第132回国会 外務委員会 第10号
平成七年四月二十五日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     清水 澄子君     今井  澄君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     清水 澄子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田村 秀昭君
    理 事
                大木  浩君
                野間  赳君
                矢田部 理君
                猪木 寛至君
    委 員
                笠原 潤一君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                今井  澄君
                大渕 絹子君
                大脇 雅子君
                清水 澄子君
                松前 達郎君
                石井 一二君
                黒柳  明君
                武田邦太郎君
                立木  洋君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務大臣官房外
       務参事官     谷内正太郎君
       外務大臣官房領
       事移住部長    畠中  篤君
       外務省総合外交
       政策局長     柳井 俊二君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     高野幸二郎君
       外務省総合外交
       政策局軍備管
       理・科学審議官  林   暘君
       外務省アジア局
       長        川島  裕君
       外務省北米局長  時野谷 敦君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    法眼 健作君
       外務省条約局長  折田 正樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       総理府国際平和
       協力本部事務局
       派遣担当参事官  國方 俊男君
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    篠原 弘志君
       防衛庁防衛局防
       衛政策課長    守屋 武昌君
       科学技術庁原子
       力局核燃料課原
       子力バックエン
       ド推進室長    加藤 重治君
       環境庁長官官房
       総務課長     生田 長人君
       大蔵省国際金融
       局為替資金課長  藤本  進君
       厚生省保健医療
       局企画課長    川邊  新君
       通商産業省基礎
       産業局総務課化
       学兵器・麻薬原
       料等規制対策室
       長        掛林  誠君
       郵政大臣官房国
       際部国際機関課
       長        高橋 守和君
       郵政省郵務局国
       際課長      渡辺 和司君
       郵政省貯金局経
       営企画課国際業
       務室長      西森 正広君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出)
○万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出)
○小包郵便物に関する約定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出)
○郵便為替に関する約定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出)
○郵便小切手業務に関する約定の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出)
○化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並
 びに廃棄に関する条約の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応
 及び協力に関する国際条約の締結について承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、清水澄子君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
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○委員長(田村秀昭君) 万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松前達郎君 ただいま議題となりました五本を一括して質問させていただきたいと思います。
 郵便制度そのものは古くから世界を網羅して行われているわけで、恐らくこういう制度というのは歴史的にも一番古い、しかも立派にでき上がった制度だろう、こういうふうに思っております。今日までの歴史の中で培われてきました制度としては非常に見事な制度であると、私は心から敬意を表したいと思います。
 ところが、最近になりまして、通信システムが急速に発展をする、また配送関係の業務が自由に行われるようになってきますと、またここに一つの大きな問題が起こってくるわけでございます。恐らくそういうことで今回の議定書並びに約定等も関連して定められたんじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけです。
 まず最初にお尋ねしたいのは、最近無差別テロが非常に多くなってきたわけであります。また同時に特定の個人に付するテロ、これも世界じゅうに今広がりつつある。非常に嘆かわしい状況なわけでありますが、郵便という手段を利用するテロも頻発しているんじゃないか、こういうふうに思います。
 私の知っている範囲で、つい最近のことですが、ウィーンの市長のツィルクというのがおります。これは私の友達なんですが、彼も手紙爆弾で片手を吹っ飛ばしちゃったんですね。こういうふうなテロというもの、これが郵便事業における一つの大きな課題にもなるんじゃないかと思いますけれども、この郵便事業におきましてのテロ対策というのを何か特にお考えになっておられるかどうか、ありましたらひとつお願いしたいと思います。
○説明員(渡辺和司君) 爆発物、銃器それから毒ガス等の危険物につきましては、これらは郵便物として差し出すことができないものでございまして、郵便を悪用した犯罪を未然に防止することは極めて重要であると認識しておるところでございます。
 郵政省といたしましては、常日ごろから郵便物の引き受けの際、危険物が在中していないかなど十分注意するよう指導してきているところでございます。すなわち、危険物等の在中の疑いのある場合、これらにおいては差出人に郵便物の内容を尋ね、また必要に応じてその開示を求め、差出人がこれらに応じない場合は引き受けを断ることを指導しておるところでございます。
 また、外国から到着した郵便物につきましては、税関の検査に最大限協力しております。そして、郵政省といたしましても、関係国に個別に文書を発出いたしまして、けん銃等の輸入防止について協力要請を行っているところでございます。
 国内、国際郵便物を含めまして郵政省の取り扱い中におきましては、危険物が入っている疑いがあるものを発見した場合は最寄りの警察署等に速報して対応することを指導しております。また最近では、これらの措置に加えまして、爆発物在中のチェックを容易にするため、大量の郵便物が差し出される郵便局に金属探知器の配備を拡大しているところでございます。
 このように、今後ともこのような事件に関する情報に対応いたしまして、郵政省としてさらに必要な措置、適切な対策を講じてまいる所存でございます。
○松前達郎君 今おっしゃったような対策を講じておられるわけですけれども、配達をして受取人のところで爆発するとかいう問題ですね。これはその途中どうして爆発しないのか、とにかく非常に危険な状態で運ばれてきたということになるので、これからやはり職員の安全の問題、こういった問題もありますので、受け付けるときに何か自動的にそういう内容物がわかるような、しかも労力をかけないでわかるような方法、こういうものをひとつ検討していかれたらいいんじゃないか、こういうふうに私は思っております。これは皆さんが御専門ですから皆さんの方で十分お考えになっておられることと思いますが、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議定書並びに約定について質問させていただきます。
 一九九四年にソウルで会議が、大会議と言われている会議ですね、これは一九九四年八月二十二日から九月十四日にかけて行われた第二十一回の大会議、このソウル大会議においていろんなことが議論されたその結果が今回の議定書、約定にあらわれているんだと思うのですが、このソウル大会議における論議の主要な点と、それから我が国がこれに参加をしてどういう主張をされてきたのか、この点をひとつ簡単でいいですから要点を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 本件会議におきましては、国際郵便業務を取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に対応して高品質なサービスを提供するとの観点から、万国郵便連合の諸文書を見直し、今回御承認をお願いしている諸文書を採択するとともに、次の大会議までの万国郵便連合の活動計画を内容とする戦略計画の決定、各理事会の理事国選挙などが行われたわけでございます。
 我が国は、郵便の分野における先進国として諸文書の見直しの議論の中でサービス向上などの観点から種々の建設的な提案を行いまして、討議に積極的に参加するとともに、郵便業務理事会理事国に選出されるなど、我が国の万国郵便連合に対する貢献が高く評価されたものと認識をいたしております。
○松前達郎君 要点はそういうことだろうと思いますが、ソウル大会議で採択された幾つかの文書があるわけですね。この大会議で今国会に提出された文書のほかに代金引換郵便物に関する約定、こういうものが採択されたというふうに伺っているんですが、この代金引換郵便物に関する約定について、これは前にワシントン大会議で採択されたというふうに伺っているんですね。これは一体どういう制度なのか、それについて御説明いただけませんか。
○説明員(西森正広君) 代金引きかえ郵便業務と申しますのは、郵便物の差出人が指定した金額と引きかえに郵便物を受取人に交付するというものでございます。その際、その金額を差出人の指定に従いまして郵便為替業務を通じて、あるいは郵便小切手業務を通じまして差出人に送付するという、そういう取り扱い業務のことでございます。
○松前達郎君 そうしますと、受け取ったときにそこで現金を払うというのが最近よくありますね、宅配みたいなもの、それとは違うんですね。
○説明員(西森正広君) 郵便局を例にとりますと、まず郵便物が送り主から届きますと郵便物の到着通知というのが参ります。この通知をお客様が郵便局の窓口に、最初に貯金の方の窓口に行っていただきまして、そこでその郵便物を受け取りますよということでお金の支払いをしていただく。このときに為替を郵便局で作成していただいて、そして送付するわけです。それで代金を支払ったという受領書、それを今度は郵便の窓口の方に持っていっていただきましてそこで初めて郵便物を受け取る、こういうシステムでございます。
○松前達郎君 そうしますと、主に郵便局じゃないとだめということですね。
 この約定に我が国が署名していないと聞いているんですが、署名していませんか。もしそうだとすれば、締結しない理由がありましたらお述べいただきたい。
○説明員(西森正広君) 私どもは、現在この条約は締結いたしておりません。
 この約定でございますが、現在この業務を実施しております国ですけれども、欧州の方の大陸の諸国、その間の業務のやりとり、それからかつての宗主国と植民地、旧植民地でございますね、この間のやりとりの非常に限定された業務になっておるというのが実態でございます。したがいまして、地理的、歴史的にこのようなつながりのない我が国が本約定を締結しましても、非常に相手国が限定されておるということもありまして利用が余り見込まれないという予想がございましたものですから、これを締結しないということにいたしました。
○松前達郎君 万国郵便連合憲章についてお伺いしますけれども、第五追加議定書、この中で改正された内容、改組の理由。改組というのは理事会が改組された、郵便業務理事会、諮問理事会が改組されているというのですが、その理由もあわせてお願いしたいと思うんです。
○政府委員(高野幸二郎君) まず改組の内容でございますが、本件追加議定書におきましては、万国郵便連合の機関のうちの執行理事会及び郵便研究諮問理事会、これを執行理事会につきましては管理理事会とし、郵便研究諮問理事会につきましては郵便業務理事会というふうに改組いたしました。
 まず、新たにできました管理理事会につきましては、その権限といたしまして、連合の文書の規定に従って連合の専業の継続を確保する機関ということになったわけでございます。他方、新たなる郵便業務理事会につきましては、その権限といたしまして、郵便業務に関する業務上、営業上、技術上及び経済上の問題を取り扱うことを任務とする機関となりました。これに伴いまして、条約及び諸約定の施行規則の制定権限はこの郵便業務理事会に属することとなったわけでございます。また、国際事務局を、執行、支援、連絡、通報及び諮問の機関といたしたわけでございます。
 次に改組の理由でございますが、先ほど委員御指摘のありましたとおり、近年の万国郵便連合あるいは国際郵便業務を取り巻く環境の変化、例えば通信、物流のグローバライゼーションの拡大でありますとか、あるいは民間クーリエ事業者との競争の激化、あるいは利用者からの効率的で高品質な国際郵便システムの要求の拡大等々の変化を踏まえまして、このような変化に迅速かつ柔軟に対応するために、ただいま申し上げましたような連合の組織構造及びその意思決定過程の合理化ということが行われた次第でございます。
○松前達郎君 執行理事会の権限が郵便業務理事会に移された。そしてしかも、これはちょっと内容的にどういうことを意味しているのか具体的にわからない点があるんですが、一般規則の中の三番目ですか、戦略計画案の承認権限という項目が出てくるんですね。戦略計画案、一体これはどういうことを意味しているのか。今おっしゃったようなことがすべてかもしれませんが、目的、性格、あるいは我が国がこれに関してどういう対応をしていこうとするのか。この辺についてお伺いしたいと思うんです。
○説明員(高橋守和君) 先生おっしゃいますとおり、一般規則の改正によりまして、郵便業務理事会及び管理理事会で準備をいたします戦略計画案と申しますものが大会議において採択されるという旨の規定が新たに入ったわけでございますが、この戦略計画案と申しますのは言ってみますとUPUの中期的な活動計画といったようなものでございまして、これをこのような形で設けるということが定められましたのは、一つには連合としての活動を戦略的に遂行する、それから二つ目といたしまして予算及び人的資源の最適配分を行う、そして連合の活動に関します意思決定プロセスを透明化していこう、こういう趣旨で新たに定められたものだというふうに承知をいたしております。
 今回のソウルの大会議におきましては、一九九五年から九九年までの活動を対象といたします戦略計画というものが決められたわけでございますが、この計画の中では、例えば全世界的な郵便ネットワークの確保でございますとか、加盟国の郵便業務の運営及びサービスの質の改善、こういった目的が六つほど定められておりまして、この六つの目的を達成するために連合のいろいろな機関が行う活動を具体的に決めているところでございます。
 我が国といたしましても、このソウルの大会議で採択をされました戦略計画につき、作業部会のメンバーとして積極的にその策定に参画をしてまいったところでもございまして、世界的な郵便サービスの改善にとりましてUPUの活動を活性化していくということは大変重要なことだと考えておりますので、今後ともこの戦略計画の策定、またその着実な実施に向けまして積極的に協力をしてまいりたい、このように考えております。
○松前達郎君 全体的なアクションプランといいますか、そういうものについて取り組んでいこうということだろうと思うんですが、郵便そのものを考えてみますと、電気通信との関係が非常にこれから重要だと思うんですね。
 電気通信というのは料金の設定を時間で設定しますね。時間で設定するけれども、最近は情報量が非常に圧縮されますから、情報量としてはただ時間だけではとてもいかない面があると思うんです。郵便の場合ですと、これはどっちかというと印刷あるいは文書になっているのが多いですね。しかも、どこまで行っても日本国じゅう同じ値段であるという、この辺が大いに違うところだと思うんですね。国際間もそういう点がこれから論議されていくだろうと思うんですね。国の中では同じだと。これはイギリスで始まったシステムなんだろうと思います。
 この辺との兼ね合いの戦略というのは、やっぱり郵便の方である程度考えていかれようとしているのかどうか。これは敵であると言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんね、電気通信が。最近はファクスとかそういうものがもうほとんど日常使われるようになりました。その辺、何かお考えがありますか。
○説明員(渡辺和司君) 今、先生御指摘のとおり、電気通信の目覚ましい発達というのが一方にございますので、我々、郵便事業におきましても情報通信をどのように利用するか、サービス面あるいは郵便業務の運営そのものの中で大いに活用して郵便事業の発展に結びつけていきたい。これらの論議はUPUの中でも、先ほど御説明いたしました戦略計画の中でも触れられておりまして、十分この状況を認識して郵便業務を遂行してまいりたいというふうに思っております。
○松前達郎君 次は郵便条約なんですが、この郵便条約の中にたしかリメーリングという言葉が使われていますね。これは最近大分流行してきたと言ってはあれですが、大分行われるようになってきたと思います。
 これは、各国それぞれ郵便料金に差があるわけですが、これをうまく利用した手段だというふうに思うんですね。この中の第二十五条四というのがありますが、これを留保している国もあるわけで、特に留保している国の一つであって恐らく日本との間では非常に郵便の量が多いだろうと考えられるアメリカですが、これとの間で問題が生じてくるのではないか、こういうふうに思うんですが、現状では一体それはどういうふうになっておりますでしょうか。リメーリングというのはいろんなやり方があると思いますけれども、それが今問題を提起しようとしているのか、あるいはもう既に起こっているのか、それについてお答え願います。
○説明員(渡辺和司君) この条約の第二十五条四は、リメール郵便物の到着郵政庁がその負担する費用に相当する報酬を差し出し郵政庁に請求できる、そういうことを規定しているものでございます。この報酬の程度をめぐりまして今御指摘のございました米国などは、当該報酬の支払い額を条約が大量郵便物について認めております限度に制限する旨留保しておるところでございます。この点につきましては、我々としては条約の規定を尊重する立場にございますので、この米国の立場は我が国の立場とは異なっているものでございます。
 しかし、現実の問題といたしましては、米国との関係では条約第二十五条四に関係いたしますリメール郵便物というものは発生していないところでございまして、この規定に係る立場の相違、米国と日本の立場の相違というものが現実の問題として生じてくることはないというふうに考えておるところでございます。
○松前達郎君 現実に生じていなければそれでいいだろうと思いますけれども、最近私のところにも随分そういうたぐいの郵便が来るんですよね。差出人を見たらどうも差し出している人の住所と差し出した場所が違う、よくありますね。これはうまい方法だろうと思うんですね、差し出す方にとってみますと。問題がなければ結構です。
 次は小包なんですが、集合業務という言葉が出てくるんですが、集合業務というものの内容を簡単に説明してもらえますか。
○説明員(渡辺和司君) 小包のための集合業務が今回新しく条約上に規定されたわけでございます。これは条約上では郵政庁相互間で同一の差出人から外国にあてて多量に差し出される小包のための集合業務として定義されておりまして、その具体的な中身につきましては、今後、郵便業務理事会が定める規定に基づき、差し出し郵政庁と名あて郵政庁との二国間で定めることとされているものでございます。したがいまして、本業務内容の確定した内容につきましては今後の郵便業務理事会の審議にゆだねられるものでございまして、現時点では詳しく御説明することは非常に困難でございます。
 ただ、実際上、この業務につきましては条約上の新規業務といたしまして一部の国々で取り扱っておりまして、それらの情報によりますと、この業務は大口の小包利用者を主な対象といたしまして、大量に差し出される小包を差し立てから名あて国到着まで集合的に取り扱いまして、そして名あて国に到着後は個々の小包郵便物として配達される、そういうふうなサービスであるというふうに聞いておるところでございます。
○松前達郎君 今の電気通信のシステムと大して変わらないようなシステムなんですね。ただ、一本でやっていると、郵便業務の一つとしてやっているということですね。
 それから郵便小切手業務に関する約定ですね。これの中にポストネットという言葉が出てくるんですが、このポストネットというのは一体どんな方式なのか、またこれに対して我が国としてどういう対応をしようとしているのか、これのまた説明をお願いします。
○説明員(西森正広君) ポストネットと申しますのは、郵便振替口座の加入者が外国の郵便振りかえ実施機関、同じように郵便振りかえ業務を実施しておる機関でございますが、ここに設置しております現金自動支払い機という機械を利用しまして自己の口座からカードによりまして現金を払い出す、こういうサービスを提供するネットワークのことでございます。一九九二年より既にフランス、スペイン、ベルギー、スイス及びルクセンブルクの五カ国におきまして二国間ベースで実施いたしております。
 我が国といたしましては、今後、現在ポストネットによります現金払い出しサービスを実施しております国における運用状況、それから技術的な要件、コスト、ニーズ等につきまして検討してまいる予定でございます。
○松前達郎君 検討中ということですね。
 それでは、私の質問を終わります。
○石井一二君 私は、今議題となっておりますUPU条約等に関しまして、若干の質問をさせていただきます。
 私が理解いたしますところ、このUPUは一八七四年にスタートいたしまして、我が国はいち早く一八七七年から加入しておる。現在、百八十九カ国という非常に大きな国際的な組織になっております。まず最初に外務大臣にお聞きしたいのは、このUPU活動の中で我が国が果たしてきた役割についてどのように評価されておるか、まず基本的なスタンスをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の郵便分野におきます役割というものは、委員もよく御承知のとおり、先進国といたしまして国際協力に積極的に寄与してきたということがまず言えると思います。我が国は万国郵便連合の主要メンバーとして、この仕組みといいますか考え方といいますか、こういうものに積極的に参画をし貢献してきたということでございます。
 郵便の仕組みというものは、私考えますに、人類の英知がつくり出したものの中で極めてすぐれた仕組みだと思いますし、それはまた人間同上の信頼関係というものが編み上げたものでございます。こうしたものを我々はさらに科学技術というものに乗せて発展させていかなければならないと思います。他方、先ほど松前議員からも御指摘がありましたように、こうした仕組みを使って犯罪的な行為が行われる、あるいは犯罪が行われるということは厳になくしていくべきものであろうと思います。
 まだまだ我々が努力をすべき部分も残っていると同時に、科学技術の進歩によってさらに一段と成果も上げられる分野のものであるというふうに考えております。
○石井一二君 私は、一八八四年から今日までに至る長い期間における我が国の果たしてきた役割という、もう少しロングレンジの感じでお聞きしたわけですが、お答えとしてとりあえずちょうだいいたしておきたいと思います。
 さて、本件の諸文書は、昨年、我が国の大出郵政大臣を代表とする代表団が行かれたソウル大会、この結果であると伺っておりますが、そこで行われた主要改正点を簡単に御列挙いただければありがたいと思います。いかがですか。
○政府委員(高野幸二郎君) まず憲章及び一般規則関連でございますが、一つは、連合の機関のうちの執行理事会及び郵便研究諮問理事会をそれぞれ管理理事会及び郵便業務理事会に改正いたしました。
 それから二番目は条約関連でございますが、一つはいわゆるリメーリング、これにつきまして名あて郵政庁から差し出し郵政庁へのリメール郵便物の配達費用の請求を認める等、差し出し郵政庁の責任を明確化する旨の改正が行われております。
 また、引き続き条約関連でございますが、印刷物の重量制限の引き上げ、保険つき郵便物の保険金額を一定の金額以下に制限する場合の限度額の引き上げ、あるいは調査請求の無料化、電子郵便に関する規定の新設等、サービス改善のための改正が行われております。
 また、今申し上げました憲章、条約関連以外の改正といたしまして、小包約定、為替約定、小切手約定におきましても、先ほど申し上げました条約関連と同様のサービス向上の観点からの改正が幾つか行われております。
 なお、それ以外といたしましては、先ほど来お話の出ております今後五年間のUPUの活動目的を定めまして、これを戦略的に遂行するための指針ということでUPU戦略計画というものが採択されております。
○石井一二君 ちなみに、今の御答弁の中で、引き上げられた保険の限度額というのは何ぼに上がりましたか。
○説明員(渡辺和司君) 限度額につきましては、SDR表示でございますが、三千二百六十六・九一SDRが現行でございまして、約二三%引き上げられまして四千SDR、これは約五十八万円でございますが、そのように改正をされております。
○石井一二君 今おっしゃったSDRを定義として述べていただきたいと思います。
○政府委員(高野幸二郎君) これはIMFの方の通貨計算単位でございまして、SDRの略はたしかスペシャル・ドローイング・ライツ、特別引き出し権というふうに訳されていると承知しておりますが、主に主要国際通貨及び金等との関係において一定の数字が一SDRの数字として出されておりまして、大体一ドル前後、一ドル強というふうに承知しております。
○石井一二君 今の御答弁は必ずしも正しくないと思うんですね。と申しますのは、引き上げられた限度額が五十八万円でしょう。そうすると、一ドル強ということでは計算が合わぬですな。これはいいです、派生的な質問だから、相場が変わっていますから。
 次の質問を続いてやります。
 先ほど松前議員の質問を聞いておりまして、リメールは米国との間では起こっていない、そういう御答弁を伺ったわけですが、現在リメーリングが問題として起こっておる相手国の主なものを勉強までに教えていただきたいと思います。
○説明員(渡辺和司君) 現実に我が国との関係でリメール郵便物が差し出されている郵政庁、これは香港それからオランダ等が主なところでございます。
○石井一二君 今、世界で交換されておる我が国の国際郵便物の総量は約十億強かと認識していますが、大体どれぐらいの数になるのか、教えていただきたいと思います。
○説明員(渡辺和司君) 世界全体で交換されている国際郵便物の総量でございますが、九三年の統計によりますと、通常郵便物と申しておる分野では六十一億四千二百二十三万通でございます。また、国際郵便小包につきましては三千六百二十六万個というようなデータになっておるわけでございます。
○石井一二君 今おっしゃったのは、日本が関与した総数ですか、世界全体ですか。
○説明員(渡辺和司君) 世界全体です。
○石井一二君 日本のいわゆる出たり入ってきたりする総数で大体どれぐらいですか。パーセンテージでも結構ですよ。
○説明員(渡辺和司君) 日本から差し出されるもの、これは総数が平成六年度におきましては約一億一千五百万でございます。それから日本に到着してくる郵便物、これは総数で二億二千百万通でございます。
○石井一二君 この中に占めるリメーリングというのはどれぐらいの率ですか。
○説明員(渡辺和司君) 現実にリメーリング郵便物として、条約及び我が方の国際郵便規則というのがございまして、そのもとでリメール郵便物として措置している数、これを申し上げますと、平成六年度におきましては通数で約四十一万通でございます。
○石井一二君 それで私思いますのに、リメーリングは逆の場合もあると思うんです、理論的には。その方が高くつくのかどうかは別にして、よそのDMの会社が日本から投函してというような。
 これはお互いさまの問題じゃないかと思うんですが、こういう問題が起こってくる裏には、内外価格差という面で日本は非常にコスト高なんじゃないかと思うんですが、そういうことに対して御所見を承りたいと思います。いかがですか。
○説明員(渡辺和司君) 現実の郵便の料金、価格でございますが、これは私ども一概に日本が高いというようなことでは事実としては認識しておりません。
 といいますのは、最近の為替レートで比較いたしますと、これは国際郵便物のそれぞれの料金でございますが、主要国と比べましたところ、私どもの料金はドイツ、スイスからの料金より安くなっております。米国、英国、フランスからの料金よりは高い。ただ、印刷物という種類の郵便物と比べますと、これらの諸国よりは安くなっておるという状況でございます。さらに、購買力平価ということで比べてみますと、日本からの料金といいますのは、これらの欧米諸国からの料金と比較して安くなっておるという状況でございます。
 先生御指摘のように、我々としてはできるだけ郵便料金というものは維持をしてまいりたい、そういう覚悟で運営をしておるところでございます。
○石井一二君 リメーリングがなされた場合に差し出し郵政庁に対して請求できるという御説明ですが、個人的に受けた場合に差し出しの会社なり組織に対しても請求できるというようにお聞きしたように思ったんですが、そういうケースもあるんですか。それを確認させてください。
○説明員(渡辺和司君) 条約及び国際郵便規則で現在規定がされておるところでは、先生の御指摘のように、リメーリング郵便物が到着した場合には差出人の方から料金をいただくと定めているところでございます。
○石井一二君 ということは、個人から取れた場合は差し出し郵政庁には請求しない、両方に請求するということですか、その辺の判断の基準を勉強させていただきたいと思いますが。
○説明員(渡辺和司君) この新条約、今回の改正されました条約によりますと、私どもといたしましては、まず差出人の方にその料金相当額を請求いたしまして、それができない場合には差し出し郵政庁、例えば先ほど申し上げた香港とかに請求をする、そういう順序になっております。
○石井一二君 その差出人に請求して取れないという判断基準とタイミングですね、例えば二回請求書を出したけれどもだめだったとか、何か判例とか前例とか、その基準についてもしヤードスティックがあれば教えていただきたいんですが、いかがですか。
○説明員(渡辺和司君) これは特段その基準というものはございませんで、私どもはお客様と呼んでおりますが、差出人の方にお願い申し上げてもし拒絶をされればということで、何回とかそういうたぐいの基準を特段設けておるわけではございません。
○石井一二君 では、拒絶をした方が得だということになるのであれば不公平だと私は思うんですね。
 私が特に申し上げたいのは、お互い二国間で逆のケースもあり得るとすればお互いさまだ、しかも世界全体のメールの中に占める割合、また日本全体のメールの中に占めるリメーリングの割合等を見れば非常に小さなパーセンテージである、したがってこういった取り決めをして相手の国なりあるいは差出人なりを追っかけ回してというよりも全体の省力化なり効率化なりの中で吸収できないかというような気がするんですが、そういった可能性を模索されたことがありますか、またそれは全く不可能な話なんですか。いかがですか。
○説明員(渡辺和司君) 先生御指摘のように、リメール郵便物の背景には料金の格差の問題等がございます。したがいまして、その中には郵政庁間の公平な決済が十分図られておるかどうかという問題もございまして、そういう経済的な側面を十分解決していくという面も重要な側面としてあるわけでございまして、先ほど来申し上げているリメーリングに対する措置ばかりがリメール対策ではないというふうに認識しておるところでございます。
○石井一二君 一応時間ですので、これで終わります。
 ありがとうございました。
○立木洋君 万国郵便連合の問題については、大会議が五年ごとに開催されて、それまでの活動を総括し、さらに必要な改正が行われるということで、大体五年ごとに外務委員会でも今まで審議してきているわけです。きょうは時間が短いものですから、一つの問題だけについてお尋ねしたいと思います。
 通常郵便物の到着料の問題ですね。これは世界の一キログラム当たりの平均通数を出して、この通数を各国内で配達する場合の世界の平均の配達コスト、これを算出して十七・二六通、三・四二七SDR、約五百円になるということで一六・六%引き上げられたということになっているわけですが、日本では外国から到着する通常郵便物一キログラム当たりの平均通数が大体どれぐらいになっているんでしょうか。
○説明員(渡辺和司君) 平成五年度の実績で申し上げますと、一キログラム当たり十一・二通というデータでございます。
○立木洋君 一キログラム当たりの国内での配達コストというのはどのぐらいになるんでしょうか。
○説明員(渡辺和司君) 率直に申し上げてこれは極めて難しい問題でございます。といいますのも、到着郵便物につきまして、多種多岐にわたりまして非常に種類が多うございます。しかも、それごとに重量をきちんと計測する必要がございまして、それに伴って精密なコストが出てくるものでございます。
 したがいまして、非常に難しい算定になるというふうに認識しておるところでございますが、UPUの中で議論がこれまでされておるところによりますと、到着郵便物についての配達コストはおおよそこの相当する内国郵便物の約八〇%、その料金の八〇%が配達コストであるというふうに議論がされてきておりまして、私どもとしてもこの考え方をもとに、到着する郵便物の到着料に関するコストでございますが、それを算定いたしました。
 それにつきまして御説明申し上げますと、先ほど申し上げましたように、我が国に到着する通常郵便物の平均重量というものは、一通当たりにいたしますと八十九グラムになるわけでございます。この八十九グラムの書状に適用される内国郵便物の料金というものは百九十円でございまして、その八〇%相当がコストであるというふうに考えておりますので、こういう形で計算をいたしますと約千七百円ということになるわけでございます。
○立木洋君 今まで到着料の基本料率の問題については、開発途上国の郵便物をできるだけ安くサービスするというふうな観点から、先進国としてはなかなかその配達コストがカバーできないというふうな話なんかも問題になっていたと思うのですけれども、千七百円というと大分ですが、到着料が今回一六・六%引き上げられたという問題については、この大会議で日本政府としてはどういうふうな発言をし、どういう態度をとったのかということと、到着料が一六・六%引き上げられたことによってどの程度の改善が見込まれるのかという二点について御説明いただきたいんですが。
○説明員(渡辺和司君) 先生御指摘の基本料率の引き上げにつきましては、私どももこれは過去五年の全世界のおおよその配達コストの上昇の平均に見合うものだということで賛成をしたわけでございます。
 そして、この料率引き上げに伴いましてどうかということでございますが、これにつきましては、全世界の郵便利用の促進を図るという立場からできるだけ低い水準に定めておるという考え方は変わっておりません。したがいまして、直ちにこれをもってすぐ全体のあるいは個々の国の配達コストを全部賄うというものではございませんが、今申し上げた全世界の郵便利用の促進という見地からこのような引き上げ率で妥当だというふうな判断をしたわけでございます。
○立木洋君 この間いただいた資料で、外国から到着しているのが二億一千七百二十七万六千通、これは平成五年ですが、それだけ到着している。到着料の収入額が、実績に基づく額として出されているのが一億七千七百万というふうに出されているのですけれども、今後これはどういうふうに変化をするのか、この料率が上がった場合。去年から比べると到着量というのが七・一%ふえてるんですね、通数が。だから、そういう推移を見てどういうふうになるのか、そこら辺の推定を。
○説明員(渡辺和司君) 先生御指摘のように料率が引き上がったわけでありますから、しかも最近の傾向としまして到着郵便物は漸増してきております。したがいまして、一般的に申し上げられるのは、到着料収入は引き上がるというふうに考えております。
 ただ、現実の債権債務に伴う郵政庁間の支払いにつきましては、相手方の債務の支払い状況が都市によって非常にアンバランスでございます。したがいまして、都市ごとに幾らかというのを確実に想定することは難しい問題でございます。ただ、当然引き上がっていくということは申し上げられようかと思います。
○立木洋君 それで、先ほど通常郵便料の配達コストについては千七百円ぐらいとおっしゃったですね。実際に配達コストとして見込まれて支払ってもらえる分というのが五百円ということになるわけでしょう。そうすると、その差額というのは事実上どういうふうにカバーされるのか。国際郵便料金というのは今後とも引き上げない、低く抑えていくという方向であるとするならば、どういうふうにしてそれはカバーされているのか。そこら辺の実態はどうなっているんでしょうか。
○説明員(渡辺和司君) 今御指摘ございました到着料とそれから実際にかかっているコスト、これにかなり乖離があるというのは特に日本だけではなく先進国では大体同じような傾向がございます。これは先ほど申し上げたように、このように到着料を低い水準にするというのは、やっぱり開発途上国が全世界の大部分でございますので、できるだけ安い料金で出していただくということからそういうねらいを持って定められておるものでございます。
 したがいまして、乖離があることについては直ちに不合理だと言うわけにはいかないわけでございまして、そこを各国がそれぞれのかかる全体の費用を考慮いたしまして、国際郵便料金としてお客様にサービスをする際に料金を設定してその点の解決を図っているというところでございます。
○立木洋君 今述べられたように、できるだけ可能なサービスを十分に尽くしていくという万国郵便連合のあり方ですから、それを十分に守っていただいて、直ちに国際郵便料金の値上げなんかにならないようにこれからも努めていただきたいということだけを最後に申し述べておきたいんですが。
○説明員(渡辺和司君) 国際郵便料金につきましては、我々もできるだけ安く設定していくという努力を日ごろしておりまして、十分この点を認識して業務運行をしてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(田村秀昭君) 他に御発言もなければ、五件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、万国郵便連合憲章の第五追加議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本作を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、郵便為替に関する約定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(田村秀昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、五件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田村秀昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(田村秀昭君) 次に、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成五年一月にパリで作成されたものであります。
 この条約は、厳重かつ効果的な国際管理のもとにおける全面的かつ完全な軍備縮小に向けての効果的な進展を図るべく、化学兵器の生産、使用等の禁止及び化学兵器の廃棄について規定し、あわせて条約上の義務の実施を確保するための検証措置等について規定するものであります。
 我が国がこの条約を締結することは、化学兵器の完全な廃絶に向けた国際協力を促進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(田村秀昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 この際、外務大臣から中国における遺棄化学兵器の現状について発言を求められておりますので、これを許します。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 中国におきます遺棄化学兵器に関しましては、ジュネーブ軍縮会議において中国側が提出をいたしました資料、日本政府が実施をいたしました現地視察・調査及び日中間の協議、意見交換を通じましてその実態把握に努めているところでありますが、それらの概要を取りまとめて御報告申し上げます。
 中国は、一九九二年二月十八日付で、ジュネーブ軍縮会議に中国における遺棄化学兵器の現状に関する資料を提出いたしました。この資料によれば、中国には遺棄された化学砲弾約二百万発、化学剤約百トンが東北地方を中心に存在することが示されております。
 ただいま申し上げました資料提出以後、日中間において行われた協議、意見交換におきまして、中国側より追加的に黒竜江省巴彦県、遼寧省瀋陽市、江蘇省南京市、江西省上高県に遺棄化学兵器が存在していることが示されました。
 また、政府といたしましても、中国における遺棄化学兵器の現状を把握するために従来より現地視察・調査を行ってきておりますが、その概要は以下のとおりであります。
 すなわち、政府は、一九九一年六月十六日から二十六日にかけ、吉林省敦化地区、河北省石家庄地区において現地視察・調査を行うとともに、国防部において中国側関係者との意見交換等を行いました。
 教化地区においては、一九五一年から一九五八年にかけ、教化市化学砲弾処理委員会が近隣地域で発見された遺棄化学兵器を集中的に埋設処理したと言われる現地周辺の視察を行いました。
 石家庄地区においては、一九九一年五月に同地、すなわち旧日本軍の総合訓練所があった場所でありますが、におきまして発見された化学砲弾の一部の調査を行いました。それらは腐食が激しく、刻印、識別帯等は確認されないものの、その形状及び築きょう部にあった発射薬のう、また砲弾成分の検査等から、旧日本軍による化学砲弾である可能性が高いと考えられます。
 また、国防部において教化地区及び石家庄地区において発見された化学砲弾の調査を行った結果、いずれも旧日本軍の化学砲弾に酷似しているとの結論を得ました。
 また、一九九二年六月五日から七日にかけ、江蘇省南京市における現地視察・調査を行いました。
 有視察・調査においては、一九九二年一月、南京市内の工事現場より発見された発煙筒状のもの約三千個を発見現場の西約百メートルの地点にそのまま埋設したと言われる地点の視察を行いました。その際、発見時に一部保存されていたサンプルの調査を行い、金属筒について旧日本軍の赤筒に諸元がほぼ一致しているとの結論を得ました。
 さらに、本年二月二十六日から三月十三日にかけ、断江省杭州市、安徽省ジョ州市、江蘇省南京市における現地視察・調査を行いました。右調査においては、一時保管されていた化学兵器の鑑定、測定及び発見当時の事情等の聴取を行い、それらが旧日本軍のものである可能性が高いとの結論を得ました。また、それら化学兵器を密封容器に収納し、一時保管倉庫への保管を確認いたしました。さらに、化学兵器埋設場所の現地視察・地中探査を行い、将来の発掘調査のための情報を収集しました。
 以上、御報告申し上げます。
○委員長(田村秀昭君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大脇雅子君 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約がパリにおいて署名式が行われまして、このたび批准に対する審議が行われることは非常に有意義であると思います。
 一九二五年のジュネーブ議定書から始まりまして、細菌兵器等禁止条約、それから戦争における除草剤使用の禁止、そして本条約に至りますいわゆる非人道的な軍兵器の禁止に関する歩みというものは感慨深いものがあると思います。とりわけ今回の条約は、化学兵器の広範な禁止、そして廃棄までの厳格かつ具体的な国際管理下における査察あるいは検証措置等が附帯されているわけでございますから、言ってみれば初めての軍備縮小に関する徹底した条約ということが言えるのではないかと思います。
 大臣にお伺いしたいのですが、本条約の国際関係に果たす役割と軍備縮小に果たす役割についてどのようにとらえていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議員御指摘のとおり、本条約は、極めて徹底した、しかも画期的な査察等の方法を取り入れました軍縮に向けての重要な条約というふうに私も考えております。
 本条約が国際間で合意をするまでの間には、御指摘のように、極めてさまざまな場面を通ってきているわけでございます。東西間及び南北間の対立がございまして、条約交渉は一時は極めて難航をいたしました。イラン・イラク紛争、湾岸危機を契機として化学兵器使用の脅威について国際的関心が高まる中で、一九九二年九月に軍縮会議は条約案を全会一致で採択し、同年の第四十七回国連総会はこの条約への参加を勧奨する決議を全会一致で採択したわけでございます。
 私どもは、この条約を締結することは化学兵器の完全な廃絶に向けた国際協力を促進するという見地から極めて有意義というふうに考えておりまして、今回御審議をいただくわけでございますが、ぜひ早期に審議を終えてこの効果を達成することを待ちたいと、こう思っております。
○大脇雅子君 現在この条約に含まれている、いわゆる禁止されている化学兵器ないしはその前駆物質というものに対しまして、例外的なものが許されております。この条約によって禁止されていない目的として、工業、農業、研究、医療または製薬の目的その他の平和的な目的、毒性化学物質及び化学兵器に対する防護に直接関連する目的、化学兵器の使用と関連しない軍事目的、国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的というものが挙げられているわけですが、具体的に禁止されていない目的で除外されている化学物質というのは一体どういうものでしょうか。例えば、暴動鎮圧を含む法の執行のための目的に許される化学物質というものは一体どういうものでしょうか。例えば、暴動鎮圧を含む法の執行のための目的に許される化学物質というものは一体どういうものでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今、先生御指摘になりました暴動鎮圧剤ということについて言えば、この条約上、戦争の方法として使用することは禁止の対象となっておりますけれども、いわゆるここの条約に言う一般的な禁止の対象にはなっておりません。それの例としては、催涙ガスのようなものがそれに当たるというふうに承知をいたしております。
○大脇雅子君 枯れ葉剤は一応使用禁止、戦争のために使うことは禁止されておりますけれども、いわゆるダイオキシンなど、とりわけ後世の子供たちに対してさまざまな弊害を起こすと言われているような、こういう物質についてはどうなんでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今御指摘のありましたように、いわゆる枯れ葉剤、この条約文では除草剤と訳しておりますけれども、それはこの条約の禁止の対象に入っておりません。今御指摘のダイオキシンについても、この条約の附属書に掲げられております毒性化学物質の表には掲載をされておりません。
○大脇雅子君 本条約におきましては三つの検証制度が規定されておりまして、軍事検証、産業検証、チャレンジ査察というものがありますが、とりわけ特別に意味を持つのはこのチャレンジ査察と言われるものであろうかと思います。これはいかなる手法によって行われるのか、御説明ください。
○政府委員(林暘君) 今御指摘のとおり、この条約の検証措置として初めて導入いたしましたものがチャレンジ査察という制度でございます。この制度は、この条約の加盟国のある加盟国が他の締約国について条約違反の可能性があるということで要請をいたしますと、当該締約国の同意を経ないで査察団がその締約国に飛んで行きまして査察をするという制度でございまして、条約の違反の可能性を摘発するといいますかそういうことをなくするようにするという意味で、この化学兵器禁止条約が導入いたしました画期的な検証措置であると承知をいたしておりますし、そう思っております。
 我が国としましても、この検証制度、実際に発効いたしましてどういうふうに実証されるかということは発効を待たないとわからない部分もございますけれども、こういう画期的な検証制度が適切に実施をされまして、化学兵器の廃絶というものが達成をされるということを期待している次第でございます。
○大脇雅子君 このチャレンジ査察に関しましては、これは当該国が同意しなくても他の国に化学兵器があるということが明らかになれば、あるいはその疑惑があれば入ってくるということで非常に企業秘密との関係で議論が重ねられたと聞いておりますが、どのような議論がされたのでしょうか。
○政府委員(林暘君) 企業秘密の関係で申し上げれば、チャレンジ査察も通常の査察につきましても、いわゆる化学薬品、化学製品をつくっている工場その他に対する査察の過程で、その工場等のノウハウといいますか企業秘密というものが査察をする人たちに知れるということがあり得るわけでございます。そういう意味で、企業秘密を本来の目的以外に使用されることがないようにいかに防護するかということはこの条約の審議過程でもいろいろ議論をされまして、そういう意味での秘密を保護するための規定というのがこの条約にも入っております。
 そういう形で条約でも秘密保護をするための測定が置かれておると同時に、最終的な担保といたしましては、もしそれにもかかわらず査察に携わった者が企業秘密を他に漏らすないしは他の目的のために使うというようなことがあります場合には、事務局長の方がいわゆる特権というものを、特権があるわけでございますけれども、それを放棄するという形で当該国の裁判管轄権に服するような形での担保ということで最終的には確保されている次第でございます。
○大脇雅子君 化学兵器禁止条約に関してはそのような厳しい査察制度が導入されておりますが、細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約に関してはそうした手法が取り入れられていないということですが、これについては現在そういった査察制度というものの検討は始められているのでしょうか。
○政府委員(林暘君) 御指摘のとおり、既に発効をいたしております細菌兵器・毒素兵器禁止条約におきましては検証に関する規定がございませんで、したがいまして査察というものも行われておりません。このため、現在、生物兵器禁止条約にかかわる検証措置について検討をしているところでございまして、これまでの専門家による検討の成果を踏まえまして、ことしの七月から法的枠組みを検討するための専門家会合というものが、明年九月に開催を予定されております生物兵器禁止条約再検討会議に報告書を提出すべく、本格的な作業を開始するということになっております。言いかえますと、検証措置についての検討が行われておって、最終的には明年九月の再検討会議でその報告書を受けて検討するということになろうかと思っております。
○大脇雅子君 この条約が実施されるということで、我が国では化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律が施行されるということになりまして、化学物質の管理の徹底をするために通産省は通達を出して化学関係業界三団体に監督を強めているというふうに聞いておりますが、この法律に対する通達の内容及び現在どのような形でそれを機能させようとしておられるのか、お尋ねいたします。
○説明員(掛林誠君) 御説明させていただきます。
 化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の国内実施法でございます化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律につきましては、化学兵器禁止条約上の義務を的確に履行するために必要な措置を講ずるというものでございます。
 具体的には、まず化学兵器の製造、所持、譲り渡し、譲り受け及び使用の禁止、化学兵器として使用されるおそれが高い毒性等の特性を有するサリン等の化学物質であって条約に明記されたものについてその製造等の原則禁止、さらに化学兵器として使用可能な特性を有する毒性化学物質の原料物質であって条約に明記されたものについてその製造等の届け出制、許可届け出事業者等に対し条約機関が派遣する国際検査団による検査の受け入れの義務づけ、本法の規定に違反した者への罰則の適用等を主な内容にしているものでございます。
 また、この法律につきましては、三月三十日に衆議院の商工委員会におきまして特定物質等の適切な管理について関係者に指導を行うべきであるという旨の附帯決議がなされたところでございます。
 当省といたしましては、この化学兵器禁止法成立の当日、今申し上げました附帯決議を受けまして、直ちに化学業界団体に対しまして特定物質の毒性物質及びその原料物質の適切な管理を促すといったような内容の通達を発出いたしました。この通達を受けまして、化学業界団体の方としましても、直ちに傘下の諸団体、諸企業に対しましてその趣旨の周知徹底を行ったというふうに報告を受けております。
○大脇雅子君 具体的に化学物質の在庫管理とか販売先のチェック体制、末端の利用者のどこまでそれが届いて、どのような数量が行っているかというような、そういった体制について検討を始めておられますか、どうでしょうか。
○説明員(掛林誠君) 御説明させていただきます。
 ただいま御説明いたしましたように、衆議院商工委員会におきます附帯決議を受けまして、各化学産業団体につきましては、その附帯決議の内容、いわゆる特定物質等の適正な管理についての周知徹底ということでございまして、これにつきましては各化学産業団体及び企業においてもその周知徹底を受けて対応をしているというふうに認識しております。
○大脇雅子君 私がお尋ねしているのは、周知徹底というような啓蒙的なことではなくて、化学物質の在庫管理とか販売先のチェック体制などのようなシステムの確立ということを、業界と協議されましてもよろしいんですが、通産省としてはそれを具体的な形で検討されないといけないのではないかというふうに思うものですから、その点ぜひ早急に検討して、そのシステムの確立に向けて研究を始めていただきたいというふうに希望しておきます。
 それからさらに、国内法としてサリン等による人身被害の防止に関する法律というものが成立しておりますが、この法律は「サリン等」というふうになっておりまして、そのほかの化学物質につきましては「政令で定めるものをいう。」というふうに書いてありまして、「サリン以上の又はサリンに準ずる強い毒性を有する」というふうに書かれております。この条約によりますと第一類などはそれに該当するのではないかと思うのですが、政令で定める範囲あるいはそれの検討事項というのは今どのように進んでいるのでしょうか。
○説明員(篠原弘志君) 御指摘のありました「サリン等」ということで政令で定めますには、その物質がサリン以上またはサリンに準ずる強い毒性を有することなど一定の要件に該当することが必要とされております。毒性の点について申しますれば、化学兵器禁止条約におきましてもサリンとほぼ同等の毒性を有するものといたしまして規定されておりますタブン、ソマンなどがこれに当たるということで、想定されるところでございます。
 しかしながら、これらの物質を「サリン等」として政令で定めますには、さらに犯罪に係る社会状況などを勘案して規制を行う必要性が高いと認められることが必要である旨規定をされております。そういったようなことから、今後の社会実態の推移等を見ながら政令を定める必要性につきまして検討してまいりたいと考えているところでございます。
○大脇雅子君 条約の批准とともにやはり徹底した国内法の整備ということが必要であろうかと思いますので、その政令というのは早期にかつ徹底してその規定を整備していただきたいというふうにお願いをいたします。
 この条約を批准したときに負う国の義務について確認をいたしますが、もちろん化学兵器の廃絶に向けていくわけですから、例えばテロリストのものであっても化学兵器の廃棄の責任は条約上国が負うというふうに理解されますが、そういった理解でよろしいでしょうか。
○政府委員(林暘君) この条約を審議いたしました過程におきましては、化学兵器というものが国と国との関係で使われるということを想定して条約をつくったことは事実でございますけれども、条約の規定上、締約国が有する化学兵器は廃棄をしなくちゃいけないという定めになっておりますので、当然のことながら自国内にもし存在するとすれば化学兵器は廃棄をしなくちゃいけない、所有がたとえ政府のものでないということであってもそれは廃棄をしなくちゃならないということは、条約の規定上、そういうことになると考えております。
○大脇雅子君 今、日本で化学兵器が国としてつくられているということはないと思われますが、一番問題は、旧日本軍が製造をした毒ガスというものがどのくらいあったのか、そしてそれに対する自国ないしは他国におきます毒ガス兵器の廃棄の責任は日本が負うわけですが、まずお尋ねをいたしたいのは、旧日本軍がどのくらい毒ガスを生産したのかという点についてはどういう事実を調査しておいでか、お尋ねをいたします。
○説明員(守屋武昌君) 防衛庁は防衛研究所という附属機関がございまして、そこで戦史の研究をいたしております。その関係で旧軍の文献、書類を保有いたしております。ですが、この旧軍の文献、書類は戦争終結時に焼却されておりまして、現在残っております資料で旧軍による化学兵器の製造の全体像を把握することは大変困難でございます。
 現在私どもが保有している資料でわかる範囲でお答えいたしますけれども、化学兵器の製造量に関しては、昭和七年から昭和十六年までに陸軍造兵廠のもとで製造されたものについて記録が残っております。それによれば、発煙剤や催涙剤なども含めた化学兵器の製造数量は次のとおりでございます。砲弾が約百三十六万発、爆弾が一万九千発、発煙筒が二百十三万個、化学剤が約三平三百七十トン、こういうふうになっております。
 それから、昭和十七年以降の製造量につきましては記録が断片的でございまして、旧軍が昭和二十年の終戦までに総量としてどれだけの化学兵器を生産したかを把握することは、私どもが持っている資料では不可能でございます。
○大脇雅子君 最近、アメリカの国立公文書館所蔵の新資料を検討して、吉見義明教授がそれを集計して、陸海軍で一九三一年から一九四五年までにつくられた毒ガス弾は七百五十一万四千六百九十八本というような数字を挙げておられますが、そういったアメリカ公文書館などの資料などから防衛研究所の方としては数量を試算されたことはありませんか。
○説明員(守屋武昌君) 防衛庁としまして、そのような資料というのは私ども入手いたしておりませんので、そのような試算をいたしたこともございません。そのような数字も承知いたしておりません。
○大脇雅子君 これは民間の研究者の人たちの中でそうした紛失した軍の資料等に留意しながら推定した数字ですので、化学兵器禁止条約を批准した我が国としては、やはり全力を挙げてさまざまな資料を収集して、旧日本軍がどのくらい毒ガスを生産していたかということを徹底して調査していただきたいと思うわけです。
 中国に二百万発あるということで、この資料を見ますと約五百万発がどこかへ行ってしまっているというような数字になるわけでございまして、その数字が正しいかどうかも含めまして調査をぜひお願いいたしたいと思います。
 調査をするかどうかについて。
○政府委員(林暘君) 旧日本軍が生産しました毒ガス弾、化学兵器のうち、中国に遺棄、この条約で言ういわゆる遺棄をしております兵器がどのくらいあるかについては、今調査をしておりますし、今後も調査をする予定でございます。
○大脇雅子君 そうではなくて、旧日本軍が製造した毒ガスというものがどのくらいであったのかということは、この条約を批准するについて我が国としては重大な関心を持って調査しなければいけないというふうに思うわけです。資料がないというのではなくて、アメリカ国立公文書館でいろんな資料が発見されたという民間の研究者のいろいろな資料もあるわけですから、さらに改めてその点についてはきちんとした調査をしていただきたいという、こういう趣旨でございます。防衛庁にお尋ねします。
○説明員(守屋武昌君) 旧軍がつくりました毒ガス兵器の全容について、中国のみならず日本国内でどれだけ残っているのかを調べろという御質問でございますけれども、私ども承知している限りにおいては、過去五年間、日本国内でそのような毒ガス等が発見されたという報告は受け取っておりません。
○大脇雅子君 発見されていないというのでも、例えば西ジャワにはオランダ東インド政府が経営しておりました化学兵器生産施設があって、バンドンの兵器廠でイペリットなどがつくられていたという報告もあるわけですから、中国以外に、その他東南アジアにも化学兵器は残されているのではないかということについて疑いがある。
 それから、今、過去五年間とおっしゃいましたか。過去五年間国内でそういう報告はなかったといえば、過去五年前にそういうことがあったわけでしょうか。それから、国内ではそういう日本軍の製造した毒ガス弾というものがどういう状況にあるかということについて、二点お尋ねをしたいと思います。
○説明員(生田長人君) 旧軍の毒ガス弾等につきましては、先生御承知のとおり、昭和四十七年に広島県の大久野島というところで毒ガス弾の容器らしきものが発見されましたことを契機といたしまして関係省庁から成ります連絡会議をつくっておりまして、大久野島における処理対策とあわせて旧軍の毒ガス弾等の全国調査が行われているわけでございます。関係する省庁が幾つかございまして、それらの省庁が役割を分担して実施したものでございますが、これを当時、防衛庁が中心になって取りまとめまして、関係省庁連絡会議に報告されているものがございます。
 その内容を見る限りにおきましては、終戦時に毒ガス弾等が保有されていたとされております地点は全国で十八カ所というぐあいに報告されております。当時保有されていたものにつきましては、その報告書によりますと、焼却による破壊あるいは海洋への投棄処分がなされたものというぐあいになっております。主としては海洋投棄という方向で処理をされたものと我々は聞いております。
 海洋投棄されましたのは八つの海域でございまして、具体的には別府湾等を初めとする八つの海域でございますけれども、そのうち三カ所につきましては大変深いところに捨てておりまして、したがいまして現在ではそれを調査することはなかなか難しい状態になっております。残る五カ所につきましては、今日までに掃海あるいは実地探査が行われておりまして、何らかの安全措置が講じられているという報告になっております。
 以上がこれらの状況でございます。
○大脇雅子君 八海域のうち三つが深いところということですか。
○説明員(生田長人君) はい。
○大脇雅子君 その名前と場所を特定してください。
○説明員(生田長人君) 深度が深い三カ所につきましては、相模沖、土佐沖、それに遠州灘でございます。残る五カ所につきましては、別府湾それから陸奥湾、銚子沖、周防灘、さらに大久野島の周辺海域となっております。
○大脇雅子君 時々漁師の綱にかかって、その被害を受けた人たちが出ているというふうに聞いておりますが、そういう事実というのはありませんか。
○説明員(生田長人君) これまでに私どもが把握しておりますところによりますと、昭和四十五年に銚子沖で発見、漁師の網にかかったことがございます。そのほかに、同じく千葉県の富津沖で昭和五十年に一度ございます。銚子沖につきましては、昭和五十一年にも発見をされております。大体その二カ所ぐらいではないかと思います。
○大脇雅子君 さらに、広島の大久野島の方では毒ガスの製造にかかわっていた従業員の人たちが今なお後遺症に苦しんでいるというふうに聞いておりますが、この点は今どのような形で国はケアをしているんでしょうか。
○説明員(川邊新君) 戦争中、旧日本軍によります毒ガス製造に従事したために健康障害を受けた方々につきましては、旧令の共済組合の組合員であった方々に対しましては大蔵省において、それ以外の例えば学徒動員等で従事された方については厚生省におきまして健康診断及び医療保険の自己負担分についての医療給付、それ以外に対象者の健康状況に応じましては健康管理手当等の各種の手当を支給しているところでございます。平成五年度末現在で厚生省所管分で二千六百五十五人の方が対象となっております。
○大脇雅子君 さらに、環境庁にお尋ねした方がいいと思うんですが、広島で何か浅いところに埋めて、もう一度また処理が必要な場所があるというふうに聞いておりますが、そうでしょうか。
○説明員(生田長人君) 広島県の件でございますが、私どもが承知しておりますのは旧軍のくしゃみ性ガスの中間原料でございますが、かつてこの原料の払い下げを受けて保有しておりました企業がこれを放置しておりましたのを広島県がこれを見かねまして、自分で所有権を取得した上、これを広島市の出島東公園というところに処理をして埋めたという経緯がございました。それが今回、道路等の敷設に端を発しまして、調べましたところ、埋めたところから、これは有機砒素化合物でございますので、要するに砒素が若干検出されたということを聞いております。
○大脇雅子君 しかし、そういうことが出てきた場合、これからはそれは国の義務として処理をすることになると思うんですが、その体制について、例えば昭和四十七年に省庁連絡会議というのができているということですが、これは今なお生きていて、そこがこれからそういう国内における処理を行うのでしょうか、あるいは新たなナショナルマシーナリーみたいなものをつくって処理をする必要があるのでしょうか。条約が批准された以後の国内のシステムというのはどういうところで責任を負われるのでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今御指摘の広島県のいわゆるくしゃみ剤の原料でございます。
 まず第一点目として、これがこの化学兵器禁止条約の対象になっているかどうかでございますけれども、当該化学物質につきましてはこの条約のいわゆる附属書の表には掲げられてない物質でございます。ただ、先生御案内のとおり、この表というのは検証措置を実施するために化学物質を特定するものでございまして、掲げられてないものは化学兵器でないという定め方をいたしておりませんので、そういう意味では、この条約によって禁止されてない目的のためのものであって、かつ種類、量が当該目的に適合する場合が除かれますけれども、そうではないものについて化学兵器になるかどうかということについては検討しなくちゃいけないということはあろうかというふうに思っております。
 それから二番目の、条約が発効いたしました後の実施体制でございますけれども、この物質がどうこうということではなくて、廃棄をする義務が国としてある物質の廃棄については政府が責任を持ってやらなくちゃいけないことは当然でございまして、条約の規定にもそう書いてあるわけでございますけれども、いかなる政府の体制でやるかということについては現在まだ政府部内で調整中でございますけれども、政府として責任を持ってやるということについては政府部内のコンセンサスがございます。
○大脇雅子君 それでは、中国に日本が遺棄した化学兵器に関してお尋ねをいたします。
 ただいまの大臣の御報告によりますと、一九九二年に中国側から申し出をされて日中で調査が始まったというふうに理解されるわけですが、これは中国側が言う前に日本は何らかの形で何かアクセスをしていたのでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 中国がジュネーブ軍縮会議に資料を提出いたしましたのは九二年でございますけれども、その前から遺棄化学兵器につきましては中国政府から日本側に対して提起がされておりまして、その意味で、この問題に関しまする第一回の日中間の協議というのはそれに先立つほぼ一年前、九一年一月に行っております。そこで中国側から問題の指摘がございまして、それで事実に基づいて本件を解決するということで協議を継続していこうじゃないかということになった経緯がございます。したがいまして、ジュネーブの軍縮会議が最初ということではございません。
○大脇雅子君 そうすると、今、三回調査に出かけられているわけですが、しかしまだ二百万発あるということについてはまだ確定してはいないんでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 中国側がまさに二百万発、百トンということを資料で言っておるわけでございますけれども、日本側が調査したのはその一部でございまして、全貌について確認したというところまでは行っておりません。
○大脇雅子君 一九九二年にジュネーブで提出された文書には吉林省の敦化地区のところに百八十万発余りが存在すると書かれておりますし、それから黒竜江省の富錦県あるいは黒竜江省の尚志市などにはそれぞれ十万発、二十万発というような形で中国側が言っておりますが、今まで三回の調査団で敦化のところで行われたのも非常に簡単な調査でありまして、まだ本格的な調査に入っていないような気がするんですが、この点、認識はどのようなものでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 確かに百八十万発、敦化地区というのが一つの中心だろうと思いますし、それについては相当腰を据えた調査をさらにしなければならないと思います。その意味で、その部分についてはこれから相当調査についても作業が必要だろうと考えております。
○大脇雅子君 それはダムの上流にあって、年代も経ていて大部分は腐食しているため、一たん大量に漏出した際の現地の人民の命及び生活環境に及ぼす影響と結果については想像を絶するものになるというふうに書かれているわけです。これはかなり緊急性を要するというふうに思うんですが、調査の日程あるいは回数その他についてはどのような見通しをお持ちでしょうか。
○政府委員(川島裕君) まさにここが中心的な場所でございますけれども、具体的に何月というふうにまだ申し上げる段階にございませんけれども、可及的速やかにまず調査をやらなければならないと考えております。
○大脇雅子君 それから、この文書では二千人の被害が出たというふうに書かれておりますが、どのような被害なんでしょうか。それは把握しておられますか。
○政府委員(川島裕君) これまでの中国とのやりとりにおきましては、二千人の被害について具体的にどういう症例が出たとかそういうような形では中国からは話は出てきておりません。
○大脇雅子君 二千人の被害状況というのは、例えば大久野島の症状などを見ても非常に厳しいものがあると思うわけですが、早急に被害を調べられて、言ってみればその手当て、補償などについては日本としては行わないといけないというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 被害の実態につきましても中国側との今後のやりとりの中で取り上げるべきものと思っております。
 ただ、補償の問題につきましては、戦争にかかわる日中間の請求権の問題は七二年の日中共同声明発出後は存在しておりませんというので、仮に遺棄化学兵器によって何がしかの損害があったとしても、それの請求権は日中間では存在しないという立場でございます。
○大脇雅子君 その点については非常に論議があるところだと思います。とりわけ、兵器の遺棄によって今なお被害が出ているという状況について、我が国はやはり真摯に誠実にその補償に対処しなければならないというふうに考えます。
 それでは、毒ガスの処理方法についてはどのような見通しを持っておられるんでしょうか。
○政府委員(川島裕君) これから何を作業として考えられるかといいますれば、実態をまず把握した上で、どこにどういうものが埋まっているかというのを確認して、それを収納して無毒化する必要があるわけでございます。具体的には何がしかの工場みたいなものでそれを処理するということだろうと思います。ただ、今の時点ではそういう無毒化のテクノロジーと申しますかそういうものも日本にはない状況ですので、その辺のところをどういうふうに処理の技術を、開発と申しますか技術をどうするかというのをまず詰めなきゃならない話だろうと思います。
 それから、そもそも日本の戦後処理、いろんな案件ございましたけれども、この遺棄化学兵器のようなものについてこれまで海外におきまして対応したことがないものでございますから、その辺を政府部内でどういうふうな体制でもって対応するかということもこれから至急詰めなきゃならない問題だろうと考えております。
○大脇雅子君 日本軍のいわば遺産として一番困難でかつ長く時間を要する最大の戦後処理であるというふうに考えざるを得ないわけでございます。ぜひ国内の体制を十分にとられて誠実に対処していっていただきたいと思いますが、この点について外務大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 御審議をいただいております条約の性格からいいまして、この条約に定められていることはとりわけ誠実に実施をしなければならないと考えております。
 その際、今、政府委員が答弁申し上げましたように、中国にあると言われます遺棄化学兵器等についての処理につきましては、十分調査をし、その処理方法についてもできるだけ早急に研究し、あるいは開発をし、あるいは日本以外にあるノウハウ等を利用できるものがあれば利用するなどして処理をしなければならないというふうに思います。このため、国内の体制をつくること、あるいは関係諸方面との連携を十分緊密にとることをしなければならないものというふうに考えております。’
○大脇雅子君 先回、ことしの一月に中国の社会科学院の研究者と日本の民間の研究者がこの敦化地区に調査に入ったということがありまして、その際議論されたことは、やはり情報公開をしてどこに何があるということを中国の人たちにも知ってもらって、そしてきっちりと処理をしなければいけないという意見が中国の研究者の側から出たというふうに聞いておりますが、情報公開の点では将来的にどのように外務省としては中国政府と議論されているんでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 一義的にはどこに何があるかということ、中国の調査を基礎として私どもも作業を始めているわけでございます。そこで、具体的に中国側が把握しております情報を、あるいはそれをフォローする形で日本が調査した結果をどれぐらい広く公表していくかということについては、検討させていただきたいと思います。
 ただ、まさに住民にとってはどういう危険なものがどこにあるかというのはかなり深刻な問題であるということは想像にかたくない次第でございまして、情報の公開という意味合いについては私どもも取り組んでいきたいと思っております。
○大脇雅子君 他国の化学兵器の処理状況についてお尋ねをしたいんですが、一番化学兵器を所有しているのはアメリカとロシア、そしてドイツもまたその義務を免れないと聞いておりますが、これらの国はどのような形でこの化学兵器の廃絶に向けて取り組んでいるのでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今御指摘の国々の状況でございますが、アメリカにつきましては太平洋の中のジョンストン島というところに化学兵器の廃棄施設を既に有しておりまして、この施設において化学兵器の廃棄を進めているものというふうに我々は承知しております。さらにアメリカは、今後、大陸内、本土内に八カ所新しく廃棄施設を建設する予定であるというふうにも承知をいたしております。
 ロシアにつきましては、現在化学兵器の廃棄を行っているとは承知をいたしておりません。現時点で廃棄を行っていることは承知しておりません。ただ、米国とロシアの間でいろいろ話し合いをしておりまして、化学兵器の廃棄をするためにアメリカがロシアに支援をするということをしております。一九九二年六月に二千五百万ドルの資金提供が合意されておりますし、さらに昨年、九四年一月に本年以降、九五年以降の支援について約三字万ドル支援をするという協定が合意されております。
 ドイツにつきましては、現在化学兵器は所有してないというふうに承知しておりますけれども、その領土内で発見をされております旧独軍の化学兵器について、ミュンスターにございます化学兵器廃棄施設で処理をしているというふうに承知をいたしております。
 また、その三カ国以外にイギリス、ベルギー、この両国につきましても、国内で発見される第一次大戦時の化学兵器の処理を行っているというふうに聞いております。
 以上でございます。
○大脇雅子君 そうすると、この条約を批准して日本がまず一番先にやらなければならないことは、やはり旧日本軍の製造した毒ガスがどこにどのくらいあるのかということではないかと思います。
 重ねて御質問したいんですが、これを調査するというお約束はいずれかのところでお約束いただけるのでしょうか。
○説明員(生田長人君) 私どもの方で生産が幾らされたかにつきましては調査の方法がないわけでございますが、昭和四十七年の調査を何らかの形でフォローするということは必要があるかなというぐあいに考えております。ただ、昭和四十七年の調査から既に二十数年がたっているわけでございまして、極めて困難な面が多かろうと思います。また、昭和四十七年の調査の状況から考えましても、当時以上の情報が得られるかといいますといささか心もとないということでございますが、いずれにしましても、現在私ども、関係省庁と一緒になりまして関連する情報の収集に当たってまいりたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 環境庁の方も海洋投棄をされた量というのは特定されていませんよね。
○説明員(生田長人君) 昭和四十七年の調査結果によりますと、海洋投棄された場所がわかっているだけでございまして、量については判明しておりません。
○大脇雅子君 どうもまず調査不足だということと、それから現状の調査がないということと、それからそういったものをきっちりととらえていくという責任省庁がないというふうに考えられるわけです。
 アメリカではこの化学兵器禁止条約ができたときに、いわゆるナショナルマシーナリーのような国家的な一つのシステムができて、責任を持ってそれに対応するということになっております。
 ベルギーでこの間いわゆる第一次大戦の毒ガスが使われたというところの一つのセレモニーというかそれを追悼する式が行われたときに、日本での地下鉄サリン事件なども話題になったと思います。そうすると、日本はこの化学兵器禁止条約を批准するだけでは足らなくて、どういう国内的な体制でそれをしっかりフォローするか、そして中国に残されたさまざまなそういう兵器をどうやって処理していくのかというのがまさに国際的に問われているというふうに思うわけです。このいわば体制の確立と根本的な化学兵器の事実調査というものは不可欠だと思うわけですが、この点について最後に外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) この条約を御審議いただき、審議が終われば政府としては責任を持ってこの条約の目的を果たすための努力をしなければならないのは当然の責務でございます。これは、まさに国会に対してもそうでありますし、国際的にそうした責務を果たさなければならないものと思っております。
 政府としては、その責務を果たすために十分な体制を整えて対応したい、こういうふうに考えております。
○大脇雅子君 最後にちょっと補足的にお聞きしたいのですが、一九八六年九月十七日、アメリカの議会におきまして満州でのアメリカ人の捕虜たちの処遇に関する公聴会というのが行われまして、その当時、陸軍の記録管理長で陸軍古文書専門家のジョン・H・ハッチャーという人が、七三一部隊の細菌兵器に関する資料を一九五〇年代の末か一九六〇年代の初めに日本の方に返したと言っているわけですけれども、この文書というのはかなり歴史的な文書であり、しかも化学兵器、細菌兵器などの禁止がされる今、きっちりといわば保管されるべきものだというふうに思うわけですが、これは日本は受け取っているんでしょうか。わかりますか。
○政府委員(林暘君) 御指摘の一九八六年のアメリカの公聴会において今申されたようなくだりがあったということは、公聴会の記録で我々も承知をいたしております。
 ただ、日本政府に返したという発言をハッチャー博士がしておられるわけでございますが、その事実関係について、つまりどこにどういうふうに返されたかということについては外務省として承知をいたしておりません。調査をいたしましたけれども、わかりません。
○大脇雅子君 貴重な資料であるというふうに思われるわけで、言ってみれば痛恨の資料かもしれませんが、一度ぜひお調べいただきたいと思います。
 終わります。
○委員長(田村秀昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(田村秀昭君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として清水澄子君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(田村秀昭君) 休憩前に引き続き、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○笠原潤一君 自民党の笠原潤一でございます。
 去る十八日から国連に河野外務大臣に御出席いただいて、無事御帰国いただきました。国連においての演説はなかなか評価がよろしかったようでありまして、私ども大変そういう点ではうれしく存じております。
 同時に、NPTの問題でありますが、なかなか大変な問題でございまして、この無期限延長に対する賛成、反対、意外に多くの国々がこのNPTの延長に対して非常に反対の意向が強いということでもありますが、その中で国連外交においての河野外務大臣の御出席の状況について、また各国首脳とのお話の問題について御意見を賜れればと思っております。
○国務大臣(河野洋平君) NPTの再検討・延長会議がニューヨークで開かれまして、お許しをいただいて出席をし我が国の考え方を述べてきたわけでございますが、多数の国々が参加をしてこの会議が開かれております。多数の国というのは議長の御報告によれば百七十八カ国でございますが、大変多数の国が参加をして開かれております。
 今回の会議において、NPTがスタートして二十五年目、ここでこのNPTを延長するわけでございますが、無期限に延長をするかあるいは期限をつけた延長にするか、こういうことで議論が行われているわけでございます。反対が多いというと何かNPTに反対しているように聞こえますけれども、決してそれはそうではないのであって、NPTの趣旨にはもちろん賛成をしこれを延長する、しかしその延長の仕方がどういう延長の仕方がいいか、こういう御議論でございます。
 私どもは、国際社会の平和、そして核不拡散、さらには核軍縮というものを考えますとこのNPTがその柱である。この柱をまず無期限に延長しておいて、その中で核軍縮も行い、国際社会の平和というものを踏まえて核不拡散ということもしっかりやっていかなきゃならぬ、こう考えて無期限の延長を主張しているわけでございますが、延長について、国によっては無期限の延長は核保有国の核軍縮への意欲、努力というものがなくなりはしないか、非核保有国から見て核保有国のそうした努力をチェックするためには期限をつけた方がいいのではないか、こういう意見が出されているわけでございます。
 さまざまな議論がございますが、この会議は五月十二日まで開かれておりまして、参加者の合意によってそのどこかで採決に付されるということになるであろうと思われます。採決の結果につきましては、まだ予測の域を出ませんが、私どもとしては、無期限の延長が多数の国によって支持されるのではないかというふうに期待をし、またそのための理解を求める作業もしつつございます。ただ、過半数を得たからそれで十分だというのではなくて、できるだけ多くの国の賛同を得ることが望ましい、こう考えて、引き続き採決の時期まで努力を続けたい、こう考えているところでございます。
 なお、ニューヨークに参りました機会をつかまえまして、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、中国、こういった国々の外務大臣と二国間の会談をさせていただいてまいりました。
 以上、御報告申し上げます。
○笠原潤一君 そういたしますと、問題は核保有国が、これは御承知のように米国、ロシアを初めその保有国はわかっておるわけですけれども、問題は保有国でない国、例えばシリアとか南アとか、これが大変今この延長に反対しておる。というのは、やはり核の脅威というものを非常に痛切に感じておるというか、絶えず国際紛争が起こるものですから、そのために核を持っておった方が、これはNPT無期限延長にもちろん反対でありますけれども、しかし今なおそういう非核保有国といいますか非核国といいますか保有をしていない国については、例えばいろんな問題が起きるたびに、軍事紛争を解決するのには核を持っていた方が非常に自分の国が優位に立てるというようなことがあって、核の保有に対してやっぱり一抹のそういうものがあるんではないかと、私はそう思っておるんです。したがって、そういう国々が絶えず核保有国に対してそういうことへ抵抗を示すのはそこら辺にあるんじゃないかということ。
 それからもう一つは、今回御承知のように米朝協議がああいう形で不調に終わりました。以前、自民党の部会でも私はそうなるだろうと言っておったんですが、そのとおりになってしまいました。ベルリンにおいて米朝協議が不調に終わったんですが、北朝鮮はいわゆる過去のあれをまた再開するんだ、こういう形に相なってきておるわけです。したがって、途上国といいますか低開発国といいますか、そういうような国々にそういう底知れぬ動きがどうも現実にあるんじゃないだろうか、そう思うんですが、外務大臣、どういうふうにお感じになっておりましたか。
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、NPT体制の無期限延長に対して、これは核保有国と非核保有国という極めて不平等な体制を固定化してこれを未来永劫続けてしまうことになるのではないか、こういう指摘があって、つまり不平等の固定化だという見方、考え方というのが一部にはあるわけです。ただこの話は、それじゃ全部が核保有国になれば平等でいいかというと、それは必ずしもそういうものではなくて、やっぱり大きな流れ、方向性というものは、核軍縮が行われて、そして究極的には核廃絶が行われるという方向に向かうという大きな流れがあることが望ましいとみんな思っていると思うんですね。では、その大きな流れというものが現実に流れていくかどうかということになるわけです。
 そこで、今回の議論のかなり大きな注目点といいますか議論のポイントは、この二十五年間に核保有国がNPTの第六条にある核軍縮の努力というものをやってきたかどうかという、その評価というものがそれぞれあるわけです。
 私は、あの演説の中で、第六条の核保有国の軍縮への努力というものは残念ながら十分とは言えないというふうにまず申し上げました。残念ながら核軍縮の努力は十分とは言えない。しかしながら、冷戦が終結した後、この数年間に、アメリカ、ロシアがSTARTTを発効させて、それから核実験の全面核実験禁止条約についても核保有国の合意がまさにできつつある。こういう状況も我々にとっては望ましい状況である。さらには、カットオフ条約などもきちんとできてほしいし、STARTUも誠実に始めてもらいたいという、そういう望みを我々に抱かせていると。ここ数年間のそうした動きというものは我々に希望を持たせるものである、こういう評価を私はしたわけでございます。
 それで、この六条の評価についてはさまざまな議論がさまざまな国によってなされている、それぞれの国内でなされているというふうに私は聞いておりますが、いずれにせよ、東西の対立というものがなくなった今、地球上の人類を何十回も抹殺するような核をそれぞれの国が保有をして、その保有をすることによるさまざまな負担というものにもう耐え切れなくなっている核保有国もあるわけですから、これはやはり人類の英知が核廃絶という方向に今の状況を押していくということしかないのだと、またそうすべきであるというふうに私はかたく決心をして、現在の状況についても確信をしているわけでございます。
 後段、議員がお尋ねになりました米朝協議でございますが、米朝協議について少し申し上げれば、四月二十一日をめぐる米朝合意、これはつまり米朝協議が合意に達してから六カ月目の四月二十一日を一つの努力目標としてやろうということでやってきたわけですけれども、たまたまこの四月二十一日を挟む米朝の専門家協議というものが合意に達することができなかったという状況でございまして、この結果、次にどういう事態が起こるか、あるいは次にどういうステージを考えていくかということについては、今、当事者間でいろいろと検討をしておられるのではないかというふうに思っております。
 その四月二十一日までの専門家協議で合意に達しなかったことは非常に残念なことでございますが、これでこの米朝合意というものがすべて御破算になるということであってはならぬと。少し話が長くなって恐縮ですが、これはこの核不拡散あるいは核に対する、核兵器に対する多くの国際社会からの大きな関心事というものを考えれば、当事者、関係者はぜひとも知恵を絞って誠実に米朝合意を実施する努力を続けてほしい、またその合意を目指してほしいと心から期待をしているところでございます。
○笠原潤一君 河野外務大臣の平和に付する希求の強さというのはかねがねよく存じておりますからそれはもう当然でしょうけれども、結果的には、一体それじゃ核を保有している国がいつの時点で核というものを放棄してそれを廃棄していくかということに対しては非常に不確定ですからね。そういう点では、非核保有国の皆さんにしてみれば、この問題の無期限延長はそのままそれは残存しながらやっていくんじゃないかと。あるいは、これは実際使用されたかどうかわかりませんけれども、例えば湾岸戦争時におけるソ連からの核、そういうものが輸出されたとかあるいは手渡されたとか、そういう問題もあったでしょうし、現実にロシアはたくさんの核を保有しながらその処理もままならぬということです。
 ちょっと話が前後しますけれども、米朝合意の中の問題でも韓国型の軽水炉とKEDOの問題で言っているんですけれども、むしろ反対にロシア側は我が方の軽水炉はどうであろうということでもあろうと。そういうことの問題がいろんな場で解明されない限り、確実に保障されない限り、なかなかそれは大国だけの意向では何ともならないと私は受けておるんですが、その点、大臣はどう思っておられますか。
○国務大臣(河野洋平君) 話が少しずれるかもしれませんが、NPTというものが存在していた、そしてこのNPTに先ほども申し上げましたように本当に多数の国が参加をしていたということで、今考えてみると、もしNPTがなければ、今、核を保有している国の数は相当ふえたかもしれないということを考えると、これはNPTというものはよかったと考えていいと思うんですね。しかし、核に対する興味というか関心というものを持っているような国というのはやはりかなり今でもあるわけです。そういうふうに見えます。その核に対する関心が、プルトニウムをどうやって手に入れるかとか、そういったことからさまざまな問題を提起しているわけです。
 まさに北朝鮮の問題も、黒鉛重水炉という炉を使っているわけですが、これは原子力による発電をする、エネルギー源として原子力を使うということ、これ自身は我が国でも御承知のとおりやっている。フランスのごときはもうかなりの依存度、高い依存度で原子力の発電をやっているわけで、そのこと自身はそれが平和的に利用される限りにおいては問題はないわけですが、それが何に利用されるかわからないということになるとそれは不安を周辺にまき散らすということになるわけで、これがしっかりと、現在の状況で言えばIAEAを初めとしてしっかりとそうした管理下、査察下に置かれるということが何より重要であって、さらにまたプルトニウムの問題から考えれば、軽水炉を使うということがその問題を少しでも小さくしていくということに役立つわけでありますから、そうした方向に我々とすれば協力をしていきたい、こういうのが現在の状況でございます。
○笠原潤一君 河野大臣のお気持ちはわかるんですが、前の委員会でも申し上げましたけれども、結局、米朝合意が表向きはいかにも順調のように見えながら、実際はその中で、駆け引きの中で決して合意していないわけですよ。北朝鮮からの報道も、朝鮮時報もいつも書いているのは、韓国型軽水炉とかいろんなことを言っていますけれども、結果的にそれを受け入れるというか軽水炉にするという、そういうことが北朝鮮政府の中で何とか合意されておるかどうかということもこれは非常に疑問であります。
 さらに、この間訪朝団が行かれたら、もう我々の方は食糧は何ら痛痒を感じてないんだと、こういうこともおっしゃっている。まして水力が多いわけですから決して電力の不足はないということでありますね。したがって、じゃどういう意味で軽水炉が欲しいかと。結局、重水炉でそれをつくりたいということから、IAEAのああいう査察が行われて、結果的には国連でああいうことになっていったんですけれども、どうも本心がつかみにくい。
 今回もそのことの問題で、普通ならばネゴジエートできるところが、この間、私どもから見れば当然過ぎるこの話し合いが完全に決裂して、もう北側は継続しない、米朝合意のこの問題についてはと、そう言って代表団が引き揚げていってしまったんですから、それを今度再開するというのはなかなかの問題だと思う。
 それで、ではこの問題について国連とアメリカはどういうふうな対応をしているかといいますと、今から半年前にさかのぼって、いわゆる北朝鮮の脅威に対して、ノドン三号でしたか、その射程距離は三千キロということですから、そういう問題であるとか、あるいはチームスピリットで韓国と一緒になって共同作戦をとるとか、いろんな問題が起きてきますし、我が方に対しても、今いわゆる国連側はこの問題に対処するためにいろいろなアプローチをかけてきておると思うんです。そこら辺の問題が一体これからどういうふうに推移するのか。
 私は、この北東アジアの脅威といいますか、それがこの問題で決裂したことによって、決裂は何か必然的に決裂していくと私どもはもうことしの初めから見ておったんです、何回かの会談の内容、その推移を見ておってもどうも合意に至らぬような形で行っておりますから。そこら辺の問題を我が方はどういうふうに考えてこの会談の成り行きを見守っておられたか、もう一つお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(川島裕君) ベルリンにおきまして主として話し合いが集中しておりましたのは軽水炉の型、つまり韓国型軽水炉の受け入れをめぐってでございます。そして、二十一日に至りまして北朝鮮代表側は、話し合いの場から席を立ってベルリンを去ってしまったということでございます。そういうことでベルリンで行っておりました軽水炉供給取り決めに関する専門家会合は合意に至ることなく終了したわけです。
 これでもって米朝間の話し合いがすべて決裂してしまったかということになりますと、そういうことではないのではないかと思っております。既に米国は事態の打開を図るために目下ハイレベル協議、つまり米朝協議をつくった当事者であるところのガルーチ大使と北朝鮮側の姜錫柱第一外務次官の協議をなるべく早い機会にジュネーブで開催しようではないかということを提案しておりまして、今、北朝鮮側にその提案を行っているところでございます。それで、この問題は、引き続き韓国型軽水炉を北朝鮮が果たして受け入れる用意があるのかどうかということをめぐっての話し合いが、続くとすれば続くのだろうと思います。
 この間、一つ心配しておりますのは、北朝鮮側が仮に今凍結しております五メガワットの黒鉛原子炉に燃料を再装荷いたしますとこれは米朝合意の違反になりますものですから、そこは全く新たな局面に入ってしまうわけでございますけれども、そういう行動に出ないで、もう一度ガルーチ大使、姜錫柱次官の間の協議をめぐって、軽水炉の型、具体的に言えば韓国炉か否か、あるいは韓国がそのプロジェクトについてどれくらい中心的な役割を果たすべきか否かということについてさらに続く可能性も大いにあるわけでございますし、それを期待する次第でございます。
○笠原潤一君 その話はもう延々と、韓国型軽水炉の問題は何十回と行われたわけですけれども、結果的には合意に至らなかったわけです。結果的に三十分でこの前の二十日の会談は終わったわけですが、そのときに北朝鮮側が、我々は実験用原子炉の凍結を解除すると言っているわけですね。これは非常に大きな問題でして、じゃ仮に米朝会談が、これはもうほとんど決裂したんですが、人間でもそうですけれども、いろんな話が一たん決裂いたしますと、それをまたもう一度呼び返すというのは相当な時間がかかるわけですよ。その間に、北朝鮮が今の実験用原子炉の解除をやって、それをまた仮に運転再開に踏み切ったということになりますと、これは一体どういうことになるでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 先ほど申しましたガルーチ大使と姜錫柱次官の話し合いは、北朝鮮が引き続き凍結を続けるという前提での呼びかけでございます。したがいまして、仮に燃料棒を再装てんした場合には、ガルーチ、姜錫柱の会談というものは米側としては行う用意がないということでございます。その場合には、米朝合意そのものの基礎が失われかねない事態に入りまして、全く新たな局面になって、まだそこから先どうするかということについてまで詰めた作業はしておりませんけれども、一つの可能性としては、昨年も一時期そこまで行きましたのですけれども、安保理でのしかるべき対応ということにまで行く可能性があろうかと考えております。
○笠原潤一君 昨年もこれと同じような経過をたどったわけですが、たまたま安保理でああいうことになって、一応米朝で会談をするということで、結果的には一時的に、半年間なら半年間近くこれがそれで経過を要してやってきたわけですから、その間は緊張が一応緩和されておるわけですけれども、これがまた再び、今おっしゃったように今後どう推移するかということになると、私は大変重大な危機をはらんでくると思うんですよ。
 御承知のように、アメリカ議会の中でもいろいろと動きがありますし、もちろん共和党がマジョリティーになっているわけですから、いつまでも同じような交渉が許されるかどうかということと、この問題でもしも不測の事態が起こったら、これは日本にとっても大変なことですし、北東アジアの緊張は一段と大きくなるでしょうし、一切合財いろんな問題が出てきますから、その点でどういうことに相なるかということはだれも予測できないでしょう。そして、我が方もその対応をどうするかということであります。
 アメリカは近く日本と韓国とこの問題で緊急会議をしたいということの申し入れがあるという話ですが、その点ほどうなんでしょうか。
○政府委員(川島裕君) 仮にガルーチ、姜錫柱次官の会談が行われることで固まります場合には、事前に日米韓三カ国で緊密な準備と申しますか協議が必要であろうと考えておりますが、具体的段取り等はまだ決まっておりません。
○笠原潤一君 具体的な日程はまだ決まっていないと思いますが、これはもう本当に喫緊の急務だと思っていますので、我が国としても、アメリカ側というよりもむしろこちら側からも能動的に一体どうなっているかということは、やっぱり話し合いないし会談を至急にいたさなければいかぬのではないかと思っています。今の燃料棒の再装てんについては北朝鮮が次に何をするかわからないと言っているくらいですから、非常に危機的な状況にあると思うんです。
 我が国においては、残念ながら、今、オウム真理教の問題であるとか阪神大震災、いろんな問題がありますから、この問題は何か遠い国の出来事のように見ておるとは言わないけれども、外務省はそう思っているでしょうけれども、一般的には米朝合意の決裂の問題は前のときほど日本の国民の関心を呼んでいないことは事実なんですよ。今、現実にサリンの問題その他があって、私はそう思っていないけれども、一般の国民にとっては米朝会談の決裂はさほど大きなあれに見てないけれども、私はこれは非常に大きな問題だと思うんです。
 その点の外務省の対応といいますか、その辺についてもう一度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) いろいろ御心配をいただいてまことにありがとうございます。
 御指摘がございましたように、この問題は外務省として極めて重大な問題だという認識を持っております。もちろんこれは外務省のみならず、内閣全体で極めて重要な問題との認識があると思います。
 私どもとしては、この北朝鮮の問題解決のためにいろいろな方法を考えたとしても、現在合意されている米朝合意というものはその中でやはりすぐれた方法だというふうに思っているわけです。それはどこがすぐれているかというと、これはただ単に北朝鮮の核開発に関する不安を除去するというだけではなくて、まさに根本的に北朝鮮を国際社会の中に導き出して、国際社会の中の相互依存関係というものの中に北朝鮮を置くということから、話し合い、さらには現在極めて不透明である北朝鮮内部の政策その他がもっと見えてくるということまで含めてこの米朝合意というものが組み立てられているというところにこの米朝合意のすぐれた部分というのがあると思っているんです。
 ただし、今、議員が御指摘のように、北側にはやはりかなりかたくなな態度がまだ見られていて、この問題はそう簡単にスムーズに進んでいくという状況でないことはまことに残念、遺憾千万な話でございます。しかし、これは韓国、アメリカ、日本、この三国が緊密な連絡をとって、ぜひともこの方法で北朝鮮の核開発に対する不安を除去して、と同時に、朝鮮半島という我が国と極めて近い地域にあるこの国を、より国際社会の中でもう少し風通しのいい、お互いにわかり合える状況に向かって少しずつであっても進めるという努力をしていくべき大事な場面というふうに我々は考えているわけでございます。
 アメリカに対して、なお粘り強い交渉を求めたいというふうに思っております。
○笠原潤一君 河野外務大臣の熱意とその意気込みに対しては私も同感でありますし、それを大変期待しております。いま一度、米朝の会議が再開される努力を、いわゆる最大の努力をお願いしたい、こういうふうに思っています。それ以外に今その方途は見つからぬのではないかと思っていますから、米国に対しては特にお願いしたい。先般、三党が訪朝団でおいでになったときもどうもこの問題は余り出なかったらしいですから、その点でアメリカと北朝鮮との再開を、どういう形で再開できるかわかりませんけれども、けんか別れをしたらよりを戻すのはなかなか大変ですから、そこら辺のところをひとつ早くやっていただきたいと、こう思います。
 それでは次の問題に移りますが、化学兵器の条約の問題であります。
 今回、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約、まことに時宜を得たもので当然だと思っています。化学兵器の使用禁止は、かつて経験された国においてのあの悲惨な状況と、第一次世界大戦において、村が消滅してしまった問題、こんなものが許されるかというので、これはキリスト教国であれば神の意思に反することですから当然のことであります。この条約はおくれにおくれて参ったわけですけれども、今回ようやくこの条約が締結される運びになって、私ども大いに賛意を表するし、当然早くこれを締結するべきだと、こう思っています。
 ただ、問題は、この毒性化学物質及びその前駆物質。ただし、この条約によって禁止されていない目的のためのものであり、かつ種類及び量が当該目的に適合する場合はこの化学兵器というものを使えるということでありますが、この問題は私ども非常に問題であろうと思います。この点について、第二条第一項の(a)ですか、この問題はどういうことなんですか、ちょっとお尋ねしたいと思うんです。
○政府委員(林暘君) 今御指摘のように、化学兵器の定義といたしまして「毒性化学物質及びその前駆物質」というものを挙げまして、「ただし、この条約によって禁止されていない目的のためのものであり、かつ、種類及び量が当該目的に適合する場合を除く。」というふうな規定がしてございます。これはどういうことかと申しますと、毒性化学物質と言われるものであってもいわゆる化学兵器というような目的でない目的に使われるものもあるわけでございますので、そういうものも含めて全部を禁止してしまうというのは適当でないという判断がございまして、こういう規定になったわけでございます。
 「禁止されていない目的」というのは第二条の九項に書かれておりますけれども、工業、農業、研究、医療または製薬の目的その他の平和的目的、これが第一でございます。次にはいわゆる防護目的、こういう毒性化学物質ないしは化学兵器に対する防護に関係する目的の場合。それから、化学物質の毒性を戦争の方法として利用するものでない場合、例えば燃料であるとか推進剤に使う場合。それから、国内の暴動の鎮圧を含む法の執行のための目的という、今申し上げましたような目的のための場合には除くという規定になっているわけでございます。
○笠原潤一君 今お聞きいたしましたが、特に七項の暴動鎮圧剤、どうも聞いてみると催涙ガスらしいんですが、こういうものは化学物質であっても許容するということですから、催涙ガスはわかるけれども、そのほかで暴動鎖圧剤にどういうものを使うのか。ちょっと私もそこら辺のところは奇異な感じがするわけです。
 それと、この前もオウムの上祐部長が、あの人がサリンの問題でいろいろとおっしゃるわけですよ。それは農業用にするとかいろんなことを、何といいますか弁解というか非常に歪曲していろいろおっしゃいます。特に、「工業、農業、研究、医療又は製薬の目的その他の平和的目的」といいますけれども、かつて農薬でも、今は禁止されましたけれども、例えばホリドールであるとか、こんなものを本当は農林省も許可したのがおかしいんだけれども、ホリドールとか青酸とかエンドリンであるとか、人体に危害を及ぼして死に至らしめるような農薬を平気で使わせたのですからね。それも農薬です。
 したがって、私は、「工業、農業、研究、医療又は製薬の目的その他の平和的目的」といっても、平和目的が逆用される可能性もあると思うんですが、その辺の規制といいますか、そういうものはどういうふうにお考えになっているのか、ちょっとその点をお尋ねしたいと思います。
○説明員(掛林誠君) 御説明させていただきます。
 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律におきましては、化学兵器の製造に供されるおそれの高い物質及びそのうち一部の物質で直前の原料物質でございますが、こういったものは特定物質として原則として製造も含めまして所持等が禁止されております。また、原料物質の中では三塩化燐等につきましては、この化学兵器禁止法とは別に毒物及び劇物取締法の規制対象物質といたしまして既に販売等が規制されているところでございます。さらに、原料物質を用いて化学兵器の製造に供されるおそれの高い物質及びその一部の物質の直前原料物質を製造するということも、この法律におきましては特定物質の製造ということとして原則禁止されることとなっております。
 このように、化学兵器禁止法上の規制におきましては、原料物質も含め化学兵器に使用されるおそれのある物質を適正に管理するということとしております。
○笠原潤一君 いずれにいたしましても、そういう規制というかそれはもうやっぱり徹底的に行われないと大変な事態に立ち至りますから、そういう点でひとつその使用に対しては十分な管理が行われることを特に期待しています。
 特に化学兵器の問題は、もう私が申すまでもなく、これは長い淵源と歴史があって、第一次世界大戦の悲惨さというのは未曾有であったんです。また、今次大戦においてもそうだったでしょうし、ベトナム戦争でも枯れ葉剤を使用したりいろんなことが行われて、これが化学兵器であるかどうかは別といたしましても、そういうことが頻繁に戦争では行われるわけですから、そういう点で使用については徹底的な管理が必要だと。そして、それは国際条約がなお一層必要だということは痛感しておりますから、一刻も早く締結して、なおかつその問題で足らざるものは補足していくべきだと思っていますので、その点についてお願いしたいと、こういうことです。
 次に、河野外務大臣はこの前、NPTの問題で国連においでになって、その後、米国へ、ニューヨークヘおいでになって国務長官ともお会いになったという話でありますが、その前後にクリントン大統領が例の原爆の問題に対してああいう御発言をなさったわけであります。日本人としてはいたく大統領の良識を疑ったわけですが、その点について河野外務大臣は国務長官との話の中で、非常に厳しいか、その点はわかりませんけれども、お話し合いになって、日本人のあれを逆なでするような、そして同時に感情を刺激するようなことをどういう形で大統領がおっしゃったのか、そこら辺のところをちょっとお尋ねしたいと思うんです。
○国務大臣(河野洋平君) 御指摘のようにNPTの会合に出た後、実はこのNPTの会合にクリストファー長官が来ておられたものですから、ニューヨークでアメリカの国務長官とお目にかかりました。その際、私から日本国民の感情、国民感情について申し上げたわけでございます。
 これは笠原委員もよく御承知のとおり、私とクリストファー長官との間には極めて共通の認識がございます。例えば、アメリカが切手のデザインに原爆雲のデザインを使うという話が一部あったときにも、国務長官が極めて適切な判断を下して、こうしたデザインを使うことは日本国民の国民感情に照らして適当ではないと思われて、適切な判断のもとに指導をしてくださったということがございました。私は、国務長官が日本人の国民感情、核に対する強い国民感情を有しているということを十分知っておられるということは私なりに理解しておりましたが、この際改めて日本人の国民感情について申し上げたところ、国務長官からは、自分は十分日本人の国民感情を理解しておりますというこどでございました。
 そこで、アメリカ大統領の御発言につきましても、私どもはその一部を取り上げて云々するということではなくて、大統領御自身がどういうお考えを持っておられるかということを正確に承知をするということが大事だと思っておるわけでございまして、大統領の記者会見におきます御発言後、資料を取り寄せて見たわけでございます。その大統領の御発言、ここに全文は持っておりませんけれども、アメリカ大統領は日本の国民感情を傷つけたり、だれかの感情に無神経になるということではないということをこれは非常にはっきり言っておられるわけで、こうしたことがいかに多くの人に苦痛を与えたかということについても自分は悲しみの気持ちというものを持っておるという意味のことが御発言の中にございます。そして、今、戦後五十年というこの時期に両国は世界で最も重要な二国間関係というものを築いていく、我々がすべきことは協力して未来に目を向けることだという未来志向の御発言もあるわけでございます。
 私は、クリストファー国務長官との間で、両国国民はそれぞれの国民感情を有している、それぞれの国の国民感情というものを大事にしながら、それを傷つけないということを考えながら、我々がやるべきことは未来に向かって両国の良好な関係というものをさらに発展させていくことではないかというお話をしたわけでございます。それについて国務長官からも全く同様の趣旨の御発言がございました。
○笠原潤一君 クリントン大統領の原爆投下の正当発言、これはいろいろなとり方があろうかと思いますけれども、新聞紙上では甚だセンセーショナルでしたから、日本人もいたくその点については不快感を持ったことも事実です。私もアメリカヘたび重ねて行ってまいりまして、アメリカ人の感情というか、大統領がこういうことをおっしゃるとは私も夢想だにしなかったんです。
 アメリカは北から南まで広い国土ですから、ディープサウスではほとんど日本を知らない人も今でもおるわけですから、そういうところでは日本の製品は知っておっても日本人と話したことがない人もいるでしょうし、そういう点ではそういう方々がおっしゃることならやむを得ないとしても、大統領がそんなことをまさかおっしゃったとは私は思わないけれども。そういう点では、今はそういうことでクリストファー国務長官とのお話でその点については特に御留意をいただきたい、こういうことでありまして、今後ともその点を留意されたいと思います。
 次に、幾つかありますけれども時間もございませんが、円高の問題であります。この円高は、私は前の予算委員会で申し上げました。九十円を割る前後のときに武村大蔵大臣に、恐らくや八十五円は到来するだろうと、こう申し上げたら、八十五円じゃなくて、もう八十五円をはるかに割って八十円を切ってしまった。マネーマーケットといいますか金融市場の動きというのは非常に不可解でありまして、これは何人も予測できない。
 例えば、日本でもアメリカでもそうですけれども、資金を調達する株式市場の動きは各国とも大体わかるわけですよ。日本だって証券局は、例えば生保あるいは銀行が株の資金調達なりをどうするかというようなことや仕手の動きも大体わかりますけれども、金だけは、マネーの動きだけは全然捕捉できていないわけです。したがって、G7で幾らどんなことをおっしゃっても、実際この世界の通貨の動きというのはもう本当に複雑多岐で、一体どれだけのドルがアメリカから流出して、例えば日本なら日本銀行が紙幣を発行すれば必ずいずれの時期か回収できますからわかります。ところが、一たん流出したドルというものは、インターナショナルカレンシーですから世界のどこにでも保有されていますし、どこでどうなっているかわからぬわけですから、それで金融市場が混乱し、そしてその動きがさっぱりつかめない。
 こんなことが今あっていいだろうかということでありますが、その点について、これは今後のG7で果たして世界の主要国の蔵相が集まってそれをやるのか、あるいは世界のトップが集まってこの問題を、世界の通貨をこれからどういうふうに管理していくかというのは大きな問題だと私は思うんですよ。これはIMFでもなければ何でもない、本当にそういう点でははっきりしないと大変なことになってくると、こう思っています。
 それはそれとして、我が国としてはかつて、プラザ合意の前か、とにかく竹下大蔵大臣が昔おっしゃったことがあるんですよ。変動相場制と固定相場制というのは一体、私も大蔵大臣でわからなかったとおっしゃったんです。我々は三百六十円の固定相場制から今日この八十円を割るときまでずっと来たんですが、かつて私が四十数年前にアメリカヘ行ったときは三百六十円、やみでは四百円から五百円ですからドルの崇拝というものは物すごくあるわけです、国際通貨というのはドルだというふうに思っていますから。それが今や八十円になってしまったんです。
 二百円を割ったころから、円高ドル安の動きの中で、バブルのときは多少円安ドル高のときもあったでしょうけれどもそれは一時期であって、日銀は絶えずこの問題で為替の市場介入をやってきたわけです。この三年間でもいいんですけれども、一体幾らの為替介入でやってきたのか、その総額は一体どれだけあるのか。また同時に、ドルを買うんですけれども、その金は外国為替勘定の中でどういうふうに運用されているのか。それで、いつどういうふうにドルは売っていくのか。そういう日本の為替の会計の動きというのはさっぱりわからぬわけですけれども、その点についてちょっとお尋ねしたいと思うんです。
○説明員(藤本進君) お答え申し上げます。
 私ども通貨当局といたしましては、為替市場の動向に細心の注意を払って適宜最も効果的な方法及びタイミングにおきまして機動的な市場行動に努めてきているわけでございますけれども、具体的な介入額につきましては、市場に不測の影響を及ぼすおそれがありまして、従来からコメントを控えさせていただいております。
 一方、外貨準備につきましては、その増加要因といたしましては、介入によるところもございますし、そのほか外準の運用益、そしてまたIMFとの取引等がございますけれども、その外貨準備の増加につきましてはこの三年間で約七百三十億ドルぐらい増加しているところでございます。
 それで、先生御指摘の第二の点でございますけれども、外貨準備の運用はどうかということでございます。外貨準備につきましては、平衡操作等に機動的に対応するための資金でございますので、流動性そして安全性等に最大限留意しつつ運用を行っているところでございまして、その大宗につきましては流動性等に問題のない米国の債券に運用しているところでございます。
○笠原潤一君 それはなかなか答えにくい問題だと思います、外為運用についてはそれはもう秘中の秘ですから。それはまたいろんなことを言われますとすぐそれが市場にはね返ってまいりますからそこまではお聞きしようと思いませんし、それはわかります。
 先般、円高について緊急円高・経済対策を行われたんですが、いずれにいたしましても八十円を割る前後のころから、我々三党でもそうですし政府もそうですが、この円高対策はいつもおっしゃることは大体決まっているわけですよ。私も資料をもらいましたけれども、これは決定的なものは何もないんです。おっしゃったように金利を下げたらなお一層ドルが下がる。これは構造的に一体どうなっているんだろうということでありますが、御承知のように、完全に景気の足を引っ張っているし、日本経済は一時ちょっと明るさが見えておったけれどもまた最低の状態になりつつあるわけです。経済企画庁も円高対策をおやりになっても効果はないということですし、さらに経済対策といいますか円高対策というものはいろいろお考えになっておるけれども、これもなかなか大変だし、円高の国内経済にもたらす影響については、私が申すまでもなく、もう深刻な状況であります。
 そこら辺の問題について、これはもう構造的に、例えば対米黒字が多過ぎるとか貿易黒字が多いからこういうことになるんだと言うけれども、もうこの十年間近く同じことが言い古されてきているので、これは本当に何の効果も出していないわけです。ですから、規制緩和であるとかいろんなことをおっしゃるけれども、果たしてそれで本当に実効が出るのかどうか。経済評論家の皆さんはおっしゃるけれども、規制緩和が果たして円高の歯どめをかけるのか。円高というのが一体どの辺で収束するかということはだれもわからぬし、恐らく答えにくいと思うんですが、抜本的にやるといっても何にも手がないわけです。
 要は、これは完全に頭の切りかえをしなきゃならぬと思うのは、金本位制はもう完全に過去のものになってしまって、今はよく言われるいわゆるぺーパーマネー・ソサエティー。アメリカだってどんどんドルを発行するんですから、我が方も、大蔵の皆さんにとっては、政府にとっては大変痛いかもわからぬけれども、あれだけの双子の赤字を解消するといったってこれは解消できないし、貿易黒字も今なお同じことで、日本は仮にどんなことをしてもまた黒字がふえていくわけですよ。海外に中小企業もシフトしていくし、どんどん部品を入れて、とにかくアセンブルだけやってやれば幾らでも金は入ってくるわけです。
 こんなことをしていたらいつまでもとめどがなく問題が出てきますから、本気になってこの世界の通貨に対する捕捉といいますか、そういうものをどういうふうに考えていくかということは、外務大臣にお聞きしていいのか大蔵大臣なのか、もうどなたにお聞きしていいのかさっぱりわかりませんが、その点どうですか。
○説明員(藤本進君) 今回の急激な円高ドル安の局面におきましては、大臣レベルを初めといたしましてあらゆるレベルで関係通貨当局と緊密な連絡をとってきておるわけでございまして、事実、数度にわたりまして市場に対して協調行動をとったということがございます。
 私どもとしましては、引き続き為替相場の動きに細心の注意を払って関係の通貨当局と緊密な連携を図っていきたい、こういうぐあいに考えております。
○笠原潤一君 いつも協調介入が出てきますが、この協調介入も本当に行われているのか行われていないのか、さっぱりわからぬわけですよ。アメリカ側はもう全然協調介入はしてこないし、我が方も何か一時的に金利を下げたりいろんなことをおやりになるけれども、もう拱手傍観というか手をこまぬく以外に何も方法がないんじゃないですか、今の円高のあれについては。どうですか。
○説明員(藤本進君) アメリカの通貨当局におきましても強いドルが国益にかなうというぐあいに非常に立場を鮮明にしてきておりますし、いろんなところで公式なステートメントも行っております。各国の通貨当局の協調行動につきましては、各国中央通貨当局が現在の市場について非常に懸念しているという共同の意思を発表したということにつきましては意味があったのではないかと、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
○笠原潤一君 もっといろいろ私見もあるんですけれども、時間もございませんからこれは申し上げません。あと、オクラホマの連邦ビルの破壊であるとかサリンであるとか国際テロの問題もちょっとお聞きしようと思ったんですが、時間がなくなってしまったものですから申しわけありません。さらに、オウムとロシアの問題もこれもどうも不可解千万なところがありまして、これもちょっとお尋ねしようと思ったんですけれども、時間がございませんから次回といいますか、そのころはまた違った形になってくると思いますが、そういう点もありますけれども、残念ながらこれで私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○石井一二君 当該議題になっております化学兵器関連について若干お尋ねするのに先立ちまして、アップ・ツー・デートの問題を二、三取り上げることをお許しいただきたいと思います。
 まず最初に、新聞等の報道によりますと、本日午前七時ごろにむつ小川原港にいわゆる英国船籍の船が着いておる。これは我が国の使用済み核燃料二十八体というものを運送してまいった船でございますが、これに関連していろいろと問題が生じております。
 その中で、今は外務委員会でございますから外交関係上、御所見を若干お伺いしたいと思うわけでありますが、例えば青森県と政府との話し合い等がつかずに現在着いておる船が滞留を、やや長くそこにとどまらざるを得ないというようになった場合に、先方のスケジュール等の関係で迷惑がかかるのじゃなかろうかというような気もいたしますが、外交上の観点からかかる問題について外務省はどのような御所見をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今御指摘のように、パシフィック・ピンテール号が青森に既に到着をしているという情報は聞いております。その後、科学技術庁と青森県当局との間に話し合いがなされているというふうに聞いておりまして、今その話し合いがどういう状況にあるかを注目しているところでございます。
 この問題は、かねてから科学技術庁は青森県当局とは話し合いをずっとしてきたわけでございまして、基本的には話は合意ができるものというふうに考えております。
○石井一二君 これは科学技術庁はどなたか今いらっしゃっていますか。
 では、せっかくいらっしゃっていますから一、二聞かせていただきたいと思うんですが、今、副総理兼外務大臣は青森県と科学技術庁との間で話がつくと理解しておると言われましたが、およそどのような話をされており、どのような見込みで決着がつきそうなのか、おわかりの範囲で結構でございます。外務委員会ですからそう深く入りたくないと思いますので、ちょっとお教えを願えれば幸いでございます。
○説明員(加藤重治君) それでは御説明申し上げます。
 今回のフランスからの高レベル廃棄物を返還いたします輸送船パシフィック・ピンテール号の青森のむつ小川原港への入港、これに関しましては青森県内で安全性に関する御懸念、あるいはこの廃棄物が未来永劫居座ってしまうのではないか、最終処分場になるのではないかという御懸念等々ございまして、科技庁と青森県の間ではるるお話ししてまいったわけでございます。それで、安全性に関しますデータの公開、それからさらに関連します情報といたしまして入港日などを事前に公開するという努力を行う。それからまた、最終処分地になるのではないかという御懸念につきましては、昨年の十一月に青森県知事と科技庁長官との間で文書をやりとりする、あるいは新しく木村知事が御就任された後も田中長官と直接お会いになってその文書の効力を御確認になるというようなことで緊密に意見交換、情報交換をしてまいったわけでございます。
 それで、最近に至りまして知事の方から処分地に関する見解、これを明確に書面で示してほしいという御要望がございまして、現在これについて引き続き青森県当局と協議を続けておるところでございまして、できるだけ速やかにこれが合意に至りまして、このパシフィック・ピンテール号のむつ小川原港への入港というのをできるだけ早く実現するということで、今、鋭意努力しておるところでございます。
○石井一二君 委員長にお伺いしますが、今答弁者を指名されたときに、ただ単に室長と言われたけれども、何室長かちょっと教えていただきたいんですが。
○委員長(田村秀昭君) 原子力バックエンド推進室長です。
○石井一二君 ありがとうございました。
 輸送ルートを公開しないんだということを聞いているんですが、公海上で。これは特に何かそういう理由があれば教えてほしいんですが、いかがですか。
○政府委員(林暘君) 今回の高レベル核廃棄物の輸送に当たりましては、廃棄物なものでございますから、我が方といたしましては核拡散の懸念もないということで、できれば輸送ルートについては公表したいという意向は有していたわけでございますけれども、実際に輸送を担当いたしますイギリスその他といろいろ相談しました結果、やはり安全上の問題から公表することは適当でないという判断に至りましたので公表しなかったという経緯がございます。
○石井一二君 これは仮定の問題ですが、もし公海上において核ジャックもどきの事故が発生した場合、これは船籍は英国でそれに当たっているのはフランスの会社だと。フランスの会社と英国の船会社との間の契約で金もうけでやっておられると。金もうけ、言葉は余りよくないですけれども、そういうことだろうと思います。
 そういった場合に、事故が起きた場合の我が国の外交上の責任というのは、この問題の原因者という立場からあるんですか、ないんですか。その辺、外務省の御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(林暘君) 今回の輸送に関して申し上げれば、今回輸送しておりますのは廃棄物、放射能レベルは高こうございますけれども廃棄物でございまして、言ってみれば使いようのないものでございますので、核ジャックというようなことでそれが奪われるということはないであろうというふうに思っておりますし、なかったわけでございます。
 一般的に申し上げて、輸送中のものが何らかの者によって奪取をされたということについて、直ちに日本の外交上の責任が生ずるということはなかろうかと思っております。ただ、運んでおるものが廃棄物ではなくて、例えば二年ほど前になりますか、プルトニウムを輸送いたしましたけれども、プルトニウムということになりますれば、これは核拡散上の懸念のある非常にそういう意味での危険な物質でございますので、先回の場合もそういうことが起こりませんように核防護という観点から護衛艦をつけてそういうことがないようにということでやっている次第でございます。
○石井一二君 私は今の御答弁で若干理解しにくいなと思いますのは、使いようのないものだから核ジャックの対象にはなり得ない、またプルトニウムであれば核拡散はするけれどもこれは核拡散をしないと。そういうことであれば別に大騒ぎして青森に入れるや否や言わなくても、おたくのところがとは言いませんが、どこへ置いておいてもいいということになるわけで、むしろこういったものを公海の上ではらまかれたりしたら何らかの科学技術上の負の効果というものが生じるおそれがあると私は個人的に理解していたんですが、科学技術庁、室長さん、何か御所見があれば教えていただきたいと思います。
○説明員(加藤重治君) 御説明申し上げます。
 今回、輸送されておりますものは高レベル放射性廃棄物と申しまして、使用済み核燃料の再処理から出てまいります放射能レベルは非常に高い物質でございます。
 しかしながら、これをガラスとまぜまして安定な形態にいたしまして、それをさらにステンレスの容器に封入しているというものでございます。このステンレスに包まれた形が一個直径が約四十センチ、高さが約百四十センチでございます。今回、これが二十八体返ってくるわけでございます。この二十八体、ガラス固化体と申しておりますが、これがさらに頑丈な輸送容器というものに入ってございます。これはガラス固化体を安定に収納し、放射線が漏れないように、かつまた外からのショックから守るという機能を備えておるものでございます。この輸送容器につきましては国際原子力機関がつくりました国際基準を満たしております。
 また、今回運んでまいりましたパシフィック・ピンテール号でございますが、これは使用済み燃料の輸送にもふだん使われておる船でございますが、船体を二重構造にする、あるいは自動消火装置を設けるといったことで非常に高い安全性に配慮したものでございます。この輸送船も国際海事機関の国際基準を満たしておるというものでございます。
 ちなみに、国際海事機関の基準を満たす輸送船、それからIAEAの基準を満たす輸送容器、この組み合わせで従来日本とヨーロッパの間で過去二十年間以上にわたりまして約百四十回の航海が行われてございますが、これまで一度も放射性物質が外に漏れるというようなことは起こっておりません。そのように非常に高い安全性を有しておるということを申し上げたいと思います。
○石井一二君 必ずしも私の質問にお答えいただいておりませんが、この問題でこれ以上時間をとると後へ行けませんので結構でございます。ありがとうございました。また予算委員会等を通じて聞かせていただきたいと思います。
 次に、外務大臣。外国に対する信用ということは極めて大事である、私もそう考えておりますし、大臣も同じような御所見であろうと思います。そういった前提に立って、今、東京都の青島新知事が博覧会を中止する、中止した場合には外国に対して非常な信用失墜になるといったようなことが活字になったり放送されたり、論点の一つとして上げられておるという現実があるわけです。それに対して、個人の御所見でも結構ですが、こういった問題は日本国として信用失墜につながるんですか、どのようにお考えですか。
○国務大臣(河野洋平君) 世界都市博覧会の中止云々という話はまだ東京都もお決めになったわけではございませんし、たしか近々に通産大臣などともお話し合いをなさるというふうに伺っておりますので、これを仮説あるいは予見の上にあれこれ申し上げることは余り意味がないことであるかと思います。
 御質問がございましたのでちなみに申し上げておきますと、世界都市博覧会は東京都と姉妹友好関係にあるパリ、ニューヨーク、北京など三十八の市、あるいはこれは国内ですが四十一の道府県、九つの政令指定都市とかそういった多くの都市と連携をしてこの博覧会をやり遂げよう、こうしておられたわけでございます。世界都市博覧会への出展予定名簿を見ましても、全世界にわたって我々がよく知っている名前がずらっと並んでいるわけでございまして、こうした国々のこうした市とこれまで話し合いをしてこられた。
 私はどこまで準備状況が進んでいるかつまびらかでございませんが、少なくともこうした市と真剣に都市博覧会を開くことについて話し合いをしてこられたわけでございますから、いずれにせよきちんとした説明というものは必要になるだろうというふうに思います。今後、都知事がどういう態度でこの問題に対応されるか、そのことが極めて重要なことだろうというふうに思います。
 現在の時点ではまだその方針をお決めになったというふうに伺っておりませんので、これ以上のことは控えさせていただきます。
○石井一二君 わかりました。
 次に、先般、政府の与党調査団がゴラン高原へ行ってこられた、政府UNDOF調査団とでも呼ばせていただくべきでしょうが。この結果、我が国が同プロジェクトにPKO部隊を派遣するかどうかといったような結論をいつか出されると思うんですが、今どの辺の状態でこの問題の論議を進めておられるのか。あした発表するんだとかずっと先だとか、まだ報告書も読んでいないとか、ざっくばらんなところをお聞かせいただきたい、そのように思います。
○説明員(國方俊男君) お答え申し上げます。
 先週帰国いたしました政府UNDOF調査団でございますが、この調査団の目的といたしまして、政府としてUNDOFのカナダ後方支援部隊の一部機能、具体的には輸送業務でございますが、この業務を我が国が担当し得るかどうかにつきまして検討する上で必要となります情報の収集あるいは関係者との協議を行うことを主な目的として派遣されたものでございます。
 この調査団は、我が国が担当する可能性のある輸送業務は、我が国の自衛隊の部隊が現在有する能力の範囲内で十分対応可能な業務であるということ、また我が国として能力を十分に発揮し得る分野であるというふうに報告をしております。
 政府といたしましては、UNDOFへの参加につきましてこの調査団の報告を踏まえまして速やかに結論を出すべく検討を進めているというところでございます。
○石井一二君 速やかとはどの程度の時間を御想定になっておりますか。
○説明員(國方俊男君) 今の時点でいつという明確な日時を申し上げることはできないということでぜひ御理解を賜りたいのでございますが、私どもといたしましてはできるだけ速やかにということで検討を進めておるところでございます。
○石井一二君 私が仄聞するところでは、三年間というような派遣した場合の期間の長さ等も耳にしておりますが、その辺について若干固まりつつある御意見というものがあるんでしょうか、いかがですか。
○説明員(國方俊男君) ただいま先生から御指摘のございました派遣期間でございますが、派遣期間につきましては、政府といたしましては国連側の意向なども踏まえながら、また中東地域をめぐります国際情勢などを総合的に勘案して決定することが望ましいと考えておりまして、こういった観点から実施計画に定めるべき派遣期間につきまして、現在鋭意検討を行っているところでございますけれども、現時点で具体的な期間を申し上げる段階にはないということにつきまして御理解を賜りたいと思います。
○石井一二君 この外務委員会で正式に質問をして期間の長さが出てこないが、新聞等では三年というのはどんどんひとり歩きしている。では、そういった情報というのは外務省としては正式には出したものではない、また政府としては正式には出したものではないのでまだ全然白紙だ、そういうふうに理解したらいいんですか。
○国務大臣(河野洋平君) 今、政府委員が御答弁申し上げましたとおり政府の調査団が報告書を書いておりますし、与党の調査団もまた与党調査団としての報告書が出てきております。その与党調査団の報告書を見ますと、調査に行った先方の御意見として一年未満では効果がない云々というような部分がたしかあったように、ちょっと正確じゃありませんが記憶しております。
 つまり、期間というのは一年未満ということはないよと、さらば無限に行くかというとそうではないという程度の話がありまして、しからば期限を切るとすればどのくらいかなと。気持ちとすればある程度のめどといいますか、仮に行くとすればやはりある程度のめどというものは必要であろう。そのめどは、短い方については一定の感触を得ておりますが、先について今どのくらいという話を具体的にまだいたしておりません。
○石井一二君 この話が出てからいろいろな雑誌、新聞報道等によりますと、現地では日本が来ることに対して招かざる客が来るといったような書かれ方をかなりされているんです。そんなことはないとおっしゃるなら持ってきますけれども、いろいろなそういうことを書いたものがございます。
 それで、せっかく行ってやるというのに、なぜ招かざる客なんだろうかということを私なりに推定してみました。大臣、聞いておられますか、これはあなたに対する質問ですよ。
 そもそも事の起こりが、一九七四年に締結された兵力引き離し協定に基づいて今日まで来て、現地では非常に事態は安定している。カンボジアとかルワンダでといったような、ひょっとしたら隊員に何か事故が起きるんじゃないかといったような緊迫感がないわけですね。だからPKOとしてはややイージーな部分ではないか。そこへ行くことによって、国際会議に出ても日本は出していますよ、こうですよということは言えるけれども、世界に対するPKOの本来的な貢献としてはやや薄いんじゃないかと客観的に私はいろいろな書物を見て感じていたんです。
 それで、出すのであれば非常に緊迫感のある、よくぞ日本がやってくれたと言えるようなところを探すべきじゃないかというような気もするのですが、その辺はどのようにお考えですか。全然そんなことは関知もしてないしという御意見でしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 現地に参りました関係者の話を聞きますと、現地の司令官から今非常にいい体制でやっているのだという意味の御発言があったということは伺っております。それは、恐らく現地のトップとすれば今の体制がよくないなどとおっしゃることは逆に言えばまたないことであろうと思いますし、今、委員御指摘のとおり、相当長期間にわたってやっているわけですから、いろいろな意味でなれてきて割合とスムーズに何事も運んでいるということは私も想像できるところでございます。
 しかしながら、一方で、それぞれの国にはそれぞれの国の事情もあって、例えばカナダにしてみれば、もう長いことここへ出しておる、だれかかわってくれる人があればかわってもらって、自分たちはそこを少しでも撤収できるということがいいとあるいは思っているかもしれないし、現地の司令官はそう思っても、そこに兵力を出しているポーランドであるとかカナダであるとかそういった国々がどう思っているかということは、またそれは別のことなんだろうというふうに思うわけです。国連のPKO担当の方々にはやはり世界全体をにらんでどこをどういうふうにしていくかというお考えは、それはそれであるわけです。
 私、実はニューヨークヘ参りましたときに、国連のアナンPKO担当の事務次長ともお目にかかってまいりました。これは実はアナンさんと会ったわけではなくて、ガリ事務総長とお目にかかったときに横に座っておられまして、そこで事務総長といろいろな国連改革の話をする中で、やはりPKOの話が出ましたので、たまたまその話にいったときに、国連としては我が国にどういうことを期待しておられるのでしょうかということを申し上げたところが、ゴランの話を向こうから、行ってくれれば非常にありがたいと思っている、期待しているという意味の御発言がございました。私はそれ以上何も申しませんで、ああそうですかと言って帰ってきたわけです。
 一部にあるように、国連も望んでいない、現地も望んでいない、日本が押しかけ的に行きたいと言っておるんじゃないかというのは私は少し正確ではない。つまり、国連は事務次長をして日本に期待していますよと言われましたし、現地の状況というものも、司令官はそういうことをおっしゃったとしても、組み合わせが新しくなるならなったで、それはそれで新しいチームで仕事をするという努力はなさるだろうというふうに私は思っております。
○石井一二君 一点確認しておきますが、ゴラン高原に行ってくれたらありがたいというのは向こうから出た要請だとおっしゃいましたけれども、その点はそう理解していいんですね。
○国務大臣(河野洋平君) 今回のことを申し上げる前に、昨年の五月に日本にゴラン高原のPKOに協力してもらえるかという打診が国連側からあったということが事の始まりであって、それ以来数次にわたって国連側と我が国との間でいろいろなやりとりがあるわけです。このことはカナダとも若干のやりとりがあって、カナダからも日本に対してかわってくれるなら大変結構だという話があったというふうに私は聞いております。
 もう一度繰り返しますが、先日の国連事務総長との会談の際にも、私が国連側から日本に対してPKOについて御要請があるんですねと言ったら、そうです、日本に期待しているんです、こういうやりとりがございました。
○石井一二君 釈迦に説法ですが、御承知のようにPKOを派遣すると何ぼかの出費が要る、だがしかし一部は国連償還金として費用は国連が負担するという観点でお金が返ってくる。例えばカンボジアの場合は、丸い数字で、百億円かかったけれども返ってきたお金が十億円だと私は仄聞しているんです。だから九十億は日本がそれだけ国際社会に貢献した経費である。ところが国によれば、同じ使命を果たしても償還金の方が多くてかかった原価よりももうかる国もあるわけです。
 言葉をかえて言うならば、我が国の場合はややコスト高の派遣になっておるのではないかというのは数字だけを見れば言える面もあるわけですが、PKO部隊のいわゆるいろいろな意味での装備レベルとか、ある国は一日に五回食事をするがある国は一回というようなことはないですから、そういういろいろな比較の中で、我が国がぜいたく過ぎるという言葉はよくないですが、国際基準的な中で、数字の上で我が国の場合の逆ざやが非常に多いということについてどのように感じておられるか、御所見があれば承りたいと思います。
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の、かかる費用と償還金との関係でございますが、前回も御質問がございまして若干の数字をお届けしたと思います。ただ、国内で個々のPKO派遣にかかった費用と償還金との関係につきまして、この両者の性格が異なるということもございまして、なかなか直接の比較は難しいと思います。
 ただ、ただいま国によっていろいろ装備が違うというような御指摘もございましたが、確かにそういう面もございますし、また参加する分野によっても相当違ってくるだろうと思います。例えば、カンボジアのUNTACの例をとりますと、我が国が部隊を派遣いたしましたのは御承知のとおり施設部隊でございます。これは大変にたくさんの建設機械等を持っていっているわけでございますが、これが現在我が国の法律上は凍結されておりますけれども、歩兵部隊、自衛隊で言えば普通科部隊ということになりますが、そういう場合にはそれほど大きな装備は要らないというようなこともございますので、分野によってもまた相当違ってくるということは一つ言えると思います。
○石井一二君 今この仕事をやっておるカナダ部隊ですが、具体的に武器として何を携行しておられますか。
○説明員(國方俊男君) カナダ部隊につきましては、けん銃、小銃、軽機関銃の三種類を装備しております。
○石井一二君 その三種類を持っておるということは、それが必要である場合が起こり得るというある程度の想定があったかとも思いますが、それを即日本に当てはめて同じような武器を携行するのかどうか。武器携行について、PKOの各原則等も踏まえて現在の御所見を承っておきたいと思います。
○説明員(國方俊男君) 仮に我が国のUNDOFへの参加が決定された場合に、装備すべき武器につきましては、政府といたしましては国連側の意向に加えまして他国の部隊の装備している武器の内容も考慮して実施計画において決定することとしたいと考えております。
 ちなみに、カナダ部隊につきましては、先ほど申し上げました三種類を装備しておりますけれども、輸送任務の遂行中は一切武器を携行していないということでございます。
○石井一二君 では時間も押してきましたので、NPTについてお伺いをいたしたいと思います。
 河野外務大臣は、過日十八日に一般演説を行われたわけですが、何を訴え、その評価をどう自己評価しておられるか。これは長い答弁をされると困りますので、一分程度でひとつ切れのよい御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 私は、被爆国としての日本の立場に立ちまして、核兵器の究極的廃絶に向けて核軍縮を着実に進めていくことが必要だという考え方を述べました。
 その上で、先ほども御答弁申し上げましたが、NPTがこの二十五年間に果たしてきた役割というものは大きい。それはどういう意味で大きいかといえば、もしこれがなければ核兵器国は現在よりもかなり多数に上っていたに違いないという意味で意味があったというふうに評価をし、しかし一方で、NPTの第六条にございます核保有国の核軍縮への努力というものは、その前半、中半において十分進んでいなかったことは極めて残念だという評価をすると同時に、しかし冷戦が終えんして以後、この数年間STARTTあるいはSTARTUがスタートをし、全面核実験禁止条約がもう少しで合意に達するところのように見えますし、カットオフ条約についてもできるだけ早期に話し合ってほしいという多数の国際世論もある。さらに、STARTUについても着実にその緒についてほしいということを含めて、ここ数年間においては希望が見えてきたという評価をいたしました。その上で、我が国としては無期限の延長をするべきだという我が国の考え方を述べた次第でございます。
 こうした演説についての各国の評価はそれぞれございますが、それはもちろん立場によって、よくそこまで言ったという国もあれば、もう少しだなという国もございました。自己採点は御勘弁をいただきたい。
○石井一二君 現在、NPTの締約国数は百七十八と私は聞いております。そうすると二で割ると八十九ですから、過半数は九十票。これがとれるかどうかということですが、アメリカは一票でもオーバーしたらそれはそれでいいんだという意向のようですが、日本の主張は圧倒的多数といったようなものが望ましいという御意向のように聞いておりますが、この表決の見込みについてどのように予想されておるのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(林暘君) 今の時点でどのくらいの国が無期限延長を支持しているかという国数を言うのはなかなか難しいわけでございますが、我々がこの会議が始まります時点で分析をいたしておりましたのは、大体八十カ国を超える国が支持をする状況であろうというふうに見ておりました。
 ちなみに、先週の火曜日から一般演説がニューヨークで行われているわけでございますけれども、先週の金曜日までの時点で八十カ国が一般演説を行いました。その八十カ国がどういったことを言ったかということをちょっと分析してみました結果によりますと、八十カ国のうち五十四カ国が無期限延長を支持いたしております。それ以外に、無期限延長にほぼコミットしたととれる発言が二カ国、無期限延長でもいわゆる長期間の自動延長でも言ってみればどちらでもというような立場を述べた中国がございます。それから延長問題については何も言わなかった国が二カ国ございます。それを除きました国がどちらかというと無期限延長については反対であるという立場の国だというふうに我々は分析しております。
 もちろんこの八十カ国というのは今の締約国の半分にも満たないわけでございますし、発言した国が無期限延長支持をしている国が多いということもあろうかと思いますけれども、先週一週間の状況はそういうことでございますし、状況としてはどのくらいの票数がとれるかということは今の時点で申し上げることは非常に難しいのでございますけれども、確実に申し上げられることは、無期限延長を支持している国が一番多いということは事実でございますし、過半数に届こうという状況かなというふうには考えております。
○石井一二君 当該委員会の議題は化学兵器禁止条約ですが、これは近々また時間がありますのでお伺いしますが、この化学兵器というものは何か、何々を指すのか、具体的に国民だれが聞いてもわかるように、あさってまでによく勉強する土台を与えるという意味で、対象になる兵器とはこういうものですよという感じで御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(林暘君) 化学兵器というのは、この条約にも定義があるわけでございますけれども、基本的に、ここに書かれておりますのは、生命活動に対する化学作用によって人または動物、植物ではございませんで、人または動物に対して死に至らしめる、または一時的に機能を著しく害する状態または恒久的な害を引き起こし得る化学物質、そういったものを使って、それを弾薬に詰めるなり爆弾に詰めるなり筒に詰めるなり、そういったことをして用いる兵器であるというふうに考えております。
○石井一二君 今の御説明を聞いて余計わかりにくくなりましたので、きょうはこれで終わります。
○猪木寛至君 今回の化学兵器禁止条約については、私は大賛成であります。
 この条約の中で、いろいろ資料を読ませていただきまして、大変難しいというか、その中で気がついた点というのは、やはり一番の検証の部分ではないかなと思います。軍事検証、それから一般化学物質の生産、及びという二番目、それから三番目のチャレンジ査察。
 そういう中で、東西冷戦が終結して旧ソ連が解体して、今から八年半ぐらい前になりますか、その時期に私も最初にソ連に飛び込んで、ちょうど一番の変革期だったものですからいろんなものが見えたというか大変いい勉強になったんです。この条約が何でもっと早く締結されなかったかなという気がするんです。今、連日、オウム真理教のニュースとサリンの問題で、いろんなニュースが飛び出てきても、全部その陰に隠れて、この条約が結ばれる。今読んでいく中で、既にそれよりも何か先に進んだという表現がいいんでしょうか、今回の事件というのは今起きている事態に対して非常におくれているんじゃないかなという気がいたします。
 そこで、オウム真理教が四月二十日付の朝日新聞に載っているんですが、「布教とは異質な動き」、ロシア日本大ということで「オウム真理教のロシア進出の橋渡し役となったのは、いま安全保障会議書記の要職にあるロボフ氏が一九九一年十一月、同郷のエリツィン大統領から開設許可を取り付けて設立したロシア日本大学だ。」という記事があるんです。
 先ほど申し上げたように、旧ソ連が解体していくときに市場経済というか資本主義というのが入り込んでいく。全くそういう知識がないというのか、私どももかってオリンピックの選手をプロに転向させようということで私が最初にその契約を結んだわけですが、そのときの契約の状況というのはまさにでたらめというか、きょうつけた値段がそのまま通ればそれが価格になってしまうという全く世界の情勢とはアンバランスなものです。ですから、イベントをやるために契約して、その一カ月前に確認の意味で行きましたところ十倍ぐらいに契約金が跳ね上がっちゃって、もう頭にきて見ている前で契約書をひっちゃぶいてぶん投げて帰ってきたんです。
 そのときにあらわれたのが当時のモスクワ民警の所長というか、それから内務省の次官というか、当時としてはなかなか日本の人が接することが不可能に近いような人だったんですが、やはりKGBとも横の連絡がとれていて、最初にKGBの建物の中にカメラを持ち込ませてもらったんです。そういうときに、たまたま私どもはプロレスの道場をモスクワにつくろうかという計画を立てたときに、モスクワ大学の中に道場をつくりませんかと向こうから提案されて、日本ではとても信じられないような話で、それがちょうどこの記事を読んでいくと、まさにオウム教がそういう意図があって入っていくとすれば、とにかくお金を渡せば何でも通ってしまう状況であったんじゃないか。
 そこで、今回の条約の中にあります情報というか秘密の部分とかいろいろ項目がありますが、こういうものをどうやってコントロールするのか。ましてや核物質に関しては、新聞でも報道されているとおり非常にずさんであったり、あるいは核物質が盗難に遭うとかそういう状況が起きていますから、その状況について、最近ロシア情勢というのは余り聞こえてこないものですから、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(野村一成君) 最近のロシア情勢ということで御質問かと思いますけれども、新生ロシアは三年ちょっとたつわけでございますけれども、経済につきましては先生御案内のように大変な混乱の時期が確かにございました。しかし、インフレ率もかなり下がっておりますし、やっております民営化の努力につきましても大体七〇%、八〇%が進んでいるということで、一応かつての二年前、三年前に比べますと一定の進捗は見られるかなというふうに思います。
 しかし問題は、やはり政治の側面だろうと思います。特にチェチェン情勢をめぐりまして政治の面における改革というのが懸念される不透明な状況かなというふうに見ております。その意味では、ことしの十二月に議会選挙が行われることになっておりますし、来年六月には大統領選挙が行われるということで、これらが予定どおり行われるかどうか、その結果を受けてどういうふうな改革路線が進んでいくかというような点が注目されるわけでございまして、ここ一年間ばかりが非常に重要な時期を迎えているというふうに見ております。
 御指摘の化学兵器の管理状況等につきましては、ロシアにおいてどういうふうな管理になっているか、その辺の事実関係については私ども承知いたしておりません。
○猪木寛至君 先ほど申し上げたKGBというような形は解体されたんですが、今はどういう形にそれが引き続きなっているんでしょうか、ロシアにおいては。
○政府委員(野村一成君) 御案内のKGBという組織が二つに分かれまして、一つは保安省、もう一つは対外防諜省ということでございまして、それぞれ国内あるいは外国等の関係において基本的には従来と同じような業務、つまり防諜なり国内の保安の維持という活動に従事しているんではないかというふうに推察しております。
○猪木寛至君 その二つに分かれたと。
 私が聞いているのでは三つというか、国境警備という問題がもう一つあるのだろうと思うんですけれども、その役割というか、対外情報というのはそのとおりだと思うんですが、保安庁というのは実質はどういう役割をしているんでしょうか。
○政府委員(野村一成君) 確かに国境警備庁、これは大統領の直属機関としてございまして、これはかつても基本的にはそういう組織があったというふうに理解しております。
 保安省につきましては、基本的にはやはり国内の治安の維持ということで活動をしていると。具体的にどういうふうな活動がということは必ずしも詳細把握しておりません。
○猪木寛至君 ロボフ氏の安全保障会議書記というのは、一体どういうような仕事をされるのですか。
○政府委員(野村一成君) 大統領のもとに安全保障会議というのが一九九二年三月に一つの諮問機関として設けられておりまして、諮問機関でございますけれども大統領による決定を行うに当たって非常に重要な役割を果たしているというふうに理解しております。
 御指摘のロボフ、これはその安全保障会議の書記を務めているということでございます。
○猪木寛至君 そういう要職にある人が大統領の側近であって、今回の疑惑の中に登場するんです。
 もう一つ、これは四月二十二日付の新聞に「核兵器保有の責任自覚せよ」というインドの社説が載っていて、「ロシアには核物質を管理する能力がない。経済状態から見て、核物質の盗難は増え、世界の心配が高まるだろう。」「核不拡散条約は、世界が五カ国の支配下にあれば安全であると考えており、」というのがあります。この中にも出てきますが、制裁措置の中で五大国が安保理の中で話をして処理するみたいなことが書いてありましたが、ロシアを余り責めるつもりじゃありませんが、今の混乱の中で、こういう状況下で検証なり制裁というものが出てきたんですけれども、これはどのように信用したらいいんでしょうか。
○政府委員(林暘君) もちろん、ロシアはアメリカと並んで多量の化学兵器を有している国でございますので、ロシアがこの条約に加盟をしてもらうということがぜひとも必要であろうと思っております。
 その上で、この条約にのっとって、非常に多量の化学兵器を持っておりますので、それを廃棄するということについて財政的その他に多々困難があるということは我々も聞いておりますけれども、その点についてはアメリカも財政的な支援をするというようなことをしておりますし、そういう形を経て、かつまた十年という廃棄のための猶予期間がございますので、その期間内にロシアがこの条約にのっとって化学兵器を廃棄していくということを我々は期待しておりますし、そういう形でこの条約を実施、運営をしていきたいというふうに思っております。
 今、猪木先生がおっしゃいましたような状況で、どの程度信用できるかということを私どもに聞かれましても何ともお答えのしょうがないのでございますけれども、加入した場合には少なくともこの条約にのっとって義務を適切に履行していくように我々としては見ていきたいというふうに思っております。
○猪木寛至君 先ほど局長からもお話があったように、余り情報がないということで十分なお答えがもらえないというか、私なりに聞いている部分でも本当にこれは心配な部分があるなど。
 外務大臣にお聞きしたいんですが、今後そういう状況の中でこういうことが批准されるということは、もう一日も早くと先ほど申し上げたとおりなんですが、今後そういう問題点について、条約というのは非常に型どおりの形で、実質が伴ってないというか、ある部分ではそれを実行していくための努力をこれからしなきゃいけないと思うんです。そういう意味で、今、日本にとって脅威と思われる国というのは中国、北朝鮮というものが挙げられますが、ロシアという国は今後どういう位置づけになるんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) なかなか一言ではお答えしにくい問題でございますが、先般ロシアのコズイレフ外務大臣が日本に来られたときにかなり長時間話をさせていただきました。
 そのときに私は、ロシアの民主化それから経済の市場経済化というものが進んでいる間はG7の国々はロシアに対する支援をすることになるというふうに思います。しかし、民主化とか市場経済化というものは何をもってはかればいいのか、つまりどうやってロシアが民主化しているかということを見ればいいのかということが今非常に問題であって、例えばチェチェンに対する介入などを見るとロシアの民主化というものは著しく後退しているのではないかとすら見える。そこで何を指して民主化、市場経済化が進んでいると言えばいいのかなという話を実はいたしました。コズイレフ氏は、いやもう民主化は進めています、市場経済の方向に向かっていますと。そう言われるだけではこちらとしては余りそれだけを信じてというわけにいかない部分も今やありますよという話をしたんです。
 いろいろな話を総合してみますというと、民主化について言えば、一つは、きちんとルールにのっとった選挙が行われる、国政選挙が行われる、さらには大統領選挙がきちんとしたルールにのっとって行われる、これはやはり民主化の一つのポイントだろうと思いますが、もう一つ私が非常にコズイレフさんにも強調し、コズイレフ氏もそれに同意をされたのは、マスコミが健全に機能、働いているということが非常に大事ですよ、マスコミを弾圧したりマスコミが動かなくなるということになると、民主化という意味では我々の判断は非常に難しくなりますよということを申し上げた。
 それに対してコズイレフ外相は、自分もそう思います、今度のチェチェンの問題や何かでマスコミには相当ひどく言われまして自分も随分つらい思いもしたけれども、しかしマスコミの存在というものはやっぱり大事なんだと自分は思っていますと、こういう話をしておられました。
 ちょっと長くなりますが、同じようなことをやはりロシアから日本を訪問されたロシアの民主的選択という政党の党首であるガイダルさんにも私は申し上げましたが、何をもってロシアの民主化が進んでいると言えばいいのかと言いましたところが、たまたまガイダルさんは同じことを言われて、選挙がきちんと行われること、そしてマスコミが健全に働いていることだ、この二つはロシアの民主化という点で非常に意味があるということを言われました。
 ちょっと話が長くなりましたが、私が申し上げようと思ったことは、情報がなかなかロシアからはないわけですが、しかし今、ロシアの国内ではマスメディアが大変動いている。例えば、新聞も昔と違ってたくさんいろいろな種類の新聞が出る。あるいは週刊誌、隔週のものもあるかもしれませんが、いろいろなものが出ている。それから、テレビ、ラジオのたぐいも随分活発に動いている。このことはやっぱり非常に重要じゃないかというふうに思うんです。
 我々もそうした報道というものを注意深くウォッチする必要がある。ただし、その報道が権力によって抑えられてしまうということになると、これはなかなか中が見えなくなってくるわけですが、我々は今そうした報道というものを、この中には正しいものもあるし正しくないものもあるいはあるかと思いますけれども、いずれにしてもこれらをきちんとウォッチして、その中から正しい情報をやっぱり我々が見つけ出す努力というものが必要なんじゃないか。
 そういうマスメディアが健全に動いていれば、今、議員が御指摘になったようなこの条約を誠実にロシアが守ってやっているかどうかについても客観的な情報というものが得られる可能性が多いというふうに思うのです。
○猪木寛至君 もう一方で、ウクライナという国がやはり全く見えないというか、五千二百万人あるいは一千二百万人以上のロシア人がまだいる、軍隊もまだいると。そういう中で、アメリカ、ロシアに次ぐ三番目の核保有国というか、そういうウクライナのことも大変気になるんですが、ウクライナについてちょっと情勢を聞かせていただきたい。
○政府委員(野村一成君) ウクライナは御指摘のように非常に大事な国でございまして、欧州、広い意味で地図を見ますと、まさにロシアも含めて考えますと、その中核に位置しておりまして、戦略的、地勢学的にも非常に大事な国であるということ。さらには、御指摘のようにNPTに核保有国として参加いたしましたけれども、依然としてまだ核が大量に存在している国であるということ。また、原子力の平和、安全という意味からいたしましていわゆるチェルノブイリ型の原子力発電所をどうするか。いずれもどれ一つを取り上げても非常にこれは大事なことでございます。
 やはりこのウクライナ、そういう大事な国をどうするかというときに、もうこれはロシアと同じでございますけれども、今行われております改革への努力、これを成功させるということが一番大事だと思います。そういう意味におきまして、先般実はクチマ大統領を日本に公式訪問、お招き申し上げた。そのときに、日本としてもそういった重要性の認識のもとで応分の支援を行っていくということを表明いたしたわけでございますが、やはりこの国が今後どういうふうに改革路線を進めていくかということについては、日本のみならず、欧州、国際社会全体の非常に大きな関心の的になっているというのが実態でございます。
○猪木寛至君 ウクライナについてもやはり経済状況が大変悪いということで、かつて権力にあった人たちが核をお金にかえるということもうわさされております。事実パイプライン構想とかいろんな経済効果を生むためのことも発表になっているようですけれども、大変その辺も私は気になっているというか興味がある部分なんですが、きょうは時間がないのでその辺はちょっと触れられませんが。
 もう一つ、国会の方をちょっと休ませてもらって、前にも申し上げた北朝鮮のイベントがいよいよ始まります、二十八、二十九、三十ということで。そしてあしたからちょっと向こうへ行かせてもらう、お許しを願って行ってまいります。
 電話によりますと準備が順調に進んでおります。そして一つは、やはりこのイベントに対していろんなうわさが流れて、南からの妨害工作があるとかないとか。その中で、四月の十五日以後に軍事訓練を始めるという予定だったものを、私の言ったことが通じたかどうか知りませんが、韓国としてもそのイベントの意義がわかりましたということで、その軍事訓練は待ちましょう、一時中止しましょうということで中止をしたというニュースが入ったんです、どうもその辺の事実はわかりませんが。せっかくやるそのイベントで軍事的緊張が高まったのでは困るということで、ある筋を通じて申し上げたんです。
 これを機会に何とか日朝間の問題も、二国間だけじゃなくて南北の問題が同時に進まなければ解決できない問題であろうと思うんですね。そこで、私としても何としてもこのイベントを成功させて、そして温かい風を吹かせ続ける。何か言うとすぐ経済制裁と、そこに行ってしまうんですが、今はとにかく孤立化させないという、これは外務大臣も再三言われているように、ひとつ国際舞台に登場してもらうように、そういう意味でこのイベントの意義というのは、いろんな角度から見たときにあちらの人たちを孤立化させないためのきっかけになるのではないかと思っております。
 時間が来ましたので、終わります。
○委員長(田村秀昭君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(田村秀昭君) 次に、千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河町外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました千九百九十年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、平成二年十一月に国際海事機関の主催によりロンドンで開催された国際会議において作成されたものであります。
 この条約は、油による汚染事件への準備及び対応に関し、各締約国がとる措置、国際協力の枠組み等について定めたものであります。
 世界有数のタンカー保有国であり、かつ石油輸入国である我が国がこの条約を締結することは、海洋環境の保全に資するとともに、この分野における国際協力を一層推進する見地からも有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
○委員長(田村秀昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件の質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会