第124回国会 決算委員会 第4号
平成四年九月十八日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十七日
    辞任        補欠選任
     永野 茂門君    泉  信也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        大渕 絹子君
    理 事
               沢田 一精君
               鈴木 貞敏君
               会田 長栄君
               村田 誠醇君
               常松 克安君
               高崎 裕子君
    委 員
               泉  信也君
               尾辻 秀久君
               清水嘉与子君
               清水 達雄君
               椎名 素夫君
               南野知惠子君
               藤田 雄山君
               矢野 哲朗君
               菅野  壽君
               角田 義一君
               中尾 則幸君
               西岡瑠璃子君
               堀  利和君
               森  暢子君
               木庭健太郎君
               山下 栄一君
               直嶋 正行君
               井上 哲夫君
               下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣 山下 徳夫君
       運 輸 大 臣 奥田 敬和君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)      野田  毅君
   事務局側
       常任委員会専門
       員       吉田 堯躬君
   説明員
       総務庁長官官房
       参事官     松冨 泰生君
       国土庁土地局土
       地利用調整課長 高橋 良忠君
       国土庁地方振興
       局総務課長   斉藤 恒孝君
       法務省民事局第
       二課長     小池 信行君
       法務省人権擁護
       局調査課長   澤田 成雄君
       法務省入国管理
       局入国在留課長 小山  潔君
       大蔵省銀行局保
       険部保険第二課
       長       松田 広光君
       厚生大臣官房審
       議官      佐々木典夫君
       厚生省健康政策
       局長      古市 圭治君
       厚生省保健医療
       局長      寺松  尚君
       厚生省社会・援
       護局長
       兼児童家庭局長
       事務代理    土井  豊君
       厚生省老人保健
       福祉局長    横尾 和子君
       厚生省保険局長 古川貞二郎君
       社会保険庁運営
       部長      佐藤 隆三君
       運輸省自動車交
       通局長     土坂 泰敏君
       運輸省航空局飛
       行場部長    平野 直樹君
       労働大臣官房審
       議官      中井 敏夫君
       労働省労働基準
       局監督課長   戸苅 利和君
       建設省建設経済
       局宅地開発課民
       間宅地指導室長 榊  正剛君
       自治省行政局選
       挙部長     吉田 弘正君
       会計検査院事務
       総局第一局長  阿部 杉人君
       会計検査院事務
       総局第二局長  小川 幸作君
       会計検査院事務
       総局第三局長  佐藤 恒正君
       会計検査院事務
       総局第五局長  中島 孝夫君
   参考人
       環境衛生金融公
       庫理事     仲村 英一君
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  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計歳入歳出決算、平成二年度
 特別会計歳入歳出決算、平成二年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成二年度政府関係機関
 決算書(第百二十三回国会内閣提出)
○平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百二十三回国会内閣提出)
○平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百二十三回国会内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、永野茂門君が委員を辞任され、その補欠として泉信也君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) 平成二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は厚生省、運輸省、経済企画庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○会田長栄君 おはようございます。
 私は、佐川急便問題につきまして端的にお伺いしていきます。
 さきの国会における本院の予算委員会におきまして、茨城佐川のトラックターミナルの都市計画法違反が我が党の佐藤三吾議員及び種田誠議員から提起されて問題点が明らかになりました。その際、奥田運輸大臣も、「茨城佐川の件につきましては全く行政上の認可ミスであったと。もちろんもとの営業所に差し戻したわけでございますけれども、このような認可をめぐる不手際に対しましては厳重に注意すると同時に、反省もいたしております。」、こうお答えになりました。同時に、
山崎建設大臣も同じく、「ただいま運輸省の方から、同様の事例がないかどうか調査してみたい、そして建設省の協力を得たい、こういうお話でございましたので、運輸省と十分協議をし、協力いたしたいと存じます。」と答弁しております。
 そこで、これに関連いたしまして質問申し上げます。
 まず第一は、佐川急便グループのトラックターミナルについて調査する旨約束されましたが、その調査結果について御報告をお願い申し上げます。特に、違反があったかどうかを含めてお願い申し上げます。
○説明員(土坂泰敏君) 先国会で、今お話がございましたように、先生方から佐川のトラックターミナルについて都市計画法上問題がないかどうか運輸省として調査するようにという御指示がございました。運輸省ではこれを受けまして、佐川グループのいわゆる営業所と申しておりますが、そういうターミナル、全体で八百九十一あるわけでございますが、これが市街化調整区域の中で都市計画法上の手続を、許可をとることなく設置されていることがないかどうか、これについて建設省を通じまして都道府県の開発担当部局に確認をお願いしたところでございます。そういたしましたところ、今申し上げました佐川急便グループの営業所の中で、市街化調整区域の中でいわゆる都市計画法の許可を受けずに設置されておりますものが全部で十カ所あったということが判明いたしました。
 この十カ所について内容を御説明させていただきますと、まず路線トラックターミナル、これは市街化調整区域の中でも許可が要らないわけでございますが、路線トラックターミナルの施設として調整区域の中に設置された施設、これを区域トラックのターミナル、これは許可が要るわけでございますが、その許可を得ることなく路線トラックターミナルとしてつくられた施設をそのまま使っている、こういう事例が全部で八件あったわけでございます。これは都市計画法の四十三条の違反でございまして、その許可を得ていなかったわけでございます。
 これにつきましては、私どもとして是正をお願いいたしまして、八カ所あったうち五カ所につきましては既に市街化調整区域の中からしかるべき場所に移転しておりまして、これは是正が行われております。それから、残る三カ所につきましては現在移転のための用地を交渉中でございまして、引き続き移転について強力に指導をしてまいりたいと思っているところでございます。
 それから、もう一つの類型といいますか違反といたしましては、市街化調整区域の中で工場として都市計画法の許可をいただいた施設があるわけでございますが、その工場として許可を受けた施設を、用途変更の許可を受けることなく、それをそのままトラックの施設に使っているという例がございました。これも都市計画法の四十二条の違反になるわけでございます。これにつきましても是正をお願いいたしまして、既に移転をしているところでございます。
 それから最後に、もう一つ類型がございまして、これはいわゆる区域トラックとして市街化調整区域につくることについてのお許しはいただいておるのでありますが、その許可をいただいた後で、今度は都市計画法の許可を受けずに、許可をもらった土地の隣の土地に別の施設を区域トラックがつくったという例がございまして、これについても原状回復をお願いしまして、原状回復をしていただいておるところでございます。
 したがいまして、十カ所あったうち七カ所につきましてはいずれもそういう格好で是正が行われておりまして、残る三カ所は移転のための用地を今佐川の方で交渉なさっておるところでございます。それを引き続き強力にお願いしている、そういう状況でございます。
○会田長栄君 予算委員会の質問があった以降調査をして、違反事例が十件ありましたということについて私は驚きましたよ。それはなぜかというと、佐川急便問題というのは六十一年ごろから非常に問題になってきておりまして、そういう意味では茨城佐川の問題だけが私は報告されるんだと思いましたら、本日、十件ありましたということを聞いてまことに驚いたということでございます。その調査については御苦労さんでした。
 ここで、特に十件の事業者名と所在地、聞かせていただけませんか。
○説明員(土坂泰敏君) 順番に北から申し上げますと、第一番目は青森佐川急便の弘前営業所でございます。これは路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っていた例でございます。
 それから、次が群馬佐川急便の本社営業所でございまして、これも今申し上げましたと同様の、路線トラックの施設を区域トラックの施設に許可を受けずに使っていた事例でございます。
 それから、三番目が茨城佐川急便の本社営業所、これが先国会で御指摘を受けたものでございまして、同じような路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っていた事例でございます。
 それから、四番目が茨城佐川急便の下館営業所、これは路線トラックの施設を同様に区域トラックが許可を受けずに使っておりました。
 それから、五番目が土浦佐川急便の鹿島営業所でございまして、これは工場として許可を受けたものをトラックが用途変更の許可を受けずに使っていた事例でございます。
 それから、六番目、北関東佐川急便の草加営業所、これは農業用倉庫としてつくられた施設を、農業用倉庫の場合は許可が要らないのでございますが、区域トラックが許可を受けずに使っていた事例でございます。
 七番目、埼玉県の三郷にございます美穂運輸と秋庭運送の営業所でございます。これは路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っておりました。
 八番目、滋賀佐川急便の竜王営業所、これは路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っておった事例でございます。
 九番目、大阪佐川急便の北大阪営業所、これは区域トラックが一たん許可を受けてつくった施設の隣の土地に、今度は許可を受けずに建物を建てた例でございます。
 それから最後が、松山佐川急便の本社営業所でございまして、これは路線トラックの施設を許可を受けずに区域トラックが使っておりました。
 以上、十件でございます。
○会田長栄君 細かに聞いて相済みませんけれども、十カ所の事業者名わかりました。その事業者名の所在地等、先ほど答弁いただいたんですが、違反事由というものとその根拠を述べてください。
○説明員(土坂泰敏君) 順番に一つ一つ申し上げますと、まず青森佐川急便弘前営業所は、青森県弘前市大字鏡関字鶴田二十六の一でございまして、路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っていたと申し上げましたが、その許可というのは都市計画法の四十三条に基づく許可でございます。したがいまして、これは何の違反かといいますと、都市計画法四十三条の違反になるということでございます。
 それから次に、群馬佐川急便の本社営業所でございますが、これは群馬県高崎市萩原町屋敷間十八でございます。これも路線トラックを区域トラックが使っておりましたので、同様に都市計画法四十三条の違反でございます。
 次に、茨城佐川急便の本社営業所、これは茨城県水戸市美川町字丹下一の牧二千百三十一の三百十五。これは路線トラックの施設を区域トラックが使っておりましたので、同じく都計法四十三条の違反になります。
 茨城佐川急便下館営業所、茨城県下館市大字神分弁天百三十二。これも同じでございまして、都市計画法四十三条の違反でございます。
 それから土浦佐川急便鹿島営業所、茨城県鹿島郡鹿島町大字根三田字野田千四百六十九の三。これは開発許可を受けてつくられた施設を用途変更
の許可を受けることなく使った例でございますので、都市計画法四十二条の違反でございます。
 北関東佐川急便草加営業所、埼玉県越谷市谷中町四の十八の一。これは農業用倉庫を区域トラックが許可を受けずに使っておりました。都市計画法四十三条の違反でございます。
 それから、美穂運輸と秋庭運送の営業所、埼玉県三郷市半田上ノ割二十六の一。これは路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使っておりましたので、都計法四十三条の違反でございます。
 佐川急便竜王営業所、滋賀県蒲生郡竜王町大字七里七百九十九。これは路線トラックの施設を区域トラックが無許可で使っておりました。都市計画法四十三条の違反でございます。
 それから、大阪佐川急便北大阪営業所、大阪府茨木市南安威一の九の十六。これは建築許可を受けてつくったものの隣地に建築許可を受けずにつくったということでございますので、都市計画法四十三条の違反でございます。
 松山佐川急便本社営業所、愛媛県松山市南高井町百七十八の一。これは路トラの施設を区域トラックが無許可で使っておりました。都計法四十三条の違反でございます。
○会田長栄君 違反事例を聞きました。
 そこで、事業者名が佐川でない例があるんですね。これはなぜでございますか。
○説明員(土坂泰敏君) 佐川急便は御承知のように全体で一つのグループになっておりまして、佐川が何らかの格好で資本系列に組み入れて、仕事の上で提携しながらやっている。そういう関係で、全体で一つのグループとして荷物を集めて幹線輸送して、また荷物を配送するというやり方をしておりますので、これは佐川という名前はついていませんけれども、佐川の系列会社でございます。
○会田長栄君 この美穂運輸、秋庭運送、有限会社本社営業所等と先ほどお答えいただきましたが、この点につきましてこの事業者は佐川グループと一体言えるんだろうか。佐川グループと言うならその根拠があるんでしょう。それを教えてください。
○説明員(土坂泰敏君) 佐川グループでありますところの、今申し上げました佐川の資本系列にあります会社といたしまして東日本運輸興業という会社が、路線の会社でございますがあるわけでございます。この東日本運輸興業株式会社のいわゆる下請をこの秋庭運送というのがやっておる、そういう関係でございます。
○会田長栄君 それでは、それぞれの違反が行われた時期、例えば申請者と違う事業者が営業していた場合はその営業開始時期というように、それぞれの違反事例について時期を特定していただきたい。
○説明員(土坂泰敏君) まず、青森佐川急便の弘前営業所でございますが、これは路線トラックの施設を区域トラックが許可を受けずに使ったわけでございますが、その区域トラックがその施設を設置するにつきまして、いわゆる貨物自動車運送事業法、もとの道路運送法でございますが、それに基づいて事業計画の変更認可が必要でございます。したがいまして、その変更認可を受けてから初めて区域トラックとしてそこが使えるようになるわけでございますので、違反の始まった時期と申しましょうか、その言葉がいいのかどうかわかりませんが、それは一応事業計画の変更認可があった時期というふうに考えておるわけでございますが、それを申し上げたいと思うのでございます。
 今申し上げた弘前営業所につきましては、五十七年の八月十日に事業計画の変更認可をいたしました。
 それから、群馬佐川急便の本社営業所でございますが、これは五十八年の七月三十日に事業計画の変更認可をいたしております。
 それから、茨城佐川急便の本社営業所でございますが、これは平成三年の十二月二十七日に事業計画の変更認可をいたしました。
 次に、茨城佐川急便下館営業所でございますが、これは平成三年四月三日に事業計画の変更認可をいたしております。
 それから、土浦佐川急便の鹿島営業所でございますが、これは二件ございまして、一件は五十八年の一月十日、もう一件は五十八年の九月六日にそれぞれ事業計画の変更認可をしております。
 それから、北関東佐川急便草加営業所、これは平成元年の四月一日に事業計画の変更認可をいたしました。
 それから、美穂運輸と秋庭運送でございますが、美穂運輸につきましては平成三年六月十日、秋庭運送につきましては平成三年四月二十三日に、それぞれ事業計画変更認可をいたしております。
 それから、滋賀佐川急便竜王営業所でございますが、六十一年の十二月二十三日に事業計画変更認可をいたしております。
 それから、大阪佐川急便の北大阪営業所でございます。これは一たん許可を受けた施設の隣の土地に何ら手続をとることなくつくった例でございまして、現在は原状が回復されておるわけでございますが、その隣接地に違法に建築した時期につきましては実は正確に私どもとして確認ができておりません。また、これにつきましては事業計画の変更認可もございませんでした。しかし、先ほど申し上げましたように、既に原状は回復されておるわけでございます。
 それから最後に、松山佐川急便の本社営業所でございますが、これは五十六年の十月十二日に事業計画の変更認可をいたしております。
○会田長栄君 その次に、それぞれの具体的事例について、運輸省と建設省は違反をいつ確認いたしましたかということを聞かせてください。
○説明員(土坂泰敏君) これは、国会で御指摘を受けまして、先ほど申し上げましたように、私どもの方で佐川のターミナルというのをリストアップいたしまして、建設省を通じて各都道府県の開発部局からそれぞれ一件ずつ確認をいただいたということでございます。その結果、全体を整理すると今申し上げたようなことになるわけでございますが、都道府県の開発部局がいつの時点でこれが違反であることを確認されたかということまでは私どもは承っておりません。
○会田長栄君 そうすると、さきの国会で予算委員会の中で我が党の同僚議員が佐川急便の水戸ターミナルの問題を質問して以降、具体的なそれぞれの違反した事例があるのかないのかということを調査したと今お答えになったんですね。そうすると、少なくとも、先ほどお答えいただいたように、昭和五十一年ごろからこの問題がもう次々と端を発しているんですね。しかし、国会の中で指摘がなければいまだにこれが是正されずにいるやもしれぬ。こういう確認をしてよろしゅうございますか。
○説明員(土坂泰敏君) いわゆる貨物自動車運送事業法で営業所なり車庫なり、そういったものを認可するに当たりまして、都市計画法上、例えば市街化調整区域でこれこれの許可が必要であるということが決まっております場合には、その許可を得ているかどうかを確認した上で事業計画の変更認可があり、そういう処分をするという決まりになっておるわけでございます。現実には、これはまことに申しわけないことでございますが、その確認がきちんと行われていなかった、そのためにこういう事態が生じたわけでございまして、今先生のお尋ねに率直にお答えすれば、御指摘がなければそのままになってしまった可能性があると思います。
 ただ、申し上げたいことは、実はこういうことで御指摘を受けていろいろ調査をし違反もわかりましたので、私どもこれからは、事業計画の変更認可をするに当たりまして、事前に一件一件につきまして都道府県の開発担当部局にお問い合わせをする。これは許可が要るものでしょうか要らないものでしょうか、要る場合にはちゃんととっているんでしょうかということを確認いたします。そして、必要な都計法上の手続がとられていると
いう御返事があったことを確認してから事業計画変更認可をするようにするということにしたいと思いまして、これは建設省と十分すり合わせをいたしました上で、九月三日付で地方運輸局長に対しまして、今後はそういうように事務処理をして遺漏がないようにしなさいということを通達させていただきました。
○会田長栄君 私は、同一グループが都市計画法にこれほど違反しているということを聞いて実は驚いているんです、これ同一グループですからね。これは意図的、計画的でなきやこういうことはできないと私は思うんですよ。そこで、これは多分に法的にやっぱり問題があるんだと私は思うんですよ。それでなけりゃこれはなかなか国民は納得しないでしょう。
 そこで、二点お伺いしますが、一つは、法的に都市計画法そのものがこのような違反をチェックしにくい。チェックしても容易に発見できにくいものがこの都市計画法にあるのではないかと私は思うんです。その点についてどういう見解をお持ちですか。
○説明員(榊正剛君) お答え申し上げます。
 今回の案件につきましては、どちらかと申しますと、トラックターミナルということで、例えば特別積み合わせと一般積み合わせというのは外形的に非常によく似ているという点がございます。それから特別積み合わせにつきましては、開発許可の適用除外という点がございます。この二点を考慮いたしますと、一般論としては、用途が変わるということでございますれば都道府県の部局の者がパトロールすれば判断できるというふうに考えておるわけですが、先ほど申し上げましたように、非常に類似したものであるとチェックしにくいケースがあろうかというふうに考えております。
○会田長栄君 私は、同一グループが国会で指摘されて、初めて水戸ターミナルの問題が出てきて解決しましたと。その後調査してくださいと頼んだら、今度は調査しましたと。そうしたら、同種類のものが十件も出てきた。私はこのことだけ聞いて驚いたと先ほど言ったんですよ。
 だから、都市計画法の中にチェックしても見逃すようなところ、あるいは容易に発見できないというようなことがあるんではないんですかと、こう聞いているんだから、そこのところを率直に答えてくださいよ。都市計画法が万全にできていれば、調査してくれと言ったら、調査してみたら今度は同一グループで十件も発見しましたなどということを答える方も勇気があるだろうと私は思うし、しかしそこを聞いているわけじゃないんですよ。何でこういうものをチェックできなかったのか、あるいは容易にチェックできないような法律になっているんじゃないんですかと、こう聞いている。だから、そこの所見を、見解を聞かせてください。それは率直でいいですよ。
○説明員(榊正剛君) 先ほど申し上げましたように、用途が見て明確にわかるようなケース、これにつきましては容易に判定できるものというふうに私ども考えております。ただ、今回のように、特別積み合わせの貨物ターミナル、それから特別積み合わせではない一般貨物のターミナルということでございますと、外形的にほとんど類似の施設でございますので、こういうようなケースにつきましてチェックが漏れたということではないかというふうに考えております。
○会田長栄君 それじゃ率直に聞きますよ。同一グループが十件の違反を出すことについて一体どのように反省していますか。それは仕方ないと見ているんですか。
○説明員(土坂泰敏君) 運輸省の所管である貨物自動車運送事業者が、都市計画法の所要の手続をとらずにターミナルを設置するということはあってはならないことでありまして、運輸省としては反省しておるところでございます。したがいまして、今後こういうことがないようにという自戒の念を込めまして、先ほど申し上げましたとおり、九月三日に、今後は一件ずつ開発担当部局と十分すり合わせて確認をいただくようにという指示をさせていただいたということでございます。
○会田長栄君 それでは、建設省はさきの国会で都市計画法の改正を行いましたね。どうですか。
○説明員(榊正剛君) そのとおりでございます。
○会田長栄君 都市計画法の改正を行った。それでは今度は、今回の違反のようなものは再発を防止することができるという内容になっていますか。
○説明員(榊正剛君) 先ほど運輸省の自動車交通局長から御答弁いただきましたように、私どもといたしましては、運輸省と十分協議した上で九月三日付で通達を出しておりまして、この通達によりまして再発防止は完全にできるというふうに考えております。
○会田長栄君 要するに、この種の違反事例については改正した法律に基づいて防止できると自信を持って今答弁をされました。どうぞ二度とこういう例のないようにチェック機能を確かにしてやってほしいとお願いしておきます。
 私はなぜこの問題をお尋ねしているかというと、佐川急便という会社は、前回の決算委員会でも申し上げましたが、手口、やり方、方法、まことに法のもとで触れるかすれすれか、非常に際どいことをやって物流業界の第二位の地位を築いてきたんですよ。だから、今佐川急便の元会長と東京佐川急便の元社長と前常務と政治家との間に金銭授受の問題がとやかく議論されていますよ。しかし、私は、政治家はもちろんのこと、これは一方で佐川急便のようなやり口というのは必ず金融機関が援助している、これも見逃せない事実ではないのか。
 庶民が銀行に行って、金を貸してくださいと言えば、担保はありますか、担保は何にしてくれるんですかと。いやこの土地ですと。それでは仕方ありませんね、八割までですねと。そういう厳しい金融環境の中にあっても必ずこれは金融がバックにいる。ところが、政治家と金融がバックにいたってそれはできない。必ず行政がここに、言葉を選んで言いますけれども、見て見ないふりするか、あるいは見てもまあこれぐらいの程度だったらいいのではないかと見逃すか、そういうことでなければこんな成長は遂げられないと私は思うんですよ。
 佐川急便で働いている人たちの気持ちを考えたら私は無性に腹が立って仕方ないんです。あの人たちの朝早くから夜中までの動きを見てみてください。これは皆さんが悪いという意味じゃありませんよ、それは経営陣が悪いからなんでしょうけれども。あの苦労を考えたらこんなことできるわけがないんです。それにもかかわらず平気で今日これをやり通してきて、結果的に政治の信頼の問題まで問われるようになってしまったということを考えると、いても立ってもいられない。一日も早くこういうことのないような企業になってもらわなきゃいかぬ。そのことがあの佐川急便で働いている人たちに対する私は最低のルールだと思っているんですよ。
 だから、お尋ねしているわけです。これは少なくとも他の機関がそれなりになったとしても、行政がきちっと法のもとにチェック機能を的確に発動していれば、私はこういう状態ではなかったんではないかという気がするんです。これは非常に大事な問題であります。こんな問題が調べてみたら十件ありました。もっと調べればあるかもしれません。
 これは、国土庁は来ていると思いますから、関連して聞きますよ。
 トラックターミナルを建設するとか、あるいは佐川急便の施設をつくるとかといって国土法違反のようなことをやりながら、実際は全国的にどのように一体展開されていくかということを考えると私は聞かざるを得ない。これは国土庁は調査していますか。国土法違反とは言わない、私はここで。国土法違反のようなものがそれぞれの自治体の中にどのように発生しているか調査したことがありますか。
○説明員(高橋良忠君) 国土法の違反の疑いのあ
る案件につきましては、各都道府県におきまして調査を行いまして、違反の事実等が確認された場合には告発等の措置を含めまして厳正に対応してきたところでございます。
 国土庁におきましては、御指摘のような点も含めまして、マスコミ等で報道されている幾つかの案件につきましては、都道府県に事実関係の確認を含め適切な措置をとるように指導しているところでございます。
○会田長栄君 調査していますかと聞いたんですよ。
○説明員(高橋良忠君) 都道府県等を通じまして、事実関係の確認を含めまして今指導を行っているところでございます。
○会田長栄君 調査を含めて指導すると言ったんですか。
○説明員(高橋良忠君) そうでございます。国土法の違反案件につきましては、常日ごろ都道府県を通じましてその施行の実態といったものを緊密な連絡をとりながら対応しているところでございます。
○会田長栄君 これが遅いと言っているんですよ、私は。先ほど答弁をお聞きになっていたでしょう。五十一年ごろの話なんですよ。そして今問題になっているんですからね。やっぱり積極的に国土庁だって、なるほど佐川グループのやり口、手口というのは賢いと言えば賢い、しかし庶民から見たらこれはずるい、こういうやり方というものが問題になってきているときだから、調査してくださいと言われなくたって調査して、実はこことここにその疑いのある件数が出ていますぐらい言うのがこの問題を審議しているときに親切じゃないんですか。どうですか。
○説明員(高橋良忠君) 今御指摘ございましたように、国土庁といたしましては、今都道府県と緊密な連絡をとりながら対応しておるところでございまして、そのような形で従来から対応してまいりましたし、本件につきましてもそのような形で対応しているところでございます。
○会田長栄君 あえて私、ここでもう具体的に申し上げません。二カ所ありますよ、二カ所。この場所で言ってもいいですけれども、せっかくこれから調査するというんだから言わない。ないんじゃないんです。もうとっくに話題になっているんです。だからまじめに、それこそ静かに各地方自治体にお尋ねすればすぐわかることなんです。どうぞその点は次回のときに再度お尋ねしますからよろしくお願いしておきます。いいですね。
○説明員(高橋良忠君) 今、都道府県等におきまして、国土法違反の事実が確定した場合には、告発等を含めまして厳正な対応をしているところでございます。そのような告発等がなされた後であれば、事実関係の措置等についてお答えすることができるかと存じます。
○会田長栄君 今、答弁を聞いていると、私は端的にもう二件が該当しているというんですよ。だから、それが実際に問題になったら告発して適正な指導をいたしますではなくて、先ほどからの議論と関連して聞いていてください。
 私は、こういうことは偶発的にできるとは思わないんです。組織的に意図的に計画的にやっていると私は言っているんです。私の考えですよ、これは。
 だから、こういう指摘があった以上、国土庁だって法律違反していいなんということはないんだから、見つかったら厳正に対処しますぐらいでは私は弱いんではないかと、こう申し上げておきますよ。だから、もう少し本音を割って調査したらいいんじゃないですかと、こう聞いている。
○説明員(高橋良忠君) 先ほどからお答え申し上げておりますように、国土法違反の案件につきましては、従来から都道府県等を通じまして、緊密な連絡をとりながら、その実態等の把握に努めているところでございます。
○会田長栄君 それは、私は今の答弁を聞くと受け身に聞こえる。今やこの問題は、国土庁だってそういう違反事件があるとすれば積極的に対処しなきゃならない情勢に来ているんだから、それで報いていったらいいんじゃないですかと、こういうことを言っているわけです。
 そこで、話を戻します。運輸省と建設省にひとつ御所見を承っておきたい。
 それは、先ほど私申し上げましたけれども、今回の佐川グループの違反はきょう十件だと。これは単に個々の地域、あるいは事業所の違反ととらえているのか、それとも佐川グループ全体の組織的な全国展開の中で起きている違反だと思うのか、どのようにとらえているか御所見を聞かせてください。
○説明員(土坂泰敏君) 佐川グループは急速に成長した会社でございまして、その成長に合わせてターミナルの整備も進めてまいったわけでございます。ターミナルの整備につきましては、運輸省は道路運送法なり貨物自動車運送事業法に基づきまして、佐川であろうがどなたであろうが同じ基準に従いまして公平、厳正に処分をすることにいたしております。
 今回のこの都市計画法違反の事態が出ましたことにつきましては、運輸省として都市計画法の手続が十分行われているかどうかチェックした上でやるべきところを十分チェックしないで見過ごしてしまったというところに原因があるわけでございまして、運輸省としては反省すべき点があったと。これについては、先ほど申し上げましたように、今後は一件ずつ確認してきちんと処理したいというふうに思っておるところでございます。そういうことで、この問題についてはきちんと対応ができるようになるというふうに思っているところでございます。
○会田長栄君 それでは、こういう違反行為というのは繰り返されてはなりませんから、私もそう思います。
 それで、先ほど再発防止のために全力を尽くさなきゃいけないということを申し上げました。そこで、再発防止のために具体的に、建設、運輸両省とも一体これからどういう措置をしていこうとしているのか、最後に聞かせてください。
○説明員(土坂泰敏君) 結局、ターミナルを設置しようとしますと、運輸省に対しまして、現在は貨物自動車運送事業法でございますが、それに基づく申請を出して認可をもらわなければなりません。運輸省といたしましては、その申請があった段階で、個別の申請ごとに都道府県の開発部局に問い合わせをいたしまして、都市計画法上の手続がとられているかどうかの確認をした上で処理するということにしておりまして、これによりまして再発は防止できるようになるというふうに考えております。
○会田長栄君 それでは、次に変えまして、佐川急便疑惑問題について常に話題に出ている昭和六十一年八月二日に建設省経民発第三十三号、すなわち局長通達が出されました。建設省はこの制度変更、局長通達は、都市計画法施行後二十年を経過して各都市の現状を踏まえ運用面で現実的な調整をしたものと説明されておりますが、この局長通達のポイントは、そして時期はどうであったのかということについて見解をお聞きしたい。
○説明員(榊正剛君) 通達の内容でございますけれども、六十一年八月二日の通達につきましては、トラックターミナルにおきまして、地方運輸局長が積載重量五トン以上の大型自動車、これがおおむね一日平均延べ二十回以上発着するものという形で認定いたしましたものにつきまして、その大規模なトラックターミナルでありまして、四車線以上の幹線道路沿い、もしくは高速道路のインターチェンジからおおむね五百メートルの距離にあるもの、これにつきまして現在及び将来の土地利用に支障がないというふうに認めました区域につきまして、周辺の市街化区域に適地がないなどのやむを得ない理由があれば開発許可をして差し支えないという内容のものでございます。
 それから、お尋ねの点は経緯かと思いますが、経緯につきましては、社団法人全日本トラック協会より、市街化調整区域内におけるトラックターミナルの開発許可につきまして数次にわたり私ど
もに対して緩和の要望がございました。国会質疑におきましても数次にわたる規制緩和要望がございました。運輸省からも同趣旨の相談がございました。それから、臨時行政改革推進審議会におきましても、民間活力の活用による都市開発の適切な誘導、活性化のための規制の見直しが議論されておりまして、民間活力の活用による都市開発の推進を通じた内需拡大といったものが当時の重要な政策課題でございました。
 こういった点を踏まえまして、建設省としてもこれだけやるのではなくて、線引きの見直しとか、建築規制の形態規制緩和の合理化といったようなことと並行的に市街化調整区域内の開発許可基準の見直しを行ったものでございます。
○会田長栄君 もちろん、この通達が出なかったらどうなっていたのかといえば、これも今日まで審議の経過の中で幾つか話題が出ていますが、佐川急便は市街化調整区域ではトラックターミナルをつくることはできない、こうなっていたんですね。うんと言えばいいんです、通達が出なければ。
○説明員(榊正剛君) この通達は典型的なケースとして差し支えないという内容を通達したものでございまして、三十四条十号のロに該当するというふうに許可権者である知事もしくは指定市の市長が認めました場合には許可できるものでございます。現に、この通達前に調整区域内でトラックターミナルを許可した例がございます。
○会田長栄君 そう端的に答えていただければいいんです。
 いわゆる佐川急便グループが、新潟県の黒埼町にトラックターミナルをつくろうというときには市街化調整区域内ではできないということがはっきりしていました。しかし、この通達が出て、新潟県知事の君さんがいいところに通達が来たと言って直ちに許可していったというところに黒埼町問題が出てきているんですよ。
 だから、それは皆さんはそういう情勢や経過は、要望を受けてやった。しかし、それではこれを新潟県知事は巧みに利用したということになるんですか。
○説明員(榊正剛君) 私どもとしては、新潟の知事がどのような判断をしたかということについては承知いたしておりません。ただ、申し上げますところにつきましては、この通達以前にもトラックターミナルにつきまして調整区域内の開発許可を認めた例がございますということでございます。
○会田長栄君 これは、途中を私は省略しているんだ。だから、建前だけでなくて、現実にこの通達以前に佐川急便は局長通達が出ることを前提にして黒埼町で土地買収に入っていたんじゃないですかということを言いたいわけなんだ、私は。それは事実でしょう、今日までの経過の中で。だから、市街化調整区域だからトラックターミナルをつくることはできない、今の法のもと、通達のもとでは。しかし、事前にそのことを察知して新潟県知事が急便の申請に対して許可を与える予約みたいなことをやっていた。土地買収に入っていって今日批判を集めているというからお尋ねしているんです。
 これも先ほどからの違反事例があるとおり、まことにここは意図的、計画的なんです。これは地方自治体もむしばんでいる。結果的にそうなるんじゃないですかと、こう言っている。だから、その辺につきまして、私は通達の趣旨は先ほどお答えになったとおり、それはどこをつつかれても一点非の打ちどころもないほどいい答弁ですよ。しかし、これを悪用していることを知らなかったんですかということを聞きたいんだ、本当は。だから、間接的にこの問題について御所見を伺いたい、こう言ったんだ。悪用したんだもの、これは。
 これが新潟県はおろか新潟県の黒埼町長まで巻き込んで、職員まで巻き込んで一企業のために買収行動をさせたんじゃありませんかと言うんですよ。本来であれば、これは地方公務員法違反事件ですよ。法律に基づかないところのことを事前に地方公務員が一企業のために携わるなどということは、それは首長の命令といえどもやれるものではないんですよ。いや、最大の責任は首長だ。通達を出す以前に彼らが察知して事前行動をとっていたんじゃないんですか。そういう気がしませんか。全く関係ない、こうお答えになりますか。
○説明員(榊正剛君) 御指摘の点がどうだったかにつきまして、建設省としては全く承知いたしておりません。
 当時の資料、それから当時の担当者から話を聞いておりますところでは、私どもとしては、六十一年の一月から関係の都道府県と省内に検討会議を設けたのがこの通達の内容を検討する最初の会議でございます。それから、新聞に載りましたのは、六十一年の三月十五日付の新聞に、自民党の規制緩和検討小委員会への報告、当時の経済局長がそこの場に出まして説明をいたしました。その説明した内容が新聞報道されておるところでございます。
○会田長栄君 それじゃ最後に、大臣、きょうこの違反事例が十件ありましたと言って事業所名まで、それからその違反している事業がいつ始まったかまでお聞きしました。したがって、こういうことはあってならないことでありますから、とりわけ再発防止のためにどういう決意をお持ちか最後に聞かせていただいて、同僚の角田議員の関連質問に入らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(奥田敬和君) 佐川グループが大変行儀の悪い形でいろいろな違反を起こしておった、その実態解明に当たりましては、運輸行政を預かっておる運輸省の責任大であるということで厳しく反省を求め、そしてチェックを強化したわけでございます。
 御存じのとおり、佐川グループの持っておるターミナル等々全国展開の中で八百九十数カ所に及んでおります。そういった形の中で厳正にチェックをして、先ほど局長から答弁申し上げたように十件の問題点が出てまいりました。これらに関しましても、ほとんどその後の手続も含めまして是正し、復元させるものは復元という厳しい措置をとってきたところでありますけれども、あと三件が目下調整中という形で報告を受けております。
 いずれにしても、一義的には運輸省の運送法に基づく事業計画の違反でございますので、そういった点、今後とも厳正にチェック機能を強化していく立場の中で健全な物流、運送事業の展開に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○委員長(大渕絹子君) 関連質疑を許します。角田義一君。
○角田義一君 今、大臣から都市計画法違反の事例について総括的な御答弁がありましたから、私は一つだけ念を押しておきたいと思うんです。
 先ほど、会田委員の方から御質問がありまして、都市計画法上いろいろ問題があったんじゃないか、都市計画の不備なことも聞かれましたが、しかし、基本は都市計画法の不備に帰するわけにはいかない面もある。基本的にはやはり運輸行政が責任を負わなければならぬ問題である。
 なぜかといえば、例えば先ほど御指摘のあったこの十カ所について、事業変更許可というのは五十七年あるいは平成三年、こうずっと出ているわけですね。そうしますと、事業計画の許可を出すときに、おかしいじゃないか、こんなに次々出てくるのはおかしいじゃないかという当然疑問を持ってしかるべきなんだ。そういうときに、一つ一つこれはどういうわけなんだ、おまえのところは何でこんなに事業計画を変更ばかりするんだということをその当時運輸省がきちんきちんとやっておればこういうことは私は起きなかったんじゃないかと。
 逆に言えば、これちょっと大変失礼な言い方かもしれぬけれども、佐川に運輸省がなめられていると。少しぐらいのことをやったって大したことはない、別にお上も大したこと言いやしない、そういうことを佐川が思っていなきゃ、そういう気
もに対して緩和の要望がございました。国会質疑におきましても数次にわたる規制緩和要望がございました。運輸省からも同趣旨の相談がございました。それから、臨時行政改革推進審議会におきましても、民間活力の活用による都市開発の適切な誘導、活性化のための規制の見直しが議論されておりまして、民間活力の活用による都市開発の推進を通じた内需拡大といったものが当時の重要な政策課題でございました。
 こういった点を踏まえまして、建設省としてもこれだけやるのではなくて、線引きの見直しとか、建築規制の形態規制緩和の合理化といったようなことと並行的に市街化調整区域内の開発許可基準の見直しを行ったものでございます。
○会田長栄君 もちろん、この通達が出なかったらどうなっていたのかといえば、これも今日まで審議の経過の中で幾つか話題が出ていますが、佐川急便は市街化調整区域ではトラックターミナルをつくることはできない、こうなっていたんですね。うんと言えばいいんです、通達が出なければ。
○説明員(榊正剛君) この通達は典型的なケースとして差し支えないという内容を通達したものでございまして、三十四条十号のロに該当するというふうに許可権者である知事もしくは指定市の市長が認めました場合には許可できるものでございます。現に、この通達前に調整区域内でトラックターミナルを許可した例がございます。
○会田長栄君 そう端的に答えていただければいいんです。
 いわゆる佐川急便グループが、新潟県の黒埼町にトラックターミナルをつくろうというときには市街化調整区域内ではできないということがはっきりしていました。しかし、この通達が出て、新潟県知事の君さんがいいところに通達が来たと言って直ちに許可していったというところに黒埼町問題が出てきているんですよ。
 だから、それは皆さんはそういう情勢や経過は、要望を受けてやった。しかし、それではこれを新潟県知事は巧みに利用したということになるんですか。
○説明員(榊正剛君) 私どもとしては、新潟の知事がどのような判断をしたかということについては承知いたしておりません。ただ、申し上げますところにつきましては、この通達以前にもトラックターミナルにつきまして調整区域内の開発許可を認めた例がございますということでございます。
○会田長栄君 これは、途中を私は省略しているんだ。だから、建前だけでなくて、現実にこの通達以前に佐川急便は局長通達が出ることを前提にして黒埼町で土地買収に入っていたんじゃないですかということを言いたいわけなんだ、私は。それは事実でしょう、今日までの経過の中で。だから、市街化調整区域だからトラックターミナルをつくることはできない、今の法のもと、通達のもとでは。しかし、事前にそのことを察知して新潟県知事が急便の申請に対して許可を与える予約みたいなことをやっていた。土地買収に入っていって今日批判を集めているというからお尋ねしているんです。
 これも先ほどからの違反事例があるとおり、まことにここは意図的、計画的なんです。これは地方自治体もむしばんでいる。結果的にそうなるんじゃないですかと、こう言っている。だから、その辺につきまして、私は通達の趣旨は先ほどお答えになったとおり、それはどこをつつかれても一点非の打ちどころもないほどいい答弁ですよ。しかし、これを悪用していることを知らなかったんですかということを聞きたいんだ、本当は。だから、間接的にこの問題について御所見を伺いたい、こう言ったんだ。悪用したんだもの、これは。
 これが新潟県はおろか新潟県の黒埼町長まで巻き込んで、職員まで巻き込んで一企業のために買収行動をさせたんじゃありませんかと言うんですよ。本来であれば、これは地方公務員法違反事件ですよ。法律に基づかないところのことを事前に地方公務員が一企業のために携わるなどということは、それは首長の命令といえどもやれるものではないんですよ。いや、最大の責任は首長だ。通達を出す以前に彼らが察知して事前行動をとっていたんじゃないんですか。そういう気がしませんか。全く関係ない、こうお答えになりますか。
○説明員(榊正剛君) 御指摘の点がどうだったかにつきまして、建設省としては全く承知いたしておりません。
 当時の資料、それから当時の担当者から話を聞いておりますところでは、私どもとしては、六十一年の一月から関係の都道府県と省内に検討会議を設けたのがこの通達の内容を検討する最初の会議でございます。それから、新聞に載りましたのは、六十一年の三月十五日付の新聞に、自民党の規制緩和検討小委員会への報告、当時の経済局長がそこの場に出まして説明をいたしました。その説明した内容が新聞報道されておるところでございます。
○会田長栄君 それじゃ最後に、大臣、きょうこの違反事例が十件ありましたと言って事業所名まで、それからその違反している事業がいつ始まったかまでお聞きしました。したがって、こういうことはあってならないことでありますから、とりわけ再発防止のためにどういう決意をお持ちか最後に聞かせていただいて、同僚の角田議員の関連質問に入らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(奥田敬和君) 佐川グループが大変行儀の悪い形でいろいろな違反を起こしておった、その実態解明に当たりましては、運輸行政を預かっておる運輸省の責任大であるということで厳しく反省を求め、そしてチェックを強化したわけでございます。
 御存じのとおり、佐川グループの持っておるターミナル等々全国展開の中で八百九十数カ所に及んでおります。そういった形の中で厳正にチェックをして、先ほど局長から答弁申し上げたように十件の問題点が出てまいりました。これらに関しましても、ほとんどその後の手続も含めまして是正し、復元させるものは復元という厳しい措置をとってきたところでありますけれども、あと三件が目下調整中という形で報告を受けております。
 いずれにしても、一義的には運輸省の運送法に基づく事業計画の違反でございますので、そういった点、今後とも厳正にチェック機能を強化していく立場の中で健全な物流、運送事業の展開に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○委員長(大渕絹子君) 関連質疑を許します。角田義一君。
○角田義一君 今、大臣から都市計画法違反の事例について総括的な御答弁がありましたから、私は一つだけ念を押しておきたいと思うんです。
 先ほど、会田委員の方から御質問がありまして、都市計画法上いろいろ問題があったんじゃないか、都市計画の不備なことも聞かれましたが、しかし、基本は都市計画法の不備に帰するわけにはいかない面もある。基本的にはやはり運輸行政が責任を負わなければならぬ問題である。
 なぜかといえば、例えば先ほど御指摘のあったこの十カ所について、事業変更許可というのは五十七年あるいは平成三年、こうずっと出ているわけですね。そうしますと、事業計画の許可を出すときに、おかしいじゃないか、こんなに次々出てくるのはおかしいじゃないかという当然疑問を持ってしかるべきなんだ。そういうときに、一つ一つこれはどういうわけなんだ、おまえのところは何でこんなに事業計画を変更ばかりするんだということをその当時運輸省がきちんきちんとやっておればこういうことは私は起きなかったんじゃないかと。
 逆に言えば、これちょっと大変失礼な言い方かもしれぬけれども、佐川に運輸省がなめられていると。少しぐらいのことをやったって大したことはない、別にお上も大したこと言いやしない、そういうことを佐川が思っていなきゃ、そういう気
暴力団関係という大変な問題だ。それについて少なくとも国家が認可するについて、暴力団関係をこれから絶たせるというふうに大臣までも言っておられながら、三千六百九億円のうち暴力団関係が一体幾らあるかわからない、そんな形で認可されるんですか。私はとても納得できない。
○説明員(土坂泰敏君) 合併の認可は貨物自動車運送事業法に基づいて行います。貨物自動車運送事業法では、合併の認可につきましては新規に参入するときの計画基準がそのまま準用されております。これによりますと、その合併をする会社が適切な事業計画を持っておること、それから業務を確実に遂行する能力があること、こういったことを審査するようにというふうになっております。
 この合併の事案は、今までトラック事業をやってこられた方々の合併でございますから、私どもその点につきまして、つまり適切な計画遂行能力につきまして格段の問題があるとは思いませんでしたけれども、今先生仰せのように大きな債務保証を抱えての合併でございました。したがいまして、最終的には回収不能見込み額と言われております三千六百九億円、この金額を抱えて新会社が発足をしながら財務的にこの会社は成り立っていくのであろうかどうか、ここが審査の重要なポイントになったわけでございます。
 これにつきましては、三千六百九億円というものを一つの長期収支見通しを立てまして、いわゆる三千六百九億円は不良債務でございますから償却をしなければいけません。何年かにわたって損金に落として償却する、それで収支が長期的に成り立っていくのかどうか。一定の売り上げ、あるいはその利益率、そういうものを勘案して長期収支見通しの審査を厳密にいたしました。
 それからまた、その間の資金繰りということも問題になるわけでございまして、収支は成り立っても資金が続かなければ困るわけでございますが、この点につきましては銀行その他金融機関から、例えば元本の返済猶予であるとか緊急融資であるとかいう形で資金的な援助をするというお約束をいただいておりました。したがいまして、こういう不良債務を抱えて償却をしながら収支は成り立ち、その間の資金繰りにつきましても支障がないということが判断をされましたので、財務面上は問題がないというふうに考えまして認可をいたしたわけでございます。
 したがいまして、先生仰せのように、三千六百九億円の非常に異常な不良債務を抱えての合併に伴います特殊な点の審査というのは、そういう格好で法律に基づいて厳正に行ったということでございます。個々の三千六百九億円が一体どういう暴力団とのかかわりでどうなってそれが出たのかということは、貨物自動車運送事業法からは直接それを審査するようにはなっておりませんので、運輸省としては審査をしなかったということでございます。
○角田義一君 あなた、そんな政治姿勢で通用すると思いますか。冗談じゃないですよ。しかも大臣が合併を認可した後でわざわざ何と言っておられるか。その談話の中で今後暴力団とは縁を切らせると言っているんですよ。暴力団との縁を切らせるというのであれば、どういう暴力団とのかかわりの中でできた債務かということは合併を認める前提なのだ。あなたが言っているのはそれから後のことなんだ。私が言っているのは、前提としてきちっと調査をした上で、そしてこんなことが二度と起きちゃ困るということにならなきゃ筋が通らないじゃないですか。
 じゃ、聞きますけれども、大臣が談話を発表した、暴力団と縁を切らせると。具体的にはどういう担保をとったんですか。暴力団と縁を切らせるどういう担保をとったんですか。どういう保証をさせたんですか。
○説明員(土坂泰敏君) 合併の認可そのものは、先ほど申し上げましたように、貨物自動車運送事業法に基づいて厳正公平にしっかりやったつもりでございます。
 それから、暴力団とのかかわりにつきましては、個々に法律に基づいて審査することはいたしませんでした。しかしながら、運輸省の所管いたしております貨物自動車運送事業者が暴力団とのかかわりをもって世の中から指弾をされたということにつきましては、運輸省として大変残念に思い、また反省もしておるわけでございます。したがいまして、今先生御指摘になりましたように、大臣の談話にもございますように、一般的な指導として、今後世の中から後ろ指を指されることがないように経営体質の改善を図ってくださいということをお願いいたしまして、会社はこれを受けまして、新会社の進むべき方向ということで運輸省に文書を出してこられました。
 それによりますと、組織を抜本的に改革する、あるいは人事を刷新する、その他いろいろ細かいこともございますが、そういう格好でこれからは世の中に信用される会社になることを目指しますと、そういうお答えでございましたので、合併の認可とあわせて、それを確認した上で認可をさせていただいた、こういう経緯でございます。
○角田義一君 一般の会社が何も暴力団の債務を保証したわけじゃない。東京佐川というものが暴力団の債務を保証しちゃったわけだ。そうすると、今後そういうことがないようにということになれば、これは一般の指導ではないわけです、佐川に対する具体的な指導ですから。そうなりますと、当然新会社の役員なりに対して、暴力団との関係は今後一切縁を切りますとか、そういうことはしませんとかいう念書ぐらいはとってあるんでしょうな。どうなんですか。
○説明員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、新会社の進むべき方向ということで、これから新しい会社がスタートするに当たりましてどういう方向を目指すかということについて文書でいただいておるわけでございます。
 それによりますと、まず組織体制といたしまして、社内に経営会議というものを設けてトップの判断を迅速に行う、あるいは経営改善委員会というのを設けて外部からのいろんなスタッフを入れる、あるいは本社機能を充実する、内部牽制機能を強化する、あるいは監査機能にも外部の人を入れる、相談役に適正な方をお招きする、役員等主要な方々について抜本的な人事をする、それから監査役についても適当な方をお招きする、その他いろいろございまして、これは要するに新しい会社として世の中に指弾されることがないようにちゃんとやってまいりたいという決意のもとにこういうことをいただいたというふうに考えております。
○角田義一君 私は、これだけ大きな問題を起こしちゃって社会的にも指弾を浴びているんだから、当然社長以下、今言ったような連判状だ、念書だ、このくらいのものは運輸省に出してしかるべきですよ。そんな一片の形式的な文書で済むものじゃないでしょう。私が申し上げているような、血判状じゃないけれども、連判状とってないんですか。誓約書とってないんですか。
○説明員(土坂泰敏君) 今、先生が仰せになられたとおりの文章ではございませんけれども、新会社として世の中に受け入れられるように努力をいたしますという趣旨の文書をいただいております。
○角田義一君 大臣、最後にちょっとお尋ねしますけれども、東京佐川という大きな会社が暴力団の債務を保証して、そしてこれだけ大きな負債を抱えて今度は合併救済を求めてくる、これは私は非常に異常なことだと思うんですね。しかも、東京佐川の渡辺元社長の供述内容がいろいろと今日報道されております。その真偽のことはいずれ法廷で明らかになってくると思いますけれども、非常に内容が深刻だと私は思っておるんです、あの人の言っていることがもし真実であるとすれば。非常に私は深刻な問題を含んでおるというふうに思うのでございますけれども、東京佐川の渡辺元社長の供述はともかくといたしまして、暴力団にこれだけの債務の保証をしなきゃならぬ、そして国家が再度それを救うためにこのような合併を認めなきゃならぬ、こういう事態に立ち至ったとい
うことについてどういう御所見を持っておられますか。
○国務大臣(奥田敬和君) 今回の東京佐川事件の中で、最も私たちが重大な危機意識を持って臨んだのは、物流事業に携わり、しかも日本の一、二を争うというぐらいに急成長した会社が、なぜ暴力団との絡みの中で、本業以外でこういう大きな債務を抱えてきたか、このことに関して大変遺憾に思ったわけでございます。
 と同時に、佐川グループ、ここに朝から晩まで働いておる、先ほど御指摘もございましたけれども、これの労務管理の状況は別として、ともかく我々の目に映る限りは本当に毎日あの飛脚のトラックで朝早くから晩遅くまで動いておるという現状、こういったことを考えて、運送事業とは別個な形で起きた今回の事件、それらが今御指摘されたような多額の債務を抱えて果たして再建できるのかどうか。そして、組織暴力団ときっちり縁を切った形の健全な運送業者としていけるのかどうかということに重点を置いてやってきたわけでございます。
 先生から御指摘のように、じゃ念書をとったのか何とかという話ありましたけれども、これは今とるべくやっておって、別にきように合わせたわけじゃありませんけれども、こういった経営体質、債務保証、こういった形を連帯でどうして乗り切っていくか、もうはっきり経営体質の中にいささかも暴力団との絡みを受け入れないという形の、もう念書以上のそういった厳しい形での報告書でございますけれども、それを一カ月前に提出させることでやっておったわけでありますけれども、きょう手元に届いてきた、きょうが期限でございますので。そういった中では、経営委員会なりそういった形の中で、決して勝手なことができない形の中でチェック機能がきっちり動く方向での改善、念書と申しますか、こういった形が提出されてきておる。
 我々はこの内容をさらに厳しくチェックいたしまして、司法当局が解明されるべき刑事事件としてのそういった内容はそちらできっちりやってもらう。他方、この合併企業がたくさんの債務を抱えながらも協力一致して新生佐川としていい方向にやっていただく、こういう形で厳正に指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
○角田義一君 今言った報告書なるものがきょう届いたということでございますから、これは後でひとつ委員会で諮っていただきまして、委員会に出していただきたい、出せるものなら出していただきたいと思います。
 時間ですから、以上で終わります。
○委員長(大渕絹子君) 今の件は、後で取り計らいまして、お願いをいたします。
○菅野壽君 私、厚生省関係の決算について多少質問させていただきたいと思います。
 国の予算もそうでございますが、決算の全体につきましてその結果を判断するのにはどうしても会計検査院にその多くを負わなくてはなりません。国民の税金がどのように使われたかを知るのは決算書でございます。実際の予算が適切に使われたかどうかになりますと専門の会計検査院のお世話になるわけであります。
 それでは会計検査院の決算検査のみでよいかといえば、そうではなく、予算で認められた支出権限がいかに適切に使われたか、会計上の観点以外からでも国会で審査される必要があると思います。これが財政民主主義のあらわれであります。
 ここにいらっしゃる厚生大臣を初め、厚生省そしてまた政府の関係者の方々は、予算で厳しい審査を受け、今度は決算かという気持ちがおありになるかもしれませんが、決算審査は過去の不当な支出について審査を行うものですから、それでなくても嫌な思いをなさるかとも思います。
 さらに、現在審査の対象とされていますのが平成二年度決算でありますから、大臣はもちろん政府の担当者の方々も、前任者の時代でのことと言われるかもしれませんが、組織としての厚生省は同じでございます。自分が担当している時代のものではないからといってないがしろにできるものではありません。その意味で、決算委員会において審査を受ける責務がおありであると思います。
 厚生大臣に、ここに御出席している厚生省を初め関係政府委員を代表いたしまして、まず、決算審査の重要性につきまして御所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 各年度別に各省庁に配分されました行政費というものは主として国民の血税をもって賄われるわけでございますから、その趣旨のとおり、厳正にこれは執行されるべきであることは当然であります。
 そこで、これをチェックするのは会計検査院でございまして、憲法の規定に基づいてこれは完全な独立機関でございます。
 ただいま御指摘いただきました事項につきましては、私どもも会計検査院の指摘を受けるまでもなく、この問題については真摯に受けとめて、悪いところはなるだけ早い機会に是正しながら厳正な執行を行っていかなきゃならぬ、こういう決意でございます。
○菅野壽君 平成二年度決算検査報告におきまして、厚生省所管のところで保険料というものがございます。そのうち、健康保険、厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足しているというものがございます。不当事項の一つに挙げられていますが、これにつきまして検査院からその概要を御説明願いたいと思います。
○説明員(小川幸作君) 健康保険と厚生年金保険の保険料の徴収不足の案件の概要でございますが、昨年の検査におきましては、北海道ほか二十五都府県の二保険課及び七十一社会保険事務所におきまして、管内の三十五万余の事業主のうち二千八百五十二事業主を選定いたして検査を行ったところでございます。
 その結果でございますが、事業主から保険料を徴収するに当たり、届け出に対する調査確認及び指導が十分でなかったため、保険料が二千八百五十二事業主のうち千三十九事業主分につきまして三億四千八百九十万余円徴収不足になっておりました。
 以上でございます。
○菅野壽君 保険料は、不当事項として指摘を受けましたが、検査報告書におきましても、「なお、これらの徴収不足額については、本院の指摘により、すべて徴収決定の処置が執られた。」とございます。
 検査院に伺いますが、徴収決定の処置がとられたことでこの不当事項はどのような取り扱いになったか。これで解決したということになるんでしょうか、お伺いします。
○説明員(小川幸作君) 指摘いたしました個々の事例につきましては、すべて徴収決定の処置がとられまして、徴収不足という事態はなくなっております。
 また、今後の保険料も適正なものとなると思っておりますが、当局におかれましてはこれらの指摘の内容をよく分析、検討され、このような指摘がなくなるよう一層の御努力をお願いしたいと思っている次第でございます。
○菅野壽君 会計監査の観点からは不当事項として指摘を受けたものの、それの更正行為がとられたことから不当性はなくなったということであるのかもしれません。しかし、国会の審査としてはまだ疑問があるのです。
 この検査報告によりますと、北海道ほか二十五都道府県の二保険課及び社会保険事務所管内の三十五万五千百四十八事業主のうち、二千八百五十二事業主について検査したとあります。そして、二千八百五十二事業主のうち千三十九事業主について徴収が不足していたということであります。この出現率は三六・四%であります。この出現率が全体に当てはまるといたしますと、およそ十二万九千二百七十四の事業主において徴収不足が生ずることになります。
 そういたしますと、残りの十二万八千二百三十五事業主についてはどうなるのでございましょうか、御説明願いたいと思います。
○説明員(小川幸作君) 約三十五万の事業主から二千八百五十二事業主を選び出しまして検査をしたわけでございますが、この選定に当たりましては徴収不足の可能性が高いと思われる事業所を中心に選定しておりますので、仮に三十五万事業所全部を検査してもそのままの比率でふえるとは考えられないわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても相当の金額の増加になることは間違いないと考えております。
○菅野壽君 ところで、この保険料徴収不足が不当事項として指摘されたのはこの平成二年度決算が初めてでございましょうか。いつから指摘されましたか、検査院にお伺いしたいと思います。
○説明員(小川幸作君) 昭和三十四年度以降、毎年引き続いて検査報告に掲記してございます。
○菅野壽君 私の手元には昭和六十年度からの決算検査報告書がございます。毎年保険料の徴収不足があります。そして、その原因につきましては、先ほど御説明を受けましたように、調査確認及び指導不十分というのが毎年度の決まった理由のようでございます。
 検査院の方、毎年同じ事項が同じ理由で不当事項として指摘されていることにつきましてはどのような措置が会計検査上とられておるのですか、御説明を賜りたいと思います。
○説明員(佐藤隆三君) ただいまの御指摘の保険料の徴収でございますが、検査院の指摘にございますように、この主な要因と申しますか、事業主から適正な届け出がされないといったような面が非常に大きな要因でございます。
 したがいまして、事業主に対しまして、被保険者の資格取得届け等の届け出が適正に行われるといったようなことを中心に指導を図りまして、また会議等においても都道府県を指示する等の対策をとっておりまして、今後とも保険料の徴収不足の解消に向け努力しているところでございます。
○菅野壽君 ただいまの同じことにつきまして、厚生省ではどのように御説明いただけるでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) 十七兆六千億円の保険料の収納率が九九・五%ということは、率自体は非常に高いと思うのでございますが、ただ、率だけではいけない。その未徴収の分に不適当な面があるかということをいろいろ精査してみますと、これはもう正直に申し上げてあるわけでございます。例えば、報告すべきことをしなかったり、いろんな問題があると思います。
 この徴収方法についてまずい点があったことにつきまして、今後は事業主等に対する指導をさらに徹底して、保険料の徴収不足で努力しなければならぬ、このように思っておる次第でございます。
○菅野壽君 私は、事業所数が多いということでは理由にはならないと思いますが、不当事項の出現率を手元にある資料で昭和六十年度から計算してみました。
 昭和六十年度が三一・八%、以後、三三・九%、二八・〇%、三六・四%、三六・七%、そして最新の平成二年度で三六・四%でございます。
 これは一体どうしたことでございましょうか。毎年指摘を受けながら、出現率はほとんど一定ではないかというふうに思います。不当であると指摘を受けたら、次からは改善のために行動を起こすべきではないかと思います。しかしながら、残念ですが、行動をおとりになっていたとしましても、結果の改善に結びついていないようでございます。出現率も低下してはいません。それも三〇%を上回る高い率でございます。
 厚生省、二年度決算で指摘された徴収不足の金額は三億五千万です。全体の保険料から見ますればわずかと言うかもしれませんけれども、わずかな額でも不当であることは間違いございません。わずかな額でも、この額は実際に見つかった額でございます。出現率から推計しますと九億六千万円にも上ります。毎年十億に上る金額がきちんと徴収されていないのでございます。
 この、長年にわたって全く改善が見られないということをどう御説明いただけるか、そしてこの状況を改善することをお約束いただけるでしょうか。
○説明員(佐藤隆三君) 先ほど申し上げましたように、この徴収不足の主な要因と申しますのが、例えば会計検査院から指摘されておりますように、事業主の届け出におきまして、報酬月額に本来算入しなければならない諸手当を算入していない、あるいは被保険者の資格取得年月日の記載が事実と違っている、こういったようなことがこの徴収不足の主な原因と考えられているわけでございます。
 したがいまして、特に事業主に対する指導を徹底してこの歳入不足に対応してまいってきておりまして、今後ともこういう努力を重ねまして、この解消に最大限努力を払ってまいる所存でございます。
○菅野壽君 今まで保険料の徴収につきまして若干御質問いたしました。
 私は医者といたしまして、医療保険制度を信頼のあるものにするためには、制度の運用を誤らず、徴収すべきものはきちんと徴収する、不正な支払いはゼロにするということが大切であると思います。これと同時に、医療担当者である病院、診療所に対しましては、その活動が十分に行えるようきちんとした手当てをしていただきたいと思うのであります。
 さて、八月に医療経済実態調査の結果が公表されました。その調査結果を見るとすぐわかるのは、個人の診療所の経営状態の悪化でございます。
 いろんなデータや意見や苦情が私のもとにたくさん参っております。医業収支差は減少しております。個人立の無床診療所の医業収入は実額で六万五千円、減少率にして一・一%の減少でございます。物価上昇率を考えますれば、実質の減少はもっと厳しいものであるように思われます。
 今回の改正で改善されるであろうとのコメントを目にし、聞きましたけれども、何か白々しいものがあるような気がしてなりません。それは、今回の二・五%の実質引き上げというのは、昨年度の看護婦給与改定を織り込んではいないということです。医療経済実態調査は昨年六月に行われ、公務員の看護婦給与勧告は八月でございました。そして、実施は十二月です。すなわち、昨年の人事院給与勧告による人件費の上昇は六月の時点では織り込まれてはいないわけでございます。幾ら二・五%の改善があったからといっても、その後の人件費の上昇を見込んでいないのではないかと思われます。それに、厚生省は看護婦給与改善分を二〇%含んだ改定であると言われました。このような報道がなされますので、看護婦の方々の中には、私たちの給与がこれからは二〇%上げられると錯覚していた人々もおられます。
 ところで、実態はそうではないのです。実態調査を分析しますと、看護婦さんを確保するためにもう既に給与費はかなり上昇しております。給与費の伸びの低かった個人立の無床診療所でさえも、その伸びは一一・七%とかなりの高率な伸びでございます。今回の四月の改定は実態の後追いにすぎなかったように思われます。
 今後も看護婦さんを確保することは大変な状況が続くと見られますが、給与費が医業経営を圧迫することは目に見えております。それでもなお問題ないとおっしゃるのでしょうか、厚生省に御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 御案内のとおり、この診療報酬の改定につきましては、中央社会保険医療協議会の御審議を踏まえて、大体その趣旨を尊重しながら厚生省としては改定してまいった次第でございます。
 昭和五十三年から改定のたびに大体二%台で推移してきたわけでございますが、今回は御案内のとおり五%でございます。その中には、二・六%は、これは看護婦の処遇の改善ということで、特に日医の会長に私の部屋に来ていただいて、私か
ら直接このことは申し伝えておいたのでございます。ですから、看護婦の給与は少なくとも二・六%と、給与その他処遇の改善については十分含まれていると思いますし、そういう趣旨で、看護婦に対する処遇と申しますか、あるいは全般的な問題について厚生省としてはできるだけ四万八万手を尽くして今回はやった、こういうつもりで私どもはいるわけでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
○菅野壽君 厚生省は医療法改正をいたされ、病院、診療所の体系を機能別にいたしました。診療所にはかかりつけ医の役割を期待されているかに思われます。しかし、このような診療報酬の体系では、かかりつけ医師になろうとする医師が多く見込まれるということは考えられません。
 私は、厚生委員会でも申し上げましたように、新しい医療体系を持ち込もうというのでしたら、新しい診療報酬の体系を同時に導入すべきではないかというふうに考えておるのでございます。独立採算制とはいえ、赤字となっても結局は補助金で補てんされる公的病院とは異なり、個人の病院、診療所はそれは許されないことでございます。
 新しい医療法の支えとなる新しい診療報酬体系に来年改定されることを確認したいと思います。また同時に、診療報酬の改定につきましても毎年改定を希望するものであります。後追いの、それも二年ごとの改定では開業医は成り立ちません。
 今後、訪問看護を初め、厚生省では在宅医療ということを考えておられるように思われますが、在宅医療を支えるのは十数万開業医ではないかと思います。この方たちの協力なくしてどのようにして在宅医療を進めていかれるのでございましょうか。
 私も開業医でございますから、診療報酬のお話をすることが何か自分のことを言っているように思われて大変心苦しいのですが、そうではなく、日本のこれからの医療を考えていくとき、在宅医療の重要性を認識されるとき、この在宅医療を実際に進めていく現場の開業医の皆さんの協力を得なければ、決してこの政策は実現し得ないもので、はないかと思います。この開業医のために、そしてまた、それらの人のための診療報酬問題など十分に御理解いただきたいと思うのであります。
 ただいまも申されたように、診療報酬の問題になりますと、中医協に諮らなければなりませんというのが厚生省政府委員の答弁でございます。中医協の答申が出るまで国会では診療報酬のことについて議論ができないかのごとくとられますが、決してそうではないのではないかと思います。いろんな場で議論することが大切なのではないでしょうか。厚生省の人は、診療報酬の問題は国会で答弁することができないと考えているのですか。そうお考えなら、それは誤っているんじゃないかというふうに思われます。
 厚生大臣、大臣として、そして政治家として、ただいま私が指摘いたしました診療報酬の毎年の改定問題、開業医への御配慮について前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 今回の医療法の改正につきましては、国会に御提案申し上げる前に厚生省といたしましては相当の時間いろんな機関の御意見等も伺いながら原案をつくって御提案した次第でございます。したがいまして、今御指摘のそれぞれの点についても十分この法の内容に盛り込まれておると思うのでございますが、特に新しいタイプの特定機能病院、療養型病床群というものを法定化したわけでございます。
 これらの施設につきましては、今御指摘のように、診療報酬の上できちんと対応していくのは当然のことでございますし、関係審議会でも十分御審議をいただいて適切に対応していかなきゃならぬと思っております。
○菅野壽君 先ほど来申し上げましたように、保険料の徴収に当たりましては、会計検査院からお話がございましたが、いただくものはきちんといただき不正はきちんと正す、そして出すものは出していただくということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(大渕絹子君) 先ほど角田委員から要求のございました書類の件は、運輸省側から直接角田委員に提示をし説明を申し上げるということにさせていただきます。
 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(大渕絹子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成二年度決算外二件を議題とし、厚生省、運輸省、経済企画庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○森暢子君 私は、平成二年度の厚生省所管の審査に当たりまして、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランと言われているものですが、これの進捗状況を中心に質問いたします。
 十カ年戦略の総事業費は厚生省の試算で約六兆円、内訳として国費を二兆円台半ば、それから地方費を二兆円強、その他一兆円台半ば、このように見込まれていますが、これは何年の価格による試算なのかをお伺いしたいと思うんです。つまり、物価がいろいろと変動し上昇していく、そういうことがありますので、この試算でいいのかどうか、いつごろの試算なのかお聞きしたいと思います。
○説明員(横尾和子君) 高齢者保健福祉推進十カ年戦略の総事業費でございますが、これは十カ年戦略でお示しをしました目標量を踏まえまして、基本的に平成二年度単価をベースに試算するなど一定の前提を置いて計算したものであります。したがいまして、その後の物価上昇でありますとか単価の改善は含まれていないものでございます。
○森暢子君 やはり物価が上昇するということはもうはっきりしていることでございますので、そういう中の関連についてこのままでいいかどうかということを、膨らんでいくということを前提にそういう試算をぜひ見直していただくということが必要なのではないかということを指摘しておきます。
 次に、十カ年戦略の初年度すなわち平成二年度に、総事業費は約三千億円、そのうち国費が九百億円、地方費が八百億円、その他一千三百億円というふうにされていますが、決算ベースでは十カ年戦略の初年度の実績、これを示していただけますか、お聞きしたいと思います。
○説明員(横尾和子君) 実績でございますが、国庫が約七百億円、地方約六百億円となっております。その他の部分でございますが、これは民間部門に当たりますので、現在のところ正確な把握が困難な状況でございます。
○森暢子君 御存じのように、我が国は大変な速さで高齢化が進んでいきまして、二十一世紀には国民の約四人に一人が六十五歳以上の高齢化社会になるというふうに言われております。そういう中で、十カ年戦略の整備目標実現というのは消費税の導入を踏まえた政府の公約であったわけですね。このことにつきまして、毎日払っている消費税が果たして高齢者の福祉のためにどのように反映されているかということは国民が大変な高い関心を持っているわけです。
 そういう意味で、今、国費と地方費の方は実績を出していただきましたけれども、これから予算の面でどうなっているか、それから決算ベースではどうかというデータをやはり国会に、こういう場に提出していただかないとこの決算委員会での審議はできない、このように思うわけです。
 何かちょっとお聞きしましたら、いろんなところの高齢者の問題のそういうことについて引き出すということは大変難しいんだということをお聞きしましたけれども、少なくとも国費及び地方費
のうちの国の資金の流れの部分、こういうことについては国会に示していただきたい、そして国民にその情報を提供して納得していただく、こういうことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(横尾和子君) ゴールドプランにつきましては、毎年の予算で進捗の目標をお示しし、それに伴います予算を国会にお諮りしているところでございます。
 決算につきましては、各省にわたる分もございますのでやや時間がかかりますが、それぞれのしかるべき時点で御報告ができるようにしたいと考えております。
○森暢子君 各省庁にわたっていますのでそれをまとめて出すのは大変だと思いますけれども、これはやはり厚生省なら厚生省の国民に対する責任だと思いますので、鋭意努力をしていただきたい、このように思います。
 さて、その十カ年戦略ということで、私も見せていただきましたが、厚生省もこういう本をお出しになりまして、この中に色をつけてみんなによくわかるようにこういうものをお出しになって国民の理解を得ているわけですけれども、個人的にケアハウスをつくりたいとか、または老人ホームをつくりたいという人に関してはこれは絵にかいたもちだと、こういうふうなお考えを持っている方が多いわけですね。つまり、これに書いているようなことをやろうと思ったらもう到底難しいということなんです。つまり、あるケアハウスをつぐろうと思ったら、国が三分の一、それから県なら県が三分の一、そして個人負担が三分の一ということで、始めようと思っても大変な金額で、到底できない。毎日毎日利子だけを払っていくのに精いっぱいで、それも何十年も払い続けなければいけない、こういう実態があるわけですね。そういうことで、実際役に立つようなものをこれからも出していただきたい、このように思います。
 さて、その中で推進状況が一覧表になっているところがあるんですね。十七ページですか、ゴールドプランの推進ということで、現在までの、四年度予算、整備目標の十一年度と比べて出ておりますね。こういう中で見てみまして、進んでいるところとそれから計画を大幅に下回っているところとあるわけですね。もう御存じだと思いますけれども、在宅介護支援センターとかそれから老人保健施設、特にケアハウス、それから高齢者生活福祉センター、こういう計画が大幅に下回っている、このように思いますが、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
○説明員(横尾和子君) 御指摘のように、ただいまお述べになりましたものについては二年度ベースで見ましても計画を下回りました。
 これの要因は、実は私ども初めての種類の施設であるということが非常に大きいというふうに考えております。従来から各自治体あるいは福祉関係者に理解をいただいております特別養護老人ホームでありますとかホームヘルパーについては順調に進んでいるところでございますが、初めての種類の施設ということで関係者がちゅうちょをされたということがあろうかと思っております。そういうところをきちんと対応しながらその後の運営に努力しているところでございます。
○森暢子君 初めての種類の施設というのがケアハウスとか高齢者生活福祉センターとかこういうことでございますね。
 もう御存じだと思いますけれども、私も先日スウェーデンとかデンマークの福祉施設をいろいろと勉強してまいりましたが、皆さん方もどのようにお考えかわかりませんが、やはり人間は本質的には自分の家で最後まで暮らして、そして病気になればそこでいろいろとケアを受けて最終的には亡くなっていきたいという思いがみんなあるわけですね。そして、スウェーデン、デンマークはもう老人ホームをつくることはやめたと、そして在宅福祉、在宅ケア、そういうことをする人をたくさん養成して人間が最後まで人間としての質を高めていく、そして持てる機能を最後まで動かしていく、そういうことに政策を変えたというお話を伺ったわけです。そういう意味でいきますと、このケアハウス、これもやはり個人の住宅で、そして看護が行き届くというケアハウスとか、高齢者の生活福祉センターとかいうのは本当に新しい試みだと思うんです。
 しかし、これから十カ年戦略のプランとか実施が地方自治体に任されますね。そのときに、その自治体の取り組み方がアンバランスであると、いい市に住んだ人はいいけれども、いろいろとアンバランスというのは困りますね。そういう意味で厚生省のいろいろ指導が必要ではないかと思うんですが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。
○説明員(横尾和子君) 来年から措置権が町村に移譲されるという時期にもありますし、また来年度は市町村が老人保健福祉計画を立てる時期にもなるわけでございます。ちょうどその計画の立案に先立ちまして、今各自治体が実態調査、ニードの把握に取り組んでおられるところでございます。
 御指摘のアンバランスというのは、ニードにマッチしたものができるかどうかということになると思いますので、私どもは関係自治体にお集まりをいただきまして、今回の計画あるいは措置権の移譲の趣旨について御説明を申し上げ、それぞれニードに基づいた計画が立てられるように支援を申し上げているところでございます。
○森暢子君 しっかり指導をしていただきたいと思います。
 この十カ年戦略は、平成元年十二月に、厚生、大蔵、自治の三大臣の間における合意でこれが生まれたというふうになっております。歴代の内閣総理大臣もそして厚生大臣も国会の場で目標実現に向けて努力をすると、こういうことを約束なさっているわけです。この十カ年戦略の国民的重要性を考えると、この三大臣間の合意ではなくて国会で全省庁が取り組むぐらいの決意がないと、これからスピードを上げて高齢化が進む中で本当に大変な国民的課題であると、このように思いますが、厚生大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいまの御意見のように、国全体として取り組むべき重要な課題だということは私も認識いたしております。
 国会におきましても、今日まで機会あるごとに御説明はしてまいりましたし、本年六月に閣議決定いたしました経済計画にもこれは盛り込んでございます。また今各省庁とおっしゃいましたが、総理御自身が私どもがびっくりするようなときに、機会あるごとにこのことについては非常に力を入れて御説明なさっておるわけでございまして、そういう点では今の内閣全体が一生懸命取り組んでいるというふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。生活大国の重要な課題として今後とも真剣に取り組んでまいります。
○森暢子君 ありがとうございました。
 それでは、次の問題に移りたいと思います。
 次は、社会保険労務士による戸籍謄本の不正横流し事件というのが、大変残念ですが、こういう事件が起こっておりますので、そのことについて伺います。
 本件は厚生、労働両省の共管事項ですけれども、まず厚生省にお伺いしたいと思います。
 この事件につきましては、社会保険労務士のある方が大阪の興信業者から依頼を受けて、昭和六十三年十月ごろから平成二年六月下旬まで少なくとも一年九カ月にわたりまして戸籍謄本等職務上の請求用紙というのが決められているのですが、それを用いまして約百八十件の戸籍謄本を取得しまして、その内容及びその戸籍謄本を大阪の興信業者に渡したというふうな事件であります。そのうち、九名にかかわる戸籍謄本等の交付については八王子の簡易裁判所で戸籍法による過料処分を受けている、こういうことなんです。この事件のことにつきましてまず確認をしたいと思いますが、このことにつきまして間違いありませんか。
○説明員(佐藤隆三君) ただいま御指摘のとお
り、この事件は社会保険労務士が戸籍謄本の取得に際しまして、本来社会保険労務士の職務上にかかわる取得につきましては戸籍法上認められておりますところでございますが、それを悪用いたしまして御指摘のような事件を引き起こしたということでございます。
○森暢子君 昭和五十六年に社会保険労務士法の一部が改正されまして、社会保険労務士の品位の保持と公正な立場での業務規定が加わりました。そして、登録事務を全国の社会保険労務士会連合会が行う、こういうことで労務士の果たす役割と社会的な地位が大きく向上してきた。真剣にやっている人はたくさんいらっしゃるわけですから、向上してきたと感じているところです。
 山下大臣は、当時衆議院の社労委員長をなさっていたとお伺いしております。参議院の方で先に出されたようでございますが、この改正に大変貢献なさったと聞いておりますが、せっかくつくったこういうことにおきましてこういう事件が発生したということについて、どのような御所見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(山下徳夫君) このようなことはまことによくないことでございまして、甚だ遺憾に存ずる次第でございます。
 これが改正になりましてから、社会保険労務士の総会にも私も行って、こういう点については私も来賓の一人として十分話したことでございます。
 今回のことにつきましては、厚生省と労働省の共管でございますから、両省話し合いまして七カ月の職務の停止という懲戒処分をいたしたところでございます。社会保険労務士による戸籍謄本の請求、今後こういうことについてはもっともっと厳正に行われるように指示をいたしましたし、そのような体制を今後整備してまいりたいと思います。
○森暢子君 厚生大臣から御答弁をいただきましたので、労働省からもこの事件に対する所見をお伺いしたいと思います。
○説明員(中井敏夫君) 公正な立場で業務を行うべき社会保険労務士がこのような事件を起こしまして、まことに遺憾なことと存じております。
 労働省といたしましても、このような事態の再発防止に向けまして社会保険労務士及びその団体に対する指導を徹底してまいりたい、そういうふうに考えております。
○森暢子君 戸籍法が昭和五十一年に改正されまして、職務上請求用紙を用いて戸籍謄本等の交付を請求することのできる職種が社会保険労務士のほかにあると聞いておりますが、どういう職種ですか。
○説明員(小池信行君) お答えいたします。
 ただいま御質問がありました社会保険労務士以外の資格でございますが、順次申し上げますと、まず弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、それから海事代理士、行政書士、以上でございます。
○森暢子君 今回の事件は社会保険労務士の起こした事件でありますが、今言われました中にこれと似たような事件を起こしているのがありますか。
○説明員(小池信行君) 戸籍の謄本などが不当に利用されるということは、これは絶対にあってはならないことでございまして、これまでそのための施策をいろいろ講じてきたわけでございますが、この数年、先生御指摘の社会保険労務士による不正事件のほかに弁護士、それから行政書士による同種の不正事件が起こっておりまして、私ども大変残念に思っているところでございます。
○森暢子君 司法書士は私もちょっと調べてなかったんですけれども、弁護士の事件ですが、福岡県の弁護士会所属の弁護士二名が職務上請求書を用いて戸籍謄本のそういうものを興信所に横流しをしていた、こういう事件があったわけですね。ここに新聞に出ておりますけれども、こういうことに対して処分とか裁判所の決定とか、そういうことはどのようになっているんでしょうか。もし長くなるようでしたら結論だけでも結構ですから報告してください。
○説明員(小池信行君) お尋ねのありました社会保険労務士の処分についてだけ、それだけでよろしゅうございますか。それとも……
○森暢子君 もうそれはわかっているんです。
○説明員(小池信行君) ほかの分。
○森暢子君 弁護士の。
○説明員(小池信行君) 弁護士の件は、これは福岡管内でございまして、私ども事実を把握いたしまして簡易裁判所に過料の制裁を求める通知をいたしましたが、簡易裁判所では弁護士につきましては不処罰とされております。
 なお、弁護士会における懲戒処分といたしましては、一人の弁護士については業務停止五カ月、それからもう一人の弁護士については業務停止三カ月の懲戒処分がされているというふうに把握しております。
○森暢子君 自分の職務上の権限を用いましてこういうふうに悪用するということは人権侵害にもかかわりますし、大変残念なことだと思いますね、大臣。
○国務大臣(山下徳夫君) そのとおりです。
○森暢子君 大変残念です。法改正しても、それを抜けてこういう事件が起きるということなんですね。
 私が指摘しました事件は、今言いましたように、労務士の社会的信用を基礎として認められている職務上請求書、つまり戸籍謄本や住民票をとることのできる権利を持っているその特権を悪用して起きた事件でありまして、しかも入手した戸籍謄本を興信業者に横流ししてお金もうけをする、こういう手段というのは極めて許しがたい事件である、このように思います。
 プライバシーの保護、それから特に同和問題を契機に、関係各界の皆さんの大変な努力によりまして昭和五十一年に戸籍法が改正になったわけですが、こういう事件の発生を目にしますと、戸籍法の十条と規則の十一条がせっかくつくられましたのに生かされていない。むしろ悪用されている。こういうことについて法務省はどのような御所見をお持ちでしょうか。
○説明員(小池信行君)先生御指摘のように、昭和五十一年の法改正は、戸籍の公開の要請とそれからプライバシー保護という要請を調和させるための改正であったわけでございますが、その改正法のもとでこのような事態が生じたということは大変遺憾だというふうに思っております。
 法務省といたしましては、これらの事件を契機に関係八団体、先ほど申し上げました各資格士の団体でございますが、こういう団体に対しまして職務上会員が使用しております統一請求用紙、これの制度の趣旨をできるだけ徹底を図っていただきたいということと、それからその用紙の管理方法をぜひ改善していただきたいというようなことを強く申し入れをいたしました。
 その結果、昨年の三月一日から関係八団体すべてにおきまして、その会員に頒布いたします統一請求用紙に連続番号を付しまして、どの用紙をだれが使用したか、これが特定できる、こういう措置を講じております。同時に、その関係八団体から各会員に対しましてその統一請求用紙の適正な取り扱いということにつきまして厳しい指導がされているというふうに承知しております。
 さらに、実際に戸籍の謄抄本を発行いたしますのは市区町村でございますので、その事務を取り扱っております市区町村に対しまして、例えば一度に大量の戸籍謄本を請求してくるというような、不正請求ではないか、こういう疑われるような事件が生じた場合には速やかに監督法務局、地方法務局に連絡をするように指導しておりまして、その連絡があれば法務局において厳正な調査をするということを私ども指示しているところでございます。
 いずれにいたしましても、あらゆる点に注意を払って、今後この種の事件が再発しないよう努めてまいりたいと思います。
○森暢子君 今、再発防止策をお聞きしたわけですが、以後こういうことのないようしっかりとお願いしたいと思います。
 それから次に、人権擁護局にお伺いしますが、今までのお話の中でもう皆さんもわかっていただいたと思いますが、約百八十件の戸籍謄本が本人の知らない間にどこかへ流されていた、そして特に興信業者に流されたということです。これは件数だけでも大変なプライバシーの侵害だと、このように思います。
 こういうことについて、人権問題でございますのでどのようにお考えかということと、それからこういう場合本人は知らないわけですね。どこにどう流れてどのように使われているか本人はわからないわけですから、救済の申し立てができないわけですね。
 それからもう一つは、そういうことをした社会保険労務士は罰せられました。見つかったら七カ月はやってはいけないとかいって罰せられましたが、それを受け取った興信業者に対する調査とか指導ですね、こういうことはどうなさっているのか。戸籍法改正の趣旨を踏まえた人権擁護の立場からお答えをお願いしたいと思います。
○説明員(澤田成雄君) お答えいたします。
 法務省の人権擁護機関といたしましても、このような事件が発生することは大変遺憾なことだというふうに思っているわけでございます。
 私ども人権擁護機関といたしましては、今先生が言われましたように、興信所が不正に入手した戸籍謄本等を利用して部落差別を意図した身元調査、あるいは部落差別につながるおそれのあるそういう身元調査を行ったかどうかというふうなそういう観点から、現在関係法務局において鋭意調査をしているところでございます。このような身元調査を行ったとの事実が判明いたしました場合には人権擁護機関として厳正に対処する、そういう考えでございます。
○森暢子君 短い時間でございましたけれども、経済優先の社会から人間を大事にしよう、こういう社会に向いている我が国におきまして、人の権利を一番に考えていかなきゃいけない。前段に申しました老人の生きる権利、これも大変大事でありますし、人間を中心にした社会を考える面で、特にプライバシーの侵害とか人権の問題については、やはり国が中心になってやっていかなければいけない、このようなことを痛感させる事件でありましたので、今後ともよろしく御指導を強化していただきたい、このように思います。
 以上で終わります。
○堀利和君 高齢化社会、二十一世紀には確実にもう高齢社会になるわけですが、人間は年をとればだんだん目が近くなり、耳が遠くなり、手足が不自由になるということになろうかと思います。中には障害者になる方もあるわけです。そういう点で障害者の問題はイコール高齢者の問題であるというふうに私は認識しておりまして、そういう点で高齢社会の対策といいますか政策が進むこと、これがやはり障害者の問題も進むことであると認識しております。障害者の問題と高齢者の問題が同じであると同時にまた障害者と高齢者とは違った側面もありますので、その辺の区別もやはり施策として必要ではないかというふうに思いながら、きょうは障害者の関係の問題についていろいろお伺いしたいと思います。
 まず、ガイドヘルパーの問題について伺いますが、昭和六十三年度からそれまで都道府県で行われていた身体障害者等のガイドヘルパー制度がホームヘルパー制度の中に組み込まれて市町村に移行したということになりました。このいきさつ、考え方、そしてその内容等について御説明願いたいと思います。


○説明員(土井豊君)ただいまのガイドヘルパーの件でございますけれども、重度の視聴覚障害のある方や脳性麻痺の方などにつきまして、外出に付き添うガイドヘルパーの制度は社会参加を促進する上で非常に重要な事業であると認識いたしております。
 お話しのとおり、昭和六十二年度までは都道府県または指定都市を実施主体といたしまして、「障害者の明るいくらし促進事業」という事業がございますけれども、そのメニュー事業の一つとして実施してまいりました。ただ、六十三年度からは、この制度をより利用しやすく、さらにできるだけ広く全国的にという考え方から、ホームヘルパー制度と同じように市町村を実施主体に改める、そのように制度の切りかえを行ったところでございます。
○堀利和君 そこはそれで一歩前進なんですが、なかなか私も全国的に実態を把握しているわけではありませんので、あちらに行ってこちらに行っていろいろ聞く範囲での私の認識なんですが、厚生省の方のガイドヘルパーに関しての要綱、行政指導している中身と違いまして、どうも従来どおりのガイドヘルパーの派遣のように行き先が限定されたり、あるいはガイドヘルパー利用の際の回数が制限されたり、あるいは日曜祭日にはガイドヘルパーサービスがないということで、日曜あるいは休みのときに外出したくても外に出かけられないという、そういった声も聞くものですから、その辺の実態について把握されているのかどうか、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
○説明員(土井豊君) ただいまお話しの市町村における運営の実態でございますけれども、申しわけありませんが私ども今日までのところ詳細を承知いたしておりません。
 ただ、日ごろから都道府県を通じまして市町村にいろんな制度の普及、充実という点で基本的なお願いをいたしておりますけれども、御指摘がありましたように、日曜日の派遣はどうなっているといったような点につきましては、私ども部分的に聞いた限りにおきましても十分でないのが現状ではなかろうかというふうに考えておりまして、今後とも都道府県を通じまして市町村にこの制度の充実を図るように指導、お願いをしてまいりたいと考えておるところでございます。
○堀利和君 御本人たちとは私は直接面識はないんですけれども、私の知り合いからも聞いた話です。
 人工透析を週に三回ほどしなければならない全盲の方なんですが、どうしても病院に通いきれないために入院しているという方が何人かいらっしゃるんですね。もしガイドヘルパーの利用が回数に制限がなければ入院しなくて済むというというようなこともあるわけです。こういった意味で不合理といいますか、ガイドヘルパーがもう少し充実しておれば入院もしなくて済むという、こういった不合理も是正することができますので改めてお願いしたいんですけれども、全国すべてというわけにはとてもまいらないにしましても、こういったガイドヘルパーのサービスがどういうふうになっているのか、できる限りその現状を調査していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○説明員(土井豊君) ただいまお話がありました市町村における実施状況でございますけれども、私どももお話がありましたような点を踏まえまして、各都道府県を通じて実情が把握できるように努力してまいりたいと考えます。
○堀利和君 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、車いすのまま乗れるタクシーの運行についてまた質問あるいはお願いをさせていただきたいんです。
 昨今、電動車いすで重度の障害者が一人で町に出るというケースが大分ふえてきました。以前は介助の方に車いすを押してもらってというケースが多かったんですけれども、最近では電動車いすでかなり重度の方が一人でどんどん町に出るということになったわけです。それは一人の障害者として、重度の障害者が町に出て行動範囲が広がって社会参加が進んで、非常に結構なんですね。ただ、電動車いすの場合ですと折り畳みというのができませんし、大変重たい車いすですので、例えば外出する際あるいは外出先から家に帰る場合、タクシーを利用したくてもなかなかできないわけです。従来ですと、介助者がいた場合には車いすを畳んでトランクに入れて座席に乗るということができたんですが、一人で電動車いすで町に出て
いてタクシーを利用しようとしましても通常のタクシーは利用できません。
 そこで、運輸省の方にお伺いしたいんですけれども、全国のタクシー会社等で車いすのまま乗れるタクシーの運行、これはタクシー会社で幾つぐらいそういった車を持っているのか、その辺の実態を把握しているか、全国的にどういうふうになっているかをちょっとお聞きしたいわけです。そして、その初乗り運賃が幾ら程度なのか、あるいはタクシーの営業している時間がどの程度なのか、その辺の実態をもしつかんでおればお聞きしたいんですが。
○説明員(土坂泰敏君) 車いすのまま乗れるようになっているタクシーでございますけれども、リフトがついておりまして、そういうことが可能になるような設備がついておるわけですが、そういうリフトつきのタクシーの車両数を調査いたしますと、四月一日現在で全国で四百七十三台ございます。
 それから、運賃体系はいろいろございますけれども、いわゆるタクシーの普通の運賃と同じ運賃のもの、それからタクシーの普通の運賃より二割増し程度高い運賃をいただくもの、それからタクシーとは全然別建ての運賃をいただいておるもの、例えば静岡の例で申し上げますと最初の三十分または走行十キロまで三千八百円というようなことでございますが、運賃について幾つか種類がございます。
 それから、営業の時間でございますが、営業の時間は基本的には日中でございますけれども、事前に御連絡をいただけるとそれ以外の時間帯も対応ができるというようなことになっております。また、稼働状況などは普通のタクシーと違いましてかなり特殊になっておりまして、一日一車当たりの輸送回数というのを見てみますと、これも静岡の例でございますが、一般のタクシーは二十五回でございますが、この場合は二・八回というような実績になっております。
 また、一日一車当たりの運送収入も、一般のタクシーは三万三千円でございますが、この場合は一万二千円というようなことで、いろいろな面で非常に特殊な運行状況になっておるということでございます。
○堀利和君 具体的に静岡の例が出ましたけれども、こういう場合、通常といいますか、一般のタクシーの運賃申請の認可というんでしょうか、そういう場合とこの車いすで乗れるタクシーの、先ほど三千八百円ということですが、これと運賃申請の認可とは違うと思うんですけれども、その認可はどういうふうになっているんでしょうか。
○説明員(土坂泰敏君) 運賃は、基本的には道路運送法に基づきまして、適正な原価と利潤を加えたものを賄うように設定するということになっておるわけでございますが、このリフト付タクシーの場合には、先ほど申し上げましたように、車両そのものが特殊な構造をしております。例えば、普通のタクシーでいいますと一車両百六十万円ぐらいでございますが、このタクシーの場合は一車両で五百八十万円ぐらいかかるわけでございます。それから、輸送の需要というんでしょうか、お客様も限られておりますし、普通のタクシーのように流しをしてお客様をお乗せするというような営業形態もとりにくい、いろんな面で運行効率が低いというような要素がございますので、普通のタクシーとは別建ての運賃の申請が出てきた場合には、それにかかるコストを適正に審査いたしまして別建て運賃を認めることがあるということでございます。
○堀利和君 今の御説明ですと、当然やむを得ないだろうと思うんです。会社の方でもボランティアで車いすの乗れるタクシーを運行するわけじゃありませんので、三千八百円というのも恐らくそういう点からいえば妥当な運賃だろうなと思います。
 そこで、今度厚生省の方にお伺いしたいのですが、厚生省はこういったタクシー等についての運行事業支援ということで対策を講じているのかどうか、そこら辺ちょっとお伺いしたいのです。
○説明員(土井豊君) 厚生省におきましては、先ほども申し上げましたが、「障害者の明るいくらし促進事業」という事業の中で重度身体障害者の移動支援事業というものを設けておりまして、それに対して必要な助成を行うという形で実施いたしております。
 具体的には、車いす使用者が利用できるリフト付の乗用車を市町村に運行していただく、あるいは社協に運行していただくという事業でございまして、平成二年度では十八の市町村で実施しております。なお、平成四年度からは新しい事業といたしまして病院や市役所などを定期的に巡回するリフト付福祉バス運行事業、これはバスでございますので複数の人数で利用していただく、そういうものを新規にスタートをしたいというふうに考えております。
 なお、これは厚生省というより地方の単独事業でございますけれども、ただいまお話がありましたようなタクシーを利用する場合に、それの費用負担の軽減を図るといったような単独事業を実施している自治体がございまして、私ども東京都の例で調べてみますと、二十三区と二十四市町村でそういう事業を実施しているという状況を伺っておるところでございます。
○堀利和君 その、明るい暮らし促進事業のタクシーのお話が平成二年度からございましたけれども、これのもう少し詳細なところはわかりませんでしょうか。例えば、利用する際の運賃といいますか、あるいはその運行時間等、そういったものはどうでしょうか。
○説明員(土井豊君) 運行時間等はちょっと今手元にございませんが、利用料金につきましては、地方公共団体それから社会福祉法人が実施する場合は無料とする、それから民間の運送業者側が実施する場合には通常のタクシーの料金を上限として利用料を徴することができる、そういうようなことで事業の中身を設定しているところでございます。
○堀利和君 そこで、運輸大臣と厚生大臣にぜひお願いしたいんですが、民間のタクシー会社が車いすのまま乗れるタクシーを運行すれば、当然これはそれなりのコストがかかりますから運賃にはね返る、これはやむを得ないことだと思います。
 一方、明るい暮らし促進事業の中でのタクシーのお話を聞けば、運賃の方は地方公共団体なり福祉法人がやればただ、民間の会社がやるようになれば通常のタクシー運賃料金程度だということですので、そういった双方のことを考えますと、やはりこれからの、先ほども言いましたように、お年寄りになれば車いすで生活する方もふえてくるわけです。今、もちろん障害者の方もそうなんですけれども、やはりこれからますます車いすのままで町に出て、そして健康なというか、健常者であれば、タクシーをその場でとめるなり電話で呼ぶなりしてすぐそれで乗っていくことができるわけですけれども、やはりそういう状況をいかにつくっていくかというのは非常に私は重要だと思っているんです。
 先日、テレビで、「町はあなたを救ってくれますか」という番組をやっておりました。その中で、お年寄りの方がいわゆる寝たきりになりまして、いろいろな関係者がお年寄りの方々を車いすに乗せて町に出て買い物に行くシーンがありまして、お年寄りの中には、二年とか三年あるいは五年たって初めて、それまで行っていたお店、商店街に行ったなんという話を聞いておりました。
 そういうことを考えますと、これからドア・ツー・ドア、あるいはバスもそうですし電車もそうなんですけれども、やはりタクシーでいつでも自由にといいますか、必要なときに乗れるようにしていかなければ、今困っている障害者はもちろんですが、これから本格的な高齢社会を迎えるに当たっては私は必要なことだろうと思うんです。その際、初乗り料金が三千八百円というと、どこかへ買い物に行って一時間かそこらしてまた予約して乗って帰ってきたときに、往復で七千六百円ということになるとそうそう表にも出られなくな
ります。
 そこで私もどういうふうにしたらいいかよくわかりませんので何とも言えないんですが、車いすで乗れる車、専用というと非常にこれまた利用度の問題からいってもコストアップになってしまう。そういう意味では、優先的に車いすの方が乗って利用できるよう、しかし利用しないときには流しができるかどうかわかりませんが、一般的に使えるようにするという、非常に効率いい仕方というのはあると思うんです。
 そういったものを、運輸省と厚生省で協力してぜひいい方向に進めていただきたいと思うんですけれども、まず運輸大臣にその点の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 優しい交通体系づくりのために、大変貴重な重要な御提言であると認識いたします。
 身障者の皆さんばかりではなくて、高齢化、高齢社会到来ということで車いす利用の方が急激にふえていくことはもう当然の傾向でございます。今御指摘もございましたように、先生自体もいろいろ知恵を絞っておられるんだと思いますが、何せリフト付タクシーは普通自動車の三倍くらいのコストがかかります。収入は逆に三分の一以下というのが実態でございます。したがって、全国でわずか四百数十台ということでございます。この点について、今ほど厚生省の局長のお話を承って思ったわけでありますが、これはやはり地域自治体の福祉行政とタイアップしていく、そしてまた輸送業務に当たるタクシー業界の皆さんもこれに協力をしていくという、こういった形の姿勢が大事じゃなかろうかなと思ってお聞きしておったわけでございます。
 ですから、仮に、今全国で二十六万台のタクシーがありますけれども、せめてその一%、身障者の雇用促進法で大体一・五なり六なりという形が決められておるように、何とか一%にこぎつけていく知恵をまず働かせていくべきじゃなかろうかなと、そうするだけでも現在の五倍、六倍の台数になっていくわけでありますし、何とか今これは厚生省の福祉行政とのタイアップのもとに、自治体の協力も得なきゃなりませんけれども、タクシー業界自体も、許認可権をこういう形で利用するのはいかがかという御批判もあろうかと思いますが、増車に対するときの一種の要件として、ちょうど雇用促進法の雇用の義務化みたいな形の線にまで何か検討できないかなと、そうすることで本当に身障者や高齢者の皆さんに優しい交通体系づくりのために何とか貢献できないだろうかなと、今先生の御質問をお伺いしながら、そういったことも可能じゃなかろうかなと考えておった次第です。
 いずれにしても積極的に対応して、厚生省の方のお知恵をおかりしながら、業界自体のそういった形の前向きな姿勢を助長するように努力いたします。
○堀利和君 ありがとうございます。
 厚生大臣、一言お願いします。
○国務大臣(山下徳夫君) 基本的には、今運輸大臣が答弁されたのと全く同じでございますが、身体障害者は私どもの所管でございまして、重度身体障害者の移動支援事業として従来から自治体等がリフト付きの乗用車を運転する場合には補助を行ってまいりましたけれども、今も運輸大臣が言われましたように、一つの企業でありますから、今後もタクシーの業者自体に我々ももっと強く呼びかけて、御理解をいただいて協力していただくようにお願いしなきゃならぬと思っております。
○堀利和君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 時間もありませんので次に進ませていただきますが、平成三年度の厚生省の予算に初めて情報障害者という言葉が出てまいります。これは身体障害者福祉法の改正に基づいての聴覚障害者の情報提供施設の設置運営の予算の絡みで出てきたんですけれども、視覚障害者、聴覚障害者、そういう点での情報不足といいますか、社会生活、日常生活の中でなかなか情報が得られないということで、ある意味での情報の障害者になるわけです。
 そこで一つ、ファクスが日常生活用具の給付対象として聴覚障害者にあるわけです。実は民間会社が、聴覚障害者の場合には電話が使えませんので、ファクスで文書を送りそれをオペレーターの方が読んで改めて相手先の健常者に電話をして聴覚障害者の話の内容を伝えるというサービスをやっているんですね。
 それで、そういうファクスを使うのは聴覚障害者だけなのかなと思っておりますと、実はそうではないんですね。視覚障害者に対してはもちろん点字のいろいろな設備あるいは点字ワープロとかさまざまなそういった機器も開発されて、また点字ワープロ含めて給付にもなっておりますけれども、聴覚障害者と同様に視覚障害者もファクスがあると非常に便利なんですね。
 まとまった本とか資料、論文というのは図書館に行けば朗読サービスをしておりますけれども、ちょっとしたものを読みたいと思っても読めない場合、これいつもいつも近所の方や家族の方があればいいんですけれども、やはりひとり暮らしの場合とか読む方がすぐいない場合に、ファクスを使って自分の友人とかあるいはボランティアの方とかそういったところに送って、そして電話でその内容を読んでもらうというようなことも工夫しているんですね。先ほど言いました民間の会社ではその辺のサービスをやっているわけです。そのサービスを見ますと、ことしなんですけれども、利用者の件数が一カ月当たり七百七十三件になっております。
 それで、先ほど言ったような伝達とか、ちょっと物を調べてもらったり探したりということをしたりするわけですけれども、今言ったように、目の見えない人がファクスで送って、それを向こうから今度は電話でその内容を読んでもらうというような件数を見ていますと、これが意外に、聴覚障害者が利用しているよりも視覚障害者が利用している件数の方が多いんですね。私、この数字を民間会社から見せていただきまして、私自身が驚いたわけです。そういう点で、ぜひファクスも視覚障害者の日常生活用具の給付対象に今後していただきたい。それによって視覚障害者が持っている情報を処理するハンディを克服できるようにしていただきたいと思うんですけれども、その点どうでしょうか。
○説明員(土井豊君) ただいまお話がありましたように、日常生活用具という位置づけの中で、聴覚障害者の方々にはファクスを貸与するという事業がスタートいたしております。
 先生お話しの点は、これを視覚障害者にも適用できないかという点だと理解をいたしますが、私どもにおきましても一部そのような御要望も承っておりますけれども、今までのところ、団体その他関係者からの要望としてはそれほど大きくはなかったのではないかというふうに感じております。
 ただ、いろんな会社の実際のデータ等もお話しになりましたので、よく教えていただきまして、今後私どもも関係者の方々から意見は聞いてまいりたいというふうに思っております。やはりいろいろ問題はあるのではないかという気もいたしますので、そこら辺をよく勉強しながら今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。
○堀利和君 視覚障害者もファクスが利用できて、先ほど言いましたように、どこから来た手紙かわからない場合、とにかく送って、それで電話でこういう内容の手紙であるとかいうことがわかると、やはり生活として非常に助かるわけですので、言ってみれば、そういうサービスも念頭にしながらのファクス給付をぜひお願いしたいなということです。
 それで、さらに鍼灸の保険取り扱いの質問を取り上げようと思ったんですけれども、時間がもう来てしまいました。残された問題はまた次の機会にと思いますので、終わらせていただきます。
○尾辻秀久君 遺骨収集についてお尋ねします。時間の都合もありますので端的にお尋ねします。
 本来ですと、今平成二年度の決算審査をいたしておるわけでありますから、平成二年度の実施状況をお尋ねしなきゃいかぬのでしょうけれども、本年度より旧ソ連も加わっておりますので、本年度の実施状況でまずお伺いいたします。
○説明員(佐々木典夫君) それではまず、今年度の慰霊事業の中の遺骨収集への取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 今お話もございましたけれども、ソ連の抑留中死亡者の遺骨収集につきましては、平成三年四月十八日に日ソ両国政府間におきまして協定が締結を見たわけでございます。基本的に遺骨収集あるいは墓参等の事業につきましての基本的枠組みを設定したということでございます。
 この協定に基づきまして、昨年十月から戦後初めて遺骨収集を実施することができたわけでございまして、昨年十月、チタ州ドラビアンナヤというところで、いわば試験的な面がございますけれども初めての遺骨収集を実施し、五十六柱の御遺骨を収集いたしたというふうなところでございます。そんな経過を経まして、今年度から本格的な遺骨収集を実施いたすことといたしております。
 今年度におきましてはチタ州、マガダン州、イルクーツク州、それからハバロフスク地方、プリモルスク地方、以上の五つの地域におきまして遺骨収集を予定いたしました。これまでのところ、既にチタ州、マガダン州、イルクーツク州、この三州につきまして遺骨収集を終えて、それぞれ遺骨の帰還を済ませておるところでございます。その結果、これまでに三回で都合六百四十六柱の御遺骨を日本に送還しお迎えしておる、こういうふうな状況でございます。
 それから、かねて取り組んでおります南方地域におきまする遺骨収集事業につきましては引き続き事業を進めてまいりますが、当面十月に東部ニューギニア地方の遺骨収集を実施いたしたいというふうに考えておりまして、現在その準備を進めておるところでございます。
 その他の地域につきましても、それぞれ遺骨情報が寄せられております地域につきましては、順次調整をいたしましてこれに取り組んでまいりたいと、かように考えております。
○尾辻秀久君 今、俗に言いますシベリアの御遺骨の収骨について、六百四十柱余り収骨していただいたというお話がございましたが、その中でもしおわかりならば、お手元に資料があるならば、氏名が判明した御遺骨の数をお教えいただけますか。
○説明員(佐々木典夫君) これまで三回におきます御遺骨の中では、結論的に申しますと、今の時点で氏名が特定し、御遺族に御連絡ができるという状態に至ったものはございません。
 実は、基本的には、それぞれシベリア地域の場合は一体一体の埋葬というふうなことを大方の場合は予想いたしてございますが、現実に行ってみますと必ずしもそうでないケースもあるというふうな状況でございまして、私どもといたしましては今後これまでのいろんな情報と引き合わせながらなお特定の努力をさせていただく、こんなようなつもりでおるところでございます。
○尾辻秀久君 いろいろと大変御苦労いただいておりますこと、ありがたく思います。ただ、戦後四十七年たってまだ遺骨収集しておるということは、やっぱり大変残念なことだと思います。そこで、結論的に言いますと、一日も早く終了させていただきたいと思っておるわけでありますが、それについて俗に言います南方とシベリアではまた事情が大分違いますので、今後の見通しについてそれぞれ分けてお尋ねをいたします。
 まず、南方地域でありますけれども、これは前に私が何かの委員会でこのことを質問させていただいたときに、平成五年度をめどに概了させたいんだというお話もございました。今後の見通しはどうなるのか、お尋ねいたします。何はともあれ、私も何回も遺骨収集に行っておりますけれども、南方地域について言えばもうあらゆる意味で限界に来ていると思います。あらゆる意味というのはまさにあらゆる意味なんですが、例えて言いますと、御遺骨の状況、それから現地の状況を知っておる人、それもいうところの戦友の皆さんあるいは現地の皆さん、もうとにかくだんだん亡くなったり年をとったりしておられて、そういう情報もなくなっていきます。何やかにやでもう限界に来ていると思うわけでありますが、今後の見通しをお尋ねいたします。
○説明員(佐々木典夫君) 今後の見通しでございますが、それに入ります前に一つだけ補足させていただきたいと思います。
 先ほど、今年度のソビエト・ロシア地域におきます三つの遺骨収集団につきましては、氏名特定は今のところないと申しましたわけでございますが、昨年度初めて実施いたしましたチタ州のドラビアンナヤのケースにつきましては、五十六柱の中で十三柱につきましては氏名が特定して、これは昨年帰還いただいた時点において、判明時点で御遺族の方に連絡をいたしてございますので、補足させていただきます。
 さて、今のお尋ねの南方地域につきましての今後の見通しでございますけれども、御承知のとおりでございますけれども、海外戦没者の遺骨収集につきましては、講和条約発効後、昭和二十七年度から取り組んできたというふうな経過がございます。昭和五十年度までに三次にわたります計画的な事業実施ということで進めてまいりました。そして、その後昭和五十一年度からは計画的な実施ということを一通りやりましたので、御遺骨につきまして、その所在について確度の高い情報が寄せられた地域につきまして遺骨収集を行うというような方針で逐次進めてまいった、こんな経過をたどってございます。長年の遺骨収集の結果、海外戦没者二百四十万人の方が亡くなられているわけでございますけれども、約百二十二万人の御遺骨について送還を果たしてきたというのがこれまででございます。
 それで、その後におきます私どもの取り組みといたしましては、先ほど申しましたように、在外公館等を通じまして寄せられます確度の高い情報が得られますところについては、できる限り都合をつけてこれに取りかかるということでやってまいりました。私どもといたしましては、これまでに寄せられている確度の高いと思われる情報につきましては、例えばフィリピンそれからいわゆるソロモン諸島あるいはパプアニューギニアといったようなところの遺骨情報がございます。こういったような情報のありますところにつきましては、私どもは平成五年までにはできるだけその収集に努めていきたいというふうに考えております。
 基本的にそういう構えでございますが、これと同時に、やはりさらに残存遺骨に関する情報があります場合は、引き続き可能な限り収集の努力をし、万一そういう情報が出てまいります場合はさらに的確な対応をいたす、こんなような方針で臨んでまいりたいというふうに考えております。
○尾辻秀久君 それでは、先ほど話題になりましたシベリアについてお尋ねしておきたいと思います。
 南方と違いますのは、先ほどのお話にもありましたように、抑留中に収容所で亡くなった方々でありますから、戦闘中に亡くなった方じゃありませんので、言うならばやっぱり一体一体きっちり埋葬してあるということで、御遺族の皆さんも、氏名が判明して御遺骨が帰ってくるんじゃないか、そういう期待も強いわけであります。とにかくやっと始まったわけでありますし、一日も早くということになりますと相当急いでやらなきゃいかぬ、こういうふうに思うわけでありますが、こちらの方の見通しをお尋ねいたします。
○説明員(佐々木典夫君) 旧ソ連地域、いわゆるシベリアを中心とします地域の遺骨収集の今後の取り組みでございます。今、先生からもお話がございましたとおりでございまして、本年度から本格的に取り組むことができたということでございます。本年度は、先ほども申し上げましたけれども、五地域を予定いたしまして、既に三地域、そ
して現在九月の末までハバロフスク地方に第四団として行っておりまして、最後にもう一組十月中旬にプリモルスク地方に派遣をいたすというふうな予定を組んでございます。
 これまでの実施状況を見ますと、非常に多くの関係の皆さんの御協力をいただきまして所要の成果を上げてきておるというふうに考えておりますが、今先生からも御指摘がございましたとおりで、この旧ソ連地域におきます遺骨収集にはまた従来とは別な多くの難しさがあるというふうに考えております。
 何分広大な地域でございます。そして、具体的な実施に当たりましては、ロシア政府、中央政府との話し合いを経て、それぞれの各地方政府機関、民間組織等の場合もございます、それぞれ地域差がございますけれども、地方関係当局と個別具体の調整をいたすことが必要になってまいりますことと、それからこれまでの情報を踏まえますと、現実に非常に広大な地域に埋葬箇所が分散しているというふうな状況がございます。そして、かてて加えまして、御案内のとおり気象条件が大変厳しゅうございます。ことしの夏に参りましたマガダン州の関係者の報告によりましても、夏の一番暑い時期で日中は三十度になり、アブや蚊が出たりして作業は困難をきわめますが、一方、夜になりますとこれが零度になるといったような状況でございました。
 そんな報告を得ているわけでございますが、そんなようなことやら、現実に作業が夏場に限定される。今回も、先ほど申しましたように、最終組は十月といたしてございますが、あの地域では十月が作業限界というふうなことでございます。日中零度、夜間はマイナス二十度、三十度になるというふうな状況でございますので、どうしても夏場に遺骨収集作業が限局されるといったようなことなどなどいろいろ従来とはまた別な、南方地域とは別な困難な面がございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、四十七年にわたって手がつかなかったという関係御遺族のお気持ち、御心情、それから関係の御遺族の皆様それぞれ高齢化されておるといったような事情を考えますと、できるだけ早期に全力を挙げて取り組む必要があるというふうに考えております。いろいろ難しさはございますけれども、今年度の本格的な実施によりますいろんな経験を踏まえまして、次年度以降さらに工夫を重ねましてできるだけの努力を傾けてこれに当たってまいりたい、こんなつもりでおります。
○尾辻秀久君 最後に、大臣にお願いして御決意をお聞かせいただきたいと思います。
 平成七年になりますと戦後五十年であります。もう今いろいろ申し上げたとおりでありまして、戦後五十年過ぎてまだ遺骨収集というのはこれは余りにもと思いますので、ぜひそのぐらいまでにはきっちりめどをつけていただきたい、こう思います。お願いして、大臣の御決意を伺いたいと存じます。
○国務大臣(山下徳夫君) 尾辻先生が長年にわたってこの問題に真剣に取り組んでこられましたその誠意と御努力には、本当に敬服いたす次第でございます。
 今お話しございましたが、また政府から答弁いたしましたように、全体的な数からしますと半数ぐらいかと思われます。私ももう二十数年前から実際に現地に出かけたりいたしました。しかし、海戦で水没された方々なんかはまず不可能でございますし、各地の情報いろいろ私ども調査しまして非常に難しくなってきているということでございます。これも答弁がありましたように、まず現地をよく知っている人、現地の人とか戦友、こういう方々がだんだん少なくなってきた、またその他の資料も少なくなってきたということで、これではまさに手探りででもできないという現状がたくさんあるわけでございます。
 ですから、そういうことでございますけれども、とにかく今も政府が答弁いたしましたように、御遺族の御心中を察すると、本当にお父さんお母さんというのはほとんどもう亡くなっておられる現状においては、一日も早くそういうお父さんお母さんの霊を慰める意味においても、我々は今後とも継続していかなきゃならぬ。私もこの問題にずっと取り組んできましただけに強い気持ちを持っておりますから、この問題には今後とも人一倍努力を傾けてまいりたいと思っております。
○尾辻秀久君 ありがとうございます。
 終わります。
○清水嘉与子君 初めに、医療・福祉マンパワーの人材確保法につきましてお伺いしたいと思います。
 さきの通常国会の終盤におきまして、看護婦並びに社会福祉施設職員の人材確保法が成立いたしまして、発足させていただきました。大変短い期間にそこまで進めていただきました厚生大臣の御努力に、敬意を表する次第でございます。
 法の実際の施行は、一部を除きまして公布後六カ月以内となっておりまして、担当課の方で鋭意作業に入っていると思いますけれども、いつごろ施行になるのでしょうかということをまずお伺いしたいと思います。
 特に、二つの法律とも、例えば就業の動向でありますとか処遇の改善、養成の問題、資質の向上などといった問題に関しましては基本指針の策定ということがあるわけでございまして、その基本指針に盛り込むべき内容について既に検討を進めておられるでしょうか。もし進めておられるとすれば、その内容につきましてどんなものになりますのか、お教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○説明員(古市圭治君) お尋ねの看護婦等の人材確保の促進に関する法律につきましては、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲で政令で定める日から施行するということでございますので、現在、十一月一日の施行に向けて労働省、文部省とともに努力しているということでございます。
 また、この基本指針につきましては、法律施行後に医療関係者審議会、それからまた労働省におきましては中央職業安定審議会に諮問するというように法律で定めているわけでございます。したがって、この施行後にということになりますが、現実問題として、時間もございませんので、事前に必要な作業は進めている。そういうことも相まちまして、年内には基本指針についても公布できるように努力をしたいと考えております。
○説明員(土井豊君) 福祉関係の人材確保法の関係でございますが、基本指針と都道府県福祉人材センターにつきましては公布後六カ月以内、中央福祉人材センターと福利厚生センターについては来年の四月施行ということに相なっております。それで、現在、関係審議会の開催、それから来年度予算要求という中でその円滑な施行の準備に取り組んでいるところでございます。
 なお、ホームヘルパーの退職手当共済制度の適用の関係でございますが、これは既にこの七月から施行されているという状況に相なっております。
 次に、基本指針の関係でございますけれども、社会福祉事業の経営者、それから国、地方公共団体が行うべき人材確保のための処遇の改善、資質の向上、新規従事者の確保等につきまして具体的な努力目標の目安を示す、そういう性格でございまして、現在その策定作業に取りかかっている段階でございます。
 なお、この指針につきましては審議会の御意見もお聞きするということに相なっておりますので、できるだけ実効ある内容にしたいということで努力をしてまいりたいと思います。
○清水嘉与子君 高齢社会の到来を目前に控えまして、しかも介護に当たる人々の量的不足というものがこの職業についている人だけではなくて多くの国民の関心事になりまして、また行政府におきましても積極的な取り組みが始まったことは大変うれしく思っております。今までも予算措置としていろいろな施策が行われていたわけではありますけれども、この法律の施行によりましてさら
に種々の施策の充実が図られることを期待しているわけでありまして、それは働く側の方々が喜ぶだけではなくて、サービスを受ける方々により温かい看護・介護サービスが受けられるようになるんだというふうに思っている次第でございます。
 基本指針の策定はこれから煮詰めるという話でございますけれども、ぜひぜひ現状に足を余り引っ張られることなく、二十一世紀を展望した方向を示していただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。
 次の問題でございますが、先ほど菅野先生からも御指摘がございましたが、平成二年度の決算におきます会計検査院の指摘事項につきましてお伺いしたいと思います。私が伺いたいと思っております一つの問題は、病院における付き添いの問題でございます。
 平成二年度に厚生省は会計検査院から、付添看護に係る看護料の支給を適正に行うよう是正改善の処置を要求されているというふうに伺っております。本来、付き添いというのは病院が、必要な看護は病院の職員でやるというのが当然のことでございまして、しかしそうは言いましても基準看護を受けていない病院がまだたくさんあるわけでございまして、この基準看護を受けていない病院、つまり言ってみれば看護要員の不足の病院につきまして、病院の看護力不足を補う目的で特別に認められているというふうに承知しておりますけれども、こういう制度そのものが生活大国を目指しております日本の医療制度の中でいかがなものかというふうな問題がございます。
 さらに、このことで患者の一部保険外負担をさせているという点からもいろいろ問題があるわけでありますけれども、しかも、こういう制度が悪用されまして過大な請求がされたということは、もう本当に残念でございます。
 この事案に対しまして、厚生省がどのような措置をおとりになったのかということ、それとあわせまして、この付添看護というものに対します厚生省の基本的なお考えを伺わせていただきたいと存じます。
○説明員(古川貞二郎君) お尋ねの付添看護の問題でございますけれども、これにつきましては会計検査院の御指摘も踏まえつつ、ことしの四月の診療報酬の改定に合わせまして、良質な看護サービスの提供とか不適正な保険外負担の是正等の観点から、付添看護の改善のためのさまざまな措置を講じているところでございます。
 具体的に申し上げますと、ただいま先生御指摘のように、いわゆる付添看護に依存しない体制へのスタッフの確保義務、そういったもの等を明記しまして、これは療養担当規則を改正したわけでございますが、いわゆる付添看護にかかわる保険医療機関としての責任の明確化を図ったというのが第一点でございます。
 それから、重篤、術後の場合などには有資格者に限るというふうな現行付添看護の要件の見直し、これが第二点でございます。
 それから、付添看護に依存しない体制への誘導策といたしまして、介護機能を強化した入院医療管理病院の拡充、あるいは基準看護の重点的評価による看護サービスの院内化の推進を図る。
 第四点は、直ちに入院医療管理病院となれない病院についての入院医療管理移行計画制度の導入等々の措置を行ったところでございます。
 それから、第二点の今後のあり方でございますけれども、患者に対する看護・介護サービスというものは、ただいま御指摘がございましたように、本来は医療機関の適切な管理体制のもとに医療機関の看護スタッフによって一体的に提供されていくということが望ましいものと考えておるわけでございまして、付添看護につきましては良質な看護・介護サービスの提供、不適正な保険外負担の是正等の観点から、その院内化を推進するとともに適正化を図っていく必要がある、こういうふうに認識いたしておるわけでございます。
 先ほど申し上げた付添看護の改善のためのさまざまな措置を通じまして、今後とも付添看護の適正化を図り、適切な看護・介護サービスが病院の責任ある管理体制のもとで一体的に提供されていくように努めてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 しかし、また一面、例えば患者だどか家族の大変な希望でありますとか、あるいは手術の直後の問題でありますとか、あるいは重篤な状態になったときの患者に家族だとかあるいは友人がつくというように、付き添いを全く排除できないという事態もあることは事実でございます。逆に、退院前に家族を付き添わせて看護の方法を教育するなんということも必要な面が出てくると思いますし、そういった付き添いの積極的な活用の仕方といいましょうか、そのような点につきましてもこれから問題になってくると思います。
 ただいまの日本の病院ですと、付き添いの方々にいろんな、何といいましょうか、便宜を図られるようなことを何もやっておりませんので、今のままで付き添いをつけるというのは大変な問題だと思いますけれども、やはり今後の問題として考えていかなきゃならない問題だと思いますので、よろしくこの辺も御配慮いただきたいというふうに思います。
 それから次に、もう一点の指摘事項なのでございますけれども、今回もまた看護婦数が不足なのに高い基準看護料を請求していた、支払っていたという事例も指摘されておりますし、また医療機関の医師、看護婦が不足なのに診療報酬の不正請求ですね、その問題が何度も上がってきているわけであります。これにつきまして会計検査院から、病院側の非はもちろんでありますけれども、厚生省がやはり都道府県で定期的に行っている病院の調査資料の活用が不十分だったのではないかと。そこで、職員不足の病院の的確な把握を指示するべきじゃないかというような指摘も逆にされているわけでございます。
 こういうふうに同じような事案がなかなか改善できないということは大変残念に思うわけでありますけれども、まずそこで、医療機関の職員不足の実態をどのように把握しているのかという問題について伺いたいわけであります。
 一つは、医療法の立場から、医療機関に対して必要があるときには立入検査ができるようになっているわけでありますけれども、具体的に各医療機関に対しましてどの程度毎年医療監視が行われているのか、そしてそのときの人員のチェック基準というのは何を使っていらっしゃるのかという点につきましてお伺いしたいと思います。
○説明員(古市圭治君) 医療法に基づきまして医療監視を原則として少なくとも年一回実施するということで行っております。このときに、その人員配置基準は医療法に書いております医師、歯科医師、看護婦等の配置の標準というものに基づいて監視をしているわけでございます。
 最近の実績では、病院数が一万数十ございますが、医療監視を実施した実施率は平成二年で九一・六%、診療所につきましては一二・三%。したがいまして、年一回の医療監視がまだ全部できていないという都道府県も数県あるということでございますが、全体としては九割以上の病院に対して医療監視をしているということでございます。
 その結果の、配置基準と比べての遵守率でございますが、平成二年では医師の数につきましては全体で四五・五%、半分がこの標準から足りないというようなことでございます。問題の看護婦等の遵守率では七七・四%でございますから、約二十数%が不足している、このような状況になっております。
 したがって、これはあくまで標準でございますが、この望ましい標準が守られていないという病院につきましては強力に指導をしておるわけでございまして、改善命令もかけてそのフォローアップもする、こういう体制で臨んでいるわけでございます。
○清水嘉与子君 続きまして、医療保険制度の方
からは、やはり医療機関に対して報告を求めたり指導をしたりすることができるようになっていると思いますけれども、具体的にどのように行っておられるのか。そしてまた、その人員の配置基準といいましょうか指導基準、指導している基準はどんなふうになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○説明員(古市圭治君) 保険局の前に、先ほどの御質問で保険の方と医療法との関連ということも御指摘になったかと思いますので、先に私どもの方から申し上げますと、医療監視をせっかくやっているので、そのデータを利用して保険の指導にも有効に使うようにと、こういう御指摘が会計検査院の方であったかと思います。
 そういうことに基づきまして、昨年度より医療従事者が著しく不足している病院といたしまして、医師、看護婦の数がともに七〇%以下の病院、今年度からは八〇%以下の病院につきまして重点的に医療監視を行うとともに、診療報酬上の取り扱いが遵守されていないという場合には、改善措置に結びつくように診療報酬上の指導を行う資料として保険担当の部局の方にもこのデータを利用していただく、このような体制をとったわけでございます。
○説明員(古川貞二郎君) 医療保険を適正に運用していくということは、患者サービスまた公正の見地からも大変大切なことであるというふうに私ども考えまして、この看護基準、診療報酬上の決められた基準に合っているかどうかということについて各都道府県を通じまして監査、指導、あるいはみずから監査、指導の指導強化を図っているところでございます。
 それで、もし基準看護の承認を行った後にこの承認要件を欠くというような場合には、これは指導の議論でございますが、そういった場合には、その都度変更の申請を行わしめる。そういったことになっておるわけでございますけれども、この監査、指導等によりまして不適正な請求が行われていることが判明した場合には不当な請求額の返還を求めるとともに、看護要員の確保とか基準看護の区分の変更等所要の指導を行っているという状況でございまして、いずれにしても、医療保険の適正な運営ということが非常に大事であると我々は強く認識している次第でございます。
○清水嘉与子君 ありがとうございました。
 今のお話を伺いますと、医療監視の方ではかなり、九〇%以上の監視をしているということでございますので、ほとんどのところでチェックができていると思いますが、しかし改善命令を出しても、相変わらず今日も二五%のものが改善されていないという実態を伺いますと、これなかなか実効を上げていくのは難しいのではないか。保険の方で指摘がありますとこれは直接診療報酬に返ってくるわけでございますから、恐らく何とか努力をして改善をしていくんだろうと思います。
 そこで今、古市局長の方からも御説明がございましたけれども、私は、この医療監視の方のチェックとそれから保険の方のチェックというものをもうちょっと連動させていく必要がどうしてもあるんじゃないだろうかというふうに思うわけでございます。保険の方ですと、どうしても問題のあるときにチェックされるということになるわけでありますけれども、医療監視でこれだけのことをやっているのであれば、ぜひそれを連動させていただきたい。
 しかし、従来は医療法で言っている人員の配置基準、これも標準だというようなことでございますので、守らなきゃいけない最低の数だというふうになかなか言えないのかもしれません。それと基準看護上の人員配置の基準とが随分乖離をしていたわけでありますけれども、今はそれが少なくとも基本看護料を取れるような病院についてはそれの乖離がなくなったわけでありますので、ぜひその辺をうまくやっていただきたいというふうに思うわけであります。
 さて、そのときに私もぜひお願いをしたいと思っておりますのは、ただこの取り締まり、チェック、数がどうかというだけでなくて、恐らくひっかかってくる病院というのは中小の病院が多いというふうに思うのですけれども、看護婦の不足の中でもやはり問題になるのはこの中小の病院対策でございます。
 そこで、なぜ全然改善できないのか、どういう点に問題があるのかということを、もう少しこういった資料を使って解明できないんだろうかというふうに思うわけでございます。保険の方で基準看護のチェックのときには保険担当部局は看護担当課と連携をとって行うようという方針をたしかお出しになっているというふうに思いますが、実際にそれが行われているところも多少ありますけれども、余りないのが実態でございます。
 そこで、なぜ看護婦がいないのか、なかなか確保できないのかということを、やっぱり看護婦の目から見ていただくということも必要なことではないかというふうに思いますので、できるだけ経験豊かな看護婦を一緒にチェックのメンバーに入れてもらえないだろうかというようなことを考えているわけでございます。
 なぜかといいますと、ただ数だけでなくて、そこの病院の中で看護体制がどうなっているのか、あるいは勤務体制にもっと工夫がないのか、あるいは業務の改善などの余地がないのか、あるいは研修の体制がどうなっているのか。看護婦を引きつける策というのは必ずしも処遇のことだけではありませんものですから、その辺、全般にチェックすることができるのではないかというふうに思います。県によっては県の看護婦だとか、あるいは外部の方を委嘱して効果を上げているところもありますし、また今度の看護婦の人材確保法の中にも、都道府県が看護婦の就業促進のために看護婦等就業協力員でしょうか、こういう者を委嘱できるようにもなっております。こういう人材を活用して、何とか中小病院の慢性的な看護婦不足の問題の解決といいましょうか、少し指導、働きかけができないかというふうな感じがするわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
○説明員(古市圭治君) 私どもも御指摘のとおりだと思って施策の改善に努めているところでございます。
 医療監視の場合も、ベテランの経験者が行って監視だけじゃなく指導助言をするということが必要であろうということで、医療監視員の中には、保健婦、助産婦、看護婦の免許を持った方が行かれるということも非常に好ましいことだということで推奨しているわけでございます。実際は、十八県で三百五十三名の方がこの資格を持って医療監視に当たるということになっております。この人たちが実際どれだけ行ったかということは別でございますが、そういうことで参加をしていただいているところでございます。
 それからまた、医療機関に行って標準に足りないということを指摘するだけではなくて、その医療機関であらゆる努力をしても看護婦さんが得られないという状況もあろうかと思います。そういうことで、その実情を見てそれに対して指導助言をしていく、協力をするということも同時にやってくださいということを衛生部長会でも繰り返しお願いしておりまして、嫌みだけ言ってくる医療監視というのは行政の効果は半分しかない。そういうことで、先般成立させていただきました看護婦等人材確保法案の中におきましても、著しく足りない医療機関では看護婦等確保の推進者という責任者を置くことになっておりまして、その人から依頼があった場合には都道府県のナースセンターでも集中的にそこの医療機関への紹介ということに努力をする、こういう仕掛けもつくったわけでございます。
 そういうことで、御指摘のように、指導監視が常に指導、協力、助成ということまで結びつくような努力を重ねていきたいと思っております。
○清水嘉与子君 ぜひ期待をしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、外国人の看護婦の問題につきましてお伺いしたいと思います。
 看護婦が不足、それだったら外国から連れてく
ればいいじゃないだろうかというような話がよく出ます。最近かなり具体的にこの話がニュースで伝わってきておりますので、そのことについてお伺いしたいわけでありますけれども、九月十四日付の朝日新聞の朝刊を見ました。この新聞によりますと、中国の看護婦さんを日本の准看護婦学校で学ばせて資格を取得させる。資格を取得させてから一回帰国させて、そして今度は就労ビザで再び入国させ三年間働かせるというような計画だそうでございまして、既に北京においてその派遣選考会をやったところ、四十人の枠に九十二名の応募がありましたというような、かなり具体的な報道がされております。
 そこで、まず法務省の方にお伺いしたいと思いますけれども、法務省はどの程度この事実を知っておられるのでしょうか。また既に、日本側の受け入れをしている方から具体的に就学のための申請が出されているのでしょうか。その辺についてお伺いしたいと思います。
○説明員(小山潔君) ただいまの新聞のことでございますけれども、先に申しますと、具体的な申請というものは出ておらないと思っております。と申しますのは、申請の出るところがいろいろとございますから、必ずしも私どもの方で承知していることがすべてでないかもわかりませんけれども、具体的な申請は私の方ではまだ承知しておりませんので、新聞の中身に書いてあることにつきまして、それをもとにしてこれはどうであるというようなことはちょっと申し上げかねると思います。
○清水嘉与子君 昨年改正された入管法によりますれば、こういう方々が就学ですか、そういう形で入ってその後引き続き仕事ができるようになっている、研修をすることができるようになるわけでありますけれども、仮に今私が御説明申し上げたような報道どおりの申請がもし上がってきましたときには、どのような手続で認可になるのでしょうか。もう事務的にできておるのか、あるいはこういう案件につきましてそれぞれ担当の省と協議するような仕掛けができているのでしょうか。例えばこのケースですと当然厚生省と協議するような仕掛けになっているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○説明員(小山潔君) ただいまの入国の仕方でございますけれども、看護婦として就労する、働くという形で入ってくる場合と、それから学校で勉強するということで入ってくるのと、大きく分けたら二つになろうかと思いますが、いずれも現在は入国の基準というものがそれぞれにございます。
 まず最初に、学校の方から申しますと、つまり外国人が我が国の看護婦または准看護婦を養成する学校に入学するために入国するということに関しましての基準でございますが、大きく言いまして、まず第一点は、我が国において就労することなく我が国での一切の滞在費用の支弁ができることというのが一つの基準でございます。
 それから二番目といたしましては、勉学を行うに足りる日本語能力を有することというのが大きな基準でございます。この基準につきましては、もっと具体的に申しますと、法務省で告示しております学校で六カ月以上の日本語教育を受けていることとか、あるいは日本語の能力試験を受けて一級とか二級に合格している人とか、あるいは日本の普通の小中学校で一年以上の教育を受けたことがあるというような、これが日本語に関する基準の中身でございます。
 それから、大きい三番目の基準といたしましては、帰国後、日本に入ってきて習得した技術、技能または知識を要する業務に従事すること、こういうことがございます。
 これが一般的な勉強するための基準でございます。ですから、これに適合しますと入国できるということになります。
 それからもう一つ、学校に入る方ではなくて、要するにいきなり働くという方面ですが、まず日本の准看護婦なり看護婦の資格を持っておる人が外国におりましたといたしましても、その人が直接准看護婦あるいは看護婦として働くという形で日本へストレートに入国という道は現在はございません、基準上から。
 それから、ちょっとその変形みたいなものかもしれませんけれども、まず日本に来ましてこういった看護婦あるいは准看護婦というような学校に入りまして、その学校を終えまして、かつ日本の准看護婦とか看護婦の試験を通りまして、そしてその学校を終わってから四年間は研修として仕事ができる、この場合は勉強ではございませんで就労という形でできる、こういうことになっております。
 二つあわせまして、いずれもこの基準につきましては法務省が関係省庁と協議してつくられたものでございます。
○清水嘉与子君 基準はつくられているわけでありますけれども、そうしますと、具体的にそういう事例が上がってきたときにはもう法務省で事務的にチェックをして許可することができますか、それともその申請が上がってきたときにはた改めて各省協議になりますか。
○説明員(小山潔君) 一般的に申しますと、申請が出ました場合に個別に一件一件照会しなくてはならない、協議しなければならないというようなことにはなってございませんけれども、実際問題としまして、今申しました基準に果たして適合するかどうかということについてよくわからないような場合は、それぞれ協議なり調査なりして該当するかどうかということを決めていくことになります。
○清水嘉与子君 一応規定が決まってそのルートに乗っかっていけばいいのかもしれませんけれども、ぜひこの准看護婦のケースにつきましては慎重にお取り扱いいただきまして、厚生省とも協議をしていただきたいと私はお願いしておきたいわけでございます。
 それはなぜかといいますと、ほかの職業にはこういうことはないのかもわかりませんけれども、准看護婦という制度は日本の看護婦教育の中で今大変問題になっている制度でございます。今五百近くの養成所があると思いますけれども、約二万四千人の学生が学んでおりますが、このほとんどが半日医療機関に勤めながら半日勉強しているというような制度でございます。つまか、半日は医療機関で、もちろん無資格者ですけれどもそこで働く、労働を提供しているというのが一般的な日本の准看護婦養成のあり方であります。
 そこに、しかもこの記事どおりでありますれば、中国の看護婦さん、もう看護婦の資格を取っている方々がやってくるというのは一体何なんだろうかという気がしてならないわけでございます。准看の制度というのは恐らく日本だけの、中国には該当する制度がないのではないかと思いますけれども、その国ではもう一流の看護婦である方が日本に来て准看の資格をわざわざ取って本国に何の役に立つんだろうかということもあります。
 そこで、私の考え方なんですが、こういう件に関して、だから国際協力とほど遠いんじゃないかなという感じがしているわけでありますけれども、厚生省はこの外国人看護婦さんの導入に対しましてどんな考え方を基本的に持っておられるのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
○説明員(古市圭治君) 今先生が何点が御指摘になった点、私どもも同感だと思っているわけでございます。
 看護婦が非常に足りないという状況の中からこういうことも起こってきたのかと思いますが、それはまず第一に、自国の問題は自国民で解決するという努力が前提ではなかろうか。その先で、日本が看護に対する国際交流その他に対応できるとするならばそれにふさわしい対応の仕方というので論議されるべきであって、一時的に労働力が足りないということが前面に出て外国から入ってくるというときには、慎重に検討する必要があるんではなかろうか。
 殊に、この看護につきましては日本国民の傷病者あるいは老後の人たちがいろいろ看護の世話を
受けるわけでございますが、そのときに言葉や生活習慣、それからまた就労の環境といろいろ違います。そういうことで、できる限り自国の問題は自国で解決するという立場でいくべきではなかろうか、このように思っております。
 しかし、先ほど法務省から説明されましたように、これは看護だけでございませんで、外国人労働者全体の受け入れを日本でどうしていこうかという問題に絡むことでございますので、いろんな職業分野とも対比しながら慎重に検討したいと思っておるわけでございます。
○清水嘉与子君 今、実際問題として、ある一定の規模の病院ですとなかなか准看護婦を雇おうとしないというのが実態でございます。
 看護婦不足といいながら、足りないのは准看護婦ではなくて看護婦だという認識が強いわけでありますけれども、やはりそうは言っていられない。先ほど来問題になっております中小病院で、もうとにかく何とかして人を欲しいというようなところでこんなアイデアが出てくるんじゃないかなと、これも私の推測でございます。しかし、人が来ないところによりこういう簡単なといいましょうか、正規のものでない形で入れますと、よりそこにまた人が集まってこなくなってくるというような結果になると思います。
 しかし、私は必ずしも外国人看護婦を締め出そうというふうに言っているわけじゃありませんで、日本の看護が貢献できるところについてはぜひ諸外国にも貢献していきたいというふうに思いますし、日本の看護婦でも、日本に制度が余りありません例えば大学の制度なんかになりますと、外国へ行って勉強して、そして帰ってきて看護のリーダーになっているという例がたくさんございます。
 そういう意味では国際的な交流が幾らでもできるわけでありますけれども、今のこのレベルのお話では私の考えているようなものとちょっと外れるようにも思いますので、古市局長、力強い御説明ではございましたけれども、ぜひその決意でよろしく御対応をお願いしたいというふうに思います。ありがとうございました。
 法務省の方、ありがとうございました。
 次の問題でございますが、時間が少し短くなりましたが、健康づくり、保健対策についてお伺いしたいというふうに思います。
 人生八十年、もう九十年になるかもわかりませんけれども、人々が自分の健康を自分で守ろうという考えのもとに努力するのは当然でございますけれども、国といたしましても国民の健康の保持増進の観点から必要な保健対策を進めるということは大変重要なことだというふうに思っております。
 近年、高齢化対策が進められるに当たりまして、保健、医療、福祉政策の連携ということがよく言われるわけでありますけれども、医療制度につきましては老人保健制度を中心にかなりな改革が進められてまいりましたし、また福祉についてもゴールドプランの推進等積極的に進められております。しかし、いわゆる保健事業につきましてはやや一般の方々の関心がどうも低いように思われてなりません。
 そこで、平成四年からは老人保健法の保健事業も第三次の計画がスタートしたというふうに伺っておりますので、これまでの保健事業の評価、そして新しい計画の概要、特にこの第三次計画の中で配慮された点があったらお伺いしたいというふうに思います。
○説明員(横尾和子君) 保健事業につきましては、第一次五カ年計画及び第二次五カ年計画を終了したわけでございますが、この二次にわたる合計十カ年の計画におきまして、まず健康診査の実施状況で見ますと、ほぼ全町村で実施が実現しているところでございます。また、両計画で特に掲げました成人病に関する改善の点でございますが、胃がん及び子宮がんの死亡率を十年間で三〇%減ずる、脳卒中死亡率を十年間で半減するという目標は、平成元年までの状況から考えますとほぼ達成されたというふうに考えているところでございます。.
 また、新たに発足をいたしました第三次、これは八カ年計画で計画を立てておりますが、その目標といたしますところは大きく分けまして二点ございまして、第一点は、がん、心臓病、脳卒中の三大成人病の特に壮年期の死亡率の低減を図るという点でございます。第二点は、寝たきりあるいは寝かせきり老人の問題を、特にこれからは後期高齢者の増加が目立つところを考慮いたしまして、その減少、ゼロを目指してさまざまの施策を展開しようということでございます。
 具体的な手法といたしましては、特に近年増加の著しい大腸がんに対する検診を取り入れたこと、また、痴呆性老人に対する訪問指導等の事業を追加したところに特徴があると考えております。
○清水嘉与子君 最近、ある雑誌に、老人保健事業の中核をなしておりますがん検診につきまして、苦痛を伴う上にその有効性が証明されていないのではないか、むしろがん検診というのは百害あって一利なしたというように、いささか私ども保健予防活動にかかわってきた者にとりましてはショックな記事が掲載されました。現職の医科大学の先生が書かれたということで、恐らくたくさんの方々がごらんになったでしょうし、また今までまじめに健康診断を受けてきた多くの国民の方も非常に迷うのではないか。特に、保健事業を担当しております保健婦などにも大きな衝撃を与えるのではないかというふうに思います。
 こういう批判を踏まえまして、今、少しお話を伺いましたけれども、厚生省はむしろ大腸がん等、がん検診を広げようとしておられるわけですが、がん検診を含めて検診の意義をどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。もう一回よろしくお願いします。
○説明員(横尾和子君) 御指摘の検診に対する批判記事でございますが、当方といたしましてもこの記事の内容につきまして各専門家に検討を依頼したところでございます。
 内容については、実情についてやや事実を間違って認識されているような点が多いというようなこともございますし、また考え方において、例えばこの批判をされている方の一文を見ますと、「がんが老化であるならば、がんで死ぬのは寿命」であるというような、ややいかがかと思うような御指摘もあります。そういう意味で私どもは、従来どおり科学的なデータに基づいた上で、がん検診は有効であると考えております。
 先ほど申し上げましたような三次計画におきましても、新しい大腸がん検診に加えまして、従来からの胃がん、子宮がん、肺がん、乳がんの各検診につきましても受診率の向上が図られるように努力をしたいと考えております。
○清水嘉与子君 実はこの後、その保健事業を具体的に進める中心になっております市町村保健婦の問題あるいは保健所の問題といったことを取り上げて少しお話を伺いたかったのですけれども、時間が参りました。
 そこで、その働く方々が働きやすいように、働きやすいというのはいろんなことがあると思いますけれども、やはり時代の変化に応じて自分たちがもっと生き生き働けるまうに、条件をぜひ整備していただきたい。このごろ看護婦のことばかりが問題になりますけれども、保健婦さんたちもしっかりと保健指導に責任を持って仕事ができますように御留意いただきたいというように思うわけでございます。
 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、先ほど来マンパワーの話をやってまいりました。看護婦の問題では一やはり中小病院の慢性的な看護婦の不足を何とかしなければならないんじゃないだろうかというふうに思っているわけでありまして、この生活大国の日本の医療の中で、特に看護サービスに地域によってあるいは病院によってそれほど差があるというのはやはりおかしいのではないかというふうに思いますので、ぜひその辺についての改善をお願いしたいというふうに思うわけであります。
 一つには、有効なのは確かに診療報酬の改定でありまして、先ほど大臣もおっしゃいましたように、ことしの改定で民間の看護婦さんがかなり改善されるのではないかと期待をしているところでございますが、ぜひその効果をフォローしていただきたい。
 また、特定の病院の看護婦だけ養成しているような今の看護婦の養成の形態、この仕組みもぜひ改善していただきたいというふうに思うわけでございます。今のような形では、中小病院に看護学校の卒業生が行くような仕組みになっていないわけでありまして、ぜひ地域全体で看護婦養成の仕組みに責任を持っていただきたい。
 そのためには、何といっても財源の問題でございまして、学生にも適正な負担を求めることは当然のことでございますから、それはそれでいいと思いますし、思い切った公費の投入あるいは保健施設事業として医療費で養成も見るというようなことも考えられないかというようなこともあると思います。ここ数年来、看護学校の入学者がだんだん減ってきているというようなことも大変心配材料でございます。
 そんなことで、マンパワー政策を進めるに当たりまして、最後に大臣の御決意を伺って、私の質問を終わりにしたいと存じます。
○国務大臣(山下徳夫君) いろいろと看護問題について専門的お立場からお話がございました。
 この人材確保法案が先般国会を通過いたしました折は参議院の先議でございまして、全会一致で御可決いただき、私にとっても非常に印象的で感慨深いものがございますが、それにつけましても、清水先生には本当に大変なお骨折りをいただきまして、心から感謝をいたしておる次第でございます。
 ただいまお話がございました諸問題につきましては、極力今後とも私どもも常に忘れずにやっていかなければならぬと思うのでございますけれども、中小病院に看護婦が行かない、診療所に行かないという問題の解決策として医療費も投入しろということでございますが、一歩間違いますというと必ずしもこれは妥当な方法ではない面がある。
 私は、医療費というのは本来、先般の例えば五・〇%のうちの二・六につきましても、私は医師会長に、これはとにかく医療費と別個ですよという言い方でもって、これは看護婦さんのためにと言ったいきさつもございます。これは必ずしも本俸をそれだけつけなさいというのではなくて、いろいろのものがあるわけでございます。そのときも、一般の医療費と区別して看護婦さんにという言い方をしたのでございますから、そういう意味における医療費の分野といいますか、ちょっと妥当でないかもしれませんが、看護婦に対する処遇の費用をうんとそこから持ってくるということが妥当であるかどうかというのは議論になるところでございます。総じて、看護婦さんの待遇あるいは養成するときの国費の投入、その他施設の改善等も当然図っていかなければなりません。
 私はいつも言っているのでございますけれども、今はとにかく看護婦さんが足りないということが一番問題でございます。念頭から常に離れないのは看護婦問題でございますから、そういう気持ちでもってあらゆる角度から全力を挙げて推進してまいりたいと思います。
○山下栄一君 まず初めに、佐川問題につきまして二点、お伺いしたいと思います。
 東京佐川から金丸氏への五億円献金問題についてでございますが、金丸さんは記者会見で、五億円は同志への陣中見舞いとして受け取ったんだ、このようにおっしゃっておられるわけでございますが、このことにつきまして、この関連で奥田運輸大臣にお聞きしたいと思います。
 大臣は、当時自民党の国対委員長をされていたというふうに認識しておるわけでございますが、また、金丸さんと同じ派閥であったわけでございます。一部マスコミの報道によりますと、平成二年の総選挙前にこの五億円が、派閥からの資金とは別に、金丸氏からの分として派閥の代議士約六十数人に分配された、このような報道がされておるわけでございます。大臣は派閥の幹部として、この献金分配がたくさんの方にされたということにつきまして、事実であったかどうか、どう認識しておられるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 今御指摘ございましたように、当時は国会対策委員長であったかと思っております。
 党の役員とか閣僚在任中は派閥には、会合にも顔を出さないというのが大体の慣例になっておるわけであります。したがって、率直にお答えさせていただきますけれども、派閥は御存じのとおり、党が手の届かないところを相互扶助の形態でみんな助け合いしていくという形で運営されます。私も幹部の端くれですから、もちろん物心両面にわたってやっぱり派閥に何らかの貢献をしなきゃいかぬという立場でもございます。したがって、今御指摘のような五億円分配にあずかったかどうかということでございますけれども、そのような形であずかったことはございません。と同時に、御質問の点は……
○山下栄一君 個人として受け取られたかどうかという前に、派閥の幹部といたしまして大臣が、当時は国対委員長をされたわけでございますが、金丸さんから六十数名の方に、代議士に渡されているという、派閥の大がかりと申しますか、分配金の配付につきまして、そういうことがなされておるというところは知っておられて当然ではないかなと思うわけでございますが、それにつきまして認識されておったかどうか、御存じであったかどうかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 配付された経緯については、私は当時、先ほども御指摘のように国対委員長であったという関係で、派閥運営には直接タッチしておりません。
 と同時に、ほかの派閥は知りませんよ、言及するわけにまいりませんけれども、大体閣僚経験者はこういった選挙とか、そういったときの活動資金という形をできるだけ遠慮するのが、ほかの派閥でもそうじゃないかと思うんですけれども、そういう形が経世会の一つの慣例でございます。したがって、そのような形で選挙時に資金を受け取ったということは私はございません。
○山下栄一君 大臣自身は当時受け取っておらないということでございますけれども、ただ選挙の直前でもございますし、自民党の当時幹部としてはそういう派閥の具体的な会合とかに出ておらないということでございますが、同僚の議員の方々に配付されているというふうなことはいろんな形で知っておられて当然ではないかなと思うんですけれども、そういう形跡すらなかったということでございますか。
○国務大臣(奥田敬和君) それはやっぱり我が同志のそれぞれの選挙区事情というのは複雑でございますし、所要の人的な面の支援はもとより、資金面においても支援されることは十分あり得ますし、また事実そのような形でいわゆる派閥は党の手の届かないところで物心両面にわたって、何としても同志のそういった選挙活動も含めまして応援する形は当然行われております。
○山下栄一君 わかりました。
 昨日の当委員会における質疑の中で、きょうもお忙しいところ御出席だと思いますが、自治省の吉田選挙部長の方から、平成元年、二年、三年の三カ年にわたって金丸氏の指定政治団体から竹下派所属議員並びに同議員の政治団体への分配の記載はなかった、このような報告があったわけでございますが、もう一度確認でございますけれども、大臣は派閥の同志の一人として分配を受け取ったという事実はあったかどうか、もう一度。
○国務大臣(奥田敬和君) お金を受け取ったということはございません。むしろお手伝いしなきゃいかぬ立場であるということを前段に申し上げました。
○山下栄一君 次に、自治省の方にお伺いしたいと思います。
 政治資金規正法の中に量的制限違反に対する罰則があるわけでございますが、今回それが一つの大きな問題になっておるわけでございます。量的制限違反に対する罰則は二十万円以下である、そういう罰則しかないという規定になっておるわけでございますが、十万円とか百万円じゃなくて、今回のように例えば五億円という大変な金額でも同じ罰則であるという、非常に納得できないといいますか、非常に刑が軽過ぎる、そういう内容であると思うわけでございますけれども、この刑の重さにつきまして自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(吉田弘正君) 寄附の量的制限についての御質問でございますが、寄附の量的制限の規定は、政治資金の集め方を節度あるものにするために昭和五十年に創設されたものでございます。
 制度創設の際に、寄附の量的制限は寄附の質的な制限とは異なりまして、制限額の枠内において寄附をするときは何らの違法性もないものでございまして、制限額を超えて寄附をしたからといって直ちに禁錮刑をも科することはどうかということもありまして、二十万円以下の罰金刑のみを科すということになったものと承知をしているわけでございます。
○山下栄一君 今回のような大変大がかりな、億を超える金額の場合は、罰金が二十万円以下であれば少々違反してももらい得になってしまう、そのようなことになるわけでございますが、それについてどうお考えでしょうか。
○説明員(吉田弘正君) 制定当時の考え方は今申し上げたようなことでございますが、この政治資金制度の改革の問題につきましては、先生の御案内のように、政治改革協議会において各党間で熱心に御協議をいただいてきているところでございまして、既に実務者会議におきまして、規制の実効性を期するというために違法な寄附の没収について合意がなされたということを承知しているわけでございます。
 さらに、御質問の罰則の強化については、いろいろ御意見もあろうかと存じますが、各党間で十分御協議をいただければと存じます。
○山下栄一君 次の質問に移らせていただきます。
 平成二年度の決算内容につきまして御質問いたします。
 会計検査院の平成二年度の決算検査報告書の中に、航空機騒音対策事業資金の問題がもう既に処置済み事項として報告されておるわけでございますが、この大阪空港の騒音対策事業につきまして、私の地元でもございますので、会計検査院の方から概要の御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(佐藤恒正君) お答え申し上げます。
 運輸省では、空港周辺整備機構に対しまして、同機構が空港周辺整備計画に基づき行っております共同住宅建設事業に対し、その事業に要する経費に充てる資金を無利子で貸し付けておりますが、貸付金を財源の一部といたしまして大阪空港周辺に建設した共同住宅が既に譲渡されておりますのに、これに係る貸付金が貸し付けられたままとなっておりまして、貸付金の管理が適切でないと認められましたので、運輸省御当局の御見解をお伺いいたしましたところ、運輸省におかれましては、空港周辺整備機構に対し通達を発しまして、共同住宅建設事業により建設した住宅を移転補償事業の対象となる民間会社等に譲渡した場合におきましては貸付金の繰り上げ償還を行わせることとする措置を講じられましたので、処置済み事項として検査報告に掲記したものでございます。
○山下栄一君 空港周辺の騒音対策の機関としまして空港周辺整備機構ですか、そういう組織があるわけでございますが、特に事業の中で、再開発整備事業とか、また代替地の造成事業とかと並んでこのような賃貸共同住宅の建設事業というのがあるわけでございますが、特に住宅建設事業につきましてはほかの事業と違って国の貸付金の割合が高いわけです。国の貸し付けの割合がたしか四〇%になっていると思うわけでございますが、なぜほかの事業と比べて共同建設事業の貸付金の割合が高くなっておるのかという御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(平野直樹君) お答えいたします。
 賃貸用共同住宅のための資金といたしまして、確かに国から無利子貸し付けということで四〇%の貸し付けをしておるのでございます。これは、いわゆる空港周辺の騒音の激しい指定区域から移転をする人たちの中で、借家人等の移転先を確保するためにこういう住宅を建設するわけでございますので、入居者の家賃を軽減するという意味合いもありましてこのような措置をとっておるわけでございます。
○山下栄一君 特に、検査の対象となりました豊中市の利倉西第四住宅ですが、この住宅については、賃貸の共同住宅から、昨年でしたか、譲渡に変更になったわけでございますが、そういう目的変更、当初の目的は賃貸のための共同住宅であった。それが民間に売却されたわけでございますけれども、その時点で運輸省は承諾を与えておられたかどうか、お聞きしたいと思います。
○説明員(平野直樹君) お尋ねの利倉西第四住宅でございますが、これにつきましては当初賃貸目的ということで建設したわけでございまして、五十九年の春にこれが完成いたしました。その後入居者がございませんで、一方、この第四住宅につきまして譲渡してほしいという要望がございましたので、地元であります豊中市と調整をしてまいったわけでございます。その結果、平成二年五月に同意が得られましたので、運輸省といたしましても譲渡することに方針を転換したところでございます。
○山下栄一君 目的が変わったために一括してたくさんのお金が入ってきたわけでございますけれども、それについて繰り上げ償還をしないままになっておったわけでございますが、これは新しい事態になっておるわけでございますので、貸付金残高の繰り上げ償還については当然やっぱりその場ですべきである、このように考えるわけでございますが、これについて運輸省は機構に対してその時点で繰り上げ償還についての指示をされなかったのかどうか。
○説明員(平野直樹君) この共同住宅を売却した際に売却益が生じたのでございますけれども、この売却益をどういうふうに処理するかという点につきましては、私どもは私どもなりの考え方で内部の調整をしておったところでございますけれども、会計検査院から先ほど御指摘のような御意見がございましたので、最終的には御指摘どおり繰り上げ償還を行わせた、こういう経緯でございます。
○山下栄一君 次に進めさせていただきますけれども、完成したのが昭和五十九年三月でございますが、当然入居募集が行われるべきであると思うわけでございます。入居募集の実績についてちょっとお伺いしたいんですが、具体的な募集のやり方ですね、第四住宅についての募集の方法、それはどういう形でやられたのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(平野直樹君) お尋ねの利倉西第四住宅完成は、申し上げましたように昭和五十九年三月でございます。この時点におきましては、この住宅のほかに六棟、三百十戸の共同住宅がございました。このうち、入居者が二百五十八戸、あいておる戸数が五十二戸でございました。
 空港周辺整備機構といたしましては、移転補償の対象となる借家人等に対しまして、移転補償をする際には共同住宅入居希望の有無を確認してございまして、この利倉西第四住宅についても当然その存在については話をしておりますけれども、管理運営の合理化というような観点から、従来から入居しております他の共同住宅の入居を進めてまいったところでございます。特にこの利倉西には、すぐ隣接いたしまして第一住宅から第三住宅までの共同住宅が百七十九戸分ございました。そのうち四十五戸があいておるという状態でございましたので入居の御希望には十分こたえられるという状況であったわけでございます。
 このために、新設された第四住宅については特段のパンフレット等は作成しておりませんけれども、昭和六十一年六月のアンケート調査という中ではこの点について明記をいたしまして、住民の皆様にはこの存在を周知をしているところでございます。
○山下栄一君 ということは、入居募集はそれまでの、この第四住宅ができる前に六つあったわけですね、六棟あった。その六棟についてはきちっと、こういうパンフレットを私地元でいただいてきたんですが、こういうパンフレットをつくっているわけでございますけれども、第四住宅に限ってはこういう正規の募集案内をつくられておらないということですね。確認いたします。
○説明員(平野直樹君) ただいま申し上げましたように、その段階ですぐ隣に空き家があったというようなこともございましたので、特別のパンフレットはつくっておりませんけれども、移転補償の際には希望の有無というのを確認しておりますので、その際にはこの住宅の存在についてはお話をしておるということでございます。
○山下栄一君 せっかく新しい第四住宅ができたわけですから、もちろん空き家もあったでしょうけれども、やはり対象となる借家人の方々に知らせるべきであろう。当然のことだと思うんですね。
 特に、第三住宅の場合は、つくられてからどんどんふえて、前の古いところから新しいところにかわられた方もいらっしゃるわけでございますので、そういう意味で第四住宅についても全然知らせないという、全然といいますか、正規の形では知らせないで不平等に扱うといいますか、それまでの住宅と違う扱いをするということ自身が非常におかしい、このように考えるわけでございます。つくった以上はきちっとやはり住民に知らせて、同じような形で募集すべきである、それは当然のことである、義務である、このように思うわけでございます。
 まして、つくってからずっと七年間も放置しておったというようなことは大変なことだと思いますし、そういう意味で、たとえ空き家があろうと同じような条件で、第四住宅もできましたよと知らせて、同じような募集をすべきであったと考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
○説明員(平野直樹君) ただいま申し上げましたように、すぐ隣に空き家があったということで御希望には十分こたえられるという状況が一つでございますが、そのほか、昭和六十一年には、アンケート調査という形ではございますけれども、この存在を周知しておるということでございます。
○山下栄一君 納得できないお答えでございます。
 ちょっと観点を変えますけれども、今度第四住宅の着工段階で空き家が幾つかある、たくさんあるという場合は、当初は建設計画があったとしても、着工段階でまだまだ空き家があるからもう少し延ばそうとかそういうような判断があって当然であるのに工事を強行されてつくってしまうという、非常にこの建設計画に甘さがあるといいますか、いいかげんであるというふうな感じを受けるわけでございます。
 着工は五十八年でしたでしょうか、その時点での建設計画の見通しといいますか、どういう状況だったのか、お伺いしたいと思います。
○説明員(平野直樹君) この利倉西第四住宅の建設に着手いたしましたのは五十八年の七月でございますけれども、この当時空き家が十分あったということは事実でございますが、片やこの当時、都市計画手法によりまして緑地整備事業という事業を提案されておりまして、都市計画決定を行う準備段階におきまして関係住民の同意を得るためには緑地整備区域内の移転者のための共同住宅を十分整備しておく必要があるというふうに判断をいたしまして、計画どおり建設したものでございます。
○山下栄一君 ある程度見通しがあってつくられたと思うわけでございますが、完成すると今度は正規の募集もしないで放置する、こういうことに結果的になっているわけでございます。当初この建設については借家人の方々に入っていただくということで、先ほど冒頭申しましたように、大変な高率の国庫負担で国からの援助をいただいてつくった。つくったら募集しない、そして七年間放置して、おまけに民間に売却する、そういう結果になってしまっているわけでございまして、これは当初の目的がそういう借家人の住居を補償するための建物であるにもかかわらず、最終的にそういう形で民間に売却するという結果になってしまった。それもやっと昨年売却した、七年間は募集しないままにほっておいた、非常なこれは責任が問われるのではないかなと、こういうふうに考えるわけでございますが、運輸大臣、この点につきましてどうでございましょうか。
○説明員(平野直樹君) 先生御指摘のとおり、結果におきまして六年程度入居者がいない状況で放置されたということにつきましては大変遺憾なことだというふうに思っておりますけれども、ただいままで申し上げましたように、計画の当初は相当入居者があるという見込みでつくったものでございますし、またできた後は、近接するところにまた空き部屋があるという状況の中で、結果的にそういう状況が続いたものでございます。この点どうか御理解をいただきたいと思います。
○山下栄一君 全然御理解いただけないわけでございます。
 今、七年間入居実績がなかったとおっしゃったわけですけれども、きちっと募集しないから入居されないのは当然だと思うんですね。だから、希望者が出てくるとあいているところに入れていく、新しいところに入れない、これが全然納得できないんです。少々空き家があろうと、新しくできたところについては、新しいということで家賃は少し高いかもわかりませんけれども、希望者はちゃんとおると思うんですよ。であるのに正規の募集をしない、そのままにずっと毎年毎年ほっておくということは、これは非常に住民を裏切ることになると思うんですけれども、どうでしょうか。
○説明員(平野直樹君) 新しい住居ができまして、そこに例えば一世帯、二世帯入るというような状況を考えますと、必ずしも管理上効率的とは言えないという面もございますし、すぐ隣にあいておる住居があるというようなことでございますので、その点を御案内すると希望者はそちらの方にお入りになる、こういうようなことでございますので、結果においてこの第四住宅が空き家のまましばらく続いたと、こういうことでございます。
○山下栄一君 質問の観点を変えさせていただきます。
 先ほども、民間に譲渡されたということでございますけれども、建設総費用はどれぐらいで、譲渡されたのはどういう金額で譲渡されたか、差益はどれぐらいあるかということをお伺いしたいと思います。
○説明員(平野直樹君) この住宅は平成三年一月に株式会社日東紡というところに譲渡いたしたところでございますが、その譲渡価格は約十六億四百万円でございます。また、この住宅の建設費用は約四億九千万円でございます。したがいまして、この譲渡価格と建設費用の額の差は約十一億一千万円ということに相なります。ただし、この建設期間中あるいは資産処分までの間の費用あるいは支払い利息等が約三億円ございます。
 さらに、先ほど申し上げました無利子の資金の貸し付けを繰り上げ償還いたしたわけでございますので、これが政府の分と地方の分と合わせて約二億円ございますけれども、これらを差し引きますとその差額は約六億三千万円ということになります。
○山下栄一君 国のお金で建てた建物、国のお金ということは国民の税金で建てた建物なわけでございますが、それを民間に売却して、今のお話によりますと空港整備機構の方が六億三千万円いわばもうけているわけでございますので、それについてはやはり機構としまして国に返すべきである。少なくとも六億三千万円の国庫負担分四割につきましては、二億五千万円ぐらいですかね、国に返すべきである、このように思いますけれども、どうでしょうか。
○説明員(平野直樹君) ただいま申し上げましたように、売却益は六億三千万円余でございますが、片やこの共同住宅建設事業につきましては昭和四十九年度以降累積の赤字がございまして、これが約三億七千万円ほどございました。これを整理いたしますと、実質的な利益というものは約二億六千万円ということになっております。これにつきましては、今後の共同住宅全体の管理運営に要する費用に充てさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
○山下栄一君 機構にもそれぞれ事情があると思います。ただそれは、先ほど申しましたように、目的外に使って、譲渡することによって利益を六億三千万円得ている。そのことについてはやはりそれとしてきちっと国庫に返すべきである。それを機構の事情で、別の債務があるからそこに流用する――流用になるんじゃないかなと、このように思うわけでございますが、どうですか。
○説明員(平野直樹君) 確かに、この住宅の当初の目的と異なった形で処分をされたところでございますけれども、ただいま申し上げましたように、この実質利益というものは約二億円程度でございますし、今後とも共同住宅の管理運営ということが必要でございますので、そういう費用に充てさせていただきたいと考えておるところでございます。
○山下栄一君 最後に、運輸大臣の方にお伺いいたしたいと思います。
 冒頭申しましたように、この建物は借家人のために、空港周辺に住んでおられる騒音で悩んでおられる方々のためにつくられた住宅であるわけでございます。そういう弱い立場の方のためにつくられた住宅であるわけでございます。そのためにまた大変な高率の国の貸付率で、それも無利子で貸したわけでございます。それをまた目的外に、借家人のためだけじゃなくて民間に譲渡してしまった、七年間放置の末に譲渡したという非常に大きな問題であると思うわけでございます。特に、空港周辺整備機構は運輸大臣の監督のもとの組織でございますので、運輸省としても、また運輸大臣としても非常に厳しく責任が問われることではないかなと、このように考えるわけでございますので、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) お答えにならぬかもしれませんけれども、この利倉西第四住宅の問題については会計検査院から厳しい御指摘を受けて、結果的には適切に処理したと聞いております。
 しかし、今御質問の経緯を伺っておりますと、利益を目的としない機構が何かほかの不動産屋と一緒で、バブルに乗ってもうけちゃったと、そしてそのもうけは今までの損失補てんに回しますということのようでございますけれども、本来あるべき姿は、やはり騒音地区に住居を求められる方々のためにできるだけ安く利用していただくということがこの機構の住宅建設の目的であったと思います。
 したがいまして、民間に丸ごとそっくり譲渡したということについての厳しい御指弾だと思います。しかし、これは正確でないかもしれませんけれども、この日東紡の社宅ですね、これもやっぱり騒音地区からの移転を対象としたものであるということは間違いありません。結果としては影響を受ける空港周辺住民のためになった。それが結果、社宅に丸ごと譲渡したということについての御指弾は御指弾として、結局移らなきゃいかぬ形の対象であったことは間違いないと私は聞いております。でも、もうけが本意の機構ではございません。そういった点において会計検査院からの厳しい御指摘を受けたことに、そのとおりで、恐れ入りましたという形で処理をしたということでございます。
○山下栄一君 この機構の共同建設事業の計画自身が非常にいいかげんというか、ずさんであるというか、これはどうしても責任を問われるべきであると私は思います。そういう意味で、今後、機構に対する監督強化といいますか、これをぜひともお願いしたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 御指摘のとおり、空港を核とした新しい地域づくりというのがこの空港周辺整備機構に求められている事業でございますので、これに対する地域の皆さんの期待はますます高まってくるであろう、それにこたえるためにも、そういった今御指摘の点のような誤解がないように適切な運営にこれから努める、反省の上に立って努めるように厳正に指導してまいります。
○山下栄一君 大事な事業でございますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移らさせていただきますが、経済企画庁にお尋ねいたします。
 日本銀行が今月十一日に短観を発表されたわけでございますが、今回の発表でもわかりますように、在庫調整が思うように進んでおらない、全体としての景気回復は年内以降にずれ込むのではないか、このような内容になっておるわけでございますが、経済企画庁の方としまして、今回の日銀の短観調査結果についてどのように評価されておるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、先般の日銀短観では、総合経済対策が策定される前の聞き取りということもありまして、業況感は非常に厳しい、全体的に厳しい調整局面にあるということを反映した姿になっておると思っております。
 ただ、一部には先行き、今年度の下期にかけて収益が回復していくとか、幾つかの明るい材料も散見されるわけでありますが、総じて言えば大体予想どおりの厳しい姿が反映されておるというふうに考えております。
○山下栄一君 今回の調査結果の発表の中には、八月末の政府の総合経済対策の効果、それはまだ入っておらない段階の結果だと思うわけでございますけれども、景気の底、これが今回の総合景気対策の効果を考えましてこれから底をついて上がってくる、このようなことを経済企画庁はお考えでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 率直に申し上げて、景気の山と谷をどういう形で判定するかというのは、もう少しいろんな角度から、大分後から振り返ってみて、いろんな統計をもとにして厳密な分析をした上でいつが山でありいつが底であるか、これを決めるわけであります。そういう点で、ただ経済の指標的な姿だけではなくて、いわば経営者のマインドといいますか、通常そういう明るさがいつから出てくるんだとかいうような側面でも景気の山、底という話がよく使われます。そういう点で言えば、私どもいつが谷でいつが山であったかということを今ここで確定的なことを申し上げるのはまだ時期尚早だとは思います。
 ただ、今回の総合経済対策を決定し、それの効果があらわれてきておるわけでありますから、そういった点などを考慮し、さらにこれからの先行きなどを考えますと、もちろん経済の担い手は基本的には民間部門が主役でありますから、そういった方々がどういう動きをされるかということをも含めますとかなりの幅はあると思います。ただ、ざっくばらんに言えば、半年ぐらい先から振り返ってみると、ほぼ今は谷を越えてきておるという状況にあるんではないかなという感じはいたします。
 在庫調整だけで景気の動向を言うわけにはいきません。しかし、在庫調整も極めて緩やかではありますが、徐々に徐々に進展してきておるわけです。もちろん業種によってかなりばらつきがあります。しかし、それらもいつ完了するかということは別として、やはりいつ先が見えるかということが一方では大事なポイントであるわけで、そういった点からすると、年末ぐらいにはそういった展望が開けてくるということは言えるんではないか。
 そういういろいろのことを考えますと、今申し上げたとおり、後から振り返って指標的に見るとほぼ今ごろという感じじゃないでしょうかと、そう思っております。
○山下栄一君 谷を越えつつある、このような長官の評価でございました。ありがとうございました。
 公明党は、今回の景気対策の柱としまして以前から大幅な所得税の減税を強く要望してきたわけでございます。大阪におきましてもことしの五月に大変な大署名運動を行いまして、二百万を超える方々の御署名をいただいたわけでございますし、またその結果を衆参両院議長にもお届けしたわけでございます。ただ、残念なことに今回の政府の総合景気対策の中には所得税減税が入っておらないわけでございますが、経企庁としましては所得税減税の景気対策効果をどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 幾つかの角度からこの問題を考える必要があろうかと思います。基本的に、所得税減税をすることによって可処分所得がその分だけふえて、したがってそれが消費に対してのプラス効果があるということは当然のことだと思います。しかし一方で、その可処分所得の増加の中でどの程度消費に回っていくんだろうかということも局面によって効果は異なるわけです。御案内のとおりですね。
 そういった点で眺めてみますと、このところの消費そのものの動向がかなり質的な変化をも伴っておるんではないか。単に残業手当が減ったから消費が落ち込んでおるということだけではなくて、もちろん耐久消費財などを中心に消費の世界でもストック調整的なものもあるでしょうし、あるいは消費の内容がどちらかというと、とりあえず買っておきますかというような形から、さしあたり必要ないものは買わないよという、かなり堅実な動きに変わってきておるということはいろんな分野で明らかになってきておるわけです。
 さらに、例えば最近、これはまだはっきりと学問的にどういうことなのかわからないのですけれども、生活態度そのものも多少変わりつつあるんではないかなという感じもしないではない。あるいは環境とか自然とか。最近は曲がったキュウリも実際よく売れるそうです。あるいは巣ごもり現象ということも言われております。そういうふうに消費者自身の消費動向というものが必ずしも可処分所得の動向だけではない、さまざまな要因があるということも頭に置くと、減税効果というものが景気に対してどの程度消費を拡大するプラス効果があるのかという問題が一つあります。
 一方で、減税を賄う財源をどうするか、ポイントはそこであります。非常に潤沢な財政的な余裕があれば、そういう状況であってもそれなりの効果があると思いますけれども、もう御案内のとおりの今日の我が国の財政事情にある。そうすると、別途財源措置を何に求めるかということが明確でなければ、やり方いかんによって、例えば赤字国債などを財源としてそういうような話になるということになりますと、そちらのデメリットの方が極めて大きいということを率直に申し上げなければならぬと思います。
 中には、減税をすれば消費がふえて景気がよくなって税収もふえるから、ちゃんと減税分は賄えるよという論議がなされます。しかし、これは過去外国においても同じ論法でやって、今日なお財政赤字が拡大して本当に大変な状況にあるわけですし、我が国においてもそういった実際に経験を積んできておるわけで、そういう意味で、減税が景気を拡大し税収をふやす、そのことによって減収をカバーするということは現実にない。したがって、財源措置というものが明確な形で出ない限り、短期的にもその効果がどの程度の大きさを持つかということは疑問である上に、中長期的に見て基本的にそういう発想というものは誤るもとであると私は思っております。
 以上です。
○山下栄一君 平成元年からずっと所得税の減税につきましては行われてきていないわけですね。そういう意味で、特にサラリーマンの方については税負担が、負担感といいますか非常に高くなってきておる。それがまた個人消費支出に影響して財布のひもがかたくなっているというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、やはり国民、生活者の暮らしを守っていく観点から、いずれといいますか、近々やはり所得税の減税は考えざるを得ないという状況になってくるんではないかな、特に景気対策が思うように進まない場合は最後の切り札として必要とせざるを得ないという状況になってくるんではないかな、このようにも考えているわけでございますが、その見通しをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 政治家として非常に言いにくいんで、所得減税是か非かという論議をすると、やっぱり国民の皆さんは減税してくれた方を喜ぶわけですから、この話だけがひとり歩きすると必ず間違った結果が返ってくると私は思います。
 今いろいろ申し上げましたように、基本的には財源措置をどう整えるかということとワンセットで論じられるべきであると思います。それが単に政府だけではなくて、率直に申し上げて、これから社会保障関係の給付の水準、あるいは社会保険料負担を含めた税外負担あるいは受益者負担、そして直間比率の問題あるいは所得税負担の重さなどを総合的に、与野党を超えてしんから、国民におもねるという形ではなくて、正面から本音で与野党が論議をして道を開いていくという中で初めておのずから結論の出る問題である、私はそう思っております。
○山下栄一君 時間も迫ってまいりましたので、次の質問に移らせていただきます。
 生活保護の問題につきまして厚生省の方にお聞きしたいと思います。
 生活保護の受給者が百万人を割った、また、国民全体の人口の中における保護率も〇・八%台から七%台に下がった、こういう結果が出ております。また、生活保護の申請件数自身も非常に減ってきている、このような報告があるわけでございます。この減少傾向は、昭和六十年の臨調行革路線による国庫負担率の変更、国庫負担分が減るような措置になったわけでございますが、それ以来この減少傾向は続いておる、このように認識しておるわけでございますが、窓口の市町村などにおきましても、適正運用が行き過ぎというような声がございます。
 こういう傾向につきまして、厚生省の方ではどのように分析されておるかということをお願いしたいと思います。
○説明員(土井豊君) お話がありましたように、生活保護の受給者の人数あるいは保護率等というのは近年減少して今日に至っております。現在のレベルは戦後一番低い水準に被保護人員、保護率とも相なっているという状況でございます。
 その背景といたしましては、御案内のとおり景気が近年非常に好況で推移してきている。そういったことで就労機会の増大等々が背景にあると考えておりますし、それからまた、昭和六十一年四月の年金制度の改正により障害基礎年金等の創設が行われましたけれども、このような他方の施策が充実しつつあるといったようなことが背景にあるのではないかというふうに考えております。
 なお、生活保護の実施につきましては、常に必要なところには必要な保護を行うということを基本に適正な実施をするということは大原則でございまして、私どもこれまでも適正化に努めてきたつもりでございますけれども、今後ともその点については十分留意してまいりたいと考えているところでございます。
○山下栄一君 適正運用の行き過ぎということが少し問題になってきている面があると思うんです。
 特に、先月報道されたわけでございますが、ことしの三月に札幌市におきまして、生活保護の受給者の預金額を調べるために市の職員が本人の同意書を偽造したという事件がございまして、大変なショックを与えたわけでございます。公務員としてあるまじき行為であるということで非常に厳しい市民の指摘もあったわけでございます。
 これは、行政側の適正運用ということで、非常に保護を抑えていくというこの辺の方針がそういう形になってあらわれてきたのではないか、こういう面もあると思うわけでございますが、この事件についての御感想をお願いしたいと思います。
○説明員(土井豊君) 札幌市における事件については、私どもとしては遺憾であるというふうに思っているところでございます。市に対しても厳重に注意をいたしました。それからまた、全国の生活保護の担当者会議、これは十六日に行われましたけれども、そこにおきましても十分注意を喚起しているところでございます。また、札幌市におきましては停職を含めて関係職員の処分を行ったという報告も受けております。
 私どもは、生活保護の適正化ということは、これは必要な行政の手法であると考えておりますけれども、それが行き過ぎて今回のような事件が起きることがないように今後十分留意をしてまいりたいと考えております。
○山下栄一君 もう時間がございません。最後に一点だけお聞きしたいと思いますけれども、被保護者の自動車の保有の問題でございます。
 従来からの保有は認めるけれども、新しく自動車を購入するとか買いかえるとか、こういうことは認めないという方針になっているわけでございますが、特に身体に障害のある方につきまして車というのは、地域にもよりますけれども、やはりみずからの足になっているという状況があるわけでございます。
 生活保護を受けておられる身障者の方は全国に約八万五千人いらっしゃる、このようにお聞きしておるわけでございますが、この身障者の方の社会復帰の道をさらに広げていくためにも、社会で活躍する道を広げていくためにも、この身障者の方につきましては車の新たな取得も含めまして認めるべきである、このように考えるわけでございますが、御所見をお願いしたいと思います。
○説明員(土井豊君) 生活保護を受けている障害のある方々につきましては、御案内のとおり障害者加算というような形で上乗せをいたしておりますし、それからまた通院等に本当に必要な場合につきましては、交通費の実費支給というような仕組みで必要な生活保護上の手当てはしているつもりでございます。
 お話がありました自動車の新規購入まで認めるかどうかという点でございますけれども、率直に言いまして、購入費用、燃料費あるいは駐車場の利用料、そういったものは付随的に必要な経費になるわけでございまして、現在の最低生活を維持していくという生活保護の仕組みとしてはなかなか難しいのではないだろうか。先ほど言いましたとおり、本当に必要なものについては交通費の実費支給等々で手当てをしている。そういうような形で運営していくのが生活保護の姿としては正しいのではないかというふうに考えているところでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○山下栄一君 車の普及率も大変上がってきているわけでございます。そういう意味で、最低限度の生活の保障という最低限度というのは社会の水準、経済水準の変化によってやはり変わってくるべきものであると思うわけでございまして、いつまでも身障者についても車の保有を認めないということにつきましては、新規購入も含めましてですけれども、やはりこれは時代の状況からしてそぐわなくなってきているのではないか。みずからの足のかわりになるものであるという考え方から必需品である、このように考えるわけでございますが、最後に大臣、これについてのお考えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) 局長からお答え申し上げましたとおり、制度自体は最低生活を保障するということでございますが、やはりその中でも思いやりというのが私は必要だと思います。したがいまして、カラーテレビとかあるいは冷蔵庫につきましても、まだない世帯も若干あるかもしれませんが、とにかくこれらのものは保有を認めるべきだということで、これはかなり前から認めておるわけでございます。
 ですから、最低生活の保障の中でも思いやりをどこまで見ていくかという問題で、私どもこれはなるたけひとつよく見ていかなきゃならぬなという気持ちは持っております。
○山下栄一君 車についてはどうでございますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 車につきましては、さっきこれも局長から答弁しましたとおり、身体障害者については、これはもう生活上やむを得ない必需品であるという解釈に立っておりますが、一般の車についてはやはり最低生活にはそぐわないものであるというふうに私は思っております。
○委員長(大渕絹子君) 時間が来ていますから、端的にお願いします。
○説明員(土井豊君) ちょっと恐縮でございますが、補足させていただきます。
 身体障害者の車について、今大臣申し上げました気持ちでございますけれども、先ほど私が申し上げましたとおり、他の普及水準等から見て現実はなかなか難しいという状況でございます。
○山下栄一君 大臣の前向きの答弁ありがとうございました。
 以上で終わります。
○直嶋正行君 私は、きょうはまた自動車の話に関連しますが、自動車損害賠償責任保険及びその特別会計についてお伺いさせていただきたいと思います。
 自賠責については、昨年の四月、収支が好転したということを背景に累積黒字と累積運用益、これをユーザーに還元する、こういう視点に立って保険料で約八%の引き下げを行われたわけでございます。
 ただ、私が聞いているところでは、こうした引き下げを行った後もなお自賠責特会の滞留資金は依然としてふえ続けている。平成二年末で約一兆五千九百億円、平成三年末で一兆六千三百億円になる、このようにお伺いいたしております。また、その内訳を見ましても、累積黒字は九百億円減少いたしましたが、逆に運用益は一千三百億円増加いたしております。今後もこの調子でいきますと、この特会の滞留資金はユーザーに還元して減るどころかますますふえていくのではないかな、このようにも思っております。
 そこで、まず運輸大臣にお伺いしたいんですが、運輸大臣は本年三月の衆議院予算委員会の民社党の伊藤代議士への答弁の中で、この保険はユーザーからお金を取ってそれを原資としてやっているわけですから、本来この運用益というのはユーザーのものである、ユーザーに還元すべきものであるということを御答弁されております。そういうことであれば、この滞留資金を一層ユーザーの方に還元すべきではないかと思うわけでございますけれども、御見解をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) もし舌足らずのところがございましたら、政府委員から補足説明させます。
 ただ、原則として、私がかつてお答えしたとおり、この賠償保険機構は、本当は黒字も赤字もない形で均衡することが一番好ましいわけでありますけれども、最近はそういったことで年一千億余の黒字が出ておる。それで八%の引き下げを行ったという形もあります。しかし、現実として交通事故が予想よりも多かったり少なかったり、これは予想どおりいったらまた困るんですけれども、そういう傾向もありますし、現実にはやっぱり赤字の、最近は黒字基調になっておりますけれども、赤字になるときもあり黒字になるときもあるという不確定要素もございます。
 しかしながら、先生の御指摘のとおり、ノープ
ロフィット、還元すべきもの、この基本姿勢は原則として当然でございますし、その方向の中でこれからの累積運用益については、いわゆる保険料の還元という形の基本姿勢で当たるべき問題であろう、そう思っております。
○説明員(土坂泰敏君) 大臣のお答えしたとおりでございますが、数字に即しまして補足した御説明をさせていただきたいと思います。
 二年度末に累積運用益が九千六百億円、累積黒字は六千三百億円、合計で一兆五千九百億円でございます。この金額につきましては、自賠責保険審議会の答申によりまして、まず自賠責保険というのはノープロフィット・ノーロス、そういう原則で運用するものでございます。したがって、収支はできる限り均衡した状態が望ましい、こういうことでございます。
 しかしながら、さっき申し上げたようなことで、黒字になるときも赤字になるときもございます。過去十数回黒字になり、過去十数回赤字になるというようなことを繰り返してきておるわけでございますが、今申し上げたように平成二年度末は六千三百億円の黒字がございました。これは今申し上げました原則で、自賠責審議会の答申では利用者に還元することが適当であるというふうに言われております。これを七年間にわたって利用者に還元するということで保険料率の引き下げの計算をしたわけでございます。
 それからもう一つ、累積運用益のことでございますが、累積運用益の九千六百億円につきましても、これも過去に累積運用益を、保険料の引き上げ幅を本当ならばもうちょっと上げなきゃいかぬところを圧縮するという使い方をした経緯がございます。そういうことでありますので、平成二年度末の累積運用益については、これはやはり自賠責保険審議会で契約者に還元することが適当であるというふうに言われておりまして、これは十年で還元するということで保険料率の引き下げの計算をいたしました。この運用益十年、黒字七年、両方を合わせまして八%の引き下げをしたということでございます。
 具体的にどこからその原資を出していくかということでございますが、その原資の出し方といたしまして、まず累積黒字の方からその原資を使っていきなさい、それが終わりましたら累積運用益の方を減らしていくようにしなさい、こういう手順で保険料率の引き下げの原資に平成二年度末のお金を充てるわけでございます。
 したがいまして、六千三百億円が五千四百億円に減っておるわけでございますけれども、他方、運用益の方はまだその引き下げの原資に使われておりませんので、運用益というのはこれは言ってみれば利息でございますので、その間資金が滞留した分についての利息が加算されたりいたしましてそれがふえておる、こういう経緯でございます。
○直嶋正行君 今の趣旨で八%引き下げしたということなんですが、ここでちょっと大蔵省の方にお聞きしたいと思うんですけれども、私は、三年度について当初八%を決めたときに比べると大分状況は変わっているんじゃないかな、こう思うんです。
 一つお聞きしたいのは、これも同様にことし三月の衆議院の予算委員会で、平成三年の予定損害率、これが当初見込みが一一七・一%であった、それが実績検証値は一一一・四%に下がっている。この点に関して大蔵省の御答弁の中で、この要因として、一つは傷害の事故発生率そのものが低下した、二点目としまして医療費の適正化が進んだ、三点目として後遺障害の認定の厳正化が図られた、このようにお答えされています。
 この中で、医療費の適正化について現状を見ますと、お聞きしている話では、現在この適正化を実施されているのが九地区、合意がなされているのが九地区、その他はまだ未実施ということであります。つまり、行政当局は今この自賠責の収支を改善していくためにいろいろと対策を講じられております。その対策を講じることによって損害率がもっと下がってくるんではないかな、私自身はこのように受けとめるわけでありますけれども、この辺の医療費等の問題について大蔵省の方の御見解をお伺いしたいと思います。
○説明員(松田広光君) まず、三年度の話からちょっとさせていただきますと、先生御指摘のとおり、平成三年度検証では、損害率は改善されておりますものの交通事故状況が若干悪化傾向にございまして、損害率の今後の推移を見きわめるのが難しい局面にございました。そういうこともございまして、平成四年一月開催の自賠審におきましては、今後いましばらく保険収支の動向を注意深く見守っていく必要がある、そういうことで料率据え置きのままに見送ったということでございます。
 それで、診療報酬の方でございますが、これは先生御指摘のとおり、今九地区で合意ができておりまして、鋭意この改善のために私どもも今後とも努力をしていきたいと思っております。しかしながら、実施されておりますところは先生御指摘のとおりの地区だけでございますので、この点まだ今後とも引き続き努力をしていく必要がある、こういうふうに考えております。
○直嶋正行君 どうも行政当局、かた目に見通しをつくっておられるんじゃないかな、こんな感がいたします。
 ことしの春に、民社党の議員がこの自賠責の保険料を一〇%ぐらいさらに下げられるんではないか、こういう提言をさせていただきましたけれども、私どもが試算をした結果で言いますと、例えばさっきおっしゃった十年後にはこの運用益は約二兆円近くになってしまうんじゃないか。仮に一〇%引き下げても八千億ぐらいの残高になるんではないか。これは試算でございますから当たっているかどうかはわかりません。
 そこで、運輸省に一点お聞きしたいんですけれども、この滞留資産の適正水準、さっきおっしゃったように黒字もあれば赤字もある、それを埋める必要がある、こういうお話なんですが、この適正水準というのはどれぐらいとお考えになっているのか、この点をお伺いしたいと思います。
○説明員(土坂泰敏君) 黒字と運用益とで分けて考える方がいいと思うわけでございますが、先ほども大臣が申し上げましたように、ノープロフィット・ノーロスというのが原則でございますから、本来の姿は黒字も赤字も出ないというのが正しい姿であろうと思います。ただ現実は、予定したよりも事故が多かったりあるいは少なかったり、そのときどきの事情が必ずしも予定どおりにまいりませんので、黒字になったり赤字になったりしているというのが実態でございます。現実に黒字が十九回、赤字が十八回というのが今までの経緯でございます。
 ただ、先生のお尋ねは、何が適正な水準であるかということでございますので、その点に端的にお答えすれば、累積黒字も累積赤字もない状態が
 一番適切であろうというふうに思います。ただ、現実はなかなか予定と実際が違っておるということでございます。
 それから、もう一つの累積運用益の方は、これは保険というものの性格上、保険料をいただきまして、それから実際に事故が起きる、それからいろいろお話し合いがあったりして保険金を支払う、その間にやはり少し時間がかかるわけでございます。タイムラグがある。保険料をいただいてから事故が起こってというのはよくないですが、そして保険金を払う、その間にタイムラグがある。したがって、その間に滞留いたしました保険料から運用益が出てまいる。その運用益がさらにまた利息を生むというような格好で運用益というのはたまっていく性格のものでございます。
 これにつきまして、具体的にどの規模が適当なのかというのはなかなか私どもとしては判定しにくい状況でございますが、現実にはそれが大体一千億程度ふえておる、こういう状況でございます。
○直嶋正行君 今運用益だけで一千九百億、三年度末であるわけです。これが今のお話の適正かどうかということから見ると、私はかなりたくさん
あるのではないか、このように思います。
 例えば、さっき一〇%引き下げできるのではないかというふうに申し上げましたが、これを自家用乗用車の方に還元するとしますと約二〇%近い引き下げが可能になるわけです。そうしますと、例えば新車購入時点では約一万二千円以上、車検のときに二年ごとに払う、二年単位で見ましても七千円以上の引き下げになるわけです。かなりこれはユーザーにとってメリットが大きいことではないか。
 改めて運輸大臣に、もう一回しつこいようですがお聞きしたいんですけれども、さっきもお話ししましたように、この自賠責については、例えば医療費の適正化であるとかあるいは運用の厳正化ということで、これまで政府が随分努力してこられたわけです。私はこの努力は評価したいし、これからもぜひお続けいただきたいと思うわけであります。
 そういう点からいいますと、政府が努力をされた結果として、ある面でいうとこれだけの滞留資産ができてきたわけであります。先ほどおっしゃったようなノーロス・ノープロフィットという視点からいいましても、ここはむしろ、政府としてはこれだけの努力をして成果を上げたんだから、これは国民の皆さんに還元する、こういうふうにおっしゃった方が趣旨からいっても合うんではないかと思いますけれども、運輸大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(奥田敬和君) 先ほども申し上げましたように、もうけもなければ損もないという形で、余ったものはユーザーに基本的には還元さるべきものであるという基本認識に立ちますと、今お聞きしますと、二〇%引き下げが可能である、一人当たり一万数千円というような金額を挙げての御提示でございますから、もしそういった形が可能であれば、やっぱり赤字にならない限度の中でそういう方向で検討させていただきたい、財政当局とも相談をさせていただきたい。
 ただし、この運用益の使用に関しましては、先生方の中にも非常に建設的な御提言がございまして、救急医療体制の整備あるいは交通事故防止対策等々に重点的にこういった形のものを回していくことも結構なんじゃないか。今後ともそういった形も見ながら、やっぱり交通事故が少なくなることが一番大事なんであって、事故が起こったら、次にはこの生命救急という形がまず第一でございますので、そういった点におきましても併用して考えていきたいと思っております。
○直嶋正行君 それでは、自賠責について少し別の観点から運輸省の方にお伺いしたいと思います。
 自賠責の中には保障勘定というのがございます。これがどういうものか私がここで説明する必要はないと思いますけれども、例えばひき逃げ事故があったり、あるいはそのための加害者がすぐに見つからない場合に、加害者にかわって保障する。そして、加害者が明らかになった時点でその加害者に対して国が求償する、こういう制度というふうにお聞きしております。
 それで、一点、これは数字でございますが、この保障勘定が始まって以来のひき逃げあるいは保険に入っていない車両の事故等による保障金の支払いの累計額、これとそれに対応した加害者への求償の累計額、これは数字がおわかりになれば、ちょっと教えていただきたいと思います。
○説明員(土坂泰敏君) 保障勘定は、仰せのように、ひき逃げと無保険について国が立てかえて払って、後で加害者に求償するという仕組みでございます。
 今までの支払い保障金の累計額は、昭和三十年の発足以来七百十四億円でございます。これは今申し上げましたように二つ中身がございまして、いわゆるひき逃げのために支払った支払い保障金、これは四百九十億円でございます。このひき逃げのために支払った保障金というのは、加害者を特定できませんので、立てかえて払ったからといってそれを求償して取り戻すということが本来できない金額でございます。残りの二百二十三億円になりますが、これが無保険の事故で被害者に支払った保障金でございます。これはひき逃げと違いまして、加害者がどこかへ行ってしまったというわけではなくて、加害者を特定することが可能でございますので、これは本来回収ができる金額でございます。それで、この二百二十三億円を回収していくわけでございますが、なかなか一遍にお金をいただけないものでございますから、延滞金というような格好でお金を分割していただいたりしておるものですから、延滞金まで入れますと二百二十三億円が二百八十八億円になるわけでございます。
 したがって、この二百八十八億円を国として無保険の加害者からお返しいただかなければならない。ところが現実問題としては、このうち八十四億円は回収するなり何なりの方法で消滅しておるわけでございますが、残りの二百四億円はまだ回収が現実に実現していない、こういう状況になっております。
○委員長(大渕絹子君) 直嶋君、時間が来ています。
○直嶋正行君 この滞留資金も含めて、もう少し議論したいんですが、また自賠責の問題については改めて議論させていただきたいと思います。
 最後に、恐縮ですが、経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
 今やりとりしていたわけですけれども、例えば先ほど自家用ユーザーに還元しますと一人約一万二千円、車検で七千円強というお話をしました。実際にこういう還元がなされたとしますと、今問題になっています国内の消費の拡大という面からも一定の効果があるのではないかと思いますが、御見解をお伺いさせていただければありがたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 確かに、ユーザーにしてみればその部分だけ収入がふえるということを通じて消費への何がしかのプラスの影響があるということは、その点は事実だと思います。
 ただ、先ほど来運輸大臣からも御答弁ございましたように、現在そのお金が実際には遊んでおるわけじゃないんで、逆にいろんな交通安全施設その他に有効に活用されておるわけで、仮にそれらの事業が極めて必要なことであって社会的にも大事なことだ、したがって、もしそれを財源としてやらなければどうしてもまたほかの手段でもって財源調達をしなければならぬという話になると、これはまた話は変わってくるわけですね。したがって、なかなか一つの面だけから経済全体への影響を推しはかるということは難しいのではないかと率直に感じております。
 ただ、先ほど来のやりとりをお伺いしておりまして、ノーロス・ノープロフィットということを基本に置いてやっていこう、こういうことでしょうから、単年度で保険料が上がったり下がったりということは余り好ましくないということが大前提でこの制度が運用されておるように私どもも受けとめております。
 そういった点で、今一生懸命努力されておられることを私どもも率直に評価し、また事故がさらに減ってそういったものが還元されるような機会があればなお結構なことであるというふうに思っております。
○直嶋正行君 終わります。
○高崎裕子君 運輸省にお尋ねいたします。
 一連の佐川急便事件は、政治家及び暴力団に対し巨額の佐川マネーが流れた一大疑獄事件です。とりわけ、政治家に渡ったお金は単なる献金と違いやみ献金であり、佐川としては当然その見返りを要求しないわけはありません。佐川の極めて巨額なお金の流出の陰で、労働者は長時間労働、過労運転、低賃金で泣かされているのが実情です。
 法違反など、その実態について我が党の小笠原前議員が繰り返し追及してまいりました。特に、ことしの四月七日、参議院の運輸委員会で佐川の主管店の長時間労働、過労運転などを具体的資料に基づいて指摘したところです。
 その際、水田局長は、「実態の把握と是正指導
をやっていきたい」と約束していただいておりますが、実態の把握をしていただいたその結果と、具体的にどのような指導をされたのかお伺いいたします。
○説明員(土坂泰敏君) 先国会におきまして、北海道貨物なり北海道佐川急便の長時間労働あるいは事業計画違反、こういったことについて非常に具体的な御指摘があったわけでございます。しかしながら、その一方で佐川につきましては、グループ全体を対象にした監査をする必要があるのではないかという御指摘もいただいたところでございまして、運輸省としても同様に考えていた次第でございます。
 ところが、当時はちょうど佐川グループの中核六社から合併の認可申請が出されておりました。したがいまして、グループ全体を対象にして何かするということよりも前に、まずこの問題について決着をつける必要があったわけでございますが、この問題につきましては厳正に公平に審査をいたしまして、四月二十八日に認可をしたところでございます。新会社は五月一日に発足いたしました。したがいまして、運輸省としてはこの会社が多少とも軌道に乗るのを待ちまして、これまで会社全体として事業運営の基本的な面についていろいろ改善措置をお約束していただいてきておりますので、この点について今どういう状況でどこまで進んでおるのかということを九月十八日までにお答えをいただきたいということで、八月十九日付の文書を出したわけでございます。
 これは、このグループが、先ほど御指摘がありましたように、過労運転などを繰り返してきたわけでございますが、そういったことの背景になっているのではないかと思われます賃金あるいは労働時間、こういった問題について運輸省として従来からその場その場の違反を処分するということでなくて、もう少しさかのぼってその点も是正してくださいということを累次言ってまいってきたわけでございます。この点について、それでは賃金はこうします、労働時間管理はこうしますというようなことを文書でその都度お答えをいただいたわけですけれども、これをグループ全体としてそれでは今どういう状況になっているんですかということを確認したということでございます。
 そのほかにも、新しい会社がスタートするに当たりまして、二・九告示を守っていくための措置などについてもお約束を出していただいておりますので、こういった今までに、これからこういうふうにしますと言われたことについてまず文書で出していただきたいということをお願いした。それを見た上で、具体的にどういう時期にどういう行為をすればいいか、こういうことを関係省庁とも相談をしながらやっていきたいというふうに考えているところでございます。
○高崎裕子君 今、二・九告示の拘束時間等についてというお話がありましたが、これは合併申請中の六社に関して運輸省が、二・九告示の拘束時間等の基準について違反があったこと、それから車両数等に応じた適切な員数の運転者が確保されていないこと、つまり人員不足があってそれが解決されていないからその対策をせよということで指摘をし、四月十七日に運輸省に対して佐川急便、大阪佐川急便、そして東京佐川急便からこの二・九告示を遵守するための改善報告書が出されました。この改善報告書があります、四月十七日付で。これ間違いありませんね。
○説明員(土坂泰敏君) 合併認可の申請審査に際しまして、この会社がかねてより安全運行管理の面で問題がございましたので、私どもとしてその点について調査もし、必要な減車もお願いした上で、さらに今後二・九告示をきちんと守っていくためにどういうことをしていただけるのかということを向こうに要請してその文書を出していただいた、こういうことでございます。
○高崎裕子君 そこでは全体で七十両減車したということも書かれてあるわけですが、先ほど九月十八日付で回答を求めたということで、私どもは九月に入ってから三回ないし四回レクで私の部屋に来ていただきまして、繰り返しこの実施状況についての回答書を要求してまいりました。そして、きょうまでが期限だということで、この委員会の私の質問の直前であっても届き次第いただきたいということも重ねてお願いして、そしてそこはお約束いただいたわけです。
 午前の質疑で同僚議員から質問があった際に、大臣は、きょう手元に届いておりましてというふうにおっしゃいまして、運輸省の方に確認しましたところが、それは大臣に正確にお伝えしなかったので誤解があったのではないかというお話でもありました。きょう回答ということですので、きょう来るはずですし来ているのではないかとも思いますが、きょう来次第私のところに届けていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
○国務大臣(奥田敬和君) 大変失礼いたしました。
 午前中の角田先生の御質問に対しまして、実はきょうの日付で改善回答が来るという形で報告を受けたというような答弁をしたようでございます。大変申しわけありません。実はまだ届いていない。向こうから、きょうの正午ごろであったと思いますけれども、吟味に正確、完璧を期したいので一週間ほどの余裕をいただけないかということで申し入れがあったようでございます。それに対して事務当局は、一週間の猶予でより正確な報告が届くならということで承諾を与えたということでございます。したがいまして、きょう受け取ったという形は、そういった報告に基づいて私の早とちりであったことをおわび申し上げます。
○高崎裕子君 来次第すぐ間違いなく届けていただけますね。
○国務大臣(奥田敬和君) 委員長の方でお諮りいただければ、その御指示に従って前向きに対応する方向で対処してまいります。
○高崎裕子君 先ほど角田議員に対しては、運輸省から提示して直接御説明をいたしますということになっておりますので、同じように、来次第お願いしておきます。
 次に、運輸省にお尋ねしますが、合併した東京佐川など旧六社に労働時間の改善のための基準、いわゆる二・九告示と言われる改善基準、この違反がことしに入っても相変わらずあったということがこれで明らかになったわけですが、このように何度も改善の指導を受けながら違反が続いている。北海道佐川、佐川グループの北海道貨物の労基法違反、運送事業法違反など具体的資料に基づいて小笠原前議員が指摘をしてまいりました。同時に、各主管店の二・九告示や三六協定を遵守されていない点についても指摘をして、それに対して水田局長は、実態の把握と指導をし、適切に対応したい、こう述べられています。北海道及び主管店の調査についても直ちに行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、まず北海道も含めましてはかの会社、佐川グループ全体を対象にしましてやはり事業運営の面でいろいろ問題があると思っておりますので、現在、お約束いただいた改善措置がどういう状況にあるのかということの御返事をお願いしているところでございますので、その御返事をいただいた上で関係省庁とも相談の上、それを確認するような意味での調査をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
○高崎裕子君 よろしくお願いいたします。
 次に、労働省にお尋ねいたします。
 北海道佐川と佐川グループの北海道貨物の抜き打ち監査は行いましたか。
○説明員(戸苅利和君) まず、北海道貨物株式会社でございますが、これにつきましてはことしの春に本社と札幌支店に対しまして監督指導を行っております。
 その監督指導の結果でございますが、時間外労働手当の支払い等に関しまして事実関係の調査を行う必要が認められたものですから、その後数度にわたりまして労使から事情を聴取するなど、現
在鋭意調査を行っているところでございます。
 それから、北海道佐川急便株式会社でございますが、これにつきましては昨年の十一月に佐川グループに対しまして全国一斉の監督指導を行ったわけでございますが、その一環として同社についても監督指導を行ったわけでございます。
 その結果、労働時間にかかわるもの、それから就業規則にかかわるもの、健康診断にかかわるものにつきまして労働基準法等の関係法令違反が認められたところでございまして、これらの事項について速やかに是正するようにということで勧告を行いました。是正勧告を行いました事項につきましては、北海道佐川急便株式会社の方から是正した旨の報告を受けているというふうに現地の方から報告を受けています。
○高崎裕子君 それで、運輸省にお尋ねいたします。
 東京佐川の車両の新規増車で昭和六十二年七月六日、百八十三両の増車が認可されておりますが、これは事実ですね。
○説明員(土坂泰敏君) 昭和六十二年七月六日に百八十三両の認可をしております。
○高崎裕子君 これは異例の大幅増車と言えるわけです。特別の便宜を図ったのではないですか。
○説明員(土坂泰敏君) 増車につきましては、貨物自動車運送事業法では届け出制になっておるわけでございますが、この六十二年の時点ではこれは旧道路運送法によりまして認可制でございました。しかしながら、その認可の運用につきましては、昭和四十五年の自動車局長通達によりまして車庫の確保ができていない場合を除き申請どおり認可をして差し支えがないと、こういうことになっておりまして、これは佐川に限らずどこの会社がお見えになってもそういう措置をとっておったわけでございます。
 六十二年当時は好況の時期でございまして、佐川に限らずいろんな会社が増車をなさいました。これにつきましては、佐川はそれだけの需要があって増車を申請されたわけでございまして、私どもはその認可基準に従ってやったものでございます。
○高崎裕子君 佐川だけ便宜を図ったわけではないと、こうおっしゃったわけですけれども、それはやっぱりおかしいと思うんですね。
 私の手元に文書があるんですけれども、これは東京佐川渡辺社長名で清和商事にあてた「労務改善対策の推進状況について」の報告書で、これは平成二年の五月の報告文書です。これはもちろん運輸省にも届け出されているものです。これを見ますと、運輸省御当局の格別の御配慮を得て昭和六十二年七月六日、営業車両百八十三台を新規に増車配置したと、こう書かれているんです。これが特別の配慮をしたと言わないで何でしょうか。明確に言っているではありませんか。いかがですか。
○説明員(土坂泰敏君) 当時、その文書の中でそういう表現をお使いになったお気持ちは私どもはよくわかりませんが、私どもが行政上増車を処理するときの基準は、今申し上げましたように、車庫について問題がなければどなたがお見えになっても申請どおり認可をするということでやっておったものでございまして、特別の配慮は一切しておりません。
○高崎裕子君 特別な配慮はない、運輸省としては通常のことだと、こうおっしゃるわけですけれども、六十一年から六十二年にかけてこの佐川は三百人人員がふえているんですね。余裕があって人が余っていて車をふやすということであれば百八十三台の増車というのもわかるんです。でも、一方で三百人どんとふやして、そして他方で百八十三台新車について新規に増車配置されたという事実がはっきりしているわけですから、運輸省としては通常のことだとおっしゃっても、佐川みずから、業者側から格別の配慮だというのはまさに事実としてあったのではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○説明員(土坂泰敏君) 増車は、当然それを動かす運転手の確保と相まって措置されるべきことでございまして、増車に合わせて人員を確保なさったのは当然の措置であったと私は思います。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、どこの会社がお見えになりましても増車の基準というのは車庫に問題がなければ認めるということでございまして、それ以外のことは一切配慮しておりません。
○高崎裕子君 そこで、運輸大臣にお尋ねいたします。
 この増車認可をした昭和六十二年には、労働省から定期監査ではなくて特別監査を受けて佐川グループ四十四事業場のうち四十二事業場で、つまりほとんど一〇〇%近い違反があったではないですか。しかも、この東京佐川は六十二年の三月三十日に道路運送法など数々の違反で車両使用停止処分、これ四十五日車受けているんです。この停止処分が明けた直後の五月二十九日にもう百八十三両の増車申請が出され、認可を受けている。こうした法違反を続けてきたいわば悪質な企業に運輸省が格別の配慮をしたことは、私はやっぱり重大な疑惑だと言わなければならないと思うんです。政治家が関与した可能性が極めて高いと言わざるを得ないと思います。
 六十二年といえば、竹下総裁誕生をめぐり、私も当委員会で質問もいたしましたが、右翼の日本自民党事件があり、これを抑えるために金丸さんが東京佐川の渡辺社長に依頼し、暴力団石井会長が中止させたまさにその時期に当たるんです。つまり、金丸さんと渡辺社長が親密になったその時期だと言われています。つまり、金丸さんはこのとき渡辺社長にいわば借りができたと、そう言えるのではないでしょうか。
 金丸さんと佐川との関係では、昭和五十八年、佐川会長と元衆議院議員中尾さんが金丸事務所に一億円を持っていったと週刊誌でも中尾さんの側近が語っていると伝えられていますが、一方、山梨佐川はその時期、昭和五十八年から急に認可車両数がふえています。五十七年まではずっと二十二両が続いていたのに、五十八年に突如約倍に近い十五両がふえて、五十九年にはまた十七両と新たに増車をしていっているんです。
 これらのように、政治家によって佐川急便に便宜が図られ、運輸行政がゆがめられたのではないかというふうに指摘できると思うんですが、大臣、この際もう、格別な配慮を得てというふうに書かれてもいるわけで、この点について徹底究明して調査をしていただきたいと思いますが、その大臣の決意を伺わせてください。
○国務大臣(奥田敬和君) 今ほど局長からお話ししましたように、増車認可に関しては別にそんな政治力を必要とする、そんな難しい問題じゃないんだという答弁がございました。したがって、東京佐川の渡辺社長が管内のあれに当局の特別な御配慮と言ったのは本人のはったりで、そういった形も多分にあるんじゃなかろうかと思います。ですから、このことに関しては決して政治的な形がその裏で動いたという御懸念は、事務当局からもそんなことは絶対ございませんという報告を私にいただいておりますので、その懸念はなかったんじゃなかろうかと私は確信いたしております。
 しかし、いずれにしても停止処分なりいろいろな行政的な処分を受けた直後の大量増車という形は、流れからいうと少しも懲りてない形で、行政上ちょっと甘いかなと。やっぱりきちっとおきゅうを据えた後に、すぐはいはいという形ではちょっとこれはやっぱり行政担当省としていささか、もうちょっと厳正に当たるべき問題でなかったのかなと、そういう思いはいたします。
○高崎裕子君 これについては、私具体的な事実をいただいた資料で指摘したわけですから、これはもう厳正に調査をしていただきたいということを重ねてお願いいたします。
 最後に、山下厚生大臣にお尋ねいたします。
 先ほど山下議員からも出されましたが、生活保護受給者の資産チェックという名目で、預貯金の調査に当たり受給者本人の同意書を偽造して金融機関に問い合わせをしていたということが札幌で発覚したわけですが、受給者の人権問題にかかわる大変重大な問題です。もう絶対二度とあってはならない事件で、再発防止のために、行き過ぎだとか個人の問題だというのではなくて、私は同意書の取り扱い事務を検討し直すということがこの際求められている問題だと思うわけです。同意書を一回取ると、もう七、八年前のものであってもいつでも何回でも自由に使えること、あるいは有効期限が全くない、あるいは今回の偽造も同意書の原本を使用せずにコピーで実施していたために偽造が安易に行われたという問題なんです。これは単に札幌だけの問題ではなく、システムとしてこうなっているわけですから、全国でも同様に行われる可能性というのを秘めているわけですね。
 こうしたことも含めて、厚生省としては再発防止に向けてこのシステムについてぜひ検討していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○説明員(土井豊君) ただいまお話がありました札幌市における事件でございますが、私どもも大変遺憾であると考えております。こういうことが二度と起こらないように地方団体に対して適切なる指導を行いたいと考えておりますし、既に去る十六日に全国の会議におきましてその趣旨の徹底を図ったところでございます。
 ただ、お話がありましたように、制度自体の問題というより、この問題が起こった当該職員のモラルの問題であったと私どもは思っております。
 同意書自体につきましては、御案内のとおり、生活保護を適切に運用していくために調査の必要がいっどの機関に対して生ずるかはなかなかわからないということ、あるいは必要が生じた場合に速やかに照会をし円滑な実務処理を行う必要があるということ、それからその都度徴収することということにいたしますれば被保護者と実施機関との信頼関係、こういった関係から今のような仕組みを定めているわけでございまして、私どもは適切な運用は運用として精一杯の努力をいたしますけれども、今の制度自体は適切であると考えているところでございます。
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま局長が答弁いたしましたとおりでございまして、やはり悪いことをやろうと思えばどのような制度をつくってもできないことはないのであります、極端に言いますと。ですから私は、こういうことが起こったからすぐ制度云々ということではなくて、今後とも我々は適正な運用ができるように十分考慮していきたいと思っております。
○井上哲夫君 私は、きょうは欲張ってたくさん質問通告をいたしましたが、時間が迫っておりますので全部はできない。通告をしたところでもし質問ができなかった部分については、せっかくおいでいただいた省庁の方にあらかじめおわびを申し上げておきます。
 まず、国土庁の方にお尋ねをいたします。
 俗にリゾート法、総合保養地域整備法ですか、このリゾート法が発足して、その後環境汚染あるいは自然環境の破壊だとかいろんなことを言われまして、リゾート法はむしろ廃止すべきだというようなことを決議する団体まであらわれた。そこヘバブルの崩壊といいますか急速な経済の低迷があって、最近各地で意気込んでいたリゾート整備というものが少ししぼんでというか、むしろ逆に大手の進出企業が撤退するたびに新聞記事に大々的に取り上げられている。
 最近、この八月にリゾートの今後のあり方について、総合保養地域整備研究会というところが中間取りまとめをしたということであります。
 この内容を見ますと、いろいろ反省すべきところは反省をして本来のリゾート整備を図らなければいけないというふうに書いてありまして、それはまことに結構なことでございますが、私は国土庁の方にお尋ねをしたいのは、国や地方公共団体がむしろ過疎地において過疎地域の活性化のために、そして、それはむしろ国土保全といいますか、環境を守り、さらに景観も守る、そういうリゾートの部分がある。これは中間取りまとめでも田園リゾートをこれから力を入れてやっていこうというような形で取り上げられておるわけですが、この田園リゾート構想について国土庁は一体どのような今考えを持っているのか、それをお尋ねしたいと思います。
 そこで、こういう抽象的な質問をしても抽象的なお答えをいただいて、それで通り一遍になってしまいますので、実は私が住む三重県における一つの具体的な例を挙げてお尋ねいたしたい。
 一つ具体的な例というのは、和歌山県との境に熊野市というところがありまして、非常に過疎の地として有名でございます。しかし一方では、そこで二十年ぐらい前に三重県がミカン園をパイロット事業として興して、そこにミカンの栽培農家が十戸集まりまして、温州ミカンを中心とする広大なミカン園をつくった。それは非常に成功した。その後、国営パイロット事業でやはりミカンの土地を形成したところ牛肉・オレンジの自由化という波で国営の方は挫折した、こういうところであります。このミカン園が経営難というかあるいは先行きの見通しが暗いということで、やれゴルフ場になる、あるいはオートレース場になる、あるいはその他の大手の資本が入っての形で姿を消すのではないかというふうに言われてきておりました。
 ところが、このバブルの崩壊でゴルフ場も撤退する、あるいはオートレースも撤退する、あるいは大工場とかそういう新しい構想も撤退する。さあ、そこでどうなるか。もう今やその当該農園もどうしたものか。しかし、一たんもうミカン園をやめて何とか楽なところへ回ろうという心に変わってしまうと、本来そこで地域の活性化の原点になり得るのにもかかわらず、それがなかなかそういうふうにならないで浮ついちゃったままになっている。
 そうすると、一体どういうことが起こるかというと、例えば地元のそういう従業員が、それがなくなればもちろん雇用がなくなるし、さらにミカン園がなくなるということになれば、農協の方もいろいろ農薬を初め、さらに人減らしをしなければいかぬ。そして加うるに、きれいなミカン園を壊して仮にゴルフ場になるということは、むしろ国土保全からいったらマイナスになる。
 こういうふうなところこそ、本当はリゾート整備、いわゆるリゾート法がバブルの崩壊でいろいろ批判されても、逆に田園リゾートの育成というためには、国や地方公共団体の土地の先行買いを言われるぐらいなら今こそここで思い切り踏み込んでもらった方がいいんではないか、それが過疎地域における地域の活性化の、そして国土保全のまさにやるべきところではないか。
 国土庁さんの方で、この田園リゾート構想についてどのように踏み込んだ意欲を持ってみえるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(斉藤恒孝君) 御指摘のとおり、この四月から総合保養地域整備研究会というものを設けまして、今後のリゾートの整備のあり方について検討に取り組んでいただいているところでございます。八月六日にこの研究会の中間報告をいただいたところでございます。
 この中では、リゾート整備の見直しの基本的な方向として国土の均衡ある発展の観点から、過疎化の進行している農山漁村の活性化というために田園リゾート等の整備についても進めていく必要があるとされているところでございます。
 国土庁といたしましても、御指摘のような過疎地域について地域の活性化を図るためにリゾート整備を進めていくことは望ましいことであり、かつまた必要なことであるというふうに考えております。そのため、家族で滞在が可能となるような体験農場ですとか、農村の魅力を生かした個性豊かなリゾートを整備できるよう所要の情報提供等の支援を行ってまいりたいと考えております。
 ただいま御指摘の三重県の事例につきましては、三重県、熊野市及び地域住民の三者で現在の観光ミカン園を生かしながら滞在型のリゾート整備を検討しているところであるというふうに聞い
ておるところでございます。
 国土庁としましても、こうした地元の検討結果を踏まえまして、情報提供なりあるいは総合保養地域法に基づきます基本構想の変更が必要となる場合には、円滑な変更ができるような適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。
○井上哲夫君 お答えは、それ以上は言えないということはわかっておるんですが、この中間取りまとめを見ますと、一年に一週間は長期滞在で日本のすべての国民がリゾート地に行けるように、それが目標である。・
 実際に、私ども三重県の肝心かなめのリゾート地のところにはすごいホテルが今できつつあります。中には海水を利用していわゆるリフレッシュするというような日本で初めてのホテルができた。私も見に行きましたが、一泊三万三千円、それよりもワンランク下で二万六千円、まだ今はサービス期間中ですと。三万三千円で一家四人で一週間長期滞在すると、計算すると九十二万四千円かかるんですね。二万六千円でも一家四人で一週間というと七十二万八千円。もちろんそれはいいことなんですけれども、今の中間取りまとめを読むと、一週間一家四人の家族が滞在できる限界というのは、一泊五千円あるいは六千円というところであっても宿泊代だけでやっぱり十五万ぐらいかかりますから、これはなかなか大変なことだ。
 そうしますと、このまま放置すると、浮ついた地元の人たちの気持ちがもとに戻って、それじゃ一泊五千円の長期滞在型のものを周りにつくって、ミカン園を自分たちも我慢して何とか守っていかなければいかぬなという気持ちにはなれるかどうか。よほど地方公共団体なり国がその周りの環境整備に思い切った策をとっていただかないとなかなか困難ではないかと思っておりますので、そのことだけ申し上げて、もう一問だけお願いいたします。
 運輸省の方にお尋ねします。
 俗に、不景気になると踏切事故が多いと、これは昔から言われておりまして、その証拠ではないんですけれども、九月十四日ですか、成田線で悲惨な踏切事故がありました。電車の運転手さんが亡くなるという極めて悲惨な結果だと思います。それはダンプの過積載、何か新聞記事では十トンダンプで四十トンぐらい土砂を積んでおったんではないかと。それではもう下り坂もとまり切れないし、その踏切が下って上るということで、勢いをつけないと上れない、そういうふうな事案のようです。
 そこで、時間もありませんので細かいことは一切省略いたしますが、JRにおいても相当踏切事故の防止のキャンペーンをやってこられたと思いますが、荷主に対していかにこの踏切事故の防止に協力というとおかしいですが、今後、踏切事故防止の体制にかかわり合いを持たしていくか、この問題について運輸省と総務庁の交通安全対策室の方にお尋ねしたいと思います。
○説明員(土坂泰敏君) 簡単に申し上げたいと思いますが、過積載で大型車が運行しますと、事故が起きた場合に大変悲惨なことになるわけでございまして、過積載の防止というのは私どもの大変重要な課題でございます。
 ただ、過積載の防止は、今先生お話しになりましたように、ダンプカーを使用する事業者だけで解決することではございません。まず、この人たちが自覚を持ってきちんとやっていただくと同時に、これと取引関係にある荷主なりあるいはもっと広く取引関係にある人全体で取り組んでいただかなければいけないことでございます。
 したがいまして、運輸省としては、当然貨物自動車運送事業者に対しましては運輸省の所管でございますので、それなりにいろんな監査なり指導なりあるいは処分なりを通じてきちんとやっていくべく努力をしておるわけですが、やはり関係省庁、つまり総務庁、警察庁、建設省あるいは農水省、そういうところと一体になって取り組んでいくことが大変重要であろうと思います。この点につきましては、かねてから関係省庁一体となって取り組む体制ができておりまして、既にそれによりましてそれぞれの立場から過積載による違法運行の防止について徹底を図っていただいておるところでございます。
 運輸省としましても、こういう全体の取り組みの中で運輸省としての最善を尽くしていきたい、こう思っておるところでございます。
○説明員(松冨泰生君) お答えいたします。
 大型貨物自動車による過積載の防止は、交通安全対策上の重要な課題でありまして、これまで数次にわたる交通対策本部決定や関係省庁申し合わせ等に基づきまして、過積載の原因となる差し枠の装着の禁止、重量計の整備等による取り締まりの強化等の措置を講じてまいっております。また、昭和五十三年から関係省庁による過積載防止対策連絡会議を設置し、この会議での検討をもとに関係事業者、団体に対する指導の徹底、差し枠装着車に対する取り締まりの強化、公共工事における差し枠装着車の排除、関係機関の相互協力などの申し合わせを行っております。
 荷主に関する対策といたしましては、上記申し合わせの中で、それぞれ関係省庁が所管業界に対し過積載による違法運行の防止に関する指導を徹底することといたしております。
 総務庁といたしましては、今後ともこうした指導が徹底されるよう関係省庁とともに努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○井上哲夫君 終わります。
○下村泰君 厚生大臣、最後まで御苦労さんです。もう少しですから御辛抱願いたいと思います。
 まず、難病対策についてお伺いします。
 現在、難病あるいは慢性疾患に対する施策として医療費の助成、調査研究、心身障害研究、そして医療施設の整備などが行われているわけですが、そもそもこの難病対策要綱及び小児慢性特定疾患治療研究事業の基本的な理念といいますか考え方について、また法的根拠について、まず教えてください。
○説明員(寺松尚君) それではお答えいたします。
 現在の特定疾患を中心といたします難病対策につきましては、難病患者に対する総合的な対策が必要である、こういうふうな観点から、昭和四十七年でございますが、難病対策要綱を策定いたしまして、予算事業として三つの仕事をやっておるわけでございます。
 その一つは、調査研究の推進でございます。第二番目は医療施設の整備、三番目は医療費の自己負担の解消、こういうことでございまして、この辺を主要な柱といたしまして総合的な施策の推進と充実に努めているところでございます。
 特に、原因不明あるいは治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病といたしまして調査研究を推進している疾病のうち、一番目といたしまして診断基準が一応確立し、二番目としまして難治度、重症度が高く、三番目といたしましては、患者数が少ないため公費負担の方法により受療を促進しないと原因究明や治療方法の確立などに困難を来すおそれがある、こういうふうな疾患につきまして特定疾患治療研究事業、こういうことにいたしましてその事業の対象として医療の確立、普及を図るとともに、患者の医療費の負担軽減を図っているところでございます。
○下村泰君 去る五月二十二日に厚生省の「これからの母子医療に関する検討会最終報告」が出されましたけれども、そこで四つの大きな柱がありますというふうに報告されておりますが、その中の「慢性疾患をもつ子どもたちへの対応」というのがあります。その内容をちょっと御説明ください。
○説明員(土井豊君) 本年五月に出されました「これからの母子医療に関する検討会」の報告でございますが、ただいまお尋ねの四点目のところでございますけれども、「在宅ケア対策の推進」、
「入院児対策の推進」、「民間団体による自主的な活動の支援」ということへの対応が必要であるということを基本に置きまして、さらに今後の方向といたしましては、
 クオリティオブライフの向上、子どもたちの健全育成の観点に立って施策の充実を図る必要があり、このため、在宅対策や福祉的サービス等を含めた包括的な地域ケアを提供する総合的、体系的な対策の確立に向けた検討を開始すべきである。
  なお、検討に当たっては、各種対策の法制的位置付けや対象者の範囲、医療費の適正な費用負担のあり方等についても十分な議論を行う必要がある。そういったものが骨子でございます。
○下村泰君 この中でも、
  長期にわたる入院、療養生活を続ける子どもたちにとって、その生活面を重視し、クオリティ・オブ・ライフを維持・向上させることは、重要な課題である。
  平成三年に実施した「小児慢性特定疾患対策調査」の結果によれば、慢性疾患をもつ子どもたちの家族の多くは、長期の療養生活に肉体的にも、精神的にも負担を感じており、また、医療はもちろんのこと、教育や在宅の日常生活の様々な場面での支援を望んでいることが明らかとなっている。
  これに対し、対策の現状は、医療費の公費負担、一部児童を対象とした養護学校や院内学級の設置のほかは具体的支援体制のないままに推移しており、学習体験を基にした成長過程という重要な時期にある子どもたちへの対応としては、既存の心身障害児対策に比してみても、必ずしも十分なものとはなっていない。こういうふうに言われております。
 この前、大臣もこういうふうにお答えくださっておるんですね。
  従来の難病の子供たちに対する対応の仕方というものは、ややもすれば医学的な治療に偏重しておったということでございますが、今御指摘のクオリティー・オブ・ライフ、すなわち生活の質の向上、そっちの方に観点を重視して向けていかなきゃならぬ、こういう趣旨だろうと思います。
 私も今まで予算あるいは決算委員会、それからかつての社会労働委員会、そして文教委員会でも何年も前からこうした点について施策の必要性を申し入げてまいりました。昨年来、鳩山文部大臣とも再三にわたる質疑、お話し合いをしてきました。来年度の概算要求に幾らかそのことが反映されまして、先般もお礼を申し上げたんですが、特殊教育の振興ということで病気療養児の教育に関する調査研究という新しい施策がなされております。
 しかし、何といっても、これは厚生省の施策が基本的にしっかりしていないと子供たちのこのQOLというのは実現しないと思います。現行制度の限界については既にお感じになっていると思います。少なくとも立法府に席を置く者としては、そのことを痛切に感じております。成人の難病対策も含めて、厚生省として現在のままでいいと思っているのか。もし、何か考えるべき時期に来ているとするならば、それについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(土井豊君) 先ほども申し上げましたが、「これからの母子医療に関する検討会」の報告に基づきまして、私どももクオリティー・オブ・ライフの向上ということを基本に置きまして、現在いろいろと検討いたしております。特に、このような小児慢性疾患を持つ子供たちの親の会といったようなものもございますので、そういった関係団体の意見もいろいろ聞きながら、今後どのような形でQOLの向上という形で制度を構築すればいいかというようなことにつきまして現在検討中でございます。
 今後、患者団体等の意見も聞きながら何らかの方策をできれば検討していきたいというふうに考えているところでございます。
○下村泰君 私は、日ごろ障害児・者とか難病児・者という言い方というのは、これは余り好きじゃないんですね。何か病気にくっついているような人間という感じで、やっぱり人間は人間として、人間が基本ですから、こういう言い方というのは余り好きじゃないんです。今のところこれはしようがないとして使ってはおりますけれども、余り好きじゃない。むしろ使うなとか使わないということではなくて、使うときの心構えといいましょうか、その言葉の本質を失うなということを言いたいわけです。
 これまでの難病、小児慢性疾患への施策というのは病気だけに焦点が当たっていて、そこにいる人間の生きざまとか暮らしとかいった、まさにいわゆるQOLという面を全く無視してきたと思います。
 具体的に言えば、先ほどの検討会で述べられているとおりなんですが、福祉サービスや親の宿泊施設、これは海部前総理のときもそうでした。それから、厚生大臣が下条さんのときもそうでしたけれども、この方たちは、前向きなんという言葉は余り好きじゃありませんけれども、大変その方向に向いたすばらしいお答えが出てきました。
 教育、学力の保障、そして成人になれば、所得、年金、雇用、就労の問題までカバーされてこそ総合的対策となるわけなんです。毎年一疾患ずつふやすなどというやり方や十六年ぶりに一疾患群をふやすとか、あるいは十八歳、二十歳で打ち切られる。これは皆さんの方がよく御存じでしょうけれども、先天性免疫不全症なんというのがあります。これはある程度の年齢までは面倒を見てくれます。例えば成人なら成人、二十過ぎると、もうおまえらは自分で勝手に仕事しなさい、仕事ができるんだから自分でその費用は持ちなさい、こういうやり方なんです。
 治りゃようござんすよ。ところが、先天性不全症というのはそんなに簡単に治る病気じゃないんです。だから、その病をずっとしょっていかなくちゃいけない。成人式を迎えようが迎えまいが、その病気はしょっているわけです。その人に対して、おまえはこの年になっているんだからもうだめだよと、こういうやり方というのはどうも私は気に食わないんです。
 胆道閉鎖の方を伺います。
 小児と成人の対策、これは全くつながってないんです。これ、はっきり申し上げて。継ぎはぎもいいところなんです。とっくに限界を超えているとずっと私が言ってきたんですが、残念ながら継ぎはぎを繰り返すだけで終わっています。きちんとした法体系を整え、その理念を明らかにし、厚生省の中で縦割りを超えて、また省庁との枠を超えた施策が必要だと思うんです。
 確かに、もう縦割り行政はしっかりしていますよ。それこそあなた、今は暴対法ができてだんだんやくざの数が少なくなってきているんですが、やくざは同じなんです。縦割りがしつかりしている、横のつながりがない。皆さんの方も同じなんです、それと。
 こう言うと、すぐに財政のことや所管の違いを挙げますけれども、私は政治の基本が問われていると思っています。政治改革も大変なことです。防衛問題も同じように大変でしょう。国の姿勢が問われる問題だと私は思っています。その覚悟と信念がなければ、私なんかとっくにバッジを外していますわ。どうか大臣も、そこにお座りの局長以下の担当の方々もその心意気と熱意というものを財政当局や他の省庁にぶつけてほしいんです。
 この決算委員会が始まっても佐川献金問題で明け暮れているわけですよ。政治家の資質が問われているんです、今。こういう問題で政治家自体一人一人がその資質を問われている今日こそ、国民に対して国民のためにという姿勢が示されないというと、何のための国会だか意味をなさなくなります。
 小児慢性の方は法定化も含めて検討中のようですが、いろんな疾患があります。一面的な見方でなく多面的な検討をしていただきたいと思いま
す。さまざまなサービスを整えるときも、既に行われている障害を持った人々への制度の抱える問題をよく整理してやってください。安易に今あるサービスを持ってくればいいなどというのでは意味がないと思います。手帳制度もしかり、ヘルパー制度もしかりです。よく考えて法定化の方向を進めてほしいと思います。
 もう一度、今後に向けて、保健医療局長、児童家庭局長、そして大臣、難病の人たちやそういう子供たちに答えるつもりでひとつお考えをお聞かせください。
○説明員(寺松尚君) 今、先生からの御質問にございましたけれども、今後の基本的な考え方、あるいはそういう患者の立場に立ってやるようにと、こういうようなお話がございまして、私どもも実は四十七年度から難病対策要綱に基づきましてやってまいりました。そのときそのときの社会的な要請に従いまして適宜見直しを行ってまいりました。
 例えば、調査研究事業につきましても、中におきまして大型研究班をつくったり、地域ケアに関する研究班をつくったり、いろいろな研究班をまた組みかえました。それからまた、治療研究につきましても、確かに数は少のうございますけれども、年々疾患を拡張しております。それからまた、地域におきます患者の生活条件整備のためにも、患者、家族に対します医療相談あるいは訪問診療というようなことを内容といたします難病患者地域保健医療推進事業というものも実施してまいりました。
 今後につきましても、いろいろ社会的な要請が変わってまいると思います。それらのことも非常に注意をしながら必要な対策の見直しに努めてまいりたい、このように考えております。
○説明員(土井豊君) 小児慢性特定疾患の問題でございますが、ただいま先生がお話しになりましたような気持ちで私どもも対処していかなくちゃならぬと思っております。
 具体的には、検討会にそれぞれ専門の方々に入っていただいておりますので、今後どうすればいいのかということを衆知を集めていろいろと検討してまいりたいと思っております。
○国務大臣(山下徳夫君) 答弁申し上げる前に、ちょっと一言おわびを申し上げたいと思います。
 先ほどの高崎議員に対する私の答弁の中で、どんな制度でも悪いやつがいれば悪用するといった趣旨のことを申し上げました。しかしながら、この発言には不適切な響きがございますので、おわびして謹んで訂正させていただきたいと思います。
 ただいまの御質問でございますが、それぞれ答弁いたしましたけれども、一口に難病と言いましても、難病にはいろんな種類がございます。したがいまして、難病対策要綱、これは昭和四十七年に策定したことはさっき局長から答弁申し上げたとおりでありますが、それぞれの難病の特性に応じた対策を講じていかなきゃならぬということでございまして、厚生行政の中で極めて重要な問題でございますから、今後とも重要な課題としてこの問題について取り組んでまいりたいと思います。
○下村泰君 今、大臣がそうしてしっかりお答えくださって、まことにありがたいと思うんです。下手すると来月いっぱいでおかわりになる。これがこっちはつらいんですわな。せっかく大臣からそういうお答えが出てきても、果たしてその次の方がどういう考えを持っているのか。必ずそういうことはひとつ確実に申し送っていただきたいと思いますが、お約束していただけますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 必ず次期大臣に申し伝えます。
○下村泰君 私は、軍隊生活の経験がありますので、申し送りというのは大変大事な要項でございますから、これはしかと申し送っていただかないと、これから私は後の質問が嫌になりますから、どうぞよろしくお願いします。
 さて、あと時間がわずかです。緊急一時保護についてお尋ねいたします。
 いわゆるショートステイなんですけれども、これはたしか私の記憶では昭和五十二年だったと思いますけれども、当時たまたま深川のあるところへ参りましたところが、定年退職を迎える前に幾らか退職金が多いので勇退をして、その退職金で自分の家を改造して一階を喫茶店にして、二階、三階を住居にして、そして脳性小児麻痺のお子さんを一生面倒見ようというサラリーマンの方がいたわけです。その方のお姉さんが、その子がいるがゆえにお嫁さんに行かれない。見合いをしていざ結婚という段階になると、そのことが支障になって破談になるというような御家庭でした。
 そこのお父さんに言われまして、私にでもやっぱり冠婚葬祭に行かなきゃならないときがある。そうすると、家の中にだれもいなくなるときもある。そういうときにこの子の面倒を見てくれる制度というのはないんでしょうかという話がありまして、そのとき厚生省の方といろいろとお話をしたときに、結果的にこの緊急一時保護という対策が生まれたわけなんです。これはまことに結構なんです。
 ところが、利用する側に言わせますと、自分の命住んでいるそばにない。一時間も二時間も遠くへ連れていかなきゃ収容してもらえない。あるいは今すぐにというのに、申込書その他いろいろの方法で幾日も日にちがかかってしまって急遽の用をなさない、こういうような不満が非常に多いんですが、事実こういうふうになっているんでしょうか、それとも完全にすぐ受け入れる体制になっているんでしょうか。
○説明員(土井豊君) 今の緊急時における手続の問題でございますけれども、基本的には児童相談所という専門家のたくさんいるところでその子供の状況に応じた対応、処遇というものをいろいろやっていくということでございますので、簡便な方法というのはなかなか難しいわけでございますけれども、ただいまお話がありましたように、あらかじめ登録をしておいて、そのときの状況によって緊急時の受け入れ先も決めておくといったような事前登録制というやり方、それからもう一つは、本当に緊急の場合には電話または口頭によってとりあえず対応しておく、その後で専門機関による専門的な処遇といったような手続をカバーしていくといったようなやり方も制度的には可能でございます。
 ただ、現実になかなかこれは利用が難しいという点は御指摘のとおりであろうと思いますので、実際にやっている地方団体の方々の意見もよく聞きながら、私どもも改善策について十分検討してまいりたいと思います。
○下村泰君 時間でございますので終わりにいたしますが、この問題は簡単にやりましたけれども、大分問題が多いんです。広島の方では、おもしろいことには特養老人ホームを緊急に充ててえらい成功している例があるんですよ。ですから、これはやり方によってはもっと幅が広がっていくように思えますので、自後また改めてやらせていただきます。
 きょうはこれでおしまいにします。
 ありがとうございました。
○委員長(大渕絹子君) 他に御発言もないようですから、厚生省、運輸省、経済企画庁及び環境衛生金融公庫の決算の審査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会
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