第123回国会 法務委員会 第5号
平成四年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     下稲葉耕吉君     大塚清次郎君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     大塚清次郎君     下稲葉耕吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴岡  洋君
    理 事
                野村 五男君
                林田悠紀夫君
                北村 哲男君
                中野 鉄造君
    委員
                斎藤 十朗君
                下稲葉耕吉君
                中西 一郎君
                福田 宏一君
                山本 富雄君
                糸久八重子君
                深田  肇君
                橋本  敦君
                萩野 浩基君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田原  隆君
   政府委員
       法務大臣官房長  則定  衛君
       法務大臣官房会
       計課長      永井 紀昭君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  濱崎 恭生君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省矯正局長  飛田 清弘君
       法務省保護局長  古畑 恒雄君
       法務省訟務局長  加藤 和夫君
       法務省人権擁護
       局長       篠田 省二君
       法務省入国管理
       局長       高橋 雅二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   上田 豊三君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   泉  徳治君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   仁田 陸郎君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事  今井  功君
       務総局行政局長
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   島田 仁郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       警察庁刑事局暴
       力団対策部暴力  上田 正文君
       団対策第二課長
       警察庁刑事局国
       際刑事課長    小田村初男君
       建設省建設経済
       居宅地開発課宅  瀬野 俊樹君
       地企画室長
       建設省建設経済
       局不動産業課長  藤田  真君
       建設省住宅居住
       宅建設課長    中澤 守正君
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  本日の会議に付した案件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について(裁判所所管及
 び法務省所管)
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○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 去る三月二十五日、予算委員会から、本日四月七日の一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては、去る二月二十七日に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○深田肇君 きょうは特別にお許しをいただきまして、私は埼玉県からの選出でございますので、埼玉県の方でただいま千葉刑務所に服役中の石川一雄さんの仮出獄要請について少しお話し申し上げながら、法務大臣を初めとして法務省の関係当局の方々から現状についてのお話を少し伺いまして、これからのことについてお願いをいたしてみたいというふうに思います。
 この機会でございますから、先輩及び同僚の議員の方々を初めとして皆さんは十分御存じのことと存じますけれども、少しこの石川一雄さんの事件といいますか、狭山事件につきまして日程を追いながらお話をまずさせていただきたいと思います。
 実は、一九六三年でありますから大変古い話でありますが、その五月二十三日に私どもの言い方では別件逮捕で、この石川一雄さんが逮捕されたのであります。当時まだ二十四歳でございます。これから始まりますから、現在のところ石川一雄さんはもう五十三歳でありますから、まさに三十年目にこれから入るという大変長い務めをしているということになるわけでありまして、そこのところあたりを勘案いただきまして、冒頭申し上げた仮出獄の要請をいろいろいたしておるわけでございますから、そのことにつきまして現状などをお聞かせいただければありがたいと思うわけでございます。
 六三年に逮捕されてから、これはまた驚くことでありますが、六四年の三月、一年足らずですね、五月逮捕の三月十一日、一年足らずでいわゆる一審が浦和の地裁で判決がおりたのです。これは実に早い判決だと今から思いますが、死刑の判決が下されました。そして、六四年から十年たった一九七四年の十月三十一日、東京高裁では、これは死刑から無期懲役へというふうになるわけでございます。その後、本人、これまた弁護団の協力を得ながらいろいろと異議申し立ていたすわけでございますが、一九七七年の八月十六日、最高裁の方で異議申し立てが却下されて、言うところの刑の確定がこの一九七七年の八月十六日に決まった、こうなるわけであります。
 一九七七年を強調いたしたいことは、本年が一九九二年でありますから、言うところの十年はもうたっぷりたっているということをまずは思い起こしていただきたいということでお話をしている次第でございます。
 それに伴いまして、私がたまたま埼玉におりますから、石川さんの御家族や、そして友人、知人の方々、隣、御町内の皆さんとのおつき合いもあ
るわけでありまして、その間で聞かされたこと、一つ、二つ耳に入りましたことを申し上げますと、一九八五年に入って十一月二十三日には、この石川一雄さんのお父さんが亡くなるのです。お父さん、八十七歳で亡くなられます。悪いときは続くものでありまして、その後八六年、翌年になりますと、お姉さんのよねさんがやはり六十二歳で亡くなる。また悪いことは続きまして、その明くる年の一九八七年三月二十八日、お母さんのリイさんがやはり八十一歳でありますけれども亡くなる。
 申し上げましたように、何度もしつこいことを申し上げるようでありますが、別件逮捕の話は別にいたしましても、浦和での死刑判決から始まり、そして刑の確定された一九七七年、そういうものをずっと二十四歳の青年から四十代、五十代へと年をとる過程の中で、石川一雄さんは親、兄弟を失っていくということをあの獄中で味わいながら、恐らくや寂しい思いをしたり、悲しい思いをしたりしながら今日まで頑張っているのだろうと思うわけでございます。
 そこで、この際一言申し上げておきたいのでありますが、先ほど申し上げた一九七七年の刑の確定から考えますと、十年で一九八七年の八月十六日になりますと、まさにこれは仮出獄の請求をしてもらってもいい言うならば条件が一つ整ったと、こう考えていますことをこのところでは指摘をいたしておきたいというふうに思います。
 しかしながら、私は本委員会におきまして、この石川一雄さんの事件といいますか、狭山事件と言われるものについて、裁判上の内容についてここでやりとりを多くしようと思っているわけじゃないのでありまして、その点は率直のところ、むしろ仮出獄をぜひ実現するために、長い時間かかっている石川さんの心境なり周りの気持ちをお伝えすることによって、その実現方の配慮を賜りたいと思っているところでございます。
 一言で申し上げましたように、まさに獄中というのはもう二十九年この方は味わっているということでありますから、二十四歳で逮捕されてから今日まででもう五十三歳にまでなっているわけでありまして、私も何回か面会いたしましたが、大変健康でありますけれども、お年は隠せないものとしてあるわけでありますので、大変同情をしているわけであります。
 先ほど申し上げたように、両親が亡くなり、そして一番頼りにしておった姉が亡くなっていくという状況の中で、恐らくや悲しい思いをかみしめながら本人は無実を今訴えているということを御説明申し上げて、改めてこの場で法務省を初め御列席の先輩や同僚議員の方々にも石川さんの気持ちや、そして兄弟、そして周りの皆さんの気持ちをひとつぜひ御理解を賜っておきたいと思っているどころでございます。
 さて、もう一つこの機会に訴えさせていただきたいことは、私自身も数度にわたって千葉刑務所の方に訪ねまして、本人の石川一雄さんに面会をいたして現況を聞いたり、励ましをしたりしながらやりました。大変元気に、想像を超えるような朗らかに、快活に健康管理をして頑張っているようであります。
 同時にまた、最近の刑務所の待遇は大変よくなっている面もあるようでありまして、本人も長い生活の中で変化があることを実感として味わっているようでありますし、本人もだんだん長くなりますし、最近では一級、二級とかあるようでありまして、その二級になっていることがあって、割にいい待遇をいただいているし、せんだっては地元のものと思われる生のスイカ、缶詰でなくて生のスイカを食べだというような話があったり、お正月においての待遇のよかったことの話があったりして、中におる者と外におる者の会話でありますけれども、本人は大変快活に、朗らかに仮出獄をされる日を希望を持ちながら元気に生活をしていることも感じて、何とか早く彼が仮出獄をして、本人の希望する再審の段階に入ることができたらなと思っていることも申し上げたいのであります。
 申し上げたいことは、実は社会党の国会議員団は、こういう状況について、国際的用語とも言われるような人権問題の観点を大変自覚いたしまして、集中的に千葉の刑務所長にお会いして、ぜひひとつ彼の仮出獄に対する申請を早く出してもらいたいという要請をすることにいたしました。同時にまた、法務省の方にも参りまして、法務省の関係局長にお願いをしたり、関東の更生委員会にお邪魔してお願いをしたり、いろんなことをしながら今日まできているわけであります。
 私どもの事務局の報告などを参照いたしますと、九〇年の十月から九一年の三月まで何としても仮出獄を得たい。そしてまた衆議院の我々同僚の感触によりますと、歴代所長とお会いするわけでありますが、時の所長のお言葉は大変温かくて、大変機が熟している感触を得たということもありまして、集中的に延べ三十一人の衆参議員が刑務所を訪問したりいたしまして、六回にわたって陳情要請をしてきたところであります。
 特に、九一年の三月十二日には田邊委員長、当時は副委員長でありましたが、本件の総責任者としてみずからが団長として団を率いまして、私も、参議院の側からは瀬谷元副議長を先頭に数名が参加をしてお邪魔いたして、所長に面会をしてお話をさせてもらいました。同時にまた、その後法務省にも参りまして法務省の方にもお願いをしたことを今思い起こすわけでありますが、大変いい感触を感じるのでありますけれども、結果として今日まで一切の動きがない、厳然として石川一雄さんは千葉刑務所の中で寒い冬も越したということになっているわけであります。
 その後、九一年に入りましてからは、やはり七回にわたって社会党の国会議員団が陳情要請に参りましたし、本人の励ましにも行きますというふうな形の中でやっているのでありますが、率直に申し上げますけれども、歴代の所長さんと我々があそこでお話をする私の感じ、そして行きました同僚議員の感触を得たところによりますと、大変いい雰囲気のお話をされるのであります。例えば、後々からお話をいただければありがたいのでありますが、大変長期間にわたっていることだとか、それから石川一雄さんの今日の服役中の生活態度だとか、いろんなお話を伺って、我々がお願いしている主目的である仮出獄をぜひ所長としても申請をお願いしますよということについては大変いい感触を得るのでありますが、結果は進んでいないということを率直に申し上げて、何とも割り切れない気持ちを今私たちは持っているということを再度申し上げながら、今日の段階における石川一雄さんに関する現況や、もし問題点があるとするならばこういう点が問題なんだということを法務省当局から、まず御説明いただければありがたいと思っております。
○政府委員(飛田清弘君) 大変広範にわたっての御質問なものですから、どの辺までお答えしたらいいのかちょっとあれですが、とりあえず、まず現在の石川受刑者の健康状態や刑務所での状況についてお答え申し上げますと、本人は現在昼間は施設内の洗濯工場におきまして洗濯夫兼補綴夫として就業しておりまして、夜間は個室において読書などを行う規則正しい生活を維持しており、健康状態も良好で、処遇上特段の問題は生じていないというふうに承知しております。
 そのほか、何かこういうことということであれば、またお答えさせていただきます。
○深田肇君 与えられている時間が大変短うございますから、むしろ次々とお話を進めさせてもらいたいのでありますが、このことに関心を持ちまして、そしていろんな方々とお話をする中で、ある書物を読んだのでありますけれども、こういうことを外国の人権の専門委員の方々が発言されていることを印刷物で読みました。こういうふうに言っておられるのですね。「日本は古い伝統との調和もあるし、人権面では発展途上と思う」という短い発言でありますけれども、こういうことを外国の人権専門委員が言われていることを大変鋭い指摘だなあと思いながら、日本にはすばらしい憲法があるわけでありますから、ぜひひとつ人権
問題の観点も含めてこの問題は一日も早く解決の道に進むことを期待しているわけであります。
 時間がありませんから前段は省略しますが、いわゆる未決勾留日数というのを私たちはよく聞くのでありますが、これについての通算を我々の立場から言いますと、十一年八カ月ある、大変これは長いというふうに思うのです。これを通算をいただきますと、刑の確定どこれの通算ということになりますと大変長い時間になると思いますが、そういう形の中で仮出獄を申請してもらうための判断の材料として、大変長い十一年八カ月と言われる未決勾留日数の通算というものはお考えいただけるというふうに私どもは理解しておるのですが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(飛田清弘君) 未決勾留の通算という言葉は非常に微妙な問題を含んでおりまして、通常、未決勾留の通算と申しますと、例えば懲役十年なら十年というその刑に通算するということで使っておりますから、そういう意味で申しますと、無期懲役を受けて服役している人には、無期懲役の執行には未決勾留の通算というのはできないわけでございます。
 今おっしゃる御趣旨は、未決が長いから、だから仮出獄の申請をするに当たってもそれを考慮してもいいではないか、こういうふうな御趣旨で御質問なさっているのだとすれば、それは未決勾留が長かったということは、いろいろな条件を考慮して仮出獄を申請するかどうか決めますけれども、そのいろいろな条件の中の一つのものとしてそれなりに考慮されることであろう、そういうふうに考えているわけでございます。
○深田肇君 そこまでお言葉をいただくことが今日段階では大変私ども周りの人間にとっては勇気づくことでありますから、法の解釈上から言えばおっしゃるとおり、そういう解釈があることを承知しておりますけれども、ぜひいろんな意味で配慮を賜りまして、大変長い状況でありますし、通算しますともう本当に三十年にわたるところへ来るわけでありますから、ぜひこの判断材料としてお考え合わせいただきまして、仮出獄の申請を早急にやっていただきたいというふうに実は考えているところでございます。
 そこで、こういうことも一つ申し上げていた方がいいのかなと思いますので申し上げますが、実はこのことと直接関係がないということも言えると思いますが、私どもが埼玉県内を歩きますと、やはり狭山事件があったり、石川一雄さんの問題があるということは、どうも何とも言えない、いわゆる差別意識だとか人権問題だとか部落問題だとか同和問題だとかいうもやもやとしたものが埼玉県の中にあることは事実なんです。これはそういうことで逮捕したわけでもなし、そういうことで今まで差別しているわけでもなし、長引いているわけじゃないとおっしゃるかもしれないが、いわゆる一般県民の側等々は何かこうもやもやがあるということをまず認識として私の方が申し上げた上で、一、二お話をしておきたいのであります。
 せんだって埼玉県当局が実態調査をいたしましたところ、部落の方々は人種が違うんだというのが四割以上埼玉県であるのです。これは直接この委員会のかかわりじゃないかもしれませんが、我々は部落解放基本法の制定をお願いしたり、いろんなことをやっておりますけれども、どうしても我々の側の啓蒙だとか教育活動というものを強化しなければいかぬと思っておりますけれども、今日埼玉では恐らく各県よりは高いと思うのでありますが、四割以上部落解放同盟のメンバーのことを人種が違うんではないかと思っている方がいるというもうデータで出てくる。それから結婚問題については、やはり四一%が部落の方々との結婚は反対、もうデータに出ているのですね。
 こういう状況が埼玉県にあるというのは、埼玉県の今日の段階で同和行政がどうこうということを言うつもりではないのでありますけれども、やはり何かそういう埼玉県ではもう三十年間話題になっているわけでありますから、そのことがいまだにきちんと解決されない。死刑それから無期、そして本人の再審要求から仮出獄への要請活動、いろんなことがある中で、そのことも我々はいろんな感触を報告しますが、実際は実現できないという状況の中でありますから、大げさに言うようでありますけれども、埼玉県の中については、いわゆる人権問題等々に関しては大変微妙な雰囲気があるというふうにこれも言えるだろうと私は思います。
 そういうことを申し上げた上で、そうは言ってもとおっしゃるかもしれませんから、ほんの少し時間をいただきまして、一、二申し上げますと、一番新しい順々に言いますけれども、こういうこともあるのですよ。一九九一年には寄居という町の中で、あの辺の集落にはいわゆる部落の人がおるからこれはつき合わないほうがいいということが公然と語られて、埼玉県の寄居の町の中で今差別事件として大変話題を生んでいるという事実があります。それから、深谷に行きますと、二十年間一緒に仲よくされていた御夫婦が、妻の方が部落の出身であったことを夫の身内から聞かされて、そして五年間の、いわゆる夫婦間における暴力問題があって、とうとうせんだってはそのことが訴えになって、離婚は本人たちの意思によって協議離婚成立さすわけでありますけれども、そういう問題が同じ深谷市において起きている。そのことが市民や全体に物事が明らかになってきて、我が埼玉県の中でこういうことがあるのか、日本にこういうことがまだあるのだろうかということがあるわけですね。
 それから、学校の問題でもそうですよ。通学区域の変更の問題が出たときに、その地域には同和地区があるから線引きについてだめだということが公然といわゆる行政の会合の中で話題になる。こういう状況がありますから、我々が一生懸命人権を語り、そして人権思想を確立して、これがいわゆる憲法の精神だし民主主義なんだということを言っている一方では、そういう事件の解決も進まなければ、新しいそういう差別発言や事態がどんどん進んできているという状況もあります。
 それだけじゃないんですね。郵便局などの公的なトイレですね、ここらあたりに、もう考えられないことかもしれませんが、川口市の郵便局で落書きが堂々と書かれているんですよ。いわゆる黒んぼの局長であるとかいうことが書かれてみたり、非人だということが書かれてみたり、そういったことが今東京の隣の埼玉県の川口市の郵便局で、それは一般の市民が書くのかだれが書くのかわかりませんが、そういうことが書かれている。それを消してもまた書くという状況が今日まだあるという状況などもこの際申し上げておきたいと思います。
 もっと極端な話は、埼玉の騎西で起きた問題でありますけれども、部落民の顔は赤黒いとか、そういうことまで同じ日本人同士で同じ集落の中で語り合う、そういったようなことがどんどん役場に向かって投書が送られるという状況が今日あるわけでありまして、そのこと自体は一つ一つ行政との話し合いだとかそれから我々自身が集落の中で話し合いをすることの中で一つずつ解決をしてきておるわけでありますけれども、前段申し上げたように、石川君の問題が直接関係があるというふうに断定するものではありませんが、やはり今日の人権国家であるべき日本の中で大変なおくれがあるということをお互いの認識として共通認識を持つことができるのではないかと実は思うわけでございます。
 そうなりますと、何遍も同じことを申し上げるようでありますけれども、一日も早く、これだけ長い間合服役している石川一雄さんの心境、そしてまた、伺うところによると本人は生活態度もいいようでありますし、加えてまた健康で頑張っているようでありますし、そしてまた、これはもう法務省当局がよく御存じのことだと思いますが、言われるところの再審請求だとか事実調べなどにつきましてはもう百何十万という署名が現在東責高裁の方に届けられているというように国民的な関心事にもなっていることでもございますから、私は、こっちの指導的な立場にいらっしゃる矯正
局の方からもぜひひとつ千葉の刑務所長をいい意味で激励を賜って、こういう状況であるのでという形の中で御指導を賜るならばありがたいというふうに思っているわけでございます。
 そこで、時間がありませんので一番最後にひとつ大臣からお言葉をいただきたいのでありますが、その前に、どうなのでしょうかね、再審をお願いをしているということと仮出獄をするということは、私どもは矛盾をしているものではないと思っていますが、その点はそういうふうに解釈をさせてもらってよろしゅうございますね。
 大臣のお言葉は最後にお願いいたします。
○政府委員(飛田清弘君) 再審の請求とそれから仮出獄をいつ申請するかということは、これは全く別の問題でございますから、刑務所としてはそれは考えていない、こういうふうに言って差し支えございません。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 石川受刑者が既に法律で定められております十年間の期間は過ぎたということでございますから、形式的には資格はできているわけでございます。しかも健康であり、二級という資格で非常にまじめにやっておられるというふうなこと等も存じておりますし、また、長い間入っておられるということも、先ほど矯正局長からお話がありましたように、無期の場合は通算はできないが、端的に言って考えの一角にあるというような感じのお話もございました。
 私もこの問題を調べてみましたら、大分昔ですが、十四年数カ月で出た例がありますが、後はほとんど皆無でありまして、最近の例では十七年弱、十六年十一、二カ月というのがございます。全国の平均が十九年、千葉で二十二年ですか。ですから、そういうことでその先頭を切って最低というのはなかなか難しい状況だろうと思いますが、ただいずれにしましても、更生保護委員会に対して仮釈放の申請をするかどうかを決めるのは所長の専権事項になっておりますから、専権事項に対して私が大臣でありましてもとやかく指示をするということはとかく問題が起こってかえって事態を悪くするだろうと思いますので、私は黙って見守る形で、厳正公平に対処をしているという形が建前上どうしても必要であろうと思います。
 ただ、この厳正公平にやるという法務省の伝統を破ってできないけれども、所長が自分で専権であるといっても、やはり悩みに悩んでいろいろなことをすると思いますから、周囲の状況を判断したり、まあ相談をしてということはないと思いますけれども、そういう雰囲気の中で私は判断すると思いますので、そういう点で私ども今のところ皆さん方から大変な御陳情を受けたりしながら感ずるところいっぱいありますので、私自身もそれ以上の答弁ができないことを悩んでおりますが、どうぞひとつなお一層御本人もさらに健康に留意されて、今までと同じように明るく、まじめにやっていただきたい、こう思うわけであります。
○深田肇君 大臣の方から大変恩情あふれるお言葉をいただいたと思います。
 来週には、私、千葉刑務所に参りまして石川一雄を激励してやりたいと思っておりますので、ぜひひとつ直接の指導的役割でいらっしやる矯正局長の方もいい雰囲気づくりのためにお力添えを賜りますことをお願いをしておきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○糸久八重子君 私、きょうは最初に、検察官の問題についてお伺いをさせていただきます。
 四月早々の新聞に、「ことしの修習生、検事の任官また増加 裁判官不人気大幅減」という見出しがございました。そして、四月のやはり初めごろだったと思いますけれども、新しい検事が誕生したということをテレビの放映で朝拝見をいたしました。
 仕事がきついとして大変敬遠されぎみだった検事への任官者がふえて、三年ぶりに五十人台を回復したというようなのですけれども、例年に比べまして検察官志望者が多くなったというのは何か理由があるのでしょうか。何か具体的な対策が功を奏したというのでしょうか。まず、その辺のところをお伺いしたいと思います。
○政府委員(則定衛君) 御指摘のように、本年四月採用いたしました検事の数は五十名でございまして、平成二年以降のこの三年間の中では、五十台に乗ったという点でそれなりの後継者確保という観点での成果があったと思っております。
 御質問の、どういうことから五十台の後継者を確保することができたかという点、これは大変分析いたしますのは難しゅうございますが、基本的にはそれぞれの修習終了者の個人的な志望、進路決定におきます。その人たちの生きざまだとか職業観とかあるいは家庭の事情といったところが非常に強い、こう考えております。ただ、司法修習中に検察の現場なりあるいは研修所におきます検察教官の講義あるいはその他の指導におきまして検察の職域の魅力なりやりがい、こういったことにつきまして正しく修習生諸君に理解していただくことが非常に大事なことであると思っておりまして、今回五十名の人たちはそういった過程で検察についてのやりがいあるいは職域の魅力なり自分の職業観との合致するといったところの理解とい、いましょうか、これが深まったことによるものであろう、こう思っております。
 もとより法務省といたしましては、若い人たちが検察の道に目指してくれますように執務環境の改善でありますとか、給与体系を初めといたします待遇の改善等について例年努力してまいっておるわけでございまして、これらのことも進路決定に際しましてプラスに作用する一つの要因ではあったかとは思いますが、先ほど申しましたように、やはり検察の職域についての修習生、特に検事になろうかと思っている人たちの理解がこのところ深まりつつあるのではないか、こう思っておりまして、その点大変喜ばしいことであると考えているわけでございます。
○糸久八重子君 先般、三月の質疑の中で、修習生の中から希望者が五十名ということはお伺いをしておったわけですけれども、その希望している五十名を迎えても欠員は埋まらないという答弁がそのときございましたね。四月時点でその欠員というのはどのくらいございますか。
○政府委員(則定衛君) 五十名の新任検事を迎えましても、なお八十数名の欠員を抱えている状況でございます。
○糸久八重子君 そういったくさんの欠員を抱えている中で重点的活動ができるよう配分を見直していきたいと御答弁があったわけです。具体的にどういう配分の見直しというのをされるのか、またしようとしていらっしやるのでしょうか。
○政府委員(則定衛君) 今申しましたように、全国で約八十名の欠員を抱えておりますので、全国五十庁ございます地方検察庁に限りましてもそれぞれ全般的には何名かの欠員を抱えるという状況になっているわけでございますけれども、その中で最近におきます検察活動のウエートがかかっておりますところ、具体的に例示いたしますと東京とか大阪、それから東京圏の人口集中地域、例えば千葉あたりの事務の繁忙度というのは大変強くなっております。
 そこで、この欠員を抱えております各地方検察庁の中でも全国的に見まして、若干何といいましょうか、個々の検察庁の職員の事務負担量が低い部類のところから、先ほど申しました検察活動のウエートがかかっておりますところに若干の実員を振り向けさせていただく、こういうことで現在の検察活動のウエートがかかっております地域におきます重点的な検察活動が一層合理的に行われるように努めているところでございます。例えば、この春四月期の異動は終わりましたけれども、東京、大阪、千葉といったところに五名ないし十名、それぞれ他の地方検察庁から定員を事実上動かしまして重点的に配したということでございます。
○糸久八重子君 弁護士からの任官希望者はあるのでしょうか。あるとするならば、弁護士からの任官希望者を今後さらにふやすというお考えはございませんでしょうか。
○政府委員(則定衛君) これまでも一たん弁護士
登録されまして、弁護士経験数年を積まれました後に、御本人の志望で個別的に検察官に任官希望を申し出られまして採用させていただいたということがございます。
 先生お尋ねの点は、昨年十月に日弁連と法務省、あるいは日弁連と最高裁との間に、いわば制度的に弁護士から検察官あるいは裁判官に任官させる道をつくろうということを契機に検察官に任命することとなる人たちについてのお尋ねだと思います。
 この四月時点で、日弁連の方から法務省の方に検事任官の志望を持っておられる方として三名の推薦といいましょうか、名簿提示をいただいております。ということは、少なくとも三名の方は検事に任官したいということで手を挙げていただいておるわけでございまして、それらの方々につきまして現在選考手続を進めておるところでございます。
 今後とも、またそういう志望者がございますれば積極的に採用してまいりたいと考えておるわけでございます。
○糸久八重子君 検事の身分を持ちながら法務省の官職についていらっしゃる方はどのくらいいらっしゃいますか。
○政府委員(則定衛君) 検事のままで法務省に勤務しておりますいわゆる事務職検事は現時点で百十名程度でございます。
○糸久八重子君 法務省以外の他の行政官庁ですね、そこにはどのくらいいらっしやるのでしょうか。
○政府委員(則定衛君) いわばこれは、政府機関におきます法律専門職といたしまして出向しております検事が現在二十六名おります。その出向先といたしましては、外務省とか大蔵省あるいは内閣、公正取引委員会等でございます。
○糸久八重子君 冒頭に申し上げました新聞記事によりますと、裁判官は昨年に比べると希望者が二十八名も減ってしまった。それで、六十六名の判事補任官の採用を決めたのだそうですけれども、過去五年間の平均というのは七十三名だということも伺っておりますし、それをとにかく下回っているわけですね。これは何か理由が見出せるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) ことしの新任判事補の採用につきまして、新聞等には六十六名というふうに発表したわけでございますが、実はその後残念ながら一人撤回いたしまして、きょう付で六十五名が発令されるということになっております。
 この六十五名という数字でございますが、確かに昨年から比べますと少なくなっているわけでございますが、過去十年間の新任判事補の数を平均いたしますと六十六名でございますので、この数というのは過去十年並みというところになるわけでございます。
 ただ、一昨年が八十一名で去年が九十四名でございましたから、それから比べるとちょっと落ち込みがあみということでございますが、その原因がどこにあるかというところはちょっと私どもの方としてもややわかりかねるところでございますけれども、一般的に司法修習生の年齢が高くなっているというところがやっぱり最大の原因であろうと思います。司法修習生として採用した時点で既に二十九歳近くになっております。ことしそれが二年間の修習を終えますと三十歳を超えるわけでございます。そういたしますと、どうしても家族の関係で転勤ができない。あるいは、最近の長男長女時代で特に家族を背負っている、こういった関係で転勤ができにくい。一方、裁判所は全国二百カ所の都市で裁判所を運営していかなければなりませんので転勤がどうしてもつきまとう。そういった司法修習生の高齢化と転勤問題というところに一般的に任官者を確保しにくい、こういう状況があるわけでございます。
 ことしはそういった一般的な、平均的なといいますか、確保しにくい普通の状況が出てきた、こういうことであろうと思っております。
○糸久八重子君 司法試験も順次合格者をふやしていっている状況があるわけですね。ですから、そういう状況の中ではもっと検察官や裁判官の希望者がふえていく努力をする必要があろうと思いますし、今の例えば転勤問題等についても、私は官舎等がどうなっているかはちょっと存じ上げませんけれども、やはりスムーズに転勤ができるような状況をもつくっていかなければならないと思います。
 仕事がきついと言われている検察官、それから年間二百件以上も事件を受け持たざるを得ない裁判官。裁判は長くて時間がかかるものというのが一般的な見方なんですけれども、現在そういう状況になっているわけですが、適正でかつ迅速な裁判が行われるためには、何といってもやはり人員をふやしていかなければならないと思うのですね。そういう意味で、人員配置その他について、定員の増加といいますか、そういうことについても御努力をいただきたいと思うのですが、この辺のところで大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(田原隆君) 司法官の任用に対しては、今検察側と裁判側とお話がありましたが、どちらも大変難しい試験を経てきておりますから、どうしても年齢が高くなってくるというようなこと等の影響が出ていると思います。
 ただ、裁判所についてはことしは非常に少なかった、検事の方は多かったという違いがございますが、どっちにしましても、犯罪その他を処理していただく行政的な立場と司法の立場に分かれていくわけでありますが、複雑多様化、広域化していく犯罪に対処するためには相当の増員が要る。それには私は、やはり働きがいのある職場ということは、お互いに司法官であっても検事であってもこれは人間でございますから、そういう意味で我々はいろんな改善をし努力していかなければならぬと思っておりますが、特に人的、物的な両面で充実強化するにはどうしたらいいかということをもう一回考え直してみる必要があるのじゃないかというふうに私自身痛感しております。
 この問題については、関係者と協力しながら一層推進してまいりたいと思います。
○糸久八重子君 それでは、次の問題に移ります。
 一昨年の九月に成立をいたしました借地借家法の施行がことしの八月一日になったと聞いております。施行に当たっての法律の周知徹底の広報活動は、昨年の秋ごろでしたか新聞でちょっと拝見をしたことがございますけれども、テレビや雑誌などでも行っているのでしょうか。また、説明会は東京とどこかで行ったというようなお話も聞きましたが、どの程度行っておるのでしょうか。
○政府委員(清水湛君) 借地借家法につきましては、本年の八月一日から施行されるということに決まったわけでございます。この法律の正しい内容の周知徹底につきましては、昨年の九月二十六日の当委員会における附帯決議というものもございまして、私どもこの附帯決議の趣旨に沿いまして、かなり集中的にこの広報活動を行ってきたところでございます。
 例えば、先ほど先生御指摘のテレビでございますけれども、テレビには田原法務大臣みずから「あまから問答」というような形で御出演になるとか、私を初め関係者が数回もうテレビ出演をいたしております。
 それからパンフレット等につきましても、二十数万部のパンフレット、リーフレットをつくりまして、これを各市町村レベルに至るまで配布をする、こういうようなことをいたしております。
 それから新聞につきましては、中央五紙に大きな広告をいたしまして、またそのほか地方紙につきましても、ほとんどすべての地方紙に新しい借地借家法についての理解を深めるための広報をいたしているわけでございます。
 それから雑誌等につきましても、「今週の日本」、「時の動き」、「フォト」等政府関係の雑誌等を初め、各種の民間団体の雑誌におきましても、この借地借家法の内容がかなり詳しく説明をされているというふうに承知いたしております。
 それから説明会につきましては、これは東京、大阪等各主要都市におきまして、場合によっては法務大臣みずから御出席の上で説明会を開くというようなことをいたしております。司法書士会とか弁護士会、その他関係の団体に民事局の係官が出席するなどして説明会を開くとともに、最近におきましては、弁護士会におきましても積極的に新しい借地借家法についての周知徹底についていろんな活動をされておるというふうに承知いたしているわけでございます。
 私ども八月一日に施行ということになりますので、さらにその時期に向けまして、これからもこの施行時期を明らかにしたポスター、これはつい最近作成いたしまして、これから各市町村等に配布する予定でございますけれども、そういうポスターとか、あるいはテレビ出演、新聞、雑誌による広報等に精力を集中してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○国務大臣(田原隆君) 今、民事局長のお話の中に、私自身もテレビに出演したというお話がありましたが、私、御承知かと思いますが、従来法務省に来るまで借地借家法については余り知らなかった方でございますが、その私でさえ相当権威になるほど連日仕込まれまして、現在に至っても毎日、毎日とは極端ですが、週に一回や二回はこの話を聞かされるぐらい今真剣に民事局長やっておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○糸久八重子君 残念ながら、大臣が御出演なさったテレビは私拝見しなかったのですけれども、今の説明の中で、かなり細かい広報活動がなされている。そして八月一日の施行までの残された準備期間の中でも、ポスターとかテレビとか、いろいろ新聞、雑誌とか、広報活動というのをおやりになるというお話を伺いまして安心いたしましたが、今年度の予算の中で、広報経費はどのくらい見込んでいらっしゃいますか。
○政府委員(清水湛君) 法務省全体の広報予算、これは約千四百万円程度だというふうに私ども承知しているわけでございますが、そのうち三分の一強の五百万円程度が民事局、私どもの局関係の広報予算として予定されておるというふうに承知いたしております。
 広報につきましては、法務省の予算を使うということももちろんでございますけれども、そのほかに政府広報として総理府がかなり大々的な広報活動をしていただくことになっておりますので、そういう面も活用いたしたいということ。
 それから、やはり借地借家法につきましては、民間の関心が非常に強うございまして、民間の雑誌等におきましても、最近非常にこの関係の記事を多く取り上げておりますので、そういうものも広報という面から申しますと非常に有効ではないかというふうに考えている次第でございます。
○糸久八重子君 地代・家賃をめぐるトラブルが発生した場合に、まず訴訟ではなくて調停によって解決するということで、その調停事件がこれからもどんどんふえてくるのじゃないかということが予想されるわけですけれども、それに対応できるだけの調停体制の準備というのはできておるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(今井功君) お答え申し上げます。
 今御指摘がございましたように、今回の改正によりまして賃料の増減額請求事件につきましては調停前置という制度がとられたわけでございます。実は、現在でも賃料増減額の事件については調停がされておるわけですが、大体この件数は今二千件ございます。この法律が変わりましてどれぐらいふえるかということですけれども、これは予測にわたることで正確なことはわかりませんが、大ざっぱに言いますと約千六百件ぐらいふえるんじゃないか、こういうふうに見ております。そこで、私どもの方としましては、これを適正に、また迅速に解決しなければいけないということで、いろいろ考えておるわけでございます。
 まず一つは、最高裁判所の規則を改正いたしました。これはどういうことかと申しますと、今回この賃料の事件につきましては調停委員会が調停条項を定める、こういう制度ができたわけでございます。これに伴いまして、こういう調停条項を定める際には当事者を審尋しなければならない、こういう規定を最高裁判所規則の中に設けるという改正を二月にいたしました。
 それから次は、調停委員の関係でございます。この賃料の関係の事件では、不動産鑑定士その他不動産取引あるいは評価に関する専門家というのが必要だということでございます。従前からもこのような調停委員の方はかなりおられたわけでございますけれども、今回事件がふえるということで昨年十月に法律が成立いたしましたので、早速各地方裁判所の所長さんにお願いいたしまして、ことしの四月に実は調停委員の改選期を迎えたわけでございますが、その際にぜひ不動産鑑定士等の専門家調停委員をふやしてほしい、こういうふうにお願いしたわけでございます。
 そういたしまして、ことしの四月一日に新たに調停委員が相当多数改選されたわけでございますが、その人数を見てみますと、このような専門的知識を有する調停委員の数は、四月一日現在で約三千名ということになっておりまして、これは従前に比べまして約二百八十人ふえたということであります。その中でも特に重要な不動産鑑定士の数でございますが、これが大体従前は三百名程度だったわけでございます。これが今度の四月で四百七十人ということで、百七十人ぐらいふえた、こういうことでございます。
 次に、研修でございますけれども、これは一般の、それ以外の調停委員さんにつきましてもこういう事件の処理については必要な知識をぜひ修得してもらう必要があるということで、各地方裁判所の管内におきまして調停委員さんの研修会、研究会というのを毎年行っております。ことしも去年の秋からことしの春にかけまして行われたわけでございますが、その際にぜひこの賃料事件についても、ひとつ項目に入れでじっくりと勉強してもらいたい、こういうことをお願いいたしまして、各地の裁判所でこのような問題を取り上げて研究会を行っております。
 また、最後になりますが、この調停事件は主として簡易裁判所で行われるということでございますので、簡易裁判所の裁判官に対してもこういう勉強をしてもらう必要があるということであります。それで、ことしの一月から二月にかけまして、これも各高裁の管内におきまして、簡易裁判所裁判官の協議会というのが持たれたわけでございます。その中でもこのような問題を取り上げて、今回の法改正の趣旨だとかあるいは内容について十分正確な理解をしてもらって、事件が来たら適正迅速に処理できるように、このような協議をしていただいた、こういうことでございます。
○糸久八重子君 よくわかりました。
 それでは、建設省の方にお伺いしたいのですけれども、この新法の周知徹底のためにどんなことをしていらっしゃるのか。昨年の暮れに法務省からお伺いしたところによりますと、都道府県知事や関係業界団体に通達を出すとか、それから定期借地権等の利用の推進を図るためにモデル契約等の研究会を開催しているとかというようなことを、これは法務省の方から伺ったのですけれども、建設省さんの方から直接お伺いをしたいと思います。
○説明員(藤田真君) お答え申し上げます。
 私の方からまず、不動産業者あるいは都道府県知事に対してどういう指導をしておるかということをお答えいたしたいと思いますけれども、この新しい借地借家法につきましては、今後の土地・建物の利用の基本となる法律でございますので、宅地建物取引業者につきましても十分にその内容を周知いたしまして、消費者の利益の保護あるいは宅地・建物の流通の円滑に支障のないようにしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
 このため、昨年の十月四日に法律公布になりましたけれども、その直後に十一月一日付でございますけれども、建設省の建設経済局長通達をもちまして各都道府県知事あるいは業界団体あてに借
地借家法の改正の趣旨あるいは内容、特に新しい借地借家法以前の借地・借家法の契約につきましては更新などの適用がないなどの内容につきまして、まず徹底を行ったところでございます。
 さらに、十二月七日におきましては、これは借地借家法の改正に伴います宅地建物取引業法の運用上の留意点につきまして、同じく都道府県担当部長あるいは業界団体の長あてに通達を行いまして、この借地・借家関係の絡んだ不動産取引について、例えば誇大広告の禁止でありますとか、あるいは重要事項の説明などについて留意点を整理し通達をしたところでございます。
 また、これとともに不動産業者がこれらの内容につきまして、不当な行為を行った場合の監督処分の方針につきましても都道府県知事に示したところでございます。現在、これらの借地借家法の改正の内容でありますとか、あるいは宅地建物取引業法の取り扱いの内容につきまして、共通のテキストなどをつくりまして、また法務省とも連携をとりながら全国各地で説明会を開催しておるところでございまして、今後この法律の施行に向けまして一層の周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○説明員(瀬野俊樹君) 委員御指摘の研究会でございますけれども、借地借家法により創設されました定期借地権方式、これの普及、これによります宅地供給を促進するために定期借地権の類型に応じた活用方策の調査研究を行うことを目的に省内に設置しております。
 具体的には、それぞれの類型に応じましたモデルブランの策定と、それから標準約款の策定という二つの課題に取り組んでおりまして、昨年度から今年度にかけて継続的に研究会を行っております。八月の法施行を念頭に置きつつ鋭意作業に努めてまいりたい、そのように考えております。
○糸久八重子君 続けて建設省さんにお伺いしますけれども、今年度の公営住宅の建設予定はどうなっておりますでしょうか。最近と比較してその伸び率はどういう状況でしょうか。
○説明員(中澤守正君) お答えいたします。
 公営住宅の制度の中には、いわゆる低所得者向けの公営住宅とその公営住宅を補完して公的団体等が借り上げをするような地域特別賃貸住宅という制度がございます。それぞれの実績についてでございますが、平成二年度におきましては、公営住宅三万七千二百三十二戸、地域特別賃貸住宅千四十三戸でございました。平成三年度におきましては、公営住宅三万八千四百五十四戸、地域特別賃貸住宅六千三百二十六戸と前年度に比較しまして六千五百戸ほど増加してございます。平成四年度におきましては、公営住宅等で全体で五万八千戸の予算を計上させていただいているわけでございまして、この増加傾向をぜひ努力してまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 次に、国籍問題についてお伺いをしたいと思います。
 フィリピン人と見られる女性から生まれながら両親が所在不明のために無国籍の一歳の男児が日本国籍を求める訴えをこの男の子を引き取ったアメリカ人の牧師夫妻が起こしている記事を読みました。
 国籍法二条三号には、「日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。」は日本国民とするとあるわけです。これに基づきまして法務省佐久支局に国籍認定を求めましたところが、母親がフィリピン人と思われるので母が知れないとは言えないから二条三号には適用しない、フィリピン国籍を取るべきだとして認めなかったそうであります。一方、在日フィリピン大使館は、母親がフィリピン人であるという証明がないとしてこの国籍認定を拒んでいるということでございます。このために、この男の子の国籍は一年三カ月たった今でも無国籍のままになっておるわけですが、これについての法務省の御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(清水湛君) 御指摘のように、我が国の国籍法は血統主義の原則を採用しているわけでございますけれども、日本で生まれた子の父母が判明しないとかあるいは父母はわかっているけれども双方が無国籍である、こういう場合には日本国籍を与えるということになっているわけでございます。
 この長野県で起こりましたケースにつきましては、これはそういうことで無国籍ではないかというような問題があったわけでございますけれども、佐久支局で調査いたしましたところ、母親についてはフィリピン国籍と認められるということから、この父母がともに無国籍であることという場合には該当しないということで、その子供の国籍はフィリピン国籍であるという認定をしたわけでございます。
 これは、フィリピンの国籍法一条二号によりますと、フィリピン市民を父または母とする者はフィリピン市民とするという規定があるわけでございまして、フィリピンの国籍法に従いまして佐久支局ではフィリピン国籍を有するという形で認定をいたしたところでございます。
○糸久八重子君 フィリピンの方では、先ほど申しましたけれども、母親がフィリピン人であるという証明がないからだめだ、国籍に入れられない、そう言っているというのですね。その辺はどうなのですか。
○政府委員(清水湛君) 当該子どもの養親である方がフィリピン大使館の方に問い合わせた結果そういう返答があったということを私どもは間接的に聞いているわけでございますけれども、もちろんフィリピン国籍であるということを認めていただくためにはそれなりの資料の提供ということが必要なんだろうと思います。
 現在、この事件につきましては日本国籍を有するということの確認を求める訴訟が東京地方裁判所に提起されているわけでございますが、その訴訟の中で事実関係を明らかにするとともに、もし必要があるならば私どもが収集した資料に基づきましてフィリピン側にも見解を求めるということも、これはどういう形にするかちょっと考えなければなりませんけれども、あり得ることだとは思います。少なくともフィリピン大使館側といたしまして、何も資料なしにフィリピン国籍ではないかと言われてもそれはなかなか答えにくいというのは、これは私どもといたしましても容易に理解できるところではないかというふうに思うわけでございます。
○糸久八重子君 出生後三年以上無国籍のままでいた場合には帰化によって日本国籍を取得できるから三歳まで待って帰化申請したらどうだというような意見もあるということも伺っておったわけですけれども、何回も申しますが、母親がフィリピン人らしいということだけで、フィリピン人だと特定されていない、所在不明なのだから確認のしょうがないわけですね。だから、この子は生まれたときから日本国籍を与えられる権利があるはずではないか、そう私は思います。
 子供の権利を第一に考えていくべきだと思いますし、また、子供の権利条約七条を見ても、「児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有する」と子供の権利条約には書いてあるわけですから、こういう権利条約の精神に照らしてもこの子にはやはり国籍は与えるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(清水湛君) 国籍の問題に関して申しますと、日本国憲法第十条は「日本国民たる要件は、法律でこれを定める。」、とうなっておりまして国籍法というものがつくられているわけでございますけれども、やはり国籍の認定につきましては、フィリピン国籍か日本国籍かということが問題になりました場合に、私どもといたしましてはこの国籍法を適正に解釈してこれを正確にやはり適用するということが必要なのではないか。これは国際的にもやはりそういうような国籍認定の運用というものは求められているというふうに思うわけでございます。
 私どもといたしましては、これまでの調査の結果によりますと、このお子さんはフィリピン国籍であるという認定に達しているわけでございまし
て、事実の調査の結果そのような認定に達しているということであるとするならば、やはりフィリピン国籍を有する者として扱うのが正しい処理の仕方であるというふうに考えているわけでございます。
○糸久八重子君 ちょっと納得いかない部分もありますけれども。
 それでは次に移りますが、登記所関係のことを幾つか用意したのですが、時間の残りが少なくなりましたので、一番大事なところだけお伺いをしたいと思います。
 登記関係の手数料の値上げが今年度も予定されると伺っておるわけですけれども、一体どのくらいの値上げを考えていらっしゃるのか、その値上げの根拠と算定基準をお伺いしたいと思います。
○政府委員(清水湛君) 登記手数料というのは、これは現在、登記特別会計というもので登記制度が運用されているわけでございますけれども、そのいわば財源としてこの登記手数料が充てられるということになっているわけでございます。前回の登記手数料の改定はこれは平成二年四月に改定されたわけでございまして、ほぼ三年近くを経過することになるというような状況でございます。
 そこで、先ほど申しましたように、登記手数料というのは登記制度を運用するための必要な財源ということになっておりますので、登記制度の適切な運用、あるいはコンピューター化の推進を図るという観点から、三年程度経過しているという事実に着目いたしまして、適正な時期に適切な改定をする必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 具体的な金額等につきましては一応の心づもりはあるわけでございますけれども、その時期あるいはその時点において具体的な金額をはじき出したいというふうに思っている次第でございます。
○糸久八重子君 手数料の推移を調べましたところが、一九七九年が三百五十円、それから一九八五年が四百円、先ほど申しました一九九〇年が六百円ですね。そして、次は八百円になるのですか。そういうように大変短い期間で上がっているし、そしてまた、上げ幅が非常に大きいわけですね。
 そこで、各種手数料の値上げ状況をいろいろ調べてみました。一般旅券の発給手数料の改正案が今国会に提出されておりますが、八千円から一万円になるのだそうであります。前回の値上げが一九七八年で、十四年間値上げがなかった。それ以降、いろいろ消費者物価とかそれから人勧ベース等々が上がったので行政経費が上昇したというそういう理由で上げるのだそうでございます。それから、あと特許の方もちょっと調べてみたんですが、それは時間がありませんから割愛いたしましょう。そういうようなことでいろいろ各種手数料の値上げ状況を見てみますと、かなり値上げ幅が大きいし、また余り年を経てなくてもどんどん上がっていくというそういう状況があるのですね。
 それで、登記手数料値上げ反対の請願も百二十、百二十一国会に出されておりまして保留になっているわけなんですが、登記手数料の中には本来一般会計から支出されなければならない費用も含まれているのではないかというような気がするわけですけれども、登記特別会計には一般会計からどのくらい受け入れてどういうような費目に充てられているのでしょうか。
○政府委員(清水湛君) その前に、登記手数料は先ほど申しましたように、登記特別会計のもとで登記制度の適正な運営を図るということとあわせて、不動産登記及び商業法人登記を含めてでありますけれども、登記のコンピューター化の経費をこれによって賄うという、つまりコンピューター化経費の主要財源が登記手数料になっているという面があるわけでございます。
 そこで、先生御承知のとおり、平成二年度から本格的な登記のコンピューター化というものを進めているわけでございますけれども、これを適切に進めていくためにはある程度の手数料値上げはこれは受益者負担という原則のもとにお願いをしなければならない、こういうことになるわけでございまして、単純に物価の変動とかそういう要素だけで登記手数料が算定されているわけではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
 そこで次に、登記特別会計の予算規模でございますけれども、登記事務におきましては大きく分けまして、例えばこれは登記簿に売買等の所有権の移転の登記をするというような、私どもの言葉で申しますと甲号事務というのがございます。これは登記審査事務というふうに私ども呼んでいるわけでございますけれども、そういう事務と、それから謄抄本の交付等のいわゆる乙号事務、謄抄本事務があるわけでございます。このうち登記審査事務の方は、これは一般会計からの繰り入れ経費で賄うということになっております。それから乙号事務、つまり謄抄本の交付事務等につきましては、これは乙号手数料で賄う、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、そういうような仕組みの上で予算規模がどのようになっているかと申しますと、登記手数料収入が平成四年度予算で申しますと約七百億でございます。それから、一般会計からの受け入れが六百八十四億、約六百九十億と申してもいいかと思いますけれども、そういう金額のものを一般会計より受け入れるということになるわけでございます。この登記特別会計の予算規模は約半分がいわば乙号の手数料収入で、残りの半分が一般会計からの繰り入れで賄われる、平成四年度予算で申しますとそのような形になっているということが言えようかと思います。
○糸久八重子君 一般会計の六百九十億というのは、特にこういう費目に充てられるという限定はないのですか。
○政府委員(清水湛君) 謄抄本の作成事務以外の本来の登記事務と申しますか、あるいはそういうような登記審査事務、それから地図というものが登記所に備えられることになっておりますけれども、そういう地図に関する経費等につきましては一般会計からの繰り入れ経費で賄う、こういうことになるわけでございます。
○糸久八重子君 事務処理のためのコンピューター化なんですけれども、これは手数料からということではなくてやはり当然これは一般会計から出すべき筋合いのものではないか、単純に考えて私はそう思います。
 このコンピューター化というのは、事務処理を迅速にするためにやはり早くすべきだろうと思いますけれども、コンピューター化の終了の見通しというのは大体どのぐらいになるのですか。
○政府委員(清水湛君) コンピューター化につきましては平成二年度から本格的に全国展開が始まっているわけでございますけれども、現在三十八庁におきまして、つまり三十八の登記所におきましてコンピューターによって登記事務が処理されているという状況でございます。そのほかに二十数庁におきましてコンピューター化をするための作業が進められておるという状況になっております。全国に登記所の数が約千百現在あるわけでございまして、単純にその千百をすべてコンピューター化するということになりますと相当の年月を要するということになるわけでございます。そういうコンピューター化に単純計算をしますとかなりの年月を要するわけでございますけれども、私どもといたしましては今後順調にコンピューター化が進むようないろんな方策を講じまして、できるだけ早い時期に全国のコンピュータージろアムを完成いたしたいというふうに思っております。
 しかし、今のところの見通しと申しますか、これは大変な労力と大変な金額が必要になる事業でございますので、現段階で確たる見通しを申し上げるということはできませんけれども、やはり十年ないし十数年の期間を今後要するのではないかというふうに考えているところでございます。
○糸久八重子君 先ほども申し上げましたとおり、事務処理のためのコンピューター化ならば当然これは一般会計からこの経費は出すことにし
て、早く登記事務に対しての事務処理迅速化に努めるのが普通な考え方ではないかなというふうに考えます。そういう事務処理のためのものも一般国民から手数料値上げという形でしなければならないということは、やはりこれは本来あるべきことではないのではないかというふうに私は思っているわけでございますけれども、大臣、その辺はいかがでございましょうか。
○国務大臣(田原隆君) コンピューター化というのは未来に財産を残すということで今投資をやるということだと思うのですが、一つ例がございまして、通産省の特許庁の特会ですね。これは特許庁の手数料で賄うということで今成功しておるのですが、これも手数料値上げでやっておるわけです。しかし、それは抵抗なく値上げができておるのですけれども、こっちの場合は、いわゆる商標特許とか工業所有権などと多少違った趣がございますので同じようには論じられないかもしれませんが、非常に違うところは数が多いということでありまして、そしてオンラインに乗せるための経費が現在の値段で五千億以上かかる。ことしの予算が二百七、八十億であるということから考えても単純計算しても十数年かかるということでありますから、これを全部一般会計で賄うとなると、これまた時のいろんな政策課題によって変わってきますから、やはり特許特会的な、特会の基盤というものを持ちながらそこに一般会計の援助というのが私は結局はたどり着くのに一番早いのじゃないかというふうに考えております。
 そこで私どもといたしましては、一生懸命頑張って、ことしも定員も相当ふやしたし、このコンピューター化のために必要な定員も確保したし、予算も十分確保してまいったわけでありますが、今後さらに一層この問題については説得力を深めた説得をしてまいりたいと思うわけであります。
○糸久八重子君 ありがとうございました。
 終わります。
○北村哲男君 法務省民事局にお伺いします。
 約一カ月前の報道ですが、政府は三月六日にウルグアイ・ラウンドのサービス交渉で、外国人の弁護士業務など六項目を最恵国待遇の適用除外として明示したという報道がありました。この適用除外を求めた理由は、米国やECから強く求められている弁護士市場の開放に歯どめをかけるのが目的であるという趣旨の報道がなされております。
 ところで、外国法事務弁護士については、従来から日米構造協議の主要な課題に取り上げるなどの経過がありました。また、ECからもこの五月に協議が予定されるなど、さらにいろんな圧力がかかっておりますけれども、現在の状況、それから日弁連との協議等について、そして今後の見通しについて御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) いわゆる外国弁護士の受け入れについての規制緩和の問題につきましては、今、委員御指摘のようないろんな場面で重要な課題になっております。そういった問題点の概要は委員既に御案内のことと思いますので、最近の状況を中心に御説明をさせていただきたいと思います。
 この問題につきましては、平成元年秋にアメリカ側から、あるいはEC側からも、御案内と存じますが、五項目の具体的な規制緩和要求がされたわけでございます。これに対しまして我が方といたしましては、そういった要求のほとんど多くの事項は、この制度の制定時までの外交交渉により解決を見たものであるという基本的な考え方に立ちながらも、その後の国際情勢の変化等に伴いまして検討すべき点があれば検討するという考え方で、その後平成二年から三年にかけまして事務レベル折衝を中心に政府間交渉を行ってまいりました。また、国内的には、この問題に直接の関係を持たれる日弁連と鋭意意見交換を行ってきました。
 しかしながら、大変難しい問題を含んでおりますだけに、今日まで解決の道を見出すには至っていないわけでございますが、これも御案内と思いますが、ことしの一月にアメリカの大統領が訪日されるに際しまして、アメリガ側からこの問題の早期解決ということに一層強い関心を示しまして、この機会にこの問題の進展を図るべく対応を求めてきたわけでございます。
 私どもの方からは、この問題の難しさについて鋭意説明いたしました結果、御案内のとおりグローバルパートナーシップ行動計画の中で、日本政府はこの問題の解決のために今後一層の努力を行うという趣旨の記載がされるに至ったわけでございます。また、最近EC側からも、この問題に対する一層強い関心が寄せられておる、そういう状況でございます。
 法務省といたしましては、この問題が我が国の司法制度の根幹にかかわる重要な問題を含む問題であるということ。それから、とりわけ日弁連の自主性という立場を尊重しながら考えなければならない問題であるというふうに考えておりますが、今後ともこういった基本的な認識に立って対応していきたいと考えておりますけれども、他方、こういった国際化の進展する社会にございまして、我が国の置かれている立場ということにも配慮して、諸外国の考え方にも十分に耳を傾けなければならないという観点も否定することができないというふうに考えております。
 法務省といたしましては、こういう観点に立ちまして、それからアクションプログラムの方針に従いまして、今後一層この問題の解決のために努力を傾けていかなければならない。
 具体的には、この問題に関しまして主要国の制度も大変流動的でございますので、まずはそういった諸外国の制度の実情についてしっかり勉強していく。そういった勉強を踏まえまして、また制度の利用者その他各方面の意見も十分にお聞きしまして、これからの国際化の中での各国の弁護士の協力のあり方はどうあるべきかということを考えて、そういう中でこの問題の解決点を探っていかなければならない、そういった努力をしなければならないというふうに考えております。
 日弁連におかれましても、御案内のとおり、現在会長を初め執行部が交代された時期でございまして、大変対応が困難な状況にあるわけでございますけれども、それにもかかわらず、そういった情勢の中にございまして、この問題の解決のためにどういった方法をとったらいいかということを真剣に考えていただいているというふうに承知しております。そういった情勢を踏まえて、これは従来にも増して、この問題についての取り組みの方向について緊密な連絡、協議をしていきたい、こういうふうに考えておるところであります。
○北村哲男君 ただいまのお話の中で、ECの問題なんですが、ECからの五月に協議が予定されておるということを聞いておるのですけれども、それはどういう内容で、どういう形で行われようとしておるか、もしおわかりでしたら御説明願いたいと思います。アメリカからの要求はもう既に従来からずっと御説明を受けてきておりますけれども、ECからはどういう要求なのか、同じ内容なのか、あるいは違ったものがあればどのような点で違っているのかということがわかりましたら、御説明願いたい。と思います。
○政府委員(濱崎恭生君) ただいまも説明しましたように、アメリカ側から平成元年の秋ごろに五項目の要求がされたわけでございますが、それに相次ぎまして、ECからも若干細部の相違はございますけれども、ほとんど同様の内客の要求がされております。その要求に基づきまして、ECの間でも日米の間の事務レベル折衝と並行して事務レベルでの折衝をしてきたわけでございます。
 そういう経過がございますけれども、今御説明しました日米の間におけるアメリカ側の一層高い関心が示されたということと並行いたしまして、ECからも同じように一層高い関心が示された。そういう状況を踏まえまして、さらにこれまでの延長といたしまして、五月ごろに日本とECとの間でこの問題の状況について理解し合う機会を持とう、そういうことでございまして、EC側の関心も一層高まってきているということではござい
ますけれども、とりわけECとの間で新しい体制での協議が始まるということではないというふうに理解しております。
 庁の点について私どもといたしましては、御指摘の新聞の報道は必ずしも全面的に正確に報道されているわけではないというふうに理解しております。今申し上げましたような趣旨で理解を深めるという機会を持ちたいと考えておる次第でございます。
○北村哲男君 そうすると、具体的に五月というともう来月になってしまうのですけれども、いつ、どこで、どういうメンバーで、どういうふうにされるということまでは決まっているのですか、あるいはそういうことははっきりしてないということなんでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 五月に日本におきまして、これはレベルとしては担当課長レベルの今申しましたような会合を持つということにしております。
○北村哲男君 それでは、次の質問に移ります。
 刑事局の方に伺いたいのですが、麻薬犯罪等に絡みまして、国際犯罪が非常に現在増加しております。これに対応するために、国際機関の協力もさることながら、語学力のある捜査員の養成とか、あるいは十分な外国旅費、あるいは主要国へのアタッシェの駐在等が必要になってくるのは当然のことだと思うのですけれども、これらのための予算の措置はどうなっているか。特に今回は予算の関連審議でありますので、その点についての御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(濱邦久君) 委員御指摘のとおり、国際犯罪の増大に伴いまして迅速適正な捜査処理及び公訴維持体制の確立を図る必要があるわけでございます。
 平成四年度予算案におきましても、語学委託研修に要する経費、外国人被疑者等取り調べ通訳に要する経費、検察官等の海外捜査派遣に要する経費、それから犯罪の国際的取り締まり対策協議等に要する経費及び捜査共助事件、犯罪人引き渡し事件の処理に要する経費などを計上されているわけでございます。
 このほかに、国際化する麻薬関係事犯に対処するために協議会の開催に要する経費あるいは捜査マニュアルの作成経費、それから捜査共助受託事件の処理に要する経費を含めまして、合計一億四千三百万円が計上されているというのが実情でございます。
○北村哲男君 ちょっと国際犯罪に関係するのですけれども、麻薬犯罪とは直接関係ないのですが、関心はもっと大きい問題ですが、このところパナマの事件であるとか、そのほか諸外国で多くの在日本人が被害を受けて大変なことになっておるということであります。もちろん、これは外務省の関係が一番大きい問題であると思うのですけれども、こういう被害を防ぐということは直接できるおけじゃないと思うのですが、法務省として何らかの対応が考えられるのか、考えられるとしたらどういうことがあり得るのかということについて、御説明を願いたいと存じます。
○政府委員(濱邦久君) 確かに、近年日本人の出国者数が年々増加するのに伴いまして、日本人が海外におきまして犯罪の被害に遭う件数が増加していることが著しいわけでございまして、この点が注目されるわけでございます。今、委員お尋ねの中でもおっしゃいましたように、日本人の海外における犯罪被害の関係につきましては、在外邦人に対する援護を担当しておられる外務当局においてその防止に努力しておられることと思うわけでございます。
 法務当局としてどういうことができるであろうかという観点から考えますると、事件が起こりました場合に当該事件の捜査処理につきまして外国の当局から協力の要請を受けた場合には可能な限りこれに積極的に対応して、その事案の解明、適切な処理に協力するということを通じてこの種事犯の防止に努めてまいりたいということでございます。
○北村哲男君 それでは、次の問題、別の観点で伺います。
 これも先般の報道によるのですが、捜査体制の強化のために機械化といいますか、OA化ですか、そういうことを法務省が試み、そしてそれを実践されようとしておるということを見ました。その科学化あるいは機械化ということについての内容を説明いただき、その予算措置についてはどうされておるのかということについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(濱邦久君) 委員お尋ねの御趣旨は、先般新聞でも一部報道されましたことでございますが、今年度の予算に特別捜査体制の充実強化のための科学的機械化ということについて、その内容をお尋ねだと思うわけでございます。
 近時ますます悪質巧妙化、潜在化あるいは広域化するこの種の特捜・財政経済事犯の迅速適正な捜査処理、さらにはその公訴維持体制の確立を図るために、平成四年度予算におきましては次のようなことを考えておるわけでございます。
 平成四年度予算におきましては、一つは携帯用ビデオ、小型複写機、それから携帯用のファクシミリというような機動班備品の整備経費ということで、これは具体的に申しますと千四百八十七万七千円。それから二つ目としまして、特捜・財政用パーソナルコンピューターなどの整備経費といたしまして一億四千六百七十三万八千円というものが計上されております。
 先に申しました第一の方は、例えば犯罪の現場あるいは捜索の現場等にこれらの機器を携帯して機動的に捜査を行うというためのものでございます。それから、二番目の特捜・財政用パーソナルコンピューター等につきましては、例えば帳簿捜査等に関連しまして、日経財務データ等の資料の整備を行うというようなものを考えているわけでございます。
○北村哲男君 今は何も法務省に限らず、このOA化というのは当たり前といいますか、随分また規模が小さいような感じがするのですけれども、もっとこれは大きく大胆にできないものなんでしょうか、そういう点はいかがでしょうか。
○政府委員(濱邦久君) 委員御指摘のとおり、機械化、科学化の時代でございますから、捜査手法もこれに対応してOA化、機械化を進めなければならない要請がもう強いことは申すまでもないことでございます。今申し上げました平成四年度予算で計上されておりますところの、先ほど申し上げた金額につきましては、パーソナルコンピューター等の整備とか、もう少し細かく申しますと、例えば電話番号検索システム等の導入とか、ちょっと細かくなりますけれども、平成三年度予算に比べますと大幅に増額ということで財政当局にお願いして充実強化を図っているというのが実情でございます。
○北村哲男君 次の質問に移りますが、私、先回の委員会で死刑制度のことについてお伺いしました。そのときにちょっと聞き漏らした問題がありましたのでお伺いしておきたいと存じます。
 この世論調査を平成四年度中に実施する方向で検討を始めているということらしいのですが、その時期、方法、それから、いわゆる世論調査、これはこの前私が言ったのですが、中身が問題だと、どういう質問の仕方でどういうアンケートをとるかが問題なんで、それによって回答が随分違ってくるのではないか。それについてはいろいろさまざまな意見あるいは調査をも七に質問事項を、アンケート等をつくる必要があると思うのですが、どこでどういうような形で質問項目をつくり、どういう形で実施しようとしているのか、その内容、それから時期的なもの、それについて御説明を願いたいと存じます。
○政府委員(濱邦久君) まず、委員お尋ねの前段のお尋ねでございますが、死刑制度についての世論調査を予定しているのかどうか、あるいはその時期等についてのお尋ねでございます。一部に御指摘のような報道がなされたことは承知しておりますが、死刑制度に関する世論調査を行うか否かにつきましてはその実施時期も含めまして検討中でございまして、現在のところは平成四年におい
て死刑制度について世論調査を行う具体的予定はございません。
 ただ、委員今お尋ねの、例えばこれは去る一月十六日付読売新聞の報道についてのお尋ねではなかろうかと思うわけでございますが、読売新聞のこの記事がどういう経緯で掲載されるに至りましたかということは詳細はちょっと不明でございますが、法務当局といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように、現時点では死刑制度に関する世論調査を行うかどうかにつきましてその実施時期をも含めて現在実は検討中でございまして、平成四年度において死刑制度について世論調査を行う具体的予定は現在のところはないわけでございます。
 それから、委員先ほどお尋ねの後段の部分でございますが、例えば質問事項の内容をどのようにするのかというようなお尋ねだったと思うわけでございます。今申し上げましたように、現在のところは死刑制度に関する世論調査を行う具体的予定はございませんので、直接そのことについてのお答えはいたしかねるわけでございます。ただ、これまでの世論調査を踏まえて一般的にお答え申し上げたいと思いますが、これまでの世論調査における質問事項につきましては、これは客観的かつ正確な結果が得られますように、世論調査の専門家と協議の上決定されているものと承知しているわけでございます。もちろん、これは直接世論調査を行いますところは内閣総理大臣官房広報室というふうに理解しているわけでございますが、今申しましたように、質問事項を作成するにつきましては客観的かつ正確な結果が得られるようにという観点から専門家と協議して決定されているというふうに理解しているわけでございます。しかも、これはもう委員御案内のとおりと思いますが、従前から同様の内容の調査が継続的になされてきておりますことから、統計の継続性という観点も無視できないわけでございまして、そういう観点からこれまでの質問の際の質問方法を踏襲しながら、調査対象者の意見をできる限り正確に把握するように努めてきたところであろうというふうに理解しているわけでございます。
 ただ、それはそれといたしまして、今後同様の世論調査を行う場合に、なお改善すべき点があれば、世論調査の専門家の意見もさらに聞くなどの方法をとりまして改善を図ってまいりたいというふうに思っております。
○北村哲男君 多くの方々を呼んでいるのですが、要領が悪くてなかなかすべての質問をすることができないのですが、実は、先日の四月十二日付サンデー毎日ですけれども、非常に私どもが力を入れて取り組み、そして法務省の方々がまじめに取り組み、また過労のために亡くなった方までお出になったという入管業務について、極めて不愉快な記事が載っております。何も週刊誌ですからよく読んでみると大きな中身があるとは思わないのですけれども、しかし、こういう記事が出ること自体、もちろん記事は御存じだと思いますが、出ること自体大変不愉快なことであります。
 この中で一つだけお聞きしておきたいのは、入管協会というものがあって、そこに入管局のOBの人たちが入っておるというふうなことが出ておりますけれども、その内容について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(高橋雅二君) お答えいたします。
 入管協会と申しますのは、国際間の人の交流に関し調査研究を行い、知識の普及を図るとともに、出入国管理行政の円滑な運営に寄与し、もって国際的な相互理解及び国際協力の増進に資することを目的とする財団法人といたしまして、昭和六十二年八月二十日に設立されたものでございます。
 当入国管理局は、主務官庁といたしまして今申しましたような目的に沿った諸事業を適正かつ効果的に行うよう指導監督に努めているところでございます。
○北村哲男君 そこには入管局の出身者はどのくらいいらっしゃるのか、あるいは具体的にわかるならば、どういう方々がいらっしゃるのか、言っていただきたいと存じます。
○政府委員(高橋雅二君) 今、入管協会の現職の方について申しますと、専務理事が元東京入国管理局長、それから事務局長が元仙台入国管理局の次長ということでございます。そのほか、OBまたは中途退職者が全部で四名勤務しております。
○北村哲男君 全部で何人ぐらいの組織で、そしてその方々のいわゆる人件費その他の経費はどういうところから出ているのかということについて御説明願います。
○政府委員(高橋雅二君) 組織としては、理事が四十四名、常勤理事が一名でございます。幹事二名のほか、事務局に総務部、企画研究部、業務部、受託事業部がございまして、職員数は三十一名おります。
 平成四年三月三十一日現在、基本財産は三千万円、正味財産は約一億円でございまして、平成二年度の収入は約一億六千六百三十万円、支出は約一億五千八百三十万円ということでございます。
○北村哲男君 その収入源というのはどういうところから出ているのですか。
○政府委員(高橋雅二君) 入管協会の主な事業は、入管行政に関する諸セミナーの開催、月刊「国際人流」の発行、入管手続に関する諸案内、入管行政に関する図書の発行、出入国に関する調査研究、こういうような事業、及び入会金が五万円、年会費六万円ということでございまして、今会員数が、平成四年四月一日現在でございますが八百八十九名おります。こういうものから収入が入っております。ちなみに補助金はございません。
○北村哲男君 ちょっと急に計算できないのですが、八百八十九の入会金が五万円、あとの諸セミナーとかその事業引いただけで、そう収入のあるような仕事をしていると思えないのですが、大体入会金ぐらいで間に合うようになっているのでしょうか。三十数名、四十名ぐらいの人たちの人件費その他の事業経費がそれぐらいで賄えるようになっているのでしょうか。
○政府委員(高橋雅二君) 平成三年度について申し上げますと、例えば収入の方で申し上げますと、基本財産運用収入としまして二百二十万円程度でございますが、入会金の収入として約五百五十万円、それから会費の収入として五千八百万円、事業収入として一億三千八百万円、そういうようなオーダーになっております。
○北村哲男君 ちょっとその事業収入は、さっきの御説明でセミナーとか何とかパンフとか、どの辺が一番主要なものかがよくわからないのですが、どのあたりが主要な収入源になっておるのでしょうか。
○政府委員(高橋雅二君) これは予算でございますので、先ほど申し上げました決算書で御報告申し上げたいと思います。
 平成二年度の収支計算書によりますと、事業収入が一番多くて九千八百万円でございます。それから会費収入が五千七百万円強でございます。それから入会金の収入が五百四十五万円程度でございまして、雑収入が三百五十万円ございまして、合計一億六千六百万円ということでございます。
 それで、平成二年度に実施しました事業の概要を申し上げますと、会報誌、図書等の出版、販売がございます。それから、セミナー、研修会等の開催。セミナーを例えば五回行っておりまして、延べ参加人員四百八十九名、それから国際企業出入国事務研修会というものを行っております。そのような研修会の開催等の事業から、平成二年度におきましては約九千八百万円強の収入を得ているところでございます。
○北村哲男君 びんとこないところがあるのですけれども、この週刊誌、サンデー毎日によると、印紙代の販売で大もうけしたのだということが書いてありますね。これは、そうでないと、私は、今の御説明のセミナーとかそれで何千万という収入があるとはとても思えないのですけれども、主要な収入はそのあたりにあるのではないのですか。
○委員長(鶴岡洋君) 法務省に申し上げますけれ
ども、通告してあるのですからもう少しよく調べてきてください。
○政府委員(高橋雅二君) 印紙の販売における収入がどのくらいあるかにつきましては、今手元に資料がございませんので後ほど調査の上お答えいたしたいと思います。
○北村哲男君 それでは結構です。
○委員長(鶴岡洋君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林田悠紀夫君 自由民主党の林田悠紀夫であります。
 本日は、質疑の機会を与えていただきましたので、法律扶助の問題について法務大臣並びに所管局長に対して若干のお尋ねをいたしたいと存します。
 基本的人権を尊重するということを重要な柱の一つといたしました日本国憲法も施行されて四十数年を経過いたしまして、国民の間には人権は尊重さるべきであり人権は守らなければならないという人権尊重の思想、人権擁護の理念が着実に定着してきているものと思うのであります。このように国民の権利意識は確かに高まりました。これはまことに喜ばしいことであります。
 私がきょうお尋ねしたい法律扶助の問題は、私自身かつてかかわったこともあり、また憲法三十二条に定めまする国民の裁判を受ける権利にとりまして極めて重要なものと思うのであります。我が国社会の国際化、社会生活の複雑困難化等を反映しまして新たな紛争も生じてきており、それに比例しまして法律扶助の必要性がますます増大しているものと承知をいたしており、今後もその必要性は増大していくものと思うのであります。平素、この制度の運用につきまして御尽力をいただいておりまする法務大臣を初め関係者の皆様、また扶助協会の実務担当の皆様にまず感謝申し上げたいと存じます。
 私は、昭和六十二年から六十三年にかけまして、この法律扶助、訴訟援助の制度につきまして私自身も勉強をさせていただき、必要性と重要性を痛感した次第であります。しかしながら、その当時、法律扶助に対する国からの補助金が需要に対して必ずしも十分でないということを実感いたしまして、これを実のあるものとするべく関係当局とともに勉強したことを今も記憶しているのであります。勉強の結果、不十分ではないかということで平成元年度の予算の要求におきまして、これを五カ年で倍増するという計画を立てましてそのように取り計らったわけでありまするが、その計画がその後どのようになったかということは後刻お尋ねするといたしまして、まず、法律扶助あるいはその制度についてお尋ねをいたしたいと思います。
 私は、法律扶助制度は、資力の乏しい人でも資力のある人と同じように自分の権利を保護するために、裁判を求める道を開いて法のもとにおける平等の理念を現実に生かそうというものであると思うのであります。そういう意味では法律の分野における社会保障制度の一種であると思うわけであります。この法のもとにおける平等という憲法の理念、精神は、昭和二十三年十二月十日の世界人権宣言でも強調され、今では世界における当然のことと理解されているわけであります。
 我が国におきましては、法律扶助事業は財団法人法律扶助協会が実施しているのでありますが、貧困者に対する訴訟援助は法務省の訴訟事務の一つとされているものであり、そのため法律扶助協会の行う法律扶助事業に対し国は補助金を交付しているところであり、また法律扶助協会に対して法務大臣がこれを監督するという意味でも法務省がこの制度に深くかかわっているわけであります。
 このような立場にある法務大臣に、法律扶助制度の意義につきましてどのように考えておられますか、お尋ねを申し上げたいと存じます。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 ただいま法律扶助について詳しい御説明がありましたが、私なりに法律扶助を概念的にひとつつかんでみますと、無料法律相談と訴訟援助に大きく分かれるのではないかというふうに考えております。無料法律相談には家庭裁判所が絡んでくる家事相談とかあるいは法務省の人権擁護委員が絡んでくる人権相談とかありますが、また一方で有料の法律相談もあり、法律の相談をしながら訴訟をやっていくということだろうと思うのですが、本当に資力のない人は訴訟が起こった場合に非常に金がかかるということで、やはりそういう人たちを援助しなければ憲法の精神に反するということで、この法律扶助について、特に訴訟援助について私は国が補助するという制度があるのだろうというふうに思っております。そして、これが先進諸国に比べて日本の場合はいささかまだ少しおくれているのではないか、そういう認識も持っております。
 そういうことで、先生おっしゃったように、何人も憲法で裁判を受ける権利があるということからこの制度を充実していかなければならない、そういうふうに考えております。
○林田悠紀夫君 ただいま大臣から、法律扶助制度につきまして大変理解ある御答弁をいただいたわけでございます。憲法の保障している国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するものでありまして重要なものだと、そしてまた無料法律相談につきましてもお話をいただいたわけでございます。
 イギリスやドイツの法律扶助制度にありましては法律相談も法律扶助の大きな事業の一つとされておりますが、我が国では、法務局の行う人権相談とかあるいは家庭裁判所が行う家事相談などの各種機関による無料の相談が行われているところではありますが、法律扶助制度の充実を図る観点から無料法律相談も扶助事業の対象とすべきものであるという意見もございます。
 大臣から、その法律相談につきまして今言及をいただいたわけでありまするが、法務当局はこの無料法律相談を法律扶助制度の中で取り上げていくかどうかということにつきまして、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(篠田省二君) 無料法律相談につきましても法律扶助事業の対象とすべきではないか、そういう意見があることは私どもも承知しております。しかし、現在の法律扶助制度は資力が乏しいために正当な権利を有していると思われるにもかかわらず裁判や調停の申し立てができない人に対してその費用を立てかえるということを内容としているわけでございます。
 無料法律相談につきましては、先ほど大臣からもお答えございましたように、法務局で行っております人権相談あるいは家庭裁判所の家事相談、そのほかいろいろ行政機関でも各種の相談をやっておるわけでございますが、そういった各種の相談その兼ね合いという問題もございますし、それから無資力要件ですね。現在の法律では貧困者に対する訴訟援助ということになっているわけでございますが、それを拡大するということになりますといろいろクリアしなければいけない問題もあるというふうに考えております。ただ、無料法律相談につきましても、ドイツ、イギリスあたりではそれを広い意味での法律扶助の一環として行っているということでございますので、私どもといたしましても国民の権利保護の観点から、こ、ついった問題についても十分勉強してまいりたい片考えております。
○林田悠紀夫君 ありがとうございました。十分今後勉強していただきたいと存じます。
 そこで、我が国の法律扶助事業は財団法人法律扶助協会によって実施されておるわけでありますが、法律扶助制度がいつごろから行われているかお伺いをしたいと思います。
○政府委員(篠田省二君) お答えいたします。
 我が国の法律扶助事業は、昭和二十二年に日本由憲法が施行されたのに伴いまして、国民の人権を擁護するということを目的として昭和二十三年二月に法務庁に人権擁護局が設けられ、その所管事項として貧困者の訴訟援助に関する事項ということが掲げられたことに端を発しているわけでございます。昭和二十四年に施行されました人権擁護委員法にも、貧困者の訴訟援助その他人権擁護のための適切な救済方法を講ずることという規定がございます。
 これを受けまして、人権擁護局では法律扶助に関する具体的な方策の検討を開始し、日本弁護士連合会と協議を行うとともに、法律扶助事業について協力方を要請したわけでございます。
 そこで、日本弁護士連合会ではいろいろ検討いたしました結果、法律扶助協会を設立することとして審議を重ねた結果、昭和二十七年一月十一日に日本弁護士連合会長から法務総裁あてに協会の設立認可申請がなされ、その月の二十四日に設立が許可されたわけでございます。そして、昭和二十七年四月から法律扶助事業が開始されたわけでございます。
○林田悠紀夫君 仰せのように、昭和二十七年に法律扶助協会が発足をしたわけですが、その当時は日弁連の支援のもとに自己資金で運営をされたのでありまして、国から補助金が交付されるようになりましたのは昭和三十三年からだったと承知をしております。そのときの補助金は幾らだったんでしょうか。
 また、六十三年に法律扶助事業を真に国民の要求にこたえるものとすべく、国庫補助金を倍増する五カ年計画を立てて予算要求が行われたのでありますが、この計画はその後どのようになったのでしょうか。
 あわせて、昭和三十三年度以降現在までの補助金の推移につきまして法務当局にお尋ねをいたします。
○政府委員(篠田省二君) まず、先ほど申し上げましたように、財団法人法律扶助協会は昭和二十七年に設立されたわけでございますが、その年の四月から事業を開始し、当初は民間からの寄附金収入によって運営されたわけでございます。
 しかし、財政状態が極めて貧弱であったために事業の運営がかなり困難ということから国からの補助が必要ということで昭和三十三年度に国庫補助が始まったわけですが、昭和三十三年に始まった当初は、年間一千万円という金額でございます。その後若干ふえたりしましたけれども、昭和六十年当時は大体七千二百万円程度で推移していたわけでございます。
 それでは不十分ということで平成元年度から五カ年で倍増するという計画がつくられまして、予算要求をしてきたところでございます。その結果、平成元年度には八千八百九十二万八千円、平成二年度は一億四百二十五万八千円が認められました。しかも、その後も扶助事件の増加割合が非常に著しくて、扶助事業はそれだけでは不十分ということで、平成三年度の予算要求におきましては五カ年計画を一年短縮して四カ年計画で達成するということが策定され、平成三年度には一億二千七百二十五万五千円が認められ、平成四年度の予算におきましては一億五千二十五万四千円が計上されているところでございまして、これで一応倍増計画は達成されたことになるわけでございます。
○林田悠紀夫君 四年間で倍増計画を達成していただきました法務当局の御努力に対しましては高く評価するものであります。
 そこで、この法律扶助は、弁護士費用や裁判費用を、これを利用する人にかわって立てかえ、そして制度を利用した人は分割払いで償還することを建前にしておりまするので、償還金につきましても扶助資金として再度利用されるわけでありますが、立てかえ金のうち、どうしても資力がない人や認知事件のように勝訴しても金銭的利益がない事件もあり、全額が償還されるものではないのであります。
 これまでに財団法人法律扶助協会に交付をされた国庫補助金の総額は幾らぐらいになりまするか。また、現実に扶助資金として運用できる金額が幾らぐらいあるのか、法務当局にお尋ねをいたします。
○政府委員(篠田省二君) まず、最初の御質問でございますが、昭和三十三年度から平成三年度までに国から財団法人法律扶助協会へ交付された補助金の総額は、トータルで二十一億四百四十四万一千円になっております。
 それから、次の御質問でございますが、平成三年度におきまして法律扶助資金として運用した金額は、償還金として見込まれるものと国庫補助金その他を合わせて約八億八千五百万円ということになっております。これらの運用資金の予算額として計上しておりました内訳は、償還金が六億百三十一万七千円、国庫補助金が一億二千七百二十五万五千円、その他として、これは寄附金等でございますが、一億六千五百四十九万二千円というふうになっております。
○林田悠紀夫君 この扶助協会は、国庫補助金のほかに各種の寄附金で運営をされておると伺っておるんですが、法律扶助協会の収入源についてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(篠田省二君) 扶助協会の収入源といたしましては、国庫補助金、それから扶助を受けた人から返還される償還金、そのほかに弁護士会及び弁護士個人からの寄附金、それから篤志家からの寄附金、それから刑事被告人からの贖罪寄附金の中から充当されたもの、そういったようなものが財源となっております。
○林田悠紀夫君 補助金のほかにあるいは償還金とか寄附金とか、そういうことによって運営をされておるわけですが、この法律扶助制度が最近はそういう財源によりまして年々充実をし、また安定してきておるということはまことに喜ばしいことでありまするけれども、翻って、諸外国に比較をいたしますときにまだまだ大きな隔たりがあるのではないかと思うのであります。
 法務省でも諸外国の法律扶助制度につきまして勉強をされておりまするが、世界で最も進んでいると言われるイギリスにおきましては、発足は我が国と同様第二次大戦の後でありまして、余り年代はかけ離れていないわけであります。しかしながら、イギリスにおきましては、一九九〇年度における法律扶助国庫金だけでもおよそ五億ポンド、日本円にしまして約千三百億円が支出をされていると承知をいたしております。日本が一億三千万程度でありまするから、それに比較いたしまして大変な額が支出をされておるわけです。
 諸外国と我が国の制度を単純に国庫支出金額のみをもって比較することは妥当ではないと考えまするが、こういう外国との比較におきまして、局長はどういうようにお考えか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(篠田省二君) 昨年春に財団法人法律扶助協会が企画して、イギリスとドイツの法律扶助制度を調査してこられたわけですが、そのときの視察団から提供を受けました資料によりますと、今先生御指摘のように、イギリスの扶助金額というのは非常に大きいわけでございます。それからドイツにつきましても、一九八八年ですけれども、法律扶助に対する国庫の支出金が約三百六十一億円というような数字が報告されております。
 そういったような金額を見ますと、我が国は非常に金額が少ないということは事実でございますけれども、やはりそれぞれの国の法制度あるいは司法制度にはそれぞれ相違がございますし、また訴訟についての国民の考え方、あるいは国民性といったようなものもいろいろ異なっておりますので、数字だけで単純に比較するわけにはいかないというふうに考えております。
 我が国におきましては、昭和三十三年度以降、
財団法人法律扶助協会が実施する法律扶助事業に対しまして、予算補助という形で援助をしてきているわけでございますが、今後諸外国の制度その他についても勉強しながら、法律扶助制度の一層の充実安定に努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
○林田悠紀夫君 五年計画が四年で達成した現在において、既に来年度の予算も七月ごろから始まるわけですね。
 それで、現在法務当局としては、これからどういうふうに考えていこうかという考え方があるだろうと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(篠田省二君) 五年計画を一年短縮して四年で達成したわけでございますが、今後どうするかという点については、ただいま検討しているところでございます。
○林田悠紀夫君 それで、少しこの扶助制度の内容に立ち入りまして、これを利用した人が後で償還をするということになっておるわけですが、この償還制度は今後もそのとおり続けていくのか、あるいはある程度見直しをしていくのか、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(篠田省二君) 限られた財源でできるだけ多くの人に扶助を行っていこうということになりますと、やはり給付制よりは償還制度の方がよろしいんではないかというふうに考えております。現在のところ、それでも貧困のために返せないという人につきましては猶予あるいは免除といったような制度も設けているわけでございます。しかし、諸外国におきましては給付制を行って、立てかえではない制度を行っているところもございますので、そういった点も含めまして今後勉強してまいりたいと思っております。
○林田悠紀夫君 それから、国庫補助の対象事業を拡大するというようなお考えはありませんか。あるいはまた、扶助の受給者の範囲を、今の貧困者ということでありましたが、それを拡大していくというようなことについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(篠田省二君) まず、扶助の対象者を拡大する問題でございますが、現在は資力に乏しい人に対して扶助をしているわけでございます。それをいわゆる中間所得者まで拡大するかどうかという問題は、その線引きの問題がかなりございますし、それからやはり予算規模との兼ね合いもございますので、そういった点も含めまして今後勉強してまいりたいと思っております。
 それから、扶助の対象事業、先ほどから問題になっております無料法律相談にも広げるべきかどうかということでございますが、現在、法律扶助協会では無料法律相談も行っているわけでございますが、それに対して国庫補助は現在のところは行っていないわけでございます。その点につきましても、法律相談ということになりますと、資力が乏しい人以外の人も相談に訪れた場合に、その人たちについても相談に応じなければいけないことになるんではないかというような問題もございまして、そういったいろんな問題を含めまして、やはりこれも勉強してまいりたいと思っております。
○林田悠紀夫君 それから、扶助制度が利用しにくいというような点について、扶助の申し込みから決定までの手続をもっと効率化していくとか、あるいは時間を短縮するとか、そういうようなことも必要になってきますね。そのことについてはいかがでございましょうか。
○政府委員(篠田省二君) その扶助の申し込みがあった場合、資力の要件、それから勝訴の見込みがあるかどうか、それから扶助に適するかどうか、そういった点についての審査が必要でございますけれども、確かに今おっしゃいましたように、時間がかかっているという点ございますので、その点については手続の合理化に努力してまいりたいと思っております。
○林田悠紀夫君 それから、イギリスその他の国におきましては、法律扶助制度というものが立法化されておるわけです。日本では扶助協会が行って、それを国が監督し補助をしているというやり方なんですが、これを立法化する意思はありませんか。
○政府委員(篠田省二君) 現在の制度が一応比較的順調に機能していると思われますし、それから、既に定着しているというふうに考えられますので、当面の間私どもといたしましては、現行の制度の充実安定に努めて。まいりたい、そういうふうに考えております。
 それからもう一つは、法律扶助法につきましてはいろんな団体あるいは個人からいろんな意見あるいは案が出ておりますけれども、いろいろ相違点もございまして、まだ一致した意見というのは見当たらないのが現状でございますが、そういった各種の案も含めまして、やはり勉強はしてまいりたいと思っております。
○林田悠紀夫君 最後の質問ですが、この法律扶助制度が十分知られていないということが、これを利用する人が少ないのにもつながるわけですね。そして、例えば暴力団みたいなようなものに仲介を頼むということにも通ずるわけです。したがって、この法律扶助制度というものが一般の人によく知られて、そして資力の乏しい者でも弁護士に頼んで裁判をすることができるんだということにならなければいかぬわけですね。
 そこで、PRをしていく。もっと司法制度の、特に人権擁護局の重要な仕事とされまして、この法律扶助制度を周知徹底させていくということが必要じゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○政府委員(篠田省二君) おっしゃるとおりでございまして、扶助制度につきましては、やはり必要であるにもかかわらず、制度を知らないがために利用できないという人もいるということは十分考えられますので、PRにつきましても今後工夫を凝らして努力してまいりたいと思っております。
○林田悠紀夫君 終わります。
○中野鉄造君 本院における総予算の委嘱審査は、第九十六国会における参議院規則の一部改正によって、昭和五十七年度総予算の審査以降、今日まで十余年を数えるわけですけれども、私は昨年のこの委嘱審査のときも数点質問をいたしましたが、その質問の内容、また要望しておりましたことの、それが結果的にどういうふうになっているのか、そこらの点を数点お尋ねしたいと思います。
 まず、平成四年度予算についてお尋ねいたしますが、去る二月二十七日の委員会において、法務省会計課長及び最高裁経理局長から平成四年度予算の概要をお聞きいたしました。法務省所管の一般会計予算に占める人件費の割合が八二・八%、また裁判所予算に占める人件費の割合が八八・二%と、どちらも極めて義務的経費で、人件費がその大部分を占めているわけでして、それだけにいわゆるほかの事業官庁のような目玉商品的な予算編成が非常に法務省はやりづらいという点はよくわかりますが、予算として結果的に極めて地味な存在になりがちであろうかと思います。
 そこで、法務大臣は、どういうような認識のもとに平成四年度予算編成に取り組まれ、結果に対してどういう御所感をお持ちなのか。
 次に、また、法務省及び裁判所の平成四年度予算の強いて特色を挙げるならば、どういうことが言えるのか。また、どのような点に重点を置いて平成四年度予算要求をなされたのか。復活折衝ではどういう点に特に力点を置かれたのか。また、最高裁当局は、財政法第十八条二項に基づいて、平成四年度予算について内閣にどのような意見を述べられてきたのか、この点をお尋ねいたします。
○国務大臣(田原隆君) お答えいたします。
 法務省の予算は、お説にありましたように八三%弱が人件費でありますから、そういう意味ではそれが特色的であると同時に地味であると、こう申さねばなりませんが、私どもそれだけに経常業務でありますし、極めて重要な各省と違った予算であるということで取り組んでまいっております。
 その中でも特に特色的なのは、これから、今までとだんだん変わってきているのは、国際化に伴う影響が出ているということで、外国人登録制度の改革とか、出入国管理体制の強化とか、特捜等検察体制の強化とか、矯正管理体制の維持拡充、あるいは民間協力者に対する実費弁償経費の充実、さらに大事なのは、検察部門に対応する一つの部門としてサービス部門がございますが、これらに対するコンピューター化というようなことに重点を置いております。
 特に、復活のときに私ども一生懸命になりましたのは、先ほど申しましたような重点の中で、どうしてもやはり人の問題ですから、人員増については特段の努力をいたしてまいったわけであります。その結果、差し引き百四十五名の増ということで、近年にない大きな数字で、昨年の倍ぐらいになっておるというようなのが現状でございます。
 そういう認識のもとに、これから法務省の予算は通していただき、さらにやがて次の年のものが来ますが、一生懸命頑張っていこうと思っております。
○政府委員(則定衛君) ただいまの大臣の答弁にございましたように、私どもの予算要求の重点、ひいてはそれがまた復活折衝の重点ということにつながるわけでございますが、何よりもまず増員ということが一つございます。それから、全国に約二千二百の施設を持っておりまして、これらの施設の整備費というのもまた二番目に重要な項目と考えておるわけでございます。それから三つ目は、これは抽象的になりますけれども、一般的な所管業務の運営経費の充実強化、こういう三点になるわけでございます。
 二番目の定員増につきましては、ただいま大臣から答弁ございましたように、平成四年度は五百三十名の増ということで、定員削減計画の三百八十五名を引きますと純増百四十五名ということになりまして、幸い三けたの増員を確保することができたわけでございます。これがまた復活折衝の第一の目玉でもございました。
 それから、第二の施設の関係は、百五十一億円から百五十八億円ぐらいでございますので、伸びとしてはそれほど大きくはございませんが、その中で、私どもが復活折衝で一つの重点といたしましたのは、施設の特別修繕経費というのを新たな項目として要求いたしまして、これは金額的には三億円程度でございますが、今後いわゆる官庁としての施設のほかに、省庁別公務員宿舎の補修整備といったところに重点的に充てていくための新たな項目を認めていただいておるという点で非常に喜んでおるところでございます。
 それから、三つ目の一般経費の関係でございますが、この特色的なことは二、三ございまして、一つは、民間協力者に対する実費弁償金、特に数から申しまして保護司さんの数が多いわけでございますが、この委員会でもたびたび取り上げられますように、必ずしも十分な実費弁償金が支給されていると佳言いがたいという御指摘もございます。そこで、新たにこの保護司さんに対しまして社会資源開拓推進費という新たな事項で約二億円の新規の査定をいただいておりまして、今後さらに必要に応じてその新たな項目についての増額を図っていけるのではないかと期待をしております。
 それから、検察関係について申し上げますと、いわゆる経済事犯が非常に多く発生しておりまして、これらについて機動的な検察官及び検察事務官の応援体制を充実させるということで、捜査経費の一環としましての旅費の増額を認めていただいております。約一億円になっております。
 それからあと、外国人の登録制度をこの国会で御審議いただいておるわけでございますが、それで新たな法律の施行ができますと約二十億円の経費がかかります。これを新たに外国人登録関係の改善経費として査定をいただいておるといったところが特色でございます。
○最高裁判所長官代理者(仁田陸郎君) 裁判所の関係についてお答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、人件費が八八・二%を占めておりまして、象徴的に申し上げますと、裁判所はまさに人でもつ典型的な事務官庁でございます。そういう意味で、予算要求の最重点事項は増員でございまして、本年度は判事補七人、裁判所書記官二十三人、裁判所事務官三十三人、合計六十三人の増員をすることとしておりまして、さきに裁判所職員定員法の改正をいただいたところでございます。
 人件費のたぐいで申し上げますと、本年度からは司法修習生を従前五百人から六百人に約百人増員することにいたしましたので、こういう修習生手当など修習生関係経費の増額を図っだということが一つ特色でございます。
 さらに、増加をしております外国人事件の処理でございますとか、民事訴訟制度の改善あるいは運営の改善というようなことに取り組んでおりますけれども、この関係での裁判官の執務用の図書などの裁判資料の整備でございますとか、あるいは裁判事務能率化器具の整備に要する経費に力点を置いてまいりました。
 さらに、裁判関係では、調停委員に対する手当でございますとか、あるいは国選弁護人の報酬、あるいは証人、参与員等に対する旅費などの充実にも努めてまいったところでございます。裁判所の庁舎の新営、増築に関します施設費の拡充もやってまいりました。
 復活折衝の最重点事項ということになりますと、これはやはり増員でございまして、これを私ども最後まで折衝したところでございます。
 委員からは財政法との関係について御指摘をいただきましたけれども、御承知のとおり、こういう法律的な手続のほかに、慣行的に実際上の慣例に応じましてそのときどきの情勢に応じて手続を進めてまいっておるわけでございますけれども、具体的な裁判所の予算編成につきましては各事務レベルでの折衝を累次にわたりまして積み上げた上、最終的に残りました問題につきましてはいわゆる大臣折衝の場におきまして最高裁判所の事務総長が最高裁判所としての意見を述べておるところでございます。
 平成四年度につきましては、増員につきましてこの大臣折衝に臨み、これが認められて、そのすべての調整を終わった、こういうことでございます。
○中野鉄造君 次に、入管局出張所の統廃合の問題についてお尋ねいたしますが、それに先立ちまして、午前中の同僚議員の質問の中で、法務省の外郭団体であります財団法人入管協会、これのいろいろな問題が週刊誌にまで取りざたされるというようになっておりまして、少なくとも週刊誌の内容を読む限り極めて何かうさん臭いような、そういうものを感じます。
 私も、これは全く根も葉もないところにこういうことはないんじゃないかというような感じがするんですけれども、法務省の外郭団体がこういう週刊誌に取りざたされるようなことになっているということについて一体どういうようにお感じになりますか。
○政府委員(高橋雅二君) 今このような国際化を迎えまして入管行政に注目が集まっておりまして、各方面からもいろいろ御激励いただいておるときに、今先生出されておりましたけれども、週刊誌にそういうようなことが報道されるということは非常に遺憾に存じております。
 私たちとしても入管行政の重要性にかんがみまして、身を引き締めて、そういうことで仮にでも疑われることがないようにやっていきたい、こういうふうに考えております。
○中野鉄造君 もう既にこういうような実際のいろんな内容的なもの、何か調査されておりますか。
○政府委員(高橋雅二君) 今、先生がおっしゃいました週刊誌の件に関しましても、そういう報道されているような事実があるかどうか調査しております。
○中野鉄造君 そして、それはどうだったですか。
○政府委員(高橋雅二君) 例えば、入管OB等の介在によって不正な上陸許可や在留許可がなされているかのごとき記述がございましたので、早速調査いたしましたけれども、当局においては不法就労を目的とする外国人の入国・在留を阻止する。ための厳格な審査を実施しているほか、積極的な摘発活動を推進しておるところでありまして、入管OB等の介在等により不正な上陸許可や在留許可がなされておるという事実はございません。
○中野鉄造君 この存在そのものが必要だからということでこういうものは設立されたと思うんですけれども、国民の側から見れば、素朴な感じとして、果たしてこういうものが要るだろうか、しょせんはお役人の天下りの受け皿づくりではないのか、こういう感じがどうしてもぬぐえないんですけれども、率直に言ってどうなんですか、必要なんですか。
○政府委員(高橋雅二君) 入管行政は、先ほど申しましたように、最近の日本の国際化に対応いたしまして非常に業務量もふえておりますし、業務の内容も複雑化、多様化しているところでございまして、他方、人員体制につきましても、各方面の御支援を得まして着実に充実はしてきておりますが、急激にふえる業務量になかなかきめ細かく対応できない点が見られるということも事実でございまして、そういう点、この入管協会の仕事によりその辺が補われている、そういうこともございまして、この協会の存在意義があるというふうに考えておるところでございます。
○中野鉄造君 そこで、今から私がお尋ねすることと非常に相矛盾するようなことがあるんですが、つまり入管局の統廃合です。この点については昨年の当委員会において私はいろいろお尋ねをいたしました。
 そこで、その経過というものをここでお尋ねしたいわけですが、先日の当委員会において裁判所休日法の一部改正法案が成立したところですけれども、いよいよ来月、五月から国家公務員の週休二日制が実施される、そういうことになります。法務省関係では交代制の官署であります刑務所の保安部門だとか、あるいは地方出入国管理局のうち特に一部空港など所在官署では土曜閉庁日にも事務を行わざるを得ない、こう思うんですけれども、こうした円滑な実施が行えるのかどうか、今後の行政サービスの低下につながりはしないかということを懸念するわけです。
 それと、次に、時代の要請に応じた行政をしていくためにはやっぱり行政事務の常時見直しということはもう当然のことと思いますけれども、しかしその実態を無視した行政改革であるならばこれは改革のための改革であるというそしりは免れないわけでして、そういう意味から平成四年度予算においても出入国審査業務等の充実強化のために九十七人の増員ということになっていますけれども、昨年の審査において私が指摘しましたように、国際化に向けての入管出張所の統廃合は時代の要請に逆行しているんじゃないのか、こういうことを私が質問いたしました。また、地元産業振興にも与える影響が大きいのではないかということをただしましたけれども、その後、この点についてどういう対応がなされてきたのか、また、大臣の基本的なこの点についての御認識を伺いたいと思うんです。
 それと、平成三年度の行革大綱では、地方入管母の出張所について平成三年度において七カ所を整理統合する、こうされておりますし、この二月に衆議院の予算委員会に提出された資料を見ましてもこの七カ所が整理統合されたことになっておりますが、具体的にどの官署においてどういうような整理統合が行われたのか、また、それによって行政サービスの低下、職員の労働強化というようなことにつながっていないのかどうか、その点をお尋ねいたします。
○国務大臣(田原隆君) 私からまず、基本的な一般的な考えを申し上げまして、あと具体的な細かい点につきまして政府委員からお答えさせます。
 週休二日は、確かにおっしゃるとおり五月一日から発足いたしますし、それから基本的な命題として行革のための行革は別としましてその行革という精神は生きておりますし、そういうこと等から考えますと、行政サービスを低下させないためには業務の改善とか、あるいはやはり長い歴史の間に消長があって仕事の内容も変わってくるし、地域的なバランスも変わってくるというふうなことを考慮しながら、増加する部分と減少する部分とあってそしてバランスをとっていくのだろうと思っておりますが、法務省も大体その精神でやっておると私は思います。この定員についても同じでございます。したがって、国民サービスを中心にしたそういう現状に合う形でとにかく持っていき、国民の要望におこたえしたい、これが私の考えでございます。
○政府委員(高橋雅二君) まず、週休二日制の実施に伴いどういう対応を考えておるかということについて御説明いたしたいと思います。
 今先生御指摘のとおり、法務省の入管局というのは、週休二日、土、日も確かにあけておかなければいけない状況にございまして、場所によってはむしろ土、日に忙しくなる、こういう傾向がございます。特に、地方入国管理官署におきましては、完全週休二日制の導入に備えまして空港などの交代制勤務に対します週四十時間制の試行を実施してきておりまして、業務処理体制のあり方を今まで検討してきたところでございますが、今般、完全週休二日制の実施に当たりましてはこの試行の結果を参考といたしまして業務処理体制を見直す、またOA機器を活用する等による業務の合理化を積極的に図るなどいたしまして要員の確保に努め行政サービスの低下を来さないように対処していくという所存でございます。
 それから、これまで行われました平成五年度までの入管官署の整理統合計画に関連しての御質問でございますが、先ほど私答弁でも申し上げましたとおり、我が国への外国人入国者が急増しておりまして、また在留外国人の活動も複雑多様化している現状にございます。そういうところで出入国の管理業務の重点というのは、例えば海港から内陸の方それから空港、海港から空港へと移行しておりますし、また、在留外国人の管理業務というものも都市部へ集中傾向が顕著になっております。そういう観点から入管官署の整理統合に当たりましてはこういう状況に十分対処し得るように配慮しつつこれを実施しているところでございます。
 それで、第三番目の平成三年度において整理統合されることになっていた入国管理官署の件でございますが、それについて御報告いたしますと、新潟港、金沢港、広島港、下関港、若松港、釜石港、苫小牧港にございます出張所は、これは行革の大綱に従いまして廃止いたしました。しかしながら、新しい需要に対応するために高崎、新潟、金沢、岡山、長崎空港、仙台空港、千歳苫小牧に新しい出張所等を設けまして新たな事態に対応するという体制整備を整えているところでございます。今後とも情勢の動きに対応いたしまして新たに体制整備を図っていきたいと考えております。
○中野鉄造君 次に、少年事件の刑事補償の問題についてお尋ねいたします。
 これも昨年のこの審査において私、質問したわけですけれども、この国会に少年の保護事件に係る補償に関する法律案及び刑事補償法の一部を改正する法律案が提出されておりますが、前者は私の質疑の趣旨を踏まえたものとなっておりますけれども、後者の方は質疑の趣旨とは直接関係めない法案であろうかと思います。
 そこで、まず最初にお尋ねいたしますが、昨年のこの委員会で私が質問いたしましたいわゆる責任無能力のゆえに無罪となった者に対する刑事補償への疑問点については、その後どのように検討し、現在どのような問題意識を持っておられるのか、これはひとつ大臣から御答弁をいただきたいんです。
 要するに、人を殺したという事実はあってもその人が責任無能力であった、したがって無罪になった。ということは、もうこれは裏返して言えば、そうして国から補償金を支払わなくてはいけ
ないということであるならば、逆に言えばはなから逮捕しない方がよかったというようなことにも飛躍するわけなんです。これは、昨年のこの委員会での御答弁はいろいろ検討してみたいというようなお答えが返ってきましたけれども、その後どういうふうになっておりますでしょうか。
○政府委員(濱邦久君) 検討の内容等について私からお答え申し上げます。
 昨年四月九日の当委員会におきまして委員から御質問、御指摘をいただきました。それで法務省といたしましては、責任無能力を理由として無罪となった者に対しても憲法上補償の義務があるとの立場から、これを補償の対象から除外することにはやはり憲法上の問題があって、そういう趣旨の刑事補償法の改正は困難であるというふうに答弁申し上げたところだと思うのでございます。
 確かに、委員御指摘のありましたとおり、責任無能力を理由として無罪の裁判を受けた者に対しまして補償を行うことにつきましては常識的にやや難がありますことは否定できないところでございまして、その後委員御指摘の御趣旨も踏まえまして私どもで検討させていただきました。
 ただ、結論的に申しますと、結局、憲法四十条との関係になるわけでございまして、憲法四十条が、特に理由のいかんを区別しないで無罪の裁判を受けた者一般に補償請求権を認めているという趣旨を勘案いたしまして、刑事補償法の三条各号に列挙されておりますような権利の乱用と認められる場合に限って例外的に補償しないことができるものというふうに理解されるわけでございます。このような観点からいたしますと、責任無能力を理由とする無罪を補償の対象から除外するということはやはり困難でございまして、現時点におきましても法務省の考え方は同じ考え方であるというお答えをさせていただかざるを得ないわけでございます。
○中野鉄造君 これまた、確かに憲法でそうなっているからと言われればもうちょっと何とも言いようがないんですけれども、非常におかしいなと思いますね。不幸にして殺された人の肉親、遺族の人たちは何ともやり切れない気持ちじゃないか、こう思うわけなんです。
 それはそれとして、次に、刑事補償金も少年の補償金もいずれも裁判所所管予算に計上されております。これら補償金は、いずれも裁判所の裁判により国が支給すべきこととされる共通性等の関係から裁判所予算に計上されているようにも感じられるんですけれども、裁判所予算に計上されている理由なりあるいは経緯なりについて裁判所当局からお答えをいただきたいんですが、これはどういう理由でしょうか、細かなことですけれども。
○最高裁判所長官代理者(仁田陸郎君) 直接には刑事補償法自身に、補償の決定がありました場合には、決定を受けた者は補償決定をした裁判所に払い渡しの請求をし、その裁判所が補償金を支払うという手続を決めておりますので、これを受けまして、予算についても裁判所予算に計上するということにしておるわけでございます。
 実は、この規定は旧刑事補償法、昭和七年のものでございますけれども、この当時からこういう規定がございまして、これを現行法も受け継いでいるわけでございます。その根本の理由がどこにあるかということは必ずしも今つまびらかにできないところでございますけれども、いろいろ考えてみますのに、補償の請求先と払い渡しの請求先が一致する方が、例えば予算措置をする場合にも便宜でありますということでございますとか、無罪の裁判がございました場合に、捜査機関から補償を受けるというよりは、やはり第三者機関でございます裁判所から補償を受けるのが相当であるというふうに考えたためこういう規定を置いたのではないかというように今は考えているところでございます。
○中野鉄造君 少年の保護事件に係る補償に関する法律案、これもそうなんですが、とにかく補償金という意味では共通の点がございますけれども、制度創設のその趣旨、由来からいえば少年の保護事件に係る補償に関する法律案と刑事補償法の一部を改正する法律案とは違っております。したがって、一括議題にして審査する方が合理的なのか、別々に審査する方が適切なのかは今後のこれは協議にゆだねられることでございましょうけれども、政府側はこの両方いずれも三月六日に提出して、提出番号も閣法五〇号、五一号と連続してなっておるわけですね。内閣官房の方で調整された結果かもしれませんけれども、この点に関して法務省の方で何か具体的希望を出されたのかどうか、その辺の提出の経緯についてお尋ねしたい。
○政府委員(則定衛君) 私ども、法律の趣旨が同一方向に向いておるわけでございまして、審議の過程におきましても共通の事項があるいは対象となってくるかもしれないということが想定されまして、ひとつできましたら同一の機会に御審議賜れば幸いであるという考えがあったことは事実でございます。
○中野鉄造君 もう時間もございませんので、ちょっと先に参りますが、国選弁護人の報酬についてお尋ねいたします。
 要するに国選弁護人の報酬が非常に安い。かいつまんで申しますと、だから国選弁護人になるというのは、もうはっきり言ってベテランの弁護士さんというよりも、若い弁護士さんだとかあるいは弁護士会でいろいろ当番制みたいにしてやっているようなのが実情のように聞いておりますけれども、国選弁護人の報酬が安いという声はもう法務省でもよくお聞きになっていることと思いますが、この実情はどういうふうになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) お答えいたします。
 確かに、国選弁護人の報酬につきましてはいろいろ議論もございまして、報酬が安いというような意見が日弁連等の方であることは十分承知しておるわけでございます。私どもといたしましては、国選弁護人の弁護活動というものを非常に重要であるという認識を持っておるものでございますので、国選弁護人の活動にふさわしいだけの額を確保するよう、予算要求に当たりましては最重要項目の一つとして毎年増額には努力してきておるところでございます。
 ただいま委員が御指摘ありましたように、中堅どころの弁護士の方々は非常に多忙であるというようなことやあるいは報酬が決して十分ではないということから、いわゆる国選弁護離れと言われるような傾向があるということを弁護士会から指摘されておることは十分に承知しているところでございます。そのような点も踏まえまして、今後とも最高裁判所といたしましては、報酬額の引き上げにつきまして十分配慮してまいりたいと考えておる次第でございます。
○中野鉄造君 次に、登記特会についてお尋ねしますが、このバブル経済破綻がその登記特別会計にも直接影響していることと思いますけれども、平成三年度の予算額とその予算額に予定されたとおりの収入があったのかどうなのか、最も近い時点におけるその収支を簡単に御説明いただきたいんです。つまり、現行六百円の謄本、抄本が来年の一月一日より二百円アップして八百円になる、こういうことも伺っておりますし、そういうところに絡んでどういうふうにお考えになっているのか、それが一点。
 それと、もしも仮にこういうような、これがいわゆる独立採算といったような性格を帯びているところから、現在のようなバブル崩壊後のこういうことで、職員の給料の支払いにも支障が及んでくるというようなことなのか。そういうことがあるとすれば国民の経済取引にも、そういう謄本、抄本が二百円アップするというようなことで、国民の意識の中にもいろいろな影響が及ぶんじゃないかという両面からの懸念もあるわけですけれども、その辺の実態をお伺いしたいと思います。
○政府委員(清水湛君) まず、平成三年度の登記特別会計の当初予算でございますけれども、これは合計で千四百二十七億という数字でございまし
た。このうち、いわゆる登記関係手数料でございますが、登記印紙収入というのが約七百二十五億、それから一般会計からの繰り入れが六百五十五億、こういう構成になっていたわけでございます。
 ところが、御指摘のようにバブルの崩壊その他いろんな影響がございまして、登記関係手数料収入が当初予算で見込んだ額よりかなり落ちるのではないか、こういうことが確実になりました。登記印紙収入につきましては平成三年度全体で九十億程度の収入減になる見込みが出てまいったわけでございます。そこで、昨年の暮れの補正予算におきまして、登記印紙収入につきましては、当初予算七百二十五億から八十九億を差っ引きました六百三十五億という数字に歳入予算額を補正していただいた、こういう経過があるわけでございます。
 最終的に、平成三年度の手数料収入がどうなるかということにつきましては現在集計中でございまして、決算が終わっておりませんから、補正予算で補正したとおりの収入になるかどうか、あるいはそれを上回るか下回るかということにつきましては、まだ確たることを申し上げることはできません。少なくとも昨年の十二月の段階で年間を通して九十億程度のいわば当初予想よりか収入が少なくなる、こういうことが明らかにされたわけでございます。
 そこで問題は、第二の問題でございますけれども、そういう特別会計における特定財源と私どもが言っております登記印紙収入の収入が見込みよりも落ちるということになった場合、職員の給料等にどういう影響を与えるかということでございます。この収入の見込み違いというのは、私どもいろんなデータを使いまして推測をするわけでございますけれども、余りにも不動産をめぐる経済環境の変化というものが急激でありましたために読み切れなかったというところが一つの大きな原因がと思います。これからは、そういうことをしっかりと見通した形での予算というものを組まなければならないということには、当然のことながらなるわけでございます。
 ところで、いずれにいたしましても、登記特別会計の収入七百億前後、平成四年度予算では七百三億という歳入見込みを立てているわけでございますが、その中で乙号事務関係、つまり謄抄本作成等の事務の関係に従事している職員のための人件費、これは約七百億の三〇%弱、百九十億程度でございまして、この登記印紙収入の大部分は、コンピューター化経費とか、あるいは窓口の接遇改善経費だとか、性能のいいコピー機械の購入だとか、そういう形に使われているわけでございます。
 したがいまして、その特定財源、つまり登記印紙収入額の中で占める人件費の割合というようなことから考えますと、この収入が大幅に狂って職員の給与にも影響してくるというような事態は、これは私どもはちょっと考えにくいのではないか、考えられないのではないかというふうに思います。しかし、世の中どういうことが起こるかわかりませんが、いずれにいたしましても、職員の給与を支払うということは、これは最優先の課題でございますので、私どもとしてはそういうことは絶対ないと考えておりますけれども、その場合にはコンピューター化計画を引き延ばすとか、そういうような措置をとらざるを得ないことになろうかと思いますが、まずそういう事態には立ち至らないのではないかというふうに今のところ考えている次第でございます。
○中野鉄造君 最後に、老朽刑務所の整備計画についてお尋ねしたいんですが、府中、横浜、大阪、京都、神戸、ここらの刑務所が特に老朽化がひどいということをかねがね聞いております。これは放置しておけば行政上、治安上犬変な問題になるわけですけれども、具体的な整備計画がございましたらばお尋ねしたいと思います。
○政府委員(飛田清弘君) ただいま御質問にございました府中、横浜、大阪、京都、神戸、いわゆる五大行刑施設と申しておりますが、これらの五大行刑施設は、全国の行刑施設の収容定員の約一八%を収容する大規模施設でございます。
 これらはいずれも大正、昭和初期に建設された施設で、老朽化が御指摘のとおり著しいのでございまして、そういうことから昭和六十一年度から十カ年計画をもちまして、現在地において全面改築を実施しております。平成三年度末の状況で、ようやく完成率が四〇%ほどまで進んでおります。今後とも十カ年計画に従って引き続き整備を図っていきたい、こういうふうに考えております。
○中野鉄造君 現在地で。
○政府委員(飛田清弘君) 現在地で改築を現在進行中でございます。
○中野鉄造君 終わります。
○橋本敦君 東京佐川急便の関連会社、北東開発株式会社に関して質問をしたいと思います。
 まず、警察庁にお伺いしますが、この件について北東開発開運は、現在なお捜査を続行されていらっしゃるわけですか。
○説明員(上田正文君) 東京佐川急便の件につきましては、先般、警視庁が特別背任容疑で関係箇所に対する捜索をしました。そして現在もその事実関係におきましていろいろ詰めをしております。
○橋本敦君 その捜査の続行の中に北東開発関連も含めて今捜査中であると伺ってよろしいわけですね。
○説明員(上田正文君) おっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 この北東開発株式会社は、ゴルフ場の建設経営を目的として設立された会社、その設立は昭和六十一年二月十三日でありますが、その目的に基づいて手がけたゴルフ場というのは茨城県の谷田部カントリークラブただ一つである、この事実も間違いありませんね。
○説明員(上田正文君) 警視庁からの報告によりますと、北東開発が今委員のおっしゃった谷田部カントリークラブの造成をやっておりますけれども、私自身として、それ以外に他のゴルフ場の経営の、例えば開発の、あるいはそういうものの企画等をやっていたかどうかということにつきましては詳細は承知しておりません。
○橋本敦君 ほかにやっているとお聞きになっていないはずであります。ここだけなんですね。
 二月十三日に会社を設立して、二月二十一日にはもう地元の谷田部町、現在のつくば市に開発のための協議申請をしているわけであります。その後の経過をこの件について明らかにいたしますと、まず、この件の協議の申請が受理されましてから、県の方にこれがさらに進達をされまして、県の方でこれを受理いたしまして、結局平成二年六月二十日に県はこれを承認する。後は国土法に基づく開発許可申請を求めるという手続に移行すればよろしい、こういう段階にまで至っていたことが明白ですが、御存じですか。
○説明員(上田正文君) この北東開発の谷田部カントリークラブの開発の状況につきましては、警視庁で東京佐川急便から巨額の金がこの北東開発に流れております。その捜査の一環としていろいろ関心を持ってやっておりますけれども、具体的な詳細につきましては捜査の進行もございますので、ひとつ答弁は差し控えたいと思います。
○橋本敦君 現地で私どもが調査をしておりますから、その点は間違いないわけであります。現に私の手元に、つくば市が昭和六十三年三月二十四日付で「ゴルフ場に係る土地開発事業に関する協議申出書の進達について」という文書を茨城県知事あてに送っております。その文書が私の方に調査の結果手に入っておるわけであります。これによりますと、このゴルフ場の計画は総面積が約八十二万平米に及んでおります。そして、これについての資金計画を見ますと、用地費が四十億円、工事費が五十億円、その他十五億円、総計で百五億円という資金計画が市に出され、市はこれをそのまま進達しています。もう一つ問題として事業実績というのが書かれておりますが、当該開発を目的として設立された会社であることから
事業の実績はないというように北東開発について言っておりますから、ほかに実績はないということもこの市の公文書から明らかであります。
 ところで、県が昭和六十三年一月一日以後実施しております「ゴルフ場開発事業に関する指導基準」というのがございまして、これによりますと、開発事業を行うに当たっては次の要件が充足されねばならないとして、一つは、「資本金三千万円以上」の会社であること。この点は北東開発は設立商業登記によりますと、資本金三千万円でありますから、要件に合致しております。二番目に、「事業主の資力、信用、実績等から判断して、ゴルフ場開発事業が確実に施行される見込みがあると認められること」、こうなっております。
 ところが、この市の進達文書にあるように、北東開発は実績がございませんから、どういうことでそれでは市はこの北東開発が計画を確実に実施し得るものと進達をしたのかを調べてみますと、この進達文書の事業実現の確実性についてと記載されている部分にこう書いてあります。事業主体である北東開発は、当該ゴルフ場を目的として設立された会社であり、つまりこの谷田部のためにつくられた。過去の事業実績はないが、事業協力者である株式会社間組、あるいは協和銀行の全額出資会社である昭和リース株式会社など大手企業の支援を受ける体制が整っていると思われるというように県に進達をしているわけであります。そして、県はこれを受けて、先ほどお話ししたようにこれを承認するということになったわけであります。
 それでは、実際に間組が稲川会系への資金還流の資金調達会社ではないかと今言われておるこの北東開発にこのようにして信用力を付与するということでかかわったということが一つは問題になるわけでありますが、それと別に、この事業用地の買収に当たったのは、株式会社エヌテイ総業という会社が水戸にございまして、この会社が市に用地買収計画書なるものを出しております。これによりますと、このゴルフ場の申請会社は北東開発株式会社、代表取締役早乙女潤でありますが、オーナーは東京佐川急便だと、こうはっきり書いているわけであります。
 そしてもう一つ、この用地計画書に添付された事実経過を見ますと、昭和六十三年二月には北東開発、間組と打ち合わせ、問題点説明などをしてもらうという記載がございますから、間組が関与していたことは間違いないわけであります。
 それからもう一つ、人的な面で言いますと、間組の相談役をされていた黒木紀生という人がいるわけですが、この黒木紀生氏が北東開発の副社長、取締役という資格で名刺をつくってこの市及び県へのこうした開発申請に関連をして動いておられた事実を私たちはキャッチをしているわけであります。
 そこで調べてみますと、非常に奇怪なことがわかってまいりました。つまり、今お話ししたゴルフ場開発申請をやっておる北東開発株式会社は、代表取締役早乙女潤氏以下、本店は千代田区平河町一丁目六番十五号に置いている会社ですが、ここには黒木氏の名前は役員その他で出てまいりません。調べてみますと、同じ北東開発株式会社という会社がもう一つあるのであります。資本金一千万円、本店は茨城県つくば市であります。そして、その会社の商業登記謄本を挙げてみますと、代表取締役には黒木紀生氏が入っているわけであります。これは商業登記謄本ですから、間違いがございません。この会社の目的はゴルフ場の建設とゴルフ会員権の販売、こういうことが目的に入れられております。このゴルフ会員権の販売というのは、最初にお話しした北東開発株式会社にはない、ゴルフ場の経営だけてあります。だから、北東開発株式会社でゴルフ場をつくるが、会員権の販売は同じ北東開発という会社を茨城につくって、早乙女氏だけではなくて、株式会社間組の相談役である黒木氏も役員に入ってここでやるという、こういう構想で間組の積極的な協力ぶりがうかがわれるわけであります。間組に問い合わせてみますと、この黒木紀生氏は相談役であったことは間違いない。昨年の二月末日で会社を退社されたという回答を得ました。こういう関係で、間組の黒木氏が関与していたということ、このことが一つの信用力となって市も県も申請を認可したということ。
 こういう経過があるのは御存じですか。
○説明員(上田正文君) 先ほども申しましたように、警視庁では今委員御質問の件につきましてはいろいろ関心を持ってやっておりますけれども、何を知っておるか、あるいは何を知っていないか、そういうふうな具体的な事実関係につきましては、捜査の進行もございますので、答弁は差し控えたいと思います。
○橋本敦君 私が指摘したことは、私の調査に基づく間違いない事実、登記謄本もあるわけですから、この点も含めて調査については厳重に調査をすることをまず要求しておきますが、私の申し上げたことも視野に入れて検討されますか。
○説明員(上田正文君) 再三お答えをしておりますけれども、東京佐川急便から巨額の金が北東開発に流れておりますので、北東開発のいる一いろな運営等につきましても大きな関心を持って捜査を続行してまいりたいと思います。
○橋本敦君 ところで、このゴルフ場は一体現在どうなっているかと言いますと、全く開発の見込みもなく放置をされたままであります。肝心の北東開発株式会社は本店の平河町の所在地に訪ねてもありません。どこへ行ったかわかりません。現状は全く造成その他の工事がないまま、ないところか事前協議申請が終わってその後国土法に基づく開発許可の申請をすべきなのにこれもやられていない。
 それからもう一つ、今指摘をしたゴルフ会員権販売会社、黒木氏も役員に加入したこの北東開発という会社、これはどうなっているかといいますと、登記簿上明白でありますけれども、この会社は現在清算手続に入って清算中なのであります。そして、平成三年十一月十日、株式会社の決議により解散ということが登記され、清算の結了が平成四年一月二十八日、そして清算人には今お話しした黒木氏が清算人になっているのがこの登記であります。だから、つまりもうゴルフ場は全然あきらめて、会員権販売を目的とした会社もつぶしてしまっておるんです。
 そこで次の問題は、このゴルフ場開発を名目にして今おっしゃった多額の融資が行われたということが基本的に次に問題になるわけであります。どれくらいの融資が行われたか。
 今多額の融資とおっしゃいましたが、東京佐川急便の債務保証あるいは直接貸し付け等でこの北東開発に流れ込んだ金が総額にして数百億円。新聞の報道によりますと、ある新聞では債務保証が四百八十三億円、このほかに百数十億円の直接融資、こういう記載がおりますから、このとおりだといたしますと約六百億円に近い金が流れ込んだ。また、別の新聞によりますと五百七十二億円が流れ込んだと書かれていますから、総額は決めがたいにしろ多額の金がこの北東開発に流れ込んだという事実はこれは明白であります。今おっしゃった多額の金というのはこれぐらいの規模に匹敵する金ということで間違いないですね。
○説明員(上田正文君) 先般、二月十三日に警視庁がこの件で捜索を実施したときの容疑事実に載っておる額は約百十億円でございます。
○橋本敦君 それは、流れ込んだ金が百十億じゃなくて、特別背任として会社に損害を与えたと見られる容疑としての金が百十億円という意味でしょう。
○説明員(上田正文君) おっしゃるとおりでございます。
 先ほど御質問にありました総額幾らかという話につきましては、再々説明していますように、その全体的な金の流れにつきまして鋭意事実を解明中でございますので、具体的にはまだ申し上げるところにはないというところでございます。
○橋本敦君 いずれにしても、多額の金が流れ込んでいる。
 そこで、調べてみました。このゴルフ場開発の
用地買収に当たったのは、先ほどお話をしたエヌテイ総業という会社でございますが、このエヌテイ総業の責任者に会って事情をただしますと、これまで買収したのはごくわずかの土地で、借り入れの土地及び買収の土地、それを含めて全体約八十数万平米のうちの一〇%程度にすぎないというのであります。しかも、買い取った土地は、借り地が大部分で、そのうちの二%程度だという説明でありますが、総額どれくらいの金を資金として買収に使ったのかと聞きますと約二十億という答えが返ってきました。つまり、ゴルフ場名目で数百億円の金を流れ込ませておきながら、実際にこのゴルフ場のために使った金は二十億程度にすぎない。しかも、開発はもうこれ以上やる状況にない。だから、言ってみればまさにこの北東開発というのは、ゴルフ場造成を名目にして佐川関連グループの企業に金をどうやって還流させるかという、そういう構想の中からまさに資金調達会社としてつくられたという疑惑が濃厚なのであります。
 それじゃ、たった二十億しか使っていない。残りの五百億前後の巨大な金がどこへ行ったかということになりますと、新聞の報道でも出ておりましたが、まさにそれは稲川会・石井進元会長の関連する北洋産業には三百億近く、その他稲川会関連企業に総額締めて四百億を超す金が流れたというように言われているわけであります。しかし、それが全部ではない。したがって、一つはこの北東開発はそういった稲川会系暴力団に金を流すトンネル会社としてつくられたという疑いがあると同時に、流れた金はそれで全部じやありませんから、その他、流れ込んだ傘が政界も含め、あるいはその他の部分を含めてどこに流れていったかということは、佐川急便疑惑の巨大な疑惑の一つの象徴的な事案になる事件だと言わなければなりません。
 そういう意味で、この金の流れについては厳しく捜査をする必要がありますが、そういう立場で警察庁は現在捜査をされておるわけですか。
○説明員(上田正文君) 警視庁におきましてこの東京佐川急便事件につきましては鋭意捜査をしておりますけれども、先ほどおっしゃいましたように、北東開発は稲川会と関連があるというところから、この東京佐川急便からの資金の流れにつきましては事実の解明を真剣にやりたいというふうに考えています。
○橋本敦君 私は、この件についてつくば市及び県が安易に事前協議で承認を与え、開発許可申請をもう出してもいいというところまで承認したということについて、何の実績もない会社であるということだけでなくて、調査が極めてずさんであるし、間組の関係あるいは昭和リースの関係で信用力があったということも結局見事に裏切られているわけでありまして、こういったゴルフ場の開発申請を県及び市を通じて進めるということについても、佐川急便関連あるいは北東開発からいろいろな工作があったのではないかという疑いすら持っているわけであります。
 そこで、私は検察庁にもお尋ねをしたいのでありますが、これまで早乙女あるいは渡辺両氏につきまして二回にわたって商法上の特別背任で起訴をされたのでありますが、この北東開発についてはまだ起訴にはなっていない。しかし、今捜査中ということでありますが、私が指摘したように、これはもう明らかに北東開発は資金返済能力もないし、ゴルフ場開発の見込みもない会社に陥っておる。今言ったように、別の北東開発は解散までしているわけでありますから、ここへ流れ込んだ債務保証なり直接融資なり、返済の見込みのないことも明らかでありますし、そういう点では特別背任が成り立つ容疑というのは私は十分あり得る、こう思うわけですね。そういう点はこれから厳しく検察庁としても警察庁と連絡をして調べていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(濱邦久君) いわゆる佐川急便事件につきまして東京地方検察庁において捜査している関係につきましては、今委員お尋ねの中で触れられましたように、既に去る三月六日及び三月三十一日の二回にわたり東京佐川急便株式会社の元役員らを特別背任罪により東京地方裁判所に公判請求いたしました。そして、現在東京地方検察庁において捜査を継続しているところでございます。今、委員お尋ねの点をも含めまして、東京地検において現在どういうことを捜査しているかということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、いずれにいたしましても、検察当局におきましては、犯罪の事実があると思料いたします場合には適時適切な捜査を行い、厳正に事件の処理を行うものと考えております。
○橋本敦君 警察庁は、今私が指摘した北東開発関連も鋭意現在捜査中であるということをさっきおっしゃったわけですが、この問題について厳しく捜査をした上で、起訴するに値するかどうかは検察庁の判断を仰ぐことになりますが、検察庁にこの件については捜査の結果、きちっと送検をするという手続をとるということは間違いないですか。
○説明員(上田正文君) そのようになるというふうに思っております。
○橋本敦君 刑事局長にさらに捜査についてただしておきたいんですが、この北東開発が巨大な還流資金流入の窓口、資金調達会社としてつくられたという疑惑の経緯はお話ししたんですが、これが設立された六十一年、それから金が流れ込み始めますが、六十二年というのは国会で佐川急便グループの問題が大きく論議をされまして、運輸省も特別監査、あるいは労働省も労働基準法違反での是正勧告と、そういったことが大きく問題になってまいりまして、そのころから佐川急便の政界工作が本格化したとも言われている時期とも符合するわけであります。
 そこで、私は今言った巨大な金の還流ということについては稲川会系だけではなくてそういった佐川急便の政界工作にも還流された疑いがないとは言えない時期の問題であるということも指摘をして、先ほど刑事局長は犯罪があれば必ずそれは厳しく処断をするということでありますが、今私が指摘したこの時期の重要性から見て裏金の流れ、暴力団関係だけでなく政界工作も含めて厳しい捜査を遂げていくということについて御決意を承りたいと思うわけであります。
○政府委員(濱邦久君) 改めて申し上げるまでもございませんが、検察当局におきましては先ほどお答え申し上げましたように、犯罪事実があると思料いたします場合には適切な捜査を行い、厳正に事件の処理を行うものと考えているわけでございます。
○橋本敦君 時間が参りましたので終わります。
○萩野浩基君 今日、貿易立国としての日本というのは国際的な繁栄の中で二十一世紀のために新たな国際政治経済及び貿易の秩序構築といいますか、こういう面に積極的な役割というものが期待されております。特に、物、金の国際化と、そして次に人の国際化という問題が大きくクローズアップされております。
 ところで、通告しておきましたけれども、先ほど同僚の北村委員それから中野委員、御両氏から質問がありましたのでこの点については簡単にしたいと思いますが、先ほど来答弁があった財団法人入管協会、これに対する疑惑というのが非常にちまたに出ております。会長並びに専務理事、先ほど来名前は挙がっておりませんでしたが、会長は神谷健一氏、これは間違いございませんか。
○政府委員(高橋雅二君) 間違いございません。
○萩野浩基君 また、先ほど御答弁にもありましたが、理事は四十四名と、この企業を見てみますとそれぞれ大企業のトップクラス、そして専務理事という方は元東京入管局長飯塚五郎氏、こうなっておりますが、間違いございませんか。
○政府委員(高橋雅二君) 間違いございません。
○萩野浩基君 この入管協会の業務内容というのは、先ほど少し触れられておりましたが、九〇年にオープンしたインフォメーション・センターというものを法務省から委託事業としてやっておることと、それから主には月刊「国際人流」という
のを出しているんだと、このように聞いております。先ほどのお答えの中には、それに何か、研修でしたか、そういうようなのがあるというのを聞きましたけれども、これだけの理事を集めた意味は一体どこにあるのか。
 先ほど中野委員からの指摘にもありましたが、ちまたでは入管のOBの天下りのための財団ではないかというそしりが出るのは非常に残念なことであると思いますが、その辺について御答弁をお願いします。
○政府委員(高橋雅二君) この協会は入管の業務に資する事業を内容としておりまして、先ほど来の二委員の御質問にもお答えしたところでございますが、入管の業務は最近非常に質、量ともにふえておりまして、例えば東京入管に行ってももう申請に来る人がたくさんいて、なかなかどういうふうに書類を出していいかとか非常に混雑している状況でございます。また、電話をかけてもなかなか通じないとか、そういうことで非常に業務が錯綜しておりまして、そういうところでそういう業務を助けてくれるという一つのファンクションもございまして、先生の御指摘になった入管のOBの天下りのためのものじゃないかという御指摘はそういうことではないというふうに申し上げたいと思います。
○萩野浩基君 さきにも触れましたけれども、人の国際化問題、こういう問題を考えるとき避けられないのが今問題になっております不法就労外国人の問題でございます。違反者は二十五万人を超えたとも言われております。しかし、その摘発については約一割に満たない。また、これは外務省に関係するかと思いますが、一方、アジア、南米、また中東の諸国では、日本は低賃金で保障なしで働かせ、都合が悪くなると国外に追い払う怖い国だと、こういうことも言われております。これは私が考えるのに、望ましい日本の国際化というものを非常に冷やすことになると思う。
 そこで、出入国管理行政を所管する法務省入国管理局では今後どんな姿勢で臨んでいくべきと考えていらっしゃるか、法務犬目並びに諸関係の局に御答弁をお願いします。
○政府委員(高橋雅二君) 出入国・入国管理行政というのは日本と外国の接点でございます。したがいまして、私たちこれを運用するに当たって国際的な感覚を持って、日本が今国際的にどういう地位にあるのかという認識を十分に持って、そういう観点からこの出入国・入国管理行政というものを実施していかなきゃならない、そういうように考えております。
 具体的に申し上げますと、ただいま先生おっしゃったように、日本は今国際化の時代に入っておりまして、人の交流というものが非常に盛んになってきております。金や物だけじゃなく人の交流、それをスムーズに行う。そして、日本に来ていただく外国人が短期であれ長期であれ日本に来たことによって非常にいい印象を持って帰っていただく、こういう環境づくりといいますか、そういうものに資するというのが一つの入管の政策ではないかと思っております。
 他方、不法に残留し、不法に就労するということになりますと、これはとかく不法な場合には、本人の人権が害されるケースも多うございますし、また日本の経済、健全な社会の発達にとっても有害でございますので、こういうものはできるだけ除去し、減少させていかなければならない、こういうふうに考えております。
 入国管理行政の遂行に当たっては、こういう多面の観点から気を使って実施していかなければならない、こういうふうに考えております。
○国務大臣(田原隆君) ただいま入管局長からほとんどお答えしましたが、基本方針としましては、国際化にふさわしい管理をしたい。
 それで、大きく分けて、第一点としては、技術のある人、あるいは専門的な知識のある人等についてはどんどん吸収していく、受け入れる。ただし、技術・技能のない一般労働者と申しますか、こういう方たちは慎重に検討する。というのは、日本の社会経済に与える影響が余りにも大きいし、また日本の社会経済、世界の社会経済の変動に当たって一番影響を受けるときに、責任の持ち。ようがない人たちが多いというようなこと等もあって、そういう二つの方針で考えております。
○萩野浩基君 今も御答弁の中にありましたように、確かにこれは非常に大事な問題だろうと思います。政府は年一回、御案内の外国人労働者問題に関する閣僚懇談会というのをなさっていらっしゃいますが、これは十七省庁とそれから自民党の幹事長その他等々で構成され、またその下に局長クラスの連絡会議を持っておられるようであります。」
 聞くところによると、先ほどの答えの中にもちょっとありましたが、政府はいわゆる単純労働者の受け入れについて一貫して原則禁止の基本方針をとっておられると聞きますが、そうなんでございましょうか、一言で結構です。
○政府委員(高橋雅二君) いわゆる単純労働者については慎重に検討するということでございます。
○萩野浩基君 そこで、慎重に検討するというので、大体あらわれておるのは原則禁止ということになりますね。そうすると、治安が悪化すると見る警察庁、それから労働市場に悪影響が出ると見る労働省、それから産業構造の転換にマイナスになると見る通産省、これは大変無謀な分け方かもしれませんけれども、それぞれ立場が違っていろんな見方が出てくると思うんです。
 いずれにしても、政府の基本方針を受けて、現行入管法は単純労働に就労することを目的とする外国人の入国は認めないということを原則にしている。しかし、この現行法と現実の日本の社会の実態との間にある程度のギャップが起こってきているんじゃないか。この不法就労者を生む最大の原因というのは、この辺にあるのではないかと私は思います。人の国際化を考えるにおいて、抜本的にこの現行の入管法をある程度検討するときにきているのではないか、このように考えておりますが、いかがですか。関係当局それから大臣の御答弁がいただければ結構です。
○政府委員(高橋雅二君) 入管法につきましては、平成元年に改正いたしまして、外国人の在留資格について拡充整備するということ、それから上陸審査基準を明確にしていく、透明性を与える、それから入国審査手続を簡易にして迅速化する、それから不法就労外風人にかかわる雇用主に対する罰則を設けるとか、そういうことで新しい時代に対応した法制の整備を行ったわけでございます。
 そして、これが実施されておるところでございますが、今の時点におきまして、これをさらに改正する必要があるというふうには考えておりませんが、改正後の実施状況は、現状に合わせてよく注意深く検討、注視していきたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(田原隆君) 先ほど私もちょっと社会経済の変化と申しましたけれども、単純労働者の方がお入りになると、諸外国の例を見ましても、労働市場が二層化していくとか、あるいは景気後退時において失業の発生がそっちに集中していくとか、あるいは産業構造、産業分野の中で問題が起こるとか、いろいろやはり社会的、経済的に結局問題の種をばらまいていくということでありますから、どんと受け入れるという姿勢にはなかなかなりにくいので慎重に検討すると、こう申し上げたわけです。
○萩野浩基君 ただいまの御答弁にありましたとおりに、非常に重要な問題だとは思いますが、この前の改正でもってよくなったかどうかというのもいろんな面からまた疑問も出ておると、そういうところを私は指摘しておきたかったわけで、続けてひとつこういう、特に単純労働者の就労に関する件については、今後も研究をしていただきたいと思います。
 次に、外国人の犯罪についてお尋ねいたしたいと思います。
 ここにきて一層の国際交流というのが進み、企業の多国籍化といいますか、そういうものが起こ
るし、また国内企業の労働者不足とともに、日本社会もいや応なしに国際化の波に洗われております。日本に来る外国人の犯罪というものが増加しております。
 そこで、これらの外国人犯罪の最近の罪質、特徴、及びそう古くなくてもいいですから、ここ何年かのそれぞれの事件とその増加率というのはどうなっているか、それからまた、かかる事件にどのような対応を講じ、捜査または公判のための経費としてどのくらい予算計上されているか、この辺をお答えいただけたらと思います。
○説明員(小田村初男君) 平成三年中におきます来日外国人による刑法犯の検挙状況について申し上げますと、件数にいたしまして六千九百九十件、前の年に比べまして二千九百二十六件、七二・〇%の増加ということでございます。人員にいたしまして四千八百十三名、前年に比べて千八百三十五名、六一・六%の増加ということでございまして、過去最高を記録したというところでございます。
 罪種別の状況でございますが、窃盗犯が最も多くなっておりまして四千五百六件、二千四百九十三名の検挙となっております。殺人、強盗等の凶悪犯罪も多発しておりまして、百二十六件、百二十六名、前年に比べますと、件数で六三%、人員で一四%の増加となっております。
 その他の特徴的な傾向といたしましては、凶悪犯罪の多発のほかに、アジア地域からの来日外国人が全検挙人員の八一%を占めているということ。それから、偽造トラベラーズチェックやクレジットカード使用詐欺事件あるいはチェンジチェンジ盛の窃盗事件、集団暴力すり事件等、国際的な職業犯罪者グループによる犯罪が多発していること、こういうような特徴が挙げられます。
 また、その犯罪捜査の対策経費ということでございますが、外国人犯罪捜査の経費のみを抽出して把握するということは非常に困難でありますけれども、警察庁といたしましては犯罪の国際化に対する捜査体制の確立、国際刑事警察機構、いわゆるICPOと呼ばれるものでございますが、これの活用と外国機関との協力関係の強化を図る等外国人犯罪の増加に有効に対応するための必要な予算措置を講じていきたいと考えているところでございます。
○萩野浩基君 今の対応の方、どのように対応するかという点についてはどうですか。
○政府委員(濱邦久君) 検察庁の関係で、検察庁の外国人犯罪の受理・処理から見た傾向は、もう今警察庁の方から統計的なお話ございましたので省略させていただきますが、外国人犯罪に関する過去四、五年の法務省関係の予算額の推移というようなものについて若干御説明申し上げたいと思います。
 今、委員お尋ねの外国人犯罪に関する予算という形では予算上のそういう区分がございませんので、適切なお答えはできないわけでございますが、一つのメルクマールとして検察庁における外国人の取り調べ等の通訳に関する予算の推移を見てみますると、例えば昭和六十三年あるいは平成元年あたりが外国人通訳関係経費が一千百万円ぐらいであったものが平成三年では二千四百万円、それから今年度予算案では四千四百万円を計上しているというような推移になっておりますので、おおよそのところをおつかみいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 裁判所の方でつかんでおる数字を申し上げますと、外国人でも日本語が自由に話せる者は別といたしまして、通翻訳人のついた外国人の事件ということでこの五年間の数字を眺めますと、非常にふえてきておりまして、地方裁判所における昭和六十一年の有罪人員総数三百九十八人でございましたが、平成元年から急激に増加しております。平成二年には千五十五人ということで、約二・六五倍となっておりまして、平成三年にも同様の傾向を示しておるわけでございます。
 それから、罪名の関係ではやはり出入国管理及び難民認定法違反、これが一番多いわけでございますが、その他目立つもめとしては窃盗、強盗それから覚せい剤関係、売春防止法違反、それらが非常に目立ってふえてきておることでございます。
○萩野浩基君 時間もあれなんで、最後に今のとも少し関係しますけれども、英語による日本の刑事裁判の仕組みビデオ、こういうことについてお尋ねしてみたいのですが、外国人犯罪がふえている中、最高裁判所は今年度日本語を話さない外国人被告人と法廷で通訳する人を対象に、英語による日本の刑事裁判の仕組みを理解するビデオを作成し、全国地・高裁に置く方針である、そのように聞いております。
 つまり、公判に先立って上映しまして、裁判手続や、また言葉の違いによる被告の不安を取り除き、通訳にも裁判の流れや専門用語を視覚的に理解してもらうのをねらいとすることであろうと思います。しかも、中国語や、また韓国それから朝鮮語、タイ語などの各国語版も順次制作する計画だと聞いておりますが、そこで、この計画の具体的な内容とその所要経費についてどのようになっておりますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 御指摘のビデオの制作につきましては、現在そのための予算といたしまして七百十六万円余りを計上いたし御審議願っているところでございますが、この予算がとれましたらば、まずは英語のナレーションのものを作成し、順次、今、委員御指摘のように各国語に広げてまいろうと。これは基本的な公判手続の進め方につきまして、模擬法廷で公判の進行に従って順次手続を映しながら、それを母国語のナレーションで説明してまいるというものでございます。
○萩野浩基君 もう時間が来ましたので終わりにいたしますが、最後に、人の国際化問題というのが非常に大事でありますので、この点に特に留意して行政を行っていただきたい、そのように願って質問を終わります。
○紀平悌子君 既に御答弁の中にもございますので申すまでもございませんけれども、現在我が国における経済及び産業の発展はバブル経済崩壊と言われる今日もなお高いレベルにございます。それに伴う人的、物的交流も一層活発なものになっています。そして、今は入管行政と直接の関連を持つ外国人労働者導入の可否を中心とする外国人問題が内政、外交上の緊急重大な課題になっていると思います。それにつきまして、きょうは法務省一本でお伺いいたしたいと思っておりますのでお願いいたします。
 まず、出入国管理上の問題点についてお聞きいたしますけれども、平成三年度の出入国者総数と、その中の観光目的での入国者数の前年度比較とその増加率を御説明いただきたいと思います。また、今年度法務省の予算のうちの出入国及び在留管理業務の充実に必要な経費として十八億六千三百万円、また九十七人の定員増を計上されておられるようですが、今後の出入国管理業務に必要な配置定員の増員計画の展望について、これは簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(高橋雅二君) 平成三年の外国人の出入国者数について申し上げますが、現在集計中でございますので、概数だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 平成三年の入国者総数は約三百八十五万五千人でございまして、うち新規入国者数は約三百二十三万七千人でございます。お尋ねの観光目的を含む短期滞在者の数でございますが、以上の新規入国者のうち観光目的を含む短期滞在の目的で入国した者の数は約二百九十七万九千人でございます。それから、前年との比較でございますが、平成三年の入国者総数は平成二年の入国者総数三百五十万四千四百七十人と比べまして約三十五万、一〇%の増ということになっております。
 それから、今後の出入国管理業務及び増員といいますか、その体制整備に関する展望についての御質問でございますが、最近は不法就労の外国人問題が国民の関心事となっているほかに、平成四年の秋には成田空港の第二旅客ターミナルビルの
使用開始が予定されております。それからまた、平成六年の夏ごろには関西国際空港の開港が予定されているということからかんがみまして、これらの課題に対応するため関係省庁の御理解と御協力を得まして、施設の整備、要員の確保等所要の体制整備を図るための努力を今後とも引き続きしてまいりたいというふうに考えております。
○紀平悌子君 アメリカやイギリスや、あるいはドイツ等の諸国で活用されて、採用されております総合管理システムについて今おっしゃっていただきましたわけですけれども、具体的にはどういう機能を持ちますでしょうか、そして、どういう合理的な機能を特徴としておりますでしょうか。ことしからの予算措置についても触れていただきたいと思います。
 また、これと関連しまして、刑事情報などの機械化集中管理運営経費というものは、四年度の予算が二十億八百五十五万円計上されておるようですが、これはどのような内容のシステムがつくられるんでしょうか。
○政府委員(高橋雅二君) 現在、電算機による出入国審査を行っておりますが、これは要注意外国人のみを対象としておりまして一般的な人を対象としているものではございませんが、平成五年の一月に導入される出入国審査総合管理システムと申しますのは、いわゆるパスポートの自動読み取り機械を整備いたしまして、機械読み取り旅券、これはMRPと申しますが、これのチェック体制の充実を図るということにしておりまして、盗難旅券とかあるいは失効した日本人の旅券の情報のチェックとか、それから要注意外国人、これは既に一度国外退去を強制されたような人の情報でございますが、そういう審査のチェックの迅速化が一瞬にして可能になるということになりまして、日本人を含めて出入国の審査業務の省力化とそれから迅速化に役立つというふうに考えております。日本の旅券のMRP化はことしの十一月から予算措置が認められれば実施されるというふうに承知しております。
○政府委員(永井紀昭君) ただいま刑事情報などの機械化集中管理運営にかかわる経費の話が出ましたのでお答え申し上げます。
 委員お話しされましたように、刑事情報等の機械化経費は約二十億円が計上されております。これは大きく分けまして二つございまして、一つは、本省のホストコンピューターを中心といたします電子計算機による情報管理の問題と、それからもう一つは、各ファクシミリによりまして検察庁と矯正施設を中心といたしまして行政文書等の通信ネットワークの運営管理という、そういう二つの問題がございます。電子計算機によります情報管理につきましては四つございまして、一つは、犯歴票を集中管理いたしまして、各検察庁の間で犯歴に関する情報交換を行うというシステムがございます。それから、日本人及び外国人の出入国のデータを集中管理する。それから、外国人登録を行っている者を記録する、こういうシステムがございます。それからもう一つは、これは職員の給与計算を集中管理するという、こういったような本省におきますホストコンピューターを中心といたしましてそれぞれいろいろな電算機処理をやっているという、そういう運営管理の経費でございます。
○紀平悌子君 御丁寧にありがとうございました。
 次に、外国人労働者の問題ですけれども、観光ビザで入国してホステスあるいは作業員等の単純労働に従事する不法労働者は十万とか十五万とか言われておりますけれども、正確な数をもしつかんでおられたら教えていただきたいということと、そういった不法就労状態の解決策は総合的にどんなふうに考えていらっしゃいますか。
 実は、平成三年三月七日だったと思いますけれども、当法務委員会において政府委員の股野政府委員、時の入管局長でいらっしゃいますけれども、新法審議の折のさまざまな論議を踏まえて出入国管理基本計画、そして並行して出入国管理政策懇談会をつくって鋭意やっていくという御説明をいただきましたけれども、実はその折に、そういった計画策定というのが同年の、同年というのは平成三年の秋口をめどにというふうなお答えがございました。ただいま一年余を経ておりますのですけれども、どこまでいっておりますでしょうか。
○政府委員(高橋雅二君) まず、御質問の観光ビザで入国し、不法就労している者の数でございますが、いわゆる観光目的を含む短期滞在の目的で入国後不法に残留している者の数は、電算機による推計では平成三年五月一日現在十二万八千九百十四人でございまして、そのうちほとんどの者は不法に就労していると思われます。なお、観光ビザのみならず、ほかのビザを持って入国し、不法に残留している者の数全部を入れますと、これは同じく平成三年五月一日現在で十五万九千八百二十八人、約十六万人いるというふうに推定しております。
 このような不法残留者、不法就労者に対してどういうような対策を講ずるのかというのが第二番目の御質問がと思いますが、これは先ほど別の委員からの御質問のときにお答えいたしましたが、不法残留、不法就労というのは、我が国の健全な経済社会体制の発展に害となるものでございますし、御本人にとってもこれは人権の侵害とかということで望ましくないということでございますので、法務省入管局といたしましてはこういう不法残留等入管法違反者につきましてはその定着化を防止しつつ、その減少を図っていくという基本的な方針のもとにいろいろ努力しているところでございます。
 まず、具体的に申しますと、一つは水際において、入る前に入国審査を厳格に行って、不法就労を目的。として入国する人を阻止する。それから、在留審査をきっちりやって、中に一たん入ってもそういう不法就労しているようなケースがあればこれは在留の更新を認めない、あるいは集中摘発努力期間を設けるなど摘発活動を行う。また、これは法務省だけでは手に余る問題もございますので、関係省庁と定期協議会の設置等、関係機関と連絡を密にして対策をとっているところでございます。
 それから、出入国管理基本計画についてでございますが、これは先生、今御指摘のとおり、平成二年の六月一日の改正入管法施行後の変化を含む最近の状況把握を行うということと、出入国管理政策懇談会において有識者ら各般の意見を聞きまして、さらに平成三年、昨年の十二月に行革審の第二次答申がございましたので、その内容も踏まえまして、今、当省原案を作成し、現在関係各省と協議を行っている段階でございます。若干昨年の前入管局長が申し上げましたときに比べまして時期がおくれているのは遺憾でございますが、近々策定し公表する予定でございます。
 なお、この計画に盛り込まれる事項といたしましては、我が国に入国・在留する外国人の状況、これには入国在留者の数とか内容等の推移、特徴などが含まれます。それから二番目に、外国人の入国・在留の管理の指針でございますが、対応方針とか検討すべき施策など、それからその他入国・在留の管理に関する施策について必要な事項等について記載する予定でございます。
○紀平悌子君 大変今も御努力をされておりますということは信じておりますし、また、これからも格段の御努力を計画に基づいておやりになるということなのでございますが、何せ不法残留のほとんどの方がと言っていいんでしょうか、やはり就労ということを目的にというか、あるいは食べていけないということでどうしても不法就労に走るということが今後もございます。アジア諸国との経済格差などを考えますと、そういう傾向はまだまだ進んでくるんだろうと思われます。また、日本の若年労働者の慢性的な不足というか、そういうものも原因していると思いますけれども、現状につきましてはやはり法治国家である以上、こうした入管法の趣旨そのものに反するような状況は解消していかなければならないと私もしきりに思うわけです。
 まず、入管局でいろいろ大変でいらっしゃると思うんですが、入国警備官という調査摘発のための機関があるというふうに承っておりますけれども、これは十分に機能しておりますのでしょうか。人員配置の状況とここ三年間ぐらいの摘発件数というか、件数だけ伺ってもわからないと思うんですが、一応お聞かせいただけますでしょうか。
○政府委員(高橋雅二君) 入国警備官の人員の配置につきましては、不法就労等入管法違反事件の多い地域、特に東京、大阪及び名古屋地域に重点的に配置しておりまして、違反事件の処理に対応し得るよう配慮しているところでございます。
 なお、地方入国管理官署の入国警備官の定員は五百八十五名でございまして、今御審議いただいております平成四年度予算案においては、さらに十一名の増員を図り五百九十六名とさせていただきたいというふうに考えております。
 また、不法就労等の摘発件数、過去三年間について申し上げますと、昭和六十三年に当局が退去強制手続をとった入管法違反者は一万七千八百五十四名でございまして、平成元年は二万二千六百二十六人、平成二年は三万六千二百六十四人でございます。また、平成三年の一月から六月までの統計がございますが、これは一万三千六百人、こういうことになっております。
○紀平悌子君 ウナギ登りのようでございますが、お間に合いになるのでございましょうか。
○政府委員(高橋雅二君) 間に合うか間に合わないかということでございますけれども、これは入国警備官だ付ではなくてほかの、例えば警察とかいろいろ協力してやっておりますので、これは幾らでもというわけにいきませんので、今この状況で事態に対処しているというところでございます。
○紀平悌子君 平成元年の第百十六回国会で改正入管法を成立させた時点、元年十二月七日の当法務委員会で後藤正夫法務大臣は、「政府部内と十分な連絡を保ちながら、多様な角度からこれを検討していく必要がある」と、そういうふうに私の質問に対して御答弁いただきました。いわゆる不法就労対策のための労働省、警察庁との定期協議会の設置、ことしの二月の初句の報道で伺いましたが、そのこともその延長線上にある施策だったと思いますけれども、その協議会が現在どのような活動でどのような動きをしていらっしゃいますか。
○政府委員(高橋雅二君) 今御指摘になりましたように、本年の二月六日、本省局長クラスの不法就労外国人対策等関係局長連絡会議というものを設けまして、また本省課長クラスの不法就労外国人対策等協議会というものを法務省、労働省及び警察庁というこの三省庁で設立いたしまして、お互いに情報や意見の交換をしながら有効な対策を協議して練っているというところでございます。また、地方のレベルにおきましても関係省庁間で情報交換等行うということが今行われつつあるところでございます。今先生おっしゃったように、これは昨年来の懸案を実施しているということでございます。
○紀平悌子君 国内では労働省を中心に、外国人の秩序立った流入を是認する方向での論議がされているように思われます。また現在、先ほどお触れになりました第三次行革審の技能実習制度による実質的な外国人労働力の受け入れというのが一つの方向性で示されております。
 しかし、一方現在、バブル経済の破綻による不況というか、これがどこまで続くかという、今政府も御努力中でいらっしゃいますけれども、これが始まっておりますという状況でございます、むしろ、ことしから来年にかけて大手、中小も在庫調整というようなこともあり、労働力の余剰部分というか、それに対しては減らしていくというか、いわゆる締めづけというか、そういうふうな状況の中で国内の労働力が、あるいは充足という言葉は当たりませんけれども、人手が余ってくるというような状況もあるかもしれません。私は、経済の専門家でも何でもないのでこんなことを言ってはどうかと思いますけれども、このような状況が二、三年は推移するのではないかという観測がございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドで、いわゆる単純労働者問題すべてを含む労働者の移動の自由という附属文書がございますけれども、今後の外国人問題にどう反映してくるのか、どのような影響がくるのか、見通しというか法務省としてのお考え、そして大臣のこれに対するお考えを続けて聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(高橋雅二君) 単純労働者問題を含む労働者の移動の自由という問題は、ガットのウルグアイ・ラウンドでも大きなアイテムとなって議論されているところでございます。
 このガット・ウルグアイ・ラウンドのサービス貿易交渉におけるサービス提供に伴う人の移動に関する附属文書におきましては、いわゆる単純労働者を含むすべての種類の外国人労働者の受け入れについてこれを二国間交渉の対象にするということが盛り込まれているところというふうに承知しておりますが、しかしこの附属文書により各国がいわゆる単純労働者を受け入れる義務を負うということにはなっていないというふうに承知しております。
 ガットのウルグアイ・ラウンドのサービス貿易交渉におけるサービス提供に伴う人の移動の問題につきましては、先ほど来議論ございましたように、我が国の経済構造、あるいは経済の見通し等、いろいろ我が国の基本的な社会のあり方と非常に大きく関連していますので、外国人労働者の受け入れに関する政府の基本的方針のもとに引き続きこのガット・ウルグアイ・ラウンドにも対応していきたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(田原隆君) ただいま入管局長のお答えでほとんどでございますが、ガット・ウルグアイ・ラウンドの経緯を見ますと、先進国側から見ると技術・技能のある人はお入りくださいと、しかし途上国側から見るとすべて入れてくださいということでそこに食い違いがあったのですが、現状では全部対象にするが二国間で協議しなさい、義務ではないと今入管局長言ったように、そういうことに今なっておるわけでございます。
 我が国としては、先ほど私がお答えしましたように、専門的技術等を有する外国人労働者は可能な限り幅広く受け入れるが、いわゆる単純労働者の受け入れについては多様な角度から慎重に検討すると。その多様な角度というのは、先ほど先生もおっしゃっていましたけれども、景気後退期の問題とかいろいろこれから今まで経験しなかったことが起こるかもしれませんし、そういうことを念頭に置きながら慎重に検討しなければいかぬ、こういうことでございます。
○紀平悌子君 終わります。
○委員長(鶴岡洋君) 以上をもちまして、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
    午後三時三十分散会
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