第128回国会 厚生委員会 第3号
平成五年十一月十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月四日
    辞任         補欠選任
     菅野  壽君     松前 達郎君
     栗原 君子君     菅野 久光君
 十一月五日
    辞任         補欠選任
     菅野 久光君     栗原 君子君
     松前 達郎君     菅野  壽君
 十一月十日
    辞任         補欠選任
    日下部禧代子君     上山 和人君
 十一月十一日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     横尾 和伸君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         会田 長栄君
    理 事
                大浜 方栄君
                木暮 山人君
                菅野  壽君
                高桑 栄松君
    委 員
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                清水嘉与子君
                西田 吉宏君
                前島英三郎君
                今井  澄君
                上山 和人君
                栗原 君子君
                堀  利和君
                及川 順郎君
                横尾 和伸君
                萩野 浩基君
                勝木 健司君
                西山登紀子君
    国務大臣
        厚 生 大 臣 大内 啓伍君
    政府委員
        厚生大臣官房総 佐々木典夫君
        務審議官
        厚生省健康政策 寺松  尚君
        局長
        厚生省保健医療 谷  修一君
        局長
        厚生省生活衛生 柳沢健一郎君
        局長
        厚生省薬務局長 田中 健次君
        厚生省社会・援 土井  豊君
        護局長
        厚生省老人保健 横尾 和子君
        福祉局長
        厚生省児童家庭 瀬田 公和君
        局長
        厚生省保険局長 多田  宏君
        厚生省年金局長 山口 剛彦君
        社会保険庁運営
        部長      佐藤 隆三君
        兼内閣審議官
    事務局側
        常任委員会専門 水野 国利君
    説明員
        防衛庁教育訓練 土居  眞君
        局衛生課長
        外務省総合外交
        政策局国際社会 國方 俊男君
        協力部人権難民
        課長
        外務省アジア局 中村  滋君
        北東アジア課長
        外務省アジア局 野本 佳夫君
        中国課長
        文部省体育局学 近藤 信司君
        校健康教育課長
        運輸省海上技術
        安全局船員部船 平山 芳昭君
        舶職員課長
        労働省労働基準
        局安全衛生部労 田中喜代史君
        働衛生課長
        労働省職業安定
        局高齢・障害者 太田 俊明君
        対策部障害者雇
        用対策課長
        消防庁消防課長 猪野  積君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○社会保障制度等に関する調査
 (診療報酬改定に関する件)
 (先の戦争についての現内閣の認識に関する件
 )
 (色覚異常者に対する処遇に関する件)
 (児童家庭対策に関する件)
 (旧陸軍軍医学校跡地の人骨に関する件)
 (血液製剤によるHIV感染者対策に関する件
 )
 (輸入米の安全性の確保に関する件)
 (骨粗鬆症の予防に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、日下部禧代子君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君が選任されました。
○委員長(会田長栄君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(会田長栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に菅野壽君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(会田長栄君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大浜方栄君 まず、私は、大内厚生大臣が御就任いただいてから今日に至るまで、非常に精力的に御活躍なされておられることに対し厚く敬意を表するものでございます。大臣は、民社党党首から厚生大臣として御就任いただいた異色のまた大物大臣でございますから、私どもはそのつもりでいろいろ厚生行政に大臣の御指導をちょうだいしたいとも思っております。
 それで、厚生省は今、山積する諸問題を抱えております。御高承のとおり、その中で最も肝要なことは、今日本の医療機関の八割を占めている民間医療機関の経営基盤の安定を図るということが大事じゃなかろうか、私はこう思っております。
 大臣も御高承のとおり、国会あるいはマスコミ等でも、その中で最も焦眉の急とされているのは社会保険診療報酬の改定問題でございます。私も医師になってから四十年余りになりますけれども、今日ほど社会保険診療報酬問題のことが厳しく問われているときはございません。
 御高承のとおり、せんだって厚生省の実施した病院経営緊急状況調査によりますと、公立病院でも五〇%が赤字、民間病院ももちろん三〇%が赤
字になっていると。また実際、私どもが全国を回ってみても、大学病院の病院長あるいは医学部長でさえ社会保険診療報酬、今のままでは経営がやっていけない、こういうことを言われております。また、良心的な開業医の方々が病院経営あるいは医院経営の創意工夫をしても、自助努力をしてもなかなか活路が見出せない、こういう状況でございますので、来年の社会保険診療報酬の取り組みに当たっての大内厚生大臣のお考えを拝聴したい、こう思うわけでございます。
○国務大臣(大内啓伍君) ただいま大浜先生から御指摘になりました医療機関の経営の悪化という問題は極めて重大な問題だと受けとめております。と申しますのは、医療の一番大きな役割は国民の皆さんに対して良質な医療を提供することにあるわけでございますが、その前提は医療機関の健全な経営の確保というものが不可欠である、そう考えております。御指摘のように、公立病院においては五〇%、民間の病院においても三割、これがもう赤字経営の中に入ってきている。この状態を放置しておきますれば、当然医療の低下という問題も起こってくる。
 しかし他方、先生も御案内のとおり、国家の財政がこの両三年大変な税収欠陥に遭いましてなかなか難しい状況にあることも御存じのとおりであります。しかし、にもかかわりませず、そのことを理由にしてもし医療機関の経営改善というものを怠るならば、これは良質な医療の提供という問題に大きな支障が出てくる。
 したがいまして、大体今月の来ないしは来月の上旬に医療機関の経営の実態調査というものを正確に把握いたしまして、今の医療機関が、御案内のとおり人件費の高騰であるとか材料費の高騰であるとか薬価差益の問題といったような点から非常に経営が悪化している状況がございますので、これらを的確に把握いたしまして、来年度の診療報酬の問題を考えてまいりたい。もちろん、それに当たりましてはいろんな諸機関、なかんずく中医協等の御審議も賜らなければならないのでございますが、先生の御指摘は十分意を体しましてこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
○大浜方栄君 大臣、どうもありがとうございました。
 次に私は、社会保険診療報酬問題で平成二年の十月四日、参議院決算委員会、また平成三年の六月四日、同じく参議院の決算委員会で診療報酬体系の見直しについて、特にその不合理と矛盾という点で九項目を挙げまして政府に質問をいたしました。
 それで、私が前回に質問した九項目が今度の社会保険診療報酬の取り組みに当たってどういうぐあいに反映されるのか、その点をお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
○政府委員(多田宏君) 先生からの二度にわたります御質問の中で、大変広範多岐にわたる問題を提起されておられます。重立ったものを挙げさせていただきますと、診療報酬のあり方及びその構成、それから二番目に、いわゆる病室差額の問題あるいは看護料のあり方、公私間あるいは地域間における経営原資の格差是正の問題、あるいは許認可事項の簡素合理化、その他大変広範にわたってございます。
 こういうものにつきまして、実は中医協の方で基本問題小委員会というのをつくりまして、中長期的な観点からいろいろ先生の御指摘も含めて問題を整理いたしまして、論点整理ということを行っておりまして、その中である程度検討の方向性というものが示されたものも少なくないわけでございます。
 具体的に少し申し上げてみますと、例えば診療報酬のあり方という問題につきましては、将来的には個々の医療サービスの原価を反映させた診療報酬体系を構築するようにすべきだというような御意見でございました。これについて今後適切に対処をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、技術料の適正評価というような問題に関しましては、時間の評価あるいは危険度、難易度の評価等についてもう少し検討をしていく必要があるのではないかという御指摘もいただいておりまして、こういうものにつきましては可能なものからこの方向に沿って検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それから、特別の病室の提供等の特定療養費制度の問題でございますが、これに関しましては、患者ニーズの多様化に対する選択肢の拡大という観点から制度をより柔軟に運用する必要があるというふうに小委員会でまとめられておりまして、具体的にこれを進めるにはまた中医協の御議論を待たなければならないわけでございますけれども、特別室の割合の拡大とかあるいは予約診察の承認要件の簡素化といったような問題が検討課題になるのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、看護料につきましては、いわゆる三基準制度の見直しという問題がこの小委員会報告でも取り上げられておりまして、大変複雑化しております看護料につきまして、「現行の看護の質と量を担保するとともに現行体系との整合性に配慮しつつ、時代のニーズを踏まえてさらに向上させるために見直していく必要がある。」という方向性が示されております。この点につきましては早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、公私間における経営原資の格差是正の問題でございますが、この公私間の格差是正の問題は小委員会報告では、診療報酬で対応することはなかなか困難ではないかという考え方を示しております。また地域差につきましては、明らかに地域差のある施設設備のコスト等について一律点数設定の考え方を十分踏まえつつも何らかの対応を検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
 それから、許認可事項の簡素合理化につきましては、これは早急に検討に着手することが必要だというふうに考えておりまして、現在一般の社会保険診療報酬関係を見ますと、厚生大臣承認事項が六項目、都道府県知事承認事項が三十五項目ということになっておりますが、近年増加の傾向も見られておりまして、これらを可能な限り簡素化するということに進みたいというふうに考えております。次回の診療報酬改定時には、例えば実績期間等の承認要件を見直すとか、あるいは可能な限り届け出制の方向へ改善をするといったようなことを検討課題としてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、これらの点につきまして今後中医協においてさらに議論を深めていただきまして、その御議論を踏まえながら適切に対処をさせていただきたいと考えているところでございます。
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。私の前回の質問項目の幾つかが芽を出しつつあるということがわかりました。私は、ぜひこの上は一日も早く今局長がお述べになられたことが実効性のあるものとして、また現場の医療人がああ変わったな、よくなったな、こういう実感がわくようなものにしていただきたい、これを重ねてお願いをいたしておきます。
 それから、次は社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置についてでございます。
 従来は事業税は非課税措置がとられてまいりましたけれども、医療というのは医療法第七条にうたわれているように営利を目的にしてはいけない、こういう非営利性であります。そして、極めて公共性の高いものであります。これに一般事業と同じように事業税が課せられることになると医療の基本理念が崩れていく、こういうようなこともありますので、従来どおりぜひひとつ社会保険診療報酬に対する事業税は非課税措置を堅持していただくようにお願いをしたいわけでございます。
○政府委員(寺松尚君) 今先生が御指摘の社会保険診療報酬につきましての事業税非課税の問題につきまして、私どもの考え方を申し上げたいと存
じます。
 先生が今御指摘されましたように、医療というのは国民の生命や健康を守る大切なものであるということでございます。しかも、医療法によりまして営利を目的としてはいけないということになっておりますし、また医師法によりましては応招の義務も課せられておるわけでございます。そういうことで高い公共性を持っておるものと考えておるわけでございます。
 とりわけ社会保険医療につきましては、社会保険診療報酬という公的に定められました価格によりまして国民に必要な医療を提供するというものでございます。我が国は国民皆保険体制をとっておりますことからもその公共性というのは極めて高いというふうに考えておりまして、事業税の非課税措置もそのような社会保険医療の性格に着目いたしまして設けられたものと承知しておるわけでございます。
 今先生も冒頭申されましたけれども、私ども六月に実施いたしました民間病院を対象といたします病院経営緊急状況調査によりますと、民間医療機関の経営状況は非常に厳しいものがあるようでございます。また、予防接種でございますとか学校保健あるいは老人保健というふうな地方公共団体の行っております地域保健活動にも献身的に御努力をお願いしておるということもございまして、その辺を考慮いたしましても、当該非課税措置は今後とも堅持されるべきものというふうに考えておるわけでございます。来年度につきましての税制改正の中におきまして、私どもその存続を要望いたしておるところであります。
○大浜方栄君 ひとつよろしくお願いをいたします。
 次に、私は医療施設構造改善準備金制度の創設について述べさせていただきます。
 従来から私は、この医療施設構造改善準備金制度というのを自民党の税制調査会あるいは大蔵省当局にも訴えてまいりました。
 それはどういうことかというと、御存じのとおり、今の社会保健診療報酬体系のもとでは、新しい手術室をつくりたい、あるいは新しい機械を入れたい、あるいは病室を改造したい、診察室を改造したいとか、そういうような拡大再生産、拡大というのをとってもいいから再生産もできないような状況に追い込まれているのが一般開業医の実態であります。そういう拡大再生産に使うときに限って医業収入の八%ぐらいを損益として認めてもらいたい、こういうことをずっと訴え続けてまいりました。
 このことに関しましては、ドイツとかフランスではたとえ私的医療機関であっても一定の基準のもとでは公的助成がなされているという状況でございますから、そういうことも勘案なされてひとつこの準備金制度の創設をお願いしたいわけでございます。
○政府委員(寺松尚君) 先生がかねてから医療施設構造改善準備金制度について御提唱になっておりますことは承知いたしております。私どもも、医療施設の建てかえ等の設備投資を行うための準備金といたしまして医業収入の八%まで損金算入を認めるようにということで税制要望を行っておるところでございます。
 それはそれといたしまして、私ども、平成四年度より患者の療養環境というものを改善することが必要であるというふうなことから、民間病院を含めまして施設整備に対する補助を行っているところでございます。特に来年度の概算要求につきましてこれをさらに発展させまして、病院の衛生環境、医療従事者の職場環境等を含めました総合的な環境整備というものを助成するために、これは私どもが称しておるわけでございますが、医療施設近代化施設整備事業というものの創設を要求いたしておるところでございます。また、融資の面でございますけれども、社会福祉・医療事業団によります融資につきまして、融資枠の増額あるいは融資条件の改善というものを要求しているところでございます。
 これらをあわせまして、先生の御趣旨の医療施設の整備近代化というものを今後強力に進めてまいりたい、このように思っておるわけでございます。
○大浜方栄君 次に、私は民間医療機関の今後の役割についてお伺いをしたい、こう思います。
 御高承のとおり、日本の医療のレベルは世界一のレベルにある、世界のトップのレベルにある、私はこういうふうに思っております。それは、乳児死亡率は世界一低いし、また心臓病による死亡率も世界一低い。そのほか、胃がんの早期発見率は最も高い。平均寿命も御高承のとおり高い。さらにまた、公衆衛生の実績も世界に冠たるものがあります。これはもちろん、戦後高度経済成長を経て今日に至るまでのGNPが世界でも飛び抜けていたというようなこと、あるいは厚生省の役人さんが優秀であったとか、あるいはまたその他の医療政策が立派であったとかいう点もあると思います。あると思いますけれども、何といっても日本の医療機関の八割を占めている民間医療機関の先生方が地域医療でそれぞれ今まで頑張ってこられたおかげだと、私はこういうぐあいに思っております。
 しかしながら、先ほども大臣にお話し申し上げましたとおり、その民間医療機関が今や経営の危機に瀕している、日進月歩の医学医術を適用するにもなかなか意欲がわいてこない、こういうような状況にあります。かてて加えて、患者さんが大病院志向になっている、あるいはまた大都会の地価が高騰していって後継者難に見舞われているとか、承継税制の問題、こういうようなことで非常に意気消沈して希望を見失っている。もっとはっきり言いますと、開業医は道に迷っている、今後どうしていいかわからない、こういうのが実態でございますので、それに対して厚生省はどういうお考えでございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 開業医と申しますのは、日常の健康管理から疾病の予防、診断、治療、リハビリテーションと非常に幅広く一貫して担当していただいておるわけでございます。
 これは平成五年におきます健康保険組合連合会が行いましたデータで、毎年実施しておるわけでございますが、その調査を見ますと、約八五%の方々が、自分や家族の病歴など健康上のデータを常に管理してもらったり相談ができるいわゆるかかりつけ医というものが必要だ、こういうふうに考えておられるわけでございますが、実質持っていらっしゃる方をそのときも調査しておるわけでございますが、約三〇%程度でございます。したがって、御希望は非常に強いのでありますが実態的には持っていらっしゃらない、こういうふうなことがございます。
 私どもは、本格的なこれからの高齢化社会に向けまして、患者の病状に応じて良質な医療を効率的に提供できるシステムを整備いたしたい、このように考えておりますが、そのために病院や診療所の機能の体系化を推進するということ、また地域住民一人一人のライフステージに応じました各種の保健医療サービスを提供することができるかかりつけ医というものの普及定着を図ることが必要なんではないか、このように考えておりまして、開業医の役割は極めて大きいというふうに認識いたしております。
 そこで、このために本年度でございますけれども、十四地域の都道府県におきましてかかりつけ医推進モデル事業というのを実施していただいておるわけでございます。例えば、かかりつけ医推進委員会の設置あるいは相談窓口の設置あるいはシンポジウム、研修会というふうないろんな事業を行いまして、地域の特性に応じた事業をそれぞれ展開していただいておるわけでございます。
 厚生省としましても、そのような成果を踏まえまして開業医が地域においてその役割を十分発揮することができるような支援体制を考えていきたい、このように思っておるわけでございます。
○大浜方栄君 今寺松局長のお話にありましたとおり、日本医師会も日本医師会の歴史始まって以来かかりつけ医の推進に取り組んでおります。その手始めの一つと申しますか、せんだって日本医
師会へ参りましたら、老人訪問看護全国連絡協議会、ほかの団体もひっくるめてそういうことをやっておりました。また、寺松局長も全国行脚をして、なかなか積極的に腰を上げない医師会の方々のしりをたたいて、今後は医療の方向が変わるんだからといって督励しておられるお姿を何回も拝見し、私は頭の下がる思いをしております。
 また、今度医師の機能の評価のところで、寝たきり老人在宅総合診療料二千二百点ですか、月一回など、その他の診療報酬の面で手厚くしようとしていることもよくわかります。しかしながら、私はそういう今のかかりつけ医推進事業だけでは抜本的なあるいは総合的な対策にはちょっと足らないんじゃなかろうかという気もしますので、長期的に日本の医療がそういう方向に進んでいくから、開業医の先生方にもかかりつけ医推進事業をやって在宅医療、老人保健福祉計画の策定にも参加してもらって、いろんなそういう変革の時代にふさわしい政策を推進されようとしているのはよくわかるのでございますけれども、ぜひそれにさらなる診療報酬面の手当て、それから税制のこと、融資のこと、その他政策的な手当てをやっていただきたい、こう思います。
 私からのコメントはその程度にしておきまして、次は有床診療所の評価についてでございますけれども、現在ある有床診療所も、私は戦後この方、日本の医療保障の面で、特に地域医療の面でそれなりに大きな役割を果たしてきたものだと思っております。しかしながら、この有床診療所も経営が今非常に厳しい状況にあります。それで、次の診療報酬改定において、有床診療所に何かインセンティブを与えるようなことができないものだろうか、こう思っているんです。
 私は有床診療所の最近のアンケートを読ませていただきましたけれども、有床診療所の無床化が進んでいる、病床の年間平均利用率五〇%以下というのが三九%もあるんですね。それから、七十歳以上の入院している患者さんの占める割合が三三%ある。そういう中で、自分の専門分野の治療、役割をしたい、しかしそれがなかなかできないという人が六三%もいるんですね。そういう中で、今局長がおっしゃった在宅ケアを行っていない、往診を行っていないというのが五九%もある。それで経営困難を危惧している、恐れている人が五二%ある。私はこれはホテルならとうにつぶれていると思うんですよ。それがこういうぐあいに、今あえぎながらどうにか経営をやっている。
 これは冒頭申し上げたように、先進諸国の中では日本だけにある特有の制度で、今でも離島、僻地等ではそれなりに大きな地域医療の役割をやっているから、次の診療報酬改定ではこれに対してインセンティブを与えるようなことをやっていただきたいというのが私の要望でございます。
○政府委員(多田宏君) 先生御承知のように、有床診療所というものが今後の日本の中でどういう役割を担っていくべきなのか、どうあるべきなのかという基本的な問題が一つあるわけでございます。
 それはそれとして、そういう議論をしっかり進めて、その方向づけをした上で抜本的には考えていかなければならないだろうというふうに考えておるわけでございますけれども、当面、現実に地域医療において果たしている役割、機能というものがあるわけでございますので、その実態等に考慮を払いながら中医協で御議論をしていただいて適切な対処をしてまいりたいというふうに思っております。
 特に、今もお話のありましたベッド利用率が非常に低いと、そういうときの例えば看護、療養環境の評価というのはどういうふうに考えたらいいかというような問題、あるいは地域におけるかかりつけ医機能というものを相当担っておられるのではないかというような面から、そういう面での評価というのはどういうふうにしたらいいかというようなことも含めまして十分検討していきたいというふうに考えております。
○大浜方栄君 ただいまの多田保険局長の御答弁で今後ますます有床診療所の方々が活性化されるように、活気を取り戻すようにと、私はこう思っているわけでございます。
 私は先ほど申し上げたように、これは日本特有の医療資源でございますから、社会資本の一つでありますから、ゴールドプランの担い手に持っていったらどうだろうかとも考えております。また、専門病院として改めて位置づけできるような診療報酬の手当て、あるいは税制、金融その他の制度をつくっていってあげたらどうか。さしあたって、この次の社会保険診療報酬で三基準の見直しと関連させて少しでも活性化しようという動きがあるようでございますから、私は、ぜひひとつこれを宝の持ちぐされにしないように役所としても考えていただきたい、こう思うわけでございます。
 次に、私はST、医療言語聴覚士の資格の法制化について質問をさせていただきます。
 私はこの問題で質問するのはきょうでもう三回目なんですね。平成三年五月二十二日の参議院決算委員会でも質問をさせていただき、平成五年四月八日にも質問をさせていただきました。仏の顔も三度までと言いますから、仏じゃないんですが、大内厚生大臣も笑っておられますけれども、ぜひひとつ……。
 と申し上げるのは、今国民の大きな関心は、美智子皇后様の失語症に非常に心を痛めておるんですね。日本で言語及び聴覚の障害者が九十万人もいるんですね。そして、その医療現場では少なくとも五千七百名のSTが必要だと言われていますけれども、実際に業務に、診療に携わっておられる方々は、専門職として国家資格を持っていない人が千七百名なんです。五千七百名必要なのに一千七百名の無資格者が、非常に表現は悪いんでございますが、現場の方々は一生懸命働いておられるけれども、無資格者の方々が千七百名しか携わっておられない。
 それで、昭和六十三年に二十六の医療及び歯科医療の団体、学会が集まりまして、医療言語聴覚士資格制度推進協議会が結成されて今日まで、早く医療STの国家資格を制定してくれということを切実に要望し続けたけれども、いまだにそれが実現できていない。しかもその方々は、資格を持ったPT,OTの方々に比べて社会保険診療報酬その他のあれがないものですから、PT,OTの方々の三分の一あるいは四分の一程度の報酬で頑張っておられる、こういうことでありますから、この法制化の実現に向けてぜひひとつやっていただきたい。
 また、きょうここに御出席の前島先生もこの問題に関しては非常に御心配をなされて団体の方々とも接触をしておられるようでございますので、ぜひこれを、きょうは三度目でございますから、大内厚生大臣、私は非常に大臣にすがるような思いでございます。役人は何やかや言ってなかなかしてくれないんですよね。
○政府委員(寺松尚君) 今先生から三度質問に立っているとおっしゃられましたけれども、他の先生からもいろいろ御質問いただいているわけでございます。いろいろそれぞれの立場から御心配になっておることは承知いたしております。
 ところが、関係の団体の中で、特に大ざっぱに申し上げれば、医療の分野にいらっしゃる方々あるいは教育の分野にいらっしゃる方々、この方々の御意見がなかなか一致しないというのが関係団体の意見が一致しないと、こういうところにあるのだろうと思います。そこが、今先生が御指摘のように、ここ二、三年、二十六団体の方々がお集まりになりまして非常に積極的に御議論をされているように聞いております。したがいまして、私どもその御議論を踏まえまして、その結果が取りまとめられれば、関係団体等の御意見が合意に達せられれば積極的に資格化のための努力をいたしたい、このように思っておるのでございますが、今どの時期にという、すぐ明日からとかいうふうにはなかなかいかないようでございます。
 と申しますのは、関係の団体の方々が反対の御意見があるというよりも、意見が一致しないとい
う方々がいらっしゃいますとその後の制度自身の運営にも支障を来すものでございますから、でき得る限り合意に達していただきましてお願いしたい。そして、それに基づきまして法制化といいますか、資格化のために私どもが努力をいたしたい、このように思っております。
○大浜方栄君 この問題はまた後でお話しさせていただきます。
 次に、診療放射線技師の養成についてでございますけれども、診療放射線技師の養成は四年制大学に限るべきであるという意見もあります。しかしながら、医療現場ではこの診療放射線技師の不足で非常に困っております。ある面からいうと看護婦不足以上に困った面があるんです。
 私はここに今新聞記事を持ってきておりますけれども、無資格者でレントゲン撮影をやらざるを得ないことになって、もう警察ざたにまでなっておるんですよ。もちろん、法を犯すということはいけないんだけれども、このコメディカルを養成するというのは政府の役割でございます。実際にまた医療現場に行くと、猫の手もかりたいような忙しいとき、あるいは生命の危機、一刻も早く命を救わなきゃいかぬというようなときには、あえて法を犯してでもレントゲン撮影をしなければいけない場面に追い込まれる。
 そういうことがあるからぜひ放射線技師の養成も、あえて私は非難を覚悟で申し上げさせていただくと、往々にしてそういうコメディカルの養成計画に関しては関係団体が圧力をかけて、審議会に委員を送ってできるだけ養成数をふやさないようにするということがあるやに聞いております、自分たちの既得権益を守るために。したがって、実際に今、診療放射線技師の月給は看護婦さんよりも高いんです。非常に困っておる。かえって医療費の高騰を来す、そういう面もありますから、診療放射線技師の養成に関しては行政当局もぜひひとつ御努力をいただきたい。
 放射線技師の需要が日進月歩の医学に追いつくために、あるいは高齢化社会を迎えてあるいは予防面の点で必要性はちょうちょっとしませんけれども、この新聞記事をひとつお配りしますからぜひ見ていただきたい。
○政府委員(寺松尚君) それでは、今先生が御質問の診療放射線技師の問題につきましてお答えを申し上げたいと存じます。
 今先生御指摘のような問題がいろいろあるというふうには私どもも承知いたしておるわけでございます。不足しておるという声があちこちから出ておるということも聞いております。そこで、昨年でございますけれども、私ども関係者、有識者から成ります診療放射線技師需給計画検討委員会というものを設置いたしまして、現在の養成定員のままでは非常な不足が起こるというようなことの御指摘がありました。そこで、私どもも養成定員の増を図ることが必要であるというふうな報告を受けて、そのための努力をしよう、こういうことにしているわけでございます。
 この養成の増の計画でございますけれども、地域の状況等も勘案しながら、必要な診療放射線技師の養成数の確保に努めるということにいたしたいと思っておりますが、その際にやはり診療放射線技師の質的な向上ということも大事でございます。量的な確保だけでなくて質的な向上も重要でございますので、その辺も勘案しながらやっていきたいと思います。
 最近お聞きしますと、文部省の方でも新設の大学が何カ所か今計画中でございまして、六、七年ごろにはオープンするというふうなことも聞いておるわけでございますので、私どもの厚生省指定の養成所の件につきましても、質的な向上を考えながらいろいろと対応してまいりたい、このように思っております。
○大浜方栄君 ひとつよろしくお願いをいたします。
 次に、規制緩和についてでございますけれども、高齢化時代を迎えて、WAC事業、ゴールドプラン、老人保健福祉計画の策定等で、病院と老健あるいは特養と合築の機運が出つつあります。これらを合築する場合の施設の共用などについて規制緩和を進めて事業者の負担を最小限度にすべきである、私はこう思っております。
 これは何も事業者の負担だけじゃなくて、人、物、金、システムの効率化を図る上においては必須のことでございますので、これに対する厚生省の御見解を拝聴したい、こう思います。
○政府委員(寺松尚君) 御指摘の病院と老人保健施設あるいは特別養護老人ホームにつきましては、それぞれの施設の機能に応じまして必要な施設基準等が定められているというのは御承知のとおりでございます。
 これらを合築します場合にどのような部分について共用を認めても支障を生じないか、またどのように管理責任をとるのかというようなものなど検討すべき問題があるわけであります。しかしながら、一方、利用者の利便あるいは敷地の有効活用、施設の効率的な利用という観点もございます。そのようなことを勘案しながら基本的には推進していくべきだ、このように思っております。
 したがいまして、規制緩和の推進という観点からも、今後具体的に関係部局とも相談をしてできるだけそれが実現するように努力いたしたい、このように思っております。
○大浜方栄君 規制緩和は世界の流れであり、また細川内閣の大きな目玉政策の一つであります。大内厚生大臣が御就任に当たって、今規制されている項目の中の一割を年内に自分は削減をしていくんだというお言葉を拝聴したときに、はっきり申し上げて私は感激しました。規制緩和を私はもう数年前から自民党の社会部会であるいはまた財政部会でもその主張をしてきたからでございます。
 先ほどの大臣のお話にあったとおり、財政は非常に厳しくていろいろ予算づけのことはできないかもしらぬけれども、規制緩和は役人の抵抗を打ち破ったらできるわけでございますから、ぜひひとつ、さすがは大内厚生大臣、異色の大臣だと言われるような、これは私は最も大臣にふさわしいお仕事の一つだと思う。病院と老健と特養ができると、玄関が一緒でなければいかぬとか、エレベーターが一つでなければいかぬとか、そういうのはもう今の時代ナンセンスでございますから、これはぜひひとつ大臣のツルの一声でしていただきたい、こう思います。大臣の御答弁は結構でございますから、厚生省が各省庁に範を垂れるような規制緩和策をぜひひとつ大臣の御在任中にしていただきたい、こう思うわけでございます。
 次に、政管健保の成人病予防健診の実施機関についてでございますけれども、先ほどから申し上げているとおり、民間医療機関は今経営にあえいでおります、経営基盤が非常に不安定で。それで、その活性化の一つに、また治療よりは予防と言いますから、政管健保の予防健診に民間医療機関をもっと活用していただきたい。
 私のところに陳情に参っているところでは、あえて地域は申しませんけれども、人口五十万余りのあるところで、民間医療機関の政管健保の人間ドック病院等成人病予防健診の指定がされていないというようなことも漏れ承っておりまして、私ちょっと調べてみたんですけれども、実際にはそう言われるほど偏っているわけじゃなくて、民間医療機関もそれなりに役割を果たしているところがございます。
 今、民活が言われ、医療経営基盤の不安定が叫ばれているときでございます。もちろん、民間医療機関にもそれなりの精度管理が必要なことは当然でございますけれども、その点また御高配のほどをお願いしたい、こう思うわけでございます。
○政府委員(佐藤隆三君) ただいま御指摘の政管健保の成人病予防健診でございますが、保健福祉施設事業の大きな柱といたしまして実施しておりまして、その健診の実施機関といたしましては健康保険病院を中心として実施してきているところでございます。必要に応じまして一定の機能を有する公的医療機関あるいは民間機関も活用しているところでございまして、健診事業の拡大に伴いましてこれまでも健診をお願いする民間の実施機
関を着実にふやしてきているところでございます。
 今後とも、健診対象者の拡大あるいは実施機関の分布状況、こういったものを勘案いたしまして、民間医療機関の一層の活用を図りましてこの健診事業の円滑な実施に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○大浜方栄君 そのほかに、医療費の財源、あるいは年金受給者の入院、入所時における年金の活用等について質問をする予定でございましたけれども、時間が参りましたので私の質問はこれで終わらせていただきますけれども、私は冒頭申し上げましたように、大内厚生大臣には多大な御期待を申し上げております。
 それは、従来の自民党政権の、私も自民党員でございますけれども、先ほどのSTの問題にいたしましても規制緩和の問題にいたしましても、私が国会議員になってから大臣が恐らく七、八名はかわったんですけれども、同じことを何回も何回も言ってもなかなかできない、こういう点がございますので、大内厚生大臣には私の今の質問をお聞きになられてぜひひとつ御高配を賜りたい、こう思うわけでございますけれども、最後に大臣の御感想を拝聴したい、こう思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 先ほど来大浜先生のいろんな提案をお伺いしておりまして、一つ一つが身にこたえる非常に大事なかつ建設的な提案ばかりであると信じております。
 私は、事務当局の皆様にも、少なくとも大臣が公的な場で発言したことについてはこれは断固として実行に移してもらいたいということを厳しくお願いしているわけでございまして、先ほど来各局長から答弁されましたことにつきましては、私自身の責任においてこれを実行するように一生懸命努力したいと思っている次第でございます。
○大浜方栄君 どうもありがとうございました。
○木暮山人君 引き続きまして、自由民主党の木暮山人が質問させていただきます。
 第一、医療経済実態調査と医療費改定の問題につきまして、五点ばかりひとつ質問させていただきたいと思います。
 第一は、中央社会保険医療協議会においては、この六月、医療経済実態調査を実施し、五十分の一の歯科の診療所が対象になっていると聞きます。この実態調査は統計学上から見ても適正な数として評価されていると思います。しかし、その数値はいつ発表をするおつもりでありますか、これをまず一つ聞きたいと思います。
 そもそも中医協では医療費の改定についての議論が中心になるのが当然と思われますが、どうもそのような議論が重ねられているようには思えない。これも中医協懇談会が非公開になっていることと何か関係があるのではないかと思われるのでありますので、できれば昔のように公開して、議事録などの公開もあってよいのではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
 医療経済実態調査の結果を見て次期医療費改定の議論がなされるような話でありますが、もっと双方の議論ができるような時間が必要とお思いになりませんか。既に十二月の末に概算要求の調整が行政府の中で済んでしまうとなりますと、時間的に余裕が余りなさ過ぎるのではないかと思うのであります。
 今般の医療経済実態調査の結果を見ないとはっきり言えないことですが、昭和五十九年、六十二年、平成元年、平成三年の実態調査から推して、歯科の収支差額は構成比率からいくと恐らく三三%台かあるいはそれを割り込んでいると予想されますが、それはともかくとして、この調査を次回の医療費改定にどのように生かそうとしているのか。
 また、経営の安定化が医科、歯科、薬科から叫ばれている折から、収支差益も含めて改定幅はどのくらいが妥当と考えておられるか、また実態調査の結果をどのように改定に当たって生かそうとしておられるのか。
 この五つの問題につきまして、まず厚生大臣の御所見等をお伺いさせていただきたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 今、木暮先生御指摘の五点の問題、漏れている点は後で局長の方から補足をさせますが、まず一つは実態調査、これはいつごろ本当にまとめ、公表されるのかという問題でございます。できるだけ年内にこれをまとめまして、その発表時期がどのぐらいになるかまだ確定しておりませんが、まとまり次第早急に発表したいと思っているわけでございます。
 来年度の診療報酬に向けましてそういう実態調査をどのように勘案していくか。これはもう当然診療報酬決定の基礎になるデータでございますので、この実態調査の結果についてはもちろん診療報酬を決定する上で重要なファクターとして検討してまいりたい。
 改定幅はどのぐらいになるかという問題は、今の段階で申し上げる段階ではございませんし、また、いろいろ各審議会等でも、単なる意見書をちょうだいするだけではなくて御答申もいただかなければならぬという問題でございますので、これは差し控えていきたい。
 中医協のあり方等についてもいろいろ先生が御意見をお持ちになっていると。これは全体の審議会にもいろいろ言えることでございまして、その審議というものが文字どおり国民的な立場に立って公正な結論を出していただくということが大事でございまして、中医協におきましてもそのような努力が払われているものと考えている次第でございます。
 残余の点は各局長から答弁をさせていただきます。
○政府委員(多田宏君) 中医協の行いました医療経済実態調査の調査結果につきましての御指摘でございますが、従来、最終的な計数をまとめて出すのは一年後ぐらいのことになりまして、当面、速報値というものをたたき台にしながら中医協で議論をしていただくという動きになっております。
 この速報値についてはこれまで、中医協が実施した調査でございますので中医協でどう扱うかということをお決めいただくことになっておりましたが、従来はこの速報値は公表をしないという扱いになっております。先生の御指摘でもありますので、中医協の方に御相談をさせていただきたいと思います。
○木暮山人君 そこら辺はひとつしっかりお願いします。
 次に、診療報酬改定と大臣告示の影響についてお伺いさせていただきたいと思います。
 歯科の診療報酬改定は五十九年から一%台で推移しておりますが、医療経済実態調査の医業費用が次第に増加しているのは明らかでございます。したがって、改定率が低くて医業費用が増加すれば当然収支差益が減少することになり、また実態はそのようになってきております。
 第二番目に、医療界全体が低い改定率で抑えられてきたのであればそれはそれで理由があったと思われるが、依然として医と歯の間の改定格差があって、歯科だけが差別され低く抑えられている理由は今のところ判然としておらないのであります。
 第三点としては、特に昭和六十三年五月には厚生大臣告示がなされ、歯科補綴の製作技工に要する費用と製作管理に要する費用がおよそ七対三であるべきことの大臣告示があり、その結果もあって外注技工料の構成比率は著しく高くなっております。そのことは大変結構なことでありますが、大臣告示を守ろうとしている歯科に対して何の保障もしないでよいとする理由はないと思います。これはいかがなものでしょうか。
 また、人件費等の構成比率もこれから下がることは予想しにくい現況にあると思います。この外注技工料も含めて経営安定のためのスライド制等の別手当が必要と考えられます。
 以上、四点につきまして大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 一つは、大臣告示についてでございますが、これまでの大臣告示という
のは相当各般の意見も聴取をいたしまして、それが実行に移されるように、またその可能性があるものについて公正な立場から行ってきたと思うのでございます。また、そういう告示が先生御指摘のように守られたり守られなかったり、あるいはその中身についていろんな問題が出てきたりというような場合におきましては、もちろんケース・バイ・ケースに従いましてこの問題を的確に処理する。修正するということももちろんあり得るわけでございます。
 これから人件費の比率がだんだん高くなってくる、したがってそれを外注等に出すこと等についてもいろいろ配慮すべきではないか。あるいは医科と歯科との間のいろんな差があるということも私どもよく聞いておりまして、これらはもう当然正しい診療報酬の保障という問題に尽きるわけでございますので、もしそういう不合理があるとすれば、これからの診療報酬の改定等の中でやっぱり正すべきものは正していかなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
○木暮山人君 ありがとうございます。そのようにひとつお取り計らいのほどをお願い申し上げます。
 次に、医療費の自然増につきまして一つお伺いさせていただきます。
 医療費の自然増が一兆円と言われ、日刊紙等でも報道されております。医療費改定率の計算以外に増加した医療費として考えてよいと思いますが、歯科にとっては、改定がなされた年度は前年対比でわずかであるが増加いたしております。歯科の疾病構造等の理由はあると思いますが、改定された翌年にはほぼ影響が出てこない。それが歯科の特徴なのかもしれませんが、要するに医療費一兆円の影響は歯科には及んでいないことになると思います。そうであれば、歯科は当然のことながら毎年医療費改定を行わなければならないと思いますが、いかがなものでございましょうか。
 今のところ二年に一回の割で医療費改定が続いているが、そもそも二年に一回とする理由はどこにもないと思います。そのことについて中医協の中で議論されているのですか。実は、そのことが医師、歯科医師間の所得格差にもつながり、医療費総額における歯科の占める比率が平成に入って落ち込んでいることでも理解できると思いますが、いかがなものでしょうか。これにつきましてもひとつ大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘のように、医療費が毎年二十四兆の上に一兆円ずつ増大してくる、これはゆゆしき問題でございまして、我が国のみならず世界各国でも今大きな問題になっております。
 したがって、私ども厚生省といたしましては、国民の医療費負担が過大にならないように、レセプト審査の充実あるいは診療報酬の合理化あるいは医療費の適正化を図るための諸対策を今検討し、来年度に向けてはその大改革をやろうとしているわけでございます。
 今先生から御指摘がございましたその一兆円の医療費の増大の恩恵は歯科についてはほとんど受けていない。したがって、医療費の改定についても二年に一回ということになっているけれども毎年一回やれというようなお話もございまして、中医協ではその辺はどのように議論されているかという御指摘でございますが、中医協等の内部の問題につきましては局長の方から答弁をさせていただきたいと思っております。
○政府委員(多田宏君) 診療報酬の改定が二年に一度という問題につきましては、中医協の方の議論に基づいてそういう処理が行われているというふうになっております。
 先般の小委員会報告におきましても、改定のルールについていろいろ議論をされておりますけれども、まだ歯科についてどうするという具体的な御議論までは進んでいないというふうに考えております。
○木暮山人君 しかし、その辺もよくひとつ御考慮を賜らないと困るのであります。時間がございませんから先に進んでいきたいと思いますが、ひとつ後ほどまた御指導賜りたいと思います。
 一つは、感染対策であります。
 アメリカ防疫センター、CDCによる歯科におけるB型肝炎、エイズの血液由来の感染症についてはいまだ疫学的研究により明確にされておりません。歯科医療従事者から患者への感染の機会は少ないだろうという報告があります。少なくとも一九八七年以降、歯科医から患者へのB型肝炎の感染は報告されておりません。しかし、依然として歯を削る切削器具であるハンドピースについては信用されていないように見えます。CDCでは、各患者ごとに加熱滅菌することが望ましいと報告し、製造業者の指示に従うよう報告もしております。
 多くの場合、ハンドピースは使用後、洗剤と湯水で十分に洗浄いたしまして、加熱滅菌の前後にクリーナーや潤滑液でハンドピース内部をスプレーするのが通例であります。これをやるだけでも冷却時間も入れまして約一時間近い時間を要することになります。どんな小さい規模の診療所でも最低十二本の切削ヘッドが必要になってくるわけでありますが、このタービンヘッドの価格というものは非常に高こうございます。これを要求に応じてそろえるということになりますと、これは多大な出費になるわけであります。
 例えば、患者さんに使用するコップが使い捨てでない場合は加熱滅菌して患者ごとに取りかえているのが通例でありますが、このような感覚で前の患者に使用したハンドピースは取りかえてほしいと要求する患者に対しては、現行の医療制度ではなかなかなじまないようでございます。診療報酬で評価できないのであれば、これは患者の負担に任せてもよいのではないかという議論があります。これについてはどんなお考えでございましょうか。
○国務大臣(大内啓伍君) 先生御指摘の問題は、最近マスコミ等でも非常に重大な問題として取り上げられてきておりまして、御指摘のようなB型肝炎やエイズの感染防止のために、特に歯科段階におきまして患者に治療を行うに際しまして、いろんな特別な配慮、特別な措置というものが必要になってきていることは御指摘のとおりでございまして、今御指摘のタービンヘッドの問題についても非常に高価なものであるということもお伺いをしております。
 したがいまして、これをただ患者負担でいくか、それとも診療報酬上の問題として適切に対応するかという問題がございますが、やはり基本的には診療報酬上の対応としてこれから検討をする。必要があると私どもは考えておりまして、B型肝炎やエイズに対する一般的な予防対策のために必要な費用につきましては、これは医療機関の運営コストといたしまして適切に対処していくことが必要である、そのためには関係のいろんな審議会等におきましても御議論をお願いしたい、こう考えている次第でございます。
○木暮山人君 ひとつなるべく早く解決するように御指導のほどをお願いしたいと思うのであります。
 次に、再び義歯について質問させていただきます。
 私は、本年六月三日の厚生委員会で義歯について質問させていただいたわけですが、既に医療経済実態調査も終了しておられるようでありますし、再び質問させていただきます。
 保険医療において良質の義歯が製作できるように努力し、中医協の議論も踏まえて処置したいとのありがたい御答弁をそのときいただいております。深い御理解をいただいていると感謝しております。現在は既に次回の医療費改定の詰めに入っているところであると考えられますので、今般の医療経済実態調査等からこの義歯の不採算性についての実情把握ができているようであれば、ひとつその辺のお答えをいただきたい。
 また同じ日に、医療費改定に必要な財源について、保険料の値上げ、患者の負担増あるいは租税負担というような三つの考え方があるかどうかという質問をさせていただきました。医療保険審議
会における審議の検討項目の一つであるので、審議会の審議を踏まえてお答えするようなお話でございましたが、医療保険審議会も既に中間報告をお出しになっている現在、厚生省としては何らかの方向を見出さないといけない時期に来ているのではないかと思いますが、これについての御意見はいかがなものでございましょうか。
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘の点は既にその方向が示された、私どもはそう理解をしております。
 と申しますのは、九月二十四日に中医協の診療報酬基本問題小委員会報告というものが出されておりますが、その中では、「義歯については保険診療上適切な対応が図られてきたが、高齢化社会における義歯の重要性にかんがみ、技術料や再製作期間、管理調整などの問題を総合的に検討していく必要がある。」こういうふうに御意見を賜っておりますので、私どもといたしましてはこの方向に沿いましてこれを実現していくという方向で努力していきたい、こう思っております。
○木暮山人君 もう一つ、医療費の改定の財源については、またそれも加えて御勘案のほどをひとつお願いしたいと思います。
 次に、休日の扱いについて御質問したいと思うのでございます。
 今日では、日曜祭日に限らず祝日もふえ、大層喜ばしいことであります。先日は、祝日を固定しないで祝祭日を土日に連動できるようにしてはどうかという議論があり、国民の関心の高さがうかがえます。国民的祭日ではないが、例えば五月の連休であるとかお盆の時期であるとかは現在ではほぼ一斉に休日になることが固定されてきております。この時期はもちろん医療機関もその例外ではないし、この時期休診することを制限するわけにもいかないと思います。
 そこで、日曜日及び国民の祝日に関する法律に規定する休日以外に休日加算の対象となる休日の取り扱いにすべきということでございますけれども、大臣はこれについてはいかがな御所見をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(大内啓伍君) これはまだ非常にホットな問題でございまして、連休等が続いた場合にその間に普通の日が入ってしまう、そうするとなかなか一遍に休みをとることができない。またそこからいろんな不都合も生まれるし、また利益も生まれる。
 そこで、内閣としてこの問題を一回総理府を中心にいたしまして検討しようというところになっておりまして、まだ答えが出ている問題ではございません。その問題についてある程度の答えが出た段階におきまして、先生の御指摘の問題についても当然検討されなければならぬ、こう思っております。
○木暮山人君 どうもありがとうございます。今のは休日加算でございますから、そこら辺も御考慮の中に入れてひとつ御勘案願いたいと思います。
 次に、ゴールドプランの見直しにつきまして大臣にお聞きしたいと思いますが、大臣は御就任後、盛んにゴールドプランの見直しが必要であると発言されておりましたが、その内容については具体的には報道されておりません。その内容はどんな方向であるか、それをひとつお聞かせいただきたい。
 そしてまた、大臣も御承知のように、歯科界におきましては八〇二〇運動を展開し、八十歳で二十本の歯を残そうという運動を推進中でありますが、実はその運動にそぐうような周囲の法的な整備がなされていないわけであります。七十歳になりますと、途端に歯周病すなわち歯槽膿漏等の検査やあるいは治療内容を保険が責任を持たなくなってしまうということで、治療計画も変更せざるを得ない現状に今あるわけであります。この部分は老人保健にかかわる部分なので、ぜひ中央社会保険医療協議会等で御検討いただきたいと思うのであります。
 老人にかかわる部分でもう一つの問題は、老人保健法の事業に歯科の検診が入っていないことに端を発しておりますが、現在、厚生省で老人保健福祉計画を進められており、その計画進展状況も時々発表がありまして市町村の取り組む姿勢が明らかになりつつあります。しかし、歯科保健の事業計画についてはいまだ判然といたしておりません。重点健康教育として取り上げられておる八項目の一つにあるわけですが、この計画の中に果たしてどのような形で口腔保健を取り上げていただけるのか。
 以上、三点につきまして御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) ゴールドプランというのはもちろん立派な計画でございますが、これからの介護に対する需要の増大、そのためのマンパワーの確保といったようないろいろな問題を考え、かつこの問題は先生御指摘のように市町村段階でそれぞれ計画を立てるということになりますので、そこにいろんなアンバランスも起こってくる、あるいは私どもが考えた計画よりか実態としては違った要望も出てくる。したがって、それらを勘案しながらこのゴールドプランについては何らかの見直し、強化というものを行う必要があるであろう。
 もちろん、実はホームヘルパーの確保の問題にいたしましても、これはすぐれて財政的な裏づけが必要なものでございますために、多々ますます弁ずというわけにはいかない。そこに私どもの苦労もあるわけでございますが、少なくともそういう現場における需要にこたえるような計画に見直していかなければならないであろうという見通しから、ゴールドプランの見直しとか強化という問題を申し上げてまいりまして、かつ看護婦のいろいろなステーションの設立てあるとか医療器具の整備といったような問題、実はゴールドプランにはなかった問題が新たに出てきているわけでございます。
 そういう中で、歯科関係の、口腔外科と言うんでしょうか、等のいろんな御指摘の諸問題をどう取り扱ってくれるのかというお話がございましたが、正直のところまだそこまで我々の考えが及んでおりません。したがいまして、先生の御指摘、御示唆も踏まえまして、ゴールドプランの中でそういう問題が消化できるかどうか、誠意ある検討をさせていただきたいと思っている次第でございます。
○木暮山人君 そのゴールドプランでございますけれども、やはり今押せ押せになっておりまして、実態が対策よりも進んできているような状況であります。でありますから、これを調整していくのはまだまだ大変だと思います。そこで、十カ年計画という長期計画を立てまして、そしてバランスをとりながらやっていくということになるのではないかと思っております。その間にバランスが崩れた場合は、いろいろと是正していって一応現況に合わせていくんだということで、非常にいい長期計画だと私たちは思っております。
 その点、今質問いたしましたように、特にお年寄りの入れ菌とか治療につきまして、七十歳を超しますともうどうでもいいんだ、歯槽膿漏なんて保険の適用がなくたってそのうちどうにかなっちゃうんじゃないかというような今のところはそんなものでございますから、そこら辺もちゃんとこれをひとつ踏まえまして対応していただきたい、こんなふうに考えております。
 次は、二次医療法の改正というものがあったわけでございますが、その医療法の内部というものはまだ充足はしておりません。いろんな問題が出てくる。それを質問いたしますと、今からいろいろ審議会に諮問して、それで答申を得てやっていくんだと。これはもう何ともそれに対して言いようがございませんけれども、やはり厚生省主導型で事務局を運営しているわけでありますから、そこら辺、できましたらやはり大臣任期中に、十五年ぐらい先、二十年先ぐらいまできちっと御指示を賜っていっていただきたいな、こんなふうに思うわけであります。
 また、医療を取り巻く環境は今一段と厳しさを増してきています。制度そのものの見直しの必要
性が高まってくるものと思われます。例えば社会保障制度審議会、医療保険審議会を初め医療法人制度の見直し等、すべてがその方向にあると思います。中央社会保険医療協議会の中でも診療報酬点数表の診療所と病院との区分の検討もあったようでありますが、病院の歯科の診療科について同じく検討していただきたいと思います。
 また、病院歯科は今日の高齢化社会を迎えて大変重要な役割を持っております。例えば在宅あるいは老人施設において療養されている方々は歯科医療サービスの恩恵に浴していないのが現状であります。一般歯科診療所では歯科医療サービスを提供するには限界があります。医療器具はもちろんのこと、療養されている方々の病気の現状等を配慮すれば、その方々のためには二次医療機関としての病院歯科にお願いするほかないと思います。入院施設を持っておられ、また有病者の取り扱いに十分熟達されている歯科医師がこれに当たることが当然と思います。
 このようなことを考えますと、病院歯科以外にも病院のあるべき姿を医療法の中で再度見直しをし、機能を発揮できるような改正が必要と思います。第三次の医療法改正の構想があるやに聞いておりますが、あるならば、どのような部分をどうやろうとしているのか、大臣の御所見も聞きたいと思います。
 先ほどもちょっとお話になりましたけれども、今般の特に二次医療法改正で診療科名の標榜について改正がなされ、既に医道審議会の中に専門委員会が設置されて検討が始まっているように聞いておりますが、一向にその中身が明らかにされていない。一体どのような検討が加えられているのか、そこら辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
 確かに、申請された診療科名についてに直ちに決定できない種類のものもあると思いますが、一方を認めると一方が反対するということで検討が進まないというのはどうか。その部分を乗り越えるために専門部会が設置されたと思うのでありますが、整理のついていると思われる顎口腔外科または歯顎口腔外科の標榜については一日も早く認めていただかねばなりませんが、あわせてこれ最後に大臣のひとつ御所見をお願いしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 木暮先生から数々の大事な御指摘をいただきました。それぞれ検討に値する問題ばかりだと思います。
 実は、医療法の第三次改正をどうとらえているか、考えているかというお話でございますが、現段階において厚生省として第三次の医療法の改正に着手しようという状況にはまだなっておりません。ただ、第二次医療法改正のときに附則の第三条におきまして、今後一層検討せよという附則の規定がございますので、先生御指摘のような諸問題がございますのでこれは順次検討していくことになろうと思いますが、現段階においては医療法を例えば来年度において改正するといったような意向は固めておりません。
 また、その他の御指摘である口腔外科を要するに診療科名にすべきではないかと。私も個人的にはいろんなお世話になっている面もございまして、私自身ではなくて家族がございまして、非常に関心を持っているのでございますが、先生も御指摘のように、医療法の制定時、これは昭和二十三年でございますが、このときはその科名が十一でございましたものが現在三十三になってきている。そして、口腔外科の科名新設を初めといたしまして今二十四ぐらいの新たな要請が出ているわけでございます。
 したがいまして、先生御指摘のような必要性も相当あると考えておりますので、これから医道審議会、ここが検討をする審議会でございますので、そこに御検討をお願いいたしまして、その結論を踏まえて、先生の御意見も十分体しながら問題を処理したいと考えておる次第でございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございます。
 この医道審議会なんでございますけれども、ただいま勉強中とかなんとかいいまして、もう半年ぐらい開かれていない。ここら辺、何かもう少しスムーズに議事が進みますように、ひとつまた大臣の方からよろしく御指導のほどをお願い申し上げたい。
○国務大臣(大内啓伍君) 努力させていただきます。
○木暮山人君 まことにありがとうございました。これで終わります。
○尾辻秀久君 私は、細川内閣の戦没者遺族処遇に対する考え方と今後の取り組みについてお尋ねをいたします。
 そこで、まず細川内閣のさきの戦争に対する評価、見解をお聞かせください。これは非常に重大な問題でありますから、ぜひ文書にして出してくださるようにお願いをしておいたんですが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(大内啓伍君) 細川内閣として文書でというお話になりますと、これは内閣全体の問題になりますので、厚生大臣として直ちにお約束するわけにはまいりません。しかし、先生の御意向につきましては、そういう要請が厚生委員会においてなされたということを私の方から報告をいたしまして、何らかのお答えをしたいと考えております。
○尾辻秀久君 これは今始まったことではなくて、既に非常に多くの議論を呼んでおることでもありますし、あらかじめ通告しお願いをしておったことでありますから、私はその御答弁では納得できません。ぜひ出してください。
○国務大臣(大内啓伍君) 細川内閣としての見解を出せという問題は、厚生大臣の答えをもってできることではありません。
○尾辻秀久君 それでは、なぜお答えいただける方がおいでにならなかったんですか。私は通告をしておきました。
○国務大臣(大内啓伍君) 今厚生大臣に対しまして細川内閣としてその問題に対して文書で回答を出せと、こういう要請でございましたので、厚生大臣としてそれを直ちにお約束するわけにはまいりませんと答えたのでございますが、外務省からも来ておりますので、外務省から答弁をしていただくようにいたします。
○説明員(中村滋君) これまで、細川総理が侵略戦争あるいは侵略行為といった表現を用いられ、過去の大戦の関係につき御認識を示されてきた経緯がございます。総理の御発言につきましては、さきの大戦において多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたとの認識を率直に述べたものと考えております。
 いずれにしても、政府としては、過去の我が国の行為が多くの人々に耐えがたい苦しみあるいは悲しみをもたらしたことにつきまして、深い反省とおわびの気持ちを抱きつつ、今後一層世界平和のために寄与するということによって我々の決意を示していきたいと考えております。
 なお、いわゆる戦後処理の問題つきましては、我が国はサンフランシスコ平和条約あるいは二国間条約その他条約などによりまして誠実に処理してきておりますところでありますので、このような立場について見直しを行うことは考えておりません。
 以上が我々の考えでございます。
○尾辻秀久君 じゃ、まず確認をさせていただきますが、今の御答弁は内閣を代表した御答弁だと、このように理解していいですね。
 それから、あわせてお尋ねをいたしましょう。
 記者会見における、侵略戦争であった、そして間違った戦争であった、さらに所信表明演説における侵略行為があった、この発言は、これも細川内閣の見解であると理解してよろしいですか。
○説明員(中村滋君) お答え申し上げます。
 私の申し上げましたことは、これまで総理におきましても御発言いただいてきているところでございます。
 また、今御質問の点で、侵略戦争、侵略行為の件につきましては、総理から、さきの大戦により多くの人々に耐えがたい苦しみ、悲しみを与えたことへの率直な認識が表現されたものであるとい
うふうに考えております。
○尾辻秀久君 回りくどい言い方をしないでください。そういう御発言があったんですから、これは見解ですかどうですかと聞いておるんですから、見解なのかどうか、細川内閣の見解であるかどうか、端的にお答えください。
○説明員(中村滋君) 総理が認識を率直に示されたということとの関連ではそのように考えます。
○尾辻秀久君 それでは細川内閣は、さきの戦争を侵略戦争であって、間違った戦争であって、したがってそのさなかに侵略行為もあった、これが細川内閣の見解である、このように理解をいたします。これでよろしいですね。
○説明員(中村滋君) 総理の率直な認識を表明されたものというふうにとらえております。
○尾辻秀久君 じゃ、お尋ねしますが、総理の率直な認識と見解とは違うんですか。
○説明員(中村滋君) 総理の率直な認識として我々も受けとめております。
○尾辻秀久君 ごまかさないでください。私は、総理の率直な認識と見解は違うのかどうかというのを聞いたんですから、違うか違わないのか答えてください。
○説明員(中村滋君) 総理の御発言に対しましては、政府としては同じような考え方、すなわち耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたということについて深い反省とおわびの気持ちを持っているというふうに考えております。
○尾辻秀久君 さっきからごまかさないでくださいとお願いをしておるつもりであります。ちゃんと答えてくださいよ。なぜごまかすんですか。
 総理が、侵略戦争であり、間違った戦争だと言われた。これは事実であります。だから、それがそうなんですねと確認をしておるのに、なぜほかの言葉が出てくるんですか。なぜしっかりとそこを確認なさらないんですか。おかしいじゃないですか。もう一回ちゃんと確認してください。
○説明員(中村滋君) 総理の御認識を示されたことについて、我々は率直宣言葉として受けとめております。
 総理の認識について、それが内閣の姿勢、立場であるかということにつきましては、我々は、総理のお言葉ということで、率直な認識の表明という観点からとらえさせていただいているということでございます。
○尾辻秀久君 じゃ、その率直な認識の表明と見解は違うんですか違わないのですか。一言で違うか違わないか答えてください。
○説明員(中村滋君) 認識という点においては同様だと考えております。
○尾辻秀久君 ただいまの御答弁は、認識と見解は同じだとおっしゃったわけでありますから、今後これが細川内閣の見解だと、こういうことで質問を続けさせていただきます。もし違うなら、今違うと言ってください。違わないんですね。
 それでは、その前提でお尋ねいたします。
○説明員(中村滋君) 先生の御理解で結構でございますが、総理が申されました侵略行為、侵略戦争という言葉についての私の答弁でございますので、総理の認識については私どももそのように考えているということでございます。
○尾辻秀久君 それじゃ、その総理の認識の中身について少しお尋ねをしておきたいと思います。
 まず、さきの戦争という表現で言われました。このさきの戦争は、いつからいつまでを指していますか。
○説明員(中村滋君) さきの大戦というふうに我々は認識しております。
○尾辻秀久君 総理はさきの戦争という表現を使われましたね。それで、さきの大戦でも結構でありましょう。
 そうすると、いつからいつまでですか。
○説明員(中村滋君) 現実にいつから始まりましていつ終わったかということにつきましては、別途検討させて答えさせていただきたいと思います。
○尾辻秀久君 終わりははっきりしていると思いますよ。ただ、始まりはというと、それはその人によって解釈があるんだと思います。しかし、総理が使われたんですから、総理の言葉なんですから、それは指しておられるものがあると思うんです。一般論でいろいろ解釈があるという話はそれは知っていますよ。しかし、使った人がどの意味で使ったのですかと聞いているわけですから、それは答えがあるはずであります。答えてください。
○説明員(中村滋君) 厳格な意味で大戦あるいは戦争の始まりはいつかという点につきましては、この席においてちょっとお答えしかねる問題でございますので、特に総理の御発言との関連におきましては、いまいち即答はしかねると思います。
○尾辻秀久君 それじゃ、いつお答えいただけますか。
○説明員(中村滋君) 後日またお答えを申し上げたいと思います。
○尾辻秀久君 後日とはいつですか。
○説明員(中村滋君) 政府部内におきましていろいろ協議いたしまして、その結果としてお答えしたいと思います。
○尾辻秀久君 私はいつまでですかということをお聞きしたわけで、手続の中身をお聞きしたわけではありません。
○説明員(中村滋君) 明確な日時ということは現在お答えしかねると考えておりますので、政府部内において検討を下したときというふうにお答えさせていただきたいと思います。
○尾辻秀久君 そうしますと、大体いつごろまでになりますか。そのぐらいはお答えいただけると思いますが。
○説明員(中村滋君) 明確な日時がお答えできないのは心苦しゅうございますが、検討を了した後ということでお答えしたいと思います。
○尾辻秀久君 それじゃ、そのことは早急に答えてください。お答えいただくということだけはお約束いただいたわけでありますから、たがえないでください。
 それでは次に、侵略戦争という言葉を使われました。この侵略戦争という定義、これは先日のここにおられる木暮先生の御質問に対する外務省の御答弁でも、確立されたものはない、国際法上の確立した定義はないと答弁をしておられます。したがいまして、確立した定義のない用語を使われたわけでありますから、使われた方の定義があるはずであります。その定義を述べてください。
○説明員(中村滋君) 侵略戦争あるいは侵略行為の言葉でございますが、その定義につきましては、先生御指摘と申しますか、我々の方からさきにお答えしたように、明確なる定義は存在していないと考えております。
 他方、その言葉がだれによってどのようにつくられたか、そういう観点につきまして、我々の立場からそれの件についてお答えする立場にはございませんので、お許し願いたいと思います。
○尾辻秀久君 ですから私はお尋ねをしておるんです。その人によって定義が違う言葉をある人が使ったんですから、その人はどういう定義で使ったんですかということをお尋ねしておるわけであります。
 そして、きょうは私は、責任を持ってお答えくださいね、こういうことを聞きますから責任を持って答えられる方に出てきてくださいねとお願いをして、出てこられたんです。答えてください。
○説明員(中村滋君) いわゆる侵略戦争の言葉の使用について、どなたがお使いになられ、それに対してどのように考えているかという点について我々の立場を表明することはいささか難しいと考えております。
 やはり侵略戦争という言葉そのものは一般的に使われている言葉と認識いたしますけれども、その言葉の語源あるいはその考え方について各人、第三者を含めまして用い方があると思いますので、特定的に、断定的に評価を下すことは難しいのではないかと考えております。
○尾辻秀久君 何回も申し上げますが、ですから聞いているんです。一般論を聞いているんじゃな
いんです。そういうふうに解釈がいろいろあるから、総理が使われたんだから、総理はどういう意味で使われたんですかということを聞いているわけですから、極めて明白じゃありませんか。ですから、そのことを聞いているわけであります。
○説明員(中村滋君) 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、侵略戦争、侵略行為といった表現を用いましたのは、さきの大戦における多くの人々に対しての耐えがたい苦しみ、悲しみをもたらしたことについての認識をあらわしたお言葉であると我々は受けとめております。
○尾辻秀久君 それではお尋ねしますが、多くの人々に悲しみと苦しみを与えた戦争は侵略戦争なんですか。
○説明員(中村滋君) 文脈においてはそのようなとらえ方も可能かと考えられます。
○尾辻秀久君 そうすると、細川総理が使われた侵略戦争の意味はそういうことになるのですか。
○説明員(中村滋君) 耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたということについての認識において、侵略戦争というお言葉をお使いになられたと受けとめております。
○尾辻秀久君 そうなりますと、侵略戦争でなかった戦争が歴史上に存在しますか。戦争というのは、勝った方も負けた方も必ず多くの人に悲しみと苦しみを与えていますよ。違いますか。
 そうすると、すべての戦争が侵略戦争ということになるわけですが、あえて侵略戦争と言われた。これはやっぱりきっちり定義していただかないと、なぜ私がこだわるかというと、率直に申し上げます。私の父も戦死したんです。今、おやじはなぜ死んだんだろうと私は思いながら聞いているんです。答えてください。
○説明員(中村滋君) 御質問のとおり、戦争というものにつきましては、侵略戦争あるいはほかの戦争の形態があるかどうか、いろいろ歴史上の観点から議論が行われ得る問題だと思います。
 他方、今回の細川総理の侵略戦争あるいは侵略行為と申されましたことにつきましては、我々は総理の率直な認識を示されたお言葉というふうな観点から申し述べているところでございます。
○尾辻秀久君 何か最後は総理の率直な認識に戻ってしまうんですけれども、それでは話が前に進まないんですよ。
 じゃ、厚生省にお尋ねしますが、まさにさきの戦争で何人犠牲者が出ましたか。
○政府委員(土井豊君) 私どもにおきまして、例えば全国戦没者追悼式を事務局として行っておりますけれども、その際の戦没者でございますが、約三百十万人というふうに申し上げているところでございます。
○尾辻秀久君 まさに三百十万人の日本人が死んだ戦争なんです。その立場からお聞きをしているんです。三百十万人の犠牲を出した戦争なんです。
 そのことに対して、総理がそういう認識を持っているという発言をされた。それはきっちり定義をしておかれなきゃ困るじゃないですか。いいかげんなことでごまかされる話じゃないでしょう。人の命は地球より重いと言われる中で、三百十万人の犠牲者を出した話ですよ。だから、私は今あえてこだわってお聞きしているんです。これはきっちり答えておいてくださいよ。そうでないと、今後の議論ができないんです。
○説明員(中村滋君) 侵略戦争の定義ということにつきましては、総理の御発言との関連でもございますが、侵略戦争という言葉そのものの定義につきましては、我々として明確な定義づけということは困難かと考えております。
 私が申し上げましたのは、侵略戦争ということの表現を用いられたのは、さきの大戦において、繰り返しになって申しわけございませんが、悲しみと苦しみをもたらしたということについての認識をその言葉によってあらわされたというふうに観念している次第でございます。
○尾辻秀久君 このやりとりだけで時間が過ぎてしまいますから、いずれかの機会にこれはもう一遍やり直させていただきたいと思います。
 ただ、その先の質問だけを、きょうお聞きしたかったこといろいろあるんですけれども、入り口でとまってしまって行きませんから、一番きょう聞きたかった肝心なことだけを聞かせてください。
 さっき、私の父も戦死をしましたと言いました。お聞きをいたしますが、私の父は侵略者の手先で死んだんでしょうか。間違った戦争によって間違って殺されたんでしょうか。犬死にだったんでしょうか。答えてください。
○説明員(中村滋君) 我が方から今先生の御質問に対して直接にお答えする立場にございません。
○尾辻秀久君 なぜお答えになる立場にはないんですか。きょうは、繰り返し申し上げますが、質問の内容は通告をさせていただいたはずであります。そして、きっちり責任を持って答えられる方に出てきてくださいというお願いもしていたんです。そして出てきていただいているんです。違いますか。これだけは一歩も譲りませんから、しっかり答えてください。
○説明員(中村滋君) さきの大戦におきまして我が国国民の多数の死傷者を出したということとの関連で、その行為が侵略戦争であったかどうかということについて、私の方からその性格を申し述べる立場にはございません。
○尾辻秀久君 お立場でなければなぜ答弁に出てこられたんですか。答えてください。
○説明員(中村滋君) 細川総理の侵略戦争の発言についての認識という観点から私どもの答弁をさせていただいているところでございますが、侵略戦争というものについて、その定義ということを有権的に判断する立場にはないということで御説明申し上げている次第でございます。
○尾辻秀久君 私は、それはお答えにならないということでしたから、その先の質問をしたんですよ。きょう私が時間をいただいて質問をしたかった、ぜひ質問をさせてくださいと言ってお願いをした、いろいろありましたけれども、一番聞きたかったことはそのことだったから、一番聞きたいことだけをお聞きしているんです、時間がないから。それだけはお答えください。
○説明員(中村滋君) 繰り返しになりますが、侵略戦争の定義ということの関連から、私どもの方でお答えする立場にないことを御了承願いたいと思います。
○尾辻秀久君 私はその侵略戦争の定義の質問をしているんじゃないんです。大変個人的な質問をするようでもあるけれども、多くの皆さんにかわって聞いているんです。私の父は侵略戦争の手先で殺されたんですか。間違った戦争で間違って殺されてしまったんですか。それを聞いているんです。答えてください。
○説明員(中村滋君) 申しわけございませんが、今の先生の御質問に対して、直接それが肯定的あるいは否定的という形でお答えする立場にはございません。
○尾辻秀久君 それじゃ、もう同じところを回ってどうしょうもありませんから、これ以上質問できませんから、委員長でしかるべきお計らいをください。こんな答弁繰り返されたんでは質問できません。
○委員長(会田長栄君) ただいまの尾辻秀久君の質問についての答弁にかかわって、理事会で協議をいたしまして対応したいと、こう思います。
○尾辻秀久君 それじゃ、もう時間もありませんから、これ以上質問してもむだですから質問はやめます。
○委員長(会田長栄君) 続いて発言ございますか。
○尾辻秀久君 今の質問だけは留保させていただきます。
○大島慶久君 最初に、大内厚生大臣におかれましては、厚生行政、山積する問題が多々ある中で御就任をいただきまして本当に御苦労さまでございます。
 ただ、先ほどの大浜先生の御質疑の締めくくりの段にもございましたが、大臣が大臣の責任を持ってしかるべき対処できることには全力を挙げ
て頑張ってまいりたいと、そういうお言葉を聞きまして本当に力強く思っております。どうぞその姿勢を崩さないで諸問題に対処をいただきたい、改めてお願いをするところでございます。
 大臣にまず第一にお伺いしたい点でございますけれども、過日、我が党の橋本龍太郎政調会長から、来年予定をされております医療費改定にかかわる要望がなされたというふうにお聞きをいたしております。その中身はいかがなものでしたでしょうかということを簡単にお伺いすると同時に、その中で一番重要だなと大臣として認められました点がありましたら、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 十一月二日に橋本先生が私のところにお見えになりまして、橋本先生とは長い友人関係にございますので、いろんな御激励という意味を含めてお越しをいただいたんだろうと思うのでございますが、今先生御指摘のように、来年度の診療報酬という問題について具体的中身に踏み込んだお話は一切ございませんでした。
 それよりか、来年は診療報酬の問題もあるし年金の抜本改正もあるし、その他の問題もあって厚生大臣は非常に大変ですねと。しかし、やはり厚生行政というのはこれまで与野党が本当に話し合って一つ一つのものをつくり上げてきたということもあるので、我々としてもいろんな意味で助力をしたい、厚生大臣も頑張ってほしいと、こういうお話が一般的にあったわけでございます。
○大島慶久君 ありがとうございました。
 先ほど大浜委員からも大所高所からいろんなお話がございました。国策の中でも本当に大切な医療というものが今大変な時期に直面をしておることが報告あるいは質問の中でよくわかるわけでございます。病院を初め一般医療関係者、そして鬼も身を置いております歯科界におきましても、医療経営ということを頭に置きながら毎日の診療に携わらなければならない、大変な、病気で言えば危機的重症というところかと存じます。どうぞ格段の御配慮をいただき、来年の医療費改定には力を注いでいただきたい。くどいようでございますけれども、私からもお願いを申し上げたいと思います。
 これは少し話が細かくなります。先ほど我が党の木暮委員からもお話がございましたエイズ対策、院内感染、これは今大変な社会問題でございますけれども、さきの丹羽厚生大臣の折、私もこの点に触れて質問させていただいております。
 その中身は、いわゆる感染対策に対して、エイズ対策に対して、医療関係者というのは大変そういったことを重視しているわけでありますけれども、残念ながらそういった対応をすればするほど、医療関係者みずからの出費にかかわる問題にいってしまいます。従来は医療点数にそれが反映をされていない、そういう中でそれを強いられるわけでございますので、これまた来年の医療費改定に向けて格段の御配慮をいただき、対処をいただきたい、このことをつけ添えておきたいと存じます。
 そこで、次の質問に参るわけでございます。
 今政治課題の中で、きょうのお話にもございましたけれども、規制の緩和ということが大変取り上げられております。その規制の緩和に対して、私のいろんなかかわりの中できょうは順次質問をさせていただくわけでございますけれども、その主要テーマは、色覚異常者に対する規制をやめていただきたい、できるだけ緩和を図っていただきたい、こういったことできょうは関係省庁の皆さん方にも御足労をかけております。
 身体的特徴の一つである色覚異常を、それのみから能力障害があると眼科医によって判定されてきたことと、それを行政がそのまま受け入れて多くの制限を認めてきたことが誤りの原因となって、色覚異常者が社会の中で差別とも言える処遇を受けていることに関して、私はぜひとも関係省庁の御理解と、そして各方面における誤った制限の緩和を図っていただきたいと思っております。
 眼科医は異常であることをある検査法によって指摘することができます。それが就学適性あるいは職業適性を判断するものではないと思います。能力についてはそれぞれの専門分野で評価されるべきだと思います。
 例えば先進諸外国においては、色覚異常者の中でも立派な医学者もおみえになります。科学者もおみえになります。そして、画家だとか教師もたくさんおみえになるわけでございますので、我が国がいつまでもそういった制限にとらわれているということは不思議でならないわけでございます。
 もともと正常者を選び出す方法として軍医によってつくられ、軍隊で広く使われた検査法をそのまま学校保健に取り入れたことも私は大きな誤りの原因ではなかったかと思っております。そのため、色盲あるいは色弱という言葉がそのまま大学の入学制限あるいは就職の際の入社制限に結びつき、色盲は身体障害であると同じ扱いをする社会通念ができ上がってしまったのではないか、こんなふうにも思うわけでございます。
 一方、じゃ、そういったことが全然進歩していないかというと決してそうではございませんでして、緩和状況を少し説明させていただきますと、かつては工業高校の入学制限に関して、中学から工業高校を受験する際、色覚異常者は受験できないとされていたために進路変更を余儀なくされてしまった、こういう時期があったわけでございますけれども、昭和六十二年、文部省の初等中等教育局長より高校入学者選抜にかかわる色覚異常者の取り扱いについて、制限措置について今後見直しを図ることが望ましい、こういう通達がされました。
 また、大学の入学制限についても、昭和六十一年までは大学の入試要項の中に、成績のいかんにかかわらず色覚異常者は不合格とする、こう明記された時期がございましたけれども、日本眼科医会から国立、公立あるいは私立大学にその改善要請がなされ、随分と緩和が実現をされているのも事実でございます。
 これは一つのデータでございますが、例えば国立大学におきまして、昭和六十一年度では全国九十四校のうち四十七校、実に五〇%がそういった制限を行っておりましたけれども、平成五年度には九十四校のうちわずか二校、二%に値しますけれども、制限をするのみというところまでこれは改革されております。
 公立大学におきましても、六十一年度には三十九校のうち五校、一二%でございますが規制をされておりましたけれども、平成五年度はこれはゼロになっております。
 そして、私立大学におきましても、昭和六十一年度は全国三百三十三校のうち二十一校、六%がこういった規制を図っておりましたけれども、平成五年度には三百三十三校中わずか二校、〇・六%になりますけれども、規制をされているのみと、ここまで改革がされてきております。
 そして、平成六年度からは高等学校から大学への調査書の中から色覚の項が削除されることが文部省の高等教育局長から通達をされました。いよいよ来年からはそれが撤廃をされるということで、私も関係者の一人として大変喜ばしい思いでいっぱいでございます。
 また、企業の方に目を向けておりますと、いわゆる入社制限、昭和六十一年度の千八百二十二社の入社要項の調査によれば、約一〇%の企業が色覚異常でないということを入社の要件として掲げておりましたけれども、平成四年度ではそれが七%に改善をされた。ここにも進歩の跡が見られております。
 教員採用に際しての色覚異常に対する制限については、全国四十七都道府県で調査の結果、昭和六十一年度におきましては二十六県、五五%の県がこういった制限を強いておりましたけれども、平成四年度にはわずか四県、またこれは改善の余地があるわけでございますけれども、八・五%の規制率ということになっておりまして、各方面においてこういった改善の跡が見られるわけでございます。
 そこで、厚生省にお伺いをいたしますけれども、色覚異常者の全国の数、これはどんなふうに把握をされておりましょうか。そしてまた、全国の保健所職員に対する色覚異常者の採用制限はあるのかないのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今先生御質問いただいております色覚の異常につきましてでございますが、学術文献等によりますと色盲と色弱がある、こういうふうに分けられておりまして、色盲は極めてまれであると言われております。色盲と色弱を合わせますとすべての男子の約四・五%を占めておりますが、女性は非常に少なくて男性の約十分の一である、こういうふうに言われております。しかしながら、厚生省としましてその数を把握したことはございません。
 それから、もう一つの御質問でございますが、保健所職員の採用につきましてどういうふうな要件があるのか、特に色覚異常の有無について何か規制をしているのかというような御質問でございますが、御承知のように、保健所につきましてはいろんな職種がございます。例えば、医師だとか薬剤師とか獣医師、保健婦あるいは歯科医師等が専門職員として配置されておるわけであります。この保健所に配置されております職員の職種のうちでございますが、色覚異常が資格取得の欠格事項となっているものはありません。それからまた、色覚異常の有無を採用の要件といたしていることもございません。
 以上でございます。
○大島慶久君 厚生省の方ではその数を把握されておられないということでございますので、きょうお出ましいただいている各省庁の中で、私の感覚ではということになれば、これは学校保健の方でいろいろ検査がなされてきた歴史的経緯がございますので、文部省の方がそういったことを把握されているんじゃないかと思われますが、いかがでしょうか。
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 学校における色覚異常者の数でございますが、文部省が行っております学校保健統計調査、最近だと平成四年度でございますが、その統計調査によりますと、小中高等学校の検査におきまして色覚に何らかの問題があるとされました児童生徒の割合は、小中高合わせまして平均で男子が三・八四%、女子は数が少のうございまして〇・二一%、平均いたしますと二・〇六%、こういうことになろうかと思っております。
 したがいまして、この割合から、推計でございますけれども行いますと、小中高等学校全体で色覚に何らかの問題があると考えられます児童生徒はおよそ三十九万五千人、四十万人弱ぐらいではなかろうか、このような推定をいたしておるところでございます。
○大島慶久君 それでは、いろんな省庁にかかわる問題でございますので、順次お尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、運輸省にお伺いをしたいと思います。
 日本の社会がこういった改善の方向にある中で、運輸省における四級の小型操縦免許の取得が色覚異常者にとっては大変厳しくなっているというふうに私はお聞きをいたしております。年間約十万人もの若者たちがこういったモーターボートのレジャーを楽しみたいということで、最近は随分とこの免許を取りたい、こういう希望者があるわけでございますので、どうぞ運転に必要な能力の評価に対して無用な制限をできるだけ排除していただきたい。これは恐らく運輸省にもこういう関係の方々からの強い陳情もなされているはずでございますので、現在どんな状況になっているのかお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(平山芳昭君) お答えいたします。
 現在、先生御指摘の小型船舶操縦士の免許につきましては、船舶の安全運航という場合、自分の船の操船が的確であるということは当然でございますが、ほかの船の動向とか航路標識の状況とか、こういうものを判断して総合的に航行の安全というのが図られているわけでございます。特に夜間などの場合、他船の動向というのが船舶の灯火、これが色で緑と赤というふうに分けられておったり、例えば信号機で現在の船の状況、こういうのを判断しなければならないということから、現在その要件といたしまして色覚というものが入っておることは御指摘のとおりでございます。
 先生御指摘のとおり、それにつきまして、色覚異常の方々の社会参加の拡大という観点からこれをもう少し緩和できないかという御要望をいただいておりまして、当省といたしましても、こういう色覚の異常があると言われる方でもできるだけ問題がない範囲では参加していただきたいというのが当省の考え方でございますが、当然そこでは安全運航の確保との両立といいますか接点が必要となってくるということでございます。
 その考え方をやはり医学的な見地も踏まえまして総合的に検討していく必要があるだろうということで、陳情を受けました後、現在、複数の眼科の医師を含みます学識経験者あるいは航行の専門家、こういう方々を集めまして、緩和できる部分はないだろうかということで検討委員会を設けて検討を開始したところでございます。この検討の中身を十分尊重しまして、今後の行政の中に生かしていきたいというふうに考えております。
○大島慶久君 よく理解できる点もございますけれども、そういった色の識別というのは、かつては陸上交通の信号機の色も、いろんな御配慮の中で昔の色と今の信号機の色は、案外気がついておりませんけれども改良が加えられていることも事実でございますので、今御答弁をいただいたような前向きの姿勢でできるだけ規制の緩和を図って、若者たちが本当に楽しくレジャーを享受できるようなそういう体制をぜひともお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、労働省に伺いたいと思いますが、運輸にかかわる職業に関しては色覚が正常なこと、こういうふうにうたわれております。けれども、運輸にかかわる職場には必ずしもドライバーということだけではなくて事務的なお仕事もあれば改札業務もあります。そして車掌業務というものもあります。実際の仕事の現場での必要な能力を正しく評価して制限を緩和すべきだと思いますが、この辺はいかがなんでしょうか。
 そしてもう一点、これは極めて大切なことですので強く御要望申し上げたいと思いますが、先ほど私が説明をさせていただきました折に、来年、平成六年度から文部省の方からの指令によりまして高等学校からも色覚の項が削除される、大変ありがたいうれしいことだということを申し上げたのでありますが、私は、いわゆる就職をする方たちのこういった検査票の中も自動的にそれが削除されるというふうに思っておりました。ところが、お聞きをいたしておりますと、労働省には全国の統一様式というものがあるということで、そちらの方は文部省とは管轄が違うために現在まだ削除をしないままそれが生きている、こういうことでございました。
 文部省が長年の懸案事項を、昭和六十二年の小中の廃止から始まりまして、来年でいよいよ高等学校からも、すべてのそういった教育機関からそれが消えていくわけでございますので、どうぞ就職をされる皆様方の検査票の中からもこの色覚の項の判定という欄をぜひともこれは早急に削除していただきたい、強く強くこれを要望させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(太田俊明君) お答えいたします。
 最初の御質問でございますが、色覚異常者の中には、仕事の内容から見まして実際にその仕事についてもさほど問題がないと思われるにもかかわらず就職を拒否されるという例も聞いておりまして、このようなことは私どもも大変残念なことであると考えております。
 私ども労働省としましては、色覚異常者の就業に関しましては、仕事の内容から見て色覚が正常であることが真に必要であるかどうか、こういう観点から厳密に就業条件が設定されるべきものではないかと考えているところでございます。
 次に、高卒者用の統一応募用紙の点でございますけれども、この応募用紙につきましては、応募者の適性と能力による採用選考を実施し、採用選考時の就職差別を排除するために、昭和四十八年度から文部省と労働省と全国高等学校長協会、この三者の協議によって定めたものでございまして、身体状況の欄には採用選考時に業務遂行能力、適性を判断する上で必要な項目が盛り込まれているものでございます。
 私ども労働省といたしましても、この統一応募用紙における色覚の項目につきまして、色覚異常者が差別されるおそれがあることは好ましいことではないと考えておりまして、今後、事業主を初め関係団体等の御理解もいただき、また経緯から見まして、文部省あるいは全国高等学校長協会との協議も経て定めておりますので、こういう関係の省あるいは協会との連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えております。
○大島慶久君 先ほど私も申し上げましたように、文部省のかかわるすべての学校からそういった項目は来年度を最後に消えてまいります。労働省におかれましても、今いろんな関係団体と協議をされているという説明でございますので、これは私は問題ないことだという認識はできます。どうぞ一日も早いそういった項目の削除を再度よろしく御検討いただくように要望させていただきたいと思います。
 次に、自治省に伺いますが、全国の自治体の消防職員、ちょっとこれは私、通告には漏れておりましたけれども、警察官もそれに入るわけでありますが、特に消防職員に対するこういった色覚異常の制限というものはどうなっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(猪野積君) お答えいたします。
 平成三年度現在で全国に九百三十五の消防本部がございますが、このうち募集要項を定めていると百四十の消防本部のうち、色覚異常関係の項目を定めているのは四百二十一本部となっております。
○大島慶久君 こちらの方はいろんな御事情もおありなんでしょうけれども、かなりまだそういった制限がされていると言わざるを得ません。
 今、世の中挙げてマンパワー不足、医療界は特にそういった言葉がよく聞かれるのでありますけれども、それぞれの職場において人材確保ということが大変難しくなっている昨今でございます。私は、消防職員の任務というのは大変とうといものであると同時に、そういった情熱に燃えて、自分の親が消防職員であったがゆえにぜひ私も消防職員として地域の暮らしと安全を守る任に当たりたい、こういうたくさんの若者の声を聞いております。しかし、残念ながら応募資格の中にこういった色覚異常があるがゆえに最初から採用されない、そういった矛盾が多くあるわけでございますので、どうぞ勇気を持って、どうしてもそういった任務に当たってはならないという場合はこれは例外としてどこの世界にもあろうかと思いますが、一般的に言って、それほど支障なくそういった方たちの夢を達成させることもできるわけでございますので、どうぞいろいろと御検討をいただきたい。
 私の地元は名古屋でございますけれども、名古屋市の消防局では、これは直接市長とお話をさせていただいて、もう既にそういったことの障害のないように一般の正常者と同じような扱いで就職要項がつくられております。ぜひそういう御指導をいただければなと思うわけであります。
 次に、防衛庁に伺いますが、先ほど私が全国の国公私立大学の入試要項から色覚異常の項がどんどんと削除されている、こういう説明をさせていただきましたけれども、残念ながら防衛大学校あるいは防衛医科大学校の中の入試要項には従来どおりの色覚異常に対する制限の記載がされております。将来このことに関してはどうお考えなのでしょうか、お伺いをいたします。
○説明員(土居眞君) 防衛大学校、防衛医科大学校の件でございますけれども、御承知のようにこの二つの学校は幹部自衛官を養成するということが主な目的でございまして、そういうことから従来は色覚検査を実施しておりました。
 しかし、自衛隊におきます勤務、職務内容、いろいろ多様化しておりまして、今後色覚異常と職務の関係というものをもっと詳しく検討する必要があるんではないかということで現在検討をしております。平成七年度の募集を目途に結論を得たいということで作業をしているところでございます。
○大島慶久君 私の周辺にも、医学部志向という中でも特に防衛医科大学に入学をして、将来の日本の防衛というものを担いながらしかも医療という分野で頑張っていきたいという方がおみえになりましたけれども、そういった制限の壁に当たってやむなく他の医科大学を志望したという方がございます。どうぞ一日も早いそういった対処をなされることを望むわけでございます。よろしくお願いを申し上げます。
 最後に、文部省にお伺いをいたしたいと思います。
 文部省の学校保健の中の色覚検査の位置づけについて伺いたいと思うわけであります。
 色覚異常は私は疾病ではないと思っております。したがって、学校保健の中で取り扱うべきものではないと思います。学校保健の中で取り扱うものはすべて検出後、事後措置があり、どう対処したら蔓延を防ぎ、また児童の健康増進につながるのかにかかわる疾病を取り扱うものだと思われます。
 事後措置もなくマイナス方向へしか助言できない色覚異常は、検出されても児童生徒の不幸につながることがありましても幸せにつながることはないと私は言えると思います。とるべき方法としては、色覚異常は検査されても能力評価の基準にはならないわけでありますので、要請された場合以外は一般的検査から色覚の項は削除するのがよいと私は思います。
 御見解を伺いたいと同時に、来年予定されているとお聞きしておりますけれども、学校保健法の改正に向けてどうぞ勇気ある御配慮をお願いしたい。これは一度改正がされますと、約十年ぐらいそのままでいくわけでございますので、私も関係の皆様方とこういういろんな勉強をさせていただいて十年以上が経過いたしますけれども、やっと十年の歳月がめぐって、今回の学校保健法の改正でそういった色覚の検査がなくなることが、すべての今の日本社会の中で差別ともいえるこういった苦しみを持った皆さん方を救う唯一の道であると私はかたく信じているわけでございます。どうぞその御見解を賜りたいと思います。
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 色覚に異常を持つ児童生徒に対しましては、特に学習指導上でありますとか生徒指導上適切な配慮を行う必要がある、こういうふうに考えておりまして、学校健康診断におきます色覚検査は、そういった児童生徒に対する学習指導上あるいは生徒指導上の必要性にかんがみまして子供たちの色覚の状態を的確に把握する、そういう目的でもって実施をしておるわけでございます。
 現在は小学校の第一学年と第四学年、それから中学校第一学年、高等学校第一学年を対象に実施をしておるところでございますけれども、この問題につきましていろんな意見があることは私どもも十分承知をしておるわけでございます。
 そういうことで、この色覚検査のあり方につきまして、財団法人の日本学校保健会の中に、専門家でありますとか教育関係者の参加をいただきまして健康診断調査研究委員会という委員会を設けまして、定期健康診断のいろんな項目がございますけれども、その見直しの一環として現在検討していただいておるところでございます。検査の実施回数を軽減することなどを含めまして、医学関係者あるいは学校関係者の意見を十分踏まえながら現在検討を進めており、そういった検討結果を私どもも十分参考にさせていただきまして結論を出してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○大島慶久君 いろいろと各方面から御答弁をい
ただきまして、ありがとうございました。
 いろんなことを私申し上げましたけれども、行き着くところは、やはり文部省の管轄の中で書類上に重要事項としてそういった検査項目があるということが、きょうの各省庁からのいろんな御意見を聞いておりましても、そういったところに起因をしているんじゃないか、こういう感じが強いわけでございます。一番もとのところでそういった改善を図られること、文部省は既にいろんな観点からこのことに関していろんな制限を撤廃していただいているわけでございます。残されたとりでがいよいよそこにあるわけでございますので、どうぞ十分な御検討をいただいて、一日も早いそういった検査項目からの削除というものを私は強く望むわけでございます。
 そういったことにかかわる眼科医の先生方から私こんな話を聞いたことがあるのです。ある高等学校を極めて優秀な成績で卒業され、コンピューター会社に就職、もちろんぺーパーテストはそれこそ一、二の成績でクリアをされた。最後の段階で、内申書の詰めの段階で色覚異常というところに異常という記載があるがために、せっかく合格通知を受けたそのお子さんはあえなく採用取り消しという通知を受けた。これは本人にとりましても大変ショックなことでありますし、親御さんにとっても大変不幸なことでございました。
 たまたま就職を担当されている先生が極めてこういった問題に関心の深い、知識の深い方でございまして、その会社と再度かけ合っていただき、あなたの会社にこれだけ優秀な人材を送り込んだはずでありますけれども、どうして色覚異常があるがゆえに採用取り消しなんですか。私たちの理解できる範囲でそれをもう一度再現し、本当に不適格であるということならあきらめもつくが、私たちにはそれもなかなか納得がしがたい。こういったことで、会社とのいろんなやりとりの中で、実際実務に当たるそういった検査をしていただきましたところ、何の支障もなく立派にほかの受験者よりもより以上の成績でその職業にこれから当たろうとする分野を見事に果たすことができた、こんなお話もあるわけでございます。
 全国にはそういったお子さんが、これはほんの一例でありますけれども、まだまだ多くあると思います。過去においてどうしてもこの大学を受験したい、そういった思いで勉強した学生が、いまだにあのときそういった入学制限がしかれていたために自分の夢を果たすことができなかった、非常に自分の人生の中で悔やまれる出来事だというお話も私は幾つか伺っております。
 どうぞそういうことのございませんように、一番国の中枢としていろいろな行政で御活躍いただきます関係省庁の皆様方が、本当に勇気と誠意を持って対処されますことを再度お願い申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(会田長栄君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十二分開会
○委員長(会田長栄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、及川順郎君が委員を辞任され、その補欠として横尾和伸君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(会田長栄君) 休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○勝木健司君 厚生大臣、御苦労さまでございます。
 社会保障給付に必要な財源についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 平成三年度に年金、医療保険、生活保護などの社会保障制度から国民に支払われました社会保障給付費は五十兆円の大台を超えておるわけであります。高齢化の進展に伴いまして、年金や老人医療費など高齢者関係の伸びが目立っておりまして、給付費全体に占める割合も六割を超えておるわけであります。今後より一層高齢化が進む中で、高齢化社会のコストというのは増大していくわけでありますが、高齢化比率が高くなるに従いまして国民一人当たりの負担率も高くなっていかざるを得ない。こうした巨額な社会保障給付に必要な財源を今後どのように安定的に確保していくお考えなのか、まず冒頭にお伺いをいたしておきたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 御指摘のように、今社会保障費が平成三年度時点で五十兆を超えまして、これが毎年約三兆円近い増大を示している。その中の医療費も約一兆円の速度で毎年ふえていく。そして、これから超高齢化社会に入るに従いまして、年金、医療、福祉という各面での財政需要がさらに急速な速度で増大していく。そういう意味から、今日本は、特に社会保障制度全般にわたりましてこれまでの制度全体を見直しまして再構築しなければならぬ、こういう時点に入っているわけでございます。
 これからの経済の成長がどのような速度をもって進んでくるか、その中で税収がどういう形で伸びてくるかということももちろん重要な要素でございますが、そのほかにも抜本的な税制改革といったような問題もこれに深くかかわっているわけでございます。これまで社会保障のビジョンといったようなものについてもある程度方向が示されてきたのでございますが、そうした新たな社会経済情勢を踏まえまして、社会保障全体についても抜本的に見直す必要がある。しかも、それは政策方向を決定するに当たりまして、今後の財源確保のあり方という問題も同時に解決していかなければならない。
 そういう視点に立ちまして、先般、高齢社会の福祉ビジョンというものの懇談会を発足させまして、そうした巨額な財源をどこからどのような方法で調達してくるか、また実際の社会保障給付を受ける方々の負担というものがどこまで耐えられるものか、そういうものも含めましてできるだけ早い機会にその結論をちょうだいするようお願いをしているところでございまして、現段階においてその財源の調達の全容を明らかにできるという状況にはございませんで、目下その結論を得るために作業を開始したというところでございます。
○勝木健司君 今や世界の長寿国となりました我が国におきまして、いかにして豊かでゆとりのある老後生活を送るかということはだれもが関心を寄せておるところであるわけであります。その老後生活を支えるのは公的年金制度であろうということで、本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀におきましても、その役割を着実に果たしていかなければならないだろうというふうに思われます。しかし、この年金制度を取り巻く状況は年々厳しくなってきておるわけでありまして、今回の改革論議におきましてもさまざまな議論が交わされておるわけであります。
 そこで、大内厚生大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、この公的年金制度というのは老後生活の支柱であるというふうに言われておるわけでありますが、この支柱とはどのようにとらえたらいいのか。また、年金制度は将来の生活設計に大きな影響を与えるものでありますので、老後の生活保障としての年金の役割につきましても大臣のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 言うまでもなく、年金は老後の所得保障の支柱をなすものでございまして、その他所得保障という面もいろいろな面で考えられるのではございますが、なかんずく年金というものがミニマムな生活を保障するという面では、やはり中核的な存在だと思うのでございます。
 これにつきましては、世界各国におきまして歴史的なあるいは伝統的な違いもございまして、北欧三国のように全面的に公的な負担によってその年金の問題もカバーしていこうという考え方もご
ざいますし、またアメリカのように自助努力によってそういう問題をある程度カバーしていくという方法もございますが、しかし日本としては、これは国民の最低のニーズにかかわることでございますから、公的年金の重要性というものはこれは揺るがしてはならない。
 したがいまして、来年度に向けまして年金制度の改革に今取り組みつつあるわけでございますが、将来に不安のない年金、あるいは言葉を変えて言えば、老後の生活に不安のない年金というものをどのように確立していくか、そのためには国や保険者やあるいは被保険者がどういう負担をすればいいのかという問題について、国民のコンセンサスを得られるような、そういう後世の批判にも耐えられるような年金制度を何とかして皆様の御協力でつくり上げたい、こう思っている次第でございます。
○勝木健司君 そこで、年金の支給開始年齢が問題の一つの焦点となっておるわけであります。人生八十年時代を迎えまして社会全体のシステムを高齢化社会にふさわしいものへと見直していかなければいけない、そして社会保障の枠組みの中でこの問題は検討されていかなければならないと思うわけでありますが、そこで、高齢化社会を豊かで活力あるものとするために大切なことは、いかなる年齢の段階においても生活保障の断絶があってはならないんではないかと思うわけであります。
 この支給開始年齢の問題は、単に年金財政上の問題だけではないんだということで、年金制度そのものへの国民の信頼にも大きく影響する問題でありますので、この点につきましての厚生大臣の御所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 私は、大臣就任に当たりまして、この年金問題については、国民の各年齢の段階を問わずいかなる段階においても生活保障について断絶が起こるようなことを国の施策としてとるべきではない、こういうことを一貫して申し上げてまいったのでございます。
 もちろん、年金財政というものも重要でございますから、この見通しというものは十分踏まえてこの問題を考えなければなりません。しかし同時に、年金財政という視点からだけ考えてまいりますと、ある場合においては、そうした例えば六十歳以上の方々に対しまして生活保障の断絶というものが起こってくる可能性もある。年金と雇用という問題は深く結び合った大事な関係にある。したがって、雇用保障という問題についても我々は何らかの見通し、対策、方針というものを持ちまして、雇用保障に努めながらそして年金問題との結合というものを図っていくことが必要である。
 こういう考え方から、私は、六十歳を起点にするとか六十五歳を起点にするというこれまでのいろんな論争がございましたことも十分承知しながら、そういう起点の争いをするのではなくて、やはり生活の断絶を引き起こさないためにはどういう政策というものが必要であるか、それを六十歳前半の年金と後半の年金という形で内容的に論議し詰めていけば必ずコンセンサスは得られるであろう、こういう視点に立ちまして、年金については二段階構想でぜひ煮詰めていきたいということを再三申し上げている次第でございます。
○勝木健司君 次に、最近規制緩和の推進が言われておるわけでありますが、私も経済を活性化させていく、そして新しいサービスを生み出す可能性のある規制緩和の実施には大いに賛成をいたしますし、また効果も期待をいたしておるわけであります。
 この九月に発表されました緊急経済対策の中では、規制緩和策について厚生省所管の項目が何点か盛り込まれておるわけでありますが、そこで、この点についてお伺いいたしたいと思います。
 食品の日付表示についてでありますが、製造年月日表示から原則期限表示に切りかえるとの方向性が出されております。厚生省、農林水産省が懇談会等でその実施内容について検討しておると聞いておるわけであります。
 この問題は、いざ実施するとなりますと、消費者団体、消費者への周知徹底が相当必要となろうというふうに考えますし、また、製造年月日表示の義務を外すとなりますと、日もちのしない食品の品質保持等さまざまな実施上の問題点が当然予想されるわけであります。欧米を中心に世界的に見てみますと、製造年月日を記載せず期限表示が主流となっておる。日米構造問題協議におきましても、輸送に時間がかかる輸入食品には不利な条件であると取り上げられておると聞いておるわけであります。
 こうした中での現在の検討状況、そして実際実施する段階において懸念される諸問題について、今どう検討、認識をされておるのかお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 去る九月の規制緩和の十四項目の中に、厚生省といたしましては、今後検討する余地があるということを残しながら十四項目の中に加えたのでございますが、今委員御指摘のように期限表示というのが国際的には大体通例になっている。製造年月日表示ということからくる例えば流通問題の煩雑さ等々、実はさまざまな問題がございまして、要は国民の健康というものを守る、あるいはこれを阻害しないということに役立つ表示が必要であるという観点から、いろいろなマイナス要因も考えながら期限表示に切りかえてはどうかという考え方を私どもは今持っているのでございます。
 もちろん、消費者の皆様の中からは、それじゃ両方書いたらどうかとか、いろんな御意見のあることも承知しておりますが、その商品の一定の有効期限というものが明確に示されるのであれば、国民の健康等を守るという意味では十分その役割を果たせるのではないかと考えておりまして、この問題については、御指摘のように消費者の皆さん、国民の皆さんに十分御理解を賜らなければならない問題でございますので、今完全に断定してその方針をとるということを申し上げているのではないのでございますが、しかし、できれば御理解を賜りましてそういう表示に切りかえていくことが規制緩和に役立つ、こう私どもは考えている次第でございます。
○政府委員(柳沢健一郎君) 日付表示の問題につきましては今大臣が御答弁されたことに尽きるわけでございますけれども、なお現段階の進捗状況ということに関しまして申し上げさせていただくならば、現在、昨年十二月に設置いたしました食品の日付表示に関する検討会における検討が進んでおりまして、最終的な取りまとめが近日中に行われる、近日中に結論が出されることになろうかと存じます。
 なお、厚生省といたしましては、この検討会の報告を受けまして食品衛生調査会の方へその後諮問いたしまして検討していただくことにいたしておりますし、御指摘の諸問題につきましても、食品衛生調査会の審議等を踏まえまして適切に検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○勝木健司君 次に、医療用具の規制の見直しについてお尋ねをいたします。
 近年、エックス線CT,MRI、心臓ペースメーカーなど高度な医療用具が出現しておるわけでありますが、この医療用具に対する規制については昭和三十五年の薬事法制定以来基本的には見直しが行われておらないわけであります。こうした中で、従来の規制のうち緩和すべき点は大幅に緩和しつつ、そして最先端の医療用具にも対応できるような新たな安全性確保対策について講じていく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけでありますが、この点についての見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(田中健次君) ただいま先生から御指摘がございましたように、医療用具に対する規制は、現在の薬事法が制定されまして以来基本的には見直しが行われておらない状態でございまして、その間に今お話がございました高度な医療用具が出現している。こうした中で、その品質あるいは有効性、安全性を確保する観点から、現在の法の状況は必ずしも十分とは言えない面が生じて
おります。
 こうしたことから、医療用具の分類と規制のあり方に関しまして、医療機器政策検討会という私的諮問機関をつくりまして、そこにおいて検討を進めまして本年の十月に報告をまとめていただいたところでございます。
 この報告書におきましては、規制緩和や国際的なハーモナイゼーションの推進等の観点に配慮しつつ、医療用具の品質、有効性、安全性の確保の一層の充実を図りまして、よりよい医療用具のより迅速な供給を通じた保健医療の質の向上を目指す、こういう基本的な考え方に基づきまして医療用具の規制全般にわたる見直しが提言をされているところでございます。
 私どもといたしましては、今後この報告書の内容を踏まえましてさらに検討を進め、医療用具に関します制度の適切な見直しを進めてまいりたい、このように考えております。
○勝木健司君 欠陥製品による消費者被害を救済しやすくする製造物責任制度の導入をめぐる動きがいよいよ本格化してきておるわけであります。国民生活審議会は、十一月中にも法案の基礎となる最終報告を提出する予定と聞いておるわけでありますが、医薬品等への製造物責任制度の導入については現在どのような検討がされておるのか、そしてまた、医薬品副作用被害救済制度と製造物責任制度との関連について、これにつきましてもあわせてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(田中健次君) 医薬品等につきましては、厚生大臣の諮問機関でございます中央薬事審議会に本年六月特別部会を設けまして、製造物責任制度を中心とした総合的な消費者被害の防止、救済のあり方を調査審議していただいておるところでございまして、中央薬事審議会は今月の十五日に報告書を取りまとめると、こういう予定になっております。
 中央薬事審議会におきましての議論でございますけれども、消費者利益の擁護や国際的な調和を図る観点から、医薬品等につきましても製造物責任制度を導入することが望ましい。ただし、例えば医薬品には副作用を伴うこと、あるいは事前の副作用の予見には限界があるということ、それから医師等の医療関係者を介しまして使用されるなどさまざまな特性がございますので、医薬品等につきまして製造物責任制度を導入するに当たりましてはこれらの製品特性等踏まえる必要がある、こういう議論がございます。
 具体的には、医薬品は有効性の反面、副作用を伴うというものであることから副作用を直ちに欠陥と言うのは適当ではない。それから、製造者が製造物を流通に置いた時点におきます化学知識それから技術知識の水準によって欠陥の存在を発見できなかったことを立証した場合には製造者は免責されるべきであるけれども、その化学知識それから技術知識の水準は製品が流通に置かれた時点の世界的な水準とすること。それから、欠陥の存在や欠陥と被害との因果関係等に関する推定規定を設けるということは製造者と医療関係者との役割分担あるいは責任関係があいまいになるなどの問題がありますので適当ではない、こういった方向の議論がなされております。
 それから、医薬品副作用被害救済制度でございますけれども、これは医薬品の副作用による健康被害の救済を製薬企業の社会的責任に基づいて図ることを目的としている制度でございます。一方、製造物責任制度は民事責任に基づく損害賠償制度でございます。このように両制度は異なった性格を持っておりまして、救済の対象範囲も異なっております。また、簡易迅速な被害救済の道を提供する意味におきましても、医薬品副作用被害救済制度には大きな意義があるわけでございます。こうした点から、御指摘の医薬品副作用被害救済制度と製造物責任制度は両立するものと考えておるところでございます。
○勝木健司君 もう時間が余りありませんので、次に、エンゼルプラン等々についてお伺いをしたいと思います。
 女性の積極的な社会進出に伴いまして働く母親が増加しておるということで、昨年の四月には育児休業法が施行されるなどその支援策は徐々に進められてきておるのではないかと思います。
 厚生省も近年、この育児支援に積極的に取り組まれておられるわけでありますが、まだまだ多様化するニーズに対してこたえ切れていないのが現状ではないかというふうに思います。特に近年、出生率が減りつつあるにもかかわらず乳児の措置人員が大幅に増加しておるようでありまして、乳児保育などは切実な問題になってきておるわけであります。そのほか延長保育とかあるいは夜間保育、途中入所はもとより、事業所あるいは通勤の駅に保育所を望む声も高まってきておるわけであります。
 さきの予算委員会におきましても、大内厚生大臣が、エンゼルプラン・プレリュードと銘打たれて、こうした保育対策あるいは児童の健全育成のための環境づくりに本腰を入れられるということを御答弁いただいたわけでありますが、保育所に対する多様なニーズにより一層のきめ細かな取り組みを期待したいのでありますが、これについてお伺いしたい。
 それと、もう時間がありませんので、あわせて保育園と幼稚園の一元化について。戦前から活発な論議が促されてきておるわけでありますけれども、臨教審等々でも両施設の運用を弾力的に進める意見が出されておるわけであります。その点につきましても大内厚生大臣に高い見地から考え方をお願いしたい。
 そしてまた、保育料につきましても、地方自治体によって、それぞれ自治体間によっても相当の格差が生じてきておる、あるいはサラリーマンと自営業者間においても保育料について大きな格差が生じてきておるということでありますので、この格差是正をどのように取り組まれるのかということもあわせてお願いをしたい。
 そしてまた、保育園あるいは幼稚園の余ってきておる施設の中に老人保健施設等との複合化なども新しい事業形態ということで地域によっては展開されてきておるわけでありますが、もっとゴールドプランの計画にとらわれないで老人保健施設等のいわゆる前倒しをするなど、積極的に前倒しをしながらこういう老人あるいは特に都市部での国民のニーズにこたえられるようにぜひ進めていただきたいと思いますので、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 今、厚生行政の中で二つの大きな柱がございまして、一つは言うまでもなくゴールドプラン、もう一つはエンゼルプラン・プレリュードという二つの柱、つまり片方は御老人の方、片方は児童幼児といったような対策を非常に重視いたしまして、特に児童家庭対策、つまりエンゼルプランにつきましては来年度の予算要求におきましても第一にこれを掲げまして、働く御婦人の皆様が安心して子供を産みまた育てられるような諸環境の整備といったような問題について、一連の予算要求を行っている次第でございます。
 その中でも、御指摘のような多様な保育所に対するニーズというものが起こっておりますので、乳児保育から延長保育から夜間保育から、あるいは保育ではございませんが学童に対する健全育成の見地からの児童館の整備といったような問題についても、相当きめの細かい多様な予算を要求している次第でございます。
 したがいまして、これについてはなお我々として工夫すべき点も多々あろうかと思いますが、このエンゼルブランの充実に対しましてこれからも一層の努力を傾注してまいりたいと思っております。
 また、保育料における公私あるいは地域間、つまり自治体間の格差といったような問題も御指摘のとおりでございまして、これらの格差ができるだけなくなるように地方自治体ともそれぞれ話し合いながら、もちろん何かスタンダードを決めましてそれを強制するということは今の地方自治の本旨から照らしましてできないことでございますが、やっぱり現実にいろんな格差が相当存在する
ことは御指摘のとおりでございますので、それはいろんな協議、連絡を密にいたしまして、それらが余りでこぼこが起こらないように私どもとして努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○政府委員(瀬田公和君) 先生から保育所と幼稚園の一元化についての御質問もございましたので、ちょっと補足をさせていただきたいというふうに思います。
 御承知のように、保育所は保育に欠ける乳幼児を市町村が入所させる児童福祉施設でございまして、幼児教育を目的とする幼稚園とは目的、機能を異にするわけでございます。具体的に申し上げましても、対象児としては保育所はゼロ歳児から就学前の児童まで、幼稚園は三歳から就学前の児童。また、開設日数も保育所は三百日以上ということですが、幼稚園につきましては春休み、夏休み、冬休みというふうなものもございます。また、保育時間につきましても、保育所は原則八時間以上でございますが、幼稚園につきましては四時間というふうなことで、非常に内容的にも異なっているわけでございます。
 そのため、臨時教育審議会の第三次答申というのが昭和六十二年の四月に出されておりますが、その中でも、幼児の発達段階や教育上の観点からの幼児教育の要請、それから保育に欠ける乳幼児についての児童福祉の観点からの要請という二つの異なる社会的な要請がある。幼稚園、保育所それぞれの制度の中での充実を図る必要があるというふうな御答申をいただいているわけでございます。
 厚生省としては、大臣が先ほどお述べになりましたように、今日の女性の社会進出の増大、家庭、地域の育児機能の低下という児童をめぐる環境の変化に対応するためにも、保育所という制度の中で多様な保育事業や家庭の子育ての支援活動の推進等を図っていく必要があるものというふうに考えてエンゼルプラン・プレリュード等々の予算要求をさせていただいている、こういう次第でございます。
○政府委員(横尾和子君) 定員が減少している保育所を老人関係施設に活用できないかというお尋ねでございますが、特に用地確保が大都市部また利用者数が少ない過疎地、いずれの地域におきましてもその方向、大変大切なものと考えております。既に食堂でありますとか、医務室、厨房等一部について共用を認めるなどのある種の規制緩和を講じておりますが、御指摘にございましたような線で進めるために、再度一層の検討を進めたいと考えております。
○勝木健司君 終わります。
○栗原君子君 栗原君子でございます。
 まずは大臣、就任おめでとうございます。まずまずの御活躍を祈念いたします。そしてまた、厚生行政がさらにこの機会に大きく飛躍いたしますことを祈念を申し上げまして質問をさせていただきたいと存じます。
 私は今回の質問におきまして、まず、再来年が被爆そして戦後五十周年を迎えるわけでございます。今、国の中でも戦争体験者が年ごとに高齢化をされまして、何としてもまだ目の黒いうちに自分たちの戦争体験をしっかりと後世に伝えて二度と日本が戦争を起こさないようにさせたいんだと、そういう多くの人たちの願いがありますし、そして、日本のこれからのそういった平和行政に対して、アジアの国々の方からの目が向けられていることを随分と私たちは感じるわけでございます。そういったことから、私は戦後補償、そしてさらには、今大きく問題になりつつおりますエイズの問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、戦没者追悼平和祈念館、これは仮称でございますけれども、このことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 一昨日、十一月九日に、衆議院で社会党の土肥委員から戦没者祈念館に関係いたしまして質問がございました。平和祈念館の運営につきましては、昭和六十二年十二月の中間報告によりますと、本施設の運営については、国民各界各層からの幅広い参加を本施設の事業の弾力的、効率的運営の観点から、財団法人を含む民間法人が行うことが適当であると、このようにされているわけでございますが、一昨日の衆議院におきましての土肥議員の質問に対して、財団法人日本遺族会に委託することを予定している旨の答弁がなされたと聞いておりますけれども、このことは事実でございましょうか。
○国務大臣(大内啓伍君) そのとおりでございます。
○栗原君子君 それでは、祈念館の設立の目的についてお伺いをいたします。
○国務大臣(大内啓伍君) 今栗原先生御指摘のように、戦後五十年近くを経まして、戦後生まれの方々がもう大半になってきた。そういう意味でさきの大戦に関する記憶というものも大変風化しつつあるということは御指摘のとおりでございますが、そういう中にありまして、一つには、戦没者を心から御追悼申し上げる、そのための施設としてこの平和祈念館というものをつくりたい。それから同時に、二つ目には、戦争に関する歴史的な事実というものを後世代に客観的に伝えることに資するものでなければならない。三つ目には、それを通じまして国民の平和を希求する心を内外に伝えていきたい。そういう意味でこの祈念館をつくるということを計画しております。
 御案内のとおり、平成七年じゅうの開館を目指しまして、総経費百二十二億、建設費百十億、事業費十二億という予算を想定いたしまして、平成五年度予算におきましては約二十一億円、それから平成六年度の概算要求に当たりましては、建設費三十二億円、事業費数億円を今要請している次第でございます。
 先生の一つの御懸念は、せっかくそういう平和祈念館をつくる以上は、それが公正かつ中立的な運営が図られるようにということについていろいろ御懸念をお持ちであると伺っておるわけでございますが、私どももその点を十分注意いたしまして、この施設の運営に当たりましては公正かつ中立的な運営が図られますように、その組織のあり方等につきましても厚生省としていろいろな御提言を申し上げている次第でございまして、いやしくもそういう目的で建つものでございますので、そういう運営についても十分意を用いてまいりたいと考えている次第でございます。
○栗原君子君 今大臣から御答弁をいただきましたけれども、関係の局長さんの方で追加の御答弁があればお願いいたします。
○政府委員(土井豊君) ただいまこの祈念館の設立目的等につきまして大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、事業費等につきましても大臣のお話のとおりでございます。
○栗原君子君 そして、多くの人たちが大変心配をしていることがあるわけでございまして、これは、日本遺族会がことしの十月一日に細川総理の侵略戦争発言に対して抗議声明を出しているわけでございます。侵略戦争発言の撤回を求めます、そういった内容の抗議声明でございますけれども、先ほど答弁のあった祈念館の設立目的を全うするには、政府のそういった委託先といたしまして遺族会は不適切ではないんであろうか、こういった心配の向きがあります。歴史学者あるいは識者の人たちから随分とそういう声が上がっているわけでございますけれども、この遺族会に委託をすることとされた理由はどういったことであるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(土井豊君) この平和祈念館の運営につきましては、その効率的、弾力的な運営が図られますように、財団法人を含む民間法人に委託することが適当ということで私ども検討してまいりました。
 その結果、この施設が日本遺族会から当初設立要望が出されました。さらに、この施設の検討に日本遺族会が長く参画をいたしておりまして、その趣旨等についても御理解をいただいている。さらに、建設用地の確保につきましても多大な協力をいただいている。そのような経緯がございま
す。と同時に、日本遺族会は戦没者遺族の代表的な団体でございまして、この施設に必要とされる資料等につきましても会員の方々から収集可能であるというふうに考えておりまして、この施設の運営委託先として日本遺族会が一番適当であるということでそのように予定をしているところでございます。
○栗原君子君 さきの第二次大戦におきまして、国、地域を問わず多くのとうとい犠牲者が出たわけでございますね。私はこれらに関しまして、ことしの五月十一日にこの席で、隣国、あるいはまた韓国そして朝鮮、中国を初めアジアの国々に対しても十分配慮した施設としていただくことが重要だと考えていると、こういった質問をいたしたわけでございます。そのために、戦争に関する歴史的な事実を客観的にきちんと後世に伝えていくことができるように私たちは望んでいるわけでございます。
 その運営のために特に配慮していただくことが必要であると思うわけでございますが、仮に遺族会に委託を行うといたしましても、この点をどのようにお考えでいらっしゃるのかお伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) この施設は国が設置するものでございますので、私ども厚生省におきまして有識者から成る委員会を開催して、幅広くこの施設の運営につきまして御意見を伺っていくということを考えております。それと同時に、運営委託先である、日本遺族会の予定でございますが、その委託契約の中におきましてこの施設の公正かつ中立的な運営を確保することを明記いたしたいと思っております。
 二つには、運営委託先である日本遺族会におきまして第三者による運営委員会を設置していただいて、その意見を聞きながら運営することを義務づけたい、そのように考えているところでございます。
 なお、運営委員会の委員の選任につきましては、公正、中立な人選が行われるように十分配慮してまいりたいと考えておるところでございます。
○栗原君子君 それでは、また大臣にお伺いいたしますけれども、祈念館が広く国民に受け入れられる施設といたしまして設置され運営されるような、設置が国民からきちんとよくわかるように、そして親しまれるそういった運営がなされることを私どもは願っております。
 最後に、このことに関してもう一度大臣の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(大内啓伍君) 栗原先生の御指摘はごもっともなことでございまして、こういう祈念館を設置する以上は、その目的に合った公正かつ中立的な運営を確保する。まして、これは国がつくることでございますだけに、それは大事なポイントでございますので、御指摘の点は十分留意いたしましてこれからの運営に当たりたいと思っております。
○栗原君子君 それでは、祈念館については以上でございます。
 次に、国連の人権規約に関係いたしまして質問をさせていただきたいと思います。
 日本政府の第三回報告というのが、十月二十七日、二十八日とジュネーブにおきましてございまして、国連の規約人権委員会で審査がされたようでございます。そこで、この審査の中で、援護法の国籍条項、そしてその中のとりわけB規約二十六条というのがあります。これは平等を言ったものでありますけれども、この関係についてどのような質問が出され、またどう政府としてお答えになっていらっしゃったのか。そしてまた、これらの最終コメントではどのように触れられているのかお伺いをいたします。
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 今先生から御指摘がございましたように、去る十月二十七日、二十八日の両日、スイスのジュネーブにおきまして、市民的及び政治的権利に関する国際規約、これは通称B規約と申しておりますが、そのB規約に基づきまして設置されておりますB規約人権委員会によりまして、我が国政府が提出いたしました第三回の報告につき審査が行われました。
 その審査の席上、スウェーデン、セネガル、コスタリカの各委員から戦後補償、特にかつての軍人に対する補償問題につきまして、国籍による差別があるのではないかといった質問が出されました。これに対しまして、援護法におきまして国籍要件を設けている理由につきまして、我が国政府代表から次のとおり答弁をいたしました。
 すなわち、援護法による援護は軍人、軍属などの一定の戦争犠牲に対する国家補償的な性格を有しており、その支給範囲、内容などは極めて高度な政策的判断を有する立法政策上の事項であるということ。この法律の立法をめぐる諸事情の一つとして、我が国といわゆる分離独立し、これは具体的には朝鮮半島及び台湾でございますが、こういった分離独立地域との間の財産請求権の問題を我が国とこれらの地域との間の特別取り決めの主題とすることが念頭に置かれていたということが考えられるということ。こうした事情のもとで援護法の国籍要件は存在するのであり、これを撤廃することはできないと、このように答弁をした次第でございます。
 この対日審査を踏まえまして、B規約の人権委員会は十一月四日、委員会としての意見を採択、公表しております。この意見の中で、委員会は、朝鮮半島及び台湾出身の人々で日本軍の軍役に服したけれどももはや日本国籍を有していない者が年金の点で差別されている点に懸念を表明しております。
 さらに、先生から御指摘のございました規約第二十六条につきましては、「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。」ということが規定されておりますが、私どもといたしましては、この規約第二十六条は不合理な差異を設けることを禁ずるものでございまして、内外人の取り扱いについて合理的な差異を設けることまで排除しているわけではないというふうに考えておる次第でございます。
 御指摘のございました援護法につきましては、この法律を所管する厚生省の方から御答弁いただくことが適当かと思いますが、外務省といたしましては、この法律にございます国籍条項が不合理なものとは言えないという考えでございます。
 以上でございます。
○栗原君子君 今の答弁を聞いておりまして、不合理なものとは言えないと言ってしまえばそれまでになってしまうかと思うんですけれども、私はそんなものじゃないと思うんですよね。
 ここに十月三十日の新聞の切り抜きがございますけれども、従軍中に手や足を失った元軍属二人がジュネーブに来て委員らに実情を訴えておられた、このように報道されているわけでございます。そして、審査されたものが数多くある中で、それぞれ関係各省庁に外務省としては御連絡をいただいたということは聞いているわけでございますけれども、これらのことをお聞きになられまして厚生省の方としてどういう感じをお持ちになられたのかお伺いをさせてください。
○政府委員(土井豊君) 援護法の国籍要件の問題でございますが、まず、先ほど外務省からお答えになりましたとおり、国際人権規約B規約は不合理な差別を禁止しているものでございまして、合理的差別まで禁止しているものではないと承知をいたしております。
 問題になっております戦傷病者戦没者遺族等援護法の国籍要件の問題でございますけれども、その対象を日本人に限定しておりますのは、一つには、援護法が恩給を停止された軍人等を救済するために国籍要件を有する恩給法に準拠して制定されたものであること、それから二つには、当時の背景といたしまして、サンフランシスコ平和条約において朝鮮半島や台湾などのいわゆる分離独立地域に属する人々の財産請求権の問題は帰属国との特別取り決めの主題とすることとされていたこと、この二つの事情によるものでございます。
 また、この援護法の国籍要件の合理性でございますけれども、御案内のとおり、昨年の台湾人元日本兵訴訟に関する最高裁判決におきましてもその合理性が認められているところでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、援護法の国籍要件には合理性があり、国際人権規約B規約に違反しているとは考えておりませんので、これを撤廃するという考え方はないわけでございます。
○栗原君子君 よくこれらが議論されますときに、フランスのセネガル人元兵士に対する戦後補償の問題が出されるわけでございます。フランスは自国の軍隊において勤務中、負傷もしくは疾病にかかった外国人または戦死した外国人の遺族に対して、国内の人と同様に障害年金とか遺族年金を支給している、そういった国であるということがよく報道されるわけでございますけれども、できましたらまたこれらを参考にしていただきまして、日本の戦後補償の一つとしてお考えいただきますようにお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと存じます。
 次は、旧陸軍の軍医学校がありました跡地で発見されました人骨のことでございますけれども、この真相究明につきましてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 厚生省は、一九八九年の七月二十二日に、国立予防衛生研究所建設現場、これは旧陸軍の軍医学校がありましたその跡地でございますけれども、ここで発見されました人骨に対して、今日までどのようにかかわっておいでであったのかお伺いいたします。
○政府委員(佐々木典夫君) お答え申し上げます。
 旧陸軍軍医学校跡地で発見されました人骨について、厚生省は今日までどのようなかかわりを持ってきたかというお尋ねでございます。
 今お話にもございましたけれども、平成元年七月二十二日でございますが、新宿区戸山にございます現在の厚生省戸山研究庁舎、これは三つの国立の研究機関を合築するということで始まったものでございますけれども、そこの建設工事現場におきまして人骨が発見されたわけでございます。
 直ちに、工事を担当しておりました建設省関東地方建設局の職員から牛込警察署に届け出がなされたわけでございます。翌日二十三日には牛込警察署から警視庁科学捜査研究所に鑑定が依頼されまして、翌二十四日、人骨は最低二十年以上は経過しておる、それから犯罪と認められる証跡はなかったという結果が発表されたところでございます。また、その翌日でございますが、東京都によりまして現状調査の上、埋蔵文化財には該当しないという確認があった、こんな経過をたどったわけでございます。
 そして、二十四日に牛込保健所によります現場確認が行われまして、翌二十五日に同保健所から新宿区に人骨発掘確認書が提出された、こういった経過をたどってございます。そして七月二十六日、新宿区は人骨を引き取った、こういう経過を経て、現在新宿区において人骨が保管をされておるという状況でございます。
 厚生省は、発見場所の土地管理者という立場から、この人骨につきまして、引き取り人の判明しないものとして、同年八月、墓地埋葬法等の関係法令に基づきまして、新宿区に対して手厚く葬っていただくよう依頼をしたところでございます。
 その後、経過を経まして、現在厚生省としましては、平成四年二月の衆議院厚生委員会におきます御審議等の国会におきます御質疑を踏まえまして、当該人骨の由来について、旧陸軍軍医学校関係者への事情聴取あるいは関係文献の調査等を実施してまいっておるところでございます。
 なお、この間新宿区におきましては、平成三年九月にこの人骨につきまして独自に専門家による鑑定を依頼されました。厚生省は、その結果につきまして平成四年五月に区の方から報告を受けておるわけでございますが、新宿区と今後の取り扱い等について協議を重ねてきておる、こういったような経過をたどっておるところでございます。
○栗原君子君 今いきさつをいろいろ聞かせていただきましたけれども、こういった中で新宿区が佐倉さんと言われる方に依頼をなさいまして、佐倉さんが鑑定をしていらっしゃるわけでございますけれども、私はその佐倉鑑定というのをどのように評価していらっしゃるのかな、こう思うわけでございます。
 一九九二年の四月二十二日に公表されました、ここに佐倉鑑定という佐倉さんがお出しになられました鑑定の報告書があるわけでございますけれども、これが旧陸軍の軍医学校の標本類であることが明白になっているというようなことが書かれているわけでございますが、この佐倉鑑定というのをどのように評価していらっしゃるのか、また標本として認識をしていらっしゃるのかどうかお尋ねをいたします。
○政府委員(佐々木典夫君) 旧陸軍軍医学校跡地の人骨につきましては、先ほども申しましたが、新宿区の依頼によりまして、いわゆる佐倉鑑定というふうに言っておられるわけでありますが、札幌学院大学の佐倉教授が「戸山人骨の鑑定報告書」ということでまとめられまして、私どもも新宿区から報告を受けているところでございます。
 この鑑定につきましては、現時点における科学的な調査としては手は尽くされたものではないかと私どもも考えておるところでございますが、この人骨が旧陸軍軍医学校の標本であるかという点につきましては、この佐倉鑑定によりますれば、例えば、一つに多数の人骨が集中して発見されていること、二つには人為的な加工の痕跡が認められること、三つにはホルマリン等によって固定されたものがあったことなどが指摘をされておりまして、そういう意味でその可能性は私どもも否定できないものというふうに思っております。
 厚生省といたしましては、現在、先ほども申しましたが、旧陸軍軍医学校関係者に対しまして人骨の由来についての聞き取り調査、アンケート調査あるいは関係文献の調査を鋭意進めているところでございます。旧陸軍軍医学校の標本であるかどうかにつきましては、その結果も含めて判断をしてまいりたいというふうに考えております。
○栗原君子君 この鑑定書の中にいろいろ頭蓋骨が出ているわけでございますけれども、中には頭蓋骨の中で切り取ったようなものも実際にあるわけでございます。それから、ここに写真を持ってきておりますけれども、これは骨なんですけれども、ここにのこぎりでひいたような跡のようなものがついているわけでございます。それから、こちらはドリルで穴をあけたような状況になった、こういったものも出てきたわけでございます。そしてもう一つ、こちらには鈍器で切り取ったといいますか、こういった写真もあるわけでございまして、どう見てもやっぱりこれは普通の行旅死亡人とかそういうものじゃないし、何かいわれのあるような人骨に思えるわけでございます。この骨が何かすごく私たちに重いものを物語っている、このように私は思っているわけでございます。
 次に、この人骨の取り扱いに対して法的な措置をどのようになさろうと考えていらっしゃるのかお伺いをさせていただきたいと思いますが、軍医学校の実験に使用された人骨であるならば行旅死亡人には当たらないわけでございます。それから、死体解剖保存法というのがございますけれども、これらに基づいた処置をすべきだが、どのように厚生省の方では考えていらっしゃるのかお伺いいたします。
○政府委員(佐々木典夫君) お尋ねは、人骨が軍医学校の実験なりに利用されたものではないのか、そうだとすれば死体解剖保存法に基づく処置が要るのではないかというふうに受けとめるわけでございますが、私どもとしましては、仮に人骨が軍医学校の実験に利用されたものでありましても、長期間を経まして工事現場で発見された人骨でございますので、墓地、埋葬等に関する法律第九条の適用があるものというふうに考えているところでございます。
○栗原君子君 それでは、人骨の所有権ということが言われると思うんですけれども、これらはど
こにあるものか。私たちは、厚生省に所有権があるのかな、こういうことを考えるわけでございますが、人骨が標本であるならば、軍医学校のその後の事務を引き継いだ厚生省にその所有権があるように思うわけでございます。そして私は、そうすれば厚生省がこれに対して適切な対応をしていく必要がある、こう思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(佐々木典夫君) お尋ねは、人骨が陸軍の軍医学校の標本であるとするならば、軍医学校の事務を引き継いだ厚生省の所有になるんではないかということかと存じますが、先ほども申しましたけれども、人骨につきましては、軍医学校の標本であったかどうか、なお厚生省としましては人骨の由来についての調査をいたしてございますので、その結果を待って判断をしたいと思うわけでございます。
 なお、その人骨の所有権についてのお尋ねにつきましては、仮に旧陸軍軍医学校の標本であったといたしましても、人骨として発見されたものでありまするので、先ほども申しました墓地埋葬法等の法令に基づいて新宿区において手厚く葬っていただくのが適当であるというふうに考えているところでございます。
 先ほど、死体解剖保存法の関係で墓地埋葬法の九条の適用があるとやや簡潔に申したわけでございますが、若干補足させていただきますと、死体解剖保存法は、医学の教育または研究に資するために死体の解剖を行い、標本として保存する場合に適用があるというわけでございますが、仮に標本であったといたしましても、それを処分する場合には他の死体同様墓地埋葬法が適用される扱いになっておるわけでございます。
 当該人骨は工事現場で発見されたものでございまして、身元の判明しない人骨といたしまして墓地、埋葬等に関する法律に従って火葬または埋葬に付されることが適当というふうに私どもは考えているところでございます。
○栗原君子君 それで、先ほど写真を見ていただきましたように、人骨がこれは私たちに何か歴史の重いものを呼びかけているように思うわけでございますけれども、これはやっぱり戦争犯罪に関与しているんじゃないかな、私たちはそういう懸念を抱くわけでございます。
 この人骨の鑑定を行った佐倉朔札幌学院大学教授は、実験材料は手に入りやすい戦場などから持ち込まれたことがあり得る、このようにされているわけでございます。侵略戦争時の戦争犯罪とも関係すると見られていることについてはどのように承知していらっしゃるのかお伺いをいたします。
○政府委員(佐々木典夫君) お尋ねにつきましては、人骨の由来につきまして鑑定を行いました佐倉教授が、平成四年四月二十二日に鑑定結果を記者発表されました会見の際に、確かに個人的には実験材料が不足した場合には材料を入手しやすい場所を探すというのは当然考えられるといったコメントをされておりますことにつきましては、私ども新宿区を通じて報告をいただいているところでございます。
 厚生省といたしましては、土地の管理者としての立場でございますわけですが、平成四年二月の衆議院の厚生委員会におきます御質疑の際に、当時山下厚生大臣からも、私といたしましては、単に十分な調査をしないで、無縁仏として弔うということについては心残りがあります、今局長の方から十分調査をしたと言っておりますが、私の責任においてもう一回やってみたい、こういったような趣旨の御答弁をしていただいたわけでございます。
 私どもはこういう経過も踏まえまして、先ほど申しましたような形で、当時の軍医学校の関係者への事情聴取あるいは文献調査等をその後鋭意進めてまいってきているところでございます。
○栗原君子君 何さま数が多いものですからみんな驚いているわけでございまして、頭蓋骨だけでも三十五人分とか、それからいろいろ骨の破片も調査をされましたら百体以上に上るという、それだけのたくさんの人骨が出てきたわけでございます。こういうことになりますと、中国の犠牲者の遺族の人たちから人骨の保存とそれから調査を求められているというようなことも聞くわけでございます。
 軍医学校の防疫研究室は、中国などで生体実験やそれから細菌戦を行った第七三一部隊、石井部隊とよく言われておりますけれども、七三一部隊の中枢であったことが明らかになっているわけでございます。このために、中国の七三一部隊犠牲者遺族の人たちよりその人骨の保存と調査が求められているということも聞くわけでございます。
 厚生省はこのことに対してどのように対応されて、今後どのようになさろうとしていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(佐々木典夫君) 中国の旧陸軍第七三一部隊犠牲者の遺族の方から、軍医学校跡地で発見された人骨を究明する会という団体の方を通しまして私どもの方に、人骨の由来の調査をすること、それから二つには、殉職者及びその遺族へ謝罪をすること、それから三つに、遺族への経済的賠償をすることといった趣旨の要望書が届いていることは私どもも承知をいたしてございます。
 先ほども申しましたけれども、厚生省といたしましては、現在、旧陸軍軍医学校関係者や関係の文献に当たって人骨の由来の調査を進めているところでございます。人骨の取り扱いにつきましては先ほど申しましたが、発見当時より引き取り人のないものとしまして墓地埋葬法に基づく手続が進められているところでございますが、ただいま進めております人骨の由来の調査の結果を待って対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○栗原君子君 広島県の竹原市の向かいに大久野島という小さい島があるんですけれども、戦争中は地図からもその島は消えていたわけです。何で消えていたかといいますと、御案内のようにそこは毒ガスを製造していたところでございます。実は私は、先般、その島に行ってまいりました。
 そこの毒ガス資料館の館長さんにもいろいろお話を伺いました。現に広島県にもまだたくさんの、毒ガス製造にその当時かかわって被害を受けていらっしゃる方が、今もずっと体の調子が悪くて病院通いをして大変な生活を送っていらっしゃるわけでございます。そこで、その大久野島でつくった毒ガスあるいは細菌、そういったものが中国大陸で使われていたというお話をいろいろ伺ったんです。
 それとあわせまして、今回のこの問題が出てきたときに、実は今、七三一部隊展というのを市民団体の人たちが中心になって展示会といいますか、そういうものをやってずっと全国を回っていらっしゃるわけでございます。
 広島でも五カ所合計画をしていらっしゃるわけでございますが、そこの中にさまざまな情報が寄せられてきていると、このようにおっしゃっておられます。その情報が寄せられたものをずっと書きとめていらっしゃって、それを五十一枚ほどちょっと私ぱらぱらと見せていただいたんですけれども、現に自分はそこの軍医学校に生徒として行っていたと、そういう人たちの生々しい証言があるわけでございます。
 そのときに、石井四郎さんという人が教官で教鞭をとっておられた。そして目の前にはマルタと言われるのをずっと並べていた。マルタと言われるのは、例の、何といいますか大陸から持ってきたものでございますけれども、かめに入れて運んだようでございまして、水がめも幾つもそこにあったりとか、ホルマリン漬けにしたものがあったとか、そういったさまざまな生々しい証言が今七三一部隊展をなさっているところに寄せられてきている、あるいはまた一一〇番に寄せられてきている。
 そういうことと私はあわせてみましたら、戦争中日本の大久野島でつくった毒ガスが中国大陸で使われて、またそこでいろいろ人体実験されたものが標本として日本に送られてきたと思えるわけでございます。中国大陸に当時いらっしゃってお
帰りになっておられる方が、木箱にこれは東京行きというものを押して、その中に標本を入れて送ったと、そういうことも証言していらっしゃる方があるわけでございます。
 私は、この問題というのは本当に戦後補償の大きな一つの問題であろうと思うわけでございまして、何としても、やっぱり取り扱いにつきましては厚生省も十分にまた配慮していただき、それからまた、これらが国民に戦争の怖さ、悲惨さ、そういうようなものをもっと私は考えていただくそういった機会になってほしいなと、このように思っているわけでございます。
 厚生省は、これらの人骨を保存し、国際的な見地で戦後責任を果たすために慎重に私は調査を行っていただきたい、このように思うわけでございます。新宿区より人骨を引き取り、焼却とか埋葬することなくこれを保存し、国際的な見地でぜひ私は戦後責任を果たすべく十分な時間をとって慎重な調査をしていただきたい、今後ともこういったことを考えて厚生行政の一つにまたこれもしっかりと生かしていただきたい、こう思うわけでございますが、最後に、先ほどからのやりとりを聞いていただきましての大臣の所見をお伺いさせていただきたいと存じます。
○国務大臣(大内啓伍君) 栗原先生の非常に熱心な御研究に対しまして敬意を表します。
 札幌学院大学の佐倉教授のこの鑑定というのはなかなか貴重な鑑定ではないかなと、拝聴しておりましてそう感じた次第でございます。特に、具体的に頭部の損傷であるとか四肢ののこぎりによる切断であるとか、通常の場合ではそういう事態は考えられない事実が事実として鑑定で出てきておるわけでございますし、また先ほどの広島の大久野島等におけるいろいろな状況報告等々も、それは決してつくり話とは聞こえない非常に大事な報告ではないかと思っております。
 したがいまして、先ほど政府委員から答弁をいたしましたように、その事実関係を究明するために今御指摘いただきましたようないろんな報告書あるいはGHQ資料、その他の公文書、あるいは聞き取り調査等々を十分経まして、この事件の明確な解明の上に埋葬という問題を考えるべきことであろうというふうに考えておりますので、これをうやむやにして埋葬を急ぐ、こういうようなことは避けたい、こう思っている次第でございます。
○栗原君子君 ありがとうございます。
 ちょっともう一度局長さんにお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、墓地埋葬法に従ってということを御答弁いただきましたんですけれども、死体解剖と考えられる場合、死体解剖保存法では、標本を廃棄するときなどは遺族が判明しない場合は標本の保存者が墓地埋葬法に従って埋火葬すべきということがあるわけでございますけれども、このことについては間違いないのか、もう一度ちょっとそこのところを触れてください。
○政府委員(佐々木典夫君) ただいまのお尋ねの死体解剖保存法の場合におきまして、遺族が判明しない場合に保存者が埋葬をするということについてはどうかというお尋ねでございます。
 その点につきましてはそのとおりでございます。今お尋ねのありましたとおりでございまして、もう一度申しますと、死体解剖保存法に基づきます標本を保存する者が当該標本を廃棄する場合は、墓地、埋葬等に関する法律に基づき埋葬あるいは火葬すべきであるというふうなとおりでございます。
 なお、本件の場合につきましては、先ほども申しましたけれども、仮にかつて標本であったことが判明いたしました場合でも標本としての用が廃された状態で発見されておりまして、標本の保存者に当たる者はないというふうに考えておるところでございます。そういうことで、先ほど申しましたような形で手厚く対応することが適当ではないかということを申し上げたところでございます。
○栗原君子君 今厚生省の方ではずっと調査をしているということを先ほどからおっしゃっておられましたけれども、この調査というのがいつごろまでかかるものなのか、いつまでもいつまでもずるずるとするわけにはいかないと思うんですけれども、大体のめどというのをお知らせください。
○政府委員(佐々木典夫君) どんな調査をやっておるかということにつきましては先ほど来申しましたとおりでございまして、当時の旧陸軍軍医学校関係者への面談調査、御協力をいただくというようなことでお話をいただく、あるいはアンケート調査を実施いたしまして、例えば当時の、平成元年七月時点で人骨が発見されました際の新聞等の報道につい。でどの程度の情報を得て知っていらっしゃるか、あるいは今回発見された人骨はどのような由来のものであるか、何か知っている情報があるか、どのような経緯の人骨であるか、あるいはどのくらいあったのか等々、ありまする情報についての御提供方をアンケート調査方式で要請をしたというようなこと、さらに文献調査をやっておるわけでございます。
 スタートしましてある程度たつわけでございますが、例えば本年八月ごろには戦時中の関係方面の資料が新たに発見されたといったようなこともありまして、先ほど大臣からも御紹介いただいておりますが、引き続き国立公文書館あるいはGHQ文書等調査を続けているというところでございます。
 いつまでかかるのかというふうなことでございますが、そういうことで今考えられる文献につきましてはなるべく丁寧な対応をしようということで、例えば先ほど申しましたGHQ文献等もアメリカの公文書館から提供を得たものを見ているわけでございますが、英文資料なわけでございますけれども、こういうのを精査してまいりますので、今我々が当たる必要があるものというものについてはできるだけ早く対応したいと思っております。いつごろまでに全部見切ってとなかなか申し上げられないわけでございますけれども、担当課の職員をもってひとつ誠実に調査を急ぎたいというふうに存じます。
○栗原君子君 ありがとうございます。
 先ほど申しましたように、市民団体の方にはもうすごい情報がたくさん私は来ているな、こう思うわけでございまして、ぜひ厚生省の皆さんもそういったところとも連絡をとって確かな情報をしっかりと入手してこの問題に対応していただきますように、最後にお願いを申し上げたいと思います。
 それでは続きまして、私は、中国人の強制連行そしてまたそれに伴う在中被爆者、この問題についてお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 中国人の強制連行に関心を寄せている広島の市民グループの人たちが、昨年、中国の華北大学の協力を得ながら調査をされました。それらによりますと、中国人の強制連行あるいはまたそれによって連れてこられた人たちが広島で被爆をなさったという、こんな重たい問題を抱えているわけでございますが、これらについてまた少し質問をさせていただきたいと思います。
 ことしの五月十一日でございましたけれども、私はこの席において、幻の報告書と言われておりました「華人労務者就労事情調査報告書」、いわゆる外務省報告書というものがあるかということを質問いたしましたら、ないというお答えでございました。これは戦後、昭和三十何年でしたか、そのころにもこの問題が国会で取り上げられましたけれども、一貫してないないということでございまして、何とか探してくれないか、ないところを探してもないんだから、あるところを考えて探してほしい、そんなこともお願いをしたわけでございます。
 その後、ことしの五月十一日からしばらくして、東京の華僑総会の方がこの外務省報告書というものをお持ちでございました。そして、外務省報告書はコピーをされまして外務省がお持ちであるということを私たちは伺っているわけでございますけれども、外務省の方、来ていただいている
と思いますけれども、どういったことが明らかになったものか、お聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(野本佳夫君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の五月、NHKで報道されまして、外務省といたしましてもいわゆるこの外務省報告書につきまして関係者より写しをいただきました。現在調査を進めているところでございます。
 この調査につきまして、いかんせん外務省にその本物がございません。それで、外務省のものであるかの確認とともにこの報告書記載の内容についても可能な範囲で確認を行うということで、現在省内外の広範囲にわたって関係文書を調査する等の作業をしておるところでございます。
 先生御質問の、我々が入手をいたしました写し等の中でどのようなことが書かれているかという御質問でございますが、その人数、それから事業所の場所、または日本に連れてこられた方々の大まかな形態等が言及されているというふうに承知をしております。調査はまだ最終的に済んでおりません。
○栗原君子君 私はそれらの中に明らかになっているんだろうと思うわけでございますけれども、当時、敵国であると言われていた中国から強制連行をされた人たちが三万八千九百三十五名、約四万名の方が強制連行で日本に連れてこられて、港湾で働くとかあるいは炭鉱とか荷役とか、とにかく労務者として連れてこられて強制労働をさせられた、そういったことがあるわけでございまして、四万人近くおいでになった中で八千人の人が栄養失調とか、それからろくろく食べるものも与えられていない。この間広島においでになった方の証言によりますと、マントー一つだけが一日の食料だった、そういう状況でございまして、食べるものもない、着るものもない、とにかくむちゃくちゃに働かされて、中にはたたき殺された人もあったんだと、こんな証言も続々今出ているわけでございます。
 それぞれ全国に百三十五の事業所というものがありまして、そこで皆さんがそれぞれ働いておられたわけでございますけれども、どういう働き方をさせたかという華人労務者就労てんまつ書、こういうものが出ているわけでございます。GHQによってこういうものをつくらせたということもあるわけでございますが、外務省のこれらの報告ではこの事業所報告書というものはどのようになっているのか、ごらんになられたものかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(野本佳夫君) 先ほども申し上げましたとおり、いわゆる外務省報告書の写しを現在最優先して調査、確認の作業をしておりまして、まずその外務省報告書の方を優先して全力を挙げて調査したいというふうに現在考えておりまして、いわゆる先生が御指摘になりました事業所報告書のコピー、写しはまだ入手いたしておりません。
○栗原君子君 百三十五の事業所で働いておられたわけでございますけれども、その一つに広島に西松組というものが当時ありました。今はもう随分大きな建設会社におなりでございますけれども、そこで働いていたという人の、中国の強制労働で連れてこられた人の名簿がここにあるんです。
   〔委員長退席、理事菅野壽君着席〕
これはコピーでございますけれども、私はこれを持ってまいりましたけれども、本当にたくさんの人たちがいるわけでございます。
 この中に実は当時広島で被爆をしたと思われる人が何人かいるわけでございます。これ十二名いるわけでございますけれども、これを見ますと出身県まで書いてあるわけでございます。出身県まで書いてあるということは、私はこれは追跡調査をすればできるんじゃないか、このように思うわけでございます。まだ生きていらっしゃるのかもう亡くなったものか全くわからない人が多いわけでございますけれども、被爆をした人であるならば、今の被爆二法というのは国籍条項がないわけでございますから、随分お体のぐあいの悪い人たちがほとんどであろうと思うんですけれども、ぜひ追跡調査をしていただいて、例えば渡日治療を受けていただくとか、それから被爆手帳をおいでになれば差し上げるとか、そういう何か救済の措置を講じてもらうことはできないものかどうか、このことをお伺いしたいわけでございますけれども、お願いします。
○政府委員(谷修一君) 先ほど来お話のございます在外被爆者問題、具体的に今お話しになっておりますのは中国におられる、あるいは中国人で被爆をされた方等の問題でございますが、一般論として申しますと、外国在住の個々の被爆者の問題はそれぞれの国の国内問題であるということで私ども考えておりまして、したがいまして在中国被爆者につきまして、我が国の主権が及ばない中国に対しまして調査あるいは治療を実施するということは難しいというふうに私どもは考えております。
○栗原君子君 私は外交ルートを通じてでもこのことはやっていただけないかと思うんですけれども、さまざまな形でできるんじゃないかなという気がするわけでございます。そして、被爆の問題というのは国籍条項がないわけでございますから、どこにお住まいの人であっても本人が望まれれば渡日治療を受けていただけたらと、こういう気持ちを持っているわけでございます。
 そして、私が五月にこの問題をこちらで出しましてからしばらくいたしまして、中国から張さんとおっしゃる方が広島に見えました。その方も被爆をしていらっしゃる方でございまして、当時刑務所におられまして、刑務所で被爆をされたというきちんとした裏づけのものがあって、被爆手帳も取っていただいて、おいでになったときに若干の、検査程度だったんでしょうけれども、それを受けていただくことができました。
 それから七月の末に、呂さんともう一人孟さんとおっしゃるお二人の方が広島においでになりまして、同じように被爆手帳を取って治療を受けていただいた。お一人はがんの細胞が大きくなっている、もうこれは手術をしなきゃいけないということを病院で言われた、このようにおっしゃっておられまして、日本で今すぐ手術ということにはならないから帰って中国で手術をします、そういうことをおっしゃっておられたわけでございます。
 そして、これとあわせまして、当時雇用されていたところへ、八月三日でございましたけれども、弁護士さんや市民グループの人たち、そしてそのお二人、それから私も同席をいたしましたけれども、何としてもちゃんと自分たちに謝罪をしてほしい。そして、働いていた広島県の安野発電所というところがあるんですけれども、そこでたくさんの同僚が亡くなったんだ、そこへ追悼の碑をつくってほしいとか、そういう要望をなさったわけでございます。
 これらについて私は、現実にもう随分高齢化していらっしゃるし、早く手だてをしないといけないと思っておりますけれども、何とか外交ルートを通じて手だてはできないものであろうか、こう思うわけでございますが、外務省の方、いらっしゃいましたら御答弁をお願いします。
○説明員(野本佳夫君) 先生御指摘の外交ルートの件でございますが、御承知のとおり、日中両国政府の間で戦争に係る日中間の請求権の問題ということにつきましては、一九七二年の日中共同声明発出後は存在していないということで日中双方の考えは一致しております。したがいまして、我が方より中国側に対して外交ルートをもって提起、申し入れというのは困難だというふうに考えております。
 他方、人道的見地から追跡調査をして生死を確認し、被爆者としての措置を講ずべきというそのお考えにつきましては、日本の国内措置にもかかわる問題でございまして、外務省のみでお答えすることは困難な次第でございます。
○栗原君子君 そういって前回もまたそれに似たような答弁が返ってきたんですけれども、韓国の場合は日韓の請求権とは別に四十億円を韓国の被爆者に対して出しているわけでございます。この
ことを厚生省の方に申し上げましたら、在韓被爆者の場合も外交ルートを通じてこのようになったんだ、こうお聞きをしたわけでございますけれども、私は何でできないのかなと思うんです。韓国の場合はできて、中国の場合若干人数は少ないにしろ私はほっておける問題ではない、このように思うわけですが、いかがでございましょう。
○説明員(野本佳夫君) お答えいたします。
 日中間の場合には日中共同声明発出で、双方の政府が戦争に係る日中間の請求権問題については存在していないということをこの共同声明で確認をいたしたわけでございます。国際法上の請求権につきましては、一般に私人は国際法上の主体とはなり得ないものでございまして、外国人が個人の資格で日本政府に対して云々請求をするということが国際法上はできないわけでございます。
   〔理事菅野壽君退席、委員長着席〕
 日韓の場合には、日韓双方外交ルートを通じてというより韓国政府の要請に基づきこの被爆者の問題について解決をしたというふうに承知をいたしております。
○栗原君子君 それじゃ、ここに持っております、その当時強制連行で来られた人、そして被爆をされたと思われる人の出身県まであるわけでございますが、この追跡調査というのは一切まかりならぬ、このようにおっしゃっておられるんですか。
○説明員(野本佳夫君) 先ほど申し上げましたように、我が国の国内措置にもかかわるものでございますので、外務省だけではなくほかの省庁とも御相談をするべき話かと思います。
 日中共同声明で、法的に政府間ということでは請求権は決着済みでございます。人道的に追跡調査または被爆者に対する措置というような点につきましては、国内措置にもかかわるものでございますので外務省のみでお答えすることは困難であるということでございます。
○栗原君子君 実は私も広島に来ていただくための呼びかけ人の一人にも加えていただきましたし、それから市民団体の人たちが随分努力をしていただいて、先般三人の方をお迎えして被爆手帳も取っていただき、治療も若干受けていただいたという経緯がございます。
 日本には被爆二法という法律もあるかないかも御存じないと言われる方が中国にいらっしゃるわけでございます。だから、せっかくこういう法律があるんだし、私たちは中国のそういう被爆をされている人たちにこういう渡日治療の方法のことも教えて差し上げたいし、ぜひ治療を受けていただきたいな、こういうことを思うわけでございます。何か小難しいことのように伺うわけでございますが、どうしても外交ルートでできないのであれば、日赤か何か、あるいはまた中国紅十字会というのがあるそうでございますけれども、そこらあたりに何とかルートをつくっていただいてお願いしてもらうようなことにはならないのかどうか、ちょっとお伺いをいたします。
○政府委員(土井豊君) 日本赤十字社と中国の紅十字会のルートはどうかというようなお話かと思いますが、一般論で申し上げますと、赤十字社がいろんな活動を人道的な見地から行っておりますが、二国間で外交関係が正常に機能しているような場合、これは一般的には政府間でいろんな仕事をしていただくというのが通常でありまして、赤十字社はむしろそういった外交関係がないような場合に人道的見地から一定の仕事をするというようなこともあり得ることだとは思いますけれども、今お話しの点についてはいかがなものかという感じが率直にいたしておるところでございます。
○栗原君子君 市民団体の人たちは一番身近な行政の機関であります広島市へもこの問題については何度がお願いに行かれたようでございますが、やっぱり国の方で、とりわけ厚生省の方で頑張っていただかないことには広島市としてはどうすることもできない、そんな答弁も返ってきているようでございます。私はほっておくわけにはいかない問題だろうな、こう思うわけでございます。
 それで、実は市民団体の人たちとそれから弁護士さんを窓口にされまして、先般中国にお帰りになられた呂さん、孟さんのお二人の被爆者の方が、建設会社に申し入れ書といいますか、こういうものを出していらっしゃるわけでございますけれども、それに対して回答が来たわけでございます。きのうも実は広島で市民団体の人やそれから弁護士さんが、かつて雇用していた建設会社に対して申し入れに行っていらっしゃるわけでございまして、きょう、地元の広島の新聞ですけれども、大きく取り上げております。それから、きのうの新聞も取り上げているわけです。これが随分大きな話題になっているわけでございます。
 その中で、建設会社がこんなことを言っているわけなんです。一つには、御指摘の強制連行は国策で行われたものであり、弊社が強制連行したのではないということ。もう一つには、労働とか衣服とか食料などは当時の状況下でできる限りのことは行ったと、こんなしらを切っているわけです。それから、賃金も支払った、こんなことを言っているわけでございますけれども、これは私は信じることはできない、こう思うわけでございます。
 そして、新聞の報道によりますと、当時の働かせ方が自主的な労働契約ではなくて強制的なものだったことをここの建設会社は認めているんです。強制労働をさせたということを認めているんです。だけれども、国策であったからこれは国の責任だ、こんなことになって、賃金も払ってないじゃないかとかあるいは払ったじゃないかとか、それで随分問題になっているわけでございますけれども、これらのことを厚生省の方ではどのようにお考えでいらっしゃるのか、ちょっとお伺いいたします。
○政府委員(谷修一君) ただいまお話にございました申し入れ書の問題、あるいは建設会社がどのような対応をしたかということについては私ども全く承知しておりませんので、答弁はちょっと申し上げられないということでございます。
○栗原君子君 実は、ILOの第二十九号条約というのがあるんです。一九三〇年に採択された強制労働に関する条約というのがあるわけなんですけれども、日本は一九三二年、昭和七年にこれを批准しているわけでございます。戦前にもう批准をしているわけでございます。
 この中身というのは、強制労働をさせてはいけない、こういったものでございますけれども、これに日本という国は当時から違反をしてきたということがあるわけでございまして、私は国際的にこのことはやっぱり糾弾をされるんじゃないか、こう思うわけでございます。このILO第二十九号条約の違反というところからしても私は知らないとは言えないであろうな、こう思うわけでございます。何とか救済の手だてというものを私は考えていただきたいと思うのでございます。
 それから、今私が中国人の在中被爆者の問題を申し上げましたけれども、基本的に在中被爆者の問題をどのようにお考えでいらっしゃるのか、ほうっておけばいいと考えておられるのか、何とかしなきゃいけないと考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 先生御承知のように、原爆被爆者の問題につきましては現在いわゆる原爆二法に基づいた各種の対策をやっているわけでございますが、先ほど来外務省の方からもお答えがございましたように、現在中国におられる被爆者の問題につきまして、国と国との主権の問題というようなことから、我が国が直接被爆者に対して治療あるいは調査をするのは難しいということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 ただ、先ほど来先生がお触れになっておられますように、在中国被爆者が来日されました際には、先ほど申しました原爆二法に基づきました被爆者の健康手帳の交付、あるいは医療の給付、あるいは滞在される場合には健康管理手当といったような支給を行うということで対応をしているところでございまして、この点についてはたしかことしの夏でございますか、既に来日された方につ
いてもそのような措置を広島市を通じてとらせていただいているところでございます。
○栗原君子君 おいでになったらそうなさるのは当然のことでございますけれども、でもこういう法律があることも御存じないし、中国にいらっしゃる本当に何にもわからずに体がむしばまれて苦しんでいらっしゃる方に対して、こういうことがあるんですよというお知らせをすることというのは難しいんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 基本的な問題は恐らく外交の問題にも絡むと思いますが、日本の国内法でございますこの原爆二法の周知徹底ということを中国に対してやるということは難しいというふうに私どもは認識しております。
○栗原君子君 私は人道的にもやっぱりほっておくわけにはいかないような気がいたします。何とかこれが実現するように、在中被爆者の方にこんなことがあるんだよというお知らせができるような手だてというものを、国と国との関係で難しい面もあるとおっしゃいますけれども、中国には大使館もあることですし、そこらを通じて中国政府にもお願いをしていただくとか、協力もしていただくとか、そんなことでやっていただくようにお願いを申し上げまして、最後に大臣、今のやりとりを聞いていただいてどうお考えがお伺いいたします。
○国務大臣(大内啓伍君) 今の栗原先生の数々の御指摘、非常に胸の詰まる思いで聞かせていただきました。
 外交関係といたしましては、今外務省から答弁いたしましたように一九七二年の日中友好平和条約等々の問題もございますし、外交という問題の中でこの問題を解決するということはなかなか難しいことはお聞き取りのとおりでございます。しかし、そうはいいましても、先生御指摘のような非常に人道的な問題、また日本としても責任を感ずべき問題であることは御指摘のとおりでございます。
 そして、今在中の方でも日本に来られる場合にはいろいろな救済措置がとられていることも御存じのとおりでございます。これは若干私見にかかわることではございますが、今先生が御指摘のように、日本に来られる場合にはこういう措置がとられることは可能であるということを中国側にお知らせをし、そしてそれらの該当者に何らかの形で御徹底いただくようにお願いするということは十分可能なことでございます。
 例えば、一九六五年の日韓条約におきましても請求権問題は解決をいたしましたが、後に、慰安婦問題等については御指摘のように補償問題とは別に日本政府として責任ある調査をするということもやったわけでございます。したがって、これは私自身でもできることでございますので、例えば中日平和友好協会とかいろんなルートがございます。先般も孫平化会長が来られまして、その他の問題でも意見を交換したことがございます。もちろん、友好協会ではございますが政府に対しましても相当のルートをお持ちでございます。
 したがいまして、外交的には申し上げているとおりでございますが、その他の手法を通じまして、先生の意が何らかの形でそういう在中被爆者等に届くような措置を検討したい、こう思っております。
○栗原君子君 とても力強い御答弁ありがとうございました。
 それでは、続きましてエイズの問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。実は、国際エイズデーが十二月一日、これを前にいたしまして、後天性免疫不全症候群、エイズについて質問をさせていただきたいと存じます。
 WHOの推計によりますと、現在世界に約千四百万人の感染者が存在し、エイズの流行は世界的に深刻な状況をつくり出しております。そこで、我が国のエイズの現状について御報告をいただければと思います。お願いいたします。
○政府委員(谷修一君) 現在の我が国のエイズの状況でございますが、患者、感染者の数、平成五年の九月末までに報告されましたのが患者六百一人、感染者が二千八百三人、合計で三千四百四人でございます。このうち血液凝固因子製剤による感染例を除きますと、患者が二百二十六人、感染者が千七十五人、合わせて千三百一人ということになっております。
 近年の特徴でございますが、患者、感染者の報告の数が増加傾向にあることは御承知のとおりでございます。また異性間の性行為というものが主たる感染経路になってきた、あるいは在日外国人におきます感染者の急増といったような傾向が見られております。
○栗原君子君 次に、エイズの対策についてお尋ねをいたします。
 エイズ対策の基本は、国民一人一人がエイズに関する正しい知識を持ち、エイズから自分の体を守ることにあると思うわけでございますが、エイズの予防のための正しい知識と情報の普及というのはいかがなことになっておりますでしょうか。
○政府委員(谷修一君) エイズにつきましては現在特効薬というものがございませんので、やはりエイズについて正しく理解をしてもらう、正しい知識を持っていただくということが最大の基本だ、予防であるというふうに認識をしております。
 厚生省におきましては、御承知のように、厚生大臣を本部長といたしましてエイズストップ作戦を展開しておりまして、特に正しい知識の啓発普及活動ということに重点を置きまして、具体的にはパンフレットの作成あるいはポスターの作成、またテレビスポットの実施等をやっておるところでございますが、この問題につきましては国だけであるいは厚生省だけでやれるものではございませんので、都道府県あるいは企業、そういうようなところにも働きかけをいたしまして、国民全体で対応していただくようなきめ細かなPRということをやっていただいているところでございます。
○栗原君子君 若い世代の人たちに対してエイズの予防の徹底を図るためには、やっぱり学校教育の中で性教育あるいはまたエイズ教育ということが大切になっている、このように思うわけでございますが、学校現場での取り組みというのはどのようになっているかということをお聞きしたいと思います。
 私たちのときは純潔教育というのが本当に随分なされていたんですけれども、もう純潔教育では私は間に合わない、こう思うわけでございます。それで、今各都道府県で青少年健全育成県民会議とか町民会議とかいろいろあるわけでございますが、そこらと何か若干考え方にずれがあったりいたしましてなかなか進んでいないように聞くわけでございますけれども、これらについてもお願いいたします。
○説明員(近藤信司君) お答えをいたします。
 学校におけるエイズ教育についての取り組みの御質問かと思いますが、エイズ教育につきましては、児童生徒の発達段階に応じて正しい知識を身につけさせることによってエイズを予防する能力を育てるとともに、エイズ患者、感染者に対する偏見、差別を除き、人間尊重の精神を育てる、こういう基本的な考え方に立って指導をしておるところでございます。
 具体的には、エイズ教育は小中高等学校を通じまして病気の予防などを取り扱います体育、保健体育、あるいは他人とのかかわり、偏見差別などについて取り上げます道徳あるいは特別活動等々を通じまして、学校教育活動全体で推進をするように指導をしておるところでございます。
 文部省といたしましては、こういったエイズ教育が各学校現場で適切に行われますよう、例えば昨年度、平成四年度でありますけれども、高校生用のエイズ教育のパンフレットを五百八十万部作成いたしましてすべての高校生に学校を通じて配付したところでございますし、学校の先生にエイズ問題につきまして正しい知識を持っていただくということで教師用の指導の手引、これを作成しお配りいたした、あるいは教職員に対する研修の施策、こんなことを実施しておるわけでございま
す。平成五年度におきましては、先般、中学生用のパンフレットを作成いたしましてこれもまた各学校にお配りをしたわけでございます。
 そういったことでエイズ教育の取り組みを進めておるわけでございますけれども、今後とも各学校現場でエイズ教育を一層推進してまいりますよう文部省としても努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○栗原君子君 エイズの問題と性とは切り離しては考えることができないわけでございまして、性の問題は人間の本能や本質と深くかかわっておりましてとても重要である、こう思うわけでございます。
 しかし、我が国ではどうしてもこれらを口にすることがやっぱりはばかられるというような傾向がありまして、この問題を正面からとらえて論じることがなかなか少ないように思うわけでございます。我が国は欧米諸国に比べまして性への取り組みが大変まだおくれていると言われております。エイズはこういった意味でも私たちに大きな問題を提起してくれたと思うわけでございますが、一人の人間としてこれらを真摯に見据え、真剣に取り組むよい機会だと思っているわけでございます。
 ここで、検査体制についてお伺いをいたしますけれども、エイズの感染は血液検査のみによって知ることができると言われています。私たちがどこででも安心して検査を受けられる、しかもこれらはプライバシーや人権が十分守られる必要があると思うわけでございますが、検査体制の現状についてお伺いをさせていただきます。お願いいたします。
○政府委員(谷修一君) エイズの検査でございますが、今お話ございましたように、やはりどこでも受けられる、あるいはプライバシーの問題、このことを十分に考えながらやっていくということが必要だということは私どももそのように考えております。
 具体的には、特に保健所を中心にいたしまして匿名で検査が受けられる、また医師が必要と認めた場合には無料ということで、無料匿名検査実施体制を平成五年度から始めているわけでございます。平成五年の六月末現在で、既に全国の保健所で約六万四千名の方が検査を受けられているというふうに報告を受けております。
○栗原君子君 専門機関やそれから医療体制をきちんとしていくということがまた重要になってくると思うわけでございますが、感染経路にかかわらずすべての感染者、患者が安心して治療を受けられる医療体制づくりがまず何よりも必要であろう、このように思うわけでございます。
 そこで、この医療機関の確保というのはどのようになっておりますでしょうか。厚生省ではエイズ専門病院として約三十カ所ぐらいの国公立の病院を治療拠点とする計画とホスピスの設置をお考えのようでございますけれども、このことについていかがでございましょうか。なかなか患者の受け入れ病院が少ないということが多くの皆さんから指摘をされているわけでございます。そして、診療拒否をされる場合もあったということも聞くわけでございます。しかも国立の医大で断った例もあるようでございます。
 そしてまた、治療薬としてAZT、ddI、こういったものを使用するわけでございますが、今日本では約六割の人は血友病患者の人がエイズにかかっておられるわけでございますが、もうddIも効かなくなってきている。諸外国では認められているddCというお薬を使えるように日本でも認めてもらえないか、これはエイズ一一〇番の運動をしていらっしゃる専門家の先生から、ぜひ厚生省にお聞きしてくれないか、こんなこともあるわけでございますが、あわせてお聞かせください。
○政府委員(谷修一君) まず医療の問題でございますが、基本的にはエイズといえどもどこの病院でも医療が受けられるというふうにすることが基本だというふうに思っております。そういうことから、エイズに関する医療従事者に対する研修ということも全国的に今実施をしているわけでございます。
 先ほどちょっとお触れになりました専門病院ということに関しましては、各都道府県に複数以上の拠点病院というものを整備するということで、ことしの七月に各都道府県に対してそういったような拠点病院についての考え方を示しまして、県ごとに選定をしてもらいたいということで現在お願いをしているところでございます。
 それから、いわゆる緩和ケア病棟といったような言い方をしておりますが、これについては国立の機関で一カ所整備をするということで、現在その準備を進めているところでございます。
 もちろん、ちょっとお触れになりました診療拒否といったようなことがあってはならないわけでございまして、そういうことのないようにということも含めて、拠点病院を中心にした医療体制の充実ということを今後とも進めていきたいと思っております。
 なお、薬の問題でございますが、今お触れになりましたddCというものは、我が国では現在いわゆる治験段階に入っているというふうに承知をしております。
○栗原君子君 次に、相談指導体制の充実についてお伺いをいたします。
 感染者と家族に対するカウンセリングは、主治医とか看護婦さんとか臨床心理士とかソーシャルワーカーなど医療の従事者がいらっしゃるわけでございますけれども、これらに加えてまた市民のボランティアの人たちの力というのも私たちは大きい、このように思うわけでございます。
 現在、保健所や私立の医療機関でのエイズに関する相談とか活動はどのようになっておりますでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(谷修一君) 感染をされた方あるいは患者になられた方に対するカウンセリング、あるいはそういうことも含めた相談指導体制を整備していくということも、先ほど冒頭に申しましたエイズストップ作戦の一つの重要な柱として位置づけております。
 保健所あるいは医療機関におきます相談窓口の設置を行っているわけでございますが、保健所におきます相談の受け付け状況でございますが、平成五年につきましては、平成五年六月まででございますが、約十三万件の相談が受け付けられております。なお、平成四年は二十五万件といったような数が報告をされております。また、医療機関等におきます相談の受け付け状況でございますが、平成四年の数字でございますが、窓口数として百八十六カ所、約一万件の相談を受け付けております。なお、エイズ予防財団におきましても相談受け付けをやっておりますが、平成四年で約一万三百件といったような数字で相談が受け付けられているということでございます。
 いずれにしても、こういったような相談指導体制を整備していくということは、先ほどの重複になりますが、重要なことだというふうに思っております。
○栗原君子君 やっぱり相談の窓口になっていただいておりますカウンセリングの人たちの養成というものがこれから本当に重要であろう、こう思うわけでございまして、ぜひこれらを十分な、人がいればいいというものじゃなくて、きちっと対応できるカウンセラーがいなきゃいけない、こう思うわけでございますので、厚生省としてもさらに御尽力いただきますようお願いいたします。
 次に、第十回の国際エイズ会議についてお伺いをいたします。
 日本のエイズ対策の国際協力の一環といたしまして、来年の夏八月に、横浜で第十回の国際エイズ会議が開かれると聞いておりますが、この準備はどのように進めておられますでしょうか。そして、この国際会議は、私たちにとってエイズは他人の問題ではなくして自分の問題だと、こうしてとらえることの意味をもたらしているわけでございまして、私たちは差別や偏見がもたらす問題を世界的視野から考えるとてもよい機会になる、このように思っております。
 そして、ここでお尋ねをしたいのは、国際会議に世界約百カ国、一万人の人たちが参加をされると言われているわけでございます。この中には当然コマーシャル・セックスワーカーズ・ユニオンの女性たちも参加することになっております。入国の際、出入国管理及び難民認定法の第五条七号の関係で問題があるように聞いているわけでございますが、女性たちの入国目的が国際会議への参加ということではっきりしておりますので、人道的立場から参加できるように事前に法務省と協議をしていただきたいと思うわけでございます。
 ヨーロッパのいわゆる売春婦と言われている人たちは、とても誇りを持ってそういう職業としてやっているわけでございます。そして、入国する場合にはセックスワーカーズと職業欄にきちんと書いて入ると彼女たちは言っているんです。それはなぜかと聞きましたら、日本が従軍慰安婦の問題をまだうやむやにしているから、そのことに対してもきちんと職業欄に書いて入ると。黙って入ればわからないようなものでございますけれども、そういうことになっているわけでございますけれども、このことについてお尋ねをいたします。
○政府委員(谷修一君) 第十回の国際エイズ会議、先ほどお触れになりましたように来年の八月に横浜で開催をする予定にいたしております。具体的には、国内の組織委員会というものを設けまして、そこが中心になってプログラムの作成あるいはWHOを初めとする海外機関との連絡調整等をやっているわけでございます。
 この国際会議を日本で開くということは、先ほど先生もお触れになりましたように、我が国におきますエイズについての理解を深める、あるいはエイズに対する差別なり偏見をなくしていくということも含めまして、エイズ対策全体について大変重要な意義を持っているというふうに私たちも考えております。厚生省におきましても、この国内組織委員会の準備とあわせまして省内に国際エイズ会議準備本部というものを設けまして、並びにその事務局を設置いたしまして、この会議の成功のために全面的な支援を行っていく所存でございます。
 なお、この国際エイズ会議の参加者でございますが、今のところ恐らく世界百四十カ国を超える国々から一万人近い方が参加するのではないかというふうに予想をしておりますが、今までやりました九回の会議の例にもございますように、いわゆるコマーシャルセックスワーカーの方の参加が予定をされているということでございます。こういったような方以外にも患者あるいは感染者といったような方も参加をされるということでございますので、この入国の問題につきましては現在関係各省ともいろいろ協議をして、この会議の開催の支障にならないように協議をしているところでございます。
○栗原君子君 次に、エイズの訴訟についてお尋ねをいたします。
 血友病の患者が治療のために使用した血液製剤によってエイズに感染したのは、国と製薬会社が輸入の血液製剤による危険性を予見し得たにもかかわらず安全性を十分に確認する義務を怠ったためだとして、関西在住の血友病の患者の人たちが一九八九年五月八日に損害賠償請求の訴訟を大阪地方裁判所に出しておられます。そして、東京でも同様のことがあったと、このように聞くわけでございますが、これらにつきましてどういうことを厚生省としてお考えになっていらっしゃるのか、お聞きをさせていただきたいと思います。
 もう時間が参りましたけれども、加えて、厚生大臣のエイズに対する御所見をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(大内啓伍君) 日本は国際国家でございますので、今日本におけるエイズの患者及び感染者の数は諸外国に比べて非常に少ないのでございますが、にもかかわりませず、国際国家であるためにこれが爆発的にふえるという条件も持っているわけでございます。それだけに、先ほど各局長からるる御説明申し上げましたとおり、エイズストップ作戦という問題を来年度予算におきましても重要な課題として位置づけまして、これにあらゆる形で正しい知識を持っていただく、また予防の対策をとっていただく、また感染者や患者に対する偏見というものを除去していく。各面で今厚生省はあらゆる努力を傾注しているわけでございます。
 そして、来年の八月の横浜大会も、これは百四十カ国の人々が参集し、日本に対しても正しい知識の普及に大きな役割を果たし、また世界的にもエイズストップについての協力体制をしくことができるわけでございますので、そういう各面で私どもとしては努力を傾注してまいりたい、こういうふうに考えております。
 このエイズの問題は、先般もWHOの中嶋事務局長が参られまして、日本の置かれている状況というものは非常に厳しいということを力説して帰られまして、私どももそのような認識に立ちまして取り組んでいるわけでございます。
 訴訟の問題につきましては、今大阪等で争いになっていることもよく承知しておりまして、御指摘のような製薬会社や国の責任といったような問題が今原告、被告の間でちょうど裁判で係争中でございますので、私どもとしてもその判断を注意深く見守りながら、その結果を踏まえまして、そういうお気の毒な方々に対しましていろいろな意味で救済ができるような方法を検討していきたい。もちろん、今もその救済策があることは御存じのとおりでございますが、訴訟については今係争中であるだけに、これに対してこうするとかああするとか国としてこうしたいとかということは今は控えさせていただきたい。この裁判の結果を見守りたい、こう思っている次第でございます。
○栗原君子君 ありがとうございました。終わります。
○高桑栄松君 それでは、私の質問をさせていただきますが、きょうは時間の都合もございますし、エイズに焦点を絞って質問をさせていただきます。なお、やはり専門的な分野にも若干踏み込むかと思われますので、大臣には、今までエイズでは木暮委員と栗原委員からも質問がございましたが、私の話もよく聞いていただいた上で、大臣としてのコメントを終わりにでもひとつまとめてお話を願いたいと思います。
 最初でございますが、私は毎年チャンスがあれば質問をしておりますので、歴代内閣の御返答、お考えを承っておりますが、総じて申し上げますと、金を惜しまずエイズ対策には予算措置をしたい、それから今問題が提起されておりましたが、血液製剤の感染者にはその救済に最大の努力を払いたい、こういうような答弁が返ってきております。
 そこで、まずエイズの感染者の予測についてお話を承りたいんです。
 厚生省は、多分厚生省の情報でそういう言葉が新聞等にも使われているわけだと思いますが、現在爆発的感染拡大の前夜にある、前夜というのがもう半年ぐらい前ですから現在前夜が過ぎたのかもしれないと思いますが、この爆発的感染拡大の前夜という情報というか、それはどのようなデータでおっしゃっておられるのか承りたいと思います。
○政府委員(谷修一君) エイズの現在の患者、感染者の数につきましてはつい先ほど栗原先生の御質問に答弁をしたわけでございますが、将来の見通しということに関して申し上げますと、HIV疫学研究班が将来の推計あるいは現在の患者数をもとにした推計ということをやっているわけでございますが、平成四年度末までの患者数というのは、その研究班の報告書によりますと公式報告数の二・八倍、感染者については八・七倍というような推計をしているわけでございます。もしこの報告の推計に基づいて具体的な数を予測いたしますと、平成九年には患者数は二千七百二十人、感染者が二万三千二百二十人になるというような予測がされているわけでございます。
 先生御承知のように、既に我が国よりも十年前に感染が広がりましたアメリカあるいはヨーロッ
パの状況と、我が国の今の状況がちょうど似ているんではないかというような指摘も専門家の間でなされるわけでございまして、そういう意味で将来的にはやはりまだふえるといったようなことを私どもは専門家から聞いているわけでございます。
○高桑栄松君 今、患者が二万三千ですか、推測が。
○政府委員(谷修一君) 感染者が二万三千ということでございます。
○高桑栄松君 感染者が一万人いるということは、人口一万人に一人で一億になります。二万三千いるということは人口一万人に二・三人いるということになるわけで、これは大変な数なんですね。だから、東京都は千二百万だとするとどれくらいになるか。千二百の二・三倍になりますから、それだけの数がある。
 それから、先ほど大臣は日本は数が少ないように思われたようでございますが、そうではないということでございます。これはもともと私もそういう推計は大ざっぱにしておったわけで、今までの文献によりますと、当初は半年くらいで倍々にふえていったというのがアメリカの文献に載っているわけでありまして、非常に多いということがわかるわけです。したがいまして、ストップ作戦というのは非常に難しいということが言えるわけであります。
 今、何倍というお話がございましたが、別なデータを見ますと、公衆衛生院の推測というのはなかなかなるほどと思わせる推測でございます。これは、感染者として報告された後に患者に変わった人が何人いるか、つまり感染者という報告から患者になった、それ以外の患者は報告されていなかったということで、どれくらいであるかというと、ちょうど一〇%ぐらいである。だから、捕捉率というのが一〇%だから患者の数として報告されたものの少なくとも十倍は感染者がいるということでございます。先ほどのサーベイランス委員会の七千何ぼだとおっしゃっていましたね。ですから、それよりも公衆衛生院の推測がやや多いわけですが、これは推測というのはいずれもデータにどういうファクターを入れるかによって違いますから必ずしもそうではなくて、昔から多い人は、日本では既に二、三年前にもう七万人くらい感染者がいると言っている方もおったぐらいであります。
 そこで、もう一つ聞きたいのは、劇症エイズというのが報告をされましたが、これは厚生省としてはそういうふうに受けとめているんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 劇症エイズのことでございますが、やはり同様なエイズの研究班の報告の中で、一例劇症エイズの症例が報告をされたということは承知をしております。
 ただ、これはHIV感染者の発症予防・治療に関する研究班の報告書の中の「剖検例から見た日本のエイズ」という中に、急激な経過をとってカリニ肺炎で死亡したいわゆる電撃性エイズの症例が一例報告があったということは承知しておりますが、それ以外のものについては承知をしておりません。
○高桑栄松君 昨年の九月、調査でアメリカに参りましたときにNIHに寄りまして、そして満屋君にその話を聞いてみたんですが、満屋先生は、劇症エイズという概念は欧米にはない、こう言っていましたね。つまり、日本の劇症エイズと言われたのはたしか昨年の四月ころの報道でありますが、感染後八カ月で死亡した、そういうことは普通はあり得ないというふうなことのように承りました。一応、情報としてお話をしておきます。
 次に、血液凝固製剤感染者の問題をちょっと詳しく質問もしたいと思いますし、私の希望も述べたいと思います。
 つい三、四日前の新聞でございますけれども、ドイツのUBプラスマ社のHIV汚染製剤が出回っている、そしてスイス、英国その他六カ国で回収をされて、それを販売した社員は逮捕されたと出ておりますが、我が国はそのドイツのUBプラスマ社から買ったことがあるのか、買っているのか。もう一つは、それ以外外国の凝固製剤を購入しているということがございますかどうか。
○政府委員(田中健次君) お尋ねのドイツのUBプラスマ社の件でございますけれども、関係団体等を通じて調査をいたしたところでは、UBプラスマ社の血液製剤あるいはUBプラスマ社の血漿を原料としたほかの会社の血液製剤は輸入されていない、こういう報告を受けております。
 それから、血液凝固因子製剤の輸入の件でございますが、国内で製造技術のない一部の製剤につきましては、これは現在もアメリカ等から輸入しているものがございます。例えば、第[因子製剤でヘマーテP、それから第\因子製剤でプロプレックスST、それからあとバイパス製剤等もございます。
 こうした一部の製剤については、国内で製造技術がございませんのでアメリカ等から輸入をいたしておりますけれども、その原料となる血液につきましてはHIVの抗体陰性のもののみを使用する、こういうことになっておりまして、さらに製造過程におきまして加熱等の物理化学的処理によりましてHIVの不活化がなされておりまして、これらによりまして輸入はしておりますけれども安全性に問題はないというふうに考えております。
○高桑栄松君 これは新聞報道でありまして、私が文献的に確認したものではございませんが、多分間違いないことであったと思います。米国で一九八五年の二月から八七年十月の間に、凝固因子加熱製剤を使って血友病患者がエイズに感染した人が十八人いる。そのうちの十六人は乾燥加熱方式であるということでございました。
 伺いたいのは、我が国で加熱製剤を使ってエイズに感染をしたのではないかという例が一例でも二例でもあったかどうか。それから、現在我が国がやっている加熱方式はどういうものか、何度何時間ということですね、それを伺いたいと思います。
○政府委員(田中健次君) 血液製剤によります感染時期を特定するということは、非常に技術的にも難しいところがあるわけでございますが、先生お話しのように、アメリカでそういう十八人の方が出ているという報告はなされているようでございますが、日本におきまして加熱製剤によって感染した事例ということは、私どもとしては医療機関あるいはメーカーあるいは学会、それらのところからそういう報告、事例は聞いておりません。
 それから、加熱方法でございますが、一般的には凍結乾燥後加熱あるいは液状加熱が行われておるわけでございまして、具体的には凍結乾燥後加熱では摂氏六十度で七十二時間等の方法が行われておりまして、また液状加熱では六十度Cで十時間の方法が行われております。これらの条件下に置きますとウイルスは不活化されることが試験により確認されているところでございます。これらによりまして、安全性につきましては問題がないものと考えております。
○高桑栄松君 今、問題がないと、もちろん問題があっては困るわけでございます。米国にしても安全を確認してやっていた結果がやはり十八人というのが出てきたんだろうと思いますけれども、私が言う意味でということですが、血液凝固製剤が一〇〇%完全に安全であるということはひょっとしたら難しいのかもしれないので、万全の上にも万全を期してもらいたい。
 もう一つは、RCGという新しいタイプの凝固製剤が日赤から申請されているというのが四、五年前に出ておったんですが、これは今どうなっていますか。――もし、私がレクで言わなかったんだとすればいいですよ。
○政府委員(田中健次君) ちょっと今、資料を持ち合わせておりませんので、後ほど調べて御報告いたします。
○高桑栄松君 何かこれはフィブリノーゲンを除去するというので、それにウイルスが吸着をするというので効率が非常にいいというようなことが載っておりましたので、私は安全性を確保する上
にはこういうものの開発がやはり必要ではないかと思ったわけです。
 もう一つ、ついででございますけれども、献血血液の輸血肝炎感染のことなんですが、ついでに承りたいのは、肝炎のチェックはどういうふうなスクリーニングをなさっているか。GPTというふうに聞いておりましたが、どうなっていますか。
○政府委員(田中健次君) 現在、輸血後肝炎対策といたしましては、B型肝炎につきましてはHBs抗原検査とHBc抗体検査を行っておりまして、またC型肝炎につきましてはHCV抗体検査をすべての献血血液に実施をしておるところでございます。
 それから、GPTにつきましては正常値が三五以下でございますが、正常値を超える三六以上の場合につきましては輸血用血液として使用しないことといたしております。さらに、輸血歴のある献血者につきましては、輸血後六カ月以内の方には献血を辞退していただきまして、六カ月を超える方につきましては輸血用血液として使用しない、こういうことといたしておるところでございます。
 こういうことをやっておりまして、これらの措置によりまして、研究報告によりますと、輸血による新たなB型肝炎の感染はほぼ見られなくなった。それから、ノンAノンB型の肝炎の発生率についても、HCV抗体検査実施前の七%程度から現在は一%程度になっておりまして、肝炎に対してかなり安全性が高くなってきている、こういうふうに考えられます。
○高桑栄松君 今のGPTという肝機能検査とそのほか抗体検査は多分ダブルでやっているんですね。
○政府委員(田中健次君) そのとおりでございます。
○高桑栄松君 私がちょっと気にしておったのは、GPT肝機能検査だけですと三六というのは若干高いんですね。ですから、そのままでやるとかなりなパーセントで感染確率が出てくるということの文献がありますから、今は抗体検査がもっと進んだんだということがわかりますので、それはそれで大変いいことだと思います。
 次に、きょう私がメーンの質問のテーマにしたいと思いましたのは、血液凝固製剤感染者の救済でございます。これは毎々私が質問をしてはおりますけれども、現在は、患者に対しては特別手当が細かいのは別として月額約二十五万円ぐらい出るということですね。それで、私は免疫低下の人にはそれなりの手当が要るという話は前からしておったんですが、今年度から健康管理手当というのが月額三万三千円出ているわけですね。これは対象はどういう対象に出しているのか、人数はどれくらいか、目的は何であるかというのを承りたいと思います。
○政府委員(田中健次君) 血液製剤によるHIV感染者の調査研究事業でございますけれども、まず目的でございますが、エイズ発症前の血液製剤によるHIV感染者で免疫能力が低下をしている方に対しまして、日常生活の中での発症予防のために健康管理費用を支給いたしまして、健康状態の報告をしていただき、HIV感染者の発症予防に役立てるということを目的といたしておるわけでございます。
 それで、対象者の要件でございますが、これは血液製剤によりHIVに感染した者のうちでCD4が五百以下の方を対象としておるわけでございます。
 それから、対象者の数でございますけれども、私ども平成五年度予算における対象者はおよそ一千二百名、このように見込んでおります。十月末現在の数でございますけれども、およそ四百人が申請をなさっておる、こんな状況でございます。
○高桑栄松君 千二百名対象というと、ほとんど血友病者のエイズ患者以外の感染者に大体近いですね。だから、それが今CD4が五百以下というように言われたようで、CD4が基準にされるというのは大変いいことだと思うんです。大臣は御専門と違うからあれですが、CD4というのは免疫の程度を示す細胞だと思っていただければいいんで、これが減ってくると免疫力が低下して日和見感染症が起きてくる。千がノーマルでございまして、五百が半分、二百というのがまず発症に近いということであります。
 私の承っている範囲では特別手当を支給するのは患者である、つまり発症条件がそろっているということだと思いますけれども、私はCD4が二百になったら患者と同等にみなすべきではないかというふうに思って今申し上げているわけですが、特別手当をもらった方の平均支給期間はどれくらいか、それから最短と最長はどれくらいか承りたいと思います。
○政府委員(田中健次君) 特別手当の受給者の平均は一年強ということでございます。最長、最短はちょっと今データを持ち合わせておりません。
○高桑栄松君 そこが重要なポイントでございまして、大臣もここをちょっと聞いていていただきたいと思います。
 病気になって症状が出て、特別手当月額二十五万円出るときには、支給される期間、つまりお金をもらい出して亡くなるまでの平均が一年強と、前に承ったときは十二・二カ月だったかなというふうに聞きましたけれども、一年ちょっと、まず一年で亡くなると。ですから、もらったということはあと一年ということですね。そういうのは非常に厳しいわけです。
 ただ、厚生省はCD4という免疫細胞の数の基準を示すようなところを二百という数字はとっていないけれども、私は二百をもう既にとらなければいけないんじゃないかということをきょうも言いたいわけです。つまり、発症条件がそろっているということは、これはCD4の数いかんにかかわらない。症状がまだ確定していなくてもCD4が二百以下になったら特別手当を出すべきである、これが一つ。
 もう一つは、これは重要なデータで、これはもちろん厚生省は御承知だと思いますが、昨年あたりのリポートでありますけれども、NIHとミネソタ大学でそれぞれ独立にデータを発表したのによりますと、エイズに感染をすると、エイズに侵された細胞がまずリンパ節のところに集まる。そのリンパ節を通り抜けていくリンパ球を継続的に持続的に攻撃をしてそいつをやっつけていく、あるいはその中に入り込んでいく、そういうことで免疫機能が次第に低下していく。したがって、潜伐期間と称するものはないんだ。実際には潜伐期ではなくて、継続的に攻撃をしていったときに早く免疫機能がやられた人は早く発病するだろう。それがどういうぐあいかわかりませんが、長く頑張っている人がおると、この方はいわゆる発症潜伐期間が長いように見えると。
 実際にはそうではなくて、問題はリンパ節のところにたまっている感染細胞からリンパ球に感染していく、その最初の段階でこれをやっつける必要がある。つまり、治療は症状が出てからではなくて、その時点で既にそういう初期の増殖をしつつある、持続的にリンパ球をやっつけつつあるそういうエイズウイルスをやっつける必要がある。ですから、むしろ発症前に治療を行う必要がある。
 したがいまして、その目標をどこに置くかということになるかと思いますので、私は一応CD4が五百になったらそのための手当を出す。それから、そういう方たちは免疫力がやや低下しておりますので、本人も非常に労働その他で心配をいたしますから、そういう人たちには月額二十五万円の半額をやったらどうだろうか。月額二十五万円というのは年間で三百万です。年間三百万を仮に千人全部に出して三十億です。半額ですと千人全部に出して十五億です。我が国の経済力からいってどれくらいのものか。
 もう一つは、先ほど来訴訟の問題が提起されましたけれども、訴訟の責任問題というよりは、血友病患者はいやでも応でも一週間に一回とか二回とか血液凝固製剤を注射しなければ生きていかれない。だから、どうしても受け身でこれを注射し
てもらっているわけです。
 したがいまして、その監督責任がいかんであろうがそれによるのではなくて、そういった人を、少なくとも厚生省の管轄範囲である病気の問題ですから、責任論ではなくて我が国の厚生行政の中でやっぱりこの人たちを救っていく必要がある。しかも、人数はもはや大ざっぱに言って、どうもはっきりしていないようでございますけれども、血友病患者の四〇%が感染をしている。さっきそのお話を聞くと、血友病患者のエイズ感染者約千二百名全員に全額出しても知れているということです。だから、せめて患者、五百と言いましたか、血友病患者の特別手当をもらっている人は五百人ですか。
○政府委員(田中健次君) およそ四百でございます。
○高桑栄松君 だから、それを除いた分ですよね。ですから、全額出しても知れていると私は思いますけれども、CD4五百を切った血友病患者で、凝固製剤で感染をした人にはせめて月額半額を出せないかということを、私はこの隣どうしても学問的立場でもやるべきだというふうに申し上げたつもりなんです。今の健康管理手当がどのように使われるのかわかりませんが、生活の援助にはなりませんからね、三万三千円ではなりません。
 それで、例えば私のところへ訴えてくる患者さんの声を読んでみますと、やっぱり心配で労働に無理はかけられないと言っています。それはCD4が二百ではないわけだ、五百くらいの人でやっぱり無理はさせたくない、できるだけ長生きをしていてもらいたい。その間に治療薬が開発されないか、これだけを期待しているわけです。それまで持ちこたえるように、我が国はこれをやっぱり救ってやらなければいけないんじゃないかというのが私の主張であります。いかがでしょうか。
○政府委員(田中健次君) HIVの救済事業の特別手当でございますけれども、これは日常生活に支障が出ておる、支障があるということに着目をいたしまして、医薬品副作用の被害救済制度の障害年金に準じまして支給をいたしておるものでございます。
 それで、今先生お話がございましたが、CD4が二百を切ったということでございますけれども、そうしたことのみでは日常生活に支障があるような特別の症状が見られないということでございますので、特別手当を支給いたすということは大変困難でございます。
 それで、もう御案内のとおりでございますけれども、CD4が二百以下で発症されていない方については、今年度から健康管理手当が支給されることになったわけでございますが、さらにこうした方にも、エイズ関連疾病で入院された場合にはHIVの救済事業の医療手当が支給をされておるところでございます。こういう状況でございまして、御理解を賜りたいと思います。
○高桑栄松君 この後、労働省に来てもらっておりますので一つ質問をさせていただきまして、その後大臣にコメントをいただきたいと思います。
 今の厚生省の答弁というのは発病して仕事ができなくなったというときでありまして、これはさっき申し上げましたが、答弁にありましたけれども、特別手当をもらったら亡くなるまで平均一年なんです。どういう意味があるだろうか、それを私はさっきから申し上げたつもりです。二百というのは、千あるものが二百になったんですから、後はゼロに近いわけです。それがどうして認められないのか、免疫力低下を示す数字としては私はやっぱり客観性があると思うんです。だからそういう意味で、どうしてもCD4二百以下に特別手当を出すということを。
 それからさっきの、症状が出なくて二百を切った場合に健康管理手当をといって三万三千円ですよ。それはもう問題にならないんじゃないかと私は思っているわけです。ですから、CD4五百を切った人には二分の一出せないか。これは大臣、ひとつよく聞いていただいてお考えいただきたいところなんです。
 それから、せっかくですから労働省に質問を一つさせていただいて、本当は歯科の質問もしたかったんですが、時間がなくなりましたから。
 労働省にお伺いしたいのは、つい最近NHKのスペシャルとか新聞に出ておりましたが、本人がいろんな事情で自分がエイズ感染者であることがわかった。それが、一つは上司に報告をした、そうしたら解雇された。もう片方は、そのデータが机の上に置いてあったのを見られた、そしてやっぱり解雇を言い渡されて訴訟になったというのが出ておりますが、こういうときに労働省はどのような指導をしているかということを伺いたいと思います。
○説明員(田中喜代史君) 労働省でのエイズ対策ということかと思いますが、職場におけるエイズに関します不安とか誤解から生ずる偏見等の混乱からそういったことが起こっておるんではなかろうかということもございまして、まず職場においてエイズに関する正しい知識の普及を図ることが重要だというふうに考えておるところでございます。
 このようなことからも、平成五年三月に策定いたしました第八次の労働災害防止計画におきましても、国のエイズ問題総合対策大綱に基づきまして、職場においてもエイズに関する正しい知識の普及等が効果的に行えるような基盤整備を進めるということで、これに基づきまして事業場に対する指導に努めているところでございます。また、職場におけるエイズ教育、これらは教育が大変重要でございますので、これらの重要性について言及いたしておりますILOが作成いたしましたエイズと健康のテキストを翻訳いたしまして、一般的につい最近御紹介したところでございます。
 いずれにいたしましても、職場においてエイズ教育を行い、エイズに関する正しい知識を普及することが単にエイズの予防のためだけでなくして、エイズによりますパニックを防止し、感染者、患者となられた方々が社会の中で適切に受け入れられていくためにも極めて重要なことだということでございますので、今後ともエイズに関する正しい知識の普及が図られるよう一層努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○高桑栄松君 それでは時間になりましたので、大臣、ひとつお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 今、高桑先生からの非常に専門的な御検討に基づくいろんな御提言、非常に敬意を表しながら拝聴いたしました。
 患者に対する特別手当、あるいは免疫能力が低下した者、つまりCD4、T4のリンパ球が五百以下の者について健康管理手当というものを支給しているわけでございますが、先生の御見解では二百を切ったら手当を出したらどうか、それから五百を切ったらその半額でも出したらどうか、働けなくなったといっても一年ということだけを重視するのはいかがなものかというようなお話でございました。
 今の私どもの態度といたしましては、先ほど来業務局長が御説明したとおりでございますが、先生の御提言は十分検討に値する御提言であると思っておりますので、今後検討させていただきたいと思っております。
○高桑栄松君 ありがとうございました。
○萩野浩基君 大分時間も経過しておるようでございますので、ひとつ簡単にやりたいと思います。
 大内厚生大臣の就任によりまして、特に先ほど来聞いておりましても、医療並びに福祉に対する期待というものは非常に大きいものがあります。私もその一人でございます。しかし、この医療とか福祉の充実にはどうしても裏づけとしての予算というものが伴うと思いますので、どうか大臣、大蔵省に押されることなくひとつ一生懸命頑張っていただきたい、期待大であることをまず最初に申し上げておきます。
 私の出身は米どころ宮城でございまして、今年は冷夏、台風、それからいもちとかそういうことによりまして、天明以来の米の不作というものは
これはもう言葉を絶する状況でございます。そこで政府は、九月末以来加工用米として二十万トンをタイから緊急輸入ということを決定いたしました。この点に関しまして生産者の方からは、これが米の自由化の引きがね、トリガーになってしまうのではないかという面、また消費者からは安全性、こういう面から非常に関心が高くなっております。タイからは第一便がもう既に出航しておりまして今航海中、こう聞いております。また、今後は主食米も緊急輸入される見込みであると報道されております。
 そこで、きょうはもう時間もあれですので、一点に絞って質問をいたしたいと思います。
 今、国民の大変な関心事はポストハーベスト農薬についてであります。これらの輸入米が、早ければ年内に我々の食卓にのるだろうと思います。そこで、マスコミ報道にもあるように、果たしてこの輸入米が安全かどうかということが非常に疑問になっております。このとき大事なのは、残留農薬の恐ろしさということであります。
 例えば、日本の稲作におきましても農薬は使用しております。しかし、この場合は生育中に散布するプレハーベストであって、国際的に問題視されているのは収穫後のポストハーベスト農薬、ここに問題があるわけです。諸外国においては、収穫された米などに殺虫剤を直接散布し、または長期間保存のためにポストハーベストを使っている。
 それにしても、我が国はこれらの諸外国から大量の農産物、食料品を輸入しているわけでありますが、日本の残留農薬基準に照らして安全性はどうなのか、また日本の残留農薬基準の整合性は一体どこにあるのか、この辺を大変みんなが心配しておるので、まずその点の御答弁をお願いいたします。
○政府委員(柳沢健一郎君) 今般の米の緊急輸入に際しましても、安全性確保のための十分な検査を行いまして、その結果食品衛生上問題のないことを確認したものにつきまして輸入を認める、そういう方針で対処してまいりたいというふうに考えております。
 今先生からお話がございましたポストハーベスト、収穫後の農薬の使用につきましてでございますが、農産物の保存性を高める等の目的でもって世界的に広く行われているのは事実でございます。我が国に輸入される農産物につきましても、これは今回の米がそうであるかどうかは別にいたしまして、このような農薬の使用例があることも承知しているところでございます。
 したがいまして、厚生省といたしましては、農薬が収穫前に使用されるかあるいはポストハーベストとして収穫後に使用されたかにかかわらず、食品中に残留する農薬の許容基準、残留農薬基準、これを順次設定いたすとともに、その監視体制の整備に努めてまいったところでございます。そのような意味におきまして、食品の安全性の確保を今後とも続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○萩野浩基君 非常にその点について関心があるので、最後にひとつ大臣に質問いたしたいと思います。本当はもっとしたいんですが、時間がもう大分過ぎておりますので。
 今申し上げましたプレハーベスト農薬それからポストハーベスト農薬、これの人体への影響を考えるにつきましても、専門家の中には、あのベトナム戦争で使われた枯れ葉剤の主成分の二・四D、こういうのがアメリカ産のレモンから検出されたということで以前大変騒がれました。こういうこともありますので、今外国から入ってきます農産物、食料品等の安全性について非常に国民はナーバスになっております。国民の健康は無論でありますが、これは次の世代へも影響するわけでございます。
 そういう意味におきまして、これは重要な問題でありますので、大臣のひとつ誠意ある答弁をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 既に手当てを開始しております加工用米輸入二十万トン、そのほか主食分の必要な輸入を考えているわけでございますが、そのほかに年度内買い付け分といたしまして九十万トンの輸入予定数量の追加をすることに内閣としてはいたしております。第一船が入るのが実は十一月十七日ごろでございまして、第四船が十一月二十五日ごろということで、それぞれ横浜、神戸、博多、名古屋に到着するわけでございます。
 先ほど局長からお話し申し上げましたように、そうした米を輸入するに当たりましては、三段階の厳正なチェックをやるようにしております。一つは、輸入者に対しまして、米を買い付ける場合に残留農薬がないかどうかをはっきり確かめさせまして輸入をさせるというチェック。それから第二は、船積みに際しまして輸出国政府が採取した検体、つまり先行サンプルを日本に空輸いたしまして、これを検疫所において本船が到着する前に検査をするというサンプル調査。きょうの段階におきましては、第一船から第四船までの先行サンプル調査については全く問題がないということが明らかになりました。そして、さらに日本に着きましてから検疫所において検体の検査をやる。
 こういう三段階になっておりまして、先生御指摘のように、国民が最もこの問題についてはナーバスであるということを私どもも十分承知しておりまして、国民に対していささかの懸念も与えることのないように最善の努力を傾注したいと思っているわけでございます。
 しかし、にもかかわらず、そういう姿勢を政府がとっておりましても、過去に二・四Dといったような、アメリカのレモンの場合に農薬の検出が行われたという例がございますだけに、今回は念には念を入れまして、さっき申し上げた三つの段階での安全性の確認というものをしたいと思っております。
 先ほど第一船から第四船までというふうに申し上げたのでございますが、今確認できたのは第二船まででございます。
 以上御報告を申し上げつつ、御指摘の安全性確保について厚生省としては厳しい姿勢を持って対応してまいりたい、こう思う次第でございます。
○萩野浩基君 国民が大変この辺を気にしているところでありますので、また次の世代への影響ということも考えまして、万全な指導のほどをひとつよろしくお願いいたします。
 質問を終わります。
○西山登紀子君 まず、厚生行政全般について一言申し上げたいと思うんです。
 十月に年金審議会の意見書が提出をされました。年金制度というのはやはり国民の老後保障の柱でございます。それだけに、意見書の最大の問題として六十五歳の支給問題、国民の大きな関心を呼んでいるわけです。きょうは詳しくは申し上げませんけれども、六十五歳の支給問題、新聞論調の限りにおきましても無条件賛成というのはありませんし、政府にさまざまな工夫を求めております。また、医療をめぐっては医療経営の悪化が進行して、診療報酬の改定とか看護婦の増員が切実になっています。また一昨日、衆議院の厚生委員会で我が党の岩佐議員が論議いたしましたように、病院給食の保険外しが特に患者や家族の方々に大きな不安を与えているわけです。
 本日は、細川政権のもとでの初めての一般質疑でもございますので、今後の厚生行政についてこうした点で慎重に、しかも十分な検討が求められているということを指摘いたしまして、次に、緊急を要しております二つの具体的な問題についてお聞きをいたします。
 まず最初は、女性に多い骨粗鬆症についてです。
 この問題は、近年にわかにクローズアップされて社会的な問題になっているわけです。骨粗鬆症は、御承知のように骨量の減少によって骨にすが入ったようになる症状ですが、患者数は、学者によって差異はありますけれども大体四百万から五百万人、このままで推移いたしますと将来増加する傾向にあるとも言われておりますけれども、厚生省はその点をどのように見ておられますか、お
伺いをいたします。
○政府委員(横尾和子君) 骨粗鬆症につきましては、その患者数についても全国的な調査はまだ行われておりませんで、幾つかの学会報告が行われております。
 それによりますと、例えば約四百万人とする研究から約五百万人とする研究など、さまざまな予測が示されているにとどまっているというのが現状でございます。
○西山登紀子君 そこで、特に注目を要すると考えます点は、この骨粗鬆症は寝たきりになる大きな原因だという点でございます。
 財団法人の骨粗鬆症財団が発表しておりますこのリーフレットでも「寝たきりの原因−第二位は骨粗鬆症」、こんなふうに言っていて、六十万人の寝たきり老人になる最大の原因の一つだ、こういうふうにこのリーフレットは指摘しております。
 さらに、浜松医科大学整形外科の山崎薫、井上哲郎先生は、医学誌の中で次のように述べておられるわけです。
 これらの骨折の発生頻度は加齢にともなって指数関数的に増加すると考えられており、脊椎椎体骨折や肋骨骨折も加えるとこれらの骨折発生数ならびにそれに係わる医療費は膨大なものになると考えられる。
 たぐい稀な急速な高齢化社会を迎えようとするわが国においてはこれらの骨折や骨粗鬆症の治療法、予防法を確立することは急務であり、骨粗鬆症の研究に携わる者の使命であると考えている。
このようになかなか重要なことを指摘しておられるわけです。
 この意見は専門家ではほぼ一致しているようなんですけれども、そこでお伺いしたいことは、厚生省として、このように指摘をされている骨折が寝たきりになる大きな原因であるということや、骨折にかかわる医療費が非常に増大をしていく、こういうような点についてどのように考えられるか。さらに、この予防や早期発見、治療法の確立が急がれるという指摘についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 寝たきり老人の原因疾患については幾つかの調査がございまして、例えば、多少古くなりますが、昭和五十九年の厚生行政基礎調査によりますと、脳卒中、高血圧、リューマチ等に次ぎまして骨折が挙げられております。その骨折に至ります原因として骨粗鬆症が大きなかかわりを持っているということについては、議員御指摘のような認識を私どもも持っているところでございます。このため私どもも、平成二年度から保健事業の重点健康教育の項目として骨粗鬆症の予防研究、健康教育を実施しているところでございます。
 具体的には、カルシウムの摂取を勧める、あるいは運動を勧める等でございますが、その治療方法とか予防方法についてはまだ十分な解明がなされていないという現状を踏まえまして、幾つかの研究班を動かしているというのが実情でございます。
○西山登紀子君 厚生省は来年度の概算要求で、婦人の健康づくり推進事業ということで、十八歳から四十歳未満の女性を対象として骨密度測定検査項目を追加し、各県二カ所、全国九十四カ所のモデル事業を予算要求されています。
 私は、これはこれで大切な事業だと思いますので、ぜひ実現するように御努力いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 先ほど来お話のございます骨粗鬆症の問題でございますが、来年度の概算要求の中で、今お触れになりましたように、婦人の健康づくり推進事業というものを従来からやっておりますが、その中にこの骨粗鬆症の健診事業を加えて、とりあえずモデル的にひとつやってみたいということで予算要求をしているところでございます。
○西山登紀子君 各県二カ所のモデル事業をぜひスタートしていただきたいと思うんですけれども、この対象は十八歳から四十歳未満の女性で、人数的には四万人と聞いております。この骨粗鬆症というのは、女性が男性よりも早くかかってその数もはるかに多いというふうに指摘をされておりますし、さらに急速にこの症状が進みますのは、女性の場合は閉経後というふうにも言われております。そのためには若いときから骨量を多くしておく、ためておくとでも言いますか、こういうことが大切だと言われているわけですけれども、先ほど言いましたように、深刻になってくる閉経後と言われているこの年齢層もやはり健診の対象にすべきではないかというふうに考えているわけです。
 そこで、新聞報道を少し御紹介したいと思うんですけれども、東京都の中野区では昨年、背骨を診る骨密度測定装置約千八百万円、これを購入しているとか、板橋区でもこの春から実施をしている。奈良県は昨夏、医師や学識経験者らの支援で寝たきり老人ゼロ推進本部を設置いたしまして、住民健診の中で骨粗鬆症に対応することにした。そして、超音波骨密度測定機器三合計約千七百万円、これを購入いたしまして三つの保健所に配置をしているということです。また、兵庫県の養父町では、ことし六月に開業医と帝人の協力で女性を中心に希望者千五百八十人を健診して、二九%が軽い骨折の不安、三〇%が骨粗鬆症の疑いあるいは危険が高い、こういうふうなことをやっておられるわけです。鹿児島県でも、検診車にこの機器を積んで健診を実施している。こういうように各自治体がいろいろな対応をし努力を始めているところです。私の地元であります京都府も、超音波の測定器を一台購入いたしまして、巡回バスで健診をする予定になっております。
 そこで、具体的な提案なのですけれども、老人保健法による保健事業の住民健診制度がございますけれども、この保健事業の対象とすべきではないでしょうか。これが提案です。
 保健事業は一般的には四十歳以上が対象になっているわけですけれども、女性の場合、乳がんとか子宮がん検診については三十歳からなんですね。三十歳以上が対象になっているという女性の健診にこの骨粗鬆症の検査を加えて、三点セットといいますか、そういうふうにして実施する必要はないかどうか。検診器具も安いものが開発されているようですから、検診車に積み込むなど、予防、早期発見の実が上がるようにぜひ御検討をいただきたい。この点は大臣よりぜひお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 最初に君子の事務的な発言をお許しいただきたいと思います。
 結論を申し上げますと、今議員御提案のように、大規模にあるいは全国的に健診事業として取り込むことについては、なお条件が十分に熟していないというのが実情でございます。
 健康診査を行いますことについては、どういう項目を選ぶかということにつきまして公衆衛生審議会が一定のルールを示しております。その幾つかのルール、例えば対象疾患が非常に死亡率が高いとか罹患率が高いとかということもございますが、本件に即して問題になりますのは、スクリーニング検査が妥当であるか、あるいはその信頼性が十分であるかということについてもう少し検討をする必要があるという問題でございます。
 幾つかの問題がありますが、例えて申しますと、この骨密度の測定器を取り上げてみましても、エックス線を利用いたしますもの、エコーを利用いたしますもの、あるいはその型式と申しますか種類もさまざまでございまして、それぞれの機器によって得られる結果というのがばらばらなのが実情でございます。したがって、全国的にこういう結果が出れば症状が重篤である、問題があるというような一律の評価にまだなじまないということも重要な問題でございまして、私どもは事柄の重要性は理解しておりますが、少しその条件整備に時間を要するのではないか、そのための努力をしてみるつもりでございます。
○国務大臣(大内啓伍君) 私も実は写真等を通じましてこの骨粗鬆症の症状についていろいろ拝見
をいたしまして、特に女性の方々に非常に多い、御婦人の方々に多いということで非常に深刻に受けとめておりますので、来年度予算要求につきましても初めてこの問題の予算を要求したわけでございます。
 先生御指摘のように、老人保健法によるヘルス事業の健康診断の項目に入れて全国的にやるということは確かに望ましい、一番いいことであるかもしれないのでございますが、今横尾局長から申し上げましたように、一挙にそういうことに手をつけることが果たしてなじむかどうか、あるいはその器具等につきましてもいろいろな種類がございまして、その得られる結果についてもばらばらになってしまうというような状況もございますので、私どもとしては、先生の御意見も踏まえつつ九十四カ所におきましてこのモデル事業をまずやり、またそれに伴いましていろんな研究もやりますので、それを踏まえまして検討させていただきたいと思っております。
○西山登紀子君 特に女性の中に不安が広がっておりますので、厚生省の御努力を要請したいと思います。
 次に、人工呼吸器による在宅療養の問題です。
 具体例を申し上げたいと思いますが、京都のKちゃんというふうに呼ばせていただきますが、十一歳の子供さんのケースです。私も十一月二日、自宅にKちゃんを見舞って実情をつぶさに見てまいりましたので、お許しをいただきまして、百聞は一見にしかず、在宅療養をしているKちゃんの様子を写真でぜひごらんいただきたいと思います。(資料を示す)
 Kちゃんは先天性の多発性関節拘縮症、先天性肺低形成で、必要な酸素を自然呼吸によって得ることができなく人工呼吸器が必要です。四年近く母親が付き添って入院生活をし、気管を切開して療養しておりました。母親は常時の付き添いで精神的、身体的にも健康を害し、家庭崩壊寸前の危機を何回か乗り切り、本年七月、家族四人がともに暮らしたいと希望して退院をいたしました。現在、自宅で人工呼吸器を装着して寝たきりの生活をしています。
 二時間ごとにたんの吸引、消毒、家族の負担は大変なんですけれども、Kちゃんは自宅療養になって表情が非常に豊かになって生き生きしてきたとお母さんは喜んでおられます。ゲームボーイやファミコンが大好きで、週三回の訪問授業も楽しみにしているそうです。入院中は面会することを許されなかった二つ年上のお姉ちゃんもよく面倒を見てくれるし、たまにはけんかもするそうです。そして、たまにしか会えなかったお父さんとも毎日会えて、お父さんもほっとしておられました。
 そこでお聞きしますけれども、このKちゃんのようなケース、病名はいろいろあるようですけれども、人工呼吸器の使用なくして生存ができないというような子供さんの数、全国には何人ぐらいいらっしゃるか、わかれば在宅の人員も教えてください。
○政府委員(多田宏君) 人工呼吸器を使用している在宅患者数は非常に少のうございまして、したがって、平成三年の社会医療診療行為別の調査によって抽出して数字を推定するという作業をやってみましたのですが、点数が把握できないという状況になっております。
 また、厚生省が助成をしてとりまとめていただいた研究報告で、全国の主な小児病院、大学病院等百六十二施設を対象にアンケート調査を行ってみました。これについては、回答のあった百四十九施設のうちで、在宅で人工呼吸療法を実施している患者を診療している病院というのが、平成二年二月時点で三十五施設、患者数四十九人という数字になっております。この数字については、研究者の方々の勘といいますか感じからすると、この数倍程度という感じではなかろうかというふうな話を伺っているところでございます。
○西山登紀子君 退院するときに在宅で必要な人工呼吸器の費用の問題なんですけれども、Kちゃんの場合は幾らぐらいかかるかということで、お父さんが要請に厚生省の方にも出向いていらっしゃるわけです。
 御紹介いたしますと、人工呼吸器本体一式で二百十七万六千四十円、たんの除去の吸引器が十二万円、アンビューバッグ五万円、それからたんを出やすくする器具で超音波ネブライザーというのが八万五千円、バッテリーが三万五千円、滅菌水が一カ月で一万八千円、その他いろいろ費用がかかるということです。
 お父さんは大工さんをされているわけですけれども、借金をして娘のためにこれだけそろえ、現在在宅療養が続いているわけですけれども、不況が重なって借金の返済も滞ることがある。そして、金の切れ目が命の切れ目になる、あるいは金の切れ目が家族のきずなの切れ目になりはしないかという不安がいっぱいだとおっしゃっておられました。
 厚生省に既に届いているお父さんの御要望は二点でした。一つは、簡単に申し上げますと、人工呼吸器購入、使用などへの補助制度あるいは貸与制度などの創設。二つ目が、在宅療養中の患児への訪問看護制度、これをつくってくださいという二つのものです。
 そこでお伺いしますが、こうした子供さんの在宅医療、訪問看護、実際はどうなっているか教えてください。
○政府委員(多田宏君) 現在、保険診療所の取り扱いといたしましては、年齢にかかわらずに筋萎縮性の患者であって、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かっ安定した病状にある患者の方々につきましては、医師が医学的な管理を十分行い、かつ在宅人工呼吸に関する指導等を行った場合に、在宅人工呼吸指導管理料が算定できることになっております。
 また、訪問看護については、在宅で寝たきりの状態にあるものまたはこれに準ずる状態にある患者に対して、保険医療機関が保健婦、看護婦または准看護婦を訪問させて看護または療養上必要な指導を行った場合には、在宅患者訪問看護・指導料が算定できることになっております。
 先ほど申し上げましたように、在宅人工呼吸指導管理料につきましては、現在のところ筋萎縮性の患者ということになっております。
○西山登紀子君 今言われましたように、確かに在宅人工呼吸器使用患者の一部は健康保険の適用になっているわけなんです。
 今定義をおっしゃいましたけれども、もう一度申し上げますと、「在宅人工呼吸とは、筋萎縮性疾患の患者であって、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において患者自らが実施する人工呼吸療法をいう。」と、こういうふうに書かれているわけですが、筋萎縮性疾患という言葉を除けばKちゃんもぴったり定義どおりの病状ではないかと私、素人目ですけれども思うわけです。
 医学の進歩で、人工呼吸器を装着し在宅での生存が可能になるケースはほかにもあると思います。健康保険適用対象の疾病が筋萎縮性疾患とされているために、これ以外はすべて膨大な自己負担と自己犠牲がついて回るのでは命に差をつけることになるのではないでしょうか。膨大な患者数でもございませんので、来年四月の保険点数見直しを機会にぜひ健康保険適用を検討いただけないか。特に子供の場合、児童福祉法における育成医療、小児慢性特定疾患治療研究事業の適用なども検討していただきまして、家族とともに生きたいという子供たちの願いをぜひ実現してほしいんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(多田宏君) 在宅人工呼吸療法が普及し始めたのが割に最近のことというふうに思っております。どういう条件のもとで適切な利用が可能であるかということについて十分検討をしなければいけないということもございますので、関係学会等の意見も参考にして検討をしてまいりたいと思っております。
○西山登紀子君 最後に、大臣にお伺いをいたします。
 来年は国際家族年でもあります。人工呼吸器があれば在宅で療養が可能で、そして家族とともに暮らすことができる、こうした願いを持った子供たちの夢をぜひ実現していただきたいのです。問題は、この子供さんたちは大変重い病気で、一生懸命生きている、一日一日が真剣勝負ということでございます。一日も早い支援が必要だということですので、ぜひ大臣の積極的なお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大内啓伍君) 今、写真でKちゃんの状況を見まして、私も大内啓伍で啓ちゃんと呼ばれております。
 今局長から御説明を申し上げましたが、技術的にはいろんな問題が確かにございます。例えば、医者や看護婦等の看取が完全に行われ得るか、これが粗雑になりますと、生命にかかわる問題が発生いたします。したがいまして、そういう点は十分注意をしなければならないのでございます。
 今先生御指摘のような点はまことにお気の毒なケースでございますし、また症例もそんなに多くはないということを考えますと、これは費用の問題にかかってまいりますのとマンパワーの問題にかかってまいりますが、今局長が申し上げましたように、これは検討させていただきまして、そういうお気の毒な方に対して何らかの措置がとれるようなことができないか、工夫をさせていただきたいと思っております。
○委員長(会田長栄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
     ――――◇―――――