第126回国会 商工委員会 第7号
平成五年四月二十二日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任        補欠選任
     堀  利和君    村田 誠醇君
 四月二十一日
    辞任        補欠選任
     峰崎 直樹君    糸久八重子君
 四月二十二日
    辞任        補欠選任
     糸久八重子君    峰崎 直樹君
  出席者は左のとおり。
    ―――――――――――――
    委員長         斎藤 文夫君
    理 事
                沓掛 哲男君
                松尾 官平君
                吉田 達男君
                井上  計君
    委 員
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                松谷蒼一郎君
                吉村剛太郎君
                糸久八重子君
                谷畑  孝君
                峰崎 直樹君
                村田 誠醇君
                藁科 滿治君
                浜四津敏子君
                和田 教美君
                市川 正一君
                古川太三郎君
                小池百合子君
   国務大臣
       通商産業大臣   森  喜朗君
   政府委員
       通商産業大臣官  内藤 正久君
       房長
       通商産業大臣官  江崎  格君
       房総務審議官
       通商産業大臣官  白川  進君
       房審議官
       通商産業通商政  森清 圀生君
       策局次長
       通商産業省貿易  渡辺  修君
       局長
       通商産業省産業  熊野 英昭君
       政策局長
       資源エネルギー  林  康夫君
       庁石油部長
       中小企業庁長官  関   收君
       中小企業庁計画  桑原 茂樹君
       部長
       中小企業庁小規  井出 亜夫君
       模企業部長
   事務局側
       常任委員会専門  小野 博行君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○商工会及び商工会議所による小規模事業者の支
 援に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、堀利和君が、また昨二十一日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として村田誠醇君及び糸久八重子君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(斎藤文夫君) 貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷畑孝君 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 先週、宮澤総理大臣が訪米をいたしまして、クリントン大統領との会談ということで、とりわけその会談の発言の中でクリントン大統領の円高容認、そういうことが大きく報じられまして、けさあるいは昨日のニュースによりますと、ついに円も百九円台に突入、こういうことになってまいりました。ある意味で言えば、百十円台を超えると何かスピードがさらに速く百円に向けて走っていくような、日本の経済にとりましてもせっかく底が見えてこれから景気が浮揚していく、そういう矢先の中で百九円台、こういうことで本当にそういう意味でも深刻な状況だと我々は思うわけであります。
 なぜそうなるのかというと、結局大統領との会談の中でも、日本だけが貿易黒字でひとり勝ちをしておる、一千数百億ドルと。しかも、八〇年代に日本の景気がよかったときにはその黒字は一時少し減りましたけれども、基本的には貿易黒字ひとり勝ち、こういう基調にあると思うんですね。そういう意味では、輸出よりもむしろ内需的な構造にぜひ変えていかなきゃならない、これはもうずっと長らく言われてきておりましたし、またもっと輸入をする、市場開放が大事だ、こういうことも言われてきました。
 そして、今回はそういう黒字について、世界に対してもっと経済的な面で国際貢献をするという立場で資金の還流をしなきゃならない、こういうことが一つの大きな柱になっている、こう思うわけでございます。そういう意味でも、今回の貿易保険法の改正は、まさしく発展途上国の経済発展のために膨大な資金が要るんだ、そういうことについていわゆる資金の還流ということで貢献を果たしたい、こういう趣旨だろうと思うんです。
 そこで、質問に入るわけですが、まず南北問題に端を発するところの途上国に対する資金の流れという現状は現在どうなっておるのか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 世界の発展途上国へのお金の流れでございますが、特にグロス、つまり先進国側から発展途上国へ出ていく方の流れでございますけれども、八〇年代を通じましていわゆる公的資金というのは毎年着実に増加しておるわけでございますが、民間資金というのは横ばいに動いておるというのが現在の状況でございます。したがって、資金の流れ全体に占めますウエートというのは、八〇年代前半には民間資金というのは七割を占めておったのでございますが、現在はちょうど五〇%ぐらいになりまして、公的資金と半々ぐらいになっておるというのが世界の今の流れでございます。
 今はグロスで申し上げましたけれども、逆に新規の供与から元利償還、つまり貸しておったものの償還でございますが、そういったものを差し引きました資金のフローで見ますと、民間ローンというのは八〇年代半ば以降回収超過というような形になっておるというのが現状でございます。
 もう一方、我が国からの流れでございますけれども、我が国からの発展途上国へのODAとかあるいは公的資金の流れというものでございますが、八〇年代ほぼ一貫して公的資金は増加しておるわけでございます。民間資金につきましては、発展途上国のカントリーリスクの影響等によりまして最近減少傾向になっております。数字を挙げて申し上げますと、八七年には百五十億ドルぐらいの民間資金がネットで流れておったのでございますが、ブレイディ・プランその他の債務削減の影響によりまして九〇年には六十億ドル余りにまで大幅に減少いたしました。ただ、九一年にはこれが百十億ドルぐらいに回復をいたしてきておりますけれども、依然として八〇年代後半の水準には及ばない状況にあるというのが現況でございます。
 御承知のように、発展途上国というのは国内の貯蓄が不十分でございまして、こういう状況を放置いたしますと発展途上国の経済発展のポテンシャルが生かされない、こういうような状況がございます。そういうことで、先ほど先生から位置づけがあり御指摘がありましたように、我が国の資金還流、資金供給によりまして発展途上国の資金需要にこたえていく必要がある、かように考えておるわけでございます。
○谷畑孝君 民間の資金の還流ということになってきますと、今現状を数字を挙げて教えていただいたわけでありますけれども、やはり景気が悪くなるに従って還流も横ばいあるいは鈍ってきている、そういうようにも思うわけです。しかし、先ほどの前段にもあれしましたように、資金還流を日本が経済の貢献ということでしていくということにならないと、やはり国際世論の批判、そういうことになってくるんじゃないか、こう思うんです。
 そこで、民間の資金還流ということもさることながら、公的資金の還流といいましょうか、これはやはりODAだろうと思うんです。ODAは、これはもう御存じのようにどんどんと毎年大きなウエートで上昇をしてきておりますし、本年度の予算では一兆九千億円、こういうことに実はなってきておる、こう思うんですね。
 そこで、今後のODAの取り組みについてさらにどう考えておるのかということをお聞きするんですが、私が思うには、民間資金の還流とODAへの投資ともう少しリンケージをしていくということを通じて、民間資金の還流がもっと横ばいから上昇していくことを真剣に考える必要があるんじゃないか、こういうように思うんです。なぜかといいますと、これは通産大臣が日本の景気に対して、従来の公共投資型にプラスアルファ、そういう発想じゃなくて、新社会資本整備というようにいわゆるパソコンを学校に入れるとか、あるいは各駅にエレベーターをつけるだとかそういうことを提案されました。非常に大きな反響を呼んでおる、こう思うんです。
 私は、ODAもそこの国の要請を受けてするという発想、それからインフラを整備するという発想、これだけじゃなくて、せっかく日本のNGOの皆さんが、八〇年代から見ますとPKO論議も含めて相当最近ではNGOが世界各地に参加するようになりました。過日も、国連ボランティアの中田さんが残念ながら死んでしまうということもあったわけですけれども、私はぜひひとつNGOがその地域に溶け込んで、教育のプロジェクトだとかあるいは医療のプロジェクトだとかそういうことをやっているわけでありますから、ぜひそこらとの関係をクロスさせながら、もう少し日本の中小企業やらさまざまなところがクロスされて民間資金の還流を促進させていく、そういう方策はできないものだろうか、そんなことを思っておるわけでございます。今後のODAの取り組みということについて御質問いたします。
○政府委員(森清圀生君) 発展途上国の自律的な発展を支援するという意味でのODAを初めとした公的資金の重要性というのは、谷畑先生まさに御指摘のとおりと思います。そういう観点から、私どもはODA資金の拡充ということにつきましては累次にわたる中期目標というのを策定いたしてきておりまして、第四次中期目標、これは九二年に終わったわけでありますけれども、ほぼ目標は達成し得た。現在では、量的には我が国のODAは世界第一位という規模に達しております。今後さらにODAの拡充に向けまして、第五次のODA中期目標の策定に向けまして今鋭意検討をしておるというところでございます。
 あと、先生の方から民間資金とうまくリンケージを図ってというお話がございました。これも直接投資を初めとしました民間資金とODAを初めとしました公的資金を有機的につなげていくというのは私どもまさに同感でございまして、そういったリンケージの重要性ということは昨年制定されました政府開発援助大綱におきましても明記をされております。今後こういうリンケージの重要性という考え方に立ちまして、発展途上国への総合的な経済協力を実施していくという意味で、途上国におきまする投資環境の整備の観点も踏まえながら、円借款、技術協力あるいは民間の投資、そういったものを総合的に組み合わせながら途上国の経済基盤の整備に努めてまいりたい、このように考えております。
 もう一つ、NGOの活用の重要性という御指摘がございました。ODAの実施に際しましては、相手国、例えば発展途上国の自律的な経済発展に向けて効果的な支援を行うということが大変重要でございまして、そういう意味からインフラ整備とかあるいは人材の育成とかあるいは環境問題への対応とか、そういうものを総合的にとらまえながら、相手国との政策対話を十分にやりながら進めていくということが大事であるというふうに考えております。その際に、NGOの活用につきまして、ODAを効果的に活用しつつ発展途上国の自律的な発展を図っていくという観点から、できるだけその自主性を尊重しながらNGOに対する適時適切な支援を行っていくということが大変重要であると考えておりまして、この点も先ほど申し上げました政府開発援助大綱に明記されているところでございます。
 今後、先生の御指摘を十分踏まえながら発展途上国の発展のためにNGOのより一層の活用ということも十分心がけていきたい、かように考えております。
○谷畑孝君 時間がないのでそんなに各論の議論はできないわけです。
 私がいつも疑問に感じていることは、例えば私はバングラデシュという国へ三回行きまして、最大の川にいわゆるODAで大きな橋ができておるんですけれども、三回行っていつもその橋のど真ん中で記念写真が撮れるということですから、それぐらいに頻繁に交通の利用がない、こういうように思うんですね。しかし、それは考えますと、できたら港湾の整備、それと同時にバングラデシュの国に合わせれば船で行き交いする方が雇用もたくさんできるし、それぐらいの金があればもう少し雇用できるような状況があるんじゃないか。
 そういうところをもう少しNGOだとかさまざまな形で、民間資金の還流だとか、あるいはそういうこととODAとをもう少しクロスしていくようなことが非常に発想としては大事じゃないか。これが大臣もおっしゃっていた新社会資本整備版ODA、そういうことで今後とも進めていくことが非常にいいんじゃないか、こんなことを少し思っておるものですから、今そういう発言をさせてもらったところであります。
 次に、大臣に先ほど冒頭にお話ししましたように、宮澤総理大臣とクリントンさんの会談の中でいわゆる円高の容認、こういう発言から百九円台に突入したということであります。せっかく補正予算、また今度再度総合経済対策を打ちながら経済の底離れから少しというところに追い打ちをかけられておる。そのために、やはり何としてでも日本のひとり勝ちであるところの貿易の黒字、経常収支の黒字、こういうことについて還流を、これは大臣の五年間かけて一千三百億ドル還流をしていきたいという発言も報じられておりましたけれども、その点についてひとつ円高の問題も含めて、今までのやりとりを含めて、できましたらこの資金還流の必要性について再度大臣からの決意と認識についてお伺いをしておきます。
○国務大臣(森喜朗君) 今二つ御質問がございましたが、資金還流の方からお答えを申し上げたいと思います。
 御指摘いただきましたとおり、大幅な経常黒字を持っておりまして世界経済におきます枢要な地位を占めております我が国といたしましては、世界経済の持続的な発展を図るためにも発展途上国に対しまして円滑な資金の流れの確保を通じまして国際貢献を果たしていくということが極めて重要であろう、このように認識をいたしておりますし、また委員もそのようなお考え方を示されたわけでございます。このため、私は途上国への資金の流れを確保するための具体的な方策について検討するようにことし初めに事務方に指示をいたしたわけでございます。
 従来進めてまいりましたアルシュ・サミットのときの資金還流計画、それからODAの五カ年計画がちょうど九二年で終わりましたので、新しくまた次の五カ年計画を練り直すといいましょうか検討するという時期に当たりましたので、たまたま私はECの方に旅先でございましたので、余り通産側だけで唐突なことを申し上げてもいかぬと思いましたけれども、外務省、大蔵省、いろいろございますが、だれか一人少し前ぶれに言っておきませんと、なかなか日本の役所も動かないところでございます。そんな意味で、大体全体で六百五十億ドルの資金還流計画だったわけですから、もちろんODAを含んでおりましたが、その倍ぐらいはどうかなと、こんなことをちょっと申し上げたのが少し派手に喧伝をされたということでございますが、具体的にはまだそうした額も内容も決めていないわけでございます。その後、総理からも御指示がございまして、今関係省庁におきまして検討が進められているというところでございます。
 発展途上国に対します円滑な資金の流れを確保する上では、先ほど申し上げましたような全体の枠を考えますと、どうしても我が国の民間企業による資金の貸し付け及び出資、いわゆる民間資金の還流の促進を図るということは極めて重要なことでございまして、先ほど渡辺局長からも申し上げましたようにやや民間の方がちゅうちょしているといいましょうか、余り積極的ではないわけでございます。そのいろいろな理由は、先ほど事務方から申し上げたとおりであります。そこで、本日御審議いただいております貿易保険法の一部を改正する法律案をお認めいただきましたならば相当程度民間資金の還流が促進される、こういうふうに考えることから、貿易保険につきましても新たな計画に含めるということが適当である、このように考えた次第でございます。
 なお、もう一つの円高の問題でございますが、これはもう既にいろいろな報道で委員も御承知のとおりだと思います。両首脳によりまして円高の論議はされているわけではございませんで、従来と違った日米首脳会談でしょう、共同のコミュニケという形はとらなかったようでありますが、終わりました後の記者会見で、いわゆる日本との貿易のインバランスを解消するといいましょうか、その中の理由をクリントン大統領が幾つか挙げられた。その中の一つとして、円高という問題が大統領の発言の中から出てきたということが一層この円高を進ませているということであろうと思います。
 率直に申し上げて、先ほど委員もおっしゃったとおり、せっかく景気がいい方向に行きつつあるこれからというときに、本当に我が国の経済の足を引っ張ることになる。同時にまた、貿易黒字といいましょうか、このバランスを解消するには何といってもやはり内需を拡大して、そして輸入を促進でき得る経済体制にするということがやはり一番の不可欠な条件でございます。
 そういう意味からいえば、今回の大統領の御発言については、我々からとやかく申し上げるわけにはいきませんけれども、結果的にアメリカにとってもプラスにはならない。そのことは、また日米間で協力して世界経済に貢献をしていく立場から見れば、世界経済にとっても決していいことではない。そういう思惑的な円の動きということについては、私どもとしてはやっぱり懸念せざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
○谷畑孝君 今大臣の心強い、いわゆる民間資金の還流ということが今回の法案の趣旨である、こういうように決意を聞いたところでございます。
 少し質問の角度を変えまして、過日十五日にロシア支援のための先進七カ国、G7外相・蔵相会議が開催をされて、二国間あるいは国際機関などを合わせて三百億ドルの支援、日本が十八億二千万ドルということが決定をされた、こういうように報じられておるわけであります。
 ここで再度大臣にロシア支援に対する基本的な考え方についてお聞きをするんですが、日本人の国民感情としてはちょっとすっきりしない、いわゆるエリツィン大統領が訪日するという公的日程が突如キャンセルされて、その前にも渡辺前外務大臣が訪ソをして事前のならしをして、その矢先にキャンセルと、そして日本では北方領土を含めて返還ということが大きな国民世論として盛り上がってきた。だから、そこのリンケージの問題が日本政府としての基本的なスタンスだった。
 ところが、エリツィン大統領とアメリカ・クリントン大統領との会談で、アメリカ大統領の非常に強い決意というのか、市場経済に向かっているロシアに対して大いに支援していこう。とりわけ、今エリツィン大統領が議会との対立、同時に間近に迫りました信任国民投票と、そういうこともあってG7会議でということが報じられている。
 そこで、私は思うんですが、まず日本の国として主体的に対ロシアの支援、領土の問題等を含めてどういう観点を持っているのか。ただ、報じられているようなアメリカに追従した中で、あるいは国民世論の中で、領土問題の不可分という問題も含めた中でどうなのか、こういう点が一つ国民としては疑問があると思うんですね。
 二つ目は、支援のあり方についてもあると思うんです。これは三百億ドルといっても非常に不透明で、これがロシアの市場経済を含めて、あるいはロシア経済の活性化の中でどうなっていくのかということも非常に不透明である、こういうように言われておるわけであります。
 ロシア支援に対する通産大臣の基本的な認識で結構でございますので少し教えていただきたい、こういうように思います。
○国務大臣(森喜朗君) 推移とか、そういうことにつきましては事務方もおりますので詳細にお尋ねをいただきたいと思いますが、ロシアにおきます民主化、市場経済化に向けました改革の円滑な推進というのは、これはもう単に日本の問題だけではなくてグローバルな課題であるというふうに考えております。こういう課題に対しましては、G7が中心になりまして関係国がそれぞれ協力をしていくということが重要であろう、このように考えております。
 ただ、委員の御指摘のとおり我々政治家の立場で言えば、ロシアに対する今日までのいろんな政治的な行動、また特にアメリカと違ってあるいはヨーロッパの皆さんと違って、日本の場合はやはり政治的な大きな懸案事項があるわけでございます。とはいいますもののまた逆に言えば、日本の国はヨーロッパと同様に地続きの隣接ではございませんけれども、日本海という海を通じましてのお隣の国であるということ。特に、またシベリアを初めとして極東の地域といいますのは日本とはいろんな意味で歴史的に深い関係もありますだけに、何といいましてもロシアの民主化が成功するということは、政治課題はもちろん大事でありますけれども、やはり隣国として果たし得る重要な役割だ、私はこのように考えております。
 したがいまして、通産省は従来から、端的に申し上げれば何といってもロシアの国が安定的に栄えてくれる、その基盤をきちっと構築して、そのことのお手伝いをするんだという基本的な考え方が私はやはり基盤になければならぬと思っております。したがって、貿易経済活動の円滑化のため貿易保険の活用をしていただいたり、あるいは中小企業を育成させたり、エネルギーやまた日本の国民にとって大変大きな関心であります原子力の安全でありますとか、生産性向上等の幅広い分野での支援を実施し、それも今日までいたしてまいりました。こういうことがいわゆるロシアの民生の安定につながり、国力の増加につながっていく、通産省はこういう立場をとってきたわけであります。
 今回、我が国が新たに表明いたしました対ロシア支援追加策におきましても、エネルギー産業再建、中小企業育成支援等を中核とした位置づけをいたしておるところでございます。十八・二億ドルの中の、特に私ども通産の所管をいたしますところは、十一億ドルの貿易保険の活用の新たな枠の設定あるいは三千万ドルのいわゆる中小企業の支援ということが今回の内容になっておるわけでありまして、従来通産省がとってまいりました施策とこれは相通じておるといいましょうか、私どものとっております施策は誤りではなかったということだと私ども考えております。今後、この支援策を通じましてロシアにおきます経済改革が進展してほしいな、こう期待をしておるところであります。
 先般、財務担当の副首相と外務大臣がお見えになりまして、緊急G7がございました。私もフョードロフ副首相と約四十分ばかりお目にかかってお話を申し上げたときも、副首相は日本の通産省というのに大変関心を、ちょっと自画自賛で恐縮でございますがこれは率直に向こうからおっしゃったことで、通産省に対して非常に興味を持っておられまして、半分冗談でございましたが、経済省と通商と言いましたか、何か貿易省を
 一緒にしようかな、そう思っておるんですよとまでおっしゃいました。
 つまり、戦後の日本の復興というのは、やはり通産省が中心になって均衡ある国土の発展のために中小企業というものを支援してきた。この委員会でもよく先生方からお話が出るように、まさに我が国の産業、企業の九割近いところが中小企業ですから、その中小企業を支えて指導してきたそのことが、その地域地域の町づくり、地方というものをつくり上げていったということに非常に関心を持っておられました。
 そういう意味で、これからそういうことを特に中心に私どもとしては中小企業の支援という形でぜひ積極的な支援をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○谷畑孝君 おっしゃるとおりだと思うんです。
 私も数回ロシアを訪れたり、あるいはソ連が崩壊するちょうど一カ月前にもヤブリンスキーさんを含めて会談させてもらったこともあって、見ている限りはソ連自身もそれなりにでき上がってしまっているというのか、町を見ても冷暖房の総システム化が町ぐるみで行われておるし、あるいは大きな企業の城下町という要素もありますし、それが民営化していこうというのはなかなか困難を伴う。同時にまた、部品を一つ、テレビを含めて処理するんでも、それをつくっている生産工場へ行かなきゃならぬ、いわゆる流通そのものがないということ。それから、私が行ったときは食糧の問題がございました。食糧は十分あるんだけれども輸送の途中で四〇%なくなる、いわゆる流通ですね、そういうものがないんだと。そのようなことが実はあったわけです。
 そういう意味では、ロシア支援について非常に私は大事だと思うわけですが、大きくは三つの点が言えるんじゃないか。一つは食糧問題、貧困問題の解決という人道的支援が大事だろう。二つ目は市場経済化、民営化の推進という視点でどういうふうにしていくのか。それから、三つ目は非常に今日大事な問題になっている日本海に投棄された核廃棄物の海洋投棄、こういう問題があって、冷戦構造に起こった問題点だろうと思うんですけれども、核廃棄物に対する事故その他の問題が非常に我々隣国としても無関心にはおられない。こういうところに対してどうしていくかということは非常に大事だと思うので、調査をしながら少し進めていただきたいと思います。
 そこで、一つお聞きするんですが、私もロシアヘ行って感じることは、モスクワとかレニングラードというのはヨーロッパの町というのか、飛行機に乗っても十時間かかりますけれども、サハリンだとかシベリア極東になってきますと、もう飛行機で二時間程度で行ける。あるいは、新潟からは船に乗りますと一日半でまさしくウラジオストクヘ行ける。非常にそういう意味では身近に感じる。だから、支援においてもECなりアメリカなりあるいは日本というさまざまな形で地理条件を考えた分担も必要だろう。
 特に、先日の委員会でもエネルギーの問題でいわゆるCO2を出さない、そういうふうな省エネということが出てきました。私どもの同僚からも、サハリンの天然ガスの新規油田の開発プロジェクト、しかもパイプラインで日本海を通じて入れるという、ロシア側にとっても将来大きなプラスになり、日本にとってみてもプラスになる。
 まさしくエネルギーですから通産の管轄になると思うので、その点についてはロシアのエネルギー産業の現状とそういうプロジェクトの問題を含めてどのように考えておられるかだけ、簡単で結構ですので少しお聞きをしておきたいと思います。
○政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。
 エネルギー産業がロシアの経済の回復にとって大変重要な分野であるという認識を、私どもも同様に持っております。特に、九二年の実績でもロシアの外貨収入の五〇%は石油と天然ガスの部門から生じております。ところが、近年ロシアの石油、天然ガスの部門の実績が極めて悪化しております。石油生産が大幅な減少をしておりますし、また天然ガス生産においても、これは石油よりはよろしいんですけれども、昨年減少した、こういった事態になっております。
 特に、石油において大幅な生産落ち込みが生じている理由ですけれども、主として資機材不足でございます。この点については、さまざまな支援の中で資機材不足の解消に向けて行動がとられておるわけでございますけれども、基本的にはこの資機材の不足に加えてロシアの油田が相当老朽化しているという事態もございます。したがって、新規油田の開発を進めていくということがロシアのエネルギー問題を解決するためにも極めて重要でございます。
 御指摘のサハリンでございますけれども、私どももこのサハリンの開発が我が国のエネルギー問題の解決のためにも極めて重要なプロジェクトであるという認識のもとに、現在二つのプロジェクトを進めております。
 一つは、これは一九七五年以来進めているSODECO、いわゆるサハリン石油開発協力という株式会社がやっているプロジェクトでございます。これはロシア側の事情でしばらく中断していたわけでございますが、昨年十一月に交渉が再開されております。そして現在、当事者間で話が進んでおりまして、私どもといたしましてもできるだけ早くこのプロジェクトが実現に向けて進展をしていくことを強く期待しているわけでございます。
 もう一つのプジェクト、いわゆるMMMグループのプロジェクトもかなりロシア側との話し合いが進んでおりまして、現在ロシア側にはフィージビリティースタディーの結果を提出して、ロシア側の審査が行われておるところでございます。
 これらのプロジェクトの具体的進展は強く期待されるわけでございますけれども、サハリンは相当の埋蔵量が期待される地域でもありますし、これから日本の特に先生御指摘の天然ガスの需要の将来も考えますと、このプロジェクトが採算ベースに乗り、日本のエネルギー問題そしてロシアのエネルギー問題の双方、両面で意義のある発展を続けていくことを私ども強く期待しているところでございます。
 ただ、採算性の面では、開発環境がサハリンは大変厳しいところでございまして、またロシア側の法整備も十分に進んでいないというところもあります。マーケットの確保、あるいはファイナンス面での裏づけ等について今後十分に検討を行うことが必要でございます。その上で効率的な開発が可能になるようなプロジェクトができるということが必要であると考えておりまして、今後日ロ関係の推移を含めまして事態の推移を注視しているところでございます。
○谷畑孝君 先ほど森大臣の方からもお話がありましたけれども、特に対ロシア支援の総額十八億二千万ドルのうち貿易保険の供与が十一億ドルとその大半を占めておる。ところが、これは貿易保険が大半を占めておるんだけれども、どうしてもリスクが大きいということもあって、また支払いもどうかという不安がある。そういうことで今回エスクロ勘定採用ということになっている。
 そういうことについて、貿易保険での信用供与にかかわることで十一億ドルですから、そこらに対する見通しというのか、問題点というのか、あるいはどういうふうにしたらそれがまた有効になるのか、そういう点を少し教えていただけたらありがたいと思います。
○政府委員(白川進君) 確かに、今先生御指摘のようにロシア向けに貿易保険で信用供与を行うに当たりまして、貿易保険の健全な運営を確保する観点から、確実な返済という視点が欠かせないことはまさに御指摘のとおりでございます。
 これまでも、七億ドルの天然ガスにつきましてかなりめどが立ってきておるわけでございますが、これにつきましても返済の確実性という観点では二つばかりの視点がございまして、一つはロシアの主要な外貨獲得産業である。したがって、その信用を受ける相手先そのものが外貨を稼いでいるということが一つの返済に当たっての安心材料でございます。さらに、獲得した外貨をこれまでのところは国内でございましたが特別の口座を設けて、それで次の返済に見合う額を外貨でその特別の口座に振り込む。それで、貸している日本側が常にその振り込みの状況を監視できるという措置を講ずるなどして、確実な返済保証措置が構築されていると判断されるものについて付保をしてまいったわけでございます。
 今後、新たに枠を設けました十一億ドル、あるいはこれまでの使用残につきましての運用につきましては、今先生から御指摘ございましたように、ことしの三月の未に、従来世銀から基本的に禁止されておりました海外での外貨口座、これを今おっしゃいましたようにエスクロ口座と申すわけでございますが、石油とか天然ガスのようにロシアの外貨獲得に役立つプロジェクト、これについては例外的に海外口座を開くことを認めるという措置が講じられましたので、今後この十一億ドル、あるいはこれまでの十八億ドルの残りを付保していくに当たりましては、こういった海外のエスクロ口座を活用していくことによってさらに返済の確実性が確保できるというふうに考えております。
 なお、これをさらに有効にするためには、諸外国の貿易保険機関あるいは世銀などとも連絡を密にして、いろいろ情報交換なども図りながらやっていくことによってさらにその効果が高まっていくというふうに考えておる次第でございます。
○谷畑孝君 時間もございませんので、ロシア支援については次で最後にしておきたいと思うんです。これも一言で結構です。
 ロシアの自助努力を支援しながら貿易を拡充していくという観点から、ロシアに対する特恵関税ですね、これは適用されるのかどうか。非常に大事な時期だろうと思うんですけれども、その点についてエネルギー資源に対してこれを適用するつもりがあるのかどうか、一言で結構ですからお答えいただきたいと思います。
○政府委員(森清圀生君) 一言手短に申し上げます。
 ロシアヘの特恵適用につきましては、まだロシアから正式に特恵適用の要請が出ておりません。要請が将来出てまいりましたら、その時点でロシアとの貿易とか国内産業に与える影響等々を含めまして、我が国国内法令に照らして検討をしていきたいというポジションでございます。
○谷畑孝君 最後に、貿易保険法の改正の内容について少し触れていきたい、こう思っています。
 貿易保険は、これまでその時代の要請にこたえて発展をしてきて、それなりに大きな評価がされてきたし、また民間の資金還流についても非常に大きな役割を果たしてきた、そう思うんです。今回の改正の内容は、一言で言えばてん補率を九〇から五%上げるということと、それとまた時代に応じて新設をしていくんだ、こういうことだと思うんです。民間資金は横ばいだとこう言われている中で、しかも景気が少し落ち込んだそういう状況の中で、五%てん補率を上げたぐらいでその目的が達成されるのかどうか。基本的なことですけれども、その効果という点についてひとついかがなものかということを御質問します。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 今御指摘がございましたように、今回の海外事業資金貸付保険の創設ということで、海外の我が国の経営支配権のない法人に対するアンタイドローンについて、これは従来の九〇%を最高限度としておりましたてん補率を九五%まで引き上げることができる。さらに加えて申し上げれば、先ほども御指摘ありました石油とか天然ガスのような外貨獲得型産業とかあるいは肥料工場、製鉄所といったような輸入代替産業あるいは産業インフラ、そういったような特に必要なものについては九七・五%まで最高てん補率を引き上げることができる、こういうことで改正をいたしたわけでございます。これが第一点。
 もう一つは、保険金算定法ということが、従来支配法人でありました場合には、当然のことながら支配しておりますから損害をこうむりました後残存資産につきまして処分して、それについて損害を埋めることができる、軽減することができる、こういうことで非常にきめ細かい損害認定を義務づけておったわけでございます。今回、これはアンタイドローンで非支配法人でございますから、通常の代金貸し付けと同じようにデューデートのときにデューの額が返ってこなければそれでもって損害と認定する、こういう非常にある意味で簡易な方式になったわけでございます。
 この二つの改正というのは、おっしゃるようにこれによって定量的にどうか、特に現在の経済環境でございまして、かつまた民間の重い腰がこれで上がるかという御指摘でございます。定量的に申し上げるのは非常に難しゅうございますが、逆に従来の民間企業で行おうとしておった事業貸付主体から見れば一〇%あったリスクが半分になるあるいは四分の一になるということでございますし、もう一つは今の被害認定方式のところが非常に大きな意味を私は持つんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、この答申が出ました後、この新しい保険制度について既に日本の国内の銀行とか商社等から相当我々に問い合わせが来ておりますし、また先般のアジアを訪問いたしました経団連ミッションの御報告を聞きますと、アジア諸国も非常にこれに熱いまなざしを送っている。こういうことでございますので、今回の改正そのものがおっしゃるように諸外国に比べててん補率その他において決して最高級ではございませんけれども、私はそれなりの効果を上げていくんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
○谷畑孝君 ぜひ改正によって効果が上がるということをひとつ期待しておきたい、こういうふうに思います。
 この貿易保険は特別会計ということですから収支が、時には危険を伴うから保険があるわけで赤も出るし、またその赤が出たんではこれまた次へと発展できないというのがここらにあると思うんですね。現在、収支は一体どうなっているのか、簡単で結構です。
○政府委員(白川進君) 簡単に現状を御報告いたします。
 まず、平成三年度の決算、これは確定した数字でございますけれども、単年度の赤字額が二千六百五十五億円、これは収入と支出との関係の差し引き収支差で二千六百五十五億円。それから、三年度末の資金運用部からの借入残高は六千三百七十八億円という非常に大きな額になっております。
 ただ、平成四年度、これはまだ決算で確定いたしておりませんので、現段階での見込みでございますが、収入面におきましてブラジルからの多額の回収ということで、平成三年度に比べて大幅な回収増が見込まれること、それから昨年四月に実施いたしました保険料の平均三〇%引き上げ、これに伴います保険料収入の増加、それから他方支出の面では、湾岸戦争に伴いました保険金支払いがピークを越えまして相当減ってまいったという、収入と支出の両面の好転と申しますか改善によりまして、現在のところほぼ確実に単年度の事業収支は黒字になりそうな見込みが立っている、こういう状況でございます。
○谷畑孝君 ブラジルからの回収ということで、非常に収支は健全な状況にある、こういうようにお伺いをしたところです。
 そこで、もう時間が五十二分までということで最後に大臣に総括的な質問といいましょうか――先ほどお話ししましたように日本政府として政策的に対日支援をこうするんだ、十一億ドルの貿易保険つけるんだ、あるいは南北問題ということの中で発展途上国に対する支援をしていくんだ、外交と通商を含めて、貿易黒字の資金還流ということで政策はどんどん打ってきましたね。国にとっての政策というのは、一定程度外交関係を含めて政策上で打っていくということがある。ところが、この貿易保険は非常にすぐれて実務的で、先ほど言いましたように特別会計があるわけですから、そこで収支をバランスしておかなきゃならぬ。ここは、時には矛盾する場合があると思うんです。対ロシア支援になったら十一億ドル、しかし焦げつきもあるという状況もある。ここのバランスが非常に大事だと思うんです。
 その点について、政策的課題と貿易保険特別会計の健全な収支のバランスというのは、時には政策の方が優先だと、多少赤字が出たってどんどん支援しなければならぬという場合もあるだろう。そこらを大臣にひとつ、忌憚のない大きな意味での御回答をいただけたらありがたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 貿易保険は、当初輸出振興のための輸出保険として発足をしたわけでございまして、これは委員も御承知のとおりでございます。昭和六十二年には仲介貿易保険とか前払輸入保険の追加などを行いまして、常に時代に合った制度として運用をしてきておるわけでございます。したがって、名称も輸出保険から貿易保険へと改正をいたしたのも御承知のとおりでございます。
 また、近年発展途上国の累積債務問題に対応いたしまして多額のリスクや債務削減に応じますとともに、対ロシア支援の場合のように二国間の支援の大宗を貿易保険が占めるなど、その時代にふさわしい役割を果たしてまいったというふうに承知をいたしております。
 今回の改正も、多額な貿易黒字を抱える我が国といたしまして、近年減少しつつございます我が国から発展途上国への民間資金還流を推進するために、貿易保険の一層の活用によって世界経済の枢要な地位を占める我が国としてふさわしい国際的な責務を果たしていこうとするものでございます。したがって、貿易保険といたしましては、民間資金還流促進のためにはある程度カントリーリスクがある発展途上国向けの案件についても引き受けを行っていくということが必要であろうと考えております。
 一方で、貿易保険は、先ほどから委員も御心配をしていただきましたようにその収支が相償するように運営をしていかなきゃならぬということも原則でございまして、安易な引き受けは厳に慎んでいかなければならぬ、そういう必要があろう、こう考えております。このため、実際の引き受けに当たりましては、確実な返済保証措置の内容等について十分に審査を行うことといたしております。
 今後とも貿易保険に対する期待がますます高まってまいります現状を踏まえまして、これに的確にこたえてまいりますために、財政当局ともよく相談をいたしまして、財政基盤の適切な強化を図りつつ貿易保険の円滑な運営に万全を期してまいりたい。いろいろと御注意いただきましたことを十二分に承知いたしてまいりたい、こう考えております。
○谷畑孝君 どうもありがとうございました。終わります。
○村田誠醇君 私は最初に、大臣あるいは宮澤総理大臣も触れておられますが、過去日本が発展途上国等に対して行ってきました国際的な資金の還流の政策、例えば八七年に三百億ドル以上を還流するとか、あるいはアルシュ・サミットで五年間で六百五十億ドル以上入れる、こういう約束を実行しまして、そして今のところ次の施策はない。しかし、いろんな予算委員会等の論議を通じまして、我が国としても考えなければいけないということを述べられておるわけでございますので、その点に関して新たな国際的な資金還流策についてどのようなお考えをお持ちなのか、冒頭まず大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 村田委員にお答え申し上げます。
 大幅な経常黒字を持っております、世界経済におきまして枢要な地位を占めております我が国といたしましては、世界経済の持続的な発展を図るというそういう観点から、発展途上国に対します円滑な資金の流れの確保を通じまして国際貢献を果たしていくということが極めて重要であろう。今委員からもまた御指摘いただきましたし、この国会に当たりましての予算委員会等の審議でもこの点が各党の皆さんからも意見としてお話をいただいているところでございます。
 このため、私は、途上国への資金の流れを確保するために具体的な方策について検討するようことしの年初に事務方に指示をいたしておるところでございます。また、その後、総理からも指示がございまして、関係省庁におきまして今検討を進めておるところでございます。
 具体的な内容につきましては、政府開発援助及び民間資金を含めたその他の資金の流れにつきまして、発展途上国の自律的な発展に資するという観点からどのような分野に重点を置くべきか。例えば、まだ細かなことはすべて申し上げる段階に至っておりませんが、通産省として考える例示といたしまして、部品などのすそ野産業を育成するとか、あるいは環境分野なりに対するものなどを考えておるわけであります。また、我が国が我が国の国際社会に対する積極的な貢献としてどのようなものが適当かつ可能かなどにつきまして、今鋭意検討をいたしておるところであります。
 また、この一環といたしまして、海外における事業に対する我が国の民間企業による資金の貸し付け及び出資等、いわゆる民間資金の還流の促進を図るとの観点から、本日貿易保険法の一部を改正する法律案を御審議いただいているわけでございまして、やはり公的な面、そしてまた民間の企業の出資と相まってこうした資金還流を促していくということが非常に大事であろう、このように考えているわけでございます。
○村田誠醇君 先ほど同僚の谷畑議員の質問の中で、大臣は貿易保険の性格の変化といいましょうか、変遷について触れられました。私、その点大変重要だろうと思っているのは、一つは日本の貿易の危険を補完するものという性格と、それからこの保険の制度を使って国際的な資金の還流をするとか、あるいは外交上のそういう援助をする、こういう二つの要素が実はこの保険の中に入っているわけでございます。
 しかし、この二つの要素というのは、谷畑議員も言われましたように全く矛盾する場合が出てくるわけでございますね。つまり、コマーシャルベースで全部処理をしようとしていきますと、この国は危ないから、あるいは返済ができないから使えませんよということが起こってきます。しかし、外交上はそうはいったって、そういう国際的な約束やあるいは国際的な論議の中では、この国にもやはり使わしてくださいよと。
 しかし、赤が出てきましたら結果としてそのしりぬぐいはだれがやるかといえば、一般会計で税金で入れるか、あるいはこの保険に係る企業が負担をしてくださいと。そうすると、企業の方からすれば、自分のところの赤字なら負担金を上げられてもわかりますけれども、政府が約束をしてきて危険なやつをどんどんどんどん引き受けて、そして穴埋めは企業に持ってこられてしりぬぐいしてくださいと言われても、これはまるっきり違う問題だと思うわけです。
 したがって、この二つの問題というのは、一つの貿易保険の中に入れて運営しているということについて、私は若干違う原理で両方動かさないとまずいんじゃないかと思うわけです。だから、国際貢献なり国際的な支援をしなきゃいけないというのであれば、それはODAの予算なり一般会計の方からそれに対応するものを持ってきて、そして使ってくださいと。企業の部分についての補完措置については、これは企業のグループで保険の原理に基づいて計算をしてそれに必要な保険料を払ってくださいと。こういう運営をしないと、今出てきております多額の累積の債権というんですか、貿易保険が持っている債権の解消はできないんじゃないかと思うんですが、その点については通産省はどのようなお考えでございましょうか。
○政府委員(渡辺修君) 今、先生から二つの目的、それはいずれも重要なんだけれども、時としてトレードオフの関係に立つことがあるんじゃないかという極めて明快な御指摘がございました。そういう意味では我が通産大臣は二つの帽子をかぶっておるわけでございまして、一つは貿易保険株式会社といいますか、貿易保険をきちんと経理上健全に運営していく、そういう会長としての役割と、逆にもう一つは、先ほど来申し上げましたが発展途上国の資金援助を行い、あるいは世界の債務累積問題に対応して積極的に国際貢献を図っていくための手段としてこれをできるだけ活用する、そういう帽子と二つかぶっておるわけでございまして、これはまさに先生のおっしゃるとおりだと思います。
 したがって、この二つをいかにうまくバランスをとるかというのが我々の課題でございまして、特に八〇年代の後半から例の債務累積問題が出てまいりまして大幅なリスクを行わざるを得ない、あるいはその中で最貧国に対する債務削減を行わなきゃいかぬ、こういったような問題が出てまいりまして、特に今のこの両方のバランスをとる必要性というものに、ある意味でかみそりの刃を渡るような細心の注意を払いながら運営してきておるというのが現状でございます。これは我々だけじゃございませんで、諸外国の輸出保険当局も全く同じ悩みを抱えながら運営をしているわけでございます。
 そういった過程で、例えば債務削減問題にいたしますと、累積債務の削減をするということは、ある意味でこれは将来にわたって返済がされるであろう回収金の一部というのを免除するわけでございます。そういう意味で、これにつきましては一種の経済協力であろうという考え方で、OECD等の場においても諸外国ともこれはODAとして位置づけておるわけでございます。こういうような場合につきましては、先ほど来申し上げましたが、いわゆる保険事業としての収支のバランスという収支相償という考え方の外の話でございますので、これについてはODA予算から特別会計の方に繰り入れていくといったようなことを財政当局とよくすり合わせをいたしまして、そういう考え方のもとに着実に対処してきておるということでございます。
 先生の御指摘はまことに正鵠を得ていると思いますし、かつそれに対してはいろんな知恵を出しながら我々全力で時代の推移に合うように尽くしておる、こういうのが現状でございます。
○村田誠醇君 大変難しい両方の要素があると思うんですが、ただ一つだけこれは意見を言っておきますけれども、アメリカの場合は、この援助で累積債務なんかを免除した場合は一般会計の方から自動的に補てんされる。しかし、我が国の場合は、累積債務を免除してもそれは貿易保険の赤字に形式上とまっているわけで、予算措置を大蔵省と折衝して新たにつけてもらわない限り、あるいはODAの予算の一部を回してもらうとかそういうことをしない限りはできないわけですよね。
 ですから、仕組みをもうちょっときちっと、つまり対外的に累積債務を免除するんであれば、あるいは削減に応じるんであれば、それは国が方針で決めたんですから、予算措置をきちっとつけて貿易保険の方に影響をもたらさないように、ぜひそういう枠組みをつくっていただきたいということだけを指摘しておきます。
 それと同時に、今言われました累積債務問題について、パリ・クラブ等で債務繰り延べのいろいろ交渉が出ているわけでございますが、これの対象となっている我が国の公的な機関が持っている債務というのは、貿易保険だけじゃなくて円借款及び輸銀もその対象に入っているわけでございます。バリ・クラブ等で我が国が約束をしました繰り延べをしていいという対象の国、金額、こういうものというのはいろんなところにぽつぽつ出ているんですけれども、一覧みたいな形になったものがないんです。こういうものはつくられて私どもにいただけるものなんでしょうか。
○政府委員(渡辺修君) 御指摘の金額につきましては、パリ・クラブにおきまして債務削減を行った対象国及びそれの削減対象となった債権がトータルでどれだけあるか、こういう数字が貿易保険のみならず輸銀とかあるいは円借款とかいろいろあると思います。そういうものを含めての数字があるか、こういうことだと思います。
 それで、まず貿易保険でございますが、これについては我々の手元にございまして、我々それを常時把握いたしております。数字を申し上げますと、債務削減に応じましたのはポーランドとエジプトと、それからタンザニア等の最貧国という、大きく言って三つのケースがございます。
 ポーランドは削減対象となりました債権が千五百四十億円でございます。それからエジプトが九百四十七億円が削減する対象債権でございまして、それの半分を削減した、こういうことになっております。それからタンザニアその他の最貧国につきましては、これはたくさんございますが、トータルいたしまして削減の対象となる債権が千三百億円でございまして、当初トロント・サミットで三分の一をやり、さらにロンドン・サミットの後でさらに削減率を高めて二分の一にする、こういうことにしたわけでございます。
 その他の機関の数字でございますが、我々所管外でございますが、債務救済をやります場合に交換公文を結ぶことになっております。その交換公文に、国ごとに結びます過程で、機関ごとに債務削減対象債権の金額を明示することになっております。これはそういう意味では我々も入手可能でございますので、時間もございません、後ほど先生の方に一覧のような形でお届けさせていただきたいと思います。
○村田誠醇君 資料は後でいただけるということでお手数でございます。私も幾つか持っているんですけれども、ばらばらなものですからわからないもので、ひとつトータルをお願いしたい。
 そこで、国際的にいろいろとリスケジュールの交渉が合意に達するんですが、例えばトロント・スキーム方式とか新トロント・スキーム方式とかいろいろ用語といいましょうか、出てきます。ただ、我々から見ますと、これが一体どういうふうな方法で債務のリスケジュールをするのかというのがちょっとわかりにくいものですから、簡単で結構ですが、低中所得国対策のスキームとか何か、三つあるらしいんですが、この辺について概略御説明いただけますか。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 公的債務削減につきましては、まず最初に行われましたのが一九八八年のトロント・サミットで話題になりました。トロント・サミットで方向が合意されまして、一九八八年の十一月でございますけれどもパリ・クラブにおきまして決定がいたされました。これは最貧国、一人当たりのGNPが六百十ドル以下の国がそれに該当するわけでございますがその最貧国に対して、国で言えば先ほど申し上げましたようにタンザニアとかマダガスカルとかモザンビークとか、そういったような国が入ります。そういった国に対して債務の三分の一を削減するということを合意いたしまして、その債務削減の方式といたしましては、元本を削減するか、あるいは金利を返していかなければいけませんからその金利分を削減するか、それはいろんな方式がございますけれども、それはそれぞれの国に任せる、こういうふうな形で債務に対して三分の一削減というのは決まったわけでございます。
 それがその後ロンドン・サミットでさらに話題になりまして、九一年の十二月でございますが、パリ・クラブで最貧国に対して債務削減を従来の三分の一から二分の一に強化しようと。前回のトロント・サミットで出てきた方式をトロント方式というわけでございますが、今回のその二分の一にしたロンドン・サミットの場合を新トロント・スキーム、こういうふうに呼んでおるわけでございます。これが一つでございます。
 それからもう一つは、今度は低中所得国ということでポーランドとエジプトについてそれぞれ債務削減いたしております。まずポーランドにつきましては、御承知のように共産圏から市場経済へ移行するその先駆者として大変困難に直面している、こういう考え方から、ポーランドの持っておる債務を削減してやろう、こういうことが国際合意に達したわけでございます。それからもう一つはエジプトでございまして、これは御承知のように湾岸戦争がございました。大変大きな戦争になったわけでございますが、そのときのアラブ社会のリーダーという役割を着実に果たしたということで、そのエジプトが債務返済に非常に窮しておると、それについて国際合意ができ上がりました。これは一九九一年の四月と五月のパリ・クラブにおいてそれぞれ合意いたしまして、二分の一の債務を削減しよう、こういうことになったわけでございます。削減の方式は先ほど申し上げましたように元本の削減があるいは金利分の削減、それは各国のオプションに任せましょう、こういうことでございます。
 現在、その三つの国に対する債務削減が決定されておる、こういうことでございます。
○村田誠醇君 そこでちょっとお尋ねをしたいんですけれども、元本を削減する、あるいは金利を減免して期間を延ばす、いろんな方式があると思うんです。我が国の場合に、一つお聞きをしたいんですけれども、仮に元本を二分の一カットしたとしても、それでリスケジュールをしたとして、変な話ですけれども、今の為替レートが急激に日本の円が強くなってきている、そういうことになりますと、円貨で換算すれば、相手国から見ますと返済額がどんどんと為替レートの急激な変動によってふえてくる、自動的にふえちゃうということが起こってくると思うんですね。片一方で一生懸命削減してあげてもそういう現象が出てくると思うんです。多分そういうふうになっているんだろうと思うんです。
 その為替レートの変更と債務国が払う金額、極端に言いますと為替レートの変動のリスクはこの貿易保険がしょっているのか、それともケースによって違うのかもしれませんけれども、相手国がしょう形になっているのか。それによっては削減してあげても、変な話ですけれども、効果が出なかった、返す金額はトータルで同じだったというようなことも起こるかもしれませんので、その辺の仕組みは基本的にどんなふうになっているのかお聞きをしたいと思います。
○政府委員(白川進君) 最初の貿易保険について申し上げますと、貿易保険を付保した我が国の企業と相手方との契約がどういう通貨建てで結ばれているか、契約ができているかということに非常に深くかかわってくるわけでございます。
 円建てで原契約が行われていたという場合につきましては、保険事故が生じて削減を一部やりますけれども残った部分の返済ないしは回収につきましては円貨でしていただくということに相なりますので、このような円建ての契約に基づく債務削減なりあるいはリスケジュール、債務繰り延べにつきましては、その為替変動リスクは相手国側が負うということになろうかと思います。
 逆に、これが外国通貨建て、例えばドル建ての契約であるという場合は、相手国がドルと現地通貨との間の為替レートが変動する場合はそのリスクを負いますけれども、円との関係ではそのリスクを負わない。
 したがって、せんじ詰めて申し上げますと、契約が円建てで行われているか外国通貨建てで行われているかということによってリスクの負担の仕方が異なってくる、こういうことであろうかと思います、
○村田誠醇君 相手方の企業もしくは政府、公的な機関の契約が円建てか外貨建てかによって違うというんですけれども、日本の企業が貿易保険に加入したとき、これは別に円建てであろうがドル建ての契約であろうが関係なく、例えば百億円の損害で入ったのなら百億円、その後日本のレートが幾ら変わっても日本円で百億円の保険金を払う。
 そうすると、その百億円の債権が貿易保険の方に移ってきて相手方に求償する場合、その百億円分を請求するのか。為替レートが変わっているという前提条件で、向こう側が最初に契約した百億円が仮に一千万ドルなら一千万ドル米ドルで払えば、日本円が現在それで仮に五十億円しかなくても貿易保険の方の求償が全部それで終わりということなんですか。それとも、日本円で払った百億円分の貿易保険に達しなければ払ってください、こういうことなのか。ちょっとそこら辺は区別してお願いいたします。
○政府委員(白川進君) 先生御指摘のとおり、被保険者つまり我が国の企業とそれから私ども貿易保険との間は、円建ての保険契約ということに相なっております。したがいまして、保険事故が発生いたしまして保険事故として私どもが本邦企業に払うときには、円貨で支払います。
 ただし、やや錯綜いたしますけれども、その場合のレートは、契約をしたときのレートかあるいは支払いを行うときのレートか、いずれか高い方のレートを採用するということがあらかじめ保険契約上明記されていることになっております。これはある意味では、その間の保険契約を結んでから保険金を支払うまでの為替変動リスクは、民間企業、被保険者が負うという仕組みになっている。
 先生お尋ねの相手国との関係ですが、これは繰り返しになって恐縮でございますけれども、原契約が例えばドル契約になっておりました場合は、一たん円貨で被保険者に保険金を支払った後、その債権は私どもの保険に移るわけでございますけれども、それはドル債権として移りますので、保険金を支払った後、円レートが動いた場合に、例えば円高になった場合の差損は貿易保険が負うということに相なります。
 ただし、原契約が円建ての場合は、やはり私どもが保険金を日本企業に払いまして相手国に返済を求める、回収を求める場合はやはり原契約の通貨、つまり円建て契約の場合は円建てで返していただくように交渉するわけでございまして、この場合は相手国が円レートの変動リスクを負担する、こういうことに相なります。
○村田誠醇君 大臣、これは私の意見ですけれども、これだけ急激に円の購買力が変化しできますと、為替リスクをどうするかということが大変重要な問題になってくると思うんですね。
 長期間にわたってじわっと上がってきたのなら余り問題はないんですけれども、急激に変化していますので、これに対してもやはり一般会計からのきちんとした補てんをしておきませんと、お金は返ってきたけれども実は想定していた額よりも少なかったとかということが起こってきますので、ぜひそういう予算措置を、これも一つの枠組みとして自動的に何かできるような方法をひとつ工夫をしていただきたい。そうしないと、やはり減価した分どうなるかといえば、結局最終的には企業の保険料にはね返ってくるという、多分そういうことになるんだろうと思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、一つ具体的なことをお聞きしたいんですけれども、九二年の六月にベネズエラの石油化学事業に対して貿易保険が投資保険で保証をしたということでございます。これは聞くところによると、アメリカとの協調融資の案件であるということでございますが、ちょっとこれよくわからないものですから簡単で結構ですが、どんな概要でどういう相手企業側がなっているのか。特に、日本企業がどういう形でこれは参加しているのか。製品の輸入は全部アメリカ、カナダからの製品輸入であって貿易保険だけがくっつくというのはどういうのか、ちょっとよくわからないものですから、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(白川進君) 今先生お尋ねの案件は、ベネズエラにおきますポリエチレンプロジェクトで、御指摘のようにアメリカの輸銀と協調の形で融資がなされ、私どもの投資保険が付保されているものでございます。日本企業のかかわりでは、日本の市中銀行がベネズエラのポリエチレン製造プロジェクトをつくります主体に対して融資を行い、これに対して私ども貿易保険が海外投資保険を付保したというものでございます。
 その貸し付けの形態は、ベネズエラに向けますアンタイド、どこから資材を調達するか使途を特定しないアンタイドの貸し付け融資ということになっております。一般的にそういうことでございますが、この契約もアンタイドということとのかかわりにおきまして通貨はドル建てで行われておりまして、かつ金利はそのときどきの市中金利に連動する、すなわち変動金利ということで融資契約が行われているということでございます。
○村田誠醇君 累積債務国、累積債務が多くなっているその国に対して、原則として貿易保険というのは引き受けを停止したり、あるいは制限を設けるということをしておりますけれども、しかしそれだけでは運営できないということで、貿易保険の引き受けの弾力化を図っている、停止とか制限を行っている国に対して。
 もう一つ基本的なことをお聞きして申しわけないんですが、こういう弾力化措置をとられている対象国というのはどういうところがあるのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 御指摘のように、貿易保険の引き受けを行いますときには、相手国の政治経済状況とかあるいは保険金の従来の支払い実績とか、もろもろの客観的なデータに基づきましてカントリーリスクを評価いたしまして慎重に我々は判断するわけでございます。ただ、どういう国に引き受けを行っているか、どういう国に引き受けをとめているかということは、結局我が国政府が相手国のトータルの信用度を公にするということになるものでございますから、個別具体的には我々は公表しない、こういうことにいたしております。これは我々のみならず各国の主要保険機関、いずれもそういうことで運営をされております。したがいまして、個別具体的なお話は差し控えさせていただきます。
 今先生お尋ねの国の数でございます。トータルで引き受けを停止しているのがどのぐらいあるか、こういうお尋ねでございます。これは引き受けの保険の種類、中期とか中長期とか短期とか種類によって異なりますし、非常に計算の仕方が難しゅうございます。また相手国も、国の場合もあるし、それから地域ごとに分けておる場合、国と言わないでいわゆる地域の場合もございます。そういうようなことで非常に計算の仕方が難しゅうございますが、我々が今内部で幾つかに分類しております引き受け対象国または地域、そういうものは全部で二百五十に分けてございまして、そのうち約四十に該当する国または地域というのが現在引き受けをとめておるところでございます。
○村田誠醇君 ベネズエラもこの弾力化措置の対象の国に入っているというふうに聞いているんですけれども、これは間違いでございましょうか。
○政府委員(白川進君) ベネズエラにつきましてはリスクを行いましたので、私どもの保険の引き受けについては、リスクを行ったということで直ちにやや制限的になるわけでございます。ただ、リスクを行いました後繰り延べられた債務について、返済計画というのを合意いたします。その計画に基づいて返済が順調に行われております場合には、リスクを行った国であっても、案件はよく精査しながらでございますけれども貿易保険の引き受けを行っているということでございます。
 それで、お尋ねのベネズエラはリスクを行った国であるということでございます。
○村田誠醇君 国名を言えないというのはわからぬわけじゃないんです。ただ、苦言だけ言っておきますけれども、通産省なりいろんなところで出している文献あるいは文書の中に主な弾力化を行った国とか、そういう形でぽろぽろみんな出ているんです。一覧を出せというのは難しいかもしれませんけれども。
 一例を挙げていきますと、通産省の貿易局貿易保険課、これは平成四年の位置ですからあるいは異動されているかもしれませんけれども熊野哲也さん、この方が通産省公報の中で、累積債務問題に対して、貿易保険の引き受けの弾力化を行った主な国という形で幾つもずっと出しているんです。発表されているんだから言ってもよさそうなものだと思うんですけれども、いろいろ外交的案件があるから難しいというんであればそれはそれで結構でございます。
 そこで、それ以上聞いてもしようがありませんので、もう一つお聞きをしたい。
 累積債務問題を解決する一つの方策として、経団連等も言っておりますけれども、デットスワップという考え方を導入したらどうだと。要するに、債権を放棄してしまいなさい、それで相手の政府が現地通貨でそれに見合ったものを相手の企業というんですか地域からとって、それを環境基金に使うとか教育基金に使うとか、もとにして使ったらどうですかと。
 要するに、一種の変形の援助の形態、こういう形をとろうということを既にドイツがポーランドに対してやっていますし、ベルギーもエクアドルにやっている。それから、これはちょっと性格が違うんでしょうけれども、フィリピンに対してたしか東京銀行が自分の持っている債権をそういうふうに処理したということも言われております。経団連も何やらこれについては大賛成、こういうことでございます。
 我が国は、予算の関係があるのかどうか知りませんけれども、どうも余り熱心ではないようでございますが、この点についてはどういうような見解をお持ちでございましょうか。
○政府委員(白川進君) 今先生御指摘のデットスワップ、国により実施をいたしておるということは御指摘のとおりで、私どももそういった状況を把握いたしております。
 ただ、これは貿易保険に限りませず、我が国のODA資金あるいは輸銀資金、公的債権全体について共通でございますけれども、債務を減免いたしますという場合は、やはりパリ・クラブ債権国が一致してそれを実施しようという協調的な行動の枠組みの中で、言いかえますればサミットの首脳会談なんかで非常に高度な政治決断が行われて、その方針に従ってパリ・クラブで実際の細目が定められて関係債権国が一致して行うというようなものについて、貿易保険を含む公的債権についての削減に応ずるという考え方でまいっております。
 そういう意味では、今先生御指摘のデットスワップというのは、パリ・クラブの中でもいろいろ賛否について見解が分かれております。やや否定的な見解としては、内地通貨、内貨に外貨債権が変わりまして御指摘のように基金になりますので、内貨によりますマネーサプライの増大を招いて相手国のインフレあるいは通貨不安などにつながるのではないかというような懸念もありまして、いろいろな問題があるということで、必ずしもパリ・クラブの債権国は一致して共同行動としてそういうことに取り組もうということに相なっておりません。
 したがいまして、こういったような状態では、私ども貿易保険も含めまして公的債権につきましてデットスワップを行うという考えは当面ございませんというのがお答えでございます。
○村田誠醇君 国際的に合意に達しないからやらないというんじゃなくて、ドイツなんかがポーランドの債権の六〇%を削減して、残った債権の四〇%を病院建設の基金に使ってくださいという形で相手国政府に渡しているわけです。だから、それはあくまでも一つのODAの考え方を導入しているわけですから、我が国独自の判断をここにも採用していいんではないかと思うわけです。
 債権を放棄するのは極めて簡単でしょうけれども、保険財政の方に影響するでしょうから、これは大臣に頑張っていただいて、大蔵省から予算をとってきてもらえればすぐ簡単にできることだろうと思います。ひとつ頑張っていただきたい。横並びではなく、前の方を駆けるような施策をひとつお願いをしたいということだけ希望しておきます。
 それから先般、貿易保険法を改正したときに企業包括制度という短期総合保険を創設をなさったわけですけれども、これは従来の保険が品目別に掛けられていたやり方を、企業を一つの単位とする形で新しい保険をつくられた。品目別というんですから、横にずっと企業が関係なくやる。企業単位ということになりますと、今度は製品も絡んで縦のラインができた。
 そうしますと、縦と横でカバーしなければいけないという理由が、どっちを使ってもいいんですよということだろうと思いますけれども、企業の方からすれば自分の方はリスクの少ないところにしか出していないんだからそっちの方が安いじゃないか、保険料の負担が少なくて済むという意味ではどっちかに一本にする必要性があるんじゃないか。両方でカバーしていなければいけない理由はないんじゃないかと思うんですけれども、縦、横のものを残している理由というんでしょうか、必要性というんでしょうか、それについてはどのようにお考えなんでしょうか。
○政府委員(渡辺修君) 保険運営の実態の詳細を十分把握された上での、非常に専門的な御質問でございます。正確にお答え申し上げたいと思います。
 御指摘のように現在、組合別包括保険というのと、それから二年前に新たに設けました企業包括制度という二つの制度を併存させておるわけでございます。それで、従来からございました組合別包括保険というのは現在なお五十七万件という件数がございまして、保険契約高で約十八兆円程度、したがって貿易保険全体の約八割、これが現在利用されておるわけでございます。それで、設備、船舶、鋼材といった、そういうものを生産いたしますメーカーがこの組合別包括保険を利用いたしております。
 その理由と申しますのは、組合別包括保険ということになりますと、貨物の輸出形態が非常に類似している点に着目をいたしまして、それぞれの組合ごとの特定の取扱貨物について、輸出組合のメンバーを対象として組合ごとにてん補範囲の異なる保険契約を結ぶことができ、それで輸出品の種類や取引実態に応じた引き受け条件の設定が可能になる。そういうことで、例えば船舶をつくっておるメー力ーは船舶輸出組合の行っておる包括保険に入っておるということで、現在十八兆円ぐらいこれに掛っておる、こういうことでございます。
 今先生御指摘ございました企業別の包括保険でございますが、これは二年間に年間約二万件、保険契約高にいたしまして約二兆円程度となっております。これはおっしゃるように企業単位で幾つもの種類の商品を扱っておる企業が企業という一本で包括するということでございますから、それからも先生よく御理解いただけると思いますけれども、例えば商社とか総合商社とかといったようなものになりますとこれを利用することが非常に利用しやすいわけでございまして、したがってそういう総合商社の十八社が現在組合別の包括じゃなくて企業別の包括保険を利用いたしておる、こういうことになっております。
 したがいまして、要は利用する被保険者がどちらを利用することが自分の企業の物の生産、輸出ということから利用しやすいか、こういうことによる全くの自由なオプションで選択いただいておる、そういうことでございまして、この二年間におっしゃるように企業包括保険、短期間の間に相当伸びてきておることは事実でございますけれども、大宗は依然として組合包括保険を利用しておる、こういう実態でございます。
○村田誠醇君 わかりました。
 それで、質問通告をちょっとしてなかったんで申しわけないんですけれども、お聞きをしたいんです。この投資に絡む場合、中南米のやつが一番最適だろうと思うんですけれども、累積債務国に対して持っていた債権を債務削減をするという一つの手段として証券化しようということにして、その証券を市場で売って、そこの国に投資したい人が額面額の安いのを買って現地通貨で企業に投資するとか出資するとかというやり方をしておりますわね。この場合の投資の額については、ちょっと細かくなって申しわけないんですけれども、その債券の額面額と市場流通価格と二通りあるわけですけれども、この貿易保険で言うところの投資総額に当たる対象となる金額はどっちの方なのか、ちょっとわかりましたら教えていただきたいんです。
○政府委員(白川進君) 額面価格でございます。
○村田誠醇君 額面価格。そうすると、中南米の債券を市場で購入して投資した方が金額がたしか低いから得になるということですな。まあ通告してなかったんでいいですけれども。
○政府委員(白川進君) 大変失礼いたしました。
 正確にやや訂正を込めてお答えいたしたいと思います。保険の申し込みは額面価格あるいは市場価格、いずれでも行い得るということでございますが、一たん保険事故が起こった場合の保険金の支払いはその保険事故時の市場価格で支払うということでございます。
○村田誠醇君 済みません、ちょっと通告してなかったもので申しわけない。
 それで、あとこの貿易保険に絡んで関係するいろんな団体、機構ができておりますので、ちょっとそのことについてお聞きをしたいんです。一つは、経済四団体が中心になって株式会社日本国際協力機構というのができ上がっていると思うんですね。こちらの方の業務内容というんでしょうか、それを見ますと、別に貿易保険だけじゃございません、輸出入銀行も含めて関連、協力ということが図解の中に相互の関連図として出てくるわけでございますけれども、一体ここと貿易保険というのはどういうふうな業務提携というんでしょうか、協力関係というんでしょうかがあるのか。ちょっとわかりにくいものですから、簡単に御説明いただけますでしょうか。
○政府委員(白川進君) 通称JAIDOと呼ばれておる株式会社日本国際協力機構につきましては、これは経済協力基金とそれから民間が出資をし合った発展途上国に対する出資機関であると理解をいたしております。その設立の趣旨及び事業の趣旨は、民間資金を途上国に円滑に還流しようというものでございまして、非常に有効な手段であると私ども思っております。
 それで、このJAIDOが発展途上国のプロジェクトに出資を行う場合には、通常、私どもの方に海外投資保険の付保の申し込みをしてきておられます。私どもは、所要の審査を行った上で特に問題がないと判断される場合には引き受けを行っているところでございまして、かなり多数の案件についてこれまで引き受けを行ってきたということでございます。
 なお、このJAIDOの出資方針としては、相手国の外貨獲得型産業の育成、あるいは民活型で実施可能な輸出産業に役立つ輸出関連インフラの整備といったようなものを重点的な出資対象とするということでございますので、いずれも輸出産業の育成という目から見れば、私ども保険が一番関心を持ちます返済の確実性といいますか、プロジェクトの確実性、安定性といったものを一般的には満たしているものでございますので、これまでもかなり密接な連携をとりつつ事業が行われてきているということでございます。
○村田誠醇君 これの主管庁というんですか、これは通産でございましょうか。大蔵、外務、どちらの主管でございましょうか。
○政府委員(白川進君) いわゆる経済協力関係四省庁というのがございますが、四省庁で共管で所管をいたしております。
○村田誠醇君 それじゃ、時間がありませんので最後にもう一つ。
 名称が三回にわたって変わっておられるようですが、財団法人輸出保険普及協会が一番最初の名称で、貿易保険協会に変わって、貿易保険機構と今言っております。ここに対する関係というんでしょうか、予算措置というんでしょうか、補助金か助成金か委託金か何か知りませんけれども、これはどの程度出されておられるのか、ちょっとお教えください。
○政府委員(白川進君) これは、私どもの貿易保険の実務を一部手助けさせるという趣旨を込めて活動をしてもらっておる団体でございますけれども、総予算規模が十億七千万円でございますが、そのうち私どもの特別会計からの委託費あるいはその他の補助金を入れまして五億七千万円を私どもの方から支援をいたしておるということでございます。
 なお、残り三億二千万は事業収入あるいはこの財団法人の会員の会費収入、さらにその他の収入として一億七千万、これ雑所得とか繰越金とか、そういうもので成り立っておるところでございます。
○村田誠醇君 最後にちょっと。
 同僚の谷畑議員も最後に触れたように国際的な支援の一環としてこの貿易保険を活用するということになりますと、今言いましたように保険の論理からは外れてくる部分というものがございます。したがって、そういったことについて極力配慮をしていただいて、民間企業に過重な負担がいかないように運営していただきたいということを最後に意見を表明しておきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○松谷蒼一郎君 最初に、対ロシア支援関係につきまして二、三質問をさせていただきたいと思います。
 今回の貿易保険法の改正の趣旨は、カントリーリスクが高くて資金がなかなか流れにくい発展途上国に対して中長期の経済開発のための資金を還流していく、それを促進するということが目的であると聞いております。もちろん、経済大国となりました我が国にとって、また貿易収支が大幅な黒字を有しておる我が国にとってそういった役割を担うということは大変重要なことでございます。
 しかし一方、世界的に見まして非常に資金需要の緊急かつ大規模に要請されている国がロシアでございます。このロシアの支援のためについ最近G7の会議が行われたわけでございますが、このロシア支援のために一昨年の十月八日でございますか、我が国が旧ソ連邦に対する総額二十五億ドルの支援策を決定した。その大宗は大部分が貿易保険によるもので、十八億ドルの貿易保険の引受枠を既に設定しているというふうに聞いておりますが、その実施の状況はいかがでございましょうか。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げておりますように、対日支援につきましては、相手国のエネルギー産業、外貨獲得の過半を占めるエネルギー産業の生産力の回復維持が最重要だ、こういう考え方に基づいて我々貿易保険でも相当程度大幅に支援をしよう、こういうことでございます。
 それで、お尋ねの十八億ドルでございますけれども、まず昨年の夏でございますが、ロシアの天然ガス産業、これはガスプロムという向こうの公団がございますけれども、その産業につきまして七億ドルの与信契約を行うということが合意されました。そのうち、早目に出荷いたします機材を中心に三億ドルにつきまして、ことしの三月に保険引き受けを行ったわけでございます。
 そのほかにも、金額は非常に小そうございますが、日本からロシアに投資をする投資案件、これはジョイントベンチャーをつくるとかウラジオストクで一連のホテルをつくるとかいろんな形のものがございますけれども、これが約十九件投資保険が出ておりまして、これにつきましても付保をいたしております。
 その他もろもろの、我々、一昨年の十八億ドル表明以来与信契約を行い、貿易保険の内諾を行っておりますのが、先ほどの七億ドルを含めまして大体十億ドルぐらいということになっておりまして、あと八億ドルぐらいがなおいいプロジェクトがあれば残余の枠で支援したい、こういうのが一昨年の十八億ドルの実施状況でございます。
○松谷蒼一郎君 また、最近会合がございましたG7の閣僚会合におきまして、ロシアに対する新たな支援措置といたしまして我が国は十八億二千万ドルの新規パッケージを表明したわけであります。今回も、そのうちの大部分は貿易保険の引受枠であると聞いております。このロシア向け十一億ドルの新規引受枠につきまして、今後具体的にどのように使っていくつもりでしょうか。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、中小企業の支援策とかあるいは無償援助等も含めまして十八・二億ドルの対日支援というのを先般のG7のミーティングで我が国総理大臣から表明したわけでございますが、その大宗を占めます十一億ドルにつきましては、我々貿易保険の信用供与を行う、こういう中身になっております。
 これも先ほど来申し上げておりますように、我々のねらいは、ロシアの外貨獲得産業であります石油、天然ガスにつきまして今急速に生産量が落ちております、これをとにかくリハビリして生産量を維持し、それで獲得した外貨を有効活用してロシアの再活性化のために使ってもらおう、エネルギー産業に対する一種の傾斜生産方式というんでしょうか、そういう考え方を導入しないとなかなかうまくいかないんではないか、こういう考え方で我々、十一億ドルのさらなる信用供与を決断したわけでございます。
 これからの動きでございます。
 これは、ロシアも大変歓迎を表明しております。あわせて、我々のみならず各国の輸出信用機関が、やはり同じようにエネルギー産業のリハビリテーションについて非常に強い関心を持っております。したがいまして、我々といたしましては今後、アメリカはもちろんのこと欧州諸国の輸出信用機関ともよく連携をとりまして、また世銀の専門家にも入ってもらいまして、よく情報交換を進めながら、かつまたこういうリハビリテーションが円滑に行われるためにはどうしてもロシア側で幾つか工夫をしてもらわなきゃいかぬ事項もございますし、あるいは投資環境、受け入れのための工夫も必要でございます。
 そういったようなところの情報交換をうまくし、ワーキンググループ等をつくりながら効率的に動かしていきながら、その中で個別、具体的な案件というのを見つけて、ロシア側が要請してくるのがまず最初だろうと思います。それについて非常に重要なところは、それが着実な返済が行われるであろうという返済スキームのところをしっかりと見きわめなきゃいけませんけれども、それを見きわめた上で可能なものは付保していきたい。その返済スキームにつきましては、先般世銀で海外にエスクロ勘定を設けるというのを一定の条件のもとで認めようということになりまして、ロシアもそれに乗っかってくると思います。そういったようなところもよく見きわめながら対処していきたいと思っております。
○松谷蒼一郎君 今お答えの中で若干触れられたのでございますが、対ロシア支援策というのは極めて現在の国際問題の中で重要な問題である。したがいまして、これを支援することはよく理解ができるわけでございますが、一方貿易保険特別会計の収支は大変厳しい状況にございます。
 こういう中でロシアは、御存じのように政治的な状況も不透明でありますし、経済的にも非常に悪い。その中で果たして事故が多発しないものかどうか。また、こういった事故が多発した場合に、ロシアに対する信用供与についての返済の確実性はどうだろうかということについて、再度ひとつお願いをいたします。
○政府委員(白川進君) 先生御指摘のように、今ロシアの政治状態あるいは社会状態、十分安定していると言える状態にはございませんし、経済活動もいろいろ隘路が生じているという状況のもとで、一般論としてこういったところに与信を行うということは、私ども貿易保険の健全な財政運営を図っていかなきゃならない立場の者として不安があることはそのとおりでございます。ただ、特に工夫をいたしまして、返済についての確実性をできるだけ高めた上で、貿易保険もロシアの経済発展あるいは経済回復に貢献していくということは、やはりこれまた私どもに与えられた使命であろうかと存じます。
 具体的には、ロシアの外貨を稼げる産業、先ほど来お話が出ております石油とか天然ガス、こういったものについて貿易保険がついて与えられた信用、それの効果として獲得される外貨、これを返済に直結させるという仕組みを確実にロシア側にとってもらうことによって、返済可能性を格段に高めていくということで、これまで分野の選択も石油、天然ガス分野を重点といたしました。また返済の仕組みも、そのような観点から私どもの目から見て非常に確実という措置を講じさせてきたところでございます。
 なお、今局長から御答弁申し上げましたように、さらに世銀の方でロシア側との間で、石油、天然ガスのような外貨獲得産業について一定の条件を満たす場合には海外においての外貨特別勘定というのを、返済用でございますけれども設けることが例外的に認められるということになりましたので、今後この方策を活用することによって一層返済の確実性が高まってくる、かように存じておるところでございます。
○松谷蒼一郎君 対ロシア支援策の関係につきましては、以上でひとまず終わりまして、貿易保険特別会計につきまして御質問をいたしたいと思います。
 一九八年代は、中南米を中心に発展途上国におきましてリスクジュール、債務の繰り延べが相次いだわけであります。そのため、我が国の商社でありますとかメーカーの保険利用者に対して多額の保険金支払いがあったわけであります。
 確かに貿易保険の役割というのは途上国に対する経済的支援のために非常に重要ではありますが、しかしながら貿易保険法は御案内のとおり収支相償の原則に立っているわけであります。借入金がふえ過ぎるということはやはり問題ではなかろうかと思いますが、当局におきましては、収支を改善するためのいろいろな具体策についてどういうふうにやられているか、またその見込みについてはどうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(白川進君) 今先生御指摘のように、平成三年度の決算ベースでは単年度、平成三年度一年間の事業収支の赤字が二千六百五十五億円、それから三年度末の資金運用部からの借入残高が六千億強ということで、非常に多額の借り入れを行って運営してきているというのは御指摘のとおりでございます。
 さらに、これまた御指摘のとおり、支払い保険金がリスクジュールあるいは湾岸戦争に伴います保険金支払いということで、平成三年度では三千四百億が一年間に支払われております。ただ、これは平成四年度に入りますと、まず支払い保険金の側面につきましては、湾岸戦争に伴います支払いが一巡したといいますかほぼ終了したということと、それからリスクジュールに伴います保険金の支払いもおおむねピークを超したということから大幅に減りまして、見込みではございますが、平成三年度の支払い保険金の半分程度の額で済みそうかなという状況でございます。これは支出の方でございます。
 収入につきましては、大きく言って保険料の収入、それから回収金の収入という二つ大きな柱があるわけでございますけれども、保険料につきましては、収支改善を図る意味で、昨年四月に平均三〇%の保険料の引き上げを関係業界に御納得いただきまして実施いたしました。これに伴います増収、それから回収金につきましては、ブラジルが非常に大きな債権残高を持っていたわけでございますが、そこの返済合意ができまして非常に大幅な回収が行われました。それで、平成四年度には一千億円を超える回収、これも平成三年度から見ますと大体三倍ぐらいの回収金の規模になります。
 そういった収入、支出の両面から非常に改善をいたしまして、単年度の収支という観点では平成四年度は一転して黒字が出せそうという、かなり確信を持てる見通しができております。
 今後につきましても、こういった回収の努力、それから保険利用の拡大といったことを行います。他方、先ほども申し上げましたようにリスクそのものは、これは世界銀行その他国際的な見方も、これからロシアも出てくるということはございますが総体として見ればピークを過ぎた、累積債務問題の非常に深刻な状態もおおむね峠を過ぎたという状態でございますので、支払い保険金も漸次減少していくということで、回収の増加努力とそういった支払い保険金の動向を踏まえますと、今後私どもの貿易保険の収支状況は改善の方向に向かうものと期待をしているところでございます。
○松谷蒼一郎君 黒字になっていくのじゃないかというようなお話で、大変結構ではございますが、しかしこれからカントリーリスクの高い国への資金還流とその保険の付与、そしてまた対ロシア支援と、いろいろ難しい局面が続いてまいります。それに対して、今回の法改正ではてん補率も九五%まで高めるとかあるいは海外事業資金貸付保険を創設する、こういうことでございますが、これらの点について保険収支に悪影響が生じるおそれがないかどうか。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 新たな海外事業資金貸付保険の創設とかあるいは投資保険のてん補率の引き上げ、発展途上国への資金還流という国際貢献の目的はよくわかるけれどもそれで大丈夫か、こういう御指摘でございます。
 先ほど来申し上げておりますように、胸突き八丁は我々乗り切ったと考えております。そうした中で今回の海外事業資金貸付保険といいますのは、これは融資保険及び投資保険でございまして、一番保険収支が悪化した、つまりリスク対象というのは輸出信用、輸出に関する信用でございますので、今回の事業資金貸付保険というのは、今までの悪化の最大要因であったパリ・クラブのリスク対象にはならないという点が一つ非常に重要な点だと思います。
 さらに、てん補率はもちろん引き上げましたが、今回の非支配法人に対する貸し付けということになりますと、これを発意してやりますのが民間企業でございますから、民間企業は当然のことながらみずからのリスクを考えながら発意するわけでございます。そういう意味で今回の貸し付け対象というのは、いわゆる最貧国とか低所得国ということではなくて、恐らくアジアとか中南米とか工業化が進展しつつある中所得国が中心になるだろうと思いますので、そういう意味でも今までのリスク対象国であったような国の場合とは大分違ってくるんじゃないかという気がいたしております。
 さらにもう一つ言いますと、今回のようなアンタイの事業貸し付けというプロジェクトにつきましては、発展途上国のニーズが強いこともありまして、例えばプロジェクトファイナンスに非常に豊富な経験を持っております国際金融公社IFCといったようなところも非常に興味を持っておりまして、そういったようなところと一緒になって、よく中身を審査しながら協調して行うということも必要ではないかというようなことも答申で指摘されておりまして、こういうこともよく頭に置きながら運用していきたいというふうに考えております。
 あわせて一番重要なのは、そうはいいましても相手国のカントリーリスクを見定めるために今まで我々が持っております、先ほど申し上げましたが、非常に細かい専門的なカントリーリスクの度合いに応じた保険料率というのを約八種ぐらい用意しております。さらに、特別なプロジェクトに応じた返済スキームを見まして、てん補率を相手の被保険者とシェアするようなてん補率を設定するとか、いろんな運用面におきましてリスクをお互いに対比して確実な返済を求められるようなそういう工夫を随所に凝らしながら運用していきたい、それでより大きな目的を満足させていきたい、このように考えておるわけでございます。
○松谷蒼一郎君 発展途上国に対する支援あるいはロシアに対する支援、こういったことは国際的な問題からも経済大国となりました我が国としてはやはりやっていかなければならない大きな問題であることは間違いないんですが、しかし一方貿易保険特別会計はずっと赤字で、一般会計からの出資金が非常に大きくなって、今年度の当初予算におきましても出資金として二百二十八億円が繰り入れられたと聞いております。
 出資金とはいいながら、これは一般会計ですから国民からの税金によるものであります。一方、国際的な役割分担としてはやっていかなきゃならないことでありますが、しかし今我が国の財政事情が厳しい中で二百億、三百億という大きな出資金を毎年繰り入れるということもやはり問題ではある。この辺の考え方についていかがお考えか、ちょっとお伺いいたします。
○政府委員(渡辺修君) 御指摘のように、貿易保険特別会計、累積債務六千七百億という大変な赤字をしょっておりまして、御心配をおかけしておりますこと大変申しわけなく思っております。
 これにつきましては、もう先生御承知のとおり、実はこの累積赤字が急増いたしましたのは昭和六十年代に入って以降でございます。と申しますのは、それまでは収支相償といいますか、保険料率その他で十分対処してきておったわけでございますけれども、何しろリスクが八〇年代後半から思いがけない形で起こってきたというのが一つ。それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますが、ポーランド、エジプトあるいは最貧国に対する債務削減を行うというような、こういう高度の政治的判断が入ってきたということでございまして、これは我々だけじゃございませんで、各国の輸出信用機関押しなべて同じように事業損失を出してそれに対して対応しておるというのが実態でございます。
 それで、我々といたしましては、一つは債務削減につきましては、これはもう高度の判断から経済協力として行うものだというのが世界各国の共通の認識でございますので、これにつきましては財政当局とよく話し合って全く意見の一致を見ておりまして、ODA予算の中から特別会計にこの債務削減に見合う分につきましてはこれを一般会計から繰り入れる、こういうことで現在対処しておるわけでございます。
 あわせて、先ほど来申し上げましたリスクによる累積債務その他が非常に金額が多くなってまいりますものですから、貿易保険が今後ともこれから機能を維持していくための基盤整備、足腰を強くしていかなきゃいけないということで資本金をふやしていこうということで、逐次先ほど御指摘ありましたように一般会計から繰り入れが行われているわけでございます。
 そういうことで我々、胸突き八丁越えましたけれども、これからも事業運営につきましては十分細心の注意を払いながら、返済スキームその他を確実にして事業収支の改善に心がけながら、かつまた大きな目的を損なうことのないように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○松谷蒼一郎君 我が国は、発展途上国の債務、開発問題に貢献をいたしますためにこれまで五年間で六百五十億ドルの資金を還流させるという計画を表明いたしました。これを昨年までに達成したと聞いております。こうした貢献を行っていくということは非常に重要なことであります。
 大臣にお伺いをいたしますが、森大臣は本年初めに大規模な資金還流計画を提唱されました。我が国といたしましては、世界に貢献を果たすために非常に重要な問題であると私も考えております。この大規模な資金還流計画の中で貿易保険の果たす役割といいますか、位置づけといいますか、これは一体どういうふうにお考えになっておりますでしょうか、最後にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 今、松谷委員から先生御自身のお考え方も示されまして国際貢献の役割を果たしていく、もちろん国の公的な資金、一般会計の予算の中から、あるいはまたこうした民間の資金を今後できる限り進めていくというようなことから今回の法律の改正をお願いしておるわけでございます。
 今御指摘ございましたように、世界の経済の中におきます日本の現在置かれておる地位というのを考えてまいりますと、世界経済め持続的な発展を図るためには、発展途上国への資金の流れの確保を通じて国際貢献を果たしていくということはもう言うまでもない重要なことでございます。
 私は一月に、たまたま日本・EC閣僚会議に出席をいたしておりました。そして、各国の経済閣僚の皆さんといろんなお話をしております中で、やはり途上国への資金の流れを確保するためには具体的な方策として一つの目標を掲げるべきである。それが今委員から御指摘がございましたように、ODAも一部含んでおりますが、アルシュ・サミットで表明をいたしました際の約六百五十億ドル、これが昨年の六月末の時点で既に六百七十二億ドルの目標を達成いたしておりますだけに、やはり世界全体に対する日本の立場も考えて、まあおおよそ倍ぐらいのそうした気持ちが必要ではないかということを述べたわけでございます。帰国いたしましてから、事務当局にその指示も早速いたしたところでございます。そのためには民間資金というものをどうしてもそこにはやはり一緒に加えていかないと、そうした目標の額というのは達成し得ないだろうというそういう考え方があったからでございます。
 その後、総理からも御指示がございまして、先ほどから谷畑、村田委員にもお答え申し上げましたように、現在、関係四省庁間で検討を進めておるところでございます。また、先般の日米首脳会談におきましても、クリントン大統領に新たな資金協力計画の策定に取り組んでいる旨の説明も総理からいたしたところでございます。
 具体的には、政府開発援助及び民間資金を含めたその他の資金の流れについてでございますが、発展途上国の自律的な発展に資するというそういう観点から進めていくべきでありまして、ただいまのところどのような分野に重点を置くのか、またどの程度の規模にそれぞれするのかということについては今鋭意検討いたしておるというところでございますので、そのように御承知おきをいただければと思う次第でございます。
○松谷蒼一郎君 どうもありがとうございました。
○委員長(斎藤文夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十分開会
○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、糸久八重子君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(斎藤文夫君) 休憩前に引き続き、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田教美君 貿易保険法改正案の質問に先立ちまして、一、二当面の問題についてお尋ねします。
 まず、円高の問題ですけれども、円相場は急激な円高が続いて、二十一日には一ドル百九円台まで円高が進みました。きょう午前の東京市場の終わり値は少し下がって百十一円三十五銭ということですけれども、しかしこれによって円高基調がとまったというふうに見ることはできないんではないかというふうに思います。日銀の円売り・ドル買いの単独介入ということだけでは力不足だということであれば、欧米諸国を協調介入に何とか引き込むというふうな努力もすべきだと思いますけれども、これらは為替当局の日銀、大蔵省の担当分野だと思います。
 しかし、通産省としてもこの円高が当分続くという判断をされるとすれば、単にクリントン発言の真意はどうかとか、円高還元をどうするかというふうなこととか、そういうミクロの問題だけでなくて、大幅黒字を生む貿易構造の見通し、そのもとになる産業政策のあり方などについて中長期的に対策を考えるということが必要な時期に来ているんではないか。つまり、新前川レポートのようなものが必要ではないかというふうにも思うんですけれども、この問題についての森通産大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 今和田委員から御指摘がございましたように、最近の円相場におきましては、我が国の大幅な貿易黒字を背景といたしまして政治的な円高方向への為替調整圧力が生じるのではないかという思惑が強まったこと等によりまして、円が急伸をしておるところでございます。今御指摘がございましたように、我が国は八○年代半ばの円高局面以降、前川レポート等も踏まえまして輸出志向型の経済構造の内需主導型への転換を進めてきておりまして、我が国の輸出入は製品輸入比率の上昇や海外直接投資の伸展等によりして、以前の輸出がふえやすく輸入がふえにくいと言われた構造はかなり変化をしてきているものだと見ることができると思います。細かな数字などもございますが、時間がありませんので省きます。
 また、昨年の六月に閣議決定をいたしました生活大国五カ年計画、これにおきましては、国際的に調和のとれた内需主導型の経済構造を定着させるということを政策運営の基本的な方向としてきたところでもございます。また、先般決定をさせていただきました新総合経済対策も、こうした内需主導型経済構造への円滑な移行に資するものである、このように考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、我が国としましては今後とも円相場の動向に注意していくとともに、国際的に調和のとれた対外均衡の達成に向けまして、内需主導型経済成長の定着と市場アクセスの一層の改善、製品輸入の一層の推進など構造調整の推進に継続的な努力を行う必要がある、このように認識をいたしております。まさに、委員からいろいろと具体的な御提案もございましたけれども、そうしたことも踏まえつつ、今後の産業政策、貿易政策につきましても必要に応じたこうした方向での検討をしていかなければならぬ、このように考えておるところでございます。
○和田教美君 政府が去る十三日に決めた新総合経済対策ですけれども、その中で、かねてから通産省が提唱されておった新社会資本整備の考え方が取り入れられております。しかし、ここにあります政府発表のプリントを見てみますと、この項目は「社会資本整備の新たな展開」という表現になっております。政府に先立って自民党が決めた緊急総合景気対策によりますと、これは、「新社会資本整備の新たな展開」ということで「新」という字がついておったと思うんですけれども、政府決定ではこの冒頭の「新」という字が最初から落ちておるわけです。
 何だ、「新」一つ大したことないじゃないかとおっしゃるかもしれません。しかし、三塚政調会長がこのことを大いに不満だとしているというふうな新聞記事もあることでございますから、なぜ「新」が落ちちゃったのか、その辺についてひとつ通産大臣の考え方をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(森喜朗君) この委員会でも御審議の中で私もたびたび発言をさせていただきましたが、今回の新総合経済対策の策定に当たりましては、生産誘発効果が大きくかつ時代時代の要請に合わせた社会資本の整備を進めるべし、こういう観点から従来型の土木中心の公共投資に加えまして学校や病院を初めとする建築関係の社会資本あるいは情報化関連、研究開発関連の設備機器などのいわゆる新社会資本をこれまで以上に整備することを主張してきたところでございます。
 こうした主張は、今回の対策の中で、今御指摘がございましたが「社会資本整備の新たな展開」として独立の項目が加えられたことに加えまして、具体的にも、例えば文教施設や研究開発施設等各種施設の整備費が前回の対策時の二倍以上でございまして、一兆千五百億円が確保されていることなど、十分にこのことが反映されているものと考えております。また、新総合経済対策におきましては、社会資本整備の新たな展開のため、「情報化、高齢化等社会経済情勢の変化や「生活大国五か年計画」に示され将来への展望を踏まえつつ、景気の現状に的確に対応していくという観点から、様々な分野に幅広く投資を行うこと」とされておりまして、これは私の考え方と基本的に一致しておるものであろう、こう認識をいたしております。
 ちょっと御不満なお顔に見えますので、余計なことかもしれませんが、この新しい社会資本ということは党の方でそうお決めをいただきましたけれども、政府部内での調整が最終的にまだその定義づけというのもできませんでしたし、それからこれが大体そういう方向で行くなということになりまして各省ともどんどん相乗りのような形になってまいりますと、本当にこれが新しい社会資本を整備するという項目なんでしょうかというようなことも随分幾つかございました。だからといって、それはもう社会資本じゃありませんよと、そんなことをまた言えるものでもございませんので、このところはもう少し政府部内において今後調整をしていくべきだろうということでございました。
 さはさりながら、今までのような公共事業の中に入っておりますよということでは、これはやはり内外ともに理解をされるわけではありません。ということで、「社会資本整備の新たな展開」と、党の方は「新」が前に来ておりますけれども、政府の方は後の方へ来ておるということは、むしろ後の方が支えになっていいのかなという感じがいたします。しかし、経済対策閣僚会議では、党側と政府側とのやりとりもございましたが、総理がみずから御発言なさいまして、この考え方は非常にいい、非常にいいことをやってくれた、またぜひこれを進めていかなきゃならぬ、このように対策閣僚会議でも総理から御発言があったこともあえて付言をいたしておきます。
 これからいずれ、補正予算をこの国会でお世話になることになると思いますし、そういう国会の論議の中で与野党の皆さんからいろんな御意見を出していただいて一つの形というものも、国会の考え方も出てくるんじゃないだろうか。そして、来年平成六年の予算編成をこの夏には概算要求しなければなりませんから、そのときにはやはり私ども政府・与党としてはきちんとした柱を立てる方向で今後努力すべきだ、このように考えておりまして、またこれから和田委員の後押しもぜひお願いを申し上げたいところでございます。
○和田教美君 念を押すようですけれども、平成六年度予算案の編成、概算要求の話が今出ましたけれども、これはあくまで緊急総合経済対策として出たんだけれども、来年度予算まで縛るというふうなことにはどうも大蔵省は応じなかったというふうなことが新聞に出ていました。
 ですから、通産大臣に確認したいんですけれども、こういう考え方はもちろん平成六年度予算編成においても引き継がれてさらに拡充されていく、こういうふうに考えでいいのかどうか。僕は、基本的には土木系中心の公共投資からもっと設備とか施設などの建築系にシフトしていくという考え方は非常に結構なことだと思うし、基本的にその考え方をずっと支持してきたんですけれども、そういう点からもぜひ来年度予算編成においても、それがいつの間にか行方不明になったというふうなことでは困るので、単なる景気対策だけではないんだということについて御確認を願いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 確かに、今和田委員から御指摘ございましたようにこれは単なる景気浮揚ということの対策だけではなくて、先ほどから申し上げておりますように社会の情勢の変化、国際的ないろんなことなども関連をいたしましていわゆる生活大国の目標に向けて進めていくというやはり大きな意味があるものでございますので、これからもこの考え方はぜひ進めてまいりたいと思っております。
 ただ、よく言われることでございますが、もう土木関係の公共事業は要らなくなったからということではなくて、まだまだ道路も港湾も整備しなきゃならぬことがたくさんありますが、こうしたいわゆる土木事業を中心にした社会資本は五カ年計画がきちっともう定まっているわけでございますから、そこからとってこうやるというふうなことはこれはできるわけではございませんので、これはこれ。
 これに加えて、今委員がおっしゃいましたように新しい社会資本を充実させていくという考え方でございまして、先ほど御答弁の中で申し上げましたようにこれから予算審議の中あるいはまた来年六年の予算編成の中で概算要求の中にもきちっとこのことを要求していきたい。先ほど申し上げたように、まだ政府部内での定義づけがきちんとしておりませんでしたけれども、財政当局と私どもそれぞれ現業政策官庁との交渉等もございましたけれども、経企庁がこの新たな展開ということでまとめていただいたわけでありまして、政府の考え方としてきちんと柱を立ててある、このように私どもは考えております。
 そして、このことは冒頭の委員の御質問にございましたように単に景気対策、生活大国、そのこともございますが、やはり諸外国からの輸入も促進ができ得るそういう市場をつくる、そういうビジネスチャンスを各国に与えるということもこの施策の中に盛り込まれている、このように私は考えておりまして、ぜひこれから政府としても大事な政策上して進めていくべきだ、このように考えておりますので、どうぞこれからまた御支援を賜りたいということを先ほど申し上げたのはそうした意味もあるからでございます。
○和田教美君 それでは貿易保険法改正案に関する質問に入りますが、まず対ロシア支援関連の問題を一、二お聞きいたします。
 G7の閣僚合同会議で宮澤総理大臣が表明されました我が国からの対ロシア二国間支援の追加額は総額十八億二千万ドル。その内訳は、無償分が約三億二千万ドル、有償分が十五億ドルということになっております。しかし、有償分十五億ドルの中で十一億ドルは貿易保険の引き受けということであって、対ロシア支援における貿易保険のウエートというものが非常に大きいということを示しております。
 ところで対ロシア支援、正確に言えば対旧ソ連といいますか、旧ソ連に対する支援の中に貿易保険引き受けを含めたのは九一年の十月、日本政府が決めた総額二十五億ドルの支援というものが主なものでございます。そのときの貿易保険引受額は十八億ドルとなっておりました。
 先ほど午前中の質問で、この内訳について通産省当局は、この中で既に実施されておるのが天然ガス産業九億ドル、それから投資案件十九件、合計十億ドルであと八億ドルぐらい残っておるという話でございましたけれども、しかしもう一つ石油関連の七億ドルというのがあると思うんですね。これは、通産省の話では目下交渉中ということでございます。交渉中だけれども交渉はまとまる余地が全くないのかどうか、それとも大体交渉はまとまるというめどなのか、その辺のところはどうお考えなんですか。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 今和田先生御指摘のとおり、二十五億ドルのうちの十八億ドルが貿易保険でございまして、そのうち天然ガスで七億ドル、これは既に内諾をいたしました。付保いたしておりますのはそのうちの三億ドルでございますけれども、七億ドルはいわば内諾でございますからそういう意味では実施に移っておる、こういうことでございます。そのほかに、あと投資保険案件が十九件ほど細かいのがございます。そのほかにリファイナンスといいまして、商社等が持っております旧ソ連の債務をロシアの銀行にリファイナンスいたしまして、そのうちの一億数千万ドルのところを保険で引き受けた、こういうのがございまして、合わせて十億ドル弱がそういう意味では実施に移っておる、こういうことでございます。
 さらに、今お問い合わせの石油関係でございますが、実はこれも同じく七億ドルという数字でございますけれども、この案件が現在交渉中でございまして、ロスネフテ・ガスという公団を窓口にいたしまして日本のメーカー及び商社と今商談が継続中でございます。それで、これにつきましては、天然ガスと違いましてロシアの石油産業が非常に数多く、三十社から四十社ぐらいを束ねたのがその公団でございまして、それぞれの石油メーカーの必要とする機材、さらにはそれに一体どういう形で返済のための外貨が割り当てられるかといったような非常に細かな作業が今ロシア内部で行われておるという、その点が一点でございます。
 それからもう一点は、そこで契約が結ばれた後どういう形で返済が行われるかという返済スキームでございますが、これについても実はロシア側と今話し合いが行われております。この二点について現在交渉中でございます。
 そういう意味で、特に二点目につきましては、先般、三月の末でございますが、世界銀行を中心に海外に返済資金を預託するというエスクロ勘定を一定の条件のもとに認めよう、こういうことになったわけでございまして、ロシアも賛意を表しておりますので、そういう意味でこれが推進に拍車がかかる一つの要素になるかと思います。
 そういうことで、今ネゴを行っておる最中でございまして、これがまとまれば、先生御指摘のとおり残っております八億ドルの中で七億ドルというのはそれに充当されることになるんではなかろうか、こういう状況でございます。ビジネスのネゴが今続いておりますので、ちょっと見通しは必ずしもはっきりいたしませんけれども、今の第二点目の返済スキームの解決というのが推進の一つの役割を果たすのじゃなかろうか、かように考えておるところでございます。
○和田教美君 そうすると、少し甘いかもしれぬけれども、その残っている全くめどのついていない一億ドルと今回の十一億ドルを足すと十二億ドルということについて、これからいろいろと計画をしていくということになるんだろうと思うんですけれども、今回の追加支援の十一億ドルとこの貿易保険引受枠は主としてどのような契約に向けられることになるのか。つまり、前回と同じように天然ガスあるいは石油、そういうエネルギー関連を中心に対象とするということになるのか、その辺の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、今回の十一億、それに前回の残枠の天然ガス、石油の七億ドルがまとまれば十九億ドル分ぐらいの信用枠があるわけでございます。これの充当の仕方でございますが、今先生御指摘がありましたように我々は基本的にはロシアの再建の重点は、この輸出保険で見ますところはやはりエネルギー産業であろうと考えております。
 そういう意味で、現在のロシアの石油生産というのが急速に生産量が落ちておりまして、ちなみに一九九〇年は一千万バレルの生産があったんでございますが、九二年では七百九十万バレルに落ちておる。さらに、専門家の推計ですと、これが今年度では七百万バレルに落ちてしまうのじゃないか。
 こういったように急速な勢いで生産が落ちておりますので、これを重点的にリハビリいたしまして、外貨獲得の約半分がエネルギー産業でございますから、そこに重点的に支援を行っていって、そこで稼いだ外貨をロシアの再活性化に充当してもらう、それが一番効率的なロシアの再建ではないか、かように我々は考えております。
 しからば、そういうようなプロジェクトがあるかということでございますが、現在我々が集めておる情報では、例えば先ほど申し上げましたロスネフテ・ガスという公団のプロジェクトのほかにルーク・オイルというのがあって、そこもまたこれは一説によると四億ドルという説もあるし七億ドルという説もありますが、いろいろ今そこで計画を立てておって、それについて資機材等の購入を日本及びアメリカその他に打診しておるというプロジェクトもございます。
 さらに、今回のロシア支援に際しましては、我々だけじゃございませんでアメリカそれから欧州の輸出信用機関も同じような問題意識を持っておりまして、よく情報交換をしながら、かつロシアも交えて効率的にこれを進めていくように工夫したい、かように考えておるわけでございます。そういう意味では、よく情報交換をすれば、ロシアの自力によるリハビリというプロジェクト、意欲的なものが出てまいりますれば十分充当していく余地があるんじゃないか、かように私どもは考えておるわけでございます。
○和田教美君 ある新聞社が最近アンケート調査をしたところによりますと、全国の主な企業百社の経営者にロシア支援についての考え方を聞いたところ、ロシアの自助努力が大事で現状では慎重にという消極派が六十九社と最も多く、領土問題と切り離して積極的にとする積極支持派の十六社をはるかに上回っているという結果が出ております。消極派の中には、混乱状態の国を資金的に援助しても効果が期待できないなど、政情不安やいまだに非効率なままの経済システムを理由に挙げるものも目立っているというふうに書いてございます。
 そこが一つの問題だと思うんですけれども、今とりあえずの追加支援の問題については、エネルギー関係ということで外貨を稼げるということをめどとして対象とするということはできるにしましても、将来の問題として、普通の輸出入というふうなものについても民間の商社がどんどん担当して拡大していくというふうな事態を想定した場合に、今のような経営者のマインドでは貿易保険の枠を広げても企業の方のあれがついていかない可能性がないか。そして、いわゆる対ロシア支援というもの、あるいは対ロシア直接投資というものの実績がなかなか上がってこないというふうな事態も予想されるのではないかというふうに思うんですけれども、その点の懸念はございませんか。
○国務大臣(森喜朗君) 今委員から御指摘がございましたとおり、ロシアにおける深刻な政治経済情勢あるいは法制度の不備などがございまして、我が国の企業といたしましてもロシア向け事業活動にはなかなか慎重な態度をとらざるを得ないものと、これは私どももよく理解ができるところです。
 また、このような状況であるからこそ、貿易保険の引き受けによりますリスクテークについても産業界が期待をしておるということも大きいわけでございます。現に、一昨年十月のロシア向けの十八億ドル保険引受枠の設定以降、貿易保険当局には相当数のロシア向け案件について相談が寄せられておりまして、昨年の九月には天然ガス産業向け七億ドルの資機材供給案件について当事者間で与信契約が合意されることになりました。また、十八億ドルの保険引受枠につきましては、現在までに約十億ドルにつきまして保険引き受け、または内諾を実施しております。
 今般設定をいたしました十一億ドルの新規引受枠にいたしましても、十八億ドルの引受枠同様、石油・天然ガス産業向け案件を最重点に引き受けることといたしております。我が国企業もロシアの石油や天然ガス産業向けプロジェクトに大きな関心を有しているものと承知をいたしておりまして、適切な返済保証措置が構築されまして、保険引き受けによるリスクテークが行われることになるならばこれらのプロジェクトの実現も期待できるものと考えておるところでございます。
 ただし、その場合におきましても、御指摘どおり我が国企業によるロシア向けプロジェクトの実現のためには、ロシアにおいて適切な返済保証措置の構築や投資環境の整備を図る等の自助努力が極めて重要と考えておりまして、我が国といたしましても各国と協力しつつロシア側の適切な対応を促してまいりたい、このように考えております。
 もう既に御承知だと思いますけれども、ロシア支援につきましては、いわゆる軍民転換でありますとか中小企業の育成でありますとか原子力安全でありますとか、今世界がやはり一番そのことを求めておるはずでありますし、ロシア自身もまたそのことによって自力を回復していくという案件に通産省としては支援をしていきたい、このように考えておるわけでございます。今委員からいろいろ御指摘がありました、企業側から見ればやはりそういう不安感というものは常に残っておりますけれども、それを除去できるように政府としては万全の環境をつくり上げていくことが重要かと、このように考えております。
○和田教美君 今回の貿易保険法の改正は、発展途上国等への我が国民間企業の資金還流を促進することが目的となっております。このほか、今取り上げました対ロシア支援に当たっての貿易保険の活用ということも、もちろん視野に入っていると思います。
 ところが、近年、発展途上国への累積債務の増大等に伴うカントリーリスクの高まりなどがあって、民間資金還流あるいは長期資本の流出額はかえって減少傾向にあるというふうに聞いております。我が国から発展途上国への資金還流、長期資本の流れの実態はどうなっているのか。どんどん減ってきているのか、もう減り方はとまったのか、その辺のところをひとつ御説明願いたい。
○政府委員(渡辺修君) 御指摘のように、我が国の発展途上国への資金の流れは、大きく分けて政府の開発援助等公的資金と、それから民間の直接投資とか民間金融機関からの貸し付けといういわゆる民間資金と大きく二つに大別できると思います。それで、八〇年代を通じまして公的資金の方は毎年増加いたしてきておるわけでございます。他方、民間資金の方でございますが、御指摘がありましたようにカントリーリスクが非常にきいてまいりまして相当フラクチュエートいたしております。
 若干数字を申し上げますと、八七年には民間の、これはグロスの日本から発展途上国への資金の供給でございますが、百五十億ドルぐらいの資金の流れがございました。それが例のブレイディ・プランによる債務削減等によりまして急速に細りまして、九〇年には六十億ドルぐらいまで大幅に減少したわけでございます。ただ、九一年以降になりましてこれが回復してまいりまして、九一年の実績では百十億ドルまで回復いたしておりますけれども、八〇年代後半の例えば百四十とか百五十とかといったような水準にまではまだ戻っていないというのが現状でございます。
 ということで、発展途上国は御承知のように国内蓄積が不十分でございますものですから、これら諸国に向けての円滑な資金の還流が行われなければ、発展途上国の経済発展、工業化、ポテンシャルを伸ばすということは難しいわけでございます。そういう意味で、今回の我々の民間資金の還流というものが非常に重要な政策課題になるんではないか、かように考えておるわけでございます。
○和田教美君 そういう状況だけに、森通産大臣の先ほども取り上げられました資金還流計画というのは非常に重要だと思うし、ひとつ思い切った計画を確立をしていただきたい、こう思います。
 そこで、次の問題ですけれども、海外投資保険が適用された大型プロジェクトの一つとしてIJPCの事故がございます。
 IJPCについては、保険対象額が千六百六十二億円だったと思いますけれども、これに対して実際に保険金として支払われたのは七百七十億円だったというふうに聞いております。しかも、査定にかなりの時間がかかったということが一つの特徴ではないかというふうに思うんですが、どのように査定が行われて、なぜそういうふうに長期間を要したのか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(白川進君) ただいま先生御指摘のとおり、IJPCのプロジェクトにつきましては保険契約上の保険金額、これは千六百六十二億円でございました。それで、被保険者からは九百三十一億円の保険金請求が私どもの方に寄せられました。この請求につきまして、貿易保険関係の法令あるいは被保険者の約款などに基づき、公正かつ厳正に査定を私どもとしては行いまして、その結果、今お話しのありました七百七十七億円という金額を保険金として支払ったわけでございます。
 その査定の仕方でございますけれども、あくまで公正かつ厳正な査定を確保する必要があるという見地から、現地の被害状況、これが公正かつ厳正な査定のキーファクターでございますので、これを専門機関に委託いたしまして、現地におきます実地の調査を行っていただいた次第でございます。それによりまして、被害状況の的確な把握を行うというのが第一点。
 それから第二点は、法律、政令その他専門事項の各面に照らして公正さかつ厳正さを確保するという意味で、各般の分野の有識者から成る査定委員会というのを設けまして、そこで審議をお願いした次第でございます。
 そういうプロセスを経まして、査定額七百七十七億円という保険金をセットいたしまして支払った次第でございますが、確かに長時間、請求から支払いまでにかかったことは事実でございます。これは、イラン・イラク戦争という非常に異常な状態のもとで発生した保険事故でございまして、その複雑な状況を現地で現実の被害状況の調査を実施する、あるいは今申し上げました各方面の有識者の公正な査定審議を行っていただくというような所要の手続をそれぞれ手順よく踏んでいったということから、一定の期間がかかり、被保険者が一定期間待つという状態が出てまいったものでございます。
○和田教美君 今のIJPCの査定の経過から見ましても、今回の改正案ではこの査定方法の簡素化ということが出ておるわけですけれども、この教訓をもっと生かしていかなきゃいかぬと思います。
 それで、具体的に査定の簡素化というのはどういうことなのか。それの説明をしていただきたいのと、なかなか通産省だけでこれを全部やるといっても大変な仕事ですから、その審査体制を補う意味で、例えば貿易保険機構などいわゆる外部能力といいますか、そういうものも大いに利用したらいいと思うんですね。その辺についての通産省の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(白川進君) 今回、新しく御提案申し上げている海外事業資金貸付保険でございますが、これにつきましては従来は海外投資保険の一形態として付保いたしておりましたので、今私が御説明申し上げましたIJPCと同様、従来の制度のもとで現地で事故が起こった場合には、その事故の前と後の資産状況の変化というものをやはり現地で調べ、かつ各方面の専門家から厳正な査定をする必要があったわけでございます。今回は、経営支配権を持たない海外事業体に対するアンタイドの事業資金貸し付けということでございますので、そういった資産の価値の変動ということではなくて、現に貸し付けたお金が返済期日に返ってこなかった。それに伴いますところの損害額、これをそのまま保険の対象といたしまして、損害が生じた場合は、その実損額に対して保険金を支払うという仕組みを導入しようとしているところでございます。
 したがいまして、この場合には、そういった支払いが行われなかったということを証する書面は必要でございますけれども、従来の海外投資保険のような現地に行っての損害、被害の調査といったような手続は不要と相なりますので、その分査定の仕方は簡素化され、かつ所要の期間も短縮されるということでございます。
 なお、そういった査定のあり方、審査体制でございますけれども、昨年十二月の貿易保険審議会でも、先生今御指摘のとおり外部の専門機関、例えば貿易保険機構のようなところに専門的な能力を蓄積させて大いにそれを活用していくべきだという御提案をいただいているところでございます。これまでもできる限りの活用を図ってきたつもりでございますけれども、さらにいろんな分野で可能な限りそういった外部の能力を活用してまいりたいと考えているところでございます。
○和田教美君 時間もなくなってきましたから簡単にお願いしたいんですけれども、貿易保険を運営するための貿易保険特別会計にかなりの額のリスケ債権がある、こういうふうに先ほどもおっしゃっておりましたけれども、この累積赤字というかリスケ債権の累積というのは大体どのくらいになっているのか。それをお聞かせ願いたいのと、資金運用部資金からの借入金、これはどのくらいの額になっておるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 簡単にお答え申し上げます。
 リスケ債権の残高ですが、ここ数年一千億円から二千億円程度毎年増えておりまして、平成三年度は一兆二千億円を超える水準に達しておるところでございます。これが恐らくピークだろうと思います。その後平成四年度におきましては、この増加傾向に歯どめがかかりまして、やや微減の状態になっております。
 それから、運用部資金からの特別会計の借り入れでございますが、平成三年度でおよそ六千七百億円くらいの借り入れということでございます。
○和田教美君 リスケ債権の累計はどのくらいですか。
○政府委員(渡辺修君) リスケ債権の債権残高でございますが、一兆二千億というのが平成三年度の債権の残高でございます。
 それで、実は現在これだけ累積いたしましたリスケ債権残高というのは、もう先生御承知のとおり八〇年代末からの三十数カ国に及ぶリスケに伴います残高でございます。しかしながら、これも発展途上国の債務累積がほぼピークを過ぎたということが現在世銀も含めました関係者の共通の認識でございますので、これからリスケに基づきます支払いというのは順々にピークを過ぎて落ちてくる、こういうのが我々の見通してございます。
○和田教美君 もう時間がなくなりましたので最後の質問ですけれども、貿易保険の収支が平成四年度は大体黒字になりそうだというさっき答弁がございました。新聞の報道によりますと、これは十一年ぶりのことだということで非常に結構なことだと思います。
 しかし、この黒字は先ほどの説明だと、ブラジルだとかアルゼンチンから過去に繰り延べたリスケ債権などの回収をめぐる交渉が成立したことによって回収金が合計で一千百億円入ってきた、こういうふうなことが主な原因だというふうに聞こえました。したがって、これは見方によっては単年度だけの特殊要因の黒字であって、今問題になっております旧ソ連諸国の債務繰り延べの拡大による保険金の支払い増加とか、あるいは対ロシア支援でまたどういう債務の繰り延べが必要になるかもしれないという不安定要因を考えると、これは一時的なことであって、今後また赤字が続くあるいはふえるんじゃないかという懸念も当然持たれるわけでございますけれども、その辺の見通し、それからそれをしないための対策、そういうことをひとつ通産省にお答えを願って私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 貿易保険特別会計に対して大変御心配をいただきまして、我々も今後の運用については十分気をつけなきゃいかぬと思っておりますが、御質問の点、つまりことしのフローで黒字になったというのはブラジルのリスケ債権の回収が思い切って進んだという一時的要因じゃないか、こういう御指摘でございます。そういう面は確かにございます。実は、毎年数百億だったのが、ことしは倍ぐらいの六百億という非常に大きな数字が回収されましたものですから、それで黒になったという面はおっしゃるとおりでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、リスケに伴います保険金支払いというのは既にピークを過ぎております。そういう意味で、これから着実に毎年毎年の保険金支払いは減っていくと思われます。
 それに対しまして平成五年度につきましては、今御指摘ありましたようにロシア向けのリスケが新たに今度起こるものでございますから、これで七百五十億円という相当のリスケが見込まれまして、その意味においては平成五年度というのはそれのちょっとイレギュラー要素がございます。このソ連のリスケも今の見通しですとその翌年には急速に減ることになっておりまして、トータルのリスケに伴う保険金支払いというのは着実に減っていくだろうというのが一つでございます。
 もう一つの要素は、ブラジルにつきましては、平成四年度のような大きな回収はございませんけれども、今の予定ではブラジルも既にピークを過ぎております。今後着実に数百億円の回収はふえるだろうと思っております。
 そういった保険金支払いが減少すること、それからリスケ債権その他の回収についても今後着実な回収実績を上げていけるであろう。この二つを考えまして、我々といたしましては、胸突き八丁であった平成元年から平成三年までというのは過ぎた。あとロシア支援の問題もございます。平成五年度は一つイレギュラーはありますけれども、それ以降我々は着実に対処し得るんではないか、かような見通しを持っておるわけでございます。
○古川太三郎君 この法律の大義名分は、資金の還流だということが言われております。確かに、途上国に対しての資金の還流というのは非常に大事なことではございます。しかし、お金というのは利益があるところに回っていくもので、わざわざ国が大きなリスクを背負いながらお金を強制的に、強制的にと言ったら語弊がありますけれども回さなきゃならぬ、その意味がいま一つわからない。
 私は森大臣にお聞きしたいんですけれども、今までの五年間で六百五十億ドルの資金還流、これを達成された。今度はまた新たに一千億ドル以上の資金還流をなされていく。その一環としてこの保険があるんだろうと思いますけれども、その中身といいますと民間の資金、その還流に相当ウエートを置いていらっしゃる。民間資金というのは出ていっても何年かすればそれは回収される、あるいはそれ以上の利益を持って回収されてくる、こういう性質のお金だと思うんですね。ODAで贈与の部分とかそういったものなら別ですけれども、民間資金というのはただ行くものじゃなくて、必ず逆還流してくる。ということは、このことを余り強調し過ぎることは、世界の貢献だとかいうような意味ではないんじゃないか、そこら辺の疑問を持つものなんです。
 これは外国から見れば、貿易黒字対策の柱の一つだと。日本は正々堂々とやらないでこういったことでごまかすんじゃないか、こう思われては大変我々としても心外なものですから、そこらあたりの森大臣の資金還流の意味、こういったことを篤と御説明いただきたい、こう思っているんですが。
○国務大臣(森喜朗君) 篤と説明するということは、なかなか御理解をいただけるかわかりませんが、もし足らざるところは専門家の方にお尋ねをいただきたいと思います。
 私は、こうした経済行為というのは、貿易であれ国内であれ、やはりこれは経済行為を営むことによって社会に対して貢献をしていくということだろうと思うんです。車をつくって売ること、電気製品を売ることは確かに営業利益を上げることですけれども、そのことによって快適な社会生活や文化生活を営めるようにするということも社会に対する貢献だろうと思います。
 ましてこれが国際的な貿易ということになったりいたしますと、これは無理やりにためようと思ってためているわけじゃありませんが、やはりこうたまってくればそれは自然な形で流れていくということでなければいかぬと思います。民間の場合は絶えずリスクというのがありますから、本来は自然に流れていかなければならない、還流すべきものが、先ほどから御議論がいろいろ出ておりますように政府なりいろんな形である程度リスクをしっかり担保してあげるということでないと還流していかないだろうというふうに、私はこれは極めて素人っぽい説明で申し上げれば基本的にはそういうことだろう、こう思うんです。
 たびたび申し上げて大変恐縮でございますけれども、世界経済におきましてこういう枢要な地位を国民の全体の力で築き上げたわけです。その一つの形としてのあらわれとして大幅な経常黒字を有しているわけですから、その我が国としましては、内需拡大あるいは輸入促進をまずやることが大前提でございますけれども、さらには同じような形で発展途上国に対して円滑な資金の流れを確保することによって国際貢献を果たしていくこともまた極めて重要なことだというふうに考えておるところでございます。
 このため新たな資金還流策の検討を今提唱しておるわけでございますが、総理からの指示もございましたし、先般の日米首脳会談でも日本の考え方を米国に総理からお話もしていただいておるわけでございまして、今関係省庁で検討を進めておるところでございます。
 黒字が我が国にとって不可欠といった、かつて黒字有用論というのがございました。これは恐らく、古川委員もそのことをおっしゃっておられるんだろうと思います。その黒字有用論については、当時の新聞を見てみますとアメリカ側からまたそれに対して非難が出たと。新聞の題字だけで見てみましてもかなりドラスチックな刺激的な題字ですが、「世界的資金需要のために貯金を」というふうなのが当時の新聞に出ております。黒字有用論を打ち出すということに対してアメリカの財務長官が黒字有用論を批判という、これは九〇年の五月でございまして、当時こういうこともございました。そうしたことなどを恐らく委員は念頭に置きながら今のような御質問をされたものだろうと思っております。
 したがって、資金還流の促進がいわゆる黒字の有用論に結びついて受け取られることのないように、これは諸外国への説明に当たっては十分に留意して進めていかなければならぬということもまた大事なことではないかというふうに考えておるところでございます。
○古川太三郎君 機関車論とかいうのが昔はありました。アメリカが機関車になって引っ張らなきゃだめだと。日本もまた黒字がなければこういう還流もできないよというような、その傲慢な部分はやはりよくないだろう、こう思っております。
 とにかく、先ほども申しましたが、お金というのは利益を追求するために回り回るんですが、それが経済活動なんで、私はほっておいてもある意味ではいくだろう。確かに、カントリーリスクはある部分があるでしょう。そういった面については、これは事業家としてもなかなか予期できない部分もあるでしょうし、無理もないなという部分もあるんです。非常危険ですか、この場合は別としましても、信用危険の保険も同じように高率で補てんするということについてはいかがなものか。これは、やはり事業としてそれだけの目安があってするのが事業家なんで、それを国の懐を当てにしてリスクを回避すると、こう言っちゃ身もふたもないんですけれども、そういうようにもとられかねない、そういう意味から信用保険についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 先生御指摘のように、民間資金というのは、利潤を追求して投資対象を求めて出ていくわけでございます。それで、出ていく限りにおいてそこでプロフィットを得てまだ次の目的のために動いていくと、こういうのが本来の性格だというのは全く御指摘のとおりだろうと思います。
 今回、我々がこういう貿易保険法を改正してやろうとしておりますのは、現下の経済情勢のもとで、商社とか日本の金融機関というのはバブル崩壊後のこういう大変な情勢で、そういったプロフィット追求のために出ていく腰が非常に重くなっております。かつまた、発展途上国にはカントリーリスクがあって通常の考え方ではなかなか出ていかない、こういうところを何とかプッシュできないかということで、重い腰を上げられないかということで、カントリーリスクの一部を国がリスクテーキングする度合いを少し強めようというのが今回の目的であるわけでございます。
 ただ、この目的というのは、今先生御指摘ありましたようにいわゆる非常危険という、つまり当該事業者ではどうしようもない相手の国の戦争だとかあるいは送金停止だとか、そういったような事故に伴いますポリティカルなリスク、保険事故というのをカバーしてやろうという趣旨でございます。個別の相手国の商売との関係での信用危険という点につきましては、これについてはプロジェクトごとに被保険者と我々との間で十分話し合って、リスクテーキングについては非常危険の場合とは明らかに性格が異なっております。
 先生御指摘がありましたように十分慎重な対応で臨んでいきたい、こういうふうに考えております。この答申におきましても、信用危険についてはプロジェクトファイナンスの専門家である国際金融公社とか、そういったようなところと協調プロジェクトをとるなり情報交換をするなりして、そこの点については十分慎重に保険当局も対処すべし、こういう指摘もございます。そういうことで、御指摘のような意見も十分踏まえまして慎重に運用させていただきたいと思います。
○古川太三郎君 いずれにしても、この法案の貿易保険というのは、確かにお金は世界に還流して回っていく。しかしまた逆に、民間であれば日本にまた返ってくる性格のものであるだけに、これが黒字減らしたと、それは一時的なものであって行く行くは非常に大きなものでまた返ってくる。
 今商社に行っている友達の話をちょっと思い出したんですが、バングラデシュで食用ガエルがたくさんいたもんですから、そこでうんと食用ガエルをとった。それを日本に送ると非常に高い値段で売れた。そこの一帯の農家の人は、子供まで集めて食用ガエルをとってしまった。日本はグルメの時代でしたから、食用ガエルを非常に高く買った。今度は、食用ガエルがいなくなってしまったもんですから、害虫が物すごく発生した。その害虫を今度殺すのに日本が防虫剤を売りつけたと。だから、金持ちというのは黙っておってももうかるようなサイクルになるわけなんですね。これは一つの例ですよ。
 そういうことは、資金の還流だといいながら、途上国にまいてもそのお金がまた日本に黙って戻ってくる。これを繰り返すと世界からも非常におかしな目で見られるし、やはりこういったことは経済の原則であって、世界の貢献だとかそういったことは言わない方がいいんじゃないかなという気持ちで私はおるんですけれども、その点についてちょっとだけ意見を聞かせていただければと思います。
○政府委員(渡辺修君) 極めて具体的な例示での御質問でございましたが、我々は今回の貿易保険法を改正いたしますときにも、あくまでこれを主体的にやろうとするのは民間企業であるという原則は十分守ったつもりでございます。海外事業資金貸付保険のてん補率を引き上げるときにおきましても、それがいたずらに国の付保を多くすることによって本来リスクを負うべき民間企業の活動というのを阻害するようなことがあってはいけないしというようなことも考えまして、これは原則九五%にし、特別な産業、相手国の輸入代替産業を育てるとか特別な場合に限って九七・五%にする、こういうことにしたわけでございます。
 その点におきましては、諸外国の輸出信用機関のアンタイの融資保険に対する付保率というのは、アメリカのOPICというような信用機関は一〇〇%まで見るというようなことに、特にポリティカルリスクでございますけれども、そういうところまでやっておるわけでございますから、そういうことから比べるとなお我々は極めて慎重にリザーブしながら民間とのリスクテーキングを考えながらやった、こういうことでございます。
 ただ、もう一つ、国際貢献と、余りそういうことは言わない方がいいんじゃないかという御指摘でございます。
 現在、発展途上国というのは八○年代後半のいわゆる累積債務問題で国際収支がもう動かなくなっていて、そこにとにかく国際収支を補てんするためにお金が欲しいというああいう時代を脱しまして、特にアジアとかあるいは中近東とか、それから中南米も最近そうでございますけれども、彼らは着実に今工業化の道を歩んでおります。
 工業化の道を歩むについて、彼らは従来国営でやっておりました企業が民営化いたしました。当然我々はその株式を持っておりませんから非支配法人でございますけれども、民営化をいたしますからそこが資金需要が非常に必要だということで、先般のASEANを訪問しました経団連ミッションに対しても非常にこれを強く要望しておったようでございますし、一月の総理の訪ASEANにおいてもASEAN諸国から非常に強くそういう要望が出されたわけでございます。
 そういう国の資金ニーズにこたえてソフトなローンでお金が出ていく、それがうまく出ていくように国としても少しお手伝いをしよう。こういうことは私は非常に時宜を得たことであり、発展途上国が非常に喜ぶことでございますから、これは広い意味で国際貢献と言えるんではなかろうか、こういうふうに位置づけておるわけでございます。
○古川太三郎君 これは物の例えで大変恐縮ですけれども、金持ちからお金を借りる場合には、貸す方としてはお前に貸してやるんだぞと、こういうような非常に傲慢な態度に出ますね。それを、今の話からしますと国際貢献だよ、お前に貢献してやっているんだよと。これではやっぱり今度返すときにはその分は本当に債権者を憎く思うわけなんで、本当に恥をかかさないでさっと貸してくれた人には今度どんなことがあっても返さなきゃならぬというような恩というものがそこには発生するんで、貸してやるよとかいうようなことでは国際貢献から外れるんじゃないか。
 そこで、本来ならば貿易保険というのは収入と支出がきっちりバランスがとれたものでなければならない、それが一つの目的だと私は思うんです。それが事故が起きて保険金を支払わなきゃならぬ、そういうことで非常に赤字になる。赤字になるというよりも回収が不能になるというようなときに、先ほどからも出ておりましたODAに転化する、そういう保険の出口の部分でODAに変わっていく、このシステムはそれ自体私は悪いとは思わないので、先ほどからも言っているようにそうあるべきだろうと思います。
 しかし、初めからショートした場合にはODAの予算で使えるんだとか、そういったことを頭に入れてこの保険の仕事をした場合に非常に雑になっていきますね。そういうことの利益はだれが受けるかといったら、やはりそれを使った銀行だとか大きな会社だけが丸々太ってくる。これじゃせっかく国のお金を使ってやる意味が非常に薄いだろうと思うので、出口のODAに変わる部分にどういうような発想をお持ちなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 貿易保険の企業運営に関する基本的なフィロソフィー、先生の御意見の御披瀝でございまして、御指摘は全く我々が今収支相償という一つの考え方のもとに取り組んでおる考え方と違わない、私はかように思っておるわけでございます。
 ただ、そういうことで非常に慎重な運営をしながらも付保をいたしますけれども、いたしました後、例えば八〇年代末に見られたような累積債務問題がこれは坂を滑り落ちるように起こりまして、だれもが予想しなかった、つまり日本だけじゃなくて世界じゅうの輸出信用機関が同じことでそこのリスケをしあるいは債務削減をする、こういうことにならざるを得ないようなそういう事態が出てきたわけでございます。
 それに対しまして、最貧国に対しますようなあるいはポーランド、エジプトに対しますような債務の削減という、これはめったにやることじゃございませんけれども、高度な政治的判断で債務の削減をしました。したがって、本来回収すべき義務というのを免除してもうお金は返ってこなくなります。
 それはまさに経済協力という観点からそういうことをやるんですというのは、これはあくまで事後的に決まるわけでございます。そうなったものに対しては、世界じゅう共通の認識としてこれはODAで見ようではないかという、債務削減という異常な事態が起こった後に事後的にそういうふうな考え方を導入するわけでございますので、決して我々はあらかじめそういうことをビルトインした上で運営しているというのでは毛頭ございません。そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。
○古川太三郎君 じゃ、最後に。海外投資保険の前の限度額が六千二百億ですね。今度は三千百億円予算化されております。六千二百億の予算化をされながら平成元年は三百五十四億、二年は一千億、三年は八百億、大体予算の本当に五分の一もお使いになってない、そういうことで今度三千百億という予算化をされた、その間に本当に埋められるのかどうか。余り引受額の差額が大き過ぎるので、その点についてお伺いして終わりたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 御指摘のように、投資保険につきましては、予算総則で投資保険の付保限度額を設けますときにおっしゃるような数字を計上いたしました。ただ、投資というのはそのときそのときの情勢に応じてケース・バイ・ケースで、あるときは急速に起こりあるときは必ずしも投資が進まないということもございまして、おっしゃるようなはるかに下回る水準で推移したことは事実でございます。この投資保険も、平成四年度には二千億円に近くなるぐらいに伸びてきております。そういう意味で着実に伸びていくと思っております。
 他方、今回の海外事業資金貸付保険でございますが、これにつきましては実は正直申し上げまして、初めての保険設営でございますから果たしてどれだけの民間からの申請が出てくるか、それによってどれだけ返済資金その他から見て大丈夫だと思って付保できるかということはこれはやってみなきゃわからないという意味で、定量的に正確には申し上げにくいところはございます。
 ただ、我々の考え方としては、平成五年度に大体起こるであろうと思うノンシェアホルダー向けの融資でございますが、これを発展途上国向け及び先進国向けに計算をいたしましてトータルの数字を把握いたしまして、それのうちの一定比率、これも最初でございますからわかりませんけれども、そのうちの今までの経験則に基づいて一定比率がこれに付保を申請してくることがあるんじゃないか、こういう前提のもとに計算して計上いたしたものが三千百億円ということになっておるわけでございます。
 したがって、我々それなりの積算を持っておりますけれども、何度も申し上げますが最初のことでございますし、恐らくこの法律運営を実施いたしました後、しばらくの間は申請者側も我々の方も非常に慎重な態度で動くだろうと思いますので、いきなり三千百億円の限度までいくかどうかという点については我々必ずしも自信はないわけでございます。
 ただ、何度も申し上げますが、既に銀行、商社から相当な相談案件が我々に来始めております。それからASEAN諸国を初めとして、相当彼らからも資金需要及び期待の熱いまなざしが我々に寄せられておりますので、それ相応のニーズはあってこれが流れていくんではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○古川太三郎君 終わります。
○市川正一君 今回の改正案について、今古川委員からも疑問が提示されましたが、貿易黒字に対する国際的な批判をかわすために、九二年度の貿易収支が千百十三億ドル、史上初めて一千億ドルを超える黒字となったそういう貿易黒字を海外に還流させる、特に発展途上国向け資金を還流させることと、発展途上国等に対する事業資金の貸し付けや出資が発展途上国の累積債務の増大などのカントリーリスクの高まりの中で海外投資が減少している、この二つの理由で海外事業資金貸付保険新設というのが主な点であるという問題認識を私は持って、以下質問をいたします。
 最初に伺いたいのは、貿易保険の利用状況についてでありますが、貿易保険を利用している中小企業の比率は件数・金額ベースでどのぐらいになるのか伺いたい。
○政府委員(白川進君) 貿易保険の中小企業者による利用状況についてのお尋ねでございますが、厳密な意味での中小企業基本法に定義されるところの中小企業者の利用状況というデータを実は十分把握いたしておりませんので、ほぼそれに近似するという意味で私どもの手元にある中小規模の事業者の利用状況、つまり製造業では十億円以下、商業では三億円以下、これは資本金でございますが……
○市川正一君 それで結構です。だから数字だけ言ってください。
○政府委員(白川進君) わかりました。
 これの平成三年度の利用状況は件数ベースで一七・六%、金額ベースで二・六%でございます。
○市川正一君 実は私は、八七年の改正時にも質問いたしました。そのときには、八五年の中小企業の今の区切りで結構なんですが、保険利用率は件数で二九・四%、保険金額で六・四%でした。ということは、この六年間で件数において一一・八%、金額において三・八%減少したことになります。この中小企業は、今答弁にありましたように資本金十億円以下でありますから、貿易保険の利用者のほとんどが大企業、大銀行、大商社ということであり、結局はこれら大企業の輸出入や海外投資のリスクを保証し支援するものになっていると言わなければなりません。
 さらに伺いますが、通産省資料によりますと、引き受け保険価格は、日本が輸出総額のほぼ五割強に当たる半分に近い二十二兆です。フランスはというと五兆円です。イギリスはというと四兆一千億円、アメリカは七千四百億円。日本の利用額がダントツに多いんです。他方、保険料を見ると、日本は引き受け保険価格の〇・一六%、アメリカが〇・五四%、イギリスが一・○二%、フランスが一・一三%、ドイツが二・七五%と、日本の貿易保険の保険料が一審低いんですが、この数字に間違いありませんですね。
○政府委員(白川進君) ただいま先生が引用されました数字、これは保険料収入を総引き受け保険価格で割った数字として、かかる資料がベルン・ユニオンで試算されたということは、私ども承知をいたしております。
○市川正一君 承知しているならば、それで話を進めます。要するに、我が国大企業の貿易海外投資がほかの先進諸国と比べていかに優遇されているかをこれは示しております、事実で、数字で。
 次に伺いたいのは、貿易保険特別会計の赤字累計は八一年度から八六年度の六年間で二千七百二十二億円、八七年度から九一年度の五年間で五千六百七十五億円と、二倍以上に赤字がふえております。
 ところが、収支差が赤字にもかかわらず、保険料率の推移を見ますと、金額ベースで全体の四七・六五%を占める普通輸出保険では、八七年度が〇・一三三八%だったのが九一年度には〇・一一六六%になりました。また、五〇・九八%を占める輸出代金保険では、〇・四八八九%だったのが〇・一五六八%と、逆に保険料が下がっておるんです。これは、貿易保険法第一条の四において、先ほども与党議員から指摘がありましたが「保険料率は、この法律による政府の保険事業の収入が支出を償うようにこと規定しております収支相償の原則に反するんじゃないんですか、いかがですか。
○政府委員(白川進君) 先生、いろいろ数字で御指摘いただきましたが、いずれも保険料収入を引き受けた保険の価格全体で割った数字をもとにいろんな御指摘をちょうだいしたと思います。先生も御理解いただいていると思いますけれども、こういった数字で議論をします場合に、それぞれの保険種の構成といいますか構造が捨象されて数字が出てくるという嫌いがあることをちょっと私、御指摘申し上げたいと思います。
 例えば、先ほど委員の方から、世界で一番低いとおっしゃいましたけれども、これにつきましては、日本は他国に比べて短期の案件の割合が大きい、短期の割合が大きいということはそれだけリスクが低いということでございますので、相対的に保険料が割安になる。それから包括保険の利用率、これも我が国が九八%に対して他国が六、七割ということで、包括保険ですとこれは自動的に先進国向けも付保されますから、やはり保険料が相対的に割安になるわけです。そういった構造面の違い、ウエートの違いというものが、日本についてはリスクの度合いに応じて相対的に保険料が割安になるという部分を引き受ける割合が多いために、そういった数字になっておるわけでございます。
 そういったリスクもカウントした上での相対比較というのもOECD輸出信用保証会合の事務局でやっておりますけれども、それは同じようなケースについて複数の事例で各国を比較した結果の推定では、我が国の保険料はおおむね平均的な水準、ないしはそれよりやや低いかというのが九一年の計算の結果として出ております。
 ただ、その後平均三割の保険料の引き上げをさしていただいておりますので、それをカウントいたしますと、おおむね我が国の保険料の水準は、リスクの度合いもカウントいたしますと諸外国のうちで平均的な水準と言えるのではないかと私どもは考えております。
○市川正一君 各国ともいろんなファクターを加味して計算したデータです。その答えが出ているんです。だから、あなたはさすがに日本が一番低いとか、一番安いとか、よう言わんじゃないの。
 それで聞きますけれども、この保険料は下げているんでしょう、上げたんじゃないでしょう、その点だけ最終的に聞かしてください。
○政府委員(白川進君) 一番直近で申しますと、昨年の四月に平均三割の引き上げをいたしております。
○市川正一君 年々推移して、トータル的には引き下げているじゃないですか。直近のときに上げた、そんなこと、私聞いておれへんがな。
 そこで聞きますが、貿易保険特別会計の赤字に相当する長期借り入れは、九三年度に八千三百六十億円の予算計上がされております。間違いないですね。この借入金の利払いがことしは三百八十億円です。実に、九一年度の保険料収入にほぼ匹敵する額です。通産省は、これはリスケの赤字を補てんするためにやる、こう言って八七年度から九三年度の七年間に二千百三十二億七千二百万円の資本繰り入れを行っておりますが、結局、今指摘しましたように本来貿易保険は収支相償が原則であります。渡辺さんも朝から、原則や原則やと、こう繰り返されている。とすれば、掛金を引き下げるんじゃなしに、むしろ保険料を引き上げてしかるべきじゃないんですか。
○政府委員(渡辺修君) 幾つか先生お尋ねになりました。簡単に申し上げます。
 まず、保険料でございますが、これは過去から常に貿易保険の収支を考えながら昭和五十九年に五〇%引き上げ、平成元年四〇%引き上げ、平成四年三〇%引き上げという値上げをいたしてきております。したがって、保険料の絶対水準は着実に上がってきておるということでございます。先生、御指摘の数字は、全体の保険価格、トータルに占める保険料収入のウエートでございます。
 我々は貿易保険特会の収支を改善するために、極めて広範な包括保険を自動車業界以下にお願いいたしまして、本来ならばそれほどリスクがないところにも思い切って保険を付保していただいております。そういうことで、実質的に保険料収入を相当上げる努力をいたしてきております。それが今当方から、白川審議官から申し上げました包括保険のウエートが大きいこと、さらに短期保険のウエートが大きいことと、そういうことで収支改善を図ってきております。
 その結果として、分母をトータルの保険価格にいたしますと、今先生がおっしゃっているように保険料収入比率は下がってまいりますけれども、我々が申し上げているのは、保険特会の収支改善のために保険料は確実に値上げをしておる。かつまた、包括保険を広めることによって収入を上げることが結果的に先生が今言っているような比率になった。これが一点でございます。
 もう一点は、貿易保険特会でございますが、収支相償の原則で実は八〇年代の中ごろまでは工夫をしながらやってまいったわけでございますが、何度も申し上げておりますけれども、だれもが予想できなかった債務累積によりまして三十数カ国を超えるリスケを行うことにならざるを得なかった。そのうち、さらに三つのケースについては大幅な債務削減をやらなければいけなかった。これは我が保険特会だけではございませんで、世界じゅうの輸出信用機関みんなが共通にかぶっておることでございます。
 そういう状況のもとに昭和六十二年から平成三年ぐらいまでこれは大変な胸突き八丁だったわけでございますが、その間、先ほど先生御指摘があったように、保険特別会計は運用部資金から思い切った借り入れを行って賄ってきた、こういうことでございます。既にもう胸突き八丁は越えたと我々は考えておりますので、先ほど来申し上げました保険料の引き上げ、さらに回収金の増加、それら全体をひっくるめましてこれからは堅実な経営の方向に向かって進んでいけるのではないかと思っておる次第でございます。
○市川正一君 私が提起した普通輸出保険における保険料の比重また輸出代金保険における保険料の比重という、コンマ以下四けたまで示したこの数字は根拠がないという数字なんですか。どうなんですか。
○政府委員(白川進君) 普通輸出保険にかかわる保険料を普通輸出保険で引き受けた保険価格で割った数字としては、先ほど先生が御指摘になったとおりの数字でございます。
○市川正一君 下がっているんですよ。あなた方の分母の関係は、電気とか自動車が入ってきたから分母はなるほどふえているでしょう。だから、そういう意味では、結局保険料というのは上がっているんじゃなしに下がっておるんですよ。そこはやっぱり事実に基づいてひとつはっきりしました。
 前へ進みます。現行の海外投資保険の非常危険のてん補率が九〇%、また信用危険のてん補率が四〇%、今回の改正によってさらに優遇措置がとられることになりました。これについて八六年十二月の輸出保険審議会答申は、ここに持ってまいりましたが、「海外投資保険の信用危険のてん補対象投資の拡大のように、諸外国に例をみないものもある」、こう述べているんです。御承知だと思います。六ぺ−ジです。いわば異例の優遇措置であるということを認めているんです。この優遇措置では、銀行、商社などの民間資金が還流しないための法改正ということでありますが、利潤確保の目的の企業投資のリスクが非常危険で二・五%から五%、投資先企業の倒産などの信用危険でリスクが一〇%、ここまで優遇措置を実施しなければ民間資金は発展途上国などへ還流しないんでしょうか。これでは私は企業のリスクはほとんどないに等しいと言わざるを得ぬと思うんですが、いかがですか。
 続いて、時間を節約するために私はあわせて聞きます。
 世界銀行の去年十二月の世界債務報告では、発展途上国向けの融資が減少しているのは日本だけです。日本の民間銀行は株価の下落でBIS、自己資本比率の達成が危ないことから、発展途上国向け新規貸し付けを抑制したり海外資産を引き揚げたんです。銀行などの海外投資に貿易保険が使用できれば、BIS規制での自己資本比率を下げずにてん補率九七・五%が使えるならばほとんどリスクなしで途上国融資ができることに相なります。そうなれば、リスクがないために十分吟味なしで案件が持ち込まれることになるんじゃないですか。
 先ほど紹介しました去年十二月の貿易保険審議会の答申でも、「民間企業の自主的な判断に基づく民間資金還流の趣旨に鑑み、モラル・ハザードを惹起しないように」、これは言うまでもなく保険に入り損害に無関心になる危険性でありますが、「惹起しないように全体として被保険者との適切なリスク負担を図るべきである。」、こう指摘しておりますが、そういうことにならない保証はあるのか。
 結局私が言いたいのは、今度の措置によって貿易保険の赤字をさらにもっと拡大させることに結果としてなるという危険を私は率直に指摘せざるを得ないんですが、その結論部分についていかがでしょうか。
○政府委員(白川進君) まず第一に、先生今御指摘のありましたモラル・ハザードを引き起こしてはならないということは、御指摘のとおり昨年十二月の貿易保険審議会の報告に指摘されているところでございます。そういった観点も含めていろいろ各方面の御専門の方に御議論いただいた結果、今度の御提案申し上げております海外事業資金貸付保険のてん補率の上限、これはおおむね従来の輸出代金保険も参考としながら決めるのが適当という御意見をちょうだいしたところでございます。
 それからさらに、今回の海外事業資金貸付保険の創設によりまして、保険会計上、収支に悪影響が及ぶのではないかという御指摘でございます。これも以前から御答弁いたしておりますけれども、まず私どもの保険収支への最大の圧迫要因は、これまた先生もよく御承知のとおり債務繰り延べ、リスケジュールでございます。
 私どもはこの海外事業資金貸付保険をつくりますに当たりまして、パリ・クラブの方にも事務的に問い合わせをいたしましたが、パリ・クラブのリスケの対象となるのは輸出信用でございまして、こういった海外投資保険とか海外事業資金貸付保険とか、こういったものについては公的資金の繰り延べの対象にならないということでございますので、まず一番の心配の、創設した海外事業資金がリスケに遭ってそれで保険収支に悪影響が及ぶかという点については、まず最大の懸念はそれで晴れているということであろうかと存じます。
 それからさらに、モラル・ハザードを起こさないように運営するのはこれは当然でございますし、いずれも御提案申し上げておるのは引き受けのてん補の上限でございますので、それぞれの案件の内容に応じまして、被保険者とのリスクの適正な分担を図るのは私どもは当然のこととして今後心がけてまいりたいと思います。
 そういうことで、非常に慎重な運営を行うことによりまして保険事故の発生を極力防ぐということで最大限の努力をあわせ行うということをやりますれば、この事業資金貸付保険の創設によりまして保険収支に悪い影響が及ぶという御懸念は私どもとしてはないものというふうに考えている次第でございます。
○市川正一君 私は、懸念じゃなしに実際にそういう現象がずっと続いているという一例として、通産大臣にお伺いしたいんです。
 仲介貿易保険の問題です。これはアメリカの輸出拡大を支援することは明白であります。去年一月の東京での日米首脳会談で合意されたグローバルパートナーシップ行動計画で、通産省が米国輸出入銀行と貿易保険の協調プログラムを一層拡大するために、今後数年間で約五十億ドルの貿易保険の引き受けを行い、米国輸銀と協力しつつ百億ドル以上のプロジェクトの実現が可能とする意図を表明したことを歓迎する、こう明記されている。そして、協調プログラムの実績はプロジェクト件数で約二十件進んでおりますし、その第一号として、アメリカのゼネラル・エレクトリック社が三井物産と共同で受注したタイの発電プラント建設に百八十億円が適用されたことは御承知のとおりです。
 森通産大臣もことしの一月、ブリュッセルで九三年度を初年度とする千三百億ドルの資金還流五カ年計画の策定を明らかにされ、そして宮澤総理も予算委員会でそのことを表明されております。アメリカの輸出拡大策の支援の傾向、これは一層支援していくことになるし、対ロシア支援でもこの仕組みが利用される、こう伝えられております。
 としますと、今回の貿易保険法の改正を受けて七月の東京サミットで千三百億ドルの資金還流計画を表明するとなりますと、アメリカの輸出拡大の支援だけでなしにECなどヨーロッパ先進国からもアメリカと同様の要求が出てくることが私は予想されると思うんですが、そういう点で通産大臣はどう対応されるのか、所見を承りたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) これまでの経緯その他事務的なこともございますから、後ほど局長から答えるといたしまして、先般私は一月に還流資金のことをブラッセルでこれは記者団に懇談の席でお話を申し上げたわけです。先ほどからの委員の皆様方からの御質問に対してもお答えを申し上げましたように、やはり我が国のこうした黒字保有国としての資金の還流を世界に促していくというそういう環境をつくるということが大事であろうということ、そうした観点から先進国が安定的な資金の流れを確保して、その自助努力を効果的に支援していくということが重要であるというふうに考えておるわけです。このために新たな資金還流策を提唱したわけですが、またこれは具体的な数字を決めておるわけでもございませんし、またその中身も総理の御指示もありまして関係省庁の間で今進めておるところでございます。
 貿易保険につきましては、今御審議をいただいております今回の貿易保険法の一部を改正する法律案をお認めをいただければ、その程度の額のいわゆる民間資金の還流が実現し得ると考えておるわけでございます。アルシュ・サミットで表明をいたしましたODAの五カ年計画がちょうど九二年で完了いたしましたので、新たな計画が必要であるということから思い切った額を考えるべきだということを私は申し上げたわけでございまして、具体的にどういうものにするか、どのような額でいくかということについてはまだ今検討をいたしておるところである、このようにお答えをさせていただきたいと思います。
○政府委員(渡辺修君) 米国輸出入銀行と当保険当局との協調融資に関しての御質問がございましたので、一言補足させていただきます。
 御承知のように、発展途上国で例えばインドネシアならインドネシアで発電プラントを建設しようということになりますと、これはもう世界じゅう、一番効率的にいいところから機材を輸入してそこでそのプロジェクトを組成する、こういうのが現在ボーダーレス経済の今の商売の仕方でございます。したがいまして、例えば発電所をやる場合には一番強いアメリカのタービンをアメリカから持ってくる、日本は我が国からボイラーとか周辺機器を持っていく、それに現地でローカルのスタッフも入れてそこで発電プラントをつくる、そういったような形態がこれから発展途上国の一つの産業インフラを整備するとかいったような中心になってくるだろうということでございます。
 そういうことを円滑に行いますために、我々といたしましては一昨年の五月、アメリカの輸出入銀行と我々貿易保険当局とが一緒に協調することにいたしまして、アメリカのタービンを持っていく場合にはアメリカの輸出入銀行がそこに輸出信用を与える。日本が日本から持っていく場合には日本の貿易保険がそれに対処する。さらには、韓国から何か品物を持っていく場合には仲介貿易ということで我々がそこに保険を付保する、そういったような形で調整したわけでございまして、先般これにつきましてブッシュ大統領が訪日しました後にもこれをさらに拡大する形をつくっておりますし、それから先般通産大臣が訪欧しました際にも、欧州とも同じようなことでやろうという話も出てきております。
 これは、我々の付保は本邦法人に対する付保でございまして、我が国商社がボーダーレスエコノミーでプロジェクトを組成する上でまさにグローバルな役割を果たしていくことに伴います一つの形態だろうと思いますし、それによって発展途上国に大いに貢献できることになると考えているわけでございます。
○井上計君 先進国中で黒字国というのはもう日本だけだといういろんな意味で非難を日本は受けておるわけであります。そういう中で、あらゆる面においての国際貢献の必要性がますます高まっておるわけでありますが、特にこれから一層途上国等に対するいわば経済的な支援というふうなことが重要になってくるわけでありますから、この保険法の改正等については当然のこと緊急性がある、こういうふうな認識をいたしておるわけであります。
 そこで、若干お伺いしたいと思いますけれども、これからますますアジアに対するいろんな意味で我が国が民間資金の還流ということをさらに一層進めていかなくちゃいけない、かように考えます。そこで、今回のこの改正について主としてどういった国、地域等々について民間の資金の還流をしようと考えておられるのか、あるいはどういう方向に持っていくべきと考えておられるのか、まずこれをお伺いしたい、こう思います。
○政府委員(渡辺修君) 今回の海外事業資金貸付保険でございますが、これは当然のことながら被支配法人に対しますアンタイの融資でございます。しかも、それを行いますのが日本の商社とかあるいは銀行等々のシンジケートが行っていく、こういうことになるわけでございます。当然のことながら、民間の発意で行われることでございますので、いろんなもちろん保険でてん補いたしてリスクテーキングはするわけでございますが、基本的にはカントリーリスクが著しいところというのは、本件に係るアンタイの融資というのは出ていかないことになるんだろうと思います。
 そういうことから考えますと、発展途上国が例えば国営で今までやってたのが民営化しました、それでいよいよ工業化が起ころうとしております、そのときに被支配法人でありますけれども、そこにアンタイの金が必要だ、こういったようなつまり相当工業化がこれから起ころうとするようなそういった地域が対象になるんではないかと思っております。そういうことで我々想像いたしますに、恐らくこれの中心になっていきますのはアジア、ASEANを中心としたアジア諸国、もちろん東南アジア広くでございますが、それから中南米も入りますでしょうし、あるいは東欧も入るかもわかりません。いわゆる工業化の過程にある中所得国というのが主たる対象になるのではないかと考えております。
○井上計君 中小企業にとって、これからますます海外との貿易投資が重要な課題であることはもう今さら言うまでもありません。私はお伺いしようと思っておったんですが、先ほど既に市川委員から現在の貿易保険における中小企業の利用状況については御質問がありました。御答弁がありましたから結構でありますが、そこで若干私自身が今強く感じておりますことを申し上げたいと思います。
 たまたま先日ある新聞によると、世界銀行が十八日、「世界経済の展望と途上国」という報告書を発表いたしました。これによりますと、「九年後の二〇〇二年には中国に香港、台湾を加えた「中国経済圏」の実質経済規模が米国を上回り、世界一に躍進する可能性がある」ということがこれには盛られておるようであります。この数字を見ますと、九年後には中国経済圏が日本のほぼ二倍強になる、こういうふうな数字であります。
 簡単に申し上げますと、中国経済圏の実質経済成長率が今後も過去三十年間の実績である年七%強で推移した場合には、二〇〇二年には中国経済圏の総生産は、九〇年すなわち三年前の三・九倍の約九兆八千億ドル、アメリカの九年後の国内総生産が九兆七千億ドルという試算でありますから、全くそれと匹敵あるいは若干上回る。一方、日本の九年後のGDPは、九〇年対比二・三倍で四兆九千億ドルということでありますから、実に日本の二倍強の経済発展というふうな数字がこの報告書にあるようであります。
 言いかえますと、この数字をこのままで見ますと、九年後には日本の工業というのが中国圏の発展に押されて、逆に日本自体が大変な状態に陥るんではなかろうかなという懸念もこの数字から生ずるわけでありますが、これについてのお考えはお聞かせいただかなくて結構であります。
 そこで、私がこれらを考えるときに政治的にも経済的にも一番重要なのは、何といっても日本にとっては今後はアジア、特に東南アジアであろう、こう考えますから、東南アジア等に対するいわば我が国の特に中小企業の進出、発展等についてこの貿易保険法が適切、有効に利用される、活用されるような方向にぜひ指導をしていくべきであろう、こう考えるわけであります。
 それで、具体的な問題として、時間がきょうは限られておりますが、一、二、お伺いしたいと思うんです。
 今申し上げたように、特に台湾の経済発展は非常にこの十年来目覚ましいものがあります。現在、中国の経済発展、特に鉱工業製品の発展の最大の理由は、台湾の資本と技術と中国のいわば労働力との結びつきが大きな成果を上げているわけでありますが、台湾の経済力にもある程度限りがあります。もちろん、技術的には限りがあるわけであります。
 そこで、日本の中小企業が台湾企業と合同して大陸に進出をするというケースがこれからふえていくであろう、こう私は予想をしておるんです。その場合、具体的にお伺いしますけれども、日本の中小企業が国内での生産設備を全部大陸へ移転する、あるいは国内の生産設備を廃棄してただ単なる商社機能になって、そうして台湾企業と合同あるいは単独で大陸に進出をするという場合が当然あり得ると思うんですが、その場合にこの貿易保険の引き受けの対象になり得るのかどうか、これをまずお伺いしたい。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 海外投資保険は、本邦法人または本邦人が海外投資を行った場合に広く保険の引き受けを対象とする、こういうことでございます。したがって、今先生の御指摘によりますと、日本の中小企業でございますから、本邦法人が例えば中国大陸なら中国大陸で行う対外投資でございますし、これは当該企業の生産部門がどれだけの部分投資されるかどうかということにかかわりなく、これについては海外投資保険の対象になるというふうに考えていい、法律解釈はそういうことになると思います。
○井上計君 時間がありません。
 実はきょう、さらにこの問題と関連して特に大臣にお伺いしたいと思っておりましたのは、我が国と台湾との間の貿易インバランスの問題、これは非常に重要な問題であります。アメリカとのインバランスは大きな問題でありますが、人口比率から考えると、台湾と日本とのインバランスの方が、アメリカと日本のインバランスよりもこれは三倍ぐらいなんですね。だから、もっともっと大きな問題になるべきであります。また、しなくてはいけないんですけれども、残念ながら台湾との間には正規の国交がありませんから余り俎上に上っていませんが、これらの問題も貿易保険の問題と実は関連がありますのでお伺いしたいと思っておりましたが、時間がありませんから次の機会にこれはまたひとつお伺いすることにいたします。
 そこで、中小企業は今後海外投資を進める際にも何といっても情報が不足であります。これはいろんな面での障害があるわけでありますが、海外投資を円滑化するためにも、貿易保険だけでなく他の面についても中小企業に対するいろんな施策が必要であろう、こう考えますが、これらの諸施策をどうお考えになっておるのか、あわせてひとつお伺いをいたしたい、こう思います。
○政府委員(関收君) ただいま先生御指摘の中小企業の海外投資でございますけれども、我が国の経済は急速にグローバル化をしているという状況の中で、さまざまな事情からその経営戦略の一環として海外投資をしようというケースがふえてきているわけでございまして、私ども中小企業庁といたしましても、それをスムーズに進めるための諸施策を講じているところでございます。私どもが実施をいたしております施策につきましては、貿易保険以外に三つないし四つの柱に整理できるかと思うわけでございます。
 一つは金融面でございまして、中小企業が海外に投資をいたします場合に、政府系の中小企業金融機関によります低利の融資制度、あるいはまた中小企業信用保険制度、これは貿易保険と違いまして信用補完という意味での保険制度でございます。これによりまして、海外投資をする場合の金融あるいは信用補完という形でお手伝いをいたしているわけでございます。
 第二の柱は、今先生御指摘ございましたようにこれから海外にお出になろうとする場合に、さまざまな情報面で不安が残るということも否めないわけでございます。これにつきましては、中小企業事業団でありますとか日本貿易振興会、ジェトロ等によりましていろいろお手伝いをいたしているわけでございます。
 具体的に御説明申し上げますと、中小企業事業団におきましては、海外に十年ぐらい滞在した経験のある専門家を約四百六十人ほど委嘱いたしておりまして、また常時六名程度の方は常駐をいただいて、国ごとの事情あるいは問題ごとの事情、それにつきまして専門家を御紹介し御相談に乗るということを実施いたしております。また、日本貿易振興会、ジェトロにおきましては、今度は現地に参りました際に、現地のいろいろな事情につきまして現地の法律事務所や会計事務所を御紹介するとか、そういったようなお手伝いをさせていただいているわけでございます。
 第三の柱は、この海外投資をいたします場合に、やはり企業経営の柱は人でございますので、人材育成という面でのお手伝いでございます。これは中小企業大学校におきまして、これは東京と関西が中心になるわけでございますが、海外に派遣される予定の中小企業の管理者の方に、現地におきます経営管理手法でありますとか法律でありますとか、そういったものについて研修をいたしているところでございます。
 さらに、恐らく今後、景気の動向にもよりますけれども、こういった需要もふえてまいるかと思いますので、今年四月からは中小企業事業団に新たに調査・国際部を発足させまして、こういった中小企業の方々の御要望により広範におこたえできるような体制を整えたところでございます。
○井上計君 ありがとうございました。よくわかりました。
 最後になりますが、先週、G7においてロシアに対する支援策がまとまったわけであります。率直に申し上げまして私は、過去何十年かにわたるソ連の我が国に対する横暴といいますか、よこしまな態度等については個人的には依然としてまだ解きがたい憤怒心を持っております。しかも、最近の旧ソ連の状況等を考えますと、ある意味では自業自得と言えるところがあるわけであります。それに我が国が貴重な税金を使って支援することについては、個人的にはなかなか納得できない面があります。しかし、公的な面から見ると、やはり冷戦後の新しい秩序の構築あるいはまた世界平和、特にアジアの平和等々を考えますときにはいたし方ないなという感じを持っているわけであります。
 そこで、今後市場経済への移行をロシアが進めていく場合、ロシアだけじゃありませんが、東欧諸国やロシア以外の旧ソ連各国に対しての支援もそういう意味では重要だ、こう考えます。今週末に東西経済大臣会合が開催される、こう伺っておりますけれども、これらに対する支援等について大臣の御見解はいかがであるのか、これを最後にお伺いして質問を終わります。
○国務大臣(森喜朗君) 井上委員の個人的なソ連観、お話を伺いますと、やはり今の新聞の論調といいますか世論などを見ておりましてもそのような傾向が強いですし、まして最近のような海洋投棄などの事件がございますものですから、日本の国民にとってはいろんな複雑な気持ちがあるというのは十分理解はできます。だからこそかえってロシアを、やはりマクロ、ミクロ含めて自助努力をしていくことをお手伝いしていくということも私は大事だと思っております。
 余計なことを申し上げるようでございますが、私は日本海側でございますから極めて今のロシアの人たちとおつき合いが多いんですけれども、人々はやはりおおらかで明るくて非常にいい御性格をみんな持っておられると私は思います。なぜこんなふうになったのかといえばやはり仕組みが悪かった、政治の仕組みや行政の仕組みがおかしくなったんだということであれば、まず人間本位で考えていって、ロシアの国民にでき得る限り頑張ってもらいましょうということで応援をしてさしあげることも隣国として大事なことではないか、生意気なようでございますが、このように考えておるところでございます。
 そういう中で、先般G7の緊急外相・蔵相会議がございました。そのときに、ある新聞記者からロシアばかりやっているんではないかというようなそういうお話もございましたので、いやそうではございません、実は二十四、二十五日、東西経済大臣会合を開く予定でございます、これはロシアも含めて旧計画経済のもとにございましたいわゆる改革国八カ国、この自立支援をあらゆる面でミクロの面で応援をしていこうというそういう考え方でこの会合を開くものです、こう申し上げておったわけでございます。
 午前中からたびたび申し上げておりますように、旧ソ連やあるいは東欧の経済改革の円滑な推進というのは極めてグローバルな課題でございます。この課題に西側G7、逆にまたロシアを含めます東側が協力して、東西間で協力しながら取り組むということが極めて重要だと考えております。これらの諸国、いわゆる東側の諸国の経済改革の推進に当たりましては、財政赤字の削減などマクロ経済の安定化と並びまして、企業改革、軍民転換、投資促進等のミクロの側面の構造改革がこれもまた極めて重要だ、このように認識をいたしております。
 この土曜日から土、日と開かれます会合は、こうした見地からミクロ面の構造改革に関しまして望ましい政策を示唆するとともに、東西間の協力のあり方を検討することを目的といたしております。たびたび申し上げて恐縮ですが、二十四日、二十五日両日、我が国の主宰におきましてこの東京で開催するものでございまして、これは昨年ドイツで第一回目の会合を開いておりますことに引き続き、第二回目として日本側の主宰で開催して行うものでございます。
 今般の会合には、西側G7の国々の経済大臣、通産大臣に当たる方々がお見えになりまして、ドイツからはレックスロート経済大臣、アメリカからはブラウン商務長官、イタリアからはビタローネ貿易大臣等それぞれの経済担当の大臣がお見えになりますし、ECはまた議長国でございますのでぜひ参加させてほしいということで、デンマークのダイン開発協力大臣も出席されることになりました。また、いわゆる改革をします東側八カ国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、こうした国々、八カ国のそれぞれ担当大臣が御出席になりますし、そのほかにEC委員会あるいはOECDなどの国際機関も参加をする、こういう予定でございます。
 同会合におきましてどんなことをやるかということを御説明申し上げたかったんですが、時間も限られておりますので、項目だけ申し上げますと、企業部門の構造改革、それから軍民転換、貿易振興、投資促進、こうしたことを柱にいたしまして、ことしは特に民間の企業家たちも加えまして討論会をやったりフォーラムをやりましたり、あるいは各国の転換しました実例などを体験談としてお話をいただくなど、かなり突っ込んだ具体的な議論が進んでいくのではないか、このように思っております。
 我が国といたしましては、この大臣会合の成果を踏まえまして、他のG7諸国と強調しながら、旧ソビエトそれから東欧のこうした経済改革を進めていく国々に対して積極的に支援をしてまいりたい、このように考えております。また、この会合が終わりましたら、何かの機会を得ましてこの成果などもまた御報告をさせていただきたいと思っております。
○小池百合子君 また円高のことから伺いたいと思うんですが、総理が日本にお帰りになられましてから、例の首脳会談直後の記者会見のクリントン発言をきっかけとして、急激な円高が進んだわけでございます。きょうあたりは少し揺り戻しで百十一円台の半ばといった感じなんですけれども、円高が進むということは、きょうのこの貿易保険についてのドライブにはなるかとは思うんでございます。
 毎回伺って恐縮なんでございますけれども、アメリカの現政権に影響力のある方々、例えばバーグステンさんとかサローさんとか、そういう方々はまだまだ円高を進めるような発言などもこれまでにも繰り返してこられました。こういった中で、小手先の円高をしのぐという方法ではもうやっていけないのではないかというふうに思いますので、産業構造の変革というような大きな視点からこの円高をどのように今とらえておられるのか、大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 先ほどからたびたび申し上げておりますが、この円高の背景というのは、どちらかといいますと政治的に円高の調整を進めていこうとしております。そういうことに対する思惑が働いている、このように私ども見ておるわけでございます。
 端的に申し上げれば、クリントン大統領が記者会見で話されましたように、大幅な貿易黒字を背景として、これの解決策としてということで過去の経緯のような形で円高を挙げられたわけでありまして、政治的に円高方向への為替調整圧力が生じるのではないか、こういう思惑が強まったことに対して円が急伸をしておる、このように思っております。
 今単に小手先だけではというようなことをおっしゃいましたけれども、先ほども和田委員にお答えを申し上げましたように我が国は八〇年代半ばの円高局面以降、前川レポート等を踏まえながら輸出志向型の経済構造、内需主導型への転換を進めてきておるわけでございますし、また以前のように輸出がふえやすく輸入がふえにくいと言われた、そういう構造はかなり変化をしてきております。
 さらに、六月に閣議決定しました生活大国五カ年計画、さらにまたこのたび十三日政府でまとめました新総合経済対策、これらも内需を拡大して輸入が促進でき得るようにしよう。逆に言えば、私も先般アメリカに参りましたときに、カンター氏にもブラウン氏にも日本に物を輸出できる、そういうビジネスチャンスをつくりますよということも申し上げているわけでございまして、そうした内需主導型経済構造への円滑な移行を進めていく、このように考えておりますので、とりあえず今の小手先のことで虎口を逃れようというような考え方はございません。
 ただ、委員もよく御承知のようにこの円高というものは、やはりその国の基礎的な経済条件を反映するものでございますし、当然市場原理というものも反映をしていくわけでございます。私どもとしては、世界の経済、また日本の経済、日米関係、いろいろ考えてみましても、せっかく今やっと景気回復への少しこの兆しが見えてきておるときだけに、日本の景気回復の足を引っ張ることになると、それ以外私は全く申し上げることはないというぐらいに実は懸念をいたしております。
 きのうもアメリカのかつて通商代表部におられた方ともお話をしたんですけれども、大統領が日米関係を考えてくださるのならもう少しその辺の発言に対して慎重であってほしいな、そんなことも私はお話を申し上げておきましたが、今後とも十二分にこの円高の推移というものを注視していかなければならぬ、このように考えております。
○小池百合子君 言うまでもなく、このような円高の水準が続きますと、いわゆるJカーブ効果ということで黒字が膨らんでしまう。よしあしは別にいたしましても、この黒字減らしということはそういった大きな観点から必要かと思います。
 そこで、黒字減らし、黒字還流、さらに諸外国における工業力であるとか技術力をアップするにつながる今回の貿易保険だと位置づけておりますけれども、その意味でこの法律は必要なものだと思います。また、金融機関など、金融システムの崩壊などという言葉がつい最近まで聞かれておりましたけれども、これによってBISのリスクアセット比率はかなり減少するのではないかということで、好ましい点もあろうかと思います。
 ただ、今回の予算の計上を見ておりまして、三千百億円ということですが、また先ほど来この貿易保険適用の相談案件が相当寄せられているというお話でございますが、私が聞いた限りでは、相談はするけれども実際に行うのは、ある金融機関においてかなり活発にやっているところでも一億ドルどまりだろうなというようなそういうお答えをいただきました。どうもこの三千百億円というのは、時期的に見ましても東京サミットにらみかなといったような感じがするのでございますけれども、このあたり実際に案件がどこまで進むのか。この辺具体的には難しいと思いますけれども、そのあたりの感触をどうとらえておられるのか、よろしくお願いいたします。
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。
 海外事業資金貸付保険全体についての基本的な考え方について大変温かい見方をしていただきまして、我々として大いに頑張りたいと思っておるところでございますが、まずこれを施行いたしましたときに、初年度どういう形で滑り出すかという御質問でございます。
 実は率直に申し上げて、新たな保険種を創設しましたときに、そのときそのときの経済情勢にもよりますけれども、現実にどれだけ付保案件が出てきて実施することになるのかというのは、定量的に申し上げることは非常に難しゅうございます。我々の考え方といたしましては、先ほども少し申し上げましたが、平成五年度に我が国から非支配法人に対してアンタイドで融資されるトータルの民間の案件というのはどのぐらいあるのかというのを非常にラフに推計いたしまして、それを発展途上国と先進国に分けまして、先進国はほとんど数が少のうございますが、発展途上国に対してそれのうちの、従来の考え方も当てはめまして一定比率についてこれが出てくるんだろう。そういう非常にラフな計算をいたしまして、かつまたうんとある意味で余裕を持った総則の数字を計上いたしたわけでございます。したがいまして、三千百億円というのが丸々それが初年度滑り出すであろうということは一概には申し上げられないだろうと思うわけでございます。
 ただ、諸外国からの問い合わせというのは非常に多うございます。現に、この間も私のところに参りましたASEANの国の方も、まず最初にこの問題が一体どういう形でいつごろ実施されるだろうかという問い合わせがあるようでございます。それから、商社、銀行等の問い合わせもかなり我々の保険当局の方に参ってきております。おっしゃるように御相談を申し上げ、かつまた具体的なプロジェクトが出てきた後どれだけ実際に行うかというのはそのときの情勢であり、またリスクを被保険者とどうシェアするかということから出てくる結果でございますので、何とも申し上げられないと思います。
 ただ、私どもといたしましては、従来一〇%のリスクを民間がかぶっておったのが、一定の輸入代替産業とかあるいは外貨獲得産業に対しましては九七・五%まで国が付保する、てん補してリスクをカバーする、こういうことでございますから、四分の一のリスクを減らせるということはこれは相当大きな効果が出てくるんじゃなかろうかということで、期待を持って眺めておるわけでございます。
○小池百合子君 そのほか、ロシアの問題というのは今回特に注目されるわけでございますが、先に何人かの委員の方々がお尋ねになりましたので二度手間だと思いますので省かせていただきます。
 それから、さらに保険料率の問題についても伺う予定にしておりましたけれども、市川議員が非常に克明にお尋ねになりました。保険を掛けるからには危険だからまた保険を掛けるということもある。その辺のところは保険料率によってやるかやらないかということのまた判断の材料になるわけですので、この施行の細則が出ないと、その辺踏み切るか否かというのは現実に事業をする人にとりましては大変重要な問題でございますので、ここをまとめていただければと思います。
○政府委員(白川進君) 先生のお尋ねの趣旨は、保険料率を今後どう具体的に決めていくのかというお尋ねの趣旨だと理解をいたしましてお答え申し上げます。
 貿易保険は、先ほど来いろいろ出ておりましたように収支が相償うように保険料を決めるということが貿易保険法一条の四に規定されております。この原則に基づいてリスクの大きさに相応するように定めることといたしておりまして、具体的には基準の保険料率というものを保険種ごとに決めます。これについて、それぞれのこれから貿易保険にかかわる取引が行われるであろう国ごとにその国のカントリーリスクを詳細に評価いたしまして、それで地域差料率というのを算出いたします。これを基準料率に掛けましてそれぞれの国の保険料率を算出するという手続を踏むわけでございます。
 いささか技術的で恐縮でございますが、この地域差料率を決める考え方でございますが、それはすべての引き受け対象国につきまして政治情勢、経済情勢、それからこれまでの既にある保険の種類についてのその国における保険の収支状況、そういったこと、それからこれまでの保険金の支払い状況あるいは回収状況、こういったことのすべての点について点数評価をいたしまして、この評価をもとにすべての国を八分類いたしまして、それでその率を基準料率に掛けるということで保険料率を設定してまいることになります。この考え方は、欧米の類似の貿易保険機関すべてが同じように考えておりまして、違うとしましたら、その刻み方が八分類であるかあるいはもっと少ないか多いかといったようなことでございます。
○小池百合子君 今ちょっとお話にありました諸外国におきます貿易保険の機構とさまざまな協調などにつきましてはこちらにいただいている資料に出ております。国内的には例えば輸銀、こちらは石橋をたたいても渡らないとも言われているところだと思うのでございますけれども、それとODAに関係してのOECFといったような機関がございます。このあたりとの協調といいますか、一貫性といいますか、それについて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(白川進君) これまで、特に輸銀との貿易保険の協調関係でございますけれども、サプライヤーズクレジット、これは輸出者が相手に対して信用を与えるもの、それからバイヤーズクレジット、これは買い手に対して信用を日本の銀行等が与えるものでございますが、こういったものについては原則として輸銀と一体的に運用するということで輸出信用を供与してきているところでございます。すなわち、本邦事業者の輸出資金を輸銀が融資をするという場合に、貿易保険も輸銀も同時に個別に審査をいたしまして両方で保険をつける、あるいは融資を行うといったような運用をやってきているところでございます。今後とも、こういった協調関係はぜひとも維持をしていきたいと思っております。
 それから、経済協力基金、OECFでございますが、これはODAを扱っているというその機関の性格からしまして、貿易保険とは対象国、例えば一人当たりのGNPのレベルとか、あるいは対象事業が非常に収益性が高いか、あるいは収益性が乏しいけれども公共性が高いかといったようなことによっておのずから差異は存在すると思います。
 ただ、発展途上国のある地域について、例えば経済協力基金の円借款によって社会インフラ、道路とか港とかそういったものを整備しながら、それと深く関連する輸出産業の育成のようなものについて貿易保険が付保をして民間資金が出ていく、それに対して輸銀も投資の形あるいは輸出信用の形で融資をするといったような、三者のスクラムを組んだ協調関係というのは大いにあることだと思います。これをぜひ今後とも進めることによって、発展途上国の健全な発展に貢献してまいりたいと考えている次第でございます。
○小池百合子君 この貿易保険の制度でございますけれども、ことしはこういった円高その他バブルの崩壊のその後の後遺症であるとか、税収不足などもかなりきついものがあるのではないかと思います。そういった財政事情などはもちろん考えなくてはいけないんですけれども、一本大きな柱で、余りふらつかないようなそういうスタンスで臨んでいただきたいという要望を最後に、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(斎藤文夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました貿易保険法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 本改正案に反対する理由の第一は、発展途上国への資金還流を名目に、現在でも厚遇されている貿易保険をさらに大企業本位に拡充するからであります。
 我が国の貿易保険の中小企業の利用は、件数で一七・六%、金額で二・六%にすぎず、ほとんどが大企業の輸出入、海外投資にかかわるリスクを補償し、支援する制度となっております。しかも、米、英、仏、独の先進国と比較して我が国の貿易保険は、引受保険価格、保険料率とも世界でもぬきんでて有利な制度であります。
 その結果、この貿易保険を維持するために、この七年間に一般会計から貿易保険特別会計に二千百三十億円の資本繰り入れが行われ、資金運用部からの借り入れは六千三百七十八億円にも達し、収支相償の保険原則が完全に破綻しております。今回の改正案は、この保険原則を無視して大企業本位に拡充するものであり、断じて認めることができません。
 第二の理由は、大銀行、大商社などのリスクを軽減し、その高利潤確保を支援することであります。
 今回の改正案で新設される海外事業資金貸付保険の恩恵を受けるのは、世界ランキングの上位を独占するなど国際的にも大きな実力を持っている大銀行、大商社などであります。これらの大銀行等は、その社会的、国際的責任からしても、みずからの責任で発展途上国への応分の資金還流に協力すべきであります。しかし、大銀行、大商社等は、高利潤確保のため途上国への融資を抑え、逆に引き揚げているのが現実であります。
 新設された海外事業資金貸付保険は、こうした身勝手な大銀行等のリスク負担を軽減するために非常危険九七・五%、信用危険九〇%という高いてん補率、損失評価方式の簡素化などにより高利潤確保を支援するものであり、容認することができません。
 第三の理由は、異常な貿易黒字をもたらしている我が国大企業の輸出ラッシュを前提に、対米公約に基づいて米多国籍企業の輸出拡大や利潤追求を支援することであります。
 今異常な貿易黒字の国内要因である大企業の劣悪な労働条件や下請中小企業取引条件を改善させることが求められているときに、資金還流の名目での海外投資は、大企業の多国籍化を促進させ、産業の空洞化を招き、中小企業や国民に犠牲を押しつける本末転倒した対策であります。
 日米協調プログラムによる貿易保険は、質問でも指摘いたしましたように米国大企業の輸出拡大の支援となることは明白であり、米国多国籍企業の輸出拡大を支援しようというやり方は、日米間の真の貿易摩擦解消につながらず、きっぱりとやめるべきであります。
 以上、本法案に反対する理由を表明し、討論を終わります。
○委員長(斎藤文夫君) 他の御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 貿易保険法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(斎藤文夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(斎藤文夫君) 次に、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律案並びに中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。森通商産業大臣。
○国務大臣(森喜朗君) 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国事業所の約八割を占め、日本経済の発展に大きな役割を果たしている小規模事業者は、近時、経営資源の高度化等により厳しい経営環境に直面しており、その事業所数が減少するとともに、大企業との付加価値生産性の格差も拡大しております。
 しかしながら、小規模事業者は、企業規模が小さい上、事業の共同化等に関する知見にも乏しく、自助努力や組合の結成を通じてこれらの経営環境の変化に対応していくことが困難な場合もあります。
 このため、政府といたしましては、商工会及び商工会議所が、三十年余にわたる経営改善普及事業の実績に基づき、みずからの組織及び機能を活用して小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業を総合的に促進するための法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明いたします。
 第一に、通商産業大臣が、商工会等が小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業について基本的な指針を策定することとしております。
 第二に、商工会等は、基本指針に即して小規模事業者の経営の改善発達を支援する経営改善普及事業を実施すると同時に、小規模事業者の事業の共同化等に寄与する施設を設置する基盤施設事業及び研修、展示会等の事業であって商工会等以外の者が商工会等と連携して実施する連携事業について、それぞれ事業計画を作成し、通商産業大臣の認定を受けることができることとしております。
 第三に、認定を受けた事業計画に従ったこれらの事業の実施に当たり、商工会等に対する支援策として資金の確保、全国商工会連合会及び日本商工会議所による債務の保証等の措置を、また商工会等以外の者に対する支援策として、中小企業信用保険法の特例措置、中小企業近代化資金等助成法の特例措置等を講じることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 中小企業信用補完制度は、中小企業者の信用力、担保力を補完し、その事業資金の融通を円滑にすることを目的とし、信用保証協会が債務保証を行い、これについて中小企業信用保険公庫が保険を付するものであり、保証債務残高は平成四年十二月末現在で二十三兆円を超える規模に達しております。
 最近の中小企業は、資金需要の大口化に加え、景気低迷局面において売り上げの減少等により資金繰りが悪化するという状況に直面する一方、資産価値の下落等により信用力、担保力が低下している実態にあります。
 政府といたしましては、こうした状況の中、中小企業者の資金調達の円滑化を図るため、中小企業信用保険の一中小企業者当たりの付保限度額の引き上げを行うための法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明いたします。
 まず、一般的な保険である普通保険について現行一億二千万円の付保限度額を二億円に、物的担保が不要な保険である無担保保険について現行千五百万円の付保限度額を二千万円に、無担保・無保証人による保険である特別小口保険について現行四百五十万円の付保限度額を五百万円にそれぞれ引き上げることとしております。これらは昭和六十三年以来の引き上げとなります。
 また、公害防止に要する費用に係る保険である公害防止保険の付保限度額を二千万円から五千万円に、省エネルギーまたは石油代替エネルギーの導入に資する施設の設置の費用に係る保険であるエネルギー対策保険の付保限度額を一億円から二億円にそれぞれ制度創設以来初めて引き上げることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(斎藤文夫君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十一分散会
     ――――◇―――――