第129回国会 政治改革に関する特別委員会 第3号
平成六年三月三日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     永田 良雄君     太田 豊秋君
     直嶋 正行君     長谷川 清君
     聴濤  弘君     橋本  敦君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     瀬谷 英行君     掘  利和君
     種田  誠君     前畑 幸子君
     村田 誠醇君     糸久八重子君
     森  暢子君     会田 長栄君
     長谷川 清君     直嶋 正行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上野 雄文君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                関根 則之君
                松浦  功君
                一井 淳治君
                本岡 昭次君
                平野 貞夫君
                白浜 一良君
                吉川 春子君
    委 員
                尾辻 秀久君
                太田 豊秋君
                岡  利定君
                片山虎之助君
                久世 公堯君
                坂野 重信君
                清水 達雄君
                鈴木 貞敏君
                楢崎 泰昌君
                村上 正邦君
                森山 眞弓君
                会田 長栄君
                糸久八重子君
                岩本 久人君
                角田 義一君
                掘  利和君
                前畑 幸子君
                村田 誠醇君
                渡辺 四郎君
                寺崎 昭久君
                寺澤 芳男君
                直嶋 正行君
                中村 鋭一君
                長谷川 清君
                猪熊 重二君
                続  訓弘君
                橋本  敦君
                下村  泰君
   衆議院議員
       政治改革に関す
       る調査特別委員
       長        石井  一君
       政治改革に関す
       る調査特別委員
       長代理      細田 博之君
       政治改革に関す
       る調査特別委員
       長代理      堀込 征雄君
       政治改革に関す
       る調査特別委員
       長代理      太田 昭宏君
   国務大臣
       内閣総理大臣   細川 護熙君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    佐藤 観樹君
       国 務 大 臣
       (政治改革)   山花 貞夫君
   政府委員
       自治省行政局長  吉田 弘正君
       自治省行政局選
       挙部長      佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正
 する法律案(衆議院提出)
○衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改
 正する法律案(衆議院提出)
○政治資金規正法の一部を改正する法律の一部を
 改正する法律案(衆議院提出)
○政党助成法の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)
    ―――――――――――――
○委員長(上野雄文君) ただいまから政治改革に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○尾辻秀久君 おはようございます。
 昨夜も遅くまで御苦労さまでございました。昔、受験勉強のころに、夜遅くまで頑張るタイプと朝早く起きて頑張るタイプとあって、朝型だとか夜型だとか言っておりましたが、総理は徹底して夜型だなと思いました。お疲れかもしれませんが、しばらくおつき合いをください。
 実は、前国会の本委員会審議における我が党の次の質問予定者が私だったのであります。質疑打ち切りにならなければ私の順番だったんですが、それが一カ月以上たって本日順番が回ってきました。
 最初は、前に質問させていただこうと思うことを改めてお尋ねすればいいなと思っておりました。しかし、考えてみますと、この一カ月で私も反対から賛成に立場が変わっております。また、本日は修正部分についてお尋ねするのが本来でありましょう。ところが、審議二日目になりますと、私が質問したいと思っていたことの多くは先輩の皆さんがお尋ねになりました。本法案では立候補は重複していいことになっておりますが、質問が重複するのは余りさまにならないと思いますので、余りこだわらずに、治改革全体にわたって質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 そこで、まず総理にお尋ねをいたします。
 率直に申し上げて、今も申し上げましたが、ここに立っていて余りすかっとした気分ではないんです。衆議院における審議の中で我が党の大島先生も述べておられましたけれども、このたび成立すると思われる本法案は海部内閣提出のものと余り変わらぬものであります。そうなると、この五年ないし六年、何をしてきたんだろうなとも思います。また私自身も、 一カ月もたたないのに反対と言ったり賛成と言ったり、いささか自己嫌悪に陥りそうな気分なところも正直あります。
 本法案の成立が確実となった今、総理はどのような感想を持っておられるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(細川護熙君) 今お話がございましたように、六年余りの歳月がかかって、めぐりめぐってまたもとの近いところに戻ってきたという思いがあるという趣旨のお話でございました。
 確かにそうかもしれません。しかし、いろいろな経過がその間にあってこのような形で収れんしてきたわけでございますから、このことは重く受けとめなければならないと思っておりますし、この新しいフレームワークの中に本当に魂が入っていくように今後お互いに努力をしていくことが必要なのではないかというふうに思っております。
 もとより、繰り返し本委員会でも申し上げておりますように、制度に万全なものはございませんし、この制度が本当に政治の改善につながっていくようにさらなる努力をしていかなければならないことは当然であるというふうに思っております。さらにまた、引き続き将来にわたって改めていくべきところがあればまた両院においてさらに検討を加えていくことが必要であろうと、このように考えているところでございます。
○尾辻秀久君 そこで、本日二番目にお尋ねしたいと考えておりました、全体の改革の中で今どのあたりにあるのかということは、昨夜の記者会見をお聞きしておりましてとりあえずはわかりました。要するに、改革の第一ラウンドは政治改革で、これは終わった、これから改革の第二ラウンドに当たる経済改革に取り組むんだ、この第二ラウンドの体制を整備するために内閣改造も行うつもりであった、このような記者会見であったと私は理解をいたしました。
 しかし、あの記者会見を聞いておりまして逆にお尋ねしたいことがいろいろあります。ただ、本日はそのために余り時間をとるべきではないと考えておりますので、ちょっと通告から外れますけれども、きのうのきょうでございますので二点だけお尋ねをさせていただきたいと思います。
 一点は、私がまず申し上げたように、政治改革は終わったと言われたという印象を持ったのであります。しかし、厳密に言いますと、四つひっくるめてそう言いますけれども、まだ最初の法律すらも成立はしていないのであります。昨日、我が関根先生が、総理は政治改革が細川内閣最大の使命と言ってきた、法案が国会にかかっているうちは改造しませんねと、言うならばくぎを刺されたのでありますが、総理の御答弁はあいまいでありました。そして、夕べの騒ぎでございます。どうも、総理は関根先生が言われたことをおわかりだったのかなという気がしないでもないんです。
 しかも、この後、参議院の選挙制度はどうなるのか、地方の選挙をどうするのか、また後ほどお聞きしてみたいと思いますが、腐敗防止法をどうするのかというようなことも次々にございます。そして何よりも、仏つくって後どのように魂を入れるかというのが大事なことなんだと思うわけであります。そういう意味で政治改革はむしろやっと緒についたばかりだと言うべきだと思っておるんですが、どうもきのうの記者会見の総理のおっしゃったことの印象がちょっと私はそのように理解できなかったんで、改めて総理の御認識を伺ってみたいと思います。
 それから、二点目に伺います。
 昨夜の記者会見で総理は随分言葉を選ばれました。しかし、それが官房長官の仲がここまでぎくしゃくしているのかなということを逆に露呈してしまったという、これも私の印象であります。どういう意味で当事者と言われたのかもわかりませんが、当事者だからといって総理の記者会見に官房長官がおられないのは、やはり奇妙だなと思いました。こういうことならば、なぜもう率直に官房長官にやめてくれと言われなかったんだろうかというのが私の素朴な疑問であります。
 政治改革の目指すものの一つに、総理のリーダーシップの確立ということがあったはずであります。そういう意味では、ちょっときつい言い方かもしれませんが、政治改革がむしろ後退しているのではないかとさえ思ったのでありますが、この大事な時期に総理のリーダーシップがこんなものでいいんだろうか、大変私は危惧するわけでございますが、内閣改造を断念された今、総理はどのように思っておられるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
○国務大臣(細川護熙君) 政治改革がまだ緒についたばかりではないか、こういう趣旨のお話でございますが、とりようによっては、考え方によりましては確かにおっしゃるとおりだと思います。
 先ほども申し上げましたように、制度というものはその仕組みができたからそれで万全かと言えば決してそうではないわけで、本当にこれが生きた制度になっていくかどうか、絶えず検証しながら改めるべきところは改めていかなければならないというふうに思っております。
 また、おっしゃいましたように、区割りの審議会の方もこれから委員が任命をされて審議会ができて動き始めていくわけでございますから、そういう意味ではまだ道半ばと申し上げてもいいのかと思いますし、まして政治改革の本当に実が上がるかどうかということになりますと、これからが本当に政治改革が始まるんだという意識を持って取り組んでいかなければならないということについては私もおっしゃるとおりだというふうに思っております。ただ、形の上では、この四法が成立をするということになりますと、一つの区切り、形の上の区切りはつくのかな、こういう思いはしているわけでございます。
 それから、官邸の機能ということを恐らくおっしゃったのだと思いますが、このことにつきましては昨日記者会見でも申し上げましたが、何といいましても連立与党の中の調整、風通しがよくなるようにぜひひとつ、今も御努力をいただいておりますが、さらにひとつ御努力をいただきたいということを申し上げたところでございます。そういう意識を持って、与党内の調整だけでなくて、霞が関の各省庁の間の調整も、このように日米関係を初めとして、特に経済問題などがいろいろ問題を抱えているときでございますから、その辺に十分留意をしていただいてお願いを申し上げたい、こういうことを申し上げた次第でございまして、そういう意のあるところをお酌み取りいただきたいと、こう思っております。
○尾辻秀久君 二点目の問題ですが、私は総理のリーダーシップについてどんなふうに思っておられるのかと。率直に申し上げて、昨夜の内閣改造断念で総理のリーダーシップが相当傷ついたんではないだろうか、そして今いろんなことがあるこの大事な時期にもっとリーダーシップを発揮していただかなければ日本のかじ取りが危うくなるんじゃないだろうか、そういう心配をして、その辺のところをどういうふうに考えておられますかという御質問を申し上げたつもりであります。
 もう一回重ねて御質問申し上げますので、お答えをいただけますでしょうか。
○国務大臣(細川護熙君) これも昨日記者会見の折にも申し上げたことなのでございますが、連立与党は御承知のとおり八党会派で構成をしているわけでございますから、その微妙なバランスというものに絶えず配意しながら政策の決定なりあるいは政権としての意思の決定なりというものをしていかなければならないという宿命にあるわけでございまして、そういう中で各党の意見の集約を図りながら物事を決めていくということはなかなか容易なことでないことは事実でございます。
 しかし、それがこの連立政権の宿命でございますから、多少ぎこちなさがあってもそれをやっていかなければならない。この連立の結束を守っていくということにつきましては、改めて昨日各党の代表者会議あるいは政府・与党の会議などにおきましてもそのことの確認をしたところでございまして、今後ともそのような結束に緩みがあってはならないということにつきましては皆さんそういう認識を持っていただいていると思っておりますし、私もそういうことを受けてしっかり取り組んでまいりたい、こう考えております。
○尾辻秀久君 おっしゃっておられることはよくわかるんです。連立与党でたくさんの党が寄り集まっておるからと、そこまではわかるんですが、ですからと、こう私は申し上げお聞きをしておるつもりなんです。
 その連立与党をどうやって取りまとめていくか、そして日本のかじ取りをしていくかというのがまさに総理のお立場でありお仕事であるわけで、そこがリーダーシップだと思うものですから、そこのリーダーシップをどのように考えておられるのか。例えばきのうみたいなことでいいのかなと思うわけでありまして、何かもう少しおっしゃることはありませんか。
○国務大臣(細川護熙君) それはおっしゃることはわからないでもありませんが、しかし、このように政策の決定の過程というものにつきましても意思の決定ということにつきましても、やはりこれは各党それぞれ固有の成り立ちで成り立ったこの連立の政権でございますから、それを取りまとめていくに当たりまして、初めからこういうふうにやるんだということを決めて物事を進めていくということはなかなか容易なことではないということをぜひ御理解いただきたい、こう思っております。
○尾辻秀久君 押し問答をしていても仕方がありませんので、とにかくしっかりリーダーシップを発揮して日本のかじ取りをしてくださいということを申し上げておきたいと思います。いろいろお聞かせいただきましたが、これからが大事なことに変わりありませんから、そこで総理に、政治家みずから身を正すという点でも先頭に立っていただきたいことをお願いします。
 そうなるとちょっと気になることがありますので、ここでお尋ねをさせていただきたいと思います。
 総理の佐川急便からの一億円借り入れ問題で国会が検察へ資料提出を求めました。法務大臣は無理だと言っておられるようですが、私には提出を求められているものが捜査上どうしても必要なものであったり裁判に影響があるものであるというのは理解できないのでありますけれども、いずれにしても、むしろ総理御自身が努力なさるべきことではないかと思います。
 また、私は大変気になっておったのでありますけれども、前に服部先生が予算委員会で総理の確定申告書を出してほしいということを言われました。そのときに総理は、プライバシーにかかわることだから出せないと言われたのであります。しかし、総理が既に公職におありのときの確定申告書を出せと言われて、以来ずっと、プライバシーの問題があるから出せないと言われるとどうも解せないと思ってきたのであります。
 こうした二点申し上げましたのは、総理がみずからもっと先頭に立って身を正すということも範を示していただきたいと思うので申し上げておるんですが、この辺は総理はどういうふうに考えておられるのか、総理の今後の政治改革にかける姿勢としてお尋ねをしますので、お答えください。
○国務大臣(細川護熙君) 資料の提出につきましてもできる限り努力をして、また佐川の方にもお願いをしてできる限りのものを出していただいたところでございます。また、私も本委員会等におきましても誠意を持ってお答えをしてきたつもりでございまして、ぜひそのことはひとつ御理解をいただきたいと、こう思っております。
 確定申告の問題についてのお話でございますが、言われておりますのは国会議員になる以前のものでございますし、服部議員にも前に申し上げましたが、確定申告書は今お話がございましたように、家族あるいは第三者のプライバシーにもかかわることでございますし、新たな先例を開くことにもなるわけで、国会議員とプライバシーの観点から考えましても差し控えさせていただきたいと、こういうことを申し上げた次第でございます。
○尾辻秀久君 今、確定申告がプライバシーの問題があるので出せないというお話なんですが、既に私どももみんなそうしたものは出しておるわけでありますから、公職にある者は当然そういうものは出すべきだと考えます。
 そうなると、プライバシーの問題があるから出せないと言われる総理のお答えというのはちょっと理解しづらいのでありますけれども、これはどういうふうにお答えになりますか。
○国務大臣(細川護熙君) おっしゃっているいわゆる資産公開法による国会議員の資産公開というものにつきましては、お話がございましたように平成五年から、つまり平成四年分の所得から毎年一定の書式に所得を記入して議長に提出をするということになっているわけでございまして、これは御承知のとおり確定申告書そのものを出すというものではないわけでございます。
 もちろん、そういう形のものにつきましては、これはもう法律で定められているわけでございますからそれを出すことは当然のことでございますが、先ほど申し上げましたように、確定申告書そのもの、その写しを提出をするということにつきましては、プライバシーにもかかわることでございますから、これはひとつそこのところは差し控えさせていただきたいと、こう申し上げているわけでございます。
○尾辻秀久君 私は、資産公開も確定申告を出すこともそう多くは変わらないと思っておりますし、資産公開の一つとして、どうしてもという部分はちょっと隠せばいいのでありましょうから、確定申告をお出しになってもいいんじゃないかなと思います。ただ、今の問題はきょうの問題でもありませんし、この後もいろいろ引き続き質疑もあるでしょうから、私はこれ以上は申し上げません。
 今の話もそうなんですけれども、そもそも政治改革の始まりは政治と金の問題でありました。しかし、政治改革を単に政治危機を回避するためのいわば対症療法的な打開策を見つけるだけで終わらせてはならないと考えております。
 衆議院における政治改革特別委員会で我が党の野田先生は、今我々は三つの大きな変革期にある、すなわち、一つは冷戦構造が終わった、二つには極端な高齢化社会に突入しようとしている、三つには国と民間、国と地方の役割分担を見直す時期にある、政治がこの大きな変革期に機敏に対応するためにも政治改革が必要であると言っておられます。
 私も全く同感なんですが、総理はどのように見解を持っておられますか。
○国務大臣(細川護熙君) 内閣がスタートいたしましてから七カ月間の主要な課題というものは、一つは政治改革であり、あるいはまた経済のパッケージであり、ウルグアイ・ラウンドであり、あるいはまた日米の協議であったというふうに思っておりますが、これから第二ラウンドとでも申しますか、を迎える中で何が主たるテーマかと言えば、それは今お話がございましたように、規制の緩和であるとか、あるいはまた経済対策へのより本格的な取り組み、あるいは日米摩擦、主として経済的なマターが中心になるのではないか。そういう意味で第二ラウンドの内閣の位置づけというものを考えるならば、それは第一期目が政治改革政権ということであったとすれば、この第二ラウンドは経済改革内閣とでも位置づけるのが適当な位置づけではないか、このように考えているところでございます。
○尾辻秀久君 私が今申し上げたような観点から、改革ということで何点かお尋ねをいたします。
 まず、冷戦構造が終わったことにより日米関係もまた影響を受けています。先日の日米首脳会談の結果を踏まえて、先ほどもちょっと触れてお答えになったようでありますが、政治改革という面から何か感じておられることがありますか。
 またあわせて、けさの新聞が一斉に報じております、クリントン大統領はスーパー三〇一条の復活を決意したという報道について政府はどのように判断をしておられるのか、またどのように対応されるおつもりなのか。
 二点お尋ねをいたします。
○国務大臣(細川護熙君) 冷戦構造が終わって一つの新しい時代に入っているということはこれはもう大きな流れであって、その中で我が国の政治の状況がどうあるべきか、これはもう必然的にさまざまな形での影響がある。それに対応した形をとっていかなければならないということは、それは政治の面でも安全保障の面でもあるいは経済の面でも当然必要なことではないかというふうに思っております。
 具体的には、例えば今お話しの日米関係などにいたしましても、政治、安保の面よりも経済的な側面というものがより強く前面に出てくるということになってきているというのが現状でございましょうし、そうした観点からの対応というものにより深くコミットをしていかなければならないというのが現実の姿ではないか、このように思っているところでございます。
 三〇一条のことにつきましてのお話でございますが、いろいろ新聞報道等にも出ておりますが、現時点ではまだ詳細に政府としては承知をしておりません。具体的に、いつどのような形で実施をされるかということも不明でございますし、我が国としては冷静にその動向というものを見きわめて、米国政府におきましても良識のある判断と行動をしていただきたい、このように強く願っているところでございます。
○尾辻秀久君 スーパー三〇一条の件ですが、けさの新聞があれほど報じているものを総理がまだよく知らないんだと言われると、率直にこれは頼りないなと申し上げざるを得ません。わかっていてお答えにならないのか、それはまさにわかりませんけれども、もう少し国会の場でありますからお答えにならないと、余りにお答えとしては、いろいろ御意見もあるようですが、私は納得できないことでありますので、もう少しお答えください。
○国務大臣(細川護熙君) 八九年から九〇年に三〇一条というものが出てまいりましたときは、これは御承知のとおり議会の時限立法でございました。どこの国に対して何をやるのか、こういったようなことがはっきりしていたわけでございますが、今回の場合にはまだそうした具体的なところまでいっていない。そういう意味で、話としては、うわさとしてはそのような方向が出されるのではないか、こういうことは聞いておりますが、今まだ我が国としてそれに対する具体的な対応というものを考える段階ではない、このように申し上げているわけでございます。
○尾辻秀久君 要するに、向こうとけんかして帰ってこられたわけでありますから、向こうも何か打ち返してくるだろうというのは当然予想されるわけでありまして、これに十分対応せざるを得ない。これはもう総理もお覚悟の上だろうと思うわけでありますが、その辺についてもう少し答えていただければと思ったのでありますが、これもそれだけ申し上げて、次に参ります。
 二番目に申し上げたいのは極端な高齢化社会に突入をしようとすることへの対応ですが、これはずばり今聞きたいことをお聞きします。今なお国民福祉税を目指すお考えなのかどうか、この際お尋ねします。
○国務大臣(細川護熙君) これは、連立与党の中で協議会がスタートをしておりましてこの国会じゅうに結論を出していただくということでございますから、その中で従来からずっと政府の税制調査会なりあるいは連立与党の中で御論議をいただいてきたようなことも踏まえて当然御論議を詰めていただくであろう、そのように思っております。
○尾辻秀久君 この問題はこれ以上お聞きしてもお答えにならないだろうと思いますから、次に行かせていただきます。
 地方分権を言われる総理に、政治改革の中での国と地方との関係について何点かお尋ねをいたします。
 まず一点目は、選挙制度の中で国と地方との整合性について、これは前にも我が党の鎌田先生が質問しておられたのでありますけれども、慎重な検討が必要という答弁だけで済ませておられますので、もう少し具体的なお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(細川護熙君) 選挙制度との関係で地方分権をどう考えるか、こういうことでございましょうか。
 ちょっと御趣旨がよくわからなかったんですが、一言で申し上げれば、やはりこれは地方制度全般の問題との絡みの中で考えていくべきことではないかというふうに思っております。
○尾辻秀久君 私が申し上げておりますのは、地方分権を言っておられる総理、もう少し言いますと、地方を大事にすると言っておられる総理でありますから、選挙制度、今回の政治改革の中でも地方を大事にしていただけると思いますが、ですからお尋ねをします、こういう趣旨でございますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
 そこで、選挙制度の中で国と地方との整合性、例えば選挙区の大きさだとかいろんなことがありますが、そうしたことでどのように考えておられるかということをお尋ねしたつもりであります。
 この問題の二点目は、政治資金規正法における政党要件や政党助成法での政党交付金の交付に関して、地方首長や地方議員の数は全く無視しております。そして、例えば沖縄に今ある、表現はいささかどうかとも思いますが、ローカルな政党を政党として認めないことになりかねないんじゃないかとも思ったりいたしておりますが、こうした地方に対する配慮というものを法律の中でどのように見ておられるのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(山花貞夫君) 今回の政治改革四法の一つの柱である選挙制度につきましては、繰り返しお答え申し上げましたとおり、個人本位の選挙から政党中心の選挙に変えていこうというところが眼目となっているところでございます。
 そして、政党中心ということで考えた場合には、国政段階の選挙において国の政策、国の意思決定に当たって、政党というものは国民の民意の媒体としての役割を持っている。その政党というものについて一定の継続的な政党の活動等々も考えて四法の調整も行ったところでございまして、その意味におきましては、今御指摘のとおり、例えば地方議員の数その他についても考慮すべきではなかろうか、こういう御意見があることについてはよくわかるわけでありますけれども、今回の四法の全体の仕組みからして、まずは衆議院の制度について、そして衆議院の制度については選挙制度を政党中心のと、こういったところから来ているところでございます。
 御指摘の問題については、これからまた参議院の制度もございますし、また地方の選挙制度につきましても今後の議論ということになる、こういうように考えているところでございます。
○尾辻秀久君 この際でありますから、地方を大事にしていただきたいということを改めてお願いしておきます。
 そこで、三点目なんですが、小選挙区の区割りに当たって地方の声を聞くということでありますが、実際にはこれはどういう手順で地方の声を反映しようとされるのか、お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤観樹君) 御承知のように、審議会法の第八条に、「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。」ということとされておりますし、また、与党と自由民主党との間に「衆議院議員の選挙区の画定案の作成に当たっては、選挙区画定審議会が必要に応じ地方公共団体の長等の意見を聴取する」という合意ができておるわけでございます。
 したがいまして、これは審議会の七名の委員の方がどういうふうな運営をされるか、具体的には地方に出かける場合もあり得ましょうし、あるいは地方の方に来ていただく、あるいはいろんな格好での地方の状況、歴史的な状況、あるいは地勢的なといいましょうか、大分新しい町が発展しているところもございますし、その辺のところはどのような調査をするかは基本的に審議会の委員の方々が当然考えてやっていただく。
 自治省といたしましては、選挙部が庶務を扱いますので、委員の皆さん方の御下命によりまして、地方の方の意見といいましょうか、状況が正確につかめるように私たちの方としても最大限お手伝いをさせていただくということが自治省の役目だと考えております。
○尾辻秀久君 今や、地方に行きますと、小選挙区の区割りがどうなるかというのが最大の関心事でございます。そして、その中で、やっぱり自分のところのことは自分たちがよく知っているんだからぜひ自分たちの声を反映して区割りをしてほしい、これはもう当然のことでありますが、そういう声が大なのであります。その辺は改めて申し上げるまでもありませんけれども、どうぞ配慮していただきますようにこの機会にお願いをいたしておきます。
 そこで、いよいよ小選挙区が実施されることになります。私は、実は小選挙区になると大変だと心配していることが二つあるんです。そのことをお尋ねしてみたいと思います。
 その前に、まず山花大臣にお尋ねしてみたいんですが、かつてこの委員会でも何回か指摘をした方がおられるんですが、社会新報に小選挙区制は民主政治を根底から覆すものと書かれた、そのときの御心配は何であったのかな、こう思うものですから改めてお尋ねをいたします。
○国務大臣(山花貞夫君) 当時の心配はと御指摘いただきましたが、小選挙区と当時言っておりましたのは、当時の与野党の提案もありまして単純小選挙区、こういう気持ちで話しておったのではなかろうかと記憶しているところであります。
 実は小選挙区に対する考え方というものは今回の選挙制度論から始まったということでは私個人の気持ちとしてはなかったわけでして、八六年の八増七減の定数是正の際にも、当初は格差是正から始まったテーマについて選挙制度という問題も出てまいりました。当時の坂田議長のあっせん、あるいは与野党の議運の皆さんの合意ということにおきましても、小選挙区についてはとらない、こういう文章が入った中で格差是正の問題が議論されてきた。
 実は当時からこういう問題を担当してまいった立場として、今日の国民の意識が多様化し、価値観、そして選択についでもさまざまな選択の対象というものがあり得るべきであるという考え方からするならば、小選挙区の問題については、民意集約という御主張については、それはそれにかなった部分があるかもしれませんけれども、民意の反映、少数意見の反映、こういった観点からは問題がある、私はこういうように当時考えておりまして、そうした中から小選挙区については民主主義を破壊するものである、こういう社会党の党首としての発言をしてきたものでございます。
 当時は自民党から並立制ではなく単純小選挙区制が提案され、野党社会党の側からは定数の格差是正から併用制というところまで主張した中での党首としての発言であったということでございますので、この点若干補足して御説明をさせていただいた次第でございます。
○尾辻秀久君 私が心配することとどういうことになるのかなと思ってお尋ねをしてみたんですが、全然違うお話でございました。
 そこで、私が今小選挙区が実施されるに当たって心配することを改めて申し上げてお尋ねをしてみたいと思います。
 まず、それこそ改めてでありますが、小選挙区の経験者、保岡先生がどういうことを言われたかということをお聞きいただきたいと思います。
 自戒の念を込めて申し上げれば、私は誰よりも、小選挙区で戦うこの厳しさを知っているつもりであります。
 ご存じのように、先の総選挙において、奄美群島区は定数四の鹿児島県第一区に編入されました。私も政治家として初めて中選挙区での戦いを経験しました。実のところ、今回の選挙は選挙区がとても広くなったため、肉体的な苦労はいたしましたが、正直いって気分的、精神的には自然体で取り組むことができました。なにしろ、それまではたった一議席への当選を目指して喰うか、喰われるかの死闘を演じていたわけですから、中選挙区のように有権者の二割の支持を得られれば当選という選挙とまったく違って、いま思い出しても小選挙区の政治的緊張は相当厳しいものがあったと感じているところであります。
 奄美の選挙、保徳戦争と聞けば知らない人はいない。それくらい、金権選挙や腐敗選挙の代名詞として報道されてきました。その一方の当事者として、責任を否定するつもりは毛頭ありません。しかしそれにしても小選挙区で戦っていた頃の私は、「これ以上我が身を汚すのはいたたまれない。こんな異常な選挙をやるくらいならいっそ政治家なんてやめてしまおう」。正直そのような思いに駆られる程の地獄を見たことも事実であります。
 実は保岡先生は私の先輩でありますので、選挙のとき手伝いもさせていただきます。そうした私の体験上も、小選挙区になると極めて激しい選挙になる、これはそう思うわけでございます。
 保徳戦争の一方の徳田先生も、中選挙区になったら選挙の費用が十分の一で済んだ、こういうふうに言っておられるわけでありますけれども、そうした小選挙区、大変金がかかるのじゃないかという心配をするわけでございまして、これについてどういうふうに考えておられるか、そしてどのように対応しようとしておられるか、お尋ねをしてみたいと思います。
○国務大臣(山花貞夫君) 奄美の選挙の実態については、保岡先生のお話も含めて我々もさまざま聞いておるところでございます。
 ただ、先ほど私が小選挙区について制度論的な回答をいたしましたけれども、むしろ選挙の実態あるいは選挙運動、そうした現実の問題としての問題提起と承っておったところですが、私は、今回の制度ということにつきましてはやっぱり腐敗防止、腐敗の根絶というところが四法全体の根源にあったわけでありますから、そうした方向で全体がつくられているということについては先ほども総理もお答えになりましたし委員も御指摘になりましたが、単に制度をつくっただけではなく、魂を入れるんだとおっしゃった点がこれからのテーマだと思っております。
 金権選挙になるんではなかろうかということについて、若干図式的に申しては恐縮ですけれども、やっぱりお金の関係というのは従来から三つのテーマがあったと思っています。一つは選挙総体にお金をかけないこと、第二番目は政治活動についての資金の透明性、第三番目は企業・団体献金をできるだけ個人献金にかえていく、これが私は政治とお金の関係では大きな三つのテーマだったと考えています。
 今回、小選挙区になることによりまして、正確ではありませんけれども、それぞれの選挙区の法定選挙費用は約三割ぐらい小さくなるということではないでしょうか。全体として区域が小さくなるということを含めて、そこでの総額についてはそういう仕組みになっているところでございます。
 資金の透明性については、もうくどく申し上げませんけれども、政治資金規正法の改正によって透明度については五万円超ということによってかなり変わってくるのではなかろうかと思っております。
 三番目の企業・団体献金、個人献金という問題については、いろいろ紆余曲折もありましたけれども、従来のような形はなくなる方向にあるんじゃなかろうかと一般的には考えているところでございまして、制度の仕組みとしてはいたずらに金権になるということではない全体の仕組みがあるんだ、こういうように考えているところでございまして、あとは、このできた法律について新しい政治の風土というものを国民の皆さんにも御理解いただいて、協力して政治の倫理を確立し、政治家の姿勢を正してつくり上げていくこれからの努力にかかっているのではないかと思っています。
 これだけの大議論をやった上でありますから、いたずらに金権選挙に走るということについては政治家一人一人の気持ちに秘められた決意というものさえあれば私は克服する道はあると思っておりますけれども、これはすべてこれからのテーマであって、我々も問われているテーマである、こういうように考えております。
○尾辻秀久君 あえて今の質問をいたしましたのは、きのう関根先生も随分激しく言っておられましたけれども、腐敗防止法の制定が必要ではないか、こう思うからなのであります。
 あえて繰り返してイギリスの例を申し上げるまでもありませんけれども、イギリスが腐敗を食いとめるのには百年かかったと言われております。そして、結局腐敗防止法であった、こう言われております。そのことをきのう関根先生お尋ねになったようでありますけれども、総理の御答弁は余り積極的ではなかった。どっちかというと消極的であったような印象を持ったのでありますが、総理、これはどうですか。
○国務大臣(細川護熙君) 昨日、関根委員にお答えをいたしましたのは、今回の改正におきましても連座制の強化とか罰則の強化とか相当な改革がなされて盛り込まれております。そうした腐敗防止にかかわる条項の整備がさらに今後必要に応じてなされていくということは当然のことだと思っております。
 ただ、腐敗防止法というようなものを新たにつくることが適当であるかどうかということにつきましては、きのうちょっと申し上げたかどうか覚えておりませんが、現在の公職選挙法でありますとか政治資金規正法でありますとか刑法であるとか、それぞれの法律の中に盛り込まれている規定を強化するなり改正をするなりそうしたことでやれるのか、まあ、やれるのではないかという考え方の方が今強いのではないかという感じがしておりまして、新たに別の腐敗防止法というものをつくることが法制度として適当であるのかどうかということについては今後さらなる検討が必要であろう、こういう趣旨のことを申し上げたところでございます。
○尾辻秀久君 余り時間がなくなってしまいましたが、最後に政治改革協議会でどのような御議論があったかについてお尋ねをいたします。
 小選挙区三百、比例区二百という数字が結論として出てきました。つまるところ、この議論はいろいろありましたけれども、いつか山花大臣が答弁されましたように、政府案が小選挙区制と比例代表制のそれぞれの特徴を生かして相補完するというものに対して、自民党案が小選挙区に重点を置き、比例部分はその補完である、こういう見方で、いずれをとるかという議論であったと思います。
 そこで、最後に三百、二百という数字をお出しになったわけでありますけれども、政治改革協議会は今申し上げたこの議論にもお答えを出してこの三百、二百という数字になったのか、お尋ねをいたします。
○衆議院議員(石井一君) 経過は御承知のとおりでございますが、二百五十、二百五十から始まりまして、二百七十四で政府案が出され、そして総・総会談によりまして自民党さんの御主張をも入れながら三百、二百ということになったわけでございます。
 このことに関しまして大変大きな変化が起こったかと申しますと、結局は民意の集約と民意の反映とのバランスの上にその数字が出てきたということで、そのウエートは多少変わったかもわかりませんが、根本的な違いがあったとは思っておりません。
 小選挙区を自民党の責任者としてまとめた立場で集約を主張すればそういう形になってくると思いますが、国会の議論の中で、第三党以下の存在を否定するのか、白昼虐殺をするのかというふうなことを言われますと、理想と現実の中の接点をとにかくこの国会の中で求めたのが今回の結論であり、制度を実施する中に、どちらにウエートを置くかというふうなことは、今後我々の次の世代の人々が適切に改正を加えながらこの国に最もふさわしい制度を構築していくということが重要ではないか、こう私は思っております。
○尾辻秀久君 いずれにいたしましても、三百、二百という答えが出たわけでありますから、それで私どもが理解すればいいのかな、こういうふうにも思っております。これ以上は申し上げません。
 次に、重複立候補について、これも御議論があったそうでありますからお聞きをいたします。
 私は、率直に言って、どうしてこんな制度が出てきたのかなと思うのでありますが、こういう重複立候補というのがなぜ出てきたのか、これについて御議論あったかどうか、ずばりお尋ねをいたします。
○国務大臣(佐藤観樹君) これは何度か御説明してまいりましたけれども、政党本位になるということで、どうしても政党としてこの人は当選をさせたい、しかし小選挙区でもやはり戦ってもらって党の票も出していきたい、党に裁量権を与えるということで、小選挙区で戦い敗れる場合もあかもしれませんけれども、なおかつ比例代表にもノミネートすることによって党としてどうしても必要な方については政治活動を続けられるようにしていこう、こういう考え方が基本でございます。
○衆議院議員(石井一君) 協議会ではそんなに大きな議論はございませんでしたが、重要な点でございますから御指摘しておきたいのは、この案は海部内閣で自民党政府によって提出を最初されたものでございます。
 恐らくその意図は、一つは、二百名という大きな比例部分でございますから、やはり重複立候補を認め、惜敗率を認める中に、人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずという思想もございますし、個人の努力の中に政党の票をも稼がせたい。また、自治大臣が今申されましたように、政党としてはこの人を出したいという人をこちらだけに限らずこちらに入れるという、そういういろいろな考え方の中から英知を絞られて自民党案として出されたものでございます。
○尾辻秀久君 最初が自民党案だと言われると言いづらくもなりますけれども、例えば供託金を見ましても、小選挙区に出てそして比例区に出るとその分減額になりますね。あるいは比例区の数の制限の中でも小選挙区に立候補した者はその数の制限の中に入れない、こういうようなことも規定の中にあります。要するに、私が申し上げたいのは、何となく重複立候補を奨励しているような面がないのかなと。
 それから、もっと言わせていただくと、現実の問題として恐らくもうほとんど重複立候補になるんだろうな、こういうふうに思うわけであります。そうなると、まさにきつい言い方になるかもしれませんが、何となく敗者復活制度かな、こういうふうに思ってしまうわけでありまして、これ以上は申し上げませんが、そんな感じを持ったので御議論があったかどうかお尋ねをしたところであります。
 それから、これも御議論があったのかなと思うものですからお尋ねをするんですが、比例代表で通った議員が政党を動くということに関して、どうも私は率直に言って納得できない面があるんですが、御議論があったかどうかお尋ねをいたします。
○衆議院議員(石井一君) 協議会では議論はございませんでしたが、それ以前に自民党の調査会なりあるいは委員会の審議ではそういう議論は出たわけでございます。
 確かに問題点はあると思うのでございますけれども、政党で選ばれた議員もこれは国民に選ばれた議員ということになるわけでございますから、本人の意思によって移籍をする場合にはそれを認めるということでございます。しかしながら、そのことによってできました欠員の場合はそのもとの政党の繰り上げということが行われる、そこは政党の筋を通す、こういうことでございます。
 それから、重複立候補に関しまして一言。
 どこかの選挙区で片一方が当選し次点が必ずそれで上がるということであれば、国民は白けてしまうと思います。私は、重複立候補は最初の一、二回は多いかもわかりませんけれども、政党はそれぞれ知恵を絞り、やはり比例には比例に適した人、そして選挙運動を電信柱に頭を下げてまでするというのは嫌だけれども、この人は政治家として出したいなというような人をそこへ並べ国民の期待にこたえるという形の中から重複立候補という意味はいい意味で使われる方向にいくんだろう、そういう期待を込めて私はあの案をまとめたわけでございます。
○尾辻秀久君 当選後に政党を動いていいということでありますが、これはやっぱり投票する方の人は政党名を書いて、そしてその政党が順番をつけてその順番で当選をしておるわけでありまして、何もその人の個人名を書いたわけではありません。まさに議員は代表か代理かなんという議論がこの委員会でもありましたし、突き詰めていくとそんな議論にまたなってしまうのかもしれませんが、やっぱりどう言おうとおかしいと思うわけであります。
 しかも、今度の衆議院の選挙はまさに政党本位でやる。政党が前面になって政党本位の選挙をやる。そして、その政党が政党の名前を書いてもらってその順番の中で当選して、当選後にそれに対する何の規制もないというのはさっきから申し上げているようにどうかなと思ったりもいたしますが、これは私の意見だということで申し上げておきたいと思います。
 いろいろ申し上げてきて、その都度あるいは後ろから怒られたりもしてきましたけれども、どんな制度というのも完全なものはない、これはもう総理が再三言っておられるとおりでありまして、今度の制度だって万全ではないはずであります。神でない人間がつくるわけでありますから、そうであります。さっきもおっしゃったように、あとは運用の問題だし我々みんながどう頑張っていくかということだと思いますから、頑張ってくださいと言うとまた怒られますので、お互いに頑張りましょうと申し上げて質問を終わりにさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
○吉川春子君 総理、先国会で政治改革法案は衆議院で可決されたにもかかわらず、私たちの参議院では否決しました。与党は、当委員会運営についてもいろいろな先例を破って、議会制民主主義の先例を無視して審議も不十分なまま打ち切って、そして強引に採決に持っていきました。総理以下大臣も与野党の議員の説得に当たられるという異例の行動をとられましたし、党議その他で縛ったと聞いていますけれども、それでも大差で参議院では否決されたわけなんです。
 この法案の内容の不当性が審議を通じて明らかになった、国民に受け入れられなかったということだと私は思いますし、参議院の良識がそういう形で発揮されたものだと私は受けとめているわけです。
 それを今回、小選挙区三百、比例区二百、十一ブロック、あるいは個人への企業・団体献金を認める、こういった悪い方向にしてしまったということは、参議院で否決した意味というものが全く無視されてしまったんじゃないかと思うんです。私はこのことに対して強い憤りを持っているんです。
 総理、この参議院の否決、そして、にもかかわらずこういう結果になったということについて御自身はどういう認識を持っておいででしょうか、まず伺います。
○国務大臣(細川護熙君) 参議院で否決をされたということにつきましては、もちろん重く受けとめております。しかし、その後御承知のような経過の中でまたよみがえって最終的には本日このような形で大詰めを迎えているということでございまして、その経過の中で、さまざまなお考え方はございましょうが、政党政治という現実の中でこのような姿になってきたということは、これもまた重く受けとめなければならない姿である、このように考えているところでございます。
○吉川春子君 参議院否決、そして両院協議会で成案得られずという段階で総・総会談が持たれて、そしてこれが生き返させられたわけですけれども、二人のボスと衆参両院議長がいればどんな法律でも通る、これじゃ国会は要らないんじゃないか、こういう批判もされているわけです。
 しかも、今回の修正案作成の過程は国民の目の届かないところで行われた。参議院では私ども政府に対する対案を提出いたしまして、これも一括審議の対象にされていたのにもかかわらず、私ども共産党も除かれ二院クラブも除かれた中で今回のこういう修正案が出てきているわけですね。しかも、根幹にかかわる部分の修正、それから国会の審議でほとんど触れられていない内容、そういうものが修正の内容として出てきているのにかかわらず、今回参議院では委員会審議では八時間でもってこの法案を上げてしまう。国会審議軽視というものも甚だしいと私は思うんです。
 こういう国会審議軽視、国会というのは国民の代表がいる国権の最高機関ですから国会を軽視するということは国民を軽視するということに即つながるわけですけれども、こういう事態について総理御自身としてはどういう御見解をお持ちでしょうか、伺います。
○国務大臣(細川護熙君) おっしゃることはよくわかりますが、今お話がございました国会での審議時間ということにつきましては、これは国会の方で与野党で御議論があってこのような形になっているわけでございますから、その点につきましてはぜひひとつ御理解をいただきたいと思っております。
○吉川春子君 私は国会の審議時間の少ないことについて総理に伺ったわけではありませんで、そういう密室協議で個別の政党排除、そういう中でつくられてきた案が国会へ出てくる、そういうことも含めて今御見解を伺ったわけなんです。そういう、私たちとしてはとても承服できない、私たちとしてはというか、憲法やらいろんな立場からしても承服できない事態が今回進んだわけなんですけれども、具体的な問題についてお伺いいたします。
 まず、その中で比例代表のブロック制ということが今回出てまいりました。これは百二十八国会、百三十五日ぐらいあったと思いますけれども、そういう国会を通じて審議が行われた。それをわずか数時間の総・総会談で覆したということで非常に総理の責任も重いと思いますが、改正案は、比例代表選挙はブロック名簿、ブロック集計、ブロックは第八次審を基本とする、こういうふうになっているわけですけれども、これによっていろんな矛盾が起こってくると思うんです。十一の分け方というのは地域の一体性がありません。例えば行政単位と関係ないし、私は埼玉県に住んでいる者なんですけれども、埼玉と群馬が同じブロックとか、南関東の千葉と山梨が同じだとか、そういう問題ありますが、そこはきょうは触れません。
 伺いたい点は、自治省、政府委員の方で結構ですが、ブロック制にしたことで一議席に当選必要な得票率というか、それは何%なんでしょうか。例えば具体的に四国ブロックの例で何%あれば一議席とれるのか、教えてください。
○政府委員(佐野徹治君) これはいろんなケースがございます。名簿の届け出をいたしました政党の数が幾つあるか、こういったことにもよりますので一概には言えないわけでございますが、四国ブロックは定数が七でございます。そういたしますと、定数七のところで当選を得るための条件と申しますか、それを仮定の話として計算をいたしますと、定数七にプラス一をいたしまして、その中で議席一を確保するということでございますれば一二・五%ということに相なるわけでございます。名簿届け出政党の数が多くなりますれば、この当選の得票の割合というのは下がっていくのではないかと考えられます。
○吉川春子君 一番定数の少ないところでの数字をお伺いいたしました。
 今回ブロック制にすることによって足切りが非常に高くなる、こういうことだと思うんですね。阻止条項というのはなくしたわけなんですけれども、当然のことですけれども、今の例でいくと、一二・五%で一議席というと一二・四%では当選できないということですので、この投票が死票になって議席に結びつかない、こういう結果が生じてくるわけですね。
 これはもうひどい足切りで、比例代表制が民意の反映だということを繰り返し答弁で述べられておりますけれども、これだけ大量の死票が出て民意の反映というふうに言えるのかどうか。そして、その比例の定数を二百に減らした上にブロック制で足切りを高くしたということは、二重の意味で民意の反映を阻害することになると思うんです。
 総理は民意の反映ということを繰り返しておっしゃっておられましたけれども、そういう答弁とも矛盾するのではありませんか。
○国務大臣(山花貞夫君) 今の御指摘のとおり、今回の改正案におきましては比例代表選挙を行う区域はブロックとされました。政府案とはそこが違ったわけですけれども、全国一本にするべきかブロックにするべきかあるいは都道府県にするべきかということにつきましては法案の当初からの議論でもございました。
 また、このブロックの考え方につきましては、御承知のとおり第八次選挙制度審議会における比例代表の区域ということについてもブロックということについては議論としてはあったわけでございまして、政府としては、当初の法案がこうした形に協議の中で修正されたわけでありますけれども、これは国会における御議論の結論として尊重する、こういう立場でございます。
 また、全国一本の場合の政府案にあった三%よりも得票率が高くなるではないか、四国ならば一二・五%と、こういう御指摘をいただきましたけれども、今回いわゆる阻止条項を設けなかったことは御存じのとおりでございまして、かつて政府案のときには、もう数からいえば当選できる票を獲得しているのにそれを切るではないか、その意味におきましてはまさに阻止条項そのものであった、こういうような御批判をいただいておったところでございます。
 今回は、足切りと今おっしゃいましたけれども、当選ラインがそこに引かれる、こういうことですから、むしろ政府案のときとは若干違った阻止条項的な意味があるんじゃなかろうかと思っております。
 これは現在の中選挙区におきましても、四人区ならば二五%あるいは五人区ならば二〇%という、さっき四国の場合の七人の一二・五%よりもはるかに高い当選ラインというものがあるわけでありまして、その意味におきましては当選ラインは今日の中選挙区より下がった、こういう言い方は制度が違いますからできないと思いますけれども、要するに当選ラインがそこに引かれるということでありまして、本来もっととれるんだけれどもカットする、こうした阻止条項とは違った意味を持っているのではないかと思っているところでございます。
 ブロックの定数は、人口に比例いたしましてできる限り、今回は一・〇幾つじゃなかったかと思っておりますけれども、そういうふうに比例で配分したものですから、御指摘のようにブロック制を導入するということに伴うやむを得ない結果である、こういうように考えているところでございます。
○吉川春子君 山花大臣、国会の審議の結論としてブロック制を尊重するとおっしゃったけれども、ブロック制が国会の審議の対象になったのは今回初めてですよね。国会の審議も何も経ていないままやられるということを私は批判しているのに、国会の審議を尊重するということは全く答弁としては、支離滅裂とは言わないけれども、なっていませんよね。
 それでもう一つ、中選挙区制でもちろん死票が出るということは私たち十分承知しております。しかし、今度は三百はもう小選挙区ということで、食うか食われるかの質問も今ありましたけれども、選挙区でそういう大量の死票の山を築くわけですね。そういうことを三百でやって、さらに比例区の方で民意の反映をするからということを総理が繰り返し答弁されてきたわけなんで、言ってみれば小選挙区制を入れる一つの何というか緩和策みたいな形で答弁されてきたのが、今度そういう形で、今見ても一二%以上の事実上の足切りになるということについて、私は山花大臣でなくて総理にお伺いしたんですが、そういう民意の反映というのを今まで最大の根拠としてきた比例代表の問題について、答弁と矛盾しませんかということを細川総理に重ねてお伺いいたします。
○国務大臣(細川護熙君) 今、山花大臣からお答えをしたことに尽きていると思いますが、各ブロックの定数は人口に比例して配分をされているわけでございまして、お話があったようなことにつきましては、ブロック制を導入したことによるやむを得ない結果であるということだと思っております。
○吉川春子君 これも御答弁としては全く説得力がありません。私は、民意の反映という今まで総理がおっしゃっていたこと自身も犠牲にしてこういう形で出してきたということは大変不当であるということを厳しく指摘しておきたいと思います。
 それで、選挙運動の自由の問題についてお伺いいたしますけれども、きのう聴濤議員が質問したことで二、三重ねてまず質問をしておきたいと思います。
 申すまでもありませんけれども、選挙というのは国民が政治に参加する最大の機会で、選挙のときこそ政党とか候補者を正しく選択するための争点、各党の政策、理念、こういうものがよく有権者にわかるように、国民の知る権利が守られるようにするということが憲法の基本理念からいっても求められていると思うんです。
 そういう意味で、当初ありました政府案の戸別訪問の解禁ということは当然の措置であると私たちは思っておりました。しかし、総・総合意で戸別訪問は現行どおり禁止ということにされてしまいましたけれども、これも政府案のさらなる後退として非常に遺憾なことだと思います。その結果、戸別訪問が許されていれば選挙ビラの戸別配布ということもできるという前提であの法案ができていたと思うんですけれども、それもできなくなってしまったわけですね。
 ですから、戸別訪問の禁止という措置を改めてとられるならば、少なくともビラの戸別配布は従来どおり認めるようにすべきではないでしょうか。まず、その点を伺います。
○国務大臣(佐藤観樹君) 政治活動はできる限り自由な方がいい、自由であるべきであるということは原則として私も賛成でございます。ただ、選挙運動期間というのは、候補者なりその政党にとりまして一定の秩序、公平性ということも求めていかなければならぬわけでございまして、選挙法というのはその基本にのっとってできておるわけでございます。
 今御質問の問題につきましては、今度のいわゆる政党ビラというのは候補者の名前も書くことができるわけですね。そうすると、三種類ということになっていますが、幾らでもそれを配っていいということにつきましては、ビラが無秩序にはんらんすることを防止するという立場、あるいは今のいわゆる俗に言うところの個人ビラ、これはもう御承知のように配るところが一定の範囲内に限られておるわけでございますので、私たちといたしましては、一定の秩序を設けるという立場において、個人ビラと同様に配られるやり方につきましては、候補者の名前も入れられるという性格もございますので、御承知のようにしたところでございます。
○吉川春子君 だから、そういう個人ビラを、戸別訪問を一部解禁したことによってそれを各戸に配れるということにしていたのを今回また禁止したわけで、そのことについて私は伺ったわけなんです。
 それで、従来自由に配布できた法定ビラが、政府案では選挙運動用政党ビラとして「新聞折込みその他政令で定める方法」に限定されているということは、今申し上げましたように全く不当です。佐藤大臣も今言われましたけれども、政治活動は自由に認められなきゃならない、選挙運動でもやっぱり基本的に自由であるべきなんです。しかも、政府は政治改革法案の趣旨説明において政策本位、政党本位の選挙ということを言っておられるわけなんです。それならば、なぜ今まで政党の政治活動用として自由に認められていたビラの配布を制限するのか、ここは非常におかしいんじゃないでしょうか。
 政党の選挙運動を認める、そういうことを口実に本来のそういうものを制限するということは、実際的には自由であるべき政党活動の制限強化ということに今度の立法の趣旨があるんじゃないか、ねらいがあるんじゃないか、そういうふうに私は思わざるを得ないんですけれども、そうじゃありませんか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 私は、選挙期間中においては一定の秩序が選挙運動には必要であるということを申し上げておるわけでございまして、選挙期間じゃないところの政治活動については自由である、しかし選挙に入ったら、候補者の公平性、金があろうとなかろうと一定の範囲内でやってください、運動員がたくさんいるいないにかかわらず一定の範囲内でやってくださいというのが選挙法の趣旨でございます。
 したがいまして、今回の場合にも、個人ビラと同じようなやり方で、ただ政党の方は、きのうも御答弁申し上げましたが、政令事項でございますが、郵便によるところの頒布ということを入れることも検討しているということを申し上げたわけでございまして、三種類、そして枚数の制限はないということで、今御質問のことは十分担保されておるというふうに考えております。
○吉川春子君 少なくとも戸別訪問の禁止という措置を再びとったわけですから、これとの絡みで言えば、ビラの戸別配布ということは認めてもいいんじゃありませんか。その点に限ってどうですか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 繰り返しになりますけれども、余りにも無秩序なビラのはんらんというのはいかがなものか、やっぱり一定の秩序を設けるべきではないかということに尽きるのではないかというふうに考えております。
○吉川春子君 法律では「新聞折込みその他政令で定める方法」により頒布するということになっているわけですけれども、この新聞折り込みというのがなかなか難しい問題をはらんでおります。
 きのうも質問いたしましたけれども、山花大臣は、折り込みの差別の問題についてはそういうことがないようにその環境づくりに励むという答弁をされておりますけれども、現実には、私どもも体験することなんですけれども、新聞折り込みをお願いしても断られるケースというのがあるんです。それは断る方は御事情があるんで、当然そういうこともあるでしょう。そういうことは間々あることなんです。
 しかし、私どもとしては、有権者の皆さんに全部その政策をお手元に届けたいということであるとその目的が達成されなくなる、こういうことになるわけで、有権者にその政策を届ける手段をそういう新聞折り込みという唯一、唯一とは言わないけれども、それにかかわるというようなことにしておくとそういう不都合が起こるので、政府が責任を持ってそういうものが可能なことを政府自身の手でつくっておかなきゃならない。それが私の言うビラの全戸配布の自由をその法律に認めなさい、そういうことなんですけれども、山花大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(山花貞夫君) 今の新聞折り込みの問題については、きのうも御質問にお答えしたりしましたけれども、現実にそれを新聞販売店にお願いする契約というのは、役所は関係のない、いわば本人と販売店との契約ということになってまいります。したがって、ここのところにかたい契約の義務というものを課すのはなかなか理屈の上では難しいんじゃなかろうかと思っているところでして、この点については自治省としてはこれまでもその内容等について関係者への周知徹底ということについては努力をしてきたというように私も承知しているところでございますけれども、さきに私が環境づくりと申し上げましたのはそういう意味で申し上げたわけでございまして、そういう御指摘を受けとめてどこまでできるかということについてはこれからの作業の中で十分対応についてまた相談をさせていただきたい、こういうように思っているところでございます。
 同時に、後段の部分の、だから戸別の配布ということにつきましては、自治大臣の答弁と若干重複しますけれども、従来のいわゆる政党の政策ビラというものとは今回は質的にかなり違った内容になっているわけでありまして、選挙運動の要素といいますか、個人のビラ、そういうものがこの中にどこまで入ってくるかということはそれぞれの政党とか選挙の対策の判断ということになると思いますけれども、単なる政党の政策宣伝だけではなく個人の名前なども入ってくるということになりますと、自治大臣がおっしゃったとおり、そこでは何万枚でもまける、幾らでもまける、こういうのとは違ったある程度ルールをつくらないと公平性あるいは公正性ということに欠けるのではなかろうか、こういうように考えて今回の規制を行ったところでございます。
 ただ、だから戸別訪問のところがもとに戻ったのはけしからぬということにつきましては、これは随分御議論をいただいて、とりわけ公聴会とかその他の議論なども踏まえて、その上での最終的な結論である、こういうように承知しておりますので、この点については議論相半ばしたことについてのこうしたことでありますので、私は今回はやむを得なかったのではなかろうか、こういうように理解しているところでございます。
○吉川春子君 契約自由の原則というのは言ってみれば憲法上の原則ですから、そういうものを私たちどうこうしようという質問ではありません。むしろ、政府の方がビラの全戸配布を認めるというような法律を今回出してきている、ここがけしからぬと言っていることですので、そこはお間違えのないように、そこを厳しく私は要求をしておきます。
 それで、続いてポスターの禁止ということで言えば、佐藤大臣、選挙期間中はいろいろ制約があるんだ、その他の点については御自由にやってもらいたいというようなことを今も言われましたし繰り返しおっしゃっていますが、このポスター、百四十三条ですか、選挙前の公職候補者の政治活動用ポスターは、これは選挙期間の問題じゃないんです、御自由にやっていただきたいと言われるその選挙期間以外の問題です。
 大臣には後で聞きますが、自治省にまずお伺いいたします。
 職選挙法は選挙活動、選挙期間のことを制限する法律であるのにもかかわらず、なぜその前六カ月についてこういう問題を出してきたのか。自治省、法律に詳しい自治省がどうしてこういうことをおやりになるんですか、伺います。
○政府委員(佐野徹治君) この問題は、昨年の九月に私ども政府の方から政治改革関連の四法案を提出いたしましたときには、これは中身には入っておりませんでした。その後いろんな御議論がございまして、衆議院段階で修正をされましたときにこれが入ったものでございます。
 政府といたしましては、これにつきましては提案いたしておりませんけれども、修正の理由と申しますか、それにつきましては、政治に金がかかる原因となるとか町の美観を壊すだとか、こういったいろんな批判があるので国会におきまして修正をされたものと、こういうように承知をいたしておるところでございます。
○吉川春子君 自治省に伺ったのは、私はその経過は知っているんです、どういう経過で入ったかという経過は知っているんですよ。なぜこういうものを法律の中に盛り込んでくるのか。要するに、これは私は公職選挙法その他の関係からいって非常におかしいのではないかと思いますけれども、どうですか、自治省、そこだけ。
○政府委員(佐野徹治君) これも、国権の最高機関でありかつ唯一の立法機関である国会の方でお決めいただいたものでございまして、私どもはこれを尊重させていただきたいというものでございます。
○吉川春子君 こんなものがいきなり入ってきて、自治省は答えられないと思いますよ。そういうとんでもない修正がここに入ってきているわけなんです。
 自治大臣に伺いますけれども、こういう規制について、どうですか、選挙期間は制約があるけれどもその他のときは御自由にやっていただきたいというその答弁と反するのではありませんか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 自由にといいましても、事前運動とか一定の規制の問題があることは御承知のとおりでございます。
 この修正をどう思うかという、閣僚の立場で言うならば、これは与党及び最大野党であるところの自由民主党さんとの間においていろいろ協議の上で国権の最高機関であるところの議会の修正においてなされたことでございますから、尊重するというのが我々の立場でございます。
○吉川春子君 自治省も自治大臣もお答えになれませんので総理に伺いますけども、これは昨年の十一月十五日に衆議院通過直前の総・総会談が決裂したんですけれども、その後、政府・与党が取り入れて単独で修正したという経過で入ったと承知しておりますが、総理、なぜこういうものを入れて修正案を出されたんですか。
○国務大臣(細川護熙君) 与野党の御議論を十分踏まえてこのような形になった、こういうことでございます。
○吉川春子君 いろいろ今度の政治改革の一連の動きを見ていますと、理念もないし、いろんなことでくるくる変わったりとかいろんなことがあるんですけれども、このポスターの禁止もやっぱり政党活動を制限するという意味で大変不当なものだというふうに思うわけです。
 自治省に伺いますけれども、今回禁止された公職の候補者の政治活動用ポスターというのは一体どういうものなのか、客観的な基準があるんでしょうか、公職の候補者などの政治活動というのは定義づければどういう概念なんでしょうか、伺います。
○政府委員(佐野徹治君) これは、公職選挙法の改正法の百四十三条の十六項、それから十七項、これが関連条文でございますけれども、ここで規制の対象になっておりますのは、公職の候補者または公職の候補者となろうとする者の政治活動のために使用される公職の候補者等の氏名だとか氏名が類推されるような事項を表示する文書図画、こういうものが規制の対象になるというように理解をいたしております。
○吉川春子君 氏名とか氏名を類推されるようなものと抽象的に言われても、ポスターというのは各党、各候補者が知恵、総力を結集していろいろつくるわけですね。だから、なかなかその判断の基準というのは難しいと思いますけれども、たったそれだけの基準でもってこのポスターはいわゆる禁止されているポスターなのか許されているポスターなのか、この判断が私は素人ですから大変難しいと思いますけれども、自治省はこういう判断についてはかなり的確にこれでもってできるんですか。
○政府委員(佐野徹治君) この規定は改正前からございまして、この規定につきましての私どもの考え方は、条文につきましては先ほど読み上げましたとおりのものでございますけれども、どういうものが規制の対象になるかということにつきましては、その文書の内容だとか記載の態様、こういう具体的な事実関係に即して判断されるべきものであると考えております。
○吉川春子君 ポスターの禁止というのは今回が初めてですよね。それとの関係でこれが非常に重要になってくるんですけれども、それでは、今おっしゃられたような基準に基づいてこれが違法のポスターなのかどうかという判断はどこでされるんですか。
○政府委員(佐野徹治君) 規制対象の範囲につきましては今回の改正で変更いたしておりますけれども、先ほど私が読み上げました政治活動のために使用する文書図画で云々、この規定は改正前からございました。したがいまして、これにつきましては従前から罰則の対象にもなりますので、個々具体の事案につきましてしかるべき当局におきまして判断をされてきたものでございます。
○吉川春子君 これは山花大臣でしょうか佐藤大臣でしょうかわかりませんが、要するに、選挙前の公職の候補者の政治活動用のポスターであるかどうか、もちろん警察もこういう判断は行って取り締まるわけですけれども、政党の政治活動に対する警察の干渉、介入、こういうものを許してはならないということは当然のことであると思います。選挙前六カ月の間、もし政党の政治活動が警察の監視下に置かれるようなことになるとしたら、これは大変なことだろうというふうに思うわけですね。
 だからそういう点で、これはすべての点にわたりますけれども、権力の乱用にわたらないように十分な措置がとられる必要があると思いますけれども、ポスター禁止の問題に絡んで伺っているわけですが、こういう措置が十分にとられているのでしょうか。その点について大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(佐藤観樹君) 警察庁を通じまして警察を管轄をいたします国家公安委員長としても、権力の乱用はあってはいけませんけれども、法律の適正な運用ということは当然やっていかなければならぬと考えております。
○吉川春子君 法律の適正な運用と権力の乱用という問題ですけれども、もう一度お伺いしますけれども、権力の乱用にならないような措置が十分にとられているのかどうか、こういう質問です。法律の適切な執行をするのは当然じゃないですか。それが権力の乱用にわたらないようにするための措置がとられているかどうか、この点について伺います。
○国務大臣(佐藤観樹君) 今の問題について、何か撤去命令なりその他罰則もついておりますけれども、当然その解釈等につきましては自治省とも相談の上執行されるというふうに従来からも、つまり裏打ちのポスターの問題とかあるわけでございますので、その意味で法律が求めていることかどうかは十分精査をして執行するというのは当然であると考えております。
○吉川春子君 時間がもうなくなりましたので、権力の乱用にわたらないようにということを強く要求して、次に政党助成法の問題を最後にお伺いしたいと思います。
 この法律の運用を定めた条項の中に、政党の「組織及び運営については民主的かつ公正なものとする」という規定が入りました。与党と自民党との協議の中で入れられたものですけれども、どういう経過であったんでしょうか。
 新聞報道によれば、この協議で政党法の制定の必要性が主張されて、また政党に法人格を与える問題が出されて、これは先送りになったわけですけれども、こういう形でこの規定が入れられたわけです。
 時間がありませんので私まとめてお伺いしますが、石井委員長、衆議院の方で私どもの東中議員が質問をしたときに委員長は御答弁されまして、共産党の心配しているようなことにはならない、心配するなと、こういうふうに言われました。これは政党法とは無関係なんだと、そういうことであろうと思いますが、最後に確認の意味で改めて質問したいと思います。
○衆議院議員(石井一君) 昨日の当委員会におきまして、多分関根委員であったかと思いますが、自民党側の主張を明快にされまして、総理以下の御答弁がございましたので、私はそれには触れません。それなりの見識だと思っておりました。
 連立与党側はそれに対しまして、それが政党法の設立につながりかねないのではないか、また結社の自由であるとか政党の政治活動の自由を損なうのではないかとか、あるいはまた総・総合意には全く関係がないではないかということを主張いたしまして、強くこれに反論をいたしたところでございます。
 私は座長でございますからおとなしく両者の意見を伺っておったということでございますが、あえてお尋ねでございますので私の見解を申し述べさせていただきたいと思います。
 もとより、政党の組織なり運営というのは政党が自主的に民主的に決めることでございまして、要するにそれに介入するべきことではございませんけれども、ただ国民からこれだけの大きな血税を政党が受けるわけでございますから、やはりそれなりに党の運営は民主的、公正かつ正しく行わなければいかぬということは当然のことでございます。
 その問題は、例えば政党の組織とか運営とか党員の意思を反映するとか、あるいは経理に関してその専任体制、監査体制というふうなものをはっきりするというふうなことは当然でございまして、それはやっぱり一つの責任として果たさなければいかぬと思います。しかしながら、そのこと自体が直ちに政党法云々という議論ではございません。法人格をいかにして与えるか、あるいは政党法という問題、ドイツにおきましても大変な議論がございますけれども、そういう問題は今後継続して協議をする、こういうふうなことになっておるわけでございます。
 私は、衆議院でも議論がございましたが、政党が国家介入を防ぐのにどのようにするべきかという意味でも基本的な問題を問われておると思いますから、今後政治家の深い議論を続けていくべき重要な問題だというふうに認識いたしております。
○吉川春子君 時間がもうなくなりましたので、これで終わりたいと思います。(拍手)

○下村泰君 きのうここで、ひょっとしたらおひな様のように首のすげかえなんてという失礼なことを申し上げましたけれども、首のすげかえ作業がなくてほっといたしております。
 その割には、総理大臣は一晩たつといろんなことを言われます。求心力がなくなったとか、統率力がなくなったとか、やっぱり殿様はだめだったとか。ごそごそごそごそ、よくまああれだけ活字を並べられるものだと思って、私はもうつくづく総理大臣なんていうものは絶対になるものじゃないと思いましたね。
 いつも申し上げますように、私はもう障害者の福祉問題しかここでやらせていただいておりません。ほかのことは何にもできません。それで、いつも心配するんですけれども、あらゆる委員会に所属いたしましたが、その各委員会で全部私は福祉問題を取り上げてきました。ただ、一番困るのは、大臣の首がかわるたびに変わってしまうんですね。必ず申し送ってくださいよと言ってあるにもかかわらずそれは申し送ってないとか、あるいは横の大臣が両方でお話しをしてくれないとかいろいろあるわけです。
 そこで、一つ総理にお伺いしたいんですけれども、別にこれはお尋ねしていいことか悪いことかは見当がつきませんが、総理の思うようにいかなかった今回、いつごろまたそういうことをおやりになるんですか、ちょっと伺っておきたいんです。
○国務大臣(細川護熙君) 今のところ全く考えておりません。そういうことでございます。

○下村泰君 全く考えておりませんとおっしゃるんですけれども、またいつどういう風の吹き回しでどうなるか、こちらも心配なんです。そうなりますと、いろいろとお尋ねすることがまた重複したり何かして、いつどういう質問をしていいのか見当がつかなくなりますので、それだけはっきり伺っておきます。当分ありませんね。
 それでは、本題に入りたいと思います。
 きのうも終わりの方の質問でお尋ねしたんですけれども、国政レベルではかなり点字の選挙公報が出されているというふうに伺いました。これは大変ありがたいことで結構なことだと思いますけれども、中途失明者がいるんです、途中で目の不自由になった方が。こういう方は意外と点字をお読みになれない方が多いわけです。そうなりますと、頼りになるのはこっちなんです。耳しかない。それと、朗読テープなんというのがあるわけです。
 選挙公報の朗読テープというのが今どういうふうになっているのか、どの程度作成されているのか、それをひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(佐野徹治君) 点字公報につきましては、昨日御答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、今お話しの選挙公報の朗読テープにつきましては、私どもまだその実態については十分承知をしていない面もございますので、今後その実態の把握に努めさせていただきたいと考えております。
○下村泰君 そうしますと、作業的にはまだ全然やっていらっしゃらないわけですか。
○政府委員(佐野徹治君) 朗読テープにつきましては、ちょっと私ども実態を十分に把握しておらないというのが現状でございます。
○下村泰君 そうしますと、もしその内容を把握なされて、この後それをやってみようというようなお試み、お気持ちはありますか。
○政府委員(佐野徹治君) 内容自体につきまして十分承知をしておりませんので、まず内容を把握させていただく、これが先ではなかろうかと考えております。
○下村泰君 そうすると、内容が把握できれば、もしやることが必要であるとなればやるということに受け取ってよろしいわけですな、こっちは。よろしいですか、そういうふうにとって。
○政府委員(佐野徹治君) その内容を承知しておりませんので、内容を把握させていただくのがまずともかく先決である、こういうように考えております。
○下村泰君 大変弱ったもので、こういうことがまだ自治省の方でつかみ切れてないということは、自治省としていかにこういう方々の持っている参政権に対してもまるで冷たい扱いだということがこれでばれたわけですな。これは私は非常に悲しいことだと思いますよ。
 それからもう一つ、健常者の方々にとっては何だそんなことと思うかもしれませんけれども、知的障害の方々がいらっしゃるわけですね。こういう方々はいろんな選挙公報や何にしても難し過ぎるんですよ。普通の人は普通に受け取るんですけれども、こういう方たちの中には読み切れない方もいらっしゃる。しかし、ルビが振ってあればわかる方もいる。それから、言い回しが非常にややこしい。実際、裁判用語なんというのはまるっきり私には今でもわかりません。また、国会用語なんかでも私も時々わからないことがございます。ましてやこういった理解に苦しんでいらっしゃる方々に対して、わかりやすいような選挙公報というものが出せるものか出せないものか、伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤観樹君) 私たちもハンディキャップを持った方にでき得る限りの選挙への参加、投票への参加ということをするために努力することは当然だと思うわけでございます。
 ただ、現実に選挙運動期間が短くなり、例えば衆議院の場合に解散から投票日という期間が大変短くなったという中に、県の選管が下村委員今御要望のことがどこまでできるか。例えば、それを配る対象に対しましてそれを配ることがまた別の意味の差別に通じてこないのかということもございます。また、平易な表現、ルビを振るということは可能だと思うんですが、平易な表現というのは公報を出した人の真意を損ねることにならないのか、だれがそれを責任を持ってやるのかというようなことになってまいりますと、やっぱり選挙の公平を期すという面からいいますと、せっかくの御指摘でございますけれども、なかなかこれは難しいのではないかなと現時点では私は言わざるを得ないと答弁をさせていただきたいと存じます。
○下村泰君 何か知りませんけれども、こういう問題になると、大抵、公平公正と言う。いい言葉ですね、逃げ言葉としては。公平公正、実にいい逃げ言葉としてこれ使い過ぎるんじゃないかなという気が私はするんですよ。わかりやすくするということが公平を欠くとか公正を欠くとは決して私は思いません。まして立候補をなさっている方々は、それがだれにでもわかりやすく自分の言っていることを説明してもらえれば、こんなに得なことは逆にないんじゃないですかと私は考えますよ。
 それから、こんなことがあるんです。
 一九八九年一月、今から五年前になりますけれども、ある新聞が、「福祉施設入居者二十五人、選挙権宙に」というタイトルなんです。こういう見出しなんです。東京都から補助金を受けて運営されている山梨県の精神薄弱者更生施設に三十人の入居者がおるわけなんです。その三十人のうち東京都出身が二十五人おるんです。この二十五人が町長選に投票できなかった。なぜできなかったかというと、県外入居者が地元の国民健康保険に加入することによって医療費がふえるのを嫌った町の方が住民登録を拒否したというんです。住民の登録を拒否した、こういうことがある。これは厚生省とよく相談していただかなきゃならない問題なんでしょうけれども、こういうのを自治大臣、どういうふうにお受けとめになりますか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 経過につきまして、下村委員今言われましたように、昭和六十二年にいずみの家をつくるときに、東京都と山梨県との間で今御指摘のように住民票は移動しないで遠隔地扱いをする、それは国保の加入の問題があるのでそういう取り扱いにするということでこの施設を設置をしたようでございます。
 今ございましたように、そういうことになりますと、住民票がございませんものですから選挙の投票ができないという大変重要な問題が起こったわけでございます。言うまでもございませんけれども、住民基本台帳というのは、そこに実態的に居住している、生活をしているということを厳正に確認をいたしまして、そして市町村長がそれを住民基本台帳の記録に正確に載せるという非常に重要なものでございますので、私たちといたしましては、これは住民基本台帳の適正な運営という立場から、ちゃんと住民票を移すように、このことを指導していくようにしております。
○下村泰君 こういう問題は、これから先は起きないわけですね。
○国務大臣(佐藤観樹君) そうです。
○下村泰君 続いて一九九一年三月四日の報道なんですけれども、石川県の県会議員の発言にこういうのがあるんです。これは新聞の記事に載っていたのをそのまま写してありますけれども、「重症心身障害児の成人した人たちがおるわけですね。何でか知らぬけれども、その方がたが投票をしておる、現実に。そんなことは現実にあり得ないことなんですね、正直いいまして。そういうような投票もできないんですから、何も言うこともできないんですから、棄権になるのが常識なんだけれども、投票をしておるということを何人の人からもきいております」、こういう発言をしているんですよ、県議会議員が。
 この議員さんは一時間後にはすべて取り消したそうですが、こういう考えの人が意外に多いんではないかと思うんですね。これだけははっきり申し上げますけれども、どんなに重度な障害者でも意思のない人はないんですよね。障害を持っている方で個人の意思を持たない人はいないんです。
 そういう事実はたくさんあるんですよ。総理もごらんになったでしょう。ごらんになったかどうか、人間の脳細胞がどうなっているかというのをこの間NHKでやっていました。人間の脳細胞というのは物すごい力があるんですね。失った脳細胞がリハビリすることによってどんどん糸のように伸びていってほかの糸とくっついて、それでどんどん細胞が生き返るというのを現実に見せられて私は驚きました。そういう例は幾らもあるんです。例えば、植物人間のようになっていた脳性小児麻痺のお子さんの耳元で毎日決まった時間に決まった時間帯だけその人の名前を呼びかける。医師がさじを投げたそのお子さんが、毎日やることによってついに反応を示し始めるんです。これは、そのNHKの脳細胞のあれをやったドキュメンタリーを見てつくづく思いましたけれども、そうすることによって人間の能力というのはよみがえるんですよね。
 それから、アメリカのあるインストラクターでよく何とかダンスとかやりますが、それは重度障害者、縛帯でもっていすに結わえつけられた障害者を周りに置きまして、真ん中で十六ビートとか三十二ビートで物すごいロックのリズムをやるんですよ。そうしますと、全然動かなかった人たちが動くんですよ。脳細胞がそれに刺激されて動くようになるんです。だから、どんな障害者でも自分の意思を持たないということはあり得ない。
 そういうことを考えますと、自治省としても障害者あるいは難病者の参政権、こういうものの保障を含めて広く国民への啓蒙、啓発が必要だと思いますが、これはやり方の工夫が非常に必要だと思いますけれども、自治大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 全体的なことにつきましては、自治省だけでできることではございませんけれども、今、下村委員から御紹介があったようなことが、たしか議会の中だと思いましたけれども、公式の議会の中でそういう発言がなされたことは、ハンディキャップを持った方々に対する温かみと申しましょうか、そういったものが非常に欠けて残念な発言だというふうに思っております。
 したがいまして、先ほど触れましたけれども、でき得る限りハンディキャップを持たれた方も政治活動あるいは選挙の投票等にも参加できるように、点字投票にしても、あるいは一定の限度がありますが、病気の方の代理投票にしてもあるいは不在者投票にいたしましても、できるようにしていくという手だてを私たちとしては講じておるというところでございます。
○下村泰君 そういうお答えをいただくと、本当に首のすげかえがなくてよかったなとつくづくそう思います。
 それから、おととしですか、佐賀市でのリコール署名で手などの障害のために代筆署名が認められなかったという事件、まあ事件といいますか、そういうことが起こりました。実は、もう佐賀だけの話ではないんですね。たびたびあちらこちらでこういうことが起きている。公職選挙法では、筆記不可能な人のために投票所で立会人が本人の意思確認を行い代理人が筆記して投票する代理投票、これは設けられているわけです。こういうことだってこれは準じてしかるべきではないかなと思うんですけれども、どうなんですか。
○国務大臣(佐藤観樹君) 私たちも住民訴訟と申しましょうか、あるいは直接請求と申しましょうか、このことは首長なりあるいは議員に任せるといういわば代表民主制を補完するものとして非常に重要だというふうに思っております。
 しかし一方で、下村委員の絶えずの御質問は性善説に立たれて、それを逆用される方も残念ながらいらっしゃるものですから、公正公平ということを私絶えず言わざるを得ないのでありまして、何もそれはハンディキャップを持っている方だけの問題ではなくて、選挙の投票、選挙活動というものは絶えずやはり公平公正というものが担保できるものじゃなきゃならぬというふうに考えておるわけでございまして、この直接請求の問題も、委員が今言われましたような問題につきましては当然許されるべきものだと思っております。
 一方、じゃ、だれでもいいかということを、代理投票というものをどういう範囲で認めるべきことなのか。今御指摘のように、何らかの身体上の故障等によりまして自分の名前が書けないという方について現行法ではこれは署名することができないことになっておりますけれども、身体上の障害によりまして自己の氏名が書けないという方についてどういうふうにしていくか。それは一面、不正や違法行為というのをなくして、公平公正というものを保つためにどうやっていくかということを実は関係省庁、法制局等と相談をして今検討を早めておるというところでございますので、その範囲内で御理解をいただければと思います。
○下村泰君 私、国会に来ていつも思うんですが、検討を早めているとか検討させていただきますというのは、一体どこからどこまでがどうなるのか何だか知りませんけれども、昔、藤山さんという方が外務大臣をやったときに極東の範囲でもめたことがあるんですが、あれをいつも思い出すんですよ。検討というのは一体どういうことなのかな、いつごろやるのかな、やるのかやらないのか、こういうような感覚になるんですけれども、今の自治大臣のその検討というのはどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(佐藤観樹君) だんだん春になってまいりましたので、明るい方向で検討しているというふうに御理解をしていただいて結構でございます。
○下村泰君 何か遠山金四郎の裁判劇を見ているみたいですね。
 次に、これはもう大分いろんな形で要望が出ていると思うんですけれども、海外在住者の投票問題なんですけれども、自治大臣、これは一体どういうことになりますかね。
○国務大臣(佐藤観樹君) 私たちも、外国に居住をされている方、しかもだんだんふえているわけでございますから、そういった方々の選挙への参加ということは非常に大事だというふうに考えておるわけでございます。したがって、昭和五十九年に政府で一度出したことがあるわけでございますが、衆議院で廃案になったわけでございます。
 それは、一体どうやって投票する意思のある方にいつ選挙があるか、世界じゅう今情報化になりましたから、いつ選挙があるかというのは大体わかるかと思いますけれども、どうやって知らしめ、そこにだれが立候補しているかというのをどうやって周知するんだという問題もございます。
 あの当時の昭和五十九年の案は、外務省の領事館なりあるいは大使館なり、そこに投票したらということだったわけでございますが、そういった場合に一体投票箱を安全に国内ヘ持ってくるということをどうやって確保するかということもございます。じゃ郵便投票にしたらいいじゃないかということになりますと、本当に本人が書いたんですかというのを一体どうやって確かめるんでしょうかということもございまして、これは先ほど触れました国内における郵便投票の制限を設けている、つまり本人であることの確認をするということの問題もございます。
 それから、投票箱を直接大使館なり領事館なりにということになりますと、これは外務省の関係になりますので、外務省もいろんな用件が多くなってくるときに協力していただけるのかどうかというような問題等いろんな角度から、これまたおしかりを受けるかもしれませんが、我々の方、自治省という立場からいいますと、選挙の公平公正ということはこれは非常に重要なことでございまして、そういったことを十分頭に置きながら私たちとしてはなお検討を続けていきたい、こう考えておるところでございます。
○委員長(上野雄文君) もう時間ですから。
○下村泰君 やめさせていただきますけれども、このことを扱った新聞の記事に、「日本の国際化が言われて久しいが、真の国際化を目指すなら、行政の怠慢による旧態依然たる部分を、逐一手直ししていくことから始めて欲しい。」、こういうふうに結ばれているわけです。
○衆議院議員(石井一君) 参議院におきましてトップ先生のような高名な方からこの問題を提起していただいてまことに私もありがたいと思っております。衆議院ではかなり議論をいたしまして、これは必ずやらにゃいかぬというふうに思っております。
 外国の例を見ましてもやっていない国はもう非常に少ないということでございます。外国ヘ出まして日本人の声を聞きましても、なぜ我々は投票ができないのかということを言われます。今、自治大臣は、自治省はと言うが、 一番自治省が渋っておるんでありまして、外務省の方はぜひやりたいと。なぜ自治省が渋っておるかというと、公正を期すと。二十九万人というのが大体対象の数ですが、その投票用紙が開票の日までに来なけりゃ開票はできないとかなんとかと。
 こういう技術的な問題はありますが、実は国会の開会中でございますが、参議院で予算を審議されておりますときに衆議院の政治改革特別委員会はマレーシアとそれからシドニーで現地の公聴会を開くことになっておりまして、これは強力に実現にこぎつけたいと思っております。
○委員長(上野雄文君) 時間ですから。
○下村泰君 済みません。
 せっかく総理も来ていらっしゃいますので、今まで私が取り上げてきた問題、殊に手話通訳の問題は総理の一言でもって大分前の方へ進むようになりました。
 とにかく、いつもおざなりにされる方々なんです、こういう障害者の方々は。ですから、そういう方たちに対してどういうふうにこれから対処なさってくださるのか、一言だけ御決意を伺って終わりにしたいと思います。
○国務大臣(細川護熙君) ハンディキャップを持っておられる方々あるいは海外の方々、そういう方々が投票に参画していただけるようにできる限り前向きに考えてまいりたい。検討と言うと怒られますので、前向きに考えてまいりたい、こう申し上げます。
○下村泰君 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(上野雄文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより四案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○橋本敦君 私は、日本共産党を代表いたしまして、政治改革関連四法案の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 そもそも、小選挙区並立制など政治改革四法案なるものは、一月二十一日の本院本会議におきまして大差で否決されたものであります。したがって、国民を代表する本院の意思として明確にされたこの否決の重みを真摯に受けとめ、憲法第五十九条第一項の原則に基づいてこれを廃案とすべきが当然であったのであります。
 ところが、あえて両院協議会が開かれ、しかもその協議会で成案を得る見込みがないことが明確になったにもかかわらず、土井衆議院議長の意見をきっかけに細川総理と河野自民党総裁による政治的談合が行われ、その私的な合意を強引に国会の正規の機関に持ち込んで成案とした上、我が党と二院クラブを除いた修正協議によりさらに改悪し、しかも十分な審議を尽くさず強行しようとしているのであります。
 これは、三権分立の原則と国会の審議権を踏みにじり、二重にも三重にも議会制民主主義の基本ルールに反するものであり、我が国議会史上重大な汚点を残すものであります。これによって本法案の内容は憲法と民主主義の基本理念にますます背理するものとなっており、新聞の論調でも腐敗防止弱く一党支配の懸念深まると指摘しているほど、一層強権政治への道を推し進めるものとなっているのであります。
 このように本法案は、その手続、手法においても、さらにその重大な改悪内容においても、憲法と民主政治の基本理念に著しく反するもので、我が党は断じて容認することはできません。
 以下、具体的に反対理由を述べます。
 そもそも小選挙区並立制は、比較第一党が三割台の得票でも六割の議席を占めて、いわゆる虚構の多数をつくり出し、民意をゆがめ、国民の多様な意見を切り捨てるもので、議会制民主主義と国民主権の憲法原則に反するものであります。
 この反憲法的性格を本法案はさらに強め、小選挙区制の定数を二百五十から二百七十四、さらに三百にとふやし、一方比例代表を二百五十から二百二十六、さらに二百にと縮小し、民意のゆがみを一層大きくし、決定的に小選挙区中心の制度にするものであります。これは、比例と小選挙区部分の定数をそれぞれ二百五十としていたときに総理が民意の集約と反映が相まって相補う形で実現されていく現実的で妥当な案だと答弁されていたことからも大きく後退したものであることは明白であります。
 しかも、比例代表の選挙区を全国から十一ブロックに変更したことにより、少数政党と多様な民意反映の機能がさらに減殺されることは言うまでもありません。その上、全国で政党として選挙活動が認められるためには、すべてのブロックに定数の二割以上の立候補が要件とされたために四十五人以上の候補者を立てることが必要となり、二億七千万円以上もの高額の供託金とも相まって、少数政党や新しい政党がそもそも選挙に参入する道すら極めて厳しく閉ざすものとなり、まさにこれは民主主義の原点を侵害するものであります。
 これが第一の反対理由であります。
 第二は、連立与党が政治改革の魂あるいは連立政権の生命線とまで言ってきた政治家個人への企業・団体献金禁止を一転して容認したことであります。
 もともと、前国会で強行可決した法律は政党支部をトンネルとして政治家が企業献金を受けることができる抜け道だらけだという厳しい批判がなされていたものでしたが、今回の改正は、これを公然と政治家個人も受け取ることができるようにし、しかも、この法律の施行五年後に禁止する措置を講ずるものとするとして、新たな立法措置をとらない限り企業の献金が引き続き認められることになっているのであります。これでは、腐敗防止のための法案どころか、どの世論調査でもこれまで明らかな企業献金を禁止せよという国民の正当な要求を踏みにじるものと言うほかはありません。
 反対理由の第三は、このように企業・団体献金を全面的に復活させながら政党助成制度はそのまま温存したことであります。
 公費の助成について、総理は就任当初の所信表明で、続発する政治腐敗事件が企業などの団体献金に起因することを考えますと、この際、公費助成の導入などの措置を講ずることによって廃止の方向に踏み切ると説明されていました。この総理の説明からしても、企業献金を政党だけでなく個人にまで認めておいてその上なぜ政党助成制度を残していくのか、全く筋が通らないことになるのであります。
 そもそも政党助成は、憲法第十九条の思想、良心の自由及び憲法第十五条の国民の参政権を侵害する憲法違反の法律であり、このような制度は廃止すべきであります。
 しかも、今回、助成法の運用規定に、政党は「その組織及び運営については民主的かつ公正なものとする」と加えております。しかし、政党の組織や運営は全面的に政党の自主性にゆだねるべきことは言うまでもありません。これを法律で規制することは憲法第二十一条の結社の自由を制限するものになりかねず、政党一般を規制する政党法はもちろん、我が党はこれを容認することはできません。
 第四は、選挙のときこそ最大限に保障されなければならない政党と候補者の選挙・政治活動の自由を一層制限し、いわゆるべからず選挙、暗やみ選挙を拡大していることであります。
 選挙活動の自由回復の第一歩とされていた戸別訪問は再び禁止をされました。特に重大なことは、政党の配布するビラについて、配布方法が自由であったこれまでの法定ビラの制度を廃止して、政党の最も基本的な政策宣伝活動に重大な制限を加えたことであります。これは、政党の政治活動の自由及び国民の知る権利を甚だしく奪うものであり、絶対に容認できません。これでは政党・政策中心の選挙などと言えないことは明白であります。
 さらに、我が国の供託金は世界的にも例のない高額で、国民の被選挙権を侵すものになっております。本委員会の審議で、我が党の聽濤議員が高過ぎる供託金を適切な額に改めるための協議が必要ではないかと提起したことに対して、連立与党の党首である各閣僚も、今後検討すべき問題点があることを認めざるを得なかったところであります。
 以上述べたとおり、本法案は真の政治改革を求める国民の願いを真っ向から踏みにじるものと言わざるを得ません。
 金権腐敗政治一掃という国民の切実な要求を選挙制度の問題にすりかえ、悪の根源である企業・団体献金をほぼ全面的に復活温存した上、決定的に小選挙区制中心、少数政党差別の仕組みを強め、多様な民意を切り捨て、虚構の多数による政権によって、国民の意思に背いても強力な政治を進めようとする反憲法的本質はますます明白になったと言わねばなりません。
 我が国の歴史でも二度にわたって小選挙区制が廃止されたように、民主主義発展の方向、世界の流れに反する本法案は、憲法と民主主義を願う国民の手によっていずれ廃止される日が必ず来ると確信いたします。我が党はそのために今後とも奮闘する決意であることを表明して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(上野雄文君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律案、政治資金規正法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び政党助成法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して採決いたします。
 四案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(上野雄文君) 多数と認めます。よって、四案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十分散会