第123回国会 予算委員会 第13号
平成四年四月八日(水曜日)
   午前九時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     粟森  喬君     乾  晴美君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     平井 卓志君
     木暮 山人君     斎藤 十朗君
     真島 一男君     斎藤栄三郎君
     穐山  篤君     種田  誠君
     岩本 久人君     前畑 幸子君
     西野 康雄君     吉田 達男君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     白浜 一良君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     井上 章平君     鎌田 要人君
     合馬  敬君     高橋 清孝君
     須藤良太郎君     野村 五男君
     野末 陳平君     星野 朋市君
     村沢  牧君     三上 隆雄君
     針生 雄吉君     中西 珠子君
     高崎 裕子君     小笠原貞子君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     高橋 清孝君     合馬  敬君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                井上 吉夫君
                鹿熊 安正君
                前田 勲男君
                吉川 芳男君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                佐藤 三吾君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                石井 道子君
                石原健太郎君
                遠藤  要君
                合馬  敬君
                鎌田 要人君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                星野 朋市君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                清水 澄子君
                種田  誠君
                細谷 昭雄君
                前畑 幸子君
                三上 隆雄君
                森  暢子君
                吉田 達男君
                白浜 一良君
                高桑 栄松君
                中西 珠子君
                小笠原貞子君
                乾  晴美君
                高井 和伸君
                井上  計君
                寺崎 昭久君
                下村  泰君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田原  隆君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
       建 設 大 臣  山崎  拓君
       自 治 大 臣  塩川正十郎君
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  谷川 寛三君
       官)
       国 務 大 臣  中村正三郎君
       (環境庁長官)
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣  伊藤 博行君
       官房内政審議室
       長
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣  有馬 龍夫君
       官房外政審議室
       長
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局  山崎宏一郎君
       職員局長
       内閣総理大臣官  高岡 完治君
       房審議官
       防衛庁参事官   高島 有終君
       防衛庁参事官   三井 康有君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛施設庁長官  藤井 一夫君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁施設  大原 重信君
       部長
       科学技術庁研究  井田 勝久君
       開発局長
       科学技術庁原子  石田 寛人君
       力局長
       環境庁長官官房  森  仁美君
       長
       環境庁企画調整  八木橋惇夫君
       局長
       環境庁自然保護  伊藤 卓雄君
       局長
       環境庁水質保全  眞鍋 武紀君
       局長
       国土庁長官官房  藤原 良一君
       長
       国土長長官官房  森   悠君
       会計課長
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省人権擁護  篠田 省二君
       局長
       法務省入国管理  高橋 雅二君
       局長
       外務大臣官房審  津守  滋君
       議官
       外務大臣官房審  畠中  篤君
       議官
       外務大臣官房文  木村 崇之君
       化交流部長
       外務大臣官房領  荒  義尚君
       事移住部長
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       局長
       大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       国税庁長官官房  浅見 敏彦君
       国税審議官
       文部大臣官房長  野崎  弘君
       文部大臣官房総  井上 孝美君
       務審議官
       文部省初等中等  坂元 弘直君
       教育局長
       文部省学術国際  長谷川善一君
       局長
       文部省体育局長  逸見 博昌君
       文部大臣官房総  大西 孝夫君
       務審議官
       厚生大臣官房老  岡光 序治君
       人保健福祉部長
       厚生省保健医療  寺松  尚君
       局長
       厚生省生活衛生  玉木  武岩
       局長
       厚生省薬務局長  川崎 幸雄君
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭  土井  豊君
       局長
       厚生省保険局長  黒木 武弘君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       厚生省援護局長  多田  宏君
       農林水産大臣官  馬場久萬男君
       房長
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸省運輸政策  大塚 秀夫君
       局長
       運輸省鉄道局長  井山 嗣夫君
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       郵政大臣官房人  谷  公士君
       事部長
       郵政省貯金局長  松野 春樹君
       労働省労働基準  佐藤 勝美君
       局長
       労働省職業安定  若林 之矩君
       局長
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設大臣官房総  斎藤  衛君
       務審議官
       建設大臣官房会  近藤 茂夫君
       計課長
       建設省河川局長  近藤  徹君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治省行政局公  秋本 敏文君
       務員部長
       自治省行政局選  吉田 弘正君
       挙部長
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
       自治省税務局長  杉原 正純君
       消防庁次長    渡辺  明君
   事務局側
       常任委員会専門  宮下 忠安君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、一般質疑を行います。佐藤三吾君。
○佐藤三吾君 おはようございます。
 桜の花が散りますと五月一日、メーデーと、こういうことでメーデーが近づいてまいっているわけです。五月一日を祝日にするという議員立法でございますが、一部改正案が社会、公明、民社、社民運、四党の共同提出として衆議院内閣委員会に提出されたままになっておるわけですが、これが今一年目を迎えようとしております。
 祝日法は、これは総理府ですから官房長官になるわけですが、担当の労働大臣としてどういう御理解、認識を持っているのか、まず聞きたいと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省といたしましては、さきに連続休暇取得促進要綱を発表いたしました。勤労者の皆さんがまとめて休暇をおとりになることを積極的に推進しておるわけでございます。
 そこで、問題のメーデーでございますけれども、こういう休暇については労使でお話し合いをされる、また個別にいろんな事情で連続休暇、まとめどりを個々におとりになるということはもちろんそれなりに好ましいことであると、こういうふうに考えるわけでございますが、ただこれ国民の休日ということで法制的に休む、こういうことになりますと一斉にその期間国民が休暇になるわけでありますので、例えばことしの場合で申しますと、四月二十九日から五月五日までが休日になる、その間国民は働かない、こういうことになるわけであります。
 今こういう国際化時代でございますので、例えば金融取引とか証券とか為替とか、そういったことは日本のマーケットが連続ストップと、こうなるわけでありますが、そうすると現在の国際化時代の中で、ほかの経済、ニューヨーク・マーケットもロンドン・マーケットも回っているときに、日本マーケットだけは一週間完全に動かないということでいいのかどうかということについては、いろんな配慮で検討していかなきゃならないのじゃないか、こう思いますので、国際的な整合性、調整という問題もあれば、国内的に一斉にそういうふうに休むというのがいいのか、それとも順繰りに国民の皆さんが連続休暇をそれぞれ御自分の御事情で、また企業の事情でお休みになる方がいいのか、そのあたりについていろんな角度から慎重に考えなきゃならない。
 連続休暇をおとりになることについては、私ども労働省としてはまさにお勧めしたわけでございますけれども、一斉にその期間休んじゃうということがいいかどうかについてはいろんな面からの検討が必要ではないか、かように考えております。
○佐藤三吾君 肝心の労働大臣がそんな状態じゃ、これはちょっと驚きですね。
 今お手元に差し上げているこの表にございますように、国連に加盟しておる百六十六カ国の中で百三十五カ国は休日にしておるわけですね。休日でない国は、どうしてなのかわかりませんが、日本とリビア、それからスーダン、アフガニスタン、ブータン、カンボジア、こういう三十一カ国が休日ではないわけですね。ひとつ官房長官、担当大臣としていかがですか。あなたは少しましな答弁しなさいよ、国際的なんだから。
○国務大臣(加藤紘一君) 確かに、今佐藤先生の資料をいただきまして、五月一日、メーデーの日が大変多くの国でというか、大多数の国で祝日、休日になっておるのはなかなか数が多いなという気はいたします。
 ただ、その国民の祝日というものは我が国はもう十三日になっておりまして、世界先進各国の中ではトップクラスの数の多さになっておりますのと、それから十一月二十三日をどう考えるか。これは勤労感謝の日となっておるわけですけれども、これは私たちの中では勤労をたっとび、生産を祝い、国民互いに感謝し合う日、ここでも勤労感謝ということになっておるわけでございます。そこで、それとの関係はどう考えるのかというのが一つの問題になります。
 いずれにしましても、祝日というのはどういう基準で決めるかといいますと、国民こぞって祝い、感謝し、または記念する日という観点で選ぶものでございますので、本当に国民全体のコンセンサスがどういう形になるのか、いろいろ十分見きわめなければいけないということになるのではないかなと思っております。
○佐藤三吾君 十一月二十三日が長官の口から飛び出してきたのはちょっと驚いたんですがね。これは何の日かというのは一番あなたが知っておるんじゃないですか。労働者が求めたんですか、この日を、昔の新嘗祭でしょう。天皇の行事と合わせてそれを休日にしたにすぎないんで、もし仮にそれではその日を国民の祝日から外して五月一日にしなさいと言ったらどうします。
○国務大臣(加藤紘一君) 一つの御意見でございますけれども、その点については大変な議論が出てまいるんではないかなと思います。
○佐藤三吾君 それから、労働大臣が言っておったんですが、外国との関連、国際的な関係で為替相場やその他の問題でどうしてもいかがかという点があったんですが、これは大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、お言葉でございますが、五月の連休の時期に一週間まとめて休むところはどこかありますでしょうか。だから、一日は休みますね、だけれども、その前後はいろんな取引をやっているわけですから、一週間ばっちり休んで、もう為替もやらない、株もやらない、何もやらないというような国は私はないのじゃないか、日本だけじゃないでしょうか。
○佐藤三吾君 あなたは日本だけと言うけれども、それは根拠があって言っておるんですか、そういう言い方は。
○国務大臣(近藤鉄雄君) まことに申しわけありません。私は存じ上げないものですから、お聞きしている次第でございます。
○佐藤三吾君 いいでしょう。
 労働大臣についでに聞いておきますが、十一月二十三日をなくして五月一日はいかがですか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は、これから日本が国際的な社会、まさにグローバルな経済行為の中で日本は進むわけでありますから、だからそのことが大事ではないかと申し上げているわけでありまして、私は十一月二十三日にはこだわらなくてもいいとは思います。それは国民がそのことでいいというコンセンサスがあれば構いませんが、なぜ五月一日にして一週間日本の金融行動、経済行動をストップするのかなということについては必ずしも納得ができないということでございます。
○佐藤三吾君 どうも官房長官と労働大臣の答弁を聞いておると、この法案について、昨年の四月に出してもう一年たとうとしておるのですが、閣内で議論をされていないような感じがするのですが、どの程度この問題について議論をしたのか、担当大臣として長官のしっかりしたお答えを聞きたいと思うんです。
○国務大臣(加藤紘一君) この点に関して関係閣僚会議を開いたということはないと存じておりますけれども、その前の段階で各省庁でいろいろ討議したことはあるように聞いております。それでまた、今回佐藤先生から御質疑があるという通報を受けましたので、関係省庁で改めて担当者同士でこの点は話し合って、きょうここにこうやって答弁申し上げている次第でございます。
○佐藤三吾君 お二人の答弁から察すると、どうもこれはやはりろくすっぽ議論していないような感じがしますから、これは真剣にひとつ議論してほしいと思うのです。
 率直に言って、四党で、しかも連合の八百万の労働者が求めておる要求でございますから、まじめに受けとめて、十一月二十三日がいかがかなんてそんなありふれた議論じゃなくて、もっと国際的な視野に立って、そして五月一日をどうするということで、連合の方は働く者に感謝をするとともにゆとりのある生活の享受を願うという意味で五月一日を要求しておるようでございますし、太陽と緑の週、こういう位置づけの中での設定でございますから、ぜひひとつまじめに議論してもらい、そうして早急にひとつ結論を出すように、そういう点を要請しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤紘一君) 休日、祝日の中に、例えば海の日を設定してみたらどうか、それから国民全員が社会福祉を考える日を設定してみたらどうかなど、御提案は今十二、三いただいております。そういう中で、メーデーを働く者の祝日にしたらという御提案は一番多くいろいろ御意見を伺いますし、また三党ないし四党のそういう法案が出されているということで、中でも一番重い御要望であるということは我々十分考えております。
 ただ、今労働大臣が申されましたように、年末年始以外で長く連続して休日になっているケースが世界各国との関連でどういう状況になっておるかを調べますと、イースターホリデーとかいろいろ諸外国にもつながった休みはございますが、どうも最高三日ぐらいのようでございます。そうすると、五月一、三、五というのが祝日になり、祝日と祝日の間は祝日にするという法律をつくってあるわけですから、五日間連続。そうすると、国際金融市場で日本みたいな大きな国が五日間完全に閉めてしまうということは世界各国との関連でも考えなきゃならないという点もございます。
 あくまでもこれは国民こぞってのコンセンサスで祝日というものは生まれるものでございますので、また今後とも検討させていただきますが、ここで前向きの答弁というのはなかなかできない状況が政府内部の検討状況でございます。
○佐藤三吾君 二人の答弁を通じて、余り議論も閣内でされていないようですから、前向きの答弁が出るはずがない。私は、まじめに受けとめてひとつそういう金融の関係も含めて議論をしてもらって、そうしてひとつきちっとした回答ができるようにしてもらいたいということを要請しておきたいと思います。
 以上でメーデーの祝日について終わりまして、次に、外務大臣であり副総理にちょっとお聞きしておきたいと思います。
 江沢民総書記が来日中でございます。日中国交回復二十周年を記念して友好を深めるという訪日になっておりますが、その目玉として最も注目されておったのは、あなたが訪中して、そして累次にわたる天皇の招請に対して政府で真剣に検討するという回答が出されるのではないかということで、国民の皆さんもその辺を注視しておったと思うんですが、お聞きしますと、先送りとこういうことになったように報道されておりますが、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに、私が訪中いたしましたときに、かねてから数回にわたって総理あるいは高貴の方々に対し、またそれに相応する相手の人たちから、天皇陛下を二十周年という意義ある年にお迎えをしたいという要請があったことは事実でありますから、検討します検討しますと言ってきたんですが、いよいよ二十周年を迎えた正月ですので、これにつきましては真剣に検討をいたしますというお答えをしてきたことは事実でございます。その後、いろいろと検討をしておるわけでございますが、まだ結論に達するに至っておりません。
 このことにつきましては、六カ月もまだあるわけですから、もう少し自然な形で結論を出したいと思って、引き続き慎重に検討をいたしますというお答えになっておるわけであります。
○佐藤三吾君 理由はどういうことでしょうね。報道によりますと、尖閣諸島の領有権をめぐる問題が再燃するんじゃないかとか、日本の戦争責任論の再燃を恐れているんじゃないかとか、また中国内部の天安門事件の暗い部分の懸念がぬぐい切れないとか、きょうの報道では、自民党内で全面的歓迎という情勢にないとかいろいろ報道されておるし、人によれば、まず訪韓が先だとか、こういうことも言われておるようですが、これはざっくばらんにひとつ腹蔵のない実態を御報告いただきたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いろんな御意見があることは事実でございます。しかしながら、ことしはアメリカでも大統領選挙があります。韓国でも大統領選挙の争いの真っ最中であります。そういうようなときでございますから、御訪問はいかがなものかと。中国の方はたまたま二十周年ということでございまして、開放・改革というようなことも再確認をされ、先方としては、過去はぬぐい去って未来に向かって友好増進をしていくのに大変いい年であるということであります。尖閣列島の問題等についてももちろん話は出たわけでございますけれども、先方は、中国が前に言った、ケ小平さんが日本に来られたときに言ったことですね、こういうことはいささかも変わっておりませんと。事実、ああいうようなことが全人代で発表されましても、動きは以前と全く同じで何も変わっていないのでございます。
 それから、中国側として何ら条件をつけるとかそういうことは一切ございませんし、なお、国民を挙げて熱烈歓迎し成功させることができるという自信のあるお言葉をいただいたのも事実でございます。しかしながら、まだ時間もございますし、やはり天皇御訪中は非常に静かな形での御訪中が一番望ましいことでありますので、すぐこれを決めるという段階にまだ至っていない、いましばらく時間をおかし願いたいという返事になっておるわけであります。
○佐藤三吾君 江沢民総書記は、きのう宮中でも直接天皇に御招待を申し上げておるようでございますし、私はかなり失望感が強いんじゃないかと思っておるわけです。
 日本は、国際国家といいながら、とかく隣国との間に信頼関係がまだ固まっていない感じが非常に強いですし、特に中国はその意味では大事な国だと思うんです。そういうところにこの問題をめぐって亀裂が生まれるようなことがあっては私はならぬと思うし、早急にやっぱり、慎重な議論は結構でございますけれども、そういう友好を深める意味で中国側の期待にどうこたえるか、こういう方向での議論と詰めが必要じゃないかと私は思うんです。
 あなたの発言の中で、昨日ですか、早急にひとつ結論を出そうと思うという報道もありますね。そういうことは、五月末に万里全人代委員長の来日が予定されておるわけですが、そのことを指しておるわけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が今六カ月もあるんだしと言うことは、これは仮に、仮にですよ、この二十周年というときに年内訪中をするとすればという前提がつくわけです。向こう側は、この二十周年という記念すべき年に御訪中いただくことは非常に意義があるとおっしゃっておりますので、できることならば二十周年というものを記念して御訪中できれば一番私はいいのじゃないか、そう思っておるわけです。
 ですから、準備に何カ月かかるかということもありましょう。それは三カ月で済むのか六カ月もかかるのか、ここらのところは詰めてみないと、どれくらいのところを御訪問するか、地方も含めて詰めてみないとよくわかりません。したがいまして、今そこまで実は残念ながら進んでいないのであります。
 しかしながら、これはいつまでもいつまでも結論を出さないでおくわけにはまいりませんので、まあそう遠くないというようなことを言ったんですが、余りそう遠くするのでは準備ができないということもありますから、いずれにしてもそう遠くない時期までにはっきりさせなければなるまい、そう思っております。
○佐藤三吾君 わかりました。
 慎重な議論のようでございますが、いずれにしても記念すべき日中国交回復二十周年の年でありますし、中国の皆さんの期待も大きいようでございますから、できるだけひとつ期待にこたえて御努力をお願いしておきたいと思います。
 以上でこの問題を切ります。
 そこで、政治倫理の問題についてお伺いしたいと思います。
 きょうの新聞にも、御案内のとおりに、宮澤内閣の支持率が二二%、不支持が四九%、こういう報道がなされております。
 この国会、予算委員会が始まって以来この問題を随分議論してきたのでございますが、この政治不信というのはなかなか高原状態で脱却できていない。出雲の岩国市長のNHKの討論会での言葉じゃございませんが、そこの憲政記念館での集会で、この際ひとつ全国会議員は辞職したらどうだと、こういう発言をしたら拍手喝采だったという報道がされておりますし、日本医師会の羽田会長は、突然辞任する理由として、政治改革に対する真剣さがない、自民党は腐りかけていると、こういうことを引退の心境として指摘されている。副総理として、こういった国民の政治不信に対してどういう認識をしているのか、お答えいただきたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自民党だけではありませんが、政治、政界においていろいろな思わしからざる事件が出ていることは私は残念だと思います。これは率直に反省し、襟を正していかなければなりません。
 しかし、政治改革というと何かということになりますと、実は、だれもが政治改革賛成なのであります。じゃ具体的にどういうふうにしていくかということになりますと、なかなかこれ意見はいろいろ分かれてしまう。
 我が党としては、御承知のとおり、昨年、政治改革の眼目は個人間の争いというものでいろいろPRのし過ぎとか中傷誹謗というようなことがあってはならないし、そのために余計な金を使わせることもいけない。これは選挙制度に問題がある。したがって、政治資金の点と選挙制度とワンセットにした、しかも比例代表を並立した形の政治改革法案を国会に上程したことは皆さん既に御承知のとおりでございます。
 しかし一方、一党だけで政治改革を強行するという筋合いのものではこれはございません。まして選挙制度というものが含まれれば、やはり一つのルール、試合のルールづくりみたいなものですから、野党の協賛もできるだけたくさんの御理解を得た上でやらなければならないと、かように考えており、引き続き各党間による政治改革協議会を開いて、目下協議をスタートしたばかりでございますから、今言ったようなことも含めましてひとつ協議が調うことを強く期待しでおるところであります。
○佐藤三吾君 副総理、国民の政治不信の一番大きなのは、性懲りもなく起こってくる政治腐敗、これもありましょうけれども、同時にそれに対して自浄能力を持たない政党、処分、議員辞職を含めて持たない政党、そうして同時に疑惑解明について国会自体が全力を挙げてそれに取り組まない、こういうところに私は不信と怒りが渦巻いておると思うんです。
 特に、本院でもそうでございますが、なぜ疑惑解明の証人喚問に私は政権党である自民党が反対するのかわからない。先般も総理にここで直接申し上げた。そういうことが国民に対しては非常に怒りと不満、不信になってきておると私は思うんです。同時に、聞きますと衆議院では刑事被告人である阿部代議士に対して立法調査費を交付する、こういうことを決めたという。これでは国民が納得するはずないじゃないですか。こういうようなことに対して、内閣の番頭である官房長官、どうですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 国会議員の活動に立法調査費が交付されておるわけですけれども、これを個々の方に交付するかどうかは立法府が決めることでございまして、内閣で判断はできないことだと思っております。
○佐藤三吾君 あなたとして、こういうありように対して、証人喚問は拒否する、そして同時に刑事被告人である阿部さんに対して立法調査費を出す、こういうありように対して私は国民の怒りが爆発しておるとこう思うんですが、そう思いませんか。
○国務大臣(加藤紘一君) 証人喚問の問題と、それから立法調査費の交付の問題は立法府の御判断によることでございますので、内閣の立場にある人間がこれにコメントすることは差し控えなきゃならぬのではないかと思います。
○佐藤三吾君 官房長官としてはそこら辺が限度の答弁かもしれませんが、もっとやっぱり国民の不満に耳を傾けてもらいたいという意味で申し上げたんです。
 それでは、疑惑を持たれた場合はみずから真摯な態度で解明し責任を明らかにするという、これは私どものこの手帳の中にある倫理綱領、この一項なんです。しかしこれは、こういう倫理綱領は立派なものができておるんですけれども、腐敗はとまらない。そうして、この綱領を踏み破る行為が次々起こってくる。しかも国会証人に反対する。これではまさに泥沼政治と。金丸さんじゃないけれども、もう既成政党は解散せいと、こう叫ぶのは当たり前だと思うんです。私は、金丸さんが、政党を解散する前に自民党だけ解散すればいいと思うんです、そういう発言をすれば。これは間違っておるんではないかと思うんですけれども、どうですか。自浄能力を発揮する、そのことについて国民にこの際ひとつこたえるべきではないかと私は思うんですけれども、渡辺さん、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自浄能力を発揮するように努めることは私は肝要であると考えます。
○佐藤三吾君 これ、どうもやっぱりこういう問題で議論しても禅問答みたいに返事が返ってきますから、時間もございませんが、これもう一つ具体的な問題でそれなら聞いてみましょう。
 リクルートの場合もそうでございましたが、秘書や妻や息子が弾よけに登場しました。江副さん自身も公判の証言で、本人以外にやった覚えはないと言っているにもかかわらずこういうことが次々に起こったわけですが、今度は私設秘書や車、事務所の企業丸抱えというのがはやっておるんです。その額も年額四千万から六千万、八千万と、こういう大きい額が次々に出されておるんですが、これは私は明らかにやみ政治献金だと思うんです。企業はほとんど無申告、脱税であり、政治家は政治資金規正法違反、こういうふうに思うんですけれども、担当大臣である自治大臣、どういう認識ですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) この問題はしばしば国会でも議論になってまいります。まず第一に、その実態がなかなか把握しにくいということでございます。それは一つは、秘書とはいいましても秘書としての雇用関係が非常に明確ではない。要するに、応援者として手伝いに来ているボランティアのようなものもございますし、あるいはまた修業にその企業として派遣しておる場合もございますし、いろんなさまざまなものがございます。また、場合によったら本人が自発的に籍だけ置かしてくれ、名前だけ使わしてくれ、名刺に書くだけ書かしてくれたら結構だ、一生懸命応援しますからと言って。といって、またそういう方々がいろんな問題が起こった場合に秘書という扱いにされてしまっで当事者が困るということもございますし、いろいろ実態が非常に把握しにくいというところがございます。
 しかし、御質問のように、この問題はいずれは何らかの形で検討もしていかなきゃならぬだろうと思うんですが、しかし、一般の方々が政治に対するこれによりまして政治訓練を受けておるということも、これもまた私は否定できないことだと思っております。
 そういう点がございますのと、それから政党との間で交流、あるいは政党の機関紙、こういう機関から代議士に派遣されておる者もございますし、いろんな形態があろうと思いますので、そういうような実態はやっぱり今後とも絶えず研究していく必要があるだろうと思っております。
○佐藤三吾君 それはないんじゃないですか、大臣。この問題は去年の八月に当時自治大臣であった吹田さんがまず事の初めを起こしたんです、六千万。そして大塚建設大臣。それ去年ですよ。その後十一月に熊本の松岡代議士。そして例の阿部元長官、渡辺郵政大臣、奥田運輸大臣。大臣が次々に続いておるんですよ。ましていわんや、自治大臣が表面化したスタートを切っておるんだから。もしそういうあなたのお答えなら、なぜそれから調査を始めなかったんですか。いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これはどういう面から調査をするかという、いわば原因の問題が非常に難しい点がございます。
 おっしゃるように、どんな秘書を使っておるのかという調査自体だけでもできませんし、また企業派遣といいましても、何をもって企業派遣と見るかというその原則はやはり立てなきゃなりませんしいたしますので、要するにこれは、佐藤さんおっしゃるように政治倫理の問題と関係してきておると思いますので、やっぱりその代議士があるいは政治事務所が個々に検討して、これは献金に相当するものであるかあるいは修業のために、見習いのために、勉強のために派遣しておるものであるかとか、そこの判断はその当事者自身の間でしていただくよりしょうがないだろうと、こう思っております。
○佐藤三吾君 大臣、あなたは秘書のことだけを言いよるように思うけれども、事務所も車も丸抱えという三点セットが、しかも秘書はそういう実態にあるかどうかは調査しなきゃわからぬでしょう。その調査もなぜしないんですかと聞いておるんです。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは政治資金の規制のときに本人らがやっぱり届け出をするべきものはするし、これは不必要だと思ったらその届け出の中に記載をしておらないということでございますので、あくまでも私たちはその政治家の良心を信じ、あるいはまた政治家自身がそれだけのことをきちっとしておるものだという世間的な常識のもとがございますので、私たちはその点を堅持しておるところであります。
○佐藤三吾君 政治家の良識があるならこういうことは起こらぬでしょう。あなたも承知しておってそういう答弁するんだからね。
 官房長官、内閣の番頭として、この二十名の閣僚の中にそういう者が、出ておるのは運輸大臣と渡辺郵政大臣が出ておるんですが、それ以外にありますか、ないですか。
○国務大臣(加藤紘一君) 今、自治大臣がお答え申し上げましたように、個々それぞれの背景等、また実情があろうかと存じます。企業も社会的存在でございますので、一概に企業というものの政治活動支援というものを我々は否定はできないと思いますが、またその際、今の秘書の問題にいたしましても、節度を持ってやるべきであろうと思います。
 その調査ということ、閣僚の各方々について行っているかということにつきましては、行ってはおりませんけれども、今その調査等の点につきましては、各議員と同じように閣僚の皆さんにつきましても、それぞれいろんな事情があって一概に特定の基準で調査ということはなかなか難しいのではないかと思っております。
○佐藤三吾君 冗談じゃないですよ。今私が申し上げたように、起こっておるのは次々に各大臣が起こっておるわけだ、現職大臣から。これだけ起こってくれば、直ちに調査してどうかということについてするのは当たり前じゃないですか。それともこういうことはあって当たり前と思っておるんですか。政治資金規正法は何のためにあるんですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど申しておりますように、その件はいろいろと代議士自身が政治資金規正法に基づくところの報告をいたしておりますので、その報告を我々は検察的な立場に立って調査するということもいかがなものかと思っております。
 つきましては、そういう事件がもし政治資金規正法に該当するというようなことがありました場合には、これを速やかに改正するなり、あるいはおっしゃるように社会的、政治的倫理観に基づいての処理というものが必要になってくるのではないかと、こう思っております。
○佐藤三吾君 それでは、六千万、八千万、四千万とか、こういう事務所、車、それから秘書、企業丸抱えについてはこれは違法行為ではないと、こういうことですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) きょうのように先生からもこうして質問がありますことが全部周知の事実として天下に知らされていきますので、こういうことをみんなが心得て、今後政治資金規正法に基づいて、これはいわゆる政治資金規正法に言うところの物品提供の中でも寄附に当たるものか、あるいはそうじゃなくて会社からの派遣で研修のためのものであるかとかいうことは、やっぱりこの際代議士がみずから規制しなきゃいかぬと思いますし、また事務所の使用につきましても、これはなるほど政治資金規正法上問題であるというならば、それを届け出をするように、もちろんそのようにしむけていかなきゃいかぬと思います。
 私は、そこらにおいてはあくまでも政治家個々の判断と倫理観に基づいて処理されるべきものだと思っておりますので、おっしゃるように一々調査して、いわば監査的な方法でやれとおっしゃいましても、それじゃどこがそれをやるのかということは法によっても明確なことでもございませんので、あくまでも政治家自身の良心に従って、その良心の喚起のためには、質問しておられること等が非常に私は大きく効果を持ってきておると、こう思いますので、私たちもそれは効果を期待しておるところであります。
○佐藤三吾君 病弱な大臣ですから余りいじめるのも酷に思いますが、しかし率直に言って私は、大臣、そういうことではあなた、法の不備はわかりました。ですからその辺をひとつ、倫理観と言うけれども、倫理観があればこんなことは起こらぬのです。そうでしょう。倫理観がないからこういうことを平気でやっておるわけでしょう。そういうものに対してどうするか。これはひとつ法の不備なら法を強化すればいい。いずれにしても、担当の省が自治省でしょう。そこをきちっとやるならやるということをここで言ってくださいよ。
○国務大臣(塩川正十郎君) 政治資金規正法に基づくところのいわゆる報告が一番主体になると思いますので、この点につきましては十分により以上精査をいたしまして、また注意喚起すべきところは当事者の方々に喚起をもたらすということにいたします。
○佐藤三吾君 不満ですけれども、これ以上やってもなかなか、時間だけがたつようですからね。
 そこでもう一つお聞きします。これは法務省になると思いますが、鈴木元首相が二月一日に提出した上申書と衆議院の参考人の答弁に食い違いが生まれたということで、特捜部の事情聴取の要請に対して三月二十五日に二度目の上申書を提出した、こういうのが報道されておるんですが、これはどういうことですか、法務大臣。
○国務大臣(田原隆君) 二度目の上申書を出したという事実はあるようでありますが、政府委員が来ておりませんので細かい点は私は承知しておりません。
○佐藤三吾君 通告していますよ。
○国務大臣(田原隆君) 先生から予告がございませんでしたので政府委員が来ておりません。今呼びます。
○佐藤三吾君 冗談じゃないよ、通告していますよ。何言ってるんだ。ちゃんとこの中で言っているでしょうが。言っていますよ。
○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(中村太郎君) 速記を始めて。
○佐藤三吾君 この問題についてはまだ彼ほど回答をひとつ、あと六分しかございませんからよろしくお願いします。
 そこでもう一つ法務省にお聞きしておきたいと思いますが、統一協会の教祖である文鮮明氏が三月二十六日に入国して四月一日に出国をしております。これは、入管法第五条の四号からいっても違反行為であると私は思うんですが、特別許可を与えたということは一体どういう理由なのか、だれが与えたのか。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 文鮮明氏がこちらに来ることにつきまして特別許可を与えたのは法務大臣でありますが、その理由は、まず文鮮明氏はアメリカで所得税法違反で一年以上の刑に処せられたことがありますので、これがもし上陸拒否をするとすればその事由に該当するわけでありますが、そういう場合でも特例をもって入国を許可できるという規定があります。その理由につきましては、一年以上の刑に処せられた外国人でありますけれども、入国目的が、その招聴者がいわゆる国会議員でありまして、北東アジアの平和のあり方を考える会というメンバーでございます。そして布教活動はしないということ等の条件をつけて、平和を語る会そのものが意義ある会と判断して許可したものでありますが、何分にも所得税法違反がありましてから既に七年たっておるし、しかも一週間程度の短期滞在でありますし、布教活動をしないという誓約書が入っている以上、過去の例から見ましても一年以上の刑に処せられた者で入国を許可した例が多数ございますので許可したわけでございます。
○佐藤三吾君 この統一協会は、もう言うまでもないように、霊感商法や違法な勧誘、集団結婚、インチキ募金、こういった反社会的な犯罪行為を行っておる。いまだに息子や嫁が行方不明、親泣かせの原理運動とも言われておるわけです。この張本人を法を犯して特別許可を与えるということは、今言った三つの理由だけでは私は納得できない。法務省の認識を聞きたい。
○国務大臣(田原隆君) 我が国の相当数の国会議員の要請であり、その内容が平和を語るというものであり、しかも布教活動等は一切しないという誓約書が入っておるわけでありますから、私は特別許可に値してもおかしくないと判断したわけであります。
○佐藤三吾君 あなた、相当多数と言うけれども、一体何名のことを相当多数と言っているのか。北東アジアの平和を考える国会議員、これは加藤さんが中心のようでございますが、世話人のようですが、この方々と会ったのは一時間か二時間の講演だけと私は聞いておる。そのほかにこの四日間で何をしたのか。滞在中の行動、特にどういう方々と会ったのか。金丸さんについては新聞に出ておりましたが、それ以外どうですか。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 三月二十六日に成田に着きましてから以降、北東アジアの会と会談したのが三十日でありますが、それまでの三日は東京教会、名古屋教会、大阪教会を訪問しておりますが、布教活動はいたしておりません。そして、その後三十一日に中曽根元総理、金丸副総裁とそれぞれ別個に会っております。
○佐藤三吾君 問題は、金丸、中曽根さんに会わせるために北東アジアの平和を考える国会議員の会の皆さんが動いた、これが正直なところだと私は思うんです。三十日、同じ国会の中で、原理運動被害者父母の会、霊感商法被害者救済弁護士連絡会、日本基督教団全国連絡会、こういう皆さんが抗議集会を開かれておる。同時に外務省、法務省に対して抗議と公開質問状を申し入れておる。これについて両大臣承知しておりますか。どう答えますか。
○国務大臣(田原隆君) 抗議等についてはよく存じませんが、政府委員に答弁させます。
○政府委員(高橋雅二君) 今の件につきまして、全国霊感商法対策弁連という代表の方々から公開質問状を受けたことは事実でございます。
○佐藤三吾君 外務省はどうですか。
○政府委員(荒義尚君) お答え申し上げます。
 三月三十日に佐藤敬治衆議院議員の方に引率されました全国原理運動被害者父母の会会長本間てる子女史その他の方々が当省に参りまして、抗議文を我々に手交しております。
○佐藤三吾君 お会いしたことはわかりましたが、それにどういう努力をしておるのか、被害者の皆さんに。法務省として、外務省として、具体的にあるんじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(田原隆君) ちょっと御質問の意味がよくわかりませんでした。
○佐藤三吾君 被害者の皆さんが申し入れをしておるわけです、救済を含めて。これについてはどういうふうに対応しておるんですかと聞いておる。
○政府委員(高橋雅二君) お答えいたします。
 統一協会は、世界基督教統一神霊協会という宗教団体で、過去に新聞等において合同結婚とか今先生おっしゃられました霊感商法等の問題が報道されたことがあり、全国原理運動被害者父母の会というものが存在しておることは承知しておりますが、今回は、入国目的が、先ほど大臣からお答え申しましたように、今後の朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について意見を交換するということでございましたので、これは入管法の規定に基づきまして大臣の特別の上陸許可を与えたものでございます。
○政府委員(荒義尚君) お答え申し上げます。
 先ほどの抗議の際に、このような入国を取り消せという抗議でございました。それに対しまして私どもの方から、文鮮明の入国目的が、再三お話しのように、朝鮮半島を含む北東アジアの平和のあり方についての国会議員の方との意見交換ということですので、我々外務省としましては外交上特に問題ないという御説明をいたしまして、それに対して特にその後のやりとりはございませんでした。
○佐藤三吾君 これは法務大臣、あなたがある意味では指揮権を発動したようなものだ、特別許可を与えたんだから。しかし、被害者の皆さんから見ると、これはたまりませんよ。もっとやっぱり被害者の身になってひとつきちっとした処理をすべきだと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(田原隆君) 国際平和が今一番、特に朝鮮半島の平和というのは重要な問題でございますので、そちらに注目して特別の許可を与えたわけでありますが、先ほどのおっしゃるような文書等が来ておるということも承知しておりますが、政府委員からお話ししたとおりであります。
 そこで、平和を優先して、相当の国際平和に貢献すると判断して許可したわけでありますが、今後なおそういう抗議の趣旨などを深く胸に刻み込んでまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 大臣、ひとつ息子さんや娘さんをとられた親の身にもぜひなって、こんなところで指揮権を発動せぬできちっとして対処してほしいということだけ要望しておきたいと思います。
 次に移りますが、刑事局長が来たらまたそこでひとつさせていただきます。
 長良川の問題で建設省が環境調査の結果を発表なさったようでございますが、この発表なさった調査をやった環境影響調査について、財団法人ダム水源地環境整備センター、こういう法人がやったようでございますが、これはどういう法人なのか。建設省のOBがおるということでございますが、いかがでしょう。
○政府委員(近藤徹君) 長良川の環境調査につきましては、従前より財団法人ダム水源地環境整備センターが担当しておりました経緯にかんがみまして、今回の追加調査も同センターが担当したものでございます。
 同センターは、ダム水源地をめぐるさまざまな課題に対し官学民の力を結集して解決を図るため、各種の総合的調査研究、技術開発業務等を実施することにより、自然環境とバランスのとれた河川整備を推進することを目的として、昭和六十二年十二月に建設大臣の認可を得て設立されたセンターでございます。同センターは、河川事業と環境との調和について高度な専門的知識を有する技術者を多く擁し、また大学を初めとする各種研究機関や学識経験者とのかかわりも深いところでございます。
 今回の追加調査は、一年という短期間に極めて広い範囲にわたる高度で専門的な調査を総合的な観点から実施する必要のあるもので、かつ長良川及び河口ぜき事業についても精通しているところから担当したものでございます。
 なお、同センターに建設省のOBも在職していることは事実でございます。
○佐藤三吾君 ちょっと途中で悪いんですが、刑事局長が来たようですからお聞きします。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員のお尋ねは、鈴木前首相が上申書を提出したのかどうかというお尋ねと理解いたすわけでございますが、その点につきましては、検察当局においてどのような手法であるいはどういうことを捜査しているかということにつきましては捜査の秘密に属することでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(中村太郎君) 速記を始めて。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員御指摘のような点につきまして報道がなされていることは私も承知しております。ただ、報道の内容が真実かどうかということについて論評することは法務当局からはいたしかねるわけでございます。
○佐藤三吾君 事実かどうか。
○政府委員(濱邦久君) これまでにも再々お答え申し上げたかと思うわけでございますが、捜査の内容あるいは捜査の手法等捜査の秘密に属する事柄につきましては、これは今後の捜査及び公判の遂行に支障を生じてはならない、あるいは関係者の人権の保護の上で必要だということで、従来から捜査の秘密に属する事柄につきましてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。
 したがいまして、今委員お尋ねの点につきましてもお答えは差し控えさせていただかざるを得ないということでございます。
○佐藤三吾君 事は、衆議院の参考人として来てもらってそして回答した内容が前回の上申書と違う、したがって事情聴取をしたい、それに対する第二上申書と、こういうふうに報道されているわけですから、国会にかかわることでもある。そこはきちっとしてください。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 重ねてのお尋ねでございますけれども、先ほどからお答え申し上げておりますとおり、捜査の秘密に属することでございますのでお答えを差し控えさせていただきたいわけでございます。
○委員長(中村太郎君) 速記をとめて。
   〔午前十時十三分速記中止〕
   〔午前十時二十七分速記開始〕
○委員長(中村太郎君) 速記を始めて。
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 委員御指摘のような報道がなされておりますことは私も承知しておるところでございます。また、その報道の内容について私どもの方で否定する立場にはないわけでございます。
○佐藤三吾君 法務省の捜査の関係もあるでしょうから、わかりました。
 いずれにしても、二度上申書が出されたということについては確認しておきたいと思います。
 そこで、時間がございませんので建設省にまた戻りますがダム水源地環境整備センター、このセンターに、近藤さん、建設省の出向職員も行っておるのですか。
○政府委員(近藤徹君) 出向しております。
○佐藤三吾君 何人行っておりますか。
○政府委員(近藤徹君) 四名でございます。
○佐藤三吾君 さて、今、近藤さんから報告があったとおりですが、環境庁長官、この長良川の環境調査の結果に対して環境庁としてはどういう認識とこの問題に対しての対応をなさっておるんですか。
○国務大臣(中村正三郎君) この調査は、平成二年に環境庁長官見解に従って建設省でやっていただいたものでありますけれども、建設省及び水資源公団において、学識経験者の指導を得て、環境庁とも調整を図りつつ実施されたものでございます。
 調査結果は、河口ぜき建設による水質や魚類生息等への影響を予測して、その箱果を踏まえた環境保全のための対策を明らかにする内容となっておりまして、環境庁といたしましてはこれらの対策の適切な実施により環境保全の著しい影響は避けられるものと考えております。
 そこで、建設省及び水資源公団においてはこの調査検討結果を関係自治体及び地元住民に説明して、その意見を十分反映させた環境保全上の措置を講じることとなると思いますが、環境庁といたしましても、今後とも必要に応じて建設省と連絡をとりつつ、長良川の良好な環境が保全されるよう引き続き努力をしてまいりたいと存じております。
○佐藤三吾君 時間がございませんから、この問題を少し掘り下げたかったんですが、長官、今言ったように出向職員が四名おる財団で環境調査をやった。ですから反対派の皆さんから見ると八百長だとこういう議論になるわけです。ここら辺は環境庁としてもしっかりした立場からこの問題に対する再検討を含めてぜひひとつやってほしいということだけ要請して、私の質問を終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で佐藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 次に、清水澄子君の質疑を行います。清水君。
○清水澄子君 ただいまPLOのアラファト議長が乗った飛行機がリビアの近くで行方不明になっているというニュースが入ったわけでございますけれども、外務省はこれについてどのような情報を得ておられますか、お尋ねいたします。
○政府委員(佐藤行雄君) 私、担当ではございませんが、報道で承知しております。
○清水澄子君 何もその内容はお聞きになっていないんですか。
○政府委員(佐藤行雄君) 我々が承知しておりますのはリビア放送の傍受した情報でございまして、恐らく報道に出ておりますから先生方も御承知の点だと思いますが、報道の限りでは、PLOのアラファト議長を乗せてスーダンを立った飛行機が七日午後、リビア上空で無線連絡を絶ったということでございます。我々が今承知していますのはこの段階ではこれだけでございます。
○清水澄子君 きょうは私は、戦後補償における個人の請求権並びに政府の基本的な認識やその姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
 これまで政府は、戦争犠牲者または日本の植民地支配によって生じました被害者個人の請求権及び補償問題を国家間の外交保護権の放棄によってもうすべて解決済みという形で処理をされてきました。しかし現在、韓国並びにアジア諸国からこの日本の戦後補償のあり方を問う声が高まってきたというその理由は、これはやはり米ソ冷戦が崩れてきた、そういう中で特にアジアの民主化が進んできた一つのあらわれだと思いますし、それから国際的に見ましても非常に個人の人権の拡充とか国際人権保障の規範という観点から、いろいろ過去の問題のあり方それから今日の人権という立場からすべての政策を重視していくという、そういう非常に大きな世界の民主化という流れがあると思うわけですけれども、政府はそういう問題についての非常に基本的な認識、施策への転換がおくれていると思います。私はきょうはそうした人権の視点から、これまでの戦後補償や請求権問題についてお尋ねをしたいと思います。
 そこで最初に、最近中国におきまして旧日本軍の南京虐殺など民間補償の声が高まっておりまして、全人代で賠償請求の法案提出の動きとか、地方の人代までもそういう動きが起きているわけですけれども、政府はこうした動きをどのように認識しておられますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のように、中国におきましては全人代に向けましてそのような一部の方々の動きがあるということは私どもも承知いたしております。正式の議題として全人代で議論してほしいということだったようでございますけれども、御案内のように全人代はもう終了いたしました。
 中国側の内々の説明でございますと、二千人を超える代表の中のごく一部の三十名ぐらいの方々の動きだったということでございます。また、毎年、全人代になりますと数多くの、千を超えるそのような要請がなされるということを聞きました。その中の一つであったということでございます。
 いずれにいたしましても、全人代は終わりまして、議案にはならずに終わったということでございます。
 それから、改めて申し上げるまでもございませんが、中国政府との間では、この種のことも含めて日中間の請求権の問題は七二年の共同声明発出以降存在していないということは、私どもの認識のみならず中国政府の認識でもございます。
○清水澄子君 昨年八月に海部首相が訪中されました際に、この民間賠償の原案となりましたそういう請願書が出されたわけですけれども、そのポイントはどういうものでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 昨年八月に海部総理が御訪中されましたが、その前に、訪中に先立ちまして中国の市民の方々百八名の方の連名で、北京の共同通信を通じてでございましたが大使館に送付されてきたものでございます。
   〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
 内容は、長いものでございますけれども、要するに日本の軍国主義によって罪なく殺害されたり迫害された我が国の民間の幾多の市民の被害要求は放棄されていない、そういう立場に立っておりまして一九三一年から四五年までの間の中国の民間のこうむった損失千八百億ドルの賠償を求めるということでございます。算出の根拠あるいはその法律的な根拠、その点は必ずしもいただいた書簡によりましても明らかではございません。
○清水澄子君 日中共同声明は、中国は「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」とありますし、日韓条約のように、国及びその国民の間の請求権とはなっておりませんし、さらに日韓条約のように「完全かつ最終的に解決」ということはうたわれていないわけです。
 ですから、こういう場合に、中国の国民からの賠償請求がありました場合、その扱いは韓国とおのずと異なってくるということになると思いますが、その点の御見解を外務大臣、お聞かせください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は日本の外務大臣ですから、日本の国益も考えなければならぬのです、日本の国益も。政府に莫大な金を払え払えと言うことは日本国民に払えと言うことでございますから、日本国民がそういうコンセンサスであればそのように大きな動きになるかもしれません。しかし政府間ではこれはもう解決済みということになっておりまして、そういうことで、我々としては友好関係を促進するために中国に対しましては円借款を初めエネルギー借款その他のいろんなことで今後とも大いに協力してやっていこうと、そういうようなことをやっておるわけであります。
 しかし、中国の中の動きを我々はとめることはそれはできません。できませんが、しかし国家間の問題を大きくそこに切り傷を開いていくというやり方は私は賛成いたしません。
○清水澄子君 その国益本位の国家主権の枠組みという考え方をむしろこれから点検し直さなきゃならないのが今日の時代だと思うんです。しかしそれをすべて補償金という形で私は申し上げているのじゃありません。ですから、どのように認識されているかというのは、こういう問題が出てくる背景、そしてどれほど私たちは過去の克服に対して誠意と謙虚さを持って対応してきたかというその問題を認識することが私は重要だと思っていたんですけれども、相変わらず金が幾らかかるとかそういうところだけ、やはりそこに私は一番アジアの人々からの不信があると思います。
 そこで、三月二十四日の東京新聞に、そういう対日賠償請求に対して、外務省はそういう問題は中国政府に行えばいいということの見解が出ているわけですけれども、これは本当にそうなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは国民一人一人とどの国においても日本政府が交渉をしたりどうこうすることは不可能なんです、実際問題として。したがいまして、国家間の取り決めというものはいろいろございましょうが、それはそれなりに国と国との間では問題を解決していかなければいつまでたっても国交正常化というようなことはできません。したがって、長い間、十数年かかってできなかったものを解決するためにはお互いにある程度我慢し合うところは我慢し合ってやらなければならない、大きな大乗的見地に立ってやっておるわけであります。
 しかしそのことによって、我々は戦争の被害でいろいろな御迷惑をかけたことについて、それはまことに申しわけない、二度と再びこういうことを起こしてはならない、そしてまた復興のためにはできるだけの御援助あるいはそういうようなことをやってまいりましょうということでやってきておるわけでございますので、国益というのは政府だけの話じゃなくて国民全体の問題でございますから、我々は今後とも日中間の問題については誠心誠意仲よくやる方向で、またそれがいろんな国の国情によってやり方は違いましょうけれども御協力を申し上げてきたところでありますし、今後もそういう方針でやってまいりたいと考えております。
○清水澄子君 それでは次に、アメリカ、カナダの日系人強制収容に対する謝罪と補償はどのような方法で個々人に対して行われたのか、説明いただきたいと思います。
○政府委員(佐藤行雄君) これはアメリカ及びカナダそれぞれの国の事情に基づいたことでございますので事実関係だけ簡単に申し上げますが、アメリカにつきましては、いろいろ経緯がございましたけれども、強制移転収容された日系米人、日系永住者に対して議会が謝罪をいたしまして、そして一人当たり二万ドルの補償金を支給するということにいたしております。
 カナダにつきましては、これは政府が不公正な取り扱い、人権侵害ということを認めまして、一人当たり二万一千カナダドルを支給するということになっております。
○清水澄子君 個々人にどういうふうな手渡し方がされましたか。
○政府委員(佐藤行雄君) 外国のことですので我々それまで詳しくは承知しておりませんが、アメリカについては、一人一人に小切手を出して、それとともにブッシュ大統領からのメッセージが添えられていると聞いております。カナダについては詳しく承知しておりません。
○清水澄子君 これが日本の外務省ですね。驚きました。アメリカもちゃんと大使館に、こちらに来て、そして日本の国内に申請をしてくださいということでいろんな広告を出しましたし、カナダなんかは日本の国内の九カ所に、ホテルに申請する場所を設置して、そして広告まで出しているわけです。そして一人一人にちゃんとアメリカの場合はブッシュ大統領の手紙をつけ、カナダもマルルーニ首相のサインの入った手紙をつけているわけです。
 その中にははっきり、金額や言葉だけで失われた年月を取り戻して痛みを伴う記憶をいやすことはできません、しかし道徳的な意味だけでなく実体的な方法でこの問題を処理することが我々の決意を象徴していますからどうぞ受け取ってください、そういうふうにアメリカもカナダもみずからの行為の誤りを認めて、そしてそれぞれ個人に対して誠実に手渡していくというそういう対応をされております。
 ですから、そういうことは外国のことだからわかりません、こういう言葉で、これが外務省の姿勢でよろしいでしょうか。
○政府委員(佐藤行雄君) 私が申し上げましたのは基本的に米国民、もちろん日系人、永住者も入っておりますが、基本的に米国の政府あるいは米国が米国民に対して、またカナダがカナダの日系人及び永住者に対して行ったことでございますので、我々として余り有権的にいろいろなことをここで御説明する立場にはないということでございます。
○清水澄子君 人間の誠意と配慮のないところに人権尊重はありません。そしてまた戦後補償というのはそういう配慮と誠意が必要なわけです。そういう中で、皆さんのところに行っているかどうか知りませんけれども、日本が台湾人に元日本兵の弔慰金支給で出されたこの書類と、その一つ一つに謝罪をつけブッシュ大統領やカナダ首相のサインをつけて皆様方にどうぞ私たちの誠意を受け取ってくださいというそういう文書を見たとき、こういうことは外国のことだからいいんですか、そういう台湾の人たちに。ただこれは一枚の通告でしょう。お金を払うようになりました。こういうところに非常に戦後補償とかこういう問題についての配慮と謙虚さが足りない、ここをどう直していくかということで、人権という問題を大切にする日本の姿勢をやはりつくり直す必要があるということで私は主張しているわけですが、これでもまだ外務省はそんなことは勝手だとおっしゃるんですか。(「日系人はアメリカ人なんだ」と呼ぶ者あり)
○政府委員(佐藤行雄君) 台湾に対する問題は、私は担当でございませんので承知しておりませんけれども、アメリカとカナダとの比較において議論をされておられましたけれども、私が先ほど申し上げましたのはアメリカもカナダも基本的にはアメリカ国民である日系人、カナダ国民である日系人に対する補償ということを基本に置いて考えたものでございますので、その点において我が国としてあるいは私の立場から御説明する立場にはないということを申し上げたわけであります。
○清水澄子君 日系人だけではなかったんです、ちゃんと日本国籍の人も半分いたわけです。ですから、そういうことすら学ぼうとしない、その基本姿勢がアジア諸国から問題になっているんだということはもっと外務省自身が認識をしていただきたいと思います。外務大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま北米局長が答弁したとおりであります。
○清水澄子君 日本は国際人権規約を批准しているわけですけれども、B規約二十六条は法のもとにおける平等の権利を規定しているわけです。しかし、政府はシベリア抑留者に対して日本人には慰労金を払って首相の賞状を渡しているわけですけれども、在日朝鮮人は同じようにシベリアで八年間抑留させられて、そして日本の兵隊としてそこで抑留されてきたわけですけれども、この人にはやはり国籍条項を求めて補償を除外しているわけです、これらの手当を。金昌錫さんという方がその本人ですけれども、それで九一年に日弁連は政府に対して是正の勧告を出しているわけですけれども、政府はどのような措置をなさったでしょうか。
○政府委員(高岡完治君) 先生ただいま御指摘のように、昨年の五月に、私ども、内閣総理大臣あるいは平和祈念事業特別基金の理事長あてに日弁連の会長名で勧告をいただいております。
 その勧告の趣旨は、繰り返しになりますが申し上げますと、基金法の四十三条それから四十四条の規定する戦後強制抑留者またはその遺族に対する慰労品の贈呈および慰労金の支給について、日本国籍をかつて保有し、かつ引き続き日本に在住する旧植民地出身者に対してもその適用がなされるよう運用を行い、必要な立法措置を講じられたいという内容のものでございます。そういう勧告をいただきまして、私ども総理府といたしましてはいろいろと慎重に検討を行ってきたところでございます。
 まず、最初の四十四条でございますけれども、一連のいわゆる戦後処理問題をどう処理していくかということで、私どものこの慰労金の制度というのはいわば一番最後の制度として発足をした制度でございます。その発足に際しましては、国が戦後強制抑留者の皆様方の御労苦に対して慰謝の気持ちをあらわすという趣旨で支給したものでございまして、それに際しましては、援護等を初めとする戦後処理制度に関します他のいろいろな措置との均衡も考慮をいたしまして、この国籍を持っているといういわゆる国籍条件を付加したものでございます。
 それから四十三条につきましては、慰労品の贈呈ということでございます。日弁連の御勧告のように、確かに法律上は国籍要件を規定しておりません。しかし、この慰労品の贈呈につきましても慰労金と同様に、大変厳しい気象条件のもとで大変な御苦労をされました方々に対して国として慰労の趣旨といいましょうか、慰労の気持ちをあらわすために品物をお贈りするという制度でございまして、同じ法律の中に慰労金という制度もございますものですから、そういった制度、先ほど申し上げました平和祈念基金制度以外の制度におけるいろいろな取り扱いの仕方といったものも加味をいたしまして、運用上国籍要件を加味したものでございまして、私どもは、関連する諸制度との均衡から、こういう国籍要件を付加したものはいろいろな御意見はあろうかとは思いますけれども妥当なものではないかと考えておるわけでございます。
 それから、この日弁連の勧告の中では憲法論だとかいろんなことがございますけれども、私どもといたしましてはこういう慰労金の趣旨のようなもので出されるものにつきまして直ちにこれが憲法第十四条の規定に違反するものであるというふうには理解をしていないところでございます。どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
○清水澄子君 カナダやアメリカの例を挙げましたとき非常に自民党さんはやじを飛ばしましたけれども、向こうの皆様方がおっしゃっているのは、こういう過去の不正な過ちに対して償いをするときは言葉とか法を乗り越えなきゃならないということを言っております。今もただ法律の問題だけをおっしゃっているわけですけれども、政府は九二年十二月に国連人権規約委員会に対して報告書を提出しております。その内容を読みますと、外国人の権利については参政権以外はそれは日本国民と同じ待遇が確保されている、こういう報告書が出されているわけですけれども、これは事実に反しているのではありませんでしょうか。
 さきのシベリア抑留者の在日朝鮮人の除外、また埼玉県の陳石一さんとか神奈川県の石成基さんとかまた大阪の鄭商根さんたちは、やはり戦傷病者戦没者遺族等援護法から、同じ日本軍として傷疾軍人になっているんですが、適用を除外されているわけですね。これについて今異議を申し立て、裁判で争っているわけですけれども、そういうことがこの報告書では、事実から反したことで平等になっているということを書かれているわけです。
 私は、この秋、国連人権規約委員会で審査される前に、事実に反するこの報告を修正される必要があると思いますけれども、ぜひ大臣、御意見ください。
○政府委員(丹波實君) 先生にお答え申し上げます。
 おっしゃるとおり、昨年の十二月十六日にいわゆるB規約第四十条に基づきますところの第三回目の報告を行っております。その中で、先生がおっしゃったとおり、「外国人の権利については、基本的人権尊重及び国際協調主義を基本理念とする憲法の精神に照らし、参政権等性質上日本国民のみを対象としている権利を除き、基本的人権の享有は保障され、内国民待遇は確保されている。」という回答を行っております。これは、参政権とか公務員となる権利のような、もともと外国人に当然には認められないような権利を除きまして、外国人も日本国民と同様に基本的な人権を保障されているという趣旨を述べたものでございます。
 先生も御承知のとおり、B規約の第二十六条は、B規約人権委員会が先生の御承知の例のフランス国のセネガル軍人の年金問題で見解を示したときに、その見解の中に、この二十六条の法のもとの平等の問題であっても、合理的かつ客観的な基準で差異が設けられることは許容されるという趣旨の見解と読み取れるものをもう出しておるわけでございます。御指摘があった点、すなわち基本的人権の保障について、参政権等の権利以外の、内外人が同様に扱われているという以外につきまして、参政権等の権利を除きますと内外人が同様に扱われているという趣旨を述べていることにつきましては、先ほど申し上げたような合理的な差異の範囲内にあるという考え方でございますので、何ら記述はしていないということでございます。
 問題は、それでは何が合理的かつ客観的な基準かという点につきましては、それぞれの処理を行った関係省庁からその考え方を御聴取いただきたいというふうに考えます。
 以上でございます。
○清水澄子君 本当に官僚の皆さんというのは、ただ法文の文言を読み上げるだけなんですね。現実にその人たちが日本の国内で生活の保障もなく人権がじゅうりんされているという問題をどうするかということを私は申し上げているのであって、そういう点で、何も法律上問題ありませんと。それは、法律はそれをやらないことを決めているわけですから、問題があれば改正していく、見直すということが、私はこれからの二十一世紀の人権とか環境とか軍縮を中心にしたそういう世界の流れの中に日本が本当に国際的な協力、そしてそれこそ名誉ある地位を獲得することだと思うものですから、そのことをお尋ねしているわけです。
 大臣、どうぞ御見解を述べてください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 個々の問題を取り上げますと、いろいろな矛盾点といいますか、いろいろ気の毒なケースとかそういうのは私は必ずあると思うんです。あると思うんですが、そういうことを言っておったらなかなか条約の加盟もできないとか、そういう問題、どちらをとるかということになりますと、小異を捨てて大同につくということか、あるいは小異を残したままで大同につくということか、いずれにせよ立場を決めなきゃならないことが往々ございます。
 例えば日ソの関係も同じでございまして、鳩山内閣のときに共同宣言を発して国交の、一応の外交関係の正常化を図る。そのときも、ソ連側は一方的に日本の中立条約を破って進撃してきて、そして日本人を六十万人も拉致して、それで五万人近くが強制労働と飢えと寒さの中で死んでいった、これは事実でございますから、そのときの賠償金を全部よこせ、人道上当たり前ではないかという主張が正しいんです、これは。正しいんだけれども、しかしそれをやっておったのでは日ソの国交正常化ができないということになってあの共同宣言が生まれたということでありますから、個々の問題を取り上げるといろんな問題が実はございます。
 そういうようなことで、しかしながらシベリアに抑留されて何の補償も受けなかった人たちはお気の毒ではないかと、これも事実。したがって、それはソ連から本当はもらうべきものを放棄をしてしまった、現実は。しかし日本政府は何もしないということで大きな国内の問題になって、我々といたしましては、それに今総理府が説明したような慰謝の行為、それをやって、そしてひとつそれで勘弁してくださいということをやってきたということでございますから、それらの点も並行的にバランスをとって考えていただきたい、そう思うのであります。
○清水澄子君 この問題はまた別のとき、これは絶対これから問題になってくると思います。
 次に、本題に入る前に私は郵政大臣にお聞きしたいと思います。非常にたくさん出てまいりますね、大臣。献金、顧問料、疑惑の報道が余りにも多くて、私はもうメモしてこんなことしゃべっていると時間がもったいないんですが、本当にたくさん、新聞に報道されただけでも八六年の九月から十件、そしてそこの数字だけ単純に計算しても二億二千六百二十二万円。だけど、それらの問題が、この間私は政治資金規正の収支報告に提出しであるかどうか調べましたけれども、政治資金規正法に沿っての収支報告は余りございませんですね。
 この中に、大臣の場合はこの三年間に、法人その他の団体として大臣が持っていらっしゃる政治団体、秀央会とか陽山会、それを見ましても、そこに書かれている数字の中で、法人名とか金額、寄附者の氏名の住所とか、そういう記載のあるのはわずかに三件でして、ですから金額にしては三百五十万円余りしか寄附者名を明記していないわけです。
 そういう意味でいきますと、大臣の法人その他の団体に関する透明度は一・五%しかないわけです。あと九八%以上わからないわけですね。そういう点ではどのように、今まで問題になってきていますこの金額、詳しくは私も申し上げません、大臣の方がうんと御承知でしょうから。ですから、どのように説明をなさるか、返答をお願いします。
○国務大臣(渡辺秀央君) 大変恐縮ですけれども、ちょっと質問の趣旨がわからないんですが、申しわけありません。
○清水澄子君 じゃ、準備されてきた答えだけお答えください。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答えさせていただきます。
 多分清水先生の御質問は、最近報道されました幾つかの中で、今まで委員会、衆参の国会で御答弁をさせていただいたもの以外に、特に最近一部報道されたものではあるけれども、しかしどういうことか真偽をただしたい、こういう趣旨かと私思ったものですから、日本電波塔の関係のことを、実は答弁の事前の御質問の要旨にございましたので答弁をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
○清水澄子君 私が先ほどお尋ねしたのは、あなたの政治団体、秀央会と陽山会の政治資金収支報告書を調べてみましたけれども、そこにある、特に法人その他の団体というところの中に寄附者とかそういう人たちの名簿が明確に書かれていない、このことを申し上げたので、ですから、そういう点で政治資金規正法に届けられているのかどうかということです。
○国務大臣(渡辺秀央君) どうも失礼いたしました。
 団体からの関係は、御存じのとおり百万円以内は明記しないでいいということになっておりまして、政治資金規正法の方に登録されているのには恐らく先生おっしゃるとおり出てこないと思うんです。しかし、個人の献金におきましては明確に名前を付して届け出をいたしてありますので、私は政治資金規正法上の遺漏はないものと思っておる次第でございます。
○清水澄子君 百万円以下という形で操作されているのかもしれませんが、非常にそれは数字も合いません。
 だけど、きょうちょっとそれが私の質問の内容ではありませんので、じゃその次に、さっきの日本電波塔のホテルの建設計画に絡んで千八百万円の献金と顧問料を受け取ったという疑惑が出ておりますけれども、その中で顧問料は所得として申告した、献金は政治資金規正法で適正に処理したとおっしゃっていますけれども、電波塔の社長の前田福三郎さんからの一千万円の政治献金ですけれども、これは収支報告書のどこに入っているんですか。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 個人でございますので、政治団体で収支報告書を見ていただきましても、これは会社からいただいたんではないんです。個人として実は副長官の時代に申し出があったんですが、しかし副長官のときにいかがかということで六十一年、六十二年と、そして六十三年に図らずも集中してしまったということでございまして、個人名できちんとそれは収支報告書に出ておりますので、先生、そこはどうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
○清水澄子君 理解はいたしません。
 国民は、あなたの次々と出てくる疑惑の問題に、非常に政治的にも道義的にも納得をしていないと思います。
 そこで、二月二十日に衆議院予算委員会で、さらに問題が出たときは私は政治家として相応に対応しますとおっしゃって、きのうの逓信委員会でもまた改めてこのリクルートコスモス社に秘書給与を肩がわりさせていた事実が出て、それをお認めになっておりますけれども、私はもうおやめになるのが一番の先決だと思いますが、いつごろ決心されますか。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 先生は私のきのうの答弁をお聞きになって御質問していただくとよくわかっていただけると思うんですが、実はコスモス社にいた社員が、配属されるまでということで私のといころで勉強しておりましたが、どうも向こうへ行くよりは私は政治家の秘書になりたい、こういうことになったものですから、それではということで私のところに引き取ったということでして、これはまさに先生の方の御質問になっておられる趣旨は、初めからリクルートコスモス社から秘書が派遣されている、こういうふうにお考えのようでありますけれども、それは全く間違いでございます。
 しかも、七カ月、六カ月かそこらだったと思うんです。そして私の方に引き取ることになったものですから、私は自分の方の給料で対応したということでして、報道の方でも一部そういう間違いがあったようですが、きのうは私は社会党の先生の御質問にきちんとそのようにお答えをさせていただいておるわけでございます。
 それから、最後の方の御質問でありますが、リクルートからの政治献金授受が直接私にあった場合にどうするか、これ以上あった場合にどうするか、こういう話でしたから、私は政治献金はありません、あったときには政治家として、私も政治家ですから考えますと、こう申し上げておったのであります。
○清水澄子君 それでは、リクルートだけであって、それ以外は考えないと、いうことですね、何か出てきても。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答えいたします。
 清水先生、政治献金を払いただいたところが全部一々、例えば週刊誌で言われた新聞で言われたといいましても、私の正常な正当な政治活動に資して使わせていただいたものは、これは曲解されたままで、政治活動の何か凝りになっているとは思っておりません。そこは私は自分で堂々と政治資金いただいたものはいただいたものと申し上げてきたのはそういう意味であります。
○清水澄子君 この問題はまた他の同僚がやると思います。
 次に、従軍慰安婦問題に移りたいわけですけれども、まず軍事郵便貯金についての扱いをお尋ねしたいと思います。
 まず、現在どれだけの口座があるのか、それから開設数はどれだけあったのか、残高は幾らかということ。
○政府委員(松野春樹君) 軍事郵便貯金と申しますのは、戦地に設けられました野戦郵便局または海軍軍用郵便所でお預かりした貯金ということでありますが、約四百カ所余の開設でございます。
 それから開設地でございますが、例示的に申し上げたいと思うんですが、一部旧地域名も入りますが、中国地域では北京、蘇州、広東その他、それから香港、それから旧オランダ領東インド地域では例えばスマトラ島など、それからビルマ、マライ地域におきましてはクアラルンプールその他、その他ハノイ等にも設置されていたようであります。
 平成三年の三月末の現在高でありますが、口座数が約七十二万口、金額が約二十一億四千九百万円ということになってございます。
○清水澄子君 野戦郵便局の廃月後にとられた預金者保護の措置はどのような経過であったんでしょうか。簡単で結構ですからお答えください。
○政府委員(松野春樹君) 野戦郵便局等が最後に閉鎖されましたのは戦後、昭和二十一年五月まででございますが、終戦直後のインフレーションの助長防止等の理由もあろうかと思うのでありますが二十年の十月以降は支払い制限がなされておりまして、当時の郵政省といたしまして、例えばGHQ等に対しましてその支払いが保証される必要がある旨の要請、その他制限緩和に努力した形跡がございます。
 昭和二十一年以降徐々に支払い制限が緩和されまして、先生御存じかと思いますが昭和二十九年五月には軍事郵便貯金等特別処理法というものが制定されまして支払い制限が解除された経緯があります。また、でき得る範囲で払い戻しの勧奨に努力しております。例えば昭和三十年から三十二年にかけまして、これは対象は国内の住所の判明しておる預金者でありますが、約五十二万人に対しまして利用勧奨状を発送しております。そのうち約二十万人の方から払い戻し等のお申し出があって処理しているという記録が残っでございます。
 ただ、国外に居住されておる方々につきましては、基本的には財産権等に関する国家間の特別取り決めに関する交渉がどうなるかという推移を見守ってきたところでありまして、この軍事郵便貯金の払い戻しについての勧奨など、特段の払い戻しを促すための措置等は行っていなかった模様であるという認識をしております。
○清水澄子君 そうしますと、特に日韓請求権協定に基づく郵政省令第四十三号のいわゆる対象外の地域、例えば台湾、朝鮮民主主義人民共和国、中国等の在住の預金者から請求があれば軍事郵便貯金の払い戻しに応ずるということになるんですか。
○政府委員(松野春樹君) 基本的な考えでございますけれども、先生今御指摘になりました日韓協定のような財産権等に関する特別取り決めが締結されていない地域の方が有する軍事郵便貯金につきましては、日本国内において払い戻しの請求があれば、確定しておる債務という認識を貯金の場合はしておりますので、法的に支払う義務はあると考えています。
 ただ、北朝鮮の場合でありますが、現在、日朝国交正常化交渉によりまして財産権問題等の取り扱いについて協議中でありますので、その成り行きを見守っておるという状況でございます。
○清水澄子君 最近、元慰安婦の文玉珠さんがビルマやタイの前線で軍事郵便の貯金をしたと、その払い戻しのために来日しましたけれども、これは日本の国内法で措置された権利の消滅のもとで結局払い戻しは拒否されたわけです。そうなりますと、文玉珠さんという方は戦争犠牲者の上にもう一つ日韓請求権協定の二重の犠牲者になるわけです。
 郵政大臣は、本来ならばあくまで預金者保護の原則に基づいて行政をやる、その権利を保護しなきゃならない立場だと思いますし、先ほどのお答えの中で払い戻しのために特別の措置はとらなかったということもお聞きしましたけれども、金額もそんなに多くないはずです。せめてそういう方々の払い戻しに応ずるという、預金者保護の原則を何とか守ろうというそういうお立場はございませんでしょうか。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 さきの戦争で大変な辛酸をなめられた元従軍慰安婦の皆様方の心の痛みは察するに余りあるものがございます。
 ただしかし、韓国の方が申し出た軍事郵便貯金に対する権利の問題というのは、郵政省としましては昭和四十年に締結されましたいわゆる日韓協定及び関係法律に沿って対処せざるを得ないのでございまして、これは先ほど来からいろいろ議論の出ているところでございますが、郵政省としてもその域を出ることはできない。御理解をいただきたいと思います。
○清水澄子君 今までにもいっぱいいろんな人たちの人権が非常に侵害されているということが出ていると思うんですけれども、これらは今後やはりどうしてももう一度検討しなければならない問題ではないかと思います。
 次に、実はここに昭和十九年、一九四四年に満州の石門子一〇一三部隊というのが使用した慰安券のつづりが出てまいりました。
 これには泊まりだとか、それから兵士、それから下士官、みんなこういうふうに部隊のところに全部こういう券がガリで切ってあるわけです。そしてさらに、初めて見ましたけれども、慰安券のつづりと、日曜日ごとに四十人、五十人のうちに十二、三人ずつに配られた現地の駐屯地司令官発行の特別売銭税免除票というのがある。もとの軍人から私に届けられました。
 この免除票を持っていきますと、慰安所の料金が一円五十銭が一円になる。つまり三〇%割り引きになるということなんです。これを見ますと、軍は慰安所の経営に関与していただけではなくて、税額をそれぞれ決めて慰安所業者から特別売残税の名目で税を徴収して軍の経理に収入として入れていたのではないか、こういうことがだんだんいろんな資料から明らかになってきているわけです。そういうことになりますと、中国で陸軍がアヘン取引を行っていたということと同じように、軍のアルバイトとして積極的に慰安所の設置に力を入れてきたのではないか。言いかえますと、軍の慰安所の設置目的が兵の性的慰安や軍の規律維持とあわせて軍の独自の財源を得るための慰安所の設置推進であった、こういうふうに考えられるわけですけれども、これ、大臣どうぞお答えください。大臣、居眠りをやめてください。
○政府委員(有馬龍夫君) 御推察の目的があったかどうかということは、御指摘の資料からは何とも申せません。
○清水澄子君 大事な問題ですので、本当に大臣居眠りしないでください。
 それで、今の、だからいかに調査というのがいいかげんかというのがわかるんです。これはやはり政府からいただきました防衛庁の、軍の品集団特務部ですね、それからナンバー五十八番ですけれども、この中を見ますと、アヘン吸引所の設置も慰安所の設置も税金もみな書いてあります。この間からずっとこういう書類の中に、公文書の中に税ということが出てくるので何のことかなと思っていたんですが、ようやくこれで慰安所が、これは軍が自分たちの財源を得るためにもこれを必要として拡大していたということが考えられるわけですけれども、この真相の調査を私は要求したいと思いますが、それをお約束ください。
○政府委員(有馬龍夫君) 御指摘の目的で税が徴収されていたということを示唆する資料はございません。
○清水澄子君 調査を私は要求しているわけです。
○政府委員(有馬龍夫君) いわゆる従軍慰安婦問題に関連いたします資料は、政府で関係があり得たと考えられるところに依頼いたしまして、網羅的に調査をいたしております。現在までのところ、御推察のごとき、御示唆のごとき目的を示すような資料はなくて、今後もしも出てまいりましたらばもちろんでございますけれども、御指摘のことも含みとして調査は進めてまいります。
○清水澄子君 真相の究明を私は要求いたします。
 次に、外務大臣、私が三月二十一日の予算委員会の質問のときの御答弁で、従軍慰安婦は日本人の女性の方が多かったという御答弁なさったんですが、その根拠をお示しください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ある資料を見たところが、場所によっても違うんでしょうが、大体十対五とかいうような、何といいますか病気の検査ですね、検査のところでそういうような発表が一つあるんです。そこで大体そんな分布なのかなと。場所によっても違うようです。
○清水澄子君 そういう一部分だけをおっしゃるんでしたら、全体像をどう私たちは明らかにするかというのが今の真相究明の作業だと思います。ですからそういうところを、私たちもいろいろこういう政府から出てきた公文書の中から問題を発見してお伺いしているわけですけれども、もう少し本当に真剣に真相究明を手がけていただきたいと思います。
 次に、やはり大臣は三月二十一日の私の質問に対して、何といいますか、韓国の国内法で軍人軍属の場合、戦争で傷ついた人たちは何らかの措置をとってありますということをおっしゃっているんですが、それは本当にそうなんでしょうか。
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 何分韓国の法律でございますので私ども有権的な解釈はできませんけれども、私ども承知している限り、いわゆる日韓請求権協定の締結後の時点で、韓国側で一連の国内法を制定したというふうに承知しております。
 一番直接関係のあると思われる法律でございますが、一つは対日民間請求権申告に関する法律というのがございまして、これはこの法律にいう「対日民間請求権の正確な証拠と資料を収集するのに必要な事項を規定することを目的とする。」というふうに承知しております。そして、これは一九七一年に制定されたものでございます。
 この法律の第二条によりますと、「この法律の規定による申告対象の範囲」というのがありまして、九項目にわたって規定しております。対日民間請求権の具体的内容ということで列挙しておりますが、長くなりますので概略だけ申し上げますと、預金でございますとか有価証券あるいは海外送金、あるいは日本から帰国された韓国の方々が日本の政府機関に寄託した寄託金でございますとかあるいは保険金、その他一定の債券、最後に、日本国によって軍人軍属または労務者として召集または徴用され一九四五年八月十五日以前に亡くなった方というようなものを挙げております。
 その他、あと二件の一法律がございまして、もう一つは、これも直接関係あると思いますが、対日民間請求権補償に関する法律というのがございます。さらに、それより前に制定されました請求権資金の運用及び管理に関する法律というのもあると承知しております。
○清水澄子君 ですから、大臣はここでは片手をとられたとか傷ついた人とかは相手国が補償したと、これは今御説明の中でそういうことはありませんでした。一九四五年八月十五日以前に死亡した者だけであって、そういうふうに現在傷病等を持っている人は補償の対象になっていなかったんです、これは韓国の国内法で日本とは関係ないんですけれども。ですから、ここの部分は修正をしていただきたいと思います。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御説明申し上げたところが、私どもその後調査いたしました結果判明した韓国の国内法でございます。
 このような国内法があることにつきましては従来から聞いておりましたけれども、この補償の対象ということとして先ほど申し上げた対日民間請求権申告に関する法律の第二条というところに列挙しているものは、先ほど申し上げたようなものでございます。韓国側としていかなる判断に基づいてこのようなふうにされたかという点は、何分韓国の問題でございますので、その点は承知しておりません。
 いずれにいたしましても、日韓間の請求権処理と並行して、我が国から供与された有償無償の資金をどのように向こう側で活用されるかということは、当時韓国側に任された問題であったというふうに承知しております。
○清水澄子君 私は修正を要求したわけです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、要するにどういうようになにするかは韓国側に、今言ったように当時一千億円余の無償資金を供与したわけでございますから、その中で何らかの措置がとられたものと思われるという趣旨で申し上げたもので、正確でなければそのように訂正します。
○清水澄子君 正確でありませんからぜひ修正してください。
 そこで、今お話にありましたように、つまり日韓条約の請求権協定と、それから韓国の国内で韓国自身が行ったこの対日民間請求権申告法とは全く関連していない。リンクしてないと思うんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(柳井俊二君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、日韓請求権、いわゆる請求権協定に基づきまして我が国から無償三億、有償二億の資金が供与されたわけでございます。そして、これも申し上げた点でございますけれども、その資金の活用につきましては、この協定で決められた経済協力の方式はございましたけれども、最終的にこれを基礎にどのような請求権の解決を韓国内で行うかということについてはいわば韓国側に任された問題であったわけでございます。
 そして、先ほどちょっと触れましたけれども、韓国の法律の中に一九六六年の法律というのがございまして、これがいわゆる請求権資金の運用及び管理に関する法律というものでございます。そこで請求権資金というのを定義しておりまして、そこには「無償資金、借款資金及びウォン貨資金をいう。」と。ウォン貨というのはいわゆる現地通貨の資金でございますが、こういうふうに定義しておりまして、ちょっと戻りますけれども、この第一条というところでこの法律の目的を規定しております。
 これは仮釈でございますが、「本法は、大韓民国と日本国との間の財産及び請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定により受入れる資金を使用するにおいて国民経済の自主的で均衡ある発展に寄与するよう効率的に運用管理又は導入するため必要な事項を規定することを目的とする。」というふうに規定しております。
 そして、その法律の第五条というところで、「民間人の対日請求権補償」という規定がございまして、そこで先ほど申しました本法で定める請求権資金の中から補償するというふうに規定しております。その補償の手続、対象は、先ほど申し上げた申告に関する法律及び補償に関する法律で具体的に決めているということでございます。
 なお、協定上のことに戻りますが、これはこれまでもいろいろな機会に御答弁申し上げているところでございますけれども、日韓請求権・経済協力協定におきましては、我が国から無償有償合わせて五億ドルの経済協力を行い、それと並行して請求権の問題を解決したと、そういうふうになっているわけでございます。
○清水澄子君 いろいろ御説明あったのは韓国の国内法であって、日韓条約の請求権協定と何も法的にはリンクしてないということであるわけですね。ですから、最後におっしゃったように、日韓条約というのはあくまで経済協力協定であって、そして韓国国民の個人一人一人の請求権や補償をしたものではないということが、ここで明らかになってきていると思います。
 そして、その無償有償五億ドルの中で何かしたんだろうと。でも、それは韓国の中であって、これは、この日韓条約には経済協力と請求権問題解決との関連性においては法理論的に全然整合性がありません。そして韓国の中では、例えば無償三億ドル、千八十億円のうち民間人に支払われた金額というのは、これは何も日韓条約で約束しているわけじゃないんですが、韓国の国内でとった措置の中で無償三億ドル、千八十億円の中から支払われた金額というのは五十八億円なんですね。ですから、全体のたった五・四%しか個々人のところに行っていない。しかも、それは死んだ人だけ、八千五百五十二人にだけ支払われたわけです。ですから、これが今日韓国の国民、特に当時の政権というのは余り民主的、民主化はありませんでしたから、韓国の国民はほとんどこれらについて納得をしていない。こういう問題が今日起きてきていると思います。
 私は、ここで最後に大臣にお伺いしたいんです。このことは、結局日本が主体的に法の谷間に落ち込んでいる人々それから過去の植民地支配や戦争の不正とか迫害によって傷つけられた人々、そういう人たちに対してどういう責任をも果たしていくのかということは、何にも日韓条約が障害にはなりません。日本が主体的にやっていけば、これらの問題は解決していけると私は思います。
 特に、ぜひお願いしたいと思いますのは、最近慰安婦であったと名のり出た方々、こういう人たちは儒教の非常に影響の強い韓国の社会で名のるということは大変な勇気が必要だったでしょう。こういう人たちに何もしないということは、再び彼女たちの人間としての尊厳を傷つけることになります。ですから、非常に具体的な解決には時間がかかるのであれば、こういう名のり出た人たちだけにでも、人道上の立場から政治的な解決をしていくための第一歩として、何らかの私は誠意を持った暫定的な措置をとっていただきたい。このことをお願いしたいわけですけれども、ぜひ外務大臣の私は御決断をお願いしたいと思います。
 外務大臣、ひとつお答えください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは人情論とかそういうことから言えば、まことにお気の毒で忍びがたいものがございますが、これは一つの例でありまして、他にも戦争というものは多くの犯罪的な行為を伴っていることがあるわけであります。まことに残念ながら、それは事実でございます。
 したがって、だからといって政府はそれらの個々の人に全部償いができるかということになれば、それは不可能であります。日中問題についても同様、その他の日本が侵略的な戦争をしたと思われる国についても同様でございまして、これはそういう点でどこかで線を引かなければならないわけでございますから、やはりそれは国と国との間の取り決め事によって決着する以外には国として方法がありません。
 しかし、今言ったように、現実の政治問題になっているということも事実だし、人道問題になっていることも事実でございますから、それについては何らかのことはしなきゃならぬと考えておりますが、個人個人に対してどうこうすることは考えておりません。
○理事(井上吉夫君) 以上で清水君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○理事(井上吉夫君) 次に、森暢子君の質疑を行います。森君。
○森暢子君 本日は、主に福祉政策について御質問したいと思います。
 去る三月十七日、閣議で了承されました一九九一年度版の厚生白書についてお尋ねいたします。
 今回の白書については、マスコミはかなり厳しい評価をしております。例えば、「現状認識の甘い厚生白書」、三月十八日の朝日。「生活実態を欠く厚生白書」、三月十九日の日経。というふうに論じておりますけれども、厚生大臣、こうした論調に対してどのように受けとめていらっしゃいますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 私は、今後二十一世紀に向かって日本の政治の大きな課題はやはり福祉社会の建設だと思い、また総理もいわゆるそのような趣旨のスローガンでもっておっしゃっております。
 ですから、福祉を前進させながら現状に基づいて過去を振り返り、また現状そして将来を見ながらこの厚生白書はつくったわけでございまして、私どもはあの厚生白書の内容は確かに真実の問題、決して誇張もしない、あるいはまた現実をそのままあれは記述してあると思っておりますから、その現状をいかに評価するかということにおいて私どもは、自分のことを褒めるのはどうかと思いますけれども、確かによくやった。それがそのまま厚生白書にあらわれていると思っております。どうもやはり毀誉褒貶は世の常でございまして、いろいろ御批判はあるかと思いますが、私どもはそのような認識をいたしております。
○森暢子君 この白書には、サブタイトルとして「広がりゆく福祉の担い手たち」というのを掲げていらっしゃいまして、公的サービスは質量とも着実に充実され、メニューの幅も広がっていると、今大臣が言われたように自賛なさっているわけですね。「今後の高齢社会をより豊かで懐の深い」、こう大変に抽象的な表現なんですけれども、ものにするためには、福祉の担い手としてシルバービジネス企業やボランティアに活躍してもらいたいという趣旨のことが述べてあるわけですね。これは福祉、医療の営利化の一層の推進ではないか、こう感じるわけですが、この「より豊かで懐の深い」という抽象的な表現は具体的にはどのような施策を描いていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
   〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
 先生御指摘の部分は、シルバーサービスの総論の記述のところでございまして、私どもここで「より豊かで懐の深い」という表現を使わせていただいた念頭には、二十一世紀の高齢社会、超高齢社会を思い描きまして、その中で、もちろん公的施策の充実が十分図られているという上でありますが、その上でシルバーサービスが健全に成長いたしますと、高齢者がいろいろな需要に応じていろいろなサービスを選択するその選択肢がまずたくさん用意されている社会、それからそういうサービスがいろいろ重層的、多元的に整備されておる社会ということでありまして、そういう状態が整っておりますと高齢者の方々も、食生活はもとよりでありますが、レジャーから趣味に至るまで生活領域そのものが非常に幅広いものになるのではないか、そういう思いを込めまして「より豊かで懐の深い」という表現を使わせていただいたのでありますが、表現が適切であったかどうかはわかりません。
○森暢子君 つまり、白書が言わんとしていることは、高齢者福祉も含めて今後は公的サービスにかわっていわゆる自助努力によって民間市場からのサービスを受けなさいと。今お聞きしますと、選択肢をたくさん用意していて、その中から自由に受けられるというふうなことだという御説明だったんですね。しかし、現実に圧倒的多数の高齢者の生活、自由にそういうサービスを受けるだけの資金があるかどうか、そういうことについて心配しております。
 公的年金受給者の実態であるとか、それから高。齢者世帯の年間所得とか、そういうことについて明らかにしていただければありがたいんですが。
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
 私ども今回白書において、最近の日本におきます一つの注目すべき傾向ということで、各種の民間サービスあるいはボランティア活動、それから企業によります社会貢献活動など民間のいろいろな形の活動が、まだ緒についたばかりということではございましょうが、非常に目につくようになってきたという時点でこの問題を取り上げたいということで取り上げたわけであります。
 そういうことについて記述する前提として、そういうことに至ってきた社会的、経済的背景を少し前段で述べさせていただいたということで、人口の高齢化の状況でありますとか家族構造あるいは女性の就労進出等の問題、余暇等々のいろんな社会経済現象の変化を扱う中で、生活水準の向上ということを一つとらえたわけでありますが、私どもとしましては、総務庁でやっております全国消費実態調査というものを踏まえまして、そこで全世帯と高齢者世帯の平均所得金額あるいはその貯蓄額ということで大きな傾向を見たということでその記述をさせていただいたわけでございます。
 ただ、例えばいろいろな職分布状況があって、その分布状況といいますか階層ごとにいろいろな違いもあるのではないかということで、データ的には私どももいろいろ細かいデータを持っておるんですが、ただ今御指摘になったのは公的年金受給者がどれだけいるかというようなお話でございましょうか。
 私どもが白書を記述するに当たってそういう一般論を書いた背景には、例えば年間収入二百万円未満の方々の消費支出というものを見ましても、勤労者世帯全般あるいは高齢者世帯と同じように、例えば昭和五十九年から平成元年に至る過程を見ますと、食料費の占める割合が減って教養娯楽費でありますとか交通・通信費というものがふえる。例えば数字で申しますと、教養娯楽費は昭和五十九年の七・一から平成元年は九・三に上がっているというように、全世帯と同じ傾向を二百万未満の世帯も示しているということで、おおよその傾向として間違いないというふうに考えたんですが、ただ、今手元にその年金受給者の状況云々というところまで用意しておりませんが、もう一度お尋ねいただければ今調べます。
○森暢子君 公的年金受給者の約半分の人が月三万なんですね。それから、高齢者世帯の年間所得百五十万未満の世帯が約四割あるわけですね。そうしますと、民間の活動が活発になって選択肢も広がった、そしてそういう中で自由にいろいろと選んでほしいと言われましても、こういう生活実態ではなかなか選べないということなんです。
 今御説明いただきましたら、大きな傾向を見たということなんですね。しかし、今おっしゃいましたが、白書の十二ページには「一世帯当たり平均所得金額等の推移」というのがありまして、そこで昭和五十年から平成元年までは四六・五%も上昇している、生活水準が向上している、このようにつかんでいらっしゃるわけですね。それから、今もお触れになりましたが、同じく国民生活基礎調査、これによりますと、やはり年収が二百万円以下は五三・四%、半数を超えているわけですね。
 こうした実態がもう厚生省の調査で出ているわけですから、これを大きな傾向ではなくて、こういう実態をただ平均的にとらえて現実から目をそらすのではなくて、やはりその現実を見て、その中でどのような高齢者のための福祉を考えていくかということが必要ではないかというふうに思います。
 今もちょっと触れられましたが、高齢者、特に低所得世帯の人たちの消費生活の実態を調査したことがありますか。もし調査したことがあればその資料を提供していただきたいんですが、お聞きいたします。
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 高齢世帯の消費生活の実態につきましては、私ども、この白書を書くに当たって独自に調査をしたということではございません。従来から総務庁におきまして全国消費実態調査というものをしておられまして、その中で高齢者世帯の消費支出についても数値が既に把握されておりますので、それを活用させていただいたわけでございます。必要であればその資料は提出させていただきます。
○森暢子君 何回も申しますが、私がここで言いたいのは、平均的な数字で問題を画一的にとらえないで、やはりきめ細かな公的サービスというものを、公的サービスはもう国がしなければならないんですから、民間に頼るとかボランティア活動に頼るということはもちろん必要ではあるかもわかりませんが、基本的には国がきめ細かな公的サービ人を提供してもらいたいということと、厚生白書も、大きな傾向ではなくて、もっとその実態を正確にとらえて国民に知らせて福祉施策を確立していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、老人ホームの問題なんですが、多くの国民が関心を寄せておりますのが老人ホームの個室化の問題なんですね。このことについて、個室化はぜいたくと思いますか。どうでしょうか。大蔵大臣、厚生大臣、お願いします。
○政府委員(岡光序治君) 老人ホームという御指摘でございますが、老人ホームの中にもいろいろ種類がございます。いわゆる経済的にも弱い立場でいわば身内もいないとか、そういうふうな人を対象にしておりますのが養護老人ホームでございます。それから、若干所得はあるけれども日常生活を送るに当たって手助けが必要だ、こういうふうな人たちが利用されるのが軽費老人ホームというふうに言っております。それから、常時生活の介助が必要だという人については特別養護老人ホームに入っていただく。こういうふうにいろいろあるわけでございます。日常生活を送るということを考えました場合には養護老人ホームとか軽費老人ホームということが対象になるわけですが、こういったものについては個室あるいは二人部屋というのを原則にしております。
 議論がありますのは、特別養護老人ホームにつきましてやはり個室化がいいのではないだろうかというような御議論があるわけでございますが、これについてはいろいろ実態的には意見が分かれております。つまり、日常生活で常時介護が必要だという場合には多数の人が同じ部屋にいた方がいいのではないか、三人とか四人が一緒に生活した方がいいのではないかという処遇上の観点からの御指摘もありまして、この辺はもう少し考え方を整理していかなきゃならないと思いますが、私どもは、一特別養護老人ホームについても大体三割ぐらいまでは個室が整備できるようにということで、今その補助金の体制も整えているわけでございます。
 そういうことで、国民のそういう生活の実態、それから生活を送るに当たっての考え方、そういったものを踏まえながら、それぞれの老人ホームのタイプ、処遇上の必要性に応じて個室にするかどういうふうな部屋を整えるか、こういったことを考えていきたいと思っておるところでございます。
○森暢子君 昨年八月二十一日の朝日新聞の社説に、我が国の老人ホームの現状を批判して、「雑居部屋での長命世界一」、こういう新聞論調が載っていたわけですね。
  平均寿命の国際レースで、日本は今年もトップになった。日本と一緒に先頭集団を形成しているのは、北欧、西欧、カナダ、オーストラリアである。少し遅れて米国。だいぶ遅れて、ソ連と南米。さらに遅れてアジア、アフリカの国々が続く。
  この順位は、高齢者を支える社会サービスの質の高さ、老後の安心感の順位と不思議なほどよく似ている。ただ一つの例外が私たちの日本だ。寿命は世界一なのにサービスの水準はソ連や南米に近い。
と言っていますが、現実は残念ながらそのとおりであるというふうに書いているわけです。これについて、厚生大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 国によっていろいろ事情は違いますが、私は必ずしも個室の方が幸せであるのかどうか、やはりお世話をする人しない人、その便宜性ということも必要であろうかと思います。ですから、ただ大部屋だから雑居という言葉のとおりで何か不十分だというふうには私は理解いたしておりません。
 したがって、スウェーデン等におきましても、かなり個室が多かったが自然にまた大部屋になって、今はデンマークだけだということを聞いておりますし、やはりみんなが親しみ合うとか、それから便宜性とか、いろんなものを今後とも考えていかなきゃならぬ。問題は、入っている方々の要求を十分私どもはお聞きしながら、今後ともそういう方々の御意見を中心にまたやっていかなきゃならぬと思っております。
○森暢子君 東京都の社会福祉協議会が行いました調査によりますと、東京都民の約八〇%が老人ホームの個室化というのを希望している、そういうものがあるわけです。つまり、多くの国民は老後の生活においても基本的な人権とかプライバシーの保護とか、それから自由、そういう保障をみんな思っているわけですね。
 私どもがもし、皆さん方もそうですが、大部屋でたったベッド一つと周りに少し荷物があるだけの中に老後入っていったとしたときに、本当にどういう気持ちになるかということを一遍考えて、我々も行く道でございますので考えてみたらどうかと思うんですね。
 それで、我が国の個室化の問題について、そういう老人ホームの個室をつくるという場合に国庫補助をやっぱりもう少し、きめ細やかな豊かで懐の深い福祉政策をなさるのだったら、そういうものが必要ではないか。せめて国庫負担が必要ではないかと思うんですが、それについていかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 今までの特別養護老人ホームに限って申し上げますと、そういう個室をできるだけとれるようにということで、昭和六十一年度の予算から痴呆性老人のための面積を加算するとか、あるいは平成元年度の予算で重篤者のための面積を加算するとか、また四年度の予算ではもう一度痴呆性老人のための面積を加算するとか、今おっしゃいましたような処遇上どうしても個室じゃないといけないというような人のための個室確保のためには補助金もかなり充実してきた過去の経緯がございます。
○委員長(中村太郎君) 森君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、森暢子君の質疑を行います。森君。
○森暢子君 それじゃ、続きを質問させていただきます。
 人生どこで老いるかというのはだれにとっても切実な問題であるわけです。例えば、雑居の老人ホームには住みたくないとか、それから老人病院で縛られるのは嫌だとか、体が不自由になっても自宅でできるだけ自立して暮らしたいというのが私たちの願いではないかと思います。こうした願いをかなえることも福祉社会の重要な課題ではないかと思います。
   〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
 車いすを使ったり、それから足腰が弱くなったりしている高齢者の人たちの住宅の問題がこれから大切になるかと思うわけですが、そういうことについて何か施策を持っていらっしゃいますか。厚生省と建設省、つまり厚生大臣、建設大臣、お願いいたします。
○政府委員(岡光序治君) 御指摘のように、できるだけ住みなれた地域、家庭で生活を続けられるようにということで、高齢者に配慮した住環境の整備が必要だと思っております。
 我々のやり方としましては、例えば病院から退院をするというときに、退院の前に病院のスタッフがその患者の家を訪問して家の状況がどういうふうになっているか、あるいは家族などの介護力はどういうふうな状況かということを考えまして、それで家屋の改造が必要であればそれを指導するというふうなことをまずやっております。
 そして、それを受けて、それじゃ実際に住宅を改造しなきゃいかぬ、増築しなきゃいかぬといったときには、高齢者総合相談センターというのを各都道府県に置いておりますが、そこへ専門の相談員を置きましてそういう住宅の増改築の相談に応じる。それから、実際に今度は改築する場合には、その増改築に係る融資を行おうではないか。それからまた、その相談体制の整備としましては、相談員であるとかあるいは工務店などのスタッフにも高齢者用の増改築をよく勉強してもらいますように、そういう研修を行って理解を深めてもらっている。こんなことをやっておるわけでございます。
 それから、先生御指摘ありましたように、車いすを使う状態になってもできるだけ自分で自立した生活が継続できるように、いわゆるケアハウスであるとか、あるいは建設省と提携してやっておりますが、公営住宅にケアつきのシルバーハウジングというプロジェクトを動かすとか、そういう住まいの確保というのもあわせ行っているところでございます。
○政府委員(立石真君) 高齢化社会に対応して、高齢者にとってできるだけ住みなれた地域で、そして安全かつ快適な住宅の整備を推進することは重要な課題だと考えております。
 建設省におきましては、まず第一に、設計、設備において高齢者の体の特性に配慮いたしまして住宅の整備を推進していくことが必要だと考えておりまして、平成三年度からすべての新築の公営住宅、公団住宅における住居内の段差の解消あるいは階段における手すりの設置等、高齢者の利用を配慮した設置等を一般化することにしております。また、車いす使用者に対しましては、特別な設計を行った障害者世帯向けの公営住宅の建設も進めております。そのほか、住宅金融公庫の割り増し貸し付け等を講じているところでございます。
 また、第二番目としましては、子供世帯と同居するとか、あるいはそばに住む、近居と言っておりますが、そばに住むような高齢者の多様な住まい方に対応いたしまして、公営住宅の供給や住宅金融公庫の割り増し貸し付けを行っておるところでございます。
 第三点といたしましては、先ほど厚生省の方からも答弁がありましたが、厚生省と連携いたしまして、公営住宅等の供給にあわせまして、生活相談あるいは緊急時の対応等のサービス提供を行うシルバーハウジング・プロジェクト等を実施しているところでございます。
 平成四年度におきましても、これらの施策の拡大に努めているところでございます。
○森暢子君 そういう住宅改造制度のある自治体もあちこちで生まれているようでございますが、それでも現実はなかなかその手続が難しいとか家族に言い出しにくいとか、そういうことでだれに頼めばよいかわからないとか、結局、改造できないまま寝たきり状態になって、心ならずも病院や施設で老いていく、こういう人たちもたくさんいるということを心していただきたいと思います。
 ちなみに、スウェーデンでは建築法の一部を改正して、年をとったり病気や事故で車いすの生活になっても住み続けられる住宅でなければ建築を許可しない、こういうことを決めたようでございます。ですから、個人の住宅でもその基準をちゃんと満たしている、社会の財産になっていく、こういうことなんですが、やはり日本でもこうした長期的視野に立った施策が必要ではないかと思いますが、こういうことにつきましてひとつ建設大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(山崎拓君) 建設省が取り組んでおります高齢者向けの住宅政策につきましては、ただいま住宅局長から御報告申し上げましたとおりでございます。今後、高齢化社会が進行してまいるのでございますから、なお一段とその施策の充実に心がけてまいりたいと存じます。
○森暢子君 厚生白書によりますと、平成二十六年には高齢者が三千万になるというふうな統計が出ているわけです。この高齢化社会を迎え障害を持つ人もふえてくるというふうに思いますが、ことしは御存じのように国連障害者の十年の最終年に当たるわけです。内閣総理大臣の諮問機関であります中央心身障害者対策協議会、これがこの「「国連障害者の十年」の最終年に当たって取り組むべき重点施策について」というものを提出されているわけでありますが、この意見具申の要点、どういうことが具申されたか、これをお答えください。これは厚生省でしょうか。
○政府委員(末次彬君) 最終年に当たりまして、中央心身障害者対策協議会におきまして意見具申をいただいております。その中で、まず現状認識といたしましてはノーマライゼーションの理念を基調といたしまして、障害者の「完全参加と平等」という目標を国民の間に一層定着させるための努力が必要であるという御指摘をいただいておりますが、同時に、制度的な法改正も含め障害者対策は全般的に各部門において着実な進展を見せているというふうな御評価もいただいておるところでございます。
 また、今後特に格段の配慮が求められる事項といたしまして、第一点といたしまして、啓発等によりまして障害及び障害者についての正しい認識を普及すべきであるという点。第二点といたしまして、建築物、交通機関におきまして障害者のアクセスを十分配慮した施策を実施すること。第三点といたしまして、障害者施策につきまして関係機関との連携によります総合的な推進を図るべきであるということ。第四点といたしまして、日常及び社会活動におきます障害者の具体的な参加、これを促進すべきだというような御指摘をいただいておりまして、こうした問題につきまして、政府としてこの御指摘を踏まえまして一層施策の推進を図っていきたいというふうに考えております。
○森暢子君 国連障害者の十年と言いましてもう十年たってしまったわけです。今ごろは五年一昔、いえいえ三年一昔、一年一昔と言われるころで、十年もたってしまった間に総合的にこの十年をどのようになさったかということで、それぞれの省庁がこの障害者の十年に向けて何をなさったかということを報告していただきたいんです。厚生省、建設省、労働省、運輸省、文部省、お願いいたします。
○政府委員(末次彬君) それでは、具体的に御答弁申し上げますが、厚生行政の分野で幾つか挙げてみますと、所得保障の面で言いますと障害基礎年金を創設いたしまして給付額を大幅に引き上げをいたしております。
 また、在宅サービスの点につきましてはホームヘルプあるいはショートステイ、デイサービス、日常生活用具といった各種の在宅福祉サービスを法定化いたしまして、市町村が責任を持って実施するというような体制を整備いたしております。また身体障害者の自立支援事業、これを平成三年度に創設をいたしております。
 生活環境の整備の面につきましては、これは従来から「住みよい福祉のまちづくり」事業という事業を実施いたしておりますが、平成二年度からゴールドプランの中の一環としてさらに内容を充実いたしております。
 また、情報関係から申し上げますと手話通訳士制度、こういった制度を創設いたしております。これは平成二年でございます。
 また、平成四年度予算案におきましては、地域におきます身体障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るという目的で「障害者の明るいくらし」促進事業の中に、移動対策といたしましてリフトつきの福祉バスの運行事業を取り入れておりますし、また障害者が発生しやすい二次的な障害の予防、発生を予防するための健康診査の実施、こういった事業も新たに取り入れることにいたしております。
○政府委員(立石真君) 建設省といたしましては、障害者が安全で快適な生活を営めるような住宅の確保、あるいは町づくりを進めることが重要な課題であると認識しております。
 このため、心身障害者の同居世帯に対しまして住宅金融公庫の割り増し融資を行う、また公営住宅あるいは公団住宅につきまして障害者の利用に配慮した設計あるいは設備の住宅を供給する、さらには優先入居を図ること等の住宅政策を進めている一方、建築物といたしましては官公庁施設につきまして、例えばスロープをふやすあるいは障害者用便所の設置等を行う等の障害者の利用を配慮した設計にしていること。
 さらに、道路整備に際しまして歩道の段差の切り下げ等を行って障害者の活動をしやすくすること、有料道路通行料金の割引の実施を行うこと、さらに公園の整備に当たりまして障害者用の便所等を整備すること等、各般の施設を講じているところでございます。
○政府委員(若林之矩君) 労働省といたしましては、まず第一に障害者の雇用機会の増大を図りますために、公表を前提といたしました指導を行いまして雇用率制度の厳正な運用を図ってまいっております。
 二点目といたしましては、第三セクター方式によります重度障害者雇用企業の設置、これは五十八年に制度をつくったものでございますが、第三セクター方式による重度障害者雇用企業の設置また重度障害者多数雇用事業所の設置等によりまして重度の方々の雇用の確保に努めてまいっております。
 三点目といたしましては、各種助成金を活用いたしまして、また必要なときには職業訓練を受講させることによりまして個別の就職先を開拓するなどによります職業紹介を強力に実施してまいっております。この間、昭和六十二年に身体障害者雇用促進法を障害者雇用促進法に改正をいたしまして、精神薄弱者のための対策の強化を図っております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) もう先生よく文教委員として御承知だと思いますが、心身障害者に対する教育というものは文教政策の中でも最も重要なものであると位置づけまして、例えば平成元年の新学習指導要領によりまして、障害に応じた指導をきちんとできるように、そしてまた養護学校の高等部における職業教育の充実、あるいは先生方については初任者研修を初めとする現職研修の充実、そして特殊教育諸学校にしても、あるいは障害児を一般の学校で引き受けるにしても、それらの施設整備に対する補助、あるいは心身障害児交流地域推進研究校の指定などいろいろやってまいっておりますが、ただ、教育の世界では、直ちに行えることもありますけれども、十分な研究をしてからでないと実行に移せない分野も多いわけでありまして、例えばいわゆる統合教育、インテグレーションの問題、あるいはノーマライゼーションという理想を教育の世界に取り入れた場合にどういうやり方がいいのか。例えば通級学級というようなやり方についての研究あるいは学習障害児、LD児についての研究等、不断の研究を積み重ねていってから初めて実行できることも数多いと思っております。
○政府委員(大塚秀夫君) 運輸省では、身体障害者用の安全で身体的負担の少ない公共交通機関の施設整備を進めておりまして、身体障害者用施設整備のガイドラインあるいは車両構造に関するモデルデザインを作成し、鉄道駅等の施設整備や利用しやすい車両の導入を進めてきております。障害者年が始まって今日まで、例えばエレベーターやエスカレーターの設置されている駅は四百六十駅から九百四十駅、身体障害者用トイレが設置されている駅は三百九十六駅から千十九駅、低床広ドア、床が低くドアが広いバスについては二万五千六百七十一台から四万二百六十四台へと増加してまいりました。
 なお、身体障害者の方々の社会参加を促進する観点から各種交通機関の運賃割引制度を実施してきたところでございますが、昨年十二月から同様の制度を精神薄弱者の方々にも適用することといたしております。
○森暢子君 今、いろいろと施策をお伺いいたしました。それはそれで大変結構でございますが、じゃそれが各地域やいろんな障害を持った人たちにどのように根づいているかということを、それをいろいろ見ていくことがやはり大切ではないかと思うわけですね。
 それで、この十年を締めくくるに当たって、今お話ししていただきました取り組むべき事項についていろいろと取り組んでいただいておりますが、この意見具申の内容が平成四年度の予算にどのように取り入れられているか、つまり障害者福祉関係予算、そういうことについて厚生省に説明していただきたいと思います。
○政府委員(末次彬君) 先ほど二点について御説明を申し上げたわけでございますが、一点は先ほど申し上げましたいわゆるリフトつきの福祉バス、これを障害者のニーズに応じまして市町村の事業として運行していただくという事業、さらに障害者の二次的な障害の発生を予防するための健康診査事業、こういった事業を新規に取り組んでおります。そのほか中央心身障害者対策協議会の御指摘といたしまして、十年を終わった時点での記念事業をやるべきだという御指摘もございます。これにつきましては記念施設の基本計画の策定検討費というものをこの予算の中に取り込んでおるわけでございます。
○森暢子君 アメリカにおいては平成二年の七月に、雇用、公共施設、交通機関、通信の分野において障害者に対する差別を禁止するという画期的なADA法つまり米国障害者法というのをつくって、それを発効させたわけですね。我が国においても国連障害者の十年の締めくくりとしてぜひとも日本障害者法、こういうふうなものを制定すべきであるというふうに思いますが、厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) アメリカの法律は私どもも承知いたしておりますが、かなり実態いろいろ違う面がございまして、日本は日本で何かやらなきゃという意欲だけは持っておりまして目下いろいろ勉強はいたしております。
○森暢子君 意欲があるのは大変結構でございます。それを実際に定着させていただきたいというふうに思うわけですが、特に意見具申の中に、今もおっしゃっていただきましたが、住宅、建築物それから公共の交通機関における障害者のアクセスに配慮した施策が必要であるというふうに指摘されているわけでありますね。
 特に、公共交通機関の利用が十分できるということは、雇用にもつながるし、車いすを利用したり障害を持った人が自分で自主的に自立して就業できるという、すごくそれにつながっていくわけでありますね。そのことについて運輸省に今少しお聞きしたのでありますが、私はこの障害者の問題を取り上げようと思って心に決めましてここ何日か過ごしておりましたら、やたらとそういう問題が目についたり聞こえてくるようになったわけですね、いろんなマスコミ関係。これはおかしなものだなと思いますが、やはり関心を持つとそういうものが目に入るのかなというふうなことを思っているわけですね。
 それで、去る三月二十七日、NHKテレビで十時からやっておりましたが、山田太一さんの作品で「男たちの旅路」というのを大分前の再放送なんですがやっておりました。その中の一つに「車輪の一歩」というのがあったんですね。ごらんになった方ありますか。「車輪の一歩」というのを放映しておりまして、私ついついそれを見てしまったんですけれども、車いすの若者が五、六人自立を目指して社会へ一歩踏み出すためにいろいろな障害を乗り越えながら生きていく、その姿を描いたもので、ついつい魅せられて見てしまったわけですね。
 彼らが外に出ていきたい。電車に乗ろうと思ったら、まず切符を買おうと思っても切符を買う自動販売機に届かないんですね。それからホームの階段、これが大変でございます。声をかけて、そして運んでもらうということもあるんですけれども。それから改札が通り抜けれるかどうか。まず乗り物に乗っていくところから始まるのにいろいろ障害があるという現実がまだまだ建築物や町のなかにあるわけですね。立派な施策を講じてやっていらっしゃるんですけれども、実際皆さん方が町を歩いてみて、障害者が本当に交通できるものになっているかどうかということがもう大変なわけですね。だから、障害者の社会への完全参加と平等というためには交通機関と建築物、こういう環境、これが大変大切だと思うわけです。
 それから、ちょっと話が長くなりますが、二月の中旬ごろに参議院の委員の派遣でオーストラリアの方に行かせていただいたんですが、そのときにシドニーの町でおもしろい車を見たんです。背の大変高い車なんですね。それで、現地の人にあれば何ですかと聞きますと、何だと思われますか、これは車いすのまま乗れるタクシーなんですね。運輸省、そういうものが日本にありますか。そして、あの便利のいい新幹線に車いすのままで乗れるようなそういう配慮がなされているかどうか、運輸省にお聞きしたいと思います。
○政府委員(大塚秀夫君) 鉄道の車両につきましては、車いすのまま乗り、それを固定するような装置の整備というのを順次進めてまいっておりますが、先生御指摘のタクシーやバスについてはまだまだこれからの問題でございます。その点に関しまして、私どもことしは身体障害者の方々にも参加していただくような委員会をつくって、優しい施設といいますか、そういった交通弱者の方々にも利用しやすい施設を点検して、そして一定の水準についての指標をつくって今後の施設整備、車両整備等の参考にしたいと考えているところでございます。
○森暢子君 もう十年たっているんですよ、十年。障害者の十年の最終年でまだこれから考えて委員会づくって相談していく、もうこれではだめですね。
 神奈川県では、このほど車いすを使用している生徒のために県立学校の車いす用エレベーターを順次設置していく、新しい校舎にはすべて設置する、こういうことを神奈川県ではもう取り組んでいるわけですね。
 それから、こういう記事が目に立つようになったわけですが、御存じだと思いますがスウェーデンの家族問題及び高齢者・障害者問題担当の大臣としてベングト・リンドクピストさんという方がおいでになって、自民党の委員会や社会党のシャドーキャビネットでもいろいろと講演をなさっているということなんですね。この人は現在国連の依頼によって障害者の機会均等に関する基準の草案づくりに携わっている。障害者であるという理由だけで就業などで不利益をこうむらないよう、具体的な基準を設定して国連総会で採択する、こういうことをなさっているわけですね。
 日本でもやはりいろいろとそういうことが必要である。もう今、具体的に、例えばほとんど目が見えない堀参議院議員がいらっしゃいますし、八代参議院議員もいらっしゃるわけですね。そういう方々が健常者の方と同じように議員活動ができるように配慮がなされているかどうかということがまず疑問だと思うんですが、堀さんの方では法案資料については点字資料や録音テープが用意されているけれども、会議録については点字は用意されていないというふうなことで、皆さん御存じだと思うんですけれども、そういう細かい配慮がこれから、これからでなく、もう十年たってまだこれからというのでは、もっともっとこういうことを頑張ってもらわないと困るというふうに思います。
 今回は車いすのことにつきましてちょっとお話ししたんですけれども、もっともっと目の見えない人とか、それから盲導犬を使っている人とかいろいろな障害を持った人たちがこれから社会にふえていく、そういう人たちにきめ細かい政府の対応や思い切った施策、財源措置、こういうものが本当に必要になってくると思います、高齢化社会に向かっていきまして。
 そういうことで大蔵大臣、そういうところの財源の確保についてのお考えをひとつよろしくお願いします。
○国務大臣(羽田孜君) ただいまずっとお話をお伺いしながら、やっぱり障害者のこの十年というもの、いろんなものを私たちに与えてくれたと思いますし、また考えるもの、よすがを与えてくれた。そういう中で一歩一歩進めてきて、今はまさに福祉十カ年計画というものが終わったわけですけれども、これから新たに今始まり出したということでございまして、そういったものを念頭に置きながら私どももやっぱり新しい時代、まさに生活大国ということまで言われるようになってきている、そういう中で障害を持つ皆さん方がやっぱり安心できる社会というものが必要であろうというふうに思っております。
 そういう意味で、私どももせっかくこれからも勉強しながら、厳しい財政の中にあってもできる限りの対応をしていきたいというふうに考えております。
○森暢子君 それでは、科学技術庁にお尋ねいたしますが、岡山県の北部で鳥取県境の人形峠というところに動燃の事業団の事業所があるわけですが、この運営をめぐって今地元で大変問題になっておりまして、衆議院の予算委員会でもこれはいろいろと議論なされたところですけれども、ここは天然ウラン鉱石の製練、転換、濃縮などの実験を行っていたんですがところが昨年の十月ごろから天然ウランではなくて回収ウランの転換濃縮試験が行われているということがわかりまして、県民が大変不安を感じて、約束が違うということで問題になっているわけですね。
 だから、十年も前から県の許可も受けないで実験を行っていたということ、そして毒物製造業の登録もせずにやっていたということは法律違反ではないかというふうに思うわけですが、その点について科学技術庁、説明をしてください。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、動燃事業団の回収ウランの転換と濃縮の試験につきましては、動燃事業団の人形峠の事業所におきまして昭和五十七年度から昭和六十二年度にかけまして小規模の試験を実施いたしました。それから昭和六十三年度から平成二年度にかけまして中規模の試験を行ってきたということでございますけれども、それぞれ動燃事業団が地元の岡山県及び上斎原村と締結いたしました協定書に基づきまして、地元の御了解をいただいて実施してきたものと、かように承知しているところでございます。
 今おっしゃいました、現在実施を計画中の回収ウランの転換実用化試験につきましても、動燃に対しましては、試験の安全性、重要性等に関しまして地元の御理解をいただくように努めるとともに、原子炉等規制法に基づきまして厳しい安全規制を受けるとともに、地元との協定書に基づきまして御了解をいただきながら慎重に実施するように指導してまいる所存でございます。
 それから、毒劇法のことにつきましては、いろんな御議論があったわけでございますけれども、厚生省等の指導をいただきまして登録を完了したところでございます。
○森暢子君 回収ウランは、再処理で分け切れないプルトニウムや死の灰が微量含まれていることで、住民は大変危険を感じているわけであります。
 次にお聞きしますが、今度コストの問題なんですが、天然ウランの一キログラム当たりのコストは幾らか。それから回収ウランの同じく一キログラム当たりのコストは幾らか、お尋ねいたします。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先生御承知のように、ウランの価格につきましては非常に変動いたしておりますし、現在特にスポット価格が非常に低落しておるということでございますので、一義的にぴしっとお答えすることは極めて難しいことは御了解いただけると思いますけれども、全体、例えばある比較によりますと、一キログラムウラン当たりの価格で申しますと、例えば天然ウランが約千三、四百ドルかかるとするならば、それに対しまして回収ウランの価格は七、八百ドルと。いう、そういう試算もあるわけでございます。したがいまして、全体おおむねの場合回収ウランが数割安いという、そういうことは普通一般であろうかと思うわけでございます。
○森暢子君 回収ウランが数倍安い。これは昭和六十三年四月十二日の百十二回の国会で、衆議院の科学技術委員会の上田議員に政府が答弁しているんですが、それによりますと回収ウランの方が何倍も高いという結果が出ているんですが、それはどうなんですか。そのあたりをもう一度お願いします。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 全体、御承知のように天然ウランの場合はウラン鉱石を山から掘り出してまいります。掘り出したものを粗製錬、精製錬とかいろんな過程をたどりまして、ようやく天然ウランに持ってくるわけでございます。回収ウランの場合は再処理から来ますので、全体工程の数がかなり違うわけでございます。その意味では、ごく一般的に申しまして回収ウランの方が安いわけでございますが、あるいは今先生がおっしゃいました根拠につきましてはつまびらかにはいたしませんけれども、原料費という要素を除いて取扱経費等で比較いたしますと、回収ウランの方が天然ウランよりも高くなる、そういうことではないかと思われるわけでございます。
○森暢子君 回収ウランは手間がかかり、非常に私どもとすれば手間がかかって高い値段につく回収ウランを電力会社が再利用するか、そういう経済的メリットがあるのかということを疑問に思っているわけでありますが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今現在、先ほども申しましたように、天然ウランのスポット価格、非常に安くなっております。そういうことで、目下のところ電気事業者は回収ウランを大々的に利用していることはないということもございますし、それからそもそも日本におきまして回収ウランができますのは東海村にあります動燃事業団の再処理工場から出てくるわけでございますから、それほどまだ多量の回収ウランも出てきていない。そういうようなところで、現在、御指摘のように我が国におきましては回収ウランの利用は本格化していないわけでございますけれども、御承知のように、使用済み燃料にありますもののほとんどがいわゆる減損ウランであり、回収ウランになるものでございます。そういうことで将来的には必ず回収ウランも我が国内におきまして利用していくべきものと、かように考えておるところでございます。
○森暢子君 いろいろな疑問がありまして、みんな地元の住民が不安を感じている、そういう中に、最近、動燃事業団が地方の新聞を借り切っていろいろと意見広告を出しているわけです。折り込みのチラシを配ったり、それから戸別訪問したりしまして、ここに文書がありますが、こういう文書がいろんな事業所に出回っております。それはおかしいのではないかと思うんですが、特に学校へもこれが来ているというのは、文部大臣、どうですか、学校へ安全だという、御理解いただきたいという、こういう文書がどこの許可を得て来ているかということなんですが、それについてどのくらい費用を使ったのか、国民の税金を使っているのではないかということで、大変地元は不安がっておりますが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 原子力の開発、利用に当たりましては、安全確保に万全を期すことがまず第一に重要なことは御指摘のとおりでございます。このため動燃事業団におきましても、従来から回収ウランの転換濃縮試験等を行うに当たりましては国の厳格な安全規制を受けますとともに、動燃事業団自身も安全確保には万全を期してきたところでございますし、これまで施設従事者の安全上の問題とかあるいは周辺環境への問題は起こしていないところでございます。
 しかしながら、原子力の安全性につきましては、専門的かつ技術的なところも確かにございます。関係の皆様が御不安を抱かれるおそれもなしとしないということも当然認識すべきであるところでございます。そういうことで、事業の内容につきましてわかりやすく説明いたしまして安全であることをよく御理解いただくようなそういう努力をいたしますことは、原子力の開発、利用を進めるに当たりましてどうしても重要でございます。
 現在、動燃が計画しております回収ウランの転換試験につきましてもこういうことでやってきておるわけでございまして、試験の内容につきましてわかりやすく説明をするように努力して、その一環がそういうことになったのであろうと思うわけでございます。
 ちなみに、今、先生幾らかけたかという、そういう御質問でございました。それにつきましては現在私どもは要した経費は三百万円強と承っておるところでございます。
○森暢子君 もう一問だけ。
○理事(井上吉夫君) 森君、時間が来ていますので短く。
○森暢子君 済みません。
 原子力の平和利用の観点からは自主、民主、公開というのが原則ですから、いたずらに安全性ばかりを強調するのはおかしいと思うんですね。危険なものは危険、問題点があることも、こういうことが問題にあるということを国民にやはり判断の材料を提供するのが国の務めであるというふうに強く要請いたしまして、終わりにいたします。
○理事(井上吉夫君) 以上で森君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○理事(井上吉夫君) 次に、高桑栄松君の質疑を行います。高桑君。
○高桑栄松君 それでは早速私の質問をさせていただきたいと存じますが、最初に国際貢献ということで質問させていただきます。
 今、国際貢献というとすぐPKO、PKFに集中して、そのほかはないみたいに思われてはいけないと思いまして、私の考えている分野についての質問をさせていただきます。
 最初にポリオの問題なんですが、一九六〇年から六一年にかけて我が国でポリオの流行がありまして、私も予防医学の関係の仕事でございましたので非常に憂えたのでありますが、このときにどういうことで外国から援助いただいたか、厚生省、ひとつ御説明いただきたいと思いますが。
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
 ちょっと準備不足で申しわけございません。
 昭和三十四年の後半ごろから日本におきましてポリオ患者の届け出数が増加し始めまして、昭和三十五年には北海道を中心に猛威を振るったという形になったわけでございますが、このような事態に対処するために国内では三十五年八月にポリオの緊急対策要綱を定めてポリオワクチンの生産や予防接種の実施を開始したんですが、どうしても足りないということで生ワクチンの大量使用に踏み切りました。この生ワクチンとしまして、昭和三十六年の七月にカナダとソ連から三百万人分が空輸輸入されたというふうに聞いております。
 それによりまして鎮静したかということでございますが、詳しい事情は、それ以上のことを私どもちょっと存じ上げません。
○高桑栄松君 ただいま御説明いただきましたように、あのときにもしソ連とカナダから生ワクチンの緊急輸入がなかったら、これは日本では大変な被害を受けたのではないかということが予想されておりまして、非常に我々もあれば喜んだというか、恩に着た問題でございます。
 ところが、この三月三十一日の新聞によりますと、CIS、つまりロシアでございますが、ロシアのポリオ研究所が物資不足のためにワクチン製造が危機に陥っていると。それで、最近行われたボストンでの会議で日本等に百万ドルの緊急援助を求めてきたというのがございます。この会議には我が国からは熊本の国立病院院長の蟻田功さんが出席をされておりまして、この方は、御承知だと思いますがWHOで長く天然痘の撲滅の指揮をとりまして、とうとう世界から天然痘を駆逐できたということで日本国際賞に輝いたお方でございます。私もよく知っているお方ですが、このお方が、この際ポリオの撲滅のためにはどうしても緊急援助が要るということを主張しておられます。私はこれこそ国際貢献の中で世界のポリオの、このワクチンがなくなりますとポリオの流行をとめられませんので、これはどうしても我が国がやっぱり率先援助をすべきではないかと考えておりますが、これにつきまして厚生大臣並びに外務大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 今、WHOが音頭をとりまして、このポリオの撲滅対策はみんなが深い関心を持ってこれからさらに進めていこうというやさきでございます。そんな時期にロシアのポリオ研究所のワクチンの生産が中止されるということ、このことによってさらにまたポリオの患者がふえて、これがまた広がるということはゆゆしき問題だと思っております。したがいまして社会の保健上からもこれはほっておけないという私は感じがいたしますので、外務省ともよく相談いたしまして、日本がどのような協力をできるかということについて今後考えてまいりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういうことができるか、関係省、特に厚生省などとよく協議をした上でできるだけ協力する方向で考えます。
○高桑栄松君 それでは二番目の問題に入りたいと思いますが、アメリカのハワイにイースト・ウェスト・センターというのがございます。東西センターでございますが、このことにつきまして外務省でひとつ説明をしていただけますか。
○政府委員(丹波實君) ハワイのイースト・ウエスト・センターについての御質問ですけれども、これはアメリカ議会がイニシアチブをとりまして、一九六〇年だったと思いますけれども、ハワイ大学のキャンパスの中に設置した研究機関でございまして、アメリカとアジア・太平洋諸国の友好と理解を促進するという基本的な目標がございます。設立に当たってはアメリカ議会が主に出資しているということでございます。大変活発な活動を今日まで続けておると承知いたしております。
○高桑栄松君 これは世界の英知を集めて東西対立問題を研究し、それに対していろんな研究の成果をアドバイスに生かしていくということでございまして、我が国からはお一人だったかなと思いますがJR東日本の会長山下さんが理事をしておられます。私もしばしばこの会合に呼ばれておりますけれども、大学院を持っているハワイ大学のキャンパスの中にございます。
 東西冷戦というものが消滅したというか、終結をしたということでございまして、今や南北問題が非常に際立って問題になってきております。これに対しまして、いろんなものを総合いたしますと、簡単に申し上げますと環境の北と開発の南が利害で対立をしている、それから貧しい南と豊かな北とが貧富という意味での差で対立をしている。それはとりもなおさず医療水準につながり、そしてこれは人口問題にも発展をしている。医療水準が低いから乳児死亡率が非常に高い。そうしますと人口が減るからたくさん産めということで、結果論としては途上国、第三世界ではどんどん人口がふえてきているということであります。その中で、問題は思想的対立というよりは民族であるとか国の利害であるとかあるいは宗教だとか、そういったことが非常に問題となっているわけであります。
 ここで、これも先日新聞に出ておりましたのですが、環境と開発に関する世界委員長でノルウェーの総理大臣のブルントラント女史が、日本に南北の橋渡し役を期待しているというふうに言っております。そこで、私はこの東西センターと対応する一つの南北センター、ノース・サウス・センターというふうなものを我が国の自力で、アメリカと同じように自力で設立をして、そして世界の英知を集めて南北問題についての研究をし、そして教育やアドバイスに生かしていくというセンターをつくることは非常にこれからの国際貢献で息の長い、意義の深い国際貢献の一つではないか、こういうふうに思う次第でございます。これにつきまして、環境問題がやっぱり問題になりますので、環境の立場から環境庁長官に、それから外交関係でございますからやっぱり外務大臣にも御意見を承りたいし、そしてお金がかかると思いますので大蔵大臣にも御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員御指摘のとおり、環境問題の原点には人口問題があり、貧富の差があり、医療問題があり、すべての問題が関連していると思うわけであります。
 その中で、環境の立場から申し上げますと、今地球サミットを前にしていろんな準備会が開かれておりますが、なかないそれは南北の意見の違いというのは大変でございます。そういう中で、環境の観点からは環境庁においても、委員が前にいらっしゃいました国立環境研究所地球環境研究センターにおいて、持続可能な開発のための世界モデルや地球環境保全のための社会経済システムのあり方に関する基礎的な研究というものに今着手をしておるところでございます。
 しかしながら、南北の問題を考えますときに、ただ橋渡しといってもなかなか難しいことでありまして、御指摘ありましたハワイ大学のイースト・ウェスト・センターというようなのもございますので、こういったものを中心に、委員御指摘のような施設を据えてやっていくというのは大変いい御意見ではないかと考えるわけでありますが、環境庁だけで考えるには少し大きなことかもしれませんが、先生のお考えなども参考にさせていただきながら環境庁といたしましてもこうした研究を充実させ、南北の橋渡し役をするように努めてまいりたいと思っております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、先生がおっしゃいましたように、南北問題というのは大きな問題でございます。したがいまして、これの研究は欠かせない。そういうことで、いろいろ研究機関はございますが、外務省に関する研究機関としては国際協力総合研修所、これはJICAの附属機関としてございます。また国際開発センター、これも公益法人としてあります。日本国際問題研究所、こういうのもございますし、国際開発高等教育機構、これは文部省と外務省の共管であります。これらにつきまして、外務省としては年々交付金、補助金、委託調査等の資金を援助しておるところでございます。いい成果を挙げてもらいたいと考えております。
○国務大臣(羽田孜君) 今、お話のありました点につきまして、南北問題というのはやはり重要な問題であろうという認識は持っております。しかし、今外務大臣の方からもお答えがございましたように、いろんなそれぞれの問題につきまして関係各省庁、また関係研究機関、そういったところに研究委託、こういったことでそれぞれのニーズに従いながら適切に対処してきておろうと思っております。今後とも南北問題の研究を含めました開発援助に必要な研究につきましては、既存の仕組みというものが私はやっぱり機能していくんじゃなかろうかというふうに思っております。
 ただ、今御指摘のございました南北問題研究所に対します資金協力というアイデアにつきましては、その設立の必要性も含めまして十分慎重に検討していきたいというふうに思っております。
○高桑栄松君 各大臣の御答弁ありがとうございました。
 やはりこれは縦割りではなくて、有機的に連携をしてやっていただくという必要があろうかと思います。本来は文部大臣にも御意見を承るところでございますが、質問通告をしておりませんのできょうはこれぐらいにさせていただきますけれども、ぜひこれは、しかし日本のイニシアチブでやっていただくという意味での国際貢献という意義が非常にあるのではないかと私は思っておりますので、ぜひひとつ御協力を横の連絡をしていただきまして、しっかり考えていただぎたいなと、こういうことを提案させていただきました。ありがとうございました。
 では次に、エイズの研究についてひとつ伺いたいと思います。
 エイズは、御承知のようにワクチン製造というのが非常に難しい。エイズウイルスの変転きわまりない変化がありましてワクチン製造が非常に難しいということは、もう何年も前から言われております。したがいまして、我々がこれに対応するのにはまず治療薬の発見ということになろうかと思います。この治療薬の開発は絶望のふちからエイズの患者を救うことができる唯一のそして緊急を要する課題ではないかと私は思います。
 これにつきまして私は、日本が一番乗りをすることは、科学日本を天下に示すことの意味におきましても重要であろうかと思います。その意味で現在、研究はどうなっているのか、研究費はどうであるか、厚生省、文部省、科学技術庁、各省庁に御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。厚生省関係の研究の現状と予算についてお答えしたいと思います。
 エイズの治療法等の開発は、今先生おっしゃいましたように患者も感染者も喫緊の課題として受けとめておりまして、大きな願いでございます。このためにエイズ研究の推進はエイズ問題総合対策大綱におきましても重要な柱の一つになっております。厚生省と文部省、科学技術庁の三省庁が相協力いたしまして推進をしているところでございます。
 厚生省としましても、先生を初め関係の方々から大変御声援、御支援をいただきまして予算の増額に努め、平成四年度の予算案でも十三億円を超えます研究費を計上いたしておるところでございます。
 具体的に先生もう御指摘になりましたのであえて申し上げませんが、もちろん発症予防の話、ウイルスの構造とか免疫のメカニズム、ワクチンや抗ウイルス薬の開発、HIVの構造の解析あるいは実験動物モデルというふうなものの開発というようなことが重点ではないかと思います。
 今後ともこれらの研究開発の推進を図るべく、私どもも努力をいたしてまいるつもりでございます。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 文部省のエイズ研究予算は、いわゆる科学研究費補助金を中心にいたしまして昭和六十二年から措置しておりまして、平成三年度は三億五千万円ほどでございました。科研費によるエイズ研究としては熊本大学の高月清教授を代表とする重点領域研究、エイズの総合的基礎研究というものでございまして、平成元年度から三年度まで実施をいたしております。平成四年度からは新たにエイズ制圧に向けての基礎研究として重点領域を設定して研究をさらに推進することといたしておりまして、関係省庁とも連携、協力をしながらエイズ研究の一層の充実を図る予定でございますが、金額はこれから出てくると思います。
○国務大臣(谷川寛三君) 科学技術庁におきましては、エイズ研究の重要性にかんがみまして、我が国で初めてのエイズ患者が報告されました直後の昭和六十年度からエイズに関連した共通的、基盤的研究開発を推進しておるところでございます。
 具体的には、もう先生御案内と思いますが、理化学研究所におきましてエイズのウイルスの感染等に関与する遺伝子等の研究、ヒトレトロウイルスの研究、これを実施しておるところでございます。それから、科学技術振興調整費を活用いたしまして、関係省庁との連絡のもとにエイズの本態解明に関する研究、それからエイズの研究に必要な、さっきもお話が出ておりました感染モデル動物の開発等を推進しております。
 今後とも関係省庁と連携、協力いたしまして、研究開発のより一層の推進を図り、一刻も早くエイズ撲滅を図っていきたいと努力しているところでございます。
○高桑栄松君 研究費の費用の面を国際的に比較いたしますと、これは週刊誌でございますので私は確かめておりませんが、昔確かめたとさはアメリカが二、三年前で二千億円だったと思いますけれども、この週刊誌の最近のによりますと、アメリカで対策費、研究費を含めて五千五百億円であります。英国で四百七十億円、タイ国でさえもと言っちゃ悪いかもしれませんが百四十三億円、日本はトータルで二十一億円であります。経済大国とはどうしても申しがたい、こういうふうに思う次第です。
 ところで、今度は大蔵大臣にちょっと聞いていただきたいんですが、昭和六十二年五月九日の予算委員会で、その当時六十二年度の研究費が二億七千万円でございましたが、時の大蔵大臣が宮澤さんでございまして、私が一挙に十億研究体制をつくってほしいと申し上げました。そうしたら、その宮澤さんのお答えが大変私はうれしい言葉でございましたが、出せない金ではございませんということでした。一挙に十一億になりました。これは大変なことでございまして、私は非常にうれしかったし、きょう宮澤さんがおいでになると感謝申し上げるところでございましたが、大蔵大臣からよろしくお伝えいただきたいと思います。
 その意味で、日本の研究費は余りにもプアであります。それは、頭がいいんだからとかということはだめでございまして、やっぱり確率論でまいりますから、少数精鋭ではなくて、精鋭をたくさん集めて確率論的にいい仕事ができるという人が出てくることを私は期待したいと思います。
 その意味で、エイズ研究費倍増計画で大蔵大臣にひとつ何とか御努力を願いたい。宮澤さんのときはテーマがはっきり出ていないということでしたが、私はつかみ金でどうですかと申し上げたら、つかみ金というわけにはまいりませんが、こういうことでした。ですから、どうぞひとつ大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(羽田孜君) このエイズ問題というのは本当に危険な状態にまで発展してきておるというふうに私どもも認識をいたしております。合せっかくの御指摘でございますので、厚生省とも十分相談しながら、エイズ対策に必要な予算の計上、これに万全を期していきたいということを申し上げたいと存じます。
○高桑栄松君 厚生省、文部省、科学技術庁、御関係の省庁、大蔵大臣がそうおっしゃっていますから、遠慮しないで倍増計画にひとつ御協力をいただきたいと思います。
 それではその次に、エイズ問題に絞ってひとつ質問をさせていただきます。
 まず、感染者がどうなっているかということですが、最近エイズ問題がにわかにマスコミをにぎわしておりますが、問題点は一体何だったのか、まず厚生省に御説明をお願いします。
○政府委員(寺松尚君) お答えいたします。
 我が国におきます感染者あるいは患者でございますけれども、平成四年二月末現在で患者は四百五十八名、感染者は二千八名でございます。なお、このうち血液凝固因子製剤によります感染例を除きますと、患者は百三十四人、感染者は四百七十七人でございます。
 この報告からわかりますが、この数は激増しておりますけれども、数は数といたしまして、それ以外の特徴が三つばかりございます。その一つは平成三年がその前年に比べまして二・五倍ぐらいの急増をしたということ、それから二番目は異性間性行為というものが主たる感染経路になったこと、それから三番目といたしましては在日外国人の感染者が急増しておる、この三つでございます。
 この辺の推測は、今は一応法律に基づきまして報告をいただいておる数でございますけれども、私どもの疫学班という研究班がございますが、その研究班の報告によりますと、患者数はほぼ正確にとらえているだろう、しかし感染者の方はどうもこの数ではないんではないかというようなことがございまして、いろいろ仮定を設けて計算しておるのでございますが、今言いました感染者の大体四・三倍ぐらいじゃないかなというふうなことを言っております。
○高桑栄松君 昨年は一昨年に比べて二・五倍にふえたということは、結局、感染者がいるから数年の潜伐期を経て発症が出てくるということでございますので、これはもう非常に感染者がふえていることを考える必要がございます。
 コロンブスが五百年前にアメリカ大陸から戻ってきて大陸発見の報告をしたときに、その一行が持ってきたお土産が梅毒であったということは御承知だと思います。これがたった二年しかたたないのに上は王様から下はこじきまで、すべての人に感染をしてしまった。ですから、セックスを通してうつる病気というものはどんな感染をするのかということは、これは非常に問題でございます。私は、もう七年前にエイズの質問をいたしましたときに、それは指摘しておきました。これは間違いなくふえていくと。しかも女性がどうとかという問題じゃない。セックスというのは男性と女性なんですから、等分に両方からそれぞれ行ったり来たりしているわけでございますから。ですから、皆さん、これからどんどんふえることは明らかです。そういうことを御承知おき願いたいと思います。
 そこで、ちなみに予測でございますが、宗像という筑波大学の保健社会学の助教授が昨年暮れ成人男女一万人を対象に調査して、三人陽性者が出ている。一万人に三人ですよ。十万人で三十人ということになります。一億でその千倍ですから三万人ということになる。三万人だと彼は予測しております。今の厚生省の予測とは雲泥の差でございまして、過小評価すればいいというものではない。私はむしろ過大評価をしてそこでストップをかけていくのが本当ではないかと思っております。この予測値というのがいろいろな意味で重要でございますが、先ごろエイズ対策閣僚会議でエイズ対策の大綱が改正をされたというふうに新聞に出ておりました。ポイントを教えていただきたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 先般、三月十九日でございますけれども、エイズ問題総合対策大綱を改正いたしました。それは関係閣僚会議の席でいろいろ御議論いただきまして改正したわけでございます。その中で幾つか重点がございますが、一つは匿名検査というものを、その検査体制を整備しようというのが第一でございます。それから、安心して気楽に医療が受けられる場所、患者あるいは感染者になられた場合に安心して医療が受けられるそういう体制の検討に入れというふうなこと。それから、国際研究協力をもっとしっかりやれというふうな、そういうふうな意味での改正を行いました。その辺に重点を置いて今後ともやっていくということが決まったわけでございます。
○高桑栄松君 匿名検査体制というのは、伝染病感染症の予防の原則からいきますと匿名というのは感染調査ができないということなんですね。ですから、こうなるとエイズ予防法はどういうふうになるんだろうかという心配がございますが、匿名検査で予防ができるのかというところをちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) まず、感染の拡大を防止しなきゃならぬということでございますから、やはり感染者の方がというよりもすねに傷があるとおっしゃるんでしょうが、気になる方々がいらっしゃるわけでございますから、そういう方々ができるだけ気安く安心してかかれる、プライバシーも保護しながらかかれるような体制を何とかつくらないといかぬ、そういうまず感染源といいましょうか、そういうようなものの把握ということが予防のためには非常に大事であろうと思います。とりあえずそういうことによって検査を受けていただく。その結果につきましては、私どもカウンセリングという形でいろいろと指導してまいりたい。私どもが今気になっておりますのは、マイナスのケースであっても今後いろいろなそういうリスクがあり得るわけでございますので、その辺を十分指導するように、こういうふうなことを保健所等あるいは医療機関等につきまして指導いたしておるところでございます。
○高桑栄松君 今、カウンセリングという話が出ましたので、これについて質問をさせていただきますが、厚生省が全国調査をいたしましたときに、本人に同意なしで検査をしたのが約四割、そして陽性者に告知をしたのが約五割ということでございます。告知はだれがするんでしょうか、伺いたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) お答えします。
 一般的に申し上げまして、例えば保健所なんかで陽性になった場合、この場合には医療機関を紹介いたしまして、そしてそこでいろいろと指導も含めて告知をする、こういうふうなことになるのではないか。したがいまして、医師が告知をするということになっております。
○高桑栄松君 医師は、カウンセリングというのはがんよりももっと告知がしにくいんですね。がんも今までの人はやっぱり告知されればだめだと思っちゃうというところがありますけれども、しかし今はがんというのは治るんでないかという期待の方が大きい、これは非常に明るいわけです。しかし、エイズは今のところ治療法がないんですから非常に難しいんじゃないか。したがいまして医者が、おっ陽性だ、おっ、というわけにいかないですね。これはその人の精神状態、経済状態、仲間の状態、いろんな、会社のことも考えるから、カウンセリングはやはりプロフェッショナルにやらなければだめである。医者はそんな時間がございません。しかも医学部の教育においてそういうトレーニングは一切受けていない。したがって、医者は難しい。これでよろしいですか。
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御指摘いただきましたように、医者につきましてなかなか告知をするとか、そういうカウンセリングをするという、医学教育の中でもなかなか十分指導を受けていないというのが御指摘の、そういう嫌いはあるわけでございます。したがいまして、私どもは、何とかこのエイズの問題につきまして、なかなか告知とかあるいはカウンセリングというのは難しい。そこで私どもは保健所等におきます一般の相談窓口、あるいは医療機関におきます専門の相談窓口というようなものを設置いたしておりますが、そういうところでカウンセリングの体制をつ。くると同時に、そこで対応をしていただきます医師を初め看護婦、心理職等を対象としたカウンセラーの養成をやりたい。そういうことで、具体的にはエイズ予防財団によりまして研修会をやる、あるいは国立公衆衛生院におきましていろんなカリキュラムがございますが、そういうコースでその中にカウンセリングのやり方等についても指導をするというようなこともやっております。それからまた国立の病院管理研究所等におきましても、院長初め研修を受けております職員に対しまして絶えずそういうふうなエイズにつきましての指導あるいはカウンセリングの仕方、かようなものも指導いたしておるところでございます。
○高桑栄松君 先ほど申し上げましたけれども、告知は半分しかやっていない、これは非常に重要でございまして、これから陽性者になった人の社会生活ということが問題になりますから、ですからこれは非常に問題であって、カウンセラーを養成するというのは大事なことだと思います。
 ところで、昭和六十二年五月九日の予算委員会で、私はカウセリング体制をつくることを提言しております。そのときの厚生省の答えは何であったか。制度としては考えていない。ですから、おくれていくのではないかと、私はもう既に五年くらい前にこれは提案をしております。私が大体数年前に提案をしたことが今ようやく出てきているということで、私がひっくり仰天しているわけでございまして、何でそれをやらなかったのかということであります。
 そこで次に、エイズ専門病院受け入れ体制はどうなっているかということであります。
 陽性と判明いたしますと、本当は告知をしなきゃ感染防止ができませんね。そして何年かすると発症いたします。発症すると治療が必要である。そのときに治療を拒否する病院が非常に多いということが患者さん側の訴えてあります。これはもう本当にかわいそうだけれども、実際はそうなっているわけですね。その受け入れ体制についてのお考えを承りたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今、先生御指摘のエイズ患者の診療を拒否する病院が多いということにつきましては、私ども直接的にそういうケースを伺ってはおりませんけれども、新聞紙上等ではそういうことがあるというふうに承知をいたしておるわけでございます。そういうことがあってはいかぬと、こういうことは先生の御指摘のとおりでございます。
 三月十九日に、先ほども御紹介いたしましたが、エイズ対策関係閣僚会議におきまして、エイズ問題総合対策大綱の改正がされたわけでございますが、その中に、特に安心して医療を受けられる医療機関を確保するための方策というものを検討しろと、こういうふうになっておるわけでございます。
 そこで、私どもは今までももちろんやってまいりました。例えば診療の手引きでございますとか、あるいは医療機関内の感染予防対策指針というようなものも作成いたしまして配付いたしました。十何万部とそれぞれ配っておるわけでございます。それからまた国公立病院の医師等の海外派遣、これは実際外国でエイズの患者さんの治療をやっている、そういう病院に派遣いたしまして研修をやらせるというようなこともやっておるわけでございます。
 そういうようなことで、国公立病院を初めとしまして医療機関において感染あるいは患者に対する十分な医療が提供できるように指導しておるところでありますけれども、先生のそのような御指摘もございますし、大綱の改正の重要な事項にもなっておりますので、私どもは公衆衛生審議会の中に専門委員会をつくっておるのでございますが、そこでいろいろ御意見を聞きながら最も効率的なそういう体制をつくってまいりたい、このように思っております。
○高桑栄松君 患者さんというのは主に血友病で発症した方々のことなんですけれども、やっぱり診療を拒否されては生きる道がないということはもう確かなわけで、非常にかわいそうだと私は思うんです。
 もう一つ、陽性になった途端に、どうしたらいいだろうか。黙っていていいのか、それとも言ったらどうなるのか、いっそのこと自発的に、発症しないけれども入院をしたいという人だって出てくるだろうと思うんですね。そういうことを考えますと、つまり感染をしただけでひっそり息をひそのて暮らす陽性者及び患者さん方に対する治療の受け入れ体制というのは、これも数年前に私のアイデアでございましたが、国立病院を統廃合するのであきが出てくる、そのあく病院をそれに充てたらどうだろう。というのは、エイズの治療に特殊な治療法なんかないんですから、日和見感染というめったに起きないような、普通でも起きないような病気の治療に当たるだけでございますから、ですから本来の特殊な技術はない。したがいまして、発症しないのであればただそこに寝起きしていてもらって、場合によってはそこから会社に行ってもらうということも可能なのではないだろうか。
 私は、現在の日本のエイズ患者に対する認識から申し上げると、そういったひっそり息をひそのて暮らすような方々に対する福祉的な意味での受け入れ体制も必要ではないか。これは数年前に国立病院統廃合に絡んで私の意見として申し上げでございます。厚生省、いかがでしょう。
○政府委員(寺松尚君) 先生の御提言は、前回議事録からも拝見いたしました。今回も改めて国立病院の統廃合に際しましての空き病院の利用、こういうような御趣旨でございますけれども、御承知のように国立病院の再編成と申しますのはそれなりの意味、目的がございまして進めておるわけでございます。したがいまして空き地の跡にまた国立てもってエイズの病院をつくるというのはなかなか難しいと思うのであります。
 私どもは、国立病院の活用というのは大いにやらなきゃならぬということを考えておりまして、患者さんにとりましては何かエイズの専門病院というような形ですとなかなか受診がしにくい、あるいは受療がしにくい、こういうようなことで行きづらい、こういうような御意見が非常に強い。そこで、どこの病院へ行っても対応できるようにしたらどうか。こういうふうなことでございますので、先ほども申し上げました関係閣僚会議の御指示のもとに改正いたしましたその方向に従いまして、どこの病院でも気軽に受けられるというようなことで、全国北海道から沖縄まで患者さんも出ておりますので、あるいは感染者の方がいらっしゃいますので、そういうふうな対応の仕方をやりたい。これにつきましては日本医師会あるいは都道府県立病院、あるいは私どもの国立病院というものを活用させていただきたい、このように思っておるわけでございます。
○高桑栄松君 次に、血友病エイズ感染者の救済ということを伺いたいと思います。
 昨年の十二月十七日に私が厚生委員会で質問をした際の答弁を考えてみますと、アメリカが加熱製剤を開発するのを指導するに当たってはこれは肝炎の対策であるということでエイズは知らないという答弁が議事録を見ますと三遍ぐらい私に返ってきております。私が資料を要求したのに対する厚生省からもらった答弁は、昭和六十二年三月二日であります。五年前ぐらいになりますね。これを見ますと厚生省の答弁には、米国は加熱製剤開発の指導目的に、「肝炎対策を主眼としAIDS対策を考慮して」と明快に書いてございます。これは答弁を求めてもしょうがないことで間違ったということでございますから、これはそう書いてありますから、そういうことを申し上げておきます。したがいまして、当時厚生省も加熱製剤を開発するに当たってエイズ対策が考慮されていることは承知であったということでございます。これは明快にきょうはしておきたいと思います。そして、加熱製剤承認が米国より一年五カ月おくれた。この間、加熱製剤が治療で使われなかったという意味で、エイズ対策上責任は重大であると私は思っております。
 そこで、フランスの下院が、これは昨年の十二月二十二日の新聞に載っておりましたが、輸血感染によるエイズ賠償法案を可決した、対象は約五千人、うち血友病患者千二百人と書いてございます。これは非常に大きな金額でございまして、賠償額は円にして七百三十五ないし九百八十億円であります。政府予算のほか、保険会社から三百億円を寄附させると書いてございます。
 それからもう一つ、昭和六十三年十二月二十日の社会労働委員会の私の質問に対する議事録をもう一遍見ました。そうすると、厚生省によりますと昭和六十一年度の献血音八百六十万人、うちエイズ検査を行ったのが三百十五万人で陽性者が十一名であります。残った五百四十五万人は、議事録に答弁として載っておりますが、検査をしていない、そして使用をした。そうすると、三百十五万人で十一名ということは、五百四十五万人では統計的には十九名陽性がございます。十九名分は間違いなく感染をさせた、これは統計学的に私は間違いないと申し上げております。したがいまして、トータル八百六十万人の献血者で三十人の陽性者が統計的にはっきりしたわけです。
 昭和六十一年三月十四日に、私の仮説を入れて献血者九百万人の中でどれぐらい陽性者がいるかというときに、私の仮説では十万人に一人と見ましたから九十人です。これは多く見て九十、少なく見て三十ということは議事録に載っていますからごらんいただきます。三十ぴたりとこれは合いました。ということは、昭和六十年度においてもやっぱり三十名くらいの感染者が間違いなく輸血によって起きた。これは前の年は何もなかったということはあり得ない。ですから私は、国はこの人たちをどう救うかということを考えてもらう必要があるのではないかということでございます。
 そこで、厚生大臣、さっき質問申し上げるのが飛んでしまいましたが、カウンセリングとエイズの専門病院の受け入れ体制についての大臣のお考えをちょっと教えていただきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) カウンセリング体制の整備と医療機関の確保につきましては、三月十九日のエイズ対策関係閣僚会議においてもその総合対策大綱を改正してこれらの点を織り込んだところでございます。
 なお、施設につきまして、ちょっと私が質問を取り違えているかもしれませんが、今後余っていく国立病院をしたらどうかという御意見があったと承知いたしております。ただ、国立病院は十カ年計画でもってずっと毎年減らしていっているんですね。エイズ専門といえども、それがまた国立病院であるならば、減らす一方でまた国立病院がふえるということで、専門病院だからいいじゃないかという、そこらあたりをどういうふうに理解していくか、もう少し詰めなきゃならぬ問題が残っているなと思っております。
○高桑栄松君 どうも大臣、済みません。ひとつ御検討いただきたいと思います。
 そこで、今度患者の要件のことを申し上げたいと思うんですけれども、まず血友病エイズ患者の特別手当というのが支給されておりますが、平均で支給期間はどれくらいであるか、また、それ以外の薬の副作用による救済制度の受給期間はどれくらいであるか、ひとつ教えていただきたいと思います。
○政府委員(川崎幸雄君) 血液製剤によりますエイズ患者の特別手当の平均受給期間は十二・三月でございます。
 先生から先ほど冒頭に加熱製剤の承認につきまして御意見をちょうだいしましたけれども、これについてちょっと釈明をさせていただきたいと思います。
 改めて申し上げさせていただきますけれども、アメリカで加熱製剤が初めて承認されましたのは一九八三年の三月でございます。それで、先生が先ほどもおっしゃいましたように昭和六十二年ですか、私どもから提出いたしました資料に、初めて承認したのはその後指導などがあって一九八四年の二月であるといったような資料を提出いたしましたけれども、これは当時アメリカの情報の把握が不正確であったということで不正確な資料を提供いたしました。これにつきましては大変申しわけなく、おわびさせていただきたいと存じます。
○高桑栄松君 お聞きになったと思いますけれども、血友病エイズ患者が特別手当をもらってからお亡くなりになるまで一年しかないのですよ。何のためにもらうのだろうという気がいたします。ほかの副作用は四年三カ月ですから、そこを問題に私はしているわけです。
 これはJAMA、ジャーナル・オブ・アメリカンメディカル・アソシエーションのことしの二月号でありますけれども、米国のCDC、センター・フォー・ディジーズ・コントロールが新しいエイズ患者の定義を検討しているというのが出ておりました。それはCD4というリンパ細胞の不細胞という、免疫を強くする不細胞のことでありますが、これについて二百以下、一般には千個ぐらいあるというんですが、二百以下にしようかということで今やっているということであります。これは免疫不全ということを指標にしているわけでありまして、今までは症状であったのをCD4が二百以下であればということを考えているわけであります。これについて厚生省はどう考えているか、ちょっと伺いたい。
○政府委員(川崎幸雄君) ただいまお話がございましたように、アメリカのエイズの発症基準につきましては、カリニ肺炎とかカポジ肉腫だとかエイズに特徴的な症状を発現した場合に患者と認定するというこれまでの基準に加えまして、T4リンパ球の数値が二百を割った場合に患者として認めようといったようなことがあるということは私どもも聞いておりますけれども、この変更はサーベイランスのために行うというふうに私ども聞いております。
 それで、これを患者に対します救済制度という観点から見た場合に、現在の救済制度が、入院しましたりあるいは日常生活に支障が出てくる、こういった等の現実の障害に着目して救済するということを趣旨といたしておりますので、T4リンパ球が二百を割った、こういったようなことで直ちに日常生活に支障が生ずる、こういったような現状の実態には変わりはないわけでございますので、救済制度という観点から見ました場合には現行の支給基準は適当なものではないか、こういうふうに考えております。
○高桑栄松君 九〇年の八月十七日の新聞でありますが、厚生省は感染者がCD4五百以下の場合にAZTを少量投与して発病予防に役立てるということが出ておりました。やっておられるそうでありますが、五百というレベルを厚生省が採用しているということが出ておりました。
 次に、私の提案を申し上げます。
 これは、CD4五百以下の場合に、エイズ感染陽性者には発症者と同じように特別手当をやってはどうか。もう一つは感染陽性者については例えば二分の一をやってはどうか。発症してしまうと一年しかもらう期間がないということはさっき申し上げました。私はこれについて、天皇陛下が昨年の十二月二十三日の御誕生日に血友病患者のエイズ感染に心を痛めていると、こう新聞に出ておりました。私は陛下は大変立派だと思います。これについての厚生大臣のひとつお考えを聞かせてください。
○国務大臣(山下徳夫君) 血液製剤によってHIVに感染されたということはまことにお気の毒だと存じております。
 天皇陛下が述べられたことも承知をいたしておりますが、国としては血友病の方々を含めて一般的なHIV感染対策として発症予防事業を推進しておるわけでございますが、その救済につきましては法的責任問題とは切り離して現実問題として血液製剤によりHIVに感染された方々に対してできるだけの救済措置を講ずることが必要である、そういうように理解をいたしております。関係企業の協力を得て救済事業を行ってきておるところでございますけれども、最善の努力を今後ともしてまいりたい、このように考えております。
○高桑栄松君 先ほど申し上げましたけれども、フランス下院と同じように、輸血感染に対する救済は政府の責任であると私は申し上げました。もう一つは、血友病患者のエイズ陽性者に対する救済も当然政府の責任であると思いますので、ぜひひとつ厚生大臣、ここはもうできるだけ前向きに検討していただきたいと思います。
 最後に、予防の問題で二題用意してございますけれども、ビルのことでございます。ビルは禁止されていたのが解禁されそうになってまた凍結に至ったと、この経過を説明してください。
○政府委員(川崎幸雄君) 経口避妊薬につきましては、現在数社から承認申請が出されております。現在、中央薬事審議会の配合剤調査会というところで審議が行われている段階でございます。この過程におきまして、ビルとエイズの関係ということにつきましても公衆衛生上の見地も踏まえて慎重な審議を行うべきであると、こういうように聞いております。
 それで、現在我が国では異性間性行為によりますHIV感染が急増しておる、またその予防方法といたしましてはコンドームの使用が最善とされているわけでございます。また、欧米等におきましてもコンドームの使用が現在強く推し進められているといったような状況にございますことから、厚生省といたしましてもエイズ対策を総合的に進めていく上ではビルの承認については慎重にすべきものであるというふうに考えております。
○高桑栄松君 私はビル凍結に賛成でございますが、時間がございませんので私の理由は今は省略させていただきます。
 最後に、教育啓蒙活動でございますが、一つは文部大臣に、高校生にさしあたりエイズ対策教育の重点が移されそうでございますが、これに対するアイデアをひとつお願いしたい。
 もう一つは法務省でございますけれども、リスクグループの対象として海外からの入国者が、特に不法就労者の中で風俗営業従事者に非常にふえていることが先ほど厚生省からの説明にもございましたが、これについてどういうふうな対策をお考えであるか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) エイズのふえ方がいわゆるリニアの一次関数的でなくて指数関数というんでしょうか、Y=2Xとか3Xとかそういうふえ方をしていくということになれば、教育の場でしっかりとそのことを教えて正しい知識を身につけさせて予防をさせる以外にないだろうというふうに思います。
 エイズ予防教育という、本来そういうようなジャンルを新しく設定しなければならないというのは大変残念なことでありますが、やむを得ずエイズ予防教育というものを始めざるを得なかったということであります。そして、若い世代から正しい理解を深める教育という形に位置づけておりまして、財団法人日本学校保健会に依頼して小中高等学校の教師向けの新しい指導資料、これは前もあったんですが、はるかに充実したものをつくる。そして、高校生用の教材を平成四年度中に作成することといたしまして三月二十三日に初めての会合、いわば作成小委員会を開いてもらったところでございます。
 ただ、私がそのような施策を発表いたしましたところ、最近の問題としては、中学生の妊娠というようなことが全国的に大きな問題になっているから高校生では遅過ぎるんだというような意見も相当数寄せられてまいりまして、今いろいろと思案をいたしているところでございます。
○国務大臣(田原隆君) 法務省に対する御質問は二点だったと思うんですが、まず一般的に上陸する場合の問題を申し上げますと、エイズ患者である疑いがある者から上陸申請が行われた場合にどうするかといいますと、人権に配慮しながら申請人の入国目的、感染事実の有無等を事情聴取し、医師の診断を受けてもらって、そして多数の者にその病原体を感染させるおそれがある、あるいはどうかということを審査して、もしおそれがあれば上陸を拒否すべき理由になるということでありますが、人権上大変難しい問題であります。また、合法的に上陸した場合について、後でエイズになってもこれはやはりどうしようもない。
 それから、不法就労でございますが、不法就労というのはたくさんございまして、不法入国それから合法的な仕事をしていないとかということでありますが、ひっくるめて不法就労者について申し上げますと、入管法上は法務省としてエイズ感染防止のために直接的措置をとる権限は持ち合わせていないわけでございます。ただしかし、エイズ対策は重要なことでありますから、売春等に従事する不法就労外人を摘発した際には、当該外国人がエイズに感染していると判断される場合にはその二次感染防止のために厚生省等とも協議し、エイズ予防法に規定する所要の措置をとった上、当該外国人の健康状態等を勘案して速やかに退去強制手続をとる、こういうふうになっております。入管法上は被退去強制者、いわゆる無理に出てもらわなきゃいかぬ人に対してエイズに感染しているかどうかについて検査を実施する権限はございません。
 以上です。
○高桑栄松君 ありがとうございました。
○理事(井上吉夫君) 以上で高桑君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○理事(井上吉夫君) 次に、櫻井規順君の質疑を行います。櫻井君。
○櫻井規順君 最初に、高齢者福祉、とりわけ寝たきり老人、痴呆性老人の在宅福祉とホームヘルパーの関係から入りたいと思います。
 冒頭に厚生大臣に、高齢者保健福祉十カ年計画、ゴールドプランがあるわけでありますが、あれこれ調べてまいりますと、どうもこれは医療分野が抜けているのでゴールドプランとしてはやや不十分な面がある、こういう感じがするわけでありますが、厚生大臣からゴールドプランの位置づけについてお考えを聞かせていただきたいと存じます。
○国務大臣(山下徳夫君) ゴールドプランは、平成十一年まで十カ年というかなりの長期の計画でございますが、在宅施設等の保健サービスを総合的に緊急に拡大するということで着々と今進捗している現状でございます。
   〔理事井上吉夫君退席、理事前田勲男君着席〕
 そこで、例えば平成四年度におきましては老人福祉に係る予算は前年度比で約一四%ぐらい伸びておりますし、あるいはホームヘルパー等は特に二三・四%伸びて、私どもは順調に年次を追って推移をいたしておると思います。
 ただ、先生御指摘のございました医療というような面については、今申し上げましたかなり長期の計画でございますから、さらにまたその進捗につれて手直しすることもあるかと思いますが、十分考慮いたしたいと思います。
○櫻井規順君 今、大臣から御答弁がありましたが、確かに平成四年の高齢者の在宅福祉関係の予算措置というのは前進をしているというふうに思います。評価をさせていただきますが、そのかわりどこか削られている面がまたあるだろうと心配するわけであります。
 それでまず、在宅福祉の三本柱の一つであります例えばホームヘルパーを取り上げてみまして、このホームヘルパーの増員と待遇改善というのは前進をしております。今回の平成四年の予算を組むに当たって、都道府県からのホームヘルパー増員の要望というものは満たしているのか、あるいは満たして余りがあって都道府県に割り振るような状況を迎えているのか、その辺を御答弁願いたいと存じます。
○政府委員(岡光序治君) 各県の御要請と我々が考えております計画と、この整合性を保つように進めておるわけでございまして、ヘルパーの関係は予算よりもやや実績の方が最近では上回っているところでございまして、それは予算の範囲内でうまく調整をするということで対応しております。
○櫻井規順君 ちょっと質問に答えてないんですけれども、都道府県の要望を満たしているのか、余りがあってなお配分しているような状況なのかということを聞いているわけです。
○政府委員(岡光序治君) 要望にこたえております。
○櫻井規順君 何とも言えないですね。
 ゴールドプラン。では、平成十一年に十万人というホームヘルパーの目標を持っているわけでありますが、今の伸び方からいって平成十一年で十万人に到達をいたしますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) いろいろ困難はあろうかと思いますが、この達成を図りたいと考えております。
 ヘルパーのこれまでの状況を若干申し上げますと、この制度は昭和三十八年にできましたのですが、ヘルパーの数が一万人を超えたのが昭和四十九年度でございまして、二万人を超えたのが昭和六十年度でございます。昭和六十三年度以降は毎年二千人という伸びのペースで増加をしておりましたのですが、御指摘がありましたように、ゴールドプラン、平成二年度がスタートで三万人台でございましたが、それを十万人まで膨らますということでございますので相当急速な増員が必要でございます。
 そういう意味で、在宅サービスの定着の状況、普及の状況、そういったものを踏まえながら、いわば計画年次の後半部分により多い人員を配分するという格好でうまく立ち上がるように計画を進めたいという発想で進めておるところでございまして、何としてもこの十万人計画は達成をいたしたいと考えております。
○櫻井規順君 現在、平成四年で四万六千四百五人となるわけでありますが、常勤、非常勤の割合、直用と委託の割合、数を教えてください。
○政府委員(岡光序治君) まず、常勤、非常勤の割り振りでございますが、平成三年二月の調査でございますが、常勤が三五・五%、非常勤が六四・五%でございます。
 それから所属ですが、市町村に直接所属をしているヘルパーさんが、これは二年度の実績でございますが約五二%でございます。
○櫻井規順君 はい、わかりました。
 次に、このゴールドプランの中に「ねたきり老人ゼロ作戦」という大きな柱があるわけでありますが、痴呆性老人はともかくといたしまして、このゴールドプラン完遂の平成十一年という時点でどうでしょうか、ゼロは成功するでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 私どもいろんな寝たきり老人をゼロにしようという大きな目標のもとに施策を進めておりますが、それと同じような施策を実は実践をしている実例が広島県のある町であるわけでございます。
 そこの実績では、五年間そのような施策を行いまして寝たきり老人を約七〇%減少できておる、こういうふうな実例があるわけでございまして、私どもそういうものを一つ例証として思いながら、できるだけ寝たきりをなくしていくということでこの施策を進めたいと思っているわけでございます。
 要するに、寝たきりは防げるということをまず啓発していこうではないか。それから、寝たきりの原因となっておりますのが脳卒中などの疾病でございますので、そのようなたぐいの疾病を予防していこう。それから不幸にしてそういう病気になった場合にも、早期にリハビリをするなりあるいはいわゆる生活リハビリをしていこう。それから機能訓練であるとかデイサービスなどの在宅の諸サービスも行っていこう。それからまた、寝たきりにならないで生活できるような住環境を整備していこう。こういうふうな施策を展開して、寝たきりゼロというのは象徴的な言葉でございますが、そちらに向けて一生懸命努力をしたいと考えておる次第です。
○櫻井規順君 実際には寝たきり老人それから痴呆性老人というのは着実にふえているといったらよろしいでしょうか。将来推計含めまして、平成年間に入ってからでよろしいですけれども、実績と推計値、寝たきりと痴呆性老人別々に御報告いただけますか。
○政府委員(岡光序治君) 寝たきり老人の数でございますが、昭和六十年で約六十万人、平成二年では約七十万人、十万人増でございますが、十年後の平成十二年には約百万人というふうに推計をされております。
 それから、痴呆性老人につきましては、昭和六十年で約八十万人、平成二年では約百万人でございますが、十年後の平成十二年、約百五十万人というふうな推計をしております。
 これはいずれも、寝たきり老人につきましては現在のお年寄りの中に占める寝たきりの数、ウエートのそれをそのまま延ばしたものでございますのと、それから痴呆性老人につきましてはいろんな研究班で研究されておりまして、それに基づく推計でございます。
○櫻井規順君 今の数字からして、寝たきり老人どうですか、こういう推計値になるわけですけれども、これをどのくらいブレーキをかうことができるのか、あるいはゼロにさせることができるのか。あるいは先に行けば行くほど実はこれは増加率が多くなって、出現率が多くなってきているわけですけれども、その辺の関係はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(岡光序治君) まず、寝たきり老人の原因でございますが、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、脳卒中あるいは骨折、こういったものが原因の中で大きなウエートを占めております。したがいまして、まず寝たきり原因の発生を予防していこうというためにこのような老人保健事業を推進しているわけでございますし、それから発生しても軽度にとどめようではないかということで機能訓練であるとか保健婦等による訪問指導とか在宅サービスを行っているところでございますし、また受け皿の施設の整備も行っているわけでございます。
 それから、痴呆性老人につきましては四〇%が脳血管性の痴呆でございます。したがいまして、この脳血管障害にならないようにということをまず念頭に置いております。それから、三〇%がいわゆるアルツハイマー型というんでしょうか、脳が老化性の変性によりまして萎縮するというふうなことから生じるようでございますが、これはどうもまだ原因が解明されておりませんので、そういう危険な因子をできるだけ解明して予防できるようにということで、今予防法なり治療法の究明に努力しているところでございます。
 いずれにしましても、痴呆問題につきましてはまず相談体制を整えてくれというのが痴呆老人を抱えている家族からの希望でございますので、気軽にまた専門的に相談ができるような老人性痴呆疾患センター、こういったものを整備する。それから在宅でお世話をする場合の支援を、特に家族に対する支援を行っていこう。それから、やはり緊急時に受け入れてくれる施設が要るということでございますので、受け入れ施設を整備する。特別養護老人ホームであるとか老人保健施設であるとか、あるいは精神病院に痴呆性専門の病棟、ベッドを用意して受け入れをしていこう。こういったことを進めましてできるだけ減少するように、かつまた、やむを得ず発生した場合にも何とか人間らしい生活が送れるようにということをねらっているわけでございます。
○櫻井規順君 先の質問を御答弁されているわけですけれども、お聞きしていることは、痴呆性の方はおいて寝たきり老人に絞りますけれども、寝たきり老人に限ってどうでしょうか、平成十一年に向けてブレーキをかけ、減らすことができる展望が持てるかどうか、その辺どうでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 欧米と日本の状況を比べますと、日本の方が寝たきりの比率が高こうございます。したがって欧米並みに持っていくということは絶対的に必要だと思っております。
 それから、先ほど事例で申し上げましたようなある町での事例もありますし、あるいは個別の老人病院の中でも寝たきり老人を起こしたというケースもあるわけでございまして、一方では老人保健事業の第三次計画を平成四年度から進めさせていただきたいと思っておりますが、そこにおきましては西暦二〇〇〇年までに脳血管疾患、この原因となっております脳血管疾患を六〇%程度減少させたい、またこれはできるのではないかというふうに考えておりますので、こういったことを考えますと何とか、絶対なくなるとは申しませんが、今と比べますと相当減るのではないだろうか、こういうことを考えているわけでございます。
○櫻井規順君 寝たきり老人をゼロに近づけることができれば、痴呆性老人の方のアルツハイマー型以外の脳卒中の方はかなり関与できると思いますので、やや寝たきり老人にこだわっているわけであります。
 そこで、少々御答弁もあったわけでありますが、この寝たきり老人の総合的な施策の体系、それをかいつまんで答弁願えますか。
○政府委員(岡光序治君) まず、寝たきりは十分予防できるのだということを国民の皆様にわかっていただく啓発活動を行うということでございます。
 それから、原因になっておりますのが脳卒中とか骨折でございますので、そういったものの発生の予防を行う。骨折というのは、そこで骨が折れてベッドにそのままついております、そうなりますと機能が低下してそのまま寝たきりになってしまう、こういうことに結びつくそうでありますので、そういう意味で、かつまた、特に高齢の女性の場合には骨の実質が弱くなって骨折しやすいという状態になられる方も多いそうでありますから、そういったことを考えての発生予防でございます。
 それから、発生してもなるべく軽度にとどめたいということで、機能訓練、訪問指導、それからホームヘルスサービスなりあるいは老人訪問看護などの在宅サービスを進める。あわせまして早期リハビリテーションなり生活リハビリテーションを行うなり、あるいは受け皿の施設の整備を行う、こういったことを考えているわけでございます。
○櫻井規順君 広島の事例も私も資料をいただきまして勉強しているものですが、今の総合的施策、やや体系展開も不十分なんですが、その中でホームヘルパーの果たす役割、それをどういうふうに御認識されているか、御答弁ください。
○政府委員(岡光序治君) ホームヘルパーさんは今までは家事援助それから介護の援助ということでございましたが、私どもは、特に介護を援助する、本人及び家族に対してそういったことを果たしていこうではないかということでございますので、在宅の寝たきり老人に対しては大きな武器になるというふうに認識しております。
○櫻井規順君 これは厚生省でお出しになった資料ですけれども、寝たきり老人の主たる介護者の状況ということで、御案内のように配偶者あるいは子供、その子の配偶者というのが圧倒的に多いわけであります。
 ホームヘルパーの参与率といいましょうか、介護の状況というのはわずか〇・八%ですけれども、この実情と、今厚生省がホームヘルパーあるいはゴールドプランで描くホームヘルパーの役割というのはもう少し大幅に数字が上がっていってよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) ヘルパーさんの現状は、週一回程度二ないし三時間というのが現状でございますが、この十カ年戦略を達成することによりまして在宅の寝たきり老人の場合にはヘルパーさんは週四回ないし六回訪問できて介護が実施できるのではないだろうかというふうに考えております。
 そのほかにも、デイサービスとかショートステイあるいは看護婦さんによる訪問看護あるいは保健婦さんによる生活指導、こういったものを組み合わせながらそれぞれのケースの必要に応じてサービスを提供していきたいと考えております。
○櫻井規順君 少々ホームヘルパーの増員対策に関連して御提言をさせていただくわけでありますが、一つは、最初に質問でありますが、ホームヘルパーを平成十一年に十万人と目標を持ったその根拠をひとつ御答弁いただいて、次の私の提案でありますが、いかがでしょうか。
 常勤と非常勤の割合が、常勤の数の方がはるかに少なくて非常勤の方が多いわけであります。非常勤の実態というのは一時間当たりの何といいましょうか、時間のお礼をして、ほとんどボランティアで実際には参加しているという実情であります。そこで、常勤の方、非常勤の方を十万人というように考えておられるというように思いますけれども、それではこれからの高齢者在宅福祉をなかなか賄い切れないし、広島の例を見ても各地。区の例を見ましてもボランティアの参加というのがベースにやはりあるわけであります。
 そういう意味で、常勤の方については身分の問題ではやはり直用といいますか市町村の職員の身分にし、身分の保障をしっかりする、仕事の使命感もしっかり全一日の仕事として持っていただく。非常勤の方、十万人の枠の中に入っているわけでありますが、この非常勤の位置づけも非常にまだまだあいまいで本当にボランティアになっている。この人たちが今非常に悩んでいるのは、とにかく今のパート減税にも当たるわけでありますが、年間百万円を超すか起さないかということがもう一時間協力できるかできないかという極端に言えば選択を迫られるような状況があるわけでありまして、非常勤の参加を積極的に求めるゆえにおいてこれは大蔵省と関係があるわけでありますが、やはりパート減税部分の引き上げということと大いに関係があるわけであります。
 それで、この非常勤部分の身分の保障というものを、何らかのボランティアあるいは福祉の政策的な非課税限度額の引き上げあるいは全般的なパート減税の引き上げということで解決できないか。そして、さらに多くのボランティア参加というものを求めていくべきものだというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) まず、十万人の根拠でございますが、先ほど申し上げましたように、在宅の寝たきりなり痴呆の老人あるいはひとり暮らしの老人、こういったものが目標年次において百万人とか、ひとり暮らしまで入れますと三百万人、こうなるわけでございますが、そういった数をまず念頭に置きまして、介護を必要とする割合それからまたホームヘルパーを希望する割合、こういったものを加味いたしまして利用対象者を絞り込んで、その人たちに、先ほど申し上げましたが在宅の寝たきり老人の場合には週四回ないし六、回、ひとり暮らし老人の場合には週一回ないし二回ヘルパーが派遣できるようにということを考えまして十万人というものをはじいたわけでございます。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
 それから、常勤ヘルパーの待遇を改善しろということでございますが、平成四年度予算におきましては、常勤ヘルパーにつきましては従来の家事型、介護型という手当を一本化いたしまして、五一%増の百万円増、単価といたしましては三百十八万円の単価を確保したわけでございます。これは予算上の単価でございますので、それぞれのヘルパーの方のそれまでの勤務実績、勤務年数等考えた上で弾力的に執行するということでございますので、これは常勤ヘルパーにつきましては地方公務員並みの対応ができるというふうに考えております。
 それから、非常勤のヘルパーを大いに活用すべしと、こうおっしゃっているわけでございますが、これは私どももそのとおりではないだろうかと思っております。このために私どもはホームヘルパーのチーム方式というものを進めたいと考えております。つまり、ベテランのチームリーダーのもとにそういう非常勤のヘルパーも含めましてチームを組みまして、そして適切なサービスが提供されるような寸また、そういう非常勤の方も参加しやすく働きやすいようなそういう労働環境をつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
 外国のこういうホームヘルパーが進んでおる国々の例をとりましても、非常勤ホームヘルパーのウエートは非常に高こうございますので、私どもそういったものも考えましてやはりミックスで対応するのが正しいのではないだろうか、こう考えておるわけでございます。
○櫻井規順君 大蔵大臣にはまた後でサラリーマン減税のところでお伺いします。
 ボランティアの参加ですけれども、現状どういうふうに厚生省は把握していますでしょうか。いろいろと社協運営型、住民互助型等とあるようでございますが、その形別でもよろしいわけですけれども、団体数それからそこに働くといいましょうか、登録されているホームヘルパーの数、どういうふうに把握されていますか。
○政府委員(岡光序治君) 住民参加型の福祉サービスの団体の数は三百三十二団体、それから担い手の登録者数は推計でございますが四万五千人余りというふうに把握をしております。
○櫻井規順君 内訳も教えてください。そして、これは民間のいわゆるシルバーマークを持った団体としてみんな厚生省に登録されているものなんでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 今申し上げました三百三十二団体の内訳でございますが、組織類型で申し上げますと、社協、社会福祉協議会が運営するタイプのものが百八、住民の互助型が九十一、協同組合の形をとっておりますのが五十五、福祉公社のような行政関与型が二十七、それから施設運営型が十四というふうな内訳でございます。
 それから、今おっしゃいましたシルバーマークとの関係でございますが、シルバーマークといいますのは、いわゆるシルバービジネスを行っておる事業者につきまして、シルバーサービス振興会という社団法人でございますがそこが優良のマークをつけるという仕組みでございまして、今私が申し上げました住民参加型のサービスにつきましては直接はそれは絡んでおらないわけでございます。
○櫻井規順君 全部これは有料のサービスになっていますでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 有料でございます。
○櫻井規順君 問題は、今おっしゃったように、チーム方式のホームヘルパーシステムというのは大変前進したいいシステムだというふうに思うわけであります。問題は、このチーム方式のホームヘルパーというのは常勤ヘルパーに対して非常勤ヘルパーが配置される姿だというふうに私は理解しているわけでありますが、これが今言った民間のボランティアのそういう団体も結合したチームに発展させることはできませんか。
○政府委員(岡光序治君) 先生のおっしゃった御意見は大変意味のあるものだと思いますが、とりあえず私どもの考えておりますのは、そのチーム方式といいますのはヘルパーさんの中で主任ヘルパーとそのほかのヘルパー、こういう組み合わせを考えておるわけでございます。これは、あくまでも市町村の直営があるいは社会福祉協議会等での委託方式かでやっておるヘルパーさんの組織の問題だと考えております。
 御指摘がありましたように、住民参加型の福祉サービスを行っているところとの関係でございますが、これはいわば私が前段で申し上げましたホームヘルパーの方は市町村が公的責任で行わなければならない、そういうケースについてまず責任を持って公の責任でサービスを提供するその手段でございます。住民参加型の福祉サービスというのは、やはりそういったものにプラスアルファでお互いが助け合うという観点から、有料で、お金を取ってプラスアルファのサービスを受けるという格好でございますので、私どもはそこは整理をしているつもりでございます。
○櫻井規順君 先ほどから触れております常勤のホームヘルパーさんの市町村の正式な職員化という、ホームヘルパーのサービス充実のためにそういう厚生省からの御指導、それからもう一つは、かなり今のホームヘルパーさんとは別の分野で、行き届かない、非常に広い範囲のホームヘルパーの活動を今の民間の団体がやっているわけでありますが、今の広島なんかの例も学びながらこれを小学校区なり中学校区なり市町村という単位でもってどう結合していくかということを前進させていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) おっしゃいますように、私は各種のそういう福祉を支える力が連携し合うということは非常に必要なことだと考えております。
 ただし、公的な責任で基礎的なサービスはきちっと提供するという体制は整えなきゃなりませんが、その上でいろんな諸団体、いろんな力が連携し合って補い合うというのはやはり豊かな地域社会、コミュニティーをつくり上げる上でぜひとも必要だと考えております。
○櫻井規順君 最後に、ホームヘルパーの関係で、十万人ということは一日のサービス時間、一週間のサービス日の数をどういうふうにごらんになっているか。私は強く、交代制で生活の節目にはホームヘルパーさんがサービスできるように、そうしてやはり日曜を含めて交代制でサービスできるような民間参加のボランティアを含めた布陣をつくることがどうしても必要だというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(岡光序治君) 一回当たりの時間でございますが、一応標準的な時間は二ないし三時間と考えておりますが、ケースによりましてはもっと短くてもよろしゅうございますし、場合によってはもっと長くいてもよろしいというふうに、そこは弾力的に高齢者の必要性に応じてサービスを提供するようにというふうに指導をしているところでございます。
 それから、御指摘がありましたように、朝早くとか夜中とか、そういう生活の節目ということが必要だと思いますが、そういった時点時点でホームヘルプサービスが受けられるようにということが絶対必要だと思っております。そうでないと、ひとり暮らしのお年寄りの生活を支えられないということも考えられます。そういった場合には、御指摘がありましたように、パートヘルパーという人に活躍をしてもらって、そしてチームを組んでその仕事をしやすい格好でやっていくというふうなことがどうしても必要だと思っております。
で、私ども、地域の実情に応じて非常勤ヘルパーの活用を推進する、そしてチーム方式を拡充する、それから高齢者のニーズに柔軟に対応した派遣決定を行うように、こういうことを指導しているところでございます。
○櫻井規順君 今のホームヘルパーのサービス時間を一日二時間または三時間、あるいは週二日という基準を一日もう一回サービスに行く時間をふやすとか、週に三日、四日とすれば十万を超す倍々というふうな数字になってくることは必定であるわけであります。なお今後も質問をしてまいりますので、どうぞ充実方をよろしくお願いいたします。
 次に、サラリーマン減税といいましょうか、給与所得者の減税の問題について質問をいたします。
 まず、給与所得者の可処分所得の統計というものは、大蔵省は所得税をいろいろとかける上で年々参考にして配慮していますでしょうかどうか。可処分所得というものの最近数年の動きをどういうふうにごらんになっているか、御答弁ください。
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 可処分所得に関します政府の統計といたしましては、家計調査に基づきます数値がございまして、例えば私どもが今手元にございますところで申し上げますと、これは月平均額でございますが、昭和六十年ごろに三十七万三千六百九十三円でございましたものが、平成元年には四十二万一千四百三十五円、平成二年が四十四万五百三十九円等々の数字を手元に置いております。こういった可処分所得の推移というものにつきまして、この国会でもいろいろな御論議でそういったものを取り上げていただいていることもございますし、私どもとしましても日ごろ関心を持って見ておるところでございます。
○櫻井規順君 私は、今までその資料を請求してきたわけですが、いただけなかったものですから、それをぜひ後で下さい。
 それで、給与所得者の可処分所得というものを年々追っていかなければ給与所得者に対する課税の公平性、公正性というのは保てないというふうに思うわけであります。しかしいずれにしても、税額は税率が変わらなくても賃金が上がれば税率表で上がっていくわけでありまして、あと社会保険料の負担等々で、賃金改定で所得が上がっても可処分所得というものの上がり方は非常に低下してきているという状況が前回の一九八九年の税制改革以降多いわけであります。非常に可処分所得の伸びが落ちてきております。
 しかし、どうでしょうか、給与所得者の所得税の伸びというのは、ここ数年国税の歳入の中での占める比率はいかがでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 所得税の歳入の中に占める比率、ここ数年どのような推移をたどっておるかというお尋ねでございますが、抜本改革の直前、昭和六十一年の所得税の国税収入全体に占めます構成比が三九・三%でございました。それが、六十二年に三六・五%、六十二年には三四・四%、以後、平成元年が三七・四、平成二年が四一・四、平成三年の補正後で四一・二、平成四年度の当初予算、今御審議をいただいております予算では四一・七%ということになります。
○櫻井規順君 今のは所得税の伸びだというふうに、私が聞いているのは給与所得者の源泉所得税の伸びですけれども、これはもう、とにかく一九八七年の税制改革のときに一遍落ちましたけれども、平成元年、二年、三年、そして四年展望とこれは着実にふえているわけであります。いずれにしましても、可処分所得が減り、所得税の方の納税は給与所得者は非常に多くなっているわけであります。そこで給与所得者のいわゆるサラリーマン減税ということが問題になっているわけであります。
 さすがに日本商工会議所の会頭石川さんは、景気浮揚の対策としてもこの所得、パート減税というものは大切だというふうに言っているわけでありますけれども、この日商会頭の見解ということにこだわるわけではありませんが、給与所得者の減税について大蔵大臣はどういうようにお考えでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 今、石川さんにこだわらずというお話だったわけでございますけれども、石川さんからお話があったのは、一つの何というんですか景気浮揚、こういったことのために消費を、需要を拡大しよう、そのためには所得減税というのは有効な手段であろうという中でお話があったというふうに考えております。
 しかし、もう既に何回かお話を申し上げておりますけれども、私ども例の消費税をあれしましたときに、勤労者のいわゆる所得税、こういったものについての大幅な実は見直しかなされたということでございまして、課税最低限にいたしましても、あるいは最低税率にいたしましても、国際的にも非常に高いところにあるというのが現状であろうというふうに思っております。そういったことから、今減税というものをやることはなかなか難しい。
 実際に、今可処分所得のお話もあったわけでありますけれども、物価の上昇率に比べるといわゆる可処分所得というのは減っているんじゃないかというお話がございました。しかし、賃金がなだらかでありますけれども割合と順調に上がってきておるということもございます。それと同時に、やっぱり物価というものが抑えられておるということで、私どもはいわゆる実質の前年比をこうやって見ましても、平成元年一・五、二年一・四、三年は一・九というふうに着実に上昇してきておるというふうに私ども考えておるところでございまして、財政も非常にこれは厳しいところであり、また法人特別税ですとかあるいは自動車の税等につきましても、新たにこれは創設してお願いをするというような現状の中で、ちょっとサラリーマン減税というものを今やれるときではないというふうに御理解をいただければと思います。
○櫻井規順君 私は今必要ではないかということを言いたいわけであります。景気浮揚で、設備投資関係であれこれの景気浮揚施策を展開する、あるいは輸入拡大のためのまた施策を展開する。しかし、とどのつまり国民の消費力、購買力にかかるわけでありますから、これは景気浮揚として九月補正でもいいですから所得税減税、サラリーマン減税というのを考える時期に来ているのではないかと思いますが、景気浮揚との観点でいかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 前段で申し上げましたように、景気浮揚としてやるにはそうしますとその財源はどこから求めるのかということになるわけでございまして、今この厳しい財政事情の中ではなかなかこれは難しい。しかし、確かに最終需要を伸ばすということについては私どもは考えなければいけないということで、まず住宅ですとかそういったものに対する財政上の配慮というようなこともやる必要があろうということで、こういった問題に対してはいろんな手を打っておるところでございます。そして、消費については多少一時的な伸びというのは減っているというのが現状でありますけれども、しかし全体的にはまだ底がたいものがあるであろうというふうに考えております。
○櫻井規順君 景気対策としての減税論というのが一つあるわけですが、基本的にはやはり可処分所得を配慮してみた場合に、物価調整減税というものが恒常的な課題としてあるということをどういうふうにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) 物価調整というのは、実は今までも大蔵委員会その他でもいろいろとお話があったところでございますけれども、インフレによりますところの所得税の負担増というものを自動的に調整するいわゆる物価調整減税ということであろうと思っておりますが、所得税の控除ですとかあるいは税率についての物価調整減税というものを導入するということになりますと、インフレによって同様に影響を受ける他の分野、例えば所得税、法人税における減価償却費ですとか、あるいはキャピタルゲイン及び債務者利益の問題、あるいは酒税のように従量税の仕組みをとっている税目、こういったものにつきましても物価調整制度というものを導入しなければ税全体のバランスというものが崩れるであろうというふうに思っております。
 また、税制の持つ景気調整機能、これも阻害するおそれがあるとともに、インフレを前提とした経済社会構造、こういったものをもたらすこともあるであろうということを指摘せざるを得ません。
 また、歳出は物価上昇によりまして増加する面がございまして、歳入において物価調整減税制度を導入しますと、いわゆる財政収支ギャップ、これが拡大して、敗政体質はさらに悪化するおそれがあろうと思っております。
 そういうことで私どもは、税制調査会の答申にも述べられておるのでございますけれども、いわゆる物価調整減税の導入をすることにつきましては慎重であるべきであって、所得課税の負担については社会経済情勢の推移に即応しつつ適宜見直していくということが適当であろうというふうに考えておるところであります。
○櫻井規順君 物価調整減税というのは、可処分所得が減って国への所得税がふえるということで、物価に合わせて、所得に合わせて、一定の自動的な調整を行うという意味でありまして、そこにはおのずから財源はついて回る話だというふうに私は思うわけであります。しかし、それはまたやりましょう。
 パート減税のことを考えてみた場合に、例えば百万に一円欠ける収入の方があった。その場合に、その収入から給与所得控除六十五万引きまして、あと三十五万弱のお金がそのパートで働いた方の所得としてある、基礎控除三十五万というのはそこから出てきているというふうに思うわけでありますが、三十五万以下の人に対しては、これは扶養控除の対象とする。この三十五万というのが国民の所得の基礎というふうに、最低の基礎というふうに押さえているというふうに思うわけでありますが、生活保護費から比べても、三十五万、月額に直せば三万足らずのお金で、どうして基礎控除の最低の所得として押さえられるかどうかという私の意見に対して、いかがでしょうか、大蔵大臣。
○政府委員(濱本英輔君) 基礎控除額三十五万円とそれから最低生活費との関係を問うておられると存じますけれども、今の所得税体系におきます控除水準というものの論議というのはいろいろな角度からあわせて議論をされてまいっておりまして、納税者側の基礎的な生活を支えます部分のほかに、そういうものによって徴税が行われます場合のさまざまなほかの要請といったものを全体として論議され、その上で所得税体系というものが、組み立てられておりまして、直接町に、例えば生活保護費の計算のごとく現在年々そういった考え方で見直しを行っていくという考え方に立っているものではございません。
○櫻井規順君 それでは、給与所得控除というのは、給与所得者にとって、これは経費が基本的な考え方であるというふうな説明が加えられますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘のごとく、サラリーマンが勤労所得を取得いたします場合に、その勤労所得を取得するために必要な諸経費というものも想定されますが、あわせまして給与所得の持っております特性、つまり身一つでいろいろな制約のもとに勤務するその対価として勤労所得を受け取るという、そういう所得の特性に基づきまして特別に配慮すべしという論議、これが重ね合わさりまして、いわばそういった二つの要素から給与所得控除というものが論議されてまいっております。
○櫻井規順君 いずれにいたしましても、基礎控除にしても給与所得控除にいたしましても、物価やそういう変化によって、あるいは経費面の住宅やさまざまな事情変化によって、これは可処分所得との関係で周期的に是正をされるべきものだというふうに思うわけであります。
 あと控除の問題で、特別扶養控除というのが前回の税制改革のときに通ったわけでありますが、この給与所得者の配偶者特別控除にいわゆる配偶者の合計所得金額を見積もりとして出し、そしてまた確定申告ではなくて、御主人なり奥さんになりますでしょう、給与所得者の給与の支払いを受けるその年度の最終の前日までに提出することになっているわけでありますが、この混乱といいましょうか、見積もり間違い、それから追徴金の実態、これはどういうふうになっていますでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) ただいまお尋ねがございました実務面の実態につきまして、国税庁の担当者がきょうは参っておりませんので、私ちょっとその点をつまびらかにいたしません。必要がございますれば、後日御返事を申し上げたいと存じます。
○櫻井規順君 まことに残念であります。このくらいのことわかるかというふうに思いました。
 いずれにいたしましても、いわばパートをやった家庭の主婦なりあるいは男性の場合もあるかもしれませんが、見積もりでやり、かつ年末調整で処理をする、これが市町村の源泉徴収票で明らかになって追徴金という話になるわけですが、これが一種の混乱をもたらし、給与所得者にとっては非常に不公正な、非常に税制上欠陥税制としてあるというふうに思うわけであります。
 この解除を含め、かつ物価スライド等々を考えて、大蔵省としてどうぞ基礎控除あるいは給与所得控除、そうしてまたこうした特別扶養控除を含めた扶養控除のあり方について、もう一度お聞きしますけれども、この時点でもって物価スライドと調整させて検討の余地が大いにあるというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○政府委員(濱本英輔君) 幾つかの問題をあわせて最後にまた御確認をいただいているという感じがいたしますけれども、先ほど大蔵大臣から御答弁申し上げましたところにもございましたように、物価は確かに年々上昇しておりますけれども、先生御指摘の可処分所得も物価との対比で申し上げるならば名目可処分所得は着実に上昇しております。年々賃金水準が上がることによりまして税負担は確かにふえていくわけでございますけれども、そういった税負担、社会保険料負担を除き、かつ残りました名目可処分所得を物価でデフレートした残りの実質可処分所得で見まして目減りを生じているということ、そういう意味ではございません。その事実をもう一度御確認を賜りたいと存じます。
 それから基礎控除、諸控除を引き上げることによって所得税の体系を見直す、つまり所得税減税を行うべきではないかという御指摘につきましても、先ほど来の大蔵大臣の御答弁にございますとおりでございますが、先般の抜本改革の大きな改正の効果というものが今日まだ生きておりまして、改革前の水準に比べますと、負担の例えば率というものはなお低い水準にありますこと、諸外国と比べましても、いつも申し上げることでございますが、例えば五百万円ぐらいの世帯でとりました場合に、平均的な世帯で日本は二十万円ぐらいの税負担でございますが、アメリカに行けば同じぐらいの収入で六十万円の負担になる、英国に行けば九十六万円ぐらいの負担になる、そういう形で諸国民はそれぞれの国の財政を支えておるという事実がございます。さらに近年、個人住民税の減税も行われまして、六千五百億円程度の減税が現在進行中であるという事実もございます。
 そういった状況がございます一方で苦しい財政事情、この財政事情を無視せんか、結局その負担というものは人に払わせるということになります。その人と申しますのは後代の人たちでございます。その人たちはこの議会に代表を送ることができない人たちでございます。
 そういった状況から考えまして、現在、私どもの今回お願いいたしております予算案に盛り込まれました諸措置というのが一つのぎりぎりの選択ではないかというふうに考えております。
○櫻井規順君 実質可処分所得がふえているという前提でお話しになっています。それはマイナスになったら大変ですよ。問題は伸び率が鈍化をしてきているという意味であります。八八年度実質可処分所得三・五八、八九年度三・三〇、九〇年度一・六八、九一年度二・三〇というのがこれは労働組合の連合さんのコンピューターが計算したものであります。またこの実態の上に立って議論をしたいというふうに思います。
 大蔵大臣、住宅減税について、他国にも例がないというお話でした。しかし、物価調整減税につきましてはアメリカ、イギリス、フランスで実施をしております。日本もまた、これは他国にも先進国であるわけでありますので、ひとつ広い観点に立って御検討していただきたい。それにどうお考えになるかということと、地価税も創設したことであります。非常に住宅の取得困難という状況の中で、住宅控除という問題は配慮すべきことだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(羽田孜君) こういうお答えの仕方するとあれかもしれませんけれども、先ほども物価調整減税につきましては申し上げましたけれども、本当にインフレが大変高くていわゆる生活の実態がもう脅かされていくというような状態では今日ないんじゃないのかというふうに思います。今お話がありましたように、可処分所得の伸びというのが確かに少し縮まっておるということがありますけれども、私どもは、間違いなく着実に伸びているということから、今これを考えられないことはひとつお許しをいただきたいと思います。
 それから住宅の減税についてでございますが、この点につきましても、今までも申し上げてまいったわけでありますけれども、これは家賃控除というとらまえ方をしまして申し上げますとやっぱり賃貸住宅の需要というものをふやすような方向に働くということで、むしろ優良な賃貸住宅の供給増には直接結びついていかないだろうということ、さらに大都市圏の土地あるいは住宅問題の観点から見ましても、かえって大都市圏への人口の集中というものを助長してしまうという懸念も否定できないんじゃなかろうかというふうに思っております。
 そういう意味で、私どもといたしましてはいわゆる優良な賃貸住宅、こういったものの供給を促進しようということで財政の面で対応するというようなことで今日もいろんな措置をしてまいったところでございまして、今そういう中におりまして、家賃の控除等についてやっぱり今私どもとしては考えられないんじゃなかろうかということを申し上げざるを得ないことをお許しいただきたいと思います。
○櫻井規順君 ぜひそれはなお御検討を求めていく立場でよろしくお願いをいたします。
 次に、流通業界が大型店と従来の小売商との調整といいましょうか、あつれきの問題が一般化をしてきているわけでありますが、大蔵省所管のお酒の販売業界の関係でやや混乱が起きているものですから質問させていただきます。
 酒類小売業免許基準の改定というのは一番最近はいつあったでしょうか、その主な中身を御紹介いただけますか。
○政府委員(浅見敏彦君) お答え申し上げます。
 先生御高承のとおり、背景といたしまして流通業態あるいは消費者のニーズというものが大きく変化をいたしまして多様化してきております。また、対外的な調和ということも必要になっておりまして、こういう国民生活上及び国際化の対応という要請から、免許基準の簡素化、明確化あるいは免許手続の運営の透明性確保ということが要請されてきたわけでございます。
 こういったことから臨時行政改革推進審議会が昭和六十三年十二月に公的規制の緩和等に関する答申というのをお出しになりました。また、これを受けまして政府では、同月、規制緩和推進要綱というものを閣議決定いたしております。この趣旨に沿いまして、先生ただいまお尋ねの私どもの酒類販売業免許等取扱要領というのがございますが、これを平成元年六月に改正いたしまして免許基準の簡素化、明確化及び運営の透明化等を図ったところでございます。
○櫻井規順君 小さな町村でコミュニティーが形成されていて、そこで何軒かの酒屋があってかなりの過当競争をやっているという町も結構多いわけであります。そこになお大型店舗の進出ということで大変な状況を今迎えているというふうに思うわけであります。
 それで、この小売販売地域の格付の根拠というのがあると思いますけれども、それを数字で示していただけますか。
○政府委員(浅見敏彦君) ただいまの委員のお尋ねは、一般酒販店に係ります酒類の需給調整上の要件についてのお尋ねだと拝聴いたしましたが、これにつきましては、先ほど平成元年六月に新しい取扱要領を改正したということを申し上げましたが、古い基準は実は昭和三十八年に定めたものでございまして、約四半世紀を経ていたわけでございます。
 この古い旧取扱要領によりますと、販売数量あるいは世帯数というものを基準に運営をしていたわけでございますが、先ほど申し上げました行革審の答申等の趣旨を踏まえまして免許基準を簡素化、明確化するという点からはできるだけ客観的な形式基準によった方がいいだろうということで、私どもはより明確で簡素な人口基準というものに変えさせていただいたわけであります。
 ただ、この人口基準の設定に当たりましては、先生ただいま御指摘のそれぞれの地域におきますいろいろな実情もございますので、私どもは従前の人口当たりの免許付与の実態等を考慮いたしまして、全体といたしましては過去の免許付与の状況と整合性が保たれるようにということでおおむね同様の格付をとった次第でございます。
○櫻井規順君 基準人口が決められているわけです。市の場合には千五百人以上一店舗、三十万人以上の市の場合は千人に一軒、町村の場合は七百五十人に一軒とあるわけでありますが、この基準人口の根拠は何でしょうか。
○政府委員(浅見敏彦君) お答え申し上げます。
 先ほど御説明させていただきましたように、私どもといたしましては、基本的に地域に大きな免許業者の数の変動等が生じないようにと。ただ、先ほど先生もお触れになりました、従来ですと小学校の通学区域というようなものも考慮いたしましてコミュニティーという概念があったわけでございますが、こういったものがその後の情勢の変化、例えばモータリゼーションによりましていろいろ消費の範囲が変わってくる、あるいは小学校の校区自体もその後の世帯の変動で変わっていく、あるいは世帯数ということ自体も核家族化等で変わってまいる、こういうこともございまして、より明確な基準にするためということで主として市町村、行政単位に変えさせていただいたわけでございます。
 その場合に、そうしますと従来と基準が変わります部分が出ますので、大きく激変をしては困るだろうということで、今先生がおっしゃいました私どもA地域と呼んでおりますのが千五百人に一軒、B地域が千人に一軒、C地域が七百五十人に一軒というのは、そういう従来の免許業者の数との整合性を保ちながら定めたと、こういうのが私どもの考え方、基準でございます。
○櫻井規順君 これはコミュニティーの今競争激化の業界にとって、町村の数の方が少なくて、市の数の方が人口割は多くなっているわけでありますが、田舎から町に出ていく人はいても町から田舎に来る人はいないわけであります。人口割もこれは逆ではないかというふうに思うわけであります。ましてや、小さなコミュニティーが形成されているところでこれが破壊されていくわけですから大変だというふうに思うわけであります。この人口基準の公正性という面で問題があるということが一つ。
 それから従来国税庁の方で、コミュニティーなり需給の均衡あるいは酒税の確保という観点でもって一定の調整権があったけれども、これは全部自由化でなくした。その調整権というのはなお条件つきでも保留すべきじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(浅見敏彦君) まず、調整の点につきまして、先ほど来御答弁させていただいておりますが、現在でも私どもは、先ほどの先生御指摘の人口基準、これにつきましては二〇%の範囲内で変更することができるといういわゆる弾力措置、激変緩和のための措置を設けております。こういったものを先生御指摘のような問題意識を持ちながら実際には運用をいたしておるわけでありますし、また地域の実情を考慮するという点につきましては、別途僻地ですとか、最近急速に人口が集積しております団地ですとか、こういった過疎の場合も過密の場合も特例を設けてやっているというのが実態でございます。
 それから私どもはいわゆるただし書き規定と言っておりましたけれども、税務署長の裁量によってある程度弾力的にできるという規定が従前の取扱要領にはございました。この点につきましては、実は各方面からこの裁量権についてはやはり透明性とか公平性の点で問題なしとしないという御指摘がございましたので、今回、先ほど御説明させていただきました行革審答申その他対外的な調和という観点から私どもは運営の透明化を図ったという次第でございます。
○櫻井規順君 ぜひ小学校区単位というコミュニティー、あるいは今の人口基準についての見直し、あるいは弾力的運用についての見直しについて、また二年ほど経過しているわけですから御検討いただきたいということを要望しておきます。
 最後に、これは外務大臣、あるいは外務省になりますでしょうか、朝日新聞に「東富士で大規模演習」と。中身を見ますと、チームスピリット、米韓合同演習を中止した代替演習として米軍が富士山のすそ野、東富士演習場で展開をしたというわけであります。非常に重大な問題と思いますが、この演習についてどういうふうにごらんになっておりますでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) スピリットを中止したことは事実でございますが、米韓の合同演習でありますから、米軍だけで単独では合同演習はできない。したがってスピリットの代替演習ではないと思います。
○櫻井規順君 この新聞記事には代替としてやっているという報道がありますが、いかがでしょうか。
○政府委員(佐藤行雄君) 我々の見方としては先ほど大臣のお答えに尽きると思いますが、新聞報道では確かにそのように出ておりました。ただ、この新聞の中にもちょっと引用されているアメリカ側の新聞の記事の中にもアメリカ側の人の談として、チームスピリットが中止になって時間ができたのでこの演習ができたということを言っておりますので、チームスピリットの代替であるというようなことはアメリカ側も言っておりません。
○櫻井規順君 通常、東富士では基地使用協定等で二百とか三百という規模の米軍の軍事演習というのが行われているわけでありますが、こういうふうに千二百とか千三百という大隊が見えまして軍事演習をするというのはまれなことであります。これは何か日米の合意議事録等に基づいて、防衛庁、関係のところに連絡はあったものなんでしょうか。
○政府委員(三井康有君) お答え申し上げます。
 東富士の演習場は自衛隊の演習場でございますけれども、地位協定に基づきまして米軍の使用も認められているところでございます。このために、米軍が使用をいたします場合には自衛隊の演習と競合することがないようにあらかじめ所要の日程調整等を現地レベルで行うこととなっておりますが、これは演習場内のどの場所をいつ日米のどちら側が使うかといったような全く実務的な調整でございまして、米軍が実施いたします演習の目的とか規模あるいは性格とかその背景について防衛庁として通知を受けるといった性格のものではございません。これはお尋ねの海兵隊の演習につきましても同様でございます。
○委員長(中村太郎君) 櫻井君、時間です。
○櫻井規順君 最後に防衛大臣に一つ。
 韓国から米軍が撤退する、フィリピンの米軍基地が縮小する、そのあおりがどうも日本に来る一つのあらわれとしてこれは端的にあらわれたわけであります。こういう近隣国の米軍の撤退が日本に演習を求め、米軍の兵器を配置するという傾向に対しては、ぜひ厳重な注意をされて、日本の米軍の増強にならないように、平和の方向にいくように防衛庁長官の御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 日本の防衛体制は、言うまでもなく必要最小限度の自国の自衛力の保持と日米安保条約によって確保されております。そして、米軍の果たす役割というのは、これは我が国を含め極東アジアの安全のために必要なものでございまして、今委員の御指摘のチームスピリットに参加した海兵隊等の問題は、これは合同演習でございますから沖縄の基地から行ったものもございましょう。そういう点でありますが、決してこういう時代になったから米軍の存在あるいは機能というものが必要でなくなったという認識は私どもは持っておりませんので、逆に、我が国にそういった米軍の機能が果たされることが我が国の安全にとって大変大切なことであり、またアジア諸国にとっても、日米安保条約によってそういう米軍の前方展開がアジアの安全、それから日本に対する軍事大国化への懸念の解消等にもこれは結果としてなっておるわけでございます。
 そしてまた、フィリピンの基地のいろいろ移動等が言われましたけれども、日本だけにこれは来るものでございません。現実には沖縄に若干来て経過的におりますけれども、グアムあるいはその他シンガポール等々米軍のフィリピンの基地の移動はなされておるわけでございまして、私どもは米軍のこういったプレゼンス、前方展開、これはぜひ必要なものだと、こう逆に考えておる次第でございます。
○櫻井規順君 また改めてやります。
○委員長(中村太郎君) 以上で櫻井君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(中村太郎君) 次に、小笠原貞子君の質疑を行います。小笠原君。
○小笠原貞子君 ちょうど二十年前のことですけれども、私はこの委員会で障害児にも教育を受ける権利があるということを訴えました。そして障害児は今では小中学校、この教育が義務化になり、そして高校部もできるというようなところになってまいりました。
 私、ことしで二十四年でございますが、二十四年間の国会議員活動の締めくくりの舞台としてこの予算委員会に立たせていただきました。私の政治信条の原点である障害者問題をテーマに集大成いたしまして、悔いのない論議を進めていきたいと思いますので、皆さんの御協力をぜひお願いいたします。
 さて、国際障害者年最終年に当たりまして、この十年間の取り組みの中で大きな問題としてクローズアップされてきたその課題、これは障害者の範囲のとらえ方が日本の場合には非常に狭いということでございます。
 そこでまずお伺いいたしますけれども、障害者の定義、範囲についてどのように見ておられますか。官房長官、厚生大臣、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(末次彬君) 障害者の定義あるいは範囲についての御質問がというふうに考えておりますが、これは国それぞれによりまして、またそれぞれの国の施策の内容によりまして非常にさまざまな規定になっております。
 幾つか例を挙げてみますと、イギリスでは、これは一九四八年の国民扶助法あるいは一九七〇年の慢性病者及び障害者法、これによりまして、盲人、聾唖者及びその他の疾病障害、先天性障害などによる相当かっ永続する障害を有する者を障害者というふうに定義いたしております。フランスでは、一九七五年の障害者基本法によりまして、身体的、感覚的、精神的な不利益を負った者というふうな定義がございます。
 国連では、これは障害者ということではございませんが、障害についての理解を深め分類するために一九八〇年にWHOが提示しました国際障害分類試案というものがございますが、これによりますと、手足の切断や目が見えないといった身体的な機能障害が前提としてございまして、このような機能の障害があるために、本を読むというような通常の行動が困難であるという能力の障害、その結果として就職などの際に個人がこうむる社会的な不利、こういうものを障害というふうな概念でとらえておるようでございます。
○小笠原貞子君 大事な問題を私は伺おうと思ったんですよ。それで十分御連絡してあるはずなんです。厚生大臣も担当の大臣だし、総理がいらっしゃらなければ官房長官、その代理として当然出てきていただくということのために、日本としてはどういう範囲でとらえていらっしゃるかということなの。今の答えはこの後になるんですね、ちょっと先に出ちゃったんだけれども。担当の責任のある立場でどういうふうにとらえていらっしゃるか。いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 定義といいますか、もちろん定義でしょうけれども、その定義の範囲でございまして、ただこれは非常に広範でございまして、保健医療、福祉、雇用、教育と非常に広範にわたっております。したがいまして、その障害者の定義、範囲につきましても、何と申しますか、それぞれのよって立っているところによって違う。ちょっと私の言うのはおかしいですかな。
 例えば運輸省がどうなのかわかりませんけれども、何か乗り物に乗ろうとする場合に、その乗り物にどうしても障害があって乗れないという人とまたほかの場合とはそれぞれ障害によってその便、不便があると思うんです。したがって、そういうふうに非常に多岐にわたっているから、障害者とは一体どういうものか、範疇は何だと言われても、やっぱりそれぞれに多岐にわたっておりますから一口には言いにくい面があるんじゃないかと思います。
○小笠原貞子君 何とも心細い担当大臣だと言わざるを得ませんね。
 心身障害者基本法というのをおつくりになっていらっしゃいますよね。その心身障害者基本法では障害者というものをどういうふうに定義していますか、具体的に。
○政府委員(末次彬君) 心身障害者対策基本法におきましては、心身障害者というものにつきまして、「肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、音声機能障害若しくは言語機能障害、心臓機能障害、呼吸器機能障害等の固定的臓器機能障害又は精神薄弱等の精神的欠陥があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」という定義になっております。
○小笠原貞子君 その基本法で、精神障害者、てんかん、吃音、難病等は障害者の範囲に含まれますか。
○政府委員(末次彬君) ただいま御説明申し上げましたように、固定的機能障害あるいは精神薄弱等の精神的欠陥があるため長期にわたり日常生活または社会活動に相当な制限を受ける者ということでございます。したがいまして、一般的に難病あるいはてんかん等につきまして一定の肢体不自由あるいはその他の聴覚障害等の機能としてとらえた障害があれば、これは障害者としてとらえるわけでございますが、難病そのもので障害者になるかと言われればそれは該当しないということでございます。
○小笠原貞子君 精神障害者。
○政府委員(末次彬君) 精神障害者につきましても、一応医学的治療の済んだ精神障害のいわゆる緩解者、これにつきましてはこの対策基本法に規定する精神薄弱等の精神的欠陥を有する者に含まれるというふうに考えております。
○小笠原貞子君 それで先ほどの各国の定義が出てくるんです、ここで。
 日本の障害者の定義、範囲、基本法の中でこう書いてあるというので今伺いましたけれども、非常に狭いんですね、限定されて。欧米諸国は精神障害者、てんかん等は定義も施策にも身体障害者と同等に対象として対応しているんです。日本の狭いとらえ方の背景には、憲法の法のもとに平等、幸福を追求する権利などの近代的な理念が行政に生かされていない、行き当たりばったりになっているからだと言わざるを得えません。日本では障害者の範囲に含まれていないさまざもな問題がここで生じているわけです。
 つまり、最大の問題は精神障害者などが福祉法の対象となっていないことであります。なぜかといえば、心身障害者福祉法などでは機能形態レベルだけでとらえ、能力の障害、社会的不利は考慮されていないからでございます。
 障害者に対する関係法律及び施策と、施策の対象となる障害者について、各大臣から御説明をいただきたいと思います。これは官房長官を除いた関係大臣全部関係ありますから、次々とお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(末次彬君) まず、身体障害者福祉法におきます身体障害者の定義でございますが、身体障害者福祉法では、「別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたもの」ということになっておりまして、対象となる障害の種類は視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、肢体不自由、心臓、腎臓、もしくは呼吸器または膀胱、直腸もしくは小腸の機能障害でございまして、その程度に応じまして一級から六級までの区分がございます。
○政府委員(若林之矩君) 障害者雇用促進法におきます障害者の概念でございますけれども、まず障害者という概念は、「身体又は精神に障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」であるとされておりまして、身体障害者という概念はこの「障害者のうち、別表に掲げる身体上の障害がある者をいう。」とされております。
 それから精神薄弱者につきましては、「障害者のうち、精神薄弱がある者であって労働省令で定めるもの」というふうになっておりまして、労働省令では厚生省の関係の機関等で精神薄弱者と判定された者をいうというふうに定められております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 先生が配られた資料でも全部丸になっておると思いますが、憲法、教育基本術に言ういわゆる教育の機会均等という観点、あるいは先生も努力されて冒頭でおっしゃられたいわゆる義務教育という観点から、すべての方々に教育は保障されなければならないというふうに考えておりますので、そのように全部丸をつけていただくような形になっております。
○国務大臣(羽田孜君) 所得税法の障害者控除の対象となります障害者とは、所得税法二条一項の二十八号におきまして、「心神喪失の常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。」ということになっております。
 障害者控除の対象となります障害者の範囲につきましては、税務当局がその方が身体ですとかあるいは精神に障害を有するかどうかということを個別具体的に判断するということは非常に困難でございますことから、原則といたしまして福祉関係の行政機関などが福祉政策の観点から障害者と位置づけている方、これを対象としておるということでございます。
○政府委員(立石真君) 住宅関係でございますが、公営住宅等におきまして優先入居等の措置をとっている障害者につきましては、社会で日常生活活動が生活上著しく活動が制限される障害者について住宅の困窮度が高いという判断をするところでございまして、障害者のうち重度あるいは中度程度の障害者を対象としているところでございます。
○政府委員(木下昌浩君) 郵政省関係の障害者対策について御説明申し上げます。
 まず第一は、身体障害者用書籍小包の問題でございます。これにつきましては、身体に重度の障害のある方が一般の図書館の利用に当たりまして在宅のまま図書の閲覧ができるように、郵便によって図書の貸し出し、返却をされる場合の郵送料を軽減しております。この場合の重度障害につきましては、実際に図書館まで出向くことができないほどの障害を考えておりまして、具体的には公職選挙法上郵便による在宅投票が認められる程度の方を対象といたしております。
 それから青い鳥郵便はがき無料配布制度でございますが、これは一級または二級の重度の身体障害者の方を対象にしております。これは、こういった方々が日常の生活活動が著しく制限されまして、知人への連絡等のために通信手段に依存する度合いが高くて、中でも簡便な郵便を利用する機会が多いことを考慮しているものでございます。
 それから三番目の加入電話の施設設置負担金の分割払い制度でございますが、これはNTTが経済的に困窮しているなど一定の条件に該当する者に対しまして加入電話の施設設置負担金の分割払いを認めているものでありますが、この制度の対象となる障害者は、身体障害者手帳を所持する身体障害者、それから精神薄弱者更生相談所等の判定によりまして重度の精神薄弱者とされた者で、市町村税が非課税となっている者を対象としております。
 それから四点目でございますが、NHKの受信料の免除制度でございます。放送法の規定によりましてNHKの受信料はテレビを設置している者はすべてお払いをいただくわけでございます。それが原則でありますが、郵政大臣が認可した一定の基準に合致する者につきましては例外的に免除措置を講じております。
 この中の全額免除の対象となる障害者の範囲でございますが、身体障害者手帳を所持する身体障害者がいる世帯で、かつその世帯を福祉事務所長または町村長が貧困と認める場合、それから精神薄弱者更生相談所等の判定によりまして重度の精神薄弱者とされた者がいる世帯でありまして、かつその世帯のすべての者が市町村民税非課税の場合でございます。
 以上でございます。
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 鉄道などの運賃割引がなされておりますが、この趣旨は、先生よく御存じのとおり、やはり介護を必要とする方あるいは体の不自由な方が御自分でも少し旅行したいときにできるだけ普通の人と一緒に鉄道などに乗っていただくという趣旨でできているわけでございます。
 先生のお配りいただきました資料にございますように、私どもとしては、いわゆる身体障害者福祉法とか精神薄弱者福祉法等の他の制度で身体障害があるということが認定された方、そういう方は今現実には皆さん手帳などをお持ちでございます。駅の窓口等でやっぱりはっきりしたものがないといけませんので、そういうことで順次広げてきておりますが、今のところはそういう形で他の制度の範囲でやった方々を対象にするということで今まで運用してきております。
○政府委員(杉原正純君) 住民税の障害者控除の対象になります障害者の範囲につきましては、先ほど所得税につきまして大蔵大臣が御答弁になられましたその範囲と同じでございます。
○政府委員(土井豊君) 精神薄弱者福祉法の対象となります精神薄弱者についてでございますが、法律上の定義規定はございません。
 それで、精神薄弱者更生相談所などの専門機関の総合的な判断に基づきまして各県の知事が療育手帳を交付することによって認定をしておりますが、この療育手帳による障害の程度は重度とその他に区分されておりまして、重度に該当するかどうかの判定につきましては知能指数と日常生活の困難性という点に着目した一定の基準を示しているところでございます。
○政府委員(加藤栄一君) 年金法では障害者という定義はございませんけれども、障害年金の対象になります受給者の範囲ということで御説明いたしますと、年金制度におきましては、その日常生活がどの程度制限を受けるかということに着目いたしまして、障害の状態が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度の者、また具体的には他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度の障害の状態を一級として対応いたしました。
 また、日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度の者、具体的に申しますと、必ずしも他人の助けをかりる必要はないけれども日常生活は極めて困難である程度の障害を二級としております。
 以上は基礎年金でございまして、国民年金、厚生年金共通でございます。
 また、厚生年金保険におきましては、さらに労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害の状態を三級といたしまして、さらに三級の障害年金というものを設定しておりまして、具体的にはそれぞれ政令で程度を定めております。
○政府委員(寺松尚君) 精神保健法の関係で申し上げたいと思います。
 精神保健法におきます精神障害者と申しておりますのは、中毒性の精神病者を含みます精神病者あるいは精神薄弱者及び精神病質者でございます。そういうことで、これらに対しまして法におきましては、精神障害者に対する医療及び保護、社会復帰の促進等を目的としまして、精神障害者全般を対象に医療対策、社会復帰対策、地域精神保健対策等の各種の施策を講じているところでございます。
○政府委員(藤井治芳君) 有料道路通行料金の身体障害者割引制度につきましては、五十四年に下肢及び体幹の肢体不自由の方々が、そして六十一年には上肢の方々が、みずから自動車を運転する場合に相当の制約を受けられることからこの割引制度を設けさせていただいております。
○小笠原貞子君 資料をお渡ししてございます。その一ページをごらんになった方が今の答弁よりはっきりすると思います。
 つまり、身体障害者、これは大分対象になっていると言えるかもしれませんけれども、精神障害者というところはもう対象にほとんどなっていないということなんです。そういうことで、各省庁の障害者の対象、範囲が実にまちまちでございます、今おっしゃったとおり。税の減免措置が、一応精神障害者も含め、難病等は除くすべての障害者を対象としております。税の場合はそうなっているけれども、肝心の福祉法の対象にはすべての障害者が対象になもないというまことに奇妙なことが起こっております。
 どうしてこんなにばらばらで対象が各省庁で違うかというと、先ほど問題にいたしました障害者の定義、範囲が狭いことが根本にあります。障害者団体からどうしてこんなことになるのかというようなことと、強い要求運動というようなことがございまして少しずつ範囲を広げつつあるわけでございますが、それも各省の施策などで取り入れたり取り入れられなかったりのばらばらが今起きているわけです。
 特に、日常生活が困難な社会的不利の状態にある障害者とみなして、その立場から障害者の規定の範囲を見直し、広げ、そして本当に障害者のための施策をつくるべきだ、そう言わざるを得ないわけなんです。
 今まで具体的なことだから事務方の方でお答えをいただきましたけれども、それをお聞きになって、この表を見られて、また各大臣、伺いたいと思うんです。つまり、範囲を広げて、そして自分たちの担当の丸がついていないところを丸に持っていくという御努力をいただきたいというお気持ちがあるかどうか。
 それからちょっと一言申し添えますけれども、鳩山さん、全部丸がついているよと。これは、いいから丸をつけたんじゃないんですよ、一応対象になっているというところの丸ですからね。中身はまだまだ不十分。本気になって各大臣、やっていただけるかどうかお答えをいただきます。難しいことじゃないですよね、このばらばら、これをどういうふうに改善していきたいと考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 私はさっきその趣旨で申し上げたんですが、その後で各大臣、各省から詳しくお話がございました。要は、その省庁によってその趣旨あるいは制度、目的等が違いますから、私はなかなかそれを一本化するということは現状においては困難であろうと思います。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省の場合には、いわゆる障害者の方々の雇用が中心になるわけでございますけれども、一応その法定雇用率という形で決めさせていただいておりますのは、それは義務として何%は雇用してくださいよと申し上げているわけでございますので、具体的には身体障害者の方々を対象にしてございます。
 ただ、精神薄弱者の方の雇用については、それは雇用していただければカウントはさせていただきます。こういうことでございますけれども、義務としてお願いしておりますのは、身体障害者に一応限ってお願いをしている、こういうことでございます。
○国務大臣(渡辺秀央君) お答えいたします。
 身体障害者用書籍小包制度及び青い鳥郵便はがきの無料配布制度の対象を精神薄弱者の皆様方にも拡大することにつきましては、この両制度の趣旨を踏まえまして、精神薄弱者の方の郵便への依存の度合いといいましょうか利用度、あるいは郵送による図書閲覧制度の実施状況、利用度、そういうことを勘案して今後慎重に検討いたしてまいる所存でございます。
 それからNTTの加入電話の施設負担金の分割払い制度及びNHKが実施しております受信料免除制度を重度以外の精神薄弱者の方に拡大することにつきましては、負担の公平の観点ということもございまして、NHKの厳しい財政事情、あるいは独立採算制を前提としております民間会社となりましたNTTの立場などを考えていく必要があるというふうに思いまして、御指摘の点につきましては、NHK及びNTTにおいてこれらの観点を踏まえて慎重に検討すべき問題であるというふうに私も認識いたしておりますし、お伝えをしたいと思っております。
○国務大臣(山崎拓君) 建設省といたしましては、二点についてお答えいたしたいと存じます。
 まず、公団住宅についてでございますが、身体障害者世帯に対しまして、入居に当たって当せん倍率を有利とする優遇措置を講じているところでございますが、この優遇措置を心身障害者にまで拡充することについて現在検討しているところでございます。
 第二点は、有料道路の通行料金の割引についてでございますが、身体障害者割引制度といたしまして、肢体不自由者の方々がみずから自動車を運転する場合に現在この制度を適用いたしておるところでございます。
 この制度を身障害の介護の方々についても対象とすべきかどうかという点につきましては、障害者施策全般の中で検討をされていく問題でございますが、有料道路制度のあり方におきましても強調してまいりたいと考えておるところでございまして、現在道路審議会で御審議を願っておるところでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 地方税につきましては、国税と同様でございます。
○国務大臣(奥田敬和君) 二十四年、政治活動の大事な締めくくりという決意での御質問でございますが、運賃政策一つとりましても、福祉政策全般としてきちっととらえていく、そういった姿勢が当然大切であろうと。
 運輸省といたしましては、昨年十二月から各種交通機関、精薄者も含めての一定割引しましたけれども、先生の資料によりますと、重度の精神障害の中では掛け印まだついております。こういったことも含めて前向きに対応しなきゃならぬと思います。
 ですけれども、窓口で認定するときの国としての共通な一つのガイドラインというか、そういったものが必要だと思いますので、関係する省庁も多いことでございますから相談して、真剣に前向きに検討してまいりたいと存じます。
○小笠原貞子君 一本にはならない、いろいろとそれぞれ省庁においての考え方があるというふうにおっしゃっていましたけれども、どこでも初めみんなそうおっしゃっているんですよね。だけれども、やっぱり世界の流れ、みんなの要求ということからこういうふうにだんだん拡充されてきたわけです。
 だから、この表をごらんになって、例えばホームヘルパーさんなんかの場合には、厚生大臣、何としても対象にしてほしいわけですよね。それから精神障害者なんかに対する郵政の問題、それから建設大臣、公団、せめて公営住宅並みにしてほしいというように年々幅を広げてきておりますことについて一層の御努力を忘れないでお願いしたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 国際障害者年最終年を控えて、ノーマライゼーションを理念に全面参加と平等を実現するには残された問題が今の問題以上にたくさんあります。ポスト十年に向けてどのように考え、どのような準備作業が行われておりますか、官房長官、厚生大臣、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) ことしか最終の年でございますが、過去十年間、完全参加と平等というスローガンのもとに、私どもは省を挙げて我が省の管轄のすべての面において一生懸命努力し、また他省にも呼びかけてお願いをしながら、過去において私はこの十年はかなり多くの実績があったと思うんです。したがって、今後これでいいかという問題につきましては、基盤ができ上がったので、さらにこの基盤の上に立って前進していくあらゆる施策をまた講じていかなきゃならぬ、このように思っております。
○小笠原貞子君 この問題について、国連の障害者に関する世界行動計画の履行及び国連障害者の十年の事務総長報告と総会決議がございます。それのこの課題についての部分をお答えいただきたいと思います。
○政府委員(畠中篤君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のように、国連は、国連障害者の十年のことし最終年に当たりまして、具体的には障害者のための機会均等化に関する基準の策定という作業を始めております。それからもう一つは西暦二〇〇〇年以降に向けた長期戦略の策定ということで、これも専門家会合を既に設けて議論を進めております。
 最初の基準の方につきましては九三年、来年の四十八回国連総会へ提出される予定で、今作業中でございます。
○小笠原貞子君 国連でも長期計画というものを具体的に今準備しているという段階でございます。東京都もいち早く二十一世紀に向けての十年の行動計画を策定しております。
 こういうことでございますので、国内におきましても当然あと十年、まあ十年とは言いませんけれども、今後の長期戦略を策定する、長期計画を策定するというふうにお考えいただいているかどうか、お答えください。
○政府委員(高岡完治君) 私ども障害者対策推進本部の庶務を預かっている身でございますけれども、その立場でお答えさせていただきますが、先生御案内のように、この障害者対策につきましては、節目節目ごとに厚生省に置かれております中央心身障害者対策協議会におきまして、各界の先生方あるいは我々役所の者も入りましていろいろと検討を重ねさせていただいてきております。その結果を踏まえまして、政府といたしましては御指摘のような障害者対策がさらに推進されるようにという方向で鋭意努力を重ねてきたところでございます。
 この国連障害者の十年が終わりました後のことにつきましても、実は昨年夏、中央心身協の方から御意見を総理大臣あてにいただいておりまして、その中で、その後のいろんな施策の推進につきましては今協議会の方でこれから一生懸命検討するからというお申し出をいただいておりますので、私どもといたしましては、その協議会の御意見が出ることを大いに期待いたしまして、その御結論をいただいた上で政府といたしましては十分慎重に検討いたしまして、いろんな障害者対策が速やかに、あるいは内容を充実した形でさらに推進されていくようにということで協議をしてまいりたい、このように考えております。
○小笠原貞子君 今おっしゃったように、いろいろ検討されるということはもう当然のことだと思うんですけれども、長期計画というものを具体的に持つという考えで認識していていいんですか。
○政府委員(高岡完治君) 長期計画をさらにつくるかどうかという点も含めまして協議会でいろいろと御検討いただいておるというふうに私ども承知をいたしておりますので、そういう問題も含めて協議会の結論が出るのを期待して待っておるという状況でございます。
○小笠原貞子君 それじゃ次に、障害児教育の充実ということで教育の問題を伺いたいと思います。
 先ほど私申し上げましたように、障害児にこそ私は教育をしっかりしてほしい、そう思うわけです。
 先ごろ尼崎高校の入学拒否に対する判決も出ました。そのいきさつと判決内容及び文部省の考え方について伺いたいと思います。そして、ますます重視すべき後期中等教育についての考え方と進学状況について伺いたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 最初に、尼崎高等学校の入学問題にかかわります判決の経緯について簡単に御説明いたします。
 今回の判決は、平成三年度、昨年度でございますが、入学者選抜におきまして、進行性筋ジストロフィーの生徒が兵庫県の市立尼崎高校に入学志願したところ、高等学校の全課程を無事に履習する見込みがないと、これは主として体育の授業ということのようでございますが、判定されまして、不合格処分になったものでございます。この問題につきまして、その不合格になった生徒さんは昨年の六月に、今回の不合格処分は違法だということで不合格処分の取り消しと慰謝料の支払いを求めて訴訟が提起されたわけでございます。
 その後、本年三月十三日に神戸地裁より、最終的に高等学校の入学者を決定することは当該学校の校長の裁量行為ではあるけれども、その裁量行為が事実誤認に基づくような場合等については当然これは裁量権を逸脱したものであるという基本的な考え方のもとに、本人が、この生徒が筆記試験においては上位一割に入っておる。それから過去にこの高等学校で筋ジストロフィーの生徒を度入学させて無事卒業させておるという例がある。それから体育の授業等については学校側でしかるべき措置をとれば当然対応できるじゃないかというようなことで、裁量権を逸脱しておるということで全面的に原告側の勝訴となりまして、不合格処分が取り消され、それから慰謝料の百万円の支払いが判決に出されたということでございます。
 被告側はこれを受けまして控訴いたしませんで、本人に合格通知を改めて当該校長が持っていったわけでございますが、本人は私立関西学院高等部に本年四月に入学したということもございまして、そちらの高等学校に行くというふうなそういう経緯でございます。
 私どもは常々、単に障害を有するというだけの理由で高等学校へ生徒の入学を入り口でシャットアウトすべきではない。障害を有するということではなくて、あくまで当該学校で所定の授業あるいは課程がちゃんと修得できるかどうかということを、障害があるにもかかわらずそのことができるかどうかということを判断して高等学校の入学選抜に当たるようにという指導をしてきたところでございますし、今後ともこの指導をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから先生は養護学校中等部からの進学率の推移ということを御質問になっているんだと思いますけれども、養護学校中等部からの進学率につきましては、十年前の昭和五十七年には六三%、五年前の昭和六十二年には六六%、平成三年度では七三%というふうに次第に改善されてきております。
○小笠原貞子君 二ページの表をごらんになってください。高等部の進学率はこの十年間で全国平均では一〇%アップしております。しかし、各県によって大きな地域格差が生じております。平均七二・六%はもとより、五〇%すら割っているのが北海道、秋田、山形など十県もございます。特にこの十年間全く進学率が向上していないところか下がっているというのが北海道、山形など八県ございます。
 こういうふうに進まない原因は一体何なのか、具体的にどういう御指導を行っていらっしゃるのか、伺います。
○政府委員(坂元弘直君) やはり養護学校あるいは中学校の特殊教育学校から高等学校に、養護学校の中等部ですが、通常の高等学校に進むという数字が、私の記憶ですと毎年金国で二千三百人という状況になっております。微々たる数字でございます。したがって、進学率が進まないというのは、養護学校の高等部の整備の状況が立ちおくれているところが進学率が低いというふうに私ども考えているところでございます。
 特殊学校修了者、義務教育修了者の進路につきましては、特殊学校の高等部だけではなくて福祉・労働関係に行く人もおりましょうし、そういう意味では福祉・労働関係機関を含めていろんな対応の仕方があるかと思いますけれども、私どもとしましては、養護学校の高等部を含む高等学校の進学率が余りにも全国でアンバランスであるということで、養護学校の高等部の整備の状況がおくれている道府県に対しましては他の府県と同様の水準になるよう整備を図るようにというふうに指導をしているところでございます。今後ともその指導は続けてまいりたいというふうに考えております。
○小笠原貞子君 ばらばらになっているということは、例えば義務教育では軽度の子も重度の子も分け隔てなく受け入れているんです。高等部になるとその必要がないということでは教育の機会均等が脅かされるということになってしまいます。東京など進学率九〇%を超えているところでは、重い子も教育を受けてその集団の中で仲間と交流し合い成長し、そして命さえも難病だとかなんかのときも長らえているというのが具体的に出てきているわけなんですね。そうすると、教育というのは、物を教えるだけではなくて生きるというそのことに大きな力がある。それを考えていきますと、何としても後期中等教育の問題を真剣に考えていただきたい。北海道では六十九名の大量不合格が出ましたし、障害の軽い子でも三十五名不合格になっているというような状態なんです。
 そこで、私は大臣に伺いたいんですけれども、このままでいくとまた同じですよ、ちっとも上がらないんです。だから、いつまで、どのようにして進学率を高めるということを計画を持って御指導いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 具体的な計画を今すぐ立てられるかどうかはわかりませんけれども、養護学校、特殊教育諸学校の中学部を卒業した方々にとっては、進学以外にも労働関係、福祉関係の施設へ行くとか、就職されるとか、それはいろいろな道があろうと思うんですね。ただ、一般の高校の進学率が九五・四%と言われているような時代でございますし、そのばらつきの数字を見れば、坂元初中局長が今御答弁申し上げたように、いわゆる養護学校の高等部が整備されておったら行けたのにというような方も大勢おられることが推定されます。
 したがって、そういう整備はきちんとやっていかなければならないと思いますし、特に養護学校でも、病弱の養護学校の高等部が設置されていない県が、減ってはきましたがまだ十五県ほどあるというようなこと。昨年は十八県で今十五県ですから三県はでき上がったということなんだろうと思うわけですが、そういう意味でこの整備はできる限り急がなければなりませんし、補助もいたしておりますが、文部省としても指導をしていきたいと思っております。
○小笠原貞子君 具体的に、計画的にね。
○国務大臣(鳩山邦夫君) はい、それはきちんと一生懸命やるということです。
○小笠原貞子君 計画的に、一生懸命やる。一生懸命にやるのはやっていたとおっしゃるのよね。だから、きちっと計画を持ってやってくださいというのが私のお願いだから。いいですね。
○国務大臣(鳩山邦夫君) ですから、そういう御要望があることはよく承っておきますが、それはいろいろな事情もありますし、財政の問題もありますし、それぞれの地域の特性というのもあろうと思いますから、いろいろと勘案しなければならないことも多いと思います。
○小笠原貞子君 大臣にもう一つ具体的に伺いたいんですけれども、訪問教育というのがありますね、小学校、中学校の場合。今度、高等部の方でもぜひその訪問教育を対象としてやっていきたいと。これは制度的にも、法律的にも可能だし、ぜひやりたいと。やっているところは文部省にやめろなんて言われないかと心配していますから、この訪問教育を後期中等教育の場でどう生かしていけるか、ぜひお願いしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先生御指摘のとおり、確かに訪問教育は小学校、中学校段階、言いかえれば特殊教育諸学校の小中学部につきましては訪問教育を実施いたしております。これは、小中学部は義務教育でございますので、なおさら教育の機会の保障という見地から実施しているわけでございますが、高等部につきましては、義務教育ではないということに加えまして教える内容も非常に多様でございます。高等部で訪問教育を行う場合に、学習指導要領の基準に沿った高等部の教育課程が十分に実施できるかどうかなどの問題がございます。
 もとより、やる場合には、さらに学習指導要領上も、ある条件の中では学習指導要領どおりじゃなくて緩和してもいいというような規定もございますが、訪問教育の場合ではさらに緩和するような必要があるんではないかというような問題、それから中等部卒業後の進路につきましては、すべての人が高等部に望めば行けるということがもちろん望ましいわけですが、生徒の能力、適性で職業訓練施設等に行くというような方もおられるわけで、多様な場が用意される必要があるだろうというふうに思います。
 それから小中学部での訪問教育につきましても、訪問教育を受けている子供の保護者の一部から、子供の送り迎え等で可能な場合には、養護学校の分校等の設置をぜひやってもらいたい、訪問教育よりも養護学校の整備がまず第一歩であるという声も聞かれております。したがって、この場合、訪問教育を高等部の設置より優先させた場合に、高等部の設置がなおざりにされるおそれもあるんではないかというような感じもするわけでございます。
 そういういろんなことも考慮いたしまして、私どもは、現段階としては養護学校の高等部の設置につきまして各県を指導し、その充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小笠原貞子君 ちょっと具体的に聞きます。
 訪問教育を自主的にやっているところに対して文部省、それは好ましくないなんて抑えることないですね、大臣。
○政府委員(坂元弘直君) 盲聾養護学校の小中学部につきましては、その教育課程上の特例措置につきまして、現在学習指導要領で明確になっております。高等部につきましては、学習指導要領上明確にはなっておりません。ただ、学校教育法施行規則では、高等部を含めて訪問教育ができるという規定になっております。したがって、直ちに訪問教育をやっておるから違法であるかどうかということになりますと、私どもとしては明確に違法だとは言えないんじゃないかと思っておりますが、ただ学習指導要領上の基準が明確になっておりませんので、どうやって高等部の教育を訪問教育でこなしていくかという点については、若干困る点があるんじゃないかというふうに感じております。
○小笠原貞子君 次は、雇用の問題に入ります。
 雇用率未達成の企業が初めて公表されました。しかし、大企業は圧倒的に未達成にもかかわらず、公表されたのはわずかに四社。全面参加と平等の実現は夢のような話です。また、御苦労でございますが、各大臣、自分の省庁の五十七年と平成三年の障害者数と雇用率について御説明ください。
○国務大臣(山下徳夫君) これはお配りいただいた資料のとおりでございまして、昭和五十七年には千百五、平成三年九百一、差し引き二百四名の減であります。
○国務大臣(塩川正十郎君) 自治省の本省の関係でございますが、身体障害者の雇用人数は、平成三年六月一日現在で十一名、二・七%となっております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働省でございますが、昭和五十七年から十年間の職員の状況を見ますと、年平均四百八十九名の障害者が職員として勤務しており、十年間の平均雇用率は一・九七%となっております。平成三年六月一日現在で見ますと、障害を有する職員は五百五人、実雇用率は二・〇四%となっております。
○国務大臣(羽田孜君) 非現業が千三百二十五人、現業が百四十九人であります。
○国務大臣(渡辺秀央君) 五十七年の障害者雇用者数は三千三百五十九名、平成三年は三千四百十六名であります。
 以上であります。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 平成三年六月一日現在の数字で、総職員五万六百二十余名中千二十余名、二・〇二%でございます。
○国務大臣(山崎拓君) 建設省における身体障害者の過去十年間の雇用状況につきましては、昭和五十七年六月一日現在一・九%の雇用率でございましたが、平成三年六月一日現在二・〇%となっております。いずれの年も法定雇用率を達成しているところでございます。
○政府委員(豊田実君) 運輸省におきましては、昭和五十七年度三百十九人、平成三年度で三百十四人、率はそれぞれ一・九五%、平成三年度は二・〇三%となっております。
○政府委員(馬場久萬男君) 農林水産省全体、外局を含みまして、昭和五十七年におきましては雇用者数千五百四十八人、雇用率二・一八%、平成三年におきましては雇用者数千百二十六人、雇用率二・三%、いずれも法定雇用率を達成しております。
○小笠原貞子君 もういいです、余り長くなるから。
 今、四ページに表が総括的に出ています。あと、次に各省別に出ておりますので、読んでいただければわかると思います。
 各省庁とも、いずれも雇用率は二%と、この十年間見事に雇用率としては達成しているわけです。しかし、厚生省を代表にして見ますと、雇用率は二%台ですが、下がっていますね。ところが、障害者数でいきますと、この十年間二百四人減少してい含んです。農水省も四百二十二人、建設省七十八人、文部省も三十七人減っているわけなんです。率は達成していると言われながら数としてはどんどん減ってきているというのは、どういうふうにごらんになりますか。減っているところの大臣。
○政府委員(大西孝夫君) 厚生省についてお答え申し上げます。
 一つには、障害者の数が減ってまいりました背景といたしまして、退職等でやめていかれる障害者の減った分を新規に採用する際に、御承知のように国家公務員試験を受けて通られた方の中から厚生省を望む方を採用させていただくわけでありますが、残念ながら穴埋めできるだけの応募を十分得られなかったというような事情もあったりいたしまして、実数として減ってまいってきておるわけでございます。
 何とか二%ぎりぎりのところでまいっておりますが、ある意味では昭和五十七年の二・三六という数字がある程度クリアしておりましたために、人事担当関係者が若干安心したというか気が緩んだ面があるのかもしれないと反省をいたしております。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 三十七名ですか減っておりますけれども、懸命に行政改革をいたしまして税金のむだ遣いをしないように努めて、その間職員が四千六百かそれくらい減っておりますので、それが法定雇用率との関係でそういう形になっているわけでございます。
○政府委員(馬場久萬男君) 農林水産省におきましては、総職員数が、五十七年当時七万一千人おりましたが、平成三年度は四万八千人に減っております。特に障害者の多いのは林野庁関係、これは現業で事故等で障害者になった方々が多かったわけでございますが、これも定年で退職されて数が減っているという事情によります。
○政府委員(望月薫雄君) 建設省におきましても、基本的には今までの各省庁と同じことでございまして、総定数が昭和五十七年六月に二万八千八百五十七名であったものが昨年六月では二万五千百九十三名に減っております。その中で今御指摘のように身体障害者数も減っている、こういう次第でございます。
○小笠原貞子君 二%を超えても、三%になっても四%になってもいいじゃないかと。例えばフランスだとか旧西ドイツでは六%ですね。日本の三倍ですよ。イギリスでも三%になっていますね。二%、そこにこだわるから、率は達成いたしましたと言いながら実質的な雇用の数というのは減っているわけなんですね。
 そこで、その二%にこだわらないで努力していただきたいということと、具体的に伺います。
 文部省、運輸省は、雇用率二%とおっしゃいましたけれども、その両省のすべての職員数と雇用率の対象職員の数は幾らになっていますか。
○政府委員(野崎弘君) お答えします。
 御質問の意味を必ずしも的確につかんでいないかと思いますが、平成三年の六月ですと職員数が、文部大臣の任命権のもとにありますのが五万六百二十四名で、そのうち障害者が千二十三名ということで、二・〇二%、こういうことでございます。
○小笠原貞子君 文部省全体の定員を聞いているのよ。
○政府委員(野崎弘君) 文部省全体の職員数がほぼ定員に近い数字と、このように承知しておりますが。
○小笠原貞子君 どうしてちゃんと聞いたことがはっきりわからないんだろうね。文部省と運輸省と、そこに勤めている人の数、総定員に対して、対象となる二%というのは、それはごまかしなんだ、うそなんだといだから、総定員とその二%という関係で雇用率の対象職員は何人ですかと聞いているの。
○政府委員(野崎弘君) 失礼しました。
 身体障害者の雇用の関係につきましては、教官とかそういう関係の除外職員がございますから、職員総数でいきますと十三万四千四十四人います。それから、除外職員が八万三千四百十七名おりまして、その差し引きが今申し上げた数字でございます。
○小笠原貞子君 そう答えればいいのにごまかそうとするから時間がかかるのよ。
 文部省のおっしゃったように、総定員というのが十三万四千人いる。その中から除外されているというのが八万三千四百十七人ですね。だから、対象数は五万六百四十二人が対象になっていると、こういうわけなんです。それから、運輸省もそうなんですね。だから、つまり二%じゃないんです。除外されているというのを抜かしますと、文部省で〇・七六%ですよ。運輸省も一・一七%・にしかならないということですね。だから、除外するなんという数をどんと半分以上とらないで、全体の数の中で何%というふうに考えて、そして努力していけば数がどんとふえるということを私は言いたいわけなんですね。
 その辺のところどうなんですか、文部大臣、運輸省。
○政府委員(野崎弘君) 先生の御指摘でございますけれども、法律の規定によりまして私どもとしては運用しておるわけでございまして、法律の規定を上回るべく努力した結果でございます。
○小笠原貞子君 だめだわ。大臣の答弁でなかったらろくな答弁しないんだ、ごまかしちゃってもう時間がなくなりますからね。そういうごまかしかあるということを私は指摘せざるを得ないんです。全体の二%、それも三、四とふやしていっていいじゃないかと、そういう立場で御努力をいただきたい。
 それでは次は、厚生省、文部省、郵政省。本庁の五十七年と平成三年の障害者の数と雇用率はどうなっていますか。
○政府委員(大西孝夫君) 厚生省についてお答え申し上げます。
 本省分につきましては、昭和五十七年障害者数三十名、雇用率一・四〇、平成三年は障害者数十四名、雇用率〇・六八でございます。
○政府委員(谷公士君) 郵政省関係についてお答え申し上げます。
 私ども、全体の数で取りまとめておりますために、先生からの御指摘を受けまして急遽調査いたしましたのは過去五年でございますものですから、五十七年ございませんので、六十二年度のお答えでお許しいただきたいと思います。
 六十二年度でございますが、障害者数十八名、雇用率〇・七五%、平成三年障害者数十名、〇・四七%でございます。
○政府委員(野崎弘君) 本省の内部部局ということの御指摘でございますが、障害者数七人ということで、雇用率〇・五八%でございます。
○小笠原貞子君 今、本庁で聞きました。
 文部大臣、いらっしゃいますね。外務省の本庁は三・二%なんです。それから法務省も二・一%と達成しているわけです。障害児教育をあずかる文部省の指揮管理をする本庁が〇・五八%では余りにも情けないではないか。厚生省も、その担当の省でありながら〇・六八%ではちょっと情けないのではないか。いかがですか。
○政府委員(大西孝夫君) 厚生省についてお答え申し上げます。
 まず一つ、先ほどの平成三年の〇・六八についてお断り申し上げたいのは、平成二年から急激に下がっておるわけでありますが、いわゆる地方公共団体あるいは他の省庁に出向ということで一時的に減少している方が三名ほどおりまして、そういうのが率の上で少し減っておる要因にもなって、おる点をまず御説明しておきます。
 確かに、私ども障害者の福祉をあずかる立場として、この数字では余り大きな顔はできないな、恥ずかしいと思っております。ただ、先ほど申しましたように、国家試験を通って厚生省を志望していただける方から採用さしていただくということになりますので、少しそういう面でPR等も含めて今後頑張ってまいりたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 私どもとしては、いわゆる法定の二%というもののクリアをきちんとしておるからそれでいいというふうに考えておりまして、たまたま本省の数とそれ以外とでぶれがあるのは事実ですが、法定のものはクリアしておるわけです。
○小笠原貞子君 共同作業所の問題について伺います。
 今、全国で三千カ所ございます就労の場、生活の場として非常に大きな役割を果たしているわけです。しかし、余りにも低い補助金で、そして対象拡充、大幅アップを図っていかなければならない。共同作業所を制度化すべきときになっているのではないか。厚生省のお考えを伺います。
○政府委員(末次彬君) 在宅の障害者が適所して作業等を行うというニーズにこたえるために、私どもといたしましては定員規模二十人以上であること等一定の要件を備えた身体障害者福祉法等に基づく適所授産施設の整備を推進しておりまして、また平成二年度には授産施設の分場方式を取り入れまして既に十三カ所で事業を行っております。また、障害者と精神薄弱者の混合利用も始めるというようなことで、地域の障害者の施設利用を容易にするような措置を講じているところでございます。
 いわゆる心身障害者を対象といたします小規模作業所につきましても、心身障害者対策の一環として、一定の要件を具備するものにつきまして補助制度を設けておりまして、補助額あるいは対象箇所数の増に努めております。
 小規模作業所といいますのは、就労に必ずしも適さない障害者の生きがい就労的な役割を果たすということで、障害者の地域における生活の多様なニーズにこたえるというような役割を果たしているということは私どもも評価しているわけでございますが、この小規模作業所そのものが規模あるいは形態等非常にさまざまでございまして、これを一律に制度化するというのはなかなか困難ではないかというふうに考えております。
○小笠原貞子君 自治大臣に伺います。
 共同作業所に対する国の補助というのが非常に貧困なんですね。そして、どこでも各自治体がかなり援助をしていらっしゃいます。また、交付税措置をしていらっしゃると思うんですけれども、それはどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(湯浅利夫君) 地方団体におきます福祉施策は地域の実情においていろいろなことをやっているわけでございますけれども、その代表的な例として今御指摘の小規模授産施設に対する助成というようなものもございます。現在、平成四年度の交付税法を審議していただいているところでございますが、その中におきまして精神薄弱者、身体障害者に関する共同作業所の補助経費といたしまして、県、これは標準的な団体は百七十万人の人口の県を標準的な団体としておりますが、ここで一県当たり五千万円、それから市町村につきましては人口十万人の市を標準団体としておりますが、その人口十万人におきまして県からの助成を含めまして一市当たり六百四十万円を基準財政需要額の中に算入しているわけでございます。
○小笠原貞子君 次は別の問題なんですが、点字の母子手帳をつくってほしいという問題なんです。
 子供の成長がどうなんだと、母親も本当にあれを頼りにして喜んでいるわけなんですけれども、視力障害者のお母さんには普通の母子手帳、これが渡っても読めないですね。そこで、ぜひ読めるような母子手帳が欲しいというので、既にこれは東京で点字の母子手帳というのをつくっております。名古屋でもつくっております。今年度から母子手帳交付が市町村に移されるという機会に、財政的には大変な点字母子手帳を国が発行すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 母子健康手帳の点字版をことしから発行する予定にいたしております。
○小笠原貞子君 ありがとうございました。
 一言申し上げたいと思います。盲導犬について、国はどういうふうに考えていらっしゃるか。目の悪い人にとっては盲導犬が頼りなんですよね。しかも、これを教育訓練するのも、貸し出しするのも全部ただなんですよ。ほとんどがボランティア活動に頼らざるを得ないという状態になっております。補助の対象にしてたくさんつけてくださればいいんだけれども、それがない。とりあえずは寄附行為の税金控除の対象にしてほしいという要望がございますけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(山下徳夫君) この盲導犬につきましても、私、一般の理解がもう少し必要がなと。ペットと同じような感覚でおられる方がたくさんいます。全く違うということで、私どもは関係方面に十分ひとつ認識していただくために今後努力をしたい。
 税の問題については政府委員からお答えいたします。
○政府委員(末次彬君) 盲導犬の育成事業につきまして、御質問の趣旨は、一つは、社会福祉事業であれば税等の助成措置が受けられるのではないかというような御指摘かというふうに理解いたしております。
 現在盲導犬を育成しております団体は八つございまして、そのうち一つが社会福祉法人、残り七つは財団法人ということになっております。実はこの社会福祉法人につきましては、盲導犬育成のほかに、点字図書館あるいは点字出版という第二種の社会福祉事業を実施しております関係で社会福祉法人ということになっておるわけでございます。
 それで、この育成の事業をどういうふうに位置づけるかという点でございますが、現在のところ、盲導犬育成の方法につきましては、その体系がどこから導入されたかによりましてかなり違いがあるというふうに聞いております。それから、盲導犬育成を実施しております団体につきましても、やはり育成あるいは事業の管理運営に非常にばらつきが見られるという点がございまして、盲導犬育成の事業そのものが現状において必ずしも十分確立された事業であるというふうには受けとれないわけでございます。
 このため、厚生省としましては、盲導犬を育成しております八つの団体が加盟しております日本盲人社会福祉施設協議会の中に盲導犬委員会というのがございますが、ここを通じまして基準の統一など盲導犬育成の事業が確立された事業になるように今働きかけを続けておりまして、近くこの盲導犬訓練施設の設置運営基準がつくられ、さらに訓練士の基準などほかの基準についても現在検討をされているというふうに聞いておりまして、こういう検討状況を見守りながら基盤整備について指導していきたいというふうに考えております。
○委員長(中村太郎君) 小笠原君、時間です。
○小笠原貞子君 一言だけ。
 たくさん積み残してしまいまして残念なんですけれども、最後に私は申し上げたいんですけれども、国連行動計画の六十三項に、障害者に対して施策が貧しい国、それは弱くてもろい社会、国なんだ、そして障害者に対して温かい施策を持っているところは豊かで強靱な国だという言葉が書いてございます。
 私は、この日本が経済大国日本だと言われるけれども、本当の意味の豊かで強靱な日本をつくるためには、やっぱり障害者の問題というのはもう国全体、私たち自身の問題として取り上げて積極的に御努力をいただきたいということを切に、私はもう今年度で引退いたしますけれども、後にお残りになる方はしっかり受け継いでやっていただきたいことを申し上げて、終わりたいと思います。
○委員長(中村太郎君) 以上で小笠原君の質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(中村太郎君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
○下村泰君 まず法務省に伺います。
 私は、ボランティア刑、こういうふうな言葉で一度表現したことがあるんですけれども、四年前の三月十八日の予算委員会で、社会奉仕命令制度、これを考えてはどうだろうか、こういうことを申し上げました。当時の林田法務大臣は、研究するとお答えになったんです。ところが、もう皆様も御存じだろうと思いますけれども、あのカナダのベン・ジョンソンという陸上の選手が女子選手に乱暴したとして七十五時間の社会奉仕を命じられたのは、これは有名なことなんです。
 その後、この点についての検討、研究の状況、また法制審議会で検討されていると伺っておりますけれども、その経緯と今後の方向について御説明願えれば幸いです。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 委員御指摘のように、社会奉仕命令制度、先生がおっしゃるボランティア刑というものがあるのはよく存じております。現在、法制審議会刑事法部会のもとに設けられております財産刑検討小委員会において平成二年十二月から検討に入っておりますが、導入の可否についていろいろ審議、検討が行われているんですが、いろんな意見がありまして、まだ合意に至っておりません。その委員会での審議、検討を待って、結論を待って処理したいと考えておりますが、現段階で結論を申し上げるにはまだ至っておりません。
 詳細については政府委員から答弁します。
○下村泰君 大臣、例えばきのう問題になりましたが、有名な選手がやってはいけないようなことをやりました。いわゆるポーカー賭博というのをやりまして、本人はどこかのテレビのどっきりカメラが来たのかというようなあほなこと言っておったそうですけれども、つまり、ああいう軽犯罪に近いことをした人たちにいわゆるボランティア刑というものを科する、こういうことなんですけれども、大臣、個人的にどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(田原隆君) ボランティアというのは、本来進んでやるという意味じゃないかと思うんですけれども、列となるとボランティアかどうか、ごろとして私ちょっとはっきりしませんが、ただ社会奉仕というのは、先生がおっしゃるように、本来ボランティアでなきゃならぬと思うんですが、刑罰として科するとすると、そこはやはり法制審議会の議を経なければいけないのであろうし、諸外国でも例がありますけれども、日本の場合には執行猶予とかそういう制度が非常に発達しておりまして、別の面で埋め合わせをしておるというような意見等がありまして、なかなか話が簡単に進んでおりません。
 私も個人的には、御質問があって詳しく勉強するまでは実は全面的に賛成であったんですが、勉強するにつれ、なるほど問題が多いなということを発見いたしました。
○下村泰君 そういうふうなお気持ちがあるんですから、これから先も私は見守っていきます。どうぞひとつ御検討していただきたいと思います。
 次に、政見放送の手話通訳、字幕スーパーについてお伺いします。
 昨日もNHKにも伺ったんですけれども、これは十年来の課題でもあります。
 一九六七年、昭和四十二年一月二十二日に東京都中野区の区立大和小学校で開かれた国政選挙の立会演説会に初めて手話通訳がつきました。そして一九八三年、昭和五十八年の公選法の改正で立会演説会がなくなりました。そして、この立会演説会は、聴覚障害のある人々にとっては唯一といっていいほど直接候補者から話の聞けるチャンスを保障してきたわけです。しかし、その後立会演説会もなくなりまして、政見放送には手話通訳も字幕スーパーもなく、聴覚に障害のある人々の参政権は大きく侵されたまま、こういうことなんです。
 自治大臣に伺いますが、このことをどう認識し、聴覚障害のある方が求めている字幕スーパーあるいは手話通訳について、その重要性、必要性をどう認識されていらっしゃいますか。いつまでこんな状態にしておくんですか、伺いたいと思います。
○政府委員(吉田弘正君) 政見放送に関しまして、手話通訳なり字幕スーパーを入れたらどうかというお話でございますが、御指摘のように、政見放送は候補者の政見を伝える重要な機会でございますので、基本的にはできるだけ多くの方々に候補者の政見が伝わるように便宜を図っていくということが重要であると考えております。しかしながら、政見放送は極めて限られた期間内に多くの候補者に公平かつ公正に製作しなければならないという問題もございます。例えば、手話通訳の場合については専門用語の多い政見放送の内容を正しく伝えることができるかどうかというような問題とか、あるいは字幕スーパーの場合についても政見放送の内容を要約でやるわけでございますが、これが正しく行うことができるかどうかというような検討を要する製作上また技術上の解決すべき課題があるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては政見放送研究会というものを設置いたしておりまして、この問題について研究をしていただいているところでございます。昭和六十一年の十二月に学識経験者の方々に委員になっていただきまして研究会をつくりまして調査、研究を進めております。今日まで都合九回の研究会を開催いたしまして、政見放送に手話通訳を導入するとした場合に解決しなければならない課題について検討を進めていただいているところでございます。
 最近におきましては、昨年の十二月に第九回の政見放送研究会を開催いたしたところでございますが、次回以降におきまして、手話通訳を導入した政見放送のいわば試作品的なものを実際に製作してみて、そこで製作過程あるいは画面処理上の問題点等について具体的に検討を加えていこうというふうになっているところでございます。
○下村泰君 私が聞いていないことまでお答え願って大変結構なことだと思いますけれども、ただし、その研究会のメンバーに例えば聴覚障害の方がいますか。もしいなかったならば、その理由を述べてください。それからさらに、なぜできないのか、その理由も述べてください。
○政府委員(吉田弘正君) 政見放送研究会につきましては、学識経験者の方々に専門的な分野から御検討をいただこうということで委員になっていただいておるわけでございまして、大学教授でございますとか言語障害の関係の専門家の方とか、あるいは社会福祉法人の関係の方々に、専門的な分野からいろいろな面で検討をしていただくということで今日まで鋭意御研究を願っているということでございます。
○下村泰君 しかし、今の部長のお言葉は大変な間違いを犯していますよ。
 大臣、学識経験者とか、それぞれの言語の研究者とおっしゃいましたね。そうすると、聴覚障害者は人間じゃないということになりますね。聴覚障害者は学識経験者でも何でもないということになります。どうしますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 吉田選挙部長が言っております研究会のメンバーというのは、専門的立場から考えられる方々のおやりになっておる研究会でございますが、その研究会では、下村さんのおっしゃるような、そういう本当に苦労しておる方々、何々市長とかそういう方々の意見を絶えず聞きながらやっぱり判断しておるんだろうと思うんです。ですから、そういう方々の意見をどこまで取り入れていくかということの方をむしろ重点に考えるべきじゃなかろうかと思っておりまして、そういう意味で言っているんだと思っております。
○下村泰君 塩川自治大臣が文部大臣のときには大変心優しいお手当てをいただきまして、あの秋田の筋ジストロフィーの御兄弟は普通学校に通えるようになりました。そういう優しい心の持ち主の自治大臣なんですから、こういう方々に対するお考えもひとつ愛情を持って当たっていただきたいと思います。
 厚生省に伺いますが、手話通訳士試験の都道府県別合格者のうち、合格者のいない県の数と、今後そうした県での養成などについて考えていないかどうか伺いたいと思います。それから、人によってレベルはかなり差があるんでしょうか、そういう試験なんでしょうか、内容は。
○政府委員(末次彬君) お尋ねの手話通訳士試験、これを現在まで三回実施いたしておりまして、四百二十二名が合格しておりますが、合格者が一人もいない県は四県でございます。これは、第一回の手話通訳士試験で合格者が出なかった県が十二県ございまして、第二回の手話通訳士試験ではこれが五県に減りまして、第三回では四県と、確実に少なくなってきております。
 この手話奉仕員養成事業は、厚生省の障害者の明るいくらし促進事業のメニュー事業の中に入れてございまして、全都道府県で実施しております。また、上級手話通訳研修につきましては、国立身体障害者リハビリテーションセンターで実施いたしております。また、手話通訳の指導者養成研修事業、これは全日本聾唖連盟に委託いたしておりまして、手話通訳者あるいは手話通訳指導者の養成に努力をいたしておりまして、また全国の主管課長会議におきましても、この手話通訳士の養成、確保につきまして各都道府県で御努力いただくようにお願いをいたしております。
 この手話通訳のレベルでございますが、これは私ども期間をかけましてこの手話通訳の平準化といいますか、水準を一定以上に保つという研究等を重ねてまいりまして、この通訳士試験に合格した方々につきましては一定のレベルが保証されているというふうに考えております。
○下村泰君 自治大臣に伺いますけれども、一体手話というのは何なのでしょうかということなんですね。例えば、大臣の塩川というのは口の周りを手でこうかき回して、それで三本指を出してこうやると塩川になるんだそうですよ。これは聞いたばかりでよくわからないんです、私も。そのほかに、かき回しただけでも塩辛いとかいろいろ表現があるんだそうです。今現在そこに、傍聴者の中にお耳の不自由な方が来て、手話通訳がついてやっておりますけれどもね。だから、手話を我々が使う日本語と同一に見ることはこれは無理なんですよ。どだい無理なんです。聴覚障害の方々の文化としての手話というものについて我々は知らな過ぎるように思うんですね。
 NHKは、公選法上一字一句正確に伝えなくてはならないと言っています。もしそのことにこだわるなら、もう手話で表現するのは全然無理ということになるんです。じゃ、字幕スーパーはどうかといったら、それも画像処理が話すスピードに追いつかないわけですね。そうしますとこれもできない。じゃ、後から文字放送でも字幕だけあるいは手話だけ、あるいはその両方の組み合わせによる再放送などということだってできるんじゃないですかということになります。
 とにかく少しでも前へ進めませんと、いつもいつも同じことの繰り返しになるんです。まず、奪われた権利を保障するという強い決意がなければ、これはとてもじゃないけれども無理だと思います。まずやれることからやってみる。それでなければ政治改革というのはどこからも始まらないとこう思うんですけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは先ほど吉田部長も言っておりました中にございますが、放送研究会のところで一番の問題はそこなんでございまして、手話によって候補者の言っておることが正確に伝達されているかどうか、ここの保証がなかなか難しいということがございます。そこをどうクリアしていくかということなんですが、非常に深い造詣のある下村さんでございますから、どうか何か提案を、具体的にこういうことをやったらどうだろうということをおっしゃっていただいたら、試行錯誤でも一応そういうことを検討して、取り入れられるものであればやっていきたいと思っております。
 我々も、奪われた権利という、そういう大げさな感覚ではございませんけれども、しかしできるだけそういう方々にわかっていただきたい、この気持ちを持って接したいということは、これはもう変わるところがないと思っております。ですから、そういう方々に対して少しでも理解していただける方法が他にあれば積極的にとっていきたいと思っております。
○下村泰君 今の大臣のお答えで、私も今度ひとつ聾唖者の皆様方と御一緒に、どういう方法があるかを。
 一言だけ加えさせていただきますと、我々が考えていない、聾唖者同士で理解できる手話というのは幾らもあるわけなんですね。当事者になりますと、この言葉はこういうふうに正確に伝えられないんじゃないかというふうに考えていらっしゃるんですが、実際の聾唖者の皆様方は、聾唖者同士で通じる表現法というのがあるわけなんです。そこのところがわかっていただけませんと、この問題は正確に正確にという言葉だけですと前へ進まなくなるんです。ですから、そういうこともひとつ頭の中に入れておいていただきたいと思います。
 今度はエイズの方へ行きます。
 先ほどもほかの委員の方がお話ししていらっしゃいましたので、ダブらないように参りたいと思いますが、エイズ対策関係閣僚会議で決まった大綱、これは大変前向きで結構だと思います。
 そこで、患者、感染者への相談支援体制、これについて伺います。現在の日本の状況について説明していただきたいと思いますが、だれがどういうことをなさっていらっしゃるのか。
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御質問は、患者とか感染者の方々に対してどんな支援をしておるのかと、こういうことでございます。
 そこで、私、一番大事だと思いますのは、非常に不安を持っていらっしゃるということでございますから、エイズに関します相談が安心がつ容易にできるように、全国の保健所や医療機関におきます相談指導体制というものを充実させることが重要じゃないかなとまず思います。
 それから、各都道府県の担当部局、それから保健所、エイズ予防財団、そういうようなところで一般の相談窓口、または医療機関でございますけれども、そこでの専門的な相談窓口、こういうようなものを設置いたしまして、電話や面接の相談に応じるということでございます。ちょっと数字を申し上げますと、平成三年でございますけれども、保健所におきまして一万八千件ぐらいやっておりますし、エイズ予防財団につきましても四千件ほどやっております。特に昨年末の十一月、十二月、非常に御質問やら御相談が殺到いたしまして、各保健所でございますとか医療機関等も大変忙しく対応したわけでございます。
 それから、感染者及びその家族に対してでございますけれども、私どもHIV感染者等保健福祉相談事業というものを、全国で三十の医療機関の中に相談窓口を設置しまして、年間四千件ほど相談を行っております。
 それから、これは新しく今御審議いただいております予算案の中に盛り込んでおるわけでございますが、平成四年度から、エイズ予防財団によります外国語による電話相談窓口、こういうものを設置して、いわゆる外国人の方々が多くなっておりますので対応してまいりたい、このようなことで全体的に相談体制を整備してまいりたい、このように思っています。
○下村泰君 昨年の十一月三十日から十二月一日の世界エイズデーにかけて、三十六時間テレソン・エイズ電話相談というのが行われたのは御存じでしょうか。御存じならば、どういうふうにしてやったか、ちょっと教えてください。
○政府委員(寺松尚君) 先生の御指摘のお話は、平成三年の十一月三十日から十二月一日にかけまして、全国四カ所において電話相談を行ったもので、その内容も承知をいたしております。感染経路とか検査機関、それからHIVの一般的な知識、そういうようなものについての御相談があったように聞いております。
○下村泰君 これは民間のボランティア団体がカンパなどをもとに自分たちでお金を集めて行ったもので、今も大阪や東京で行われています。二十四時間の相談支援体制、あるいは患者の気持ちに最も近い人々の存在とそうした人々によるカウンセリングや相談というのは、もう単に公的な機関だけでは無理なんですね。
 大臣、こういう公的機関で対応するんじゃなくて、こうした民間の持っているパワー、ノウハウ、これを活用すべきだと思いますけれども、積極的に民間の救援団体を育てる気持ちはございますでしょうか、今すぐ無理でもこれから。これはアメリカでも活発にやっておりますし、近々患者の方たちがデモ行進をやるようなお話もあります。こういったこともありますので、いかがでございましょうか、大臣。
○国務大臣(山下徳夫君) 民間の団体が患者やあるいは家族等に対しましていろいろと御支援をいただいておることは私も承知をいたしております。これは非常に有要であると考えておりますので、今後さらにこのことについて私どももいろいろと考えてみたいと思います。
○下村泰君 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 次は、低肺ホームのことについて伺います。
 この問題も、私にとりましてはもう初めてお伺いしてから六年になります。その後、低肺機能の方々と一緒に厚生省と何度か話し合いを持ちましたが、何としてもこれは話が前に進みません。それで今日まで来たわけです。
 そこで厚生省に伺いますが、低脚ホームと言われているものは明確にどういうものを指しているとお考えなのか。これまで何度かこの件について答弁されていますが、どんなものだと思っていらっしゃいますか。
○政府委員(末次彬君) 低肺機能の身体障害者からの御要望でございます。したがいまして、医療の面で不安があるということで、医療機関との連携を密にした施設であろうというふうに考えております。
○下村泰君 この低肺ホームというのは、例えば重度の低肺機能の方々を対象にしたもので、医師が二十四時間態勢で一人常駐、それからナース、介護の体制が十分で、各部屋に酸素があり、呼吸法、呼吸体操を初めとしたリハビリがきちんとされている、当然ネブライザー、排たん室もきちんと整備されているという、こういう施設を私はイメージをしているんですけれども、またこういう施設が求めちれているんですが、こんな施設は現在、喜望園以外にありますか。
○政府委員(末次彬君) こういった低肺機能の方々に入所していただく施設としましては、身体障害者福祉法に基づく内部障害者の更生施設あるいは重度身体障害者の更生援護施設、ここで受け入れをやっておりまして、現在内部障害者の更生施設等は全国で十カ所設置されておるわけでございます。
○下村泰君 内部障害者の更生施設にどれくらい重度の方が現在いるとお思いでしょうか。当初二十カ所あったんです。現在十カ所程度になっているんですね。訓練しても職につけない、職についても結局体がもたずつぶれてしまう、そういう状態が本当の状態なんですよ。行き場のない方がふえているわけです。特養に入っても結局十分な態勢がとれていなくて、悪くなりお亡くなりになる方がいるわけなんです。ひとり暮らしの人のことも考えると、こうしたホームの必要性を強く感じるんですが、大臣、いかがですか、今の話を聞いて。いてどういうふうにお感じでございましょう。
○政府委員(末次彬君) 連携を密にするというふうに申し上げたわけですが、患者の不安を解消するという意味におきまして、平成元年度に、医師の常勤する重度身体障害者厚生援護施設、ここで重度の内部障害者を対象とできるように改めております。既に神奈川県、広島県でこの低肺機能の障害者を受け入れる施設としてスタートしたところでございます。
○下村泰君 これはまたいずれやりたいと思います。
 次に、LD児のことについて伺いたいと思います。
 学習障害児への対応について文部、厚生両省の現在における状況を御説明ください。
○国務大臣(鳩山邦夫君) いわゆる学習障害児という事柄については、下村先生が大変に強い御関心をお持ちになっていろいろ発言をされたり質問をされたりしてこられましたから、文部省も対応をとってきたというような面がございまして、先生がおられなかったら文部省の対応も数年間おくれていたのではないだろうかと、感謝申し上げております。
 特にこのラーニングディスアビリティーズという概念、私も一生懸命勉強はいたしているんですが、いまだによくわからないようなところもございます。中にはいわゆるノーベル賞をとったような方でも、どうしてもスペリングだけが書けないというような方がおられる。こういうのもいわゆるLD、学習障害児の概念に当てはまるということを聞きますと、なかなかこれは難しい問題であります。ただ、そういう学習障害児の方々が、今までそういう概念がありませんでしたから、そのために適当な正しい教育を受けることなく、場合によってはいろいろないじめの対象になったとか、そういうこともあるだろう、こんなふうに思います。
 そして、今回調査研究協力者会議にこの問題をお諮りいたしまして、三月三十日に審議のまとめをいただいたわけでございまして、そういうLDというお子さんの存在は間違いないだろう。ただ、どうやって判定をするのか、いわばそういう分類とか診断の方法とかいうことについてはまだ見解がまとまらないので、より一層研究をしなければいけないというような形になっております。
 ですから、LD児についてはこれからも基礎的な研究を積極的に行わなければならないと思っておりますが、文部省としては、国立特殊教育総合研究所、あの久里浜の施設で実態調査を含めた基礎研究、平成三年度から四カ年計画で進めております。そして、本年度の予算案においては、全国で十校程度の研究指定校を設けて、LDと言われる学習障害児の皆さんに対する指導方法などについて実践的な研究を行おうとしているところでございます。
○下村泰君 今、文部大臣もおっしゃったように、最近になりましてあの発明王と言われたエジソンもそうではないか、あるいはアインシュタインもそうではないかというような説まで出ているんですね。ですから、LD児、我々はそういうふうに言っていますけれども、実体というものは本当につかみ切れないというのが実情ではないかと私も思います。だけれども、どこでどう判定していいかこれもわかりません。しかし、アインシュタインがそうであったのか、あるいはエジソンがそうであったのかということになりますと、これはちょっとおろそかにできない問題だと思います。
 厚生大臣に伺いますけれども、こういう子供、早期療育という観点からは厚生省はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 今、文部大臣からもお話がございましたように、判定基準等に対して難しい問題もございます。しかしながら、厚生省といたしましては、文部省における調査研究も踏まえまして、学習障害の早期発見等に向けて、判定基準等についての調査研究を開始する考えであります。
○下村泰君 一昨年、保利文部大臣にも親御さんと一緒に大臣室でいろいろとお願いしまして、委員会でも取り上げさせていただいたんですけれども、確かに対応は一応できたような感じはするんですけれども、まだまだなかなか追いつかない。
 アメリカの障害児教育の対象の半分はLD児なんだそうです。日本も今後定義、概念などが少しずつ示されるようになりますと、私はかなりの子供が対象になってくるんじゃないかと思う。今のところ二、三%と言われておりますけれども、これは絶対下がることはない、もっとふえるのが当然だと思います。そうしますと、進学にしても就職にしても、LD児への対応はほとんど御本人、御家族、関係者の努力だけで進んでいるわけで、本当に政府の方として、いわゆる行政の方として手を差し伸べているという段階までいっていないわけで、大臣はどういうふうに思われますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) それは、これからまだかなり研究をしなければいけないような気がするのは、例えば特殊教育を受けている人の割合というのを考えると、今先生御指摘のとおり、アメリカは九・二%という数字、日本は〇・九%ですから十倍ですね。ですから、当然いろんな範囲のとり方があるわけです、いわゆる特殊教育の対象をどうとらえるかと。先ほどは心身障害のことの定義づけの問題もあったと思いますが、とにかく私どもとしては、LDという現象というか、そういうお子さんがいるんだということは間違いないというふうに思いますので、それをどう的確に把握し、その正しい指導方法を見つけていくか、相当全力投球でやりますが、まだ努力が必要な面があって、今こうします、ああしますと言えない部分も多いということを御了承いただければありがたいです。
○下村泰君 今も大臣の方からお答えくださったように、九%と高いんですよ。これは僕は恐らく、見分け方というとおかしいかもわかりませんけれども、医学的に診断の仕方があって、あの一つの方法でやるとそういうふうな方が発見できるというためにパーセンテージが高いのかというような気もするんですけれども、厚生大臣、ひとつこれは文部省と本当によく連携をしていただいて、まだまだ医学的に突き詰めていけば日本も二%、三%は上がると思います。上がったときに、じゃどうするのかということになるわけですから、どうぞひとつその件についても、厚生省としてもこれは前向きに考えていただきたいと思いますが、ちょっとお気持ちだけ聞かせてください。
○政府委員(土井豊君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたが、今年度調査研究を開始する考え方でございますが、お話しのとおり、医学的にも判定基準、診断方法等々非常に難しいということでございますので、現在、私どもとしましては児童相談所、ここでいろんなお子様の御相談を受けておりますけれども、そこで学習障害とその周辺というようなことを平成四年度のテーマといたしまして、具体的な事例集をとりあえず全国の児童相談所に配るというようなことで今準備を進めておりまして、できるだけこの方面についての努力を続けたいと思っております。
○下村泰君 文部大臣も聞いていただきたいんですけれども、時間があればもっとゆっくりお話しできるんですが、例えばお子様方の御両親に伺いますと、シャワーが好きで一日シャワー浴びている子がいるそうですよ。そうすると、水道代がたまらないんですよ、親にとっては。それで、怒りますとおかしくなっちゃう。そのうちに出てくる水に興味を持ち始めて、これが一体どこから出てくるか。すると、今度は線に興味を持つんですね。そして、鉄道の線路をずっと歩くようになるそうです。次から次へと興味の対象が変わっていくんだそうですよ。
 ですから、なるほどアインシュタインがそうだったかなとか、そんなことも考えられるような、そのくらい何といいますか普通の子供とはちょっと違う。けれども、もしその子がそのことに対して究極に突き詰めていって研究者になったら果たしてどうなのかなというような兆候は多々見られるそうです。それだけに、ひとつ両方とも頑張っていただきたいと思います。
 次は、障害者の権利擁護について伺います。
 厚生省に伺いますが、平成二年度の精神薄弱児(者)福祉対策基礎調査の中で差別についての問いがありますが、その点をちょっと聞かせてください。
○政府委員(土井豊君) 平成二年九月に精神薄弱者の基礎調査を行いましたが、その中で障害を持つ本人や家族に対しまして、嫌な思いや差別の有無をお尋ねしましたところ、過半数、五六・二%の方々がそういう嫌な思いをしたことがあると答えております。
○下村泰君 今の調査のとおり、障害者、特に知恵おくれの方々への差別や偏見は根深いものがあります。それが権利侵害に至るわけです。
 先月の一日に行われた介護福祉士試験の中に、知恵おくれの方々についての出題に、親の立場から不適切であるというような指摘がございました。そうした出題者側とのギャップがあることが問題だと感じております。この点については、今後どういうふうに対応なさいますか。
○政府委員(末次彬君) 介護福祉士の試験につきまして御指摘のようなお話がございましたが、介護福祉士は専門的知識あるいは技能を持って、身体上あるいは精神上の障害のあることにより日常生活を営むのに支障がある者の介護を行うというのが仕事でございまして、現場において役立つ知識と技能を持つことが大事であるというふうに考えております。
 したがいまして、この介護福祉士の試験の実施に当たりましては、今後とも現場の御意見も参考にしながら、介護の第一線において仕事をしていく上で役立つ知識や技能を求めることができるように、よりよい試験問題の作成に努力していきたいと考えております。
○下村泰君 私はこれ読む気はございませんでしたけれども、ちょっと申し上げましょうか。
 例えば、問題があります。「精神薄弱の状態に関する次の記述のうち、最も精神薄弱を疑う根拠となるものを一つ選びなさい。」、これが題名ですよ、出題ね。それで、「一 意思が弱く、物事に飽きやすい。」「二 痛覚が鈍麻しているように見える行動がある。」「よく物事に気づき、応用力もある。」「言葉が不明瞭で、ときどき聞き取れない。」「運動がぎこちなく、反射も少し鈍い。」、これに丸をつけろというんですよ。文部大臣、これでおわかりでしょう。これはあなた、親御さん怒りますよ。こういったことが出題されているということなんです。
 さて、法務省に伺いますが、昨年十一月に開所した東京精神薄弱者・痴呆性高齢者権利擁護センター、この取り扱い状況について御説明していただきたいと思います。何度もこの件については法務省に伺っておりますので、当然御存じでしょう。
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 御照会のありました東京精神薄弱者・痴呆性高齢者権利擁護センターは社会福祉法人であります東京都社会福祉協議会が東京都の全額補助によって事業運営を行っているものでありまして、精神薄弱者、痴呆性高齢者の権利擁護についての相談、当事者間あるいは関係機関との連絡調整、広報・啓発活動などを行うことを目的として、昨年十一月に発足したものと聞いております。
 その内容を詳細に調べてみますと、人権擁護的な法務省に直接かかわりある問題と、そうでない、法務省の権限を超えるものと、いろいろあるようでございますが、法務省の権限の及ぶ範囲と申しますか、法務省の主として人権擁護局が担当しておる内容的なものについては、私ども大体今のところほとんど同じぐらいのことをやっているというふうに思っております。
 したがいまして、おっしゃったような問題についてはこれから検討してまいらなきゃいかぬと思いますが、今のところ今のままで一応いいんではないかというふうに考えておりますが、なお詳細につきまして必要あれば、政府委員が来ておりますので、具体のことについてはお聞きください。
○下村泰君 大臣に聞いていただきたいんですけれども、この制度の必要性、重要性はここで何回も私は申し上げてきました。
 亡くなられました長谷川法務大臣が、御期待に沿うよう検討するとおっしゃった。関係者一同は喜んだのです。そうしたち、次の左藤大臣が、今のところ考えていないと言われた。今度は大きく後退しちゃったんです。現法務大臣は、前へ進むのか、後ろへ下がるのか、それとも足踏みするのか、どちらなんでしょうか。
○国務大臣(田原隆君) 先ほども申し上げましたように、権利擁護センターの業務を調べてみますと、法律相談、それから財産管理相談、あるいは生活相談等のような専門相談と、それから問題解決のための事実の調査、確認とか、人権擁護のための啓発活動とかいうようなこと、並びに問題解決のための関係機関との連絡調整とか、第三者との利害関係の調整とか、日常生活プラン、金銭管理援助プランの作成とか、生活アシスタントによる日常生活相談というようなこと等をやっておりますので、そのうち法務省に関係ある部分は、先ほど初めの方で申しましたいろんな専門相談とか、調査、確認とか、それから啓発活動でございますが、これをおおむねやっております。
 ただ、おっしゃるように、前向きか後ろ向きか真ん中かというと、まあ真ん中かもしれません。ただ、おっしゃる意味はよくわかりまして、外郭団体をつくってやっている。そういうところに外郭団体をつくることは極力抑えているわけでありますから、直接法務局で人権擁護関係としてやっていることがほとんどであれば、そういうセンターをつくることはいかがなものかなと思っております。ただ、いろいろニーズが多様化し、ボリュームもふえておりますから、将来のことは今ここですぐだめだとかやるとか言ってしまうわけにはいかない問題があることは事実であります。
○下村泰君 後ろを向かないことは大丈夫ですね。
○国務大臣(田原隆君) 後ろを向くような問題ではないと思っております。
○下村泰君 次に、難病児のクオリティー・オブ・ライフということについてお伺いします。
 最近いろんなところでクオリティー・オブ・ライフという言葉が使われるんですね、QOLなんですけれども。直訳すれば生活の質というごとにでもなるんでしょうけれども、これを生命の輝きと訳す方もいらっしゃいます。
 文部大臣と厚生大臣に伺いますけれども、難病と闘う子供たちのQOL、クオリティー・オブ・ライフというのは一体どんなふうだとお考えでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 従来の難病の子供たちに対する対応の仕方というものは、ややもすれば医学的な治療に偏重しておったということでございますが、今御指摘のクオリティー・オブ・ライフ、すなわち生活の質の向上、そっちの方に観点を重視して向けていかなきゃならぬ、こういう趣旨だろうと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 難病のお子さんの生活の質ということを考えてみれば、いわゆる健常児の方とどれだけ同じような教育を受けることができるか、学ぶことができるかというのが大変大きな要素であろうと思います。
 したがって、下村先生から難病のお子さんのQOLという言葉をお聞きいたしまして私が最初に思い浮かべるのは、政治や行政がそういうお子さんに対してどれだけ温かいことをして差し上げることができるのか。とりわけその病弱養護学校の設置が、高等部等がおくれているというような話。あるいは前にも先生からお話がありましたが、病院内の特殊学級とか、先ほども質問がありましたが訪問教育とか、そういうようなところでどこまできちんと温かくできるかというのが文部省にとっても大きな課題だ、そのように認識いたすわけであります。
○下村泰君 大変鳩山文部大臣御理解があるので、こういうことをお話になったらこういうふうにいこうかなと思っているうちに上手に逃げられるんですけれども、近々私会う予定でおるんですが、ミトコンドリア筋症という難病で片時も人工呼吸器を離せない平本歩ちゃんですね。もうこれ大臣御存じでしょう。ことしの春、尼崎市立の小学校に入学しました。これはもう厚生大臣も御存じだろうと思います。
 実は厚生大臣、この人工呼吸器を在宅で使う、自分のおうちで使うと保険の対象にならないんです。保険の対象から外されるんですね。そのために自宅を売って、六百万円かけてと言っていますが、これ八百万円ぐらいかかっているらしいんです。その人工呼吸器とそれに関連する費用を賄う。そして、毎月十万を超える経費と二十四時間のケアのためのマンパワーの確保に追われながら頑張っているわけです。
 難病であろうと一人の人間です。結局その赤ちゃんのQOLですね、これは人間としての赤ちゃんのQOLなんです。生命の危険を案じる人もいます、学校へ行くことは。けれども、この子にとっては完全なこれはQOLなんですね。ですから、親御さんにしてみれば、学校へ通う途中であるいは絶命することがあるかもわかりません、命が絶たれることがあるかもわかりません。しかし、何としてもこの子のQOL、人間としての生きることを味わわせてやろうということで、こういうふうに無理をしてでもこのお子さんを学校に通わせていると、こういうことなんですね。
 ですから、こういうことに関して両大臣がどういうふうなお考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(鳩山邦夫君) 臨教審が個性尊重ということをおっしゃった。私たちはもう少しそれを幅広くとらえてみれば、それぞれの個に応じた教育、それぞれのお子さん一人一人にどこまで応じることができるかというのが現在の教育の最大の課題だというふうに考えておりまして、ただいま先生から御指摘のようなケースでも、それは本人の気持ち、親御さんの気持ち、いろいろとあろうと思いますが、教育行政という立場からどこまでして差し上げることができるのかという、先ほどの先生の表現をかりればどこまでそのお子さんを輝かせることができるのかという、どこまでできるか限界まで挑戦するという気持ちを行政の立場にいる我々が失ってはいけないと思います。
○下村泰君 時間が来ましたので、これで終わりにさせていただきます。厚生大臣、結構です。
 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 以上で下村君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて一般質疑は終了いたしました。
○委員長(中村太郎君) この際、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、第一班の報告を前田勲男君にお願いいたします。前田君。
○前田勲男君 予算委員会派遣第一班の調査について御報告いたします。
 第一班は、中村委員長、吉川理事、佐藤理事、太田理事、吉岡理事、西田委員、櫻井委員、清水委員、喜屋武委員、そして私、前田の十名で編成され、二月十九日から二十一日までの三日間、沖縄県を訪れ、沖縄振興開発の現状及び県経済並びに財政等の実情を調査するとともに、首里城修築状況、長浜原花卉生産団地、部瀬名リゾート開発等広く現地視察を行ってまいりました。
 まず、沖縄振興開発の状況について御報告いたします。
 昭和四十七年五月十五日、沖縄が本土に復帰いたしましてからことしはちょうど満二十年目に当たります。この間、沖縄県民の御努力はもとより、第一次、第二次と二度にわたる振興開発計画の策定、実施により、これまでに総額三兆四百九十八億円が投資され、沖縄県の振興開発が進められてまいりました。これによって、高速道路網の整備、水資源開発のためのダム建設、土壌改良等の農業基盤整備等々、各種の社会資本や基盤整備が行われてきたところであります。
 その結果、今日の沖縄県の人口は昭和四十七年の本土復帰時点に比べ二十五万人増加し、経済成長率も実質平均六・七%と、全国平均の四%を上回る高い成長をしてまいりました。
 また、一人当たり県民所得も復帰時点の四十四万五千円から百九十万円へ四・三倍増加し、全国の三・五倍を上回る増加となり、本土との格差は総じて縮小の方向に向かっております。しかし、格差が縮小しているとはいえ、一人当たり県民所得は現在なお金国平均の七三から七四%程度と、全国最下位であることも事実であり、引き続き格差是正に向けた努力が必要であると痛感いたしております。
 経済につきましては、駐留米軍基地が県面積の約一一%を占めていることや、離島が多く、本土からの距離が遠いこと、さらには水資源面での制約などから、第二次産業の割合が二二%と、全国の三八・七%に比べて著しく低くなっているのに対し、観光産業を中心とした第三次産業の割合が七七・二%と、全国の六四・二%を大きく上回るという特徴を持っており、特に製造業ではこれといった産業がないのが実情であります。
 第一次産業では、サトウキビが沖縄の基幹産業として栽培されておりますが、近年では亜熱帯性の恵まれた気候を利用した野菜栽培、特に最近は本土向けの花卉栽培が著しい伸びを示し、さらに畜産も盛んとなり、将来の成長産業として期待されております。
 また、財政につきましても、経済面での弱さを抱えており、歳入面における県税の割合は三年度で一四・五%と、全国の四一%に比べて約三分の一程度であります。そのため、自主財源の割合は二二・六%と全国の五六%の半分以下となっている反面、国に依存した財源の割合は七七・四%と実に四分の三以上を占め、全国の四四%平均を大きく上回っております。その結果、沖縄県の財政力指数は〇・二六と、全国の〇・五の約半分で、全国第四十位と大変厳しい状況が続いております。
 最後に、先日、沖縄振興開発特別措置法及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律がともに改正、延長され、引き続き国庫補助負担率及び税制、金融上の特別措置が継続されることとなりましたが、これに基づき一刻も早く第三次沖縄振興開発計画が策定され、沖縄県のさらなる発展に寄与されますことを強く期待いたすものであります。
 以上、報告を終わります。
○委員長(中村太郎君) 次に、第二班の報告を井上吉夫君にお願いいたします。井上君。
○井上吉夫君 第二班につきまして御報告いたします。
 第二班は、鹿熊理事、久保理事、梶原理事、井上章平委員、須藤委員、小林委員、中西委員、乾委員及び私、井上吉夫の九名で編成され、二月十九日から二十一日までの三日間、宮崎、鹿児島の両県を訪れ、南九州の産業経済の動向、両県の経済、財政の実情等について概況説明を聴取するとともに、宮崎県においては国際海浜コンベンション・リゾートゾーン等を、鹿児島県においては鹿児島県工業技術センター、桜島の防災工事状況等について現地視察を行うほか、地元の産業についても広く調査を行ってまいりました。
 以下、経済、財政の概況について御報告いたします。
 まず、産業経済の動向ですが、南九州は第一次産業に依存する割合が高く、中でも畜産のウエートが大きいのが一つの特色となっております。しかしながら、第二次産業につきましても、従来から空港、高速道路など産業基盤の整備に力を入れるとともに、積極的に企業の誘致に努めた結果、IC及びその関連企業の進出が目立っており、ICの生産量は全国の約二五%を占めるに至っております。また、近年、首都圏に端を発した地価上昇や人手不足が中央の企業に地方分散を促す効果をもたらし、南九州でも企業進出が着実に増加しております。これらの中には千名近い雇用規模を有する企業あるいは先端産業も多数含まれ、地域経済の高度化、活性化に寄与するものと期待されております。
 景気動向につきましては、住宅建設は低調であるものの、設備投資や公共事業は高水準を維持しているほか、個人消費も総じて堅調に推移しております。こうした動向を背景に鉱工業生産は高水準ながら業種間でのばらつきが見られますが、企業収益は前年並みの水準を確保しており、雇用面でも企業の人手不足感が続いているなど、景気はひところに比べ好況感は薄れているものの底がたい動きとなっているとのことでありました。
 景気動向を反映して、南九州を管轄する熊本国税局の三年度の国税収納状況は所得税が順調な伸びを見せるほか、全国ベースでは落ち込みが目立っている法人税についてもほぼ横ばいとなるなど、総じて堅調に推移しております。
 次に、宮崎、鹿児島両県の財政状況についてであります。両県とも歳入面では自主財源の割合が三割に満たず、地方交付税等に大きく依存した歳入構造となっております。一万歳出面では、人件費、公債費等義務的経費の割合が四割強を占めるなど財政の硬直化が進んでおりますが、社会資本の整備を積極的に推進してきたことから投資的経費の割合はいずれも三五%程度と高くなっております。今後とも、公共事業、高齢化対策等財政支出の増加が見込まれることから、両県とも引き続き行財政改革を推進し、経費の節減合理化を図る等により所要財源の確保に努める一方、国においても地方財源の充実のため、地方交付税の所要額の確保、公共事業費の傾斜配分等が行われるよう要望がありました。
 現在、宮崎、鹿児島両県とも、第四次宮崎県総合長期計画及び鹿児島県総合基本計画といった長期計画に基づき、地域産業の振興、高速道路網の整備、長寿社会対策ほか、さまざまなプロジェクトを積極的に推進しつつ定住環境の整備など過疎対策にも配慮した県土づくりを進めており、両県からは各般の施策に対する国の一層の支援が求められました。
 以上で第二班の報告を終わります。
○委員長(中村太郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日の審査はこの程度といたします。
 明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十三分散会