第123回国会 文教委員会 第4号
平成四年四月七日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     喜岡  淳君     安永 英雄君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     会田 長栄君     谷本  巍君
     安永 英雄君     堂本 暁子君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     会田 長栄君
     堂本 暁子君     安永 英雄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         大木  浩君
    理 事
                田沢 智治君
                小林  正君
                森  暢子君
    委 員
                井上  裕君
                石井 道子君
                真島 一男君
                森山 眞弓君
                柳川 覺治君
                会田 長栄君
                谷本  巍君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                針生 雄吉君
                高崎 裕子君
                乾  晴美君
                小西 博行君
                今泉 隆雄君
   国務大臣
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
   政府委員
       文部政務次官   松田 岩夫君
       文部大臣官房長  野崎  弘君
       文部大臣官房総
       務審議官     井上 孝美君
       文部大臣官房会
       計課長      泊  龍雄君
       文部省生涯学習
       局長       内田 弘保君
       文部省初等中等
       教育局長     坂元 弘直君
       文部省教育助成
       局長       遠山 敦子君
       文部省高等教育
       局長       前畑 安宏君
       文部省高等教育
       局私学部長    奥田與志清君
       文部省学術国際
       局長       長谷川善一君
       文部省体育局長  逸見 博昌君
       文化庁次長    吉田  茂君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊池  守君
   説明員
       総務庁青少年対
       策本部参事官   田村  博君
       外務省国際連合
       局社会協力課長  隈丸 優次君
       外務省国際連合
       局人権難民課長  吉澤  裕君
       厚生省保健医療
       局健康増進栄養
       課長       田中喜代史君
       運輸省運輸政策
       局消費者行政課
       長        浅井 廣志君
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  本日の会議に付した案件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (文部省所管)
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○委員長(大木浩君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十日、喜岡淳君が委員を辞任され、その補欠として安永英雄君が選任されました。
 また、昨六日、安永英雄君及び会田長栄君が委員を辞任され、その補欠として堂本暁子君及び谷本巍君が選任されました。
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○委員長(大木浩君) 去る三月二十五日、予算委員会から、四月七日の一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林正君 先日、子供の権利条約、政府訳では児童の権利条約批准案が国会に提案をされまして、この間、文教委員会の場でもたびたびこの問題がテーマとなりまして論議が展開をされてまいりましたし、また予算委員会、関係委員会等の場でも論議が展開をされておりましたが、いよいよ批准案の提案という段階を迎えましたので、この問題に限って御質問をさせていただきたいと存じます。
 一九四八年に世界人権宣言、第三回の国連総会におきまして、いわゆる人権総会と言われた、エリノア・ルーズベルト大統領夫人の議長ということで歴史的な総会であったわけです。戦争の原因が人権侵害というところから発生した過去の経緯への反省から、これをどういうふうに世界の共通の財産としてお互いが確認し合えるか、十八世紀以降の市民権的な課題として集積されたものを全世界で確認をし、平和の礎としていこう、こういうことでこの人権宣言が採択をされて、以降今日に至るまで国連における人権の歩みの歴史があるわけであります。
 子供に関しましては、七九年の国際児童年、そして以降十年間の経過を踏まえまして、今日、一九八九年の総会で全会一致をもってこの権利条約が採択をされたということを踏まえて、一年半前に我が国においても署名を行ったという経緯になっているわけです。この国連人権の歩みという歴史的経過に立って考えてみた場合に、この条約の目指すものという視点から論議を展開し、結論を出していくということが条約の趣旨に最もかなうことではないか、このように考えているわけでございます。
 そういう立場から、まずこの条約批准に向けて政府の姿勢について幾つかお尋ねしたいというふうに思いますが、この問題については、外務省を中心として内閣法制局等がこの間お取り組みをいただいたというふうに伺っているわけですけれども、実はこの法律上、国内法との関連の中で、いわゆる留保、あるいはまた改正を要するもの、参るいは解釈宣言といったような形の中でどう扱われたのかということを含んで外務省の考えを伺いたいと思います。
○説明員(吉澤裕君) この条約につきましては、先生御指摘ございましたとおり、関係省庁におきまして検討を重ねてまいりました結果、またその後、内閣法制局を含めまして検討を重ねました結果、面内法との整合性等にかんがみまして、現行の国内法制度を基本的に変えることなく我が国として加入することができるという判断に立ちまして国会の承認を求めさせていただいているところでございます。
 ただ、自由を奪われました児童の分離に関します第三十七条の(c)の規定に関しましては、我が国の法制度との整合性の観点から問題があるということで留保をしたい、こういうことでお願いしているところでございます。
○小林正君 二月三日の毎日新聞の「外交百話」という記事の中で、この子供条約について「問題ない国内法との整合性」というタイトルがついておりまして、担当官がインタビューに答える形の文章が載っているわけです。国内法との関係について、「矛盾があれば通常は条約に一部留保をつけて締結するか、国内法を改正するかのどちらかですが、今のところ、問題はありません。」と、「今のところ」ということなんですね。「ただ、一部の団体の中に、条文を拡大解釈して国内法を変えるきっかけを作ろうとする政治的動きがあるのは残念に思います。」と、こういうようなことが出ていたわけであります。条文を拡大解釈し国内法を変えるきっかけをつくろうとしているというのは、私はこれは単なる担当官の個人的な見解というよりは、外務省の立場を代弁した形でこれが言われているんだという認識に立っておりますので、外務省としてのこの発言についての見解を伺いたい。
○説明員(吉澤裕君) 外務省といたしましては、この児童の権利に関する条約の早期締結ということが必要であり、また関係省庁との検討のおおむねの結果といたしまして、現行の国内法制度のもとで早期締結が可能であるという立場にあったわけでございます。こうした中で、国内法の改正なくしては条約上の義務を満たすことはできないという、政府の固めようとしている解釈と異なる解釈が一般に定着いたしますことは、条約の早期批准という立場から必ずしも望ましくないと考えまして、政府としてとろうとしている解釈によれば、現行の国内法制度を変更することなく条約の義務を果たすことはおおむね可能であるということを国民の方々に知っていただくことが適当であると考えまして、このような御指摘のような報道となったものでございます。
○小林正君 いや、だから条文を拡大解釈するというのはどういう方向へ拡大解釈をしようとしている動きとしてとらえたのかということをちょっと言っていただかないと。
○説明員(吉澤裕君) ただいま申し上げましたとおり、私どもといたしましては、それまでの関係省庁との検討のおおむねの結果といたしまして、国内法制度を変更することなくこの条約に入ることは可能ではないかという考え方を固めつつあったわけでございまして、それに対して、国内法を変えなければこの条約に入れないというような形での解釈というものをとらえまして、そのおっしゃったような拡大解釈というふうにお話しをしたというふうに考えております。
○小林正君 いや、私の質問にぜひ答えてもらいたいんですが、どのような方向で拡大解釈がなされたとあなたは考えておられるのか、外務省として。
○説明員(吉澤裕君) この条約に入るに際して国内法を改正しなければ入れないのではないかといった考え方につきまして、それは私どもが考えようとしている解釈を拡大しようとしているものであるという意味において拡大解釈と申し上げたわけでございます。
 それで、ぜひ御理解いただきたいと思いますのは、御指摘のあった発言はあくまで我が国の条約上の義務ということと現行の国内法制度との関係について述べようとしたものでございまして、現行の国内法制度の政策的な当否であるとか、そういうことを外務省として述べようとしたものではないという点は御理解いただきたいと思います。
○小林正君 一つの言葉を同じ言葉を使って説明するというのは、これは論理上一番問題がある説明の仕方なんですね。ですから、それは改めていただきたいというふうに思います。
 条文を拡大解釈して国内法を変えようとするきっかけをつくる政治的な動きと言っているわけですよ。それはどういう意味ですか、政治的な動きというのは。
○説明員(吉澤裕君) 国内法を変えなければ条約に入れないというような議論ということが幾つか行われていたわけでございまして、そうした主張をされる方々が国内法を変えるという主張をしておられるという意味において、それが政治的であるということを申し上げたというふうに御理解いただければと思います。
○小林正君 この世の中の問題というのはすべて政治的なんですよね。それで、特にこの問題について政治的というのは、国会で扱う問題なんですから当然政治的であって当たり前なんで、政治的でない問題解決というのはこのことに関してはあり得ないというふうに思っているわけです。
 「一部の団体」というのはどういう団体ですか。
○説明員(吉澤裕君) 具体的な団体名について述べさせていただくことはぜひ差し控えさせていただきたいと思うんですけれども、ちょっと繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもとして申し上げようとしたのは、先ほど政治的という御指摘ございましたけれども、それに対する言葉としては法律的というようなことであったのではないかと思いますけれども、この条約の規定の私どもがとろうとしている解釈とそれから現行の国内法制度との関係ということについて、法律的に国内法制度を基本的に変えることなく入ることが可能ではないかということの観点から申し上げたものでございまして、そこには現行の国内法制度が適当であるかどうかということについて外務省として判断する立場にはございませんし、そういうことを申し上げようとしたわけではないということを御理解いただきたいと思います。
○小林正君 テーマは子供の権利条約ということで、子供の未来の幸せをこの条約を通してどう築くことができるかというテーマですね。今、御説明いろいろいただきましたけれども、何言っているのかさっぱりわからないんです。というのは、一部の団体が子供のことを通して政治的野心を遂げようとしてこの問題を利用しているというニュアンスでこの記事が書かれているわけです。そのことについて適不適を伺っているわけなんで、そのことについてちゃんと答えてください。この表現でいいんですか。
○説明員(吉澤裕君) 一部の団体がいろいろな御自分のお考えを主張されるということを、外務省としてそのこと自体を申し上げようとしたわけではなくて、この条約との関係において国内法制度をとらえれば、私どものとろうとしている解釈としては国内法制度上基本的に問題がないということを申し上げようとしたものでございまして、そういったような子供の幸せとかそういうことを考えて運動しておられる方の運動に対して外務省として、その主張しておられることについて、条約との解釈という部分を除いたことについてとやかく申し上げようとしたわけではないということを御理解いただきたいと思うんです。
○小林正君 「条文を拡大解釈して国内法を変えるきっかけを作ろうとする政治的動きがあるのは残念に思います。」と言っているんですよ。この条約について国民の各界各層からいろんな意見が出て、この子供の権利条約の目指す方向性において考えれば、過去のことは別として、将来に向けてはどういう形で国内法を見直したらいいのかという課題があることはもう多くの識者の皆さんからも指摘がされているわけですからね。何かそういうことをやるのが、意図的に拡大解釈をして政治的に動いている、このことは残念だと言っているんですよね。いいとは言ってないんですよ、そうすることが。権利条約にも書いてあるけれども、いろんな意見を表明してそのことについて意向の反映を図ろうとするのが、民主主義国家の日本の国民として、あるいは各種団体がそうした意見を表明してその意見の反映を図ろうとすることがあなたは残念なんですか。
○説明員(吉澤裕君) これも繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、この記事を通じまして外務省として申し上げようとしたことは、条約の解釈という観点に立ては、私どもが固めようとしていた解釈によれば、そうしたいろんな団体が主張されているように国内法を変えなければこの条約上の義務に違反が生じてしまうというようなものではないという考え方に立っていたわけでございます。
 そういう考え方に立ちますと、先ほどもちょっと申し上げましたことの繰り返しで恐縮でございますけれども、そうした解釈が国民の皆様の間に定着してしまうことはこの条約の早期批准を難しくすることになるという考え方に立ちまして、そうした意味で条約の拡大解釈、すなわち私どもがとろうとしているのとは違う解釈というものを主張されようとしていることが条約の早期批准ということを目指します私どもの立場から残念であるということを申し上げたものでございまして、そうした国内法を改正するべきであるという運動をしておられる方々の立場自体を私どもとしてどうこう申し上げようとしたものではないということを御理解いただきたいと思うんです。
○委員長(大木浩君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大木浩君) 速記を戻してください。
○小林正君 今のを十歩譲ったとしても、今あなたがおっしゃったような趣旨だとすれば、この発言はあなたはどう思いますか。
○説明員(吉澤裕君) この発言が、もちろんこれは新聞に載せられましたものでございまして、この担当官が申し上げましたことをそのまま報じられているかどうかはともかくといたしまして、私どもといたしましては、ここに書かれていることは先ほど申し上げましたような趣旨をかなり正確に伝えているものであると考えておりますけれども、もし仮にこの発言が外務省としてそうした運動をしておられる方々の基本的な立場自体を云々しようとしたものであるというふうに受け取られたものであるとすれば、それは私どもの真意と違うことであるというふうに考えていただければと思います。
○小林正君 不適切であったと思いますか。
○説明員(吉澤裕君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましては、条約の早期批准という立場から、国内法を変えなくてもこの条約には入れそうであるということを国民の方々に知っていただこうと思っでこのような報道につながったものでございまして、このような報道がなされたこと自体私どもとして全く不適切であったというふうには考えていない次第でございます。
○小林正君 外務省の基本的な姿勢が、ここで言われていることを不適切ではないと人権難民課長の立場で言ったということは記録にとどめておきますから、今後の論議の中でこれを踏まえて外務省に対していろいろ質問をしてまいりたいというふうに思います。
 一つ、政府訳の問題なんですけれども、国民各界各層の議論を広く巻き起こして、そしてこの問題についての認識なり国民の多くの意見を聴取しながら、その意向の反映が図られる手だて、努力というものからすると、当然署名してから一年半たっているわけですから、この間私たちは政府訳を一刻も早く出すようにということも指摘をしてまいったわけですけれども、批准案が提起をされた当日に政府訳が出てくると、こういうような経過になっているわけですけれども、この点についてどう思われますか。
○説明員(吉澤裕君) 条約の政府訳が出てくるのが遅かったではないかというような御質問であったと思いますけれども、外務省といたしましては、条約を締結いたします場合には、これを誠実に履行する必要があって、かつ基本的人権にかかわるようなことが多いことを十分踏まえる必要があるわけでございまして、一般的に日本語訳の作成というのは、このような条約の締結作業の一環として従来から非常に慎重を期してきているところでございます。
 具体的には国内の関係法令との整合性あるいはこれまで締結いたしました条約との整合性などを非常に慎重に検討した上、最終的には、内閣法制局での審査を経まして、条約の内容及び訳文につきまして政府としての考え方が確定いたしました時点で訳文を公表するということが適当と考えているわけでございます。
 こうした過程を経て条約の訳文が政府として確定したものとなるというのは、手続的に申しますと、政府として国会提出を決定する閣議の時点ということになりますので、今回も本件条約の訳文の公表は国会提出を決定いたしました閣議の日となったものでございます。
○小林正君 ユニセフそして民間団体等の翻訳が既に公刊をされておりまして、多くの論議がそのことを通して進められてきたわけですけれども、政府訳が出た時点でこの問題について対比をする形で、政府の訳というものと私たちが進めている運動との関係で問題が幾つかはっきりしてきているというふうに思います。
 一番の問題点はやはりその名前のつけ方の問題でして、我々は子供の権利条約と言いならわしてきておりますけれども、このことについて政府は児童の権利条約、こういう言い方になりました。このことについてもたびたびいろんな場面で御質問もしてまいったわけです。先日の参議院予算委員会におきまして、同僚の森暢子議員の方から外務大臣にこの問題について質問をしたわけですけれども、どうして児童になったのか御説明いただきたいと思います。
○説明員(吉澤裕君) 私ども、条約の訳語をつくります場合には、題名も含めまして、これまでの条約の訳例とかあるいは国内法の用例というものをいろいろ検討いたしまして決めることになるわけでございますけれども、御質問のチャイルドあるいはチルドレンの用語につきましては、我が国がこれまで締結した条約におきましては児童あるいは子という訳を設けておりまして、子供という訳語はないわけでございます。そのうち、児童あるいは子という訳語につきまして、その子というのは多くの場合親子関係における子、親と子という場合の関係における子という意味で使われておりまして、条約の訳例としてはそういうことがございました。
 また、我が国のこれまでの法令を見ますと、児童という言葉が、その使われ方は必ずしも統一されているわけではございませんけれども、児童福祉法あるいは児童手当法に、いずれも児童を「十八歳に満たない者」というふうに定義しておりまして、この条約に言う児童というのと同じような使い方になっているわけでございまして、そうしたことを踏まえまして私どもとしては児童という訳語が一番適当であるというふうに考えた次第でございます。
○小林正君 この間の渡辺外務大臣の説明によると、まず一点は、早く批准をしたいんだということを言われました。関係国内法との関係で言うといろいろあるので、それを全部手を加えて子供にするには相当時間がかかる、したがって早期批准という立場から考えても、子供ではなくて児童でいきたいんだと、いろいろ答弁は紆余曲折ありましたけれども、要約して言えばそういうことであったというふうに思うんですけれども、現行この関連の法体系で考えればいろいろ出っ張りへっこみがあるわけですから、当然総称的に子供というのを使った方がより実体的に合っているんじゃないかなと、私はこのように考えております。
 どうも外務省の姿勢というのは、従来の立場を踏まえての対応ということで言いますと、子供の権利条約の目指す方向性という未来へ向けての指向性というものが全く感じられない。そういうことで、この人権発展の歴史の過程の中で生み出されてきた未来への約束としての意味というものが全く感じられないわけですね。過去に縛られて、あくまでも過去に閉じ込めた形で従来もこうだったから今後もしかりということではなくて、子供という概念がこの時点で登場してきたその歴史的背景と今後への課題という視点に立ってみれば、児童にこだわらない方がよかったのではないかということだけは申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、文部省の関係ですけれども、私は、この権利条約が発展途上国向け云々という言い方もありましたし、ユニセフが深くかかわってきた経緯等から誤解を呼んでいる面もあるのではないかなという気がします。すべての国の子供たちの実態を見据えた中でこの条約がどんな働きをしていくのかということが求められているわけで、そういう点からいうと、日本の子供たちの現状というものを考えてみますと、やはり受験競争、そして管理教育、さらには高度成長期以降特に顕著になっております子供の健康の問題、この三つの立場から考えても、やはりこの条約の趣旨に照らして今後検討すべき多くの課題があるのではないかというふうに考えているわけであります。
 受験競争の肥大化によって、結果として、今東京の代々木あたりへ行きますと、夜遅く子供が駅のベンチで持ち帰りのパンを食べたりしながら、自宅へ、あるいはまた次の会場へ急ぐ、そういう姿を見るわけであります。これで果たして子供の健康はどうなんだろうか。ある人はこれを日本における別の形態でのストリートチルドレンだというような指摘もしているわけで、子供たちがこの受験競争の中でさまざまな生きる上での心を傷つけているという実態があるんだろうというふうに思います。
 そしてまた、もう一つはやはり管理教育という効率性を何よりも重視する形の中で進められてきた教育のあり方の中で、十把一からげといいますか、そういう教育体制というものが結果として子供の心をむしばんでいった経緯というものもあるというふうに思います。規則ずくめで力でということの中で、子供の発達が全面開花することを阻害する要因になってきたという問題もあったと思います。大変多い子供たちを抱える教師の立場というものを踏まえて考えますと大変な問題がそこにあります。
 七九年の国際児童年と言われた年のテーマソングというのは、すべての子供たちは美しい名前を持っている、「エブリ チャイルド ハズ アビューティフル ネーム」という歌が出されました。一人一人の子供の固有名詞で呼び合うような教育の体制になっていないというところから教師と子供の乖離という問題が出てきたわけであります。
 それからまた、健康面の問題で言えば、これもまたいろんな問題が出てきました。今、子供たちの健康の問題がいろいろ研究者の間で出てきておりますけれども、六九年のデンマーク等で最初指摘をされたいわゆる文明病的な要素として運動不足、そこから来る肥満と心臓病が子供の中で多発をしてくる、さらに、連動しないから筋肉が弱まってくる、骨折が多発をする。それから、大脳活動の水準が低下をしていく。そしてアレルギーの問題が出てくる。子供はこうした管理と受験体制の中で心身ともに疲れているという状況が今私たちの周りに多くあるわけです。
 生物学の鉄則として、子供たちが早教育、早熟で、そして早老、早く老いて、そして早く死んでいくというのが生物学の原則では指摘をされておりますし、同時に早熟でさらには大型化の進行、トールボーイ、トールガールと言われるような背の高い、そのことから肉体的なさまざまな問題が出てくるような状況というものも一方に進行しているわけです。子供の実態を見てまいりますと、この権利条約との関連を考えただけでも今後解決を図るべき緊急の課題が大変多いというふうに思っておりますが、この点について文部大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 小林先生のいろいろな御質問や御意見というものは予算委員会でも文教委員会でもたっぷりいつも聞かせていただいておりまして、ただいまの、私もうっかりすると子供の権利条約と言ってしまうことがございます。そう申し上げましてもこの間委員会で、この委員会であったでしょうか、私はどちらでもよろしいというか、子供という言葉も正直言って捨てがたいと思っておりまして、あしたの小林先生の質問は前と同じようにシーリング関係なのかと文部省の人たちに聞くと、ああ、あしたは子供の権利条約だと思いますなんて、文部省内でもそういう会話は交わされておるわけであります。また、こちらの外務省と意見が違うというわけではありませんが、今は文部省が法律をつくって何か十八歳以下の人間を表現するとすれば、私どもは児童という言葉で小学生を表現いたしておりますから、児童という言葉は使わないのでありましょうが、ただ先ほど外務省から御説明があったような形で、政府としては児童でいかざるを得なかったということであろうと思っております。
 ちょっとわき道にそれましたけれども、先生のただいまのお話は一つのいい勉強だなと思って聞かせていただいて、それは一〇〇%全部私どもと同じであるかどうかはわかりませんが、九七、八%は先生のおっしゃるとおりでございまして、現代の世の中に子供が被害者たる面がさまざまな現象であらわれているわけでありましょう。もちろん、貧困とか飢餓とか疾病というような、地球全体ではいまだに食糧が不足して栄養失調で死んでいくとか、そういう気の毒な、本来地球にとって宝であるべきお子さんがそういう状況に置かれているということも想定されてもちろんこの権利条約はでき上がっているわけであります。また、それがある意味では中心課題の一つかと思いますけれども、しかしそれでは先進国あるいは我らが祖国日本にこれらを当てはめて考えてみれば、子供を取り巻くさまざまな状況というのがございます。
 私も前にもお話をしたことがあろうかと思いますが、昨年のゴールデンウイークの最中に親戚の中学一年のお子さんが突然亡くなられるということがありました。一時間前まで元気だったのにというんで本当にびっくりいたしまして、これは一体どういうことなんだろうかなといまだに非常に不思議な気持ち、何でなんだという気持ちがわいてくるわけでありまして、これは食べ物なのか何なのか、いろんな要素の積み重ね、先ほど先生は文明病というようなこともおっしゃったかもしれませんが、便利な世の中になればなるほどさまざまな弊害を生んできているわけであります。
 教育の世界でも、文部省が行っている教育以外におよそ世の中というものが、社会というものが教育やあるいは子供に与えているさまざまな悪影響というものがあるわけで、例えば我々が小学生、中学生であったのが今から三十年前ですが、三十年前と今と同じ教育力を持った先生がいたとしたら、恐らく今の方が成果が上がりにくいんだろうと思うわけで、それだけ子供をむしばむ悪い条件もまたマイナスのインパクトとしてふえているというふうに考えますと、よほど教育の世界でもしっかりしていかないと子供ばかりが被害者になって子供さんの悲鳴が聞こえるというような思いがいたします。十二万三千人の高校中退とか四万八千人の登校拒否というのもそういう現象のあらわれであることは間違いありませんので、条約の精神というものあるいは条約の意義というものは私はそのような形でとらえていきたいと思っております。
○小林正君 文部省として、この条約に対する姿勢として、この条約が推准をされても今後生徒の扱いについて変わることはないということを言ったというふうに、三月二十九日の朝日の社説「子ども条約で骨太の審議を」という中に出てくるんですけれども、そういうことでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは政府委員からお答えをした方がいいのかと思いますが、いわゆる文部省として、例えばこの部分は留保しなければならないとか、あるいは解釈宣言を出さなければならないとか、あるいは法改正をしなければならないという部分はございませんという結論に達しているわけでございまして、またこの条約を締結して、批准して締約国となった場合に、いろいろな制度面で変えなければならないということが非常に具体的に明らかになってくるわけではないということを文部省としては申し上げているわけです。
 しかしながら、精神面というのか、今後教育を行っていく上で教育力のある先生が一人一人の子供を温かい目でしっかりと見詰めて個性を引き出すようなそういう教育をやらなければならないという意味では、大変大きな至上命題、もちろん我々はもう既にそういう至上命題を持っているつもりではあるんですが、改めて世界的にも約束した子供を大切にするという大きな命題のもとに我々は教育を改めていかなければならない。そういう意味では、私は大きな変化があると考えているんです。
○小林正君 より具体的に、教育の問題で言えば、条文の関係でいいますと、三条の三項が子供への最善の努力、それから十二条から十五条にかけていわゆる市民権的な意見表明権とか表現、思想、良心、集会、結社、これが巷間取りざたされております校内放送や学校新聞の事前検閲、あるいはまた児童会、生徒会等の子供たちの自発的、自主的な努力というものに対する学校側の規制、さらには教育委員会規則、それからまたいわゆる校則の問題等々、いろんな面から積極的な意味で見直しをして、この条約の趣旨にかなっているのかどうかという検討を今この条約の批准の条件にするんではなくて、課題として受けとめるという姿勢が必要じゃないかというふうに思うんです。
 文部大臣が前段おっしゃったことはまさにそういうことを言われているわけですが、より具体的な課題になりますと、すべてクリアしているのでということになっちゃうと、やはり今後へ向けての、今回法律も何もこの委員会に出されておるわけじゃありませんけれども、この問題についてやっぱり一番国民がすぐ思い浮かぶのは、子供と対応しているのは文部省だというふうに見ているわけですから、そこへ向けて、将来へ向けて明るい展望、あるいはまた今の子供の現状を変えていく上で、文部省としての姿勢がにじみ出るような言葉があれば、大変積極的な意味がこの条約の批准によって生まれるんじゃないかというふうにも思いますので、ぜひそういう御発言をいただきたいなと思っているわけです。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ですから、法的に、制度的に、この条約の締約国になったからといって変えなければならないものが出てくるとは思いません。ただし、これは今文部省として、あるいは私も内閣の一員として私の現在の観測を申し上げているわけで、それはあくまでも国会、私も国会議員をやらせていただいておりますが、今後の国会の御審議と国会の判断というものがそれはその上に来ることはもちろんでございまして、ただそれを、今はまだその国会の御判断ということを別にして申し上げれば、直ちに法律を変えなければいけないということではない。
 ただ、例えば校則という問題を考えてみた場合に、校則について子供の意見を聞かなくちゃならないというのは、それは本当は憲法あるいは国際人権規約を解釈しても当然のこととは思いますが、改めて、例えば児童の意見表明権というようなものがあれば、校則ということについて子供さんの意見というものはきちんと聞かなければならないという、いわばそういう責任はそれによって与えられると思います。ただ、校則というものがおかしいとか不要であるとか、あるいは校則というものを児童だけで定めるとか、そういうことにはならないということを申し上げているわけでございます。
 ただ、校則などというものは時代とともにどんどん見直しをしていかなければならないという本質が私は内在されていると思う次第でして、そういう中で、子供さんの意見もきちんと聞いていこうという意味で何らかの改善があれば、それはよりよいことであると私は思います。
○小林正君 あと、二十八条の一項の(b)、(c)の関係について私は先日ここでも申し上げましたけれども、予算委員会でも御指摘をしたんですが、高等学校の教育については、政府訳ではサッチ・アズという言葉の解釈の問題としてクリアをされたと。このことについては一つ議論がありますけれども、高校教育を無償にしていくというのは、先日アメリカの例を申し上げましたように、必要だというふうに思います。高等教育についてもスカラシップ等の制度がアメリカでは八割方充実されているというような状況も聞いているわけで、大変財政赤字で悩んでいる国にもかかわらず、実態の中では教育についてそういう投資が行われているわけであります。当然のことながら、日本の場合、今一人っ子とか二人とか非常に少ない数の子供たちですから、政府も財政的に手塩にかけていくという姿勢が必要だろうというふうに思います。
 この二十八条の二項で学校懲戒のことも出ているわけですけれども、実態的に兵庫県における校門圧死事件のような事例も出ているわけですから、条約上のさまざまな課題、目指すものと今日本で起きている事態、それとの関係の中で言えば、改善を要する課題というのは大変多いんだということも言わなければいけません。子供自身が大変疲れているという状況の中からすれば、学校五日制の問題との絡みの中で、三十一条の一項関係の中で充実を図らなきゃいけない問題が大変多いだろう、このように考えて、今後の運動の課題として、今、国会がということをおっしゃいましたけれども、私たちの努力でしていかなければならないだろう、このように考えているわけでございます。
 時間もありませんので、最後にこの条約履行について、これをどういう形でチェックするのかという問題があるわけですけれども、各国の状況について外務省から御答弁を。お願いします。
○説明員(吉澤裕君) ただいま各国がどのようにその条約の履行状況をチェックしているのかというようなお尋ねであったかと思いますけれども、私どもがこれまで調べました限りで承知しております例といたしまして、例えばベルギーにおきましては、この児童の権利条約の締結を一つの契機といたしまして新たに児童に関する問題についてのオンブズマンのような制度が導入されることになったと承知しております。具体的には、既に一九九一年にベルギーのフランス語共同体について児童に関する法令の執行状況の監督でありますとか情報提供等を任務とするそうした制度がつくられておりまして、また一九九三年をめどといたしまして、そのベルギーのオランダ語共同体のために条約の履行に関連する苦情の受理でございますとかその処理等を行う制度をつくる予定と承知いたしております。
 また、ノルウェーにおきましては、一九八一年以来、この児童の権利条約に入るはるか前でございますけれども、その一九八一年以来この児童の福祉の増進のために児童に関連する法令の実施の監督でございますとか情報提供などを行うオンブズマン制度が設けられておりまして、児童の権利条約の締結に伴いまして、この条約の国内的な履行にかかわる問題を扱うようになっていると承知いたしております。
 このようなオンブズマン制度的なものにつきましては、児童に関するものとして今あるもの、あるいはこれからまさにつくられようとしているものにつきましてはこのような私どもの調査でわかっておりますけれども、そのほか、児童に隈片ず行政一般についてのオンブズマン的な制度を持つ国として、スウェーデン、デンマーク、オランダといった国がありまして、そうしたオンブズマン的な制度がないという国として、イギリス、ドイツ、スペインといった国があるというふうに承知しております。
○小林正君 今、最後に言ったドイツは、連邦議会の中に子供委員会というものを設置して行政機関がこれをどう履行するかということですから、立法機属の中にそういうものを置いてこれをチェックするという体制をつくっているというふうに聞いているわけでございます。
 さて、日本の場合これをこれからどうしていくのか。これは条約の履行について、批准すればいいということではありませんで、この趣旨に沿っでこのことが誠実に履行されているかどうか、そしてまた、現在多発しておりますさまざまな子供の権利侵害に向けての対応をどうしていくのかということについて、文部省で言えば初中局が所管をされているようでございますけれども、この条約批准を通して、今まで取り組んできた経過もおありでしょうけれども、今後どんなことをお考えになっていらっしゃるのか、初中局の、文部省としての主体的な立場としてお話しをいただければと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 今、外務省の方からお答えしましたが、この条約は教育関係に限らず広範な分野についていろんな規定をしているわけでございます。一般的に、条約の履行状況のチェックについても外務省を中心に政府全体として取り組む事柄であろうかと思います。特に、この条約そのものの中に、第四十四条に締約国が国連の児童の権利に関する委員会に定期的に報告を行うべきであるというふうに定められておりますので、条約上の義務の履行状況はこのための作業を通じてチェックできるんではないかというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘の文部省内に特別の組織を設けてはどうかという御提言でございますが、本条約の履行状況を含めまして、子供たちの教育活動について実情を把握し学校教育の改善充実を図っていくことは、文部省全体、特に私ども高等学校以下の、十八歳以下の学校教育を所管しております初中局としても重大な課題であるというふうに考えております。そういう意味で、省内における連絡調整をさらに密にいたしまして、適切に対応を図ってまいりたい。省内に特に特別な組織を設けるという考えは今のところございませんけれども、省内の連絡を密にして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○小林正君 時間がありませんので最後に、今申し上げましたオンブズワークの問題についてやはり立法府の中に置くのがいいのかどうか、そしてそのチェックを通して現行法制と条約の目指す方向性という関連をさらに追求をしながら、人権の歩みが時代とともに進展をしてきたと同じように、この条約と関連する国内法との関係がより一層国民の期待する、なかんずく私たちの未来であります子供たちにとって本当に有益なものになるようにしていく努力が私たちにかけられている任務、課題だろうと思います。これを主管するのは外務委員会等でおやりになるわけですけれども、今後も引き続きこの文教の場の中でも論議をさせていただきたいというふうに考えております。
 ありがとうございました。
○森暢子君 文部省は、月一回の学校五日制を本年度、ことしの九月から公立学校で一斉にスタートするということを決定されて、その準備をしていることと思います。
 私たちは、文部省の調査研究協力者会議のまとめについては、いろんな部分でいろいろ論議はありますけれども、評価をしております。例えば学校五日制の意義であるとか、それから基本的な考え方、さらに学校観、それから新たな主体的学力論、それから子供観、家庭、地域社会と学校のあり方など、ある点については評価できるものがあるというふうに思っております。そして、このまとめを具体化して月一回の学校週五日制が実施される運びとなっておりますが、それがスムーズに実施されるように、また将来的な展望について質問をいたしたいと思います。
 学校五日制の平成四年度二学期の実施に備えて、今まで行っておりました調査研究協力校六十八校、これの実践事例集を出す予定と聞いておりますが、いつごろ出されるのか、その内容及び配付計画についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 今、原稿を作成して内容を詰めている段階でございまして、時期としては遅くとも五月中には事例集を出して配付したい、配付先は各都道府県及び各市町村の教育委員会に配付をいたしたいというふうに考えております。
 内容は、それぞれの実験校で例えば土曜日の授業の扱い方をどうしたか、言いかえれば、他の曜日に若干上乗せしたところもありますし、全くカットしたところもございます。そういう事例とか、あるいは上乗せした場合の子供たちの過重負担感と申しますかそういうものとか、あるいはPTAあるいは地域の団体、教育委員会と一体となって休みとなった土曜日に社会教育活動とか実践活動、体験活動等をどういう形で展開していったか、協力体制はどうやって組んだかというようなことなどを中心にして今まとめているところでございます。
○森暢子君 学校五日制の導入というのは、明治以来の学校のあり方というものを抜本的に改める大変な教育改革であると思います。そういう中で学校五日制の導入については大変現場では不安も多くて、研究校も六十八校の研究校で限られているし、その詳しい実験の状況がまだ今まとめていて五月にこれから配付されるなんて、そして九月の導入でしょう。これは大変だと思うんですね。そういう詳しい情報がわからないということで、どうしていったらいいかというのが現場の声なんです。
 それで、四月五日の毎日新聞によりますと、「「待てない」自治体 学校五日制先取り」、こういう見出しで、十五の自治体が別に独自の取り組みをしている実態があるわけですね。御存じでしょうか。そこでは、熊本、山梨、三重、石川など九県が独自の実験校を指定する方針。そのほか、横浜、神奈川など以前から実験校を指定しているし、それから山梨、石川、奈良など各県は月二回の実施まで含めた研究をすると。それから京都市では、土曜日に登校するが授業は行わない「ノー・カバンデー」、名古屋市は全校で五月二日の土曜を休みとして、三、四、五と合わせて四連休をするなど、いろいろと自治体が五日制に向けて、いろいろ不安を感じ、先取りをしていこうと、こういう実態があるわけです。そのことについて文部省はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは政府委員からもちろんお答えするんですが、この新聞、今先生がおっしゃったように、かなりショッキングな書き方をしてありまして、私もちょっとこの書き方を見てびっくりした部分があるんです。それは、森先生御指摘のとおり自治体のあるいは不安を象徴しているかもしれませんし、場合によっては自治体がうんと先取りしてやろうという進取の気性を持ってやっているような場合もなきにしもあらずと思います。
 いずれにいたしましても、六十八校の実験校をやってきました。そして、本年は四十七掛ける五イコール二百三十五校ということで予算化もいたしておるわけでありますが、これは各自治体と文部省ときちんとできるだけの話し合いをして行っていけばほとんどの問題は解消できるのではないだろうか。と申しますのも、五月二日を休みにすると二、三、四、五という話もあって、こういう場合どうなのかなと私も頭をひねっておりますが、いずれにいたしましても、休日の問題というのはいわば制度的な問題になるわけですから、余り自治体でばらばらということは絶対困るわけでありまして、文部省が中心となってすべてのこういう当たり前でない別の計画を立てようとしているような自治体とは積極的に話し合いを開始いたしておりますので、大体の問題は解消できるだろうと思っております。
○政府委員(坂元弘直君) 大臣の答弁で大体よろしいんですが、ちょっと補足させていただきますと、これは全部非常にいろんなことでまちまちでございます。例えば、ある県ですと実験校がなかった、九都府県でございますので実験校がないので、二学期からやるとしても県内ではさっき先生がおっしゃったようにノウハウはない、非常に不安だ、したがって限られた五校なら五校、七校なら七校だけ実験的に、九月が本格なんだけれども、全県的に入るんだけれども、実験的にちょっとやりたいというような県も入っております。
 それからさらに、例えば山梨県の例を先生挙げられましたが、私どもの積算上は二百三十五校、各県五校ずつですが、山梨県はそうではなくて十四校指定してもらいたいという要望が私どもの方に来ております。山梨県は、仮に指定されなかったならば県独自でもやりたいという意向を私どもにも言っております。そういうものがこういうところでカウントされているわけでございます。
 私ども今いろいろ考慮して県とやりとりしておりますが、実験校の数につきましては、予算上は二百三十五校しかございませんけれども、なるたけ幅広く県の要望を入れて実験校をふやしていきたいなということで今県と数を調整しておりますので、ほとんどここに書いてあるのはそういうものが上がってきておるというのが実情でございます。今、県とやりとりしております。
○森暢子君 九月のスムーズな移行のためには、文部省はかたいということでは有名なんですけれども、少し柔軟な姿勢で各県とよく御相談なさって、取り組む積極性のある県にはそういう柔軟な姿勢を示していただきたいというふうに思います。実験校を拡大すればいいんですけれども、国は国の方針があると思いますが、地域の特性に合った独自の取り組みを研究させる姿勢を示していただきたいと思います。
 それから、将来的には完全五日制ですね、これに移行していかなきゃいけないんですけれども、当面は月一回、こういうことで進んでおりますが、やはり具体的なスケジュールを提示していかないと、いろいろ行政の対応とか受け皿の問題とか、大変これから問題が多いと思うわけです。そういうことで、せめてこれからの展望、目標年次、将来的にはこういうときに完全五日制になっていくんだというふうなそういう目標年次ぐらい明らかにしていただきたいと思いますが、よろしく。
○政府委員(坂元弘直君) 先ほど先生が取り上げました協力者会議の審議のまとめは、もちろん完全週五日制を念頭にして、とりあえず段階的に導入する場合の注意事項というようなことで、先般審議のまとめをいたしまして私どもに報告が出たわけでございます。
 学校週五日制の問題は、先ほど先生も御指摘のとおりに、単に学校教育だけの問題ではなくて、百数十年にわたる我が国の学校教育の授業日数の枠組みを変える問題でございますので、社会的にも大きな影響を及ぼす問題でございます。そういうことで段階的に月一回から漸進的に導入を図ったらどうかという御提言になっているわけでして、私どももそういう方向で九月から月一回の学校週五日制を導入するということにしたわけでございます。
 これから月一回、二回とこう進んでまいりますと、私どもが今この段階で予想できないいろんな問題が出てきて、例えば保護者からいろんな要望が出てくる、あるいは学校運営上の問題点も多々指摘されてくるかもしれません。そういう意味で、そういう問題点をその都度クリアしながら前へ進めてまいりたいというふうに考えておりますので、スケジュールとして何年先に完全週五日制にするんだということを今の段階で明確にここでお示しすることは現実問題として不可能ですし、実際的ではないんではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、私どもは一歩一歩問題点をクリアしながら前へ進めていくという姿勢でこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 慎重で一歩一歩ということは大変結構でございますけれども、いつも時代に取り残されていくのが文部省ではないかということで実は心配しているわけであります。ぜひ早目にスケジュール、目標を立てて、それに向かってみんなの協力を得ながら進めていくという姿勢をお願いしたいと思います。
 三月二十五日の読売新聞の中にこの五日制の導入延期を求める意見書の採択というのが出ていたわけで残念でありますが、高知県、長崎県からそういう学校五日制導入の延期を求める意見書を賛成多数で採択した、こういう逆方向の動きがあるわけでありまして、そして困っております。総理と文部大臣にそれを送ったということなんでございますが、このことについて御存じですか、そしてどのように対処されますか。
○政府委員(坂元弘直君) 私ども、長崎県の教育長から、こういうことで議会で意見書が議決されましたということを直接いただきました。中身は聞いております。私どもも大変残念に思っておりますが、同時に、学校週五日制を早期に導入すべきだという意見書も昨年、平成三年にある県からいただいております。あるいは市町村からもそういう意見書もいただいております。
 先ほど申し上げましたとおりに、この問題は百数十年にわたる枠組みを変化させるわけですので、いろいろな形で不安なり意見なりが出てくるのは私どもやむを得ないかなという感じはいたしておりますが、私どもとしましては、長崎県の教育長にも直接私から学校週五日制の持つ教育的な意味とか意義を十分説明いたしまして、ぜひ県の県会議員の皆さん方にもその趣旨を説明してもらいたいということをお願いもいたしました。
 それから先般、大臣からお答えした方がいいのかもしれませんが、大臣のところにも直接長崎県の県会議員の代表者が参りまして、その意見書の趣旨について大臣に御説明しましたが、大臣からは、学校週五日制の意義につきまして十分直接説明をし、そういうわけなんで協力いただきたいというお願いもしたところでございます。
 私ども、今後とも学校週五日制の持つ意義なりを十分都道府県の教育委員会を通じまして、学校現場に限らず、そういう県会の関係者にも周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。
○森暢子君 頑張ってください。そういうこといろいろとあると思うんですけれども、しっかりお願いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今、初中局長申し上げましたように、長崎の県議会の方々とお会いをいたしました。要するにいろいろ書いて、ペーパーには「たとえばこ「学力の低下」「学習塾が奪う「ゆとり」」「ガリ勉と非行に二極分解」「私高分低に拍車がかかる」「週休二日制が十分に普及していない」、いわばその受け皿が十分整備されていないというようなこと等を長崎県議会の場合、つまり、これらを最初ペーパーで見たときにはああ誤解だなと思いましたが、考えてみると、誤解というよりは、私どももあるいは諸先生方も、皆さんがこの五日制というすばらしいものをやるために越えていかなければならない課題、クリアしなければならない課題と位置づけていること、あるいは特に留意しなければならぬなと我々が思ってきたこと、あるいは文部省として、今後例えば民間のさまざまな団体にしても、あるいは私立学校関係にしても、あるいは学習塾関係にしても、それこそ坂元初中局長が、私も含めて、お願いの行脚に出なければならない訪問先、そうしたところが例示されているような部分もございます。
 ですから、長崎県議会の方々もこれらの課題がきちんとクリアできればとおっしゃっているわけですので、私どもが段階的にやっていこうというのもそういう趣旨でございまして、やはりこのクリアすべき条件を一つずつふやしていかなければならない、また新しく出てきた課題はクリアしていかないと次の段階には臨めないというような形でやってまいりますのもそういう趣旨でございますので、必ず理解をいただけるものというふうに思いました。
 またなお、責任転嫁になろうかと思いますが、長崎県議会のお見えになった方々、自民党の方々でございまして、自民党としてその五日制を決定していく過程でなぜもっと地方の県議会の意見を聞かぬのかという、そういった意味では怒りが党本部の方に大分向いておったような色彩もございました。
○森暢子君 それでは次に、教育課程上の対応が大変難しいと思うんですが、その中で、文部省は教育水準を確保するということにすごく固執していらっしゃいまして、高等学校については土曜日の授業時数を他の曜日に上乗せすることを紹介したり、それから都道府県の教育長会議の中では学校行事の見直しのほかに、学校行事の見直しはいいんですね、しかし、夏休み前の短縮授業の見直しによる五日制への対応の考え方を示されたりとかいろいろと考えていらっしゃるんですけれども、五日制が月三回以上になりますと、やはり学習指導要領の改訂なしには対応できないと思うんですね。
 私も岡山県の学校を、都会型と農村型が実験校がありましたので、回っていきまして、そこでいろいろと先生方のお話を聞いたんですが、月一回なら何とか学校行事を見直してやっていけるけれども、これが月二回になると対応できないというのが本音なんですね。こういうことの問題点をどのように対応していかれますか。学習指導要領の改訂の対応というのが自然ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 私どもとしましては、これは小学校の校長会やなんかの調査結果でもあるんですが、月二回までは今の学習指導要領といいますか、今の標準授業時間数でも十分対応できるというようなことになっております。そういう意味で私どもは月二回までは一応今の状況の中で対応できるだろうというふうに考えておりますが、月三回、四回と進むということになりますと、標準授業時数については検討を加えなければいけないだろうというふうに考えております。ただその場合に、保護者の方々が、先ほども長崎県の県会の方も言っておるように、教育水準の問題等にも触れているわけでございますので、月二回をやっている段階で標準授業時間数を下げて対応すべきなのか、あるいは若干長期休業日を短くしてその部分をふやしていくのか、その辺は総合的に検討をしていかなければならない課題ではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、学習指導要領上の標準授業時間数の問題は月三回以上になった段階での課題であるというふうに理解をいたしております。
○森暢子君 私どもも地元に帰りましたら学校を回るんですけれども、そうしますとどうしても話題になるのが学校五日制のことが話題になるわけです。皆一番不安を感じているわけですね。
 学校でいろいろな行事をしますが、例えば朝、登校するときにみんな先生方出て、子供たちが安全に登校できるようにいろんなところへ、要所要所に立とうと、こういうふうな意見が出ますと、それはいいことだからいけないとは言えないわけですね。それでそれが始まるわけです。そうしますと先生方が始業時間以前に出ていくようになるし、じゃ午後もひとつ見ようではないかということを提案されますと、やはりそれもいいことだから、子供たちのためだからということで始まっていきまして、そういうふうにいろいろと学校行事がどんどん子供たちのためにいいことだといって広がっていくわけです。そういうことになりますと、子供たちも先生方も本当にゆとりがなくなってくる。そういうことで学校行事を精選するというのもこれまた難しいんですね。何を削減していくかというのは難しい問題なんです。
 そういうことで、将来的な展望の中で学習指導要領の改訂、これはもう避けて通れないものだと思うんです。五日制が教育の一大改革という認識のもとに完全五日制を展望するためには、ぜひこの学習指導要領の改訂をいろいろと皆さん方と話し合って急いでやらなければいけないというふうに思いますので、よろしくお考えおきいただきたいと思います。
 それからもう一つ、私学と学習塾、これが五日制にいろいろと関係してくると思うわけですね。ある大手の進学塾の調査によりますと、私学の百九十九校中七十八校が五日制を実施しないと答えたといわれております。私学が協力しないと公立との学校間格差が拡大することになりまして、公立校の児童生徒はますます学習塾に土曜日に通うということになるわけです。私学の休業日は学則にゆだねられているが、文部省は私学の協力を求めていくという対応をどのようになさっていらっしゃいますか。
○政府委員(坂元弘直君) 私学につきましては学則で休業日が決められるようになっておりますが、今の大手の塾の調査というのはちょっと私、恐縮ですが、よく承知いたしておりませんけれども、個別的に私が私学の関係者に会ったとき聞いてみますと、今度の二学期からは無理だけれども来年度からはぜひ検討したいという方がかなりおります。進学校の人たちよりも、私学の関係者で大変心配しているのは、むしろ逆の、そう言っては恐縮なんですが、公立高校に入れなかった、希望していたけれども入れなくてやむを得ず私学に行ったというような学校の先生が、土曜日を休みにするとそれこそ悪いことをするんじゃないか、むしろ学校に登校させた方が安全なんだというような、そういう心配を持っているようでございます。
 ただ私どもは、方向とすれば、私学も時間をかければ流れとしては学校五日制に協力してくれるだろう、そういう流れにあるだろうというふうに思っております。具体的には、今月中には私学の関係者と会って、これは個別的には相当会っておりますが、正式に関係者と会って協力を要請したい、あるいは塾の関係者にも今月中に会見を求めて、そして休みになった土曜日をターゲットにして宣伝しないようなことをしてもらいたいという協力を求めたいというふうに考えております。
○森暢子君 今の私学や塾などの関係を見ますと、どうして子供たちが塾へ行くかということを考えますと、やはり究極は抜本的な入試改革にあると思うんです。それで、高校についても高校間格差の是正も必要ですし、それから高校の全入、これなど含めた高校入試制度の改善というのが、本当に子供たちにはそれが一番のことだと思うわけです。五日制をこれから実施していきますと、いろいろな課題が、障害児の対応であるとか部活の問題であるとか、まだたくさんありますけれども、実施すると決めた以上は後戻りできないわけですね。文部省もこれから完全五日制に向かっていかなきゃいけない、その五日制を成功させるためには入試の改革というのは避けて通れない問題であると思いますが、文部大臣、よろしく。
○国務大臣(鳩山邦夫君) おっしゃるとおりだと思うわけで、世の中はすべて競争であるという側面は否定できない部分もあろうかと思いますけれども、とりわけ入試というものが子供さんたちをどれだけ厳しい状況に追いやっているかということ、入試という問題が全くなかったら、休業となる土曜日の使い方も非常に有益になるだろう。ただ、入試というものが控えておったらそれが塾の日になってしまうのではないかという危倶は先生だけでなくて私どもも抱いているわけでありますから、そういう観点でも文部省としてできることを精いっぱい努力いたしたいと思っております。
 ただし、そもそもこの入試問題、つまり入試地獄と言われるような状況がどこから発するのか、偏差値の輪切りとか偏差値偏重というのがどういうところから生じるのかと考えてみれば、結局その根っこには学歴偏重社会というものがあって、前にもこの委員会で御答弁申し上げましたように、何か銘柄で人間を判断する。じゃ、だれが銘柄で人間を判断するかといえば、それは役所もそういう面があろうかと思いますが、まあ大多数の企業ということになるわけでありましょう。そういう中から、教育の問題あるいは受験の問題に関しましては、総論賛成各論反対、学歴偏重社会は打破しなければならない、でもうちの子だけはというのが世の中の基本的な風潮にあっていつまでも改善をされないということでございます。
 したがって、生涯学習社会をつくっていくと同時に、この学歴偏重社会を何としてでも少しでも、打破というのは一気にはなかなか難しいんでしょうが、少しでも学歴偏重社会の根っこを揺らしていくというのか、揺るがせていくというか、そういう努力を積み重ねることによって、その最後に子供が救われるところまでくるんだろうと私は思います。下から解決してもこれなかなかどうにもならないわけで、上から学歴偏重社会という企業の選択行動あるいはブランド志向という日本の社会の風潮、これから変えていかないと入試問題まで到達しないなというふうには思います。
○森暢子君 それでは、次に学校における現業職員の問題について少し質問したいと思いますが、その前に、平成三年度で第五次、高校では第四次の学級編制及び教職員の定数改善計画が終了いたしました。四年度において新たな改善計画は策定せずに、調査期間とするというふうなことが言われておりますが、五年度に次期改善計画を策定する意思があるのかどうかということ。それから、五年度から新たな計画をスタートさせようとすれば、夏の概算要求までに内容を固めなければいけないし、日数には余り余裕がないと思うんですが、今後の調査とか検討のスケジュールはどうでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) 平成三年度で第五次の学級編制と教職員定数の改善計画が完成したということでございまして、御指摘のように、平成四年度につきましては必要最小限の定数改善を予算上の措置として今御審議をお願いしているところでございます。
 今後どうするかというお尋ねでございます。このことについては、再三委員会でも御答弁してまいりましたけれども、現在、第五次の改善計画が完成した段階におけるその標準を適用して、各地方公共団体、各学校においてどのような学級編制、それから教職員の配置の実態になっているかという実態調査をしておりまして、これが悉皆調査でございますので、現在それを集計中でございます。同時並行的にいろんな検討も続けておりまして、私どもとしましては鋭意そのことについて検討しているという段階でございます。
 今後の日程につきましては、鋭意やるということで御了解をいただきたいと存じまして、今なかなか明言するわけにはまいらないわけでございますが、現在検討を重ねているという段階でございます。
○森暢子君 学校の中には直接に教育に従事する教員のほかにいろいろな職種の職員がおります。例えば用務員であるとか警備員であるとか学校給食調理員などが実際に配置されて学校活動を支えているわけでありますね。そういう人だちがいないと学校も円滑に運営されていかないというのが実情なんです。ただ、これらの職種の人たちは、学校教育法上は「その他必要な職員を置くことができる。」とだけされているわけでありまして、職務の内容もはっきりされていないし、給与なども学校の設置者の負担になっている。したがって、設置者の財政事情に左右されて地位や待遇も不安定であるという実情はよく御存じだと思うわけです。学校における現業職員の役割と置かれている状況について文部省はどのように認識なさっておられますか。
○政府委員(遠山敦子君) 学校の現業職員と言います場合に、先生おっしゃいましたようにさまざまな職務についていらっしゃる方がいらっしゃるわけでございます。ここで学校の用務員というふうな言葉で仮に呼ばせていただきますと、学校用務員の設置あるいは具体的な職務の内容につきましては、今のお話のように学校教育法上は「必要な職員を置くことができる。」という書き方をいたしておりまして、学校教育法施行規則の中に、「学校用務員は、学校の環境の整備その他の用務に従事する。」というふうに書いてあるわけでございます。それぞれの学校用務員なりあるいは今お話しのような職務についていらっしゃる方々の職務につきましては、それぞれ学校を円滑に運営していく際に必要な職務を担当していただいているというふうに考えているわけでございます。
 これらの職務に当たっておられる方々を採用するかどうかにつきましては、これはそれぞれの設置者である各地方公共団体がその必要に応じまして、その学校の規模なりあるいは職員の状況でありますとか、あるいは特別に何か必要な事態があるかどうか等の総合的な判断の上でこれらの職を置くかどうかについて検討されて、それで必要な職員について置かれるわけでございます。例えば学校用務員の職を置くということにつきましては、地方交付税上の措置も行われているわけでございます。
 そのような形で、明確に学校教育法上の規定あるいはいわゆる標準法上の規定はないわけでございますけれども、それぞれの設置者において必要に応じてその人たちを確保できる財政的な措置なりその位置づけなりというものをしているというふうに考えているところでございます。
○森暢子君 ちょっと昔の話になりますが、一九九〇年の十月にある人気漫画誌ですね、あると言っておきますが、学校現業職員、特に学校用務員の仕事に対する偏見や差別を助長する内容の作品が掲載されて大きな話題となったんです。漫画です。その作品の中で、その用務員のことをただの働くおっかさんとかばか職員とかいう会話が出てきているわけです。その漫画がもう大量に社会に出回ったわけですね。これはどういう位置づけをなさっているかわかりませんが、他の教職員と同じように学校を支えていることは確かでありまして、重みがあるということも確かであると思うんですが、その背景には学校現業職員とその仕事がいろいろ差別とか偏見に満ちているということで、そのとき大変話題になったわけであります。
 ですから、やはりどのように学校に位置づけされているかということによると思うわけですが、今局長からお話がありましたように、義務教育学校であっても現業職員の給与等はその県の負担でもなければ、国も負担していない。しかし、これらの職員は学校活動の重要な一部を分担しているということで、学校運営に必要な職員ということで標準定数法に位置づけてもらいたいという願いが大きいわけであります。国も財政上の措置をすべきではないかというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。
○政府委員(遠山敦子君) いわゆる標準法の規定になじみますものは、学校教育法等で学校におきまして特別の事情がある場合を除き必ず置くこととされている基幹的な職員につきまして、各都道府県に置くべき教職員定数の標準を定めるという法律の性格となっております。したがいまして、用務員の場合のように必ず置くこととはされていない職種の職員につきましては、標準法上、各都道府県における定数の標準を定めるという性格の規定として置く必要がないことから定めていないものでございますが、先ほども申しましたように、学校教育法上あるいは施行規則上も職務の内容については規定をいたしておりますし、また必要な財源措置も講じているところでございます。その意味で、先ほどおっしゃいましたような世上のマスコミで扱われたような事例がありますとすれば、それは大変残念なことでございまして、やはりそういう方々も含めて学校を運営する非常に大事な職員としてやってまいりたい。
 ただ、そのことと法律上の規定をするかどうかあるいは国庫負担をするかどうかというのは、よりもう少し法律の性格なりあるいは国の負担の対象となるかどうかということについての性格上の検討があってしかるべきと考えておりまして、現行の扱いそのものについては私どもとしては現段階で適切なものと考えているところでございます。
○森暢子君 いろいろと御説明がございましたけれども、最後に大臣にお聞きしますが、用務員、警備員とか給食調理員とかその他スクールバスの運転手さんであるとか、それから高校へ行きますといろいろな技術職員がいらっしゃるわけですね。そういう人たちは本当に必要な職員とお考えでしょうか。特に事務職、栄養職は学校の基幹職員として重要だ、必要だということは大臣からよく聞きましたんですけれども、そういうその他必要と認められている職員とくくられている人たちが学校においてどのようなことをなさっているかということについて評価なさっているかどうかということと、次期の教職員改善計画にきちっとその人たちを入れて対応していただきたいということをお願いしまして、最後に大臣にお願いします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) まあちょっと表現は悪いかもしれませんけれども、そういうさまざまな協力者、場合によっては縁の下の力持ち的に働きをしてくださる方の協力もあって学校教育は成り立っているということはよくわかり、またそういう方々の御努力というものを私は高く評価いたしております。そういう方の存在を抜きにしてやはり健全な学校運営というものは不可能だからでございます。
 ただ、これが内容については、職種については今局長から御説明をいたしたとおりでございますが、例えば標準法等で定数の問題を議論するということになりますと、いつも私申し上げております、先生方に加えて事務職、栄養職というところまでが基幹的職員というくくりをされるわけです。これは本当はもっと範囲広く何もかもくくればよろしいかと思いますが、しかしそれは財政的な事情等もございまして、基幹的職員として事務職、栄養職までというのはまあ妥当なところなのかなというふうに思っております。ですから、地方交付税の話も今局長いたしておりましたが、そういう方々のお仕事というものについて極めて高く評価しつつも、法律上はそういうような今の仕組みにとどまっているというのはいたし方ないかなと思っております。
○森暢子君 終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(大木浩君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷本巍君が委員を辞任され、その補欠として会田長栄君が選任されました。
    ―――――――――――――
○肥田美代子君 よろしくお願いします。
 子供の権利条約か児童の権利条約がということにつきまして先ほどから小林議員と政府の方々の言葉をじっと伺っておりまして、私は、子供か児童かということについてのこの決定は、ひょっとすると子供の問題が各省庁に余りにもたくさん管轄が分かれ過ぎていて、その省庁のはざまに子供の一番大切な問題がすとんと落ちてしまった、ひょっとすると子供たちがまたもや犠牲になったんじゃないか、そういう気がいたしておりまして、実はそういう気持ちでじっと聞いておりました。
 子供と児童、たかが言葉、されど言葉だと思います。ですから、私は子供の権利条約がこの国会でこういう名前で批准されることを真に願っておりますし、そうでないと、やっぱり二十一世紀、二十二世紀になりまして私たち今生きている大人たちが本当に恥ずかしい思いをするんじゃないか、そういう気がしておりますので、そのことだけを申し上げて質問に入らせていただきます。
 この子供の権利条約の十七条に、「社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができること」、このことを締約国が確保すべきこと、またこのため締約国は子供用書籍の作成及び普及を奨励する、そういうふうに書いてありますけれども、外務省にお尋ねします。この条約は子供の権利を定めたものだと考えますと、この規定は子供のいわば読書権というものを定めたというふうに私は理解したいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○説明員(吉澤裕君) ただいま御指摘がありました児童の権利に関する条約の第十七条(c)に、児童用の書籍の作成及び普及を締約国が奨励するという規定がございます。この規定は、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉や児童の心身の健康の促進といったことを目的とした情報や資料を児童が利用することができるように締約国が児童用の書籍の作成及び普及を奨励することを定めたものというふうに考えておりまして、我が国におきましては、例えば児童福祉法の第八条に基づきまして中央児童福祉審議会等が児童の福祉を図るために出版物等の推薦をしているほか、学校図書館法第三条に基づきまして学校図書館の設置が義務づけられている、そういったような措置によりましてこの規定に沿った児童用の書籍の作成や普及というものが奨励されているのではないかというふうに考えております。
 それで先生が、今いわば子供の読書権というような御質問があったわけでございますけれども、読書権という言葉、あるいは私の理解が間違っているかもしれませんけれども、例えば児童が読みたいと考える本を公的な権力といいますか、公の権力が禁止するということはあってはならないのであるという趣旨の意味で読書権という言葉をお使いになっているとすれば、このような権利というのはむしろこの条約の第十三条に表現の自由についての規定がございまして、その中に、「あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由」としての表現の自由についての権利というものを規定しているわけでございまして、そうした権利の一環として保障されているというふうに考えるのが適当ではないかというふうに考えております。
○肥田美代子君 そうしますと、この十七条には子供の権利については何も規定していないとおっしゃいますか。
○説明員(吉澤裕君) 権利そのものを規定したものというよりは、児童が心身の健康の促進とかいろいろな福祉ということを目的として情報及び資料を利用することができるように締約国がとっていく、あるいは奨励していくべき措置というものについて規定したものではないかというふうに考えております。
○肥田美代子君 では、質問の方向を変えますけれども、政府はどの程度のことをすればこの十七条を満たしたというふうにお考えでしょうか。
○説明員(吉澤裕君) この十七条の(c)の児童用書籍の作成及び普及の奨励といった規定につきましては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、我が国におきまして児童福祉法に基づきまして中央児童福祉審議会等が児童の福祉を図るため出版物等の推薦をしておりますとか、あるいは学校図書館法に基づいて学校図書館の設置が義務づけられているといったような措置によって、この条約に言う児童用書籍の作成や普及の奨励といったことが行われているというふうに考えることができるのではないかと思っております。
○肥田美代子君 外務省のこの条約に関する解釈の仕方はわかりました。わかりましたというよりも伺いました。
 それで、次に文部省にお尋ねしますけれども、この十七条の規定による権利は既に保障されているという立場から今回恐らく新しい法律をつくろうというふうに動かれなかったと思いますけれども、この権利は国内において今既に保障されているものかどうか。国内において国内法でもって保障されているのかどうか。もし保障されていないとすれば、どんな施策でもってこの義務を保障しようとしていらっしゃるのか、この二つのどちらかでお答えいただきたいと思います。
○政府委員(内田弘保君) 今お話しありましたように、この児童の権利条約第十七条は、近年のマスメディアの急速な発展とその果たす重要な役割にかんがみまして、児童が心身の健全な発達のため適切な情報、資料を利用できることを保障するために設けられた規定であると承知しております。
 御指摘のこの我が国における現状でございますが、例えば図書の普及について考えてみますと、年間大体二千五百から三千点余りの児童図書が出版されるなど、児童のための出版は広く普及していると考えているところでございます。また、これらの児童用図書に子供が接し、豊かな人間形成が図れるような環境を整えることがこのために必要だと考えられますが、今お話しありました学校図書館法では学校に図書館を設置することが義務づけられておりますし、また図書館法に基づく公共図書館の整備も進んでおります。これらの整備をさらに進めていき、また児童に対する読書指導等を充実していくことが必要であろうと思います。
 また、さらに図書の選定などについて、日本図書館協会あるいは民間の読書普及団体の活動などを奨励し健全な児童図書の作成、普及に努力していくということが必要であろうかと思います。
○肥田美代子君 今ちょっと私は伺っていてぴんとこなかったので、もう一度お尋ねしますけれども、そうしますと子供用図書の作成奨励についてはどのような施策を講じていらっしゃるのか、もう少し衡単にお話しいただけませんか。
○政府委員(内田弘保君) 一つには、今外務省の方からも御答弁ありましたように、我々としましては、学校図書館の整備充実、それから公共図書館の充実、これによってここで規定されています子供に対する情報、資料へのアクセスということについての保障は重要な部分が保障されるのではないかということでございます。
○肥田美代子君 アクセスについてはわかるのですけれども、今私が伺いましたのは子供用図書の作成奨励についてという見方で伺っているんですけれども。
○政府委員(内田弘保君) 現状を先ほど既に申し上げましたが、児童用図書については諸外国と比べても遜色のない点数の出版があります。現実において児童のための出版は広く普及しているというふうに認識しているところでございますが、子供がこれを十分に活用できるような読書指導、書物についての知識等の普及を充実していくことによってこの問題がクリアできるのではないかと考えているところです。
○肥田美代子君 そうしますと、今その子供の本の現状についてお話しいただきましたけれども、作成奨励についての施策がどうあるかということについてやっぱり今お聞きできなかったように思うんです。私は、この作成奨励についても政府は一切関知していらっしゃらないというような気がするんですね。例えば、書店に行きまして児童書の棚を見ますと――今改めて児童書ということを言いましたけれども、本当は子供の本でございまして、こういう児童書という言葉もずっと明治以来続いてきた言葉でございますので、もし変えるチャンスがあれば子供の本というふうに私は変えたいと思っております。
 ところで、書店にあります子供の本の棚がどんどんどんどん狭くなってきているんですね。子供の選択肢は本当になくて、今一番売れる、子供たちがおもしろがるだろうという表紙の本だけしか書店に並んでいない。そして、本当に子供たちが読んで心を揺るがすであろうという本がどんどん書店の棚から消えていっているわけです。ですから、さっき学校図書館のこともおっしゃっていただいたんですけれども、それだけじゃとても追いつかないという気がいたしております。
 それで、普及について伺ってもまた同じようにお答えいただくことになると思いますので、そのことは飛ばしまして、諸外国における施策や現状はどう把握していらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(内田弘保君) 諸外国のこの条約に基づく施策の状況については特に調査しておりませんけれども、この出版の状況につきましては、日本の場合、先ほど申しました二千五百から三千冊ぐらいの児童図書の出版が毎年行われているという現状は決して諸外国と比べて遜色のないものであろうと思っております。
○肥田美代子君 諸外国に比べて遜色がないというふうに文部省がお考えなら、私はそれで、そうですかと承っておきますけれども、それでは、この現状を見ますときに、「利用することができること」というふうにこの十七条の中で規定されておりますけれども、この十七条が要求する水準を今日本の状況は満たしているとお考えでしょうか。
○政府委員(内田弘保君) 一つにはそのアクセスの問題だと思いますが、子供たちが図書に接する機会、先ほど申しました学校図書館の設置義務によってすべての学校に学校図書館があるわけです。それから、公共図書館におきましてもその蔵書のうちの約三割が児童用の図書であるそうでございまして、その割合は年々増加している傾向にございます。また一方、その公共図書館の約八割に児童室やあるいは児童コーナーを設置しており、児童に対する読書指導はこの公共図書館のスタッフの重要な柱となっております。こういうことによって、我が国における子供の、児童の図書についての状況は決して他国に遜色のないものであろうかと考えているところでございます。
○肥田美代子君 それでは、さっきからずっと答弁の方のお言葉に出ております学校図書館についてお伺いしたいと思います。
 前回質問させていただきましたときに鳩山文部大臣からとてもうれしい答弁をいただきまして、学校図書館の現状について調査を始めるという、私はあの答弁をいただいただけで本当に舞い上がるほどうれしかったのでございますけれども、実は数年前に調査をしていらっしゃるんですね、それで、そのときの調査があって、今回の調査がある。そのときの調査のときには一体どのように事態が動きましたんでしょうか、その辺ちょっと説明してください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 余りいいかげんなことを答えてはいけないんだと思いますが、あのとき悉皆調査のような大変な調査をやったと思うんです。時間もかかったかと思うんです。多分悉皆調査であったように記憶をいたしております。この間お話しいたしましたように、現在岩手県知事を務めておられます工藤巌先生が大変熱心でございまして、工藤先生が自民党の文教部会長、私が副部会長あるいは部会長代理というようなときに、先生の熱意を強く受けて一緒にやらせていただいた懐かしい記憶がございます。そのときの調査結果についても覚えているようでまた覚えていないようで、かなりあやふやでございます。
 私はこの間、先生に、もちろんこれからも調査はきちんとやると申しましたが、調査以上にむしろ実行力の方が重要かなというふうに実は思い直している部分もございます。調査結果が出ても、その調査結果がいい悪いいろいろあろうと思いますが、その結果を見てなるほどと言っているだけでは何にも事は進まないわけですから、調査結果を参考にして我々は一体何をすべきであるかということをもっと真剣に考えることが必要なわけでございまして、私はもっと真剣に考えます。今までの自分に反省を加えて、もっと前を向いていきたいと思いますが、先般申し上げましたように、議員連盟等もあるはずでございますので、そういう国会全体の動きもまた必要ではないかと思っております。
○政府委員(坂元弘直君) 簡単に御説明申し上げますと、六十三年の十月一日現在で小中高悉皆調査でございます。この前もこの一部につきましては先生に答弁いたしておりますが、学校図書館施設の状況、それから学校図書館担当教員の状況、例えば一校当たり学校図書館担当教員の人数が小中が各二人、高等学校が四人とか、それから学校図書館担当教員の校務分掌上の位置づけ、これは司書教諭を発令している、あるいは図書主任あるいは図書委員会等の仕分けでございます。それから、学校図書館担当教員のうち司書教諭有資格者がいる割合、全教員のうち司書教諭有資格者がいる学校の割合などについて調査したものでございます。
○肥田美代子君 今、鳩山文部大臣がおっしゃっていただきました調査よりも実行だというお言葉、私、まさにそうだと思うんですね。どうしていつもいつも、調査があってその後何年かたって何にも起こらなかったという状況が出るのかなと考えるわけですけれども、やっぱりそのときにトップになる方の物すごい大きな決断が私は要ると思うんです。ですから、今回調査される、とってもそれはうれしいと思いますけれども、また前回の二の舞にならないように、そして何よりもこの調査がどういうことを目的とするのかということをしっかりと見きわめていただきたいと思うんです。ただ、調査をした、ああそうですかというんじゃなくて、学校図書館に司書教諭を、本当にその部屋に一人司書教諭がきちんといつもいつもいてくれるという状況になるためにこの調査をするんだというかたい御決意をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) とにかくあと何カ月文部大臣をやっていられるかわかりませんけれども、私は、任期中にできることできないこと、これは司書教諭のお話等きょう準備してあすできるという状況にないことはもう先生よく御承知だと思うし、長期的な視点で見なければならない部分、短期的にもできる部分、それを仕分けしながらきちんと事務方にも相談をしながら指示していきたいと思っております。
 要は、司書教諭が、学校司書がということではなくて、目的は、図書館がいつもあいていてお子さんたちをきちんと指導してくれるような状況にあって、したがってそういう中で子供さんがみずから本を選んで、みずから学び、みずから問題を解決するような能力を身につけていくことが大切でございますから、その大目標から逆算をして今どういうことをしたらいいのか真剣に考えてみます。
○肥田美代子君 しつこいようですけれども、いつまで大臣になっておれるかわからないというそんな心細いことをおっしゃらずに、何代も何代もやっていただきたいと思うんですけれども。
 ことし少なくとも一番近い調査、それからその対策とかいう細かなスケジュールがあると思うんですけれども、それについて至近な予定でお教えいただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) いずれにしましても、今大臣が申し上げましたような観点から公立学校を対象として調査をいたしたい、その調査結果をもとにしてどういうことが現実の課題としてできるのかということでいろいろな施策を考えてまいりたいというふうに考えております。いずれにしても、今調査項目等を細かく詰めている段階でございまして、本年度中に調査を実施し、まとめたいというふうに考えております。
○肥田美代子君 子供は毎日毎日大きくなっておりますので、一日も早いそういういい方向での結論をお願いいたしたいと思います。
 さっきもるる伺っておりまして、この十七条を保障するのは結局は学校図書館法であるなということに落ちついておるようでございますので、この学校図書館法が本当に輝くようにお願いしたいと思います。特にこのことを真剣に考えてくださった文部大臣は初めてじゃないでしょうか。チョウ博士でもいらっしゃる文部大臣にこのことがしていただけたら、恐らく私は子供たちがとってもそのことを誇りに思うと思います。本当に私も学校図書館法とか本のことにばかりこだわるわけですけれども、指導要領にも自分で考え判断できる能力を培うことに重きを置いた教育への転換を目指すとしっかり書いてありますので、そのためにもよろしくお願いいたしたいと思います。
 そして、この子供の権利条約が批准されます年から少なくとも一年、子供読書年というふうに大臣が決められて、子供たちに大きなメッセージを贈られたらどうかと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生からそういうような御質問があるということを聞きまして、アメリカでの青少年の読書年、これが一九八九年であったということもお教えいただきまして、すばらしいアイデアでございますけれども、具体的にどういうことをしたらいいのかまだよくわからない部分もありますので、今後とも先生からも教えていただいて、考えてみたいと思います。
○肥田美代子君 ありがとうございます。具体的にどうしたらいいかということを相談いただけるそうで、大変感謝いたしております。
 それでは、次の質問に参らせていただきますが、先日群馬に行きまして小学校をちょっと拝見したんです。そのときに、ブラジル人の子供、ペルー人の子供、いわゆる外国人労働者の子供たちがその小学校には三十数人おりました。その様子をじっと眺めていたんですけれども、とっても学級の中に溶け込んでいていいんですね。
 ところが、先生方の御苦労話を聞きますと、一番最初に困ったのは、一年生の子供なんですけれども、町じゅうの花畑の花を全部ちぎって歩いたというんです。それが町の中で大変な問題になりまして、学校に大変なお小言が集まったそうですけれども、後で先生が気がついてみますと、その子が暴れん坊であったわけでも何でもなくて、その子供のその国の習慣だったんですね。野原の花を摘むというそういう習慣が子供にあったものですから、よその畑の花も庭の花も同じように考えたようです。ですから、子供が育ってきたその国の文化というのは、ひょっとするととってもその子にとっては次の国になじむときに難しい問題だと思うんです。ですから私は、恐らくその学校が外国人のお子さんを受け入れたときに、一カ月、二カ月、三カ月というのは本当にパニックが起こるんじゃないかと思うわけです。
 それで、その様子を聞いておりまして、そこの校長先生がおっしゃるには、ことしは加配で二人を特別にいただいた、そして二人の先生は外国語がしゃべれないんです、日本語だけです。じゃ、スペイン語もポルトガル語もお話しにならないんですかと言うと、日本語は日本語で教えるという方針だからだそうですという話なんですね。ですから、その学校ではあと二人の話学ができる助手さんを雇われるそうです。ほとんどこれは町の費用で行われているわけですね、単独事業で。テキストをつくるのも、それからそういう助手さんをボランティアで雇うのもやっぱり町の仕事になっているわけです。
 そういう状況がございまして、教育基本法の第一条は日本に居住する者や永住する者というふうに解釈されておりますけれども、この場合日本人だけを言っているんでしょうか、それとも外国人も含んでいるんでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 教育基本法の第一条の規定は、「教育は、人格の完成をめざしこということが一つございます。それから、「平和的な国家及び社会の形成者としてことありまして、ちょっと中抜きますが、「国民の育成を期して行われなければならない。」ということでございますので、「社会の形成者」ということにつきましては日本国民を念頭に置いて規定をしておるものと、このように考えております。
○肥田美代子君 この規定の中に「社会の形成者」という言葉があります。教育基本法が制定されたときには社会の形成者イコール国民であったかもしれませんけれども、今の社会の形成者の中には、これだけ外国人がふえてまいりますと少しニュアンスが変わってくるんじゃないかと思うんですね。ですから、社会の形成者イコール日本の国民だというかたい考えじゃなくて、外国人の教育もここにしっかりと含まれるというような考え方に移行するような解釈はできないものですか。
○政府委員(野崎弘君) 「社会の形成者」というのを、それだけを取り出して考えればいろんな解釈ができるかと思うんですが、今お話ししましたように、「社会の形成者としてこ、後へこうつながっておりまして、「国民の育成を期して行われなければならない。」ということでございますので、ここの意味するところは、平和的な社会の形成者として、国民の育成と、したがってあくまでも日本国民を念頭に置いた規定と、このように私どもは考える次第でございます。
○肥田美代子君 そうしますと、外国人の子供たちのための教育を行う法的根拠は何ですか。
○政府委員(長谷川善一君) お答え申し上げます。
 外国人に対する教育というのは、小中学校に受け入れて行われる場合と、それからいわゆる外国人学校において行われる場合とがございます。
 小中学校への受け入れにつきましては、外国人に対しましては義務教育の就学義務というのが課されていないわけでございますけれども、国際人権規約の趣旨、その趣旨を踏まえて、外国人の子女が我が国の学校教育を受けることを希望する場合においては公立の小中学校において受け入れているところでございます。この場合、内外人平等の原則に立っておりまして、授業料を徴収しないあるいは教科書を無償給付するなど、全く日本人の場合と同様に取り扱うことといたしておるわけでございます。
 それから、いわゆる外国人学校につきましては、ほとんどが都道府県知事の認可によってできておりまして、各種学校として認可されておるわけでございますけれども、それぞれの学校の設置の趣旨に基づいた教育が行われているという状況でございます。
○肥田美代子君 今、日本の子供たちと同じ内容を学ぶというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、こういう状況になってまいりますと、要するに外国人の子供のニーズに合った教育というのもとても必要になってくると思うんです。だから、この教育基本法が日本の国民のためのものだというかたい考えにおさまらず、もう少し外国人の子供たちがどういうニーズを持っているか、そしてそのことが、例えば三十何人その小学校におりますと、それは外国人の子供の問題でなくて日本人の子供の問題でもあるわけですね。ですから、そういうことについて、これから教育課程の中で外国人の子供たちのニーズに十分こたえていくように何か施策を講じるべきだと思うんです。
 それで、確かに文部省の方ではテキストもおつくりになりますようですし、加配という処置もなさるようですけれども、私は少し遅きに失したんじゃないかなという気がいたしております。というのは、もう各地方公共団体ではたくさんのテキストもつくっておりますし、その町で一生懸命言葉がわかる人たちを探しまくって子供たちに対応させているわけです。ですから、このことについてこれから文部大臣としてどのように対応していかれるおつもりなのか、伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 大臣がお答えになる前に、ちょっと学習指導要領上の今の考え方について御説明をしたいと思います。
 学習指導要領は確かに我が国の教育課程の国の基準として告示されておるわけでございまして、外国子女が我が国の小中高等学校に入学した場合は一応日本人の児童生徒と同様に取り扱うことを原則として教育課程が定められております。
 ただし、学習指導要領の中に、「海外から帰国した児童などについては、学校生活への適応を図るとともに、外国における生活経験を生かすなど適切な指導を行うこと。」というふうに定めておりまして、それの解説、指導書の中で、「帰国子女や外国人子女の受け入れが多くなってきており、今後ますます増えることが予想される。」ということで、長くなるから省略いたしますけれども、これらの児童についての外国における経験とか、外国の家庭やそれから就学形態や教育内容、方法などについても十分一人一人の実態を把握して、「当該児童が自信や誇りをもって学校生活において自己実現が図られるよう配慮することが大切である。」、かなり長くその種のことが学習指導要領の指導書の中に記述されておりまして、各学校現場でこういう点に留意して指導するように、学習指導要領上はそういう指導をしているところでございます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今のような模範答案でよろしいんだろうと思うんですが、要するに、確かに教育基本法を読みますと野崎官房長がお答えしたとおりのことになるわけでございます。
 ただ問題は、憲法よりも、もちろん法律よりも、日本は成文法主義ですから書いてないことについては余り議論をしませんけれども、実際、法律に書いてないことは世の中何にもないのかといえば、常識とか条理とか普遍の原理とか、もう書く必要もないほど重要な事柄というのはいっぱいあるわけでございましょう。そうした中で今国際化社会を迎えておれば、そしてまた日本が世界の超一流国の仲間入りをすれば、外国人が国内でふえるというのは大変名誉なことでもあるわけで、外国人労働者の問題も日本の経済力のゆえであろうと思いますけれども、また日本に居住する外国人がふえるというのは我が国の一つのステータスシンボルでもあるわけでございます。そういう国際社会の中で外国のお子さんたちをどう教育するかということに関して言えば、できるだけ親切にやるべしというのは、もう何に書いてあるか書いてないかということでなくて、当たり前の事柄だろうと私は思うわけであります。
 ただ、いわゆる外国人学校の教育については文部省は直接立ち入ることもできません。ということは、逆に言えば、直接御援助申し上げるというのも非常に難しい状態にあるということでもあろうかと思います。私の女房はいわゆるアメリカンスクールの卒業生でございまして、仏そのころからつき合いがありましたから女房が高校時代によく迎えに行ったりしたことがありますが、ああいうアメリンカンスクールの内部というのは完全に従来からの概念で言うと外国です、完全にアメリカですよね、中が、すべてが、それはもう教育の教科書から何から全部そうですから。
 ですから、そういう中には文部省の立ち入りというのはもちろんできないし、逆に言えば文部省がお手伝いするということも非常に難しい世界だなというふうに思いましたから、外国人学校の存在も認めておりますし、そういうものもできれば発展させるように文部省は努力しなければならないと思うし、そういう外国人学校の中でできるだけ適切な教育が行われることを強く望むわけでございますが、ちょっと外国人学校になりますと話は別になるかなという部分は残ります。
○肥田美代子君 日本の学校で外国人のお子さんをどう受け入れていくかということについて御質問いたしましたが、このことについてまだお尋ねしたいことがたくさんございますので、これからこの質問についてもじっといろんなことを見詰めていきたいと思います。
 ただ、大臣のお子さんは外国で勉強していらっしゃるわけですね。ですから、やっぱりお互いがそれぞれの国々に行くというのはこれからたくさんできて、その国の学校で勉強するということは本当にこれからもう普通のことになるわけですから、そこの国の教育基本法でもって、外国の子供たちも、その国の学校で外国の子供たちのニーズがしっかりと聞けて守られるようなそういう対策をぜひとっていただきたいと思っております。
 どうも本当にありがとうございました。
○委員長(大木浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
○委員長(大木浩君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管老議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堂本暁子君 けさほど同僚議員から子供の権利条約についての質問が出ましたけれども、この子供の権利条約というのは、今まで子供たちが保護の主体であった、そういった立場から、そうではなくて、もっと子供たちの主権を認めたと申しますか、子供自体の人権を認める、そういったことで非常に画期的なものだと思います。きょう私は、子供たちの主権が認められたといってみても、まだ子供たちがここで発言できることはないので、子供たちにかわってきょうは大臣に、そして文部省に伺いたいと思います。
 私が学校へ行かないあるいは行かれない子供たちの取材を記者として始めてからちょうど二十年ぐらいたちますが、やっとという感じがするのは、二月二十七日の衆議院の文教委員会で民間の施設での勉強をも学校の出席日数として認めようという方向をお出しになった。そして、さらに三月十三日にこういった「登校拒否(不登校)問題について」というものも出されました。この中で今までと違うことは、やはり現実を認めてくだすったということではないかというふうに思っております。
 現実の問題として、憲法で保障されている平等の教育の権利、それが教育基本法でもあると思いますけれども、今度一たん学校教育法になりますと、いわゆる建物としての学校に通学をしないと進級できない、そして卒業もできないという実態が今までずっと続いてきました。しかし、二十年もたってみると、私が接した子供たち、ほとんどの子供たちで、どの子供も勉強が嫌だという子供はいない。むしろ、いじめとか体罰とか、もっといろんなそのときの事情で学校に行かれなかったり行かなかった、そういった子供たちが大きくなってみんな立派な社会人になっているんです。いろんな道を歩んでいます。それはお医者さんになった人も、板前さんになった人もいろいろいますけれども、お母さんになっている人もいる。やはりそういった子供たち一人一人の教育権を保障していただくという立場、それがこれからの時代ではないかというふうに思うんです。学校の都合もありましょう。文部省の都合もありましょう。きょうは傍聴にも大勢子供たちが来ていますけれども、そういった一人一人の子供たちのやはり教育権というものをぜひとも守っていただきたい、そういう視点からきょうは伺いたいと思います。
 今回、義務教育ということまで話し出すともう際限なく広がりますけれども、最低、交通費を何とかもう少し減らす方向にできないかということ、そのことをひとつテーマにさせていただきたいと思っています。と申しますのは、出席日数を認められることまでは一歩前進かと思いますけれども、そこで親でも子供でも一番問題になりますのがやはり経済的な問題です。
 まず、局長に最初に伺った方がいいかと思いますけれども、今回お出しになりました方針、これをどのように今後具体化なさるおつもりか、その方針からまず伺いたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 方針というのは恐らく出席扱いにするという問題かと思いますけれども、この問題につきまして私ども、あくまで学校に戻ってくる、今の義務教育を前提として学校に戻りたい、そうは言ってもなかなか学校に戻るまで時間がかかる、公的機関もない、そこで民間のその種の教育施設に通っておる。生徒とすればそこで必死の努力を続けているわけでございます。その必死の努力をどういう形で評価するかといいますと、その必死の努力を続けておる、施設に通っておる日数を出席扱いという形で取り扱うことができないかどうかというようなことで、そういう方向で私ども現在文部省の中でどういう場合にどういう条件の中で認めるかというようなことを慎重に検討している最中でありまして、早急にその結論を出して各都道府県教育委員会にお知らせしたい、こういう考え方だということ、そういうふうに考えております。
○堂本暁子君 ぜひその中にお含みいただきたいのですけれども、公立の学校、私立てもそうでしょうけれども、家に近い場合がありますが、やはり学校にいろんな事情で行かれない場合、どうしてもお友達も欲しい、勉強もしたい、そのとき大変遠くに行かなければならないという事情が多くございます。東京シューレは大変大きいそういった子供たちのいる場所ですけれども、そこの平均で一万四千二百四十円。小学生が二十四人、中学生が四十人、そしてそれ以上の子供たち、高校になりますけれども、二十二人の統計ですけれども、一万四千二百四十円。一番多い人が、銚子から来ている人で四万七千九百十円、次が埼玉県でしょうか、四万四千四百九十円。そうしますと、授業料ももちろん必要なわけですね。そこへもってきて五万円近い交通費では通いたくても通えなくなってしまうわけです。
 そこでお願いをしたいのですが、きょう運輸省にもおいでいただいていると思いますが、運輸省の方の規定によりますと、もちろん学校として認可されているものの場合には割引が行われる。しかし、そのほかに運輸大臣によって変更命令というものが出せるということが決められているようです、運賃割引等ということですが。そこで、そうしたおうちにこもっていて出られない、それから次には何とか一生懸命お友達の中に入っていって、それから学校へ戻る子もいましょう、もっと違うところへ羽ばたいていく子供たちもいましょう。しかし、少なくともそこに行く意思のある子供たち一人一人が学ぶことができますようにぜひ文部大臣にお願いしたいことは、そういった子供たちに何らかの形で運輸大臣の変更命令を出していただきたい。民間の施設については校長と教育委員会が認めた場合というふうに新聞報道されておりました。そういたしましたら、校長がいるわけですから少なくともその校長から、この子供は施設に通っているんだというようなことを言っていただければ、この子の出席日数を認めるのであれば、それは学校の出席日数であるとすれば、少し遠いところまで行っているけれども勉強しているのだからというようなことをやはりやっていただく、そのことがとても大事じゃないかと思うんです。
 確かに、制度も大事かもしれませんが、日本の子供一人一人の方がもっと大事である。数はそんなに多くありません。四万八千人というのが文部省の数字です。公的な学校の分校のようなところもあります。公立学校の分校なら学校ですから割引券もらえるわけですね。そうすると、問題になるのは民間ということになります。ぜひ前向きの大臣の御答弁がいただきたい。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のお持ちの基本的な哲学はよくわかりますし、一人一人のお子さんを大切にしなければならないという、先ほどの子供の権利条約あるいは児童の権利条約でもお答えをしたとおりでございます。そういう意味では登校拒否四万八千人という数字、これも五十日以上欠席をした場合でしょうから、実際にはもっと多いのかもしれない。そういうお子さんたちをどうやって救っていくことができるかというのが当面の最大の教育課題であることも私はよく認識をいたしております。
 きょう、堂本先生の関係で大勢のお子さんたちのお姿も傍聴席に見えるようで、傍聴席に話しかけてはいけないのかもしれませんが、私たち文部省あるいはこういう文教委員会の先生方もみんな願っているのは、いろんな事情があって皆さん方が学校へ行きたくない、学校へ行けないという気持ちを持っだということは大変残念なことで、一つの時代的な背景もあるかもしれないし、個人のいろんな事情もあるかもしれないし、それこそいじめその他の事件もあったかもしれない。ただ、みんなで努力して、皆さん方が一日も早く正式の学校に戻ることができるようにできるだけの条件整備をしようというのが私たちが頑張っている一つの道でございます。
 教育基本法にもいろいろなことが書いてありますが、法律で定める学校というところでみんな教育を受けてくださいということが教育基本法の中心理念にもなっております。そんなことを考えた場合に、先般、そうした民間の施設で一定の条件を満たす場合には、そこへ通った場合に出席扱いにするというようなことを文部省としても一つの方針を出し、坂元初中局長が答弁をしてこられたわけでございます。ただ、根底にありますのは、とにかく一日も早く学校に戻れるように皆さんにも変わってもらわなければならない点があるかもしれないけれども、また学校の方も変えていくというのか、学校がよりよきものになって、皆さん方が戻りたいと思うのが一番いいわけでありましょう。
 そういうふうなことを考えながらこの定期のことを考えますと、なかなか難しい問題がございます。というのは、通学定期を認めろというお気持ちはよくわかるんですが、他面、一日も早く民間施設へ通わずに学校へ戻ってもらいたいという私どもの願いもあるわけでございます。運輸省に声をかける気があるかというと、これはよくその辺を検討してからでないと結論は出せないかなというのが正直な気持ちであり、また、どうした条件のものを通学定期と認めるかはそれぞれの鉄道会社の判断にまたざるを得ないと思っております。
 なお、余計なことでございますが、これから答弁される運輸省の浅井課長は私の大学時代の同じクラブの一年先輩で、大変心の優しい方でございますから、どういう答弁されるかなと期待させていただきたいと思います。
○堂本暁子君 最終的にはJRですとか各鉄道が決めるということらしいんですけれども、今大臣の、文部省の方で私はちょっと残念だと思うのは、学校に戻ること、それは国の哲学としてそういうものがあるのかもしれませんが、国によっては、教育というのも必ずしも国が決めた学校の制度だけを認めているわけではない。例外として、例えばフランスやなんかは以前、家庭の教育の方が重んじられていたわけですから、家庭での教育とか学校というその制度だけが教育じゃないということを認めている国もあるわけです。
 ですから、その議論になると、これはもうとてもこの時間ではできませんから一応そこはやめますけれども、現実の対応としてやはり、例えば具体的な例で申しますと、中学二年のときにいじめを受けた、入院しなければならないほどひどくなったお子さんがいたんです。学校へ行かれませんね、そんないじめられたら。それはもういっぱい御存じだと思います。学校が悪い。だけれども、学校がよくなるまで子供たちは待っていられないんです。そうでしょう。自分が二十になったときにやっと認められてももう遅いんです。子供たちは今育っている。
 そして、その子供が結局やっとのことで民間の施設へ行った。交通費に四万四千円かかったんです。でも、そこのうちはたまたま母子家庭でお母さんが病気になった。そうしたらもう行かれないんですね。先生の話を伺ったら、やっとお友達もできたし、勉強の意欲も出てきた。そして、もしかしたらその子はまた学校へ戻りたいと思ったときかもしれない。そういったときに、交通費がないがゆえにそこへも行かれない、こういう事情が起こるわけです。
 ですから、やはり数も少ないことですし、さっき大臣おっしゃったように、私は一番今日本の教育の中で大きい問題だと思います。子供たちはそのために野放しになるなんということはありません。子供の権利条約が決めているように、子供たちは大人よりもっとずっと私は賢いと思うんですね。人生の中で学校へ行くことが、また今の社会の中で、日本の中でどれだけ大事かということは一番子供がよく知っています。そういった子供たちは、だけれども行かれないときは少しでも勉強したい。だから、大臣がおっしゃる、学校に戻すために、そのためにむしろ交通費を出したらだめだということは私はないと思うんです。もう一回大臣にそのことを伺います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 誤解をされていることはないとは思いますけれども、例えば今度の生活科が始まったわけですね。それは小学校一、二年生の子供がいろんな体験を積む。あるいは、先ほどからさんざん議論しました学校五日制も、休業となった土曜日に子供が個性を伸ばすような道がないだろうかということであった。また、子供の権利条約についても、子供一人一人の個性の芽を伸ばす親切な教育ということが求められている。あるいは、皆さんと一緒に努力をしてきました四十人学級だって、それだけ教師の目が一人一人の子供に少しでも届くようにというのが四十人学級の大目標であっただろう……
○堂本暁子君 ちょっと、私は三分しかあとございませんので、お願いいたします。
○国務大臣(鳩山邦夫君) と思います。
 そういうことを考えますと、要するに、お子さんたちを大切にするということなんですが、ただ他面、日本の教育のやはり世界に誇るべき点というのは、その根幹、特に義務教育を中心とした公教育という側面がございまして、もちろんいろいろな多様性に応じる教育、そういうものを考えてはまいりますけれども、ただ、やはりこの日本にある法律上の学校というものを根幹に据えた教育をやっていこうという意味では、諸外国の例とはかなり異なっている部分もあるわけでございます。ですから、公教育を大切にするという意味で、それが根幹ですからそこへ戻っていけるような状態をつくり上げたい。その公教育がまたすべてのお子さんを迎え入れて、四万八千人も登校拒否児が出ないようなそんな柔軟な教育現場であってもらいたいということが根底にあるものですから、先ほどから申し上げているような答えになってしまうわけです。
○堂本暁子君 ですから、もし大臣の論理に沿って言わせていただけば、そのためにこそこういうことが必要なんではないかというふうに私は思うんです。
 例えば、この子がもし二万円、半額で行けるとすれば、もうあと一カ月通って学校へ戻れるかもしれない。そういうことがあることを御調査いただきたい。そして、それはそんなに大きなお金ではないわけです。ですから、これから少なくともお調べくださるということ、そして御検討くださるということだけは――最初から否定したんじゃみんなかわいそうです。本当にかわいそうです。きょうは子供の代表ですけれども、全国の子供がやはりそういうことで悩んでいる以上は、少なくとも子供の立場に立って大臣は考える責任があります。私はそう思う。
○国務大臣(鳩山邦夫君) この登校拒否の問題が日本の教育の最大の大課題であるという認識を私はいたしておりますし、これは一つの大きな社会問題であるというふうにもとらえているわけです。そういう中から一定の判断を文部省としていたしましたものが衆議院の文教委員会での坂元局長の答弁であって、相当新聞にも大きく報道されたわけです。これらをどういう具体化ですね、出席日数にどういうふうに認めるか、条件等の問題もあります、報告書もあります、それらをひっくるめてこれからいろいろ検討しなければならない点はいっぱいありますから、その一つとして今先生がおっしゃったような問題もあるということは認識をしておきます。
○堂本暁子君 ぜひ前向きに御検討いただきたい。何としてもお願いしたいと思います。
 それから、運輸省に伺いたいんですが、もし文部省の方でそういったことをいろいろ御検討くだすった場合には、運輸省の方としてはいろいろまた御検討くださいますでしょうか。
○説明員(浅井廣志君) 私どもの通学定期の物の考え方、先ほど鳩山大臣からもお話がございましたが、御説明をさせていただきます。
 私ども、鉄道あるいはバスといったような公共交通機関の通学定期、小中学生の方々を、どういう学校を対象にしているかということでございますが、これは基本的に学校教育法の学校ということで私ども検討いたしております。
○堂本暁子君 それはもうわかっていますから、御検討くださるかどうかだけお答えください。
○説明員(浅井廣志君) それで、なぜそういうことかということでございますが、これはまず第一義的には交通事業者が判断するわけでございますが、世の中大変たくさんのいろいろな教育施設がございます。そういう中で一体どういう教育施設について通学定期を適用するのかということは、私どもそういう意味では専門ではございません。そういうよりどころといたしまして、これまで学校教育法、小学校、中学校だけではなくて専修学校でございますとか、各種学校といったようなものまで含めまして対象にしているわけでございます。
 これ以外の基準ということになりますと、これはなかなか難しいのではないか、このように考えているわけでございます。
○堂本暁子君 その基準の中でって、先ほどからのはそういう基準の中に入れるということではありませんでした。そうではなくて、校長先生が出席と認めた場合に、その校長からのということで方法はないかというお願いでございますが、やはり現実的な対応をしていただきたい。子供たちは待っていません。そのことをどうぞよろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。
○田沢智治君 本日は平成四年度の予算の委嘱審査でありますので、その趣旨にのっとって質問をさせていただきたいと思っております。
 平成四年度の文部省の一般会計予算案は、厳しい財政状況のもとにありながらも、前年度に比べて五・二一%、二千六百三十五億二千二百万円の増加がなされており、大臣を初め文部省の方々の努力に対しまず敬意を表したいと思っております。
 また、国立学校特別会計予算案が前年度比六%弱、千二百四十四億五千万円の増加をしていることに表されるように、高等教育の整備充実が平成四年度案の大きな目玉の一つと思うのでございますので、この高等教育予算についてお尋ねをしたいと思っております。
 先般、東大の研究室等を森山議員、柳川議員、両議員とともに見学をする機会を得まして、その施設の老朽化等を私自身が実感した中で、井上文部大臣も既に在任中、東大を初め北海道、山形、千葉、静岡、広島、愛媛、九大あるいは横浜国大、それから東工大の横浜校舎など十大学を視察して、その悲惨な現状に対して大変憂慮される御発言もされておったのでございます。
 そこで、こういう国立大学の研究施設は、現状の中では非常に悲惨な状況にあるという認識は一致したのではないだろうか。鳩山文部大臣も時にひとつ視察をなさられて、その実感をやはりみずからの体で知り、どう対応しなければ国家、社会のためにならないかという使命感を特に持っていただきたいなという希望を持っております。
 そこで、文部省は国立大学の研究施設のこのような劣悪な状況についてどのように認識しているのか、まず伺いたいと思います。それと修繕を必要とする施設の面積などの状況や修繕に要する費用等についての調査をしていれば御報告をしてもらうと同時に、文部省が望ましいと考える教育環境をつくるためには、大まかに言ってどれだけの経費がかかるであろうというようなことも把握をしておれば、その概算等を含めて御報告をいただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 国立学校におきます施設の劣悪化あるいは老朽化ということについてでございまして、私どもも大変そういう状況が進んでいるということで深刻な課題だと思っておる次第でございます。
 現状におきましては、通常改修等が必要とされます二十年以上の建物、これがすべて今すぐ改修しなきゃならないというわけでございませんが、一応二十年以上ということで見ますと、八百二十六万平米ございまして、全体の四三%を占めている、こういうような状況でございます。
 なぜこういう状況になったか、いろいろ理由はあると思うわけでございますけれども、やはり無医大県解消のために新設医科大学の創設の方を重点にしなきゃならなかったというような事情、あるいは十八歳人口の急増ということに対処するために学生増募というような課題に対応しなきゃいかぬというようなことで、新規の政策対応に追われたという面があるわけでございます。
 ただ、そういう中でも、やはりこの老朽施設の改修につきましては、大変重要な課題だということで、今までも大体毎年三百億円程度の改築改修費を充ててきたところでございます。平成四年度につきましては、さらにこれを充実すべく特別施設整備事業を実施するというようなことも考えておる次第でございます。
 なお、どれくらいの施設が今後整備をしなきゃならないかというお話であったわけでございますけれども、特に老朽化の問題につきましては、これから年々増加するということもございます。それからまた、望ましい基準ということになりますと、どういう研究をするかあるいは時代の要請が出てくるかというようなことで、なかなか一概には算定できないわけでございますけれども、現在のところ学部研究所関係で整備しなきゃならないいわゆる要整備面積というのは七十万平米程度あるものと、私どもこのように認識をしている次第でございます。
○田沢智治君 今のお話を承りますと、認識はかなり深刻にしているというように思われます。国立学校の劣悪と言われる、こういう表現が妥当かどうかわかりませんけれども、私らはそういうふうに感じました教育研究環境を改善し、充実することを目的に、特別施設整備資金を設けだということは、これは非常に前進した施策であると評価ができると思います。当面五カ年計画で実施することのようでありますが、国立大学の研究施設改善のための一つの策であると認識することもでき、そういう意味では評価しなければならないかと存じます。この改善計画の全体像、概要を説明するとともに、その計画の実施についてどのくらい改善が期待されるかが示されたい。
 また、修復を要する施設の数は膨大な件数と私は予想するのでございますが、予算に限りがある現状では、優先順位をいずれつけなければならないのではないかと危惧の念を私は持ちますが、その際の基準と認定方法等について検討されておるとするならば、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 今、特別施設整備資金の創設の関係で御質問をいただいたわけでございますけれども、これにつきましては、国立大学の施設の老朽化、狭隘化ということに対応して特別施設整備事業を実施したい、その財源になるものがこの資金ということでございまして、制度的な面につきまして現在法律案を国会に提出しているところでございます。
 この財源は、国立大学の移転跡地の処分収入等を財源といたしまして、平成四年度を初年度といたします五カ年計画でとりあえず実施をしたい。当面そういうことで考えておる次第でございまして、平成四年度におきましては、財投借り入れで二百億円の整備を予定しているということでございます。
 どの程度の整備かということでございますが、先ほど七十万平米という数字を申し上げたわけでございますけれども、この第一次五カ年計画が終わりますと三十五万平米程度の整備ができるものと、私どもとしてはこのように考えておる次第でございます。
 なお、この予算配分についての基準はどういうことかということでございましたが、これにつきましては、国立大学におきます授業内容が十分に検討され、しかも学内的に意見が調整されたものであるかどうか、あるいは、その施設の長期計画、そういうものに基づいて行われているものであるかどうか、さらには施設の管理運営体制が確立をしておる、そして施設の維持管理、有効利用等が十分に検討されたものであるかどうかというようなことを要件といたしまして、緊急性のあるものから各学校からの概算要求を受けている、こういうような状況でございます。全体の予算の枠があるわけでございますので、そういうものも十分考慮しながら、緊急性あるいは長期計画の検討の熟度、こういうものを勘案しながら事業を実施しているわけでございまして、今後もそういう方針で実施をしてまいりたい、このように思っております。
    ―――――――――――――
○委員長(大木浩君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として安永英雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
○田沢智治君 ただいまの御報告を聞きまして、私は納得できると思います。より効果あらしめるように努力なされて、五カ年計画とはいうものの、できれば前倒しでやるぐらいの前向きの姿勢で取り組んでもらいたいということを御要望いたしたいと思っております。
 国立大学の研究機関における公からの財源、校費及び科研費補助金が大きな柱と聞いているが、そのとおりでございますか。
○政府委員(長谷川善一君) 科学研究費補助金といいますのは、人文社会科学から自然科学までのあらゆる学問分野におきますすぐれた学術研究を発展させるということを目的とする研究助成費でございまして、私たちこれは非常に研究費の柱としてその拡充を各方面の御理解を得ながらお願いしておるところでございます。
 平成四年度の予算案におきましては、対前年度五十七億、九・七%増の六百四十六億を計上させていただいておるわけでございます。大変御理解願ってふやしていただいておるわけですが、通常の年度ですと三十億増というようなことでやってまいったわけでございますけれども、四年度は特に各方面御理解いただきまして五十七億の増ということをやったわけでございます。これにつきましては今後ともさらに拡充する必要があろうかと考えておりまして、現在学術審議会におきましてもそういった推進方策につきまして検討をお願いいたしておる次第でございます。
○田沢智治君 平成四年度の予算案においては、若干の増加が今御報告されたとおりあるということがうかがわれるものの、この十年間に失われたものを回復するまでには至っていないということに対しては甚だ残念だと思っております。それと同時に、基幹的な研究費である校費の実質的な価値の下落は国立大学における研究機関の地盤沈下をもたらすだけではなくして、有能な人材確保がこのままいくとできない現状であると私は考えております。そういう意味では、五十七年度以前、シーリング以前まで回復させる必要というものはとにかくある。
 先般、私学振興問題で私は厳しくまた御要望申し上げたのでございますが、そういう意味ではやはり文教予算というものに対して根本的に物を見、物を考えないと、幾ら産業界が研究費をたくさんつくってもその研究費を有効に使う人材が供給されなければ、日本という国はだめになるんじゃないだろうか。その供給源である大学の研究室を含めて、劣悪な環境の中で右往左往しているという現状は我が国にとって大きな損失になる。そういう意味で、今後この回復と同時に有能な人材を確保できるような環境づくりに全力を挙げなければならないという使命感を文部省当局は持つべきであると私は思うのでございますが、文部大臣いかがでございますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 田沢先生おっしゃるとおりで、すべてそのとおりでございます。特に、日本の国がわずか三十七万平方キロの国土に一億二千万も三千万もの人口を擁して、資源がない、環境問題も極めて起きやすいという状況の中では、当然省資源であって、科学技術立国を目指さなければなりません。
 我が国は、世界貿易、自由な貿易の上にのみその繁栄や生存を許されるという立場にありますから、国際貢献、世界に対して経済の超一流国として常に貢献をしているということを示し続ける必要があるわけで、科学技術立国という道を歩むことによって世界各国が日本の科学技術に助けてもらっておる、日本の科学技術で我々は利益を得ているという、そういう世界からの日本に対する尊敬の目がどうしても必要であります。その場谷には、何というんでしょうか、応用する技術というよりは本当に基本の科学技術という意味で、あるいは基本の学術的な研究、いわゆる基礎研究と呼んでいるような分野での貢献がどうしても必要になってくるわけであります。それは正直申し上げて企業に求めるのはなかなか難しい。企業はどうしても採算という問題があります。産学協同という道も結構ですが、やはり日本の学術研究の背骨として大学の研究室というものが考えられなければならない。あるいはまた、その背骨の中の背骨として国立大学の先生がおっしゃっているような研究費、校費の問題というものがそこに存在をするわけでございまして、事は極めて重大だと思っております。
 今、理工系離れと言われる、あるいは大学院中心の高等教育にしよう、中心という言い方は間違っているかもしれませんが、大学とは何ぞやということを考えた場合に、学部の四年というのはいわば人間的なスケールを大きくして、立派なありとあらゆる教養を身につけるというような形にして、その後の二年とか五年でうんと先端的な研究も、専門的な研究もやってもらおうというような形で大学院の充実というものを考えていきたいとしばしば考えるわけです。
 大学院の定員に対して空席が極めて目立つ、しかも理工系で博士課程になるとがくんと人数が減って空席ばかりになってしまうというのも、今、田沢先生御指摘のとおり、こういうような劣悪な条件下では人間が集まらない、企業で研究した方がはるかに条件がいいじゃないかということになってくる。あるいは、留学生二十一世紀初頭十万人計画と言っても、それぞれの国から超一流の人材はみんなヨーロッパやアメリカ、こっちの方が条件がいいから、第三番手、第四番手ぐらいの人材しか留学生も日本には来ないということになれば、せっかく十万人受け入れ体制をとることができてもその成果は半減ということになってしまう。そういう人材確保という点からも、田沢先生御指摘の問題を最大のポイントと考えております。
○田沢智治君 大臣はすばらしい認識をなされていることに敬意を表します。実際、アメリカが今日経済的空洞化現象の中で、経済成長がマイナスになったり国連が衰えてきた要因は、やっぱりいい人材が育たなかった、育っても国家を支える人材として位置づけすることがなく、金の取れる産業界へ流出しちゃったから、結果的にはそれを補う人材が後を続いて成長しなかった結果空洞化現象が起きた。日本も今そういう傾向にある。だからこそ今、日本が本腰を入れて、国立大学あるいは私立大学を含めて高等教育の研究機関の充実に全力を挙げないと、アメリカの波をそっくり受け継ぐのではないかという私は国家の衰亡に対して危機感を感じている。重要な時期だからひとつ心してやってほしいと思っております。
 科研費の補助金総額が少ないため、平成三年度においては新規の採択率は二四・六%、低い水準にとどまっていると聞いております。交付の内定については、今年度は平成四年の四月末に行われると言われておりますが、平成四年度に係る申請課題の受理件数の増減など老報告してもらえればしてもらいたいし、新規採択率及び充足率の見込みをも含めて伺いたいと思っています。
 また、総合研究大学院大学の長倉三郎学長は学術審議会の委員でもありますが、採択率及び充足率を上げるため少なくとも総額一千億円が必要であるとの考えを示しておりますし、ボーダーライン上にありながらも採択には至らなかった惜しい研究、非常にいい研究だと思うけれども採択まではいかないという、こういう研究の救済、すぐれた学術研究のすそ野を広くしていくという意味においても科研費補助金の大幅な増額が必要と考えておるのでございますが、文部省としてはそういうような視点に立って今後どのような見解をもって対応していくか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(長谷川善一君) 科学研究費の採択率についてのお尋ねでございます。平成四年度、今度の新年度でございますけれども、交付申請の受け付けを既にやっておりまして、現在学術審議会の中の科学研究費分科会というところで配分審査を先生方にお願いいたしておるところでございます。
 申請の受け付け状況を申し上げますと、一部の特別研究費の奨励費というような、そういったちょっと計算外のものを除きますと、申請は対前年度四千件の増でございます。合計六万九千件となっております。これは五・七%の増でございまして、平成三年度の新規採択率というのが二四・六%でございました。先生おっしゃるとおりでございます。それから、充足率、申請額に対する認められた額というのは七〇%という水準でございましたけれども、本年度、平成四年度予算案が認められましたら、全体的には九・七%の経費増ということになりますので、採択率、充足率ともに上がっていくものと思われます。
 長倉先生のお話がございましたけれども、審査の中心になっておられる長倉先生の説によりますと、この六万九千件につきましても各大学の中で相当いろいろな議論があって、研究は本当にいいと各大学が認めたものを出してくるわけでございます。学長の名前で出してくるわけでございまして、その中で本当に採用したいのは四〇%程度ある。それが、現在四分の一の二五%内外というような状況にあるので、これは多ければ多いほどいいというわけではないけれども、とにかく現在の四年度予算案六百四十六億をできるだけ早期に一千億に拡充していただけないだろうか。これは審議会の委員の共通した希望でもございますし、日本学術会議等からもっとにその増額を要請されてまいっておるところでございます。
 私どもとしましても、審査の体制あるいは事務の体制、種々改善しなければならないところも多分にございますけれども、そういう改善も含めて科学研究費全体につきまして額の増加、それと、より効果的な配分、それからさらに問題になっておりますのは、多額の経費を要する研究につきましてその評価方法をどうするか、こういうような問題等につきまして今学術審議会の中で御議論をいただいておりまして、七月には今後の方針が示されるものと期待しておるところでございます。
○田沢智治君 今、局長の話を聞くと、六万九千件、評価できると言われるものが四〇%あるという意味では、日本の力というものの実際のすそ野を広くすれば広くするほどかなりの力が出てくるのではないだろうか。それだけやっぱり勤勉と努力をする国民性というものを背景とした、内容的な次元ではかなり将来を期待されるものがある、こういうものをやはり救済していく努力というものをしていくことによって国家、民族の繁栄への期待と世界の平和と人類福祉に貢献する日本という姿勢が出てくると私は思っております。
 単に比較はできないけれども、例えば日立製作所の平成二年度の研究費、これは人件費を除いて二千二百八十億円と推計されます。主要な民間企業は軒並みにそのような研究費を擁しております。一方、国公私立大学で使える研究費の総額は、平成四年度の案で六百四十六億円、国立大学全体の校費千五百五十二億円、合計二千百九十八億円、これは一体どういうことであるのか。日立製作所一社の研究費と全部合わせても少し劣ると、こういうような現状というものの貧しさに対して、文部大臣少し怒らなきゃいかぬじゃないか、私はこう思っておるし、私はそういう意味では文教の中では怒っておる一人でございますけれども、怒っただけではどうにもならない。これからこういうようなものを含めて日本の将来のために何を我々は政治家としてやらなきゃならぬかをきっちり決めなきゃならぬだろうというふうに私は思っております。
 一つの企業の研究費よりも少ない状況にあるという認識、このような状況では日本の大学に期待される研究、特に基礎研究に関して期待にこたえられる状況であるとは言えない面がある。我が国の研究分野における国公私立大学の果たすべき役割をどう考えておられるか、御所見を伺い、今後の大学における研究予算の抜本的な拡充に向けて大臣はどういう施策を練ってやっていくか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今、田沢先生からお示しいただいたような数字を目の当たりにしますと、本当にこれからの文教政策はどういうふうにやっていったらいいんだろうか、特に金額が明示されたお話でございますから、そら恐ろしいような気持ちがいたすわけであります。
 例えば日立製作所にしても、あるいはそれに準ずるような企業が大変な研究費を使っているとしても、少なくともそういう研究費はSSCのようなものやトリスタンのようなものには向かわないわけであって、SSCについて私がここで今長広舌を垂れるつもりはありませんけれども、よく言われるのはSSCって何の役に立つのということを聞かれるわけであります。じゃ、いわゆるJLC、ジャパン・リニア・コライダーの方はどういう役に立つのと、Bファクトリーというのはどういう役に立つのと。どういうふうに役に立つかと聞かれて具体的に言えないから基礎科学なんであって、それが具体的に言えるんだったら、既に基礎科学でなくて、応用の側面を持っているということなんでありましょう。
 これからの科学技術立国という意味では、そういう本当に基礎的な科学、しかし基礎科学というのは易しいという意味じゃなくて、物質の根源に迫るわけですから、それだけ設備も巨大であって、それこそSSCではありませんが、一兆円以上などというようなプランも出てくるであろう。しかも、それは何十年後に、何百年後にどういうふうに役に立つかさえわからないということであるならば、実際、企業というものがそうした形のものに投資をするとは思えない。そういうふうな筋道で考えていけば、当然の論理的な帰結として、先ほど申し上げたように、基礎的な研究や学問にはやはり大学というものがその中心となって活躍をせざるを得ない。ところが、その金額が先生御指摘のとおりであると、こういうことであります。先般もそうでしたが、今回もまた大蔵省の方が一生懸命傍聴していただいておりますから、大蔵省の方にもそうした今の田沢演説、田沢理論を御理解いただいて、さらに一層の御協力をいただきたいと思います。
 それで最後に、実は参議院、もちろん衆議院も含めてですが、予算委員会を通じてのいろいろなやりとりがある中で、総理がどうおっしゃったあるいは大蔵大臣がどうおっしゃった、私はこんな答弁をしましたということは小林先生が何度も質問に立たれたときのやりとりとして議事録に残っておるわけです。そうした中で、財政審議会がこれこれのことを言いましたとか、そういうようなこともありました。
 総理や大蔵大臣が文部省の今回の予算編成に関しては、言葉は正確ではありません、議事録とは違ってしまうと思いますが、ある程度の配慮というものをしたという、特別の配慮という言い方であったか、そういうような表現をされた一つの大きな原因は、これは私学助成七十二億ふえたいう話ではなくて、先ほどからお話しの特別施設整備資金制度というもの、次の委員会では当然国立学校設置法で財務センターのことをお願いすることになろうと思いますが、学校あるいは大学というものは決して大都会の真ん中に置き続ける必要はないわけで、これからは大学村、大学町というようなものがイギリスのような形でできていけばいいだろうと思います。そういう中で、大都会から移転をすれば当然売却した後の大変なお金が残る、それを大蔵省が吸い上げないで、つまり特別会計への繰り入れを減らすという形でなくてそのお金を国立大学のいろいろな施設や設備の近代化等に充てることができるという意味で恐らく画期的な意味を持っていますよということを総理や大蔵大臣も認識しておられるだろうということで、ですから、この制度には大いに期待をいたしておるところでございます。
○田沢智治君 私、文教予算というものはむだのない予算になっていると思うんです。それと同時に、効率をよくしていくという意味においては教育効果というものをやはり我々が具体的に上げていくというところに答えが出てくるんじゃないだろうか。ですから、限りがなければ限りがないという意見もあるだろうけれども、最低限このくらいはやっぱりちゃんとしてやらなきゃ国家、社会のためにならないよという面においては大いに大蔵省の人たちにも、きょう来ておられるから、主計官もよく私の話を肝に銘じて聞いてもらって、そして我々もやるべきことはきちっとやるから、御協力をいただきたいということをお願いしたい。
 予算の関係はそのくらいにしたいと思っております。
 次に、国連大学の問題を提案したいと思っております。
 我が国が提供する国連大学の本部ビルが青山に建築中である、本年の六月に完成し七月に移転するということを聞いております。
 国連大学は、人類の存亡、福祉、開発というような世界的課題について世界の英知を集めて研究と教育を行うとともに、その成果を国連やその関係機関、また広く世界の人々に伝達し、人類の知的向上を図ることを目的として設立されたと聞いておりますが、文部大臣、外務省も来ていると思うが、この私が言わんとする内容に間違いがあるかないか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) そのとおりだと思っております。
○説明員(隈丸優次君) 間違いございません。
○田沢智治君 その国連大学について我が国は構想の段階から熱心な推進役でありました。国連大学の本部の招致活動も行い、一九七三年、昭和四十八年の国連総会において本部を東京首都圏内に設置することが決定されたと聞いております。今回の本部ビルの完成は、学術と教育、文化によって世界に貢献する日本の姿勢を示すものであり、私も文教委員の一人として非常に喜ばしいと思っておりますが、そこで国連大学について二、三お尋ねしたい。
 まず、国連大学について文部大臣はどういうような評価をしているか、お聞かせください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 国連大学というのはもちろん普通の国立大学や私立の大学のようなものではありません。国連の機関でございますし、今、田沢先生からお話があったようないきさつで、現在本部を日本に置いております唯一の国連機関ということになるわけでございまして、先般から、湾岸戦争ではありませんが、国連重視の外交姿勢をとり続ける日本にとっては大変貴重な存在であるというふうにまず考えております。
 いわゆる人類の存続というんでしょうか、人間にとってどういう問題をこれから解決していけばいいのかという人類の繁栄のためのいわば世界的な問題について研究や研修を行う、あるいは世界のあらゆる大学の間の連係プレーの核となるというふうに考えますと、まさに二十一世紀型学問というのか、それは私の造語でありますけれども、今日まで必要とされてきた学術、学問というよりも、これからますます重要になってくるであろう学術、学問のいわば中心の府になる、そういう存在ではないだろうかと思っておりまして、その発展のためには外務省と力を合わせて全力投球をいたすという決意でございます。
○田沢智治君 私も、二十一世紀社会を担う基本的な重要な役割を果たすものである、こう思っております。
 国連大学の本部を日本に招致した際、その意義、理由が四点ほど挙げられておりました。それは、第一に、教育研究を通じて我が国の国際協力の姿を世界に示し、我が国が平和国家、文化国家であるということを具体的にこの大学の活動を通じて世界に理解してもらうこと、第二に、国連大学には洋の東西を問わず世界の頭脳が結集されるものであるため、我が国の学術研究の発展に大いに貢献してもらう、第三に、国連大学に協力することにより、閉鎖的と言われる我が国の大学、研究機関等が開かれたものになり、我が国の教育研究活動の一層盛んになることを期待する、第四に、一般の人が国連大学を通じて国際的視野を広め、国際理解を深めるようになるなど、考えてみますと国連大学の存在はまことに意義深いものがあると私は思っております。
 そこで、国連大学の本部が日本にあるということを多くの日本国民は認識しているかどうか、文部大臣、どう思いますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今の先生の大変な演説青、御質問というよりも演説をお聞きしながら実はそのことを考えておったんです。私を含めて国連大学というものが日本に本部を置いているという意識が今日まで薄遇きだし、これは宣伝広報だってもっと必要なんじゃないかなと。恐らく日本国民に、世論調査をやったのかどうか私はそれは知りませんが、聞いてみたら、国連大学って何やるところか知らない人間が圧倒的に多いのではないか。もちろん本部が日本にあるということ、今ビルができかかっているということさえ恐らく知らない人が大多数ではないだろうかということを今反省しながら先生の演説を聞いておったところでございますので、それが私の今の思いです。
○田沢智治君 外務省に。
○説明員(隈丸優次君) 国連大学の活動の広報でございますが、日本国内のみならず海外において、国際連合大学というのは国連の機関でございますので、我が国だけではございませんで諸外国において広く知られなければいけないということだと思います。そういう意味におきまして広報が極めて大切ということでございまして、国連大学の方でいろいろ努力はしておりますし、我々もできるだけの協力をしておるわけでございますが、一層の努力を大学側それから我が方の支援という形で進めていきたいと思っております。
○田沢智治君 すばらしいものを日本に持ってきても日本がそれを活用する能力を発揮しなければ意味がないわけです。そういう意味では外務省も少し頭を使った方がいいですよ。ODAで振りまくことも大事だろうけれども、世界の頭脳を結集して世界人類のあるべき姿というものを提言する、そういう機関を日本が招致した以上は、これは日本の責任においてきちっと位置づけして、世界は将来こうあるべきだから日本はこういうような枠組みをする国にこういう援助をしますよということをやっぱりきちっと整理整とんして、国民の金をきちっと位置づけるというところに日本の国際貢献というものはあるわけです。日本があっち行ったりこっち行ったりすればいいというのが貢献じゃない。貢献の主体というのはもっと文化的、学問的、そういうものを基礎にして物を見、物を考えていかない限り私は日本という国は評価されないと思う。
 私は去年の七月ヨーロッパを回ってきた、スイスに行った。スイスに行って、私は日本は東洋のスイスになった方がいいんじゃないだろうかという観点で行きました。しかし、あれは完全武装国家であるから日本の平和主義とはほど離れた、そういう国是というものの違いを認識いたしました。しかし、日本はそうあってはならぬと私は思っております。しかし、スイスがとっているあのジュネーブの姿を見たときに、国連の附属機関の十一をスイスは擁しているわけですよ。御承知のとおり、国際赤十字社がそう、ガット本部がそう、ILO本部がそう、保健機関もそう。そういうように世界各国のそういう人たちが集まって世界人類の福祉のために、平和のためにあのジュネーブでいろいろな会議をすることによってスイスそのものが国際貢献ができているという実態を世界に見せているわけなのです。
 日本はどうですか。附属機関だった一つ、総会で決められた国連大学すら活用していないということは一体これはどういうふうに考えるのか、外務省どう考えるのか。
○説明員(隈丸優次君) 国連大学、私どもといたしましても招致いたしておりまして、ここで有効な活動をしていただきたいということで大いに期待するところでございます。我々といたしましでも、その大学がそういった意味でのますます重要な役割を果たすということに対しまして支援を引き続き行っていきたいというふうに考えております。
○田沢智治君 本当は予算委員会で僕がぶっ放した方が全国民が聞いてくれるから一番いいと思うんだけれども、今そういう役じゃないからせめて文教委員会できちっと位置づけなきゃいかぬ、こう思って言っているわけですから、鳩山大臣、あなたも若いんだからひとつしっかり根性据えてやってください。せっかく来ているんだからもったいないんだよ。
 私が思うに、人類の歴史を見ると、二十世紀までの国際紛争は、正義は力なりという力の手段によって紛争を解決してきた、これが人類の歴史なんですよ、いい悪いは別として。しかし、私はやがて来る二十一世紀社会を展望したとき、国際紛争を解決する手段は力だけではなくして、人類の長年培った英知を結集して国際的条理によって解決することが世界の平和と人類の福祉増進になると信じております。
 そういう意味で、国連大学の果たす役割の重要性というものがここに出てくるわけです。ここに出てくる。だから、やはりこれからの国際紛争の要因というものを、しっかり歴史観を持ち、民族観を持ち、かくある姿が国際社会のルールの中で人類の平和と繁栄を保障する論理であるからこうやるべきだということを提言していくようなプロジェクトをたくさんつくって、そしてやはり日本がそういう主体的役割を果たすという中に立って、なるほど日本のおかげさまで私たちは幸せな生活ができているんだという実感を位置づける努力、そういう英知の結集を図るという意味においてはこの国連大学に命をかけて日本は全力投球しなきゃならぬと思うんですが、大臣どうですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全くおっしゃるとおりで、先生のお考えになっているようなそういう道がまた世界が選択すべき道でもあるし、日本の国が選び抜いていかなければならない道であると確信をいたしております。
 ちょっと話が違うかもしれませんが、例えば放送大学という生涯学習機関の目玉を一生懸命育ててまいりました。先般、卒業式に参りましてそこでごあいさつをいたしましたら、何人かの方から手紙をもらいました。ほとんどの手紙に書いてあったことは、生涯学習のとうとさとは別に、あれだけの立派な教授陣、その講義を放送を通してでも聞き続けることができた自分は幸せだと。入学者に比べれば全科履修生で卒業するのは一割とかそういうオーダーであろうかと思いますが、それだけの方が立派な教授陣に恵まれたという意識を持って卒業していかれた。
 国連機関ですから、人類が生き抜いていくために何をすべきであるか、人類生存の条件を探るような研究を行っていけば当然それは国連という名のもとに超一流の研究者が集まってみえることは間違いないと思うんです。したがって、田沢先生がおっしゃるような成果を上げることも頑張ればできる機関だというふうに考えております。
 なお、井上前文部大臣から昨年の十一月の初めに私はバトンを引き受けた形でございまして、運よくと言うよりも、運悪くというか、私のような字の下手な者に国連大学のビルの定礎という字を書けと言われて、苦労して下手な字で書いたわけで、どこかにそれが書き込まれているので、これが井上先生の字であったり田沢先生の字であれば国連大学のビルも堂々と安心なんでしょうが、ちょっとひ弱な字が下の方に書いてあるものですから、よほど私も頑張っていかないと悪筆の分の取り返しかつかないなと、こんなふうに思っております。
○政府委員(長谷川善一君) ただいまいろいろ大臣から話がありましたわけでございますけれども、国連大学の存在とかその活動の内容ということにつきましては、一般に十分知られているとは言いがたい状況でございます。その理由といたしましては、大学の活動自身が学術的な研究、研修といったある意味では地味なものであるということ、あるいは大学の本部の主たる役割というのは事務とか世界じゅうの関係機関の調整でございまして、各国に分散されておりますリサーチ・トレーニングセンター、研究研修センターなどで実際の授業が行われているということ、あるいは財政上の問題から活動の規模が当初予定したほどにはいっていないというようなことが考えられるわけでございます。
 しかし近年、特に日本の各大学と各種の共同研究、それから国際的なシンポジウムの開催を日本の大学、東京大学、筑波大学、京都大学等々と共同してやっておりますし、あるいは熊本県とか福岡市の地方公共団体等とも一緒になりましてかなり活動をやっておるわけでございます。
 国連大学が実施いたします活動につきまして、その活動内容を今後適切に紹介するということ、特に大学に対しまして、あるいは研究者に対しましてそういうような努力をいたしたいと思っております。本部の建物が六月の末にできる予定になっておりますので、恒久的な本部施設ができますと、そこへの移転を一つの契機といたしまして一層の努力をさせていただきたいと考えております。
○田沢智治君 外務省。
○説明員(隈丸優次君) 国連大学に私どもが期待します活動の内容につきましては、委員の御指摘の点、それから鳩山大臣が答弁なさいました点に私どもも同感でございます。
 一点だけ、御案内だと思いますが、国連大学は国連の機関でございまして、その運営、活動の内容につきましての第一義的な責任は国連大学側、なかんずくその理事会が持っております。私どもは、そういった機関に対する働きかけという方法をもちまして我々の期待するところの国連大学の活動を期待していきたいというふうに考えております。
○田沢智治君 そこで、今日の国際社会に生きる人類を考えると、共通してもう一国のみの繁栄もなければ幸せも保障されないということは皆知っていると思うんです。まさに人類は地球規模で生存が保障される時代になってきている。そこで国連大学が果たさなければならない役割があるわけです。そういう物を見、物を考えてオルガナイズしなければ、国連の機関だから国連がやるんです、我々は手助けするんですよというのならやめた方がいいです。そうじゃなくて、国連大学はこういう理想のもとに設立されたんだからこういう仕事をしてほしい、それに必要な資金は日本が出しますよというくらいに前向きにそういう機関を日本と世界のために活用していくのがあなた方役人の仕事じゃないの。その仕事を我々が、財源がないというのなら、財源はやるべきだ。それは国家、国民、世界のためになるから国民はひとつこれを支援しようという運動を我々が支援していくという、そういう一つの物の見方、考え方の哲学を持って私はやらなきゃこれは物にならないと田^うんですよ。物にならないと思う。そうじゃないと、日本は世界から孤立します。
 人類全体が平和にして安定した生存が保障されるためには、どうしても地球環境の保全や人口問題、資源問題、食糧供給問題、人権問題など解決しなければならない重要な研究事業の推進が必要なんです。そういうことを日本が提言しなきゃだめなんですよ、それは国連の機関ですからというんじゃなくて。そのためには世界の有能な生者、研究者を集めて、それぞれのプロジェクトチームをつくり、その研究成果を上げることこそ世界の中の日本として国際貢献を果たしていくゆえんであると私は確信するんですが、文部大臣、外務省の方、御意見があれば伺いたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生おっしゃるとわり、私も先ほど御答弁の中で例えば人類生存の欠伸などというような言い方を使わせていただきましたけれども、国連大学が日本にある、国連の機関の本部が日本にあるということだけで満足をしておって、中身がどのようなものであるかについて関心を払わないでいったら、それこそ宝の持ちぐされということになってしまうわけです。まさに先生が指摘された幾つかの課題、そうした事柄がこれからの人類にとって、二十一世紀、二十二世紀、二十三世紀必要な条件であり、必要な学問であるということをはっきりと認識して、その実現については遠慮しないで頑張っていかなければならないと思います。
○説明員(隈丸優次君) ただいま鳩山大臣の方からの御答弁と全く同感でございます。
○田沢智治君 こうした学術研究事業を推進するためには、日本一国だけが勝手にやるということはよくないと思う。世界の国々が応分に財源を負担するということが一番望ましいと私も思っております。昭和五十年に米国の上院が国連大学基金への拠出を拒否しておりました。そういうものに対して理解を求めるため我が国の議員連盟もかなり努力しておったのでございますが、国連大学を置く日本として、今までに各国の協力を得るためにどのような活動をしてきたのか、今後とも各国に理解を求めるについてどういうような考えで努力しようとするのか、これは外務省でございましょう、外務省の意見を聞かせてください。
○説明員(隈丸優次君) 国連大学の発展を期すためには、我が国のみならず、当然ながら各国の理解と協力を得ていくことが不可欠というふうに認識しております。かかる認識に基づきまして、我が国自身が拠出を行うとともに、これまでも各国政府に対しましては、毎年行われております国連総会、それから経済社会理事会等の場を利用いたしまして各国の協力を要請してきているということでございます。今後ともこのような協力は行っていきたいというふうに考えております。また、国連大学側におきましてもそのための大きな仕事をやっておるようでございまして、これまでも国連大学側の募金運動というものも盛んに行ってきております。
 ちなみに国連大学に対します拠出でございますが、日本のものを除きましても各国の拠出の総額が一億ドルに累計で達しております。また、九一年には十六カ国から八百八十万ドルの拠出が出されているという状況でございます。
○田沢智治君 国連大学招致とともに研究研修センター、特定の分野における長期的研究に携わり、あわせて後期大学院レベル以降の研修を行う、こういうセンターの招致を希望していましたが、国連大学高等研究所の開設が予定されていると聞いておりますが、その概要等をお伺いしたいと存じます。
○政府委員(長谷川善一君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、我が国が国連大学の本部とともに研究研修センターを東京につくりたいということで招致しておりまして、これは国連大学の大学の中に置かれております各国の研究者等でできております大学の理事会によってその具体的な構想というのはまとめられております。
 このセンターは、高等研究所というような名称を使っておりまして、世界各地から招かれた研究員や研修員が複数のテーマにつきまして国際的あるいは学際的に高度の研究研修を行おうとするプランでございまして、テーマの具体的な例としては、国際社会の相互依存関係、あるいは科学技術と社会、あるいは地球的規模の変化、これは環境問題、資源問題、都市問題等でございますが、そういったテーマが現在取りざたされておるわけでございます。
 センターは、現在、青山の都有地、今建設中の国連大学の本部施設の隣接地を利用いたしまして、東京都が土地信託によって建設計画を進めておるところでございまして、平成六年ごろに完成する予定で進めているというぐあいに伺っております。私どもとしましても、このセンターの完成に向けまして、必要な協力のあり方につきまして国連大学と協議しながらいい協力関係ができるように努力してまいりたいと思っております。
○田沢智治君 問題は、仏つくって魂入れずでは困るんで、この研究研修センターというのが魂になると思うんです。これができて、今言うように地球環境保全問題を含めて人類の生存にかかわるいろいろな重要な問題についての研究を具体的に推進して、その成果が出せるように位置づけしたとするならば――地球環境賢人会議とかいろいろな会合を持ち過ぎているんですよね。それで、日本はあっちに金を出せ、こっちに金を出せとばらばら引っ張り出されるようなことは私はしない方がいいと思う。せっかく国連大学という世界の頭脳を集中することができる機関を日本が招致し、その機関をも設置するとするならば、そこに一兆でも二兆でも金を出して、そしてそういう成果を全人類の平和と幸せのためにやはり具体的に行動を起こしていく、こういう大きなプロジェクトの中で日本の国際貢献というものに全力を挙げていくという指針が国是として今必要なんです。
 私は、国民にそういう実態を訴えたとするならば、かなり多くの国民は共鳴してくれると思う。ODAは年一兆円以上の金を出していると言うけれども、やっぱりそういう金をいたずらに出すというのじゃなくて、あるいは我々自身が今この問題に国連をかけることが国家、社会のためになるんだとするならば、そういう世論形成もしていきながら大きな成果を上げていくというような、そういう姿勢で文部省は努力してもらうことが一番いいと思う。鳩山文部大臣のときにこれができたとすれば永久にあなたの名前が残ると思うんだ。そのくらいの私は迫力を持ってひとつこれは取り組んでもらいたいと思うんです。
 大蔵省も、ああでもない、こうでもないと言って難しいところに金を出さないで、こういうようないいところにやっぱりきちっと位置づけていくということが日本にとって非常に大事。そういう中で日本の平和主義というものを世界に理解してもらう。そういう基本的な議論を余り国会でやっていないから、予算委員会は何言っているんだかわからないというふうに新聞に書かれるわけです。だから、本当のことをきちっと整理し整とんして論理性をもって位置づけていくという努力を私たちがしなきゃならぬ責任があると思うし、そういう方向にこれから努力しなければならぬと私も思っておりますので、最後に文部大臣の決意表明を伺いまして私の質問を終わりたいと思っております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) すべておっしゃるとおりでございます。しかし、実際お金の問題になってきますと、一兆、二兆というお金が、お豆腐じゃありませんから、そうすぐ出てくるわけではない。ただしかし、実際意味のあるところに、今先生がずっと話をされた国連大学のような世界のため、日本のための格好の舞台じゃないか、そういうところにもっときちんとお金を出せるようにしろという先生の御意見、お達しについては、よくこれを踏まえて行動をしていきたいと思います。
○針生雄吉君 桜前線が北上中で、全国至るところ入学式が行われておりますけれども、入学式についてのことは時間があれば触れたいと思いますが、最初に、本委員会においても過去にも検討されたことと思いますけれども。学校教育における禁煙教育について、復習をしながら政府の見解をお伺いしたいと思います。
 まず、喫煙の害と功績について一席申し上げたいと思います。
 初めに、喫煙と肺がん、特に扁平上皮がんとの間には密接な関連があることは、もう既に一九五〇年代初めから疫学的研究で指摘されて以来、年化学、動物実験、疫学及びその他の分野で精力的に研究が積み重ねられてまいりました。その結果、まだ未知の領域を多く残しているとは申せ、喫煙が肺がんの有力な原因の一つであることは水う既に疑問の余地がなくなってきております。肺がん、この場合扁平上皮がんが主でありますけれども、また喫煙の影響が肺がん以外の部位のがん、虚血性心疾患、慢性閉塞性呼吸器疾患、消化性潰瘍などにも及ぶことが明らかにされて、喫煙対策は我が国においても公衆衛生上の大きな問題となってきておることは、皆様御承知のとおりであります。
 世界的にも、一九六四年、アメリカ公衆衛生局は、紙巻きたばこの喫煙が肺がん死亡率に関係があるということで、健康に障害を及ぼすので適切な対策をとるべきであると報告をしております。また、一九七〇年の第二十三回WHO総会におきましては、喫煙の健康への影響についての決議、主として肺がんについての報告と喫煙制限についての提言を行っております。また、一九八六年五月の第三十九回WHO総会では、たばこには発がん物質が含まれており、たばこが健康に悪影響を及ぼすことは既に科学的に証明されている、たばこ対策が緊急の問題であると決議したところであります。
 世界的にも、第二次大戦後はかなり高い喫煙率でありましたけれども、医学的研究の進展及び健康への一般の関心の上昇につれて次第に下降し始めてきております。我が国でも、一九六〇年代には男性が八〇%、一九八〇年代には男性六〇%、そして現今の一九九〇年代におきましては男性五〇%へといずれも低下を示しております。女性は一八%から一二%という低率で経過しております。年齢別に見ますと、男性では二十歳代、三十歳代の若年層の低下率が小さい。四十歳以上の高年者層の低下率が大きくなっております。女性では五十歳以上の喫煙率は著しく低くなっているのに対しまして、二十歳代では逆に増加の傾向を示しておるというわけであります。
 他の国に比しまして、今も申し上げましたように、男性の喫煙率が高く女性の喫煙率が低いのが我が国の特徴であります。
 次に、見方を変えまして、ここ六、七年の間の紙巻きたばこの我が国における販売数量の推移で見てみますと、全体で我が国の一年間のトータルの販売本数は大体年間三千億本から三千二百億本の間でありまして、特にここ三年間は前年比が一〇〇%以上でありまして、総数、トータルでは上向きになっていることがはっきりしております。喫煙人口が減少している中で消費量がやや上向きということは、喫煙者一人当たりの消費量がふえているということであります。
 公的な税収の面で見ますと、たばこ税というものがありますけれども、国税及び地方税がそれぞれ一本につき三・一二六円、三円十二銭六厘ずつの従量税でございますけれども、年間で国に約一兆円、全国の地方税としても合わせて約一兆円ずつが公的な税収となっているわけであります。
 この紙巻きたばこ販売数量の推移の中で注目すべきことは、外国からの輸入たばこの数量の全体に占める割合、つまり輸入たばこのシェアの増加であります。一九八五年から一九九一年までの六年間の推移を見てみますと、販売数量が、一九八五年には三千百八億本。その中で国産品が三千三十二億本、輸入品が七十五億本、全体で輸入品の占めるシェアが二・四%。それが一年ごとにシェアが、三・九%、九・八%、一二・一%、一四・七%、一五・九%、一九九一年には一六・六%に及ぼうとしております。つまり六年前の約七倍になろうとしております。
 この数字から、よく我が国の常習喫煙者のブラックユーモア的なつぶやきとして、我が身の健康を犠牲にして国家財政に年間一兆円、地方財政にも一兆円の貢献をしているというつぶやきがあるわけでありますけれども、今やこれは、我が身と家族の健康を犠牲にして日米貿易摩擦の解消に貢献している、国際貢献をしているんだと胸を張るか背をすぼめるかは別といたしまして、そういうふうに言いかえてもいいのかもしれません。
 次に、喫煙の功績のもう一つの側面について考えてみたいと思います、ブラックユーモア的な意味を含めてでございますけれども。
 たばこの煙の含有成分というのは四千種類もあって、その中の数百種類が発がん物質だと言われております。それはさておきまして、たばこの主成分である御承知のニコチンでございます。これが単独に分離されたのが一九二八年で、以来いろいろな薬理学的活性作用が解明されてきております。近年は、分子生物学的手法の開発によってさらに新しい知見が加わりつつありますけれども、現在もなお解明を待つ領域が多く残されているわけであります。そのうちニコチンの精神作用ということと、それからニコチンの依存性について述べてみたいと思います。
 ニコチンの精神作用については、これはいい面として言うべきだと思いますけれども、神経賦活作用と中枢興奮作用、それから神経安定作用、鎮静作用、抗不案件用、こういう二相性の作用が認められているわけであります。すなわち眠気からの覚せい作用、委員会などでもその作用が大いに効果を発揮しているわけでございますけれども、大脳皮質の活動高進による認識、注意や情報処理能力の改善などが見られる一方で、抗不案件用、ストレス状況下での不安の解消、いらいらからの解放などが観察されているわけであります。
 また、ニコチンの依存性について考えてみますと、我が国のこれまでの研究では、再びのみたいという欲求を起こさせ谷精神依存性は認められるけれども、麻薬であるコカインよりは弱い。中断すると不安、不眠、不快、苦痛、徐脈、脈が遅くなる、そういういわゆる退薬症状というのが発現する身体依存性と言われるものでありますけれども、これは麻薬であるヘロインなどよりははるかに軽度で、かつ精神依存性を増強しないとされているわけであります。つまり、ブラックユーモア的に言えば、ニコチンが入っているためにコカインとかヘロインとかそういうものに手を出さなくとも済むという、そういう功績があるという一面がブラックユーモア的に指摘されるということであります。
 さて、プロローグが大変長くなりましたけれども、厚生省の担当の方に来ていただいておりますので、厚生省の見解をお尋ねしたいと思います。まず最初に、喫煙に対する政府の基本的態度について、厚生省としてはいかなるお考えで臨んでおられるのか、お伺いをいたします。
○説明員(田中喜代史君) 喫煙は、基本的には個々人の嗜好とか習慣にかかわる問題でございますが、肺がんや循環器疾患等喫煙者の健康にさまざまな悪影響を及ぼし、また周囲の非喫煙者の健模影響も示唆されているところでございます。このため厚生省におきましては、国民の疾病予防の観点から、保健所等におきまして健康教育の実施あるいはパンフレットの作成などを通じまして、喫煙の健康影響に関する正しい知識の普及を初めといたします喫煙対策を進めているところでございます。また、これらに加えまして、平成元年のWHOの総会決議により毎年五月三十一日を世界禁煙デーというふうに定めておりまして、日本におきましても国民が喫煙と健康問題について理解を深めるための日として幅広く啓発、普及活動を行っているところでございます。
 今後とも、関係省庁とも連絡をとりながら、これらの施策の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○針生雄吉君 今御説明がありましたとおりなわけでございますけれども、ちなみに世界禁煙デーというのが五月三十一日でございますが、一九九一年度のスローガンは「公共の場所や交通機関は禁煙に」というスローガンでございました。一九九二年は「タバコの煙のない職場」というのがスローガンであります。もう一つ、ちなみにその御説明のありました厚生省が音頭をとって募集しました禁煙標語の一九九一年、去年の優秀作品は「「たばこ」バイバイ健康二倍」、こういう禁煙標語が優秀作品でした。ことしの五月三十一日にはどういう標語が最優秀作品に選ばれるか楽しみだということであります。
 今、厚生省の方からも御説明がありましたけれども、そのとおりでございますけれども、欧米では、がんその他の疾患と喫煙との関連についての医学研究はまだまだ未解明の余地を残しておるけれども、これ以上の研究をいたずらに続けるよれも、喫煙の有害性がある程度認められるからには喫煙対策を実施すべきである、こういう世界的か流れにあるわけでございます。そういう考え方から喫煙対策のキャンペーンが行われているわけでありまして、先ほどの御説明にもありましたように、その第一は喫煙防止教育、第二には法制度的な対策、こういうことでございます。
 第一の喫煙防止教育につきましては、学生生徒に対しては学校で教育をしよう、成人に対しては保健所、病院、職場、医師会、民間団体などで喫煙防止教育をしましょう。もちろん、教育のみではなくて、カウンセラーや医療従事者による断煙への介助などもアメリカでは試みられているわけでありまして、ヘビースモーカーの断煙にはニコチンガムを用いてニコチン摂取を漸減する方法、そういうものが有用であるというようなことも報ぜられているわけであります。
 また、法制度的な対策としては、広告と販売に対する規制、公的場所における喫煙の制限、喫煙禁止などが行われている。我が国でも、もう御承知のように、未成年者の喫煙禁止法というのは明治時代に法律的に定められておりますし、また厚生省の通知としてでございますけれども、児童の喫煙禁止に関する啓発指導についての通知であるとか、喫煙の健康に及ぼす害についての通知であるとか、喫煙場所の制限についての通知などという厚生省の通知もあるわけであります。また、規制といたしましては、テレビ広告放映の時間帯制限が、今は十時五十四分以前はたばこのコマーシャルの放映がテレビでは禁止されているというようなこと、あるいは公的場所、列車、医療機関などにおける禁煙、それからたばこの入れ物、たばこの箱の警告の表示などというものが行われているわけであります。
 そろそろ禁煙教育の方に入りたいと思いますけれども、厚生省にお伺いをいたしたいと思います。たばこをのむ年齢、喫煙開始年齢とがんによる死亡率との関係を疫学的なデータをもとにお教えをいただきたいと思います。
○説明員(田中喜代史君) 喫煙を開始した年齢とがんの死亡率との関係ということでございますが、この関係につきましては、国立がんセンターの平山前疫学部長らが一九六八年から一九八一年までに行いました疫学調査では、男性のみでございますが、たばこを吸う男性のがんによる死亡率は、吸わない人に比べまして、喫煙開始年齢が十四歳以下の場合は二・一倍、開始年齢が十五歳から十九歳の場合は一・七七倍、二十歳から二十九歳の場合は一・六六倍、喫煙開始年齢が三十歳以上の場合は一・三二倍というふうになっておるような報告をいたしております。これらから考えますと、喫煙を開始した年齢が早いほどがんによる死亡率が高いという報告だというふうに考えておるところでございます。
○針生雄吉君 もう一回解説をし直しますと、十四歳以下でたばこを吸い始めますと吸わない人よりも十二倍も死亡率が高い、それから高校生ぐらいから吸い始めて大人になって、高校生を大人と言うかは別として、大人で吸い始めれば一・七倍とか一・三倍とかという一けた低い数字、つまり初等教育からの禁煙教育の重要性というものも示していると思います。いずれにしても、要するに長い年月たばこを吸っておれば、長ければ長いほどがんで死ぬ率が高くなるという、これは自覚しておけばいいことでありますけれども、こういう事実があるわけであります。要するに、喫煙開始年齢が低いほどがん死亡率が高い。
 これは、吸い始めた年齢だけじゃなくて、喫煙本数別に見ても成立することが確認をされております。ちなみに、ハイリスクグループの指標としてブリンクマン・インデックスというのがございまして、一日コンスタントに吸っている本数とそれからその年数を掛けた数、指数、つまり一日十本ずつ吸っている人が十年間毎日吸っているときには、十掛ける十で一〇〇でございます。それから、一日二十本吸っている人が十年間というのは、十掛ける二十で二〇〇と。そのブリンクマン・インデックスが四〇〇以上になると肺がんで死ぬリスクというものが非常に高くなる。そういうものがございます。いずれにいたしましても、低年齢で吸い始めれば吸い始めるほどハイリスクグループになる年代というものが短縮されるし、また危険性というものが増大するということでございます。
 次に、文部省にお尋ねをいたします。
 初等中等教育において禁煙教育の強化を図るべしという意見がありますけれども、どうお考えでしょうか。また、強化の必要ありとすれば、その充実策をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(逸見博昌君) 十四歳以下と申しますと、これは義務教育の小中学校の児童生徒でございます。児童生徒にたばこの害を理解させまして、喫煙の習慣をつけさせないということは極めて重要な課題と考えております。
 そこで、学校におきましても、さまざまな形で今のようなたばこの害を理解させる、喫煙の習慣をつけさせない努力をしているところでございます。例えば喫煙防止に関しましては、小学校の体育、それから中学校、高等学校では保健体育、特別活動、こういった時間を中心にいたしまして学校の教育活動全体として、そして喫煙の防止といいますか、これだけをやるということではなくて、何かもっと総合的に立派な人間を育てる、いい人材を育てる、こんなふうな中での禁煙教育の実施というふうなことでないとなかなかその効果は上がらないというふうな実験の結果も出ておりまして、さまざまな工夫が各学校でなされておるところでございます。
 それから、新学習指導要領におきましては、生活行動と健康のかかわりを重視するという観点から、例えば教科、保健体育におきまして喫煙と健康に関する内容を新たに加えまして充実を図ったところでございます。そのほかにも教員を対象といたしますさまざまな研修会、それを通じましてこういったたばこの害を理解させる、喫煙の習慣を身につけさせない、そのために教師としていかにあるべきかというふうな研修会を催すというふうなことを通じまして努力をいたしておるところでございます。
○針生雄吉君 今、局長さんの解説の中にもありましたように、小学校の保健の教科書に平成四年、ことしから新しく禁煙のページが登場したんですね。来年度からは、平成五年度からは中学校にも登場するそうでありますけれども、文部省の担当の方にお伺いしたのでありますけれども、そこまで来るのは大変なものだと。
 それから、文部省の「我が国の文教施策」という六百数十ページのあの分厚い施策の本があります。「世界に貢献する学術研究」というサブタイトルがついたものでありますけれども、六百十五ページばかりありますけれども、そこに、四百四十六ページに三行こう書いてあります。「児童生徒の喫煙、飲酒、薬物乱用の問題については、小・中・高等学校別の指導資料を作成、配布するとともに、中学校・高等学校の学習指導要領において、その健康とのかかわりについて取り上げることとした。」と、こういうふうに三行あります。この三行がここに書かれるまでの歴史的な経過というのは大変なものだったというお話をお聞きしましたけれども、まさに、つまりそれだけいろいろな、抵抗と言いますと語弊がありますけれども、賛否両論がある問題であろうと思います。
 私、きょうここで取り上げようと思いましたのも、お医者さんなんかでは健康に害があるからやめるべきであるという意見が大勢を占めるわけでありますけれども、やめた方がいいという人の意見を聞くとどうしても何かヒステリックに聞こえるんですね。それから、のむ権利があるという、喫煙権を主張する方では居直ったような、のんで何で悪いんだというような感じがある。
 いずれにいたしましても、これは将来の日本の国の、もちろん大きくなって日本の国を背負っていく子供たちの健康あるいはいろいろなマナーの問題であるとか、人の嫌がることはしないようにするとか、悪いことでも自分だけ悪いんだったらいいという、そういう教育にもなるかもわかりませんけれども、そういういろいろな意味で大変重要な教育的テーマを、教育的課題を含んだ問題であると思い、今後とも大いにディスカッションをしていくべき問題だと思うわけであります。このことに関しまして大臣としてはどうお考えか、御所見をひとつ。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私もたばこは吸うものでありますから、ただいまの先生のお話と、逸見局長から与えられた小中高校の保健体育の教科書をずっと今見ておったわけです。たばこを吸うとこんな害がある、死亡率がどれくらい高いか、何歳から吸うとどうなるかと、これをずっと見ておりましたら、何かもう私の生命も風前のともしびというような気がして、世をはかなんで出家をすべきであろうかというような気持ちになりました。大変わかってはいるんですが、こういう日本の立派な教科書に書かれている文章を読んでおりましたらいろいろ思いを新たにいたしておるわけですから、こういう教科書に沿ってきちんと教えれば相当な影響があるんだろうと、我々もみんなでもう一回これを読み直してみなければいけないのかなというふうにも思います。
 先ほどから、先生の説得力で先生の質問開始以来一人もだれもたばこを吸っていないわけでありますから、影響はまことに大きいわけであります。高崎先生も禁煙教育という御質問があると聞いておりますから、きょうは一時間は禁煙だなと思ってここへ来ておったのも事実でございます。しかし、まあそれは冗談にいたしましても、実際たばこ、益があるかどうかわかりませんが、大変大きな害があることをわかっていながらやめられないという人間が私を含めて多いわけですから、若いころからきちんと、子供のころからきちんと教えて、大蔵省は若干不満かもしれませんが、喫煙者の数を減らすような努力というものは必要だろうと思っております。
 委員会へ来ると何でたばこを吸いたくなるのかなと思ったら、これは抗不案件用だということを教えていただきまして、先生方の鋭い御質問にいつもたじたじとなるのでたばこ吸いたくなるんだなという、いい勉強もさせていただきました。
○針生雄吉君 禁煙の方もこれで終わりますし、入学式のことに関しても御意見を伺おうと思いましたけれども、そろそろニコチンの作用時間も切れたころだと思いますので、余り精神不安定な状況にさせたくないと思いますので、これで終わりたいと思います。
○高崎裕子君 昨年来私どもは大学の教育、研究条件の荒廃あるいは危機的とも言える実態について調査もし、本委員会はもちろん、決算委員会でも取り上げてまいりました。田沢理事の方からも大学の問題について質問もございましたが、きょうは、引き続き国立大学の附属病院のとりわけ看護婦問題を中心に質問をしたいと思います。
 これは昨年も触れたわけですが、看護婦不足の中で深刻な事態が一層進行しています。先日、全日本国立医療労働組合の調査で、国立病院・療養所の看護婦の在職死亡が十一年間、これは八〇年の八月から九一年の十一月までですが、この十一年間に百五十三人に上る、死亡した人の平均年齢が四十三・九歳という実に若い年齢であるという実態が判明いたしましたが、大学病院の実態もこれに劣らず大変なわけです。
 先日、私は大学病院の看護婦さんなど病院関係者の方と懇談する機会を持ちましたが、そこでも、看護婦不足の中で過酷な勤務を強いられている実態が出されました。ICUでは夕方から翌朝まで十六時間通しての勤務が月三回、このほかに準夜、深夜が十日前後も、手術後や重症など目を離せない患者ばかりで緊張の連続です。あるいは、準夜、深夜の三日目ともなると、もう体がくたくたで事故を起こさないように必死です。疲労が蓄積をするのでコーヒーを飲んでそれに対応するけれども、心臓が苦しくなるのでコーヒーもやめてドリンク剤を飲まないと仕事ができない。たまの連休に旅行をと楽しみにしていたけれども、病気のためにキャンセルをして寝てしまった。風邪を引いて三十八度以上熱があっても、自分が休むとほかの人に負担を与えるので、それを考えると休めない。二十代の看護婦さんが不整脈で同じ病院の循環器内科の外来を受診したり、患者に点滴をしている自分の方が目まいを起こして倒れみ。余りの忙しさに自分自身が過労死するんじゃないかというふうな声は本当にたくさんの方から寄せられました。
 また、これは別の大学病院の方ですが、私の部屋に陳情に来られて懇談をした際の話でも、看護婦さんは日勤から深夜勤までの時間が四、五時間、夜勤から日勤までが六、七時間という勤務間隔で、眠る時間もないという肉体的限界のぎりぎりまで仕事をしている。その上、夜勤は月十日以上も珍しくない。勤務に入れば休憩も十分にとれず、症状観察や輸液管理、患者ケアなど二十種類以上の仕事をこなし、たった一つのミスも許されない判断と緊張の連続です。しかも、この大学の場合、外来勤務と病棟勤務が一体化しているために、一日に二つの病院に勤務しているような忙しさだ。年休はとりにくいし、生理休暇に至っては九割の人がとれていない。子供が病気でも面倒は見られない。熱があっても、八度以上、九度以上でも座薬を使って仕事をしているなどなど、これはもう日常茶飯事だと切実な声が寄せられました。
 もう看護婦不足の解消は一刻も猶予ならない問題だと言えると思います。しかし、来年度の国立大学の附属病院の看護婦定員の増員は全体で百名で、私は千名でゼロが一つ間違えたのではないかと思ったほどで、余りにも少な過ぎると思います。大学病院というのは、地域のほかの病院と違って、症例が少ないケースあるいは同じ症例でも重症のケースが送られてくるなど、高水準の医療を提供するセンターとしての役割を担わされています。また、医療だけではなくて、教育研究機関という点で学生や医師、看護婦の教育、研究という使命もあわせて担っています。看護婦さんからは、私たちの大変な状況を文部省は本当にわかっているのか、そう言いたいとおっしゃっておられました。
 今国会に看護婦確保法案も提案されておりますが、これを本当に実効あるものにしていくためにも、ぜひ看護婦増員に向けて努力してほしいと思うんです。各大学の看護婦増員要求については文部省として積極的に対応するということを強く要望するんですけれども、最初にこの点について大臣の御見解と決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先般、参議院の看護婦確保法案のいわゆる趣旨説明、質疑の中で自民党の清水嘉与子さんの御質問に対して答弁をさせていただいたわけで、特に、国公私立を問わず看護婦不足に対応して、この解消を図るための養成の問題で、看護婦さんを養成するための指導者をどうやって育成するか、その指導者のまた先生たちをどうやって育成するか、そういう方々が大学院で学ぶ場合に大学院でそうした方々を教える先生をどういうふうに用意するか。これは、何か途中から考えてみると鶏と卵内な要素もあるんですが、相当な努力をしないといけない。また、せっかくそういうような人材が見つかっても引き抜き合戦があるというような実態も聞きました。そういう意味では、看護婦不足に対処してその養成を図ることは喫緊の課題であって、文部省が全力投球をしなければならない分野、特に高等教育については量的な拡大から質的充実の時代に移っていくと言いながら、この分野ではまだまだ量的拡大をしなければならないというふうに考えてまいったわけです。
 そこで、先生から御指摘のそのような不足している看護婦さんの実態がどうであるかということは、今お話を承って改めてこれは、百人増員というのが精いっぱいの努力でありましたけれども、先生は一けた丸が間違っているんじゃないか、こういうふうにおっしゃいましたが、本当に百人というような増員は、懸命にやった結果ではあっても、それは三百であってほしかった、五百であってほしかったと。国立大学の附属病院が幾つあるのでありましょうか、本院だけで四十二、分院等を合わせるとどういう数になるかは私はまだ不敏にして承知をいたしておりませんが、百人を全国に割り振ればそれぞれの病院にはせいぜい二人というようなことなのではありますまいか。二人増員で果たしてこれで十分だというような大学病院は余り多くないであろうということを考えますと、今後の長期的な、急ぐんですが、時間をかけて処理せざるを得ないという、そんな課題なのではないでしょうか。
   〔委員長退席、理事田沢智治君着席〕
○高崎裕子君 この百人というのは一つの病院でこれだけ要求しても足りないというのが実態なわけですから、ぜひ急いで充実をさせるという方向で努力をしていただきたいと思います。
 次に、具体的な問題について幾つかお尋ねいたしますけれども、まず看護婦等への実習指導手当の新設の問題に関してですが、これも私が懇談した病院では、医療技術短大から八十名の看護学生が来ているわけですが、日勤の看護婦よりも実習に来る看護学生の方が多いという状態で、指導する側はとても大変だというふうに聞きました。国立大学の附属の小中学校の教育実習の場合は、既に教育実習等指導手当というものが支給されております。これと同じように看護婦等への実習指導手当というのはもう当然だというふうに思います。そこで、実現のためにぜひ努力をしてほしいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 併設の医療技術短期大学等の学生の臨床実習に当たります看護婦に対します手当、これにつきましては毎年度文部大臣から人事院総裁に対して要望を行っているわけでございますけれども、なかなか厳しい財政事情というようなことから実現を見ていないということでございます。それで、これにつきましては、実は看護婦のほかに医療放射線技師あるいは臨床検査技師等の医療技術職員につきましても同じような要望を出しておるわけでございまして、何らかの手当が支給できるよう引き続き要望を続けてまいりたい、このように思っております。
○高崎裕子君 ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 二つ目は、これも大変な問題でずっと議論もしてきているんですけれども、看護婦さんの夜勤時のタクシー代の問題です。
 看護婦さんの場合は、仕事柄深夜の交代に伴う通勤が交通機関のない時間に行われているという点からタクシーを利用せざるを得ない、しかしタクシー代は現実には全額自己負担となっているということが国会でもたびたび問題になって、いろんな議論を経て、その結果、七七年、昭和五十二年の四月から一定距離以上の通勤者で交代に伴いタクシーを利用した場合には特別の加算措置を設けることになり、いわゆる交代加算が支給されることになっています。しかし、全額が自己負担となっていた当時に比べれば、これはまあ前進と言えるわけですけれども、距離によって上限があるわけですし、まだ全額支給ということにはなっていないわけです。依然として自己負担があるわけで、看護婦さんの夜勤という、夜勤自体の過酷な仕事に伴う交代だということを考えると、全額支給というのはもう当たり前だというふうに私は思うわけです。
 ある大学病院の場合、人によって個人差はあるんですけれども、一回の夜勤で二千円近くの持ち出し、一カ月に一万円以上の持ち出しになるという状況もあって、その看護婦さんは、これは正当な仕事をしているのに自己負担があるなんてということで、本当に心から怒っていらっしゃいました。私も本当に同感です。文部省はこの自己負担をされているということの実態をどのように把握されていますか。
   〔理事田沢智治君退席、委員長着席〕
○政府委員(野崎弘君) 今お話しございました通勤にかかりますタクシー等の料金負担の問題、これはその性格が必ずしも明確でないというようなこと等ございまして、今お話しございましたように、特別の措置を講ずることが適当ではないかということで、昭和五十二年の四月から夜間看護手当の加算額が認められておるわけでございます。これにつきましては、その後順次改善が図られておりまして、平成三年の四月には夜間看護手当本体の方が平均二三・三%の引き上げ、加算額が五二%の増額措置というものが行われたわけでございます。
 自己負担の実態ということでございますけれども、必ずしも私どもその実態の把握というところまでいっておりませんけれども、支給方法の実態につきましては幾つかの大学から事情を聞いておりまして、勤務の形態とかあるいは距離等によりまして、タクシーのチケットを支給するあるいは加算額との併用等をしている、それぞれ大学の実態に応じてさまざまな支給方法がとられている、このように承知をしております。
 なお、加算額の金額の問題、これはタクシー料金等との関係も考慮しなければいけませんけれども、あわせて加算額を支給されない者、例えば近距離の通勤者、そういう者との均衡、あるいは通勤方法がいろいろあるんではないか、あるいは今お話しございました同一方向の者については同乗していくという可能性等、そういうようなことを総合的に判断して決定をしているわけでございまして、タクシー料金全額を加算額で補てんするというような考え方には至っていないわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましてはこういう夜間看護手当なりあるいは加算額の増額ということについて引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○高崎裕子君 今このタクシー代が加算額という形で支給されるようになった経緯について、やっぱりタクシー代が自己負担されているということ、そういう実態を踏まえて特別の措置をとられたというふうに御答弁もされたわけですし、当時の会議録も私は見ましたけれども、この加算額が設けられた経緯からいって、また人事院の加算額に関する説明文書も持っているわけですけれども、これは交代に伴うタクシー代に充てるために設けられたものであるということは明らかなわけですね。国会でも、加算額ができる以前に、タクシー代は全額負担なんだから、これについてはおかしいじゃないかという形で議論をされての措置だということで、看護婦さんも述べておられましたけれども、仕事をしてそのたびに自己負担がかさむというのはやっぱりおかしいという、このおかしいというのは普通の人から見てもおかしいというふうに思うんですね。
 昨年少し、これも大変な努力の中でということは重々承知しておりますけれども、やっぱり実態から見ると少しと言わざるを得ないと思うんですけれども、引き上げられました。それでも、最低三百八十円で最高が千百四十円ということで、札幌地方でタクシーの初乗り料金で見ますと、現在小型が四百八十円、中型で四百九十円ということで、最低三百八十円という点からいうともう見合わないのは明らかなわけです。しかも、ドーナツ化現象で、当初は三人相乗りというような考え方を前提にしていらっしゃったようですけれども、相乗りできる場合というのはもう限られているということで、最初から自己負担を前提としたような金額になっていると言わざるを得ないと思うんです。
 最初にるる御紹介いたしましたけれども、看護婦さんは緊張の連続で大変な仕事を強いられている、それでも国民の命や健康を守るために我が身をすり減らしても頑張っておられるんだという、こういう看護婦さんの御苦労にこたえるという点でも、この全額支給というのはささやかなことではないかというふうに思うわけです。文部省として大変努力されていることはわかりますけれども、さらに引き続きこの実態に即して人事院や財務当局にこの点を強く要望していっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 今の加算額の問題とタクシー料金、必ずしも私どもとしてはタクシー料金全額を加算額で補てんするというような考え方で措置しているわけでございませんけれども、しかしやはり看護職員の処遇を改善していく、あるいは人材を確保していくというようなことは大変大事なことだ、このように思っておるわけでございます。看護職員の勤務体制のあり方等を含めまして処遇改善の方策を検討していく、その中でこの夜間看護手当あるいは加算額の問題につきましても努力をしてまいりたいと思っております。
○高崎裕子君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、看護婦さんの研修の問題でございますが、医療の高度化の進展の中で、患者さんによりよい看護をしたい、そのために研修を受けたい、これは看護婦さんの当然の切実な要求になっています。特に大学病院というのは、何度も言いましたけれども、地域医療のセンター的な役割を担っている、それだけではなく、教育、研究という大切な使命も持っているという特殊性から、看護婦さんの研修の問題の重要性というのは他の病院と比べものにならないものがあると思うんですけれども、この大学病院の看護婦さんの研修についての文部省の認識はいかがでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 今、先生御指摘ございましたように、大学病院の役割ということ、それから先ほども御質問があってございましたが、看護学校あるいは看護短大等の学生の実習にも指導に当たるというようなことからいたしまして、国立大学附属病院の看護婦の研修というのは大変重要なものであるというふうに認識をいたしております。
○高崎裕子君 そういう認識を前提に、ぜひ研修を充実させていただきたいということになるわけですけれども、今現実に行われている研修、看護婦さんの病院外の研修の場合、文部省が実施しているのは婦長さんクラスの方を対象とした研修だけで、人数も各大学病院で一人くらいという状況なんです。このため多くの方は、病院外での研修を受けたい、研修の機会をたくさん持ちたいと思っても、それが現実には保障されていない。何とか病院当局のいろいろな配慮で自己研修という形でその機会を与えられた場合でも、交通費は自分で工面しなければならないという実態になっていて、このため自己負担が多い人では十数万になるという人もいるわけです。こうした状況を改善して、もっと多くの看護婦さんに院外研修の機会を保障すべきだと思うんです。
 この国会では、看護婦確保法案が審議されるということで、その中でも看護婦の資質の向上というものを積極的にうたってもいるわけですから、これを絵にかいたもちにしないために、この際、文部省としても公的な研修制度を確立すべきではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) ただいま先生御指摘ございましたように、私どもでやっております研修は確かに婦長を対象にいたしておりまして、それ以外の者につきましてはそれぞれの病院内で対応していただくということが現状でございます。
 今先生御指摘のようなことは大変有益ではあると思いますが、御質問の中にもございましたように、経費の問題がございますし、また先ほど御指摘ございましたように、看護婦の定数自体が大変厳しいといったような問題もございます。御質問の趣旨は重々理解をいたしますが、現在の体制を直ちにそこまで上げるというのは非常に難しい問題があることを御理解いただきたいと思います。
○高崎裕子君 大変苦しいお立場はよくわかりますけれども、この希望というのはもう全国の国立大学の附属病院の看護婦さんの切実な要求ですので、引き続き研修の充実ということでいろんな問題を御検討していただいて、前進させていただきたいと強くお願いをしたいと思います。
 それから次に、看護婦さんの問題も本当に大変なんですけれども、その他の部門も定員削減の中で大変な問題が起こっています。病院の給食部門の問題なんですけれども、先日私の部屋にお見えになった大学病院の場合、定員削減で給食部門の調理師がこの十年間で十六名かも十一名と五名も減らされた、昨年も一人退職したけれども、その後は補充されないままだ。このため、ある調理師さんの場合、早朝の五時半、六時半出勤が月二十回、まだ交通機関のない時間帯ですから自費のタクシー出勤になっています。超勤は月に十八回で四十時間以上になっている。その上、真夏でも火を扱う仕事なのに冷房もない。煮えたぎったなべで大やけどなどという危険と隣り合わせということで、劣悪な環境の中で仕事をしています。それでもやっぱり入院している患者さんに少しでも温かくておいしい食事をと頑張っているということで、本当に胸が痛む思いがいたしました。
 給食は、学校もそうですけれども、医療の場面でも重要な分野の一つで、患者給食というのは治療の一環と言える位置づけがあると思うんです。ですから、こういう場で定員削減による切り捨てが進んでいるというのは大変重大だと思うんですけれども、病院給食の位置づけについての文部省の認識と、それからこういう調理師さんなど大事な仕事について欠員が出た場合に、大学から欠員補充について要請があった場合に、それについては補充をするという方向で積極的に対応していただけるというふうに伺ってよろしいでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 病院における患者給食業務でございますが、今先生御指摘ございますように、私どもも医療の一環としての患者給食という視点に立ちまして、患者給食の質の向上、そしてまた患者サービスの改善というものを目指して行われるべきものだ、このように理解をいたしております。
 なお、その調理師の後補充の問題につきましては、御案内のとおり、昭和五十八年の閣議決定におきまして、公務遂行上、真に必要な場合を除きその採用は行わないものと決定をされております。しかしながら、調理師につきましては、公務遂行上、真に必要な場合に該当する場合が多いと考えられるところでありますので、各機関と十分協議をしながら、それぞれの実態に応じて後補充については対応いたしておるところでございます。
○高崎裕子君 ぜひその点よろしくお願いいたします。
 定員削減の問題については大変な議論になるところですけれども、もうそれはいたしませんが、もうこれ以上削減はやめてほしいというのがどこの大学でも切実な声として出されていますので、定則が政府の方針だから仕方がないというのではなくて、文部省としても引き続き定員削減に応じないということで努力をしていただきたいということを強く要望いたしまして、針生委員に引き続きたばこの問題について、私は講義はできませんので、質問をしたいと思います。
 この四月一日に世界保健機構、WHOが、世界的に女性の喫煙者がふえたことに関連して、三十年後にはたばこが引き起こす病気で死亡する女性の数は倍増して、年間百万人を超えるおそれがあると警告する報告書をまとめています。それによると、喫煙の習慣と関係が深い肺がんで死亡する女性の数が先進国でふえてきており、一部の国では新たに喫煙を始める女性の数が男性を上回りつつある、世界のたばこメーカーは女性専用ブランドなど女性にターゲットを絞った販売戦略を展開してきていますし、そういうことを含めてWHO報告というのは、各国政府が女性心理を考慮した禁煙プログラムを打ち出す必要があると訴えているところまで来ているわけです。
 そこで、特に、児童というのはあれですけれども、児童生徒、子供の喫煙の問題に関連して、文部省として、この子供の喫煙の状況についてふえているのか減っているのか、その点どのように把握されておりますでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 子供の喫煙の全国的な実態につきまして文部省自体が調べたものはございません。ただ、地域、学校での喫煙につきまして各種の調査をなされておりまして、それらを見ますと近年、例えば平成二年のもの、平成四年のもの等今見ておるわけでございますが、大体横ばい程度というふうな傾向ではないかと思っております。
○高崎裕子君 今、局長おっしゃったように、子供の喫煙を統計的に把握しようと思うと警察白書しかないわけですね。これで見ますと、決して喫煙は減っていない。横ばいとおっしゃいましたけれども、八五年の四〇・一%から九〇年度は四四・二%と増加をしているわけです。たばこの害については学校で指導しているというお話で、いろいろな角度で研修会の問題だとかお話をされて、努力もされていらっしゃることはわかるんですが、これだけではやっぱり十分ではないというふうに思うわけで、文部省として、従来の延長ではなく、思い切った対策をぜひ今後もとっていただきたいというふうに思います。
 そこで、総務庁はいらっしゃっていますね。三月二十四日に総務庁の青少年対策本部の非行等問題行動対策関係省庁連絡会議というのが開かれましたが、そこでたばこのことが議題になったと聞いております。この会議の内容、それから今後の方向等で議論されたことを簡潔に御報告してください。
○説明員(田村博君) 今、先生御指摘ございました三月二十四日、総務庁が主宰しております関係省庁の課長レベルの会議でございますが、この席上におきまして青少年の喫煙問題も一部取り上げまして、関係省庁の方から最近の青少年の喫煙をめぐる補導状況でありますとか、あるいはこれに向けた各省庁の取り組み、それから業界において今いろいろ自主規制を実施いたしておりますが、その状況等について聴取をいたしました。今後とも関係省庁が一体となって対策に取り組んでいこう、また業界の方にも自主規制を引き続き推進、徹底していただきたいということを申し合わせたところでございます。
○高崎裕子君 この会議では今お話しされた中身で議論されたわけですけれども、その中でたばこの自動販売機の問題とあわせて、テレビ広告についても日本たばこ協会から、放送時間帯を段階的に圧縮する、自主規制措置をとっているということも報告されているわけですね。
 これは大臣にお尋ねしますけれども、このテレビ広告の自主規制措置は八五年の四月からで、現在では朝の五時から夜の十時五十四分までというふうにだんだん時間が広がって実施されているわけです。しかし、もともとたばこのCMを放映しているのは、先進国ではもう日本だけなんですね。日本のテレビに盛んに登場するアメリカたばこも、本国では連邦たばこ表示及び広告規制法でテレビ、ラジオのCMはもう完全に禁止されているわけです。自主規制措置をされているから子供には影響ない、未成年には影響ないと言いますが、今もうビデオが普及していて深夜の映画でもビデオに撮って昼間子供が見るわけです。そうすると、夜の十時五十四分からもう洪水のようにたばこのコマーシャルが流されていて、子供はそれを昼間たっぷり見せられている。
 WHOが七五年に、各国政府にたばこ広告の全面禁止や規制に力を入れるよう勧告しております。八七年十一月に東京で開かれた第六回喫煙と健康世界会議でも、これは名指しこそしなかったけれども、日本政府に向けられて言われているということはもう衆目一致しているところで、政府がテレビによるたばこ広告を禁止するよう促すという勧告が行われているわけです。
 子供の健康と非行対策に責任を持つ文部省として、これは他省庁のことだからということではもう済まされない問題だというふうに思うわけです。今、総務庁が主宰して行っている連絡会議もあるわけですから、率先して文部省として他省庁に、関係省庁にCMは禁止すべきだ、やめてほしいと、このくらいのことを言ってほしいというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 大変難しい問題だろうと思います。テレビでのたばこ広告を全面禁止するかどうかという問題は、これは会議でも議論があったというふうに聞いておりまして、答申では、他の商品との関係、国民の広告に対する受けとめ方がヨーロッパ、アメリカと日本では違う、あるいは営業の自由との関係を勘案して自主規制の強化ということが望ましいということで答申が出されております。私といたしましては、いろいろな観点でさらに総合的に考えていかなければならないとは思っておりますが、現段階ではこういう自主規制の強化というような方向で青少年に対する影響が出ないように考慮をしなければならないというふうに考えております。
 先ほどの質疑応答との関係で申し上げれば、私が中学生時代にやはり相当数の生徒が便所等でたばこを吸っておりました。最近のことはわかりませんが、こういう実態の把握というのはこれはもう非常に難しい。先ほどいろいろな資料を警察の方でとかいろいろありましたが、文部省で資料を取りそろえることもできない、警察でも本当はそれはごく一部しかわからない。総務庁が青少年対策の総責任を持っておるといっても、総務庁だってその数字を把握することはほとんど不可能に近い。私は実際、小学校は少ないと思いますが、中学、高校での隠れた喫煙というものは思ったよりはあるのではなかろうかと。これは推測で物を言うというのは非常によくないし、文教行政の責任者としてはそういうことは言ってはいけないと思うけれども、少なくとも相当隠れた喫煙があるのではないかと思って事柄に対処した方がベターではないかというふうに思います。
 今、先生御指摘のテレビコマーシャルの問題もありますけれども、やはり学校教育の現場からこれをなくしていく徹底した指導というものが必要ではなかろうか。教科書のお話は、先ほど針生先生の御講義を賜りながら私は教科書を見ておりましたし、今のコマーシャルの問題もわかりますが、やはり学校現場からなくすための不断の努力というのが一番重要ではないだろうか、あるいは親の責任というのもあろうか、こんなふうに思います。
○高崎裕子君 終わります。
○乾晴美君 よろしくお願いいたします。
 私は今回、主に小学生についていろいろお伺いしてみたいと思います。
 三月二十日に発売になりました朝日ジャーナルの「過労死」という特集がありましたけれども、御存じでしたでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 先生の御指摘を受けましてこの朝日ジャーナルを拝見して初めて承知したところでございます。ゆうべ熟読玩味いたしました。
○乾晴美君 ありがとうございます。
 この中にいろいろありましたわけですけれども、「大都市の子供たちが最近乱発するキーワード」というのが載っておりました。それは「忙しい」、「疲れた」、「眠い」というようなことなんだそうですけれども、どのような御感想をお持ちになりましたでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 例えばこの朝日ジャーナルに指摘してあることでございますが、それをそのまま趣旨を伝えますと、受験の過熱がある、したがって子供たちは塾通いせざるを得ない。しかも、塾通いも一つの塾でなくて、この塾は国語がいい、この塾は数学がいいとなるとかけ持ちをする、したがって夜大変遅く帰ってくる。しかし、ストレスがたまっておるからファミコンをして遊ばざるを得ない、したがって寝るのが一時、二時になってしまう、したがって朝が大変起きるのがつらい。こういうふうな悪循環が毎日、しかもそれが一日、二日でなくて長く続くことによってこんなふうな「忙しい」、「疲れた」、「眠い」、こういうふうな言葉が恒常的に子供たちから出るというふうな状況になっているということでございます。
 こういったことでございますから、そのどこのところを断つことによってそういったふうなことを子供たちの世界からなくすることができるか、社会も学校も家庭もさまざまな立場でそれぞれ努力をする必要があるというふうに感じたところでございます。
○乾晴美君 ありがとうございます。
 私もこの本を読ませていただきまして、これは大変だなというふうに思いました。
 また、いろんな研究所が調査しているわけなんですが、子供が自分の体について感じていることということで、疲れやすいと感じている人が四〇・四%、朝がなかなか起きられないというのが三八・一%、目が疲れやすいという方が三六・一ということで、約半数の生徒が忙しい、疲れた、眠たいというようなことを言っているという状況がよくわかります。
 「子どもと未来」というところもまた調査していますけれども、これは小学校四年生、六年生、中学校も入っていますけれども、各四百人ずつで千二百人に調査したところによりますと、子供たちが日ごろ感じたことのある不調を聞きましたら、約九割までが何らかの不調を訴えたということですね。その中身は、朝なかなか起きられないとかすぐに疲れるとか夜なかなか眠れない、肩が凝るということで、私はこれを見たときに子供らしくないというか、子供にあってはならぬような不調感が目立つなというように思います。昨日の四月六日の朝日新聞も「七割が「もっと遊んで眠りたい」」という見出しで、昨日の新聞ですけれども、大阪の小学校の五、六年生の千三百人の調査でそういうことを言ったということなんですね。非常に小学生が今疲れているなというように思います。
 これは福武書店の教育研究所が九〇年の十月に埼玉と千葉県の小学校の四年生から六年生を対象に調査した結果ですと、朝目覚めたとき、すっきりいい気分というのが二九・五%、ぼうっとして少しだるいというのが四五・三%、眠くて眠くて嫌な気分というのが二五・二%ということで、昨日の新聞と全く一致するなというように私は思って見せていただきました。また、くもん子供研究所というところがあるんですが、そこで男子小学生の四割の方が栄養ドリンクを飲んでいるというわけで、飲んだことがあるというのが四割、そして一割がよく飲むというように答えておるということなんですが、こういった現状を文部省としてはどのように分析されるか、そしてどう対応されますでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(逸見博昌君) 私ども文部省におきましても、例えば財団法人日本学校保健会というところに委託いたしまして、子供の疲労の問題を実は調査いたしたものがございます。これによりますと、その子供たちの回答は漠然といたしておりまして、明白な分析はなかなか難しいわけでございますが、例えば子供が疲労を感じるというのは、小学校低学年では掃除に代表される肉体的なことに疲れを感じる、高学年になりますと、学校での勉強とかテスト、このような精神的なものが増加する傾向があるというふうに書いてございます。
 それから、子供が眠くなるのは、年齢が進むにつれて学校や自宅での勉強のときに眠くなる傾向が顕著であるということ、それから疲れたときは寝転んでしまうということ、それから体で一番疲れるのは、中学生になると目が一番疲れるというふうなことがふえてくるというようなこと、さまざまなことが指摘してございます。今一番やりたいことは何だと。年齢が進むにつれまして、もっと眠りたい、のんびりしたいというふうなことが増加するというふうなことも調査の結果わかっておるわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、ここに至ります。その子供たちの疲れの原因、理由、これは子供たちの回答自体からはなかなか、しかとこれであるということを一義的に割り出すことは難しいわけでございますが、こういった状況がよろしいということでは必ずしもございませんので、もっともっとこういったものを分析しながら適切な、学校は学校、家庭は家庭、社会は社会においてそれぞれの持ち場持ち場でこういった問題に十分な認識を持って対応していく必要がある、こんなふうに考えております。
○乾晴美君 そういったように精神的な面とか疲れているという、ただそういった自覚症状というだけでなしに、いろんなデータを見ておりますと、現実にいろいろおかしいなと思うことが出てきました。それはどういうことかというと、目黒区内の小学校で朝の体温をはかったということで、私たちは体温といえば三十六度五分ぐらいが平均だなというふうに教わってもきたわけですし、私もそういうふうに承知しておるわけなんですけれども、朝の体温が三十六度以下という児童が四割おったということで、これは大変ということだと思います。
 その次に、神奈川県の藤沢市内の小学校七校でまた同じような調査をしているんですけれども、朝起きたときに三十六度未満というのが一三・三%、また逆に三十七度以上というのが二・二あった。登校直後では三十六度未満が減ってきまして二・二%ぐらいになるんですが、反対に三十七度以上が三八・三%にもなってくるということなんです。どういうことなんだろうなと思っていますと、また兵庫県の加古川市内の中学校の調査では、これは中学校ですけれども、三十六度未満は朝は一六・八%であったのが、三十七度以上になりますと登校直後は二一・八%になり、そして昼食前は四五・〇%になり、下校直前には五六%にもなるということなんで、これは異常だなというように私は思います。
 こういったことが体温の調節機能の弱まりだともしするならば、これは大きな問題だな、ただ精神的だけのものではないなというように思うわけです。また三十六度未満の低温化というのは、やっぱり朝起きが悪いといいましょうか、朝目覚めが悪いんでないかな、そして学校に行くという、さあきょうも一日張り切って頑張ろうという、そういった積極的な気持ちがなくなってくるんでないかな、不登校の原因になるんじゃないかなと。また、反対に三十七度以上の高温化の人は、少しの運動でもすぐ体温が上昇してしまって、熱が体内にこもってしまって熱射病になっていくんでないかいなというように思ったりもします。
 私も現場でいろいろ高等学校の生徒に教えさせていただきましたけれども、こういった体温だけでなくて、脈拍も非常に異常なぐらい高い生徒がいるわけです。寒いときは少し上がると思いますけれども、大体脈拍というのは一分間に七十回ぐらいかなと思うんですけれども、これから長距離を走るときに、まず生徒に一分間脈をはからせますと、全然運動してないのに百二十とかというのがありまして、これは無理に走らすと事故が起こるかなというふうに考えたりもするわけですね。やっぱり精神的だけのものじゃなくて、こういったデータにも、体温だとか、また脈拍にも出てくるというようなことをどのようにお考えになりますでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 先生今大変長い時間を費やされて低体温のことについて御指摘になりました。この低体温の問題につきましては、医学的に子供たちに低体温が本当にふえてきておるということ、必ずしもすべての医者が肯定するというわけでもないようでございます。それは、例えば体温測定法の問題が大きく指摘されるという場合が多いわけでございます。
 そういったことで私ども、この問題の指摘が重要でないということではございませんが、低体温の傾向が幾つかのところではかられた結果出てきたということだけでもってあたふたとするところではなくて、こういった状況、本当にそういうことであるかどうかということを調べますために、現在、例えば平成三年度から日本学校保健会へ委託をいたしまして、児童生徒の健康状態サーベイランス事業、こういったものを実施いたしております。そんな状況も恒常的に今後調べてまいりたいと思っておるところでございます。
○乾晴美君 そういう問題も多々あるかと思いますけれども、私はやっぱり少し異常だなと思うのは、幼稚園の年長組で一・八%の人が肩が凝ると答えたという調査もあるわけです。これは札幌学院大学の教授が発表されていることなんです。それから、国分寺市の医師会が小中学生の調査をいろいろやりまして、子供の健康も赤信号ですねということを言っているわけです。五一・八%が正常で、半数が成人病予備軍だというぐらいとまで言っているわけで、私もここら辺は注意してこれからも、いろいろ調査の方法もあるでしょうけれども、やっていかなきゃいけない問題だな、直視していかなきゃいけないなというように思っております。
 そこで、小学生の体力がどうなっているかなということで、十年前と比べて身長とか体重、胸囲、それから体力テストというのは、比較はどうでしょうか。
○政府委員(逸見博昌君) 身長、体重等につきましては最近では微増でございます、身長、体重、胸囲、座高等につきまして。ところが、例えば三十年前、今の子供たちの親の世代と比べますと、これは体重、身長ともに男子の十四歳、一番伸び盛りにはかりますと、十センチ、十キロ、これだけふえるというふうに大変な増加を示しておるところでございます。
 ところが、それに比較いたしまして、例えば体力につきまして、昭和五十五年度から平成二年度、十年間について見ますと、若干低下傾向を示しておるというふうに把握しております。例えば個別のテスト項目、反復横跳びというものは敏捷性を測定するのに一番よろしいわけでございますが、これは向上しておる。ところが、立位体前屈、立って手を下につける、こういったもので測定される柔軟性、これについては低下傾向を示しておるというふうなことがうかがわれます。
○乾晴美君 とにかく体力も落ちつつある、そして明らかに数字でも出てきておるということで、こんなに生徒が疲れているというわけですね。
 先ほど紹介しました福武書店の教育研究所によりますと、学校を休みたいと思うことがあるかという質問をしているんですが、それに、ある、そしてまた、たまにあるというのを加えますと、七七・九%です。しょっちゅうあるというのと時々あるを加えますと三一・三%ということで三人に一人が日常的に学校を休みたいなというように思っているんだなということが調査でわかっているわけなんですが、文部省としては、小学生の生活行動、生活全体のどのような指導を各都道府県になさっておられるのでしょうか。また、どんな日常生活、二十四時間の使い方をしているのかなというような調査をされていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) ちょっと先生の今御質問の観点とは異なるんですが、昭和五十九年に児童に基本的な生活習慣が身についていない、あるいは基本的な生活技能等も低下している傾向が見られるという指摘がかなりなされまして、小学校三年生と六年生、約一万五千人を対象に日常生活に関する調査を行いました。これは、今先生が問題にしておる視点とやや違いまして、例えば掃除の手伝いをいつもしている者、毎朝自分ひとりで起きている者、毎朝歯磨きをしている者、毎朝顔を洗っている者、はしを正しく持てる、小刀で鉛筆を削れるというような基本的な生活習慣というか生活技能等を中心にして調査したものでございます。
 この調査でもかなり問題点が見られまして、私どもその調査の結果を踏まえまして、基本的生活習慣や生活技能等を児童生徒に身につけさせるためには、学校だけではなくて家庭や地域とも連携して、家庭にも積極的に働きかけなければいけないんではないかという趣旨の指導をしたところでございます。それから、私どもの文部省の道徳教育推進校におきまして、家庭、学校の連携を研究させると同時に、先生方の指導資料に、小中学校における基本的生活習慣の指導というものを作成、配付して指導を行ったところでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたとおり、切り口がちょっと違いますので、先生がおっしゃったような意味でのいわゆる日常の生活サイクルなり、肉体との関係における生活サイクルというような観点での調査は行ったことございません。
○乾晴美君 それでは、また後でそのことに関連してお伺いいたしますが、小学校の登校拒否というのはこの十年間はどんな推移でしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) この十年間で漸増傾向にございます。
○乾晴美君 上向いているということですね。これは先ほどちょっとお話しいただきましたように、そういう体の調子とかそういうことで学校へ行きたくないとかという原因があっても、学校だけではどうしようもない、いわゆる家庭との連携をよくしなきゃいけないということなんです。
 登校拒否の原因のうち、親子関係をめぐるというか、家庭環境というか、親子との関係の間で、原因はいろいろあると思いますけれども、その中で家庭が原因で登校拒否になったなと思われるような件数はどれぐらいでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) これは学校生活での影響、家庭での影響、本人自身、例えば病気による欠席等いろいろあるわけですけれども、それで直接登校拒否に陥った原因、きっかけということで分類して挙げますけれども、必ずしもそれだけではなくて、それと同時に家庭との、学校生活との関係とかいろいろ総合的に考えなきゃいけないと思いますが、私どもの調査で、平成二年ですが、家庭生活での影響というのが三四%、二千七百二十二名という数字になっております。
○乾晴美君 相当のパーセントだなというように思います。それは父親が子供と接する時間とは関係ありますか。総理府の一九九〇年の調査によりますと、我が子にまともに向き合わない日本の父親なんて言われまして、子供のしつけは母親の仕事と考えている父親が今なお八割を超えておると、こういうことなんですが、ちょっと関係ありますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 直接そこまで分析してとっておりませんが、家庭生活での影響ということで、家庭の生活環境の急激な変化、親子関係をめぐる問題、家庭内の不和という中で、家庭の生活環境の急激な変化という中には、例えば父親の単身赴任、母親の就労等ということを例示をしておりまして、家庭の生活環境の急激に変化ということによって生ずるパーセンテージというのが全体で八・九%、この八・九%がすべて単身赴任に伴う父親と離れておるということだけではないと思いますが、数字としてはそんな数字を私どもつかんでおります。
○乾晴美君 そういったいろんな事情で学校へ来られない子たちはどういうところへ行けばいいんでしょうか、その行き場所はどこに求めらたいいのでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 私ども、いろんな原因で登校拒否になる原因があるわけでして、例えば家庭の原因が主たる原因であるというと、それならば家庭の問題を解決すればいいじゃないかということになるわけですが、それでも最終的には学校で最大限の努力をして、いろいろその子を励ましたりエンカレッジしてやるという行為を全校が一丸となってやる必要があろうかと思います。
 それで、結局登校拒否の子供たちがどこへ行けばいいのかという問題ですが、私どもは第一義的にはまず学校で努力する。それでもなかなかすぐは学校に戻ってこないという場合には、公的機関でいろいろな児童の相談センターみたいなものがございますが、そういう公的機関に親と子供と家庭にも理解を求めて子供が通っていってもらう。それでもなおだめだと、でしたら親も子供もできることなら民間の例えば宿泊、先ほども問題になりましたが、宿泊施設のあるもの、あるいは遠いところ、県内ではなくて隣の県のそういう施設にも入りたいというような場合もやむを得ない場合はあり得るんではないか。
 その場合には、私どもとしましては前から御説明しておりますが、教育委員会なり学校がその施設の性格、やっておること等を十分把握して子供や親御さんの相談に乗ってやる必要があるだろうというふうに考えております。
○乾晴美君 そういう施設は全国でどれぐらいありますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) これは、風の子学園が問題になりまして、私ども急遽調査したわけでございますが、今私どもがつかんでおる数字は全国で二百三十九カ所でございます。ただ、私ども、教育委員会の担当の指導主事なり担当者と連絡を密にして、常にその名簿といいますか、数とか実態の把握は情報を新しくしていきたいというふうに考えております。
○乾晴美君 「登校拒否(不登校)問題について」の報告書が三月十三日に発表されましたですね。これで民間施設に出た人は出席を認めましょうということになったそうなんですが、どんな民間施設にお願いするというような、こういう民間施設ならいいというような条件がおありでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 当然のこととして学校なり教育委員会がある程度責任の負い得る施設の性格が必要であろうということで、先ほど先生お挙げになりました研究協力者会議の中でも、ある種の民間施設、この種の民間施設ならいいんではないかというガイドラインがございまして、これはあくまでこの協力者会議のガイドラインでありますが、実施主体あるいは事業運営のあり方、相談、指導のあり方、相談、指導スタッフ、施設設備、それから学校あるいは教育委員会と施設の関係が非常に連絡が密になっておるということ、さらに家庭との関係、これは家庭と施設が定期的に連絡をするというような七つばかりのガイドラインを示しております。
 私ども、これに基づきまして、現在これをさらにブレークダウンしまして、各県教育委員会にも十分指導できるような一つのパターンにまとめたいということで検討しているところでございます。
○乾晴美君 そういったガイドラインをお読みになりました民間からは、県の教育委員会とか学校に民間を指導監督させようとの姿勢だと、そういう意見があったり、学校の下請をすることで安易に民間施設に預けようとする風潮が感じられるとか、公的機関ができないことを民間に厳しく求めておるのではないかとかというような御意見があるわけですね。この人たちは、我々は子供とともに生きようと考えている、文部省はそんな先生を育てているのだろうか、それがないから子供たちがここに来る、公的機関も民間も一緒に勉強、情報交換をする姿勢が欲しいのにというようなことが言われております。
 それから、先ほどの協力者会議の中でもいろいろ盛り込まれていますけれども、その中で教育委員会による実態把握や情報交換などどのようにするんだろうかとか、家庭に閉じこもっている子供たちについては、一部自治体が実施している教師だけではなく専門知識、技術を持つ指導員による訪問指導制を全国で導入することを援言もしておったり、それから専門のアドバイザーによる教師への指導助言システムづくりをしなきゃいけませんよとか、また国に対しては、教員配置や財政面の支援を要請しているわけなんですけれども、これに対する対応は文部省はどうなさいますでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 最初に民間施設の問題ですが、私どもも、学校で引き受けられない、公的機関でどうしようもないから安易に民間施設に預けるという姿勢はとっておりません。あくまで原則は学校、それから第二義的には公的機関で何とかする。それでもなお父兄なり本人の要望で民間に行きたいという場合に、民間に行った場合のその学校に戻る努力をどうやって評価するか、その評価の道として出席扱いにしようということを考えたわけでして、それでも、じゃ民間ならば何でもかんでもいいのかということにはならないんで、風の子学園みたいな事態が起きたら非常に遺憾なことでございますので、その場合にはぎりぎりのチェックポイントは必要だろうということでこのガイドラインができているわけでございます。
 私ども、今先生挙げられましたこの協力者会議で指摘されておるきめの細かい施策については、極力この指摘されている線に沿って私どもも施策を充実してまいりたいというふうに考えております。
○乾晴美君 私は時間の限りいろんなことを問題提起させていただきましたけれども、結局この過労児にいたしましても、それから登校拒否にいたしましても、とにかくそういったもろもろの原因は、先ほど文部大臣もおっしゃいましたけれども、子供が疲れ過ぎているその最大の原因というのはやっぱり学力偏重にあるのではないだろうかというように思います。幼稚園から一流幼稚園へ、小学校へ、そして中学へ、高校へ、大学へ、そして企業も一流へという、そういった受験体制にあるのだろうと思うわけです。
 先ほど、文部大臣も、社会の風潮を変えていかないとだめなんだ、体制をいろいろ変えていくって大変だということで、受験体制を変えなきゃいけないんだけれども、という手探りのところなのか、いいアイデアがあるのか、私はわかりませんけれども、そこまで来ているのであれば、学力だけで人間を判断しないで、どれぐらい周りの人と協力できるのかとか、人のことが理解できるのかといったようなことも力を入れるべきである。小さいときから生活体験をやらせていくということなんですが、体験学習ですね、いわゆる学力以外に何ができるかを評価できるような、そういったシステムをしないとだめなんではないか。
 そのために、具体的に言えば、ボランティアを入試の採点に入れるというようなことはどうなんだろうか。最後の入り口の企業が入社テストに、学力だけでなくて学生時代にどんなボランティアをしてきたか、いわゆる社会とかかわってきたかということを重視するようになれば、大学もその視点で努力するだろうし、そうなれば高校、中学、小学校へもずっと波及してくるんではないだろうか。ごみの問題でもいいし、老人介護の問題でもいいし、今の社会の中では学ぶことというのは非常にたくさんあるだろうと思うんです。そういったことで、文部省は社会の風潮だと言うけれども、そういった大学入試とか高校入試にボランティアを採点に入れるというような考えはおありでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生のそういう御質問の趣旨、先ほど承ってなるほどなと思ったわけです。そういう子供の多様性、あるいは人間というのはそもそも多面的なものであって、それをいろいろと評価するということができると随分風潮が変わるだろうというふうにも思います。ただ、ではボランティアと決めて、これは大変貴重なことなんですが、ボランティアというのは、いわゆる奉仕体験というのは貴重なものですが、ボランティアと決めてこれをその点数に入れるということになると、どこでどういうことをやった人が一番いい点数をもらったようだというふうな形で、またそれが受験の体制の中に取り入れられてしまうというおそれも禁じ得ませんので、技術的にはなかなか難しい部分もあろうかなというふうに思います。
 先ほど、先生は何度か学力以外の部分をとおっしゃったけれども、それは確かに今までの用語で言えば学力以外の部分をいろいろと評価をしていきたいと思うけれども、でも本当のことを言えば、例えば生活科でいろんな経験をしてもらう、あるいは休みとなる土曜日にいろんな経験をしてもらう、そういう中でその奉仕体験も含めて身につけたもの、これは経験というのは一番強いですから、それをいわば学力という範疇の中に取り込んで、取り入れて新しい学力観というものをつくり上げることができたらいいなというふうに私は考えております。
 それから最後に、子供が疲れているという先生のお話を承って、私も子供が三人おりますので、大して頑張ってもいないくせに何か疲れたとか、眠いとか、目が痛いということはよく言っておりますので、なるほどよくわかるわけです、この朝日ジャーナルの記事でございましょうか。ただしかし、それは学歴偏重社会という大きな根っこがあって、そこから勉強が大変だ、自由時間がない、ストレスがたまるということも事実だろう。それが最大の原因であることは私も否定はいたしませんが、先生も同時にお触れになったような生活習慣の問題というのがやっぱりあるんではないだろうか。
 先ほど子供の突然死などというような議論もありましたが、要するに昔と違って今の子供が何か疲れやすくなってしまうような大もとの原因というものが、例えばちょっとしたところでも全部車に乗っていく、なかなか歩かない、土の上を歩かない、あるいは食べ物の問題もあるかもしれない。この間、高崎先生からラーメンを使ったビデオ、文部省選定でしたね、私はあれを家に持って帰って見まして、なるほどという、御指摘の部分が全く全否定はできないなと思う部分もありました。なかなかいいビデオではありますけれども、問題点が全くゼロかといえば、先生の御指摘の部分も妥当性ゼロとはなし得ないというふうに私は評価をいたしておりますが、そういう食生活、食習慣の問題も含めて子供をむしばむいろんな要素というものを総合的に考えませんと疲れる子供がふえてしまうんだなとすごく気の毒に思うし、これは大きな課題だと思います。
○乾晴美君 時間が来ましたので、ありがとうございました。
○小西博行君 きょうは三十分という非常に短い時間でふだん思っていることをいろいろ質問させていただきたいんですが、ごく一部分になろうと思うんですが、きょう特に質問に入る前に、午前中に同僚の議員、あるいは午後も皆さん方の御意見を拝聴しておりましてなるほどなという非常に感心する面もたくさんございました。特に田沢議員の国連大学を中心にしていろんな技術的な問題、あるいは国際的な問題等々いろいろ御意見が出まして、もう少し議論を聞いておりたいという感じもしたんです。
 私も実は、先ほどの同僚議員の話の中でも、例えば文化国家日本、それから科学技術立国、国際国家、こういうような言葉が軒並みに出てまいります。さらに、例えば経済大国という言葉が出れば、あるいは平和国家というのが出れば完璧ではないかと思ったんですが、そのように非常に大きな題目を唱えて将来の日本の目標というものを定めながら、各省庁、政治家はもちろんでありますが、経済界も含めて努力をして今日までのこのすばらしい日本が構築されたというふうに考えておるわけです。
 この委員会でも私は、例えば文化国家日本ということになれば、前の遠山次長さんのころに文化財についていろいろ質問をさせていただいたりいたしました。保利文部大臣のときには、文化財の修復作業をぜひ現地に行って見てもらいたいということで、国立美術館の地下室に仏像なりあるいは刀剣なり、あるいはよろいかぶと等々、それぞれ文化財を修復する作業場があります。私は特にその中でよろいかぶとを取り上げました。現在三十八歳になられたかもわかりませんが、大げさに言えば日本で一人だけ修復作業をやっておられます専門官です。ところが、これは文部省の職員ではありません。一般の業者の方をたまたまそこへ招聘して、そこでやってもらっている。文部大臣、これはたまたま今一つの例なんですけれども、いろんなものを修復していって後世に残すということを考えますと、とてもとても修復が追いつかないというのが現状です。
 予算的に見ましても、大変文化庁というのは予算が少のうございまして、ほとんど人件費であります。そういう意味で基金制度というのができました。これは民間のお金と国のお金で基金制度というのが、たしか六百億だったと思いますが、できております。そういうものでこれから先のそういう伝統芸能とか文化財に対しての修復だとかというようなことも進められるというふうに聞いておるんです。だから、そういう体制から見ると、これは文部省の領域だろうと思うんでたまたまそういうお話をさせていただいておるんですが、そういうものも精力的に、特に大臣は若いわけですから、ぜひとも現地へ赴いて実態をやっぱり見ていただきたいということを特に切望しておきたいと思います。
 それから、先ほどの科学技術立国、これは私も実はきのうだったと思いますが、今度研究交流というのが新しい法案で科学技術庁から出てまいります。私はきのう長官にもいろいろお話を伺ったんです、なかなか思い切った回答も得られませんけれども。
 日本の将来をずっと考えてみますと、商品の輸出だとか製品輸出というのはもう限界があるんじゃないか。例えば、車にいたしましても、電気製品、コンピューター等々、これはアメリカとの貿易摩擦というのが非常に大きな今問題になっております。それは当然日本の商品が非常に安くていいからだと思います。恐らくアメリカの国民も日本の商品を買いたいと、そういう強い気持ちでおられるだろうと思います。ところが、やっぱりそこの産業が壊滅状況になってしまうというこの現実を考えますと、現在の米問題その他のいろんな摩擦問題が今後も出てくるんじゃないか。
 そうなりますと、やっぱり科学技術立国という形が一番妥当であり、しかも発展途上国の国々にいたしましても、日本のすばらしい技術が応用できるんであれば非常に歓迎される立場で協力ができる。こういう状況であると思いますので、特にそういう専門的な技術あるいは基礎研究という、こういう分野を、先ほどのお話じゃありませんが、予算を見ますとほとんど民間の予算で、今全体で大体十二兆円とか十三兆円という研究費と言われておりますが、大半が民間の予算なんです。したがって、先ほど大臣がおっしゃったようにリスクを伴うようなものをやりたくない、こういう傾向が私は当然出てくるんだろうと思うんです。
 そういうようなことで、私は将来を見ますと、産業としては立派になり世界の経済大国となったんだけれども、どうも方向としてはそういう経済じゃなくて今度は技術あるいは基礎研究、こういうものがどんどんシーズが生まれてきて、それが世界に貢献できる、こういう方向に行っていただいたら最高だと思うので、まず本題の前に御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先ほど由沢先生の質問。にお答えをいたしましたことと、先生の御質問の趣旨は私はほとんど同じものというふうに考えております。これからは科学技術あるいは文化というような面で日本の国が栄え行くことが一番望ましい、現実的であって、それは資源を多消費するようなもので生きていくわけにはまいりませんし、都会派だから言うわけではありませんが、まさに食糧を輸出して生きていけるような国になり得るわけもありません。これからは科学技術で世界をリードする、あるいはそうした学術のような側面で世界から尊敬されて、日本と各国との貿易が平和裏のうちに非常に盛んになっていくというようなことが我が国生存の条件だと思っておりますので、先生の御指摘のとおりにいけるようにみんなで頑張らなければいけないと思います。
○小西博行君 それでは、本題に入りまして、留学生の問題を質問させていただきます。
 二年ほど前に、私、実は予算委員会で相当時間をもらいまして細かく質問をさせていただいたことがあります。当時はもちろん十万人構想というのがありまして、何としても留学生を十万人にというようなことであります。
 ことしの二月に文部省から「留学生受入れの概況」というのが発表されております。それによりますと、現在はトータル四万五千六十六人、これが海外から日本へ勉強に来ておられる留学生の人数であります。伸び率は非常に最近高く、前年度比率で九%増ということになっておりますので、四万五千という数字から見ますと、恐らく二十一世紀までには大体達成できるのかなと、そういう面は非常にうれしいんですけれども、逆に人数だけふえて具体的に内部のいろんな諸条件の整備というのが非常におくれているんじゃないか。
 私は、特に当時は下宿の問題とか、それから生活費の問題とかいろんな問題を細かく質問させていただいたり、あるいは国費留学と私費留学というのがあります。国費留学というのは御承知のように大学院の学生が圧倒的に多いわけです。私費留学は大学です、学部です、こういうふうになっております。そういう意味で、学生のそういう心理的な面を十分考慮しないと、あるいはそういう対応をしておかないと、せっかく日本で四年も五年も勉強されて帰っても、逆に反日運動というのが当時相当ありまして、そういう結果になりはしないかというようなことを大変心配しておりました。
 その当時でも早く文部省はその辺の整備をしたいという御意見だったものですから、安心して今日まで待っておりましたが、その後どのような状況でその点の整備が進んでおるのか、特にこの点は最高だという点がありましたらお教え願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは政府委員からお答えをいたしますが、先生御指摘のとおり、今四万五千人という数の上では快調なペースですね。ですから、二十一世紀初頭十万人計画というものは伸び率からいえば一年二年残して達成をするかもしれない。それは国際公約であるとするならば、世界に向かって十万人の留学生が今日本におりますよと、それは両手を挙げて叫ぶことはできるのでありましょうが、やはり問題は中身ではないだろうか。
 実は、昨日オーストラリアのドーキンス大蔵大臣が見えて御懇談いたしました。ドーキンス大蔵大臣は昨年の十二月二十一日までは文部大臣というか、教育大臣をやっておられたわけなので、そのことで私とどうしても話し合いたいということでありました。今アジア・太平洋地域が例えばUMAPSという計画があって、これは本当のことを言えば、単位を相互認定するようなところまでいこうということだろうと思いますが、その原点には二国間のバイラテラルな交流から始めようということだろうと思うんです。
 例えば、我が国とオーストラリアですと、どんな協定を結んでもそれはやっていくことは可能かと思います。しかし、東南アジア、太平洋地域全部含めて加盟何カ国で、さあやりましょう、お互いの学生の交換やりましょうというと、日本に来ると物価あるいは生活費が五十倍も何十倍もかかってとても暮らすことができなかったというようなケースもあるし、正直申し上げて、今先生国費留学生は大学院ということをおっしゃいましたが、言葉の方もそれほどわかるわけでなくて、大学院に留学をして、形だけ正本の大学院で学んだけれども、結局ちんぷんかんぷんで何にもわからなかった、受け入れた方も面倒の見ようがなかったという話も随分ありますね。
 そういう方たちは日本の大学院へ行ったという肩書だけひっ提げて本国にお帰りになるかもしれないけれども、これは後からは、日本はろくなことをやってくれなかったという相当な不満の、先生は反日運動とおっしゃいましたが、そういう種にもなりかねないということで、留学生のことというのはとにかく中身が大切ですね。勉学の中身も大切だし、生活の中身も大変大切だというふうに思いますと、これは人数、量的な拡大さえ果たせばいいというものではないということを最近痛感いたしておりますので、先生方の御意見を承りながら、文部省、外務省みんなで対処していきたいと思っております。
○小西博行君 それで、十万人構想をずっと見てみますと、国費留学あるいは奨学金制度、こういうものがだんだん人数割合が減っていくような計画になっておるんですね。現在よりも割合としては減るわけです。私はその辺が非常に問題だと思うんです。何も十万大もとらなくても、先ほど大臣がおっしゃったように本当に勉強したい優秀な人材を集めないと、日本の大学の中でも、ゼミナールでも留学生だけをまとめて勉強させるというわけにいかぬわけだ。ですから、相当力のある人たち、あるいは日本が相当理解できている、何かの詳しい情報で、日本へ行けばこういうものだというものが十分ないといけない。
 そういう意味でどうも国費留学だとかそういう奨学金がふえていかない限りは、都内で調べてみますと十六万円はどうしても金がかかるというようなことが現実にありましたから、そういう意味でその辺を少し軌道修正をして、人数は十万人いかなくても、中身を、本当に勉強できるような体制づくりをどういう気持ちでやっていかれるのか、少し目標を変えても私はやるべきじゃないかと、こう思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 全くおっしゃるとおりだと思っております。あとは政府委員からお答えいたします。
○政府委員(長谷川善一君) 現在、四万五千人の留学生が日本の国公私立大学あるいは短大、専修学校の専門課程等々に在学しておるわけでございます。いろいろな意味で留学生の施策、来る前から、帰ってから後までという非常に幅広い施策の展開が必要とされるわけでございまして、最初に先生御指摘のございました、何といいますか、いわゆる留学生が反日感情を持つことのないように留意すべきと思うと以前から再三の御指摘であったかと思います。特に近年、官民一体となって留学生を受け入れる体制づくりを各都道府県にもお願いいたしておりまして、その都道府県の中心になります大学が呼びかける形で、都道府県の地方公共団体あるいは経済団体あるいは各種のボランティアの団体などを糾合いたしまして留学生交流の推進会議というのをそれぞれ地域ごとにつくっていただきまして、その地域における留学生の受け入れのいろいろな問題について積極的に取り組んでいただけるような体制を整備いたしたところでございます。
 また、大学には一人一人留学生の抱えております問題というのは相当差がございます。そういった一人一人の留学生にいろいろな世話ができる、悩みを聞いてやり、あるいは希望を聞きいろいろなあっせんをするというような体制というのは必ずしも十分ではございません。まだまだ不十分ではございますけれども、留学生センターという形のものをつくってまいるようにいたしておりまして、準備の整ったところから各大学にそういった留学生センター差つくり、専門の職員、教官を配置するというようなことをやりまして、一般に世話体制の整備を図っておる次第でございます。近年、そういった留学生個々に対する対応というのが特に必要であるという点については、私ども及び大学の方も十分認識して事に当たっておるという状況でございます。
○小西博行君 私は広島なものですから広島大学を中心に大体今五百名ぐらい、だから二年ぐらい前からいうと大体倍ぐらいになっているだろうと思います。国費留学がほとんどということなんですね。中国の人が非常に多いんです。
 結局、国費留学で来られる場合に、あの当時でも大変問題だったのは、何々学科を選びたいというんですけれども、実際来てみますと全然違う、その隣の研究室が実は自分がやりたいものだった、こういうような問題があったり、自分は東京大学へ留学したかったんだけれども、来てみると例えば広島とか九州大学の方へ行かされた、国費の場合はそういう振り分けしますから。そういうようないろんな問題がたくさんございまして、恐らく今でも東京を中心に留学したいという、多分我々もアメリカへ行けばニューヨークへ行きたいとかワシントンへ行きたいということになるんだろうと思うんですが、そういうようなことが、特に私費留学の場合は東京中心型にならざるを得ない、国費留学はそういうふうに全国へばらまかれる、こういう問題が非常にありまして、学科を変えたいといってもなかなかそれはいきませんよと。
 それは何かといいますと、やっぱり情報不足なんです。結局、向こうでいるときに日本のそういう実情というものを十分説明していないからそういう誤解が生まれるんだということで、当時の外務省の皆さん方に、何としても日本のそういう実態を、日本の大学はこうだという実態をやっぱり説明してもらわなきゃいけない、広報課とかいうのがありまして、そういうことはある程度はできるんだけれども、人数の関係でとても無理だということで、民間のいろんな団体もそういうことをやるということを私はお聞きしているわけです。向こうである程度優秀な人材を受け入れるという一つの審査の過程があればそれは相当違うんだろうと思うんです。その辺の準備機関なんかの整備というのはその後はどうなっているんであろうか。
○政府委員(長谷川善一君) 近年、情報提供ということにつきましては、留学生がみずからの留学目的に合った大学を選択するという趣旨でございまして、これは外務省を通じまして各種の広報をし、毎年毎年いろいろなものをふやしておるわけでございます。平成元年度からは、毎年、我が国の大学の協力を得まして、我が国にやってきたいという留学生の多い東南アジア各国で日本留学フェアというのを催しておりまして、日本から大学の先生、それから留学生の担当者などが出向きまして、こういう大学でこういうような研究ができるんだということを現地の大学の関係者あるいは留学希望者本人にじかにそういった情報を提供するというような試みをやっております。
○小西博行君 時間がもうないものですからちょっとはしょって先へ参りますが、その中で大学院の学生、つまり国費留学なんですが、一番問題になるのはやっぱり学位ですね、博士課程。この問題がずっと現在でも問題になっております。
 これは統計を実は文部省の方からももらったわけですが、これは六十二年度のデータなんですね。それによりますと、例えばこれは日本人も全部入れて、いわゆる博士課程へ行って、しかも博士の称号を取れたかどうかというようなことでいきますと、理工系が八〇%は学位を取っているわけです。それに対して文科系というのは五%。
 数日前の新聞の切り抜きも実はもらったわけですが、東京大学も今度は文系も少し博士号をたくさん出す。たくさん出すというのもまたいよいよおかしな話なんですけれども、そういうことが言われたというのがここに出ておりまして、それを見ますとこれまたすごいんです。これは東大の問題なんですが、いわゆる医学は九二%、それで工学系が七五%、文学はわずかに一・七%、学位がそれだけ、医学が九二%なんだけれども、文系はとにかくなかなか取れない。実は東大の教授も三人に一人しか学位を持っていない、文系は。そういうような状況があるわけです。
 これは定義を見たらよくわかるんですが、どうも日本の場合の定義は相当実績を上げなきゃいけない。この新聞によりますと、「博士号は一生をかけて大成した学者に与えるもの」、こういう定義になっておる。大成した学者。ところが、アメリカあたりの大学の定義を見ますと、研究者と認める者に博士号を与える、つまり研究者として将来頑張れるであろうという見通しですね。日本で言うたら、博士課程を出てまじめに単位を取って卒業できた者には出してもいいじゃないか、こういうふうに私は考えられると思うんですね。だから、その辺が実は留学生に対して非常に問題になっているわけです。
 これは日本人も問題なんですが、日本の社会よりもむしろ向こうの社会の方が、国によっては博士号がなかったら研究者としてはもうゼロだという評価、お隣の韓国なんかでもそうなんです。だから、どうしても日本には留学がなかなかしにくい、アメリカヘ行って学位もらって学者になる、こういう現況があるわけです。そういうものを、やっぱり私は東大を中心にこれがもし進んでいくなら非常に結構だと思うんですが、そうかといって今まで出さなかったやつをどういう格好で出すのかなという不安も実はあるわけでして、文部省は、大学の自治といえども、しっかりとその辺の状況を押さえておかなきゃいかぬ、こう思いまして、大臣、どのようにお考えですか。
○政府委員(前畑安宏君) 御案内のとおり、今先生の御指摘の留学生に対する学位の問題、特に人文、社会系の問題についてはかねてから大変各方面から指摘をされておりまして、先般、昨年でございますか、大学審議会からの答申もいただきまして、学位制度の改正を行ったところでございます。
 今先生御指摘ございましたように、戦後の新しい課程制大学院の考え方からいたしますと、博士課程を修了したというときには当然に学位が出るという筋合いのものでございます。大学院設置基準では、「博士課程は、専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行い、又はその他の高度に専門的な業務に従事するに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を養う」ということを目的にいたしておりますので、これを目的として博士課程が学生に対して教育研究指導を行う、そして修了をしたときには当然に学位が出るという筋合いのものであるというふうに理解をしてまいっておりましたが、先ほど引用されました東大の例にございますように、大学の方ではなかなかそのように受けとめてこなかったという経緯がございます。
 そこで、学位規則を改正いたしまして、従来列挙をいたしました博士の種類というのも廃止をいたしました。今後は、学位規則といたしましては、博士の学位は博士というだけにしましょう、必要に応じて大学院において括弧書きで専攻分野を付する、こういうふうにいたしましたので、これからは各大学院も意識の改革をしていただきまして、この東京大学の御引用されました記事にもございますように、今後はレベルを維持しながらというよりはむしろ課程制大学院の趣旨に沿った学位の授与が行われるようになるであろう、このように期待をいたしております。
○小西博行君 私も十二年間大学で教鞭をとっておりましたからよくわかるんですね。経営工学という分野なんですけれども、経営工学という分野は非常に新しい学問なものですから、学位を出す大学がまた非常に少なかったわけです。今は当然早稲田とか東京工大とかいろいろあると思うんですが、そういう分野が特に専門としてやりたい、留学してくる場合は非常に困ることになろうかと思いますので、専門の分野によっても大分違うのかな、そう思います。したがいまして、これはその先生によっても、全く自分の意思で出しても出さなくてもという部分もありますので、これは非常に暗い部分です。だから、そういうところを十分指導してあげないと、ある大学はどんどんつくっている、ある大学は全然出さない、こういうことが当然私は起きてくることだろうというふうに思います。
 特に、相手国のいろんな実情というのがありまして、フランスあたりは昔二種類の学位をつくったわけですね。今の研究者として認められるちょっとレベルの低い学位、博士号と、先ほどの実績を積み重ねた人の学位と、こういう二種類をつくったんですが、やっぱり評判が悪くて、今は一本化されている、こういう状況も実はあります。海外から来て、向こうで例えば大学の助教授をしたような人が日本でなかなか学位を取れない。東大でもう八年間もおるんだ、そして、もう私は何回も死のうと思った、こういうことを言われる女性もおられまして、その辺の実態もよく調べておかないと非常に困る。
 大体、学位を取れるか取れないかというか、研究者として向くか向かないかというのは、入る段階である程度調べておかなきゃ大変私は難しい状況になるのかな、そういうふうに思いまして、先ほどの先端技術じゃありませんけれども、日本のそういう国際貢献という意味でも非常にいい分野だと、私そう思いまして、これは外務省だけでなくて、皆さん方は教育を中心にやっておられるわけですから、海外に対してのいろいろな情報提供というのも正確に伝えるようないろいろな方策について考えていただきたい。大臣、何か所見がありましたらお聞きして、これで終わります。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 国際的に見て超一流の経済大国になりながら、まだその地位にふさわしい行動がとれないというのか、本当の国際国家たり得ない部分が幾つかあり、その中の一つの分野が留学生政策ではないだろうか。
 先ほどからいろいろ先生が御指摘された問題点に加えて、例えば、どういう留学生をどういうふうに募るかということでも、今日本の大学と外国の大学とのいろいろな連携によって留学生が見えるというような新しいいい方式も始っております。例えば、文部省、外務省、国際交流基金、文部省傘下のいろいろな団体の連携が完璧であるかといえば、まだお互いの縄張り意識の方が先行してしまってうまくいってないという分野もなきにしもあらずだろう。その辺みんなで相談をして、目的は一つなんですから、きちんと努力するようにしなければいけないと思います。
○小西博行君 終わります。
○今泉隆雄君 私はいつも質問が一番最後なので、聞きたいことは各委員の方が聞かれてしまって、ダブってしまって、聞くことが最後になくなってしまうみたいなことも時々あるんですが、きょうは幸い一人も私が質問しようということとはダブっておりませんのですが、簡単に、皆さん方の幸せのために何とか五時前には終わろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず一番最初に、先月の半ばに問題になった例の市立尼崎高校で不合格になった玉置真人君の仲なんですが、彼は筋ジストロフィー症のために昨年不合格になって、そしてそれを裁判にかけました。ことしの三月十三日に不合格処分取り消しか出て、全面的に勝訴したわけです。しかし、彼は結局関西学院の高等部へ行くことにしました。これは心理的な問題とか、もう一つはやはり関西学院が設備が整っているという理由らしいんです。
 しかし、ここで一つおかしなことは、尼崎高校では以前に同じ障害者の生徒を卒業させたという実績があるということを聞いています。それが何で玉置君の場合こうなってしまったのか。校長の態度に非常に疑問を持つわけです。しかし、憲法とか教育基本法を踏まえた判決が出て、障害児たちが非常に大きな希望を持ち、生きる勇気を持ったという話は聞いております。彼は一言、裁判までしないとみんなと一緒に勉強できないのかということを言ったらしいのです。
 そういう学校がある反面、山形県立山形中央高校では、斎藤直希君という人が三年間無遅刻、無欠席で卒業しました。脳性小児麻癖なので両方の手足が全然動かない。鉛筆を口でとって不自由な手に運んで勉強した。成績は非常によかったそうです。
 それで、学校側は施設を改造して彼を迎えて、出入り口に緩やかな坂をつけたり車いすに合わせた机を四つもつくった。そして、送り迎えは全部母親の都子さんという方がやった。エレベーターがないから三階の教室まで直希君を背負って階段を上がったりしている。お母さんは授業中は学校の掃除や草むしり、購売部の手伝いをして過ごした。こういう生活を三年間送られて無事卒業されて大学を受験したそうです。それで卒業式のときに、加藤校長先生という方が都子さんに感謝状を渡した。それはお母さんが生徒たちに与えた影響が非常に大きかったということ。まだ同校にもう一人車いすの生徒がいるんだそうです。
 どうして同じ学校の中でこうやって不合格にしてしまったり、こうやってちゃんと教育させてあげたりすることが起きるのか。このほかにもいっぱい例はある。新聞がたくさんここにありますから、それをやると時間がかかりますので、その辺の大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 尼崎高校の事柄で、これが裁判にまでなったのは残念でありますし、また裁判の結果が出て、問題が解決をいたしましたことは喜ばしいことと思っています。
 ただ、義務教育の事柄ですと、何といっても義務教育でございますからいろいろな意味で強制力を働かせることができるというのか、あるいは教育委員会が生徒の振り分けをするというようなそういう力も持っているわけですが、高校の問題になりますと、これは義務教育ではありませんので、最終的にはその高校の判断ということになりましょう。したがって、文部省が特にどう関与するという事柄ではありませんので、具体のこの一件についての裁判の中身について、私は文部大臣としてコメントをするべきではないと思うんです。
 でも、文部省としては常日ごろから、成績優秀という条件をつけているわけではありませんが、しっかりとした意識を持ったお子さんが単に障害があるというだけで高校の門戸が閉ざされてしまうとか、あるいは不合理な取り扱いを受けることがないように頼みますよという指導はしてきているわけですから、私どもが行ってきた指導と裁判の結果というものは一致するというふうに考えております。
 今、先生御指摘のように、どうして学校によっていろいろ違っちゃうのかというのも、その辺の、高校であるがゆえに、義務教育段階を離れたがゆえにいろいろな独自の判断が働くからかと思います。しかし、およそ行政とか政治というのはすべて、何も強きをくじく必要はないけれども、ハンディキャップを持った弱い方を助けることができれば政治や行政の九九%の目的は達せられるのであろうというふうに私は考えておりますから、できる限りそういう障害をお持ちのお子さんに温かく接することができるような教育行政であってほしいとみずから願い、努力をいたします。
○今泉隆雄君 今のお考えはよくわかりました。
 三月十一日の朝日新聞に、「学校の格好変えます」「文部省設計原則を見直し」。今の学校は明治二十八年に学校建築図説明及設計大要というのでできているそうです。それから百年たってやっとその設計原則を見直すという方針が文部省の方で出たそうで、この記事によりますと、オープンスペースやクラブハウスをつくって、北側の廊下をなくしてと、すばらしいことがいっぱい書いてあります。
 それと同じように施設の障害児たちが入る学校で身障者用設備を整えているのは東京と広島と長野だけだそうです。そして東京都の場合は、車いす用のトイレ、スロープ、手すりなど都立校の場合には九割近くにも設置してあるし、エレベーターもこれからつけていく方針だということを伺っています。ところが、これに対して全然ないのは群馬県で、車いす用トイレなどはない高校がほとんどという話です。岩手では車いすの生徒の入学例がない。これはもう何か事前指導で普通高の進学をあきらめろというようなことを言っているらしい。それから、京都なんかでは施設改善はしないという了解を保護者と本人から取りつけた上で入学をさせている。全国の高校、中学でもこういうことが余りにも違うというのは、文部省が設計原則を見直すということを発表している、こういう方針であるのにちょっとおかしいと思うんですが、その辺の大臣のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 先ほど大臣からお答えしましたとおりに、現在の身体障害者の教育をどうやって能力に応じて確保するかという問題でございますが、これにつきましては、障害の程度の重い児童生徒については特殊教育学校で、それから程度の軽い生徒については小中学校の特殊学級あるいは通常の学級でそれぞれ適切な教育を行うという建前になっております。ただ、高等学校につきましては、義務教育でないことから就学指導や学校の指定の制度がないということで、一般の高等学校に入学を希望する生徒につきましては、それぞれの学校が個々の生徒の障害の程度や学校での受け入れ体制等を考慮して、入学後に当該高等学校の教育を履習できる見込みがあるかどうかという観点から判断しているわけでございます。
 ただ、さっき大臣が申し上げましたとおりに、従来から、単に障害を有するということの理由だけで受験の門戸を閉ざしたり不合理な取り扱いをしないようにという指導をしております。それで、障害児の高校への受け入れというのは、今出し上げましたとおりに各高校の個々の判断によるわけでございますので、一律にある種の基準を設けて指導するということは大変困難であろうというふうに私ども思っております。
○今泉隆雄君 お話はよくわかりますが、しかしやはり文部省側でも何とかその辺のことを指導していってほしいというふうに要望します。
 次に、やはりこれも文部省のお考えをお聞きしたいんですけれども、ユネスコの統計によりますと、世界で、九月入学は欧米を中心に九十二カ国、十月入学が二十九カ国だそうです。四月入学は日本を含めてだった九カ国ということなんだそうです。日本でも明治十年から約四十年余り、大学、旧制高校は九月入学だったそうですが、これの一番大きな原因は徴兵検査が四月になったことに影響されて明治の半ばから小中学校、師範学校が四月入学に変わった。ということは、これは明らかに日本が軍事大国になっていく過程において四月入学ということに決められていったんじゃないかと思いますが、その辺のところで、大臣でも、文部省でも結構ですが、入学の時期というのを世界的に九月にするというお考えは持っていらっしゃいませんか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) これは、実は打ち合わせしておりませんから私見を申し述べますが、これは賛否両論いろいろあるんです。臨教審でもそうでした。恐らく文部省の中でもいろんな意見があるだろうと私は思うのです。
 一つは、外国と合わせた方がいいか、ずれていた方がいいかという問題があるんです。留学等については半年ずれているとかえって便利という部分もあります。数カ月相手の言葉を勉強してちょうど行くと。これはこっちから行く場合も向こうから招く場合もそういう利点もありますから、必ずしも一致する必要はないのではないかという観点がございます。
 それから、やはりこの日本の伝統とか生活習慣とか風習とか、別にそれは沖縄もあるし、北海道もありますから、いつも入学式というのは桜が咲いていると限ったものではありませんが、おおむね春という、こういう桜の咲くような季節に新しい学校へ入るという一つの歴史と伝統というものもまた貴重なものがあるだろうというふうに考えているわけでございます。
 そして、九月入学に変えると実は大変な予算もかかるわけだし、世の中のいろんな制度的な変更が必要となるわけで、そういうふうにして得るプラスに比べれば、そのために失うものとかかかる経費とかいうものを考えれば、現在の四月入学で基本的にいいのではないかというのが私の基本的な考え方で、もちろん私の気持ちの中にも九月入学が多いからそっちの方にという気持ちもないわけではありませんが、春の入学というのを日本は続けでいいのではないか。
 我が国はアジア大陸の東端に位置しておりまして、明確なモンスーン気候のもとにありますので四季の変化が明瞭でございます。春夏秋冬という形で、こういう四季のめぐりをはっきりと行っている地域というのは地球上でも決して多いわけではないんです。何かいかにも春に始まって秋に物事がまたもとへ戻っていくという感じを持たせるこういう日本の四季というものは世界でも珍しい。そういう意味でも、春が始まりという、もえ出る春という印象を持っている日本の気候であるがゆえに春の入学というのは捨てがたいというふうに思うわけでございまして、今度選抜高校野球に行ってまいりましたが、九月入学に全部が変わりますと、ドラフトとか高校野球とか全部逆になるんですね。スポーツの世界でも全部逆になるんです。その辺もいかがなものかというふうに考えまして、文部省内にもいろんな意見があるし、検討もしているんだと思いますが、私は個人的には春入学はなかなかいいものだと思っております。
○今泉隆雄君 おもしろい御意見で、わかりました。
 結局は、四月入学というのは徴兵検査から始まったということで日本の軍国化にかなり関係があるんですが、もう一つ、そういう意味で日本の軍国化と関係のあることでお尋ねしたいんです。
 明治十九年、初代文部大臣の森有礼さんが制服を決めたそうです。そして、これは高校、師範学校などに軍隊式の体操を導入したときに制服を採用しました。そして、今着ている黒の詰め襟のルーツというのは陸軍の下士官の戦闘服がルーツです。それから、女子学生が着ているセーラー服は水兵の戦闘服が基調になっています。そういうふうに、やはり軍隊と非常に関係が多いんですが、どういうわけか華族女学校、つまり今の学習院ですけれども、学習院にだけはそれを適用しないでえび茶色のほかまをつけさせている。何か非常にその当時から庶民と華族との差が激しかったみたいですけれども……
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは学習院の女子部ですか。
○今泉隆雄君 華族女学校ですから、そうです、学習院女子部ですね。
 そういうようなことで、今ここにもあるんですが、横須賀の浦賀中学で、つやが出ている学生服を着ているといって中学の卒業式に出席できなかった。それをよく調べたら、混紡のはオーケーだけれども、ポリエステルのはだめだと。ところが、ちゃんと学校標準記号がついてポリエステルのもちゃんと売っているそうです。そういうような制服の差別がそこにあるというのも非常におかしな話なんで、僕はもう制服なんというのは一切やめて、服装というのは自由にすべきだし、現在都立の高校は六割以上みんな自由になっていますし、中学なんかでもそういうところが非常に多くなっていますから、そうしたらどうか。その辺の文部省の御意見はいかがでございましょうか。
○政府委員(坂元弘直君) 制服の問題は大変難しい問題だと思います、経緯は別としまして。学校とすると、自由にいたしますといろんな、端的に申し上げますと、派手な格好で来る子もいますし、そのことがまたほかの子に影響してほかの子も派手な格好になる。
 ちょっと話が飛んで恐縮でございますが、もうかなり前でございますが、私が地方課の課長補佐やっているときにILOの事務総長が日本に参りまして、御夫婦で来たんですが、そのときに京都にその御夫婦を招待したことがございます。柳川先生が担当の審議官だったときで、そのときに修学旅行の生徒が京都にたくさん来ているわけですが、それを奥さんの方が見まして、日本は制服があるのねと、制服があって非常にいいですねと。あれ、逆のこと言うんじゃないのかなと思いましたら、それは制服がないためにうちの子供、女の子供ですが、ジュネーブに住んでいるんですが、女の子は毎日朝になるとあれを着ていく、これを着ていくと大騒ぎになると、そういう意味で制服というのは意外といいんじゃないですかなんということを言っておりました。だから制服がいいという意味じゃありませんが、だから非常に難しい問題なんじゃないかという感じがいたします。
 ただ、先生が御指摘のように、サージ織りがいいのか、形さえちゃんと整っておれば。もう一つはカシドス、カシミアドスキン織りはいけないと、そこまで厳密に生地まで、織り方まで瑣末的に制服を決めておく意味が、そこまで求めなぎゃいけないのかというと、私どもも生地の色は見ていませんので無責任なことは言えませんけれども、ちょっとやや瑣末的ではないのかなという感じはいたしております。
 先生から御質問があるということで、早速この学校の件について横須賀の教育委員会に聞いてみましたら、この制服の問題を決めるときも地域や保護者にもいろいろ説明して決めたんであるけれども、なおこういう問題が起きたわけであるので、再度地域や児童生徒との意見も交換してこの問題についての校則のあり方については見直そうと思っておりますと、そういうような報告を受けているところでございます。
○今泉隆雄君 どうもありがとうございました。時間がないので一つ質問を飛ばして、最後に音楽のことをお聞きしたいと思います。
 大臣は、学校時代、音楽の授業はお好きでしたか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 余り好きではありませんでした。親の遺伝が、楽器は不得意でしたし、まあ余りおもしろいと、楽しいと思ったことは少なかったように記憶をいたしております。特に音符を読むのができないで、先生が試験のときに学校でそのときに教えた範囲の、例えば何という曲の音符を全部書けというのがしばしばあったんで、音感でこれを書けませんので丸暗記するのに非常に努力した、苦労した記憶があります。
○今泉隆雄君 それは大臣の個人の責任ではなくて、日本の音楽教育が非常に悪かったからだと私は思っております。なぜかといいますと、世界各国、小学校に入りますとまず教えるのはその国の民謡から教えます。これはアメリカでもヨーロッパでも、今のロシアでも、どこでもそうです。まず自分の国の民謡を教えてからいろんなことを教えていくわけですけれども、日本の場合は明治時代に入ったドイツ式の音楽教材で、リズムもなければ何にも楽しいことがない、先生がただピアノをぽんぽん弾いて歌わせるという、それが一番つまらなかったし、よくなかったことだと思っています。
 まず、なぜかというと、例えば今幼児は、満一歳になりますと、コマーシャルの音楽を聞いたらばすぐおしりを動かして踊り出します。そのくらいやっぱりリズムに反応がありますし、私が五、六年前、テレビの番組で小学生の連中を集めてピアノを弾いて歌わせて、これは好きかと言ったらみんな嫌いだと言ったんですね。それで、その場にドラムとベースとギターを呼んできて、いわゆるリズムセクションというのをつけてやったら、ああこれはおもしろいわ、これだったら歌うと小学生がテレビで言った記憶がありますが、そのようにやっぱり日本の音楽にはリズムがないしハーモニーが全然ないわけですね。
 それと、やっぱり日本の民謡というのを大事にして歌わなきゃいけないかと思っているんです。ある記事で、宮澤総理が何を歌ったかというと「お嬢吉三」を歌ったそうです。金丸副総裁は「さのさ節」だそうです。渡辺外相は「三階節」だそうです、「米山さんから雲が出た」というやつですね。つまり、これは日本古来の民謡ではなくて俗謡というやつですね。ところが、明治の最初に始まった教科書には、そういうものじゃなくて、「六段の調」とか「越天楽」とか、そういうものがちゃんと載っておりました。ですから、そういうことがいつの間にかなくなってしまって今みたいになっちゃったのがやっぱり日本音楽教育の責任だと思うんですが、その辺について大臣の御感想、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 音楽之友社の「高校生の音楽」の中の十六ページに「美しい世界」、山上路夫作詞、いずみたく作曲というので、いい音楽を教えて頑張っていこうと思っております。
○今泉隆雄君 質問を終わります。ありがとうございました。
○委員長(大木浩君) 以上をもちまして平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、文部省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
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