第120回国会 予算委員会 第13号
平成三年四月一日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     狩野 明男君     谷川 寛三君
     田村 秀昭君     片山虎之助君
     平野  清君     合馬  敬君
     宮崎 秀樹君     斎藤 文夫君
     北村 哲男君     本岡 昭次君
     鶴岡  洋君     片上 公人君
     中川 嘉美君     針生 雄吉君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     高崎 裕子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                坂野 重信君
                野沢 太三君
                藤井 孝男君
                宮澤  弘君
                佐藤 三吾君
                角田 義一君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
                吉岡 吉典君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                遠藤  要君
                大島 友治君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                西田 吉宏君
                星野 朋市君
                小川 仁一君
                國弘 正雄君
                瀬谷 英行君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                細谷 昭雄君
                本岡 昭次君
                森  暢子君
                山本 正和君
                吉田 達男君
                片上 公人君
                中西 珠子君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                池田  治君
                足立 良平君
                寺崎 昭久君
                今泉 隆雄君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  左藤  恵君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  井上  裕君
       厚 生 大 臣  下条進一郎君
       農林水産大臣   近藤 元次君
       通商産業大臣   中尾 栄一君
       運 輸 大 臣  村岡 兼造君
       郵 政 大 臣  関谷 勝嗣君
       労 働 大 臣  小里 貞利君
       建 設 大 臣  大塚 雄司君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    吹田  ナ君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  佐々木 満君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       谷  洋一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       越智 通雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       山東 昭子君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  愛知 和男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  西田  司君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        有馬 龍夫君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    弥富啓之助君
       警察庁長官官房
       長        井上 幸彦君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   小山 弘彦君
       総務庁長官官房
       審議官      田中 一昭君
       総務庁長官官房
       会計課長     菊地 徳彌君
       北海道開発庁総
       務監理官     松野 一博君
       北海道開発庁予
       算課長      仁尾  徹君
       防衛庁参事官   上原 祥雄君
       防衛庁長官官房
       長        日吉  章君
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練
       局長       小池 清彦君
       防衛施設庁総務
       部長       箭内慶次郎君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       末木凰太郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     加藤  雅君
       経済企画庁物価
       局長       田中  努君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁原子
       力局長      山本 貞一君
       科学技術庁原子
       力安全局長    村上 健一君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   長田 英機君
       環境庁企画調整
       局地球環境部長  加藤 三郎君
       環境庁自然保護
       局長       伊藤 卓雄君
       沖縄開発庁振興
       局長       水谷 文彦君
       国土庁長官官房
       長        八木橋惇夫君
       国土庁長官官房
       会計課長     森   悠君
       国土庁土地局長  藤原 良一君
       法務大臣官房長  堀田  力君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  濱崎 恭生君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  井嶋 一友君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     濱本 英輔君
       大蔵大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   日高 壮平君
       大蔵省主計局長  保田  博君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       文部大臣官房長  坂元 弘直君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部大臣官房会
       計課長      遠山 耕平君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       菴谷 利夫君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省学術国際
       局長       長谷川慧重君
       文部省体育局長  野崎  弘君
       文化庁次長    遠山 敦子君
       厚生大臣官房総
       務審議官     熊代 昭彦君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       長谷川憲童君
       厚生省保健医療
       局長       寺松  尚君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  小林 康彦君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭
       局長       土井  豊君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       厚生省援護局長  岸本 正裕君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   大西 孝夫君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房予算課長    山本  徹君
       農林水産省経済
       局長       川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    小澤 普照君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   高島  章君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        坂本 吉弘君
       通商産業大臣官
       房審議官     横田 捷宏君
       通商産業大臣官
       房会計課長    林  康夫君
       通商産業省通商
       政策局次長    麻生  渡君
       通商産業省貿易
       局長       堤  富男君
       資源エネルギー
       庁長官      緒方謙二郎君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        向 準一郎君
       中小企業庁長官  高橋 達直君
       運輸大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   井上徹太郎君
       運輸大臣官房会
       計課長      岩田 貞男君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       運輸省港湾局長  御巫 清泰君
       運輸省航空局長  宮本 春樹君
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       郵政大臣官房経
       理部長      吉高 廣邦君
       郵政省通信政策
       局長       白井  太君
       郵政省電気通信
       局長       森本 哲夫君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労政局長  清水 傳雄君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  高橋柵太郎君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設大臣官房会
       計課長      小野 邦久君
       建設省建設経済
       局長       鈴木 政徳君
       建設省都市局長  市川 一朗君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 安彦君
       自治大臣官房審
       議官       二橋 正弘君
       自治省行政局公
       務員部長     滝   実君
       自治省行政局選
       挙部長      吉田 弘正君
       自治省財政局長  小林  実君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    木村  仁君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   金谷 利廣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   説明員
       原子力安全委員
       会委員長     内田 秀雄君
   参考人
       国際協力事業団
       理事       中村 順一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成三年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成三年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、総括質疑を行います。合馬敬君。
○合馬敬君 総理にお伺いいたします。
 近日に迫りました日米首脳会談につきまして、新国際秩序の確立、日米貿易問題等、総理のお考えをお伺いいたしたいわけでございますが、加えまして、有事における我が国の協力のあり方というのが湾岸戦争後の課題として問題になっておると思います。
 イラクの不法侵略によりますクウェートの併合に始まります湾岸戦争が、アメリカを中心といたしました多国籍軍の勝利によりまして、自由主義社会を守る正義の国際秩序が回復されたことは喜ばしいことと考えております。犠牲になられました方々に深く哀悼の意を表する次第でございます。我が国はこの平和回復活動のために、人的貢献は別といたしまして、百三十億ドルに上ります巨額の資金協力を行ったわけでございますが、何分不測の事態でもあり、対応は必ずしも適切ではなかったということも言えようかと思います。歴史は繰り返しますので、今後有事についての我が国の協力のあり方を国民的な合意を得て定めておく必要があるのではないかと考えております。
 私は、例えば自由主義社会に属する主権国家で日本と重大な利害関係があり、平和回復につきまして国連の決議があった、そういった場合には、戦費だあるいは復興対策費だと、そういったものの協力を行うというルールを決めておくことが必要であると考えておりますが、総理の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 日米首脳会談で取り上げられると予想されておりますテーマは、やはり今御指摘になりましたように、湾岸における平和回復活動がアメリカのリーダーシップによって平和が回復された、侵略が排除された、クウェートが解放されたという結果を踏まえて、あの地域にどのような形で恒久の平和を築き上げていくかということと、それに対して日本はどのような角度でどんなことの協力が国際社会とともにできるかということ、それが一つと、もう一つは、日米二国間の間にありますいろいろな経済問題、御承知のSIIのその後の問題について、今も建設の問題とかその他いろいろ話が続いておる面がありますけれども、アメリカ側にもやはりなしてもらうべき項目を要求してありますから、そういったことについての経緯等も聞く。
 あるいは日ソの二国間で懸案となっております北方領土をめぐる平和条約の問題、これはアジア・太平洋の平和の問題ですが、ひいては世界、同時に日本とアメリカとの関係にも大きな影響のある問題でありますから、これらについても考え方を事前にきちっと伝えておこうという気持ちでございます。
 また、最後にお触れになった国連の問題については、私は国際社会の秩序を守っていくということは、やはり力による侵略、そして併合ということを決して今後認めてはならないということでありますし、そのために、国際社会の大義を守るために今度国連の決議があり、多くの国の一致結束した行動があったわけでございます。
 未来に向かって、過去のいろいな御批判のあることは私も厳しくこれは受けとめておりますが、安全保障会議の体制等もきちっと今整備できておりますし、また今回に関してもいろいろな教訓を受けてまいりました。これらのことを踏まえて、将来に向かっては二度とあのようなことがあってはなりませんけれども、そういった場合の危機管理のあり方、日本の国際社会に対する協力のあり方についてただいま鋭意作業を続けておるところであります。成案を得ましたならばまた皆さんにお示しして御審議を願いたい、こう思っております。
○合馬敬君 ありがとうございました。
 もちろん、何よりも戦争が起こらないようにするということが今回の湾岸戦争の課題から見ても大事であるということはわかっております。しかしながら、国内の経済的、社会的な混乱だとか矛盾というものを一国の為政者が戦争によって回避しよう、こういうことは歴史の教えるところでございまして、冷戦構造が崩壊した後、米ソの核抑止力を基軸といたしました冷戦の平和構造というものがなくなった。私は、今後国家間、地域間あるいは民族間の対立というのはかえって激化するおそれさえあるというように考えておる次第でございます。
 パクスアメリカーナと申しまして、世界の警察官としてのアメリカ、そういったようなものがこれからも続くということは、私はこれはよいとは言えない、こう思っております。中東を含めまして国際紛争を生ずるおそれのある地域におきましては、今後日本が積極的に戦争を防止する対策を講じて世界平和を守るための国際秩序の確立に努めるべきであるというように私は考えておる次第でございますが、外務大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 国際紛争もこれからさらに、まだ地域的にいろいろと起こる可能性がございます。そういう中で日本政府としてはやはり国連の機能を強化する、こういったことで、その強化をするためには国連事務総長のもとで国連の中にいわゆる戦争の予防措置というもののためのシステムを強化していくことが必要であるということを私どもは主張いたしておりまして、それには情報の収集とかあるいは事前の対応といったようなものが国連の事務総長のもとで十分機能が発揮されるような制度をこれからつくるべきだということであろうかと考えております。
○合馬敬君 今回の湾岸戦争が与えた教訓の一つでございますが、私は湾岸戦争の最大の責任者と申しますか犯罪者はもちろんサダム・フセインであるということは明らかであると思いますけれども、私はクウェートにおきましても一端のこの責任といいますか、油断といったものがあったのではないか。それによりまして結果として戦争が生じまして、クウェートあるいはイラクの両国民の多くが犠牲となっておるわけでございまして、イラクではまだ内戦も続いておりますし、あるいは環境破壊といったような国際社会に大変な被害を与えておるわけでございます。
 私は、フセインは現実主義者、プラグマチストでございますから、クウェートは簡単に侵略できない、そして一たん侵略を開始した場合にはアメリカなどが本格的に武力を行使する、こう事前にフセインが判断をしておりましたら戦争は行わなかったというように考えております。しかしながら、クウェートはこういったイラクの侵略を予見できなかった。現実に侵略が起こった場合にも抵抗らしい抵抗もしなかった。そういった安全保障体制もなかった。
 もちろん、クウェートはアラブの一員でございますから、イスラエルとの関係でアメリカとの安全保障を結ぶというわけにもいかなかったのでごいましょうが、愛国心も非常に薄かった。あるいは膨大な援助もイラクにさえ百六十億ドルやっておったということでございますし、相当の武力を持っておったわけでございますけれども反撃する意欲もなかった。真の頼りになるような友好国もなかった。そういうことをフセインは見抜いておったからクウェートへの侵略を行ったと私は思うわけでございます。
 我が国はこれを他山の石といたしまして、日本の国土は寸十も侵されない、領海、領空、領土は絶対に守る、そういった意思と能力というもの、そして不法侵略があった場合には断固として手ひどい損害を与える、そういうことを国際社会に知らしめる。また、そのための体制を整備する。こういうことが私は国防の理念であるというように考えておるわけでございます。自衛隊を昨今無用の長物視する人がおるわけでございますけれども、私は、この戦争抑止力、相手に戦争をする気持ちも起こさせない、そういったようなことが自衛隊の本義であるということも考えておりますし、これがまた自衛隊員の自信と誇りでないといけないというように考えております。
 しかしながら、例えば最近の防衛大学の卒業者の任官状況を見てみますと、入学が五百九十一名、そして途中で中退された方が八十五名、任官拒否者が九十四名、その中でも魅力がないと答えておる人が三十二名、私はそういった意味でも非常に憂うべき現象が起こっておるのではないかと思っております。こういう点を含めまして、防衛庁長官の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 今回の湾岸の危機状態からいろいろな教訓が得られたと思いますけれども、その中の一つは、ただいま委員御指摘のように、いかに国が繁栄しておろうとやはりそれを守るという国の安全に対する配慮が大切だということであろうかと思います。
 その安全保障というのは当然外交努力等を通じてなされるものでございますけれども、万一実力による侵略ということが起こりました場合にやはりそれのみによっては対応できない、これも事実であろうかと存じます。そういった意味合いにおきまして、我が国といたしましては従来から、侵略を未然に防止するし、万一起こった場合にはそれに対抗し得るような体制を考えてまいりました。具体的には、御承知のとおり日米安全保障体制、そしてみずから節度ある防衛力を整備していくというこういうことでやってまいったわけでございます。そして現在は、国際情勢の動き等をもずっと勘案しながら、五十一年に策定いたしました大綱の考え方に基づいて整備してまいりました。そして昨年度、平成二年度で終わりました中期防の期間におきまして大体その大綱で考えました防衛力の水準が概成された、こういうことでもございます。
 そういったことでございますので、将来にわたりましては、日米安保体制を堅持すると同時に、一応その大綱の水準に達した防衛力というものをこれからも維持していく、各国の技術水準の動向等も勘案しながら維持していく、こういうことで我が国の安全に遺漏なきを期してまいりたい、このように考えております。
 それと同時に、また委員御指摘になりました国防の任に当たります人間の士気と申しましょうか、そういったものが大切であるということも御指摘のとおりでございます。そういった意味で、先ほど防大卒業生の任官辞退という問題にもお触れになりましたけれども、私は全体として見ますならば、防大の卒業生あるいは自衛官全体といたしましても、日本の安全保障に努力していくんだといった自覚、そうして誇り、士気というものは高い水準が維持されておると思います。
 しかし、昨今のいろんな動きというものが全くそういった面に影響を与えなかったかといえばそういった面も若干あったと思いますが、これは私どもといたしましてもこれからも努力してまいりたい。そして、何よりも国民の皆様方の中で安全保障の重要性、その中で自衛隊というものの存在の意義について適正な位置づけが与えられていることが一番肝要かと存じますので、今後ともそういった面で国会でも御論議いただくということがまた大切なのではないか、このように考えている次第でございます。
○合馬敬君 心強い御答弁、ありがとうございます。
 次に、我が国の防衛力は、先ほどからお話ししましたように、時代の局面に即したものでなければならないというように考えております。この湾岸戦争の勝利というのは、一端はハイテク技術の勝利である、もっとずばり言いますと米ソのハイテク技術の相違である、そういうように言われております。
 中国におきましても、一部では日本の軍国主義化といったものを遠慮がちに批判しながらも、今次湾岸戦争における近代兵器の威力というものにショックを受けまして、さきの第七期の全国人民代表大会で発表されました中国の国防予算を見てみますと、装備の近代化を主体に三百二十五億元、昨年に比較して一二%増でございます。この中国の国防予算は、ベトナム戦争のときが二百二億元で最高であったそうでございますが、それをさらに五割以上も上回る史上最大の軍事予算を組んでおるわけでございます。
 我が国は中期防衛力整備計画、二十二兆七千五百億円と聞いておりますが、一千億円の問題もございますけれども、正面装備というのは五兆一千億円、予方の人件費、糧食が七七・六%ということで、増加の大半は後方支援ということでございます。そういった意味で私は、近代ハイテク戦争にたえるそういった正面装備というものが十分に自信を持って用意できるのかどうか、この点についてもお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
 それから、何よりも戦争防止のための日米安保体制というものがそのようなことから極めて重要であると認識したわけでございますけれども、やはり何といっても、日米安保条約というのはいざというときにはアメリカ人が日本のために血を流すということを約束する条約でございますが、そのためには日本が守るに足る、信頼するに足る国ということがないといけない。そのための自主防衛の意思と能力というものが必要であるということを考えておるわけでございますが、こういう点を含めまして、防衛庁長官の再度の所見をお願いいたします。
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 現在の防衛力、とりわけ装備の面が我が国の国防の任に当たるに十分であるかという点でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、私どもは、平成二年度で終わりました中期防の期間中にほぼ大綱で考えました防衛力の水準を達成してまいりました。それで、これからはそれを維持していくと申しましたけれども、その維持してまいるという観点は、装備の関係から申しますと、各国の技術の水準はいろいろ動いていくだろう、そういったものも十分にらみながら更新そして近代化を図っていく、そうした意味で質的にも現在の防衛力の水準を守ってまいりたい、こういうことでございますので、御指摘でございました今回の湾岸の危機を通じてもハイテク兵器の重要性が非常に際立ってまいりましたけれども、そういった面でも遺漏なきを期してまいりたい、こういうように考えております。
 それから、日米安保体制の堅持が大切であるということは御指摘のとおりでございます。そしてまた、安保条約というのが御指摘のようにある意味では片務的なものである。日本の方は、同盟関係にございます米国の防衛のための任に当たる必要はないわけでございますが、米国の側からは、我が国の安全保障に米国人のいわば汗あるいは命をかけて防衛の任に当たっていただく、こういう体制になっておるわけでございますので、そういった意味でも日米間の信頼関係を大切にしていかなくてはいけないというのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、それは防衛の面だけではなくて、経済、政治あるいは文化、そういったすべての面を含めまして日米のきずなをかたくしてまいりまして、米国の側から見ましても日本というものは大切であり、また防衛のために努力していただくというお気持ちを米国民の方々にも引き続き持っていただくということが肝要かと存じます。その面で我々も努力しなくてはいかぬと思います。
○合馬敬君 次に、財政と外交の関係で大蔵大臣にお尋ねいたしますが、我が国の財政が平成二年度に特例公債への依存体質を脱却いたしまして、平成三年度も特例公債発行をゼロとした。税収の伸びに支えられたとはいえ、国民負担率も平成三年三八・九%で四〇%を割っておる。そういった膨大な財政需要を賄いつつ健全財政を維持したということにつきましては財政当局の御努力を深く多とするわけでございまして、苦心のほどもお伺いいたしたいわけでございますが、今後も高齢化社会に向かって社会保障費あるいは公共投資四百三十兆円とかODAだとか需要はウナギ登りに上っておるわけでございまして、公債発行残高も百六十八兆円程度と、こうなっておるわけでございます。今後も健全財政を貫く大変難しい問題はあると思いますけれども、大蔵大臣の自信と決意のほどをお伺いいたしたいわけでございます。
 ただ、加えまして、先ほどの湾岸戦争の九十億ドルの協力金につきましては、当初すべて増税で賄うということが大変な御苦労で半分程度になったということでございますが、しかし国民は、予備費だとか特別会計だとか、あるいは競馬だとか、何かやりくりすればまだまだ国庫にゆとりがあるんじゃないか、そういったような気持ちも持っておるわけでございまして、これほどの大金の需要というのは一度限りで今後は予定していないと、こういうことかもわかりませんけれども、私はやはりその場限りのしのぎをしたといった感もなきにしもあらずというように考えておるわけでございまして、有事の際に何か適切なタイミングでそういった財源が賄えるような制度というものを考えていく必要がある、こう考えておるわけでございますが、大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員から御指摘を受けましたけれども、逆に結論から申し上げますならば、私は、有事を想定して特定の財源を固定する、あるいは日本の予算制度の中における特殊なファンドを創設する、こういった手法は実態には合わないと考えております。
 その限りで申し上げますならば、二十一世紀に入りまして、超高齢化社会の到来と同時に社会保障関係費あるいは福祉関係の費用というものが非常に大きなものになっていくであろうということは想像にかたくありません。逆に、それを前提にしながら国民生活の質の安定、そしてその質を高めていく努力を今後の十年間に我々は余力のある限りできるだけ払っておくべきだということから、昨年私どもは四百三十兆円の今後十カ年の公共投資の計画というものをスタートさせました。そして、この十年間の公共投資によりまして二十一世紀初頭における日本の国民生活の質を向上させておくことが、超高齢化社会における我々の備えとして機能することを期待いたしております。
 また、一方におきまして、その時代に向かっての高齢者保健福祉推進十カ年戦略を実施していくことにより、受け皿としての福祉の体制をも整備しなければなりません。一方におきまして、今委員が御指摘のように、百六十八兆円に上る国債残高、いかにしてその累増の歯どめをかけ得るか、これがもう一つの大きな我々の課題であります。
 今回湾岸情勢の変化の中で、確かに一時しのぎという御批判は私はその限りにおいてむしろ至当な御指摘と考えておりますが、こうした突発の事態に対し、我々は当初、何としても避けるべき手段として赤字国債、そしてでき得るならば臨時的な国民への御負担をお願いするということを考えましたが、衆参両院の御論議の中からでき得る限りの政府自身の努力を求められましたことにより、委員が今御指摘になりましたように、新中期防期間中における防衛費の一千億を超える一千二億円の削減とともに、その努力の中で、目立たないものでありますけれども、国家公務員の宿舎整備にまで削減を加えながらその財源を捻出したわけであります。我々としてはまさにこれはこの一度限りに終わりにしたい種類の出費であります。
 しかし同時に、こうした事態が今後ともに全く発生しないということは、神ならぬ身だれも予見はできません。しかし、そうした事態が発生をいたしましたときには、やはり外交的にそれが一過性の危機で終わるように全力を挙げて努力をいたしますとともに、そうした負担に対してはやはり臨時対応の措置をとることを国民からお許しをいただかなければならぬと思います。これは経済協力等とは質の異なる問題として私どもは考えていくべきものではなかろうか、基本的にはそのような考え方を持っております。
○合馬敬君 次に、外務大臣にお伺いいたしますが、我が国の外交には顔がない、こう言われていることも事実でございますが、有事の際に日本が何をもって協力をするのか、いま一つここがはっきりしない。平和回復のためと言っても、日本が武力で協力することはできないということはこれははっきりしておるわけでございますけれども、日本は国際社会においてもあくまでも国際紛争を未然に防いで、不幸にして戦争が生じた場合には早急に正義に基づく国際秩序の回復措置をとる、そういった意味での平和外交の理念というものを確立すべきであると思いますが、この点について外務大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 日本の外交に顔がないという御指摘でございますけれども、私は顔はあると認識をいたしております。
 それはどんなことかというと、我々は国家の理想として国際社会の平和をつくるために努力をする、こういうことが一つの大きな国際社会における日本国の外交の柱であります。第二は発展途上国に対する経済協力、これはODAでもってナンバーワンになっているわけであります。第三は、国際紛争というものは異文化の間の摩擦によって起こる可能性が非常に多い、こういうことから国際文化交流ということをいたしております。その次に、最近我々は国連において主張しておりますことは、地球環境を保護するために日本は公害対策の技術と経験を生かして協力をしていくということ。それから、発展途上国の累積債務の解消に日本は協力をする。
 大体この五本の柱が日本の大きな国際外交における柱でありますけれども、今委員御指摘のように、さらに我々は昨年の国連総会におきましても国連事務総長に、紛争の発生を未然に防止するための予防外交措置を強化するべきであるということを提言していることを申させていただきたいと思います。
○合馬敬君 そのような方向でぜひ実現していただきたいと思います。
 私は、そのためには当然ある意味では膨大な財政負担が要ると思うわけでございます。先ほど大蔵大臣の答弁もございましたけれども、私は、従来のODAの範疇に入らない、日本が主体性を持って協力を行うことができる国際平和活動費といいますか基金といいますか、そういったようなものを別個に設けるべきであるというように考えておるわけでございます。そして、これをもって当事国に戦争を防止するため必要なそういった意味での協力を行う。中東に限らず、例えばそういったお金は北方領土の返還問題に関連したソ連の経済協力にも使える、そういったようなものでございます。
 そのための財源というのは、現行の財政の運用で支出するというのがもちろん理想的でございましょうけれども、極めて困難であろうと思います。私はその場合、非常に言いにくいことでありますけれども、新たな国民負担をもっても実現に努めて、今後の日本の国際社会に対する貢献の基本的な柱とすべきであるという意見を持っておりますが、大蔵大臣、もし何か御所見がございますれば一言お願いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員の御指摘の方向は、私も理解できないではありません。しかし、今委員が述べられましたように、その平和外交の理念を実現するためにODAとは別立てに新しい費目を構成するという考え方をとりました場合、既存のODAと線引きの問題が非常に複雑になる。同時にもう一つは、今委員が述べられましたような角度で国際的に貢献をするとなりますと、その性格は非常に多様なものになろうと思います。果たしてそれが各種の経費として一つの概念の中で定義をすることが可能であろうか。実際に新たな費目として構成するということ、それほど容易にそういう費目が作成できるだろうかと考えてみますと、私は相当問題があるのではないかと率直に思います。
 しかし、いずれにしても、日本が国際社会における地位にふさわしい貢献を果たしていく、しかも適切に果たしていくということは重要なことでありますし、今後の予算編成におきましても、真に必要なものについて適切に対処していくという考え方を貫くことには変わりはございません。
○合馬敬君 ありがとうございました。
 次に、高齢化社会の問題でございますが、高齢化社会の急速な到来、日本は一九八五年ですか、六十五歳以上の方が一〇・三%、二〇二〇年にはこれがもう二三・六%と、四人に一人の方が六十五歳以上の御老人になる。これはもうスウェーデンのそのときの予定される二二・八%よりももっと多い世界一の長老国になるわけでございまして、寝たきり老人が百万人になろうか、生活困窮老人もきっとふえるであろう、そういう予測がされておるわけでございます。
 私は、老人が生涯社会生活に参加できる、そして最後は本当に健康なままでぽっくり逝くという社会が一番理想的であると思います。しかしながら、一たんそういった健康を害された場合には、老人がだれでも必要なときには医療福祉施設が利用できる、こういうこともまた必要であろうかと思っております。先般私どもは地元の福岡県医師会の主催で、高齢化社会におきます老人社会の医療のテーマでシンポジウムを開催しましたけれども、大変な好評でございまして、もう近来にない大ヒットと言われたぐらい関心が強いわけでございます。厚生大臣に老人医療福祉対策の基本方針についてお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のとおり急速に高齢化の進展があるわけでありますので、その中で老人の方々が安心して生活できるように、特に医療の問題の手当ても充実していかなきゃなりませんし、介護の面の制度も充実していかなきゃならない、御指摘のとおりでございます。
 そこで、本格的な高齢化社会に向けて国民が健やかで安心して老後生活を送ることができるよう、お年寄りの保健、医療、福祉、各般にわたりまして総合的な施策の充実を図っていくことが重要と考えております。このため、先ほど大蔵大臣が言及されましたように、平成二年度からの高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定し、ホームヘルパーなど在宅福祉の大幅な充実や福祉施設の緊急整備を図るとともに、昨年六月に御承知のように老人福祉法の改正を行いまして、これらの施策を推進する体制の整備を図ったところであります。
 また、お年寄りの健康保持、医療の確保に重要な役割を果たしている老人保健制度につきましても、今おっしゃいましたように増高する医療費その他もございますので、そしてあわせて若い方の負担の問題との権衡もございますので、老人保健制度につきましてその見直しを行い、老人訪問着護制度の創設による総合的な介護体制づくりや、公平な費用負担を通じた制度の長期的安定を図ることといたしているところでございます。
○合馬敬君 時間がありませんので、答弁は簡潔明瞭ならば結構でございます。
 それから、老人病院、老人保健施設、特別養護老人ホーム、在宅医療、そういった体制の整備、これが非常に大事であると思っております。それぞれの機能が十分発揮できるようになっておるかどうか。そして、地域によってこれらの施設のニーズというものが違うわけでございます。老人の自由選択によってこの施設を使いたい、こういったような地域医療計画が適切に定められてこれを実施する必要がある、私はこういうように考えておりますが、その点についていかがか。
 病気にならないように保健施設の機能を強化するとかあるいは予防医学の充実だとか、あるいは一たん病院に入りましても早期リハビリを徹底して寝たきり老人にならない、そういったような体制というのを整備する必要があると思いますけれども、この点についてお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) 対策はいろいろあるわけでございますが、いろいろのお尋ねでございますのでそれぞれ分けて御説明いたしますので、しばらくお耳を拝借したいと思います。
 必要性は今御指摘のとおりでありますが、それぞれ皆違いまして、老人病院につきましては昨年四月の診療報酬改定に当たって、御承知のように、新しい制度として特例許可老人病院入院医療管理料を新設いたしました。特別許可を得た老人病院におきます介護力の強化を評価することによって、寝たきり老人の医療の確立を目指しておるわけでございます。この承認病院は本年の二月末で百三十五カ所になりまして、病床といたしましては二万二千二百十五床ということでございますので、今後この制度の普及を図って、老人のためにも能率的な介護の医療の制度を充実してまいりたいと思っております。
 また、老人保健施設につきましては、先ほどのゴールドプランに基づきまして十一年度までに二十八万床を整備する、それから施設整備費国庫補助、社会福祉・医療事業団の低利融資、法人税における割り増し償却制度の創設等所要の対応を行っておるわけであります。整備状況でございますが、本年一月末で四百三カ所になっております。また病床は三万二千四百二十五床となっておりますが、今後もこの整備の促進を図ってまいりたいということでございます。
 また、あわせまして在宅ケアの医療の問題でございますが、医療報酬において、退院時に細かくいたしております指導、また訪問診療それから訪問看護等を評価することと同時に、今回の老人保健法改正におきまして老人訪問看護制度を新しく創設いたしておりまして、これを盛り込んで、今後とも在宅でも安心して療養生活が行えるように施策の充実と推進を図っております。
 さらに、老人医療のあり方といたしましては、施設、在宅のいかんを問いませんで老人の生活の質の確保を中心に据え、全体的な日常生活能力を維持、回復させることが基本でありますので、寝たきり老人ゼロ作戦というものをやりながら、それぞれの医療サービスがその機能を十分発揮できるように努力しているところでございます。
○合馬敬君 老人は好んで入院するわけではございませんので、在宅ケアというものは理想的でございます。今でも長期の入院患者さんは、六カ月以上たちますと病院が経営上苦しくなるというので退院を指示されるというケースがよくあるわけでございますが、私は在宅ケアを老人医療費の安上がりのためのものと考えてはならぬと思っております。老人の死因で多いのは脳卒中とか肺炎とかそういったようなものでございまして、これはちょっと老人病院以外では対応できないというように考えておるわけでございます。
 それから、まとめて、老人の診療報酬でございますけれども、病院は薬や検査に頼らずに適切に運営すべきものと私は考えておるわけでございます。現在看護婦さんの人件費というのは、率直に言ってこれを捻出するために過大な投薬とか検査を行わないといかぬというのが実情でございます。もちろん、老人にも当然のことながら高度医療の利便というのは均等に与えなければならないわけでございまして、そのための必要な投薬とか検査を制約するという口実に使うべきではございませんけれども、こういった点につきましての御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) いろいろな段階の老人の方がいらっしゃいますので、本当に病院で手当てしなければならない方、それから先ほど御説明したような老人保健施設、それも病院における要するに厳格な診断の上で、この程度回復すれば老人保健施設でよろしいと、こういうふうにいたしまして、それから養護老人ホームでひとつじっくり落ちついてやっていただく。また、今在宅ケアの問題がございましたけれども、ある程度の状態であればやはり自宅でケアを受けた方が御本人も喜ぶ場合が非常に多いわけでございます。
 したがって、その状況状況に応じて在宅ケアの充実も図っていくし、先ほども申し上げましたような看護の派遣の制度も今度盛り込んだわけでございます。ただ、本当に病状が悪くなりましてとても老人ぼけがひどくて御家族も迷惑だというときには、これは医師の診断あるいは相談員の相談によりまして、先ほど申しましたそれぞれの段階のところに移っていただくようにいたしております。
 それから、診療報酬の問題で若干触れられましたけれども、ある病院において薬づけその他で診療報酬を確保するようなことはどうかという御疑問でございますが、我々の方といたしましては診療報酬の支払いについては厳格な審査の制度を持っておりましてそこで検討いたしますし、またあわせて各自治体の指導によりまして厳重な検査をいたしておるわけでございます。
 なお、先ほど言いました特別の許可の病院をふやしながらもっと能率的な治療も進めていくということをあわせてやっておる次第でございます。
○合馬敬君 それから、今一番問題になっておりますのが看護婦さん、看護職員の確保の問題でございます。そのためには看護婦さんの社会的な地位の向上、医師のパートナーと、こういったような位置づけが必要でございますし、給与、待遇の改善、これも、初任給はよくても勤務年数の評価が低いとか夜勤が非常に多いとか、それからベースアップにしましても、国公立病院でも不平がありますのに民間病院になりますと何をもって給与アップの原資とするのか、いろんな問題がございましょうが、そのための対策というものをどのように考えておられるのか。
 それから、これを受けまして保健医療・福祉マンパワー対策本部が中間報告を出されたと聞いておりますけれども、その概要、今後の対応、そして看護婦さんの養成施設の充実というものが必要であろうかと思っております。現在七万人の看護婦さんを養成しておるということでございますけれども、六〇%が准看護婦さんあるいは准看護婦さんを終えた看護婦さんということになっておるわけでございます。この看護学校への、准看護婦さんの養成学校それから定時制看護学校への助成というものが極めて少ない、あるいは運営が医師会に任されておる、そういった感がございますけれども、これにつきまして御意見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(下条進一郎君) お尋ねが各般にわたっておりますので、これも質問が多いものですから答えもなかなか大変でございますが、かいつまんで答えさせていただきます。
 最初の看護婦さんのイメージアップ、これは既にこの前もほかの委員の御質問にお答えいたしましたけれども、五月十二日のナイチンゲールの日に、世界各国はもう既にやっておりますけれども、日本でも今度初めて看護の日を設けまして、看護をやっていらっしゃる方々の意気を上げていただくようにすることと同時に、多くの方々の御理解を深めるという運動もやっておるわけでございます。
 それから、予算等に関連いたしまして看護のほかの面での充実につきましては、先ほどいろいろ御指摘がありました養成力の拡充、また既にやめられた方の看護婦さんの再就職の促進、それからまた病院内保育施設の充実や国立病院・療養所の看護職員の夜勤手当の増額、それから今申しましたような看護の日の制定等を通じましてさらに充実を図り、また一般会計ベースでは約四割の予算の増高を図ったわけでございます。
 マンパワーにつきましては、これは本年の三月十八日に中間報告を取りまとめたわけでございまして、中長期的な視点に立って処遇の改善を含め看護職員の確保対策の基本を報告を受けたわけでございます。
 また、施設の問題に絡みまして養成の問題でございますけれども、これは従来は国立病院が中心で、国立の療養所その他で看護職員を養成しておりましたけれども、最近は医師会とかあるいはその他の施設で看護職員の養成を盛んにやっております。ただ、御承知のように、需要が非常に多い、あるいは勤務状況を改善するためにもふやさなければならないということでありますので、今の状況で決して十分ではないということでありまして、その需要と供給とのバランスを正確に把握いたすために、既に各地方自治体に現状の状況報告を求める通知を出したばかりでございます。一応この報告が六月末までに参りますので、その数字をもととして、さらに具体的な施策を進めてまいりたいと思う次第でございます。
 また、養成施設の問題につきましては、今いろいろ准看の話、正看の話もありますが、やはり希望者は正看が多いのでありますけれども、また准看でもいいという施設もございますので、そこらは需要に合わせて、今人数は需要の計画に沿った形での養成をやっておるわけでございます。
 それから、養成施設の問題に対する予算の方でございますけれども、養成所の方につきましては補助金を四十四億から六十二億に四割増をいたしましたし、また施設整備の補助金のメニューといたしましても、養成所の促進のために四十億から四十四億円に増加するというようないろいろな手当てを進めておるわけでございまして、一つだけやってできるものではなくして、それぞれ全般的な総合的な施策の充実を図りながら早急に要請にこたえられるような体制づくりをしてまいりたい、このように考えております。
○合馬敬君 次に、農林水産大臣にお伺いいたします。
 ガットのウルグアイ・ラウンドの交渉でございますが、世界の農業貿易、各国の農業政策の枠組みというものを方向づける議論が行われておりまして、その帰趨は今後の我が国の農業や農業政策の方向にも大きな影響を与える。十二月にブリュッセルで行われました閣僚会議は不調に終わったわけでございますけれども、先月末からまた交渉が再開されて事務レベルで協議が続けられておるということを聞いております。ブリュッセルでの閣僚会議の後はアメリカのファーストトラックの延長手続、農務長官の交代と、そういったような交渉をめぐる状況にもいろいろな変化が生じてきております。
 私は、農業保護支持の大幅な削減を主張するアメリカがその姿勢を改めましてECに歩み寄るのでなければ、九二年の市場統合を控えたECとの合意は困難である、したがってウルグアイ・ラウンドの交渉も合意に達することができないというように考えておりますが、農林水産大臣のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(近藤元次君) もう委員は専門家でありますので、答弁も簡潔にさせていただきたいと思います。
 今先生から御指摘がございましたように、年末の中断からようやく二月二十六日に再開をすることになりまして、国内支持、国境措置、輸出補助金、三分野にわたって技術面からの会合を開くということで、第一回目が三月十一日から十五日の間に開かれました。参加国三十三カ国から従来の主張を述べ合うというそういう段階でこの会合が終わって、四月の十五日第二回目を再開することになっておるわけであります。アメリカ、ECそれぞれ従来の主張を述べ合うということで、実は何の変更も感ずることができませんでしたが、それぞれの国がどのような対応をしていくかということに注視をしながら、我が国の従来の主張が反映できるように努力をしてまいりたい、そう考えております。
○合馬敬君 次に、総理に米の市場開放問題についてお伺いいたしたいと思います。
 湾岸戦争におきます我が国の九十億ドルの貢献策、これが他の諸国の呼び水となったということから、ウルグアイ・ラウンドの交渉におきましても我が国が率先して米市場を開放して農業交渉グループの突破口とすべきである、こういう議論も生じておる。あるいは湾岸戦争において日本が目に見える貢献を十分していないということで、せめて経済面で自分の負担をすべきである、そういう意味での米市場の開放圧力というのも懸念されるわけでございます。
 日米首脳会談での総理のいろんな御決意があろうかと思いますが、きょう新聞を見てみますと、日米首脳会談ではガットの新多角的貿易交渉を成功させるため米市場開放論議には積極的に応じる、こういうことになっております。私は、米は国民の主食でございまして我が国農業の基幹である。カロリー自給率も四八%、穀物自給率三〇%、諸外国にも例を見ない自給率のもとで、先般の総理府の調査によりますと、我が国の食糧の供給に不安を持っておるという人は六三%、少なくとも米などの基本食糧については七三%の人が国内生産を優先させるべきだと、こういうようになっておるわけでございます。
 このような米につきましての食糧安全保障の観点から、基礎的食糧と位置づけてガット上特別の取り扱いを求めるという我が国の考え方は私は国際社会でも理解が得られるのじゃないか、そう思いまして、政府におかれましてはウルグアイ・ラウンド交渉の場で最大限の努力をしていただきたいと考えておるわけでございますが、この問題に関します基本的な考え方を総理大臣に改めてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) お米の問題については、私の基本的な考え方は、ガット・ウルグアイ・ラウンドの場所でただいま議論されておりますように、アメリカにも、そしてECにも日本にもそれぞれの厳しい条件や事情もあるわけでありますし、また過日のサミットでも私は、日本が八十億ドル以上の輸入をしておる食糧の最大の純輸入国であるという立場や、あるいはまたそういったものを通じて日本は主要食糧である米については国内産で自給していくという原則を政府は持っておるんだというこの基本的な立場に立って、各国と共通の認識を得られるように努力をするという基本的な考えでおりますので、ガットの場でお米の問題の議論は進展させていきたい、こう思っております。
○合馬敬君 外務大臣にちょっとお伺いしますが、先般大臣がブッシュ大統領と会談した際にお米の市場開放問題について話し合ったと聞いておりますけれども、どのようなことを主張し応答があったのか、ちょっと内容をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先般のブッシュ大統領との会談におきまして、幕張メッセの米の展示問題がお話があったことは事実であります。しかし、私は、この問題は国内的ないわゆる食品展示の問題であって、我々が現在議論しているガット・ウルグアイ・ラウンドでの農産物の問題とは全然本質的に違うということを申しました。なお、日米間においてはいろんな問題をよく協議をしながらやっていかなければならない、このように申しております。
○合馬敬君 次に、農業保護の削減でございますが、農業が、食糧を安定的に供給する、この役割のほかに、国土や自然環境の保全、地域社会の維持振興、こういった意味で大変な役割を果たしておるわけでございまして、農村の役割につきましてはOECDやECの共通農業政策でも再評価されておるわけでございます。
 今回のウルグアイ・ラウンドの交渉は、ガットの性格上、農産物貿易の議論というのが貿易の自由化という側面に議論が傾きがちでございます。しかし、農業は生産に長期間を要して非常に気候や土地条件等自然条件に左右されるものでございまして、これを工業と同様の規律の下に置くということには私は非常に無理があろうかと思っております。昨年度成立しましたアメリカの九〇年農業法だとかECの共通農業政策改革案だとかでも農業と環境の役割といったものが重視されておるわけでございまして、こうした農業農村の非経済的な役割というものが、一昨年のガットの中間見直しにおきましても非貿易的関心事項として取り上げられておると承知しております。
 私は、新しい農業貿易ルール、国内農業政策に関します規律の策定に当たりましては、これを十分反映させるべきであると考えております。また、農村生活環境整備、それから地域社会のための経費、これは少なくとも農業保護の削減の対象にするべきではない、こう考えておりますが、これについてのお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(近藤元次君) 先生今御指摘のとおり、私も同感でございまして、そういう意味から、今度の国内支持の分野におきましても市場価格支持や不足払い制度についての削減についての対応はしていかなければならない、こう思っておりますけれども、その他、社会政策上環境等に持つ役割というようなものについては削減の対象外だということで我が国は主張しておるわけでありますし、また基礎的食糧や食糧安保の問題も、年末のノンペーパーが出た折にも、我が国のこの四年間にわたる主張が盛り込まれてないということで異議を申し上げたところでもございます。その上で、中間合意を基本にして今度のガット・ウルグアイ・ラウンドが交渉の再開をしたということでございますから、先生の御指摘の点については十二分に対応していける、こう考えております。
○合馬敬君 次は、林業の活性化と森林の整備でございます。
 森林は古くから、木材などの林産物の供給とかあるいは国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全といった公益的機能を通じて国民生活に深く関係をしてきておるわけでございます。特に、最近は地球全体の温暖化など地球的規模での環境問題の対応として、炭酸ガス吸収源としての森林と緑に対する関心も深まっておるわけでございます。こういった国民の期待にこたえまして、森林を適正に維持してその機能の発揮をしていくということが大事なわけでございます。
 しかしながら、森林、林業を取り巻く状況を見ますと、材価の低迷等もございまして林業投資の利回りはもう年約二%にというぐあいに低下をしておるわけでございまして、このようなことではとても生産活動や森林の整備は行われない。そしてまた、先人が戦後営々として植林しました一千万ヘクタールにも及びます人工林というものが伐期を迎えておるわけでございますが、これに対応いたしました林道などの林業基盤の整備加工流通体制、これがまたおくれておる。それにまた、林業生産活動、これに従事します人々の生活の場であります山村、これはもう人口の減少、高齢化が一層進みまして、山村社会は今や崩壊の危機に瀕しておるわけでございます。
 御承知のように、日本では毎年数百の集落が消えつつあるわけでございます。私はそういうことから見まして、山村の基幹産業である林業の活性化、森林の整備ということでこの山村社会を維持していくためには、公的な助成の拡充を含めての抜本的な対策を講ずることが緊急の課題であると考えておるわけでございます。政府の具体的な方策をお伺いいたします。
○国務大臣(近藤元次君) 先生御指摘のように、山を取り巻く環境というのは極めて厳しい環境に推移をしてまいりました。その原因は、今先生から御指摘がございましたように、後継者難であったり、あるいは木材価格の低迷であったり、あるいは戦後の復興のために乱伐をしてきた、今日の樹齢から考えても。そのような現象が今重なり合って今日の状況を迎えたわけであります。
 しかし、水源税以来国民からの関心は高まり、今地球環境の問題が大きく取り上げられておる状況の中で非常に国民的な関心を高めていただいた今日、また一方では、国有林の赤字経営の中で一般会計からも支援をいただくようなことで国有林の累積債務と経常事業部門との区分をすることもできたわけであります。あわせて、今回、それだけでは山を守り育てるわけにいきませんので、一つの手法として流域単位に森林計画を立て、地域森林整備計画をそれぞれお立ていただいて、そして流域で川上から川下まで一体化をして森林整備を図っていきたい。
 一方、後継者難で極めて厳しい環境でございまして、三K問題の一つとなるところの機械開発が非常におくれておりますので、欧米諸国の機械を改良しながら急傾斜の森林に対する日本型の機械開発を積極的に進めていきたい、こう考えておりますし、また地域によって労働環境における休日なりあるいは月給制なり社会保険制度というようなことの組織化についても農林水産省として御支援を申し上げて、新しい森林の元年というような気持ちで私どもこれから取り組んでいく決意でございますので、御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
○合馬敬君 次に、農業農村基盤整備についてお伺いします。
 我が国の農業農村というのは、食糧生産のみならず、稲作を中心としました日本文化を継承して、水と緑に恵まれた美しい国土を形成するという多面的な役割を果たしておることは周知の事実でございます。こうした農村地域のよさを生かしながら農村地域にマッチしました社会資本整備というものを進めることが肝要でありまして、農業生産基盤、生活環境基盤整備を一体とした農業基盤整備事業を強力に推進しなければならないわけでございますけれども、この事業は受益者農家の負担を伴うという特色を持つ公共事業でございまして、農村地域の総合的な振興を支援する公共投資であると言えるわけでございます。
 こういう意味で、今回本事業にかかわります市町村負担の明確化、これを図るための土地改良法の改正というものが行われたことは、私は非常に時宜に適したものであるというように評価しておるわけでございます。また、予算案につきましても、農業基盤整備事業の主要経費名を農業農村整備事業費というように変更していただいたことは、私はこれは大変これからの農村地域の整備を進めていく上で時宜を得たものであると考えておるわけでございます。
 そこで、三点ほどお伺いいたしたいわけでございますが、一つは、これからの農業の近代化を図っていくために農業経営規模の拡大に応じた圃場の大区画化を進めていく必要があるというように考えておりますが、この点についての考え方。
 それから、特に農村地域の生活環境は都市に比較して非常におくれておるわけでございまして、従来にも増して重点化すべきである。特に地元からニーズの大きい農業集落排水事業、これにつきまして積極的に取り組む必要があると考えておりますが、これについての考え方。
 それから、特に最近の厳しい農業情勢の中で、この事業の受益者負担金の軽減問題ということが大変な問題になっておるわけでございますが、この農家の負担金対策について考え方をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 三点お尋ねの中の最初の一点が、大規模の面積集約、そしてまた一区画当たりの規模拡大というようなことのお尋ねであったかと、こう思うわけであります。
 平成元年度から一ヘクタール以上の区画を整備することを積極的に進めてまいったところでございますし、大変人気も高うございまして、そして一区画を一ヘクタール以上にすることによって五%また補助率を上げていくという支援をしていくことにさせていただいたわけであります。また、平成三年度からは、さらに二十一世紀型水田農業モデル圃場整備促進事業としてここはまた面積の集約をひとつしていただこう、こういうことで、これにつきましては一〇%のアップをさせていただいて事業が促進しやすいような制度にさせていただきました。そして、両方を組み合わせていただくと大体一五%上がるということでありますから相当の負担の軽減になっていくだろう、そう思っているわけであります。
 また、農村の環境をよくしていかなきゃならないという問題につきましては、農村の環境というのは、今、後継者が一番問題になっておるわけでありますから、所得が上がるということだけで、また豊かさだけで満足をしていただけない若い人たちに環境整備や農村における魅力を持たせるために、集落排水の御指摘もございましたけれども、本年度御審議をいただいておるものは、昨年より予算上においても倍額で今生活関連枠の中を利用させていただいて御審議をいただいておるわけでありますし、下水というものが国民的なニーズが最も高まってきておるわけでありますので、農村においても中における質的な生活環境の柱が集落排水であろう、こう認識をいたしておるわけであります。
 あわせて、村全体の景観をどうするかということ、環境問題については農林水産省に村づくり対策推進本部というものを設置をさせていただいて、村全体の環境、景観を整備させていただくことで取り組ませていただきたいと考えておるわけであります。
 もう一点は、長年にわたって市町村負担のいわば起債、交付税の対象にしていただきたいという願望がございましたけれども、ようやく合意に達して、今、国会で法案の審議をいただいておるわけであります。今のところ国営、県営にとどまっておるわけでありますが、団体営にまでぜひさせたいということで来年以降努力をいたしたいと思うわけであります。
 ここの一つの問題は市町村事業か土地改良事業かということで、その対象というのが今事務的に整理をしていかなきゃならない問題が残っておるわけでありますが、そういう意味合いでは、排水路にしてもあるいは農道にしても、まさに農村だけの、農業のためにだけ利用している面ではなくて農住混在の時代を迎えておるわけでありますので、御審議をいただいて、農家負担の軽減と、また今日までは、農道の利用についても排水路の利用にしても、農業以外の人の利用をしておるという部分については農家の皆さん方から負担の理解を得にくいところが、今度この制度ができ上がれば農家の皆さん方からも理解をしていただけるし、負担の軽減にもまた通じていくわけでありますので、この御審議と御議決を早くしていただくようにお願いを申し上げておるところであります。
○合馬敬君 時間がありませんので、水産関係につきまして一括してお伺いします。
 一つは遠洋漁業の将来展開でございますが、我が国の遠洋漁業、非常に厳しい状況でございまして、外国の二百海里内からの漁獲量というのはもう我が国の漁業の漁獲量の一割を切っておる、往時の半分以下になっておるというようなことでもございますし、北太平洋でのサケ・マス管理体制の強化の動きも強まっておる。こういった状況を踏まえましてこれからの遠洋漁業の将来をどう考えておられるのか、どのような政策をとられるのか。
 それから、日ソ漁業関係でございますが、ゴルバチョフ大統領の訪日が四月十六日に迫っておるわけでございますが、先般農林水産大臣は、ゴルバチョフ大統領訪日の際に日ソ間の漁業関係を議題として取り上げるよう準備を進めていると発言をされまして、これを受けて水産庁長官もモスクワを訪れてソ連側と協議を行ったと聞いておるわけでございます。九二年以降はサケ・マス沖取り禁止といったようなソ連側の態度もございますし、私どもとしましては、日ソ合弁事業の推進とか非常に大事なことがあるかと思いますが、これからの日ソの漁業関係、そして深刻さを加えております水産業振興施策でございます。
 我が国としましては水産資源が周辺水域で非常に減少が懸念されておる。後継者不足、担い手の急速な高齢化といったような問題もありまして、沿岸漁業におきましては四十歳未満の漁業者の割合というのはもう二〇%にすぎないという状況になっておるわけでございます。漁業経営基盤の脆弱さといったような問題もあるわけでございますが、先般自民党の水産部会におきましてはこういった観点を踏まえまして、二十一世紀を展望した水産基本政策というものをまとめたところでございます。今後これに沿って、生産から流通、消費に至るまで総合的に対策を講じていく必要があると思いますけれども、農林水産省の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(近藤元次君) 漁業を取り巻く環境というのはまさに厳しさの一途をたどって、二百海里制定以来今日まで大変厳しい状況になっておるわけであります。二百海里時代の線引きの折には、従来の既得権はそのまま継続できるような形で私ども聞かされていたわけでありますけれども、それ以来、非常に環境問題を含めて後退の一途をたどっておるというのが日本の遠洋漁業の実態でなかろうかと思っておるわけであります。
 事ここまで来ると原点に返って、これからの遠洋漁業、国際漁業にどのように対応していくかという、改めて国際間の漁業の話し合いというものを進めていかなければいけない時期に来ておる、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。幸いにも日本では海外にかなりの技術、資金の援助もしておりますので、それぞれの国で乱獲をしないように資源管理をしながら技術そして資金の援助をして、日本対相手国との共存共栄ができるような形の一つの話し合いを進めていかなければいけないなという感じを持っておるわけであります。
 もう一つは、日ソの関係は漁業問題で大変歴史の古い関係を持っておるわけでありますけれども、これも公海沖取り禁止というようなことが実はもう来年やってくるわけであります。一つの目安としては、新しい日ソ関係の漁業の話をするときに、ゴルバチョフ大統領が来日をされる折漁業問題もぜひ話し合いのテーマにしていただきたい。そのために水産庁長官がソ連にこの間行って事前の話し合いもさせていただきましたし、またゴルバチョフ大統領来日の折の話し合いのいかんによって私どもその後継続をして、少なくとも年内には日ソの関係の新たな漁業関係というものの話し合いの終結をしていきたい、こう考えておるわけであります。
 特に沿岸漁業につきましては改めて資源の調査をして、魚のみならず海藻についても魚介類についても、日本の資源というものを改めて二百海里内で調査を進めて結論を急いでいきたい。そして、その上は資源管理をしながら永続的に漁業の安定した経営に結びつけていきたいということと、一方ではやっぱりつくり育てていくという漁業も発展をさせていかなければならない。各分野にわたって養殖、増殖漁業というものが、魚種によってはやや安定をし始めてきておるところでありますので、その辺のところの振興を図っていきたい、そう考えておるわけであります。
○合馬敬君 次に、大店法についてお伺いいたします。
 日米構造協議で大店法の運用適正化、それから今次の改正法案などから大規模店舗の進出意欲が非常に高まっておる。通常のペースの二倍というようになっておると聞いておりますけれども、これの施行いかんによっては、これから同一地域でお客さんのとり合い、あるいはモータリゼーションの進展によりまして広域の商圏の変動というものが行われるわけでございまして、中小商店街に大変な不安を与えておるわけでございます。
 最近の大規模店舗の進出状況、それから中小商店に与える影響というものをどのように御理解し、そしてまた、中小商店の生き残り、活性化を図るために今般商業集積法等いろんな法律の改正を行いまして魅力ある町づくりを行う、生活関連枠を公共投資を含めて千六百二十一億円の、通産省としては異例の思い切った措置も講じておるということは承知しておりますが、果たしてこの大規模店舗の進出状況とマッチしてこういった対策が行われるのかどうか。大規模店舗はもう既に進出しているけれどもまだこの対策はできていない、こういったことも非常に心配されるわけでございますが、こういったことにつきましても適切に効果が発揮できるかどうか、通産大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(中尾栄一君) 委員にお答えいたします。
 手短にお話し申し上げたいと思いますが、質問が多岐にわたっておりますから余り手短というわけにもいきませんが、近年の流通業そのものを取り巻く環境変化というものを踏まえますと、まさにおっしゃるとおり、昨年六月の日米構造問題の協議の最終報告に大店法に係る措置が盛り込まれたところでございます。その実施に当たりましては、中小小売商業者にとっては痛みを伴うことはまさに言われたとおりでございまして、それだけに通産省としましては、意欲のある商店街や中小小売業者に対しては平成二年度補正予算及び平成三年度の予算案におきまして思い切った支援措置をとろう、こういう考え方に私ども立ったわけでございまして、この税制措置を講じていく考え方でもございます。
 これによりまして、まず商店街の活性化のための計画策定や、コミュニティーホール、アーケード等の商業基盤施設の整備の助成を強化しまして魅力のある商店街、これがまず第一点、それから商業集積づくりを推進する考え方でございます。そのためには、今までとは考え方を異にしまして一千六百数十億円という思い切った予算も配分をさせていただいた、こういう形でございます。また、個々の商店の体質強化に思い切った対策を講ずるとともに、中小店、大型店、共存共栄を図っていかなければ何にもなりませんので、高度な商業集積整備を支援するということが私どもの基本的な考え方であると思っていただきたいと思います。
 さらに、これらの措置を体系的に総合的に実施していくためには所要の法案を国会に提出しているところでございまして、これらの施策を通じまして中小小売業者が環境変化に迅速かつ的確に対応していくように積極的に支援していこうと考えておる次第でございます。
 まずはお答えといたします。
○合馬敬君 次に、エネルギー問題でございますが、エネルギー源としての原子力発電の重要性は言うまでもないことでございます。
 これから二〇一〇年にかけまして原子力発電というのは、第一次石油対策の省エネ対策を二十年間これから実施するとして算定したものでも、これから百万キロワットの原子力発電所を四十カ所増設しなきゃいかぬと、そういうことになっておるわけでございまして、原子力発電所の設置状況というのは立地条件から見て非常に限られるわけでございまして、特にまだ地域住民の不安といったようなものも非常にあると思います。こういった合意を早く取りつける必要もあると思いますが、そういった状況はどうなっておるのか。このための原子力発電の安全性の確保というのがますます大事になってくるわけでございますけれども、これについての基本的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) まず、新エネルギーの導入に対する今後の見通しはどうなのか、現状はどうなのか、こういう御指摘でございました。
 新エネルギー等につきましては、昨年十月の閣議で決定されました石油代替エネルギーの供給目標においては、官民挙げまして最大限の導入促進を図ることを前提といたしまして五・三%を見込んでおるところでございます。
 それから、同目標を受けまして通産省としましては従来からサンシャイン計画などの新エネルギーに係る技術開発に専ら努めておりまして、新エネルギー設備導入に対する税制上の措置というものを講じてきたところでございますが、平成三年度政府案におきましてはこれらの措置を拡大し、また金融上の措置を追加することがまず一番確実に皆さん方に喜んでいただけることであろう、こういうことで、新たに未利用エネルギーの活用に関する支援措置を盛り込むという施策の強化にこれまた努めてまいったわけでございます。
 しかしながら、御指摘のとおり、このエネルギーは一般にエネルギー密度が希薄で自然条件に左右されること等から現時点ではコストが割高の問題がございまして、一部導入事例が出現しているものの、現在及び近い将来におきましてはこれらのエネルギーが我が国のエネルギー供給の大宗を担うことは不可能ではないか、こう考えておるわけでございます。
 そこで、いずれにしましても、通産省としましては今後ともこれらの施策を推進することによって新エネルギー等の開発導入を最大限推進、促進するとともに、安全確保に万全を期しつつ原子力開発を推進することによって適切なエネルギー供給構造の構築に最大限の努力を払うという考え方に立っているわけでございます。
 そこで、その原子力の推進が不可欠ではあるけれども、その問題点に対してのいろいろ不安材料があるということの安全性を問われておりましたが、この原子力発電の開発利用に当たりましては、安全性の確保、これがまず大前提でなければならない。そういう意味においては、私どもは、設計、建設、運転の各段階において厳しい安全実施を考えておる次第でございます。
 チェルノブイルの原発事故は、基本的な設計自体に問題があったことに加えまして運転員の規則違反に起因しているところに発生したわけでございますから、その結果大量の放射能が周辺環境に重大な影響を与える事態になったことはもう既に御案内のとおりでございまして、我が国の原子力発電所におきましてはこのような事故は極めて考えがたいところではございますが、今回の美浜原発第二号機の事象では放射能の外部への放出もごくわずかで環境への影響は認められてはおりませんけれども、非常用炉心冷却装置等の安全設備は設計どおりに機能し、十分余裕を持った状態でプラントを停止させてはおります。
 しかし、皆様方の御不安等々、また国民の今からの平和利用というような問題点を考えますると重大問題でございますから、これは通産省としましては徹底した原因究明に努めているところでございまして、それを踏まえまして再発防止対策の確立に全力を尽くし、今後とも原子力発電の一層の安全の確保に最大限の努力を払っていくことをお誓い申し上げたいと思っておる次第でございます。
○合馬敬君 次に、石炭合理化対策と産炭地振興対策について伺います。
 石炭合理化対策、第一次対策を昭和三十八年度から延々ともう三十年近くやってきたわけでございます。石炭問題は非常に難しゅうございまして、今内外の価格差が二・六倍ということで、これから需要業界の負担あるいは財源のあり方、石炭補助金のガットにおける位置づけといろいろ問題があると思いますけれども、私は国内の貴重なエネルギー資源として、一度閉山すれば再開も不可能でございますので、何とか存続の方向で検討をお願いいたしたい、こう思っておるわけでございます。
 それから、産炭地の振興につきましても、特に今まで三十六年からずっとやってきていただいたわけでございますが、それなりの効果というものは上がってきたと思いますけれども、やはり効果のあったところとないところというのがございまして、私どもの福岡県の筑豊では赤字再建団体に転落した町もまたあるぐらいでございまして、やはり経済、産業の動向とマッチした対策ということをこれから検討していく必要があるのではないか、こう思っております。この点についてのお考え方をお伺いいたします。
○国務大臣(中尾栄一君) これはもう合馬委員の御専門でございますから、ごく簡潔にお答えしたいと思います。
 過去三十年間にわたる産炭地域の振興対策の結果におきまして、多くの産炭地域におきましては産業基盤の整備あるいは企業誘致の面において相当程度の進捗が見られる一方、これまた第八次石炭政策の影響地域を中心に、今なお石炭鉱業の不況の影響によって、人口や財源、これが低い水準にとどまっている地域も少なくないことはただいま委員の御指摘のとおりでございます。
 このような状況を踏まえまして、昨年十一月の産炭地域振興審議会答申におきまして今後の産炭地域振興対策のあり方について方向が示されたところでございますけれども、そこでは地域指定の見直しと第八次石炭政策影響地域等を中心とする施策の拡充、あるいは産炭地域振興実施計画の実効性の確保、この必要性が示されたところでございます。そこで、通産省としましてはこの答申を踏まえまして今回改正法案を国会に提出したほか、三年度政府案におきましても必要な措置を盛り込んでいるところでございます。今後とも必要に応じ施策の拡充についても検討してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○合馬敬君 終わります。
 建設大臣、国土庁長官にもお願いしておりましたが、時間がなくなりましたので失礼いたします。
○委員長(平井卓志君) 以上で合馬君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、山本正和君の質疑を行います。山本君。
○山本正和君 初めに、けさの毎日新聞に、総理はアメリカ訪問に当たってブッシュ大統領に対して武器輸出については自粛すべきであると、こういう旨の提言をされるというふうな報道が載っておりました。このことについて、ひとつ総理から見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 基本的な考え方を申し述べますけれども、湾岸におけるイラクのあの突発的な、しかも隣国に対して武力介入をしたという行為の背景をずっと調べてみますと、これはやはり特定の国がその地域でずば抜けた力を持つということに対しては、武器の移転に対して何らかのけじめ、何らかの節度というものが必要なのではないか。これはいろいろな国の行為があったことはもう明らかになっておるわけでありますから、二度とあのようなことを繰り返さないためにも、そういう力の一点集中、安定を崩すようなことは今後やめていかなきゃならぬ。その意味で、五月に軍備管理・軍縮の委員会を日本は国連と協調で開こうとしておるわけでありますから、こういった考え方についても、これは中東の恒久平和の枠組みの中の一つの問題として、また今後の世界の平和の問題として、テーマとして私の考え方を伝えたいということを基本的に私は考えておるところです。
○山本正和君 私どもとしてもこれは大変支持申し上げたいと思いますし、我が国の平和に対する考え方という立場から十分な御主張をいただきたい。また、これは当然中国や北朝鮮等に対してもなさなければいけないことだと思いますけれども、ひとつそういう立場を堅持しなきゃいかぬ。お願い申し上げておきます。
 きょうは、実は湾岸戦争、どうやら兵火はおさまったわけでありますけれども、その波紋が世界経済にいろんなものを投げかけておる。そしてまた、これが我が国の今後の政治、経済に与える影響も大変大きなものがあろうかと思いますので、そういう問題を若干お聞きしていきたいと思うわけであります。
 まず、湾岸戦争後の世界経済の特徴、今後の動向、これをどういうふうに把握しておみえになるのか。これは大蔵、通産、経済企画庁、もしありましたら外務省の方もお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) これは率直に申し上げまして、どういう方向にという経済の動向がいろいろかかわりますから、そこで私なりの通産省の立場から申し上げますと、二月下旬以降為替相場は二月末の百三十一円台そのものから百四十円台に突入してしまったということは、これはもう御案内のとおりでございますが、円安ドル高で推移しているということはもう否めない事実でございます。この背景には米国景気の早期回復への期待や、あるいは、意外なことではございますけれども、マルクがドルに対して弱含みであるということ、これも影響しているというように伺ってもおりますし、また率直にそうでございましょう。
 そのようなことから、円相場の下落が経済に与える影響につきましては、輸出入や物価の変動などを通ずるさまざまな効果というものが複雑に絡み合うということがございます。一概に申し上げることは困難でございますけれども、現在の景気動向のもとでは当面大きな影響を与えるものとは考えておらないのでございます。いずれにしましても、為替レートの動向及びそれが我が国経済に与える影響につきましては引き続き十分注視していきませんとこれはもういかない状況かなと、このような所存で私どもは注意深く見守っているというような状況であります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今通産大臣の述べられましたことに一点補足をいたしますとするならば、湾岸戦争終結後、むしろドルのひとり高と申し上げた方がよいこの為替の状況でありまして、この事態について私どもは極めて注視しつつ、G7の枠組みの中における対応に努力しておるところであります。
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。
 基本的には、湾岸紛争が割と早期にああいう格好で解決しましたことは、アメリカ経済にとってはその意味ではプラス要因でございました。現在リセッションの宣言されておりますアメリカ経済が大体予定の線で、すなわち年央ぐらいに回復に向かうであろうという見通しが出てきた。これは同時に、我が国の経済に対しましても不透明感がなくなり、また世界経済が上に向けば我が国経済にとってもプラスの要因になったと、このように考えております。
 なお、今両大臣からお答え申し上げましたように、為替のドル高傾向、これが我が国に対しましては、私どもの所管しております物価からいうと大変注意しなきゃならぬところでございますが、輸入物価がこれによって上がってくる危険性はございますが、それが総合卸売物価に響き、さらに国内の消費者物価に響いてまいります間にはいろいろと程度も下がってまいりますしタイムラグもかなりございますので、その点からはいましばらく通貨当局の市場対応を見守りながら推移を注意深く見ていきたい、このように考えているところでございます。
○山本正和君 三大臣の御見解を承ったわけですけれども、経済界等ではもう少し深刻に受けとめている向きもあるようでございます。
 それで、そういうことを調べていくために若干数字についての政府側の把握をお聞きしたいのでありますが、まずOPECの経常収支、現在どういうふうな状況であってこれからどうなっていくのだろうか、これについてひとつお見込みを御報告願いたいと思います。――ちょっと調べたらすぐわかることですから調べてください。
 そこで、じゃ、日本とドイツが今後経常収支はどういうふうな見込みになっていくのか、これは調べてあるだろうと思うので、どうですか。
○政府委員(末木凰太郎君) 日本とドイツというお尋ねでございます。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
手元にIMF、OECDのデータがございますが、日本は御承知のように、これは日本政府の数字とも同じでございますが、最近着実に経常収支の黒字は減ってきておりまして、一九八七年八百七十億ドル、八八年七百九十六億ドル、八九年五百七十二億ドル、一九九〇年、昨平成二年三百五十八億ドルということでございます。それから、ドイツは、八七年四百六十一億ドル、八八年五百五億ドル、八九年五百五十四億ドル、九〇年四百四十五億ドルでございまして、先行きにつきましては、OECDの最近の見通しによりますと、日本は三百六、七十億ドルでほぼ横ばい。ドイツはかなりの黒字の縮小が見込まれておりまして、九一年が三百億ドル、九二年百八十億ドル程度というのがOECDの見通しでございます。
 つまり日本とドイツの黒字は、日本はほぼ横ばいないし微減でございますけれども、縮小傾向。なお、アメリカの赤字も縮小傾向というのが国際的な見通しでございます。
○山本正和君 アメリカの経常収支が大体九一年度は六百億ドルぐらいに赤字がとどまるのじゃないかと言われておったのが、湾岸戦争の影響でどうなるのか。これについてはいろいろ経済界で議論しておりますし、企画庁も議論しておられると思うので、その数字、見込みをちょっと御報告願いたい。
○政府委員(末木凰太郎君) 先ほど申し上げましたOECDの見通しは、湾岸戦争にかかわる支出あるいは収入両面あるわけですが、これは含んでいないと思います。今度の湾岸戦争の関係で、もちろん対外的な支出もある程度ございましょうし、また各国からの拠出で入ってくるお金もあるわけでございますけれども、これらについてはまだ公式にお答えするような数字の整理ができておりません。
○山本正和君 私の方でいろいろと勉強してみますと、国際資金が湾岸戦争終了に伴って大きく変わってくる。日本とドイツの黒字が減る、もしくは横ばい、あるいは下がる。アメリカの赤字が大幅に減る。今度の湾岸戦争の影響で経常収支の赤字が大体百億ドルぐらいになるんじゃないか、こういうことが日経新聞等でかなりきちっとした論評が出ていますし、野村総研もこういう数字を出している。だから、結局湾岸戦争の影響というのは、アメリカの赤字が大幅に減っている。一千億ドルあった赤字が六百億ドルに減り、今度の湾岸戦争で百億ドルに減る。日本の黒字が一千億ドルあったのがどんどんどんどん減っていって今三百五十億だとか、こういう経済効果があるという事実、これは確認できますか、どうですか。
○国務大臣(越智通雄君) お答え申し上げます。
 まず我が国に関しましては、内需主導型の経済運営ということで数年間やってきた結果におきまして、仮に湾岸紛争がなくても、昨年一九九〇年、暦年で申し上げましても大体三百億ドル台の黒字まできたものと私ども考えておりまして、年度で言いますと大体三百二十億ドルぐらい、平成三年度で言うと見通しとしては政府としては三百億ドルぐらいと考えておりますが、もちろん九十億ドルの支出という問題もございますけれども、そう大きな変化があらわれたものとは考えておりません。
 他方、アメリカの方も、実は日本とアメリカの国際収支はなかなか改善できておりませんけれども、ヨーロッパとアメリカの国際収支はアメリカの方に有利に年次改善いたしてまいりましたものですから、先生御指摘のように、湾岸紛争のために千億ドルが急に減ったということよりも、その傾向線の上で計算がされているわけでございまして、私どももアメリカが数百億ドルの赤字かなと思っておりますが、先生のお話のように百億ドルという話は恐らく他国からの拠出金をいきなりもろに引いたような計算かと思いますが、ちょっとその点についてはしっかりとチェックしてみないと何ともお答えできない。湾岸だけでそこまでいったとは考えておりませんが、よろしく御理解いただきたいと思います。
○山本正和君 私も今の長官の言っておられることを全く否定するんじゃないんです。我が国もそういう努力をしておりますし、アメリカも赤字解消のために努力している。当然そういう流れがあるわけですね。しかし、それの見通しで、大体アメリカの赤字が六百億ドルぐらいまでは縮まるんじゃないかという見通しであった。しかし、湾岸戦争の影響の後、野村総合研究所あたりの調査では、これは百億ドルに減る、こういう見通しだというんですね、これは一つの研究所の見方ですから。しかし、そういうふうな問題、これは日経新聞ですからかなり経済界の人が読んでいるんですね。
 それから、これは閣僚の皆さんお読みになった方もあろうかと思いますけれども、文芸春秋に松原久子さんという方が、アメリカは戦争を欲しておった、どうしてもしたかったんだと、こういう論文を書いているんです。これはアメリカの大学におる人ですね。文芸春秋です、決して社会党の新聞じゃないんです。そして、こういう意見が実はまたいろいろ我が国内にもありますし、ヨーロッパにもドイツにもある。そういう問題が今背後にある中で、現象としてアメリカが赤字がなくなってきて、しかもアメリカの各界のいろんな主張の中に、アメリカも今度はOPECに加わっているんだ、重要な参加国なんだということを言っておるんですよ。――これはまあ皆さん、そう言うんならちょっと読んでみてもらってから言ってください。
 だから、私が言うのは、これからの経済問題を考えるときに私どもはもっと視野を広げて複眼的に物を見ぬことには、アメリカが正義の戦争をしたんだ正義の戦争をしたんだという一点からだけ見ていると経済というものの動きがわからなくなりはせぬかということを心配するものだから今そういう指摘を申し上げたわけなんです。これは政府の方できちっと調べていただいて、さまざまな資料があるわけですから、湾岸戦争後のこれからの我が国の経済、世界経済の動きについてはひとつきちんと見きわめていただきたい、これは要望しておきたいと思います。
 それで、時間が余りありませんから、この問題はもっとやりたいんですけれども、この辺にいたします。
 次に、外資系企業、我が国で随分頑張ってもらっております。GNPにも随分寄与してもらっておりますけれども、外資系企業の現在の我が国における動向をちょっと御報告いただきたいと思います。
○政府委員(横田捷宏君) お答え申し上げます。
 通産省の平成二年三月末現在での調査でございますが、我が国の外資系企業、これは千二百三社の調査でございますが、平成元年度の売り上げが約十四兆円、我が国全法人企業の売上高に対しまして約一・一%でございます。従業員数は約十七万人でございまして、同じく全法人企業に対して〇・五%ということでございます。収益状況その他は、一般的に日本企業よりも良好なパフォーマンスを示していらっしゃるところであります。
○山本正和君 アメリカでは日系企業が随分頑張っておるわけですが、これの活動状況とそれから我が国における外資系企業の活動状況、どの程度の違いがあるのか、これをちょっと御報告願いたいと思います。
○政府委員(横田捷宏君) 日本の対外投資が近年大変ふえてまいります中でアメリカへの日本企業の投資も急速な拡大を示しておるわけでございまして、先方での売り上げの約三・三%、従業員のレベルではまだ一%に満ちませんけれども、向こうの経済活動及び雇用、さらには輸出を含めまして大きな貢献をいたしておる次第でございます。
 外資系企業の日本国内での状況は先ほど申し上げたとおりであります。
○山本正和君 貿易収支に対する影響ですね、外資系企業が我が国でいろいろな活動をしてもらう、日本の企業がアメリカやヨーロッパでいろいろ活動する、その場合の貿易収支への影響、これはどの程度出ているのか、ちょっとそれは数字でお知らせ願いたい。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
○政府委員(横田捷宏君) 先ほど申し上げました調査対象外資系企業の千二百三社の平成元年度におきます輸出輸入のバランスでございますが、輸出が一兆二千五百九十六億円、それに対しまして輸入が四兆一千二百二十億円でございまして、そのバランスは二兆八千六百二十四億円の輸入超過ということでございまして、一般的に外資系企業は輸入拡大に大きな貢献をしておるというところでございます。
○山本正和君 日系企業がアメリカで果たしている役割は同様に考えてよろしいですね。
○政府委員(横田捷宏君) 日系企業は、むしろアメリカ製品の輸出促進に大きな貢献をするということであります。
○山本正和君 国際化された経済という観点からいえば、今のように外資がどんどん日本に入ってくる、日本からどんどん外国へ行くということは、確かに歓迎されるべきことだろうと私は思うんですね。
 そこで、ただここで心配なのは、盛んにジャパンバッシング、こういうことが言われておりますけれども、日系企業のアメリカにおける市民社会での評価、あるいはアメリカの国や財界、経済界からの評価はどのような状況になっているのか、この辺ひとつ御報告願いたいと思います。
○政府委員(横田捷宏君) 日系企業、特にアメリカにおきます製造業の場合には、地元の熱い期待、誘致活動の中で進出する企業も多いわけでございまして、現地の雇用、経済活動、さらには地域社会に大きな役割を果たしておると思いますけれども、率直に申し上げまして、一部に、日本的な慣行をそのまま持ち込んでいるおそれはないかとか、あるいはマイノリティー問題、あるいは地域貢献活動の面でさらに努力の余地があるのではないかといったような議論もあるわけでございます。
 そういうものも踏まえまして、日本の産業界全体といたしましても海外投資行動指針といったものを設定いたしまして、また産業界全体で、社団法人でございますけれども、海外事業活動関連協議会、こういったようなもので国の税制上の支援も得まして、現地社会にさらに溶け込んでいくいわゆるよき企業市民という形で貢献活動を果たしていくということになってございます。通産省、政府といたしましても、これらの自主的な活動を支援してまいっておる次第でございます。
○山本正和君 私も先般同僚議員と一緒にアメリカへ参りまして、日本企業に対する大変高い評価を受けましてうれしく思ったわけであります。また、地域社会に対する貢献も大変なものでございまして、これは本当に私どもとしてうれしい思いで帰ったわけでありますけれども、それでは外国の企業が、アメリカの企業が日本社会に来て日本の社会にどのような貢献をしているのか、あるいは日本の社会において、これは私は非常にいいと思っているのが一つあるのは、配当性向が非常に高いんですね、株主に対する優遇策が。これは日本企業と比べて問題にならないぐらいよろしい。これはいいと思うんですけれども、地域社会に対して一体どのような貢献をしている例があるのか、これがありましたらひとつ御報告願いたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) 御指摘は、外資系企業の日本の国における事業活動はどのような状況にあるか、こういう御質問でございますね。
○山本正和君 地域社会にどのような貢献をしているのか。
○国務大臣(中尾栄一君) 地域社会においてのことはちょっと詳細になりますので、政府委員から答弁させたいと思います。
○政府委員(横田捷宏君) 先ほど御指摘のとおり、配当性向が高い、あるいは収益面でも日本企業よりも一般的には高い利益率を上げておられるというわけでございますが、地域社会の活動につきましても、全体を網羅した調査データがあるわけではございませんけれども、それぞれの親元、国内での経験等も生かされまして、例えば地域のイベント等に積極的に参加されるとか、あるいは地域の子供たちの海外への研修活動等の支援をされるといったようなケースは聞いてはおります。網羅的に先ほどの日系企業の海外活動のような調査を在日の外資系企業についていたしているところではございません。
○山本正和君 極めて少ないと私は思うんですね、そういう今のお話のような場合は。それで、外資系企業は日本に来ると、優秀な労働力を背景に地元からの大変な歓迎を受ける中で、利益率が非常に高いんですよ。アメリカの商務長官は盛んに日本をぼろくそに言いますけれども、日本に来たらこんなにあんたたちもうけているんですよという話をしてもらわぬと片手落ちだと私は思うんです。一遍、日本に来たアメリカ企業がどれぐらいもうけているか、アメリカの国内の場合と比べて、しかもどんな優秀な製品をつくっているか、ちゃんとこれは調査しておいていただきたい。そして同時に、日本企業はアメリカの地域社会にこんなに貢献しているにもかかわらず、アメリカさん、あんたどうですかということをやっぱり言っていただきたいと思うんですけれども、この御感想、いかがでございますか。
○国務大臣(中尾栄一君) 確かに委員御指摘のとおり、その嫌いはないわけではないような感じがいたします。
 そこで、例えば向こうの企業からも、おもちゃの大きな会社であるとかそういうのが大変来たいということでの希望も聞いておりますし、また日本における利益率も相当上がっているやにも承っております。また、こちらから行っているのも相当評価されておりましょうけれども、そのコンペアといいますか比べた形においては、多少レスな評価かなという感じも否定されないわけではございませんので、この両論相まった形で討議を、モスバカー商務長官も今週おいでになるようでございますから、その問題提起も私からしてみたいと、こう思っておる次第でございます。
○山本正和君 それで、外資系企業がやっぱり悪いことをしているのも言っておいていただきたいと思うんです。悪いことと言ったらおかしいですが、トラブルですね。リーダーズ・ダイジェスト等の会社の労働争議等も含めて、外資系企業でトラブルがあった主な案件について、これは労働省の方で把握してみえると思いますから、若干御報告願いたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) 外資系企業におきます労使関係の紛争、これは特別の調査とか集計等を行っているわけではございませんが、御指摘のようなリーダーズ・ダイジェストのケース、それからまた一部の金融機関等におきまして従業員の解雇等をめぐって裁判所なりあるいは労働委員会で争われている、こういう例は承知をいたしておるところでございます。
○山本正和君 具体的にひとつ名前を挙げて報告してください。
○政府委員(清水傳雄君) ただいまのリーダーズ・ダイジェストのケースもございましたし、その他比較的多いのは外国系の銀行のケースが解雇あるいは賃金問題等を含めてございまして、特別に調査等を行っているわけじゃなくて、いろんなケースの陳情その他を把握している、こういうふうな形で承知をしているものばかりでございますが、具体的な名前を挙げた方がよろしゅうございますか。
○山本正和君 具体的な名前と件数を。
○政府委員(清水傳雄君) 件数としては具体的に把握をいたしておるというわけじゃございませんが、多いのは先ほど申しましたように外国系の銀行が比較的多い、こんなふうに承知しております。例えばシティバンクでございますとかあるいはチェース・マンハッタン銀行でございますとか、そうしたところの中労委その他裁判等で争われておるケースがあるということでございます。
○山本正和君 名前を全部挙げて出してもらうわけにはいかぬですか。
○政府委員(清水傳雄君) 先ほど申し上げましたように、それらのケースをすべて承知しておるという状況じゃございませんが、そうしたケース、私どもで承知しているものはまた後で整理をいたしましてお届け申し上げたいと思います。
○山本正和君 それじゃ、ひとつ労働大臣、労使関係で外資系企業のトラブルがあったものについては今後調査して把握をしていただくということで、大臣から御確約願いたいと思いますが。
○国務大臣(小里貞利君) ただいまの先生御要請の問題につきましては、可能な限り調査をいたしまして、そしてまた前後のいろいろな事情もございましょうから、可能な限り公表をさせていただきたいと思います。
○山本正和君 ちょっとこれは自治大臣または通産大臣にも関係するかもしれないんですが、三重県の鈴鹿市で――ヴィックスドロッブという名前は御存じですね、ヴィックスという会社があります。今度、P&Gですか、おむつカバーなんかのコマーシャルを盛んにやっているアメリカの会社がありますね、あそこへ合併された。そうしたら、その会社が利益が上がっているにもかかわらず工場を閉鎖するというわけです。そして、平米当たり千三百六十円ぐらいで買った土地、これが二十万ぐらいで今売れるんです、坪に直して。これを売ればもっともうかるわけです。それで、閉鎖して他に転売する、こういうことを言っているんです。しかも、その土地も、それから会社が市から受けている奨励金――市はさまざまな助成をしているんです。ところが、ほかに利益がないんならいいですよ、利益があるにもかかわらず、もっと利益を上げるためにこれを処分して云々というふうなことが行われようとしている。
 これは国内企業だったらもたないんです。アメリカでもし日本企業がこんなことをやったら、東芝のあれを壊すどころじゃないんですよ、大騒動になる。恐らく外務大臣はきりきり舞いすると私は思うんですよ。こういう事件が今出ているんです。これはやっぱりひとつ調査をしていただきたいと思いますけれども、これの調査はこの件についてお約束いただけますか。
○政府委員(小林実君) 鈴鹿市の工場の件でございますが、昭和三十年代にこの鈴鹿の方に来たようでございまして、私ども詳細は知っていないわけでありますが、工場の存廃をめぐりましてのお話があるようでございまして、地元におきましては、この労使紛争の円満解決、それから仮に閉鎖ということになりました場合には用地処分につきまして市との事前協議をしてもらうように市の方から申し入れをしておるというふうに聞いておるわけでございます。
○山本正和君 調査するのかしないのか、ちょっと最後のところがわからなかった。
○政府委員(小林実君) これは市の方で対応していただく話でございまして、直接私どもが、その企業が閉鎖すること自体につきまして自治省としてどうこうということはないと思うものですから、事情を、実態を聞くというのは差し支えないと思いますが、それ以上踏み込んだことにつきましては私どもあれこれできるものではないというふうに考えております。
○山本正和君 労働省はどうですか。
○国務大臣(小里貞利君) 先ほどもお答え申し上げたところでございますが、この問題は一に私どもの労働行政という範疇だけのことではございませんでして、関係省庁とも連絡を密にしながら可能な限り先生の御指摘に沿いたい、かように思っております。
○山本正和君 それでは、次の問題に参りますが、ちょうど切りがぐあいが悪いと思うんですけれども、平成三年度予算、大変御苦労をして大蔵大臣は編成されたようでございますが、この平成三年度予算に対して財政審議会がさまざまな問題提起をしております。一言で言いまして、財政審議会が編成に当たってどういうものを注意するようにという提起をされたか、ちょっとそれを御報告願いたいと思います。
○政府委員(保田博君) 一言で言いますならば、これからの高齢化社会、それから日本国の国際化、国際社会に占めるべき地位に伴って将来の財政負担がふえるであろうと予想されることから、そしてまた現在の国債残高が非常に大きいということから、将来を見据えて来年度予算編成に当たっても国債の減額を中心として予算編成をすべきである、おおむねそんなことでございます。
○山本正和君 財政審議会というのは、これはどういう役割を持って、現在どういう構成をされているのか、また審議委員は一体どういう角度でお選びになるのか、ちょっとその辺お知らせ願いたいと思います。
○政府委員(保田博君) 財政制度審議会の果たすべき役割は、要するに年々の財政運営に当たっての本当に基本的な方向を示すべきであるという観点からの、中長期的な観点からの勧告といいますか、そういうもの、あるいは毎年度毎年度の予算編成に当たっての短期的なものについての勧告といったようなこともございます。
 それで、審議委員でございますが、いわば学識経験者としまして、経済界あるいは教育界あるいはマスコミ界の諸先輩が選ばれております。
○委員長(平井卓志君) 山本君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、山本正和君の質疑を行います。山本君。
○山本正和君 それでは、財政制度審議会の答申を十分に尊重しながら平成三年度予算が組まれたと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか、大臣。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもとして、最大限その御趣旨を受け、その方向で努力をしたつもりでございます。
○山本正和君 この建議の中に、大変厳しい財政状況であるけれどもといって、特別な措置を講じたのが二千億円の生活関連枠であると、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう委員がよく御承知のように、地方財政との間の政府としてのお約束をある程度果たしていくという問題の上に立ち、新たに公共事業というものをどう進めていくかということから考えた一つの手法でございます。さまざまな御批判を受けておりますが、それなりの役割を果たしておると自負いたしております。
○山本正和君 その公共事業の中で、特に「生活関連分野の社会資本整備の充実を図る」ということがありますけれども、このことの大蔵省としての受けとめ方を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私どもは、今回生活関連重点化枠というものを設け、その中におきまして公共事業関係費及びその他二つのグループをにらみながらこの配分に努めてまいりました。
 結果として、ごらんをいただきますように、公共事業関係費千七百五十億円、これは下水道、環境衛生、公園などが五百二十三億円、シェアとして三〇%、住宅対策に三百五十四億円、シェアとして二〇%、生活道路整備について三百七十五億円、二一%、こうした形をとることができましたし、また、その他施設費等の二百五十億円につきましても、人件費の枠に縛られて非常に窮屈でありました文部省に対しまして公立学校施設の整備などを図るため七十五億円、社会福祉施設の整備などを図りますため厚生省に四十億円など、国民生活の質の向上に結びつく分野に配慮しながら配分ができたと、そのように考えております。
○山本正和君 この千七百五十億の方は、どうも予算書を拝見しますと従来のシェアと余り変わらないような感じがしますが、それについてはいかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは生活関連重点化枠そのものの配分からいきますと、私は考え方として従来と相当の変化を生じておるとお認めがいただけると思います。しかし、公共事業費全体の中でごらんをいただきますならば、なるほどそのシェアというものは必ずしも大きく異同しておると私も申し上げるつもりはございません。ただ、それは例えば国民生活に密接に関連するものではないということは言えるかもしれませんが、例えば港湾整備あるいは河川、さらには農業農村整備といったそれぞれ基盤的な整備のための費用というものは、一朝一夕にそれを削り落としてしまえるという性格のものでないことも事実でありまして、こうした点も御理解をいただきたいと思うのであります。
○山本正和君 各省庁が大蔵省に要求するに当たっては、生活に密接に関連しているというものを必ず言い、力点を置いて要求したんじゃないかと私は思うんですが、それはそう受けとめてよろしゅうございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 各省庁、当然のことながら、生活関連重点化枠というものの性格に即して要求をされる、そうした姿勢でお臨みをいただいたと考えております。
 ただ、何分にも初めての試みでありましたために、生活関連重点化枠というものに対する認識の差等、多少の食い違いといいますか、そうしたものがございまして、非常に過大な期待を持たれて、優先順位をつけますと結果としてそれほど上位にいかなかった項目等がありましたことは、これは事実であります。今回、その意味では私ども財政当局としてもいい勉強をさせていただいた、そのように考えております。
○山本正和君 そこで、これは次年度以降もいろいろと議論されることになろうかと思いますから、ちょっとこういうことは確認できるのかできないのか、また大臣はどうお考えなのかをお聞きしておきたいんですけれども、例えば建設省なら建設省でこの二千億の枠の中で予算が入ったと、その部分を生活に密接に関連しましたよということでかくかくしかじか使いましたよというふうな報告があった場合には、これは来年度は、おまえさんのところ立派にやったなという意味でよく考えるとか、それが従来同様にちっとも変わらぬじゃないかというところは、おまえさんのところやってないじゃないかということで来年度はまた削るように考えるとか、その辺の勤務評定をおやりになる気持ちはありませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、来年度の概算要求基準そのものをどうすべきか、その中において生活関連重点化枠というものをどう位置づけるか、これは今回御審議をいただいております平成三年度予算成立の後におきまして、私どもとして概算要求基準の策定時までに十分検討いたしてまいりたいと思います。
 しかし、その結果としてどういう考え方をとるにいたしましても、効率的に使用された場所、あるいは我々とすれば非効率だと考えられる場所、さまざまな評価というものはおのずから出てまいります。私は、とてもそんな恐ろしくて、おまえのところはできが悪いだとかなんとか言う自信はありませんけれども、事務方の諸君は当然のことながらその職務の性質上、厳しくその効果については判定いたすものと考えております。
○山本正和君 ぜひそういうことで、特に事務方は厳しい考え方に立ってやっていただきたいと思います。どうも特徴がないじゃないかという批判が若干ありますので、これはひとつ各省庁ともお取り組み願いたいと思います。
 そこで、新しく出たのでちょっと理解しにくいので説明していただきたいんですけれども、建設省と農林省と、郵政省のはよくわかるんですが、この二つのその他施設の中での新規事業ですね、新しい補助の部分がありますが、これをちょっと説明していただけませんか。
○国務大臣(大塚雄司君) 建設省所管の事業はいずれも国民生活の質の向上につながるものでありますが、この生活関連重点化枠につきましては、国民の日常生活の質の向上等、また直接にその効果のあるものに限るという考え方で取り組んだわけでございます。
 公共事業分千七百五十億のうちの約千三百九億円を確保したわけでありますが、特に目新しいものという御指摘を受けますと具体的に申しにくいのでありますが、例えば道路につきましては、渋滞対策であるとかあるいは駐車場対策、歩道の整備といった国民生活に直結したもの、河川につきましては、市街地の親水対策や良好な景観を建設するふるさとの川モデル事業であるとか、あるいはまた下水道も長期未供用の町村の公共下水道、住宅は公共賃貸住宅の供給の促進、あるいは住宅の宅地供給に関連する公共施設の整備というようなものに重点を置きましてそのような成果を上げていきたい、このように考えております。
○国務大臣(近藤元次君) お答えさせていただきます。
 平成三年度の生活関連重点枠につきましては、公共事業分で二百四十億、非公共分で三十七億、合わせて二百七十七億を計上させていただきました。
 事業項目では、公共事業につきましては、農業農村整備関係で農業の集落排水を初めとして、地域交通のネックになっておるいわゆる隧道であるとかあるいは橋梁であるとかいうような部分をこの枠に乗せさせていただきました。集落道や営農飲雑用水等を総合的に整備する対策なり、また特に中山間地の生活環境についてこの重点化枠の中に計上させていただきました。林野関係につきましては、林間における遊歩道等の整備をして、健康とゆとりの森というようなことの骨格の生活道としての林道整備をさせていただいたり、水産関係では集落道や集落排水施設を整備したり漁業の集落環境整備等の各事業に計上させていただきましたし、非公共につきましては、都市と農山漁村との交流促進対策なり、あるいは大都市における基幹市場緊急整備、あるいは食品商業基盤施設整備等、中小零細な水産関係、食品関係の商店が統合して新しい店舗を開設するための基盤の整備等を計上させていただいて、総額二百七十七億ということでございます。
○山本正和君 今の全体のはいいんですが、新しく、農水省は食品商業基盤施設、通産省は商業基盤施設と、これに対する補助金を計上しておりますが、これはどういう内容のものですか。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 食品の流通につきましては、末端における小売関係につきまして、大型店舗の進出によりまして従来の専門店がいろいろな問題を持ってきているわけでございます。かねてからその改善がいろいろ指摘されてきたわけでございますが、今回大店舗法の施行と関連いたしましてさらに早急に整備する必要があるというようなことから、食品商業集積施設に附帯しますいろいろな各種施設の整備をこの際計画的に進めようというようなことで、この生活関連枠に計上させていただいたわけでございます。
○政府委員(高島章君) 生活関連枠のうち通産省の予算として計上させていただいておりますものは、商業基盤施設整備の補助事業でございます。
 商店街は暮らしの広場あるいは地域の顔でございまして、新しい生活のインフラとも称すべきものでございます。地域の福利向上のためにも町づくりの視点に立った魅力ある商店街をつくることが重要になっておりますが、この魅力ある商店街づくりのために、個々の商店では整備できないコミュニティーホールや児童遊戯施設などの地域住民のための施設の整備が必要不可欠になっているわけでございます。
 この事業は、これら地域住民のための施設の整備を支援するものでございまして、生活に密接に関連いたしました投資的経費に該当するものと考えているわけでございます。
○山本正和君 時間がないからこれ以上言いませんけれども、これは補助対象はどこなのか、それから今までの予算との関連はどうなのか、こういう問題はいずれそれぞれの委嘱された委員会等で議論があろうかと思いますが、これはどうも誤解を招いている部分がかなりありますからここでちょっと指摘しておきます。
 それで、時間が大変ないので、もう二分ほど予算関係、補助金をちょっとお聞きしておきたいんです。
 補助金等というのは一体どういう目的で生まれて、そして現状どうなっているか、これについて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(保田博君) 補助金という言葉については、負担金等も含めましていろいろ定義の仕方がございますが、それらを含めまして一定の行改水準を維持する特定の施策の奨励のための政策手段として、政策遂行の上で重要な機能を担うというものであります。
 ただ、今までもとかく補助金についてはいろいろ問題点が指摘をされてまいりました。それは、ややもしますと地方財政の自主性を損なうのではないか、それから財政資金の効率的使用を阻害する要因となるといったようなことから不断の見直しが必要であるということでございまして、我々も毎年毎年の予算編成に際しまして、補助金の持っております政策目的がそれぞれの時代にマッチするものであるかどうかよく検討しながら、合目的的、有効であるように努力をしているつもりでございます。
○山本正和君 平成三年度における補助金等の額は一体どれぐらいでしょうか。そして、これは過去からの額で一体抑制されているのかどうか、その辺の状況について報告していただきたい。
○政府委員(保田博君) 補助金等の予算額、平成三年度予算では十五兆六千五百六十一億円でございます。この金額は毎年毎年多少の増減がございます。昭和五十九年から六十二年にかけましては、厳しい財政再建の途上ということもございまして、補助金等につきましても抜本的な削減策がとられましたので毎年一、二%の削減が行われましたが、その後、六十三年度から多少の増額を見ているわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、国が一定の施策を遂行していく非常に重要な手段であるということでもございます。社会保障あるいは公共投資あるいは文教といったような諸施策を遂行する上におきまして、これらの補助金はその基本をなすものでございますから、補助金が減らなければいけないというわけでもありませんし、必要な増額はこれまた避けるわけにいかない。ただ、先ほど申し上げましたように、むだなものあるいは役割を終わったようなものについては厳しく見直しをしていく、こういう基本的姿勢で予算編成に臨んでおる、こういうことでございます。
○山本正和君 額をお示しください。
○政府委員(保田博君) 額は冒頭申し上げましたが……
○山本正和君 いや、前のやつ。
○政府委員(保田博君) 年々でございますか。
○山本正和君 三年刻みでいいです。
○政府委員(保田博君) 平成三年度が、先ほど申し上げましたが、十五兆六千五百六十一億、それから、三年前と言いますと昭和六十三年、十四兆二千三億円、六十年が十四兆四千三百一億円、五十七年が十四兆七千六百五十八億円、こういうことでございます。
○山本正和君 マイナスシーリングとかいろいろ言いながら、補助金は全体として減ってもごくわずかである。ことしは十五兆六千五百億というふうにかなりふえているという実態があるわけですけれども、そこでちょっと具体的な部分でお聞きしておきたいんです。
 まず、農水省の補助金の土地改良事業、これを今の三年刻みでちょっと御報告願いたい。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 土地改良事業補助金につきましては、最近におきます土地改良事業の工期の長期化でありますとかあるいは施工単価の増大によりまして事業費が増大してきているのは御案内のとおりでございます。そういうことから、年々の償還金が事業によっては多額に上っておるところがありまして営農上いろいろ問題があるということから、新しく土地改良事業につきまして、償還がえの問題が生じている地域の年々の償還額を平準化するような仕組みを昨年の予算で認めていただきました。五年間で一千億のそのための基金を造成するということにいたしておりまして、今年度が百五十一億、来年度が二百四十六億ということで、五年間で一千億を造成する途中でございまして増額はしておりますけれども、全体的な計画の中で予算を要求しているものでございます。
○山本正和君 それから、農協、漁協、あるいは今度は通産省になりますが商工会、商工会議所、さらには建設省の市街地再開発事業費、通産省の日本貿易振興会事業補助、これについてちょっと傾向を言ってください。
○政府委員(鶴岡俊彦君) 農協等に対する助成につきましては、米の需要の減退等によりまして、現在後期三カ年計画ということで三〇%にわたる減反をやっているものでございます。そのための指導費でございまして、元年度十二億、二年度十一億、三年度十二億ということで、大体同じような金額を計上いたしておるところでございます。
 それから漁協につきましては、二百海里体制の定着化ということでどうしても国内の二百海里の中の漁業振興ということが喫緊の課題でございまして、そのための栽培漁業でありますとか、あるいは魚病被害、あるいは漁業公害、その他二百海里の中の水産振興ということで遠洋漁業が撤退ということもございまして、若干ずつでございますけれども予算は増額させております。元年度が五十三億、二年度が五十七億、三年度が六十億ということで、最近の農林漁業の実態を踏まえました予算の編成にいたしております。
○政府委員(高橋達直君) 御指摘の組織のうち商工会議所及び商工会関係でございますが、ただいま御審議いただいております平成三年度の予算案においては五百四億となっておりますが、平成二年度の当初予算では四百八十四億。この商工会議所、商工会関係につきましては逐年微増の方向で増額をしていただいておりますけれども、内容的に、商工会議所、商工会が行います経営指導、技術指導の指導員の給与が主でございますので、必要に応じて増加傾向にあるわけでございますが、全体としての中小企業対策については、シーリングその他の方針のもとにしかるべき水準に抑えておるところでございます。
○政府委員(立石真君) 市街地再開発車業は、市街地再開発事業を行う地方公共団体あるいは市街地再開発組合等の施行者に補助を行う地方公共団体に対してその経費の一部を補助している制度でございまして、非常に再開発関係の仕事が伸びており、またニーズが強いところから、この十年間におおむね三倍程度に大きくなっているところでございます。それらのうち組合施行等の市街地再開発事業分につきましては、平成三年度におきましては百二億円の国費を組んでおりまして、前年度に比べましても十数%の伸びになっているところでございます。
○政府委員(堤富男君) お答え申し上げます。
 ジェトロ関係の補助金でございますが、平成二年度では百九十一億円でございました。これを過去へさかのぼってみますと、昭和六十年代は大体百三十億円台の数字でございましたが、平成二年度におきまして一挙に約六十億円ぐらいふえております。これは対外貿易摩擦、あるいは日本の国民の輸入を前提とした国民生活向上というような観点から、平成二年度、これは我々の言葉では輸入振興元年と申し上げるぐらいの大幅な増額をしていただきました。これは最近の国際情勢あるいは国内の輸入定着というものを考えますとぜひ必要な項目であると思っております。
○山本正和君 ですから、財政審議会や行革審等がいろいろ言っているにもかかわらず、必要なものにはつけざるを得ないわけですよ。ところが、必要なんだけれどもやっぱり削られているものがある。それは教育と福祉なんですね。ですから、この査定のやり方が、これは確かに必要だと。私これは不必要だと言いませんよ。しかししわ寄せがいかぬようにしてもらわぬと、全部バランスがとれるようにね。だから、何かあるとすぐ、文部省の予算削れ、厚生省の予算削れ、こうくるのはどうも気に食わぬと私は思うのです。
 それから、ちょっと一つ言っておきますけれども、外務省、ODAに随分な金が行くわけですが、外務省が公的な立場でやるのはわかりますけれども、民間援助団体、NGO、これもやっぱり若干補助しておるようですね。どの程度補助しているのか、このNGOというものが国際的にどういうふうな評価を受けているのか、この辺について、外務省、ひとつ所見を伺いたいと思います。
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のNGOに対する補助でございますが、いわゆるNGOの援助活動と申しますものは、草の根のレベルというものに直接働きかけるということできめの細かい援助ができるという意味で重要な役割を果たしていると我々は認識いたしておりまして、従来より政府は、NGOの自主性を尊重しながらその活動の一層の活性化を図るために団体補助金というものをつけてまいりましたが、平成元年度より、途上国でNGOが実施する開発協力事業を対象にいたしまして、NGOの事業補助金制度というものを導入させていただいております。これは一億一千万円でございます。それが二年度の予算では二億二千万円、それから平成三年度の今御審議いただいております政府原案におきましては二億八千万円ということで、着実に増額させていただいております。
 それで、冒頭申し上げましたようにこのNGOの活動と申しますのは、我が国のNGOもしかりでございますが、第三国のNGOそれから途上国そのもののNGOというものが非常にきめの細かい援助というものに資するというふうに我々認識いたしておりまして、そのような観点から、今後ともできればこういう補助金等、そのほか小規模無償制度というのもございますが、そういうものを通じましてNGOに対する支援をできるだけ増していきたいというふうに考えております。
○山本正和君 これは大蔵大臣にお伺いしますけれども、財政審等でも言っておりますように、補助金については十分な見直しを行え、どうしても必要なら一般財源化せよと、こういうふうな話もあるわけですね。そこで、この補助金について今後はどういう考えで対応されようとしておられるのか、その辺について大臣の見解を承っておきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 補助金の整理、見直しという問題が提起をされましてから随分な時間がたっております。殊に、第一次臨時行政調査会以来この点はしばしば本院においても御論議をいただいてまいりました。そして、私どもが基本的に御指摘をいただきました方向に向けての努力を今日までも払ってきたつもりであります。
 ただ問題は、補助金というものの持つ性格上、その一つの項目についての金額の大小が必ずしもその補助金の必要性を判断する材料にならないということであります。金額的には非常にわずかな補助金でありましても非常に大きな役割を果たすもの、また随時見直しを行うことによりリフレッシュを図っていくべきもの、さまざまな性格がございます。そうした中におきまして、一般財源化が可能なものにつきましては、今日までもその方向で努力をしてまいりました。これからも基本的にそうした努力を傾けていくことに私どもが異論があるわけでは決してございません。
 しかし、それぞれのやはり補助金の持つ性格、対象、その重要度というものにつきましては、それぞれの機会あるごとに私どもとしては見直していく努力というものは引き続き払うべきもの、そのように考えております。
○山本正和君 一般財源化の問題を。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私が申し上げたいことは、一般財源化を皆さんが望まれるものと、率直に申し上げて、その補助金によって事業を営む対象となるグループの方々が一般財源化に対しては非常に微妙な気持ちをお持ちのケースがあることを、これまでの努力の中でも私どもは承知をいたしております。そうした一般財源化という方向を決して否定するわけではございません。しかし、やはりその関係される方々に対し、我々は一方では心を配っていく必要がある。それぞれのテーマにより私はおのずから軽重があろうかと、そのように考えており、一般的な原則をもって補助金は何でも一般財源化すればいいのだという単純な発想をとることは、多少私は異論がある部分を持っております。
○山本正和君 それでは、補助金はこの程度におきますが、ぜひもう少し抜本的な意味での検討をお願いしておきたいと思います。
 本当はこれで与えられた時間二十分のうちの半分やりたかったんですけれども、肝心の部分が四分しかなくなりました。
 歴代文部大臣が大変苦労されるのは文教予算、しかしながら、教育が我が国の今日を支えるのに大変な役割を果たしてきたことを一番よく御承知なのは文部大臣、そういう意味で、文部大臣、文教の重要性、予算のかかわり、またこれからの取り組みについてどういう決意をお持ちなのか、まずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 教育は、我が国の二十一世紀に向けて創造的で活力のある文化国家へ発展し、また世界に貢献するための基礎であります。国民一人一人が生きがいを持ち、また充実した人生を送るために基盤をつくるものでありまして、このため積極的に教育改革に取り組むとともに、知、徳、体、この調和のとれた心豊かな国民の育成のための教育のあり方につきまして不断の検討をいたしたい、このように考えております。
○委員長(平井卓志君) 予算関係はお答えですか。
○国務大臣(井上裕君) 御案内のように、国全体の財政事情が厳しい中におきまして、地方交付税交付金あるいは国債費などが増加していることもありまして国の一般会計に占める一般歳出の割合が減少しており、したがって文部省予算の国全体の予算の中における割合も減少している状況にありますが、一般歳出に占める文部省予算の割合はここ数年来一三%、先生御承知のとおりであります。
 文教予算におきまして、義務教育諸学校教職員や国立学校教職員の給与費を初めとする人件費など義務的経費の占める割合が年々増加していることも事実であります。御案内のように、今回私どもの予算五兆五百五十九億四千四百万、その中の二兆七千三百六十億、五四・一%、これはもう先生御案内のとおりであります。
 しかし、この平成三年度予算におきまして、この厳しい情勢の中にありながら、四十人学級を初め第五次教職員定数改善計画の達成、あるいは公立学校施設の整備、あるいは私学の助成、さらにまた科学研究費の充実、留学生交流推進体制の充実など必要な予算が措置されております。
 いずれにいたしましても、文部省といたしましては今後とも各般にわたります文教施策の推進に必要な予算確保には最大限努力いたしたい、このように考えます。
○山本正和君 大蔵大臣も、総理が文部大臣で御苦労いただいた方であるということで格段の配慮をしていただいた部分は私も高く評価するものがあります。
 しかし、ここでちょっと厳しいことを申し上げておきたいんですけれども、我が国の今日の経済力は国際的に非常に高い、どんどんと発展してきている。そういうものの基礎にこれはやはり我が国の世界に類を見ない義務教育制度がある、こういうふうに私は認識しているんです。今日の日本の経済力を支えた一番基礎、国力の基礎は、我が国の明治以来の大変な苦しみの中で、市町村長が自殺に追い込まれたような財政上の非常な問題もありました。また、いろんな評価はありますけれども、田中角榮総理が思い切って人材確保法案をおやりになった。さまざまなお取り組みがあったと思うんですね。
 そういうことで、義務教育という問題についてこれはひとつぜひ、我が国の国際社会の役割においてこれは違うんだと、こういうことが今日の我が国のよって立つ基盤であるというふうに私は認識するんですけれども、ひとつこの点について総理の御見解をまずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 教育は国家百年の大計といいますが、私は、むしろ四百五十年前の江戸時代にさかのぼって、当時から我が国には寺小屋という独特な国民教育の制度があって、知育、徳育、体育にバランスのとれた教育が行われてきた。こういう長い歴史的な伝統があって、そのもとに、百二十年前の明治維新直後における教育改革の中で義務教育を最優先する。村に不学の戸なからしめよ、家に不学の人なからしめよというあの布告によって国民皆教育をしいたということは、私は明治の先輩に対する率直な感謝の気持ちでございます。
 教育は、御承知のように、人格の完成を目指して行うものでありますが、結果として義務教育において培われた国民の多くの能力やそして働きというものが、創造性というものが、活力というものが今日の社会を支える大きな基盤になっておるんだということ、私はそれを高く評価したいと思っております。
○山本正和君 そこで、国際比較をいたしますと、日本の初等中等教育、中等教育といいますと高等学校まで入りますけれども、この経費は大体アメリカ並みだと。ちょっとアメリカの方が高いですかね。しかし西ドイツよりは高い、日本の方が。そういう国際比較の中で、義務教育というものが果たしている我が国での役割。これはアメリカがあれだけお金を使っても日本のようになっていないんですよ。識字率からいっても、一七%からの識字力のない国民がまだアメリカにはおる。大変な高率を日本は持っているんですね。
 そういう意味で、大蔵大臣、日本の義務教育が今日この制度の上で果たしてきた重要な役割、これはひとつ大蔵大臣も御認識いただきたいと思いますが、この際大蔵大臣に、今日の日本の義務教育の重要な役割を果たしているという認識についてお伺いをしておきたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど文部大臣が予算で大変苦労すると言われましたが、文教予算は大蔵大臣にとっても毎年悩みの種であるということは現実問題として御承知おきを願いたいと思います。同時に、義務教育課程に今日なお子供を通学させております親の立場からしましても、義務教育の果たす役割というものがいかに大きいものであるかということは私自身よく承知をしておるつもりであります。
 ただ問題は、日本の教育制度を考えます場合に、今委員が視点を当てられてクローズアップされました義務教育部分におけるその能力というものは非常にレベルの高いものにありますけれども、むしろ高等教育の分野において今日非常な問題を生じておることは御承知のとおりであります。そして、大学卒業者の大学院への進学率が国際的に見て低いこと、さらには私学の経営に対する問題、こうした点をも含めて私は文教行政というものを考えていくべきものと考えておりますし、文部省におかれても、当然のことながらそうした問題すべてを踏まえての御努力をいただいておるものと、さように承知をいたしております。
○山本正和君 実はそこへ入る前にもう大臣が言われたんですけれども、高等教育は我が国の国民所得に対比しますと、アメリカ、イギリス、西ドイツと比べてこれは大体どの程度の割合になっているか。これは数字ですから、事務方、ちょっと一言。
○政府委員(前畑安宏君) お尋ねの点は、高等教育に対する公財政支出が国民所得に対してどのような比率を占めておるか、こういうふうな御趣旨であろうと思います。日本の場合には高等教育に対する公財政支出は国民所得に対して〇・八%でございますが、アメリカは一・五%、イギリスは一・六%、西ドイツ一・七%、こういう状況になっております。
○山本正和君 これで終わりますが、特に要望しておきたいのは、今の予算でありましたように、高等教育に大変問題がある、それから文化の予算に大変問題がある、こういうことをまず指摘しておきます。次年度の平成四年度以降はぜひ大蔵当局は先に立って、本日の予算委員会の論議を頭の中にしっかり置いていただきたい。
 それから、小中学校というのは校長が中心になって、先頭に立って学校全体がまとまらなければ、子供の問題はどうにもならないんですね。これはもう用務員さんまでそうなんです。ましてや事務職員は事務の先生といって子供たちから慕われるんです。栄養職員はおいしい料理を食べさせてくれる先生といって慕われるんですね。基幹部隊なんです。そのことをひとつぜひ念頭に置いて予算編成に当たられますよう強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(平井卓志君) 以上で山本君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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○委員長(平井卓志君) 次に、中西珠子君の質疑を行います。中西君。
○中西珠子君 世界のGNPの一五%近くを占める経済大国になりました日本に対する諸外国の期待は最近非常に高まってきております。そういった中で、日本の国際化また国際的貢献の必要性というものが声高く叫ばれるようになりまして、マスコミも大きく取り上げるようになってきております。
 私も日本の国際化や国際的貢献がもっともっと必要だということを痛感している者の一人ではございますけれども、目を国内に転じますと、これまで日本が西欧諸国に追いつけ追い越せと技術立国、貿易立国を図って邁進してきた。そして、経済的効率のみを追求してきたような結果として今社会的にいろんな問題が起きておりますし、殊に社会的弱者にしわ寄せが来ているような感じがします。経済大国となったってそんなことは関係ないと、国民の一人一人は豊かさもゆとりも感じられないような生活をしている日常でございます。
 国内にはいろんな問題が山積しておりますが、海部総理は日本の国内社会をどのようなものにしたいとお考えでいらっしゃいますか。施政方針演説は伺いましたけれども、もっと砕いた言い方で、どのような社会にしていきたいとお考えでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(海部俊樹君) 砕いて申し上げますと、政治の目的は、大きく分けて国の平和を守ることと国民生活の安定向上を図ることにあると私は考えております。したがって、国民の皆さんが生きておってよかったなと感じていただけるようないろいろな制度や仕組みを構築していくことが大切だろうと、このように考えます。
○中西珠子君 どうぞそのような社会をつくるために一層の御努力をお願い申し上げます。
 さて、長い間働く女性が待望しておりました育児休業法案が三月二十九日の閣議で決定され、今国会に提出されました。私は、一九七四年にスウェーデンで育児と職業の両立を図る両親休暇というものが世界に先駆けて導入されましたときに、驚きと感激をもってスウェーデンに飛んで行きました。そしていろいろ勉強したのでございますが、その後ほかの北欧諸国、西欧諸国、東欧も、何しろヨーロッパのほとんどの国々がこの育児休業制度というものを導入し、また保育施設も非常に完備したものを持っているように見受けられます。
 私は、一九八五年の四月に公明党の賛同を得まして育児休業法案なるものを国会に提出させていただきました。男女ともにいずれでもとれる休暇というものに対しては大変抵抗があったわけでございますが、大変御理解を示された公明党の皆様の御賛同のおかげでこれを提出できたわけでございます。その後、ただいま継続審議となっております四野党の共同提案、これは連合参議院や参院クラブもともに提出されておるわけでございますけれども、この法案づくりにも参画させていただきました一人でございます。
 このように長い間育児休業の法制化実現というものを願ってきた私にとりましては、政府案がついに出たということは大変な喜びでございます。また、この場をかりまして参議院の社会労働委員会の育児休業制度検討小委員会、この方々が本当に一年有余にわたって論議を重ね検討を続けてくださいました結果政府案も出てきたのだと思いまして、感謝と敬意の念を披瀝したいと思います。いずれにいたしましても、海部総理が施政方針演説の中で育児休業の普及ということをお触れになって、そして今回政府案が出てきたことに対して、私は本当に喜びとともに感慨無量の思いでいっぱいでございました。
 そして、この育児休業法案を早速拝見したいと思いまして、土曜日に家へ持って帰りまして拝見したわけでございますが、まず政府案は、育児休業請求権と取得権を男女労働者双方に認めている、育児休業の取得を理由とする解雇を禁止している、また、一歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしない者に対しては勤務時間の短縮などの措置を新たに導入されている点などは高く評価いたします。しかしながら、政府案では大変残念なことに、育児休業の権利行使を実質的に確保し実効性あらしめるために不可欠だと思われる条件が整備されておりません。すなわち、解雇以外の不利益取扱禁止条項がない、休業期間中の生活保障がない、原職または原職相当職への復帰の保証がない、また勤続期間の算定などに関する規定などがないということでございます。また、法の実効性を担保する罰則などの規定もないということでございます。
 これらの問題は、その大半が労使の自主的な話し合いにゆだねられている、労使協議にゆだねられている。こういった点につきましては、労働組合の組織率が非常に低い日本にとってはどういうことになるのかと大変心配なのですが、労働組合組織率を男女別にお答えください。
○国務大臣(小里貞利君) まず最初に、基本的な気持ちといたしまして一言触れさせていただく次第でございますが、先ほども先生御指摘いただきましたように、国会論議を中心に長きにわたりまして、ただいまお話しの育児休業法案の国会提出につきましてはいろいろ広範な立場から論議をいただきました。殊に、ただいま先生お触れをいただきましたように、参議院におきましては社労委員会等を中心に与野党を通じまして集中的な論議をいただいてまいっておりますこともよく承知をいたしております。そのような強力な世論を背景にいたしまして、お話しのとおり、去る三月二十九日、私どもは育児休業法案に関する法律を国会に提出をさせていただいたところでございます。
 もとよりこの法律の趣旨なり目的については、もう先生お触れいただきましたからくどいことは申し上げませんけれども、労働者が家庭にありましてあるいはまた仕事の場にありまして、その貴重な経験や能力を十分発揮していただきやすい環境整備をぎりぎり精いっぱい配慮申し上げたい、そういうような趣旨でございます。
 そこで、ただいま先生、今次提出をいたしました法律案の中身につきまして功罪両面にわたりましていろいろ御論評をいただいたところでございますが、今回の法律案の作成につきましては、私ども国民世論の各分野におきまする御意見を可能な限り聴取申し上げたつもりでございますが、率直に申し上げまして、いろいろな立場からさまざまな要請がたくさんございました。例えば、目的につきましてあるいは趣旨については共通する面が多いのでございますが、ただいま先生お話がございました休業中の所得保障問題を初め中小企業に対する猶予措置の問題、あるいはそのほか等々意見が述べられたところでございますが、私どもは、この段階におきましては可能な限りより多くの皆様方の、あるいは国民の納得を得られるように集約したいと努力をいたしたつもりでございます。
 そこで、大きな問題点の一つとして、先生が最後にお話しがございました例えば所得保障の問題等々について、いわゆる労使協調、労使間協議にゆだねる面が非常に多いのじゃないか、そういうお話でございますが、そこで労働組合の組織率についてのお尋ねでございます。男女別、企業規模別の労働組合組織率でございますが、推定組織率でございますが、男子が二九・一%、女子が一八・三%でございます。次に、規模別にということでございますが、ちょっと基礎的なところを簡潔に申し上げますと、分類で千人以上では六一・〇%、千人から九十九人では二四・〇%、九十九人以下では二・〇%となっております。
 こういうようなことで、ただいま申し上げましたように、いろいろ法律案の中身につきましては希望等あったところでございますが、この際には、とりあえず育児に関する休業を取得すること、そして法律によって担保すること、こういういわゆる基礎的な大枠をつくることが最も大事ではなかろうかというような観点に立ちまして対処いたしましたことを御理解いただきたいし、さらにまた先生御指摘の問題は、将来この法律があるいは行政運用上社会的に、あるいは労働社会に大きく根づくことを期待申し上げながら、また順次皆さんの御意見を承ってこれが十分なる成果を上げる方向に推進をいたしたい、かように考えておるところでございます。
○中西珠子君 今労働組合組織率を伺いました。規模別の組織率も伺ったわけでございますが、中小企業におきましては非常に組織率も低い。殊に女性の労働組合組織率は一八%強ということで大変低いわけでございますね。労働組合のないところでは労働者の過半数を代表する代表を選んで、そして労使協定を結ばせるということになっておりますが、果たして民主的な手続で代表が選ばれるかどうかということを保証するものは何もないという点で大変危惧を持つものでございます。
 また、育児というものは両親の責任ではございますが、両親ばかりでなく社会も共同責任を持つものだということが国際的な認識となっておりますし、またいろんな条約や勧告の中にもそのようなことが明記されているわけでございまして、そのようなことはもう百も御承知のことと存じますけれども、このような労使協定にゆだねる、また労使の力関係によってほとんどのことが決められるということは育児休業の本旨にもとるものであると私は考えるわけでございます。
 次に、法案の中身につきまして、少し細かくなりますけれども、とにかく大枠を決めることが大事だというお話でございましたが、その大枠を決めることにつきましてちょっと御質問をしたいと思います。
 まず、育児休業請求資格について制限をしておりますが、これはどういうことですか。例えば日々雇用される者及び期間を定めて雇用される者は適用除外となっていますが、この理由は何でしょうか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生の御質問に対してお答えを申し上げます。
 育児休業等に関する法律案は、一歳未満の子を養育するための休業を認めることとしているわけでございますが、日々雇用される者及び期間を定めて短期に雇用される者は、このような長期の休業になじまない雇用形態で就業しているものと考えられますことからこれらの労働者を除外することといたしているわけでございます。
○中西珠子君 現実の職場におきましては、日々雇用される者、また期間を定めての雇用という形式をとっているが、実際には契約を更新、更新して長年月にわたって雇用されている人もいるわけでございます。こういう人にとりまして、全然育児休業の法律の適用を除外するというのは理解できないわけですが、もしこのとおりにしておきますと労働側の非常な不利な結果になるのではないか。というのは、育児休業法を脱法するために、日々雇われる雇用とか、また期間を定めて雇う有期雇用、こういった契約の形式で雇う事業主が出てこないとも限らないし、そういった雇用形態がどんどんふえてくるのではないか。育児休業を脱法する危険があるのではないかと考えますが、いかがですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘の日々雇用される者あるいは期間を定めて雇用される者、これが例えば事実上契約更新等によりまして一年を超えて期間が長期に雇用されるというような実態になりますれば、これは最終的には裁判所が判断をするべき事項でございますけれども、このような人たちにはこの法律が適用されることになるというふうに私ども考えております。
○中西珠子君 裁判所が決めると言われても、裁判にかけると非常に時間と費用がかかるわけでございますので、裁判所にかければいい、判例に基づいて対処するということは納得ができません。
 次に、育児休業の期間の変更についてでございますが、期間の変更は一回限りなんですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) この法律案では一回に限り認めることといたしております。
○中西珠子君 育児休業を取得する前に一回、また休業中に一回ということで合計二回になるわけじゃないんですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業をいたします前には、あらかじめ育児休業の始期と終期を申し出まして、ある期間につきまして育児休業をするということになるわけでございます。その場合に、休業の事由が、例えば出産が早期に行われる場合でございまするとかあるいはおくれる場合とかいうことがいろいろございます。この間、経営者、事業主の方では代替要員をどうするか、その間にあるいは他の職場からの流用等によってやるのかというような問題がございまして、これらの変更を考慮いたしまして一回に限ってこの育児休業の変更を認めることといたしているわけでございます。
○中西珠子君 一回に限るというのには反対です。いろいろな事情で一回に限るということは、やはりいろんな不都合を労働者側に招くということになると思います。
 次に進みます。私は時間が少ししかないので。
 育児休業は労働者の権利と考えられているのに、育児休業取得可能な労働者を労使協定によって限定させようとしているのはなぜですか。これに関連しまして、第三条一項の三「育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として労働省令で定めるもの」、これは一体どういう意味ですか。どんな人を想定しているのですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業等に関する法律案は一歳未満の子を養育するための休業を広く労働者に認めているわけでございますが、社会の実態とかあるいは実際の企業の経営管理上の負担の程度と比較考量いたしますと育児休業することができないこととすることもやむを得ないと考えられるような場合もあり得るということで、労働省令で定める一定の範囲に限って、労使協定の締結を条件として事業主が育児休業を与えない場合も認めることとしたものでございます。
 具体的な内容でございますが、今後婦人少年問題審議会での御審議を経て定めることといたしたいと存じております。
○中西珠子君 具体的な内容は労働省も考えていないということですか。具体的な内容を考えないで法案をつくったということですか。お答え願います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 大変具体的な御質問でございますけれども、例えば具体的な例として、これは婦人少年問題審議会の御審議を経ることになろうかと存じますけれども、不定期の非常勤の職員というような場合にはこういう場合に該当することになるかどうか、審議会等の御審議を経て定めることといたしたいと存じております。
○中西珠子君 法の適用を受けない労働者または労使協定で除外例として決める以外の労働者から、ということは請求権のある労働者から育児休業を請求されたとき拒むことはできないとなっていますが、事業主がもし拒んだ場合はどうなりますか。
○政府委員(高橋柵太郎君) この法律によりますと、労働者が育児休業の申し出をする、この申し出をすることによりまして原則的にはいわば権利が確定するということになるわけでございますので、その時点で育児休業を取得することができるということになろうと思います。これを拒んだ場合、これは民事的にはもう既にその権利は確定いたしているわけでございますので、私ども行政機関による指導等を行いまして、その実が上げられるようにいたしてまいりたいというふうに存じます。
○中西珠子君 拒否した場合に、労働者と事業主の権利義務関係を担保する何もないわけですね、罰則も何もない。拒否した場合の罰則というのは必要だと思いますが、どうですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業制度の実効性の確保の問題につきましては、婦人少年問題審議会における審議の中でも罰則によって担保すべきである、こういう意見がいろいろあったわけでございますが、同審議会の建議を踏まえまして、実態にかんがみ、行政機関による適切な指導や勧告を行うことによって実効性を確保することが適当であるといたしたところでございます。
○中西珠子君 指導が効果的であるとよいと望んでおりますけれども、限界があると思います。
 次に移ります。
 所得保障の欠如についてでございますが、国による事業主に対する援助というのが規定してありますけれども、労働者に対しては何も援助が規定してない。殊に、労働者の育児休業期間中の所得保障が全然ないというのはどういうことですか。ほかの育児休業制度を実施している国にはほとんど所得保障があります。
○国務大臣(小里貞利君) 休業中の所得保障につきましては、もう先生お触れいただきましたように、国あるいは労働者、そしてまた使用者、三者によりまして基金制度などをつくり、そしてまたその負担区分等につきましても、野党の一部の政党などから負担区分を含めましての御意見などもお聞かせいただいておるところでございます。私どもが今次婦人少年問題審議会に諮問をいたしましたその中におきましても、そのような意見がかなり出されましたことも事実でございます。
 また他方、率直に申し上げまして、いかなる理由であるにしても経営者をしてその分担を法律で規制するということはどんなものだろうか。あるいはまた、この育児休業を取得する労働者が選択的である、任意制である、そういうような一つの原則を踏まえまして他の労働者とのバランスをどう考えるか、そのような理由等も相当強く述べられました。
 よって、先ほど私も申し上げましたように、さまざまな意見がその立場を変えて錯綜して出てまいりました。そのようなこと等も勘案いたしまして、先ほど申し上げましたように、今次の集約におきましては、先ほど局長の方から御説明申し上げたような経緯に至ったわけでございます。
○中西珠子君 婦人少年問題審議会における議論、そして建議というものも拝見しましたけれども、労働省がそれに基づいていろいろ勘案してつくり出した政府案というものは、どうも事業主、経営側の意見というものに偏っているような感じがします。ノーワーク・ノーペイだとか、経営者に法的に経済的負担を義務づけるのはいけないとか、そういった議論はよくわかります。しかし、先ほども申し上げたように、育児という問題は出生率がどんどん減っている中で非常に重要な問題でもある。また、育児は両親だけの責任ではなくて、労働者個人の問題だけではなくて、社会的な共同責任を持つべき問題であるという考えに立ちますと、やはりこれは社会保険か何かから休業中の所得保障というものを考えてやらなければならないのではないか。
 育児休業を請求しても非常に生活が苦しくなる。子供が生まれればそれだけ経費がかさまります。そして社会保険は続けなければならないから、無給であっても、何の収入がなくても保険料を続けて払わなきゃいけない。そういったことで、非常に生活が苦しくなって経済的な逼迫を感じるから育児休業はとりたくてもとれない、もしくはとったとしても非常に短期間しかとれないということになりまして、せっかく法的に育児休業請求権、取得権が保障されても、実質的にはその行使ができない状況になるということを恐れます。
 そして、私はまた四野党共同提案の発議者の一人でもございますので、今大臣がおっしゃったことにつきましてはもうよくよく承知いたしておりまして、どのようにして基金のようなものをつくっていくかということもいろいろ考えましたし、また育児休業手当特別会計法案というのも既に国会に提出しております。労、使、国が三分の一ずつ拠出するということによりまして、国の負担となるものは平年度事務費も入れて約四百四十億円です。これは一兆一千七百億円に比べると非常に微々たるものではございませんか。大蔵大臣と労働大臣の御返答をお願いします。
○国務大臣(小里貞利君) 先ほどいささか紋切り型で御答弁申し上げたかと思うのでございますが、今次、私どもが集約するについていろいろ各方面から御意見をお聞きいたしました。同時にまた、先生もう直接間接その関係者でもあられまして専門家でもございますからよく御承知でございますが、心情的には、ただいま先生がお話しになりまするように、せっかく育児休業をとりまして家庭にあってそしてそのようなお務めをいただく、そしたまた早晩必ず職場に復帰していただかなければならない、これが大前提でございますから、私どもはその間の一つのパイプを、取り次ぎをどのような視点でまたどのような配慮を申し上げるべきか、いろいろと検討をいたしたところでございます。
 実は、ただいま先生要請の問題点につきましてきちんと定量的にお答えできない状況でございますが、これからもこの法律をこの問題の一つの幕開きといたしまして、各方面から広範かつそれぞれの立場で御意見をお聞かせいただき、そしてまたその論議が高まることを期待申し上げておるということだけはひとつ御理解をいただきたい次第でございます。
 なおまた、法律そのものの枠内にこだわらず、これから両院の議決をいただきまして、そして法律として、制度として行政事業にのせましてこれをスタートさせまして、その前後からただいま御指摘の問題等もいろいろと再考、考慮を加えまして、よりよい育児休業制度の実施ができ得るように努力をいたさなければならぬ。その意味におきましても積極的な関心と意欲を持っておりますということも申し上げたいわけでございます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府として申し上げられる点は、今労働大臣の御答弁に尽きておると思います。
 ただ私自身、各党と御相談の上議員立法におきまして、現在行われております医療分野、福祉分野、教育分野の公務員の育児休業制度について提案をいたしました責任者でありますので、その当時を振り返って考えてみますと、私どもは実は細部の議論に時間をとり過ぎまして、まともに一年、法律提案までの時間をロスいたしました。これは私としては非常に残念な思い出として今も残っております。
 その細部の意見の調整というのは、それぞれの労働団体の中における特殊性についての議論もございましたし、あるいは有給無給論もございましたし、さらにその範囲をどうするか等、育児休業制度をスタートさせようという大目的からまいりますならば、今振り返ってみれば、もう少しお互いが弾力を持って取りまとめるべきであったと思うような諸点であります。
 しかし、そのためにまさに一年提案がおくれましたことを考えますと、今回せっかく育児休業制度というものについての議論の高まっておりますときに、そうした思いを後に残さないように関係者の御努力を願いたいという思いがいたします。
○中西珠子君 国庫負担四百四十億円の特別会計法案、初めは四百四十億円かもしれませんが、育児休業手当という名目で特別会計法案を出していることにつきましては、大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは私の立場から云々を申し上げることが必ずしも適当な問題と思いません。
○中西珠子君 それでは次に移りまして、解雇の制限について。
 第七条に解雇の制限がありますが、解雇することはできないと規定していても、罰則がないと実効性を担保することはできないと思いますが、どうですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) お答え申し上げます。
 育児休業を理由といたしまする解雇につきましては、もしそのような行為が行われれば、その解雇は無効ということになります。
○中西珠子君 民事上の救済で解雇を無効にすることはできるでしょうけれども、裁判にかけると長い年月と費用がかかるわけでございます。この点については構わないと思っていらっしゃるわけですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 育児休業の権利を今回は法的に保障するということでございますので、この制度の趣旨から考えまして、解雇は当然許されないということになるわけでございます。先ほど申し上げましたように、民事上の効果は無効でございまするけれども、行政機関としても十分な指導等を行ってまいりたいというふうに存じております。
○中西珠子君 解雇以外の不利益取り扱いの禁止条項がないのはなぜですか。ほかの法律、例えば義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律には、第七条に不利益取り扱い禁止条項があります。また、労働基準法百三十四条は年次有給休暇の取得に関する不利益取り扱いの禁止をしています。こういったところに不利益取り扱い禁止条項があるのに、なぜこの育児休業法案では不利益取り扱い禁止ができないのですか、条項として法律に入れられないのですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) お答え申し上げます。
 この法案にどのような内容を規定するべきか、さまざまな御意見があったところでございます。今回は、先ほど申し上げましたように、基本的にこの権利を法的に保障するという枠組みを確立することが第一義でございます。
 そこで、不利益取り扱いの禁止等につきましては、御指摘のような婦人少年問題審議会の検討の中でもさまざまな意見があったところでございます。しかしながら、この不利益取り扱いにつきましては非常にケース・バイ・ケースの問題でもございまして、民間企業におきまして何が不利益かの判断というのは非常に難しいわけでございますので今回の場合には法律で規定することは適当ではないというふうに考えたところでございますけれども、法の施行に伴いまして趣旨の徹底を図るべき重要な事柄であるというふうに私ども認識しております。
○中西珠子君 不利益取り扱い禁止条項がないと安心して育児休業をとることができません。この点につきましては御再考をお願いします。
 それから、原職や原職相当の職への復帰、この保障もないわけです。これは第八条、第九条にいろいろと定めてありますが、この第八条、第九条の説明をしてください。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先生御指摘の原職復帰等についてなぜ法律の条項に入らないのか、こういうことでございますが、この原職、原職相当職への復帰の問題につきましても、先ほどの不利益取り扱いの禁止と同様に、婦人少年問題審議会の検討の中でもいろいろな御意見があったところでございます。育児休業後に原職または原職相当職に復帰させるということは、我が国におきます民間企業における人事異動慣行、例えばジョブローテーション等ございます。また、休業期間中にも事業はいろいろと動いている、また組織も動いているということでございまして、法律によって一律に枠をはめることは困難であるというような考え方からこれを法律の中に盛り込まなかったところでございます。
○中西珠子君 その第八条と第九条、殊に第九条の第八条に関する関係、これについてもう少し御説明願います。
○政府委員(高橋柵太郎君) 先ほど不利益取り扱いあるいは原職復帰等について、本法案に規定をしなかった趣旨については御説明を申し上げました。直接的にはそのような理由によるわけでございますけれども、しかしながら、先ほど先生が御指摘のように、できる限り労働者に安心感を与えるという意味合いにおきましては、事業主にこの育児休業中における待遇に関する事項でございまするとか、あるいは育児休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項、これはあらかじめ定めまして、これを労働者に周知させるということがこの規定の趣旨からは望まれるわけでございますので、そういった育児休業に関します定めの周知等の措置をここに規定いたしたものでございます。
 なお、第九条に「雇用管理等に関する措置」というのがございまして、これは実際に労働者が育児休業をとっているということになりますと、その後の職場がいかがになるものかということも、これまた一つ育児休業を取得する当該労働者にとっては大きな関心事でございます。したがいまして、そういった職場の労働者の配置はどうなるかということも一つございます。それからまた、休業を申し出て育児休業後に就業が円滑に行われますように、休業期間中の能力開発、能力の維持あるいは向上等に関しまして事業主が必要な措置を講ずるように努めなければならないということで、事業主の努力義務をここに規定いたしたものでございます。
○中西珠子君 努力義務規定では弱いですね。指導をなさるかもしれませんけれども、その指導がどれだけ効果的かということは非常に疑問に思います。これは努力義務ではなくて、やはり強行規定にするべきだと思います。
 それから私は、この猶予措置ですね、三十人以下の企業は三年間猶予すると。この三十人以下の企業で働いている男女労働者というのは全労働者の半数近くあるわけです。この人たちは三年間全然その育児休業を請求権も取得権も行使できない、こういったことはやはり差別であると思います。権利においては等しくあまねく行き渡らせることが必要なのにこいう猶予期間を設けることはむしろやめるべきであって、政策的な援護措置、例えば補助金を出すとかそういったことをお考え願いたい、そしてこの猶予措置はやめていただきたいと思うわけですが、いかがですか。
○政府委員(高橋柵太郎君) 常時三十人以下の事業所につきまして適用猶予を行うことをこの法律では考えております。適用はされる、しかし三年間の期間に限ってその適用を猶予するということでございますが、これは、育児休業取得者の多くを占めるというふうに予測されます女子労働者の占める割合が他の事業所と比較して高い、この面からも負担が大きいわけですが、このような小規模事業所におきましては、育児休業実施に必要な雇用管理の見直し、あるいは代替要員の確保方法というようなノーハウが一般には少ないだろう、したがって一定期間の準備期間を置くことが必要であるということによりまして適用猶予措置を設けることといたしたものでございます。
○中西珠子君 とにかくこの育児休業法案、政府案は、残念ながら企業、事業主の立場に偏り過ぎていると思います。長期的見地に立って、やはり野党や労働組合の意見を聞いて、政府案は修正に応じるという柔軟な対応をしていただきたいと思いますが、総理、いかがでございますか。先ほども、柔軟な対応をしないために機を逸するというお話が大蔵大臣からございましたから、私どもも柔軟な対応をしたいと思っておりますが、政府におきましても柔軟な対応を修正要求に対してしていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。労働大臣、それから総理のお考えもお聞きします。
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど御説明申し上げましたように、去る三月二十九日、いろいろ複雑な起伏もございましたけれども、やっとまとめまして国会に提出をいたしたばかりでございます。決して私どもは、この法律をして完全無欠でございますなんという気持ちは持っておりません。しかしながら、いろいろ関心のある世論等を背景にいたしまして、可能な限り最善の法律案を出してより多くの国民の皆様方に喜んでいただこう、そういうような一つの気持ちを持ちまして出したばかりでございます。
 これから本日の先生の質疑を皮切りにいたしましてこの法律案を前提にした論議をいただくわけでございますから、これからの関係各位の論議も十分注目をさせていただきたいと、かように考えております。
○国務大臣(海部俊樹君) 育児休業法案につきましては、私もできたときのスウェーデンの状況などはよく聞いてまいりましたし、見てまいりましたし、それと同じような考え方に立って、日本において家庭とそれから職場と子育て、こういったものが全部トータルで認められていくことが大切ではないだろうかというので、各界の皆さんのいろいろな御努力や歩み寄りに敬意を表しながら、政府としてこれを閣議決定して国会に提案をいたしたところでございます。
 これは基本的な枠組みをつくるということに非常に大きな意味があると私どもは思って提案いたしておりますので、この案に対しましてまた各党のいろいろな御議論がございますればそれに耳を傾けさせていただきますが、現在としては、政府としては最善を考えて枠組みをきちっと提唱させていただいた、このようにお受け取りいただきたいと思います。
○中西珠子君 柔軟な対応をしていただきたいと思っております。
 それから、私は国内問題についてもっとたくさん通告いたしましたけれども、時間がなくなりましたので、外交問題の方に移ってまいります。殊にきょうはJICAの方から中村理事にお出ましになっていただいておりますので、先に婦人と開発の問題をやらせていただきます。
 この婦人と開発、WIDの取り組みについてでございますが、平成元年十一月の外務委員会で日本のWIDの取り組みが大変おくれていることを指摘いたしまして、ガイドライン作成に当たっては民間の有識者の意見を聞いていただきたいと要請いたしましたところ、外務大臣を初め関係の皆様方が御了承くださいまして、JICAに開発と女性援助の研究会ができました。それで、ことしの二月にその報告書を提出されたわけで、その中に提言が入っているわけでございますが、この提言をどのように受けとめられておりますか。また、提言実施上の困難などがありましたら御説明ください。
○参考人(中村順一君) 先生御指摘のとおり、開発と女性援助研究会は昨年二月、開発と女性の視点を組み入れた我が国開発援助のあり方を検討するために、先般御逝去されました高橋元デンマーク大使を座長として設置されまして、一年間いろいろな角度から開発と女性の観点を取り入れて検討をいたしました結果、去る本年二月、報告書が完成された次第でございます。
 たくさんのいろいろな観点からの提言がございますけれども、私どもこの報告に盛られました御提言を十分踏まえさせていただきまして、WID、開発と女性関連事業の一層の拡充、情報整備、調査研究等を図っていきますとともに、本年度できるだけ早い時期に、本部にWID、開発と女性の問題の担当官を設置するなど、実施体制の整備に努めていきたいと考えております。
○中西珠子君 担当官だけを置くというのではちょっと不十分なんで、DAC加盟国のほとんどすべてに担当官だけでなくユニットもしくは課ができておりますね。そういった面では、JICAだけのお考えではできないと思いますが、総理、外務大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) このWIDの問題は、私も報告書を読ませていただきましたが、これをこれから充実させていくということで、現在の立場でどのようにこれが推進できるか、よく事務当局とも協議をしながら御期待に沿うように努力をしたいと考えております。
○中西珠子君 これには予算が伴うことでございますので、総理のお言葉も一言お願いいたします。
○国務大臣(海部俊樹君) 開発における女性の役割の重要性につきましても認識をいたしておりますし、また、ただいま御議論になっておる援助研究会の報告書等に基づいて、政府としてもいろいろ検討を加えていきたいと思います。
○中西珠子君 検討ばかりでなく実現していただきたいと思います。要望でございます。
 これまで外交問題についてもたくさん通告いたしましたけれども、時間がなくなりましたので、今度は外務委員会でやらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(平井卓志君) 以上で中西君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、本岡昭次君の質疑を行います。本岡君。
○本岡昭次君 まず、総理に伺います。
 最近、総理は国連中心主義を強調されておりますが、我が国の外交、国際的対応の軸は、国連尊重、国連中心主義外交と考えてよろしいか。
○国務大臣(海部俊樹君) 国連の果たすべき役割について我が国はこれに積極的に支持を表明するとともに、今後も国連中心で世界の安定と平和の枠組み、そういったものがつくられていくということを強く期待し、協力をしていく考えでございます。
○本岡昭次君 それでは、総理は国連本来の目的と原則は何であると考えておられますか、この際それを聞かせておいていただきたい。
○国務大臣(海部俊樹君) 二度にわたる戦争の惨禍というものを体験した我々がこれから平和をきちっと確保していく、そういった意味において、国際社会の秩序やルール、守るべき規範というものについて国連は平和を中心に考えていく機構である、私はそのように理解をいたしております。
○本岡昭次君 人権問題はどういう認識ですか。
○国務大臣(中山太郎君) 今お話がございました国連の目的、国連憲章の最初に掲げてございますけれども、第一にはやはり国際社会の安全と平和の問題、第二はこの人権の問題、第三には文化、経済等を含めた国際間の友好を促進するための国連の機能というものが掲げられております。
○本岡昭次君 総理に伺いたいんです。
 国連憲章から見ても、今も外務大臣が述べましたように、人権問題が一つの大きなテーマであります。私は、世界における人権保障の活動力の強化というものが紛争や戦争の抑止力となる、このように考えておりますが、総理はどうですか。
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど私は国際の平和と安全の維持ということに重点を置いて御答弁しましたが、御指摘のように、経済的、社会的、文化的及び人道的問題を解決し、人権及び基本的自由の尊重を図るために国際諸協力を達成すること、これも目的の大きな一つでございます。また、そういった意味において、国連中心の仕事の中にこのような問題解決へ努力をしていくということも当然含まれておるものと考えており、これに対しても協力をしていかなければならないと思います。
○本岡昭次君 答弁になっていないと思うんですね。私は、人権活動の強化というのが紛争や戦争の抑止力となるのではないか、このことの総理の認識を聞いたのであります。
○国務大臣(海部俊樹君) 紛争や戦争の抑止力としての人権の強化という面についての御指摘でございますが、そういった面も確かにあろうと思います。
○本岡昭次君 そうした面もあるであろうというふうな二次的な認識では私はまずいと思うんです。それはまた改めて総理の考えをただしたいと思います。
 そこで、国連中心主義をうたう日本政府の今後の国連諸人権条約への加入、これをどういうふうに進めていこうとされているのか聞かせていただきたい。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 いわゆる人権に絡みますところの条約がたくさんございますことは、先生この問題に大変造詣が深くていらして御存じのとおりと思います。
 過去、日本政府といたしましても、十年ぐらいをとりますと幾つかの条約に加入してまいりました。例えば、人権のいわゆる社会権規約、自由権規約二つに加入しました後、一九八一年には難民条約及びその議定書に入りました。それから、一九八五年には女子差別撤廃条約を締結いたしております。それから、昨年九月の子供サミットの際に署名いたしました児童の権利条約につきましては、でき得れば今国会に御提出申し上げて御論議いただきたいと思って今全力を挙げております。しかし、どんなに遅くとも来年の通常国会には上程したいと考えております。
 そのほか未締結の条約その他がございますけれども、私たちといたしましては、問題を解決しつつ、やはり加入できるものには加入していきたいというふうに考えてございます。
○本岡昭次君 二、三個別の問題で尋ねます。
 拷問禁止条約というのがありますが、これには入っておりませんが、これは日本に拷問があるから入れないんですか。
○政府委員(丹波實君) 拷問禁止条約、確かに聞きなれない条約でございますけれども、この条約は一九八七年の六月に発効しておりまして、昨年の十一月に世界で五十二カ国、国連の加盟国が百五十九カ国ですが、そのうち五十二カ国が入ってございます。
 拷問が日本に存在しておるかどうかという点については、これは先生に申し上げるまでもなく、また私の必ずしも直接の所管ではございませんけれども、しかし、日本国憲法第三十六条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」、それから三十八条があることは御承知のとおりでございまして、拷問が日本に存在しているから日本がこの条約にただいままで入っていないのではございませんで、この条約の内容につきまして幾つかの問題点がございますので、現在政府としてはやはり慎重に検討している段階にあるというのが理由でございます。
○本岡昭次君 幾つかの問題点というのを、差し支えなければここで明らかにしてください。
○政府委員(丹波實君) 幾つかの問題点のうち、時間の関係もございましょうから一つだけ例示させていただきたいと思いますが、この条約によりますと、ある国で拷問を行ってそれが犯罪となる、そういうことを行った、恐らく公務員だろうと思いますが、そういう者が日本に逃げてきた場合に、日本としてはそういう人物を罰しなければならないという規定がございます。
 この条約に日本が入った場合には、そういう公務員を罰する条文を恐らく立法するのだろうと思いますが、立法したとして、やはりそういう人間を処罰するためにはその逃げてきた外国から情報をとる必要があるわけですが、果たしてその国の公務員が行ったそういう行為について、その外国が正しいきちっとした情報をくれるのかどうか、そういう意味で果たして実効性があるのかどうかというのがあえて例示いたしますと一つの問題点、幾つかの問題点のうちの一つでございます。
○本岡昭次君 それでは、人種差別撤廃条約というのがありますが、これはどうして加盟できないんですか。
○政府委員(丹波實君) 政府といたしましては、人種差別を撤廃するということに反対のあろうはずがございません。しかしながら、この条約の中身を検討いたしますと、御承知のとおりこの条約は第四条で人種差別的な発言を行った者を処罰するという規定がある。その他いろんな規定がございますけれども、そういう規定がございます。この規定と、表現の自由等日本国憲法が保障する基本的な人権との関係を一体どのように調整すべきかという点が中心的な問題点ということで、検討が依然として行われているということが理由でございます。
○本岡昭次君 また機会を見て個別に詰めたいと思います。
 きょうは、国際人権規約の中で国連規約のB規約と言われているものの中の選択議定書の問題を取り上げたいと思います。
 この選択議定書の問題ですが、前国会で中山外相も海部総理も積極的に判断する、このように約束されましたが、これはどういうふうになってまいりますか。
○国務大臣(中山太郎君) B規約議定書は人権の国際的な保障のための制度として注目すべき制度であると認識をいたしておりまして、この運用状況も踏まえて関係省庁との間で鋭意検討をいたしております。
 議定書につきましては、我が国司法制度との関係のほか、B規約委員会において我が国の実情を十分踏まえた上での審理が尽くされることについてまだ確信が持てないということと、制度の乱用のおそれが否定し得ないということの懸念がございまして、右締結につき検討をまだ終了するところには至っていないという状況でございます。
 したがって、政府としましては、本件議定書の締結につきまして期限を区切ってお約束をできるという状況ではございませんけれども、今後とも本件議定書の締結問題について関係省庁とも検討を続けてまいる所存でございます。
○本岡昭次君 今の外務大臣の答弁では納得できないんです。私は六年間この問題を追及し続けて、いつも前向きとか積極的とかいういわゆる大臣答弁ばかりいただいて、問題が先延ばし先延ばしになっているのであります。今外務大臣は時期を設定できないとおっしゃいましたが、今国会ではこれはぜひとも時期を設定して検討をしていただきたい、こう思うんです。
 今各省庁にいろいろ検討についてお願いしているということですが、その検討をお願いされている各省庁、外務省からどのような意見を求められ、そしてどのように今それを検討しているのか、どういうところに問題があるのか。聞くところによると、十の省庁と、それから人事院、最高裁というところに照会をされているようですが、それぞれのところ、何が問題なのかということをここでそれぞれ個別に言ってください。
○国務大臣(左藤恵君) ただいまお示しの第一選択議定書に定めますいわゆる個人通報制度でございますが、これにつきまして、我が国の司法制度との関係で、裁判が係属中または確定した具体的な事件につきましても個人からの通報に基づいて人権委員会で審理される、そしてまたその委員会から見解が示されるということがあると思われますので、この司法権の独立という問題、そして三審制度、こういうことの関係でやはり慎重に検討べき問題点が残っておる、このように考えております。
 そして、今も外務省の方からもお話がございましたが、通報制度につきまして乱用のおそれというものと、その他の問題点をどういうふうにして整理していくか、こういうことで、人権委員会におきます個人通報制度等の運用というものをよく見て、注視して検討をしていかなければならない、このように考えておりますので、外務省とそのような連絡を今とっておるところでございます。
○国務大臣(下条進一郎君) お答えいたします。
 このB規約の点でございますけれども、これは一応この議定書の締結について厚生行政の関係でそれがすぐに問題になるというような感じではないのでありますが、今後運営されていった場合に、さて、いろんな問題の中でその審議が十分尽くされるかどうかという点についての懸念がまだ残っております。そういう意味で、関係省庁との検討をしているというのが現状でございます。
○国務大臣(小里貞利君) B規約選択議定書の加入の問題でございますが、私ども労働省といたしましても、先ほど外務大臣の方から御答弁がございましたが、B規約委員会におきまして我が国の独特の実情等につきまして十分踏まえられた上の審議が行われるかどうか、過去の審議の状況等も十分勘案いたさなければならない、そういう観点から、関係省庁と連絡をとりながら検討中でございます。
○国務大臣(吹田ナ君) 私の方は警察庁と自治省の関係になりますが、先ほど外務大臣からお答えになりましたように、司法制度との関係、こういった問題の解明がいまだ済んでいないという問題が一つありますし、さらにこのB規約委員会における締結国との実情を十分しんしゃくしなきゃならぬという検討の問題があるのと、制度の乱用のおそれがないかどうかという問題等につきまして我が国における人権保障のためにこの制度が有効に機能するかどうか、こういった問題等が協議されているというふうに伺っております。
○政府委員(日高壮平君) 大蔵省といたしましては、現在特段の問題を有しているというふうに考えておりませんが、今後とも本件に関する外務省を中心とした政府部内の検討に積極的に参加してまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(関谷勝嗣君) 郵政省といたしましては、各省庁とほぼ同じ事情でございますが、制度の乱用のおそれがないかということが一番大きなものであろうと思いますし、我が国の実情を踏まえた審理が行われているかどうかということであろうと思いまして、なお検討をする必要があると考えております。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 文部省といたしましては、ただいま各大臣お話しのとおり、我が国の実情を十分しんしゃくした審理が行われるか否か、また制度の乱用のおそれがないかなどの観点から、これまでの運用状況を踏まえ、外務省を初め関係省庁ともさらに慎重に検討を行い、その実効性について見きわめる必要があると考えております。
○政府委員(小山弘彦君) 総務庁でございますけれども、B規約人権委員会において我が国の実情を十分踏まえた審理を尽くすことができるかどうか、その辺について確信を持てないということ、さらに制度の乱用のおそれが否定し得ない、こういうようなことを感じております。
○政府委員(日吉章君) 防衛庁といたしましても、各大臣から御答弁がございましたように、この問題は政府全体で対応すべき、検討すべき課題であると考えておりますので、政府全体の一員といたしまして検討を続けてまいりたい、かように考えております。
○政府委員(弥富啓之助君) お答え申し上げます。
 先ほどから始終御議論がございましたように、B規約の選択議定書の加入につきましては、B規約委員会における検討手続とか、果たして我が国の実情を十分踏まえて審理が尽くされるか否か等の点につきましても懸念があるという御意見もございます。人事院といたしましては、今後関係各省とさらに検討をしていく問題ではなかろうか、かように考えております。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 裁判所といたしましては、選択議定書の締結そのものにつきましては、政策判断を伴う問題でございますので、基本的には意見を述べる立場にはないわけでございます。しかし、先ほど来お話の出ております選択議定書に関するうち我が国の司法制度との整合性等の問題点につきましては、最高裁の事務当局として意見を述べる点があればということで、現在鋭意検討しているところでございます。
○本岡昭次君 一応各省庁のを聞かせてもらいましたが、私の思うところ、さほど重要なものがあってという具体的なものは何もないわけで、制度の乱用とか我が国の特殊事情がわかってもらえるかとかというふうなものばかりでして、こういうことであれば、これこそもう外務大臣と総理の決断で私はやれると、このように思いました。
 それはまた後でお伺いするにしても、外務省が最高裁判所に意見を聞いたというここのところはこれはどういうことなんですか。今も最高裁の方からおっしゃいましたけれども、こうした政策の判断の問題を最高裁に尋ねること自身がおかしいのじゃありませんか。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 先生のような御意見はあり得るかと思いますが、私たち、これは最高裁の事務総局の秘書課長、課長レベルで、そういうレベルで最高裁としてどんな法的問題が考えられるかということをお伺いしたものでございまして、もちろん政策的なところまで意見をお伺いしたということではございませんので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 最高裁に聞きますが、最高裁も何か検討されておるようですが、これは三権分立という立場から見れば、最高裁がこうした政策判断にかかわることについて、たとえ参考意見にしろ、そうしたものを出すこと自身間違っていると思うんですがどうですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 先ほども申し上げましたとおり、私ども、今回の議定書の締結に関する政策的判断の部分について意見を聞かれたものとは理解しておりませんで、むしろそういう点については基本的には私ども、委員のおっしゃるとおり、意見を述べる立場にはないわけでございます。ただ、司法制度との絡みの部分、要するに司法制度との整合性に関する問題点があればということで、事務当局で外務省の方に参考意見を述べられるところがあればという観点から現在検討をさせていただいているものでございます。
○本岡昭次君 過去において、そうした点について最高裁が意見を提出したというふうなことがあるんですかないんですか。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 条約にいたしましてもあるいは立法にいたしましても、裁判手続に直接関係するものはございます。あるいは民訴条約であるとかあるいは送達に関する条約であるとか、そういう場合ですと、通常は法務省の方を介しましてではございますが、そういうことについて最高裁事務当局の参考意見を聞かれるということは間々ございます。今回も私どもそういう趣旨の、全体的な政策判断の意見としてではなく、司法制度との絡みでの問題点の指摘という点の意見を聞かれているというふうに理解いたしておりまして、そういう観点で検討しているものでございます。
○本岡昭次君 出したのか出したことがないのか、過去において。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 先ほども申し上げましたとおり、普通は法務省の方を介しまして聞かれますので、私どもの方は法務省の方に私どもの問題点についての意見を述べていることはございます。
○本岡昭次君 いや、はっきりさせていただきたいのです。過去に文書を提出したことがありますか、この件について。
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) この議定書の関係で最高裁からこれまで文書で意見を申し上げたということは一切ございません。
○本岡昭次君 どうですか、外務大臣。これはひとつ時期設定をして、今各省庁の検討しているのを大きく集約するということをやってもいいんじゃないですか。できれば年内にとかあるいは来年の通常国会にというふうなやっぱり時期設定をして、そして集約していくということがなければ、今のような中身の問題であればこれはもう際限なく議論は続くと思うんです。ひとつ決断してください。
○政府委員(丹波實君) 大臣から御答弁ございます前に、ちょっと私の方から最近の経緯について御説明申し上げさせてください。
 先生、昨年の当委員会でまさに質疑応答がございましたときに、私たちの方から、昨年の六月にカナダでこの議定書に関するワークショップが開かれますので、それに私たちとしてはまず参加したいと。参加をしてその上で――このワークショップと申しますのは、要するにこのB規約の選択議定書に基づく個人通報制度の運用状況ということについてこのB規約の人権委員会が、実はこれは非公開でいつも審議しておるわけですが、初めてこの審議の内容あるいは手続規則、解釈、通報の受理の許容性その他を説明する会議であったわけです。それで、外務省から課長レベルで昨年のカナダのワークショップにまず出席していろんな話を聞いて、持ち帰って関係各省庁にもお話をして検討の材料にしているということが一つ。
 それから二つ目は、そのB規約の選択議定書の運用の問題につきまして、議定書の加盟国あるいは非加盟国についてはその理由等を聞くことを各大使館に公電を打って調べたということ。それから三つ目は、昨年の九月に五年ぶりで報告書、この委員会の報告書が実はこういう分厚い二百五十ページのものが出まして、百件弱の決定の先例が出た、これを関係各省庁にお配りして研究しておるということ。それから四つ目は、今先生がここであれされた、外務省として初めて昨年の暮れに関係各省庁に御意見をお聞きすることをした、また関係各省庁も集まって意見交換をした。
 この四つのことは過去それ以上さかのぼった時点ではなかったことで、私たちは先生の御意見、本当にまともにまじめに受けとめてできるだけの努力はしてきたつもりです。しかし、残念ながら今日まで結論が出ていない、もう少し時間がかかるということで、いつまでと言われると私も主管局長として非常に困ってしまうので、先生ひとつ、私たち本当に一生懸命やりますから、もうしばらくの御猶予をぜひお願い申し上げます。
○本岡昭次君 いや、こっちが困ってしまう、そう言われるとね。だから大臣、やはり大臣の決断が要ると思うのですよ、時期設定というのはね。そして全体をまとめ上げていくという、これは努力目標としてやはり設定すべきじゃないですか。だから外務大臣にお願いしているのです。
○国務大臣(中山太郎君) 今局長から御報告申し上げましたように、昨年六月のカナダのワークショップ以来政府を挙げてこの問題に取り組んでおりまして、一生懸命まじめにやっておるわけでございますから、しばらく時間をちょうだいして、私は可及的速やかにこの意見というものは集約されるだろうと思います。無責任なことを申し上げてかえっておしかりを受けるようだったらなりませんので、全力を挙げて努力をいたすと、こういうことを申し上げておきたいと思います。
○本岡昭次君 可及的速やかに結論を得るために全力を挙げるという答弁だと理解していいですか。
○国務大臣(中山太郎君) おっしゃるとおりでございます。
○本岡昭次君 私は、外務省が大変努力していただいておることは喜んでおるんですよ。だけれども、いつまでたっても先送り先送りになりそうなので、ここで改めてきょうのような大層なことをしたわけであります。よろしくお願いします。
 そこで、海部総理は盛んにこの間の中東湾岸戦争問題の中で、日本が世界から孤立したらいかぬと、国際社会で名誉ある地位を占めなければいかぬとおっしゃる。私もそのとおりだと思うのです。だからといって、自衛隊を海外へ派兵したりすることだけがその中身ではないと私は思っております。それで、私が今取り上げているこういう国際人権活動の強化、このことが私は自衛隊を派遣するというよりもっと大きな意味を持つと、こう思っているのです。
 それで、具体的にできることがあるんです。例えば、国連が一九九三年に世界人権会議を企画しておる。しかし、国連に金がないものですからやれない。何か日本にもお願いしたようですが断られたというふうな話も聞いております。また、国連人権センターでたくさんのさっき言ったような資料が集まってくる、しかしそれがコンピューターがないために手作業で大変だ。だからコンピューターを入れたい、しかしこれもお金がない。双方合わせて三億円のお金があればやれる、それで国連の人権機関が四苦八苦しておるというのです。これ、三億円ですよ。なぜこういうようなことについて日本は協力できないのか、私は不思議でたまらぬのですが、どうですか、協力しなさいよ、これ。
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 確かに一九九三年に世界人権会議を開くことが国連で決まっております。しかし、開催場所はまだ決まっておりませんで、ことし開かれる準備会合その他を通じてそういうものが決まっていくことになろうかと思います。
 ちなみに、前回の世界人権会議というのは一九六八年にテヘランで行われておりまして、国連の目から見ますとイランはいわゆるアジア・グループというところに入ってございまして、どうも世界のいろんなところの国の意見を聞きますと、前回このアジア・グループの中の国で開かれたので次回の一九九三年の人権会議はアジア・グループ以外の途上国で開催するのはどうかというのが、ことし二月にジュネーブで人権委員会が開かれましたけれども、その席上と申しますか、あるいはラウンジで語られていた意見が大体そういうことだと私は伺ってございます。
 それから、もう一つの人権センターへのコンピューター導入のお話は私も聞いておりますが、基本的に、国連人権センターのそういう活動は国連本部の予算で賄われるのが通常と聞いておりますけれども、そういう御意見、私はほかにも聞いておりますので、果たして可能かどうかということは検討させていただきたいと思っております。
○本岡昭次君 国連関係にかなり日本は資金を拠出していますが、中山外務大臣、こうした人権問題に積極的に出していくことが日本の今の立場というものを国際的にアピールできることになると私は思うんですが、どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) もう既に日本は、この通常のいわゆる割り当て金と申しますか、GNP等に応じて割り当て制度は決まっておりますけれども、一一%をちょっと超えるぐらいの比率を出して世界で第二位の拠出国になっている。これ以外に、いわゆる臨時的にいろいろな要請が来ております。
 実はけさも国連局長に、この基本的な日本の拠出金以外に一体どれぐらい臨時的に出ているかということを早急に試算しろということを言っておるところでございますが、我々としてはできるだけの協力は既に行っているということで、もしできることであれば、我々は拠出した中からそのようなところに配分するように努力をしなければならないと考えております。
○政府委員(丹波實君) 念のため、今の大臣の御答弁を補足的に申し上げます。
 次の四つの人権関係の基金に日本は自発的に拠出しております。
 平成二年度で拷問禁止のための国連自発的基金五万ドル。人種差別撤廃の十年行動計画の信託基金、平成二年度で一万ドル。人権分野におきます諮問サービス及び技術的援助のための自発的基金、平成二年度五万ドル。原住民のための国連自発的基金、これも平成三年度の予算として二万ドルを計上させていただいております。これだけの分野で各種の自発的基金を出している国は、恐らく日本が一番ではないかと思っております。しかし、今後とも努力は続けたいと思います。
○本岡昭次君 はい、よくわかりました。また改めて別の機会にやります。きょうはほかに重要な問題を持っておりますので。
 それでは次に、昨年六月六日の当委員会で質問しました強制連行の問題に入ります。その際に政府として調査を約束されたいろんな事項があるんですが、その後、調査の結果はどういうことになりましたか。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。
 労働省といたしましては、労働本省、都道府県、公共職業安定所につきまして、関係する部署、倉庫、図書館等、できる限り広範に調査をいたしました。また、全市区町村に対しまして調査依頼をいたしました。さらに、当時の事情に詳しい職業安定行政関係者からヒアリングを行いました。さらに、いわゆる朝鮮人徴用者等を受け入れていた可能性のあります事業所約八百につきまして照会をいたしました。そのほか、情報を把握した場合のその情報の調査というようなことも誠意を持ってできる限りの調査をいたしたところでございます。
 その結果、昨年八月七日までに約八万人の名簿の存在を確認いたしまして、その目録を韓国政府に提出をいたしました。名簿の目録を韓国政府に提出しました後、各方面からの新たな名簿が存在するとの情報がございましたので、関係省庁が連携をいたしまして調査をいたしました結果、八月七日時点で未整理でございましたもの及びその後確認されましたものを含めまして、新たに約一万人分の名簿の存在を確認いたしました。
 現時点までにいわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿約九万人の分を存在を確認いたしたわけでございまして、そのうち韓国政府への提出について、保有者の了解が得られましたものの写しを本年三月五日外務省を通じて韓国政府に提出したところでございます。
○本岡昭次君 今のは強制連行の実態だけでしょう。
○政府委員(若林之矩君) 昨年六月にお尋ねの件は、海軍作業愛国団、南方派遣報国団というのがあるが、これはどういうことかというお尋ねでございました。これにつきましては、国立国会図書館の索引を引くなどして調査をいたしましたが、その手がかりを得ることはできませんでした。
 それから、朝鮮人従軍慰安婦についての調査ということでございました。これにつきましては、私ども、当時の厚生省勤労局に勤務をしておりました者や国民勤労動員署に勤務をしておりました者から事情を聴取いたしたところでございますが、当時厚生省勤労局も国民勤労動員署も朝鮮人従軍慰安婦につきましては全く関与していなかったということでございました。
 したがいまして、労働省といたしましては、ただいまの海軍作業愛国団、南方派遣報国団を含めまして、朝鮮人従軍慰安婦について調査を行うべく努力をいたしましたが、その経緯等全く状況はつかめず手がかりがない状態でございまして、御理解を賜りたいと存じます。
○本岡昭次君 特高月報の存在はどうでしたか。
○政府委員(井上幸彦君) お答えいたします。
 特高月報につきましては、昨年お話をいただいて以来警察庁といたしましてもいろいろ調査を行ってみました。しかしながら、警察庁には特高月報及びこれに関連する資料は一切保管されておりません。これはやはり、御案内のとおり戦後内務省が解体され、それから警察制度が根本的に改革をされました。その際に内務省から新しい警察に資料等の引き継ぎが一切なかったことによるものと思われます。
 なお、念のため国会図書館におきまして調べてみましたところ、特高月報の複製版なるものが存在していることは確認をいたしております。しかしながら、その内容の記述につきまして、私どもの方でどのような資料に基づいてそのようなデータが使われておるのかということをつまびらかにするすべはないと、こういう事情でございますので御理解を賜りたいと思います。
○本岡昭次君 これは特高月報複製版です。これは複製版と書いてあるけれども、特高月報そのものであるのかないのかちょっと確認してください。ここに特高月報とあって、内務省警保局保安課ということで極秘と赤で書いて、この中に朝鮮人の強制連行問題が全部ずっと人数によって記述してあるんです。だから、これが資料として有効性を持つのかどうかということです。
○政府委員(井上幸彦君) ただいまも申し上げましたとおり、この特高月報、私どもの確認をいたしておりますのも複製版としての特高月報と、こういうことでございます。したがいまして、それがどのような事情でつくられたのかということもつまびらかにできませんので、恐らく内務省の警保局時代に作成されたものと推認することはできますが、現在の警察庁の立場でこれがそのもの自身であるというふうにお答えするのはいささか責任ある答弁にはならないのではないか、かように考えております。
○本岡昭次君 いや、これが特高月報の複製版ということは、原本があるから複製ができておるわけですよ。確認でけへんとおっしゃるのですか、これ。事実でないかもしれないとおっしゃるのか、そこの点を聞いておるんです。
○政府委員(井上幸彦君) ただいまもお答えいたしましたとおり、恐らく内務省警保局時代につくられたものであろうというふうに推認はできますけれども、私ども、原本というものも知りませんし、またその複製版がつくられたもとのものがどういうものであるかということも確認をできない状況でありますので、御理解を賜りたいと思います。
○本岡昭次君 今のような答弁では納得できませんね。こういうものが現に複製版があるが、原本がどこかにあって、それが内務省の出したものかどうかということをきちっと確認する責任が私はあると思うんですよ。ここではっきりそのことの答弁をいただかない限り、私は質問を続けられませんね。
○政府委員(井上幸彦君) そのものであるのかという確認をということでありますが、何回もお答え申し上げておりますとおり、やはり推認の城は出ないと、こう言わざるを得ないのではないかと思います。御理解を賜りたいと思います。
○本岡昭次君 これは大臣の責任で、これがそうであるのかどうか、原本がどこにあるのかという問題のですね。責任を持って確認をしてくださいと頼んでおるんじゃないですか。今やれと言っていない。捜査をしなさい。
○国務大臣(吹田ナ君) 国家公安委員長として御指名があったこととしてお答えいたしますが、ただいま井上官房長がお答えいたしておりますように、原本がないということですから、ないものはないわけですから、これは今幾ら追及されましても私の方でそれはどうにもなりませんが、帰りましてよく関係省庁の担当者とも協議はします。協議はしますけれども、ないということをこの席で言っているわけでありますから、それを私が大臣であるからといって、それ以上の答弁をすることはできない。
○本岡昭次君 あればどうしますか、あれば。
○国務大臣(吹田ナ君) あれば結構なことであります。
○政府委員(井上幸彦君) 何度もお答えいたしているとおりでありますが、原本の所在というものを私どもは確認をいたしておりませんし、現段階ではいたしかねる状況にあると、こういうふうにお答えを申し上げます。
○委員長(平井卓志君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(平井卓志君) 速記を起こして。
○国務大臣(吹田ナ君) 国家公安委員長としてでありますから、その点は……。
 先ほど申し上げましたように、私が伺っておるのでは原本はないというふうに伺っておるものですから、ないものはない、こう申し上げたのでありますが、しかし、あったらどうするんだ、こうおっしゃいますから、それは私としては十分これを内部で検討させてもらいますと。そうしなければ私の方ではそれ以上の答えができませんから。この際にそういう原本があるとおっしゃるのならば、それを私ども伺う以外には方法がないわけでありますから。
○本岡昭次君 国立公文書館というところを調査されましたか。
○政府委員(井上幸彦君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、本件につきましては、内務省時代の資料というものは私どもは引き継いでおりませんので何とも確認のしようがないということを申し上げました。ただし、特高月報そのものにつきましての所在はということで、念のため国立国会図書館で調べた結果は複製版というものの所在がわかった、こういうことでございます。
○本岡昭次君 それ以降、原本の追求はしなかったんですね。
○政府委員(井上幸彦君) 原本の所在の確認と申しましても、私どもは内務省時代の資料を一切引き継いでおりませんので確認のしようがない、こう申し上げているわけであります。
 失礼いたしました。国立公文書館につきましては調査はいたしておりません。
○本岡昭次君 そこに原本があると言われているんです。政府の責任で確認をしてください。
○政府委員(井上幸彦君) 所在の確認はやってみるつもりであります。
○委員長(平井卓志君) 井上官房長、いま一度御答弁願います。
○政府委員(井上幸彦君) 所在につきまして調査をしてみます。
○本岡昭次君 大臣からもう少し明確な指示をしてくださいよ。
○国務大臣(吹田ナ君) 御趣旨に沿いまして、内部によく指示をいたします。
○本岡昭次君 それでは、総理に伺いますが、昨年の十月十七日ソウルの日本大使館に、韓国教会女性連合会、韓国女性団体連合など三十九団体の代表が訪れ、従軍慰安婦問題に関する海部総理あての公開書簡を手交されているが、これをごらんになられましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) 見ました。
○本岡昭次君 見てどう思われましたか。
○国務大臣(海部俊樹君) この問題にはいろいろなことが書いてございましたので、それらの問題について私は、どのようなことであったのか、できるだけ調べて内容を知りたいと思ったところであります。
○本岡昭次君 返事を出されますか。
○国務大臣(海部俊樹君) このことにつきましては、まだ今御返事を差し上げるような具体的な状況が把握されておりませんので、まだ差し上げておりません。
○本岡昭次君 海部総理に対する要請はどういう要請になっておりますか。六項目あると思いますが、それをひとつ読んでいただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 事実関係でございますので私から御答弁申し上げます。
 お話しのように六項目ございますので、読み上げさせていただきます。
 日本政府に対する要求ということでございまして、第一点は、日本政府は朝鮮人女性たちを従軍慰安婦として強制連行した事実を認めること。第二点は、そのことについて公式に謝罪すること。第三点は、蛮行、野蛮な行為でございますが、のすべてをみずから明らかにすること。第四点は、犠牲になった方々のために慰霊碑を建てること。第五点は、生存者や遺族の方々に補償をすること。そして最後に第六点として、このような過ちを再び繰り返さないためにも日本における歴史教育の中でこの事実を語り続けてほしいという六項目の要求でございます。
○本岡昭次君 今の六項目について、政府は早急に返事を行うべきだと私は思うんですが、どうですか。
○政府委員(谷野作太郎君) 本件書簡の主題でございます従軍慰安婦の件につきましては、先ほど労働省からお答えがございましたように、御調査になりましたけれども手がかりになる資料がなかったということでございます。したがいまして、そういう前提に立ちますと、なかなか具体的な、まして御満足のいただけるような御回答はできないわけでございますけれども、例えばその他の歴史教育等の問題も書いてございますので、確かにいただいた書簡につきまして御返事しないまま打ち過ぎるのもどうかと思いますので、とりあえずは、例えば私どものソウルの大使館から現状について先方の関係の団体に御説明するような措置はとりたいと思います。
○本岡昭次君 私も昨年従軍慰安婦問題を質問しました経緯もありまして、その後いろんな調査もしてまいりました。そこで、私の手元に沖縄送還朝鮮人名簿、約千六百名、実際は千五百八十四名の名簿が入手できました。これは沖縄米軍屋慶名収容所に収容された朝鮮人の名簿の写しであります。これはGHQの中から資料として日本に送り返されたものの中の一部であります。そして、連合国軍最高司令官総司令部記録の写しということであります。
 ところが、この名簿の千五百八十四名の名前を一つ一つずっと丹念に調べておりますと、朝鮮女性というふうに明らかにわかるものが五十一名、それから朝鮮女性であると考えられる四十七名がこの中から発見されたのであります。これまで強制連行の名簿というのがいろいろ発見されましたが、女性が含まれているというようなことはほとんどないわけであります。
 そこで、沖縄の捕虜収容所に朝鮮人の方が収容された、そこに従軍慰安婦がいたというふうな関係の書籍が幾つも出ているのでありまして、私はそうしたものを裏づける名簿ではないかというふうに思っております。そういう意味で、ここに書かれている女性は、従軍慰安婦、女子挺身隊ということで徴用された人たちが戦争の終わった後捕虜収容所ということで、非軍事員ということでここの名簿に登載され、そして韓国へ送り返された、こういう事態ではないか、このように思います。これの事実確認と、この調査結果を私は出していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の国立国会図書館のGHQの返還文書でございますが、マイクロフィッシュ三十万枚に及ぶという膨大な資料というふうに聞いております。その中に沖縄送還朝鮮人名簿というものがあるというお話でございまして、これは一千五百八十四名分の汽船乗船員名簿で、名前だけがずっと掲示されているというように聞いております。
 この資料につきましては、保有者が国会の図書館でございますので、労働省といたしましては、いわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿に該当するかどうかにつきましての調査確認をお願いするように依頼をしたいと思っております。そして、私どもといたしましても、この御指摘の資料がいわゆる朝鮮人徴用者等に関する名簿に該当するかどうかにつきまして、国立国会図書館とよく連携をとりながら調査したいと考えております。
○本岡昭次君 韓国の方にもお願いしまして、これは共同で調査すれば事実がもっとはっきりするのではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(若林之矩君) 今回の徴用者等の名簿につきましては、韓国政府から私どもの方に協力の要請があったものでございますので、あくまでも私どもとしてできる限りのものをまとめまして先方に差し上げるということでございますから、私どもとして全力を挙げて調査をしたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 今私が持っておりますこの千五百八十何名ですか、この名簿は今入手されておりますか。
○政府委員(若林之矩君) お話は伺っておりますけれども、まだ私ども入手をいたしておりません。国会図書館の方にお願いをいたしまして、今後そういったような確認の調査の御依頼をしたいと思っております。
○本岡昭次君 私が今渡しますから、国会図書館に依頼するんじゃなくて、日本の政府の手によってこれは明らかにしていただきたいと思いますが、やっていただけますか。
○政府委員(若林之矩君) もとより先生から資料をいただきますれば私どもとして調査いたしますが、しかしやはり国会図書館の保有しておられる資料でございまして、これまでも関係省庁等の保有しておられる資料につきましてはそれぞれのところで確認をいただきまして、私ども連携協力して調査確認を行うということにいたしておりますので、これにつきましてもそのような段取りを踏んでまいりたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 従軍慰安婦の存在は、民間の業者がそうした慰安所に朝鮮人の方を連れていったということは聞いているが、政府の責任でというふうなことはない、こうおっしゃっているんですが、それでは女子挺身隊というものの存在はあったんですか。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。
 女子挺身隊でございますが、女子挺身勤労令というのが、国家総動員法に基づきまして昭和十九年の八月付で勅令第五百十九号によりまして定められております。これによりますと、挺身勤労を受けようとする者は地方長官に対して請求または申請をする。地方長官はこの請求または申請を受け、必要があると認めたときは、市町村長、団体の長、学校長に対し女子挺身隊員の選抜を命令する。地方長官は、命令を受けた市町村長等が選抜した者の中から隊員を決定し、挺身勤労令書を交付する等々の内容でございます。そして、勤労令書の交付を受けた隊員は挺身勤労により総動員業務を行うというふうにされております。
○本岡昭次君 その女子挺身隊に朝鮮人女子挺身隊というふうなものがありましたか。
○政府委員(若林之矩君) 私ども、そのような名称は聞いておりません。
○本岡昭次君 今、韓国の梨花女子大学の教諭であります尹貞玉さんという方がこういう一文を残されております。現在生きておられますが。
  一九四四年一二月、梨花女子専門学校一年の時、南北朝鮮半島全土の各地で、未婚の若い女性を手当り次第に挺身隊に狩り出す惨たらしい出来事が繰り広げられた。このことで、多くの学生が結婚を急ぎ、退学し始めると、慌てた学校当局は「学校が責任をもって言う。あなた方には絶対そのようなことはない」と公言した。
  しかし、しばらく後、私たちは国民総動員令を応じるという書式に捺印しなければならなかった。
  私は父母の言葉に従い学校を退学し、挺身隊を免れたが、その頃、私と同世代の多くの女たちが、日帝によって狩り出されていったのだ。
こういう文書もあるんですが、本当になかったんですか。
○政府委員(若林之矩君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、朝鮮人従軍慰安婦問題という御指摘でございましたので調査をいたしましたが、当時、厚生省の勤労局あるいは国民勤労動員署というのがございまして、こういうところが動員業務を担当していたわけでございますが、当時そこに勤務をしておりました者から事情を聴取いたしました結果、厚生省勤労局も国民勤労動員署も朝鮮人従軍慰安婦といった問題には全く関与していなかったということでございまして、私どもそれ以上の状況を把握できないということでございます。
○本岡昭次君 関与していなかったということと、その実態があったのかどうかというのは別問題なんですよ。私は女子挺身隊というものの実態は何であったのかということを改めて調査を要求します。
○政府委員(若林之矩君) ただいま申し上げましたように、繰り返しになって恐縮でございますけれども、当時の勤労局あるいは国民勤労動員署、こういうところが動員業務を行っておったわけでございまして、こういうところに勤務をしておりました者が全く朝鮮人従軍慰安婦問題については関与していなかったということでございまして、このような関係の実態をそういうルートでなくて調べるということはできないというのが現状でございます。
 私どもといたしましては、徴用の名簿につきましてはこれまでも誠意を持って取り組んでまいりまして、今後ともこの調査、確認に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 納得できませんね。
 それでは、先ほどの千五百八十何名の名簿の中に女性がいる、その女性は沖縄で一体どういう仕事についていたんだとあなたは思いますか。
○政府委員(若林之矩君) 私ども、それがどういう実態であるかということはわかりませんが、先ほど申し上げましたように、それが徴用者の名簿に該当するかどうかという観点から、できる限り調査をしてみたいと思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、いずれにいたしましてもそれは名前だけがずっと並んでいるということのようでございまして、大変に難しい問題だというふうには認識いたしております。
○本岡昭次君 政府が関与し軍がかかわって、女子挺身隊という名前によって朝鮮の女性を従軍慰安婦として強制的に南方の方に連行したということは、私は間違いない事実だというふうに思います。その裏づけができないので、今ああして逃げているわけでありますけれども、やがてこの事実が明らかになったときにどうするかということを思うと、本当に背筋が寒くなる思いがするわけでございます。海部総理、これはあなたが総理として日韓関係を考えるときに、この問題をどういうふうに対応していったらいいと思われますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 昨年の日韓首脳会談でこのテーマも出ましたし、また私自身の方から盧泰愚大統領に対しても、直接我が国の行為によって過去に犯した耐えがたい苦しみや痛みに対して率直に責任を感じ反省をしていますという過去の歴史に対する認識を申し述べ、過去のわだかまりを越えた日韓新時代をつくるためにそういう認識に立ってくたことを非常に評価をし感謝する、こういうことで盧泰愚大統領との間の話が決着をし、そのとき、たしか外相会談だったと思いますが、それに関する名簿等の提出を要求されましたので、政府としては誠意を持ってできる限りその調査をするということを決定し、それを行っておるところでございます。
○本岡昭次君 総理は、カナダ政府の日系カナダ人に対する謝罪と補償、私この手紙を渡しておきましたが、お読みいただきましたか。その感想を言ってください。
○国務大臣(海部俊樹君) 拝見させていただきました。
 そして、それによりますと、当時のカナダ政府は、ブリティッシュコロンビア州の日系カナダ人全員を同州から退去させるとか、あるいは財産を押収するとか、あるいはよその強制収容所に収容するなどのいろいろな政策を実施したわけでありますが、それについて誤りであったということを議会で表明し、そしていろいろな対応策をとったということが詳しく出ておる手紙でございます。拝見させていただきましたし、私はそういうことをカナダ政府がされたということに対しては、両国の間のわだかまりを解くことに非常に大きな意味があるのではないか、このように率直に受けとめております。
○本岡昭次君 私の身内の中の一人がその文書を入手したわけですが、私は同じように日本と韓国の関係では、人権上の原則というものを侵害して非常に不当なものであったというやはり公式な謝罪、そしてその者に対する一定の補償、そうしたものをやらなければ日韓の本当の意味の信頼関係は生まれない、こう思うんですが、どう思われますか。
○国務大臣(海部俊樹君) その問題を含めて、私は過去の我が国の行為によって耐えがたい痛みや苦しみを与えたことを深く反省して、率直にこの認識を述べて、再びこのようなことが起こらないように前向きの対応もしていかなきゃならぬと。そういったことについては盧泰愚大統領も、そこまで歴史の認識を正しくしてもらうことが大切であって、わだかまりを乗り越えて新時代に向かっていこう、こういうことで基本的に合意をしたわけであります。そして、ただいま在日韓国人三世問題とか、いろいろなテーマに出た問題等がございます。それは誠意を持って今片づけつつあるさなかでありますし、また名簿のことについても、そのようなことについてできる限りの調査を進めさせておるところであります。
○本岡昭次君 この従軍慰安婦問題はその中の最も重大な問題だというふうに私は考えております。
 日韓二十一世紀委員会の最終報告、これは海部総理のところに出ておると思いますが、この中にも日韓の歴史をめぐる認識ギャップ、本当に私たちが心すべきことがここに書いてございます。やはりその中の一つにこの強制連行の問題、あるいは特にこの従軍慰安婦問題というのは、これは日本国の責任できちっと解明をしていかない限り、いかに海部総理が過去の過ちをと、こうおっしゃっても、私は根っこから信頼関係は生まれない、それほど重要な問題を含んでいる、こう思っているのであります。ひとつ海部総理の方もこの問題に対して大きな問題意識を持って解明に努力をして、各省庁に対して積極的な指導性を発揮していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の御趣旨等も踏まえ、また、私の方も韓国の大統領との首脳会談でそれらのことについては率直に反省の意を表明しておるわけでありますから、それを乗り越えて未来志向型の関係に移っていくためにも、過去の問題についてはできる限り調査をし、真実を明らかにし、提供すべきものは提供していかなきゃならぬと思っております。
○本岡昭次君 次の質問の機会に、私は今の問題の結果の報告を求めることにしたいと思います。
 時間がかなり経過しましたので、次にJRの定期の問題について質問をいたしたいと思います。
 朝鮮人学校に通っている子供たちが日本の子供たちとの間に不当な差別を受けているという問題について、前回のときも私は質問をして運輸大臣にその善処方を要請したところでございますが、その後どのような状況になりましたか、お伺いいたします。
○国務大臣(村岡兼造君) JRと民鉄の間の通学定期の割引の取り扱いの相違につきましては、今後の課題として検討させていただきたいと考えておりますが、そのためJR各社と運輸省との間で検討会を設置してただいま検討しているところであります。今後は次の運賃改定の時期までに結論を得るように検討を進めてまいりたい、こう思っております。
○本岡昭次君 できれば今何が障害になっているのかお知らせいただければありがたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(大塚秀夫君) 通学定期割引につきまして、各種学校について学校教育法第一条校と同じ扱いにいたします際には、その適用範囲また基準について運輸行政上検討しなければならないということが一点。それから、通学定期割引の制度の仕組みに民鉄と相違がございますので、JRと民鉄の仕組みをどのように調整していくか、こういう問題を現在検討しているところでございます。
○本岡昭次君 JRの定期利用者ですね、朝鮮人学校へ通っている子供たち。各JRごとに何名いますか、わかりましたら教えてください。
○政府委員(大塚秀夫君) 各社別、ただいま手元にございませんが、JR六社合計で約五千八百人程度と考えております。
○本岡昭次君 私の手元には、JR東日本が二千六百人、JR西日本が二千三百五十人というふうに、この二つが一番大きいわけで、あとは東海が五百五十、九州が三百というふうな形になっているわけですが、こうした子供たちの定期の割引率を日本の子供たちと同じようにしたときに、JRの新たな負担になる額はどのぐらいになりますか。
○政府委員(大塚秀夫君) これもJR六社合計で約一億円弱と考えられます。
○本岡昭次君 運輸大臣にお願いしたいんですが、JRも民間ということであって、この子供たちの割引率を下げるということは当然負担増になってくるという問題があるわけで、今も総額一億円ということでございますが、日朝関係は今さまざまな関係改善が図られているわけで、このJR利用の朝鮮人学校の子供たちの問題の扱いというのは、今、野球やサッカー、テニス、こうしたもので朝鮮人学校の子供たちが日本の高等学校の子供たちと一緒に試合ができるようになるということが非常によい関係を生み出している一つになっておるのでありますが、小さな問題でも内容的に非常に重要なものを持っていると思うんです。
 だから、一億円というその負担額の問題を念頭に置いて、そしてJR各社がこの割引率の問題等についてもう少し肩の荷を軽くして改善に踏み切っていくということについての大胆な指導というふうなものができませんか。できれば私は四月の入学祝いにこうしたものができればと思ったのでありますが、もう時期的に難しいので、夏休みの終わった後そうした問題が解決できるというふうに持っていっていただければ、今、日朝国交正常化の問題も進んでいるときでありますし、非常に有効有益であると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(村岡兼造君) 先ほどもお答え申し上げたのでございますが、朝鮮人学校あるいはアメリカンスクール等は学校教育法上各種学校となっております。そのため、先ほどもお答えいたしましたように、検討会をつくりましてできるだけ早く結論を出したいと考えておりますが、現状のところ、次の運賃改定のときまでに結論を出したい、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 運賃改定の時期というのはおおよそいつごろのことですか。
○政府委員(大塚秀夫君) ただいま運賃改定申請もございませんのでその時期について申し上げられませんが、そういう時期に間に合わせるように、できるだけ早く結論を出すべく検討しているという意味でございます。
○本岡昭次君 この場で要望しておきます。先ほど言いましたように、四月の入学祝いと思いましたけれども、それが無理であれば、夏休みの終わった後新しく定期券を購入するときにこうした問題が日本政府として一つの善処ができたというふうにぜひともしていただきたいことをお願い申し上げておきます。要望しておきます。
 それでは最後に、同和行政の問題を伺っておきます。
 私は先ほどから、日本の地位の問題として、差別撤廃あるいは人権確立といった問題についていま少し国際的潮流の視点に立って進めていくことが大事であるということを申し上げましたが、日本の同和行政の問題も、先ほどの人権規約のB規約第二条、第二十条、第二十六条を踏まえた対応が必要だと思うのですが、政府の考え方を聞いておきたいと思います。
○政府委員(小山弘彦君) お答えいたします。
 先ほども一般的にお答えいたしましたけれども、総務庁といたしまして、私ども検討の段階におきましてできる限りの協力をするというつもりでおります。
○本岡昭次君 いや、今の私の質問は、同和行政の問題を考えるときに、人権規約の第二条、第二十条、第二十六条を踏まえた対応をすべきではないかというて尋ねたのですが。
○政府委員(小山弘彦君) 私どもとしましては、同和行政に限らず一般的な問題といたしましていろいろ対処してまいりたい、こういうふうに思っております。同和行政もその枠内でいろいろ配慮できるもの、このように認識しております。
○本岡昭次君 どうぞもう一遍答弁してください。今みたいな答弁はないでしょう、あんな一般論の答弁。
○政府委員(小山弘彦君) 同和行政におきましては広く差別の問題を、憲法第十四条で保障されているものとの絡みにおいても十分私ども認識しておりますし、今後とも差別の問題につきましては、事業面、心の面を通じて対処してまいりたい、このように思っております。
○本岡昭次君 国連の人権B規約の中で、差別という問題に対するどういう認識がそこに示されているんですか。
○政府委員(丹波實君) B規約第二十六条が一番重要な条文だろうと思いますけれども、
  すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する。
以上でございます。
○本岡昭次君 そして、特定の行動に対して、特定の問題に関して、他の人々に比べて一部の人々に特恵的な取り扱いを許容することが含まれるというふうなことも書いてありますね。いかがですか。
○政府委員(丹波實君) おっしゃるとおりでございます。
○本岡昭次君 それで、現在地域改善対策協議会が開かれて、六月に中間報告、十二月に最終報告が出されますが、この報告は当然政府は尊重されると思いますが、どうですか。
○国務大臣(佐々木満君) 当然政府の方から御諮問申し上げているわけでございますので、御答申が出ますれば最大限尊重いたしまして次の対策をつくってまいりたいと思います。
○本岡昭次君 また、全日本同和対策協議会が去る三月十九日の総会で抜本的、総合的な法的措置を求める要望書を採択していますが、これについてはどうですか。
○国務大臣(佐々木満君) 今までもそうでございますけれども、地方団体を初め関係者の皆さんの御意見をよくお聞きしながら対策を進めてまいりますが、先般も地対協の中でそうした団体の皆さんの御意見をお聞きになっているようでございますので、そうした御意見も踏まえた御答申がいただけるものと思いますので、それをいただきまして対処してまいりたいと思います。
○本岡昭次君 この要望書そのものに対する総務庁の考え方はどうなんですか。
○国務大臣(佐々木満君) 要望書の内容につきまして、私は今ここでお答えを申し上げるのは適当でないと思います。そういう問題等々多々ございますし、各方面からも御要望もたくさんございますので、どうぞひとつまとめて来年からの対策を考えていただきたい、こういうことで御諮問を申し上げておりますので、御答申をいただきましてから対処いたしたいと思います。
○本岡昭次君 最後に、海部総理にこの問題の答弁をお願いして終わりますが、今言いました要望書の中に、「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の失効後においても、総合的な施策を推進する根拠となる、下記の内容を盛り込んだ法的措置の実現を図られるようお願い申し上げます。」と、こう書いてあります。
 そしてまた、先ほども私は国連のB規約に言う差別という問題に関しての質問をしましたのは、やはり国連のレベルでこの問題を論議するときも、特定の行動に対して、特定の問題に関して、この同和行政というふうな特定の問題に関して他の人々に比べて一部の人々に恩恵的な取り扱いを許容することが含まれ得る、こういうふうに国連の人権というレベルの中でもきちっと押さえてある問題でございまして、だから私は、やはりそういう観点に立ってこの同和行政の今後の問題の展開はしていくべきだ、こういうふうに考えます。総理の御見解を伺って、終わります。
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま御議論になっておる同和問題は、基本的人権に関する重要な問題だと政府は認識しておりますし、また、具体、最終の特別法である現行法が失効する平成四年四月以降の方策につきましては、地域改善対策協議会において一般対策への円滑な移行について協議されておりますので、その意見をも踏まえながら、この考え方の趣旨が達成されるように検討し努力してまいりたいと思っております。
○委員長(平井卓志君) 以上で本岡君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(平井卓志君) 次に、竹村泰子君の質疑を行います。竹村君。
○竹村泰子君 初めに、湾岸問題で総理にお尋ねをしたいと思いますが、先日、三月十九日の本予算委員会で安恒委員が総理にお聞きいたしました。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
「あなたは平和国家日本は何で名誉ある地位を確立しようとお考えでしょうか。」とお聞きしましたときに、海部総理は、技術革新、技術協力の面においてすぐれたものを持っているという、その点で貢献したいというふうにお答えになっているんですけれども、総理初め閣僚の皆さんは、我が国が世界に輸出できる、そして世界に通用する普遍的価値は何とお考えでしょうか。
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、湾岸問題に関連しての御質問でございましたので、力でお役に立つことができないけれども、しかしあの地域の環境をきちっと整備すること、そしてまた、あの地域の復興のために日本の持っておる技術協力や経済協力を積極的にやっていくという角度のことをお答えいたしました。そういった人間の環境を整備するということは、単に中東問題のみにかかわらず、将来の地球に対して大きな影響のある重要な問題でありますから、その方面に対して全力を挙げて協力していく考えでございます。
○竹村泰子君 私の周辺では、現在の日本が誇り得るものとしてテクノロジーと勤勉な国民性ということを挙げる人が多いようで、総理も今そのようにお答えになりましたけれども、しかしそれがかえって世界から脅威と受け取られ、尊敬されない原因となっているということも考えられるんです。私は、環境保全の分野における貢献こそ我が国を国際社会で名誉ある地位に導く方策であると思います。
 早速に湾岸環境調査団をお出しになりまして、そして帰国されました。その報告書を拝見いたしましたけれども、原油の流出と生態系の破壊、そして油井の炎上と健康被害が懸念される事態になっていることがよくわかりましたが、政府は具体的にどんな協力策を持っておられるのか、明らかにお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) その報告書に基づく私ども所管官庁としての取り組みはどうかというようなお伺いでございましょうから、お答えさせていただきます。
 通産省といたしましては、まず、さきに湾岸諸国に派遣いたしました政府調査団の報告及びサウジアラビア政府等の要求あるいは要請を踏まえまして、サウジアラビアに対しまして、まず原油の回収作業のために国際緊急援助隊専門家チームを約三十名ほど送らせていただきました。これは二班に分けましたけれども、この間私も歓送会をさせていただいたのでございます。また、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦に対しましては、海水淡水化施設等の保全のための専門家を派遣することにいたしました。大体約三カ月くらいの滞在になるかと思いますが、これも相当な誠意ある私どもの、総理の言われたような努力の一環としてやった次第でございます。一行は一昨日成田空港を出発しまして、きのうリヤドに到着したと思います。
 原油回収作業のための国際緊急援助隊の専門家チームは、石油会社等の民間の専門家のほか通産省を初めといたしました関係省庁により構成されておりまして、サウジアラビアの東部の原油漂着地域におきまして、我が国から供与されましたオイルスキマー等資機材の使用方法の指導等を専ら専門的に指導するという立場を堅持しているわけでございます。
 また、海水淡水化施設等の保全のための専門家は、民間企業及び通産省の専門家で構成されておりまして、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦におきましては、まず一つは取水口に油を近づけないための施策、第二点は施設内に油が入った場合の対策、それから第三点は精製水から油を除去するための技術、あるいはまたそういうことに関連する技術というものの協力をあらゆる形で行っていくということを私どもは推進させている次第でございます。
 以上でございます。
○竹村泰子君 私は、これは質問というよりは提案とでもいうような感じなんですが、当面の対応だけではなく、憲法の理念に即した貢献の仕方というのがあると思うんです。それは、例えば必要なときにはいつでも環境調査を目的とした環境ミッションのようなものを派遣できる、あるいは環境の復旧を目的とした環境レスキュー隊のようなことを考えなくてはいけないので、いつも国内に整備しておくことはいかがなものでしょうか。
 また、国連安全保障理事会に並んで環境保障理事会のようなものを国連につくらせる、そしてその常任理事国として日本は世界に積極的に貢献するべきだ。UNEPというのがあるんですけれども、今回ほとんど貢献できなかったといいますか、無力でしたね。地球環境を破壊されてしまってからではもう遅いのですから、国連機構の見直しが叫ばれている中で、政府がこういったグランドデザインというようなものをきちんとお持ちくださることを、世界に向けて提示されることを国民は望んでいると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(愛知和男君) お答えをいたします。
 地球環境問題や、このたびの湾岸危機におけるような環境危機への対処につきましては、各国のこの面の取り組みの強化のみならず、国連等の国際機関を通じて各国の対応を調整し、あるいは国際的な枠組みにより総合的で効果的な対策を講ずることが必要であります。先生の御提案も、こうした観点から地球環境問題に対処するための国際的体制づくりを強化すべきとの御提案と受けとめておりまして、その御趣旨の重要性につきましては十分認識をいたしております。
 今、UNEPのお話等ございましたが、我が国といたしましては、来年六月に環境と開発に関する国連会議が開催をされますが、この会議の成功に向けて準備会合に積極的にかかわっておりますし、また日本国内の国内世論をも喚起しつつ、地球環境問題への取り組みに一層弾みをつけていきたい、このように考えております。
 今、UNEPのお話をされまして、UNEPが十分機能しなかったという御批判もございましたが、私ども必ずしもそうは思っておりません。UNEPを初めとする国際機関を積極的に我が国としても支援をいたしております。特にUNEPのことに関連いたしましては、UNEP地球環境技術センターというものを我が国に設置をいたしまして、関係機関との連携を図りつつ国際的な技術移転のネットワークづくりに貢献するアイデアを外務省とともに推進中でございます。
 さらに、環境庁といたしましては、発展途上国の環境保全努力を支援するために専門家の派遣、研修生の受け入れ等に積極的に対応するとともに、環境庁所管のODA予算の拡充等を行っておるところでございます。
○竹村泰子君 いろいろ御計画をお聞きしたんですけれども、ぜひもう少し世界に見える形での貢献策というか、ああいいアイデアを出してきたなというようなそういうものを私は今はっきりと日本はお出しになるべきだ、そう思いますので、総理もひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは次に、美浜原発の問題に移りたいと思います。
 美浜原発の事故ですが、原子力安全委員会の定めた安全審査指針では、今回のような事故は伝熱細管の両端が完全に破断するケースで重大事故、仮想事故に分類されております。緊急炉心冷却装置が国内で初めて作動したケースでありまして、もし何らかのトラブルでこれが作動しなければメルトダウンになる大事故でございます。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
通産省は何ゆえにこれを事故と呼ばずに事象とお呼びになりますか。また、これまでに判明した事実と、現在行われている原因究明作業について説明されたいと思います。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 美浜二号機の件につきましては、我々は事象ということで呼んでおりますが、この件は、放射能の外部への放出という観点で見ますとごくわずかで、環境への影響は認められなかったわけでございます。それから、今お話のございました非常用炉心冷却装置等の安全設備が作動したわけでございますが、これも設計どおり機能して、十分余裕を持った状態でプラントが停止できたということでございます。
 それで、今回我々、このような事態の場合に炉心内の燃料が健全であったかどうか、これが大事な点でございまして、この健全性につきまして慎重に今検討をしておるところでございますが、一次冷却水の沃素の濃度、それから限界熱流束比、DNBRと呼んでおりますが、この値、それから燃料被覆管の表面温度などの測定値、それからいろいろ安全解析をやっておりますが、その結果から見まして炉心の健全性に何ら問題がないというふうに考えております。
 しかし、炉心損傷ということはなかったわけでございますが、蒸気発生器伝熱管が破断したということ、それからECCSが実作動したということで、我が国では今まで例がないわけでございます。そういうことで、通産省といたしまして徹底した原因究明、それから再発防止対策を確立するということで、鋭意努力している次第でございます。
○竹村泰子君 原因究明作業について説明されたいとお願いしています。答えていないです。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 原因につきまして、まず損傷しました金属の破面につきまして調査したわけでございますが、高サイクル疲労を示します破面が出ていたというようなこともございまして、いろいろ原因究明作業を進めましたところ、伝熱管の振動を抑える振れどめ金具、AVBと言っておりますが、これが設計どおり入っていなかったということで、この伝熱管が疲労しまして破断に至った蓋然性が極めて高いというふうに我々考えております。
 それから、これまでの調査結果でございますが、破断に関係します応力腐食割れ、SCCと呼んでおりますが、これとか、あるいは粒界腐食割れ、IGAと呼んでおります。それからデンティングなどにつきましては、調査いたしました結果認められなかったわけでございます。
 それで、我々といたしましては、AVBが設計どおりの範囲に入っておれば伝熱管が破断するようなことは極めて考えにくいと考えておりまして、AVBが設計どおりの範囲まで入っていなかったことから破断というふうな結果に至ります具体的なメカニズム、これにつきまして今鋭意解明をしている最中でございます。
○竹村泰子君 今AVBのお話が出ましたので、ちょっと順序を変えてAVBのお話を聞きたいと思います。
 一九八七年七月、米のノースアンナ原発事故の原因の一つに、NRCが振れどめ金具、AVBを挙げましたね。私の手元にその報告書があります。このとき日本でも加圧水型原発を調査したと思いますが、どうでしょうか。通産省の調査特別委員会でも言っておりますが、AVBが正しく全部の管に設置されていれば細管破断事故はなかったと考えているんですか。
○国務大臣(中尾栄一君) お答えいたします。
 伝熱管の損傷の原因については、先ほど審議官から報告させましたが、伝熱管の振動を抑える振動金具が、いわゆるAVBでございますけれども、設計どおりの範囲まで入っていなかったことが確認はされておるわけでございまして、このために伝熱管が疲労により破断に至った、そういう蓋然性が極めて高いと判断しているわけでございます。また、これまでの調査の結果からは、技術に関する応力腐食割れといいますか、SCCと俗に言っているようですが、あるいはまた、先ほどお言葉にもございましたIGA及びデンティング等は認められていないというわけでございます。したがって、AVBが設計どおりの範囲まで完全に入っているというならば、伝熱管が破断するようなことは極めて考えにくい事象ではなかったか、こう思っているわけでございます。
 なお、AVBが設計どおりの範囲内まで入っていなかったことから破断という結果に至るまでの具体的メカニズムについて今後鋭意解明を進めていくということが私どもの至上命題ではないかと考えておる次第でございます。
○竹村泰子君 これまでにも、AVBがあるために金具との接触により細管が損傷するいわゆるフレッティングという現象はよく知られていましたね。そしてまた、逆U字型に曲がる場合は製造時に合金内にひずみが生じやすいこと、これはもうだれが考えてもわかることでありまして、これまでにわかっています。
 従来の渦電流探傷法では、チューブに腐食やひび割れが進行していても、今なかったとおっしゃいましたけれども、進行していても、肉厚の二割以下の腐食や四割以下のひび割れではこの渦電流探傷法ではわからないんです。金属疲労をも含めて探傷法を根本的に改善する必要があると思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今御指摘の蒸気発生器細管の損傷につきます検査でございますが、応力腐食割れあるいは粒界腐食割れというようないろんな形態があるわけでございますが、これは今御指摘の渦電流探傷検査等によりまして、有意な信号のあるものについてはプラグあるいはスリーブをするということで適切な対策をやってきているところでございます。
 それで、今回の美浜二号機、これは先ほど申し上げましたように金属疲労によるものでございまして、疲労であるということが極めて蓋然性が高いわけでございまして、今申し上げましたこれまでの損傷形態とは異なっているものでございます。これはAVBが設計どおり入っていなかったということが主因でございまして、我々といたしましては、この破断に至るメカニズム、これを具体的に検討いたしまして、その結果を踏まえまして、蒸気発生器伝熱管の検査のあり方も含めまして今後の必要な対策をとっていきたいと考えております。
○竹村泰子君 検査の方法もお考えになるわけですね。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今メカニズムを鋭意検討しております。その結果を踏まえまして、検査のあり方も含めまして必要な対策をとっていきたいと考えております。
○竹村泰子君 美浜二号機では、AVBが蒸気発生器の内側から十九列目までしか届いていなかったのですね。内側から十八列目まで金具がなかったとすれば、実際に破断した十四列目よりももっと振動の大きい十八列目や十七列目、十六列目あるいは十五列目の細管が先に破断したはずではないですか。この事実を見ても、今度の事故の原因をAVBを設置した作業者のミスのように発表したのはとんでもない間違いですね。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今回の損傷、これは高サイクル疲労であるということでございますので、高サイクル疲労ということではAVBの有無によって大きな影響を受けるわけでございます。
 それで、今お話しのようにAVBの入っていないところもあるわけでございますが、それは構造的に入れなくてもいいというところでございます。今回美浜の二号で一本破断が起こったわけでございますが、その周辺部分についても調査をしておりますし、構造的なピーキングファクターが出るというようなことで流れがそこに強まっているというようなこともあるわけでございますので、その構造的な問題も含めまして今後の解明をしていきたいというふうに考えております。
○竹村泰子君 まさか、すべての原因をAVBの設置ミスに転嫁して、美浜二号機を一基とめるだけでほかの原発は点検と改善のために停止することさえしないまま、美浜を犠牲者にして済まそうなどとお考えではないでしょうね、通産大臣。
○政府委員(緒方謙二郎君) お答えいたします。
 先ほど来答弁しておりますように、私ども今回の件につきまして非常に重大視をしておりまして、徹底した原因の究明をしているところでござざいます。そして、同じような加圧水型の原子炉は全国で十七基ございますが、これについて同じように振れどめ金具が入っているかどうかの総点検をやったわけでございます。そして、この美浜の二号機以外に、総点検の結果振れどめ金具が入っていない疑いがあるものがあと一基、高浜の二号機というものについて疑いが発生いたしましたので、これについては直ちに運転をとめて点検をするようにしたところでございます。
 それから、残りの加圧水型の原子炉につきましても、今回の一連の発生のメカニズム、それから対応策が完璧に整いますまでの間、運転方法については従来以上に慎重な運転をし、いささかでも疑わしい事象が生じた場合には運転をとめるということによって安全性を確保するということで当面やっているところでございまして、決して特定の原因で決めつけて何かをしているということではないわけでございます。
○竹村泰子君 承服できません。今回のようなこのギロチン破断と言われるような大変な破断を起こした。そして、加圧水型の原発は十七基あるとおっしゃいましたけれども、すべて同じ、古さ新しさの違いはあっても同じ条件で運転しているわけですよ。それを、美浜は蒸気発生器の取りかえでおとめになる、高浜二号はこのAVBの問題でおとめになる。その二つだけをとめて、それで口をぬぐわれるおつもりはないでしょうねとお聞きしたんです。
○政府委員(緒方謙二郎君) 美浜二号機の事故の原因につきまして私ども徹底した調査をやるわけでございまして、これにつきましては今後さらに検討を続けるわけでございます。その意味で、徹底的な原因が究明されるまでの間、先ほど御説明したようなことで対応するということでございます。
○竹村泰子君 押し問答をしても仕方がありませんが、先日衆議院の予算委員会における辻一彦委員の求めに応じて提出されました「美浜二号磯原子炉容器頂部ボイド発生量解析結果」というのは、一体だれが何の目的で、どのように解析をしたものなんでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今先生お話しの蒸気発生量の解析の結果、グラフでございますが、これは平成三年三月二十六日に開催されました美浜発電所二号機の調査特別委員会、これにおいて検討された資料の一部でございます。
 それで、本解析につきましては、今回美浜二号機の蒸気発生器伝熱細管事象に伴いまして圧力容器の中でどのような事象が発生していたのかを把握する、それからもう一点、燃料集合体が常に冠水状態にあり、冷却が十分行われ、燃料の健全性が保たれていたかどうかということを確認するために関西電力が行ったものでございまして、グラフも同社が作成したものでございます。
 本解析の詳細につきましては、引き続き調査特別委員会で検討する予定でございます。
○竹村泰子君 ここにその解析データをいただいておりますけれども、この数字はすべて実際の事故のときの数字と大きく違いますね。例えば、表の各種の温度は出発点の一段目の十三時四十分からして実際とは全然違うんですよ。原子炉容器頂部の温度の方がそれよりずっと下の方から蒸気発生器へ向かう出口温度よりも六度も低いというのは、これは一体どういうことなんですか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 解析結果と実測値が違うという御指摘でございますが、この解析におきまして解析コードでどういうふうにしたかということをちょっとお話し申し上げたいと思いますが、解析コードに伝熱管の破損の形態、原子炉の出力、それから原子炉の圧力等の原子炉の初期条件、これの実際の原子炉のパラメーターを入力いたしまして、事象発生前後の原子炉各部の温度等の変化を解析したものでございます。
 それで、本解析に用いられております解析コード、MARVELコードと言っておりますが、これは安全審査でも使っているものでございます。原子力のプラントをモデル化いたしまして、それから単純化して計算するわけでございますが、全体としての状態の変化を解析するものでございます。したがいまして、解析結果が実事象と一致しない時間帯はある程度は生じ得るものと考えております。
 それで、各部の温度につきまして今回の解析結果と実測値とを比較いたしますと、乖離の程度でございますが、Aループの高温側の配管温度実測値、ホットレグの実測値でございますが、一時上昇しているものを除きますと最大でも十度程度でございまして、解析結果はほぼ実事象を模擬しているものというふうに我々は考えております。
 以上でございます。
○竹村泰子君 私も数字にはかなり弱い人間なんですけれども、そういうふうには全然素人が見ても読めません。
 原子炉容器頂部温度が実際にはこの解析値より数度高ければ、その温度は事故とともに、つまり十三時五十分からたちまち飽和温度と重なってしまいますね。すると、初めて沸騰したのは十四時四十四分からではなく、十三時五十分直後からということになりますね。
 きょうは原子力安全委員長においでいただいておりますが、このことについてどうお思いになりますでしょうか。
○説明員(内田秀雄君) 解析と実測値との違いというのは当然あるわけでありまして、解析に用いられております前提条件、コードが実測と全く同じものを再現するというものでもございませんし、また仮に温度といいましても、実測されたところの温度そのものが解析値にすぐ一対一で出てくるものでもございませんので、ある程度の誤差は差し支えございません。
 それから、十三時五十分の点につきましては、詳細はまだ検討しておりませんが、十三時五十分はたしかスクラムがありまして、圧力とそれから水位の両方が低位になった信号でもってスクラムと同時にECCSが働いたわけであります。その時点をもし破断といたしますと、加圧水型でありますので、その圧力が急に減少することによって、温度がそのままでありますので一部分が沸騰するのは当然のことでございます。
 いずれにしましても、解析値につきましてはまだ安全委員会で正式に審議しておりませんし、詳細検討しておりませんので、将来にもう一回詳しく評価したいと思っております。
○竹村泰子君 それでは、安全委員長はまだこの解析結果をごらんになっていないわけですね。
○説明員(内田秀雄君) 今委員がお持ちの表につきましては拝見しておりますけれども、まだ専門家を含めて詳細には検討しておりません。
○竹村泰子君 原子力を安全に運転するための部署である、委員会であると私は思いますけれども、美浜の事故が起きてからもう随分たっております。解析結果が出されてからもかなりの日数がたっております。まだ解析結果をごらんになっていないということはちょっと私も驚きなんですけれども、いずれにしても、こんないいかげんな解析では話にならないんです。
 これは私、専門家の御意見も大分聞きまして一緒に勉強しましたけれども、こんないいかげんなでたらめな解析では話になりません。もっときちんとした解析を実施し直して、提出し直させてください。通産大臣、いかがでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 先ほどの御指摘は、炉心頂部の温度とAループの高温側が高いのはなぜかということでございまして、解析を進めている現段階での我々の考え方を御説明させていただきたいと思いますが、通常時、原子炉容器の頂部、これは原子炉容器内のダウンカマー上部のスプレーノズルから低温側の一次冷却水を流入させ冷却しているわけでございます。しかしながら、原子炉容器の頂部への流路といたしましては、今申し上げましたスプレーノズルと制御棒案内管がございますが、いずれも流路が狭いわけでございます。それで、今回のように一次冷却材ポンプが停止した後の自然循環、こういうような状態では流量が少なくなるわけでございます。したがいまして、原子炉容器の頂部、これは一次系の頂部は他の部分が冷却されるよりもゆっくり冷却されるということでございまして、このため原子炉容器頂部の温度の低下が他の部分に比べて緩やかなものになっているのじゃないかというふうに考えておりますが、いずれにしても、詳細いろいろ検討していきたいと考えております。
○竹村泰子君 提出し直してくださるんですね、もう一度解析をきちんとして。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今現在いろいろ評価をしている最中でございまして、我々の評価がまとまれば提出させていただきたいと思います。
○竹村泰子君 十三時四十分というのは事故の十分前なんですね。ですから、本当にこれがいかにいいかげんなものかということがよくわかるんですが、大臣、きちんと解析を出し直させていただきたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) これは先ほど私も竹村委員に御説明させていただきましたように、一番先にこの問題が起こりましたときには、私は厳重にエネ庁の方にも言い、なおかつ電力会社の関係の方にも通達したつもりでございます。
 ところが、御案内のとおり、もう委員御研究なさっておられるわけですからよく御存じでございましょうけれども、大変な数の本数が、こちらが三千本、こちらが三千本というふうにございます。そこにどういう形で亀裂が生じたのか、穴があったのか、何かそれだけでも事象を発見するのに大変な時間がかかったわけでございますね。それでなおかつ、現時点の中では、しからばそれがどのような角度でそのような穴になったのか、あるいは亀裂になったのか、こういうことに対しても完全なる把握がなされないまでは、これははっきりしたことを言えないという段階が現時点の研究段階なのでございます。
 ところが、私はそれでも急げという強い命令を出しているものですから、大変に必死な努力で、もう徹夜のようにしてやっていただいているわけでございます。したがって、その資料も決して、いいかげんだと言われますと、私自身もこれはいいかげんではございませんと申し上げる以外には法はないわけでございます。
 ですから、現時点の中では今までの問題はそういう格好になっておりますが、ほかにそのようなことがもし万が一にもあってもいかぬということで、ほかの場合でもそのような事象が見られるような警報が、ウオーニングが発生した場合には直ちにとめるということまで私は指令を出しておるということでございまして、相当綿密にこの問題はやっておりまして、まだ私のところに完璧な報告が上がっておりませんから、その過程の中においての言葉のやりとりでございますだけに、多少いいかげんな資料だと言われますると、私としても今までの段階の中における発表でございますよということを申し上げる以外にはなかろうかと思います。
○竹村泰子君 ECCSについてお尋ねいたします。
 細管破裂の場合、一次系の圧力はなかなか下がらないまま冷却水は二次系に抜けて炉内が空になっていくことが大問題です、空だき。現に百気圧以上の状態が二十分以上にもわたって続いていますね、ここにチャートをいただいておりますけれども。しかも、このとき、四十三分にわたって加圧器の水は全部流出したまま、四十三分間にわたってゼロなんです。原子炉内の水のレベルはわからないままでした。炉内の上部の高温の水は圧力を下げると水蒸気になるので、炉内の水位が失われても圧力はなかなか落ちません。
 ところが、このポンプでは百三気圧以上の圧力に抗して注入する力がないために炉心が空になってしまうおそれがあるのではないですか。なぜもっと高い圧力に対しても注入できるようになっていないんでしょうか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 蒸気発生器伝熱管の破断に伴いましてECCSが作動したわけでございますが、これは一次冷却水が二次系へ漏えいするということで、炉心を保護するために作動し、この場合は高圧注入系二台が作動したということでございます。この高圧注入ポンプといいますのは、一次冷却水の圧力に応じまして注入量が変化するわけでございます。
 それで、今回の事象で、圧力の変化によりまして、設計上求められる注入量とそれから実際の注入量とを比較してみますと、所要の冷却水がほぼ設計どおり注入されているということを我々確認しております。それでこの結果、炉心は十分冷却され、プラントは安全に停止したということでございます。したがいまして、今回美浜発電所二号機の非常用炉心冷却装置につきましては特に問題ないと考えております。
 それからなお、高圧注入ポンプの性能、これは蒸気発生器細管破断の場合だけではなく、小破断のLOCA、主蒸気管の破断事故、それから二次系の異常な減圧、今度これらにおきまして安全解析がいろいろ高圧注入系についてやられているわけでございます。それで、これらの事象に対応し得るよう高圧注入ポンプの容量、QHカーブでございますが、等が設計されているかどうかということを確認しているものでございます。
 以上でございます。
○竹村泰子君 この能力のポンプのままでいいというなら、加圧器が空になった状態の運転を、それも何十分にわたって容認してよいということなんでしょうか。原子力安全委員長、いかがお考えになりますか。
○説明員(内田秀雄君) 蒸気発生器の伝熱管の破断事故が今回の美浜二号でありまして、ECCSとおっしゃいますけれども、ECCSの中の一つの高圧注入系が今回働いたわけであります。そして、蒸気発生器伝熱管破断事故のようなものは、冷却材圧力バウンダリの中の水が多く抜けるというようないわゆるLOCA、冷却材喪失事故とは違うものでありますから、高圧注入系のポンプの機能というものは、水をたくさん入れるということではなくて、漏れただけの量の補給程度でございます。
 そして、この蒸気発生器破断事故に対しましては、もう一つ充てんポンプというのがございます。今回の事故でありましても、高圧注入系が約五十トン注入されたと報告されておりますし、充てんポンプがさらに二十トン注入されたということも報告されております。
 したがいまして、冷却材圧力バウンダリの中には約七十トンの水が入っているわけでありまして、しかも蒸気発生器の出口の弁が閉じることによって隔離されておりますので、余り必要以上の水を注入することはよくないわけであります。したがいまして、高圧注入系は適切なオペレーターの判断によって途中でとめるということでありまして、今回の事故に対して、高圧注入系の水の注入量、機能、性能については十分安全確保のために目的を果たしておると判断しております。
○竹村泰子君 すごいですね。注入したのだけれども、四十三分間にわたってゼロなんです、空だきなんです。これで十分機能したと言われますか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 今加圧器の水位は振り切れているというようなお話でございますが、これの間におきまして、運転員は炉内の状況についてサブクールド、これをチェックすること、それから健全側ループの高温側温度、これを監視することによりまして自然循環が行われているという確認をしておりまして、加圧器水位が振り切れていましても、炉心が冠水していることは運転員は確認していたというふうに考えております。
○竹村泰子君 原子力安全委員長、だから日本の原発は安全であるというのは国民は疑っているわけです、恐れているわけです。
 少し話題を変えますけれども、大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵省が認めた原発の耐用年数は何年ですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 原子力発電所につきましては、発電設備は十五年であります。
○竹村泰子君 十五年ですね。
 総理、そして大臣、皆さん、今お配りしている資料をちょっと見ていただきたいと思います。
 ナンバー1の方は、これは今回の事故を起こした蒸気発生器細管の施栓率です。つまり損傷した細管に栓をして、穴のあいたところに栓をしている数です。
 原発名の下に記されている数字は運転歴です。今度の美浜二号は十八・六と書いてあります。十八年六カ月です。
 そして、この施栓率の方の数字が書いてありますけれども、ナンバー2の図を見ていただきたい。これは玄海一号の施栓率です。これはおわかりでしょうか。この丸の数です、大変な数です。「スリーブ施工」と書いてありますね、二重丸の方。これがスリーブ施工、つまり修理をした細管です。そして黒い丸の方が栓をした数です。大変な施栓率と修理数なんですけれども、こういう状態で玄海一号は運転されているわけです。
 玄海一号の施栓率と修理数をちょっと教えてください。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 玄海一号でございますが、施栓数、全細管の数が六千七百七十六本ございます。このうち七百九本プラグをしておりまして一〇・五%ということでございます。
 それから、スリーブをしておる本数でございますが、ECTの指示がございまして、千五百二十一本、二二・四%スリーブをしております。それから予防保全でスリーブをしたというのが千二十七本、一五・二%ということでございまして、スリーブ全体で二千五百四十八本、三七・六%ということでございます。
 それで、今のお示しになった絵は、施栓それからECTによるスリーブ全体をあらわしている絵だと思いますが、安全解析上重要なのは、施栓率あるいはスリーブをしましたものを含めました等価施栓率というもので判断すべきでございまして、施栓率では一〇・五%でございます。それから、等価施栓率ということでスリーブのものも評価いたしまして、一二・五%ということになるわけでございます。
 それで、玄海一号については安全解析の施栓率というのが一五%でやっているわけでございまして、安全解析の前提であります施栓率を下回っているということでございまして、安全面では特に問題はないというふうに考えております。
○竹村泰子君 スリーブとそれから施栓した、合わせますと二千五百四十八本足す七百九本、四八・一%の細管に異常があるわけです。異常といいますか、まともではないわけです。これは原子炉の冷却に支障を来すと思いますが、どうですか。
○政府委員(向準一郎君) お答え申し上げます。
 蒸気発生器につきましても、設計の段階あるいは製作の段階でいろいろ余裕を持ってやっているわけでございますが、今のように一部伝熱管にふぐあいが出てきて補修をする場合、これもやはり十分な伝熱性能それから安全性の確保ということを安全審査で確認しているわけでございまして、今申し上げましたように、現在行われておりますプラグ施栓は安全審査において前提とされます施栓率の範囲内で行われているものでございまして、この範囲の中で施栓率が上昇いたしたとしましても、蒸気発生器の信頼性、安全性については特に問題がないというふうに考えております。
 それからなお、伝熱管の補修につきまして、これまでは補修方法といたしましてプラグ施栓をしていたわけでございますが、最近はスリーブ補修をやっておりまして、補修に伴います伝熱性能の低下を極力少なくするというようなことをやっているわけでございます。
○竹村泰子君 総理と科技庁長官、通産大臣にお聞きいたします。
 要するに、美浜二号機は大変優等生でよく働き、老朽化してしまった。原発の高齢化問題です。ぼろぼろなんです。十五年が限度の原発を十八年運転しています。今回の事故を教訓に、原発対策を考え直さなければならないのではないでしょうか。政府はエネルギー政策に対して大いなる発想の転換をしていただきたいと強く要望いたしますが、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(緒方謙二郎君) 大臣の答弁の前に、一言御説明をさせていただきます。
 大蔵大臣がお答えになりましたように、耐用年数と申しますのは経理上、税務上の計算でございまして、いわゆる物理的にそれだけしか物がもたないという意味での物理的耐用年数とは違う概念でございます。十五年というのはあくまでも電力会社が経理上の計算をするときに、減価償却を行う場合にそういうやり方で減価償却をしなさいと、こういうことでございます。
 それでは、原子力発電所が経年的な変化を起こすのではないか、長く使っていればやっぱり傷んでくるだろうという御指摘でございます。これはもちろんそのとおりでございます。したがいまして、原子力発電所はどういうふうになっているかといいますと、設計の段階で原子炉は四十年程度もつという前提で設計しておりますので、四十年の間に劣化していくであろう点を見込んで、安全にゆとりを持たせて設計をしてございます。それからさらに、運転の段階で、御案内のように、一年に約一回行われます定期検査で計画的にチェックをしておりますし、摩耗等の兆候があらわれました部品については早目に交換をするという予防保全の措置がとられているわけでございます。さらに、経年的な変化を早目にチェックするという中性子脆化の問題などについては、必要に応じ監視試験等も行っているわけでございまして、安全確保上問題はないことを確認した上で運転を行っているところでございます。
 御指摘のように、十八年使ったから危ないのではないかということは、一概に言える問題ではないということをあらかじめ御説明したいと存じます。
○国務大臣(中尾栄一君) 前段に大蔵大臣もお答え賜りましたが、具体的には、設備等の物理的寿命というものに技術的進歩による経済的陳腐化というものを加味して定められたものでございまして、実際の使用年数は必ずしも一致しないわけでございます。ただいまエネ庁長官が言うたとおりでございます。
 原子炉の原子力発電設備につきましては、汽力発電設備としての十五年の耐用年数である、これは先ほど大蔵大臣もお答え賜り、またその前段として原子力安全委員長という日本の最高権威者が、一応その形における不安感を取り除く意味における御説明をなさったと思います。
 そこで、私は、今後のエネルギー政策におきましては、エネルギーの安定供給の確保及び地球環境の保全と経済の安定的発展の両立の確保、これが一番重要な課題である、そのファクターというものをやっぱり我々は厳粛に受けとめなければいかぬ、こう思っておるわけでございます。かかる課題の対応といたしまして、エネルギー利用のより一層の効率化とともに、非化石エネルギーを初めといたしまして石油代替エネルギーの積極的な展開あるいはまた開発、導入、これが必要になってこようと思うのでございます。そこで、特に供給安定性、経済性あるいはまた環境負荷におきましてすぐれた原子力につきましては、安全性の確保が当然の前提となりつつも、石油代替エネルギーの中核として積極的にこの推進を図るべきものと私どもは考えるものでございます。
 通産省としましては、以上のような基本的な考え方にまず立脚いたしまして、昨年十月の閣議決定を経まして石油代替エネルギーの供給目標というものを改定したところでございまして、今後とも本供給目標の達成に向けた総合的エネルギーの政策の推進に最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。その点をひとつ、原子力の平和利用ということを踏まえまして、必ず責任を持って遂行していこうという覚悟でございますから、よろしくまた御鞭撻のほどをこいねがいたいと思います。
○国務大臣(山東昭子君) 資源の乏しい我が国におきまして、原子力は、供給安定性あるいは経済性、そして環境影響、そうした面から申しましても非常にすぐれたエネルギー源であると私は確信いたしております。ただ、今回の事故によりまして国民の信頼を裏切られたということに関しましては、非常に私は残念でならないわけでございます。ですから、原因の徹底究明を図りまして、今後とも安全確保に最大限の努力を払いつつ、国民の理解と協力を得ながら着実にこの開発利用というものを進めていきたいと考えている次第でございます。
○国務大臣(海部俊樹君) 担当大臣がそれぞれお答えをいたしましたが、私は率直に言って、原子力の問題は一にも二にも安全確保ということを大前提に置いて進めていかなければならないと考えております。
 省エネルギーのお願いも国民の皆様には時に触れてお願いもしておりますし、また新しい石油代替エネルギーの開発にも力を入れてはおりますが、それは絶対量からいうとどうしても今日の状況の中では原子力エネルギーに頼らなければならぬという部分があるわけでありますから、その点も十分踏まえて、安全確保を大前提にして進めさせていただきたい、こう考えております。
○竹村泰子君 いろいろおっしゃいましたけれども、絶対安全というものはないんですね。そして、まかり間違えばこれは何十万人、何百万人の人の命にかかわる、これはもうチェルノブイリが証明しており、スリーマイルが証明しているわけです。
 原発の比率が高くなるほど、通産大臣、一たび事故が発生したときには、そのチェックのために電力危機を招くことになりはしませんか。今度のように二つもとめなきゃならない。次もとめなきゃならないかもしれない。原発をつくるためにかかる費用、事故処理、そして原発のコストの計算には入っていない廃炉の費用、こういうのを入れますと莫大ではないかと思いますが、いかがお考えですか。
○国務大臣(中尾栄一君) それこそ、ただいま委員の御指摘のとおりでございますから、そのような事故、事象というものが起き得ないということの方がもう私どもにとっては大きな問題でございますから、それだけに今回のものを、先ほど科技庁長官もお答えいただきましたように本当に真剣に深刻に受けとめまして、そして私どもは、そういう意味において多少でもそのウォーニングが発生した場合にはとめても調べろというところまでやっているわけでございますから、その点は私ども緻密にやらせていただかなければならぬ覚悟を決めておるという、先ほど覚悟のほどを申し述べたつもりでございます。
○竹村泰子君 たくさん申し上げたいことがありますが、次に質問を予定しておりますので、次の機会に譲りたいと思います。
 強制連行の問題ですが、私は今後の日韓・日朝関係ということでお尋ねをしたいと思っております。
 昨年五月の予算委員会で私がお尋ねいたしました名簿の調査については、三月五日に公表された九万八百四人をもって調査は終了なのでしょうか。
○国務大臣(坂本三十次君) 政府全体として、全省庁の御協力を得て、労働省が中心になりましたけれども、誠心誠意努力した結果、とにかく九万幾らという名簿ができたわけであります。しかし、その後あちらこちらから、あるいは図書館だとか、あるいはまた民間団体だとか研究団体だとか、いろいろの情報もありまして、それらも総合して、そして今日の結論になったというわけであります。
 しかし、今後ともいろいろな情報などを基礎にしてできるだけの努力をしていきたいと思っております。
○竹村泰子君 さっき本岡委員の質問にもありましたけれども、この公表された名簿の数は、実際に連行されてきたとされる百万人から百五十万人とも言われます数の一割にも満たないんですね。その理由は何なんでしょうか。政府は本腰を入れたんでしょうか。マスコミなども及び腰だとかやる気がないとか書いておりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本三十次君) 先ほども総理が答弁をされておりました。それは、我が国が過去の歴史の厳しい反省の上に立って、そして新しい日韓の将来を開くためにはどうしても誠意を尽くさなきゃならぬというようなことで名簿の調査もやったわけであります。政府全体としてそういう気持ちでやったわけであります。
 結果として少ないと言われまするけれども、私の目から見ましても、労働省を初め各省庁はできるだけのことはやった、誠意を尽くしてやったという気持ちだけはどうぞお酌み取りをいただきたいと思っております。何せ半世紀以上も前のことでありまするから、それはやっぱりなかなか難しい、至難のわざでもございましょうけれども、できるだけの努力をしたということだけは御理解をいただきたいと思います。
○竹村泰子君 私も、労働省がお出しになった通達ですか、そしてどんなところを調査されたかという報告をいただきました。確かにいろいろ大変だっただろうと思います。労働省職安局がなさったわけですからその御努力は認めますけれども、一つの例を申し上げましょう。
 ここにあります私のいただいた資料、例えば長野県が三名になっています。松代大本営のあった長野県、強制連行者が七千人から一万人投入されたという事実がいろいろな文献に紹介されて、体験者もいらっしゃる。しかし、ここにあるのは三名なんですね。松代大本営を掘られたと申しますか、そのことについて少し御説明いただけますでしょうか。
○政府委員(畠山蕃君) 防衛研究所というところに戦史部というのがございまして、そちらで資料を保管している関係で私の方から答弁させていただきますが、防衛研究所の保管する戦史資料によりますと、御指摘の松代大本営の工事といいますのは松代倉庫工事と称されまして昭和十九年秋に長野県長野市の松代地区において開始をされまして、完成することなく終戦を迎えたというふうに承知をいたしております。その目的につきましては米軍の空襲に対処するためというふうに言われておりますが、その内容もつまびらかではございません。
 なお、御質問に関連しまして、いろいろなところに強制連行された朝鮮人がその工事に従事していたのではないかということの御関連かと思いますけれども、防衛研究所の保管する戦史資料の中にはそのような事実は記載されておりません。確かにそのような文献があることは承知いたしておりますけれども、研究所の方の保管する資料の方にはそういうことは記載されておりませんので、必ずしも明らかではございません。
○竹村泰子君 いいかげんな答えをしていただいちゃ困ります。
 私も松代に調査に行ってきました。私はたくさんここに資料を持っておりますけれども、今その目的はつまびらかではないとおっしゃいましたね。あなたは事実を全く知らな過ぎます。松代大本営跡地と言われているわけでしょう。天皇の御座所と大本営、それからNHKなど報道機関、そういうものが入るために掘られたのはもうこれは明らかじゃないんですか。どうですか、目的がつまびらかではないなんて答えてもらっちゃ困りますよ。
○政府委員(畠山蕃君) まさに大本営の移転のための工事ということでつくられたことは間違いないわけでありますが、なぜ移転することになったかの目的については、米軍の空襲を避けるためであるというふうに聞いているけれどもそこは必ずしも明らかではないということを申し上げただけでございます。
○竹村泰子君 そういうのを詭弁と言うんです。いいかげんなことを言わないでください。
 文部省にお尋ねしますけれども、私たくさんいろいろ教科書をいただきました。これは次の機会に質問しようと思っていたんですが、今余り防衛庁がいいかげんなことをおっしゃるから。
 教科書に七千人ぐらいの強制連行労働者がここに投入されたと書いてあるのは、それではうそなのですか。何にも根拠はございませんと今おっしゃいましたけれども、文部省、お答えください。文部大臣、いかがですか。
○政府委員(畠山蕃君) 恐縮でございますけれども、私の言葉がちょっと足りなかったのかもしれませんが、大本営の移転のための工事としてつくられたことはこれはまさに御指摘のとおりでございまして、その後明らかになったと。ただ、先ほども申し上げましたように、それが、目的について米軍の空襲に対処するためというふうに言われているけれどもそこのところの記述はないからということをつけ加えて申し上げただけでございます。
○国務大臣(井上裕君) お答えいたします。
 通告をいただいておりませんので、そのことは私どもかかわりませんが、ただ、強制連行につきましては現在小中高等学校のそれぞれの教科書におきまして取り上げられております。
○竹村泰子君 人数は。
○国務大臣(井上裕君) これは通告がございませんので、人数は明らかではありません。
○竹村泰子君 私も持ってくればよかったんですけれども、まさかそんな、つまびらかではない、目的も定かではないというようなお答えが出るとは思わなかったものですから次の機会と思っていたんですが、私が文部省からいただきました教科書にはきちんと七千人という数字が入っている。これは後でごらんくだされば、幾つかの教科書に入っております。ですから、七千人の強制労働者が投入されたのではないか、あるいはもっと多かったかもしれないということは子供たちに教えていらっしゃるわけですよ、文部省。それなのにそういう事実を認められませんというふうなお答えをされるから私今怒ったんですが、このことはまた次の機会に譲りたいと思います。
 ですから、松代大本営は一体どういうものだったのかということを今お尋ねしていたんですけれども、七千名の人は名前がわからないという、官房からの通達が名簿を出しなさいということだから名前がわからないと。牛や馬のようにこき使われて酷使されて死んでいった人たちは、名前がないから名簿が出てこない。三名なんです。強制労働者の人たち七千名はどこへ行っちゃったんですか。私は、ですからこういう調査の仕方ではだめだということを申し上げているのでして、強制連行労働者というものは、さっき本岡さんの質問にもありましたけれども、従軍慰安婦のことも含めて、一体どういうことを私どもはやりました、そのことをおわびいたしますというのが、総理、当たり前ではないでしょうか。どうお思いになりますか。
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、そういったことに対しましては、それすべてを踏まえて、我が国の行為によって過去に与えたことはたくさんあるわけでありますから、それに対しては厳しく歴史の反省に立って、その責任を感じながら、私は首脳会談のときにもそのことについては率直に申し上げた次第でございます。
○竹村泰子君 一片のこういった通知によっておざなりの調査をしたとしか思えないんですね。さらに有効な方法で責任ある全容の調査をするべきだと思います。いかがでしょうか、官房長官。
○国務大臣(坂本三十次君) 確かに日韓新時代をつくるといっても、口先だけではそれはできるものではありません。れんがを一枚一枚積み重ねるような現実的、地道な努力を重ねていかなければならぬと総理を初め私どもは考えておるわけであります。
 私は、松代のことは初耳でございますけれども、具体的な調査という点につきましては、もしそういう御指摘のような抜かりがあることがありましたら、その点はよくもう一度念を入れて調査をさせていきたいと思っております。
○竹村泰子君 終わったわけではないんですね。調査を続けていただきたいと思います。
 今国会に、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法案というのを提出されましたが、その趣旨は、いわゆる日韓請求権・経済協力協定によって権利を失ったと申しますか、韓国からも日本からも補償を受けられない、援護を受けられない人たちが在日の人たちで存在するわけですけれども、これらの人々は一般外国人とは異なる存在であることに着目したものと考えておられますでしょうか。
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のとおり、今国会に日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法案というものについての御審議をお願い申し上げております。
 これを提出させていただきました経緯というものは、これは日本政府としてかねて在日韓国人、朝鮮人の方々の日本における法的地位というものが、これらの方々の持っておられる歴史的な経緯とそれから日本社会における定住性、こういうものにかんがみまして、できる限りその法的地位を安定したものにすることが重要だ、こういう考えでできておるものでございますので、そういう考えに立ちまして出入国管理に関する特例というものをこれらの方々について定める、こういう内容になっております。
○竹村泰子君 昭和三十七年十月二十九日、援護三百十八号通知は、その解釈についてどう解しているか説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(岸本正裕君) お答え申し上げます。
 朝鮮、台湾出身者につきましては、援護法の適用の日、昭和二十七年四月一日、この日には日本国籍を有していたわけでございますが、平和条約の発効、昭和二十七年の四月二十八日でございますが、この発効によりまして日本国籍を失うことが予定をされていたわけでございます。そこで、こうした外国人に対します補償につきましては、その帰属国の意向を尊重して、その帰属国との間で将来締結されるべき外交上の取り決めによりまして別途処理するということが定められていたわけでございます。そこで、援護法におきましては、附則第二項によりましてこれらの者を適用の対象から除外するということにしたわけでございます。
○竹村泰子君 「この規定は、個人の意志に関係なく国家間相互の条約等の一方的権力によつて国籍を変更させられた場合には適用されるべきではなく、」と書いてありますね。これは在日の方たちはどうなんですか。この適用はされないわけではないでしょうか。
○政府委員(岸本正裕君) 援護法では本則におきまして、遺族年金とか障害年金につきまして日本の国籍を失った場合にはその受ける権利が消滅するというふうに書いてあるわけでございます。文字どおりということになりますと、今申し上げましたように、平和条約の発効によりまして朝鮮、韓国国籍の方は日本の国籍を失った者ということになることでございますけれども、私どもといたしましては、このように個人の意思に関係なく国家間相互の条約等の一方的権力によって国籍を変更させられた場合にはこの規定は適用されるべきではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、今申し上げましたように、附則におきまして戸籍法の適用がされない者についてはこの援護法を適用しない旨の規定を置いたということでございます。その背景は、今申し上げましたように、国家間での特別取り決めということで解決をするということが定められていたということが背景にあるわけでございます。
○竹村泰子君 その国籍条項の件については、またゆっくりと次の機会に譲ります。
 B、C級戦犯の人々の中に韓国、朝鮮籍の方がおられた、このことを政府は認識しておられますか。
○国務大臣(左藤恵君) お尋ねのB級、C級戦犯として刑に処せられた者で朝鮮半島出身者の数につきまして、その正確な実態は把握いたしておりませんけれども、法務省で保管しております資料の中から氏名を調べてみますと、朝鮮半島出身者であろうと推定される方がおよそ百四十数人おられるということがわかっております。
○竹村泰子君 もう少し詳しく。
○国務大臣(左藤恵君) それで、B級戦犯として起訴されました総数というのは約五千七百名ということで、そのうち約四千四百名ぐらいの方が有罪になったわけでありますけれども、この戦犯に関します資料で法務省の取り扱いというのはどうなっているかということでございますが、実はA級戦犯につきましては公開をいたしております。それから、B級、C級の戦犯につきましては、プライバシーの問題とかいろんなことがございますので非公開を原則として、御本人または遺族等特定の方からの御要求に対しましては閲覧していただくということで、そうした資料は法務省で管理をしておるということでございます。
○竹村泰子君 外国人でありながら日本人として服役、今日本に在住しておられる方たちが四十八名おられます。まさに日本の国策による犠牲者ではないのでしょうか。
 詳しくは次回に譲りますけれども、韓国、朝鮮民主主義人民共和国をめぐる動きは、緊張緩和から南北和解、統一を求める機運が急速に進み、私たちは今、日韓、日朝関係を正す絶好の機会を得ていると思うわけです。日本政府は、否私たち日本国民は、植民地支配の清算をきちんと果たすため明確に表明しなければならないと思います。その上でこそ初めて真の国交が回復できるのではないでしょうか。総理の御見解を改めてお伺いします。
○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは、日韓、日朝ともに隣国として、朝鮮半島の緊張緩和と平和的な統一に役立つようにできる限り努力もしなければならぬという基本に立って、日韓関係は首脳会談でこの間あのような取り決めもできましたし、日朝についてはただいま本格的な交渉を控えていろいろの努力をしておるところでございます。
○竹村泰子君 終わります。
○委員長(平井卓志君) 以上で竹村君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の審査はこの程度といたします。
 明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会