第123回国会 大蔵委員会 第5号
平成四年四月七日(火曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 三月三十日
    辞任       補欠選任
    日下部禧代子君     角田 義一君
     瀬谷 英行君     久保  亘君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         竹山  裕君
    理事
               大河原太一郎君
                野末 陳平君
                前畑 幸子君
                本岡 昭次君
                白浜 一良君
    委 員
                石川  弘君
                大島 慶久君
                大浜 方栄君
                斎藤栄三郎君
                中村 太郎君
                藤井 孝男君
                藤田 雄山君
                赤桐  操君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                角田 義一君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                池田  治君
                三治 重信君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
   政府委員
       大蔵政務次官   青木 幹雄君
       大蔵大臣官房会
       計課長      志田 康雄君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     日高 壮平君
       大蔵大臣官房審
       議官       石坂 匡身君
       大蔵大臣官房審
       議官       薄井 信明君
       大蔵大臣官房審
       議官       西村 吉正君
       大蔵省主計局次
       長        田波 耕治君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省理財局た
       ばこ塩事業審議
       官        谷川 憲三君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省銀行局保
       険部長      鏡味 徳房君
       大蔵省国際金融
       局長       江沢 雄一君
       国税庁次長    冨沢  宏君
       国税庁長官官房
       国税審議官    浅見 敏彦君
       国税庁課税部長  坂本 導聰君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        下村 純典君
   説明員
       国土庁土地局地
       価調査課長    木村 誠之君
       法務省民事局参
       事官       吉戒 修一君
   参考人
       国民金融公庫総
       裁        吉野 良彦君
       日本開発銀行総
       裁        高橋  元君
       日本輸出入銀行
       総裁       山口 光秀君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及
 び日本輸出入銀行)
○公認会計士法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
    ―――――――――――――
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 去る三月二十五日、予算委員会から、本日一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査の委嘱がありましたので、本件を議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(竹山裕君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日、参考人として国民金融公庫総裁吉野良彦君、日本開発銀行総裁高橋元君及び日本輸出入銀行総裁山口光秀君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(竹山裕君) それでは、委嘱されました予算について大蔵大臣から説明を聴取いたします。羽田大蔵大臣。
○国務大臣(羽田孜君) 平成四年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関收入支出予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は七十二兆二千百八十億一千百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は六十二兆五千四十億円、雑収入は二兆二千百十四億九千二百万円、公債金は七兆二千八百億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は十八兆二千二十六億三百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは二千百六十六億四千七百万円、国債費は十六兆四千四百七十三億二千万円、政府出資は三千四百七億円、予備費は三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも三百十三億六千二百万円となっております。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
 国民金融公庫におきましては、収入五千百三十五億八千百万円、支出五千四百五十四億九千三百万円、差し引き三百十九億一千二百万円の支出超過となっております。
 このほか、日本開発銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○委員長(竹山裕君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 なお、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○本岡昭次君 本日は平成四年度予算の委嘱審査ということで大蔵委員会が開かれました。今、大臣の方から簡単な説明がございましたが、ことしの租税及び印紙収入が六十二兆五千四十億円ということであり、そしてまた消費税についても四兆九千六百八十億円を計上したというふうなことも述べられております。
 それで、私は所得税の減税問題と消費税是正の問題について、与えられた時間、大臣と若干議論をしてみたいと思っております。
 そこで、まず所得税減税についてお伺いをいたします。
 所得税減税の問題を考えてみますと、昭和三十年代、四十年代、大変古く、昔のことで恐縮でございますが、このあたりをずっと調べてみますと、例外の年、つまり昭和三十年代は昭和三十三年と三十五年度、四十年代は四十七年度のみを除いてほぼ毎年のように減税が行われてきております。それぞれ、その時代時代の経済の状況あるいは税制をめぐる状況等があったと思います。
 当時、どうしてこう毎年減税を行っていたのかということについて、予備知識的に大蔵省の方から、まず大臣の方からお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) これはまさに一般論でございますけれども、御指摘のございましたように、昭和三十年、四十年代にはほぼ毎年所得減税が行われておったということは事実であろうと思っております。
 これは、当時の我が国経済というのは年平均の成長率というものが一五%という大変高度成長というものを遂げておったということがまず挙げられます。それから、税収につきましてはほとんど毎年経済成長率をかなり上回る率の増加が見られまして、相当の額に達していたということが第二の問題であろうと思います。その当時の財政というものは特例公債、こういったものにまだ依存する必要のない状況であったろうということで、こういうものを背景にいたしまして毎年減税というものが三十年代、四十年代というのは行われておったということを申し上げることができると思います。
○本岡昭次君 今、大臣のおっしゃったような背景の中で減税がほぼ毎年のように行われたと思うんですね。
 それで、続いて昭和五十年代から現在までの十七年間を見てみますと、今度は逆に減税が行われたのは五十年、五十二年、五十九年、六十二、六十三年度というふうに減少していきます。これは先ほど大臣がおっしゃったように、経済成長率の鈍化の問題であるとか、名目所得というものが増大することがなかったというふうなことになってくるのではないかと思いますが、しかし、別の面から考えてみますと、かなりおもしろい問題が出てきます。
 要するに、税負担率として、それでは昭和三十年代から今日まで一体どうなったかという変化を考えてみますと、特に対国民所得比による税負担率の変化を考えてみるとどういうことになるかということであります。つまり、昭和三十年、四十年代は税負担率が一七%から一八、一九、一番高いところで二一%というふうに上がるんですが、最終的には一八%台に落ちついているわけなんですね。そして、最終的には、昭和三十年代の初めの一八・九%に対して、昭和四十九年の二丁三%というふうになります。途中で一七%台といって対国民所得比による税負担率が下がっていくという状況のところもあります。
 ところが、昭和五十年代以降は、昭和五十年の一八・三%をスタートに、これは下がることもなく横ばいすることもなく上昇の一途をずっとたどってきて、平成二年では二八・三%と一〇%も上昇するということになってきているんですね。この経過から、減税の有無、あっなかなかったかということが、税負担率を上昇させるのか、下降させるのか、横ばいになるのかということに深くかかわってきているということがはっきりとここにあらわれていると思います。
 そして、結局そのことは、先ほども税の大幅な増加を抑えるという意味で減税が昭和三十年代、四十年代行われた。そうしたら、現在はそういう減税をする必要のないような状態なのかどうかというと、先ほど言いましたように、昭和五十年の一八・三%から平成二年では二八・三%とずっと上昇をしてきているというこの状態。この最近の所得税の税負担の上昇、これを一体それではどう認識すればいいのか、この点について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 確かに租税負担率につきましては、御指摘がございましたように、五十年度にはおよそ一八・三%であったというものが、平成四年度これは二六・四%と上昇していることは事実であります。
 租税負担を含めました国民負担のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏の関係をなすものであろうと思っております。それはまさに、受益と負担のバランスを眺めつつそのときどきの情勢下で国民的な選択が行われるべきであろうというふうに思います。
 政府といたしましては、歳出面におきまして歳出のあり方を常に見直すと同時に、制度改革の推進と相まってその規模の伸びを極力抑制するとともに、税制面におきましては昭和五十一年度以降、税負担の公平確保の観点から租税特別措置の整理ですとかあるいは合理化を図ってきたところでございまして、近年におきましても、公平、中立、簡素の基本的な理念というものを含めましてネットで二兆六千億円の減税となる抜本的な税制改革というものを行ったところでございます。
 今後、高齢化社会の進展に伴いまして国民負担率というのは長期的にはある程度上昇するものというふうに考えられております。ここでこうやってざっと見ておりましても、社会保険も含めましたもので三八・二%になっておるわけでありますけれども、これが昭和五十年ごろには二五・八だったということ。ということになりますと、国民が生活するその場というもの、より高いものをやっぱり求めるということになりましょうし、また社会保障の点につきましても、老後というものを安心して生活するためにということでさらに内容というものは実は充実されてきておるということであろうと思っております。
 こういったものを考えたときに、我々としては、将来一体どこまでどうなるのかということを見きわめながらひとつ方向を出していかなければいけない。高福祉であったり、あるいは住みよいところであっても、大変高い税負担ですとかあるいは国民負担というものが多くなったんでは、これもまたどうであろうかということであろうと思っております。
 ただ、現在のところは、欧米の先進各国に比べますと、日本の税の負担、あるいは社会保障も含めたところのいわゆる国民負担全体からいきましても、日本は割合とまだ低いところにあろうということを申し上げることができると思っております。
○本岡昭次君 今、大臣が国民所得に対する租税負担率の今後の問題にも言及されました。伸びを極力抑えることが必要であろうとおっしゃる。もう一方である程度上昇せざるを得ないだろうと、相矛盾するようなことに今お話がありました。これは非常に難しいところだと思うんです。租税負担率が何%であればいいかとかというふうな絶対的なものはなくて、これはやはり税がどういうふうに公正に負担がされ、そして税そのものがいかに国民の生活そのものを支えることに役立っているかという合意というふうなものの中で適正なものが生まれてくると思うんです。
 私、昭和三十年代からずっと数字を挙げて申し上げてきました。そして現在二六%とか二八%とかいうふうな状況になってきているんですが、伸びを極力抑えるということである程度上昇するというこの言葉の中で、どの程度であれば大臣は適正であるというふうに今の時点でお考えかという点をもしお述べになることができればちょっとお聞かせ願いたい、こう思うんです。
○国務大臣(羽田孜君) 今後、高齢化社会、これの進展に伴いまして国民の負担率というものは長期的にはある程度上昇するものと考えられております。私どもお聞きしておりますと、高齢化のピーク時、これは二〇二〇年ごろになるだろうということが言われておりますけれども、このときにおきましても五〇%を下回ることを目標とする、これは第二次行革審の最終答申の目標でありまして、これは容易ならざる課題であろうと思っておりますけれども、私どもは、こういった行革審の答申ですとかあるいは財政審の報告、こういう趣旨を踏まえながら、上昇というものを極力抑制すべく最大限の努力を払っていく必要があろうと思っております。
 御案内のとおり、今申し上げた欧米諸国におきましては五〇%をはるかに超えている国なんというのもあるわけでありますけれども、高齢化社会という新しい時代を迎えるということになるとどうしても負担は大きくなるわけでありますけれども、それでもなおかつ私たちは五〇%以下にそれを抑えていかなければいけないんじゃないのかということを一つの目標にしておるということを申し上げたいと思います。
○本岡昭次君 もう少し今の問題議論してみたいんですが、また時間があればさせていただきます。
 そこで、昭和三十年代、四十年代の減税というのは、統計的に今申し上げましたように、国民所得に対しての租税負担率を引き上げていく、上昇させていくということに対して、これを非常に抑えていくという、税負担を軽減するという役割を果たしたことはこれは紛れもない事実であります。これは大臣も否定なされないだろうと思うんです。
 そこで、この時代の減税は一体どういう減税であったのかということをその当時の書物等を読んでみますと、物価調整減税と、こう言われる性格のものであったというようであります。ところが最近、さきの消費税導入を含む大型の税制改革で、かなり所得税減税というものが税の制度そのものを改革することによって行われた。それは、消費税が導入されたことによって一体本当に減税になったのかどうかという議論も一方にあります。低所得層は逆に消費税の負担の方が所得税の減税を上回るということになって逆進性が強まったという事実も一方にありますが、しかし制度としては減税であったことには間違いありません。
 しかし、それから三年が経過をしておりまして、その間物価は安定しているといいながらも、約六・五%程度ですかやはりこの三年間上昇をしてきております。そこで、非常にインフレ的な物価上昇があるからどうのこうのということではなくて、物価安定という状態であっても、二年、三年、四年、五年と経過すれば一定の物価上昇の累積というものが出てくるわけで、そういう問題に対して絶えず物価の上昇を税の面で調整をして実質増税にならないようにしていくという意味を持つ物価調整減税、こうしたものの検討は絶えず必要ではないかと私は思っているんです。
 大臣は物価調整減税というものをどういうふうに認識されておられるのかお伺いをしたい。
○政府委員(石坂匡身君) 最後にお尋ねの基本的な方針は大臣からお答えいただくべきお話であろうと存じますけれども、前段の方でございました三十年代、四十年代、るる数字を挙げて委員から御指摘ございました。若干それにつきまして答弁の補足をさせていただくところから始めさせていただきたいと存じます。
 委員が御指摘なさいましたように、三十年代並びに四十年代、確かに数多くの所得減税が行われております。そのゆえんのものは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、一つは名目成長率の伸びが大体この期間を通じて一五%以上、それぐらいの大きな伸びであった。といいますことは、その裏側にはCPIの上昇率というものがかなりあったということでございます。
 これは、統計的に見ますと三十年代の前半は落ちついておりましたけれども、三十年代の後半以降はやはり五、六%、それから四十年代の後半になりますと、例の石油の関係がございましたものですから、一〇%とか二〇%強の物価の上昇がございました。そうした結果、結局所得税の税収がもし減税が行われなかったといたしますと毎年大変な勢いで伸びるというふうな状況にあったわけでございます。当時の資料でいろいろ残っておるものを見てまいりますと、それは三〇%とか甚だしいときは四〇%ぐらいほっておけば所得税収がふえてしまうというふうな情勢が当時ございました。そうしたことを踏まえまして、三十年代、四十年代の減税がかなり頻繁に行われてきたという事情がございます。
 もう一つ、減税を行います場合に、当然今の所得税体系とそのときの所得税体系はある程度相違がございます。それが現在の所得税体系にだんだん直されていったというふうな経過をたどっておるわけでございます。
 簡単に申し上げてみますと、一つは税率構造の問題があろうかと思います。この税率構造は、御指摘になりました昭和三十年のころを見てみますと、一五%から六五%という税率でございました。一五%の税率がかかる課税所得階級というのは二万円までかかっておったわけでございます。つまり、かなり所得の低い方でも一五%というふうな税率で所得税がかかっていたということでございまして、それが昭和三十年代に入りまして、累次の税制改正の中で税率にも何回か触れております。
 例えば、昭和三十二年の改正でございますと、この一五%の税率を一〇%に引き下げまして、それから一〇%が適用される所得を五万円までというふうに引き上げております。また、その後昭和三十七年あるいは四十年代に入りましてからも何回か改正がございまして、この五万円が累次引き上げられていったわけでございます。昭和四十年代の最後になります昭和四十九年に大きな減税が行われておりますけれども、このときには一〇%の税率で、六十万円まで一〇%の税率が適用される。
 そして、このときにはいわば刻み、税率の刻みでございますけれども、これが十九ございました。これが御案内のように昨今の税制改革におきまして十九が五段階ということになりますと同時に、六十万円でありましたものが三百万円というふうに税率構造が大幅にフラット化し、緩和されるというふうな改正が行われたわけでございます。
 それから、もう一つ大きな要素といたしまして人的控除の問題がございます。これも委員が御指摘の昭和三十年にさかのぼってみますと、このころは基礎控除が七万五千円でございました。それからそのほかの配偶者控除とか扶養控除とかいうのが現在ございますけれども、配偶者控除というものは存在いたしませんでした。そして、この扶養控除というものが配偶者についてもございまして、これは全体、配偶者もくるめまして扶養控除という名前で、一人目の扶養控除が四万円、二人目、三人目が二万五千円、四人目以下が一万五千円ということでございまして、この控除額が基礎控除とばかとが数字のバランスが違っております
し、かなり控除額が低い水準にあったわけでございます。
 これをその後三十年代から四十年代にかけまして、例えば昭和三十六年には配偶者控除を新しく設けております。それからその後の改正におきましても、配偶者控除や扶養控除を引き上げるというふうなことをやってまいりまして、結局、先ほど境目で御指摘になりました昭和五十年、このときには基礎控除が二十六万円、それから配偶者控除、扶養控除というものも二十六万円ということで全部そろうということになったわけでございます。こうしたことを昨今の税制改革におきましては全部そろえて三十五万円ということに引き上げるというふうな税制改革を行ったところでございます。
 また、それに……
○本岡昭次君 いや、もうわかりました。そこまでようわかった。あともうちょっと時間をください。あなたのおっしゃりたいことはようわかっている。
○政府委員(石坂匡身君) そういうことでございまして、累次やってまいったわけでございます。
 物価調整、先ほど先生御指摘になりましたのは、恐らく物価がある程度上がれば減税をすべきではないかという御指摘であったと存じますけれども、これは基本的な問題でございますので、大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今お答えがありましたように、我が国の所得税というのは、主要な諸国と比較いたしましても、課税の最低限が非常に高くなりましたし、また最低税率が比較的低いということから、納税者の大半を占める中所得者層、これの所得税の負担というものが相当低い水準にあろうと思っております。
 例の課税最低限三百二十万、アメリカですと二百五万、イギリス百十五万、ドイツ百八十六万ということでありますし、最低税率は一〇%、またアメリカが一五%、イギリスが二五%、ドイツ一九%ということでありますし、所得税、住民税の負担も日本が二十一万に対してアメリカ六十一万、イギリス九十六万、ドイツ六十一万ということで、大変低い水準に日本はあろうということが言われております。
 また、物価、ここのところのあれは名目の可処分所得というものがいわゆる実質では前年比どうなんだということもやっぱり考えなきゃいかぬと思いますけれども、これも大体元年も一・五%とかあるいは二年も一・四%、三年も一・九%というようなことでございまして、いわゆる物価が安定しておったということと、所得というものももう着実に、そんな大きな急激なものじゃございませんでしたけれども、しかし相当高いレベルのものにあったということであって、私どもといたしましては、そういった点からも減税というのは今する必要というのはないんじゃなかろうかということ。
 もう一つは、今度法人税にしましても特別税という形で、あるいは自動車につきましても四・五%ということでありますけれども消費税をお願い申し上げておる。これは必要最小限のものとしてお願いしたというような事情から、今所得減税というものを行うのは、また物価調整減税という形でも行うのはちょっと難しいんではなかろうかということを申し上げざるを得ないということであります。
○本岡昭次君 そこはちょっと意見が異なるんですが、まず大臣のお考えとして承っておきます。
 先ほど説明がありました昭和三十年代、四十年代における減税がなぜ行われたかということと、今日の状況の税の構造上の違いという説明、私はそれはそこのところは十分理解しております。要するに、税率の刻みというものを幾度か改定されて今日のように非常にフラットな状態に持ってこられたわけで、そのことによって刻みを一つ一つ段階を上っていく段階における増税というものは当然なくなりました。また、各種の控除を新設されたり、あるいはある程度いわば限界いっぱいのところまで控除を引き上げておられるということも理解できます。
 だから私は申し上げているわけで、これ以上税のフラット化ということになるとあと二段階か三段階かというようなことになってきますし、私はフラット化ももうこれ以上やりますと、累進性というもの、所得再配分という税の持つ機能とか、いろいろな意味においても好ましくない。今でもフラット化し過ぎている部分があるという批判を私個人としては持っているところですから、これ以上のフラット化というのは困難である。
 税の控除の問題も、それではさらに新しいものをつくって、あるいはまたそれぞれのものを三十五万を四十五万にするとか六十五万を七十五万にするとかというふうな部分的なものをそれぞれの要請に応じて、また政策上改善をするというふうなことはあるにしても、ほぼそうした問題は出尽くしたんではないかというふうに思っているんですよ、構造的な仕組みの上における改善、改革というのは。
 とすれば、あとインデクセーションというんですか、各種の控除額あるいはまた税率の適用所得区分というふうなものを物価とスライドさせて、適時一定の物価上昇に見合って、自動的ということは難しいにしても、ある程度そういうものが常時勘案されながら減税が行われていく。政策減税というふうなものだけじゃなくて物価上昇というものを絶えずにらみながら、それに向かって、上昇していく名目所得、それに伴う実質増税というふうなものを抑えて可処分所得を増大させて一般庶民の勤労者、サラリーマンの消費構造を拡大していくというものを制度の上でつくる、そういうことを考えていく段階に入っているんではないかというふうに思いますので、そうした面について今後検討されてはいかがかというふうに私個人は思いますので、ちょっと御見解を賜ればと思います。
○国務大臣(羽田孜君) インデクセーション、いわゆる物価調整減税という、これを導入することにつきましては、いわゆる所得税の控除や税率につきましての物価調整減税というものの導入ということでありますと、インフレによって同様の影響を受ける他の分野、例えば所得税あるいは法人税における減価償却費ですとか、あるいはキャピタルゲイン及び債務者の利益ですとか、また酒税のように従量税の仕組みをとっている税目等、そういったものにつきましても物価調整制度を導入しなければ税体系全体のバランスを損なってしまうという問題があろうかと思います。
 また、この導入というものは税制の持ついわゆる景気調整機能、税がふえるということによりましてインフレというものを抑えていくといういわゆるビルトインスタビライザーというようなこういった機能というものを阻害してしまうおそれがあるということと、インフレを前提とした経済社会構造というものをもたらしてしまうということがあろうと思っております。
 また、歳出は物価上昇によりまして増加する面がございまして、歳入において物価調整の減税制度というものを導入いたしますと、財政収支のギャップというものが拡大して、財政体質というものはさらに悪化してしまうんではないかというおそれがあるであろうと思っております。
 したがいまして、税制調査会の答申にも述べられておりますように、物価調整減税というものを導入することについてはやっぱり慎重であるべきであろうということで、所得課税の負担については社会経済情勢の推移、こういったものを見守りながら適宜見直しておくことが必要であろうというふうに言われておりまして、私どもといたしましても、そういった対応というものをしていかなければいけないんじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。
○本岡昭次君 税制という問題は絶えずこれは改善し改革し、そしてさまざまな新しい制度を導入していくことによって、公平を維持したりあるいは財政支出を支えていく収入を得ていかなければならないわけですから、いろいろな考え方があっていいと思います。私どもは、物価調整減税というものを一つの制度的なものとしてインデクセーションを所得税制に導入を積極的に検討してみてはどうかという点を再度私の意見として申し上げておきたいと思います。
 そこで、減税という問題をもう一つ別の面で議論をしてみたいと思います。
 富澤総理は、ことしの景気の問題に関係して衆議院の予算委員会で次のように発言をしておられます。これは詳細に読んでみますと、別に春季生活改善闘争の中の賃上げがどうかという質問でないにもかかわらず、宮澤総理がそこに触れて答弁をなさっているというような状態になっております。
 つまり、春の賃上げの水準が昨年を大幅に、あるいはまた大変に下回るようなことを予測していないので、消費はますます堅調であります、堅調であるであろうと。こう述べておられるんですね。それは質問者が春の賃上げ闘争の中でどれだけの賃上げをとることが景気と関係するかという質問であればいいんですけれども、別にそういう質問、景気の問題を質問したときに非常に宮澤総理は労使の賃上げという問題を意識されて、それを政府が介入することはおかしいと。当たつ前なんですが、しかし私は賃上げの水準が昨年を大変下回るというようなことは期待していない、逆に言えば昨年に近いところで賃上げ交渉が妥結することを望んでいるというふうにとられるような発言をした。
 そのことを新聞が書いた。慌てて経済界、労使の使の方が首相のところへひざ詰め談判に、何ということをおっしゃるんだとやられたというようなことが新聞に出ております。事実あったんだと思います。
 そこで、そこまで政府が春の賃上げに期待をした。すなわち、それは消費を支えていくに至る賃上げがあってほしいと。こういう願望。そして、そのことはある意味では宮澤総理の頭、これは政府と言ってもいいと思うんですが、景気対策の柱、景気が下降していく状況を何とかして歯どめしたい、そして景気をさらに持続的に上向かせていきたいということについての重要な柱として賃上げというものを考えておられたということでないかと思います。
 しかし、まだ、最終的に賃上げ全体の集計はできておりません。だけれども、大手の三月末の状況を見ると、昨年の賃金引き上げの平均値で一%を下回るような状況になってくるんではないかというふうな予測がされる現状にあります。
 このときに、政府はそこまで賃上げに期待をされ、消費拡大というものの重要性を認識されるなら、それでは今度は政府の責任において、賃上げはこれは労使の問題であります。そこで精いっぱいやったけれども四%台というところに落ちついて、昨年は五・七ですか、約一%程度下がった。さあその問題が一体消費拡大にどう影響するのかというときに、政府として今度は打つ手は、これは消費拡大というものを政策的に考えていく減税という問題が当然これは浮かんでこなければならないわけで、それがない中で総理がああした発言をするというのはちょっと不見識ではないかと私は思うんですね。
 やはり他人任せでなくて、政府としてやれることが一方あるわけですから、労使が精いっぱい頑張ってそこまでという答えが出れば、あとは政府として次の手を打つべきではないか、それは所得税減税ではないかというふうに私は端的に考えるんですが、総理ではございませんのでお答えにくいかもしれませんが、大蔵大臣としてこの種の問題をどうお考えか、ひとつ納得のできるように答弁いただきたい。
○国務大臣(羽田孜君) その前に、前段御議論のありました問題等につきましては、やはり税というものは公平であるということ、あるいはどういうものを国民が求め、またそれに対して国民がどう負担していくのかという問題がございましょう。そういった問題につきまして、私どももせっかくこれからも常にやっぱり検討を怠らないようにしていきたいということだけは申し上げておきたいと思います。
 また、今の首相からのお話の点でございますけれども、確かにあのときの議論というのは、景気というものに対して一体どういう対策があるのかね、例えば公定歩合の問題ですとかあるいは財政出動の問題ですとかいろんな角度から実は議論がされたわけでありますけれども、総理としては、ことしの春闘というものについてもある程度の幅というものが期待できるんじゃなかろうかというようなお話があったことを私どもも記憶をいたしております。
 実際に、今これ全部がまだ終わったわけじゃありませんけれども、日経連の一応調べでも昨年が五・六〇ぐらいをあれしておったものが四・八九ということで、一%も落ちておりませんけれども多少落ちておるということは言えるんじゃなかろうかというふうに思っております。
 ただ、先ほど来局長の方からも御答弁申し上げておりますように、日本の税の体系というものが簡素化されたということ、それからいろんな控除というものがなされてきたということ、また人的な控除なんというものもなされてきたということもございまして、実際に中堅所得層、高い層は決してよその国と比較しましても要するに日本は低いわけじゃございませんけれども、いわゆる中堅所得層、中低所得層、こういった皆様方を中心とした重税感あるいは負担累増感というものは、これは大幅に緩和されたというふうに考えておるところでございますし、また今日の財政事情からいきましても、私どもといたしましては、なかなか財政が厳しいというところから、今の御説はあれでございますけれども、なかなかここで今減税をするという環境にないということはさらに申し上げなければいけないと思っております。
 また、全体の消費につきましても、確かにぜいたく品を買うというようなところはここのところ落ち込んでおるということがありますけれども、しかし、やっぱり全体的に国民の消費傾向といいますかそういったものは底がたいものがあるであろうというふうに思っております。また、これはこれだからいいだろうということではありませんけれども、国民のいわゆる金融資産というものも割合と高いレベルにあるというのが現状であろうと思っておりまして、今減税するということになりますと、さあ減税の原資は一体どこに求めるのかねというような話になってまいりまして、私は非常に難しい状況にあろうということを率直に申し上げたいと存じます。
○本岡昭次君 おっしゃるとおり、減税といっても一体その財源はどこから持ってくるのかとか、実際それを行うについては困難があると思います。
 しかし、政府は今日の状況を緊急経済対策を出して、そして景気の浮揚を図っていかなきゃいかぬ、このまま放置しておけばこれは大変なことになるぞ、日本経済が失速してしまうかもしれないという危機感の中で、予算審議中にもかかわらずあのような本年度の予算にかかわるような中身までも言及された経済緊急対策を出されたんでしょう。だけれども、今大蔵大臣は、消費も底がだいじ、さほど心配するような状態ではないんではないかというようなことを前提にされながら、減税の問題もそれほど緊急的に今でなければならぬということないでしょうというお話です。
 だから、そこのところに、私は思うんです、緊急経済対策を打ち出さなければならぬ今日の状況ですから、かなり思い切ったことをやらなければこれはいけないわけで、だからその中に、今の予算と関係することであれば、七五%ですか、公共事業を中心にして前倒しすると、こういうことが言われておるわけです。前倒しというのは下半期のものを持ってくるということでしょうから、そうすると、下半期に穴があいたらそのときはどうかと。上半期に景気を浮揚したら補っていけるのかといったら、そうじゃないだろう。そのときは、既にいろいろあちこちでささやかれているように補正予算を組まなきゃいかぬのじゃないか、かなり大型な補正予算が必要ではないかということが議論されている。私どもが見ても、当然そこのところに追い込まれていくであろう、こう思います。問題はそういう状態なんですね。
 そして、過去ずっと例を見てみると、昭和四十年代のイザナギ景気というのがございましたが、イザナギ景気が終わって景気が低迷期に入っていく昭和四十六年ですか、そのときにもやはり景気を浮揚させるんだということで減税を行っております、年度に。その途中にもまた二度にわたって年度当初と同じ額の減税をまた景気浮揚のためということで二段ロケット的に減税を打ち出してきている、こういうことが見られます。要するに、景気の立ち直りのためということで行われている。
 また、前回の大型景気がどう始まったかということを考えてみますと、このときも昭和六十二年に緊急経済対策というものが出されて、そのときに一兆円規模の減税というものがどんと打ち出されて、そして下降していると言われていた景気をそれまでの景気に浮揚を図っていって長期の大型景気をつくり上げていったというふうな過去に事例があります。
 結局、こういうことを考えてみると、租税政策の重要な役割の一つにやっぱり景気浮揚というものがあるんではないか、その重要な役割の一つではないかということを私たちが認識せざるを得ぬと思います。だから、また別の表現をすれば、景気の立ち直りのために所得税減税は最も効果があるんだというふうに言っても言い過ぎではないというふうにも言えると思うんです。
 とすれば、なぜ今度の緊急経済対策の中に減税というものがなかったのだということになってきますし、今大蔵大臣が繰り返し減税はできない、できない、する必要はないと、こうおっしゃっておりますけれども、しかしそういうことでいいのか。秋に補正予算というふうなものがささやかれ、やっぱりそうなるであろうと認識される今日の状況にあって、今後所得税のかなり大幅な減税という問題を、やりますという、それこそ前倒し的な意味においてそういう発表をするとか、そういうことの検討を開始するとかいうふうなことが景気浮揚に対して非常に効果をもたらすんではないかということを経験的に私のような者でも思うんです。
 そういうことで、大蔵大臣、いかがでございましょうか。やはりここで景気浮揚と所得税減税の関係、大臣のお考えを聞かせておいていただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今度の景気というものについてのまず判断というものがあると思います。このところ、政府それぞれのところから皆様に提出されております全体の景気の判断というもの、これは確かに減速感が広がっておるということが実は言われております。
 ただ、やはり私たちここで考えなければいけないことは、今度の景気の減速というものが起こってきたその要因というのが、この数年間続いたバブルと言われる中にありまして、設備投資についても二けた台の大きな伸びであったということ、あるいは住宅の建設等につきましても、例えばアメリカは、日本の二十五倍、そして二・数倍の国民に対して百二十数万戸とか亘二十万戸とか言われておる。それが当時は百七十数万戸なんというのが日本で建てられ、また今日でも、下降したといってもまた百三十六、七万戸ぐらいに伸びていくであろうということなんかも言われておるということ、あるいは自動車なんかにしても、七百数十万台なんというものが売れたわけですね。これが今五百数十万台ということでありますけれども、これも、七百何十万台売れておりますとそれが今度また新しい車に切りかえるためにはやっぱり調整の期間というものが必要であろうということで、今のこの局面というのはまさに避けて通れない調整局面であろうということだと思うんです。
 ですから、そういったものに対して対応をするのは一体何があるのかということなんですけれども、しかし、このまま放置しておきますと、調整局面というのはそのままずっとずれ込んでいってしまうおそれがあるということで、今度は公共事業等を中心にいたしまして、特に地方単独事業なんというのは一一・数%という高い伸びを示すとか、あるいは公共事業自体もかつて六十一年、六十二年のころはマイナスの公共事業だったはずです。二・数%のマイナスだったものが今じゃ五%を超えるという一般歳出においても高い実は伸びを示しておるということでございまして、そういった時点もやっぱり相当違うんじゃないのかな。
 それから、当時はちまたにも最高の失業率というものがあったわけですけれども、失業者があふれておったわけですけれども、今では、ちょっと下がったというものの、有効求人倍率もまだ一・二五というようなことで割合と高いところにあるという、そういう中における景気の調整の局面であろうと思っております。
 ですから、そういう中で、今申し上げたようなことを財政面ではやると同時に、公定歩合も四次にわたって大変大幅なものが引き下げられておるという現況でありまして、これをさらに何か刺激するということが本当にいいんだろうかということもやっぱり私たちは考えていかなければいけないことであろうというふうに考えておるわけでありまして、まさに現在というものは労働力が逼迫の中におりまして、調整過程にあるんだということを私たちはしっかりとやっぱり頭に置いておかなければいけないのではなかろうかと思っております。
 そして、しかしそういう中にあっても、このまま減速感が広がっていってしまったらどうにもならないよということで、この間緊急対策というものを、まだ予算のまさに御審議をいただいておるさなかでありましたけれども、各委員の皆様方からもいろいろと御指摘があり、また与党の方からも強い指摘もありまして、私どもは緊急対策をやったということであります。
 この緊急対策の例の七五%というのも、当時のやった量に比べまして圧倒的に大きなものであるわけですね。ということになりますと、これを進める、しかも公定歩合が下がってくる、住宅も少しずつ伸びてくる、しかも時短をやりましょう、また人も少し不足しておるということで、企業家の中にも省力化あるいは時短に対するための設備投資をやろうという意欲も実はあるということでありますし、また、この緊急対策によって一つの刺激を与えたいわゆる住宅の建設というものをまたやりましょうという意欲というものが相当強いものがあるというものを考え、そこに加えてもろもろの施策を進めたというごとでありますから、そういったものにインセンティブを与えるような施策を進めたということでありますから、私は、これは上期にこういったことをやることによりまして、相当な施策の効果というものの発現というものがあってくるんじゃなかろうかなというふうに思っておりまして、そういう中からインフレのない、しかも持続可能な成長というものを確保することができるんであろうと思っております。
 そういう過程の中にあって、むしろ一体財源をどこに求めるのかという中で、減税をやるとか、さらに大きなものを今この時点で考えるということについては、私はやっぱり行き過ぎてしまうんじゃなかろうかなというふうに思っております。ただし、私どもは、景気というものは生き物でありますから、こういったものがどう動いていくのかということについては一毎日毎日よくチェックしながら、これが何というんですか、変な方向に行ってしまわないようには常に注意し、これが適切な対応というものをしていかなければいけないであろうというふうに考えております。
○本岡昭次君 減税問題でかなり議論をしてまいりました。税制が公平なものであって、そして所得の再配分機能を発揮していく、あるいはまた、租税負担率というふうな問題も勘案しながら、特に勤労サラリーマンの源泉されている所得税関係、そうしたところに対してどういう配慮が絶えずなされていくかというふうな問題、これは税を通して国民大衆の政治に対する信頼をつくり上げていく大もとであろうと私は思いますので、そういう意味で、この所得税減税の問題を景気浮揚対策を必要とする今日の時点にセットしていろいろと議論をさせていただいたと、こういうことでございますので、政府の方も絶えずそうしたことを念頭に置きながら所得税減税の問題をやはり税制の中の重要な施策として今後もいろいろと検討をしていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 それで、この減税問題の最後に、衆議院の予算委員会に野党四党が予算修正共同要求として出された中にバート減税というのがございます。前も私ここでパート減税問題をお尋ねを簡単にしましたが、なぜこれが受け入れられなかったのかということと、何か今は難しいけれども将来こういうことについて検討するという含みが残されているというふうなことも聞くんですが、そうしたことについて若干大臣のお考えを聞かせていただければと思います。
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、もう何回も御議論申し上げたところでございますけれども、今までパート所得者につきまして一番大きな問題というのは、一定の限度を超えると夫婦の合わせた世帯の手取りというものが減ってしまうといういわゆる逆転現象、これが実は議論されておったところで、皆様の御指摘等を踏まえまして、そういったものの最低限を上げるというようなことをやることによりまして、特別控除なんかを設けたということによりまして、いわゆるこの問題は解消したということでございます。
 しかし、なおかつというお話があったんですけれども、ただ、これを進めますと、同じ世帯収入の片稼ぎの世帯といわゆる共稼ぎの世帯と比べましても負担か軽くなっているというのが現状でございまして、税制面においては私どもとしては最大限の配慮を申し上げたということが言えるんじゃなかろうかというふうに考えております。
 ただ問題は、御議論がございました中にありまして、いわゆる一定限度を超えますと扶養手当が御主人の方から出なくなってしまうとか、あるいは健康保険というもの、社会保険等についてみずからが負担しなければならないというような問題があるということですとか、あるいは例の三十五万と六十五万で百万円にしたということについて、これが案外一般の中に周知されておらないというような実はお話もあるということでございまして、これは積極的に広報に努めようということで、私どもは各関係省庁の協力もいただきながら対応をしていこうというふうに考えております。
 ただ、これにつきまして各党の方からも、四党から共同修正の要求の中にこの問題が含まれておったということでございまして、私どもといたしましては、この問題についていろんな角度からそれぞれが検討していく必要があろうということで、これらについて、税というだけの面しゃないいろんな角度から勉強してみようということで、せっかくそれぞれのところで勉強をさせていただいておるということであります。
 ただ、税について申し上げますと、今までやった措置というものが最大限のものであって、これはあんまり進めますと、あんまり進めますといいますかこれ以上進めますと、いわゆる税負担という公平の面から非常に大きな問題になってしまうであろうということを考えたときに、税制の面からお答えするということはなかなかこれ難しいんだということを率直に申し上げておきたいというふうに存じます。
○本岡昭次君 時間がありませんので、それはその程度で聞かしておいていただいて、また後日ということにさせていただきます。
 最後に、消費税の問題を伺います。
 消費税についても、野党の共同要求の中に、「付記」としてでありますけれどもこの消費税の是正を求めております。これは飲食料品の非課税化などを含む是正をということで抽象的にしか書かれていませんが、要するにそういうものが出ております。
 そこで、一つお尋ねいたします。
 一九九〇年の百十八国会に政府案として提出された消費税見直し法案、これは廃案になりました。そこで、その見直し法案提出の趣旨のポイントというふうなものを見てみますと、次のようなことが書いてあります。消費者の間には消費税の持つ所得に対する逆進性やその仕組みについてなお不満が存在している。そのために見直しを行うと、こう書いてある。そして、政府はそのときに飲食料品に対して小売段階非課税及び特別低率制度すなわち生産、卸一・五%というのを創設を提案し、そしてまたこの簡易課税制度の問題、限界控除等の内部の持っている納税者が納めた消費税が国庫に納まらない、業者のところにいわゆる益税とか言われているような形で残っていくという仕組みを是正するというようなこともそこにあったわけですね。そして、食料品に対してはこの減税を実施すれば九千八百七十億円の減税になる。そしてそれはかなり逆進性を緩和することになるということで、どういうふうに逆進性が緩和するかということをいろんな例をもって説明をなさっておられます。
 そこでお伺いしますが、逆進性の解消というふうな問題は一部の非課税化というふうなことの中で若干あるにしても、根本的には飲食料品の非課税化ということにおいて、政府もその逆進性を緩和する、それで国民の間にある不満を解消する、こういうことで提案された。しかし、それは廃案になった。廃案になったんだから仕方がないや、国会が悪いんだというふうなことで大蔵省として済ましていける性格のものかという点が私の問いただしたいところなんです。
 だとすれば、今日この消費税の持つ逆進性、弱い者いじめ、弱肉強食と、こう言われているそうした逆進性そのものが解消したという、そういう事実を私たちに実証していただいて、このようにもう既に逆進性が解消しておりますから改めてやる必要はないんですと、こうおっしゃるならば、論理的にああ、そうですかと言って私たちも納得できるんであります。
 ところが、国会でそれが廃案になったから、野党につぶされたからもう仕方がないんだということでは、やはり公平な税制というものを志向するということで重大な任務を持つ大蔵省としてはぐあいが悪いんじゃないか。やはり逆進性があると認識するならば、逆進性を是正していくことをやっていかなければならない。逆進性が是正されたから必要がないというんなら、その必要がないというところを具体的に示して私たちに納得できるようにしてもらわなきゃいかぬ、こう思うんですが、本当に逆進性は解消されたんですか、されないんですか、されていないんですか。そこのところはどうですか。
○政府委員(石坂匡身君) これは大変経緯の長い、御案内のような話でございます。確かに、私どもが、政府といたしまして百十八国会に消費税の見直し法案を提案をいたしました。これは結局御案内のように廃案ということになったわけでございます。
 そのとき、この食料品の問題につきましてはいろんな御議論をいただきました。その御意見、御批判の中には、政府の提案したものはまことに世界に例のない複雑なものである、あるいは本当に値下がりするのかどうか保証がない、消費者の立場を尊重したものとは言えないじゃないか、あるいは小売業者にとって事務負担が増大する、あるいは転嫁に不安がある、生産者や農民、漁民も転嫁に不安がある、食料品というものが果たしてきちっと仕切れるのか等々いろいろな角度から国会で御議論を賜りました。結果的には国会でお認めいただけないということになったわけでございます。これは御案内のとおりでございます。
 その逆進性の問題といいますものは、私どもは、所得と消費と資産と、こう税は三つの分野にかかっていくわけでございますけれども、この税の体系をどうバランスをとるかということが基本的には一つ。それからもう一つは、何といいましょうか、社会保障制度等の歳出を含めた財政全体の中で逆進性というものを考えていかなければならないということはその折にもるる御説明をさせていただいたというふうに記憶をしております。
 廃案になりました結果、御案内のようなことでございますけれども、与野党間でるる一年間にわたって協議が行われまして、そしてその中で、政府の提案いたしましたものの中にも含まれておりましたけれども、住宅の家賃でございますとかあるいは社会福祉事業でございますとか、かなりの部分につきましての非課税措置が追加して行われることになりました。また、同時にその簡易課税等につきまして不透明な部分という御指摘がございました部分も改善をされたわけでございます。これは議員立法で与野党御一致で御提案なされまして、そしてそういうふうなお決めをいただいたというふうに私どもも承知しております。
 私どもといたしましては、政府で提案しそして国会で御議論があり、そしてそういうふうな議員立法で一応現在の段階に至っているということでございまして、まずはこの国会でお決めいただきました法律を一生懸命執行させていただくというのが私どもの現在の置かれた立場であろうというふうに考えております。
○本岡昭次君 私が尋ねているのは、逆進性というものに対して消費者の間に不満があるから、それを解消するためにといって、これはあなた方――自民党さんが出したんじゃない。これは政府が、大蔵省が出したんでしょう、主体的にそう認識して。そして、現在逆進性というものがあるのかないのかというものは絶えずおたくらが調査をして、なければ逆進性はありませんからということでいいし、しかし依然としてその逆進性があり、そのことに対して消費者が不満を持っているとするならば、その逆進性を解消するというその政府案を出したときの立場を堅持しながら、絶えずそのことに努めてこなければ怠慢ということに私はなると、こう思うんです。
 だから、今期なおそういうことについて積極的に提案されないというその根拠は、逆進性が解消されたからされないんだろうと私は思っているわけです。だから、私たちの前にその当時この資料に出ているようにこういうふうにして逆進性がございますということをあなた方は提示されておるんでしょう。そしてこれを、飲食料品を非課税にすればこういうふうに逆進性が緩和されますということをちゃんと各生活世帯の分類に合わせて詳細な資料を出してきておられる。これが一体今日どうなっているのかという私は資料を示していただきたい。
 そして、それが解消していろんなら、それはそれの、大蔵省が今これを出さないでおられることの理屈はわかります。しかし、依然としてこの消費税による逆進性が解消されていないんなら、当然この最大の原因になっている飲食料品の非課税、文字どおり大蔵省が国会に提出された、それをやはりいろんな障害があったとしても、それの実現に向けて大蔵省は汗をかくべきではないですか。政党レベルでそれをつぶされたから、それはもう結構ですという、そんな不見識なことを私は大蔵省がとるべきでない。
 大蔵省は、税というものを公正にそして国民の信頼できるものに絶えずつくり直していくという責務を負っている、こう思います。そういう意味で、私は非常にこのことについて不満なんです。だから、逆進性が緩和されたという、そういう証拠と言うべきものをぜひとも私にお示し願い、そして私を納得させていただきたい、こう思うんです。
○政府委員(石坂匡身君) ただいまの先生のお話でございます飲食料品の取り扱いの問題といいますものは、御案内のように大変大きな議論になったわけでございまして、そして結局、与野党間でるる議論がなされまして、一たん与野党合意の法案が出ました後も引き続き協議が行われたわけでございます。しかし、やはり昨年の十月の末に至りましても、なおかつこの与野党間の御協議の中で「飲食料品の全段階非課税を行うべきであるという意見等と、それは極めて問題が多く採用し得ないとする意見があり、各党会派の意見の隔たりは大きく、その一致は見られなかった。」というふうな専門者会議の座長からの報告が与野党間の税制協議会になされているというふうに伺っております。
 この問題につきましては、そうした非常に大きな国会の場というところで議論される問題でございますので、私どもといたしましては、やはりその議論を十分踏まえさせていただくというのが私どもの置かれている立場であるというふうに考えております。
○本岡昭次君 私はそういうことを尋ねていないんですよ。大蔵省というものは税の番人でしょう。税の中で最も注意しなければならぬのは、逆進性というものが強くなれば強くなるほど、弱い、低い所得の層のところに税の負担が重くかかるということなんでしょう。全体としてそれは逆進性がどう、あるいは累進性になっているとかいうことはあるにしても、消費税そのものにあなた方自身が、法案の中にその逆進性を解消しなければならぬとあなた方が法案にうたったんでしょう、そのことは。どこかに言われてやったんですか。これは大蔵省自身が税の今日の中の問題点としてとらえたんでしょう、逆進性というものを。
 であるならば、逆進性を緩和するために最善の努力をすべきでしょう。与野党がどうのこうのという――だから私は逆に与野党の協議のことを言っているんじゃない、大蔵省として逆進性が緩和されたという資料を出してくださいと言っているんです。出しますと言っていただければ、私はわかりました、後でそれで検討させていただきます、こういうことですよ。逆進性が緩和されたと認識されているんだったら出してください。もしされていないということならば、逆進性を緩和するための手立てを積極的に講ずるべきでしょう。それほど法案というものは重みがあるものなんでしょう、趣旨説明に書かれてあるということは。
○政府委員(石坂匡身君) 所得税の逆進性の問題といいますものは、所得税法を提案いたしましたときから……
○本岡昭次君 所得税じゃない、消費税。
○政府委員(石坂匡身君) 失礼いたしました。消費税の逆進性の問題というのはずっと長いこと議論をされてきた問題でございます。私どもは、この税制改革というものを消費税だけではなくて所得税の改正と一緒に提案をさせていただいております。そして、所得税というものと消費税との中でこの逆進性の問題、さらには財政支出全体の中で、生活保護とか年金とか、そういった分野での手当てもいたしております。そうした中でこの逆進性の問題というものを全体として議論させていただいてきたところでございます。
 ただいま先生御指摘になりましたように、飲食料品に限って消費税がなくなった場合とある場合とそれがどうだというふうにおっしゃるならば、それは飲食料品についての税が軽減されればそれだけその負担が軽くなるということは、それは先生の御指摘のとおりであろうと思いますけれども、私どもの申し上げておりますのは、全体として御議論をいただきたいということを繰り返し申し上げてきたところでございます。
○本岡昭次君 いや、消費税の、百十八個会に提案されたそのときには、今あなたがおっしゃったように、全体の中の税の累進構造というものがある、あるいはまた支出の面でもそういうものを補っているいわゆる所得の再配分機能というものがあるということは、それはもう承知の上の話ですよ。その上で百十八国会には、消費税そのものに、消費者が逆進性というものに強い不満を持っているから、それを緩和したいということで出したんでしょうというんですよね。
 そんな、そういうことがあるのなら、何もこんなものを出さぬでもいいじゃないですか。なぜこんなものを出したんですか。あなたが言うように、全体として逆進性はないんだ、緩和されているんだ、うまくいっているんだというのなら、なぜこんな飲食料品の小売段階の非課税、そして途中の一・五という低税率のものを出すんですか。出すということは、はっきりとそうしなければ逆進性が緩和できないといってあなた方は出したんでしょう。
 しかし、不幸なことに国会でそれが廃案になった。それならもうそれでいいんですというふうな事柄ですかと言っておるんですよ、大蔵省の立場というのは。税の公正とか逆進性というものを緩和しなければならぬと日常不断にあなた方が努めなければならない問題でしょう、政党がどう言おうと。あなた、政党がやったことをいいことにして、正しいことも正しくないことも、税理論的な問題も全部一緒くたにしてだんまりを決め込むなんというようなことは僕は大蔵省のやることじゃないと思っているから言っているんですよ。
 だから、その意味で僕を説得させもなら、逆進性はその当時はこうでございましたけれども今日はこういうふうになっております、だから安心してくださいと、こういうふうに言ってくださいと私は言っておるんですよ。だから、それが出せるのか出せないのか。それを説得できないんなら、大蔵省は逆進性を緩和させるための消費税の飲食料品の非課税問題の検討に入るべきですよ。でなかったら終始一貫しないでしょう。
○政府委員(石坂匡身君) 百十八国会でございますか、提案させていただきましたものは、当時の状況の中で政府といたしましてぎりぎりの案としてお願いしたものであることはそのとおりでございます。私どもは、その提案をさせていただきました。しかし、その提案につきまして国会の方で大変それではいかぬという御議論がございまして廃案になりました。これもそのとおりの事実でございます。今、先生、大蔵省の、税制に対してきちっとした筋を通した考え方を持つべきだと、大変心温まる御叱責をいただきまして私ども心から感謝を申し上げる次第でございますけれども、そうしたいきさつというものがございました。
 今、先生おっしゃいましたように、じゃ、どれくらい今どうなっているんだと、こういうことでございますけれども、それは確かにこの当時から以降、昨年の十月から実施されております改革案の執行の状況もございます。そうしたものを踏まえまして今どうなっているかということは、先生のところにまた資料を出させていただきたいと思います。
○本岡昭次君 大蔵大臣、最後にひとつ、ここまで激しくやったんですから大蔵大臣、ひとつ。
○国務大臣(羽田孜君) ただいま審議官の方からるるお答えをしたとおりでございまして、そういったことを踏まえながら、十月からですか、住宅家賃あるいは社会福祉事業等の非課税追加を初めといたしまして実際にこれを実施されてきたということでございまして、私どもといたしましては、その法改正の円滑な実施というものに努めていくことが非常に大事であろうと思っております。
 そして、先ほどもお話をしたように、税の負担能力というものをはかる尺度としましては、所得だけではなくてやっぱり消費も重要な尺度であるということで、多く使えば多く支払っていただくというような尺度があろうと思っております。そして、消費税は消費に対しまして比例的な負担というものを求める税であるということ、こういったものを考えたときに、私どもは一応おこたえしたものであろうと思っております。
 いずれにいたしましても、逆進といいますか、今まで税を払っていなかった方々が消費税ということで支払うということになる、それによって家計というものが圧迫されるということに対しましては、まさに社会保障制度、こういった歳出面ですとかあるいは財政全体の中でやっぱり配慮をされていくべきものであろうというふうに私どもは考えておるということでありますけれども、今、審議官の方からお答えがありましたように、もろもろの問題についての判断の材料というものについてはまた検討して委員のもとに申し上げようということでございますので、そこらあたりでひとつお許しをいただきたいと思います。
○鈴木和美君 私は、本岡議員が減税の問題で今議論をされましたことを伺いまして、改めて大蔵大臣に景気動向について最初にお尋ねしたいと思います。
 お尋ねするに当たって、行政の大蔵大臣羽田さんという面と、それから自民党の羽田さんであるということで政治家羽田さんという両面から、ぜひ国民が望んでいる答えを私は期待をして質問します。
 なぜそう申し上げますかというと、緊急対策が発表されまして、御案内のとおり、どの新聞を見ても一応は評価されています、一応は。けれども、見出しだけとってみても、拙速の寄せ集めとか、大蔵、財政出動に抵抗とか、結局は公定歩合の引き下げがねらいであったのかとか、これがもうあらゆる新聞の論調の代表的なものだと思うんです。
 そこで、国民の見ている景気の動向と羽田大臣が認識されている動向に大きな食い違いが私はあると思うんです。それをあえて食い違いと言うことは、現在予算が審議中ですから、大臣として現在の予算をおかしいというようなことを言うような論は吐けないんですよね。そうでしょう。
 けれども、気持ちの中では私は単にそれだけではないと思うんです。なぜならば、今あなたの答弁を聞いておっても、現在の景気の判断は減速感が広まっているという認識ですね。そして、設備投資、住宅建設、それから自動車問題も含めて、現在はバブルの調整局面にある、そう認識しておりますとおっしゃっているわけです。その中でやるだけのことはやりましたと。けれども、またここも正直なんですな、今のところ、今の時点で、今の時点というのは今の時点です。これ以上のことはとても言えない、十分やりましたと。その次何と言ったかというと、経済は生き物であるので変な方向に行かないようにも考えにゃいかぬ、そうお答えになっているわけです。
 さてそこで、それはもう一回尋ねますけれども、国民は今回の緊急対策に対して失望感を持ったんじゃないかと私は思うんですよ。一番端的な例として、公定歩合〇・七五下げても現在の株価はどうでしょう。きょう、今調べてもらったら一万八千二百六十円ですか、きのうより現在で百七十五円下がっています。あなたのところの事務次官は二万四千円が適当だと言ったですな。そうでしょう。現在一万八千二百六十円です。二万四千円から見た場合に、現在のこの景気動向というものに対して羽田大臣が本岡議員に答弁しただけでいいのかというのが私の疑問なんですが、端的にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) これは端的にお答えするのは大変難しいのでございますけれども、確かに昨年の夏ごろから多少景気というのは減速してきたということはやっぱり現実であろうと思っております。
 しかし、私たちはここでよく冷静に考えなきゃならぬと思うことは、やはり先ほど申し上げましたように、あのバブルと言われたときの住宅の建設戸数ですとか、アメリカのことも申し上げましたけれども、もうこれは繰り返しません。それから自動車の販売台数というものも、これも異常と言われるくらいに非常に高いものであった。要するに、バブルで土地ですとかあるいは株式、財テクなんかでも相当利益を得たということで、今までのマインド以上のものが高揚したと思うんです。そういう中で相当大きなものが伸びてしまったということでありますから、これは伸びるということになりますと、当然あるところに来ましたら天井が来るのは当たり前のことだと思うんですね。ということになりますと、これは調整をしなければいけない。
 しかし、バブルという中にあって、各企業とも、しかも相当労働力が不足したということがありますから、大きな設備投資もなされたということでありますから、どうしても生産は高くなっております。しかし、天井というのは必ずあるわけですから、天井が下がったときには当然ここで控えなければいけないんですけれども、設備投資というものは非常に太さかったということで、まあまだいくんじゃないかという中で在庫がふえてしまったということがあると思うんです。ということになりますと、これは避けて通れない事実として、私はここで調整局面というのは生まれてくるのは当然だと思うんです。
 ただ、その調整局面というのは一体どの程度なのかということを判断しながらこうやって見たときに、やっぱり昨年の特に秋ごろから本当に減速感というのはだんだんだんだん強くなってきたろうということで、このままいくとなかなか厄介だぞということで、住宅なんかも変なふうに冷え込んでしまわないようにということで、いわゆる財投等についても補正予算で対応する、あるいは公共事業等についてもゼロ国債で対応するということで、これは史上最高なんと言われるものも財投等なんかでも対応してきたということはもう御案内のとおりであります。
 そして、昨年の七月に公定歩合も引き下げられ、十一月にも引き下げられ、そして十二月三十日、仕事納めになって、それから後にまた翌年いろんなことを考えるときのよすがにということで実は公定歩合も引き下げだというのが現状であります。本来でございますと、これやっただけでも相当大きくいろんなものが活発に動き出すということなんでありましょうけれども、しかしその前に投資したものが相当大きかったということがあり、また在庫というものも思ったより相当大きかったということでありましょう。そういう中で、いわゆる設備投資等が、あれだけの公定歩合の引き下げにもかかわらず、意欲はあるものの実際にはそんな大きくなかったということが言えると思います。
 それに対しまして、私たちは刺激するということについては、バブルの行き過ぎの成長というもの、これはやっぱり反省しなければいけないということでありまして、刺激するということについては我々はちゅうちょしなければいけないということでありますけれども、しかしこのまま冷え込んでいくということは危険であるということによって、先ほども申し上げましたように、いわゆる公共事業等につきまして相当大幅な対応というものを私たちはしてきたということでございます。
 いろいろな難しいスキャンダル問題等があったにもかかわりませず、皆さんも大変精力的に予算の審議をしていただいたということで、一応暫定予算も十一日間だけで済ますということで御審議をいただいたということでありまして、私どももそのことは大変ありがたいことだと思っております。そういうことをやりながらも、なおかつそういった予算というものが組まれた、あるいは公定歩合が引き下げられた、こういうものがきちんと連動して動けるようにということで、予算の期間中でありましたけれども、各党の皆様方からのいろんな御指摘もいただきながら、私ども政府・与党と一体になって話し合いながら今度の緊急対策というものをやりました。この緊急対策の内容についてもう細かくは申し上げません。
 確かに、これからも増産していくという、設備投資というものは当然そんなに意欲というものはないであろうけれども、労働力不足という構造的な問題はこれはまだこれからも続くであろうということ。そこへ持ってきて、時短というものが課題に上ってきたということによって、こういうものに対してインセンティブを与えようということ。こういったことがありましたし、またそこへ持ってきまして、私どもといたしましても、公定歩合等についても、これに対して対応いたしましょうということで実はもろもろの施策をやってきたところでありまして、しかも前倒しということもやる。これはかつての八〇%以上やったときと、それ以上のものであろうということも言われておるわけでございまして、本来、ここで企業家の皆さん方も、これでひとつやるぞという気持ちを当然私は起こしていただけるものであると思っております。
 ただ、なかなか企業の方はまだ在庫調整の最中ですから起こってはおりませんけれども、しかし個人の皆様方は、住宅についてはもう少し床面積を広くというような希望ですとか、あるいは借り家にしてももう少し質のいいものに住みたいなという意欲が非常に強いということで、今度の公定歩合等が三次に引き下げられた、そして四次に引き下げられたということもありますけれども、いずれにしましてもこれがもう既に上向きになってきたということがあります。
 ただ、株式等につきましては、今御指摘がございましたとおり、またこれに対して本当の復調といいますか、むしろ今こうやって見ましても一万八千三百十七円ということで、これは九時十五分の段階で、もう一度十時のやつが出てきておるんだと思いますけれども、まだ復調しておらないというのは現状でありまして、この間、私どもの次官もこのことを憂慮しながら、彼は次官というより個人、ずっと財政を担当してきた責任者として、これはちょっと日本の全体のファンダメンタルズから合わないぞという思いでああいう数字なんかを何気なくぽろっと漏らしたということであろうと思っております。しかし、私は、もうそろそろいろんな皆様方がこれに気がついていただく、日本のファンダメンタルズは決して弱くないんだということについて自信を持ってもらう必要があろうかと思っております。
 ただ、残念ですけれども、株の場合には例の証券不祥事の問題があり、またその残滓としての問題が今飛ばしというような形で表面化してきたということで、個人株主の方が、かつて八七年か八年のころでしたか、あのころはいわゆる金融資産が一六・数%ぐらい市場に流れておったようですね。ところが、今現在は一〇・二、三%ということでありますから、四、五十兆円ぐらいは引っ込んじゃったという状態です。これには、やっぱり何といっても、ただ単なる対策で浮き足立っていろんなことをやるということよりは、むしろそういった信頼を取り戻すための基本的なことを私たちはやっていく必要があろうと思っております。
 ですから、もうこれも長くなりますからやめますけれども、日本経済新聞あたりで、「多面鏡」あたりのきのうのやつを拝見しておりましても、これだけのことをやったら本来動くものが、どうもマインドが少し冷え過ぎているぞということを逆に実は指摘をいたしております。要するに、やっぱりあるときには我慢もし、そして我慢をしながらも着実にきちんと日本の足元というものを見ながら、みんながマインドというものをむしろ強くしていくことが大事なんじゃないのかという指摘なんかもそろそろ方々でこうやって見かけられるようになってきたということでございまして、余りにも過激だったものですから、これが剥落したという中でちょっと萎縮し過ぎてしまっている面、これがあるんであろうと思っております。
 私どもはいろんな対策をもうとりました。ですから、そういったことに対して自信を持って、経済活動というものは活発になる、そういう中で株式も信頼を取り戻し、大衆もまた証券市場に戻ってくるというものを今私たちは期待するというところであろうというふうに考えております。
○鈴木和美君 後ほど株の問題は詳しく松野局長と議論させていただきますが、大臣のおっしゃっていることと株の対応とはちょっと私は違うような感じがするんです。大口投資信託の問題、後からやらせていただきます。
 ただ、大臣、言えることは、株価というのはやっぱり経済の先行指標だと思うんですね。三十年ぐらい前は、株をやって損したら自業自得だと、ばか言うなと、それで済んできたですよ。しかし、日本経済の中で証券市場が大変な影響力を持っているということは否定できないと思うんですね。だから、私はそういう意味で先行指標という言葉を使っておる。
 その先行指標なるものを軸にして考えた場合に、大臣が今相当強調されましたよ、緊急対策について。しかし、財政出動は何にもないんですよ、言ってみれば。それは、財政出動やったらと言いたいけれども、私は、六十二年度の先ほどの議論じゃないけれども、ああいう時代から見ると、なに予算のやつを前倒ししただけの話しゃないですか。あとは時間短縮しただけなんだ。時間短縮がどれほど景気に影響を与えるかどうか。それは、言いたいことはわかるけれども、いまだ一万八千二百六十円の現在で低迷しているということは、これ重大な問題だと考えにゃいかぬのですわ。
 そこで、株の先安感を払拭するためには、私はここで大臣に、なかなか言いにくいことだと思うんだけれども、やっぱり言ってほしいんですよ。一つは、もう〇・七五下げちゃったんですから、日銀はこれ以上下げどまりでだめよと言っているんですな。大口機関投資家はふざけるなと、〇・七五ぐらいで一カ月待たされて、冗談じゃないよと、あと〇・五ぐらい下げろやと。そういうものをまたみんな持っているんですよね。だから、ここでもう公定歩合は下げるということはないよと。むしろこれからまだまだ景気が冷え込むのであれば、財政出動によって、つまり公定歩合によらない、頼らない景気刺激策をこれからやらなければならぬ。このぐらいのことは言わなければ、これは市場このままずっと私は続いていくと思うんです。
 そこのところを、きょうあたりは非常に言いづらいと思うんですよ、補正予算の問題もあるんだけれども、予算があるからなかなか大臣としては言いにくいと思うんだ。言いにくいと思うんだけれども、今きょうあたりに言っておかないと、市場はますます混迷を続けていくと思うんで、その点を明らかにしていただけませんか。
○国務大臣(羽田孜君) 今、財政出動というお話がまず冒頭あったわけでありますけれども、しかし、これは先ほども私ちょっと申し上げましたように、かつて六十一、二年のころにとったときには、やっぱり相当高い前倒しというものをやったわけでありますけれども、しかし、今度の予算そのものが大変高い公共事業というものを、生活関連というものを中心にしながら、それが組み込まれておるということでありますし、それが七五%を上回るものというものを前倒しするということは、さらにこれは強い圧力というものになるわけでございまして、それによった効果というものは、この上期にあっても私は相当大きな発現効果というものがあるであろうと思っておるんです。
 ですから、今その後について、これをまたなくなっちゃうから今度埋めなきゃいけないんじゃないかということよりは、それをやることによってまた民間なんかも刺激されてさらに大きなものが出てくるであろうということなんかも考えながら、ですから、これはやっぱり注意深く私たちは見守っていくべきであって、今ここで補正をどうしますよとかなんとかという段階ではないということを申し上げられます。
 それから、公定歩合についても、いわゆる機関投資家の皆さん方がというお話があったんですけれども、しかし、第三次の公定歩合のあの引き下げても、かつての三・二五%ぐらいまでいきました。そのときよりもっと実質の貸出金利というのは実は下がっておるというのが現状であった。そこにもってきて〇・七五というものを今度やったということは、これは大変大きなものだったんですね。
 ただ、なぜそれが動かなかったかといいますと、先ほど申し上げましたように、やっぱり証券不祥事なんというものがあった。損失補てんというものはいけませんよということになったということ、あるいは飛ばしの問題なんかが表に出てきちゃったということで、機関投資家の方は、例えば保険会社なんかの場合にも、もう国民の相当、大半の皆様方の貴重なお金を預かっているというお立場ですよね。そういったことから、相当公定歩合下がったけれども、さて今またやっていいのかなという、萎縮という言葉は私はちょっとあれかもしれませんけれども、ちょっと今やっていいのかなというものがあったということ。
 それと、やっぱりエクイティーファイナンスなんかで相当大量のものが潜在的にあるということが株全体の足を引っ張っておるということで、これまた後ほど証券局長からも申し上げることになりますけれども、何というんですか、全体の細かい株の環境整備ということはありましょうけれども、しかしこの環境の中で、かつてにはあの大きな史上最高なんという株価をつくり出しておったことも事実なんですよね。ですから、今そういったものが剥落したという中で、証券会社も萎縮しておるし、あるいは機関投資家の皆さん方も多少萎縮している面もあるし、あるいは一般大衆投資家の方はどうも株なんかやるとまた後ろ指さされちゃうんじゃないのかなという思いがあると思うんです。
 しかし、今先生から御指摘があったように、この自由主義経済の中にあって、いわゆる市場というものは非常にこれは大事なものであるということは間違いないんであって、私どもは今ここで考えなければいかぬことは、単に投機ということでなくて、投資しながらみんなが利殖することというのは決して悪いことじゃないんだというものをみんなが持てるような株式市場に対する信頼というものを取り戻すということが大事である。しかし、大口投資だとか、そういった細かい問題について、でき得ることは私たちもやっぱり対応していくことが必要であろうということをさらに申し上げさせていただきます。
○鈴木和美君 お答え今度は要りません、私の意見だけ述べておきますが、私は、やっぱり公定歩合の方は、過去の例から見ても、教訓から見てももうぎりぎりのところである。これ以上下げたらいろんな影響力が、悪影響も出てきますから、私はこれは限度だなと自分は思っています。冷やかしじゃなくて、もう一回言いますけれども、本予算がまだ通っておりませんかも、大臣がそれ以上のことはなかなか言えない、その気持ちもよくわかります。しかし、気持ちの中ではやっぱりこのままでいいのかなという心配を持っていられることもよくわかりました。
 ただ一つ、この新聞には、自民党は参院選にらみ追加発注というような記事が出ていますな。企業減税から始まって、証券市場の活性化かも始まって、それから公共事業の今度新たな前倒しということもやらにゃならぬということをこれから政府機関に申し入れる等々と書いてあります。
 私も今の状況というのはバブルの調整期間であることは間違いないと思う。同時に、気持ちの中では、今までうまくやってもうけた連中が今困っているんだから何を言うかという気持ちもあるんですよ。けれども、市場というのは大変大きな日本経済に与える影響があるから、やっぱり慎重に先を見通して政治家たる者は間違いないように心がけるべきだと思うんです。財源対策ということは大蔵省的も言い方であって、これはやらにゃならぬことであれば財源は見つけ山さにゃいかぬのですよ、これは与野党通じながら。
 そういうことを考えると、所得税減税も企業減税についても、それから六十二年度にやったみたいに六十二年度の予算を全部前倒しして五兆円の新たな前倒しをやって、一兆円の減税をやったわけでしょう。私は、このままの状態で何の手も打たないでいけばそこまでくる危険性があることを非常に心配します。だから、選挙があるなしにかかわらず、そういうところにやっぱり視点を置きながら今後の対策について十分考えておいていただきたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 一言だけ。
 今御指摘がありました点、私どもも本当に腹の中に置きたいと思いますし、実際に私たちも一体どうなっていくのかということを心配する、これはもう私たちもそう思います。
 ただ、やっぱりここで政治家たる者、確かにそういったことに配慮して、また先手先手を打っていかなきゃならぬと思うんですけれども、国民の皆さんあるいは企業の皆さん方に対しても、日本の足元というのはよその国に比べたら、双子の赤字を持っているあるいは企業も全部大きな借り入れを持っている、個人もやっぱり借金をたくさんしておる。それに対して、企業は確かに減益であるかもしれないけれども、しかしよその国に比べたら企業というのはまだ健全であろうと思っております。個人の金融資産が一千兆もあるなんという国は私は世界にないと思う。そういったことに対して、国民もやっぱり自信持ってもらわなきゃならぬ。私は、政治家は要するにあるときには手を出さなきゃならぬけれども、あるときには厳しくそのことも訴えながら、ここまでやっているんだからあなた方も元気出しなさいということを言うのも仕事であろう。私は、単に大蔵大臣というよりはやっぱり政治家の一人としてこのことを申し上げておるということでございます。
○鈴木和美君 それでは、委嘱審査ですから各公庫についての若干の点を御質問いたしたいと思います。
 まず、政府の緊急経済対策の中で、国民金融公庫及び環境衛生公庫に対して平成三年度財政投融資計画でそれぞれ五百億と百七十五億円の追加を三月二十六日に決定したと報じられています。国民金融公庫では平成三年度当初予算で三兆五千三百五十億円の貸付枠を設けていたわけでありますが、ここで追加になった五百億、この追加の消化と言っちゃおかしいですけれども、その状況はどんなになっているかお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(吉野良彦君) 結論的に申し上げますと、極めて順調と申しますか、順調に消化され、あるいは活用されているということが申し上げられようかと存じます。
 私どもの公庫に対する資金需要でございますが、ちょうど昨年の秋ごろからかなり活発と申しますか堅調になってまいりまして、昨年の十月から十二月の三カ月つかまえてみましても、一年前に比べまして二五%ほどふえておる。あるいはまたさらにことしに入りまして、これはまだ二月までの数字でございますが、一、二月両月間でやはり一年前に比べまして四二%もふえているというような状況でございます。
 先般行われましたいわゆる財投の追加も、こういう状況を踏まえて遺憾のないようにということで御決定をいただいたものと存じますが、直ちに財投の借り入れも実行をしていただき、私どもも積極的に皆さん方の資金需要に対応するように努力をしてまいりました。きちっとした三月の数字、私どもまだ承知をいたしておりませんけれども、現場の情報なり感覚からいたしますと十分に消化をされているというふうに申し上げられようかと存じます。
○鈴木和美君 次に、開発銀行にお尋ね。しますが、省力化投資の促進の中で、日本開発銀行に企業の省力化投資支援のために新低利融資制度を創設することになっていますが、具体的にはどのような事業を対象とするのか。同時に、その枠はどの程度の額を考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(高橋元君) 先ほど大蔵大臣の御答弁にもございましたように、三月三十一日に定められました緊急経済対策の一環として、ただいまお尋ねのございました省力化設備投資のための優遇措置という新低利融資制度というものを創設することが決められたわけでございます。
 その細目は、現在各省庁と御協議をしておるところでございますが、骨格を申しますと、第一に実施時期でございますが、来る五月一日に融資を開始いたしまして、平成六年の三月三十一日まで時限措置とすることによって促進効果を出そうというのが第一点でございます。
 それから第二点は、対象でございますが、例えば無人搬送システムというのですか、自動的に全部コンベヤーで流れていくような。それからPOSでございますとか、こういった専ら省力化の効果だけがある設備というものと、それからロボット、NC工作機械、これは省力化の効果は非常に大きいわけでございますが、場合によっては能力の増強もあり得るという二つの設備のジャンルを考えまして、そういった省力化設備投資を行う者、それからそれらに対するリース業者、この二つの事業者に対して融資を行おうということにしております。制度の趣旨から考えまして、労働時間の短縮を行う計画を有しておられるということが重要だというふうに考えますので、そういう労働時間の短縮の計画を有する者が行う省力化設備投資について、その必要な資金は、民間と協調の上でございますけれども、特別金利の適用を考えたいと思っております。
 どの程度の規模になるかというお尋ねでございますが、平成四年度は一兆七千九百九十億円の出融資の枠をいただいておりますので、その中、内数として実行してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 ありがとうございました。
 それでは輸銀にお尋ねしますが、国際貢献策として資金還流措置の拡充が今強く求められている状況の中で、六百五十億ドルに上る発展途上国向けの資金還流措置はことし、本年をもって実施期間が終わるわけですが、輸銀はそのうち二百三十五億ドルと聞いておりますが、これだけ期待されておるわけです。それで、これも達成可能だという報道がなされているわけですね。
 そこで、九三年度以降の措置について、引き続き取り組んでいくんだという答弁はこの委員会でもあったんですが、その具体的な中身について、方向性についてこの機会に説明をいただければ大変ありがたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(山口光秀君) ただいまお尋ねの資金還流計画六百五十億ドルでございます。その中の輸銀の分につきましては私ども御説明できるわけでありますが、資金還流計画全体につきましては政府からお答えするのが適当ではないかと思われます。ただいまお尋ねの九三年以降の問題につきましても同様かと存じます。
 その二百三十五億ドルのうちで、三月末で締めましたところ、現在まで百八十二億ドルをやっておりまして、進捗率にいたしまして七七%でございます。
 今後どうかということでございますけれども、何分ともに相手国のある話でございますので、相手国における資金ニーズでありますとか相手国との交渉状況がございますので、確たることがなかなか申し上げにくい性質のものではないかと思います。いずれにいたしましても、目標達成に向けて引き続き努力してまいりたいと思います。
○鈴木和美君 大変申しわけないんですが、もう一つ開銀にお聞きしたかったのがありまして、内需拡大とか社会資本整備を目的に、NTTの株式売却収益活用として民間型のCタイプとかC’とかというのをこの前議論したんですが、五百六十億だったと思うんですが、この平成三年度の消化状況というのはどんなぐあいになっておりますか、お聞かせいただけませんか。
○参考人(高橋元君) 平成三年度にNTTのいわゆる無利子と低利子と二つの制度を設けていただいておるわけですが、無利子資金が四百八十億円、それから低利子資金、四分の三の低利にするという意味で四分の一だけ無利子をもらうわけですが、それが三百二十億円、合わせて八百億円の枠をちょうだいしておったわけであります。
 昭和六十二年以来、NTTの無利子融資というのを貸し付けをずっとやっておりまして、初めのうちはなかなか予算額に達しないという時期もございましたけれども、次第次第に第三セクターの創設も進み、事業も熟し人もなれてくる、民間の協力、理解も進むということで非常に逐年増加をしてまいりまして、平成元年で申しますと四百二十一億、二年度が五百六億円、続きまして平成三年度が五百八十八億円のCタイプの貸し付けを実施いたしました。
 そのほかに、十月からいわゆるC’タイプというのが実行が始まったわけでございますが、これにつきましては、年間の融資枠は先ほど三百二十億円と申し上げましたが、それに対して実績は二百十四億円となっておりまして、制度の発足初年度としては非常に順調な滑り出しであろうかというふうに考えております。
 以上です。
○鈴木和美君 もう一つお尋ねしておきたいのは、これは大蔵省にもお尋ねしたいんですが、三月七日の日経新聞ですが、「政府系の金融機関 統廃合軸に検討」、こういう見出しかありまして、三月の六日、自民党の金融問題調査会と財政部会の合同会議で、大蔵省の金融制度改革関連法案要綱と同時に統廃合の検討に入ると言われている。こういう記事があるんですが、その経過を簡単にお聞かせいただきたいことと、それから輸銀と開銀の責任者に意向をちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府委員(西村吉正君) ただいま私ども、金融制度改革について議論を進めた結果を法案の形で御審議お願いしておるところでございますが、これは主といたしまして民間の金融機関についての議論の成果をまとめたものでございます。
 政府系の金融機関につきましては、その役割が金融という側面のみならず、財政とか行政とかいろいろな側面を有するものでございますので、これはそういう方面から行革審等においても不断の見直しを進めてまいってきておるところでございまして、またそういう広い見地から検討を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
○参考人(山口光秀君) 輸銀の立場で輸銀のことについて申し上げますが、輸銀は既に四十年の歴史を持っておりまして、時代の要請に従ってその仕事もいろいろ改廃あるいは発展して今日に参っておるわけでございます。先日もこの委員会で制度改正の御審議を賜ったところでございます。
 今日、世界経済の現状についてるる申し上げませんが、その中で我が国は調和ある対外経済関係の形成に努め、あるいは世界経済の発展のために積極的に貢献をしていくということが大変各方面から強調されているところであろうかと思います。輸銀の機能はまさにそれに対応した政府関係金融機関であるというところにあろうかと存ずるのでございます。
 また、先進各国、場合によりましては途上国を卒業しかかっている国も含めまして、各国とも輸出信用機関というものを国の機関として持っておるというのが実情でございまして、いろいろ御検討するに際しましては、今私が申し上げましたような点を御勘案の上、御検討いただきたいなと思う次第でございます。
○参考人(高橋元君) 開発銀行の立場から申し上げさせていただきたいと思います。
 私どもの銀行は、産業の開発と経済社会の発展のために主として国内の長期設備資金の供給を行うというように法律で規定されておりまして、そのときどきの経済の重要な緊急な政策課題、これに機動的に対応して民間の金融の質的な補完を行うという態度に徹してきたわけでございます。
 いろいろな変遷を申し上げれば切りのないことでございますが、ごく最近時では、民間活力による社会資本の整備、それから内需拡大、こういった課題に対応しまして出融資分野の整備を図っておりまして、政策の緊急性と国民のニーズというものに対応した業務の進め方ということを常に念頭に置いておるわけでございます。
 そこで、お尋ねの点でございますが、例えば輸出入銀行と私どもでは政策目的が違っておる、それから資金の性格も融資条件も違います、相手方も違うし、専門的知識あるいはノウハウというものもかなり違っております。開発銀行としての特色を発揮しながら、独自の政策で期待されておる業務運営というものを行ってまいることが私どもとしては効率及び機動性に適するゆえんであるというふうに考えております。
○鈴木和美君 今もお話のように、「統廃合軸に検討 自民、官民一体の改革狙う」、こういうような記事なんですが、今御答弁になったように、合理化というのはそれはそれなりに必要だと思うんですが、政策目的が違う点もあるし、国際的な問題もありますから、どうぞ慎重に取り扱うように大臣考えおいていただきたいと思います。
 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 それでは、その次に自社株の保有規制の緩和問題についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、今回の緊急対策の一環として、「株式市場」の項で「自社株保有に関する規制のあり方について、商法との関係も含め幅広い観点から検討する。」とありますね。極めて問題が大きいこの措置をあえてここに挿入した目的は一体何か聞かせてください。
○政府委員(松野允彦君) 今御指摘のように、今回の緊急経済対策の中に自社株の保有規制のあり方について検討するという表現がございます。これは、自社株の保有につきましては、御存じのように現在商法の二百十条によりまして原則禁止されております。一定のごく例外の場合だけ認められているわけでございまして、これは商法の考え方として、会社の財産の健全性云々というような問題、観点からでございますが、今回、この経済対策に自社株保有の問題が入りましたのは、自社株保有の規制を緩和いたしますと、それは少なくとも証券市場、株式市場にとりましては流通株式数が減少するということが期待されるわけでございまして、そういったことを通じて株式の需給関係が改善され、大量のエクイティーファイナンスなどによって株式の需給関係が崩れているというような指摘もございますし、またそういった面を否定することはできないわけでございまして、そういった観点からは、自社株保有の規制を緩和するということも株式市場の需給改善のための一つの方策として有効であるという考え方でこの対策に盛り込んだわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、商法は原則禁止をしております。そういったような点を考え、基本的にはこれは商法の問題でございますので、幅広い観点から検討されることを期待するというような表現になっているわけでございます。
○鈴木和美君 もう一回、はっきりしてほしいんですが、商法二百十条で原則禁止になっておるんですな。この理由というのは一体何と何とどういうわけで禁止になっておるのか、はっきり教えてください。
○政府委員(松野允彦君) 私ども直接商法を所管しているわけではございませんが、この商法の二百十条に規定されております自社株取得の原則禁止の理由につきましては、従来からいろいろと言われておりますが、まず最大の理由は、やはりいわば出資の払い戻しのようなことになって資本の充実あるいは資本の維持、さらには会社財産の健全性を害するおそれがあるというのが一番大きな原因でございます。
 それ以外に、当然、自社株を取得するということになりますと、場合によってはインサイダー取引になるおそれもございますし、あるいは株価操縦を誘引するというおそれもあるわけでございます。また、買い方のいかんによっては株主平等の原則に反するというようなこともあるわけでございますが、私どもの考えでは一番大きいのは、最初に申し上げたやはり資本の充実、維持ということが大きな理由になっているというふうに承知しております。
○鈴木和美君 今のお話の中でこういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。現在二百十条で原則禁止になっているのを、今局長がお話しのように、これを認めると株主に出資を払い戻したのと実質的に同様の効果を生じ会社の財産的基礎を危うくする、こういうつまり弊害というか考え方というのがあって、そういうことから資本充実の原則に反するという考え方のもとにこれ禁止されているわけですね。
 それで、そこまではわかったんですが、もう一つ、後から述べられたんですが、この自社株というものの保有を緩和するということになりますと、いわゆる証券市場に与える弊害ですな、どういうものが弊害となってあらわれるんですか。
○政府委員(松野允彦君) この弊害につきましては、今も少し触れされていただきましたが、やはり一番大きな問題は、発行会社そのものが自分の株を売買するわけでございますから、いわゆる内部者取引といいますか、インサイダー取引というものが行われやすいおそれがあるということもありますし、あるいは自社株の価格というものを操作するというようなおそれもあるわけでございます。
 ちなみに、自社株取得を比較的認めておりますのはアメリカでございますけれども、アメリカにおきましても、市場に与える弊害という観点から今のような点について具体的に自社株取得の方法等についてSECのルールがあるというふうに承知をしております。
○鈴木和美君 つまり、保有を緩和するということになると、市場に与える影響としては、今局長のお話のようにつまり株価操作のために保有したいというような問題が起きたり、二番目にはインサイダー取引に使われてみたり、三番目は株を買い占めた集団が高値で売りつけようとしてみたり、それから仕手戦というか、そういう弊害が出る。そういうのが出てくるからこれは原則禁止よということになっているんだと思うんですね。
 さて、今度は翻ってそういう状況の中で、これは局長が四月三日だったですか、大手四社を呼んで、四大証券会社でございましょうか、大口投資信託について販売を認める方向を打ち出して、これを推進してほしいというんですか、それを四社に協力要請したというか推進を求めたという記事があるんですが、これは一体どういう内容のものなんですか、内容。
○政府委員(松野允彦君) 今御指摘の大口投信でございますが、これは最低販売単位が比較的大きい株式投資信託でございます。現在考えられておりますのは、最低販売単位が五百万、一千万という二種類がございますが、比較的大口である。ただ、大口ではございますが、別に販売先を法人に限定しているわけではございません。それだけの最低販売単位のお金を持ってくればだれでも買えるという投信でございます。
 こういった投信は、実は既に平成元年あるいは二年ごろかなり設定をされております。この当時は株式市場が活況だったということでそういう大口向けの株式投資信託が販売されたわけでございますが、その後、御存じのように株式市場が非常に低迷をし、先行き不透明だということで株式投信自体の設定が非常に困難になってきたということで、ほとんど株式投資信託、つまり株式に対する運用を主とした投資信託の設定が見合わされてきたわけでございます。その間、一方で社債を中心とした投資信託がかなり設定をされております。
 今回、こういう大口投資信託というものの販売希望というのが出てまいりましたのは、やはり株価の水準というのがかなりのところまで来て、この段階で株式を運用の主体とする投資信託というものを設定するのにはタイミングとしてかなりいい時期だという判断が各投資信託の委託会社、これは投資信託というのは御存じのように委託会社というのがございまして、その委託会社が運用をするわけでございます。実際に販売をするのは証券会社でございますが、その委託会社が、今申し上げたような判断で大口の株式投資信託を販売しても相当売れるのではないかというような期待でいろいろな商品設計をしてきているわけでございます。
 私どもも基本的に現在の特に株式市場の低迷、いろいろな原因が二ざいますけれども、結果としていろいろな原因から株式市場に資金が流入してきていないということが大きな問題でございます。個人あるいは法人合わせまして、先ほど大臣から申し上げましたように、個人についてはやや信頼が回復していない、法人についてはいわば財テクの失敗に懲りているというようなことで資金が流入してきていないわけでございまして、いずれの方法にしろ、証券界あるいは投資信託業界が株式市場に資金を流入するための新たないろいろな商品を工夫するという点については、我々としては積極的にあるいは前向きに対応したいということをその際申し上げたわけでございます。
○鈴木和美君 大臣にちょっとお尋ねしますけれども、この緊急対策の中で二つに分けて述べているわけでしょう。一つは大口投信の方の問題ですな。大口投信の問題については、「大口投資家向け株式投資信託の設定を推進する。」、そしてその次、「またことありますな、「また、自社株保有に関する規制のあり方について、商法との関係も含め幅広い観点から検討する。」と、二つに分かれているわけです。
 そこで、今これ皆さんもこの国会へ法案を提出している監視委の問題であり、また金融制度の問題の提案が行われていますね。つまり、そういう提案が行われているということは、本来日本の株というものを免許制にするか登録制にした方がいいのかという根本的なそういう議論というのがあるわけですね、それから、いみじくも大臣が言われたように、今の株価の低迷は飛ばしたとか補てんとかいうのがあったものだから、信用をみそつけちゃっているから、だから個人投資家が寄りつかないんだと、そうおっしゃったわけですね。
 そういう現状であるだけに、今回大口投信という問題は、ちょっと後から議論させていただきますが、私に言わせれば非常に商法二百十条に関連する疑いがあるというか、非常に私は強いと思うんですよ。大蔵省自身も最初はいかぬと言っておったんでしょう、松野さんは。この新聞に書いてあるよ。あなた三回も四回もあっちいったりこっちいったりして、自民党からがぼっと言われたら、呼んでやっちゃったみたいにこの記事は書いてあるんですよ。でも、これは当たらずとも遠からずだと私は思うんですよ。
 したがって、仮に、委託会社は自主的に運用するというけれども、大口投信なんだから、そこで委託会社が組み込むときに、それはどこの会社のやつを組み込むかということをある程度言わなきゃ買い付けなんかできないでしょう。だから、前からの議論のように、大体こういう取引というのは相対なんですよ。におわせというのは当然あるんだよね。それを否定できますか。そういうことがあるから、大蔵省は慎重に対応しなきゃならぬとずっと言い続けてきたんじゃないですか。それが、何で国会へそういう法案が提出されていて本格的議論をこれからやろうという前に証券局長はちょろっと呼んじゃったのか。
 同時に大臣にお尋ねしたいことは、この推進をするということの推進は仮に是としても、いつから推進するのかということはこの国会のどさくさ紛れのときにやっちゃった方がいいと判断したんですか。それとも自分たちのいろんな法案を提案して、その中の議論が煮詰まってくる段階でどうするかというようにした方がいいという時間的、タイムリーですな、どう考えたのかはっきりしてほしいのですよ。
○国務大臣(羽田孜君) 二つの問題が今提起されたわけでありますけれども、まず第一のいわゆる自社株の保有の問題につきましては、これはまさに今アメリカなんかではそういったことが割合と積極的に行われているということであります。そういうことでありますけれども、しかし日本の場合には、例の二百十条というもので自社株の保有について先ほど局長の方からお答えしましたようにいろんな問題もあろうということで今日までむしろ抑えられておったわけであります。
 しかし、アメリカなんかの例を見ましても、SEC等で一つのルールを持ちながらやっているということについては、やっぱり一方ではメリットがある。要するに相当大きな、株があるというものを吸い上げるという中でメリットがあるということがございます。しかし、デメリットというものも、いわゆる誘導していくとかあるいはインサイダー取引が行われるというような問題があるということで、これはまさに一つの問題を提起されたということでございまして、私どもは委員会での御審議もいただきながらも法制審議会の中でこれは議論していただく問題であろうというふうに思っておりまして、これは多少長期的な問題であろうと思っております。
 それから、今の大口投信の問題につきまして、これは証券局長が呼んだのは、これをやれとかいうことで呼んだというよりは、実際に今の株式の事情というものは一体どうなっているのかねということ、あるいは証券協会としてあるいは証取として自主的ないろんなルールをつくっている、こういったことについての報告をいただくと同時に、むしろ今国会の方に御提案申し上げております証券あるいは金融等の法律について、今こういう考え方でやっているんだということをよくみんなにも理解してもらおうということもございましてお呼びしたということであります。
 そういう過程の中でこの大口投信の問題が出てきたのでございましょうけれども、いずれにいたしましてもこの問題というのは、先ほどからお話がありますように、委託会社というものが商品設計するということで、販売は証券会社でやっていくということでございますから、そのどこかの会社が自分のところのやつをどうこうできるという性格のものでないし、またこういう会社が入っておりますよ、しかしその会社というのはあるいは自分のところが入っていると思って買ったと思っても、しばらくたっていろんな動きが出てくればこれは中身はまた変わってくるわけです。ですから、そういった中で、いわゆる自社株保有のようなものはないであろうということ。
 そして、そういったものを考えたときに、全体の動きの中で今の証券市場に対して活性化をするためにはこういった一つの方法というものをもう一度やっぱり検討してみる必要があろうという党の示唆もあり、また市場の方にもそういうニーズがあったというようなことで今動き出しているというふうに御理解いただければと思っております。
○鈴木和美君 大臣、やっぱり違うんですよ。違うということは、自社株の問題と大口投信の問題とは性格的に違うよということをわざわざ言っているんですよ、あなた方は。そうでないとやれないから。
 つまり、それはどういうことかというと、委託会社というのがあるから、委託会社は自主的な運用でやるんだからそんなことは起きないよということを無理無理言っているんですよ。けれども、私が言いたいことは、その委託会社というものが商品をつくるときに、大口投信なんだから、やっぱり一番根本的なものは、エクイティーファイナンスじゃないけれども、とにかく出し過ぎちゃって余っちゃっているから、その余っちゃっている部分をどうして吸い上げて、それをお金にして活性化を与えるかというところからのこれ発想なんですよ、発想は。だから、全然発想が違うんですよ、私に言わせると。だから、私は何といってもそこのところは疑問を持たざるを得ないんです。
 それで、三日の日は局長は要請されたんでしょう。この記事は全部要請したと書いてありますよ。株の状況はどうだという、そんな一般的な問題じゃないんじゃないですか。テレビでもちゃんと映っておって、私解説を聞いたですよ。だから、これは要請したことは事実なんでしょう。そこだけはっきりしてください。
○政府委員(松野允彦君) 三日の日に証券界の人に来ていただきましていろいろな話をしたわけでございます。当初の予定はもちろん国会に御審議をお願いしております制度改革についての説明の予定だったわけでございますが、それはそれといたしまして、それにあわせて市況の状況あるいは証券界として市況、株式市場の活性化のために何ができるかというような点についての意見を聞いたわけでございます。
 その際に、私の方から申しましたのは、特にこの大口の投資信託につきましては、御指摘のように当初自社株ファンドというような色彩を与える、そういう印象を与えるというようなことがあったわけでございます。その際私どもとしては、少なくとも委託会社が運用をし証券会社が販売をするという別の法人がやるものであって、販売に際して証券会社が自社株、買ってもらった会社の株を入れるというようなことは本来言えない話でございます。ただ、そういうようなものをもし販売の際のいわばセールストークとするというようなことになりますと、これは明らかに商法二百十条の関係から非常に問題があるということは明らかでございまして、そういった点を従来から指摘をしているわけでございます。
 御指摘のように、委託会社と証券会社というのは一応別の法人ではございますが、必ずしもその間が完全に独立しているかというような疑いもないわけではございません。したがって、投資信託の場合には大体委託会社が大まかな運用の方針を決めまして商品性を設計し、それを証券会社が販売するという仕組みになっているわけでございまして、その大まかな方針の中には必ずしもどの銘柄を入れるというようなところまでは明確にはしていないわけでございます。比較的割安な銘柄を入れるとかいうようなぐらいのめどを立てているというふうに聞いております。
 したがいまして、私どもが申しましたのは、今申し上げたように、明らかに商法二百十条に違反するような売り方をする、あるいは違反するおそれのあるような委託会社と証券会社との間のいわば癒着関係のようなものを想像させるようなことは困る。そういうようなことでなければ、それは大口の投資家を対象にした株式投資信託を販売することはこれは我々としては別に抑えるつもりはないというようなことを言ったわけでございまして、推進をするということは、確かに言葉の問題でございますが、要するに我々としては大口投資家向けの投資信託をそういうようなことを気をつけながらつくるのであれば、それに対して我々として行政として特にいろいろ意見をつけるというようなことはありませんというような真意でございまして、あくまでも今御指摘のありましたような実質的に二百十条の脱法行為になるような形の投資信託まで認めるというつもりもございませんし、そういうことはやってはいけないということをそのときには申し上げたわけでございます。
○鈴木和美君 局長、どんなに説明いただいても、今まで飛ばしとか補てんの問題をめぐっていろいろ我々議論してさたわけですね。局長としては、大口投信についていわゆる二百十条に該当する脱法行為があっちゃいかぬよということは当然おっしゃるでしょう。それは当然おっしゃると思うんです。けれども、これを買ってもらうということは、余った株のところなんですからね、大体どこの株を組み入れるかというのはわかっているんですから、それは。そういうものが証券業界というのはあうんの呼吸というんですよ。それが、いつも問題になっている日本の証券市場の問題点なんですよ。
 だから私は、今回の問題というのは非常にそういう疑いを濃くするんじゃないか。もっとはっきり言うなら、何でこの国会でこういう審議が、これから法案審議をやろうというときに、その自社株を検討するに当たっての前倒しですよ、これは。同じようなもので、先にこれを布石をしいておいて、後から入れる。
 これは大蔵省の、つまり二万四千円と関係してくるんですよ、保田さんの発言もみんな。なぜかというと、今の証券市場というのに活性化を与えようというんでしょう。活性化とは何よ。活性化というのははっきり言えば値段なんですよ。値段を二万四千円にするためにどうするかこうするかということなんでしょう。だけれども、本当は厳密な意味からいうと、市場は今が一番適正なのが市場なんですよ。財テクやったり何やったりしてもうけた連中が、エクイティーファイナンスではっと出しちゃって余っちゃったもんですから、どうしてくれるかどうしてくれるかと。ちょっと言葉は悪いけれども、自民党がそういう議論をすると政治献金が少なくなるからという、そういう茶化しのような言葉まで新聞にも書かれているわけでしょう。だから、私は時期としては非常に悪いし、同時に我々がもう少し真剣な、あの補てんの問題から始まった株の問題というのは、私は慎重に扱ってもらいたいという気持ちが多かったんですよ。
 それで、もう時間もありませんから、もしも活性化を与えるというのであれば、私はこういうものから先にやってほしかったんです。ある提案でございますけれども、例えば健全性を図るというのであれば、それは自社株の保有とか大口投信をやる前に、まず一つはさっきも言ったように安易にそれこそエクイティーファイナンスを行った企業と、それを認めた大蔵行政の責任という問題に対してきちっとこれを総括しなきゃいかぬですよ。二つ目は、株式配当性向の引き上げの問題を、これをどのぐらい議論するか。三つ目は、証券会社を先ほど言ったように免許制にすべきなのか登録制にすべきなのか。この根本議論だってまだやってないんじゃないですか。四つ目は、大手四社体制の見直しと証券会社の経営姿勢に対してもこれははっきりさせないといかぬですよ。それから五番目、株をやったら損するときも得をするときもあるよと、自己責任のつまり徹底ですよ。この自己責任の原則の徹底がおかしいからいろんな議論が出てくると思うんです。六番目は、株式売買委託手数料の自由化の問題とか手数料の問題。
 こういうものをしっかり議論をしてから事に当たらないと、単なる一万八千円だから、冷え込んでいるから、二万四千円が一番いいんだなどというような適当な話をされたんでは非常に迷惑ですわ、大蔵委員としても。そういう意味で、私は今回の問題にはもう少し慎重な取り扱いをしていただきたかったことと、それから、こういう話が進んじゃっているんですから、局長が心配されるように、私は反対ですけれども、慎重な取り扱いをしていただくことをお願い申し上げて、大臣の見解を伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(羽田孜君) るる御議論があったことでございますから、もう細かいことは申し上げませんけれども、この大口投資信託等についての販売を行うことにつきましては、商法のいわゆる脱法行為に該当するような蓋然性というものが高いということも考えられます。そういったことで、私どもといたしましても、信託の約款の承認に当たりましては相当慎重にこのことを留意しながら対応していきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
 また、今六つほどの問題について御指摘があったわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわゆる大量のエクイティーファイナンスというものが、大量供給になってまた低迷を呼ぶ一番のその大きな問題になっておることであろうと思っておりまして、こういった圧迫要因というものを取り除くために今後ともエクイティーファイナンスの発行等についてはそれぞれ、証券取引所ですか、そういったところできちっとしたルールに基づいて対応してもらうということが必要であろうと思っております。
 また、株式の投資の魅力というもの、これがやっぱり何といったって大事な問題であって、こういった問題については私どももよくそれぞれの立場の皆さん方とお話をしながら、本当の意味で投機というよりは、投資ということにみんなが魅力を感ずるようなものをつくり上げていくことを指導していくということが大事であろうというふうに思っております。
 また、何というのですか、財テク等についての失敗なんかにつきましていろんな問題があったわけでございますけれども、こういったものについてもきちんとした今申し上げたような体制の中で物事が進められるように対応していかなければいけないんじゃなかろうかというふうに思っております。
 いずれにしましても、私どもといたしましては、証券市場に対して本当の信頼を取り戻すということを中心にしながら、また株式投資というものが本当の意味での利殖というものにこたえられるということ、こういったことが国民に理解されるような対応というもの、体制というもの、こういうものをつくっていくことが必要であろうというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、また再びこの市場からいろんな不信だとか、そういったものが起こらないような健全なものをやっぱりつくり上げるために今御議論のあったことを私どもよく念頭に置きながら対応していきたいということを申し上げたいと存じます。
○委員長(竹山裕君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十一分開会
○委員長(竹山裕君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田教美君 私は当面の証券不況対策という問題に絞って質問いたしたいと思います。
 東証一部の日経平均株価は一時一万八千円を割り込んで、その後一万八千円台を回復しましたものの、きょうの午前の終わり値は一万八千百四十八円、前日比二百八十八円の安でございます。こういうことで、一時一万八千円を割り込んだときには、政府もさすがに慌てて宮澤総理が東証の長岡理事長らを呼んで業界に市場の活性化努力、これを求めたり、あるいはまた自民党が株価対策に動き出したりというふうな動きがございました。しかし、この対策という問題についての大蔵省の姿勢というものがもうひとつはっきりいたしません。
 そこで、大蔵大臣にお伺いしたいんですけれども、大蔵省の基本的な姿勢は、株式市場が現在のように拡大してしまった以上、行政が過剰な介入をすべきではない、市場の自律的な反騰にまつべきであるという考え方なのか、それとも、そうはいってもほっておけないから、証券局長が先日業界に対して今もお話に出ておりました大口投信の販売強化を求めたというふうなことに見られるように、個々の問題についてとにかく行政指導によってできるだけのてこ入れをやっていくという方向に重点が移りつつあるのか、その辺の点について大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(羽田孜君) 今委員の方から一万八千百四十八円というお話があったんですけれども、残念ですけれども、十二時四十五分に一万七千九百三十四円ということでまた一万八千円を割ったというのが現状でございます。
 この低迷いたしております背景というのはもうくどくは申し上げませんけれども、先ほどから申し上げておりますように、不祥事及び新たにまたその残滓として飛ばしの問題が起こって、いわゆる個人投資家の信頼というものが失われているということがあろうと思っております。また、大量のエクイティーファイナンス、これが市場の圧迫要因となっておるということが言えると思っております。それから、株式投資の魅力という問題が今議論されております。それから、企業業績の悪化や企業の業況判断の悪化が明らかになってきておるということ、あるいは財テクの失敗によりまして一般事業会社というものが株式投資、こういったものに対して消極的になってきておるということが言えるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 そういう中で、私どもといたしましては、発行企業あるいは証券業界の皆様方ともずっとお話をしてまいりまして、やっぱりいろんな問題があるけれども、とりあえずできることということで、例の平成二年以降十数回にわたりまして信用取引の規制の緩和ですとかあるいは裁定に係るところの情報の開示、こういったものを充実させると同時に、先物取引に係る制度の改善なんというものも行っておりますし、証券会社の適切な営業体制及び投資勧誘方法、こういったものを確立して信頼を回復するということ、あるいはエクイティーファイナンス等につきましても、いわゆる増資については事実上今中断をいたしておるわけでありますけれども、慎重な対応をするように、あるいは株式投資の魅力の向上のための配当政策の見直しですとか、あるいは損失補てんを禁止した証券取引法の改正、これは本年一月に行ったということでございます。
 こういったもろもろのことに加えまして、最近党の方からも御指摘があり、我々緊急対策の中でも盛り込んでおることでありますけれども、長期的な問題としては、いわゆる自社株の保有という問題についてどう対応するのか、これは商法の改正なんかにかかわるものでありますから法制審議会の御議論をいただこうということでありますし、あるいは大口投資信託向けにつきましては、先ほどもお話ししましたが、三月二本、四月には五本ほど設定をしていこうというようなことでございまして、一連の今日の低迷というものに対して緊急にやり得ることと、それから将来的に全体を見直していこうという問題であろうと思っております。
 その中で、私どもとして何としても考えなければいけないことは、やっぱり証券取引ということに対する、市場に対する信頼の回復ということが一番の問題であろうし、あるいは魅力を持たせるということのための配当性向ですとかあるいは配当率というものを向上させる、こういったものを発行するところの企業家ですとかあるいは証券協会あるいは取引所、こういったところと話し合っておるということでございまして、私どもとしましては、現在当面しております株式市場に明るい材料となるということについても配慮しながら対応しておるということを申し上げておきたいと思います。
○和田教美君 大蔵省の保田事務次官が去る三日でしたか、珍しく株価水準について、けさの株価は円高不況で日本経済がボトムだった昭和六十一年十一月と同じ水準だ、その後の経済成長の伸び率を考えてみて計算をすると現在の株価は二万四千円という計算もできるというふうな発言をしまして、いかにも二万四千円ぐらいを期待しているような発言をしたわけでございます。
 そこでお聞きするんですけれども、政府は現在の株価はやっぱり異常に低くて何としても保田さんの言うぐらいの線までは上げるべきだというふうに考えておられるのか。アメリカ、イギリス、ドイツの市場と比較してみますと、PER、株価収益率ですが、海外は大体十倍から二十倍、我が国は三月末時点で東証一部のPERは三十二倍でございます。八九年末のピーク時には七十倍だったんですから、それに比べますと大分アメリカの株価水準に近づいてきたということは言えるかもしれませんけれども、それでもまだ割高であるということも言えるわけでございます。そこで、これらのことから、とにかくそもそも八九年時点の株価の高いときというのは異常だったんだ、今の時点でもまだ割高だという説を唱える人もあるわけでございます。
 そういう点で、政府としては現在の株価水準というものを一体どう見ているのか。また政府の考える妥当な株価水準というのは一体どれぐらいなのか。なかなかお答えしにくい問題かもしれませんけれども、ひとつなるべく具体的にお答えを願いたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 株価の水準につきましては、私どもその評価をどうかというお尋ねでございますけれども、株価というのは、御存じのように株式市場におきます需給で形成されるわけでございまして、その形成されます株価水準についての評価をするということは、行政当局としては避けるべきだろうと思うわけでございます。
 ただ、私どもが現在の株式市場について問題視しておりますのは、最近の株式市場は、もちろん株価も下がっておりますけれども、出来高も非常に低調に推移をしております。その中で大量のエクイティーファイナンスが行われ、需給が崩れているということもありまして、企業による株式を利用した資金調達というのが事実上ストップをしているわけでございます。そういったような株式市場が十分機能を発揮していない、資金運用の場あるいは資金調達の場として十分その機能を発揮していないという点については私ども非常に問題意識を持っているわけでございます。
 株価水準について、PERについて御指摘がございました。確かに日本の株のPER、一株当たり利益というのは諸外国に比べると高いわけでございますが、これにつきましてはいろいろな人がいろいろな議論をしております。あるいは企業の利益の計算が違うとか、あるいは成長率が違うとかいうようないろいろな意見もあるわけでございまして、PERだけをもって株価が高いか安いかというのを評価するというのも難しい問題だろうと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもが問題にしておりますのは、やはり株式市場が十分その機能を発揮できるようにするにはどうしたらいいのか、そのための行政としてできる環境整備、あるいは証券業界が行おうとする努力に対するバックアップというようなことを中心にして現在我々いろいろな方策を考えあるいは要請をしているわけでございまして、株価の水準そのものについて評価ということにつきましては、残念ながら私どもからこれを申し上げるということは適当ではないというふうに思うわけでございます。
○和田教美君 まあ、そうかもしれませんね。これ以上この問題を追及しても余り生産的な答えが返ってこないかもしれませんから次に移ります。
 政府が先月の三十一日に決めました緊急経済対策には、株式市場の活性化策として、企業に配当政策の見直しを要請するなど三項目ぐらいが出ております。私は、これらはいずれも株価のてこ入れ策としては即効性に欠けるというふうに見ていたわけですけれども、しかし、松野証券局長が証券大手四社の幹部と意見を交換して、そして大口投信の販売促進を求めたというふうなことがきっかけとなって一時的に多少株価は反発したというふうな事実もあるわけでございます。
 そこで、以下これらの活性化策について順次問題点をただしていきたいと思います。
 まず、大口投資家向け株式投信の設定促進についてですけれども、これは午前中にも議論が出ておりましたけれども、その投信は企業や機関投資家あるいは大口の個人投資家というふうな人たちを対象に、顧客が買う最低ロットを大きくする株式投信であります。既に以前から認められておったんですけれども、去年の七月以降はことし二月まで全く出ていなかった。それが、先ほどの答弁にもありましたように、三月、四月とまた設定をするということになったわけです。ところが、この株式投信はこれを購入する企業の株式をある程度重点的に組み入れるものだということになっておりますから、事実上商法で禁止されている自社株買いのファンドの疑いがあるというふうなことで、この点があって大蔵省も設定を制限していたんだろうと思うんですね。
 そこで、証券局長にお聞きしたいんですけれども、なぜ今度はそういう疑いがないということで設定を促進するということになったのか。大蔵省の説明によると、結果的に顧客である法人などがその法人の株を相当数組み入れていても自社株保有には当たらないというふうにおっしゃっているわけですが、その理由はどういうことなのか、またどういうケースの場合には疑いを持つ、つまり商法に違反するという疑いを持たれることになるのか、どういう場合にはそういう疑いはないのか。その辺は非常に微妙な問題、グレーゾーンのある問題でありますから、明確に、具体的にひとつお答えを願いたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 大口投信につきまして、どういうケースが商法二百十条に規定されております自己株取得に触れるのかという問題につきましては、商法の解釈権を私ども直接持っているわけではございませんので、完全にグレーゾーンまでシロかクロかということを言うということは難しいわけでございますが、私どもが証券業界あるいは投資信託業界に言っておりますのは、一つは、当初からそういう投資信託を購入する人の株を入れるというようなそういう運用方針をつくって、それに基づいてファンドをつくりそれを売るというような、運用方針自体の中にそういう投信を買った人の株を入れるんだというようなことが明記されておりますと、これはやはり商法上非常に問題になると。私どもが現在まで認めましたファンドについてはそういうようなことは明示されていないわけでございまして、運用方針としてはあくまでも値ごろ感に基づいて投資信託の委託会社が運用するということで信託約款ができ上がっております。
 それからもう一つは、やはり販売するのは委託会社ではなくて証券会社でございますから、その証券会社が販売するに当たってどういうふうな説明をするかという問題があるわけでございます。投資信託を購入する、それが企業の場合に、その企業の株を入れますというようなことを言いますと、これはやはりかなり難しいといいますか商法上問題があるということで、私どもが特に証券業界に対して要請をいたしましたのは、そういう明らかに自社株を組み入れるというようなことをセールストークに使う、あるいはそれが運用者と販売者であります証券会社とがどうも一体になっているんじゃないかというような疑いを持たれるというようなことにもなるわけでございまして、そういうような販売姿勢というのは好ましくないということを言ったわけでございます。
 したがいまして、単に単純に大口、例えば五百万あるいは一千万以上の販売単位で売る投資信託というのは過去にもございます。これは、一つのメリットは、そういう大口でありますと手数料が非常に安くなるという問題がございますし、あるいはかなり大きな資金が集まりますので運用もかなり自由度ができるというようなメリットもあるわけでございまして、そういった点からこういう商品をつくることそのものについては従来から私どもは認めてきているわけでございますが、報道されましたように、明らかに自社株を入れるというような疑いを持たれるということになるとこれは商法上問題になるわけでございまして、今のようなことで、証券会社の販売態度あるいは委託会社の運用方針、運用方針の方はこれは信託約款でチェックができるわけでございますけれども、そういった点に注意しながらやっていただきたいということをお願いしたわけでございます。
○和田教美君 運用方針に自社株を入れるということを明確にすればこれは商法違反の疑いがあると。しかし、逆に言えば、その大口投信に自社株が全く入っていないということであればなかなか買い手がそんなに出てこないということもあり得ると思うので、この辺が先ほどから議論が出ておるあうんの呼吸ということで、非常にグレーゾーン的なものが起こり得ると思うので、運用については今後もひとつずっと厳重に見ていく必要があると思うんです。その辺の点について大蔵大臣いかがお考えですか。
○国務大臣(羽田孜君) 今局長の方からもお答えいたしましたとおりでありまして、まさに運用によって自社株を保有するということを手助けするというようなことがあってはならないということであろうと思っておりまして、こういったものについての、これは承認というんでしたか、あれをするときに、私どもとしてもきちんと商法の目指すところというものはやっぱり念頭に置きながら対応していきたいというふうに考えております。
○和田教美君 次に、これまた政府の緊急経済対策に入っていることですけれども、株式市場活性化対策として、企業の配当政策の見直しについて各企業に要請するということがうたわれております。
 現在の日本の株式の配当性向、これは大体平均三〇%であります。欧米の五〇%、六〇%に比べますと、確かに配当性向は低くて見劣りがいたします。バブル経済で株価が右肩上がりに急騰を続けていたころは、投資家はキャピタルゲイン目当てで、配当性向など余り問題にしなかったということだと思うのですが、これからはなかなかそうはいかないだろうと思うんです。
 そこで、証券業協会でも、エクイティーファイナンスをこれから計画する企業に対しては、引受証券会社から配当性向を少なくとも三〇%にするよう要請する、こういう新しいルールを四月一日から実施に移したというふうに聞いております。
 この配当性向の問題というのは、株主優遇策の一つとして長期的には非常に重要な問題だと思うんですけれども、しかしそうはいっても大蔵省や証券業協会などの希望のとおり各企業が今のようなどしゃ降りの中でそんなに株を買うかどうか、この点がまず問題だと。簡単に大蔵省や証券会社の要請を受け入れるかどうかということは一つの問題だと思うんですね。
 要請を受け入れてその三〇%ラインに要するに足並みをそろえるかどうか問題だと思うのと、特に現在は利益は薄いけれども将来は伸びる可能性があるという株式未公開のベンチャービジネスの場合、いきなり三〇%のルールというものを厳守せよなんと言われると、なかなかとにかく新規公開や上場ができないという事態ですね、そういうことが起こり得るんではないかというふうにも思うんです。
 その辺のところを、今の状況ならそういう上場企業が少なくなればそれだけ市場に株が減るからいいという見解も成り立つかもしれませんけれども、それでは将来の成長産業を頭を押さえるということになるわけで、その辺のところを大蔵省としては基本的にどう判断をしているのかお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今お話がございましたように、去る四月一日から三〇%の問題あるいは配当政策のディスクロージャー充実等について進めていこうということでございますけれども、証券業界における見直し作業では、引受証券会社に加えまして発行会社ですとかあるいは経団連など広範な関係者にも参加を求めまして、真剣かつ慎重な検討が行われたところでございまして、昨今の株式市場の現状と企業の利益配分の実態とを踏まえますと、資本市場を利用して資金調達を行おうとする企業の理解が得られるというふうに、私どもは実は考えておるところでございます。
 そこへもってきて、これからの企業のあり方という中でも、企業の利益というものについて、あるいは利益を出すために、配当というものは株主にもさらに大きく配分しなきゃいけないんじゃないかということが言われるようになっておりまして、一つの社会的な傾向としてもこういう方向というのは問われておることであろうと思いますし、また、市場というものが投機だけでなくて投資というものを考えたときに、そういったものは私は着実にこれから進んでいくんじゃなかろうかなというふうに考えておるところであります。
 なお、ベンチャービジネス等について上場できないのじゃないかということでありますけれども、利益配分ルールというのは、企業がエクイティーファイナンスを行う際にファイナンス後の一定期間の配当性向を公約させる、その遵守を求めることを主な内容とするものでございまして、証券取引所が定める上場基準とは異なるものであろうと思っております。しかし、企業が上場する際には、株主づくりを目的として公募を行う場合についても、時価に近い価格で投資家から資金を調達するという点では時価ファイナンスと同様であるために、上場企業と同じルールを適用することとされております。
 なお、今回のルールの見直しにつきまして、エクイティーファイナンスを行う企業に対しましては、原則として上場企業の平均的な水準以上となる配当性向の公約とその。公表を要請することになっておりますけれども、収益性が高い企業等について弾力的に取り扱うということにされておりますことですとか、あるいは株式の分割につきましては配当増加と同様にみなす扱いとされているというようなことの措置も考えられているというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 次に、産業界からかねて要望の強い自社株保有の解禁の問題についてお聞きします。
 政府のこれまた緊急経済対策に入っておる「自社株保有に関する規制のあり方について、商法との関係も含め幅広い観点から検討する。」というふうになっておるわけです。
 現在、商法では自社株の保有は原則禁止となっております。経済界が解禁を要望するのは、もともとはMアンドA、企業の合併買収に対抗する手段として自社株をある程度持っておりたいというふうなそういう気持ちからだったと考えておるわけですけれども、しかし今では、最近は解禁によって企業が自社株を取得することによってそれだけ市場の浮動株が少なくなるから株価の上昇にもつながるというふうな主張も出ているわけでございます。
 しかし、この問題は商法改正の都度論議されてきた長い問題でございまして、商法学者の間には、そもそも株式会社制度は株券を発行して他人資本を集め事業を行うシステムである。その株式会社が自社の株券を保有するということは自己資本を食いつぶすことになって自己資本充実の原則に反するという強い意見がございます。また、先ほどからも議論が出ておりましたように、こういうことが可能となればインサイダー取引あるいは株価操作の温床にもなりかねないという見方も確かにあるわけでございます。
 そこで、この問題は法制審議会商法部会で今検討されていると思いますけれども、法律家のこういう異論などを見ますと早急にはなかなか結論が出ないんではないかというふうにも考えられますけれども、法務省はこの経過についてどういうふうに見ておられますか、お答えを願いたいと思います。
○説明員(吉戒修一君) お答え申し上げます。
 平成二年におきまして商法の改正がなされましたけれども、その後同年の十二月から法制審議会におきまして会社法の改正作業を再開いたしております。その改正作業の中におきまして、自社株保有に関する規制のあり方の見直し、これが会社法の改正検討事項の一つとして位置づけられておるわけでございます。
 ただいま委員御指摘のとおり、自社株保有の規制につきましては、これは会社法の根幹に触れる重要な問題でございますので、法務省といたしましては、法制審議会における調査審議を踏まえまして適切に対応してまいりたい、かように考えております。
○和田教美君 この問題について羽田大蔵大臣が、この解禁という問題については商法改正以外にいろんな方法があるんだというふうなことを言ったというふうに伝えられております。また、そういうことを自民党の中で考えられておるというふうなことも伝えられておるわけなんですけれども、自民党の中の意見というのは、法制審議会にかけておると時間がかかるからそれじゃ間に合わないというふうな意見からその便法を考えるということのようですけれども、そういうことが可能なのかどうか、あるいはどういうことが具体的に考えられるのか、その辺の点についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 現在、商法二百十条では原則として自己株式の取得が禁止されているわけでございますけれども、例外として認められている中の一つに、「株式の消却の為にするとき」というのが認められております。この消却といいますのは、概して減資というふうに考えるのが普通のケースだろうと思うわけですが、ただ、この減資ということになりますと、これは確かに法律改正は要りませんけれども、株主総会の特別決議等が必要だというようなことで、いろいろ問題もございます。あるいはその減資まで至らないやり方として、その留保しております利益、利益準備金のようなもので消却をするというようなことも考えられるわけでございますけれども、その場合にもやはり定款の変更等の手続が要るというふうに聞いております。
 したがいまして、確かに商法改正をしなくても自己株式を取得し、それを消却するということは法律上は可能でございますけれども、なかなか実際の手続としては難しいというのが現在の仕組みといいますか定款等の状況だというふうに承知しております。
○和田教美君 そうすると、商法改正をやらずには無理だということですね、大蔵省の見解は。
 次に、証券業界の一部には、個人の投資家が市場離れしている状況ではやはり株価を反発させるパワーとなるのは機関投資家である、そこで生保、損保あるいは年金とかの機関投資家にかかわる株式取得の制限枠をこの際緩和するという措置をとってもらえれば株価でこ入れに実効があるという見解がございます。
 また、これに関連して、森自由民主党政調会長がきのうの夜のテレビの出演で、公的年金とか簡保資金で株の買い支えができないかと思っているというふうに述べて、年金福祉事業団などの株式運用枠を拡大することで公的資金を株式市場に投入すべきだと提唱したというふうに伝えられております。
 この制限枠というのは、例えば生保で見ますと総資産の三〇%以内ということになっておりますね。もちろん生保にしても機関投資家にしても、大事な預かった金を運用するのに、去年いろいろの批判があったのでかなり運用も慎重になっているだろうとは思うんですけれども、そういう機関投資家の反応も含めてこの問題についてどう考えるかお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(鏡味徳房君) 最初に先生御質問の機関投資家、生損保、年金等の問題でございますが、保険会社に対します株式等の保有制限は、保険会社の資産運用の健全性を確保して保険契約者を保護するという目的から設けられておるものでございまして、また、信託の年金に対する株の保有制限につきましては、年金資産の健全性を保持する、こういう観点から設けられている制限でございます。
 それで、現状におきましては、保険会社におきましてもあるいは信託の年金資産につきましても、現在設けられています株式運用に対する保有制度の枠を相当下回っている状況にございます。このような事情を考慮いたしますと、この制限を株式市場を活性化させるという目的で緩和することにつきましては問題がございまして、私どもとしましてはこの問題につきまして慎重に対処する必要があると考えております。
○和田教美君 年金福祉事業団の問題はどうですか、公的年金の問題。これは通告はしてなかったけれども。
○政府委員(寺村信行君) 公的年金資金につきましては、ただいま保険部長から御説明申し上げましたように、同じような制限規定がございますが、特に公的年金につきましては、これは法律に基づきまして国民から保険料として集めた資金であり、将来の高齢化社会が到来したときの年金の償還資金になるものでございますので、その運用につきましては、いわゆる私的な自由な契約に基づく資金の運用と違いまして、確定利付の債券運用を主としているという規制がございますので、その他と同じような制限の枠の中で運用されているわけでございます。
○和田教美君 わかりました。
 次に、もう時間も大分たったもので、ありませんので、株価低迷のもう一つの要因として、株式市場における供給過剰、オーバーイシューの問題があると思うんですね。
 大方の予想を裏切って、三月決算期未を過ぎても株価が本格的に反騰しないところか、むしろ下げておるというふうなことは、いろんな原因が、もちろん経済的な要因というものがあることは事実だけれども、市場内部の基本的要因としてはやはり供給過剰の問題というのがある。つまり市場の株式需給が大幅に緩んでいるという問題ですね。これが株価を押し下げているということではないかというふうに思うんです。
 そうすると、大蔵省としてはどれくらい供給過剰、供給と需要とのアンバランスというものがあるのか、具体的な数字はなかなか難しいかもしれませんけれども、大まかなことでも結構ですから、ひとつどの程度あるかということをお述べ願いたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 確かに、現在の株式市況、市場が低迷しております原因の一つに、特に昭和六十二年度以降平成元年度までの三年度間におきまして非常に大量の資金調達が行われた。株式の発行あるいは転換社債、ワラント債の発行の形で行われたわけでございまして、転換社債やワラント債の場合にも、これは株式に転換あるいは株式が引き受けできるという権限がついておりますので、いわば潜在的な株式であるというふうに考えることができるわけでございまして、そういったものを考えますと、そういう潜在的な株式等が存在し、市場に圧迫要因となっているということは我々も十分認め、認識しているところでございます。
 どの程度過剰になっているかというお尋ねでございますが、これは民間機関などでもいろいろな前提を置いて調査をしております、分析をしております。例えば、株主資本利益率というようなものを二足の適正な水準に維持するためにはどのくらいの額であるべきかとか、あるいは一日当たりの株式の売買代金などをあるいは時価総額というようなものを目安にしてどの程度のものが資金調達が可能だったのかというような試算があるわけでございますが、一義的に定量的に決めるということは非常に難しいわけでございます。
 ただ、昭和六十二年から平成元年度まで大量の資金調達が行われた時期におきます金融資産全体の伸び、残高の伸びとそれから株式の時価総額の伸びとを比べてみますと、株式の時価総額の伸びが非常に大きいわけでございます。これは、価額の上昇というのもあるわけでございますが、しかしいずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、我々もどうもこの期間は株式の供給が需要を上回っていたのではないかというような感じがするわけでございます。
 なかなか定量的に幾らと、こういうことが一義的に言えないというところは御理解をいただきたいわけでございますが、市場の需給にその当時任せていたとはいえ、大量の行き過ぎた資金調達が行われ、かつそれが十分な株主に対する利益配分ということなしに、極めて低いコストでの資金調達だという考え方で行われたという点に問題があったということは認めざるを得ないというふうに思うわけでございます。
○和田教美君 もう時間がなくなりましたから、もう一問。
 昭和四十年不況の際に、日本共同証券、日本証券保有組合という株式買い入れ機関をつくって、三十九年三月から四十年七月にかけて当時で四千億円強の株を市場から吸い上げて凍結したことがございました。今の証券危機の中で時々こういうことを言う人もあるわけですけれども、今回の証券不況がさらに一段下げ、二段下げというふうな状況になっていった場合に、そういう泥沼状態に入った場合に、供給過剰だということは大蔵省も間接的には認められておるわけなんですけれども、この種の緊急対策、つまり買い上げ機関をつくってそこへ吸い上げるというふうな措置が必要となる、あるいは全くそういうことは考えてないというふうに考えておるのか。
 まあ、当時と今とを比べると、証券市場の規模がでっかいですから、相当な金額のものを吸い上げなければ効果が上がらないということもあるかもしれませんけれども、もはやだから現実性は持たないということにお考えなのか、その辺についての大蔵省の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 今、先生の方から御指摘がございましたように、今の市場というのは、昭和四十年当時のちょうど約四十倍だと言われておりますね。そんな大変規模が大きくなってしまっている違いがあるということがございます。それからもう一つは、資本移動の自由化がございまして、我が国市場の国際化が大変進展をしておるということも当時と大変違っておるということでありまして、国内需給以外の要因が市場に及ぼす影響というのは非常に大きくウエートを占めておるというふうに考えております。こういったことを考えますと、四十年当時と相当程度異なっておるということでございます。そういうことを考えましたときに、今お話のあったような四十年当時の手法をとるということは私は現実的ではなかろうというふうに思っておりますし、それとやっぱり四十年当時とは日本の経済全体も違うんだということ。
 それで、先ほどからも景気の問題等で申し上げましたけれども、日本の経済全体のファンダメンタルズというのはしっかりしておるものであるということを考えたときに、むしろバブルが崩壊したということ、そういう中に起こったいろんな物事に対して、やっぱり機関投資家あるいは個人投資家の皆さん方の本当に信頼を取り戻すということ、市場が魅力あるものにするという着実な我々としては手段を講じていくということが最も大事なことであろうというふうに確信をいたしておるところであります。
○近藤忠孝君 きょうは六十兆以上の税金を徴収している税務署の職員の問題について質問をいたします。
 まず、基本的問題としまして、どのような労働組合に所属しているか、あるいはその職員の思想あるいは政党への所属、こういったことを調査したり監視したりするようなことがあってはならないと思いますが、どうですか。
○政府委員(冨沢宏君) その点につきまして、委員のおっしゃるとおりであると存じます。
○近藤忠孝君 国税職員の人権を尊重するということは、結局納税者に対してもしっかり人権を守るということにもつながるので、これは私は国政上の重要問題だと思います。この問題は既に私も当委員会で取り上げ、衆議院で正森議員が取り上げた問題であります。
 毎年八月に、全国国税局総二担当者研修会議が開かれて、国税庁と各国税局、国税事務所の労務担当者が集められて、そこで全国税とその組合員に対する支配介入、差別、あるいは国税職員の思想調査などが議論されております。実際に資料も配られております。まず確認したいのは、この総二会議なるものが国税庁の庁舎内で開かれる、そしてこの会議の出席者には出張命令が出されて、その出張旅費が各国税局から支払われておる。これは既に認めておることだと思います。そして指摘された極秘文書、これについては当局の資料であると確認できないという答弁をしてきましたが、確認です、その点いいですか。
○政府委員(冨沢宏君) お話のございました全国の総二担当者会議というようなものにつきましては、私ども以前に御指摘ありましたときに調べましたけれども確認はできなかったわけでございますけれども、毎年異動の後にいろいろな分野の担当者の研修の会議というようなものを開きますということは行われております。また、そういう研修の会議でございますと、それにつきましては官費で旅費を支給しておるということでございます。
 それから、資料についてお話がございましたけれども、これもその当時調べましたが、そういう会議というものは確認できない、したがいまして資料につきましても確認できない、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 確認できないという意味は――大臣ね、確認できないんですよ。否定なら――要するにこの文書は国税庁がつくった文書だよと具体的にもう示されておるんです。中身はこれからお話ししますけれども、大変、思想、信条の侵害まで行われている、そういう文書を示されて、国税庁に対してどうだと聞いたら、確認できないという答弁なんですよ。ないんならないで否定すりゃいいじゃないですか。
 確認できないということと否定とはこれ違うんでしょう。
○政府委員(冨沢宏君) 文字どおり確認できなかったということでございます。
○近藤忠孝君 だから、否定はしないということですね。
○政府委員(冨沢宏君) 否定と確認できないというのは違うと思います。
○近藤忠孝君 じゃ、否定できなかったということで話を進めます。
 中身を見ますと、いろんな問題があるんだけれども、私は、特にこれは人権侵害だと思うのは、各税務署、国税局ごとにいろいろ報告を求めています。例えば、「「ランク」欄は、全国税組合員について、その活動状況に応じ、次により記載する。」という指示がありまして、それで、「A…積極的に組合活動を行っている者又は表面にはたたないが指導的役割を果たしている者」、「B……Aほどではないが、組合活動について相当重要な役割を果たしている者」、「C……Bほどではないが、組合活動に熱心な者」、こういったことを報告せいというんですよ。
 それからもう一つ、「特定職員の所属団体等の区分に応じ、次により記載する。」、Tは日本共産党「党員と思われる者」。笑っておるところじゃないですよ、大変な話だ。「M…民青同盟員と思われる者」、「S…シンパと思われる者」、「H…反戦青年委員会等の新左翼団体員と思われる者」、ということを報告せいということなんです。
 これは確認できないと言うからその後へ進みますが、こういう文書が摘発され、そして抗議があったんです。ところが依然として否定じゃなくて確認できない。
 ところが、勇気ある重言者が出現いたしました。これは高松国税局高知税務署法人課税第一部門の上席調査官の三浦祥男さんという人です。この三浦祥男さんが実際この会議に出席したんです。こう証言しております。「@ 一九八八年八月十八・十九日、国税庁第二会議室で開催された「総二会議」に出席しました。」、「A高松国税局浜田一水総務課長補佐」当時です、「から、口頭で出席を指示されました。」、「B 宿泊先は、国公共済・竹橋会館です。」「C 旅費は、高松国税局総務課から支給されました。」、D、この中に着席図があるんですよ。(図表掲示)こういう図がありましてね、それで、ここが「高松」の国税局、でそしてそこに「三浦」と書いてある。確かにその席に私は着席しておりましたと言うんです。
 どうですか、それほどの証言が出ているんですから、もう既に指摘されているこの極秘文書の存在は明らかじゃありませんか。だから、確認できないんじゃなくて、否定できない。しかし証人が出た。これは存在は明々白々ですよ。どうですか。
○政府委員(冨沢宏君) その点につきましては、御指摘を受けた時点で調べた結果、確認できないということでございます。重ねて御報告させていただきます。
○近藤忠孝君 何が確認できないの。私は、今、三浦さんがこういう証言しているよと。そしてさらに、この文書もちゃんと見覚えありますと、指摘されているこの極秘文書は見覚えありますと。話聞いてくれと、こう言っているんですよ。そうすればちゃんと証言しますよとそして、これは全国税の方からも国税庁に対して、こういう証言者がいるんだから確認したらどうかと。それが確認できないというんですか。確認できるのにどうして確認しないんですか。
○政府委員(冨沢宏君) 私が申し上げましたのは、そのような会議があったかどうかという事実、それからその資料について確認ができないということを申し上げておるわけでございます。
 それから、再度調べるようにとのお尋ねでございますけれども、私ども十分な調査を行ったというふうに確信をいたしておりますので、再度調査する考えはございません。
○近藤忠孝君 どんな調査を行ったんですか。証言者がおり、実際そのとき出ましたよと言っているんですよ。証言者は、三浦さんは、明確に名のって言っておる。しかしまだ名のることは、自分の名前を言うことはできないけれども、実際証言者はたくさんおるんです。
 例えばこういう証言もあります。「平成元年のたしか一月十三日だったと思います。庁からの直通電話で「総二関係の文書で紛失したものがないかどうか確認して報告すること」」という連絡があった。だから、恐らくこの文書が我々の手に入ったので、さあ大変だ、だれか紛失した者がおるんだろうというのでそういう点検の電話があった。そしてこの人は、「総二会議資料」、この極秘文書ね、これは「私が出席した時のものに間違いありません。」と言っているんですよ。
 それからまだ証言があります。さっき指摘した調査や何かのときの名簿ですね、「「マル特職員等の名簿」や「総2個別カード」は、私が記入、保管、報告した様式と同じです。その内容は、署からの報告にもとづいて作成しています。全国税組合員の動向については「誰が、どこのビラを、何時から何時まで配布した」「集会・交渉」「年休の理由」などなど、細大もらさず局の二係へ報告することになっています。それがなければ先ほどの資料は作成できません。」、こういう証言があります。
 さらに、「「外部団体との関係」の欄には、共産党員、民青同盟員、共産党シンパおよび新左翼関係を中心に記入します。その判断は、おもに県警や公安調査局の情報によります。」、ここは私前回指摘したけれども、相当密接にこの辺と情報交換しているわけであります。
 ということは、大臣、国税庁が堂々と憲法違反、冒頭にそういう思想信条を調査したり差別はしちゃいかぬと認めていることが行われている。国税庁自身が違法行為を行っておるんですよ。そうでしょう。それを、確認できない。しかし、今これほどはっきり証人が出たんだ。それでも確認できません、調査する気はありません。私は、そんなことで本当に公正な行政が行えますか。やっぱりこれだけの全国税組合員の思想関係を調査するということは、これは全職員を調査しなければだれが日本共産党党員かシンパかわからぬでしょう、調べた結果出てくるんだから。
 ということは、私は、何もこれ全国税組合員だけじゃなくて、あるいは我々の同じ党員だけじゃなくて、国税の全職員が当局から思想調査されているということですよ。大臣、こんなことが突きつけられて、しかし否定はできない。否定できないということは認めたものと同じなんですよ。証人が出て確認しろと言われても、確認する意思はありません。こんなので本当に公正な行政が行えますか。これはちょっと大臣にお答えいただきたい。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど冒頭に次長の方からお答えいたしましたように、思想信条ということについて問うものではないということ、そして、公正な徴税といいますか税務に当たるに当たって、そういったことはございませんということでございますから、私も全くそれは同感であります。
○近藤忠孝君 資料が示され、証人が出てきているというのに、大臣、同じということは、相当、大臣も違法行為を是認し、いわば助長することになりませんか。
 これは現在も行われているんです、現在も。ここに「連絡せん」、「極秘」というのがあります。「年月日」、「場所」、「氏名」があって、そこに「特記事項」。要するに、いまだに税務署は国税庁がこれはとにらんだ人間を――年月日に「平成」と書いてある、「平成」と。これが指摘されたのは昭和の段階ですよ。平成になってもこういうのをつくってやっているんですからね。現にこの違法行為が全国の税務署で行われているということですよ。それでも同じ答弁なんですか。
○政府委員(冨沢宏君) 今おっしゃいましたようなことは行われておりません。
○近藤忠孝君 行われていないというのは、この私が示した「平成」とついている連絡せんなどは、これは使っていないということ。これは否定ですか。(資料を手渡す)
○政府委員(冨沢宏君) 私が行われておらないと申しましたのは、委員が先ほどおっしゃいました、思想なり信条なりに関する調査が現在も行われておると、そういう御指摘でございましたので、そういうようなことは行われておらないというふうにお答えしたわけでございます。
○近藤忠孝君 そうすると、今私がお示ししたその文書は、それは当局のものでないという否定なのか、それともそれも確認できないということなのか。こっちはちゃんと税務署から来たんだから。
○政府委員(冨沢宏君) これは私初めて拝見するものでございますし、どこのものという記述もございません。したがいまして確認ができないということでございます。
○近藤忠孝君 依然として確認ができないが続くんですが、三浦さん自身は自分を初め総二会議の出席者から当局が事情聴取することを求めておるんです。ところが何の動きもない。
 出席者の氏名と当時の役職、それから現職も――ここに私、名簿がありますけれども、明らかです。退職した人が四名いるほかは全部現在国税庁あるいは国税局、税務署に在職中の人ばかり。全部役職があります。これは国税庁十一名、それから東京初め全国の国税局がそれぞれ四名ずつ、五十九名が出席し、名前も役職も特定しています。しかも、何人かは、私を調べてほしいと、こう言っておるんです。
 この出席者は御存じだと思う。どうですか。
○政府委員(冨沢宏君) 以前に調査いたしましたときに、庁、局の会議出席者と指摘を受けた者から聞き取り調査を実施いたしております。そういうことでございますので、現時点で再度調査するという必要はないものと考えております。
○近藤忠孝君 このうちのだれを調査したというんですか。都合のいい人間だけ呼んで調査したと言ったって、それは口裏合わずに決まっていますよ。
 しかし、現実に三浦さんという人が名のり出ているんですよ。そういうことをやっておった、良心が恐らく痛んだんだと思いますよ。だから、その三浦さんをなぜ調べないの。これは調べてしかるべきじゃないですか。
○政府委員(冨沢宏君) 再々同じお答えになりますけれども、先ほど申し上げたように、庁、局の会議出席者という御指摘を受けた者から聞き取り調査をいたしまして、確認できないという結論を得たものでございまして、現時点で再度調査をする考えはございません。
○近藤忠孝君 だから、国税庁が呼んだ人間からは確認できなかったかもしれない。私が現実に名前を挙げ、しかもこういう証言をしているよという人がおるんだから。そうでしょう。どうして三浦さんから事情聴取しないんですか。都合のいい人間だけ呼んだって、それはだめですよ。
○政府委員(冨沢宏君) 私どもといたしましては、十分な調査をいたしたものと確信をいたしておるところでございます。
○近藤忠孝君 委員長、お聞きになってわかるとおり、全然調査する気がない。それで確認できない。否定じゃないんですよ。否定なら否定でまたそれは対決の方法があるけれども、確認できない。確認できるじゃないのか。証人がいますよと言っているのに、ああいう答弁を繰り返すことは、私は、質問者の私に対する無礼なだけではなくて委員長初めこの委員会に対する無礼だと思いますよ。確認できるのにしない。それで確認する気はありません。こういうことは私は、大蔵委員会として放置できるのか。これはやっぱり全国民に関する問題で、このように人権を侵害された税務署員のもとで、自分が人権を侵害されたような場合にはやっぱり人にもやるんですよ。だからこれは、このままの答弁をこのまま放置することは委員会としても私はできないんじゃないかと思うんですが、どうですか。
○委員長(竹山裕君) 冨沢次長、何かありますか。
○政府委員(冨沢宏君) 私どもといたしましては、誠実に及ぶ限りの調査をいたしたつもりでございます。
○近藤忠孝君 時間が来ちゃって、本当はまだ三つばかり質問する予定だったけれども、ああいう態度で押し問答で終わっちゃったんですけれども、委員長、どこが、誠実ですか、誠実とは、そういう人がおるんだったらお聞きしますよと約束して初めてそれは誠実な態度。それはそうじゃないの。委員長、なかなかお答えいただけないから。
 どうですか、誠実とは何ですか、誠実とは。それを聞いて質問は終わります。
○政府委員(冨沢宏君) 私どもといたしましては、当時指摘された方々から聞き取りをいたしました結果、十分であるという判断をいたしました。そういう意味で最善の努力を尽くしたという意味で申し上げたわけでございます。
○池田治君 財政、金融、証券とか所得税減税とか景気の動向につきましては既に審議されましたので、私はちょっと趣を変えてお酒の話をしたいと思います。
 ことしの四月一日からは一級、二級というお酒の等級制が廃止されました。国税庁の中央酒類審議会の審査に基づいて決められていた等級にかわって、今後はすべてメーカーが独自につけるということになったようです。
 そこで、大手メーカーを中心に呼称を統一する動きがございまして、一級にかわるものとして上撰とか、二級にかわるものとして下撰とか、京都の方では金閣とか銀閣とか、こういう名前で呼び方が変わるそうですが、これにつきまして国税当局はどのようなこれまで指導をとられてきたかお教え願いたいと思います。
○政府委員(浅見敏彦君) お答え申し上げます。
 池田先生御指摘のように、平成元年四月一日に施行されました酒税法によりまして、最後まで残っておりました清酒の一級、二級の紋別が過日の三月三十一日で終了したわけでございます。これは、既に御高尚のように、酒類の消費が多様化してまいりまして、例えば二級酒でありましても吟醸酒とか純水酒、本醸造酒といったような高価なお酒が出ているというような実態にかんがみまして、従来の紋別制度の持つ意義が薄れたということから廃止されたわけでございます。
 したがいまして、この紋別廃止後は、私ども消費者といたしましては、品質、価格、あるいは銘柄、産地ですとか、あるいは今先生御指摘のございましたメーカ一が独自にランクづけとして表示しております呼称、こういったものを商品選択の基準として判断をしていく、こういうことになるわけでございます。したがいまして、紋別廃止後は、特にこうした表示ということが従来にも増して重要になってまいると私ども認識をしているわけであります。
 そこで、今御質問のございました新しい呼称統一の動きでございますが、これには私ども役所といたしまして直接に関与しているわけではございませんが、今申し上げましたように従来にも増して表示が重要でございますので、例えば、紋別等が存在したころの例えば旧一級というようなことを名乗るというようなことは、これは紋別がございませんのに消費者の判断を誤らせるということにもなりますので、こういった消費者の判断の誤認を招くようなことについてはこれを行わないように指導する、こういった適正な表示を行うような指導をしているわけでございます。
 総じて申しますと、表示の重要性ということにかんがみまして、消費者の商品選択に資するように今後とも十分意を用いてまいりたい、かように考えております。
○池田治君 そう言われましても、新しいランクづけが信頼できるかどうかはメー力ー次第ということになるんじゃなかろうか。こういう危険な考えもありまして、メー力ーが十分な根拠なしに上撰とか下撰などの表示を使った場合は名称による混乱が生じる可能性があると思われます。
 そしてまた、消費者保護の観点からは、単に名称にとどまらず客観性のある品質表示をする必要性もあると思いますが、このためには酒のできばえがどういうものか客観的に審査する機関があればいいなと、こう我々は思っておりますが、こうした問題について国税庁はどういうお考えでございますか。
○政府委員(浅見敏彦君) ただいまお答え申し上げましたように、紋別廃止後は消費者の自由な選択というものが中心になってまいります。このことば、ひいては多種多様な商品が開発されまして清酒の市場というものも活性化していく、そして消費者の嗜好の変化に応じた商品が提供されていくということで、私どもとしては好ましいことだという期待をしているわけであります。したがいまして、こういう観点からは従来の紋別審査にかわるような公的な審査制度というようなものを設けることは必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えております。
 しかし、池田委員御指摘のように、消費者がメーカー独自の判断によって判断を誤る、誤認をするというようなことがあってはこれはいけませんので、的確な商品情報を提供するという意味におきまして、私どもはその表示が商品の品質に見合った適切なものであるように、こういう観点からの指導は十分にしてまいりたいと考えておりますし、また、できれば市場に供給されている商品の品質が表示にふさわしいかどうかということを、例えば事後的な品質評価等を行うことによってこれをチェックしていく、こういったことも考慮しているわけであります。
 いずれにいたしましても、消費者の商品選択に誤認を与えないように、消費者に正しい的確な情報を提供するということにつきまして今後とも十分意を用いてまいりたい、かように考えております。
○池田治君 ぜひそうしていただきたいと思います。
 消費者に自由に選ばせるという態度というのは自由主義経済社会のもとでは当然なことだと思うんですけれども、酒というのはちょっと変わっておりまして、保健衛生の観点からも考えなきゃいけないし、また余り大量に飲み過ぎて事件等の発生ということもございまして、いろいろな問題が含まれる要素がございますので、国税庁としてはしっかりした御指導をお願いしたいと思っています。
 次に、販売の免許制度の問題に移りますが、酒税法第七条では、酒類の製造業者は「酒類の種類別にこ「製造場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない。」、また九条では、販売業者もその「所轄税務署長の免許を受けなければならない。」、こういう規定がございますが、これらの製造や販売について免許制がとられている理由は何か、お教え願いたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 委員、今御指摘のように、酒税法の七条と九条に酒類の製造免許、それから販売業について免許が必要であるという規定がございます。これは、酒類業者あるいは販売業者につきましてなぜ免許をとっているかということにつきましては、酒類業者が納付すべき税金というものが酒類の流通取引を通じまして円滑に酒類製造者のもとに値段として回収されることが必要である、こういうことから酒類販売業者について免許制度をとらせていただいております。また加えて、先生御指摘のように、お酒というのは致酔飲料といいますか、これを飲みますと酔いますので、保健衛生上の観点あるいは交通安全対策、青少年対策、そういったことからもこの免許制度が少なからず寄与しているものと考えております。
○池田治君 保健衛生上の観点ということからならわかるんですけれども、また一面の税の徴収確保のための免許制度ということも、これは明治以来一貫して日本の政府がとってきた態度ではなかろうかと思っております。
 そういう税の徴収確保のためということになりますと、今度消費税ができまして、消費税もまた消費税を納める業者というのは一応間接的な徴収業者のようなものでございまして、酒類の販売業者だけでなくてほかの業者にも免許制を与えなきゃいけないという論理性が出てくると思うんですが、そこらあたり、国家財政上の必要からというだけではちょっと弱いんじゃなかろうかと思っておりますが、国税庁はどういうお考えですか。
○政府委員(薄井信明君) 酒税の保全のためという言葉をよく使うことがございます。そのように、このお酒についての税金、酒類についていただいております酒税といいますのは、古くから財政物資と言われておりますように、ほかの物品に比べましてかなり高い負担をいただいております。現在、金お酒類の小売価格に占める酒税の比率といいますのは、平均いたしますと三〇%を超えております。このような負担をちょうだいしているということにほかの物品と違うところがあるというように思っている次第でございます。
 こういう高率の課税を行っておりますお酒の税金を転嫁いたしまして、そして酒税収入を安定的に効率的に確保するということは、これは税金は国民のために使われるものでございますから、それ自体公共の福祉に合致している、このように思っている次第でございます。
○池田治君 国税のうち二兆円弱を酒税で補っているわけですから、大蔵当局がそう答弁なさるのも今の税収不足に悩む国家財政としましては当然なことであろうと思いますけれども、一方考えると、この酒税法というのは随分昔、明治の三十二年ごろできたのをそのまま使っておられるようなので、それからしますとなかなか大蔵省の答弁どおりには今の世の中通らないんじゃないか、こういう見方もできてまいります。
 そこで、もう一歩進んで話しますと、消費者側の立場からすれば、販売目的で酒を製造する者については品質保持や衛生管理の観点から一定の規制もあり得ると思われるんですが、自己飲料のための酒づくりまで禁止するのは法律的な根拠がないんじゃなかろうか、こういう私は考えております。
 これについてはどぶろく裁判もございまして、いろいろな観点から眺められているようでございますが、まず自己飲用のための酒づくり禁止というのは先進国では日本だけじゃなかろうかと思うんです。アメリカではビールの自家用は一九七九年に認められておりますし、イギリスでも一九六三年に自家用は許容する。そしてドイツのワイン法もまた自家用ワインについては例外を設けると、こういうことのようでございますが、これらについて国税庁の明快な御答弁をお願いします。
○政府委員(薄井信明君) 酒類の課税の問題でございますが、委員御指摘のように、非常に古くから税金をいただいておりまして、多分江戸時代以前にも税金をいただいていたと思いますが、明治になってからも、明治早々からいろいろな形でお酒からは税金をいただいております。しかも、それが国税収入のかなりの比率を占めるというような背景にあります。
 と同時に、今御指摘のように、酒について自己飲用をどうするかといったような、課税面の問題ではございますが、お酒がそれぞれの国においてどういう文化形態といいますか、飲まれ方をしているか、そんなこととも関連しているかと思います。つまり、税制の歴史とそれからお酒の社会における生活の中でのたしなまれ方、そういったこととの長い積み重ねの中で現在の税制ができ上がっているように思いますので、各国いろいろ対応があるということかと承知いたしております。
○池田治君 それでは、自家用梅酒、この梅酒の製造は三十七年からは自由になった、こういうことでございますが、これは、国税庁ではしょうちゅう等に梅や砂糖を混和したいわゆる梅酒をつくるのは、従来からある程度広く行われて、夏の保健飲料等として愛飲されていたこともあって、従来禁止していた自家用梅酒の製造を認めたんだと、こういう説明を前になさっているようですが、今も変わりございませんか。
○政府委員(薄井信明君) 梅酒などの家庭用の果実酒といいますか、こういったものに限りまして自家製造を認めております。これは梅酒等の製造というのが一般に慣習として広く消費者の間に普及されているという実績があること、それから製造された酒類、例えば梅酒です。これが夏にお飲みになるといったように保健飲料としての性格が強い、しかも、その製造方法が既に課税されたお酒を、私たちの言葉で混和といいますけれども、単に混ぜるだけである。したがいまして、アルコール発酵を営ませるといったようなことが生じないということから、認めているというように説明してきているところでございます。
○池田治君 梅をしょうちゅうの中に入れて発酵を全然せぬかといいますと、長くなると多少は発酵もするんじゃございませんか。
 それを前提にしますと、今度しょうちゅうの中にブドウを入れた場合はどうか、ブドウも発酵すると思うんですが、これは発酵するとブドウ酒になりますね。これは密造として処分されるんですか。
○政府委員(薄井信明君) はい、先生御指摘のように、現在認められていると申し上げましたが、条件が幾つかございます。その一つは、混和前のお酒が課税済みのアルコール度二十度以上のものであるということで、今の御指摘のように、例えばしょうちゅうであればこれはパスいたします。それから二つ目に、混和する物品が米とか麦とかブドウ以外であるということになっておりまして、ブドウだとだめです。なぜブドウがだめかといいますと、発酵して新しいお酒になっていくということでございます。もう一つ条件がありますが、省略いたします。
○池田治君 しょうちゅうにブドウを入れて発酵したら何酒になるんでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) リキュールになるようでございますが、間違っていたら後ほど訂正させていただきます。
○池田治君 そうですか。
 こういうように問題はやっぱりあると思うんです。梅を入れれば許される、ブドウを入れればだめと。米、麦、アワ、トウモロコシ、コウリャン等のでん粉が」できるものはだめ、それで梅はいい。こういういろいろな問題も出てまいりまして、酒税法にはかなりの無理もあるんじゃなかろうかと私は思います。
 大蔵大臣にこれは最後にお聞きしますが、自己飲用のどぶろくが禁止されたのは、明治三十二年の国家財政中三分の一が酒税で賄われた時代のようでございます。現在の酒税は国家財政の中の三%ということでございます。こういう社会経済が一変した現在において、なお厳格に自己飲用の酒まで禁止するという合理的理由は大臣はどう考えられますか。
○国務大臣(羽田孜君) いろいろとうんちくのあるお話を大変楽しくお聞かせいただきました。
 自己消費を目的とする酒類製造につきましては、確かにこのごろはいろんな各家庭でもそういったものに対して関心を持つということでございますけれども、これは放任いたしますと酒税収入の減少などの酒税の徴収確保に支障が生じてくるということが予測されるということでありまして、現行制度におきましては、製造目的のいかんを問わず、酒類製造を一律に免許の対象として、原則として自家醸造というものを禁止しているものでございまして、このことを改正することは今まだ私どもは適当ではないというふうに考えておることを申し上げさせていただきます。
○池田治君 今はだめでも将来はこれ考えなければ、社会経済上必要視されてくると思うんです。この点は今はだめでもあしたはまた違う考えになっていただくようお願いします。
 そこで、最後になりましたが、我々大蔵委員会が静岡県に委員派遣をされました。委員長にも大変お世話になりましたが、その際、浜松の小売屋さんから、ビールの小売は量だけ多くて重い運搬物を運んで、三Kと同じように苦しい、汚い、危険、こういう職業に今なって人手が足らなくなっている。ビールの占める我が国の税率は非常に高くて四四・一%ということのようですが、何とかこれを少し下げて小売業者にマージンを少し多くくれぬか、こういう陳情であったように思っておりますが、それに伴いまして、ビールの酒税収入に占めるウエートから見て急激な引き下げは難しいにしましても、長期的にはビールの酒税負担率を清酒やしょうちゅう並みに引き下げていく必要があると思いますが、大蔵省はどういうお考えでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) マージン率の話につきましては、お酒は自由価格で取り引きされている話でございますので、そこは私から御答弁申し上げる分野ではないと思いますけれども、税負担が重過ぎるという点につきましては私から御答弁したいと思います。
 確かに現在四四・一%、小売価格に対して消費税とお酒の税金を加えてそれだけの税金をいただいております。ただ、そう違わないと言われそうですが、抜本改正前には五〇%近いあるいは四八%といった負担をいただいていたわけですが、抜本改正のときにビール大瓶一本当たり十円安くするというような改正をいたしております。そのときには、大衆飲料と言われておりますしょうちゅうはむしろ増税しているときにやっているような次第でございまして、そういった経緯があるということを御承知おきいだだきたいこと。
 それから、非常にありがたいことに、ビールをたくさん飲んでいただけておるものですから、税負担が高いと言いながら年々伸びているという実情にありまして、もしビールで減税すれば何を増税するかということを考えたときに、今の負担というものも一つの落ちついたところなのかなというような感じを持っております。
○池田治君 時間ですので終わります。
○三治重信君 けさから景気問題がいろいろ議論されておりますが、拝聴しておる限りにおいては、今度の公定歩合の大幅な引き下げ、昨年末の〇・五%に次ぐ今回の〇・七五%の引き下げは、我が大蔵委員は余り賛成といいますか、これだけで景気回復というのは到底できないじゃないかという御意見だと思うんです。私も公定歩合の引き上げ、引き下げというのは景気の動向を支配する政策としてはもう古いんじゃないかと思っております。何といいますか、金融が硬直というんですか、非常に限られている場合にはそういうことがあると思うんですが、金融手段が非常にたくさんふえてきているところで、日銀が公定歩合を引き下げるだけでそんなに全体の金利が上下するのか、そんなことでちょっと今その中身を聞こうと思っています。
 それで、まずプリミティブな質問だと思うんですけれども、今年度の予算の編成で、資金運用部資金の利息、それから国民金融公庫の利息というものが収入として出ておるんですけれども、これはこのような予算編成後、〇・五と〇・七五、一・二五減っているんですが、今年度の歳入には影響ないんですかどうか。
○政府委員(寺村信行君) 資金運用部からの各財投機関への貸付金利は、資金運用部への郵便貯金や年金資金からの預託金利と同一の水準になっておりまして、その金利は国債の金利を基準として定められております。したがいまして、資金運用部の金利は公定歩合には連動しておりませんので、公定歩合が引き下げられた場合、これが資金運用部の金利にどのような影響を与えるかというのはちょっと一概に申し上げられないという状況でございます。
○三治重信君 それぐらい、公定歩合と騒ぐんだけれども、非常な基本的な、資金の投資というのは、財投というのは投資のための資金が非常に多いんです。預金が全然、利子がちっとも変わらぬというようなことになると、これだけでも随分、公定歩合の引き下げが景気の動向にそれほど影響していない、こういうことになるわけです。
 それからもう一つは、銀行預金、郵便貯金、これはそれぞれ下げるんですが、預金の利子を下げるということは、これは一部の銀行預金は法人、大企業からもあるかもしれぬけれども、殊に郵便貯金とかその他の一般のやつは大半が一般庶民の貯蓄だと思うんです。一・二五%下がることによって銀行預金、郵便局というのはどれぐらい利下げが行われて、その総額がこの四年度で年間どれぐらいになることかお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(土田正顕君) 公定歩合引き下げに伴っての預貯金金利の引き下げ幅についてでございますが、まず最初に申し上げなければならないと思いますのは、今日既に、これは民間の預金も郵便貯金も、定期性預金のうちの、殊に定期預金でございますが、大部分はもう自由化されておりまして、直接影響を受けるのがいわゆる規制金利の適用がある部分についてのみであるということでございます。そこで、この規制金利の部分について、具体的には公定歩合の引き下げに伴いまして金利の引き下げが議論されることになるわけでございます。
 この引き下げの一・二五%のうちの今回の〇・七五%に対応いたします預貯金金利の引き下げにつきましては、まだ手続論として確定しているわけではございませんので多少これを申し上げますことは遠慮もあるわけでございますが、現在の手続の進行状況は、民間の預金につきましては金利調整審議会の審議を経て日本銀行政策委員会において適正な水準に決定されることになる、それからまた郵便貯金につきましては、郵政審議会の議を経て政令で定められることになるということでございます。
 現在、原案として議論されておりますのは、定期性預貯金について〇・一六%の引き下げ、流動性預貯金については〇・五%の引き下げということでございます。その結果、公定歩合の一・二五%に対応いたします二回分の引き下げの合計は、定期性が一・一%、流動性が一・〇%の引き下げということになります。
 ところで、これの対象となる預金はどうかということでございますが、これは民間の全国銀行のベースで申し上げますならば、まず定期性預金の中で規制金利の適用を受けております預金残高は、これは昨年の十二月末現在で六十兆六千億円あるわけでございますが、定期性預金につきましては、これはもう御承知のように、既に預入されておる分につきましては満期日までは現在の金利が適用されるわけでございます。したがいまして、今後おいおいに預け入れられるものにつきまして新しい金利が適用されるということに相なります。したがいまして、ちょっと具体的に現実的にどのくらい影響があるかということを試算することは難しい状況でございます。
 他方、流動性預金につきましては、これは同じく全国銀行ベースで昨年十二月末現在三十七兆六千億円ございます。これにつきましては、残高全体につきまして実施日以降、金利が引き下げられますので、これは機械的にもしこの残高に引き下げ幅を乗じますならば約三十七兆六千億円の一%、すなわち年間で約三千八百億円というような計算になるかと思いますが、これも現在のところあくまでも試算の段階にすぎないということを御理解いただきたいと存じます。
○三治重信君 流動性銀行預金だと定期性預金の約半分ちょっと、そういう半分でいながら利下げが少なくて三千八百億というと、六千億以上に定期性預金はなる、こういうことなんですね。それに郵便貯金が非常にある。こういうことになると、そうすると郵便貯金と合わせると一兆ないし一兆五千億円以上預金者の所得が減る、こういうふうな計算になると思うんです。
 それで、その中で六十五歳以上の老齢者の預貯金というものがどれぐらい減るか計算をお願いしていたんですが、どれぐらいに減る見込みになりますか、大ざっぱで結構です。
○政府委員(土田正顕君) 最前申し上げましたように、金利収入を主たる目的として預入されますものは定期性預金の方でございますが、この定期性預金のうちの、定期預金は民間の場合には既に過半が自由金利預金になっておりまして、公定歩合引き下げに対して機械的な対応をするようにはなっておりません。また、郵便貯金も、これは定期貯金でございまして、定期貯金の郵便貯金の中に占める比率は比較的少ないのでございますが、これにつきましても既に規制金利ではない商品が登場をしております。
 したがいまして、この規制金利の適用、しかも、それも今後に駆け込まれるであろう預金に限られるわけでございますが、その規制金利の適用される部分を私どもちょっと推計することが困難でございますので、その中でさらに特定の条件に合致する方々について引き下げ額を推定することも困難な状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
○三治重信君 そういうことで、公定歩合を引き下げてもすぐには結局金利の引き下げにもならぬ。景気回復というのはそれほど、実態を分析していくというと、公定歩合は、即日実施といった後すぐこうえらい影響があるみたいに、これは景気変動から見ると非常に錯覚を来す大きなもとなんです。景気回復をやるためには公定歩合なんかには余り頼ってはいかぬ、こういうことを大蔵大臣、はっきりひとつ天下に公表しておいてもらいたいと思います。
○政府委員(土田正顕君) 一言補足をさせていただきますが、最前からのお尋ねは、減収額は幾らかということでございますので、それは一義的に算定しがたいと申し上げたわけでございます。
 その理由として、かなりの部分が既に規制金利から外れているということを申し上げたわけでございます。ただ、その外れている部分、すなわち自由金利預金につきましては、これは一義的定量的にはリンクしないのでございますが、やはり公定歩合の引き下げにあらわれますような金利引き下げの方向は市場金利の引き下げとなってあらわれまして、その市場金利の引き下げが自由金利預貯金の金利の低下に反映するはずでございます。
 したがって、その時期なり下げ幅は必ずしも明確に一義的には連動はいたしませんけれども、むしろ公定歩合引き下げの効果によりまして自由金利の預貯金の金利は確実に方向としては引き下げられる、その方向に向かうわけでございますので、やはり全体として見ますと、これはそのほかのいろいろな措置とも相まちまして、資金需要者のニーズにこたえやすい環境を生むことになり、景気回復に役に立つものではないかと考えておるわけでございます。
○三治重信君 次に、予算で産業投資特別会計というものがあるんですが、その中に一つ、予算書では政府出資が一般会計から三千四百七億円国民金融公庫等三公庫に支出しているというふうに書いてあるんですが、産業投資特別会計で見ると、産業投資勘定で出資金が中小企業金融公庫以下十幾つかある。これが五百二十九億円も出資しているんですが、こういうふうな間接的な、政府でも一般会計からの出資と同じような扱いになっているのかどうか。
 それからもう一つは、社会資本整備勘定というのがあって、これが今までは日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法ということで社会資本整備勘定が行われておったんですが、今年は一般会計から二千百六十六億円余のやつをやるということになってくると、何のために社会資本整備勘定で一般会計から入れてやっていかにゃならぬのか。これは、社会資本整備勘定というのはそういう電電公社みたいな特別な財源がある場合にだけで、これがなくなれば当然整理しなくちゃならぬ問題だと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(田波耕治君) 二つ御質問がございます。
 最初の方は、産業投資特会を通じて公庫への出資をしている、一般会計で直接やればいいじゃないかということでございますけれども、国が特定の事業を行う場合で、当該事業の成果計算を明確にし、適切な管理を行うために一般会計と区分して経理する必要があると認められるときには、事業特別会計を設置することが認められているところでございます。御質問の産投特会につきましては、「産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって投資を行う」という、いわゆる法律上の特定の事業を遂行するために設置された事業特別会計であるわけでございます。したがいまして、この目的で行われる出資につきましては、産投特会で経理されることが適当であるというふうに考えておるところでございます。
 二つ目の御質問は、いわゆる社会資本整備勘定へ一般会計から予算を受け入れて公共投資をしておる、そもそもこれはNTTの株式売り払い収入について行われてきたものであるのに対して、ことしは一般財源を入れておるけれどもどうかということでございます。
 いわゆるNTTの株式売り払い収入につきましては、本来国債の償還に充てるということが制度的に確立されているところでございますけれども、その中にありまして、当面国債整理基金の円滑な運営に支障を生じない範囲内におきましては、株式売り払い収入の一部を活用して社会資本の整備の促進を図ることとしてきたところでございます。これは、現下のような厳しい財政事情のもとで、片一方で建設公債の発行を極力抑制したい、あわせて適切な公共事業の実施を行っていく必要もあるというこどで、当面NTTの株式売り払い収入金を活用することが適当であるという観点から無利子貸付制度ができているところでございます。
 しかしながら、委員御承知のように、現在のNTTの株式をめぐる市場環境等を考えますと、仮に売却できたとしても、その事業の財源が工面できるかという問題があるということでございまして、これまでNTT株式の売り払い収入の活用によって行ってまいりました社会資本の整備の促進を図るための事業につきまして、四年度におきましては、いわゆるA、B、Cとございますけれども、そのうちのBタイプ事業に一般財源を充当することとしたところでございます。
 今後、どうするかということでございますけれども、これは現在の四年度における厳しい財政事情にかんがみまして緊急避難的な措置としてやった措置というふうに御了解をいただきたいと思います。今後の取り扱いにつきましては、NTT株式の売却状況やそのときどきにおける財政事情等、あるいはNTT事業の財源をめぐるその他のいろいろな諸情勢を踏まえつつ適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
○三治重信君 大臣、やはり予算を余り複雑化するとわかりゃせぬ。財政というのは、入ってくるやっと出るやっとでぴしっと、すっとわかるようになるのが、費目もつかんで単式簿記的にやっているのが財政なんで、こういうふうに間接的にあれもこれもと、いろいろ事情はあろうけれども、こういうのはぜひ機会あるごとに整理をしてもらいたいと思います。
 それで、最後に一つ、たばこ会社の株式。
 NTTは株が物すごく下がってしまった。これには僕はぜひNTTが無償交付をやって、株式を買った人を信用を補充すべきだと思うんですけれども、たばこはこれは非常に健全な経営が行われていると思うんです。こういうようなものも開放して、国債の利払いが一般会計の歳出の二〇%を超すようなやつをいつまでもやらぬで、何とかしてこの国債の利払いのやつをもっと一五%なり一〇%なりに減らすような努力を一遍、歳出のことばかり気にしてやるよりか、そういうことでもう少し国債を減らすことに努力をしてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(羽田孜君) もう御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、やはり国債の発行残高というものが累増すること、それによって一般会計におきましても国債費が非常に高くなってしまっておるということは、これは問題があるわけでございまして、私どもとしても、今後とも歳出等を十分見きわめながら健全な財政というものをつくり上げるために努力していかなければいけないというふうに考えていることを申し上げたいと思います。
○委員長(竹山裕君) 以上をもちまして、委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹山裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(竹山裕君) 次に、公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○前畑幸子君 今回の法案の提出理由を見ますと、本法律案は、「最近における公認会計士業務の国際化、多様化等の状況等に対応し、公認会計士業務に引き続き多くの優秀な人材を確保するためこということになっております。
 今回の試験制度が、二次試験におきまして短答試験、そしてそれに合格した人が、論文試験に科目選択制を導入するということのようでございます。平成六年の十月一日実施ということですので、まだ二年、三年の期間はございますけれども、今まで論文試験を主に試験勉強してきた受験生にとってどのような反応があるかということも心配いたしますが、その辺についてお聞きしたいと思います。
 そして、「引き続き多くの優秀な人材を確保するためこという目的に関連いたしまして、優秀な人材を確保するということは、どのような能力をお求めになっているのか、どのようなところが変わるからそう考えられるのかということもお聞きしたいと思います。
 そしてまた、論文式から短答式と試験の性格が変わってくるわけでございますので、受験生の能力にも得手不得手があると思います。この試験方法の差によってどういう能力の持ち主の合格を期待されているのか、そうした受験勉強の準備も変わってくるのではないかと思いますが、そのあたりについてお聞きしたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 今回の公認会計士試験制度の改正の目的につきましては、今御指摘がございましたように、公認会計士業務が非常に国際化、複雑化、多様化しておる。その中で引き続き優秀な人材を確保していくという観点から試験制度の改正を考えているわけでございます。
 今お尋ねのありました点について中心に申し上げますと、まず最初に、第二次試験に新たに論文式試験に加えまして短答式、択一式試験というものを導入するということを考えているわけでございます。これは一つには、第二次試験の受験者数が非常に多くなってまいりまして、七千人を超えるような状況になっております。そういう中で、論文式試験の採点の精度というものを確保することが非常に難しくなってきておりまして、そういった観点で、まず短答式試験を導入いたしまして、その短答式試験を合格した人に論文式試験の受験資格を与えるという考え方でございます。これは司法試験などでも既に採用されている方式でございます。
 これが受験者の負担にならないかという御指摘でございますが、短答式試験につきましては、その科目は、会計学と商法、いわば公認会計士の試験の基礎的な科目でございます。現在、論文式試験につきましても会計学と商法が必須科目になっております。したがいまして、そういった観点からいいますと、短答式試験を導入することによって受験者に非常に負担が重くなるということはないというふうに考えているわけでございます。
 それから、優秀な人材ということをどう考えるかということでございますが、第二次試験に今回科目選択制を導入いたしまして、必須科目の会計学及び商法に加えまして選択科目を三科目入れております。この考え方は、従来は選択制ということではなくすべて必須科目ということで受験していただいていたわけですけれども、経営学と経済学、それに新たに民法を加えまして、この三科目のうちから二科目を選択するというふうな改正を考えているわけでございます。これによりまして、私どもとしてはより広い受験者層を対象にできるのではないかということで、そういう広い受験者層を対象にして公認会計士試験を実施することにより、いろいろな人材を確保できるというふうなことを期待しているわけでございます。
 なおしかし、こういう試験制度の改正を行うわけでございますが、基本的には公認会計士に要求されております資質といいますか能力といいますか、これは現在、公認会計士の監査に対する社会的な要請あるいは注文というものが非常に高まってきているわけでございまして、基本的にそういう現在の試験の水準を落とすというようなことのないように、公認会計士の能力の水準の確保については十分配慮していきたいというふうに思っております。
○前畑幸子君 公認会計士試験の受験者というのが、昭和二十四年からずっと見ておりますと、三年度では七千百五十七人ということで、大変な人数に年々増加傾向をたどっているということは確かだと思います。ですから、今回の一番趣旨とされているのが、試験委員の先生が時間的能力的な制約、限界がある中で次第に困難になってきている、大変なことなので、二次試験の中で短答試験を導入してそこで一回ふるいをかけたいという目的のように受け取っております。
 そうしますと、例えばこの三年度を例にとりますと、大体一受験者の一科目の論文にどのくらいの採点時間がかかっていたかということをお聞きしたいと思います。そして、今度短答式を導入することによってそれがどのぐらいに改善されるとお考えですか。そして、今おっしゃいましたように、選択科目の中に民法を加えることによって法学部系の受験者が増えるであろう、法学部系の受験者に道が開かれるということになるわけですが、そうした思惑がきちっと当たるのかどうかということですけれども、そうした点についてどのような見解をお持ちでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 現在およそ七千人あるいは七千百人ぐらいの第二次受験者がいるわけでございます、その論文の試験の採点に要する時間が四十日間ということでございまして、試験委員の数は勘案いたしますと一日当たり大体百三十人ぐらいの論文を採点しなきゃならないというような状況になっております。
 それがどの程度改善するかというお尋ねでございます。これは、第二次試験に導入いたします短答式試験の合格基準というものをどう考えるかということにかかってくるわけでございます。
 短答式試験の導入の趣旨は、先ほど申し上げましたように、論文式試験の採点の精度を上げたいということにあるわけでございまして、そういう観点から申し上げますと、短答式試験の合格基準を形式的に点数で決めるということが果たして適当かどうかということを現在公認会計士協会を中心にして具体的なやり方を検討していただいているわけでございますが、私どもの考えとしては、やはり導入の趣旨からいたしまして第二次試験で論文式試験を受験する人の数といいますか、そういったものをある程度改善するといいますか、それによって減らすことによって答案の精度を上げたいという考えでございまして、七千人ほどいる現在の論文式試験の受験者を、大体の感じでございますが、半分ぐらいにできればというふうに考えているわけでございます。
 それから、民法の選択科目への導入ということにつきましては、御指摘のように、確かに法学部系ということが言えると思います。ただ、民法というのは非常に定着したといいますか、社会的に定着しかつ安定した内容の法律でございます。法学部系の出身者が新たに選択科目、選択制の恩恵を受けるということは事実でございますが、そういったことを通じて先ほど申し上げましたようにいろんな才能のある公認会計士の受験者がふえ、公認会計士の質の向上が図られればというふうに考えているわけでございます。
○前畑幸子君 採点者が大変厳しい状況にあるということが第一目標のように受け取られますけれども、今回、試験委員の定数についても法定制で現在十五名以内ということですが、今度これを公認会計士審査会で決定し得ることとするということですが、何人ほどにされる御予定なのかということもお聞きしたいと思います。
 そしてまた、三次試験のあり方ですけれども、今までは年二回行われていたわけですね。これを年一回とするということになるわけですが、厳しい状況になるのではないかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに、御指摘のように、この改正におきましては、試験委員の定数、これは現在法定で十五名とされておりますが、それにつきましても審査会で決められるということにしたいと思っております。
 この数でございますけれども、少なくとも民法を選択科目として導入いたします関係で、やはり二名程度の専門家ということが必要になってまいります。さらに短答式試験ということで、この短答式試験ということになりますと、相当そういうものに対する試験委員というものの数の手当てが必要になってまいりまして、具体的に現在十五名を何名にするかというお尋ねでございますが、もう少し具体的な短答式試験の検討にもよるわけでございますが、やはり少なくとも五名程度の増員は必要であろうというふうに考えております。短答式試験をどういうふうな形式でつくるかということもまだ現在検討を進めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 それからもう一つ、第三次試験を現在年二回実施しておりますが、これを年一回にするということにしております。実は第三次試験につきましては、昭和三十年代後半、特に三十六年以降、いわゆる士補浪人という方々が非常に多くなりまして、これは第二次試験まで合格して第三次試験を受ける方々でございますけれども、そういう方々が非常にたくさんおられたものですから、年二回ということでその受験機会をふやしたわけでございますが、最近そういう問題が解消してまいりまして、もうそういう一時的な手当ては必要なくなったということで、もとに戻すということで年一回にしたいということでございます。
○前畑幸子君 その三次試験浪人がたくさんあったということですけれども、それは、公認会計士試験は二次論文試験に合格しますと公認会計士補という資格が与えられたと思うんです。それから実務補習が一年間及び業務補助期間が二年間という合計三年間のインターンを終えなければ三次試験を受ける受験資格がとれなかったということだと思います。今度はそれが通算三年ということには変わりはないが、実務補習と業務補助期間を重複してもいいというようになったということなんですね。
 この問題につきまして、実務補習というのは全国三カ所の、東京、大阪、名古屋ですね、その三カ所に実務補習所があって、そこで受講されているということなんですけれども、そうしますとその三カ所以外の地域の人とか、それから会社に入っていられて会計の課長になられたような方たちが合格されたとしても、その受講の機会を得にくいといった問題点があったからなかなかできなかったんではないかと思うんです。その辺に関してはどういうふうに今後お考えでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) まず、昭和三十年代後半にどうしてそれほどいわゆる士補の方が多かったのかということでございますが、これは一つには、実は第三次試験の合格率が非常に低くて一割に満たないというような状況でございました。これは試験が難しかったという問題もあるのかもしれませんが、そういうことで非常に第二次試験を合格してもなかなか第三次試験に合格しない人が存在したということがございます。
 それから、今御指摘のいわゆる実務補習、業務補助の問題でございますが、実務補習につきましては、今御指摘のように、東京、大阪、名古屋の三カ所に日本公認会計士協会が設置しております実務補習所というのがございます。そこで一年間の実務補習を受けることになっております。今回の改正によりまして、その実務補習と業務補助等の期間三年というものの重複を認めたいといいますのは、実は実務補習の範囲といいますか内容が非常に多くなりまして、一年だけで実務補習を終わらせようとしますと、大体これは夜間にやっておりますということでかなり受験者の負担になるということでございまして、実務補習を一年ではなくて業務補助等を行える残りの二年間にわたっても実務補習が行えるということで、実務補習の負担をならすといいますか、そういったようなことができるようにしたいというのが今回の改正の目的でございます。
 今御指摘のありました、実務補習というものが三カ所、東京、大阪、名古屋しか行われていないという点についても試験制度の見直しのときに議論になりまして、これにつきましては、例えば通信教育を導入する、あるいはスクーリング制度を導入するというようなことで、地方におられます受験者に効果的な実務補習ができるようにするということを検討する必要があるというような指摘を公認会計士審査会の方から得ておりまして、現在その具体的なやり方について公認会計士協会を中心にして検討を行っているところでございます。
○前畑幸子君 そういうふうに通信教育とかスクーリングが導入されて、地方にいても勉強の機会が与えられるということは、これは大変大切な、そして三次試験を受験される方にとってありがたいことだと思います。
 それに関連いたしまして、要するに二次試験合格者が三次試験を受験する機会が以前は四回あったということですね。ということは、一年に二回受験できるわけですから、二年にわたって四回受験資格があったわけです、二次試験まで受かっていた人は。ところが、今度は年一回になることによって、その免除回数も二回になるということなんです。そうすると、今まで四回挑戦できたのが二回しかできないということで、大変三次試験に向かっての厳しい状況になるのではないかなと私は思うんです。
 弁護士さんも、要するに合格者が二年間いそ弁といって弁護士事務所で実地の研修をされます。それから税理士も合格者が二年間会計事務所で実務経験をして、そして登録をして資格が与えられるというふうになっておるんです。そのあたりとの違いがあるわけなんですが、公認会計士というのは大変大事な職員を担われているわけですから、厳しい状況にあるということは結構だと思いますけれども、こうした研修等との関係にもひとつ留意していただくことがあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど申し上げましたように、実務補習及び業務補助等を含めまして三年間のいわばインターン期間のようなものは設けられているわけでございます。御指摘のように、確かに年二回の試験を年一回にするということでございますので、受験機会が減るという問題はあるわけでございます。こういうインターン期間における教育の内容といいますか実務補習の内容、あるいは業務補助等の内容について、我々も年一回に受験機会が減るということも十分考えながら、さらにこの内容の充実あるいはより受けやすい環境づくり、あるいはより地方の方が受けやすいような方法を考えるというようなことを検討していきたいというふうに思っております。
○前畑幸子君 私がざっと判断いたしますと、要するに試験委員の先生の御苦労を緩めるために二次試験の短答式試験で一度ふるいをかけて、そして論文でもう一つクリアして三次に向かわせるということと、それからもう一つは、受験する層を広げるということが今回の趣旨ととらえておりますけれども、それで結構でしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 基本的には今御指摘をいただいたような方向で試験制度を充実し、かつ受験者の層を広げ、公認会計士の資質を高めたいというのが私どもの考え方でございます。
○前畑幸子君 質をよくするということでございますけれども、試験が難しくなりますと合格者が減るわけです。現在公認会計士の登録者というのが約九千人ということでございますけれども、これは果たして当局としては、人数的には多いと思われておりますか少ないと思われておりますか、お聞きしたいと思うんです。
 公認会計士本来の業務である監査証明業務というものは、証券取引法による監査、商法監査に加え、学校法人監査、労働組合監査、そしていろいろと業務の範囲も広がってきましたし、特に証券取引法監査、商法監査については三月という特定期間に決算期が集中しておりますので、公認会計士の仕事もそこに集中するのではないかなというような気がいたします。この試験制度を厳しくされるのか、それとも合格者を少しふやす方向に考えられているのか、根本的にはどういうようにお考えでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに、御指摘のように公認会計士の監査業務に対するニーズというのは非常にふえております。これは上場企業もふえておりますし、あるいは商法上の監査の対象もふえておりますし、あるいは学校法人、労働組合等の監査のニーズというのもふえているわけでございまして、私どもとして現在の公認会計士数で十分だということを考えているわけではございません。やはりこのようなニーズにこたえるには十分ではないんじゃないかという感じも持っているわけでございます。
 しかし一方で、かといって質を落とすというわけにはいかないわけでございまして、今回の基本的な考え方は、やはり基本的に今の試験の水準は維持する、しかし維持しながら、より多くの受験者の層が広がることによっていろいろな人材が確保できるということを期待しているわけでございまして、受験者数をふやすためというわけにはなかなかいかないわけでございますが、質は維持しながら、かつその中で受験者がなるべくいろんな層からたくさん来ていただく。その来ていただくことによって質を落とさなくてもニーズにこたえられるようになれば一番望ましいという考え方でございます。
○前畑幸子君 今回の趣旨とされるところがちょっと私もつかみかねるんですけれども、アメリカでは公認会計士が約三十万人ぐらいいられるということなんですね。イギリスでは約十万人ということなんです。日本では公認会計士の数は補も含めまして一万二千大切れるということのようで、一万人足らずということなんですけれども、国際的に見ても大変、企業数という問題もあると思いますけれども、このあたりについてはどうお考えでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに公認会計士の絶対数だけを見ますと、アメリカは三十万人おられますし、あるいはイギリスも十万人を超える数になっております。ただ、一方でその監査対象数でございますが、これが日本の場合には大体現在、商法特例、商法分と証取法の分を加えますと六千八百ぐらいになります。
 アメリカの場合には、SECの登録会社は一万五千でございますけれども、それ以外に各州に証取法の監査対象となる対象があるようでございます。これは正確な数字は私どもつかんでおりません。イギリスの場合には公開会社、私会社合わせまして監査対象会社数は百万というふうに言われております。イギリスの場合と日本の場合とを比べた場合には、百万に対してイギリスはほぼ十万ぐらいの会計士がいる。日本の場合には、商法と証取法だけでございますけれども、合わせて七千弱ということでございまして、必ずしも日本の公認会計士の数が圧倒的に少ないということは言えないんではないが。ドイツ、フランスなどについても一応調べてみておりますけれども、必ずしも日本の方が圧倒的に少ないということは一概には言えない。これは監査対象の数とのバランス、相対的な問題でございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、最近ニーズが非常に高まってきておりますし、またそのニーズの高まりとともに質の高さも要求されているというような事情もあるわけでございまして、そういったような両方の要請にこたえながら、かつ試験制度をどういうふうに持っていくかということをいろいろと検討したわけでございますが、繰り返しになって恐縮ですが、先ほど申し上げましたように、我々としては、質は落とさないができるだけ広い受験者が受験でき、それによっていろんな公認会計士、多様な人材が試験を通って公認会計士になるということができていけばそういうニーズにこたえられるんではないかというふうに考えているわけでございます。
○前畑幸子君 この資料に、三年度で公認会計士が九千百三十八、会計士補が二千八百二十ということですけれども、それに対して監査対象法人が証取法の方で三千百九十三、商法で三千六百十八、学校法人で四千九百二十八、約一万二千社切れるぐらいのところですけれども、この公認会計士の数字とその対象ではバランス的には無理があるのでしょうか、企業数に対応してはまあまあ合っているのでしょうか。
 そしてもう一つ、公認会計士の中には公認会計士業務をせずに税理士業務をされている方もたくさんあるようですけれども、その割合がわかりましたらちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) この対象数でございますが、実は一つ申し忘れまして、商法の対象と証券取引法の対象の中には重複している分がございます。したがって、単純に足すわけにはいかないわけでございます。
 対象数と公認会計士数との関係でどうかというお尋ねでございますが、公認会計士の場合には現在監査法人という形で監査をしているのが主流でございまして、個人でやっているというよりは監査法人ということで組織的に監査をしております。したがいまして、企業が大きくなり、あるいは業務が多様化し国際化したのに対しても、そういう法人形式で組織的な監査をすることによって対応をしていっているわけでございまして、そういったことである程度そういう変化に対応でき、あるいは監査法人という組織でやっておりますものですから、非常に複雑な監査に対してもある程度対応できるということになっているわけでございます。
 したがいまして、単純に会計士の数と監査法人対象数を比べるというのは、比べてどうかというのはなかなか一概に言いにくいことだろうと思いますが、監査のやり方として今のような法人形態でやることによって難しい監査もできるとかいうようなことは十分可能になっております。先ほど申し上げましたように、今後ニーズがだんだん高まってまいりますので、やはりそれなりにそれに応じた公認会計士数の確保ということは必要であろうというふうに考えております。
 それから、公認会計士の中で税理士業務をやっている人の数でございますが、三年三月末の数字しか手元にございませんが、公認会計士が三年三月末では九千二十五名でございましたが、そのうち税理士登録をしている人の数が四千七百七十九ということになっております。
○前畑幸子君 約半分の方が税理士業務をされているということですけれども、私がお聞きしたいのは、今おっしゃいましたように、会計士業界をめぐるいろいろな社会的、世界的なニーズの中で、公認会計士の数を早急とは言わないまでもふやしたいという御意向もあるわけでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) これはやはり公認会計士の監査業務に対するニーズがふえてきておりますし、今後もふえていくということが考えられるわけでございまして、そういったことからいいますと、やはり数をふやしていく必要があるというふうに思っております。
 したがいまして、試験の見直し、質を維持しなきゃいけないということをかなり強調いたしておりますけれども、質は維持しながら合格者をふやしていくということができないかというのが私どもの考え方でございます。
○前畑幸子君 これは私の独断の意見かもしれませんけれども、公認会計士を必要としている社会状況があるということでございますけれども、公認会計士と同じ職務領域に属して働いております税理士というものの利用というものはお考えになっていませんでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 公認会計士と税理士はおのおの違う業務内容で業務を行っているわけでございます。ただ、従来から議論されておりました商法監査問題の中で、中小会社に対する監査といいますか、そういった問題が前々から商法改正の問題として議論はされておりまして、中小会社に対する監査をどうするかという問題があるわけでございます。
 これについては、なかなか関係者で意見調整ができずに、商法改正までなかなかこぎっけられないわけでございますけれども、中小会社のそういう監査問題というものが議論されて、一遍に中小会社というものが監査対象に入ってまいりますと、これは現在の公認会計士だけで果たして適正に監査ができるかという問題が生じてくるわけでございます。
 そういった場合に、今御指摘のありました公認会計士だけではなくて税理士を利用するのはどうかというような議論があろうかと思うわけでございます。従来からもそういう議論がなされているわけでございますが、中小会社に対する監査というものに対する考え方が必ずしもなかなかまとまらないという状況にあるわけでございまして、私どももそういうものを見ながら、かつ公認会計士業務と税理士業務にはやはりある程度といいますか、明確な差があるわけでございまして、そういったようなものをどういうふうに考えていくのか。中小会社の監査の業務の中で公認会計士あるいは税理士の行うべき業務あるいは行うことが期待される業務というようなものを考えながら、中小会社の監査問題の議論の行方を見ながら、あわせて税理士の活用というような問題についても検討をしていく必要があるというふうに考えております。
○前畑幸子君 民法を試験科目に入れることによって受験の層を広げるとか、法学部系の学生を受け入れやすく、受験しやすくするという御意向の中に、やはり税理士というものも、税法、財務諸表、簿記、すべてに関してプロとしての経験年数を持っているわけですので、税理士という独立した制度を持っている我が国としまして、ドイツがもう一つあると思うんですね、ドイツ方式をお考えになるようなことはお考えになれませんか。
○政府委員(松野允彦君) ドイツにおきましては、私どもが承知しておりますところでは、一定の期間を区切りまして税理士に簡易な試験で会計士資格を与えるという措置がとられたわけでございます。ただ、その前段階で既に税理士が一定の監査事務を行っていたという実績があるわけでございまして、既に監査事務を行っていた対象会社を公認会計士監査の対象に取り入れるという段階で今のような簡易な試験による資格の切りかえといいますか、そういったようなことが行われたわけでございます。
 そういったような切りかえ前に既に実績があったということをどう評価するか、実際にどこまでそれが公認会計士業務と類似していたのかどうかというようなことも検討する必要があろうと思いますし、それが日本の現在の税理士と公認会計士業務との間の差というものとどういうふうに考えたらいいのかというような検討すべき点がいろいろとあるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、基本的に商法上の監査の問題、中小会社に対する監査の問題というのが、まだこれから議論が行われるわけでございまして、そういったものを見ながら、あわせて今御指摘のそのドイツの例なども、今申し上げたような点をさらに詰めながら検討をさせていただきたいというふうに思います。
○前畑幸子君 公認会計士であり、私ども税理士の指導者でもありますTKCというところの飯塚先生がそのドイツ方式というものを提唱されているわけです。開業年数に応じた簡易試験を受けることによって公認会計士の資格が与えられ、そして公認会計士のするべき仕事に参入させるという措置を講じたらどうかという御意見を出されておるということは、商法改正の時点までにそういう問題も出てくるかと思いますけれども、今後の研究課題かと思います。
 きょうはその程度でちょっとその問題は置きまして、もう一つ最後に。
 今回の証券会社による損失補てん、最近では飛ばしか大きな問題となったわけですけれども、証券会社の多くは上場企業として有価証券報告書を提出する義務がある会社だと思います。そうしたところに公認会計士の証明がつけられると思うわけですけれども、こうした有価証券報告書を出していたところにこういうものが出てきているわけですけれども、公認会計士がこれをチェックする、発見する機会がなかったものかどうかお聞きしたいと思うわけです。
 私は、何年ごろになりますか、記憶にありますのは、要するに粉飾決算で公認会計士が企業にかかわっていたという問題が新聞をにぎわした事件がございます。今回も、本来ならばこうした損失補てんとか飛ばしという問題が公認会計士の監査の中で出てくるべきものではなかったかなと、大蔵省の調査の中で出てきたということに、私は公認会計士が何をしていたのかなと思うわけですけれども、そのあたりについてどうお考えでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) この損失補てん、昨年問題になりました損失補てんでございますが、これにつきましては、公認会計士は証券会社に対する監査の過程で、これは中には証券会社が税務上自己否認をしているものがございますので、そういったものを監査の過程で会社から報告を受けていたということはあるわけでございます。ただ、それにつきましては、自己否認といいましても経費ということで、税務上の取り扱いは別にいたしまして、企業会計上は経費であるということでございまして、それが直ちに最終損益に影響を与えるということにはならないわけで、経費科目が違うというようなことでございまして、最後の損益が変わってくるということにはならない。
 それから、当時損失補てんというものの取り扱いにつきまして、ディスクロージャー上どういうふうに考えるかという点については必ずしも確立した慣行がなかったということで、自己否認というものを会社から報告を受けても、その点についてはあえて有価証券報告書に反映させるというような指導を公認会計士としてはしてなかったということでございます。
 ただ、こういう問題は、しかしやはり通常の取引とは異なる取引であるということで、ディスクロージャー上、有価証券報告書上通常の取引とは違うんだという点を開示する方がより実態に合っているということで、私どもが公認会計士協会に対し、その実態に合うようなディスクロージャーを公認会計士を通じて指導すべきであるということを指摘いたしまして、それに沿いまして証券会社は、すべてその損失補てんにつきまして、そういう通常の取引ではないということで有価証券報告書の提出を行っておりますし、また、損失補てんを受けた企業の側につきましても、同じように指導いたしまして、有価証券報告書の訂正が行われているわけでございます。
 なお、最近問題になりました飛ばしという行為でございますが、これは証券会社の営業員が全く会社に無断で、しかも会社の外でお客の直取引、お客間の取引を仲介したものでございまして、会社の帳簿、記録等には一切載らない形のものでございまして、公認会計士監査によっても発見できなかったということでございます。
○前畑幸子君 公認会計士というのは、有価証券報告書等に記載された財務諸表に対し監査証明を自署押印するということですね。それによって企業の真実の経理内容を公開するということです。ということは、投資者の保護に資するということになると思うんですけれども、その辺が、損失補てんのような会社ぐるみで行った不正に対し、公認会計士というものは全然関知のできないほど無力な立場にあるわけでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) この損失補てんにつきましては、現在は証券取引法を改正していただきまして、証券取引法上の違法行為として罰則がかかる禁止行為になっております。現在はしたがいまして法律違反行為になるわけでございまして、もし公認会計士が会計監査の過程でこういう行為を見つけますと、それは不適切な、不正な行為だということで、これは商法監査特例法上監査役に対してそれを指摘するということで、業務監査の一環ということで監査役に対してそれを指摘するということになっております。現在の証取法が改正された後につきましては、明らかに違法行為であるという位置づけがでぎますので、公認会計士が監査過程で見つけた場合には、そういう処理をすることによって会社の是正と小いますか、会社に注意を喚起し、会社の責任を求めるということになろうかと思います。
○前畑幸子君 今、監査役という言葉が出ましたのでついでにお聞きしたいんですけれども、そうしますと、今回の不祥事、損失補てんに関連しましても、監査役というものも全然そういう疑問がなかったのかということが気になるんです。監査役というのは、要するに日ごろ経営執行部といろいろな論議をしている、会社の経営に対して物を言う立場にあるのが監査役だということで、商法改正のときにも監査役に力を、権限を持たせたと思います。また、最近監査役というのは飾り物にすぎなくて、企業の中ではおとなしくて余り物を言わない、なるべく口を出されない方が監査役にというような風潮があると思います。私自身も、企業で監査役というのはなるべく嫌なことを言わない人にすべきだというような気持ちがありますけれども、公認会計士の今無能というのに関連してお答えがありましたのですけれども、監査役というものの力も問題があるのではないかと思いますが、それに対する見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 監査役は商法上の会社の機関でございまして、私ども直接商法を所管しているわけではございませんので、監査役に期待されている機能について私が詳しく申し上げるということは、それだけの内容を知っているわけではございません。
 ただ、今御指摘のように、確かに日本の企業における監査役の機能というのが果たして十分発揮されているのかどうかという問題は常に指摘をされているわけでございまして、私どもも証券会社が損失補てんを行ったということを踏まえまして、やはり監査役というものを、もう少し監査役の独立性といいますか、こういった点について十分考える必要がある。
 一つの方法としては、社外から監査役を求める、弁護士とかいうような資格の人を求めるとかいうようなことで、監査役の行います監査というのが十分実効性を上げるようにする必要があるというような指摘も行っておりますし、仮に会社に長年勤務していた人が監査役になるにしても、そこはやはり監査役として期待されている機能というのがある以上、独立性あるいは公正性というようなものを十分担保する必要があるということを指摘しているわけでございます。
 監査役の会社、業務監査における役割というものは商法上は非常に大きな役割が期待をされているわけでございまして、その期待された役割が十分発揮できるようないろいろな方策を証券会社にお願い、要請をしているわけでございます。
○前畑幸子君 ありがとうございました。世界的にも、そして社会的にも公認会計士というものの立場が大変重い責任のある立場になりつつある中ですので、公認会計士が質のいい、そして人数も確保できるということに向かってこの制度が有意義に改正されること、そしてその資格を取得する制度などに多少いろいろな調整も図って、今後の商法改正に向かっていただきたいと思いますが、大臣に最後に一言お願いできたら。
○国務大臣(羽田孜君) ただいまずっと御議論がございましたように、やはり公認会計士というのが新しい時代の中で、国際化ですとかあるいは多様化ですとか複雑化する、そういった中で公認会計士に対する社会的な要求というものが非常に高まっておるということがあります。そして、いわゆる必要な人数というものも確保しなければならないということあるいは専門的な深い知識というもの、しかも幅広い識見というものも必要であろうというふうに考えておりますので、今度のこういった改正によりましてそういう目的というものを果たしていきたいということを改めて感じます。
○前畑幸子君 公認会計士の問題はここで終わらせていただきますが、ちょっと時間がありますので、大蔵省の見解をお聞きしたいと思います。
 先日来、私は、金利が下がったことに対して、喜ぶばかりではなくて私どものような少額の預金を楽しみにしている国民の立場も考えていただきたいということを再三申し上げてきましたけれども、それに関連しまして、きょう名古屋の事例を挙げましてちょっとお聞きしたいんです。
 国土庁にお聞きしたいんですが、中区栄五丁目百九番地と百十番地という土地がございますけれども、そこの国土法価格と申し上げても言えないと思いますが、ごく近くの平成二年の六月ごろの価格と平成四年、きょう現在の大体の価格を教えていただきたいと思います。
○説明員(木村誠之君) ただいま名古屋市中区栄五丁目百九番、百十番ということでございましたが、先生お話しのとおり、そのポイントは地価公示あるいは地価調査の対象になっておりませんので、その近くでございますが、具体的に申しますと、名古尾市の中区栄四丁目、今お尋ねの地点から二百メーター弱離れたところかと思います。ここが地価公示の調査地点になってございます。
 この地域の価格は、ちょっと先生のお尋ねの時点と違いますが、平成二年の一月一日で、これは平米当たりでございますが、六百三十万、平成三年の一月一日で七百三十万、さらにことし一月一日の時点で五百六十万円というふうになっております。もちろん、土地の価格といいますのは、大変個別性が強くて、その土地の形あるいは接面道路の状況、角地でありますかどうかというようなこと等々によりまして大変違いますので、今申し上げた価格が先生お尋ねの地点の価格の水準を直ちに示すものではございませんが、御参考までに申し上げます。
○前畑幸子君 国土法というものは、こういう近隣の公示価格を眺め、そしてその土地の有効需要とかそういうものを加味した上で出されてくると思いますので、倍まではいかないと私は判断いたします。
 そしてもう一つ、これは六百三十万から七百三十万、五百六十万というような、二年から三年、四年と、公示価格というのにはそんなにこれ大きな違いはないわけですね。平米で百万上がって、そして実質的には百五、六十万下がったということですが、これによって固定資産の評価額というものも関連してくる金額になるわけですね、これは。
○説明員(木村誠之君) 固定資産の評価額は、自治省において各地方公共団体を指導されているところでございますが、承っているところによりますと、平成六年の評価がえからこの公示価格を一つの指標といたしまして、おおむね七割程度を目標として課税評価を行ってまいりたいというふうに自治省の方から聞いております。
○前畑幸子君 そうしますと、大体のおよその公示価格というものはつかめたんですが、この土地を銀行に担保に入れるときの評価の出し方というのは、大体売買価格の七掛けと私は思っているわけですが、間違いないでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) 今のお尋ねは不動産担保の評価でございます。これは実は一言でこういう方法があるというふうにはっきり申し上げることができるようなものではございませんで、実は現在行われております担保評価の代表的な方法は三つございます。その三つというのは、取引事例比較法、原価法、収益還元法というふうに言っております。
 ただいまお話の売買実例というのは、取引事例比較法に乗った場合にはそうなるかということでございますが、これはやはり対象物件によって最も適切な方法を選択する、ないしはケースに応じましてこれらの方法を併用して時価の妥当性をチェックすることも必要であろうというふうに一般的には考えられておるわけでございます。
 それから、その次の掛け目の問題でございますが、これはやっぱり個別の金融機関の判断によるということでございまして、これは金融機関によって必ずしも一定しておりません。ただ、世間でいろいろ取りざたされます通例の掛け目というのは、例えばその七割とか八割とか、それはその不動産の態様なり種類によってまた違うようでございますが、大体七割ないし八割を利用しているものが多いというふうに私どもは聞いております。
○前畑幸子君 そうしますと、この土地が担保に入っている金額がちょっと理解できない金額なんです。私はこの土地の国土法を知っておるんですけれども、二年の二月の時点での国土法価格が大体千八百万から二千万、それから四年の三月末の国土法価格が一千三百万から一千五百万、これは坪です。そして三年の暮れぐらいの人々の口で言う実勢価格というものは約一千万が最高値ということなんです。国土法出したのをコピーをお渡ししてもいいんですが、そういう土地の価格にそんなに違いはないわけなんですが、この土地が二百二十三・七五坪で第一抵当権六十億円、第二抵当権二十億円という八十億円の担保がその日に同じ日に二口に分かれてなされているんですが、八十億円の担保価値があったというふうにとっていいんでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘の問題は、これは恐らくは個別金融機関と特定企業の取引に係る非常に個別的な問題でございますので、余り立ち入って申し上げることも遠慮されるわけでございますが、やや一般論的に申しますならば、この評価そのものにつきましては、いろいろと先ほど申しましたような事例を手法としては用いるわけでございますが、実際には、重要な判断をするときにはしかるべき鑑定評価の専門家に依頼をいたしまして、鑑定評価額をとっておるということであろうかと思います。
 また、ただいまの同じようなグループの物件に二重というか二つに分けて抵当権を設定しておるということがございましたが、仮にそのようなことがありましても、それは例えば抵当権設定の目的が違っておるとかそういうような場合にはあり得ることではないかと考えております。
○前畑幸子君 私がここで疑問に思いますのは、六十億円と二十億円が違う趣旨でつけたとおっしゃるんならばそれでいいんですが、八十億円の土地に価値を認めたという銀行の判断だと思うんですね。
 それが一つ不思議だということと、それからもう一つは、逆算しまして八十億円を坪単価で割りますと坪三千五百七十五万円の取引なんです。例えば六十億円の方が土地の価格で、二十億円は別のものではないかというふうにとらえますと、二百二十三・七五坪で割りますと二千六百八十万という坪単価の取引がされた。こんなに大きい金額の取引がされたということが、国土法との関係はここではお聞きしませんけれども、違反があったということ、そしてまた不法な担保の評価をして銀行が融資しているというところを私は指摘したいんです。
 そうしますと、今回、バブル企業の負担を減するために政府は金利を一生懸命下げさせる、そうした銀行の姿勢を大蔵省が指導せずに、金利ばかり一生懸命日銀に圧力をかけるというところに私は問題はないんでしょうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) 個別のお話なので多少申し上げにくいわけでございますが、ただいまの御説明の中で銀行がと仰せられましたけれども、実はその新聞記事は私も承知しておりますが、これはそのような抵当権を設定したのは銀行そのものではないような記事だと思います。いずれにいたしましても、それはその銀行と密接の関連を持ちますノンバンクの名前が挙がっておりますので、それは手法としてそのような鑑定評価を行ったことが妥当であるかという問題はやはりあろうかと思います。
 ただ、その次に単価の計算でございますけれども、ちょっと私ども手元の資料では御指摘のとおりにはそういう事実関係の把握ができないのでございます。ただ、いずれにいたしましても、その御趣旨はこの国土法上の価格から比べて高さに失するような評価をしたのではないか、こういうお尋ねであろうかと思いますが、この点につきましては、先ほどいろいろ御説明申し上げましたけれども、それなりの手続を踏むに当たりましては専門の鑑定評価書を取り寄せておるというのが通例でございまして、本件の場合にも、その内容が妥当であるかどうかについては確かに御議論があろうかと思いますが、手続としては恐らくその鑑定評価を取り寄せて、その上で手続を進めておるのではないかと考えておるわけでございます。
○前畑幸子君 そちら様でノンバンクだとおっしゃいましたから私も名前を言いますけれども、セントラル抵当証券ですが、その裏は、セントラルというのはみんな東海銀行の系列ノンバンクです。ですからこれは東海銀行がここを経由しているだけのことで、東海銀行が全部やらせている企業です。その企業名もきちっとわかっておりますけれども、そこまで言うんじゃなくて、全体的に東海銀行が名古屋におきましては何社にも不良な債権を抱え、そして地上げを大変な金額でさせている状況があるわけです。
 そこでお聞きしたいんですが、東海銀行が延滞債権扱いということですが、延滞債権というのはどういうことを言うのか御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(土田正顕君) お尋ねの最後の延滞債権の問題でございますけれども、これは一般的に申せば、金融機関の貸国債権が約定期限に返済されない状態のものを呼んでおると考えております。
○前畑幸子君 期限に返済されないということは、銀行側はどうするんでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) 約定どおりに返済されないという事態が生ずる場合に、それに対する対応はこれはまさにケース・バイ・ケースであろうと思います。いずれにいたしましても、金融機関としましては貸国債権を資産として持っておるわけでございまして、その資産の健全性保持の観点からやはりこれを適切に管理、回収するということが仕事になろうかと思うわけでございます。ただし、そのようないわば管理、回収するに当たりましてどのような方法をとるかというのは、これはまさに相手ごと、また事例ごとに千差万別であろうと思いますので、これは一概に申すことはできないわけでございます。
 ただ、恐らくこの問題につきましては、本件のように比較的金額が大きな、しかも不動産担保に関連するような不動産融資であるとした場合には、担保物件の評価をやり直し、それからまた担保権の実行ということまでも考えて返済計画を求めるか、ないしは返済計画が提出されない場今ないしは合意に至らない場合には最終的には担保権を実行するか、そのような方法を選ぶことになるんではないかと考えております。
○前畑幸子君 と受け取りますと、期限に関係のない延滞扱いを認めるということになりますから、不動産業界が上向いてもう一度土地のお金が高くなって今の担保金額で売れるまで要するに待つという、回収する道は地価の上昇を待つしかないんではないかなという気がいたします。
 このセントラルファイナンス、そして東海銀行グループ、セントラル証券などが貸し込んだ土地で、今事業はされずに駐車場をしてほかってあるというと語弊がありますが、地価の上がるのを待っているのではないかなというような、一つも上に建物が建たずにいる状況の土地ばかりです。私はここで、東海銀行がこうした名古屋の地上げに何社にも非常な手をかして、きょう現在不良債権が四千億とも言われているわけですけれども、こうしたことに対する大蔵省の指導といいますか、そして責任者に対するおとがめというものは全然ないわけでしょうか。そのあたりはいかがでしょうか。
○政府委員(土田正顕君) まず、延滞扱いを認めるということは、普通そういう用語は余り聞きなれないところでございます。延滞債権ないしは延滞扱いというのは一つの状態を指す言葉でございまして、それを今後どのように処理し回収するかというのは銀行の判断する仕事になるわけでございます。
 その場合に、御質問のような高値が戻って高い値で売れるまで待つしかないのではないかということとは必ずしも限らないのでありまして、いろいろと周辺の事情なり債務者の状況なりを見た上で、適切な回収計画を銀行として立てるということになるものだと思います。その場合に、回収不能な額、いわばロスが出てくるということもあり得るわけでございますが、そのロスが出た場合には、それはしかるべく償却その他で銀行経理上適切に処理していくということになろうかと思います。
 そこで、特定の銀行の名前は別といたしまして、やや一般論になりますけれども、このような融資のあり方に問題はなかったかという御指摘につきましては、これは私どもやはり謙虚に受けとめなければならないと思っております。いわゆるバブル経済の消長の過程におきまして融資の審査、管理が脆弱化していたのではないかという御批判はよく承っておるところでございます。その結果、問題債権がかなり生じておりますということもこれは事実であると思います。
 今後の課題といたしましては、一つは問題債権を整理するという仕事がございます。それからもう一つは、むしろ前向きに体制の引き締めというか立て直しと申しますか、融資の審査、管理を含む内部管理体制の総点検を行いまして、そして審査体制、管理体制を立て直すということが今後の課題になるわけでございます。具体的には、特にこれまで御指摘がございましたような、不動産金融につきましていろいろと問題が指摘されておるわけでございますが、この不動産金融への取り組み方につきましては、金融界も深刻な反省の上に立ちまして実務的観点から種々検討を行っております。その一例といたしまして、全国銀行協会連合会では先ごろ不動産研究会報告とか不動産金融マニュアルを作成して公表したわけでございますが、そこでは、当然のことでございますが、不動産融資の基本原則を再確認し、投機的な土地取引に係る融資を排除する、それから不動産担保の評価の厳正化を期するというようなことが盛り込まれておるわけでございます。
 私どもといたしましても、昨年末、実はこれは総量規制を延長しない、それで今後の土地融資について厳正な態度で取り組むべきことを指示する、そういう通達でございましたが、この通達におきまして金融機関が土地関連融資を行うに当たって特に留意すべき事項を取りまとめまして、その中で不動産担保融資の厳正化についても指導をいたしたところでございます。
 それから最後に、個別の銀行につきまして、問題を抱えた程度なり、それからその対応はさまざまでございますが、そのようなものは行政においてもしかるべく実情の把握に努めておりますし、また折々に銀行検査を行ってその実態を把握し、それから状況によってはそのような事態を起こした経緯について深刻な反省を促すとともに、今後そのような再発を防止する体制を組むように指示をしておるというようなことでこの問題に取り組んでまいっておるところでございます。
○前畑幸子君 要するに、せっかくつくった国土法に違反した業者、そういうところに金融機関がお金を貸したということは、私はそれも違反行為だと思いますので、そのあたりもきちっと対応していただきたい。そして、名古屋で一番と言われている東海銀行の姿勢が余りにも悪くて、名古屋の土地がこのようにバブルの先頭で走ってしまった。そして自分のところの一〇〇%子会社であるセントラルファイナンスが、これつぶしてしまえばいいんではないかと思うんですね。つぶしてしまうと、要するに担保が土地であるから評価割れをしてしまう、そうすると東海銀行の不良債権が出てくる、それをカバーするためにいつまでも結局カモフラージュしているわけです。業者は、絶対にうちは銀行がつぶさないと言っているからと言っております。
 そういう点も踏まえますと、私ども低額、少額預金者が本当に目減りをした預金を眺めているときに、そうしたバブルで膨れ上がった企業に対するために金利がどんどん下がることは私は片方の立場として忍びない気がいたしますので、今後の問題としてやはり大蔵省の厳しい指導体制、指導態度というものを持っていただきたいということをお願いして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○白浜一良君 私は、公認会計士の試験制度が今回改正になりまして、幅広く人材登用されるということは、それは是とするところでございますが、まず初めに問題にしたいのは、そういう人材登用もさることながら、現実の公認会計士の皆さんが行っていらっしゃるいわゆる監査業務の機能強化という面でお伺いをしたいと思うわけでございます。
 先ほども若干の問題が指摘されておりましたが、例えば損失補てんの問題がございました。このときに、公認会計士協会の方、理事という方でございましたが、当然こういう事実はもう公認会計士は知っていると明言されていたわけでございます。知っていながらなぜ手を打てないのかということを問題にしたいと思うんです。
 先ほど局長、損失補てんはすぐそのままいわゆる損益にはつながらないということをおっしゃいました。それからディスクロージャーの方法もまだ確立してなかった、こういう先ほど答弁されていたと私理解しておりますが、しかしそういうことは関係ないと思うんです。わざわざそういう法人に法人監査としてこういう公認会計士がついているわけですから、当然補てんされている取引そのものが、公開のいわゆる市場を通した取引じゃないわけで、いわゆる一つの手法を使って取引されて補てんされているわけですから、こんなのだれが見たって不公正であることは違いないわけでございます。また、ディスクロージャーの方法が確立してなかったといっても、そういう公認会計士として法人を監査しているという立場で言えば、これはやはり明確にするのがそういう立場上の業務じゃないかと私は思うわけでございますが、なぜそういうように手を打てなかったのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 先ほど御説明いたしましたのは、私どもが公認会計士から損失補てんの取り扱いについて事情を聴取した内容を御説明したわけでございまして、確かに当時のといいますか、損失補てんというものについてはほとんどのものは有価証券の売買取引という形で会社に記帳されているわけでございます。売買損が出ているという格好で、それは損失補てんになるということでございますが、そういったことで仮にその損失、売買損の部分をほかの損失だとしても、最終損益には影響を与えないということが言えると思います。
 ただ、それが売買損として表示するのが適当かどうかという問題があるわけでございまして、その点については我々が公認会計士から聞いたところでは、そこはなかなか確立した慣行がないということであえて有価証券報告書に反映させるという指導を行わなかったということを聞いているわけでございます。ただ、私どもとしては、やはり通常の売買取引ではないという考え方に立たざるを得ないということで、通常の売買取引ではないということで表示をすべきであるという指導を公認会計士協会を通じて行ったわけでございます。
 損失補てんという行為、これはいろいろな形態で行われ、いろんな有価証券が使われて売買の形で行われるわけでございまして、その中にはもちろん自己否認というものもありますから、公認会計士が察知できないということはないわけでございますけれども、当時の会計慣行あるいは取り扱いからしてあえて有価証券報告書上に反映させる必要がないというふうに各公認会計士は判断をしたということを聞いているわけでございます。
 ただ、私ども、それが適切であったかどうかという点については、やはり通常の売買ではないという表示をする方がより適切だ、より実態をあらわすということで訂正を行わせたわけでございます。
○白浜一良君 後でもう少し聞きますが、もう一つ、先ほど局長が答弁されておりましたが、当時は違法じゃなかった、現在は違法だ、だから当然きちっと監査するのは当たり前だという、そういう趣旨のことをおっしゃっておりましたけれども、しかしながら、少なくともあの時点においても補てんというのはいけないということで通達は出ていたんです。すると、通達、いわゆる大蔵省から出ている通達も守れないような会計士の立場なんですか。確かに違法ではなかったけれども、大蔵省から通達は出ていたわけですよ。これはどう考えたらいいんですか。
○政府委員(松野允彦君) この通達、証券会社の行う営業行為といいますか取引というものに対して、損失補てんとなるような取引をしてはいけないという通達が確かに出されていたわけでございます。一方、公認会計士による監査といいますのは、企業がいろいろな取引を行います。その取引が企業会計原則に則して正しく処理をされて、それが財務諸表に適正に表示されているかどうかという点を中心にして監査が行われるわけでございまして、もしその中に妥当でない取引、取引の妥当性ということになりますと、これは業務監査ということで、商法の監査役の問題になってまいるわけでございます。
 確かに通達が出て禁止をしていたということは事実でございますが、それを企業会計原則あるいは財務諸表にどう適正に表示するかという問題については、やはり会計慣行というものが必ずしも確定してないという段階においては、公認会計士としてあえて有価証券報告書上通常の売買ではないという表示までするということが求められるのかどうかという点については、当時は公認会計士はそこまでは確立していないということで要求しなかった、指導しなかったということでございます。
○白浜一良君 確かにおっしゃるとおりなんですが、例えば、そういう不審な点があれば、それは確かに財務監査をしているわけですから、だけれども業務監査する立場で先ほどお話も出ました監査役の立場があるわけです。当然そういう監査役に対する告知といいますか、財務上監査してこういう問題があると、そのぐらいはするべき立場じゃないですか、この会計士という立場は。どうですか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに商法の監査特例法八条には、公認会計士が監査の過程において取締役の不正行為あるいは法令、定款に違反する重大な事実を発見した場合には、監査役に報告する義務というものが規定されているわけでございます。
 この取締役の不正行為、あるいは法令、定款に違反する重大な事実かどうか、それに該当するかどうかというところの判断の問題に帰着するわけでございますが、御指摘のように、私どもとしても、これは全くこれに適合しないから報告しなくていいとまで私は申し上げるつもりはございません。これはやはり、かなり取締役の業務の執行に関し不正の行為があったかあるいは法令もしくは定款に違反する重大な事実があったかどうかということは、これは行為の性質あるいはそのときの環境の中でその行為がどう評価されるかということになるわけでございまして、損失補てんの取引というものが少なくとも取締役の職務執行に関し不正の行為があったということはなかなか言えない問題かもしれませんが、法令もしくは定款に違反する重大な事実があるかどうかというような点、あるいは不正の行為というものをどう判断するかというようなことがあるわけでございます。
 公認会計士がこれに明らかに該当しないから監査役に報告をしないというようなことが適当だったかどうかという点につきましては、私どもも必ずしもそれが全く適当だったというふうに判断をしているわけではないわけでございまして、やはりこういう規定がある以上はできるだけこういう規定を使うことによって、いわゆる業務監査の何といいますか、補助といいますか、あるいは会計監査人としていろいろな不正行為を見つけるということが要求されているわけでございますから、そういう点についての責任というものを十分自覚していただく必要があるというふうに考えているわけでございます。
○白浜一良君 ですから、そのとおりなんです。そういう機能を果たしていただかないと、幾ら優秀な人材を登用しても、実際誇りを持ってそういう職務を遂行するということにならないから私は言っているんですよ。
 先ほど局長が、例えば監査役の機能ということで、監査の独立性を要求しているというか主張しているというか、そうおっしゃいましたですね。それ以上に、いわゆみ公認会計士という、法人監査、そういう第三者的な中立的な立場、投資家を守る、そういう立場を本当に確立しないといけないということを私は言っているわけでございます。ですから、実際、機能的に、現実の面で申し上げましたら非常に弱い立場にいらっしゃる。
 これも新聞報道によりますが、雅叙園観光の実例が監査の例として出ておりました。「適法」という表現をされて、一カ月の間に「意見差し控え」となって、さらにまた「適法」に、まあころころいわゆる監査の評価が変わったというんです。変わらざるを得ない、そういうお立場もこれはあるわけで、こういう立場で果たしてそういう第三者、中立的なという大事な財務監査をする会計士の立場であるのかどうかということを私は問題にしたいわけです。
 先ほど少し出ましたけれども、例えば公認会計士協会から、「損失補填等を受けていたとされる会社の財務諸表上の開示問題について」という会員報が出ておりましたですけれども、これを見ても、私は素人ですからよく詳しいことはわかりませんが、非常に立場が弱いなとこの文書を読んで思うわけです。大蔵省からこう言われた、各証券会社がこうしている、だから以後取り計らいをお願いしますと。私、これを読んでまして、非常に立場が弱い。
 ですから、今回そういう試験制度を変えられるということは非常に大事なことで、優秀な人材を登用すべきだと思いますが、と同時に、やはりもっとこういう公認会計士の立場、大事なそういう財務監査をする公認会計士の立場をより強化するということが大事だと思いますが、この点についてお考えはどうですか。
○政府委員(松野允彦君) まさに御指摘のとおりでございまして、弱い立場にあるかどうかという点について私どもから意見を申し上げることは差し控えたいと思いますが、ただ、少なくとも私どもも公認会計士が適正な監査ができるようにできるだけ環境整備といいますか、できるだけのことをしなきゃいけないというふうに感じているわけでございまして、今回、実は公認会計士が行います監査の基準あるいはよるべき準則というものを全面的に見直しをいたしました。
 これは二十五年ぶりのことでございまして、企業活動が国際化している、あるいは多様化しているというような中で、監査をいかに適正にするかということを主眼として全面的な見直しを行ったわけでございますが、その中におきまして、例えば監査を受ける企業から公認会計士が監査の実施に必要なすべての資料を提供しているかどうかという点について確認書をとるというような新たな制度を導入いたしました。これはアメリカなどでは既に行われていることというふうに聞いておりますが、そういったことによって要するに会計監査をする上において必要な書類をすべて提供されているというようなことを経営者に確認させるというような、あるいは監査のやり方についてより組織的かつ適正な方針をつくって立ててやれとか、さらに不正な行為を見逃さないように、これは当たり前のことではございますけれども、そういったようなことを中心にして監査基準等の見直しを行ったわけでございます。こういったようなことを通じて公認会計士の立場をできるだけ強化していきたいというふうに思っているわけでございます。
○白浜一良君 それはそれといたしまして、そういう努力も私理解いたしますが、具体的な御提案を一つしたいんですけれども、例えば公認会計士法の中に、例えばですよ、そういう会計監査の重要性と中立性、これを明記すべきじゃないかという具体的な提案をしたいと思うわけです。
 例えば、会計士が当然これはディスクロージャーすべきと判断したと、ところがその会社との関係ございますから、妥当な理由もなく企業側から一方的に契約を破棄される。こういう場合も当然あるわけですが、そういうことがあってはならないという、そういう会計士のいわゆる会計監査の重要性と中立性、これを法律の本法の中にきちっと明記するということも立場強化の上で一つの大きな大事なことだと思うんですが、御見解ございましたら。
○政府委員(松野允彦君) 確かに会計監査業務の重要性あるいは中立性というものをそのままそっくり明記するというのも一つの考え方だろうと思います。現在の公認会計士法におきましては、そういう中立性というものを実質的に担保いたしますためには、公認会計士に対して一定の関係を有する会社の監査を行うことを制限しております。いわば中立性を裏から担保するというような規定を置いているわけでございますし、また公認会計士法上の団体であります公認会計士協会の規則の中には、監査業務の独立性を確保するための規定が置かれております。
 また、重要性につきましては、今申し上げた例えば監査基準の見直しの中で、不正な行為を見逃さないように十分チェックするように、またチェックに必要な十分な書類をとるようにというような仕組みを用意しているわけでございまして、私ども実質的にいろいろな箇所で監査業務の重要性あるいは中立性が確保できるような手当てをしているということを御理解いただきたいと思います。
○白浜一良君 私、弱いから言っているわけでございます。本法の中に担保していると今おっしゃいましたが、非常に不明確である、そういった点で私は御提案申し上げたわけでございます。
 次に、ちょっとこれは関連した問題になるわけですが、証券問題で飛ばしの問題がずっと最近報道されておりましたですけれども、これ現在訴訟されている件数、証券会社が何社で、何件の訴訟で、大体どのくらいの金額を抱えているんですか。
○政府委員(松野允彦君) いわゆる飛ばしと言われておりますものの中で訴訟事件になっておりますもの、これは平成三年、昨年から出てまいったわけでございますけれども、昨年でその訴訟件数が三件ございます。被告となっている証券会社は二社でございまして、相手方のお客数が三、金額は合わせまして二百二十二億円でございます。それから平成四年、ことしてございますけれども、ことしになりまして訴訟件数が二件、証券会社の数は一社、それから四顧客、二十六億円というのが、これは訴訟の提起ベース、つまり提起された時点を基準として三年、四年ということで整理した数字でございます。
○白浜一良君 そのほかに昨年からずっと検査に入っていらっしゃると伺いましたが、訴訟以外でつかんでいらっしゃる、そういう数がございますか。
○政府委員(松野允彦君) この訴訟以外で飛ばしと言われておりますものが民事調停に持ち込まれたものがございます。民事調停に持ち込まれている案件は、証券会社の数にいたしまして三社、相手方が六顧客、金額は合計で千百七十三億円ということになっております。また、訴訟にも調停にも持ち込まれてなくて、いわばまだトラブルの段階で証券会社と相手方の話し合いの段階のものがまだ幾つかあるというふうに聞いております。
○白浜一良君 補てん問題があれだけ大きな騒ぎになりまして、引き続いてこういう証券会社と顧客のトラブルが起こっているわけですね。市場が非常に株価が低迷しているということもございますが、局長、こういう実態を、公正で健全な市場形成という観点からこの事実をどのように受けとめていらっしゃるのか、またどのように対応されようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 御指摘の点につきましては、まさに何というのですか、証券市場に対する信頼性が失われているということ、こういったことなんかは、やっぱり今の飛ばしですとかあるいは損失補てんですとか、そういったところから生まれてきておるであろうというふうに思っております。
 そういうことで、私どもといたしましてその対応ということにつきましては、いわゆる先物取引に係わる制度の改善ですとか、あるいは証券会社の適切な営業体制及び投資勧誘というものを確立していくことですとか、またエクイティーファイナンスなんかに対する慎重な対応が必要であるとか、あるいは今度損失補てんに対する証券取引法、これを本年一月に施行させていただいたこと、あるいは現在、今委員会の方にお願いをしております所要の関係法案というものを御論議いただきながら、これを確立していくということが非常に重要であろうということですとか、あるいは今度、先ほど御議論もございましたけれども、大口投資家向けの株式投資信託の設定の推進ですとか、そしてやっぱり基本になるものは株式投資というものが魅力のあるものにしていくということ、こういった一連の措置というものを着実に進めていくということを私たちはやっていかなければいけないというふうに考えております。
○白浜一良君 それは最後の問題でございまして、ちょっと違う。私、今の飛ばしとかそういうトラブルに関して省としてどうされるのかと伺ったのでございます。
○国務大臣(羽田孜君) どうも失礼しました。
○白浜一良君 局長、伺っておきましょうかね、何か一言ございましたら。一言だけでいいから。
○政府委員(松野允彦君) 昨年の損失補てん、あるいはことし明るみになりました飛ばし、いずれにいたしましても、飛ばしの方は私どももまだその事実関係を詳細に今チェックしている段階でございます。何しろ営業マンがやや独断で会社の帳簿なども一切通さないで行っている行為でございますので、なかなか事実関係を把握するのに時間がかかっているわけでございますが、いずれにいたしましても事実関係を把握し、それを法律に照らしてみて証取法上問題があればそれなりの対応をする、あるいは監督責任、経営責任という問題もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この二つの問題はいわば同じ根っこから出ているという感じがするわけでございます。いわゆる財テク、企業の資金を預かって株式に運用し、それが失敗をした。その失敗を補てんしたのが損失補てんであり、失敗を表に出さないでいわば時間を稼いで、そのうちに損失が回復しないかという期待でいろいろ時間を稼いでいたのがいわゆる飛ばしと言われる行為だというふうなことでございまして、いずれにいたしましても証券会社の企業との間の取引関係というものに起因するものでございます。
 しかも、飛ばしに至りましては、営業マンがかなり独断的に行っているということでございまして、証券会社の営業マンに対するチェックというものがなかなか働いてない。こういったものは、一つには営業マンと企業との間の癒着関係というようなものが考えられるわけでございまして、そういったものをやはり生じないような方策老考える必要がある。例えば、営業マンを一定の期間でかえる、つまり長期間同一企業を担当させないとかいうようないろんな工夫をすることによってこういったようなことを防いでいかなきゃいけないし、これは単に営業マンのそういう不正な行為だけではなくて、企業、ひいては証券会社の財産状態にも非常に大きな影響を与えるような金額になっているわけでございまして、何とかこういったようなものを防ぐ必要があるし、また現に表に明るみに出たものについて一体どうするか。証券会社によってはかなりのダメージを受けるものもあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういったものが同じ原因であるとはいえ、次々と表面化するということは、非常に証券市場あるいは証券業界に対する信頼を失わせるわけでございまして、大変我々としては残念なことでございます。信頼を回復するためには、今大臣からもお答え申し上げましたように、なかなか一回失われた信頼を回復するには時間がかかるわけでございますけれども、着実に営業姿勢なり投資勧誘方法あるいは企業との取引関係というようなものを改善して、一刻も早く証券市場の信頼を回復するように努めていく必要があるということで、業界にももちろんそれを真剣に取り組むように要請をしておりますし、我々としてもできるだけのことは力をかして証券界あるいは証券市場の信頼を一刻も早く回復することに努力をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
○白浜一良君 もう時間がないのでこれ以上できませんけれども、この飛ばしの問題も、今局長から伺っただけでも千数百億国会トラブっているわけですね。これを一店員の、一社員の責任と見ていらっしゃるところに私は今の証券が信頼を回復されない、特に個人の投資家が信頼を持てない大きな原因になっているんですよ。一種の政治倫理の問題と一緒ですねん。政治家が何ぼ言うたってもう国民は信じない。これ大きな問題なんですよ。ですから、一社員の問題だというそういう体質を変えない限り、なかなかそういう一般の投資家の信頼は回復できない。もっと本当は論議したいんですが、そのことだけを訴えておきたいと思うわけです。
 あと、ディスクロージャーの問題とかいろいろやりたかったんですが、もう時間もございませんので最後に、何とか証券市場を活性化せにゃいかぬということできょう午前も午後もいろいろ論議されました。特に大口の投資信託の問題、それから自社株の売買の問題、されましたが、先日、新聞に掲載されておりましたが、自民党の中でも緊急の対策をせにゃいかぬということでいろいろ検討されているということです。その報道によりましたら二つのことが書いていたわけです。
 一つは、いわゆる新規商品の開発、導入、この問題。もう一つが政府関係機関の証券市場での資金運用を積極的に展開させる。これは新聞報道ですから詳しく私ら存じておりませんが、こういう報道もされておりました。これは自民党内のいわゆる問題でございますが、政府といたしましては、具体的にこういう二つの点が今報道されておったということを私言っているわけでございますが、この点を踏まえましてどのようにお考えになっているのか、御意見を伺って質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(羽田孜君) 先ほどから申し上げましたように、この問題について、まず信頼を回復するということが何といっても大事だということを我々肝に銘じて、今の御指摘のあったような点につきましてもきちんとした対応というものをしていきたいというふうに思っております。
 それから、新しいものについての開発ということにつきましては、これは証券界の方でもそれぞれお考えになっておるということでありまして、そういったものが今の商法等に変な抵触するものじゃないもの、そして一般の皆さん方が理解されやすいもの、そういったものの開発というものを我々も望んでいかなければいけないんじゃなかろうかというふうに思っております。
 それから、最後の問題……
○白浜一良君 政府の関係の資金運用。
○国務大臣(羽田孜君) 政府の関係のあれにつきましては、今までもよくそういった議論というのはあるわけでありますけれども、例えば先ほどもちょっと御指摘があった中に簡保資金なんという実はお話もあったわけでありますけれども、これは相当多くの国民め皆様方からお預かりしておるというようなことでございまして、株式というのは自己責任ということを言いながらもそこに要するに完全に安定しているものじゃないということがあるわけでございまして、そういったものを考えたときには、ある程度きちんとしたものが保証されているもの、こういったものに出すことはよろしいと思いますけれども、株式そのものを入手するためにこれが進められるということについては私どもはまたこれからも慎重にやっぱり考えていかなきゃならぬ問題であろうというふうに思っております。
○近藤忠孝君 試験制度の改革には賛成でありますが、問題はこれで人材確保ができるのかということです。
 その根本には、やはり公認会計士制度がうまくある意味では正しく機能しているのかどうか。私はなかなか機能し切っていないんじゃないかと思うんですね。その理由は、今も指摘があったように、やはり公認会計士が大変弱い立場にあるんです。なぜ弱いのか。ある意味では企業に従属するんですね、相手から会もらうわけだから。それから、本当に株主のために徹底監査しようというような公認会計士はまず採用しないでしょうわ。例えば、私がこれから議員やめて仮に資格があって公認会計士をやったら、開店したって上場企業だれも来ませんよ。さっきの国税庁やったような形でやるといったら全然来ませんからね。
 だから、その辺に私は根本的な本質があると思うんです。やはり弁護士の場合もそうですけれども、依頼者のために全力を尽くすんです。そして依頼者から金もらうんですよ。ところが、監査する企業、これ徹底的にやると、そこから金もらうのはやっぱり基本的にそうはいかない。そこで、いろいろ粉飾決算に加担したり見逃したり、こういう例が出てくる。私はある意味では必然だと思うんですね。制度の根幹にそういう欠陥があるので、そのことについてもうちょっと抜本的なお考えはないのか、まずお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(松野允彦君) 公認会計士制度、特に公認会計士の立場についての御指摘がございました。
 公認会計士監査といいますのは、企業の財務諸表の適正さを担保するわけでございます。同時に、企業の経理指導というものもやってその経理の適正さを確保するということをやっているわけでございます。
 それで、確かに監査報酬というのはその監査対象であります企業から監査契約に基づいて受け取っているわけでございますが、ただ、こういう仕組み自体は諸外国においても全く同様でございまして、日本だけというわけではございません。確かに、公認会計士監査の中で監査上不適切な事例があった、幾つか見られたということは事実でございますけれども、大部分の公認会計士は非常に独立性を意識しかつ倫理観を持って適正な監査を行っているところでございまして、基本的には日本の公認会計士制度というのは監査の適正さを担保する制度として有効に機能しているのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
 監査報酬をもらっているから弱い立場に立つ、あるいは依頼した監査会社のために行うというふうな御指摘がございましたけれども、今申し上げましたように、基本的にやはり公認会計士の立場といいますのは、いかに企業の財務諸表が適正であるかということを明らかにし、それが投資者保護に資するということを担保しているわけでございますので、そういう観点、そういう自覚に立って監査業務を行っているのが大多数の公認会計士だということはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございまして、制度的に報酬をもらっているからどうかということは、これは今申し上げましたように日本独特の事情でもございません。
 あとは公認会計士の職務に対する認識の問題、あるいはさらにはそれを取り巻く投資家なり財務諸表が適正に作成されているということが前提になっていろいろな取引をしている人たちの考え方といいますか、適正な財務諸表が公にされるということを担保するのは公認会計士だけではないと思うわけでございまして、いろいろな関係者がそれを担保することによって公認会計士の立場というものを強化するということも必要ではないかというふうに思うわけでございます。
○近藤忠孝君 長く答弁しておられる割に余り実のないお答えで、一番大事なところをやっぱり外していると思うんですね。
 これは、去年の七月に日経新聞で特集がありましたね、「公認会計士試練の時代」、見てみると本当に試練だらけですよ。例えば雅叙園の例が出ていますが、一回目の適法意見、これが途中で意見差し控えに変わり、さらに三回目にまた適法に変わったというんですよね。だから、上場廃止期限いっぱいの五月三十日ぎりぎりの段階になって会社側の主張に妥協せざるを得なかったんだ、こういう指摘です。
 私もなるほどと思ったし、なるほどと思った根本が、やはり相手からお金をもらう、そういう関係にあります。例外はイトマンの監査の問題だったと。ところが、こんなに厳しくやってバッテンをつけたら、恐らく翌年から依頼関係が切れる可能性が十分ある。さっき私が話した、私なんかは全然採用されない、また途中で切られる、そういうところにあるんです。
 私、思いつきの提案なんですけれども、個々の企業と公認会計士のじかの報酬のやりとりだからそういった問題が起きるんで、ある機関、例えば公認会計士協会でもいいし何か別の機関でもいいですが、二足の適用対象になる企業からそこへお金を出させて、そこから派遣をすればそんなことはないんですよ。そういうようなことも含めた抜本的な検討は必要じゃないかと思いますが、端的にお答えをいただきたい。
○政府委員(松野允彦君) 今申し上げましたように、やはり一つは、個々の企業に対する経理指導という問題もこれは監査契約の中にあるわけでございまして、今御指摘のようにプールして全部のお金を協会で集めてそこからということも一つの考えかもしれませんが、やはり私どもとしては、個々の公認会計士、現在の場合はほとんど監査法人ということで法人格になっております。そういったような監査法人ということで相当独立性といいますか力も強くなっているわけでございまして、むしろ、やはり個々の監査法人の地位を強化していくということで監査の適正を確保していく方がより道当ではないかというふうに考えるわけでございます。
○近藤忠孝君 実際、経営者とある意味では結託しあるいは見逃して、結果的に不正監査をする事例というのはやっぱりあると思うんです。その場合、当然被害者から損害賠償請求が起きる。アメリカではこれ相当多いんじゃないでしょうか。アメリカの実態と、日本でもそういった場合がどうなのか、これについても端的にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) アメリカの計数についてはちょっと把握をしておりませんが、確かにアメリカは訴訟が非常に好まれる社会でございます。不適正な監査をめぐる訴訟事件は数がかなり多いというふうに聞いております。
 我が国の場合には、不正監査につきましては証取法上の損害賠償責任、これは有価証券の取得者に対する責任でございますが、それから商法監査特例法におきましては、一般の第三者に対する公認会計士の賠償責任が規定されております。
 これについてどうかということでございますが、現在まで不適正な監査について損害賠償を求めた訴訟事件というのは、証取法に基づいて有価証券の取得者が行ったものが一件ございますし、それから被監査会社が監査法人を訴えたものが一件ございます。最初の有価証券の取得者の行ったものにつきましては、これは裁判の途中で和解が成立をしております。それから後者の被監査法人が訴えたものにつきましては、現在訴訟が係属中ということでございます。
○近藤忠孝君 アメリカでは大変たくさんこの種の事件が起きて、企業の不祥事に対し監査証明の上で何らかの指摘をしなかったということで、投資家などから裁判を起こされて巨額の賠償金を払う例が大変多くなった。最初保険をつけておったようです。損害賠償保険に入っておったようだけれども、保険会社も余り多過ぎるんでもう保険を引き受けなくなったというんですね。だからアメリカの公認会計士さん大変ですわ、しょい切れない賠償責任を負わされる。私は、やがて日本でもこんなことになる可能性もあるのではないか。どうしたって経営者に迎合しからですからね。だから経営者にぴっちり言い切れない。しかし片や投資家から損害賠償請求。大変気の毒な立場ですよ。
 だから、幾ら試験をうまく変えてもなかなか私、有能な人材が来ない可能性が、そういうやっぱり制度的な問題があるんじゃないかと思うんです。
 それから、最後にもう一つ。
 何といいますか、あれは、監督権と懲戒権が大蔵大臣にありますよね。これは税理士も同じなんです。そこにも、片やそういう問題がある、しかし片やお役所から目を光らされている。本当に二重、三重苦ですわ。この点で、なぜ大蔵大臣に、これは税理士も含めてです、監督権があるのか、これをお聞きしたい。
 そして、特に税理士の場合、ちょっと公認会計士から外れますけれども、税理士の場合には私は当然自治権があってしかるべきだと思うんですよ。だって納税者の代理人ですからね。そして対決すべきは税務署ですよ。税務署の親分の大蔵大臣に監督権があって、時によっては懲戒される。これだと私は、税理士の場合本当に独立して納税者の立場に立ち切れない。適正な納税を指導するときもありますけれども、しかし、ある場合には利害が対立する場合もあるわけだから。
 この点は、戦前の弁護士に対する監督権は検察庁でした。戦前、我々の先輩の弁護士は、弾圧事件を担当しまして検事と激しくやったら相当数みんな懲罰を受けちゃったんだから、検察庁、相手からね。法廷の仕返しを受けちゃったんです。それで、これは懲戒じゃなかったけれども、共産党の弁護をして、そして共産党の目的遂行ということで起訴された、犠牲を受けた弁護士が相当います。
 このことに反省して、人権を守り抜くためには弁護士も自治権が必要だというので、憲法上も弁護士制度がしっかり位置づけられ、そして自治権がありますよ。だから、私は今裁判所も検事も全然怖くないです。自治権があるんだから堂々とやってきましたけれどもね。
 私は、特にもう税理士の場合にはそういった制度が必要ではないのかと思うんですが、この二点お答えいただきたいと思います。
○政府委員(松野允彦君) 公認会計士の懲戒権は確かに大蔵大臣にあるわけでございます。これはやはり公認会計士制度全体を所管する行政官庁ということで、公認会計士に対する監督の一環として懲戒権というものを大蔵大臣が有しているわけでございます。ただ、この懲戒につきましては、公認会計士審査会の意見を聞くということになっておりますし、また、場合によっては公認会計士協会の方から大蔵大臣に懲戒処分を請求するというようなこともできることになっておりまして、できるだけこの公認会計士の懲戒についての公正さを確保するという仕組みを用意しているわけでございます。
○政府委員(濱本英輔君) 税理士に関連しました部分につきましてお答えを申し上げます。
 申し上げるまでもなく、大蔵大臣は税法、税制を所管することとされておりますけれども、我が国の税法は申告納税制度を建前としておりまして、これを通して納税義務の適正な実現を期しておるわけでございます。それを公正な立場において助ける専門家として税理士制度が設けられているわけでございます。
 税理士制度は専らそのことを使命としてできておるわけでございまして、例えばシャウプ勧告などにおきましても、省略いたしますが、要するにこういった職業群が存在すれば適正な税務行政はそれによって助けられる、容易に適正な税務行政が生まれるであろうというような記述もございます。その意味におきまして、税制と税理士制度というのは密接な関連を保ち合うものとなっていることは申すまでもございません。
 そういう状況のもとでこの税理士制度は行政分野の制度として位置づけられ、行政分野の運営に当たりましては当然のこととして政府がその責めを負い、適切な監督を行う責任が政府に課せられると存じます。この点は、先ほど弁護士についてお話がございましたけれども、司法分野とはまた違った行政分野の問題として税理士制度というものはとらえられると思います。
 そこで、それじゃ税理士制度を政府のどの部局において所掌することが適当かということになるわけでございますけれども、税理士制度の本旨にかんがみまして、国税の制度、執行を所掌する大蔵大臣、大蔵省がこれを所管することが事柄の中身、行政事務の適切な配分の観点に照らしまして至当と考えられるところであり、このことは法律に明定されているわけでございます。
 なお、ただいま近藤先生のお話の中に、税理士は納税者の利益を代表するというお話がございました。確かに、税理士は納税者の利益を代理するという面がございますけれども、それのみを行うものではないと思います。つまり、税理士法によって種々の権利義務を税理士は有しておりますけれども、その中には税理士が専門職業人であることに由来しますものと、税理士が納税者の代理人であることに由来するものとがあると思われます。
 前者の例としましては、例えば脱税相談の禁止だとか信用失墜行為の禁止、助言義務といったものがそれに当たると思いますし、後者の例としましては、特別の委任を受ける義務、あるいは意見の聴取、秘密を守る義務などがこれに当たると考えられます。そういった意味におきまして、税理士の立場というのは単に納税者の利益のみを代理するものではないということが明らかでございます。
 なお、懲戒処分等に当たりましては、先ほど証券局長が公認会計士について触れておりましたけれども、税理士制度の場合も、その事柄の厳正を期しますために税理士審査会といったようなものに諮って、その議決に基づいてこれを行うということにされております。
○近藤忠孝君 時間が来たので終わります。
○池田治君 最近の公認会計士試験実施状況を見てみますと、平成三年度には第一次試験で七百三十二人が受験しまして百五十一人合格、合格率は二〇・六。第二次試験におきましては七千百五十七人、うち六百三十八人合格、合格率は実に八・九でございます。第三次試験におきましては二百十七人中百二十二人が合格しまして、合格率は五六・二。これは高くなっておりますが、第二次試験では八・九の合格率しかないということは大半の者が落ちてしまっているということでございます。その人たちは一回だけであきらめるのかというと、公認会計士に聞きますと、二回、三回受験する人が多いということも伺っております。
 そこで、公認会計士制度改革試案を見ますと、第二次試験の論文式について、不合格者のうち希望者に対してはランク別に成績を通知するようにしたらどうかという提案があるようでございます。私も全くその程度の親切性はあっても決して不適格な公認会計士がつくられることにはならぬと思いますので、ぜひそうしてもらいたいと思いますが、大蔵省はどういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに今御指摘いただきましたように、公認会計士審査会の報告書には、第二次試験の論文式試験について、不合格者のうち希望者に対しては段階別ランクといった方法により成績を通知することが適当であるということが記載をされておりまして、私どももこの報告書に沿いまして現在具体的にどういうふうな通知の仕方ができるかという点について公認会計士協会と一緒に検討を進めているところでございまして、できるだけこの報告の方向に沿った形で通知ができるようにしたいというふうに思っております。
○池田治君 ぜひそのようにお願いします。
 次に、第三次試験でございますが、口述試験における試験委員数の増加や実施方法等について改善を検討するということも改革試案に出ておりますが、今回のあれで試験委員の数は法定で定めないで随時増加していこう、こういうことのようでございますが、受験者が多くなりますとどうしても試験委員に負担がかかりますので、ぜひそうしていただきたいと思っております。
 ただ、この口述試験というのもちょっとイカサマ的なところもございまして、専門的知識についてのテストを行うということでございますけれども、試験委員によっては主観の強い先生は自分の主観どおりでなければだめだと言われる、また、情実のきく先生は情実で合否を決める、こういう危険性もあると思っております。
 これは、我々が昔司法試験を受けたときには、新憲法の制定は何でやられましたかと、こういう質問がございまして、そのときに、ポツダム宣言受諾と同時に日本は天皇主権から国民主権、民主政治へと移り変わったので、そのときが憲法の制定の原因だと思いますと、こう答えればこれは落第。ところが、明治憲法の改正手続によって初めて新憲法はできたものである、こう言えば合格と、こういう強い先生がおられまして、どうしても我々はそれを納得できなかったのでございます。これはなぜそう言われるかといいますと、なるほどポツダム宣言受諾のときに旧憲法はなくなった。新憲法は昭和二十二年の五月三日ですか、二十二年ごろにできた。ポツダム宣言受諾の時期と新憲法制定のときの期間が空白があるわけです。そうしたら日本には憲法はなかったのか、こう言われまして、これは憲法はないわけではないけれども占領下であるし特殊な立場にありましたと、こう答えてもだめなんです。どうしても明治憲法の手続によってできたと言わぬと合格点をくれない。
 こういう頑固な先生もおられましたが、公認会計士においてはそれほど学説的な争いは少ないと思いますけれども、こういうこともないとも限りませんので、いっそのこと、筆記試験で三回もやっているわけですから、口述試験はもう廃止したらどうか、こう思っておりますが、局長とう考えられますか。
○政府委員(松野允彦君) 確かに口述試験につきましては御指摘のようなおそれもないわけではございません。私どもが現在口述試験を第三次試験で行っておりますのは、筆記試験を補完するという観点から行って、高度の専門的応用能力があるかどうかというのをチェック、判定するということを目的にしているわけでございまして、それなりに効果を上げているということは言えると思いますが、ただ、御指摘のような問題もあるわけでございまして、実際には各試験委員の間で調整を行っております。いろいろな答え方についての調整を行っておりますし、また、今お話がございましたように、今後口述試験の実施方法の改善について検討をすべしというような報告をいただいております。これを受けまして口述試験の実施方法について、試験委員の間で一体どういうふうに主観を排除するような方法を考えるかという点について専門家を集めて議論をし、委員の数をふやすというのも一つの方法だろうと思いますけれども、それだけでは必ずしも十分ではないわけでございまして、試験委員の経験を持った人たちを中心にしてこの実施方法の改善について検討を進めているところでございます。
○池田治君 ぜひ厳重な検討をお願いしたいと思います。
 次は、実務補習と業務補助の期間の問題でございますが、これはインターンで三年間はどうしても両方通じてせなければいけない、こういうことのようでございますが、医者のインターンもあれば二年から一年に変わったんじゃないかと思っておりますし、司法研修所の方でも二年間ですし、公認会計士だけ三年間というのはちょっと期間が長過ぎるんじゃないか、こう思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(松野允彦君) このインターン期間は、実務補習ということで補習所で行います期間一年、それから業務補助等というこれは実務従事等がございますが、そういう期間二年ということで、合わせて三年になっております。
 これにつきましても、公認会計士制度の見直しの段階でいろいろ議議が行われたわけでございますが、基本的に公認会計士の質を落とさないということで、三年という期間は維持をする。その中で、ただ実務補習といいますのは一定の補習所に出かけていって夜間行うということでやっておりまして、これを一年間でやるということはかなりの負担になるということが指摘をされているわけでございます。中身もだんだんふえてまいっておるわけでございまして、そういったことを考えまして、合わせて三年の中で実務補習を行えばいいということで期間の重複を認めたわけでございます。
 全体の三年間についてどうかというお尋ねでございますが、これにつきましてはやはり現在の段階ではあえて短縮するということは適当ではないというような考え方になりまして、それを受けて、我々としては今申し上げたように中身についてもう少し弾力的に行うような工夫ができないかということで今申し上げたような手当てをしたわけでございます。
○池田治君 ちょっと私の要求した答弁になっておりませんが、医者においても弁護士、判・検事におきましても、事案が複雑化して高度化されていることは公認会計士の内容が複雑になったと同様でございまして、この公認会計士だけ長いということには、理由にならないと私は思いますので、この点はもう一度御検討をお願いいたします。
 時間がありませんから次に移りますが、この法律は平成六年十月一日から施行するということになっております。そして、罰則等は四年の九月一日から施行するということになっておりますが、まず、四年の八月一日に不正行為があった場合は適用はどうなるんでしょうか。これは質問通告してなくて済みません。
○政府委員(松野允彦君) 今のお尋ねで、例えば四年の八月一日にある行為が行われますと、それはこの附則の第三項で「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」ということでございますので、現行法が適用されるということでございます。
○池田治君 でしたら、今度は五年の八月一日に不正行為が行われた場合はどうでしょうか。
○政府委員(松野允彦君) 五年の八月一日に行われた行為の評価につきましては、実は二つございまして、一つは罰則規定といいますか、試験制度が改正をされますと、これは十月一日から施行されるわけでございますので、その試験制度の施行の前後によって罰則の構成要件が変わってくるものがございます。変わってくるものにつきましては、まだ六年の十月一日になっておりませんから、五年の八月一日であれば現行法のもとでの評価になろうかと思います。
○池田治君 本当ですか、局長、今のはちょっと怪しいんじゃないですか。
○政府委員(松野允彦君) ちょっと今説明があれしました。
 平成五年八月一日に行われた行為で、つまり構成要件の変わらないものでございますね、現行法と同じものにつきましては、これは罰則が上がることになります。
○池田治君 それで、どれが適用されるんですか。
○政府委員(松野允彦君) この場合には、平成四年九月一日からの附則の第一項二号、新しい罰則が適用されるということでございます。
○池田治君 これはなぜ局長もお迷いになるかといいますと、附則の第一項のところで、「この法律は、平成六年十月一日から施行する。」、こう出ておりますね。そして、罰則は第二号で四年九月一日から施行する。そして、一番最後の経過措置では、三では、「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」。三カ所規定があるわけです。しかも、「この法律はことか、「この法律の施行」はという、同じ意味のところがあるわけです。
 これを読めば先ほどの局長の答弁でいいわけです。しかし、罰則の施行は四年の九月一日にするわけですから、罰則の施行をした日から後はこの法律による、施行せぬ場合は従前の例による、これ当たり前のことを何でこの経過措置の三項にお書きになったか、それを私はお尋ねしている。局長が迷うんだから、読んだらみんななお迷いますよ。
○政府委員(松野允彦君) この附則の三項がありますのは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、新しい試験制度は平成六年十月一日から施行されるわけでございまして、それ以降から試験制度が変わるわけでございます。したがって、例えば新しい試験制度のもとでは科目選択制が導入をされます。そうなりますと、例えば全科目免除に該当していた人がいたとします。この全科目免除、第二次試験の科目を免除するという人がいますと、それは会計士補という資格を持つわけでございます。全科目免除に該当するがしないかということが実は新試験制度が施行される前と後とで変わってくるわけでございまして、したがって、会計士補となる資格を有する者か否かというのが試験制度の前後で変わってくるということになるわけでございます。
 したがいまして、会計士補となる資格を有する者が行う行為で罰則が適用されるというものの、その適用罰則が変わるということになるわけでございまして、そういったようなことを考慮して附則の三項というのが置かれているわけでございます。
○池田治君 しかし、それにしましても、行為のときの法律に従わなければ処罰されないというのが罪刑法定主義の大原則でございます。そうしますと、「なお従前の例による。」というのはこれは当然のことで、罰則規定も何もないんだから、従前の例による、当たり前のことなんですよ。これをなぜわざわざお置きになったか。局長のような説明をされますと、罰則の施行期日が九月一日ということは何にも意味がないことになりますよ。どうですか、その点。
○政府委員(松野允彦君) これは実は罰則だけではなくて過料法も一緒に上げておりまして、罰則については確かに御指摘のように即時適用ということはないわけでございますけれども、過料については、行政罰でございますものですから、実はそこはややいろいろ意見がございまして、過料を一緒に今回の改正ではやはり金額を引き上げております。そういった関係でこの附則三項というのを置いているわけでございます。
○池田治君 附則三項ですか。経過措置の三項じゃございませんか。
○政府委員(松野允彦君) 失礼しました。附則の第三項ということですから、経過措置のところの三でございます。
○池田治君 経過措置でしょう。
○政府委員(松野允彦君) はい、そうです。
○池田治君 このようにその法律は施行期日が違うためにこれは迷いやすい、解釈がしにくいと思うんですよ。だから、むしろこの経過措置の第三項なんかは削除された方がいいんじゃないですか。よく読んでくださいよ。「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」んだから、適用前のが適用されないのは当たり前のことですよ、施行した後にだけ適用されるわけですから。これを置きますと、今言ったように四年の九月一日から以後にやったものは、以前のものがやれるのか、後の法律で処罰するのか、これが非常に解釈上迷ってくると思います。もう一度御検討なさったらいかがでございますか。
○政府委員(松野允彦君) これは実は今申し上げましたように、過料についていろいろと意見がございまして、どうしてもこの規定を入れておかないと過料についての解釈がはっきりしないという指摘がございましてこの規定を置いておりますものですから、御理解をいただきたいと思います。
○委員長(竹山裕君) 時間です。
○池田治君 もう一点だけ。
 過料についてはわかりましたが、過料よりも罰金の方が刑罰は重いわけでございますから、重さものを中心として法の条文は定めるべきだと思いますので、意味はわかりますが、誤解のないような条文をつくっていただきたいとお願いして質問を終わります。
○三治重信君 もう時間も大分たちましたので、私は一つだけ。
 この公認会計士というのは非常に信用のある試験で、最近だから非常に取り手が多くなってきているんです。今度の目的はどうなんですか、合格者をふやそうとするのが主なのか、やはり公認会計士というものを、いろいろの法改正やいろいろの法人の監査をふやさなくちゃならぬから、したがって余り試験を厳しくしていると需要にどうもマッチしないので困るんだというふうな、需要の方から公認会計士を余計ふやすのを目的にするのか。それとも、余り試験が難し過ぎるから、もう少し易しくして合格者を多くしていった方がいいんだと。需要と供給だから両方ともあるんだろうと思うんですが、どういうふうなことから、いわゆる試験が難し過ぎるからもう少し易しくしようという方じゃないかと思うんですが、実際はどうですか、もう少し合格者をもっとふやして需要にマッチしようという方向が主だと思うんですが、どちらなんですか。
○政府委員(松野允彦君) これは実はどちらかということを、はっきりとどちらと申し上げることが非常に難しいわけでございまして、確かに今御指摘のように、公認会計士に対する需要というのはふえてまいっておりますし、今後もふえていくんではないかということが考えられるわけでございます。それは上場企業がふえるとか、あるいは商法監査の対象がふえるとか、それ以外の特殊法人がふえるとかいうようなこともございますし、あるいは社会の公認会計士の監査に対するニーズというものが一般的にふえてくるということ、あるいはそれに対する期待も高まってくるということがあるわけでございます。
 ただ一方では、かといって易しくして公認会計士になりやすくするということもやはりいかがかなと。やはり一定の質を要求し、監査というものについての適正さを確保することが必要でございます。
 そういったような二つのことを考え合わせまして、今回の試験の見直しでは、科目選択制を入れる、あるいは短答式を入れるということによって少なくとも受験者がふえることには対応しようということを考えておりますし、またいろんな分野、今までとは異なった分野から受験する人がふえるということも期待をしているわけでございます。
 そういう中で、試験の程度を落としてまで合格者をふやすということは考えていないわけでございますけれども、そういうことになれば、質を落とさなくても合格者がふえるということも期待できるのではないかというようなことでございまして、試験制度でございますから、その程度を落としてまで合格者をふやすということは現段階では我々考えていないわけでございますが、一方でニーズがふえてくるということを考えた場合に、こういう改正をすることによって今申し上げたような目的を達成できるのではないかというふうに考えているわけでございます。
○委員長(竹山裕君) 以上で質疑は終局いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
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