第123回国会 逓信委員会 第11号
平成四年五月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     岡野  裕君     伊江 朝雄君
     陣内 孝雄君     成瀬 守重君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     伊江 朝雄君     松浦 孝治君
     関根 則之君     二木 秀夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                尾辻 秀久君
                斎藤 文夫君
                大森  昭君
                中村 鋭一君
    委 員
                沢田 一精君
                成瀬 守重君
                平野  清君
                二木 秀夫君
                松浦 孝治君
                守住 有信君
                及川 一夫君
                國弘 正雄君
                三重野栄子君
                山田 健一君
                矢原 秀男君
                吉岡 吉典君
                足立 良平君
                下村  泰君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
   政府委員
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       郵政大臣官房審
       議官       金澤  薫君
       郵政省通信政策
       局長       白井  太君
       郵政省電気通信
       局長       森本 哲夫君
       郵政省放送行政
       局長       小野沢知之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大野 敏行君
   説明員
       文化庁文化部著
       作権課長     伊勢呂裕史君
       厚生省社会局更
       生課長      松尾 武昌君
       通商産業省機械
       情報産業局電気
       機器課長     青柳 桂一君
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  本日の会議に付した案件
○電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
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○委員長(粕谷照美君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、岡野裕君及び陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として伊江朝雄君及び成瀬守重君が選任されました。
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○委員長(粕谷照美君) 次に、電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○足立良平君 それでは、私の方からまず質問をいたしたいと思います。
 高度情報化社会というものはますます進展をしていく。そういう観点からいたしますと、今回のこの電波法の一部を改正する内容というのは必要やむを得ざる方向ではないかと、こういう考え方を持っているわけでありまして、そういう観点で質問を続けさせていただきたいと、このように思います。
 それで、今回創設をされようといたしております電波利用料に加えて、既にあります申請及び検査の手数料とそして登録免許税、そして今回の電波利用料、この三つの料金というもの、料金というのか税金といいますか、この三者の性格をきちんとしておかないと後々混乱を起こしてくるのではないかと、こんな感じを実は私は受けております。
 この考え方といたしまして、この申請あるいは検査の手数料という考え方は、申請、検査等個別に行われる国の役務にかかわる費用を賄うものというふうに、これは一昨日の本委員会におきまして局長の答弁がございました。それから今回創設をされようとしている電波利用料というのは、免許人全体の受益を目的として行政事務にかかわる共益的な費用を賄うもの、こういう答弁をお聞きいたし、表現が若干違うかもしれませんが、考え方としてはそのように私は受けとめているわけであります。森本局長も一昨日の本委員会における答弁の中で、この電波利用料も広い意味における手数料とも解すことができるというふうにも答弁がされております。
 私がここで質問をいたしたいと思いますのは、国の役務にかかわる行政費用を賄うための料金は、その申請及び検査の手数料と、それから電波利用料もある面においてはよく似たことになるわけでありまして、そういう面からいたしますと、性格は大変似ているのではないかというふうに思えてならないわけであります。一見いたしますと、むしろその申請料は、従来ずっとありました昭和二十五年に設定されたこの申請料というものは、電波利用料に包含されるのではないだろうか、性格的に言いましても。というふうにも解されるわけでありまして、そういう面で両者の費用が実際どのように異なっているのか、特にこの申請から免許までの行政事務にかかわる部分の経費につきまして、この両者の違いというものをひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 足立先生のお話のように、大枠と申しますか、この二つの大ざっぱな性格づけというのは私どもがこれまで御説明をさせていただいておるところでございまして、端的に申せば、利用料というのは、今後不法無線とかあるいは事務の機械化のためにどうしてもやってまいらなきゃならない新しい施策でございますが、この費用の負担は、結局免許人全体の受益を目的に行われる共益的な行政事務費用だという、これはもう先生の御指摘のとおりでございます。現行の免許申請手数料はこれとは異なりまして、免許人が特定の具体的な免許申請を行う、その際の個別に行われる国の役務にかかわる費用を賄うと、こういう性格のものでございますので、まさに一種の実費的な形の性格のものでございます。したがって免許申請手数料というりは、不適当であって免許は差し上げるわけにはいかないというケースのときにもいただかなきゃならない。それが全部がかっていることですから、免許は結果的にパスしてもしなくてもいただかなきゃならない実費でございます。
 そういう意味で基本的な性格が違うわけでございますが、具体的にどういうことかという御指摘がございましたので、これを整理いたしますと、まず共益費に当たります電波利用料、これは先生御案内のとおり総合無線局管理ファイルというもので各般の電波監理行政事務全般に活用しようというものでございまして、例えばデータベースを構築する費用が入ります。データベースというのはコンピューターを使ってやりますので、私どもはコンピューターを購入じゃなくて借料でやってまいろうと思っておりますので、そうするとコンピューターの借料が入ってまいります。それからコンピューターを各地の間で結ぶ通信回線が入ってまいります。そういう意味の回線費といいますか、そういう費用が当然のことながら予定されるわけでございます。
 一方、手数料の方は、さっき申しましたように免許申請事務一件ごとの費用でございますので、現実に今負担をお願いしておりますが、これは一件ごとに要する費用の人件費、それから光熱費等の共通庁費、それから免許状を発行いたしますから、そうした紙代とか印刷代とかそういったぐいのもの、発行費用でございます。具体的にはそういうことでございまして、賄う費用は今申しましたように異なる部分でございまして、二つのものは全く別のものを対象にしておるということを申し上げることができると思います。
○足立良平君 一応今そういう答弁をいただきましたが、考えてみますと、分かれているようであって実際は相当ニアリーイコールといいますか、重なっているような部分が相当強いのではないか。さっき言われましたように、検査の方はちょっと省略いたしますが、申請手数料というのは人件費、光熱費、あるいはまた発行のいわゆる事務費的なものと、こういうことでございますが、人件費とか光熱費的なものは行政費として一般的に解されなきゃならない性格のものだろうと思うんですね。そうしますと、私はちょっとこの点では、この電波利用料が主として二つの、今局長から答弁ありました事務の効率化、コンピューター化の問題とか、それからもう一つは不法無線の取り締まりを中心にしたそういういわゆる電波の秩序を維持していく、こういう二つの面がありますと、不法無線の取り締まりの問題はちょっと別として、この事務の効率化の問題というものと、それから申請手数料の事務的なものというのは私はそういう意味では相当ラップしてくるのではないかというふうに思えてならないわけであります。
 それからもう一つ、これはちょっと後ほど質問をさせていただきたいというふうに思っておりましたが、今局長の答弁にもありましたから、同時に私今ここでお聞きをしておきたいと思いますのは、STARSとの関係なんです。STARSといいますのは、たしかこれは昭和五十五年以降でございますか、電気通信行政情報システムをコンピューター化していこう、機械化していこうというごとで今日までずっと進めてきておるわけですね、約十年近く。しかもそれは平成四年度の予算で見ますと約四億くらい、四億五千万ですかね、予算が既につけられている。そうしますと、この電波利用料で機械化していこう、コンピューター化していって事務を合理化し、そして受益者全体のところにより共益的にやっていこう、こういう考え方と、そして一方では昭和五十五年以降STARSということで、こういう情報化社会に向かって現実的にそのコンピューター化といいますか、そういうものをしていかないと対応することができないではないかという観点で郵政省としては既にやってきているわけですから、そういう面との兼ね合いということになりますと、いささかこれは屋上屋といいますか、ある面ではダブってくる。したがって、そういう面で私が質問をいたしたいと思いますのは、来年度からの新規の監理システム整備計画にこのSTARSというものは吸収されていくことになるのかどうなのか、この点再度お聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 確かに、そういう一見非常に似たもので、二つがあいまいじゃないかという御懸念は大変大事な指摘でございますし、私どももそこが現実に二重になっていたんでは法律の制度として甚だ不備があるということで、この整理については十分きちんとした対応ができるようにこれまでも努力をしてまいりましたし、今後も予算の過程できちっとそこのところが混同あるいは重複したりというふうな格好にはなっていないということを十分説明させていただかなきゃならぬと思っております。
 これは、経過的に言いますと、コンピューターのデータベースの構築というのは平成五年度に一遍にできるものではない。現在ある無線局のデータベース、無線局の諸元を全部こういう新しいシステムに入れ込むという作業におよそ三年ぐらいかかります。その間新しく免許もまた年間百万に近いものがふえていくということで、相当な作業量にはなると思っておるわけでございますが、いずれにしても、完成しました暁には、あらゆるデータベースとしての活用が相当広範囲にできるだろうと思っております。
 ただ、現在このSTARSというものは、電気通信行政情報システムということで、アマチュアとかパーソナル無線とか、無線局全体の中の一部でございますが、それの登録の事務に使っておることは確かでございます。この無線局の対象とかデータ項目が非常に限定されたものになっておりまして、今回予定をいたしております総合ファイルというものをこしらえますときには、さらにいろんな諸元を入れなきゃならないと思っております。したがいまして、今申しますように、新しいシステムができれば将来これに乗り移っていくことは確かでございますが、それまでの間は、このSTARSをなくしてしまうとたちまちあっぷあっぷになってしまいますので継続をする必要性があるわけでございます。
 そこで、そうしたら移るかということなんですが、完全に移るにはまだ新たな、ちょっとややこしくて恐縮でございますが、データベースですからいろんなものに転用できるんですが、これを免許申請事務処理にも活用しようといたしますと、必要なソフトウエアをつくりまして、そのソフトを使ってデータベースを動かして、そして免許事務に活用するということになろうかと思っております。そういう構造でございますので、それができ上がりますまでの間はこのSTARSを使っていかなきゃならない。同時に、そのでき上がる期間を短くしながらできるだけ早いうちにデータベースを構築し、でき上がったらばまた新しいソフトを追加して免許事務に活用できるようにいたしたい、あるいは検査にも活用したい、あるいは監視にも活用したい、こういう構造に相なっているわけでございます。
○足立良平君 わかりました。
 それでは次に質問を進めていきたいと思います。
 この申請手数料の関係でもう少し聞いておきたいと思いますのは、今現在無線局が七百万局、これはさらにどんどんふえていくということが想定されておりますし、郵政省の予測にいたしましても、この申請手数料は現在約八十億円が百数十億円ぐらいに伸びていくだろうというふうに想定がされているようであります。今質問させていただきましたように、この行政監理システムというものは、これは一応STARSの関係もありますけれども、これからコンピューター化して進めていくということになってまいりますと、従来のSTARSだけで機械化していくよりも、この電波利用料のなにによりまして、もちろんソフトの開発とかいろんな新しい仕事がふえますけれども、しかしやっぱり合理化し、効率化していくことは否めない事実だと思います。
 そうしますと、この電波利用料は三年後に必要があれば見直しをしたいというふうに法案ではっきりしています。そうしますと、この申請手数料につきましても、いわゆる事務の部門につきまして三年後の見直しということを考える考え方がありますかどうか、ちょっとこの点についてお聞きをいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺秀央君) 事務的な面は局長からお答えをさせていただきますが、これからいただく手数料を、問題は前段の方の質問ですけれども、今までやってきた政策の中に組み入れるということがあってはならぬ、こういうことだと思います。あくまでも電波利用料は、今共益の中にある利用者に対して、あくまでもそこに使用され、あるいはまたそこに処理されていくということが一番大切なことだと思いますので、新しい制度の出発ですから、私の立場からも、足立先生の御懸念を十分に踏まえて、注意をして予算執行をしていかなきゃならぬというふうに思います。
 今のお尋ねでありますが、手数料を見直すということになるのかということですが、今までもそうだと思いますけれども、免許申請手数料というのは実費の範囲内で今まで刻々と見直してきました。こういった新しい申請手数料という金額の問題につきましては、三年後にその料金全体を見直すという中で、制度はもちろん見直すわけじゃございませんが、料金全体を見直す中でその申請手数料の問題もということはやっぱりその範疇に入ると考えていただいていいのではなかろうか。もちろん減の場合もあるし、増の場合もあるかもわかりませんけれども、しかし見直しという時期は、三年後というセッティングは、大体そういう考え方でお願いをできればというふうに、免許申請手数料ですね、その実態を踏まえながら手数料の見直しも含めて考えていきたいというふうに思います。
 あと、局長から答弁をさせます。
○政府委員(森本哲夫君) 基本の枠組みは大臣から申し上げたとおりでございまして、手数料というのは大体三年ごとに、要するにその設定したときのいろんな経済情勢が変わってまいりますので通例大体三年ごとに見直しているのが一般的でございまして、私どもの手数料もそういう経過を踏んで今日まで来ております。
 ところで、さっき申しましたように、今の手数料は簿冊方式を原則としながらやっておりますのを前提としてコスト計算いたしておりますが、将来今言いましたようなソフトを開発してそちらに乗っかるとすれば、その構造に見合った形での手数料の算定をさせていただこうと。
 ただ、さっきも申しましたように、平成五年から三年かかってデータベースができ上がりますので、この次あたりのときにはまだ現状のままになっている可能性が十分高いのかなとは思いますが、いずれにしても、大臣が申し上げましたように、必要な見直しをその時点その時点でやっていくべき性質のものだろうと考えております。
○足立良平君 それでは、次に登録免許税の関係についてちょっと見解をお伺いいたしたいと思います。
 この登録免許税は、これは件数としては大変に少ない。現在二十二件で約二百二十万円強、このくらいの金額のようでございます。これも郵政省の説明をお聞きいたしておりますと、この免許税というものは免許人の担税力に着目をすると、こんな状況のようでございますので、電波利用料と性格を異にしていくので一応そのまま残していきたいというふうな考え方をされているというふうに一応理解をいたしております。
 それで、ここで私ちょっとお聞きをいたしたいのは、この法案の百三条の二の第一項でございますけれども、登録免許税と電波利用料とのいわゆる併課はしないということに、それは初年度だけですか、一年間だけは併課しない、こういうことに一応なっております。
 ところが、この申請手数料と免許税、これはいずれも電波の利用料とは性格を異にするものでありますが、手数料は利用料とは併課をしている。手数料と利用料は併課する。それから免許税の方は、これは利用料を一年間だけ免除をする。一体どういう考え方でそういう区別をされているのか、ちょっとお聞きをしておきたい、このように思います。
 それから、同じくこの関係でございますが、これは大変古い話で恐縮でございますが、昭和四十二年五月二十五日、これは参議院の逓信委員会でございます。この逓信委員会で登録免許税の問題について議論をされた。議事録を私ずっと拝見いたしました。この議事録を見ますと、なるべく課税をするのは絞っていきたいということで今日の二十二件くらいになっているわけでございますが、その中身をずっと読んでおりますと、将来電波使用料を徴収することとなった場合には登録免許税は廃止することを考える余地があるというふうな、当時郵政大臣は小林さんでございますけれども、その趣旨の答弁がされているわけでございます。そういう面で、これはむしろ郵政省の物の考え方、あるいはまた逓信委員会としても、むしろそれは将来の変化というものを十分に考えるべきではないかというふうないろんな議論をされた上での答弁でございますから、これは単に郵政省だけでなしに、逓信委員会としても大体そういうふうな物の考え方をされていたのではないか、このように私はこの議事録を読んでおりまして実は理解をいたしております。
 したがって、課税当局の大蔵省といかなる交渉経過を踏まえて今回のこのような提案の結論になったのか、この点をちょっとお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 電波利用料とそれから免許申請手数料との関係については、別の経費を対象にするということですから、併課というよりは別のものにそれぞれ負担をお願いする。ちょっと平たく言えば、学校の入学試験の受験料が免許申請手数料とすれば、入ってからの学費が利用料みたいな感覚で、両者は全然別のことだと、大変どうも不正確な例えで恐縮でございますが、別のものだということをまず申し上げたいために申し上げたわけでございます。
 お示しの登録免許税といいますものは、これは電波法に限らないわけですが、財産権の創設等の登記あるいは登録、あるいは国の行う事業免許、こういうものについて登録免許税が課せられるわけでございますが、これはそうした登録とか免許とかによってその事業者が持っております税に対する負担能力、担税力に着目して課せられるということに相なっております。
 ただ、国が登録とか免許とかをいたします際に登録免許税を取ると同時にまた手数料も取るということについては、いわば免許人にとっては二つの負担が同時に行われるということになりますので、これは従前からいろいろ議論があったようでございますが、昭和四十二年の閣議決定において、登録免許税が課せられる場合には原則として手数料を課さないという政策が決められたわけでございます。私どもも、こういう原則に従いまして現在の電波関係の手数料についてもお返しをするという構造になっておるわけです、手数料の方は。利用料の方も同じ考え方で、その際は初年度の利用料はいただかない、納付をしなくてよろしい、こういうのが法律のお示しの条文に書いてあるわけでございます。
 もう一つのお尋ね、先生に御指摘いただきまして私どもきのう夜中にこの逓信委員会の議事録を読ませていただきました。参議院逓信委員会で当時、放送事業者から一定の電波使用料を徴収することの議論が行われていたようでございます。これは使用料と言っておりますが、その場合、そういうものをつくるかどうかというのは当然いろいろ議論があったようでございますが、つくった場合には登録免許税を廃止するということについて御質問がありまして、確かに小林大臣は、放送法、電波法の改正の際に再考するという答弁をいたしております。
 ただ、ここで言います当時の電波使用料というものの詳細が、きのうも大分書類もひっくり返してみたんですが中身がよくわかりません。一種税金に類似するものではないかと想定される部面、そういう検討をしていたのではないかということもうかがえるのでございますが、臨時放送法制調査会というところでは、当時こういうものは取ることを適当としないということもあったようでございます。いずれにしても将来議論をしようということの議論があったことは確かですが、時期を同じゅうして、四十二年以降は今申しました整理で、手数料とそれからこうした登録免許税の関係はただいま申したような形で、負担をする側の事情も考慮すれば手数料部分は取らないことにしていこうというのでこれまでずっと来ておるわけでございまして、今回の利用料についてもそういう構成に従ったところでございます。
○足立良平君 ちょっとはっきり理解しにくいんですが、まあ一応これはここまでにしておきましょう。使用料というちょっと名称は違いますけれども、私の読み方が間違っているかもしれませんが、現在の電波利用料の物の考え方と使用料、相当似通った議論ではないかなという感じを私は受けておりましたので、また改めての問題にさせていただきたいと思います。
 それで、次に進めさせていただきたいと思うんですが、これは一昨日の議論の中にも少し出ておりまして、ダブってまことに恐縮でございますが、電波監理行政の課題としまして、いわゆる行政事務の簡素化、あるいはまた電波利用環境の確保の問題、あるいはまた周波数需要への対応の問題、いろんな今日の一層重要な課題がある。そして今回の電波利用料というのは、今申しましたいわゆる行政事務の簡素化の問題と電波利用環境の確保をしていこうというこの二つの考え方に収れんされてきている。そういたしますと、これは一昨日吉岡委員の方から提起をされたかと思いますけれども、三年間で大体双方百二十億ずつ、合計二百四十億。一体どういうふうな電波監視及び監理システムを整備していくのかということでございます。
 これはちょっと私の聞き違いであったのかもしれませんが、局長の答弁を聞いておりましたら、監視車ですか、車を数台だけふやすんだというふうな感じに私受けとめたものですから、現実的に三年間で約百二十億程度のお金をつぎ込んで監視システムというのをきちんとしていこう、こういう考え方と私は理解しているんですが、車数台だけといったらちょっとどうなっているのと、こんな感じも受けますので、その辺のもう少し具体的な内容を端的にひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 監視にはどうしても電波を広く監視するための固定監視施設という一種のタワーみたいなものが必要でございますが、これは札幌とか仙台とか東京とか主要都市を中心に十四カ所ございますが、監視の可能な範囲といいますのは大体二、三十キロ程度でございます。特に、各種の電子機器、ハイテク機能を用いまして、不法電波の発射源がどこかということが画面に出てくる遠隔方位測定施設というのがございますのですが、それを備えておりますのは残念なことに東京、大阪、福岡だけでございまして、あとは方位測定機能がない固定施設になってございます。
 実は、不法無線の摘発の際は、こういう固定監視施設の機能を十分発揮して、ある程度エリアが定まったところで、そこへ監視車を出動させて具体的な所在を突きとめる、こういうことにいたすわけでございますが、現在電波監視車は全国で四十台、これはせんだっても申し上げたわけでございますが、この車もまた今申しました固定監視と同じように中身に精粗がございまして、不法電波の発射源の地点を画面上に表示する測定性能が入っているのは二台だけでございまして、あとの三十八台はいわば普通の車でございまして、いざというときに必要な機器を搭載しまして出かける、こういうシステムでございます。
 そこで、私どもとしては、こういう状況でございますので、全体として一期三年、これを三期で全体の監視施設をぜひ整えたいと思っておりますが、当面一期におきましては、さっき申し上げました固定監視施設が不十分でございますので、これについて政令指定都市の大部分、現在三カ所と言いましたが、さらにそれを含めまして札幌、東京、横浜、川崎、千葉、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡、全部含めまして常時間定監視が可能なような形のまず固定施設をつくりたい。同時に、今周波数は限度がございます。高い方の周波数は今見れていないものでございますので、その周波数をうんと膨らませる。そういたしますと、現在大体四キロから五キロの誤差のところを、こういう格好にいたしますと大体一キロ範囲以下には絞られるんじゃないか、こう思っております。
 そこで、あとこの情報をもとにいわゆる監視車が出動をするわけでございますが、さっき申しましたように高度の機能を持つものは二台でございますが、これを全体十二台ふやしまして十四台にいたしたい。その他の部分は従前のような形にしますが、これもうんと機器の性能を上げたい。
 何で全部やらないのかという御疑問もあろうかと思うのでございますが、全車が常時ああいうどでかいものをつけて走り回っていると不法発信者に探査しているということが感づかれることもございますので、そうしたすべてがすべてこういう形を要求しないということもございます。結果的に六台ふえるわけですが、中身がごろっと変わって高性能のものに配備がえされるわけで、一期三年で当面そこまでぜひこぎつけたい、こう思っておるわけでございます。
○足立良平君 それでは、行政の簡素化の問題についてもう少し質問いたしておきたいと思います。
 今回の電波利用料で機械化していこうということで効率化をねらっているわけでありますが、これは単にそういう面だけにとどまらずに、行政そのものの簡素化の問題あるいは規制緩和、そういうことも一方では進めていかないと、電波行政というのも本当にどんどんと肥大化するばかりになってしまうということであろうと思います。事実、森本局長の答弁をずっとお聞きいたしておりましても、免許を不要とする局数の拡大あるいは申請書類の簡素化等を進めてきた、このように既に答弁をされておりますし、私はそれは大変必要なことだろう、このように理解をいたしております。ただ、例えば定期検査周期についても私は見直しをしていく必要が現実的に出てきているのではないか、このように実は思っているわけであります。
 これは電波法の七十三条の一項でございましたが、無線設備あるいは無線従事者の資格及び員数、これを検査することになっているわけでございますが、この時期といたしまして、固定局の中枢局あるいはCS3利用の衛星地球局は一年になっている。その他の固定局あるいはまた移動局につきましては五年、これは無線局の定期検査規則にそれが載っているようでございます。もう一度申しますと、固定局の中枢局あるいはCS3利用の衛星地球局は一年になっています。その他の固定局なり移動局は五年になっております。こういう違いが実は現実的に出てきている。これは技術がまだそんなに進歩していない状況の中では、私はそういうこともある程度必要なのかもしれないと思うんですが、技術の進展に伴いまして無線設備の性能というのは今日大変に安定化をしてきている。それから、無線従事者の資格あるいはまた人間の数等は書類提出によりまして確認することはもう現実的に可能でございます。
 そういうふうなことを考えてみると、点検周期が一年の局につきましては、他の局と同じように例えば五年に延ばすというふうなことも技術的にもあるいはまた実際問題としても可能ではないか、このように思うんですが、郵政省としての考え方をお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 無線というものの性格上、電波を発射するについては、原則として免許という格好でまず皆がこういう局の存在をわかり合う、そして使う機器についても一定の時期に狂いかないか、間違いない周波数を発出しているかということはどうしても原則的には必要でございますが、おっしゃるような形でできるだけ、そうはいっても緩和できるものは緩和してまいろうということでございます。
 特に、おっしゃるように最近の機器の進歩というのは大変目覚ましいものもございまして、信頼性の向上という形で、余り期間がたっても従前と違ってそう大きな変動を来さないという実態もございますので、こうした視点で私ども定期検査の期間の延長について現在検討に入っております。
 具体的に申しますれば、地球局については、一部の例外を除きまして五年に一遍、今は一年に一遍にしておりますが、五年に一遍の検査で足りるということにさせていただこう、こういうふうに考えております。もちろん、すべての無線局をこういうことにいたしますと問題でございますので、例えば電気通信業務の中枢となる機関に設置されるような、あるいは無線通信回線の統制機能を有するものにつきましては、これはやっぱり十分な対応が必要だと思いますが、今申しましたような地球局についてはひとつそういう格好で対応してまいりたい、できれば年内にでも目途にいたしたいと思っております。
○足立良平君 それは大変ありがたい答弁をいただきました。そういう面で積極的に行政の簡素化、規制緩和の方向に向かってひとつ検討を進めていただきたい、このように思います。
 それから、これもちょっと一昨日の議論と少しダブっているのかもしれませんが、国からの電波利用料を徴収しない問題についてであります。
 これは、大蔵省の方から出席されました答弁をお聞きいたしますと、二つの理由がある。一つは財政の観点から、これは同じことだからやめておきましょう、事務処理がふえますからやめておきます、この二つになっているわけですが、考え方としては、国の本来課されるはずの経費というのは約四億円程度あるんだというふうにもお聞きをいたしておりますから、そうすると、これはむしろ免除されるというよりも、郵政省として、国としてまた別途十分考えておりますよ、あるいは負担しておりますよ、こういう答弁をずっと郵政省として今日までされておりますね。結局、利用料にかわる措置として国として新たにいかなる費用の負担というものをすることになっているのか、その点少しお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(森本哲夫君) 先生お話しのように、国は負担しないということについてはそういう整理をしてやってまいりました。国としても各般の行政経費を負担するということで公平は欠かないと思っておるわけでありますが、これは結局平成五年度の話になりますので、平成五年度の予算をどう立てるかということになりますと、今まだこういうことだということを具体的な積算まで、これこれからの作業になりますので、申し上げる段階にまだなっていないわけです。ただ一般的に申して、国が負担すべき部分については、先生御案内のとおり、人件費であるとか経常経費のほかに、例えば国際分担金とか国際協力に関する必要な経費だとか、あるいはさっきのお話のSTARSとかにかかわる経費だとか、あるいは宇宙通信の新しい対策のための経費だとか、各般のお金が必要になろうかと思っておりますので、具体的には平成五年度の予算編成に向けて確定をさせていきたいと思っております。
○足立良平君 もう残り時間少ないので、簡単に二点だけ一括して質問しておきまして、答弁願いたいと思います。
 一つは国際放送との関係なんですが、先ほどちょっと聞きましたように、国の分については、来年度以降の問題だけれども一応進めていく、負担をしていくということでございます。そうしますと、例えば国際放送、私も本委員会で今まで提起をしてまいりましたけれども、この国際放送というのはこれからの日本の国家戦略として大変に必要だろうというふうに思います。したがってそういう面では、これを国の費用として位置づけをしていく必要があるのではないか。結局今NHKに委託をいたしていますけれども、国際放送の経費というのは約八十六億強、約百億弱。国から交付しておりますのは約十六億四千万強ということですね。相当NHKとしてはこれは負担を強いられでいるわけです。ある面においては国際放送というのは丸々国が持っていてもいいものですから、国が持ってもいいものというのは、先ほどちょっと質問いたしましたように、これは免除といいますか、国のぐるぐると回した中での経費として考えていくべき性格のものではないか、私は実はこう思うんです。
 概算いたしますと、NHKの国際放送相当分の利用料というのは、どういう見方をすればいいのかわかりませんが、約二十四万円くらいですから金額的には大した金額じゃございません。大した金額じゃございませんけれども、物の考え方として、国際放送の必要性というもの、国家戦略としてどうしても必要だ。しかもこれは国が負担すべきもの、こういう概念からすると、国の各省庁が全部負担するのをほとんど免除しているのと同じ物の考え方で見ないとこの部分はちょっとおかしいのではないか、金額の問題は別です。物の考え方としてそんなふうに思うんですが、郵政省の考え方をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
 それからもう一点、ちょっと時間ございませんが、周波数逼迫への対応なんですが、当初の郵政省の考え方と大蔵省の考え方は今変わってきた。その考え方は、今後十年間で四百七十億程度、一年間約五十億程度投入をして、そして周波数の開発について研究していこうというふうに郵政省は考えていた。それが大蔵省との交渉の結果、一般予算等の中でそれは一応やっていこう、こういうことになっているわけですが、考えてみると、今までの通信総合研究所の研究費というのは、これは予算で約二十五億円程度なんです。従来の電波利用料で郵政省として考えておったのは年間五十億程度ですね。倍以上実はこれから周波数の開発費用というのは要ることになっているわけです。現実的に郵政省として本当に必要だというふうに今まで考えて進めてきたやつがぽしゃっているわけですから、それでは具体的に一体どういうふうにしてこれから新しい周波数の開発というものを進めていこうとされているのか、ちょっとその点をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺秀央君) 前段のNHKの国際放送の問題は、まさに御心配をいただいているところでございまして、国際放送の役割あるいはまた国家的な見地から、国際化が進んでいる今日の世界的な状況の中で、これはもうNHKの負担、いわゆる聴視者負担ということだけで賄っていいものであるかということは、今日までの質問の中でも、行く行くはこれはもう少し国家として、国としての財政の中から協力をし、あるいはまた補助をしていかなきゃいかぬ。かといって大事なことは、NHKの言論あるいはまた公平な放送等、そういうものが阻害されることであってもならないという観点をきちんと明確にしながら、これはしっかり踏まえていかなきゃならぬことだと思っておりますし、今日まで答弁をしてきたところでございます。
 さて、この問題におけるいわゆる電波の利用料という問題は、国の免除いたしております災害という観点からと、NHKの国際放送を放送をお願いするという無線開設という観点からしますと、放送ということと災害救助、あるいはまた生命の安全、財産の保全というようなことを考えていくのとは、若干やっぱり違う角度でこれはお願いせざるを得ないのではないかというふうに思いまして、共益者負担、受益者負担という観点からしますと、この特殊法人というNHKにおいてもこれはひとつぜひ、たとえ聴視者一人当たりの金額がいかほどであっても、これは金額が低いからいいという安易な考えでなくて、公平の原則からここはひとつお許しをいただき、御理解をいただかなきゃいかぬのではないか。しかも、今回の利用料の減免の対象となっている無線局、私先ほど申し上げたそういう防災、災害、人命にかかわる問題等々考えますと、これは別問題ということで御理解をいただきたい。
 もう一つ、ちょっと時間がないので粗雑で恐縮でございますが、この一般財源にかかわる問題は非常に大事なところでございますので、ある意味では記録にとどめておくことが大切だと思いますので、私から答弁をさせておいていただきますが、これは実は昨年の暮れの予算折衝の段階で、電波利用料という問題は大臣折衝に持ち込まれたわけです。言うならば受益者負担、そして有限で、しかも国民共有の財産である。いわば国の財産、国有財産。国有財産だから利用するものは勝手に利用せいと言ったら、例えば土地の問題でも、国有財産の土地をみんなが勝手に利用し合ったら、これは国の財産もたない。しかも今日の不法電波、あるいはまたこれからの電波の増設といいましょうか、ふえていく。開局自身が五千万局という方向を考えてみましても、この問題は、ひとつお互いにそれを大事にする、監理する。二十一世紀に残していく、子供たちや孫たちに大事にこの電波、高度情報時代というものの電波というものの大切さを考え、あるいはまた大切に使用していき、みんながこれを監理し合っていくということでこれはいいですねと、利用料をいただくことは。
 しかし、問題は今おっしゃった開発に関して、電波資源の開発は、これは今後の国民あるいはこれから国民全体が受ける益である。これは国民からいただいてきている一般財源の中からひとつ電波の開発、あるいはまた資源に関しての研究開発費は大蔵省として考えてもらおうというところなんでありまして、そこで私は、ああそうですかとだけではなくて、なるほどそれは一つの理屈ですから、財政上の立場もこの間、寺澤君が言ったとおりですけれども、私はさらに、それならば、我が郵政省の予算は一年間で一般財源三百億ですよと、この電波の資源にかかわる費用だけでも三百億いくかもわからない、それは一般財源できちんと将来考えてもらうということをこの場においてひとつ私からきちんと要求をしておくし、あるいは大蔵当局に対して私の立場から発言をしておく。今後の郵政行政を進める上で、放送行政、通信行政を進める上において極めて大事な問題だとして、大蔵大臣、あるいは主計局の諸君たち、あるいは御案内のとおり与党の政策最高責任者という中で私はそういうことをきちんと実は申し上げた。これは記録にとどめてあるかどうか向こうはわかりません。したがって私はこの議会の記録にとどめておかなきゃならぬ、こう思いまして、御懸念もございましたので、あえて発言をさせていただき、御了察を賜りたい、こう思うわけであります。
○足立良平君 終わります。
○下村泰君 今国会の会期も延長がなければこの委員会も果たして今後開かれるかどうか懸念されるわけですけれども、そこできょうは、電波法、放送法全体の視点から、私がこだわり続けてまいりました字幕放送の拡大という問題についての今国会のまとめと整理、そして次につながる質問をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず字幕放送の持つ意義ですね、それから重要性、必要性をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、認識なんという言葉がありますが、認識なんという言葉よりも、当局側がどういうふうにお考えになっているのか、厚生省、通産省そして郵政省、大臣は後でいろいろと聞かせていただきますので、それぞれ事務当局の御見解を聞かせていただぎたいと思います。
○説明員(松尾武昌君) 聴覚障害者の方々が日常生活や社会生活を営んでいく上で最も必要なことは、さまざまな情報を適切に入手できることであると思います。そういう意味で、テレビの字幕放送事業については、郵政省において推進していただいておりますが、聴覚障害者がテレビ番組を楽しむことができ、また情報をリアルタイムで入手できるものであることから、非常に大事なことであると認識しております。
○説明員(青柳桂一君) テレビ放送につきましては、言うまでもないことでございますが、ニュース等の情報番組とかあるいは娯楽番組等々、多くの番組を視聴者に提供するものでございまして、今やさまざまなメディアの中でも極めて重要な役割を果たしているものと思っているわけでございます。
 このような状況の中で、聴覚障害者の方々もこのようなメディアを不自由とすることなく利用する上におきまして、字幕放送というのは極めて重要な役割を果たしているものであるというふうに認識いたしております。
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 テレビジョン放送が国民生活に密着したメディアとして社会生活に大きな役割を果たしている今日では、字幕放送は聴覚障害者にとりまして、番組の内容をよく理解したり、よく楽しんでいただく上で必要不可欠なものだというふうに考えておりまして、そういう意味で考えますと、現実には十分に字幕放送が行われていない状況でございますので、聴覚障害者がテレビジョン放送の効用を十分に享受できるような施策を展開する必要があるというふうに考えまして、この点につきましては常々大臣から御指導を受けているところでございます。
○下村泰君 今、厚生省と通産省ですか、お話を聞いていると、言葉の上ではもうすばらしい。聞いているだけではもう聴覚障害者の方が何ら支障なく文字放送が見られているというふうに聞こえるんですよね。
 ところが、以前、郵便法が日本で最も古い差別禁止法の一つであるということを私は申し上げたことがあるんです。聴覚に障害があるというだけで、聞こえる人との間に違いや差別があってはならないという思いがいつでもするんですけれども、差別という言葉を使うとオーバーだと言われる方がいらっしゃるかもわかりません。でもその認識が他人事であって、自分のことではないから物事の進展を遅々としておくらせるということになっているんじゃないかと思うんですよ。
 今そこに座っていらっしゃる皆さん、全部で八人ばかりいるけれども、もし皆さん自身が今から途端に聞こえなくなったということを想像したことありますか、日常生活の中で。私はよくそういうことを思うんですよ。今聞こえなくなった、自分でこうやって両方の耳を押さえるんですよ。音量が大きいと漏れて聞こえることありますけれども、全然聞こえなくなることがある。あるいはテレビなんか見ていて音量を全くゼロにする、恒言っているからっともわからない。そういうものを見ながら、もしこんな状態になったら私はどんなふうになるかなというふうなことを考えながらよく見ることがあります。
 そう考えますと、これ理屈で考えている場合じゃないと思うんですよ。私は単純に物事を考える人間ですから、とにかくもっともっと拡充されるために、今考えられることできることを次々にやってみることが一番大事だと思うんです。いろんな理由がありましょう。でもその一つ一つを克服していかなかったら前へちっとも進まない。大臣どういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(渡辺秀央君) 常々下村先生からはこの障害者の皆さん方に対する、本当に私どもがおしかりをいただく中でも心温まる御指導をいただいてまいりまして、郵政省といたしましては、今日のこの障害者の皆さん方に対する施策はむしろ下村哲学が基盤であるというぐらいに本当に敬意を表しながら、全くそういうことで取り組み、できるだけの努力をいたしてきたつもりでございます。政治家としても、私は政治の中で一番大切なことは、恵まれない人たちのために政治がどういう役割を果たせるかというとこみが政治家として一番大切な視点であるというふうにもかつてこの場で申し上げたところでございます。
 そういう観点からも、きょう先生からのこの字幕放送の問題について再度また御指摘をいただいているわけでありますが、本年の七月中旬に視聴覚障害者向け放送番組等の制作・流通に関する調査研究会というのを小野沢行政局長のもとに設置をいたしまして、これはもう予算措置をいたしたわけでありますから、諸課題と解決方策について多角的な調査研究を実施いたしたいと思っているところでございます。
 この研究会の成果は来年の三月までに、もっと早くやれとおっしゃるかもわかりませんけれども、これは将来に向けての政策を考えていくわけでありますから、余り急ぐがために粗雑であってもいけませんので、来年の三月に結論を出しまして、平成六年の概算要求に向けたいわゆる魂づくりというか、哲学をつくる、政策をつくる。その間ただ手をこまねいているというのではなくて、御指摘いただき、御指導いただいている諸課題についての問題解決のための努力は行っていくことはお約束をいたしていきたいと思いますけれども、この研究会の成果を各種の政策に活用していきたいと思っております。
 それから、字幕放送、文字放送の実施計画について、各放送事業者から近く実施計画をどういうふうにやっていくか、あるいはやる考えですかということをひとつ放送行政局長のもとで聴取をしていただこうと思っています。これはNHKだけが努力をしているということであってはいけません。まさに今日マスコミの方が権力の大なるものがありますけれども、しかし放送電波を管理する役所といたしましては、そういう政治、経済の責任ある立場から、行政の立場から各放送局を、ひとつこれらの問題に取り組んでいる実態を把握させていただく、そして促進方、指導を行ってまいりたいと思っているところでございますので、御理解を賜りたい。一生懸命にやっていきたいと思います。
○下村泰君 いろいろとありがとうございました。
 私がここで言う聴覚に障害のある方というのは、何も障害者手帳を持った方々だけではないんですね。老人性の難聴の方々も含めるわけです。
 そうしますと、これはほかの役所の方々も来ていらっしゃるので聞いていただきたいんですが、今大体六百万といいますけれども、これ二〇一〇年になりますと四人に一人が六十五歳以上になりますでしょう。そういう状態になったら六百万どころの騒ぎじゃないですよね。老人性で聞こえなくなる人も含めれば一千万近くなりますよ。そうしますと、この聴覚障害者に対するそういった放送もあだやおろそかにはできなくなるわけですね。ここにこんな文章があるんですよ。
 一九九X年一月。正月の三が日のテレビ放送に
 すべての番組に字幕が付いた。全国の茶の間で
 耳が遠くなったお年寄りや病気などで聴力が減
 返した難聴者や中途失聴者が家族と一緒に、新
 年を祝う各地の行事に見入り、その来る年を論
 じる座談会を聞き、お笑いタレントの軽妙な駄
 じゃれに涙を流すほど笑いころげている。画面
 の映像や出演者のプロフィールを題材に家族と
 の団らんにも花が咲いている。これは夢物語なんです、あくまでも希望なんです、この文章はね。けれども、私、これわからないことはないと思うんです。
 例えば文字を出しますわね。文字を出したときに、いわゆる漫才で言う突っ込みと落としですわね。突っ込みと落としを一遍に字を出されたら、これはおもしろくも何ともありませんけれども、突っ込んでいる言葉が出て、落とす言葉が出れば、これはやっぱり笑えるわけですよね。ですから、晴眼者、目の見える方が落語の本を読む。これは順序よく正しく読んでいけば、言葉が活字になっていても結構落としへくれば笑えるものなんですよね。それが調子よく突っ込みがぼんと出た、言葉が出た、受ける言葉の落としかぽんと出たとすればやはり笑えるわけなんです。ですから、この人の書かれた文章というのは、私は物すごく感覚的にわかるんです。
 もう一つ、ちょっとこれは長くなりますが、御辛抱願いたいと思います。
 字幕のついたテレビドラマやクイズを、継続し
 て視聴することは、知らず知らずの間に受け
 る、またとない国語教育の場ではないだろう
 か。
  これは、健聴児の話であるが、いまの幼児は、
 一〜三歳のころから、「1」「3」「4」「6」「8」
 「10」「12」の数字から覚えていくという(東京
 の場合)。東京にお住まいの方であれば、すぐお
 気付きになるであろう。
  これはテレビのチャンネルの数である。いま
 の子供は、乳幼児のころからテレビのとりこに
 なっているので、チャンネルの数字をすぐ覚え
 てしまうらしい。
  また、こんな話も幼稚園の先生に聞いたこと
 がある。「うちの園の子は、「湖」のような難し
 い字を読めるんです。ですけれど、だれも「み
 ずうみ」とか「こ」とは読めず、「うみ」と読むんですよ」
  もう四〜五年前のことになろうか。大相撲で
 「湖」の漢字のつく、ある横綱が連勝を続けてい
 たころのことである。
  これらの数字や漢字は、幼稚園の先生や両親
 が教えたわけではない。テレビの教育番組で、
 数・文字の教育として扱ったものでもない。幼
 児が、テレビから、知らず知らずのうちに学ん
 でいったのである。こういう文章もあります。
 言語の習得において、このような影響はばかに
 ならない。健聴の子供たちは、このようにして
 学校外でいろいろな言葉を覚えてく。
  この面でも、聴力障害者は長い間、置き去り
 にされていたのである。今度はある学校の先生のお話ですが、
 聾学校の高等部の野球部が、普通高校の野球部
 と初めて試合をした時のことである。
  接戦が続く中で、相手の普通校のベンチから
 は盛んなやじが飛ぶ。聾学校側のピッチャーが
 一球投げる度に、バッターが打席に立つ度に普
 通高校側のベンチは、やじでわきかえるようで
 ある。聾学校の生徒に、やじはそのまま伝わら
 ないが、その雰囲気はわかるであろう。しかし、
 聾学校側のベンチは、シーンとしたままであっ
 た。そのせいでもないであううが、試合も少々
 押されぎみである。
  じれったくなった聾学校チームの監督(健聴
 者)は、部員に向かって、「おまえたちも、ヤジ
 れ!ヤジれ!」と、となった。
  しかし、聾学校のベンチはシーンとしたまま
 である。実は、生徒たちには、ヤジるとはどう
 いうことか、わからないのである。
  聾学校での経験の浅い監督先生には、このご
 とがわからない。再び「おまえたち、相手に負
 けないようにしっかりヤジれ!ヤジれ!」と手話、指文字、口話など、できることすべてを動員して、生徒たちを励ました。
  しばらく考えていた部員たちは、相手のバツ
 ターに向けて大声で「やじ!やじ!」と、どな
 っだそうである。
  聴力障害者は、常識に欠けているといわれる
 ことがある。それは、このように子供のころか
 ら、ひとりでに耳に入ってきて、知識となって
 いる「常識」が、聴力障害者には耳から入って
 こないからである。
  こんな日常の些細なことが、大人になってか
 ら、大きな欠点とみなされてしまうこともあろ
 う。ちょっと長くなりましたが、こういうのもございます。
 ですから、大臣、政治改革だ、やれPKOだとテレビを通じてやりましても、そのやりとりを肌で感じることができない人々が多いわけですよね。そうしますと、今もう口角泡を飛ばして一生懸命やっていますわ。でもそれは全然感じないんですよね、そういうことを。ですから、こういう立場にいる人たちにこそ感じさせるようにせにゃいかぬわけでしょう。
 アメリカのABCのジュリア・バーナーという方が、利潤ベースの放送なのに、マイノリティーザービスですから障害者ですね、向けのサービスをしておるわけです。取り組む理由を聞かれたときに、ライセンスを受け放送を出すというのは責任の重いこと。傷害があろうとなかろうと、一人でも多くの視聴者に責任を果たさなければならないんだと言われたそうです。要約者の問題、コストの問題、機器の開発の問題、時間の問題、免許の問題とそれはいろいろありますわ。私が取材した限り、本当に阻害しているというのは何だろうかとよく考えてみますと、本気になってやろうとする気持ちがあるかないかなんですよね。それは皆さんお役所の方たちだからお役人としての対応の仕方をしていらっしゃる。だけれども、今申し上げたように目が急に見えなくなる、あるいは耳が聞こえなくなるというような状態を想像したら、その人たちのために一時間でも、それこそ一秒でも早くそういう方たちの心安かれという方法をとるのが私は行政の立場にある人間のあれじゃないかと思うんですが、本気にやるかやらないか、これが問題だと思います。
 大臣、問題点を挙げますと、即アメリカ並みに全部やれなんてそれは無理です、感覚が違いますから。でも二、三年あれば、あとはやる気があれば飛躍的に番組はふやせると私は信じております。もう一度この問題について大臣の姿勢を伺わせていただきたいと思いますけれども、私は今やめてほしくない大臣が二人いるんです。一人は渡辺郵政大臣、いま一人はここで名前ははばかりますが、大臣がいらっしゃる間に、交代されるまでに何とかめどつけてほしいんですね。やっぱり大臣になる方も人ですから、人によってはこういうことに全然興味を示さない方もいらっしゃるんですよ。私はもう十五年もここにおりますから、いろんな方にお会いしましたけれども、いろんな方がいますよ。口先だけでおしまいにしちゃう方もいます。こちらからお願いに行くと逃げて歩く大臣もいます。そういうことなんで、ひとつここで大臣の本当に決意を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺秀央君) ありがとうございます。しかし、これいつ改造になるかわかりませんので、しかし、任期の限りとにもかくにも先生からいただきました御指導を一歩でも具体化していく方向をつけていくべく努力をいたしたいと思います。
 その一つは、先ほど申し上げた研究会、放送行政局長のもとにおける研究会において、まさに今の先生のその御発言を私はこの場で局長にも命じたいと思いますけれども、そっくりこの研究会で御披露をしてもらおうと思いますね。本当にすばらしい先生の御発言であり、あるいはまた今の野球のお話などは全く胸が痛い思いでお聞きをいたして太りました、
 ただ、政治というのは確かに口先だけのことではありませんので、これをどういうふうに予算化するかということが何といっても一番大事なことです。その予算も御案内のとおり、まあこれははっきり申し上げて、健康な人たちが恵まれない人たちのために結果的には負担増というか、そうなるわけでありますから、そこのところも踏まえながら、バランスのある、しかも思いやりのある、そして着実に前進していく、途中でへたってやめるようなことにならぬような、そういう政策にしていかなきゃいかぬ問題だと思うんです。
 そういう意味で、我が郵政省としては、本当に私はほかの省庁に劣ることのない非常な努力を職員の諸君たちがよくやっていただいていると思いますので、私は責任者としてこの精神を今後とも引き続いて大事に育てながら、そして郵政省、郵政マンの諸君たち、あるいはまた郵政省と関係する機関の皆さんに至るまで、こういった福祉、あるいはまた恵まれない障害者の皆さんに対して、あるいはまた老人の皆さんに対してやれる施策を、ぜひ前向きに前進をしていくための努力をしていただく、そんな出発に、きょうは電波法を決めていただく上に当たりまして、なお決意を新たにいたしているところでございます。
○下村泰君 常任委員会もテレビカメラを置いて広く国民の皆様に見てもらうというような話が出ているそうですけれども、実際今のお話をテレビカメラを通じて全国の障害者の皆さんが聞いたら、源流して喜びますよ、本当に。これはお世辞でも何でもありません。人の心を打つか打たないかというのは、その人の心情が相手の心を打つか打たないかですからね。ただ単に活字のみ上っ面で幾ら美辞麗句を並べて読まれたってだめなんですよ。言葉が少なくても心を打つ言葉というのは幾らもあります。ですから、今のような言葉を障害者の皆さんが聞いたら本当に喜ぶと思います。
 文部省に伺います。
 ビデオに字幕を入れる場合、著作権の問題で一本一本許諾を取ってやらなきゃならないわけです。盲人の点字図書館などは特例で自由に点訳や録音ができるという著作権法の三十七条の規定があるわけですが、字幕ビデオはそれができない。字幕ビデオライブラリーという、聴覚障害の方々のためにそういった公共施設できちんとやればできると私は思うんですが、ここ七、八年、文教委員会でも取り上げてきたんですけれども、その後幾らかよくなっているようですが、現状はどうでしょうか。
○説明員(伊勢呂裕史君) お答えいたします。
 映画やテレビ番組などで字幕を挿入したビデオを作成する場合は、基本的にはせりふを要約なり省略することになりますので、著作者人格権であります同一性保持権が働きまして、あわせて原作とか脚本の保護案件というのが働くわけです。また、映画の著作物の複製権が働くなどの権利が働きまして、著作権者などの許諾を得なければならないというふうにされておるわけでございます。
 しかしながら、聴覚障害者のための字幕ビデオの作成につきましては、聴覚障害者の情報入手の充実なり必要性と著作権者などの権利保護との調和を図る観点から、この許諾手続を簡易、迅速なものとするよう、昭和六十二年以来、社会福祉法人の聴力障害者情報文化センターが字幕ビデオライブラリー共同機構を組織いたしまして、聴覚障害者側の窓口となり、各権利者と包括的な契約を締結してきております。
 この間、文化庁といたしましても権利者側を適宜指導してまいりましたが、その結果、同センターが、放送局、映画会社にはマスターテープのコピー代程度の実費で、それから脚本家などの権利者には非常に低廉な使用料を支払うということによりまして、障害者の希望にこたえ、貸し出し用の字幕ビデオ作成、提供をすることができるようになったというふうに聞いております。
 この字幕ビデオライブラリーの共同機構には現在四十八県市が参加いたしておりまして、これが昭和六十二年は四県市でございましたもので、相当ふえてきておるわけですが、各県市に一カ所ずつ地方ライブラリー機関を置いておると聞いております。現在字幕ビデオライブラリー共同機構では年間百二十作品程度の字幕ビデオを作成しておりまして、現在までのところ累計六百作品以上に上る作品について提供をしておるというふうに聞いております。
 なお、放送局以外の番組制作者につきましては、一部実施されているものの、まだ全体のルールができておりませんので、文化庁といたしましては全体の適切なルールの早期形成に向けて関係者を指導してまいりたいというふうに思っております。
 また、字幕ビデオライブラリー共同機構の方に聞きましたところ、聴覚障害者の要望に適切にこたえるために、専門能力を持った字幕の要約者の育成に努めていると聞いておりまして、それによって聴覚障害者が適正な字幕ビデオを十分利用できるようになることを期待しておる次第でございます。
○委員長(粕谷照美君) 速記をちょっととめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(粕谷照美君) 速記を始めてください。
○下村泰君 少しは何か前よりはよくなったような気がするんですけれども、まだ何か根本的な解決にはなっていない気がするんです。文部省さん結構です。
 次に、文字多重の免許について伺いますが、現在、字幕放送のついた番組を例えば東京のキー局が制作して各地へ流しても、その地方局が文字多重の免許がないとこれは流せない。わざわざ消しているという状態なんです。せっかくキー局から来ているそれを消して放送しておる。では免許を取ればいいじゃないかということになるんですけれども、免許料や設備投資にかけるお金の問題があるわけです。今のところもうかる商売ではありませんから、ちょっと制作すれば多額のコストがかかるわけです。
 ある人に試算してもらったんです。北海道の今ある局で免許を取って設備を整えると数千万円かかると言われております。字幕についてはテレビの免許があればそのまま流していいと思うんですが、どうなんでしょうね。また、この設備や免許料の減免を考えることも必要と思いますが、どうなんでしょうか。北日本放送のような例も聞いておりますが、これも根本的な解決にはならないんです。いかがでしょうかね、こういうこと。
○政府委員(小野沢知之君) お答え申し上げます。
 まず、免許関係手数料についてでございますが、これは免許申請の処理に要する実費に見合う額を申請者から徴収するものでございまして、そういう意味では、字幕放送促進のためにそれを軽減するということは手数料制度になじまないというふうに考えております。
 そこで、郵政省としては福祉への貢献は重要政策課題として数多く取り組んでいますから、そういう意味では、字幕放送の一層の促進という観点から、字幕放送を可能とする文字放送設備の取得に必要な資金につきまして、昭和六十一年度から財投による低利融資制度を導入して設備投資の負担が少しでも軽減されるように努力しているわけでございます。こういった制度の徹底を事業者に対して図りたいと思っておりますが、なおそれ以外にどういう方策が講じられるかということを、さきに大臣が御答弁申し上げました調査研究の中でさらに研究を深めたい、腰を据えてかかりたいというふうに考えております。
○下村泰君 次に、通産省に伺いますが、文字放送アダプターあるいは内蔵型テレビの製造状況について教えてください。文字多重が始まったときと今と比べて、製造台数とか、減っているのかふえているのか、減っているとすればその理由を聞かせてください。
○説明員(青柳桂一君) 放送が本格的に開始されましたのは昭和六十年でございますが、アダプター内蔵型テレビにつきましては昭和六十三年に販売が開始されております。それ以降約八万台ぐらいの販売を達成しておるわけでございますが、ところが最近に至りまして、平成二年、三年と連続してでございますが、景気低迷が続いている中で消費者の需要が急速に冷え込んだのではないかと思っているわけでございますが、例えば株式情報提供を利用しているユーザーが減ったとか、そういったもろもろの要因によるかと思いますが、そこで需要が急速に冷え込みまして、平成二年、三年におきましては約半分の三万五千台程度まで落ち込んでいるというのが現状でございます。
○下村泰君 通産省では、内蔵型については通常のテレビよりも三万円は高くなるので、アメリカのようなデコーダー法はすべての国民にそれだけの負担増を強いるということになり無理だと言われるわけなんですけれども、その三万円というやつの根拠は何なんですか。
○説明員(青柳桂一君) 三万円というコストアップの根拠につきましては、さほど明確な根拠というわけではございませんが、現在販売されておりますアダプター内蔵型テレビとアダプターを内蔵しないテレビとの比較をしてみますと、販売価格の差額が、メーカーによってちょっとばらつきはございますが、大体二万円から四万円程度にばらついておるという状況でございまして、これから三万円というのが出たのではないか思っております。
 ただ、製造上の観点からこの二万円ないし四万円のコストアップの要因というものを私どもなりに分析してみますと、アダプターにつきましては、一つは聴覚障害者向けの字幕放送対応だけになっているわけじゃございませんで、それ以外にも株式市況とか天気予報等の文字多重放送対応の複合型というふうになっておるわけでございます。それからまたそれ以外にも、日本語でございますので、英語と違いまして表示する文字が非常に多い、約四千文字ほど使っておるということでございます。そのほかにいろんな要因があるわけでございますが、こういったものを総合しまして約三万円ほどのコストアップになっているのではないかというふうに推察しておるところでございます。
○下村泰君 日本の場合、文字多重ということやそれから漢字使用ということでかなり複雑になりますわね。ですから、その点でこれは理由になると思うんですけれども、三万円というのは、メーカーの方の説明を伺っても、もう下がらないということなんだそうです。
 ならばということで、こういうことを言う方がいらっしゃるんですね。川崎医療福祉大学教授で福祉システム研究会代表の太田茂さんという方なんですけれども、
  日本の文字放送規格に対する私の率直な印象
 は、大変欲張った豪華な規格だということであ
 る。ご承知のように我々日本人は、漢字かな交
 じり文という日本語独特の表記法を利用してい
 る。これは、文の大意を短時間で把握するには
 大変便利な表記法であるが、手書きするには時
 間がかかるし、コンピュータで打つにしても漢
 字の複雑な字体を表現するため大量の記憶素子
 が必要となる。字幕放送においても、この辺の
 事情が重荷となって、複雑な規格になったよう
 だ。その結果、機器価格の上昇を招き、ひいて
 は、普及の大きな足かせとなっている。
 この解決策として、二つの提案をしてみたい。
  まず、デコーダの価格を下げるため、現行の
 日本規格から、字幕放送に必要な部分のみ拾い
 出したサブセット(部分集合)規格を定めるこ
 とを考えてみた。例えば、字幕以外の文字番組
 やグラフィック情報は諦める。しかし、専門家
 の意見では、サブセットを定めても、殆どの回
 路部分は省略できないため、デコーダ価格の大
 幅な低下には結びつかないだろうとのことであ
 る。いろんなことを考えていらっしゃるんですけれども、何かどこかにこの方法があるんじゃないかなというふうに思うんです。この方は今のような問題を提起されておりますけれども、こういう人や聴覚障害のある方も一緒になって考えていくことが大切で、聴覚障害の方が望んでいるものと今の文字多重とのギャップ、これを埋めることの大切さを言われているわけです。こうした姿勢が必要だと思います。
 そこで、厚生省に伺いますが、文字放送アダプターとそれから内蔵型テレビを日常生活用具の対象に含む意思はありませんか。東京都は独自に支給しています。大分でも助成制度が昨年十月から始まりました。埼玉県の鴻巣市でも同様のことがやられているんですが、いかがでしょうか。
○説明員(松尾武昌君) 日常生活用具にデコーダーを取り入れることにつきましては、厚生省の立場から申し上げますと、まずデコーダーの内蔵テレビが普及しておるということでありますので、そちらの方を急いでやっていきたいということが一つと、アメリカ等では全部内蔵されているという状況もありますので、むしろそちらの方でということを考えておりますが、日常生活用につきましては毎年二つ、三つの新規の種目を取り入れております。どういう種目を取り入れるかこれから検討の課題にしていきたいと思っております。
○下村泰君 ぜひひとつ実現させてほしいと思います。
 内蔵型の三万円差というのは、今のやり方では量産しても、あるいはすべてに義務づけてもせいぜい二万円にいくかどうかわからないが、とにかく少しでも安くなるように何らかの対応を期待したいんです。
 現在、内蔵型アダプターの製造に最も努力していると思われるのが富士通ゼネラルの社長なんです。この社長が三月二十九日に投書をしているんですが、こういうことを言われておるんです。富士通ゼネラル社長の吉川さんという方ですけれども、
  字幕放送の拡充については業界としても「字
 幕制作共同機構」に資金援助を行うなどの協力
 とともに、文字放送受信機メーカーとして受信
 機器の開発、普及に努力してまいりました。
  これは字幕放送が聴覚障害者に対する公共債
 報など重要な情報の伝達手段として有用である
 からです。
  わが国でも公共の情報を流す番組の文字放送
 化の推進とともに、文字放送用受信機購入など
 に国も助成策を講ずるべきだと考えます。メー
 カー側もそれに対応して受信機生産に本格的に
 取り組めるようになると思うのです。この社長がこういうふうにおっしゃっているんです。
 どうなんでしょうか、通産省としてメーカー助成や開発助成、お金ということもありますけれども、今後どういう対応をされますか。それを一言お伺いして、通産省の方結構です。例えば物品税の減免の要求、これもいいと思います。また、今後手に入りにくいなどということがあっても困るわけですけれども、いかがでございましょうか。
○説明員(青柳桂一君) 現在、アダプター内蔵型テレビにつきましては、技術的な課題というものは相当程度もう克服されておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。そういたしますと、この問題は基本的には、福祉政策のもとで個々の聴覚障害者の方に対する個別の助成金による対応が最も適当ではないかというふうに考えておりまして、私どもも関係省庁にお願いをしているところでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、字幕放送につきましては極めて大事なものであると認識しておりまして、利用希望者の中で入手が困難であるというような状況が仮にあるようでございますれば、十分な供給が可能なように働きかけを行ってまいりたいというふうに思っておるところでございます。また、あるいは新たな技術的な課題というものが出てきた場合には、これに対しても十分に対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○下村泰君 次に、制作コストの面から少し伺いますけれども、行政の広報番組には必ず字幕をつけるというふうにして、スポンサーの行政がそのコストをカバーする、音声多重のところだけスポンサーを別につけるというのもあるんです。アメリカの方ではそういうことがあるらしいです。字幕をたくさん出す、そこだけスポンサーが別。全体の番組とまた違うんですね。そういうつけ方をしているのもあるんだそうです。そうなりますと、何か総理府でよく提供する番組ありますよね。ああいうのなんかでも総理府がコストをカバーしてあげるとかいうような方法をとるということもできるんじゃないかと思うんですが、全省庁でこういうことをやりますと大変結構だと思うんですが、それに先駆けてまず郵政省が、何といっても大臣が理解があるんですから、アダプターをつけるとか内蔵型にかえるといったようなことについてひとつどんどん啓蒙していただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(木下昌浩君) 郵政省におきましても、郵便局のイメージアップというような観点から広報番組を提供しているところでありますけれども、ただいま先生御指摘の字幕の問題につきましては、確かにその必要性を痛感するわけでございますが、提供番組の内容もいろいろ変わってまいりますし、その内容も踏まえなければいけませんし、また聴覚障害者の方々のニーズの程度の問題もありますし、それから経費の問題も若干あると思いますので、その辺も十分把握いたしまして前向きで検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、もう一点のアダプターの問題でございますが、これも予算を伴うものでありますので、どの程度できるかということは今ここではっきり申し上げるわけにいきませんけれども、できるところから私ども考えてまいりたいというふうに思います。
○下村泰君 現在、字幕は字幕共同制作機構、これはNHKや民放数社がお金を出してやっているんですが、そこが社会福祉法人の聴力障害者情報文化センターに委託してやっています。少人数で手づくりですからもう目いっぱい、予算もない。こういう事業に厚生省、郵政省、何らかの直接的な助成はでさないものか、ちょっとお伺いします。
○説明員(松尾武昌君) ただいまの聴力障害者情報文化センター、私どもの所管の法人でございますが、この法人につきましてはテレビ番組の字幕制作のほか字幕つきビデオの制作等を実施しております。字幕制作共同機構につきましては各放送事業者の委託を受けて実施しておりまして、これも年々ふえているように聞いております。私どもといたしましては、むしろ聴力障害者情報文化センターに対しましては、ビデオカセットライブラリ、制作・貸出事業を委託いたしましてこの充実に努めておりまして、そのテレビ放送自体につきましてはこれからますます充実するように指導してまいりたいと思っております。
○政府委員(小野沢知之君) 字幕放送の普及促進につきまして、郵政省として全力投球で臨んでまいりたいというふうに考えております。
○下村泰君 そこで大臣、いきなり参りますけれども、ステノプコン、ステノワードというのを御存じでしょうか。私もこれ実は専門的なことはよくわからないんです。簡単に申し上げますと、だれかが話された内容を即座に大型スクリーンやテレビ画面にその場で表示できるものなんだそうです。同時通訳の即時表示が可能となったということなんですけれども、これを字幕放送に使用するのは技術的には大きな問題はないそうです。問題は、要約が必要になるだろうということなんですが、ここにおられます速記者が必要になるということが問題になります。
 大臣は、昨年十二月十三日の予算委員会で多角的に研究させるとおっしゃいました。その具現化の一つが視聴覚障害者向け放送番組等の制作・流通に関する調査研究ということだと思うんですが、局長にも先般伺いました。この研究会の具体的なテーマ、メンバーの人選のあり方についてなんですが、技術的な研究や開発についても、今のステノプコンの研究なども含めて検討していただきたいし、民間の技術者や積極的にやっている人たち、あるいは当事者を含めたものであってほしいと思います。予算が四百万円ですから、一体何ができるのか本当にこれは不安になりますが、幅広く、より多くの人々が集うものにしていただきたいと思いますし、NHKが悪いというわけじゃありませんけれども、NHKの考え方、技術だけではないさまざまな提案、方法、問題を考える研究にしてほしいと思います。
 そういうことについてどういうふうに大臣はお考えでしょうか。ひとつお答えを願って、私はおしまいにしたいと思います。
○政府委員(小野沢知之君) 大臣の前にお答えいたしますが、今御提言のございました技術開発の問題、当然テーマに掲げますし、それから人選に当たりましても先生御指摘の点を十分踏まえたいと考えております。
○国務大臣(渡辺秀央君) 今局長が申しましたように、このステノプコン、ステノワード、私も現物に触れたわけでありませんけれども、非常に大切な問題の指摘であると思いますので、これは思い切って、今局長が言いましたように、研究会で具体的な何かが方向づけられるようにやっていただきたいと思っています。とりあえずそういうことで御理解をいただきたいと思います。
○下村泰君 ありがとうございました。
○委員長(粕谷照美君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(粕谷照美君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、関根則之君及び伊江朝雄君が委員を辞任され、その補欠として二木秀夫君及び松浦孝治君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(粕谷照美君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明からにしてお述べ願います。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、電波法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 法案に反対する主要な理由を述べます。
 第一は、電波法施行後今日まで無料だったものを始めて有料化するという重大な転換をするにもかかわらず、十分な国民的合意が得られていないことであります。
 いわゆる予算関連法案であるにもかかわらず、法案整備のおくれと、提出期限直前に全国知事会、全国市長会などの地方六団体から「電波利用料の地方負担反対に関する緊急要望」が出され、慌てて自治省と折衝して法案の修正を行い、一カ月もおくれて提出したことに端的にあらわれているように、国民的合意を得たものとは到底考えられないのであります。
 第二は、利用料金の性格についても明確でなく、料金の算定根拠も不明確な上に、出力や利用周波数帯、地域などを無視した料全体系になっていることなど、矛盾に満ちた料全体系になっていることであります。
 また、有料化にしながら、急増する電波利用者から料金を徴収する人的な体制強化の方針もなく、公平な法執行が保障されるものでもありません。
 第三に、郵政省は、利用料制度創設に当たって、違法電波の急増とその対策を大義名分に掲げていますが、利用料を徴収しても違法電波が大きく減少する保障がないことであります。
 質疑を通じて明らかになったように、違法電波を監視・摘発するための移動監視車は三年間にわずか数台の増であり、取り締まりの決め手になる人の問題では、対応する地方電気通信監理局の定員は、政府の臨調行革に基づく定員削減政策によってこの十年間に一割近く減少しており、これを増員する計画もない状態であります。これでは受益者負担の論理は成り立たないと言わざるを得ないのであります。
 以上で私の反対討論を終わります。
○委員長(粕谷照美君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(粕谷照美君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 大森昭君から発言を求められておりますので、これを許します。大森昭君。
○大森昭君 私は、ただいま可決されました電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、連合参議院、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    電波法の一部を改正する法律案に対する
    附帯決議(案)
  政府は本法の施行に当たり、次の各項の実施
 に努めるべきである。
 一、高度情報社会における電波行政の重要性に
  かんがみ、広く国民の意見を聴取し、時代に
  即した健全で活力ある情報社会を構築する電
  波行政の推進に努めること。また、その取り
  組みにあたっては、国民各層の意見が反映さ
  れるよう各種委員会の構成に配慮すること。
 一、電波利用料制度の創設によって、電波行政
  経費の負担を免許者・利用者に安易に転嫁す
  ることなく、一般財源による十分な電波行政
  予算の確保に一層の努力を行うことにより、
  充実した電波行政を推進すること。また、電
  波利用にかかる国の公平な負担にも努めるこ
  と。
 一、免許者の拠出による特定財源としての電波
  利用料の性格にかんがみ、電波利用料を財源
  とする施策とその他の施策を明確に区分する
  とともに、電波利用料制度の実施状況を明ら
  かにすること。
 一、電波利用料制度の創設に当たり、関係者へ
  の周知徹底による十分な理解を得て、電波利
  用料の徴収に万全を期し、公平な制度の定着
  を図ること。また、今後、電波利用料の見直
  しを行う場合は、その後の電波利用の推移等
  を勘案し、関係各方面の意見を踏まえ、安易
  に値上げすることのないよう適切に対処する
  こと。
 一、急増する不法無線に対し、実効ある監視体
  制の整備を図るとともに、違法無線機器の法
  的規制を含め有効な対策を早急に検討するこ
  と。また、利用者のモラルの向上・正しい知
  識の普及にも努めること。
 一、無線局管理にかかるデータベースの整備
  に当たっては、その指針を明らかにするとと
  もに、推進体制を整備し、円滑な実施に努め
  ること。
 一、免許者等関係者の要望を踏まえ、免許手続
  きの簡素・合理化を推進する等、電波行政事
  務の効率化を図ること。
 一、電波が有限稀少な国民共有の財産であるこ
  とにかんがみ、周波数の有効利用を促進する
  とともに、新たな周波数資源の開発を積極的
  に行うこと。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(粕谷照美君) ただいま大森昭君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(粕谷照美君) 多数と認めます。よって、大森昭君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺郵政大臣。
○国務大臣(渡辺秀央君) ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。
 本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じております。
 まことにありがとうございました。
○委員長(粕谷照美君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(粕谷照美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会