第121回国会 本会議 第2号
平成三年八月八日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二号
  平成三年八月八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説及び報告に関する件(第
  二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説及び報告に関する件(第二日)
 去る五日の国務大臣の演説及び報告に対し、これより順次質疑を許します。浜本万三君。
   〔浜本万三君登壇、拍手〕
○浜本万三君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、海部内閣総理大臣の所信表明に対し質問いたします。
 初めに、雲仙・普賢岳の噴火災害対策についてお伺いいたします。
 まず、今回の災害により亡くなられた多数の方々に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災者及び避難されている方々に心からお見舞いを申し上げます。
 昨年の十一月、約二百年ぶりに噴火した雲仙・普賢岳は、本年五月以降活動が活発化し、六月三日には大規模な火砕流によって多数の死者、行方不明者を出し、一万人を超える多くの住民が今なお不自由な避難生活を余儀なくされているという我が国災害史上ほかに例を見ない事態となっております。しかも、火山活動はその後も一向に衰える気配がなく、二カ月以上に及ぶ長期の避難生活で住民の疲労と生活不安は極限の状態にあります。また、島原半島全域で、降灰による農作物被害、漁獲高の減少、売り上げ激減などの被害に直面しております。
 我が党は、大火砕流の発生直後から、土井委員長が三度にわたって現地を訪れて被災者を励ましたのを初め、現地対策本部を設けまして被災住民の相談活動を行うなどの取り組みを行ってまいりました。しかし、国の対応を見ますと、非常災害対策本部を設け、確かに八十三項目の対策を決定し実施してきてほおられますが、今回の災害の特殊性、激甚性等を考えますと、極めて不十分だと言わざるを得ません。
 社会の本当の豊かさが試されるのは災害のときだと言われております。海部総理も現地で被災住民救済のため立法措置の検討を約束されたと聞いております。現地は、総理、あなたの前向きな姿勢に期待をしておるのです。国としても、住民救済のため、避難見舞い金制度の新設など法制度の改善に積極的に取り組むべきであります。また、噴火終息後の地域の復興、活性化を迅速かつ円滑に進めるため、長崎県が強く要望しております災害復興基金の設立が不可欠と考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
 以下、各般にわたりまして具体的にお伺いをいたします。
 まず、証券不祥事についてただしたいと思います。
 暴力団稲川会に対する巨額な資金供給を行い、また稲川会と組んで東急電鉄株の株価操作を行い、その上に特定大口投資家に莫大な損失補てんを行うといった異常事態が経済大国日本で発生いたしました。これらの行為は、不祥事、すなわち好ましくない事柄程度の問題でありましょうか。それとも、一連の行為は国会が制定した法律や政令に違反し、法治国家のもとでの企業行動を逸脱した経済犯罪でありましょうか。政府は事柄の矮小化と真相究明にふたをする姿勢をとっているというのが多くの国民の見方であります。総理は事件の本質をどう認識しておられるか、どのような姿勢で対処されるのか、御答弁を願います。
 我が党は、野村証券の田淵前会長ほか三名の証人喚問を要求してまいりました。しかし、政府・自民党の反対で実現しておりません。この事件が国の内外に与えた影響の大きさを考え、再発防止に立法、行政両面からの措置を講じる上で、証人喚問は絶対に不可欠であります。証人喚問に応じることをここでお約束いただきたい。
 全容解明に欠くことのできないのが、補てんを受けた企業名はもちろん、補てんの手口、方法をあわせて公表する必要があります。しかし、大蔵省は補てん先企業名すら、非公開を前提に証券会社から受けた報告を公表するのは無理だとして、企業側が自主的に対処すべき問題と逃げに終始してまいりました。引責辞任した田淵前野村証券会長が七十年の野村の歴史で最大の汚点と言わざるを得なかった大事件を前に、補てん先やその手口、方法を政府の責任でなぜ明らかにしようとしないのですか。政府・与党幹部が業界の責任で公表するよう圧力をかけ、証券業協会から二度にわたって発表させました。この発表リストに一点の間違いもございませんか。政府は発表リストに全責任を負われますか。責任ある御答弁を願いたいと思います。
 証券不祥事件の背景についてただしたいと思います。
 私は、短期的に見た背景は、いわゆるバブル経済をつくり上げた政府・自民党の経済運営であると指摘せざるを得ません。金利二・五%の低金利政策と超緩和の行き過ぎた金融政策を長期間にわたって実行した結果、投機経済を生み、年間国民総生産に匹敵するほどの土地と株式中心のキャピタルゲインが発生したことを誇らしげに政府の経済報告で行っていたことは、よもやお忘れではないと思います。多くの企業が本来の生業を忘れ、財テクで稼いたことも間違いありません。さらに、暴力団等の裏の経済分野を想像を絶する巨大なやみ金融の場につくり上げたことを厳しく反省していただかなければなりません。政策の失敗がもたらした証券不祥事というあだ花に、政府・日銀の責任は重大であります。御答弁願います。
 次に、構造的な背景は、東京株式市場の一部上場株の七割までが企業の保有であり、経済摩擦の元凶の一つと米国から指摘される系列企業による株式の相互持ち合い、さらに系列企業間の相互ファイナンス、企業同士による株式買いあおりで膨大な含み益をつくり出すなどなど、余りにも日本的でゆがんだ資本市場構造が証券不祥事件の温床であります。
 本来、国際的に開かれた市場とは、投資額などで差別なく、そこに参加するすべての人に共通のルールと自己責任が貫徹されていなければなりません。この点で、系列と大企業集団の株式持ち合い、一強三弱とやゆされた証券業界の寡占状態のもとでは健全な市場は育つはずがないと断ぜざるを得ません。独禁政策を放棄して寡占状態の証券会社の分割を怠りたこの構造的要因を取り除く手だてなしに、政府が考えている程度の小手先の改正で、国民の不信を取り除き、国際的に納得される市場が本当につくれるか疑問であります。御答弁を願います。
 さちに、再発防止策についてただしたいと思います。
 まず最初に、多くの場合、この種の事件が起きると、外国の制度と比較して制度に欠陥があったかのごとく大騒ぎをいたしまして、経済犯罪それ自体を放免してしまう弊風があります。そうでなく、現行証券取引法に照らして、野村が東急株を推奨扱いにし騰貴確実と勧誘し、その裏で暴力団稲川会と手を組んで資金供給やもろもろの便宜を与えたことは、証券取引法上の合法的行為でありましょうか。まず現行法による一罰百戒を証券局の責任において行うべきではありませんか。大蔵省通達違反程度で済ませていい問題ではないと思いますが、いかがでございましょうか。
 このことと並行して、法律の改正や制度改善を考えるべきであります。
 第一は、補てん行為の絶対禁止は当然で、証券会社と補てんを受けた両者を罰するよう法律改正を行うべきであります。加えて、従来の大蔵省通達を原則廃止の方向で検討すべきであります。海外からも不透明性が批判され、さらにさじかげんが業界及び業者との癒着と非難される証券行政の運用を、法律事項に改めるべきであります。今日までの大蔵省の保護育成政策は徹底的に整理しなくてはならないと思います。
 第二に、日本版SECの創設であります。大蔵省は、米国の証券会社は登録制であり、日本は免許制でSEC方式はなじまないとの立場のようであります。大蔵省の言い分の免許制と厳しい監督のもとで世界に恥ずべき大不祥事が起きている以上、第三者機関による取り締まり、監視、告発などを行うことは不可欠だと存じます。
 第三は、証券会社が行っている引受業務と売買業務の分離を行うべきであります。今回の補てんのやり口は、引受業務で企業に資金調達を行わせ、その運用を任された証券会社が、発生した損失を非上場株あるいは転換社債を使って違法な補てんを行ったものであります。
 第四は、企業会計処理の国際共通ルール化を図り、それに従うべきであります。日本独特の含み損益を初め、わかりにくい企業内部限りの会計処理と不十分なディスクロージャーこそが日本企業の強さの一因であると、日本企業の閉鎖性が海外から指摘されております。企業会計処理の透明度を上げると同時に、情報開示の強化措置を講ずることを要求いたします。
 最後に、証券不祥事件と連鎖反応を起こして銀行か不祥事件を多発しております。これはまことに残念であります。住友銀行、富士銀行、協和埼玉銀行、そして東海銀行などなどが巨額な不正融資や架空預金取引など、信用が唯一最大の売り物の銀行か、しかも銀行のトップから行員まで、内部の者の仕組んだ犯罪であります。富士銀行の不正融資に橋本大蔵大臣の秘書が関与しており、国民や預金者はあいた口がふさがりません。蔵相自身の責任のとり方と、あわせて一連の銀行不祥事の原因をどのように把握されておられますか、しかと承りたいと思います。
 さらに、大蔵省銀行局や日銀の監督行政に欠陥や時代おくれの面はありませんか。証券、銀行のスキャンダルで一番ばかを見ているのはまじめな預金者だという怒りと、株の補てんを受けた約千七百億円の金を政府の責任で社会に還元せよという声に蔵相ほどのようにお答えされますか、しかと承っておきたいと思います。
 次に、政治改革についてただしたいと思います。
 海部総理は、就任に当たり政治改革の公約をされ、平成二年十一月の議会開設百年目には実行する、そしてそれに政権の命運をかけると申されました。だが、何一つ実行されませんでした。今回は、自民党内の多くの反対を押し切って政治改革三法案の決定を行い、国会に提出することで自民党総裁任期満了後の続投の材料にしようとしているというのが、これは新聞の論調でございます。海部総理は、政治改革というにしきの御旗を使って、実は自分の政治的立場や基盤の補強にしていると批判されても仕方がないと存じます。既に政権の命運をかけると国民に誓ったのに今国会に提出された法案が成立しなかった場合は、総辞職して出処進退を明らかにすべきだと存じますが、この点、まず総理の責任ある答弁を承りたいと思います。
 これまで私どもは、リクルート事件に汚染された政治を改めるには、まず政治資金の規制を最優先して行うべきことを主張してまいりましたが、海部総理は、改革は選挙区制度の改正、すなわち小選挙区制導入とすりかえて今日に至っております。政府が提出した三本の政治改革法案のうち、政治資金規正法案は小選挙区制導入と一体不可分といった関係ではないと考えられます。政治改革関連の三法案は一括処理でいくのか、それとも国会で各党の話し合いがまとまれば政治資金規正法案を切り離して優先して成立させることもあり得るのか、総理の方針をただしておきたいと思います。
 次に、小選挙区比例代表並立型の選挙区制改正についてただしたいと思います。
 まず、総理は、政治改革は行政府の決めた案でやれというのではなく、政党政治のよって立つ基本でありますから、各党各会派の御意見をちょうだいし、参考にさせていただきながら進めていくのが筋であり当然でありますと、しばしば答弁をされておられました。今回の小選挙区制法案で、野党各党にどれほどの話し合いの場や相互の検討結果の持ち寄り等が行われましたか。私が思いますのに、総理の顔は自民党内の反対派にだけ向けられたではありませんか。口先だけで実行を欠いては何にもなりません。
 自民党案の小選挙区比例代表並立制の考え方に対しては、すべての野党が反対しておることは御承知のとおりであります。仮の話ですが、百歩譲って小選挙区制に変えるとした場合、小選挙区比例代表併用制にすべきなどの考え方もありますが、行政府の決めた案でやれとは言わないとの従来の総理答弁から考えますと、併用制採用もあり得ると理解してよろしいのか、再確認の意味で答弁を求めておきたいと思います。
 なぜこうした点を伺うかといえば、この制度は、朝日新聞の指摘によれば、過去の参議院選挙のデータを基礎に試算すると、極端な場合三九%の相対得票率で七八%の議席を政府・自民党が獲得できて、大政党に大変有利になる。これでは、政治改革に名をかりた自民党永久政権ねらいの改悪案との非難も当然と思われます。
 一票の重みの格差解消は政治改革の大事な目玉の一つでしたが、小選挙区の区割り案では二・一四倍となってしまいました。格差二倍以内を守れなかった責任は極めて重大であります。これは政府・自民党が人口比に徹した区割りを避け、各都道府県に議席をあらかじめ一つずつ配分し、小選挙区の議席三百の残りを人口比で振り分けるというやり方をしたので、市区町村は分割しないといった方針も守られないところも出てきている状況であります。平等な選挙権の保障は民主主義の原点であります。総理は人口比配分に徹する御決意はありませんか、御答弁を求めておきたいと思います。
 我が党の政治改革に取り組む姿勢をここに明らかにしておきたいと思います。
 政治改革は、政治腐敗の一掃、政治倫理の確立こそが求められており、総理のように選挙区制度の問題に矮小化することは間違いで、国民の政治浄化の要求を裏切るものであることを厳しく指摘しておきたいと思います。我が党の主張は、政府・自民党の小選挙区比例代表並立制案には反対であります。一九八六年の小選挙区制は導入しないとの国会決議に反する改悪案を提出することは議会制度を否定するもので、こうした暴挙は絶対に許されません。
 我が党が主張する当面緊急に是正すべき点は、まず一九八六年の国会決議による現行中選挙区制のもとにおける人口格差二倍以内の定数是正であります。あわせて、政治倫理法の制定を行うとともに、政治資金の透明度を初め、規制のための立法措置を講ずることにいたしております。なお、緊急是正後、時間をかけて、民意を正確に反映する比例代表制の選挙制度を検討することにいたしていることもあわせて明らかにしておきたいと思います。
 次に、国連平和維持活動、いわゆるPKOへの協力についてお尋ねいたします。
 政府は、極めて恣意的な基準によって武力行使と武器使用を区別し、武力行使を伴う事態になるときは撤退もあり得るなどの条件をつけて、自衛隊を国連平和維持軍の本体にも参加させる方針のようであります。
 総理、あなたは、自衛隊の海外出動をねらった国連平和協力法案が昨年秋の国会で国民の厳しい批判に遭って廃案になった事実をよもやお忘れではありますまい。性懲りもなく、よくもこんな案を再び出せたものであります。総理は、これで憲法上の疑義はすべてクリアできた、自衛隊とは別組織であると本当にお考えなのでしょうか。
 我が党は、既に自衛隊とは全く切り離した文民で構成する国連平和協力隊の派遣体制を整備する具体策を提案しておるところでありますが、政府が今なすべきは、これまでの国会の審議経過を踏まえ、これを尊重して国民の合意を形成すべきことであると思います。平和憲法第九条という日本が世界に誇り得る崇高な原則があるにもかかわらず、これをねじ曲げてまで、しゃにむに自衛隊参加に道を開こうとする政府の姿勢に、良識ある国民は大きな疑問と不安、そして憤りを感じているからであります。総理はこれに率直に答えるべきであると思います。
 確かに、湾岸危機勃発から丸一年が経過した今日、冷戦の終結と新世界秩序構築の動きを背景にして一世界に対する日本の貢献が求められているという意識が国民の間に高まり、広がっております。しかし、国民が真に望む国際貢献とは、平和憲法と整合した枠内での貢献であるはずであります。
 総理、我が国がこれまで平和憲法にのっとった国際貢献ができなかったのは、平和憲法第九条があるから、それに邪魔されたためではありません。そうではなく、せっかくの憲法第九条があるのに、だからこそできたはずの国際社会への働きかけをしてこなかったことこそ問題であると思います。今、改めて我が国は、敢然と戦争否定を鮮明にした憲法を生かし、それを実現する国際社会への働きかけに邁進すべきであります。それこそ平和憲法の理念に基づく国際貢献であります。総理の御見解を承りたいと思います。
 ところで、ことしの防衛白書は、自衛隊は一つの能力集団であり、国民の財産であるとし、その能力を国際貢献に役立たせるという新たな装いを凝らして、実は実力の拡充強化をねらっております。しかし、今日自衛隊が対象とする軍事的脅威は減退し、消滅しつつあります。それを認めるからこそ、防衛白書は国際貢献への活用によって自衛隊の活路を見出そうとしたのではないでしょうか。軍事的脅威の減退に応じて自衛隊を削減縮小すべきは当然のことであります。この際、自衛隊をぼっきりと国際貢献隊とかあるいは国際協力隊に改組いたしまして、これに平和憲法が理念とする役割を担わせたらどうでしょうか。総理のお考えを伺っておきたいと思います。
 次に、外交問題についてお尋ねいたします。
 ロンドン・サミットは、冷戦終結後の新しい国際秩序を打ち立てることが大きな目標でありました。そのためにも、サミットに引き続き、ゴルバチョフ・ソ連大統領を招いて東西グローバルサミットとを言うべき場を設けたわけであります。しかしながら、国連やガットといった既存の枠組みの運用改善を強調したにとどまった感があります。明確な新秩序を提示できたとは申せません。
 第一に、政治・安全保障に関する宣言では、国連の平和維持機能の強化、兵器移転の国連登録制などがうたわれています。これらは確かに前向きな姿勢を示したものではありますが、少なからず問題があります。まず、平和維持機能について言えば、国連安保理が五大常任理事国の恣意によって動かされ、パクスP5となる可能性も否めず、中小国の主権を制限するおそれはないのでありましょうか。また、兵器移転についても、単なる登録制ではなく、規制措置こそが緊急課題であります。皮肉にも、サミットで移転登録について討議している一方で、米国は中東に対する巨額の兵器供与を意図していると伝えられております。こうしたことでは、規制に踏み切ることは至難のわざではありませんか。
 第二に、経済宣言では、自由貿易主義を守ることの重要性を認識し、ウルグアイ・ラウンドの年内決着を目指すとしています。自由貿易は、先進諸国間の経済の円滑な発展のみならず、南北問題の解決、さらにはソ連、東欧の改革成功のためにも不可欠であり、ウルグアイ・ラウンドの成功は緊急課題であるはずであります。ところが、肝心の農業問題の見通しは立っておらず、各国首脳も決断に苦慮しているのが実情であり、総理ほどのように年内決着の筋道をつけるおつもりでありましょうか、お伺いをいたします。また、政府は米問題について国会決議を尊重する義務を負っております。総理はこの点について改めて決意を述べるべきであります。
 第三に、今回のサミットは、ゴルバチョフ大統領を招いて国際情勢とともに対ソ支援を検討したことが最大の特徴でありました。それは、ソ連改革の成否が今後の世界の安定に極めて大きなインパクトを与えるからであります。肝心の金融支援については日米などが消極的で、技術支援など六項目の合意にとどまりました。この程度でソ連の改革が成功すると考えておられるのでありましょうか。
 総理は、兵器移転の登録制、新思考外交の世界規模での適用、対ソ金融支援の見送りなど、我が国の主張が大幅に取り入れられたとして今回のサミットに満足しているようでありますが、これらは日本の資金を引き出すためのサービスであるとのさめた見方さえあります。総理、以上指摘した三点について明確な御答弁をお願いいたします。
 さて、去る七月三十一日、ブッシュ、ゴルバチョフ両大統領は戦略核削減条約に調印いたしました。当初五〇%の削減を目標としていたにもかかわらず、およそ三〇%の削減にとどまったわけでありますが、いずれにせよ、初の戦略核削減の意義は大きなものがあります。検証措置を含む戦略核削減条約の締結は、米ソ間の信頼関係の進展を物語り、冷戦の終結を一層確実なものとするものであります。しかしながら、今回の条約によって核戦争の危険性がなくなるわけではありません。我が国は、世界唯一の被爆国として、核兵器の全廃に向けて国際世論の喚起に全力を注ぐ義務があります。
 総理は、米ソ戦略核削減条約をどのように評価しておられるのか、そして、今後政府として核廃絶に向けていかなる取り組みをなされる所存か、お伺いをいたします。
 欧州地域における緊張緩和の動きは目覚ましいものがあります。この歴史的な動きをアジア・太平洋地域にも波及させることが今日の重要な課題であります。平和国家を標榜する我が国こそが、アジアの一員として真っ先に取り組むべき事業であります。これについて政府は、欧州とアジア・太平洋地域では置かれた条件が大きく異なり、まず北方領土問題や朝鮮半島の南北対立、カンボジア問題などの解決が先決であるとして消極的姿勢をとり続けてきたのであります。
 ところが、政府は、従来の立場から一歩踏み出し、さきのASEAN拡大外相会議で、政治、安全保障面での対話の場を設けることを提案しております。個々の政治的対立の解決にめどが立ったと判断したのでありましょうか。結果的には、中山外相提案は合意を得るに至らず、検討課題とされるにとどまったと伝えられております。総理は、外務大臣をして提案せしめた理由、各国の合意を取りつけられなかった原因、今後の対処の仕方についてどのように考えておられるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 次に、経済協力についてお伺いします。
 先般の通常国会で総理は、被援助国の軍事支出、大量破壊兵器の開発製造、武器の輸出入、民主化と人権保障の四点を我が国の政府開発援助の供与基準とすることを表明されました。これは援助方針の明確化を図ろうとする試みとして評価するものでありますが、私は二つの側面から問題を提起いたしたいと存じます。
 その第一は、三国間関係とか安全保障状況を含む国際関係などを総合的に配慮してODAを実施するという名分のもとに、せっかく示されたODAの供与基準があいまいなものに終わるおそれがあることであります。例えば、武器輸出の抑制について顕著な実績をいまだ見出し得ない中国、また民主化の進展がほかばかしくないミャンマーに対する援助は、この基準からするといかなることになるのでありましょうか。
 第二に、ODAの供与基準を実効あらしめ喝ため、援助基本法の制定と実施体制の一元化の実現に進むべきであります。与党の加藤政調会長からも国際協力庁の新設に向けて提言がなされている今こそ、総理の指導力発揮のときではありませんか。総理の御見解をお示し願いたいと思います。
 この八月六日、九日は、人類史上初めて広島、長崎に原爆が投下されて四十六周年に当たります。犠牲となった多数の市民の御冥福を祈るとともに、今なお不安な日々を送っておられる被爆者の方々の御労苦をお察し申し上げます。そして同時に、核兵器の全廃と、内外の被爆者の援護に努力すべき責務を痛感する次第であります。
 かかる立場から、私たちは全野党共同提案による被爆者等援護法案を提出しております。原爆被害という極めて特殊な事情にかんがみ、生存しておられる被爆者及び亡くなられた被爆者の遺族に対して、国家補償の精神に基づき援護を行おうとするものであります。被爆者及びその遺族の苦痛を国の責任において償うことは、我が国が世界に核廃絶を主張していくに当たっての道徳的基礎を固めることでもあると信じます。
 総理は去る六日、広島における原爆死没者慰霊・平和祈念式に出席されたわけでありますが、そこにおいて感じられた気持ちを大切になさろうとするのであれば、被爆者等援護法案を積極的に成立させるよう努力するのが当然の責務と理解いたしますが、いかがでございましょうか。総理の率直かつ前向きなお考え方をお示し願いたいと思います。
 最後に、部落問題についてお伺いをいたします。
 さきの国会における六十数回にわたる野党議員の質疑で、改めて部落差別の厳しさが明らかになりました。また、部落問題の解決のために、今後も何らかの法的措置を求める国民的世論も急速に高まってきております。もはや法打ち切りということに執着したままでは進まない状況になっております。そもそも地対協は六月に中間意見具申を出す予定でしたが、これはできませんでした。地対協の審議停滞の原因は、残存事業量の正確な把握ができていないことにあります。
 そこで、政府として、速やかに全同対の協力を得て問題の完全な把握を図るための資料を作成し、地対協の審議を促進すべきではないでしょうか。また、なぜこれまで正確な実態把握を行わなかったのか、なぜ中間意見具申にかわる異例の会長談話で来年度同和対策予算の概算要求への便宜的措置を講ずることになったのかなとについて、事情の御説明を承りたいと存じます。
 以上をもちまして、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) 浜本議員にお答えを申し上げます。
 非常災害対策本部を政府は直ちに設置して、二十一分野にわたり、八十三項目にわたる災害に対する救援対策を決定して強力に今推進しておるところでございますけれども、今回新たに、政令、省令の改正や特別基準の設定などによりまして三十項目に及ぶ対策を強化して、でき得る限り御要望に弾力的に対応していくように今取り組んでおるところでございます。したがいまして、ただいまお触れになっております見舞い金、基金の問題等につきましては、地方自治体の財政を逼迫させないように今後とも対応を続けてまいりますが、詳細は後ほど国土庁長官からも御答弁を申し上げます。
 証券不祥事に対する事件の認識につきましては、今回の一連の不祥事は、免許会社としての規範に反し、内外の一般投資家の証券市場に対する信頼を大きく損なったもので、公正な社会という理念から見てまことに遺憾なことであり、政府としてはこの問題について極めて重く受けとめております。政府としては、今後こうした問題の再発を防止するために、証券取引所などの自主規制機関の充実強化を図るとともに、損失補てんの法律による禁止、検査体制の充実強化など、法制上、行政上の必要な措置を講じて、信頼回復のために全力を挙げて取り組む所存であります。
 再発防止については、何が行われたのか、それがどうであったのか、いろいろな立場からの御議論がなされることが必要であり、また具体にお尋ねの国会における場所とかそのやり方その他については、ただいま国会の場で各党各会派の間の御論議が重ねられており、政府はその決定に従い協力をしていく考えでございます。
 また、今回の証券問題にかんがみて、今後こうした問題の再発防止のためには、証券市場に対する監視機能のあり方、適正化のための是正策について、行革審に対して早急にこれの検討を開始していただくよう依頼しておるところであります。大蔵省においても、検査体制の見直しにつきプロジェクトチームを発足させて、現在精力的に作業を進めているところでございます。
 政治改革の問題につきましては、私は内閣のスタート以来、公職選挙法に関する改正案も参議院の御協力も得て成立をし、昨年二月の衆議院の選挙以来それが適用されておることも御承知のとおりと思いますし、また、現在衆議院においては議会制度協議会に各党の案を持ち寄っていただき、政治倫理に関する問題についても具体の討議を行い、参議院においてもお話し合いを続けていただくものと心得ております。
 今国会に提出している政治改革関連三法案は、政治に対する国民の信頼を確固としたものにするとともに、内外に山積する課題に的確に対応する政治の実現を目指すため、現在の選挙や政治の仕組みを政策本位、政党本位のものに根本的に改めようとするものでありまして、これは国会において各党それぞれ十分御議論をいただき理解と協力を得て法案の成立が図られるように、ただいま最善の努力をしておるところでございます。これを何としてもなし遂げたいという決意で臨んでおります。
 この三法案は一括処理でいくのかというお話でございますが、これは今度の選挙制度審議会の答申をよく読んでみましても、結局、政党政治を行い、国民に密着した選挙にし、国民の意見を反映できる政党のあり方というもの等を考えていきますと、資金の問題も政治倫理の問題も、つまるところ現在の衆議院の中選挙区制度というもの仁あって、政策を離れた、日常の政治活動から選挙活動まですべて個人中心になっていくところに必要以上な資金も要る。
 いろいろそういったことから、政党本位のものに改めていくためにはどのようにして制度にも触れていくか、どのようにして政策本位の活動にしていくか、そして資金の流れは政党中心の流れにするとか、いろいろ整合性を持って一体として解決していくべきであるという答申を受けておりますので、これを三法案として国会に提出したところであります。ぜひとも一括して御議論、御検討、御審議をいただきたい。成立を心からお願いする次第であります。
 もとより、選挙制度改革は国会の構成や議員個人の身分に係る重要な問題でもありますので、十分な御議論を期待していくのは当然の心構えと考えております。
 一票の重みの格差是正について、人口比例に徹する決意はあるかとのお尋ねでございました。
 配分に当たっては、過疎地域への配慮とか多極分散型国土の形成などの政策課題への配慮面から、人口以外の要素を取り入れるべきではないかとの意見や御要望等も各方面にあったところでございます。選挙制度審議会に御指摘のような配分方法で区割り作業をお願いしましたのは、これらのいろいろな意見等も踏まえ、人口比例という答申の考え方に準拠しつつも、人口の少ない県に対し定数配分上配慮しようとしたためであります。なお、選挙区間の人口の最大格差が二・一四六となっておりますが、格差が大幅に是正され、投票価値の平等の要請にこたえることができるものと考えております。
 新たな国際平和協力に関する基本的な考え方として政府が中間報告をまとめた際に明らかにいたしました我が国の平和維持軍への参加に当たっての基本方針は、停戦合意が成立したこと、当事国の同意があること、中立的な立場から参加すること、武器の使用は生命防護の必要なときのみに限定することなど厳しい基本方針に基づいて、平和維持軍に参加することは憲法九条との関係で問題を生ずるものではないと考えたのであります。
 また、我が国が国連平和維持活動に適切、迅速に協力するためには、平和維持活動協力隊が行う活動に自衛隊を従事させることが適当と考えておるところであります。なお、自衛隊の参加については、平和維持活動協力隊の隊員の身分と自衛隊員の身分とをあわせ有することとして中間報告にはまとめましたが、今後、各党との協議も経て所要の検討を行い、成案を得ていきたいと考えております。
 我が国が戦争否定を鮮明にしたことほそのとおりでございます。しかし、我が国は平和を目指す責任ある国家として、相互依存関係がますます深まりておる今日は、平和主義の理念を現実のものとするためにも、日本の憲法にも、自国のことのみに専念してはならない、一国平和主義を戒める理念も出ておるわけでありますから、我が国は国際社会の一員として世界の平和と繁栄のため積極的に協力し、貢献していかなければならないと考えておる次第でございます。
 自衛隊をはっきりと国際貢献隊あるいは国際協力隊に改組して、これに役割を担わせるようにしたらどうかとの御提案でございました。私もよく勉強をさせていただきます。しかし、現在は、政府の出した中間報告を政府としては御理解をいただきたい、こう考えておるところでございます。
 また、国連の五大常任理事国の恣意によって国連の安保理が動かされて、中小国の主権を制限するおそれはないかとの角度のお尋ねでございましたが、今回のサミットでもすべての参加国が強く求めたことは、新しい世界の平和や秩序を維持するためには国連の機能というものの強化がうたわれて、国連を中心とした新しい秩序の枠組みづくりに世界の国々が協力していくべきということであり、特に対立しておった東西関係が終わりを告げた今日でありますから、東西関係の中で、特にソ連の新思考外交も地球的に、グローバルに適用されるべきであるということ、また五大常任理事国が参加をして、例えば中東における武器の移転をどのようにして抑えていくかという会議がパリで行われるなど、常に常任理事国が考えておることは世界じゅうの平和と安定であると、私はこのような認識をいたしております。
 また、国連の安保理事会は、御承知のとおりでありますが十五の理事国から成り立っており、五つの理事国のみの恣意によってすべてが決定、運営されるものにもなっておりませんので、私はそのような御懸念は当たらないのではないかと受けとめております。
 また、兵器移転の国連登録制につきましては、これは世界の軍備管理あるいは軍縮に向かっての方向についてまず着手をしてやるべき問題だと私は考えておる次第であります。各国が自衛のため必要な範囲で行う兵器の調達、各地域における軍事バランスの確保といった複雑な問題がこれには絡んでおります。非同盟の国々を初め、多くの国が自国の安全保障の観点から慎重に対応しておるのが現実でありますけれども、このような中でさきに申し上げた五主要兵器供給国が、中東を念頭に置いて、大量破壊兵器の不拡散の徹底、通常兵器の移転に関する共通ガイドラインの作成に関して具体的な協議を始めました。
 私は、中東地域のみならず世界のすべての国々において、通常兵器の国際移転の透明化の増大に向けた努力は必要である、国連を中心とした報告制度や自主規制の枠組みの整備強化は重要であると考え、過日、京都の国連軍縮会議において基調報告でこのことを主張いたしましたし、今回のサミットでもこの考え方は多くの理解と同意を得てサミット宣言にも反映されたと考えております。
 政府は、引き続き秋の国連総会に関係国とも協力の上通常兵器移転に関する国連報告制度の創設を内容とする決議案を提出すべく、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これは解決しなければならない緊急課題であり、年内決着に筋道をつけるために、世界の国々が保護主義の台頭を抑える、このことで意見が一致したことは御指摘のとおりでございます。我が国の繁栄と世界経済の発展を確保するためには多角的自由貿易体制の維持強化が必要であり、政府としては率先して課題解決に取り組んでいく決意でございます。
 ただ、お尋ねの米につきましては、世界人口の着実な増加が今行われており、農産物需要が増大傾向にある一方、穀物の国際需給が予想しがたいことなど、いろいろな問題が含まれております。ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、我が国は食糧安全保障の観点から、基礎的食糧については所要の国内生産水準を維持するため必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っているところであります。米は、国会における決議等の趣旨を体して、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる考えであります。
 今回のサミットは対ソ支援について賛成とか消極的とか、いろいろ仕分けをなさいました。議論の中では確かにいろいろな考えはありましたが、対ソ支援に当たっては抜本的な経済改革、政治的文脈、特に新思考外交の世界にわたる適用が必要であって、現状でG7として行い得る支援としては、六項目から成る三国間及び国際機関を通じた技術的支援の拡大強化の用意を表明した次第であります。ペレストロイカの成功は我が国としても強く希望しておりますし、同時に改革の成功のためにはソ連自身の自助努力が何よりも必要であり、それに対してサミット国とともに共通の認識を持って技術支援を行い、積極的に成功するようにソ連のペレストロイカに協力をしていく考えであります。
 また、さきのASEAN拡大外相会議における問題については、国際情勢が変革期にある中で、アジア・太平洋地域の友好国の間でお互いの信頼と安心と協力感を高めるための政治対話を活用することを通じ、一層強化していこうとするものであります。我が国の外務大臣のこうした発言については基本的に参加国の同意を得られ、今後その具体的な進め方について参加国の中でさらに検討をしていくということになりました。
 ODAの問題については、これは我が国が発表いたしました政府開発援助の実施に当たって国際紛争を助長しないという観点から、被援助国の武器輸出入の動向、被援助国の民主化の促進などといった諸点にも十分注意を払いつつ、二国間、国際情勢、被援助国のニーズ、経済社会状況等を総合的に判断していくというものであります。
 私は、国際紛争を助長するような武器の輸出入が問題であるところに留意する必要があると考えておりますし、いずれにしても、相手国に対して内政干渉と受け取られるような状況は避ける必要はありますが、二国間協議等の場を通じて相手国側に繰り返し注意を喚起し、懸念表明を行い、なおかつ改善が見られないならば実際の援助額等においてしかるべき反映をさせていくこともあろうと考えております。
 ODAの供与基準を実効あらしめるためには、我が国も今日まで、経済協力の一層の効果的、効率的実施のために現行の関係法令等の範囲内で運用改善を図ってまいりましたが、今後とも、対外経済協力関係閣僚会議の積極的な活用等によって、関係行政機関相互の緊密な連絡の確保、援助評価の一層の充実とその結果の活用等に注意して努めてまいりたいと考えます。
 被爆者等援護法の制定は、一般戦災者との均衡上問題があると考えており、政府としては現在の原爆二法を中心とする施策の充実によって対処する基本的な考え方であり、今年度におきましては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の方々の慰霊等のため諸事業を実施することとしたところであります。
 また、地対協の問題にもお触れになりましたが、政府は昭和四十四年以来各種事業を推進し、生活環境等の改善が相当進んできたところでありますが、現行の特別措置法における事業の進捗状況について、今後ともその内容の把握をしていくものと考えております。一方、地対協においては、一般対策への円滑な移行の方策についてさらに議論を深める必要があることから中間的な意見の取りまとめには至らず、会長談話が出されたものと聞いております。今後のこの協議会の意見を尊重し、検討を続けてまいる考えであります。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣西田司君登壇、拍手〕
○国務大臣(西田司君) 浜本議員にお答えをいたします。
 まず、避難見舞い金についてでございますが、避難見舞い金制度が個人補償の意味であるとするならば、個人が災害により被害を受けた場合については、従来から個人による自主的な回復を原則としておるわけでございます。また、災害対策基本法に基づき市町村長に与えられている避難の勧告または指示の権限及び警戒区域設定権は、住民の生命または身体の安全を確保するために与えられておるものでございまして、補償といった考え方をとることは困難でございます。
 また、同制度が単にお見舞いの観点であるといたしましても、前述のように、個人による自主的な回復を原則としていること、また自然災害による回復不能の死亡や重度の障害といった痛ましい人的被害に限って、社会連帯の見地から災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき公的給付が行われていることから、これを超えるところまで見舞い金を支給するということは困難であると考えております。
 次に、災害復興基金についてお答えをいたします。
 御提案の災害復興基金の具体的内容については承知をいたしておりませんが、雲仙岳周辺地域については、今後、火山活動の鎮静化を待って被災施設の復旧等に万全を期していくとともに、災害の状況を踏まえ、地元地方公共団体と連携しつつ必要な措置について検討を行い、この地域の防災、振興、活性化等の地域づくりを積極的に進めてまいる考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 浜本議員にお答えを申します前に、一言お許しをいただきたいと思います。
 この場を拝借し、こうした御質問をちょうだいすることになりました一連の問題に対し、心からおわびを申し上げます。申しわけありません。
 まず第一に御指摘をいただきました問題については、プラザ合意以降、円高が急速に進展し経済活動が停滞をするという状況のもとにおきまして、内外から内需中心の経済成長というものが求められ、これに対応いたしますために財政、金融両面にわたる経済政策が行われました結果、我が国経済は昭和六十一年末に底を打ちまして現在まで息の長い景気拡大を続けてまいりました。しかし、その反面、昭和六十一年度以降の金融緩和の局面におきまして、景気拡大などを背景に株価が大幅に上昇し、株式市場は活況を呈しました。こうしたブームの中におきまして証券会社の業務等も拡大したわけでありますが、一方で、証券会社の営業姿勢において行き過ぎがあったこと、顧客の側にも自己責任原則の徹底が不十分でありましたことなどが今回の損失補てんなどの背景にあるものと考えております。
 次に御指摘を受けました系列企業等の株持ち合いについてでありますが、金融資本市場における自由な競争というものを促進し、市場の効率化、活性化を図りますことは、内外の利用者の利便性の向上、国際的にも通用する金融資本市場の形成に資するものであります。今回の一連の問題で失った証券市場に対する一般投資家の信頼を回復していきますためには、金融制度改革の推進などを通じまして一層の競争原理を活用することにより、証券市場に対する新しい参入を促していくことが必要なことと考えております。
 第三点に法改正の問題について御意見をいただきました。大蔵省といたしましては、現在、損失補てん問題の再発防止のために、今国会において、取引一任勘定取引や事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を提出し御審議をいただきたいと願っております。この法案におきましては、事前の損失保証、事後の損失補てんを行った証券会社に刑罰を科す方向で検討をいたしておりますが、例えば損失保証や損失補てんを求めこれを受けた顧客側にも罰則を科すことも盛り込みたいと考え、現在関係当局に御相談をいたしておるところであります。
 さらに、証券市場の公正性あるいは行政の透明性を確保するという観点から、証券取引の規制や証券会社に対します行政指導を見直すことといたしており、その際、必要がありますならば法令化することも考えてまいりたいと思っております。
 また、資本市場を通じます資金調達は主として設備投資などの目的で行われるものでありますが、一部運用資金として用いられたのではないかという御指摘は事実であります。しかし、今回の証券会社による損失補てんは、損失が発生した大口法人顧客などとの継続的な取引関係の維持のため生じたものでありまして、直接的には具体的な引受業務との関係で行われたものではないと考えられます。
 ただ、引受部門とブローカー、ディーラー部門が併営になっておりますことにより、引受関係情報を利用したブローカー、ディーラー業務が行われたり、また、ブローカー、ディーラー業務を利用した引受幹事獲得が行われたりしないようにすることが必要であります。これは御指摘のとおりでありまして、従来から両部門の間の遮断の徹底を図ってまいったつもりでありますが、今後ともに両部門の独立性を一層確保していくように努力したいと考えております。
 また、企業会計についてお触れをいただきました。我が国の企業内容の開示制度につきましては、これまで必要に応じて逐次制度の見直し、導入を行ってまいっており、諸外国に比しても遜色のないものと考えております。例えば、最近ではセグメント情報の導入でありますとか、関係当事者との取引の開示及び先物・オプション取引及び保有有価証券の時価情報の開示制度の導入など、情報開示の強化措置を講じてまいりました。
 また、企業内容開示制度及び会計処理基準の国際的な調和という問題につきましては、証券監督者国際機構あるいは各国の会計士団体で構成されております国際会計基準委員会を中心にそうした論議が今進められております。我が国といたしましても、これらの検討作業に積極的に参加してまいっております。いずれそのような方向がこの中から生まれてくるものと私も期待をいたしております。
 また、銀行融資の関連で、私自身の元秘書に関する件につき申し上げなげればなりません。富士銀行赤坂支店元渉外課長の一件は、既に司直による捜査が開始され、今後全容が明らかになるものと考えております。しかし、この元課長が不正融資にかかわっているとは全く知る由もなかったとはいいながら、私の秘書の立場にあります者が軽率にも銀行に対し融資希望者の紹介を行っていたこと自体が不適切であると考えております。結果として秘書に対する監督に至らぬ点がありましたことは、私としてもその責任を痛感いたしております。
 最近、一部の銀行において職員の関与した事件などが発生し、社会的批判を受けるような事態が生じていることはまことに遺憾であります。このような不祥事件などの発生の原因は、さまざまな要因があると思われますが、先ほども申し上げましたような、例えばプラザ合意以降の金融緩和基調のもとにおきまして、金融自由化などの進展と相まって金融機関の貸出競争が激化した。そして貸出資金も、資金需要の強い分野、すなわち不動産、財テクなど非製造業部門に向かうなどという融資構造が急速に変化している中にあって、一部の銀行に指いて、内部管理など安定的な営業体制を確立しないまま安易に業容拡大、収益第一主義に傾斜していったことが原因であろうと思われます。金融機関は、その業務の公共性にかんがみ、社会的責任を自覚した業務運営を求められておるものでありまして、第一義的には金融機関みずからが業務の健全かつ適切な運営のための努力をなすべきことはもちろんでありますが、最近発生しております不祥事件などは、金融機関の内部管理体制自体が脆弱化していることに起因しているのではないかと思われます。したがって、金融監督当局としては、日々の行政や金融検査を通じ、金融機関経営の基本である内部管理体制の改善などについて、なお一層厳正に指導していく所存であります。
 また、銀行に対する監督行政につきましての御指摘は、金融の自由化、国際化という急激な進展の中にありまして、これまでも努力を払ってまいったつもりでありますが、御意見、御批判も謙虚に受けとめ、金融機関の経営の健全性と適切な業務運営を確保すべく、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(中山太郎君) 浜本議員にお答えを申し上げます。
 私が先般のASEAN拡大外相会議で示しました考えは、アジア、太平洋地域の友好国の間でお互いの安心感を高めるための政治対話を行っていこうという考えてあります。すなわち、我が国が今後この地域で大きな政治的役割を果たしていく上で、この地域の国々の中に、経済大国となった日本がやがて軍事大国化するのではないかといったような不安が一部に存在していることは事実であります。そのような域内国の不安や懸念の声に率直に耳を傾け、また日本の考え方を率直に説明する機会を常に持つことは、我が国にとっても、また域内諸国にとっても重要なことでございまして、ASEAN拡大外相会議のもとに高級事務レベル協議を持ち、そのような場で政治対話を行っていくというようなことが有意義であり、時宜を得たものと考えておるわけであります。
 私がASEAN拡大外相会議の場で述べましたのは、このような友好国間で安心感を高めるための政治対話の場の話でありますが、一方、この地域の真の平和と安定のために、日ソ間での北方領土問題、朝鮮半島の緊張、カンボジア問題等、政治的対立、紛争を解決していくことが不可欠でありまして、現在行われております関係国の懸命の努力が一日も早く実ることを心から期待するものであります。我が国といたしましても引き続き、この紛争解決努力を含む政治、経済等幅広い分野において積極的に役割を果たしていく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣下条進一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(下条進一郎君) 浜本議員にお答えさせていただきます。
 被爆者等援護法の制定についての御意見でございますが、先ほど総理からも御答弁がございましたので、簡単に補足をさせていただきます。
 原爆被爆者対策につきましては、放射線による健康障害という他の戦争犠牲者に見られない特別の犠牲に着目いたしまして、実態に即した対策を行うというのが基本的な考え方でありまして、原爆二法を中心に、保健、医療、福祉の各般にわたる施策を講じているところであります。御提案の原爆被爆者等援護法案は、御遺族に対しましてもその範囲を拡大し補償を行うことや、被爆者全員に障害の有無にかかわらず年金を支給することなどを内容とするものでありまして、一般戦災者との均衡上問題があるかと考えております。今年度におきましては、諸手当の大幅な改善を行うとともに、新たに原爆死没者の慰霊等のための諸事業を実施することとしたところでありまして、今後とも、原爆二法を中心といたしまして施策の充実に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
○議長(土屋義彦君) 答弁の補足があります。海部内閣総理大臣。
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) 答弁の補足をさせていただきます。
 損失補てんのリストが、発表されたものは政府として間違いないという責任が持てるのかどうかという、こういう御質問でございました。あれは証券各社がみずから損失補てんをしたと認識している企業を自主的に発表したものであるのであります。
 また、私の政治責任を問うのだというお話でございますが、政府は法案を国会に提出したところであります。私は、不退転の決意でこの政治改革をなし遂げたいと取り組んでまいりました。提出するときは成立を目指してお願いをしておるのです。その前からその先のことを云々してどうのこうのというようなことについては私は答弁することを差し控えるべきだと思いますし、成立を目指して全力を挙げさせていただきます。その最中でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(土屋義彦君) 後藤正夫君。
   〔後藤正夫君登壇、拍手〕
○後藤正夫君 私は、自由民主党を代表して、当面する内外の主要課題について総理ほか関係閣僚に対し質問をいたします。
 まず、雲仙岳噴火災害について申し上げます。
 去る六月三日の雲仙岳の火砕流の被害により不幸にして犠牲となられました方々に対し衷心より御冥福をお祈りいたしますとともに、被害を受けられた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げます。
 既に六月三日の惨事から二カ月を経た厳戒避難体制の中で、いつおさまるともしれない火山活動によって帰るべき家を失い、田畑を奪われた五百世帯千五百人の方々が今なお学校の体育館などでプライバシーのない不自由な避難生活を強いられ、その疲労といら立ちは既に極限に達しておられるものと思われます。そして、被害はひとり市民生活のみならず、地域経済社会全般にまで拡大いたしております。
 今回の災害は、前例のない長期的かつ危険度の高い特異な災害であるという実態にかんがみ、生活基盤を失った被災住民の方々の生活再建を第一義として、救済についてのこれまでの発想を改め、被災住民の集団移転、移転跡地の国による買い上げ等の個人補償について特別立法の措置が必要でありますが、政府としていかに対応されるお考えでありましょうか伺います。
 次は政治改革であります。
 二年前の参議院選挙において、我が党は結党以来の国民の厳しい審判を受けました。その要因の一つはリクルート事件であります。昭和六十三年六月に発覚したこの事件は、政治の構造的な問題として政治と金との関係が問題とされ、この種の事件の再発防止と政治倫理の確立はすべての政治家に課された課題となりました。昨平成二年二月に冠婚葬祭に係る寄附の禁止を定めた改正公職選挙法が施行され、一部その課題にこたえることはできましたが、ようやく今回、政治改革関連三法案が国会に提出され審議に入ることができますことは、国民の皆様の御期待にこたえられるものと思い、まことに感深いものがあります。
 この間、総理の政治改革有識者会議の提言を経て、我が党は、政治改革委員会、政治改革推進本部、さらに政治改革本部を設置し、全党的取り組みの中で血のにじむような検討を進めました。平成元年五月には政治改革大綱を定めて、これを公約として選挙を戦い、国民の皆様に対し政治改革への決意を新たにいたしました。また、昨年十二月二十五日には政治改革基本要綱を党議で決定し、本年六月、これに基づく三法案をも党議で決定するに至ったのであります。二年有余、実に三百五十回に及ぶ活発な討議の末、政治改革三法案がここに審議に入ることができるのは、不退転の決意を表明された総理の粘り強い推進力と、これを支えた党のバックによるものでありました。
 総理、思えば三年前、厳しい政治情勢の中で組閣をされましたが、今日、海部内閣は国民の高い支持を得ておられます。総理の現在の御所感をお伺いいたしたいと存じます。
 もとより、政治改革は選挙制度の改革で尽きるものではありません。根底には、個々の政治家の政治倫理についての意識の改革がなければなりません。
 平成元年の政治改革に関する有識者会議は、国会議員の資産公開を提言し、閣僚の資産公開も一定範囲の家族にまで拡大すべきものとしておりました。我が党も資産公開法案要綱を決定し、衆議院において各党の協議の議題にされたところでありますが、座長所見が提示されたまま、いまだに進展を見ておりません。また、我が党は、行為規範及び政治倫理審査会規程の改正についても積極的に取り組み、資産公開法案要綱と同時に決定しております。他方、四野党は、政治倫理法案共同要綱を合意されているようであります。私は、これらは政治改革三法案と一体のものと受けとめており、ぜひ促進すべきものと考えます。資産公開法や政治倫理法の制定についてはどのようにお考えか、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、政治改革関連三法案について伺います。
 今回の政治改革の中心は、衆議院議員選挙に小選挙区比例代表並立制を導入する公職選挙法の一部を改正する法律案で、大正十四年以来続けられてきた中選挙区制を根本的に改めるものでありますが、なぜ今選挙制度改革なのかという疑問がいまだに論議されております。
 第一に、現行選挙制度のもとにおいて定数是正を先行させるべきではないか、まず定数是正の衆議院決議を尊重すべきであるという主張があります。確かに、中選挙区制は国民になじんでおり、準比例代表制とも言われるように、多様な民意を比較的よく反映させるものであります。しかし、この制度で定数是正を行えば、ほとんどの選挙区に分区、合区が生じ、甚だしく困難な事態を生ずることは、さきの八増七減の是正の際にも痛感したところであります。この際、やはり制度疲労を起こしている中選挙区制を根本的に改め、小選挙区中心の制度にして、あわせて一票の格差の是正を図ることが必要であると思います。総理の御所見をお伺いいたします。
 第二に、なぜ選挙制度改革が必要なのかという点であります。政治改革に求められているのは、金のかからない選挙と政治の実現であります。しかし、これまで幾たびもこの改革は試みられましたが、残念ながら実を結ぶには至っておりません。政治と金との関係を改めるためには、もはや制度の根本にさかのぼった改革をする以外にないと思います。そのためには、個人名をPRする現在の個人選挙から、政策本位、政党本位の選挙制度に転換することが必要であります。
 他方、日本の国際化は急激に進み、国際社会もまた激動を続けております。その中において、我が国の立場は地球規模にまでますます重要性を増しており、責任を持って、かつ的確、機敏にこれに対応した政策を打ち出し、実現していかなければなりません。それには、国民の信頼に支えられ、国民的合意の上に立った強固な政治体制を創造していくことが必要であります。このような政治体制を実現するために、政権の基盤である衆議院の選挙制度としては、安定した政権が直接国民の意思によって選択され、かつ政治に緊張感をもたらすようなものでなげればなりません。そのためには、政策本位、政党本位の小選挙区制中心の選挙制度が最も望ましいものであります。
 この選挙制度によって、二大政党制がもたらされて政権交代の可能性が高まり、かつそれが円滑に行われることができるようになるでありましょう。社会経済国民会議の調査によっても、国民各界の約七割が新しい選挙制度の導入を不可欠と見ているのであります。二十一世紀を目前にした今をおいて、国家百年の大計として議会制民主主義の根幹にかかわる抜本的な選挙制度の改革を図る時期はないと確信いたします。
 このような改革について、我が党内においても、現在の中選挙区制においては自民党の政権担当は今後も続く可能性が高いのに、なぜあえて政権交代に道を開くような改革をしようとするのかという反論があります。しかし、将来に眼を転ずるとき、政治の性格を変え、わかりやすい政策決定過程とすることは、いかなることがあっても実現しなければならないものであり、単に自民党限りの視野で論ずるわけにはいかないものであると思います。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、提案されている並立制について若干問題点をただしたいと思います。
 第一点は、小選挙区制では死票が多くなるが、少数意見の尊重をどうするのか。第二点は、並立制になったからといって金がかからなくなるとは言えないのではないか。第三点は、政党本位の小選挙区になることによって現職が有利になり、しかも新人が出にくくなり、政治の活性化が失われるのではないか。第四点は、区割りの問題で一票の格差が当初の目標である三倍以内を達成できなかったことをどう受けとめるのか。第五点は、選挙区が市長や地方議会議員の選挙よりも狭小となることは、国政への関心を妨げ、陳情行政を過熱させるのではないか。
 以上の並立制の諸問題について自治大臣はどのようにお考えか、お伺いいたします。
 次に、参議院選挙制度の改革について伺います。
 これまで六十有余年定着してきた衆議院の中選挙区制から小選挙区比例並立型への移行に伴う問題点に言及してまいりましたが、これと連動して二院制の一翼として大きな使命を持つ参議院も、その創設の本旨を踏まえて、新しい時代の政治に対応できるよう、それにふさわしい選挙制度の抜本的改革と独自性発揮が今強く求められております。
 昨年七月三十一日、内閣の選挙制度審議会より参議院議員の選挙制度の改革について答申がありましたが、その前文において、参議院における審議は衆議院と異なる独自の立場に立って行われているとは言いがたい、参議院においても政党化が進み、その独自性、自主性を発揮することが困難となっているなどの批判があり、このことは参議院の現行選挙制度に由来していると指摘しつつも、全国レベルの選挙については候補者名及び政党名を記載する非拘束制を提言しており、全くあるべき理想像と現実の答申とが乖離するという中途半端な案となっております。
 今日、衆議院において全国レベルで政党を前提とした比例代表制が導入されるとなるならぱ、せっかく昭和五十八年選挙から実施された本院の拘束比例代表制はこれとの対比においてどうあるべきか等々、今こそ国民負託の原点に返って二院制のもとでの参議院のあるべき姿を求め、思い切った改革を断行すべきときであると思います。
 我が党は、過ぐる参議院選挙で、政治改革の一環として参議院の改革に関し、独自性の発揮、比例代表制の改善及び総定数の削減と定数配分の不均衡の是正を公約し、現在、党内の参議院選挙制度に関する小委員会を既に二十六回開催し、九つの改革私案の個別審査をも終えて、最終的合意形成を目指して精力的に討議を重ねております。ここでの論点の一つは、議院内閣制のもとでの現実の政党政治の中で、参議院が衆議院と距離を置きその自主性、独自性を発揮するには、参議院は非政党化、脱政党化すべきではないかという強い意見がある一方、参議院の政党化はこれを肯定すべきとする意見もあります。
 また、参議院の改革は、ひとり選挙制度の面のみならず運営面の改革も重要であり、河野議長のとき以来二十年の長きにわたる参議院改革協議会の実績を顧みるとき、各党各派は党利党略を離れて、かくあるべきであるという参議院みずからの理想を求めて前進すべきではないでありましょうか。
 総理は、参議院選挙制度の改革についてどのような認識を持たれているか、また、現行の政党政治のもとでの参議院のあり方についてどのような御所見をお持ちであるかをお伺いいたします。
 次に、政治資金と政党助成について伺います。
 今回の政治資金規正法の改正は、政治にかかわる金の透明性を高めようとすると同時に、小選挙区比例代表並立制という政党本位の選挙制度を中心に置いた政治資金規制を行おうとするものであります。つまり、企業、組合等の団体寄附を原則として政党に限って行えるものとし、政治資金をつくるパーティーも政治団体を中心とすることとしており、他方、政治家については指定団体を一つに限定し、また、資金調達団体も二つに限定することとするのであります。さらに、政治資金による投機的取引を禁止し、あわせて政治団体の資産公開をすることとしております。これによって政治資金の透明性は格段に向上し、選挙制度の改革と相まって、必ずや国民の納得が得られるものと確信いたします。
 しかしながら、政治活動は政党が中心であるとはいえ、それを担うのはやはり一人一人の政治家であります。その自発的かつ自由濶達な活動を阻害することは、望ましいことでほありません。個人の活動の自由を保障することも必要であり、透明性を拡大しつつ個人の資金調達の道も開いておくことも考えられるのであります。現在のところでは新制度が定着した際にどのようになるか予測がつかない面もある以上、その際に政治資金規正の趣旨にのっとり見直すことも必要であろうかと考えますが、総理の御所見はいかがでありましょうか。
 政党助成は、政党本位の選挙制度を実現することに伴い、政党活動の公的性格にかんがみて国庫から助成をするものでありますが、これにより資金集めの苦労や弊害から解放され、政党が内外の課題について総合調整、総合政策立案型の政治に集中することが可能となるものであります。しかしながら、この点についても幾つかの危惧が挙げられるのであります。
 第一に、三百億円にも達する助成に国民の理解が得られるでありましょうかという点であります。もちろん、この政治改革は、国民の政治に対する信頼を回復し、その負託にこたえる政治を実行することを目的としており、助成に対する理解もこれが実現できるかどうかにかかわっているものであります。政治が現状のままであるならば、単に地盤培養に使われるのではないか、あるいは公私混同されるのではないかなどの疑問が当然持たれましょう。政策本位、政党本位の選挙と政治を実現するとともに、議員定数の大幅な削減や団体献金の制限など、みずからに痛みを課する改革の遂行によってこそ国民の理解が得られるのではないでありましょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第二に、政党に対する規制がさまざまな形で出てくるのではないかという点であります。政党は社会において自由に生成し、自由に活動し、民意を吸収し、政策を実現していくものであり、これに対する規制は議会制民主主義に対する最大の脅威となるものであります。助成することが政党に対する規制のきっかけにならないか、また、既成政党にのみ有利となり、自由な政党活動を阻害することにならないか、助成を受ける政党と他の政党との間に不平等を生じないか、政党の離合集散が把握されて公権力が介入することにならないかなどの危惧があります。また、政治家が政党に不当に拘束されることにならないか、政党官僚主義にならないかといった問題も含んでおります。
 しかしながら、公的資金を使う以上は、国民の理解を得るべく適正な会計処理と監査は必要であり、これに伴う必要やむを得ない法律上の処置であるならば、これが政党活動の規制になるとは考えられないのであります。また、これにより政治家が金集めをすることなく、政策を考え、本来の政治活動に打ち込めるようにする仕組みとして政党助成は必要であり、これが政治家を自由にこそすれ、政党に不当に拘束されることにはならないと確信するものであります。政党に対する規制はやむを得ない最小限にとどめるものとして、政党法の立法については今は考えておられないと推測いたしますが、以上の点についての総理の御見解を伺いたいと存じます。
 以上、政治改革の理念から三法案の基本問題に触れてまいりました。これらの政治改革について、野党は、まず定数是正をすべきである、あるいは併用制を採用すべきであるという主張をされているようであります。もちろん、議会制民主主義の基本にかかわる改革でありますから、与野党ともに議論を尽くすことが必要であります。野党も単に論戦を回避するよりも、みずからの対案を示され、論戦を行い、とるべきはとり、正すべきは正し、よりよき政治改革を実現していくことこそが、言論の府である国会にふさわしいのではないでありましょうか。
 総理は、既に、内閣の命運をかけ、不退転の決意で対処する旨を表明されておりますが、改めて総理のこれに取り組む御決意をお伺いいたします。
 次に、一連の証券不祥事件について伺います。
 戦後最も長かったイザナギ景気と肩を並べた近年の景気拡大が、一方で地価及び株価の暴騰とその後の暴落を招いて一連の証券不祥事件の背景となり、舞台ともなったことは紛れもない事実でありますが、これらの事件の原因について政府の見解をまずお伺いいたします。
 戦後四十五年間、我が国の行政は一貫して欧米に追いつき追い越せを合い言葉に、政府と民間が相呼応してその推進に努めてまいりました。しかし、今日気がついてみると、我が国はかつて我々が目標としてきた欧米と肩を並べる経済大国となっているのであります。世界最大の証券会社や銀行に我が国の企業が名を連ねるようになった現在、かつての時代おくれになっていた産業の育成を目的とした保護中心の行政は、大きな転換期を迎えていると考えます。今回明るみに出た証券会社による一連の大口投資家への損失補てんや暴力団関係者との取引問題は、まさに我が国の業界保護の行政の限界と甘さが表面に出たものと思いますが、政府の率直な見解をお伺いいたしたいのであります。
 国境を越えた経済活動が急速に広まると同時に、国同士の相互依存関係がますます深まり、各国間におけるさまざまな摩擦やあつれきが一段と厳しさを増しております。国際的な経済摩擦の中でも、我が国独自の商習慣や系列取引は、単に文化の違いというだけでは済まされない日本市場の不透明さを示すものとして、海外、特に米国から日米構造協議を通じて強くその是正が求められました。
 本来、市場とは、そこに参加する者すべてに共通のルールが適用され、優勝劣敗と自己責任の原則が貫徹されるものでなければなりません。それにもかかわらず、一部大口投資家や一部の顧客だけに損失補てんが行われるという市場ルール無視の行為があったことは、国民の証券行政に対する信頼を大きく裏切るものであったと言わなければなりません。これでは日本異質論の主張を強めている海外から一層厳しい批判を受けるばかりか、我が国市場、ひいては経済社会全体までが極めて異質であるとの印象を持だれかねないのであります。
 世間には、証券会社が一部大口投資家に対して行った損失補てんの事実を監督責任を持った大蔵省は知っていたのではないかという、大蔵省に対する不信感があるようであります。行政の側に甘さ、手抜かり、さらには業界との癒着はなかったのかどうか、どういう市場監視をしていたのか、その事実風係について率直に国民の前に明らかにするとともに、今回の問題の責任をどう受けとめておられるのかをお伺いいたします。
 もとより、事件発生の原因と全容の解明は同種の事件再発防止のために極めて重要でありますが、損失補てんを行った証券会社のみならず、損失補てんを受けた企業にもそれ相応の責任があります。大手及び準大手、中堅証券会社については自主的な公表が行われておりますが、未公表の地方財務局所管の中小証券会社についても同様の措置をとるよう政府は督励すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。さらに、現在公表されているものは平成二年三月期決算のものでありますが、平成三年三月期及び現事業年度について損失補てんの状況はどうなっておりましょうか、特別検査の進捗状況を御報告いただきたいのであります。
 私は、今日の事態を顧みて、金余りと言われる時代に、より有利な資金運用を求めて企業が財テクに走るばかりか、公的資金を預かる団体までがこれに参加すみという行き過ぎた投資行動は厳に慎み反省すべきであり、政府としても、企業に対してほその社会的責任を追及するとともに、徹底した自覚を促し、企業倫理の確立を図るべきであると思います。現行の検査体制の見直しに対する政府の基本的認識についてお伺いいたします。
 かかる観点から、最も大切なことは事件の再発防止に向けた建設的な法整備の対応で、通達による不透明な部分のある行政から、だれもがわかる法律による行政へとその基準を変えるべきではないでありましょうか。そのためには、証券取引法の改正はもとより、さらに一歩進んで米国型の証券取引委員会、SECのような監視及び不正行為を取り締まる独立機関を中心にした市場行政への移行も含めて真剣に検討すべきだと考えます。行政が業界の指導や保護を中心とした行政だけにこだわり続けるとするならば、同様な事件の再発防止も、海外からの経済産業政策がアンフェアであるとの批判も解消できないでありましょう。
 我が国は従来の経済政策を歴史的に転換させるべき時期を迎えており、かかる転換なくして我が国の発展はあり得ない、これがあの前川リポートの本旨でありました。世界に通用する市場システムの確立のために、一刻も早く政府が行政を転換することを願うものであります。総理大臣及び大蔵大臣の率直な御見解をお伺いいたします。
 次に、PKOを中心とする国際協力についてであります。
 今日、我が国が世界第二位の経済大国となったのは、国民の努力とともに、自由民主主義、市場経済の維持発展に努めた諸外国の協力によるものでありました。このように考えますとき、我が国は、世界の平和と繁栄の確保のために、その持てる国力にふさわしい役割を果たさなければなりません。そのためには、中長期的に見て何が真の国益に資するのであるかということを踏まえ、国際社会へ積極的に貢献していくべきであると考えます。言うまでもなく、自国の平和、繁栄にのみ関心を注ぐ一国平和主義、一国繁栄主義はおよそ世界から受け入れられるものではありません。
 持てる国がお金を出すことは何ら恥ずるべきことではなく、出すに当たっての理念、原則を明確にしておけば、国民の納得も世界の理解をも得られるものと思います。しかし、それとあわせて、具体的に人の面での貢献が重要であります。さきのペルーにおけるJICA職員襲撃という痛ましい事件を見るにつけ、人的貢献の難しさと厳しさを改めて痛感させられました。海外でのさまざまな協力に従事される方々の安全確保に細心の配慮を払い、万全を期するべきは当然で、これを教訓としながら、我が国は世界の平和と繁栄のために一層貢献していかなければならないとの念を強くいたすものであります。
 総理、我が国として、今後どのような考え方のもとに、いかに国際社会への貢献を進めていくお考えかをお伺いいたします。
 国際的貢献にとって重要なことは、平和と安全の確保を主たる任務とする国連のあり方とこれへの我が国の対応であります。さきにロンドン・サミットにおいて、薪国際秩序構築の柱の一つとして国連平和維持機構を強化することが確認されております。
 国連は、第三次世界大戦の勝利者である五大国を常任理事国とする安保理事会を中心にして、世界平和を維持することを目的としております。したがって、五大国以外の国々の発言力は限られたものとなり、加盟国内に不満のあることも事実であります。その意味において、米国に次ぐ国連分担金の負担の大きい我が国やドイツの常任理事国への昇格、旧敵国条項の削除など、冷戦終結後の新しい時代にふさわしい国連システムの改善が求められます。一方、湾岸危機に際して、ソ連、中国も協力的姿勢をとり、安保理事会が正常に機能し始めたことは、国連の将来に希望を与えるものであります。こうした政治環境を踏まえて、政府は今後国連をどう支援していかれるか、また安保理事国への参入や旧敵国条項の削除についてどのように考えておられるかの御見解を伺います。
 なお、この際、海上自衛隊の掃海艇がペルシャ湾における船舶の安全確保という平和目的のため連日炎熱のもとで危険な機雷の処理に当たられ、具体的に国際協力の第一歩を踏み出しておりますことを多とするとともに、ここに隊員諸君の御苦労に深く敬意を表したいと思います。
 今期国会召集の目的の一つに、いわゆるPKO法案の制定があります。総理も、平和主義の理念を現実のものとするためにも、人道的な国際協力を一層強めるとともに世界平和を守る秩序づくりの国際共同作業に参加することを表明され、国連の平和維持活動に対する協力について新たな法案の提出を準備されており、さきにその基本的考え方の中間報告をされました。今後、各党間においてそれぞれ検討の上、三党調整を踏まえて成案が取りまとめられることと存じますが、現時点において次の点についてお伺いいたします。
 PKOの活動の形態は監視団と平和維持軍の三つに大別されます。湾岸戦争後に設立された停戦監視団に我が国政府は一名の要員を派遣していると承知しておりますが、今後も、国連を積極的に支援していくのであれば、PKOに資金のほかにさらに人員の面でも貢献することが重要であると考えられます。
 このようなPKO活動に適切かつ迅速に協力するためには、官民あわせた協力を得て実施することが不可欠でありますが、私は、まず政府機関に蓄積された経験、組織的な機能を最大限に活用すべきものと考えます。その一環として、自衛隊がその長年にわたって蓄積してきた技能、経験を生かし、あるいは組織としての活動能力を活用することが適切であり、これが真に国際社会に貢献していく道であると考えますが、総理はこの点につきどのような御所見をお持ちでありましょうか。
 また、平和維持軍の性格、協力に当たっての基本原則、特に武器使用と憲法問題をどうお考えになるか、あわせて御意見をお伺いいたしたいのであります。
 関連して、先ごろバングラデシュにおきまして発生いたしましたサイクロン災害に際し、政府は、ヘリコプター二機、消防庁職員等五十名から成る国際緊急援助隊を派遣し救援活動に当たられ、バングラデシュ政府より高く評価されたと聞いております。我が党といたしましても、我が国がその国力にふさわしい国際的責務を果たすために、このような海外における災害救援活動をさらに積極的に展開していくことは極めて重要であり、そのためには我が国の緊急援助活動の実施体制を一層強化していくことが必要であると認識しております。
 その一環として、雲仙岳の噴火の際の活動にも見られますように、国内の災害救援活動において目覚ましい活躍をしている自衛隊を海外における災害救援活動においても活用すべきであり、速やかに国際緊急援助隊法等の改正を行うべきであると考えます。この点に関する政府のお考えをもお伺いいたします。
 次に、外交問題についてお尋ねいたします。
 先般のロンドン・サミットは、東西冷戦の終結と湾岸危機の克服を踏まえ、新たなる国際秩序の構築を目指して、国連の平和維持機能の強化、ソ連の新思考外交の地球的規模での適用などを一つたった政治宣言、通常兵器移転の国連登録制を盛り込んだ軍縮・軍備管理宣言を採択するとともに、北方領土問題に至言及した議長声明を発表し、さらにウルグアイ・ラウンドの年内妥結、対ソ支援を盛り込んだ経済宣言を採択しております。また、今回、この会議に引き続きゴルバチョフ・ソ連大統領を招いてソ連の改革を中心に対話が行われ、六項目の対ソ支援の合意がたされました。ソ連を加え、G7プラス1と呼ばれる今回のサミットは、従来の西側サミットとほその性格を異にし、まさにグローバルサミットヘの踏み出しであると申せます。
 すなわち、今回の会合において、自由と民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済原理という普遍的な価値観に基づき、間近に迫った二十一世紀を平和と繁栄の世紀とするための枠組みをつくる渾身の努力を払うことが、ソ連を含め世界をリードする諸国によって全世界にアピールされたと申しても過言ではありません。ソ連、中国の改革や発展途上国の抱える困難な問題、さらに環境保護などの地球的規模の問題を、この新たなる秩序形成の中で解決していかなければなりません。国連の機能強化や自由貿易体制の拡大発展を手始めとして、グローバルパートナーシップの構築という新しい国際秩序の枠組みの形成に向け全世界を挙げての取り組みが開始されております今日、我が国に対する各国の期待は一層高まっております。
 ロンドン・サミットに出席された総理が、今般のロンドン・サミットの意義、成果をどのように受けとめられ、新国際秩序の構築に向けてどのように寄与されるお考えか、お聞かせいただきたいと存じます。
 次は対ソ政策であります。
 ソ連の市場経済移行に向けた改革を着実に前進させソ連経済を世界経済に組み込むことは、ソ連自身を改革させるのみならず、国際社会全体の平和と繁栄を約束することにつながります。このような観点から、今般、ゴルバチョフ大統領とサミット参加国首脳との協議により対ソ支援の枠組みが整えられたことを歓迎するものであります。
 対ソ支援に当たって我が国が留意すべきことは、第一に、ソ連との間には北方領土問題を解決して平和条約を締結するという歴史的な課題が残されていること、第二に、経済改革はあくまでソ連自身の自助努力が基本であることでなければならないのであります。ソ連の軍需産業の民需転換のために我が国の戦後の経験を提供するなど、知的、技術的支援を強化しなければならないことは申すまでもありませんが、中央計画経済システムがなお解体されていない現状のもとでのソ連への金融援助は、生産基盤の整備に資金が供給されることなく、いたずらに消費されてしまわないとも限りません。
 サミット参加国の中での孤立を恐れる余り、ソ連の性急な要請に応じようとする声も聞かれますが、今必要なのは、対ソ支援がソ連の軍事力維持につながらないこと、連邦と各共和国との関係が明確になること、何よりも北方領土問題解決の見通しを明確にすることであります。対ソ支援についての我が国の基本的姿勢を総理からお示し願いたいと存じます。
 また、先般の米ソ首脳会談でブッシュ大統領が我が国の北方領土問題に言及されており、今や北方領土問題は、ソ連が新思考外交を世界に適用し、国際社会のシステムの中で共存共栄していくことができるかどうかの重大な試金石となっていると申しても過言ではありません。我が国も、先般のゴルバチョフ大統領の訪日の成果である日ソ共同宣言をもとに、北方領土の具体的返還の段取りが一日も早く明確なものとなるよう対ソ交渉を加速化していかなければなりませんが、総理の北方領土交渉を推進する御決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
 次はSTARTの調印問題であります。
 去る七月三十一日、米ソ首脳はモスクワにおいて、戦略兵器削減条約STARTに調印いたしました。当初、戦略核の半減を目指したにもかかわらず、結果的には約三〇%の削減にとどまったとはいえ、ICBM、SLBMなどの戦略核について初めて削減した歴史的意義はまことに大きなものがあると考えます。かかる措置は、相互の信頼関係の前進があってこそ実現できるからであります。さきに米ソ間における戦域核INF全廃条約の発効、東西欧州間における欧州通常戦力削減交渉CFEの妥協など、東西の軍縮の進展は目覚ましいものがあります。一方、ロンドン・サミットでは、湾岸戦争に見られるような地域紛争の再発を防止するために、通常兵器移転の国連への登録制を導入することで合意しております。
 そこで、総理に伺います。第一に、米ソ戦略兵器削減条約の発効が、今後の米ソ関係及び国際政治の動きにいかなる影響を及ぼすと認識しておられるか。第二に、こうした米ソ軍縮機運が、アジア・太平洋や中東の安全保障、軍縮の進展、さらには国連を中心とする兵器移転の規制に具体的なインパクトを与えるものと判断されておられるかどうか。第三に、戦略兵器削減条約に象徴される米ソ関係が、我が国の平和外交や防衛政策を考える上でいかなる意味を持つとお考えか。以上の三つの点についてお伺いいたします。
 次に、ウルグアイ・ラウンドヘの対応であります。
 ロンドン・サミットにおいて、ガット・ウルグアイ・ラウンドについて年内決着を目指すことになりました。ウルグアイ・ラウンドの成功は世界経済の着実な発展にとって不可欠であり、自由貿易体制から最大の恩恵を受けてきた我が国としてもラウンドの成功に向けて努力する必要があります。他方、ウルグアイ・ラウンドの焦点となった農業交渉は、我が国はもとより、米国、ECそれぞれに問題を抱えているものであり、食糧安全保障という国家存立の根幹にもかかわる問題であることから、米市場開放問題について我が国が関税化という一方的な譲歩を強いられることは避けなければなりません。今後、年内合意に向けて我が国に対する圧力が高まることが予想されますが、政府はどのように対処していかれる御所存か、お尋ねいたします。
 次に、国際化時代にふさわしい危機管理体制の整備について伺います。
 昨年から今年にかけての湾岸危機に際し、我が国は巨額の資金協力を中心とした支援、貢献を行ったにもかかわらず、諸外国からさほど評価されていなかったことはまことに残念であります。その理由として、危機管理体制が整備されておらないため対応が後手後手に回り、タイミングを失し、かつ支援、貢献のほとんどが資金的なものにとどまってしまっていることが挙げられるでありましょう。
 今日なお冷戦後の新しい国際秩序が確立されるに至ってはおらず、いまだに領土、資源、民族、宗教などの紛争要因が残存しており、今後とも地域紛争の可能性を否定できない状況にあります。したがって、我が国としては、湾岸危機への対応の仕方を真剣に検討し、危機に臨んで、国益を守り、かつ国際社会に貢献するために迅速かつ的確に対応できるよう体制を整備することが喫緊の課題であります。
 国の防衛に関しては安全保障会議があり、さらに各種の危機に際しては関係閣僚会議を設置して対処するのを例としております。しかし、いずれも湾岸危機のような事態に十分に対応できないのであります。米国の国家安全保障会議のような広範な機能と権限を備えた体制が必要であり、さらにこのたびの雲仙岳の噴火あるいは関東大震災のような国内の災害にも直ちに対応できる危機管理の体制が必要であると考えますが、総理ほどのようにお考えでありましょうか。次は日米関係であります。
 我が国外交の基軸である日米関係は、年々相互依存の度合いを深めておりますが、一方、摩擦が生じやすくなっていることも否定できません。総理が、日米親善交流基金の創設や日米コミュニケーション改善構想など、日米の交流強化に腐心しておられることに敬意を表するものでありますが、日米関係の過去を振り返り、二十一世紀を控え、世界の平和と繁栄の大きな牽引力となる両国のきずなをより強固なものとする必要があると考えます。
 その象徴ともなるべきブッシュ大統領の訪日の見通しほいかがでありましょうか、また、訪日を機会に、率直な意見交換と、互譲の精神を発揮し、経済問題などの諸懸案を解決して日米の友好関係をより一層発展させるべきものと思いますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 また、我が国の安全保障に失わせない日米安保条約の円滑な運用に資する観点から、米軍に対する支援強化の要請にもこたえていくべきものと考えますが、いかがお考えでありましょうか。
 以上、私は当面する重要課題に絞って政府の対応についてお伺いいたしましたが、いずれも日本の将来を決定づけるものであると信じます。
 ともすれば、これまでの我が国は、金は出すが人は出さないという小切手外交とさえやゆされ、政治経済制度は同じでも質的には違った国と言われておりました。おくればせながら掃海艇を派遣し、今期国会にPKO法案を提出されることとなっておりますが、今こそ、相互依存を深めている国際社会において、世界の中の日本として、みずからがその独自性のもと、憲法の国際協調の精神を体して国際秩序の形成に積極的に貢献しなければなりません。
 また、政治改革は、政治に対する国民の信頼を確立するため、心ならずもなじんできたこれまでの政治の基本構造を有権者の立場に立って抜本的に改めようとするもので、政治家にとっては痛みを伴うものとなりますが、健全な議会制民主政治を確立するためには避けられぬ重要問題であると思います。その見地から、「信なくんば立たず」の三木元総理の精神を受け継いでおられる海部総理としてこの政治改革を大胆に実行されることが、総理そして海部内閣に課せられた重大な使命であると思います。
 当面の証券問題の解明を初め、重要な政策課題が山積しておりますが、我々はこの危機を一日も早く克服して、公平で活力ある社会づくりに適進しなければならないと存じます。総理、どうかこの歴史的とも言える挑戦に向かって不動の信念のもとに強いリーダーシップを発揮されるよう切望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
○国務大臣(海部俊樹君) 後藤議員にお答えを申し上げます。
 雲仙岳火山噴火と地震の研究体制をさらに充実し、火山活動による危機管理体制、情報の伝達体制を早急に整備せよとの御指摘でございます。
 私は、地震・火山国である我が国においては、防災行政上の重要な施策の一つとして観測体制の強化や予知及び火山噴火に関する研究開発に今後とも努めていく所存でございますし、一また今回も情報の伝達については適時発表を行ってきておるところでありますが、今後さらに関係諸機関を督励してまいりたいと考えております。
 また、政府は、非常災害対策本部を設置し、地元県市町の御要望等も踏まえ、被災者救済のためにあらゆる角度から検討を重ねてまいりまして、住宅、民生、文教、農林漁業、中小企業、雇用、地域振興など三十一の分野にわたり八十三項目の被災者等救済対策を決定し、ただいま着手しておるところでありますし、またこれらの措置には、政令、省令の改正、特別基準の設定など、今回の災害のために新たに決定した措置が三十項目含まれております。この措置により所要の措置を講じてまいりますが、災害終息後のこの地域の防災、振興、活性化などの地域づくりについても真剣に考慮をし、必要な措置を積極的に講じてまいる考えでございます。
 また、政治改革三法案に当たって所感はどうかとのお尋ねでありますが、私は、選挙制度審議会からいただいた答申、また自由民主党の政治改革本部が策定してまいりました政治改革大綱の趣旨、それは、政党政治に返るためにはまず政治倫理を確立し、そして選挙の制度も政党本位、政策本位のものに改めることができるようにするということがるる述べられておりました。法案の取りまとめに時間を要する結果とはなりましたが、ただいま国会にこの三法案を提案させていただいておる次第であります。御理解の上、成立のために御協力をお願いしたいと思います。
 また、資産の公開や政治倫理の制定については、これは政治改革の第一が政治倫理の確立にあることは御指摘のとおりであり、また、このことについては既に各党がそれぞれ、政治家個人の資産の公開や政治倫理確立のための行為規範の改正、政治倫理審査会の拡大強化の問題など、具体的な案に基づいて国会に提出をされ、御検討中と承っております。今国会の開会前にも政治倫理の確立と国会改革について自由民主党としても申し入れを行ったところであり、これらの問題については、事柄の性格上、国会の場で各党の皆さんのお話し合いにおいて適切な結論が得られることを期待いたしておる次第であります。
 選挙制度審議会から、特に中選挙区制のもとで生じているさまざまな問題を解決するためには現行制度を抜本的に改正していくことが必要であるという答申を受けました。なぜ中選挙区制度の改正が必要なのかとお尋ねでありますが、私は、やはり政党政治というものは、同じ政党に所属する議員が同じ選挙区に複数存在して日常活動を行い選挙を争うという姿は、これはいかがなものだろうかと考えるのであります。ややもすると、大切な場面で政党の基本となる政策論議が姿を消して、個人中心の選挙、個人中心の後援会に対する訴え、有権者に対する活動、これはすべて政策から離れたところで行われるようになっておるということ、それがもとで必要以上にお金がかかるようになってきておるということ、いろいろ弊害は指摘されておるところでございます。
 私は、そういった意味からいっても、もう少し政策本位、政党本位の選挙ができるようにするためには、衆議院における中選挙区制度というものは、これは他の先進民主主義国でも今このような形の選挙制度が行われておるところはないわけでありますし、また、このような個人本位の選挙制度においては政党間における緊張関係が薄れてくるという指摘等も率直に受けとめて、選挙制度審議会の答申の趣旨を尊重し党の基本要綱を決定し、それに基づいて法案を作成し提案させていただいた次第であります。
 参議院の選挙制度につきましては、今回の法案の中に提出することはせず、引き続いて御議論をいただくことにいたしましたけれども、選挙制度審議会においても、参議院の存立の意義、二大院が国会の中にあるというこの二院制を採用しておることによって、国会に民意をより正確に幅広く反映させ、議事の公正と慎重を期するとともに、参議院においてほその独自性を発揮されて持ち味を生かし、一衆議院と両々相まって我が国の議会制民主主義が健全な発達を遂げるように御活躍いただくことを心から期待しておるところでございます。
 また、政治資金は政党本位の資金調達となりますが、個人の活動の自由のためにも、個人についてももちろん政治資金の方策はこの法律でも講じでございます。ただ、政治資金については、調達は政党中心の流れを強くするとともに、その公開性の強化と規制の実効性の確保を図ることを基準といたしております。
 政党に対する公的助成は、国民の理解が得られるためには何が必要か。やはり御理解を得るための環境を整えることが大切であり、政治活動が個人中心の現行制度のもとでほいろいろな誤解や懸念を生んでもいけません。政党への公的助成は、政策本位、政党本位の選挙とするための選挙制度の改革や、政治資金制度全体の改革や、また、今回の法律にも書いてありますが、腐敗行為の防止措置の強化など一体のものとして実施をし、そして政党というものが国家活動への参画というこの現実と、諸外国に見られるような公的扶助の制度等にも着目をいたしまして、政党についての助成制度を法案としてお願いいたしました。また、公的助成の使途は制限しないことにいたしますが、その使途を明らかにした収支の報告と公表を行うことによって、その御批判や御判断を国民の皆さんにお任せができるようにしたいと考えております。
 私は、以上の考え方に立って、政治倫理を確立し、政治資金を明朗にし、必要以上にかかり過ぎる額を何とか適切な額におさまるように努力しながら、政策本位の日常活動、政策本位、政党本位の選挙に変わっていくようにすること、これが大切なことであり時代から与えられた使命だ、こう受けとめておりますから、不退転の決意で取り組ませていただきます。御協力をお願い申し上げます。
 証券業界に対する一連の不正事件についてお尋ねがありました。
 私は、これは行政府として厳しく受けとめております。そして、極めて遺憾なことであり、公正な社会という理念からいってこのような行為が繰り返されてはならないと厳しく思います。事件の再発の防止には、通達による不透明な行政から法律による行政へ基準を変えるべきであります。証券取引法の改正はもとより、いろいろ取り締まる方法を考えたらどうかという御指摘でございましたが、政府は、証券会社に関するこのような問題の再発を防ぎ一般投資家の信頼を回復するために、取引一任勘定や事後的な損失補てんの禁止を含む証券取引法の改正案を今国会に提出すべく全力を挙げております。また、証券会社に対する検査体制の充実強化を図るなど、証券会社の営業姿勢の適正化や市場の公正性の確保に努めてまいります。
 今回の業界の不祥事に関連をしまして、行革審に対し、証券市場に対する監視機能のあり方、それにほどのような形が適当であるのか、適正化のためには何が必要であるのか、是正策について検討を要請しておるところであり、それに従って検討を続けてまいりたいと考えております。
 また、前川。レポートにもあるように、世界に通用する市場システムをつくれとの御質問は、私はそのとおりと思っております。我が国の地位にふさわしい役割と責任を担い、自由貿易体制の維持強化に向け率先して行動していくためには国際協調型経済構造への変革を当然推進していかなければならないものと考え、そのように努力をいたしてまいります。
 また、国際社会の恩恵を受けて現在の日本があるわけです。世界の平和と世界の自由貿易体制という安定した現在の秩序、枠組みの中で日本の今日がある。これを考えますと、世界の平和と繁栄のために積極的に貢献すべきであります。現在、国際社会は歴史的な変革のさなかにあります。国際的地位にふさわしい形で何ができるのか、いろいろ議論をしながら、資金面のみならず、物のみならず、人の面でも積極的に貢献をしていきたい。ODAの拡充という面でもさらに貢献をいたしますし、国連の選挙監視団への要員派遣や国際緊急援助隊の派遣、さらにはペルシャ湾への掃海艇派遣など、さまざまな形での人的貢献を積極的に行い、なし得る努力を重ねてまいりたいと考えております。
 具体に御指摘のあった、PKO活動に適切かつ迅速に協力するためには自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織としての活動能力を活用することが適切であり、これは国際社会に貢献していく道ではないかとの御質問であります。私は議員の御指摘のとおりだと考えております。
 また、平和維持軍の性格、協力に当たっては、さきに政府が中間報告を各党に差し上げましたけれども、紛争当事者が平和維持の活動に同意したこと、そして停戦の合意が成立しておること、さらに中立、非強制の立場で国連の権威と説得により兵力の引き離し、停戦確保等の任務を遂行するものでありますから、伝統的な意味での軍隊とほ性格を全く異にするものでありますし、参加に当たっての基本方針においては、武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小隈のものに限るということを基本的に堅持してまいりますから、平和維持軍に参加することは憲法第九条との関係で問題を生ずるものではないと政府は考えております。
 また、自衛隊を海外における災害救援活動においても活用すべきではないかとのお尋ねであります。私は、バングラデシュのサイクロン災害救助とか、あるいはクルド難民の救援活動等で実際に現地に視察に行っていただいた議員の皆さんからいろいろな御意見を伺いましたが、結局、経験や技能や組織のある自衛隊を、国内の災害救援活動と同様に、速やかに国際社会においても緊急援助隊の一員として協力を行うことにさせるべきだという考え方を伺っております。政府は、この参加を可能とするために法律改正の準備をいたしておるところでございます。
 また、ロンドン・サミットの意義、成果をどのように受けとめるかということでございますが、新しい国際情勢のもとで、国際秩序の強化と世界の秩序のために今度のサミットではいろいろなことを話し合い、経済的には、インフレのない安定的な成長を図るにはさらに一層の結束が必要であるということ、また同時に、今度のサミットの焦点の一つはソ連問題でありましたが、ソ連が抜本的に経済改革の自助努力をすること、政治的な意思を表明すること、それに対してサミット参加国は、技術支援、知的協力で積極的にペレストロイカの成功に協力をしていくこと、さらにIMFや世銀などとの特別提携関係も付与して、そこでいろいろまた技術支援や知的協力もすること、これについて一致をし、また外交面では、新思考外交のグローバルな適用が必要であるという点で各国の意見が一致をし、政治宣言においてこれが認められ、アジア・太平洋地域を含めて全世界にわたって適用されることの必要性が強調されました。
 また、御指摘の北方領土については、議長声明においてその解決が望まれる旨強調されたことは、我が国にとっても重要な意味があったと考えております。
 対ソ支援について基本はどうかとおっしゃいましたが、これは、四月中旬ゴルバチョフ大統領と行いました日ソ首脳会談において共同声明を発表し、その中で、平和条約を結ぶ、そのために、領土問題を解決して日ソ関係をまず正常なものにするための努力を加速的に行っていく、これが大切なことだということの認識と同時に、今後共通の認識を持って、両国間の関係の拡大均衡という基本を踏まえて現在のソ連経済のもとで最も適切な技術的支援を積極的に実施していくということになり、十五にわたる協定文書を調印したところであります。あの精神に従って推し進めてまいりますし、さらに北方領土問題については、我が国とソ連との間の不正常な状態を解決するために、これは引き続きこの問題の解決のために全力を挙げて交渉してまいりたいと思っております。
 米ソ戦略兵器削減条約が署名されたことを心から歓迎いたします。さらに、戦略核兵器を初めとする軍備管理・軍縮の分野でさらなる進展が見られることを強く願っております。これが兵器移転の規制に具体的なインパクトを与えると判断するかという角度のお尋ねでございましたが、私は、各地域において実効性のある軍備管理・軍縮を進めていくためには、まず各地域それぞれの国際状況を改善し、状況の安定を図っていくことが重要だと考えております。
 このような観点から、我が国は、日ソ間での領土問題を解決し平和条約を結ぶこと、朝鮮半島の緊張の緩和、カンボジア問題の解決などなど、アジア・太平洋における諸問題解決のため日ソ間で対話を行うなど外交的努力を続け、この地域の安定を図るとともに、先般七月、パリで開催された主要五武器供与国会合にソ連も出席をし、中東地域への武器輸出の抑制の動きや、和平会議等による政治解決の実現の兆しが見えておることを大切に考え、我が国が提唱をしております国連総会に対して通常兵器移転に関する報告制度の創設を内容とする決議案に対しても、今後ともこういった状況を背景にして、御指摘のように積極的に取り組んでまいる決意でございます。
 また、我が国の平和外交や防衛政策を考える上で米ソ関係がいかなる意味を持ってくるかというお話でありますが、私は、東西対立時代の冷戦状況の発想を乗り越えておるということ、これは極めて我が国にとっても好ましい肯定的な動きでありますが、国際社会は依然過渡期に特有の不安定性と不確実性を内包しております。また、国家間の利害対立やそれに伴う地域紛争は依然として存在しております。我が国は今後とも、日米安保体制を堅持し、適切な規模の防衛力をみずから整備することによって我が国の平和を守り、また東西関係が変化する中で国連の機能を強化し、多数国間の協調体制を強化していくことによって世界の平和と繁栄のために貢献していきたいと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドの農業交渉にもお触れになりましたが、我が国はガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、農業生産の持つ特殊性や農業が果たしている多様な役割が適切に配慮されるよう積極的に対応しているところでありまして、今後の交渉においては、食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 なお、緊急事態への対処体制の確立についての御質問に対してお答え申し上げますが、この緊急事態への対処体制の確立ということについては昭和六十年に提言を受け、また昭和六十一年に国防会議を改組して安全保障会議を設置いたしました。今回の湾岸危機に際しましては、昨年八月のイラクのクウエート侵攻以降、安全保障会議、総合安全保障関係閣僚会議等において、イラク侵攻をめぐる各種情勢について数次にわたり意見を交換し、協議決定を行ってまいりました。今後は、このような重大な緊急事態が発生した場合、政府が一体となって遺漏なき対応をすることができるように、今回の経験を踏まえて、また、去る七月四日に出された臨時行政改革推進審議会の答申における緊急事態への対処体制のあり方についての意見も最大限に尊重しつつ、内閣官房が中心となって対処体制のさらなる充実を図り、万全を期してまいる考えでおります。
 また、ブッシュ大統領訪日の問題につきましては、先般の首脳会談において、かねてからの訪日招請を受け、十一月末ごろに日本を訪問したいとの意向が表明されました。具体的な日程は今後外交当局で詰めてまいります。政府といたしましては、日米の友好のきずなをさらに一層強固なものとしたく、冷戦後の新たな国際秩序の構築に向けてどのような協力と協調の関係を築き上げていくべきかについて幅広い国民的理解を得る重要な機会となることを期待いたします。
 また、日米安保条約の円滑な運用に資する観点から、私は、今後とも我が国は自主的にできる限りの努力を行い、我が国の安全を確保してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣吹田ナ君登壇、拍手〕
○国務大臣(吹田ナ君) 後藤先生の私に対する御質問は五点ございました。これに対しましてお答えをいたします。
 まず第一には、小選挙区制では死票が多くなるが、少数意見の尊重をどうするのかというお尋ねでありました。私は、どのような選挙の制度でありましても、不幸にして御当選できなかったという候補はあると思います。その票をいわゆる死票と言っておるわけであります。しかし、死票が多いということは、多数の別の意見がある、あるいはまた批判があるということになるわけでありますから、当選人もこのような批判があることを十分わきまえて、緊張感を持って行動することが必要になってくるであろうというふうに思います。いたずらに死票としてのみ考えるべきでないというふうに思います。また、今回の改正法案では、小選挙区制に比例代表制を並立させていることにより少数意見が選挙に反映されやすいようにしているところでありまして、この点も御理解を願いたいと存じます。
 二点には、並立制になっても金がかかるのではないかというような御指摘についてでありますが、確かに並立制にいたしましたからといってお金がかからないというものではありません。しかしながら、政治家の日常の政治活動やあるいは選挙が政党中心になることによって、政治家個人の負担は大幅に激減することになりますでしょう。そういった点から、現在の中選挙区制のもとにおけるような候補者同士が個人的に競争することによる支出の増大は避けることができるのではないでしょうか。そういうふうに私は思っております。
 小選挙区になると現職が有利になって、新人が出にくくなるのではないかという御指摘もありました。この点は、基本的に各政党が候補者の選定をどのように行うかということにかかわる問題でありまして、一概に私は申し上げることはできないものである、こういうふうに思っております。
 区割りの問題でありますが、これにつきましては、一票の格差が三倍以内を達成できなかったことをどう受けとめておるのかというふうなお尋ねでありましたが、区割りにつきましては、選挙制度審議会からいただきました衆議院議員の選挙区の区割りについての答申というものの内容をそのまま公職選挙法改正法案に盛り込んだところでございまして、選挙区間の人口の最大格差は三・一四六倍、先ほど総理がおっしゃったとおりでありますが、若干の例外は出てまいりましたけれども、ほぼ目標を達成できたものと考えております。この法案をお認めいただければ、投票価値の平等の要請に十分許容範囲内でこたえることができるというふうに考えておるわけであります。
 最後に、五番目にございました選挙区が狭くなることに関連してのお尋ねでありましたが、要は、選出される議員が国政を担うにふさわしい人格識見を有するか否かでありまして、政策本位、政党本位の選挙制度のもとにおいては、各政党もそのような観点から一人の候補者を選定することになりますでしょう。有権者もそのような目で各政党の候補者の選択を行うことになるでありましょう。そういった点からいたしますと、選挙区が狭くなるからということで、御懸念の国政への関心を妨げる、あるいは陳情行政が過熱する、そういったことにはならないものと考えておるわけであります。
 以上であります。(拍手)。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 後藤議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、この原因についてであります。先ほどもお答えをいたしたところでありますけれども、昭和六十一年以降の金融緩和局面におきまして、景気拡大などを背景にして株価が大幅に上昇し、株式市場が活況を呈します中、こうしたブームの中で証券会社の業務等も拡大をいたしましたが、一方で、証券会社の営業姿勢において行き過ぎがあったこと、顧客の側の自己責任原則の徹底が不十分であったことなどが今回の損失補てん等の背景にあると考えられます。さらに具体的に申しますなら、八七年十月のブラックマンデー以降、いわゆる営業特金が売買一任的に運用され、その結果として損失補てん等不適当な営業行為が生じたものと考えております。
 いずれにいたしましても、特定の投資家に対する損失補てんと申しますものは、一般投資家の証券会社、証券市場に対する信頼を損ね、また投資家の自己責任原則に反するという意味で不適切なものであることは言うまでもありません。
 証券会社による顧客に対する損失補てんに対しましてお尋ねがございました。平成元年末に通達を出し、こうした行為のないよう厳しく指導すると同時に、あわせて各証券会社に対し損失補てんについて自主点検、報告を求め、その時点におきまして報告のあった会社については厳正な社内処分などを実施させたところであります。ところが、今回、一連の調査の段階で、当局に報告のされていない損失補てんのあったことが明らかになりました。今申し上げましたように、特定顧客に対する損失補てんというものが、内外の一般の投資家の市場に対する信頼を傷つけるばかりではなく、特定な人あるいは特定なお客さんだけが有利な取り扱いを受けたのではないかという不公平感を国民の間に広くもたらしたものでありまして、まことに遺憾であり、深刻に受けとめております。
 大蔵省としても、このような事態に立ち至りましたことについての行政当局としての責任を重く受けとめ、対処してまいらなければなりません。今後、こうした問題の再発を防ぎますために、本院にも御協力を願いたいと考えております証券取引法の改正を初めとする法制上、行政上の総合的な対策を講じ、信頼を回復するために全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 また、中小証券におきましても、金額は小さいが、証券検査の過程及び税務調査の結果を受けて、数社から損失補てんがあったとの報告を受けております。これら中小証券につきましても、損失補てんがありました場合にその損失補てん額につきまして、ディスクロージャーのルールに従って、有価証券報告書の訂正という形で明らかにさせるよう指導していきたいと考えます。
 また、平成三年三月期及び現事業年度について、その損失補てんの状況というお尋ねでありました。こうした問題につきましては、七月十八日、大手四社に対し特別検査に着手をいたしたところであります。現在、鋭意検査が進行中でありまして、現段階におきましてその途中経過を申し上げることは控えさせていただきたい、こう存じます。
 また、企業倫理という点についての御指摘をいただきました。先ほど、こうした状況を生んだ株式市場の活況の原因については申し上げましたが、今回の損失補てんの背景には、こうしたブームの中におきまして企業などが自己責任を十分自覚せず資金運用を行ったケースもあり得ると考えております。こうした問題を総合的に考えて、我々としてこれからどう考えていくかについて多少お時間をちょうだいいたしたいと存じます。
 私は、さまざまな角度から御指摘を受けておりますこの証券不祥事というものの中で、全体の問題点を五つに分けて考えたいと思います。
 第一は、証券取引に適用されるルールが明確ではなかったのではないかという御指摘があります。これにつきましては、まず取引一任勘定取引や事後的な損失補てんの禁止を内容とする証券取引法の改正法案を私どもは今国会にできるだけ早く提出いたしたいと考えておりますが、ぜひ本院においても御審査を賜りたいと願っております。また、証券市場の公正及び行政の透明性の確保という観点から見て、証券取引の規制あるいは証券会社に対する行政指導というものを見直すこととし、その際、必要があれば法令化も行ってまいりたいと考えております。
 第二は、違反者に対するペナルティーの問題であります。相応のペナルティーが科されていないのではないかという御指摘をしばしば受けております。現在準備中の証券取引法改正法案におきまして、事前の損失保証、事後の損失補てんを行いました証券会社に刑罰を科する方向で検討いたしておりますほかに、今後、証券取引法違反に対する罰則の見直し強化や行政処分のあり方についても検討してまいりたいと考えております。
 三つ目の問題は、ルール違反を的確に把握するための検査監視体制が十分作用していなかったのではないかという御指摘であります。これにつきましては、去る七月十日、大蔵省内にプロジェクトチームを発足させ、証券のみではなく、証券会社、金融機関等に対しまして検査監視体制を充実強化させるための措置、施策につき目下鋭意検討を加えているところでありまして、早急に成案を得たいと考えております。なお、我が国にもSECのような機関を設けるべきであるという御指摘につきましては、証券取引規制の背景にある国情の相違でありますとか、金融資本市場の相互連関の強まりに伴う一体的な金融行政運営の必要性、あるいは免許制と登録制の違い、監督部門と検査監視部門との連携の必要性等、相当程度の議論が必要であろうかと考えております。
 第四に、証券取引に参加される一部の投資家にも自己責任原則を十分認識しておられなかった方があるのではないかという問題であります。これにつきましては、証券界に対してその徹底を強く求めますとともに、証券市場に参加されるすべての方々に対しましても、証券取引に伴う基本原則を改めて認識していただくという手法を講じていかなければなりません。この考え方の一つとして、例えば損失保証や損失補てんを求め、これを受けた顧客側にも罰則を科することを証券取引法改正案に盛り込みたいと考えております。
 最後に、行政が業界の保護育成に重点を置き過ぎ、適正な競争原理が働いていないのではないかという問題につきましては、金融制度改革の推進などを通じ適正な競争原理の活用を図っていきますとともに、証券取引所等の自主規制機関の機能の強化充実を働きかげてまいりたいと思います。
 また、議員はお触れになりませんでしたが、私は、このカテゴリーとして我々が考えなければならないことに、証券会社に対するいわゆる再就職の問題があると考えております。これにつきましては、いやしくも行政に対する信頼を損なうことのないように、厳正に対処してまいりたいと考えております。私は、既に審議をお始めになっておられます行革審の御意見をも踏まえながら、以上申し上げました方向に沿い、諸問題の解決に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 なお、暴力団関係者との取引につきましては、私どもは、捜査当局による捜査の進展も見守りながら、捜査当局の助言も受けながら、政府部内でいかなる対応が可能かを検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(中山太郎君) 後藤議員にお答え申し上げます。
 まず第一に、国際秩序を強化し、これを公正で安定なものとするために、国連の権威と機能を高め各国が積極的に協力をしていくことが重要であると考えております。我が国としては、我が国にふさわしい国際的責務を遂行するために、国連に対し引き続き、人的、財政的側面からあらゆる面で効果的な貢献を行っていく所存であります。
 次に、国連憲章の改正を要する安全保障理事会の構成の変更は、極めて難しい問題と思いますが、我が国としては今後とも各国の理解を得るよう努力をしていきますとともに、平和維持活動を初めとする国連の活動に対する協力の強化を通じ、実績を積み上げていく方針であります。
 国連憲章のいわゆる旧敵国条項につきましては、私自身同条項の可及的速やかな削除を強く訴えるとともに、安全保障常任理事国を初め各国外相に対し我が国の立場を伝え、基本的理解を得ました。本件は国連憲章改正にかかわる困難な問題ではありますが、我が国としましては今後とも引き続き国連加盟諸国の理解と支持を得るよう努力してまいる所存であります。(拍手)
○副議長(小山一平君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小山一平君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十八分散会