第129回国会 逓信委員会 第5号
平成六年六月二十日(月曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 六月十日
    辞任         補欠選任
     北村 哲男君     山口 哲夫君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     陣内 孝雄君     吉川  博君
     鶴岡  洋君     横尾 和伸君
     青島 幸男君     下村  泰君
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     吉川  博君     陣内 孝雄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         森  暢子君
    理 事
                岡野  裕君
                陣内 孝雄君
                山田 健一君
                粟森  喬君
    委 員
                岡  利定君
                加藤 紀文君
                沢田 一精君
                林田悠紀夫君
                及川 一夫君
                川橋 幸子君
                山口 哲夫君
                河本 英典君
                星野 朋市君
                中川 嘉美君
                横尾 和伸君
                下村  泰君
                田  英夫君
                鈴木 栄治君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  日笠 勝之君
   政府委員
       郵政大臣官房長  木村  強君
       郵政省通信政策
       局長      五十嵐三津雄君
       郵政省電気通信
       局長       松野 春樹君
       郵政省放送行政
       局長       江川 晃正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星野 欣司君
   参考人
       日本放送協会会  川口 幹夫君
       日本放送協会専
       務理事      海老沢勝二君
       社団法人日本民
       間放送連盟会長  磯崎 洋三君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○理事補欠選任の件
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○委員長(森暢子君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、北村哲男君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。
 また、十七日、青島幸男君、陣内孝雄君及び鶴岡洋君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君、吉川博君及び横尾和伸君が選任されました。
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○委員長(森暢子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本放送協会会長川口幹夫君、同協会専務理事海老沢勝二君及び社団法人日本民間放送連盟会長磯崎洋三君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(森暢子君) 次に、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案については既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加藤紀文君 加藤でございます。
 放送法の一部を改正する法律案について、まず大臣にお尋ねしたいと思います。
 今回の改正は、かねてから衛星利用が急速に進展している中、短波放送による国際放送だけじゃなく、映像による国際的な発信をやるべきであるといった議論を踏まえての改正であり、また昨年秋、緊急経済対策の一環として出された規制緩和項目の一つと理解しておるわけでありますが、今回の改正のバックグラウンドを簡単に、そして改正の理由、どういった点が規制緩和となるのか、そしてこの改正によって国民はどのような利便を受けるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(日笠勝之君) 社会、経済のボーダーレス化に伴いまして情報の国際交流の重要性は一層高まってきておりまして、我が国から積極的に情報を発信することは諸外国との相互理解を深めるためにも極めて重要であることは御承知のとおりでございます。
 特に、豊かな表現力を有する映像情報というものは日本の実情等をより適切に外国の人々に伝達できる可能性を秘めておりまして、今後、その海外発信の促進が重要になってくるものと考えるわけでございます。
 近年、衛星技術の進歩によりまして、衛星による外国に向けた映像放送の発信が欧州地域ではもう既に活発に実施されておりますし、アジアでも御存じの香港のスタテレビジョンが開始され、さらに今後中国、韓国などにおきましても映像放送が可能な衛星を相次いで打ち上げることが計画されておるところでございます。
 一方、我が国からの放送の海外発信は、先生御指摘のとおり、NHKの短波国際放送のみでございます。映像による情報の国際交流が世界的に活発化しつつある今日、我が国といたしましても積極的に映像放送の海外発信を行っていくことが急務となっていることと思います。今回、そういう意味から放送法について所要の改正をしたいと考えておるところでございます。
○加藤紀文君 ただいま、映像の海外発信が趣旨という大臣の御答弁をいただきましたが、従来、日本の情報の海外発信を促進するためにどのような施策をとられておられたか、また今後の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、大臣御自身、どんな情報の海外発信が国際交流に役に立つのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) 過去の事実についていろいろと御説明させていただきたいと存じます。
 我が国からの積極的な情報の発信が大事だということは大臣がただいま申し上げたとおりで、郵政省はその認識に立っていろいろなことをやってきているところでございます。いろいろとございますが、主として三つ御説明させていただこうと思います。
 一つは、平成六年度の予算の中でも組んでございますが、短波国際放送に対する交付金、これ十八億円強を予定しているところでございます。そういうものを予定しております。
 二つ目は、ビデオパッケージによる海外発信の支援ということをしてございまして、これは放送番組国際交流センターと申しますが、英語で書きましたことの頭文字をとりましてJAMCOと言っております。JAMCOにおける放送番組の英語への吹きかえ等に対する補助を行い、放送番組の外国放送事業者への提供を支援しておるなどでございます。
 三つ目は、APTセミナー、ことし四月に日本で開催されましたが、アジア・太平洋地域における映像国際放送の番組のガイドラインの策定等についていろいろ合意いたしまして、今後ともなおやっていこうということにしているところでございます。
 なお、いろんな調査その他のこともいろいろとやっているところでございます。
○国務大臣(日笠勝之君) 日本の文化また経済、社会、いろんな情報をリアルタイムで諸外国に音声だけじゃなくて映像も含めて流すということは非常にインパクトがあると思います。在外邦人が六十万とも八十万とも言われておりますし、そういう方々に対する情報提供、また日本を知りたい、GNP第二位の日本の経済は、社会は、文化はどうなっておるか、日本語ブームもございますし、こういういろんな観点から、音声だけでなくて映像もあわせて伝達するということは、これは日本の国際的な地位から考えましても一つの義務というように考えられると思うわけでございます。
 ただ、いろんな国際文化摩擦等も考えられますので、今後、放送番組のあり方に関しましてはガイドラインの策定等、前向き、積極的にコンセンサスを得ていく必要があろうかと考えておるところでございます。
○加藤紀文君 文化の押しつけ輸出にならないように気をつけていただきたいと思います。
 今、局長のお話にもございましたように、放送番組の海外提供は、国際交流の促進を目的として放送番組国際交流センターが設立されたわけでありますが、現在どのような活動をして、どのような成果を挙げているか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) 御質問の放送番組国際交流センター、これは財団法人でございますが、英語でジャパン・メディア・コミュニケーション・センター、その頭文字をとりましてJAMCOと言っております。
 これは、目的は、放送番組に係る国際交流を促進し、もって我が国と諸外国との相互理解の増進及び開発途上国を初めとする世界の放送の発展に寄与するということを目的としてございまして、平成三年四月に郵政省と外務省の共管法人として設立されたことは御案内のとおりでございます。現在、事務所は東京にございまして、常勤役員が三名、職員が五名というところでやっております。平成六年三月末現在で出捐、金の集まり状況は二十四億円ほどになってございます。
 それで、具体的な仕事でございますが、このセンターは我が国の放送番組を収集し、外国語に吹きかえるあるいは海外提供の促進を図っているというところでございまして、それに対して郵政省では毎年一億円ほどのそういう仕事に対する補助を行っております。外務省の方も国際交流基金を通しまして一億円助成が行われているところでございます。
 とりあえずの成果でございますが、一番表現しやすいのはどれだけ番組を吹きかえたか、あるいはよそへ出したかということでございますので、そこで平成六年三月末までの実績で申し上げますと、外国語へ吹きかえた番組が二百八十四本になります。そして、外国へ提供された番組は百四十八本になります。主にタイとか中国等、東南アジアの十カ国に対してやっておりますが、子供の人形劇などが多くございます。現状的にはそのような活動をしているところでございます。
○加藤紀文君 わかりました。
 今回の法案で、NHKが他人の衛星に委託して国際放送をさせることを委託協会国際放送、一般放送事業者が行うことを受託内外放送と定義されておりますが、委託協会国際放送の業務内容はどういったものか、今までの国際短波放送と全く別の業務とした理由はどこにあるのか。また、必須業務としているが、業務を遂行するに当たり経費はどのくらいかかり、財源はどのようになっているか、あわせてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) NHKが行います受託協会国際放送、これは新しい概念を設けたところでございますが、これはNHKの委託による衛星放送でございまして、専ら外国において受信されることを目的としたものでございます。それに対して、一方、民放がやります受託内外放送は民間放送事業者の委託による衛星放送でありまして、国内及び外国の双方において同時に受信されることを目的としたものでございます。
 それで、NHKにつきましては、受信料で成り立つ公的放送機関として、我が国の実情を諸外国に紹介するということが一つ、もう一つは在留邦人に対して必要な情報を提供する、そういう重要な役割を果たすために外国向けに徹した番組編集を行うということが求められているところでございます。
 このために、NHKの外国に向けた衛星放送は、先生短波と全く別にというふうにおっしゃいましたが、実は短波放送とほとんど同様と言っていいと思います。同じカテゴリー、枠組みの中で設けまして、専ら外国で受信されることを目的とする放送という位置づけをしているところでございます。
 それから、経費とか財源でございますが、財源はNHKにつきましては受信料がベースです。これは国際短波放送と全く同じ思想でございます。それが幾らぐらいかかるかにつきましてはNHKも今試算中でございまして、私もそれなりの試算の数字は承知しているところでございますが、まだ確定的には定まっていないところです。概算でございまして、ちょっと大きな数字で恐縮でございますが、十億とか二十億とかというぐらいはかかるかなというふうに見ているところでございます。
 それから、民放の方は、申し上げるまでもございませんが、今あります広告収入、あるいは有料放送というものを導入すればそれでやるという形で進めていくというふうに考えているところでございます。
○加藤紀文君 NHKは既に衛星放送でノウハウを持っておられますが、民放にとっては来年のJCSAT3の打ち上げでスタートすると聞いておるわけであります。全く未知の分野でありまして、果たして事業ベースに乗るものかどうか、また海外向けの放送はどのようなものになるか。これから検討されるんでしょうけれども、また財源の問題も今言われましたが、それに対して郵政省はどのような支援といいますか、お考えになっておられるか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) この法律をつくっていく過程におきまして、民間放送の皆さんとも十分議論をしながら、どういうふうに民放が海外へ出ていくかということは議論しているところでございます。
 それで、JCSAT3が来年上がるということは予定されておりますが、直ちにこれが使えるかどうかということにつきましてはちょっとまだいろんな議論があろうかと思います。それはちょっとこっちに置いておきますが、いずれにしましてもJCSATの衛星を使ってやりますときに、民放としたらば何が財源なのかと考えたときに、やはり最大の市場は国内ということになりますので、国内の広告収入、あるいは先ほどちょっと申しました有料があるなら有料というようなそういう仕掛けを使ってやっていく、つまりは国内の需要も満たしながら海外に出していく、そういう形でやっていけるという構造にしたわけでございます。
 それで、民間放送自身がそれでは私がやりますとか、どうするという具体的な計画を今私たちに相談に来ているわけではございませんが、こういう法律ができたならばぜひ乗り出してみたいというフィージビリティースタディーはそれぞれひそかにやっているやに聞いているところでございます。
○加藤紀文君 わかりました。
 それでは、ことしの四月にAPT、アジア・太平洋電気通信共同体と郵政省共催で国境を越えるテレビのセミナーが開催されたようでありますが、そこではどのような国際的な合意というものがなされたのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) ことし四月に日本国で行われましたが、その行う環境として一言ちょっと申し上げさせていただきますと、現在、ヨーロッパにおいてはいわゆるEC指令というものがございます。これはテレビジョン放送活動の遂行に関し加盟国において法律、規則、行政行為によって制定される規定の調整に関する一九八九年十月三日の理事会指令、大変長うございますからEC指令と言っておりまして、これが国境を越えるテレビの受発信に関する一つの共通の規則といいましょうか、守るべきフレームワークになっているところでございます。
 そういうものが我がアジアにあるかといいますと、現在ございません。それで、アジア・太平洋地域における円滑な国際交流、サービスの実施のためにはこの種の一定の共通ルールが必要だというそういう認識のもとに、この四月にAPTセミナーというものが開かれたわけでございます。
 十六カ国一地域、それから国際機関等も六機関が参加していろいろ議論されましたが、決まりましたことは、細かくなることは省かせていただきますが、結論としては三つございまして、一つは、加盟各国は映像国際放送に関するガイドライン作成の必要について合意をしたということが一点でございます。二つ目は、ガイドラインの作成に当たって特に留意すべき事項をいろいろ列挙して、これが合意されたということでございます。それから三つ目に、ガイドライン作成のためのさらなる検討のための会議をAPTが組織していこうということ、これも合意されたということでございます。
 そういう形で合意されまして、言ってみますれば、APTの場で自由な情報流通を基本として番組ガイドラインを作成していくことが勧告されたと承知しておりまして、郵政省としましても、今後このような場を通じて、国境を越えるテレビに関する国際的コンセンサスづくりというものに最大限の努力を払っていこうと考えているところでございます。
○加藤紀文君 NHKの番組編集準則ですか、現行の国際放送と同じだということでありますが、簡単に御説明いただきたい。また、民放の新たに創設した準則は、「国際親普及び外国との交流が損なわれることのないように、当該受託内外放送の放送対象地域である外国の地域の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮しなければならない。」となっておりますが、NHKのものと同じであるか。違っていれば、どこがどう違うのかを説明していただきたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) 先生おっしゃいますように、今回の改正によりまして、今後の我が国から外国に向ける映像放送につきましてはNHKと民間放送の併存体制によって実施していくということになるわけですが、それぞれが守る番組編集準則というのは少し異なるという状況になっております。
 NHKにつきましては、四十四条の四項のところに書いてございますが、「我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるようにしなければならない。」、これは国際短波放送も同趣旨になっているところでございます。
 それに対しまして、民間放送は、国内放送の放送番組編集準則のほか、五十二条の二十七というのを新たに設けまして、「国際親普及び外国との交流が損なわれることのないようにこ「外国の地域の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮しなければならない。」、これは先生今御質問の中でおっしゃいましたとおりでございます。こういうふうに、言ってみれば、NHKと民放について、民放の方が少し別のことが書いてございます。
 この二つに分かれていることにつきましては、NHKについては受信料で成り立つ公共放送の機関として、その放送番組は日本の実情紹介による国際親善の増進や海外同胞への慰安の提供というこの問題は先ほどもちょっと申し上げました。そういう積極的かつ公共的な役割を果たすものと位置づけることが必要であるということですが、そういう考えでおるわけでございます。
 一方、民放につきましては、NHKの積極的かつ公共的役割とは異なって、その放送番組、民放の放送番組でございますが、それは基本的に創意工夫により自由な発信が行われるべきものと位置づけるというところでございます。そのことは、同時にしかし自由で、何であってもいいということではありませんで、外国との文化摩擦等を生じ、国際親善等が損なわれないよう、最低限の義務として諸外国の諸事情を考慮するということが必要だというふうに考えているというところから、このような規定を設けたところでございます。
○加藤紀文君 次に、国境を越えるテレビの受信についてお尋ねしたいと思います。
 平成四年のNHK予算審議の折に、足立委員より香港のスタテレビの電波のスビルオーバーの話が指摘されたわけでありますが、受信に関しまして今回法律上の手当ては何もなされていない。放送であれば法的問題はないと解釈していいものでしょうか。
○政府委員(江川晃正君) 諸外国の国境を越えるテレビの発信の状況でございますが、先生御案内のように、欧州の方ではアストラ衛星を使ってこれこれだというような話がございます。この辺はちょっと省略させていただきます。
 もう一つ、アジア・太平洋地域におきましては、ただいまおっしゃいましたようにスタテレビジョンというのがあって、これは五チャンネルありまして、対象の国は香港とか中国とか韓国、モンゴルなどなどをやっているところでございます。そのほかに、ことしから来年にかけまして、中国、香港とか、韓国のコリアサットとかいろいろ上がる予定になっております。
 そういったものが上がってくるわけでございますが、それらを今後、おりてくる電波を受信できる状況にあるときに、それを我々として、日本国の法制度の中でこれが放送に当たるのか、通信に当たるのかというとらえ方、評価をいたしまして、特にスタテレビジョンの場合には放送に当たると考えるわけでございますが、そういうふうに認識して、それを世の中に公示して、放送として理解するからどうぞ受けて聞いてください、聞いてくださいというのは変ですが、認識しているから放送だという位置づけでやっていくということで進めていこうと考えているところでございます。
○加藤紀文君 そうしますと、通信か放送かというのは郵政省はどのように判断して、それをまた周知徹底、また受信体制というのをつくっていくのかお伺いします。
○政府委員(江川晃正君) 基本的には国内における法制度でこれを理解するというふうに考えております。外国の発信者の意図が、例えば公衆によって直接受信されることを目的としていることが明らかである場合には、発信国における整理にかかわらず、受信国である我が国としては放送として位置づける。
 端的に申し上げますと、日本国における放送の定義というのは、公衆によって直接受信されることを目的としてなされる行為でございますから、発信国が通信の意図を持ってそういうことをやったとしても、当方、我が日本国においてそのような放送の定義に当たる状態でおりてくるものにつきましては、これを放送と認識して世の中に公示する。
 公示の仕方は、官報でいくのか、ほかのいろんなことでやるのか、それはいろいろ手続がございますが、そういったような何らかの形で世の中に公示してわかる状態にしてやっていく。このことは、通信ですと、それを他に流したり他に流用したりすると通信の秘密を侵すという問題が出てくるわけでございますが、そういうことにならないということを公示する形、あるいはそういうふうにならないということを法的にきちっと整理するというふうに思っているところでございます。
○加藤紀文君 そうしますと、国内のCATV業者が受信して配信する場合、著作権とかそういうのは全部自己責任でクリアすれば問題ないわけでございますか。
○政府委員(江川晃正君) 先生御指摘のとおりでございます。
○加藤紀文君 ありがとうございます。
 それでは、せっかくNHKからお越してございますので、会長にお尋ねしたいと思いますが、今回の放送法の改正はNHKにとってどう評価されているか、お尋ねしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) NHKとしては、これまでも国際社会における日本理解の促進、たくさん海外にいらっしゃる在留邦人のための情報提供、あるいは娯楽の提供というふうなことでいろんなことをやってまいりました。特に、最近は国会でもいろいろ御論議をいただきまして、これまでの短波の国際放送を拡充するほかに、映像情報の海外発信の拡充、そして強化ということに積極的に取り組んできたところでございます。
 今回の放送法の改正によりまして、放送法上、NHKの国際放送の中に従来からの短波だけじゃなくて映像による放送も含まれるということが明確になりました。これは、海外の視聴者に向けた映像国際放送の実施が可能になったというふうに見ておりまして、非常に時宜を得た措置であろうというふうに思っております。
 ただ、制度上、NHKの映像国際放送には短波と同様に郵政大臣の実施命令がかかるというふうなことが決められておりますけれども、映像発信には短波のような送信自由という国際ルールが存在しておりません。それに国際映像放送に命令放送がかかることで、これは国営放送ではないかとか、アジア諸国を初め海外諸国からの反発とかクレームを招く懸念もあります。映像国際放送の円滑な実施に支障を来すことはないだろうかと私どもはちょっと心配をしております。
 ですから、映像国際放送への命令放送の導入については、将来にわたって運用上慎重な配慮がなされるように強く要望しておきたいと思います。
 それから、この法改正を受けまして、NHKとしては映像国際放送にどのように取り組んでいくのか、これはこれからの検討課題でございます。映像国際放送の実施に当たりましては、相手国の国民感情、社会体制、生活習慣、倫理観等々に最大に配慮をする必要があると思います。また、映像国際放送に国内の視聴者の受信料を充てるということにはおのずと限度がございます。
 したがいまして、現在行っている衛星による海外への番組提供あるいは短波国際放送との関係を踏まえて、NHKとしては可能な限りで段階的に強化をするというふうな実施の仕方をする方が妥当ではないか、こう考えております。
○加藤紀文君 ありがとうございました。
 次にお尋ねしようかと思った事項を幾つかもう会長からお答えいただきました。
 今の会長のお話の中にありました実施命令について、郵政省は出すつもりはおありなのでしょうかどうか、お尋ねいたします。
○政府委員(江川晃正君) 今回行われることになりますNHKの映像国際放送につきましては、短波につきましては大変長い、深い経験がございますし、ノウハウの蓄積もございますが、映像の方は初めてになります。そういうことでございますので、ただいまもお話がございましたが、まずはNHKが自主的に実施してみるということでスタートを切ってもらおうかと。その自主的なスタートの中で実施状況をいろいろ見させてもらう。
 一つには、受信状況がございますし、視聴者からの反応もございますし、実施に要する費用がどのくらいということがいろいろ出てまいると思います。また、諸外国によるこの種の映像放送の実施状況というもの、国際情勢、いろいろございまして、そういったようなものを全部見て、かつ現にやっております国際短波の放送、これとの役割分担をどうしていくのかといったようなことも十分見定めてから、必要な場合にはこの放送についての実施命令を出していくという形になろうかと思います。
 また、そういう面につきましては、いろいろと予算もとらなければならないこともございます。いろいろなことと相まって準備態勢を整えてからやっていくのがいいのではないかなと考えているところでございます。
○加藤紀文君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、国境を越えるテレビが認知されたことは評価できると思います。これからもいろいろ諸問題あると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
    ―――――――――――――
○委員長(森暢子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉川博君が委員を辞任され、その補欠として陣内孝雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
○岡利定君 岡でございます。
 私は、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。
 まず最初に、今回の改正法案の提出理由でございますが、この資料によりますと、「国際化の進展にかんがみこと、大変抽象的に書かれておるわけでございますけれども、このような改正を必要とする背景的な事情あるいはその必要性について、もう少し具体的にお教えいただきたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) お答え申し上げます。
 背景事情を一言で申し上げますと、国際衛星通信事業分野における環境の変化ということになろうと思います。
 これ、大きく二点に分けてさらに御説明いたしますと、従来、国際通信用の衛星はインテルサットが独占的に提供してまいっております。しかし、一九九〇年前後であったろうと思いますが、インテルサットとは別個の民間の通信衛星、これを別個衛星というふうに呼んでおりますけれども、別個衛星が登場してまいりまして、既に欧米諸国におきましては別個衛星を運営する者が直接国際通信サービスを提供することを認めてきているという事情がございます。
 それに伴いまして、インテルサット自体も別個衛星との調整手続を、従来大変厳しかったわけでありますが、簡素化するなどしておりまして、別個衛星と共存していく姿勢を打ち出してきております。したがって、別個衛星自体がインテルサットとともに国際通信事業を行うものといたしまして国際的な認知を受けつつあるというふうに把握しておるわけであります。
 一方、利用者サイドのニーズでありますが、我が国の利用者におきましても、例えば国際的な映像情報の送受信を行っております放送事業者の方々を中心に、別個衛星の特徴でありますが、小さな地球局で通信が可能なという特徴を生かしまして、ぜひ使いたいというニーズが出てまいっておるわけであります。
 こういう事情を背景にいたしまして、今回の制度改正におきましては、我が国におきましても国内衛星通信事業者の衛星も含めて別個衛星による国際通信サービスの提供ができるようにしたい、これが一点であります。
 また、これによりまして、先ほどもちょっと触れましたが、別個衛星の特徴を生かした多彩でかつより低廉なサービスが提供されることになって、ひいては利用者の利便の向上あるいは衛星通信事業そのもののより一層の活性化につながるものであろうということを期待しているところであります。
 以上が背景でございます。
○岡利定君 この法律の内容でございますけれども、電気通信事業それから電波利用におきまして外国性の排除の緩和というのが内容であると思いますが、それは我が国の通信事業政策上、大変大きな意味を持つものだと私は思います。
 国際衛星通信に限ってでございますけれども、外国の事業者そのものが我が国の電気通信市場に直接参入するということを初めて認めるというものでありまして、我が国の通信主権にも関連するものではないかと思う次第であります。
 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、従来、通信主権というのは独立国家として重要な要件の一つとされてきております。国際電気通信連合憲章前文におきましても、その十分な承認というのが明記されておる次第であります。
 通信主権との関連において、外国性の排除というのがあると思うわけでありますが、以前は非常に厳しく運用されておりましたけれども、近年では相互主義というのを基本にしながら、例外を認めるなどの緩和の傾向が出てきておるのではないかと思っております。今回の改正は、我が国の通信事業への外国人の出資制限などの緩和以上に大きな意味を持つものじゃないかというように私は思います。
 いずれにしましても、国際化の進展に即応するための措置と思うわけでありますが、今日の状況下での通信主権の意義、それから電気通信及び電波利用面の外国性排除のあり方について、大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(日笠勝之君) 電気通信は、国民経済や国民生活を支える、人間の体でいえば中枢神経的な機能を持っておると思います。国の安全の確保などの観点から、電気通信事業については一定の外資規制をすることは必要である、こういう認識は今までどおりでございます。また、電波利用につきましても、電波が有限希少な資源であるということ、自国民が優先的に電波を利用できるようにするため外資制限が必要であるということも御案内のとおりでございます。
 なお、国際的にも通信分野の外資規制は通信主権の観点から認められておるところでもございます。
 今般の法改正は、国際衛星通信をめぐる環境の変化に対応いたしまして、近年、諸外国が外資規制を行わずに参入を認めておるところの別個衛星事業、非インテルサットに限りまして外資規制を廃止するものでございまして、さきに述べました基本的な考えはあくまでも堅持していく、こういうことに変わりはございません。
○岡利定君 この法律改正によりまして、外国の衛星通信事業者が日本の国際通信市場に事業者として参入ができる。逆に、日本の事業者がその国の市場に参入できることになっているかどうかというのが、法文上は相互主義というふうな言葉がはっきり書かれておりませんので明確じゃないわけでございますが、この点についてはどのように考えればよろしいのでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) 国際衛星通信に関します諸外国の制度がどうしても国によって異なっている面がございます。したがって、少し具体的な例でもってお答えしたいと思います。
 一つのケースは、アメリカ、イギリスそれからフランスなどの欧米先進諸国の例でありますが、これらの国は外資規制をしないで別個衛星事業の参入を認めてきているということであります。それから、アジア・太平洋地域でありますが、オーストラリアでありますとかニュージーランドのほか、東南アジア諸国の範疇に入りますフィリピン、インドネシアなどは一定の範囲で外国事業者の参入を認めている、こんな実情にございます。したがって、基本的には我が国の衛星通信事業者もこれらの国の通信市場に参入すること、これは十分可能であるというふうに認識いたしております。
 それから、お示しの相互主義の観点でありますが、現在の国際的な議論の流れを少し申し上げますと、相互主義によりまして二国間のみで利害の調整を行うということにつきまして、世界的な規模での相互依存関係が深まっている国際化の現状にそぐわないのではないかという議論が強く出されておりまして、現にガットの場におきましても今後の世界経済の一層の発展を図るという観点があるわけでありますが、この相互主義の考え方よりもむしろ市場開放ができる分野については相手の国を差別しないでいわゆる最恵国待遇というふうな前提で議論が行われている。まだ最終結論は出ておりませんが、そういう流れにあるという事情もございます。
 ただ、現実問題といたしまして、これは我々の実際の行政姿勢でありますが、自分の国の市場を閉じたままで我が国の市場のみに参入するという国がもし多いとしたら、これは実際問題としては好ましいことではありませんので、そういう例がもしありました場合には、できるだけ開放を行うよう我が国としても相手の国に積極的に働きかけていくという姿勢はとりたいというふうに考えております。
○岡利定君 ぜひ、そういう姿勢でこの問題に対応していただきたいと思います。
 先ほど、今回の法律改正の背景の中でインテルサットとの関係について松野局長からお答えがありましたが、我が国はこれまで世界各地との衛星通信にはインテルサット衛星を使ってきたわけですね。しかし、去年の九月ですか、KDDとITJから出された非インテルサット系衛星の利用申請というのを郵政省が許可されました。また、今回のこの改正によってさらに非インテルサット系の衛星の利用が進むと思うわけでありますが、先ほどのお答えにありますように、これはアメリカを初めとしての世界的な動向であるということでございます。
 インテルサット体制というのは、これまで世界の国々が平等に通信手段を利用できる機会を提供するために大きな役割を果たしてきたと思うわけでございますが、非インテルサット衛星の登場という新しい状況にあって、インテルサットの役割というのは今後どういうようになってくるんだろうかという点について郵政省のお考えをお教えいただきたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) インテルサットの使命につきましては、今、岡先生から御指摘をいただいたとおりでありまして、一九七三年に設立されまして以来、世界のいかなる国も無差別に利用できるただ一つのグローバルシステムといたしまして、特に国際的な電話網の整備に大きな役割を果たしてきているということでございます。
 一方、別個衛星でありますが、これは国際的な映像伝送でありますとか、VSATと言っておりますが、小型地球局による多地点間の通信、これらの企業向けの専用線サービスを中心といたしまして事業展開を実施あるいは計画中であるわけでございます。
 したがいまして、こうしたグローバルシステムとしてのインテルサットの役割というのは今後も変わらないものである。それぞれの衛星の特徴を生かしたサービスを提供することによりまして、このインテルサット体制と別個衛星が共存共栄を図っていくものであろうというふうに考えております。
 もちろん、専用サービス分野等ではこの別個衛星とインテルサット衛星は一部競合することは当然あり得るわけでありますが、先ほど申し上げましたように、国際通信手段、特に電話サービスを中心とした国際通信手段を全世界に提供するというこのインテルサットの役割は基本的に変わらないし、むしろますます重要になってくるのであろうというふうに思います。
○岡利定君 今度、この改正案が成立した場合ですが、どのような外国事業者がいつごろ日本の市場に参入するというようにお見通しでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) これも少し具体的な説明にわたりますが、アジア・太平洋地域の現在出ております主な別個衛星計画といたしましては、もう間もなくでありますが、六月二十日に打ち上げ予定のパンナムサット衛星、これは米国の法人であります。それからアプスター衛星、これは香港法人であります。それからアジアサット2号衛星、これも香港法人でありますが、それらの衛星がラインアップされておるわけであります。
 このうち、パンナムサット衛星でありますが、我が国の国際通信分野への参入を明確に希望しておりまして、既に郵政省にも訪問してきているという実情にございます。
 また、先ほど申し上げました香港法人のアプスター衛星でありますが、これらもアジア最大のマーケットであります我が国を含めたアジア地域での事業展開を計画しているやに伺っております。
○岡利定君 今度の法律改正にあわせて、日本の国内衛星通信事業者が国際衛星通信の分野に入っていくことも可能にできるよう制度改正をやるというふうにも伺っております。従来の国内と国際の分野区分をなくそうというものであって、第一種の事業者にとっての初めてのものであって、これまた大きな意味を持つものじゃないかなと思っております。
 いずれにしましても、今おっしゃいましたように、アジア・太平洋地域では通信衛星の打ち上げ計画がかなりある。そうなると、我が国とアジア・太平洋諸国との間の通信をめぐって内外事業者の間の激しい競争が予想されるんじゃないかなと思うわけでありますが、そういう中にあっての日本の事業者の競争力というようなものについてどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(松野春樹君) これは、やはり明るい期待を寄せたい面と、実際問題としてなかなか厳しいぞという面と両面あろうかと思います。
 日本の衛星通信事業者も、いろいろな経緯がございましたけれども、これまでの国内衛星通信事業でビジネス上のノウハウでありますとか営業力は培ってきておりまして、それなりに力を有しているということは間違いないと思います。
 したがいまして、今後、国際通信市場におきまして外国の衛星通信事業者と競争する場合において、ユーザーのニーズから考えますと、日本企業のグローバルなネットワークの構築等において各事業者の力がいかがであるかということを当然ユーザーは見るわけでありますが、システム構成のコンサルティングを含めていろいろユーザーのニーズに適合したきめ細かいサービス提供は私は可能であるというふうに考えております。その面での競争力は十分あるであろうというふうに思います。
 ただ、現在の国内衛星通信事業者が抱えておりますのはコスト負担でありまして、これは過去に事情がございまして、ちょうど今使っております衛星というのがドル換算で一ドル二百五十円当時に調達した衛星であります。現在と比較して、当然おわかりいただけると思いますけれども、非常にコスト負担が高いものになっておるわけでありますが、近く打ち上げられる例えばJCSAT3号というふうな衛星におきましては、現在の状況を考えますと当然衛星の調達コストも比較的安くできるのではないかというふうに考えられます。
 それからもう一つは、技術がやはり日進月歩の世界でありますから、最新のディジタル技術を用いた回線容量の大きい、したがって機能の高い低コストのものがこれからの衛星調達としては期待できるのではないかというふうな事情もあります。それがひいては経営の効率化でありますとかコストダウンにつながるわけでございます。何といいましても、コストダウンによってトランスポンダーの利用料金が競争力ができるようにするというのが第一義であろうと私は思います。
 率直に申し上げて、現在の日本の国の衛星通信料金、トランスポンダーの料金は、もちろん衛星そのものの画一性といいますか質に非常に重点を置いてやっていることも理由の一つでありますけれども、しかしそれにしても例えば年間使用料三億円あるいは六億円、トランスポンダー一本当たり、これではやはり少し問題があるという認識を事業者の方々も持っておられるようであります。
 先ほど申し上げましたようなディジタル化でありますとか調達コストの関係、あるいは本体の経営効率化とか、いろいろ配慮して、これからその面の競争力を一層高めるということもまた大事な課題になってくるのかなというふうに感じております。
○岡利定君 国内事業者の育成の面の方にもぜひお力添えをいただきたいと思う次第であります。
 ところで、今回、外国の事業者の参入が認められるのは公衆網との接続のない形で国際専用線サービスに限定するというように伺っております。これは仮定の話ですのでお答えしにくいかもわかりませんが、専用線サービスだけの限定というのは、法文上ではなくて、法の運用上の措置でやられるということになっておるわけであります。となると、参入してきた外国事業者が新たな業務をやりたいという要求を出してくる可能性もあるんじゃないかと思うわけですけれども、郵政省としてはどのように対応されていくつもりか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) 公衆網との接続の制限についてでございますが、現実の別個衛星に対する利用者のニーズが、先ほど来御説明申し上げておりますように、映像伝送やVSAT等の専用線サービスであるということが一点ございます。それから、これは国際的な認識でありますが、インテルサットヘの悪影響を与えないようにするという理由から、諸外国におきましても公衆網との接続を制限していることも事実でございます。
 以上の二点を考えて、今回の運用措置でスタートしたいということで判断しておるわけであります。
 したがいまして、こういう通信の世界でありますから、今後またいろいろな動きがあるいは出てくるかもしれません。これは当然予想しておかなきゃいかぬことでありますが、こういう利用者のニーズの動向が今後どうであるかという点が一つ。
 と同時に、先ほど申し上げましたインテルサットヘの悪影響、全世界へ電話ネットワークを差別なく提供するというこの役割の重要性というものも十分あるわけでありますから、そういうことを踏まえた国際動向の変化というものにつきましては十分注視して、もし何かそういう変化があった場合にどうするかということをその時点でまた我々も政策的な検討をすることになるといいますか、現時点ではまだそういう動きになっておりませんで、今回の私どものとった措置で十分国際的にも通用する政策であろうというふうに考えております。
○岡利定君 最後に、今公衆網と専用線との接続の関係が一つ大きなテーマでありますので、お聞きしたいと思います。
 いわゆる非インテルサット衛星回線と公衆網の接続ということについては米国でも問題になって、一九九二年の三月にFCCが、一九九七年一月までに国際衛星システムと公衆網との相互接続に対する制限の完全な撤廃という目標を決めたというように聞いておるわけであります。
 アメリカとしてはそういうような方向が打ち出されておるわけでありますが、いわゆる公事接続といいますか、公衆網と専用線の接続問題というのは通信事業政策上の基本にかかわる大変重要なものであると思うわけであります。
 郵政省では、現在、国内通信の分野において検試されておって、既に事業者や企業、ユーザーを対象とした聞き取り調査も始めておられるとの報道があります。
 そこで、国内及び国際通信分野におけるいわゆる公事接続についての郵政省の対応なり考え方をお伺いしたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) 今、御指摘をいただいたとおりの経緯でございます。
 公事接続問題につきましては、これによりまして電話が安く提供されるというふうなことになると、電話を主たる収入としておるNTTあるいはKDD等の第一種電気通信事業者の経営に支障を及ぼすおそれがあるということで、関係事業者の契約約款において制限されてきている制度でございます。法令上の問題ではありませんが、契約約款において制限されてきている。その御審議の当時、昭和六十年等の法改正でありますが、衆参両院からもその旨の附帯決議をいただいておる問題であります。
 しかしながら、最近ちょっと情勢が変わってまいりまして、一点は、経済界を初めとする各方面から公事接続に対する強い要望が出てきております。それからもう一点は、諸外国におきましてもこの制限緩和の動きが生じてきております。例えますと、アメリカあるいはイギリス、カナダ等は既に国内におきましても公事接続を解禁しておるとの情報を得ておるわけであります。
 したがいまして、公事接続の今後のあり方は大変大きな大事な問題でありますから、現在、関係者の意見を慎重にお伺いしながら検討を進めてまいっているところでありますが、その検討のポイントは、当時やはり当院でも附帯決議を賜りましたように、経営に著しい支障を及ぼすか否かということの判断をどうするかということであろうかと思います。
 特に、NTT及びKDDその他もあまねくユニバーサル的なサービスを会社法で義務づけておりますので、電話網を中心とするそういう課題といいますか使命について著しい支障があっては困るわけであります。その辺のところを今つぶさにヒアリングを行いながら勉強しておる段階でございます。
○岡利定君 終わります。
○山田健一君 私は、きょう、放送法の改正についてお尋ねをいたしたいと思います。
 きょうは、川口会長、NHKの方から海老沢専務理事、そしてまた民放連から磯崎さん、大変お忙しい中を御足労いただきましてありがとうございました。
 大臣の方からも、先般、放送法の一部改正に当たって放送による情報の国際交流を促進する、これは今回の一つの大きな目的になっておるわけであります。
 先ほど加藤委員の方からも、こういった放送を取り巻く状況の中で、郵政省として今日の状況をどう認識して、そしてまた今後どう対応していくのか、基本的な部分について御質問がありましたので、私の方からはまずNHKと民放連の方に基本的な考え方をお尋ねいたしたいと思っておるわけであります。
 今回のこの法改正によって映像による国際交流、こういうことになってくるわけですが、NHKは委託によって受託協会国際放送、一般事業者、民放は委託によって受託内外放送、まさに国際テレビジョンの放送新時代を迎えようとしております。
 こういう状況の中で、NHKにお尋ねをいたしますが、今まで短波によるラジオ・ジャパン、あるいはテレビ・ジャパン、それぞれアメリカ、欧州と展開をされておりますし、今回新たにこういう形の業務が導入をされていく方向になろうといたしております。今日のこういった放送を取り巻く状況の認識と、そしてこういう状況の中でどう対応されていこうとするのか、まずNHKの方から基本的な考え方についてお示しをいただきたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 現在の日本が置かれている状況、それから国際的な放送の状況等々を考えますと、NHKもできるだけ早く映像国際放送というものを実施しなければいけないと前から思っていたところでございます。ただ、実施に当たりましてはいろんな条件がございますので、国会の御論議を踏まえて私どもは段階的に、しかし確実に映像国際放送を実施していこう、こう思っております。
 したがいまして、今回の法改正は、そのことについて一つの大きなステップを踏み出したものというふうに言えると思いますので、私どもとしてはこの機会にNHKの映像国際放送を一歩前進させたい、こう思っております。
○山田健一君 わかりました。
 それで、民放連といいますか民放の方にしてみれば、今まで国内、地上波、こういう形できておりまして、今回の改正によってまさに状況も国際化の中で衛星によるこれから情報の伝達、海外への発信という状況になってくるわけでありまして、新たな民放における衛星時代にも入っていくのかなと。
 これはもちろんCSでやるという話でありますけれども、こういった状況について、民放として新しいこういった時代に向けての認識と今後の対応について、基本的な考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(磯崎洋三君) 今、御指摘のとおり、世界的に見まして各地域で国境を越えたテレビの放送が実現をいたしておりまして、まさに自由な情報の交流はだれもとめることのできない大きな世界の流れになっているというふうに基本的認識をいたしております。
 我が国がこういった状況の中でどのように対応すべきであるかという問題につきましては、御存じのとおり、一昨年以来、郵政省を中心にいたしまして研究が進みました。私ども一般放送事業者も十分に意見を述べさせていただいて今日に至っているという状況でございます。
 ここで申し上げたい点は、これからの時代というのは自由な情報の交流、その実現ということがまず基本であろうということでございます。今回の法改正では、その点で我々の考え方が十分におくみ上げいただけたというふうに考えております。
 私ども一般放送事業者は、受託内外放送という形で、国内国外を対象にいたしまして人工衛星を使った映像国際放送が可能になったわけでございますので、これからどのように対応していったらいいかということで具体的な検討に入ってまいりたい、新しいチャレンジとして十分な検討をこれから加えてまいりたいというふうに考えております。
 まだ制度の枠組みが法案の形で示されたばかりでございますので、今すぐに事業化を図るわけにはまいりませんけれども、それぞれの一般放送事業者が国際的な現在の動向を十分に見きわめながら、さらにこの問題について研究をしていくことになろうかというふうに思います。
 御指摘のとおり、私ども放送を取り巻く環境は大変に激しく変化をしておりますけれども、国民生活に欠かすことのできない放送事業に携わる者といたしまして、その使命を十分に深く認識をいたしまして、またあわせて日本の国際化という状況も踏まえまして、民放とNHKの併存体制という我が国の放送体制の中でさらに一層努力を払ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○山田健一君 ありがとうございます。
 それでは、NHKの方にお尋ねをいたしたいと思います。
 今、一般放送事業者、民放の方はこれから具体的な検討に入るということで、すぐ事業化ということには状況を少し見きわめてというお話でありました。
 NHKの場合は、さっきも言いましたように、既に短波による放送、そしてまたテレビ・ジャパン、こういう衛星による国際放送のスタートを切っておるわけでありますが、大体いつごろから、どの地域を対象に、とりわけ先ほどからAPTの話も出ておりましたけれども、アジアを対象にしてどういう形でこれから取り組まれようとしておるのか、現段階でわかる範囲で結構ですからお示しをいただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 映像による国際放送につきましては、当委員会でも昭和六十三年から附帯決議の形で映像メディアによる国際協力の推進ということでその推進方を要望されております。
 そういうことで、NHKといたしましては、三年前からアメリカとヨーロッパにそれぞれ現地法人、通称テレビ・ジャパンという形で番組の提供をしてまいりました。この三年間でかなりのノウハウといいますか経験を積み、実績を上げつつあります。このテレビ・ジャパンにNHKの番組を乗せるといいますか、これと一緒になって映像国際放送を今のところ来年の四月からとりあえずこのテレビ・ジャパンを通じてやっていこうというふうに考えております。
 このテレビ・ジャパン事業というのは、三年間やってまいりましたけれども、非常に厳しいわけでありますが、これからNHKが映像国際放送に本格的に乗り出しますとさらに普及が促進されるだろうというふうに考えております。
 内容、編成をどうするか、この一年かけて勉強するつもりでおりますけれども、今のところ一日三時間から四時間放送したいと思っております。特に、日本の実情を知らせるニュースあるいは国会の模様とか、いろいろ動きがありますれば国会中継等も交えながら弾力的に運用しますけれども、とりあえず三時間から四時間放送したいと考えております。
 それから、今先生御指摘のアジアにつきましては、数年前から番組の提供という形で、夜七時のニュース、あるいは衛星第二放送でやっております「トゥデーズ・ジャパン」とか「ジャパン・ビジネス・トゥデー」とかといういわゆる英語版ニュース、これは日本に住んでいる外国人に放送しておりますけれども、これは日本語と英語の二カ国語で放送しております。これを今アジア向けに一日二時間程度、番組提供という形で十四の国、地域の十五の放送機関に番組発信という形で提供しております。そのほか、関連団体を通じまして、アジア各国に年間一千本以上の番組を無償の提供あるいは有償の販売という格好でやっております。
 アジアにつきましては、先ほどから出ておりますように、国際放送といいますか国境を越えるテレビについての国際ルールがまだ確立しておりません。そういう面で、これから番組の基準といいますかガイドラインをつくるように努力いたします。
 アジアは一つという考え方はありますけれども、他方、文化的、宗教的あるいは伝統的価値観とか、人種、言語、いろいろ多様であります。そういう中でいきなり映像国際放送をやりますと、日本からのいわゆる文化侵略とか、そういう懸念が表明されますので、やはりアジアに対しましては国情なり相手の国民感情を十分に配慮しながら段階的に進めていきたいと。
 とりあえずはそういう今の番組発信を来年度さらに強化して、段階的に進めていきたいと思います。そういう一つのルールなりあるいはまたアジア各国の情勢の変化等を見ながら本格的な映像国際放送を進めたい、そのように考えております。
○山田健一君 かなり全般的に今御答弁をいただきましたが、前段の部分で、テレビ・ジャパンにある意味じゃ乗せて、今までの経験を生かしながらやっていきたいと。結局、そうすると短波の方はこのままラジオ・ジャパンはずっといくんだろうと思います。それから、映像の関係について、今回こういう新たな業務をテレビ・ジャパンを通じてアジアの場合は今お話がありましたように番組提供と。
 既存の、例えばテレビ・ジャパンは全部この業務に吸収をしていくのかどうなのか。あるいはまた、短波によるラジオ・ジャパンのあり方については今回の映像放送によってこれからどうなっていくのか。その辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(海老沢勝二君) 一点目のラジオによる、短波による国際放送は、御承知のように昭和二十七年の二月からもう四十数年やって、かなりの実績を上げております。現在、一日六十五時間の放送をしております。二十二の言語でやっております。去年から比べますと五時間ほど時間数でふえております。これによって、短波による国際放送も主要先進国並みの水準といいますか実績に近づいたということであります。
 御承知のように、百八十数カ国の国がありますけれども、そのうち短波による国際放送は九十カ国でやっております。現在では、NHKはアメリカ、中国、ロシア、イギリス、ドイツ、エジプト、北朝鮮、インドに次いで第九位になっているということであります。
 そういう面で、国会の決議も踏まえて、年々短波による国際放送を充実しております。そういうことで、この水準は維持していかなきゃならぬだろうと思っております。
 それと、二点目のテレビ・ジャパンをどうするのかということでありますけれども、これは株式会社として商業ベースでやっておりますけれども、我々NHKが現地法人に業務を委託して、共存といいますか併存体制で事業を進めたいと思っております。
 将来はいろいろ方法があろうかと思いますけれども、この経験、ノウハウを生かしながら、一緒になって事業を進めていきたいと思っております。
○山田健一君 そこで、今回のこうした新しい国際放送業務をするに当たって、先ほど加藤委員の質疑に郵政省の方から、経費と財源についてということで、まだ確定はされていないけれども大体十億か二十億ぐらいじゃないかというお話があったんですが、この辺についてNHKはどのように見通しておられますか。
○参考人(海老沢勝二君) 経費につきましては、放送時間数あるいは内容等によって若干変わると思いますけれども、今のところ十億から二十億の範囲だろうというふうに試算しております。
 といいますのは、今のNHKが総合、教育、衛星第一、第二、四つの波で放送している中から抜粋して、その中のいわゆる外国向けに放送するために割合に経費を安くできるだろうと見ております。将来、これを各国向けに独自の番組をつくりますとかなりの経費がかかると思います。ですから、当面はこの四波の中からすぐれたものを編成していきたいと思っております。
 それと同時に、二カ国語放送といいますか、各国語放送をしていきますとさらにかなり加算すると思いますけれども、今のところ十億ないし二十億の範囲で考えております。
○山田健一君 その場合の財源の問題なのでありますが、NHKの場合は受信料ということが基本であります。ラジオ・ジャパンの場合は、これは命令放送との関係もありますが、地方交付金が十八億ですから約百億円ぐらい、九十七、八億ぐらいかかってやっておる。今回、どうも聞いてみると、そうした交付金はないのかなという感じもしておるんですが、ここら辺について、受信料で結局賄っていくという基本的な仕組みになりますね。
 そのことについて、海外で情報をいただく受け手の方はそれはなるほど助かるでしょうね。その場合の国内での視聴者は受信料でこれを賄っていくということについて本当にやっぱり理解がいただけるのかどうか。
 以前に私は、これは平成二年でありますが、川口会長の前でありますけれども、当時、これからの国際映像サービス、これをやっていくのに資金調達を含めた大変な実施体制をどうしていくのか、これから膨大なやっぱり資金がかかるであろうということで、実はそのときに場合によっては第三セクター的なものを設立して、これからそういうものに取り組んでいかなきゃならぬかなということで、当時にしてみればいろいろな状況が若干今とは違ったのかもしれませんが、それを検討するという、そういう実は答弁もいただいておるわけであります。
 問題は、そうしたこれから映像の国際放送をやっていくという場合の経費と受信料のあり方、そしてまた、今回どうも法改正で大臣の実施命令が及ぶということになっているようでありますが、国の交付金との関係というものが当然出てくるわけであります。これは後で郵政省に聞きますが、NHKとして、受信料との関係でこの国際放送についてどのような今考え方を整理をされておられますか、お尋ねをいたします。
○参考人(海老沢勝二君) この経費の問題は非常に大きな問題と我々受けとめております。いずれにしても、限度があろうかと思っております。当面十億ないし二十億でスタートするわけでありますけれども、さらにこれを充実すれば五十億、百億になるだろうというふうには思っております。
 といいますのは、この事業を全世界にネットワークで結ぶということになりますと、先ほど言いました中継機といいますかトランスポンダーの使用料、使用料といいますか、七つぐらいのトラポンを借りなきゃいけません。そうしますと百億近い経費がかかるだろうと。それはどの辺に設置するかはこれから各国の事情なり、あるいはそういう衛星放送といいますかトラポンのこれから打ち上げの状況を見なきゃわかりませんけれども、いずれにしてもかなり先のことと思いますけれども、その段階でまた改めてこの事業は考えなきゃならぬだろうと思っております。
 しかし、当面は段階的にやっていくために、我々はお納めいただいた受信料の範囲内で運用していった方がいいんじゃなかろうかというふうには今のところ考えております。どの時期でそれを再検討するかはこれからの運用を見ながら考えていきたいというように思っている次第です。
○山田健一君 結局、当面は十億か二十億ということですが、今お話がありましたように、これはラジオ・ジャパンだけで約百億ということでありますから、やっぱりこれから将来のことを考えますと一番そこが大きな問題になってくると思いますので、今から十分検討いただきたい、このように考えております。
 郵政省にもお尋ねをいたします。
 今回の法改正によって実施命令が同じく及んでいくということになっておるわけでありますが、交付金の扱いはどうなっているのか、今回の法改正によってまた実施命令を出されようとしておるのかどうなのか、そこら辺について郵政省の考え方をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) 最初の交付金の扱いはどうなっているのかということでございますが、交付金の枠組みはまだ予算をとってございませんし、また七年度向けには要求はできないのではないかなと考えておるところでございます。
 二つ目の御質問のところでございますが、命令を出すのはどうなのかということでございますけれども、今回の映像国際放送というのは短波と違いまして初めてやるサービスでございますから、これについてはいろいろな実施状況をとにかく把握しなければいけない。その実施状況といいますと何かやることになりますが、やるというのはまずはNHKに自主的にやっていただくということをベースにして、その中で費用がどのぐらいかかるか、どうやっていくか、短波との関係はどうなるのか、いろいろなことをしながら把握して、さらにこれをどう進めていくかということを考えていかなければいけないな、そう考えております。
 とりあえず命令を出すという以前に、命令を出すというと言葉はちょっときつうございますが、命令放送をお願いする以前に実情を把握しなければならないことがたくさんあるということを申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、費用のことにつきましては諸先生からも実は話が出てございまして、交付金というのがとれれば最高だけれども、わき道から何か応援できる方法はないのかというようなこともございます。これはよい意味ででございます。変な意味ではございません。例えば翻訳をする、そこに何か応援できないかとかいろいろございますから、そういう検討もしたらどうかというふうに諸先生方からも言われておりまして、そこのところも含めましていろいろ応援の態勢を考えていきたいなと思っておるところでございます。
○山田健一君 今おっしゃったように、言ってみればNHKの自主性、主体性、番組の編集権というようなものもきちっとやっぱり尊重しながら、そういったいい意味での対応の知恵をぜひ出していただきたい、こう考えておるわけであります。
 次に、きょうは民放連の磯崎会長さんにお見えいただきました。ちょうどこの前、森参議院逓信委員長も参加をされて第六十九回放送記念日の式典が盛大に開催されました。その席で磯崎民放連会長さんの方からごあいさつがあったということで、大変いいことが実は報道されております。
 NHK、民放はそれぞれ経営基盤は違うが、協力して衛星、地上波を総合する新しい放送秩序を築いていきたい旨の、趣旨としてそうだったんだろうというふうに思いますが、最近の民放連とNHKとのそれぞれの立場を踏まえた対応といいますか、そういう状況はそれなりに私も敬意を表しております。そういった意味で、民放連の会長として、NHKと場合によっては協力をしながら衛星、地上放送を総合的にこれからの新しい時代に対応していきたいという趣旨の御発言をいただいておるわけであります。
 そういったこれからの国際化、衛星新時代、そういう状況に向けてこれから取り組まれようとする決意なり、この場でおっしゃったイメージは、新しい放送秩序というようなことを御指摘いただいておるわけですが、どういう具体的な中身を考えておっしゃっておるのか、お示しをいただきたいと思います。
○参考人(磯崎洋三君) 私どもは一般放送事業者、民放でございますけれども、先生御指摘のとおり、私どもは民放連として、戦後、NHKと民間放送の併存体制というものはまさに世界に冠たる放送体制であろうと。そして、その併存体制の中で、NHKは聴視料、そして私ども一般放送事業者は広告収入を主たる財源としてそれぞれ経営をしてまいりました。放送としての社会的な役割をそれぞれ協調し合いながら果たしてまいってきたというふうに考えておる次第でございます。
 そして、まさに今マルチメディア時代、また国際化の時代というふうに言われております。私どもも地上波を中心にしてNHKとのメディアの保有のバランスというものを十分にこれから考えながら、衛星放送への受け入れへの参入というようなことも私どもは強くお願いをしているところでございます。
 そういう意味で、私どももこれからの国際映像を通じての国際化に対して極めて具体的にその事業化について検討をしてまいりたいというふうに思いますし、それからその可能性が出てきたところで積極的に日本の情報、日本の文化というものを世界に向けて発信するチャンスを大いにこれからも具体的な形で私どもも検討してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○山田健一君 ありがとうございました。
 もう時間がありません。最後になります。
 これは実はきょうの新聞でありますが、一面に「電話など参入規制撤廃行革推進本部原案」ということで大きく取り上げられております。これは電気通信や放送にかかわる規制緩和を中心にした報道なのでありますが、特に放送の関係で言えば、マスメディア集中排除原則の緩和、通信と放送の融合への対応、放送免許にかかわる規制の緩和等も含めていろいろ指摘をされております。
 今までどちらかというと、ややもすれば規制緩和問題、とりわけ郵政省の場合にかかわる問題については去年から私たちも一連の取り組みをして、やっぱり緩和をすべきところはすべきであるということで、我が党も部会の中で規制緩和小委員会を設置して今取り組んでいるところであります。
 今回示されているのは、言ってみればかなり前進的な思い切った緩和措置も含まれておりますけれども、放送にかかわる分野で「郵政省は強く反発」と新聞の見出しに出ております。これについての見解、それから今後この規制緩和に取り組んでいく基本的なスタンスというものをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) けさの新聞の記事につきまして、私はこれ自身全体をコメントする立場にはございません。
 ただ、ちょっと放送についての話を申し上げる前に一つだけ事実を申し上げさせていただきたいと思いますが、現在、情報・通信作業部会で六月末の取りまとめに向かって取り組んでいるところでございます。そういう意味で、これにつきましては現段階においてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、この新聞記事が本当に事実そのとおりなのかどうか、正確なのかどうか、あるいはこれに書かれている言葉遣いも、何かいろいろ書いてございますが、これがいいのかどうかというようなことにつきましてもいろいろ意見はあろうと思います。
 また、原案という言葉を使ってございますが、本当に原案なのかどうか、原案の意味はどういうことなのかよくわかりません。原案という言葉は、何かいかにもそういう取りまとめがあって、それに対して抵抗すると抵抗する側が悪い印象を与えるような書きぶりでございますから、そういう意味でもこういう言葉でいいのかというような疑問はあるんですが、そういうことのコメントは一切私言いませんで、一切のコメントは控えさせていただいておる。
 そこで、集中排除のことだけについて触れさせていただきますと、我々は情報・通信作業部会に対しても、現実に過去においても二つのことをやっております。
 一つは、集中排除についてはいろいろな段取りでやってきました。そのことを細かく申し上げるのもちょっと時間がございませんが、例えばCS放送においてチャンネルを一人一じゃなくて二までいいですよとか音声だったら六チャンネルまでいいですと、いろいろやってまいりました。それから、衛星の多重放送については、そういうのを排除する、集中排除要らないというようなことをやる、原則を当てはめないとか、いろんなことをやってまいりました。
 さらに、これからいろいろなメディア特性に応じまして、また地域の特性に応じて、今まで集中排除でだめと言っている部分も何かできるようにしていこうじゃないかという基本的なスタンスで仕事を進めておりますし、この情報・通信作業部会にも対応しているところでございます。
 というところが先生の御質問に対する我々の基本認識と御理解いただければありがたいと存じます。
○山田健一君 終わります。
○及川一夫君 同僚の山田議員が放送法関係をやりましたので、私の方からは電気通信事業法並びに電波法の問題を中心に進めさせていただきます。
 まず、電気通信事業法の改正として提案されている内容の問題なんですが、ちょっと見ただけでは外国人が参加することだけのように映るんです。したがって、法改正の内容を次のように理解するが、それでよろしいかということをまず聞きたいと思います。
 それは、国内外の非インテルサット、つまり別個衛星、この衛星通信事業者が国際通信分野にも参加することができる、参加させる、参加できないということを排除するということが一つと、ただし公衆網への接続はさせないという内容になっておる。国際専用線だけの国際通信分野への参加である、こういう提案だと私は受けとめましたが、それでよろしいか。
○政府委員(松野春樹君) 御説明申し上げますと、詳細申し上げるといろいろあるんですが、結論的には今先生御指摘のとおりの御認識でいいと思います。
 ただ、その中で国内衛星通信事業者が国際通信分野に進出できるという部分は、法律改正部分でなくて運用改正でやるということだけつけ加えさせていただきたいと思います。
○及川一夫君 本来、法律としてやるべきかやるべきでないかは施行規則との関係ですから、何となく運用で改正する面と法律で改正する面と二つあるわけです。だから、要するに法律行為か行為でないかということを別にして、意図している内容はという意味でお聞きしました。
 そのことをまず確認した上に立って、先ほども自由民主党の岡さんが指摘をされておりましたが、公衆網への接続の問題、非常に私は重要な問題ではないかというふうに思うんです。
 まず一点は、国内における公衆網から専用線を通って公衆網に接続できるというのは大体いつから郵政省は考えておられるのか。国内線の問題、それをちょっと聞いておきたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) 国内部分につきまして、公−専あるいは公−専−公でもよろしゅうございますが、この問題につきましては、これは先ほども御説明申し上げましたように、関係事業者の方々から慎重にヒアリングを現在行っているわけでございます。
 なぜヒアリングを行っているかという点につきましては、昭和六十年の制度改正の際の国会の御審議の中で、やはり専用線の料金問題も一つはあるわけでございますが、この専用線を太束で借りている方が公衆網と簡単に接続することによって安い電話料金で提供する、そのこと自体は大変結構なようでありますが、全国あまねくネットワークを引くというふうな観点から見てまいりますと、大変これは問題があるのではないかという御指摘を院からも附帯決議の中でいただきました。
 それらも踏まえて、今までそのような運用で事業者が行う契約約款を認めてまいってきておるわけでありますが、この段階になりまして、これは市内料金の問題の議論が始まっていることも一つあります。と同時に、専用線の料金もその後相当程度変化してきているということもあります。それから何といいましても接続には必ずアクセスチャージ、接続料というものが伴います。
 この辺の事業者間の話し合いがある程度道が開けてきた、まだ完全ではございませんが道が開けてきたということもありまして、この公−専について大変利用者の方からニーズの大きい問題、要望の強い問題でありますから、ひとつこの際真正面から取り組んでみようということで現在検討をしておる段階であります。
○及川一夫君 それで、国内の問題はこれからということになるんでしょうが、従来は外国の通信衛星事業者が日本に映像なり通信を行ってくる場合にはKDDというものを通して公衆網につながる、こういう形のものでしたよね。今回の法改正あるいは運用の改正ということになりますと、当然KDDを通さないで、直接通信衛星の事業者の無線局を通して日本におりる、あるいはアメリカに送ることができる、こういうことになるというふうに私は理解をいたしておるわけです。
 問題は国内でも公−専−公、公衆網への専用線からの接続ということが現実的な問題になってきているということになれば、国際専用線を使って、それでいわば公衆網への接続は技術的に可能だという前提に立って受けとめていいかどうかということをお聞きします。
○政府委員(松野春樹君) これはもう先生御案内のように、今回の別個衛星によりますサービスにつきましては、公衆網との接続のない形で専用線サービスに限定するということにしているわけであります。
 仮にでございますが、仮にこの公−専あるいは公−専−公が一般的に開放されたとして考えましても、別個衛星につきましてはインテルサットとの調和の関係がございます。これは大変重い課題であると私受けとめておりますが、この関係から別の取り扱いとする必要がありまして、公衆網を経由する国際通話は可能とはならないというふうに認識しております。これはもちろん政策判断の問題でありますが、国際的な各国の認識も含めてこういう認識が現状の判断でございます。
○及川一夫君 そこで局長と意見の対立というか見解の相違とかいうものが出てくるわけなんですが、日本の電信電話事業というのはどちらかというとアメリカの電気通信事業に追いつけ追い越せというような形のものがあったし、同時に日本の経済とか産業界を終戦のあの荒廃した中からいかにして立ち上がらせていくかという点では、やはりかなりアメリカの電信電話事業というのが見本というかお手本というか、そういうふうになってきた経緯があると僕は思うんです。
 ところで、その公衆網への接続の問題は、既に一九八四年十一月二十八日に当時のシュルツ国務長官、商務長官連名でもって、百回線と限られてはいるけれども、公衆網への接続を許している経過が実はあるわけです。
 そして、最近になって、一九九一年の十一月二十七日に、これは当時の国務長官のベーカーさんと商務長官のモスバッカーさん連名でもってFCCに対して、衛星を通しての公衆網への接続問題について国家的に利益になるという前提で全面開放の問題を要請しているわけです。
 そして、一九九七年の一月までに全面開放ということをFCCとしても検討してほしいということを要請し、そしてFCCは一九九二年三月に、公衆網への接続を一九九七年一月までに自由化するという旨の決定を行っているということがITUの研究雑誌ですか、一九九二年八月の雑誌にコメントが出ているわけです。
 ですから、今提案されている法改正によって国際通信への衛星通信事業者の参入というものが実現をすると、必ず公衆網への接続というものは現実的な課題になってくる。確かにEC関係は今のところないかもしれません。あなたが言うとおりだと思う。しかし、アメリカでは既にそこまで進めようとしている、着々と準備が行われているという現実が報告されているわけですからね。局長程度の答弁で終わらせておいていいのかどうかということは郵政省としてあるんじゃないかという気がしてならないんですが、いかがですか。
○政府委員(松野春樹君) 現在、事業者の方からヒアリングをしておるということを先ほど申し上げましたが、これは当然国内の公専問題だけではなくて国際の公専問題も含めていろいろ事情を伺っておるわけです。
 先生御存じのように、従来から国際間の公専問題はいわゆる国際VANの開放ということで議論されてまいりました。国際VANにつきましては、アメリカの例では、日本のように事業者を一種事業、二種事業という区分でなくて、基本サービス、高度サービス、付加価値サービスと言ってもよろしゅうございますが、こういう分け方をしておりますので、少し事情が違う点もあるわけでありますけれども、いずれにしても、例えば電話、音声以外の面につきましてはデータその他は逐次開放してまいっておるわけであります。
 ただいま私どもが取り組んでおりますのは、一般的な形で国際VANの公専問題、専用線の公専接続の国際VANでありますが、これについては今相当詰めた検討をやはり国内と同じようにやっていきたいという覚悟ではおります。
 ただ、衛星分野につきましては、先ほど申し上げたように、少し特異な状況は、今のインテルサットとの関係で特に音声級の公専問題についてはどうであろうかという点が少し別個の議論として私残るのではないかと。私個人の政策判断として、これが未来永劫絶対どうであるかということではございませんが、当面は少し一般の国際VANの公専開放問題とちょっと区別して扱う必要がある国際的な政策課題がなという認識で申し上げました。
 なお、ちなみに一言付言しますと、現在の国際通信はだんだん光ファイバー網が整備されてまいりまして、過半数は光ファイバー経由で国際通信が行われておるわけであります。衛星の分野はもちろん大事な分野であります。また衛星の特徴も先ファイバーと違った特徴が十分あるわけで、利用が進んでおるわけでありますが、国際通信の全体の中に占めるシェアというのは光ファイバーに比べて低いシェアになっておるということも申し添えておきます。
○及川一夫君 いずれにしても、全然論外ですという形のものにはならないだろう。同時にまた、いろんな問題点、おっしゃるとおりございますから、我々もいろいろ模索をしなければならぬ問題があるなということですし、そういった点を十分ひとつ念頭に置いて検討願いたいということを強く要請しておきます。
 それで、郵政大臣、とにかく今電気通信網というものを利用して、産業、経済はもとより、個々の国民の生活に結びついて利用されていくという時代になってきたわけですね。今までテレトピア計画、百二十その地域の指定、そして稼働しているのが百二十五地域で三百五十四システムも動いているというふうに言われているわけです。
 通産関係で言えばニューメディア・コミュニティー構想というのがあって、九十九の地域、そして三百を超えるシステムが稼働している、こんなことも言われているわけです。そして、これが深かろうが渋かろうが通信ネットワークというものが機能している、こういう状況。
 そして、今国会では盛んに言われているマルチメディアの問題も登場してくる。そして、新聞紙上をにぎわしている簡易型携帯電話の登場という問題も出てくる。それで、国際通信の参入問題としては衛星通信事業者が参入してきて、やがて局長が言う問題点が整理をされて、そしてアメリカで実際に公衆網への接続ということになってくる時代等を考えると、我々が法律ということでは根拠にしている電気通信事業法とか有線電気通信法とか電波法とか放送法とか、こういったものについてはかなり整理をしなければならぬ問題が出てくるんじゃないかということを肌で感ずるのであります。
 事業法第二条の定義的にいうとすべて入っているように思われるんですが、非常にわかりにくいですね。国民の生活に直結するような電気通信事業の展開ということになれば、法律自体ももう少し現状が素人わかりするようなものに変えていかなければいけないんじゃないかなということをつくづく私は思うのであります。
 したがって、必ず全面見直しの時期が早晩来る、こういうふうに思っていますが、郵政大臣いかがですか。
○政府委員(松野春樹君) 最初に私の方からちょっと説明させていただきます。
 大変御示唆に富んだ御指摘であるというふうに思いますが、これからマルチメディア時代に向かって生じてまいります、もう少し直結した私どもの心構えといたしましては、恐らく画像通信が中心になる時代が来るであろう。今、画像といいますと放送系に限られておりますが、通信の中でデータベース等が構築されて自由にユーザーから引き出せる、双方向で引き出せるというふうな形で、そうしますと現在の通信法あるいは放送法のそれぞれの分類だけでは済みませんで、やはりそれが融合した形の法制度というものがいずれか必要になってくるでありましょう。
 これは五月三十一日の電気通信審議会の御答申の中にも触れられているわけであります。第七章でアメリカでも通信・放送の融合型の制度を新しくつくったらどうかという議論が今起きておるような感じがしています。
 ただ、これはお言葉を返すわけではありませんが、通信の秘密という法益を掲げております通信事業と、それから情報をあまねく提供するといいますか広く提供する、逆に公序良俗等の問題もあるわけであります。また、番組編集の自由という問題もありますが、この放送事業の本来の姿といいますか、この必要性というものは、またその性格の違いというものはやはり私は二十一世紀になってももちろん残るものであろうと。
 ただ、先ほど申し上げましたように、非常にネットワークが高度化して、同時にソフト提供の産業そのものが通信事業者であるか否かを問わず大変発達してくるという世の中になってまいりますと、新しい仕組み、従来我々はやむを得ずこれは通信であるか放送であるかという解釈を日常の行政の中でどうしてもやらなきゃいけなかったわけですが、通信放送というのか放送通信というのかは別にして、むしろ融合した形のサービスに的確に行政も対応できるような仕組みを検討していかなくちゃいけない。恐らくその段階では、例えば通信料金も画像通信ということになりますと革命的な料金体系が出てくるような感じもしております。これは、私どもの行政が後追いでおくれ過ぎないように、今の段階から一生懸命勉強してまいりたいというふうに考えておるところで、またいろいろ御指導をよろしくお願いします。
○及川一夫君 郵政大臣、どっちにしても電気通信関係というのは前に進むことばかりであって、後ろに後退するということはないわけですよ。だから、かなり僕らの頭も前へ前へというふうに進めておかないと、今のような問題が出てもなかなか議論の展開が難しくなるということなので、僕は郵政大臣に別に注意、勧告申し上げているわけじゃないんだが、そういう時代に入ってきたということだけはひとつ認識を持ってもらいたい、それで電気通信事業上の指導をしてもらいたい、こういうふうに私は思うんです。
 それで、時間もありませんから、私、最近のいろんな雑誌を見ていて、モトローラ問題というのは一体何だということが非常に問われているわけですよ。
 最近の雑誌に、月刊テレコメントという薄い雑誌ですけれどもありまして、ことしの三月号に、「移動通信摩擦 米国側の要求に屈したIDOの無念」ということが非常に詳細に書かれているわけですよ。
 これは、国内外、どなたが読んでみても、これが事実だとすれば批判が起こるのは当たり前だということと、こういう事態について、神崎前郵政大臣は十五分間のアメリカの政府の代表との交渉で終わってしまったと。郵政大臣ですから、最後の最後ですからそういうこともあり得ますから、別にそれを非難しているわけじゃないんだけれども、問題はやはり内容なんですよね。しかも、モトローラ方式による日本政府との交渉、包括協議、この方法が一番いいと、日本には一番きくという一つの方程式を与えたのは郵政省だということにも実はなっているわけなんですよ。
 今、規制緩和の問題がかなり政治的な問題になっています。確かに緩和しなければいけない。そういう中には通信機器というものも大きな課題としてあるわけだし、魅力のある市場としてIT&T自体が政府の副大統領のところにかなり足を運んでいろんな画策をしているというふうなことが報じられ、あるいは自動車業界、デトロイトにあった本部をわざわざワシントンに持ってきて、それを広く内外に誇示するというか紹介するというか、パーティーなどをやって、そして政府に対してさまざまな問題を持ち込むということにどうもなったようであります。
 その背景には、モトローラ方式による日本政府に対する交渉形態、これをやることが黒字解消にもなるし、アメリカから見て赤字解消にもなるしと、こういうような発想が横溢しているというふうに私は聞いているんですよ。また、物の雑誌によると、そんなことが報じられている。したがって、ここはひとつ我々も過去を振り返りながら、やはりこういったことは許してならないんじゃないかということを実は強調したい気持ちでいっぱいなのであります。
 郵政省からもいろんな資料をいただきました。これにはうそ偽りはないんだろうと思う。例えば、モトローラの提案自身について、基地局の数まで入っています。百五十九局というのが入っている。従来の価格でやれということも要求になっている。それから、四十五日以内にIDOという会社はモトローラに発注しろと。そして、十二カ月以内に受け取れというわけです。ちゃんとつくって送るから受け取れということ。さらには、受け取り後三カ月以内にサービスを開始しなさい。そして、収容可能加入数は四十五万端子ということにどうもなっているようですが、加入者の数は四十五万。その二分の一、二十二万五千の加入者が使う端末機を四十五日以内に発注しろと。そして、十八カ月以内に供給をするから受け入れろということまでこの中に書いてあると私は見ています。実際に書いてあるわけですよ。そうして、これは一体どういう性格を持つのかということが一つ問題になりますよね。
 さらには、「我が国政府は、以下の措置を講じる。」ということになっておりまして、「IDOの計画の達成をモニターしこということですから、我々流に言えば検証しだな。そして、「最後まで見届ける。」という言葉が使われている。要するに責任を持つということでしょうな、これは。それから、「IDOの計画の実施状況を評価するために、四半期ごとに」報告する。それこそ二重、三重じゃないかというようなこと。さらには、「問題が生じた場合には、計画遵守を確保するために、全ての可能な措置を講じる。」と、こういうことも約束されている。一体これはどんな意味を持つんだろうか。さらには、「許可、免許、認可手続きを迅速に進める等の措置を講じる。」ということも約束をされている。他の企業から見たらまさに特別扱いですわな。
 しかも、「全ての可能な措置」ということは一体どういうことを郵政省はやろうとしているんでしょうか。計画がうまく進まないということになったら、どういうことをやろうとしているんですか。融資でもするんですか。融資をするために郵政省は動いてあげるんですか。
 実際問題として六百億の投資額がかかるそうです。当初予定したのはIDOの会社では二百七十億の投資なんです。それがこの要求を満たすことによって三百三十億の過剰投資になるわけですよ。だから、それはIDOという会社の生死に値するぐらいのものがあるし、それは郵政省黙って見ているわけにいかない。何かやってあげないとうんと言わないということになるから、一体どういうことがあるのかということなんかについて物すごく私自身は疑問だらけなんです。
 モトローラという会社は通信機器メーカーです。IDOというのはいわゆるソフトの部分であって、通話を機械的につなぐという意味で、提供してお金をもらっているという関係なんですから、それこそメーカーとの関係で言えばIDOという会社はお客さんで、メーカーであるモトローラはそれこそ業者でないかと。業者がお客さんに押しつける、押し売る、こんなことを郵政省が認めたということになりますと、これはほかにも影響を与えますよ。包括協議はまだまだあるんですから、これから。
 そういうことを考えると、むしろ反省した上に立って、今後通信機器の問題がどんどん来ますから、僕はやってもらっていいと思うんですよ。やってもらっていいと思うが、こういう形態で日本の事業がやりたいほうだいにアメリカからやられるということについては一体いかがなものかという疑問を持つものです。時間がありませんから一応見解を申し述べただけにとどまりますけれども、自後の事態の発展に従って私も意見を申し上げていきたいということであります。
 この点、郵政大臣、御感想持っていますか。
○国務大臣(日笠勝之君) 先生御指摘のとおり、本来、民間企業同士間での問題でありますこの件に関しまして、日米政府間の重大問題、こういうふうにされたことについては疑問なしとはいたしません。しかし、最終的には民間企業間の問題点という原点に戻りまして、民間企業間の真剣な話し合いが行われた結果、IDOとモトローラ社間での合意がなされたということはそれなりに評価をすべきであると考えております。
 今後は、これを機により一層円滑な意思疎通が図られまして、信頼関係が醸成されることを期待しておるところでございます。
○委員長(森暢子君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(森暢子君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に陣内孝雄君を指名いたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(森暢子君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○下村泰君 現在審議されております法案に対して私は何にも異議はございません。賛成の方の立場です。ついでと言っては何ですけれども、アマチュア無線のことについてちょっとお伺いしたいと思います。
 アマチュア無線の技士免許について伺いたいんですが、現在、電波法四十二条の三号、無線従事者規則の四十五条の第一項の二号、三号、そして第二項において障害を持った方の免許取得を制限していますが、その内容と科学的根拠と理由をお示し願いたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) 一般的に申し上げまして、アマ無線に限りませず無線従事者の免許につきまして規定しておるわけでございますが、適正に無線設備を操作するための知識、技能を有する者に与えられるということであります。先生ただいま御指摘の条項の中で、「著しく心身に欠陥があって無線従事者たるに適しない者」は電波法の規定により免許を与えないことができるというふうにされておるわけであります。
 そこで、アマチュア無線の関係でありますが、昭和三十年代から四回ほど改善されてまいってきております。現在の規則といいますかルールは、第一級から第三級のアマチュア無線技士、この第一級から第三級はいわゆるモールス信号を扱う関係でございます。電波の送信力の強さで級を分けでございますが、この方々の資格は聴覚障害のある方、耳の聞こえない人は取得できないというふうにされております。この点の決まりにつきましては、国際条約の規定によりましてモールス符号の受信能力が必要とされるということを受けての規定でございます。
 それから、第四級アマチュア無線技士という制度がございます。これは電話級でございますが、この資格につきましては視覚障害と言語障害がある方は取得できないというふうになっておりますが、これは無線電話あるいは表示画面のある通信設備を扱うということから事実上操作が不可能ではないかということで、こういう規定になっているところでございます。
 現在のアマチュア無線の資格取得に対する根拠とその背景あるいは理由は以上のとおりでございます。
○下村泰君 ところが、こういったことに関しまして障害者の方々はそれぞれに御自分で工夫をなさっていらっしゃるんです。
 この方はお名前を伏せてくれというので特に申し上げませんが、まあAさんとしておきましょう。この方はお年が四十八歳なんですけれども、六歳のときに中耳炎になったんですね。その後、病状が悪化して全く聞こえなくなった。
 この方は昨年十二月に三級のアマチュア無線技士に挑戦した。この試験はモールスですね。モールス通信の実技試験があるため、通常ならば耳が聞こえないためにあきらめてしまうのではありますが、これに果敢にチャレンジしました。Aさんはモールス信号の受信はこんなやり方をしているんです。モールス信号の音を振動にかえる装置を使用しておるんですね。指でその振動をとらえるわけです。これをやりますと完全にモールス信号をつかむことができるわけです。
 試験官の用意したテープレコーダーの前に着席して、おもむろにそのシステムを取り出したところが、試験官は、それは何ですか、この試験は耳で受信する以外は認められません、こう言われました。やむなく装着している補聴器を使い、テープからの音をかなり大きくしてもらってモールス信号を受信したんですが、だめですわな、これは。殊にツー・トン・ツー・ツーの符号の切れ目、これがよくわからないんです。それで無残な結果になって、振動による受信だったら十分にモールス信号を受けることができたと、こういうことなんですね。
 いずれにしても、聴覚障害者がこのように指先で受信しようとした例はないので、早急に従事者規則を改正して、多くの障害者に対して挑戦の機会を与えてほしいというのがこの方の願いなんです。これがまず一つの例です。
 その次に、北大の先生で伊福部さんという方がいらっしゃるんですが、この方が、人の聴覚と指先の触覚における情報処理メカニズムの基礎的研究を通じて、我々は指先の触覚を介して音声情報を伝達させる触知ボコーダを約十六年ほど前に開発し製品化に成功していると。この触知ボコーダは札幌聾学校で一年間にわたり聾児に使用され、そのときの様子は、それこそ川口さん今そこにいらっしゃるけれども、NHKのドキュメンタリテレビの番組で「指で聞いたアイウエオ」というタイトルでNHKはやっておるんですよ。こうして放送されています。
 我々の触知ボコーダは、音声のスペクトルパターンを二百五十ヘルツという低い音から四千四百ヘルツという高い音までを十六段階に分解して、指先に装着した振動子アレイを通じて振動パターンに変換するものであると。この先生は、音刺激、音の刺激というものは聾児にとっては振動としてつかまえることが可能であると。
 そして、この聾学校の子供たち、四人の聾児がおるんです。このときに、この触知ボコーダによる言葉の学習に参加したわけです。そして、初めて振動子に触れたときに、四人の聾児が、触知ボコーダによる言葉の学習に参加してこの方たちがどう答えたかというと、初めて振動子に触れたとき、聞こえると、つまり振動子に触れて音が聞こえるという表現をしているんです。だから、いかにこれがこの方たちにとって音と同じような作用をしているかということがこれをもってもわかるわけです。
 それから、これは聴覚障害者でもって組織しているアマチュア無線士なんですけれども、病気で聴力を失った神戸市の男性の場合は、ヘッドホンをつけてモールスの音を低い周波数にかえて受信し、富士市の男性は符号をブラウン管上に表示する方法で交信している。
 それから、NTTにお勤めになっていた、アマチュア無線歴が三十年でございます馬塚さんという方がいらっしゃるんですね。この方は元NTTのエンジニアです。この方は、パソコン、ファクスなどビジュアルな通信も手がけるが、モールスを主な手段にしたのは、音を振動にかえ、指先などで感知するという方法が、酷使しがちな耳や目に無理がなく、健常者とのハンディがない、世界に通用する、こういうことをこの方は言っておるわけです。
 こういうふうに、この方たちの実績を目の前にさせられますと、果たして今までの法律でこんなふうに取り締まっていていいのかなと、規制していていいのかなというふうに考えられるんですけれども、改正する考えはありますか。
○政府委員(松野春樹君) ただいま先生の具体的な事例の御紹介で私自身も大変勉強になりました。
 過去四回、アマチュア無線関係の技士につきまして一般の無線従事者資格と別に緩和してきたということを申し上げましたが、一番新しい改正は昭和五十七年になります。先生の御指摘もあり、私どもといたしましても障害のある方々から直接ひとつ要望を聞く機会を持ちたいというのが一点であります。
 それから、なお諸外国の状況、あるいは最近特に注目されております、障害者支援器具と言われておるようでありますが、先生も今お触れになりましたけれども、特に聴覚障害の分野で著しい進歩があるようでありまして、骨伝導というふうな言葉もあるようでありますが、音を振動にかえて骨とか皮膚等の感覚で認識するということも随分研究されておるようであります。また、音を光にかえて視覚で認識するというふうなこともあるようでございます。
 一般の加入電話の福祉関係器具につきましては、NTT等も相当一生懸命努力しまして、福祉関係の器具を研究開発し、あるいはいろいろな措置を講じてまいっておりますが、このアマチュア無線関係につきまして、私自身も改めてよく勉強し、また検討してみたいと存じます。
 それから、なお国際条約の関係に一般的な無線技術者の資格の規定がございますが、こういう国際的な関係で今後どういうふうに持っていくのか、やはりこれは問題提起としてひとつ私ども認識しておきたいと思いますし、身体障害者の方々のための器具以外に通信技術というのが日進月歩でありますので、こういう無線設備そのものの操作性の向上の問題等もあわせまして、十分念頭において改善すべきものがあれば積極的に改善してまいりたいという心境でございます。
○下村泰君 時間があともう何分もございませんけれども、とにかくこういったほかに、北大の伊福部さんもこういうことをおっしゃっているんです。
 現在、電気通信術、モールス通信で行っている音響周波数八百ヘルツを、聴覚障害者の場合、低い音、例えば二百ヘルツとしたらどうか。これは、聴覚障害ニ級、三級の方の聴力測定によると二百五十ヘルツの測定でほとんどの方が八十から九十デシベル程度で感知していることが多い。このようにするとモールス符号が受信できると思われる。これが本当に聴覚と言えるかどうかは大変疑問である、こういうふうにおっしゃっているんです。
 ですから、今局長がお答えくださったので、まあまあこれ大丈夫かなと思いますけれども、今度の法改正で果たしてこういうことが緩められるのかどうか。それから、これについて大臣からも一言お答え願いたいと思います。
○政府委員(松野春樹君) 私の方からお答えいたしますが、アマチュア無線技士の関係で、モールス符号関係で第一級から第三級という方がいらっしゃいますが、この分け方自身も少し検討してみたいというふうに事務的には考えております。
 今、ここで法律改正そのものにつきましてまだ御確約を申し上げる段階ではありませんが、先ほど答弁いたしましたように、十分前向きの姿勢でいろいろな勉強と、それから検討を積み重ねてまいりたいというふうに存じます。
 なお、現在の状況ですが、モールス関係の第一級から第三級までのアマチュア無線の資格者のパーセンテージが大体八%程度、それから第四級の電話級の有資格者が九二%程度となっておりますが、まだまだモールス信号によってアマチュア無線の交信を行う方々も相当数おられるということは十分認識させていただいております。
○国務大臣(日笠勝之君) 委員の平素からの障害者に関するいろんな御援言等、敬意を表する一人でございます。
 障害者の方々の社会参加ということは非常に大切なことでございまして、ハードの機器の開発が今非常な勢いで進んでおります。
 先ほど局長も申し上げましたように、NTTの加入電話につきましても骨伝導という、耳の悪い方には骨を通して話ができるとか、また目の悪い方はフラッシュをたいて電話が鳴っているということをお知らせするとか、いろいろな機器が開発されております。いわゆる障害者支援機器でございますが、それらを勘案いたしまして、今後前向きに改善をするよう取り計らっていきたい、かように考えております。
○下村泰君 せっかく川口さんがおいでになっているので、確認だけしておきたいんですけれども、NHKさんにはお百度参りして文字放送その他で大分御無理を願いました。障害者のためには大変協力していただいておるので足を向けて寝られませんけれども、この間お約束した文字放送ですけれども、どのくらいこれからふえていくか、これをまずお聞かせ願いたいと思います。
 それから、この間、孫にも言われたんですけれども、「おかあさんといっしょ」という番組がある。あの番組は比較的健常者のお子さんたちはよく出ているんですけれども、あの中に例えば車いすに乗った子供であるとか、あるいは知的障害を持った子供たちの出ている姿を見たことがない。まさか選定してその子たちを出すというわけにもいかないでしょうけれども、何かそういった意味で、そういう方たちと同じようなレベルの番組を見せてあげるということも必要ではないのかなと。
 この二つだけお聞かせください。それで終わります。
○参考人(川口幹夫君) 視聴覚障害者に向けてのテレビ放送というのは、私ども前から非常に熱を入れて前進をさせてきております。去年からことしにかけても番組をふやしたり時間をふやしたりしてやっておりますが、今後とも拡大していく方向という姿勢は変えないつもりでございます。
 それから、「おかあさんといっしょ」、これは昭和三十四年からのいわゆる長寿番組になりましたけれども、非常にたくさんの幼児の方に出ていただいている、また御家族一緒に楽しんでもらっております。
 この番組の出演者の募集に当たりましては、障害者だから云々ということで一切制限をしたり区別をしたりすることはございません。今までも全く自由に応募してもらっているわけですが、残念ながら今まで余り回数がなかったということでございまして、それでもダウン症の子供さんとかあるいは血液がん、聴力障害、心臓障害の幼児の方が参加をされたというケースもあることはあるんです。ですから、全くNHK側では区別をしないで、できたらそういう方の参加がほほ笑ましい例として見られるようにしていきたいと思います。
○下村泰君 ありがとうございました。
○田英夫君 放送法の一部改正の中の問題を一つに絞りまして伺います。
 改正法の第五十二条の二十七というところに受託内外放送の放送番組の編集準則をつくるということがあって、内容はもう御存じのとおり、国際親善ということで、「外国との交流が損なわれることのないように、当該受託内外放送の放送対象地域である外国の地域の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮しなければならない。」とあるわけですが、大変結構なことだと思います。
 これはどういうねらいというか目的というか、意図でここに入っているのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(江川晃正君) 先生、今御指摘でございますので、五十二条の二十七にどういうことが書いているかということは省略させていただきまして、いずれにいたしましても、諸外国の自然的経済的社会的文化的諸事情をできる限り考慮するよう業務づけているというところが五十二条の二十七でございます。
 このことは、民放事業者の映像国際放送の内容が仮に外国の社会慣習とか価値観等にとって受け入れがたいものがあったりするような場合には、その国からの反発を招くことが懸念されるわけでございます。そのことがひいては深刻な二国間の国際問題にまで発展するということもなきにしもあらずと考えますので、そういうことがないように、よいと思ってやったことがかえって国民に不利益をもたらすということのないように、不利益を及ぼすことのないようにしようという意識、意図、目的を持ってこういう規定を設けた次第でございます。
○田英夫君 よくわかるんですが、例えば現実にいわゆる民放が委託して海外放送をやったと。その番組の中にある国の皆さんの感情を害するような内容のものがあったと。最近も一国の法務大臣が南京大虐殺はなかったというような発言をされて大問題になったということがある。大臣が言われるぐらいですから、一般の皆さんの中にそのような考えの方があることも事実だし、また国会議員の中にほかにもおられることも事実であります。
 したがって、放送のディレクターの中で不用意にそういうことを、相手側の外国の国民の皆さんの心情を配慮しないで放送してしまうということがあり得るということでこういうのが入っているんだと思うんですが、もしそういう放送があった場合は郵政省としてはどういうふうに対応されるんですか。
○政府委員(江川晃正君) 先生、今例えばということでお話ございました永野前法務大臣の話につきましてはここでは触れずに、一般論として触れさせていただきたいと存じます。
 番組内容につきましては、基本的には放送会社が自主的、自律的につくり、放送するということがベースになっているところでございます。そういう自主、自律にゆだねるというのがまず郵政省の基本でございますが、仮に国際親善を損なうような放送、そう決めつけるかどうかは別として、そのような声が上がってくるような放送が行われた場合には、郵政省といたしましてはこの五十二条の二十その規定の趣旨に沿うようにやってくれと。それから、あるいは番組審議会の活用などをして、より一層この趣旨に沿うような放送をしてもらうよう放送事業者に求めていくということにしたいと考えているところでございます。
○田英夫君 大臣、私はこの二つの法律案に反対をして言っているのではないのです。今度、こういう対応をされるということはまことに結構だという大前提の上で申し上げているのですが、同時に一つの心配としてこの問題を取り上げたんです。今の局長の御答弁の中で、大変慎重に、そういう放送がもし行われた場合にはこの規定に従って当事者に要請をするというような意味の答えがあった。
 皆さんお若いから戦争中のことを御存じないでしょうけれども、NHKを含めて、当時はNHKのラジオしかなかったわけですが、いわゆる日本の戦争遂行の宣伝機関になったわけです。私のいた共同通信も同盟通信という名前で、いわゆる国策通信社という形でそういう報道をどんどん流した。あの当時のことですから、ある意味ではそれは当然なんですけれども、しかし戦争中はともかくとして、今の時代に日本政府の意図をプロパガンダするようなことだけが行われているということになると、これはかなり問題だと。さっきのようなことは一つの事例です。
 例えば、今度の北朝鮮の核の問題でも、私は放送を聞いていて、核疑惑と表現をする放送局は、ああ、これは一方的な立場に立っているなとすぐに思います。ある放送局は、北朝鮮の核問題、こういうふうに言う人は、私は、うん、この人は公正な立場に立っているなと。私は北朝鮮にも何度か行っておりますし、この問題についてはかなり一つの知識を持っているつもりでいるんですけれども、今一般にNHK、民放で放送されているあの問題の内容というのはかなり一方に偏っている。つまりアメリカ側の情報に偏っている。
 そう思ってクレジットをごらんになるとおわかりになりますけれども、クレジットというのはワシントン発APとかソウル発UPIとかいう、そういうアメリカ側、韓国側のニュースなんですよ、ニュースソースは。
 これはベトナム戦争のときにも同じようなことがありました。実は、あのときもほとんど八〇%がアメリカのニュースで、北側の北ベトナムないし北京とかモスクワは五%しかなかったというのを東京大学の新聞研究所が一九六六年に調査をして、その結果として私は北ベトナムヘ行って北側から見たベトナム戦争を見て驚きました。
 今の北朝鮮の核の問題についての報道というのも非常に似ています。この問題はこれとは直接関係ありませんけれども、そういうことが示すように、公正な真実を伝えるというのがジャーナリズムの使命ですから、そういう立場からすると、この程度の規定で済むのだろうかという心配が一方であると同時に、もう一つの問題は、何かあったときに政府がジャーナリズム、マスメディアに対して警告をするとか介入をするとかいうようなことになってくると、これは憲法二十一条の言論の自由表現の自由ということに触れてくる。そのはざまのところで非常に難しい問題を含んでいるということを私は申し上げたいわけですよ。
 これも皆さんお若いから、松代の大本営というのをだれが掘ったか。朝鮮の人ですね。数千人の朝鮮の人たちが強制連行で連れてこられて、強制労働で掘らされて、数千の人が死んでいると言われている。このことを韓国の高校は教科書に書いてあるから歴史の授業の中でちゃんと教えている。ところが、日本の高校はこのことを教えていない。
 今から三年ほど前のことですが、夏休みに韓国の高校生を先生が引率して松代を見学に来た。それは、歴史の授業の中で教わったその現場を見ようということで来たわけです。それで、見た後、帰りに東京に来て、私のところを訪ねてくれて、二十人ほどの高校生と話しましたら、非常にいい勉強になったと。松代の近くの日本の高校生と交流をして、これも非常に楽しかった。ただ一つ残念だったのは、その松代の近くの日本の高校の生徒が松代のことを、大本営をだれが掘ったか、どういうことがあったかということを全然知らなかった、これには驚きましたと韓国の高校生が私に話してくれたことがあります。
 こういうような状況の中で番組がつくられていくという、それは御本人の責任じゃない、ディレクターの責任じゃないかもしれないですね。知らないんですから、学校で教えないんですから。これは郵政省の問題というか文部省の問題だけれども、政府全体の問題ですよね。
 そういう状況の中で、そういうことを教わらなかった若いディレクターが番組をつくって、これから日本人の感覚で海外に放送が出ていくということに対して、向こうは教わっていますから若い人たちもみんな知っています、中国でも、東南アジアでも。そういう状況をよほど考えていただかないと、この規定が入ったことはせめてもの救いだと私は思っていますけれども、この五十二条の二十七ということ自体、実はこれを運用するに当たっては政府の不当な介入になってはいけないし、同時に今の実態というものは申し上げたような実態だということを考えると、相手国に対して、ここに書いてあるようなことが守られていくということに対しては、本当にみんなで協力をしてやっていかなけりゃいけない、こう思います。
 大臣の感想を伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(日笠勝之君) 先生のおっしゃることは、私も戦後教育を受けた一人でございまして、実体験がないものですから一〇〇%わかり切るわけじゃありませんが、私も訪中をしたときに向こうの青年といろいろ懇談をいたしましたときに、向こうの青年が言うのは、足を踏んだ人はすぐ忘れるけれども、足を踏まれた人はずっと覚えているんだと。しかし、日中国交回復、また日中の国際親善は大切である云々というふうな話をしたことがございます。
 先ほど松代の話がございましたが、私の岡山県の水島はちょうど工業地帯でございまして、あの戦時中防空ごうを掘ったわけですね。おっしゃるとおり韓国の方が掘ったわけです。それを地元の高校生が、学園祭というんでしょうか、それのテーマにしまして相当詳しく調べました。地元の新聞、テレビに大きく報道されまして、昔のそういう戦時中のことを今の若い人たちもそれなりに努力をしているんじゃなかろうかと思っております。
 結論を申し上げますと、ここにございます諸外国の自然的経済的社会的文化的と的が四つついておりますけれども、この諸事情をできる限り考慮するような方向で今度の番組編集に当たっては要請をするところでございますし、決して憲法二十一条の言論の自由、結社の自由等々を侵害することのなきようこれからも図っていきたい、かように考えております。
○田英夫君 終わります。
○鈴木栄治君 放送法の一部を改正する法律案について一つだけ質問させていただきます。
 今、日本において文化だとかいろんな情報をいろんな人たちに見てもらう、私は大変いいことだと思うのでございます。しかし、これは国民の一人として、小さい子を持つ親として、私ふっと思ったのでございます。正直な話、例えばNHKは見たいと言えばずっと見させますよ、子供にも。私も一緒になって見ています。安心だからです。でも、民放の場合ですと、ちょっと待てよ、これ大丈夫かな、そのようなことがやっぱり頭によぎるんでございます。要するにどうしても不安があるんです。
 例えば、自分の子が家で、おはよう、こんにちは、ありがとう、済みませんをはっきりぴしっと言えば外に出てもはっきり言うだろうと安心するのでございますが、時々言ったり言わなかったり、あるときは何かわけのわからないことを言ったりすると、やっぱり外へ行ってもどうだろうと心配になるのでございます。
 放送基準、こんなのは釈迦に説法ですから言いませんけれども、いろいろありますが、私はNHKの場合はそういう心配をしていないのでございます。先ほどお話もあったとおり、宗教的なものもあるし、例えば暴力、性の表現に対しても違いがあると思うんです。私は特に娯楽面について言っているのでございますが、その辺、郵政省としてどのようにお考えになっているのか。
 例えば、ある国においては胸を出すのは全部出しちゃうとこれはまずい、ところが日本の場合は何かそういうのになれちゃって、胸を出すの当たり前で、最近はもう下を出すのも当たり前だなんというふうになってきちゃっている。これは大変怖いことなんですよね。その辺どうでしょう。
○政府委員(江川晃正君) NHKの国際放送につきましては、現在、四十四条の第四項という、条文の言葉はどうでもいいんですが、文章の中にきちっと書き込んでございまして、それで国際放送をやるに当たっての注意事項が書いてあるわけでございます。
 NHKはただいまのとあわせまして、国際放送をやるに当たりましては、例えばアジアにおきましても完全な国際的な合意がないということは御案内のとおり、申し上げたところです。しかし、この間、四月にAPT国際セミナーでこの問題を扱いましたときには、先生今おっしゃいますような問題点が赤裸々に出まして、そういうことがないような放送を国際交流でやろうじゃないかというふうには合意されてきております。
 そういう意味で、幾つかの原則を定めたわけですが、大原則として自由な情報流通ができるということを原則にしようということが一つ。しかし、その中身として当該地域の国々の社会的、政治的、文化的、伝統的価値の尊重をそれぞれにしていこうじゃないかとか、今先生おっしゃいました不道徳な素材及び過度な暴力の描写の制限をしようとか、子供の教育に悪い番組はよそうじゃないかというような合意ができ上がってきております。
 そういうのをこれから先APTの組織を中心にしまして、NHKももちろん入る、郵政省も入る形になりますが、アジアにおける合意をつくろうということで新しい動きが起こっているところでございます。
 それで、NHK自身は既に四十四条第四項に課せられている放送番組準則がございまして、「文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるようにしなければならない。」という、本来のNHKが持っている目的的機能をここで発揮していただこうと考えておる次第でございます。
○鈴木栄治君 ですから、NHKに関しては私も大変に信用しているのでございます。これが民放になってきた場合において、いろいろな基準をおつくりになるとおっしゃっておりますが、今でも民放に放送基準というのはあるのでございます。
 私は、これ何回も見て、またそれを読んで頭に入れていろんな番組を見ているのでございますが、どんな観点から見ても非常に頭をひねりたくなるのが多いのでございます。
 要するに、国内においても、これはまだ国内だからいいですよ。これが今度は外国に出た場合、いや、こんなの当たり前じゃないかとか、いろんな摩擦が起きた場合において、これは大変な問題になってくると私は思うんですよ。それじゃないと、今度は郵政省がこれはこうだああだというと、表現の自由だとかなんだとか、これはめちゃめちゃになっちゃいますよね。私はそういう点を、私の杞憂であればいいと思うのでございますけれども、非常に心配でならないのでございますが、どうですか。
○政府委員(江川晃正君) 公式の場において、私がNHKの番組がよくて、民放の番組がちょっとというような答えはいたしかねますので、先生のお話はお話として、御質問は御質問として、我々はこの法律で民放が外へ情報を出していくときもしかるべきよい情報が出ていってほしいという気持ちは、一つにはこの五十二条の二十七でこういうふうに表現させていただきました。
 もう一つは、仕組みとしましては民放に番組審議機関というのが設置を義務づけてございますから、そういうところで十分な有識者の意見をいただいて、先生の御心配にならないような放送が行われるようにしてもらいたいと。また、そういう審議機関などの活用によってそういうことが確保できるんではないかと考えている次第でございます。
○鈴木栄治君 民放でも今事実ありますよね、放送基準。
 じゃ、お聞きしますが、この放送基準にのっとって、一〇〇%というか九〇%でも結構でございますが、そのように実際に放送がなされている、そのように御理解しておるのですか、認めておりますか。
○政府委員(江川晃正君) 大変難しい御質問でございますが、百何局の民放がございまして、全部にそういう放送番組審議機関などがあるわけでございます。その中で、時にやらせであるとか何かの報道とか番組があったということは私も承知しているところでございますが、何%とは申し上げかねますけれども、それらを除きますと、それなりに一応世の中に通用している番組が行われているのではないかなと考えているところでございます。
○鈴木栄治君 今度、私、ひとつビデオを撮って、世の中に通用するかどうか、これが子供と一緒に見て、ああ、いいテレビだと一言えるかどうか、今度は局長にお持ちしますので、ひとつお願いいたします。
 どうですか、大臣、私が言っていることは、私自身がテレビだとかマスコミに出ておりまして本当に驚くことが多いんですよ。それと同時に、現場はそういう認識というのが非常に薄いということを感じているからこそ私は言っているんです。
 大臣、国内においてそういうことがぴしっと守られないのに、今度は外のことに対してきちっと守らせることができるのか、私は非常にもう不安てしょうがないんです。もう時間もありませんので、最後に大臣に。
○政府委員(江川晃正君) 事務的に一点だけ。
 そういう御心配を先生が強くお持ちだということを私理解いたしまして、この条文に基づくよい番組が流れていけるように民放の皆さんともいろいろと意見交換しながら進めさせていただきたいと考えます。
○鈴木栄治君 大臣、私は今ちょろちょろ言いましたが、大臣のお考えをぜひお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(日笠勝之君) 国内での放送であれば、先ほど先生これは子供と一緒に見るにどうなのかというようなお話がございましたけれども、私はこれ一義的には小さい子供さんと見るのは親にチャンネル権があるんだと思うんですね。ですから、これは家庭教育というか、この前もお話ししたようなそういう観点で、番組の選択は親ができる範囲内ではしていくということである程度クリアできるのじゃないかと。
 おっしゃるのは国外ですね。外国において日本の番組がそのとおりそつくり出たらどうなるかということだと思うんですが、先ほど申し上げました五十二条の二十その中で自然的社会的文化的云々とありますように、一遍に日本の民放の番組を朝から晩まで流すわけじゃないと思うんです。ステップ・バイ・ステップで一段ずつ時間も延ばしていくんだろうと思うんですね。
 その中で、先ほど局長も言いましたAPT、アジア・太平洋電気通信共同体の中でこれからの映像国際放送、国境を越えるテレビはどういうガイドラインをつくろうかと。そういう中で、例えば回教徒の国であれば豚肉は食べてはいけない、その豚肉の料理をしているような場面は放送できないんだと思うんですね。そういうガイドラインなどをこれから積極的にお互いにつくっていこう、こういうことの中でクリアしていけるんではなかろうか、かように考えております。
○鈴木栄治君 これで最後にします。
 大臣、小さい子供だ、だから親にチャンネル権があるじゃないか、とんでもございません。今はもうリモコンでちょんちょんやりますし、私がいつも子供といればいいですよ、そんなことは無理じゃないですか。それと同時に、私は幼稚園だけに言っているんじゃないんです。思春期、十代の子たちの影響も私は言ったつもりでございます。
 ありがとうございました。
○委員長(森暢子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより両案について順次採決に入ります。
 まず、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(森暢子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、放送法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(森暢子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森暢子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会