましても十分な対応ができないわけでございまして、そのようなことから、できるだけ早く一本化するということを目標にしていただく必要があるわけでございます。
 そのようなことから、ことしの四月一日には著作者団体と出版者団体が著作者・出版者複写権集中処理センターというものを発足いたしまして、所要の準備を行っているところでございます。この関係者の間におきまして、ことしの夏を目途に日本複写権センターを設立する方向での合意が既に形成されているところでありまして、目下精力的に検討、協議が行われているところでございます。私どもといたしましても、その方向に向けましてできるだけの指導、助言をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 さらに、私的録音・録画の問題につきましては、これは御存じのように大変長い経緯がございます。るる御説明いたしますと時間をとりますので結論だけ申し上げさせていただきますけれども、著作権審議会では、最近のものといたしましては昭和六十二年の八月に第十小委員会を設立して鋭意検討を進めているところでございます。そこに置かれました小委員会におきまして、制度の内容等につきまして今御検討が進んでおります。
 ただ、この制度の導入に関しましては、利用者の理解あるいはメーカーの理解が不可欠なところでございます。現在、メーカーといたしましては、経済的不利益の実態がわからない、あるいは国際的動向でもまだコンセンサスを得ていない等の理由から、報酬請求権の導入につきましては強い反対を示しているところでございます。
 私どもとしましては、しかしながらこの問題の解決に向けまして、できるだけの関係者の理解が深まるよう配慮しながら、一方で法制度の必要な議論は審議を尽くしていくという姿勢で現在も対応しているところでございます。
○粕谷照美君 御検討を期待して、質問を終わります。
○針生雄吉君 我が国は、経済力では国際的には一流であるけれども、政治はもちろんのこと国民生活のレベル、文化水準、教育水準、そういったものは国際的には三流であると、こう言われ続けておりますけれども、まことに残念なことであります。
 本当の文化というのは何かという、そういう論点でいえば、国家的な保護とか権力のバックアップがなくとも、国民大衆の支持を受けて力強く発展する底力を持った文化こそが真の文化であるということも真実の一面であると思いますけれども、国際的にも問題になりやすいことでもありますし、また我が国の国民性として、形のないものは尊敬しない、形のないものには金を出さないという、いわゆる無体財産権と言われる権利も社会的に認知されていないという傾向があることも事実であるわけであります。ここに文化立国、教育立国を標榜している我が国の文化教育政策の重要性もあると思うわけであります。
 このような意味におきまして、著作権が適正に保護されているか否かはまさにその国の文化水準を示すバロメーターでもあり、国際的には文明国であるかどうかのパスポートでもあると言われているわけであります。私なども学生時代などには海賊版の恩恵をこうむった、かつての著作権後進国日本の恩恵をこうむった一人でありますけれども。
 そこで、大臣に所見をお聞きしたいのでありますが、欧米の文化先進国においては、いずれも著作権制度の整備充実を文化交流のための最重要施策として推進しているわけでありますけれども、我が国としての対応はどうか。そういう点につきましてお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) 私は、学校教育におきましても他人の権利を尊重する必要性、これはもう大事であろうと思います。そういう中で、先ほどお話がありましたが、やはり小学校、中学校では無理でございますので、高等学校の中で今度それを取り入れようということであります。
 各種技術の発達に伴いまして、著作権制度の対応を必要とする問題が非常に生じる場合があります。制度の改善に当たりましては、社会的実態や利用者の立場も配慮しつつ、慎重な検討を必要とする側面がある、これをひとつ御理解願いたいと思います。
 今まで、高等学校におきましては商業あるいは工業の専門科の中で取り扱っていたわけでありますが、今度は高等学校の公民科の中でも行う、こういうことでありますから、私どもはこのような事情を踏まえて、必要な準備の整った案件から順次制度改正をお願いしてまいりたい。そういうことで今、国民一人一人にもわかっていただく。
 今後とも、時期を失することなく積極的にこの新しい事態に対応して適切な措置を講じたい、このように感じておるわけであります。
○針生雄吉君 次に、我が国の著作権制度の国際的水準の問題につきましては既に先ほど討議のあったところでありますので、私からはお聞きしないことにいたしまして、今回の法改正では著作隣接権の保護期間が三十年から五十年に延長されます。特許権が十五年で、新薬の製造特許が二、三年だとか。私は、著作隣接権の保護は五十年ぐらいで妥当なのではないかと、こう思うのでありますが、ここで、今回の法改正とは直接関係はないのでございますけれども、著作権の保護期間についてお尋ねをしたいと思います。
 法第五十一条の二項では、著作権は「著作者の死後五十年を経過するまでの間、存続する。」ということでありますけれども、著作権の場合なぜ五十年なのか。なぜ百年でないのか、なぜ二千年でないのか。法五十一条のために泣いている人がいるということを耳にしましたので、また、先ほどの相談の窓口などにはそういった訴えはないのかどうか。そういうことも含めまして、この機会に参考までにお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) 大変興味深い御質問でございます。
 日本は、昭和四十六年の現行著作権法の制定時に著作権の保護期間を死後三十年から五十年に延長したわけでございます。これは改正時におきまして、当時のベルヌ条約ブラッセル改正条約というものが死後五十年の基準を義務づけていたわけでございますし、既に先進国の多くが死後五十年以上の保護期間を設けていたという背景がございます。
 ベルヌ条約、現在死後五十年という著作権の保護期間を定めているわけでございますが、これは一九〇八年になりましてベルリン改正条約において望ましい基準として定められたものでございます。ベルヌ条約は一八八六年に創設されておりますが、当時は三十年であったわけでございます。
 それでは、この死後五十年の期間というのはどういうことかということでございますが、御存じのように著作権の保護期間を考えるに際しましては、著作者の権利とそれから文化遺産である著作物を自由に利用できるということの二つの要請がありまして、それらの要請の調整をとって定められるものであるわけでございます。
 私どもの聞いておりますところでは、著作権は著作者とその孫までの三世代の平均的な生存期間ということでございまして、著作者はもちろん生存期間中は保護されるわけでございますけれども、その子供、その孫、大体一世代二十五年ということで五十年という、孫の代までの五十年というのが適当であろうかというふうなことも背後にありまして五十年という数が定められているようでございまして、二千年にまではなかなか及ばないということでございます。
 現在では、死後五十年の保護期間は一九四八年のブラッセルの改正条約におきましてベルヌ条約加盟国の義務として定められているところでございます。
○針生雄吉君 時間もありませんので、最後に、先ほども問題になっておりました私的録音・録画問題についてお尋ねしたいと思うんであります。
 法三十条の規定が、いわば著作権法の抜け穴となって私的録音・録画のコントロールがきかない、あるいは著作権審議会や国会の文教委員会などでも、長年にわたって何回も検討されてきたけれども決着がつきかねない問題であるとも言われているわけでありますけれども、そのいわばドイツ方式と言われるものの中で、権利者への報酬を上乗せする報酬請求権制度というのが今のところさしあたって最も妥当ではないかとも言われているわけでありますが、そのドイツ方式の場合の問題点として、それを日本に当てはめた場合に、どうしても機器機材のメーカー側の理解が得られないというのが最大の問題点だと言われている。そういった日本における特殊事情としてレコード会社の支配系列といいますか、その資本系列の上に電気屋さんがいるというような、そういう問題はないのでありましょうか。その点、差し支えなかったらお答え願いたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) ドイツやフランス等でとられております報酬請求権制度を日本にも導入すべしというのは、著作権者等の側からつとに主張されているところでございます。この問題の解決に際しましては、メーカーの理解、協力というものが不可欠であるということは先ほどもお話ししたとおりでございますけれども、そのネックにあるのが、今おっしゃったような、日本のレコード会社が親会社として機器メーカーを持っているということが決定的な理由かということでございますけれども、これは必ずしも日本の特殊事情ではございませんで、欧米の先進国におきましてもそのような形でのメーカーとレコード会社との関係がある国もあるわけでございます。
 それよりは、一般的に機器・機材のメーカーの理解と、それから消費者側の理解というものが不可欠であるわけでございまして、この点につきまして私どもといたしましてもさらに今後努力を重ねてまいる所存でございます。
○針生雄吉君 録音・録画機器の普及状況について、お調べになっているとは思いますけれども、各家庭にもう一〇〇%近く普及しているわけでありますし、あるいはまた生テープにそういった報酬の上乗せをするという制度もあると聞いております。
 いずれにいたしましても、規制を強化すれば国民の文化創造に対するアクティビティーが失われがちになる。しかし、緩めればいろいろなそういう産業に対する保護というものが、保護の力が薄れて困った状況になるという、両者相反する問題点もあると思いますけれども、その点よく両者の意見を聞きながら、また国会、委員会の意見なども国民の意見としてよく聞きながら、よりよい方向を求めていくように今後ともかじ取りをお願いしたいと思います。
 以上をもちまして終わります。
○高崎裕子君 今回の改定は、関係者が長年要望していたところであり、評価できると思うんですけれども、まだ問題が残されております。
 その一つは、著作権法では、映画の著作物において録音され録画された実演については、以後の録音権、録画権、放送権、有線送信権が適用されなくなっております。このため、法律上の権利がないという理由で、出演者の権利は全く顧みられないというようなことが実情になっておりまして、前回の参考人質問でもこの必要性が強調されていたと思います。これは、出演契約で利益を守るというふうに御説明されているわけですけれども、実際問題としては非常に困難なわけです。特に、過去の映画の場合、現在のようなメディアの発達とか利用を予測するということは不可能と言ってもよかったわけです。この映画の多様な使用の現状は、著作権法上あるいは契約法上いろいろな問題を生じているわけで、こういうときだからこそ法制度上の問題として取り上げられ、実態的な利益の確保が図られるように、早急に対応を進めるべきだと思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 映画の著作物に対する実演家の権利につきましては、映画に出演した実演家は当初の出演料は受け取ることができるわけですけれども、一般的には当該映画の再放送などの二次的な使用につきましては権利が認められていないところでございます。映画の二次的な利用に関しましては、映画製作者を初めといたしまして、脚本家とかあるいは映画音楽の作曲家などにつきましては権利が認められているわけでございますが、実演家のみならず映画監督などにも権利が認められていないところでございます。
 この問題がこういう状況にある理由といたしましては、実演家の出演契約に際しまして、映画製作者に対して所要の要求を行う機会があるというのが一点と、映画には多数の実演家が参加していて、それらすべてに権利行使の機会を与えますと、円滑な映画の利用が困難になるということなどの理由から実演家には権利が認められていないものでございます。
 この取り扱いは日本だけではございませんで、実演家等保護条約の取り扱いも含めまして、国際的にも同様の取り扱いになっているわけでございます。したがいまして、欧米諸国におきましても制度上の保障はないわけでございますけれども、これらの国々では実演家は実質的に契約交渉による努力を行っておりまして、二次使用料についての権利を確保できる状況にあると聞いているところでございます。日本におきましても、最近関係者間におきまして、ごく一部の権利に関するものでございますけれども、契約による改善努力がなされている例も見られるようになってきているわけでございます。
 著作権制度は、基本的には国際的な枠組みの中で保護されていくということもやはり基本条件として必要であるわけでございます。実演家の権利の取り扱いにつきましては、各国において長年定した取り扱いになっておりまして、その制度自体をどうしていくかということになりますと、権利の取り扱い全体とも関係する問題でございまして、十分慎重な検討を要するものでございます。
 ただ、私どもといたしましては、実演家が日本の文化の創造、発展に果たす役割は大変重要なものがあると考えておりまして、この問題についても関心を持っているところでございます。まずは関係者間の契約に基づく改善努力というふうなものを助けていくということと同時に、今後必要に応じまして著作権審議会等で御議論いただきたいというふうに考えております。
○高崎裕子君 ぜひ前向きに検討していただきたいということを御要望しまして、きょうはアニメーション製作現場の実態と改善についてお尋ねいたします。
 アフレコの場合、通常は絵を完成させてフィルムにしてそれを映写しながらせりふや効果音を入れるわけです。ところが、最近のアニメ業界は、人手不足のためにアフレコまでに絵が完成しないという場合がほとんどで、良心的な声優や製作現場の人たちが苦しんでいるのが実情なんです。
 大臣は、白味、線取り、線画録音という言葉を御存じでしょうか。白味、線取りというのは、絵が全く間に合わない、だから何にも映っていないフィルム、これを白味と言うんですけれども、このフィルムに例えばA役は青、B役は赤と線だけが書いてある。その線を見ながら声優がせりふを言う。それから線画録音というのは、画面に動かない線だけの絵が映って、そしてそのせりふの吹き出しマークがついて、そのマークが映るとそこでそのキャラクターのせりふを入れるということなんです。
 声優の第一人者の野沢雅子さん、これは子供がよく知っている「ドラゴンボール」の悟空とか「ゲゲゲの鬼太郎」の鬼太郎の声の人なんですけれども、こうおっしゃっているんですね。「最近の状況というのはもう最悪の状態であります。」「アニメーションというのは命を与えているんだってことなんです。」「完壁にできた絵に対して自分の技量のなさで出た結果ならばこれは仕方がないと思うけど、役者って、表情に合わせ、その動きに合わせ、距離感に合わせて、それでその役柄に入り込んでって初めて命を与えているわけですよ。」
「命を与えてひとつの役柄が生きて、お子さんの中に夢を与えていくのに、その作業をするときに、白味とか、なんにも絵がない状態でやるっていうのは、良い作品なんか絶対できっこないと思うんです。」と、こうおっしゃっているんですけれども、なぜこういう状況が生まれているのかということについてどう認識されているでしょうか。
○国務大臣(井上裕君) アニメというのは私も見たことはございますが、大変失礼ですけれども、そこまでは勉強しておりません。
○高崎裕子君 なぜこのような状況が生まれているのかというと、第一には、人手不足の中で量産されると。製作スタッフの人数は二十年前とほとんど変わらないのに、テレビ番組が二十年前の四倍から五倍にふえている。
 第二には、製作費の異常な安さ。労働者の長・間労働と低賃金で人が集まらないという問題があるんです。これは、ある有名なアニメの大手プロダクションが就職情報誌に求人広告を出そうとしたんです。これまでは出来高払いであるが、それではなくて固定給制度を導入しましたよと。つまり、安定しているということを強調したいということでそう出したんですけれども、雑誌社側から拒否されたんです。その理由が、アニメプロの提示した固定給が月給九万円ということで、東京都の最低賃金基準にも合わないから出せないという笑えない現実もある。
 それから、一本三十分物なんですけれども、労働者の平均賃金で計算すると、製作費は二千三百万ぐらいかかるはずなんですが、現実には六百万から七百万ということで、労働者の賃金や労働条件にしわ寄せが来ている。二年半勤めた二十六歳の方で、一カ月二十六日勤務、一日平均労働時間が十三・四時間、残業が百四十一時間。これで一カ月八万円という給料なんです。
 それから第三には、放送番組の企画、製作、決定が非常におくれる。よい仕事をするためには六カ月必要なのに、実際には二カ月前に発注される。普通は、三十分物のテレビアニメでは四千枚の動画が必要で、これには約二百人の関係スタッフが約三カ月かけてようやく完成すると言われる。これでは子供たちに夢を与えるような立派なアニメはできないとプロダクションの経営者側も製作者側の方も異口同音に嘆いていらっしゃるわけですね。
 この状況については、先ごろ郵政大臣に日本俳優連合が実情改善を訴える陳情を出しました。新聞報道では四月十九日付の朝日ですけれども、在京の各テレビ局がアニメの声優のギャラを二倍にするということで合意したという動きも見られるわけですが、放送事業者を指導、監督する立場の郵政省としては、このような問題をどう認識されていらっしゃいますでしょうか。
○説明員(長澤幸一郎君) アニメーションの製作の現状ということにつきましては、今先生からお話ございましたように、日本俳優連合というところから陳情を省としても受けました。その内容も十分私ども承知をしております。また、その陳情の後、民放等と話し合いを行ったということでございまして、その結果ということについても御報告をいただいております。それによりますと、陳情された方々の御要望というものにつきましては進展があったというふうに伺ったところでございます。
 郵政省といたしましては、放送番組の質の向上、ちょっとかたい言葉になりますけれども、そういう問題につきましては従来から放送事業の皆様に機会をとらえて求めてきております。今回の陳情ということにつきましても、その内容については既に放送事業者に伝えておりますし、私どもとしては放送事業者において、アニメーションを含めてよりよい放送番組をつくっていくということのために、これらに携わる方々の処遇というようなことにも配意しつつ番組の質の向上に努めて、国民の期待にこたえてほしいという考えでおるところでございます。
○高崎裕子君 ぜひ関係者の方の御要望にこたえていただけますようにお願いをいたしまして、最後に大臣にお伺いします。
 事は文化、芸術に関する重大な問題だと。関係者の方は、このままではアニメはなくなってしまうという声さえ聞こえるようになっております。他方、テレビ会社というのはこれまでにないほどの利益、大もうけと言っていい利益を得ておりまして、民放在京五社で平成元年度およそ七百億円の経常利益を上げている。動画製作の一九請会社もアニメキャラクターの商品化、ビデオ化、海外番組販売などで非常にもうけている。やる気があれば改善できる条件はあるわけです。しかも、少なくない数のアニメが諸外国、例えばアメリカとかフランスとかイランだとかアジア諸国にも輸出をされていて、内容によっては文化摩擦なども起こしかねないという問題もあるわけです。
 文部省としても、アニメ作品のできばえが向上し、より質の高い作品ができるよう、子供たちが夢を持ち続けることができるよう、条件整備にぜひ努力をしていただきたいと思うのですが、その決意も含めてお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(井上裕君) 芸術作品活動の奨励あるいはまた若手芸術家の養成、これは行っております。また、芸術文化振興基金、これを通してテレビ用のアニメーション映画を含む映画製作者に対する助成も現在いたしております。アニメーション製作にかかわる労働条件あるいはまた労働環境の改善につきましては、基本的にはやはり私は契約当事者間で解決すべき問題であろう、このように思います。
 私どもといたしましても、今後とも各種の芸術振興を通じまして、アニメ製作現場の改善が図られることを期待いたしております。
○高崎裕子君 ありがとうございました。
○笹野貞子君 私は、罰則のことについて二、三お伺いをいたしたいと思います。
 先ほどの議論にもありましたように、日本はまさにコピー文化と言われるぐらい、人の権利あるいは形のないものをまねをすることに対する罪悪感がないという、こういう土壌を踏まえながら今回の改正を見ますと、科刑のこと、刑を科することについての改正というのはそのままになっております。一般的な著作権の侵害は三年以下の懲^または百万円以下の罰金ということですが、今度の外国リプレス盤の無断複製については、従来から禁止されていた国内リプレス盤の無断複製と同じように一年以下の懲役または三十万円以下の罰金とされたままです。
 刑罰の重さによってそういう犯罪を防げるかどうかというのは、これは非常に大きな問題点で、以前より法律的には大変議論の多いところですけれども、しかし今言ったように、コピー文化あるいは人の権利を無断で使うことの意識が希薄な日本の現状においては、やはりもうちょっと考えなければいけないんじゃないかなというような感じが私はいたします。そして、ブランドをまねて経済的利益を得るような、そういう著作権侵害に今非常に日本の国はなっておりますし、それが国際的な問題になっている。そういうときには、この刑罰も国際的なバランスをやっぱりとる必要があるというふうに私は思います。
 そこでお聞きをしますけれども、私はこれはどこまで信憑性があるかどうかちょっと不安なんですが、聞くところによりますとフランスでは三カ月以上から二年以下の禁錮または六千フラン以上十二万フラン以下の罰金ということを聞きました。日本円に直しますと十七万円以上から約三百三十万円以下ということに換算するとなるんでしょうか。そこで、諸外国の罰則規定はどのようになっているのか。そして国際上、日本のこの量刑というものはバランスがとれているのかどうか、お聞きいたします。
○政府委員(遠山敦子君) 日本の場合、著作権侵害の罪は御指摘のように三年以下の懲役または百万円以下の罰金ということになってございます。他国の法制はいかんということでございますが、フランスの場合は二年以下の懲役または十二万フラン、約三百二十万円以下の罰金となってございます。イギリスは二年以下の禁錮または罰金刑、
アメリカは五年以下の禁錮または二十五万ドル、三千四百万円以下の罰金となってございます。そのように、各国先進国の罰金の刑罰の上限は日本りは高いわけでございますが、罰金刑につきましてはその額の多い少ないによりまして余り軽重を判断できないというふうに考えております。
 日本の著作権侵害の罪に対します罰金額は、物価の上昇等を勘案いたしまして、さらには特許権等の他の知的所有権侵害事犯との均衡も考慮いたしましてでき上がっているところでございます。特許権、商標権の侵害では五年以下の懲役または五十万円以下の罰金となってございますし、意匠権侵害では三年以下の懲役または三十万円以下の罰金となってございます。
 今回の法改正に当たりましても、罰金の額に関しましては法務省当局とも十分打ち合わせをしてまいっているところでございますが、全般に、レンタルの関連につきまして昭和五十九年の法改正によりまして従前の三十万円から百万円に引き上げが行われたところでございます。今後とも社会経済状況の推移をかんがみながら見直しを行ってまいることとなろうと思いますが、社会的な制裁ということから考えますと、金額にかかわらずやはり罰金刑というのは重いと思われます。履歴事項にもかかわることでございますし、この罰金刑が科されるということ自体がやはり著作権関連の権利を守るということについて一つの保障の役割を果たしているというふうに考えるところでございます。コピー文化が発達している日本で一体どうかということでございますが、この著作権の問題だけ跳びはねてとりわけ高い金額の罰金刑を科することはできない状況にございますので、御説明させていただきました。
○笹野貞子君 今お聞きしますと、やっぱり諸外国は、人の権利を勝手に拝借するということに罪悪感を持たせるという意味では非常に高い罰金刑を科しているということがわかります。日本は経済大国なわけですから、ほかの量刑とのかかわりもあるでしょうけれども、やはり無断でコピーして三十万以下というのはいかにも私は安いように思います。私も、庶民感覚として、アメリカのように四百万円取られると、これはちょっと痛いからやめようと思うんですが、三十万円ぐらいでしたら、見つかったらそれまでというそういう気持ちになるわけですから、その点もやっぱりこれから文化を守る上には総合的にそういう考え方をとっていただかなければいけないというふうに思いますね。その点もどうぞこれからの問題点にしていただきたいと思います。
 その次は、この罰則が親告罪であるということに対してひとつお伺いをいたしたいと思います。
 つまり、こういう著作権という問題、そして今度の改正、隣接権の問題というのは、日本がこれから国際社会の中において高い文化を持っているということで諸外国に評価をされなければいけない一面があります。そういうときに、無断複製の禁止をしている罰則が親告罪となっております。
 この親告罪というのは、どういうときに日本の刑罰で親告罪とするかというと、二つの理由がありまして、一つは強姦罪などのように相手に非常に名誉を守らなければならないときとか、あるいは過失傷害のような場合に、非常に罪が小さい場合には被害者の意思を聞くという、その二つの観点から親告罪というのは成り立っているというふうに思います。ところが今回のこの法律においては、この二つのどちらに係るのかちょっと私は理解困難なように考えています。
 そこで、今回のこの罰則は一体どうして親告罪にしなければいけないのか、親告罪にするということはどのように保護がされるのか、その点をお聞かせください。
○政府委員(遠山敦子君) 親告罪は、検察官が公訴を提起するに際しまして、被害者その他法廷の告訴権者の告訴を必要とする犯罪となっておりまして、親告罪は保護法益が公益性が高い場合などについて適用されているところでございます。
 著作権侵害の罪につきましては、特許権などの工業所有権の場合と同じように保護法益が個人的でございまして、法律によって初めて犯罪とされるものでございます。その権利の性格からしまして、常に加害者を罰するというのは適当ではなく、その行為の処罰の当否につきまして被害者である権利者の意思に係らしめるのが適当であるという判断に基づいておりまして、旧法時代から親告罪となっているところでございます。
 著作権法におきましては、百十九条、これは著作権関連の一般的な権利についての条項でございますが、その百十九条に定めている権利、それから第百二十一条第二号の罪、今御審議いただいております改正にかかわる条項でございますが、この罪が親告罪とされているところでございますけれども、この後者の罪につきましては、この規定の趣旨が著作隣接権の補完的な役割を果たすという意味がございますので、著作隣接権侵害の罪が親告罪であるということが既に百十九条で規定されておりますので、それとの均衡上この規定の罪も親告罪となったものであるわけでございます。
 このたびの改正によりまして、これまで国内の関係者だけに適用されてきたこの罰則規定はその保護対象を外国のリプレッサーに拡大することとしているわけでございますが、この規定の趣旨が変わるものでございませんので、現行法規と同様に親告罪とすることが適当であるというふうに考えたところでございます。
○笹野貞子君 時間がないので、本当はもっとお聞きしたいところですが、今の御説明によると被害者にイニシアチブをとらせる、それが保護法規だというのでしたら、今度の改正では外国のリプレッサーにそのイニシアチブをとらせるというわけですが、それは現実に可能かどうか非常に私は疑問ですね。日本にいるんでしたら調べたりそういうことの被害に遭っているということがわかるんですが、どうして外国のレコード会社あるいはそういう人方に、日本でそのようなことが侵害されているのをどのように調べどのように告訴するかということは、非常にこれは実効性のない問題だというふうに思います。その点いかがお考えですか。
○政府委員(遠山敦子君) 告訴権は被害者に与えられているわけでございまして、改正後のこの規定に違反する場合には、無断複製されました市販レコードを製造したリプレッサーが直接の被害者として告訴権を持つわけでございます。外国の場合は、外国のレコード製作者が被害を受けるわけでございますので、告訴権を持つけれども、じゃどうやって行使するのかというのがお尋ねの点だと思いますけれども、日本の国内におきまして輸入盤の無断複製等が行われました場合に、外国リプレッサーが日本において告訴を行うということは、通常ではなかなか困難であるわけでございます。
 現実的な方策といたしましては、外国のリプレッサーから国内の関係するリプレッサーに告訴権の行使を委任するという方法がございます。これによりましてその権利行使がなされていくものと考えられるわけでございます。レコード製作者同士、日常的に外国と日本のレコード会社とリプレッサー同士のつながりがございますので、委任を受ける関係というのもある程度スムーズに進むのではないかというふうに考えております。
○笹野貞子君 時間がありませんので、どうぞ国際的な信用をしっかり保つように努力をいただきまして、私の質問を終わります。
○小西博行君 きょうは、四つぐらい質問をさせていただきたいと思ったんですが、同僚の議員の方から相当質問が出まして、簡潔に答えていただいたらいいと思います。
 作詞家だとか作曲家が持つ著作権について、国内あるいは国外を問わずレンタル権が認められているのに、歌手とかレコードの製作者が持つ著作隣接権、これまでなぜ放置されていたのかという実質的な意味が、まず第一点でございます。
 それから、さっきの三十年が五十年というのも、なるほど三代にという話でありますけれども、これもこの間もちょっと参考人にお聞きしたんですが、特許法なんかとの関係で、ほかのこれに類
するようなものとの比較においてどうなのか、これが二点目です。先ほどの繰り返しであればもう結構であります。
 三点目は、今度の法の改正というのはやっぱり特にアメリカの要請にこたえると、そういうような感じがするし、そのようにも言われております。さて、このように改正をいたしますと、世界の中で大体十分であるというふうに考えていいのかどうか。もし世界の例がありましたら教えていただきたいというように思います。
 最後の質問は、文部大臣にぜひお聞きしたいんですけれども、日本人はかなり権利ばかり主張して、責任ということを余り議論しないというふうに私は理解をしておるんですが、ここでいいますと、やっぱり権利意識も弱い。そのかわり今度は権利について割合、特に他人の権利については鈍感である、このようにもまた言われるわけであります。その辺のところが今後の大きな問題になってくるんじゃないだろうかというように思いまして、先ほど同僚の議員の方からは教育も一つ大事だというようなお話もございますが、どういう分野でこれからどのようにやれば、文部省の管轄でも構いません、これは教育ということになるのかもしれませんが、こういう権利という問題をどうやったらみんなに認識されるんだろうか。複製物というのはこれからもどんどん出てくるだろうと思うし、ちょっとそういう感じがするので、最後のは文部大臣にお尋ねして、お願いしたいと思います。
○政府委員(遠山敦子君) レコードのレンタルに関する権利につきましては、昭和五十九年の法改正で創設されたものでございますけれども、当時、日本はもちろんベルヌ条約に入っていたわけでございまして、ベルヌ条約で定めております内国民待遇の原則というのが働きまして、著作権者についてはその法改正のときに既にこの適用をしたわけでございますけれども、一方で実演家等の権利につきましては、まだその当時は実演家等保護条約に加入していなかったわけでございます。したがいまして、条約上の義務もないというふうなところから、外国の隣接権者については適用しなかったわけでございます。
 その後、昭和六十三年一月に取りまとめられた著作権審議会の第一小委員会の報告におきまして、レンタル権につきましても、条約上の義務ではないけれども、日本で広範に普及しているレコードレンタル店で外国で製造されたレコードも多く貸し出されている実態等を勘案して、実演家あるいはレコード製作者についても外国のものにも貸与権を認めることが適当であるという報告が出されたところでございます。ところが、その当時ではまだ国内の関係者のいろいろな合意形成が十分でありませんでした。今回は、その条件が整いましたので法改正をお願いしているというところでございます。それが第一点でございます。
 第二点の保護期間の延長の件は、先ほど申し上げましたとおりでございますが、一点だけつけ加えさせていただきますと、日本の特許法に基づきます特許権の保護期間は十五年でございます。これは知的所有権の中でもそれぞれの権利の種類によりまして保護期間が違ってまいっているわけでございます。
 それから、最後に大臣にお答えいただくわけでございますが、条約の関連でちょっと御説明したいと思います。
 一国の著作権制度の水準がどこまで達しているかということが文化のバロメーターであるということは、よく言われているとおりでございます。その観点から見ますと、日本は著作権に関する二つの条約にも入っておりますし、あるいは著作隣接権に関する二つの条約にも入っております。四つの条約にきちんと入っていまして、国際的には非常に高い水準にあるわけでございます。大国の中でも、例えばアメリカの場合にはベルヌ条約に入ったのは一昨年でございますし、まだ実演家等保護条約に入っていないというふうな状況もございます。それから、ソ連は万国著作権条約に加入しているのみで、ほかの条約に入っていないというふうなことがございます。それぞれの国のいろいろな内部的な事情もありまして、著作権制度のあり方というのは国々によって違うわけでございますけれども、私どもの考えております著作権制度といいますものは国際的な水準、要請されている水準についてはこれを満たしているというふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(井上裕君) 今先生からお話がございましたが、著作権保護の実効を上げるためには、時代の変化に対応いたしました著作権制度の改善とともに、先ほど申しましたように国民一人一人の著作権の保護の意識を高めることが必要であり、また重要である。そういう観点から、私どもとしてもさまざまな手段を通じてこの意識の啓発に現在努めております。
 また、さっきお答えいたしましたが、学校教育におきましても、他人の権利を尊重する、そういう意味においてもこれは教育が必要である。ただ、義務教育段階では著作権の知的所有権、非常に難しゅうございます。しかし、高等学校の工業科、あるいはまた商業ではこれを教えているわけでありますが、御案内のように今後は高等学校の公民科、普通教科でもこれをぜひひとつ取り扱って、今後著作権の思想の普及を図りたい。
 私ども、今回の改正でいろいろ著作権の国際的保護の充実を図る、こういうことを目的といたしておりまして、このような我が国の姿勢につきましては、私は国際的にも、まあ自己評価かわかりませんが、高い評価を得られるものと、このように考えております。また、保護を実効あらしめるためにも、あわせて著作権思想のさらなる普及に努めてまいりたい、このように考えます。
○小西博行君 終わります。
○委員長(下稲葉耕吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林君。
○小林正君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 外国の実演家等のレコードの貸与に関する権利に関しては、我が国のレコード貸与に関する従来の経緯等に配慮し、円満な利用秩序の維持形成のための諸条件の整備に努めること。
 二 私的録音・録画問題については、国際的動向にかんがみ、録音・録画の機器・機材に係る報酬請求権制度の導入など抜本的解決のための制度的対応について検討を進めること。
 三 衛星放送、有線テレビ、ビデオグラムの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化している等の実態を勘案して、実演家の権利の適切な保護等について検討すること。
 四 複写複製問題については、文献複写に関する著作権の集中的処理体制の確立に努めると
ともに、出版者を保護するため出版物の版面の利用に関する出版者の権利の創設について検討を進めること。
 五 コンピュータ創作物に係る著作権問題については、今後における技術の発達普及に十分対応できるよう配慮しつつ、検討を進めること。
 六 視聴覚障害等の障害者が、公表された著作物を適切公正に利用することができる方途を検討すること。右決議する。
 以上でございます。
○委員長(下稲葉耕吉君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、井上文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。井上文部大臣。
○国務大臣(井上裕君) ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして今後努力をいたしたいと考えております。
○委員長(下稲葉耕吉君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(下稲葉耕吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会