第123回国会 外務委員会 第1号
平成四年二月二十七日(木曜日)
   午後一時一分開会
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  委員氏名
    委員長         大鷹 淑子君
    理 事         成瀬 守重君
    理 事         山岡 賢次君
    理 事         松前 達郎君
    理 事         高井 和伸君
                岡部 三郎君
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                鳩山威一郎君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                矢田部 理君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
                小山 一平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大鷹 淑子君
    理 事
                成瀬 守重君
                山岡 賢次君
                松前 達郎君
                高井 和伸君
    委 員
                岡部 三郎君
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       外務大臣官房領
       事移住部長    荒  義尚君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省中南米局
       長        寺田 輝介君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済局長  小倉 和夫君
       外務省経済協力
       局長       川上 隆朗君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       環境庁企画調整
       局地球環境部企
       画課長      濱中 裕徳君
       大蔵省国際金融
       局開発政策課長  溝口善兵衛君
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  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○国際情勢等に関する調査
 (日中関係に関する件)
 (北方領土問題に関する件)
 (カンボジア和平問題に関する件)
 (ドミニカ移住問題に関する件)
 (地球環境問題に関する件)
 (国連平和維持活動(PKO)問題に関する件
 )
 (朝鮮併合問題に関する件)
 (旧ソ連の兵器管理問題に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大鷹淑子君) 国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○宮澤弘君 私は、当面の幾つかの問題について伺いたいと思います。
 まず大臣に所見を承りたいのですが、数日前の予算委員会でありましたか、天皇陛下の訪中問題について、マスコミの伝えるところによりますと、大臣は前向きに検討するという意味の発言をされたというふうに聞いております。無論、日中友好の機運をあらゆる機会に高めていくということが必要であることは申し上げるまでもございませんけれども、我が党の中にも陛下の訪中が政治的に利用される危険がありはしないかと危惧の念を持つ議論もございます。
 確かに、天皇訪中の問題はそのような何といいますか、微妙な、デリケートな側面を持っていることも事実だと思いますが、その点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 天皇陛下の訪中問題というのは、中国側からたびたび御要請がございます。それはたまたまことしが日中国交正常化二十周年に当たり、日中戦争が始まって約五十年になるわけでございますが、そういうようなことで一つの区切りとして過去の問題を一切もうここできれいにして、そして日中関係の一層の前に向かった躍進といいますか、展開をしていきたいと。こういうものはどこかで区切りというものが必要なので、ことしは二十周年になっていろいろな催し物もございます、そういうようなことで十一億の民を挙げて大歓迎をいたしますし、失礼にわたるようなことは絶対にあり得ない、ぜひともお願いをしたいということで、数回それぞれ中山大臣や海部大臣に、あるいは中国からおいでになった方々がその都度日本でおっしゃっておるわけであります。
 検討しますということでございますが、二十周年ということでありますと年内ということになりますから、ただ検討します検討しますというようなことだけじゃ済まないのかなと、真剣に検討をいたしますというお答えをしたのでございます。目下真剣に検討中である、こう申して差し支えないと存じます。
○宮澤弘君 いろいろな意見もございますから、慎重に御検討をお願いいたしたいと思います。
 次に、北方領土関係のことについて二、三伺いたいと思います。
 この北方領土の返還の問題は一時よりは大変いいムードだと思いますけれども、しかし楽観は許されないことは申し上げるまでもございません。
そこで、現在事務的にいろいろな問題を折衝しておいでになると思うのですが、現在どういう問題をロシアとの間で折衝しておいでになるのか、事務当局からお答えを願います。
○政府委員(兵藤長雄君) まず平和条約締結作業そのものでございますが、渡辺外務大臣が一月末のモスクワ訪問の際に、コズイレフ・ロシア連邦外務大臣との間で平和条約締結作業をロシア連邦外務省と当方とで行うということが確認をされ、その下に日ロ平和条約作業グループを設置する、その第一回目を二月の十日に始めるという合意がなされました。それに基づきまして二月十日、外務省からは斉藤外務審議官がモスクワに出向きまして、ロシア連邦外務省のクナーゼ外務次官との間で第一回の日ロ平和条約作業部会を開いたわけでございます。
 二日間にわたりまして十一日まで及んだわけでございますが、今回の平和条約作業グループの主たる任務は、過去日ソ平和条約作業グループというものがございましたが、これが八回会議を開きまして、その間に北方領土問題の歴史的な側面、法的な側面をかなり深く掘り下げてあらゆる角度から議論をした。そこで、日ソの双方の主張、対立点、見解を同じくする点が出てきたわけでございますが、今回日ロ平和条約作業部会のロシア側の出席者は日ソとは違ったメンバーでございましたので、この八回にわたりました議論を総括をいたして、こういう総括、今までの議論を出発点としていいかどうかという確認を行いました。ほぼ今までの成果の確認はなされたというふうに考えております。これが大きな目的でございました。
 そのほかに、これはゴルバチョフ大統領が参りましたときに共同声明の中で合意いたしました四島無査証交流の話がございます。これは別途事務的に今できるだけ早く開始にこぎつけたいということで交渉いたしておるところでございます。
○宮澤弘君 概括的な質問をしますので概括的なお答えで結構ですが、事務的な折衝を今までやっておられて大体スムーズに進んいると、こういう印象をお持ちですか、そうでありませんか。簡単にお答えを願います。
○政府委員(兵藤長雄君) 今までのところ事務的な折衝は大変スムーズに進んでいると御報告申し上げてよろしいかと思います。新しい見解が出たということはございませんが、全体としてスムーズに進んでいると思います。
○宮澤弘君 そうしますと、これからも事務的には大体スムーズに進むであろうというふうに考えてよろしいですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 何をもってスムーズに進むと言えるかという点はございますけれども、事務的にはかなりお互いの対話というものは進んでまいりましたので、事務的な作業の流れは今までどおりスムーズに運べることを期待いたしたいと思います。
○宮澤弘君 大臣に伺いますが、九月にエリツィン大統領が来日をされるという予定になっておりますね。その際にこの領土問題というものが決着をするという見込みをお持ちでしょうか。
 そう申し上げれば、相手があることだからわからぬよとおっしゃるかもしれませんけれども、少なくとも決着をさせるという気迫でこれに臨まれる。いかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) もちろん外務大臣といたしましてはぜひとも決着させたいという情熱を持って積極的に今後交渉に当たっていく決意でございます。
 これは相手があることでございますから相手の国内事情その他ございましょう。ございましょうが、ゴルバチョフ大統領が去年日本に来たときは、一九五六年の共同宣言の確認というものはついに行われずじまいでありました。ただ、未解決の北方四島問題があるというところが出てきたわけです。それ以前はもう領土問題は決着済みということであったが、未解決で残っている。しかし、共同宣言を確認するというところまでいかなかった。ところが、最近のいろいろなロシアの政府高官の言動を見ておれば、マスコミ等でもそうでございますが、この共同宣言は終わってしまったとかチャンスを失ったとかそういうことは言えないというようなことが言われておりますし、また法と正義に従って四島問題というものは解決しようじゃないかということを新政権は新しく言い出したわけであります。
 我々は、法と正義、その言葉どおりの立場でやっていただくならば大歓迎でございまして、つまりそれは過去の長い間、帝政ロシア時代以来、日露、日ソの間にはいろいろな条約が結ばれておりましたし、そのいきさつを見れば、古文書を取り出して表に出せばおのずから明らかになってくることでありますから、そういうものをよりどころにして正義の立場において話を進めていただくということを我々は考えておるわけであります。
○宮澤弘君 北方領土問題に関連をいたしまして北方領土周辺の韓国漁業の操業について伺いたいのですが、きのうの衆議院の外務委員会で兵藤局長は、その事実を確認されたと。新聞の伝えるところによりますと、そういう事実があったということを確認されて、それから外務大臣はこの問題は決して四島問題の解決によい結果にはならないということで遺憾の意を表明された、こういうふうに伝えておりますけれども、この問題は遺憾の意を表明するだけで終わりですか。それとも関係国に善処するように申し入れをするなり具体的な措置をこれからなさるのでしょうか。それを伺いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは韓国に対しましてはかねてより、北方四島は我が国固有の領土であって、紛争地域になっておることも事実でございますから、したがって友好関係にある韓国は、北方四島における韓ソあるいは韓ロの間でいろいろな共同事業を行うとか、そういうようなことは差し控えていただきたいということをかねてお願いをしておったわけであります。それに対して向こう側から別に反論があったわけではありません。了承しておったものと我々は考えておるわけであります。ところが、新聞報道にあるような韓ソの間での漁業協定が結ばれたということはまことに遺憾であると思います。したがって、これについては近いうちに正式にハイレベルできちんとその取り消し、撤回を申し込みたい、かように考えております。
 失礼しました。取り消し、撤回と言いましたが、ちょっと言葉がきつ過ぎました。善後策をひとつ申し入れたいと考えております。
○宮澤弘君 今、答弁の言い直しをされましたが、どうぞひとつ適切に解決できるように御尽力をいただきたいと思います。
 それから同じような領有の問題ですが、本日の新聞によりますと、中国が領海法を出しまして、日本がかねて領有権を主張しておりました尖閣諸島がその領海の中に含まれているというふうに伝えられております。この問題は、日中国交回復のときにいわば両国が領有権を主張して、何といいますか、引き続き協議というのでございますか、そういうことになっていたはずの問題でありますが、にわかに中国がこの領海法の中でそういう主張をした。そこで、新聞によりますと、日本大使館は口頭で抗議をしたというふうに出ておりますが、この問題についてどうお考えでございましょうか。それからまた、今後この問題についてどういう態度でお臨みになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういうような意図で尖閣列島のみならず南の方の多くの島も含めて中国が一方的に領有権を法律で定めるというような挙に出たのかよく真意がわかりません。わかりませんが、尖閣列島に関する限り、これは我が国固有の領土であることは歴史的にもまた国際法上からも疑いのないところであります。今までも我が国がこれを有効的に支配をしてまいりました。また、支配をしておるところでございます。
 したがいまして、早速二十六日、在中大使館を通じて今申し上げました趣旨にのっとり日本の立場をお伝えをいたしますとともに、まことに遺憾であるので是正を求める旨正式に抗議を行ったところであります。また、本日二十七日午前に小和
田外務次官が楊振亜在京中国大使に対して同様の抗議を行ったところであります。
○宮澤弘君 こういう問題、いろいろ事実の積み重ねが既成事実のようになる危険性がありますので、どうかその辺も十分御留意をいただいておきたいと思います。
 次に、カンボジアの和平の問題について二、三承りたいと思います。
 カンボジアの国連平和維持活動計画が具体化してまいりまして、その開始は目前のように思われます。まず事務当局に承りたいのですが、最近も国連事務総長がカンボジアのPKO活動の計画案といいますか、それを安保理事会に提出したというふうに伝えられております。そこで、カンボジアのPKO活動はどのくらいの規模で行われるように今計画をされているか、人数と予算ですね。細かいことは要りませんから概略を簡潔にひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 先生おっしゃいますとおり、二月の二十日になりますが、事務総長がカンボジアのPKO、UNTACと呼ばれておりますけれども、この計画書を安保理に提出いたしております。安保理は恐らく明日あるいは遅くとも来週の初めにはこれを承認するという決定を下すと思います。それによってUNTACが正式に成立するということになります。
 この事務総長の報告によりますと、先生の今御質問の点だけに絞って申しますと、まず人数につきましては二万人を上回る。内容的には、軍事要員が約一万六千人、それから文民警察を含みますところの行政監視要員が四千四百人、それから選挙要員が千四百人ということになっております。期間につきましては、恐らく安保理の決定の中に出てくる数字は一年半ぐらいをめどにこの活動を行うということになろうかと思います。
 経費につきましては、これは安保理が決定することでございませんで総会が決定するところですが、総合的に幾らの経費になるかはまだ決定が見られておりません。しかし、報道等によりますと約二十億ドル前後と言われております。ただ、UNTACが当初活動する立ち上がりの経費につきましては二億ドルが必要である。これは決定が見られております。各国が国連のその分担率に従ってこれは分担しなければならない。日本につきましては一二・四五%、約二千五百万ドルを拠出することが要請されておる。こういう状況でございます。
○宮澤弘君 大変な人数と大変なお金が要るわけですが、まずお金の点について今一二・四五%ですか、それは国連の分担金の割合ですか。
○政府委員(丹波實君) おっしゃるとおり、日本につきまして一二・四五%と申しますのは、国連本部に対しますところの日本の拠出金の比率でございます。
○宮澤弘君 日本は国連への第二位の拠出国ですが、恐らくこれはもっと金としては非常に大きな金がかかる。あるいは国連の拠出金以上に日本が拠出を求められるということだって考えられないことはない。
 私は、別に具体的に幾らということは申しませんが、まず大臣に、国連の平和維持活動について日本としては財政的にかなり思い切った支出をするのだ、そういう御決意があるかどうかだけ承っておきたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一二・五%ということでございますが、アジアでの問題でもあるし、カンボジア和平は日本の提唱してきたところで、イニシアチブをとってきたところでもございますので、一二・五%で済むとは考えておりません。できるだけの協力はしたいと思っております。
○宮澤弘君 アジアのことでございますので、ぜひそういうお心組みで財政的支援については取り組んでいただきたいと思います。
 それから同時に人的な支援ですけれども、現在我が国は軍事的あるいはそれに関する支援というものはできないということになりますと、非軍事的な支援というものをこの際財政的支援に加えて積極的に行うべきだと思うのです。先ほどの国連局長のお話でも、行政要員が四千四百ですか、それから選挙が千四百というような数字が出ておりますが、こういう要員というのは今出そうとすれば制度的、法律的に不可能ではないわけですね。
 そこで、どのくらい要請をされるかわかりませんけれども、行政とか選挙とかの要員について我が国はかなり思い切って人を出すという御決意がありますか。
○政府委員(丹波實君) 先ほどのUNTACの任務のうち各国が文民を出してきて行うであろうと予想される分野といたしましては、先生が今おっしゃった行政機関の監視あるいは行政機関の活動に対するアドバイス、そういった活動、それから選挙の準備及びその実施、それから治安問題がございますので文民警察を各国が出していく、それから人権問題の監視といった分野が考えられますが、日本に関する限りは、今国会にお願い申し上げておりますところのPKO法案が成立しない場合には、一定の規模で人を出していく、かつ期間のことも考えますと非常に難しいのではないか、こういうふうに考えております。
○宮澤弘君 非常に難しいと言われたのですが、なぜ難しいのか私はちょっとわからない。
 と申しますのは、新聞等で見ますと、恐らくナミビアのPKO活動のときは選挙要員だけでも三十何人出していたわけですね。それは何か外務省の定員に余裕があってできたのだ、ところが今度定員に余裕がないというようなことが新聞に出ているのです。私は、そのとおりだとしますとちょっと考え方が狭くはないか、了見が狭いと思うのですね。つまり、PKO法案が成立するかしないかは別にしまして、人的貢献ということが今これだけ言われている。ところが、定員の枠があるなしという議論では、そうだといってちょっとみんなが納得できる話では私はないと思うのです。そんなことを言えばどうすればいいかというと、それは例えば行政機関職員定員法の特例法でもお出しになったらいいじゃありませんか。
 外務大臣は副総理でもおいでになるからそのぐらいのことはできないわけがないし、またそういうことであれば私は野党の方々だって御賛成になるに違いないと思うのです。文民の協力です。ですから、いろいろなことを考えられて、この際PKO法案が成立するしないは別にして、文民の協力というのはやっぱり思い切ってなさる。難しいと言われる意味がよくわからないのです。
○政府委員(丹波實君) 私たちといたしましても、この問題につきまして一定の結論をすべて出しましたという意味で申し上げたつもりはございません。しかしながら、検討しなければならない問題として、確かにナミビアのときに選挙監視団の本隊二十七名出したじゃないかという議論はございます。しかし、あの場合は規模がその程度で非常に小さいということ、それから滞在期間もたしか一カ月弱であったということ、それから活動いたしました地域も首都を中心に大体何と申しますか、危険では全然ないような状況、そういう治安状況が必ずしも劣悪ではなかったというようなことであったことと今回を比較いたしますと、例えばことしの秋に予定されております選挙人登録、これにつきまして数百名単位の規模の費用を各国に求められておりますけれども、各国といいますか全体として求められておりますけれども、滞在期間が三カ月になるといったような点、それから求められる規模も大きいのじゃないかといったようなことを考えますと、必ずしもナミビアと同列に考えられない。
 しかし、いずれにしても検討は続けてまいるつもりですけれども、なかなか難しい面があるなど。最後にそれに加えましてその身分とか補償とか賞じゅつ制度の問題とかいったようなことを考えればそう簡単ではないということを御説明申し上げたつもりでございます。
○宮澤弘君 お役人の答弁としては私は百点だと思います。しかし、今我が国がどういう立場にあるかということを考えれば、軍事的な協力はできない、非軍事的な協力できるものはやりましょう、しかも財政的な面ばかりでなく人的協力もしま
しょうということであれば、かなり政治的な判断を加えて思い切ったことをこの際なさるべきだと思うのです。
 そこで、今具体的にそれは何人出すとかいうようなことを申しませんけれども、大臣に伺いたいのですが、今のような通常の役人ベースで言えば難しいという面はありましょうけれども、この際カンボジアのPKO活動の非軍事的な人的協力にはかなり思い切った措置を講じて出すのだというお考えを示していただきたいと思います。いかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはUNTACにどんどん人的貢献しろとおっしゃいますが、UNTACというのはもともとPKOそのものなのです、これは全体が。御承知のとおり、あそこでは三派プラス一派、四派がそれぞれ今まで軍隊を持っておって、その中で一番大きく持っておるのは現政権派といわゆるクメール・ルージュ派、これが国連の調停等もあって七〇%は削減しましょうと。削減したかしないかわからぬわけですから、それはちゃんと現地に入って、それで全体の人員が何ぼあってどれぐらいの兵器を持っておるかというものを調べ、まず兵器や人員を七割ちゃんと削減させる。そこでまた難民がその分だけふえるという話になるわけですね。その武器の管理も必要でしょうし、それからそいつをどういうふうにして保管するのか、破壊するのかというものから始まる。
 なお、これは高等弁務官の話を聞いたのですが、三十万からの難民がおって、それを国内に運ぶにしても道路はない。タイは今軍隊が出ておって、道路の一部建設とか何かはカンボジアの中まで入ってやっておるが、各地にもう何万という地雷が伏せてある。大体おおよそどこらに伏せてあるか見当はつくが、個々の場所になると探さなきゃわからない。危なくて、難民をたくさん迎え入れるといったってその場所の安全が確保されないということですから、その地雷の発見、除去から始まっていかないとほかの事業をやるとしたってやりようがないのです。
 したがって、そういうような面等においても各国は一万六千の人たちを出して皆やるのでしょう。もう既にインドネシアも、外国には派兵をしないというのが国のおきてになっておるが、しかしながらこれはもう戦争が終わった後で平和を回復するためにやるのだから軍隊を八百人今度出すそうです。そして、国連の要請に応じるというようなことをやって、東南アジアの諸国もそれぞれ分相応のことをみんなでやろうというときなので、我が国でも一刻も早くまずPKO法を通してもらって、後方支援にせよ通信を受け持つにせよあるいは医療を受け持つにせよ、何にせよやっていくべきじゃないのか、そう考えておるわけであります。
 そして、行政官の問題は、その治安が回復された後でなければ危なくて入れないわけですから、そこの治安を回復した後において行政官を派遣するというのが順序だと私は思います。したがって、それにつきましてはできるだけのことをしなければならぬと思っていますが、今何人ということまで申し上げられません、要請がどれくらいあるのかということもまだ来ておりませんから。できるだけ御要望に沿うようにしていきたい、そう考えております。
○宮澤弘君 誤解のないように申し上げますが、今大臣がおっしゃいましたように、無論戦争状態のところに行けと言っているわけじゃございません。私が申しますのは、非軍事的な選挙とか行政とかそういう人たちが入れるようになった場合に大幅に我が国としては協力をしていくのだ、こういうことをどうかひとつ大臣としてもお考えを願いたいということを申し上げているわけであります。
 それからもう一つだけ最後に伺いますが、日本で六月にカンボジア復興会議を開くという計画があるように承っております。そこで、各国に働きかけているようでありますけれども、その見通しについて最後に大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうような考えで各国に呼びかけていきたいということで、まだ具体的な構想が固まったわけではありません。
○久保田真苗君 私もカンボジアについてまず伺いたいと思います。
 今、宮澤委員が言われましたこと、その限りにおいては私も全くそうだと思うことが多いのです。それは何かといいますと、まず第一に文官、文民を出していくという点につきまして、これは何といいますか、予算とかそれから行政組織法の制度上の問題あるいは定員の問題、こういう側面から政策がゆがめられていくという典型的な例だと思うのです。私、国連局長の御苦労も本当によくわかるのですけれども、これは国連局限りで悩んでいらっしゃるのは大変無意味なことでして、渡辺副総理・外務大臣という実力者を持っていらっしゃるのですから、私はぜひそういう意味で政治的にこういった定員を膨らませていくという方向で御努力いただきたい、こう思うのですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは何を国連が要請してくるかということもございますので、こちらからこれこれをぜひやりたいと言うことでもありませんから、国連の方の日本にこういうことをやってほしいという御要望を受けて内々話をして適切に対応していきたい、そう思っております。
○久保田真苗君 国連は加盟国に対してどういう要請を今までのところしておりますか。また、日本に対して特に何か要請していることがございますか。
○政府委員(丹波實君) 現在までのところ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、UNTACというものは正式には設立を見ておりません。したがいまして、お言葉の問題にもよりましょうけれども、正式に国連が加盟国に要請しているということはないのだろうと思いますが、他方において実態がこういう実態でございますから、私は国連事務当局は内々関係の加盟国にいろいろな要請をしているのだろうというふうに考えております。
 しかしながら、日本につきましては今のところ具体的な内々の打診というものも来てはおりません。
○久保田真苗君 立ち上がりのお金も要るし、財政的に例えばUNTACに必要な経費、これの三〇%を日本が出してくれないかというような報道がございますけれども、そういうことをお受けになっているからこそ試案というものをお考えになっているのじゃないですか。
○政府委員(丹波實君) UNTACの経費の問題につきまして御説明させていただきますと、まず国連は、繰り返しますけれども、正式には決定はまだしておりませんが、今安保理が考えておりますのはことしの三月ぐらいの時点から一年半ぐらいの期間を考えている。その一年半にどのくらいの経費がかかるかという点については最終的な決定をまだ見ておりません。しかしながら、報道によりますと二十億ドル程度の経費を見積もっているのではないかということでございます。これに加えまして十億ドル内外の経費を難民の問題、難民の帰還、それからインフラストラクチャーの復旧の問題に見込んでいる。トータルが三十億ドル前後になろうかと思います。
 前半の二十億ドルにつきましてはUNTACそのものの活動経費でございまして、これは国連の分担金、PKO分担金によりまして加盟各国に義務として割り振る。第二番目の十億ドル前後の問題につきましては自発的な拠出金によってやっていきたい、こういうことのようでございます。
 今までのところ、決定を見ましたのは立ち上がりの経費として必要な二億ドルということでございまして、これにつきまして加盟各国に義務として割り振った。日本の場合には一二・四五%、絶対額の数字に直しますと約二千五百万ドルでございます。これにつきましては日本は既に国連に対して義務を負っておりますので、これをいかに支出するか現在政府部内で検討中であるということでございます。
○久保田真苗君 今おっしゃいました十億ドル程度の復興等に要する自発的な拠出金、それはUNTACの、したがって明石特別代表の所管に入るのでしょうか、それとも所管の外なのでしょうか。
○政府委員(丹波實君) この点は、まず仕事の面で見ますと、安保理事務総長の報告を読みましてもその字句の上からは必ずしもわからない面がございます。
 私の想像では、恐らくUNHCRが少なくとも帰還の問題については主導をとる。帰還した後のいろいろな問題についてはUNTACが処理するということでございましょうが、基本的はUNHCRとUNTACが調整しながら進めていく問題であろうかと考えております。それから経費の問題につきましては、恐らくUNHCRがアピールを出すという形で、難民の問題については経費がそういう形で出てくるのではないかというふうに想像いたしております。
○久保田真苗君 ついでですから先に伺ってしまいますが、そういたしますと特別代表である明石さんの責任を持っている所管の範囲ですけれども、これについては軍事部門には別にフォースコマンダーが立つはずなのですが、その方は特別代表に報告されるのか、それとも事務総長に直接報告されるのか、その辺をちょっとはっきりさせておきたいのです。
○政府委員(丹波實君) この点は、明石特別代表はUNTACの現場におけるオペレーションに対してすべて責任を持つという立場でございまして、したがって今の先生の御質問に対しては、軍司令官は直接的には明石特別代表に報告し指示を求める、必要があれば明石特別代表が事務総長にその報告、指示をさらに上げる、こういう関係になっておると思います。先生もお持ちと思いますけれども、ナミビアにおきますところのUNTAGの活動につきましてもこの関係は国連の出しておりますブルーヘルメットの中でもそういうふうに図式化されて書かれておるところでございます。
○久保田真苗君 ブルーヘルメットでは、必ずしもフォースコマンダーはスペシャル・リプリゼンタティブに直接報告しない場合があるのですね。ですから伺ったのですけれども、それは全部包括的な責任をお持ちになるというふうに理解いたしました。
 この場合に、UNHCRの緒方弁務官はどうなのですか。
○政府委員(丹波實君) これはナミビアのブルーヘルメットの図式によりますと、UNTAGの方ですが、特別代表の下に文民部門という図がありましてその下に黒字でUNHCRと書かれてございますので、この図式で見る限りはUNHCRが下に来るようになっておりますけれども、先ほど申し上げたカンボジアの方のUNTACの記述を見ますと必ずしもそういうふうにはなっておりません。
 私は、これは必要に応じてニューヨークなりあるいはジュネーブに訓令を出してその辺の関係がどうなっておるのかきちっと把握したいと思っております。結果が出ましたら先生に御報告申し上げたいというふうに思っております。
○久保田真苗君 お願いいたします。
 それから今川大使に昨年の暮れバンコクでお会いしましたときに、自分は復旧部門を担当するだろうというお話でございました。実際問題として今川大使はUNTACとの関係において何らかの責任をお持ちになるということになるわけでしょうか。どういう部門でしょうか。
○政府委員(丹波實君) 現地駐在の大使といたしまして、UNTACとの関係で必要に応じあるいは情報活動をされ連絡をされる、そういうことはございましょうけれども、UNTACの要員の一員としてUNTACの中で活動されるということは考えられておりません。
○久保田真苗君 それはもちろんあり得ないことですけれども、しかし例えばそこに行っている外交団のいろいろな会合というようなもの、そういうものができるということではないのですか。
○政府委員(丹波實君) 外交団の活動の意味合いでございますけれども、外交団の中におきます今川大使の情報活動その他の活動はございましょうけれども、繰り返しになりますが、UNTACそのものの構成要素の一員として活動されるということは考えられておらない次第でございます。
○久保田真苗君 それでは大臣にお伺いいたしたいのですが、もう既にお話し合いに出ましたように、UNTACの全体像がほぼ明らかになりましたが、日本も相当の協力をしてきた事項でございますけれども、大臣、この全体像をごらんになって、つまりパリ会議での包括的政治解決に関する協定ですが、その協定とかそれから今回の事務総長の報告、こういったものをあわせた全体像についてどういう評価をされ、また何か問題意識をお持ちか、そういうことをお伺いしてみたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは長い間かかって苦心をして、ある意味では妥協の産物でもございます。したがって、私は妥当な結論であろう、ほかにはなかなかないだろう、そのように考えておりますから、その決定は尊重されるべきものだ、さように存じます。
○久保田真苗君 私、自分の所見を言わせていただきますと、この協定につきましてはカンボジアは非常にいい地位を得たと思うのです。
 その一つは、中立国として外国の軍隊の全部を追い払って、そしてそこに駐留される心配もなく基地をつくられる心配もない、紙の上のことですけれども。それに対して周辺国及び全世界の国連加盟国が署名をするというのは今までにないステータスじゃないかと思うのです。これはスイスが主要国の調印を得て中立国をやっているし、オーストリアの場合は中立宣言を自分の方から一方的にするという形で中立国になっているわけでございますけれども、そういう意味ではカンボジアは非常にいい地位を得た。私もあの周辺の平和のためにはよかったと思っております。
 それからもう一つの点は、UNTAC全体が何かカンボジア学校になるような気がいたします。それはひどい人権侵害が自分の国の武装兵士の手によって行われたりいろいろなことがございまして、国民の殺傷それから難民生活、こういったものがありましたが、そこへもってきてUNTACが責任を持って人権思想の普及、教育、それから一番大事な選挙というもののノウハウについて徹底的に末端まで浸透させていくという、そういう体制をとったことは非常にむべなるかなと思います。
 しかし、UNTACは一年半という短期間のものでございまして、こういったものが本当に浸透するには多分もっともっと長期間が要るだろう。そういうことを思いますと、このカンボジアのUNTACの成功不成功というのは一にかかって末端の行政、それから民衆がどれだけ能動的に動くかということにかかっているのじゃないか。だから、UNTACの運営もぜひそのような方向でお願いしたいなというのが私の感想でございます。
 それで今、大臣は、先に武装解除なのだ、それから兵隊を帰還させることなのだ、それから後でしか行政は行かれないのだというふうにおっしゃいましたが、私はそうではないのじゃないかと思うのです。それは選挙というのがあと一年後に控えているのですが、有権者の登録から何からそういうことの事務を始めるのに、まさにもうすぐ選挙のための準備の人が行かなきゃいけないのじゃないでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 今の選挙の問題につきましては、まず選挙人の登録という活動が行われまして、現実に投票が行われますのは遅くとも来年の五月が終わるまでという考え方で作業が準備されておると思います。選挙人の登録の開始時点につきましては、ことしの十月から三カ月間という予定になっておると承知いたしております。そういう意味では、まず治安を回復するというような期間というものが考えられて恐らく十月という時点が設定されているのではないかという意味で大臣が今のような御発言をされたものというふうに
理解をいたしております。
○久保田真苗君 大臣、まさに武装兵士を何とかするというのはもちろん一番先に前提になることだと思いますのですけれども、難民の帰還も同じように準備作業に入る、あるいはそういった行政機構は早く行かなければならないといったようないろいろなことが同時並行に起こると思っておりますので、まず軍人だということではなくてそういった要員についても、あるいは治安が非常に悪いので警察官も必要だというようなこともございますので、そういう時期、一つ一つに時期というものが付されているはずでございますからそれを早目に見ていただいて、先ほど宮澤委員も言われましたように、何かここでPKO法案が通らなければ何にもできないということじゃないと思うのです。そういった措置をこれまでもやっていらしたし、これからだって政治的にできるはずだと私も思いますのでよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が申し上げたのは現実の話を申し上げたのです。
 御承知のとおり、あそこは長い間、現政権の方の軍隊とクメール・ルージュの方の軍隊が戦ってきておるわけですから、最初国連では全部の武装解除を一カ所に集めてやるというふうなことも検討されておったのですが、それは現政権側は絶対にのまない。やはり民衆が前のようにクメール・ルージュの大量虐殺のようなことが起きたのでは大変だという恐怖心を持っていることも事実。そういうようなことで、これは七割ということで妥協をしたものと考えます。
 しかし、山の中にどれだけの軍隊がいるのか、どこに武器があるのかというようなことを発見しそしてきちっと把握するということは、頭の中では簡単ですが、しかし実際からいくとそう簡単な問題ではありません。したがって、例えば兵隊さんの数え方にしても、どこまでをおるというのか。一応の推測ではそれは二万五千とかあるいは片一方が六万とか七万とかといいますが、では民兵まで入るのか、そのほかクメール・ルージュ派は難民の中に民兵的なものをつくってあるのか、そういうようなものだってわからぬわけですから、私はそう簡単じゃないなと思っておるのです。
 したがって、かなりの国連軍が入ってきちんと把握をして、それで約束どおりの実行がされたかどうか。末端に反乱する者がないための監視ももちろん必要でしょうし、その上で選挙をやってその結果新しい政権ができれば、どの程度の軍隊にするかということは新政権が決めるということになるのでしょう。でありますから、文民の問題も同時並行的にやれと言っても、実際それは非常にそういうような不安定な中で果たして入っていけるかどうか、いろいろ問題があるだろう。そういうようなことで、事態の推移を見ながらこれはやらざるを得ないのではないか。したがって、予定どおりのスケジュールでうまくいけば一応結構なことでございますが、それは少し先を見ないと何とも申し上げられない、私はそう思います。
○久保田真苗君 UNHCRに対して何か日本の拠出金で車両をカンボジアに送っているということですけれども、それはどの程度のものでございましたか。
○政府委員(丹波實君) 先ほど、近い将来恐らくUNHCRがこの難民の帰還問題でアピールを出すことになりましょうということを申し上げましたが、これは難民の本格的な帰還の実施に要する経費につきましてそういうアピールを出すであろうということを申し上げた次第でございます。既に難民帰還計画の準備段階にかかる費用といたしましてUNHCRは三千三百万ドルのアピールを昨年の十月にいたしまして、これに対しまして日本は約八百万ドルの拠出をいたしました。
 ちなみに、これは国連加盟国の中で最大の拠出であったと理解しておりますけれども、UNHCRはこういう国際社会から拠出を受けた資金を使いましてみずから例えばランドクルーザーあるいはトラックあるいはロードローラーといったような機材を日本から調達してカンボジアの難民関係で使用しておるということでございまして、日本政府が直接このようなトラックとかクルーザーといったようなものをUNHCRに供与したということではございませんので、その辺の事実関係を整理させていただきたいと存じます。
○久保田真苗君 分担金二千五百万ドルというのは何か予備費でお出しになるそうですね、報道によりますと。そうすると来月中にお出しになる、こういう状況ですか。
○政府委員(丹波實君) 予備費も一つの道であることは先生のおっしゃるとおりですが、どういうところからこの拠出金を捻出するかにつきましては最終的にはまだ決まっておりません。
○久保田真苗君 分担金を拠出した後はいろいろな機材なども無償で供与ができるという話を私は前にPKO委員会の中で申し上げたのですけれども、日本側としてもそういうことはできるのじゃございませんか。予算措置でできるのじゃございませんか。
○政府委員(川上隆朗君) 先生の御質問がUNTACとの関係でございますれば国連との関係でございますけれども、一般に二国間協力関係のコンテクストで無償資金協力あるいは技術協力といったようなことがやれるのは御承知のとおりでございます。
○久保田真苗君 それはどういう意味ですか。二国間というのは、カンボジアとの関係ならできるけれども、UNTACとはできないという意味ですか。
○政府委員(川上隆朗君) カンボジアとの関係で二国間の協力関係を行い得るという意味で申し上げたわけでございますが、UNTACとの関係でも国連からの要請があった場合に、それがUNHCR等との関係で、UNTACそのものにつきましては国連とのコンテクストがございますのでちょっと私の所管からは外れるわけでございますが、御承知のように、二国間の援助関係は経済社会開発を目的とするというコンテクストでなされますので、そういう面からとらえ得れば二国間の協力関係というものは行い得るという意味で申し上げたわけでございます。
○久保田真苗君 本当にこれはよくわからないのですね。UNTAC、国連には出せないけれども、二国間なら出せる。それはそういう規則が多分ありますのでしょう、基準などが。ですけれども、こういうふうにPKOというものがいろいろなインフラや民生、こういったものの復興までも今後含んでいくということ、多分これからもそういう多部門のPKOというのはふえていくのじゃないかと思うのです。
 そういう点を考えますと、PKOは国連局が調整役かもしれないけれども、国連局の中だけに閉じ込めておきますと非常に一般会計の中でお金が苦しくて、例えば例で申し上げますと、せっかく日本が今度の国連総会でECと共同提案をして武器登録に関する制度の決議を得たわけですね。そのためのお金等がいろいろ前から国連の方から要請されておったのですけれども、なかなか一般会計の中でやりくりが難しいというお話を私は外務省から伺っているのです。そういう状況というのを何とか打破して、そして経済協力に関するものとのリンクをしていただいてもう少しこの面での国連協力ができないだろうかと私は思いますけれども、これはどうなのでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 現在、先生の問題意識として持っておられる物的な供与に例をとりますと、例えば先ほど申し上げた立ち上がり経費の二億ドルというもので国連当局が何を考えているかと申し上げますと、宿舎の建設あるいは下水道の建設、車両の購入それから当座の維持費といったようなことでございまして、まさに宿舎の建設とか下水道の建設といったようなことはみずからがそこに出ていって行う。あるいは車両の購入というものもみずからが行う。したがって、国連として加盟国に要請しておるのはまさにその経費そのものであるということでございますので、日本の場合にはこの分担金の二千五百万ドルを拠出するということによって当座の国連の要請には十分見
合った形の協力になるというのが私たちの考え方でございます。
 もちろん国連のこういう活動に現物供与をするという道は全くないわけではございませんけれども、こういう当座の問題としては資金協力をすることによって十分な協力ができるというふうに考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 当座の問題としては確かに資金を早く出す、分担金を一日も早く出すということが立ち上がりのために必要だと思いますけれども、今後のことを考えますと、丹波局長もその辺には含みを残していらっしゃるけれども、私としては、日本がこれだけ自動車摩擦で問題を起こしているときに、国連に対しては一台の車も無償供与ができないなどという状態は甚だ好ましくないと思うのです。私は何とか、これは考えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。道を考えていただきたいのです。
○政府委員(丹波實君) 私が先ほど御説明申し上げたときに頭にありましたのはもちろん日本の財政法との絡みの問題でございまして、無償で国連の活動に物的な供与をするというところが財政法との関係で問題があるわけでございます。まさにそうであるがゆえにこそこのPKO法案の第二十五条で「物資協力」という項目を立てまして、日本政府として国連の平和維持活動に物的な協力を行い得る道を開くために二十五条というものを設けたということもあわせてぜひ先生御理解いただきたいと。先生のおっしゃることはわかりますから今後とも研究はいたしますけれども、他方、私たちの考え方としてはこの法案の中にそういう道を開いたつもりでございますので、その点もぜひ先生あわせて御理解をいただきたいというふうに考えます。
○久保田真苗君 PKO法案が出てきてしまいましたから私も黙っているわけにいかないのですが、PKO法案は余りにも欲張り過ぎているのです。そしてその中で、要するに憲法の解釈と、国連との地位協定とこちらの本部の組織、それから指揮権、こういった三つがどこかがつじつまが合わないようにつくられて内部破綻しているのです、あの法律は。私は、幾ら自衛隊がいろいろな意味で出ていくことに賛成の皆様でも、自己矛盾で内部破綻を来している法律を許すわけにはいかないと思うのです。そういう意味で、私は今回どういう選択を政府がしていらっしゃるか大変興味深く見守っておりますので、今申し上げましたような内部で破綻していない法案にしていただかなければどうしようもないわけです。
 それで、今の法案で仮にPKFを凍結しても、結論としては憲法の解釈を大幅に変える、それ以外にないのですね。でも、憲法の解釈を大幅に変えるということは政府が勝手にできることじゃないと思うのです。これはまさに国民的な問題でございますから、そこのところをぜひお考えいただきたいと私は大臣にお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この間の小沢答申を念頭に置いて今御発言をいただいたものと存じますが、政府といたしましては今までの憲法解釈の延長線上で考えておりますから、この間提案いたしましたいわゆるPKO法案というものはいろいろな制限をつけて提案をさせていただいておるわけであります。
○久保田真苗君 これからいろいろと御意見を承らなければならないし、私どもも言わせていただかなければならないと思いますけれども、ともかくあの法案は凍結といっても字面があのように並んでいるということは法律としてふさわしくないことだと私は思いますので、それだけ申し上げておきたいと思います。
 次に、ちょっとドミニカの移民の問題を取り上げさせていただきたいと思っているのです。
 私、先月ドミニカ共和国に参りました。その用事で行ったわけではないのですけれども、大使館にお願いして日本移民の方に何人かお会いしましたし、その後もいろいろ御要望などを承ったのです。それで、この問題は前に公明党の議員さんが熱心にお取り組みいただいた問題なのですけれども、私も訴えを聞きましたからにはやっぱりよい方向で御協力したいと思いますし、またカリブ海のほんの一角の場所でございまして小さいところでございますけれども、日本の移民についてこういう問題があるのだということで大臣の御注意を引いておきたい、こう思うわけでございます。
 少し説明になりますが、ドミニカ共和国はカリブ海にあるヒスパニョラ島にあって、その東側約三分の二がドミニカ共和国、西側三分の一が今大変問題を起こしておりますハイチです。
 ドミニカ共和国の経済の主軸は農業なのですけれども、一九五〇年代には耕作可能な土地が非常に少なくて、そのために当時の実力者のトルヒーリョ大統領という方が農業開発政策といたしましてハイチ国境に近いところにコロニアというものをつくったわけです。コロニアは一種の集団農場でして、土地のない人、人のいない土地をなくすという標語で取り組んだものというふうに聞いております。ですから、都市の失業者などもコロニアに連れていくとか、そういった零細農民に対する社会政策上の配慮があったのだと思います。これにつきましては、コロニアの数は計画数で六十二カ所、そのうち十二カ所は外国人の移住者向け、こう言われておったわけです。コロニア入植は成功も失敗もございますけれども、例えばユダヤ難民の場合は酪農で成功したとか、スペイン移民の場合は六割も帰国してしまったとか、いろいろでございます。
 日本の場合ですが、一九五六年つまり昭和三十一年になるのですが、五六年から五九年までの間に二百四十九世帯千三百十八人が移住したということでございます。移住者の募集要項というものが出たのですが、これが問題の発端でございまして、実際の入植条件が非常に違ったという、その問題が三十何年たった今でも消えずに非常な日本移民の方の思いになっているわけです。
 どういう内容かといいますと、その第一が、ダハボン地区が一番日本移民が多く動いたところですが、そこは三百クレアを無償譲渡するという約束があったのが本当にその何分の一かしか手に入らなかったとか、二番目に、雨が少ない土地で常時水不足でかんがいに困難したということがありまして、移住者は田畑を売って資金をつくって、一定の要件の資金が求められましたからそれで行ったということもあるのですが、生活困難になりまして、一九六一年になって結局集団帰国者が千三百十八人のうち六百人、南米諸国へ再移住した者が三百七十人、そして残った人が三百三十人という結果でございます。これは外務省からいただいた数字でございます。いずれにしても、残留率が二割ちょっとだということになるわけでございまして、いわば非常に惨めな思いをした移民群なのでございます。
 このときに日本の方では、国内事情からいいますと六百万人の引揚者というのが戦地から帰ってきて食糧難もございましたでしょうし、そういうときに、満員電車を解消することはできないけれども窓をあけるくらいの効果はあるということで移民政策が始まったわけでございます。政府の方では海外移住に関する閣議決定というのが昭和二十九年、一九五四年七月に行われました。また、外務省に移民局を設置するというのが昭和三十年、一九五五年に行われ、特殊法人海外移住振興株式会社が設立されたのも同じ五五年です。そして、日本海外協会連合会というのができまして、これは海協連と略させていただきますけれども、これが今の国際協力事業団、JICAでございます。年間一万人程度の移民達成ということをスローガンにして一生懸命やった。今申し上げましたことはその背景でございます。
 それで質問ですけれども、まず入植条件についてです。これは三十何年前のことのお話で、必ずしもこういうことを議論をしてもこれが生きるということにはなかなかなりにくいのですけれども、しかしこれが移民の皆さんの心に強く引っかかって三十何年間執念としてやってこられたという事実からいいますと、やっぱりこの間の事情も
いささか明らかにしたいと思うわけです。
 入植条件の土地面積三百タレアの無償譲渡ですけれども、外務省からいただいた資料によりますと、一世帯当たり三百タレアの土地の無償譲渡、ただし世帯員数、作物種類で増減あり、なお入植初年度は百五十タレアはドミニカ政府が開墾整地の上配分し、残る百五十タレアは移住民が開墾というふうになっております。つまり、百五十プラス自主開墾百五十で三百タレアという数が無償譲渡されるということは明らかだと思うのですけれども、外務省はこの辺どういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。
○政府委員(荒義尚君) ただいまの久保田先生御指摘の件でございますけれども、当時の募集要綱では、ただいま先生御披露のとおり、一世帯三百タレア、ータレアというのは〇・六反、この土地が無償譲渡される。ただし、世帯員数、栽培作物の種類等により配分面積は増減することがあるということで書き出してございます。
 したがいまして、最初必ず百五十タレアの無償譲渡を受けるかどうかというのは、世帯員数、栽培作物によって変わり得るということは募集要綱の時点で想定しておったというふうに考えております。
○久保田真苗君 しかし、海協連広報部編集の「ドミニカの生活と労働――海外移住の手引」というのによりますと、海協連ドミニカ支部長の横田一太郎さんという方とドミニカ政府との間に契約書があって、「契約当事者は双方合意の上左の各条を受諾する」とあるのですね。その第一条は、「「ド」国政府はダハボン地区に日本人農業移住者を受入れ一家族当り三〇〇タレアスの農耕用地を譲与する」、こう明記されているわけで、それ以外のことは書いてないのです。
 ここで問題が三つあるのです。それは三〇〇タレアと明記されていることについて、少なくともそのように理解される手引を外務省の代行機関であるところの海協連が出していると考えられると思うのですが、この点いかがですか。
○政府委員(荒義尚君) 確かに久保田先生御指摘のとおり、当時日本海外協会連合会が編集しました「ドミニカの生活と労働」というところには御指摘のような契約書案なるものが載っておりまして、私どもも承知しております。ただし、我々が当時から調べておるところでは、そのような契約の案を当時話題にし、またそのような案があったということはどうも正しいようでございますけれども、正式の契約書として締結されたということは我々承知しておりません。
 他方、しからばお尋ねのように、外務省が認可した日本海外協会連合会たるものがこういうことを書いているのはどうかという点でございますが、本当に我々としてその辺の事情は必ずしもつまびらかではございませんけれども、我々の方でそういうことを承知しておって連合会がこれを公表し出版したということではございません。我々として承知しておらなかったということでございます。
○久保田真苗君 外務省もJICAも何代も代がわりしていらっしゃいますので私も非常にその面がやりにくいのですけれども、はっきりさせたいのは、ドミニカ政府と財団法人日本海外協会連合会ドミニカ支部との間で結ばれた契約書、これはあったのですね。
○政府委員(荒義尚君) 先ほどの御説明があるいは悪かったかもしれませんけれども、そういう契約書があだということは我々として承知しておりません。
○久保田真苗君 案としてはあったけれども、結ばれたものはなかったとおっしゃるわけですね。
○政府委員(荒義尚君) さようでございます。
○久保田真苗君 契約を結ばなかったという文書が残っているそうですけれども、そういうものがあるのですか。
○政府委員(荒義尚君) 結ばなかった、そういう契約書がないということを正式に書いたものはございませんけれども、当時から我々はいろいろ八万手を尽くして調べました、重大な問題でございますので。しかし、結局そういう契約書は当事者に当たって聞いてもなかった、締結されていない、こういうことでございます。
○久保田真苗君 結ばなかったという、そういう証拠があるのでしょうか。
 例えばここにこういう本があるのです。「欺かれた一ドミニカ移住者の記録アディオス・ミ・サント・ドミンゴ」というのですが、ここには一番初めの案だとおっしゃるものが載っているのです。これが案であったというふうに外務省の方では思っていらっしゃるけれども、実際に初版の「海外移住の手引」というのに載っているということなのです。
 ですから、私はこれは恐らくそういうつもりでこの第一条に沿ってお始めになるということで始められたことじゃないかと思うのですね。
○政府委員(荒義尚君) その案の例えば第一条がどういう熟成度といいますか、ある程度の方向性が定まった上での案文であったかとか、その辺の事情は全く我々としてもわからないわけでございますけれども、我々昔から承知しておりますのは、ある時点で確かにそういう案というものがあった、これは事実でございますが、先ほど来再三申しておりますように、契約書として正式に締結されたという事実はこれは全くありません。
 しからばもう一つの問題は、先生の御疑問のように、いろいろな本になぜそういう案が出ているのかという御疑問もあるかと思いますが、そこら辺はどこかでその案が関係者が多うございましたので出て、それがそういうところに印刷されて出てきたのだろうと、これは若干推定になりますけれども、そういう事情で案というものが出てきたというふうに我々は理解しております。
○久保田真苗君 案が移住の手引として広報部の資料として出ていって、そして皆三百クレアもらえるというふうに思って出ていったということは紛れもない事実だと思うのです。
 それで、昭和五十八年の三月に渋谷議員が参議院の外務委員会で質問している議事録を見ますと、三百タレアでないかもしれないということは外務省は途中でわかった。恐らく最高三百タレアという表現で書簡が結ばれたわけですからその時点でわかった。しかし、それを言わないで、どこで言ったかといいますと政府の説明員の方の答弁で、それはサントドミンゴに着く前に船の中でそれが伝えられたと、こういう話なのです。これじゃ後に引くこともできないし、不安を抱いて港に着いたことだろうと私も思うのです。こういう背景があるわけです。
 それで、私はもう一つ資料をお願いしているのですけれども、まだいただいていない資料がございます。それは昭和三十年八月にドミニカに派遣された移住適地調査団というものが出ているのです。これは外務省と農林省から三名の方が出ているということでございます。この方たちがこの土地は日本人が行って農業をやるに適した土地だという、こういう報告をしておられるということなのです。ただ、その報告書は私の手元にはいただけないので何ともわからないのですがね。
 私、今からこのことをほじくり返してああだこうだということは言っても仕方のないことなのだけれども、でもどのような調査をしてどのような報告をしそれが外交ルートに乗せられたのかということはぜひ私はわかりたいのです。この方たちはもういらっしゃらないかもしれません。多分いらっしゃらないでしょう。ですから、今もう文書として公開していただきたいのです。情報公開でお願いしたい。そうでないと、国民の税金を使っていろいろな調査団を出して、そして海協連、JICAの前身をつくったり、皆これ国民の税金なのです。税金でもってやっていることについて、私どもそれが全く移民の方にとって惨たんたる結果になったということについてはやっぱり反省しなきゃいけないし、私どもも十分その点を見てあげなかったということは悪かったことだと思うのです。私もおりませんでしたけれども、国会には。
 そういう意味で、これは公開していただきたいのです。ぜひ拝見したい。お願いできますか。
○政府委員(荒義尚君) 先生御指摘の調査報告書でございますけれども、以前にもぜひ提出してほしいという御要望を承っておりまして、そのときも御容赦願いたいという説明をさせていただいたのですが、この報告書は、御承知のとおり、昭和三十年に吉岡さんを団長として三名で行った報告書でございますが、この調査の目的というのは、入植者の募集に先立って政府内部で事前に調査に行ったというのが調査の目的でございます。その報告書には、当時のドミニカ共和国の農業事情、ドミニカの一般的な事情、産業資源の事情、ドミニカ共和国の当時の移民政策、それから先ほど御指摘のような入植候補地の概況についての報告が含まれておるわけでございます。
 ただ、それをなぜ提出を御容赦願いたいかと申しますと、そもそもこの調査が内部的な目的のためであったということと、報告書もそういう意味で内部資料として取りまとめたものでございまして公表を前提としたものではございませんし、それからこの際ぜひ先生に御理解いただきたいのでございますけれども、報告書の一部には当時のドミニカ国及び政府についての若干の事情に関して触れておる部分がございまして、これはやはり二国間関係上ちょっと微妙過ぎるという点がございます。そういうことで、何とか御容赦、御理解いただきたいと思います。
○久保田真苗君 これは隠すような報告書じゃないと思うのです、何もそんな。どうしてもお外しになりたいというのならそのドミニカ政府の事情のところはお外しになって結構だから、この土地をどう判定されたのか、そこのところの部分をいただきたいですね。だって、これもうほとんど盾報公開にかかってしかるべきものじゃないのですか。相当の秘密性を要する外交文書だって三十年もたてば公開されるのに、このドミニカの人たちの運命がこの報告書にかかったのですから見せていただきたいのですよ、私。お願いします。
○政府委員(荒義尚君) 久保田先生たってのお話でございますので、どこまで差し上げられるかもう一度真剣に検討させていただきたいと考えております。
○久保田真苗君 これはもう公の文書ですよ。国民に所属すべき文書なので皆様方が私物化なさる理由は何にもないので、是が非でもお願いいたします。
 それから次に、地権の問題です。
 この地権の問題は二つに分けられるのです。それは所有権として地権が設定されるはずであったところのものがちっとも設定されないでだらだらと来て、ある程度解決はしていらしたけれども、三十何年たってまだ全部解決されない。したがって、問題を二つ指摘したいのです。
 その一つは地権証のあいまいさです。土地の位置も境界線も周囲の地主名も何も明記されていない地権証で非常に不安定だと。持っている方は地権証たるに値しないようなものを持っているのです。それについて移住民の方の外務省の努力に対する期待が非常に強いのですけれども、まずこの点とうかということです。
○政府委員(荒義尚君) 先生御指摘のように、今日に至るも地権証を発給してもらっていないケースがまだ残っております。我々としましては一刻も早く入植者の方々に安定した基盤の上で営農していただきたいという、そういう気持ちにおいては先生と同じでございまして、従来から鋭意先方政府と強く折衝をやっておるところでございます。
 例えば昭和六十年当時十三世帯についてまだ地権証の未発給が残っておりました。しかし、例えば今月二月現在でございますと残っているのが六世帯というところまでようやくやってまいりました。我々は大変この問題を重要視しておりまして、今後とも引き続き先方政府に強力に働きかけていきたいと思っておりますし、またドミニカ政府の方でも本件の重要性について大変よく認識していただいておりまして、つい最近も我が方出先大使に対して、先方政府としても今後この方面で努力するということを向こうから言ってきております。そういう状況でございます。
○久保田真苗君 昭和五十八年に渋谷議員がお尋ねしたときも、外務省は地権の問題を重要視し最大限努力いたしますと答弁をしていらっしゃるのですが、その後何件解決いたしましたか、約十年前ですけれども。
○政府委員(荒義尚君) 先ほど申しましたように、十三世帯が残っておりました。それが現在六でございますから、七件その間解決いたしました。
 確かに努力が足りないのではないかというお言葉に対して私から申し上げることはございませんけれども、我々としては鋭意やっておるつもりでございまして、ただなぜ三十年もたってこういう未発給の件が残っているかという事情につきましては、例えばトルヒーリョ政権崩壊後の内乱の時代あるいは社会的、政治的混乱の時代が長うございまして、先方政府もその混乱の中で例えば台帳が一部紛失したとか、そういう事情もある点は何とか理解していただきたいということを向こうは申しております。しかし、いずれにしましても、最大限我々として努力を続けるつもりでございます。
○久保田真苗君 最大限努力していただく。現地の大使館ももちろんやってくださいますでしょう。だけれども、一遍出張して事情をつまびらかにしていただくということが私やっぱり必要だと思うのです。よろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(荒義尚君) 私もまだ現在のポストに就任して日が浅うございましてなかなか時間がないのですけれども、ぜひドミニカの方には事情が許せば早く行ってもう少し理解を深めたいというふうに私は思っております。
○久保田真苗君 お願いします。
 それからちょっと飛ばしまして、もう一つ伺っておきたいのはコロニア法の問題なのです。
 このコロニア法というのは私もまだ調べ中なのですけれども、これは貧民対策として行われるという法律があって、移住民の方の言っておられるところによりますと、移住する三年前に停止されたのだけれども、しかしそれが準用されてコロニア法の適用で入ってしまった。そのコロニア法によると、ちょっとここのこの本とそれから移住民の方の言葉からしますと、これは国営の集団農場法で、募集要綱によると自営農業だと、そういう条件のつもりで行ったところが国営集団農場で、例えば貧民の扱いで入れられて、そして中に入ってみたところがこういうことだというのです。
 これは移民の方が申し立てていらっしゃるのですが、入植してまず第一に驚いたのは、募集要綱は自営開拓農であったことに対して植民地は国営農場であり入植者はコロノで、国内の土地のない農民及び失業者を保護するための国営設備に入ったと。コロニアは周囲に鉄条網を回し入り口に事務所及び倉庫を持ち、管理官以下数名の役人のほとんどが黒人で、けん銃を所持し馬に乗り、私どもの作業を毎日監督し、あらゆる命令、すなわちコロニア法を守らなければならぬ奴隷のごとき感じだった、こういう叙述もありますし、また移民の方の最近の要望書でも、このコロニア法の適用を受けて出入りも自由でなく非常にショックだったということが言われているわけです。
 このコロニア法は日本の移民に適用されたのですね。これで行ったわけですね。
○政府委員(荒義尚君) その点につきましては募集要綱の第八項で、移民の義務としましてドミニカ国の法令を守ることということが明記してございます。そういう意味ではドミニカ国の法令たる御指摘の法令が適用になるわけでございます。――ただし、先ほど先生おっしゃったように、自営開拓農として行ったつもりなのに結局は国営開拓民として扱われたという点でございますが、一点申し上げますと、確かに当時の入植地区というものはドミニカ政府が所有し候補地として指定した入植地でございますけれども、実際に日本からの移住者はそこに定住した後、自由に生産物を選択し作付をし、それから販売についても自由にできたという点はこれは事実でございまして、そう
 いう実質的な意味では自営開拓農というふうに我々は考えておるわけでございます。
 それから一点補足いたしますけれども、当時いろいろ監督官がついて……
○久保田真苗君 済みません。時間の関係で簡略にお願いします。
 ドミニカの法令を守るなんてことは書かなくたってそんなことは当たり前。このコロニア法で行くということについては実際何も知らされていなかったのです。みんな土地を持った小さいながらも自営業はやれるのだという、そういうつもりで行っている。それがコロニア法で鉄条網の中へ入ってしまって貧民対策。当時の日本は貧民だったかもしれない。でも、そのことは移住する人に言わなければならないことで、ですからこれは大変なショックだったわけですよ。
 今、時間がありませんので、私は大臣に最後にお願いしておきたいのです。私、きょうは融資の問題もできませんでした。もっと勉強してまたやらせていただきますけれども、この一九五〇年代の移民というのは日本が大変戦後の困った状況の中でかなり無理をしてやっているという事情があって、私ども政治の面からいっても悔いるところが多い問題だと思うのです。
 ぜひ大臣の御注意を喚起しておきたいのは、お聞きになりましたように、政府間あるいは政府とJICAの前身との間に移住協定というものが結ばれていないのですね。それから土地の面積と地権についての詰めができていないのです。それから調査団の報告というものが非常に間違っていたのじゃないかと思うけれども、公表されていないのです。私も知りたいと思う。また、その上に走ってしまったという事実があるのですね。
 それからコロニア法というものが事前に知らされておらず、これが非常に恨みのもとになっている点だと私も思いますので、ひとつ実情を皆さんの言うことを聞いていただきたいということ、それからきょうはやりませんでしたけれども、今後またその方たちが一つは農民として何とか残留したい。もう一つは二世あるいはそのとき行った小さい子供たち、本当に日本人が少なくてばらばらになっちゃったから教育もろくに受けていない。そういう状態が今までまだ尾を引いている。そういうことで、日本人を送り出しながら教育もよくできなかった。日本語もよくできない。スペイン語も決して十分じゃない。これでは私はいけないと思う。
 そこで、今後の対策、今もやってらっしゃる対策をもう少し改善していただきたいということをこの次申し上げますけれども、大臣に、こういったカリブ海の一角ではあるけれども、この移民問題に関心を持ってひとつ誠意のある対応を外務省としてお願いしたいと思うのです。いかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今いろいろ実情をお聞きいたしました。そういう実情を考慮した上で適切な対処をしてまいりたいと存じます。
○久保田真苗君 終わります。
○堂本暁子君 新大臣になりまして初めての質問でございますが、私はいよいよ三カ月後に迫りましたいわゆる地球サミット、リオで開かれます地球サミットについてきょうは伺いたいと思います。
 冷戦の終結後、市民外交は急激に変容を遂げたというふうに思います。一番と申しますかそのうちの一つが、環境外交という言葉がございましたらやはりその環境外交ではないかというふうに思うのです。国際協力なしにはどうしてもできない分野であるということでこの地球サミットは大変大事だと思うのですけれども、外務大臣、日本の環境外交としてはどう臨むべきだというふうに今お考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本は環境問題では先進国の中でもそれに対する対応が進んでいる国であるというように私は考えております。
 今や地球は一つのようなことになってまいりまして、アマゾンの伐採も世界の気候に影響を及ぼすとか、あるいはチェルノブイリ発電所の事故がソ連国民だけでなくて周辺国に放射能の被害を及ぼすとか、例を挙げれば限りなくいろいろな問題がございます。日本は四日市ぜんそくや東京都内における車の渋滞による健康被害問題等いろいろ経験をしてきておりますので、そういうような環境、公害等の点についてのノウハウも持っておりますから、地球環境を主題とする国際会議等においては積極的に参加をして協力してまいりたいと考えております。
○堂本暁子君 もうまさに大臣おっしゃったとおりだと思うのですが、地球が一つであります場合、やはりそこに参加する参加の仕方もこれまた変わってくる。ボーダーレスの時代でございます。
 具体的に伺いたいのですが、今度リオに行く日本政府の代表団には、国会議員とか女性あるいは市民の代表、NGOの代表をお加えになりますでしょうか。大臣にぜひ伺いたいのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはUNCEDに対する質問だと思いますが、今のところ国会議員やそういうものの代表団を送るということは予定しておりません。
 これは世界の国会議員がみんな集まるのか、日本だけ行ってみたところでこれもまた仕方のないことでございますから、むしろこれは列国議会同盟のようなものもありまして、そういうようなところで話し合いをして代表団を送るとか何かすることが一つ考えられます。しかし、大勢の人が一緒に行って泊まる場所がないということでもこれも困るわけですし、治安の問題その他便宜供与の問題等一緒になってしまってもなかなかできません。したがって、どういうふうにするかは今後超党派で国会の中でお取り決めをいただきたいと考えております。
○堂本暁子君 少し意味を違っておとりになったかもしれませんが、そういう国会議員だけではなくて政府の正式代表団、今まで国連に日本が加盟して以来、国連の代表団に女性とNGOの代表は入っていますけれども、UNCEDに向けて政府の代表団の中に例えば市民の代表ですとかNGOの代表が入るかどうかということを伺いましたわけで、例えばデンマークなどはもう八人の国会議員を政府代表団の中に入れるということを正式に決めています。それから女性を入れるということを決めている国もありますし、NGOを正式な政府代表団の中に入れるということを決めている国もございます。
 というわけで、このことはぜひ日本の場合も単に政府の代表だけではなくて、時代が変わったのですからそういった市民、NGO、議員、あらゆる意味で国民を代表する人たちを政府の正式な代表団の中に一人でも二人でも三人でもお入れいただくということをお願いしたいと思います。
 次に移りますが、暮れにバリで、十二月ですが、ミッテラン大統領が主催してグローバルNGO会議というのが開かれました。これは世界から八百人のNGO代表、六億円かけての大統領の招待です。六百人は途上国、そして先進国が二百五十人ですが、三分の一は女性でございました。この会議がどのような発想あるいはコンセプトと申しますかを持っていたか、大臣はもしかしたら御存じないかもしれませんが、外務省の方は御存じでしょうか。
○政府委員(丹波實君) ただいまのその前にUNCEDに対する……
○堂本暁子君 そちらの方は結構でございます。
○政府委員(丹波實君) さようでございますか。
 今のパリの会議につきましては私は必ずしも詳細に承知しておりませんので、むしろ環境庁の担当の方が来ておられるようですので、ひとつ環境庁の方からお願いしたいと思います。
○堂本暁子君 環境庁は御存じですか。
○説明員(濱中裕徳君) 環境庁でございます。
 私どもも政府が参加する会議でございませんので正式に連絡を受けているわけではございませんが、当時そこに参加される御予定の方から事前にも多少情報はいただき、また会議後に大体こんなふうであったというようなお話はお聞きしております。
○堂本暁子君 今、私が伺ったのはどういうコンセプトであったかずばり伺いたかったわけですが、お話を伺っているというようなことで内容はお答えいただけなかった。
 大臣、私が今申し上げたいのは、外務省の国連局長も環境庁も結局ミッテラン大統領がお開きになったこのNGO会議を御存じないわけでございます。これは政府じゃないから御存じない。逆に政府の会議のことも市民は知るチャンスが少ないわけですね。今まさに情報公開と申しますか、そういうことですが。しかし、市民の外交というのは今大きくなっているわけです。
 そこで、どういうコンセプトだったかといいますと、これは参加型の民主主義を確立する。例えば単に政府だけではなくて市民もNGOもみんな参加していく。まさに大臣がおっしゃった地球は一つになる、その中で地球市民の民主的なあり方を求めるということがこのミッテランさんが主催なさった会議のコンセプトだったわけです。ですから、地域の自治それから情報の公開、そして国連の改革というようなことを柱に挙げております。
 こういった中で、もう外交がやはり一枚岩ではいかない時代になったのではないか。冷戦後はもうがたがたと変わったという中で、私はこういうことが外交が一枚岩ではいかなくなったいい証拠だと思っているのです。もっと多重であったり多層であったり多様であるという必要があるのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常に難しい御質問だと思うのです。
 どういう外交をやるかということですが、それぞれ政府の意図と別々な外交をやられてもこれは困るし、しかしながら政府で手の届かないような問題も中にはございます。そういう点で、救済事業とか何かについてNGOの方が大変いろいろな分野で活躍されている。こういうことは大変私はすばらしい、いいことだと思っております。したがって、外交のやり方についてNGOを交えるかどうかということはちょっと私も今すぐお答えの手持ち合わせはありませんが、役立つ面については大いに御協力いただきたい、そう思っております。
○堂本暁子君 NGOというふうにだけおっしゃいましたが、もっと例えば労働界ですとか企業ですとか学界、市民のレベル、それから議員のレベル、もう政府だけではない非常に大きな交流が世界規模で、情報もそうでございます、もうきのうのことがきょうわかるそういう時代、そして飛行機がこれだけ速く世界を駆け回る時代。もう政府だけではない交流が多様に行われている。そういう意味で、単にお手伝いいただくということだけではなくて、そういう多様な外交を展開しないと日本はある意味でいえば片肺飛行のようになってしまうという時代に来たのではないかということを申し上げたかったわけです。
 そのことの一つに、今パリでの市民のNGOのことを申し上げましたが、マイアミでUNCEDに向けての女性の大きな会議がございました。去年の十一月で、これには私も参りました。これはUNEPが主催した会議ですが、この会議について国連局長はご存じでいらっしゃいましたでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生がマイアミまでいらしてこの会議に出席されたことは承知いたしております。UNEPが主催したことも先生のおっしゃるとおりでございます。UNCEDに向けていろいろな非常に多岐にわたる意見交換があったということだけは承知いたしております。
○堂本暁子君 私が行ったことではなくて、事前にこの会議に日本に対しての呼びかけがあったということを外務省としては承知していらしたかどうかということを伺っているのです。
○政府委員(丹波實君) どういう呼びかけがあったかにつきましては、突然の御質問でございますのでちょっと私、今承知いたしておりません。
○堂本暁子君 先日、環境委員会で伺いましたら、環境庁は一切承知していないというお返事で、きょうあえて環境庁にいらしていただいております。
 私、ここに二つ手紙を持っております。一つは日付が一九九〇年の十二月七日で、これはワシントンのエンバシー・オブ・ジャパンと書いてあって日本大使館にあててのものでございます。そして、ここで言っていることは、ぜひこの会議に日本からもその運営する委員会と申しましょうかそういうところに女性を参加させてくれ。それからその次に一九九一年七月十日、これは外務省にあててミニストリー・オブ・フォーリン・アフェアーズとなっています。そして、ミスター・アカオというお名前で来ていますけれども、私はこれはUNEPの正式な手紙だと思います。こういった公式文書というものがワシントンから日本の大使館なりそれから外務省にこうやって正式に出て、これが途中で届かなかったということは私はおっしゃれないと思うのです。
 この間、そこに千五百人なり五百人なりの女性が集まっている中で日本の女性はほとんど皆無に等しいのです。ナイロビでの差別撤廃条約の国際婦人の十年の後ずっと日本の女性は入っていないのです、世界のうねりの中に。そして、その中へ参りましても、五百人集まろうが千五百人集まろうが日本人が発言する場もなければボードにも入っていない。ドラフティングコミッティーにも入っていない。ただ何百人という中の一人にたまたま私がいるというようなそういった状態です。それが何年と続いてきた。やはり私たちは日本の女性としてそういうところへ参加する義務もあるでしょう。権利もございますでしょう。そして、世界の女性と連帯して地球環境を守る。女性の方が生活の場には近いのです。消費者なのです。そういった女性が、政府の方がこういった手紙をないがしろにしたことで私たち日本の女性が一切参加できないできた。これは一体どう理解したらいいのでしょうか。これは大臣に伺いたいのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) よく事実関係がわからぬから正確なお答えができるかどうかわかりませんが、恐らく日本からも参加してもらいたいと思っておるのだが、どこへ手紙を出していいかわからないということで外務省によこしたのでしょうかね。
○堂本暁子君 外務省にも日本大使館にも、それからこの文面によりますと日本大使館にちゃんと大使館員を訪ねて話もしています、UNEPの人は。それと同時に、日本の寄附もしてほしい。だから、私が行ったときに聞いたわけです。そんなに日本人がいないのはおかしいと。ナイロビのときまでは、この間、まさにサインなさったのは森山先生ですが、森山先生にドラフティングコミッティーにも入っていらっしゃいましたかと伺ったら、最初からずっと日本は関与していたと。それで、これだけUNEPに日本はお金も出し国連の二番目の拠出金を出していながら、一切日本はその中の決定権のところに参与をしないということはおかしいと思うのです。女性だからどうなのかということではなくて、さっき申し上げたように、まさに日本の人口の半分は女性ですから片肺飛行と私は申し上げたい。これが例えば温暖化の問題だったらこういうことが起こったのかどうか。これは非常に不思議なことでございます。
 ですからUNEPの担当者、ディレクターですか、のところへ行ってどうして日本人は来ないのかと言ったら、あなたの国は私たちが皆さんを呼ぶための資金すら出さなかったと。確かに参加してほしいということと経済的支援をしてほしいということと両方書いてあります。日本は一銭も出しませんでした。そのことも私は大変恥ずかしいと思っています。多くの途上国の人が来るのに、それこそカナダだのノルウェーだのアメリカだのみんなよその先進国が出している中で日本はお金も出さない、参加もしない。そういう状態で私たちはUNCEDを迎えようとしています。
 最近、超党派で市民も全部での女性の連絡会というのを私たちはスタートさせましたけれども、もう三カ月前でございますのですけれども、これはもっとずっと前にあったわけです。例えばバン
コクでアジアの地域会議も開かれました。そのときの名簿を調べましたらば、男性の人がそこに参加しています。これではボードに日本だけ男性が入るわけにまいりません。
 そういうことで、今後これは徹底的にお調べいただきたい。外務省に公式文書が来ていながらこれだけ日本の女性がないがしろにされたということは、私は国会議員として日本の女性を代表する立場として、やはり先ほどのドミニカの話ではないですが、どうしてもきちんと知りたいと存じます。
 きょうは余り時間のない日なので先へ飛ばせていただきます。
 次に、GEF、地球環境ファシリティーというのがございますが、今これはまた経済の問題で大変大きな話題になっております。UNCEDの試算によりますと二〇〇〇年までの間に年間一千二百五十億ドル必要だという試算があって、事によったらそれの四、五倍要るかもしれないと言いながら、その目線は専ら日本に向いております。日本はどういうお金の出し方をするのか非常に今難しい状況にあるというふうに思っております。このGEF、グローバル・エンバイロンメンタル・ファシリティーといいますが、これに絞って伺いたいと存じます。
 先日、ナイロビでバイオダイバーシティーの専門者会議も開かれましたが、私のスタッフが出席した限りではそこの中心的な課題は同じようにこのGEFだったということです。ほかの専門者会議でも同じようにGEFは問題になっていると思うのです。大蔵省の方がその会議になかなかいらっしゃらなかった。それで、それぞれの個別の会議でどういうふうに問題になっているのか、大蔵省は御報告を受けていらっしゃいますでしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) GEFの参加国の会合は年に二回ございます。私どもが出席するのはその会合でありまして、そういう場でGEFの活動状況等が事務局から報告書として出されますので、その関連で私どもは聞いておるということでございます。
○堂本暁子君 それは世銀の理事会がその会だったというふうに私は了解しております、最近まで。ことしの二月十四日は特別にGEFのためにジュネーブで開かれたかもしれませんが、それまでは一九八九年からは理事会がその場に充てられていたというふうに了解しておりますけれども、間違っていなければ。
 ただ、途上国では非常にUNCEDの資金メカニズム、日本はこれから賢人会議も開かれるわけでございますから、そういった中で日本の資金、これはもう大変に注目されておりますね。年間六千億ドルなどというような話も出るということを言われながら、日本にそういう視線を向けられてもそれはとてもというふうに思いますけれども、現実の問題としては日本への資金のメカニズムが非常に注目を浴びている。そういった中で、世銀の支配下でこのGEFが取り入れられていくということに対して大変に途上国は今危惧を示している。そういうことは大蔵省としてはつかんでいらっしゃるでしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) GEFは世銀だけではございませんで、UNEP、UNDP、世銀の三者が運営に携わっております。そこで、GEFの基本的な運営の方向につきましては、拠出国が集まりまして事務局から説明を受けまして、そこで意見を言いまして拠出国の意見を反映するというふうになっておるわけでございます。
○堂本暁子君 一応UNEPとUNDPが入ってのことというふうになっておりますけれども、それから参加国も意見が言えるというようになっていると思いますが、問題は実質的には世銀のボードで、今のところは別のボードがあるわけじゃございません。同じボードでやろうとしているわけですね、理事会で。ですから、そういうのだとやはり今までの世銀に対して途上国は非常にトップダウンである、そしてその巨大プロジェクトの場合に環境的なアセスが少ないと。これはもう国際的な一つの大きな世論になっております。そこにまたこういうことが入ってくるということに対して危惧を抱いているのであって、今おっしゃった運営というのは紙の上では書かれていますけれども、実質的に日本としてはそういう運営でいいのかどうか。そして、その世銀の会議とかそういうところだけではなくて、もっと温暖化の会議ですとかそれから森林とか、バイオダイバーシティー、生物学的多様性条約とか、さまざまな条約の専門者会議に大蔵省はもっと出ていただいてそういった国際世論を聞いていただく必要があるのじゃないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) 世銀が関与いたしますのは、GEFのファンドは三年間で十億ドルということでパイロットプログラムとして行われておりますが、GEFの活動は二つに分かれまして、技術援助とそれからプロジェクトに対する資金がございます。その資金の部分につきましては、プロジェクトが大きいような場合は世銀本体と資金が入るということでございます。その場合には世銀の理事会が世銀の融資分について議論をするということでございますが、GEFのコアファンドそのものはGEFの参加国会合で決まってくるものでございます。
○堂本暁子君 きのう大蔵省からいただいた資料でいろいろパイロットのプロジェクトを見せていただきましたが、例えばフィリピンのトンゴナンの発電所ですとか、ここは私自身参りましたが、非常に硫化水素の汚染のあるところです。それから工業団地開発のための汚染が、これはODAで七カ国が参加しましたOECFのプロジェクトですけれども、そういったことが問題になっているプロジェクトなのです。そういったところにこれは環境のものが入る。それはなぜかといえば、温暖化防止のプロジェクトとして入っているわけです。でも温暖化は防止できるかもしれないけれども、一方で硫化水素の汚染があるわけです。そのことはもう本当に現実にわかっていることですね。そういったことが、ただでさえ世銀というのはそれだけ環境スタッフはいないということで問題になっているわけです。それはUNDPなりUNEP、いろいろありますけれども、こういうものを幾ら見てみてもその中に書いてあることはアドバイザー的な位置でしかないわけです。
 そういうときに恐らく日本が最大拠出国になることは間違いない。そういった場合に日本を途上国がどういう目で見るか。果たしてそういうふうな形で運営していいものかどうか。別のボードをつくるだけでいいのかそれとも別な新しい基金にすべきなのか。今ではUNCEDのいわゆる資金メカニズムをこのGEFにしたらどうかというところまで議論は広がっているような時代なのです。そんなときに日本がどう出るかということを途上国の人たちが必死になって見ているということをやはり私はどうしてもわかっていただきたい。さもないと、日本がああ決めたことによって、日本は金を出しているけれどもといってまたこれが恨まれる種になってしまう。日本の出し方次第でこれはどっちにでも転ぶことなのです。
 そのためにはやはり国際世論を知る必要があるのではないか。だから、世銀の会議だけではなくてもっとさまざまな会議に、外務省は出席していらっしゃいますけれども、外務省や環境庁だけでなくて大蔵省も知っていただく必要があるのではないかというふうに思います。
 そして、特に途上国が危惧しているのは、先ほど多角的な外交というふうに申し上げましたけれども、やはりこういったお金のことについてもその地域の住民にとって、時によっては政府の決定が住民の利益と反する場合があるわけですね。そうではなくて、その地域の人たちにとっての本当の利益になる環境保全、これはあくまでも地球環境だけに出されるお金ですから、そういったものが当事者にとっても、こういった次なる小さい公害といったらあれですけれども、地域公害を出すような形のあり方というのは困るのではないか。巨大なプロジェクトが十分な環境アセスがなされない中で出されて、これがその方便になっても困ると思うのです。
 これは大臣にも多分私にもとても新しい情報でございまして、つい最近のことなのです、GEFがぱっと問題になり出したのは。去年の五月に始まって以来パイロットの使われ方について大変途上国が危惧しております。賢人会議も開かれることですし、そういった中で日本政府の何というのでしょうか、どちらにしてもよく大臣のおっしゃる言葉を使わせていただけば、日本は応分の役をしなければならない、資金を出さなければならないとずっとおっしゃっていらっしゃいました。そういった中で、応分の出し方で今や下手をすれば途上国にむしろ非常に恨まれる側に回ってしまう。あくまでもそこのところを考えていただきたいということで、このGEFについて大いに認識していただきたいというお願いでございます。
 もう一つは、PKOの委員会でしたけれども、大臣が第一義的に経済成長を考えたいと答弁なさったのを私は伺っていたわけですが、先日ノルウェーのブルントラント首相がいらっしゃいました。ブルントラントさんの国連への報告の中のサステーナブルディベロプメント、持続的開発の底流にある考え方というのはライフスタイルを変えていくことなのです。そして、多量生産、多量消費からもっと地球上の資源を共有していくことの重要性ということ、そのことをやっていかなきゃいけないというのがブルントラントさんの底流にあったと私は思います。
 そういうことを大臣と話されたかどうか私は存じませんけれども、大臣が経済成長を最優先させたいとおっしゃったこと、そのこととこの開発、大変背腹の関係と申しますか、やはりどこかで経済の価格の問題とかそういった設定のされ方、それはガットのウルグアイ・ラウンドとも関係があることですけれども、そういったところに何らかのもっと構造的な変化がなされないと、UNCED、環境サミットは成功しないのではないか。そういう意味で、日本が世界経済の形成にこれからイニシアチブをとるのだとすれば、大臣の考えていらっしゃる経済的なものを今後の二十一世紀に向けての環境ベースとしてどうお考えか伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 卑近な例を申しますと、例えば円借などで火力発電所をつくるというときに亜硫酸ガスの脱硫装置をつけるかつけないかというようなことでしょう。我が国ではもう九九%脱硫できる装置をつけていますが、そういうことをお勧めしても、何かコストが三割ぐらい高くなってしまうというようなことで発展途上国はつけたがらない。これも事実です。それが一基や二基ならいいが、例えば今後中国でたくさん石炭をたいて火力発電所をどんどんつくっていくということになると、酸性雨が日本に降ってくるというようなことなども考えられるわけです。
 そこで、我々としては、今後公害を起こすと自分の国だけでなくて他の国にも問題が起きますし、生産第一、経済コストということだけではなくて、むしろ健康被害が起きたりすればその被害を補償したり何かそういう点の方が余計お金がかかりますよと。だから、やはり公害は環境問題と一緒の話ですから、未然に防止した方が実際の社会的なコストは中長期で見れば少なくなりますと、こういうことで、そういう考えのもとに今後の経済協力というものは進めるべきではないかというのが私の考えなのです。
 一方から言わせれば、そうするとお金を余計出せ、二割も三割も余計にかかるのでは余計とりあえず出してくれと、こう言われる。出さなければ規模を縮小するのは嫌だというようなことで、まだ国際的なコンセンサスが得られておりません。おりませんけれども、非常に重要なことでございますから、私が今言ったような考えで経済協力等を行うときには同じ意見になれるように根気強く努めていきたい。やっぱり啓蒙啓発も必要ですから。
 大変勉強になりました。
○堂本暁子君 そのことはもうぜひお願いしたいと思います。
 私が申し上げたことは、むしろ日本の中での過剰消費もやめなければいけないのではないか、経済のライフスタイルの切りかえが大事ではないかということです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そうですね。全くそのとおりです。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
○黒柳明君 大臣、まずAWACSのことをお伺いしたいのですけれども、ブッシュ大統領訪日の後の声明の中で、両国とも早期警戒の重要性を確認し、日本側が早期警戒機の導入整備、これを検討ずみ、アメリカの方はその支援に努力する、こんな声明が出ました。
 ところが、今防衛庁の方では中期防見直しの中でどうもAWACSの導入をストップするのではなかろうか、こんな感触が強いわけでありますが、どうでしょうか、もしこのAWACSの導入をストップしますと、日米間の国際公約的なものが大きな破綻を来してまた新たな日米の亀裂をつくっていくのじゃなかろうかなというような感じもしますが、大臣、その点どう思いますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはまず防衛上AWACSがどうしても必要かどうかという問題の方が優先することであると。
   〔委員長退席、理事山岡賢次君着席〕
したがって、そういうことでどうしても日本の防衛上必要であるという場合は私は導入せざるを得まいと。
 そこらは極めて専門的な問題でございますから本当は防衛庁に聞いてもらうのが一番いいのですが、外交問題との絡みということについてはまず北米局長から答弁をしてもらいますが、今呼んでいるところだそうです。後回しにしてもらっても結構です、すぐ来ますから。
○黒柳明君 当然これは防衛の所管じゃありません、外務省の所管ですから。
 このAWACSの必要性、これはかねてから防衛庁が待望していた問題でありまして、不必要であるということじゃなくして、いろいろな国際情勢の変化、中期防を見直しせざるを得ないような情勢、その中においての、これはまだマスコミ辞令ですから、政府、防衛庁が決定したわけじゃないですが、やっぱり私の感触ではこれは決定せざるを得ないのじゃなかろうかなという感じがするのです。
 それはさておいて、防衛庁長官の所管ですから、必要か不必要かということは。私が言っているのは、日米公約の中で、そうじゃなくても日米間いろいろなぎすぎすがあるわけですし、選挙の時期において何か日米間で利用されるといいますか、日本の政治家の発言なりいろいろなことが。そんなことでまたこれだけの大きな問題が、しかも総理大臣と大統領との国際公約で文書化されたものが後退したなんてなりますと、これはもう新たな火種どころか選挙上向こうに格好の最大の火種をつくってしまうのじゃなかろうか。こういう観点から、必要であるかどうか、これは必要なわけです。必要じゃないわけはないのです。これは外務大臣だって御存じのとおりです。それを前提にしてもしなくても結構です。私は、日米間の大統領と総理大臣のあの文書を踏まえまして、約束しているわけですよ、こちらも努力する、向こうも支援に努力すると。この問題について、もしこれが導入をしないとなったときには相当アメリカからまたクレームがつけられるのじゃなかろうかな、こういう感触がするので、この点についてどう考えるかということをお聞きしている。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは黒柳先生と同じ感じです。同じ考えです。
○黒柳明君 黒柳先生と同じ感じと言ったって、私の中を内視鏡で見たような感じですけれども、相当クレームがつく。
○国務大臣(渡辺美智雄君) やはりこれは相当な問題になるということは間違いないという感じです。
○黒柳明君 それから当然大臣御存じのように、イージス艦の発注についてもキャンセルを検討がなと、これも同じくマスコミ辞令です。防衛庁が検討を決めたわけじゃありません。ただし、私はこれも決めざるを得ないのじゃなかろうか。この
ハイテクは全部アメリカのものを購入するわけですよ。そうなりますとAWACSもあるいはイージス艦もと。イージス艦はその文書の中に書いていません。書いていませんけれども、これはもう前からの約束がずっと先行しているわけです。それは早期警戒のことですね。ですけれども、イージス艦もあるいはAWACSもとなりますと、向こうだっていろいろな予算がありますし、政治的ないろいろな配慮の中で日米間の話し合いをしてきたわけでありますし、これは別に私はキャンセルしちゃいけないと言っているのじゃないのです。むしろそれよりも日米間の問題を非常に憂慮するということです。
 それじゃ導入しない考えなのか、キャンセルしちゃいけないかというと、それは私はそんなこと思っているのじゃないのですが、それと同じぐらいのレベルで今後日米間の当面のことを憂慮せざるを得ない、こういう観点なので、イージス艦もキャンセル、AWACSもキャンセル、これが必要であるかどうか、こういう問題はこれは必要であるに決まっているわけです。我が党は、しかもこの早期警戒などというのはこれはますます日本にとって必要だと思うのです。いろいろな検討もしなきゃなりませんけれども、そういう中においてこれがキャンセルの方向なんてなったら大変なことだろうなと。
 黒柳さんと同じなんてことじゃなくて、もうちょっとコメントをつけ加えてくれませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは約束したことを相手の了解なしにこちらがキャンセルすることはありません。
○黒柳明君 そうすると防衛庁は、もしこれを導入しないとなった場合には、日米間の話し合いを先行してよく向こうの理解を得てそしてやるのだ、これは当然過ぎるぐらい当然だと思うのですけれども、それにしてもそんなことは今までやっていることですから、それをやった上において非常に向こうの批判が来ているわけです。来ているケースが多いわけです。大変なことになるなと、こう思うわけです。
 さらに、きのうカリフォルニア郊外において在留邦人が刺されたと、こういうことありましたね。しかもその動機が、おまえたちがいるから我々の国は不幸なのだ、失業するのだ、こういうようなわけのわかったようなわからないような脅迫があった。しかも、それを動機に殺された可能性が強い、こういう報道ありました。ここらは北米局長あたりに果たしてそんな雰囲気がどのくらい醸し出されているのかはっきり聞かなきゃならないと思うのですが、私の電話でのあれでは、こんなのは局部的であろう、これは非常にレアケースであろう、こういうコメントはつくものの、それだけでは済まされないような問題が総理大臣の発言、衆議院議長の発言、あるいはすぐさまアメリカのテレビがトップでそれを伝えるというような問題。
 現に景気が下がっている、さらに選挙だと、こんなことで非常にもういろいろな条件、日本バッシングじゃないのじゃなかろうかなと言いながらきのうテレビやなんかで報道していましたけれども、これについても非常にやっぱり看過できないような、まして邦人の誘拐なりなんかも続出しています、中米あたりでは。そしてさらにアメリカと、そういうことがありますので、これは大臣、昨年の六月あたりですか、総務庁から外務省の邦人の援護に対しての救済の手がおくれているというようなことが出ていました。半年たっていますからそれはもう万全を尽くしたと思うのですけれども、そういうようなことも含めてアメリカにおける日本に対する感情的なこういうものが非常に高まっているのじゃなかろうか。その一つが見過ごしできないような昨日の邦人の殺害ではないかな、こんなふうにも感じるのですが、どうですか、大臣。これはもうそんなことはないよ、小さな問題だよと、こういうふうに見過ごしていられる問題でしょうか。
   〔理事山岡賢次君退席、委員長着席〕
○国務大臣(渡辺美智雄君) 昨日のカリフォルニアの事件が直ちに日本人憎しということにつながるかどうかは不明であります。不明でございますからわかりませんが、しかし今、黒柳委員がいみじくもおっしゃったように、我々通常の日本人が考えている以上にアメリカの中において日本人に対する悪い感情が出てきているということは事実であって、いいとか悪いとかということは抜きにして残念ながらそういうような感情が出てきている。これを冷静に受けとめ、助長しないようにいろいろ手を打っていかなければならぬ、そう思っております。
○黒柳明君 PKOの問題ですけれども、何かけさの新聞でも一昨日の新聞でも各紙ともまたPKOのことを取り上げていますね。
 先般衆議院を通過して、今参議院に法案がある。これは原案のまま通過することは一〇〇%難しい。当然今からその所管大臣、一番の責任者が、これはもう通過するのは難しいよとか、しなくていいよなどということは口が腐っても言えない問題だと思いますが、常識的にはこれは難しい。だから梶山さんの五項目ですか五条件ですか、これは特別なものじゃない、常識的なものだと思いますけれども、要するにPKFについてはこれは難しかろう。そうなりますと、あとは自衛隊が加盟すると丸腰の監視団までなのか、あるいは自衛隊加盟ということになると、これは与野党含めてソフトランディングはとても難しい。衆議院のまたあのがたがたの二の舞になる可能性がある。
 こんなこともありますと、どうでしょうか、大臣としまして。これはもう与野党のいろいろな折衝がこれからあるからと。これはいざ知らず、大きく言うと監視団までなのか。自衛隊が必要だとなると監視団まで丸腰で、あるいは今のカンボジアの問題でもくしくも出ましたように、文民の活躍をする範囲が幾らもあるのだと。そうなりますと自衛隊を抜きにしてともかく民間レベルだけでやれるものでもいいのだ、現法案をどうしても後退しなきゃならない、修正しなきゃならない、その場合に大臣は与野党のこれからの調整ということは当然のことですか。やっぱり最高の責任者ですから、今のお考えは修正するにしても後退するにしても、国際貢献何でもいいのだ、ともかくPKOが成立したらそれでもう結構なのだというお考えも一つあるかと思うのです。いやいや国際貢献なんというのは何でもいいというわけにいかないと。国際緊急援助隊法ではもう文民だって行ける体制、法律はできていますから、やっぱり少なくとも自衛隊が参加しなければこれはだめなのだ、監視団まではと。そこらあたりは大臣、今どういうふうに考えていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、最低限、現在のいろいろな制限を受けた中ではあるけれども、現行のPKO法案はもう野党の意見も入れて修正もしたわけでございますから、その形でぜひとも成立をさせてほしい。国際貢献なら金だけでいいとか、それから文民だけでいいとかいうような考えは持っておりません。ぜひとも成功させてほしい。しかし、野党の間で私はできることならばより多くの人が賛成に回ってくれた方がいいのでございます。したがって、原案のままだけれども、運転免許と同じで、まあ言うのはやめておきましょうか、これ以上は白いずれにせよ、安心をした形で参加できるというようなことならそれでも仕方ないかと。
 いずれにせよ、これは相手のある話でございますから、今国対で大いに自公民の調整をやっているというように私は聞いております。本来ならば、無派閥といいますか連合といいますか、そういう方も御参加いただければなおよいし、社会党、共産党まで御参加願えれば満点だ、そういう考えです。
○黒柳明君 国対での調整やっていないのです。私、参議院の公明党の団長ですから。全くやられていません。梶山さんだけの新聞情報が先行しているだけです。その点、私は心配しているのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これからです。これからやるのです。
○黒柳明君 やっていると過去形で。まあ結構でしょう。
 運転免許のところでその後が、何かいつもざっくばらんであれするのに、きょうはばかに慎重じゃないですか、外務大臣。もうちょっとざっくばらんに話を聞けるのかなと思って私は期待していたのですけれども。
 その中で安全にということになれば、これはやはりすべて社会党さんも連合さんも、まあ隣の立木さんのところまでは私はどうかなと非常に疑問に思うのですけれども、もうこちらから向こうと猪木さんのところまではやれるとなるとやっぱり文民だけ。今、くしくもカンボジアで必要な分野があるわけですから、これだったら完全に安全運転ですよ。大丈夫ですよ。そこらあたりだったらもうソフトランディングもするし、そしてまたその次の国会を見る、選挙が終わった後。こういう便法だってあるわけですよ。
 ですから、私が何回も言うように、これから与野党の話し合いともう三回言ったのですが、それを前提にしてやっぱり外務大臣がどう考えているか、ここらあたりがあいまいですと与野党の話し合いなんてまとまりはしません。中心になる人がしっかりした意見を持って、それを中心にして話し合いというものは進むのです。お互いに意見が違うのですから、今のところは。まとまった意見なんかないのですからね。おれはこうだ、おれはこうだと言っているのですから。心棒がまずしっかりしてもらわなきゃ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 最低限度PKO法案の成立ということです。実行の仕方については、免許証はもらっても安全運転をする場合もございますから、青葉マークなどというのは一例でありまして、そのやり方については御相談をしていきたいと。
○黒柳明君 最低PKO法案の成立ということになると、もうけさの読売に出ていましたように、梶山さんが五項目を、あれも相当検討してやっているわけじゃないと思うのですね。これからあれをたたき台にするのか、あるいは今までもあんなことは言われたことで、そんな大したものじゃないと思うのですがね。
 やはりPKOの成立となりますと、自衛隊抜き、非軍事、文民だけ、民間レベルと、これが一番もう可能性が強いのじゃないですか。こんなことは私が言うまでもなく。その線でまとめるということだったらこれはだれも反対しないでさっとまとまる雰囲気が今できているのじゃないですか。それでもPKO法案を成立させるということには今の条件も入っている、こう見ていいわけですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 文民だけならば今でも何もなくたってできるわけですから。それではともかく世界の主要な国のみならずアジアの諸国が努めてくださるようなことはできない。したがって、カンボジアに対する貢献にしても、周辺のアジアの隣組の人たちがみんなやってくれるぐらいのことは日本もやりたいということでお話をしておるのです。
 ですから、我々は組合の方等やいろいろな方とも話をしていますよ。個人個人はそれはもう当然だという人の方が多いですよ。ですから、これは堂々と国民に向かって物を言っていけば、参議院選挙に不利とか不利でないとかというようなことは私は逆だと思います。私は堂々と国民の理解を求めていった方がいい。それは一〇〇%の賛成などというのはあり得ないのですから。そういうつもりでおります。
○立木洋君 外務大臣、朝鮮の従軍慰安婦の問題について改めてこの機会にお尋ねしておきたいと思うのですが、国会の中でも大分議論されましたですから問題点はおわかりだろうと思いますけれども、私がまず最初にお尋ねしたいのは、朝鮮の従軍慰安婦の問題という大変遺憾な事態が起こったというのはこれは偶然でもないし自然でもないと思います。やっぱりその背景があった。つまり、国が関与してまでこういういまいましい事態が起こるというふうなことになったその原因といいますか背景といいますか、それは大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう戦争というものはまことに非人道的、罪悪を内蔵するものでありますから、問題は戦争にあると言っても差し支えないでしょう。
○立木洋君 そういう戦争ですね、つまり侵略戦争、そういうものが背景にあったと、これは私も賛成です。ただ、問題はそれだけではなくて、例えばそういう侵略戦争が仮にあったとしても、どこの国の民族でも日本が従軍慰安婦にできたということじゃないのですね。つまり、植民地支配という問題が存在したということが結びついて朝鮮の従軍慰安婦という問題が起こったのではないでしょうか。これは大臣、どのようにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 従軍慰安婦の問題については、当時の資料によれば、日本人も当時の朝鮮人も台湾人も残念ながら記録にあると。
○立木洋君 いや、それが結局、他民族をそういう形で権力を行使して従軍慰安婦にさせるというふうな状態が可能になったのは、植民地支配ということと結びついているのではないでしょうかというのがお尋ねなのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当時は韓国は日本に併合されておって日本人の扱いを受けておったと。したがって、韓国国籍でなくて日本人の名において兵隊にとられた。要するに兵役の義務ですね、それも課せられた。これも事実じゃないですか。
○立木洋君 朝鮮民族としての民族の主権が踏みにじられて、つまり民族の意思というものがなくなってそれが日本人という形にさせられてしまった。ですから、民族としての主権がなく、独立していないという状態であったわけですね。だから、そういうのはやはり植民地支配というふうに言うのではないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういう見方があるのも事実でございます。
○立木洋君 どうも植民地支配というのをお認めになりたくないように承りますけれども、植民地支配ということは歴史的な事実ですから問題ないのじゃないですか。いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 我々としては朝鮮併合の条約というものは有効なものだというように、政府は一貫して当時はそういうことを言っておったわけです。
○政府委員(谷野作太郎君) 若干つけ加えさせていただきますと、大臣の御答弁のとおりでございますけれども、日本がかつて一時期朝鮮半島を植民地支配下に置いたということは、これはもう歴史のまごう方なき事実でございます。そういう事実を踏まえて、先生も御案内のように、日本政府におきましてはいろいろなレベルで、総理のレベルも含めてこれについて反省の念、謝罪の念を述べてきておるところでございます。
○立木洋君 結局、大臣、私が何もここで言わなくても十分おわかりだと思いますけれども、一九一〇年に朝鮮総督府がつくられて、その朝鮮総督府というのは全部日本の陸海軍の大将がやったわけですね。その人たちの発言の記録なんかを見ても、朝鮮人は服従するかさもなくば死を選べとさえ、私は名前は挙げませんけれども、ある大将が述べているということもあったわけですし、その後いわゆる創氏改名の問題から徴兵制から何から全部朝鮮民族としての主権が完全に踏みにじられた。そういう状況の中でこういう従軍慰安婦の問題というのも出てきているわけです。
 だから、植民地支配ということと侵略戦争ということがやはり根底にあるわけで、ここについての十分な反省ということ、これまでの日本政府のとってきた間違いとして十分に反省されるということが根本的には朝鮮民族との関係を正しく律していく根底になければならないというふうに考えるのですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府としては、今までも朝鮮半島すべての人に対して過去の我が国の行為については深い反省と遺憾の意を累次にわたって表明をしてまいりました。
○立木洋君 ですから、やはり侵略戦争ということと植民地支配という問題については厳粛にその事実を明確に反省するという観点に立って受けとめるということが必要だと思うのです。何かそう
いう言葉を避けるというふうな姿勢は、大臣、今後ともとらないで厳格な対処をしていただきたいということを述べておきたいのです。
 さてそれで、この植民地支配というのは一体いつから始まったのでしょうか、何によって始まったのでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 御存じのとおりでございますが、日本の植民地支配に法的に置いたのは一九一〇年の日韓併合条約、これが契機だと思います。
○立木洋君 そうしたら、そういう植民地支配、つまり他民族の主権をじゅうりんして民族としての主権を全く奪い去ってしまったその併合条約というのが、いわゆる合法的に相手の了解も得て相手を尊重したという何か対等な立場で結ばれたかのようにいまだに主張するというふうなことになると、それは矛盾するのじゃないでしょうか。つまり、その併合条約それ自身がいわゆる不当な条約だったということを明確にさせることが必要ではないでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点につきましては今までいろいろな機会に政府側から御答弁申し上げているとおりでございまして、法的な問題として申し上げれば、法的には一九一〇年の条約も有効に締結され実施された条約であったということを今まで述べているわけでございます。ただ、その問題と当時の政治的その他の背景というものはこれはまた別な問題であるというふうに考える次第でございます。ただ、法的には有効に成立した条約であったというふうに考えております。
○立木洋君 つまり、柳井局長、法的に合法的だったというふうな言い方を主張するということは何かそれが極めて正当性を持っていたかのような根拠づけになるのであって、法といえどもこれは悪法というのだってあるのだから、人類を殺りくし他民族の主権を完全に奪い取るような法律というのはこれは悪法なのです。だから、そこでの反省が、何か合法的に併合条約が行われたという形でそれを正当化しようとすることは反省すべき立場とは矛盾するのじゃないですか。
○政府委員(柳井俊二君) その点につきましては先ほど申し上げたつもりでございますけれども、法的な問題として当時合法的に成立したということは歴史的な事実だったと思います。ただ、その問題とこの朝鮮の併合ということが道義的、政治的にどうであったかという問題とはまた別なものであろうと思います。その点の後者の問題につきましては、先ほど大臣から申し上げたとおりの反省というものを現在政府としてはしておるところということでございます。
○立木洋君 柳井さん、だんだん声が小さくなるけれども。
 一九〇五年の保護条約、これについては、当時の韓国の大臣が逃亡しないように日本の軍隊の監視の中で、そして日本側が相手の国家の印章まで確保して完全にそれで調印させるというふうなやり方というのは、幾ら合法的といったってこれは軍隊がバックにあって力を背景にして相手に調印を迫るというやり方なのです。そういうことを引き継いで併合条約というような問題になっているわけです。だから、あのバルト三国でスターリンがああいう強制的な軍隊をバックにしていわゆるその国の主権を侵害して併合したというふうなやり方は、あのときは盛んに正当だ正当だと言ってきたでしょう、ゴルバチョフも。しかし、正当じゃないのですよ。やはりその民族の主権を侵害しているのです。そのことを明確にこの朝鮮問題では認めないと、いわゆる植民地支配だったということまで反省して植民地支配の始まりが一九一〇年にあるということが言われるならば、あのときやったのは力を背景にして軍隊を背景に置いて他民族の主権をじゅうりんした条約だったということを明確にすることが首尾一貫性のある反省の立脚点になるのではないでしょうか。
 もう一遍、もう条約局長がそういうふうにおっしゃることはわかるけれども、どうですか、感じとして。大臣、法律だとか何とかということを抜きにして、政治家としてその問題についてはどういうふうな判断をお持ちなのか。
○政府委員(柳井俊二君) 歴史的に見ますと、いろいろ軍事力その他の圧力を背景に交渉を行いあるいは条約を結んだということが多々あるわけでございます。現在の国際法に照らせばそのようなことはやってはならないということになりますが、ただ当時の実定国際法としてそういうことが許されたかどうかということになりますと、少なくとも法的にはそういうような条約も有効に成立したと当時はされていたわけでございます。
 ただ、そのことと現在政府がどのように反省しているかということとは別なことでございまして、その点につきましては先ほど大臣から明確に御答弁のあったとおりでございます。
○立木洋君 局長がお述べになれる点はそこまであたりかもしれませんけれども、確かに第二次世界大戦でできた国連憲章の中で初めてすべての民族の自決権というのが明記されたわけです、国際的にも。それ以前には先進国における民族の自決権というのはあったにしても、おくれた国における主権、民族の自決権というのは認められないというふうな時代だったということを言うならばそれはそうかもしれないけれども、しかし少なくとも今日の時点に立った深刻な反省ということはあってしかるべきだという点は、あくまでも併合条約を合法的なものとしていわゆる認知を与えるような立場をいつまでもとるようなことはしないということをやっぱり今後ともよく検討していただきたい。そうしないと国際的な貢献といっても、アジアの諸民族に対してそういう状態をやってきた日本の国家がそれに対して十分な反省に立たないということになれば、幾ら国際貢献といったって国際貢献の根底が崩れていくでしょう。
 だから、そういう点については大臣によく御検討をお願いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。何とか最後に一言おっしゃってください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 時代とともに人権尊重の尺度が変わったということは事実だろうと存じます。先進諸外国の中でもたくさんの植民地を持ちいろいろなことをやってきた国もないわけではありません。しかし、国際連合ができて民族自決権という問題が新しい角度から取り上げられた今とでは尺度が違うということは言えると思います。
○立木洋君 だから、そういう点に立ってやはり十分に反省するというところまで言っていただければ百点だったのですけれども、それは抜けてしまったようですね。ぜひその点をお願いします。
 それで、もう一つちょっとこれは別の問題でお尋ねしたいのですが、リビアの問題について先般安保理で七百三十一決議が採択をされております。この問題というのは、一九八八年、一九八九年、パンナムだとかフランスの航空機がいわゆるテロに遭ったという問題で、これについての捜査に協力するようにというリビア政府に対する要請がなされ、それに対して事実上犯人の引き渡しを要求するという決議が七三一で満場一致採択されているわけです。その後、この問題についてリビアの政府も、それについては私たちは協力しましょうというふうなことを公式には発表していますが、順調に進んでいるかどうかというのはいろいろ問題があるようであります。
 その後の経済制裁に移るかどうかという問題が論評されたり、あるいはヨーロッパなどの幾つかの新聞では、アメリカの国防総省としてはリビアに十分な反省の色が見られないならば爆撃を行う可能性も検討されているというような新聞報道がなされておりますが、こういう実態について日本の政府はどのように把握されているのか、またそれに対して何らかのアクションを起こし、何らかの申し入れ等々を行ったのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○政府委員(丹波實君) 先生おっしゃいますとおり、先般一月二十一日に安全保障理事会は決議七百三十一号というのを全会一致で通しまして、その要旨はもう先生御承知でございますので全文はあれしますけれども、要するにこのリビアのパンナム機、UTA機の破壊に関する行為を非難する
と同時に、リビア政府が関係国の要請に実質的にこたえていないことに遺憾の意を表明いたしましてこの犯人の引き渡しということを要請しておるわけでございますが、その後この決議の実行の問題に対しまして、国連がサフランチュクという事務当局の者をリビアに送りまして二極にわたって会談を重ねておるということを承知いたしております。その結果まだ結論は出ておりませんで、特に米英仏が関係当事者であったわけですが、事態の推移を見ておりまして、今後どういう行動をとるか事態の推移を見ながら検討中である、こういうふうに承知いたしております。
 私たちも随時、現在安保理のメンバーでもございますので、米英仏から情報をとり、かつ時には、御承知のとおり、この間リビアの代理大使を中近東局長が招致いたしまして申し入れを行ったり、ニューヨークにおきましても波多野大使がリビアの大使と会談をいたしたり、いろいろな方面から情報をとりながら今後の推移を見詰めているという状況でございます。
○立木洋君 もちろん私たちの場合に完全にリビアが国家テロとして行ったのかどうかということを判断をする材料は持ち合わせていませんけれども、しかし少なくともどのような国であれテロを行うということには我々は完全に賛成できませんし、これは厳しく糾弾されなければならない問題だろうと思うのです。
 しかし、今の状況の中でこの問題についていわゆる武力によって解決しようというような動きに進展していくならば、これはやはり短絡に過ぎるので、もう少し正当な解決の方法というものを探求することが必要だろうというふうに思うので、日本も安保理に参加しているわけですから十分に事態を把握して、いわゆる急ぎ過ぎた戦争などというふうなことが言われないように武力の行使については慎重をきわめるように、そういう点については十分な配慮ある態度を日本政府としてはとっていっていただきたい。そういう役割を日本政府としても考えていただきたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 私が、私たちがと申しますか承知をしておりますところ、米英仏もこの七三一が履行されないからすぐ武力的な行動に出るとは現在のところ考えておらないと思っております。もし次の行動というものが、理論的にでございますね、もし理論的にあり得るとしたら、それは例えばリビアとの間のエアリンクと申すのでしょうか、航空機の乗り入れを例えば停止するとかあるいは経済的なその他の措置を呼びかけるとか、そういうことを次の段階としてはあるいは理論的には考えておるのかもしれませんが、繰り返しますけれども、次の段階としてすぐ武力行使というところまでは考えておらないと私たち承知いたしております。
 いずれにいたしましても、リビアと国連とそれから国連加盟国との間でこの問題が円滑に、と申しますのは、テロというものは断固糾弾されなければならないという、そういう観点はあくまでも失わない意味でございますが、円滑に解決するという方向で物事が進んでいくように日本としても努力はいたしますし、そういう方向で国際社会にも働きかけていきたいというふうに考えております。
○高井和伸君 副総理そして外務大臣に外務委員として初めて質問する機会でございます。
 少し唐突かもしれませんけれども、今の日本の外交を担当なさっていまして政治改革との関連でどのような御感想をお持ちなのか。日本の政治改革がしっかりできていないので外交はやりにくくてしょうがない、あるいは今のままでいいのだ、あるいはもう少し何とかならないか、いろいろお答え想像できるのですけれども、端的に言いまして、米ソの対決のもと、冷戦のもとで政治の仕組みがこれまで行われてきた。それが氷解した後、ある意味では日本がアメリカとの関係だけを主に考えておればよかった時代から広くグローバルに見なければいけないというときに、各政党の綱領なりそういったものがかなりドグマチックになってしまっていて動きづらくなっているのではなかろうか。
 そういうことで、外務大臣に御就任になりさらに副総理として、政治改革も目指しておられる内閣におられる立場からどのようなお考えをお持ちなのか、御意見を聞きたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本の政界において私が残念だと思うことは、防衛とか教育とか、そういうような点についてはぼ考え方が同じというところまで政党の政策が近寄っていない。特に、長い間我が党は日米安保基軸ということを言って、自由主義経済、自由主義貿易と。それに対して一方は安保廃棄、安保は認めないと百八十度違っておった。こういうことではなかなか政権の交代といっても西と東を向いているような話ですからうまくいかなかった。
 そういう中で、たまたま自民党の中で政権の交代は行われてきたけれども、政策の一貫性は貫かれてきた。しかし、最近に至り、ソ連の崩壊というものを契機にしてかなり政策が近づきつつあるということは私は好ましいことであると認識をしております。
○高井和伸君 続きまして、今の続きになろうかと思いますけれども、米ソがそれぞれ核兵器を保有し、その抑止力によってある意味では国際関係が確立されていた。そういう中で、現在米ソの東西の冷戦構造が解消されまして、ある意味では米ソが核兵器を使うということ自体避けられそうな雰囲気になっている。他方、旧ソ連においては、経済的な破綻から兵器を第三国へ売却するというような事態がかなりいろいろな面で心配されています。それで、当面のところ、核の問題に行く前に通常の戦車あるいは航空機、軍艦といったものが外貨獲得のために売却されているというようなことを聞いております。
 こういった状況を抑制した方がいいだろう、こう考えるところでございますけれども、日本の力だけではできないのもまた当然。こういったことを国際的な取り組みとしてどうやっていったらいいか、どのようなお考えなのか、まず通常兵器のレベルからお尋ねします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本としては、もちろん核については非核三原則というものを持っており、武器輸出をしないという国是を持っております。したがって、我が国は昨年も通常兵器の海外移転、売却または贈与とか、そういうことについては国連に対する登録制度を提案してきました。
 そういうふうな観点から見ましても、ソ連等の兵器が海外に売られるということは何としてでもこれは断念をしてもらわなければならない。そのために、ソ連は今非常に経済的に困窮をしているということなので食わんがためならばということになると困るわけですから、北方四島というような未解決の問題もあるが、我々としては人道的な立場から食糧や医療の援助はしたいということで、アメリカなどの提唱に賛成をして応分の負担を表明しておるところであります。
○高井和伸君 旧ソ連が解体してそれぞれの国が独立国家になった。核の今の所在はロシアが中心で、それ以外にもウクライナ、カザフ、ベラルーシというところにあると言われている。そういったものが現在どういう状況になっているのか。あるいは撤去されたのか廃棄されたのか。そういったことがどのような事実になっているのか確認する必要があると思うのですが、日本が確認するわけにはいかない。やはり国際的にそういったことを確認する必要があるのじゃないかと思うのですが、現状はどうなっているのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 今、先生御指摘のとおり、戦略核につきましてはロシア連邦のほかにウクライナ、ベラルーシ及びカザフスタンに所在するということは周知の事実であるわけでございますが、この戦略核につきましてはなおこの四共和国の中に配置が依然としてなされている。しかしながら、ウクライナとベラルーシにつきましてはやがてこの戦略核も廃棄して非核国になるという、そういう意図表明がなされているわけでございます。
 戦術核につきましては、かつてはかなり広範に旧ソ連邦の中に配置されていたと推定されるわけでございますけれども、本年二月一日の米ロ首脳会談の際の記者会見におきましてエリツィン大統
領は、ウクライナ、ベラルーシにはいまだ戦術核が存在しており現在中央への移転作業中である、カザフスタンからは既に戦術核を撤去したということを述べておられます。
○高井和伸君 核兵器の旧ソ連における廃棄という側面ではどんな進行状況になっているのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) この問題はアメリカを初め西側諸国の重大な関心事でもあるわけでございますけれども、核をどういうふうに廃去させるかということについての具体的な話はまだ進んでいないというふうに承知いたしております。
○高井和伸君 いずれ核兵器が廃棄される場面になりましたときに核弾頭の処理が問題になってくる。そうした場合、ウランあるいはプルトニウムというものが出てくる。こういったものの管理というか拡散を防止するというか、こういった措置、日本としてもぼんやりしているわけにいかないというときに、こういったことの危険性の大きい今の旧ソ連の経済状況から見て、ロシア連邦の状況からいって、第三国に流出することを抑えることは絶対に必要だろう、こう考えるわけです。
 そこのところについての日本の方針、外交方針はどのようにお考えなのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) その点につきましては、まさに先生の御懸念、御指摘と私どもは認識を全く同じくするわけでございます。そういうことでございますので、十二共和国、具体的には現在のところ十一でございますけれども、国家承認を行いました際にもそういう面での我が方の懸念、軍備管理・軍縮の義務の誠実なる実施ということもおのおの申し入れたわけでございますし、特に頭脳流出、技術あるいは頭脳が流出していくということにつきましては我が方も多大の関心を当然持つわけでございます。
 この点につきましては、最近米国、ドイツ並びにロシア連邦三国が国際科学技術センターの設立構想というものを提唱いたしております。私ども政府の部内におきましてもこのようなアイデアを建設的、前向きな方向で検討しつつあるところでございます。
○高井和伸君 また、ロシアから日本へプルトニウムなどの売却の意図があるというような言われ方も私ども聞いているのですけれども、政府としてはどのようなお考えなのか。そういったことを耳にしているのかしていないのかを含めてお答え願いたいと思います。
○政府委員(兵藤長雄君) 具体的にプルトニウムの売却の申し出が日本政府に最近なされたという話は私は承知いたしておりません。
○高井和伸君 先ほどは頭脳流出の問題への対応をお話しになっておられましたけれども、将来、現実的に核物質、プルトニウムなどが余ってくるというか存在するという事態になったとき、原子力発電に使うというような方向が考えられるわけです。ある意味では、これを原子力発電に使うというようなことで軽水炉などに持っていくというようなことになりますと、それはもう核拡散がどうしても出てくるに決まっているわけです。そして、五キロぐらいあれば核爆弾ができるというような厄介なものである。こういったときにこの存在にどう国際的に対応していったらいいのか。先ほど大臣もおっしゃっていた側面を含めて、もう少し先を読み込んだ方向で言うとどういう対応を政府としてとられるのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 確かに今先生御指摘のとおり、核兵器が解体廃絶されました後に出てまいります核燃料をどうするかということは、大変に各国とも重大な関心を持っているわけでございます。非核三原則を国是といたします我が国は、少なくともこういう核物質の平和利用を進めるべきだという前提に立ちまして政府部内でも検討を開始した段階でございます。
 まだ各国とも国内でいろいろなアイデアを検討しているという段階でございまして、今後、西側諸国とも協議を進めつつ、日本がどういう貢献をできるかということを検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○高井和伸君 核弾頭をプルトニウムにする手続においてもかなり技術者が要る。その技術者がかなり流出しているというようなときに、やはりそのまま核弾頭としておくよりは元の核物質に戻した方がいいだろう。そういったところにも日本の国としての対応があろうかと思うわけです。
 そこで、外務大臣にお尋ねしたいのですけれども、先ほどの局長の御答弁にあったとおり、平和利用という側面、プルトニウムの徹底した平和利用、それは武器としてじゃなくて人類の幸せのためのプルトニウムの利用という側面を日本国が中心になって国際条約をつくるとか、そういった方向でもう少し積極的な位置づけをした上でそれを支援する対応を打ち出されたらいかがかと私は思うわけでございますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 核弾頭から取り出したプルトニウムが今どこで使えるかといっても、そう簡単に使い道が実際にはない。高速増殖炉のようなものは我が国にもありませんし、実験炉程度のものはございますが、取り出す方法等についてのノウハウというものも果たしてあるのかないのかよくわからない。それが現状です。何か我々の聞いた範囲では、あれを解体して平和利用をするには莫大な金がかかるということを言っている方もあります。いずれにせよ、しかしそれは専門家の意見を聞かなければなりません。
 そういう意味で、私は世界の科学者、それに精通した科学者が集まって相談をするような場をつくってはどうかということを言ったわけでございますが、ドイツのゲンシャーさんなどは、とりあえずロシアにおけるところの核に携わった科学者が頭脳流出しないために、また平和利用にその知恵が何か使えないかというようなことで基金のようなものをこしらえて、世界から協賛を得てそういう勉強をひとつ高額のサラリーを与えてやろうということをアメリカなどと相談をして呼びかけようとしておるところでございますので、そういうものには積極的に参加したいと考えております。
○高井和伸君 PKO法案について総理が国連の安保理で成立をいわば公約されたというふうに私ども理解しています。そういった背景のもとで連合参議院におきましてもいろいろ検討しておりまして、やはり国際貢献は必要だろう。先ほどもカンボジアの話が出てきました。そういったときに、私どもやはり原点に立ち返って、自衛隊とは別個の組織、そして参加の範囲についても停戦監視までというようなところで、もちろん事前の国会承認というものを入れた上での考え方で従前から対応してまいりました。
 そういったことを含めて、より広い、決して楽でないPKO活動、従前の幅の狭いPKO活動じゃなくて、だんだん民生部門、災害復旧それから国力の増強というようなところでのPKOもあるだろうし、そしてまた戦火がやんだ直後の非常に危険な状況の現場に行かなきゃいけないという側面からいったら、ある程度、単に民生で民間人だけではいけないだろうという面も理解できるところがあるわけです。そうしたときに、今まで総理も外務大臣も再修正のことにつき、先ほども黒柳委員の御質問に第二弾の答弁としてかなり柔軟にお考えのようでございますけれども、なお一層の国民の総意を結集するような形での、従前より一歩進んだ形でのPKO法案の成立ということも国際公約上もかなり重要だろうというふうに思っているわけです。
 繰り返しになるかもしれませんけれども、私どもの考えているスタンスを踏まえてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 現在のPKO法案というのは非常にいろいろな制限がつけられておって、よく理解をしていただけば何ら心配はないと我々は考えておるわけです。
 しかしながら、まだ非常に国民の理解も足らないというのであれば、PKO法案は成立をさせていただいて、その一部について安全運転から始まったらどうだというようなことも一つのアイデアかなということを申し上げたわけでございま
す。しかし、PKFとPKOとを切り離すということはこれは本当に余り意味をなさないことだという意見のあることも事実でありまして、したがって法案からは切り離せないが、何かそこのところ青葉マークみたいなことでもあるのかなという感想を申し上げたわけであります。
○猪木寛至君 最後になりましたが、もう少しなのでひとつよろしくお願いいたします。
 きょうは予定になかったのですが、先ほど同僚の久保田議員からドミニカ移民について質問がありまして、コロニア法というようなことも私は初めて聞いたのですが、実際私も一九五七年だったかブラジルの方へ移民という形で行きました。我々はまだ子供だったので、行く前は本当に楽園に行くような話で向こうへ行ったわけですが、行ってみると大変厳しい状況で、コーヒー園に入植しまして非常に、この言葉がいいかどうか、本当に奴隷同然のような生活を体験いたしましたので、大変感銘深く聞かせてもらいました。当時の多分戦後の中で、ああいう状況の中で移住関係というのも十分でなかったと思いますが、いまだにそういう苦しんでいる人がいるということは、私もそういう体験の上から大変感銘を受けました。
 そこで、その当時私が体験した土とのかかわり合いというか、農業に従事しましたが、大変その当時から土の荒廃というのがどんどん進んでおりまして、我々が入植して運よく大豊作で農業をやめた直後に大凶作が訪れて、我々と同行したやはり移民の人たちが自殺をするというような大変悲しい事件がありました。そういうことで私は土に愛着を持ったということから、大変職業とイメージが合わなかったかもしれませんが、土の活性化ということをずっときょうまでやってまいりました。そんな中で、今本当に世界を歩いていると世界の土の荒廃というのが非常に進んでおります。ですから、これから人口がどんどんふえる問題と同時に、農業生産の低下ということが大きな問題になってくるのではないかなと思います。
 そこで、今度六月に行われます環境サミットについては大変私も期待をしながら、もう何年も前から私なりの調査をしまして情報をとってまいりました。世界の経済は、農業基盤が緩んだときに世界経済自体も弱くなるという言葉がありますが、私自身の体験の中からも、日本は本当に輸入国で、今ある意味では大変円も高くなったということでその辺は余り重要視されていないように思います。
 一つデータがあります。世界の食糧繰り越し備蓄ということで一九八七年四億六千百万トンあった。これが年間通しますと百二日分ということだったそうですが、その後一九九〇年は二億九千万トン。これが約半分までいきませんが六十二日分ということで低下しているのですが、今の状況から将来というかこの二、三年の間にどこかで大変な干ばつが起きたりするとそれが一遍に減ってしまうような状況にあるということを聞いております。
 そういうことから、今回環境サミットを何とか成功していただきたいと思うのですが、実際に私自身ブラジルに先月も行ってまいりました。そして、その環境会議の準備というか状況を調べてまいりましたが、これは大変残念なことに資金がないということから十分に準備が進んでいないというのが現状だと思うのです。そこで、モレイラ経済相という人が二十三日の新聞でインタビューしておりまして、ドイツと日本にぜひ資金的な協力を強く要望したいというインタビューがあるのですが、日本としては環境会議に関する支援をする態勢をとっているのか、またブラジル側からこういうことをしてほしいというような要請が上がっているのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 私たちもこのブラジルの国連環境開発会議はぜひ成功させなければいけないというふうに考えておりまして御承知のとおり、外務省としても二人の大使をこの準備に充てておるわけでございますけれども、今の先生の御質問につきましては、例えばこの会議の準備あるいは事務局の支援のために百五十万ドルの拠出を表明いたしておるわけでございます。
 このUNCEDのリオセントロの準備につきましてはブラジル政府がやっておるわけでございますけれども、準備が必ずしも予定どおりにはかどっていないということを私たちも聞いておりまして心配いたしておりますが、この作業そのものにつきましてブラジル政府の方から日本に何とかしてほしいという要請は現在までのところ来ておりません。
○猪木寛至君 要請が上がれば日本としてはどういう考えを持っておられますか。
○政府委員(丹波實君) 国家作業グループと呼ばれておりますけれども、ブラジルといたしましてはこの国家作業グループがUNCDEの六月までにリオセントロの建設その他は進めるということを繰り返し私たちに説明いたしておりますので、現在のところ外国にこの会議場の準備、建設その他の援助を要請してくるという予想は立っておりません。
○猪木寛至君 今、中南米に限らずODAといったような資金が、援助したはずのものが逆に途上国、借りた方からすると大変重荷になっているということで、実際にこれは民間も含めて返済不能というような状況に陥っていると思うのですが、一つは環境スワップというのでしょうか、そういうような利息というものを例えば棚上げにするとかあるいは放棄するとか、また資金を条件づけで環境に使うとかというような、新聞に一部報道されておりますが、そのような方策をやらない限り、今後この対外債務で苦しんでいる部分は実際には返ってこないお金かもしれない。
 そういうようなことから、この辺について大臣はどういうお考えでしょうか。一回日本の債務を放棄してしまうというのは難しいかもしれませんが、日本が環境リーダーシップをとれということからした場合にそのような考えは。
○政府委員(丹波實君) この点、先ほど環境問題との絡みでお話が出ておりましたけれども、世界の環境問題解決のために開発途上国に対してどのような援助、実は開発途上国自身は援助ではなくて補償だということを言っていますが、まさにその辺のところから出発いたしまして、先ほど議論になっておりましたGEFを使い、それを改善した形にするのか、あるいは開発途上国はグリーンファンドという別のものをつくれということを言っておったり、あるいは先生自身がおっしゃっておられる債務との絡みの議論もありまして、今まさにこのUNCEDの開催に向けて資金協力につきましてはいろんな側面から議論が行われておるところでございます。
 日本といたしましては、そういう推移を見ながら、どういう対応のメカニズムが一番いいかということを私たちも現在研究しておるという状況でございます。
○猪木寛至君 とにかくことしは環境ブームというか、ありとあらゆる人が環境問題を訴えるわけですけれども、その実、政治家、学者を含めてある意味では警告を発するけれども、その答えを持っていないというのが現状だと思うのです。私自身いろいろ研究グループをつくりまして、先ほど言った土地の浄化、水の浄化、それから工業排水を浄化するというのもかなりいい方向で今進んでおります。そんなような民間でも今相当進んだ技術を日本は持っております。
 私は、やはりPKOも大変大事だと思うのですが、同時にこの環境のPKOというか、これならば世界からだれからも反対されない。喜んでもらえる。その辺はなかなか情報というものが政府に上がってこない部分もあると思うのですが、その辺をひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、ワシントン条約についてちょっと触れたいと思うのですが、これは二十六日の新聞ですが、「象牙や毛皮の密輸防止」というのが出ております。これはトラフィック・ジャパンという不正取引を監視する団体が挙げている部分ですが、私自身ちょうど一年半前にブラジルに行きましたときに、ライオンタマリンという絶滅寸前のお猿さん、これも何遍もこの委員会でも話しましたが、このたび来月ぐらいに日本に入ってくることになりまして、何とか日本で増殖をやってくださいと
いうことなのです。
 一つまだ私もわからない部分があるのでお聞きしたいのですが、ワシントン条約に関して日本はまだ穴だらけという記事が出ておりますが、どの辺まで日本は条約に関する部分というのが整備されていますか。
○政府委員(丹波實君) 整備というお言葉のあれにもよりますけれども、実は日本がワシントン条約に加入したときには十種の動物につきまして留保を付しておったわけですが、その後留保を非常に少なくしてまいりまして、再来年の七月にタイマイにつきましての留保を撤回することになっております。そういたしますと日本の留保は鯨六種のみということになりまして、入ったときに比べてワシントン条約の執行につきましての日本のまじめな努力というものが相当国際的にも認められるような状況になってきているのではないかというふうに私たちは考えております。
 まさにそういう状況の中で三月二日から日本の京都でワシントン条約の締約国会議が開かれるということでございます。
○猪木寛至君 これもやはり新聞の記事で、「クロマグロ規制案 外相が撤回求める」という記事があるのですが、私はちょうどクロマグロに関して地中海の方の情報をいろいろとりましたが、これは地中海に入ってくる前にまだ成長をし切っていないものをどんとんとってしまう。地中海に入ってずっと中を回ってトルコからモロッコ沖を通ってまた外へ出ていくということですけれども、これは要するに産卵をする前にとってしまったり、産卵をした後に定置網という形で引き込んで、養殖というのでしょうか、えさを与えて四カ月ぐらい飼育をして日本の市場へ持ってくる。
 これは日本として、我々が持っている情報ではワシントン条約にまだそんなにとりたてて触れるほどの問題ではないという気がするのですが、大臣は撤回を求められていますね。これについて意見交換をする場を設けるという提案があって大臣は同意されたということですが。
○政府委員(丹波實君) ちょっと事務的にその前に。
 この点につきましては、スウェーデンが大西洋のクロマグロというのは絶滅の危機に瀕しているという主張のもとにワシントン条約の附属書に記載すべきだという提案をしておるわけでございます。ただ、この大西洋のクロマグロにつきまして最も詳しい国際委員会というものが存在いたしておりまして、それは大西洋まぐろ類保存国際委員会、まぐろ類に関する国際委員会、ICCATと呼ばれておりますけれども、このICCATはスウェーデンがそのような提案をいたしました直後、すなわち昨年の十一月二十九日にワシントン条約の事務局に対しまして書簡を発出いたしております。その中にいろいろ言っておりますが、結論として、大西洋クロマグロの種はICCATによって効果的に管理され得るものであり、絶滅のおそれがあるという議論には正当性がないということを言っておるわけです。
 したがいまして、まさに外務大臣はこの点を踏まえましてこの間スウェーデンの貿易大臣に対して、ICCATがこういう認定をしておるではないか、したがってこのスウェーデンの提案というものは引っ込めてほしいということを大臣から要請申し上げたという経緯でございます。
○猪木寛至君 もうちょっと質問をしたいのですが、時間がなくなってきましたので最後ですが、兵器は外貨の獲得源ということでエリツィン大統領が記者会見をしておりますが、今兵器の削減ということで動いている一方、これはソ連に限らずやはり武器輸出国というのが従来あります。その辺が一向に考えを改めないというか、どうしても経済と関係してくる部分で、この部分についてソ連がこれからその輸出をやめれば百五十万人の失業者が出るという記事がまた別にありますが、当然そうすると日本は援助しても何か赤字の中に火に油を注ぐような感じの結果になるのではないかなという気がするのです。
 その辺は私もまだ十分な情報がありませんので、ちょっと情報を聞かせてください。
○政府委員(兵藤長雄君) ソ連はかつて最大の武器輸出国であったわけでございまして、おっしゃるようにまたこれが重要な外貨の獲得源になっていたことも事実でございます。この点につきましては、二月十二日のジュネーブの軍縮会議におきましてコズイレフ外務大臣が、今後ソ連が武器を海外に売却する際には次の三つの原則に従ってやりたいということを宣明いたしました。
 一つは、九一年の十月に国連の安保常任理事国五カ国の間で合意されたとされます中東地域武器輸出の自主規制に関するガイドラインというものがあって、それに従ってソ連もこれからは処理していきたいということが一つ。
 それから二番目には、これは日本がイニシアチブを発揮したわけでございますけれども、通常兵器の国際移転に関する国連登録制度を支持して、これに従って必ず登録を行う用意があるということ。
 それから第三番目に、ロシアは兵器取引については商業ベースでの協力は依然としてオープンだけれども、特定の国に兵器供給を行わないという国際社会の決定がある場合にはこれを遵守する。それから大量破壊兵器の供給や地域の安定を損なうような兵器の供給は行わない。
 この三点を明らかにしているわけでございます。これが現在のソ連の通常兵器の輸出に関する立場だというふうに私どもは了解しております。
○猪木寛至君 一つ、これは稚内ですか、向こうの漁船が入港してくるのですが、その中の荷物に相当ロシア製のピストルや何かが入っているという話を聞いたことがあるのです。彼らはこちらに来ましてその分を冷蔵庫あるいは車を買って持ち帰って市場へ出すと。そのときに相当なものが持ち込まれているという、これも確かな情報ではありませんけれども、そのようなことが言われているのですが、この経済マフィアというか、同時にマフィアが日本に上陸するというようなうわさも来ておりますね。北方領土には既にもう相当な数が上陸しているという話もあります。
 それについて、これからやはり返還問題等含めて、今日本は夜でも安心して歩けるくらい大変治安がいいわけですけれども、もしこれが早期に返ってきたときにそういう問題とまたぶつからなきゃならないということで、外務省としてはどの辺の情報を持っておられますか。
○政府委員(兵藤長雄君) 具体的な例として今おっしゃったようなピストルなり武器弾薬といいますかが具体的にこういうケースがあったという報告には接しておりませんけれども、いずれにいたしましても、もしそういうことがあれば、おっしゃるように大変ゆゆしきことであろうかと思います。もしそういう形で密輸入ということが行われたという事実があるとすれば、これは大変にゆゆしきことである。私は具体的にそういうケースはまだ承知いたしておりません。
○猪木寛至君 時間が来ましたので終わります。
○委員長(大鷹淑子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会
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