第129回国会 法務委員会 第3号
平成六年六月二十日(月曜日)
   午前十時五分開会
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   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     服部三男雄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         猪熊 重二君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                糸久八重子君
                平野 貞夫君
                荒木 清寛君
    委 員
                斎藤 十朗君
                志村 哲良君
                鈴木 省吾君
                服部三男雄君
                山本 富雄君
                栗原 君子君
                竹村 泰子君
                深田  肇君
                木暮 山人君
                翫  正敏君
                國弘 正雄君
                紀平 悌子君
                安恒 良一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  中井  洽君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  永井 紀昭君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       法務省矯正局長  松田  昇君
       法務省保護局長  杉原 弘泰君
       法務省人権擁護
       局長       筧  康生君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   涌井 紀夫君
       最高裁判所事務
       総局総務局第一
       課長       服部  悟君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   高橋 省吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部生活保安課
       生活経済対策室
       長        片岡 義篤君
       警察庁警備局長
       事第一課長    上原美都男君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部人権難民
       課長       國方 俊男君
       運輸省鉄道局業
       務課長      岩崎  勉君
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  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
○戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
○更生緊急保護法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○裁判官の介護休暇に関する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○商法及び有限会社法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(猪熊重二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
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○委員長(猪熊重二君) 前回の下稲葉君の質疑に関し、塚田法務省入国管理局長及び中井法務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。塚田法務省入国管理局長。
○政府委員(塚田千裕君) 六月七日の本委員会における下稲葉委員の御質問に関し、再度御説明申し上げます。
 平成五年の出入国者数は、委員御指摘のとおり、平成四年に比べ減少しております。前回、私が微増と申し上げたのは間違いであり、訂正しておわび申し上げます。
○委員長(猪熊重二君) 中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) ただいまの件に関しましては、六月七日、本委員会における下稲葉先生の御指摘のとおり、平成五年の出入国者数は前年に比して減少しており、所信表明の一部に不適切な点があったものと思っております。
○委員長(猪熊重二君) ただいまの発言に対し、下稲葉君から発言を求められておりますので、これを許します。下稲葉君。
○下稲葉耕吉君 ただいまの法務大臣、入国管理局長の発言につきましては了承いたしました。
 私がこの件について問題にしました真意は、単にこのような数字の増減だけではなくて、このような間違った数字が法務省の最高責任者である法務大臣の国会に対する所信表明の中に入ってくる行政の姿勢についてであります。十分御留意いただきたく申し上げます。
○委員長(猪熊重二君) この際、委員長より一言申し上げます。
 当法務委員会は、去る七日の当委員会における法務大臣の所信表明のうち、出入国管理業務に関し、正確さを欠く事実に基づいた部分があったことに対し、強く遺憾の意を表明するとともに、以後、再びかかる事態を招来することのないようより一層慎重な職務の執行を希望することを申し述べます。
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○委員長(猪熊重二君) 前回に引き続き、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○栗原君子君 社会党の栗原でございます。
 私は、先般の大臣の所信に対しまして、人権擁護の立場から幾つか質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、先日来よりアメリカのカーター元大統領が北朝鮮に出向かれまして、この朝鮮の核の問題を中心にした日本でのさまざまな動きに対して私たちは大変憂慮しているわけでございます。これで日本に民主主義があったのかどうか、大変疑問に思うところが多かったわけでございますが、少し明るさが見えてまいりましたことに対しては大変私も喜んでいるところでございます。
 さて、それらの中から、実はこの四月二十五日には大阪府警が、威力業務妨害を理由にいたしまして、機動隊の車両五十六台、総勢千四百名もの異常と言うべき多数の捜査員、機動隊員を派遣しての朝鮮総連本部あるいはまた支部八カ所、職員三名の自宅に対する強制捜査を行っております。
 その中で、被疑事実とされております威力業務妨害は朝鮮総連とは何ら関係のない事実であろうと、こういうことも指摘がされているわけでございます。そしてまた、捜査の場所につきましても、各朝鮮総連の会館内の朝鮮総連とは全く関係のない別の団体までも捜査を行っているということもありました。さらにはまた、押収品目が威力業務妨害罪とはおよそ関連のないものも含めて根こそぎ押収されたことも明らかなようでございます。私は、余りにもこれは捜査の行き過ぎではなかろうか、こういうことを指摘しておきたいと思います。
 それからまたもう一つは、先日来、京都の府警本部は六月六日に、朝鮮総連の京都府本部ほか二十七カ所に対して、京都総連の学園の用地取得に対して国土利用計画法二十三条の違反を名目に強制捜査をいたしております。
 これらも機動隊など二百八十人の警察官を動員しての大変な捜査でございました。しかし、これがミス捜査であったということがわかりましてその捜査を中断したわけでございますが、この六月六日に九時五分から五時三十分までずっと四百名の警官と十三台の機動隊の車両を動員いたしましての家宅捜索などをしたわけでございます。総連の本部とか役員宅など二十七カ所の捜査をしているわけでございます。
 私は、これも本当に余りにも思い上がったやり方であろう、警察権力の横暴さを指摘されなければならないことであろうと思うわけでございますが、これらにつきましてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(中井洽君) 御指摘のありました二つの件につきましては新聞等で承知をいたしており、また予算委員会等の議論の中でもいろいろとやりとりのあったところでございます。しかし、これは警察の担当ということで私どもの方へまだ送致もされていない。また、京都の事件に関して言えば、御承知のような経緯の中で、国家公安委員長が遺憾の意を表される、こういう形で終わっておる、私どもはこのように承知をいたしておりまして、個々の事件それぞれについて法務大臣としてどう考えているかという御質問につきましてはお答えは差し控えさせていただきたい、このように考えているところでございます。
○栗原君子君 この土地取引の仲介者に対して届け出をしているかどうかというのは、それはもう確認すればわかることでございます。それが何か責任を京都市の方に転嫁しているように思えるわけでございますが、なぜ素直に謝ることができないのか、大変これは七不思議の一つでございます。悪いことをしたらだれだって素直に謝るべきでございます。遺憾であった、遺憾であったという言葉は何回も何回もお聞きいたしました。遺憾というのは、辞書で引いてみましたら、これは残念であるということで、その次の言葉がなぜ出ないのでございましょうか。私はきちっと謝罪をすべきだと思うのでございます。
 数日前まで毎日、大阪においては三百人の総連の人たちとか市民団体の人が抗議の行動を続けておられましたし、京都においても二百人前後の人たちが抗議の行動をしておられました。きょう現在もずっと要請行動は府警に対して行われている状況でございます。
 いつまでこういう状況を続けさせるのか。これは異常だと思われるのか、思われないのか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(上原美都男君) お答えをいたします。
 大阪府警の件についてでございますが、お尋ねの事件は、去る四月十五日夕刻、大阪市内の市立労働会館におきまして「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」、略称RENKと言われるグループが北朝鮮の民主化を支援するという趣旨の集会を開催しようといたしましたところ、数十名の者が押しかけ、入場を妨害したり、あるいは会場を占拠して大声でやじを飛ばしたり、机をたたいたり、会場内を混乱に陥れますとともに、会場設営をしておりました主催者側の者を取り囲み、罵声を浴びせながら体を密着させ押しつけるなどの暴行を加え、集会の開催が妨害されたという事案でございます。
 警察といたしましては、集会が多数の威力でもって妨害されるという民主主義社会の基本にかかわる事案でございますところから、被害者の申告、目撃者の証言その他の捜査資料に基づきまして、刑法第二百三十四条の威力業務妨害被疑事件として裁判官から令状の発付を得て、大阪府警が四月二十五日、朝鮮総連大阪府本部等八カ所の捜索を実施したものでございます。なお、本件については被害者側からも処罰を求める強い意思が表明されているところでございます。
 お尋ねの捜索、差し押さえが行き過ぎでなかったかという点でございますが、繰り返すことになるかもわかりませんが、すべてその捜索、差し押さえの必要性を疎明の上、裁判官から令状の発付を得まして、令状に記載された場所、物の範囲の中で適正に実施されておるところでございます。
○説明員(片岡義篤君) 京都の事案についてお答え申し上げます。
 今回の問題は、捜査において判断の根拠といたしました京都市の作成に係る公文書にあってはならない誤りがあったということが原因で、捜査手続そのものにつきましては違法はなかったものとはいうものの、結果としまして関係者の皆様に大変な御迷惑をおかけすることになりました。この点はまことに残念に思っている次第でございます。
 京都府警におきましては、そのようなことから、事実が判明しました後直ちに捜査を打ち切り、さらに関係者の皆様へのこの間の事情の御説明、さらには押収品の還付手続、これにつきましては、十九日現在すべて還付させていただいております。そういったような措置を講じさせていただきましたほか、本部長みずから翌日早速記者会見を行いまして、この結果について遺憾の意を表明しますとともに、文書でもって関係者に遺憾の意を表明させていただいております。
 警察庁におきましても、万が一にもあるはずがないと考えておりましたこういった公文書による回答に誤りがあったという事実を厳粛に受けとめておりまして、今後とも慎重な捜査を推進せよとの内容の通達を発出したところでございます。
 また、なぜこのようなことが起きたのか、今後同種の事案の再発を防止するために方策があるとしたらどういったことが考えられるか、こういったことを検討いたしまして、今後の捜査の教訓としてまいりたいと考えております。
○栗原君子君 これまでに国土利用計画法違反の強制捜査というのは余りなかったわけですね。本当に極めて悪質なものを除いてはそういうことはしなくて行政指導で十分対応できたはずでございますが、なぜ一気にそういう強制捜査に入らなければならなかったのでしょうか。何かそこに私は偏見があったのではなかろうか、そういうことを思うわけでございますが、ここらはどうお考えでございますか。
○説明員(片岡義篤君) 本件の強制捜査云々についてでございますが、本件は京都市役所からの公文書の回答などによりまして犯罪の嫌疑が認められるということで、諸般の事情から証拠品の隠滅、棄損が図られるおそれがあると判断されたため捜索、差し押さえを実施したものでございます。
 最近の国土利用計画法違反の検挙状況を見てみますと、過去三年で六十七事件を検挙いたしておりますが、そのうちの八四%が捜索、差し押さえ実施、いわゆる強制捜査で対処しておるというものでございます。
○栗原君子君 私はこれは大変そういう行き過ぎが本当にあったと思うし、これをまた公文書でやりとりされたということに問題があったと思うわけです。もう二度とこういうことがあってはならないという気持ちでいっぱいでございます。
 そして次に、これらの一連の事件が起きている中で、先般朝鮮総連の方で発表なさった中身は既に百二十四件、さまざまな事件が起こっている。とりわけ弱い立場の人たちに、女学生のチマが切られるとか、そういう事件が起こっているわけでございますけれども、百二十四件という総連のこの数、そして皆さん方が把握していらっしゃる数というのは何か開きがあるようにほかの委員会で答弁していらっしゃいますが、どうして開きがあるんですか。
○説明員(上原美都男君) お答えを申し上げます。
 在日朝鮮人の方々に対するいわゆる嫌がらせ事案でございますが、被害届により警察が認知いたしましたものとして警察庁が報告を各県警から受けているものは、先週末現在で十件でございます。
 その形態といたしましては、十件中七件が登下校中の女子生徒が列車内等におきまして衣服を切られたという事案でございます。そのほかに、男子生徒が日本人中学生から暴行を受けた事案が一件、自転車で下校中の女子生徒が何者かに石を投げつけられた事案が一件、塾帰りの女子生徒が自転車から通学かばんを盗まれた事案が一件ございます。
 警察といたしましては、この種事案については必要な捜査を行い、申告のありました十件中二件については既に被疑者を検挙いたしました。この二件はいずれも北朝鮮の核疑惑等を背景としたものとは考えられないといりことでございます。
 すなわち、四月十四日、都内におきまして通学途上の東京朝鮮中高級学校の女生徒が列車内で制服を切られるという事案が発生いたしましたが、この事案につきましては、四月二十五日、警視庁において被疑者を検挙いたしました。取り調べの結果、政治的背景はなく、いわゆる性犯罪の一つでございました。また、五月十三日、千葉県内におきまして東京朝鮮第一初中級学校の男子生徒が暴行を受けたという事案でございますが、申告に基づきまして捜査をいたしましたところ、五月二十九日、日本人中学生の暴行の事実を確認いたしまして補導、送致をいたしましたが、本件は十四歳の中学生同士のけんかざたでございまして、格別な民族的背景はなかったというふうに理解しております。現在までそのほかの八件につきまして被害届を受理し必要な捜査を推進中でございます。
 なぜ総連の発表数字と、新聞で紹介されておりますが、警察の把握している数字が違うのかという理由でございますが、警察が具体的に把握できますのは被害届等によりまして警察の方に申告のあったものでございまして、それ以外のものについては把握の方法がございません。
 警察といたしましては、この種事案の発生に際しまして、仮に違法行為があれば厳正に対処しているところでございますので、こうした事案があれば具体的にぜひ被害届を出していただきたいというふうに思います。
○栗原君子君 私は余りにも数の差というのがひどいと思うわけでございます。そして、これは察さんという校長先生ですね、警察にも何とかしてくれと何度も要請をしているが被害はふえるばかりだと、このようにおっしゃっておられます。警察に対してきちっと対応してくれということを言っているのに対応ができなくて、事件は次々とふえている状況でこれだけ差があるわけでございます。だから、私はきちんとこれは調査をする必要があるのではなかろうかと思うんですよね。
 こういうことは、私少し抜かっているんじゃないか、こう思うんです。だから、警察にこれはもう唯一頼みの綱としてお願いをされているわけですから、こういうことはきちんとやってほしいんです。やらぬでもええような強制捜査なんか、そうまでする必要ないと思うんです。何でやらぬでもええことはやってやらにゃいけぬことをやらぬのか、それがわからぬのでございますが、この調査をする、それから二度とこういう事件が起こらないように最大の努力をするということをお約束していただけるかどうか、お願いします。
○説明員(上原美都男君) 警察は違法行為があれば捜査をいたすわけでありまして、やらぬでもええことをやるわけではございません。
 それから、警察庁では、民族的差別の背景の有無にかかわらず、この種事案の発生を防止することは非常に重要だというふうに考えておりまして、既に各都道府県警察に対しまして列車警乗、列車に警察官が乗り込むという意味でありますが、あるいは駅構内における警戒の強化等によりこの種事案の予防、検挙に努めるよう指示を既に出しております。
 今後ともこの種事案の未然防止に努めますとともに、事案が発生いたしました場合は厳正な捜査を行って犯人の早期検挙に努める所存でございます。
○栗原君子君 ぜひ私はそういった調査をしていただきたいし、それから相談の窓口を設けるなどできないものか、そしてそれらをまた公表して再発を防止することを約束していただきたいと思うんです。
 最高裁判所の方に私お尋ねいたしますけれども、日本国憲法のもとで人権のとりでとして裁判所は捜索差し押さえ令状発付に当たっては人権上の配慮から慎重な判断が求められているわけでございますが、一般論としてでも結構ですけれども、最高裁としては令状発付についてどのようにお考えでいらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 委員御指摘のように、令状の発付ということは国民の基本的人権にかかわることであり、裁判官にとりましても非常に重要な職務の一つであると理解しているところであります。
 捜索差し押さえ令状について申し上げますと、この令状は、犯罪の嫌疑が存在するとともに捜索、差し押さえの必要性があると認められる場合に発付されることになっておりますが、令状発付の請求を受けた裁判官は、捜索、差し押さえがこれを実施される者に対して大きな負担を強いるものであることを十分認識した上で 請求者から差し出された資料を慎重に検討し、令状発付の要件や必要性の有無について審査を尽くすべきであり、各裁判官ともその審査は十分に行っているものと考えております。
○栗原君子君 それでは、この件に関しては何かいまいち脇の抜けたような答弁であろう、こう思うんですけれども、ぜひ二度とそういった過ちがないように最高裁としての対応をお願いしておきたいと思います。
 さて、私は大臣にお伺いいたします。
 こういうことが民間の企業であったらもうとっくに首が飛んじゃうんですよね。何で公務員は許されるのか不思議でならないんです。京都府警の本部長を初め、やっぱり関係者全員に厳しい処分があって当然だと私は思うんです。京都の市長さんは先日きちっと謝罪をなさいました。だけど、警察というところはいまだに正しかった正しかったと言っているわけでございます。この認識のずれは何でございましょうか。世間ではだれだって警察が本当にいいことをやってくれたと思う人は余りいないと思うんですけれども、大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。関係者全員の厳しい処分というのは考えているものかどうか、お伺いいたします。
○国務大臣(中井洽君) 先ほどもお答え申し上げましたように、警察庁のことでありますから、法務大臣として、まして懲罰のことに関して口を挟むべきじゃないと考えております。ただ、過日の予算委員会で石井国家公安委員長はかなり明確に謝罪をされたと私どもは受けとめております。
○栗原君子君 ただいまの質問は法務大臣にお聞きするのもあれだったんですけれども……。
 ちょっと警察の関係の方、先般地行の委員会で石井大臣が答弁していらっしゃることを少し聞いたんですけれども、何かこの件に関してどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○説明委員(片岡義篤君) 京都の府警本部長におきましても、先ほど申し上げましたけれども、事案が発生しました後、翌日直ちに記者会見で、結果的に関係者に大変な御迷惑をおかけしたことにつきまして遺憾の意を表明しますとともに、六月十四日には改めてその気持ちが十分伝わるように文書で関係者に遺憾の意を表明しておるところでございます。また、六月十日の参議院予算委員会におきます大臣の御答弁を初め警察庁幹部、京都府警本部長が繰り返し遺憾の意を表明していることで御理解を願いたいと思います。
○栗原君子君 理解しろといっても理解できないんですけれどもね。
 私は、こういう状況があってのほほんとしているような状況というのは国民から信頼されない警察になってくると思うんですよね。だから、国民に対してきちんとした態度を表明することが何より信頼される警察になることであろう、こう思っておりますのでつけ加えておきます。
 それでは次に、法務省の入管局長の通達、そして日本に長期滞在の外国人指紋押捺及び外国人登録証の携帯義務、こういったことについてお尋ねをいたします。
 九三年十二月二十七日に「書換え済み旧原票の回収について」、法務省はこの通達によって回収された書きかえ済み旧外国人登録原票をどのように処理されているのでございましょうか。九二年五月十九日の参議院の法務委員会の附帯決議に基づき、指紋原紙は廃棄すべきではないでしょうか。このように附帯決議では書いてあるわけですから、私まそりするべきだと思っております。
 また、外国人登録原票の指紋部分についてはどのように処理されているのでございましょうか。過去にマイクロフィルム化された指紋を消去するどころか自治体に保管されている書きかえ済みの登録票を法務省に集めるという通達を、これは昨年十二月二十七日に出しております。集めたものをさらにマイクロフィルム化すると言明しておりますけれども、これはなぜでございましょうか。
○政府委員(塚田千裕君) お答え申し上げます。
 先般の改正法が施行された平成五年一月八日以降、五年の間に永住者及び特別永住者が順次いわゆる新制度、指紋押捺にかわる署名、写真、家族事項登録の制度に移行することになるわけでございますので、指紋原紙につきましては、改正法施行後登録証明書の切りかえが済んだものにつきましては法務省保管中の指紋原紙を定期的に廃棄することにしております。
 現在のところ、平成五年一月八日から同年十二月末までに切りかえを行った方の指紋原紙を集めました上で廃棄する作業を部内で進めております。平成五年分の廃棄予定数は約七万枚ございます。今後も年に一回程度前年中に切りかえが終わったものの指紋原紙を同様に廃棄することとしておりまして、平成十年の初頭までには永住者、特別永住者の指紋原紙はすべて廃棄されることになります。
 新制度移行に伴いまして新たな登録原票に書きかえた後の旧登録原票につきましては、これは登録外国人の過去の在留記録に関する立証を行うため必要でございますので一定期間分、一年ごとを予定しておりますが、取りまとめました上で市区町村から法務省に回収いたしまして、保管上の便宜を図るために一たんマイクロフィルム化した上で原本を廃棄いたします。ほかに漏れることのないように法務省において厳重に保管する予定でございます。
 なぜこういうものを法務省に保管するかということでございますけれども、これは新制度にかわっても旧登録原票は当時の外国人の在留状況を正確に記録する公文書でございますので執務上これは保管する必要がある、外国人登録法を執行していく上で大切な資料でございますので今申し上げたような手続を踏みまして保管をし、法務省で厳重に取り扱いまして執務に供しているということでございます。ほかへ漏れるようなことはございません。
○栗原君子君 なぜしなきゃいけないのか、それがわからないんですよね。漏れる漏れないじゃなくて、どういう必要があるんですか。何を心配してそういうことをしなきゃいけないんでしょうか。諸外国でもこういうことをやっている例というのはさまざまあるのか、どうなんでしょうか。
○政府委員(塚田千裕君) 新制度に切りかわった後、現在のものにつきましては現在の登録原票ができておるわけでございますけれども、過去のものにつきましては実際問題といたしましていろいろな問い合わせだとか、執務上あるいは利用者がこれを利用する機会が大変多うございます。
 平成五年の例を申し上げましても、例えば市区町村から御本人の要請によりまして、自分たちの在留上の問題、あるいは相続だとかその他身分上の問題で過去の在留記録をチェックしてもらいたいということで照会が参ります。これが数千件に上っております。というぐあいで旧登録原票となりましてもしばらくの間、相当期間はこれが利用されるということがございますので保管しているわけでございます。
 なお、外国人登録法に類する制度を世界でとっている国は相当数ございます。
○栗原君子君 それは指紋で相当数あるものかどうか。それから、そういう今のなさっておられることというのは参議院の法務委員会の附帯決議の精神に反していると思うか思わないか、お聞かせください。
○政府委員(塚田千裕君) 私どものしばらく前にした調査でございますけれども、例えば手元の資料でございますが、外国人登録制度を実施しており、かっ指紋押捺制度をとっている国は十九カ国わかっておるわけでございます。また、指紋押捺制度のない国まで含めますと二十七カ国ございます。全体で四十数カ国調査したわけでございますが、例えばその対象四十六カ国の中ではそのような状況になっております。
 それと、附帯決議との関係でございますが、「法改正により指紋押なつを必要としなくなった者の指紋原紙については、これを速やかに廃棄すること。」とございまして、これは一年ごとに取りまとめ、速やかに廃棄するように今取りかかっているところでございます。「また、それらの者の外国人登録原票の指紋部分については、今回の法改正の趣旨を踏まえ、今後の措置を速やかに検討すること。」とございますので、この意を体しまして私ども回収いたしまして、つまり市区町村において要らなくなったものが散逸したり漏れたりすることのないように法務省に集めまして厳重に保管するということが先ほど申し上げました実際の資料価値等も含めまして適切な措置だと思っております。
○栗原君子君 市町村から集めたものは廃棄しなきゃいけないんじゃないですか。それをまたさらにマイクロフィルムにして残すというところに問題が出ているということでございましょう。これは矛盾を感じませんか。どう思われますか。平行線なのかな、これは。
○政府委員(塚田千裕君) 先ほど申し上げましたとおり、旧登録原票というものは古くなりましても新しいものに切りかえた場合でも過去の在留記録ということで現実にいろいろな必要があるわけでございます。現に御当人から、利用される方からあのときの自分の在留記録はどういうものであったかという御照会もあるわけでございます。これはやはり法務省が責任を持ちましてマイクロフィルムという形で保管しているからその用に供するものであると私は思います。現にマイクロフィルムに文書を撮りまして、これを保管するということは昭和四十八年からやっております。
○栗原君子君 何か平行線みたいなんですが……。
 次に、第百二十三回の国会で外国人登録法の改正が行われておりますけれども、この中で永住者及び特別永住者について指紋押捺制度が廃止されました。しかし、永住でない長期滞在外国人、これは三十二万人と言われておりますけれども、については依然として指紋押捺の義務が負わされております。これは廃止ということにはならないのでしょうか。
○政府委員(塚田千裕君) お答え申し上げます。
 先般の改正に伴いまして、長年本邦に在留し、日本社会への定着性を深められた永住者及び特別永住者につきましては、指紋押捺にかわる同一人性を確認する手段といたしまして写真、署名及び家族事項の登録を組み合わせた複合的手段による新制度に移るということになって指紋押捺制度は廃止されたところは先生よく御存じのとおりでございます。
 その際、それ以外の方々に対しましても検討したわけでございますけれども、それら以外の外国人につきましては、一般的に言いまして我が国社会への定着性というものが永住者あるいは特別永住者に比べますと認められない、低いということで写真、署名、家族事項という新しい三点セットで対処するには不十分であるという結論に達しまして、指紋押捺を廃止することは困難であるということになったわけでございます。
○栗原君子君 今の答弁はなかなか私どもにはちょっと納得のできない答弁としか言いようがございません。
 それともう一つは、九一年一月の日韓の法的地位協定に基づく協議の結果に関する覚書に、外国人登録証の携帯制度については運用のあり方も含め適切な解決等について引き続き検討する、こういうことになっております。それから、同制度の運用については今後とも在日韓国人の立場に配慮した常識的かつ弾力的な運用をより徹底するよう努力する、このように言っているわけでございます。
 常時携帯の義務をなくすということにはなるものかならないものか。常に持っていないと違反であるということになっているわけでございますが、ここらあたりどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(塚田千裕君) お答え申し上げます。
 外国人の入国、在留につきましては、これは日本国政府が許可しているという法的関係にございまして、その意味では日本人と比べまして在留の地位が根本的に異なるということがございます。
 そういうわけで、外国人登録証あるいは旅券の提示義務、外国人登録証の携帯義務というようなものは日本だけではなくてどこの国でも定めているわけでございます。世界の大部分の国がそういうふうにしております。これはやはり現実に必要がございまして在留につきまして許可を受けたわけでございますから、その許可された期間内にあるのかどうか、あるいは許容された活動を逸脱しているのではないかというようなことを必要が生じた場合に速やかに確認できる必要があるわけでございます。
 したがいまして、この常時携帯義務あるいは常に求めがあれば旅券を提示しなければいけない義務というものは、それぞれ入管法及び外国人登録法に定められておりまして、私どもとしてはそれほど非合理的といいますか無理な制度だとは考えておりません。また、日韓間で話し合いがありまして、長い経緯があることも先生御指摘のとおりでございます。
 この登録証明書の常時携帯制度につきましては、片一方でこれを機械的に運用するのではなく、常識的、弾力的に運用しなければならないということは私どももよく承知しておりますし、また日韓両国間の話し合いの中でもその趣旨というものは過去に確認されております。
 したがいまして、これらの日韓両国外相の覚書あるいはこれまでの国会における附帯決議の趣旨も踏まえまして、その運用については常識的かつ柔軟な態勢で臨むようにしておりますし、また過去に何度か、例えば平成四年六月二日の閣議の席上、法務大臣から国家公安委員長に対しても申し入れを行いまして、国家公安委員長もこれを了承されておるという経緯などもございまして、現実の取り扱いにおきましては常識的かつ弾力的な運用がなされていると私は承知しております。
○栗原君子君 常識的かつ弾力的と言われましたが、これは大変幅のある言葉でございまして、近くのスーパーへ行くときも持っていなきゃいけないとか、そういうことにもなるわけでございますから、何かもう少し人権を配慮したことができないものであろうかということを私は思うわけでございますが、引き続き御検討のほどをお願いいたします。
 次に、私はホームレスの問題をちょっとお出しいたしたいと思います。
 これは労働省の関係あるいは厚生省の関係、幅広い省庁にまたがる問題でございますけれども、人権擁護という立場の中からここで幾つか質問をさせていただきたいと存じます。
 先月の下旬、東京の新宿で相次いで二人の路上生活者が殺されるという事件が発生をいたしました。当局はこれに対して三人のホームレスを殺人容疑で逮捕いたしました。
 このところ、長引く不況などを背景にいたしまして、ホームレスは急増をしております。そして、多くの人たちは高齢化し、身体を患うなど社会的な支援を必要としていると思われます。にもかかわらず、行政は地元商店街などと追い出し策を繰り返すばかりでありまして、毎日毎日イタチごっこが続いているわけでございますが、根本的な仕事のこととか住宅のこととか、そういったこともあわせてこれは解決をしなければならない、こういうことでございます。
 私は、六月八日でございましたけれども、新宿のホームレスの人たちを視察に参りました。その前に、新宿区の担当者ともいろいろお話をいたしまして、担当者としての気持ちも聞かせていただきました。そこで私がホームレスの人から聞いたのは、段ボールの中で寝ているんだ、私たちはついこの前まではちゃんとした労働者だったんだ、ちゃんとしたサラリーマンだったんだと。それがある日突然にもう会社に来なくてもいいと言われて、寝るところがなくてここで寝ているんだと。働いているときには一日千六百円から二千円ぐらいのドヤというところに寝泊まりができたけれども、今は働けないからお金がなくてそれができないからここの段ボールの中で寝ているんだ、そういうことでございました。
 そして、ずっと私はお話をして回ったし、皆さんが集まってくださってたくさんのことをおっしゃったわけでございます。中にはつい先日、革靴で顔をけられたと、ここに大きなばんそうこうを張っておられまして、目の中が充血をしてとても痛々しい状況でございました。そしてある人からは、ネクタイをした本当に紳士らしい通勤客といいましょうか、そういう人がたばこを火がついたままぽいと自分たちが寝ている段ボールの中に投げ込んでいく、こういう状況もたくさんあるということも聞かされました。
 ぜひ人権擁護の立場から、このことについてどうお考えでいらっしゃるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(中井洽君) 先生御指摘のように、長引く不況でホームレスと言われる人がふえておることは承知をいたしております。
 いろんな対策があろうかと思いますが、それぞれ労働省や厚生省の御担当であろうかと思いますけれども、そういう物を言えない、あるいは抗議の声すら上げられないいわゆる弱者に対して人権を無視したような行動がなされるということは基本的人権に対する認識欠如だ、このように私どもは考えております。
 できる限り啓発活動等を通じてこういう人たちにおいても人権というものはきちっと守られるべきだ、このことが浸透するように努力をしていきたいと考えております。
○栗原君子君 新宿で大体六百人前後の人たちがいると言われています。都内で千五百人ぐらいいると言われているんです。これは市民団体のボランティアの人たちが調査をしたわけでございます。
 昨年の九月ごろから少しいろんな動きがあったと私は新宿区の区役所の方から聞きました。それまでは一カ月に二百人前後の相談であったけれども、これが十月になりますと三百人になって、それからもう月々月々上がってきまして、一月に四百人、三月に五百人、四月に六百人、五月には千二百人、一気に急増しているわけですよね。区役所の方ではカップラーメンと乾パンを用意しているということをおっしゃっておられました。
 それから、本当に皆さんは仕事がないわけです。そして、病院にかかりたい人もたくさんおられるわけですが、ぜひこういった相談の窓口みたいなものを、どこの省庁がやってくださるのかわからないけれども、つくってもらう必要があるように私は思うんです。人権擁護を言っておられる法務省はこれに大きくかかわっていただきたい、こういうことを私は思うわけでございます。
 そして、今、大臣が答弁くださいましたけれども、新宿には段ボールがずらっと夜並ぶんですよね。その中で皆さんそれぞれ寝ていらっしゃるんです。私は身なりももっと汚いのかと思ったら、汚いと言ったら悪いんですが、汚れておられるのかと思ったら割ときれいな身なりをしていらっしゃるんですよね。それから、国会の今の状況なんかすごくたくさん皆さんよく知っておられる。私以上に知っておられるんです。それは皆さんが捨てられた新聞を拾ってこられまして隅々まで読んでおられる。雑誌もよく読んでおられるんですね。だから情報はすごく持っておられるんですけれども、私はこの状況をぜひ大臣に視察していただきたいと思うんですけれども、約束してもらえますかどうか。
○国務大臣(中井洽君) 就任以来、きょうで四十日余りになりますが、実は国会の御日程等ありまして夜もほとんどどこにも出られない状況でございます。事務当局からは外国人労働者の不法滞在の件を含めて新宿を一遍視察してほしい、こういう要望もありますし、私も見に行きたいと考えているところでございますので、日にちがとれれば先生の御要望の点、ホームレスの視察も相あわせてやってまいりたい、このように考えます。
○栗原君子君 ぜひ約束をしていただきたいと思います。
 諸外国ではホームレスの問題というのがそれこそ社会問題になっているんです。アメリカなんかでも膨大な予算をつけてこの対策をやっているわけでございます。日本もこのままほうっておいたら私は大変な状況になると思うんです。
 全国各地から皆さん来ておられますよ。沖縄から鳥取から島根からもいっぱい来ておられます。そして、それは会社の方から言われて自分たちが労働者として働きに来て、ある日突然捨てられて働くところがなくて、金がなくてここにいるんだ、そういうことでございました。これは本当に日本にとっても大きな社会問題になると思いますので、近いうちに何とか時間をやりくりしていただいて、夜行ってください、夜、昼でなく。夜でないと段ボールでは寝ておられませんので。よろしくお願いします。
 さて、時間も参りますけれども、最後になりますが、私は供託金のことについて、どなたが御答弁くださるのかわかりませんけれども、お伺いをいたします。
 実は、外国人の方が日本で徴用工として働いておられまして、戦後本国に帰られるときに会社側は地元の法務局に対してその外国人の労働者の賃金を供託しているわけでございます。これにつきまして、きちっとまだ名簿も残っておりますし、それからぜひ自分たちの働いた賃金だからお返しをいただきたいというようなこともあるわけでございますが、この供託というのはどういったことを注意しながら供託金はお受けになるのか、お伺いいたします。
○政府委員(濱崎恭生君) 一般論としてお答えさせていただきますが、供託というのはいろんな種類がございまして、一番代表的なものがいわゆる弁済供託でございます。そのほかに担保供託でございますとか執行供託でございますとか選挙供託、そういったものがございますが、御質問は弁済供託に関するものと思われますので、そういう観点でお答え申し上げます。
 この弁済供託というのは、債権者が債務の弁済を拒んでいる場合、あるいは債権者が弁済を受領することができない場合、さらに債権者がだれであるかということを確知することができない場合、こういった場合に供託をすることができるという、これは民法の規定でそうなっているわけでございます。
 その規定を受けて供託に関する規定があるわけですが、手続的には供託規則で詳細の規定を定めておりまして、供託しようとする者は、その供託の種類に従った供託書を供託所に提出して供託をしていただく。主要な事項といたしましては、供託者の氏名、住所、それから供託を受ける者、被供託者が特定できるときは、その者の氏名、住所、それから供託の原因事実、供託の金額、そういったものが代表でございますが、そういう事項を供託書に記載して提出をしていただく。その場合に、今申しましたような弁済供託でございますれば、どういう理由で供託をするのかという理由についても記載をしていただく、こういう手続をとっていただくわけであります。
○栗原君子君 だから、住所とか名前とかいいかげんなことでは供託は受けることはありませんよね。先ほどおっしゃいましたように、どういう理由で供託を受けるとか、それから住所もきちっと番地まで書いて、はっきりいつでも言われたら返せるような状況で供託は受けておりますよね。イエスかノーかでお答えください。
○政府委員(濱崎恭生君) 供託の受理は、いわゆる書面審査、形式審査でございまして、供託を受ける被供託者の氏名、住所についても、供託者がこういう氏名、こういう住所ということで書いてこられればそれに従って供託を受ける、あとは全然違った人を被供託者にして供託したような場合にはその供託の効力が後で問題になるということでございまして、受け付けの段階では特に御本人の住所等を供託所で調べて受理を決するということではないわけでございます。
 それから、住所の件でございますが、現行の供託規則は昭和三十四年に制定されたものでございますが、その前の供託に関する規則では、被供託者については必ずしも氏名、住所ということになっておりませんで、供託物を受け取るべき者の指定を要する場合は、その者の表示というようなことで、その被供託者を特定できる事項を記載すればいいというような概括的な規定になっておりましたことをあわせて申し上げたいと思います。
○栗原君子君 時間が参りましたけれども、どうぞ法務大臣を中心にされまして、また法務当局が国民に信頼される省庁としてますますまた御活躍なさいますように祈念を申し上げて終わりたいと思います。
 ありがとうございました。終わります。
○平野貞夫君 新緑風会の平野でございます。
 中井大臣には御就任まことにおめでとうございます。
 きょう、昼休みに本会議が持たれております関係で、質問を一つに限定して、せっかくの所信表明に対してでございますので、お尋ねしたいと思います。
 大臣は、所信表明で法務行政に課せられた使命を、「法秩序の維持と国民の権利の保全にあります。」と、こういうふうに述べられておりますが、法秩序の確保あるいは維持ということになりますと、この問題の究極は私は死刑についてどう考えるかという根本問題になるのではないかと思います。
 そこで、世界的にも死刑廃止論がございますし、我が国でもそういう運動がなされています。現に超党派の国会議員の死刑廃止議員連盟もございます。我が国の世論調査ではどちらかというとまだ存置論の方が多いようでございますが、この死刑問題について大臣はどのような御所見をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 就任いたしまして以来、いろいろな方からこの問題について御意見をちょうだいいたしております。もとより、過般の当委員会におきましても、下稲葉先生からも御薫督を賜ったところでございます。この四十日余りの間に、たくさんの死刑廃止の請願の印刷をされたはがきもちょうだいをいたしましたし、また議員連盟の皆さん方からも御要請がございました。
 私自身は、こういういろいろな御意見を本当に素直に謙虚に聞かせていただく、そしてこの死刑問題ということについて法務大臣の一番重たい任務だ、このように認識をして、常にそういう世論の動向も見ながら、また自分自身の良心に問いかけながら考えていきたい。同時に、お話がありましたように、法秩序維持、また法務大臣の任務の最大の一つだ、このことを十分自覚して判断をしていきたい、こんな思いでおります。
○平野貞夫君 大臣の御心境はよくわかりますが、所信表明にもありましたように、最近の犯罪の傾向が凶悪化しているということ、それから暴力団関係の事犯というものが非常に多くなっているということ、そういったことからいたしましても法秩序維持というのは殊のほか難しくなっておるのではないかと思います。
 また、率直に申しまして、社会的には脳死をどうするとか、あるいは尊厳死をどうするとかという、そういう人間のあり方そのものにわたっての議論があるわけでございます。
 私自身も非常にその点ではもっともっと勉強せにゃいかぬと思っておりますが、やはりどうしても現段階の我が国において、国家社会を構成するより多くの善良な人たちの自由を守るためにはまだ存続を否定する状況でない。そして、それについて所管大臣が法秩序確立のためにきちっとした認識を持たれるということが必要だと思っておりますが、その点についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 昨今の凶悪犯の多さというのは本当に目を覆うばかりだと考えております。特に、何の意味もなく多数の人を殺害、しかも残酷に殺害をする、こういう事件が多発をいたしているわけであります。国民世論も、こういう事件を少しでも防ぐために死刑は制度として残しておくべきだ、こういう方が五、六割いらっしゃる、このことを十分承知いたしております。
 私自身は、先ほど申し上げましたように、死刑問題につきましていろんな御議論をいつでも聞かせていただきますし謙虚に承りますけれども、平野先生おっしゃったような法秩序の維持、また法務大臣の任務、これを十分言い聞かせて職務に邁進をしてまいるつもりでございます。
○平野貞夫君 質問は終わりますが、一方、やはり人権、この問題に対しても十分な御配慮もいただきたいと思います。
 なお、私、中井大臣のお父さんの下で仕事をしたことがございまして、お父さんは地震対策について画期的な政策を出された方でございます。どうかひとつ大臣も大臣就任中に、小さいことでもいいですので、これが中井大臣がやったというものをお残しいただいて頑張っていただきたいと思います。
 終わります。
○荒木清寛君 私からは二点お伺いをしたいと思います。
 刑事施設法案につきましては、被疑者の弁護に当たっております弁護士会から強い反対があるわけでございます。法務省におきましても、過去に三たびこの法案を国会に提出をいたしまして、昨年の衆議院の解散によりまして三度目の廃案を迎えた、そういう経過があるわけでございます。その後、政権交代ということもありました。また、昨年の十一月四日でございますけれども、国連規約人権委員会が日本の代用監獄につきまして一つの意見を述べるということもございました。これにつきましては、弁護士会あるいは法務省でその受けとめ方は若干のニュアンスの違いがあるとは思っておりますが、そういう一つの変化があったわけでございます。
 大臣の所信によりますと、この刑事施設法案につきましては、法改正へ向けて検討を加えてまいりたいと考えております、要約しますとそういう所信になっております。
 もちろん、今国会は会期末を迎えますから今国会での提出ということは事実上難しいかとは思いますけれども、今後のこの法案に対する取り組み方としまして、この今の法案をそのまま四たび国会に提出をする、そういうことであるのか、あるいはいろんなそういう状況の変化を踏まえまして、さらにいろんな人の意見を聞きながら検討を加えた上で審議をお願いするというのか、その辺につきまして大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 議員既に御承知のように、この法案が過去二回、三回と国会においてさまざまな御議論の中で廃案になってまいりました。一番最初出されましたとき、私自身は衆議院の議運の理事をいたしておりまして、この法案をどうするかをめぐっていろいろな論議をしたことを思い出しております。
 当然、明治時代につくられた法律であります。もう今の時代に合わないことはもとよりでございます。また、法制審議会におきましても長きにわたった論議を経て法制化ということで御答申を賜った問題でございます。
 私どもは、挙げて法改正に取り組んでまいりたいと考えておりますが、しかし過去国会でこういう形で廃案になった、その間にさまざまな先生方から真剣な御議論をいただいた、また弁護士会からもいろんな御注文が出ておる、これらのことを十分加味して対応していきたい、このように考えております。
 私自身はまだ赴任して早々でありますし、今国会、大変厳しい日程の中で本日以来五つ六つの法案を御無理をお願いしておるわけでございます。私どもはこれらの法案がすべて会期内に御成立をさせていただく、このことに全力を挙げております。この後、私自身の任期というものがあるものなら、十分また考えながら対応させていただきたいと考えておりますので、御協力のほどをこの機会にお願いいたします。
○荒木清寛君 次に、定期借家権のことについてお尋ねをしたいと思います。
 先般、借地法が改正になりまして、定期借地権という制度が創設になりました。五十年以上の期間を定めることによりまして地主としては必ず土地を期間が来た場合には返還をしてもらうことができる、そういう制度でございまして、このことによって良質な宅地の供給ということが期待されるわけでございます。そして、土地を所有することなく、この定期借地権という制度を利用することによって良質な持ち家を、マイホームを比較的安価に取得することができる、そのための一つの制度として活用ができるのではないか、そういう期待が持たれております。そういう意味では、今後の住宅対策といいますか、その一つの目玉となるのがこの定期借地権つき住宅ではないか、それが私の考えでございます。
 一方、最近の報道等によりますと、一部で定期借地権ではなくて定期借家権、そういうものも考えたらどうか、今の規制緩和の流れも関係しているとは思うんですが、そういう意見が挙がっているわけでございます。大臣の所信によりますと、四ページでございますけれども、「民事関係の立法につきましては、法制審議会の各部会において調査、審議を進めているところでありますが、」云々とございますが、この定期借家権という一つの提案につきまして現在の法務省、大臣のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。
○国務大臣(中井洽君) 先生がこの問題について熱心に御提言をいただいておることを聞かせていただいており、また安く良好な住宅の供給を図っていくということが大きな政策課題である、このことを十分認識いたしております。
 この定期借家権につきましては、正当事由による借家人の保護のあり方、建物の所有権と利用権の調整など難しい問題があろうかとは考えておりますが、良好な借地、借家の供給促進を図るため、方策を今後とも検討してまいりたい、このように考えております。
○荒木清寛君 終わります。
○翫正敏君 翫正敏です。質問いたします。
 JR東日本という会社が、鉄道の会社ですが、御案内のとおりですが、最近駅の販売店において出版物を販売させないというようなことで圧力をかけるとか、実際に販売をさせなかったとかという、そういう事案が最近よく報道されておりますけれども、大臣、この事案について閣僚の一人として関心をお持ちですか、いかがですか。
○国務大臣(中井洽君) 週刊誌も読みましたし、新聞等も読んで承知をいたしております。
○翫正敏君 私がいろいろ週刊誌も読んだり新聞も読んだり、また関係者から事情を聞いたりしていろいろ調べましたことを少し申し上げてみたいと思いますが、直接にこのJR東日本を監督しているのは運輸省でありますので、運輸省の方から事実関係について、私が申し上げるようなことは事実かどうかというようなことでお答えいただきたいと思っているんです。
 まず、JR東日本というのは、旧国鉄なんですけれども、分割民営化されましてからは法律によって設立された公益性の高い特殊法人という、こういう位置づけになっております。ですから、そこにおける役職員というものは公務員に準ずるような高い憲法を初めとする諸法律の遵守義務というものを持っているものだ、このように考えているものです。
 ところで、私がいろいろ調べましたところ、二つの件についてこの会社が出版物や新聞等について駅の販売店で販売させないというような圧力をかけておる事案がわかったんです。
 一つは、これはまだ新聞などには全然書かれておりませんが、私がいろいろ事情を聞きましたところ、東京スポーツ新聞という新聞社がありまして、東京スポーツという新聞を夕刊紙で発行しておるんですけれども、菊池久という政治評論家が政治評論を毎日やっているわけであります。「永田町の熱闘」という題で毎回書いているわけですけれども、かなり永田町の中の裏話とかさまざまなことが出ていたりして、国会の人や永田町かいわいの人がかなりこの新聞をここがおもしろいからというので読んでいるという話も漏れ聞いたりしているんです。この五月二十五日号、それから二十六日号、二十七日号で三回にわたって、回数で言いますと千三百七回、千三百八回、千三百九回という三回になるんですけれども、いろんなことが書いてあります。JR東日本が初の株主総会を、六月二十九日を前にしていろいろな総会屋対策をやっているというようなことが主に書いてあります。
 重要な部分をちょっと読んでみますと、このとおり読みますが、「「総会屋には総会屋で」――ということで、JR東日本のH幹部が、元閣僚・Kに頼んで総会屋・Mを「雇った」。」というような、こういう文面があります。
 それからさらに文面では「花崎総務部長さんと荻野広報部長さんが深刻な顔して相談してました。それを私たち聞いちゃったんです。なんでも「六月末の株主総会にむけて総会屋さんという人達を準備しなくてはいけない」と。あとで知ったんですけれどもそのため数十億というお金を準備したそうです。やっぱり私たちの会社はお金があるんですね。」と、このようなことが書いてあるんですね。
 これは事実といたしますと、御案内のとおり、昭和五十六年にこの法務委員会において商法の改正案が可決されておりますが、まずその第二百九十四条ノ二では、株主の権利行使に関する利益の供与というものはいけないということになっておりますし、同じく四百九十七条では、株主の権利行使に関し、財産上の利益を供与する罪ということで六カ月以下の懲役刑などに付されるという、こういうことになっておりますから、もしこういう株主総会をめぐっていわゆる総会屋対策としてお金が動いているというようなことが事実としますと、これは商法に違反するという事案になります。
 また逆に、JR東日本の会社の立場から盛んに反論も出ておりますけれども、それによればここに書いてあることは事実無根であるということになるわけで、もし事実無根ということになれば、これは会社に対する名誉棄損、こういうことになろうかと思うんですね。
 そういうことがありまして、この場合、この新聞に評論が載りましてから数日間にわたってJR東日本総務部長の花崎淑夫氏と広報部長の荻野洋氏が再三こういうものを載せているとこの新聞を置けなくなるというようなことで圧力をかけて、結果としてそれからしばらくたってから六月三日号になりまして第千三百十六回の文章が載りました。その文章の載りました東京スポーツ新聞の面の下の方のところに「お詫び」ということで、この文章は誤りがありましたのでおわびをいたしますということで菊池久氏本人がおわびを書いておるわけなんです。しかし、実際本人に聞きますと、これは本意ではなかったということで、いろいろ圧力をかけられて大変な気持ちだったのでおわびをしたんだ、こういうふうに言っておるわけであります。これは東京スポーツ新聞に掲載された菊池久という評論家の件なんです。
 一方、大臣もさっきお読みになったと言われた週刊文春ですね、これの号には「JR東日本に巣くう妖怪」という題でいろいろ書かれております。続くというふうになっておりますのでまた次の号にも載るのかもしれませんけれども、この中でも、重要な部分としては「総会屋対策費用として数十億円が準備されたという噂も流れ、警察当局は今年の総会シーズンの最大ターゲットとして照準を合わせている」というようなことが書かれているわけで、これもやっぱり総会の問題が取り上げられているということが、JR東日本の会社の側からいえばこれは事実無根の中傷記事であるということになるんでしょうし、週刊文春の側からいえば言論弾圧である、こういうことになるわけであります。
 同じくこの号にはJR総連東日本労組委員長松崎明氏のことが書かれておりまして、これは文面全体を読みまして、いろいろ長く書いてあるんですけれども、さまざまにこの松崎明氏のことが書かれておりますが、簡単にこれを整理すれば、JR東日本という会社において松田昌士社長という人と労働組合の委員長の松崎明氏とは労使協調というふうなものではなくて癒着関係にあるという、そういうことが書いてあるわけであります。
 これもJR総連の労働組合の立場や会社の立場からいえばそういうことは事実無根の中傷記事であってこれは許しがたい、こういうふうなことになるのでありましょうし、それから週刊文春の会社の方からいえばこれは事実に即して書いてあることであるということで何らそういう言論弾圧を受けるいわれはない、こういうふうにして駅舎の中からすべて週刊誌を排除するというふうなことは憲法違反である、それからさらには刑法にも触れる、強要罪とかそれから威力業務妨害罪とか脅迫罪とか、さまざまなものに触れるんじゃないかというふうな主張になってくるんだろうと思います。
 そういうような事柄などについて、JR東日本を監督している立場の運輸省の方からこの事実関係と現状ということについて調べてわかっておることと、それに対するコメント、こういうことでお答え願いたいと思います。
○説明員(岩崎勉君) お答え申し上げます。
 まず、キヨスクにおけます週刊文春の販売差しとめの件でございますが、JR東日本管内の駅構内におきます新聞、雑誌の販売、これはJR東日本の子会社でございます東日本キヨスクが行っております。その東日本キヨスクの行います雑誌等の販売につきまして鉄道弘済会、財団法人でございますけれども、鉄道弘済会が取り次ぎを行っておりまして、週刊文春の販売につきましてもその鉄道弘済会と株式会社文芸春秋との間で行われた契約に基づいて行われております。
 その契約によりますと、旅客鉄道株式会社から指示が行われた場合に協議の取り消しを行うこととされておりまして、JR東日本が週刊文春六月二十三日号の発売の取り次ぎを行わないよう鉄道弘済会に対して指示を行いました。鉄道弘済会はこれを受けて契約に基づきJR東日本管内における週刊文春の取り扱いを中止したもの、こういうふうに聞いております。
 このような措置をとりましたことにつきましてJR東日本から聞いたところでは、事実無根の記事をこの時期掲載することは当社の株主総会に対する妨害行為であること、それから意図的に捏造されたうわさや怪文書を何ら検証することなく掲載したことは当社に対する信用失墜を意図したものであり、名誉を著しく傷つける行為であること等の理由に基づくものであるとのことでございました。また、JR東日本は、現在株式会社文芸春秋に対し名誉棄損による損害賠償請求の訴えなどの法的措置を講ずることを準備中であるというふうに聞いております。
 それから、東京スポーツ掲載の件でございます。御質問の通告もいただきましたので調べました。
 先生先ほど言われましたように、五月二十五日、二十六日、二十七日号の「永田町の熱闘」と題する囲み記事にJR東日本に関係した記事が掲載された、そして六月三日の同紙におわびの記事が掲載されたことを知ったわけでございます。それに至ります経緯につきましては、運輸省としては承知しておりません。
○翫正敏君 まだ調べてないことですか。質問通告してからま調べてない、こういう理解でいいですか。
○説明員(岩崎勉君) 東京スポーツの件につきましては、新聞記事の内容のいわゆる当、不当に関する当事者間の問題でございますので、行政として調査する立場にはないと考えております。
○翫正敏君 やがては調べにゃいかぬことになるのではないかと思いますが、調べてないということはこれが本人がおわびの記事を載せたということによって一件落着している問題であるから、こういう理解ですか。それとも、こういう事案というものはそもそも運輸省が、例えば事実であったとしても、そういう言論弾圧というようなことがもしあったとしても、そういうことについて監督したり指導したりするような立場にはないということですか。どちらですか。
○説明員(岩崎勉君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、いわゆる当事者間の問題でございますので一行政として調査する立場にはないということでございます。
 もう一点、先生言われました言論弾圧等々、これはいわゆる運輸省として判断すべき立場にない、こう考えております。
○翫正敏君 じゃ、運輸省はJR東日本会社を監督している役所であるけれども、そういう中で出版物に対する言論弾圧事件があったとしても、そういうことについては当事者間の問題であるから全く指導したりそういうことをしたりするようなことはない、そういうふうにお考えなんですか。
○説明員(岩崎勉君) 駅構内におけます新聞、雑誌の取り扱いというのは、各鉄道事業者あるいはそれに関係する事業者が主として営業的な見地から自主的、独自な判断で行っているものでございます。運輸省としては、そういう事案に関しまして規制、指導等を行っているのではない、こういうことでございます。
○翫正敏君 じゃ、もうそういう言論弾圧事件とおぼしきものがこれからも起こったとしても、そういうことについて運輸省という立場で何らやらないということなんですか。
 キヨスクというところは、これはJR東日本が五一%、鉄道弘済会が四九%出資の会社であって、ここで販売が担当されているわけですけれども、鉄道弘済会が財団法人としてキヨスク各社の仕入れを一括担当している、こういうようなことになっているわけなんです。いずれにしても、これは鉄道弘済会にしてもそうですし、それからJR東日本はもちろんのことですけれども、極めて公益性の高い団体なんですね。
 それについて運輸省が、そこで言論弾圧事件というものになったり、また刑法の脅迫罪とかそれから強要罪とかそれから威力業務妨害とか、そういうものに相当するようなことがこれから起こったとしても、もう現に起こっていると私は判断しているわけですけれども、そういうものについても全然関知しない、こういうことですか。
 じゃ、どこの役所がそれを関知するんですか。
○説明員(岩崎勉君) 言論弾圧かどうかということにつきましては、繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、運輸省は判断する立場にないということでございまして、いわゆる司法の場等での判断を待つべきものと考えております。
 今回の、特にキヨスクのことについて申し上げますと、販売取り扱いの中止というのは行政命令や行政指導の対象となるものとは考えておりませんけれども、販売中止の及ぼす社会的影響を考えて冷静に対応すべきものと考えて、その旨東日本に伝えているところでございます。
○翫正敏君 運輸省がやらなければやる役所はないと思うんですよ。だから、それはやっぱり事実かどうか調べてしっかりと監督指導するということをお願いしたいと思います。
 新聞などを見ますと、新聞ではこの週刊文春のことが特に報道されているんですが、「週刊文春VS JR東日本」というようなことで、ある新聞に読者の意見としてこういうようなことが書かれております。「出版の自由は、読者の手に出版物が届くまでの、出版流通の自由も含まれると考えられると、指摘する。シェアの大きい鉄道弘済会には、読者の「読む自由」も尊重する責任がある」、「また、検閲を禁止する精神から言えば、国に準じるような公共的機関が、事前に内容をチェックし販売拒否を弘済会に命じることは不当だ」、「裁判になった場合、争点になるのは、「特別の指示」に違法性があるかないかだろう」、こういうような指摘をされ、「法律論を離れても、今回のような実力行使はアンフェアだと思う。公共性の高い機関であれば、常に批判されることは覚悟しなければならない。間違った批判であれば、法に基づいて、販売差し止めの仮処分を申請するなり、損害賠償を求めるのがルールだ」と、こういうふうに書かれております。
 別の読者の方は「公共性の強い法人が、不都合なことを書かれたからといって、自己の影響下にあるものに圧力をかけて販売を拒否させるのは、大資本がしっぺがえしをしているようなものだ」と指摘しておられる。さらに、文芸春秋と鉄道弘済会との契約の中に契約を取り消せる条項があることについては「取り消しができる理由の中には報道の自由を制約することは含まれていないはずだ」というようなことも言っておられるわけで、これが読者の意見でありますからぜひ参考にして今後も指導してほしいと思います。
 きょうの新聞なんかを見ますと、JR東日本の松田昌士社長は、関係する労働組合の大会に出席して、その場所で「週刊文春は三流の週刊誌と認定した。我が駅では永久に販売しない」、私は暴言ではないかと思いますが、こういうことを言っている。これは事実かどうかは、きょうの新聞報道だけですから、私が特段調査したわけではありませんが、こういうことも新聞に報道されております。これは私は極めて公共性の高い特殊法人、それからまた財団法人による言論弾圧事件、こういうものとして監督する運輸省が厳しくこれに対処すべきだというふうに思うんです。
 今ほど私が読者の意見とかきょうの社長の発言が報道されている新聞記事とか、こういうものを幾つか紹介しましたけれども、私どもは監督する立場にないなどという能天気なことを言うんじゃなくて、しっかりと監督、指導するということを明言してください。
○説明員(岩崎勉君) この問題は、基本的にはいわゆる商取引契約に基づく問題、そしてそれにかかわる法律的な問題ということで、運輸省がコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたように、その社会的影響ということを考えますときに、冷静に対応すべきものと考えておりまして、その旨東日本には伝えてございます。当事者間の今後の対応、それにかかわる司法等の場における判断というものを見守りたいと、こう思います。
○翫正敏君 大臣、直接担当ということでお聞きしているわけではありませんけれども、まあ閣僚ですからこれは憲法遵守、それから先ほど言いました商法の問題とか、それから刑法に関係することになれば所轄の大臣ということになります。憲法問題については所管でないかもしれませんが、いずれにしても閣僚の立場で結構でございます。今ほど運輸省の担当者の人と私の方でいろいろやりとりがありましたけれども、最初の方でお聞きしたときは非常に大事な問題だと思っている、週刊誌も読んだというふうに言われましたが、こういう公共性の高い機関による私は言論弾圧事件と思うんですが、こういうものが現に発生してこれからもずっと続いていくような様子だということについて、所感をちょっと述べていただけますか。
○国務大臣(中井洽君) この問題が起きましたときに、契約というものがどうなっているんだろう、このことを一番最初に思い浮かべたわけでありますが、今運輸省の方から東日本キヨスクとの契約ということで御説明を受けました。
 いろんな思いは持たないわけではありませんが、十七日に週刊文春の方から仮処分申請が出された、このようこ聞いております。司法の手にかかったものについて、まことに恐縮ですが、法務大臣としてこの場でコメントを言うのは差し控えさせていただきたい、このように考えています。
○翫正敏君 事実関係について先ほど一応おっしゃった。それから、それについての今後の指導のあり方についても非常に消極的な御発言でありましたけれども、このことが言論弾圧事件として今後さらに発展していくということになった場合、そういう場合にはやはりこの場で私もう一遍、法案の審議の機会がありますから、きょうではありませんけれども、解散にならなければあると思いますから、そういう機会にはぜひさらに質問したいと思うんです。
 課長さん、あなたの発言を聞いていると非常に何か後ろ向きであるばかりでなくて逃げ腰であるというふうに思うんですよ。もう少し上の方の人を今度出していただいて、もしもこれで終われば別ですよ、この件が静かに消えていくというふうな話になれば別ですが、いよいよ火の手が大きくなって話がどんどんと大きくなっていくというような場合には、次回にはもっとちゃんと責任ある、大臣を出せとは言いませんけれども、言ってもだめになるかと思いますから言いませんが、もっとしかるべく人を出してちゃんと答弁できるようにすると、こういうことを答弁していただけますか。
○説明員(岩崎勉君) 先生がまたさらに御質問されるという場合にだれが答弁するか、関係部局と調整をさせていただきたいと思います。
○翫正敏君 私はもう時間ですから終わりますが、これは本当に、昔ある宗教団体が言論弾圧事件を起こして、私がまだ子供のころだったかもしれませんが、大問題になったことがありますけれども、そういうのと違って、宗教団体というのはそれは公益法人であるかもしれないけれどもやっぱり一私的な存在なんですよね、それに対してこれは元国鉄でありますし、現在は民間会社には移行されておりますけれども、位置づけが非常に高いわけです。公益性、公共性が非常に高い。それでまた物すごい大きな、大会社なんですね。そして、そこに働く人の中でも特に社長とか広報部長とか、そういう役職の方々というのは非常に高い地位を持っている。そういう権力を行使するような力を持っているわけですよ。そういう人がもしこのような言論弾圧を今後もやっていくというようなことになって、それがさらに事実関係として明らかになって事柄が大きくなっていくようなことになればこれはもうゆゆしき問題なので、本当にもっとちゃんと調べて、さっきの答弁のような何か機械的な、機械がしゃべっているようなそういう答弁をするんじゃなくて、もっとしっかりと事実を調査して、そして菊池久氏の件についてももっとよく調べて、それで次回のときにはちゃんと答弁できるように準備をしてきていただきたいと、そういうふうに強く要望しておきます。
 一言言ってください、終わりますから。
○説明員(岩崎勉君) 次回また御質問されるということでありますならば、ちょっと仮定の議論で恐縮でございますけれども、できる限り対応させていただきたいと思います。
○翫正敏君 終わります。
○紀平悌子君 中井法務大臣の就任のごあいさつということで、御所信の一端というか、重要な部分をお述べいただきました。熟読いたしましてすべての面において御質問を申し上げたいというところでございますが、私のこの法務委員会におきます時間はきょう往復十三分でございます。いつも時間との闘いでいたしますので、どうぞ御答弁を、非常に御丁寧なようにこのほど拝察いたしましたが、簡にして要というところでひとつお願いをしたいというふうにまずもってお願いしておきます。
 去る六月十四日の朝日新聞の朝刊でございますが、衆議院議員全員に対して質問というかアンケートと申しますか、それがございました。ごらんになったと思いますが、一面どころか両面とって、中井法務大臣のところを拡大してまいりました。解散について、不信任案について、政界再編について、区割り案について、税制改革、地方分権、不戦決議、憲法改正、死刑問題、こういうふうな一言ではなかなか答えにくい課題だったとは思いますけれども、そのお答えのところは「閣僚の間は、このような調査は一切受けない」というふうなお答えが出ておったわけでございます。
 これは大臣の御意思でそういうふうにお書きになったものでございましょうか。
○国務大臣(中井洽君) 私の事務所へ朝日新聞から面接調査、アンケートの依頼があったと聞かせていただきまして、閣僚の間はお断りするように申しました。その後、夜中に一、二度私のところへ電話がかかってまいりましたけれども、私もそのような気持ちでお断りをいたしました。
○紀平悌子君 実は、国民にとりましては、法務行政というかそれをつかさどる法務大臣のいわば憲法感覚と申しますか、非常に注目すべき部分でございます。
 この設問の中には多くのいわゆる日本国平和憲法に関する人権と平和ということを踏まえました質問が出ておりましたわけです。
 それで、ここではお答えをいただけなかった死刑問題につきましては、先ほど同僚議員からの御質問がございましたが、本音の部分を言っていただきたいとはとても御無理な質問だと思いますけれども、例えば後藤田元大臣、それから永野前大臣、それぞれ性格というか、何となくわかるというところがございましたのですが、中井法務大臣におかれてはどのような憲法感覚をお持ちかということが非常に私にも興味がございます。きょうは、中井法務大臣個人と言っても個人ではないんですけれども、できるだけ私の心にも伝わるような御返事をいただきたいと思って申し上げます。
 まず、死刑についてでございますけれども、この問題につきましては、即時廃止、それから仮釈放を認めない終身刑等への置きかえ、現段階での執行停止を行い、その間に議論を深める、それから死刑存置、いろいろな議論があるわけなんですけれども、法務大臣はその中でどれかといえばどっちに近いという程度はいかがでございましょうか。
○国務大臣(中井洽君) 簡単にということでございますので、一番最後の答えに近いのであろう、このように考えております。
○紀平悌子君 次に、今の問題とかかわりますので、少し死刑とは問題が違いますけれども、脳死の問題でございます。これは現在衆議院の方で議員立法で本会議においてそろそろ趣旨説明もあるというふうに伺っておりますので、割合にというより非常に重要な問題がどんどん進んできているように思いますので、ぜひお答えをいただきたいと思います。
 いわゆる脳幹の死を人間の死と認めて法的に処理を進めていいかどうかということが問題でございます。脳死状態にある患者の入院料を家族が負担するのか、それとも民間医療保険等でカバーするのかなこといういろんな問題もその辺では生じるわけなんですけれども、それにも増して一律に患者の死が生命維持機を停止するという形で早められるというふうな危険も感じられるわけです。このことはほかの医療の問題とも大いにかかわる問題なんでございますけれども、やはり私は心臓の停止ほど脳死の場合は死の実感が乏しいような気が、私見でございますが、思うのでございますが、その点いかがでございましょうか。
○国務大臣(中井洽君) この問題、私どもの党内でもさまざまな論議を今日までしてまいりました。私は一度も意見を申したことはありません。
 それは、こういう問題が法案として提出をされる社会的情勢、背景、よく承知をいたしております。しかし、私個人の問題で言えば、私の父親は脳溢血、脳梗塞を五回やりまして、最終十四年間ほど実は植物人間で寝たきりで我が家で看病いたしました。そのことを思いますと、なかなか一概に脳死を死として受けとめる、このことは私個人の感情としてはできにくい、そういう実感であります。
○紀平悌子君 所信の四番目に人権擁護行政について述べておられます。
 いわゆるいじめの問題、このことは「中でも、いじめ、体罰などの」、そういうふうな表現で大臣自身が言っておられますので、非常にこの問題を重視していただいているということを感じて甚だ同感の思いでございます。
 これは将来を負うべき子供たちの人権の問題であるだけに、委員会で法務大臣がおかわりになるたびにこの質問を大体申し上げてまいりました。人権意識の啓発と再発の防止、被害者の救済等が最も急がれる問題の一つではないかというふうに思うのですけれども、平成四年度で公立小中高校七千三百校、発生の件数は二万三千件にもいじめ件数が上っているわけなんです。もちろん、その中にはもう口にもしたくないいわゆる子供の自殺行為、死の意味もまだわからない、生の意味すらわかっていない子供たちの痛ましい自殺、あるいは他殺と思われる行為、そういうことが発生しております。
 これは何とか、国際的にも子どもの権利条約というものが承認をされ批准、発効しておりますわけでございますので、これを空文に終わらせることなく、児童、子供の利益をどうやって守ったらいいかということは、いろいろ啓発をします、あるいはこういうことを指示しておりますということだけでなくて、窓口をぜひ法務省につくっていただきたいということをお願いし続けてまいりましたけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中井洽君) 御指摘のとおり、本当に憂慮すべき状況だと考えております。
 今回の予算措置におきまして、人権擁護委員の中に子供の人権擁護の専門委員を任命する、こういう形でのせさせていただいておりまして、予算が成立をいたしましたら本年百六十人を任命させていただくということで準備を進めているところでございます。これらが全国的に早く設置ができ、また児童権利条約が批准された、こういう状況を十分御勉強いただいて先頭に立っていただきたい、このように考えているところであります。
 同時に、就任をしましていろんなレクチャーを受けたわけでありますが、少年鑑別所あるいは少年院と言われるところの収容数がかなり減っておるのが事実でございます。この間の事情も聞きました。そこにおきます子供の、あるいはそういう非行の問題の専門家が随分実は、手持ちぶさたとは言いませんがおられるわけでありまして、これらの人たちはかなりPTAの会合等出かけているようでありますが、これを積極的に活用してくれ、そして地域地域でそういう専門家が相談に乗れるような体制をつくってくれ、こういうことを事務当局に指示したところでございます。
○紀平悌子君 あと一分でございますので、簡単に申し上げます。
 今、我が国は朝鮮半島、特に朝鮮民主主義人民共和国の核開発問題につきまして非常に瀬戸際というかそういうところに立たされております。国民もこのことを語らない日はないというふうに思います。
 これは外務省の御見解でございますが、核兵器の使用が国際法上必ずしも違反とはならないという見解をお持ちでございました。これは過去形で申し上げていいのか、実はまだ内部ではそのことは変わっていないようだというふうな情報も得ております。一応このことは文章から削除されましたけれども、しかし外務省の中では変わっていないというふうに伺うわけでございます。核兵器の使用を許すということは他の武器の使用も肯定するというふうにつながりますので、この考え方というものが内在しているということは国際法上いかぬというよりも被爆国日本の憲法を踏まえた問題としてゆゆしい一つの雰囲気だと思うんです。あえて雰囲気というふうに申し上げておきます。
 これについて、一言御見解を伺います。
○国務大臣(中井洽君) 問題の点につきましては、外交上の専権事項であった、そしてその中で法律だけを解釈すればああいう答えの仕方もあるのかとは私自身もわからないわけではありません。
 しかし、日本人のだれしもが抱く感情として、また日本人が持ち続けなければならない理念として、ああいう返事を出すべきじゃなかったと考え、国会の御議論、そして閣議での御議論の中であの文章が削除されて、国民の感情問題にのっとった返事が出された、このことは大変結構だ、このように考えております。
○紀平悌子君 ありがとうございました。終わります。
○安恒良一君 まず、法務大臣御就任、心からお祝いを申し上げます。
 私も十三分しかありませんので、お答えを簡潔にお願いいたします。
 そこで、委員各位の皆さんのお手元に質問を簡略にするために諸外国の法律扶助制度の一覧表とそれから我が国における法律扶助協会補助実績一覧表を配らせていただきました。
 まず、私大臣に御質問したいんですが、大臣が就任の中で、法務行政に使命感を持ってやる、こう言われていますが、現在法曹界では自嘲を込めて二割司法という言葉が言われています。大臣、まずこの二割司法という言葉を御存じなんでしょうか。それから、その原因は何でしょうか。金と時間がかかり、国民にわかりにくい裁判の仕組みや運営の仕方、それから絶対数が不足をして大都会に偏在をしている弁護士の実態等々が裁判から国民を遠ざけていると私は思いますが、いかがでしょうか。
 そこで、結論的にお聞きしたいのは、現在国会で、また国民の間でも政治改革、行財政改革、これが非常に議論されております。私は一番改革が必要なことは、やっぱり三権分立の一つの柱である司法改革というものをこの際やるべきではないかというふうに思いますが、以上の点について大臣から一括したお考えをお聞かせください。
○国務大臣(中井洽君) 二割司法という言葉についてはかねてから聞いております。
 いろいろと原因はあろうかと思いますが、日本の国民が余り裁判というものに持ち込むというのを嫌うということがあるのかな、また同時に、持ち込んだら絶対白か絶対黒かという決着を求めないと済まないというところもあるのか、こんなところも感じております。
 私自身の出身地は二市二郡、人口十七万でありますが、戦後五十年間、弁護士さんは一人しかおりません。逆に弁護士さんの仕事を私どもがしているみたいなところも時々感じるところもございます。
 また、三審制度がありまして、日本の三審制度は最高裁までいろんな形でいく、事件が報じられて裁判は意外と長引くんだというイメージを持たれておる、こんなところもあろうかと思います。司法試験が難し過ぎてなかなか弁護士さんの数が全国に十分なほど足りない、こういったところもあろうか、それらをすべて含めて先生のおっしゃるような点が構成されておる、このように考えております。
 しかし、裁判所の制度そのものについては、これはもう全く独立した機関でありますから、法務大臣としてお答えをさせていただくのは控えたい、こんなふうに考えております。
○安恒良一君 肝心の結論のところを一つもお答えになりませんが、私は、今政治改革それから行財政改革というのが国会でも、また国民の間でも非常に議論になるが、司法改革というのをやっぱり大きく柱にする必要がありはしないかと。あるかないかだけ答えてください、時間がありませんから。
○国務大臣(中井洽君) 確かにおっしゃるところはあろうかと思います。行政改革という面からこれを言うのがいいかどうかはわかりません。ただ、私は就任をいたしまして事務当局にお願いしましたのま、法の根幹を預かっているわけですから、朝令暮改というのはまずかろう、しかし社会の変化というのは大変激しいものがある、これに柔軟に対応できるような法曹三者の話し合い、こういったものを考えてくれと申し上げておるところでございます。
○安恒良一君 そこで、二割司法を解消するためにいろいろ質問したいんですが、時間がございませんので私はその中で一つ法律扶助だけに絞ってお聞きをしたいんです。
 国民は日常生活の中でちょっとした紛争や問題を抱えまして、法律家の意見を聞きたいとか裁判所による司法的救済を求めたい、こういうことを考えるんです。例えば、その場合には、そこに一覧表を差し上げておきましたが、イギリスではリーガルエード法という法律がございますし、アメリカではリーガル・サービス・コーポレーション法等々がございまして、法律事務所にかけますと費用は無料かわずかで法律的援助を受けたり裁判を起こしたりするような充実した制度があります。
  れはドイツやフランスやその他、ここに一覧表を差し上げておりましたとおり、非常に各国では整備をさせていまして、国が年間数百億の支出をしております。しかもこれは法律的裏づけをもって法律として行われているんですが、大臣、日本の場合は余りにもお粗末ですね。ここに一番最後に日本も書いておきました。それから、国民一人当たりどんな負担額になっているか。日本は一円なんです。韓国では十五円。ですから、私は扶助制度が日本では余りにも貧弱だと。国が出しているのが年間一億八千万円程度ですね。足りませんから弁護士さんの会の援助とか寄附金を合わせて細々と運営されているのが今日の実情である。
 そこで、少なくとも我が国がおくれていることはもう一目瞭然でありますから、経済大国でもありますね、したがって国民に開かれたわかりやすい親しめる司法制度をつくる、実現のためにはまず法律が保障している市民の権利利益の保護のために一刻も早く、大臣、この法律扶助制度だけは法律の裏づけのある国家的制度として実現をされる必要が私はあると思います。
 これに対する大臣としての考え方、政府の対応を求めるものでありますが、この表を見ながら大臣の考え方をお聞かせください。
○国務大臣(中井洽君) 日弁連等の御協力をいただいてこの制度がおいおいと利用者がふえてきておること、先生のおっしゃるとおりでありまして、昨年は五千件を突破したと聞いております。このあり方につきましては、法務省内部と日弁連及び法律扶助協会とでいろんな勉強会を続けてまいりました。国会の御議論を踏まえて、今回の予算におきましてこれを勉強会から研究会にして一層前進をさせていこう、こういうことで予算審議をお願いいたしているところでございます。予算通過後、先生の御意見も体して、できる限り充実した制度、そういったものができるよう努力を続けていきたいと考えております。
○安恒良一君 大臣、勉強会、研究会も結構ですが、私はもう少し前向きに取り組まれる必要があるんじゃないかと思います。
 例えば、この一覧表は私がお役所にお願いしてつくってもらった。この元は国立国会図書館の調査室であるとか、法務委員会の調査室等に数カ月にわたって私が勉強させていただいて、これを役所につくってもらったんですね。
 私は役所に聞いたんです。あなたたちは例えば国民一人当たりたった一円にしかなっていないのを、役所と大蔵省と交渉するときに、こういう一覧表をつくって余りにも日本はお粗末じゃありませんか、経済大国で国民一人当たりたった一円ですよと、こんなことをやっておられるんですかと聞いたら、そんなことはやってないんですよ。これ初めて今度おつくりになったんですね。だから、研究も十分だと思いますが、私はやはり具体的に踏み出していかなきゃいかぬと思うんです。
 そこで、もう時間がありませんが、私は日本の扶助制度が非常におくれている原因は、一つは援助要件が厳格過ぎる、二は償還するのが原則になっている、三番目は訴訟援助へ偏りすぎている、四番目は刑事事件が除外されている、それから五番目は今申し上げた公的資金が圧倒的に不足している、さらに扶助事件の報酬が安いために弁護士さんも熱意ある一部の人を除いてやりたがらない、こんな課題がたくさんあると思います。
 大臣、こういう問題についてどうお考えで、今後少なくともまず大きくやらなきゃならぬことは法の裏づけを持った国家的制度、諸外国ではそうなっているんですが、日本ではそうなっていないんですよね。補助金行政ですよね。そこのところをどうするかという考え方を聞かせていただいて、私の質問を終わります。
○政府委員(筧康生君) ちょっと事務的なことを御説明させていただきます。
 委員御指摘のとおり、現在法律扶助制度は財団法人法律扶助協会に対する補助金を交付するという形において営まれております。現在、国の財政事情が極めて厳しい状況にございまして、特に補助金の問題に対しては政府全体としては厳しい抑制の方針がとられているということは委員も御承知のとおりだと思いますが、この法律扶助に関します補助金については法務省の官房及び財政当局の理解を得まして毎年その拡大に努めておりまして、私どもとしては引き続いてそうした努力を続けてまいりたいと考えております。
 将来の法律扶助についてどのような制度にすべきかということは、ただいま委員が各種の要因を御指摘になられましたことも含めまして、我が国の司法制度全体の中で適合性のあるものがどういうものかということについて法務省として本格的に取り組むという研究会を設け、この研究会においていろいろなところの御意見をお聞きして、立法化の一つの研究を詰めてまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(中井洽君) 過日から衆議院におきましても熱心にこの議論がなされまして御理解をいただき、そして充実させろ、また先生御指摘のように法の裏づけで補助金じゃなしにきちっとお金を出していく制度にしろと。また、五点ほど現行の問題点についての御指摘もございました。これらを踏まえて、研究会で結論あるいはまたよりよい方向への議論を急いでいただくよう努力をいたしてまいりたいと考えております。
○委員長(猪熊重二君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(猪熊重二君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) 戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、市区町村における各種事務にコンピューターシステムが導入され、その一層の拡大が図られている現状にかんがみ、市区町村長が処理する戸籍事務について電子情報処理組織を使用して取り扱うことができるようにするとともに、戸籍の付票について磁気ディスク等をもって調製することができるようにすることにより、戸籍及び戸籍の付票に関する事務の適正迅速な処理と行政サービスの向上を図ろうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一に、法務大臣の指定する市区町村長は、戸籍事務の全部または一部を電子情報処理組織によって取り扱うことができることとしております。この場合には、戸籍は磁気ディスク等をもって調製することとし、これこ伴い、戸籍または除かれた戸籍に記録されている事項の公開は、現行法における戸籍または除かれた戸籍の謄抄本等にかえて磁気ディスク等をもって調製された戸籍または除かれた戸籍に記録されている事項の全部または一部を証明した書面によりすることとしております。
 第二に、市区町村長は、戸籍の付票を磁気ディスク等をもって調製することができることとし、これに伴い、現行法における戸籍の付票の写しにかえて戸籍の付票に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(猪熊重二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○下稲葉耕吉君 政府は、民事行政審議会の電子情報処理組織を用いて戸籍事務を処理する制度の導入に関する答申、本年一月三十一日、に基づいて本法の改正案を提案されたと思うのでございます。
 社会の進展に伴いまして、今、大臣の提案理由の説明にもございましたように、行政サービスの向上を図ろうというふうなことで、そのためにコンピューターを導入しようとするものでございまして、なるほどなと、こう思っているわけでございます。
 ただ、そういうふうなことで、法案の内容並びにそれに基づいて実施しようとする戸籍事務の問題につきましてさまざまな難点と申しますか、ということを私ども認識いたしました。したがいまして、法案提出の過程におきましていろいろ御当局とも検討をさせていただいて今日に至ったわけでございます。
 そこで、そういうふうな意味の締めくくりということをも含めまして、この戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして御質問いたしたいと思います。
 まず第一に、大臣の趣旨説明によりますと、「この法律案は、市区町村における各種事務にコンピューターシステムが導入され、その一層の拡大が図られている現状にかんがみ、市区町村長が処理する」云々というふうなことでございます。
 もともと私は戸籍事務というものは国の事務だと思っているわけでございますが、市区町村にコンピューターが導入されたので、それにかんがみこういうふうな仕事をしようと。何か他人ごとといいますか、他力本願といいますか、もともと国の事務であって、国が一生懸命そういうふうなことにおやりなるのなら取りかかるべきなんですが、この提案理由の最初を読みますと、「その一層の拡大が図られている現状にかんがみ、」云々ということで、どうも他人ごとみたいに思えるんですけれども、その点についての大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 先生御指摘のように、戸籍事務そのものは本来国の業務でありますが、市区町村長にこれを委託して日常お取り組みをいただいているところでございます。
 市区町村におきましては約八八%ぐらいが既にコンピューターを導入いたしておりまして、住民基本台帳事務等がこれによって行われているわけでございます。このままでいきますと、市区町村長さんにおいて、大変な御要望の中、見切り発車してでも戸籍のコンピューターというものをやっていくという方向すら実は出てくるんじゃないか、私どもはそんなところまで心配もし、また強い御要望もいただきまして、大変難しい問題のあるこのコンピューター化でございますので国の方で統一した基準、方向、こういったものをつくり、法律の名のもとによって全国統一した形でコンピューター化をしていただき、結果、事務の迅速、行政サービスの迅速化、こういったものに貢献したいと考えております。
○下稲葉耕吉君 この法律案の要点の第一にも「法務大臣の指定する市区町村長は、」「取り扱うことができることとしております。」というふうになっておりますね。これは、今、大臣がおっしゃるように、戸籍事務を全国的に統一的におやりになりたい、そういうふうなことのためにある程度の基準なり準則なりをお示しになるということはよくわかります。
 ただ、読み方によっては、法務大臣が上から指定してやるぞ、そうしたらおまえのところはやってもいいぞ、こういうふうにも受け取れないとも限らないんですが、その辺のところが、今度法律の改正が次々出てきますが、やはり何かそういうふうな感じが受け取れるんですけれども、きょうではございません、あしたかあさってごろ審議する法律案につきましてもそういうような印象を受けるのでございますが、いかがでございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 大臣も申し上げましたように、戸籍事務というのは機関委任事務として市区町村長に担当していただいているわけでございまして、戸籍法の規定自体において、戸籍事務の処理については「法務局又は地方法務局の長がこれを監督する。」というような規定ぶりになっているわけでございます。
 やっていただいておって「監督する。」という表現につきましても、感情的にと申しますか、そういう面で見ますと申しわけないような気もしないわけではないわけでございますけれども、やはり制度として国の事務としてきちんと運用していただくということを確保するための法制度としてそういうことになっているわけでございます。
 今御指摘の法務大臣の指定ということにつきましても、これは、今、大臣が申し上げましたような全国的な取り扱いの確保、あるいはシステムの中におけるデータの保全・保護の確保、プライバシー保護の確保、そういった点からきちっと基準を示して、これに基づいて全国統一的にやっていただく必要がある。それを確保するために法務大臣がチェックをさせていただくということがどうしても必要であるわけでございまして、そういうことを表現すると法務大臣が指定をするという表現になっているわけでございます。
 実質はこれは市区町村長のいろんな財政的なあるいは人的な事情によってやっていただくわけでございますので、市区町村長から申し出ていただいて、そして今申しましたような一応のチェックをさせていただいてやっていただく、こういうことでございますので、法文の表現上はそういう御指摘のような感じもあるかと思いますが、御理解を賜りたいというふうに思います。
○下稲葉耕吉君 繰り返すようですけれども、国がある程度の基準を示してやるのはもちろん結構ですが、実際おやりいただくのは市区町村でございますので、それはむしろ法務省の方がお願いしてやってもらっている、しかし全国的にある程度の統一した基準を示さなくちゃいけないのでこういうふうなことですという趣旨というふうに私は受け取りたいんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(中井洽君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、法務省が市区町村にこれをやらしてやる、あなたのところはいい、悪いと、そんなことを言うつもりは毛頭ございませんで、十分先生の御趣旨を体してできるようにやってまいりたいと考えております。
○下稲葉耕吉君 そこで、今度はバックアップのために磁気ディスクを、それぞれの市区町村で戸籍をインプットしましたディスクを地方法務局の方へ出していただくということになっておりますね。
 それについての予算措置はしてございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 結論から申しますと、法務局に提出していただく磁気テープの経費、これは市区町村でコンピューター化後の事務処理としてコンピューターを動かして事務を処理していただく経費の中に含まれるものということで、特段の措置ましておりません。
 これは現在でも戸籍の正本と副本を備えることになっておりまして、副本は法務局に送ってもらうということになっております。
 この趣旨は、火災等で市区町村で戸籍が滅失してしまったような場合にそれをバックアップするという趣旨で副本を送付いただいているわけでございまして、今回コンピューター化した場合のテープも、これはそういう副本にかえて同様の趣旨で法務局に提出していただいて法務局で保管するということでございまして、いわば戸籍情報のバックアップのためのものでございますので、どうか御理解を賜りたいと思います。
○下稲葉耕吉君 民事局長、答弁が非常に親切なのはいいんですが、時間がかかり過ぎますので、ひとつよろしくお願いします。
 それは従来もそうだったんです。だから、今度はそれが磁気にかわるから、従来と同様だからいいだろうという発想は、僕はちょっとストレートにいただけないんですよ。やはりそういうふうなことについて、法務省ができるだけ面倒を見て差し上げるという姿勢だろうと思うんですよね。
 今さら民事局長に申し上げるまでもないんですが、このことにつきまして私自身も自治省といろいろ交渉いたしました。市区町村が大変な負担を受けるわけでございますので、そういうふうな点について自治省の方も非常に協力的というふうなことで終始していることでございますし、私はそれはいいと思うんです。
 全国に三千三百、それに区が入るんですか、自治体がございますね。具体的にこのコンピューター化に伴いまして、これは将来に向けてで結構ですが、きちっとした何百何十円までは出ませんけれども、大体どれぐらいの費用がかかる、これについて自治省と法務省との間で、例えば交付税の問題なりなんなりだろうと思うんですが、どういうふうに話し合いがついているのか、あるいはつきつつあるのか、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 下稲葉先生の御指導等もいただきまして、私どもとしても自治省当局と鋭意お願いをいたしまして、自治省当局からは地方交付税の中で対応するという方向で検討していただくという御意向をいただいているところでございます。
 コンピューター化する場合の移行経費でございますが、これは具体的には個々に市区町村と業者等の間の契約関係になりますので、国の方で一律に幾らということは言いにくいわけですが、概算といたしましては全国で千数百億円の経費が必要なのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 そういった資料、これから各市区町村がこの法案を成立させていただきました場合にどういうコンピューター化計画を持っておられるかというようなことをさらに詳細調査した上で、それに基づいて自治省の方で具体的な対応を確定していただくということでございまして、私どもといたしましても、今後ともそういった措置が適正になされますように必要な資料の提示等、それからまた引き続きお願いということをしていきたいというふうに思っております。
○下稲葉耕吉君 地財計画の中にきちっと入れていただいて、交付税で処理していただくように法務省としても、大臣、ひとつよろしくお願いいたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中井洽君) この間から事務当局に自治省との交渉状況を聞かせていただきまして、かなり前向きの話し合いが先生方の御支援のもとで行われておると承知をいたしておりますが、これから予算編成に向けまして、十分交付税として対応できるように私自身も先頭に立って努力をさせていただきます。
○下稲葉耕吉君 それでは、今からこの法案の取り扱いをめぐる姓名、漢字の取り扱いの問題につきまして御質問いたしたいと思います。
 法務省が当初お考えになっていたとおりの形でこの法案が仮に成立するとすれば、一億二千七百四十四万ですか、の国民の中で私どもは一千万から一千五百万ぐらいの人たちがコンピューター化に基づいて姓名の表示が変わるんじゃないかというふうな印象を受けたのでございますが、その辺のところを民事局長、いかがでございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 法務省といたしましては、戸籍というのが公の帳簿であり、国民に一定の限度で見ていただくというものでございますので、その字についてはできるだけ国民一般に理解できる表記、書き方をもって記載すべきである。人の氏名についても同じような方向を目指すべきだという考え方のもとに、従前は基本的には漢和辞典等で正しい書き方とされている書き方にするという基本的な考え方を持っておったわけでございます。
 そういう取り扱いのもとで、国民のどれくらいの方々の字に影響を及ぼすかということについて、これはアバウトな推計、抽出による推計でございますが、をいたしました結果、大体約一割の方々に影響が及ぶのではないだろうかという推測を持っておったわけでございます。したがって、今御指摘のように国民全体では一千万人を超える方々に影響を及ぼすということになるわけであります。
○下稲葉耕吉君 姓名というものは、私はやはり個人の人格の象徴でございまして、人格権に深くかかわり合いがある、このように思います。そしてまた、先祖代々、例えば親が子に名前をつけるにつきましても、いろんなことを検討し、あるいはまた画数までいろいろ研究し、言葉の一つの意味、あるいは家庭の中、親族の中、そういうふうな全体のことを考えて名前をつけているというのが私は実情じゃないかと思うんですね。だから、そういうふうなものを基本的に尊重する、人権を尊重する、プライバシーを尊重するというかかわり合いでどの程度コンピューター化することが可能かという議論だろうと私は思うんですよね。
 コンピューター化先にありき、そして人の名前を、その字画が変わろうが変わるまいが、一つ一つの名前が変わろうが入れてしまうというのはこれはもう逆さまであって、やはりできるだけそういうふうな人間の人格権の象徴としての姓名というふうなものをコンピューターに応じてもらう。コンピューターに従うんじゃなくて、コンピューターに従わせるというふうな考え方が私どもは基本だろうと思うんです。その点についていかがでございますか。
○国務大臣(中井洽君) 下稲葉議員の御指摘のとおりだと考えております。
 この法案提出の過程におきまして、下稲葉先生を初め自民党あるいは各会派の皆さん方からいろんな御議論をいただきまして、その議論の中心が今お話しにあったような点であったかと承知をいたしております。これを受けて事務当局も国会提出までに発想の転換をいたしまして、できる限りの対応をさせていただく、こういうことで審議に臨ませていただいている、このように承知をいたしております。
○下稲葉耕吉君 それでは内容に入りますけれども、およそ漢和辞典に登載されている字は正字に限らず、正字だ俗字だという言葉の仕分けもちょっと私自身はおかしいと思うんですけれども、俗字ということで漢和辞典に出ているような字であってもこれはコンピューター化する、そういうふうな名前をおよそ漢和辞典に入っている字であったら正字であろうが俗字であろうがそれはもうコンピューター化します、こういうふうなことでよろしゅうございましょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) そのように対応したいと考えております。
○下稲葉耕吉君 わかりました。
 私は、それによって大部分の人たちの問題は基本的に解決できるんじゃないだろうか、そういうふうに思います。
 しかし、中には役場で名前を登録するときに筆が落っこちてここに変なあれが入りましたとかというふうな話も聞かぬわけじゃないんですね。そういうふうな人たちの取り扱い、およそ漢和辞典に出ていない字を姓名として持っている人たちの取り扱いは、法務省、どういうふうになさいますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、象形文字を筆で書いてきたという歴史の中で、名前に用いられている字にはいろんな書き方、これは例えば筆の運びでございますとか、あるいは書き違いというようなこともございまして、いろんな書き方がされてきております。
 委員御指摘のとおり、できるだけコンピューター対応するということでございますけれども、一つの字についてそういったことでさまざまな書き方がされておりまして、その数はなかなか把握し切れないわけでございますけれども、そういうものに全部対応するということになりますととてもコンピューター対応することができないということがございますので、そういった字については基本的には一般の書き方でコンピューターに入力させていただかざるを得ないというふうに考えております。
 ただ、そういう場合については事前に必ず御本人に通知をして、御本人から苦情があった場合にはできるだけコンピューター化というものについての理解をしていただいて、その御理解をいただいた上で入力をする。また、御理解をいただいてコンピューターには一般の書き方で入力をいたしました場合にも、その元の戸籍、現在の簿冊による戸籍というものはこれはコンピューター化後も原戸籍として保存をいたします。したがいまして、それについて御本人から申し出があればその証明書を発行する。したがって、その大事にされる字の書き方というものが市区町村から消えてしまうわけではないし、それについていつでも証明書をとっていただける、こういうことで対応いたしたいというふうに考えております。
○下稲葉耕吉君 私、必ずしも頭脳明断ではないものですから、今の説明を私なりに集約しますと、およそ漢和辞典に出ている字は全部コンピューターに入れます、その字を使っている姓名の方は全部コンピューターへ入れますと。
 そうすると、どうしても漢和辞典に出ていない字を使っている姓名の方もいらっしゃるでしょう。それについては、これは事前に窓口でその方とお話し合いを持たれるというふうに理解してよろしゅうございますか。入れるか入れないか。
○政府委員(濱崎恭生君) 戸籍に記載される方は当該市区町村にだけおられるというわけではございませんで、全国に散らばっておられるわけでございますので、これははがき等で通知をさせていただくということにせざるを得ないかと思っております。
 なお、具体的にどういうふうな通知方法をとるかというようなことはまた市区町村とも相談して何がいいかというようなことは決めさせていただきたいと思いますが、少なくともそういう方法で通知をするということを考えております。
○下稲葉耕吉君 わかりました。
 そうしますと、これはコンピューター化する際に、漢和辞典に載っていない姓名の方は事前にはがき等で御本人に連絡いたしますと。
 そうしますと、私の知っている人の中にもいるんですけれども、できるなら自分の字は間違っているのでこの際普通の字に直したいという人も中にはいらっしゃるんですよね。だから、そういうような人たちは窓口でコンピューター化に伴い直すということは結構ですわね。それはできるわけですわね、入らないんだから。正しい字に直してください、漢和辞典に入っているこの字に直してください、本当はこの字のつもりなんだけれども、間違っていますから直してくださいという方たちもおられると思うんですね。それはそれでいいですわね。
 ところが、どうしても私はもう反対なんだ、これがいいんだというふうな方もいらっしゃる。それはどういうふうな取り扱いをなさるんですか。
○政府委員(濱崎恭生君) そういう方については、今申しましたように、コンピューターには一般の書き方で入力することになりましても、原戸籍簿という形で残ります、社会生活で御自分の書き方をされることについて行政が介入する趣旨ではありません、そういったことについて極力御説明をして一般の書き方で入力をするということに御納得をできるだけいただきたいというふうに考えております。
 なお、どうしても納得いただけない、そのままの字をそのまま元の戸籍のまま残してもらいたいという方があるいはあるかもしれません。そういう場合には、あえてそれはコンピューターに入れないで現在の戸籍のまま管理をするということを認めることにいたしたいというふうに思っております。
○下稲葉耕吉君 わかりました。
 そうしますと、もう少し念を押しておきますけれども、大部分の方々は漢和辞典でそのとおり収載される。ところが、漢和辞典に載っていない字の方もいらっしゃる。その方々のコンピューター化については事前に御連絡いたします。それははがきでとるか、とにかく事前に連絡をとります、御相談しますと。
 そういうような中で、もうこの際ひとつ、今まで使っていた字が間違っているし辞書にもない字だから辞書にある字に直してくださいという方も中にはいらっしゃるでしょう。それはそのとおりに直しますと。ところが、いやおれは絶対に反対だ、それはどうしても反対だという方がいらっしゃる。そうすると、一応コンピューター化するけれども、それはそのまま残します、請求があればそれは原戸籍を出しますと。
 しかし、それでも反対だ、私はこれでなくちゃならないという方が、それはどこまで出てくるかわかりませんよ、一億何千万の中で一人か二人かわかりませんが、自分の名前は絶対に反対だ、変えられるのほかなわぬという方については現在のままの戸籍で残しますというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(中井洽君) ただいま下稲葉先生から整理をしておっしゃっていただいたような対応にいたさせていただきます。
 なお、全国三千数百の窓口と十分連携をとって、こういったことで御迷惑をかけないように対処をしてまいります。
○下稲葉耕吉君 それでは、大体そういうふうなところかなということで私ども理解できたわけですが、事柄の性格上、もう一遍整理してこの際確認いたしたいと思います。
 漢和辞典に登載されている字は、それが俗字等とされているものであってもコンピューター対応をする。これはよろしゅうございますか、民事局長。
○政府委員(濱崎恭生君) そのとおりでございます。
○下稲葉耕吉君 漢和辞典に登載されていない表記、これは書き癖等による表記についてはコンピューター化に伴い国民一般に通用する表記を.もって入力する。これは一応質問の前提ですけれども、これでよろしゅうございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) そのとおりでございます。
○下稲葉耕吉君 そこで、国民一般に通用する表記で入力する場合には事前に本人に通知するものとする。この場合に、本人から苦情があったときは極力理解を得るよう努めるとともに、その理解を得られた場合でも現在の戸籍はコンピューター化後も原戸籍として保存することとし、申し出があればその証明書を発行する。これはよろしゅうございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) そのとおりでございます。
○下稲葉耕吉君 それでもなお理解を得るように努めても納得が得られない場合には、本人の申し出により、現在の戸籍をもってその人に係る戸籍とする取り扱いをする。これでよろしゅうございますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 結構でございます。そのとおりでございます。
○下稲葉耕吉君 大変よくわかりました。
 それでは、これは法律には書いてないやりとりをやっておるわけですが、こういうふうなことを国民の方々に徹底するために、法務省としてはどのような措置をとられますか。
○政府委員(濱崎恭生君) まずもって市区町村の窓口にこういう取り扱いをしていただくことになるわけでございますが、その観点からは法改正が実現いたしました場合にはその施行に伴う運用に関する通達を発出する、これは民事局長名で発出させていただくわけですが、そういう取り扱いになりますので、今御指摘の点についてもその通達の中で明らかにして、市区町村の窓口まで徹底するという取り扱いをいたします。
 また、法改正が実現いたしました場合には、この改正の内容について一般的な広報をする。これは市区町村にもお願いし、また私どもの現場であります法務局においてもそういう努力をするということでございますが、その中でもその要点については広報の中に含めて広報する。さらに、各市区町村で実際にコンピューター化をする場合においてもそのような取り扱いについてできるだけの広報をしていただく、こういうことで市区町村にはお願いしたいというふうに思っております。
○下稲葉耕吉君 それは民事局長通達ということになるわけですか。
○政府委員(濱崎恭生君) そうでございます。
○下稲葉耕吉君 わかりました。
 それでは、今から生まれてくる人たちの姓名についてはどういうふうな取り扱いをなさるわけですか。
○政府委員(濱崎恭生君) 現在もう既にそうでございますけれども、生まれてきた子供につける名前に用いることのできる字、これは平易な文字ということで法務省の規則をもって一定の範囲に限定しております。いわゆる常用漢字にプラスして二百字余りの特別の人名漢字を加えた範囲内でその字を使っていただくという運用をこれは戦後ずっととっているわけでございまして、この点はコンピューター化後も全く変わらないという取り扱いになります。
○下稲葉耕吉君 わかりました。
 今私どもが使っている漢字、これは人名漢字も含めて当用漢字が中心になりますが、これは私どもが生まれたときの漢字と違うんですよね。違うんです。私どもが生まれたときには私どもが生まれたときに通用する漢字を使って名前をつけているわけですよね。それを今通用する漢字でなければだめだという方が私は無理だと。これは最初の議論ですよね。
 同じような意味で、現在通用している漢字が三十年も五十年も変わらないかどうか、これもわからないですね。これもわからない。だから、今使っている漢字に、古いと言ってはおかしいんですが、それ以前の人たちがつけたいわゆる俗字と称せられるような名前がだめで直してください、今通用している漢字に直してくださいというのは無理があるのじゃないでしょうかということから議論が始まったんです。
 今の民事局長の御答弁で私は非常によくわかりました。ここまで来られるのは大変な御努力だっただろうと思います。そしてまた法務省の立場からすれば、あるいは迅速化だとか合理化だとかというふうな立場からすれば、それは字を限ってやった方が単純で明解でいいんですけれども、やはりそれは人格権にかかわるような人の名前というものはそう簡単に扱われるものじゃないんじゃないだろうかというふうなことで今日までいろいろやってきたわけでございますが、ただいまの御答弁を承りまして私も了解いたしました。
 実はまだいろいろ質問も準備していたんですが、この辺で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○糸久八重子君 戸籍のコンピューター化につきまして、法務省は一九八五年から八九年にかけて、財団法人民事法務協会に委託して調査研究をしたということを伺っております。
 この財団法人民事法務協会というのはどういうものなのでございましょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 財団法人民事法務協会は、私どもの所管しております登記、戸籍、供託等、民事法務の制度に関して、知識の普及とその発展と円滑な運営に寄与するということを目的といたしまして、昭和四十六年の七月に民法三十四条の規定に基づきましていわゆる公益法人として法務大臣の許可を得て設立された法人でございます。民事法務に関する調査研究等の事業を行っている団体でございます。
○糸久八重子君 どういう人たちがメンバーになっていらっしゃいますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 今申しましたように、目的が戸籍、登記、供託等、民事局、法務局で所掌している制度に関するものでございますので、主として法務局の実務経験豊富な識見の豊かな人、そういう方々に役員になっていただいております。
○糸久八重子君 民事行政審議会に諮問をし、そして答申を得たような内容のことをこの中で恐らく調査研究をなさったんだろうと思います。
 例えば、一九八五年、最初は戸籍事務をコンピューターシステムで処理することとした場合の問題点とか、それから次の年にコンピューターシステムに入出力する漢字の取り扱いとか、いろいろ年度に分けて調査研究をしていらっしゃるようでございますけれども、特に戸籍事務をコンピューター化した場合にどういうところに問題があるのかということは、この中で話し合いになられたことはたくさんあるだろうと思いますけれども、かいつまんでちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 今御指摘のありましたような内容で順次研究を行ってまいったわけでございますが、例えば昭和六十一年度の研究課題としては、コンピューターに入力する場合の漢字の取り扱いということが研究テーマになっております。それから六十三年の研究においては、データ保護のあり方、データ保全のあり方、それからプライバシー保護のあり方、そういったことがテーマになっております。
 詳しく申し上げればいろいろございますけれども、そういった問題にどういうふうに対応できるだろうかということ、そういった点の調査研究を行ってきたわけでございまして、その研究を踏まえて先ほど来出ております全国的な統一処理あるいはデータ保全、データ保護、プライバシー保護、そういったことに適切に対応するシステムの研究開発のもとになったということでございますし、またその研究の成果を踏まえて民事行政審議会でもそのシステムのあり方についていろいろ御指摘をいただいているということでございます。そういった基礎になった研究ということでございます。
○糸久八重子君 それが答申になったんだろうと思いますのでそれ以上のことをお伺いしないんですけれども、今回の戸籍コンピューター化の主要目的というのは、戸籍事務の一元化処理、それから正確性の確保による行政サービスの向上とされているわけでございます。しかし、これは現行戸籍のコンピューター化であり、基本的に現在の戸籍制度のありように変化をもたらすというようなものではないわけです。現在の戸籍は、戦後さまざまな論議がなされたにもかかわらず、戦前の戸籍を踏襲した形で編製されているので家制度の残滓を引きずっているわけですね。そのために個人の人権という観点からいってもさまざまな問題が生じているわけであります。
 まず、戸籍のコンピューター化に当たって、密接な関連事項として本委員会でも論議をされてまいりました婚外子と婚内子の続柄の差別表記についての検討だとか、それから法制審議会身分法小委員会の家族法の見直し作業との関連性を考慮した事柄などもやはりこれは無視し得ない問題だと思うわけでございます。これらの問題は今回の改正に反映できなかったわけでございますけれども、その辺はどうしてなのか。法制審の問題だとおっしゃるんじゃないかと思いますけれども、法制審の進捗状況はどうなっておりますか、その辺をお伺いさせてください。
○政府委員(濱崎恭生君) まず、御指摘の法制審の審議状況について申し上げますが、既に委員御案内のところと思いますけれども、現在法制審議会の民法部会身分法小委員会におきましては、いわゆる夫婦別姓問題を含みます婚姻及び離婚の制度について平成三年以来検討を進めております。さらに、昨今の情勢にかんがみまして、嫡出子と非嫡出子の相続分、これは現在差があるわけでございますが、これを平等にすべきではないかといういろんな内外の御意見があるということを踏まえて、これは婚姻、離婚制度とは別個の相続の問題でございますけれども、これもあわせてこの中で検討しようということで検討に着手しているところでございます。
 現在、中間試案をまとめるべく鋭意作業をしているところでございまして、来月中あたりにはいわゆる中間試案を公表することができることになるのではないか。この問題については大変さまざまな御意見があるところでございますので、その中間試案を公表して、それに対する国民各位あるいは関係各界の御意見を承って、それを踏まえて最終的な答申案、要綱案の確定に向けて努力をいたしたいというふうに考えておるところです。
 例えば、夫婦別姓の問題あるいは嫡出子、非嫡出子の区分の問題、こういったものは必然的にあるいは間接的に戸籍の記載方法に影響を与えてくるわけでございますけれども、今回のコンピューター化のための法案というのは、これはまさに現在の戸籍制度のもとでこれを市区町村の事務がコンピューター化している中でコンピューター化したいという長年の懸案を解決していただくという目的でございます。コンピューター化した場合にも、もし今申し上げましたような実体法の改正に伴いまして戸籍の記載方法を変えるということであれば、これはシステムに修正を加えるということで適宜対応できるわけです。その問題だけではなくて戸籍のあり方については、それは時代の要請に応じて記載方法を修正していかなきゃならないものがそのほかにも将来ともあろうと思います。
 しかし、それはコンピューター化した場合に適宜システムの修正という形で対応することができるものでございますので、この際そういった問題についても一挙に解決しておかなければならない、そういう関係にはないというふうに考えております。そちらの方の実体法の審議については、これもいろいろ各方面意見がある問題でございますので若干の時間がかかると思いますけれども、できるだけ早くということで私ども努力したいと思っておりますので、どうぞ御理解を賜りたいというふうに思います。
○糸久八重子君 コンピューター化については十年も前から研究を進めているのに対して、プライバシー保護についてはもう遅々としてその論議が進まない、私はそう思うんですね。ですから、今早急にというようなお話もございましたけれども、どうぞ早く進めてくださいますようにお願いしたいと思いますと同時に、法務省民事局第二課戸籍実務研究会編によります「戸籍Q&A」という本によりますと、プライバシー保護の問題が解決しない以上コンピューター化は実現しない、そう言っているんです。ですから、プライバシー保護を言うのであれば、やはり社会的差別に利用されている子供の続柄記載、それから戸籍の様式、記載方法などの改善の検討は、これは必要不可欠な問題ではないか、このように思います。
 一九八五年七月、これちょっと古いんですけれども、総理府の個人情報の保護に関する世論調査によりますと、六八・九%の人がコンピューター利用によるプライバシー侵害の発生が多くなりそうだと答えておるわけですね。
 この辺についての御見解はいかがでございますか。
○国務大臣(中井洽君) コンピューター化に伴うプライバシー保護ということで御指摘を賜りました。その点は私どもが最も守らなければならない点であろうかと考えております。
 現行制度でコンピューター化をいたしまして、全国統一して交換できるようなシステムをつくるということになりまして全国どこかであれをすれば全部わかるということになれば、先生御指摘のようなところが出てくるのであろう、コンピューター化によるプライバシーの侵害というのが出てくるのであろうと考えておりますが、今のところ市区町村別、こういう形で従来と同じ形式でやりますので、そういった点の心配はなかろうかと考えております。
 逆に、現在行われております審議会での結論をお出しいただき、そして嫡出、非嫡出、こういったことについての結論が出ますと、コンピューター化されておりますとわりかし早く訂正ができるのではないか、こんなところも含めて私どもは審議会の結論を待たずに今回コンピューター化促進の市区町村長さんの御熱意のもとにこういう法案を提出させていただいた、このように御理解を賜りたいと思います。
○糸久八重子君 戸籍の第一の特色は、何といっても検索機能が抜群であるということでございます。ある人の戸籍を入手いたしますと、その人が何年にどこで生まれて、何人の兄弟姉妹がいて、結婚しているのか、離婚をしたことがあるのか、子供は何人いるのか、認知した子がいるのかどうかということがわかってしまうわけですね。その戸籍に記載がなくともその前の戸籍、その前のというふうにとっていきますと、大体その人の一生の身分関係や身分変動がすべてわかってしまうわけです。これを裏返せば、国家の個人の生活に対する管理が絶大だということだろうと思うわけです。国家は国民一人一人の身分関係、身分変動の一切をいながらにして掌握することがそれによってできてしまうわけですけれども、そればかりでなくて、他人が戸籍を入手すれば著しいプライバシーの侵害が起こって、例えば部落差別だとか非嫡出子差別だとか、離婚した人やその子への差別とか養子に対する差別とか、いろんな差別を引き起こす原因となってしまうわけですね。
 一九七六年に戸籍法の改正があったものの、不正受給のケースが問題ざたになり、これは何人といえどもというふうに書いてあるわけですけれども、しかし他人の戸籍をとる場合には一定の要件があるわけですけれども、やはり不正の受給のケースというのはたくさんあると聞いているわけですね。
 戸籍に家族の実態を見る意識というのをやっぱり改めなきゃならないのじゃないか。憲法の理念である個人の尊厳を家族の基礎に据えるためには、戸籍というのは、戸籍といいますより身分登録といいますか、身分登録はやはり個人単位にすべきじゃないかなと思うんですけれども、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 現行の戸籍編製単位は、委員御案内のとおり夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに編製するということになっております。夫婦、親子の家族関係を確認して戸籍編製をすることになっておりますが、この編製基準は戦後ずっと定着してきたものでございますけれども、これによって一つの戸籍で夫婦、親子の関係を一覧的に把握することができる、こういう面では合理性を持っている制度であるというふうに考えております。
 委員御指摘のように、個人単位にすべきだというお考え方があることは私ども承知しております。これは戸籍というものについてどういうふうに考えるか。やはり戸籍というのは、私ども考えておりますところでは、要するに国民の身分関係を登録し公証する、身分関係、古い身分関係を知る必要がある場合にこれしかないという性質のものでございますので、そういう視点からはやはりそういう身分関係ができるだけ一体的に明らかになるものの方がいいということでこれまで処理してきたわけでございます。
 個人単位という御意見もあるところでございますのでまた将来そういったことについては一つの重要な検討課題であるというふうこま思っておりますけれども、これは現在お願いしておりますコンピューター化と直接関係するものではないと申しますか、現在の制度でコンピューター化したから将来的にもそれができなくなるという性質のものではないということだけ申し上げさせていただきたいというふうに思います。
○糸久八重子君 ペーパーである戸籍を、現在の戸籍はペーパーですけれども、それを磁気ディスクや磁気テープにつくり直す場合に、現在の戸籍に記載されている事項をどの範囲まで移記するのか。例えば戸籍の改製の方式に従って効力を有する事項のみを移記するのか、それとも改製の方式に従って記載事項の全部を移記するのか、それとも現に戸籍にあるものだけについて記載事項の全部を移記して、つまり戸籍から除外されているものは除かれる、バッテンのついているものは移記しないとか、いろんな方法があると思いますけれども、そのうちのどういう方法をおとりになるんでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) コンピューター化の移行に際しましては、結論的に申しますと、戸籍に記載されている全部の事項を必ずしも入力しなくてもいい。その事項のうち、現行の制度のもとで、新戸籍編製の場合に一定の事項については移記することを要しないとされている事項がございますが、コンピューター化に際しての入力もその同様の方法によって一定の事項については入力をしないという取り扱いをすることといたしたいと考えております。
 これによりまして、効率の面で申しますと、移記する事項が減少することによって移行が効率的に実施することができるという面がございますけれども、基本的には現行法のもとで転籍等によって新たに戸籍を編製する場合との整合性を図ることができることになるのではないかというふうに考えております。
 現在の移記しないこととされている事項の例を申し上げますと、例えば離婚している場合に、その離婚事項等、既に解消をしている身分関係に関するものでございますとか、あるいは帰化された人の帰化事項等、これは必ずしも移記する必要がないだろうということで移記はしないということにしております。こういうものについてはコンピューター化の場合にも移記しないという取り扱いをしたいと考えております。
○糸久八重子君 基準書はできていらっしゃるそうですけれども、検討されている出力形式、例えば筆頭欄の次にどういうふうにやるのか、その辺はどうなっているんですか。
○政府委員(濱崎恭生君) 御質問は現在の謄本、抄本にかわる記録事項証明書のことかと思いますが、その様式については現在検討中でございます。
 基本的には、戸籍に記載されている事項全部を証明する全部事項証明書、それから特定のお一人の方に関する事項を証明する個人事項証明書、それから御本人がこの事項についてという御希望に応じて対応する一部事項証明書、こういう三種類のものを用意して対応したいというふうに考えております。その出力の形式については、詳細はこれから定めることにいたしておりますが、記載事項について現在の戸籍謄本、戸籍抄本の記載事項と基本的に変わるわけではございません。ただ、それをもう少し見やすい形で整理した形で出力するということを考えているわけでございます。
○糸久八重子君 そうしますと、今の戸籍謄本のように、本籍、筆頭者欄の次に編製事項の欄があって、その次に国籍する家族、個人の登録簿がずっと続くようにと、そんな形になるんだろうと思うんですよね。
 そうなりますと、戸籍の編製事項欄を別にしますと、個人登録を順番につないだのと同じ結果になるんじゃないかなという気がするんですね。ここまで個人化できるのであれば、戸籍や編製事項欄を各自に付加して、そして個人別登録化することも可能ではないか、そんなに先の話ではない、すぐできるんじゃないかなという気がするんです。
 戸籍実務の現場からも話を聞きますと、親子を問わず個人を尊重するということが何よりも重要であると考えるので、個人登録の方法がとれれば一番よいのではないかというような声も実はあるわけです。
 このように、個人単位登録は憲法の理念にも忠実でありますし、技術的に見ても何の問題もないのだから弊害の多い家族単位登録をやめて個人単位に転換するのが当たり前だと思うんですね。それで先ほど個人単位の話を出したんです。いかがですか。
○国務大臣(中井洽君) 私自身は機械にそんなに詳しいわけではありませんが、先生御指摘のように、一度こういう形でコンピューター化をいたしますと、それを将来個人単位で記載をする、分けてしまうということは機械としてはできるのではないか、このように考えております。
 しかし、戸籍をそういう形で書くか書かないか、やるかやらないかというのは、これは大変重要な問題でありますから国会での御議論、さまざまな御議論、これらを十分私どもは見させていただいて将来の検討課題としていきたい、このように先ほど局長から答弁したところでございます。
○糸久八重子君 スウェーデンでは福祉の徹底のために国民総背番号制を採用していて、そして個人別登録については国による個人の把握を容易にするからプライバシー侵害をする危険性があるという、そういう意見も実はあるんです。欧米では出生とか婚姻、死亡とかという事件別に登録をしている、そういう例もあるようでございます。
 これは先ほど申し上げたこととちょっと関連するんですけれども、自分の出生とか婚姻とか、それから親子関係を証明したいときは自分で必要な証明がとれるから何ら問題はないと思います。自分の情報は自分で把握をして管理するという立場に立てば、事件別とか個人別がやっぱり最もいいのではないかなという気が私はするわけであります。
 しかし、コンピューター化されますと、例えば事件別に入力してもコンピューター操作で個人別にまとめたり、さらに家族単位に結合したりすることはもういとも簡単にできてしまうんじゃないかという気がします。だから、入力してはならない情報、例えば続柄記載とか、コンピューター操作で結合してはならない情報は何かという情報管理の方法を考えなければならないと思います。出力形式として特定の個人の特定の身分事項を証明するものだけの交付を原則にすればよろしいんじゃないかなと思うんですけれども、その辺の御見解はいかがですか。
○国務大臣(中井洽君) 先生の御意見は十分私ども拝聴させていただきますが、例えば私の知っている範囲でいけば、欧米なんかの事件別で届けあるいは証明書が交付されるということを利用して個人の身分証明書というのが実に簡単に偽造されたりしておるというのも実態ではないか、このように考えますし、また家族制度の長年の歴史というものもあろうか、このようにも考えております。
 そういったことを踏まえて私どもは、コンピューター化をされればできることはできるのでありましょうけれども、日本における現行の制度、これでやっていくのがいいのではないか、こんなふうに考えているところであります。
○糸久八重子君 先ほど御説明ありましたけれども、磁気化された場合に、戸籍に記録されている事項全部を証明する全部証明というんですか、それから特定個人についての事項を全部証明する個人証明書というんですか、そういう方法を禁止すれば個人別とか事件別の登録と同じになるから、こういうことはやっぱりコンピューター化の最大の利点になるんじゃないかなというような気がするんですね。
 国民の身分関係を登録する戸籍というのは、その存在形態はペーパーであるのが今まで戸籍法の建前であったわけですね。これは明治四年ですか、制度の創設以来ずっと変わっていないわけですけれども、戸籍のコンピューター化は戸籍の記載を磁気ディスクとか磁気テープなどの媒体に電磁的記録として蓄えるものですから、こうなりますと人間はその原本の記録そのものの判断をすることができなくなっちゃうわけです。
 人間にとってわかるようにするためには電磁的記録を文字に変換して別の媒体に表示するということになりますけれども、この場合、文字に変換された表示は謄本または抄本とは言えないわけですね。今は戸籍の原本があって、それを青焼きかなんかして出てくるわけですから戸籍の原本そのままのものが出てくるわけですけれども、今度はコンピューター化されますとそうじゃなくなるわけですから、謄本とか抄本とかは言えなくてこれは証明書ですか、先ほどもちょっと出ましたけれども、証明書として取り扱われるということになってしまうわけですね。
 今後は正確な意味では謄本とか抄本ではなくなって証明書だけが利用されることになるんですけれども、その場合にその証明書というのは、先ほどもお話がありました全部証明とか個人証明とかという、そういう形になるんですか。
○政府委員(濱崎恭生君) 法案の百十七条の四におきましてその関係の取り扱いを定めることとしておりまして、今回の改正規定によりまして、戸籍が磁気ディスクをもって調製されているときは、現行の十条一項または十二条の二第一項の請求、これは謄本または抄本あるいは一定の事項についての証明書がございますが、その請求はこれらの規定の謄本、抄本または証明書にかえて磁気ディスクをもって調製された戸籍または戸籍の全部または一部を証明した書面についてすることができるというふうに規定しておりまして、御指摘のとおりになるわけでございます。
○糸久八重子君 戸籍法八条に規定されております副本、先ほどもちょっと出たんですけれども、この副本は今回のコンピューター化によりまして磁気媒体による提出となるわけですね。
 副本は本来法務省が戸籍事務の正確性を担保するために提出を義務づけているものでありますが、磁気テープになりますと実質的に全国戸籍の集中化を可能とすることにつながるわけです。法務省では単に提出していただくだけとの考えのようですけれども、戸籍法の改正を行って副本の提出義務というものはなくす必要があるんじゃないかと思うんです。
 先ほどはそういう必要はなくてやっぱり残しておくんだというような答弁があったわけですが、もう一度その辺の御見解を。
○政府委員(濱崎恭生君) コンピューター化いたしました場合にも、現在の簿冊の登記簿は捨ててしまうわけではございません。先ほど申しましたように、原戸籍簿という形で半永久的に保存するということを考えております。
○糸久八重子君 名前の問題は下稲葉先生の方から大分お話があったわけですから簡単にしたいと思います。
 事務処理のコンピューター化というのは時代の要請とも理解することができますけれども、やっぱり単なる簡便さとか事務の効率化の観点からだけのコンピューター化であってはならない、そう思っております。特に、名前というのは極めて個人のアイデンティティーに強くかかわるものですから、プライバシーの尊重に配慮して国民の納得の得られるような改正内容、運用方法とすべきだ、そう思っております。
 かつて戸籍ができた当時からずっと町役場の戸籍係というのがおりまして、そこに例えば出生して届けたりした場合に、その戸籍係の手の癖があったりなんかして、点がなかったのをぽんとつけてしまったりというような例があるわけですね。
 実は私の知人に、熊本の人吉に住んでいらっしゃる方なんですけれども、名前が「オキミ」さんという方がいるんですね。その人は大正の生まれですから、大正生まれにしては随分しゃれたお名前をおつけになりましたね、そう私が申し上げましたところが、いや実はそうじゃないんですと。私が生まれたときに親が戸籍係のところに持っていって申請をしたところが、戸籍係が、ああオキミさんですねと言ってオキミと書いちゃったというんです。本当の名前はキミなんだそうですよ。だから私はずっと上に「オ」がついていて、おキミじゃなくてオキミなんですよと、そう言うんですね。橋田さんの「おしん」さんが戸籍に「お」がついたのかどうか、その辺はわからないんですけれども、そういう届けを間違ったものにしてしまったという例なんかもあるということですから、その人はもうオキミで通用しているわけですからずっとそういうふうにしていると思いますけれども、私の身近にもそういう例がありましたので御報告しておきたいと思うんです。
 実は大臣の名前に使われております「洽」という字ですけれども、これは現在ならば命名に使用できない漢字なんじゃないんでしょうか。仮にその命名に使用できない文字の訂正を求める通達が出されたら、すべての人が受け入れられるわけじゃないですよね。大臣は「ひろし」と読むんだろうと思いますけれども、ひろしだったらっくりが吉に点のついた、これが普通私たちが言うひろしなんですけれども、その辺は大臣、どうなんでしょうか。
○国務大臣(中井洽君) 私の姓名でございますので私からお答えをさせていただきますが、「六合にあまねし」という言葉があって、「あまねし」という言葉を父親は洽という当て字でつけたんだと聞いております。私は戸籍はさんずいに実はなっておりますが、私の生きております八十近いおば二人は、たしかおまえの字はにすいだったと、こう言うのでありまして、私も字引を調べますと、にすいの字もあればさんずいの字もあると。法務大臣になりまして、コンピューター化でこれ直されるのか、どうなんだと言いましたら、濱崎民事局長はまじめなものですから、必死で調べていただいたら両方あると。両方漢和辞典に載っているようでございます。どちらかというとやはりさんずいの意味でつけたのかなと思っておりますが、父親は死んでおりますので、確かめようがありませんのでこのままさんずいでいこうかなと考えております。
 そのように、先ほどから御指摘いただきましたように本当にいろいろと問題があろうかと。そしてまた、それぞれ字に対して、親のっけてくれた名前という意味で本当に特別な愛着がございます。これらの面を十分配慮したコンピューター化ができるように間違いなく指導をしてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
○糸久八重子君 これももう既に解決がついているんですけれども確認をしたいんですが、民事行政審議会の答申を拝見して問題だと思ったのは、第六の「移行について」の「誤字・俗字」の解消の説明の中で、いろいろと書いてあるんですけれども、誤字・俗字を解消する場合には市区町村長が広報活動を十分に行えば個別の告知を要しないこととしても差し支えない、そういう説明があったわけですね。私はこの答申の説明から、これはまさにもう行政上の便宜性とか大量処理のための簡便性のみの発想であって、個人の尊厳とか人格性とかアイデンティティーは全く無視されたものだ、これは大変だ、そう実は思っていたんですね。
 ところが、その後、民事局から「戸籍事務のコンピュータ化に伴う漢字の取扱いについて」という文書が出まして、客観的に誤った字であることが明らかな字等について正字で入力をする場合に、これは事前に本人に通知をし、本人から苦情があった場合には可及的懇切に対応して理解を得るようにする、そのように書いてあったので安心をしたわけでありますが、答申にあるように、職権訂正はしないということでございますね。それ一を確認をしておきたいと思います。
○国務大臣(中井洽君) 職権訂正をするつもりは毛頭ございません。今回の法案提出に至るまでの各党、各議員の皆さん方のいろんな御指摘は十分酌み取らせていただいて対応させていただく、この覚悟でございます。
 率直に感想を申しますと、参議院先議でお願いをして、時間的には今日までかかりましたけれども、十分皆様方の御趣旨に沿った対応ができる体制で御審議をいただけることを大変うれしく考えております。
○糸久八重子君 しかし、これらはすべて市区町村任せということになるわけですけれども、果たして市区町村窓口でこのような細かいことの対応ができるのかどうかというのがちょっとまた私は心配になるんですけれども、その辺は大丈夫でしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 今御指摘がございましたように、書きかえることになる場合には事前に通知をするということでございまして、知らない間に変わっているということがないようにいたしたいということでございます。
 そういう取り扱いをするにつきましては、それだけ私ども市区町村にお願いする立場としては労力をお願いすることになるわけでございますが、このコンピューター化に際しましては、現在の紙の戸籍をコンピューターに入力する作業が必要でありまして、そのためにはまず慎重な点検作業が必要でありますし、またパンチ入力の期間を要するわけでございます。全体移行期間としては半年あるいは一年という期間を要するわけでございますので、そういう期間内においてそれぞれの方にそういう対応をするということは市区町村でやっていただけるものだというふうに思っておりますし、その旨は市区町村に十分徹底をいたしたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 先ほどコストの問題が出ましたけれども、実は住民基本台帳のOA化もかなり前から進んでおるわけですけれども、このOA化に当たってあちこちでトラブルが生じたことを聞いております。
 葛飾区の例ですと、葛飾区では一九八八年からOA化を始めまして、現在までコンピューターの持っている漢字以外の漢字を千九百四十五字作字したそうです。つくってもらったそうです。今年度中にもあと百字くらいの一応予算をとってつくっていかなきゃならないだろう、今後も年間百字くらいは予算化する必要があるだろうということを葛飾区では言っております。
 問題なのは、作字をする場合、外字が一字当たり八千二百四十円もするんだそうですよ。そうなりますと、かなり市区町村ではお金がかかってくると思うんですが、先般の参議院の予算委員会の中で、倉田議員に対する大臣の答弁がありまして、それを見せていただいたわけですけれども、コンピューターの持っている漢字というのは約七千字で、それ以外にまだ七千ぐらいの余裕がある。漢和辞典に載っているのが大体二千字で、姓名に使われているのが三千ぐらいだから、そのくらいは入れる余裕があるだろうというお話だったわけです。結局、そういうものはみんなコンピューターの中に入っている漢字ではなくて、いわゆる外字として市区町村がつくっていかなきゃならないということなんですね。そうなりますとかなりお金がかかっちゃって、その製作費用などを一体どうするのか、本当に心配になってしまうわけです。
 この改正案に当たりまして、地方公共団体の関係者の意見聴取というのは行ったんでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 民事行政審議会の中には市区町村の代表の方々に何人か入っていただいて議論してきたことでございます。その中で、移行に要する経費の問題については、市区町村のサイドからは何とか国から特別の補助金というふうな経費が出せないかというような御希望がございましたけれども、それは大変困難なことであるということで御理解をいただいたというような経緯もございます。
 それから、今の外字のことでございますけれども一般の汎用コンピューターがその中に内蔵している字、これは一定のいわゆるJIS規格と呼ばれるものの範囲で入っているわけでございますが、戸籍に用いられている字のうちのいわゆる正字、漢和辞典で正しい字とされているもの、これが全部入っているわけではないわけでございまして、簿冊からコンピューターに移行する場合には、正しい字と言うと語弊がありますが、そういう字についてもコンピューターに内蔵されていない字は外字として入れなければならないということでございまして、それがもう既に相当数あるわけでございます。移行経費の中にはそういうものも既にもう織り込んで考えられておるということでございます。
 ただ、今回新しい対応をすることによって、漢和辞典に載っている字は俗字であっても入れるということになりますと、入力する外字の数がふえてくる、それに伴って今御指摘の一字八千幾らというような金額がこれまで考えていたよりも余分にかかるということでございます。その点については、また経費がそれだけふえるということでございますが、全体の移行経費の中から見ればそう大規模にふえるものではないというふうに考えておりまして、そういった点についても、これまでいろいろ御意見を伺う中で、市区町村とも連絡をとりながら対応させていただくということにしたわけでございます。
○糸久八重子君 戸籍のコンピューター化については、市区町村では事務の効率化という利点があるかもしれませんけれども、余り大きなメリットはないと思います。一方、コンピューター化にかかわる経費は、セットアップ費用を初めとしまして、パッケージの導入経費、パッケージ化されていない部分の開発経費、それから機器にかかわる経費、相当な額となるだろうと思います。
 通常、国や都道府県の事務処理上の必要からコンピューター化された場合には、システム及びその機器は無償で提供、あるいは多額の補助金が支給されていると聞いておるわけですけれども、今回の戸籍については地方自治体との共管の事項でありまして、法務省と自治省と連携して市区町村に対して何らかの補助金、または交付金制度を設ける必要があるのではないかと思います。これは下稲葉議員の方からもお話がありましたけれども、戸籍事務処理に対する自治体への財政援助のあり方について、大臣の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(中井洽君) 糸久議員御指摘のとおり、このコンピューター化に際しましては大変長い年月と費用がかかろうかと考えております。本来国の行う戸籍事務でありますから、こういうことをお願いする以上、補助金という形があり得るべし、こういう御意見でございますけれども、現行、御承知のように大変厳しい財政状況でございます。
 したがいまして、日々の戸籍事務につきましては地方交付税の算定対象に入っているところから、私どもは今回コンピューター化に伴いまして新しくかかります費用について、当然自治省の交付税の算定基準の中でこれを配慮していただく、こういうことで現在事務方で交渉をいたしているところでございます。これから本格的な交渉に入りますが、できる限り地方自治体の皆さん方に御迷惑をかけないように法務省といたしましても全力を挙げて折衝してまいる、そんな思いでございます。
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。
○翫正敏君 翫正敏です。
 最初に、姓名の姓の方のことについてお聞きしたいんです。姓については、辞典に載っている部分についてはいいんですが、辞典に載っていない字の場合は、話し合いをして当人のオーケーがあれば直してもらうということであります。それが嫌な人の場合はコンピューターには入れない、こういうふうな説明だったと思います。
 現在の戸籍は読み方については書いてございませんけれども、読み方についての措置を含めて、今二点お聞きしたつもりですが、お答えください。
○政府委員(濱崎恭生君) 第一点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、コンピューター化に伴って字を書きかえることになる場合には事前に御本人に通知して、御異議があっていろいろ説得してもどうしても現在の戸籍のまま残しておいてもらいたいという方については現在の戸籍をもってその方の戸籍にするという取り扱いをさせていただくことにしたいと考えております。
 それから、読み方の問題でございますが、現在の戸籍制度の考え方というのは、これは戸籍制度の立場からいえば、氏名はその個人個人を特定するということの目的で記載しているわけでございますけれども、その特定は字の形をもって特定をするという考え方で、読み方がどうであるかということについては戸籍の立場では基本的には関与しないという考え方であります。
○翫正敏君 先ほどの質問に対する答弁では、従来の法務省の方針ですと、姓名については現在の全人口のうちの一〇%ぐらいに影響する、一千数百万人に影響するように考えられたと。それで、辞典に載っているものはすべてコンピューターに入れるという方向に変わった、こういうことだったんです。
 今度は辞典にも載っていない姓の人ですね、名は別にして姓の人、そういう人は直してもらうということになって、それが嫌ならそのままコンピューターには入れないで現在の戸籍のまま残るということなんですが、嫌かどうかは別ですよ、そういう辞典に載っていない人の姓というのは大体どれくらいあるというふうに把握しておられますか。ざっとで結構です。
○政府委員(濱崎恭生君) 先ほど来申しております従来の考え方によれば、一千万人を超える方々に影響を与えることになるという推計を申し上げましたが、これは姓の方と名の方と区分して推計しておりませんので姓だけについてはちょっと申し上げかねるんですが、姓と名を一緒にして申し上げさせていただきますと、今回一千万以上の方に影響を与えるということですが、辞典に載っている字についてはすべて対応するということになりますと、その大部分についてはコンピューター対応をするということになろうと思います。
 先ほど来も申し上げましたけれども、一つ一つの字にいろんな書き方、一点があったりなかったり、あるいは棒が一つ多かったりというようなことで、いろんな書き方、一つの字についてもさまざまございますので……
○翫正敏君 簡単に言ってください。どのくらいおいでだと思いますか。
○政府委員(濱崎恭生君) その対象がどのぐらいになるかということは、私どもきちんと推計しておりません。
○翫正敏君 法務大臣にちょっとお聞きしておきたいんですが、前回、昭和五十一年に戸籍法の第十条が変更になりまして戸籍をとるのが厳しくなったわけでありますけれども、そのときの法案の審議の中では、「戸籍には本籍地、出生地が記載されておる、そういうことから、いまおっしゃるような、そういう部落差別につながる問題が出てくる、」、こういうことを法務省の当時の民事局長が答弁しておられます。また、同じく民事局長が「戸籍の公開の制度を利用して部落差別につながるような不当なことがなされるといたしますれば、戸籍制度としても当然公開制限という形でそれを防止せざるを得ない、」、こういうように答えておられるわけであります。
 それから、その法律が改正されました後に法務省が出しました通達によれば、部落差別の問題については「あるいは戸籍の記載事項を手がかりとして同和地区出身者であるか否かを調査する等差別行為につながるもの」云々と、こういうふうに通達もなされているところであります。
 こういう部落差別というものを根絶しなきゃならないという大きな目標で法務行政が行われているというふうに認識しておりますが、この部落差別をなくさなきゃならないということについて大臣の御所見のほどをお伺いしたい、そういうように思います。
○国務大臣(中井洽君) 私も民社党の同和対策の特別委員長を十年務めてまいりました。この日本独特の情けない差別は一刻も早く根幹からなくしてしまわなければ憲法の柱である基本的人権、これの擁護、こういったものが実現しない、このように考えております。
 戸籍にあわせてお尋ねをいただきました。戸籍の公開に対する制限ということで同和対策を含めて既に実行されているわけでございます。今日、同和あるいは部落という形で調査をする、そういう不心得な者が出ておるということは余り承知をしておりませんが、これからのコンピューター化におきましてもそういったことがないよう十分対処していきたい、このように思っております。
○翫正敏君 外務省の方から来ていただいていると思います。
 一九九〇年の国連総会によってコンピューター化された個人情報ファイルの規制のためのガイドラインが決議されたわけでありますが、外務省からいただいたのが英文なものですから、それをちょっと説明してほしいんです。
 この内容のうち、国内立法に定められるべき最低保証に関する原則というものの中の五番、非差別の原則という項目がありますが、これはどういうふうに決議されているのか。さらには、ついでに一緒に聞きますが、八番のところにあります監督と罰則というところ、これはどういうふうに書かれているのか。それからさらに、一九九三年に国連で採択されました人権委員会の日本に関するコメント、この中で十一番に当たる部分と十七番に当たる部分、これがどういうふうに勧告しているのか示していただいて、今二つの国連文書をお示ししましたが、またそれぞれこれがどういう性格の文書なのか、その法的性格というようなものについてお示しください。
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ございました一九九〇年の国連総会で採択されましたコンピューター化された個人データファイルに関するガイドライン、そのパラグラフ五でございますが、そこには、パラグラフ六の例外を除きまして、人種または種族的出身、皮膚の色、性的活動、政治的意見、宗教、哲学、その他の信条及び団体、労働組合への所属など、違法な、ないしは恣意的な差別を生ぜしめるおそれのあるデータは蓄積されるべきではないという趣旨が書かれております。
 パラグラフ六には、この原則から離脱し得る例外につきまして以下のとおりの趣旨を記述してございます。すなわち、原則からの離脱に対する制限及び適切な緊急保護措置を明文で規定している国内法体制に準拠した法律その他の規則により原則からの離脱が明文で規定されていること、並びに国際人権章典、これは具体的には世界人権宣言、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約などの総称でございますが、国際人権章典及びその他の人権擁護、差別防止分野の関連国際文書に定められた範囲内であることの二点を条件といたしまして、国家の安全、公共の秩序、公衆の健康、道徳及び他者、特に被訴追者の権利、自由を保護するために必要である場合原則からの離脱が認められる、このように記述されております。
 なお、このガイドラインのパラグラフの八でございますが、突然のお尋ねでございまして、申しわけございません、ちょっと……
○翫正敏君 いいです。
○説明員(國方俊男君) 次に、先生から御指摘のございました規約人権委員会の意見の件でございます。
 昨年の十月二十七日及び二十八日の両日、スイスのジュネーブにおきまして市民的及び政治的権利に関する国際規約、通称B規約と申しておりますが、このB規約に基づき設置されましたB規約委員会におきまして我が国政府が提出いたしました第三回報告に対する審査が行われたわけでございます。この審査を踏まえまして、同年十一月四日、B規約人権委員会は委員会の意見というものを採択しております。
 その意見の中で、まずパラグラフ十一でございますが、委員会は非嫡出子に関する差別的な法令の規定について特に懸念を有する、とりわけ出生届の様式及び戸籍に関する規定及び慣行は規約第十七条及び第二十四条に反している、非嫡出子の相続権に関する差別は規約第二十六条に適合しない、このように述べております。
 また、この意見のパラグラフ十七でございますが、そこには、委員会はまた規約第二条、第二十四条及び第二十六条の規定に一致させるために非嫡出子に関する日本の法令を改正し、及び差別的な規定を削除するよう勧告する、日本に依然として存在するすべての差別的な法令及び慣行は規約第二条、第三条及び第二十六条に適合するように撤廃されるべきである、日本政府はこの点について世論に影響を及ぼすよう努力すべきである、このように述べられております。
 この規約人権委員会の意見、その法的な拘束力についてお尋ねがあったわけでございますが、このB規約人権委員会では、各国の報告書査を行いました後、審査対象国ごとに人権委員会の意見と呼ばれる委員会としての意見を取りまとめまして各締約国に送付しているわけでございます。これは九二年三月にこの委員会が決定して実施されるに至ったものでございますが、各国別審査に関しまして、従来のように各委員の個人的意見を報告に記載することに加えまして、委員会全体としての見解を反映させることを意図したものでございますが、私どもといたしましてはこれは法的拘束力を有するものではないと、このように考えておる次第でございます。
 以上でございます。
○翫正敏君 両方ともですか。コメントの方がそうですが、決議の方か、両方とも法的拘束力がないということですか。
○説明員(國方俊男君) 両方ともそういう考え方でございます。
○翫正敏君 この五の非差別の原則のところですが、ここに部落差別のことが書かれていないのは、これが極めて日本的なものであるから書かれていないというふうな判断をしているところですけれども、もちろんそういうことがあってはならないという趣旨と読み取れるんです。
 性的活動に関するというのはどういう意味なのか説明していただけますか。
○説明員(國方俊男君) 私どもが解釈しておりますのは、性的生活ということでいわゆる男女間の性生活がない、例えば男性同士の性的関係でございますとかあるいは女性同士の性的関係、そういうようなものを指すのではないか、かように考えておる次第でございます。
○翫正敏君 それで、日本政府はこの国連決議が一九九〇年になされる前に意見を提出していまして、「これらの項目を全ての国に適用されるものとして特定することは適当でない。なぜなら、センシティブなカテゴリーに属する情報は国と個人によって異なるからである。よってこれは、各国の伝統と公的行政サービスの必要その他の状況に従って、各国により決定されるべきことである。」、こういうふうに主張を文書で出したんだと思いますが、この場合の政府というときには責任省庁は外務省でしょうか、それとも戸籍関係のことだというようなことで言えば法務省になっているんでしょうか。
○説明員(國方俊男君) お答えいたします。
 国連の方に出した文書でございまして、これは当然のことながら関係省庁と御相談申し上げながら外務省の方で取りまとめて出したということでございます。
○翫正敏君 それで、法的拘束力は外務省はない、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、ただ国連総会において一九九〇年に決議をされて、個人情報をコンピューター化する場合にはこういうふうにやりなさい、やってくださいというガイドラインとして示されているということは事実でありますから、こういう中に差別的情報が蓄積されてはならないという指摘があることは極めて重要だというふうに私は認識しているわけであります。
 そこで法務省の方にお伺いをしたいんですけれども、例えば昭和五十一年のときに改正になりまして、戸籍謄抄本をとりますときには部落差別の問題というようなものにつながるようなことがあってはならないということで制約を加えたというようなことですね。つまり、戸籍でいきますと本籍というものが記載をされている。本籍が私でありますと石川県小松市上牧町二十九番地というふうに書いてあるわけですが、この戸籍を管理しております小松市の下に町と番地が書いてある、こういうことに基づいてだれかが調査をして、そして部落出身者などでないかということを調査したいというようなそういう考え方を誘発しやすい、そういう性格を持っていると思うんですね、戸籍は。
 そういうことはやっぱりこういう機会に、コンピューター化をするということであるならば、私は戸籍そのものは住民票との比較から考えてみましても、住民票にはちゃんと住所として私の場合は石川県小松市上牧町二の十九番地という住所が書いてあるわけですね。そういうことからいいますと、戸籍の場合には戸籍を管理している市区町村が、私の場合ですと石川県小松市であるという、こういうことが記載されていれば十分なのであって、その下に○○町というようなものが書かれてなきゃならない必然性はないのではないかというふうに先ほどの差別との関連の中で思うんですけれども、見解はいかがですか。
○政府委員(濱崎恭生君) 戸籍に本籍を記載しますのは、その戸籍を特定するということ、それから間接的にはその戸籍によってどこが所管するかということが定まるわけでございますが、本籍地の表示を市区町村単位までということにいたしました場合には、同姓同名の者があった場合の戸籍の特定ができないということで戸籍事務の処理に支障を来すという問題があるわけであります。
 例えば現在の制度のもとでも、婚姻届を出したら間違ったところの相手と婚姻したという記載がされたというような事例がかつてあったと聞いておりますが、これは現在の制度のもとでは恐らく取り扱いのミスであろうと思いますけれども、同姓同名が同一市区町村内にあったような場合にはそういうことを特定できないという場合がございますし、また謄抄本を請求される際にも国民に確認の手数をかけるというような事態を生ずる懸念があります。そういうことで本籍を地番まで記載するということにしているわけでございまして、そういうことで本籍の記載は個人を特定するために重要な役割を果たしているというふうに考えております。戸籍の制度の立場からいうとそこまで記載することがぜひとも必要であるというふうに考えているわけです。
 なお、これは戸籍の記載そのものが差別の記載ということではもちろんないということは御理解していただいていると思いますが、そういうことで委員御指摘のような弊害もあるということから、御指摘のように昭和五十一年に戸籍法の改正を実現させていただいたわけであります。
 なお、付言いたしますと、本籍地をどこに定めるかというのは基本的には御本人の自由ということになっておりまして、戸籍の筆頭者及び配偶者でありますればほかの本籍地に本籍を移動するという転籍届ができますし、また子供が成人に達した場合には分籍届ということで別の戸籍にするということができるということを、余計なことでありましたが付言させていただきます。
○翫正敏君 同姓同名の人がいるから、私の場合で言うと石川県小松市という市まで、市区町村ですね、こういうところまでしか書いていなかったのでは混乱すると言われますけれども、一方住民票というものがあって、現住所がどこにあるのか、そしてそれはだれであるかという住民票もあるわけですから、この二つを照らし合わせればそういうことは起きないというふうに思うんですね。
 ですから、相続関係のことについて、戸籍によって明確にだれの子であるかということが書かれているわけでありますね。そういうことからいいましても、同姓同名の人がいるから町までしか書いていないと混乱、重なってしまうというようなおそれは私はないというふうに思います。だれの子であるかということが戸籍に記載されておって、そして名前がだれだれである、こういうふうになるわけですから。
 現在でも、おっしゃるように戸籍は新しくどこにつくってもいいわけですから、現住所でなくても、生まれたところでなくても、どこにつくってもいいというようなことになっておるわけでありますから自由なんですけれども、そういうようなことから考えましても、現住所は住所でないところに記載するということは公文書に対する偽り記載になりますけれども、本籍地は別に新しくっくれば構わないわけですね。そういうことから申しましても、戸籍を管理している市区町村名が明確であればもう十分だ、私はそういうふうに考えますので、私のこれは主張ということで考えておいていただきたいと思います。
 それから、この非差別の原則の中でのことに関連しまして、それからさらには先ほどの日本に対するコメントのところにも書いてありますことでありますが、婚外子に対する差別的な取り扱いをしてはならないということで、これは国連人権規約の十七条、二十四条、二十六条に反するものであるという、こういうコメント、勧告でしょうかね、これがなされているわけであります。十七条においても、そういうことについては日本で法律を改正してくださいという、こういう勧告がなされているわけです。
 実際問題として、男か女かということはどうしても記載しなければならない絶対的な条件だと私は思うんですけれども、現在書かれておりますように、戸籍に長男であるとか長女である次男であるということが書かれなければならない必然性は私はないというふうに考えているわけです。
 それで、すべて今度コンピューター化する機会に、男か女かという記載で終わらせれば十分だ、長男か長女かとかいうそういう問題は、生まれた順に記載されていきますからそれを見ればわかるわけでありますから別に書かなくてもいいわけで、これはあくまで相続の問題のときに、民法によって非嫡出、婚外子は二分の一の相続権しかないということになっておることに照らしてこの記載がされなきゃならない、こういうことだろうと思うんですけれども、これがまた民法の小委員会ですか、そこで検討されていて、これは直すべきだと、こういう状況にもあるわけです。
 それから、これは裁判にもなっている問題でありまして、裁判では、昨年の六月二十三日に、非嫡出子も相続権は同額であるべきだという東京高裁の判決が出まして、これが確定をしておるということであります。
 民法九百条にある規定は憲法違反である、こういう判決も高裁において確定しているということからるる考えでみましても、戸籍において長男、次男という記載をする必然性はない、これを改めるべきだ、こういうふうに考えるんですが、法務省の見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(中井洽君) この問題につきましては、先ほど糸久先生からも御指摘いただき、またただいま翫先生からも御指摘を賜ったところでございます。
 お話がありました裁判の問題につきましてはもう一件争われておるのがありまして、これは最高裁に持ち込まれておる、このように承知をいたしております。こういう司法の決着のあり方、また同時に、現在法制審議会身分小委員会におきまして相続分の区別の問題について、これまた翫議員からお話しありましたように論議がなされているところでございます。これらの推移を見まして私どもは十分対応をしていきたいと考えているところでございます。
 長男、次男あるいは男、女、こういう書き方でありますけれども、コンピューター化をしていただき、もしこれらを直していく、こういうことになれば、逆に言えば早く直せる。また同時に、過去に書いてあったことがコンピューターですから消えてしまう。原本においては線を引いて消していくのであろう、そしてそれが残っていく、こういう形もあるかと。そういう意味ではこのコンピューター化というのも私は将来に対してある程度の対策ができる大事な機械化だ、こんなふうに考えているところでございます。
○翫正敏君 大臣からの答弁でありますけれども、実務の方からちょっとお答え願いたいんです。
 もし、コンピューター化をしました、その後に民法が改正になりました、その結果として長男、次男とかと書く必然性もなくなって、男か女かと書くことになりましたというふうになったときに、コンピューターを直す、情報を直すわけですね。それが極めて簡単なことで、もとの情報も消えてしまって大変結構なことだ、簡単なことだ、お金もほとんどかからないと、そういう簡単なことでございましょうか。実務的にいかがですか。
○政府委員(濱崎恭生君) これは嫡出子、非嫡出子の相続分のあり方というのは、今、大臣申し上げましたように、現在法制審議会の審議の対象になっておりますが、これ自体について、委員御案内のとおり、委員のような御指摘もあれば国民の中には非常にさまざまな考え方がございます。
 もしそれについて改正するということになれば、戸籍のあり方についても戸籍事務の立場として検討してまいらなければならないと思っておりますが、従来の戸籍の書き方をいきなり変えてしまっていいかどうかというようなことについてはこれまたいろいろ国民各層の考え方があろうと思います。したがって、どうしたらいいかということを決めるのは大変難しい、慎重な検討を要する問題ではないかと思っております。ただ、技術的には大臣が今申し上げましたようなことで、それはシステムの上で相当の工夫が必要であろうと思いますけれども、十分可能なことであろうというふうに思っております。
○翫正敏君 コンピューターに入れてしまったものをそう簡単に直せるというふうには余り私は考えられないんですけれども、なかなか難しいことなんじゃないかと。先ほど、字を新しく入れるのにも一字何千円ですか、つくって入力しなきゃならないというような説明もありましたことから考えましても、一たん入れてしまった情報を変えるということはおっしゃっているほど簡単なことではないのでないか、そのように思います。
 ところで、夫婦別姓ということにつきましても最近そういう主張をなさる人がふえてまいりまして、これも検討されていることなんですけれども、これがもし選択制になるというか、もし以上にかなり蓋然性が高いと思うんですけれども、選択してもよろしいということになった場合には、これはもちろん戸籍の記載が変わるんですけれども、どのように変えるおつもりなのか。それから、それも簡単にできることなのかどうか。それを御説明願えますか。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、法制審議会の民法部会では夫婦別姓制度を採用するかどうかについても審議されておりますが、もし夫婦別姓制度を採用するという方向になりましても、その別姓制度をどういうものとして採用するかというのはいろんなバラエティーがございます。
 戸籍事務で戸籍の編製をどうするかということにつきましては、その別姓制度を採用する場合においてもその制度のあり方、例えば別姓制度を採用した場合に子供の姓をどうするか、どちらか片方の姓にするのか、それともそれぞれの姓の選択が認められるのかというような問題がございまして、そういったことによって戸籍の編製方法に違いが生じてまいります。したがいまして、戸籍の立場といたしましては、法制審議会の方向を見ながら、それに対応した戸籍のあり方というものを考えていかなきゃならぬというふうに思っております。
 コンピューターの対応の問題でございますが、これも戸籍の編製方法が変わればシステムに変更を加えるということで対応することができるというふうに考えております。
 なお、付言いたしますと、法を通していただいても全国一斉にコンピューター化するわけでもない、順次市区町村において展開されていくものであるということもあわせて申し上げておきたいと思っております。
○翫正敏君 夫婦別姓が選択制になるとしますと、別姓を選択した場合、本籍の筆頭者名がどちらかの姓になって、それで夫というところが夫の姓になって、妻というところが妻の姓になって、子供のところが選択してどちらかの姓になると、このように考えるのが常識的なことだと思います。そういうふうになるとすると、コンピューターで対応するのにも大変簡単にできるようにおっしゃったんですけれども、やっぱりこれもなかなか大変なことなんじゃないかというふうに私は感ずるんです、一たんこういう現在の戸籍をコンピューターに入力してしまっているわけですから。そうすればいわゆる民法九百条をどうするかということ、それに絡めて、男、女と書けば十分でないかというようなことになればそう変えなきゃならないということ、それから夫婦別姓ということが選択制になればそれも変えていかなきゃならないというようなことなどを考えてみると、今ここで多額のお金をかけてコンピューター化を急がなきゃならない必然性がもう一つ私には納得できないところがあるんです。
 非常に急がなければならない点をお示し願いながら、先ほど私が言いました夫婦別姓が選択制になったときにもやっぱりかなりの手間がその場合かかるのではないかということについての見解、その二つをお述べ願いたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 確かにそう簡単なわけではない、しかし十分に対応できるということでございます。本当に簡単にできるというふうに申し上げているつもりはございません。
 なぜ急ぐかということでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、市区町村のいろんな事務が既にコンピューター化している、既にコンピューター本体が入っているわけでございますのでその本体を使えば戸籍事務をコンピューター処理することができる、それによって非常に行政サービスの充実、事務の近代化、効率化が図れるということでございます。
 それに尽きるわけでございますけれども、市区町村といたしましては、現在法制審議会でこういう事項が検討課題になっているということは戸籍の担当の方は十分承知していただているわけでございまして、そういう状況をも見ながら市区町村の方では、それならその結論が出るまで待つかという御判断をされるところもございましょうし、いやそれはもう既にやっておいて、もしそういうことで改正がされれば後からシステム対応しようかというふうに考えられるところもあろうと思います。現に、将来そういう手当てをしなければならないかもしれないということを踏まえて、すぐにでも着手したいという御意向を持っておられるところが幾つかあるわけでございます。
○翫正敏君 先ほど国連総会での決議のことを申し上げましたけれども、その際に日本政府が各国の伝統というようなものを重視してやるべきであるという意見を出した、それは外務省の責任で出したという説明だったわけですけれども、もちろん法務省と意見を調整してという理解でよろしいですか。
○政府委員(濱崎恭生君) そういうことでございます。
○翫正敏君 そうしますと、法務省の考えとして日本の伝統を重んじてやる、こういう考え方のこの伝統というのは内容としてはどういうことになるんでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 私どもといたしましては、現在の嫡出子、非嫡出子についての相続分の取り扱い、あるいは戸籍の記載、これが先ほど来議論されております国連人権B規約に反するとか、あるいは我が国の憲法の規定に反するとか、そういうものではないというふうに考えているところです。
 ただ、憲法違反とか条約違反とかというレベルではなくして、これからの立法政策の問題としてどう考えるかということについては、昨今のようないろんな国際的な御意見、あるいは国内でのいろんな御意見、それから先ほどお話がありました高等裁判所で二つの裁判例が出ているという状況、そういった状況を踏まえて立法政策としては別途考えていかなきゃならぬ問題ではないかということで法制審議会で御検討をいただいている、こういうことであります。
○翫正敏君 戸籍制度、家制度というふうに言った方がいいかもしれませんが、そういうことは非常に日本独特な伝統であるということがあって、これについて個人情報のコンピューター化についてはこういうふうにやりなさいという国連総会の決議があっても、やっぱり日本としてはそういう伝統を重んじてやっていかなきゃならない、こういう考えで、それは決議違反というほどのことではないし、もちろん日本国憲法にも違反するものではないというような考えのもとに今回のコンピューター化がなされようとしておるわけであります。
 今おっしゃいましたように、立法政策上はそういう国連の決議であるというものは考慮されるべきものだ、こういうことは国連中心主義ということが日本の政策の中心となっているわけでありますから、やはり国連で決まってそれが各国へ伝達されてきておる決議というものについてはこれは重いものと受けとめて、それに沿って国内の立法政策をその方向にできる限り沿うように直していくということは、これは大事な面だと思うんですけれども、そういうふうにお考えになりますでしょうか、いかがでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 先ほど外務省の方から説明がございましたように、法的拘束力を持つものではないということでございますので、これに従わないからといって国連中心主義に反するということでは必ずしもないのではないかと思っておりますが、私どもとしてはいろんな国際的、国内的御意見のうちの重要な一つとして受けとめて対応をしなければならぬというふうに思っております。
○翫正敏君 いや、法的拘束力がないと外務省が言ったのは本当かどうかよくわからないわけですけれども、要するに国連総会で少なくとも決議されたということは事実だし、その前段に日本が我が国の伝統に基づいて我が国は我が国流にやりたいんだという意見を出したけれども、そういうふうには決議の中には書かれなかったということも事実なんですよね。
 そういうことから考えると、その国連決議の法的拘束力云々というようなことについては安保理の制裁決議のような、従わなかったら国連を脱退しなければならないかもしれないというような、そういう重要な拘束力はないのだろうとは思いますが、やはりガイドラインとして決められたものに沿って国内措置をしていくという方向性、こういうものは大事だと思うんですね。大臣、それはいかがですか。やっぱりそういうふうにしていくべきが我が国の立法政策上の方向ではないでしょうか。法的拘束力がないということで頑張るべきではないと思うんですが。
○国務大臣(中井洽君) 韓国の国会議員と随分長いおつき合いをいたしておりまして、お話のありましたこの夫婦別姓の論議が日本で出ている、こういうふうに紹介しましたら、ようやく日本もアメリカナイズから中国、韓国の伝統に戻るのかと。これは何のことかわからずにびっくりいたしましたら、日本が中国や韓国と一緒に別姓でずっと来た、戦後アメリカに占領されたときにこういう一つの姓にしたのだと思っておったんだそうでありまして、日本の独自の歴史とか伝統、よりよいものが理解されるというのは難しいな、こういうことを実感いたしました。
 国連の精神、そういったものを含めて、私どもはこれからも日本が先頭に立って世界じゅうに広まるよう努力していかなきゃならない、このことはもう間違いのないことであろうかと。しかし、個々の法律につきまして、やはり国内には国内の伝統、文化、こういったものもある、それらとの兼ね合いをどういうふうにやっていくか。しかし、いつまでも日本独自だ独自だと突っ張っているものでもないだろう、これが率直な先生の御意見を聞かせていただいての私の思いでございます。
○翫正敏君 終わります。
○紀平悌子君 朝から皆様、お答えになる方もまた御質問になる方も大変お疲れの時刻でございます。三時といえばだれでも眠くなる赤ちゃんの昼寝の時間でございますが、今コーヒーをいただきましたので元気を出しまして質問をしたいというふうに思います。
 私、いつもこういった審議に参加させていただきますときに国民との距離というものを感じながら審議に加わっております。実は、今あなたは法務委員会というところで何をやっているのということを相当な知識層の女性の方に昨日地方へ行きまして聞かれました。山梨県でございます。戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案というのを実はあしたやるんだ、こう申しましたら、それは一体何だということでございました。
 長年、御専門の方々、そして法務省、各省にわたって御検討の結果、参議院先議ということで出された本改正案ではございますが、国民との距離は今相当あるということを冒頭にまず申し上げておきたいというふうに思います。
 戸籍法の改正というと一体どうなっちゃうのという程度のことしかわかっていらっしゃらないという方が相当多いんです。勉強会にでも来ようと思う女性の方がそうなんですね。ましてや若い方、その他は関心の非常に薄いところ。
 しかし、先ほどから下稲葉先生初め糸久先生、そして翫先生とお話を伺うにつれ、この問題は非常に問題が深いなというふうに感じて、多くの問題はもう御質問が尽きたようにも思いますので、簡単なことでございますが、この法律を改正したときの法益というか何がプラスなのかということ、それはもちろん国民にとって、住民にとって何がプラスなのかという点について実際面のことを少し伺いたいと思っております。
 パイロット自治体を豊島区におつくりになりましたそうでございますね。パイロット自治体の一種の実験的なことを外側でなくて内側でやったということでございますので、私自身もいろいろ調べてみましたが、法務省の方ではこのコンピューター化によって生じたトラブル、また旧来の手書きのシステム化との比較での長所短所、これを率直に伺いたいんです。あればある、ないならない、全然ないならない。お願いいたします。
○政府委員(濱崎恭生君) 豊島区におけるパイロット実験というのは、既に御案内かと思いますが、要するに実験データによる実験ということでございまして、直接国民を相手にしてシステムを動かしたわけではございません。
 この改正による国民あるいは市民に対するメリット、デメリットということでございますが、メリットといたしましては、まず直接的には旧来の謄抄本、これが新しくは証明書というものに変わるわけですが、それが迅速に出てくるということが挙げられると思います。現在の制度ですと、まず申請に基づいて戸籍簿を検索して簿冊を出してきてコピーをしてということでございますが、コンピューター化されますと端末に入力することによって瞬時に出てくるということでございますので非常に処理は早くなるということが挙げられます。
 それからもう一つは、これまで手書きの場合には往々にして書き誤りでございますとか、あるいは市区町村の職員の法律知識と申しますか、いろんな手続に関する知識が十分でなくて誤った届け出を受けてしまうというようなことがごくまれにあったわけでございますが、コンピューター化によって事務の正確性というものが担保される、そういうことで正確な戸籍事務処理がされて正確な情報が登録され公証されるというメリットがあると思うんです。
 それから、間接的にはこれは事務の近代化、効率化ということに資するわけでございますが、そういったことによって現在の人員では十分に対応できなかったようなサービスに余力を注ぐことができるという利点があろうと思います。例えば、現在国際化が進んでおって渉外的な身分関係の届け出についてはいろんな調査をしなければならないということがございますけれども、それが十分にできなかったところを十分にできるようになるというようなメリット、そういったメリットがあろうと思います。
 デメリットはまず私どもないのではないかと。先ほど来議論になっております字の取り扱いにつきましては、先ほど来御説明しておるように、
 ほぼ完全に御不満を解消できるのではないかと思っておりますので、特にデメリットということはないのではないかというふうに考えております。
○紀平悌子君 アメリカによく生じていることですけれども、これは銀行関係ですね、金融関係というか、停電があったりした場合、その場合はシステムダウンしますね。これは完璧に仕事がとまってしまうわけなんですが、これは今始めるところなんだから今からそんなことまでとおっしゃるかもしれませんけれども、デメリットにそういう要素なんかを全然お考えにならないんでしょうか。例えば、郵便局や銀行のオンラインシステムがとまって、カードでお金を引き出す人が非常に多いんですけれども、利用者が全く機械が操作できないという状況になる、これは非常に困ったことだと時々騒ぎがございます。
 それから、戸籍、住民票といえばお金にも増して商業取引をする際には必要書類となっている場合があります。その場合、コンピューターがとまったらどういう措置をとるかというところまでお考えになったことがございますか、ございませんか。簡単で結構です。
○政府委員(濱崎恭生君) 委員御指摘のとおり、システムダウンの原因、いろいろ考えられようかと思います。そういうことについては、システムを設定する段階、あるいはこれからいろいろセキュリティー対策等を講じていく中で十分に心して研究してきたつもりですし、これからも各市区町村に適切な対応をお願いしなければならぬというふうに思っております。それによって住民の社会生活に重大な影響を及ぼすことがあっては大変なことになるわけでございます。
 実は、今商業取引の関係でというふうにお話がございましたが、商業取引の関係でむしろ必要なのは戸籍よりも住民票の場合が多かろうと思うわけですが、住民票の事務につきましてはもう既に全国八八%の市区町村でコンピューター化しておる。それで、その稼働状況につきまして自治省等にお伺いしてみましたところ、まあ一時的なシステムダウンというようなことはあろうと思いますけれども、それによって国民の社会生活に極めて重大な影響を及ぼして大騒ぎになったというような事例はこれまでないということでございますので、戸籍事務についても適切に対応していけるのではないか、そのための努力をさらに一層傾けたいというふうに思っているところでございます。
○紀平悌子君 このことも御心配の中にお入れになって鋭意その対策をお考えになっていくということでございますので、一応承っておきます。
 また、戸籍、住民票などは、経済的な利用だけでなくて、それ自体が、先ほどから各委員がお述べになっていらっしゃるように、個人の人格権と密接に融合した部分が多いわけで非常に重要な書類だというふうに思われます。プライバシー保護の見地からその管理の仕方というのが非常に難しい部分がある。なぜかというと、近年コンピューターに対するウイルスの侵入とか、外部の電話回線からデータを改ざんしたり盗窃するなどのコンピューター化することによって新たな人権に対する危険の可能性が出てきているわけです。これがますますコンピューター化が進むにつれてこういうふうなこともあり得るわけですけれども、この問題につきましてはどんなふうにクリアされるおつもりでございましょうか。簡単にどうぞお願いいたします。
○政府委員(濱崎恭生君) データ保護、プライバシー保護、これは大変大切なことであるという認識を持っておりまして、実はシステムを開発するについてもこの点に非常に注意を払って研究をし、そしてこれならばということで対応するシステムの基準ができ上がりましたので今回法案を提出させていただいているわけです。
 ウイルスの問題ということになりますと、これはウイルス対策ということでまたコンピューターの方も進展しているわけでございますけれども、この戸籍事務については特に外部からデータの中身を変更を加えるというようなことが絶対にできないように必ず責任者がパスワードを持って、そのパスワードで操作をしなければ中の記録の変更をすることができないようにということで厳重なチェックができるシステムにしております。
 それから、情報が外部に漏れるというような点につきましても、担当者がパスワードを入れなければ情報が出てこないということで、現在の簿冊におきましてこれはもちろん担当者でなければ書庫に入れないという取り扱いをしておりますが、それと全く同様の対応をコンピューターの中ですることにしておりまして、コンピューター化することによってそういうデータが漏れる、あるいは外部から書きかえがされるというようなことはまずないシステムにするという配慮をしている次第でございます。
○紀平悌子君 法務大臣にお伺いしたいんですが、戸籍がコンピューター入出力になることで生ずるかもしれない差別問題を含んだプライバシーの危険というもの、私はそう思うものですから、このことについてはどういうふうに御意見をお持ちでございますか。
○国務大臣(中井洽君) コンピューター化だけじゃなしに、プライバシー保護というのは一番大事な心得である、このように考えております。
 コンピューター化に伴って、十分プライバシーの保護に配慮しているつもりではありますけれども、いろんな角度から常に気をつけて、いやしくもプライバシーが侵害される、そういったことのないようにしながらこの事務のコンピューター化を進めさせていただきたい、このように考えております。
○紀平悌子君 法務省にお伺いいたしますけれども、人間の氏名、名前ですけれども、法律上、戸籍上はどういう意味、役割を持っているとお思いになりますか。ごく簡単にポイントだけお願いします。
○政府委員(濱崎恭生君) 戸籍上あるいは戸籍法上の意義という御質問でございますのでその立場からお答え申し上げますと、氏名というのは国民各個人がだれであるかということを特定表示するための呼称であるということでございます。そういうことで、戸籍の事務の立場からは個人を他から識別する、そういう目的のために戸籍上氏名を記載するということにしている次第でございます。
○紀平悌子君 先ほど糸久議員の熊本の人吉のキミがオキミになってしまったというお話がございました。多分私も知っている方じゃないかと思いますが、オキミさんということで大変愛されている、立場を持った方でございます。そのオキミさんの母親であれば相当パワーのある女性のように私は思うんです、オキミさんは物すごくパワーがありますから。ですから、その母親がいわゆるお役所でキミがオキミになったということを、即それは違うということが言えなかったんだろうかとか、あるいは、地方の小さい村落へ行きますれば行きますほど役所というもの、いわゆるお上意識が非常に強いわけですね。
 そうすると、例えば先ほどのいろいろ誤字・俗字について、自分の人格なり自分の過去のキャリアとか、それからいろいろな思い入れ、親がつけてくれた名前、おじいちゃん、おばあちゃんがつけてくれた名前というその愛着、そういうふうな意味を持ったのがやっぱり名前というもの、姓名というものだと思います。たとえ姓の方が変わっても古い姓名についても愛着を持つのが普通の人間の感覚ではないかというふうに思います。私はこういうふうに今ちょっと感じているんです。
 いろんな面からの御質問はもう言い尽くしたなというふうに思われますので、多少いわゆるエモーショナルな面から申し上げてみますと、私の名前は祖母がつけました、悌子という名前。悌子という名前はよくお間違いになるのはきへんの梯、はしごになってしまうんですね。それではなくて、祖母がつけた名前は慎み深しというりっしんべんなんです。りっしんべんに弟という、そういう名前をつけたんだと。今はもうとてもこの世にはおりませんけれども、そういった祖母の思い入れが悌子という名前にはついているわけです。ですから、私は悌子という名前は、姓は結婚して変わりましたけれども、何か得になるようなことで変えた方がいいとか、難しいからこの字は平仮名にした方がいいとかということは絶対に考えません。
 私の義妹がおります。義妹が結婚をしましたときに貴美生という名前でした。貧乏ではありましたけれども、とうとく美しく生まれてほしかった、そんな親の願い、貴美生です。ところが、結婚をしました後に、両親が少しがたいものですから貴美子と名乗れと、こういうふうに申したわけです。そして、彼女は本当は貴美生なのに嫌々貴美子と手紙には書いておりました。私は聞いたことがあるんですが、とても悲しかったというふうに言っております。
 それから、宮沢賢治のよだかの話を御存じでしょうか。よだかという鳥、これは想像上の鳥かもしれませんけれども、よだかとついてありますのでタカの種類のように思われるのを嫌がったタカたちが、おまえはよだかという名前をやめて市蔵と名乗れとある日言うわけですね。そうすると、市蔵というふうに名前を変えるのがどうしてもよだかは嫌なんです。それで死んでやろうと思って自殺的な行為をしましたところ、天に上って星になったという宮沢賢治の物語でございます。私は、「よだかの星」という、それはやっぱりよだかがよだかという名前でいたかったということだと思うんです。
 ですから、誤字とかそれから俗字について、やはりそういった村落、山の中まで行きますと、今度こういうふうに法律が変わったんだということになって、要するに正しい字、辞典に載っている正しい字にしなさいというふうに言われて、嫌だというふうにはっきり言える人が本当にいるのかなという感じがするんです。
 しかし、自分はやっぱり書くときには自分の名前を書くと思うんです。ですから私は、名前というものは、法律的にどういうものを持っているかということで、やっぱりその人を示す、個人がだれであるかということなんですね。ですから、このことがこの法律改正、コンピューター化というか、ほかの方法もとっていただけるということの確証が確かにいただけるかどうかですね。
 もう一つは、知らせなければいけません。前の名前でいたければ、おばさん、おじさん、おばあちゃん、おじいちゃん、その名前でいいんですよというくらいの指導をしないと、やっぱりお上のおっしゃるとおりに名前を全部右へ倣えする、こういうふうなお上の言うことならということが日本を誤らせると。私は日本人の持つ一つの特性だというふうに思っております。
 理屈をいっぱい並べて申しわけございません。ちょうど時間となりました。
 大臣、いいですか。どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(中井洽君) お話、確かに承りました。
 実は、私は自分の字を選挙のときに無理やり平仮名にされます。どうしても漢字でやってくれと言うんですが、拾という字にされたり治にされたりして、それが開票のときにもめるのが嫌だからというので、大変情けない思いをしながらポスターをつくるわけでございます。
 そういういろんな形で姓名で違いがあったり誤字があったり、しかしそれに独特の愛着を感じてお使いになっていらっしゃる方がおられることは先ほどから局長が答弁したとおりでございます。
 このコンピューター化に伴いまして画一的にあるいはいわゆるお役所仕事的にやるのではなく、十分御当人の御理解を得て、それじゃこの際直してくれという方にはきちっと直させていただいて、いわゆる正字でコンピューター化させていただく。そして、誤っておろうと何であろうと親のっけた名前、愛着のある名前、どうしてもこのままでやりたいという方についてはあえてコンピューターに入れずにそのまま使わせていただく。そういう形を含めて対応をさせていただきます。
 御指摘の点、ありがとうございました。
○紀平悌子君 ありがとうございました。
○安恒良一君 私の質問、十項目ぐらいにしておりましたけれども、下稲葉先生を初め皆さんが指摘されたことをダブってやっても意味がありませんから、やや落ち穂拾い的になりますが、少し確認をしておきたいことがございます。
 私はこの法案は条件つき賛成なんです。それはなぜかというと、多くの国語学者の御意見を聞きましても、例えば静岡の静という字はほとんどが下が月になっている。それを今度は下が円になるんですね、正字ということで。月というのは古くからずっとあったものですから、これが使えないというのは非常に不合理ではないか、なぜ国が今の時期に康煕字典にこだわって字体を統一する必要があるのか、こういうことを多くの先生が言われています。そしてさらに、国が字体そのものまで統一をしてしまうというのは非常に危険なことだ、どうも役人的発想だ、こういう学者先生の御指摘もあるわけです。私はこの御指摘は正しいと思うんです。
 そこで、少し確認をしておきたいんですが、私の手元に、いろいろ下稲葉先生にも答えられたようなことでこういうことを言ってきたんです。「最初はこのやり方でいって約一千万人の人が字を改定されることになっておりました。しかし、漢和辞典に登録されている字、それが俗字であってもコンピューターに対応する場合はその大半について書きかえをしないことになります。」、こう書いてあります。最後に、じゃどのぐらいの人がということにつきまして、「少なくとも何十万というレベルの人がやっぱり書きかえをすることになるでしょう。」と。これは何も僕が書いた文書じゃなくて、法務省に持ってこいと言ったら僕のところにこの文書を持ってきたわけですから、私は念のためにとってあるわけです。
 ですからその意味からいって、本当に今下稲葉先生以下皆さんの確認どおり、おれは嫌だという人は全部これは書きかえないから何十万の人だけに、被害ということはないんですが、訂正がとどまると、最終的には。そういうふうにこれは理解していいのかどうか、この文書を見て。それはなぜかと申しますと、「コンピューターに対応をする場合には、その大半について書きかえをしないことになる。」と、「その大半」と一方では書いてあるんです。ここのところは私は確認をしておかなきゃなりません。
 そこで、ちょっと念のため聞きますが、私の方で調べると、正字というのは大体四万語ぐらいある。俗字というのは何万語あるんだろうか。それから、その俗字の中で姓名に使われる字は何万字あるか。それがいろいろ御心配かけましたが最後はこういうふうに減りますと、こういうことなのか。そこのところだけちょっと簡単に答えてください。
○政府委員(濱崎恭生君) 最初の点でありますけれども、これまで法務省として考えていたような方法でやれば一千万人を超える方々に影響を及ぼすということでありますが、今回先ほど来説明しておりますような対応をすることによって、その一千万人というのから比べれば大半あるいは大部分の方についてはコンピューターで対応するということになるわけです。
 ただ、先ほど申しましたけれども、一つ一つの字にいろんな書き方がされていて、例えば一つの字についても書き方が何種類も何十種類もあるいは何字にとどまらないということも考えられるわけでございまして、そういうことを考えますと、やはりそういう辞典にも出ていないようないろんな独特の書き方というものを使っておられる数というのはある程度の人数に、全国一億二、三千万の方を対象に考えればある程度の数字にならざるを得ない。
 そういうことからいろいろ御指摘をいただきまして、どうしてもこの字はブックのまま残しておいてもらいたいという方については現在の戸籍のまま保存するという対応をさせていただくことによってそういう幾らか残る方についても最終的な満足をいただける方法というものを考えて、先ほど来御説明させていただいているような対応をするということでございます。
 字の数の関係につきましては、俗字というのが一体幾らあるかということは、これは漢和辞典全部当たるということでございますのでまだ確たることは申し上げられませんが、その全部が人の名前に使われているわけではないわけでございまして、大体おおよその推測でございますが、二千前後ということなのではないだろうかと考えております。
○安恒良一君 そこで、もう一遍念を押しておきますが、局長通達を出すときよほど注意しなければならないのは、同僚議員からも繰り返し繰り返し言われたように、局長通達を受け取った市町村側の対応も非常に重要なんです。どうしても市町村側も局長通達を受け取ればそのまま。そうすると、何となく住民には押しつけない、押しつけないとこう言いながら、こういうところで我々から追及されると、嫌という人はそのまま手書きで渡しますから被害が少なくなりますと。だから、当初一千万と言っておったのが、もう今私たちが問いただすと、これでは何十万というところになるでしようと、こういう言い方をあなたたちはする。しかし、一たん公文書が出てしまいますと、どうしても役人の仕事というのはそれにこだわってやらせようとする。これは余りいい風習じゃありませんから、ここのところは念を押しておきます。私たちは局長通達も後で見せてもらいます。
 それと同時に、第一線で市町村がやるときに決して本人に強制しない、そこのところの指導だけは大臣、ここで簡単ですから約束してください。
○国務大臣(中井洽君) 御指摘の点、確かに承りました。十分配慮して地方法務局あるいは現場で戸籍を担当されている方々にこういう御質疑の肝心な点が伝わるようにさせていただきたい、このように考えております。
 それから、先生、ちょっと私聞き間違えたのかもしれませんが、先ほどお話しのありました静岡の静は、今事務局に聞きましたら、月で載せるのでありまして、円にしてこっち方のをどうするかというのはまだ少し判断、普通使われているとおりの月でいくわけでございまして、円に直るわけではございませんので念のために申し上げておきます。
○安恒良一君 正字は円だとこう言われていますから、私は円に直すのかと聞いたんです。そこはそれでいい。
 それから、法務省がこの説明の中で、日常生活で正字使用を強制するわけじゃないからトラブルは余り起こらないと説明されましたが、次の二点はどうですか。
 例えば印鑑証明を出しますね。それの印影の文字と戸籍表記が異なる場合がありますね。私はそう簡単にいやトラブルは起こらないと言えるかどうか、これを教えてください。
 二つ目は、自動車の運転免許証を初め国家試験が伴うものについて、その結果身分証明を出すんですね、それ等が異なるとまた私はトラブルが起こりはしないかと。国家試験に係る身分証明というのは、例えば自動車の運転免許証だとペーパードライバーを含めまして六千万人ぐらい、一人一人に出ているんですが、その中で今まで使った字と書きかえるといったらいろんな問題がある。
 ですから、この二点について法務省はどう対応するのか、これも簡単に答えてください。
○政府委員(濱崎恭生君) まず、印鑑登録の件でございますけれども、今回戸籍をコンピューター化することによって字の書き方が変わるという方々についても、これはあくまでも戸籍の事務の上でそういうこととするということでございまして、それぞれの方が社会生活の中でどういうふうに使われるかということに介入するという趣旨ではないわけでございます。
 それから印鑑証明の印鑑の問題につきましては、これは戸籍の書き方が変わったからそれに従って実印の印影も変えなければならないということはございません。これは既に自治省の方で地方公共団体の方から照会があったものに対して回答をした先例がございまして、これまでも御本人の御意向によって字の書き方を変える、字を変えるというわけではございませんで字の書き方を変えるという場合があるわけでございますが、そういう場合にも印鑑登録上の印鑑、印影を変える必要はないという通達を出しているところでございます。そういう影響はないというふうに考えております。
○安恒良一君 そうすると、確認しておきますが、今度は戸籍はある程度正字によって直ったと。ところが、自動車運転免許証の名前はいわゆる正字じゃない俗字の場合がありますね、今までずっと。それはそのままでいいわけですね。
○政府委員(濱崎恭生君) 免許証の書きかえの際に御本人から住民票を出して変えてくれということを申し出れば書きかわると思いますが、特にそういう申し出をしなければそのままで対応していただけるというふうに思っています。
○安恒良一君 じゃ本人から申し出がなかった、そして事故かなんか起こした、それで身分証明書に書いてある字と戸籍と照合したら字が違うておったという場合に、一切トラブルはありませんね。これも念を押しておきます。
○政府委員(濱崎恭生君) 先ほど来申し上げておりますように、別の字にするわけではございません。書き方が少し変わっているということでございます。したがって、同一性を認識するについては支障がないというふうに考えております。
 それから、今回こういうコンピューター化に伴いまして、そういう関係で窓口でトラブルが起こらないようにということについては、私ども関係省庁によくお願いしてそういうことが起こらないような配慮をいたしたいと思っております。
○安恒良一君 私は、その点はよくないということなら警察行政と連絡をとっておかないと、案外警察というのはそういうところかたいですから、あなたはないと言っておっても後でトラブルが起こるということは十分心配されますから。
 大臣、そこのところは警察行政ときちっと意思統一しておいてください。
○国務大臣(中井洽君) 確かに承りました。
 今御質疑を聞いておりまして、私思いついたというとおかしいんですが、たびたび自分の名前で申しわけないんですが、免許証を今持っておりませんが私の免許証は中井恰になっております。コンピューターの項目では字も違う字で入っております。だから、コンピューター化をしたときにいわゆる法務省が今回の法案提出で一番最初に考えておったような処理でおやりになったのであろうか。そこのところの食い違いがありますから、法的に問題が起こらないように、手続的に問題が起こらないように十分関係当局と相談をいたします。
○安恒良一君 それから、これも国連憲章の関係なり差別なりで多くの同僚議員から聞かれましたので、ダブつたことを私は聞きたくない。ただ、どうもあなたたちの答弁は本当に国民側にあるのかどうかというのが一つ。
 例えば、この際新しくコンピューター化するのに、いわゆる嫡子、長男、長女、非嫡子、男、女というのはこれは今民法部会でも相続権の問題で議論していますから、その結論が出たらそれに対応しますとなぜ言うのかわからない。なぜかというと、既に国連でいろんな指摘されていることはダブって質問しませんが、ただ非嫡子と書いてあるために就職や結婚の際にやっぱり差別をされる場合があるんですよ。それをあえて、今回新しくコンピューターに入れるときに、もう国連からも指摘されているし、それから国内的にも裁判も起こっているし、だからそれは民法上の相続権の問題と戸籍に書くことは僕は別だと思うんです。民法上の相続権は全部認めるか半分認めるかということの争いが今あっているんです。それはそれでやってもらって結論出せばいい。もうそれも二つの結論が出ています。それなのになぜ、さっきからずっと同僚議員のあれを聞いておりますと、それから部落差別の問題もいろいろ聞かれたけれども、やはり問題は実際あるわけですから、それに配慮する書き方してもいいじゃないでしょうか。
 それから、国際結婚をした後の子供が日本国籍を選んだ場合にも、やっぱり形跡が残るんですよ。そんなのを今度新しくコンピューター化するときに私は大臣の英断として当然、決して我々は間違ったことを言っているんじゃないです、また現実に結婚をするときとか就職するときにいわゆる嫡子、非嫡子、出生によって差別をされている実態があるんですから、それをあえてこれだけ議員が言っているのにあなたたちは、いやそれは関係部会で審議の結論が出るまでは、出たら直します、直すときは大したことはないとは言わぬけれども、何とか直しますと。そこがさっきから聞いておってどうしても……。
 その点答えてください。
○政府委員(濱崎恭生君) 嫡出子、非嫡出子のほかいろんな戸籍上の記載について差別の関連で御指摘があったわけでございますが、戸籍というのは国民一人一人についてその身分関係をきちっと登録して、必要がある場合には公の証明をするという目的のためにつくられている唯一の記録でございますので、そこはやはり身分関係をきちっと把握できるような記載がされておらなければならないということでございます。
 そういう観点からいろんな記載があるわけでございますが、御指摘のとおり、そういう記載がいわゆる差別の対象として使われておるという現実も御指摘のとおりかと思います。
 そういう観点から、先ほど来もありましたように、戸籍の公開はだれでも自由にということではなくて、不当な目的での閲覧、不当な目的での謄抄本の請求などをチェックするという対応をしているわけでございます。
 そういうことでございますので、現在の戸籍の記載というのは、これは長い伝統とそういう必要性に基づいてできておりますので、さらにこれからのいろんな研究対象にしていただきたいということでございます。
○安恒良一君 簡単に答えてください。長い答弁は頭の悪い証拠だ。
 それで、最後の質問を聞きますが、名前の書き方を勝手に変えられたということで九二年の五月と十二月に裁判が起こりまして、一定限度可という決定をした裁判所、それから家庭裁判所は一方的はだめと、こういうふうに出ていまして、二つの裁判がある。
 私は、心配しているのは、こういうものが出ますとまた運用いかんによると裁判を起こす人がたくさん出てきはしないか。その場合に、例えば今言ったように、一方的にあれはだめだという結論が出ますと、法務省は今度はそれを上訴することはできないんですよ、これは。上訴できません。そういう問題が、いろいろなのがあれやこれや出てきたときにまた混乱が起きると思いますが、その心配はありませんか。
○政府委員(濱崎恭生君) これまでの取り扱いのもとでそういう裁判事例があったということは私ども承知しておりますが、今回はコンピューター対応できない字の範囲は大幅に減少しますし、しかもどうしても残してもらいたいという人については先ほど来申し上げておりましたような対応をすることになりますので、そういう不服申し立て等が起きることはまずないということになるのではないだろうかというふうに考えております。
○安恒良一君 私は、大臣、そこのところは留意しておってもらいたいと思いますのは、やはり往々にして、皆さん慎重にやるし通達もきちっと出すと言いますが、どうしても末端にいきますとやや官僚的。そうなると、住民がやっぱり、これ大臣が予算委員会でも答弁されているように、姓名に対する認識は全人格的なものだというふうに予算委員会の議論で大臣が答弁されています。そういうものですから、私は非常に国民は愛着があると思いますから、場合によるとやっぱり裁判がなお出てくる、今回は出てこないと言っているけれども、そういう場合の取り扱いというのは私は慎重にやってもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(中井洽君) 先ほどもお答え申し上げましたように、十分地方法務局あるいは戸籍担当の皆さん方と連絡をとり合い、このコンピューター化で裁判事件が起こることのないように対応してまいりたい、このように考えております。
○安恒良一君 終わります。
○委員長(猪熊重二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○翫正敏君 翫正敏です。
 私は、戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。
 本法案は戸籍のコンピューター化を主な内容としておりますので、現行戸籍の持つ差別性の固定化につながる点を反対理由の第一として申し上げます。
 一九九〇年の国連総会決議で採択された「コンピューター化された個人情報ファイルの規制のためのガイドライン」では、国内立法に定められるべき最低保証に関する原則の五として、非差別の原則が述べられています。この中で不法なあるいは恣意的な差別を生じさせそうな情報は蓄積されてはならないとされていますが、本法案の成立によって戸籍がコンピューター化されると幾つかの差別を生じさせそうな情報が蓄積されることになります。
 戸籍の記載事項のうち、本籍地の記載は、部落差別につながる同和地区出身者であるか否かを調査する行為を起こしやすい性格を持っています。本籍地は出生地を推測させ得るので、出生地があの町なら部落の者だという差別意識を持ちやすくなります。
 私は、戸籍をコンピューター化するのであれば、この機会に本籍地の町名、番地は蓄積せず、戸籍のある市区町村名のみの記載に改めるべきだと考えます。
 次に、長男、長女などの記載は婚姻した男女間に生まれた子供であることを示しており、一方、男、女の記載は婚外子であることを示していますが、これはコンピューターによって蓄積されてはならない情報であります。
 また、一九九三年の国連人権委員会の日本に関するコメント第十一項及び十七項は、婚外子の戸籍記載と相続権の差別に対し厳しくその廃止を迫っています。国連の決議したガイドラインに著しく違反した形で今回の戸籍コンピューター化が行われることに対し私は賛成することができません。
 第二の反対理由は、夫婦別姓の是非と戸籍コンピューター化の関係が不明確な点であります。現在法制審議会の小委員会で夫婦別姓のあり方が検討されていますが、夫婦の選択によって同姓、別姓が決定され、子供の姓は夫婦いずれの姓でもよいということになる可能性は高いものと考えられます。その場合、戸籍上の記載がどうなるのか、またコンピューター化された後ではプログラムの大幅な変更が必要ですが、この財源は市区町村が負担することとなり、結局自治体に迷惑をかけることになります。コンピューター化は戸籍のあり方が法制審議会ではっきりしてからにすべきであり、決して急ぐ必要はないと思います。
 第三の反対理由は、たとえ数十万の少数の人ではあっても、姓名が直させられたり、一方でコンピューターに先祖代々の姓名が入力されない人が出るという問題であります。法務省は当初の方針を大幅変更し、可能な限り姓名は従来のままコンピューターに入れることにしたと言いますが、しかしコンピューターに入れられない戸籍が残ることは行政の差別につながるもので認めることはできません。
 第四の反対理由として、私はコンピューター入力作業における外部委託の際に戸籍記載の内容が外に出る可能性が排除できない点を挙げておきます。プライバシーが漏れ出てしまってから後でたとえ罰則を科したとしても、出てしまったものはもとには戻りません。
 以上、四点にわたって反対の理由を申し上げました。
 何とぞ委員各位の御理解を賜りますようお願いして、私の反対討論といたします。
○委員長(猪熊重二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(猪熊重二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 下稲葉君から発言を求められておりますので、これを許します。下稲葉君。
○下稲葉耕吉君 私は、ただいま可決されました戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、新緑風会、公明党・国民会議の各会派並びに各派に属しない議員紀平悌子君及び安恒良一君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    戸籍法及び住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、電子情報処理組織(コンピュータシステム)を用いて戸籍事務を取り扱う制度の導入に当たり、次の諸点につき格段の努力をすべきである。
 一 氏名は個人の人格の象徴であり、人格権に係るものであることにかんがみ、戸籍事務のコンピュータ化に伴う氏名の文字の取扱いについては、事務の近代化、効率化等の観点だけではなく、すでに戸籍に記載されている文字に愛着を感ずる国民の感情をも十分に考慮し、国民の理解が得られるよう、十分の配慮をすること。
 二 戸籍事務のコンピュータ化に伴う諸経費、特にコンピュータ化への移行の経費についての市区町村の予算措置に関しては、戸籍事務が国の事務であることを踏まえ、国の責任として適切に対処すること。
 三 プライバシー保護及びデータ保護の観点から、磁気データ化された戸籍情報の保全及び保護については、万全の対策を講ずること。
 四 全国の市区町村間こおけるコンピュータデータの交換システムについては、国民の利便に資するため、戸籍事務のコンピュータ化の進展及び動向を踏まえ、調査・研究に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(猪熊重二君) ただいま下稲葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
    〔賛成者挙手〕
○委員長(猪熊重二君) 全会一致と認めます。よって、下稲葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中井法務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
○委員長(猪熊重二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(猪熊重二君) 次に、更生緊急保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) ただいま議題となりました更生緊急保護法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。更生保護会は、更生緊急保護法に基づき、犯罪者に対する更生保護事業を営むことを目的として、法務大臣の認可により設立された民間の公益法人でありまして、法務大臣の指導監督のもとに、刑務所から釈放された者や保護観察中の者などで住居や身寄りのない者に対し宿所を与え、生活指導を行い、就労を助けるなどの業務を行っており、犯罪前歴者の再犯の防止や社会復帰を助ける上で大きな役割を果たしております。最近では、更生保護会に保護された者の約八割が保護観察中の者で占められるようになり、また刑務所から仮出獄される者の約三割が更生保護会に帰住している状況にありまして、更生保護会は、仮釈放及び保護観察制度の運用上不可欠な施設となっており、我が国の刑事政策上ますます重要な機能を果たすべき存在となりました。
 ところで、更生保護会の施設の現状を見てみますと、社会福祉施設などは国民の生活水準の向上に伴って居住環境の改善が進んでいるのに比較しまして、更生保護会の保護施設の多くが建築後相当年数を経過して老朽化し、あるいは円滑な社会復帰を援護する場として十分な設備が整っていないなどの問題を抱えております。しかしながら、更生保護会は、自己資金の不足などによりその財政基盤が極めて脆弱であり、また現行の更生緊急保護法のもとでは、保護施設が経営認可の基準に適合しないほど劣悪な状態となり国がその改善を命令したときに限りその施設改善費用につき国が補助することができることとされておりますために、時代の変化に応じた居住環境の改善や被保護者に対する処遇機能の充実強化などのための施設整備を行うことが困難な状況にあります。
 このような実情にかんがみますと、この際、国が、更生保護会の施設整備に積極的に関与し、それに必要な財政的援助を行うことが更生保護会の運営上不可欠であると考えられます。
 本法律案におきましては、更生保護会に対する監督及び補助金交付に関する現行の規定を改め、国がその整備等について積極的に助言、指導または勧告を行うとともに、施設の改善を今すべき状況に至っている場合はもちろん、その状況に至っていない場合であっても、被保護者の改善更生を図る場にふさわしい施設として更生保護会を整備するために、補助金を交付できるようにするなど所要の改正を行うものであります。
 以上が更生緊急保護法の一部を改正する法律案の提案理由であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(猪熊重二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
○委員長(猪熊重二君) 次に、裁判官の介護休暇に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) 裁判官の介護休暇に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 政府においては、人事院の国会及び内閣に対する平成五年十二月十七日付の意見の申し出にかんがみ、社会の高齢化等に対応した施策として、一般職の国家公務員が、家族を介護しなければならなくなった場合、一定期間、介護に専念することを認める介護休暇制度を設ける等のため、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律案を提出し、国会の御審議を経て平成六年六月十五日に法律第三十三号として公布されているところでありますが、裁判官についてもこれと同様の趣旨で介護休暇制度を導入する必要があります。
 この法律案は、一般職の国家公務員の例に準じ、裁判官について介護休暇制度を導入するための法整備をしようとするものでありまして、その要点は次のとおりであります。
 第一は、裁判官の介護休暇については、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の適用を受ける職員の例に準じ、最高裁判所規則で定めることといたしております。
 第二は、裁判官は介護休暇中は報酬を受けないことといたしております。
 第三は、この法律の施行は一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の施行の日からとすることといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(猪熊重二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
○委員長(猪熊重二君) 次に、商法及び有限会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) 商法及び有限会社法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、会社制度をめぐる最近の社会経済情勢及び会社の業務の運営の実態にかんがみ、株式制度及び有限会社の出資制度の運営の一層の適正化及び円滑化を図るため、自己株式及び自己持ち分の取得規制を弊害の防止のための措置を講じた上で緩和することを目的として、商法及び有限会社法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は次のとおりであります。
 まず、商法につきましては、第一に、会社は、正当の理由があるときは、定時総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、発行済み株式の総数の百分の三を限度として使用人に譲渡するために自己株式を取得することができることとするとともに、取得した自己株式は六カ月内に使用人に譲渡しなければならないこととしております。
 第二に、会社は、定寺総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、株式を消却するために自己株式を取得することができることとしております。
 第三に、株式の譲渡につき取締役会の承認を要する会社は、株主から株式の譲渡承認及び買い受け人指定の請求があった場合において自己を買い受け人に指定して株式の売り渡し請求をするとき並びに株主の相続があった場合において相続人から株式を買い受けるときには、株主総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、発行済み株式の総数の五分の一を限度として自己株式を取得することができることとするとともに、取得した自己株式は相当の時期に処分しなければならないこととしております。
 次に、有限会社法につきましては、第一に、会社は、定時総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、持ち分を消却するために自己持ち分を取得することができることとしております。
 第二に、会社は、社員から持ち分の譲渡承認及び買い受け人指定の請求があった場合において自己を買い受け人に指定して持ち分の売り渡し請求をするとき並びに社員の相続があった場合において相続人から持ち分を買い受けるときには、社員総会の決議に基づき、配当可能利益の範囲内において、出資口数の総数の五分の一を限度として自己持ち分を取得することができることとするとともに、取得した自己持ち分は相当の時期に処分しなければならないこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(猪熊重二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
○委員長(猪熊重二君) 次に、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中井法務大臣。
○国務大臣(中井洽君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。この法律案は、最近における弁護士業務を取り巻く国際的環境の変化及び国際的法律事件の増大にかんがみ、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士に係る承認の基準についての相互主義を緩和するとともに、外国法事務弁護士が弁護士と共同の事業を営むことができることとする等外国法事務弁護士の活動に関する規制を合理化する等のため、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は次のとおりであります。
 まず第一は、現行法の裁量の余地のない相互主義を緩和するものとしていることであります。すなわち、我が国が外国と外国弁護士受け入れ制度に係る条約その他の国際約束を締結したときは、その誠実な履行を妨げることとならないよう、その相手国において我が国の弁護士となる資格を有する者に対し我が国の外国弁護士受け入れ制度による取り扱いと実質的に同等な取り扱いが行われていないときであっても、その外国の外国弁護士となる資格を有する者に対し外国法事務弁護士となる資格の承認をすることができることといたしております。
 第二は、外国法事務弁護士となる資格の承認の基準の一つである外国弁護士としての職務経験年数の要件を緩和するものとしていることであります。すなわち、五年以上の外国弁護士としての職務経験を有することを承認の基準とするとの現行法の原則は維持しつつ、国内において弁護士または外国法事務弁護士に雇用されていた期間については、一定の要件のもとに、通算して二年を限度として外国弁護士としての職務経験年数に算入することといたしております。
 第三は、外国法事務弁護士の請求により登録が取り消された後の手続を合理化するものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士がみずからの請求により登録の取り消しを受けた場合について、現行法の法務大臣による裁量的な承認の取り消しの制度を廃止し、その者が登録の取り消しを受けた後六カ月以内に再度登録の請求をしないときには外国法事務弁護士となる資格の承認が失効することといたしております。
 第四は、外国法事務弁護士の事務所の名称に係る規制を緩和するものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士の事務所の名称中には外国法事務弁護士の氏名を用いなければならないとする現行法の規制を撤廃するとともに、一定の要件のもとに、外国法事務弁護士の事務所の名称中に外国法事務弁護士が所属する事業体の名称を使用することができることといたしております。
 第五は、外国法事務弁護士が我が国の弁護士と共同の事業を営むことに係る現行法の規制を緩和するものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士は、五年以上の弁護士としての職務経験を有する弁護士とする場合に限り、訴訟代理等一定の法律事務以外の法律事務を行うことを目的とする共同の事業については、これを営むことができることとし、外国法事務弁護士が弁護士と共同の事業を営むときには、一定の事項を日本弁護士連合会に届け出なければならないことといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(猪熊重二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時八分散会
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