第126回国会 決算委員会 第6号
平成五年六月十四日(月曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     常松 克安君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     三重野栄子君     森  暢子君
     風間  昶君     山下 栄一君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     下村  泰君     青島 幸男君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     山下 栄一君     荒木 清寛君
五月二十八日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     山下 栄一君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     長谷川 清君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     長谷川 清君     直鳴 正行君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     青島 幸男君     下村  泰君
 六月七日
  委員藤江弘一君は逝去された。
 六月八日
    補欠選任        久世 公堯君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     木庭健太郎君     荒木 清寛君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     木庭健太郎君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     永野 茂門君     釘宮  磐君
  出席者は左のとおり。
    委員長         大渕 絹子君
    理 事
                沢田 一精君
                鈴木 貞敏君
                会田 長栄君
                西野 康雄君
                常松 克安君
                高崎 裕子君
    委 員
                鎌田 要人君
                北澤 俊美君
                久世 公堯君
                釘宮  磐君
                木暮 山人君
                佐藤 静雄君
                清水 達雄君
                椎名 素夫君
                陣内 孝雄君
                南野知惠子君
                守住 有信君
                矢野 哲朗君
                菅野  壽君
                中尾 則幸君
                西岡瑠璃子君
                堀  利和君
                村田 誠醇君
                森  暢子君
                木庭健太郎君
                山下 栄一君
                直嶋 正行君
                井上 哲夫君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
       外 務 大 臣  武藤 嘉文君
       大 蔵 大 臣  林  義郎君
       文 部 大 臣  森山 眞弓君
       厚 生 大 臣  丹羽 雄哉君
       通商産業大臣   森  喜朗君
       運 輸 大 臣  越智 伊平君
       郵 政 大 臣  小泉純一郎君
       労 働 大 臣  村上 正邦君
       建 設 大 臣  中村喜四郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    村田敬次郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 河野 洋平君
        ―――――
       会計検査院長   中島  隆君
        ―――――
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   山本 正堯君
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        伊藤 博行君
       内閣法制局長官  大出 峻郎君
       国際平和協力本
       部事務局長    柳井 俊二君
       国際平和協力本
       部事務局次長   萩  次郎君
       公正取引委員会
       委員長      小粥 正巳君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  糸田 省吾君
       警察庁長官官房
       長        垣見  隆君
       警察庁警務局長  井上 幸彦君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       警察庁警備局長  菅沼 清高君
       総務庁人事局長  杉浦  力君
       総務庁行政管理
       局長       増島 俊之君
       北海道開発庁計
       画監理官     戸島 英之君
       防衛庁教育訓練
       局長       諸冨 増夫君
       経済企画庁調整
       局長       長瀬 要石君
       環境庁水質保全
       局長       赤木  壯君
       沖縄開発庁総務
       局会計課長    棚原 国次君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省矯正局長  飛田 清弘君
       法務省人権擁護
       局長       筧  康生君
       法務省入国管理
       局長       高橋 雅二君
       外務大臣官房審
       議官       津守  滋君
       外務大臣官房会
       計課長      藤崎 一郎君
       外務大臣官房領
       事移住部長    荒  義尚君
       外務省アジア局
       長        池田  維君
       外務省北米局長
       事務代理     加藤 良三君
       外務省経済局長  小倉 和夫君
       外務省経済局次
       長        林   暘君
       外務省条約局長  丹波  實君
       外務省国際連合
       局長       澁谷 治彦君
       外務大臣官房審
       議官       田波 耕治君
       大蔵省主計局次
       長        武藤 敏郎君
       大蔵省証券局長  小川  是君
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       大蔵省銀行局保
       険部長      鏡味 徳房君
       大蔵省国際金融
       局長       中平 幸典君
       国税庁課税部長  松川 隆志君
       国税庁調査査察
       部長       野村 興児君
       文部省初等中等
       教育局長     野崎  弘君
       文化庁次長    佐藤 禎一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     瀬田 公和君
       厚生省健康政策
       局長       寺松  尚君
       厚生省保健医療
       局長       谷  修一君
       厚生省薬務局長  岡光 序治君
       厚生省社会・援
       護局長      土井  豊君
       厚生省児童家庭
       局長       清水 康之君
       厚生省保険局長  古川貞二郎君
       通商産業省貿易
       局長       渡辺  修君
       通商産業省産業
       政策局長     熊野 英昭君
       中小企業庁長官  関   收君
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸大臣官房会
       計課長      楠木 行雄君
       運輸省運輸政策
       局長       大塚 秀夫君
       運輸省鉄道局長  秦野  裕君
       運輸省自動車交
       通局長      土坂 泰敏君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  長尾 正和君
       運輸省航空局長  松尾 道彦君
       郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君
       郵政省貯金局長  山口 憲美君
       郵政省簡易保険
       局長       江川 晃正君
       労働省労働基準
       局長       石岡慎太郎君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       齋藤 邦彦君
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設大臣官房会
       計課長      木下 博夫君
       建設省建設経済
       局長       伴   襄君
       建設省都市局長  鹿島 尚武君
       建設省河川局長  岩井 國臣君
       建設省住宅局長  三井 康壽君
       自治大臣官房長  吉田 弘正君
       自治大臣官房総
       務審議官     遠藤 安彦君
       自治大臣官房会
       計課長      斉藤 恒孝君
       自治省行政局選
       挙部長      佐野 徹治君
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    浅野大三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       委員       吉田 堯躬君
   説明員
       外務大臣官房審
       議官       内藤 昌平君
       運輸大臣官房審
       議官       寺島 紘士君
       会計検査院事務
       総局次長     白川  健君
       会計検査院事務
       総局第一局長   阿部 杉人君
       会計検査院事務
       総局第二局長   小川 幸作君
       会計検査院事務
       総局第三局長   佐藤 恒正君
       会計検査院事務
       総局第四局長   平岡 哲也君
       会計検査院事務
       総局第五局長   中島 孝夫君
   参考人
       水資源開発公団
       理事       小島 重喜君
       日本鉄道建設公
       団総裁      棚橋  泰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成二年度一般会計歳入歳出決算、平成二年度
 特別会計歳入歳出決算、平成二年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成二年度政府関係機関
 決算書(第百二十三回国会内閣提出)(継続案
 件)
○平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書(
 第百二十三回国会内閣提出)(継続案件)
○平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百二十三回国会内閣提出)(継続案件)
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、一言申し上げます。
 既に御承知のとおり、本委員会の委員でございました藤江弘一君は、去る七日、急性心不全のため急逝されました。まことに哀悼痛惜にたえません。
 ここに、本委員会における藤江弘一君の御功績と御活躍をしのび、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
 御起立を願います。黙祷を願います。
   〔総員起立、黙祷〕
○委員長(大渕絹子君) 黙祷を終わります。御着席願います。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月十二日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として常松克安君が選任されました。
 また、去る五月十三日、三重野栄子君及び風間昶君が委員を辞任され、その補欠として森暢子君及び山下栄一君が選任されました。
 また、去る八日、藤江弘一君の補欠として久世公堯君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大渕絹子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に常松克安君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) 平成二年度決算外二件を議題といたします。
 本日は総括的質疑の各省大臣及び内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 それでは、これより各省大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中尾則幸君 おはようございます。中尾でございます。
 ただいま委員長からも御報告がありましたけれども、質問に先立ちまして、当委員会の藤江先生の御冥福を心からお祈りしたいと思います。
 私は、きょうはアイヌ問題に絞って質問いたしたいと思います。
 ことしは、言うまでもなく国連が定める国際先住民年であります。少数先住民族に対する人権の保障、あるいは民族の伝統文化や生活様式の保存、継承は言うまでもありません。我が国のみならず、今や国際的な課題となっております。世界的にこの先住民族問題がクローズアップされたのは、歯どめのきかない自然界に対する開発政策への警鐘といいますか、反省、見直しを求める声があったからだと思います。昨年採択されました環境と開発に関するリオ宣言第二十二原則でもそのことがうたわれております。先住民の文化及び利益を認め、持続可能な開発の達成に向けて効果的参加を可能とするように、こういうふうに明記されております。
 そこで、早速具体的質問に移りたいと思います。
 まず、河野長官にお伺いいたします。
 アイヌ民族が北海道、昔は蝦夷地と呼ばれておりましたが、樺太あるいは北方領土を含む千島列島に和人よりも先に住んでいたという事実をお認めになりますでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) アイヌの方々が古くから住んでおられたということは、文献その他から見て通説となっていると承知しております。
○中尾則幸君 そうしますと、繰り返しになりますけれども、先に住んでいたということは長官も認められました。つまり、先に住んでいるということで先住民族であると。これは社会党を初めいろいろ私どもがたびたび国会の場で論議してきたところであります。この国会審議の場で河野長官は、国際的定義がいま一つである、はっきりしないと繰り返し答弁されてきました。これまでの経過の中で、アイヌ民族を少数民族として政府が認めるということは聞いておりますけれども、歴史的にも先に住んでいた、つまり先住民であることは、これはもう明白な事実であります。
 なぜ政府は独自に先住民としての定義づけをしないのか、結論を国連の場に求めるのか。判断を先延ばししているのじゃないかと私は思うのでありますけれども、その理由は何かお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今先生もお話しになりましたように、私どもはアイヌの方々が古くから住んでいるということは文献等によって承知しておりますが、先住民族という言葉の持つ定義というものが幾つかに分かれている、あるいはまた国際的な定説がないということから、つまり国際的な定説がないままにそうした先住民族という言葉を使うということには躊躇せざるを得ないものがあるというのが我々の率直な感じでございます。
 今先生御指摘のように、古くから住んでいた、それはすなわち先住、先に住んでいたということではないかというふうにおっしゃいますが、古くから住んでいたことを我々は承知しておりますが、先住民族という言葉でそれを表現してしまうと、先住民族という言葉それ自体が持つ国際的なさまざまな議論がございまして、もうこれは先生十分御承知のとおりでございますが、そのどの定説に当たるかによってこれから先の言ってみれば権利義務の問題その他に絡んでくる、あるいは誤解を招きかねないということがございますので、私どもとしては古くから住んでいることを承知しているということでお答えを申し上げているわけでございます。
○中尾則幸君 長官の今までの御答弁、衆議院の予算委員会等でも同じような御答弁なんですけれども、私はちょっとここでもう一言伺いたいのは、先住のことについては認める、ただ長官がおっしゃるのは権利、いろいろな権利が発生してきます。その問題を長官は言っていると思いますけれども、私は先住権について言っておらないのであります。
 先住民族としてまず認めない限り、今までのウタリ対策については非常に後退している。長官も御存じのように、アメリカあるいはカナダ等先進諸国ではいろいろな州法をもって保護あるいはいろいろな権利を認めているわけです。ですから、先住権となりますとこれは長官のおっしゃることも私はあろうかと思います。しかし、先住民族としてまず指定をすべきじゃないかと私は思っているわけです。先住権と同一にする理由はない。もちろん先住権についてウタリ協会も私どももあるんだというふうに主張してまいりますけれども、その入り口の先住民族であるという認定、これは政府独自の手でやるべきじゃないかと私は思っているわけです。一言お答え願います。
○国務大臣(河野洋平君) 私どもとしては古くから住んでおられた方々に対して、それなりのと申しますか我々としての思いはございます。しかし、これは委員が十分御承知のとおり、国際的なさまざまな議論が今、とりわけことしはそうした議論の年でございますからさまざまな議論があって、これを国際的な通念として固めていくという議論が行われている年でございますだけに、私どもはその議論の間でもう少し慎重に我々なりに議論をし、国際的な議論との関係についても慎重に検討する必要があるのではないか。これは日本の憲法その他とのかかわり合いもございます。そうしたこともあって慎重な検討が必要ではないか。
 これも私は恐らく先生と同じ気持ちだと思いますが、古くから住んでおられて経済的にも大変御苦労をしておられるこうした方々に対する思い、気持ちというものを私は持っております。持っておりますが、そのことと国際的な議論との間には少しまだ検討しなければならない余地があるのではないかということを事務当局がこの問題をずっと議論をし研究をしつつある中で感じているわけでございまして、私は古くから住んでおられることを認め、そしてこうした方々が今非常に厳しい環境の中におられるということも私自身は承知しながらも、固有名詞としてそれを使うということについては非常にちゅうちょせざるを得ない状況でございます。
○中尾則幸君 このことについては後ほどまた触れさせていただきます。
 次に、厚生大臣に伺います。
 御存じのように明治三十二年に制定された法律に北海道旧土人保護法というものがあります。この法律は昭和四十三年までに五回にわたって一部改正がなされてきております。それで、大臣も御存じのようにこの旧土人保護法は既にその存在意義を失っております。しかし法律としては生きております。ただ、現在存在意義が薄れていると言っても、この旧土人という言い方が法律の中に残っているわけです。これはだれが見ても差別用語であります。私はこの旧土人保護法の名称の問題だけをとらえているのじゃなくて、この姿勢が今までのウタリ対策、日本の民族対策のおくれをどうしても指摘せざるを得ないのです。北海道知事を初めウタリ協会等ではこの旧土人保護法についてこれを即時に廃止してアイヌ新法を制定しなさいというようなことはもう御存じだろうと思いますけれども、これについても後ほど触れます。
 さて、厚生大臣には、この旧土人保護法、その旧土人という呼び方が私は差別ではないかと思っているんですが、これについての感想をまず第一点伺いたい。
 そして第二点目です。この法律の及ぶ範囲は、これは北海道内に限定されておるわけです。属人主義じゃなくていわゆる属地主義をとっております。北海道旧土人というのは、私はこれは差別用語だと思いますけれども、北海道旧土人、北海道に住むアイヌ民族という言い方です。アイヌ民族の御子孫の方々は御存じのように東京にもいらっしゃいます。その数は二千人とも言われております。そういう法律、私はこの法は悪法だと思っておりますけれども、属人主義じゃなくて属地主義、北海道だけ保護対策をやっている、これは法のもとの平等に反するんではないか。この法律がいい悪いは別です。その二点について厚生大臣のお考え方を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 旧土人という言葉は私自身もいかにも委員と同様に差別的な響きを与えかねないと考えておりまして、現在の社会通念に照らして適当ではない、こう考えております。
 それから、この法律でございますが、当時北海道の開拓が進むにつれて生活の道を失って困窮に瀕していたアイヌの人々の生活を安定させる必要の判断から明治三十二年に制定されたものであります。御指摘のような不平等な立場に基づいてはいない、こう確信をいたしておるような次第でございます。
○中尾則幸君 もう一点厚生大臣に確認させていただきたいんですが、この北海道旧土人保護法についてはもはや空文化しておる。これについてはもうこの法律を廃止すべきだ、そして新たにアイヌ新法をつくるべきだという声があるんですが、一言これについて厚生大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私どもも今日ではその存在意義をほとんど失っていると考えております。廃止自体には異論はございません。
 政府全体といたしましては、新法問題検討委員会を設置いたしまして、また北海道知事から新法制定と同時に廃止されたいとの要望もございますので、新法問題検討委員会における検討結果を踏まえて対処していきたい、このような考え方に立つものでございます。
○中尾則幸君 ただいま厚生大臣から、これは存在意義を失っている、廃止すべきだと前向きな御答弁をいただきました。私はこの旧土人保護法という差別べっ称用語を用いた法律を廃止すべきだと。そうであればアイヌ・ウタリ対策については、福祉対策じゃなくて抜本的な民族対策が私は当然必要だと思うんです。
 そこで、今も厚生大臣からお話がありましたけれども、新法制定に向けての検討委員会ができました。これは平成元年の十二月だと思うんです。これは森山官房長官の時代だろうと思うんですが、大変御苦労されたというふうに私は記憶しております。さて、平成二年の一月でしょうか、それから随分検討を重ねられてきました。検討委員会の状況、どんな検討をしたかというのを私持っておりますので、きょう時間がありませんので何月に何をやったかということは結構でございます。ただ、もう三年半もたっております。長官はこれまでの国会答弁の中で、いましばらくの時間、あるいは委員会の検討が進むのを見守っていると答弁されております。これは見守るだけじゃもうだめなんです。
 ここでお伺いしたいのは、具体的にこの三年半にわたってどのような問題が討議され、何が新法制定に向けてネックになっているか、具体的な中間報告をいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤博行君) 先生御指摘のような新法問題検討委員会は平成二年にスタートいたしております。途中若干の間隔の差はございますけれども大体月一回ないし二カ月に一回ぐらいの感じで、今日まで関係各省約十省庁でございますけれども検討会を催してきております。
 これまでの大まかな検討経緯を申し上げますと、北海道庁から提出されました要望事項、それをまず基本的な検討対象にいたしまして、各省が抱えておる問題をそれぞれ事前に勉強しながら、同時に道庁自身が要望をどういう考え方でどういう意味づけにおいてなさっておられるのかというようなことを中心にまずヒアリングを何回か行ってまいりました。その後、検討委員会といたしまして北海道への現地調査を行う、それからさらにこの問題につきまして学識経験のある方々からいろんな御意見を拝聴するということで今日までやってきております。
 時間をかけ過ぎではないかという御趣旨の御質問がと思いますけれども、先ほどの長官の答弁にもございましたように、やはり要望の中身が我が国の法体系との関係でかなり基本的な問題にかかわるものを多く含んでおります。それだけに北海道庁からの御要望あるいはウタリ協会からの御要望等々が果たして我々の現行法体系の中でどうこなし得るのか、またそれが他の法律との関係でどういう意味づけを持ってくるのかというような点を含めましていろいろ議論すべき問題があるということで今日まで時間を要しているわけでございますが、この問題はかなり深刻な問題も含んでおりますので、それだけになお慎重な検討が要るんではないかというふうに考えております。
○中尾則幸君 私は、それは全部わかります。
 何がネックになっているか、一言お伺いしたい。それは慎重に検討するというのはわかりますよ。例の単一民族発言で中曽根元総理が昭和六十一年に問題発言をしました。そのころの議事録を見てみますと、昭和六十一年、当時の中曽根総理もやっぱり旧土人保護法は再検討を開始したい、したというような話もあります。これは七年前の発言です。今の今まで何をやってきたのか、具体的に何がネックになっているか、時間もありませんので一言だけで結構です。
○政府委員(伊藤博行君) 一番基本的な点の問題としますと、いわゆる先住民族としての権利ということをうたっておられます。そのときに、その言葉のもとでどういうことを意味させようとしておられるのか一これにつきましては北海道庁で要望書を取りまとめられる際にも審議会でいろいろ議論がございました。そこでの議論でもかなり幅のある議論がなされたというふうに承知しておりますけれども、そこで言われております内容次第によっては、いわば我が国の現行憲法のもとで民族の独自性に着目しての特別の権利を認めることが可能なのかどうか、かなり深刻な問題を含んでおるというふうに考えております。
 こういった点が一番基本的な問題ですが、そのほかにも派生していろいろな問題があるというふうに考えております。
○中尾則幸君 この問題についてはまだ改めて伺いたいと思います。
 きょうは森山文部大臣もお見えですので、短い時間でございますけれども、ちょっと文部大臣にもお話を伺いたいと思います。
 御存じのように、ことし四月でございましたでしょうか、小学校社会科六年上の教科書で大変な事実誤認がございました。明治政府が開拓に着手して、例えばアイヌが非常に生活に困る、いわゆる同化政策を用いて言葉も奪い、宗教も奪い、大変悲惨な歴史がある。そして、これはアイヌが反乱を起こしているわけです、シャクシャインの乱だとか。アイヌは本当に従順に従ってきた。非常に差別を受けながらも苦しんできた。
 教科書はその後訂正されておりますけれども、これは教科書が間違ったというんじゃなくて、その問題を私は取り上げるんじゃなくて、ここに教科書検定もあるわけです。こういった大事な問題を間違うようなことというのは、私はその背景にあるのはいわゆるウタリ対策、民族問題に対する検定官初め著者の認識の甘さからくるものじゃないかと思っていますけれども、これについて一言御答弁願います。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるような間違いがございましたことはまことに申しわけないことであったと思います。
 早速訂正をさせていただきまして既に訂正の文章もそれぞれ配付されておりますので、その点については御了解いただけるかと存じますが、おっしゃいますように、そのようなことがございましたのは認識が十分でないからではないかとの御指摘もうなずける面もあるわけでございまして、今後そのようなことがございませんように一層適切な指導を行っていきたいというふうに考えております。
○中尾則幸君 私も教科書をいろいろ取り寄せてみましたけれども、確かに少しずつアイヌ問題について記述がふえているな、これは文部省も努力をし始めたなということはうかがえますので、一層この問題に対してしっかりと取り組んでいただきたいと思うんです。
 続いて、アイヌ民族の貴重な文化財、アイヌ伝統文化の保存について伺いたいと思うんです。
 大臣も御存じのように、アイヌ民族はいわゆる文字を持たない民族で、今までずっといわゆる口承、口伝えてやってきた。叙事詩の中でも世界でも五本の指に入るという、民俗学的に見ても文学的に見ても文化的に見ても非常に大変なものがあります。これをいかに記録していくかというのは大変重要なことだと思うんです。ただし、アイヌの古老の方々はもう既に大半が亡くなってしまっている。私は取り組みが遅いんじゃないかというふうに思っています。
 それで、きょうは昭和五十年に採録したテープを、サコロベという世界、ちょっと収録の状態が悪いんですけれども十数秒お聞かせいたします。
   〔録音聴取〕
○中尾則幸君 この方はもう十数年前に亡くなっておりまして、こういう話り伝え、伝承、これは叙事詩なんですけれども、本当に急激にそういう古老の方々が亡くなっていくものですから記録が非常に難しくなっている。
 予算を見ると、予算の裏づけが非常に薄い。文化庁も大変苦労されているようなんですけれども、これについてどんな取り組みをなさるのか、まず伺いたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃいますように、大変貴重な文化を何とか保存していかなければいけないという認識は先生と同じ気持ちでございますが、国といたしましてもこのような考え方から、民俗文化財の指定という方法を通じましてアイヌ文化の保存、伝承を図ろうとしているところでございます。例えばアイヌの古式舞踊について重要無形民俗文化財に指定させていただいたり、また今お話しのユーカラでございますとか建築技術とか儀礼、古式舞踊などについて記録作成の措置を講じているところでございます。
 また、北海道の教育委員会が実施しておりますアイヌ細工とかアイヌ儀式などの伝承教室、あるいはアイヌ生活文化用語の伝承教室などが行われているようでございますが、これらに対しまして国庫補助を行いましてこういう伝承活動が円滑に行われるようにお手伝いをさせていただいているところでございます。
○中尾則幸君 平成四年度の国庫補助が文化関係、映像記録について簡単に七項目あるというふうに伺っておりますけれども、七項目はアイヌ文化関係の採録テープ、アイヌ映像記録等、国庫助成七項目にわたって平成四年度総額幾らでやっておりますか。
○政府委員(佐藤禎一君) ただいまお尋ねの北海道教育委員会が行っております七項目の事業に対する助成でございますが、四年度の実績といたしまして、事業費ベースで申しますと六千八百万円余、それに対する補助金ベースでは三千七百万円余というような状況になってございます。
○中尾則幸君 今お話を聞いていますと、補助金ベースで三千七百万円余というふうになっておりますけれども、これをひもといて、先ほどテープをお聞かせしましたけれども、私もこの道で職業二十数年やってきています。いかに映像の採録が大変であるかということは御存じだと思うんです。
 例えば、映像関係の記録は補助金ベースで大体八百万円程度、テープに至っては百万あるいは二百万円程度、これは大変お寒い状況なんです。確かに平成三年度に比べて四年度の予算は上がっています。でもよくお考えいただきたいのはそこなんです。古老がどんどん亡くなっている。この最後の語り部、サコロベといって先ほどのユーカラの世界の一部、この方も昭和五十五年に亡くなった。これは私どもが五十年に採録しているんです。もうこういうのは聞けないんです、こういう世界的にも有名な叙事詩の世界は。口承です。語り伝えです。
 私がここで申し上げたいのは、大蔵大臣、少なくとも平成六年度の予算で重点配分をしなければ、例えば十年後に予算を上げてもこれは全く意味のないことなんです。今すぐにやらなければいけない。ですから、平成六年度の予算については、例えばこういう古老がもうどんどん亡くなっていく、これについてやっぱりやるべきじゃないか。確かに先住権の問題もありました。先住民族の問題もありました。これは国会でずっと討議していく問題でありますけれども、そうしている間に大事なものが消えていってしまっては何にもならないと私は思うんです。
 森山文部大臣、それから河野官房長官、一言ずつお願いします。
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御意見よくわかりますので、大変厳しい情勢ではございますが、大蔵省にもよく御相談をいたしまして御協力いただくよう努力したいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 文化財をどうやって保存するかということはいろいろな方法があり、そしてまた先生がおっしゃるようにタイミングがございます。
 もう一つ言えば、これは変な言い方ですけれども、多額にあればできるというものでもなくて、これは語り継いでくださる方は限られているわけですから、その方に対してどういう順序でというか準備をして、順序よく収録をするもの、あるいは編集をするもの、あるいはいろいろと教えていただく手順などがあるわけでございまして、もちろんおっしゃるように予算をふやすということは極めて重要でございますが、それと同時にそうした方々のお気持ちに沿っていくということも重要だと思います。私は、文化庁においてもっとそうしたことをよく先方にも伺って、どういうやり方がいいのかということについて研究をする必要もきっと今の先生のお話を伺うとあるのかもしれないと思っております。
 いずれにせよ、こうした貴重な文化財を継承するための努力はこれから先も積極的に続けていく必要があろうと思います。
○中尾則幸君 残り一分で中途半端にわたっちゃいそうなんですけれども。
 既に御存じのようにアイヌの人たちへの調査、これは昭和六十一年の調査ですけれども、生活保護を受けている方が一般の方に比べて約三倍。あるいは高校進学率をとっても、これは北海道の数字なんですけれども、一般が九四%、ところが七八・四%。いろんな意味で厳しい状況に置かれています。私が今申し上げたのは、生活保護あるいはそういう対策じゃなくて抜本的な民族対策としてアイヌ民族の問題をとらえるべきだと思っております。
 今のテープの採録を含めてそうなんでありますけれども、最後に長官、ことしは国際先住民年です。いつまでも検討しているだけじゃなくてひとつ決意を伺いたいのと、それからきょうは私の質問にはありませんでしたけれども、大蔵大臣がちょうどいらっしゃいますので今のことをしっかりと胸にとめておいていただきたいなとお願い申し上げて、最後に河野官房長官から決意のほどを伺って私の質問を終わります。
○国務大臣(河野洋平君) アイヌの方々の今日の生活状況を考えますと、我々がやらなければならないことが幾つかあるということを率直に感じております。そして、一つは経済的な支援、生活水準を上げるための経済的支援というものがございますが、今先生がおっしゃるように、それと同時にあるいはそれのむしろ前提として、こうした方々のこれまでの御苦労をどう我々が認識するかということが大事なんだろうというふうに思っております。
 先ほど事務当局から御報告を申し上げましたように、アイヌ新法に対します検討委員会の検討も、北海道のこの問題に長年携わっておられた方々からのお話をずっと聞いておりますし、さらに核心に触れる方々のお話も今聞きつつあるところでございます。私は、委員がおっしゃるように、これはいつまでもずるずる延ばしていい問題だとは思っておりません。しかるべきときに結論を出さなければいけないというふうに思いますが、さらばといって見切り発車のような結論の出し方は避けなければならないというふうに思っておりまして、この問題にスタートの合図をされた森山大臣もここにいらっしゃいますが、この問題をスタートさせた当初の気持ちを持ってこの検討の大詰めをきちんとしたいというふうに思っております。
○中尾則幸君 どうもありがとうございました。
○西野康雄君 私の方は、地元から少し実情を聞いてくれという要望がございました事項についてまず質問をさせていただきます。
 兵庫県に明石大蔵海岸というところがあります。瀬戸内海の万葉の時代から非常に景勝地であったわけですが、なだらかな湾曲をした海岸美で地元の方々からも非常に愛されている海岸でございます。その海岸を建設省、CCZ、コースタル・コミュニティー・ゾーン、横文字の好きな省でございますな、それのCCZ計画整備事業として認定を受けておるということですけれども、建設省は一体どういうふうな補助内容をこのCCZ計画の中で大蔵海岸でおやりなのか、その概要からちょっと御説明願います。
○政府委員(岩井國臣君) 先生今御指摘の明石市大蔵地区におきます埋立事業につきましては、明石市を埋立事業主体といたしまして、全体で事業面積約十九ヘクタール、公園、緑地、文化施設及びレクリエーション用地などの確保を目的といたしまして事業を実施しようとしているものでございます。
 建設省といたしましては、今先生御指摘されましたように、コースタル・コミュニティー・ゾーン、これは安らぎと潤いのある海辺をつくり出すというねらいから実施しておるものでございますが、平成二年度に事業認定をしておりまして、海岸事業あるいは公園事業等総合的に実施するわけでございますが、海岸事業につきましては直轄事業として進めることにしております。
 その他の事業の進め方につきましては、まだ埋立事業がこれからということでございますので、その進捗を見ながら今後調整の上決定するということにしております。
○西野康雄君 直轄事業そして公園事業等々、幾らぐらいの予算をおろしているんですか。
○政府委員(岩井國臣君) まだ埋め立てがこれから始まるということで終わっておりませんので、これからの予定ということでございますけれども、全体事業で申しますと、海岸事業関係は約二十億円、それから公園事業その他はこれからの調整ということでございますので未定でございます。
 埋立事業につきましては、これが先行するわけでございます。明石市の単独事業ということでございますけれども、これが約二百三十五億円程度というふうに聞いております。
○西野康雄君 この海岸事業の直轄二十億円もそうですけれども、ここの地元がアンケートをとりました。そしたら、こういう事業は有益とは思わないというのが六五・一%というふうなことなんですね。近ごろ安易な埋め立てだとかそういうふうなことをし過ぎじゃないか。人工造浜で海岸をつくっていけばいいじゃないかというふうなことが随分と言われている。しかし、先般新聞にも載りましたけれども、人工干潟等はもう浄化能力が自然の海岸に比べて三分の一程度である、そういうふうなことも調査結果で出ております。
 私、そういうふうな地元住民の反対運動、そしてまた安易な埋め立てをやって、また新たに海岸をつくればいいんじゃないかというふうな事業に対して建設省も一緒になっていくという形はよくないんじゃないだろうか。いま一度こういうふうなCCZというものを見直してみる必要があるんじゃないか。
 明石市からどういう報告を受けているか知りませんけれども、大蔵海岸あたりへ行きますというと、埋め立て反対という軒並みずらっとのぼりのようなものが立ったり、うちの外に看板が立ったりしております。いま一度こういうふうなことは見直す必要があるんじゃないかなと思いますし、埋立事業で二百三十五億円といいますけれども、明石という市の財政規模から考えますとこれは負担が少しかかり過ぎているんじゃないかな、そんな気もするわけなんですね。
 過去、明石市では大蔵海岸の横の中崎海岸を埋め立ていたしました。海浜レクリエーションゾーンとして第三セクターで設立しました。マリンセンターなんかを建設したんですけれども、結局経営破綻を来している。横っちょの海岸の方で経営破綻をしているのに、また横の方でやっていくというふうなことですね。埋立地造成費用が二百三十五億円。そのうち五ヘクタールを民商売却によって償還しようとするわけですよ、この計画では。そうすると、土地処分単価が坪当たり百五十万円を超す。瀬戸内の国立公園区域内の規制がかかるような、そしてまた中心地からはるか離れているようなところで百五十万円を超す額で果たしてこれをだれが買うんだというふうなことになってくる。
 いま一度このCCZの中の明石の大蔵海岸というものをきっちりと検証する必要があるんではないかな。そしてまた、地元民の反対運動が起きているということもとらえて、総合的に建設省としてどういうふうなお考えを持っているのか、ちょっとお聞かせください。
○政府委員(岩井國臣君) まず、この大蔵海岸でございますが、この箇所だけではなくてこれを含めます全体として東播海岸と呼んでおりますが、広域にわたりまして古くから高潮や浸食による災害をこうむっております。そのために、昭和三十六年度から建設省では、直轄海岸事業といたしまして、海岸堤防をつくるとかあるいは離岸堤をつくるとかあるいは突堤、養浜、そういった事業をやってまいっておるわけでございます。
 そういう状況の中で、このたび当大蔵海岸につきまして、現在もう既に砂浜もなくなってしまっておるわけでございますが、そういった失われた砂浜を何とか回復して触れ合いや安らぎの場をつくり出したい、そういう目的で大蔵海岸整備事業計画が策定されまして、それに基づいて埋立事業が申請されたものでございます。あくまでも明石市の構想といいますか、計画でございます。
 海岸事業につきましては、先ほど言いましたように、東播海岸全般でございますけれども、やはり浸食対策といたしまして離岸堤だとか養浜などの事業を行っていくことが必要でございますから、明石市のそういう考え方と一緒になりまして背後と一体的な整備を図っていくのがいいのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。
 埋立事業につきましていろいろ意見があることも承知しておりますけれども、先生御案内のとおり、埋め立てにつきましては、事業者から県知事の方に申請が上がるわけでございます。免許権者が知事になっております。知事さんは、公有水面埋立法の定めるところに従いまして、環境の保全あるいは災害の防止等に配慮されておるかどうかといったことを審査いたしまして、それからあわせまして瀬戸内海環境保全特別措置法というのがございますが、その法律の第十三条第一項に埋め立てについての特別配慮の事項がございます。そういったところにも合致しておるかどうか、そういったことを慎重に考えながら処理することになっております。兵庫県の知事さんの方におかれましてそういったことを総合的に考えながら免許がなされたということでございまして、私どもといたしましては、知事におかれて適正に対応がなされているというふうに考えております。
○西野康雄君 防災面ではよくわかるんですけれども、しかし兵庫県の地域防災計画によると、県下四カ所の高潮などによる海岸水防危険地区、明石市も当然入っておりますが、その対象地域となるのは明石港一体の港湾地域であって大蔵海岸ではない。そしてまた、高砂の失敗例として、新たに造兵をして結局ヘドロがたまって海岸へも行けなくなったというふうな例もございます。ですからこそ安易に瀬戸内の埋め立て、造浜事業とかをすればよいというものではないということです。
 それからまた、砂浜が失われていくということは砂防ダムとの関係が非常に大きいということです。確かに五十ヘクタール以下というのは県知事のものですけれども、しかし政令の施行令第三十二条の二というところには、「五十ヘクタールヲ超ユル埋立及環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」、五十ヘクタール未満の埋め立てであっても環境保全上特別の配慮を要する埋め立ての場合は環境庁長官の意見を求める義務がある、そういうふうなことをすべて怠った上で行われている。そういうふうなことを考えたときに、これを今慌てて無理にCCZの中でやっていく必要があるのか、大変に疑問に思う点であります。この問題ばかりやっておりますとあれでございますけれども、しかし僕の指摘したことの意味というものをよく理解していただいて少し考えていただきたいなと思います。
 続いて、長良川の三重県内水面でのシジミ漁業についての長良川河口ぜき事業に伴う補償についてお伺いをいたします。
 まず、長良川内水面でのシジミ漁業は自由漁業として漁業補償の対象となっておりますけれども、補償当事者、あなた方もその認識を持って補償をしてきたのか、その点からお伺いします。
○政府委員(岩井國臣君) 長良川河口ぜき建設事業に伴います漁業補償につきましては、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、これは昭和三十七年六月二十九日に閣議決定されておるものでございますが、その要綱に基づきまして、長良川におきます漁業の実態を踏まえて、長良川河口ぜき建設に伴う漁業影響の内容を十分検討いたしまして実施しているものでございます。
 長良川の内水面におきましては、共同漁業権の免許を受けていないけれども、九つの組合がシジミの漁業を行っております。これらの組合につきましては、組合がその地先の漁場を管理いたしまして、組合員はその地位に基づいて当該漁場で漁業を行っておる、そういう様態があるわけでございますが、そういった様態につきましては漁業権が免許されている場合に準ずるものである、そのように判断いたしておりまして、漁業補償の対象にしております。すなわち、補償に当たりましては、漁業権の有無にかかわらず、先ほど申し上げましたような損失補償基準要綱に基づきまして適正に補償を行っている、こういうことでございます。
○西野康雄君 そうすると、自由漁業としての漁業補償の対象としておるということですね。
 そういうふうな中で、シジミ漁をなさっておられる漁協の皆さん方の中に南松ケ島漁協というのがございます。南松ケ島漁協の組合員の一部漁民が、そういうふうに長良川内水面でのシジミ漁業が生活基盤となっておるわけですが、そうなるとそのシジミ漁業は補償の対象となるわけですね。もう一度確認をいたしますが、補償の対象となっているわけですね。
○政府委員(岩井國臣君) 先ほども御説明いたしましたけれども、共同漁業権を有していないという組合もあるわけですが、先生御指摘の南松ケ島漁業協同組合につきましても、共同漁業権は有していないけれどもシジミ漁業を中心といたしまして社会通念上、共同漁業権類似のものとみなし得る程度に成熟した習慣上の利益を有する、そういうふうに認められますことから補償の対象にしております。
 同組合につきましては、昭和六十三年一月に着工同意をいただいた後、組合の総会で選任されました漁業交渉委員、これは組合の役員でございますけれども、それとの間で漁業上の損失補償につきまして協議を行ってまいりました。しかし、組合の内部で紛争が起こりまして、一部の組合員から漁業交渉中断の申し入れがございまして、その後組合と協議の上現在交渉を一時中断しておるわけでございますが、先ほどから御説明しておりますように、シジミ漁業というものが自由漁業でありましても補償の対象には当然なる、するつもりでございます。
○西野康雄君 そうすると、シジミ漁業をやっている方々がそういうふうになるわけですが、南松ケ島漁協に限らず、日本国じゅうの内水面だけではないとは思うんですけれども、いろんな漁業協同組合が幻とでも申しましょうか幽霊組合員とでも申しましょうか、実際漁業をやっていない、南松ケ島では実際シジミ漁をやっていないという人たちがたくさんいる。そして、その人たちが漁業補償を目当てに随分と活動をするというふうな実態があるわけですね。そして、本当にやっている人たちにとっては大変に不満が募ってくる。南松ケ島漁協の内紛だとかそういうふうなものでも、じっと調べてみるというと実際シジミ漁をやっているのは六人ぐらいしかいない。ところが、片方でシジミ漁をやっていない人たちが組合の役員になってあなた方と交渉をしたりしているというふうなことですね。
 私、これは税金というものに対しての冒涜じゃないだろうか。建設省なり水資源開発公団なりが、こういうふうなことであなたは漁業をやっていないんだからと、そういうふうなことをきっちりとやっていかないとだめなんじゃないだろうか、そういうふうに思うわけですよね。ですから、この南松ケ島漁協は今少しもめておりますけれども、実際やっている人にきっちりと補償の道を確保してやるということが一番大事なポイントじゃないかなと思うんですが、この点どうですか。
○政府委員(岩井國臣君) 私どもの考えといたしましては、先ほども言いましたように、漁業補償の対象となるものにつきましては、現地における漁場の管理等の状況を考えまして、現実に漁場を管理している組合が適当であるというふうに考えておるわけでございます。
 事業者といたしまして世、組合の実態を踏まえまして、いろいろ影響調査を実施しながら適正な補償を行っておるわけでございまして、個々の組合員がどのような形で漁業を実施しているのか、なかなか実態がわかりにくいところもありますから、組合トータルといたしましていろいろ交渉させていただきまして補償するという考え方でございます。それぞれの組合員個人に対します補償金の配分につきましては、あくまでも組合内部の問題であろうというふうに認識しておるところでございます。
○西野康雄君 そうしたら、組合が四分五裂して二つ、三つできたら、あなた方二つ、三つと交渉しますか。そういうことになりますかな。
○政府委員(岩井國臣君) あくまでも組合ということでございますので、そういうことになるかもしれません。
○西野康雄君 そうしたら、桑名市漁連に対するシジミ漁業の補償、長良川内水面での漁業についての補償も含まれていると理解している漁民もいますが、その理解は正しいですか。
○参考人(小島重喜君) お答え申し上げます。
 先ほどからの河川局長の御答弁にもございますように、当該地域におきましてはいわゆる共同漁業権というものはございませんが、損失補償基準の要綱に言う、みなすといいますか、言うなら権利程度まで成熱したそういうものとみなされておるわけでございまして、そういう観点から申し上げますと、当該桑名漁連が長良川の内水面で行っております漁業につきましても補償基準上は当然そういうものの補償の対象になるというように私どもは承知をいたしておりますし、現地ではそのように対処されたものと了解しております。
○西野康雄君 ということは、桑名市漁連に対してのシジミ漁業の補償は長良川内水面での漁業についての補償をしておると、こういうことですね。
○参考人(小島重喜君) 御指摘のとおりでございます。
○西野康雄君 ありがとうございました。
 それでは、建設省に対しての質問を終えさせていただきまして、続いて環境庁にお願いをいたします。
 環境庁にお伺いをしたいのは、まず瀬戸内の埋め立てでございますが、今関心事に神戸空港というのがございます。そして、神戸空港というものが公害のない空港を目指して神戸市民もいろいろと頑張っておるし、行政の側も頑張っておったりもするわけですが、しかし環境に対しての影響も非常に大きゅうございます。
 まず、神戸空港と埋め立ての関連について環境庁はどういうふうな見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(赤木壯君) 神戸市が神戸空港を計画しております海域は、瀬戸内海環境保全特別措置法等により海面の埋め立ては厳に抑制すべき海域とされております。したがって、こういうふうな海域におきまして埋め立てを計画するに当たっては、陸域での代替可能性、埋め立てまで行って設置することの必要性や、さらに海域環境に与える影響等を勘案の上慎重に対応していく必要があるというふうに考えております。
 これまでもいろいろ状況を聞いておりますけれども、これまでの状況から見ますと、神戸空港は、関西圏全体の広域的な観点からの空港建設の必要性等を初めとしまして未解決の課題が残されるなど、計画の熟度が低い状況にあるというふうに考えております。
 環境庁といたしましては、神戸空港建設のための埋め立てについて意見が求められた場合には、埋め立てをしてまで空港建設を行う必要性も含めまして、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく埋め立ての基本方針とも照らし合わせて、環境保全の観点から慎重に検討していかなければならないというふうに考えております。
○西野康雄君 瀬戸内の埋め立てにこだわるわけではないんですが、最近はあちらこちらで五十ヘクタール以下ならば環境庁と相談をせぬでもええんやと、もう知事がぽっぽこと判こを押しゃええんやというふうな考え方が随分と出てきているように思うわけですよ。そういう小規模な埋め立て、瀬戸内全般に関してですけれども、環境庁としてはどういうふうな見解をお持ちですか。
○政府委員(赤木壯君) 瀬戸内海におきます公有水面埋立法に基づく埋め立ての免許等を行うに当たっては、瀬戸内海の環境保全の観点から、埋め立ての規模の大小を問わず、瀬戸内海環境保全特別措置法及びこれに基づきます埋め立ての基本方針に則して瀬戸内海の特殊性に十分配慮することとされているところでございます。
 確かに、「埋立区域ノ面積五十ヘクタールヲ超ユル埋立」とそれから先ほどちょっとお話がございましたけれども「環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」の場合は、公有水面埋立法に基づき主務大臣が埋め立てを認可するに当たっては環境庁長官の意見を求めることとされてございますけれども、環境庁に意見を求められない五十ヘクタール以下の埋め立てにつきましては、関係府県知事等が公有水面埋立法に基づく埋め立ての免許を行うに当たっては瀬戸内海環境保全特別措置法及びこれに基づく埋め立ての基本方針に基づいて適正に対処するよう指導してきているところでございます。
 環境庁といたしましては、今後とも、関係府県等に対しまして瀬戸内海環境保全特別措置法及び埋め立ての基本方針の趣旨の徹底を図る等によりまして瀬戸内海における埋め立ての抑制が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○西野康雄君 法律の文言というのはうまいこと解釈すればうまいことなるんやないかなというふうな気がするわけですが、公有水面埋立法第四十七条二項で「主務大臣ハ政令ヲ以テ定ムル埋立ニ関シ前項ノ認可ヲ為サムトスルトキハ環境保全上ノ観点ヨリスル環境庁長官ノ意見ヲ求ムベシ」として、政令では「面積五十ヘクタールヲ超ユル埋立及環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」については環境庁長官の意見を求むべきと、こういうふうなことがあります。「環境保全上特別ノ配慮ヲ要スル埋立」という部分で五十ヘクタール以上でなくてもきっちり環境庁の権限を及ぼすやり方というのはどこかに出てくるんじゃないだろうか、そんな気がしてならないわけです。
 やはりこれからの時代というのは環境保全ということが大変に重要視されている時代でございます。きのうも梅原猛さんがとある新聞に、モダニズムとポストモダニズムの関係の中でいろいろと長良川の河口ぜきもひっくるめて開発優先型という物の考え方というのは古いんじゃないかということで論文をお書きでございました。これからの時代というのはやはり環境庁がしっかりと頑張っていただく時代じゃないかなと思います。今後とも環境保全に頑張っていただきたいと思います。
 ちょうど時間がやってまいりましたので、これで質問を終えさせていただきます。
○西岡瑠璃子君 私は、外務大臣並びに外務省に対してお尋ねをしてまいります。
 ネパールの経済援助についてでありますけれども、先月、ネパール、タイ、インドネシアなどを訪問する機会を得たわけでございます。特にネパールは、九〇年に民主化運動による総選挙が行われて、社会党でありますコングレス党政権が経済自由化政策を推進するなど国民生活の向上のために改革を進めているところでございました。アジアの中の最も貧困な国であり、特に子供たちの置かれた劣悪な生活環境を目の当たりにいたしまして、我が国の援助のあり方について再考してみたわけでございます。
 その結果、ODAの質の向上の一環として、まず医療、保健衛生の分野での充実を図るべきではないかという思いをさまざまなところを見聞させていただいて非常に強くしたわけでございます。
 ネパールと我が国との間には航空協定も締結されておりますけれども、そこでネパールに対する我が国の援助の状況、そして特に医療、保健衛生、生活分野における援助の状況をまず御説明いただきたいと思います。
○説明員(内藤昌平君) 我が国は、ネパールが後発開発途上国であり、かつ開発ニーズは膨大である、さらに内陸国としても厳しい条件のもとにあるということ、さらに先生御指摘のとおり九〇年以来民主化のプロセスが進展していること、こういったことにかんがみましてネパールを我が国の経済協力の重点国の一つとしております。既に、九一年までの我が国の援助の総額で見ますと、ネパールは無償資金協力のうちの第八位に位しておりますし、技術協力についても十七位の受取国でございます。それから、ほかのドナー国との比較におきましても、我が国は一九八〇年以来、八八年の一年だけを除きまして、ネパールに対する最大の二国間のODAの供与国になっております。
 特に先生御指摘のネパールの基礎的生活分野での援助につきましては、我が国の無償資金協力及び技術協力を中心に協力しておりまして、保健、水の供給、衛生、それから教育、食糧援助、こういったネパールの国民の基本的生活の水準を向上させるための協力に重点を置いております。そこで、金額的にも無償資金協力を始めて以来ネパールに対しては一九九二年度までで約九百億円のスケールで協力しておりますが、そのうちの七割をこの分野に振り当てております。
 そういうことで、今後とも引き続きこの分野に積極的に協力してまいる所存でございます。
○西岡瑠璃子君 先ほど審議官がおっしゃいましたように、国連の公式呼称で言いますとネパールは後発開発途上国、LLD諸国の中に入っているわけですけれども、こういったネパールのような国に対しては、開発途上地域としてその飢餓と貧困の問題を克服して、そしてそこに暮らす住民に対しても人間としての尊厳がとうとばれなければならない、そういう生活が営まれなければならないというふうに思うわけです。そういった意味において、ベーシック・ヒューマン・ニーズ、そういうものを最優先させるということは当然でございまして、そのためのプロジェクトが大切であると思います。
 特に私たち行って感じたんですけれども、ネパールではもう乳児の死亡率が非常に高いわけです。生まれてからすぐに亡くなるわけですから。日本は高齢化社会というのがあるんですけれども、あそこではまだ高齢化問題というものが切実になっていない。それだけ乳児の死亡率が高い。そして人口は一千九百九万六千人なんですけれども、国民の保健衛生の状態とか栄養不足の状態などで結核患者が十万人以上もいると。これは直接シン・コングレスさんにお聞きしたわけでございます。最高指導者ですね。それで、G・P・コイララ首相とも会見をしたわけですけれども、日本から多額の経済援助を受けていると大変感謝をしておられました。しかし、私たちにはその援助の内容といったものがいまひとつ具体的に見えてこないわけでございます。
 そこで、この国に対して上下水道の整備、衛生教育、栄養摂取に必要な食糧の確保といった施策が重要になってくるというふうに思うわけでございますけれども、その点で我が国はどのような援助を計画的になさっていらっしゃるのか、そういった点について御説明をいただきたいと思います。
○説明員(内藤昌平君) 私どもは毎年、経済協力白書ということで私どもが経済協力をしております世界じゅうの国との具体的なプロジェクトの名前と金額を報告しております。その点、ネパールにつきまして、先生御指摘の今の三つの分野について特にこの機会に御報告させていただきたいと思います。
 保健衛生の観点で上下水道の中の上水道の水質の問題、衛生教育、それから食糧の問題、こういった点がネパールの国民の基本的な健康生活の上では三つの重要な分野であると私どもも認識しております。
 特に乳児死亡率、先生が御指摘の点につきましては、ネパールの水質に起因して各種の病気の割合が高いということが分析の結果認められております。そこで、私どもは上水を衛生的なものにするべく重点的に協力しておりまして、昭和五十一年に始まりまして、さらには昭和六十三年からは四年間かけまして全国三十三都市の上水道整備計画というものをつくりまして、優先順位の高い都市から順次実施しております。
 さらに衛生教育につきましては、ネパール政府の方でネパール・プライマリーヘルスケア拡充計画というものをつくっておりまして、私どももそれに協力するということで、特に一般大衆の保健衛生に関する認識の向上が重要でございますので、日本で言う保健所のようなネットワーク、こういうことを通じた医療サービスの提供、保健教育、栄養指導の強化、こういった分野のいわゆるプライマリーヘルスケアにかかわる技術協力を行っております。
 さらに食糧も確保しなければなりませんが、まずは食糧の自給率の向上を助けるという観点から、農業資機材の供与を目的とする食糧増産援助を実施しておりますし、かつ動物性たんぱく質を低コストで生産しかつ供給するように水産資源を開発すべく、ネパールは内陸国でございますので淡水魚類の種苗を生産、さらには養殖手法に関する技術協力等も行っております。
 さらに平成四年度におきましては、干ばつの被害もありましたので、緊急的ではございますが食糧援助も実施いたしました。
○西岡瑠璃子君 NGOの活動も大変活発に行われているということも私たち知っておりますけれども、今言われたような分野で日本が他の援助国と比較をして、経済援助としてはトップドナーの国としての権威を保ち得るだけの援助をなさっているという自負をお持ちになって今御答弁をなさったと思いますが、そういうことですね。
 それで、ODAという点で平成二年度の会計検査報告を見てみますと、「特定検査対象に関する検査状況」という章が初めて設けられまして政府開発援助についての記述が見られるわけです。「現地調査対象事業の概況」としておおむね順調に推移をしている例が一例紹介されております。あとの五つの事例は援助の効果が十分に発現していない事例と思われます。これは会計検査報告に言う個別の検査結果ではありませんけれども、会計検査院によるこのODAの不適切な事例の指摘をどのように受けとめていらっしゃいますか。
○説明員(内藤昌平君) 先生御指摘の会計検査院報告は平成二年度における特定検査対象に対する検査状況報告を指すものと承知しますが、この検査の結果、実はおおむね順調に推移しているのは七十六案件でございます。そのうちの一案件だけを具体的に説明されているわけでございまして、おおむね順調に推移しているのは七十六案件。それ以外に援助の効果が十分発現していないとして五事業が挙がりましたが、実はこれは残念ながら相手国の事情が主としてかかわっておりまして、そういう点では私どもとしては相手国にその努力をさらに慫慂しているところでございます。
 基本的に、経済協力でございますから、私どもは相手国の持っていない外貨とか機材とか技術とか、こういうものを持ち込む。相手国は相手国でやはり現地の作業をしていただく。相手国の予算もとっていただく。内貨で済むものは相手国ができるだけのことをする。両々相まって、経済協力ということですから、自助努力という点は我が国の経済協力の大きな柱になっているわけでございます。
 その点、残念ながらこの五案件につきましては、それぞれ相手国の政治的な状況や経済的情勢が変わったりしまして必ずしも相手国サイドで当初の計画どおりに実施できないために、例えばネパールの場合は、上水のためのポンプは日本側が完全に直したんですけれども、ポンプで上がってきた水はたまっているんですが、それを各戸口まで配達するための工事が、ネパールサイトが政治的混乱があったりあるいは隣国との通商条約が失効したりとか、そういう当初予見できない事情によりましていろいろおくれが生じました。
 しかし、いずれの案件につきましても、私どもは相手国との話し合いを通じまして、それぞれ先方様の努力あるいは我々も追加的な援助をする等によりまして、改善に努めております。
○西岡瑠璃子君 今おっしゃいましたネパールの上下水道整備事業の例なんですけれども、これは平成二年度のODA検査報告にも、無償資金協力の効果が十分発現していない例として挙げられているわけです。私の調査とも一致をするわけですけれども、この無償資金協力の対象となったポンプなどのその機材が十分活用されてないと今言われました。現地住民への水の供給が十分でない事態がなぜ起こったのか。そして、それは相手国ネパール側の資金準備も不十分だったということだろうと思うんですけれども、その後の改善措置がどういうふうに講じられたのか、伺いたいと思うわけです。
 そして、こういったことは会計検査ではちょっとわからないわけですから、指摘されたこの事例に対して会計検査院に何らかの改善報告をするという御予定はあるわけでしょうか。
○説明員(内藤昌平君) 今御指摘のネパールの上水の問題でございますが、先ほど申し上げたような事情で給水の部分で先方様の工事のおくれがあるということが指摘されておりますので、私どもは相手国政府に対してその点の促進をこちらからも指摘しております。さらに、現地に大使館員も派遣いたしました。一番最近では、五月の下旬に年次協議の場を通じましてこの特定の案件につきまして先方の促進方を要請いたしました。私どもの評価によりますと、先方の工事は着実に進捗しているということで、相手国の自助努力の所期の目的の達成を待っているところでございます。
 さらに会計検査院の報告全体につきましてでございますが、実は先ほど私が七十六案件すべてがおおむね順調ということで申し上げましたが、七十六案件を審査してそのうちの五案件が先ほどの問題指摘があった、その他はすべておおむね順調ということでございますので、若干正確を期しまして訂正させていただきます。
 それから会計検査院に対しましては、この検査は基本的に会計検査院の活動を国民に報告するという趣旨で行われております。したがいまして、その後のフォローアップの報告についての義務というものはございません。しかし、私どもは会計検査院とは毎年協議しておりますので、そういう段階で常々その後のフォローアップについては随時報告しております。
○西岡瑠璃子君 それでは、時間もありませんので、次にネパールの教育分野の援助について伺いたいと思います。
 一九九〇年のユニセフの統計によりますと、ネパールにおける成人男性の識字率が三八%、女性に至っては一三%とLLD諸国の中でも極めて低い。また、小学校の純就学率は男子が八四%。これは私たちは現地でもっと低いと聞いたんですけれどもね。女性が四三%となっているわけです。特に教育の必要性が理解されにくくて、また家庭の貴重な労働力とみなされている女性たちが正規の学校教育を受ける機会を逸してしまう。改めて読み書きを中心とする基本的な事柄を学ぶ機会を与えることを目的として一九八四年に開始されたという児童教育計画の施設を視察をしてきたわけです。
 ここはもう本当にカヤぶき屋根といいますか、わらぶき屋根の小さな小屋みたいなところで、机もいすもない、粗むしろを敷いた上に十四歳までの子供たちがまるで複々式学級のごとく一冊の教科書で学んでおりました。バクタプール部のティミ村という小さい村です。家事から解放されている早朝ないしは夜間に三十人前後の生徒が六カ月から九カ月かけて学び、修了すれば小学校の第三学年に編入することができるというものでございました。本年度から男子も対象とされるようになったということでありますけれども、こういう状況を考えますと、我が国のODAというのは医療、保健、衛生の分野とともに、識字率の向上そして小学校への就学率の向上という、国の将来を担う基礎分野での人づくりへの貢献が大変大切であるというふうに思われるわけです。特に女性への配慮が必要であるということを感じました。
 ネパールを初めといたしまして、アジアのLLD諸国に対する我が国の取り組みを含めて外務省そして外務大臣から私は御所見、御説明をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 御指摘のありましたような国づくりの本当に基礎条件でもあります人づくり、教育の面につきましては、従来以上に無償の援助の面でも、特にそういう今御指摘のようなネパールのような後発の開発途上国などに対しましては増大をしていかなきゃならないと私どもは考えておりまして、昨年つくりました政府開発援助大綱の中にもその旨をうたってあるわけでございます。
 また、今もう一つの御指摘である女性への面につきましても、従来はいわゆる開発の受益者という立場だけでございましたけれども、今後は開発の担い手という立場にも配慮をしまして、女性に対してのいろいろの面についての援助もしていきたい、これも今度の政府開発援助大綱に記述をいたしておるわけでございまして、昨年つくりました政府開発援助大綱は従来のODAのあり方を反省をいたしまして私どもつくったものでございまして、今後はこの大綱に基づきましてできるだけODAを本当に相手の国に喜んでいただけるようなものにしていきたいと考えておるわけでございます。
○西岡瑠璃子君 今大臣がおっしゃいましたそのODA大綱の適用状況とODA基本法の必要性について伺っていくわけですけれども、世界の貧困の多くは戦争から起こっているわけですね。もう環境破壊も例外ではない。我が国は国連の場で、また来る七月の東京サミットでは、武器輸出を続ける先進諸国に対して従来以上に警鐘を鳴らすとともに、我が国のODAを多額に受け取っている中国とかASEAN諸国、南アジア諸国の武器の輸出入の動向には特に十分に注意を払っていただきたい。外務省そして外務大臣の御認識、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) これも御指摘のとおりで、今回の政府開発援助大綱に、いわゆる軍事支出あるいは武器の輸出入、こういったようなものにも十分配慮をしながら開発援助を考えていかなきゃいけないと、こう書いてあるわけでございまして、先般、中国の銭外相と会談をいたしました際にも、私から中国に対しましても軍事支出あるいは環境問題等あなたのところで考えていただかなきゃならない点はありますよということは、十分指摘を実はいたした次第でございます。
 今後ともそのような考え方で進めてまいりたいと思います。
○西岡瑠璃子君 閣議決定によります政府のODA大綱だけでは非常に不十分であると私は思っております。ODAが外交の専権事項であるようなお考えをこの際改めて、既に今月七日に提出されております参議院の議員立法であります国際開発協力基本法案の成立に私は外務省もぜひ協力をすべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 新しい法律案をお出しいただいたということは承知をいたしております。
 私どもといたしましては、できるだけその中にございますお考え方は参考にさせていただけるところは参考にさせていただきたいと思っておりますが、正直、何といってもこのODAというのは国際貢献の一つの大きな柱でございますし、また今も御指摘もありましたし私ども反省をいたしておりますが、これはやっぱり常に相手の国の国民の皆様方の福祉につながる、その国のただ単なる開発発展だけではなくてやはりその国の開発とその国の国民の福祉とがうまくマッチしていく中でしていかなきゃならない。いろいろなプロジェクトがございますけれども、こういうものも常にやはり相手国と日本側とが連絡を密にしていかなきゃならない。
 こんなことを考えてまいりますと、やはりこれは外交と表裏一体のものでございますので、私どもといたしましては改善すべきところは今後も改善をしていくつもりでございますが、それぞれの関係各省庁ともよく打ち合わせをいたしながらこのODAを進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○西岡瑠璃子君 ぜひ前向きの御検討を積極的にお願いしたいということを申し上げまして、外務省を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 次は、厚生省にMMRワクチンの問題について、もう時間がございませんので非常に簡単にお尋ねをしてまいりたいと思います。
 厚生省は五月の十八日、新三種混合ワクチンMMRを製造しておりました阪大微生物病研究会の研究所を立入調査されたそうでございますけれども、その容疑はどういうものであったのか、またその結果を御報告いただきたいと思います。
 そして阪大微生物病研究所というのは、これは大阪大学医学部と非常に紛らわしい呼称でありますね。これはどういう組織であるかということ、そしてもう一つは、日ごろからこの阪大微研に対して厚生省がどのような指導監督をしてこられたのかということをお聞きしたい。
 そして最後に、これはきのうの新聞にも出ておりますけれども、MMRの無断変更の阪大微研の理事が予防接種健康被害調査委員会に参加をしている、これはどういうことでございましょうか、そういったことをお尋ねいたします。
○政府委員(岡光序治君) まず、阪大微生物病研究会の研究所の立ち入りの件でございますが、財団法人阪大微生物病研究会からの報告によりますと、いわゆる統一株MMRワクチンに用いられましたおたふく風邪ワクチンの原液とそれから自社株のMMRワクチンに用いられた原液とで違いがあるということがわかりました。厚生省ではこの内容をチェックしておりますが、内容的には、統一株の方につきましては羊膜培養を経て製造されたものと細胞培養により製造されたものと混合したものを用いていた、自社株の方につきましては細胞培養により製造した原液を用いているという、こういう違いでございます。
 私どもはこの製造方法の違いに問題があるんじゃないかということで調査をしているわけでございますが、同法人は、培養方法の違いであってウイルス学的に同等との認識のもとに問題はないというふうに説明しております。現在、そういうことで立入調査をして入手をしました資料それから報告をもとに、検定の受検状況も含めまして事実関係、それから薬事法上の法的な問題につきまして最終的な検討を行っている段階でございまして、早急に適切な対応をとってまいりたいと考えております。
 それから、二点目の阪大微研の組織の問題、阪大との関係でございますが、所管の文部省に照会いたしましたところ、この財団法人阪大微生物病研究会といいますのは、昭和九年六月に文部省の主管する公益法人として設立されたものだそうでございます。そういうことで、大阪大学とは別個の組織でございまして、管理運営には大阪大学は関係していない。
 なお、設立の経緯から、役員の多くは大阪大学の微生物病研究所とかあるいは医学部出身の名誉教授が兼任しておるということだそうでございます。
 薬事法上の位置づけでございますが、昭和二十六年六月に医薬品の製造業の認可を得ているわけでございます。
 それから、この阪大微研に対してどういう指導監督をしてきたかということでございますが、薬事法上の医薬品の製造業者としての位置づけでございますので、その位置づけとして私ども年に一回程度の監視を行っているという状況でございます。
○西岡瑠璃子君 副作用の発生がかねてから問題になっていたにもかかわらず、厚生省が適切な措置を講じないでいるうちに犠牲者が続々と後を絶たない。そして最近になってようやく接種の中止をされたわけですけれども、こういう事柄について厚生大臣はどのように受けとめておられるか、最後にお聞きをいたしまして私の質問を終わります。
○国務大臣(丹羽雄哉君) MMRワクチンは、接種後に無菌性の髄膜炎が一定の割合で発生するということが導入後になって初めて明らかになったわけであります。このため、平成元年の十二月から、保護者から希望があった場合のみ接種をするとか、あるいは副作用のモニタリングを始めるほか、その時点で比較的被害の少なかった自社株の導入など、その時点に応じた適切な対応を私どもはとってまいりました。
 導入段階でこのようなことは実は予測できなかったものでございますけれども、各方面に不安を与えておりますことに対しましては遺憾に思っておるような次第でございます。
○西岡瑠璃子君 終わります。
○森暢子君 去る五月三十日のカンボジアで殉職されました岡山県出身の文民警察官高田晴行警視の合国葬に、私も岡山出身でございますので、その一人として参列をさせていただきました。その日に、大変かわいい二人のお子さんがお父さんが亡くなったということも知らないまま走り回っていたあの姿に接しまして、本当に何とも言えない気持ちがいたしたわけでございます。
 城内警察庁長官が、高田さんの合同罪の翌日の五月三十一日に全国警察本部長会議で、PKO派遣の文民警察官の帰国後の処遇とかそれから留守を守ってこられました家族に対するきめ細やかな配慮、そういうふうなことについても触れていらっしゃったようでございます。
 私も同感するわけでありますが、任務を終えて帰国を待ち望んでいらっしゃる家族のために、ひとつ村田国家公安委員長の方からただいまの御所見、御感想を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 私は、その全国の警察本部長会議にも国家公安委員長として出席をいたしました。また、森委員御指摘の高田さんの御葬儀にも出席をいたしました。非常に深い思いを持っておるところでございます。
 実は文民警察官の問題、私はカンボジアに参りましてその一身上の安全の問題、世界から派遣をされておる三十二カ国の方々と同時に、明石特別代表にも懇請をしたところでございますが、カンボジアの選挙も終わりました。そして、今が本当にカンボジアの民主国家建設の一番大切なときであると思っております。ただ、文民警察官は一応その任務を終了したという感じがしておるわけでございますが、今後ももちろん非常に大切でございますが、任務終了後は日本に早く帰還をしてもらいたい、そういう気持ちでございます。官房長官ともお話をしております。
○森暢子君 それでは官房長官にお尋ねしたいんですが、文民警察官の任期は一応七月までというふうにお聞きしておりますが、帰国はいつごろになるでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねのとおり、文民警察官の任期は七月の十三日となっております。しかしながら、一つの大事な仕事でございます制憲議会選挙の投票、開票という選挙の業務が済みました今、配属配置されておりますそれぞれの地域によりましていろいろな事象が起こっております。UNTACにおかれましても、そうした配属先の事象などを見ながら、既に文民警察としての仕事の重要性などを考えながらその撤収について御検討はいただいているようでございます。
 漏れ承るところによりますと、UNTAC内部で幾つかの案を既に検討しているというふうに伺っておりますが、これはUNTACだけで最終決定ということではないようでございまして、国連本部とも打ち合わせが必要というふうに聞いております。私自身、現在、いっその任務を終えて帰国をするかということについてUNTACが決定したという情報はまだ聞いておりません。
○森暢子君 私たちは、PKO活動、国際貢献について反対する立場ではございません。文民警察であるとかそれから選挙監視など、こういうことはやっぱりやるべきではないかという気持ちを持っております。しかし、武力行使の危険を伴う自衛隊の海外派遣ということについては反対してきたわけでございます。しかし、いろいろな現場に参りますと、厳しい条件のもとでいろいろな状況が今起こっているということは事実でございます。
 しかし、これを決める段階で、我が国の進む方向を決定づける大変重要な事項を決めるときに、やはり安全性ばかりを強調なさったということも事実であると思うんです。安全だから行ってもいいんだ、行けるんだということが多かった。そういうことで国会審議に望んだ私たちも、その実情把握ということについては大変非力であったということもあります。
 そういうことで、特にこの文民警察官の安全確保については本当に議論が不十分であったんではないかという思いがしてならないわけです。そういうことに対しまして、官房長官、ひとつ御所見をお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 衆参両院にわたりまして大変長時間の御議論が国際平和協力法案審議の際行われたということは、委員御承知のとおりでございます。
 この長時間の審議の中で、文民警察の安全といいますか、文民の安全についてどれほどの議論がなされたかということについては、これはさまざまな評価があるわけで、私どもから一概に申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、私どもは国際平和協力活動いわゆるPKO活動というものは、戦闘状態を終えてそれぞれ紛争当事者が和平の合意をした後に出ていく活動でございますから、戦闘状態の中に出ていくということではないということはこれは申し上げて現在でも決して間違いではないというふうに思うわけでございます。
 しかしながら、地域によりまして、例えばカンボジアについて申し上げますと、十数年にわたる激しい戦いの後の和平でございまして、その和平について脆弱な面もあったということは私は残念ながら認めないわけにいかないと思います。これは国連のブトロス・ガリ事務総長もおっしゃっておられますように、自分たちが考えていた状況といささか違うところがあったと。
 それは、一つは武装解除が当初考えていたようにできなかった。さらには、本来国民が望んでいたに違いない、あるいはそれは投票率を見ればもう明らかでございますが、そうした選挙に際して、この選挙をボイコットするあるいは妨害するというような勢力の存在があって、それを説得できなかったということは当初考えていた状況と違うわけでございまして、これは私どもとしても全くそうした当初想定し得なかった状況があったということを認めないわけにはいかないと思います。
○森暢子君 今後ともその本当の情報の把握といいますか、そこの状況をきちっと把握してこれから進んでいっていただきたいというふうに思います。
 カンボジアでこういうふうに国際貢献に汗を流しておられる警察官もいらっしゃる、また日夜市民生活のために働いておられる多くの警察官もいらっしゃるということはわかります。日本は世界の中でも治安がいいというふうにいろいろなところで評価されている。しかし、大変残念なことに、最近特に現職の警察官の不祥事件が目立ちます。
 これも御存じだと思うんですけれども、たくさんありますけれども、まず神奈川県警川崎署の駅前地区警備派出所、ここで起きた事件について、その事実経過とその後の警察の対応について要点をお聞きいたします。
○政府委員(井上幸彦君) まず初めに、ただいまお話しありましたとおり多くの、ほとんどの警察官が治安維持のために日夜努力をしている中にあって、一部の者とはいえお示しのような不祥事案が起きていることに対して、まことに警察の威信を傷つけるところであり、残念でかつ国民の皆様に深くおわびを申し上げたいというふうに存じます。
 そこで、お尋ねの川崎警察署におきます事案でございますが、これは昨年の十二月三十日に発生したものであります。
 当日の午後でありますが、通りがかりの女性から、近くの歩道上で労務者が酒を飲んで騒いでおる、大変迷惑だから何とかしてほしいと、こういう訴えを受けまして、当日勤務しておりました警察官が現場に赴きまして、場所をかえて飲んだらどうかというふうなことを言ったのでございますが、四、五人で車座になっておりました労務者風の人々のうちの一人が、どこで飲もうと勝手だというふうなことを言いながら、手に持っておりましたカップ入りの酒を投げつける、こういうような状況が出てまいりました。そこで警察官といたしましては、当該本人を保護するに値する、保護した方が本人のためであるというようなことで、川崎駅前警備派出所に同行を求めたということであります。
 派出所に入りましてからも、同人の言動、激しい言葉でののしり、あるいは警察官の制止を振り払うというような状況が続いたために、あってはならないことでありますけれどもその相手方の所作に激高いたしまして殴る、けるの暴行を加え、さらにはロープで縛ったり、またお湯や灯油をかけるというような暴行を行ったところであります。この行為によりまして全治五十三日に及ぶ傷害を与えた、こういうことでございました。
 そこで、神奈川県警といたしましては、事件、事案の中身がわかりましてから、事の重大性にかんがみまして、警察本部長を長といたします捜査体制をとりまして捜査を遂げました結果、五月二十一日に実行行為に加担をいたしました二人の警察官を特別公務員暴行陵虐致傷罪で逮捕をいたしました。同時に懲戒免職にいたしております。
 それからまた、その後捜査を遂げました結果、もう一人の警察官の加担行為が明確になったものでございますから、これにつきましても六月十日の日に懲戒免職にいたしますとともに、前述の三名につきまして横浜地検におきましては特別公務員暴行陵虐致傷罪で起訴をするに至った、こういうことが本件事案の中身でございます。
○森暢子君 この事件がなかなか表に出なかったわけですね。これを表に出したのは、御存じだと思いますけれども、衛星チャンネルという大変小さいテレビ局の調査、報道によって初めて事件が明るみに出たと。もしこれ出なかったら、そのまま警察は黙っていたのかということで、私どもはそれについて本当に危機感を感じているわけですね。
 特に、保護記録を改ざんしたという事実を今ちょっと聞いているんですけれども、それはございますか。
○政府委員(井上幸彦君) お話しのとおり、事件そのものが十二月三十日の発生、それから事件に着手しましたのが五月二十一日と、大変日数がかかっておるのでございます。おっしゃるとおり、その過程で御指摘のような事案があったのではないかという点で我々も十分に捜査を遂げました。
 結局のところ、この警備地域担当の次長というのがいるわけでありますが、彼がこの事案を知りましてから、これが表ざたになった場合には川崎警察署に大変な汚点がつく、あるいは署長に迷惑をかける、あるいはまた実行行為を行った警察官が犯罪人になるというようなことをおもんぱかって事実を曲げた報告書を作成させ、あるいはみずからそのような事実がないという報告書をつくって署長に上げたと、こういうことがやはり事案の発覚というものをおくらせたということでまことに私どもとしては幹部にあるまじき行為というふうに受けとめて、残念に思っております。
 なお、この当該次長につきましては、虚偽有印公文書作成行使罪をもちまして六月十日に横浜地検の方に書類を送致いたしております。同時に、当該本人につきましても懲戒免職処分の措置をとったところでございます。
○森暢子君 今お聞きのとおりでございますけれども、市民生活の安全を守るということでこういう警察官の人が酩酊者ということで保護した人間に対してこういう事件を起こし、そしてそれをその後もみ消し工作をして隠ぺい工作すら行ったというこの事実は、市民にとっては大変な事件だと思うんですね。警察の体質とか日ごろの指導とかまた被害者の家族の訴えに対する警察の対応であるとか、そういうことについて大変怒りを覚える。
 一方では国際貢献で活動をしていただきながら、一方ではこういう事件がたびたび起こっているということにつきまして、国家公安委員長のお言葉をお願いいたします。
○国務大臣(村田敬次郎君) 森委員御指摘のとおりでございます。法を守る立場にある警察官がこうした事案を引き起こしたという報告を受けまして、まことに遺憾に思っております。
 国家公安委員会といたしましては、今後とも国民の警察に対する信頼感というものを確保する上にあらゆる努力を傾けていく所存でございます。
○森暢子君 しかし、うれしいニュースもあったわけでございますね。私が申し上げたいのは、鳥取市の新生児の誘拐事件が鳥取県警の大変粘り強い調査とか捜査によりまして無事に三十六日ぶりに両親の手元に返ってきた、こういう事件がありました。これはやはり鳥取県警の地道な捜査が実を結んだものということで、今後のこの種の事件の再発防止に役立つのではないかというふうに思っております。
 しかし、容疑者が加古川刑務所の職員ということでこれまた驚きでございまして、こういう職員は私生活も厳しさを求められているという職でありながらこういうことだということで、法務省としましてはどのように対応されますか。法務大臣、お願いいたします。
○政府委員(飛田清弘君) 今回の事件は、未成年者を略取するという極めて重大な事件でございまして、しかもその犯罪が、犯罪者を改善更生へ向けて処遇を行うべき刑務官によって行われたということにつきまして深く反省し、また国民の皆様におわびする次第でございます。
 そこで、その犯行を犯した職員にどういうふうに対処したかということでございますが、当局といたしまして鋭意事実関係を確認し、今月の七日に本人の任命権者である加古川刑務所長から懲戒免職処分を言い渡しました。
 また、刑務官という職にありながら、私的な全くプライベートな犯罪ではございますけれどもこのような悪質なことがないようにということで、今月の十日に全国の刑務所長会議が法務省で行われましたが、その席におきまして私から、職員の事故防止についてこの加古川の例を引きながら、今後二度とこのようなことがないように各刑務所長がそれぞれの職員を監督してほしいということを強く申し渡しております。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今回のこの事件は、今局長がお答えをいたしましたように、本来、収容者の更生改善といったような地味ではありますけれども非常に大切な仕事をしておる職員がこういった幼児略取というまことに非人道的な、若い夫婦が子供が生まれない、子供が欲しいという気持ちはわかりますけれども、その気持ちはいかにも利己的でございまして、略取せられた両親の気持ちということを考えますと絶対にこれは許すことのできない、私は遺憾な事件であると思います。そういった事件が法務省管下の刑務所の刑務官の手によって行われたということは、まことに申しわけございません。
 こういったことのないように今後綱紀の粛正、そういう点に十分配慮してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○森暢子君 ありがとうございました。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 今、国会では政治改革論議が大変盛んでございまして、本当に最終の詰めに入ったというふうに思います。有権者の意思をどのように議会政治に反映させるかということでいろいろと議論が続いているんだと思いますが、この中で投票に参加をさせてもらえない人たちがいるということを御存じだと思います。つまり、海外に在留する七十万人を超える日本の国民でございます。この人たちがほとんど有権者と思われるんですけれども投票の機会が保障されていない、こういう現実は御存じだと思うんですね。
 まず外務省にお聞きいたしますが、海外の在留邦人がどのぐらいいるのか、今後どうなっていくかというあたりをつかんでおられましたらお願いいたします。
○政府委員(荒義尚君) 私どもの最新統計、これは昨年の十月一日現在ということで把握しておりますけれども、それによりますと、海外で三カ月以上居住されている在留邦人の方、これは永住者の方も含みますけれども、この数はおおむね六十六万人ということでございます。
○森暢子君 六十六万人で、年ごとに海外に在留する人はふえておりますね。永住していても、その人の国籍は日本にある方も多いわけですね。そういう人たちが実に六十六万人。これからもどんどんふえていくと。
 そういう中で、自治省にお聞きいたしますが、年齢が二十歳以上の有権者、海外にいる人たちの間で有権者の割合はどのくらいでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 私の方からお答えを申し上げますけれども、ただいま申し上げました海外の在留邦人六十六万人、このうち年齢で切るということで一応二十歳以上の方ということでありますると、おおむね四十六万人というふうに私ども推定しております。
○森暢子君 私が聞いたのとはちょっと少ないように思いますけれども、まあそのぐらいということですね。
 それで、六十六万人中四十六万人ですから有権者が大変多いということですね。今、日本では鳥取、島根、福井、高知、徳島、佐賀、山梨、この辺は有権者数が七十万人以下ということなんですね。そうしますと、この県全員が外国に出ていてその県全体の人は投票の機会がない、こういうことになるわけですね。大変な事実だと思うんです。まして、有権者が海外に出る機会がこれからますますふえていくと。そういう中で、仕事とか研究、留学とかそういうことで海外にいるというだけで選挙権を行使する機会が奪われているという現状ですね。こういうことについてどのように思われますか、自治大臣。
○国務大臣(村田敬次郎君) 今、森委員が御指摘になられたとおり、海外におられる方々の選挙権の行使というものは非常に大事な問題です。
 選挙において投票するためには、公職選挙法の四十二条における規定で、選挙人名簿に登録されていなければならないわけですね。ところが、選挙人名簿の登録要件は住民基本台帳に三カ月以上記録されていることが必要。これは公職選挙法の二十一条でございますが、この要件を満たされないために在外居留の、在留の日本人は投票ができないわけでございます。
 こういった方々に対しましては、この要件を満たしていないということで投票ができませんから、どうしたらいいかということで、これは実は多年の懸案でございました。昭和五十九年にいわゆる在外選挙法案を政府提案いたしまして継続審議になったのでございますが、昭和六十二年で廃案になりました。選挙の公正確保、適正かつ円滑な執行といった観点を踏まえて、総合的に検討されなければならない課題であると思っております。これは森委員の御指摘のとおりだと思いますので、今後もその課題として検討してまいりたいと思います。
○森暢子君 先日行われましたカンボジアの選挙、ここでカンボジア以外に海外に出ているカンボジアの人、この人たちが何か投票したとお伺いしたんですが、そのあたりいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) それはそのとおりと承知しております。
○森暢子君 カンボジアでさえと言ってはちょっと悪いですから言いませんけれども、カンボジアの選挙で、本当に大変な選挙だった。しかし、カンボジアにいなくて外国に、何かアメリカとオーストラリアとフランスと聞きましたが、そこにいるカンボジアの難民と言われる人たちでさえ選挙したんですよ。それが日本がそういうことができないということは、これは考えられないと思うんですね。
 外国の主なところで結構ですから、アメリカ、イギリス、そういうあたりの国外から選挙する状況はどうなっているか、事例をお話し願いたいと思います。
○政府委員(荒義尚君) 主な国ということで在外選挙制度の現状をお話ししますけれども、まず例示的になりますけれどもG7におきましてはアメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、この四カ国につきましてはすべての在外の国民について在外選挙制度をやっておるというふうに承知しております。カナダもやっておりますが、投票資格につきましては公務関係者、軍人も含むということでやっておるそうでございます。ただ、イタリアでございますけれども、イタリア国内におきましても在外選挙制度についていろいろ検討が行われているというふうには承知しておりますが、現在のところまだ実施には至っていないという状況にございます。
 なお、アジア地域のお話がございましたが、私ども承知しておりますところは、例えばインドネシア、それからマレーシアでございます。これは在外選挙制度を実施しておるというふうに承知しております。
○森暢子君 やはりこれは一遍、村田大臣がおっしゃいましたが、五十九年に出て、いいところまでいったんですね。それで、その後参議院の中では、いろんな議事録を読んでみますと、皆さんまたもう一回どうかということを言っていらっしゃるんですね。政府もこれはやらなきゃいけないというふうなことも思っていらっしゃるし、問題点も村田大臣が今おっしゃったようにある。それをどういうふうにしていくか、引き続き調査してそしてこれを再度法案として出していかなければ、何の政治改革か何の選挙制度かと言いたいところですね。選挙制度をいろいろとお話しする前にやはりこういうことを一番に考えていかなければ、国会議員は平等な全国民の代表であるということにもこれは触れてくることであります。正確にはそうなっていないということになるわけでありますから、ぜひそういうことを、今後法案を出すという方向で考えていっていただきたいと思います。
 これは外務省とそれから自治省、大臣に一言ずつお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 所管は自治省でございますから自治大臣からお答えいただくのが至当かと思いますが、私どもといたしましては、在外邦人の中で選挙権を持っておられる方々が選挙権を行使できないということは、私は必ずしも適当だとは思いません。やはりこれは検討すべき重要な課題だと認識をいたしておりますので、今後とも自治省などとよく協議をしてまいりたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 今、外務大臣、それから外務省の政府委員からもお答え申し上げましたが、アメリカでもフランスでもドイツでも既に実行されておるわけですね。これは後藤田副総理とお話ししたんですが、日本の場合ヨーロッパの事情とはちょっと違うところがございます。しかし、委員の御指摘のとおりで、これは重要な国民の基本的な権利の行使でございますから、御指摘をよく踏まえて関係方面とも御相談をしなければならないと思っております。
○堀利和君 この三月、政府の手でまとめ上げられました障害者対策に関する新長期計画を踏まえて、いわゆる福祉の町づくりについてお伺いしたいと思います。
 ソフト面、ハード面を含めてこれは行われなければならないし、同時に総合的に行われる必要があるかと思います。もちろんそういうことからいいますと、国、地方公共団体、民間事業者あるいは国民、すべて一体となって行われなきゃならないと思います。その基本的な考え方は、障害者のための特別な措置というのではなくて、一般的な措置として施策として行われることが原則だろうと思います。しかし、どうしても原則では対応できない場合には、特別な措置を講じなければならないということも考え合わせたものでなきゃならないと思います。こういうことはもうその新長期計画にもございます。
 ということを踏まえてお伺いしたいと思いますが、町づくりといいますと建築物、道路、交通ターミナル、情報収集及びコミュニケーション、ホームヘルパーやデイサービスのような在宅福祉サービス、あるいは国民への啓発活動と多岐にわたるわけですけれども、そういうことから建設省、運輸省、郵政省、自治省そして厚生省に、現状どのような施策が講じられているか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(鹿島尚武君) 建設省といたしましては、御案内のとおりこれから高齢化社会が進展をしてまいります。そして、障害者の方々が積極的に活動をもちろんなさってまいるわけでございます。そういった意味で、障害者等の方々が安全で快適な生活を送ることができるように配慮されました町づくりというものを進めることが大変重要であると考えております。このために、福祉行政との連携も図りながら、障害者等の方々に配慮いたしました道路、公園、建築物等の整備を進めてまいっておるところでございます。
 具体的に幾つか申し上げさせていただきますと、従来から官庁施設等におきましては障害者等の方の利用に配慮した整備を進めてまいっております。道路につきましては幅の広い歩道、スロープつきの立体横断施設の整備、そしてまた公園におきましては障害者の方々の利用のためのトイレの設置等々を進めてまいっております。
 そしてまた昨今におきましては、これらの従来からの施策に加えまして、平成三年度からでございますけれども、福祉の町づくりモデル事業というものを進めさせていただいております。高齢者、障害者等の方々が利用いたします社会福祉施設等に接続をする動く通路、エレベーター等の屋外の移動施設、そしてまた幅の広い歩道、エレベーターつきの立体横断施設等の整備を進めてまいります。全国で調査等を含めましてただいま着手をしておるものが十一カ所ございます。
 それからまた公共住宅のバリアフリー化ということで、平成三年度からでございますけれども新設の公営・公団住宅につきまして、室内におきます段差を解消する、手すりを設けるといったような措置を進めてまいっておるところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも障害者等に配慮した町づくりを所管の施策を通じまして一層推進をしてまいる所存でございます。
○政府委員(大塚秀夫君) 運輸省におきましては、高齢者、障害者などの方々が身体的負担ができるだけ少なく移動できますように、輸送機関の必要な施設の整備を図るために、従来からガイドラインを設けて駅等のターミナルにおけるエレベーター、エスカレーターなどの設置の指導を行ってまいりました。まだ十分とは言えませんが、着実に実施がなされてまいっているところでございます。
 また、今年度から三年かけまして全国からモデル地区を選びモデル交通計画を策定することとしております。モデル交通計画におきましては輸送機関の具体的な整備目標を定めることを予定しておりまして、これによりまして、以後の全国的な輸送機関のこれら身体障害者等の方々の施設の整備の基本的指針を明らかにすることが目指されております。
○政府委員(五十嵐三津雄君) 郵政省といたしましては、政府の障害者に関する新長期計画にのっとりまして、郵政事業あるいは電気通信行政、そういった郵政省の所掌する行政の分野におきまして、これまでも障害者の住みよい町づくりのための施策を進めてまいりました。
 二、三御紹介をさせていただきますと、例えば郵便局等にありましては、郵便局の出入り口の階段の段差を解消するとかあるいは自動扉を設置するというようなことで、郵便局の整備をやってまいりました。さらにまた、NTTによる公衆電話ボックスの設置につきましては、車いす用の公衆電話ボックスを設置するというようなこともやってまいったところであります。
 新しい試みとして行っておりますことといたしまして、電波を用いまして誘導通信を活用したインフォメーションシステム、簡単な電波を発しまして、これから数メートル歩きますと階段が五段階下がりますとかそういうのを情報として流す、そういう実験あるいは調査というようなことも進めてまいりました。
 私どもとしましては、今後ともこのような施策に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(湯浅利夫君) 地方公共団体はそれぞれの地域の実情に応じまして福祉施策を積極的に展開する必要があるわけでございまして、こうした点を踏まえまして、平成五年度の地方財政計画におきましては、地方団体が地方単独で福祉施策を推進するための経費を前年度に比べまして九・四%、二千五百億円増の二兆九千億円余りを計上いたしまして、これを地方交付税の基準財政需要額に算入をいたしました。さらに、地域におきます高齢者保健福祉活動の推進、保健・福祉マンパワーの確保などを図るために地方団体が地域福祉基金を拡充するための経費といたしまして四千億円を計上いたしました。この福祉基金につきましては、三年間で九千六百億円を積み増しまして地方団体に積立金を積んでいただいておりまして、この運用利息によりまして各種の福祉活動が行えるようにということで、こういう経費を計上いたしまして地方交付税の基準財政需要額に算入したところでございます。
 今後とも、地方団体が単独の福祉施策に積極的に対応できますように、地方財政計画の策定を通じまして適切に対処してまいりたいと考えております。
○政府委員(土井豊君) 厚生省におきましては、障害を持つ方々が積極的に社会に参加し安心して生活できるようにするため、昭和四十八年度からモデル事業といたしまして啓発広報や公共施設の設備改善などを内容とする住みよい福祉の町づくり事業を実施してまいっているところでございます。
 平成五年度の予算におきましても、全国で百五十の市町村においてこの事業が実施できるように必要な事業費を計上したところでございまして、今後とも事業の充実に努力してまいりたいと考えているところでございます。
○堀利和君 町づくりといいますと、今お聞きしましても各省それぞれ実施されているわけです。これを、新長期計画にもございますように、特定地域を選んで相互調整してやっていくべきと思います。
 そこで、各省協力していただきたいということで各大臣に、またお聞きしました順番で申しわけございませんけれども、建設大臣から一言ずつ御意向をお伺いして、最後に、やはり中心になるのは厚生省だと思いますので、厚生大臣にまた前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(中村喜四郎君) 御指摘をいただきました、障害者の方が家庭や地域において安全に快適に暮らせるような環境づくりをしていくということは当然必要なことであり、そのために建設省としても社会に障害者の方が参加できるような重要な課題として住宅・社会資本の整備を今後とも進めていきたいと、このように考えております。
 具体的には、新長期計画の中で建築物の構造の改善、住宅整備の推進、移動・交通対策の推進等に取り組んできているところでありますが、平成三年度に創設いたしました福祉の町づくりモデル事業等々を通じまして、社会福祉施設等に接続する動く道路、エレベーター等の移動施設等の整備、幅の広い歩道や昇降機つきの立体横断施設等の道路整備を推進しているところであり、今後とも障害者の方の住みよい町づくりに取り組んでいきたいと、このように考えております。
○国務大臣(越智伊平君) 運輸省といたしましては、まず、先ほども政府委員から御説明いたしましたが、駅のエレベーター、エスカレーター、あるいはバスターミナル、港の乗船場等の段差のないように、老人、障害者にできるだけ優しい施設を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
 なお、このことにつきましては、各省庁あるいは地方公共団体とよく連絡をとりまして、特にモデル地区ということを指定いたしますと、それに協力して立派にやっていきたいと、かように思っておる次第であります。
○国務大臣(小泉純一郎君) 基本においては、障害者にとって住みやすい町をつくっていこうと。そこで郵政省といたしましても、今国会にはテレビの字幕放送、解説放送そして車いす用公衆電話ボックスの設置等、そういう助成等を図るための法案を提出して、去る五月十八日に成立いたしました。
 各省協力しながら、いわゆるノーマライゼーションといいますか、完全参加と平等という、障害者も健常者と同様にいろんな事業に参加していく、障害者に優しい町づくりに郵政省としても協力していきたい、そう思っております。
○国務大臣(村田敬次郎君) 堀委員の御指摘になった福祉の町づくりというのは、これから二十一世紀に向かう、そして二十一世紀以降の日本の生活大国づくりのいわば中心になるキーワードだと思っています。
 高齢者の方そしてお体の不自由な方々が安心できる生活を確保して社会経済活動への参加を促進していくために、今各大臣や各政府委員からお話がありました、例えば自治省では歩道の段差解消、エレベーターの設置等の公共施設の改善、地域福祉推進特別対策事業の推進等、いろいろの措置でやっていきたいと思います。
 私は、住民に直結するのは市町村だと思っておるのでございまして、自治省は横糸の官庁でございますから、こういった努力について堀委員の御指摘を十分踏まえて推進をしたいと思っております。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 各省庁からそれぞれ今行っております施策について御説明を賜ったわけでございますが、当然のことながら厚生省といたしましては、高齢者や障害者が地域社会において自立した生活を送っていくためにはこういうハンディを背負った方々に十分に配慮した優しい町づくりというものを全国的に広げていかなければならない、こう考えているような次第であります。
 当面、新長期計画にもある総合的なモデル町づくりを実施することが必要であると考えております。当然のことながら関係省庁とも十分に相談しながら、厚生省といたしましても、率先して具体的にどうやって進めていっていいか、前向きに検討していく決意でございます。
○堀利和君 よろしくお願いします。
 以上です。
○委員長(大渕絹子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十分開会
○委員長(大渕絹子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成三年度決算外二件を議題とし、総括的質疑のうち、各省大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は御発言を願います。
○村田誠醇君 社会党の村田でございます。
 一番最初に、国税庁の件についてお伺いをしたいと思います。
 私の手元に佐世保税務署で修正申告をされたという方の訴えが来ております。その中身を申しますと、この方は検針員、電気とかガスのメーターを調べたりあるいはNHKの受信料を徴収して歩くような、ああいう外務員の方の所得の申告の仲なんです。あなた方にはこんな必要経費はない、ここまではある程度許されるんですけれども、このように言ったんですね。全中連、これは私どもの出身の組織でございますが、そういうところに行くから四〇%の必要経費を二二%で修正させられるんだ、税務署に来ればよいのにと言った。その上にさらに罰金と延滞税まで取られた、こういうことで私どもに報告と同時に、何とかしてほしいという要請が来たわけでございます。
 そこで、二点にわたってお聞きしたいんです。
 第一点は、全中連みたいな組織でやっているから必要経費を四〇%から二二%に下げたんだと、恣意的にやったというような発言をされているわけです。それは一つには、この全中連という団体を反税団体と見ているのではないかと思うんですけれども、この二つの点についてまず冒頭、どんな事実関係、やりとりがあったのか、お聞きをしたいと思います。
○政府委員(松川隆志君) 先生ただいま御指摘の個別事例でございますが、これにつきましては具体的に内容を承知しておりませんので答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 それで、今御指摘の二点でございますが、一般論として申し上げますと、税務行政というのはまさに公平に執行されるものでありまして、特定の団体に対し先入観を持って行うべきでないというのが国税庁の基本的な考え方でございます。したがって、どのような団体に対しても国税庁といたしましては中立の立場で税務行政を行っているということでございます。そしてまた、納税者がどのような団体に関係していようとそれは納税者個人の自由でございまして、国税当局がそれに干渉する筋合いのものではないと考えております。
 そして、経費率の問題でございますが、事業所得につきましては、その事業の売り上げなどの収入からその事業について生じた必要経費を控除して計算することになっておりまして、この必要経費としては、直接その収入を得るために必要とした経費、販売費、人件費、償却費など、その事業の遂行上生じた経費などが含まれるわけでございます。そして、この必要経費がどの程度になるかというのはそれぞれの納税者の経費の支出状態によって決まるものでございまして、一律に四〇%というふうに決めるものでなく、まさに個々の納税者がどういう経費を必要としたか、支出したかということによってそれを控除して所得を計算するということになっております。
 以上でございます。
○村田誠醇君 これはどこの税務署でだれが申告したかは事前に御連絡してあるんですから、個別の案件は知らないと言うのはおかしいと思うんですよ。言えないというのがより正確な言葉なんでしょう。
 問題は、去年まで四〇%の必要経費を認めていたのに、こんな団体に書類をつくってもらったから二二%までしか認められないんだということを言ったということが問題なんですよ。ここが問題なんですよ。つまり、所属している団体によって明らかに課税に対する対応を違えたんじゃないかということを私は言っているんです。ですから、このことで長々やるわけにはいきません。それぞれの判断もあると思いますけれども、事実を調べてきちんと報告をしていただけませんか。関連の方でもう一人佐世保税務署に修正申告のために呼ばれている人がいるんですよ。この人も同じようなことを言われるのだったら、それは所属しているから必要経費を低く見られたというふうにとられますので、ぜひそのことを考慮の上、間違いがあったら是正をしていただきたいということをつけ加えてお願いをしておきます。
 どうせ返事は個別の案件には答えられないということを言いますから、それしか答えは出てこないんですからクレームだけつけておきます。いずれもう一人の人からの報告も来ると思いますので。
 それで、余り時間がございませんので足早にひとつお願いをしたいんですが、最近の不況に対応するために、中小企業関係でもって政府系の金融機関に対する融資の申し込みが殺到しているというふうに聞いております。しかも、その事務処理についてはかなり時間がかかって、欲しい時期に欲しいだけの金額が間に合わないというクレームも、クレームというか苦情も私どもで聞いております。一体、この政府系三金融公庫に対する、あるいはそれだけでなくてもいいですが、融資の申し込みの状況は、数字的にはどの程度のものが来てどのような事務処理体制で処理をなさっているのか、概略お願いをいたします。
○政府委員(関收君) 先生御指摘のとおり、最近の長期にわたります景気の低迷を反映いたしまして政府系の金融機関に対する申し込みもふえておるところでございます。
 具体的には、申し込みの件数で申し上げたいと思いますが、平成四年度は、中小企業金融公庫で対前年度比二・四%増、それから国民金融公庫で一三・六%増となっております。また、最近の時点について御報告申し上げたいと思いますが、本年の四月、五月、これは最近までのデータでございますけれども、中小企業金融公庫で一六・九%増、国民金融公庫で六・九%増ということでございます。これらの申し込みに対しまして、私どもとしては、中小企業の方の御要望に応じて適時適切に融資をさせていただくということが肝要だと考えております。
 実はこれまで、先生も御案内かと思いますが、三回にわたりまして通達を出し指導いたしておるわけでございます。一つは、昨年の三月三十一日に中小企業庁長官と大蔵省銀行局長名によりまして三点を指導いたしておるわけでございます。一つは、中小企業の実態に十分配慮しつつ適時適切な貸し出しを行うこと、第二は、個別の事態に応じまして返済猶予を行うなど企業債務の条件変更についてもきめ細かい配慮を行うこと、三番目は、担保の徴求に当たっては経営の実情に応じ弾力的に行うこと、この三点でございます。
 実は、これらの通達を出しました後も、昨年の十一月二十日、これは年末に非常に金融繁忙期を迎えますので貸し出し手続の迅速化等に努めるよう、それから今申し上げました三月の通達をさらに再確認する意味で通達を出させていただいておるわけでございます。それからまた、本年の五月十七日にも今申し上げました趣旨を繰り返し各機関に指導いたしておるところでございます。
 じゃ、具体的にいつごろどれぐらいの資金が必要かというのは個別事情によって変わってまいりますので、個別に具体的にはなかなか申し上げられませんが、中小企業金融公庫、国民金融公庫の窓口におきましては今申し上げました通達の趣旨を十分に踏まえて対応をしていただいておるものと私どもは理解をしておるわけでございます。
 しからば、具体的にどれくらいの日数がかかるかということでございます。これは個別の事情で異なってまいりますのでこれも一概に申し上げられませんが、便真平均ということでお聞きいただきたいと思いますが、本年一月−三月の実績で申し上げますと、申し込みから融資決定までの期間はおおむね二週間前後ということになっておるわけでございます。これはあくまでも平均でございますので、私どもとしては、さっき申し上げましたように、その実情に応じて適時適切に融資をさせていただくということが大事だと思っておりますので、これからも引き続きあらゆる機会をとらえて各機関の指導に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○村田誠醇君 先ほども言いましたように、金融というのは、欲しい時期に欲しいだけの金額が手に入らなければたとえ一日おくれても役に立たないわけでございますので、そういう意味では中小企業、非常に資金繰りに困っているところもあると思いますので、ぜひ迅速な事務処理をするように配慮していただきたいと思います。
 それでは次に、本題の方に移らせていただきます。
 最近、外国人労働者の問題がよく問題になっておるわけです。そのうち合法的といいましょうか、就労の許可を受けている人はいいんですけれども、不法就労者と俗に呼ばれている人たちが多数おります。問題は、この人たちが業務災害に遭ったときどういう給付を受けられるのかとかいろいろな問題があるのと同時に、まだまだ不法就労者が労災事故の給付を受けられるということを知らない人もいるわけでございます。
 そこで、労働省としてはこの不法就労者と俗に呼ばれる人たちの労災の給付をした事例がどのくらいあるのか、あるいは現在請求中の、まだ審査中というんでしょうか、結論のついていない案件がどのくらいあるのか、どの程度把握しておられるのか、まず実態について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 平成三年度におきまして、労災保険給付の支給決定を受けた者で外国人不法就労者であると思われる人たちは三百二十二人でございます。現在請求中の件数については把握いたしておりません。
○村田誠醇君 それではもう一つ、不況の影響を受けまして解雇されるとかあるいは賃金不払いのまま事業主が倒産してしまうとかといういろいろな事件が急増していると聞いております。この賃金の不払いに関して、退職金あるいは解雇予告手当も含めて、苦情といいましょうか救済を申し入れてきた不法就労者はどの程度と把握なさっているのか、またこういう訴えに対して労働省としてはどのような指導をなさっておられるのか、あわせてお聞きしたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 平成四年に全国の労働基準監督署におきまして受理した申告の状況、これは不法就労者も合法就労者も合わせました外国人労働者全体の申告の状況ですが、その状況を見ますと、賃金の不払いに関するものが六百二件、それから解雇予告手当などに関するものが九十件となっております。
 それからこういう事件に対する労働省の対処方針でございますが、往々にしてこのような場合は事業主が倒産するなどによりまして賃金をどうしても払えないケースが多いものですから、そういう場合には実は国が賃金の立てかえ払いをする制度を運用しております。したがいまして、外国人に対しましてもこの賃金立てかえ払い制度を適用いたしまして救済をするということをやっているわけでございます。
○村田誠醇君 労働大臣、今お聞きのとおり、不法就労者、今の賃金のところは合法も不法も両方入っている数字だろうと思うんですけれども、かなりいろいろな事案が起っているわけでございます。
 そこで、不法に滞在しているからといってこの人たちの権利がすべてないんだというわけでは決してないわけですね。今局長さんが御答弁なさったとおり、賃金の不払いがあれば労働省が場合によっては立てかえるということも含めて、正当な権利の行使については認めている部分があると思うんです。そういう意味でこの不法就労者の持っている正当な権利、例えば賃金をもらう権利だとかあるいは障害年金を給付できる場合はその請求権、あるいは民事でいけば例えば交通災害なんかを受けたときにはその相手に対する請求とかいろいろな権利があると思うんですけれども、この権利については一体労働省としてどのような対応でもって臨まれるのか、まず基本的なところについてできれば大臣の方から御感想、御意見を。
○国務大臣(村上正邦君) 本来、不法就労という存在は好ましい状態じゃないんですね。先日、私は代々木、上野に行きました。そして集団でいらっしゃる多くのイラン人の方々と対話をいたしました。威張っているんですね、不法就労の。そして、ああだこうだといろいろ私に苦情と申しましょうか異議と申しましょうか、こうした災害に遭っても何の補償もしてくれない、給料も未払い、しかも非常に安い給料で雇われている、こういう苦情が殺到したわけであります。ですから、こういう不法就労というものはやっぱり厳正にまず対処しなきゃならぬという前提の中で、じゃ実際しかしそういう存在の中で御質問の労働法規また保護法規、こういうものの適用はどうなのかとこういう御質問に対しては、日本国内の事業場で働く労働者であれはすべて適用されるものであり、したがって不法就労外国人についても、雇用関係にある、また技能実習生、そうした方々についてもこれらの法規が適用されるということでございます。
○村田誠醇君 ありがとうございました。
 そこで他の省庁にもお聞きしたいんですが、例えば労災の事件に遭いました。請求を出しました。不法であるということがわかると、要するに公になると同時に今度は別の意味で警察、法務省の方の担当になってまいります。身柄を拘束される場合が出てきます。あるいは強制帰国させられることも出てきます。そのときに、その身柄を拘束された労働者が賃金の不払いだとか障害年金の請求を本人はしたいんだけれどもその手続が終了しない間に一連の手続が済んで強制帰国させられてしまう。そうすると、本人たちからすると自分の持っている正当な権限は実現できない、こういう問題が出てくると思いますが、警察なり入管当局は、たとえ不法であったとしても、こういう不法な方々の持っておる正当な法律上の権利については一体どのような対応を基本的になさっているのか、それについてそれぞれの省から御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(菅沼清高君) お答えいたします。
 逮捕された外国人被疑者もいわゆる防御権行使などのため弁護人や当該国の領事等外部の者と接見をいたしましたり郵便物のやりとりをするなどの交通権を有していることはもちろんでございまして、こうした件につきましては外国人に対しましても、逮捕または留置する際、通訳を介するなどして必ず伝えるようにいたしておるところでございます。
 また御質問の民事上の件につきましては、警察みずからが被疑者にかわって民事上の請求を行ったり交渉したりということは警察の立場上なし得ないところでございますけれども、被疑者から未払い賃金の請求方法等について相談を受けた場合には、弁護人または当該国の領事等を通じて請求する方法や手紙で請求する方法等を教示いたしておるところでございます。
○政府委員(高橋雅二君) 不法滞在者のほとんどは不法に就労しているわけでございますので、これは我が国社会に非常に大きな影響を及ぼしますので厳正に対処しているところでございますが、この退去強制手続中の外国人につきまして、不法就労者であっても日本国憲法の適用下にございますし、基本的な人権は認められるわけでございます。そういう例えば賃金の未払いとか、御指摘のような交通災害等で請求権があるというようなことが強制退去手続中に判明いたしました場合は、所要の救済措置がとられるようにできる限り努めておりまして、権利を行使する上で必要があるというふうに認める場合には退去強制の強制送還を一時おくらせるとかあるいは事業主、雇用主に話をして未払いのものを払わせるとか、そういうような措置をとるなどいたしまして柔軟に対処しているところでございます。
○村田誠醇君 これは警察も入管当局もみんな同じだと思うんですけれども、要するに、本人は身柄を拘束されていますので、したがって自分では動けないということでございます。日本人であれば、たとえ刑務所に入れられても、自分で伝えて権利の行使ができますけれども、この人たちは一定の時間がたてば強制送還させられるということになりますので、そういう意味では診断書を書くとかあるいは請求の必要な書類を整備するとか、いろんな問題があると思うんです。
 そこで、こういう事例が報告されているんですが、本当なのかどうか。どこの入管なのかはわかりませんが、入管当局が身柄を拘束された不法就労者の身体検査をするわけです。その際、けがをしているとか指が落ちているとかという外見上の判断をして、あなたはどこでこういうことをしたのかということを聞いたら、いや勤めていた先でやったということがわかって、労災の障害年金の請求を法律に基づかないから善意でしてあげたというケースが報告をされているんですけれども、こういうことについてはすべての入管当局に対して指示されているんでしょうか。それとも、善意として個人としてやったということなんでしょうか。その辺はおわかりでございましたらひとつ御説明いただきたい。
○政府委員(高橋雅二君) 個別的に指示しているわけではございませんけれども、こういう不法就労者あるいは入管法の違反者であって退去強制手続中であっても一人間として丁重にコレクトに対処するようにしておりますので、そういうケースとかそれから賃金未払いのケースなんかございましたら、これは法的に要求されているわけじゃございませんけれども、法執行官としての立場もございますけれども、できるだけ本人の立場に立って助けるように、そう心がけております。
 ちなみに、平成三年度におきまして賃金未払いとかそういうことで、退去強制の手続中に発見されて、我々入管当局が口ききをして賃金の支払いを受けたケースが二千数百件ございます。
○村田誠醇君 これは労働大臣が言われるように、不法滞在していることそのもの、不法労働していることそのものは違反だからこれは厳正に対処しなきゃいけませんけれども、現にそういう存在の人たちがすべて権利がないんだ、法律的に救済する必要はないんだというわけでは決してないわけでございます。特に、権利の行使をするということは社会的にはっきり存在を認める形になりますのですぐ警察、入管の問題にもなってまいりますから、二省においては本人の持つ合法的なものについてはできる限り配慮をしていただきたいということをぜひお願いしておきたいと思います。
 そこで、最後の質問になるんですけれども、研修生を受け入れた後、今までは研修だけだったんですけれども、本年度から技能実習ができるということになりました。最大限二年間までできる。この間は労働ですから労働諸法規も全部適用になる。
 そこでお聞きをしたいんですが、研修生からこの技能実習生に移って労働法規が全部適用になった状態で、例えば重大事故が起こってこの労働者が死亡した場合、一体この人間に払うべき賃金といいましょうか、補償というんでしょうか、これはどういうふうに考えたらいいのか。
 つまり、この技能実習生というのは日本の法律では最大限二年間しか働けないということになっていますから、本人がどんなに例えば六十まで働けると仮定してみたところで、日本で所得を稼げるのは二年間。ということになると、二年間だけを計算基礎にして払うのか。あるいは休業手当も、休業期間も二年間しかないわけです。そこから先は働けないんですから休業という状態は起こらない。ということになると、最大限二年間しか働けないということからくる制約として、同じ業務に従事して災害に適った日本人とこの研修生上いいましょうか技能実習生との間には支払われるべき補償額に当然違いが出てくるんじゃないかという気がするんです。これは違いがあるのかないのか、あるいはこういう人たちの部分についてはどういうふうに合理的に考えたらいいのか、労働省の見解をちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(石岡慎太郎君) 本年度より技能実習制度が発足いたしましたけれども、この技能実習生は受け入れ企業との間で雇用関係のある人たちでございます。したがいまして、この人たちは労災保険法の適用を全面的に受けることになります。
 それで、お尋ねの、この方々が仮に死亡された場合でございますが、確かに働いておられる期間は二年ということでございますけれども、全面的に労災保険法が適用されますので、全く日本人と同様といいますか、長期間雇用されている方々と同様の労災補償が受けられることになります。補償の差異はございません。したがいまして、例えば亡くなられた場合ですと遺族年金、遺族一時金などが支給される、こういうことになります。
○村田誠醇君 それじゃ、休業手当というのはどういうふうに判断なさるんでしょうか。労働が有限性を持ったものでございますから、そこまでしか支給されないというふうに理解していいんですか。どの時点で事故に遭ったかということはあると思いますけれども、しりは常に労働可能な期間しか対象にならない、こういうことなんですか。それともこっちも後ろがないということなんでしょうか。
○政府委員(石岡慎太郎君) 技能実習生がけがをしまして、療養のため休業する場合のお尋ねでございますが、この場合は、おっしゃるような二年という制約は確かにあるわけでございますが、雇用関係のもとでけがをされたわけでございますから所要の休業給付を必要な期間この方々に支給する、そういう制度の建前になっております。
○村田誠醇君 具体的に発生したケースじゃないからここで論争しようとは思いませんけれども、労働できる期間が二年しかないのにそれを越えて法定の給付をされるというのはちょっとわからないんですよ。というのは、それぞれ不法な就労者が民事の損害請求をしたときに、日本国内で所得を得た期間とそれから海外に、その母国に帰って得た収入と、こうやって二本立てにして計算しているんです。いいか悪いかは別として、そういう計算の仕方をしているんですよ。そして、死亡事故なんか起こった場合の損害賠償額幾ら、こういうのを算定しているんです。
 したがって、それが私はおかしいとは思うけれども、合法な人が合法な期間、一定の期間しか働けないのにずっとその後ろの期間までも補償の対象にするんだという御説明でしたら私は一歩前進だと思うんです。そうすると民事の方がちょっとおかしいんじゃないかという判断なんです。けれども、その点についてはやがて事例が出てくるだろうと思いますから、もう一度そのときには質問させていただくということにいたしまして、きょうは時間でもございますのでこれで終わらせていただきます。
○委員長(大渕絹子君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。
 それでは、これより質疑に入ります。
 まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。
 総理、第百二十六回国会も終盤を迎えています。残りわずかな会期の中で政治改革制度をどう処理されるのか、まずお尋ねをいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在、政治改革関連四法案の今国会での一括成立を目指して各党とも非常に懸命の努力をいただいているところでございます。成案が得られるように念願をいたしておりまして、私としても最大限の努力を図ってまいりたいと思っております。
○委員長(大渕絹子君) 総理は、金丸信の東京佐川急便からの五億円献金の発覚や巨額脱税事件の後、国民の政治への信頼回復と議会制民主主義の根幹を立て直すために今国会での抜本的な政治改革の実現を公約し続けてまいりました。五月三十一日、テレビ朝日に出演をして、どうしてもこの国会でやらなければならない、やるんです、私はうそをついたことがありませんよ、と国民に向けて直接約束をなさいました。その責任は極めて重いと思います。六月二十日の会期末までに改革へのめどがつけられない場合、国民の前に具体的な責任のとり方を明らかにしなければならないのではないでしょうか。お答え願います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたように、四法案の一括成立を目指しているという私の気持ちには別段変わりはございません。
○委員長(大渕絹子君) それでは、重ねてお尋ねいたします。
 自民党では幹事長の方がその指導権が大きいのでございましょうか。梶山幹事長は既にこの政治改革、選挙制度は継続審議にするんだというようなことを公言してはばからないわけでございますけれども、宮澤総理は今もお答えになりましたように今国会の中でやっていくという決意を述べられているわけですけれども、こうした党内の違う発言に対して総理・総裁としてどう対処なさるおつもりでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 党内では私の考えを方針としてみんなで問題の議論をしてもらっております。
○委員長(大渕絹子君) それでは今会期中に実現ができない場合、宮澤総理大臣はどのような責任をおとりになるのでございますか、もう一度重ねてお尋ねいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今国会中に成立を目指して最大限の努力をいたしておるところであります。
○委員長(大渕絹子君) あと会期末まで一週間というこの時期に、またそのような答弁を繰り返していることは国民に対して非常に不親切であると思います。もう少し実行性のあるお答えをいただけないのでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げたとおりであります。
○委員長(大渕絹子君) 非常に残念なお答えだと思いますけれども、次に行かせていただきます。
 平成二年度決算は昨年九月から審査に入りました。何とか今までのおくれを取り戻し、決算審査を正常化したいという決算委員各位の熱意で閉会中にもかかわらず積極的に審査が進められました。しかし、佐川急便問題の国会審査の場になってしまったということの中で、政府の協力が得られない中でついに開会ができない事態に陥ったことはまことに遺憾です。その後の国会審査の中でも、いまだ真実が解明されたとは言えない中で幕引きがされようとしています。真相究明を求め、竹下元総理の辞任を求める国民の声に総理大臣としてどうお答えになるつもりでしょうか、お答えを願います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会におきまして、国政調査を両院で非常に時間をかけてまた御熱心に行われました。政府におきましては、この事件は一部に関係当局が調査、捜査を継続しているものがございますし、また裁判所において公判係属中の事柄もございます。国会における御審議については、政府としても可能な限り御協力に全力を尽くしてまいったところでございます。
 なお、議員の身分に関することでございますと、基本的には議員自身が判断をせられるべき問題と考えております。
○委員長(大渕絹子君) 腐敗追及ということを建前にして政治改革論議を進めていかなければならないということの中で、政治改革制度というものが国会に提出をされ、そして百七時間にも及ぶ論議が進められてきたわけですけれども、腐敗追及も政治改革もできないということがもしこの国会の場所で行われたとしたら、それは国民が本当にさらに政治に対する不信感を高めていくということにつながっていくと私は思います。どうぞ総理・総裁としてさらに御努力を続けていただきたいことを重ねてお願い申し上げます。
 金丸信の巨額な脱税事件によって企業の使途不明金がクローズアップされました。この大量に政界へ流れ込んでいる使途不明金の実態をどのようにとらえ、この現実にどのように対処をされるのか、総理にお聞きいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 金丸元議員に対する問題はただいま司直においてその事件を調べまして起訴が行われたところでございますので、それにつきましてのこれからの推移は司法当局の問題であるというふうに考えております。
 それから使途不明金というのは、これは税法上で申しますと、損金として否認するということ、これが税法の世界においては最大限のことではないかと思います。もとより、そこに不正があるというようなことになりますと、これはその他の刑法の問題、司直による調査、捜査の問題になってくるわけでございますけれども、税法につきましてはやはり損金としての扱いを否認をするということが税法の世界におけるぎりぎりの処理ではないかと思います。
○委員長(大渕絹子君) 参議院では昭和六十年度以降四年度にわたり決算否認を続けてまいりました。こうした事態に対する政府の責任のとり方は依然として不明確のままです。委員会審査の過程で多くの事項が指摘され、政府側も反省すべきことと認められたものについて、政府側の善処を強くお願いしたいと思います。
 その中で、特に、湾岸平和基金に対する拠出金の財務報告が総理の約束にもかかわらずいまだ提出されていないことが明らかになりました。特定の貨物自動車運送事業者グループに対する指導監督が不十分であった実態も判明いたしました。大手ゼネコンによるやみ献金問題も取り上げられ、建設業界の企業倫理の確立、公共事業の契約の透明化が急務と指摘されました。
 これら三点については、総理から関係大臣に対し、国民が納得できるような措置を講ずるよう指導、督励していただき、委員会に対してはその対応の経過と措置の状況を御報告いただきたいと存じます。総理、お約束をしていただけますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 湾岸平和基金への拠出金の使途でございますが、この財務報告でございますが、これは湾岸平和基金の運営委員会が作成をして我が国に提出をすることになっておるわけでございますけれども、ただいままでに提出されておりません。それで、外務大臣からサウジアラビアにおります大使を通じまして、運営委員会に対して繰り返し財務報告の提出を催促しておるところでございます。一層の努力をいたしたいと考えております。
 それから佐川急便グループの道路運送法違反でございますが、運輸省が三回にわたり特別の監査を実施いたしました。また厳しい処分も行っておるというふうに承知をいたしております。
 それから大手ゼネコンのことでございますが、これはやはり、まことに多くのゼネコンが公共事業、国あるいは地方団体の工事の施行をする場合が多うございますから、それはいわば税金を使っての仕事でございますので、その経理あるいは経営の内容については一層厳しく見ていかなければならないと思っておりまして、それは私から建設大臣にもお伝えをしてございますが、現実に建設大臣におかれて、現在の工事の入札あるいは契約制度について透明性を高める、競争性を高める、指名競争入札制度に改善を加える等々のことをしておられますし、またこれらのいわゆるゼネコンに対して、会社の業務内容について監査、監査というのは正確な言葉でないかもしれませんが、事実上そういうことを監督官庁としてやっておるというふうに承知をいたしております。
○委員長(大渕絹子君) 平成二年度の決算検査報告に掲記された事項は二百六十五件で百三億六千二百六十五万円となっています。また、平成三年度決算検査報告では二百五十二件で百三十三億二千九百二万円となっています。件数では若干減少しましたが、逆に金額面では増大しているのが実態でございます。
 また、指摘事項を見ますと、各種国庫補助金の経理が不当、各種社会保険の保険料及び給付金の経理が不当、国家公務員の現金領得などの不当行為等は毎年のように掲記されており、一向に改善されていないのはどうしたことでしょうか。
 総理は行政全体を束ねる最高責任者の立場にありますが、会計検査院が内閣に対し毎年提出する決算検査報告をどのような姿勢で受けとめられておられるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしまして、従来から予算の執行を厳正かつ効率的にしなければならないということを心がけておるつもりでございますけれども、それにもかかわらず不適正使用の事例が生じておりますことはまことに遺憾なことであります。
 不当事項につきましては、もちろんそのようなことの再発防止に努めますとともに、予算の執行に当たります者の倫理、心構えにつきましても一層厳しく指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(大渕絹子君) 決算の審査を通じて財政運営、予算執行の問題点を具体的に指摘し、その後の予算編成、行政執行の上に反映させていく、これが決算審査の意義であり使命であるならば、恒常的におくれている決算審査を正常なスケジュールに戻すことは必要なことと痛感いたします。常会召集が従来の十二月から一月に改められ、その冒頭に決算は提出されますが、以前に比べ一カ月おくれの提出となっています。また、同日に予算も提出されますので、その後の国会運営は予算中心となり、決算審査は冒頭から大幅なおくれを余儀なくされています。
 そこで、総理にお伺いをいたします。
 現に、三年度決算は、昨年七月三十一日に各省庁の歳入歳出主計簿の締め切り、大蔵省は期限を五十日以上短縮して十月六日に決算書を会計検査院に送付しています。例年のように十一月末または十二月に臨時国会が開かれれば、その時期における決算の国会提出は十分に可能なはずです。予算に先駆けた決算の早期審査、そのためにも、総理の従来の答弁を一歩進め、予算に先駆けた決算の早期提出を実現していただきたいのでございますが、総理、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 決算を国会になるべく早く御提出するということ、これはもとより望ましいことであります。したがって、政府としてはできるだけ従来から早期に提出するように努力をしてまいっておるつもりでございます。御注意がありましてまことに恐縮でございますが、そのような心構えをいたしております。
 なお、しかし決算の作成そのものにはかなりの日数がかかるということにつきましても御理解をお願いしたいと思いますが、できるだけ速やかに提出をいたすべく今後とも努力をいたします。
○委員長(大渕絹子君) それでは、最後の質問になりますけれども、平成二年度の政府開発援助の実績は一兆四百八十五億円、三年度の実績は一兆一千四百四十八億円と増大を続けています。ODAの額が大きくなればなるほど、その使途、手続等の透明性が要求され、国民の理解と協力が不可欠となっています。当委員会の審査の過程でもたびたびODAが取り上げられ、会計検査院が平成二年度、平成三年度の決算検査報告で特定検査対象に関する検査状況としてODAを掲記したのもこうした背景に立ってのことと思われます。
 しかし、会計検査院の取り組んでいるODAの調査では、相手国主権に絡み、肩越し検査の限界などもあると聞いています。援助機材、施設などが十分に活用されていない事例の指摘にもかかわらず、その国名、事業名の公表は避けられていますので、個々具体の判明は困難です。
 ODAは相手国からの援助要請により実施されます。要請を受けとめる段階でこれらの点について相手国の理解を求めるべきではないでしょうか。ODAをして世界平和に貢献するため、その前提としての国民の納得を得るためにこれらの体制づくりは緊要なことと痛感いたします。総理の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) その御指摘は、ごもっともだと思われるケースが実は決してないわけではございませんで、殊に援助案件は、受ける相手国が主体となって案件の実施をいたしますが、すべての国が国内的にいろいろ整備されておるとは限りません。したがいまして、こちらから見ておりまして、なるべく援助資金の適正な使用あるいは公正な入札などについては援助供与の際に相手国にそれをお話をしていわば義務づけておる、そういう努力はいたしておるわけでございますけれども、ある点より先は主権の問題にかかわったりいたしまして御指摘のようなケースが皆無とは実は申し上げられない。今後とも、十分に供与の際に我々として許される範囲のことは相手方に要望をし、また実施をしていただくようにいたしてまいりたいと思っています。
○委員長(大渕絹子君) どうもありがとうございました。
 以上で私の質疑は終わらせていただきます。
 それでは、質疑を続けてまいります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○会田長栄君 会田であります。どうぞよろしくお願いします。
 まず、第百二十六回国会というのは余すところ四日間となりました。今委員長からもお尋ねがありましたが、なかなか自信のあるようには聞こえませんでした。今国会の最大の政治課題は、国民の政治不信にどうこたえていくのか、そのために政治改革をどうしても成立させるというのが課題でありました。私から見れば、残念ながら今や風前のともしび。自分の心に非常に怒りさえ覚えるこのごろであります。したがって、改めてこの機会に総理に以下何点かお尋ねいたします。
 その第一は、今日の国民の政治不信というものはどこから来ているのかということを改めて問い直してみなければいけないと思っています。したがって、今日の国民の政治不信に対する総理としての認識というのはどのようなものか、まずお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の政治不信のよって来るところでございますが、やはり根本的には私は金の問題であるというふうに思っております。それも一度ならず何度も過去に、最近の過去におきまして事件が起こっておりますので、それについての国民の不信感というものが私は一番強いのであろうと思っております。
 したがいまして、これを何とか直さなければならないということで、自民党もそうでございますが、野党におかれてもそれについての具体的な改革案を国会に提出しておられますが、考え方はやはり政治資金につきましての扱いを厳しくするとともに、公費による負担というものを改革の一つの中心に考えておるわけでございます。そうなりますと、それはしかし選挙というものが政党本位に行われなければならないということになりますので、現在のようないわゆる中選挙区制ではその目的を達しがたいということから、自然にそれは選挙制度の問題に波及をしていくわけでございます。したがって、この政治改革というものはそれらのことが一括して行われなければその実を上げない、こう考えておりますが、問題の一番の基本のところは政治と金の問題だというふうに考えております。
○会田長栄君 実は、今答弁がありましたとおりなるほど今日国民の怒りの大もとは政治家と金の問題です。
 もちろん第二番目に、私が一番心配してさきの決算委員会で文部大臣に質問いたしました。我々は大人だ、しかし今政治家や大人のやりとりを大変厳しく冷静に受けとめて見守っているのは二十一世紀を背負って立つ青少年少女ではないかという質問を文部大臣にしました。しかし、この金の問題が出て以来、子供たちに対して一定も発せられてはいません。そういう意味では、文部大臣から大変誠実なお答えをいただいて、何とかそれを子供たちに向けてほしいというお願いをしておきました。
 この場で、いわゆる今日の国民の政治不信というものの問題についてそれだけ認識しているなら、もう一度総理から育ち盛りの最も教育で大事なときにこの状態に直面している子供たちに一言見解などを示していただきたい、こう思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題は、私が一番実は恐れかつ心配をしている問題でありまして、子供は具体的なことはわからないでありましょうけれども、要するに政治というものは信用できないというふうに考えますと、これはもう民主主義そのものの危機にすぐに通じてしまうのでありますので、そのことが一番確かに御指摘のように心配でございます。
 ただ、子供に説明をするといいましても、こういうことはなくすということ、そうでないと子供が納得をする説明は私はできないんだと思います。やはり政治改革ということがきちんと行われるということが将来社会を担う若い人に対する、幼い人に対する一番の私は説明であろうというふうに思います。
○会田長栄君 リクルート疑惑のときの政官財の癒着問題、そして共和鉄工、阿部元総理府総務長官のこれは公判で明らかになって、もうテレビでも新聞でも、泥棒してでも金が欲しいなどという言葉が子供の世界ではやる、全く困ったものだと思っているうちに今度は佐川急便と、こう来ました。そして金丸前自民党副総裁の五億円献金、これにまつわるもろもろの課題、こういうものが続いているわけでありますから、これは率直に大人全体として受けとめていかないと大変なことになる。
 これは、総理も御承知のとおり韓国の金泳三大統領は就任百日過ぎて何を手がけたかというと、政治という川をきれいにしていくためにはまず上流からきれいにしなきゃだめだ、下流に手をつけていたってどうにもならぬといって、今日韓国の政界を揺るがしているじゃございませんか。これは韓国だけでありません、日本だってこのとおりだということなんです。しかし、依然としてそのことが具体的に出てこないものだから改めて聞いているわけなんで、これは委員長も質問いたしましたが、私もその次に質問いたします。
 これは、昭和五十八年十一月に税制調査会から、実は問題になっている金の問題の根源のところで使途不明金にかかわって答申が出ている。これはどういう答申であるかというのは皆さん御承知だと思います。国税庁として、税制だけでこの問題を解決するのはもう限界だ、だから政府におかれましては商法、刑法を改正してもこの問題に決着をつけなきゃいかぬという意味のことを報告しているんですよ。その点について、刑法となると天下の実力者後藤田副総理・法務大臣、これは十年を過ぎていますから、この問題は実際手をつけているんですか、検討されているんですか、お伺いします。
○国務大臣(後藤田正晴君) 会田さんおっしゃるように、この際特別収賄罪ですか、そういったような刑法の改正によってきちんとしたらどうだ、こういう御意見があることは承知をしております。それからまた、先般来お願いをしておりました商法の改正に関連をして、商法の中で何か使途不明金を征伐するような規定はないのか、こういう御意見があったことも承知をしておるんです。
 まず刑法の問題でございますけれども、これは私自身の長い間の経験則からきている私の意見でございますが、罰則を強化するだけで事態が改善をする、世の中がよくなるという筋合いのものではないのではないか。なぜそういう事件が起きるんだという根源にさかのぼっての改革をやることが私は一番肝心なことではないのかなと。国会議員のような国民の陳情を受けそしてそれをできる限り政治の場で国民的な見地に立って解決していく、こういう国会議員に特別な汚職規定というものを設けるということは、一般の刑罰法規である刑法に果たしてそれはなじむのかどうか。むしろ現在のあっせん収賄といったようなことで事を処理するのが適当ではないのか。
 さればほうっておくのか、こういうことになりますと、それはなぜ政治に金がかかるんだということを考えて、そしてやはり政治資金規正法、こういうものをきちんとして、これは特別法でございますからこういうことで対応していくのがよかろう、こう私は思うんです。
 ならばそのときに、政治資金規正法を是正するときには、それじゃ一体どうしてこんなに政治に金がかかるんだと。まあ人に言わせるとかかるんじゃなくてかけておるんじゃないか、こういう御意見もありますけれども、いずれにせよ政治に相当な金がかかることも事実なんです。ならば、それはどこからくるのかということになると、長い間なじんできた制度それ自身は私は必ずしも否定するものではありませんけれども、ここまで腐敗が露呈した以上は現在の選挙法そのものの中に何か改正をすべき点があるのではないのか、ならばそれを改正するのが建前であろう、こういうふうな私は考え方でございます。
 それから商法の問題は、これはなるほど答申等でそういうふうにお書きになっておりますが、少し世界が違うのではないのかなと。商法というのは、御案内のように、商いの基本の組織を決める規定ですね。使途不明金というのは、これは私がお答えするのはいかがと思いますが、これは税法上の問題で、やはり税法というのは真の所得者に課税するということでしょうけれども、商いといいますか商行為をやる上でどうしても説明ができないという面も私は会社経営上あるだろうと。しかし、それは最小限にとどめるべきであって、その中から政治資金がどんこらどんこら出ているという状況はこれは私は認めるわけにはいかぬのではないかな、こういう考え方でございます。
 いずれにせよ、その場合に現行の税法上はやむを得ない最終の詰めた段階で使途不明ということをそれじゃ認めるが、それは税金をもらいますよということで税を徴収をしておるというのが現行でございますから、これはそれなりに私は現行税制できちんとできておるのではないかなと。
 そして、商法は先ほど言ったような観点でございますから、もし使途不明金が会社役員の経理の不正ということであれば、現行商法の上で既に罰則がきちんと決まっておるわけですね。幾らでも商法上の罰則でやれるし、同時にまたその取締役に対しては会社に対する賠償責任、これも商法できちんとしておる。
 こういうような関係でございますので、せっかくの御質問でございますが、私はやはり政治改革、抜本改革、その中に制度の問題さらには政治資金の問題、こういった問題をきちんとやるのは私はお互いの今やらなきゃならぬ仕事ではなかろうかなと、かように考えておるわけでございます。
○会田長栄君 それでは、いわゆると私つけ加えますから、企業のいわゆる使途不明金の問題についてお尋ねいたします。
 大体、政治献金はまあ企業の社会的存在云々、最高裁の判例が出ているというところでおさまっている。しかし、この使途不明金の問題というのはなかなか明らかになっていない。それは国税庁が調査をして重加算税をかけて税金をいただけばよろしいというように現状はなっている。果たしてこれでいいんだろうかという疑問があるから、総理にお尋ねいたします。
 これは率直に使途不明金などというのは、国税庁が言う、法務省が言うんであれば、これは仮払い。仮払いというのは次期決算期に本決算しなきゃいかぬ。しかし、先ほど総理は損金とおっしゃいましたね。
 とにかくこの使途不明金というのは通常であれば許されない行為なんですね、考えてみると。これはお互い公務員でありますから、公務員が使途不明金つくったといえば大体終わりでしょう、これ。それほど企業というのは大事な社会的存在であるというなら、それだけの責任を持ってもらわなきゃ困りますよ、これは。私は、人悪く考えたら、使途不明金をつくって、政治家に上げましたと言って、一方で自分のぽっぽに、懐に入れたってわからないんですよ、これは。いや、実はわかっていることなんだけど、半分ぐらいはこっちさ入れちゃったんだと、こう言ったってわからないんですよ、これ。
 仮にだ、仮にここに入れたとなったら、それは背任・横領罪でしょう。同時に、わからないところで所得があるんだから、これは所得税法違反だわ、間違いなく。こういう金が実は年間五百億円を超しているものがあるということについて、総理どのような見解をお持ちですか。
 平成元年度五百六十三億円、平成二年度四百七十六億円、平成三年度五百五十八億円。この調子でありますから、平成四年度も五百億円は超えているでしょう。平成五年度も着々と五百億円に近い金がいわゆる使途不明金というように言われていることになっているでありましょう。そういった点について、これは国民の側から見たらこれほど不思議な存在はない。したがって、総理としてこの使途不明金問題についてどのような所見を持っているか、聞かせてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどちょっとお話がございましたその使途不明と称して不正経理をやったといたしますと、それはおっしゃいますように特別背任罪もあるし損害賠償の責めを会社に負わなければならない。それはそういうことで処理をされるわけでございますが、そうでない場合、いわゆる使途不明ということ、何かの事情で使途が言えないという場合に、それは不正に使われたと申すわけではない。そうとばかりは決まりませんから、そうしましたらそれに対してはそういう支出はいわば税法上認めない、損金として扱いませんというのが、一番税法としては厳しい扱いになるということを先ほど申し上げたわけです。
 そこで、後の御質問でございますが、私もそういう三年間の数字を先般国税庁が国会に御説明するのを聞いておりましたが、その中で六割とか七割とか、年によって違いますが、それが大体土建業、土木建設業について発生しているということが実は非常に問題なんではないだろうかと思います。というのは、それは土建業はほかの業種と違って、つまり政治家とかということでなく、ちょっと申せない、仮に地元対策であるとかいろんなことがあるのかもしれませんですね。
 ですが、全体の六割とかなんとかというのはいかにも異常でございますので、それで実はこの間建設大臣に対しまして、殊にゼネコンというところは国民の税金を使って仕事をすることが多いのでございますから、建設省としてはそんなに異常な使途不明金があるのはなぜか、会社の営業の内容なり経理なりについて建設省としてやはり監督官庁でございますから調べてみることが必要だということを申しまして、現にその調査は始まっているように思います。
○会田長栄君 もちろん、使途不明金の大きな金額の中で建設業界が約七〇%を占めていると言われているから、今の答弁、いわゆる公共工事の発注制度、入札制度その他を含めて監督官庁としてしっかりするというのは当たり前。ところが、二〇%は大体わかるというんですね、追跡していった結果何に使ったかというのは。しかし、そのわからない八〇%のところが問題なんですよ。いわゆる政治家に流れているのではないかという疑問、もう一つの疑問はお互いに役員間で談合をして分ける、こういうものもあるんではないか、こういう不信の声が出ているわけでありますから、この種の問題はきちっと、先ほど言ったように政治改革なら政治改革の中で一括して国民にこたえられるように、総理ぜひしていただきたいですよ。
 ところで最後の問題になります、これに関連して。残すところ四日と私申し上げました。総理は国民に大変な呼びかけをして、今度の国会では花もあらしも踏み越えて、そういう心境で必ず成立させると言ってきました。残り四日です。四法案一括処理、こう言っています。どれ一つとってもこれは国民にこたえていかなきゃならない問題です。さて、これどうしますか。残り努力しますといったって、それは先ほど私が申し上げたとおり風前のともしびでしょうが。こちらには全然こないんですから、話は。
 一体今度の国会というものを、この四法案を継続審議にしていくのか、国会を延長するのか、あるいは臨時国会を召集するのか、長い間衆議院で審議をしたからこの辺で一服しようかといって残り四日間でやめてしまうか、その辺のところの決意のほどを聞きたいですよ。そうでないと国民の怒りというのはおさまりませんよ、これ。人のうわさも七十五日なんといって、七十五日過ぎりゃ何とかなるんでないかというほど今度の問題というのは政党政治にとって軽い問題ではないと私は見ています。
 そういう意味で残されている四日間に、タイタニック号に例えて総理が国民に呼びかけた決意のほどというものをきちっと押さえて、最後の四日間でリーダーシップをとって成立させるという決意はおありですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど委員長からのお尋ねにも申し上げたところでございますけれども、まず一括処理でなければいかぬということは、先ほどお金の問題がもとであっても選挙制度の問題と切り離さないというところで御説明をいたしました。
 そこで、衆議院の特別委員会に自由民主党としても法案を提出しております。野党も提出をしておられます。それは中身はかなり違うものでございますから、百八時間の御審議もあり公聴会もございましたが、ただ言ってみればこれは同じ土俵、選挙区という土俵の問題でございますから、できるならば各党の間の共通点を見つけて、そして合意をしていくということが本来望ましいことであろうということは、委員会で御審議中の皆さん、各党ともお考えのようでございます。
 そこの共通点というものに到達し得るかどうかというのが委員会が非常に苦労をしておられるところであると承知をしておりまして、ですから私は、そういう努力によってこの国会で、確かに日は少なくなっておりますけれども、合意点が見出せないものか。私としてもそのために全力をただいま挙げておるということでございますから、あとどう処理するかという問題はただいまお答えする問題ではないと思います。
○会田長栄君 それでは、何といっても一括だ、こう言っていますけれども、その政治不信の根源というのは政治資金の問題ですから、何といっても金の入ってくるのと出ていくのがわからないというところに問題があるわけでありますから、政治資金の透明化ですよ。よく選挙制度の話をしますけれども、私から言わせればたくさん金の持っている人とない人がマラソンの競争をしているようなものなんです、今の選挙というのは。公平でないんです。だから、どうしてもこの金の問題を残されている四日間で、もう腹の中は決まっているんでしょうけれども、なし遂げてほしい。したがって、国会を延長するのか、臨時国会を召集するのか、もうこの辺で政治改革法案をあきらめるのか、その点の決意はきちっと持って対応していってほしい、こう思いますよ、四日でありますから。
 本来、日本国の最高の実力者、最高の権力者というのは総理なんですね。逃げられないんです、総理は。それぞれ各党が話し合いしているとかいろいろ言っておりますけれども、最高権力者としての総理は逃げられないんですよ。どうぞ、こういう機会でありますから、逃さずリーダーシップを発揮して国民の声にこたえてください。お願いしておきます。
 それからその次にお聞きしたいのは、総理はこの話をするとよくおわかりだと思いますよ、これは日本の外交のあり方、姿勢のところで非常に大事な問題がある。後藤田副総理も知っているはずです、この話は。
 例えば日本の外交というのは、全権大使を各国に派遣して外交交渉が行われているというのはこれは当たり前の話なんですね。ところが、例外が一つある。閣僚級の外交交渉をやるときに、その出先の全権大使が全然関与せずに会議が終了するという例があるんですよ。これは日本の外務省と外国の交渉なんです。大蔵大臣をやったことのある総理でありますからよくお知りでしょう。竹下さんもやりましだ。橋本元大蔵大臣もやりました。後藤田官房長官時代に御指導があって、外務省も論議したことがありました。一体こういう外交のあり方というのはいいのかどうかということを二番目に総理に聞きたいんですよ。
 そんなことなかったと、今までそんな経験なかったと、話も聞いたことがないというんであればそう言ってもらっても結構でありますよ、これは歴史が証明するんですから。いわゆる湾岸基金の七百億円の問題で橋本大蔵大臣とブレイディ財務長官が話したときの話が最も新しい話でありますから。率直に見解を聞かせてください。そういう話が出ているようではだめ、これからはそういうことをさせぬならさせませんと。これ通常、霞が関大蔵省外務省三十年戦争と言われていることですよ。所見を聞かせてください。
○国務大臣(林義郎君) 会田委員の御質問でございますが、今橋本さんとブレイディ財務長官との話がありました。その話につきましても、向こうから極秘でと、二人だけでと、こういうふうなお話もありまして、交渉ということになりますとそういった場面というのが出てくるわけでございます。
 現に、私も大蔵大臣を拝命いたしましてから先進国蔵相会議というのがありまして各国の蔵相と意見交換をやる、非公式かつ率直な意見交換をする場というのはあるわけでございまして、そうしたことは実際問題やっておりますと少なくないというのが私の実情でございます。
 そうした問題に関与しましていろいろと話をいたしますけれども、例えばアメリカでありましたような場合には我が国駐米大使館の関係者が同席をするということもありますし、また外務省が同席をしないという場合にはその内容につきましては外交当局に連絡するなど、緊密な連絡をとってやっておるというのが実態でございます。そういうふうに御理解を賜りたいと思っておるところでございます。
○会田長栄君 総理ね、総理も大蔵大臣のときに経験をしているんです。通常、外交というのは、閣僚同士の会談というのは、派遣されている全権大使が同席をして、その会談内容というものを総理のところに公電で連絡をするというのが通例なんですよ。そうでしょう、違いますか。
 ところが、大蔵大臣だけはアメリカに行ったとき特別なんですね。いや、相手が言うんだから仕方ないよ、一対一でやると言うんだよ、相手が言うんだから。これだってわからない、相手が言っているんだか言わないんだか。しかし、そういうことがあって最も熾烈に総理に抗議したのが前の松永大使でなかったんですか。みんな知っているでしょう、その話。
 こういう外交をやっている限り私はだめだというんですよ。相手から、日本の外交というのは最も大事な話のときにはこそこそと仕分けしちゃって決着をつけるのが一番だと、こうなっていったんでは、新しいクリントン政権ができた、日米交渉が今度はいよいよ山になる、そういうときにこういうことをやられたんでは困るんですよ、総理。
 したがって、その点についてはこれ以上言いません。あることは間違いないんですから。大蔵省に予算削られると大変だから、外務省で相談したけれども要求はすまいという結論になったとまで伝えられている。これでは困ります。だから、これから大事な国際化時代に入ってきているわけでありますから、その点ひとつこれは総理にお願いだけしておきますよ。そういうことはさせぬと、こう決意を言ってくれれば本当は一番いいんですけれども、そこまでは言わぬでもいいですから、こういうことはないようにしてくださいとこれだけは頼んでおきます。
○国務大臣(林義郎君) 私から会田さんにお答えするのもどうかと思いますけれども、今お話がありました中で予算をどうだこうだという話では、これは私の方ではそんなことを考えていることは全然ございませんし、やはり日本の通貨政策なり為替政策なりを私の方で担当しておる、G7会合というような話でやるときでも、非公式で率直な話し合いをするときには大臣みずから話をしなければならない、そういったような場面が多々あるわけでございまして、そういったことはやはり外交の実態として私は御理解を賜りたいと思います。
 政府としての方針をどうするか、それは外交問題でございますから外務大臣もおられますし、最終的な御判断は内閣総理大臣にいただくわけでございますから、そういったところとの連絡を十分に私たちもやることはもう当然のことでございまして、これからもそういった体制でぜひやっていかなければならない。実態がそういうふうになっているということだけにつきましてはぜひ御認識を賜りたいと、私はこう思う次第でございます。
○会田長栄君 わかりました。村田大使のときも松永大使のときも残っていますから、それはひとつ外務大臣も、その点は大事な主役としてぜひやってほしいとこう思いますから、こういうことを何回も言われぬようにひとつ外務大臣聞かせてくださいよ、決意のほどを。
○国務大臣(武藤嘉文君) 過去いろいろと誤解を招いたような点もあるやに今承っておりますけれども、大蔵大臣から答弁がありましたとおりで、私ども政府部内で重要な国際問題については十分連絡また調整をし、最終的に総理の判断をどうしても仰がなければならない場合には総理の判断を仰いで、政府一体となって外交問題に進んでまいりたいと思っております。
○会田長栄君 湾岸基金で円高ドル安で七百億円足りないからよこせと言われたときの問題というのは、決してこれは私はいいことでないというんですよ。それは当然橋本大蔵大臣とブレイディ財務長官が話し合いをしたときに、そのことだけはきちんとしておかなきゃならないんです。それはなかなか仕事が重要でありますから、そこまでは念入りにいかなかった。本来であれば、大使がいればここだけはきちっとしておきましょうかと耳打ちすれば、そういうことはなかったんです。
 これは歴代書かれているから、私はここで日本の外交のあり方としてやはり一番大事な外務省、全権大使、内閣とのこの関係というのを整理しておかなきゃいけないなと思います。これが二度、三度、四度あったんでは困りますからこういう御質問を申し上げました。その点はお願いしておきます。
 最後に、病人を看護する付添家政婦の共済制度の問題についてお聞きします。
 これは今どういう問題になっていますかということになると、これです。なるほど、家政婦なり看護婦なり病院の話というのは非常に大事だ。とりわけ高齢化社会が到来をしてこうなっている。しかし、その意味では家政婦の労働条件、待遇、こういったものも改善すること、それはよろしい。それは法律ができ上がったわけだから大いに結構であります。
 しかし、ここで確かめておきたいのは、家政婦の共済制度を成立させて今度は入院している患者から家政婦の共済制度の掛金を〇・九%ずついただくんですという話は、これは本当ですか。聞かせてください。これは労働大臣。
○政府委員(齋藤邦彦君) ただいま先生御指摘のように、民間におきます家政婦の方たち、労働条件が非常に不安定でございます。特に個人に雇用されるということでございますので労災保険の適用もないということでございまして、やはり家政婦の方が安心して働いていただけるような制度、仕組みをつくらなければいけないということで、現在この方たちを対象にいたします共済制度を考えておるわけでございまして、一部六月から実際に実施に移しております。
 家政婦の方たちが通勤途上を含む傷害を受けた場合の補償ですとか賃金不払い事故の場合の賃金の保障、その他賠償責任についての保障、家政婦の方たちの入院期間中の収入の保障、こういうようなものを対象にして共済制度を考えております。
 この共済制度の原資でございますが、原資は求職者の方、要するに家政婦の方と、求人者、要するに家政婦を雇っていただいている方、病院の場合ですと病院に入っておられる患者の方、こういうことになりますが、その二つのところで負担をしていただいて原資に充てようということでございます。
 先生御指摘になりました〇・九%ということでございますが、求人者の方に〇・九%負担していただこうという構想もございましたけれども、やはり関係者の方たちの御意見等も伺いまして、〇・九%ではとこういうことでございまして、最終的には〇・五%程度を求人者の方に負担していただきたい、このような構想で現在関係者の方々いろいろ御議論をいただいておりますが、ほぼそんなような形で御了解をいただいておるんではないか、このように思っておる次第でございます。
○会田長栄君 入院されている方といえば、それは別名求人者ですね、家政婦を頼みたいという。しかし、どういう条件のもとに入院しているかといったら、それは厳しいですよ、入院されている方は。だから、〇・五%だってそれは大変なものです。
 しかし、実際に家政婦の待遇などを見てみますと、これは大変な状況ですね。昼間やってもせいぜい六千三百円、一日やって。夜やって三千七百円。夜昼やって泊まり込んで一万円、こういうところですよ。間違いなく三百六十五日働いたにしたって、夜昼やってこれは三百六十五万円しかないんです。そんなことできるわけない。そうすると、大体半分と見ればいい。
 前提として、家政婦の共済制度は私賛成なんですよ。しかし、病院に入院されている方が掛金を出さなければ日本の家政婦の待遇というもの、共済制度というものはできないのかということになったらちょっと、日本は世界一金持ちだなんて言っているけれども病気になったって今度掛金を取られるぞという話になるんじゃないですか。これぐらいの金子は出ないんですか。総理、こういう話を聞いたことがありますか。まあ聞いていないと思いますけれども、それが普通だと思います。
 これは労働省がやっているようですけれども、しかし何とか入院患者から負担金を取らないで家政婦の共済制度がうまくいくように政府の助成というものはできないんだろうか、これは。労働大臣できるでしょう。
○国務大臣(村上正邦君) 病人から掛金の御負担をという話を聞きますと、何も病人から取らなくたっていいじゃないかと、やはり私もそう思ったんです。いろいろ話を聞いてみますと、やはり病人といえどもその家政婦を雇う求人側になるんですね、これは。雇用者になるんです。そういうことの相対関係からいって、金額も大体日額八千円とすれば四十円の御負担をお願いするということだから、今四十円といえば本当に二つ三つの子供に四十円持たせたって何も買えない金額で、そのくらいの御負担はまあぎりぎりのところじゃないのかと。
 それで、政府が何もしないのかと。今お話を聞いていますと政府は何もしないじゃないかというようなふうに聞こえるわけでありますが、政府といたしましてもその負担を軽減するために共済事務の経費に対しては助成を行っていこうと、こういう仕組みでございまして、何とかそこは家政婦さん、雇われる方、雇う方、そして政府、この三者で何とかこういう共済制度をつくることによって家政婦さんのいざというときの生活の安定が図られるならばまあそこらあたりはお許し、御理解を賜れるのじゃないのかと、こういう考えを持っております。
 私もできれば病人から金を取るなんてと、こう直観的に思いますけれども、そこはそこなりに、そこらあたりのひとつお考え方には御同意を賜れるのじゃないだろうかなと。雇う方も安心して家政婦さんに物事をお願いできる、こういうふうに考えております。
 それから、これは質問外のことでございますが、委員会の正確を期すために。会田先生、先ほど阿部総務庁長官というお言葉がありましたが、阿部先生は総務庁長官じゃなくて北海道開発庁長官。これひとつ訂正をなさっておいた方がこの決算委員会の正確さを期すんではないか。これは余計なことでございますけれども、申し上げておきます。
○会田長栄君 総理府総務庁長官と北海道開発庁長官と違ったんでは困りますから、それは訂正させてもらいますよ。しかし、政府の閣僚であることは間違いありませんから、そこはひとつ大事にしてほしいと、こういうことであります。
 そこで労働大臣、労働大臣が許可して設置されている民営の家政婦紹介所、これは今度どのような変化を伴うんですか、この家政婦の共済制度ができ上がると。ここでこの仕事をやるんですか、いわゆる掛金を集めて納めるということまで含めて。ちょっと教えてください。
○政府委員(齋藤邦彦君) この共済制度の仕組みその他につきましては先ほど申し上げましたけれども、実際の加入手続ですとかあるいは掛金の徴取手続というのはそれぞれの紹介所にお願いをいたしたいというふうに思っております。
 そのために、先ほど大臣が申し上げましたように、事務手続の関係に係る費用の一部としてその紹介所に二足の助成をしようではないか、そういうことによりましてうまくこの共済制度が回るようにしていきたい、このように考えておる次第でございます。
○会田長栄君 悪いですけれども、一定のというのはどの程度を指すのか教えてください。一定の助成なんて言われたってわからないでしょう。
○政府委員(齋藤邦彦君) 今考えております助成額でございますが、年八万三千円ぐらいを考えております。
○会田長栄君 なぜ私はこの質問をするかというと、こういうことなんです。いわゆる家政婦の紹介所というのは、実は職員はそんなに何人もいないんですよ。皆高齢者の方々がいわゆる一定の勤務、仕事を終わった後についている人が多いんです。だから、その仕事が手間がかかる、煩雑になる、年に八万三千円上げますからと言われても、私はその仕事をやっている人たちが遠ざかると思うんですよ。そうでしょう。厄介な仕事が次から次に来る、政府から来るのは年に八万三千円だそうですといったら、まあ結構ですと。年に八万三千円ですからね。こういう気持ちは持たなかったですか。八万三千円を助成すれば民営の紹介所というのはますます活性化するとお思いですか。その辺、ちょっと見解を聞かせてください。
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほども申し上げましたけれども、家政婦の方たち一生懸命働いておられます。それぞれ私どもはいろいろ仕事柄お話を伺いますけれども、これまでに非常に長い間の人生経験を経てさまざまな苦しみをなめた上で家政婦という職業についておられるような方も多数おられます。一生懸命仕事をしておられますが、いかんせんその職業生活は先ほども申し上げましたように極めて不安定なところがございます。けがをしてもその保障システムがうまくできていない、あるいは求人者の方に損害を与える場合もありますけれどもそのような場合の賠償すべき金額を担保するべきものもない、こういうようなことでいろいろ不安定でございます。
 そういうようなことを何とか解決するために私どもこの共済制度を設けるということを考えたわけでございまして、それぞれの方に負担はお願いをしなければならない。確かに紹介所におきましても大変だということは十分わかりますし、私ども胸を張って多額の経費を助成しているというようなことを申し上げるつもりはございませんけれども、本当の気は心という程度かもしれませんけれども、やはりこういう制度をつくり上げてきて一歩一歩進めていく、そういうことによって何とか家政婦の方たちの労働条件なり生活の安定なりを図っていくようにすべきではなかろうか。このように考えてこの制度を企画して、また関係者の方々にいろいろ御説明をして御賛同をいただいた上でやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
○会田長栄君 私もこの制度は大いに賛成なんですよ。やめてしまえと言っているわけでありませんから。家政婦のやっている仕事を考えたらもう遅きに失したぐらいの気持ちですから、それは大いに結構です。
 ただ、せっかくつくった制度が生かされるようにしていくためにはどうすべきなのかといったら、求人者になっていますけれども入院した人から負担金をいただくということには、やはり軽減をしていくことを考えなければいかぬという視点に立って今質問しているんです。
 同時に、民営のいわゆる紹介所が新たな仕事がふえてきた、そのために人件費がかかる、それではそういう紹介所はこの際遠慮しましょうかといって家政婦の紹介所離れが出てきたのではこれまた大変だと思うから、今の点を確かめたわけであります。その点はひとつ二点頭に置いて今後ぜひ検討してほしい、こう思いますからお願いしておきます。
 さて、最後であります。総理にお伺いします。これは質問通告していません。
 過日、福島県沖の約七キロぐらいの沖合で石油タンカーと貨物船が衝突をして、ドラム缶二千五百本分が流出しました。したがって、その油が海岸に全部押し寄せました。夏休みが来る、海水浴が来る、養殖漁場がつぶれる、これ今大変な状況なんですが、こういったことについて、タンカーの事故というものがぶつかったらすぐ油がこぼれるのではなくて、何とかうまい方法というのは研究されているんですか。されていると思うんですよ、いわゆる二重底というやつだ。これはどこかな、運輸省がな。これはひとつ、最後でありますから、お願いしておきます。
 漁民も大変な騒ぎです。海水浴を迎える海の家の人たちもそれは大変なものです。同時に、衝突をして被害をこうむったお互いの船舶主も大変だと思いますよ。こういった問題というのは船主が保険に入っているところで全部整理される、こういうふうに把握してよろしゅうございますか。
 以上です。どうぞ最大の課題の政治改革、四日間で仕上げるように最後にお願いしておきますから。
○国務大臣(宮澤喜一君) 正確には申し上げられないかもしれませんけれども、国際海事機関等でいわゆる二重底、ダブルハルというものを義務づけることになりまして、ただ現在まだ船齢がかなり若いタンカーがございますので、たしか幾つになったときは強制的につくりかえなきゃならぬという、そういう規約になっておると思います。
 ただ、ここも私確かでないのでございますが、それはある大きな一定規模以上のタンカーに限っていて、近海などのものについてどうしておるかは私ちょっと存じませんで申しわけありませんが、遠洋の大きなタンカーについてはそういうことに変わりまして、新しく建造されるものについては我が国でも建造が既に行われておる部分があると聞いております。
 それから、今のような福島沖の場合はどうなりますか、恐らく海上積み荷保険でカバーをされていくケースではないか。積み荷じゃない、むしろ損害をかけましたら責任保険になるかもしれませんが、であろうと思っておりますが、どうも不十分で申しわけありません。
○会田長栄君 ありがとうございました。
 仕上げてください、政治改革。それだけ頼んで終わります。
○西野康雄君 西野でございます。よろしくお願いをいたします。
 質問に入る前に、ルイジアナ州で交換留学で行かれた服部剛父君が銃弾に倒れたこの件に関して、服部剛父君に心から御冥福の意をささげたいと思います。
 さて、この服部剛父君の射殺事件、そしてその裁判経過でございます。日本のいろいろな情報を見ておりますと、その報道ぶりがあるいはかわいそうだというふうな形で情感に流されて、いたずらに逆に反米感情をあおっているんじゃないだろうかと思ったり、あるいは非常にクール過ぎていささか卑屈ではないかなというふうな感じも見受けるわけでございますが、総理自身の服部剛父君の射殺事件に関しての御所見からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはまことにどうも服部君に気の毒な、御両親もそうでございますけれども、同情にたえない事件だというふうに感じております。
○西野康雄君 私も同情にたえない事件であるかと思いますけれども、しかし近ごろ各学校でも高校ぐらいになりますと交換留学生、あるいは地方自治体でも随分と交換留学だとか、そういうふうな形での日米間の留学生の交流というものが盛んになってきております。しかしながら、余りにも安易過ぎるんじゃないだろうか。そういうふうな中から服部君の不幸な事件が起きたんではないだろうか。アメリカというところは銃社会であるということ、そしてまた各州によっていろいろと州法も違っております。そういうふうなきめ細かい事柄というものをきっちりと指導していく。今後またさらにそういうふうな状況というんですか、日米間の交流が盛んになればなるほどそういうふうなことが起きてくるんではないだろうか。
 服部君の死をむだにしないようにするためには、アメリカという社会はどうなのか、あなたの行かれる州というのはこういうふうなところなんですよというふうなことをきっちりと出していくこと、そういう政策がこれから必要になっていくんじゃないだろうか、そんな気がしてならないんですけれども、その辺の対策はどうでしょうか。
○政府委員(荒義尚君) 私ども外務省の方からお答えを申し上げますけれども、確かに先生御指摘のように、我が国と米国あるいは我が国と他の諸外国との間に社会制度、宗教、慣習等いろんな相違があることは事実でございまして、そういった事実について、日本の我々が海外に仕事や勉学で赴く前にそういった土地の事情をよく認識すべきであるというのは御指摘のとおりかと思います。
 私ども外務省としましても、そういう点も踏まえまして留学生を含めた邦人の渡航者の方々の安全対策ということに鋭意取り組んでいるところでございます。特に高校生の方々につきましては、関係省庁ともいろいろ御相談させていただいておりますけれども、例えば全国高校生留学・交流団体連絡協議会というのがございますけれども、そこを通じまして関係方面への情報提供あるいはガイドラインの作成等の啓発活動に鋭意努力しておるというところでございます。
○西野康雄君 本当に鋭意努力をしていただきたいと思います。
 そういうふうな今の外務省の答弁に水を差すわけじゃないんですけれども、今回の質問でこれ通告も何もしていないんです。今ずっと私いろいろな新聞の切り抜きなんかを集めている間に「あきれた日本人領事 服部君射殺事件裁判 法廷内セックス記事に没頭」、こういうふうなのが出てきておりました。外務省は今一生懸命啓発しておりますと言ったって、現地に行って裁判につき合っている領事が裁判中に、これはニューズウイーク誌、「これが九〇年代のセックスだ」という題のこういうふうなのを読んでおる。あなた方はそんなことを言うけれども、片一方でこんな頼りない領事がおる。これ、事の真相をちょっとはっきりさせてもらえますか。
○政府委員(荒義尚君) 先生御指摘の点はある新聞に出た記事に関してのことかと思いますけれども、我々としてもそういうことがあってはならないということで、詳細につきまして現地公館に対し事情聴取を行いました。全般としましては、私どもは担当総領事館員が誠意を持って事に当たったというふうに確信しております。
 確かに一部誤解を受けるような、例えばただいまの御指摘の雑誌でございますけれども、それは私どもの調査ではニューズウイークの日本語版をたまたま持っていたということで、それについて私どもいろいろ議論はできませんけれども、何もふまじめにやっていたというふうに私どもは考えておりません。繰り返しになりますけれども、全般として私どもは誠意を持って適切に対処したものというふうに考えております。
○西野康雄君 いや、しかし持って入るというのは、これはちょっと失礼な話は失礼な話なんですよ。言うならば、瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず。これは、領事として日本人を守るという立場から見るというと、大変におかしな行動であると言わざるを得ないわけですね。
 そしてまた、この裁判の結果いかんにかかわらず、正確な状況というのが伝わってこない。各マスコミがいろんな形でいろんな報道をしているだけなんですね。ですから、やはり事の真相というものをはっきりさせていくということで外務省なり政府なりは調査する必要があるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺はどうですか。
○政府委員(荒義尚君) 御質問の趣旨を必ずしもあるいは明確に理解してないかもしれませんけれども、私どもとしましては、今回の公判につきましては館員も出席させて逐一状況を把握したということでございますし、御家族に関しましても先ほど申し上げましたようにできる限りのお手伝い、また総領事館としてすべきことはやったということでございます。いろいろ何かさらに調査すべき点があるかどうかも含めまして、我々としても本件事件を本当に厳粛に受けとめておるということでございます。
○西野康雄君 厳粛に受けとめていただきたいと思います。
 「フリーズ」なんという言葉は、僕は洋画が好きなんですけれども、昨年度の「羊たちの沈黙」という映画の中で、精神異常を来した殺人鬼に対して女のFBIの捜査官がその殺人鬼を追いかけるときにフリーズと言った、僕の記憶ではそれぐらいしかないんですな。ちょっとガンマニアかな、このピアースという人は。そんな感じもするんですけれども。どうか誠意を持って事の真相について当たっていただきたいと思いますし、御遺族の方の要望があったら真剣に取り上げていただきたいと思います。
 もう一点総理にお伺いをしたいんですが、昨日の新聞にも、日本の知性の代表と言ってもいいんじゃないかと思います梅原猛さんが、長良川河口ぜきについて、「モダニズムとポストモダニズムの政治理念の違いは、たとえば長良川河口堰の問題に表れる。」、「河口堰建設は、モダニズムからみれば今なおよいことであるが、ポストモダニズムからみれば生命の共生を不可能にし、自然の循環を止める天人ともに許しがたい蛮行」とも言える、そういうふうなことを書かれております。梅原猛さんはまたラムサール条約会議に先立っての記念講演の中で同じような趣旨のことをおっしゃっておられます。長良川河口ぜき問題を取り上げて、開発市場型である、野蛮であると論じておられます。
 どうもやはり私、時代が変わってきているんじゃないだろうか、そんな感じがしてならないわけです。大きな転換点に今来ているんじゃないかなと思うんですが、総理の御所見だけお伺いして、時間が来たので終えさせていただきます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 梅原さんの寄稿、記念講演の様子でございますけれども、これは森とか湿地とかに関してまさにラムサール条約との関連でお話しになられたものと思います。
 それで、確かにそういう自然保護、環境ということからの観点でおっしゃっていらっしゃるんだと思いますが、どうもこの河ロぜきの話は非常に難しゅうございまして、私なんかが聞かされておりますのは、やはり長良川沿岸の水害から住民を守るための責任を、岐阜、三重、愛知県でございますか、それから三市七町一村あるそうでありますが、そういう行政の責任者からはみんな事業を促進してくれということになっておる。結局、ですからそれは人間の命の観点で言っておられるんだろうと思うんです。
 それに対して今の講演は、私はっきり存じませんけれども、自然環境の保護、こういう観点から言っておられるんであろうと思いますので、その選択の問題なのではないか。私は行政の側におりますのでどうしても行政の方の話が入りやすいのでございますけれども、よく自治体とも連携をとりながら環境保全には万全を尽くしてまいりたいと思っております。
○西野康雄君 治水、利水、あるいはその地方自治体の方々からはやってくれということですが、治川の住民からはそうではないんだというふうな世論調査の結果も随分と出ておりますので、またそちらの方も御参考にしていただきたい、かように思います。
 時間が来ましたので終えさせていただきます。ありがとうございました。
○椎名素夫君 時間も限られておりますし、極めて総括的なことを二、三伺いたいと思います。
 私、実は昭和五十四年に衆議院議員になりまして初めて国の仕事をお手伝いすることになったわけですが、その前は民間で仕事をやっておりました。入ってみて、大変に民間と違う点があるなということをいろいろ感じたわけです。
 その中でも非常に大きなことは、予算と決算との位置づけということがまるで百八十度違うような気がいたします。民間ですと、決算が勝負であるということで上場会社でも決算総会というのは社長は命がけでやるというような話になっておるわけですが、国に来てみると予算は大変な騒ぎですが、新聞なんかでも決算というとこのぐらいの織り込み記事でしか報道されないような状態になっている。どうしてこういうことになるのかなということを考えてみたわけです。
 それで、私なりに考えましたのは、やっぱり国は倒産をいたしませんので、ここが違うんじゃないかという気がするんですね。だからといって、決算というのをおろそかにしちゃいかぬということが私は基本であろうかと思います。もちろん予算執行が適正に行われていたかどうかということをきちっと審査をする、間違ったところがあればこれを正していくということと同時に、執行された予算がどういう時代ないし背景の流れの中で存在したかというようなこと、これを将来に向けての教訓として酌み取っていくというような意味で非常に大事だと思っております。
 この今議題となっております平成二年度の決算、これを見まして思うんですが、十五年ぶりに赤字公債がゼロになったという年である。十五年間いろいろなことがあったわけですが、特に昭和六十年のプラザ合意で円が二百数十円から一挙に二百円を突破して円高になったというあたりから世界の経済の変動、そしてそれにつられての日本の経済の変動ということを思い出さざるを得ない。
 六十一年の大変な円高不況がありました。それから六十二年の、当時としては大型の内需振興のパッケージをつくりました。当時、総理は大蔵大臣でいらっしゃいましたし、私は自民党の政調会で端っこの方でお手伝いをしたということであります。それから一定の金融政策があった。それからいわゆるバブルという時代を通り越して、そしてそういうような流れの中で平成二年度の経済財政運営というものが行われたということを思い起こすわけです。
 そういうことを振り返ってみまして私は非常に感じますのは、これ一国の経済そして一国の財政でありますけれども、何と申しましょうか、勝手に名前をつけますと、国際経済の方から来る外部変数とでもいうようなものの影響の大きさというものを感ぜざるを得ない。
 昔は、日本の経済が小さかったときは割に簡単だったかと思うんですが、大体外貨保有高を眺めながら経済の調節をやっていたということにとどまっていたような気がいたします。しかしながら、日本の経済が非常に大きくなってまいりましたら外部変数の影響というものが大きくなってきた。それと同時に、日本がまたそれを超えて大きくなってきましたから、日本の経済の行動というものが今度はよその国に対して外部変数として影響するというような状態になり、そしてまた場合によってはこちらから影響を受けた経済の動きで、またそのいわゆるフィードバックがこっちに返ってくるというようなことが起こるようになってきたということを感ずるわけです。そういうことはこれからますます強まっていくんじゃないかという気がいたします。
 それからもう一つ、平成二年度の決算で大きなことは、先ほどからも出ましたが、湾岸危機に対して湾岸平和基金への拠出ということで相当張り込んだ多額の拠出をやったということです。これは私が前段に述べました経済というらち内から来る外部変数ということのほかに、経済外の要素、我が国の財政にそういうものをまた組み込んでいかなければならない、そういう場合もあるということを我々に感じさせたということも一つの大きな特徴ではなかったかと思うわけであります。
 いろいろ申し上げましたけれども、決算の持つ意味、それからただいま私が申し上げましたようなことにつきましての総理の御感想をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御審査いただいております決算というものは、国会のお立場から、予算の執行が所期の政策目的を達しているかどうか、そういうことが御審査の主たる対象であろうと思います。もちろん、会計検査院が非違事項を指摘したりいたしましたときには、それにつきましての政府への国会としての御批判、おしかりもあるわけでございますけれども、所期の政策目的を予算の執行によって達したかどうかということを御審査いただいておるものというふうに承知をいたしております。
 それから、確かにこの年は赤字国債がなくなった年であるという御指摘がありまして、それは椎名議員も大変お骨を折っていただきましたプラザ合意の後の円高、それがある程度落ちつきましたところから大変に経済が好調になりまして、自然増収が何兆円という単位で入ってまいりました。その結果としてと申しますか、簡単に申しますとそういうこともありまして、赤字国債というものを打ち切ることができた。これはそういう特殊な環境ではありましたけれども、やはり経済運営というものでかなり国の歳入というものは変わってくるということをも意味しておるように思います。ですから、今後に向かってなるべくそういうできる範囲でのいわば順調な経済運営をやっていくことが財政のためにも大事だということを私は経験したように思うわけでございます。
 それから外部変数の話でございますが、それはもうまことに御指摘のとおりでありまして、我が国は殊に軍事大国にならずにしかもこれだけのGNPを持って国際的に貢献をするとすれば、やはりそれは主として財政の面での貢献ということにどうしてもなってまいりますから、それはODAなんかが一番いい例と思いますけれども、そういう意味でそれが漸増することは我々として当然考えておかなければなりませんし、また国連を中心とした諸活動にも物的にもいろいろ貢献をしなきゃならない。これもだんだん年とともに大きくなるということを考えていかなければなりません。
 そのこと一つとりましても、やはり外生変数というものは我が国の財政に非常に大きな影響を及ぼす。しかし、逆に申しますと、我が国の財政運営というのはそういうものを当然前提とし、それに応じられるようなそういう財政運営をしていかなければならない責務を持っておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
 もちろん、我が国のいたしました施策が今度逆にはね返ってくるということもございますし、またそれより前に、我が国の施策がよその国に外生変数として与える影響もまことに大きいわけでございますから、そういう意味で予算というものがかなりこういう国際社会と切り離せない。殊に我が国はますますそういう存在になると思いますし、なっていかなければならないと思いますから、御指摘のようなことを私もいろいろな機会に痛感をいたしております。
○椎名素夫君 間もなく東京で総理が議長になってサミットが開かれるわけですが、ここでいろんなことが論じられることになっております。そういう問題、非常に重要ですけれども、ここでやはり大きな方向感覚というものを持たなきゃいかぬと私は思います。
 このごろ何かといえば冷戦が終わった今というようなことがまくら言葉になるわけですが、冷戦が終わったというのは一体どういう意味がということをもう一度考えてみたいと思います。
 三つばかりあると思うんですが、まず第一は、安全保障では世界規模の紛争というものの危険が少なくとも遠のいたということだろうと思うんで、これは大変に喜ばしいことである。
 二番目は、しかしそれと同時に、冷戦の最中は凍結をされていたいろんな要素がどんと出てきた。実は八〇年代からいろいろな国際会議などに行っておりまして、東西の冷戦が非常に厳しい時代にいわゆる戦略論議というのが盛んだったわけですが、当時は非常に簡単でございまして、算術の話だったんです。こっち側に戦車が何台で向こう側が何台で、こっちは戦闘機が何機で向こうは何機というような話をしていれば戦略論というような話だったんですが、一九八九年ごろになりましたらそういうところで急に歴史の話が出てきた。
 大体百五十年から二百年さかのぼって何のがんのという話になりまして、これは冷戦の終わりの始まりであって、そういう心理的な要素がどんと出てきた。それが顕在化をしてきたのが宗教地域紛争あるいは宗教民族紛争というようなことじゃないかという気もするんですが、先進国の間でもとにかく敵の敵は味方ということで簡単だった話が、本当の親友、友達、あいさつはしておく仲間、嫌なやつだけど仕方がないからつき合う仲間とかいうような仕分けが始まってきて、それと同時に各国の自己主張が非常に強くなってきた。これが二番目の冷戦の終わりの意味だと思います。
 三番目は経済ですが、サミットが始まったころ、世界経済を活性化し強化しようということでジスカールデスタン、シュミットさんなんかが始めたわけでしょうが、当時の世界経済という名前をつけたものはよく考えてみれば西側の経済の話をしていたわけでありまして、東の方は自分の方で面倒見るから手を出すなという話でもあったわけです。それが冷戦が終わったと同時に東側から、困ったあるいはこれから転向するからよろしくというような人たちがどっとなだれ込んできている。それに対して、また昔からございます南の問題というのも幾分の進歩はあるけれども依然として残っている。それに対していわゆる世界の経済のパイがどうも不足しがちであるというような状態なんだろうと思うんです。
 今の三つの要素、三番目に経済を申しましたけれども、我が国とそれから我が国の経済に一番目も二番目もやはりこれから影響を与えてくるようになる。このことは、アメリカにとってもあるいはほかのサミットの国にとっても全く同じことではないかというふうに考えるわけです。ところが、今申しましたようにパイが少し不足がちであるということで、どうも今あるものをお互いつかみ取りをするというような少しはしたない感じが出てきているということは非常に残念でございまして、ここで私思うんですが、世界の経済全体を考えると、一つの国の経済というのはその全体としての国際公共財の一部であるというような考え方をサミットの指導者の方々が共有していかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えております。
 甚だ独断的なことをいろいろ申しましたけれども、サミットに議長として臨まれる総理の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 冷戦が終わったということはそれ自身大事なことですが、それなら何が始まるのかということがまだ十分つかみ切れないできっと世界がいるのじゃないかと思っています。私はやっぱり大づかみに見た新しい平和秩序が生まれるのであろうと。今おっしゃいましたような古くからあった問題が表へ出てきたというようなことはまことに毎日ございますけれども、やっぱり新しい平和秩序をこれからつくり上げていくその最初の段階にいると。そして、そうであるならば、そこから平和の配当というふうなものが生まれてこなきゃならないと。大づかみには私はそう考えていいんだと思いますが、しかし、そういうふうに楽観しますには余りにもいろいろ問題がございます。あり過ぎるかもしれません。
 今、椎名委員の言われましたようなサミットとの関連で申しますと、まさに公共財ということをおっしゃいましたが、先進国の間だけ見ましても我が国以外は非常に高い失業率を抱えておるわけでございますから、この世界経済全体がもう少し活力のあるものになっていかなきゃならないというのは先進国の共通の一つの課題だろうと思います。
 それからもう一つ共通の課題は、まさに崩壊しましたロシアを中心とする旧ソ連邦というものが世界経済の今のところは大変に足を引っ張る要因になっておりますが、それが本当にやがて市場経済に向かって、あれだけの大きな資源を持っている国でございますから、世界経済にプラスに働いてもらうようにしなきゃならない、これもみんな共通の課題と思います。
 それからもう一つは、これもおっしゃいましたが、開発途上国問題というのは依然としてみんなの共通の課題である。
 今大事な順に申し上げたわけではありません、思いつくままに三つを申し上げましたのでございますが、そういったようなことを先進国は、いわば国際公共財とおっしゃいましたが、そういう観点から相談をし協力をしていくというのがおっしゃいますようにサミットの課題であろうというふうに思っております。
○椎名素夫君 見渡したところ議長としてあのサミットに集まる方々のうちでは最も経験の深い政治家でいらっしゃいますから、どうぞリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけです。
 次に、日米関係ですが、これはアメリカとの間も今申し上げたことに尽きるかと存じます。バイの会談を今後年二回はやるという中でお互いがいわゆる内向きにならないように、売り言葉に買い言葉というようなことにならないような建設的な議論を政府間で進めていくということは非常に重要かと思っております。
 その問題はそれだけにいたしまして、大枠の問題に加えて、今回の会談を控えて私が非常に緊急かつ重要と思っております北朝鮮の問題について伺いたいと思います。
 北朝鮮がNPT脱退宣言をやった、これに端を発しまして、今、米朝間の交渉は進展している最中ですが、どうも見ておりますと少し心配なところがある。
 一番大事なことは北朝鮮の核開発を阻止するということだと思うんですが、北鮮が一方的につくり出したNPT脱退というこの障害を取り除くということだけをゴールにいたしますと問題の解決には役に立たないんじゃないかという気がするわけです。今新聞などに載っております言葉は凍結とか延期というようなことが書いてございますが、凍結というのは全くそのまま冷凍庫に突っ込むことですが、使われております言葉は北が脱退をサスペンドすると言っている。この立場は、考えようによりましてはいつでも自分の都合がいいときにはサスペンドをとってやめたと、こう言えるという状態になるというニュアンスが私はあるんじゃないかと思うんです。
 繰り返しますが、核の開発が行われないことが重要である。そのためには最小限IAEAの査察を北に及ぼすような努力というものがなされなければならないと思いますが、この点については北側は同意していないわけです。一体いつ核能力を持つようになるかということはこれはわからないわけですけれども、相当短期間のうちに一発や二発の爆弾を持つかもしれないというようなことは耳にいたしますですね。そうすると、このサスペンドというようなことで向こうの無用な時間稼ぎに手をかしてしまうということは、これは避けなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。万一、北が核能力を保有することになると日本を含むこの地域の安全というものにまさに致命的とも言えるような結果をもたらしかねないということを大変懸念いたします。
 アメリカ側が今後とも北と交渉を続ける、それはそれで結構ですけれども、何らかの形できちっとしたデッドラインを設定するとかあるいはその他の手段できちっとしたものを積み上げていくという決意をアメリカにぜひ持ってもらわなきゃいかぬと思うわけです。この決意がなくてどうもずるずると交渉に引きずり込まれてしまうということがあってはならない、こういう大変に複雑かつ困難な情勢に朝鮮半島の状況が置かれていることについてはアメリカ政府は恐らく十分な認識を持っているとは思いますけれども、どうも少し心配なところもあります。
 総理の御認識と日本がどうこれに対処していくかということについてのお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 朝鮮民主主義人民共和国が核兵器を仮に持つことになりますと、運搬手段さえ開発いたしましたら我が国はこれは人ごとではございません。NPT体制が崩れるということももちろんですが、我が国にとってこれは自分の問題でございますから、椎名委員が言われますことは私はまことにそのとおりである、人ごとではない問題だというふうにすら考えております。
 それで、このたびの交渉につきましては我が国は、韓国もそうであったように思いますが、ずっと交渉の過程においていわば内々ではブリーフィングを受けておったように思いますので、経緯は比較的はっきりしておるようでございます。
 確かにちょっと当面の処理がなされた感じだけでございまして、サスペンドというのはおっしゃいますように大変に不安定な状態だと思いますし、それからIAEA自身につきましてもこれは十分に公平ではない、インバーシャルではないというふうな、だからその査察については云々という、ちょっと査察を受けるということがきちんと書いてない、保障措置協定の遵守等のことがちゃんとなっていないようなここのところは、しかしこれはまだ後交渉が続けられるとも承知をしておりますものですから、当面この十二日という日限があったものをまず回避したのであろうかと。
 しかし、ここで問題が本質的に片づいたように思えませんので、今椎名委員の言われましたことは当然恐らくアメリカも気がついているとは思いますものの、我が国としてはこれで話が全部終わったはずではないということは当然アメリカ側に、アメリカは恐らくそれは知ってのことと思いますが、よく我々の考えも伝えておきたいと、こう考えております。
○椎名素夫君 その点、ぜひよろしくアメリカ側に我々の感覚をきちっと伝え、そして注意を喚起するということをぜひお願いをいたしたいと思います。
 もう時間がなくなってしまいましたので、あとこれからの経済、財政運営についてのことも伺おうと思っておりましたけれども、簡単にいたします。
 先ほど前段で申しましたように、日本の経済というものは日本一国だけのためではなく、もちろん我々の健全な国内経済を築いていって総理のおっしゃる生活大国の建設ということも重要でありますけれども、しかし健全な運営をしていくというのはいわば世界的義務でもあるということであり、短期的に言えば今の不況から脱出するということはやはり国際的責任だろうと思うわけであります。昨年来、政府・与党一体となって策定いたしました総合経済対策、この効果があらわれてくるということを信じておりますけれども、それだけでなしに、将来に向かってもいろいろな要素がございますから財政の機動性を十分に確保しながら適切な施策を展開していただくということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。特にコメントは結構でございます。
○木庭健太郎君 今国会の最大の課題、国民に向けての責任は、私も政治改革であると思っております。残されたところわずか四日間というお話もございました。総理の御答弁どおり、私たちもこの政治改革四法案一括処理、今国会中、そしてできる限り与野党で共通点を探り出していく、この基本姿勢で私たちもやってきたつもりでございます。野党まとまって一歩踏み出しまして連用案まで出してまいりました。私たちにとっては最大限の努力をしてきたつもりでございます。
 ただ、本日昼のニュースを見ておりましたら梶山幹事長が、今国会中成立断念、継続、選挙制度については二、三年かけてじっくりやるべきというような報道が流れておりました。私はその報道を聞きながら、あした自民党の総務会もあるというのにどういうことなんだろうと怒りを感じた一人でございます。こういう問題について梶山幹事長から、今国会中断念、継続、そして選挙制度については二、三年ゆっくりかけて考えるというような御報告が総理に対してなされたのかどうか、まず冒頭お伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昼の報道は私ちょっと存じませんでしたが、そのようなことを幹事長からの報告として受けておることはございません。
○木庭健太郎君 ただ、私が心配もし怒りも感じると言った点のもう一つは、先週でしたか、総務会長の方からも、自民党内の状況でございますけれども極めて厳しい状況のお話も実際にあっておりまして、今、総理が最大限努力されることの一つがどうやって自民党内をまとめていくか、それは総裁として極めて大事な仕事であり、また今国会中に何としても成立する、やるんだとおっしゃった総理の責任だと思っておるんですけれども、その一方で自民党内の今の厳しい状況というのを総理としてどのように御認識をされているのか。そして、あと残されたわずかな日にちでございますけれども、それに向かって御自身、党内に対してどういう働きかけをなされようとしていらっしゃるのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆議院の特別委員会には自民党も四つの法案を出しておりますが、野党も法案を出しておられまして、おのおの自分の案がベストだと、これは当然のことでありますけれども、そういう立場で審議をしておられたように思います。ただ、ほかのことと違いましてお互い選挙というのはいわば土俵の問題でございますから、何か共通点が見つかるならば一番それが円満なことであろうと存じますが、実はかなり与野党の薬そのものが離れております。したがって、その間の共通点を見つけるということがそんなに簡単なことではないということについて私どもの党内にもいろんな意見があるということが大体の真相でございます。
 私自身、決して遠くから見ておるわけではございませんで、実は昨晩も遅くまでそういう関係の話をしておったわけでございますが、だれにどうということを今申し上げることもございませんが、自分自身中に飛び込みまして一緒に何とか状況の打開を図りたいという、ただいま現在そういう気持ちでございます。
○木庭健太郎君 もう一つ総理にお伺いしておきたい点は、これは参議院の予算委員会でございましたけれども、野党がまとまって連用制を軸としてという話が出た際に、もう少し骨格が見えてくるならば、具体案が出てくるならば、総理としても、野党からもし与野党党首会談の申し入れがあれば、そういう場合であれば考えられるような認識のお話があっておったと思います。
 私たち野党の方といたしましては、いまだ法案までは至っておりませんけれども、要綱まではきちんとした形であの委員会の場で提起をさせていただきました。法案づくりも今進めているところでございます。残された日数わずかでございますけれども、その間に野党から一致して党首会談を申し入れた場合、総理としてこれに対してどのような御認識を持たれるのか、私は最大限の努力の一つはこの党首会談でもあると思っておるんですけれども、総理の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今現在思っておりますことは、党首会談というものはできるならばその結果一つの合意が生まれるということが大切であろうと考えておりますので、いわばその合意のもとになりますようなたたき台という言葉は適当でないかもしれませんが、何かそういうものができて、これならばお話し合いをしてまとまるというようなことであってほしい、そういうふうに実は考えておるわけでございます。
○木庭健太郎君 そうすると、今後の問題、総理としても先ほど継続か延長がという話は先の問題であるというお話をされておりました。ただし、私たちからしてみれば、参議院、私も委員の一人でございますけれども、いまだ法案がこちらに来ませんから審議をしたくてもできないという状況、ずっと得たしていただいておるわけでございます。
 私はこの問題、そういう総理の認識であれば、しかも今国会中にとおっしゃっております、そういうことであれば総理の頭の中には延長も含めて、この問題は今国会中に成立させるとおっしゃるのであればそういう問題も含めて、残りわずかの日数ですからその問題が当然出てくるんです。延長問題は確かに国会内の問題ではございますけれども、総理の決意としてはそういうものも視野に入れながらまだやっていこうというお気持ちで四日間もちろんぎりぎり努力いただきたい、ぎりぎり努力していただいて結果が出れば今度は参議院でこれはわずかでも審議させていただきたいわけです。
 そうなると、やはり延長問題も含めて総理の視野の中にあるというふうに私たち参議院側は思っていていいのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことはこう考えておるのでございますが、今特別委員会で与野党のおのおのの案になかなか開きがあって云々ということを申し上げましたんですが、これはもしその開きが埋まるようなことがございましたらばそこのところが今一番大事なところでございます。それは法案にするといったらある程度時間がかかる。これはわかっておりますけれども、それはもうある意味で技術的なことでございます。今大事なのはサブスタンスで、内容でその詰めができるかどうかということはこれは実はそのつもりであればそんなに日が要るはずはないので、むしろ日を延ばしてしまえばそのための努力がかえって延ばされるということもございますから、私は日がまだあると申しているのはそういう意味でございます。
○木庭健太郎君 そうすると、総理の認識の中では今国会中に政治改革が成立するというのは、与野党の溝が今かなりあるとおっしゃいました。自民党内部も大変だという御認識もありました。そうすると、一つの一定程度のもし合意ができるならば、それがすぐ法案という形には今国会中にできなくとも、与野党の合意がこの四日間で何とかできれば総理としては今国会中に政治改革の一つの成立を見たという、そういう発想でいらっしゃるということでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) そこは余り厳格に申し上げられないのですが、やはり法案というものはある程度一週間か二、三週間かかるとしまして、それは技術的な部分でございますから、実質的な部分が合意ができましたらあとはもちろん衆議院それから参議院での御審議も仰がなきゃなりませんが、これは各党各会派でいろいろ御相談になっています。そういう意味では参議院もお話の中へは入っておられるので、ですから、そこのまとまりができましたらそれはいわば両院をかけてのほぼまとまりができたということになるのであろう。とにかくそれを今何しろ実現ができないかなというふうに考えております。
○木庭健太郎君 状況はなかなか厳しいと言わざるを得ない、総理の御発言を聞いていてもそういう苦渋がのぞいてくると思うんですけれども、総理として今国会中にということをおっしゃった。やっぱりテレビでのインタビューが非常に強烈でございました、総理の発言は。あれを聞いている限り、何とかできるんだろうと我々も思いました。
 そういう意味では、あと四日間でございますけれども、その間に総理にぜひ御努力をいただきたいし、何としても成立へ向けた努力をぎりぎり、本当にパーセンテージとしては今非常に厳しいと思っているんですけれども、総理として最大限の努力をするんだという決意をこの問題についてもう一回お伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) ずっと先刻から申し上げておりますように、やはりこの政治改革というのはどうしても今国民の信頼を政治が回復する上で私は不可欠だというふうに考えておりますものですから、それで何とかやはり実現をしたいということを考えておるわけでございます。
○木庭健太郎君 我々の立場で言えば、どういう結果になるか、今国会残された日にちがある、総理も御努力されるとおっしゃっている、それを見守る必要があると思っております。
 ただ、やっぱりこの問題は成立しなかった場合は国民に対する責任は非常に重いし、総理としての責任は極めて重いと私たちは総理に対して今申し上げざるを得ませんし、もしもの場合というのを想定するのはよくないことかもしれませんけれども、その際は総理は総理御自身できちんとやっぱりその責任を、けじめをおつけになっていただきたいということをこれは申し上げておきます。
 さて、話を変えまして、カンボジアの問題というより、一つは本年四月八日でございますけれども国連ボランティアの中田厚仁さんがお亡くなりになりました。大変悲しいことでございました。それから既に二カ月が経過しております。
 この問題が発生した当時、要するに、国際平和協力隊には補償はあるけれどもこういう人たちに対して補償がないという問題が一時期マスコミでも言われました。それに対して五月十四日の衆議院の外務委員会でございましたけれども、外務大臣も「日本政府といたしましても何らかの補償措置をとらなければいけない、こういう考え方で、今どういう形で出すかを検討いたしておりますけれども、」という答弁をなさいました。
 政府としてどういう検討をこの一カ月間されたのか。一カ月過ぎましたので、その後どんな検討がなされて、政府としてどういう結論をお持ちになったのか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
○政府委員(澁谷治彦君) 今回の事件を契機といたしまして、各方面から国連ボランティアに対する補償措置を充実すべきではないかという意見が寄せられております。
 外務省といたしましても、外国における自国民に対する補償制度の有無の調査を開始しております。これに基づきましてその可能性についても検討をいたしております。
 なかなかその検討の進展ははかばかしくないのでございますけれども、政府による補償を行う場合に一番問題になりますのは補償の適用範囲でございます。つまり、政府による補償を無制限に行うことができないこと、他方、なぜ国連ボランティアだけに対象を限るのかといった点につきまして各方面の今御意見を伺っているということでございます。何とか検討を進めていきたいと思っています。
○木庭健太郎君 今どこまで補償するのかという問題が出ました私たちも、国連ボランティアのみでなく、NGOという形でカンボジアにも実際活動していらっしゃいましたけれども、いろんな形で海外で活動されている、しかもボランティアとしてやっている方たちがいらっしゃる、これが極めて草の根レベルの交流ではある意味では政府の国際平和協力隊員ともう一方の対をなすものであると考えいるわけでございます。
 総理に一回この点を、この人たちの補償制度の問題をお尋ねしたときに、NGOというのは一体どこからどこまでなんだと、範囲が難しいんだというお答えをたしかいただいた記憶がございます。難しいのは十分承知なんですけれども、今、例えばNGO事業補助金といいましてNGOに対して政府が実際に補助金を出しております。小規模無償援助というのも特定したNGOに対してなされております。また、郵政省が行っている国際ボランティア貯金の配分というものも、これも枠を決めたNGOになされている。やろうと思えばできる問題であろうと思っておりますし、私はこういう草の根レベルで活動している人たちも含めて補償制度を、新しい制度をやっぱり確立していかなくちゃいけないんじゃないかということを強く感じております。
 そこで、いろいろやり方はあると思います。検討もされていると思います。私は一つのやり方は、どこからどこまでだと、範囲の問題だとおっしゃるならば、政府からこのNGO事業補助金を受けていらっしゃる方、また郵政省から国際ボランティア貯金の配分を受けられていらっしゃる方、こういうものに限るやり方も一つはあると思う。
 もう一つのやり方としては、国内では今犯罪被害者等給付金支給法というのができております。この法律自体は、人の生命または身体を害する犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族または重障害を受けた者に対し国が給付金を出そうという制度でございます。これはただし今の法律では国内ということに限られております。こういったことも視野に含めながら、私はこの犯罪被害者給付金制度の一部改正というやり方でも考えられないことはないと思っております。いずれにしてもどういうやり方をやるかは別として、やはりこの新しい補償制度へぜひ踏み込んでいただきたいと考えておるんですけれども、総理、こういう問題に対してどういう御認識を持っていらっしゃるのかお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(澁谷治彦君) 国連ボランティアに関しましては、一応国連の規則に従った補償措置が行われますけれども、日本人の国連ボランティアが事件に遭った場合の政府補償についても、先ほど申し上げましたように、政府部内で検討しているところでございます。
 他方、NGO活動はあくまで独立した民間の援助団体が自主的に援助活動を行うものであり、こうした民間ボランティアに対する国家としての補償制度を直接導入することの可否につきまして若干疑問がございます。もちろん、この点についても検討はいたしております。国際的なボランティア活動に我が国の国民が活発に参加するということは、我が国の国際貢献の観点から重要であるという認識を政府としては持っております。
 そのためには、まずその社会的なバックアップ体制を充実させていくということが重要と考えます。その過程におきまして、政府としても対応を検討していきたいというのが基本的な考え方でございます。
○木庭健太郎君 もう一つ、今回のことで本当に私たちが反省もし、なおかつ強化しなくちゃいけないと考えたのが研修制度の問題であります。これは隊員の側の問題です。PKOの法案が成立する過程の中でも私も一生懸命言いましたけれども、この研修、訓練というものをどうきちんと強化していくかという問題は極めて私は大きな課題だと思っております。
 ただ、カンボジアの場合、正直言いまして法案成立から期間が短く、どうしても出さなくちゃいけないという状況があったことも事実です。その中で、短期間ではありましたけれども研修をして出していった。
 ただ現場に行ってみれば、これは文民警察の方もそうでございましたけれども、自衛隊に関しても施設大隊はカンボジアで予想される施設大隊の仕事の範囲でこういう訓練をなさっておったんですけれども、それで足りていたのかどうかというのは私はやっぱり極めて疑問なんです。そういう意味で、この研修というあり方、今のままで足りるのか。もう少し強化しなくてはいけないんじゃないかというふうに常々思っておるんですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま先生御指摘のとおり、研修が非常に重要であるということは私どもも十分に認識しているつもりでございます。
 法律の中にも第十五条で研修を受けるというふうに規定されているわけでございまして、我が国の要員につきましては出発前に研修を実施してきたところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、その後実際に現地に行ってみますといろいろ厳しい環境というものも出てきておりますし、政府といたしましてもこの状況に対しまして、例えば通信手段の確保でございますとかあるいは情報の提供、さらには装備品の改善等さまざまな対応を行ってまいったところでございます。
 私どもといたしましては、今後これらの貴重な経験、実績を、特に今回参加いたしました隊員が帰ってまいりましたら、隊員たちの話も十分聞いた上で今後の要員派遣あるいは研修さらには装備といったもののあり方につきまして十分に検討を行いまして、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
 そういう観点から、この研修の問題は極めて重要でございますので、若干時間をかけて中長期的に検討していきたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 最後に一問。
 建設業界の問題を先ほど会田委員の方からも指捕されておりましたけれども、現在の指名競争入札制度のあり方、談合体質の問題というのがやはりこういう指名競争入札から出ていくということで、建設省自身もいろいろ御検討なさったようでございますけれども、結果的にはやはり指名競争入札を柱とした対応策しか出てまいりませんでした。
 今この業界の中で一番大事なことの一つは、やはりこの指名競争入札制度というものの見直しの必要性、そして制限つき一般競争入札というものも視野に入れながらこういう問題に取り組んでいくことが、政治と金という問題もございましたけれども、要するに官、財そして政治家、この癒着というものが一つそういうものから出ているんじゃないかという国民の批判もあるわけでございます。
 そういう意味では、この問題、制限つき一般競争入札も含めて検討を抜本的にやらなくちゃいけない時期に来ているのじゃないかと思いますけれども、この点について総理から何なりかの御見解を伺いまして、もう時間でございますので、私の質問を終わります。
○委員長(大渕絹子君) 総理からという質問者の御意向ですけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず政府委員から申し上げました後に、お答えします。
○委員長(大渕絹子君) 時間が来ておりますので、手短にお願いします。
○政府委員(伴襄君) 公共工事は一般の物品と違いまして、現地組み立て単品受注でございますので、どうしても価格だけじゃなくて質を確保するという必要がございます。質を確保するためには優良な実績のある建設業者を指名して確保するというのが我々の基本でございますので、したがって指名競争入札を原則としております。
 御指摘の一般競争につきましても現にいろいろ問題点もございますし、それからアメリカで一般競争を取り入れておりますのはそれも反省期にあると聞いておりますし、それから国内でも岡崎市等で実例がございますが、これも指名に後戻りしているあるいは逆戻りしているというようなこともございまして、種々問題がございます。
 一方、御指摘のとおり、指名競争につきましてもやはり指名基準があいまいだとかあるいは広範な参加機会が得られないといったような御指摘がありますので、これはひとつ一般競争のメリットを取り入れて手続を改善していこうというようなことで打ち出したわけでございまして、手続の透明性、競争性を確保するというようなことで新たな入札契約方式を導入したりあるいは指名基準を具体化、客観化したりというようなことをしております。
 ひとつ、こういう指名制度からの改善というのを我々大幅な改善ということで打ち出しておりますので、ぜひともこの実行の方を見守っていただければと思っております。よろしくお願いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 専門家がやはりそういう意見でございまして、そうであるとすればやはりそれはそれとして、透明性がありしかも競争性が確保されるというようなことはぜひ考えなけりゃならないことだと思います。
○直嶋正行君 私、きょうは行政改革について総理に御質問をさせていただきたいとこのように思っておりますが、それに入る前に、まことに恐縮でございますけれども、ちょっと事前通告せずに一問だけ総理の御見解を伺いたいことがございます。
 それは、内容は政治改革に関してでございます。先ほど来議論がありますように、総理も国会の答弁等で、何とかこの国会で一括して政治改革を実現したいとこのような趣旨でお答えを再三されておりますし、また先日もテレビで直接国民に向かってこの国会で一括して政治改革を実現すると、こういうふうに明言をされております。
 私、こういう一連の経過を見ると、今国会で政治改革を実現する、このことは総理が国民に対してなされたいわば公約と受け取ってもよろしいんじゃないか、私自身は公約であろうというふうに思っておりますが、この点に関する総理の御認識を一点、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、国会でお尋ねがありましたときに、そのために全力を尽くしたいというふうに申し上げておりますので、それは私は今もそういうふうに思っております。
○直嶋正行君 もう一度お聞きしたいようなお答えでしたが、ここでやめておきます。
 それでは、行政改革の方で幾つかお尋ねをしたいというふうに思います。
 総理は、この国会の施政方針演説の中で行政改革について四点触れられております。ちょっと申し上げますと、「地方への権限委譲、規制緩和の推進に加えて、官民の役割分担そのものの見直し、セクショナリズムの打破による総合的な政策展開能力の強化などを断行する決意であります。」、こういうふうに申されております。
 それで、特に今申し上げた四つの中でまずお伺いしたいのは、いわゆる縦割り行政の是正、先ほどの総理の施政方針演説のお言葉をかりればセクショナリズムの打破ということになるんではないかと思いますが、これは総理としてはどこに問題がある、そしてどう変えなきゃいけない、どのようにお考えになっておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これはちょっと申し上げにくいことを申し上げるようになりますが、やっぱり行政をやっている人が国全体、国民全体のことを考えてもらうということが大事なんだと思うんですね。
 それは、ちょっと何で難しい注文と申し上げるかといいますと、自分の持っている持ち場が一番大事だと考えるのも決して悪いことではない。ですが、それがすべてではなくて、それは国民生活、国民全体のある一部である。ですから、そういう自分の職場に対する忠誠心と全体とのかかわり、その両方を持ってもらうということが大事であって、自分の職場に対する忠誠心は大抵だれもが持っていますので、願わくば全体との関連を考えてほしい、言ってみればそういうことになる。ちょっと申し上げにくい話ですけれども。
○直嶋正行君 今のお答えの中で私も同感の部分があるんですけれども、全体の関心よりもどちらかというと自分の仕事、あるいは言いかえると自分の属する省庁、これをどうしても考えがちだと。私は、この部分を改善していく上では、一つは今の公務員のさまざまな諸制度にもやはりそういう背景があるんではないかな、こんなふうに思っております。
 例えば先般出ました行革審の中間答申の中では、公務員についていわゆる一括採用あるいは幾つかの省庁が共同しての採用、こういうことを導入検討すべきというようなことが触れられております。私、今総理ははっきりおっしゃられませんでしたが、いわゆる省益重視という観点ですね、これを発想転換していく上で大変これは有効な制度ではないかなと個人的には思っておるんですけれども、この点について総理のお考えをお伺いしたいと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 採用もそうでございましょうけれども、一遍採用されますとやっぱりそれが自分の役所になりますですよね。ですから、しょっちゅうしょっちゅう役所の間で交流が起こるということであれば違ってくるのかもしれませんけれども、他方で、そうしますとやっぱり専門的な知識なりなんなりを今度は多少犠牲にするということになりませんでしょうかね。ですから、この話は私はやっぱり一人一人の心の持ち方、考え方に解決を求めたい、私はどうもそういう気がいたします。
 ただ、これは行革審で御検討中でございますから、あるいはいいお考えが出るかもしれません。それも待ちたいと思います。
○直嶋正行君 確かに気持ちの問題も理解できますが、やはり制度面でいろいろと考えていくということも大事ではないかなと思いますので、ぜひ御検討の方、お願いを申し上げたいと思います。
 それからもう一点総理の御見解をお伺いしたいのは、今行政指導という言葉がございます。この行政指導という言葉について総理はどのように受けとめておられるかをお伺いしたいのでありますが、私は、この行政指導という言葉はやはり役所が何か国民と比べると優位に立ってそしてそれを教え導く、こういうニュアンスがあるんではないかと思います。
 それで、これまでいわゆる行政指導ということで通称言われてきたわけでありますが、実は今度行政手続法の中でこの行政指導という言葉を明文化する、今回提案されている法案の中でこのようになっております。私は、法案の中の定義づけがどうとかこういった内容は別にして、この言葉を法案で明文化するということになりますと、さっき申し上げたような行政の国民に対するいわゆる上位というようなニュアンスを公式に認めることになっていくんではないか。
 これはやはり総理も常々言っておられますように、国民あるいは生活者を重視してとこのようなことを言われておりますが、こういうお考えにも反することになるんではないか、このように思うのであります。できればこの言葉はほかの表現にすべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 行政指導ということそのものは、その行政の都合のいいためにするわけではございませんで、やはり国民を重視した立場から当然すべきものだと思います。そういう観点からいえば、そのこと自身が悪いわけではない。いろいろ法律や何かによらないで行政目的をお話をしていって、国民のためによく達するようにしていく努力というのは、それ自身は私は悪いとは言えないだろう。
 行政指導という名のもとに、時々国民のためになるのかなというようなことがあることも知っておりますけれども、それはもともとよくないことであって、行政指導というのは国民のためにそういう指導が必要だという場合にそういう目的でするんだと思いますから、したがってそれはやっぱり基本的に認めるべきであろう。
 ただ行政手続法からいえば、そういう行政指導がまことに恣意的に行われたりあるいは理由を明示せずに行われたりといったようなことになれば、これはむしろ行政指導の乱用になりますから、それで行政指導そのものは認める、しかしそのためにはっきりした基準、規律を手続法で設ける方がいいんではないか、こう考えておるわけであります。
○直嶋正行君 時間がないのでこれで終わりますが、ちょっと合すれ違いだったように思います。私、言葉の問題を申し上げたつもりなんですが、総理は内容の方と受けとめられたようなんで、改めてまた議論をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○高崎裕子君 百五十日にわたる国会もあと実質四日間となりました。今度の国会に課せられた最も重要な課題というのは、戦後最大の金権腐敗事件である佐川急便事件、そして大手ゼネコンによる公共事業の受注額の一ないし三%はやみ献金として金権政治家に渡ると言われるこの金権腐敗事件の解明とその根絶を図ることであったと思います。
 そこで端的に総理にお尋ねいたしますが、宮澤自民党総裁の前副総裁であった金丸氏の佐川急便事件、そして巨額な脱税、不正蓄財事件の真相究明ですが、これは内閣が率先して究明するとこう総理もお約束されたわけですけれども、この真相は解明されたというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 金丸前議員に対しては政治資金規正法違反で略式請求がございまして、これは確定をいたしました。それから。所得税法違反事件は公判請求が係属中であると存じております。そういう意味では、検察当局なり租税当局はきちんとその仕事をしておると思います。
 それから、国会におかれましては何度か両院においてしばしば国政調査が行われまして、これについても国会として非常な御努力をされたというふうに存じております。
○高崎裕子君 私がお尋ねしているのは、内閣自身が責任を持って真相を解明するということをお約束された、そのことについて総理自身が果たされたというふうに考えておられるかどうかなんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 検察当局も税務当局も十分にその職責を果たしつつあると思います。
○高崎裕子君 私は、昨年の九月以来当委員会で再三再四指摘してきたところでもありますけれども、この金丸氏をめぐる疑惑事件の真相というのは端緒についたばかりで、いまだ解明されていないというふうに思うわけです。特に大手ゼネコンの公共事業の受注額の一ないし三%がやみ献金となったこの疑惑ですけれども、これは国民の税金が政治家に渡っていたという腐敗だけではなく、工事額が高とまりに膨らんでいるということの証明でもあり、今公共事業のあり方が問われていると思うんです。
 この点の解明と改善が非常に不明確だというふうに思うんですが、この点で、公団や公益法人の職員で組織されている特殊法人労連、これが建設省の高級官僚のOBにアンケート調査をしました。事務次官も含めた回答は極めて重大な内容になっているわけですが、建設族議員が公共工事に介入、談合が常習化し利権の温床になっていることについてこう答えております。談合があるのは周知の事実、金丸やみ献金や大手ゼネコンの談合等のニュースは氷山の一角にすぎないと言い、政官癒着が根本原因で議員も業者も厳罰にすべきとまで述べています。公共工事の直接の当事者、しかも事務次官も含めた最も責任ある地位にいた人たちが談合の事実を認めて、その原因が政官の癒着にある、厳罰にすべきだとここまで言及しているというのは、私は非常に重大だというふうに思うわけです。
 総理は、今私が指摘したこの事実についてどう受けとめられますか。そして、抜本的な改革がどうしても必要だと思いますが、その点いかがですか。時間がないので、総理お答えください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員がお答えいたします。
○政府委員(伴襄君) 今御指摘のように、構造的、一般的に、どんな場合もそういうやみ献金が行われたり談合行為が行われたりというようなことは一般的にはないと思っておりますけれども、それで、しかも今のアンケート調査も大変一部の方の調査のようで、十分にその事実をしっかり反映しているとは思えませんけれども、私どもといたしましては、まず一つはそういうことが起こりにくくするようになるべく入札契約手続につきまして透明性、競争性を高めるというような方策、システム的なことをまずやりたいと思っております。
 加えて、建設業界に対しましては厳しい倫理の確立というようなことを求めておりますが、あわせて建設業界の実態、そういったことが起こるゆえんのようなところを、その辺のところをしっかり調査したいと思っておりまして、現在一般的なヒアリング調査をしておりまして、そういった結果を踏まえて建設業界の倫理確立、モラルの向上のための措置を十分いたしたいというふうに考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が申し上げたとおりであります。
○高崎裕子君 今の総理のそういう態度では私は国民が本当に納得できないというふうに思うんですけれども、例えば公共事業の受注額の三%がやみ献金になっているという、これは公共事業のあり方そのものが問われているということです。
 その中でも国税庁の調査で使途不明金の問題が調査され浮き彫りになったわけですけれども、この使途不明金の七割が建設業界だということで、総理自身がこれは異常なことだというふうに国会でも答弁されました。平成三年度の使途不明金を調査したところ、三十七億中二十四億が政治献金になっていたということが判明もしたということで、国税庁としては損金とはしない、法人税で課税すればいいというのではなく、使途不明金はできるだけなくしていくということで努力したいというふうにも言われているわけですが、この国税庁の調査を今の調査のあり方からもう一ランクやっぱり上げるということが私はどうしても必要だというふうに思うわけです。
 現在、一応法人については毎年のように二百日ないし三百日調査をしているということでもありますが、これは毎年のようにではなく、毎年必ず毎日のように徹底して調査をするということがあって、これはインパクトを与え使途不明金をなくしていく方向に寄与するというふうに考えるわけで、こういうやっぱり厳しいあり方が問われていくと思うんですけれども、この点総理いかがでしょうか。
○政府委員(野村興児君) お答えいたします。
 使途不明金につきましては、真実の所得者に課税をするという所得課税の原則に照らしましていろいろ課税上問題がある、こういうふうにお答えをしているところでございます。しかし、税務調査がいわゆる任意調査を基本としていることなどから、使途不明金の使途の解明は非常に難しい面がございます。第一線の職員が非常に苦労しているのが現実でございます。しかし、使途不明金の使途の解明、すなわち真実の所得者の把握に今までも特段の努力を払ってきているところでございますし、本委員会におきましてもいろいろな御議論をいただいておるわけでございます。こういった御議論を踏まえまして、今後とも徹底した調査を行い使途の解明に全力を尽くしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○高崎裕子君 この使途不明金の解明というのは非常に重要なことですし、国民が今関心を持っていることで、これについては本当に今の調査のありようをワンランク上げるということで、さらに厳しい態度で臨んでいただきたいというふうに思います。
 そして最後に、国民が今何より求めているのはこうした金権腐敗政治の改革をすべきだということであって、小選挙区制を導入する、そういう選挙制度を変えるということではないんで、選挙制度を変えるということはもうすりかえであって政治改革ではないというふうに思うわけです。
 政治改革は二つ原点があるわけで、一つはもうこういう金権腐敗政治の大もとである、国民が世論調査でも認めている企業、団体からの献金を禁止するということと、衆議院の定数を抜本是正してその実現を図るということだと思うんです。国会はもう残すところ四日間しかありませんが、この金権腐敗政治の一掃に向けて今言った立場で対応していく必要がある中で、何らの対応もできないまま閉会をするということは、国民の負託にこたえたということにならないと思うんですね。その点私は、その国民に対する責任を総理はどう考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまお話しになりました企業献金等々の問題につきましては、今衆議院の特別委員会に提案されております法案の中で扱っておりまして、そういう問題についても改革を志向する法案が提出されておるところでございます。
○委員長(大渕絹子君) 時間です。
○高崎裕子君 はい、もうこれで終わります。
 今言った企業、団体については、むしろ現行の枠を二倍にするということで根絶の方向ではないという点で、それを全く関係のない選挙制度を変えるということと抱き合わせで行うということは、全く解決の方向にはなっていないということを重ねて指摘をいたしまして、質問を終わります。
○井上哲夫君 私は井上哲夫でございますが、時間が八分しかないのですぐに質問に入らさせていただきます。
 きょうは、宮澤総理に法律扶助制度の実態、現状をどう思うかということでお尋ねをいたします。
 実は、裁判を受けて、あるいは専門の法律職の助言を得て権利を実現するという場合に、事はなかなか経済的な状況で恵まれない、あるいは近くにそういう専門の弁護士その他の法律関係者がいない、こういう場合には容易にしてあきらめるといいますか、権利を涙をのむ。そういうことであっては我が憲法はなきに等しいということから、実は裁判を受ける権利は保障といいますか奪われることなく、現実にいろんな諸制度で守られなければならない。
   〔資料配付〕
○井上哲夫君 これ以上申し上げませんが、お手元にちょっと資料をお配りさせていただきましたが、ごらんいただけますでしょうか。
 これ、簡単な一覧表でございます。これを見ていただくと、日本が世界のいろんな国々に比較して法律扶助制度の内容が極めて恵まれていない、貧しい状況であるということが一覧に出ておるわけでありますが、特に韓国の場合でも、人口は日本の三分の一でありながら額としてはこの制度に対する国庫の負担の額は五倍である。
 さらに、ここには出ておりませんが、衆議院の冬柴議員の調査報告を読ませていただきますと、例えばフィリピンでは国によるこういう経済的な資力に乏しい人たちの権利実現のための助成というものがはるかにすぐれていると。日本は、フィリピンには御承知のようにODAで援助をしております。無償援助、有償援助、さらに技術援助、こういう援助を日本がしている。その肝心の日本のこの法律扶助の実態はどうかといいますと、時間の関係もありますので詳しくは申し上げませんが、はるかにフィリピンの方が補助額も多い。そしてさらに訴訟だけでなくて法律相談やあるいは契約書をつくる、さらに刑事弁護の援助等も、額も事件も非常に豊富になっております。
 きょうは、この簡単な資料を見ていただいて、総理としましてこの現状に対してどのようにお考えであるか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) どうも私は十分知識がございませんので満足なお答えができないかもしれませんが、今我が国の場合は、ここに資料にもございますが、法律扶助協会に対して政府が予算で補助をしておるということでございますね、国庫の負担一億三千八百四十九万円。そうすると、一人当たり一円でございますか。どうも知識がないので十分にお答えできませんが、いかにもこれは見劣りがするなという感じがいたします。
○井上哲夫君 そこで実は私、総理、一昨日地元の方で健康教育の専門家の津田塾大の江尻先生の講演をお聞きしました。「健やかに生きる」という講演だったんですが、その中に、日本の国民は体の調子、ぐあいがよくないとか自覚症状があるとかいう健康問題で専門家のお医者さんや看護婦さんやいろんな方に訴える有訴率という言葉があるそうです。有訴率が日本の場合に一九九一年度で四人に一人ぐらいになると。つまり、それだけ日本人は健康が悪いのかというとそうじゃなくて、ぐあいが悪いあるいは自覚症状、何か異常を感じたという場合に直ちに、どういう方法であれ、専門のお医者さんなり看護婦さんなりそういうところに訴えを持っていくことができる。そしてその結果、日本は世界の中の長寿国だと言われております。
 こういう話を私は聞きまして、法律的に自分の権利を持っていながらそれがいろんな形で守られていない人たちはどうしたらいいか。お金もある、たくさん弁護士も知っている人はそれはいいでしょう。そうでない人はこれは大変なことだということで、今総理のお答えをいただきましたように、この資料がインチキでないとすると日本は一円ですね、国の援助が。イギリスでは三千四百七十三円、お隣の韓国でも十五円、十五倍。
 こういうことを考えますと、この法律扶助制度のこれからの充実のためには大変背伸びをしていただきたいというか、思い切った措置をとっていただかないと、健康の維持だけでなくて日本人が経済的にも社会的にも健やかな生活を送るため、ゆとりある豊かな生活を支えるためにもこの問題は決してなおざりにはできないと思いますので、いま一度少ない時間でございますが、総理に所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 知識を十分持っておりませんので、恐らくこれは法律扶助制度の改善は法務省で検討していてくれることと思いますので、私も関心を持ってそれを見守ってまいりたいと思います。
○井上哲夫君 以上で終わります。
○下村泰君 障害者の人権擁護について、まずお伺いいたします。
 私の手元に「ある障害者施設の人権侵害の実態」と題しまして、いろんな訴えが出ております。例えば夜、尿を漏らしたとき朝まで裸にされ放置されたとか、理由もないのにおまえなんか死んでしまえとか、あるいは知的障害を持つ居住者にしつけと称してうるさいからと園の外やふろ場の脱衣所に閉じ込めるとか、こんなのがあるかと思いますと、これは秋田県の方でございますけれども県立の精神薄弱児施設で、一部の児童に手の自由を奪う抑制着を着せたりひもで体を縛って固定していたことが、これは昨年の二月二十七日の新聞なんですが二十六日までにわかったと、こういうような児童一人の甚だしいケースについて秋田の法務局の人権擁護課が調査に乗り出したと、こんな記事もございます。
 体罰とかプライバシーの侵害とか、学習時間の制限、卒業アルバムへの不掲載等、障害児とりわけ知的発達障害を持った子供たちへの人権侵害は実に甚だしいものがあります。こうした現状を法務大臣はどういうふうにお考えになっているのか。
 それから、先般政府が決定した障害者対策の新長期計画の中でも権利擁護のための制度の検討が述べられています。法務大臣及び総理にそうした人権擁護の具体的対応についてお伺いをしたいと思います。
 過去何度か歴代の法務大臣にもお伺いしてきたんですが、ここのところの三大臣について言えば、これは前向きで十分ひとつ御期待に沿うように検討いたしますと答えてくださったのが長谷川元大臣ですね。あと、左藤、田原という元の法務大臣は現状でよいとのお考えのようでした。
 ところが、またここに新聞の記事がございますが、これが六月の十二日ですね。「近畿と中部の国立大学付属病院の医師が二−七年前、知的障害者三人の女性の生理をなくすため、正常な子宮を摘出したことが十一日、毎日新聞社の調べでわかった。いずれも医師は「子宮に異常はなかったが「生理の処理の介助が大変」と頼まれて摘出した」」と。これ、摘出する場合にはそれぞれの理由はあったにしても、たまたま障害者であったということでこんな女性がこういう仕打ちを受けていいのかということなんです。
 これはこういった現状を知っているかまるで知らないのかというところで差が出てくると思いますが、法務大臣並びに総理大臣はこの障害者の人権擁護についてどういうふうに受けとめていらっしゃいますのか、御意見を伺わせてください。
○国務大臣(後藤田正晴君) 障害者等に対するお話しのような人権上問題となる事件が発生をしておる事実は承知をいたして、聞いてもおるわけでございます。ただ言うまでもありませんけれども、この人権擁護というのは障害児だけでなしにほかの社会にもたくさんな問題が残念ながら存在をしております。
 人権問題は、戦後の新しい日本の国家像、デッサンの中の大きな私は一つの柱だと思いますね。それがために、それなりの政府としてはまた日本の国としては努力をして相当な改善をしておるということだけは、これまた私は事実だと思います。しかし、それで全部解決しているとは思いません。それだけに、私どもの法務省としましては、御案内のような人権擁護の関係上、相談所とか人権擁護委員、これは人権擁護委員なんというのはたしか全国に一万数千名おるわけでございますね。こういったような活動を通じまして、そして世間に対する啓蒙の活動なりあるいはまた事実を認知したときに、それに対する対応策を講じるということで今日まできておるわけでございますが、まことに残念ながら今御指摘になったような事案が絶滅をしたというわけではありません。
 私も全国を昔の時代にお供をしていろんな障害なんかの施設を回ったりしたこともございますが、なお一層政府としてはこの問題については真剣に私は取り組まなきゃならぬと思いますが、法務省としましてはそれなりの今日まで努力をしておるということは申し上げて差し支えないと思います。
 今後一層の御指摘のような点についての改善策については、これはやはり政府全体として取り組んでやっていかなきゃならない、こういう私は認識でございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もあの報道を見まして、まことにどうも残念なことだという思いがいたしました。
 今、法務大臣お答えになられましたように、法務省を中心に人権擁護委員等々もっと活動を盛んにいたしまして、こういう事案がなくなっていきますように政府全体としても努力をいたさなければならぬと思っております。
○下村泰君 大変法務大臣が御丁寧にお答えくださいました。与えられた時間が、あと二分になりました。
 次は、障害者の住宅対策について伺います。
 障害者、特に車いすなんかを利用されていらっしゃる方は、お住まいを探すとなるとこれは至難のわざなんですね。不動産屋さんを五十軒以上回ってやっと見つけたとか、あるいは二年以内に出ていってくれと言われたのでしょうがないからというので福祉事務所に相談したら、時間がないから自分で探してくれと。じゃ、今度公営住宅の方はどうかといったらこっちはもう全然お話にならない、こういうふうな状態なんですが、建設大臣、こういう状態をどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○国務大臣(中村喜四郎君) 民間の賃貸住宅に対する障害者の方に対するこうした問題があるということは聞いておりますが、具体的にどのぐらいそういった状況になっているかということは正確に把握されておりません。
 ただ、御指摘をいただきましたように、障害者であるということをもってこの賃貸契約等の締結を拒否するということは好ましくない、このように考えております。
○下村泰君 一昨年の九月二十五日の土地問題特別委員会で私がやはり同じようなことを質問させていただいたんですが、そのとき余り色よい返事じゃございませんでした、建設省の方は。「ただ、それが社会福祉の問題としていろいろな支援システムが完備するというふうなことであるならば、公営住宅サイドとして受け入れ体制を充実していくというふうなことは大いにあり得る話」でございますというお答えだったんですが、最後の方。
 ところが、これが実現しましたね、岡山の方で。岡山の方で重度の障害を持った御夫婦を受け入れた。ところが、国の方は拒絶したんですね。岡山の方でこういう御夫婦を受け入れたよというのが五月の二十七日の新聞の発表なんです。その時点では国が拒絶しているんです、建設省が。そんな人なんか入れちゃいけないと。ところが一週間後に、どういうわけかその建設省は「「今回の入居は、現行法内で可能なやり方」として同市の判断を追認した。」、こういうふうになっている。そうすると、建設省が認めてこの御夫婦が入れるようになったんです。これは事実でしょうか。
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。
 先生御承知のとおり、公営住宅は低所得者の方に対して低廉な価格で賃貸住宅として供給するということでございますので、公営住宅そのものは画一的に数をそろえて提供するものでございますので、福祉施設とは基本的に異なるために、入居者の安全及び社会福祉の観点からもその入居者の自活能力を前提として、原則として世帯として自立てきない方を入居させることは難しいというのが基本的な考え方でございます。
 岡山県の例におきましては、御主人が奥様に対する簡単な世話ができるということ、そして夫婦として見たときに常時介護を要するものに当たらないということ、施設収容者等に相当しないという福祉事務所の所長の意見が得られたということであり、基本的に自活能力あると判定し入居が決まったと承知しております。
 建設省としては、公営住宅への入居に当たっては原則として入居者の自活能力を前提とする考え方は現在も変わっておりません。ただ、岡山市においては具体の事案に即し適切に判断されたものである、このように理解しております。
○下村泰君 一言だけ。
 これ、今ちょっと大臣はつくられた原稿をお読みになっているからでしょうけれども、御主人の方は自分でできるんですよ。奥さんの方ができない。その奥さんが今までボランティアの方々に世話をされて、そして何とか辛うじてできた。そのボランティアの活動の手助けというものを認めて今度改めて認可されたわけですね。
 ただ、法というものはあくまでも運用ですから、この建設省の認め方というのは私はこれすばらしいあり方だと思うんです。ですから、お願いをいたしますが、これからも法というものは弾力的に幅広く、風船みたいに伸びたり縮んだりするような運用の仕方をお願いしておいておしまいにします。
 ありがとうございました。
○委員長(大渕絹子君) 以上で、総括的質疑のうち、内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。宮澤内閣総理大臣には御苦労さまでございました。御退席なさって結構でございます。
   〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕
○理事(会田長栄君) それでは、これより総括的質疑のうち、各省大臣に対する残余の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○常松克安君 まず冒頭、丹羽厚生大臣に深く心より御礼申し上げます。
 私、二年有半になりますが、救急救命士法案を成立させるために、いろいろな難関に行き詰まりました。たしか丹羽厚生大臣の部屋まで私、お伺いいたしました。私が考えておりますところのいろいろな話をいたしましたところ、非常に咲くそれを受けとめていただきました。当時、自民党の救急医療小委員会の委員長でもありました。その後委員長見解なるものが出されまして、そうして今日その法案がついに成立に至ったわけでございます。その間、政府案にするか、もしくは丹羽私案として議員立法でいくか、いろいろお考えの末政府案として提出され、非常に大きくその成立にバックアップをしていただきまして今日その姿を見たわけであります。私自身、生涯丹羽厚生大臣の名前を忘れることなく、この場所をおかりいたしまして心より御礼申し上げます。これは褒め殺しじゃございません。まことに褒めておるものでございます。
 さて、話は変わりますが、運輸大臣に向けます。洋上救急に関して諸問題を細部についてこれから論議してまいりますが、まず大臣から今日における洋上救急医療体制というものの現状及びその対策についての御所見を伺って質問に入ります。
○国務大臣(越智伊平君) 洋上の船舶で船員に急な病人やけが人が発生した場合、陸上の医療機関による迅速かつ十分な治療が受けられないこと、ひいては船舶の航行安全にも重大な影響を与えることから、洋上における救急医療は極めて重要であると認識をいたしております。
 このため、船員法における船員の健康証明、医療品等の備えつけ、医師、衛生管理者の乗り組みを義務づけているとともに、医師が乗り組んでいないときは、医療通信による医師の指示等のもと、救急処置を行う等の対策を定めているところであります。また、日本水難救済会による洋上救急事業も行われているところであります。
 運輸省としては、今後とも洋上救急医療体制の充実強化について関係省庁とよく協議して適切に対応してまいる所存であります。
○常松克安君 今大臣の仰せになりました中で、衛生管理者というお言葉をいただきました。御案内のとおり、法のもとにおきましては、三千トンより以上あるいは乗客が百名より以上は医師を乗せなきゃならない。しかし、定めるところのそういうふうな法規定から外す、近海、すなわちここからここまで走る船についてはその限りではない、こういうふうな航行上の問題で体制が組まれておるわけでございます。
 しかし、この衛生管理者というものを乗船させなければならない船舶はどのようなものであるか、またその船舶は何隻ぐらい今航行しているのか、お教え願いたい。
○政府委員(長尾正和君) お答え申し上げます。
 現在、衛生管理者を乗船させなければならない船舶は四種類ございます。その一つは、遠洋・近海区域を航行区域とする総トン数三千トン以上の船舶でございまして、その隻数が約三百六十隻ございます。それから二つ目といたしまして、総トン数百五十トン以上の遠洋カツオ・マグロ漁船で、約七百九十隻。次に遠洋底引き網漁船、これが約八十隻。最後に北洋はえ縄・刺し網漁船で、その隻数が二十隻。合計いたしますと、約千二百五十隻ございます。
   〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕
○常松克安君 そこに乗船していらっしゃいます衛生管理者は何名ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(長尾正和君) 衛生管理者の乗り組むべき船舶でございますが、その船舶の航行区域あるいは航海ごとの航路などによって定まってきますことから、現在何名の衛生管理者の方が業務を行っているかについて把握することは困難でございます。
 ただ、衛生管理者になるためには衛生管理者適任証書が必要でございますが、この適任証書といいますのは、運輸省が行う国家試験に合格した人、それから医師、看護婦などこれと同等以上の能力を有すると認定した人に与えられるものでございます。ちなみに、この十年間で衛生管理者の適任証書を交付された人は全部で約六千七百名余りございます。
○常松克安君 私が聞いておりますのは、必要な船が何隻あるか、じゃそこに衛生管理者が何名いるかと聞いておる。部長のお答えを信じて聞いておきますが、私はその一隻一隻に乗っておる現状は実態がどうなっているのかと、こう聞いておるんです。
○政府委員(長尾正和君) もちろん法律の規定によりまして、ただいま申し上げましたような船舶につきましては衛生管理者が乗り組むべきこととされておりますので、このような船には衛生管理者が乗っておるものと考えております。
○常松克安君 乗っておると思うんじゃなくて、何名乗っているんですかと、こう聞いているんですから、実態が掌握されているのか、されてないのかということを質問しておるんです。
 じゃ、質問変えます。
 衛生管理者の業務内容はどういうことをやっていらっしゃるんですか。
○政府委員(長尾正和君) 衛生管理者の業務内容でございますけれども、船員法に基づく省令の規定によりまして、一つは船員の健康管理、保健指導に関すること。二つ目に、船内の作業環境衛生及び居住環境衛生の保持に関すること。それから、食料及び用水の衛生の保持に関すること。医薬品その他の衛生用品、医療書、衛生保護具等の整備及び点検に関すること。それから、船内の衛生管理に関する記録の作成及び管理に関すること。その他船内の衛生管理に関することと定められております。
 また、不幸にして船内において急病人などが発生した場合には、医療通信による医師の指示等のもとに応急措置も行っているところでございます。
○常松克安君 しからば次にお伺いいたします。
 問題は、そういう船で急病人が出た場合の治療の問題でありますけれども、その治療というのはメスが入っておりますか、注射器が入っておりますか、注射液が入っておりますか、あるいはまた、けがをした場合に皮膚と皮膚を縫合する、そういう医療行為まで業務の内容に入っているんでしょうか。いかがでしょうか。
○政府委員(長尾正和君) ただいま申し上げましたように、衛生管理者の業務内容は、船員の健康管理、それから保健指導に関する以下のことでございまして、いわゆる医師法等による医療行為というものはその業務内容に含まれておりません。
 ただし、緊急の場合におきましては、いわゆる緊急避難行為といたしまして、そのような止血を容易にするための縫合等も一部医者の指示等のもとに行われておるケースもあると承知しております。
○常松克安君 厚生省にお伺いいたします。
 縫合というのは医療行為なんですか、違うんですか。どちらですか。
○政府委員(寺松尚君) 縫合というのは医療行為だと思います。
○常松克安君 じゃ、医療行為じゃないとおっしゃいました。それはどういうことですか。
○政府委員(長尾正和君) ただいま申し上げましたように、いわばこの衛生管理者と申しますのは船員の中から選任されるわけでございまして、こういった船員の仲間の中から衛生管理者試験等に合格した、その業務の知識を持っている者が行っているわけでございます。
 その中で、ただいま申し上げましたように緊急避難、これを行わないと血がとまらないとか、そういったいわば緊急避難的な行為といたしましてそういった業務を、ごく一部でございますが医者の指示等のもとに作業を行っているというふうに承知しております。
○常松克安君 大いに人を助けるためならばやっていただきたいんです。やらねばならないんです。医療行為であろうとなかろうと、一千マイルも洋上にあってけがをして仲間が苦しんでいるところでそういうことができない法だったら、法律なんて要らないんです。やるべきなんです。
 そこで、厚生省にお伺いいたします。
 じゃ、海の上では医師の指示において注射も打てる。そして皮膚に針が刺さった場合、メスでもってこういうふうにして皮膚を切ってそして釣り針を抜いてその後で縫合しろというふうに船舶医療便覧で全部指示されております。乗る前に、それをスポンジとスポンジを合わせて針金で縫合の実習をやるんです。こういうことが行われております。まことに人命に関して緊急避難的であって、これはしかるべき処置であると。
 しかし、ここで問題でございますけれども、地上においては八百時間、そして国家試験を受けなければ救急救命士というものはない。そしてその内容は非常に限られておる。注射液はたった一種類しか持たされていない。
 この便覧の中、これ一遍今なぞらえてみましょうか、片っ端から。薬品名言って、局長が、こういう薬は何に効くんですか、どんな応用がきくんですか、わからないんです、失礼でございますが。それほどまでに完備されたものであります。まことにありがたい、人の命を救うのに。
 しかし問題は、地上にあってはそういうふうな士法は全部厚生省、しかし衛生管理者は運輸大臣の定める国家試験。見事な試験内容、ペーパーを取り寄せて見て、十分なる試験であります。見事であります。
 しかし、この内容をこれから聞いてまいりますけれども、その時間が何時間だろうか、そしてどういうふうな勉強なんだろうか。こうしたときに、同じ救急医療をするにしても、地上ではよほど制限を求められているのに、海上ではそこまでしてもやむを得ないという局長通達が出されました。なぜ出されたのですか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいますように、一般的には衛生管理者に関しましては先ほど部長からお答えをされたようなことでございますけれども、船舶におきましては、先生が御指摘されておりますように急病人が発生する場合だってあるわけでございます。しかも、相当遠いところで起こることもあるわけでございまして、医療通信によります医師の指示のもとに応急処置を行うことがあるということも私どもも聞いております。このような場合には緊急避難というようなことで、人命にかかわることでございますから違法性が阻却されることもあろうと考えられます。基本的には、衛生管理者としての地位に基づきましてあらかじめ一律に認められました業務ではなくて、あくまでも個々の具体的な事情、そういうようなものに即しまして、最終的には違法性があるかどうか判断されるべき事項だと考えております。
 今先生がちょっとお触れになりました救急救命士の件でございますけれども、これは国家資格に基づきまして、搬送途上というこれもまた限定された場面におきまして、固有の業務といたしまして、本来医療行為の一部でございます救急救命措置を行い得るものであり、衛生管理者との比較においては、私ども業務内容が不相当に制限されているとは認識していないわけでございます。
○常松克安君 済みませんが、問うていることに答えてください。何年何月、いかなる局長通達でこの医療行為ぎりぎりいっぱいのところを認めたのか、こう聞いておるんです。
 じゃ、次の質問に移ります。
 こういう洋上救急の名のもとにおいて実態は、平成三年度現在でどれだけの病人、けが人が掌握されておりますか。
○政府委員(長尾正和君) 洋上でということではございません。平成三年度で船員が受けました災害あるいは疾病による傷病者の数は約七千三百名でございます。これは日本船舶にかかわる数字でございまして、うち、災害によるものが約三千三百名足らず、疾病によるものが四千名余りでございます。なお、このうち、死亡者数は百四十名でございまして、災害によるものが七十六名、疾病によるものが六十四名というふうになっております。
○常松克安君 問題は、いろいろ職場職場には危険が伴うものでありますが、洋上におけるところの問題点のこの百四十名でございます。そしていま一つ気をつけなきゃならないのは、海上保安庁、海上特殊救難隊。羽田へ行ってまいりました。そしてヘリをもって要求に応じていかれる。この数値の三分の一が外国の方々であるという、国際貢献にも匹敵していることをやっているという十分なる認識を持っていただきたいのであります。
 さあ、そこで問題は、この百四十名の方々の死亡の要因分類はできておりましょうか。非常にこの中で多いのは心疾患、それから脳血栓、脳出血、脳梗塞、これがほとんどの者たちの症状、疾病がふえて亡くなっているという事実もまた現代病でもございます。
 しかしながら、船員さんというのはもともと健康を任ずる仕事でありますから、健康という診断を受けてそして初めて乗船できる資格を与えられております。その健康診断が果たして今申し上げました心臓だとか脳血栓というふうな多岐にわたった、本当にそれにふさわしい健康診断の内容でありましょうか。今、健康診断のベースになっている一番の重さは何なのでありましょうか、お教えください。
○政府委員(長尾正和君) 先ほどの数字で、ちょっとこれ申し上げなくて失礼いたしました。
 平成二年度の数字で恐縮でございますけれども、疾病が、このときは九十一名でございますが、おっしゃいますように、虚血性の心疾患が二十六名で三割弱、脳出血等の脳血管の疾患が二十人で二割強、胃がん等の悪性新生物が二〇%、こういった配分になっております。
 それから健康診断でございますけれども、船員法の規定によりまして、船員の健康管理体制の大きな一つとして、経験のある医者が診断をしてその医者の発行した健康証明書を持たなければ船員が船に乗ることはできないということになっております。この健康診断の検査項目につきましては、法律に基づく検査で省令で定まっておるわけでございます。
 ただ、最近の情勢を見てみますと、従来と異なりまして船員の高齢化などによりまして成人病あるいはそれによる死亡が増加しておるということがございます。このような現状を踏まえまして、肝機能検査とか心電図等の成人病の予防検査の定期的あるいは継続的な実施が必要であるというふうなことを考えておるところでございます。
○常松克安君 こちらの言いたいのは、基盤に、梅毒検査がベースになっているんです。じゃ、梅毒をやるんならエイズもやるんですか、こういうふうな考えにも至るんです。こちらの主張したいのは、今様の時代の健康診断に合わせたものを検討していかなければならないのではなかろうかと御提議申し上げておるつもりでございます。
 それは後にしまして、一番大事なのは、大臣、ここをよく聞いてください。衛生管理者が必要だと。大きな商船だとか大きなところは医者が乗っております。それ以下は衛生管理者、これでも大きな会社、大きなところはまだいいんです。しかし、今お聞きいたしましたこの漁船についても、五百マイル、八百マイル、海洋で作業をする中に船主がこれを決めて、そして試験を受けさせて乗船していざというときにはこういう人たちの命を助ける作業をするようになっておるんです。
 さあ、ここで問題であります。
 先ほど言いましたように、医者は八千時間です、今。正看の方は四千時間です。准看さんは二千時間です。あるいは救急救命士の方は約一千時間です。ところが、こういう方々は非常に仕事が大変な上、講習を受けるのが百三十二時間なんです。百三十二時間も強制じゃなくして任意なんです。ところがこれ困るんです。小さな船で、経営は利益を上げていかなきゃいかぬし、そんなことで頭がいい人を集めて乗せても船酔いしゃ使えませんので、どうしても乗っている機関長や漁労長が率先して受けるんですが、長の航海に出て帰ってまいりますと、約百三十二時間といたしますと半年間縛られます。これで試験に落ちたらパアなんです。あるいはまた、健康管理者は一隻に一名なんですが、これが整わないんです、マンパワーが。ですから、三隻、四隻で船団を組む場合はやむを得ず経験豊かな人が一人乗っていく。
 こういうふうな状況の中にあるんですから、先ほど申し上げました百三十二時間のそういうふうな臨床学、それから衛生学、そしてこの実習、これはずっと見たって大変なんです。医学部の学長に見せたって研修生がこれやられたらドクターが滑るだろうとも言われている。それほど人の命は大切なわけで、これやっていただくのはいいんですが、経営がためにそういう人はここに乗せられない、そういう人を確保しないと人の命がいざというときに対応でき得ない苦しみがある。ですから、先ほど言いました薬の内容一つにいたしましても、もう三十七年の船員法からそのまま積んだ薬で、新しい一錠で効くものがあるのに医者に言わせますと六錠も飲まなあかん。もっと軽便で害の無いものがあるのに、一たん法で定まったらそれをまだずっと引き継いでいる。
 ですから、薬も変えようじゃないか、先ほど申し上げました健康診断も変えようじゃないか。あるいはまたこの百三十二時間の人も何とかしてそういうふうな問題をきちっとできるように。せんだって運輸省のお力によりまして、本年九月までに国際便は全飛行機に医療資機材を乗っけていただくように決定していただきましてありがとうございます。
 しかし、この資機材を私は見てまいりましたが、あのスチュワーデスさんがいざというときに一番困るのは、ドクターコールがかかってドクターが飛行機の中で治療しようとしたときに、医者の観念は医療チーム体制なんです。一人で注射をぽんと割って抜き出してやらないんです。あっあっあっとこう言う。もう全部看護婦さんと思い込んでいますから。スチュワーデスさんはボスミン何ミリ持ってこいと言われたってわけわからぬです、そんなもの。またナイロンの袋に入っている液一つを割るについても、右折りにしたら割れないんです。あれは左折りなんです。慌てているときにそういうことの、これは飛行機です。
 それを逆にして、船の上ですればなおのこと、これは仲間が傷で大変に苦しみ、百四十数名の方が亡くなっているというこういう問題です。負傷者がもう三千名近くもある。こういう問題についてまだまだ深い検討の余地がここにあるのではなかろうかと、こういうふうに思っておりますので、その主張をお聞き願いまして、後ほどまた大臣の答弁を承ります。
 方向をもう一つ変えます。
 それより私一番心配なのは、フェリーなんです。平成二年度で長距離フェリーが実際乗客を運んだ数は何名でしょうか。――済みません、お急ぎ願えませんでしょうか、時間がたちますので。
 じゃ委員長、もうこちらで申し上げます。そちらからちょうだいいたしましたこのペーパーによりますと、平成二年度では四百六十二万六千名と明記されております。
 じゃお尋ねいたします。
 短距離、長距離のフェリーにおいて救急患者がどのような実態で発生したか、お答えください。
○説明員(寺島紘士君) お答え申し上げます。
 全体の数字は、まことに恐縮でございますが、各社に問い合わせる都合上ちょっと把握しておりませんが、平成三年度の長距離フェリーにおける急患の発生件数でございますが、三十五件ございました。その中には死亡者、重症者はおりませんでした。また、そのうち急患の救助のために緊急に入港した件数は六件でございます。
○常松克安君 自信を持って言っていただけるんでしょうな。ここは国会ですよ。人の命に関する問題ですよ。四百六十二万六千名運んでいて、これはただ一社だけの登録数じゃございませんでしょうな。オールジャパンで運んだ人を実際に人の命は大事だとして掌握された数なんですか、これは。もう一度お答えください。
○説明員(寺島紘士君) 先ほども申し上げましたように、長距離フェリーの各社に問い合わせをいたしまして、平成三年度では三十五件というふうに報告を受けております。
○常松克安君 じゃそのように信頼をいたしましてこれから論議いたしますが、私の手元にある調査の数は全然違いますから、もう一度その辺のところ、各社が問い合わせを聞き間違っているかもわかりませんので、掌握してください。人の命に関する問題でありますから、お願いいたします。
 じゃ次に聞きます。
 このフェリーに乗っていらっしゃる救急医療に関する根拠法はどこにあるんですか。第何条、どこにあるんですか。
○説明員(寺島紘士君) 私どもの所掌しておりますフェリーの事業法規は海上運送法でございますが、その海上運送法におきましては、一般旅客定期航路事業者に対しましては、輸送の安全を確保するために、運航管理規程を作成の上届け出るということを義務づけております。
 この運航管理規程によりまして、船内に医療救護を必要とする事態が発生したときには、乗船者に医師がいる場合にはその医師の協力を要請すること。それから医師が不在の場合には、あらかじめ備え置きしております緊急連絡表によりまして最寄りの医師と連絡をとり、その指示のもとに適切な措置をとるというふうに定めております。
○常松克安君 私は、運航規程を聞いているんじゃないんです。法の上において救急医療体制というもの、カーフェリーにおいてどこの第何条第何項に載っておるんですかと聞いておるんです。規程を聞いているんじゃないんです。なげればないとおっしゃっていただければそれで済む。
○説明員(寺島紘士君) 先ほど申し上げましたように、運航管理についての規程の作成を義務づけておりますが、現在書いておりますのは先ほど申し上げたようなことでございます。
○常松克安君 じゃ後ほどまた論議を別な会でいたしますけれども、やはり今大事なことは、オールジャパンでその実態が不明朗な点もこれあり、かつまた運航管理規程・基準例集、これだと思うんです。しかし、ほとんどの立法の立場は、船員法にしても海上運送法にしましても、その船に乗っていらっしゃる船員さんを対象にしたものの方の根拠法はきちっとあるんです。よろしいですか。ただし、そこで乗客として乗ったということに関しましては、全部船の所有者、運航している方に任せっきりなんであります。それをこういうふうな実態、これからの二十一世紀の時代に海洋レジャー、あるいはまた外洋船に乗っていろいろなことをされることにあっては、やはり乗客のそういうものが必要ではなかろうかと提起を申し上げておりますので、後ほど大臣がまとめて答弁していただけると信じますからもう結構です。
 次、文部省にまいります。
 文部省にまいりますけれども、ここで一番やはり大事な点は、今お教え願いたいのは、各県にいろいろ水産高校があり、そして水産高校別に実習船なるもの、卒業の場合には必ず外洋に出ていろいろ訓練をされて今日に至っております。こういうふうな中におきまして、どれほどまでの実習船をお持ちで運航していらっしゃるか、お教えください。
○政府委員(野崎弘君) 練習船の数でございますけれども、平成四年度で四十二隻ございます。そして洋上での実習の日数でございますが、特にこの高等学校学習指導要領上では実習日数に関する規定がなされておりませんけれども、各学校の判断によりまして、長期の実習の場合ですとおおむね六十日、短期の実習で一週間程度の実習を数回行っております。
 学校によって違うわけでございますが、平均的なところですと、年間大体二百四十日程度を洋上実習に当てているということでございまして、生徒一人当たりに引き直しますと年間で六十日から九十日程度の洋上実習を行っている、こういう状況でございます。
○常松克安君 四十二隻の実習船が運航される中において、救急医療の実態はどうなっておりましょうか。
○政府委員(野崎弘君) 高校の水産教育におきましては、主に海技士の資格取得を目的といたします海洋漁業科等とそれから食品生産関係のいわゆる栽培漁業科あるいは水産食品科等とで性格が違うわけでございますが、海技士の資格取得を目的といたしました海洋漁業科等で行われます航海実習の中では洋上の救急活動につきまして必修の形で学習をすることとしているわけでございます。
 その内容は、救命艇、救命いかだ等の救命設備の使用方法、傷害、疾病等に対する応急処置法、人命救助等についての概要、海上における生存方法等に関するものでございます。
○常松克安君 済みません、もう少しよく聞いてから言っていただけませんか。ただ持っているペーパーだけ読めば済むというものじゃないんです。
 そうして出ていらっしゃる中において、若い身空でけがだとか病気をなすったそういうふうな件数はどうなっているんですかと聞いているんです。人命に関することを聞いているんです。
○政府委員(野崎弘君) 事故、病気の発生でございますけれども、過去五年間におきまして事故が一件、病気一件が報告をされているところでございます。
○常松克安君 それはどういう形態で事故集計が入ってくるんでしょうか。各都道府県の教育委員会ですか、水産高校でしょうか。その数がこちらと合いません。
○政府委員(野崎弘君) 学校はすべて公立高校でございますので、そういう事故が発生した場合におきましてはそれぞれの県の教育委員会に報告され、教育委員会の方から私どもの方に報告がある、こういう形でございます。
○常松克安君 もう少し実態は多いと思うんです。
 こういうことの例をなぜ申し上げるかと申しますと、私、新潟県の水産高校に行ってまいったんです。私は現場へ行かないことには質問しない主義です。水産高校で本当に感動的なものを聞かされたんです。今から去ること十数年前になりますけれども、ハワイ、その近海に実習船が出ました。そして、ロープに足を引っかけて、あの大きなマグロをさばくそういうもので大腿部を骨の中まで切ってしまいました。仲間が皆、痛い痛い、失神状態で、無線は打つ、いろんな報告はするけれども間に合わない。やむを得ず、この便覧に載っけられておりますクロロマイセチン軟こうなるものを、積んであるもの全部をその真っ二つに割り切れた切り口にほうりこんで、そして痛みどめの与えられるものを皆打って、やむを得ず米国の沿岸警備隊の島に到着し、医者にやっとの思いで診てもらって助かりました。その人がその経験を持って今実習船の教官になっていらっしゃる。そして、洋上における急病あるいはそういうものは大変だぞということを教えていらっしゃる。
 そこにあった傷病は、じゃその報告は何県と何県の報告ですか、おっしゃってください。
○政府委員(野崎弘君) 先生今十数年前というお話でございますが、過去五年間におきましての報告でございまして、一つは大分県におきます事故でございます。これは生徒の死亡事故がございました。それからもう一つは、宮崎県の実習船におきまして生徒の病気ということでございます。
○常松克安君 こちらに入っておりますのは、平成四年六月八日、冷凍長、三十四歳、胃潰瘍、吐血。入っております。あるいは今おっしゃったのがこれに当たるかどうか知りませんが、平成四年十一月四日、実習生、十七歳、顔面神経麻痺の疑い、激痛、平成四年でございます。
 今までの件数を全部合わせますと、そちらで披済会病院にきちんとお尋ねすれば全国通してまとまるんです。まとまるのにまとめられていないというその気持ちは、水産高校実習船の洋上救急医療に対して少し甘いんじゃございませんでしょうか。これを心配しておるんです。いかがですか。
○政府委員(野崎弘君) 私どもこういう事故が発生した場合等につきましては報告を求めているわけでございますが、なお先生の御趣旨を体しまして、よくこれからその辺の徹底を図りたいと思っております。
○常松克安君 その辺のところよろしくお願いいたします。
 さて、問題は変わりますけれども、文部大臣に少しこの辺のところを提言でありますが、御意見並びにお考えございましたらお教え願いたいと存じます。
 今、少しおっしゃいました。確かに水産高校にあっては、九割方が陸上勤務を希望し、一割が洋上、こういうような実態だそうでございます。しかし、この洋上勤務にふさわしい学問の中には、いろんな科目がございますが、その中で救急医療のカリキュラムはほんのわずかの時間で終わってしまっております。
 今日その人たちがどういう職域にあっても、まだ頭が柔軟で対応のできやすい時代に学校の中で科目として救急救命科、あるいはそれがだめならば高級衛生管理者、こういう実習の中にきちっと入れてマンパワーというものを、これから大いに海の上に若人よ来れ、海の上であろうとも救急医療に関してはこんなにまでも管理されて教育が施され、マンパワーができ上がっておりますよ、そのことによって海で働く方々を広く大きくしてあげられるということも考えられます。
 いずれにいたしましても、カリキュラム程度じゃなくて、科目設定の中でこういうふうな方々を養成をしていく教育方針というものを抜本的にひとつお考え願えないでしょうか、人命のために、いかがでございましょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 大変貴重な御提言だと思います。高等学校は水産高校に限らず今非常に大きな新しい転換の時期を迎えておりまして、その内容、仕組み等について今一生懸命に研究し検討している最中でございます。そのような検討の中に先生の御瑳言も参考にさせていただきたいと考えます。
○常松克安君 運輸大臣、お待たせいたしました。
 それではこれから運輸大臣の答弁をいただきますが御心配なく、最先端の方は真剣になって去年から、この陸上の救急救命士ができたころから、これは次は海の方へ来るぞとちゃんと予測していらっしゃる。立派なマンパワーですな。そうして掖済会の病院長だとか経営者だとかあるいは海上の組合の偉いさんだとかいろいろお集めになってそして検討委員会も既につくって、もう四回も五回も検討に入っている。その中で、今私が提示いたしましたこういうふうな薬の問題、健康診断の問題、あるいは技術のマンパワーのあらゆる問題、それと経済とをどう合わせていくか、こういう問題は研究がどんどん進んでおるんです。
 進んでおりますけれども、ここでやはり大事なのは、運輸大臣がそういう部下の最先端で大臣が知ろうと知るまいと一生懸命にまじめになって研究していらっしゃる、そういうことを促進していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(越智伊平君) 先生が非常に熱心によく勉強をされての質問でございまして、その点についてまず敬意を表したいと、かように思います。
 さて、運輸行政は、何といいましても安全が第一であります。しかし、時代の推移とともに、先生の御指摘がありましたように船員だけの衛生管理であってはいけない、船員もまた特に乗客は大事であると、私はかように思っております。
 そして、お話しのように衛生管理者百三十二時間、これでいいのか悪いのか、これは考えたらすぐわかると思うのであります。大きい船で旅客船の場合は医師が乗っておる。しかし、小さい船、特に漁船の場合はこれまた私は大変だと、こう思うのであります。
 でございますから、この衛生管理者の教育のあり方につきましては、農水省あるいは厚生省とよく連絡をとって今検討をいろいろしておりますが、今後早急に進めてまいりたいと、かように思う次第であります。船員はもちろんのこと、乗客を含めて、災害の場合あるいは急病の場合、すぐに応急の処置ができるように、しかもそれが間違った処置にならないように進めてまいりたい。早急に各省庁と連絡をとって我が方も大いに進めてまいりたい、かように思う次第であります。
○常松克安君 特に大臣、はっきり申しましてカーフェリーの乗客については非常にグレーゾーンになっておりますから、この辺のところは対応を含めてよろしくお願いします。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 過日、私は逓信委員会におきまして睡眠預金なるものの全容を明らかにしていただくように質問いたしました。お答えによりますと、銀行が五百二十億円、信用金庫が七十八億円、信用組合が六億円、労働金庫が一億円、生命保険が二十九億円、損害保険が七億円、国債が十五億円、証券四十八億五百万円、そのほか農水省関係では農協が十二億九千万円、水産庁関係では漁協が五千万円、郵政省関係では郵貯の方が五十四億六千九百万円、電信電話債券、NTT、十八億円、簡易保険七億円、総計七百九十七億一千四百万円。これがずっと取引なく睡眠のまま十年間来まして、生命保険はちょっと過去の経過と違うところがあるんですけれども、一くくりにいたしまして睡眠という預貯金が実に七百九十七億円出てきた。これから毎年毎年、この金額の上下になりましょうが、出てくるわけであります。
 こういうふうなことを前回の逓信委員会で鮮明にいたしたわけでございますが、基本的なお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(林義郎君) 今、委員御指摘のありました先月二十五日の日の逓信委員会でのお話、資料として私もここで見ておりまして、先生のおっしゃったとおり七百九十七億一千四百万円、こういうふうな数字を見ております。そのことは承知しております。
 こうした巨額の預貯金につきまして、払い戻し請求をされたことについては金融機関等に対して十分その実態に即応して発生の未然防止に努めるように努力する必要があるというふうに考えておるところでございます。
○常松克安君 この論議は来年の予算委員会で十分にさせていただきます。本日はこういうところまででとどめておきます。
 さて、厚生省にお尋ねいたします。
 救命率の概念はもう決まったんでしょうか。救命率とは何ぞやということ。
○政府委員(寺松尚君) 今、先生の御質問の件でございますが、救命率ということでございますけれども、救命率をあらわします指標というのはいろいろございます。御承知のように、脳蘇生率でございますとか、心拍動の再開率あるいは生存退院率、一カ月間の生存率等いろいろ複数の指標が用いられておるところでございまして、それぞれに先生も御承知のように意義があるかと存じます。
 したがいまして、単一の定義はまだできておりません。現在、専門家の間でいろいろ議論されておると聞いておるわけでございまして、私どもこの議論を踏まえまして成案ができました段階で私どもそれに対する対応をしてまいりたい、このように考えておりますが、今のところそういうふうに単一の定義は成っていない、こういうことでございます。
○常松克安君 三年前に予算委員会でこの点を申し上げましたら、津島厚生大臣当時、まことにお恥ずかしゅうございますが厚生省では救命率という概念はございません、早急にこの問題をきちっとしていかないことには救命率が上がったのか下がったのか、何の基準をもって救命率というのかわからぬ、こういうふうなそのときの答弁でございました。かれこれもう三年たったんです。確かに、御指摘のとおり世界もばらばらです。
 ですから、とにかく救急救命士の法律を厚生省は持っていただいておるわけです。そして、救急救命士が救急車に乗って、東京消防庁では死ぬべきところを八十四人が助かったとおっしゃる。助かったとおっしゃいますけれども、厚生省のその救命率というものは基準がないのに何をもって助かったというのか、ばらばら。北海道では死んでしまった、東京では助かった、大阪ではまだわからぬ、こういうことでは非常に困る。ベースといたしまして、せっかく厚生省の中には世界にわたる窓口があるわけですから、WHOに対して日本として救命率を世界においても検討すべき時期が来たのではないかと提言をするだけのものがあってしかるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生もおっしゃいましたように、この救命率はどういう目的でどういうふうなことをあらわすかということによりましていろいろと指標がございます。どれだけのものを救命率というものの中にカウントするかということはいろいろあるかと思うんです。
 WHOにつきまして、今先生がおっしゃっているように何か特別な検討会とかそういうようなものがつくられるということは今私も聞いておりませんけれども、私ども機会がございますれば、何か私どもの方も先ほど申し上げました学会等の御意見を踏まえながら技術の進歩に即応したその定義ができないものかと考えておるわけでございますので、その辺は努力をいたしていきたいと考えておりますし、またWHO等の考えがございますれば私ども承りたい、このように思っております。
○常松克安君 大臣の専門域です。丹羽大臣。国会で初めて、昭和五十六年のときにこの問題は提起された。大先輩なんですよ。国会の中で救急医療については丹羽さんに聞けと、こういうのですから、皆。もう第一人者なんですよ。その第一人者が、この救命率が定かでない、その場所の厚生大臣とはいかがなものでございましょうかな、これは。お考えを示してください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど、局長の方から御答弁申し上げましたように、もうひとつ歯切れが悪いというか単一的な定義がないということでございます。
 いずれにいたしましても、私どもはこの救命率の定義そのものよりは助かるべきはずの命が失われておる、こういうような現状においてやはり基本的にはその助かるべきはずの命を助けると、こういった観点に力を入れていきたいと思いますが、御指摘のようなそれでは助かるべきはずの命とはどういうことだと、こういうことを聞かれますと私ども先ほど来ちょっと返答に困っておるわけでございますので、さらにお時間をいただきまして勉強させていただきたいと思っております。
○常松克安君 また一点、問題提起をいたします。
 最近、東久留米市における救急バイク、こういうものが閣議決定において二台が緊急性これありということで認められたわけであります。しかし、この辺のところについては、ある大学では既に実際に救急救命ということは大事なことだということで現実問題として二台が付与されました。そして、消防庁の要請によってこれが出動をしていると、こういうふうな実績が踏まえられておるわけでございます。
 そういうようなことについては既に厚生省側においてはもうお耳に入っていらっしゃると思いますが、その救急バイクを決めるに当たって、警察庁の交通局が各省庁に対してこういうふうなことをやりますよと言ったときに、厚生省の方から、この救急バイク、単車というものが二台ありながらこれが要請されなかった、耳にいたしておりません、よって検討のしようもございませんと私アンサーを受けまして、厚生省はその実態を見ておりながら救急バイク、こういうふうな必要性というものが認められ得ずして警察に対してそういうふうな申告はなかったのでありましょうか、非常に疑問なんでございます。
○政府委員(寺松尚君) 今先生の御指摘のケース
 自身詳細には存じておらぬわけでございますけれども、私ども、今先生が御質問の中でお話のありましたある大学におきましてその辺の研究が行われておると聞いております。そこで救急用バイクのモニター実施というようなことをおやりになっておるわけでございますので、その辺を私ども成果を伺いまして、やがて結果が出るようでございますので、その辺が出た段階で私の方は必要ならば対応していきたいと、このように考えておるわけでございます。
○常松克安君 いや、その辺の進行状況につきましては、手元に陳情書なるものがそちらへ行っていると思います。あくまでそれはこれからこうしたいという願望じゃなく、実際に三十有余の症例を踏まえて、どれだけ短縮できたか、どれだけ脳内疾患の患者を救ったか、どれほど子供のけがが救えたかという症例までそちらの方につけて報告をされているかのように聞きます。
 私がこういうふうな御質問を申し上げますのは、もともとこの救急救命士制度ができ上がります前に、厚生省としてはあくまでドクターカー、医者が救急車に乗って出動することがまことにいいんだという主張をし続けられていらしたわけです。そうしますと、今度は医者が乗って救急資機材を全部、気管内挿管の器具も積んで三点セット以上のものを積んで救急車が入らない路地にでも一刻でも救急車より早く着くという実績を踏まえてそちらに上げていらっしゃる。ドクターが出動しているわけです。形は違いますが、最も厚生省がベースでお考えになったとおりになっているわけであります。それを警察庁の方から症例や問い合わせがきたときに何の要請もなかったということが、どこかで因果関係が合わなかった、整合性が合わなかったかしらと思って提言申し上げておる。どうか一日も早くこのものが実際に救急車指定ができまするようにしっかりと要請をいたしておきたい、かように思いますが、大臣の答弁を聞いて質問を終わります。あと一分です。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 救命救急士につきましては一常松先生の御指導も得まして発足をいたしまして、大変社会的に高い評価を得ておるわけであります。かかわりを持った者として大変感慨無量でございます。
 ただ、いろいろな分野におきます業務範囲の拡大であるとか今御指摘の問題とか、いろいろな問題をまだ抱えておるわけでございます。特に業務範囲の問題につきましては、今御案内のようにDOA患者に対して三点セットというものが当初求められておったわけでございますが、気管内挿管につきましてはまだ合意が見られておらないわけでございます。こういう問題、今先生の御指摘の部分などを含めまして必要に応じて関係者と十分に協議をいたして見直しを図っていきたい、このように考えている次第でございます。
○常松克安君 終わります。
○直嶋正行君 民社党の直嶋でございます。
 きょうは、円高及び貿易問題を中心に関係大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 まず最初に大蔵大臣にお聞きしたいと思うんですが、御承知のとおり今大変急激な円高が進んでおります。きょうの東京市場を見ましても終わり値が百五円二十銭、先週未に比べまして一円十二銭の円高ということで終わったというふうに聞いております。この急激な円高は、申し上げるまでもなく、少し明るい部分も見え始めた景気に対して冷水を浴びせる役割をしておるんではないかというふうに思いますし、また輸出企業を中心に企業の対応も非常に厳しいものになっておるということであります。
 先日新聞に発表されました野村総研の予測によりますと、もし一ドル百十円で年間平均推移した場合に我が国の経済成長率が〇・八%引き下げられるだろうと。先般の政府の経済対策、昨年の八月及びことしの四月の総合経済対策の中では、政府の方は経済の押し上げ効果としてGNPで約一・六%というふうにおっしゃっておられます。そうすると、この経済対策の効果も百十円で年間平均推移しますと半減をしてしまう、こういうことが言えるんではないかと思います。
 ところが、先日来、例えばOECDの閣僚会議あるいはG7等において、国際的にも円高は明らかに行き過ぎておる、協調してこれ以上の円高を防止していこう、こういうコンセンサスができたというふうにマスコミ等でも報道されておりましたが、現在の急激な円高の進行状況を見ますと、必ずしも国際的にこういうコンセンサスができていないのではないか、むしろやや意図的に円高傾向をあおられているといいますか、ちょっと表現はよくございませんが、そういう感すら私はしておるんですけれども、当面例えば協調介入を初めとしてこの急激な円高に対して大蔵省としてどういうふうに対処されようとしているのか、まずこの辺をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 今お話がいろいろとございましたが、御指摘のようにきょうの終わり値は百五円二十銭という高値をつけてきております。野村総研の数字等もありましたけれども、私は一般的に思いますのに、為替相場というのはどういうことを反映するかといえば、やはりその国の経済のファンダメンタルズを反映して安定的に動くことが望ましいのでありますし、急激な変動というのはやはりこれは好ましくないことであるし、G7におきましても各国はこれに協調して対処していこう、こういうことで合意をして、これはもうはっきりした文書でつくってあるわけでございます。
 そういったことでありまして、実はアメリカの方でもいろいろな話が出ておりますが、アメリカの方もサマーズ米財務次官等がアメリカ政府はこれ以上の円高を求めないというようなはっきりした証言を議会でやっておりますし、私たちの方といたしましても為替相場が安定的に動いていくことが必要であろう、関係国とも緊密な連絡をいたしながら適時適切に為替相場の安定のために対処してまいりたい、こういうふうに今までずっと繰り返して申しているところでございます。
 御質問の趣旨は介入についてどうかと、こういうことかと思いますが、私の方の通貨当局としまして介入したとかしないとか、どうしますとかというようなことにつきましては、市場に対しまして不測の影響を与えるおそれもありますのでこの辺につきましてのコメントは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○直嶋正行君 お立場上、今の御答弁わからないこともないんですが、今大蔵大臣がおっしゃられたように、国際的に合意ができているのになおかつ円高が意図と反してどんどん進行している。これは、そうするとどこに問題があるのかなというのが一つどうしても疑問点として出てくるわけでありますけれども、その部分について何か御見解がございましたらお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 為替相場というものは、今世界の中でいわば経常取引と申しますか、輸出取引、輸入取引、こうありますけれども、それの実体の五十倍とか七十倍とかというものが市場において売買をされておるわけでございます。
 市場は東京市場もありますし、ニューヨーク市場もありますし、ヨーロッパの市場もございます。日本の近くではシドニーの市場というものもあります。いろんなところで相場がありまして、いろいろ動いている。そういったところで市場で動いておりますから、その市場の動く気持ちというものがいろいろある、こういうふうに私は御理解をいただきたい、こう思っているんです。
 よく言われますのは、輸出為替でしたら、日本で輸出をしたならば向こうからドルが入ってくる。ドルを日本の円にかえます。こういうふうな話であります。それから輸入は逆のことになりますけれども、そういったような動きだけではなくて市場自体で非常に大量の取引がある。そういったところで市場の動向というものが非常に反映しているということをやはり考えておかなくちゃならぬのじゃないか。そういった中で思惑と申しますか、市場の気配と申しますか、そういったものが非常に支配をしているということは私は事実だろうと、こう思っておるところであります。
 為替相場がかつての固定相場から変動相場になりまして、変動相場であるならばやはりそういった形で実態を反映することがよかろうと、こういう形で変動相場になりましたけれども、その変動相場というものがだんだん非常に大きくなってそういった今の市場を形成している。私は、市場によって物が決まるということは資本主義社会あるいは自由主義社会の中では一番いい方法ではないかなと、こう思っておるところでございます。
○直嶋正行君 こういった急激な円高の状況を受けて、通産大臣にお伺いしたいんですけれども、基本的には我が国の経済が景気低迷もあって輸入が鈍化をしておる、それから貿易黒字が減少する気配も見えない、こういうことも一つの要因になっているんではないかと思うんですが、私はこういった円高に対処する上でも、以前にございましたが何か緊急的な対策をする必要があるんではないか。
 例えば輸入拡大のためのアクションプランというのが以前実施をされたことがございましたが、そういう政策であるとか、あるいは今のこの円高は逆に言いますとメリットもあるわけでありますから、この円高差益を確実に還元する、こういう緊急的な政策を考えるべきではないかと、このようにも思うんですけれども、この点について通産大臣いかがでございましょう。
○国務大臣(森喜朗君) 幾つか今お尋ねのポイントがあったかと思いますが、円高差益の還元につきましては、国民が円高のメリットを速やかにかつ十分に享受し得る状況を醸成するために政府が一体となりまして現段階での方策を示すことが今重要であるという認識から、先般、先月二十一日でございましたが、物価担当官会議が開催をされまして円高メリットの物価面への浸透状況の把握等について申し合わせを行ったところでございます。
 内容は御承知だと思いますから省かせていただきますが、今いろいろ委員からお話しございましたように、長い時間をかけていけば、まさに我が国の経済のファンダメンタルズを反映していくということであれば我が国の経済が極めて基礎的に強くなるということかと思いますが、今、大蔵大臣からお話しございましたように、思惑等で激しい動きをするということについては、私ども産業界を所管しておりますだけに、特に今お話もございましたように景気の回復のまさに胸突き八丁というところでございますだけに、この円高が企業全体のやはり不安感を大変助長しているということは私は否定できないのではないかというふうに心配をいたしております。
 先般、緊急調査をいたしておりますが、約五割の企業が経営が苦しくなるというふうに答えておりまして、特に輸出比率の高い自動車、電機等の業種では深刻な影響があると。特に影響はないという企業が約三割ほどございますが、これもそのうちの約四割は為替リスクをヘッジしていることを理由として挙げておりまして、もう一度戻ってくれるだろうという、そういうやはり希望を持っておるわけでありまして、このままずっと急進していくということになれば極めて困惑した状況になると言わざるを得ないというふうに考えております。そういう面で私ども景気の見方はもう少し推移を慎重に見ていく必要があるということで、御承知のように景気回復については通産省としては慎重に見たいという考え方をしておるのはこうしたところを理由にいたしておるわけです。
 さて、もう一つのお尋ねは、何か緊急的なということでございますが、数字を見てまいりましても、やはり基本的には景気を回復させる、回復して輸入を促進していくということがやっぱり基本的な方法だろうと、こう私は考えております。先般、予算委員会でも、やはり景気を回復して輸入拡大をしていくということが黒字を減らしていく対策として王道であると、このように総理も答弁しておられましたが、私もまさにそのとおりだろうと考えます。
 ただ、輸入の促進につきましてはいろんなことをやっております。もうそれこそ細かく申し上げますと先生の時間をとっちゃいますが、とにかくこんなことまでしなきゃならぬのかなと思うくらい細かくやっておりまして、簡単に言えば、ジェトロなんというのは昔は日本がどう輸出をしていくか、どう投資をするかということを考えたわけですが、最近ではもうジェトロがそれぞれの外国からどうやって日本に投資させるか、どうして日本に品物を入れるかということを、表現がやや適切じゃないかもしれませんけれども、まさに手とり足とりむしろお教えを申し上げておるというぐらいいろんな仕組みを考えております。
 また長期派遣事業などという、国でお金を出してそして商社のOBの方々などに世界の国々にそれぞれ二、三年滞在をしてもらって、そして特に地方の、ヨーロッパやアメリカの中小企業などに、どうしたものが日本に好まれるか、どのような形にした方が付加価値がついていくだろうかということなども教えるなど、本当に細かな対策をとっているわけでございます。何といいましても、国民がそれを買い求めるということが大事でございますので、基本的にはやはり景気を回復させるということであろう、このように考えております。
○直嶋正行君 輸入努力については私もこれから勉強させていただきたいと思います。
 今大臣のお答えの中に、王道は内需を拡大していくこと、景気を回復させることだと、こういうお話がありましたが、特に内需を活発化して要は日本の黒字の減少も含めて対応していくということではないかと思うんです。特に黒字については、今回の通商白書の中でも、ある程度これは必然的なものなんだという構造分析をされた御見解も出ておりましたが、ただ先ほど来の為替の思惑的な動き等を含めますと、確かに経済論理としてはそういうことは真実であるにしても、いわゆる政治的な視点で見ますと摩擦のさまざまな要因になっておることも事実でありますし、またいろんな思惑が出てくるもとにもなるんではないかと思うんです。
 以前、やはり円高局面が進んだときに前川レポートということで日本経済に対する処方せんが出されました。あのときも内需拡大型に日本経済を変えていこうということなんですが、その指摘されたことの中で大きなポイントとして、規制緩和について積極的にやっていこう、こういう提言がなされておりました。残念ながら、当時の前川レポートを今振り返ってみましてもやはりこの部分が非常におくれているんではないかなというふうにも私思っております。
 そういう意味で通産大臣に特にお伺いをしたいわけでございますが、いわば日本というのは貿易立国の国でございます。これは輸出、輸入含めてそうでございます。そういう観点に立ちますと、やはりこの規制緩和をしていくというのも日本の大きな国益にも合ってくるんではないか、こう思うわけでございます。それだけに、特に貿易を所管する役所でございます通産省としては、他省庁にもぜひ積極的にこの規制緩和を呼びかけていくべきではないか、このように思っております。これが一点でございます。
 それからもう一点は、大分前でありますが、通産省のたしか棚橋事務次官の発言として私、新聞で拝見をしたんですが、通産省の現在持っておられる許認可について今後大幅に整理をしていくと、こういうような趣旨の発言を拝見いたしました。この点について、この報道どおりなのか、また今申し上げたような背景でお考えになっているのかどうか、この二点、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(森喜朗君) 昨年六月に閣議決定をされました生活大国五カ年計画、これはまさにその前川レポートをさらに質的に深めていったものだと、私どもはこういう認識でいるわけでございますが、国際的には調和のとれた対外均衡の達成に向け内需主導型成長の定着に努めていく、規制緩和の推進などによりまして構造調整を推進していく、こういうことが盛り込まれているわけでございます。また、今般の総合経済対策などの累次の経済対策におきましても、我が国経済を、先ほど申し上げましたように内需を中心にインフレなき持続可能な成長路線へ円滑に移行させていきたい、そのためにも規制緩和がうたわれているわけでございまして、まさに直嶋委員の御指摘のとおりでございます。
 私といたしましても、国際調和の観点等から規制緩和の一層の推進は極めて重要であると認識をいたしておりまして、通産省としましても、引き続き社会経済情勢の変化等を踏まえて適時適切な規制緩和を図ってまいりたい、このように考えております。
 また、第二の御質問になるかと思いますが、我が省の許認可等の件数というのは確かに多うございまして、千九百十五、全省庁からいいますと第二位でございますが、当面一割を目標としてこの許認可等の削減を図っていきたい、このように考えております。
 ただ、先生も御承知だと思いますが、通産省の許認可というのは、やはり消費者に対してどうあるかということの視点が一番大事でございまして、この国会を通じましても、与野党を通じまして、例えばマルチ商法の問題などがございますと、やっぱりもっと厳しくやれとか逆にもっと規制をしなさいという意見は随分たくさん予算委員会等からございました。ですから、やはりどうしても消費者を保護するという立場からいきますと、そうした許認可等を進めたりいろいろ規制もしなきゃならぬところはございますが、そうした国が規制をするあるいは許認可で縛っていくということよりも、できる限り指導をしていくという形で通産省としては努めているということも申し上げておきたいと思います。まさに直嶋委員からの御指摘のとおり、やはり規制を緩和して活発な商行為ができ得るように、また貿易も進んでいくようにしていくことが極めて重要だろう、このような認識をいたしております。
○直嶋正行君 余り時間がありませんので、最後に外務大臣に一点だけお伺いして終わりたいと思います。
 先般、日米の貿易協議が行われましたが、一方で我が国としてはやはりガット体制の、いわゆる二国間であるとかあるいはブロックということではなくて、国際的なこういう自由貿易体制を維持していくというのは大変大事だと思うんですが、その中で最近MTO、マルチラテラル・トレード・オーガナイゼーション、国際的な多角的貿易機構ということで、よりガット体制を強化していくという方向になるんではないかと思うんですが、これが最近議論されております。
 これに対して、一つは、アメリカが反対をしているというふうに漏れ聞いておるんですが、この点がどうかということと、我が国としてはこれを推進していくという立場だと思うのでありますが、今後どういうふうにイニシアチブをとっていかれるおつもりなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) これはもう長くウルグアイ・ラウンドの交渉が続いている中で今日まで議論されているところでありますが、私は率直に言って、現在のガットのルールをこれから進めていく上においては、ほかの国際機関と比較をいたしますと、機構がございません。そういう面では、やはりガットの今後より一層の強化という点から考えれば、何らかのメカニズムが必要であると思っております。ただ、今お話のございましたように、必ずしもアメリカはまだ積極的ではございませんし、お互いにその辺のところの理解を深め合う必要があろうと思っております。
 いずれにいたしましても、私は、将来においては何らかの機構がやっぱり必要であろう、そのためには日本も努力をしていかなきゃならない、こう考えております。
○直嶋正行君 終わります。
○高崎裕子君 では、最初に外務大臣と労働大臣にお尋ねいたします。
 女性労働者が全労働者の四割を占めるという中で、男性も女性も働きながら家族に対する責任を負うという、この責任を果たすためにILO百五十六号条約というのは男女労働者が家族的責任を負うということをうたった条約なんですが、これを外務省としては早急に批准すべきと考えます。そして、労働省もあわせてこの早期批准のためこれを促進するということで全力を尽くしていただきたいと思いますが、それぞれ大臣の決意をお願
 いいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 百五十六号条約につきましては、御承知のとおり育児休業等に関する法律などを制定いたしまして環境整備に努めてきたところでございますが、正直、八条の関係がなお国内法制との兼ね合いでいろいろ議論が政府部内にあるのは御承知のとおりでございます。私どもは、できるだけ意見を調整いたしまして、なるべく早く批准ができるようにしていきたいと考えております。
○国務大臣(村上正邦君) 労働省といたしましても、この条約を批准する上でどのような問題点があるのか、またどのような条件整備を図る必要があるのか等批准の可能性について検討を行っているところであります。
○高崎裕子君 来年は国連の国際家族年でもありますので、早期に批准ということでそれぞれ全力を、とりわけ外務省も全力を尽くしていただきた
 いというふうに思います。
 次に、大手ゼネコンの関係でお尋ねいたしますが、資料をお配りしたいと思います。
   〔資料配付〕
○高崎裕子君 運輸省にお尋ねいたします。
 三大空港プロジェクトをめぐる公共事業についてお尋ねいたしますが、平成四年度の各空港の五億円以上の発注件数と金額はそれぞれどうなっていますか。
○政府委員(松尾道彦君) 五億円以上の土木建築工事の発注総額について申し上げますと、羽田の直轄工事で、十九件で約四百三十億円であります。それから成田空港、これは主として公団でございますが、十七件の約二百二十億円、それから関西国際空港は、主として関西国際空港株式会社でございますが、十三件で約六百五十億円、これが平成四年度の発注工事でございます。
○高崎裕子君 新東京国際空港、羽田沖ですね、それから成田空港、関西空港と今五億円以上の工事の状況をお尋ねしたわけですけれども、私は、今言われたこの工事の内訳を見て大変驚いたわけですね。
 この最大の特徴というのは、一つは大手ゼネコン二十一社が今言われたこの羽田で、件数にして六九%、金額にして三百四十億ですから七九%、関西では件数で八〇%、そして金額にして実に九七%になっています。
 それからやみ献金で事情聴取を受けた十六社について見ますと、羽田で言いますと件数で六三%、金額では二百七十五億、六四%になり、関西でも件数では七五%、金額では五百三十六億と実に八三%を占めているということが明らかになったわけですね。これはもうほとんどが大手ゼネコンが受注し、それを見事に大手ゼネコン各社で配分していることがこれで浮き彫りになったということが第一点目として指摘しなければならないことなわけです。
 それから、これは本当に不自然で何らかの話し合いかなければこういうふうになっていかないという点で、私は新東京国際空港の平成四年度の入札状況について調べてみました。
 この資料をごらんください。それぞれ工事名が一番左に書いてありますが、右には落札時の一番札、二番札がそれぞれ書かれています。一番上の立体駐車場新築工事をごらんください。鹿島、三井のジョイントベンチャー、一回目が七億三千六百万、その二番目が間等のジョイントベンチャーで七億四千九百万とそれぞれ金額が出されているわけですが、結局一番低い金額のこの鹿島、三井のジョイントベンチャーが落札時の一番札を押さえているということになるわけですね。そして、今度は縦の表を見ていただきたいんですが、一回目で最も低い金額を入れた業者が結局はすべて落札をしている。それは、二回目で落札になるか三回目で落札になるかは工事によって違っておりますけれども、いずれも一番低い金額のものが落札をしていると。
 そして、さらに驚くことは、次にそれぞれ一回目、二回目あるいは三回目というふうに比較で金額が出ているんですけれども、例えば一番上のこの立体駐車場の新築工事なんですけれども、一回目と二回目の差額がわずか二千万なんです。結局、二回目の金額を入れる場合、一回目よりは下げてそして二回目よりは上げなければならないとすれば、それぞれ二千万のこのわずかな幅の中で、今言った一回目より下げて二回目より上げるということで金額を決めていかなければならないということで、二番札のところを落札した金額との比較で見ますと〇・二八%の差額、それぞれ比較が括弧の中でパーセンテージで出されているんですけれども、もうわずか〇・二八%。この一番下から二番目の地盤改良工事をごらんください。ここも二番目との差が〇・二二%。こういう数字を見ていくと、まさにもう手品かサーカスではないかと、至難のわざだというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 これはもう明らかに協議がなければ、つまり談合がなければこのような数字というのは出すことができないということで、私はこれは単なる偶然とは言えないというふうに考えるわけですね。それで、これが結局高とまりあるいは指名入札の問題がこういう形で浮き彫りになっているということで、私は、この点について運輸大臣はどういうふうに考えられるか、もうとても偶然とは言えないんですけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(越智伊平君) 指名競争入札、第一番に先生いろいろお話ございますが、運輸省でやっておりますのは飛行場であるとかあるいは港湾であるとか特殊な技術であります。でございますから、一般の土木の資格があるということだけではなかなか、やっぱり優秀な技術者もいなければいけないと、こういうふうに思っております。
 次に、入札の価額の引き方が少ない工事でございますが、このごろはコンピューターというものができまして非常に計算がよくできますし、この価額、ずっと何が幾ら要るというのは皆同じ数量になっておりますからそう余り違わないのが普通でなかろうかと、私はこういうふうに判断をいたしております。例えば、舗装にいたしましたら舗装の長さが幾らで幅が幾らというようなことで、もうその単価が決まっておりますからそれを掛けたらきちっと出てくるんでないかと、こういうふうに思いまして、決してこれが不当なものだとは解釈しておりません。
○高崎裕子君 運輸大臣はそう言われますけれども、これはこの三大空港プロジェクトを例に挙げて今具体的にお示ししたんですけれども、私ども、金丸氏のおひざ元である山梨のリニアの実験線工事についても入札状況を調べてみたんです。この結果、空港と同じ状態、一層明白な状態が浮かび上がってきたということで、これはもう単なる偶然ではないというふうに思うわけです。
 これが資料の二枚目になるわけですけれども、これは平成二年度、三年度、四年度の鉄建公団が発注した全部で十一件ある工事なんですが、この十一件全部が一回目の入札で最も低い入札金額を入れたゼネコンに最終的には落札をしているということで、それも先ほどと同じなんです。落札時の一番札から順次右に書いてございますけれども、上から四番目の笹子トンネルをごらんでださい。前田などのジョイントベンチャーが一回目三十三億円で一番低い金額を出しているということがはっきりこの表から出ておりますが、三回目で三十一億一千万円という形で最終的に落札をしている。
 そして、この差なんですけれども、下から四番目の都留変電所造成地ですね。ここで見ますと、これは青木、三菱などのジョイントベンチャーで、一回目十一億六千五百万で入札して二回目に十一億五千五百万で落札しているんですけれども、この差が何と一千万ですね。わずか一千万ですよ。それで結局、二番以降についてはその差額が一千万の中で一回目よりも低く二回目よりも高くということで決めるので、その差が〇・〇九%という、これもあらかじめ協議をして談合しなければ、もう本当にこんな〇・〇九%というようなこういう数字というのは、コンピューターというお話を出されましたけれども、あらかじめそういう協議がなければこういうことというのは絶対考えられないと思うんですね。私はもう至難のわざだというふうに思うんですけれども、この点、鉄建公団、運輸大臣、それぞれいかがでしょうか。
○参考人(棚橋泰君) 先ほど大臣から御答弁がございましたが、私どもの担当いたしております工事も、大規模トンネル工事など非常に特殊な技術を要するような工事でございます。したがいまして、そういう業者を指名いたしまして指名競争入札によるというシステムをとっておるわけでございます。
 なお、先生御指摘の一回目と二回目の金額が非常に接近しているという点につきましても、先ほど大臣からお答えがございましたように、各事業者それぞれが積算基準というものを参考にいたしまして、細かいところから精密に所要経費を積み上げまして、それに基づいて入札をいたしております。したがいまして、そういう意味ではそれぞれの価格が接近するということはあり得ることでございますし、また、一回目から二回目、三回目というような入札をいたしますときは、最低価格に到達しない場合に二回目、三回目が行われるわけでございますが、その際も、先ほど申し上げましたような積算基準から考えまして、その額を変更する範囲というのはそんなに大きいわけではないというふうに私ども思っております。
○国務大臣(越智伊平君) 今お答え申し上げましたが、こうした指名業者というのは非常に優秀な業者であります。特に技術面で技術者の非常に優秀な人がたくさんいる業者、こういうところを指名したのであろう、こういうふうに思います。
 その優秀な技術者が積算をしていけば、例えば岩でありましたら硬岩とか軟岩とか、そういうものの単価というものはおおよそ決まったものでありますから、それをコンピューターにかけますときちっと出ます。でございますから、〇・九%とか一%とかいいますけれども、それはきちんと計算の上で入札をしたもの、こういうふうに私は考えます。
 でございますから、今の、談合があったとかなかったとか、そういう談合をしたとは思っておりません。
○高崎裕子君 私が今指摘した具体的な事実が、コンピューターで積算ということでしたけれども、その積算する以前にやっぱり協議がなければこういう結果が生まれないという、そこを問題にしているので、ここを不思議ではないというふうに答えられたその答弁が私は不思議でたまらないんですね。
 そこで、公正取引委員会にお尋ねいたしますけれども、空港それからリニアの具体的な問題について私は今詳しく指摘もしたわけですけれども、これについてはやっぱり談合の疑惑もあるわけで、これも含めて、こうした建設業界特に大手ゼネコンのこういう動向に、公正取引委員会としては、今国民が最も関心を持っている問題でもあるという点でぜひ関心を持って調査をしていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(小粥正巳君) 官公庁等が公共工事について入札を行う場合に、入札参加者側があらかじめ受注予定者を決めますとかあるいは受注価額を決める、こういういわゆる入札談合は、これは申すまでもなく競争入札制度の基本を揺るがす行為でありますし、取引制限を違法としております独占禁止法に抵触するものでありますから、私ども公正取引委員会は、従来からこの種の入札談合につきましては積極的にその摘発に努めているところであります。
 したがいまして、入札談合についての情報収集には今後とも一層努力をいたしますし、具体的な端緒に接した場合には、必要な調査を行い、厳正に対処をしていく方針であることは変わりございません。
○高崎裕子君 それでは関西空港に関連してお尋ねいたしますが、大手ゼネコンが政治家に力添えを求めていたということが毎日新聞で五月十五日に報道されています。
 この報道によりますと、大林組の常務が関西空港の竹内前社長に空港の工事を仕切らせてほしいと直訴したが受け入れられず、運輸省に影響力を持つ安倍晋太郎、当時の自民党政調会長の藤尾氏、そして金丸氏などに働きかけていた。そして、竹内前社長は、工事を仕切らせてくれとの大林組などゼネコン側に対して、私とは意見が違う、こう答えていた。埋立空港のため専門技術を持つ海上建設会社いわゆるマリコンを主体に業者を選びたいと前社長は自分の考えを説明した、こう報道されています。実際は大林組を中心とした大手ゼネコンが主体となっているわけですけれども、私どもの調査では、大林組がかかわっている工事というのは八十九件中十五件受注であり、ずば抜けて多いんですね。
 運輸大臣にお尋ねいたしますけれども、受注額も千六百十七億円、これは共同受注が入りますけれども実に二五%を占めている。同時に、鹿島も十件で千三百三十三億円、二〇・五%。これは大林組と鹿島を入れますともう半数近い数字という大変なものになっている。つまり、政治家の力が働いたとしか思われない。見事に功を奏したというふうに私はこの報道等具体的な数字の中で思わざるを得ないわけで、これは大臣、大変ゆゆしい問題だというふうに思うんですね。
 運輸省としては事実関係をぜひ調査していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(越智伊平君) 今の落札金額の総額については私は調べておりませんけれども、先生が言われるそのとおりであろう、こう思います。しかし、やっぱりこういうゼネコン、建設業者といいますのは仕事に非常に熱心でございますし、特に大林は本社が大阪でございます。近くの仕事というのは特に熱心に熱を入れるものだと、こういうふうに解釈をいたしております。でございますから、談合をしてようけとったという、談合したらみんな同じように分けるんじゃないでしょうか。特に多い少ないがあるということは談合ができてないんじゃないか、私はこういうふうに解釈をいたします。でございますから、今私が運輸省として調査をするような気持ちはございません。
○委員長(大渕絹子君) 高崎君、時間です。
○高崎裕子君 これだけの事実が具体的に指摘されていて、所管の長である運輸大臣が全く調査をする考えがないということは、本当に私は問題だというふうに思うんですね。これについては今私、具体的な事実も運輸省からいただいた資料も含めてお示ししたわけですから、運輸省としてはこれについては厳正に調査をするということで厳しく指導に当たって、こういうことのないようにしていただきたいということを強く要望しまして質問を終わります。
○井上哲夫君 私は、今から厚生大臣と法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事会田長栄君着席〕
 先ほど宮澤総理のときに法律扶助制度という聞き慣れないことをお尋ねしましたからか、お疲れだったのかあるいは御機嫌が少し悪かったのか、よく知らないと、私の方が期待したお答えは余りちょうだいできなかったわけでありますが、そこで強く感じたことはやはり法律扶助なんという難しい言葉がほとんど理解をされていないということを改めて感じた次第であります。
 それで、一番最初に厚生大臣の方にお尋ねをいたしたいんですが、実は精神保健法は今国会で一部改正があったわけですが、この法律の第三十八条の四には、精神病院に入院中の音あるいは保護義務者は退院請求あるいは処遇の改善請求をなすことができる。知事はこういう請求があった場合には、その氏名、住所、本当にその請求をなしている意思の確認から事細かに書類上のことを点検する規定があるわけですし、さらに、いわゆる入院が不当で退院をさせなきゃいかぬとか病院における処遇の改善請求が妥当であるという場合の判断を審査会はするということで、またこの精神医療審査会についての規定が事細かに書かれております。
 しかし、実は肝心の入院をされた人あるいは保護義務者が自分でこういうことをできるのか、これは弁護士等の専門の人の助けをかりないと本当は十分にはできないんじゃないか。だとすれば、その人たちがもし自分で弁護士を雇ったり専門の方を身近に持っていれば別でしょうが、そうでない場合にはどうしたらできるのだろう。とりわけ経済的に資力を欠く場合にはこれは絵にかいたもちにすぎなくなる。
 こういうふうなことを思いますとき、このような場合に国が助成をして、本当の意味でこの退院請求なり処遇改善請求を実効あらしめるようなそういう配慮をしなければ、実は権利というのは本来保障されたものにはならない。こういうふうに考えますときに、大臣としてその問題についてどのようなお考えをお持ちかお尋ねをしたいと思います。
 特にこの問題では、扶助に関する側面からいろいろ調査といいますかそういう検討をしよう、こういうふうなことでその調査依頼もなされた、こういうふうに聞いておりますが、それも踏まえて御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先生御承知だと思いますけれども、さきに精神保健法の御審議を賜ったわけでございますが、今回の法改正の位置づけといたしましては、いわゆる社会復帰施設から地域社会へ、こういうことで患者さんの人権というものを一層配慮したわけでございます。
 まず、先生が御指摘の点は大変重要な問題だと認識をいたしておるような次第でございます。そこで、こうした患者の請求を救済することができないかどうか、御指摘のような財団法人法律扶助協会で現在検討をいたしております。その検討の結果を踏まえまして、厚生省といたしましてこの問題に関しましてどう考えるべきか、さらにまた検討を加えていきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、国連原則においても指摘されていることでありまして、この問題につきましても一つ重要な課題である、このように認識をいたしているような次第でございます。
○井上哲夫君 今、私としてはいいお答えをいただいたと思うんですが、問題は、いいシステムを考えて早く実現をしなければならない。我が国の法律扶助の現状は大変立ちおくれておるということは目に見えておりまして、ただ精神保健法のこの規定の場合には確かに改正後まだそんなに時間がたっていないわけでありますが、どのようなめどをお持ちなのか、さらにお答えをいただけたらと思います。
○政府委員(谷修一君) 今、先生お触れになりましたこの精神保健法第三十八条の四に基づきます患者あるいは保護者の退院の請求あるいは処遇改善の請求につきましては、ただいま大臣からもお話し申しましたように、五年前の精神保健法の改正の際に患者の適正な医療あるいは人権の確保という観点から精神医療審査会というものを設けまして、そういう問題についての審査をするということになったわけでございます。
 今回の、先週でございましたか、五年後の見直しということで精神保健法等の一部を改正する法律について成立をさせていただいたわけでございますが、今回の法律改正のもとになります考え方は公衆衛生審議会の中でいろいろ御議論をいただいたわけでございますが、全体としては五年前に改正をした医療の問題についてはだんだん現場で定着をしてきているというのが専門家の御意見でございました。そういう意味で、私どもとしてもこの処遇改善あるいは退院の請求についての医療審査会での取り扱いということについては今後とも十分適正に行われるよう指導してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 法律扶助ということあるいは救済ということに関しましては、平成四年度から財団法人法律扶助協会に対して研究費の助成を行いまして研究をしていただいております。具体的には、諸外国ではどういうふうになっているのか諸外国における実情、あるいは日本におきます精神障害者の医療あるいは退院請求についての実態といったようなことについて研究をしていただいている段階でございます。私どもとしては法律扶助制度全体の問題とも関係するという認識は持っておりますが、当面精神障害者の問題に絞って研究をしていただいているという段階でございますので、その結論を得た上で、厚生省としてどのように対応するかということは検討してまいりたいというのが現在の私どものスタンスでございます。
○井上哲夫君 要望という形にならざるを得ませんが、実は今の研究費の助成の結果の中間報告では法律扶助の最低基準だけでも早く公費から出せるようなそういう整備が望ましいというようなことが出ているわけでありまして、今私はそれに触れていただけるかと思って質問したわけでございますが、そういう方向で急いでいただきたいということをお願いします。
 それで、今お話に出ましたように、法律扶助制度の抜本的といいますか、いろいろ検討がなされているということなので、法務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 実はこの一時間半ほど前に宮澤総理にある資料を見ていただいたわけであります。法律扶助協会の事務局の調査に基づく一九九一年度の法律扶助国際比較表という資料がございまして、これを宮澤総理に見ていただいたところ、総理は、この一番下に諸外国との比較で日本の場合には何と国民一人当たり国が出しているお金が一円だというその表を見ますと、例えば世界の国々は大変大きなお金を出している、それで一円しか出していないというのはいささか、というようなお答えがあったわけであります。
 それで、法務大臣からはこの問題については大変いろいろとこれまでにも前向きのお答えをいただいているわけであります。この立ちおくれといいますか、これは今までですと、日本の国民性が争いごとを好む国民性ではないとかあるいは日本の場合には実は諸外国に比べてとりわけ欧米諸国に比べて法律制度そのものも同じような比較ができないんだというようなお答えがあったかと私は思うんですが、現実はそのようなことではなくて、最近を見ますと、やはり専門家の援助といいますかそういうものをほしいんだけれども、現実になかなかお金がない、あるいは身近にいないとかいろんなことがあってそのままになって、その不満がかなり出てきておると思います。
 いたずらに日本の国民性の純風美俗だとか本来争いを好まない性格だというようなところで対処できるときにはもはやないと私は考えているわけでありまして、この問題をいかに早く充実に持っていけるのか、その点に関して法務大臣、いろいろとこれまで御答弁をなされている内容は私も読んでおりますが、御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(筧康生君) ちょっと細かい数字を示して総理にもお尋ねになりましたし、法務大臣にもお尋ねでございますので、少し事務当局の方から御説明をさせていただきます。
 委員御承知のとおり、我が国の法律扶助制度というのは、財団法人法律扶助協会に対する補助金を交付するという方式をとっておりまして、しかもそれは立てかえ金に補助金を出すという方式をとっております。
   〔理事会田長栄君退席、委員長着席〕
そのために一つには、補助金が毎年償還をされてくるという状況になっておりまして、その償還金が毎年約六億円程度に上っておるという状況を一つ御説明させていただきたいと思います。
 さらにまた、国によってはこの法律扶助制度の中に刑事の国選弁護制度に相当するものも含めて事業を行っている国もあるわけでございますが、我が国はそれは別個の制度として設けられており、平成四年度におきましては約二十四億円の予算がそれに充てられているという状況になっております。
 私どもといたしましては、民事の法律扶助事業に対する補助金というものの増額に努めることに努力いたしておりまして、それはそれなりに相当な成果をおさめてきておるというように思っておりますが、なお今後の制度のあり方については引き続いて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私からもつけ加えまして、お答えをいたしたいと思います。
 お話しのように、法律扶助制度というのは専門の方以外わかりにくい状況にあることはそのこと自身残念なことだ、こう思います。
 私どもの所管では、今ちょっとお話がありましたように、国選弁護は、これは刑事事件については別ですが、民事の関係でお金がないから法の保護を受けられないというのは、これは私は決していいことではない。ただいまは法律扶助協会に対する国の補助制度ということで賄っておるんですね、御承知のとおり。この予算については全体の額は私は大変少ないと思いますが、近年、大蔵省の非常な御理解で倍率はどんどん上げてくれておることも事実ですが、これで十分とは思っておりません。
 それで、日弁連からの強い御要請もあり、我々もその必要性を認めまして、日弁連と私の方といま一つはこれはやはり政権政党の自民党の政調の理解を得なきゃなりませんので、こういった三者間で現在この問題をどのように改善したらいいのかということをせっかく勉強中でございますので、しばらくの猶予を与えていただきたい、私はかように思います。
○井上哲夫君 私はきょうはこの問題をずっと取り上げてきたんですが、途中の中断でまた同じことを言っている、そのために時間の浪費になっているわけですが、今法務省の方のお答えにありましたように、一生懸命これまでやってきているんだと。それは法務省の担当の方から見るとそうかもしれませんが、きょうこの資料を各委員に配付していただいたんですが、数字だけ見たら恐らく皆さんびっくりされたんじゃないか、世界の経済大国日本がこんな状態だったのかと。
  それはそういう意味では大臣がおっしゃるよう
 に今の状態で十分でないということはわかってい
 るというお話なので、その点は私もあえてそれ以上は申しませんけれども、本当ならば大蔵大臣にもっと何とかしてくださいという質問をしたかったんです。ただ、大蔵大臣は日弁連の懇話会のメンバーにもなってみえるそうで、ある意味ではこの問題について前から御関心がある方ですので予算の最高責任者にそういう質問は私も今回はいたさないつもりで、終始お座りを願っているだけで申しわけなかったですが。
 最後に法務大臣、もう一度別の角度からお尋ねをしたいんですが、私も弁護士をずっと長くやってまいりまして、日本の一般の方というのは確かに我慢強い、あるいは権利について極限まで主張するとそれは相手の権利とのぶつかり合いから余りいいことではないということで、非常に抑制をされた形でしか行動をとらないことは二十数年の経験でわかっております。けれども、今ここに来ていろんな問題について国民が多様性を求めているというときには、やはりこういう世界の趨勢に比較して数字だけ見ても極端に悪い日本の状況というのは決して好ましいことでは私はないと思うんですね。そういう意味では検討される場合のスピードを特に上げていただきたい。
 ちなみに日本弁護士連合会、日弁連もことしの五月の総会では、今までの法律扶助協会の形を場合によっては全く白紙に戻してでも国民の願い、ニーズにこたえる、そして一方では国の財政的な援助を大幅にお願いする、こういうことをやらないといけないというふうないわば弁護士自体も方向転換というか、意識の変革を打ち出しておるわけであります。そういうことを申し上げて、何とか飛躍的拡大のスピードを上げていただきたい、こういう思いがいっぱいですので、再度、所見としてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) まあ、アメリカのように訴訟万能の国家になることが私は望ましいとは思いません。しかしながら、日本もだんだん権利意識が高まってきておりますから、次第に訴訟が多くなることは事実ですね。そのときに、金のある人だけが訴訟ができて金がない人が訴訟ができないということは、これは放置するわけにはいきません。
 だから、そういうことを考えまして日本弁護士連合会等との話を今進めておりまするので、抜本的などういうことになるのか、それとも今までの制度はそのままで金額をうんとふやしていくのか、こういうような点は十分ひとつ勉強させてもらいたい、こう思います。これでいいとは決して思っておりません。
○井上哲夫君 終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま永野茂門君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君が選任されました。
    ―――――――――――――
○下村泰君 大蔵大臣、もう少しです。本当に朝早うからこんな時間まで大変だと思いますが、座っているだけでも容易なことじゃございません。人町だって大体最大限度二時間半だそうですからね、座っていられるのは。
 まず、先ほども出ましたが、予防接種についてお伺いします。
 MMRの三種混合ワクチンの接種を一時中止するという報道がございましたが、その審議の経過についてまず御説明いただきたいのと、この決定について、私の知る限り多くの人がやっぱりかとかあるいは遅きに失するなんという反応がそれぞれされているようでございます。今回の一連の厚生省の対応は、国民の不信と不安を残す結果になったんじゃないかというような気もします。
 もともとこの予防接種については、その病気によってもさまざまな評価があり意見もあって、国民の間ではもしものことを考えて受けさせた方がいいという親心で戸惑いつつも受けられてきたという方も多いと私は感じております。
 そのあたりも含めて、今回の事件について厚生省として大いに責任ありと考えますが、いかがお考えか、今後のことも含めてひとつお答え願いたいと思います。
○政府委員(谷修一君) MMRワクチンにつきましては、今お話がございましたように、四月の未に一時接種を見合わせるという決定をさせていただきました。
 平成元年から希望者に対してMMRワクチンの接種を開始したわけでございますが、その後副反応としての無菌性髄膜炎の発生が報告をされ、希望者にのみ保護者の同意を得て接種をするというふうに指導をいたしました。その後、副反応の発生状況について正確に把握できますようにモニタリングを平成元年の十月から開始いたしまして、さらに平成三年十月からいわゆる自社株によるワクチンの接種ということを行ってきたわけでございます。モニタリング調査の結果、この無菌性髄膜炎の発生率の低下を認めることができず、またワクチン株によると思われます家族内の感染を疑わせる事例が報告をされたといったようなことから、ことしの四月、公衆衛生審議会でいろいろ御議論をいただきまして、接種を見合わせるべきだ、かつまた幾つかの調査を実施すべきだというような意見が出されまして、接種の一時中止を行ったところでございます。
 この問題につきましては、今後副反応の調査の報告の漏れがないかどうか、あるいはワクチンの製造メーカーの一つでございます阪大微研に対する調査等を現在行っておりまして、これらの調査結果が得られました段階で改めて公衆衛生審議会にお諮りをいたしまして、どのようにするかということを決めていきたいというふうに考えております。
 なお、このワクチンが導入されました後に、先ほど申し上げましたように、その時点その時点で適切な対応をとってきたつもりでございますけれども、導入段階でこのようなことが予測できなかったということでございます。今後は、先ほど申しました各方面の調査結果をまって適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○下村泰君 この予防接種というのはあくまでも病気に対して予防するための接種なんですから、よかれと思ってやることであり、よい結果が出ればこれにこしたことはないわけなんです。
 さて、実はこの予防接種では私も経験がございまして、私、第十二航空教育隊という軍隊に所属しまして、いよいよ転属を命ぜられて今のミャンマーですね、東南アジアの方へ出かけるときに五種の予防接種をされたことがあるんです、コレラとかペストとかチフスとか赤痢とか。まあちょっと体の弱い人だと一発ですね、三十九度、四十度の熱が出る。それで演習停止。もう演習もできないくらい発熱してひどい体になることがあります。そういう経験もありますので予防接種というのは私も余り好きじゃないんですけれども、しかしやらないことにはしようがないと思います。けれども、そうした中でも比較的意見が一致しているのがはしかのワクチンの有効性だと思うんです。
 私はSSPEという病気の子供たちと接しまして、その小児慢性特定疾患指定の運動にもかかわってきました。全くこの病気もひどいもので、厚生大臣はごらんになったことがあるかどうかはちょっと知りませんけれども、はしかの予防接種を受けないで、はしかに軽くかかったからとそのまま見過ごすわけですね。そうすると、このウイルスが体の中に残っていまして、大体小学校の低学年だと三、四年ですか、高学年だと五、六年生ぐらいにこれが悪さを働かすわけです。そうしますと、脳性小児麻痺のようなああいう感覚になってくるんです、体全体が。引きつつたり奇声を発したりとか、それはもう悲惨な状態です。
 私はそのお子さんたちと接して何回か涙を流したことがあるんですが、このはしかのワクチンはぜひとも国民の理解を得て確実に接種していただく、接種率を高める努力を怠ってはならないと強く考えているわけなんです。ただ、このMMRのおかげで接種率が下がってくるんじゃないか、しかも下がってくる傾向にあるんじゃないかというふうなことが言われているんですが、このあたりをちょっと教えていただきたい。
 それからさらに、四月二十四日の報道によりますと、一度はしかにかかったり予防接種を受けたのにまたかかるというようなニュースも出ておりますね。本当は予防接種すればかからないはずなのにかえってかかってしまうなどということを兵庫県の医師と北海道大学の助教授が指摘しております。さらに、六月二日の報道では九州大学の共同研究チームが同様の指摘をしております。そうするとますます今申し上げたようにこの接種率が下がってくる。しかも二度がかりということになります。こういうことに対する対応をひとつ伺わしていただきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) ここ数年のはしかの予防接種の接種率でございますが、平成二年にたしか六六%ぐらいでございますが六〇%台になった以外は大体七〇%以上を維持してきております。大体七七%。平成三年には七一%ということでございますが、そういう意味では全体としてはまだ下がったというようなことではないんではないかと思っております。いずれにしても、今お触れになりましたように、このMMRワクチンを契機にして非常に大切なはしかの予防接種というものの必要性が否定をされるというようなことがないように、十分接種率が向上しますように私どもとしても都道府県あるいは市町村を指導するとともに、一般の方にもそういうことをわかってもらえるように努力をしたいと思っております。
 もう一つ、いわゆる二度はしかといいますか、接種をした後の人がかかるということでございますが、これは以前から多少そういう場合があるということは専門家も指摘をされておりました。特に最近言われていますのは、やはり予防接種が非常に普及をしてきたということによりまして自然感染の割合が少なくなっておりますので、従来ですと予防接種を受けて後まあ非常に軽くかかるといいますか、発病しないまでもそういう場合があったわけですが、事によって今おっしゃったようないわゆる二度はしかというようなものが注目されるようになってきたというふうに理解をしています。
 この問題については、はしかの予防接種の接種のやり方といいますか、接種の回数というようなことを含めて現在専門家にいろいろ議論をしていただいているところでありますので、専門家の御意見をいただいた上でその問題に今後対応していきたいというふうに思っております。
○下村泰君 いや、例えば大人になってから、子供のときに軽いはしかにかかって大人になってから帯状疱疹なんてありますよね、やっぱりこのはしかの作用であれも私もびっくりしたんですが、この帯状疱疹というのが視神経の外ならばいいんですけれども、うっかりこの帯状疱疹というのが眼球の後ろかなんかに発生しますと失明するなんていうこともあります。これもやっぱりはしかが原因だなんていうことを言われておりますけれども、恐ろしいものです。
 現在、公衆衛生審議会の中で予防接種の見直しが検討されているようですが、私はこの中で予防接種におけるインフォームド・コンセントについてもきちんと議論していただきたいと思います。やはりよく話し合ってその対応を決めていただきたい。まずその点について伺いたいんです。
 それから本年十一月七日から九日にかけて京都でいわゆるWHOの子供ワクチン会議が開かれるというように承っておりますが、その目的と日本の対応について御説明願えればしてください。
○政府委員(瀬田公和君) 子供ワクチン会議の方から御説明をさせていただきますが、先生御指摘の子供ワクチンに関する会議というのは、ことしの十一月七日から九日まで京都で予定されております。
 この国際会議はいわゆる子供ワクチン構想に基づく第三回目の協力会議でございまして、WHOとかユニセフ等の国際機関やそれから開発援助機関、NGOとか各種の研究機関等の代表が集まって活動の方向づけとか実施方策の討議等を行うものでございまして、第一回は一九九一年の十二月にジュネーブで、第二回目は一九九二年の十一月にジュネーブでそれぞれ行われておりまして、厚生省からもまた国立予防衛生研究所からも参加をいたしております。
 子供ワクチン構想というのは、全世界で毎年数百万人の子供たちが予防接種の恩恵を受けることなく感染症により死亡しているという状況を踏まえまして、一九九〇年にニューヨークの国連本部て開催されましたいわゆる子供のための世界サミットで決定を見たものでございまして、世界の科学技術の英知を結集いたしまして既存のワクチンの改良でございますとか新しいワクチンの開発を行おうとする構想でございます。
 厚生省では前二回の会議にも参加をいたしておりますが、平成四年度からはWHOに対する拠出金の中でこの構想に対する資金の拠出を行っておりますし、また十一月の国際会議にもこれを支援してまいる、こういうことになっております。
○政府委員(谷修一君) 前段のお尋ねについて申し上げますが、予防接種制度の見直しについてこの三月以来専門委員会をつくって検討しております。この背景は、先生御承知のように、昨年暮れの東京高裁の判決あるいはそういったようなことも含めて予防接種を取り巻く環境が変わってきたということで、現行の予防接種制度全体について見直しをやっていただいております。
 インフォームド・コンセントという言葉そのものはまだ予防接種の中で余り今までなじみがないということでございますが、先ほどのMMRの例でも申しましたように、やはり予防接種の意義とそれから副反応というものをよくお母さん方に知っていただかなきゃいけないという意味では、当然そういったようなことも含めて今後議論していくということだろうと思います。
 それから、なおつけ加えますと、先ほどちょっと申しました二度はしかの話も、実はきょうこの委員会のさらに専門部会が開かれましてそのことについても議論がなされておりましたので、あわせてつけ加えさせていただきます。
○下村泰君 私、日本人というのは意外と素直だと思うんですよね。それで、国の方がおやりになること、お国の方がやるんだから間違いないだろう、これが日本人の一番一般大衆の受け方なんですよ。ですから、この予防接種でも何でも、これがいいんだよと言われれば、ああそうですかと素直にやるんですよね。そして、その結果がこういう結果になってくると今度は余りいいことじゃないということになります。
 いかがでございましょうか、大臣、今までの流れの中で御意見がございましたら、どうぞ。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 予防接種であるとかMMRワクチンの問題、大変難しい問題で、先生も御理解を賜りながら慎重にやるべきだとこういうような立場だと思いますけれども、私どももその時点その時点で適切な対応をとってきたつもりでございます。けれども、結果的に国民の皆さん方に御不安を与えましたことに対しましてはまことに遺憾だと感じております。
 いずれにいたしましても、今後こういった問題につきまして各方面で調査を行いまして適切に対処したい、このように考えているような次第でございます。
○下村泰君 次に、人工内耳の保険適用について伺いたいんですけれども、人工内耳の問題については、大臣は既に専門医も含めて当事者の方かから陳情を受けられてその有効性はよく御存じのことと思います。
 この人工内耳というのは、内耳殻の中に挿入いたしまして、ある程度の年になって難聴になった方、これはもう完璧に言葉もわかりますし、育っている間に日本語も使っておりますから、これが入って耳が聞こえるようになればそのままでいいわけです。それから、全然生まれながらにして音のわからないお子さん、三歳のときにもうこの耳殻というのは決まるんだそうですね、これ以上育たないんだそうです。そこへ人工内耳というのを入れることによりまして言葉を覚え音が聞こえる。それが育ってまいりますると我々のように通常にお話ができる、こういうことになる。
 この中に二つの点があると思うんですね。一つはどういう点かというと、全面的な保険適用が必要ということです。それからもう一つは言語、言葉のリハビリのシステムの確立、この二つが必要だと思います。
 そこで伺いますが、昨年九月にお伺いしたときには、平成六年の診療報酬改定時の実施状況を見て保険の導入について考えると言われたわけなんですけれども、具体的にその実施状況と言うときの基準や目安はあるんでしょうか。それから、一般的な場合とこの人工内耳についてお答え願いたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 人工内耳に関する保険適用についてのお尋ねでございますが、御案内のように、人工内耳を用いた治療というのは高度の専門的な技術が必要である、こういうことから、これは平成三年の十月に東京医科大学病院に対しまして初めて高度先進医療の承認が行われておりまして、その後現在までに合わせまして六つの医療機関が承認されておる、こういう状況でございます。
 ところで今お尋ねの、このような高度先進医療を一般の健康保険の対象とする、こういった場合には、中医協、中央社会保険医療協議会に設置されました専門家会議におきまして、高度先進医療の実施状況を踏まえましてその普及性とかあるいは有効性、効率性、安全性、それから技術的な成熟度につきまして総合的に御判断いただきまして、それをもとに中医協の御審議を踏まえて適当と認められる場合には通常の診療報酬の改定の際に御検討願う、こういう仕組みでございまして、人工内耳につきましてもそのような手続のもとで保険導入の是非について検討してまいりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○下村泰君 時間が来ましたので手っ取り早く申し上げますけれども、愛媛県では聴覚障害者団体が独自の人工内耳基金を設けて費用を融通しようという動きがある。実施施設、手術を受けられる方、それから受けたいと思う方はかなりの勢いでふえているわけです。国民のニードも正しく反映していただきたいと思いますが、人工内耳の保険適用について今後の見通しがあればその方向を伺わせてください。それでおしまいにします。
○政府委員(古川貞二郎君) 結論を申し上げますと、これは先ほど申し上げたように、人工内耳を用いた治療の症例数とかあるいは費用とか治療上の問題点等について実績調査を行った上で、恐らくこれは次回の診療報酬改定に際しまして、中医協の専門家会議におきまして先ほど申し上げたような普及性とか有効性等を勘案しましてそういう基準に照らしまして保険導入が適当かどうか、こういうことを御判断いただくことになると思うわけでございます。
○下村泰君 ありがとうございました。
○委員長(大渕絹子君) 他に御発言もなければ、平成二年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大渕絹子君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) この際、御報告いたします。
 内閣に対する警告案の取り扱いにつきましては、理事会において協議を行いましたが、今回も意見の一致を見るに至りませんでした。
 したがいまして、本件決算につきましては、是認するか否かの議決のみを行うことに決定いたしましたので、御了承願いたいと存じます。
    ―――――――――――――
○委員長(大渕絹子君) これより平成二年度決算外二件について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○中尾則幸君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、平成二年度決算外二件を是認することに反対の意思を表明し、以下その理由を申し述べます。
 反対理由の第一として、不適切な経済政策と国民を欺く財政運営を指摘せざるを得ません。
 政府は、内需を中心とした景気の持続的拡大を財政運営の基本的態度としましたが、バブル景気の実態を見誤り、それが実物経済とも深いかかわりがあることを見過ごしました。そのため、バブル経済と並行して行うべき有効、適切な対策を打ち出すことなく手をこまねいていたのであります。この無為無策が今日の平成不況を招来したことは疑う余地がありません。バブル期に顕著になった我が国の経済力と国民の生活実感との落差、土地を持つ者と持たざる者との資産格差の是正も行わず、複合不況というダブルパンチをもたらした政府の責任は甚大であります。
 このように経済政策の失敗は明らかであるにもかかわらず、政府は平成二年度財政の目玉として特例公債からの脱却を喧伝しておりますが、これはいわばバブル経済の恩恵を受けたにすぎません。むしろその過程で特別会計に繰り入れるべき支出をおくらせるなど、いわゆる隠れ借金を膨らませ、特例公債依存体質からの脱却は見かけ上のものと言っても過言ではありません。
 その上、年度末には臨時特別公債という名の赤字公債の発行を断行したのであります。政府は臨時特別税の収入等によって償還すべきものであって特例公債ではないと詭弁を弄しておりますが、資金が使われてしまった後に、国民の税負担のみが残るという点で赤字公債以外の何物でもありません。
 第二の反対の理由は、湾岸戦争における多国籍軍への資金提供となった湾岸平和基金への拠出とその後の財務報告の引き延ばしてあります。
 湾岸戦争時における資金援助は、積算根拠を明らかにしないまま湾岸平和基金への拠出という形で行われましたが、その実態はアメリカを中心とする多国籍軍の戦費に充当されたものであります。このような資金援助は実質的な集団自衛権の行使にもつながり、我が国の平和憲法の精神に根底から反するものであります。また政府は、国会に対してその使途について報告すると約束しておきながら、二年度分の拠出が終わって二年以上も経過する現在でもなお湾岸平和基金から財務報告を受けていないという事態は、到底容認できるものではありません。
 反対理由の第三は、国費のむだ遣いや不適正な経理が後を絶たないことであります。
 平成二年度の決算検査報告を見ますと、各省庁や公社・公団などにおいて二百六十三件、百三億六千二百六十四万円余に上る国費のむだ遣いや不適正な経理が指摘されております。特に平成二年度の指摘件数は昨年より増加し、過去十年間で最高の件数となっております。この中には再三にわたり同様の指摘が行われているものが見られ、政府の財政管理のあり方に大きな疑問を抱かせる事態となっております。
 政府は、今後一層国民の税金の使途について適正な管理を行い、行政組織の末端に至るまで財政監督を徹底するとともに、同様の事態の再発防止に全力を傾注すべきであります。
 第四に、行政の各分野で業界の監督が不十分であることに起因して数多くの不祥事が発生していることであります。
 まず、バブル経済の中で史上まれに見る金融・証券不祥事が深く進行しておりました。これは我が国を代表する企業において暴力団との取引が表面化するなど、国際的にも証券・金融市場の信頼を失墜させるに至ったものであります。日ごろ政府はこれら業界に強力な行政指導を行っていながらかかる事態の発生を未然に防止し得なかったことは、これまでの指導のあり方自体が問題であったと言わざるを得ません。
 そしてきわめつけは、共和汚職疑惑事件、東京佐川急便事件、金丸脱税疑惑事件とたび重なる政界を巻き込んだ不祥事の連続であります。これらの事件では、政、官、財のもたれ合いが温床となっており、国政の根幹を揺るがすものとなっております。こうした事態を発生させた政府の責任は重大であり、今こそ再発防止のための抜本的な対策が必要と考えます。
 以上が本件決算の是認に反対する理由でありますが、最後に決算委員会における警告のあり方について再度意見を申し述べたいと思います。
 決算審査の本来の使命は、政府の財政運営の問題点を指摘し、以後の予算編成に反映させることにあります。この意味で警告決議は決算の議決の本質とも言うべきものであります。決算を是認しない場合は警告もすべきでないとする与党の態度は納得できないものであることを表明し、私の反対討論を終わります。
○鈴木貞敏君 私は、自由民主党を代表して、平成二年度決算外二件に対して、これを是認することに賛成の討論を行うものであります。
 是認に賛成する第一の理由は、平成二年度の経済・財政運営が極めて適切であり、昭和六十一年十一月にスタートした経済成長の成果が国民の一人一人にまで及んだことであります。
 すなわち、平成二年度の国民総生産は四百三十七兆六千億円に達し、経済成長率は、名目で七・七%、実質で五・七%を確保しております。個人消費は堅調に推移し、設備投資も増勢基調にあり、雇用の好調と相まって、恵まれていない未組織労働者や職人にまで賃金上昇の効果が行き渡りました。世界の先進諸国が不況による高率の失業発生で苦しんでいる時期において、物価の上昇を抑制しながらかかる成長の果実を得たことは、政府の経済運営の手腕のあらわれであり、誇りにしてよいことと信じます。
 賛成する第二の理由は、永年の悲願であった赤字公債依存からの脱却、すなわち財政再建の第一・段階が達成されたことであります。
 新財政再建七カ年計画は、平成二年度を目標に赤字公債から脱却することを目指したものでしたが、その期間の半ばに達した時点においてもその歩みは遅々としておりました。野党の諸君からは、増税なき財政再建路線の破綻という批判をしばしば受けたのであります。しかし、ゼロシーリング、マイナスシーリングという血を吐くような苦しい予算編成、親方日の丸の体質を改善した国鉄等の民営化などの努力が実を結び、目標どおりに平成二年度には、赤字公債に頼ることなく予算を編成し、実行したのであります。
 野党が主張するような、減税しろ、歳出はふやせというような無責任な財政運営では永続的な国民の幸福とはならず、その信頼をから得ないのであります。
 賛成する第三の理由は、湾岸危機に適切に対処し、しかも、その負担を後世に残すことなく処理したことであります。
 言うまでもなく、我が国は国際社会とともにあり、国際社会の一員として生きるしか道はありません。イラクのクウェート侵攻という許しがたい蛮行を阻止し、湾岸地域に平和を回復するために国際社会で応分の負担をすることは当然のことであります。もちろん、我が国には憲法上の制約もあり、国際紛争の解決のためにはその果たす役割にも限界がありますが、野党の一部の理解と協力も得て約百十億ドルの資金拠出を行ったことは、極めて適切な措置でありました。
 このように我が国が湾岸地域の平和と安定のために資金面で最大の協力をしたことは、石油依存度の高い我が国のためばかりでなく、世界の平和への大きな貢献として特筆されるべきことでありましょう。しかも、この財源は防衛費等の削減と臨時の増税により賄うことができたのですから、財政運営としてはこれ以上のものは望めなかったと言っても過言ではありません。
 第四に、注目すべき新施策が順調にスタートしていることも理由に挙げることができます。
 例えば高齢者保健福祉十カ年戦略いわゆるゴールドプランは、二十一世紀を見据えた高齢者のための公共サービスの基盤的整備目標を定めたものでありますが、初年度の成績を見ますと、年割り額を超える実績を挙げている事項も少なくありません。関係地方公共団体の努力の成果ではありますが、政府の資源配分の配慮が適切であり、また、その執行体制がすぐれていることを物語っております。我々はなれ過ぎているために気がつかずにおりますけれども、日本の行政の効率のよいことは国際的に高く評価されており、それが新施策にも生かされていると言えましょう。
 なお、財政執行上の個々の問題について、我が党からも委員会において、国保財政調整交付金の問題を初めとして、農協の合併促進の問題、土地対策のおくれ、さらには公共事業費のフレキシブルな実施等につきましての指摘、あるいは改善意見の提示を行っております。政府は、今後一層財政の効率化と行政の適正化に努め、国民の信託にこたえるように要望いたします。
 最後に決算の議決について一言申し上げます。
 参議院においては昭和六十一年度決算以降、四年度にわたり決算の否認という事実がありました。決算の否認は、その内容に影響するものではありません。それにもかかわらず、決算の是認に反対し四年間も否認を続けることは、いかなる意味があるのでしょうか。議会制民主主義の先達である英国では、決算の審議は与野党の政治的立場を離れ、非党派的、継続的に行うと言われております。
 政治的な意見の開陳や、政治的な対決の場を決算委員会に求めるのではなく、決算委員会は決算の中身を真摯に検討する場にしたいものだと念ずるものでございます。
 最後にこのことを申し上げて、私の賛成討論を終わります。
○木庭健太郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、平成二年度決算外二件について、いずれも是認することに反対の討論を行います。
 反対の具体的理由を申し述べる前に、その前提となる決算審査の本旨について申し上げます。
 すなわち、決算の審査は、国会が議決した歳入歳出予算を、政府が所期の目的に従って適正妥当に執行したか否か、その予算に裏づけられた政策の効果が予定どおり発揮されているか否かについて判断を行うべきところであります。決算審査審議の形式については、決算を是認するか否かの二者択一的な判断だけであり、何ら警告決議を行わないで単に決算の是認のみを採決しようとすることは、決算審査の責任をみずから放棄し、国会の決算審議そのものを否定するものと指摘せざるを得ません。私は、このようなやり方に賛成することはできません。
 この決算審査の本旨に従って、以下、反対の理由を申し述べます。
 反対理由の第一は、会計検査院によって二百六十五件、百三億円ものむだ遣いが指摘されており、しかも悪質なものが多いことであります。
 法律の番人である裁判所において旅費の不正支払いがあるなど、納税者たる国民を愚弄しているものと言わざるを得ません。さらに、労働者災害補償保険の費用徴収制度について指摘されているように、通達によって法律の趣旨が骨抜きにされている事態に至っては言語道断であり、政府が法律を誠実に執行する義務を怠ったものであり、これを許すわけにはまいりません。
 反対の第二の理由は、我が党を初め、各会派の質疑を通じて明らかになったように、行財政運営について是正すべき事項が数多く存在する上、改善に向けた真摯な態度が政府に見られない点であります。
 中でも、公共工事の契約方法については、指名競争を原則としていることが業者間の談合を許し、その結果、割高な工事費が大手ゼネコンによるやみ献金の財源となっているとの指摘が数多く行われているにもかかわらず、政府は小手先の対策で済ませようとしているのであります。
 また、空港周辺整備機構の共同住宅建設事業については、着工段階から空き家が予想され、事実、空き家のまま七年間にもわたって放置し、あげくの果てには民間企業に譲渡しておきながらあくまで空き家の建設が必要であるかのように言い張り、みずからの過ちを認めようともしないのであります。
 また、国有財産関係の二件につきましては、財政活動の結果を示すものとして歳入歳出決算と一対をなすものでありますので、決算を是認できない以上、これら二件についても反対せざるを得ません。
 なお、決算審査の結果は、次の予算編成に反映されなければ意味がありません。今後、政府は決算の提出時期を早め、我々も十一月ないし十二月に決算審査ができるためのぎりぎりの努力をすることがぜひとも必要であります。
 このことを申し添えて、私の反対討論を終わります。
○直嶋正行君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となっている平成二年度決算外二件について、是認に反対する旨の討論を行います。
 反対の第一の理由は、相変わらず予算のむだ遣いが多いことです。
 会計検査院が指摘するように、平成二年度決算では二百六十三件、百三億六千二百六十五万円もむだ遣いがありました。特に、厚生省関係が四十六億円と全体の四四%を占め、九市町村による国民健康保険の財政調整交付金の不正受給、高齢者の付き添い看護料、診療報酬の不正支払いなどが明らかになっています。我が国は世界にも例を見ない高齢化社会を迎えます。出生率も低下傾向にあり、九二年は一・五〇人となりました。医療費や公的年金給付など社会保障負担が膨らむのは必至ですが、かかるむだ遣いが改められないうちに安易に国民にツケを回すことには反対です。
 ODAについても、会計検査院より、タンザニアのごみ収集車、ふん尿収集車、インドネシアのパルプ工場、インドの発電所などは、相手国との連携不足により援助効果が上がっていないと指摘されています。
 民社党は他の野党とも共同して国際開発協力基本法案を本院に提出しています。この法律の早期制定ともあわせ、ODAについては内容を厳しく吟味するよう政府に注文をつけておきます。また、湾岸平和基金の拠出金についての報告も急ぐべきです。
 反対の第二の理由は、行財政改革が不十分なものにとどまっていることであります。
 政府は国鉄など三公社の民営化を除いて、本来の行革に取り組んでいません。平成二年度は予算ベースで補助金総額は前年度に比較して二千八百八十二億円ふえて十五兆二百八十二億円となりました。許認可数も平成元年度末には一万五百八十一件だったのが、二年度末に一万七百十七件、三年度末には一万九百四十二件となっています。
 平成二年度は実質経済成長率が五・一%と日本経済は好調でした。この年度に赤字国債依存から脱却できたことは一歩前進と評価しますが、国債残高は約百六十六兆円と依然として巨額な水準にありましたし、平成五年度末には約百八十一兆円にもなる見込みです。
 税収見積もりの食い違いも問題です。補正後から見た決算では、税収が九千七百四十八億円増となっていますが、当初予算比では二兆一千十九億円も税収がプラスとなっています。
 反対の第三の理由は、生活、消費者軽視で産業本位、バブル助長の経済運営が行われたことであります。
 平成二年度は首都圏でマンションが年収の八・五倍の水準になるなど、最悪の年となりました。政府は四月から金融機関の不動産向け融資の総量規制を行いましたが、手おくれでした。また、地価税創設などの土地税制改革も先送りされました。
 また、平成三年の証券・金融国会で明らかになったように、平成二年から三年にかけては銀行の不祥事が相次ぎました。これを放置した金融当局の責任が問われます。
 平成二年度の公共投資の配分も硬直的なものに終わりました。この年、日米構造協議の中間報告がまとめられ、四百三十兆円の十カ年計画がつくられましたが、今日も硬直的、固定的な公共投資配分は続いています。
 反対の最後の理由は、議決方式が妥当でないことです。
 政府に反省を促し、本委員会での審議の成果を今後の予算編成に反映させるため、否認に際しても警告決議を行えるよう提唱します。
 米国の政治家・科学者、ベンジャミン・フランクリンは、ささいな出費を警戒せよ、小さな穴が大きな船を沈めるであろうからと述べていますが、本院での決算審議を尊重し、政府は国民の血税を一円たりともむだにしないよう警告して、私の討論を終わります。
○高崎裕子君 私は、日本共産党を代表して、平成二年度決算外二件について、これを是認することに反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、消費税導入を争点として行われた参院選挙で手厳しい国民の審判を受け、消費税を廃止することが求められていたにもかかわらず、わずかばかりの見直しで消費税の存続、定着を推進するものとなっていることです。
 しかも、税収入の減収額を数倍に水増しし、外税方式の廃止等消費税の重圧を国民の目から覆い隠そうとする内容になっていることです。例えば、消費税の税収について一兆一千億円の見直しとしていますが、現実には二兆一千億円以上、四七%も多く見積もられていることでも明らかです。
 反対理由の第二は、軍事費を前年度より六・一%増加させ、初めて四兆円の大台に乗せ、ODA予算も前年度比八・二%増の過去最高の伸びとなっており、軍事費とODAについて異常な優遇措置がされた内容になっていることです。この結果、十八兆四千億円という大軍拡である中期防衛力整備計画がほぼ達成され、P3C対潜哨戒機、F15戦闘機、E2C早期哨戒機、イージス艦など、中曽根元首相が対米約束した四海峡封鎖やシーレーン防衛などを実行する装備が整うことになりました。また、思いやり予算も前年度より約一八%もふえ、これまでの最高となっているなど、米ソが軍縮の方向に進んでいる中、日本の軍事費の拡大は容認できません。
 反対理由の第三は、大企業に輸入促進税制の創設や法人税の基本税率の引き下げなどの恩典を与えている一方で、国民には、消費税の負担に加え、厚生・国民年金と政管健保、国立大学授業料の値上げや、世界に類のない老人に対する差別医療制度、生活保護の大幅な引き下げなど、新たな負担と犠牲を強要するなどの内容になっていることです。食糧管理費は四千億円の大台を割って、九年連続マイナスです。中小企業対策費も横ばいで、一般会計に占める割合も〇・三%を切って〇・二九%となっています。
 反対理由の第四に、平成二年度予算は二次にわたって補正予算が編成されましたが、湾岸平和基金への拠出金一兆三千億円を含むもので、多国籍軍のための戦費の支出であり、憲法の平和原則を踏みにじる性格を持つものであります。一方で、多国籍軍支援の資金拠出のしわ寄せを国民に押しつけ、生活保護費の五百八十億円削減を初め、国民生活分野の経費を例年の減額補正以外に削減するという、国民にとっては冷酷な内容を持ったものであります。
 以上が、二年度決算について是認できない理由です。
 最後に、この間、佐川急便、金丸脱税・不正蓄財事件など、戦後最大の金権腐敗事件が発覚いたしました。国民は徹底した真相の解明と金権腐敗政治の根絶を求めたにもかかわらず、政府はこの国民の要求に背を向けた無責任な態度に終始したことに厳しい指摘をして、私の反対討論を終わります。
○井上哲夫君 私は、民主改革連合を代表して、平成二年度決算外二件について、是認に反対であることを表明し、以下、その理由を簡潔に申し上げます。
 第一は、財政、経済についてであります。
 政府は、平成二年度の財政運営について、懸案であった特例公債の依存体質から脱却を果たしたと強調し、財政再建に向け節目の年であったと表明しております。しかし、当初見積もりを上回る税収増に支えられ、特例公債の発行は避けられたものの、補正予算では、七千五百億円に及ぶ建設国債、九千七百億円に達する湾岸支援の臨時公債を追加発行、年度末の公債残高は百六十六兆三千四百億円、一般会計に占める公債費の割合は二一・六%と、財政の硬直化は相変わらず厳しい状況でありました。
 また、政府は当時の経済状況について、個人消費、設備投資など内需が伸展、物価と雇用も安定しており、概して順調に推移していると分析しました。しかし、公定歩合の引き上げのおくれから、いわゆるバブル経済のゆがみがあらわれ始めていましたが、適切な政策提起がなく、その後の株価の暴落や証券不祥事の発生をもたらしました。それへの反省がないことは、まことに遺憾と言わざるを得ません。
 第二は、湾岸支援拠出金についてであります。
 政府は、平成二年度において、予備費支出と二度にわたる補正予算により、GCCの湾岸平和基金に対し合計百九億ドルに上る拠出を行っております。これらの拠出金は、多国籍軍に対する資金援助であることは明らかであり、その都度、問題点を指摘してまいりました。
 また、政府はこうした拠出金の使途について、財務報告が湾岸平和基金の運営委員会から提出されると繰り返してきましたが、二年を経過した現在もその報告はないのであります。
 こうした経過は、国費を取り扱う上で無責任であり、我が国の決算制度を無視するものと言わざるを得ないのであります。
 第三は、企業と政治の癒着がまたも発覚したことであります。
 平成二年度のこの時期は、リクルート問題が尾を引いていた時期でありましたが、その陰で、今国会で取り上げられた佐川急便、大手建設業のやみ政治献金が横行、国民の怒りと政治不信を募らせたのであります。
 繰り返される不祥事について、かかわりを持つ政治家の責任追及はもちろんでありますが、こうした事態を醸し出す制度上の問題点が放置されてきたこと、関係省庁の指導と監督が的確を欠いた面のあることなど、行政上の責任も指摘せざるを得ないのであります。
 以上が、平成二年度決算について、是認できない主要な理由でありますが、最後に、おくれている決算審査を正常なスケジュールに戻し、次の決算の提出までに議了を果たすこと、また、決算審査の集約を警告として議決して、その後の予算編成、行政執行の上に反映させていくことなどは、決算重視を標榜する参議院としてぜひとも実現すべきであるとの所見を強く訴えながら、私の討論といたします。
○委員長(大渕絹子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大渕絹子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、平成二年度一般会計歳入歳出決算、平成二年度特別会計歳入歳出決算、平成二年度国税収納金整理資金受払計算書、平成二年度政府関係機関決算書の採決を行います。
 本件決算は、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大渕絹子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数により是認すべきものでないと議決いたしました。
 次に、平成二年度国有財産増減及び現在額総計算書の採決を行います。
 本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大渕絹子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数をもって是認すべきものでないと決定いたしました。
 次に、平成二年度国有財産無償貸付状況総計算書の採決を行います。
 本件につきましては、これを是認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大渕絹子君) 少数と認めます。よって、本件は賛成少数をもって是認すべきものでないと決定いたしました。
 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大渕絹子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十三分散会
     ―――――・―――――