第123回国会 外務委員会 第4号
平成四年四月十四日(火曜日)
   午前十時三分開会
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   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     宮澤  弘君     関根 則之君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         大鷹 淑子君
    理 事
                成瀬 守重君
                山岡 賢次君
                松前 達郎君
                高井 和伸君
    委 員
                久世 公堯君
                関口 恵造君
                関根 則之君
                原 文兵衛君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                矢田部 理君
                黒柳  明君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       法務大臣官房審
       議官       本間 達三君
       外務大臣官房領
       事移住部長    荒  義尚君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    小原  武君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合
       局長       丹波  實君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       外務大臣官房外
       務参事官     阿部 信泰君
       大蔵省主税局国
       際租税課長    志賀  櫻君
       大蔵省国際金融
       局開発政策課長  溝口善兵衛君
       自治大臣官房企
       画室長      牧之内隆久君
       自治省行政局振
       興課長      芳山 達郎君
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 本日の会議に付した案件
○旅券法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
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○委員長(大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 旅券法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田英夫君 旅券法ですが、改正点については私も賛成であります。むしろ遅きに失したのじゃないか、もっといわゆるMRPなどは早くできなかったかなという感じがするのですね。というのは、恐らく日本は世界でも最も海外に出る人が多い国だと思うのです。
 ちょっと数字を教えていただきたいのですけれども、昨年で一体どのくらいの人が海外へ出ているか。海外へ出た方ですね、旅券というよりも。
○政府委員(荒義尚君) 私ども持っている数字でございますと、一昨年で千九十九万人でございます。
○田英夫君 そうなりますと、出る方そしてそれを受け入れる国含めまして世界的にMRPが一日も早く普及しないと、日本人が外国へ行って迷惑をかけるというか、もうそういう時代になってきているのじゃないだろうかと思います。
 今、外国で既にMRPを導入している国というのは十カ国ぐらいと聞いていますが、どういう国ですか。
○政府委員(荒義尚君) 現在までにMRPを導入しております国を順次申し上げますと、米国、カナダ、豪州、ドイツ、英国、シンガポール、フィンランド、スヴェーデン、タイ及びコートジボワールの十カ国でございます。
○田英夫君 そう言っては失礼ですけれども、必ずしも先進国とも言えない。そういう中で技術的にもう日本は世界で最も進んだ国だと思いますし、このMRPの導入が十カ国ですからまだそんなに多いとは言えないけれども、日本がおくれていった原因というのは一体何ですか。
○政府委員(荒義尚君) 私どもは六十三年ごろからMRPの導入についての検討を始めました。先生御承知のとおり、MRP導入に伴いましていろいろな機械が必要でございまして、それの開発にまず三、四年かかったということでございます。
 それで、ただいまお話がありましたように、ことしの十一月一日をもって導入を検討しておりますけれども、そうしますと我が国は一応十一番目ということで、それが遅いと言われればあれかもしれません、トップではございませんが、世界の趨勢には十分に乗ってやっておるというふうに考えております。
○田英夫君 大変技術的なことですけれども、型が小さくなりますね。そうすると、今までの旅券のつくり方と、数も多くなってくるからつくり方自体を変えるのですか。
○政府委員(荒義尚君) MRP旅券、ここに見本をお持ちいたしましたけれども、一番つくり方が違いますのは、従来の写真それから身分事項を書くページを一枚にしまして、これにラミネートと英語で申しますが、いわゆる焼きつけの方式をとるという点が一審の違いでございます。
○田英夫君 次の問題として、旅券の戦後の経過を見ると、最初にあれはたしか昭和二十六年ですか、あのころのことですから一人が持ち出せる外貨も少なかったし、一往復というのがむしろ原則で、数次といっても二年間というのがたしかいわゆる数次になっていて、それが四十五年に五年になって、その後平成二年ですか、おととし数次旅券五年で一本化して一往復というのはなくなった、こう記憶しているのですが、そういう経過から考えていきますとこの辺でもう五年をもっと延ばすという、そういう考え方も出てきていいのじゃないだろうかと思います。
 現に第三次行革審の中での世界の中の日本部会というのでそういう意見が出ているということを聞いているのですが、五年を十年にするということを外務省は考えませんか。
○政府委員(荒義尚君) ただいま先生御指摘の旅券の経緯でございますけれども、二点だけ説明させていただきたいのですが、御指摘のとおり、昭和二十六年に旅券法が施行されまして、そのときは一往復が原則で、数次もありましたが二年原則と。それを昭和四十五年にその例外的に出している数次旅券の二年という部分の二年を五年にしました。それで、平成元年でございますが、元年改正で数次五年、これを原則にしたという経緯でございます。
 ただいま御指摘の第三次行革審の世界の中の日本部会でも、この際五年ではなくて十年というような長期のものの導入についていろいろ御審議が行われていることは私ども承知しております。私どもとしましては、基本的に国民の負担軽減それから事務の簡素化という観点から、いろいろ技術的な点がクリアされれば将来的には旅券の期間を延長するという方向で検討したいというふうに現在考えております。
○田英夫君 使う側からすればそれは長い方がいいわけだし、再交付を受ける手続というのも長くなればいいわけですから、その辺はこれだけ人数が多くなってくると考えていただきたいという気がします。
 それから郵便局で旅券を交付できるようにしたいというか、したらどうかということをこれは郵政省で考えているようですが、外務省はこの点はどういうふうに考えますか。
○政府委員(荒義尚君) 私ども一般論としまして、旅券発給というのは行政サービスの大事な仕事であるということを認識しております。したがいまして、国民の皆様の負担軽減という意味では旅券発給窓口はなるたけふやしていくということが我々の基本的な立場でございまして、自治省及び都道府県とも話しまして、都道府県側の窓口は今非常にふえており、例えば平成元年では全国で百九十四カ所の発給窓口がございましたけれども、きょう現在ではたしか二百三十三までいっておるということで都道府県側が非常に窓口の増設に力を入れておる、私どもはそちらも今後とも拡充したいと思っております。
 それで、御指摘の郵便局で旅券発給事務を行ってはどうかという問題でございますけれども、はっきり申しますといろいろ簡単にいかない点があります。例えば窓口担当職員の養成であるとかそれから各窓口にコンピューター端末を入れるとか、そうすると費用をだれがどう負担するかというようなこと、それからそうしますとどうしても手数料をまた増額ということも考えざるを得ない、いろいろございまして我々慎重に検討しているところでございます。ただし、例えば離島であるとか僻地とかとへうことにつきましてはこれは検討に値する問題だというふうに受けとめて、今、内々検討はしておるところでございます。
○田英夫君 旅券に関係していわゆる出入国の問題で伺っておきたいと思うのですが、最近、不法入国といいますか、ビザをとっても目的外のことを国内でやっているというふうに言ってもいいのかもしれませんが、そういう不法入国外国人が急増しているというふうに言われていますし、現によく見かけます。イランの人がなぜか非常に多いということも聞いておりますが、上野の山のハトがいなくなっちゃったという、うわさですけれどもね、これは。そういうことまで言われている。あの辺もよく見かけますし、それから大臣の県になりますが、栃木県とか群馬県とか茨城県とか、この近県の私鉄沿線にそうした人たちが多いということも言われているし、現に見かけます。
 これは一体、日本の政府の政策として不法なのですから、不法だと言って退去させてしまえばそれまでなのですが、現にしかし大勢の人が入ってきて、かなり入口で帰されてもなおかつ国内にいる。一つはこれは当然労働力として、特に三Kと言われるような労働かとして日本で仕事をする。今、日本ではただでさえ労働力が不足しているという状況で日本人は特に三Kを嫌がるという状況を見れば、現実的にはこの人たちの存在というのはある意味では日本は助かっているといいますか、そういうことも言わざるを得ない。
 この辺で、これは一番最初に副総理でもある大臣に伺いたいのですけれども、日本のこの外国人労働力をどう考えるかという、そのいわば哲学ですね、これが明確でないから結果的に不法と言われるような人たちが大勢出てしまうということが言えるのじゃないだろうか。これは労働省もおいでいただいていますけれども、まず大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の考えは、安易に単純労働者を必要だからといってどんどん入れるということについては消極的なのです。
 その理由は、やはり国内でできるだけ合理化、省力化というものを、必要は発明の母ですから、苦しければ苦しいようにいろいろ考えるのだけれども、安易に入れてしまえばそういうような省力化、合理化の意欲がなくなるということが一つですね。それから景気のいいときばかりあるわけじゃなくて資本主義社会は波がありますから、ドイツで一時不況のときに何万という人に居座られちゃって、それで非常にそれが教育とか治安とかそういう面で問題を起こした。もう経験済みなのですね。
 そこで、やはり我々日本人と同じような待遇をするということになると莫大な金が、年金とか医療で金がかかるという問題があるし、それがうまくいかなきゃどうしたって治安に影響が出てくる、こういうような問題等がありまして、我々は、できるだけ日本人がやったらいい、しかしながらある一定の技術研修とかそういうようなことで二年なら二年で必ず帰るという約束がきちんとできるものは技術移転というような点からも結構なことですから、その相手の国が責任を持ってそれは引き取るときはちゃんと期間が来たら引き取るというようなものについては私は入れたらいいという考えなのです。
 したがって、政府の立場は、そういう問題を勘案しながら慎重に検討するというのが政府の結論的な統一見解であります。
○田英夫君 私もかつて西ドイツで現場を見ましたし、ヨーロッパの先進国は同じような体験をして、今、大臣が言われたとおりのことがあったわけです。
 同時に日本の場合は、これは政府がとは申しませんけれども、何となく単一民族であるというような、これは間違いですけれども、かつて総理大臣でそういうことを言われて後で訂正された方もありますが、そういう観念が何となくあって外国人を入れたくないということであるならば、これはまた世界の中の日本ではないということで、今二年間に限って約束を守られるならばと言われたその辺のところが一つの技術的な考え方ではないかと思います。
 労働省おいでいただいていると思いますが、その辺は労働省としてはどうお考えになりますか。
○政府委員(伊藤欣士君) 今、御質問につきまして外務大臣から御答弁ございましたように、我が国の政府は専門的、技術的な能力を有する外国人の方々についてはできるだけ広く入ってきていただくのだけれども、いわゆる単純労働者の受け入れについては十分慎重に対処する、対応するということが基本方針になっておるわけでございます。
 いわゆる単純労働者の受け入れの問題につきましては、最近、労働力不足等を背景に種々御議論があることは十分承知しておりますけれども、まず国内で人手不足だと言われておりますけれども、高齢者の方々であるとか女子の方々であるとかいうなお雇用機会が不足しておられる方々が結構いらっしゃるわけです。例えば定年を六十から六十五歳にする必要があるじゃないかと、そういう問題がございます。
 それから今言われていますように、三K労働というような形で、外国人労働者の方々はこういう仕事、日本人はこういう仕事というような形、先生御案内だと思います労働市場の分断化、二重構造というのが生ずる。これは我が国にとっても決して望ましいことではないだろう。また、先生のおっしゃるような趣旨に反するだろうと思うのです。
 また、景気変動に伴いまして、最近も若干出ているようでございますけれども、まず外国人の方々から、解雇するとも言いませんけれども、雇いどめ、契約の更新をしないとかというような形でまず外国人労働者も失業者はふえてくる。これはもう先進国の例によりましてもそうなっておるわけでございます。
 さらに、いろいろございますように、どうしても定住化というのが進むだろう。そういう中で教育問題、社会問題、医療の問題、いろいろな問題が出てくるわけでございますが、そういう点でのいい意味でも悪い意味でもまだ国民のコンセンサスというのがなかなかできていない。そういうものを十分に考える必要があるのじゃないかということで、今後とも多様な角度からこの問題については検討する必要があるのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
○田英夫君 今やもうこの問題は一種の社会問題になってきていると思うのですね。例えば群馬県の太田市で外国人相談窓口というのをつくったところが、そうしたいわゆる不法というと気の毒みたいですが、不法入国外国人と日本人の女性とが結婚をしたいという状況になっていて、どうしたものかといって二人で相談に来たというような事態が何件かある。こうなってくるとまさに社会問題だと思うのです。
 自治省がおいでになっていると思いますが、それぞれの自治体で、特に東京周辺、首都圏ではかなり都道府県や市でそういう窓口をつくったり対応をしているところがあると思うのですが、全国とはいかないでしょうが、ちょっと実態を知っておられれば教えていただきたいと思います。
○説明員(牧之内隆久君) ここ二、三年の間に各地域で外国人が急増いたしておりまして、言語の問題、生活習慣の違いの問題等でいろいろな問題が生じております。そういう外国人の生活を支援いたしますために市町村におきまして相談窓口を設置している例があると承知をいたしておりますが、全国の状況は把握いたしておりません。
 私どもが承知をいたしておりますのは、特定の地域に急増したというところが今回の特徴でございますので、そういう特定の地域において相談窓口が設置をされているのであろうと推測をいたしております。
 具体的に申しますと、例えば愛知県におきましては県が窓口を設置しているほか、名古屋市あるいは豊橋市あるいは浜松市等が設置をいたしております。また、先生ただいま御指摘の太田市においても設置をされているというふうに承知をいたしております。
○田英夫君 いずれにしても、今申し上げたように、本当に社会問題になってきておりますので関係省庁でぜひ連絡をとりながらこの問題に対応していただかないと、きょうは法務省おいでいただいていませんけれども、法務省ももちろん関係しますし、大臣言われたのが政府のコンセンサスということはよく理解できますが、このまま放置しておくというのは事態をいろいろ複雑にするばかりでありますので、対応をきちんと急いでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
○説明員(牧之内隆久君) ただいま御答弁申し上げましたけれども、今申し上げました例は適法に居住ないし就労している一般的な相談窓口でございまして、不法就労といったような特定の方を対象にした相談窓口ということではございませんので、念のために申し上げておきます。
○田英夫君 次に、時間がありませんが、もう一つ別の問題を取り上げたいと思います。労働省や自治省はどうぞ結構です。
 日朝交渉のことを前回も伺ったのですけれども、いよいよ北朝鮮は四月九日に最高人民会議でいわゆる核査察問題について批准をいたしました。北朝鮮側によりますと、批准書の交換もあるいは最高責任者の金日成主席の署名というようなことも必要ない、最高人民会議の手続ですぐ発効だ、こういうふうに言っているようでありますが、そうなりますと、かねてから外務省も大臣も日朝交渉の最大の問題点値核問題だというふうに言ってこられたその一つの大きな問題がクリアできるということになるのではないかと思いますが、そういう意味でいくとこの日朝交渉は進展する条件が整ったと考えてよろしいのでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま先生からお話がございましたように、過去累次の日朝交渉で私どもはこの核の問題について強い意見を北朝鮮側に言ってまいりました。お話のように、いよいよ核査察受け入れについての批准がなされたということでございまして、間違いなくこれは一連の動きの中で一歩前進だと受けとめておりますし、今後これがさらなる将来への措置につながれば、私どもはそれは日朝交渉をめぐる何と申しますか、環境、これをよい方向に整えるというふうに思っております。
 そこで、しからば今後どういうことがさらに必要かと申しますと、これは御説明するまでもございませんが、批准の措置を受けて実際に査察を実施するということ、そして査察の作業を通じて北朝鮮について国際社会が持っております核の面での疑惑がきちんと解消されるということがこの次の段取りでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは今度の北朝鮮側における核査察受け入れについての批准の措置、これについては一歩前進だというふうに受け一とめております。
○田英夫君 北朝鮮側も新しい代表団長に孝三魯氏が決まったという状況ですから、いつごろ第七回は開けることになりますか。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいまのところ実ははっきりした日取りを申し上げる状況にないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先方側と次回第七回になりますか、場所は北京でございますけれども、第七回をいつやるかということを近々日取りを打ち合わせなければならないと思っております。
○田英夫君 アメリカの方は北朝鮮の核の問題については依然として厳しい態度をとっているようで、下院の外交委員会のアジア・太平洋問題小委員会、ソラーズ委員会の場でCIAのゲーツ長官が証言をしたというのが報道されておりますが、やはりプルトニウム生産の目的のために施設をつくっているので、プルトニウムをつくって核をつくるというそういう疑いを持っているというようなことを言っているのですね。
 これはプルトニウムから核兵器ができるのはもちろん事実ですが、そういうことを言い出したら日本はプルトニウムを持っているし、現にことしの末にはまたもっとイギリス、フランスから返ってくるし、六カ所村ができればそれがさらに膨大な核兵器をつくる量に達する。こういうときに日本はちゃんと査察を受けているからいいのだと。それなら、六月から恐らくIAEAの査察を北朝鮮も受けるわけですからその論理は消えるということにならざるを得ないと思うのです。
 日本政府としては、アメリカのこういう厳しい態度とそれから北朝鮮側が査察まで受け入れますと言っている態度、その辺をどう判断されていますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かに、私もここに持っておりますけれども、CIA長官の議会での証言は大変厳しいものがございます。核再処理施設は完成間近である、北朝鮮のこれまでのとってきた行動から見る限り核兵器の開発は継続するであろう、そういう努力は継続するであろうという解釈が成り立つのではないかということを言っております。
 私どもがこれについてどういうふうに判断するかということでございますけれども、何分この面での監察の手段と申しますか、私どもは極めて限られておるわけでございますから、北朝鮮が一体どちらの方向に進んでおるのかということについて有権的な日本政府としての解釈を申し上げるだけの材料は実は持っていないわけでございます。
 ただ、いろいろな風説からいってやはり北朝鮮について核兵器の開発をめぐる疑惑というものが存在することは、これは日本のみならず国際社会が、例えばIAEAウィーンの会議におきましても日本のみならず多くの国がこの点の疑惑を本当に心配しながら指摘しておるわけでございまして、したがいまして私どもが北朝鮮に伝えておりますことは、やっぱりそういった疑惑をきちんと晴らして国際社会によりおおらかに受け入れられるということが北朝鮮のためにもなるのではないかということで、先ほど申し上げたような一連の措置を北朝鮮に強く求めてきておるということだと思います。
○田英夫君 そのアメリカでも二つの二大新聞と言っていいニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストではこの問題についての論調が全く対立しているといいますか、ニューヨーク・タイムズは、いたずらに北朝鮮を孤立化させたり追い込むというようなことはよろしくない、むしろおおらかに見た方がいいという調子の社説を何回も出しておりますね。それからワシントン・ポストの方は、まさにアメリカ政府、CIA長官が言っているのと同じ態度を社説の中で述べているということですから、この辺はアメリカの中でも見方が二つあるというふうに考えなくてはいけない。
 そういう中で、今、アジア局長は日本政府としては材料がないと言われた。これはアメリカは衛星から見ているわけでしょうから、日本はないのは残念ながら当然でありますけれども、その辺のところはまた日朝間の歴史、民族間の歴史や過去の問題、そういうことはアメリカと全く違うわけですから、ひとつぜひこういう問題こそ独自の日本としての判断をして対応していただきたいということをお願いをして、終わりたいと思います。
○久保田真苗君 旅券法の御質問をいたします。
 今回の改正は、確かに行政の事務の効率化ということに向けて改善の方向でございます。基本的に結構なことだと思いますけれども、もう一つ、では利用する国民の側から見たときにどれだけ改善されているのかという、そういう視点から御質問したいと思います。
 それで、改正案によりますと、現在有効な旅券を返納して切りかえ発給申請をする場合は戸籍謄本、抄本の提出を省略できるというのですけれども、申請手続の簡素化と大げさに言うのはいささか気恥ずかしいような気もしないでもないのですね。これについては、有効期限が切れる前の切りかえまたは余白がなくなったときに増補申請する場合、謄本を省略できるという意味でございますね。もし有効期限が切れてしまった後、申請をするときはどうなりますのでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 現在所持しておる旅券の有効期間が切れた場合は、これはまた新規申請と同じ手続を踏んでいただくということでございます。
○久保田真苗君 つまりその都度戸籍謄本ないし抄本が必要だ、こういうことになりますね。
 そこで、もう一つ伺います。
 そういう切りかえ発給申請をする人は実際にそんなに多くないと思うのですけれども、どのくらいになっていますでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 概数で申し上げますけれども、四十数万程度でございます。
○久保田真苗君 ということは、一割未満ですね。そうすると、大多数の国民はまた再び海外へ行く用事があるときに改めて新規申請をしているわけです。その都度戸籍謄本が要求される、こういうことになるわけです。
 そこで、この点をもう少し簡素化といいますか、必要性を落とさないでしかも簡素化できないかというのが私のポイントなのでして、戸籍謄本を添付させ谷という目的は何なのでございましょうか。
○政府委員(荒義尚君) 先生十分御承知とは思いますけれども、旅券は、日本の場合は外務大臣がその所持人の国籍と一定の身分事項を公に証明しまして、あわせて外国の官憲に必要な場合の援助をお願いするという文書でございまして、問題は、政府としてそういう所持人の方の国籍と身分事項を確認する文書で権威あるものとしては、現在、戸籍謄本あるいは抄本しか我が国にはないということが理由でございます。
○久保田真苗君 おっしゃるとおりに、何らかの方法で国籍を確認し、旅券に記載される事項のうち、身分事項、氏名、生年月日、性別、それから同伴する子供の身分事項、そういったことが確認されればそれで十分なのじゃないかというふうに思うわけです。
 そこで、海外の場合についてまず伺いたいのですけれども、海外に在住する日本人が切りかえ発給申請を領事にする場合、現在は戸籍抄本を添付させているのかいないのか。それとも何か便法を使っていらっしゃるのかということなのです。
○政府委員(荒義尚君) 基本的に、海外での旅券の申請につきましても旅券法三条に言います法定の書類は出していただくというのが原則でございます。しかしながら、海外ということで特殊事情もありますし、それから戸籍の入手が時間的にもかかるということで、私どもは基本的にはそこは状況に応じて事後提出というようなことも、ケースによってそういう扱いをしております。
 一つ具体例を申しますと、海外におられる日本人の御夫婦の場合、双方が有効な日本の旅券を所持しておられる場合で海外でお子さんが生まれた。お子さんのための旅券申請というような場合ですと、私どもは両親の方で身分、国籍も確認しておりますので、そういう場合は事後的に提出していただくことで結構であるというという取り扱いをやっているところでございます。
○久保田真苗君 実際には、おっしゃるように、その措置は相当大幅に認められているのではないのでしょうか。今おっしゃった便法といいますか、今おっしゃったような事情を考えての措置ですね、それはかなり大幅に行われるのではありませんか。
○政府委員(荒義尚君) 私が今申し上げたケースは非常に典型的なケースでございますが、そういう例えば海外においてお子様が生まれてそのために旅券を取得するというケースは非常に多くなっております。ちょっと今、手元に正確な数字持っておりませんが、何万という数かと思います。
○久保田真苗君 それで、戸籍が唯一のものだということなのですけれども、戸籍謄本よりももっと身近なものとして住民票というのがあるのです。この住民票は自分の居住地で入手できる。私なんかも実際戸籍謄本にはもう何年もお目にかかっていない。そういうものが必要な活動はやっていないということだと思いますけれども、実際には住民票というのはしばしば必要な場合がある、こういうことだと思うのです。近くでとれるわけです。先ほど、郵便局で事務を扱うというお話も出ておりましたけれども、この住民票にしていただけるとその都度戸籍謄本を取り寄せるという必要がないわけでして、国民の側からいって事務の簡素化になると私は思うのです。
 ここで、じゃ住民票というものはどういうものなのかについて自治省にお伺いしたいと思うのです。
 この住民票はどういう人が記録されるのか。住民基本台帳に記録されるのは日本国籍を持つ者に限られるというふうに私は伺っているのですけれども、この点いかがでしょうか。
○説明員(芳山達郎君) 住民基本台帳の適用者でございますが、法三十九条によりまして、日本国籍を有しない者及び戸籍法の適用を受けない者には適用がないという具合になっております。
○久保田真苗君 そうしますと、永住権を持っている外国人でも国籍がない場合、住民基本台帳に記録はされないとすると、そういう方たちの扱いはどうなっているのでしょうか。
○説明員(芳山達郎君) ただいま申し上げましたように、日本国籍を有しない者には適用がありませんので、永住権を持つ外国人については住民基本台帳は適用されておりません。永住権を持つ外国人につきましては、外国人登録法に基づいてその身分関係、居住関係が確認されております。
○久保田真苗君 それから記載事項ですが、住民票は住民基本台帳法七条に記載事項が決められているのですね。そこには、氏名、出生年月日、男女の別、世帯主または世帯主との続き柄、戸籍の表示等、十二項目について記載されているのです。そして、ここで記載される戸籍がどの程度正確性があり信憑性があるのかということなのですが、この点自治省としてはどういうふうに診断をされるわけでしょうか。
○説明員(芳山達郎君) ただいまの住民基本台帳の記載事項と戸籍との関係だろうと思いますが、戸籍の制度は本籍地におきまして人の身分関係を公証する制度である、また住民基本台帳の制度は住所地において人の居住関係を公証する制度、両方相まって人について身分関係と居住関係の両面から総合的に把握をしているという具合に理解をしております。
 記載の事項につきましては、氏名、出生年月日、性別等、基本的事項については両者基本的に一致しなければならないということで指導をしております。
○久保田真苗君 そうしますと、私思いますけれども、この住民台帳に登録される者は日本国籍を持つ者であるということと、それから氏名、生年月日、男女の別については戸籍と一致しているというその二本を踏まえれば私はこれが十分戸籍謄本にかえ得るものではないかと思いますけれども、どうでしょうか、外務省。
○政府委員(荒義尚君) 先ほど来自治省側の御説明がありますように、旅券というものは、繰り返しますけれども、国籍と身分事項を公証するという機能を持っておるわけでして、その身分事項、国籍を公証するものとしてはやはり今のところ戸籍しかないということで、私どもの方は戸籍謄本の提出を法定要件としているということでございます。
○久保田真苗君 そこのところが、行政を合理化する方にはもちろん皆さんもう一〇〇%満点でおやりになるのですけれども、これを利用する側の国民の側からしますとやっぱりいささかやぶさかな点がありはしないかという感じを持つわけです。
 少なくとも新規発給者が国民の大部分である、九割もがその都度新規発給で申請しているということを考えれば、その都度戸籍謄本をとらせるという必要はないのじゃないか。つまり切りかえの場合はその有効な旅券を返納することによって、それは自動的に既に証明されるわけですよ。そうすると五年、そこの切りかえのところが何カ月あるか知りませんけれども仮に一月として、ほぼ五年、十年近い、また切りかえていけばそれでいい、こういうことになるわけでございましょう。それなのに、実際には国民の側は海外に用事のあるとき行くわけですが、仮に一月でも切れれば、そこのところがまた戸籍謄本だ、また戸籍謄本だと、こうなるわけですね。
 ですから私、これはちょっと前のパスポートをあわせて提出すれば近所でとってきたそういうものでも間に合うのじゃないかなと。そしてそれによってそれほどの実害があるとは思われないのです。なぜならパスポートの切りかえの方は何年でも続けられるわけなのですからね。何とかその辺もう少ししゃくし定規でない、その辺を考えていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
○政府委員(荒義尚君) 先生のおっしゃる問題は私どももよくわかると思うのでございますけれども、ただやはり究極的に国籍と身分を確認する公証する文書というのはとにかく戸籍謄本しかない。
 先ほど来御指摘のように、切りかえをしてどんどんどんどん更新していけば戸籍謄本の提出を要さないけれども、一日でもあいたら戸籍謄本を出すというのは不合理じゃないかという御指摘でございましょうけれども、私どもはやはり旅券の信用ということもありますし、その間例えばたまたま有効期間が切れた間に身分が動くこともあるわけでございます。国籍を喪失したりあるいはほかの国籍に変わる場合もある。
 旅券というものは、極端な場合、百に一つ非常に間違った旅券ということができますと旅券制度全体に響くということで、私どもは慎重にということで、現在、戸籍謄本、抄本ということでやらせていただいているということでございます。
○久保田真苗君 今おっしゃった百に一つ、千に一つのおそれならば切りかえだって、パスポートの切りかえをやっていく、それはずっとできるわけです。何も戸籍謄本なしにずっとできるわけ。その場合だってそれは当然起こるのだと思うのです。
 私、一つ戸籍の盲点を指摘せざるを得ないのです。それは、日本国籍を持っていれば必ず戸籍があるか、それはあると思います。だけれども、その逆に戸籍を持っていればその人は日本国籍が必ず証明できるか、その点についてはそれはできない場合があると言わざるを得ないのです。なぜかといいますと、それは日本国籍を持つと推定できるということだと思うのです。日本国籍を喪失しても戸籍抹消の手続がとられない場合は幾らだってあるわけです、そういうことは。そういう場合には、それは戸籍があっても国籍はなくなっているというケースがあり得ると思います。
 ですから、戸籍謄本をもってしても日本国籍を一〇〇%証明できるわけではない。切りかえパスポートを有効期限内に何度も何度も切りかえていっても一〇〇%日本国籍を証明できるわけではない。こういう結論だと思いますけれども、どうなのでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 有効期間内にどんどんどんどん切りかえていく、そうすればその間、国籍、身分が変わってもチェックできないだろうという御指摘かと思いますけれども、旅券法上、例えば所持人が日本国籍を喪失すればこれは当然当該旅券は失効するということでございまして、途中で国籍が変わった者が未来永劫旅券を続けるということはないような仕組みになっておるわけでございます。
○久保田真苗君 それはすべて理屈の上ではそうなのです。
 私は何も切りかえのときに戸籍謄本が要らないということを批判しているわけじゃなくて、その場合が許されるのであれば、新規のときにも住民票を持ち古いパスポートを添えて出せばそれで足りるだろう。なぜなら住民登録には国籍のない者は登録されていないのですから。そこのところをぜひもう一回考え直していただきたいなと。つまり国民のサービスになるようなぎりぎりのところまでお考えになるのがこの改正に当たって当然ではないかということを申し上げたいわけです。
 それからもう一つ、先ほど田委員からも出ました旅券の有効期間の問題です。
 これは将来期間を延長することもあり得るだろうという御意見を言われましたけれども、この問題は衆議院でも出ていまして政府の御答弁があるわけです。時間の関係で私それをちょっとまとめてみますと、主要国でもって大人については十年というところが多うございます。例えばアメリカ十年、それで手数料といいますかその費用が八千五百円程度、それからドイツの場合は二十六歳以上の大人の場合十年、手数料が二千六百円程度、イギリスの場合が十六歳以上十年、三千八百円程度、オーストラリアの場合が十八歳以上十年、一万一千六百円程度、これは議事録から拾ったものですけれども、こういうふうになっていまして、日本の五年で一万円というのはこのうちどれよりも高いと思うのです。
 どうして日本だけこんなに高くて、そしてまた今回値上げされるのでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 若干一般論的なお答えになりますけれども、各国それぞれ旅券制度及び手数料というのは長い長い歴史がございます。手数料の定め方も私ども必ずしもっまびらかにしておりませんけれども、いろいろでございます。
 確かに日本より多い国というのはそう多くないことも事実でございますけれども、これは旅券というのが何か国際的に統一された一つのものではございませんで、各国がいわば行政コストも加味した手数料ということでいただいておる。一万円は高いのではないかという御指摘でございますけれども、私どもの立場から申し上げさせていただきますと、過去十三年ぐらい据え置いてずっときでおりまして、行政コスト面でももう大幅に上回っておるということで、心苦しいわけですけれどもやむを得ないというか、という気持ちで値上げのお認めをお願いしているということでございます。
○久保田真苗君 いろいろそちらの事情はおありでしょうよ。ですけれども、こちらの側から見ますと高くて短くてしかも煩雑さを軽減してもらえないという、こういう不満はどうしたってあるのです。
 私、大臣には一応お願いしておきたいのですけれども、その都度戸籍謄本をとらないでも住民票と古いパスポートぐらいで間に合わすようなことができないのかというのが一点。それから今の五年の期限を十年に早く延ばしていただきたいなというのがもう一点。それから三番目にもうこれ以上の値上げはしないでいただきたい。その三点を希望として申し述べさせていただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず当面の値上げの問題ですが、これ以上永久に値上げしないという約束をすることはできません。できませんが、なるべく値上げは抑えていかなきゃならぬ、そう思っています。
 手続の問題は、これは簡便にすればいいのかもしれませんが、いろいろな管理上の問題その他もございますので、極めて事務的なことでありますから御趣旨を体しまして今後とも研究課題にさせていただきます。
○久保田真苗君 ありがとうございました。非常に格差が大きいように思いますので、ぜひ一層の御努力をお願いしておきたいと思います。
 それから次はリビアの問題なのですけれども、この前リビアの制裁決議が採択されましてその後大変ピザの発給の問題で各国が心配したと思いますけれども、明日というその制裁決議の発動の期限を控えまして、外国人特に日本人を含んでビザの発給、それから希望者の退去状況というのはどうなっておりますか。
○政府委員(荒義尚君) まず在リビアにおきます在留邦人の動きでございますけれども、若干さかのぼりますとことしの一月あるいは二月の現在で、長期滞在でございますが、おおむね八十数名おられました。その後、御案内のとおり、リビア情勢が非常に動き出しましたものでございますので、私どもとしては不要不急の用事のない方は用心のためになるたけ早く一時退避されるようお勧めいたしまして、けさのところ現在で二十三名まだおられます。内訳を申しますと大使館員が六名、これは大使館員だけでございます、家族はもう一時退避させております。それから日本の女性の方で国際結婚されておられる方と御家族が七人おられます。残る十名は企業関係でございます。
 査証の方でございますけれども、現在、我々はリビア政府ともう朝から晩まで連絡をとっておりますが、一般的にはリビア政府もビザを出さないということは言っておりませんで各国とも順次発給されているようでございます。日本関係につきましては、きょう現在ということでありますればまだ三名の方が手続が完了しておらぬということで、今、鋭意大使館としても支援しているところでございます。
○久保田真苗君 あしたが期限なのですけれども、この対リビア制裁に対して日本政府はどういう態度をおとりになるのか。閣議で何か決まったとか伺っていますけれども、どういうふうになりますでしょうか。
○政府委員(小原武君) リビアに対しましては被疑者の引き渡しを含む関係国の要請に応ずるように引き続き求めていく所存でございますけれども、四月十五日までにこれが実現しない場合に備えまして、安保理決議七四八に要求されている所要の措置の実施を検討中でございます。
 御指摘の具体的措置につきましては三つございまして、一つはリビアとの間の航空機乗り入れ停止、航空機部品等の供与の禁止というのがございますけれども、これに関連しまして必要な政令の準備を去る十日に閣議決定いたしまして準備を行っているところでございます。第二の武器関連物資等の供与禁止、これにつきましては現行の法令で対応が可能と孝之ております。第三にリビア外交領事使節団の大幅な削減等というのがあるわけでございますが、これは現在検討中でございます。
○久保田真苗君 この問題、私は先日もちょっと取り上げましたのですけれども、そのときに安保理決議の中で要求されるのはリビアにいるパンナム事件の容疑者を米国または英国に引き渡すことだという御答弁があったと思うのです。この安保理決議七三一、七四八、二つとも明示的に容疑者をアメリカまたはイギリスに引き渡すことを求めているのではないのではないかと思いますが、その点はどういうふうに御理解になっているのでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先般の当委員会におきますところの先生の御質問に対してお答え申し上げましたけれども、今回の安保理決議七四八主文の一は、リビア政府に対しまして一月二十一日の安保理で全会一致で採択されました安保理決議七三一主文の三を遵守することを求めておるわけでございます。
 ところで、この安保理決議七三一の主文三は何を言っているかと申しますと、リビア政府に対しまして関係国の要請に早急にこたえることを求めておるということでございます。
 そこで、先生の御質問はそれでは関係国の要請とは何かということになろうかと思いますが、今、米英の例をとって御説明申し上げますと、先生も御承知のとおり、昨年の十一月二十七日でございますが、米英二カ国は共同宣言というものを発表いたしておりまして、その中でリビア政府に対しまして、一つは被疑者の引き渡し、二つは情報の開示、三つ目は補償の支払いというものを要求いたしております。その第一番目にある被疑者の引き渡しというのは、この被疑者をアメリカまたはイギリスに引き渡すというふうに読めるわけでございまして、そういう意味でテロ犯人の引き渡しを明示的に求めているというのが私たちの理解でございます。
○久保田真苗君 読み方が大変難しいようですけれども、これは要するに憲章七章のもとの制裁措置になるわけでございまして、次から次へと手繰っていってしかも関係国の要求に応じるようにというようなところまでいくという、こういう決議のあり方に私はいささか不安を覚えるのですね。
 それはそれとしまして、モントリオール条約、これは民間航空機への不法行為の防止に関する条約なのですけれども、これではこういった場合の裁判の管轄権というのはどういうふうに定められているのでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のモントリオール条約でございますが、この条約におきましては民間航空機を爆破する等のいわゆる航空テロ犯罪にかかわる裁判管轄権につきまして第五条という規定がございます。そこで裁判管轄権の設定義務を負う条約締約国というのを挙げておりますが、これを整理いたしますと五つの種類の締約国になるというふうに言えると思います。
 第一は犯罪行為が行われた国、第二は航空機の登録国でございます。それから第三に容疑者を乗せて着陸した国、いわゆる着陸国でございます。それから四番目にいわゆる航空機の運航国、運航をしている国ということでございます。それから最後に五番目でございますが、容疑者の所在する国ということになるわけでございます。
 この最後の容疑者の所在する国という場合には若干の限定がございまして、この容疑者の所在国が裁判権の設定義務を負う場合というのは、さきに挙げました犯罪行為地国その他の第一から第四までの関係締約国に容疑者を引き渡さない場合にはこの容疑者の所在地国で裁判管轄権を設定しなければならないということが一つございます。
 それからもう一つの限定と申しますのは、この条約の対象にしております犯罪行為のうちで航空施設の破壊等それから虚偽情報の通報にかかわる犯罪というのがございますが、そのような場合には容疑者の所在地国は裁判管轄権の設定義務は負わないという、このような構成になっております。
 なお、容疑者を引き渡すかあるいは引き渡さない場合にはその容疑者の所在地国が処罰をするという考え方は、いわゆる国際テロの防止処罰に関する一連の条約で一般的に採用されている制度でございまして、講学上これを普遍主義に基づく裁判管轄権などと言っております。
○久保田真苗君 ただ、リビアが国際司法裁判所に提訴したのはモントリオール条約の解釈と適用について提訴をしているというふうに報道されておりますけれども、そうなのですね。
○政府委員(柳井俊二君) 御指摘のとおりでございまして、リビアとしてはモントリオール条約の解釈の問題であるということで国際司法裁判所に提訴を行ったわけでございます。
 そして、リビアの提訴あるいは国際司法裁判所に求めていることというのは大きく分けますと二つございまして、一つはモントリオール条約の解釈の問題でございます。それからもう一つはリビアの権利保全ということがございまして、いわゆる仮保全措置と国際司法裁判所では言っているものでございますけれども、リビアに対しまして被疑者の引き渡しを強制するような措置をやめさせてほしい、こういうのがいわゆる仮保全措置の申請でございます。
 これに対しまして英国及び米国はこれに反対する弁論を行っておりまして、いろいろな議論をしておりますけれども、例えば米国はこの事件はリビアによるテロ行為であってモントリオール条約下における単なる刑事事件として取り扱うべきではない、安保理決議七三一はこの条約が本件の争点ではないという理解のもとに採択されたものであるというようなことを言っております。
 イギリスにつきましてもそのようなことを言っておりまして、本件はモントリオール条約の解釈適用が争点ではなくて安保理決議七三一が争点であるというような反対弁論を行っているところでございます。
 なお先日、中間報告として御報告申し上げましたけれども、ただいま触れましたいわゆる仮保全措置に対する裁判所の決定でございますが、これは六十四日、ヘーグの現地時間でございますが午後三時に言い渡される予定と聞いております。現在オランダはもう夏時間に入っていると思いますので、東京時間では今晩の十時ということになろうと思います。
○久保田真苗君 そういうわけで、司法裁判所の審理も進んでいるということなのでございますけれども、確かにこれは安保理の問題であってモントリオール条約の問題ではないというポイントは、決議を見る限りはリビアの国際テロへの非難があるのでそれはそうだと思います。
 しかし、このことがパンナム事件を直接の対象として要求事項を出しているという意味から言えば、その容疑者が犯人と断定されるまでの手続きについてやっぱり法律的な要素がここにどうしても存在するというふうに私には思われるし、もし今その審理が行われているのならば、その法律的な争点についてなぜ国際司法裁判所の勧告的意見を安保理はみずから求めなかったのかな、そしていきなり七章の制裁に踏み切ったのかなと、その点が私にはどうもひっかかる疑問なのです。
 これはリビアの今までのことを擁護するとかしないとかということとは別問題として、安保理と国際司法裁判所の関係をもっとよりよく補完的なものにしていくことがいろいろな国際的な紛争や、事態、そういったものを改善する上から本来あるべき姿なのじゃないかと私は思いますのですけれども、なぜ勧告的意見を求めるというような意見が出なかったのでしょうか。その点について政府一としてはどういうふうにお考えになるのか。
○政府委員(丹波實君) 私、先生の御疑問あるいは問題提起が全く根拠はないということを申し上げるつもりは毛頭ございません。一つの御意見だろうと思います。
 ただ、先生もお認めになられたとおり、リビア政府は国家テロを放棄するという具体的な行動によってそういうことを示していない、そういう段階においてはやはりこの問題は先ほどのモントリオール条約で言うところの法律問題というものを通り越して国際の平和と安全が脅威となっている事態であるという、そういう判断というものを安保理がとったということで、その安保理の決議が第一回目の場合には全会一致で通った、第二回の場合は五カ国の棄権はございましたけれども反対は一カ国もなかったという、そういう安保理の認識というものがそこで示されたのではないかというふうに解釈いたしております。
○久保田真苗君 繰り返しても仕方がないとは思いますけれども、安保理決議の要求は二つあるのです。一つはパンナム事件の容疑者の問題であり、もう一つはリビアが国際テロ国家だという、そういう二点があるのですね。これを一緒にして出していて、前者の場合には少なくともそれは、その者が犯罪を犯したことが事実であるのかないのかというそこに非常に鋭くかかっている問題だと思うのです。
 後者の場合にはそれは安保理になじむ問題かもしれません。しかし、前者の場合においてそれを一緒にして、国際司法裁判所に一方の当事者が提訴している場合にその司法裁判所の意見を求めるあるいはそれを待つという、そういう態度はとれないものなのでしょうか。日本としてはどうなのですか、とれないのでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先生の御意見、検討しなければなりませんけれども、安保理におきますところの審議状況その他から解釈いたしまするに、先生が分けられた二つの問題は結局は一つの問題という、そういう考え方であろうかと思います。
 国家テロを放棄するという具体的な行動というものは、やはりこの場合その犯人を引き渡すという、そういう行動にもなってあらわれなければならないというのが安保理の解釈であろうというふうに考えております。
○久保田真苗君 私、こんなことを申し上げるのは非常に僭越なことなのですけれども、しかし今回の安保理が満場一致で同意しているわけではない、五票の批判票が出ているということは、安保理という機関が非常に強大な権限を持っているというその事実にかんがみて、十分他の意見を聞くというそういう態度が必要な場面じゃないかと思うのです。
 前回、私はニューヨーク・タイムズの社説からちょっと引かしていただいたのですけれども、今回のロッカビーでの事件は、これをリビア人二人の犯罪であるというふうに言っているのは主としてイギリスの警察なのですね。警察の段階でもって、それに対する何らかの判定が安保理のみで、しかも七章下の制裁、それは今のところはおっしゃるように政治的な制裁かもしれません。あるいは経済的な制裁かもしれません。しかし七章下で、平和と安全の脅威があるというそういう認定のもとに決定されたということであれば、それはどこまでもいかないという保証はないわけでございますよ。でございますから、私はやはりニューヨーク・タイムズの社説も言うように、その辺はもう少し客観的なエビデンスというものが必要な場面じゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。
 確かにリビアはいろんな意味で国際的に非難を受けてきた国でありますけれども、しかしこのことは犯罪の事実関係が核心をなしているという事件であることを思うならば、私は正当な手続を踏むべきだ。安保理は十五カ国で、そして百六十六カ国を代表して事を決めその他の国にも制裁措置を強制する立場にあるわけでございますから、私はどうも今回の決め方というのには疑問があり、やはり国際司法裁判所の審理、裁定にいろいろな事実を明らかにするための一つのよすがを求めたいと、こう思うわけです。
 ここから先はリビアとは直接関係がない一般的な問題としてお聞きいただきたいのですけれども、一つの点は事務総長の権限強化というものが平和的な事件の解決について必要であるということは、もう国際社会で言われて久しいのですね。久しいめですけれども、余り目ぼしい進展はどうもないように思うのです。事務総長自身の報告を九〇年、九一年あたりで見ますと、事務総長自身が国際司法裁判所の勧告的意見を求める権限を年次報告の中で要請しているわけです。今のところ、総会と安保理しかこの勧告的意見を求めることができるものはないわけです。なぜ事務総長にそれを与えないのか、そういう疑問、今回のようなことがもし次々と起こるのであればますます必要なのじゃないかというふうに思うわけですが、この点についてどうなのでしょうか。
 事務総長の権限をどこかで強化する、その一つは国際司法裁判所の勧告的意見を求めるというそのイニシアチブを事務総長にも与える、その点について政府としてはどういう御意見をお持ちでしょうか。
○政府委員(丹波實君) まず紛争のいろんな意味での解決あるいは紛争自体を予防するという分野におきますところの事務総長の権限を強化するという点につきましては、先生はもう国連に大変お詳しい先生でございますから御承知と思うのですけれども、今まで紛争予防宣言ですとか事実調査宣言といったような国連総会の決議を通じまして事務総長の権限強化ということを行ってきておって、まだ十分ではないという点はそういうことかもしれません。今後ともしかし、事務総長のそういう分野における権限というものを強化していきたいというふうに考えております。
 第二に、国際司法裁判所の意見を求める権限の問題ですけれども、現行憲章上は第九十六条にございますけれども、総会または安全保障理事会はいかなる法律問題についても勧告的意見を与えるようにICJに要請することができる、それから国連のその他の機関及び専門機関でも総会の許可を得る場合には一定の範囲内でそういう勧告的意見をICJに求めることができるという規定でございまして、確かに先生がおっしゃるとおり、事務総長の国際司法裁判所の意見を求める権限というものは書かれていないわけでございます。
 しかしながら、憲章の解釈といたしまして、事務総長が例えば一定の事態が起きている場合に安保理に対して、この事件を国際司法裁判所に持っていってはどうかということを事務総長として安保理に訴えるということは、恐らく九十九条その他から見て可能なのだろうと思います。しかし、事務総長自身が直接ICJに持っていく、こういうことを先生おっしゃっておられるのだろうと思いますけれども、この点につきましては憲章に明示的な規定がございませんので、将来の立法論として先生の御意見をお伺いいたしたいというふうに考える次第でございます。
○久保田真苗君 それからもう一つ、安保理、特に常任理事国は非常に強大な権限を持っておるわけです。考えようによりましては、安保理は自分自身が立法者であり執行者であり、そして時には制裁者でもあるという万能の機関と見えないこともないのですね。そういうところの常任理事国でしかも拒否権を持っているというまさに絶対者的な立場にある人が、みずからが当事者であるところの事件に対してはそれにふさわしいような一つの慎重なそして公正な態度というものがはたから見ていてもはっきりと見てとれるようでなければ、これは国連の権威の失墜につながりかねないと思うのです。
 私がお伺いしたいのは、現行国際法の中でも国際司法裁判所の管轄権の選択的受諾宣言をするという手続がありまして、これは国際司法裁判所にどこかの一方の当事者が訴え出た場合に自分の方もそれを義務的に受け入れるという、そういう自発的な宣言だというふうに聞いております。こういう宣言を安保理の理事国というものは他に率先してやるべきじゃないか。日本はこれは宣言をしているということでございますからなのですけれども、今回の場合、英国もしているというふうに聞いているわけですね。そういうことがこれから広がっていくことが、いわゆる武力の支配、強くなくちゃ何にもできないのだというそういうものから、法の支配といいますか理の支配というのですか、そういうものがない限り私は国連はだめになるのじゃないか、そう思うわけです。
 そこで、安保理理事国の国際司法裁判所の選択的な管轄権の受諾宣言というものをほかの国もなさるように、日本政府はそれができる立場だと思いますが、そういうことを進めていくおつもりはございませんでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の点は非常に重要な点であると思います。
 まさしく先生おっしゃいましたとおり、国際社会におきまして紛争の平和的解決というものの中で国際司法裁判所が演ずる役割というのは非常に重要だと思います。そして、これが実効的に機能するためにはまさに世界の多くの国々、理想的には全部の国が国際司法裁判所の義務的管轄というのを受け入れて、そして紛争が起こった場合にどこかの国が自国を訴えればこれには義務的に応ずるという体制が望ましいわけでございます。そして、これも先生御指摘のとおり、現状におきましては残念ながらそのような状態にはまだなっておりませんで、安保理常任理事国の中では英国のみが選択条項の受諾という形で国際司法裁判所の義務的管轄権を受け入れているわけでございます。
 ちなみに、我が国の場合には率先してこれを受け入れておりますが、いずれにいたしましても、安保理常任理事国のイギリス以外の国々、そして世界の相当多くの国々がまだ国際司法裁判所の管轄権を受け入れておらないのが残念ながら現状でございます。
 そこで私どもといたしましては、このようなことは望ましくないわけでございますので、国連総会あるいはその他いろいろな協議の場を通じまして、国際司法裁判所の管轄権の受け入れをもっと広く進めようではないかということをいろいろな機会に既にこれまでも提唱しているところでございます。例えば多数国間条約を採択いたします場合に、これはすべての条約というわけではございませんけれども、その条約の解釈適用に関して紛争が生じた場合にどのような紛争解決条項を設けるかというのがしばしば問題になるわけでございます。そのような場合におきまして、我が国としてはこれまで非常に多くの機会をとらえまして、紛争は最終的には国際司法裁判所に持っていくべきであるということで、そのような条項を個々の条約に入れるということを提案してきております。
 ある場合には成功いたしましたし、またある場合には必ずしも合意が得られなくて入らなかった例もございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど御指摘の点は大変に重要な点でございますので、これからも私どもとしてはそのような方向で努力をしていきたいというふうに考えております。
○久保田真苗君 時間が来てしまいましたので、どうもありがとうございました。大臣もどうかよろしくお願いいたします。
○堂本暁子君 きょうは旅券法の改正ということでございますけれども、このMRPコードの記号化ということは、大変迅速になるということは歓迎したいと思うのですけれども、個人情報のプライバシーの保護という点についてはどのように外務省は対応なさるおつもりでいらっしゃいましょうか。
○政府委員(荒義尚君) 確かに御指摘のとおり、本年の十一月一日に機械読み取り旅券というものを導入いたしますとこれはコンピュータ」に接続するわけでございまして、私どもとしては情報の管理について細心の注意を払っております。
 具体的には、先生御承知のとおり、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律、いわゆる個人情報保護法と言っておりますが、これにのっとって厳正に管理しておるということでございます。
○堂本暁子君 大変日本人の渡航が多くなっているわけですけれども、外国人の来日もふえております。中でも問題なのは外国人労働者の問題だと思います。
 先ほども田議員の方から政府の態度については御質問がございまして、そして積極的には単純労働者の受け入れは推進しないという大臣からの御答弁もございました。多分一九九〇年の入管法の改正はそういった方針に基づいて行われたのであろうというふうに思いますけれども、もう二年近くたちました、正確には一年十カ月ですが。外食産業とかそれから建設の現場などに行ってみて外国人の姿が消えたかといいますと、むしろふえているのではないかと思います。こうした外国人に頼らなければならない中小企業の状態があるわけですけれども、そういった不法就労と言われる外国人の数は十五万とも二十万とも言われているわけです。
 こういう場合、不法就労ということですからどういうことが起こっているか。労働市場の需要はある、しかし実際に来ている方たちはどういうことになっているかといえば、大変賃金が安い、健康保険とか年金といった権利は受けられない、もう今やブローカーとかやくざによる搾取も非常に多い、それから何しろ常にびくびくしていなければならない。大変不安定で、しかも差別、抑圧された非人間的な生活を日々送っているわけですね。そういう方がさっき申し上げたみたいに十万、二十万いるかもしれないという状況です。こういった方たちがまた国へ帰っていく。その場合に、これは認めますか認めませんか、どういう基本姿勢ですかということを超えて、やはり日本に対して非常に悪い感情を持つ。それから日本でひどい目に遣ってきた、そういったことが大変外国でふえているというふうに聞きました。
 大臣、こういった大所高所から見た場合、この不法就労、日本の基本姿勢はこうであるというようなことで済まされないレベルのことにまでもう現実は至っているのではないかと思いますが、いかがですか。
 大臣に、大きいことですので、もしなんだったら大臣にお答えいただきたい。実際には建前と現実が大変もう乖離している、そういった状況の中で外交的に問題があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 私の方から御指摘の点の海外におけるそういう問題の受けとめ方について若干御披露させていただきます。
 確かに私どもこういう問題についての外国の受けとめ方、全貌は必ずしも把握しておりませんが、最近例えばタイであるとかフィリピンあるいはアメリカの一部の新聞等におきまして日本における外国人労働者の扱いということが若干取り上げられておりまして、そういう角度から、外務省としては非常にこのまま放置できない問題であるというふうに事務的にも受けとめておる次第でございます。
○堂本暁子君 大臣、領事移住部長からは今、放置できない問題だというふうに御答弁ございましたが、大臣はどのように。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは二つ見方がございまして、人手不足で悩んでいる中小企業から見れば、なかなか日本人は危険なことや汚いことや苦労の多いことはやりたくないと、したい人はいない、外人労働者はいっぱいいるじゃないかというような経済的側面だけを考えて、もっと入れてくれという希望のあることは事実なのですよ。しかし、このこと自体が、日本人がやりたくないことを外国人にだけやらせるのだという考えが私はそもそもいかがなものかということが一つあるのですよ。
 それから、どんどん入れるとなればそれはむちゃくちゃ入ってきますよ、何十万人でも。その結果が今度は日本人並みの待遇がきちんとできればいいが、現実には景気がいいこともあるし不景気なこともあるわけですから、先ほど言ったように。不景気になれば解雇される、それでなかなか自国へは帰らないということになると今度はまたそこで差別、こうなってくる危険性があるのですよ。
 人権という点から考えると我々としては、また日本に来て粗末にされたとか人並みの扱いを受けなかったとかというような別な問題をすぐ起こしかねないことはこれは慎重にやらなきゃいけませんなと。したがって、なるべく難民とか不法労働者が入ってこなくともその他の国で勤められるように何とかしてやりたいというのが近隣諸国に対する国際貢献であって、我々はそのためにはいろんな事業を起こさせたりその自国でちゃんと勤め口があるようにしてやったり、そういうお手伝いをすることが大事なのですね。
 だから、そういう両面を考えてこれをやりませんと、一時の事情、事業面だけで目先だけでまた別な問題を起こすこともいかがなものかということで、私はそういう点を慎重に考えているのだということを知っていただきたいと思うのです。
○堂本暁子君 私が伺いたかったのは、むしろ実際に、人権と大臣もおっしゃいましたけれども、そういった方たちが帰国されたときに大変日本でひどい目に遭ってきたということが外国の雑誌や新聞にも多々載っているということを伺いたかったのです。
 それから難民を受け入れなくていいのかどうかということについては大変疑問を持っております。日本は積極的に、もし公平に外国人が汚いことをするだけではなくて日本人も汚いことをしなければいけないのだとすれば、やはり平等に難民も受け入れるべきではないかというふうに考えますが、先に参ります。
 次に、大蔵省に伺いたいのですが、この不法就労で働いている方たちは所得税を払っていますでしょうか。
○説明員(志賀櫻君) 課税関係は、おっしゃいますとおりに、発生しておる形になっております。
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 権利と義務があるわけですけれども、義務だけを日本ではそういう形で、税金は払う、しかし何ら社会的な権利は得られない状況で何十万という方がいらっしゃる、こういうことは大変問題だと思います。
 次に伺いたいの但、九〇年の入管法の改正以後、日系人の方が大変ふえているということです。
 ここにございますが、ブラジルで「ゴーイング」という、これはビーイングをもじってゴーイング、日本へ行くというこういう雑誌ですが、あけてみますと中には、いかに日本でひどい目に遣ったか搾取されたかというようなことが多々書いてあります。用心しなさい、日本には、例えばここには、やくざの介入は絶対に許さない、出稼ぎは仕方がない、悪質あっせんは取り締まってくれとか、こういうことが書いてありますし、それから渡航に必要な書類ということで、さっき久保田議員もおっしゃったいわゆる出生証明、戸籍謄本の類、こういったことで多々ポルトガル語と日本語でずっと書いてあるのです。その間にまた一方で、ここに住友電装それからいす々自動車、日本の重立った企業の広告がずっと出ている。
 だから、大臣おっしゃることはよくわかりますが、一方でこうやって日本の企業は大小さまざま、これは用心しなさい、やくざにひっかかっちゃいけませんと同時に、日本はこれだけもうJALも後ろには広告を出している。こういったような形で日本の企業を挙げて大きいところも小さいところも求人をしているわけです、外国で。
 それならば日系人はいいのかという次の議論に展開したいわけでございますが、実際に法務省に伺いたいのですが、九〇年以後どのくらいの数字で日系人はふえているでしょうか。
○政府委員(本間達三君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は日系人についての数でございますけれども、私どもの統計上は日系人としての区別した統計はとっておりませんのでその点は明確にできませんが、御参考までに日系外国人が非常に多い中南米諸国の人々の新規の入国者数の推移についてちょっと御説明申し上げます。
 一番入国者数の多い中南米諸国と申しますとブラジルでございまして……
○堂本暁子君 地域だけで結構です。
 そういたしましたらば、どこの県に多いかだけをお答えいただけますか。恐れ入ります。
○政府委員(本間達三君) 入国者ではなくて、現在どういうところに在留しているかという……
○堂本暁子君 はい、どこに在留しているか。
○政府委員(本間達三君) わかりました。では、日系ブラジル人の都道府県別の数について申し上げます。
 平成二年の十二月末現在で都道府県別で多い順に五県挙げさせていただきますと、愛知県が一番多くて一万七百六十四人、次が静岡県で八千九百六十四人、神奈川県で八千二百十五人、埼玉県で四千九百二十六人、群馬県で三千八百二十二人というふうになっております。
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 大臣、これは愛知県はトヨタがあるのです。それから静岡県はホンダがございます。神奈川県は日産があり、いす々があるのですね。そういったところ、この広告にもそういった自動車会社が求人広告を出していますけれども、その下請の会社もございます。そういうように、日本の基幹産業であるそういったところで実際に日系の外国人が働いておられる。
 実際そういう日系人の方たちを日本政府としてはそれではどのような見解で今迎えているのか、これをぜひお答えいただきたい。
○政府委員(荒義尚君) お尋ねが、いわゆる日本国籍を保有せずしかし日系であるということを問題にされているという了解でお答えいたしますが、私どもとしては、まず受け入れ体制につきましては平成二年の入管法の改正で、御承知のとおり、日本人の配偶者及び定住者という在留資格を設定したということが一つございます。
 それから日本に来られた場合にこういう方々が安んじて滞在しかつ生活できるような支援としまして、具体的には私どもの外務省認可法人の海外日系人協会、これがささやかではございますけれども日系人相談センターというのをつくっておりますし、また追ってお話しあるかと思いますけれども、労働省さんの方でもそういう雇用センターのようなものをつくりまして雇用それから生活相談ということにいろいろあずかっているという状況でございます。
○堂本暁子君 確認させていただきますが、基本的に日系人労働者、日系人の方たちを労働者として認めていらっしゃるのですか、それとも日系人労働者を外国人労働者として認めていらっしゃいますか、それはどちらですか。
○政府委員(本間達三君) 入管法におきまして日本人の配偶者等及び定住者という在留資格で日系人の方々の受け入れをしておりますが、その趣旨とするところは、先生おっしゃるように、労働者として受け入れるということではございませんで、あくまでもその方々が日本人と一定の身分関係を有するという、そういう事情を特に考慮しての在留資格の設定ということになっております。
○堂本暁子君 そういたしますと、入管法で定住権が認められているから労働者として働いていてもそれを黙認しているということですね。
○政府委員(本間達三君) 在留資格にはそれぞれ活動の内容というのがあるわけでございますけれども、在留資格の定め方として在留活動を制限する場合と制限しない場合がございます。
 ただいま申し上げました日本人の配偶者等あるいは定住者というのは在留活動に制限がございませんので、したがいまして一般の労働に従事するということも認められるということになるわけでございます。
○堂本暁子君 あくまでも外国人ということですね。
○政府委員(本間達三君) さようでございます。
○堂本暁子君 そういたしますと、日系人だけにどうして定住権をお与えになったのですか。
○政府委員(本間達三君) その点は、ただいま申し上げましたとおり、やはり日本人とのつながりといいますか、この点を特に考慮したということでございます。
○堂本暁子君 フィリピンとかほかの外国人との間の差別ということはないでしょうか。
○政府委員(本間達三君) これは国籍によって区別をするということはございません。したがいまして、どこの方であろうと日系の二世あるいは三世という方は、ただいま申し上げました在留資格によって受け入れをしているところでございます。
○堂本暁子君 いや私が伺ったのは、日系ではないフィリピン人ですとか、それから今、東欧の方とかソ連の方も見えているそうですが、そういう方は単純労働を認められていないわけですから、先ほどから大臣るるおっしゃったように。そういたしますと、日系の方たちは労働できるわけですね。そうすると、そういう方の間の差別はないかということを伺っています。
○政府委員(本間達三君) 労働者の受け入れ問題はちょっとその視点が違いまして、先ほど外務省の方から御説明がございましたとおり、労働者として受け入れるのが我が国にとっていかなる影響があるかということを多角的な見地から検討して決定すべきものでございます。
 それで、現在の政府の方針としては、いわゆる単純労働者というのは経済、社会各方面に大変大きな影響を与えるであろうということが予想されるので慎重に検討する必要がある、現段階では単純労働者を入れるという方針には踏み切れないというのが現在の立場でございます。
○堂本暁子君 先ほどの労働者の場合も、建前は入れない。しかし、実際十五万人とも二十万人とも推定される単純労働者が現実にいる。これも建前と現実の間に乖離があるわけです。
 今度もまた、日系人を定住させるということで労働者としては入れていないとおっしゃる。しかし、これにも出てきたように、それから先ほどおっしゃったように、愛知、神奈川、静岡とまさに日本の自動車工場があるところ、そういったところにだあっと、私が調べたのでは六カ月に七千人ずつふえているのです、愛知県なんか。ということは、それか労働者ではないということはおっしゃいますけれども、これはまた建前は定住である、しかし実質は労働者である。しかも、単純労働を他の国に認めていないからそういった人たちが単純労働を今や担っているわけです。だからこそ、今やブラジルなんかはブラジルの日系人の二割が日本へ来ているとすら言われている。そのくらいの大変な数の方がどんどんどんどん日本へいらしているわけです。
 そうなった場合に、じゃ果たしてどこでもそういうふうなのかということを伺いたいのですが、これは外務省にお調べいただいていると思いますけれども、同じブラジル人でも日本だけが移民したわけではございません。ドイツからもイタリーからもスペインからも移民をしています。そういった移民をした人たちが今度ドイツへ帰ったときどういう待遇を受けているか。外国人として扱われているのかそれともドイツ人として扱われているのか、二世三世はどう扱われているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(荒義尚君) 私どもの調査でございますと、順番に申し上げますが、イタリアにつきましては父系三代母系二代までイタリア国籍を与えるという制度でございます。それからドイツでございますが、ドイツにつきましては父母いずれかがドイツ人である場合はドイツの国籍を与えるということです。それからポルトガルでございますけれども、おおむねドイツと同じ制度であるというふうに聞いております。スペインも大体父母どちらかがスペイン人であ札はスペイン国籍を与えると。
 したがいまして、そういう制度でございますので、それぞれ母国の国籍を持って入る場合は文字どおりこれは内国民というかその国民そのものでございますので、全くほかの国民と同じ扱いになるという状況でございます。
○堂本暁子君 もう一度話を戻しまして、日本は移民した方たちに対してそれではどういう見方をしていらっしゃるのか、どういう位置づけをしていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 若干分けてお答えさせていただきます。
 戦後、中南米諸国、北米もございますけれども、移民された方はおおむね二十五万人ぐらいの方がおられるわけです。その方々は、我々の調査によりますとおおむね日本国籍を保持しておられるわけでございます。そみ方々をどう見るかというお尋ねでございますけれども、もちろん日本国民という点が一つありますと同時に、やはりそれぞれの居住国における相手国の社会なり経済の発展に貢献しているという意味で、我々にとっては、かけ橋というのがいい表現がわかりませんけれども、そういう役割を演じていただいているというふうに思います。
 それからそれ以外の二世三世はこれは国籍的にはそれぞれの居住国がございますので、ただ血液的にはつながりがございますから、我々は間接的に若干のお手伝い、環境整備的な事業は展開しておるところでございます。
○堂本暁子君 非常に私、中途半端だと思うのです。先ほどおっしゃったように、日本へ来るときはあくまでも外国人である。ドイツの場合なんかは国籍は二重になるわけです。ドイツの文化を持ったブラジル人として母国へ帰って自由に働いている。だから、できるだけ二重の国籍でもできるようにしている。そういうことですから自由に出入りができる。そして、自分の国の文化をまたブラジルに持ち帰ることができる。ブラジルの方は日本の文化をできるだけまた持っていって、そして多様な文化を持ってほしいというふうに言っておられますけれども、私はこれの一番逆さまなのが在日の韓国、朝鮮の方だと思います。もう何世代も日本にいても韓国の文化を持った日本人として日本は認めようとしない。その逆さまに今度は日本の文化を持ったブラジル人、この場合にまた逆に二世三世になればブラジルの文化を持った日本人であるかもしれません。
 どっちの場合にでもそういった形で認めようとしない。さっき久保田先生もさんざんおっしゃいましたけれども、余りにも国籍にこだわっているのではないかというふうな気がいたします。その限りにおいて、大変外国人労働者の問題、難民の問題そして在日韓国人の問題、全部人間に関して今この国際化した時代の中で日本がどう対応するか、この辺で日本は大きく脱皮をしないと私はとんでもないことになるのではないかと思います。
 これは何か去年「ドイツと日本の外国人労働者」というシンポジウムがあったその新聞記事なのですけれども、そこでドイツのウィルヘルム大学のトレンハルト教授という方ですが、国際化された時代に必要なのは「「その国民は同じルーツであるべきだ」という認識と決別すること」ですと言っています。労働事情からだけではなく時代の本質から外国人の就労、国籍、人権をとらえ直すべきではないか。そういった視点からいたしますと、今、余りにも建前と実態とがかけ離れている日本の状況が、不法と言われる外国人労働者、日系人と言われるこういう方たち、そういった方たちの中に非常に大きく出てきていると思います。
 例えば今、家族連れで日本へ帰ってきている方が大変ふえています。文部省はそういった方に対してどういう対応をしていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(長谷川善一君) 我が国に最近日系の方々の子女が大変ふえてまいりまして、公立の小中学校に就学するというケースも非常にふえてまいっております。これに伴いまして、このような児童生徒に対します学校での適応の指導あるいは日本語の指導という面に関しましていろいろな問題を生じておるところでございます。
 文部省としては、我が国の学校に入学を希望する子女につきましては内外人同一という原則に立ちまして受け入れるわけでございますけれども、これらの子供ができるだけ早く学校に適応できるように必要な施策を講じていかなければならないと考えておりまして、現在受け入れそれから指導の実態、その問題点といった点につきまして全国的に悉皆調査をいたしております。結果は近々公表できる予定でございます。
 ちょっと日本語の指導が必要だと思われる子供の数は公立の小中学校で五千数百名に上っております。平成四年度は、特にポルトガル語あるいはスペイン語によります学校生活を送る上で必要な事柄に関する日本語の教材をつくるとか、あるいは特別の指導を必要とする者に対しまして教員を、文部省では加配と言っておりますが、教員の配置を考える、あるいは特にたくさんいるところでは調査研究をやるための研究の指定校をふやす、そういうようなことをとりあえず平成四年度にはやる予定になっております。
○堂本暁子君 日本の労働事情から申しますと単純労働者が不足している。これはもうそういった構造というのは毎日毎日私たちが目にし、新聞に出、テレビに出て、それでもし日系人の定住を決めたらばこういう事態が起こるということは十分に予測できたと思うのです。しかし、そういった学校の教育にしろいろいろなことが全く準備されないまま入管法だけが変わった。ですから、実際に来ておられる日系人の方はいろいろな形で不便を感じています。
 今、学校で、これから平成四年にとおっしゃいましたけれども、アメリカでしたら国の予算で英語のできない子供のための教師がいますし、サンフランシスコには日本語で教える公立の学校すらある。そういったような準備がなされないまま定住権を認めて一カ所に一万何千人というような方たちがそこに移り住んでこられる。こういったことはあくまでも単純労働を当てにしていた労働者ではないとおっしゃっても、現実の問題としてはここにみんな広告が出ているのです。後でぜひごらんいただきたいと思うくらい出ています、広告が。
 労働省に伺いたいのですが、労働省は九一年になって、九〇年に入管法が変わりましたけれども、それから一年以上たって日系人雇用サービスセンターを、お始めになった、これは存じております。そこにいた学生さんがこんなことを言っているのです。定員はたった二十人しか入れな小小さなオフィスに四十人ぐらいの人で本当にいっぱいだ。ポルトガル語、スペイン語が飛びかって四本ある電話はもう鳴りっぱなし。そして、もう本当にそこへ来ている人のひざを越えて肩越しに、もじもしと言うと、私は日本語できないからと言って、済みません、ポルトガル語の人お願いしますと言うそうですが、そこのセンターにも実はポルトガル語のできる職員はおられなくて全部アルバイトの学生だと。
 これはもう余りにも準備不足です。それですから全国から、仙台から名古屋から大阪からやってくる。帰りの電車賃もない。そして、来るのは働いている日系人だけではなくて雇用している企業の方でもやってくる。こういった状況では本当に、今、数字ははっきりわからないとおっしゃいましたけれども、大体日系人の方十五万人ぐらいいらっしゃるだろうということです、全国に。一カ所で二十人も入らないようなところで十五万人。対応のしょうがない。もっと全国にそういうことをやる必要もありますでしょう。
 それから労働時間、これは労働基準局やそういうところが、週に一回でもポルトガル語なりスペイン語なりのサービスをきちんとやるとかそういったことできちんと労働条件が守られているのか、それから社会保障はなされているのか、そういった点をこれからなさってくださるかどうか、その点をぜひ伺いたいと思います。
○政府委員(伊藤欣士君) 先生御質問のとおり、日系人というのは日本人の配偶者等というような資格で合法的に就労していただいているわけでございますけれども、その就労経路を見ますと、現地の仲介ブローカーというような形で不正確な労働条件で募集されたりあるいは国内の悪質な人材あっせん業者を通じて就労するケースが非常に多うございます。そういうことで、そうした不明確な就労経路に起因いたしまして労働条件をめぐるトラブルであるとか賃金の搾取とか違法な派遣等の問題が非常に多くなっていることは十分承知しているところでございます。
 したがいまして、このような日系人の方々の就労上の問題を解決するためにはまず仲介のブローカーを排除して適正な就労経路を設定するということが非常に重要でございまして、このために国内において日系人のために合法適正な就職あっせんの体制を整備することが必要であるということで、お話がございましたように、昨年八月に東京上野に日系人の雇用サービスセンターを開設をさせていただいたわけでございます。
 そのサービスセンターにおきましては、ポルトガル語、スペイン語の通訳を配置して、先生おっしゃっておられるアルバイト等でございますけれども、就職を希望する方々の職業相談、職業紹介を行う。あるいは仲介のブローカーにパスポートを取り上げられたりして離職できないというような就労上のトラブルに巻き込まれた日系人の方々の相談に応じまして、労働基準監督官等と連携いたしましてその問題の解決を図る。あるいは全国の公共職業安定所を通じまして日系人向けの求人というものをきちんとした形で受け付け、これをこういうサービスセンターを通じて職業紹介を行う。あるいは企業に対しまして日系人に対する適切な雇用管理を行わせるために、現に日系人を雇用しておられる企業あるいは今後雇用することを希望する企業等を対象とする研修会を設置するというようなことでやってきておるわけでございます。
 先生御指摘のように、来所者の方、利用者の方が非常に多うございます。率直に言いまして我々の想定以上に、最近はまた景気の停滞等を反映いたしましたせいか非常に来所者は多くなっております。そういう形で我々は増員等も図っておるわけでございますけれども、また安定所は全国に六百あるわけでございます。すべてではございませんけれども、そういう方々のおられる地域を中心に安定所にそういう方々の相談の窓口を設ける、あるいは全国の基準局でも窓口を設けております。
 通訳その他いろいろまだ不備な点はあるわけでございますけれども、こういう働いておられる方々の労働上の問題、種々の問題を解決することをお手伝いするために今後とも頑張っていきたいと思っているわけでございます。
○堂本暁子君 大変労働省のお答えが長くて、厚生省、自治省に伺う時間がなくなってしまいまして申しわけございません。
 まさに私の申し上げたいのは、今それだけ労働条件のこといろいろるるおっしゃる。講習をなさる、職安にずっと人を配置すると。それでは、先ほど最初に法務省に伺ったときに労働者として対象にしてはいないのだとおっしゃたことと、これだけ労働省と法務省の間で矛盾するじゃないですか。実態は、結局その矛盾のはざまこそが実態なのですね。労働力は必要としていると。
 ですから、私はきょ、つ日系人のことを問題にしましたが、これは外国人労働者全部の問題だと思っています。日系人のことを取り上げた方がわかりやすいから、今たまたま定住化で合法的に働いている人たちがこれだけ人権を侵害されて、今おっしゃったように、あっせん業云々とおっしゃいましたが、ここに「出稼ぎ日系外国人労働者」という本もあります。その書き出しは、一生懸命に世話をした旅行業者の人が逮捕されるという話から始まっているのです。たまたまその労働者の方からかわいそうでお金がもらえないから企業の方からお金をもらったらそのために逮捕されたということで、ずっと彼と相談をしていた人たちがいろいろな嘆願をして、それからブラジルでもそのことが大きく新聞に出るというようなことがありました。
 最後に、運輸省おいでいただいているので、これはぜひ法務省、労働省にもお願いしたいのですが、それから大蔵省にもお願いしたいことですが、運輸省としても何らかの形でブラジルの日系の方のそういう機関、出先機関の人たちが日本で働けるような方法を講じていただきたい。今は国家試験があってそうし書ければだめですから、旅行業務取扱主任国家試験をパスした人しかできない。それから資本金は三千万円以上必要だ、こういうことではできないわけですね。
 ですから、そういった方は今おっしゃった職安で対応できないのであれば、やはり日本語とポルトガル語なりスペイン語ができる、そしてそういった旅行あっせん、旅行あっせんではないのですが、旅行業の方が日本へ送ったそのついでに、また日本へ出先を持ってそこで仕事の世話そしてビザの切りかえの世話とか、いろいろな世話を今やろうと思ってもできないことが悩みだそうです。きのう運輸省にお調べいただいたら今たった三軒しかない。でも十五万人にそれだけで対応できないから、皆、潜りでやるわけです。潜りでやるとこれまた不法だということで逮捕されてしまう。そういった悪循環が起きています。
 これはたまたま日系人の問題ですが、やはり日本という国は、ドイツは確かにおっしゃったようにトルコ人の問題で随分悩んだことは事実ですが、でもドイツの労働組合はこの新聞を読む限りでは、自分たちは何とかして社会的な保障、それから企業が住居を保障すること、そのことを条件に外国人労働者の受け入れに合意した。これは労働総同盟の人がそう言っています。そして今、何をやっているかというと、選挙権を与えること、そしてドイツ国籍が取りやすくなるために二重国籍を容認するよう主張している。ここまでもうドイツは進んでいるわけなのですね。
 日本も今、国際化の時代であれば、こういった大勢の方たちが日本の中でびくびくしながら、はらはらしながら何十万という人が働いている、そういったことは大変日本外交の中で私はゆゆしき問題だと思いますので、大臣もぜひ、先ほど大臣の御意見るる伺いましたけれども、そういった実情を再度お調べいただいて実態に即した、余りに建前と実態の離れたような、法務省と労働省の立場がこんなにお違いになみようなことにならないような、そういう形で移民の問題をお考えいただきたいとお願いをいたします。
 次に、また私は地球サミットのことを伺いたいのですが、あしたからいよいよ賢人会議が開かれます。それを前に実はこの日曜日には凡人会議というものが開かれました。かつて昔は、本当の賢人というのは大変凡人に耳をかしたそうです。賢人は凡人に、凡人は賢人に耳をかしたのだと思いますけれども、なかなか今度肝かれる賢人会議は凡人を閉ざしておりましてクローズドで開かれる。そういうわけで、私は凡人を代表してきょうは賢人にいろいろ伺いたい、そう思っております。
 今回は何といっても資金メカニズムのことが一番主要な点ですけれども、日本政府は今、焦点になっておりますGEF、全世界的環境機関と日本語では訳されているそうですが、グローバル・エンバイロンメシタル・ファシリティー、原則的にこれに賛成しておられるのかどうか。途上国では非常に危惧を抱いていますが、日本はどういう対応をしていらっしゃるか、まず伺いたいと思います。
○政府委員(丹波實君) 地球環境保全のための追加的な資金の必要性につきましては、国際的に広く認識されておるところだと思います。日本は、御承知のとおり、これまで二国間及び多国間のODAを通じまして協力を拡充してきたわけですし、今後ともそういう拡充を続けていく所存でございます。
 今、先生御質問の地球環境対策の資金のメカニズムの問題でございますけれども、日本を含みますところの先進国側は昨年、世銀、UNDP、UNEPの三つの機関によって試行的に設立されました先生御指摘のこの地球環境基金の活用が基本的には図られるべきであるという立場をとっておるわけでございます。このGEFはまさに試行的な段階にございまして、今後、地球環境保全に対応するための中核的な基金としてこれをいかに改善するかということが我々の前の課題になっておる、こういうふうに認識いたしております。
 日本を含みますところの先進国は、昨年の十二月、先生御承知のとおり、OECDの環境開発大臣会合におきましてこのGEFの意思決定の仕組み等を改善する用意があるという意図を表明いたしております。また、このGEFの参加国会合におきましても、昨年の十二月及び今年の二月、既に二回にわたりまして具体的な改善方策につき検討を進めてきておるところでございます。
 先般のニューヨークにおきますUNCEDの準備会合におきましても、この問題をめぐりまして最終的には一本化された考え方というものには達しませんでしたけれども、しかしながらその準備会合を通じて先進国側と開発途上国側が相当意見の交換を行い、一本化にはなっておりませんけれども、双方の理解が随分進んだという認識は持っておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、GEFを今後いかに改善していくかというのが我々の課題であるという認識を持っておる次第でございす。
○堂本暁子君 まさにニューヨークの最終準備会の議長を務めたトミー・コー議長が議長案を先日出しました。その中でGEFに触れて、GEFの運営は透明性と民主性が確保されるべきであるというふうに述べていますが、この点についての日本の対応はいかがでしょうか。
○政府委員(丹波實君) GEFがプロジェクトを実施していく場合の透明性、トランスパレンシーでございますね、これが一つ開発途上国側から見て問題になっておるということは先進国側は十分認識しておりまして、先生が今読み上げられた透明性が確保され云々というところ、それから民主的でなければならないという点につきましても、まさに先進国側としてはそういう認識は持っているというふうに承知いたしております。
○堂本暁子君 先進国の中でも日本国はいかがですか。
○政府委員(丹波實君) 必要に応じて大蔵省当局からも御聴取いただきたいと思いますが、基本的には日本政府といたしましては、このトランスパレンシー、透明性の問題はやはり改善の対象であるという認識を持っているものと私は理解をいたしております。
○堂本暁子君 それでは大蔵省、今と同じ質問で大蔵省にも伺いたいと思います。
○説明員(溝口善兵衛君) 先ほど外務省国連局長から御答弁ございましたように、GEFの運営の透明性をどういうふうに高めるかというのは目下途上国、先進国間で議論されているわけでございまして、私ども運営の改善についてどういうふうな方法が適当かということで積極的に参加している次第でございます。
○堂本暁子君 凡人会議の中で非常にこのGEFに関して危惧を抱いている。その理由は二つあると思うのですね。
 一つは、やはり地域の主権者すなわち援助を受ける方の側、そこの住民とか先住民とか女性とかNGOとかそういった人たちが果たして実際に参加できるか、意思決定の場でどういうことか知らない間にすべてが決まってしまうというようなことがあるのかないのかということが一つ。
 それからもう一つは、今るる何度もおっしゃっているトランスパレンシー、透明性の問題だと思いますが、もう一度あえて伺いますが、透明性はあった方がいいというふうにお考えでしょうか。透明性を持ってというか民主的な方法で決定されること、そしてその情報が公開されて透明であるということの重要性というものを大蔵省としてはどうお考えでしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) 具体的にどのような仕組みが適当かということにつきましては目下議論されておるところでございまして、私どももその議論の過程の中で、どういう方法が適当かということについて真剣な議論をしていきたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 では逆の伺い方をさせていただきたいのですが、大蔵省はこの透明性というものについては反対ですか。
○説明員(溝口善兵衛君) 反対ということはございません。私どもも、援助一般につきましてできるだけ透明性を高めていきたいというのは政府の方針でもございます。
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 それで、今まで試験的に行われてきたこのGEFなのですが、凡人会議は日本だけではなくて外国からも大勢いらしていらっしゃいますが、そのダンカンさんの報告の中に、GEFというのは試験的に今まで実施されている中で文書が一般に公開されていないということを調べて、アメリカのNGOですから、実際に世銀のプロジェクトをずっとフォローした上でそういうふうに報告していらっしゃいます。
 一九九二年の二月にもその内部メモを回覧して、世銀プロジェクトのGEF関連部分に関する文書を公開することすら世界銀行の方針に反すると主張しているというふうに言っていらっしゃるのですけれども、この点については大蔵省は御賛成でしょうか反対でしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) 世銀のケースでございますけれども、国際機関として仕事をどのように進めるかということにつきまして一定のルールがあるわけでございまして、そのルールの中で適切な情報の提供開示というのはやっていかなきゃいかぬと思います。ただ、プロジェクトを組成する過程、形成する過程での議論というのは、それなりの相手国との関係もございますから一定のルールというものがあるのじゃないかというふうに考えております。
○堂本暁子君 今おっしゃった一定のルールというのは非公開ということでございますか。
○説明員(溝口善兵衛君) 内容によると思いますけれども、私ども承知しておりますのは、プロジェクトがまだまとまっていないとかあるいは理事会にかかる状況になってないという段階ではそれは世銀の中の仕事でございまして、相手国政府とも話している段階の話でございますから一定のルールに基づいてやっておるというふうに理解をしております。
○堂本暁子君 そこがまさに問題だと思うのですね。決定してしまってからではどんなに反対運動が起ころうが、どんなに地域の先住民が自分たちはそのことがいやだと言ってももう遅いわけです。だからこそ、一番透明性が必要なのは決定のプロセス、まさにデシジョンメーキングの段階だと思うのですね。
 私、幾つか知っているプロジェクトがあるのですが、一つはこれを自分で見に参りました。そこの現場に行ったのですけれども、これは地球に非常に環境的なプロジェクトとして挙げているのがレイテ島の地熱発電所なのです。確かに石炭の火力発電所から見れば二酸化炭素は排出しないかもしれません。でも私の知っている限りでは、それじゃその地域住民がその電気を許容しているかというと全然それはない。そして、その電気が送られた先の工場では大変な公害が今起きているわけです、現に。そして、実際は何十年ともっはずだったパイプも硫化水素の影響でもう五年ぐらいでだめになりそうだというような事実もあります。
 それからもう一つ、これは自分で行っているわけではありませんが、カメルーンのケースで、これもGEFのプロジェクトですけれども、森林のある一部分は伐採しある一部分は保全するというプロジェクトがあります。これは世界銀行が、一次熱帯雨林は伐採しない、そういうことのためには資金を供与しないということを決めているにもかかわらず、それに反したことを実はGEFでやっているのです。
 こういった今までのプロジェクトを一つずつ丁寧に検証していくとやはりおかしい。そうであれば、みんな南の国の人やそれからNGOの人が、どういう形で決めるかということの決定に対しては非常に危惧を抱くというのはもちろんだと思うのです。
 今、日本は意思決定の仕組みの中でトランスパレンシーが大事だと思うとおっしゃっていらっしゃいますが、本当にそうですか。
○説明員(溝口善兵衛君) 先ほどプロジェクトを形成する過程のことについて申し上げましたけれども、その過程でも相手国政府の方でそういうプロジェクトを進めるに際しまして、相手国のプロジェクトでございますから、その過程で環境に対する評価だとかあるいは国民の意見を聞くというのは当然その中には組み込まれておると私どもは承知しております。世銀もそういうことを相手国政府に対してやるように監視をしておるわけでございまして、その問題とそういうプロジェクト組成の過程でのいろいろな各界の意見を聞くという問題と、それを受けて世銀がプロジェクトを組成している段階の情報をどういうふうに出すかというのは違う問題ではないか、二つ問題があるのじゃないかと思います。
 私どもは、プロジェクトを組成する過程で環境の評価をできるだけやるとかあるいはその過程でいろいろな意見を聞くというのは大切なことだというふうに考えております。
○堂本暁子君 ということは、その地域住民の意見を十分に聞いてということですね。ということは、こういうことをやるからそのことにこういうふうなメリットがあってこういう環境に十分配慮された形のプロジェクトをやるのだと、そういうふうにおっしゃったとすると私は一つ大変疑問に思うことがございます。
 これは最終準備会のときのものですけれども、資料を配っていただけますでしょうか。
   〔資料配付〕
これは「Financial resouces and mecha-nisms」という財源と金融のメカニズムのアジェンダ21ですけれども、この中で十一ページの三の項目、そこの「財源とメカニズム」の「活動」の中で「実行手段」という部分ですが、「国際的財政機構の運営において、平等で、調和の取れた代表権と透明性をつくりだす」という項目があるのです。「To develop an equitable and balancedrepresentation and trandsparency in the gov-ernance of international financialmecha-nisms.」というところで、その後に「delete,Japan」、これは日本は削除を要求している。
 どうしてこれを削除しなければならないのでしょうか。これは今、凡人会議もそれから途上国も一番大事にしているまさにそのトランスパレンシーという部分であり、そして平等とバランスのとれたお互いの代表権、そういったものを大事にしようという項目だと思うのですが、透明性に賛成している日本がなぜあえてこれを削除しなければならないのですか。
○政府委員(丹波實君) 突然の御質問でございますけれども、もし私の御答弁に誤りがありましたら先生に後で御訂正申し上げたいと思いますが、この部分の内容につきましては日本政府は異論は持っておらないわけでございます。ただ、この表現は別途資金メカニズムについて触れた部分で既にこの種の表現があるので、そういう意味でダブっているのでこの部分ではあえてダブらせる必要はないのではないかということで削除を提案したというふうに伺っております。
○堂本暁子君 それは何条の何項でしょうか。どこにございますか。
○政府委員(丹波實君) 実は、そのほかのどこかというところがまさに今ここに資料を持っていないのですけれども、ほかの資金メカニズムを論じたところで同じ表現、同趣旨の表現があるのでここでは繰り返す必要がない、ただそういう技術的な理由でこういう提案をしたと。
 しかし、この表現自体そのものについて、てにをはは別としてこういう考え方自体については、先ほど大蔵省の課長からも申し上げ、私からも申し上げたとおり、国際的財政機構の運営において平等で調和のとれた代表権と透明性をつくり出すという考え方自体には私たちに異論はないということは申し上げられると思います。
○堂本暁子君 私は、ほかにどこにあるのか、こちらが読み落としているのかもしれません、わかりませんが、きょうはっきりと外務委員会の席で日本はこの内容については賛成であるという御答弁をいただいたので大変安心をいたしました。
 これから賢人会議が開かれるわけですし、凡人会議の方といたしましては、これからは何よりもそういった透明性とそれからここに書いてある平等な関係、それがやはり先ほどの外国人労働者の問題も同じだと思いますけれども、地球市民という視点、そして私たちが全部で共有する自然であるとすればお互いにそれはどうやって平等に大事にしていくか、そのことは一部の人たちで決定を見る、それから巨大なプロジェクトとか巨大な資金で例えば南の国の一部の人たちがそれを使ってしまうというような批判も多々UNCEDの場でも出されたわけなのですが、そういったことのないようなメカニズムをぜひ日本としては主張していただきたい。
 とりあえず四月二十九、三十日はGEFのパティシパント・ミーティングがワシントンであるように聞いています。世銀、UNDP、UNEPと、一番この資金にかかわる人たちが恐らくこれからのメカニズムについて議論をするのだと思いますが、最初のメカニズムの決定のところが一番大事だと思うのです。日本政府としては、そういったところにNGOもオブザーバーとして参加するというようなことを提案していただけないでしょうか。
○政府委員(丹波實君) 先ほど私が申し上げた表現のところは、GEFを論じたところでの考え方として申し上げたわけでございます。
 ただいまの先生の御意見につきましては、GEFに関する情報を広く配付する、具体的には各種資料の配付に加えましてその参加国会合の前にGEF関係者とNGOとの意見交換の場所を設定するということも考えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○堂本暁子君 ミーティングをするだけではなくて、実際に会議の成り行きといいますか、その場に、今回も賢人会議、本当は私は最初の一日でも凡人が賢人の議論を聞けるということがとても大事だと思うのです。本来はそれが昔から東洋に伝わっている賢人のやることだというふうに思います。それから先に詰めのところで秘密会議というようなこともあるかもしれません。しかし、そのことが一番大事なのに、終わってから何かオープンであるというのはとても残念に思っているわけですが、それは竹下元首相のなさることなので外務省のなさることではないと思いますが、こういった二十九、三十日の場合もできるだけ最初のスタートで、どういう発想でどういうことをこれから地球環境を守るためにやろうとしているのかというその発想の部分で、ぜひ市民、NGOの参加が得られたら大変うれしいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
○委員長(大鷹淑子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
○委員長(大鷹淑子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○黒柳明君 イランのことですけれども、ノンビザのあれはあしたからですか、ビザが必要というのは。
○政府委員(荒義尚君) 四月十五日付をもちまして、それまでイランとの間で結んでおりました査証免除取り決めを一時的に停止させるということにしております。
○黒柳明君 今まで、さっきもあったように、上野や成田周辺あるいは原宿周辺、異様なあれだったのですけれども、ビザを取得することになればイランの訪日者は当然これから激減する、そういうふうな考えていいわけですか。
○政府委員(荒義尚君) 我々としてはそういう効果をねらっております。
○黒柳明君 今まではどういうことですかね、日本に来たってそんなにメリットはないと、全体的に。部分的には働いて稼いでいるという人は私も相当聞いていますけれども、全体的にはそういうメリットがないのに、なぜ今まで異様に日本に続々後から来るということだったのですか。やっぱり向こうの政府のPRが足りなかったのですか。
○政府委員(荒義尚君) イランのケースについて申しますと、御案内のとおり、まず一般的な理由としまして日本とイランとの経済及び賃金格差というのがございます。それから国内のある職種につきましてはそういうイラン人等の外国人を雇用したいというニーズがあるということが一般的にございます。それからイランの場合、御案内のとおりでございますけれども、イラン・イラク戦争後、湾岸地域における雇用機会が非常に少なくなったということが背景として指摘されると思います。
○黒柳明君 両政府間のいろいろな話し合いというのが当然行われて、要するに来日に対していろいろなマイナス面というのは向こうの政府はよく知って、あるいはそれに対していろいろなアクションも起こしていたということは間違いないのですか。
○政府委員(荒義尚君) 御指摘のとおり、イラン人の来日数が急増しましたのは平成二年度あたりでございます。それ以来、私どもはイラン政府と話し合いをしまして、先方も日本・イラン関係上好ましくないということをよく理解しました。それからイランの国内におきまして、イラン政府としてもそれなりのいろいろ広報活動をやったというふうに承知しております。
○黒柳明君 大臣、きのうの総理の会見で、PKO解散はない、こういう発言をしましたですね。大臣はせんだって、PKOが廃案なら解散を進言。すると。若干総理とは、PKOに対する熱意というのは外務大臣の方があるやに見受け、また若干その行き着くところについての見解が違うなと、こう感じたのですが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この解散権の問題は総理の専権事項でございますから、私が解散するわけではありません。ただ、それくらいの熱意と情熱とを持ってやらなければならぬという意気込みを示したわけであります。
○黒柳明君 そんなもの外務大臣が発言しなくたって、もう渡辺美智雄と聞けば熱意と情熱の固まりということはわかっていますよ、大体。しかも、隣で局長の発言をストップさせるなんていうのは、公明党の中でもなかなかそんな勇気ある人はいない。御立派だと思って、先刻は。
 ですから、そういう情熱、熱意はもう結構なことだと思うのです。ただ、どうでしょうか、手順としては、廃案になれば、当然国民に信を問う前にやっぱり内閣の責任ということになるのでしょうわ手順とすれば、常識的には。
 総理の専権事項ですから解散することも自由ですけれども、その先に内閣総辞職、こういうことがあって、そうなると今度は選挙に打って出れば選挙管理内閣と、これが憲政の常道であるのかなと、こういうふうに思うのです。やっぱり国民に信を問う一歩前には内閣の責任というものが問われなきゃならない、これは当たり前でしょうね、こんなことは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは内閣は一生懸命やっておるわけですから、だから通らなければ通らない理由について国民の考えを聞くのも一つの方法ではあります。これは見解の相違でございます。しかし、解散になるかどうか、それは私はわかりません。
○黒柳明君 きのうの総理の発言、PKO解散はない、こういう発言をお聞きになって、今もやっぱり廃案になれば閣僚の一人あるいは副総理として進言は絶対やるのだと。これは情熱とか熱意だけじゃなくて具体的行動も起こすということには変わりないですか、今現在。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それぐらいの決意で取り組まなきゃならぬという一つの意思表示ですよ。
○黒柳明君 そうすると、要するに大臣の発言は、意思表示と実際のアクションと一々聞いて判断しなきゃならないのですね。要するにアクションは起こさないのだ、熱意のあらわれだと、こういうことなのですね、今のことは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) しかし、どうなるかわかりませんよ。
○黒柳明君 どうなるかわからないからいろいろ聞いているじゃないですか。こっちがわかったら聞きませんよ。どうなるかわからないから聞かざるを得ないのです。
 これも大臣に言うと、おれはそんなこと知らないなんて怒られちゃうかもわかりませんけれども、おとといの日曜日に民社党の大内委員長がテレビでPKO発言をした、きのうの新聞にも若干出ていましたけれども、言葉、てにをはは正確じゃないにしても、要するにPKFの凍結は承認という前提があるのですよ。委員長がはっきりここで初めて言うのだと、こういう言葉でおっしゃりながら凍結結構だと。これは前提がありますよ、凍結だけでノーズロで結構だと言ったわけじゃありませんが、要するに凍結いいですよと、こういうニュアンスで間違いなく言った。これはもう間違いないわけです。
 そうすると公明党は、まだ国民の理解を得ていないから凍結いかがでしょうかと。民社党も初めておととい委員長が、条件は承認ですね、問題はいろいろあるけれども、凍結もいいじゃないかと。そうすると問題は自民党なわけですよ。与党の自民党、一番苦労して一番悩まなきゃならない自民党。これは大臣は凍結でもいいというような発言をたしかされましたね。いや、してないかな、まだ。僕はしているというような感じがするのですけれども。
 問題は自民党です。大臣は自民党、政府のナンバーツーですけれども、参議院の中の自民党がまだ、一部には有力者が凍結もいいだろうなんてことだが、肝心の自民党が凍結いいのだという発言をしないと、ここで一つの枠が固まらないわけです。何か吹けば飛ぶような、民社党を吹けばというのも失礼ですけれども、野党の二つの核が凍結というような意思表示を出しているのに、肝心の自民党が何だか凍結いいのか悪いのか、全体の党としてまとまっているのかまとまっていないのか。
 政府は非常に柔軟姿勢、きのうの総理もそれから外務大臣もそうですね。国会の推移、修正、再修正と、こういう発言が絶えず出てきます。ところが、肝心な与党自民党の凍結結構という発言を聞いたことないのです。これは、おれは自民党じゃない、政府だといつもこういうふうに逃げるのですけれども、別に逃げる逃げないの問題じゃなくてこれは非常に重要なことなので、一つこの枠だけでもまず固めなきゃその次に移らないのじゃないでしょうか、いろんな根回しもいろんな修正の話し合いも。いかがでしょうか、このあたり。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府・与党のことですから、極力連携を密にしてやっております。したがって、野党との根回しといいますかそういうことはやはりつかさつかさがありましてそこでやっておりますから、ちゃんとあなたの方にも伝わっているはずです。
○黒柳明君 やっているったって、大臣、目の前にしている私は何だかわかりますか。私はいわゆる参議院の二十人のキャスチングボートの団長ですから、もう一回大臣の認識改めなきゃだめ。やってない。新聞にはやっているなんて書いてあるが、まだ始まっていない、そんなに深くは。
 だから私は聞く、心配も含めて。一我が党は賛成ですから、ぜひ成立させたいわけですから。ただ、政府・与党じゃないですから、私たちが、余り皆様方が固まっていない、根回ししているときに、通過だよ通過だよと。これは見通しもこれからどうなるのかそれこそわかりゃしません。私たちまとめ役なんて月ありませんからね。ですから、私たちはこの発言がどこよりも重要なんだ、大臣。ほかのところの根回しは根回していいじゃないですか。ここにおける発言というのはこれは最大の重要じゃないですか、この国会というところは。
 だから、国対政治やめろとかそういう意見が出てくるわけだ。国民のわからないところの話はやめたらどうかと。私もそれは非常にいいことだと思う。だから私は、大臣、あさっても聞きますよ、二十一日も聞きます。二十三日も。外務委員会、今までこんなことなかったの、大臣。今まで外務委員会は暇で暇で困っていた。ところが、何かわからないけれども、もう頻繁。いいですか、大臣、あさっても聞きますよ。来週の火曜日も聞きます。二十三日も聞きます。もう変なすれ違っている発言しない。
 根回しは結構、否定したりしません、そういう話があることもよく知っています。ただし、そんな今言ったようなことをまとめるような根回しなんかやってない。だから民社党の委員長が、根回しなんかないから私はここで初めて発言するんですよと、こういう発言もあるじゃないですか。何か大臣、まあ大臣の役目ですから細かいことは言えないと思います。言うとすぐまた何とかという人が、君、困るよなんということを言われたら大臣だってあれでしょうから。
 根回しは根回しで結構ですけど、ここの発言はやっぱり重視してくださいよ。軽視している、軽んじているということを言うわけではありませんけれども、根回しは根回し、それぞれそれぞれやってください。それだけははっきりしてください、大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 黒柳公明党参議院議員団長の御意見は重みを持って聞いておりますから、おっしゃるような方向で何とかまとめたいと思ってやっております。
○黒柳明君 全然私は何もおっしゃってないじゃないですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今おっしゃった。
○黒柳明君 何をおっしゃっている。おっしゃる方向でまとめるなんて、何も言ってないじゃないですか。大内委員長がこういう発言をしたということをおっしゃっているわけじゃないですか。それを何か大臣は上のそらで、おっしゃっていることでまとめます。まだまとまらないでしょうということを言っているのにまとめますなんて、全くあっちとこっちですよ。
 結構でしょう。根回しかある。大内さんもテレビの前での初めてそういう発言も、凍結という。ひとつ政府・与党会議、これは政府・与党会議でやらなくてもいろんな接触もあると思いますが、ぜひ大臣、このことを頭に入れてください。
 言うならば大臣に要望したい。ぜひ自民党まとまって公式に凍結は結構だ、早くこう言ってもらいたい。そうするとこの枠でひとつまとまって、さあ残るのはもうこれは常識的ですよ。承認どうするか、これしかないわけでしょう。こんなものは私に言わせるとそんなに難しいものじゃないと思います。我が党の中でも難しい顔をしている人もいますけれども、そんな話し合いの中で解決できない難しい問題ではないのじゃなかろうかという私は感じを受けている。だけれども、何か公明党の凍結と民社党の承認と、これでぶつかっているのだという感覚が今ありますわな、大臣。それをまず一つの枠で固めろ、こうなったのだ、こういう趣旨ではありませんよ。
 普通ならば自民党がまず先鞭をつけてもらわなきゃ、我が党はこうなのですがいかがですかぐらいのことを公式に、個々のあれじゃなくて。そうじゃないと本当にまとまっているのかどうかわかりませんからね。
 ひとつ大臣、要望しますよ。政府・与党連絡会議があるのでしょう。公明党の何とかといううるさいやつが、最近はおとなしくなりましたよ、私は非常に謙虚になりましたよ、がこういうことを言っていたよ、ちょっと聞いてみなさいと、こんなこともひとつ言って、できれば私は冗談は別にしてそういう見解を早く出してもらって、それにおいて一つの固まりをつくってその次の目標に向かっていく、こうじゃなきゃ、やってますやってますなんていったって廃案ですよ、六月二十一日になったら。間違いないですよ、今のままでいったら。
 それで今度は局長、丹波さん、きょう発言しても大臣は怒らないから、きょうは機嫌がいい。この前は奥さんとけんかしたから機嫌が悪かったんだよ。
 これもちょっと酷な質問がと思いますけれども、あの大内さんのおとといの発言がきのうの新聞に出ていました。今言ったとおりです。このことを局長がのめとかのまないとか、こんなことを言っているのじゃありません。そういうことがあった、これは事実です。
 それから交渉といってもこれは外務省当局が、局長がやるわけじゃありません。党がやるわけですけれども、あの承認ということはこれは絶対入らなきゃならない、あるいは絶対入っちゃいけないと、これは何も公明党、民社党、一応のところは承認要らない、承認入れろと、こういう両党ですからどっちに味方するとかどういう発言をするかということ、私は難しい発言だと思いますけれども、この承認ということでは、事前であるとか事後であるとか二年であるとか半年であるとか先国会からいろいろありました。一昨日の大内さんのコメントも。
 だけど、どういう形にせよ国会承認というのは絶対に入らなきゃいけないものだ、あるいは入らなくてもいいものだと、絶対という言葉はつきますか。絶対に入らなきゃだめだ、絶対に入っちゃいけない、絶対という言葉はつきますか。
○政府委員(丹波實君) 渡辺大臣が何度も衆参両院でお答えいたしておりますとおり、法案は現在国会にかかっておりまして国会でいろんな論議が行われておると。私たち政府としてはそういう論議を尊重申し上げるということを繰り返し申し上げているところでございまして、それに私、一事務局長としてつけ加えることは何らございませんので、先生よろしくひとつそこのところを御了承くださるようお願いいたします。
○黒柳明君 大臣、やっぱりだめ、この前怒ったから、怒られると思ってだめです。
 どうですか、大臣、これは何か新聞の活字ですけれども、一時は梶山さんが主導権をとったとか書いてあった、あるいは副総裁なんて。ついせんだっては全面的に渡辺外務大臣が、当然責任者であることは間違いないですけれども責任者として指揮を、まあ指揮をとるとは書いてなかったかな、やるのだというようなことを書いてありましたね。
 これは今までも変わらないと思うのですけれども、この承認という問題、それは現状維持にこしたことはありません、そんなことはわかってますよ、原案が通過するにこしたことはありませんよ。だけど、これはもう現実問題ですから、子供が話をしているわけじゃないですからね。承認ということは絶対に入らなきゃいけない、絶対に入っちゃいけない。絶対という言葉は使いますかね、入るにせよ入らないにせよ。絶対に入る。絶対に入らない、入れなきゃいけない、入れちゃいけない、絶対に。二者択一ですよ、これは。中間色ない。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは望ましいとか望ましくないとかということはあるでしょうが、絶対ということは、まあ私は絶対的というふうには考えませんがね、やっぱり政治は話し合いですから、だから足して二で割ることもある。それから自民党が衆議院で過半数を持っておりましても、皆さんの少数意見は十分尊重して直すべきところは直すことに応じているわけですし、まして参議院で我が党は過半数を持っておらないという現状からすれば、やはりマジョリティーをまとめる、そして共通のコンセンサスを得る努力をするのは私は当然だと、そう思っております。
○黒柳明君 当然そうですよね。これはもう私がこんなことを言うまでもありません。絶対なんというのは、それは時によってありますよ、絶対反対、絶対賛成。だけど、この法案の修正をしようという立場に立ては絶対ということは当然あり得ない、こう思います。一つずつ根回しをクリアにしていくことも一つの方法。これはもうだれか大物がいて、こうやれ、はいと、これもあるかわかりません、話し合いですからね。ですけれども、私がやっている感触、先国会以来のあれですと、やっぱり一つずつクリアにしていかないとどうもこんがらがった糸はほぐれない。
 そのためにはこの凍結についてまずある程度、集まってなんという必要ありませんが、意思をかためて、それで承認についてまた何らかの話し合いをしていく。こんな簡単な問題、簡単といえばもう何も難しい問題でも何でもないと思うのです。ぜひそういうことについて政府・与党、なかんずく外務大臣、何かどこかであれやっていますなんというようなことではなくて、それをむしろ督促してひとつまとめる方向で頑張ってくださいよ。何かあったらだれかに任せないでひとつその話も聞いて、現実にどうなっているのか、そういうことも踏まえて。何となくどこかでだれかやっているのでしょうだけではなくて、現実の話をよく聞いていただいて、それでここの発言も慎重にしながらひとつまとめる方向でやってみてくださいよ。
 これはほかの野党に対して失礼になるかと思いますが、私たちはしょうがない、既定方針がそうなのですからね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いろいろ御意見を承っておりまして、各党の意見がいろいろございますから極力包括的解決をしたいと思います。
○黒柳明君 包括的それから普遍的、ということはやっぱりあれでしょう、一時あったようなカンボジアとか時限立法というのはその点は大臣は好ましくないという見解ですわな。金丸さんに遠慮なんかすることない。総理が言ったのですから金丸さんに遠慮することないじゃないですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは時限立法でカンボジアだけに適用するということはいろいろ問題がありまして、現法案で社会党もみんな賛成してくれるというなら話はまた違うのでしょうが、そこらのところも考えますとなかなか時限立法といってもこれはそう簡単にいかないと思います。
○黒柳明君 北鮮、朝鮮民主主義人民共和国、お昼のニュースで田邊委員長の訪問あるいは自民党の池田団長中心の訪問。金日成のNHKのコメントですけれども、日朝正常化は進んでいる、いい方向で進んでいると、こんなコメント、短いコメントですけれども出ていました。
 大臣、どうでしょうか、日朝の正常化の大きな原因、いろんな原因、解決しなきゃならない問題あるかと思いますけれども、北側の核に対する姿勢、これがやっぱり大きな解決しなきゃならない問題だと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのとおりであります。
○黒柳明君 それで先週の金曜日、核査察について向こうの国会で批准はした、これから自主申告で、六月ごろからIAEAの査察が入るだろう、こんな報道が行われておりました。それからきょうの総理の池田団長への親書の中にも核に対するコメントがあるだろうと、こういう報道が述べられておりました。
 二年前ですか、金丸さんが行かれたとき金日成主席から、北は核兵器を開発する能力もなきゃ意図もないと。それで、その翌年ですか翌月ですかアメリカの方からの軍事衛星で、大型原子炉がある、それから再処理施設建設中だと、こんなあれが入ってきましたね。それを日本政府も分析して、材料は先ほどもおっしゃったように少ないと。どうですか、その分析の結果というのは。
○政府委員(谷野作太郎君) 北朝鮮の核の問題は私どもで所管しておりますので、私の方から現状の承知しておるところを申し上げたいと思います。
 まずピョンヤンから北に九十キロ、寧辺というところがございますけれども、そこにはソ連から導入いたしました研究炉がございます。これは明らかになっておるところでございまして、かつこれに対しましては保障措置協定に基づくIAEAの査察がかかっております。したがって、定期的にIAEAによる査察も行われておるということが第一点でございます。
 他方、未確認の部分があるわけでございまして、これにつきましては報道等もありますし、けさほども田先生にお答えいたしましたけれども、アメリカ側の例えばCIAの長官もいろいろな証言をいたしております。それによりますと、小型のもの、大型のもの二基の原子炉が既にあるということが言われておりまして、そのうちの小型のものは既に運転が開始されておるということでございます。
 それからもう一点、再処理施設の話がよく出てまいりますが、これにつきましても報道等がございますし、これもCIAの長官はこの存在を事実として証言しておりますのみならず、近くこれは完成する見込みであるというアメリカの認識を述べておる上いうことでございます。
○黒柳明君 大臣、いつでしたか、先週だったですかね、鹿沼で御自分の後援会だか何だかでいろんなコメントの中で、北は信用ができないと、ラングーン事件を持ち出してそういうコメントがどこかの新聞に出ていましたね。要するに韓国の自作自演であると言っている、信用できないと。
 基本的には、大臣、まあ基本的にそういう考えありますかと言うと、これは一国の大臣ですからね。そうじゃなくて、基本的じゃなくて、大臣、そういう部分もやっぱりまだあるのですか、北に対して。信用できない部分もまだあるわけですか、特に核については。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは今までそういうような問題について世界的に一応常識的になっておることについて全く関係ないと、こうおっしゃっておるから、今回もやはり言っていることが本当に正確であるのかどうかという疑問を持っている。したがって、やはり国際的な厳正な機関の査察を受けるべきだということにポイントを置いて話したものであります
○黒柳明君 我が党も行かなきゃならない、接触しなきゃならないのですが、自社の方が熱意あって先行していますので、日本政府が今交渉している最中、そのさなか、国会の審議忙しい中ですね、行かれた。これ何らかの成果があるとすると、北のこの核査察についての意思といいますか意図といいますか、前向きの姿勢といいますか、そういうものについて大きく引き出すことがやっぱり訪朝の成果の一つであるかと、こういうふうに私思うのですが、いかがですか、大臣。
 自民、社会が今訪朝していますでしょう。それが北に対して、いわゆる核に対して、日朝の国交正常化には非常に必要であると。今の両党の訪朝団、これはもう金日成の八十年の祝福に行っているわけですからそれがメインですけれども、やっぱり日本と交渉している最中ですから、重要な核に対して、しかも批准した、いろんな疑惑もまだある、こういう最中ですから、それについて向こうの何らかの前向きな姿勢というものをキャッチする、これもやっぱり両党の訪朝団の一つの役目であるかなと。あるいは役目と言わなくても何かあれば一つの成果かなと、こういうふうに私は感じるのですが、いかがですか、大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何かあることを我々も期待をします。
○黒柳明君 局長、もう時間もないが、自主申告があって六月ぐらいに査察があって、それで北から出した核査察の規定の中には、特に韓国側のマスコミあるいは韓国側が言っている再処理施設の廃棄に対しての手順がないと。これはいわゆる核隠し、核疑惑が助長されるものだと、こんなコメント出ていますね。
 我が国の姿勢というのはどうなのですか。アメリカの資料で見た、分析した、そういう建設中であろうか。それに対して歯も、その今回の核の批准はした、査察も受けるであろう。だけれども自主申告の中では、まだ内容はわかっていませんから、そういうものは出てこないのじゃなかろうか、やっぱり南北の相互査察じゃなきゃだめなのじゃなかろうか、こう韓国側は言ってますわね。それについて我が国の考え方はどういう考え方ですか。
○政府委員(谷野作太郎君) IAEAとの協定の批准の措置がとられましたから、お話ししておりますように、今後は査察の段階に入ります。そこで問題は、すべてのいわゆる核物質がIAEAの査察のもとにさらされるか提供されるかということでございまして、そこを国際社会はじっと見ておるということでございましょう。
 それから再処理施設の話につきましては、これは私どもの考え方もさることながら北と南で明確に国際社会に対して廃棄するということを約束したわけでございますから、歯もそういうことで考えておりますので、北も国際社会に向かって行った約束、これは果たしていただきたいというふうに考えます。
○黒柳明君 大臣に、最後に一言。
 ちょっとまた話題が変わりますけれども、ウルグアイ・ラウンドは延期しましたね。大臣が、夏ぐらいまでかなと何か十二時のNHKのコメントに出ていました。それで我が国として一服かなと大臣が閣議後におっしゃったと、こんなコメントが出ていました。
 どうですか、どっちみちこの二十二日にはアメリカとECのトップ会談があります。これもどうなるかわからない。そうするとドンケル案の昨年末のあのまとめ方が早急過ぎたのかなと。それなりの一つの時期ではあった。やらなきゃならないときではあったとは思いますけれども、あのまとめが非常に早過ぎたのかな、もっともっと各国の意見を聞きながら時間をかけなきゃならなかったのかなと、今になってこう思いますが、ただ単に、大臣も言ったように夏までか。夏までちょっと持ちますか。夏までかなと、こうNHKのコメントですが、ちょっと正確にはわかりません、閣議後の大臣のお話。
 延期されたことについてどういう考えをお持ちですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 延期はされましても円満に話し合いがつけばあとは早いですから、円満に話し合いがつくかどうか。無理して採決して決めるような話じゃありませんからね、あれは。選挙というのはどこの国にとってもいろいろな非合理的な要素も入ってくることは古今東西大体似たようなところがあります。
○黒柳明君 何かわかったようなわからないような、最後は禅問答だ。
 結構です。
○立木洋君 旅券法の一部改正の問題でちょっとお伺いしたいのですが、手続が簡素化され迅速化される、これは当然のことだと思うのですが、午前中同僚議員の方からも指摘がありましたように、さらに改善する余地があるのではないか。例えば旅券の期間の問題だとかあるいはその他の手続上の問題で私も同じような意見を持ちながらお聞きしていたのです。ですから、ここで改めてそれを繰り返して申し述べることはいたしませんけれども、十分検討して、国民自身が本当にさらに改善して得るところがより大きいものになるように今後とも検討していただきたいということを私からもあわせて申し上げておきたいと思うのです。
 手数料の問題ですが、これまで八千円で、国の分が六千五百円、都道府県の分が千五百円、これを一万円にして、八千円、二千円、こういうふうになっているのですが、実際の経費というのはどれぐらいかかっているのですか。もちろんそれぞれの国でいろいろ旅券法の手続の経過がありますから安いだとか高いだとかというふうなことを抜きにして、実際の経費というのはどうなっているのですか。
○政府委員(荒義尚君) 経費的な問題でございますけれども、まず二つに分かれます。一つは直接的な経費、これは人件費それから事務関係の経費、その他経費、こうなるわけでございます。
 そちらを先に申し上げますと、国の負担する経費の部分につきましては、先ほど申しましたように、人件費、事務費、その他経費で一般旅券一冊当たりで申しますとおおむね現在七千八百円ぐらいになっている。それから都道府県の分は同じく人件費、事務経費等々でございますが、この分が千九百円を超えておるということでございます。これは直接経費でございます。
 そのほか、これは数値化できませんけれども、一応考え方としましては、旅券を持って海外に渡航される方に対して必要な場合には我々在外公館が邦人保護のために支援をしなきゃならぬ、こういう間接経費的な部分もございます。
 そうしますと、いずれにしましても現在は、八千円でいただいているものよりも経費的な分はかなりもう上回った状況にある。というのが現状でございます。
○立木洋君 今まで六千五百円だったから、今申されたことが事実であるとすれば大分赤字になったというか支出がオーバーしておったというようなことになるわけですが、そうするとまた近く手数料を上げるなんていうようなことはもちろんないでしょうね、そういうことは。
○政府委員(荒義尚君) 午前中の本委員会の審議におきまして同様の御質問がございまして、それにつきましては大臣から答弁がありましたとおりでございまして、我々としましては、基本的に旅券発給業務というものは行政サービスということに位置づけておりますので、できる限り国民の利便ということを念頭に置いて従来ともやってきたということでございます。
 ただし、将来について一切これ以上の手数料引き上げはないとかということは、とてもそういう点は申し上げられないということでございます。
○立木洋君 旅券法の問題については、午前中の質疑の内容と重なる点もあるのでこのぐらいにさせておいていただきたいと思います。
 大臣、近くロシアを訪問されるし、この間コズイレフ外相も来て会談されておりますので、この間の経過を踏まえて領土問題を少しお聞きしておきたいというふうに思います。
 昨年、ソ連邦がああいうふうに崩壊して、事実上ソ連邦のこれまで持っていた対外的な義務と権利、これがロシア連邦の方に引き継がれたというふうになっているわけです。領土問題について言えば、今まで日ソの領土問題、これが今度日ロの領土問題というふうな形になると思うのですが、本質的な問題というのは領土問題でこういう形式上の変化があっても変わりがないということでよろしいのでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ソ連邦のかつての権利義務をロシア連邦が受け継ぐということははっきりしておるわけです。したがいまして、新政権が領土問題、国境画定問題等については法と正義に従ってやりましょうと言っておりますから、我々は引き続き今までの考え方も含めて交渉に当たっていきたいと考えてます。
○立木洋君 ことしの二月でしたか、平和条約の作業部会がいろいろ作業を進めているわけですけれども、去年、当時のゴルバチョフソ連大統領が来たときには過去の問題については我々は責任を持てないみたいな演説があったわけです。
 今度の日ロ平和条約の作業部会、これは次官級の会談だというのですが、そこではクナーゼ外務次官がかつての日ソ共同宣言の有効性を確認した、それから同時に一九六〇年に出したソ連側の声明、これは克服しなければならないというふうな態度も表明したというふうな形でことし二月の作業部会が行われたわけですけれども、この作業部会についての向こう側の発言をどういうふうに今の時点で評価されておるのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) ただいま大臣が申しましたすべての条約、協定の権利義務関係をソビエト連邦からロシア連邦へ引き継ぐということの確認の中で、最も基本的な条約でございます一九五六年の日ソ共同宣言がその中の一つとして当然私どもの関心のある問題でございましたので、この条約、協定の権利義務の引き継ぎの際にこの宣言も間違いなくその中に入るということは明確に確認をいたしたわけでございます。
 今、先生のお尋ねの点は、その前提に立ってさらにいわゆる一九六〇年のグロムイコ覚書によってロシア側がその中の第九項を事実上無効化したと長いこと考えてきた問題、これは日本国政府はいっときたりともそういう立場は認めたことがございませんけれども、この問題をどうするかという、これは法律論と申しますより政治的なレベルでの問題があるわけでございます。これはゴルバチョフ大統領が参りまして以来いろいろな形で問題になっているわけてございますけれども、この問題はこれからさらに、まさにクナーゼ外務次官が克服という言葉を使われましたけれども、真剣な話し合いの中でいろいろな形で出てくる問題であろうかと。
 ただし私どもの認識は、繰り返し申し上げますように、グロムイコ書簡によって日ソ共同宣言の効力が無効になるとか減じられるとかいうことはそもそもあってはならない、国際法上そういうふうには認められないという態度でございまして、その基本的な認識、日本政府の立場は今日もいささかも変わりがないということでございます。
○立木洋君 日ソ共同宣言で触れられている領土といえば歯舞、色丹ですね。これについては、九項の問題が出されましたけれども、この歯舞、色丹の諸島を日本国とソ連との間で結局返すというか渡すというか、そういう問題は「平和条約が締結された後に」ということになっているのですね、まさにそれが問題だと思うのですけれども。その点については日本側としてはどういう主張を二月の作業部会ではなさったのでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) おっしゃるとおり第九項には、現実の引き渡しは「平和条約が締結された後」となっているわけでございますが、二月の平和条約作業グループでいたしましたことは、そういうつまり各論と申しますかの意見の対立するところについての交渉ということではございませんで、まさに立木先生がおっしゃいましたように、交渉の主体がソビエト連邦からロシア連邦に変わった、人も変わったという中で、過去八回にわたって日ソの平和条約作業グループというこの別の組織のもとで北方領土問題の歴史的なそれから法律的ないろいろな議論を重ねてきた。その議論を包括的に総合的に整理して、どこが意見の違っていたところか、どこが一致していたところかということを総合的にもう一回総括をして、その総括の上に立って、新しく設置をされました日ロ平和条約作業グループ、またこの間、渡辺外務大臣に開始をしていただきました日ロ平和条約締結交渉を開始することができるかどうか、これを確認するということが最大の重点でございました。
 その確認をすることが二月十日の時点での作業グループの目的であったと、こういうふうに御報告申し上げることができると思います。
○立木洋君 二月の作業部会でも、そしてこの間コズイレフ外相が来て大臣がお会いして話し合いをした中でも、領土については返還ということは一つも言明がないと私は考えているのですが、それは間違いないですね。返還という言葉は一言も使っていない、向こう側は。よろしいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 直接、返還の話まではまだいっておりません。
○立木洋君 返還ということについて向こう側が触れていない原因といいますか要因というのか、なぜ彼らは返還という言葉を明確に述べないのか、それはどういう点に問題があるというふうに大臣はお考えですか。
○政府委員(兵藤長雄君) 一つは、まさに日ソ共同宣言に引き渡しという言葉が使われていることと同じことだと思いますけれども、私の理解いたしますところ返還というのは、所有権がそもそも別のところにある、たまたま持っている、今占有している人がその所有権の持ち主、本来の持ち主に返すというのが返還であると仮にいたしますと、またそういう理解で恐らくロシア側もあろうかと推察をいたすわけでございますけれども、そうであれば返還という言葉を使うことはまさにそういう前提を法的に認めることになるという配慮があるいはロシア側にはあろうかと思います。
 今日まで、おっしゃるように、返還をするという意味での返還という言葉を公的に使ったことはないと思います。
○立木洋君 それでは、領土を引き渡すということについては明言したことがありますか。
○政府委員(兵藤長雄君) これは今度は実体の話になると思うのでございます。
 言葉はどうであれこれを日本側に渡す、引き渡すあるいは返還する、それは法的な立場によって異なるわけでございますけれども、その実質問題について立ち入って、二島についてはもちろん、歯舞群島、色丹島については私どもは日ソ共同宣言で決着がついておる。したがって、話は常に国後、択捉両島に私たちの立場から見ればなるわけでございますけれども、その点について実質について向こう側が確約を示すという意味での言葉を使ったことはまだないということは御承知のとおりでございます。
○立木洋君 いろいろ新聞なんかの報道を見ていますと、結局ロシアの国内でいろいろ反対の声が大分あるのだ、強いのだと、だからなかなかそういうことは難しい、早急に解決できないというふうな言い方をしているのは私はいささか筋違いじやないだろうか、向こう側のおっしやる言い方は。
 結局、いろいろ見てきますと確かに五七%反対者がいるだとか七一%反対論があるだとかいうふうなことがさまざまな形で報道されていますけれども、しかし実際にこれまで領土の問題を正確に、ソ連の政府にしろソ連共産党にしろソ連国民の中にその歴史的な事実を事実として明確に述べてきていない。大変な事実の歪曲がある。これはソ連の学者でも今日の中では指摘されていますね。ヤルタ協定なんかのああいうものはもう破棄してもいいぐらいだということさえ言うソ連の学者なんかもいるのですけれども、こういう問題については、これまでソ連の国内でそういう反対論がある
のでなかなか難しいという言い分については、こちら日本側の見解はどういうふうに述べられたのでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは政治論でありまして、現実的に世論が反対が多い、それからそれに従って世論の代表である国会議員も反対しているということを言っておりますよ。しかし、今おっしゃったように、一方的な情報しか与えられないのではそれは反対に決まっていますから、これはもう北方四島はソ連の固有の領土であるという宣伝ばかりしか聞いていない国民は、何で返すのかねということになるに決まっていますから、だから私は、基本的に日ロ関係の平和条約を結ぶに当たっては、条約は破らない、破棄されないということをまず確認しなきゃいけませんねという
ことなのです。
 そのためには今まで平和時に結ばれた例えば一八五五年の日露通好条約、その次の千島樺太の交換条約、こういうようなものの有効性というものを認めてもらわなきゃなりません。だから、そういうように結ばれた条約は破棄されないということの確認と、破棄したことは間違いだったと。例えば日ソ間の戦時中の中立条約それから五六年の共同宣言、こういうものを一方的に気に食わなくなったからといって認めないというようなことでは今後もまた条約を結んでもいつどうなるかわからない、それは困るのだ、だからそういう約束をまずしてくれということを言っているわけです。
 ですから、向こうが共同宣言の有効性を認めるということに仮になったとしても、それだけでは足りないわけです。昭和三十一年に戻っただけですから。そうでしょう。だからさらに進めなければならない。そのために我々が一致したことは、法と正義に基づいて、領土に関する過去の条約とか往復文書とかいろいろございますので、そういうものは資料を日ロ両方から出し合って、それで両方でもっともだと思うものを両国民に大いに公開してPRをしようじゃないかと。まずその資料の収集についてはやりましょうということまではもう一致をしているわけです。










○立木洋君 この間コスイレフ外相が来られて話し合いされたときに、領土問題の解決については反対勢力といいますか反対する人々が、結局今のエリツィンの改革、経済改革、これを政治的に利用しようとしているというふうなことを述べて、だから日本がビジネスに参加するというふうなことになれば領土問題の解決の前進になるのだという言い方をされたというふうなことが報道されていますけれども、それに対しては日本側はどういう態度をとられたのでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはロシア内部の話でございますからそのこと自体についてどうこう我々は申し上げませんが、やはり客観的な事実は事実ですから、そういうものをはっきりさせる努力をお互いがしていくということからのスタートなのですよ。
○立木洋君 きょうは一方的にちょっとお聞きしておきますから。
 この間、三月の初めにロシアの憲法起草委員会が憲法の案を提示しましたね。あの中に、ロシアの領土の一部はロシア連邦の国民投票によって示された国民の意思によってしか割譲されないという条項があったというふうに報道されています。この点についてはこの憲法起草の責任者のルミヤンツェフ書記が、南クリル諸島について、これはロシアの領土であって、その割譲は国民投票による承認を必要とするというふうに述べたというふうに言っている。これは一般的なことではなくて、つまり千島にも適用されるのだという趣旨のことを担当の書記が述べたと。
 もちろんこの憲法が批准されるかどうかこれは別です、いろいろ問題があるから。しかし私は、それが批准されるにしても批准されないにしても、こういう考え方で臨まれているということはやっぱり問題ではないだろうかという気がするのですが、そういう点については、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 立木先生御指摘のように、ロシア連邦の憲法のこの案というものは、昨年の十一月十一日公表の草案以来ことしの三月二日あるいは三月十八日一さらに四月に入りまして幾つかの修正案が提出をされ、その中に確かにこの領土問題と関連いたします条項条文もいろいろそのときによって変わるわけでございますけれども、三月十八日付で言いますと七十八条関係を指していらっしゃると思いますが、またそれに対するいろいろな意見が出ているということでございます。
 これはあくまでもロシア連邦の憲法論議でございます。どうするかということはあくまでも主権事項の中の主権事項の問題でございますので、今この点で日本政府としてこれについて注釈を加えるということは厳に慎みたいというふうに考えております。
○立木洋君 それはどこの国でも自分の国の憲法を自分たちで決定する権利がありますから、それについてとやかく干渉するという意味合いではもちろんないのです、私が言わんとすることは。
 しかし問題は、あれは今言うように、つまり法と正義に基づいて領土問題を解決しなければならない。それが違法な形で不正義に基づいてあの領土が併合されてしまったわけですから、これは当然返還されなければならない領土だ。だからそういう見地は、向こう側がこれは国民投票によってなんというようなことを主張しておれば、結局外国の土地を侵略してそこに移民が入って、その移民め投票がその領土を返してもいいですよという結果が出なければ返せないなんというようなことになってきたら、これは違法だとか不正義というのは実際には正すことができないことになっちゃうわけですね。そういう問題では困るという考え方は、それをどういう形で言うかは別としてやっぱりきちっとしてこちらが持っておかないとならない点ではないだろうか。
 何も向こうの憲法を決めることに干渉せよという意味合いでは毛頭なくて、考え方の問題としては、だから私は、これが制定されるされないは別として、批准されるされないは別としても、この領土問題を解決するというのは、大臣がさっき言われたように、法と正義に基づいてでしょう。そういうふうな不当な違法な不正義なことを認めるという考え方であっては困るので、そのことを確認して言いたかったのですが、それはよろしいですね。
 いや大臣、頭を下げただけでは記録に残らぬので、一言言っていただかないと。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは法と正義に従って解決するということを我々は強く主張しております。
○立木洋君 それから二月の作業部会がやった後、イズベスチヤの二月十二日付の報道で出されているのですけれども、領土問題についてロシア側が出した提起というのは、これまでの経過として領土問題にかかわる問題としては一八五五年の条約とそれから一八七五年の両方の条約を提示していると。ところが日本側は、一八五五年の日露通好条約は取り上げているけれども、一八七五年の千島樺太交換条約は取り上げていないかのような報道がなされているのです。
 これは先ほど大臣が条約を全部きちっと確認するというふうに言われたのですが、イズベスチヤで報道しているのはこれは誤りなのでしょうか、それとも提起しなかったのでしょうか、日本側は。
○政府委員(兵藤長雄君) そこは事実は、常に私ども法律的な観点からの議論をいたしますときには、先ほど渡辺外務大臣からも申し上げましたとおり、出発点は一八五五年の通好条約、それと常に組み合わせと申しますか常に私どもも引用いたしますのは、今御指摘の一八七五年の千島樺太交換条約でございますから、これは常にこの問題に明確に言及をし、この問題を提起いたしております。
○立木洋君 そうすると、ソ連の報道というのは結局あいまいさがあった、だから日本側としては両方の条約ともきちっと提示して、これまでの領土問題に関する両国間の条約としてはこれが前提としてあるのだということは明確にされているわけですね。
○政府委員(兵藤長雄君) ソ連の報道ぶりは別といたしまして、事実は明確に私どもは千島樺太交換条約というものを歴史的な文書の一つとして指摘し取り上げておるということでございます。
○立木洋君 ソ連の元科学アカデミーの研究員のブラギンスキーという方が、日本が北方領土四島しか返還を求めていないのはこれ自体は日本側の妥協であるということを論文の中で指摘されているのですが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(兵藤長雄君) 日本国政府の北方領土問題につきましての立場は、繰り返すまでもないことでございますけれども、ソビエト連邦、現在のロシア連邦に対して返還を求めておりますのは我が国固有の領土である北方四島で、そのほかにサンフランシスコ宇和条約におきましては南樺太、千島列島を放棄いたしたということでございます。したがって、これはすべての権利権原を放棄したということでございますから、御堂の御主張は承知いたしておりますけれども、日本政府の立場は、千島列島も永久に放棄した地域に入る、したがって千島列島、南樺太を日本政府として再び領土問題としてロシア連邦に提起するという考えは全くないということでございます。
○立木洋君 そうすると、向こう側が提起している北方四島しか日本側が要求していないのは、これは日本政府側の妥協であるという主張はお認めになるわけですね。
○政府委員(兵藤長雄君) 私は、妥協とおっしゃるお言葉がこの場合に当てはまるかどうかは疑問に思います。
 と申しますのは、日本政府の北方領土に関します立場は、あくまでも我が国固有の一度も外国の領土になったことのない領土、しかもサンフランシスコ平和条約で放棄していない領土、これが返還を求めている領土であもという一貫した主張から出てきていることでございますので、もともとこの千島列島、南樺太も主張したいのだけれども何かの政治的な理由があってそれはあきらめたという事情は全くなかったと私は承知をいたしております。
○立木洋君 妥協という言葉は私が使っているのじゃないのです。これはソ連側が使っているという意味で私は注目しているわけです。ですから、交渉というのは相手側と交渉するわけですから、向こう側がどういう考え方を持っているのかということをやっぱり十分に確めた上で交渉しないといけない。日本共産党が妥協なんて言葉を使っているわけじゃありませんから。そういう意味で日本政府はどういうふうな、つまり法と正義ということを貴いてこの問題を解決するのだというふうにおっしゃっているから、そういう点では全く問題がないのかどうかということをきょうはお尋ねしておきたかったわけです。
 言うならば、第二次世界大戦の戦後処理の問題について正しい解決の仕方というのは、やはり領土不拡大の原則ということが明確にされているわけですから、ましてや今ソ連の中でもヤルタ協定自身の問題点がいわゆる批判され、やり玉に上がってきて、ああいうこと自身が誤りだったというスターリンのやり方の批判も出てきているわけですから、本当に変な形で妥協するのではなくて、法と正義を貫くと言うからには徹底してそれを貫かぬといけないと思うのですね。だから、放棄しなくてもいい領土さえ放棄してしまったという点に私は日本側の弱点があると思うのですよ。これまでもう繰り返し私たちも指摘している点ですが、そういう意味での整合性を持つ。
 最後に大臣にお聞きしたいのですが、今度ロシアを訪問する場合の基本的な点はもちろん法と正義という点でしょうが、私は今幾つか述べて事実関係を確かめたのですけれども、その点について特に今度ロシアに行って交渉する場合の点で何か特別に述べておきたいことがありましたら述べておいていただきたいと思うのです、私が今まで幾つか質問した点に触れて。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法と正義に基づいて客観的な証拠を出し合ったところから出発をしていかなきゃならぬと、一口で言えばそういうことです。
○立木洋君 終わります。
○高井和伸君 旅券法の改正につきましては、いろいろ疑問もありますけれども、基本的にはやむなし、賛成という立場でございます。
 そこで、旅券法全部つらつら読ませていただいて、細かい点いろいろな面でお尋ねしたいと思いますが、まず先ほどから旅券を発行することは行政サービスだと、こうおっしゃっておられます。旅券という概念が表から法案に書いてないのですよ。旅券とは何ですか。まずそこからちょっと。
○政府委員(荒義尚君) 先生御指摘のとおり、旅券の定義は我が法令上ございません。また、諸外国でもそういうものを定義しているのは余り私も承知しておりません。
 しかしながら、国際的にも旅券というものは、その当該政府が所持人の国籍及びある範囲の身分事項を公に証明し、かつ外国の官憲に対しまして必要な場合に扶助、援助を与えるよう要請する公文書であるというのが確立した概念でございます。
○高井和伸君 そういったことを取り決めた条約というよりは、そういうふうなもう長年の外交慣行ででき上がっていて余り疑問も挟む余地もないということなのだけれども、じゃなぜ条文化しなかったのですか。
○政府委員(荒義尚君) 私も正直申しますとちょっとつまびらかにしません。
 先生御案内のとおり、我が国におきましても旅券の歴史というのは明治新政府が始まってからずっと続いておりまして、その間の文書にもその定義らしいものは見当たらないということで、国際的に固まった概念なので改めて法令化の必要がなかったというふうに一応私どもは理解しています。
○高井和伸君 私がこんなことを言うのは、旅券を発給するという概念が使ってあります。旅券を交付するという概念が使ってあります。そうすると発給という行為は、私の今生での概念からいうと、ある意味では、旅券の所持者に対して国が外国に対してある種の保護をお願いしますよと、外務大臣と書いてはんと判こ押して出す以上は、ある利益のある有利なというかアドバンテージというかそういう地位を与えるという面では、単なる事実行為ではなくてかなり行政処分的な公権力の行使としての発給行為だというふうに一応私は理解するのですが、有権解釈はどういうふうになっていますか。
○政府委員(荒義尚君) 御指摘のとおり、旅券の発給という行為を私ども行政官庁サイドから見ますと、これは行政処分というふうに理解される概念でございます。
○高井和伸君 そうすると、なぜ交付という概念をこう仰々しくいろいろ条文の上で書くのですか。
○政府委員(荒義尚君) 先生御指摘のとおり、旅券法には交付あるいは発給ということはいろいろ使われております。一応この条文から読みますと、発給というのは旅券を現実に作成すること、それからそれの管理のための必要な手続を経ることと実際に申請人に交付すること、これを広く包含した場合に発給ということを使っているようでございます。
○高井和伸君 そうしますと今度は、私がああのこうの言うのも行政手続法というものが今国家の俎上に上がっているということからの視点が一つございます。発給あるいは交付する期限というか約束する国民に対するサービスとして、申請があってから何日以内に発給しますというような公の明らかにした基準というのは法令か何かに出ているのですか。
○政府委員(荒義尚君) そういう申請がありましてから発給まで何日以内というものを公に定めた法令、規則等はございません。
 しかしながら、実際問題としまして私ども発給を急いでおりまして、おおむね一週間あるいは長くても十日以内には必ず出すというふうにスピード化を心がけておるつもりでございます。
○高井和伸君 続いて十三条のあたりのことについてお尋ねしますけれども、ここでは発給しないことがあるということで制限的な条項が第一項の一号から二、三、四、五とあります。こういった条項を入れて旅券を発給しないこともあるというその制度的な理由というのは、大体見当はつくのですが、ばちっと言うとどういうことになるのですか。
○政府委員(荒義尚君) どれほど明快にお答えできるかわかりませんが、これは一言で言いますと、御案内のとおり、旅券は憲法二十二条第二項にいう渡航の自由を具体的に実現する手段でございますけれども、したがいまして基本的人権の一つとして重要な権利でございます。ただし他方におきまして、他の基本的人権と同じように。合理的な範囲内で制限に服すことがあるということでございまして、そこで言う公共の福祉のための合理的な制限の一つの態様が第十三条一号から五号に書いてあるケースであるというふうに私どもは理解しております。
○高井和伸君 それでは、十三条一項一号の「渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者」というのは、これは普通の国民から見れば何だかさっぱりわかりませんね、自分がそういう人物なのかどうか。わかりませんが、これは一般的にはどうやって国民はこれに該当しないということを知ることができるのですか。
○政府委員(荒義尚君) これはあくまで渡航先となるべき国がそういうことでもし行った場合に入国を拒否するという話でございますので、あらかじめ周知徹底すべき事柄ではございません。
○高井和伸君 そうすると、これは要するに親切規定であって、本来ならば、日本国としては発給しておいて向こうが入れないというのならば、それは向こうの国の都合なのであって、日本国のせいではありませんからねということをあらかじめ予告する程度のふんわりした規定だということになると、やや何か不規則規定みたいな感じがせぬでもないのですが、どうでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 私ども、外国政府からあらかじめ連絡を受けている場合もございます。そういう場合には、その当該申請者から旅券の発給申請がありました場合にはその事案についていろいろ慎重に審査します。しかしながら、先ほど申し上げましたように、一般旅券の制限というのはあくまで公共の福祉のための合理的な制限に服するという基本原則がございますので、私どもは発給拒否あるいは制限は非常に慎重に取り扱っているということでございます。
○高井和伸君 そうすると、こういったものはある意味で、ビザという概念もちょっと私も正確には把握しておりませんけれども、ビザという概念の先取り的な発給要件に取り込んだというようなイメージでいいのですか、これは。
○政府委員(荒義尚君) ちょっとあるいは御質問の趣旨を取り違えたとすれば申しわけありませんけれども、他方、査証といいますのは例えば我が国の場合は、外国の人が我が国に入国を欲する場合において、我が方の出先機関においてあらかじめ当該外国人が我が国に入国することについて外交上支障がないかどうかを事前審査するということでございます。そういう意味では、こちらの十三条一項はあくまで我が国民が外国へ行く場合に我が方がやはり外交的等々の見地から好ましくないということを判断することあるべしという規定でございますので、査証の問題とはちょっと違うかと思います。
○高井和伸君 そうすると、先ほどのお話のもとへ戻りますけれども、合理的な制限そして公共の福祉といった場面においてこの一号がその線上にあるのだと、こういったときの公共の福祉とは何なのですか、一号の場合。
○政府委員(荒義尚君) お尋ねでございますので若干の例示をもってお答えにかえさせていただきますが、第十三条一項の一号でございますけれども、これは具体的には例えば麻薬とか、当該国におきまして当該日本人が以前に不法就労をやったりというようなことを想定した規定でございます。
 ついでに第二号等を簡単に申しますと、第二号は「長期二年以上の刑に当たる」云々でございまして、これも非常に多いケースは麻薬であるとかあるいは所得税法の違反等のケースでございます。第三号は「禁錮以上の刑に処せられ」云々でございます。これもいろいろございますが、例示的に申せば窃盗、殺人等ということがございます。第四号はこれは旅券法の違反でございます。虚偽記載をしたりあるいは不正に旅券を取得した等々の場合でございます。四号の二は、海外において経済的に破綻を来したりそういうことで該当し得るという場合のケースでございます。それから第五号が先ほど来お話になっております「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある」場合というケースでございまして、これは実際には最近はここ二、三年はございません。
○高井和伸君 質問する予定の先取りで答えていただきましたのであと残りのところをちょっと言いますが、二号のところの後段の方で「外務大臣に通報されている者」ということで、これは通報されてない者は、勾留状を発せられていても勾引状を発せられていても逮捕状が出ていても通報がなければその人には発給するということに読んでい一いのですか。
○政府委員(荒義尚君) 基本的にさようでございます。我々としてはそういうことについて情報を持つ手先となる機関もございません。
 ただし、基本的にはそれで結構でございますけれども、我々がそういう方から旅券の申請を受けた場合において我が方で何かの疑問点がある場合ということももちろん排除されるわけではございません。
○高井和伸君 次に、五号の問題ですが、これは非常にこういうのを何というのですかね、白紙委任条項というか、まるっきり中身が何だかさっぱりわからぬという典型的な条項でして、「著しく且つ直接に」と。みんな形容詞ですね。「日本国の利益」、これは何だかさっぱりわからぬ。「利益・又は公安」、これもまたさっぱりわからぬ。「害する行為を行う虞」、「虞」なんてまたファジーな言葉が入っておりますが、「認めるに足りる相当の理由がある者」、これは何でも入るし何にも入らないという両方の極端な規定だと思うのですよ。
 これは先ほど予防線を張られまして二、三年なかったというようなことをおっしゃっておられますけれども、過去にはあったのでしょうね。まずそこから。
○政府委員(荒義尚君) 過去にはもちろんございました。
○高井和伸君 それで私の考えますところ、これの中身をもう少し具体化して、条文はこうなっているから一々細かいことを規定できないのだけれども我々はこう考えているというようなことで、例えば知事あてにこういったものを我々考えていると、通達というのかそういったことで公に公表して、その具体的な基準を並べたものはまずないのでしょうね。
○政府委員(荒義尚君) 御指摘のようなものはございません。
○高井和伸君 これは外交上の機密だとかそれこそいろいろな特段な事由があるから出せないという理由もあるでしょうし、定型化ができないという意味もあるでしょうしいろいろあろうかと思うのですが、どれが一番大きい理由ですか。
○政府委員(荒義尚君) これは若干遠回しのお答えをさせていただきますけれども、この五号の運用は、再三申し上げておりますとおり、国民一人一人の基本的人権にかかわる問題でございまして我々非常に慎重に運用していることは再三申し上げました。それで、本件に基づく行政処分に対しまして訴訟を過去にも提起されておりまして、そういう関係があるわけでございます。したがいまして、これを何か通達のごときものであらかじめ各都道府県等々に周知徹底せしめるにはちょっとなじまない問題である。
 ただし、ちなみにつけ加えてお答えさせていただきますけれども、五号の規定自体につきましては過去におきまして最高裁の判例もございます。これ自体、規定が違憲である等々の意見はございませ人で、そこは最高裁判決においても認められているところでございます。
○高井和伸君 この十三条一項の一号から五号までの該当というのは、ある意味では都道府県知事なんかに委任したようなレベルではとてもチェックできないのじゃないかと思うのですが、こういったものをシステムとして発給するときにこの条項を発動するような場面は担当はどのようになっているのですか、裏方というか事務的な分配は。
○政府委員(荒義尚君) こういう該当するケースについてはすべて外務省、私どもの方で取りまとめて審査しております。
○高井和伸君 次は十四条ですが、この十四条の趣旨、後段はこういった発給を拒否した場合においてその理由を付した書面を交付すると。これは行政手続法上の規定からいうとぴったりのいい条文だろうと思います。
 問題は具体的な運用でございますが、その発給の拒否理由は具体的に書くのか書かないのか。例えば旅券法十三条一項一号に該当するその程度の理由なのか、具体的な事実を摘示して書く理由なのか、どっちなのですか。
○政府委員(荒義尚君) 大変難しいお尋ねでございますけれども、非常に正直なお答えになりますが、かつては例えば十三条二号該当ということで不許可とかそういうことを書いた時代もございました。しかしながら、それでもってしては裁判、訴訟を維持できないということもございまして、現在はなるたけ許す限り具体的なことを書くという過程にございます。
○高井和伸君 続いて今度は、十九条に「返納」という概念がございます。これは申請に対する発給という対比と違って一たん出したものを返せ、こういうことですから、行政手続上、世に言う不利益処分だとか侵害処分だとかそういった行為に当たるだろうというふうに考えるわけですが、この中にあります同じく一項四号、これはどんな趣旨なのですか。「旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」なんというような、これは具体的にはどんなことを意味するわけですか。
○政府委員(荒義尚君) 旅券法第十九条の第一項四号でございますが、これは一つの具体例と申しますと、一たん旅券を出してその所持人が外国へ行ってからそれ以降非常に貧困に陥ったとか、それからこれはいい例がどうかわかりませんけれども、非常に重大な精神病にかかったとか、そういうことでございまして、それを一般的な表現で申しますと、その邦人を保護するために必要な場合という趣旨でございます。
○高井和伸君 続いて五号にあります「一般旅券の名義人の渡航先における滞在が当該渡航先における日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合」、これは具体的にはどういう場面なのですか。
○政府委員(荒義尚君) お答えの前に若干補足いたしますが、この第十九条一項四号、五号というのは今まで実は具体ケースはございません。しかしながら、立法の趣旨として申しますとこの五号は、我々日本人が外国に行ってその国において重大な法令違反あるいは何かそれ以外の先方の国において許されないことを例えば反復継続して行う、それが当該国において大変な問題になるということで広い意味では外交上好ましくないというような場合に返納を命ずる、こういう考え方でございます。
○高井和伸君 具体例がないなんて言われると、あと質問しにくいのですが、一応規定が載っていますから。
 三項ですが、三項もこういった返納を命ずる決定をしたときは理由をつけて通知しなさいと。これも先ほどの十四条と同じで、発給を拒否したときと同じで結構なのですが、実はこの手続については本来的な意味からいうと事前手続がないのですね。先ほどのは申請に対する発給の拒否ということですからそれはそれでいいのですが、一たん発給しちゃったものを今度は効果を奪うという段階になれば、事前に、あなたの旅券はこういう理由で引き揚げたいと思うけれども何か言いたいことがあったら言いなさいよという、せんだっての暴力団新法の聴聞というような手続ですね。事前にやる手続はありませんね、一応念のために聞きますが。
○政府委員(荒義尚君) そういう御指摘のような意味での手続はございません。
○高井和伸君 はい、わかりました。
 私の方の質問の細かいことは以上でございますけれども、基本的に先ほどのもとへ戻りまして手数料という問題になってきますと、今の規定いろいろ見ても、大体もう余り恩恵的な面で、国際性がこれだけになってしまって情報化が進んだ現代において、保護の経費だとかそういったものはむしろ一般財源でやればいいのであって、手数料をいただいてやるような時代は大分過ぎ去ったのじゃないかというような気がしています。
 先ほどの一番初めになりますけれども、あくまでも行政処分だと言われれば、それは経費もかかるしいろいろ得をすることもあるのだから結構なことだということでわかりますけれども、これに手数料という概念はなじむのですか。まずその点について。
○政府委員(荒義尚君) これは、旅券発給について何がしかの妥当な手数料をいただくというのは国際的に昔から確立したプラクティスでございます。
○高井和伸君 私の言いたかったのは、昔はそうだったかもしれませんが、先ほどもおっしゃられましたように、年間に出ていく人の数が一千九十九万人、そして年間発給するパスポートが四百万か五百万だというようなこういう時代に、それは財源としてはとても魅力的ですけれども、我々が戸籍登録するのにお金を取られた覚えはない。そんなことないかな。登録することについては覚えはないけれども、写しをもらうとき、謄本もらうときはお金を払っている。
 これはひとり言でございますが、ある意味ではもっと安くていいのじゃないか、こういうことでコスト主義はある意味では余り時代にそぐわないのじゃないか、こういう物量時代になったときに。こう思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 本委員会におきましても御説明する機会がございましたけれども、現状で申しますと、いわゆるコスト的なものに着目しますと現在ははるかにコストの方が上回っておるということでございます。ただし、これは手数料の概念でございますけれども、手数料は商品の価格じゃございませんので、あくまでそういう行政サービスに伴う手数料ということでいただいているわけで、何もひとり旅券発給についてだけ手数料をいただいているわけじゃございませんで、運転免許等々たくさんございます。
○高井和伸君 あと偽造のことについてお尋ねしますが、この日本国発行のパスポートは偽造されることは多いのですか少ないのですか。事例はどんなものなのですか。
○政府委員(荒義尚君) 最近そういうケース、我々が知るところになる偽造のケースがふえていることは遺憾ながら事実でございます。問題は我々が知るところにならないケースもまたあるだろうということでございまして、これは我が国の旅券に対する信認の問題でございますので、我々一層偽造防止に努力している。十一月に機械読み取り旅券を入れる目的もそういう偽造防止にも配慮しておるわけでございます。
 それかもなお件数につきましては、我々が把握しておりますのは現在年間二百件ぐらい残念ながらございます。
○高井和伸君 あとちょっと形式的なことですが、十一月から機械で読み取るMRPというものを導入する。先ほどの一番初めの質問にもかかわるわけですが、パスポートの様式、形式、そういったものはいろいろ法令集を見ても何も書いてないのですが、どこかにあるのですか。MRPを導入するということは今度の法改正の上では直接出てこないのですね。そこら辺の日本国内における法整備というか体系を教えてください。
○政府委員(荒義尚君) 御指摘のとおり、十一月一日から導入を予定しております機械読み取り旅券と本旅券法の改正は関係ございません。機械読み取り旅券の方でございますけれども、一九八〇年にICAOといいますか国際民間航空機関の方の勧奨、勧告で、おおむねこういう国際的な標準規格というものを定めて、これを各国が準備整い次第導入するよう勧奨したものでございます。自来我が方も研究を重ねましてようやくこの段階に至ったという状況でございます。
○高井和伸君 その形式は例えば省令だとか何とかかんとかという様式で官報に載せるような手順はあるのですか、ないのですか。
○政府委員(荒義尚君) そういう手順を今、整えつつあるところでございます。
○高井和伸君 わかりました。
 終わります。
○委員長(大鷹淑子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮澤弘君が委員を辞任され、その補欠として関根則之君が選任されました。
○猪木寛至君 旅券法の一部改正に関する法律案、私はこれは基本的には賛成ということであります。
 それでMRP、機械読み取り旅券ということで今もお話がありましたけれども、旅券のサイズというか、これも今、示されたサイズに変わるわけですね。コマーシャルで今やっていますパスポートサイズというビデオカメラが困るのじゃないかなと。
 そこで、よく私も外国でパスポートを紛失した場合なんか大変に自分自身を証明するというかその辺、これからやはり一千万人以上と旅行者が年々ふえていくわけですから、そういう中でトラブルがだんだんふえていくわけですけれども、こういう大変簡略化された部分はいいのですが、実際にそういう事件に遭った場合に起きる問題というのはどういうことが今度は起きるのでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 猪木先生のお尋ねは、これだけ一千万を超える日本人が外国へ行っていろいろ紛失等のケースがふえておる、そういう場合の問題ということかと思いますけれども、我々としましては最大限支援するということでございます。
 例えば海外で旅券紛失の件数は年間現在七千件ぐらい残念ながらございまして、ふえております。おおむねその半分の方は直接日本に帰るという直前に紛失したり盗難に遭うということでございまして、そういう方につきましては、土曜といわず日曜といわず最大限スピードアップしまして帰国のための渡航書というものを発行しております。
 不幸にして盗難、紛失に遭った地点からさらに第三国等々に行かれる方は旅券が要るわけでございますが、これは若干の身元の照会、発給データの照合がありますので時間がかかりますが、これもなるたけ早くということで、早い場合は当日発給をするあるいは二、三日で発給してなるたけそのまま旅行等を続けられるように配慮しているつもりでございます。
○猪木寛至君 よく旅行者の中に、パスポートを持って、パスポート自体初めて持った人というのはパスポート番号、自分の番号すらわからない、私も覚えていませんけれどもね。それからまた、身元というのでし寸うか、紛失したときの身元というのは例えばそれを何で証明するのでしょうか。例えばホテルやなんかパスポートを預かるケースがありますね。その場合にパスポートがない場合というか、あるいはパスポートをなくして発行してもらう場合のそれにかわる何か、何もない場合はどうするのですか。
○政府委員(荒義尚君) 何もない場合、大変我々も困るのでございますけれども、少なくとも氏名、生年月日等のことは口頭でも聞けるわけです。それで我々、出先から本省に大至急、何のたれがしで例えば生年月日のこういう人について発給事実を確認することをやっておるわけでございます。そういうことによりまして紛失旅券にかえて新規旅券をなるたけ早く再発給してあげるという体制をとっているわけでございます。
○猪木寛至君 赤ん坊の場合、現在使っているパスポートは母親と一緒に写真を撮っていますけれども、今度新しくなる場合にはそれはどういう形になりますか。
○政府委員(荒義尚君) 十一月に導入予定の新型旅券の場合も同じことでございますが、ちょっと技術的な理由がございまして、併記者といいますかお子様方につきましては別のページに記載するということで今検討しております。
○猪木寛至君 子供は一年一年変わっていきますから、その場合、子供が独立したパスポートを必要とする年齢というのは幾つなのですか。
○政府委員(荒義尚君) 原則として何歳でも結構でございます。
○猪木寛至君 何歳までは母親と一緒でいいわけですか。
○政府委員(荒義尚君) 併記は十五歳まででございます。ただ、子供さん一人一人が何歳から旅券をとれるかという意味ではそちらの方の年齢制限はございません。
○猪木寛至君 一つ私どもにも陳情が来ているのですが、犯罪リストに載ってしまったケースというのでしょうかね。私の同僚にもいるのですが、それは犯罪リストに載っていないのですけれども、たまたま赤軍派とかそういう連中と同姓同名みたいな部分で、行くたびにハワイやロサンゼルスで何でもないのに捕まって裏へ連れていかれるというケースがあるのです。
 今度新しい機械を導入したときに、こういうもの、あるいはそういうリストに載っちゃった場合にはどういう形をとったらば外国なんかにそれを理解してもらって消してもらえるか。
○政府委員(荒義尚君) 確かに私どもも、そういう関係者と同姓同名で大変外国渡航の際に迷惑をこうむったというケースが、数は多くございません、年に一件か二件でございますけれども、こういうケースがございました。
 ただ、これは非常にそういう疑われたと申しますか、そういうことで不都合に遭われた方にとってはお気の毒だということで、私どもは一応関係公館の方に訓令を出しまして、先方政府に対して、先方がそういう疑いを持った場合は遅滞なく我が方の在外公館に連絡をして確認をとった上で、早急に問題がなければ旅行を続けさせるよう申し入れをやっておるということでございます。
○猪木寛至君 その場合に、そういうことを既にやっていてもなかなかそれが認めてもらえない。日本の国内において今度はそうすると無犯罪証明書というのですか、そういうものを取り寄せるとかどうとかという非常に厄介な注文が出てきます。それは例えば在外公館でそういう保証を相手側政府にすることはできるのですか。
○政府委員(荒義尚君) もし私どもの方に事前にそういうお話を通報していただければ、その方の海外渡航に際しての保護について、支援については相当なことがやれると思います。
○猪木寛至君 今、EC統合ということで、ECの場合は今後ビザなしということですかね。ECの状況についてちょっと聞かせてください。
○政府委員(荒義尚君) ECの域内国民の移動につきましては、現在EC加盟国内でより一層の簡素化というか、そういう方向で話が進んでいると承知しております。現にEC共通パスポートの導入も一部で始まっている。それから出入国管理の簡素化ということも徐々にやっておるという状況でございます。
○猪木寛至君 ヨーロッパの一部では、パスポートをもうチェックなしで通れるところがありますね。今、日本人がそういう形で通れる国というのは。
○政府委員(荒義尚君) 日本人の場合、我々はECにとりましてはあくまで第三国でございますので制度としてはそういうものはございません。特別な計らいということはございません。
○猪木寛至君 先ほど申し上げたように、年々海外旅行者がふえているわけですから、それにちょっと関連しましてやはりこれも陳情が来ておりますけれども、なぜ日本の航空運賃は高いのかということが来ておりまして、ちょっと一覧表を私どもで調べました。香港で、例えば日本で買いますと七万円するものが現地で買うと五万七千円で買えるという。
 それで、これは私も昔、聞いたことがあるのですが、円とドルの差の問題、それからもう一つは日本における雇用者の賃金の問題とかということで説明があったのですが、その辺についてわかりやすくひとつ説明をしていただけると、私も陳情に来た人にこうこうこういうわけで高いと。
 あるいは今の制度、高いのを何かもうちょっと改善する余地があるのか。
○説明員(阿部信泰君) 航空機の運賃につきましては、固定相場制の場合は相手国で買っても出発する土地で買っても同じようにということでレートが固定しておりましたのでできたわけですが、変動制になりましてからこれは非常にしょっちゅう為替相場が動くということで難しくなりまして、それ以来どちらかといえば日本国内で買った方が高いという状態が続いたわけでございます。
 この辺の問題につきましては、基本的にこれは運輸省の問題でございますけれども、航空会社の方を指導しまして順次に価格差を是正するために日本発の運賃の値下げを実施してきております
 例えば四月十四日現在の運輸省の認可運賃でございますけれども、東京とサンパウロの間を見てみますと、日本発で往復普通運賃を買いました場合に七十六万八千三百円、これがブラジルの方で買った場合にはアメリカ・ドルで四千三石二ドル、大体五十七万六千二百五十三円となりますけれども、例えばワシントンの場合は東京で買いますと四十三万九千円、これが現在アメリカですと三千二百三十二ドルということで四十三万二千九百二十六円と、ほんのわずかですけれども向こうの方が安くなる。あるいはモスクワとの間ですと日本で買いますと現在五十万千九百円、これがモスクワで買いますと四千三百十四ドルで五十七万七千八百六十円、むしろ向こうの方が少し高くなっております。
○猪木寛至君 今、航空運賃の場合、一ドル幾らで設定しておりますか。
○説明員(阿部信泰君) この計算は百三十四円で行っております。
○猪木寛至君 やはりこれは人情としてだれしも安い切符で行きたい。特に若い人たちが海外旅行く出ていくときになけなしのお金をためてというかそういうことで出ていく場合に、例えば日本から出ていくときには片道で買って出ていきまして帰りに向こうで買って帰ってくるという人がいますね。往復を向こうで買うということは不可能ですか。外国で往復で切符を買いますね、それで日本へ持ってきた場合に、そういうことは許可になっていますか、今。
○説明員(阿部信泰君) これは現在はどこで乗るかということで料金を設定しておりますので、仮に相手の国で東京発の切符を買いましても為替レートが同じである限り基本的に料金は同じ、若干交換手数料が違うかと思いますけれども、同じということになっております。
○猪木寛至君 例えば日本のスチュワーデスさんとかあるいは機長さんの給料が高いからということは理由ではないわけですね。
○説明員(阿部信泰君) それは必ずしもそういうことではないかと存じます。
○猪木寛至君 はい、ありがとうございました。
 やはりこれも二、三日前に私の方に届きました陳情なのですが、在ロサンゼルス総領事館の移転問題ということでちょっと質問させていただきたいと思います。
 私もかつて六四年ぐらいにロサンゼルスにずっとおりました。私は当時観光ビザで入りまして、おかげで当時試合をしておりまして捕まりまして、強制送還にサインをさせられた。それで一生懸命領事館に通いまして何とか新しいのを発行してもらった。当時は緩やかでそういうことを認めてもらいましてワーキングビザを取りましたが、そういう意味で今非常にロサンゼルスの領事館の仕事の量というのは大変ふえていると思うのですね。
 そこで、この領事館の移転問題について地元の皆さんというかこの人たちが非常に反対の意見を出しているということで、これは外務大臣にも嘆願書が出ているそうですが、小東京を守る会が発足して、移転反対の嘆願書を二千名以上の人が総領事に渡したそうです。その辺のいきさつについてちょっと聞かせてください。
○政府委員(佐藤行雄君) これは一昨年になりますか、平成二年の秋ぐらいから現地の総領事館の要望が本省にございました。基本的には御指摘のとおり、スペースが足りないということで移転をしたいという話でございまして、本省の方もその事情、従来からスペースが足りないことはよくわかっていたものですから、それについて基本的に了承したということで話が進んでいたわけでありますが一その後、昨年に入りましてから現地の方々から反対の意見が出てきた。これもまたある意味ではありがたいお話でありまして、総領事館があることがリトルトーキョー地域の一つの支えになってきたことでもあるので、それに出ていってほしくないという、我々外務省の立場から見ればまた非常にありがたい御意見であったわけです。
 私が承知している限りでは、総領事館の方で何回か繰り返しリトルトーキョーの方々といろいろな形で話し合いがあったようであります。それで最終的には、というのはことしの春になって、そのリトルトーキョー友の会の方々の中で一応しょうがないかという話になったということも伺ってはいるのですが、他方、その後におきましても我々の方に反対の御意見も寄せられているわけでありまして、これはこれからどうするか、今よく考えているところでございます。
 今のところに入りましたころは、現地補助員、入れて二十名もいないときに今のスペースのところに入り、だんだんと借り増しをして三つのフロアを使っているようでありますが、余りにも手狭だということは一方でございます。他方で、現地の方、リトルトーキョーの支えとまで言っていただいているわけですからこれをどうするかということで、やはり日系の方々の御意見あるいは現地の日系企業の方々の御意見も聞きながら進めていかなきゃいけないと思いますので、そういう状況で今考えているところでございます。
○猪木寛至君 今の全体的な坪数、ちょっと私も調べましたらこれは四百七十二坪ということで、一人当たり九・八坪というのですね。これはちょっと私もわからないのですが、より広いスペースがあった方がいいに決まっているのですが、一番不都合で移転しなきゃならぬということは、狭い問題と、ほかに問題はあるのですか。
○政府委員(佐藤行雄君) 私が承知しています限りでは、手狭な問題ということは前からあるわけでありまして、それプラス次々と借り増しをしていった結果三つのフロアに分かれているのでいろいろ不便だということはあるようであります。
○猪木寛至君 今、在外公館、日本政府が所有しているものというのはどのくらいあるのでしょうか。
○政府委員(佐藤行雄君) ちょっと私はそこまで存じておりません。
○猪木寛至君 後でまた調べていただけばいいのですが、あることはあるのですね、これは。何にもないということじゃなくて幾つかはある。
○政府委員(佐藤行雄君) おっしゃっておられる点は建物の所有権が日本政府にあるものと、そういう意味でございますか。
○猪木寛至君 土地も含めてですね。
○政府委員(佐藤行雄君) ございます。
○猪木寛至君 この地元の人たちの声は、湾岸戦争のことを引き合いに出しておりましたが、そういうことで日本はお金が余っているような感覚で言う人もいますけれども、とにかくそういうような国の財産としてひとつ土地も含めて新しいものを象徴としてリトルトーキョーにつくってはいかがという声があるのです。
 これは政務次官がたしか陳情のときに答えているのですが、そういう予算は現在ありませんと。施設あるいは維持費ですか、それから不動産取得というものを全部ひっくるめても平成四年度四十五億円しかありませんと。そういう計算、数字を見れば確かに無理かなと思うのですが、やっぱり今一番外務大臣が力があるわけですから、その辺でロサンゼルスのどうせやるならば在外公館もひとつ日本の政府で思い切っていいものをつくったらいかがかと思うのですが、いかがでしょう。
○政府委員(佐藤行雄君) 一般論で申しまして、在外公館を次第に国有化していこうということは一つの方針としてあるわけでございましで進めているわけでありますが、もしそういう見地から見ますと、いろいろな新しい要請というのが次々と出てまいりますので予算のことに加えまして重点をどこに置くかという問題もあると思います。御承知のとおり、これから新しくできた国々における大使館の問題とかいろいろございます。
 そこで、このロサンゼルスの点について今我々が考えています点は、やはり何年も長くリトルトーキョーの方々の、おっしゃるとおり、心の支えになっていたということであるならば、そこは十分御理解を得ながら対応していかなきゃいけないということでございまして、土地が若干あるということも私は聞いておりますけれども、またそこをやりますとこれはずっと先の話になりますので、今のところは一方におけるスペースの需要と他方における現地の方の御要望とをいかに両立させていくかということで考えていきたいと思っております。
○猪木寛至君 ぜひ地元の人の声を聞いてあげてください。そして、一番いいかつてサンプランシスコにおいて日本人町にあったのがよそに移ったということでそれ自体が全部寂れてしまったということを聞いております。そういうことでよろしくお願いいたします。
 そして、ちょっと北方領土問題についてお伺いしたいと思うのですが、この二、三日というか、一連の人民大会の報道がなされております。前回私がソ連に行った折にいろいろな人と会見してきまして、そして今工川ツインの政権基盤が非常に弱いということを指摘したと思うのです。それで、きょうの新聞ですけれども、大統領が首相を兼任する現在の政府を三カ月以内に更迭することを意味しており、同大統領は首相職の放棄を余儀なくされているというような記事が出ております。先ほども同僚議員からの話の中で、北方領土問題が非常に政権基盤がしっかりしないとだれと話をしていいのかということが一つ大きな問題になると思うのです。
 そこで、私のところに一つ届いたものがありまして、「同郷人 コザクに反対」というこれは「自由なサハリン」新聞社あてに入ったものなのですが、
  南千島住民の組織する同郷人協会百五十八人はサハリン州知事宅にメッセージを送ってきた。
  その内容は、コザクが南千島を開発利用することに反対し、州知事フョードルフがコザクの発展のためこれに奨励努力することを検討していることに反対するもので、メッセージは、コ  ザク反改革派は以前の共産党幹部の援助により実行することを予定している。
  千島住民の声は、住民の賛成なくコザクの千島への移住、州知事のコザクに対する積極的な  援助は千島における平和な生活の終止符だと。
  メッセージは、北方領土問題に対する住民の見解が変わってきていることを明記している。私たち住民は、万一南千島を日本に返還する場今でも武器をとって反対しないことは以前より  明確になった。
  州知事は、コザクの反改革派愛国者を雇用し問題の北方領土に移住させることに努力しているとメッセージには明記してある。
ということがあるのですが、ひとつ国後島民の人たちの声が、 一番の当事者はそこに住んでいる我々だ、その我々を無視してサハリン州知事と日本政府は話を しているじゃないかという意見があるのですが、これについて今までどのような作業をされてきましたか。
○政府委員(兵藤長雄君) 北方領土問題の交渉は、間違いなくソビエト連邦から引き継がれましたロシア共和国連邦政府、直接はロシア連邦外務省といたすわけでございます。そこについてはロシア連邦政府の中にも何ら疑念はないというふうに思います。
 今、猪木先生のおっしゃったコサックの団体でございますけれども、今ロシア連邦の中にはいろいろ北方領土問題についての賛否両方でございますけれども、特に反対する団体がございます。このコサックの団体は最も北方領土問題で強硬に返還に反対している団体というふうに承知しております。
 全ロシア・コサック連盟首領会議と呼ばれるものが、ことしの二月の二十日にサハリンで開催されまして、ユジノサハリンスクというところであったようでございますが、そこで声明なるものが採択をされ、私どもこの声明文というものを入手したわけでございます。そこの中に、この北方四島は「ロシアのコサックによって発見され、記述され、獲得された」ということにこの声明文は始まっているわけでございます。それで、最近ロシア連邦におきましても、ロシア中央の新聞、テレビを通じて、日本にこれらの島を渡すキャンペーンが行われ始めたということに対して懸念を表明いたしました後で、こういう虚偽のキャンペーン、つまりロシアで行われているキャンペーンの即時中止、それから国境見直しに関する交渉は、非公式、公式を問わずこういう交渉をすべて中止せよというようなこと、あるいはこの経済水域の実効的な防衛を確立せよ等々のことを言っているわけでございます。
 これに対しまして、むしろ私どもが理解しておりますのは、こういう集会がサハリン州当局、州知事、フョードロフ知事の容認、許可のもとに開かれているということにつきまして北方領土の住民から、こういうフョードロフ知事の、これは十月の決定と書いてございますけれども、許可した決定を知らされていなかったということに対する不満、抗議というものが出てきたというふうに私どもは承知をいたしております。
○猪木寛至君 昨日もちょうどサハリン議会の人たちが来ておりましてちょっと話をしました。その中では、実際に賛成派が六割で反対派が四割と。四割の中にもまだまだ、先ほど大臣がおっしゃられましたが、情報が十分伝わっていないということですね。
 やっぱりこの問題を解決していく部分では、確かにロシア政府と同時に地元の人たちの声という部分で一番いいのは、その人たちは日本ともっともっと協力していきたいという意識を持っておりますので、日本をもっと知ってもらう、また我々もできれば早くビザなし渡航が一般のレベルまで実現してほしいと思いますので、きょうはもう時間が余りありませんから、最後にその辺の今後のビザなし渡航とそれからその後の見通しについてちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(兵藤長雄君) 先ほどの件につきましては、もしかりそめにも北方領土の解決に強硬に反対をするグループがこの時点で北方領土に移住するというようなことがあれば、私どもとしてはこれはまさにこれから法と正義によって話し合いを始めるというこの時流に全く逆行するものということで、万々が一にもそういうことがあればこれは大変我々としては容認できない行為であるということだけは申し上げておきたいと思うわけでございます。
 ビザなし交流につきましては、これはいろいろな経緯を経まして渡辺外務大臣とコズイレフ外務大臣との間で先般行われました外相会談の席で、四月にロシア側から北方四島の住民をお迎えをする、五月にはこちらから旧島民を中心としたグループが訪問をするということで、向こうからは四月二十二日から二十七日まで、約二十名の現在北方四島に住んでおられるロシア連邦の国民が根室市に来られ、北海道に六日間滞在をされるという話が既に具体的に進んでおります。それを受けまして、五月に入りまして我が方から北方四島に旧島民を中心といたしました方々が訪問をするという手はずの話し合いが今進行しているところでございます。
○猪木寛至君 終わります。
○委員長(大鷹淑子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 旅券法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大鷹淑子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会