第126回国会 大蔵委員会 第3号
平成五年三月二十六日(金曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     島袋 宗康君     下村  泰君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野末 陳平君
    理 事
                竹山  裕君
                藤田 雄山君
                鈴木 和美君
                前畑 幸子君
                及川 順郎君
    委 員
                河本 英典君
                北澤 俊美君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                楢崎 泰昌君
                藤井 孝男君
                久保  亘君
                志苫  裕君
                本岡 昭次君
                山田 健一君
                牛嶋  正君
                寺崎 昭久君
                吉岡 吉典君
                池田  治君
                下村  泰君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  林  義郎君
   政府委員
       大蔵政務次官   片山虎之助君
       大蔵大臣官房総  日高 壮平君
       務審議官
       大倉大臣官房審  田波 耕治君
       議官
       大蔵省主計局次  竹島 一彦君
       長
       大蔵省理財局次  根本 貞夫君
       長
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       大蔵省銀行局保  鏡味 徳房君
       険部長
       大蔵省国際金融  中平 幸典君
       局長
       国税庁課税部長  松川 隆志君
   事務局側
       常任委員会専門  下村 純典君
       員
   説明員
       自治省財政局指  的石 淳一君
       導課長
   参考人
       国民金融公庫総  平澤 貞昭君
       裁
       日本開発銀行総  吉野 良彦君
       裁
       日本輸出入銀行  山口 光秀君
       総裁
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について(大蔵省所管、
 国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀
 行)
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○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、島袋宗康君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。
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○委員長(野末陳平君) 去る三月二十三日、予算委員会から、本日午後半日間、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査の委嘱がありましたので、本件を議題といたします。
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○委員長(野末陳平君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日、参考人として国民金融公庫総裁平澤貞昭君、日本開発銀行総裁吉野良彦君及び日本輸出入銀行総裁山口光秀君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(野末陳平君) それでは、委嘱されました予算について大蔵大臣から説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
○国務大臣(林義郎君) 平成五年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は、七十二兆三千五百四十八億二千四百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、租税及び印紙収入は、六十一兆三千三十億円、雑収入は、二兆七千七百八十六億円、公債金は、八兆一千三百億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十七兆二千四百八十七億七千七百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計へ繰り入れは、一千八百六十六億二千二百万円、国債費は、十五兆四千四百二十三億四千七百万円、政府出資は、三千五百四十億円、予備費は、三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも二百七十九億四千二百万円となっております。
 このほか、印刷局等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算について申し上げます。
 国民金融公庫におきましては、収入五千二百十六億二千三百万円、支出五千六百億九千三百万円、差し引き三百八十四億七千万円の支出超過となっております。
 このほか、日本開発銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、大蔵省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。
 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○委員長(野末陳平君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 なお、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○山田健一君 きょうは委嘱審査ということで質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、林大蔵大臣は郷土山口の先輩でございまして、大臣に就任をされまして連日大変な御苦労の連続だと思います。心から敬意を表しながらも、大変厳しい財政、税制、金融、こういう状況でありますので、逆に言えば手腕が問われておるという面もあろうかと思います。ぜひ、そういう点で健康に気をつけて頑張っていただきたい。まず冒頭、大臣の御健闘をお祈り申し上げたいと思います。
 早速でありますが、現在の景気の動向、状況についてまずお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、きのうちょうど島袋委員の方からも質問がありまして、ずっと私もここで大臣の答弁を聞いておりました。率直に言ってかなり明るい指標が出てきたのではないか、マネーサプライが上向いてきた、あるいは機械受注も明るい指標が出てきた、それから株式もまずまずのところに上がってきた、あるいはまた金融関係についても不良債権の買い取り会社がスタートする、さらには住専の問題もめどがついた、こういうことでかなり明るいと。言ってみれば期待を込めた、先行き非常にこれからうまく反転をしていくのかなという期待を持たせる答弁であったわけでありますけれども、どうも私聞いておりまして、この中で抜けておる問題が一つあるのであります。それは消費の落ち込みであります。
 こういった、景気がなかなか回復をしないということで、ずれにずれてずっと昨年から今日に至っているわけでありますが、個人消費の落ち込みが大変厳しい。こういう現状もやっぱり認識をしておかなければいけないと思うのであります。今の景気の現状、この個人消費等々頭に入れながら、もう一度現状の認識というものについてまずお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 山田委員は同じ山口県の出身でありまして、大変平素から御厄介になっておりますが、御尊父の時代から、御尊父も大蔵委員であられましたし、御令息もまた大蔵委員会をやっていただきまして、本当にありがたいことだと思って感謝をいたしておるところでございます。
 今景気の認識をどうだと、こういうふうなお話がございました。昨日もお話を申し上げましたけれども、いろんな指標からいたしまして、一時のようなことはなくなってきた、少しいろんな点で上向きの指標が出てきたな、こういうふうな感じはいたしておるところでございまして、今山田委員からいろんな数字につきましてお話がありました。全くそのとおりであります。
 私はもう一つ申し上げますならば、この前の第六次公定歩合の引き下げ、二・五%にいたしました。こういう形で、マネーサプライがやはり反騰に転じてきたということは一つ大きな指標ではないかな、こう思っておるところでございます。それと、機械受注が割とふえてきた、こういうようなこともございます。機械受注がふえてきたということは、設備投資や一般の耐久消費財その他のものにつきまして相当に大きなウエートを持っている数字でございますから、それは一つ好感をしていいところではないか、こう思っておるところでございます。
 個人消費がもう一つ伸びないではないか、こういうことでございますが、個人消費につきまして私も非常に心配しておりまして、実をいいますと、ことしの一月ぐらいに百貨店なんかの話を聞きますと、昨年に比べて相当落ちているよ、こういうふうなお話がありました。確かに一月の数字はありますけれども、しかしながら、二月ぐらいから百貨店なんかの売り上げが少し反騰に転じてきているというようなこともございますし、それから、特に自動車の販売台数が少しこのところ伸びてきているということもあります。自動車の販売ですから、いつまでどうだということは私は言えないと思いますけれども、そういった形になってきた。
 それではもうただ手放しで喜んでいいかということは、私はなかなか難しい問題がまだあるんじゃないか、いろんなことを考えていかなければならない、こう思っているんです。
 それはなぜかといいましたならば、今回のこの不況は今までありましたようないわば景気循環的なものの要素、実物的なものだけではなくて、金融システムに対して非常な影響が出てきた。資産価額が下落をしたというような、いわゆる資産デフレというようなものが影響しておりまして、それが金融界、証券界に対しましていろんな影響をもたらしてきたということがありまして、そういったようなことがやはり実物経済の方にも影響してきているということは事実でありますから、そういったことを総合的に考えていかなければならない問題ではないかな、こういうふうに思っておるところでございます。
 私たちの方といたしましては、今まさにお願いをしているところのこの平成五年度の予算、これは景気に配慮しました予算でございまして、この予算を早く成立をさせていただきまして予算が早期に実施できるような体制を一日でも早くつくりたい。昨年の暮れに成立させていただきました補正予算に基づくところの総合経済対策十兆七千億円を引き継いでやっておりまして、その効果も実は相当にこの一月、二月ぐらいには上がってきている、こう思っておりますので、それと引き続いて新しい予算でいろんな仕事ができる、それによりまして景気が上向きになってくる、こういうふうなことを期待しておるというふうに考えておるところでございます。
○山田健一君 私、大変懸念をしておるのは、今、確かに指標的にはひところとは若干違う面はあるのかなという気はいたします。ただ、一昨年の夏に、夏だったと思いますが、やはりアメリカが同じように大変いろんないい指標が出てきた、上向いてきたということで新聞、テレビでいろいろ流しておりました。ところが、最終的にはやっぱり需要が伸びない、それから在庫調整もおくれるということで、また秋には二番底へ突入した、こういう経過がある。その二の舞を踏んではいけないのではないか。
 期待先行型で、確かにマインド的には余り暗いニュースばかりではこれは困るんでして、そういった意味では期待先行、ある意味では期待も持たなきゃならない。同時に、やっぱり期待が余り先行するということになると、今の景気の状況を考えてみれば、ちょうど言ってみればまさに分岐点に差しかかっているんではないか、こういう気がいたしますだけに、その意味では政策の持つ重要性というものが大変あるというふうに思うわけであります。私はそういった意味で、ここはしっかり慎重に、かつこういった政策的ないろんな手段を考えていかなきゃいけない、こういう気がいたしておるわけであります。
 きょうも資料として出ておりますが、政府の見通しあたりを見ましても、ことしは実質三・三%成長ということで、これはほぼ国際公約にもなろうかというような状況でありまして、その中身を見ますと、民間の最終消費支出が平成四年度実績見込みが一・五%、平成五年度見通しが二・八、民間の企業設備が四年度の実績はマイナス三・八、それから五年度が見通しが二・四。言ってみれば、民間設備投資、これが大変なアップという計算のもとにこの三・三%が組まれているわけでして、現状でこれだけ回復するのかなと非常に心配を実はいたしておるわけであります。これは五年度ですが、補正予算を去年の暮れにやりました。今の時点で、一九九二年度、政府は途中でまた一・六%に実質成長率を修正されましたけれども、これ達成できるんでしょうか、どうでしょうか。見通しをお願いします。
○政府委員(日高壮平君) 先般、十−十二月期のQEが発表になりました。その十−十二月までのQEの状況から判断をいたしますと、確かに先生御指摘のとおり、政府経済見通しの一・六%の見通しを達成するのは数字の上ではかなり難しいのではないかという印象を私どもも持ってはおります。
 ただ、御承知のとおり、まだ一−三月期がございます。一−三月期は従来からも割合高目の成長率が出てくるという傾向がございますし、それと同時に、先ほど申し上げたような本年に入ってからの明るい数字が幾つか見られるということで、一−三月期のGNP統計に私どもも非常に期待をしているという状況でございますので、現段階では確たることは申し上げられませんが、少なくとも十−二月期までの数字から見る限りはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
○山田健一君 今御答弁いただきましたように、大変厳しい状況にあると言わざるを得ないと思っておるわけであります。
 先ほど大臣の方からも、一、二月には大分去年のいわゆる補正予算といいますか総合経済対策の効果も上がってきておるんではないかというお話もありました。かなり公共事業を中心にということで展開をされておりまして、しかしそうはいいながらも、公共事業の消化が大変おくれておるという話も一方で出ております。公共事業費約五兆二千億円、十二月の補正で組んだわけでありますが、そのうち一兆六千億円以上が平成五年度に繰り越されるというふうに聞いておるのでありますが、この点についてはどうなっておりますか。そういうことであれば、その背景、原因、理由というものを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(竹島一彦君) 公共事業の執行状況でございますけれども、地元調整等の理由がございまして、毎年約数%といったオーダーの金額が翌年度に繰り越されるということが生じております。
 四年度につきましては、補正予算の成立時期の関係もございましたけれども、関係省庁、地方公共団体も含めまして大変努力をいたしているわけでございます。残念ながら、今現在、具体的にどのくらいの数字が繰り越しとして出てくるかということを申し上げる材料がございませんけれども、最近の例を見ますと、一兆二、三千億円ということが翌年度の繰越額として発生しているわけでございます。
 契約は大いに進んでおりまして、恐らく三月いっぱいで契約の方はすべて終わるというようなスピードで進んでおりますけれども、予算成立時期等の問題もございまして、繰越額の発生というのはある程度は発生せざるを得ないだろう、こういう感じでございます。
○山田健一君 きょう自治省の方はお見えですか。ちょっと一点だけお尋ねをしたいと思います。
 今の公共事業の執行状況に関連をいたしまして、自治体でなかなか消化し切れてないという話を随所で聞くわけでありますけれども、今の地方自治体における実情、それからどういう手を打たれているのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○説明員(的石淳一君) 地方公共団体におきましては、昨年八月の総合経済対策に沿いまして地方単独事業の大幅な追加を含めまして公共事業等を追加する予算措置を行っているところでございまして、現在各地方団体においてはこれらの追加事業を含めた公共事業等の円滑な施行に最大限の努力をいたしているところでございます。
 都道府県について見ますと、施行促進の対象となります公共事業等の予算額は、一月末段階で昨年の九月末に比べまして一兆九千億円増加いたしておりまして、十五兆二千億円となっておりますが、この追加後の予算額をベースといたしました一月末の契約率は八六%となっております。この契約率は、過去の同時期の契約率と比較いたしましても、対象事業費が大幅に追加されたことを考慮いたしますと、契約率そのものはおおむね順調に推移しているのではないかと考えているところでございます。
 なお、先ほど大蔵省の方からも御答弁ございましたが、今年度国の補正予算の成立がずれ込んだという点もございますし、また、事業量も大変増加しているということから見ましても、地方自治体におきましてもある程度の繰り越しが生ずるのはやむを得ないのではないかと考えているところでございます。
○山田健一君 ちょっともう一つ。
 用地等のネックがあってなかなか進まないというような例は別に出ていないですか。
○説明員(的石淳一君) 公共事業を執行する上で用地の取得は大変重要なことでございまして、用地がなければ事業が執行できないということでもございますので、そういう点も踏まえまして私どもといたしましては、用地確保対策といたしまして、土地開発基金の充実でありますとか公共用地先行取得等事業債についての拡充、弾力化でありますとか、また国鉄清算事業団用地等の先行取得に際しましてその利子分について交付税で措置をするとか、そういった用地を先行的に取得する対策をいろいろ講じて、公共事業等が円滑に執行できるように対策をとっているところでございます。
○山田健一君 大体そういうことだろうと思うのでありますが、かなり契約率も上がっておりまして、事業量としては相当今出てきておるということは間違いないと私も思います。
 問題は、九十三年度の今審議しているこの予算、これは先ほど大臣の方から言われまして、当面この予算を成立させることが大事なんだということでありますが、追加経済対策について新聞等ではもう中身とか規模まで踏み込んでいろいろ出ておる。きのうは大臣も、あれはあずかり知らぬ、こういうことで答弁があったわけでありますが、仮にそういうことでまた追加の対策が打たれる。そのこと自体については、今審議しているんですから、大臣が言われたとおりでありますが、仮にそういうことになれば、恐らくまたこれは公共事業ということになっていくだろうと思います。
 確かに景気対策として公共事業中心に何とか需要を巻き起こしていこうということを政策として今展開をされているわけでありますが、同時に、先ほども申し上げましたように、今例の所得税減税の問題がいろいろ議論されております。百貨店売り上げが若干底を打ったという話でありますけれども、大変消費の落ち込みというものが厳しい。今ちょうど春闘をやっておりますが、御承知のようにこれもどうも妥結水準が低い。あるいは雇用調整にしても、特に製造業あたりは大変厳しい数字が今出ております。約四割近い企業が雇用調整をやっておるというような数字まで出ておるわけでありまして、やはりここはどうしても多面的にそういったところの最終需要、とりわけ消費の喚起をしていく、こういった政策が今求められているんではないかというふうに思っているわけであります。
 改めて、今回のこの景気浮揚対策の中心に据えられた公共事業のこれから先をにらんだあり方と、今現実に打たなければいけないそういった政策手段、そこで所得税減税の問題は視野に入ってこないのか、この点について率直な気持ちをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) きのう来申し上げておりますように、私どもの方は、現在、この平成五年度予算案をやれば相当な効果が出てくる。これは金額にいたしましても相当なものを考えておりますし、政府投資というものも八・五%などというようなかって見ざるところの大きな伸びを考えておるわけでございますから、この効果が必ず出てくる、出てこなかったらおかしいよと私としては言いたいのでありますが、今先生の御指摘のようにいろんな問題もありますから、その後の状況につきましてはやっぱり注意深くいろんなことを見守っていかなければならない。
 私が今のところで申し上げられるのはそういうことでございまして、先生も御承知のとおり、昨日もお話し申し上げましたが、いろんなことを新聞で言われても、私も新聞記者から言われますから、それは新聞に聞いてくれと私はこのごろ言っているところでございまして、またそれから先の話は先の話と、こういうことで考えているところでございます。
 ただ、一般的なことで申しますと、私は景気がよくなるというのは、全体として日本の経済が発展過程に上がっていくということが一番必要なことだと思うんです。春闘の問題にいたしましても、決して会社側というか経営側が好きこのんでやっているわけじゃない、なかなか見通しが立たないから賃金もなかなか上げられない、こういうことだろうと思うんです。そこでの話し合いで出てきたのがきのうのような話になってくる。組合側としてはいろんな形の賃金ベースアップというものを要求されるのは当然でありますけれども、そこの話し合いでやっていくというのがああいう結果になってきたと思うんです。
 そういったようなこともありますし、またバブルが崩壊いたしまして今まで持っていた資産の価値が非常に減ってきた。そうすると、やっぱり持っているものが少しになったから少し節約をしなくちゃいかぬかねというような気持ちが一般にも出てくるかもしれません。一番大切なことは、先が安定的な経済成長に日本が乗っていくんですと、そういったような気持ちがあれば私は財布のひももおのずから緩くなってくるんじゃないか。先がわからないと、一体どういうことになるんだというような気持ちがあると思いますから、一番大切なことは、安定的な成長の路線へ一刻も早く日本経済を乗せることだろう、こう思っているところであります。
 そういった中で、公共事業というものは一つの景気刺激策ということがあります。と同時に、日本の中では、例えば下水道であるとかその他のものにおきまして社会資本のおくれがまだまだあるわけでございますから、そういったところについて意を用いていかなければならない、そういうふうに考えているところでございます。
○山田健一君 今御答弁いただきまして、安定成長路線にきちっと乗せていくという方向が必要だろうと私も思っております。
 ただ、この今回の所得税減税の問題、今からまだ与野党で話し合いを詰めていくということでありますから中身は触れませんけれども、去年の暮れの臨時国会のときは、宮澤総理も、この所得税減税そのものについてはやりたいんです、やりたいけれども財源がありませんと、こういう本会議でたしか答弁をいただきました。基本的にはやりたいんですというのが先にあったわけでありますが、林大蔵大臣の気持ちはいかがでありますか。
○国務大臣(林義郎君) 減税がいいか増税がいいかと言ったら、それは減税がいいのに決まっているんです、だれが言いましても。それは、国民負担というものを考えてどうするかということになれば、やはりいろんな財政需要がありますから、そこで税金をいただかなければならない。その中で財政というものをうまく運営していくためには、財政も節度を持ってやっていかなければならないというのが私は基本的な考え方だろう。
 宮澤さんが減税をやりたいんだとおっしゃったのも、それは、国民を代表する政治家として、税金はたくさんあった方がいいよなどということはないんです、これは。基本的に税金は少なくあった方がよろしいんです。ただ、いろんなことがありますから、財政として必要なところはいただいて、それでうまくやっていくということに私は税金というものの意義があるだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
○山田健一君 いやいや、増税がいいか減税がいいか、それは減税がいいに決まっている。そういう提起じゃないんです。政策手段の一つとして減税も当然考え得る。こういう景気状況の中でいろんな政策を打っていかなきゃならぬ、その中の一つとして所得税減税も考え得る、こういうことなんでありまして、増税がいいか減税がいいかという提起なんではないわけであります。その点は間違いのないようにひとつ受けとめていただきたい。
 特にこういう問題ですから、私はタイミングが非常に大事だと思うんです。やればその時期をずらさないように、上向いてからやったって余り効果がないということになってくるかもしれませんし、まさに景気が今もう一度落ち込むのか、それとも回復基調に乗っていくのか、こういう大事な段階でありますだけに、あらゆる可能な多面的なアプローチを展開してもらいたい。その中の一つに政策手段として減税もあり得るという考え方もあるんではないかという気がいたしておるわけでありますから、以上の点を申し上げた次第であります。
 大臣は、今度、四月の中旬には先進七カ国の外相。蔵相会議ですか、宮澤総理がアメリカに行かれる前に開催をされて、首相の訪米があって、それから東京サミットと一連の政治日程が進んでいくわけであります。ロシアの支援問題等々もいろいろにぎやかに今報道されておるわけありますが、何といっても、今世界全体が大変経済的にも景気も厳しい状況に置かれているわけでありまして、経済の協調体制をどう構築していくのかということが一つの大きなテーマになっていくんだろうと思っております。
 そうした中で、もちろん日本としても国際的にも円高の問題とか黒字の問題、あるいはまた財政のあり方がどうなのかということを含めて今問われているという状況でありまして、いわゆる大蔵省を預かる立場としても大変難しい時期を迎えているんではないか。これから東京サミットに至る一連のそういう節目節目、そこできちっとした方向づけをしていかなきゃならぬだろうというふうに思っておりますが、サミットに向けての、これから一連のそういうものがありますが、大臣としての対処していく方針といいますか、そういうものをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 御指摘のように、日本はG7、サミットの議長国といたしまして東京でことしは開催をすることになっています。私も、大蔵大臣に就任いたしましてから、アメリカの財務長官に二月の初めに会いに行きましたし、先般はロンドンでG7の蔵相会議がありまして、そこへ行ってまいりました。
 いろんな話をしてきましたけれども、国際的な協調をやっていくということは大変大切なことだという私も認識を持っているところでございますし、また、ソ連が変わりまして、中央集権的な計画経済国から市場経済国へ移転をしてくる、こういうふうな中でどういうふうな形をやっていくか、当面いろいろと問題がありまして、七月の半ばにも会議をやらなければならないなと、こういうふうな形になっております。
 また、これだけではありません。アジアの国におきましても、またアフリカやその他の諸国におきましても、発展途上国をどうするかという問題もありまして、この問題に対する配慮もいろいろとやっていかなければならない。そういった中で、日本がこれからどうやっていくかというのは、日本の国の経済の問題と同時に、私は世界に対して日本が何をしていくかというのが本当に求められているところだろうと思います。
 我々としましては、今考えておりますのは、インフレなき持続的な世界経済の成長というのがやはり一番大切なことではないか。各国がそれぞれ置かれたところの場におきまして、その環境の中で直面するところの問題について各国それぞれの立場で取り組んでいかなければならない、これが私は一番の基本だろうと思うんです。
 この前もロンドンに行きまして思ったんですけれども、フランスあたりは大変な失業に悩んでいる。それからドイツも実は大変な状況になっておりまして、東ドイツを合併したことによって大変に金がかかる、または国内いろんな失業の問題等も出てくる。イギリスにおきましてもいろいろそういったような問題が出てくる。またイタリアでもいろんな問題が出てくる。こういうことでありますし、イタリアなんかは政界がいろんなおかしくなってきたりいたしましたし、それからカナダなんかいいんだろうと思っておりましたら、カナダも閣僚がかわるとかなんとかというような話がありましたりしておりまして、各国それぞれみんな問題を抱えていることであります。
 そうした中で、やはり日本としては、今正直申しまして確かに不況ではありますけれども、割と経済力としては日本は相当に力を持ってきたところでありますから、その力をどううまく使って、日本国内の経済発展はもちろんのこと、世界のためにどういうふうにしてやっていったならば一番いいかということを私としては考えていかなければなりませんし、そういった形でこれからもいろんなことを運営していこう、こう思っているところであります。
○山田健一君 特に経常収支の黒字の問題なり、あるいは円高の問題等々が議題になったのかどうなのかわかりませんが、さきのロンドンでの会議を含めて、これらに対する大臣の考え方といいますか、現状を受けてどう判断をされてサミットに臨まれようとしておるのか。あるいはまた、今度の四月のそういう会議に臨まれようとしておるのか、その辺もあわせて。
○国務大臣(林義郎君) 今お話がありました為替の問題でございますが、昨今相当に為替が動いてきておったことも事実であります。私は、これは思惑的な動きだろう、こういうふうに見ておったところでございますが、昨日も急激に円安になりましたりなんかする。ちょっと動きが荒過ぎるんじゃないかなという感じは持っておりますけれども、為替というものは経済のファンダメンタルズを反映していくことが必要であろう。そういった中で、ファンダメンタルズを反映していくということになれば、先ほど申しましたように日本経済というのは割と力強い経済でございますから、それが緩やかな形でファンダメンタルズとして為替相場に反映をしていくということが必要じゃないかなと思っておるところでございます。
 それからもう一つは、発展途上国に対する援助等につきましても私はいろんなことを考えていかなければならない。特に黒字還流というような問題、これは経常収支がこれだけの大きな黒字でありますから、やはり何か考えていくということもいろいろ検討していかなければならないと思います。かつて発展途上国に六百五十億ドルとかなんとかということがありました。そのときは、確かに世界的に言いまして中南米諸国が非常に金がない、そこにやらなければしょうがないよと、こういうふうな話が大体一致した意見でありましたから、そういったことでやってきたわけでありますが、今それじゃどこだろうか、こういうふうな話でございます。
 いろいろ探しましても、アジアにそんなに大きな金を今使うこともどんなものだろう。相当にアジアの諸国は今発展してきておりますから、自立自助でやっていけるようなところまでなってきている。それから中南米もかつてのようなことはありません。アフリカも、モザンビークだとかいろんな問題はありますけれども、やはりそれぞれの発展がありますから、さらにやっていくということになるとどこだろうかなという実は感じを持っていまして、オーバーオールに発展途上国に対してどうしていくかということを考えていったらどうかなというような気持ちを持っています。
 もう一つ、金が足りない足りないと言っていますのは、旧ソ連、ロシアでありまして、ロシアを一体どうするか。これは今から私たちが話をしていかなければならない。人道的な援助というものがまずあるんだろうと思いますし、それから、これから自由主義経済体制の中へどういうふうな形で入っていくかというような形のところでやらなくちゃいけませんが、何しろ大変なインフレになっちゃっているものですから、金貸してもインフレの中に皆消えてしまったらどうなるんだというような私は正直言って心配もしているわけであります。やはり金ですから、単にはっと何でも配るという話じゃなくて、金は使い道を考え、本当に効率的な、効果のあるような金の使い方というのを私はしていかなければならないと思っています。
 いずれにいたしましても、やはり世界全体が平和になるように、そして世界全体が経済発展をしていくような金の使い方というものは、私は旧ソ連等についても十分考えていかなければならない問題じゃないかなと思っているところでございます。
○山田健一君 大体お考えを今お伺いをいたしました。
 先ほどヨーロッパの経済状況等についてもお話がありましたが、実は私も、お許しをいただいて、先週、十九日まで日本・EC国際会議というのがありまして、フランス、イギリス、ドイツを回ってまいりました。本当に経済的にも厳しい状況を肌で感じましたし、特にフランスあたりは、選挙の真っただ中でありまして、ああいう形で失業問題がまさに争点になるというようなこともありました。
 それはいいんですが、実は会議は、いわゆる高度情報化時代に向けて情報通信政策をどう展開をしていくのかということがメインテーマでありまして、私たち社会党の中にあってもプロジェクトをつくりましていろいろ提言を今日までしてきているわけでありますが、それを持っていきまして、たたき台にしまして議論をやって帰ったわけであります。
 たまたま、この前からいろいろ議論がされております例の新社会資本整備、あれはまだあれだと、こう言われても、大蔵大臣の顔写真入りで「短期事業に限定」、決まったと、こういう格好ではあっと実は出ているわけであります。この中身とか、いわゆる公共事業としての建設国債の問題、財政法との関係、こういうことは私は今聞こうとは思いませんが、大臣の基本的な認識をぜひお伺いをしておきたい。
 それは、今回の景気対策、確かに景気を回復をしなきゃならぬ。しかし、そのことは二十一世紀をにらみながら、我が国の基本的なファンダメンタルズという話がありましたが、それをどう固めていって、そして安定成長をやっていくのか。したがって、同時に、景気対策と言いながらも、対策を打つ場合に中長期的な視点はその中に入っていかなきゃいけないと思うのであります。
 そういうことを考えた場合に、例えばあそこで会議をやったというふうに私言いましたが、情報通信関係というのは、これからもそうだろうと思いますが、ますます各国の競争が熾烈に展開をされていくだろう。過去、御承知のように日米の間でもいろんな電気通信摩擦なんかも政治問題になったりもしました。これは、情報化社会になっていく、どこが情報をどうきちっと押さえて、それに基づいて政策を展開をしていくのか、そういった意味。あるいはまたこれから我が国の国土を考えても、こういった基本的な次の世代につなげていくような通信インフラをしっかりつくり上げていく、そのことがある意味では多極分散型の国土形成につながる。今それでなくても一極集中です。情報化社会においても今の情報化の進展ぐあいというのを見ましても、大きなところへ集中しております。これは、結局民間でこういうものは進めるべきだという基本的な考えをお示しになっておるわけであります。
 これから将来を考えたときに、そういった国際競争、内にはそういった地域間の格差を是正をしていかなきゃならぬ。いろいろそういうことを考えてまいりますと、民間というのはやっぱり効率性を求めていく、過疎の方とかもうからぬところはやらぬ。そうなるとますますそういう状況になっていく。しかも快適な生活は求めていかなきゃならぬ。生活大国というようなことまで言っているわけでありますから、そういう状況になってくれば、やはりそういった基盤をしっかり整備をしていく。
 これは、新社会資本と、こういうふうに書かれておりますが、まさに社会資本として、こういうものは二十一世紀に向けて本当に情報化社会をきちっと迎えていける、そういう基盤整備をやっていくというのは、ある意味では私は社会資本としての位置づけをきちっとやってこれからの情報化社会に臨んでいくという方向が求められているのではないかというふうに思っているわけであります。
 この辺の考え方といいますか、昔よく国鉄が赤字だと、このときに、道路、港湾、空港、これはもうみんな国がつくって、国鉄だけ土地を買うて線路を引っ張る、これはおかしいじゃないかというような議論が、イコールフッティング論というのが一時ありました。それじゃありませんけれども、まさにこういった基幹的な情報通信網というのは、そういった意味では私は社会資本として位置づけてこれから取り組んでいく。
 アメリカあたりも、ゴアさんが何か随分熱心らしいのでありますけれども、こういったものを政府として先導的な役割を果たしていくということで随分力を入れておられるようでありますが、いずれにいたしましても、そういうことをきちっと社会資本に位置づけていくということは、私はこれから必要なことではないかな、こういう気がしておりますので、たまたまこういうことで今いろいろ議論がされておりますから、大臣のそこら辺の基本的な認識についてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 高度情報化社会というのは、今山田委員もお話がありましたように、私は二十一世紀について大きな課題となるような社会だろうと思っています。あえて産業と申しません、社会と申しましたのは、それが及ぼすところの影響は非常に大きなところがある。単に一握りの産業、あるいは一握りのサラリーマンだけでなくて、国民全般に私はいろんな影響を及ぼしてきてしかるべきであるし、それによってお互いの生活が非常に上がってくることができるシステムだろう、こう思うんです。
 山田さん今EC議員連盟会議においでになってのお話があったんですが、ヨーロッパでもたしかフランスのミッテランのいろいろな構想がありましてやっておるわけであります。アメリカでもゴアの構想があります。アメリカでもAT&Tという日本のNTTと似たような会社がありまして、これは分割されておりますけれども、既にやっているわけでありまして、どういうふうな形でやっていくかという私は問題があると思うんです。
 それを支えるところの機械であるとかいろんな通信ケーブルであるとかいったところのことは、トレーラーといいますか、運ぶところの人、NTTだとか日本電信電話とかいろんなのがありますけれども、そういったものと同時に、それの機械、資材をつくるところのいわゆる情報産業関係の機械というのは、私はいろいろとこれから発展をしていくところだろうと思うんです。
 日本とアメリカと今非常に競争をやっておりまして、アメリカが日本に産出の中の二〇%を買えとかというような話がありましたりいろいろやっております。ヨーロッパの方からもまたそれに対して日本とアメリカと約束をするのはおかしいじゃないかというような話、私はこういったものは世界的なベースにおいていろんな競争をし発展をしていっていいものをつくっていかなければならない。
 それからもう一つは、通信網ということですから、私は、日本だけの通信網じゃなくて世界を結ぶような通信網というのが必ず将来にはできてくるんだろう、こう思っております。瞬時にしてアメリカと結ぶというような話というのは今できるわけでありますから、そういったようなものというのは私はだんだんだんだんできてくる、そういうふうに思っているところであります。
 そういったものの中でどういうふうな形でやっていったらよろしいのかということを考えていかなくちゃなりませんので、単に国内であるからこれは社会資本である、そうでない社会資本だから金をどうだという話じゃなくて、全体の体制をどううまくやっていったらいいか、こういうことで私は考えていくことが必要じゃないかなと思っているんです。
 その中で、今必要なことは、競争の原理、自由主義社会的な原理というものが働くというのがお互いが持っているところの社会の中では一番いいところでありますから、そういったようないろんなことを世界的な規模で発展させることにおいて、自由競争原理が働くようなシステムというものをどうやっていくのが必要だろうかな。安易に政府がどうだこうだという話じゃなくて、それをどうつくり上げていったらいいかというものを私たちは今考えていかなければならない話だろうと思っております。
 日本電信電話公社が解体されまして、分解しました。そのときも、私は党におりましていろいろ話をいたしましたけれども、やはり余り政府の規制を加えないでいろんな形をやっていくことが必要であろう、こういうふうな形でやってきました。今の日本電信電話株式会社、なかなか経営大変だ、株の値段も上がらないじゃないかと、こういうことになっておりますけれども、私はそういったものが必ず上がるようなことというものも考えて、将来私はかかるんだろうと、こう思いますから、それをどういうふうな形でやっていったならばよろしいのか。余り政府が関与してどうだこうだというよりは、やはり競争の中でやっていくというのが基本的にはいいんじゃないかな、こう思っておるところであります。
 それで、今のお話の新社会なんとかといろいろ新聞になんか出ていまして、私はそれは新聞に聞いてくれと、こう言っているんですけれども、今のような物の考え方をしたときに、一体どういうふうなことをやっていくかというのをこれからやはり考えていくべき問題じゃないだろうかなということを繰り返し私は申し上げておきたいと思っております。
○山田健一君 時間がありませんので、ただ、今お話がありましたように、確かに市場原理、競争原理の中でということでありますが、私は、基本的には条件をしっかり整えて、その上でお互いが市場経済を生かした競争原理を働かせて効率性を求めていく。基本的なファンダメンタルズ、インフラの整備というのはやっぱりきちっとやっていかなきゃならぬなという気がしておりますので、そのことを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。
 きょうは、政府系三機関来ていただきましてありがとうございます。まず、日本開発銀行の方にお尋ねをいたしたいと思います。
 昨年の暮れにも融資枠の拡大ということでここで審議をしたわけでありますが、融資枠をどういうふうに消化をされてきておるのか、現状とさらに今後の見通しを含めてお尋ねをいたしたいと思います。
○参考人(吉野良彦君) 開発銀行でございます。
 ただいまお話がございましたように、私ども開発銀行の融資枠でございますが、四年度の当初予算におきましては約一兆九千億弱でございましたが、お話のように、総合経済対策の一環といたしまして昨年の暮れに七千億の追加をちょうだいいたしました。追加がございましてから、私どもはその追加の御趣旨に従いまして鋭意貸し付けの実行を進めてまいっております。
 内容は大変多岐にわたるわけでございますけれども、大どころで申しますと、例えば同じ総合経済対策で電力会社やガス会社が設備投資の前倒しを要請されましたが、その要請を受けまして行います電力会社やガス会社の設備投資に対する融資、それからまた第一種の通信事業に対する融資、あるいはやや広い意味でございますが、幾つか進められてございますが、いわゆる社会資本整備関連の大型のプロジェクト、それからまた景気が後退をしている局面ではなかなか進みにくい技術開発のような採算性の低いプロジェクト、そういったものが大きなものでございますが、いずれにいたしましても、それぞれの項目につきまして着実に貸し付けの実行をいたしてまいっております。
 現在、年度の最後でございますので最終の段階になっているわけでございまして、まだ私ども詳細に年度としての実績がどうなっているか必ずしも承知をいたしておりませんが、実際に実務に当たっております現場の感覚等から判断をいたしますと、ちょうだいをいたしました七千億はほぼ全額がこの年度末までに貸し付け実行されるというふうに承知をいたしておりまして、私もそのように考えているところでございます。
○山田健一君 ありがとうございます。
 もう一点、今順調に融資の方も進んでおるというお話でありました。昨年の暮れもちょっと議論をしたわけでありますが、開銀、政府系の場合はそうだと思うんですが、いわゆる民業の補完という基本的な立場、これがありまして、そうは言いながらも、今も総裁のお話の中にありましたように、景気の対策も加味をしていかなきゃならぬ。こういうことで、言ってみれば量的な拡大も一方で求められる。こういうことになりまして、まさに民業の補完といいますか、民間の金融機関がなかなか融資に慎重である、貸し渋りというよりか慎重であるという言い方をされておりましたけれども、そういうような状況の中で、一方では景気を考慮に入れながら量的な拡大もやってきた。
 こういうことで、民間の方もまさにこれから制度改革がスタートしていくということで自由化に向けて動いていく、そういう中での一つの役割、使命、これももちろんあるわけでありますが、昨今の状況も見ながら、一方でそういった景気にも配慮しながら、量的な拡大も求められるという状況の中で、開発銀行としての今後の果たしていかなければいけない銀行そのものが持っておる基本的な性格を踏まえての今後の役割、任務、そういうものをいかがお考えになっておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
○参考人(吉野良彦君) 今お話がございましたように、私どもはいわゆる政策金融機関でございます。政策金融機関の本旨は、民間金融に対する補完あるいは誘導というところに本来の役割がございます。
 ただいま景気対策に関連して量的拡大というお言葉がございました。先ほど申しましたように、確かに当初一兆九千億弱でありましたものが、その後景気対策に関連をいたしまして七千億もの追加があったわけでございますので、その点だけから見ますると、あたかも量的拡大に走っているかのごとく見られるおそれもないわけではないと存じますが、実態は決してそういうことはございませんで、追加をされました七千億ももちろんのことでございますが、私どもはやはりそのときどきの政策課題、これを踏まえまして、政策的には大変重要で推進をしなければならないプロジェクトではあるけれども、一方リスクが高いとかあるいは採算性が低いとかあるいは資金の回収に相当長期間を要するとか、なかなか民間の金融だけでは調達が困難だという意味での質のいい安定的な資金を御融資申し上げる。
 しかも、その場合には決して単独である特定のプロジェクトに私どもだけで全部を御融資するということはないわけでございまして、そういった場合にも、まさしくそれが私ども補完、誘導だと存じますが、市中の金融機関とよく御相談をして、市中の金融機関にも加わっていただいて、いわゆる協調融資でございますが、協調的な融資をして補完、誘導の実が上がるようにというふうに心がけているわけでございます。
 私ども、これからも補完、誘導という本来の使命を踏まえ、そしてそのときどきの政策課題を踏まえて一生懸命やってまいりたい、かように考えているところでございます。
○山田健一君 次に、日本輸出入銀行にお尋ねをいたしたいと思います。
 実は、出資業務の認可についてお尋ねをしようと思っておりましたら、きのうの夕刊で「第一号は「ロス港湾」」と出ておりました。「第一号として、米ロスアンゼルスの港湾整備に資金を供与することが明らかになった。」、こういうことになっております。一億二千万ドル出資のうち、輸銀が一〇%前後の出資を検討しておるということでありまして、出資が緩和をされて以降――これは大蔵省の方にこれで間違いがないのかどうなのか、まずお尋ねをしたいと思うんです。
 まず第一号ということで、いろいろ海外経済協力基金との関係で、これ規定ができたけれどもさあどうするんだろうということで注目をされていたわけでありますが、これは間違いないですか、こういうことでいかれますか。大蔵の方は、まずこういうことで出資を認めていくということで間違いございませんか。
○政府委員(寺村信行君) お尋ねの件は、輸銀の出資候補案件といたしまして大蔵省としてもその認可につきまして現在前向きの方向で検討いたしております。というところでございます。
○山田健一君 これ、報道ではかなりもう具体的に書いてあります。だから、ほぼそういうことで話が進んでいるんだろうというふうに受けとめさせていただきます。
 そうした場合に、それを前提にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、そういうことになれば、今申し上げましたように、海外経済協力基金との普通に言えばいわゆるすみ分けといいますか、これ見ますと、今日までこちらの基金の方は大体開発途上国に向けての融資が中心に行われてきておるという状況、しかも今回は今申し上げましたようにロスの港湾の出資、これを第一号でやるということになれば、輸銀の出資はむしろそういう先進国向けでいくのかな、これはこういうことでいくのかなというような気がするわけであります。
 出資業務に当たっての基本方針といいますか、それと、特に資金還流問題ということがいろいろ話題になっておりまして、輸銀等もそういうことになりますとこれからどういう方向でかんでいくのかということもありますので、そこら辺の関係を含めて一括して総裁の方から御答弁をお願いいたしたいと思います。
○参考人(山口光秀君) 輸銀の出資機能は平成元年の輸銀法改正によりまして国会から授権をいただいたわけでございまして、それまでは海外経済協力基金には出資機能がございましたけれども輸銀にはなかったわけでございます。
 海外経済協力基金と私どもの仕事の違いをお考えいただきますと、おのずとすみ分けと申しますか、デマーケーションというものの姿がにじみ出てこようかと思いますが、協力基金は経済協力の推進を目的といたしまして途上国の開発事業に対して出資業務を行ってきているわけでございます。
 しかし、最近の情勢の変化、例えて申しますれば、途上国におきましても民営化の動きが広がってきておる、あるいは国際機関との協調の必要性が出てきておる、さらには先進国との産業協力のニーズといったようなものも出てきておるといったような情勢の変化を背景として考えてみますと、基金だけではカバーし得ないものがあるんではなかろうかということで、その場合には輸銀の出資機能により対応したらどうかということが法律改正の趣旨であったかと思います。
 ただ、途上国における開発事業についての出資につきましては、先ほど申しましたように基金が経済協力という観点から実施しているということを考えますと、そういう種類の出資につきましてはまず基金が優先的に判断を行うことがいいんじゃなかろうかということで、デマーケーションと申しますか、すみ分けの基本的な考え方をそこに置いているところでございます。
 出資というのは、あくまでも融資、私どもの政策融資あるいはそのほかの機関の、輸銀とか基金とかといったような機関でない機関の出資でカバーできないといったような場合に発動されるものでございますから、慎重に検討していかなきゃいかぬということで、大蔵大臣の認可にかかわらしめているというのもその辺にゆえんがあるんではなかろうかと存じます。
 平成元年にできた制度でございますが、現在に至るまでまだ御報告できるような案件がございませんので、今度できるものがあればそれが第一号になるということで御理解いただきたいと思います。
 それから、従来六百五十億ドルの資金還流措置というのがございました。これは私どもだけではありません、基金のお金でありますとかあるいは国際機関に対する出資のようなお金でありますとか、そういうものを含めまして途上国に対する資金還流措置の五カ年間のいわばめどをお示ししたものであったわけですが、昨年六百五十億ドルというのが達成できました。その場合には輸銀の出資分というのは含まれておりませんでした。
 今また、途上国に対する資金協力のあり方につきまして、現在政府部内で幅広く検討がなされていると聞いております。その場合に、途上国関係の出資につきましてどう取り扱うか、これは今後政府との間で検討されることになる課題であるということで、今そういう御報告しかできないことを御了承いただきたいと思います。
○山田健一君 どうも奥歯にというよりか、隔靴掻痒の感がいたしておるわけでありますが、次に、国民金融公庫の方もきょうお見えでございますので、お尋ねをいたしたいと思います。
 とりわけ、中小企業にとってこういう状況でありますから、国民金融公庫に対する依存度というのは高まってきておるんではないかな、こういう気がいたしております。時間も余りありませんので、現在の融資残高がどのぐらいになっていて、先ほどの開発銀行の際にもお尋ねをいたしましたが、言ってみれば景気対策金融機関的な部分もかなりあるという感じがいたしておりますので、この辺について改めて基本的な機能、任務といいますか、性格についての御認識をただしておきたいと思います。
○参考人(平澤貞昭君) これはもう委員も御存じのとおりでございますけれども、民間の中小企業の中には金融ベースに非常に乗らない、あるいは金融ベースに乗りましても必要な資金を十分すべて借りられないという企業があるわけでございますが、そのような企業の必要な事業資金を供給していくということが公庫に与えられた使命である、そのように考えておるわけでございます。
 先ほど来御議論がございましたように、現在の経済の金融状況、ある意味では転換期にあるわけでございますし、そういう中でこのような中小企業に対して長期の固定金利の資金を安定的に供給するということは非常に重要なことでございます。先ほど金融機関の貸し渋りというようなお話もございましたが、そういうこともないわけではない。したがって、そういう中で中小企業の資金需要に適時適切に対応していくということが我々国民金融公庫に与えられた使命であり役割である、そのように考えている次第でございます。
 このような中で、現在国民金融公庫の貸し付けの大宗を占めております普通貸し付けでございますけれども、平成四年度の状況を見てみますと、約一四、五%程度の伸びでまいっております。先ほど来御指摘がございましたように、政府関係金融機関はあくまで民間金融機関の補完機能に徹するわけでございますが、そういう中でやっておりましても現在このような伸びで進んでいる。これが中小企業の事業を支え、それが景気を支えていくのにいささかなりとも役立っているのではないか、そのように考えている次第でございます。
○山田健一君 ありがとうございました。もう時間が余りありませんので、次へ進ませていただきたいと思います。
 金融制度改革がいよいよ四月一日からスタートするということなんでありまして、いろいろな角度から質問したいと思っておったんですが、時間がありませんので、金融債、とりわけ今いろいろ問題になっております割引金融債の関係についてお尋ねをいたしたいと思います。
 いろいろ資料を見ますと、金融債の中で約三割ぐらい割引金融債が占めておるということのようであります。既にいろいろ新聞等でも報じられておりますように、何といっても無記名、これが一つの売り物ということに実はなっているわけであります。これは有価証券でありますから、確かに流通性等々考えればやむを得ない部分があるのかなという気がしておるわけでありますけれども、しかし利付は利付であるわけですから、割引債でやっておる理由、どうして今割引債が発行されておるのか。しかも、利子なんかは源泉分離で一八%ということでありますが、どうしてこういう税制上の差がつけられているのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(寺村信行君) 割引債のメリットについてのお尋ねだと存じますが、これは日本では大正九年から発行されているものでございます。我が国の市場に定着をしている商品でございますし、あるいは国債にも割引債がございます。それから諸外国におきましてもこのような割引債がございます。
 その具体的なメリットを申し上げますと、発行者の立場からいたしますと、発行時点で利息相当額が額面から差し引かれて発行されますために、利付債に比べまして利払い事務の負担が少ないこと、それから逆に投資家の立場から言いますと、定期に利子を受け取る手間が省ける、それから利札がないことから担保差し入れに便利である、こういうようなメリットがございます。そういうことで、我が国においてもあるいは外国においてもこのような割引発行の制度が定着をしているのではないかと考えられます。
 我が国は先ほど申し上げましたように大正九年以降発行されておりますが、現在の果たしている役割は、特に割引金融債について申し上げますと、金融の繁閑に基づきまして長期資本市場が変動する中で、利付債の増減に対するバッファーとして長期信用銀行の資金量の平準化と安定的な資金供給の継続に資することになる、あるいは金利高騰期におきます高コストの利付債による負担の固定化を防ぐといったような機能も有しているということでございます。
 それから、税制上の問題につきまして先ほどお尋ねがございましたが、割引債の問題につきましては、これは無記名性ということでございますと、基本的には利付金融債も国債も社債もすべて無記名債でございます。この税務上の取り扱いについて、実は昭和六十二年以前は割引金融債はその償還差益につきまして一六%の源泉分離課税になっておりました。ところが、それ以外の無記名債券は、源泉分離を選択いたしますと三五%、それから総合課税を選択いたしますと支払い調書の提出が必要とされていたということで、税務上の取り扱いが六十二年以前は割引金融債と他の無記名債が非常に異なっていたということでございます。
 ところが、六十三年の税制改正によりまして、他の債券や預金もすべて源泉分離課税の対象とされまして、支払い調書の提出が不要となったということでございます。ただ、税率は利子先取りということで割引債は一八%でございます。その他のものは二〇%と、こういうことの違いでございますが、基本的には六十三年度以降、税制面の取り扱いの差異はなくなったということでございます。
○山田健一君 問題は、こうした言ってみれば無記名で割引債がいろいろ取引が行われておるという中に、今回はまさにそこにつけ込むというか、結果的にはそうなっているわけでありますが、脱税という問題が発生をしておるわけであります。
 これは新聞の資料でありますが、国税庁によると、八九年から九一年の三年間に検察当局に告発した脱税事件が四百九十四件、所得隠しが二千二百十三億円、そのうち約一割がいわゆる割引金融債を中心とする金融債、こういうことになっているようであります。
 脱税を防止していくという観点から考えた場合に、確かに今マネーロンダリングに関する通達が出ておりますが、これは麻薬とかそういう不正取引、こういうことなっているわけで、脱税防止ということにはなっておりませんね。したがって、この際、今マネーロンダリング防止の本人確認は海外のやつは五百万円ですか、それからその他にあっては三千万円、こういうことで線が引かれておるようであります。
 これは確かに大口ということになれば、我々庶民の感覚から言えば一千万円超えればもう本人確認ということになってもいいんじゃないかというような気もするわけでありますが、ここら辺はいわゆる脱税防止をしていくという観点から、国民総背番号制じゃないけれども、あれば全部出てくるんでしょうけれども、現状で脱税防止の観点からいってこの辺の対策についてどう考えられておりますか。
○政府委員(寺村信行君) 本人確認の問題だと思います。これは、ただいま委員御指摘のとおり、現在行っておりますのはマネーロンダリング防止の観点から行われているものでございまして、金融機関で例えば預金口座を開設する、これは継続的な取引、保護預かり、そういったものは金額の多寡を問わず本人確認が必要になっております。ただ、現金取引につきましては、日本は比較的諸外国に比べまして現金取引がいろいろ経済取引の中で多うございますものですから、すべての現金取引というとこれは実行不可能という問題でございます。
 問題は、麻薬の資金洗浄を防止するという観点からどの程度が必要かということで、三千万ということで昨年七月から金融機関に対しまして義務づけているということになっております。これはまだ制度自体は発足したばかりでございますので、この麻薬の資金洗浄防止という観点からこれを現在時点で見直すというところには、まだ必要はないと考えているところでございます。
 お尋ねは、税務上からというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、あくまでマネロン防止の観点からの本人確認でございまして、これは税務上の目的の本人確認とは全く性格を異にするということでございます。もし仮に、税務上の目的から本人確認を義務づけるといたしますと、それは税務調査も含めましてその実効性を担保するために税制上すべての金融商品等につきましてイコールフッティングを図る必要がございますし、その場合、委員ただいまお話がございましたけれども、納税者番号制度の導入の可否とか個人のプライバシーの保護の問題等幅広い観点からの議論が必要でございまして、マネロンからの議論はちょっと今できないという感じでございます。
○山田健一君 私は、さっき申し上げたように、マネーロンダリングはそういう一つの例で申し上げたわけで、今回の事件を見てもそうですが、この三年間見ても脱税事件がこれに絡んで発生をしておる。こういう状況でありますだけに、いわゆる脱税防止の観点ということになるとすべての商品性を洗い直さなきゃいけないという今答弁でありますが、じゃこれはそのまま今回みたいな形で利用されていくということを黙って見ておるんですか。そういうわけにもいかぬでしょう、これだけ今、国民的にも大変な大きな課題、問題になっているわけでありますから。
 もう時間ありませんから、大臣、最後に。
 ある意味で預貯金の方はかなり整理がされましたが、割引債等々を含めてこの取引、本人確認との関係で言いますと、そういう金融機関、金融機関といいますか、長期信用銀行等を含めてそうでありますが、そういうところが協力をして、結果的には脱税になったというケースになるわけでありますから、そういった意味からはこういうケースについては何らかの措置をとる必要があるのではないか。結果的に脱税に協力するようなことになったのではこれは困るわけでありますから、この点について大臣の所見をお尋ねして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
○国務大臣(林義郎君) 山田議員のお話で、割引債が脱税の温床になっているから、少しチェックをして本人確認したらどうだ、こういうふうなお話でございますが、先ほど局長からお話し申し上げましたように、割引債が無記名になっておりますのは無記名になっているなにがありまして、割引債を持っていること自身が脱税じゃないわけでございます。割引債でありますから買ったときに既に税金を前払いをしている、こういうふうな私は観点で考えていただいてもいい。その一八%がいいかどうかという問題は別にありますよ。ありますが、そういったことであります。
 ただ、そういったたくさんの金を割引債という形で持っていてどこかに隠しているというところに問題があるわけでありますから、それは極端なことを言いますと、じゃ現金を二十億もどこかに持っていて、天井裏に隠しておったらどうだと。これは金塊とか何とかというのもあるかもしれませんよね。そういったようなものと同じような形でやるんで、ただ、それは、やはり税務署へ我々でも申告をしますときには財産報告をいたしますね。所得税の申告ですから、ようけ持っておれば財産報告をする。ところが、それをやってないんですから、そこをおかしいぞという形で税務署がいろいろ調べればいい話だろう、こう思うんです。だから、それを一々確認をさせるということになると、今の制度は自己申告制度でございますから、その制度と一体どうなるかという私は基本論があると思うんです。
 もう一つ、私は、古いことを申し上げて恐縮ですが、あなたのお父さんと一遍やったことがあるんですよ。郵便貯金の話がありましで、郵便貯金にグリーンカードを入れようという話があったんです。あのときに郵便貯金の数を調べましたら、一億四千万か何かの人間がおるというんですよ。これはおかしいじゃないかという話で今のような制度をつくった話があるんです。本当はグリーンカードをやったらいいんです。ところが、グリーンカードをやり出して、やったけれども、なかなかうまくいかなかったと、こういうふうな状況になっている。
 本当は本人確認という制度をいろいろと考えてやらなくちゃいけない。そうすると、本人確認やるといろんな問題がまた出てきまして、というのが今の状況でありますから、やっぱり公正な課税というものをどうしてやっていくかというのは私たちも頭の中に入れてやらなければならないけれども、現実にはそういうことになっている。それをどうしてやっていくかというのは、単にこうだから、これで悪いことをしたらこれさえやればと、こういうふうな形でも私は全体のバランスをとっていくということになるとなかなか難しい問題がある。しかし、御指摘のようなことはありますから、私もそれは考えていかなければならない、そういうふうに思っておるところでございます。
○牛嶋正君 大臣は、当委員会における所信表明の中で、まず最近の内外経済情勢の厳しさを述べられた後、今財政が真剣に取り組まなければならない課題を四つ挙げておられます。
 まず、内需中心の持続可能な成長の実現、これを第一に挙げておられますが、時間の関係で私はきょうはその第二の課題、財政改革の推進を取り上げまして、中長期の視点に立って二十一世紀に向けての財政運営の基本方針について大臣のお考えをお尋ねしてまいりたい、こういうふうに思っております。
 質問に入る前に、まずこの四つの課題に取り組む基本姿勢について大臣にお尋ねしたいと思いますが、この所信表明の中で、「財政改革の目的は、本格的な高齢化社会が到来する二十一世紀を間近に控え、一日も早く財政が本来の対応力を回復することにより、今後の財政に対する内外の諸要請に適切に対応し、豊かで活力ある経済社会の建設を進めていくことにあります。」と、こう述べておられるわけです。
 言いかえますと、財政が国民経済において本来担っている資源配分機能、所得再分配機能、それから経済安定機能が十分に発揮されるような環境づくりこそ財政改革の目的ということになるのではないかと思うのであります。したがって、四つの課題は私は同列に並ぶのではなくて、三つの課題と、それから今私が取り上げようとしている財政改革の推進という課題は同列には並ばない。言うならば、三つの課題の前提条件あるいは環境づ
くりではないかというふうに思っているわけでございます。
 そうだとしますと、そこに課題を実現していく場合の優先順位がいろいろ考えられるわけでありまして、例えばまず第一に挙げておられる内需中心の持続可能な成長の実現、とりあえずこれを実現していく。そしてその後、財政改革に取り組んでいくというふうな優先順位も考えられると思うんですけれども、これについて大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 当面考えていかなければなりませんのは、今私たちがやりますのは持続的な経済の安定成長ということだろう、こう正直言って思いますしかるがゆえにこそ、本当ならば財政改革で言いますと、これだけの大きな、建設国債にしろ大きな国債を出すのはどうかというのがありますが、そういった点で内需拡大と申しますか、持続的経済成長というものを考えつつやってきたというのが、私は平成五年度の予算のあった姿だろうと思います。
 ただ、その中におきましてもおのずからの制約がありまして、それじゃそのために何もかにも捨ててやっていいということではない。お話がありましたような、いろんな資源配分であるとか所得配分であるとか高齢化社会の問題であるとか、いろんな諸問題の要請がありました中で、財政改革というものはやはり一つの大きな柱、財政の節度というものは大きな柱として我々は持っていかなければならない、こう思っているところでございまして、そういったものの枠の範囲内において今のような当面の政策を実現していこうという形で努力をしてきた、こういうふうに御理解を賜ればありがたいと思っています。
○牛嶋正君 この三つの課題の優先順位の問題を議論いたしますと、結局またそれだけで相当な時間をとってしまいますので、きょうは、一応はそういった安定成長のトレンドに乗ったとして、少し中長期的な視点で二十一世紀に向けて財政をどのように運営していったらいいのか、こういう観点で問題を進めてまいりたいと思います。
 これにつきましては、昨年発表されました生活大国五カ年計画の中でも、生活大国づくりとあわせて財政改革の推進を図っていくというふうなことを述べておられます。そこのところの文言をちょっと読ませていただきますと、「今後の社会経済情勢の変化に伴う財政需要に適切に対応しつつ、効率的な資源配分を行っていくためには、引き続き財政改革を推進し、財政の対応力の回復を図ることが不可欠である。」。
 その上で、財政改革の目標を三つ挙げておられるわけです。一つは特例公債を発行しない。そして二番目は、一応平成七年度とおっしゃっていますけれども、公債依存度を五%程度まで引き下げる。そして三番目は、公債残高を百七十兆円程度にとどめるという三つの目標です。
 これまで進められてきた財政再建では、私は目標は非常にはっきりしていたと思うんですね。それは、ともかく特例公債の発行をゼロにするということだったと思うのですが、その目的が達成できて、今の財政改革は言うならば財政健全化ではないかと思います。この財政健全化というのは私は非常に目標値が立てにくいんではないかというふうに思うんです。あえて二つの目標を立てておられる。私は余り厳しい目標を立てますと、それがかえって財政運営を難しくするという問題が出てくるんじゃないかというふうに思うんです。
 生活大国の中で挙げておられます第一番目の特例公債の発行をしない、これはいいといたしまして、あとの二つの目標値、これが出されてきた経緯といいますかあるいは根拠、基本的な考え方、これをちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘のとおり、平成二年で特例公債を脱却いたしました。これに大変な時間をかけてやってきたわけでありまして、いかに努力をしたか、私は先人の努力に深い敬意を表するところでありますが、とにかく脱却した。その後にどうするか、その後ほうっておいたらまたすぐに特例公債になる、やはり新しい目標を立てていかなきゃならない、財政の節度をつくっていかなければならないというのが共通の願いだっただろうと思いますし、まさに生活大国にもそれを書いておる。
 そこで、御指摘のようにどんな目標をつくるか。例えばGNP比で何ぼだと、それから金額としてどうだと、こういうことでありますが、私はそうじゃなくて、少なくとも、あるそのときにあったところの依存度、百七十兆円を余り超えないような形で持っていくということでやっていったならばどうかというのが一つの目標だと、あったもの以上にふえないということが私は一つの目標でなくちゃならないだろう。
 そういたしますと、今の公債依存度五%というのは、百七十兆というものを置きますと大体そういうような形になってくるんじゃないかなという形で今のような目標を置いているところでございます。平成七年度にはこれを実施したい、こういうことでやっていますが、なかなかこれも大変難しい目標であることは私も重々承知しております。
 しかしながら、せっかく立てた目標でありますし、何とかこれに持っていくような格好でいろんなことをやはり考えていくというのが財政としてのあるべき姿じゃないかな、こう思っているところでありまして、それじゃそのときできなかったらどうするんだと。やっぱりそのときにまたいろいろなことを考えていかなければならない、財政というものは私はそういったようなものだろう、本来そういったものじゃないかなという感じを持っておるところでございます。
○牛嶋正君 この一月に、「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」というのが閣議報告されておりますが、その中で、「中期展望」ということで、平成八年度まで計算なさっております。
 この計算の前提は、私は生活大国五カ年計画で示しておられる主要経済指標に基づいておられるというふうに思うんですが、その場合、今回のこの不況の長期化などを見まして、私はちょっと皆さんの意見と違うんですが、日本の経済が基本的な構造のところで少しずつ変化してきているんじゃないかというふうに思っているんです。それにバブルの経済がのしかかってきて非常に今大変な深刻な不況をもたらしている。
 今の皆さんの考え方では、どうもバブルの引き起こした金融システムの不安定化というふうなものを非常に強調されておりますけれども、少し経済の実態を昭和五十年ころから分析いたしますと、五十五年ごろから我が国の経済社会というのは成熟下に入っていくわけですが、財政再建を本格的に取り組まれた昭和五十七、八年ごろから少しずつ日本の経済の構造が変わっているという指標を幾つか取り上げることができるわけでございます。そうだといたしますと、生活大国五カ年計画で出されておる経済指標、特に実質成長率三・五%、名目成長率五%というのは少し難しいんではないか、もう一度景気が回復して安定軌道に乗っても難しいんではないかというふうに思っております。
 生活大国五カ年計画の方はもうつくられたものですから、しかしこれから進められようとしております財政改革の推進の場合には、少しその前提を見直す必要があるんじゃないかと思うのでありますけれども、これについて大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(竹島一彦君) 結局は、「財政の中期展望」の性格といいますか、その計数を推計する場合の制約ということになってくるのかと存じます。
 これから先の経済動向をどう読むかによりまして、確かに税収等は変わってくるわけでございますが、従来私どもいろいろな議論をした結果、やはり税収を計算する場合にはGNPの成長率と弾性値ということで、この中期展望の場合は機械的ということにはなりますけれども、そういうことで計算をする以外にないだろう。それ以上の何か意味を加えて計算するというのは非常に問題があるし、実際問題困難であるということから、従来
からこういうことで、過去の趨勢値でございます弾性値とそのときそのとき適用されております政府の経済計画が前提としておりますGNPの伸び率というもので計算をしてきているということでございますので、そういった制約なり性格ということを前提にお考えをいただく以外にない、こういうことでございます。
○牛嶋正君 私が今申し上げました基本的なところで構造が変化しつつあるということについて、若干私が分析いたしました数字をお示ししたいと思います。
 過去、戦後八回の景気循環パターンがあったわけですけれども、これを見てみますと、一サイクル、大体周期は四年から五年、好況期が二ないし三年、そして不況期が一ないし一・五年ということで、私はこういった我が国のこれまで繰り返してきた景気循環パターンを長期好況型というふうに呼んでいるわけでございます。実はこのことが日本の成長率が諸外国に比べて常に一、二%高かった、これをもたらしてきた最も大きな要因だったと思うんです。
 ところが、今回の不況を見てみますと、かなり不況期が長期化しているわけでございまして、ここのところの解釈が非常に大事なんですけれども、私は景気循環のパターンから言いますと欧米型になったんではないかというふうに思うんです。というのは、好況期が逆に短くなって不況期が長くなる、いわゆる長期不況型の経済パターンになったのではないかというふうに思うんです。今欧米型はそういうパターンを繰り返しているわけでありまして、ここで成長率に差が出てきているわけでございます。
 なぜそういう判断をしたかということですが、先ほど山田委員も問題にされましたように、これまでの景気循環の不況期と比較いたしまして、景気後退期と比較して指摘できることは二点あると思います。
 一点は、個人消費の需要が低迷しているということです。これまでは不況期におきましても、景気後退期におきましても、そこそこの消費需要は伸びておりました。
 それからもう一つは、設備投資意欲が今沈滞しているということです。これはこれまで省エネルギー化のための投資とかあるいは省力化のための投資、投資目標がはっきりしていたわけですが、今に至って、バブルの崩壊後、私は企業は投資目標を見失ってしまっているんじゃないかというふうに思っております。
 この議論をいたしますと長くなりますので、ここでは消費だけ取り上げてみたいと思うんですが、そういうことで非常に消費需要の低迷というのが重要な意味を持っておりますので、これはなぜそうなのかということをやっぱり分析する必要があると思います。
 私は、家計調査を使いまして昭和五十年から平成三年までのデータをいろいろな角度から分析させていただきました。データの都合で勤労世帯に限定されたわけでございますけれども、いろいろな結果が出ましたが、消費支出の構造について申し上げますと、昭和五十七年を境にいたしまして前半と後半に分けて平均消費性向を計算いたしますと、前半が七〇・六%、後半が、後半がというのは昭和五十八年以降ですが、六六・二%ということで四・四%落ちているんです。問題は、限界消費性向の方です、今の公共投資の乗数効果を決める値ですから。これも前半が五七・五%、そして後半が五三・六%ということで四%低下しております。こんなことから、個人消費支出の構造も徐々にバブル以前から変わりつつあったというふうに見なければならないのではないかと。
 なぜそれが起こってきたかということなんですが、私はこんな計算をしてみました。
 我々の家計の中でどうしても払わなければならない義務的支出というのがございますね。これは税を筆頭にいたしまして、社会保険料、住宅ローンの返済、月賦の支払い、その他何かそういうローンの返済があると思いますが、これらを私は義務的支出というふうにしてくくってみたわけです。これが所得の中でどんな割合を示しているか、どういう割合になっているかというと、ふえてきているんです。これが私は問題だと思います。
 どんなふうにふえているかと申しますと、先ほどの五十七年までの平均値を出します。ずっとふえているんですけれども、平均値で出しますと、五十七年までは二三・七%、これが五十八年以降は三〇・七%に増加する。言うならば、家計の中が国の財政と同じように硬直化してきているということですね。いわゆる消費の伸び悩みを、いろいろ消費マインドとかなんとか言っていますけれども、それは一時的なものであって、これが私非常に大切じゃないかなと思っているわけです。
 そういたしますと、私は、住宅投資が伸びているから景気がよくなるなんというようなことは喜んでいられないんじゃないかと思うんです。これがまたまた所得に対する義務的支出をアップさせます。将来ますます消費がこれまでのような順調な伸びを示してくれないというふうなことになります。
 こういうふうな構造の変化から、先ほど申し上げましたように、これから安定的な成長トレンドに戻っても生活大国五カ年計画で言っておられるような数値は期待できないのではないかということで、これは、計画で決めているからそれに基づいて計算しなきゃいけないんだというふうな御答弁では、ちょっと私どれぐらい財政改革に真剣に取り組んでおられるのか疑いたいんですね。やっぱりこの実態を本当に見詰めなければ大変なことになると思いますが、今の説明に対して、大臣のちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 牛嶋先生は学者で、大変造詣の深いお話を今聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。
 確かに私も消費性向が何%、大体消費性向の数字はそんなもの、限界消費性向が五十七年と五十八年以降と比較するとこういうふうになってきているなと。確かにそういうことはありますから、消費が全体の国民所得の中に占める割合というのは非常に大きいわけでありますから、そこが限界消費性向が落ちてくるということになれば、やはりヨーロッパ型の方に近づいてくるということは私は一つ当たっているんだろうと思います。
 ただ、もう一つわからなかったのは、その義務的支出というところの概念でございますが、税それから社会保険料というふうなところまでわかるんですが、あと住宅ローン、これも大体住宅金融公庫とかなんとかの借り入れでありますからそうかもしれません。あとの月賦というようなことですが、このごろ若い人は大分月賦なんかを使っていますから、月賦というのは一体果たしてその義務的支出に当たるのかどうなのかというのは、私はちょっと問題かもしれないと思います。
 いずれにいたしましても、義務的支出におきましても私はそれが随分ふえてきている。実は、その数字を見まして、今の私が申し上げたようなことがあったにしても、相当ふえてきているということはやはりこれは大変なことだと思うんです。それは、全体としての非常な伸びというものをしないで、むしろ安定的な社会というか硬直的な社会にしちゃってきているのかなという感じも正直言っていたします。
 そうすると、全体としての伸びをどうするか、三・五、ノミナルで五%の成長云々というふうなものをどう考えていくかという中身は、計算としてはやっぱり考え直していかなくちゃならない私は要素があるかとも思います。ただ、私も専門家ではありませんし、今のお話は大変示唆に富んだお話でありますので、少し私の方も勉強させていただいてやってみたいと思っています。
 ただ、そういったことをいろいろ考えてやっていかなけりゃなりませんが、政府がいろんなことを出すということになりますと、今までの数字と違ったものを出すということになると、これ国会にお出しするときにはこの数字とこの数字とどう違うんだという話でいじめられるものですから、いろんな議論は中でいたしましても、やはり出すときにはそういったことになるということがあるということだけは御理解を賜りたいなと思っております。ただし、いろんな点を勉強していかなければならないことは先生御指摘のとおりでございますから、大変いいお話をしていただきましたことを心からお礼申し上げたいと思います。
○牛嶋正君 最後に、財政改革とそれから税制改革を全く切り離してお考えなんでしょうか。
 と申しますのは、先ほど申しました「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」の中で、ほとんど税制改革は触れておられないのであります。強いてその箇所を求めるとするならば、二カ所ございますが、一カ所は、「平成五年度予算における国民負担率は、三八・六%程度と推計される。今後、高齢化の進展等に伴い、国民負担率は長期的にはある程度上昇することとならざるを得ないものと考えられる」と述べておられる。
 納税者の側から見ると、これが非常に重要なんです。財政再建、財政が非常に健全化した、いろいろな変化に対応できる力を持った。しかし振り返って見ると国民の負担がどしっと重かったということになりますと、これは大変なことだ。しかもここでは「国民負担率」とおっしゃっているわけです。租税負担率、そして社会保険負担率を分けて書いておられない。そういうあいまいさもあります。
 それからも一つは、「特例公債の発行という事態は二度と生じさせてはならず、景気・税収変動が生じても、特例公債を発行することなく対応できるような弾力性を財政体質に組み込むことが緊急の課題である」。私はここの文言もちょっと問題だと思うんです。と申しますのは、むしろ税制改革をして、いろんな経済の変動に対しても税収の方は安定した税収が入ってくるようなそういう税構造を考えるべきだと思うんです。そのことは何にもおっしゃっていない。これはこの前の臨時国会のときにも御質問させていただいた点ですけれども。
 端的に言いますと、法人税をどうするかということですね。今のままですと、やっぱり景気が動くたびに税収が非常な変動をするわけです。ですから、そういった景気の変動にかかわらず安定した税収が入ってくるような構造にむしろ税制を変えていくべきだ、その方向はどういう方向があるのかというふうなことまで財政改革の推進であれば納税者に示すべきではないかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(林義郎君) おっしゃるように、財政の調達をするのは租税と借入金、それから国債ということになるわけでありますが、やはり国債をそういうふうな形で抑えていかなければならないということが一つありますと同時に、税の問題といたしましても私はいろんなことをこれから考えていかなければならない。
 今先生から御指摘のありましたように、高齢化社会に対してどうしていくかということがありますし、もう一つは、景気変動の問題に応じて安定的なものをやっていく。これは財政のバッファー機能と申しますか、そういった形で、不景気のときでも税収がある。好況のときには税収が上がって、不景気のときには税収が落ちるというのがありますね。そういったような機能をいろいろこう考えてやっていくとなると、やはり税というものをどういうふうな形でやっていくかというのは一つ考えていかなければならない問題ではあろうと思います。
 ただ、もう一つ入りますと、一体税をどこから取るんだと、所得に取るのか消費に取るのか資産に取るのか、その辺のバランスをどうやっていくか、こういうことがございます。そういった景気循環の問題と、それから日本全体が高齢化社会。それからもう一つ言えば、先生お話しのようにだんだん社会の構造も硬直化してくるというか、だんだんほかの消費が余り動かなくなってくる。こういうふうな話になってきますと、その辺の要素も考えていかなくちゃいかぬのかもしれません。そういったことからしますと、どういった税のあり方というのが望ましいのかねという議論に私はなってくるんだろうと思います。よく所得税の累進構造でやる議論と、いわば消費に着目した支出税というような議論が学者の中ではあるわけでございますね。そういったようなものもこれから考えていかなくちゃならない話かなとも思っております。
 いずれにいたしましても、今すぐにそこまでやる話じゃありませんし、高齢化の問題をどうするかというのは、財政再計算の話であるとか、平成七年度にはどうしましょうかというような、いろいろあります。そういったものを一つ一つ片づけながら、あるべきところのものを我々としては常に考えていかなければならない。そうした中で財政構造の問題というのも私はひとつ考えていく話だろうと思っておるところでございます。
○委員長(野末陳平君) 時間が超過いたしました。
○牛嶋正君 一言だけ。
 そんなことで、財政改革の中に税制の改革を盛り込んでおられなかったわけですけれども、私もこの委員会で二十一世紀の高齢社会にふさわしい税制のあるべき姿を議論してまいりたいと思いますので、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。
○寺崎昭久君 不良債権とその処理の問題について幾つかお尋ねいたしたいと思います。
 まず、土地、不動産にかかわるいわゆる金融機関の不良債権の存在がさまざまな議論を呼んでいるわけでありますけれども、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行が抱えている不良債権額というのは幾らあると大蔵省はごらんになっているんでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 昨年三月末の概況で当局がヒアリングを通じて把握した計数でございますが、お尋ねの都市銀行、長信銀、信託、三業態の六カ月以上の延滞債権の元本残高七兆九千九百二十七億円でございます。
 さらに、昨年九月末の計数につきましてヒアリングをいたしましたのが十二兆三千億円程度ということになっているわけでございます。
○寺崎昭久君 今の金額にはノンバンク向けの融資だとか、住宅金融専門会社向けの融資はカウントされているんでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) これはすべての貸出先を含めまして六カ月以上金利が延滞している債権の合計額でございます。
○寺崎昭久君 大臣に一つお尋ねしたいと思いますが、金融機関であれ一般事業法人であれ、経営にはリスクがつきものだと私も理解しております。赤字を出せば普通は経営責任が問われるということで終わるわけでありますけれども、業績不振が経済全般に大きな影響を与える、あるいは社会的な不安を引き起こすというようなケースが起こった場合には、一法人の問題だということで放置できないのが実態であろうと思います。そこで、何らかの手を打たなければいけないということで政府も対策に乗り出されるんだろうと思います。
 今回のバブル崩壊後の金融対策、これについて言えば、国民の間にはどうも政府は金融機関に甘いんじゃないかとか、あるいは金融機関の経営危機を金融システム全体の危機にすりかえているんじゃないかというような声が少なくないわけであります。
 そこで、お尋ねしたいことは、政府として金融システムの安定化のための対策を講じられる際、経営責任の問題をどのように考えて対策に盛り込まれるのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) バブル下のときにおきまして銀行が安易な経営に走っちゃった、いろんな問題がありましたことは、私は銀行も率直に反省しなくちゃいけませんし当局としても謙虚に反省をすべき点があったと正直言って思います。しかしながら、金融機関といえども民間の企業でありますし、その経営責任というのは当然各行それぞれがとらなくちゃなりませんし、また自己責任原則というのは当然に私はあってしかるべきだろう、こう思っておるところであります。
 そうした意味で、金融機関におきましても内部管理体制の総点検や公共性、社会性の確保をやってもらいたいということを強く要請するとともに、金融システムが安定的な形で金を供給することができるような体制というのはやはりつくっていかなければならない。金融といえば国民の血液でありますから、血液がうまく動かないということになればこれは大変なことだと思いますから、そういった責任をやはり果たすべき努力をしてもらわなければならない。金融システムに対する国民の信頼が損なわれることのないようなことをやっていかなければなりません。
 また、御指摘のように何か金融に甘くて、一般にはきついんじゃないかという点につきましては、私たちも十分に心してこれからやっていかなければならない問題だろう、こういうふうに考えておるところでございます。
○寺崎昭久君 大臣がおっしゃるように、経営責任は民間企業独自の問題だと言えないことはないと思いますけれども、例えば、金融システムの安定化を図るために、あるいは景気対策のためにということで、政府だとか日銀が利ざやを生じせしめるような公定歩合の決定を仮にしたとしますと、そのことが金融機関の経営の好転に結びつくわけですね。結果としてそういうことになるわけなので、やはりそういう政策を講じられる際は、何らかの経営責任もあるんだよということをきちんと御指導していただきたいものだな、そんなふうに考えているわけですが。
○国務大臣(林義郎君) 公定歩合を下げたならば、金融機関の方は、貸し出しの金利は前と同じであったりなんかして、一時的には公定歩合だけ早い公安くなって差額がふえる、こういうようなことはあるだろうと思いますが、公定歩合というものは本来そういった形のもので、下げたならば後で貸出金利が下がっていくというような形で連動して動くというようなことが私は本来のあるべき姿だろうと思います。すぐに動くのは統制的な話でありますから、公定歩合が下がることによって金融は緩慢になる、緩慢になることによっていろいろな貸出金利が下がっていくというような格好で、いわゆるプライスメカニズムによってそこが動いていくということが私は望ましいことだろう、こう思っているところであります。
 逆に、今度は上げるときになりましたらなかなか上がらないという、こういった逆のことも私は正直言ってあるんじゃないかな、こう思っているところでありまして、そこは十分に考えていかなければならない問題であろうかな、こう思っているところであります。
○寺崎昭久君 次に、共国債権買取機構についてお伺いいたします。
 昨年以降、この買取機構の問題が話題になりまして、どうも私の記憶では、当初金融機関が持っている不良不動産といいましょうか不動産の流動化を目的にこうした買い取り会社をつくるというような趣旨で出発したように思うんですが、昨今は専ら不良債権処理機関というような印象を与えているわけですけれども、大蔵省はこの買い取り会社について、買い取り会社設立の趣旨についてどのように把握されているんでしょうか。
○政府委員(寺村信行君) 共国債権買取機構につきましては、実は昨年の八月十八日に大蔵省から「金融行政の当面の運営方針」を公表いたしまして、その中で、不良資産の処理の対策の一環といたしまして、まずは不良資産の処理方針の早期確定、不良資産が大変累積をしておりますとその処理に当たりましては相当な期間がかかるはずですが、国民の金融システムに対する不安感を払拭するためには処理方針をまず早く確定すること、そしてそれを計画的、段階的に処理することが必要であるということを述べまして、かつ担保不動産の流動化といたしまして、不良資産の処理方針の早期確定と計画的、段階的な処理を図るために担保不動産の流動化のための方策につき早急な検討を行うとうたってあるわけでございます。
 その後の報道が若干不動産の流動化対策の方を中心に報道されましたが、大蔵省はもともとはその運営方針にも書いておりますように、不良資産処理の早期確定を行いたいということをうたって検討を始めたものでございます。
 それで、具体的には、不良資産の早期処理を図るというんですけれども、基本的には不動産を処分し、そして損失を確定する。その確定した損失を、これはみずからの金融機関の経営努力で処理をしなきゃいけないわけですけれども、そういう損失をまず確定し、処理方針を決めていくということが必要である。ところが、不動産市場は極端に低迷をしておりますから、担保不動産の処分ができない。そうなりますと損失の確定ができない、そうすると処理方針の確定ができないということで、それでは国民の金融システムに対する不安感が払拭されないのでこのようなシステムをつくろうというので、もともと当初の意図はまさに損失の確定であり処理方針の確定でございましたので、その後の展開は当局が当初考えました方向に展開をしているというふうな理解をしているところでございます。
○寺崎昭久君 今おっしゃられた不良債権の処理の問題ですけれども、間接処理と直接処理があるのは承知しております。従来の債権償却特別勘定を用いた不良債権処理の場合は、税務署の承認が得られた時点で見積もり損を計上してこの勘定に引当金を繰り入れ、損失が確定した段階でそれを精算する。今回の買い取り会社を経由した損金処理というやり方があるわけですけれども、これは理屈の上では同額の処理ができると考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(松川隆志君) 不良債権の処理に関する税務上の取り扱いでございますが、先生のおっしゃるとおり、直接的な方法と間接的な方法がございます。それで、まず法人の有する債権につきまして、貸し倒れが生じた場合には貸し倒れ損失の損金算入という規定がございます。また、債権償却特別勘定を設定する場合の繰り入れ損の損金算入という方法がございます。そして第三番目に、今回のように不良債権そのものを売却するということによって実現した損失の損金算入がございます。
 この貸し倒れ損失の損金算入につきましては、債権自体が全額回収不能になるということでございます。それで、部分的に回収不能になる場合には、債権償却特別勘定の設定ということでございます。この場合、債権自体がまだ貸し倒れの状態になっていないということ、そして債権そのものは法人が依然として保有したままであるという中で、部分的に回収不能として損金扱いを認めるということでございます。そういうことで、一たん手続的には法人が自分で認定して損金算入を申告するわけでございます。事後的に税務当局が調査に行きましてその損金算入額が適正かどうか認定していく、こういう手続になっています。
 それで、今回のケースでございます。すなわち、法人が不良債権を譲渡したことによって実現する損失、これは株式を譲渡した場合の譲渡損と同様に、法人税法の二十二条第三項の規定によりまして損金の額に算入することになるわけでございまして、今回のケース……
○寺崎昭久君 済みません、途中で。大体仕組みはわかっています。同額になると考えていいかどうか。
○政府委員(松川隆志君) 売却をして、それによって譲渡損が発生した場合には、その全額について損金経理が認められるわけでございます。
○寺崎昭久君 もし同額だとすれば、債特勘定による償却とは異なりまして、金融機関が自己の判断で幾らでも償却できるということになるんではないか、税法上の任意の見積もり損失処理を認めるということになるんではないかと思えるんですが、金融機関だけにこうした特例を認めるというのはちょっとバランスが崩れるんじゃないかなという気がしますが。
○政府委員(松川隆志君) この処理は、金融機関だけの問題じゃございませんで、一般に事業法人
であっても、不良債権を抱えた場合、例えば対子会社との関係で……
○寺崎昭久君 いや、買い取り会社経由の処理ですよ。
○政府委員(松川隆志君) 例えば事業会社がその不良債権を他に譲渡するようなケースがございますと、その譲渡損については損金経理が認められるわけでございます。
○吉岡吉典君 金丸前自民党副総裁の巨大蓄財、脱税事件が果てしなく広がる中で、国民の怒りが大きく広がっていますが、その中で、特別の怒り、特別の感情を持ってこの事件を見ている人々がおります。
 きょうは、大臣に、大臣として同時に政治家として、その人々の願いというか気持ちというのかを聞いていただきまして、意見と、どう対応するかをお聞かせ願いたいというのが、短時間でありますが私が取り上げたいテーマでございます。
 その人々というのは、戦後朝鮮や中国等から引き揚げた人々ですが、今の日債銀の前身である朝鮮銀行を通じて送金したあるいは預金していた預送金、これが日本で清算された場合に、十分の一とか、中には百分の一しか払い戻しを受けなかったという人々で、これらの人々は財産を横領されたとか言って今でも運動を続けている人々です。
 その問題の中で、特別な感情というのはどういう点かというと、この朝鮮銀行が不動産銀行を経て今の日債銀になっている。これが、例えば今話題になっている小針福島交通会長ですか、こういう人とのかかわりでも話題になったとか、あるいはそのほか田中元首相とのかかわり等々、いろいろな政治的な疑惑が出るたびにしばしば名前が登場する。そういうことから、今度の事件というのも、これは結局この銀行の誕生にかかわっているものだということを言っているわけです。
 私は、その関係者の人から新聞の切り抜きが送られてきて見ましたけれども、「巨額不正蓄財の舞台 日本債券信用銀行」、「「政治銀行」と絶えぬ陰口」こんな大特集があるんですね。これ一部お渡しします。(資料を手渡す)
 そういうふうなことで、これは金融財政事情研究会というところから出した「戦後金融行政史」という本を読んでみましても、この銀行が戦後第二会社として設立されるときには、当時は銀行の新設を抑制する方針があったんだと、しかし、そういう方針に反してこれがつくられた経過、そのために当時政治問題になったという事情もこの本に詳しく書かれております。
 そして、この新聞の中では大蔵省の幹部の話というのが引用されております。その引用というのは、要するに当時からいわく因縁のある政治的な動きがあってできたものだということを大蔵省の幹部の方、名前は出ていないけれども、引用されているという経過です。
 そういうことは、その人々の言い分によれば、私のところにたくさん手紙がもう最近では毎日のように来るんですけれども、その人々の言い分によれば、もともと自分たちの財産を奪ってつくったという誕生からこういうことが生まれている、こういうことを訴え続けているわけです。
 この事件というのは、長い大変な複雑な経過があって、その銀行の清算というのはこんな本に記録になるほどの複雑な経過を経たものです。したがって、私はこの経過とか、法的にどうかこうかということをここで論議しようとは思いませんけれども、いずれにせよ、法律上どうあれ、ある換算率がつくられて十分の一とか中には百分の一しか貯金がもらえなかったという人が、自分らの財産が返ってこなかった、奪われたという気持ちになるのは、これは理屈を抜きにして避けられないことだと思うわけです。
 そこで、まずお伺いしたいんですが、こういう引揚者の朝鮮銀行への預送金額と払い戻しを受けた金額、これは幾らになるか、わかったら教えてください。
○政府委員(根本貞夫君) 朝鮮銀行が閉鎖機関として指定されました時点での在外預送金総額につきましては、御承知のとおりの終戦直後の混乱した外地におきまして資料等の散逸がございまして、把握することが困難であり、不明なわけでございます。
 また、これまでの在外預送金の払い戻し総額は六億四千八百万円となっているところでございます。
○吉岡吉典君 払い戻し金額だけはわかるけれども、預送金はわからないということです。わかる方法がないものかどうか別としまして、この人々が今幾つかの面から、これが本当に不当な措置だということで最高裁まで争って、今再審請求の準備もしておられるわけです。
 一つは、当時換算率で十分の一とか百分の一という払い戻しを受けたけれども、中には一対一の完済を受けた銀行も幾つかあるんだと、そういう点では不公平である。また、これはGHQから閉鎖されてこういう経過をたどったわけですけれども、GHQの閉鎖があるまでは一対一で払い戻しを受けていたということです。GHQの閉鎖指令がなければ大体そういう状況が続いていたんじゃないかということから、これはどうしてもおかしい政治絡みの事件だというのがこの人々の意見なんです。
 それで、一対一で完済したところがあるのかないのか。それはあるとすればどういう理由でかということをお答え願いたいと思います。
○政府委員(根本貞夫君) 換算率の点につきましては、昭和二十九年の二月の在外財産問題調査会の答申に基づきまして、未払い送金為替の場合には支払い停止措置のとられた時点、今のお話のございました昭和二十年の九月二十二日でございますけれども、このときの為替管理の実効換算率を勘案しまして、また在外預金の場合には在外公館等、借入金返済の際にとられていた換算率に準じまして、同年五月の閉鎖機関令の改正により決められたものでございます。それに従って決められているところでございます。
○吉岡吉典君 いや、だから完済したところがあるかないかだけが聞きたいのです。
○政府委員(根本貞夫君) したがいまして、朝鮮銀行券や台湾銀行券による未払い送金為替の場合には、邦貨との換算率は一対一になっているわけでございます。
○吉岡吉典君 銀行によっては完済を受けたところがある、それはお認めになるわけですか。どういうことですか、今の。時間がないから簡潔にお願いします。
○政府委員(根本貞夫君) これは閉鎖機関令というのが、第十一条の三というのがあるわけでございます。
○吉岡吉典君 完済を受けたところがあるかないかです。それじゃいいです、それは。
○政府委員(根本貞夫君) それに基づいて支払っているわけであります。
○吉岡吉典君 いや、いいです。質問に答えられないのは非常に遺憾です。そのことだけ申し上げておきます。
 もう一つ、この人々が怒っているのは、銀行が破産して金がないので返してもらえなかったのならよくわかる。しかし、巨額の財産が残っていた。にもかかわらず、我々は十分の一とか極端な場合は百分の一にされたということなんですね。
 それでお伺いしますけれども、ここでの残余財産というのはどういうふうになったか。国への納付金、税金等々も取られているわけですけれども、この額だけ報告してください。
○政府委員(根本貞夫君) 閉鎖機関朝鮮銀行の特殊清算に際しましては、まず同行の一般債務や在外預送金債務等の弁済等が行われまして、次にその残額約七十二億二千万円から納付金といたしまして約二十九億九千万円、清算諸税約二十三億八千万円がそれぞれ納付されました。その後の残余財産十八億五千万円が新会社でございます日本不動産銀行の資本金等に充てられたものでございます。
○吉岡吉典君 今、数字が挙げられましたように七十二億円残っていた。この人らが払い戻しを受けた額は六億四千八百万円ですか。そうしますと、財産がなかった、銀行がだめだったから返らなかったのではないという関係者の言い分というのは、私は感情としては当然生まれると思うんですね。その上、国に納付金として納めている額、それから税金として納めている額というのは五十三億ですね。そういう額を納めて、それで預金者、送金者はわずか六億四千八百万円。気持ちがおさまらないのは、これは私はよくわかると思うんです。
 時間が来ましたので、私もうちょっと聞きたいことがあったわけですけれども、それはさておきまして、要するに国への納付金と税金だけでも自分らが返してもらった総額の八倍以上もある。国は我々の財産を奪ったんじゃないかという気持ちになるのも私はわかると思います。これはその後最高裁まで争われ、先ほども言いましたように、今再審査の準備をしているということであります。
 ここで私は法律上どうだこうだということを論じようと思いません。法律も政治がつくったものですから、ですから絶対だとは言えませんけれども、その法律の適否を論じようとは思いませんけれども、私は、これらの人々は、まず日本の政策によって外地に出かけて、戦争に遭って引き揚げたという点での犠牲者であると同時に、GHQ指令に端を発してそういう事態になった。そういう意味では戦後処理の犠牲者という面も持っている人だと思います。そういう人々の預貯金が十分の一、百分の一になった。自分らの預貯金がもとになってこういう銀行ができて、その銀行がしかも今汚職の舞台になっている。巨額蓄財の舞台になっている。こういうふうに新聞でも書くという状態になっているときに、一体そういうことでいいものかということを連日私のところに、政治の場に反映してくれということを訴えてこられている気持ちは、私はよくわかると思うんです。
 私は、法律的にどうあれ、戦後処理の一つとしても、これに対しては政治が解決の手を差し伸べるべき性質の問題だというふうに思います。そういう点で、もうちょっと詳しくこれらの人々の主張をお伝えしたかったわけですけれども、今私が紹介しただけでも大体わかっていただけると思いますので、大臣に、こういう人々の心情はこれは全然問題にならないとおっしゃるのか、法律は冷たいものだという答えをなさるのか。私はそうじゃなくて、やはりいろいろ戦後処理の問題で再検討しなくちゃならない問題、国会の各委員会でもしばしば論議になっている、そういうものの一つとして政治が解決の手を伸ばす、そういうことを考えなきゃならないものだというようにお考えいただけないものなのかどうなのか。むしろ政治家としての大臣に答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 吉岡先生からの今のお話、私も熱心に聞いておりました。この新聞を見ましても、なかなか大変なことを書いてあるな、こう思っているところでありますが、御質問があるというので、私もちょっと事前に調べてみました。
 在外預金者、引揚者の在外預送金の払い戻しに当たりましては、もう既に昭和二十九年に在外財産問題調査会の問題で処理がされておりますし、また昭和三十二年の七月には朝鮮銀行の特殊清算も結了してということで一応完了した、こういうふうな話になっておるようでございます。
 在外預金を払い戻す際にとられた換金率につきましてもいろいろ問題がありまして、恐らく先生御承知でありましょうが、東京高裁で合理的である旨の判決も昭和四十四年十二月二十五日に出ておるところでありまして、法律的には今申しましたような私は話だろうと思います。
 外地におられた方々、大変多くの方々が苦労をされた、こう思います。内地におられた人もいろんな苦労もありましたけれども、本件につきましては、今申しましたような長い経緯を持ってやってきたのでございまして、私としては今はその経緯の中ですぐに取り上げるというのはいかがなものだろうかな、こう思っているところであります。
 もう一つ、一言申し上げますなら、私も下関でありましてね、周りには朝鮮、韓国から引き揚げてこられた方もたくさんある。実は私の身内の中にも、朝鮮銀行く預金しておったけれども一つも払い戻しも何にもないでという形で帰ってきたような人もおるんです。だけれども、やはり戦後のあの時代でありますし、ああいうふうな形で処理をしなくちゃしようがなかったのかなというふうに私は思っているところであります。
○吉岡吉典君 終わります。
○池田治君 私は、住宅専門金融会社の救済とその存在意義についてお尋ねをしたいと思います。
 経営不振に陥っている住専会社はこれは大変なことでございますが、最近この再建策が固まったと伺っております。その内容は、母体銀行は金利をゼロにする、それから農林系の金利は四・五%、その他の金融機関は二・五%に金利を引き下げる、来年三月末までに必要な六百二億円は母体銀行が融資するというような形で、当面の資金繰りを心配しなくてもよくなったと同時に、再建をさせるんだということのようでございますが、これが事実かどうかということと、もう一つ、この救済策はまたほかの住宅金融専門会社七社についても一応のモデルと考えてよいのかどうかという二点をお伺いいたします。
○政府委員(寺村信行君) 日本住宅金融の再建計画案につきまして、去る二月二十六日に母体行間で合意が形成されました。その内容はただいま委員がお話しになりましたとおりでございます。しかし、これにつきまして関係金融機関全体のまだ合意形成には至っていない、それぞれ母体行以外の金融機関の合意を、理解と協力をお願いしているという段階でございます。
 それから、日住金のこの再建計画がほかの住専との関係でどうなるかということでございますが、それぞれ別々の住宅金融専門会社でございますので、それぞれの関係金融機関と新たな協議を行い、具体的な再建計画ができ上がってまいると思いますが、当然一つの会社の分担ルールが自動的に他社に適用されるということではないと考えております。
○池田治君 それでは次にお伺いしますが、住専というのは、昭和四十年代、銀行や住宅金融公庫のローンがまだ不十分な時期でございましたが、そのときにこれを補完する機関として設立されたと認識しております。さらに住専は、昭和四十八年五月の出資法の政令の改正によりまして、大蔵大臣の直轄会社の指定を受けて、世間の信用力を持つと同時に、国民の住宅建設の要求にこたえてきた。こういうところでは本当に大きな意義があったと思いますが、その後地銀とか都銀がどんどん住宅ローンを始めまして、住専の存在意義が少しずつ弱まってきて、後の方では不動産業者向けの融資会社に変わったと見られてもいいほど貸付対象が変わってきた、こう言われております。
 大蔵省が昭和五十九年の五月二十一日に自民党ノンバンク小委員会に提出された資料によりますと、住専八社の貸付金合計は十二兆八千五十四億、うち五七・七%に当たる七兆四千八十二億円は不動産業者向けであった、個人の本当の住宅融資というのは三兆九百五億円、全体の二四・一%にすぎなかった、こういうことが記載されております。
 この不動産業者向けの融資は、バブルが崩壊した後では大半が不良債権として残ってきまして、現在でも五兆円前後が利払いも渋っておる、こういう状況にあると聞いておりますが、これは本当でございますか。
○政府委員(寺村信行君) 住宅金融専門会社は、ただいま委員御指摘のとおり、昭和四十年代の後半から五十年代の半ばにかけまして順次設立されまして、当初は個人住宅ローンの提供を主といたしておりましたが、ただいまお話のございますように、金融機関が住宅金融市場へ積極的に参入した中で、いわゆる不動産業者あるいは住宅開発業者に対する開発資金、仕込み資金でございますが、そういったところがいずれは分譲住宅という形で販売され、それを購入する顧客が住専会社の
住宅ローンの融資先になるという、そういう考え方から業務展開を行ってきたというわけでございますが、いわゆるバブル経済の崩壊に伴いましてその融資先である不動産業者、住宅開発業者の業績が悪化して、それが住専会社の経営に悪影響を与えている、こういうことでございます。
○池田治君 住宅開発会社に融資して、それが本当に住宅に利用されたならばこういう問題は起きなかったと思いますが、投資用で土地を購入した不動産業者にまで貸し付けを伸ばしておられるというところが問題だろうと思います。例えば、今金利滞納とか不良債権で有名な麻布グループについても三百億の融資があると聞いております。
 こういう投資会社的なところへどんどん融資しているような住専というのは本来の業務目的を外れていると思うんですが、こういうところをまだ大蔵省は、本来に戻って住宅の建設の必要があるからこれを残さなくちゃいけないという強い存在意義を認めておられるわけでしょうか。私は少しもう存在意義が薄れたんじゃないかと思っておりますが。
○政府委員(寺村信行君) 現在、住宅金融専門会社は、当面する不良債権の処理の問題につきまして自己責任原則に立ちまして再建努力を行っているという状況でございまして、それに関連しまして関係金融機関のいろいろな支援が行われているという状況でございます。
 今後の住専の位置づけの問題だと思いますが、基本的にはやはり各会社の経営者の経営判断に属する問題でございます。全体としての位置づけをどうするかということにつきましては、これはやはり今後の都市政策とか住宅政策の中でどう位置づけるかという議論はあろうかと思いますが、現段階では個別の事業の経営判断の問題として対処をしていただいている、こういう考えでございます。
○池田治君 これ質問通告はありませんけれども、個別の経営判断に基づくというのは、自己責任の原則に基づく企業経営の原則であろうと思っておりますが、特にこの住専につきましては大蔵省の直轄指定があるわけです。そうすると、単なる自己判断だけにも任せられないので大蔵省も積極的な関与が必要だったし今からも必要ではないかと思っているわけで、それでお尋ねしているわけですが。
○政府委員(寺村信行君) ちょっとその前に、大蔵省の直轄ということなんでございますが、いわゆる貸金業者につきましては財務局で監督するかそれとも本省で監督するかという監督態様の違いでございまして、基本的には五十八年の以前から直接対象、短資業者とともに本省で担当していたという経緯でございます。
 それから、今のお話は、まさに今度は住宅関連事業を含めました資金需要を今後どう見て、それをどう金融システムの中で位置づけるかというお尋ねだと思いますけれども、これはやはり今後の土地政策、住宅政策全体の観点から慎重に検討を要するものでございまして、今すぐに行政当局がこれをどうするということではなくて、かなり広範な御議論をいただいて考えていくべき問題ではないかと考えております。
○池田治君 直轄についてちょっとこだわるようですが、これは昭和四十八年五月には出資法の政令改正で大蔵大臣の直轄会社として認められた。それから次には、貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する権限の委任に関する政令に基づく大蔵大臣告示ということでこれは告示された。その後も貸金業法の改正が昭和五十八年にございまして、この五十八年のときには住専会社は従来の経緯もあり、政令により貸金業者としての適用を除外されたということになっておりますので、これはかなり大蔵省の直轄の監督、指導が及ぶ会社であろうと私は認識しておりますが。
○政府委員(寺村信行君) 当時の貸金業法の改正のときの経緯の問題でございますが、貸金業につきましては実はその当時規制強化をしたわけでございます。いろいろ貸し手の方の、つまり借り手保護のために過剰貸し付けの禁止とか、誇大広告の禁止とか、それから適正な契約書面とか、そのようないわゆる貸金業の規制を強化しなければいけないという趣旨からの改正が行われました。これはサラ金の問題とかそういった問題から規制強化をしたのでございますが、この住専につきましてはそのような規制強化の必要は当時認められませんでしたものですから、それで規制強化の対象外になった。こういうことでございます。
 したがって、住宅専門会社につきましては従前から直接の監督権限というのは余りない、規制権限がないということで推移をしてきたということでございます。
○池田治君 あと保険制度もやろうと思ったんですが、もう時間がございませんから、ついでに住専をやっていきます。
 規制除外ということではありますけれども、除外する根拠は、単なるノンバンクと違うよ、ローン会社でもないよ、住宅産業という国家的な施策に基づいてやる住宅建設のニーズにこたえるんだから、これは特別にやらなきゃいけないというところも、大蔵省の直轄になった原因であろうと思います。それだけに私は、今からの住専の取り扱いということは、大蔵省も大変な御苦労をなさっておると思うんです。週刊東洋経済にも「大蔵の剛腕目立つ住専救済」、こういうような大きな見出しで出ているわけです。これは、大蔵省が肩入れをして一生懸命銀行のしりをたたいて今度の再建計画をつくった、こういう内容をよくとらえております。
 そこで、自己責任の原則に基づいて各会社の経営体制のみに任すという局長の答弁は、いささか世間で言われているのと方針が違うようでございますが、どうですか。
○政府委員(寺村信行君) これは昨年の八月十八日に、「当面の金融行政の運営方針」を公表いたしましたとき、個別問題の処理として位置づけまして、住専だけではなくてノンバンクも含めまして、この種の問題の処理がおくれることは金融システムに対する安定性を損なうおそれがあるので、これらのノンバンク、住専に発生した損失の処理は、基本的には金融機関がある程度処理をせざるを得ない。ところが、その処理がおくれることにより、金融システムに不安が発生し、あるいは金融信用秩序に問題が生じたり、それから景気回復のための必要な資金供給が阻害されることがあってはいけない。
 そういう観点から損失分担の合意形成、基本的には金融機関がそれを処理するに当たっての合意形成を一刻も早く急いでいただきたい。それが日本の金融システムの安定性の確保につながり、かつ景気回復のための円滑な資金供給にも資する。そういう位置づけでの要請を行ってきたわけでございまして、個々のノンバンクあるいは個々の住専会社をどうするという観点ではなくて、むしろ金融システムの問題として、そういう観点から対応してきたということでございます。
○池田治君 まだちょっと言いたいんですが、もう時間が参りましたので、これで終わります。
○下村泰君 ちょっと大臣にお尋ねする前に、大臣は中曽根内閣の第一次のときにたしか厚生大臣をやっていらっしゃって、あら、あのときにどうして大臣と相まみえなかったのかなと思って、記憶をたどってみたら、残念ながら私は休んでここにいなかった、こういうわけでございます。
 かつて厚生大臣のとき、そして今大蔵大臣であっても、障害を抱えていらっしゃる方々に対する福祉問題、それから難病で悩んでいらっしゃる方々、こういう方々に対して、厚生大臣をなさったことのある大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 我々、世の中に生きて正常な形を持っていて活動できる者と、若干のハンディキャップを持っていられる人、常にハンディキャップを持っている人に対して、温かい気持ちを持って人間として対応していかなければならない、いろんな形で援助をしてあげるということが政治としてもまた社会としてもあるべき姿ではないだろうか、私はこういうふうに考えているとこ
ろでございます。
○下村泰君 ありがとうございます。そのお言葉を聞いて安心しました。
 それじゃ、ひとつ視覚障害者の方々のお悩みのことについてちょっとお伺いしたいんです。
 視覚障害者の方々が銀行、郵便局などを利用する場合、どういうわけですか、銀行にしても何にしても、預貯金通帳というのは同じ大きさなんですね。ほとんど全部同じなんです。信用金庫もそうなんですが、銀行もほとんど同じ大きさなんです。だから、こういうところが私は能がないと思いましてね。例えばトマト銀行だとかさくら銀行だとか名前を変えたならば、預金通帳に桜のマークを入れてみるとかトマトのマークを入れてみるとか、ちょっとした工夫をすればどこの銀行の通帳かぐらいわかりそうなものだと思うんですが、そういう工夫がなされていませんから、目の不自由な方々になりますると銀行に行く場合に預金通帳を全部持っていかなくちゃならぬわけですよ。下手すると家族のものまで全部持っていって窓口の方に自分のものを選んでもらう、こういうようなことにもなりかねない。こういうことなんです。
 ところが、家族の方々のものを持っていったりなんかしたらプライバシーの問題もありますし、何とかして預金通帳に点字を打ってもらえないだろうか。点字を添えてもらえないだろうか、これがこの皆様方のお悩みなんですよ。
 そこで、銀行に聞いてみたんです、そういうことが簡単にできるのかどうか。その答えがこういうふうになっているんですね。
 まず、現在のさくら銀行ですが、これは平成三年の二月に伺いました。「証書に直接点字を併記することは便利になるのはわかるが、当行だけではまだ対応が難しい。関係省庁等からの意見があればまた別と思う。」、こう言うんです。
 それから、住友銀行の本店は、「前から預金の案内等に点字で知らせたりしているが、証書に直接点字併記することはいろいろな面で難しい点があるし、一般的な認知もされていませんので。」と、こう言うんです。「一般的な認知」と言ったって、それは健常者に対しては一般的かもわかりませんけれども、お目の不自由な方は一般どころじゃない、当事者なんですからね。こういう見解なんです。
 それから協和埼玉銀行、現在のあさひ銀行ですが、「通帳や定期預金証書は金券の一部とも考えられるので、点字を併記した場合、責任問題も考えられるので、他の事例がもっと必要と思います。」、これが協和埼玉。
 それから安田信託銀行の大森支店では、「私自身が障害者」――これは視覚障害者の方が行員でいらっしゃるんですね。その方が、「私自身が障害者なので不便さが分り、あまり公にはできませんが仲間には点字を打ってやってます。盲人自身が通帳等に印をつけて他の行員からひどく苦情を言われたこともあります。」、これは目の御不自由な方が、自分がわかりやすいように印をつけた、そのことに対して怒られた。こういうわけです。
 それから、今までは平成三年ですが、平成四年の五月に東邦銀行の本店をお訪ねしてみました。「関係省庁から通達がそれに類するものがあれば、検討します。」と。
 それから福島相互銀行、「そういうことをしても構わないとの根拠がなにかありますか。」「都市銀行の例があるとか、大蔵省から点字を併記した場合の取扱い要項等があれば安心して導入できますが。」と、こういったようなお答えなんです、銀行の方では。
 ところが、中にはもう既にやっているところがありまして、平成三年の一月から郡山信用金庫が、磐梯熱海ですね、温泉地を抱えております、そこの支店が始めたんです。ここでもやはり普通預金通帳の大きさが各銀行全部一緒で非常に困るというんで、磐梯熱海だけが点字を利用したわけです。そうしましたらば、磐梯熱海というところですから、もちろん温泉客が大勢来ます。そのためにマッサージをなさる方もいらっしゃる。したがって視覚障害者の数が多いわけです。そこで働いている視覚障害者のほとんどの方がここへ預金するようになったというんですよ。つまり点字を打ってあるから、自分でわかりますからね。
 この磐梯熱海に来ている方の中に、こういう方の言葉があるんです。これなんか本当に身につまされると思いますよ。「通帳に点字が入って何というか、ほっとするんです。」、「残高を教えてもらうのも、紙片に点字で教えてもらうようになって素晴らしいサービスが田舎でも始まったという感じです。他の人達にもなんとなく威張って宣伝しています。」と。
 今までは口で教えてもらっていたんですが、そうすると、残高が少ないときは恥ずかしいと言うんですよ、周りに。ところが残高が大きいときは、だれかに聞かれて帰りに何かされるんじゃないかという恐怖心が出てくる。それは私はお目の不自由な方にとってはそうだと思いますよ。ましてそんなときに、じゃ、あなた幾ら幾らおろすんですねなんて大きな声で言われた場合、それを持って帰るときになったらそれは怖いでしょう、健常者だってねらわれる世の中なんですから。そういうことになると、この人たちにとっては点字がいかに心休まることであるかということなんです。
 ほかにもこういう御意見もあるんです。これが一番端的だと思うんですが、これを一言申し上げた後お伺いしたいと思いますけれども、福島銀行の本店では、「できれば、大蔵省あたりからの明確な要請等もあれば、文句無しにサービスを始められるんですが。」、こういうお答えなんです。
 どうでしょうか。大蔵省の方にそういうお考えがあるかどうか、ひとつ聞かせてください。
○政府委員(寺村信行君) 視覚障害者の方々のための銀行のサービス、通帳に対する点字刻印あるいは残高を御通知するというようなことが、今委員御指摘のとおり各金融機関でまだ完全には普及いたしておりませんが、少しずつそういった努力が進められております。
 そのほかに、視覚障害者用のATMなんかの問題も、金融機関につきまして、個別の都銀の問題でございますが、某都市銀行でございますが、九二年三月に一台だったものが、九月には三十二台、三月には五十二台と増加をいたしているというような動きで、そういったサービスの拡充が一歩ずつ進んでいる状況であると私どもは認識をいたしているところでございます。
○下村泰君 それはこの話が済んでからそれを伺おうと思っていたんです。その前の段階なんです、今私がお尋ねしているのは。ATMの自動受け払い機じゃなくて、本人の持っている通帳のことを今お尋ねしているんですよ。ですから、本人の持っている通帳にそういうことができるのかできないのか。
 ここにもう一つあります。これ南京都信用金庫なんですが、私うっかりして南京・都信用金庫と読んじゃった。そそっかしい読み方するとえらいことになる。南京都信用金庫なんですが、ここで、宇治市の視覚障害者協会会長の本田幸子さんとおっしゃる方からの要望で、この南京都信用金庫が国際障害者十年の最終年にふさわしい福祉向上業務として独自に始めたんです。
 それで、本田さんはこういうことをおっしゃっていますよ。「これまで預金通帳に自分で点字表記していた。銀行から点字の写しを受け取るだけでは視覚障害者にとっては、ほんものかどうか、不安が残る。その点、今回、南京都信金が高い意識をもってくれたことはうれしい。一歩も二歩も前進です」、こういうふうに言っていらっしゃる。
 ですから、別に大蔵省が命令みたいに銀行に、上からどかんと命令をいつも落とすんじゃなくて、どうだい、おまえさんのところも、こういう実績があるんだからそれぞれに工夫してほしいなということをおっしゃってくださるかくださらないか、それをひとつ大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(林義郎君) ことしは障害者十年が終わりまして新しい計画をつくる、こういうことになっているわけです。私は、最初に申しましたように、障害者に対しては温かい気持ちでやらなくちゃならない。通帳なんかもやっぱりわかるようにしたら、おっしゃるようなことをやったらいい。政府が言わないからどうだこうだという前に、民間の方でもそれぐらいのことはやってどうでしょうかと言ってくれば、政府の方でも私はやるんじゃないかと思います。どんな形でやったらいいか、何かそういったことができるようなことを考えてみたい、こういうふうに思っております。
○下村泰君 局長、さっきからいろいろと言いわけばかりおっしゃっていますが、ひとつどうですか、通達なんというそんな大げさなこと要りませんよ、おまえさんの方でこういうのをやってやってくれやということを言っていただけますか。
○政府委員(寺村信行君) ただいま大臣がお答えをいたしましたので、大臣の意を体して行動いたしたいと思います。
○下村泰君 とにかく、私つくづく思ったんですが、郵政省が物すごくよくやっているんですよ。それは、今局長の方でATMのことを御説明あったでしょう、もう郵政省は全部やっていますよ、郵便局は。だから、私考えたんですが、どうも大蔵省の感覚は山手なんですよね。郵政省が下町なんですよ。
 殊に簡保なんという場合は、直接携わっていますから、簡保の集金、集配する人たちなんというのは、一軒一軒の、殊にお年寄りなんかいる家には全部様子を見に行っていますよ。厚生省の役目も務めているぐらいですよ、今の郵政省は。
 何で同じ日本という国の役所でありながら、片方は大蔵省はふんぞり返って、例えばこっちがこんなことをお願いしなきゃ、通達のそんなことは何だ、それぞれの銀行がどうの、そんなことを言っているでしょう。片方は一生懸命やっていますよ、郵政省は。だから、郵政省の方に残高が上がるのは当たり前でしょう。うちの女房だって言っていますもの、郵政省の方がいいって。銀行よりは郵便局の方がはるかにいい。ですから、役所というかたいところが直接国民に対して本当にやってくれている姿というのは、国民の方が正直なんですよ。
 だから、そういう意味で、今のATMの問題にしてもそうなんです。銀行が開発してくれたのは結構ですが、センサー式のやつがあるでしょう。センサー式というのは盲人には見えないんですよ、点字じゃないから。だから、目の不自由な方にとってはむしろ昔の方がいいわけです、昔のボタン式の方が。これわかっていますから。ナンバーが、例えば上を見れば〇、一、二、三、四、五、六、七、八、九とボタンがあるわけです。一番下のボタンが、こっちからこういうふうにやれば金額が打ち込める、こっちは払い戻し、全部ボタンの順序はわかっていますから。
 ところが、今度センサーになってしまって、それに文字だけでしょう。だから見えないんですよ、目の不自由な方は。今直したのはどこがいいかといったら、例えば車いすで行く方が、車いすの下がぶつかって、邪魔になっちゃって手が伸びないんですよ。だから、車いすに乗っている方が御自分で自動支払機の前に行っても操作ができない。そのため、車いすの下がすぽんと中に幾らかでも入るように切り込んだために、今度は自由にできるというようなことが発表されているわけですよ。各銀行でこういうものをセットする、設置したという話が出ておる。ところが、今度は逆に、目の不自由な方から言わせると、こういうセンサーつきのやつじゃかえってわからない、昔のやつに戻してくれ、こういうふうに言っているんです。
 だから、いわゆるきめ細かい行政とかきめ細かい国民に対するサービスというのは、そういうことに気を配るべきじゃないかなと私は思うんです。先ほど申し上げましたように、郵政省がそれを全部やっているということなんですよ。だから、果たして大蔵省としては、そういった銀行や何かに対してこれからどういうふうに御指示をなさるのか、ちょっと聞かせてください。
○政府委員(寺村信行君) 先ほど大臣もちょっとお話し申し上げたんですが、基本的には大臣の答弁で対応をいたしたいと考えておりますけれども、郵政省は事業者そのものでございます。それから銀行も事業者そのものでございますので、本来、事業者がそういったサービスのために努力するのは当然のことでございます。ただ、お役所が一々手とり足とりというのは一方では問題ございますが、しかしさっきの大臣のお話もございますので、そういったことで対応いたしたいと考えております。
○下村泰君 終わります。
○委員長(野末陳平君) 以上をもちまして、委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会