第129回国会 法務委員会 第6号
平成六年六月二十三日(木曜日)
   午前九時開会
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   委員の異動
 六月二十三日
    辞任         補欠選任
     千葉 景子君     深田  肇君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         猪熊 重二君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                糸久八重子君
                平野 貞夫君
                荒木 清寛君
    委 員
                斎藤 十朗君
                志村 哲良君
                鈴木 省吾君
                服部三男雄君
                山本 富雄君
                栗原 君子君
                竹村 泰子君
                深田  肇君
                木暮 山人君
                翫  正敏君
                國弘 正雄君
                紀平 悌子君
                安恒 良一君
   国務大臣
       法 務 大 臣  中井  洽君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  永井 紀昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        播磨 益夫君
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  本日の会議に付した案件
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(猪熊重二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として深田肇君が選任されました。
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○委員長(猪熊重二君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○紀平悌子君 おはようございます。早朝から大変御苦労さまでございます。
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案、法務省にお聞きしたく思います。
 まず、日本において活動している外国法事務弁護士の数、これを国名別と、その職務内容につきましてお教えください。
○政府委員(永井紀昭君) 我が国で活動しておられます外国法事務弁護士の総数は、六月二十一日現在で七十九名でございます。
 その内訳は、アメリカ合衆国が五十六名、それから連合王国、いわゆるイギリスが十八名、フランス一名、ドイツ二名、オーストラリア一名、オランダ一名、こういうふうになっておりまして、圧倒的にアメリカとイギリスが多いということでございます。
 なお、アメリカ合衆国の方は、多くがニューヨーク州、カリフォルニア州それからコロンビア特別区、首都があるワシントンDCと言われているところの方が多いようでございます。
 それから、地理的にはほとんどの方が東京にいらっしゃいまして、七十七名の方が東京にいらっしゃいます。あと名古屋が一人、大阪が一人ということになっております。
 その職務内容は、先般来お答え申し上げておりますとおり、自分の出身地の母国法といいますか、これを原資格国法と言っておりますが、原資格国法と、指定法といいましてある程度知識能力があると認められている国の法律という、原資格国法と指定法に関する法律事務を行うことができるということになっております。したがいまして、日本法はできません。
 それからもう一つ重要なことは、国内において裁判所、検察庁その他官公署における手続についての代理、あるいはこれらの官公署に提出する文書の作成等はできないということになっております。
 したがいまして、日本の弁護士と大きく違うのは、日本法が扱えないということと、それから裁判所や検察庁へ出頭したりあるいはそれの弁護人になったりということができないという、そういうところが大きな違いでございます。
○紀平悌子君 ありがとうございました。
 外国弁護士の扱いについて昨日も御質問が出ておりましたけれども、相互主義を修正して、相手の国において日本の程度まで日本国籍の弁護士の参入が保証されていなくても外国人弁護士の活動を拡大するということは、私もやや日本にとってというか日本人弁護士にとって不利なようにも思えるんですが、諸外国において日本国籍の弁護士のお仕事についてはどのように保証されておりますんでしょうか。米、英、仏、韓国、オーストラリア、この辺のところでお伺いしたいと思います。
○政府委員(永井紀昭君) アメリカでは、現在約十六の州及びワシントンDCですが、そこでいわゆるフォーリン・リーガル・コンサルタントという形で、日本人弁護士が日本法を中心に活動ができるというふうになっております。
 それから韓国でございますが、韓国は実は日本のような外国弁護士の受け入れ制度がございません。ただ、韓国におきましても最近やはりアメリカの圧力があって、外弁問題を弁護士会に委員会をつくって研究中であるという、こういうような情報が入っております。
 それからイギリスでございますが、実はイギリスも日本の弁護士が活動できることになっております。イギリスにおきましては、訴訟代理と、それからちょっと専門的になるんですけれどもプロベートといって裁判所における遺言の検認手続の開始に際して法律上要求されている書面の作成、こういうことはできませんが、ソリシターとバリスターという、イギリスの弁護士はいわゆる日本の弁護士と違って独占的じゃございませんで、一般的に法律相談とか契約書の作成などは、しかも報酬を受け取るということについて制限がございません。したがいまして、日本の弁護士もそういった法律相談や契約書の作成ができるということになっております。したがいまして、日本人弁護士も活動できるということになっている。
 それから、フランスは一九九二年からちょっと制度が変わりまして、今までの外国弁護士制度というのをむしろ廃止いたしました。簡単に言いますと、弁護士をフランスにおいてフランスの簡単な試験をやる。それでフランスの弁護士になれ、そういう言い方になっております。そういう意味では少し狭まったような感じになっております。
 オーストラリアも、ニューサウスウェールズ州だけが外国弁護士の受け入れ制度がある、こういう状況でございます。
○紀平悌子君 相手の国において日本人弁護士の参入が必ずしも認められていないというのに、日本においては国際約束によってその参入を保証しなければならないという方向での法改正は、ややもすると不公平な感もいたしますけれども、こうした改正をする国際的な環境の変化というものを、昨日も伺っておりますけれども、重ねて教えていただきたいと思います。
○政府委員(永井紀昭君) 相互主義の原則を貫くということは、それはそれなりの理由があるわけで、相手の国が我が国の弁護士を受け入れてくれないのに、簡単に相手の国の弁護士が日本で活動できるとすることには確かに疑問があります。
 ただ、国際的な観点で見ますと、やはりいろんな経済取引の国際化、ボーダーレス化という問題が起きまして、各国の弁護士さんが、それぞれの事務所は自分の母国に置いてもいろんな各国へ出かけて仕事をするという機会が非常にふえております。弁護士の中の一部ではあるかもしれませんが、そういうような国際的な取引の中に関与する弁護士さんが非常にふえてきている。したがいまして、各国においてもできるだけ、それは国によって制度は違いますけれども、弁護士は弁護士としてお互いにある程度それなりの活動を認めた方がいいのでまないかという、そういう考え方といいますか方向が一つあります。
 それから、きのうもお答えいたしましたとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉におきましても、やはりサービス貿易に関する一般協定というものが最恵国待遇の原則を定めておりまして、我が国はその最恵国待遇の原則を遵守するということを約束しております。ほかの国も、やはりできるだけオープンにしようということでこういったウルグアイ・ラウンドにおけるサービス貿易に関する一般協定に入ってくるという、そういった状況も出てきているということでございます。
○紀平悌子君 国際的な法律事件の具体的な例を幾つか教えていただけるとわかりやすいんですが、国内の事件とそれがどう違うのかというか、国内の事件の場合はこうだけれども、渉外事件というか国際的な事件の場合はこうだというふうなことで、なるべく人口に膳表した例を挙げて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(永井紀昭君) 私もそういう外国法事務弁護士の仕事を実際に見聞したわけではございませんが、聞いている範囲でお答えいたしますと、法律事件といいますのは、何もいわゆる争訟というかトラブルが起きて、それでそのトラブルを解決するという事件だけではございませんで、外国法事務弁護士が扱っておりますのは、不動産の取引でございますとか、特に外国人が日本において取引する場合の問題でありますとか、あるいは一般会社の会社法務といいますか、契約その他のドラフトを書いてこれがいいか悪いかということを検討したりする。あるいは、日本の企業がアメリカ、ヨーロッパにも進出いたしますと、そこにおけるいろんな税法関係、各国の税法関係をいろいろアドバイスする。あるいは、特にアメリカ等では製造物責任が非常に厳しい責任が問われるので、それについて事前にいろんなアドバイスをする、あるいは実際の紛争が起きた場合にいろいろそれに関与する。日本国内の会社についてもそういうことをやる。あるいは金融関係、証券法関係などでのいろいろなアドバイス、あるいは実際の実務について相談に乗る。こういったもの、やや抽象的で申しわけありませんが、外国法事務弁護士はこういったものをやっていらっしゃるという、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
○紀平悌子君 大臣にお伺いいたしますけれども、さまざまな国際的な環境の変化ということもあってこういったことの必要性が出てきたということが第一だったと思いますね。それからもう一つは、やはり外圧と言ってはなんですけれども、国際的に日本がそういうことを要求された。つまり、市場開放と同じように弁護士の市場も開放してほしいというようなことからで、やや受け身というか、その分受け身というふうに感じられます。
 この問題が本当に、特に日弁連におきましては随分前から検討がされておりまして、私も、日弁連とそれから普通のいろんな意見を持った人との、会合というのを定期的に一年間持たせていただいたことがあるんですけれども、いろいろなことの御心配があったようでございます。
 それを乗り越えて今回こういった法改正になるわけですけれども、外国弁護士がこれからもっともっと日本で活動したいというのはふえてくると思うんですね。こういった要望がふえてくるからそれに対処するというふうな受け身でなくて、むしろ積極的な前向きの姿勢でどのようにこの問題に対処されていくかという、これは大臣から御意見を承りたいと思いますし、また、なるべく抽象的でなく承りたいというふうに思うんです。
○国務大臣(中井洽君) 御指摘ございましたように、弁護士業務を取り巻く国際的な変化、あるいは国際的事案の増大、こういったものに絶えず注視をしながらこれからも外国弁護士受け入れ制度のあり方というものを研究していかなきゃならないと考えております。外国からの要求や圧力に屈してやるということではなしに、我が国の司法制度の根幹ということを常に思い、そして、弁護士会の自主的な御判断、御勉強、これらも十分尊重しながら対応をしていかなければならないと考えております。
 ボーダーレスの時代ですから、いろんな摩擦あるいは食い違い等がある中で、だんだんとこういうのは各国とも平均化をしていくとは思うのでありますが、先ほどから政府委員答弁しましたように、それぞれの国の司法制度というのは大きな違いがございます。特に日本あるいは韓国あたりは世界で一番難しい司法試験というのをやっているわけでございます。アメリカなんかと随分違う。何でもオープンにしていって相互乗り入れだってやっていったら、逆に日本の方がアメリカの弁護士試験を通るというのはわりかし簡単でありまして、アメリカで通って日本で弁護士としてやれるということ、こういったことはやはり我が国の司法制度の根幹にかかわってくる問題であろうか、こんなふうにも考えております。しかし、幸いここ数年の間で、在日韓国人の方が司法試験をお通りになったり、あるいは去年はアメリカの方が一人お通りになって、今、司法研修にお進みでございます。日本語の難しさということもあって、なかながそこらの国際化ということは難しいわけでございます。
 こういう情勢を見きわめながら一つ一つ私どもは、外国からもそう非難をされない、また国内において利用者がこれから国際的ないろいろな事案に対応することも多い、それにも十分おこたえできる、こういう体制を常に心がけていくべきだ、こんなことを抽象的でまことに申しわけございませんが考えているところでございます。
○紀平悌子君 御懇切にありがとうございました。
 もし法務省の方で多少具体的に今後のお考えを、どうされていくかという具体性のあるお言葉をいただければ。
○政府委員(永井紀昭君) 昨日もお答えいたしましたが、この外国弁護士問題研究会の引き続きの国際仲裁代理研究会というのを発足させまして、日弁連と共催でそれを現に運営して、できるだけ早い時期に一定の方向を見出して、外国弁護士さんが日本において仲裁の代理ができるかどうかというその問題を処理していきたい、これは具体的に現に発足しているものであります。
 それから、外国弁護士との直接のかかわりはございませんが、実は外国弁護士問題研究会の報告書でも言われているところでございますが、やつばり日本の弁護士の基盤整備が必要であろうと。そのために現に、ただいま大臣もちょっと触れておられましたけれども、法曹人口がこれでいいのかどうか、あるいは現在の司法試験がこれでいいのかどうかということについて、既に三年前から法曹養成制度等改革協議会という、これも法曹三者で共催しております。そういう研究会を続けております。
 それから、さらに弁護士の基盤整備という観点から、法律扶助のあり方をどうすべきかということも現に法務省が予算要求しておりまして、この研究会もいずれ近々発足させて、いろんな各国との比較を含めて法律扶助のあり方について検討していきたい。
 それから、各弁護士会等におきましては、これはむしろ外国弁護士というより日本の国民に対するサービスということで、弁護士会の業務対策委員会等におきましては、やはり弁護士の過疎問題というのが非常に問題があるという観点から、弁護士会でもそれに対する対応策に取り組んでおられます。
 それから、細かい話になって恐縮ですが、権利保護保険というような形でいろんな法律相談等を、一定の保険を掛けておいて、その掛けた人が法律相談に気軽に行けるようなそういう制度というのができないだろうかとか、あるいは、弁護士事務所というものが今は法人格がございません。したがいまして、弁護士さんが亡くなられますとその相続の問題等でなかなか弁護士事務所としての継続性がないという観点から、弁護士会等では法人化したい事務所についてま法人化できるようにしたらどうかというような議論もいろいろ検討しておられる。そういうことにつきましても法務省も時々相談を受けたりいたしまして、一緒に勉強をしていると。
 ちょっと細かいことを申し上げましたけれども、いずれにしても、司法においても司法改革をしていかなきゃいかぬと。これは弁護士会だけではなくて、実は裁判所も検察庁においてもそれぞれ自己改革をもう少しすべきだということからいろんな研究会等もやっているということです。外国弁護士問題と直接関係ありませんが、実はこの外国弁護士問題研究会の報告書の中にもそういった司法における基盤整備が必要であるということから、その引き続きのこととして我々やっているということでございます。
○紀平悌子君 ありがとうございました。終わります。
○安恒良一君 私は、きのうからずっと各先生方の御質問を聞いていましたら、特に昨日は御質問の先生が弁護士御出身のせいもあったかなという気がしますが、どうも法務省側の答弁が、例えば改正の基本的視点は何かとか、そういうことについて、どうもまず私が疑問に思いますのは、アメリカやEUからの要請が強かったということでやや受け身にこの問題をとらえられておると思うんです。私は、やっぱりこの問題は、日本が世界に置かれている立場から、今後こういう問題をそんな受け身に考えるべきじゃないと思うんです。
 一つは、やはり国際的なグローバルな視点から物事を考える。二つは、やはり弁護制度を考えたときに一番必要なことは、国民の立場に立った、もしくはこういうものを司法の立場に立った改正ということを考えないといけないと思うんですが、どうもきのう法務省の皆様方の御答弁を聞いていますと、御遠慮されたのか何か知りませんけれども、えらいやや受け身に、私はそんなことだけが議事録に残ってはいかぬと思いますから、きょうは逆に国民の立場からひとつ、今回の改正をどうとらえて今後どうしていけばいいかということについて、少しお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、これは大臣も言われましたように、なぜこんな改正をやるのかというと、例えば日本の企業がアメリカやEUで合併する場合には、それぞれ米国やEUに届け出が必要ですから、経済の国際化に従って国内法のみではどうにもならぬという問題が一つあると思うんです。それは、ますます今後盛んになってくるだろう。それから、逆に今度は海外から日本市場に進出を計画しておる外国企業もたくさんございますが、この場合もやはり日本の弁護士さんの法律的な助言を受けたいと思っても全部それにこたえられるだけの弁護士さんの体制があるのかということ等を考えると、そんなことが日本の市場に進出する際に邪魔になっているとか規制の一つになっているということをアメリカやEUから言われていると思うんです。ですから、この傾向は、経済が国際化、グローバル化すればますますこのことは必要になってくるだろう。
 私は、やっぱり改正の第一の目的はそういうことにこたえようということでおやりになったというところをきちっとしておかないと、何となくアメリカから言われたから、EUから言われたからと。そんなこともありますよ、それは全くないと私も思わない。しかし、積極的にやっぱりとらえていくということも必要があるんではないか。
 それはなぜかといいますと、今も同僚委員からいろいろ御質問がありましたように、これから先どうするかというときも、そこの視点をきちっとしておかないといけないと思いますから、この点についてどうお考えなのか。
 それから、第二番目の点についてお聞きしますが、私はこの問題を議論するのに、我が国の司法制度を考えるためにまたとない機会だと思っている、この問題を議論するのにまたとない機会。
 それから、冒頭申し上げましたように、検討するに当たっては国民のための身近な司法を目指す、これは私は大臣にも二割司法の解決の道とかこの委員会で執拗に質問してきましたけれども、私は、国民のための身近な司法を目指すために、ひとつ外国弁護士問題を考えるということが必要だろうと思いますが、どうでしょうか。
 それから、私はこの制度を考えるときには、あくまでも利用する国民の利益のためであるということを忘れてはいけないと思います。国民の利益のためである。もちろん弁護士さんの立場、弁護士会の立場ということも考えなきゃなりませんけれども、視点はやっぱり利用する国民のための利益であるということを忘れてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。
 それはなぜかというと、私は前の質問でも申し上げましたが、率直に言って、今までの日弁連その他でとられた態度の中には、いわゆる弁護士さんの職域問題については弁護士会は余りにも競争制限的であり過ぎたんではないだろうか、これは私の意見ですが、また閉鎖的であったのではないだろうか。
 その一つの例として、国民の紛争処理機関としての民事の役割が非常に低下している、それから、国民が裁判その他法律相談を利用されるのは二割しかない、これが現実なんです。
 そこで私は、それがための解決策の一つとして、これはやはり弁護士さんの地域偏在やさらに弁護士さんをふやすことについても積極的に考えられるべきだということをこの委員会の中で議論したし、それから外国弁護士さんの問題も、今紀平先生から、日本でどれだけの人が活用しているか、聞かれてすぐわかりますし、それから私どももこの制度ができてどの程度ふえるだろうかということも考えると、そんなになかなか数が急激にふえると思われないんですよ。ですから、そういう点について、きのうも改正の基本的な視点ということで大臣にお聞かせを願っているようですが、私は、今言ったように、やや角度を変えて国民のための弁護士制度である、国民という角度から今回の改正についての基本的な視点、それから今後どういうふうにやっていこうとするのか、その点をひとつお聞かせください。
○国務大臣(中井洽君) 安恒先生の経済の国際化、また海外からの諸経済の日本への進出をよりスムーズにさすためにこういう改正は日本みずから積極的に行うべきだ、こういう御意見には私ども全く同感でございます。
 今回の改正は、アメリカやEUからの要求というものが契機になったことは事実でございますが、御承知のように、法務省と日弁連が、外国弁護士問題研究会、こういう形で熱心に御協議を賜り、その中で自主的に提言を賜ったものを受けまして今回の法改正を行ったところでございます。これからも絶えず日弁連と十分な連絡をとりながら、国際環境の変化、これに照らして私どもはふさわしい外国弁護士制度の改革、こういったものを心がけていきたい、このように考えております。
 同時に、お話がございましたように、こういう制度一つ考えましても、日本の司法制度の根幹、このことを絶えず考えていかなければならないことでございます。その中には、日本の弁護士さんの数が世界の中でも本当に少ない、こういう問題提起も常になされる、このように考えているところでございます。少ない人数で、それだけに逆にプライドを持ってそれぞれ弁護士さんが各地区で御活動をいただいているわけであります。
 前にも申し上げましたように、私の住まいしております郷里は二市二郡、人口十七万六千人でございます。戦後あるいは戦前から弁護士さんは一人でございます。一人はお亡くなりになって、また若い人が入ってきて一人でございます。ここに斎藤先生お見えてございますが、国会議員は私と斎藤先生と川崎二郎さんと三人もいるという、これはどうなんだろうというところも含めましてなかなか問題もあろうかと。
 こういう法改正を契機に、日弁連あるいは法務省含めまして、先生おっしゃった国民の利用者、こういう立場からの制度はどうあるべきか、このことも常に考えていかなければならない、このように考えているところでございます。
○安恒良一君 今さっきから、この弁護士さんの問題で、相互主義を尊重してやらなきゃならないということを言われておりますが、私、弁護士さんのお互いの開放問題や相互主義ということは結構だと思います。しかし、今の日本の置かれている立場からいいますと、どうも日本は受け身だ受け身だ、外圧だ。そんなことよりも、今回一部緩和されましたけれども、むしろ日本の方からある程度積極的に開放するという、なるほどな、日本も二十一世紀へ向けて変わってきたな、今までのような受け身じゃないんだなと、こういう立場にやっぱり立たれた方がいいんじゃないか。
 それは、なぜかというと、一番問題になるのは、アメリカと日本の弁護士さんの違いが問題になる。例えば、きのうも御説明ございましたように、約五十倍、八十万の弁護士さんがおって、いわゆる巨大なフォーラムをつくっておって、やや一方的、営利主義と言ったらわかりますか、商業主義的なものが多い。ところが、日本の場合は、弁護士さんの使命は基本的人権の擁護と社会主義の実現。だから、かなり弁護士さんの意識が違うんだ、こういう御意見がありますね。それは現実の姿です。
 しかし、アメリカからいろんな弁護士さんが進出してきて、それは強大な組織力、資金力がありますから、一時的な混乱も起こるんじゃないかという御心配もありますが、それに対する歯どめはいろいろ今回もかけられたわけですね。例えば、雇用はしていけない。これは大きな歯どめなんですよ。
 そうしますと、私は、公共性の確保ということと利用者サービスの拡充というのは矛盾するものではないと思うんです。公共性の確保ということと国民のための利用者サービスの拡充というのは矛盾するものじゃないと思いますから。
 そうしますと、私から言わせると、今後のことを聞いたんですが余りお答えになりませんでしたが、今後の感じとしては、相互主義の実現に向けて、日本の方から積極的に市場を開放する旗振り役をやる、こういうことがあっていいんじゃないか。また、日本の場合は、余りにも国民一人当たりの弁護士さんの数も少ないし、これはきのう数字挙げられました。それからまた、日本の経済活動がますますこれからも国際的になってくるということもこれは事実なんですから。そういう点については、相互主義の実現に向けては、日本が旗振り役をやるというお考えをお持ちでないのかどうか、これが一つ。
 それから、その場合に、ちょっと聞いておかなきゃならないことがあるのですが、きのう、共同事業と共同経営についてどう違うかということについていろいろ質問があったが、わかりません。なぜかというと、弁護士法の中においてきちっとされているところはわかりますけれども、日本語で言って共同事業と共同経営というものは、そんなに御説明を聞く限りにおいては厳格に分けられるのかなと。余り無理して何か理解させようと思って、共同事業はいいんだけれども共同経営はだめだだめだといっても、共同で事業するときは、やっぱりそれは、日本の常識としては、これは基本的な弁護士法では、例えば日本のあれを扱ってはいけないとか、それから雇用はしてはいけないということはきちっと基本法で明らかになっているのにもかかわらず、どうもそこだけはちょっと説明していただかなければわかりません、共同事業と共同経営。
 前段のところは大臣に答えていただいて、あとは担当の方でひとつお答えをください。
○政府委員(永井紀昭君) 前段の部分ですが、ただいま安恒委員のおっしゃいました相互主義の旗振り役じゃなくて、相互主義をむしろ排除する方の旗振り役ということの方が正確じゃないかと思うんです。
 今回の改正でも、厳格な相互主義というものをむしろ排除して、最恵国待遇の原則を貫いて、相手の国が日本の弁護士を入れない国であっても、場合によれば、日本の国益あるいは日本の弁護士の活動等いろんな国際的な状況を見て、むしろ受け入れてもいいじゃないかという改正をしておりますので、そういう意味では広げているわけでございます。
 それで、ただいま安恒委員がおっしゃった前段におけるいろんな視点でございますね。弁護士というものが公共的な役割を果たすと同時に、国民の立場といいますか利用者側の視点というものを十分持っていかなきゃならないし、また、これは矛盾するものではないという点については全く同感でございまして、現に外弁研の報告書にもそのような視点で記述がしてございます。
 したがいまして、私どもも、弁護士問題は、これは若干私見になるかもしれませんが、世界的に見ますと、実は外国の弁護士も非常にローカルなドメスティックな弁護士さんがいらっしゃるんですね。自分の国の本当の身近なことの弁護士業だけをやる。それから、国際的に見ますと、日本の弁護士も一部はおりますが、いわゆる渉外弁護士といいますか、非常に国際的に幅広く世界共通で働いている弁護士さんがいらっしゃる。やや二極化している部分があるのかなという印象は持ちますが、国際的な観点では、もう世界の各国の弁護士の資格がどうのこうのというんじゃなくて、相当共通化した、平均化された要素も一部あるということが見受けられるわけでございます。
 そういう意味で、日本においても、そういう国際的な場面において活動する弁護士層については、できるだけ日本もまさにオープンにしていって積極的な役割を果たさなきゃいけないという面では委員のおっしゃることに全く同意するところでございます。
 それから、第二点目の共同経営と共同事業の昨日の説明、ちょっと私も申しわけなかったんですが、実は、共同経営と共同事業といいましても、私自身は同じだと思っているんです。共同経営という言葉を法律用語としては扱ってないものですから共同事業という言い方をしておりますという、それだけでございまして、いわゆる一般的には共同経営という言い方をされて結構なんです。
 ただ、一点ちょっと勘違いされますのは、共同経営という言い方をすると、どうしても英米法的なパートナーシップという言葉のイメージがわくものですから、また法律用語として共同経営という言い方をしておりませんものですから、いわゆる共同経営と共同事業というのは中身は別に変わりませんよと。その中の部分的に一定の要件、制約のもとに共同事業という名前で共同経営を許しますという、そういう改正でございますので、特段、先生のおっしゃる点異存があるわけでございません。
○安恒良一君 大臣、何か一言ありましたら。なければ終わります。
○国務大臣(中井洽君) いや、もう結構です。
○委員長(猪熊重二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(猪熊重二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(猪熊重二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前九時三十九分散会