第132回国会 大蔵委員会 第4号
平成七年三月十日(金曜日)
   午前九時開会
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   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     一井 淳治君     野別 隆俊君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                竹山  裕君
                楢崎 泰昌君
                志苫  裕君
                峰崎 直樹君
                白浜 一良君
    委 員
                上杉 光弘君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                増岡 康治君
                一井 淳治君
                久保  亘君
                鈴木 和美君
                谷畑  孝君
                野別 隆俊君
                猪熊 重二君
                寺崎 昭久君
                野末 陳平君
                池田  治君
                吉岡 吉典君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
   政府委員
       大蔵政務次官   石井  智君
       大蔵大臣官房長  小村  武君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     竹島 一彦君
       大蔵大臣官房参
       事官
       兼内閣審議官   福田  誠君
       大蔵省主計局次
       長
       兼内閣審議官   武藤 敏郎君
       大蔵省主計局次
       長        伏屋 和彦君
       大蔵省主税局長  小川  是君
       大蔵省関税局長  鏡味 徳房君
       大蔵省理財局長  田波 耕治君
       大蔵省証券局長  日高 壮平君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆俊君
       国税庁課税部長  堀田 隆夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       厚生省年金局運
       用指導課長    福山 圭一君
       厚生省年金局数
       理課長      熊沢 昭佳君
       郵政省貯金局経
       営計画課長    植村 邦生君
       郵政省簡易保険
       局資金運用企画
       課長       藤岡 道博君
   参考人
       日本銀行理事   小島 邦夫君
       日本銀行企画局
       長        山口  泰君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
○平成七年度における財政運営のための国債整理
 基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行理事小島邦夫君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(西田吉宏君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○清水達雄君 自民党の清水達雄でございます。
 まず大蔵大臣に、今回の急速な円高の原因あるいは要因についてどういうふうに認識をしておられるか、お伺いいたします。
○国務大臣(武村正義君) 最近の為替市場におきましては、日本経済に起因する要因というよりも、政治的不安等を背景とした欧州通貨内におけるマルクの上昇、さらにはメキシコ情勢の先行き不透明、さらに米独金利差の先行き展開等、さまざまな多分に思惑的な要因によるドル安が進んでおりまして、これにつられる形で円高が急速に進行をしている状況であります。
 いずれにしましても、最近の為替市場の動きは経済のファンダメンタルズを適切に反映しているものとは思えません。思惑的な動き、投機的な動きが強く、政府としてはこの事態を大変深刻に受けとめております。このような状況は世界経済の健全な発展を損ねかねないものであり、為替の現状を強く懸念するところであります。
○清水達雄君 今回の円高というのは非常に急速であったと思うわけでございます。一週間で八円余りの円高というふうなことでございますけれども、こういうふうなことは過去に例があったのかどうかというのが一点と、それから今、大蔵大臣、アメリカのメキシコ絡みの問題でありますとかあるいはヨーロッパの政治不安とか通貨のいろんな関係の問題等々のお話がございましたが、非常に怒濤のような市場の動きというふうなものも感ぜられるわけでございます、今回の円高、非常に急速であったということと怒濤のような揺れというふうなものについて、何か今回の円高について特に特徴というふうなものを感じられますかどうか、その点、両方お伺いいたします。
○政府委員(加藤隆俊君) 最初のお尋ね、一週間で八円余り円が上昇した例は過去にあるかというお尋ねでございましたが、昨年の二月七日から二月十四日の間、やはり八円六銭の円高となった例がございます。しかし今回の例は、これまでの円高の推移してまいりましたその上にさらに円高が加わったという意味において特徴的なことがあろうかと思います。
○国務大臣(武村正義君) 怒濤のようなという表現をお使いになりましたが、そういう表現を使ってもおかしくないような本当に急激な荒々しい国際通貨の動きであったと認識をいたします。今も申し上げたように、日本の側の要因で動くということではありませんでした。
 今、局長が報告しました昨年の例は、ワシントンで細川・クリントン会談がありまして日米包括協議をめぐってノーという状況になったわけですが、その直後に進んだわけであります。日米会談がきっかけになったというとらえ方がされていたわけであります。
 今回は、今申し上げたようにまさにアメリカは、メキシコ・ペソの通貨不安、これが大きくアメリカ経済に対する不安要因になってきておりますが、これだけが原因とも思われません。政治的には、何といっても財政赤字という大きな課題を抱えているし、もちろん貿易も赤字でございます。ついこの間、アメリカ議会に財政赤字を削減するための憲法修正の条項が提起をされたようでありますが、議会で大論議があった結果、否決になりました。こういったことが赤字削減の展望が立たなくなったというふうな見方を与えたのも一つの理由かもしれませんし、その他、アメリカ経済の先行きに対してもいろんな見方が交差しているようでございまして、まさにそういうさまざまな要因の中でドル安が一月の末ぐらいからじわじわ始まっておりまして、ここへ来て急激に展開したということであります。
 ヨーロッパはヨーロッパで、同じ時期にスペインのペセタがかなり下がりました。EUの通貨同盟の中で一定の基準を設けておりますが、それを超えるところまで近づいてきました。慌ててEUはスペインとポルトガルの通貨を切り下げる決定をして発表したところでございますが、それでもぐんぐん下へおりていった。それがイタリア・リラとかフランス・フランとかイギリスのポンドまで低落するような影響になっていって、結果としてひとりマルクだけがぐんぐん上がっていくという姿になりました。
 各国ともそういう状況はそれなりにみんな強く懸念をいたしておりまして、国益の立場、あるいはヨーロッパ全体の立場、あるいは世界全体の立場、さまざまでありますが、いずれにしても共通な認識としては、この事態を憂慮し強く懸念をするという点では一致をしているところでございます。
 国際協調の中で日米欧、日々いろんな形で連携を取り合っているわけでありますが、共通の認識がより具体的にいろんな形で固まってくることができるように日本としましても最善を尽くしていかなければいけないというふうに思っております。
○清水達雄君 今、大蔵大臣からアメリカヘの不安ということについて大変御丁寧な御説明があったわけですが、市場の揺れの大きさというふうなことは、何かデリバティブ商品を扱うように、それが非常に発達をしてきているということと関係があるような気もするんですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(加藤隆俊君) 国際決済銀行と申します国際機関が三年に一度世界の外為市場の取引の規模を調査いたしております。一番最近のものといたしましては九二年の四月に調査をいたしております。その調査におきましては、通貨関係のデリバディブズの取引を含めた全世界の為替の取引高が大ざっぱに言って一日約一兆ドルという結果になっております。
 それから、デリバディブズの為替市場に及ぼす影響につきましては、自来、国際的な会議の場でさまざまな角度から検討しておりますし、これからもそういった十カ国蔵相会議あるいはBIS等の場でさらに意見を深めていく、こんな方向の展開が進んでおるところでございます。
○清水達雄君 日銀と大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今回のこの通貨変動に対しまして政府及び日銀はどのような対策をとったのかということと、それから、三月三日に日米欧十七カ国が協調介入を行ったというふうな報道もあるし、大蔵大臣は協調して行動をしていくというふうな記者会見もされているわけでございますが、日米欧の協調介入があったのかどうかということでございます。
 今回の動きを見ておりますと、アメリカはアメリカなりの事情があるから、アメリカは自分のことを考えて行動する。ドイツもドイツなりの事情があるからそれなりの行動をする。要するに、国際協調という面で従来よりもそういうムードというか動きが非常に少なく小さくなっているというふうな感じを我々としては受けるわけでございまして、その辺につきまして、こういう通貨変動を抑えるための協調体制というふうなものについて、どんな状況にあるのかということも含めてお伺いいたします。
○国務大臣(武村正義君) 今回、当然こういう事態でございますから、日々関係通貨当局とは緊密な連絡をとりながら対処をしてきているところでございます。
 三日は、既に表へ出ておりますようにルービン長官とも複数回電話で真剣な話し合いをいたしました。アルファンデリー・フランス蔵相とも緊急に会ってこれも意見の一致を見たところであります。同時にそれぞれそれなりの考え方を公表いたしておりますし、今御指摘のような日米欧協調して行動をとることができたわけであります。
 確かに一つ一つの国は、国の持っている経済的背景がありますし、また抱えているさまざまな固有の課題がございますから、急激な為替市場の動き、これは好ましくないという懸念では共通の認識を持っておりますし、何か行動をとらなければという点でも大なり小なり考え方はそろっているとも言えますが、しかし各論になってきますと、そういった背景、課題等がございますだけに、そう簡単にすべてが一致するというわけではありません。いずれにしましても、しっかり連携をとりながら真剣に話し合いをすることが一番大事だと思っています。
 何も大臣クラスの話がすべてではありません。むしろ大蔵省もそれぞれのレベルで、財務官は財務官、あるいは局長は局長、課長は課長、いろんな形でカウンターパートと連絡を頻繁に取り合っておるわけです。
 米欧の関係もそうでございます。ヨーロッパ各国はもちろんそうでございますが、緊密な連絡、連携をとって適切に対処しますと、こういう表現をいつも使っておりますが、どうぞその意味は御理解をいただきたいと思います。ゆうべも遅くまでそういう作業に没頭いたしております。
○参考人(小島邦夫君) 私どもの方も各段階で各国の中央銀行と緊密に連絡を取り合っておりますことは同様でございまして、その中で、やはりこのところの急激な為替変動というのは経済のファンダメンタルズを適切に反映していないということは各国共通の認識になってきておりますし、それが、一昨日になりますけれども、アメリカのグリーンスパンFRB議長、それからドイツのティートマイヤー・ブンデスバンク総裁、それぞれ相次いでドル安に強い懸念を表明しておられますけれども、これもそのあらわれでございまして、こういうことが各国の共通の認識であるということは改めて確認されたというふうに思っております。
 私どもといたしましても、こういった認識がさらに市場に浸透してファンダメンタルズに見合った相場が形成されることを期待しているわけでございますけれども、今後とも各国の中央銀行との間で緊密な連絡をとりながら市場に対して適時適切に対応していきたいと思っております。市場の中には為替相場の行き過ぎに対する警戒感も出始めつつあるというような感じもいたします。我々としてもそういったことを踏まえて対処していきたいと思っております。
○清水達雄君 アメリカの対応にしましても、今お話がございましたように、三月七日にグリーンスパンFRB議長がああいう発言をされてある程度の効果があったようでございますし、それから財務長官もきのうというのかきょうというのか発言をされておられるようで、アメリカの動きも非常に遅いということがあるわけでございます。
 そういう意味で、みんながとにかく何とかしてこの大きな変動を安定させようという雰囲気がどうもないという、日本だけが困っているというふうな感じが非常にするわけでございまして、今、日銀の理事さんのお話もやや抽象的な答弁であったわけでございますけれども、いわゆる協調介入をやるにしても数十億ドル程度のもので、今の為替市場における一日の取引高が一兆ドルというふうなことから比較すると、やっても余り効果がないんじゃないかというふうな話もあるわけですね。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 しかし、じゃ金利調整といいますか、それができるかというと、アメリカにしてもドイツにしても非常にそれはやりにくい、あるいはやりたくないというふうな感じが見えてくる。じゃ、どんな対策があるのかということになってくると、私どもにはよくわからないし、どうなるのかなという感じがするわけでございますが、その辺について、一体今後基本的に対策をどういうふうにしていこうというふうにお考えになっておられるのか。これは日銀、大蔵大臣、両方からお答えをいただきたいと思います。
○参考人(小島邦夫君) 介入の効果がどうかということについてはなかなか具体的にコメント申し上げるのは難しいところでございますけれども、ただ一般論として申し上げますと、市場の介入というのは、為替相場の動向が経済のファンダメンタルズを適切に反映していない場合に、通貨当局が為替市場に対して確固たる姿勢を示すということに意味があると思います。
 したがいまして、こういった市場介入によって市場の参加者の思惑に影響を与えるということができれば、実際の取引高の大きさ、確かに世界全体では一日当たり数千億ドルないし一兆ドルと言われておりますけれども、そういった大きさいかんにかかわらず投機的な動きを静める効果があるわけでございまして、こういったことは過去にも起きています。
 そういった意味で、大切なことは、通貨当局の意図をどうやってしっかり市場に知らせ、それを浸透させていくかということでございまして、そういう意味では、各国が今やっておりますような、協調して動いていくということがやはり大変大切だというふうに私どもは思っております。
○国務大臣(武村正義君) お話がありましたように、額で見れば余りにも小さいから効果はないだろうという見方も当然あるかと思います。しかし過去の経験を踏まえても、非常に有効に働くときと、流れが大きかったり、いろんなことで効果が期待どおりにいかなかった、出なかったときもあります。
 しかし、今回共通の認識というか、共通に強く懸念をしているということを申し上げております。三日の日もアメリカ財務省は財務省でステートメントを発表しました。私も記者会見で表明します、日銀総裁もおっしゃる、続いてフランスの蔵相もステートメントを出す、そういうことが各国の通貨当局のその事態に対する姿勢を表明していることになります。協調介入以前、以前というか一体の話ですが、けさのルービンのテレビニュースとか、昨日のグリーンスパン議長さんの話とか、そういうことがかなり影響を持つことでおわかりのように、やっぱり緊密な連携をとって日米なりあるいは日米欧で、表現は多少違っても共通した認識を明らかにする姿勢が市場にも反省を促したり、鎮静化をさせたり、さまざまな影響を与えることも事実であります。その手段として協調介入という手段があるというふうに御理解いただきたいと思います。
 もちろん、おっしゃるように、金利その他各国のそれぞれマクロの政策になりますと、国内事情がございますから、なかなかその時々の通貨情勢にぴしっとそろった具体的な政策を表明することは容易ではありませんが、それでも、日ごろからG7等で各国のファンダメンタルズについての議論もいたしておりますし、問題点も指摘し合っているわけでございますだけに、そのことが中期、長期的には通貨の安定につながっていくんだというふうに思っているわけであります。
○清水達雄君 恐らく今までだったらG7の会議を開くとかというふうなことになったんじゃないかなという気がするんですが、なかなか恐らく対策がそれぞれ出てこないから、そういうものを開いても中身のあるようなことにならない、そういうことがあるのかなという感じもするんですが、その辺はいかがですか。
○国務大臣(武村正義君) 先般、参議院の予算委員会で質問がございまして、とにかく電話会談だけではだめだ、もっとすぐに行動を起こすべきだ、臨時のG7も開くべきではないかという御発言がございまして、私は、そういうことも含めて今後真剣に検討していきますと、こう答えたわけであります。これはまさに可能性をこれからさぐる、検討するという意味で申し上げたわけでありますが、しかしその発言を一度しますと、やはり世間は、大蔵大臣が検討すると言う以上はもう既にかなり固まってきているぞと、こういうやはり予想を与えたようでありまして、慌ててそこまで言っているわけじゃないという修正、修正じゃないんだけれども、そういうコメントをしますと、大蔵大臣は言を左右したようにまた報道されますし、なかなか市場が緊迫しているときに一つ一つの発言が大変難しいということを痛感いたしているわけであります。
 今、臨時のG7の会合になりますと、おっしゃるとおり電話で頻繁にやっていまして、それは大体考え方が一致して、しかも政策の方向もそろってくるなら開こうということになるんでしょうが、それは容易なことではありません。過去もこういう事態で緊急に開かれたことはないようであります。でも、一般的には年四回ほど定例化してしてきておりまして、割合頻繁にG7の会合は持っておりまして、さまざまな通貨問題、経済問題について真剣に意見交換をしてきているところでございます。
○清水達雄君 円高が日本経済にどういう影響を与えるかという点でございますけれども、経済白書なんかの分析を見ますと、トータルとして見るとマクロ的にはそう大きな影響はないという分析がなされているわけです。
 結局、今の日本の経常黒字がずっと長期間続いているという状況にある限りは、どうしても円高の進行というのは構造的な傾向として続いていくし、したがって国際通貨のいろんな波乱があると必ず円高の方向に振れていくんじゃないかというふうな感じを私は持っているわけですが、そういう中において日本企業も、海外に生産設備を移転するとかあるいは部品を海外でつくらせるとか、いろんなことをやって要するに円高対応というのを非常に進めてきているわけでございます。
 そういうようなこともあって、例えば経済白書等々からの分析をちょっと見てみると、例えば日本の貿易依存度も経済全体から見るとかなり低いわけでございますし、それから円建て比率も、輸出入ともあるわけですけれども、例えば輸出は四〇%ぐらい円建てだというふうなこともありますから、輸出入とも大体日本経済へ与える影響というのはGDPの五%程度の部分にしか影響しないというふうなことになっているわけです。
 それからもう一つは、企業収益についての分析が経済白書に出ておりますが、一〇%の円高によってどういうふうに企業収益が変化するかという分析をすると、加工組み立て型製造業は一三・八%経常収益が減少する、しかし素材型製造業は五・三%経常収益がふえる、それから非製造業は〇・三%ふえる、トータルとして見ると全産業で〇・六%ほど減るという程度だということになっているわけですよ、マクロ的に見て。
 これは例えば、素材産業が非常に経営が苦しくなってくると、素材製品を使っている産業に対して値引きをしろとかいろんなことも起こってきますから、必ずしもこれで本当に十分な分析であるかどうかという点についてはもうちょっと検討する必要があるんじゃないかという気はしますけれども、マクロ的にはそういうことが経済白書に書いてある。
 しかし現実の問題としては、これも新聞やテレビなんかで言われておりますように、電機とか自動車とかいうふうな加工組み立て型産業でありますとか中小企業の経営というのは非常に大きな影響を受けると思いますし、またこれらの産業に依存している地域であるとか、あるいはそういう産業に依存の度合いが強いというようなところにつきましては地域経済の問題とか雇用の問題とか非常に大きな影響があるというふうにも思っているわけで、単にトータルのマクロ的な分析だけでそれほど影響はないんだというようなことは言えないと思うんです。
 この経済への影響につきまして、せっかく景気が立ち直る方向に向いてきているのに腰が折られないかとか、いろんなことがあるわけですけれども、この辺につきまして大蔵省はどのような感じでおられるでしょうか。
○政府委員(加藤隆俊君) 御指摘のように、円高のそのときそのときの局面で影響についてはいろんな差異があろうかと思います。景気の動向、そのもともとの景気の状況がどんな状態にあったのか、それからあと、それぞれの産業ごとの業況がどんな状況にあったのかということにも関係があろうかと思います。それからまたタイミングの問題といたしまして、少なくとも短期的には輸出関係の産業に大きな影響を及ぼすことは事実でございます。もう少し時間がたってみれば、日本経済にもう少し総合的な影響が出るということはあり得るかと思います。
   〔理事竹山裕君退席、理事楢崎泰昌君着席〕
 したがいまして、一概に申し上げることは困難でございますが、委員御指摘のように、日本経済がようやく立ち直りつつある、緩やかな回復過程にあるところに御指摘の急激な円高が起きたということについての日本経済への影響について、真剣に注視をし、懸念しているところでございます。
○清水達雄君 要するに、日本が非常に国際競争力を持って経常収支の黒字も出せるといったようなときに、やっぱりその経済力をどういうふうに使っていくか。そこで豊かないい国をつくっていくということが非常に大事なわけで、これはヨーロッパの国なんかを見ましても、経済が非常に隆盛なときに立派な町づくりをやった。それがいまだに何百年とたって残っているというふうなのが非常にあるわけです。やっぱり国が隆盛なときにいいものをつくったということがあるわけでございます。
 これはバブルのときもそうでございましたけれども、経常収支の黒字が、国内の社会資本投資であるとか住宅であるとか町づくりとか、実需といいますか実質経済の発展にうまくつながっていけば、これは日本国は立派な国になっていく。ところがこの間のバブルの場合には、その黒字によるいわば非常に膨大な金というふうなものが、国内の株式取引とか土地の取引とか、これは宅地造成をやるわけじゃなくて土地を取引するというそういう金に回された。これが私はバブルの原因だったと思うわけでございます。
   〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕
 今になって振り返ってみますと、確かにあのときはビルについて需要の予測が少し大き過ぎた。これは政府、国土庁なんかの責任がありますけれども、ビルラッシュというふうなことで、ビルはつくり過ぎたかなということはあります。しかし、社会資本や住宅とかというものについては非常に立ちおくれていて、何ぼでもやる余地はあるわけでございまして、こういうところにその金が向かっていったらバブルは趣きなかったんじゃないかというふうに思うんですが、これは金融の総本山である日銀と大蔵省、双方からその点についてお考えを伺いたいと思います。
○参考人(小島邦夫君) 確かに、国際経常収支の黒字の裏側にあります日本の貯蓄というものをきちんとそういう社会資本等に向けていくということは大切なことだというふうに私ども認識しております。
 ただ、委員御指摘の前回の資金の流れを見ておりますと、経常黒字、結果として出てきた経常黒字というものがかなり大きかったわけですけれども、同時にこれは、実は海外投資が非常に活発化いたしまして、そこで長期資本収支というのはこれを上回る赤字になっておりました。結局その時期には、この両者を合わせた我が国全体としての内外の資金の流れはむしろ海外へ流出超になっていたというふうなことでございまして、経常黒字が国内にたまって資産取引に向かったということは、必ずしもそうではないんではないだろうかというふうに私ども考えておるところでございます。
 ただ、バブルの発生につきましては委員御指摘のとおりいろいろな要因がありますし、その中で金融の緩和の長期化というのもその一つの原因になっていたというふうに私どもも考えております。そういった金融環境が結果としていわゆる金余りという背景になりまして、御指摘のような不健全な取引を助長したという面があることは否めないと思っております。
 私どもといたしましては、こういったバブルの経験を教訓として酌み取り、これからの金融政策運営を適切に行っていきたいというふうに考えているところでございます。
○政府委員(加藤隆俊君) 委員御指摘のとおり、経常収支の黒字はかなりの規模に達しております。経常収支の黒字ということは、別の言い方を申しますと日本の貯蓄を海外に供給するということでございます。直接投資あるいは海外へのODAといったような形、有益な形で海外へ日本の貯蓄を供給するということは一つの日本の役割だと思っております。他面、経常収支の黒字が非常に大きくなった場合には、直接あるいは心理的な要因を通じまして、円高の方向にも寄与するということもいろいろ指摘されているところでございます。
 したがいまして、国内におきまして社会資本や住宅の建設といったような形で日本の投資需要が盛んになること自身は、日本にとっても経常収支の観点からも意味のあることだというふうに考えておるところでございます。
○清水達雄君 確かにそれは、経常収支の黒字分は海外への資本流出がなされて、そこでバランスするということはわかっているわけです。ただこの前のバブルのときは、例えば大企業とか特に製造業なんかは、その資金の調達をいわゆる証券市場等で非常に低利な金を調達するというふうなことが行われて、したがって日本人の貯蓄というふうなものは、銀行にしてみると、大企業は借りてくれないし、結局金融機関のマーケットは不動産業と中小企業だと、そういう方向に非常に流れたわけですね。今回の不良債権問題とかなんとかいろいろありますけれども、根っこにはそれがあったわけでございます。
 当時の金融機関の経営態度というものを見てみますと、土地は自分で用意し、いわば銀行が不動産業みたいになっちゃったんです。銀行が土地を用意し金も持ってきて、どうだ買わないか、金は貸してやるよ、何ぼでも要るだけはというふうなことが物すごく行われたわけですよ。それが不良債権をつくっていったと思うわけでございまして、やっぱり金融政策が私は非常に大事だと思うんです。資源配分を実質的につかさどることになるわけですから、やっぱり国を豊かにする実需に向けてしっかりした政策を打っていかなきゃいけないということをつくづく、これは前から私はそういうことを年じゅう言っているんですけれども、思うわけでございます。
 ところが、その社会資本や住宅を建設するためには財政資金が必要になる。建設国債をどんどん発行してやったらいいじゃないかという議論もありますが、これについては、利払いをしなきゃならない、将来に非常に大きな負担を残すというふうなことがあっておのずからその限界があるわけでございます。したがっていろんな知恵を出して考えていかなきゃならない。
 私は、主税局長もおられますけれども、当選以来年じゅう土地税制の話ばかりしてきたんですが、やっぱり今のような状況では、土地がうまく流動化しないうまく利用されない状況になってきているから民間がなかなか活発な行動が非常にできにくい状況になっているし、それから不良債権の処理にしても、法人税に一〇%の追加課税がかかっているというような状況では損切りができないということがあるわけですよ。これは何も銀行だけじゃなくて不動産業とかいろんなことについてそういうことがあるわけでございまして、やっぱり土地税制なんかをもっとちゃんと緩和するとか、それから今どうするかといって非常にみんな悩んでいる規制緩和問題、こういうことをしっかりやるということが極めて大事になってきている。
 それから、もう一つは財政投融資があるわけでございまして、これは非常に大きな機能を果たしていて、今四十兆円ぐらいの財政投融資を年々やっているわけでございますけれども、これの貸付残高といいますか、預託金残高というのが三百三十兆円ぐらいあるわけですね。住宅金融公庫の資金繰りみたいなものが、去年からことしの初めぐらいにかけては金が足りなくなって、公庫からの資金交付がおくれるんじゃないかというふうな話も実はあったわけでございますけれども、この財投が固定金利で長期間貸しているということで物すごいストックを抱えちゃっているわけですね。これの流動化ができないか。
 つまり、その貸付債権を民間に売るというようなことですよね。そういうふうなことでもっとこの財投の有効活用というようなことができないか。何もそういうことにこだわるわけじゃありませんけれども、もうちょっと社会資本なり住宅の分野に金をつぎ込む、そういう手段というのを考えていって、経常黒字を減らしていくということをやらないと年じゅう日本経済は円高とかどうとかということで国際通貨波乱に常に悩まされる。
 これは金融をやっている連中にとっては大したことはないのかもしらぬけれども、製造業の立場だったらこれは大変な話なんですよね。製造業が為替レートを見ながらどうしたらいいかこうしたらいいかといって年じゅう考えなきゃならぬというようなことになっちゃう。そういう努力というのを本気にやらなきゃならぬ、そういう状況に来ているというふうに思うんですけれども、何かいい知恵はないものかどうか、大蔵省の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(西村吉正君) 住宅公庫等の債権の流動化の御指摘でございますが、そういう考え方が問題提起されていることも承知をしております。
 ただ、現在の住宅金融公庫法は、公庫の目的を「住宅の建設及び購入に必要な資金で、銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通すること」と定めておりまして、要するに一定の場合を除きまして公庫が民間から資金調達を行うことを禁じているわけでございます。これは民間金融の補完という公庫の目的にかんがみまして、資金調達の面での市中金融機関との競合を避けるという観点、及び、民間資金を調達した場合には資金コストが高くなりまして、補完金融としての低利融資が困難になるおそれがあるというような点を考慮しているものと考えております。
 御指摘の貸付債権の流動化につきましても、このような問題があるということで、従来それ以上の検討が進まなかったものと理解をしております。
○政府委員(小川是君) 土地税制について委員から御指摘がございました。
 土地につきまして流動化しないという仮に判断をした場合には、その原因がどこにあるかというところでございまして、供給サイドにあるのか需要サイドにあるのかというところだと存じます。基本的には、需要があればそれに基づいて価格形成が行われる、需要があるのに供給が行われないというときには価格形成において非常に価格が上がっていくという問題だと存じます。
 平成六年度の改正におきまして、特に国土政策等との調和に配慮しながら土地の有効利用を図るという観点から、軽減税率の適用対象をそれまでの考え方からかなり思い切って変えて、住宅地だけではない商業地について広げたことは委員御案内のとおりでございます。
 それからもう一点、法人税の追加課税、土地譲渡所得に対する追加課税の問題の御指摘がございました。この問題と土地の処分、損切りの問題とはやや側面が違うのではないかという感じがいたしたわけでございますが、土地の譲渡によって、土地が高いときに買って安いときに売らざるを得ないという場合には損失が出て、確かに損切りでございますけれども、その場合には土地の譲渡所得というのがございませんから追加課税の問題は出ないわけでございます。
 追加課税の問題が指摘されますのは、法人の所得が全体として赤字だけれども、土地の譲渡所得のところだけは利益が出るという問題であろうかと存じます。その点につきましては、土地に対する税負担の求め方としてこういう形が既に平成三年度の改正以降全体として安定し定着したもので、今後ともこれを長期的に定着させていくということが重要ではないかと考えている次第でございます。
○清水達雄君 ちょっと私が言葉足らずで説明が悪かったんですが、私が言っている損切りというのはそういう意味じゃなくて、要するに、不良債権を値段を下げて売っちゃうということになりますと企業の経営で物すごい赤字が出るわけですよ。出ますね、それは帳簿価格よりも物すごく安く売っちゃうわけですから企業経営で赤字が出る部分を埋め合わせるのにもうかっている土地を売らなきゃならないんですね。もうかっている土地を売るときに一〇%の追加課税でまた持っていかれちゃうと、だからなかなか土地は売れない、やっぱり株から先に売るかということですよ。
 だから、今、不動産業なんかで非常に困っているのは、もう損切りをして、つまり損切りというのは不良債権みたいな土地ですよね、こういうものをなかなかさばきようがない。物すごい赤字になっちゃうということなんです。今住宅が建っているけれども、ちっとももうからないわけですから結局そういうことが必要になってくるわけですね。そういう意味で申し上げているわけでございます。
 それから、私は住宅金融公庫にこだわるわけじゃありませんが、やっぱり財政投融資というのは、例えば道路公団みたいなものについては固定金利で長期に貸しておく必要があると思いますが、住宅金融公庫などは利子補給をやっているわけです。十年間利子補給をする。この利子補給というものがある限りにおいて、なかなかこれは民間金融機関がやっていいんだよということにはならない。これは、いろいろもっと詰めた議論をすれば答えは必ずそうなると思います。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
したがって、膨大な金が住宅金融公庫では寝ているわけですよね、財投の金が。これをやっぱりうまく活用していかないと恐らく金が足りなくなってくるんじゃないかということを心配するので、その辺はよく今後御検討していただけないかということを申し上げているわけでございます。
 それから、これは今回の東京共同銀行なんかの問題にもやや関連があることでございますが、私四十五分ごろ終わろうと思いましたけれども、あと数分だけちょっと時間を使わせていただきたいと思うんですけれども、共同債権買取機構が七兆三千三百億円の不良債権を三兆三千六百億円の値段で買い取った。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
しかし、この二十一行の不良債権額というのは五年三月以来減っていないんですよね。なぜ減っていないのかということが一つ。
 それから、銀行局長は不良債権の処理は峠を越えたという発言を行ったように聞いているんですが、どんな理由、状況に基づいてそういう発言をされているのか、お伺いいたします。
○政府委員(西村吉正君) 御指摘のように、共同債権買取機構に対します売却が進んでおる割にはちっとも不良債権の額が減っておらないではないかという御指摘でございますが、一応五年九月末をピークとして公表されております不良債権は若干は減っておりますものの、微減でございまして、例えば五年九月末現在で公表不良債権額が十三兆八千億でございましたのが、昨年の九月末で十三兆三千億でございますので、減ったとはいえそれほど大きな歩幅で減っておるわけではございません。
 しかしながら、これは銀行の経理上、不良債権額というものは減っておりませんけれども、他方におきまして、この不良債権を償却するための手当てというものは別途なされておるわけでございまして、いわゆる債権償却特別勘定への引き当てという形で積立金が積まれておるわけでございます。この積立額は相当なテンポで積み増しが行われておりまして、例えば平成五年九月末には二兆三千億円だったものが、昨年の九月末には三兆六千億円というふうにその積立額がふえております。
 これを差し引きして、要するにまだ手当てが済んでいない不良債権の額というものはどうであろうかと、そういう考え方をとってみますと、例えば九三年の九月末には手当て済みのものが二七%程度にしかならなかったものが、昨年の九月末では四四%ぐらいは手当てが済んでおるというふうに考えられるのではなかろうか。ことしの三月末にはこれが五割を超えるということを私どもは期待をしておるわけでございますが、そういうふうになれば、公表されておる不良債権の問題というのは一応峠を越したと言えるのではないかと申し上げておるわけでございます。
 しかしながら、それだけで不良債権問題が片づくのかというと、決してそうではございませんで、ほかにも残された課題がたくさんございますので、私どもは鋭意そういう課題にも取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
○清水達雄君 これは難しい問題で、ちょっとやそっとの時間を使って議論はちょっとできませんので、きょうはこの辺でやめておきます。
 最後に、東京協和、安全の両信用組合の経営問題の処理のために東京共同銀行を設立して、預金者保護と信用秩序維持を図るというスキームをつくったわけですが、今後この両信組のような同様の状況が出てきたときには同じ措置をとらざるを得ないというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか、大蔵大臣。
○国務大臣(武村正義君) まさに今回の措置は、今回の事例のために知恵が絞られでこういう形をとることに相なった次第でございます。基本的にはこういうことがたびたび起こっては困るという思いが強いわけでありますが、しかし万一こういう事態が起こったときどうするのかということは、大蔵省としては絶えず真剣に考えておかなければいけないことであります。
 アメリカやヨーロッパのさまざまな金融破綻に対する政府の姿勢の事例もございます。アメリカはRTCという、あれは特殊法人とは言えないでしょうか、何かそういう連邦政府が機関を設置してそれが積極的な対応をしたようでございます。これをすぐまねようという意味ではありませんが、規模とか数とか、そういうことによって対応の形もさまざまであろうかと思います。
 従来の合併あるいは預金保険機構の発動という形で対処できないような事態にどうするかということは、今後真剣に検討をしておかなければいけない大事なテーマだというふうに思っております。
○清水達雄君 終わります。
○志苫裕君 先ほど同僚委員が円高のお話をしておりましたが、これにちょっと一言だけ私も所見を伺っておきたいのですが、急速な円高というのかドルの急落というのか、これはまあ物の裏表なのですが、今度の場合は円高というよりはドルの急落という性格の方が強いようにも思います。
 そこで、これ大蔵大臣どうなんでしょう、今までも波状的にこういう急激な変動はあるんでして、それで国際間の協調とかあるいは日本自身の政策努力で激変緩和したんですが、単なる投機に基づくものであれば、下がればまたそれを買うやつも出てくるわけですから、反発もあるという意味でどっちみちまたもとに戻るさと、案外そういう言い方をする者もいるし、それから、いやそうではないんで、少し模様が変わったんじゃないのかと。
 それは、もう五十年前にでき上がった今の通貨体制というものにほころびとでもいうんですか、機能不全とでもいうんですか、そういうものがどうもできてきておるんで、根本的にそこから見直さぬといかぬのではないかというような、ブレトンウッズ体制の見直しとでもいいますか、何かそういう観点で論じている人もいるようですが、日本の金融当局はどんな見方をしていますか。
○国務大臣(武村正義君) ブレトンウッズ体制が生まれて半世紀、世銀とかIMFというふうな国際機関もかなり定着をして今日に至っているわけであります。しかしまた、御指摘がありましたように、今回のような急激な世界の通貨の変動という事態を経験してみますと、このフリーな変動制を基本にした為替のシステムそのものが一体これでいいのかどうかという議論は当然あるわけでございます。
 EUは、御承知のように、ゾーンというんでしょうか、一定の幅を設けながらお互いに調整していこうという合意ができている珍しい例であります。それを世界にも拡大すべしという主張も一部にはあるようでございますが、しかし基本的には、今の変動相場制を根本から変えようという議論にはG7等では今なっておりません。
 我が国も、今回の経験などをしながら、相場、通貨制度のあり方については一層深く国を向けなければいけないと思っておりますが、しかし今の時点でこの基本的な世界の制度を大きく変えようという主張をしているわけではありません。
 問題は、こういう事態を経験いたしますと、これに対応するためには、変動相場制を基本にしながらも何か新しい知恵がないか。結局、国際社会の協調・協力体制ということになってきますが、IMFやG7も含めたさらに一層緊密な連携をとれる道が工夫できないかという思いはございます。私の認識はそんなところでございます。
○志苫裕君 従来手法で介入をすれば、それで決まりがつくという事態でもどうやらなさそうだというそこはかとない感じを持つわけですが、何せ力もあったし気前もよかったアメリカのドルの地位が少し変わってきておるわけであります。さりとて、マルクや円がほいほいと取ってかわれるほどの状況でもないんです。
 それで、今ちょっと答弁に出ましたが、ブレトンウッズ改革委員会というのがこの辺の検討を始めておるようですが、ちょっとその辺説明してもらえますか。
○政府委員(加藤隆俊君) 御指摘のとおり、民間有識者の会合でありますブレトンウッズ委員会が昨年報告をまとめております。
 その報告の中でいろんなことを検討いたしておりますが、国際通貨制度に関しましては目標相場圏的なアイデアを提唱しているというふうに承知いたしております。その報告書が発表された機会に、国際機関でありますとか各国の通貨当局を招いた形での会議を開催いたしております。
 その会議におきまして、アメリカやドイツの通貨当局者あるいはIMFの専務理事から、為替の変動を一定の範囲におさめるという形で安定を求めるには、現状ではなかなか望みがたいところがあるんではないか、いろいろ問題点があるんではないかという問題提起があったところでございます。
 いずれにいたしましても、現在の先進通貨当局の共通の認識と申しますのは、一九八五年に十カ国蔵相・中央銀行総裁会議が報告をまとめまして、その報告の中で、各国間の自由な資本移動のもと、現状では変動相場制にかわる制度はなかなか見出しがたいのではないかというのが現在のところの先進通貨当局間の共通の認識であるというふうに理解いたしております。
○志苫裕君 この問題を長々やるのが私の本意でもないし、また、予算委員会でも同僚の峰崎君なんかも取り上げておりましたからあれですが、いずれにいたしましても膨大な資金が国境を越えて移動するわけで、しかもその資金の活動は金融自由化で保障されている御時世に入っておるわけですから、為替の乱高下は市場につきものになるという必然性はあるんでしょうが、しかし、それにしても通貨制度改革というものがG7でも論じられる時期に来たようですから、我々もせっかくそれに取り組みたい、こう思っておることだけ申し上げておきます。
 さて、焦点の共同銀行問題についてしばらくお尋ねをいたします。
 もう既に連日論じられているわけですから細々したところは省略しますが、大臣、やっぱりこれは普通の国民の納税者の感覚でいきますと、なかなか納得しにくいなとか説明が十分でないなということがあることは、それは素人が騒いでいるんだよという感覚で見ちゃだめですよ。ごく普通の感覚は、なぜあんな、しかも知れば知るほどでたらめな、途方もない信用組合があったのかということが明るみに出ますと、そうであればあるだけに、しかも預金の構造を見ますと、まあ随分思惑で預金したのもたくさんいるという話だし、そういう情報がわかればわかるほど、税金を使って、公的資金を使ってそれをなぜ救済するのか。
 今までもなくさんのケースがあります。その中には救うべき事態もあったし救わぬでもいい事態もあったんですけれども、別に公的なメルクマールがあったわけでもないんですが、大蔵大臣が懸命に信用不安を懸念しているんですが、起きるが起きないかというのは神学論争みたいなものでして、起きれば何でちゃんとした手を打たなかったんだということになるかもしれません。案外さほどのこともなければ、何であんなものにというような議論にもなるわけで、この辺は神学論争みたいなんですけれども、私がまず申し上げておきたいのは、何であんな銀行に、しかもたかだか二千四百億の預金量ですか、都市のど真ん中の銀行からすれば大したものじゃない等々のことを考えますと、やっぱりすとんとは落ちないということを、それが素人が騒いでいるんだというふうに見てはならぬということだけまず申し上げておきます。
 そこでまず、この共同銀行構想というのは諸説がありまして、長銀がイ・アイ・イグループ、ひいては安全、協和から撤退をした九三年の七月ごろからもう既にこの問題についてさまざまなスキームが考えられていたのだとか、さまざまな情報もありますが、一体だれがどこでこの構想を進めてきたのか。当委員会では初めてになるでしょうから、ひとつ時系列を遣いながら少し報告してください。
○政府委員(西村吉正君) 私も、自分自身では途中で直接参加いたしましたので、その前の問題は自分の体験ということではございませんけれども、御報告をさせていただきます。
 私ども金融行政に当たる者といたしましては、金融の危機管理と申しますか、どのような事態が起こっても収拾を図っていかなければいけない、そのためにはどうしたらいいかということは常々研究、勉強をしておかなければいけない課題だと考えておるところでございます。特に、バブルの発生、崩壊の過程を通じまして金融の世界にも大変大きな環境の変化がございまして、銀行、金融機関の経営上も大きな影響を受けました。この事態をどのように収束させていくかということについては、私ども研究を怠ってはならないということで、そのような検討を一般的に重ねてきたということは言えるかと存じます。
 しかしながら、今回具体的に問題になっております二つの信用組合の問題というのは、そのような一般的な研究、勉強ということとまた別の課題として、具体的な課題として起こってきたわけでございますが、具体的には、平成五年の八月から九月にかけまして、東京都からの依頼もございまして、大蔵省としてこの二つの金融機関の検査に協力をいたしました。二名ずつ二つの信用組合に検査官を派遣いたしまして、主任検査官はもちろん東京都でございますけれども、私どももその状況を把握する機会を得たわけでございます。
 ただ、その検査の結果は平成六年の二月から三月にかけて金融機関に示達をされておるわけでございますが、そのような段階におきまして、もちろんこの二つの金融機関の経営状況というのは非常に悪化しておるということを知ったものの、その対応策といたしましては、従来各都道府県がそれぞれの地域の課題として処理してきた、そのような方策を模索するという中で解決していかれることを期待しておったわけでございます。また東京都もそのような努力をしておられたと思います。
 さらに、平成六年の六月から七月にかけまして、約一年後に再度この二つの金融機関に対して検査が行われ、大蔵省といたしましてもその前の年と同様の検査協力をしたわけでございますが、この段階におきましてその二つの信用組合の経営状況が一段と悪くなっておる。さらに、その前の年から東京都が指導監督しておられました内容が必ずしも十分に実行され、そのことの効果が上がっておるとは言いがたい状況にあるということ。さらには、このような状況になりますと、その地域の金融の課題というにとどまらず金融システム全体に対して影響を及ぼすような問題になってくるのではないか。そういう認識を持ちまして、その二回目の検査協力の後、私どもといたしましては東京都にさらにこの二つの金融機関に対する対応策をお願いするとともに、秋も深まりましてからは私ども自身も、東京都、日本銀行、大蔵省が協力いたしまして金融システム全体の問題として取り組む必要性を感じたわけでございます。
 秋になりましてからの具体的な検討の状況につきましては、予算委員会においても御説明申し上げましたが、十月五日に大臣に具体的な課題として御説明をしたわけでございますが、それ以前におきましても信用組合というものが日本の金融の中でどのような課題を抱えているかということについては何回か御説明をしたことがございますが、具体的にこの問題については十月五日に大臣の御判断を伺い、それを踏まえまして東京都、日本銀行等とも意見の交換を続けまして、十二月一日に最終的に大臣のお許しを得ました上で関係者と詳細について詰め、十二月九日に発表をする、こういう段取りに至った次第でございます。
○志苫裕君 それは予算委員会等であなた方がお述べになっているんですが、過去にも金融機関が債務超過になったり経営がでたらめで行き詰まったり、この種のケースは何も今回初めて起きたんじゃなくて、ちょっとばかり大きい銀行から信用組合の果てまでたくさんあるんですが、いろんなケースで、例えば釜石とかその辺の信金の例なんかも、ずたずたに体を切り裂いて一部を合併させるとかやり方をしておりますが、この場合に何で新しいスキームを考えたのか。
 実はそれほど信用不安を抑えることは大事なんだと言えばそれまでなんですが、日銀の一存で銀行があっという間にできる、強権発動に近い形で民間の金融機関の動員をする、それでいて救うべきケースと救わざるべきケースのメルクマールがそう人様に見えているわけでもない。従来手法にも千差万別ありますが、いざとなれば伝家の宝刀、預金保険、ペイオフも、これは抜かずの何か刀になっていますけれどもあるわけですが、なぜこういうスキームが考えられたのか、これちょっとわかるように説明してくれますか。
○政府委員(西村吉正君) 従来、信用組合というものを例にとって申し上げますと、経営危機に陥った場合にまず自己努力、さらには仲間内ないしは民間のレベルにおける支援というような段階を経まして、都道府県が中心になって支援策をまとめるというような段階がございました。さらに、それで対応し切れなくなると預金保険の資金援助という形での発動の例が最近幾つかございまして、例えば大阪府民信用組合だとか信用組合岐阜商銀というものの対応策としては預金保険が発動されました。
 今回のケースにつきましてもそのような方策を検討した段階もあるわけでございますが、余りにも経営破綻の度合いが著しくて、従来の手法ではそれを処理し切れないということ、及び、従来はそれぞれの地域において、あるいは関連の金融機関があって受け皿になるところがあったわけでございますが、この二つの信用組合に関しましては受け皿になってやろうという金融機関が見出せなかった、こういう状況でございました。
 そこで、残された道といたしましては、一つは今御指摘のいわゆるペイオフ、預金保険金の支払いという手段が制度的にはあるわけでございます。これは一千万円までの預金者に関しましては元本のみを、利子は付きずに元本のみを預金保険がかわりになって支払います。それから一千万円を超えますと、それは必ずしも預金保険は保証をいたしません、清算をした上でまた支払いをすることもあるし、しないこともございますと、こういう手法があるわけでございます。
 こういう道も検討はいたしましたが、しかしながら、今日本の国民が預金あるいは金融機関というものに対して持っております信頼感というものを前提といたしますと、いかにも現段階でそういう措置をとることは影響が大きいんではないか。また、これは大口の預金者に限りませんで、小口の預金者につきましても利子が付されないとか、あるいは預金保険金が支払われるまでは一、二カ月の間、時間を要します。その間中小企業者等に決済手段が閉ざされるとか、そういうことを考えますと余りにも影響が大きいのではないかということで、私どもは他の方策を模索せざるを得なかったということでございます。
 そのような方策を種々検討した結果、今回の対応策としては、今回とりましたような措置をとらざるを得ないという判断に至った次第でございます。
○志苫裕君 確かに、アメリカのような国と違って、日本は銀行が一つつぶれただけで信用恐慌が起きる可能性がある、こういうふうに言われているんですが、だから信用不安が起きないように念には念を入れたのだと、一口に言うと当局の話はそういうことになるんでしょう。しかし、今お話しのように、従来手法で、いい資産、悪い資産を区分けして、これはどこかに引き継がせるとか、これはこっちに合併させるとか、そういうやり方では賄い切れないほどひどい組合だったということ、一口に言うとそういうことになるわけです。引き受け手も手伝い手も何もいないというそういう状況だったのだというんですが、ここが考えものなんですよ。
 そんなものはそうざらにあるわけでもないんでしょう。一つ火がつくとみんなばたばたといくんだというんならその配慮もいい。しかし、預金者の実態を見て、これはやっぱり善意のものは救わぬといかぬなという理解、納得が広がるようなものであればむしろオープンにした方がよかったということになる。情報を小出しにして操作するというやり方もあるんですが、情報が漏れたことによってどっといくこともあるでしょうけれども、今度の場合には少し逆目逆目になったんじゃないかということを何となく感ずるんです。情報を開示することによって信用不安が起きるのか、情報をむしろ開示することによって、極端な例としてそれは抑え込んでいけるのか、そこのところの問題になったんじゃないんでしょうか、今度の場合。
 先ほどもちょっと、言いましたけれども、何か私はボタンのかけ違いになったのかなと。しかも日本特有の銀行はつぶれないという神話が現実には定着しているわけですから、実はそうではないんですよということを言わなきゃならぬ時代にもう来ているわけですから、今度のが一種のテストケースになったんでしょうが、今度のケース、それもさっき言いましたが、東京のど真ん中にあって預金量たかだか二千億円でしょう。こんなこと言うと悪いんですが、郵便貯金の〇・一%だな、あの額は。民間金融機関の〇・〇二か三ぐらいのものですよね。それが皆さんの目で見れば、情報を開示してもこれは極端だと。
 とろうとする措置はまさに臨時異例と言っていますが、異例のものとして納得を得られるというのであれば、むしろ情報を開示することによってそういう信頼を取りつけるやり方もあったような気がいたします、その点、大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(武村正義君) おっしゃることはよく認識はできるわけでありますが、結局、今度の二つの信組が大変異例な事態である、異例というよりも常軌を超えた異常な経営をやっていて破綻になったということは間違いありません。ただ、その異例、異常さをどう認識するかでありますが、結果としては、千数百億の不良債権の総額あるいは回収不能額が千百億と言われておりますが、数字の上ではこういうことによって明らかになってきているわけであります。
 問題は、不良債権の議論、先ほどもございましたように、大銀行だけでもし十三兆円の議論がありますように、これの約百倍ぐらいの額になるわけですね。ましてやノンバンクその他いろいろ入れますと、不良債権というレベルでも相当な額が我が国の金融の世界に存在をするわけであります。
 この二つの経営の質の面でもこれから、告訴もされていますからいろんな意味で責任が厳しく問われると思います。そういう意味の異常さ、特異性は当然あると思いますが、しかしやはり結果としては、この不良債権千五百億とか回収不能額千百億という数字でこの事態をどう認識し、どう対処するかということであったと思います。
 先ほど局長が申し上げたように、何年か前ですか、大阪府民信用組合の例なんかも、やはりかなり反社会的な背景を持つ融資、ある意味では質的に今よりもっと悪いという状況もありましたし、あるいは岐阜商銀も、そういう団体の関係者が理事長、理事になっていたという意味ではもっとすさまじいというか、反社会的な意味ではそういうケースもあって、どう横並びでこういうものを見るかというのはさまざまな見方があろうかと思っております。しかし、そのことを不問に付すわけじゃありません。それは厳しく、むしろ司法の世界も含めて法的な責任を追及し事態を明らかにしていかなければいけないと思います。
 問題は、銀行行政の立場でいきますと、それぐらいつぶしてもよかったんではないか、経済の専門家の中にも、あるいはテレビのキャスター等の発言にもそういうのが間々ございます。しかし私どもは、絶対これを倒産させたら、あるいはペイオフの仕組みを発動すれば必ず金融不安になりますと、こう申し上げるわけではありません。しかし、金融不安の可能性があるというふうに申し上げているわけであります。過去の例や外国の例を見ましても、やはり金融不安というのは大変生々しく具体的な、あるいは小さな事例から起こる場合が普通でございまして、我が国の昭和金融恐慌の経験に照らしましても、東京渡辺銀行という私的な、今で言えば五百億ぐらいの預金高の銀行の倒産から火がつきました。
 結局、今日のようにマスコミの発達した日本でございますから、東京の一角の確かにおっしゃるような小さな金融機関でありますが、そこがある日突然倒産する、そうすると取りつけ騒ぎという事態になってわっとお客さんが本店や支店に殺到する、それが恐らくテレビで生々しく全国に放映される、そういうところからやっぱり想定せざるを得ません。そのことが信頼し切っておられる国民あるいは預金者にどういう心理的影響を与えるか。バブルの傷を大なり小なり負っている今の日本の金融の世界では、そういううわさも一部流れてもおりますだけに、全部とは言いませんが、一部の金融機関で連動する動きがないとは、言えない。その可能性がたとえ一割でも、いや五%でもあると予想する以上は、私どもの責任は大変重いわけであります。
 その視点で、迷いながら、私自身も最終的には、この時期の日本の事例としてはこの道をとらざるを得ないかなと。しかし、将来こんなことを繰り返すわけにいかないという思いもありましたが、戦後五十年、まだ一度も金融機関が倒産した経験を持たない日本国民の多くの皆さんを前提に考えますと、これはそういう事態を起こす可能性がいささかでもある以上は回避しなければならない、そういう判断をさせていただいた次第であります。
○志苫裕君 結果論で物を言ってもしょうがないんですが、一九二〇年代おしまいの渡辺銀行の話が出ましたけれども、よくそのころの事例を持ってくるんですが、それはちょっと今と時代が違うんですよ。今はもう銀行不倒神話というものは崩れて当たり前、そういう時代でもあるわけで、せっかく一九六三年の不動信用金庫の例、これは預金支払い停止をしてさまざまな措置をとっておるわけでありますが、その後、預金保険機構につながっていくわけです。
 今、批判はどういうところにあるかというと、一つは預金者のありように対する批判もあるし、モラルハザードを懸念する批判もあるし、あるいはなぜ不健全な金融機関を救済するのかという批判もあるし、さまざま批判があるんですが、これはペイオフでも対処できたんじゃないんですか。
 特に、どんどん資料が出回ってきますと、この預金者の中にも随分つまらぬ者もおるわね。善意の者もおるし、同時に単に欲を少しかいたという程度の者もおれば、まさにプロまがいの者もおる。ですから、預金者と一口に言って、預金者保護あるいは信用不安と言っても、事態が出てくれば、預金者にもピンからキリまでおるという事態が明らかになって、皆さんの言うことがなかなかすとんと落ちないんですよね。一遍支払い停止にして、実態解明、責任追及は責任追及、刑事事件は刑事事件で処理する、いいものと悪いものとの区別が外から見てもわかるようにする、そういう措置をとってからでも最終的な処理は遅くなかったんじゃないかなというふうにどうしても思えてならない。
 こればかり長くもやっておれないんですが、皆さんの答弁にも語るに落ちるところがあったんで、それに似たような銀行があっちこっちにあるんだよというんなら話は合うんですが、一事が万事でずっと広がっていくんで、ここのところは何と言われてもこういう方法で処理する以外になかったんだと言えば説明がわからぬわけでもない。そういう不心得な金融機関があっちこっちに随分あるんだということを言外に語っておるんであれば何をかいわんやですけれどもね。
 それはなるほど、我々が金融機関について見えるのは、それでも大きな銀行なんかは情報開示がありますけれども、もう第二地銀以下になりますと、信用組合のあそこまでいきますとまるっきり不良資産の公表もやりませんし、どこの銀行がどうなっているのかそれはわかりません。ですが、皆さんはそれを見ればわかっているわけなんだ、見れるものは見れるわけですから。どうもその辺が、今後のこともあるんで、どういう場合にどういう処理をするのかという、その辺がやっぱり余り明確でないということを申し上げておこうと思うんです。
 バブルの後遺症としての不良債権問題というのは、何かえらく問題になっている住専を初め、第二地銀あるいは信用組合など債権問題がたくさん控えておるわけですが、火がつきそうなところもいろいろ多いような気もいたします。
 しかし、今度の騒ぎで公的資金を導入した民間金融機関支援の仕組みというのは、むしろ国民のコンセンサスを得にくくなったんじゃないかなという感じがいたしますが、その辺はどうですか。
○国務大臣(武村正義君) これはどう見るかということかと思いますが、ある意味では、今回のケースがこれほど大きくマスコミにも報道をされていわば国民的な関心事になったということは、こういう事態に対する認識、もちろんこの異常さに対する怒り、反発、あるいは私どものとった措置に対する批判も大きいわけでありますが、しかし同時にまた、事態を冷静に見詰めながら、金融秩序とは一体何なのか、金融機関とか預金とは一体何なのかというそういう議論も行われているわけでありまして、非常に大きな国民的教材になっていると。
 そういう言い方はちょっと軽々しい表現になるかもしれませんが、そのことが今後どう影響するか、国民の皆さんの御理解をいただく上でどう影響するか。確かにおっしゃるようにマイナスの影響もあるんじゃないか。もう次はできないぞという見方もあるかもしれませんし、しかしまた冷静に判断をして、そういうことならもっとしっかりした対応をしていく必要がある。もちろんペイオフの発動も含めた自己責任を追及するしっかりした対応もあるし、あるいはやむを得ない場合には公的資金の導入という決断もあるのかなと、こういう論議になってきているとは思うんであります。
 先ほどもおっしゃったように、一たんペイオフをしておいてその後対応する道もあったんではないかということでありますが、私どもはそれはなかなか難しいという判断をしました。ペイオフというのはもう倒産を認める前提でとる措置でございます。また、一千万を超える人はいいじゃないか、あるいは大口預金はいいじゃないかという見方もあるかもしれません。
 今回いろいろと報道されておりますような、最終的に法的にどういう形になるのか明らかではありませんが、法を超えるような預金者、あるいは法に触れるようなさまざまな事例は、これは当然大きな問題でありますが、小口、中口、大口といっても善良な中小企業の預金もあるわけです。あるいはチラシを見て少し高いからこっちへ預けようとしたような動きもあるわけであります。労働組合なんかもそうです。また、ほとんどはそんな長期に預けているものじゃないそうです。割合短期で預け、短期でも有利だという判断で預けておられる企業経営者も多いわけでありまして、一部の人が、ピンからキリとおっしゃいましたがキリであって、多くの人は善良な、たとえ個人であれ中小企業者であれそういう預金もあると。キリの方の一部の人が大変大きな額を占めていることも事実でありますが、預金者の数から言えば善良な人が大変多いということも考えますと、この一部の反社会的な状況だけで全体を判断して対処するわけにもいかない。
 それからまた、いわゆる金融の大きな不安が起こるときには、アメリカの例で見ていましても、大口預金が脱出する、どんどん抜けていくことから起こるのが普通だそうでございまして、そういう意味で、こんな小さな信用組合でも九割近いものがいわば一千万を超えているわけですね。これは一千万を超えたら大口とは言えませんが、大口のウエートが非常に高いわけです。都市銀行等々に至ってもそうでございますから、そういう機関投資家や大口預金者がどう動くかというのが金融の破綻とか倒産につながるということも見詰めますと、大変難しい事態でもございました。
 私どもは、いろんな角度から検討をしながら、最終的にはこの道しかないなという判断をさせていただいたわけでありますが、いずれにしましても、今度の経験を大きな教訓としながら、信用組合や金融全体のあり方も、そしてまた私どもの指導監督する立場のあり方も、反省すべきは反省して出発をしなければいけないというふうに思っている次第でございます。
○志苫裕君 わかりました。
 今、大臣最後のお話のように、ボタンのかけ違いはなかったか、シナリオのどこかに予想せざる事態があったかどうか、その辺は絶えず見ていってもらいたいと思うし、私はこの問題について心しなきゃならぬのは、この問題は政争の道具にしてはならぬということだけは我々が心しなきゃならぬ問題である、このように思います。
 この問題でもう一。あのスキームを見ますと、不良債権の処理機構のところで、長銀と東京都がそれぞれ二百七十億、三百億、ほかの銀行は名前はありませんが長銀だけが固有名詞で名前が載るんですが、ということは、ずばり、言いますと、長銀、あなたにも責任があるよという意味ですか。
○政府委員(西村吉正君) 今回のスキームにおける日本長期信用銀行の負担につきましては、同行が東京協和信用組合の高橋前理事長が経営するイ・アイ・イ・インターナショナルのメーンバンクであったという経緯にかんがみまして、この信用組合の整理に当たって、不良債権を移管する債権回収機関に対して応分の支援をしていただくということにしたわけでございます。
 金額的に言いますと、他の金融機関と横並びの支援のほか、果実ベースで二百七十億円、これを元本ベースに置きかえますと、東京都で三百億円と言っておられるような意味における元本ベースに置きかえますと四百五十億円相当分ぐらいになるわけでございますけれども、そのような応分の支援を別途していただくということになってございます。
○志苫裕君 あのスキームを見ても、またいろんないきさつを見ても、長銀の果たした役割を見逃すといいますか軽視するわけにはいかない、私はそう思います。
 きのう高橋何がしが証言していまして、尋問している方は、この銀行を救ってくれといって政治家を使ったりなんかしたんじゃないかといって聞いているんですが、本人の方は、いやおれはまだやれると思ったんだと。やり方にいろいろとがめられるところはあるけれども、このやり方でないというとこんな信用組合は生きていけないんだから、まあ少々出資率がオーバーしようと、めちゃくちゃなやり方かもしらぬが、これでおれは立ち直っていけると思ったんだと。立ち直っていけると思ったんだから人に頼んで銀行救ってくれと言うわけはないというのが何か高橋証言になっていたんです。
 とすると、あんなものを抱えて困っていたのは長銀ということになりますね、逆の言い方しますと。そうすると、今度のスキームというのはある意味じゃ長銀の負担を軽くするという意味合いがあったんですか。
○政府委員(西村吉正君) 長期信用銀行とイ・アイ・イ・インターナショナルとの関係ということと、長期信用銀行と信用組合との関係というものは一応切り離して考えなければいけない問題だと思いますけれども、いずれにしましても、長期信用銀行がイ・アイ・イ・インターナショナルとの関係をお絶ちになったのは随分前のことでございます。経営破綻がこのようになりました時点におきましては、一応イ・アイ・イ・インターナショナルと長銀との関係は断ち切られておったと伺っております。
 いずれにしましても、今回の措置というものはこの信用組合の経営破綻というものが金融システムにどういう影響を与えるかということを専ら懸念いたしまして私どもが対応策を練ったものでございまして、御指摘のような観点からの対応策ではないということを申し上げさせていただきたいと存じます。
○志苫裕君 きのうの高橋証言で私がちょっと気になったのは、まだ脈のあるイ・アイ・イ・グループから長銀がさっと引き上げたのは、三年間の長銀管理中に膨れ上がった不良債権を、無税償却を行って実質損を減らすつもりだったんでしょうと。それには、まだイ・アイ・イ・グループあたりに役員なんかでひっ絡まっておったんじゃ大蔵省がうんと、言わない、だから朝日が覚めたらみんな引き揚げていっちゃったんだと、こういう意味のことを言っていますが、いわば長銀が少し身軽になろうということの相談といいますか、それは大蔵省にあったんですか、租税当局に。
○政府委員(西村吉正君) 一昨年のことになろうかと思いますけれども、長期信用銀行がイ・アイ・イ・インターナショナルとの関係を変えるということは当時いろいろな話題になったことでもございますが、非常に大きな影響を与えるということで私ども金融当局に対しましても実情の御説明があったと伺っております。それは、長期信用銀行としてはこのような考え方に立って今後の経営の改善に努めていきたいというような趣旨の御説明があったんであろうと考えております。
○志苫裕君 この問題はいずれまた皆さんの努力を見守ることにしましょう。
 残りがなくなっちゃったんだが、入り口だけ聞いておきましょう。実は、政府系金融機関のあり方をめぐってホットな論議が続いております。これは大蔵大臣、単なる大蔵大臣というよりは政治家武村として、さきがけ代表の武村として、副総理格の武村さんとして、例の重たい荷物です。
 村山内閣の撤重要課題と位置づけておるわけでして、行革の一環、特殊法人をどうしようかというそのこと自身が問題ではない。特殊法人というのは国の出城ですから、その出城から本丸である行政そのものに改革が及ぼうという構想を持っているものなんですね。行政改革は古くて新しいテーマですが、三党連立の経緯にも照らして政権の存在意義が問われるという重たいものだと私は理解しているんですが、それぞれの省庁を背中に背負うとなかなか高い志も鈍るというのがどうも現実の動きのようですが、所感だけを伺っておきましょうか。
○国務大臣(武村正義君) そうですね、武村は言っていることとしていることが違うしゃないかと、さきがけの代表として大変大胆なことを言っていながら、どうも輸開銀の統合に反対したではないかという烙印を押されかかっているわけであります。私としては、弁解をするわけではありませんが、基本的な行革、特に特殊法人の整理合理化に対する意欲といいますか、考え方は変えているつもりはありません。
 ただ、昨年の秋以来のこの問題の取り組みの中で、一つは各省庁単位で、大臣も必死でどこか一つぐらい廃止をしよう、あるいは統合しよう、民営化をしようと、こういう視点で取り組み始めたわけであります。私は途中で気がついて、これ各省庁単位ではだめですと、各省庁にまたがる共管のものが多い、特に金融機関になるとそういうものが多いですという発言をしまして、大蔵大臣は政府系金融機関は全部主務大臣だから、大蔵大臣としても一つの考え方をまとめてほしいという官房長官やら総務庁長官から指示を受けておりました。
 ところが地震が起こったりして、これじゃとてもなかなか、全体に議論をしっかりしてまとめるには、二月十日というのはもうタイムアウトになるという状況を深く感じておりました。これならやっぱり、政府系金融機関については別途総理の諮問機関を置いて、公的な金融制度全体について専門家の意見も聞いて、余り長く時間をかけないで、三カ月か四カ月かけてでも、そしてその上で整理合理化の判断をすべきだという考え方を申し上げておったわけであります。
 しかし、何となく政府・与党側も、いや二月十日はもう変えるべきじゃないという動きになってしまいまして、その考えは採用されないままに二月十日に近づいてきて、その数日前から急に輸開銀の統合というのが一部の政党から出てきまして、大変私どもは突然というか、ぎりぎり間際で出てきた案でございますから、しかもそれだけということになりますと大変唐突な感じを受けました。
 しかも、輸開銀というのはある種性格を異にした最も我が国で大きな政府系金融機関でありますから、この二つを一緒にしようという考え方、絶対に間違っているとまでは申し上げません。輸開銀も統合するから公庫は全部一つにしようとか、そのくらい大胆な発想の中で出てくるならこれは反対と蓄えないかもしれませんが、輸開銀だけ統合すべしというのを突如出してくると、これはそう簡単にわかりましたとは言えない。それは困りますという形で私は、まあ両長官から宿題もあったものですから、これは各省庁とは協議はできておりませんが、とりあえず年度内でやるならこういう考え方が一応筋が通っているといいますか、類似の機関をまとめるという意味で、開発銀行と北東公庫とか、あるいは国民金融公庫と環衛、中小企業とか、こういう提案をしたわけであります。
 しかし、何となく輸開銀に反対したというイメージが非常に強く残りましてきょうを迎えておりますが、再度、政府・与党全体としては仕切り直して、年度内に政府系金融機関に取り組むということになっておりまして、過去の経緯はもう忘れて、私も大蔵大臣として、今回は大蔵省所管の三機関を中心に何かはしなきゃいけない、大蔵大臣みずからとして大蔵省の諸君と一緒に議論をしながら、何かの具体案をまとめなきゃいけないという思いであります。
 きょうここでどうこう申し上げるのは御容赦いただきたいと思いますが、そういう責任感を強く感じております。
○志苫裕君 この問題はいずれまた議論をさせてもらいますが、おれのところは三つ供出したのにおまえのところはまだ一つかという、こういうレベルで議論しておっちゃだめなんですよ。
 政府系金融機関をどうするかというのは、重複した仕事がないか、終わった仕事までまだやっているんじゃないか、むだをしているんじゃないかという見方は機関そのものですが、これ財投の実施機関になってますからね。財投というと財政と金融の両方を十手捕り縄みたいな仕事をしていることになるわけですが、一体財投は財政なのか金融なのか、その辺ぬえみたいなものなんですが、この辺のありようとのかかわりも見た上で、仕事の内容はどこの省庁だったりしますが、金融機関そのもののありようを、やはり大蔵省はもう少し前へ出て、金融機関かくあるべしという提言ぐらいはあってもいいかなという感じを私は持っておるんです。
 財政と金融を分離して考えながら、そういうものと同時に、金融機関自身あるいは財投機関自身に重複やむだがないかどうかというのは二本立てでやりませんと、それが何もかもごちゃごちゃと最後まで行っちゃって、最後は何か政治になっちゃって、あれがこう言ったからおれはこう言うというレベルでこの問題の幕を引こうとするのはしょせんろくな答えにはならないというふうに思っておるものですから、今後そういう観点でもう少し大蔵省は大蔵省なりの提言をまとめてしかるべしと。役所は金があって人がおって機構があるんですから、遊んでいるわけじゃないんですよ。何かやっているんですよ。仕事がなくなりゃ次々また新しい分野を開拓しますから。決して減ることはないんだ。しかし、それが国の代理として、独立の法人として仕事をする機関にふさわしいかどうかというのはまた別の観点なんです。
 ところが、役所というのは奇妙なものでして、何か言うと何か自分が怠けているかのような被害意識を持つんですが、そうじゃないんですよ。一生懸命やっているんだけれども、ほかにやりようがあるということを言っておるんでして、そういう意味で、政府系金融機関のありようは大蔵省がもう少し全般的に考えるべき問題であろうということだけ指摘して、私のきょうの質問は終わります。
○野末陳平君 御質問したいことは円高あるいは今の政府系の金融機関とかありますが、きのうの証人喚問のきょうですから、例の東京共同銀行の方から入っていきたいと思います。
 これは、これまでの質疑にもありましたが、破綻した二つの信用組合を倒産させてペイオフにするべきかどうだったか、この辺は非常に難しいというよりも、だれも結果論は言えても事前に正しい判断というような適切な判断はできないような非常に難しいことで、それはよくわかっているんですが、問題は、ペイオフをさせた場合に金融秩序が乱れて信用不安が起こるかどうか、この判断の基礎になる情報などがあるかないか、ここが一番大事だと思うんですね。
 そこで銀行局長にお伺いしますが、民間の金融機関に協力を求めた際にどれだけの説明をしたんだろうか、これは気になりますね。金融秩序の維持というような大義名分を振りかざす余り、説明が十分でなかったのかもしれないし、当事者でないからわかりませんが、どれだけの時間をかけてどういうような資料を見せて協力要請をしたのか、その辺の事情をちょっと説明してくれますか。
○政府委員(西村吉正君) この具体的な構想につきまして民間金融機関の方に初めて御説明を申し上げたのは十二月六日のことだったと存じます。確かに、もっと早く御説明をするということもあり得たかと思いますけれども、しかしながら、問題の性質上、事前に報道をされるというようなことになりますとどうしても混乱を心配せざるを得なかったということで、ぎりぎりの時点になって御説明をせざるを得なかったわけでございます。かつ、事柄の性質上、皆さんそれぞれ御協力を求める方に御説明をするというわけにはまいりませんでしたので、銀行界の代表の方、全銀協の会長に当たられる方にまず御説明をしたわけでございますけれども、そのときには三十分くらい御説明を申し上げたような気がいたします。
 中身といたしましては、この仕組みの趣旨を御説明し、この仕組みの概要を書いた簡単な資料で御説明を申し上げたように記憶しております。専門家でいらっしゃるわけでございますから、非常に基礎的なことから申し上げたわけではございませんが、我々の考え方の基本になっております金融秩序の維持のために今回のような臨時異例の措置をとらざるを得ないということに関しましては、私どもなりに丁寧に御説明したつもりでございます。
○野末陳平君 つまり、銀行界の代表に今回の仕組みの説明をそういう資料をつけて三十分くらいやったと。それはいいんですが、そうすると、この乱脈をきわめた二つの信用組合、つまりこの金融機関の経営内容などを具体的な資料で説明する、いわゆる情報開示に近い、そういうことはしていないんですか。
○政府委員(西村吉正君) その段階におきましては、時間の制約もございましたし、また私ども自身が得ておる情報の制約もございましたので、二つの金融機関の経営の破綻状況、例えばロスの額が千百億になるであろうとか、不良債権の額はどれくらいになるであろうというような経営の破綻状況については概要を御説明を申し上げましたけれども、その後報道されているような個々具体的な問題について、その段階で御説明したわけではございません。
 なお、そのときにはそのような概要の説明でございましたが、その後折を見て私どもとしてはより広く、またより広範な状況の御説明の機会を得るように努力はしたつもりでございます。
○野末陳平君 我々を含め一般国民すべてが今回大蔵省と日銀のつくったシナリオを無理からぬことと思う半面、やはりいろんな疑問があって反発もあるというのは、やはりこの情報が十分でないと。それから国民に対しても全く説明がないという、これは簡単に説明できるような性格のものとは言えませんけれども、いずれにしても、上から決めてそれを金融秩序の維持という大義名分だけで押しつけてくるという、これがやはりもう時代おくれというか、大蔵省のおこりというか、そんな気がするんですね。
 大臣もそうなんだけど、ペイオフしたらどうかといっても、五%の可能性でもあればできないと。それはそのとおりですよ。しかし、これを教材にして今後と言うと、国民は非常にばかにされているというか国民を甘く見ているようにも思うんだけれども、それはそれとして、もしそういう意味で今回救済シナリオをつくったとするならば、相手が悪過ぎたと、こんなにも悪い相手に対してこんな救済シナリオをつくっちゃいけないというところが国民感情じゃないかと思うんですよ。
 ですから私は、民間金融機関に協力を得るにも、そしてまた国民にも、あるいは東京都に協力を要請するにも、やはり十分なる説明が、納得できる説明がされていなかったんじゃないかと。要するに大蔵省の今までの自信過剰というか、やや時代おくれになったにもかかわらず、おごっている姿勢が今回のいろんな誤算を招いたんだと、そういうふうに思っているんですが、そういう反省というのはありませんか。つまり、説明をする責任がまずあって、それを十分しないのに、ただ不安が起きる、危ない、だからまとめちゃうと。これはちょっと違うと、そんな気がするんですが、どうですか。
○政府委員(西村吉正君) 私どもといたしましても今回のようなケースに遭遇いたしましたのは初めてのことでもございます。また、問題の性質上、説明の仕方をどのようにすればいいかという点について我々にも十分な経験がなく、また考慮の足りなかったところもあるかもしれないと思っております。
 今後、このような問題に限らず金融の問題について、専門家の間だけではなく広く国民の皆様方にも、例えば預金保険制度というのはどういう仕組みになっておって、我々の運用の考え方はこういうことでございますというようなことも含めまして、またいわゆるディスクロージャーと言われますような金融経営の状況に関するデータの公表等につきましても、できるだけ前向きに取り組んでまいらなければならないと思っておりますし、この点につきましては十二月九日の大臣談話におきましても、今後の金融自由化を進めていくに当たりまして、より自己責任原則を強化する観点から、できるだけ早期に適切な環境整備を行っていくよう努めるということで、一層そのような心がけを強めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○野末陳平君 今回のことで大蔵省もきっと勉強したし、国民も非常にいろいろないい知識を得る方向へ進むプラスは当然あると思います。
 大蔵大臣に聞きますけれども、やはり今回の問題で一番のポイントは、公的資金を使うということの是非を議論する、あるいは話題と言ってもいいんですけれども、それすらも全然なかったわけですね、結論が出てからそれがどっと吹き出したわけですから。ですからこういうルールが、例えば民間金融機関だけで救うという救済シナリオだったらともかく、今回は東京都のお金も含めて公的資金、この是非を議論もしないで、させないで決めちゃったと。これが今から思えばまずいと思うんで、大臣も東京都がああいう反乱を起こすということは予想しなかったでしょう。直前まで信じている信じているの一点張りのお答えだった。どうですか、予想しましたか。
○国務大臣(武村正義君) そんな事態は、この処理対策案を発表した前後では予想しておりませんでした。そういう意味では、その後の見方が甘かったという反省をまずしなければなりません。
 ただ、局長もお答えしたように、こういう信用にかかわる問題でありますだけに、必要以上にオープンにしなかったという御批判はあるかもしれませんが、しかし、初めてこういう大胆な決断を出して発表をしていく過程でなかなか事態がオープンになるような形の行動はとれなかったことも、ひとつ御理解いただきたいと思います。
 例えば、東京都が二つの信組に対して業務停止命令を発して、そしてもうオープンにして、議会の皆さんも含めてどうしたらいいか国民的論議をするということはあるいはあったかもしれません。あるいは今後もあるかもしれません。しかしそれは、業務停止命令を出すこと自身、もうその会社は終わりというか、倒産ということを公的に認めることにもなりかねませんから、そのことがまた大変なインパクトを与えるわけであります。今後どうするかという反省の上に立って、私どもは今回の事態を十分大きな教訓にしてさまざまな対応の努力をしなければいけないという思いでございます。
○野末陳平君 大臣のお答えも、半分は理屈ではそのとおりでわかるんですね。でも、感情的な問題も絡めると、やっぱり半分はどうもという気もしないでもないから、これからは今回のことをあらゆる角度からチェックしていい教訓にすべきだとは思いますよ。
 大蔵省の方にも聞きますけれども、どうも二信組の預金が現在半分以上も流出しているんだという話も聞くんですが、この事態も、どうだったんですか、大蔵省のシナリオへの反発というか予想外の、つまり見通しが甘くて誤算だったんじゃないかという気がするが、これについてはどういうふうに考えていたんですか。
○政府委員(西村吉正君) 預金の流出が特に著しくなりましたのは、この問題に関する関心が高まり、報道が非常に盛んになってから、あるいは東京都議会におけるああいう経緯があってからということでございますが、そのような事態を私ども事前に予想しておったわけではございませんので、そういう意味では、このような預金の状況になるということは私ども予測をしていたわけでは全くございません。
 しかしながら、この今回の処理の方策というのは、必ずしも新しい金融機関をつくって積極的に金融業務を継続していこうということではございませんで、二つの破綻した金融機関の処理をスムーズに進めていこうということでございますので、予測をしなかった事態ではございますけれども、そのことが今回の処理の枠組みというものに致命的な影響を与えるという性格のものではないと思っております。
○野末陳平君 この一連の質疑を前から聞いていてもなかなか納得できないところもあるんですが、これは難しいから余り細かいことは言いませんけれども、少なくもさっきのプロセス、時系列的に志苫委員の質問に答えた東京都と大蔵省の検査、監督の数年間にわたるいきさつ、それを聞いてもやはりこれは手おくれになってしまったというか、見通しが甘いというか、そんな印象も受けるんです。
 ここはどうなんですか、このスキームをつくってこれで共同銀行を発足させる。それはいいとしても、東京都、同時に大蔵省の監督責任というのはこれで済んだとすべきなのか、それともこれがまだ残っているというふうに考えるのか、それはどういうふうに思っていらっしゃいますか。
○政府委員(西村吉正君) 東京都にいたしましても、私どもにいたしましても、今回の事態をスムーズに収束をさせる責務を負っているわけでございます。仮に共同銀行が予定どおり発足したといたしましても、それで物事が終わるわけではございません。それからこの二つの破綻した金融機関の実質的な処理というものがむしろ始まるということになるわけでございますので、私どもとしましてはそのような責務を引き続き果たしてまいらなければならないと考えております。
○野末陳平君 そういう基本的な責任のほかに、こういう事態を招いてしまった責任のとり方はどうなるか。これは大蔵大臣の方がいいんですよね。
○国務大臣(武村正義君) 先ほども申し上げましたが、今回の信組に対する処理対策の考え方は基本的に今も間違っていなかったと思っております。これがだめというなら結局ペイオフでやるべきだったと、もとへ戻ればそうなるわけですが、その判断はもちろん当初からありましたし、今もそういう議論が当然あるわけでございますが、しかし私どもはこの時期はペイオフの措置をとるべきでないという選択をした以上は、必死で考えた案がこれでございます。
 この案は初めてでありますだけに、発表が急であったということで唐突感を与えておりますが、初めてであったために何か特異な措置という印象も非常に強いわけでありますが、考えてみますと今までも金融機関の破綻とか経営不振はたくさんあったわけですね。それはどうしたかといえば、近くは岐阜商銀や神奈川の友愛信組もそうですし、日本信託銀行もある種の大きな経営不振に陥ったということでもありましたし、信用組合に至ってはもうたくさん数がございます。
 結局、都道府県のかい性といいますか、力でどこかの信組や金庫等が吸収合併するというふうな形で今までは対応されてきたわけであります。最近になりましては、それに対しても預金保険機構からの支援という形が加わっておりますが、いずれにしましても都道府県の力で既存の金融機関の援助を得て事をおさめるということでありました。
 今回は大東京都でありますが、もう一千億を超える数字は、東京都の中で他の信用組合とかあるいは金融機関に幾ら相談をしてもそういう機関は見当たらないという事態になりまして、いわばギブアップのような状況になって、それで大蔵省、日銀に御相談があって、それから私どもは必死で知恵を出していったわけであります。そういう都道府県の対応を超える事態であった、内容的には他の金融機関の支援では処理し切れないという事態であった、このことが今回こういう特異な日銀法二十五条の発動による新たな銀行の設立による対応策ということになったわけであります。
 これ以外にもっと知恵があるかどうか私どもはわかりませんが、精いっぱい考えた知恵がこれであったと。少なくとも金融秩序の維持とか信用秩序の維持という基本線に立った限りは、この考え方は間違っていなかったと思っております。
○野末陳平君 ですから、考え方が間違っているかどうかについてはなかなか微妙で、私もそんなに断定しては言えないんだけれども、さっきの検査状況、そういういきさつを聞いてみると、もっと早く手は打てるし見通しが随分甘いな、そういう監督責任はあるのかないのか、あるんじゃないのかと、こう聞いているわけですから。
○国務大臣(武村正義君) それは先ほど志苫議員の御質問にも局長がお答えをしたわけでありますが、たしか二年前、大蔵省も要請を受けて共同検査に入りました。当時の数字で見ると、たしか四百九十何億でしたか、今は回収不能額は千百億ということでございますから半分以下であった。
 なぜそのときに積極的な対処ができなかったのか、その責任はどうなんだ、こういう御質問でございますが、東京都がその事態を認識しながらも、都が主体的に対応していきます、二つの信組に対する経営改善の指導をやっていきますということでございまして、大蔵省もそのことを了としたということであります。
 結果的にはそれが減るどころか逆に倍以上にふえて、指導の効果はあらわれなかったわけでありまして、それが今回のような事態になったわけでありますが、東京都の指導に対する二つの信組の経営努力がどうであったかというのは、これは厳しく問われていい話だと思っております。
○野末陳平君 これは水かけ論みたいになりますから、責任問題なんて余り言いたくはないんですけれども、大蔵省が今回の結論を出すに至った経過がまだまだ不透明なところが多いから、結論は正しいように聞こえるけれども、そのプロセスをいろいろ考えると、そのあたりが国民感情からしても、あるいは私からしてもどうしても色眼鏡でいろいろ見てしまう。その最たるものが、きのうもちょっと出たけれども、大蔵官僚と例の人物との交遊というか、そういうところにつながってきたりする。そういういろいろな問題が絡まり合っているので、正論だけ大臣お答えになっても、それはそのとおりだが、すべてよかったというわけにはいかないというのが国民感情のいろいろな反発であり不満だと思うんです。
 ちょっと話が出てしまいましたから、それを聞きますと、きのうの証言で例の飛行機で香港へ行ったという話が出ましたね。大蔵大臣はこれまでこの委員会、予算委員会を含め、大蔵官僚は節度を超えていない交際だと、こういうふうに説明をしてきましたね、この耳で聞きましたから。節度を超えてない交際というのは、この説明をしている時点では香港に自家用飛行機で旅行したという事実は知らなかったからこう言ったわけですか。
○国務大臣(武村正義君) 大蔵省の職員二人の実名が週刊誌で報道されました。最近は何回も報道されているようでございますが、そういう事態になって、当然のことでありますが、事務方も実名が出ている二人に対してどうであったかという状況を聞いたようであります。
 その結果が私のところに報告に上がってきておりまして、少なくとも公務員としての節度を越えるものではないというふうに思いますという報告でございますから、私も信じて、その報告を基本にしてお答えをしてまいりました。その時点ではもちろん香港へ自家用機で行ったということは知りませんでした。
 きのうああいうことが証言されまして、本人も事務方の照会では香港へ行ったということを認めております。片道であれ何であれ香港へ行ったということを認めておりますので、村山総理の感想の発言にもありますように、ちょっと度を越しているように思うという表現でございましたか、私もちょっと度を越しているなどいう感じを持っているわけであります。
 こうなりますと、もっとさまざまな事情を知らないと総合判断ができかねるところもございまして、これだけ大きな注目の的にもなっておりますだけに、近々私自身が本人から詳しく話を聞こう、その上で最終的な判断をさせていただこうというふうに思っておる次第でございます。
○野末陳平君 つまり、大臣に下からの報告が正しく伝わっていないということになって、大臣は香港の話を知らないから節度を越えていない交際、こういうふうにお答えなさったわけですよね。
 そこがちょっと不思議なのは、あれは有名な話で、週刊誌を信じてやるという程度の話じゃないんですね。だから、大臣が大蔵官僚の下からの報告をうのみにしちゃうというのもちょっとうかつというか、甘いというか、部下をかばい過ぎというか、ちょっと変に聞こえることは聞こえますよ。たくさん知っていますよ。でもそんな私的なことをばらす気はありませんけれども、もうちょっと大臣がそのときに神経質であったらよかったと思いますね。
 さてそこで、きのうの証言が出てきた。今度はちょっと度を越していると言うけれども、あれがちょっとですか。大臣、よく考えてごらんなさい。自家用飛行機で行けるというのは、相当長い年月の親しい関係か何か普通ではないんだから、ちょっとじゃなくて度を越している、これが当然だと思いますけれども。
○国務大臣(武村正義君) まあ総理がぶら下がりでおっしゃった言葉をそのまま使わせていただいて私もそう思いますと答えたわけでありますが、しかし事実関係、やっぱり一つの行為にはいろんな背景、事情も当然あると思いますし、思っている以上かもしれませんし、あるいは思っている以下かもしれませんし、これはぜひ詳しく状況というのをまず認識させていただいて、その上で物を言わせていただきたいと思っている次第でございます。
○野末陳平君 通常、業者とそういうことをやればもう役人の癒着で、直接何か頼まれる頼まれないでなくて、そういう関係自体があるまじきことだというふうにとりますよね。そこへこの問題が出てきたからなおなんですけれどもね。
 ちょっと聞きますけれども、大臣が報告を受けた実情は、これは新聞で読んだのでそれを確かめるんですよ、大臣のお答えがどうか。何か香港までは一緒に行ったけれどもあとは別行動だったと、飛行機で香港までは一緒、あとは別行動だと、こういう説明を本人にかわって大臣がなさっているようだが、それはどうなんですか。
○国務大臣(武村正義君) きのう国会が終わってから記者会見がございまして、そこでペーパーを読んだわけでありますが、これは事務当局が本人から状況を聞いてその上でまとめてくれたものでございますから、これは間違ってはいけないと思って文書を読んだわけであります。今、紙を持っておりませんが、おっしゃるように、それでどうこう、本人の行為を弁解したり主観的に解釈しようとは思っていません。
 要約でありましょうが、オーストラリアへ行く飛行機、香港経由であったんでしょうか、その香港まで片道乗ったということを認めているわけであります。あと飛行機はオーストラリアへ行ったんでしょうか、すぐ行ったか、何時間後に行ったか、そこまでは確認していませんよ。本人は独自の行動をとって帰りは一般の商業機で帰ってきたと、休暇はちゃんととっておりますと。土、日、月だそうですが、そういう報告でございました。
○野末陳平君 それは個人の行動ですから、特に休暇の話ですから、余りいろいろ言うのはよくないと思います。だけれども、そういう今の大臣の、つまり本人の代弁が、今この事態では一般の人には子供だましの釈明として映って、臭い物にふたをしているんじゃないかという印象になってしまうんですね。そうでしょう。
 だから、大臣としてはやっぱりもうちょっと毅然たるコメントの方がいいなと僕は思いますよ。でも、香港で何をしたかとか、はっきり言って一緒に遊びに行ったんですよ、簡単に言えば。ですけれども、それは別として、そういう親密な関係であるということがやはりこれは癒着の証明であって、そして、具体的にこの問題は頼まれていないって、多分頼まれていないでしょう。でも、情報はさりげなくとったかどうかそれは知りません。
 しかし、民間の人というのは、大臣もおわかりのとおりで、いわゆるビジネスをやる場合に自分の人脈を誇示しながら非常に有利に話を進める、これは常識ですよね。その人脈の中に組み込まれてあくどい商売に利用されたということですから、それはあのバブルの時期、気がつかなかったかどうかは別として、大蔵省の高い地位にいる役人としてはやはり神経質になっていないと、自分は何もしていない、ただの友達だと言っても、利用されている、あるいは悪用されているという事実は想像できなきゃいけませんよね。それは常識ですよ、第一知っていますよ、大蔵省の役人も。みんな利口ですから。
 という意味で、僕は、やはりこの大蔵官僚と問題の人物の癒着ぶりは、このままで事情を聞いてかばうようなことはますますこの東京共同銀行問題に影を落とす、そういうふうに考えます。ですから、これは物事を頼まれたからいけない、頼まれないからいいという話とは全く違うわけ。こういう癒着の交遊をしたこと自体を厳しく反省しなきゃいけないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(武村正義君) 私も役人をした経験もございますし、地方の行政も経験してまいりましたが、普通の公務員は少なくとも分をわきまえるといいますか、法をつくり法を執行する立場にいる者として法を犯すなんということはよほどの人物でなければ考えないことであります。むしろ、そういう意味では非常に公務員こそ一番毅然としている、法に対しては毅然としているといいますか、そういう職業人だと前々から思っているわけであります。
 今回の銀行局がかかわった処理スキームに対して、いささかなりとも大蔵省全体においてはそのことに影響を与える、そんなことはあり得ないことだと、ここは私はむしろしっかり信じております。今回の特定の人物においても、そういう意味で今回の高橋氏といかに親しくても、先ほど来議論のありました、こうした対策案にかかわっているというか影響を与えることは、まずこれはあり得ないというふうに申し上げていいと思っております。
 問題は、公務員としての社会通念といいますか世間の常識から見て、あるいは公務員の一人一人が持っている守るべき規範といいますか節度から見て、それを超えているかいないかという、この香港行きの旅行のケースはそういう問題だと認識をいたします。
 国家公務員法もございまして、法に触れる場合は懲戒のさまざまな処罰の道が開かれております。無断で休暇をとるとか等々、それは明確でありますが、今回の場合、余りくどくど申し上げるとまたかばっているような印象を与えますし、きのうの記者会見も別にかばったつもりでなしに、それは事実の骨格の報告を受けて申し上げたわけでありますが、地元から夜電話がかかってきまして、あんなことを言ってたらだめだと、今先生と同じようなおしかりを大分受けましたが、やっぱり国民にはそう映るんだなと。
 しかし、そのことは重視をしておりますが、いやしくも公務の世界で頑張っている職員の名誉にもかかわる大変大事な問題でありますから、ここはやっぱり責任者としては冷静に事態を見詰めて、その上できちっとした対処をさせていただきたい。決して軽視しているものではありません。
○野末陳平君 これはもうやめましょうね。
 一言だけつけ加えますと、料亭でたまたま食事をしたとかいう話とは全く違いまして、大臣の記者会見のコメントには職務とは関係のない私的な旅行だと、こうなっているんですけれども、これはそうおっしゃったかどうかは別ですよ。職務と関係のない私的な旅行といえども、こういう自家用飛行機で香港まで一緒になんて、もうこれだけで地元の電話なんというのは当たり前のことで、国民全部がそう思っていると、僕はそういうふうに感じます。いずれにしても、大臣のお答えの中にあったように、公務員として、特に大蔵省の官僚としてはきちっとすべき当たり前のことですが、それを強調しておきます。
 それからもう一つ、先ほど志苫さんからも話があったんですが、前々から気になっているんですが、長銀の責任というか長銀の問題なんですよね。あくまでもきのう来た二人は当然糾弾されなきゃならないんだけれども、さっきはメーンバンクだったから長銀にも応分の負担をしてもらったという、金額まで出たけれども、これがまさに長銀の責任であるかのごとき受け取り方を僕はしたわけですが、さてどうなんでしょうね。
 協和の場合、経営が長銀の管理下にあったわけですね。監督じゃない管理下にあったんですね、一時期。それで、長銀から出向してきた連中が三十人近くいてほとんど業務を仕切っていた。そういう時期があったわけですから、乱脈というならば長銀にもかなりの責任があったという気がするんですね。ましてや長銀の管理下にあってからの融資もあるわけですから、と思っているんですが。
 という意味からいうと、銀行局長、これは長銀の責任というのが今言った金額を応分負担してもらったという程度で果たして済むのかどうか。この破綻は長銀に半分ぐらいの責任があるような気もしますが、これはどうなんでしょうね。
○政府委員(西村吉正君) 私どもも、今回のこのスキームを考えます際に、イ・アイ・イ・インターナショナルのメーンバンクであった日本長期信用銀行というものの立場が他の金融機関とは全く異なるという考え方のもとに、先ほど申し上げました元本ベースで四百五十億円の負担をしていただくということにしたわけでございます。個々具体的な長銀と金融機関なりイ・アイ・イとの関係ということについては、私どもが存じております事実を十分踏まえました上でこのような対処方策が適切だと判断した次第でございます。
○野末陳平君 責任というのはなかなか抽象的で数量化できないから、そのお答えはそれでいいんだろうと思いますが、ただ、そうなると、預金者保護のためにこの信組を共同銀行に振りかえていくというスキームが、じゃ結果的には長銀をも救済するということになるわけですね。
○政府委員(西村吉正君) 新聞等でそのような、長銀の救済のためというような報道があることは私も拝見をいたしておりますが、私どもの気持ちの中に長銀を救済するというような考え方は全くございませんでした。その点は報道の表現とは違和感があるように感じております。
○野末陳平君 僕の方はむしろ住専の問題にこれは関係してくるのかなという気もしているんですね。本当言うと、住宅専門金融がいずれいろいろな問題が出てくるのかもしれませんが、そのときに今回のスキームを初めて使えばいいんで、この二つの信用組合は倒産させた方がよかったような気がするんです。それほど国民はばかでもない。そこで大騒ぎや信用不安が起きてというふうには思わないんです。
 というのは、今までも随分いろんな金融機関の不祥事があったり破綻があったりしてもそんなむちゃくちゃにはなってなかったので、これもまたやってみなきゃわかりませんから、これを断定して言う資格はありませんが、少なくもこの住専を処理する場合に当たって公的資金の導入をせざるを得ないでしょうね。そうすると、そのための前例を先につくっておくというか、地ならしをやるというか、それはわかりませんけれども、何かそのサンプルになっちゃったんじゃないかと。
 サンプルをつくることはいいんだが、余りにもあくどい、どうにもならない乱脈なこういう札つきをサンプルに選んじゃったという、先ほど大蔵大臣も教材になると言ったけれども、そのとおりであるんだけれども、こんなでたらめ信組を対象にこのスキームを運用させちゃったというところが、やはり今回のそちらの誤算なりシナリオの狂いじゃないか、そう思うんですよ。これはさっき答えはいただいたようなものだけれども、大臣、反省と言っちゃ変だけれども、どうもそういう気が少ししないですか、どうですか。
○政府委員(西村吉正君) 私ども、バブルの崩壊後、日本の金融界が不良債権の処理という非常に重い課題を抱えておる。これは単に金融界の課題であるのみならず、日本経済全体にとっての課題でもあるという認識で重く受けとめておることはまず一つ申し上げたいと存じます。
 それから、今回のこのスキームを具体的に考えました際に、それでは今御指摘のように住専問題の地ならしとか前例とかそういう意識があったかというと、それはございません。公的資金導入の地ならしというようなつもりは全くございません。むしろその点は、意識をいたしましたという意味では意識をしたことは事実でございますが、どういう意味で意識をしたかということに関して申し上げますと、むしろこの問題と住専問題というものとは区別をして考えなければいけないだろうというような気持ちでございました。
 それは、今回の問題は確かに経営状況という意味ではまさに異例の、常識、常軌を逸したものであるかもしれませんが、他方において、預金を扱っておる機関であると。そういう意味で私どもは預金というものに対する国民の信頼という点を非常に重視したわけでございます。住専問題というのは、もちろん預金というものにつながってまいることではございますが、直接には預金を受け入れている機関ではないという点では少し違った性格の問題であろうと、むしろそこのところを意識したということでございまして、決して地ならしとか前例とかという気持ちはございませんでした。
○野末陳平君 ところどころすれ違うけれども、しょうがないけれども、じゃ、住専にもしこれから何かのことがあったら、こういう方式でない別のことを考えているわけ。
○政府委員(西村吉正君) 住専問題というのは非常に大きな問題でございますし、また、第一次的には民間同士の債権債務関係でございますので私どもが余り先走って物を言うべきではないと存じますけれども、重大な問題であることは認識しておりますので、また今後民間同士の話をも踏まえまして、金融行政に当たります立場から真剣に考えてまいりたいと存じております。
○野末陳平君 これからのことでわかりませんが、住専にはやはり公的資金の導入が必要になるんじゃないかなとか、それだったらば余りこんなに国民が反発を感じないで済むんじゃないかなという気はするんですが、これはわかりませんから、この問題はもうこのくらいにします。
 時間がなくなっちゃって、本当は先ほどの大臣の特殊法人関係のことと円高を重点的に聞きたかったんですけれども、円高は清水先生がお話しになりました。
 特殊法人関係で、大蔵省の管轄下にある政府系金融機関、大蔵省以外にもありますが、政府系の金融機関をどうするかというのは非常に大きなテーマだと思うんですよ。でも、どことどこをくっつけたりとかというような話になると、大臣おっしゃったように、余りにも異質なものは無理しゃないかとか、いやこれは似ているからいいんだとか、そういう発想になっちゃうんです。
 それが悪いとは言いませんけれども、やはりこの行政改革を大胆にやっていくということは、無理と思うような、あるいは役人が到底これは不可能だと思うようなことすらも構想としては打ち出していってやらなきゃいけないんじゃないか。例の砂糖と蚕糸のあれらも、両方全く違うやつをくっつけたなんという例もあるわけですよ。だからこの特殊法人問題は、政府系金融機関はかなり大胆にやってもいいんじゃないか、そういうふうに僕は思っているんですよ。でも実際やるのはなかなか難しいので、さきがけの菅さんと一緒にやっていたこともありますけれども難しい。
 そこで、もう時間ありませんから大臣に聞きますけれども、国民金融公庫と環境衛生はもともと一つだったのが分かれたんだよね。あの分かれるときいろいろ聞いていたのは、いわゆる水商売というかサービス業がどんどんふえていったけれども、サービス業は国金ではなかなか金を貸してもらえなくて、それで、そのセクションがふえていくに従って今度はサービス業がどんどんふえるから、間に合わなくなって環境衛生金融公庫が独立したといういきさつも一部あると僕は思っているんですがね。
 あの時期とかなり変わってサービス業にも民間の金融機関はお金をどんどんその後貸すようになったし、今はちょっと締めていますけれども、相当世の中の事情が変わったわけだね。となると、環境衛生という業種への金融公庫を独立させておく意味が設立当初に比べて相当に薄れたと。これは国金の中に入れても、国金がちょっと肥大化するかもしれませんけれども、業務としてはもとは同じだったんですよ。そして、今独立する必然性は余りないんですよ、ただあるから存続したいというだけなんで。
 そういう意味で、大臣がもしそれを一緒にしてもいいと言うんだったら、これはさほど不自然ではない。また、当然やらなきゃいけないようなそんな統合案のような気がするんだけれども、これはどうでしょうか。
○国務大臣(武村正義君) 野末先生のおっしゃるような考え方を私も持っておりましたので、先般、二月十日に大蔵大臣としての考え方の一つとしてそういう案を提示したところであります。
 国民公庫も従業員百人以下の個人業種を中心にして融資を行っているわけであります。もともとそうであった、一緒であったということもございますが、現実に環衛公庫は本店だけございまして、四十何名かのスタッフでございますが支店はないわけです。じゃ直接融資の業務はどうしているかというと、全部国民公庫が代理をしておりまして、国民公庫の支店が代理をしている。東京近辺だけ環衛公庫の本店がやっておりまして、九四%ぐらいは国民公庫が代理貸しをしているという状況もございまして、そういう意味では、全く類似あるいは近いという意味では統合の可能性のある政府系金融機関だという認識を持ちました。
 ただ、環衛公庫については分離独立する沿革もございまして、いわゆる環衛業界の強い要望を受けて独立をしたようであります。それだけに、全国の環衛業者の方々はぜひ残してほしいという強い要望も片方あるわけでありまして、そんなはざまに立つテーマだと思っております。
○野末陳平君 それは業者の要望じゃなくて関係する議員さんの要望だと思いますね。だから、悪いと言いませんけれども、現実にはやはり、行革ということで言うならば、それは大臣のお答えのとおりで一緒にして何ら問題はない。
 ただ、中小企業金融公庫もここへというようなことを大臣もちらっとおっしゃったかのごとき報道を知ったんだけれども、これはちょっと無理があるんじゃないか。つまり、三つ似たようなものだと、だから一緒というのはアバウトで、中小企業金融公庫は難しいんじゃないかと、ここの国金に入れるのは。そういうふうに思いますが、それについては。
○国務大臣(武村正義君) 今、余り各論に入るとまた波紋を呼びますがあのときの考え方は中小企業金融公庫も一緒にすべしという私の考えでございました。その後は一たん白紙でもう一遍出直そうということでございますから、あれに今固執しているわけではありません。
 当時は、中小公庫は三百人以下の中小企業、国民公庫は百人以下と、こういう基準があったのは事実でございますのでも、農林公庫や住宅公庫と一緒にするよりははるかに類似性があると、私はそう判断したわけであります。
○野末陳平君 きょうは各論は確かに無理なんですが、たまたま先ほどの質問でも出たから言うんですが、開銀とか輸銀の問題、輸銀はどうするというような案が与党の方では幾つか検討されているようですが、開銀についてはさきがけの案は民営化だったでしょう。あれはもうじゃ飛んじゃってなくなっちゃったんですか。あのときはちょっと僕は予算委員会で、人気取りの作文が過ぎるんじゃないか、ふろしきが大き過ぎるんじゃないかと言っておきましたよ。かなりアバウトな案が出て、数字もアバウトでしたよ。
 だけれども、民営化ということ自体、これは基本ですから、あのとき開銀は民営化していくというふうにさきがけの案には明記されていたんですが、この案は大臣の頭の中からもう消えちゃったのか、まだ残っているのか、これはどうなんですか。
○国務大臣(武村正義君) 私の頭は今、白紙でございますが……
○野末陳平君 白紙じゃだめだよ。
○国務大臣(武村正義君) 今は白紙でございますが、年末には白紙でなくなりますから。
 振り返りますと、私はずっと一貫して開銀の民営化には関心を持ってきた一人でございます。ただ、民営化と単純に言いましても、議論をしてまいりますと、じゃもう今の開銀融資が必要ないから民営化なのか、必要だけれども民営化するのかという選択がありますよね。そうすると、民営化して政策融資を行うとなると、民間金融機関に公的な融資をゆだねる、これは例がない話でございますから、そういう議論にもなるわけでありまして、絶対不可能かどうかは別としましても、かなり深い議論をしなければならないと。
 しかし片方、廃止といっても、時代の役割を終えたから廃止というふうなことになりますと、これはまた、大変優秀なスタッフが結集した金融機関でもありますし、千人前後の大きな金融機関でございますから、そう雇用の問題を考えてもやめるというふうなことで単純に済む話ではありません。
 多くを申し上げませんが、議論をしてまいりますといろんなやっぱり壁もございます。しかし大きな流れとしては、戦後ああいうどん底から出発した日本経済の中で、いわゆる鉄鋼や電力や交通のような基幹的な産業を支援するために開発銀行が誕生した、それで今日に至っているということを振り返りますと、設立当初の要請といいますか役割といいますか、それはおおむね終えていることは事実でございます。
 今日、またしかし新しい分野の役割を担っているのも事実でございまして、今回震災なんかございますと、もう途端に開銀融資の要望は非常に高いわけでもございまして、民間と余り真っ正面に競合しない分野で、ロングレンジの融資について開銀が責任を担っている状況を踏まえながら、ちょっとこれはもう少し時間をかけてこの問題は議論をしていく必要があるなというふうに思っております。
○野末陳平君 もう時間が来たからやめます。
○池田治君 協和、安全信用組合の乱脈経営や当局との癒着問題に対しまして先ほどから先輩の先生方が次々と質問をされておりますが、こういう問題が発生をいたしましたのは、まず第一に大きい原因は検査体制が十分な実効性の確保を帯びていなかったと。形式的な検査であって、実体的な検査がなされていなかったのではないか、こういうことが根本にあるんじゃないかと思っております。たとえ癒着構造がありましても、検査がしっかりしておれば、検査でもってそれをチェックしていけばこういう乱脈経営は許されなかったんではなかろうかと思っております。
 そこで、今回の乱脈経営が発覚してから後に、泥縄的ではありますが、大蔵省も検査機構の充実を図らなきゃいけないということで、預金保険機構に検査機能を持たせるということなどいろいろ考えておられるようですが、まず、検査体制はどういう体制に切りかえていくか、こういうお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(西村吉正君) 私どももこれから個々具体的な議論に入っていくところでございますので、いろいろな議論の展開があろうかと存じますが、検査が重要である、金融機関の健全性を維持するために重要であるという点については御指摘のとおりでございます。
 そこで、今回の問題、信用組合の検査体制ということに関して申し上げるならば、一つは、現在のような国と地方の役割分担ということがどうであるのかという問題が一つあろうかと存じます。この点に関しましては、私どもはやはりこのような金融機関の性格上、地域性、協同組織性というような観点からいたしますならば、また地方分権という大きな流れの中で考えますならば、直ちにこれを国の直接の行政の分野にするということは必ずしも適切ではないのではないか、むしろ今の仕組みの中で国と地方がどのような提携、連携、協力を保っていくのかということについて検討を進める方が適切ではないかと考えております。
 それからもう一つ、さはさりながら、預金保険というような立場から、金融機関が拠出いたしました預金保険のファンドを維持していく、守っていく、そういう観点からこの検査の問題というものをとらえていくことはできないだろうか。アメリカにおいてはその預金保険機構に相当いたします機関が監督機関とは別途その検査の機能を果たしているというようなこともございますので、こういうようなことをもあわせて研究の対象にしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○池田治君 まだ検査機構の改革案については正式な発表はなさっていないわけですね。
○政府委員(西村吉正君) これから金融制度調査会等におきまして検討をしようとしている段階でございます。
○池田治君 それでは、過去にさかのぼってお尋ねしますが、この協和、安全信用組合の場合には東京都が直接の検査責任者であった、大蔵省は補充的といいますか、第二次的な検査の責任であった、こういうことのようでございますが、東京都からのこの経営の報告というのはどういう形で、これはだれに対してなされるものですか。
○政府委員(西村吉正君) 通常、信用組合の監督権限は中小企業等協同組合法等によりまして都道府県知事に機関委任をされておりますので、通常の状態におきましてはそれぞれの都道府県が監督、検査に当たっておりまして、また検査の結果も都道府県において処理しておるというのが通常の状況のもとでの運営でございます。
 ただ、今回のように非常にその経営状況が極端に悪化いたしまして都道府県の検査、監督だけでは十分に対応できない可能性が出てまいりますと、都道府県知事から大蔵大臣に対しまして検査の要請がございまして、一緒に私どもも検査に参如し、その経営状況を見るということがございます。今回のケースはそのようなものの一つでございました。
○池田治君 国と東京都が一緒になって検査をしたというのは、これは乱脈経営が発覚した最後のころではないかと思われますが、最初のうちにはそういう事実はなくて、東京都からの報告書的なものが大蔵へ上がってきて、その報告書を見て大蔵は書類上の検査をなさるだけなんですか。どうですか。
○政府委員(西村吉正君) 通常の状況におきましては特段に何か定期的に報告書が上がってくるとかそういうこともございませんで、それは都道府県がそれぞれの行政の中で処理をしていかれるのが通例の状況でございます。
○池田治君 そうしますと、協和、安全の問題につきましてはいつごろから報告が上がり、大蔵が関与をされましたか。何年の何月ごろか。
○政府委員(西村吉正君) 一昨年の七月から八月にかけまして、東京都からの要請を受けて一緒に検査をしたわけでございます。したがいまして、私どもがこの二つの信用組合の経営状況を知るようになりましたのは一昨年の七月以降のことだということでございます。
○池田治君 そのころになりますと、先ほど野末先生の質問にありました、長銀からの出向とか長銀の管理下にあったという時代に入っていたんじゃございませんか。
 もしそうだとすれば、何も都と大蔵省とが共同して検査するというよりも、長銀を検査なさったら、当然長銀の貸付先の協和なり安全なりが乱脈経営をしているということが事前にわかったんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(西村吉正君) 私どもは、私どもの監督下にある銀行につきましては直接に検査をしておるわけでございます。したがいまして、日本長期信用銀行につきましても定期的に検査を行っておりますので、その経営状況は把握しているわけでございます。
 その中に、その主要な取引先の一つであります例えばイ・アイ・イ・インターナショナルとの関係というようなことについては、検査で把握するところもあったわけでございますけれども、必ずしもそのこと自体が東京協和信用組合の経営状況と直結していたわけではないと思いますし、我々が日本長期信用銀行の検査を通じてこの信用組合の経営状況を知るということにはおのずから限度もあっただろうと思っております。
○池田治君 いろいろ検査機構も改革をなさるようでございますけれども、これまでの検査のどこに欠陥があったのかということを明らかにして、その上でなければ公的支援をするといっても一般市民の理解は得られないと私は思いますが、当局はどうお考えでしょうか。
○政府委員(西村吉正君) 金融機関の検査というものがその健全性を保つ上で大変に重要な要素であるということはかねてから認識していた次第でございますが、今回、信用組合というものの検査・監督体制について大きな問題提起がなされた、この点については私どもとしても真剣に受け取っております。
 この問題をどのように解決していくべきか、いろいろ多様な問題を含んでおると思います。先ほど申し上げましたように、これは地方公共団体側からの見方もあろうかと思います。私どもは、金融制度調査会で検討するに当たりましては、その地方公共団体の側からの御意見も反映するような仕組みにしなければならないと思っておりますが、そのような総合的な検討をいたしまして適切な対応策を講じてまいりたいと考えております。
○池田治君 しっかりした検査機能を発揮するような体制をつくっていただきたいと思います。
 次に、日銀法二十五条について若干お尋ねします。
 今回の東京共同銀行の設立問題といいますか、二信用組合の処理に当たりましては日銀法二十五条に基づく日銀出資という公的な資金の利用がなされるということでございますが、これに対してもちょっと不透明ではないかという批判もあるようでございます。今までは、金融機関の不良債権問題の処理に当たりましては、公的資金を使うということは世論の反発も強いし、性格上も公的資金を使うものではないということで使っておりません。しかし、今回の二信組の処理に当たりましては日銀からの出資ということも予定されておるようでございます。
 現在、日銀法のもとでは、二十五条に基づく出資や日銀貸し出しというのは、国の予算にも制約されないし、国会で承認することも必要でありません。何千億出そうが何兆円出そうが現実の条文上の規制はないわけなんです。そこで、勝手に日銀がどんどん出資したり貸し出しをやれば大変なことになるんではないかと懸念される声があるわけでございます。
 日銀法二十五条の発動につきましては一定の基準のもとに私はなされていると思いますが、この基準はどういうものか教えていただけませんか。
○政府委員(西村吉正君) まず、公的な資金ということの定義の問題があろうかと思いますが、今までの公的な性格を持つ資金が金融機関の再建なり処理に利用された例といいますと、一つは、それぞれの地域の金融の安定を図るために地方公共団体がいろいろな施策を講じられるという例は今までもたくさんございます。それからもう一つは、預金保険のお金というのは公的資金かというと、これは民間金融機関が拠出したものでございますから民間のお金だということも言えますが、公的な組織を通じて出されるものだから公的な資金ではないかという判断もあり得ると思います。
 今回、これらの対応策では処理し切れないということで、かつ信用システムの維持のための緊急措置であるということで、まことに異例ではございますが日銀法第二十五条に基づく日銀出資という手法がとられたわけでございます。日銀法二十五条では、御承知のように、「日本銀行ハ主務大臣」、すなわち大蔵大臣の「認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得」というふうに定められておりまして、「信用制度ノ保持育成」という非常に幅広い定め方ではございますが、しかしながら従来の運用といたしましては、緊急を要するような事態に対応いたしまして発動をされる通常の手段では必ずしもないという運用をされておるわけでございまして、そういう趣旨をも含めまして主務大臣の認可を受けるという手続も定められておるところでございます。
 したがいまして、必ずしもどういう場合にはこれを発動するというルールというものがあるとは私どもは承知をしておりませんが、そのような緊急な場合に発動をされる最後の手段であるというふうに理解をしておる次第でございます。
○池田治君 御説明はよくわかったりわからなかったりするわけでございますが、信用の保持育成のために大蔵大臣の認可があれば幾らの金額でも出していいということにもなりかねないわけですが、そういう基準というものは全然ないわけでございますか。常識的に考えたらわかるということでございましょうか。
 これは公的とははっきり言えないにしても、日銀の出資というのを無制限に認める規定になって、ちょっと私はおかしいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(西村吉正君) このようにいわば弾力的と言えるような規定になっておりますのは、まさに金融の特質と申しましょうか、信用制度の保持育成ということがいろいろな態様がある、その発生する事態というものが必ずしも予測できるものに限らないというような特質に根差しているものかと思います。
 それは反面、裏返して考えますならば、通常の事態に安易に発動すべきものではないという意味をもまた含んでおるものと私どもは理解をしておりますので、決して乱用されるようなことは適切でないことはもう言うまでもないことだと考えております。
○池田治君 私も乱用されるということは疑っているわけではございませんけれども、しようと思えばやれないことはないわけです。
 大体、民主主義というのは三権分立をされておりますが、三権になぜ分けたかというと、乱用する可能性というのがなきにしもあらずだから権力を分けようということで分けているわけですよね。それと同じように、これは大蔵大臣と日銀が組めば無制限に、国会の承認も要らない、幾らでも出資できるという制度そのものが私はおかしいと思うんですが、これは大蔵大臣どうお考えになりますか。大臣が主務大臣で権限が膨大でございますので、大臣を疑うわけではございませんが、制度上大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) あらゆる法律についても言えることでありますし、ひときわ今、池田委員から御指摘をいただいておりますようなこういう条文の適用は、軽々しく考えてはいけないと思います。
 しかし、こういう大変幅の広い条文があって日本銀行なり大蔵大臣に一定の権限が付与されておりますのは、やはり信用制度なるものが、いわばその国の経済の心臓部にあたるといいますか中枢に立つものであって、一たびこの信用制度に問題が起こることは、今回の事件もそうでありますが、やはり大変大きな影響を与える可能性を秘めておりますだけに、一種の危機管理も含めてこういう大事な権限を付与されているものだと思います。
 しかし、おっしゃるように、権限を付与されているからこの発動に当たっては、今までも随分慎重であったし、そうたびたびこれが動いているわけではないわけですが、今後も一層この条文の適用に当たりましては慎重に対処しなければならないというふうに思います。
○池田治君 時間ですので終わります。
○吉岡吉典君 同僚議員も取り上げた問題ですが、二つの信用組合と大蔵省との癒着ということがマスコミで盛んに問題になっている時期に、それを裏づけるような形の証言がきのう出たわけです。ちょうど今週の週刊誌には、「二信組事件が暴く、大蔵接待体質。」というものも出ている最中なんです。
 それで、最初に事実関係をお伺いしておきますけれども、田谷氏自身は香港への飛行機同乗というのは全面的に否定し続けておられたんですか、一部は認めていたんですか、それはどうですか。
○国務大臣(武村正義君) いや、その質問にはお答えできる用意がありません。あるいは官房長じゃないと答えられないかもしれません。
○吉岡吉典君 私はこの問題も最初に取り上げるつもりだということを言っておいたんですけれども、答えられなければしようかないです。
 いずれにせよ、大臣はそうすると報告では一切ないというふうにとっておられたわけですね。
○国務大臣(武村正義君) 一切ないというよりも、そういう報告は聞いておりませんでした。
○吉岡吉典君 この証言が出た後のきのうの参議院予算委員会での答弁の中でも大臣は、これは週刊文春に関連してですけれども、発言なさった中で、弁護士同道で厳重に事実無根だという抗議に行っているということもあったわけですね。そうすると、御当人は実際は行っておいて、きのう証言が出て明らかになったら、きょう報告がありましたように事実関係を認めたと。しかし、こういうふうに認めざるを得なくなるまでは恐らく大蔵省内部で一切関係ないと言っておられたであろうし、週刊文春に厳重に抗議を行うという態度までとっていたということになると、これはもう大蔵大臣に恥をかかせるような答弁をさせる態度を今までとっていたことになるわけですね。これはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(武村正義君) この表現につきましては、私はこういう答えをいたしました。それは、香港へ自家用機に同乗して行ったということは事実であっても、私、記事をよく読んでおりませんが、記事の内容については、そのことは事実であっても、癒着とか今回の処理方策に対する関係とか、いろいろなことが書かれているのかもしれません。そういうことを指しているのではないかということであります。香港旅行を事実無根と言っていることではないようであります。
○吉岡吉典君 私が今読んだのは週刊誌の記事じゃなくてきのうの速記録ですから、文春への抗議云々というのは。ですから、今の答弁だと、香港へ行っていたことは認めていたかもしれないということを含んでの答弁になったと思いますが、これはわかる人がおられないそうですから置きます。
 私はきのうの答弁で非常に気になったことがあるんです。それは、きょうおられないわけですが官房長が、職務と全く関係のないプライベートなつき合いにおいて本人がどのように行動したか、そういうことにつきましては私ども調査するとしても限度がございますという答弁が、これは証言があった後、こういう証言が出た以上調査せよという提起に対してこういう答弁なんです。
 そうすると、大蔵省の立場というのは、飛行機で同乗するという問題があっても、職務と関係のないプライベートなものならその程度のつき合いはあってもいいという認識を述べたというふうにとれるんですね。
 私は、きのうの論議でも、三党首が政治家には倫理綱領があってきちっとしなくちゃいかぬということを述べられましたけれども、公務員はもう一切基準なしなんですか。例えばプライベートなら何をやろうといいというふうになっているんですか。ちょっとお伺いしておきたいです。
○国務大臣(武村正義君) 先ほどの週刊文春の記事について抗議云々は、恐らく今抗議すべく準備をしていると聞いていると、こうお答えをしたんですが、そのことは今も変わりがないんだろうと、きのうああいう証言があっても変わりはないというふうに私は報告を受けております。近々本人に会いますので、この辺も確認をいたします。
 官房長のきのうの発言についての御指摘でございますが、何をやってもいいんだなという気持ちで申し上げているのではないと思います。限度があると。私らも二回報告を要請しましたから、恐らく本人に高橋氏とのつき合いについていろいろ官房長なりの調査をしてくれたんだろうと思うんですが、確かに限度があるということを率直に申し上げたのではないか。もし言葉足らずの点があれば、これは反省しなければいけません。
 私も、県におりましたときに、結果的に元税務課長が収賄罪で逮捕される事態を招いたことがありました。しかし、そこへ至るまでそういううわさが随分立ちまして、副知事や総務部長に徹底して調査してくれというので随分県庁内部で調査をしてくれたんですが、全然そういう事実はないという報告が上がった経緯がありました。なかなか疑われている人に、仲間というか、役所の中で人事の担当者が会ってどういう関係だったかと言っても、そう何もかも掌握できる状態ではない。そういうことを弁解として申し上げたのかもしれません。
○吉岡吉典君 官房長がいないところですからしょうがないんですけれども、国民から見れば非常に衝撃的な現実があの証人喚問で明らかになったわけです。これは衝撃的な出来事ですよ、この最中に大蔵省の幹部が高橋氏と同行したと。
○国務大臣(武村正義君) 五年前です。
○吉岡吉典君 いや、きのう明らかになったわけですよ、その事実が。
 それを受けて調査するかという答弁が、国民から見てこれでは私は納得できないと思いますよ。先ほども国民から見て納得できないじゃないかという議論がありましたけれども、私は、こういう答弁では大蔵省はこの問題を真剣に考えているというふうには国民はとれない、そう思うから言ったわけです。しかし、御当人がおられないところで、これは置きます。
 続いてですけれども、今まで論議されてきたことの中でも問題が出されていますけれども、私がよくわからないことの一つは、九三年に都と大蔵省が合同で特別検査をやった。そのときに比べて九四年は回収不能額が物すごくふえている。大蔵省からいただいた数字でも四百九十四億から千百十八億というようにふえているわけですね。新聞報道だと、これは基準のとり方が違うかもしれませんけれども、協和で二千三百倍、それから安全で一万五千倍にふえたという東京都の資料に基づく記事まで出ているんですけれども、大蔵省の数字でもこういうふうにふえているわけですね。都と大蔵省が検査に入って指導を開始したら回収不能額がふえた。これはどういう出来事なのかわからないんですが。
○政府委員(西村吉正君) 信用組合の検査・監督は通常は都道府県が当たっておるわけでございますが、この二つの信用組合に関しましては、東京都知事からの派遣要請が平成五年七月末にございまして、実際に検査に入りましたのは八月から九月にかけてでございますけれども、この時点で私どもは、東京都が主として担当します検査に協力する形でこの二つの信用組合の経営の実態を把握するような状況に至ったわけでございます。
 その段階で把握いたしました回収不能額という意味では、五年の段階では先ほど御指摘の四百九十四億、六年には千百十八億と二倍以上になっておるわけでございますが、これはいろんな事情があると思います。一つは、その間地価が低下いたしまして、担保の評価額が少なくなったというようなことが恐らく大きな原因の一つだと思いますけれども、そのほか、新たな貸し出しのふえた部分もございましょうし、いろんな事情があるかと存じますけれども、この間、経営状況が非常に悪化したということは御指摘のとおりでございます。
○吉岡吉典君 そうすると、指導した結果悪くなったわけですか。
○政府委員(西村吉正君) 当初私どもが検査に協力をいたしました段階におきます。その検査結果に対します指導という点につきましては、東京都がこの経営改善のためのいろいろな指導、勧告をしているわけでございます。私どもはその段階におきましては、他の都道府県と同様、地方公共団体の行政にゆだねて私どもはその状況を見守っておったわけでございますが、一年後、再度検査に協力をいたしまして、経営状況が一層悪化している、また都の御指導というものが必ずしも守られていないという状況を見まして、どうもこのようなことでは問題の解決につながらないという認識のもとに、昨年の秋から我々自身もこれをどうすべきかという問題に取り組んだということでございます。
○吉岡吉典君 指導は都とおっしゃるんですけれども、もうこの時期は大蔵省も責任がありますからね、直接状況を知っているわけですから。
 それから、東京都東京都とおっしゃるから私お伺いしておきますが、東京都議会での論議を聞いてみると大蔵省に押しつけられたという答弁ですね。これは論議を聞けば明らかになるんですけれども、東京都主導で、東京都に要請されて大蔵省が協力しているんだということですが、東京都議会での論議の記録はお読みになっているかどうか、その事実関係だけお伺いしておきます。
○国務大臣(武村正義君) 全然読んでおりませんが、恐らく押しつけられた云々の議論は、だれがどうされたか知りませんが、最終段階になっての三百億の融資、その数字の話ではないかと。それ以前はもう大枠で合意し、むしろ都の要請も受けて大蔵省、日銀も一生懸命議論をしてきたわけですから、そういう全体を押しつけられたという認識は恐らく都の理事者にはないはずだと思っております。
○吉岡吉典君 都議会の記録は読んでいないということだけお伺いしておきます。
 それで、時間がもうすぐ終わっちゃうようになってしまったんですが、一つ確認しておきたいわけですけれども、今度の措置で小口も大口も預金者の預金は保証するわけですね。大口についても利子も含めて保証する、そういうことだと思います。その利子というのは新しい銀行が何か基準を設けるのか、もとの契約時の利子になるのか、それについてはどうですか。
○政府委員(西村吉正君) この二つの信用組合の特に大口の預金に関しましては、私どもが聞いておりますところでは比較的短い期間の契約のものが多かったと伺っております。したがいまして、仮に新しい銀行が三月二十日にそういう資産、負債を承継する、預金も承継するという段階でこの措置が発表される以前の預金がどれぐらい残っておるかということは、必ずしも正確には把握しておりませんけれども、そんなに多くはないのではないかと思います。しかし、仮にそういうものが契約が存続しておりますならば、その契約を引き継ぐということはそのとおりでございます。
 ただ、新しい契約という点に関しましては、この措置が発表されて以後、その金利水準も通常のものに徐々に近づけられておりまして、今新たに締結される預金の契約についてはそう高い金利のものはないと聞いております。
○吉岡吉典君 先ほど来論議のありましたように、大口というのは半プロ、リスクを覚悟での預金もあると。それも利子つきで返済する、救済する、そのことを今度踏み切ったということになるわけですが、つまり、それほどこの二つの信用組合の場合には至れり尽くせりの措置をとると。
 一方、この事件もバブルの崩壊から直接のきっかけがあると言われているわけですけれども、バブルの崩壊でいろいろな被害者というか犠牲者が出ている。それは金融機関もそうかもしれませんけれども、バブルの被害者、私のところへ来られる人、大蔵省にもいろいろ提起して御努力願っている問題もありますけれども、この事件が出てからその人らが私らのところへ来て言うのには、ここでこれだけ力を入れて救済しようというのなら、我々バブルの被害者にも救済の手を差し伸べてもらいたいと。
 その中でこの人らが率直におっしゃるのは、例えば担保、担保価値が下落して、それで追加担保までとられると。担保が下落したそのリスクは担保提供者だけが負わなくちゃならないのか、それはその担保を評価して貸し付けた当局もリスクの一端を負うのが筋じゃないか、それはどうかというような問題提起もあります。これは全然性格が違いますけれども、今度の震災でも焼失した家屋の担保力の問題が出ているわけですね。
 そういうものを考えると、そういう提起者からそういう意見が出ていることは、大蔵省としてはそれはもう全然問題にならないというのか。確かに一考に値する問題だというふうにお考えになるか。いろいろなケースがあるわけですね、バブルの全盛期に銀行が融資先を求めて株を買えと言ったり、ビルを建てると言ったり、マンションを建てると、いろいろあるわけですよね。そういう人らがたくさんそういうことをおっしゃっている。どういうふうにお考えになるのか。
○政府委員(西村吉正君) 二つの問題点があると思います。
 一つは、大口預金について今回このような特別な措置を講じて救うという御指摘がございましたが、これは、今まで金融機関が破綻した例はこれに限らず幾つかあったわけですが、今回特別の措置を講じたということではございませんで、今まで大口、小口を含めまして預金というものが払い戻されなくなるというようなケースは、我が国におきまして最近そういうことがないように措置を講じてきた、今回もその延長線上にある、しかし、そのようにするために今までと違った措置をとらざるを得なかったんだと、こういう御理解を賜りたいと存じます。
 もう一つ、バブル崩壊によっていろいろな方々が御苦労しておられる。これも私ども幾つかの事例を承知しておりますが、それはむしろお金を借りた方の問題だろうと思います。預金者の問題とはちょっと性格の異なる、お金を借りた方が御苦労しておられる点をどうするかという点でございます。
 今後、二つの信用組合に関しましても、ここからお金を借りて、借金があるけれども担保価値が下がって返済できない、まあそれが金融機関サイドから見ると一つの不良債権という形になっておるわけですが、そういうものにつきましては私どもはむしろ、この金融機関の処理をいたします際にはきちんと返済をしていただく、そのような努力を新しい銀行はしなければいけない、できるだけ不良債権といえども回収をする努力をしなければいけないという点については、適切に対処すべき問題だと考えております。その問題は、少しこの預金者の問題とは違った性格の……
○吉岡吉典君 担保のリスクについて聞いたんですよ。答弁ないんです。
○政府委員(西村吉正君) 担保の評価につきましても、むしろ金融機関の健全性を維持するため、あるいはひいては預金者に迷惑をかけないように、きちんと正確に評価をして適切な担保評価のもとに債権の処理をするということが必要だと考えております。
○委員長(西田吉宏君) 本件の質疑はこの程度といたします。
 午後二時まで休憩をいたします。
   午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時開会
○委員長(西田吉宏君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として野別隆俊君が選任されました。
     ――――――――――――
○委員長(西田吉宏君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行企画局長山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(西田吉宏君) 平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。武村大蔵大臣。
○国務大臣(武村正義君) ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 まず、平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案について御説明を申し上げます。
 平成七年度予算の編成に当たりましては、一段と深刻さを増した財政事情のもとで、財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的・効率的な配分に努め、質的な充実に配慮したところであります。
 この法律案は、こうした努力に加え、平成七年度の財政運営を適切に行うため、各種制度の運営に支障が生じない範囲の特例的な措置として、平成七年度において、国債費定率繰り入れの停止等の会計間の繰り入れに関する措置等を講ずるものであります。
 以下、その内容について御説明を申し上げます。
 第一に、毎年度国債の元金の償還に充てるため国債整理基金特別会計に繰り入れるべき金額は、国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する金額とされておりますが、平成七年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。
 第二に、平成七年度において、定率繰り入れ等の停止に伴い国債整理基金の運営に支障が生じないようにするため、日本道路公団、日本開発銀行等に対するNTT株式の売り払い収入に係る無利子貸し付けについて、繰り上げ償還を行うことができることとするとともに、別途、貸付先に対して相当額の貸し付けを行うこととしております。
 第三に、平成五年度の決算上の不足に係る国債整理基金から決算調整資金への繰入相当額につきましては、決算調整資金に関する法律の規定により、平成七年度までに一般会計から決算調整資金を通じて国債整理基金に繰り戻すこととされておりますが、この繰り戻しを平成八年度まで延期することとしております。
 第四に、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに日本国有鉄道及び日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、平成七年度において償還すべき金額については、それぞれその資金運用部に対する償還を延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。
 第五に、平成七年度における一般会計から厚生年金特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、その二分の一に相当する金額を下らない範囲内において予算で定める金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
 第六に、平成七年度における一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れについては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化を図るための一般会計からする繰入れの特例に関する法律の規定により繰入金額の算定において加算するものとされている金額はこれを加算しないものとするとともに、後日、将来にわたる国民年金事業の財政の安定が損なわれることのないよう、加算しなかった金額に相当する額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
 第七に、平成七年度における一般会計から労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れについては、雇用保険法に定める額から三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、雇用保険事業の適正な運営が確保されるよう、各年度の当該勘定の収支の状況等を勘案して、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 第八に、平成七年度において、外国為替資金特別会計から、外国為替資金特別会計法第十三条の規定による一般会計への繰り入れをするほか、三千五百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。
 第九に、平成七年度において、自動車損害賠償責任再保険特別会計の保険勘定及び保障勘定から三千百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、後日、繰入金相当額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近の社会経済情勢の変化及び現下の厳しい財政状況に顧み、課税の適正・公平を確保する観点から租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 第一に、課税の適正・公平を確保する観点から、企業関係の租税特別措置等について、廃止を含む整理合理化を行うこととしております。
 第二に、企業の事業革新の円滑化に資するため、一定の事業者に対し、増加試験研究費の税額控除の特例等の措置を講じ、また、中小企業の創造的事業活動の促進に資するため、一定の中小企業者に対し、機械等の設備投資に対する特別償却または税額控除等の措置を講ずる等、社会経済情勢に対応して所要の措置を講ずることとしております。
 第三に、個人の土地等の譲渡に係る長期譲渡所得課税について、特別控除後の譲渡益が四千万円以下の部分については、現行三〇%の税率を二五%とする等、土地・住宅税制の見直しを行うこととしております。
 その他、民間国外債の利子及び発行差金の非課税、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。
 以上が二つの法律案の提案の理由及びその内容でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
○委員長(西田吉宏君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより平成七年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例等に関する法律案の質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○峰崎直樹君 社会党の峰崎でございますが、最初に大蔵大臣に。
 先日、予算委員会の総括質問のときに円高問題で質問させていただいたわけであります。その後、私もちょっと気になりまして、あの時点で一ドル九十二円、一体どこまで行くんかいなと思ってしばらくおったんですが、実は二日前にちょうどたしか八十円台に突入したというようなことがありまして、これはやはりいても立ってもおられぬなと思って実はアメリカにおりました私の友人に電話を入れたわけです。
 ちょっとしたエコノミストだったんですが、彼に言わせると余り心配するなど言う。心配は心配だろうけれども、短期的には心配だろうけれども、アメリカのルービンという財務長官は、御存じのようにゴールドマン・サックスというところの重役かなんかやっておられて、とてもとても日本の私どもにいう政治家が太刀打ちできるようなものではないぞと、ちょっと我々に対する厳しい御指摘もあったんです。
 そんなことを話しているうちに、一番の責任があるのは、きっかけをつくったのは、たしか連邦銀行の理事が、もうこれ以上は、過熱してインフレが大変だからということで利上げをする必要はないんじゃないかというところから端を発して、そして例の共和党の党のコントラクト、党の契約のうちの財政をちゃんとするという法案が否決をされた。大体ウエートからすれば前者が一制で後者のウエートの方が九割ぐらい大きいと。
 ルービンという人は、前回の九四年ごろの円高のときに、こういうときは下手に介入しても怒濤のような流れをちょっとした介入でもって対応できるようなものじゃないんだ。とにかく行くところまで行かせて、そして、どうやらここまで行ったら逆にマーケットの方がどうも不安になるというところがあるはずだから、そこへもってきて介入すれば非常にタイミングがよくなる。だから、そういう点では余り過敏にならない方がいいんじゃないのかと。日本経済がかつて三百六十円からいろいろ曲折はあってもその都度円高を克服してきた。そういう点では確かに製造業の影響はあるかもしれないけれども、日本経済のトレンドとしてはそういう急速な円高についても長期的には対応できる可能性というか体力を持っていると思う、こういう御指摘があったわけです。
 きょうはそのお話をする時間はありませんし、また別途そういうことを議論する機会があると思いますが、実はそのとき、それよりも最近アメリカでちょっと心配なのは、かつては通産省を批判する、つまりノートリアスMITIということですね、恐るべき通産省。チャーマーズ・ジョンソンが通産省の奇跡という本を書いて、広く我々もそんなものかいなと思ったわけです。ところが、どうも最近のアメリカの論調の中には、相手が通産省からどうやら大蔵省の方に移ってきているんじゃないか。そのときに挙げたのが、ロンドンのエコノミストが二月の上旬にたしかそういう論文を載せている。
 それと、実はきょう慌てて、中央公論の四月号、きょう発売です。この後ろに、フォーリン・アフェアーズの最新号の中に、もうお読みになったかどうかわかりませんが、「大蔵省―目に見えぬリヴァイアサン」、こういうことで、書いた人はイーモン・フィンクルトン。私も余りよく知らない人なんですが、この人は米国の金融ジャーナリストで、最近「ブラインド・サイド一という本を書いてその抜粋が載っておったわけです。
 書いてある中身は、ざっと読んだだけなんですが、それほど目新しいものはないわけでありますが、天下りで大蔵省の官僚が輸銀だ開銀だ公取だ、いろいろなところを押さえておる、あるいは日本の政治はだらしないとかという格好で出されているんですが、最近では「大蔵省解体論」という、ちょうどさきがけの武村大臣のところで五十嵐さんが、私も税制でやっているんですが、そういう点で大蔵省に対する風当たりというものが非常に強くなってきているなと。
 これは、先ほど言ったニューヨークの私の友人も、そういう意味ではそういう流れが起きてきている、そのことにやはりちょっと注意を向けた方がいいぞ、こういう御指摘があったものですから、冒頭武村大臣に、このようないろんなそういう動きがあるわけでございますし、政治家の中からも「大蔵省解体論」なんという本が出るような御時世になっているんですが、そういうことに対する大半の総括的な、まだ恐らくこれをお読みになっていらっしゃらないだろうと思いますから余計なことかもしれませんが、私自身も、これは相当やはり日本自身の大蔵行政といいますか、金融行政の一端に参加している身からしても見逃せないなというふうに思っておりますので、御意見があったらお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) まず、為替の変動に対する友人のお話を御紹介いただいてありがとうございました、
 大蔵省に対する感想、批判に対する感想ということでありますが、昨今、世の中は春になりましたが、本当に冷たい風が大蔵省には吹き荒れておりまして、それと今のフォーリン・アフェアーズの論文とは関係ない話でありますが、身を引き締めながら、しかし日々大変大事なさまざまな仕事を負わせていただいているわけでございますから、間違いのないように精いっぱい努力しなければいけないと思っている次第であります。
 大蔵省の諸君もそれぞれもう仕事に忙殺されているという感じがいたします。一日に財政、金融、税制と言いますが、震災が起こりましても総動員でありますし、やれ株の問題だ金融の問題だ、あるいは通貨の問題というふうになりましてもさまざまなかかわりを持つだけに、省の幹部は挙げてこの事態に全力投球をしているところでございます。
 明治以来大蔵省はこの国に存在し続けてきたお役所であります。最も伝統のあるお役所の一つてあります。今の日本の社会経済の仕組みで政府の存在がどうなのか、その中における大蔵省の存在がどうなのか、いろんな論議が当然あってしかるべきだと思っておりまして、そういう中に解体論などというものも、私の党の足元から、大臣を務めておりますのに解体論を書く代議士が出てまいりまして驚いているわけでありますが、議論としてはいろんな議論があってしかるべきだと思っております。
 しかし、何せ我が国の予算一つを例にとりましても、財政という金額の出入りの面から国家の一年間の仕事全体を総括する仕事でありますし、金融は金融で、午前中も御議論がありましたように日本の経済の中枢に立つ大事な仕事でありますし、税制はまだある意味では民主主義の原点であり、国民の一番関心の深い直接利害にかかわるテーマでもあります。そんな仕事を預かりながら、私としては、今大蔵大臣という仕事につかせていただいている間は、とにかく精いっぱい仕事を務めさせていただくことに一生懸命精進をさせていただきたいという思いでいっぱいでございます。
○峰崎直樹君 日ごろ私も税制その他でおつき合いする機会があるわけでありますが、文字どおり寝食を忘れて、大蔵省の方々の努力には本当に敬意を表したいと思っているわけであります。
 ただ、私、前回の大蔵委員会でもちょっとお話ししたと思うのでありますが、余りにも担当している権限というものが、予算をつくる、税を取ってくる、さらには金利を決める、日銀の監督まで進めている、あるいは国債を発行する、日本の経済に本当に大きな権限を持っておられる。それがまた逆に大き過ぎてさまざまな弊害というものが目立ち過ぎているのかなという感じが私もしてならないわけであります。
 昨日の証言にありました、田谷さんの事件にしても、そういった余りにも巨大な権限というものを持っているということをきちっとやはり自覚をしながら、そして我々からすればそういったものをできる限り、昨今の行革論議では統合しようというような動きが強いんですが、大蔵省に関してはその権限というものをむしろ分散化した方が日本の経済、政治にとっていいのではないかという声も出始めております。きょうはその議論をいたしませんが、こういった点を含めて今後また私なりにも提言をしていきたいというふうに思っているわけであります。
 さて、非常に長たらしい繰り入れ特例に関する法律案、そのうち私はきょうは、昨今特殊法人の統廃合問題に関連して財投の問題が少し議論をされてきております。その点について少し触れてみたいというふうに思うわけでありますが、まず、私がお聞きしてみたいと思っておるのは財政投融資の規模でございます。
 今年度幾らぐらいになるのかということについてはもう数字が出ているわけでありますが、この表に出た財投資金と、実は期間五年未満の短期資金と言われているもの、これをあわせてみると一体これは幾らぐらいになるんでしょうか。いわゆる今年度ですか、九四年度で結構でございますので、その長期と短期といいますか、表に出た財投資金と、それから今年度の短期の運用されたものをあわせて総額幾らになるか。
○政府委員(田波耕治君) 財投の決算が出ておりますのは平成五年度末でございますので、恐縮でございますがその数字でお答えをさせていただきたいと思いますが、財投計画の残高という意味で申しますと総額で約三百九兆円でございます。
 ただ、その財投計画の原資を担っている大どころでございます資金運用部特別会計、それから簡易生命保険特別会計、これは委員御指摘のように、そのほかに例えば国債で運用するというような運用をしておりますので、それぞれの特別会計の残高ということで申し上げますと、平成五年度末で資金運用部特別会計の残高は三百二十六兆円、それから簡易生命保険特別会計の残高は七十四兆円ということに相なっておるところでございます。
○峰崎直樹君 大変巨大な金額なんです。
 今の数字は累積でずっと出されておりますが、単年度だけで調べてみますと、昨年度の当初予算、たしか七十二兆円前後でございましたでしょうか。それと対比しても、その財投資金の占めている、いわゆる予算上計上されている財投資金と短期運用とあわせるとほとんどこの七十二兆円近くなったというデータというものをとあるところで見たことがあるわけでございます。
 そうすると、一般会計の予算と財投資金というのは、実際上動かしている金というのはもう全くほぼ同じぐらいの車の両輪だと、こういうふうにとらえてよろしいんでしょうかね。
○政府委員(田波耕治君) 数字上で申しますと、例えばことしの財投計画で申しましても、いわゆる財投計画の中の一般財投の規模といわゆる一般歳出の規模、非常に似通ってきております。そういう意味では委員御指摘のような点があると思います。
 ただ、機能といたしましては、これはよく御存じのように、一般会計の性格というのは基本的に租税という無償資金でもって例えば資源配分あるいは所得再分配をする、そういう機能を持っておるのに対しまして、財政投融資というのは基本的にその手法は金融でございますので、そういう意味での違いはあるということを申し上げておいた方がいいのではないかと思っております。
○峰崎直樹君 ちょっと郵政省それから厚生省の方にお聞きしたいんですが、郵便貯金あるいは簡易保険、簡易保険の場合は、直接やっておるかどうかは別として財投の中に占める割合というのは非常に高いわけでありますけれども、特に郵貯の場合、一九九一年度だったでしょうか大変な大きな伸びを示しましたですね。たしかまだ規制金利時代で非常に金利が高い、そして十年の定額貯蓄ということで、非常に有利だということでそれが預け入れられ、民間資金がぐっと集中したわけであります。
 郵政省あるいは厚生省にお聞きしたいんですが、将来の伸びは一体どうなるんだろうかなと。特に郵貯の場合お聞きしたいのは、二〇〇一年になるでしょうか、十年目の借りかえというのは。この借りかえというのは、十年たったそのときには一体どんなふうに財源を見込まれているのか、その点の見通しをちょっと両省からお聞きしたいんですが。
○説明員(植村邦生君) 今後の貯蓄の動向につきましては、我が国では他国に例を見ない高齢化が進展する、あるいは金融自由化が本格化するということがございまして、将来を見通すことは大変難しい時代を迎えておると思います。
 しかしながら、郵便貯金の場合、全国津々浦々の郵便局を通じまして個人の小口の貯蓄を集めておりまして、法人の預金等に比べまして経済情勢に左右される度合いは比較的少ないという特色を有しておりますので、引き続きこれからの安定的な資金の確保ということに努めてまいりたいと考えております。
 先生御指摘のございました定額貯金が、平成三年度のものが満期を迎えますのは平成十三年度ということになりますので、現時点での具体的な予想というのは非常に困難でございますけれども、私ども、満期貯金につきましては日ごろからお客様に対しまして特段の御利用予定がなければ継続して預金していただくようにということでお勧めをしているところでございまして、これまでの実績におきましても相当の割合で引き続き御利用いただいているというようなことがございますので、その而も含めまして、安定的な資金の確保ということに努めてまいる所存でございます。
○説明員(熊沢昭佳君) お尋ねの年金制度につきましては、長期的見通しのもとに安定的な運営を図っていく必要があり、このため計画的、段階的に保険料を引き上げることとしておりまして、一定の積立金を保有し、これから生じる運用収入を給付費の支払いに活用しているところであります。
 年金の積立金については、保険料の水準や今後の給付額などの動向により一概には言えませんが、平成六年の財政再計算に基づく将来の収支見通しによりますと、年金の積立金は、二〇二五年には厚生年金で四百二十兆円程度、国民年金で四十六兆円程度となるものと見込んでおります。
○峰崎直樹君 大蔵大臣にちょっとお聞きしたいんですが、郵貯が非常に伸びてくる、肥大化をする、そのことに対してこれは民業圧迫だと。簡保の場合もそうですね、これは保険事業の方との対抗関係がある。そういうことでよく民業圧迫という批判を聞くんでありますけれども、この点に対して、大蔵大臣として大蔵省の立場からはどのように考えられておるのかをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 第三次行革審の最終答申では、「郵便貯金については、簡易で確実な少額貯蓄手段の提供という本来の目的に沿って、民間金融市場との整合性を図る。また、個人貯蓄分野における資金シフトを回避し、民間金融機関とのトータル・バランスを図る。」というふうにまとめられておりますし、簡保につきましても、「官業としての立場を守りつつ適切な運営を行う」と、やや抽象的な表現でありますが、こんな答申が出ているところでございます。
 官業であります郵貯、簡保については、民業の補完としての役割であることをやはり今後とも基本とすべきだと考えております。この基本線に沿ってその事業のあり方について今後とも検討が進められるべきであるというふうに思っております。
○峰崎直樹君 今、補完ということであればいいんではないかということだったんですが、たしか九二年度と九三年度、平成で言いませんのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、この両年度の貸し出しの伸びを見ると、どうも民間資金よりも公的資金の方が上回ったんじゃないか。その点、数字いかがでございましょうか。ちょっとその点は事前に言ってなかったかな、もしわかれば教えてください。
○政府委員(田波耕治君) 例えば平成五年度における残高のシェアということでとりあえずよろしゅうございますでしょうか。
 残高ベースで申しますと、民間金融機関が平成五年度におきましては七百五十一兆円であるのに対しまして、いわゆる政府関係金融機関の残高は百二十兆八千億ということになっております。
○峰崎直樹君 残高で見たんじゃだめなんで、九二年度と九三年度は伸びはどうだったかという単年度の伸びを聞いたわけです。恐らくちょっと事前のあれがなかったんですが、私の聞いている限りでは民間よりもいわゆる公的な資金の方の伸びが高かったんですよ。
 そうすると、今、大臣がおっしゃったように、民業を補完する意味での公的な財投の役割というところから、どうもやはり昨今の動きはそれを逸脱し始めているんじゃないのかなというふうに思うんですが、きょうは大蔵委員会ですから、郵政大臣がおられればもっと責任ある意見が聞けるので、その点はまた別途、別の機会にしたいなと思います。
 もう一つお聞きしておきたいわけです。それは何かというと、そういうふうに郵貯やそういう資金が非常に吸収しちゃうとマネーサプライに影響しないか。M2プラスCDですね、そのマネーサプライに対して、例えば一九九一年に十八兆円にも及んで郵貯が取り込んだわけです。これはたしかGDPの四%に達していますよね。その四%に達するようないわゆる取り入れを行ったことは、それは非常にマネーサプライの低下をもたらしていないのかという批判があるんですが、日銀の方、これはいかがでございますか。
○参考人(山口泰君) 郵便貯金と民間の預貯金の間のシフトを含めまして、いわゆる金融資産の中におきます資金の流出入、シフトと呼ばれる現象が近年、金利の動きに大変敏感になってきておりまして、シフトが情勢によってはかなり大きくなる年もございます。
 郵便貯金につきましては、御案内のとおり、金利が一番高くなり、ピークに達しましたようなときにその商品性の強みがフルに発揮されるものでございますから、そのような状況におきましては民間の預貯金から郵便貯金へのシフトが生じまして、例えば九一年度のように郵便貯金が大きく増加するというような動きがはっきりと見てとれることもございました。
 情勢によりましては逆に郵便貯金の伸びが低くなるというような局面もあるわけでございますが、過去十五年ほどをとりまして長期的な流れがどういうふうになっていったかということを試みに振り返ってみますと、M2プラスCD、これはいろいろなマネーサプライの指標の中の一つでございますけれども、M2プラスCDと呼んでおります民間の預貯金はこの十五年間で二・八倍になっておりますのに対しまして、郵便貯金の方は三・七倍というふうになっております。結果といたしまして、個人貯蓄に占める郵便貯金のシェアが二八%から三三%に上昇するというような経緯をたどっております。
 私どもの金融政策の観点から申しますと、一言付言させていただきますと、日本銀行は幾つかの通貨の指標の中でM2プラスCDというものに比較的重きを置いて見ております。その伸びが物価の安定と両立する範囲の中でできるだけ安定的に増加することが望ましいというふうに考えております。そういう考え方、そういう観点から申しますと、先ほどちょっと申しましたように、過去郵便貯金の増加によりましてマネーサプライが伸び悩むというようなこともございましたので、私どもといたしましては、そういうことが生じませんように、引き続き郵貯の金利設定等の運営が適切に行われることを期待しているところでございます。
○峰崎直樹君 入り口のところのお金の論議、これ以上時間的に余裕ありませんからやりませんが、どうもやはり将来的に見たときに、この郵貯の原資の伸び方というのは金利自由化のたしか九三年の六月ごろから変わってきていますから、恐らくはこれまでのような形では伸びていかない。年金の財源も恐らく高齢化社会を迎えると減っていくということで、入り口のところでもう大変厳しくなるんじゃないかと思います。
 今度は財投の運用の問題にちょっと中身を移してみたいわけであります。計画運用面と計画外運用面というのがあるわけですが、その中で、計画外の運用で八七年からスタートいたしました資金運用事業、これは郵貯それから簡保、さらには厚生省の年金福祉事業団ですか、その資金運用事業がスタートしたわけでございます。現在、九五年度には三会計の残高は六十二兆円に達するんじゃないか、こう言われておるわけですが、その運用利益は一体どのようになっているんでしょうか。
 特にちょっとお聞きしてみたいのは、九二年八月以来PKO、いわゆる株価操作、その手段として使われたというふうにも聞いているわけでございますが、それはどれだけ使われて、現在そのことによって損失は生じていないのか。
 さらに、昨今の円高でこの三事業の面で、これは郵政省及び厚生省にお聞きしたいわけですが、外債を購入しているためにうわさでは一兆二千億円ぐらい為替差損が出ているんじゃないか、こういうようなことも聞くわけでございます。国民の大切な財産、とりわけ年金財源の運用に当たっては大変これは重要なことでございますので、その点どのような状況になっているのか教えていただきたいと思います。
○説明員(藤岡道博君) お答え申し上げます。
 最初に、資金運用事業の現状はどうなっているかという御質問でございますが、郵貯資金は、平成五年度の実績、五・五三%の運用利回りを上げております。これは資金運用部に預託した場合に比べまして、二百七十二億円、〇・一二%上回る有利運用ということになっております。また、昭和六十二年度の制度創設から平成五年度までの七年間の運用状況を見ますと、累計で二千五百二十七億円の運用益を上げております。これは資金運用部に預託した場合と比べまして〇・三五%上回る有利運用という形になっておりまして、所期の目的は達成したものというふうに認識しております。
 それから、簡易保険の場合は郵便貯金とちょっと事情が違っておりまして、全資金の一割程度を資金運用事業ということで指定単運用、いわゆる簡保事業団を通じた指定単運用に充てております。この指定単運用は簡保の場合昭和六十二年度以降行っておりまして、平成三年度までは単年度の黒字を計上しておりましたが、平成四年度以降、国内経済の長期低迷ということの影響を受けまして、単年度では赤字になっておるという状況でございます。
 直近の決算でございます平成五年度の状況につきまして申し上げますと、簡保事業団から簡保特会への利払いというものは滞りなく行われておりますけれども、損益計算書を見ますと経常損失三百八十二億円を計上しておりまして、累積欠損金は平成四年度の百三億円と合わせまして四百八十五億円となっております。
 この平成四年度以降簡保事業団の経常損失が出ることになりました原因につきましては、私どもとしては指定単運用のいわゆる実績配当による収入と固定金利による利払いとの構造的なミスマッチだというふうに考えておりまして、簡易保険局といたしましては、この問題を解消するために平成六年度、本年度から制度改善をいたしまして、従来の簡保事業団への貸し付けによる方法から運用寄託、非常に低利なものに変えたということでございますけれども、運用寄託による指定一年運用方式ということに変えております。この制度改善によりまして、今後国内景気が回復基調に転じますと簡保事業団の欠損も回復するものというふうに見込んでおります。
 それから、先生御質問の二点目でPKOというお話がございましたけれども、私ども、金融自由化対策資金それから簡保資金の指定単を経由しました株式運用につきましては、長期的な視点からできる限り有利で確実な運用を行うということを目的にしておりまして、このことによりまして預金者及び加入者の利益向上を図るということでございますので、いわゆる株価対策を目的として実施しているということはございません。
 それから外債につきましては、ちょっと事前にいただいていなかったので私の今担当のレベルということでお話し申し上げますが、外債につきましては、昨今の円高の状況がございますので、私どもとしては外貨建ての債券については慎重な運用ということを心がけております。
 簡保につきましては、昨年三月末で外貨建ての債券約三兆七千億円、郵便貯金約一兆七千億円の残高がございますけれども、昨今の円高の状況ということがございますので、最近はユーロ円建ての債券、いわゆる為替リスクのない円建ての債券を中心に運用を行っております。
 なお、今後も我々としましては、全国の郵便局の加入者の方から預かった貴重な資産でございますので、慎重な運用を心がけたいというふうに考えております。
○説明員(福山圭一君) 次に、年金福祉事業団が行っております運用事業でございますが、公的年金のいわゆる自主運用事業、これは年金資金の一部を市場で運用するものでございますが、不況が長引いたことに伴います投資環境の悪化ということがございまして、平成三年度より運用収益、これが資金運用部に支払いをいたしました借入金利を下回る状況が続いておりまして、平成五年度末で一千二百七億円の累積赤字ということになっておる状況でございます。
 こういう状況になっておりますのは、この運用事業は借り入れにより資金調達を行う、これを市場で運用するというものでございますが、不況が長引きまして長短期が一層低下をする、株価も低水準で推移する、こういった厳しい投資環境にあったため収益率は低下をした。一方、借入金利は高金利時の借り入れの影響が残りほとんど低下しなかったと、こういうことでございます。
 それから次に、いわゆる株式組み入れ比率の制限のない指定単契約でございますが、いわゆる新指定単ということにつきまして御質問がございましたが、年金福祉事業団では平成四年度に五千五百億円、それから平成五年度に三千億円、合計八千五百億円の運用が行われております。五年度末で全体の運用額十九兆四千六百億でございますが、そのうち八千五百億がこの新指定単による運用ということでございます。
 この新指定単、これはいわゆる株価対策のためということではございませんで、この運用に当たりましては、長期運用が可能な年金資金の性格を踏まえました安全かつ効率的な運用に十分心がけるべきと、このように考えておりまして、こういう基本的な考え方に立ちながら、運用専門機関の判断を基本的に尊重してきているということでございます。
 それから最近の円高の関係でございますが、年金福祉事業団の運用につきましては大半が信託銀行、生命保険会社といった専門機関への委託運用でございまして、年金福祉事業団といたしましては、一定期間ごと、基本的には四半期ごとでございますが、運用状況を聴取いたしましてこれを評価する、こういった立場にあるわけでございまして、ごく最近の急激な円高につきましては、したがいましてこの影響を常時フォローする、こういう体制にはなっておらないわけでございます。
 以上でございます。
○峰崎直樹君 語尾の方がよく聞こえないところがありましたけれども、両省からいったらわからないのかもしれませんが、PKOにはこの三つの事業団からのお金は使っておりませんということなんですか使っているということなんですか、それだけちょっとお聞きしたかったんです、最後にもう一回確認します。
○説明員(福山圭一君) 先ほども申し上げましたように、平成四年度に五千五百億、それから平成五年度に三千億円、合計八千五百億円のいわゆる新指定単。これは、他のものは信託の指定単運用で、他のものは株式の組み入れ比率三割以内という制限がございますが、この新指定単につきましては組み入れ比率制限のない契約になっております。
 ただ、こういった新指定単につきましても、制限上は組み入れ比率制限はないわけでございますが、ほかのものと同様、年金資金の運用という点では同様でございまして、私どもとして、いわゆる株価対策ということではございませんで、他の資金と同様に年金資金にふさわしい運用をするということで運用をしているということでございます。
○政府委員(田波耕治君) 今お答えございましたように、いわゆる公的資金の運用につきましては政府が個別特定の、例えば銘柄とか事業分野に関しまして運用の指図を行うべきではないことは当然でございまして、もとよりそういうことは実際にも行っていないわけでございます。
 それで、PKOということが言われるわけでございますけれども、現在の東京市場の大きさというのは、例えば二月末の東証の時価総額は三百十兆円でございます。これに対しまして六年度のいわゆる新指定単の運用額というのは二兆円でございますから、そういった市場規模の大きさから見まして、いわゆる公的資金によって株価維持を行うということがもとよりあり得ない話であるということは御理解いただきたいというふうに思っております。
○峰崎直樹君 理財局長、やってないというより、やっているんでしょう。今は、何か聞いていますと、そんなことで株価は維持できるわけないと。確かにそうでしょう、あの株式相場の金額を全部PKOで見ていると言いません。恐らく外国人の投資家がかなりどんどん入ってきていますから、そういうものに支えられているんでしょう。しかし今私が一番知りたいのは、そういう財投資金、特に年金の資金の一部がそういう公的な形でPKOに回される。そうすると、PKOをやっていることが日本のある意味では株式相場を悪くしているという説もあるわけですからね。しかし、それは景気対策上やらなきゃいけない面もあったのかもしれません。
 たしか九二年八月の宮澤内閣のときにPKOをやるということを言って、そして今おっしゃったような仕組みをやったんでしょう。何か今の理財局長の話を聞いていると、いや、我々は株価を維持するためにそんなことをやっておりませんというふうに聞こえちゃうんですけれども、もう一回そこのところをはっきりさせた方がいいんじゃないんでしょうか。
○政府委員(田波耕治君) 御指摘のように、平成四年八月に総合経済対策というものが打たれたわけでございますが、その中で、長期的、安定的な資金運用を促進いたします、ひいては証券市場の活性化に資するという目的から、いわゆる株式組み入れ比率の制限のない新たな指定単、これを新指定単と呼んでおりますが、そういう運用枠が設けられたわけでございます。
 私が申し上げましたことは、そういう指定単の運用というのは受託者でございます信託銀行が投資判断によって行っているものでございまして、株式に対して具体的な運用を国が指示する、そういう性格のものではないと。したがって、新指定単に関する措置というのは株価維持のために行われるものではないし、また、そういった格好で株価維持を図るということは市場の大きさからいって不可能であるということを御説明申し上げたわけでございます。
○峰崎直樹君 株価維持のためでないというんだったら、何で投入したんですか。
○政府委員(田波耕治君) それは先ほど各省からお答えがございましたように、いろいろな資金の長期的、安定的な資金運用を行うためということが第一の目的でございます。
○峰崎直樹君 長期的、安定的な運用をやるとき、株価水準がたしか一万四千円を割るか割らないかというところまでいったときにようやくPK0をやろうと言ったんですよね。やはり私はそこのところは余りもうごまかさないでもいいと思うんですよ。PKOをやりました、株価をある程度支えなきゃ、含み益がなければ銀行のBIS規制が通らない、だからある程度のところに我々はやったと。
 しかし、それがなかなかうまく機能しないとか、あるいはその資金が枯渇したとか、もっといろいろそこのところで聞いてみたいところがたくさんあるわけです。本当に安定的だったのかどうなのか、実際今、株価水準がどうなって、それが利回りにどう反映したかといったたくさんの問題があるわけです。今の答えを聞いているとどうも私は、実際上PKOということがやられているその背景にある考え方と理財局長の話はちょっと合わぬなと思っているんですが、これはもうこれ以上聞きません。時間がありませんから、すべてを聞くということは不可能ですから。
 最後に、金利が完全に自由化になったのは九四年の十月からだと、こういうふうに言われています。そうすると、かつて規制金利時代に郵貯であるとかそういうもので原資を確保し、そして四畳半の中にうまくはめ込むように、いわゆる預託金利から貸付金利から国債の金利からきちっと整理をされていた。そういう段階がなくなって金利の自由化以降の財投の将来的な見通しを考えたときに、これはやはり先行きなかなか大変なんじゃないのかというふうによく言われます。とりわけ、かつてのようにプライムレートよりもなお低いものを確実に保証するというような財投の有利性だとかそういうものがなくなってきていると言われているんです。
 この点、最後になって恐縮なんですが、非常に財投機関がたくさんあります、その財投機関に結果的に、かつてはそういうものは余りなかったけれども、税制から補助金を与えなければうまくいかないようになっているような財投機関というのがかなり目立つんじゃないかと言われている。それは我々は予算書を見てもすぐばんと出てこないのでありますが、最近ある本を読んでみますと、一九九三年度、今から二年前ですが、財投機関に二兆四千二百六十九億円の補助金が与えられているというんです。
 こういうふうになってくると、財投というのは金融の世界だと言うけれども、しかし政策上の配慮でもって進めなきゃいけない。そして、そこに二兆円を超すような補助金とか政府の出資が単年度で行われるようになってくる。そうすると、これのあり方について相当やはり従来とは、すなわち規制金利時代から金利自由化時代になったときにはやはり相当財投のあり方について考え直さなきゃいけないんじゃないのかなというふうに思うんですが、この点を最後に、主計局になるんでしょうか、お聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(伏屋和彦君) 今御質問の、まさにその財投に係る金利の話から始まりまして、いわゆる政策金融について毎年度の予算でどういうぐあいな対応をしているかということでございます。
 政策金融につきましては、毎年度の予算編成を通じまして、経済社会の発展に伴って変化しますいろいろな政策課題に対応して融資対象分野を適切に設定するとともに、民間金融機関のみによって適切に対応がなされるようになった分野につきましては、これを政策金融の対象から除外するというような、常に不断の見直しが必要であるということは言うまでもないことでございます。
 ただ、各政策金融機関におきまして低利の融資を行っていること自体は、例えば住宅取得への支援とか中小企業者への支援といった重要な政策目的の遂行のために政策的に行っているものであるわけでございます。その結果といたしまして各機関におきまして生じます収支差につきましては、これを補てんする等の措置が必要になるという点は御理解いただきたいわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生が今言われました、政策金融機関につきまして一体どこまでやっていくか、そういうことも含めまして、これまで現行制度のもとで各般の政策的な要請に適切に対応してきたところでございまして、今後もこれらの点につきましては、適切かつ効率的な財政運用を行うとの観点を踏まえまして、やはり国民からいただいております税金でございますので、各種の政策的課題に適切に対応していくということが肝要であると考えているわけでございます。
○峰崎直樹君 終わります。
○白浜一良君 まず、議題となっております繰り入れの特例法案につきまして基本的なことをお伺いしたいと思います。
 大臣、ここ何年か、歳入不足ということもございますが、いたずらに赤字国債を出せないと、そういう理由もあるんでしょう、しかし、いろんなやりくりをされてこういう繰り入れの特例法案が上がってきているわけでございますが、そういうやり方をされるから非常に財政の内容がわかりにくいと、こういうことがあるわけですね。赤字は赤字とはっきりしたらそれでいいわけですが、赤字を補てんするためにあっちの特会から持ってきたりいろいろやっているわけですね。
 それで、新聞報道によりましたら、昨年予算編成されたときも、大臣自身が事務局の説明を一度聞いただけではわからぬというようなお話をされたという報道をされておりましたが、財政の健全性という面から見て、今回のこういう繰り入れでやりくりしていくという、こういう実情をどう認識されておりますか。
○国務大臣(武村正義君) おっしゃるとおり大変わかりにくいと思っております。ことしはぜひ新聞記者の皆さんにもわかりやすく説明をしようとして大蔵省も努力をしたわけでありますが、しかし、先ほど提案理由で朗読をいたしましたが、これは大変要約した表現でありますからますますわかりにくい感じをお与えしたかもわかりませんが、本当に種類がたくさんあるから一層複雑な印象も与えてしまいます。
 一つ一つについても結構わかりにくさがございまして、これは意図的に大蔵省がわかりにくくしているわけではないことはぜひ御了解いただきたいと思いますが、少なくとも赤字国債を出すことに比べれば、こういういわば過渡的な措置といいますか、一定の期間会計間でやりくりをするということの方が、いわゆる歯どめなき財政の悪化につながるかどうかという視点から見ますときには、赤字国債の発行よりはこの措置の方がまだ許されるのではないかと、基本的にはそう認識をいたしておるところでございます。しかし、わかりにくいという御指摘については率直に認めざるを得ないと思っております。
○白浜一良君 だから、わかりにくいということが、単にわかりにくいということじゃなしに、財政の健全性という面からだめだと言っておるのですよ、要するに。わかりにくいからだめだと言っているんじゃないですよ。赤字は赤字とはっきりしておる方がわかりやすいんですね。
 だから、やりくりする、それは赤字国債よりはましじゃないかと、こういう理屈も成り立つわけでございますが、しかしそのやりくりされている部分が、財政の健全性ということから見れば非常に不明確さを残す、単にわかりにくいというんじゃなしに決していいことじゃないという認識、それを持つべきじゃないかということを私申しているわけでございますが、これはどうですか。
○国務大臣(武村正義君) 財政の健全性という視点、この一点に絞って見る限りは、やりくりをしなきゃならないというのはその分だけ不健全だということになるわけであります。だから、いいことではないというならばそのとおりでもあります。そうであります。
○白浜一良君 そういう言葉をのみ込むところが何か難しいところですな。
 政府税調の加藤会長ですか、新聞でコメントされておりました。こういう隠れ借金はやめるべきだ、赤字は赤字としてきちっと明確にして、あとはそういう歳入歳出含めてどうするかということは政治家の判断にゆだねるべきだと、こういうことを加藤会長がおっしゃっておりますが、御存じないですか。
 そういう御意見があるわけでございますが、何か御意見ございますか、そういう御意見に対して、
○国務大臣(武村正義君) それは政治家の皆さんにゆだねられるものならゆだねたい気持ちでありますが、現実に歳入よりは歳出の方が大きいというギャップの中でこういうやりくりをいたしているところでございます。ある意味では歳出をもっとこういう措置が必要でないように大胆にカットするという道があるわけでございますが、ごらんいただく歳出項目、なかなかカットというのは国会の論議でも出てこないわけであります。かといって増税という国民負担にかかわる主張もなかなか難しい。要調整額と言っておりますが、この歳出歳入のギャップのはざまでこういうやりくり措置をとっているところでございまして、私どもこんな状態が今後も長く続いてはいけないという思いであります。
 今後は、御指摘のようにより一層わかりやすくといいますか、この説明でも一つの法律にして御提案をいたしておりますように、また金額全体も六兆円余りという数字でもしっかり申し上げておりますように、これだけの建設国債を精いっぱい発行しながらなおかつこれだけの要調整額がある、いわばギャップがある。ある意味ではこれだけ余分に、歳入から見れば余分に歳出を組んでいるということにもなるわけであります。そういう事態を素直に認識しながら、私ども大蔵省当局もさらに一段とこのことに対して真剣な努力をしていかなければいけないという思いでございます。
○白浜一良君 健全でないんですけれども、これを論じたら、おっしゃっているように歳出をカットするか増税するか、いずれかそういう論議にもなってくるわけでございまして、きょうはその論議はやめたいと思います。
 もう一つ加藤会長が指摘されているのは、政府税調というのは総理の諮問機関らしいんですね。財政審というのが大蔵大臣の諮問機関で、これは本来一体であるべきだ、こういう御意見をされているんですよ。確かに考え方によったらそうですよね。それは一体なものです。こういう御指摘をされているわけでございますが、何かこのことに関しまして御意見ございますか。
○国務大臣(武村正義君) 私の知り得る限りでは、税制は国税、地方税あるものですから、恐らくそれで総理ということになっているのではないかというふうに思います。
○白浜一良君 いや、それは制度的にはそうなんでしょうけれども、これは地方税を含めてそうなんでしょうけれども、要するに税制と財政は一体にして検討すべきだという御指摘だと思うんですよ、機関として。今の政府税調が地方税も入っているとか、そういう意味ではわかりますよ。建前としてはわかりますが、税制と財政は一体にしてそういう審議会等でも議論されるべきじゃないかという御指摘だと思うんですよ。そういうことに対する御意見を私は伺っているわけです。
○国務大臣(武村正義君) 今御指摘のような、歳出歳入ギャップの大きくなった財政が大変厳しい状況に立っているときだからこそ今のような御意見が出るんだと思います。いわば歳出の分野を財政審、歳入を税制調査会、こういう大まかには役割分担になっているのかと思いますが、貴重な御提案として承らせていただきます。
○白浜一良君 それで、何点か具体的な内容に関しましてちょっとお伺いしたいんですけれども、まず決算調整資金の繰り戻しの延期というのがございますね、五千六百六十三億円。大体決算調整資金の繰り戻し制度そのものが、決算でいわゆる欠損金が出た場合に二年度以内に補てんするという制度ですよね。そういう制度にも当てはまらないというか、これをまた延期せにゃいかぬというふうな、こういうふうなのはどうなんですか。
 これはやりくりの一つには違いないでしょうけれども、もともとあるそういう弾力的な制度すら踏み越えてしまっているという現実というのはやっぱりもっと厳しく認識されるべきじゃないですか。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 決算調整資金制度といいますのは、年度末間際とか年度経過後に決算上の不足が生じた場合に備えまして、資金からその不足を補てんする制度として昭和五十二年度に創設されたものでございます。今委員が言われましたように、本来ならばこの決算調整資金の財源につきましては、決算不足といういわばマイナスの剰余金に対応するためのものであることを踏まえますと、プラスの剰余金をできればあらかじめ繰り入れるとともに、必要に応じ予算繰り入れを行うことによって賄うこととされているところであるわけでございます。
 しかしながら、決算調整資金の現在高のみでは不足を補てんし切れない場合に備えまして、当分の間の措置といたしまして国債整理基金から決算調整資金に繰り入れを行うこととされておりまして、この繰り入れを行った場合には、その繰入相当額をその日の属する年度の翌年度までに一般会計から資金を通じて国債整理基金に繰り戻さなければならないということとされているわけでございます。
 したがいまして、こういう規定にのっとりますと、今回の平成五年度の決算上の不足に係ります国債整理基金からの繰入相当額につきましては七年度においてこれを繰り戻すことが必要であるわけでございますが、今回、先ほどの大臣の答弁でも申し上げましたが、七年度予算におきまして、財政体質のいわゆる歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するためのぎりぎりの措置としてやむを得ずこの繰り戻しを八年度まで延期することとしたところでございますので、御理解いただきたいと思います。
○白浜一良君 いや、長々と説明いただきましたが、それはわかっています。やむを得ざるというところが認識が甘いのと違いますかというふうに言っているわけでございまして、私が言うまでもございませんが、決算調整資金に関する法律附則第二条第二項、非常に厳格に規定されていますよね。「国債の償還等基金の運営に支障を生じないようにしなければならない。」と非常に厳格に規定されている観点からいくと、やむを得ざるというのはちょっと認識が甘いんじゃないかと。
 わかりますよ。やりくりせにゃいかぬというのはわかるんだけれども、ちょっと法律の建前論をはみ出ているというぐらいの皆さん方から言うたら苦しい措置でしょう。でも、一般的に見るとちょっとはみ出ておるなという、そういう認識に立っているから御質問しているわけで、もう少し厳しい認識を持ってもらわにゃ困りますな。どうですか。
○政府委員(伏屋和彦君) 今、委員の御指摘の決算調整資金に関する法律の附則第二条第二項には、国債整理基金からの決算調整資金の繰り入れにつきまして、まず繰り入れる段階で、まさに今委員が言われましたように、国債の償還等基金の運営に支障が生じないようにしなければならないという規定が置かれているわけでございます。
 したがいまして、繰り入れた場合に、一般会計からこの資金を通じた国債整理基金への繰り戻しにつきましてまさにその附則二条の三項、四項で規定がされているわけで、今申し上げましたように、まさに特例公債の発行を回避するためのぎりぎりの措置として、そこはまさにやむを得ずこの繰り戻しを八年度まで延期することとしたところであるわけでございます。
 なお、おっしゃいますように、決算調整資金への繰り戻しの延期に関しましては、やはり委員が御指摘されましたように、今挙げられました附則第二条第二項の趣旨を踏まえますと、国債整理基金の運営に支障が生じないようにすることが当然の前提となるわけでございます。
 そこで、国債整理基金の資金繰りにつきまして、平成七年度予算におきましてNTTの方のA、Cタイプ貸付金の繰り上げ償還措置を行うこと等によりまして、支障が生じないと見込まれるという前提でこのような措置をとっているわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
○白浜一良君 今、株式売却収入五千四百億ですか、国債整理基金の特別会計のお話をされたから関連して聞きますけれども、まずJTが二千百億円、NTTが三千三百億円、こういう景気が悪いときにこれが本当に売却できるかどうか、これがまず第一の疑問です。これひとつ後で答えてくださいよ、これは仮定の話だからね。
 もう一つは、国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算なんというのがずっとございますけれども、確かに平成七年度は定率繰り入れは当然ゼロだから、株式売却で収入が五千四百億入っているんですけれども、来年度は全く関係なしに定率繰り入れ三兆四千六百億ばっと入っておる。これで数合わせしているわけですよ。実際この一年で、仮定計算とはいえ来年八年度からこういうふうにうまいこといくのかと、こう二つの疑問があるんですけれども、ちょっとわかるように答えてくれませんか。
○政府委員(田波耕治君) JT、NTTの株式の売り払いの問題でございますけれども、六年度の売り払いにつきましては、NTT株式について市場の動向をぎりぎりまで見定めてまいったところでございますけれども、株式市場に悪影響を与えることなく円滑に消化し得る環境とは言いがたい状況であるという認識のもとで、先般、本年度内の売却見送りを決定したところでございます。
 七年度につきましては、JT株式、NTT株式ともに予算計上をされております。株式市場の動向等を十分見きわめながら、適切な売却を図るように努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○政府委員(伏屋和彦君) 委員が言われました、そういう状況を踏まえまして来年度ということでございますが、今年度は、一段と深刻になりました財政事情のもとで、特例公債の発行を回避するための種々のぎりぎりのいろいろな特例的な措置を講じているわけでございます。来年度は一体どういう財政状況になるかということでございますが、今後の財政運営につきまして現段階で明快にこれはこれ、これはこうというぐあいに申し上げられる段階ではございません。
 しかしながら、いずれにいたしましても、やはり深刻さを増す財政事情のもとで、まず歳出面におきまして、制度の根本までさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択などさらにより一層の徹底した見直しを行うとともに、税外収入等歳入面におきましてもいろんな努力を傾注いたしまして、まさに言われますように財政改革を強力に進めていかなければならないというぐあいに考えているわけでございます。
○白浜一良君 その株式売却の話ですけれども、適切な売却と、そう聞いておきます、これ以上言っても何も出ないから。こんな円高でどんどん株価が下がっていますよ。それは難しいですよ。その辺がわかるようなやっぱり説明が欲しいなということでございます。
 それから、今のいわゆる見通しの問題だけれども、私が申し上げたのは、これは本当に来年からちゃんと定率繰り入れが三兆四百億もぴしっとできればいいですよ。またこれはほとんど不可能です。多分、これは一年たったらまたやりくりせにゃいがぬ。そういうことに対するなかなか的確な答弁がないというふうに理解しておきます、難しいということで。
 もう一つ具体的に聞きますけれども、NTT事業の貸付金の繰り上げ償還、これも計上されているんですね。補助金型のBタイプはよくわかります。ずっと出していたわけだから、一括してそういう繰り上げ償還してしまうというのは。ところが今回、財政がないからAタイプとCタイプまで手を出されて、これは要するにどっちかと言ったら事業収益から回収してくる資金ですよ。そういうところまでやりくりで手を出されているというのは、本来のそういうNTTの新装貸付金のいわゆる理念をちょっと逸脱しているのと違うかという感じもするんですが、これはどういう認識をされているんですか。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 委員が御指摘されましたように、NTTのBタイプとA、Cタイプがあるわけでございますが、Bタイプにつきましてはもともと償還時に補助金が交付されるという仕組みになっておりまして、したがって繰り上げ償還を行っても債務者にとって特に不利益とならない仕組みとなっていたわけでございます。そのような仕組みを前提にあらかじめ繰り上げ償還の規定が設けられていたところであるわけでございます。
 一方、今のNTTのA、Cタイプでございますが、これは償還によってすべてが完了する仕組みであることから、単に繰り上げ償還をいたしますと債務者にとって不利益となる仕組みであるわけです。したがってあらかじめ繰り上げ償還の規定も設けられていなかったわけで、そういう意味では、まさに委員が言われましたように、今度のA、CタイプはBタイプとそもそも性格が異なるんではないかとおっしゃいますのは、その点では御指摘のとおりだと思います。
 このA、Cタイプにつきまして、今回繰り入れ特例法におきまして繰り上げ償還措置をお願いしているわけでございますが、NTTの株式売り払い収入は、これは国民共通の資産は国民共通の負債に充てるべきだという考え方に従いまして、本来国債の償還財源に充てるべきものとして位置づけられておったわけでございます。現在、NTT事業としていわゆる社会資本整備に係る事業をやっておるわけでございますが、そのスキームは、この基本原則は維持しながらも、国債の償還等国債整理基金の運営に支障の生じない範囲内でその一部を活用して社会資本整備を図るということでやってきたわけでございます。
 したがいまして、この基本的な仕組みを踏まえますと、七年度予算において一方で定率繰り入れ等の停止措置を講じざるを得ない。そうしますと、停止をしてなお国債整理基金の運営に支障が生じないようにするためには、このNTT株式の売り払い収入を本来の国債整理基金に繰り戻すべきであると考えられることを踏まえまして、繰り返しになりますが、やはり特例公債の発行を回避するためのぎりぎりの措置としてこういうことを講じたわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
○白浜一良君 しかし、もうこれほとんど残高ないですから、今のままではこういうやりくりは来年度からできませんね。厳しくなりますね。これだけを指摘しておきたいと思います。
 もう余り時間がございませんので、大臣、予算委員会で私質問して積み残しのことで一点だけもうちょっとお考えを伺いたいと思います。
 政府系の金融機関で延滞債権の定義が非常にばらばらであるという。国金と環衛公庫だけは民間並みの定義に則しているんですが、ほかの政府系の金融機関は全部、六カ月間以上焦げついている分だけ残っていると、要するに残高すべてが計上されていないんですね。ですから、金融機関の経営の健全性というんですか、内容というんですか、そういうのが非常にわかりにくい。だから、世間で言う不良債権ですね、まあ延滞債権というふうにおっしゃっておりますが、ここをきちっと定義を一本化して、国金とか環衛公庫によるそういう延滞債権の表示というか、足並みをそろえていくというふうにこれは決められたらどうですかね。新聞なんかで一覧で出ても全然内容が違うからわかりにくいんですよ、正確じゃないし。どうですか、大臣。
○国務大臣(武村正義君) 今、与党三党の方でも政府系金融機関の御議論をいただいておる中で、特殊法人全体でありますが、やはりディスクロージャーということが一つのテーマになってきているようでございます。今、白浜議員の御指摘は、大変そういう意味での一つの問題点を御指摘いただいているというふうに認識をいたします。
 従来、会計検査院が検査報告で挙げていることにはなりますが、政府は延滞債権と呼んでおりますが、それにしましても、定義づけあるいは統一した物差しで政府系金融機関全体をきちっと掌握すべしという御主張は、ぜひ今後会計検査院とも相談をさせていただきたいというふうに思います。
○白浜一良君 非常に前向きな大臣の御答弁だというふうに理解します。よく会計検査院と御相談いただいて、ディスクロージャーというのは時代の流れですから、きちっとわかりやすい内容にしていっていただきたいと思います。
 いろいろ質問通告をしたんですが、あと十五分ぐらい時間がございますから、昨日、協和、安全二信組に関する前両理事長の証人喚問がございました。それにちょっと関連して何点かお伺いしたいと思います。
 まず一つ聞きたいのは、政官の癒着ということで、ある特定の方がこの東京協和の高橋さんと非常に親しい関係にあったということが言われておりまして、自家用の飛行機で香港旅行をされたと。午前中の審議もございまして、行かれたのは事実だけれども、どういう背景で行かれたかは、これはよく聞かないとわからないと大臣もおっしゃったですね。それはそういう要素も私はあると思います。
 しかし、ちょっと確認したいんですが、きのうの証人喚問の中での対話では、質問者が九二年に香港まで遊びに行ったことはありますかと、こう質問されたのに対して、御一緒したことがあると、こういうふうにおっしゃっているんですね。九二年の話になっているんです、この喚問での質疑は。ところが、あの委員会を終わってから大臣が記者会見で、事務方を通しての話だということで、時期は九〇年八月と、このようにおっしゃっておるわけでございますが、これはどちらが正しいんでしょうか。
○政府委員(小村武君) 私ども確かめた限りでは、平成二年、九〇年八月というふうに承知しております。
○白浜一良君 ということは、高橋さんの記憶違いだと、こういうふうに理解していいということですね。
○政府委員(小村武君) 高橋証人がどういうふうな背景でおっしゃられたか私は存じませんが、私ども本人から確認した範囲では、平成二年というふうに報告を受けております。
○白浜一良君 だから、これは本当に逸脱した公務員として、まして大蔵省といえばそういう官僚中の官僚というか、非常に大きな役割を果たされているわけで、そういう方の行動というのは、非常にそういう面では、国民から見ましてもやっぱり社会的規範としての厳しい目で見られるのはやむを得ないことなんです。
 ですから、逸脱しているのか逸脱していないのか非常に難しいところでございますが、少なくともきょう午前中の議論の中でも、大臣は直接本人に話をして判断すると、こうおっしゃいましたですね。いつごろお会いになる予定ですか。
○国務大臣(武村正義君) 九州の方へ出張をいたしておりましたので、私は月曜日までには本人と会って、詳細を本人から聞きながら総合的な判断をして、予算委員会で報告をするというふうに申し上げた経緯もありまして、月曜日には申し上げなきゃならないというふうに思っております。
○白浜一良君 わかりました。月曜日までにお会いになって、それなりの判断をされた上で月曜日に一定の見解を述べられると、そういうふうに承りました。
 それと、これも午前中いろいろ議論されておりましたが、これもちょっと高橋、鈴木両証人と長銀側のコメントの違いを感じるんですね。九三年ですか、東京都と一緒に検査に入られて、昨年もされた。これはだめだということで東京共同銀行の体制を組まれたわけです。ですから、当然銀行局長としては、これは人事ございましたから背の話は知らぬかもわかりませんが、だけれども全部継続されているわけですから、当然この長銀のかかわり方とか両信組の経営の内容とか承知された上でそれだけのスキームをつくられたと。私は当然だと思います。
 そういう観点から申し上げましたら、一つは、きのうの両証人の話によりましたら、一九九〇年十一月から九三年七月まで要するに長銀の管理下にあったと両方ともおっしゃっているわけです。その根拠として、毎日出金入金の報告をしていると、長銀にですね。こういう証言をされているんですよ。ところが、長銀の方はそんな深くかかわっていないと。まあいろんな言い古されておりますが、鈴木という常務さんのお話が日経新聞にきょう出ておりますが、個別の案件に口を挟む余地はなかったと、これは東京協和に対してですね。安全信組に対してはヒアリング程度だと。
 これだけ二人の証言と長銀の、常務ですから責任ある方ですよね、この見解が違うんですよ。銀行局としてはいろいろ調査されていると思いますが、これはどっちが正しいんでしょうかね。
○政府委員(西村吉正君) 私ども、長期信用銀行に関しましては、直接長期信用銀行の検査を行うという観点から状況を把握していることと、それから御指摘のように二つの信用組合を東京都に協力して検査したという観点からも一定の情報は得ているわけでございますけれども、私どもの認識といたしましては、東京協和信用組合については長期信用銀行関係の出資があるとか比較的深い関係があることは認識をしておりますが、それに比べますと、安全信用組合との関係というものが、そういう密接な関係があるとは考えておりません。
 なお、これらの両組合と長期信用銀行との関係ということと、東京協和信用組合の高橋理事長が経営しておられましたイ・アイ・イ・インターナショナルという別の組織のメーンバンクである長期信用銀行との関係ということとはいささか違いがあるのではないかと考えておりまして、そういういろいろなふくそうした関係に関する関係者のコメントというものがいろんなニュアンスを持って伝えられているんであろうと考えております。
○白浜一良君 ちょっと局長違うんですよ。要するに高橋証人が昨日おっしゃっているのは、長銀がイ・アイ・イの最大の出資銀行だったから、それはそうなんですよ。だけれども、東京協和信組の出金入金を細かくチェックをしていた、報告もしていた、こういうことだからそれはイ・アイ・イと関係ないんですよ。イ・アイ・イのメーンバンクだということとはまず直接関係ないんですよ。東京協和信用組合そのものがそういう状態にあったということを言われているわけだから、そのことに対してきちっと言ってくれなあきませんわ。
○政府委員(西村吉正君) 私の知り得る範囲では、その二つの信用組合のそういう日々のお金の出入り、まあ日計表というような言葉が使われておるようでございますが、そういうことが長期信用銀行に毎日のように報告されていたということは承知をしておりません。
○白浜一良君 承知をしていないというのは、そうしたら昨日、高橋証人も鈴木証人も虚偽の証言をしていたか、誇張されて言っていたかということですか。
○政府委員(西村吉正君) そういうことを申し上げているんではなくて、私どもはそういう点を把握しておったわけではございませんということを申し上げておるわけでございます。
○白浜一良君 そこが絶対だめですよ。九三年に調査されて、昨年も調査されて、それは東京都からも相談されたでしょう。それが行き詰まって、二つの信組を清算して東京共同銀行をつくろうと、ここまで日銀とも相談されて大きなスキームをつくられたわけだから、最もピークにある時期の経営の実態について、そんなもの知らない、承知しないというのは、これはだれが考えたってそんなもの信じられませんよ。
 検査に入られるといったら、いろんなお金の動きとか、社内のいろんなそういう管理体制というが、そういうことまで当然チェックされるはずだから、どうなっているかというのは絶対知らないとは言えないんですよ、そんなことは。そんなこと知らぬようではこんな大きなスキームを組めるはずがないんですよ、絶対に。これはだめですよ、局長。
○政府委員(西村吉正君) 私どもも、先ほど申し上げたような検査の関係から、日本長期信用銀行と、それをメーンバンクとしておりましたイ・アイ・イ・インターナショナルとの関係、そういうことを中心にいたしまして、今回の処理方策につきましては、他の銀行と日本長期信用銀行とは違った位置づけにあるということは十分認識しておるところでございます。
 そういう認識の違いから、他の銀行の協力の仕方のほか、日本長期信用銀行に関しましては元本ベースで四百五十億円に上ります処理方策に対する負担を求めたところでございまして、そのようなことがこの両者の関係を示しておるものと私どもも理解をしておるところでございます。
○白浜一良君 なかなか表現しにくいところなんでしょうけれども、それは本当に理解しがたいですよ。
 それで、ちょっと違った観点から言います。きょうも新聞に報道されていましたけれども、共同銀行に民間の金融機関も出資しますね。それできのう説明会をされたんですか、そういう報道をされておりました。これマスコミの記者もいろいろ取材したんでしょう。そうすると、昨日は両前理事長のいろんな証言もあったからでしょう、要するに長銀の負担が少な過ぎるという意見も載っております。これはやはり昨日のいろんな証言の過程で、必要以上に深入りしている、深い関係がある、ある意味では長銀側にもっと責任があるんじゃないか、多分そういう思いを持たれた方だと私は推測するんです。だから、長銀の負担が少な過ぎるじゃないかとか、また、長銀は安全信組についても全部知っていた、負担額もふやすべきだとか、長銀は当初安全も含めて吸収するつもりだったのではと、こういうそれぞれ感想を漏らされているわけです。
 これは、だれかわかりませんが、しかるべき都市銀行の責任者でしょう、きのう説明を受けられた方だから。こういう反応があること自身が、やっぱり厳しく認識されているということなんですよ、両信組と長銀のこの何年間かの関係というものは。そこをどう受けとめていらっしゃるかということなんです。
○政府委員(西村吉正君) 昨日、東京都議会が本会議で対応を決定されましたことを受けまして、東京都の責任者の方、それから私ども、それから日本銀行、三者で現在の状況につきまして民間の金融機関の方々に御説明及び我々の考え方を御説明する機会がございました。その席ではそのような御意見が出たということはございません。
 ただ、民間の方々にはいろんな御意見をそれぞれお持ちであろうかと思います。全体といたしましては、私どもの承知しておる限り、今回の処理方策については協力をしていただけるという理解をしておりますけれども、それぞれ御意見がおありだろうと思います。
 私どもといたしましては、日本長期信用銀行のこの問題に対する特別な立場というものも勘案いたしまして、四百五十億円の元本ベースの負担というのは相当な負担ではあろうかと思いますけれども、そういうものを別途求めたところでございまして、私どもとしてはその状況に応じた適切な負担であると認識をしておるところでございます。
○白浜一良君 それは局長、そんな公式の場でこういう意見は言いませんよ。そんな大蔵省に刃向かったら困りますやん。やっぱりある程度レールを引かれたらそれに乗っていかざるを得ないということですよ。だけれども、これは個々に記者が取材しているから間違いないですよ。こういうお考え、感想というものがあるというのも事実なんですから、それは認めないといかぬですよ、絶対に。表向き反対意見がないからすべてが納得しているというわけじゃないんです。それは力関係もあるわけですから。ということだけもう時間がございませんので言っておきたいと思います。
 最後に大臣にお伺いしたいんですが、先ほど香港の飛行機旅行の話がございました。そういう証言がきのうあったということでしょうけれども、きのうの晩のニュース番組では、大蔵省と民間業者、特に銀行ですか、そういう癒着している報道というか、そういうものを強調されておりましたね。
 それで、ニュースではこういうことを言っていました。民間の銀行の中でいわゆる一番エリートはMOF担だ、これはもうわかり切ったことだと、MOF担をきちっとやってエリートになっていく、これはもう常識なんだと、こういう御意見もございましたし、MOF担になると、要するにやっぱり接待することが非常に大事なんだと。ある民間銀行OBの方は週に三回はそういうことをやったと。うそか本当か知りませんよ。要するにそういう報道をきのうというときだからこそしていたんだと思うんですよ。
 事実でなかったら私は本当に不名誉だと思うんです。みんなやっぱり社会のため国家のためにお仕事されているわけですから、大蔵省の方々も。ただし、証言の影響でしょうが、きのうはそういうニュース番組が結構多くございまして、それは国民の中にいわゆる映像として映っているわけですね。
 そういうことで、どうか大臣の方から、そうじゃないんだと。国民がわかりやすいように、そういう報道されていることに、まあ事実として報道されているんですよ。そういうことに対するコメントも含めて、こうなんだとはっきり大臣の方から答弁をいただいて、終わりたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 昨夜のおっしゃっているテレビは私は残念ながら見ておりませんが、いつぞやテレビドラマでMOF担が、女性でしたけれども、登場するものがありまして見たことがあります。ある銀行の大蔵省担当、美人の優秀な女性でありましたが、ばりばり活躍しているドラマでありました。
 私は、大蔵省こそひときわ綱紀の厳正な保持に努めなければならない役所だと思っておりますし、そのことは大蔵省の諸君は日ごろ十分認識をしながら職務に精励をしてくれているものと思っております。
 昨日の報道された具体的な案件については、私自身が事情を掌握しながら最終判断をしたいと思っておりますが、今後一層綱紀の粛正といいますか、厳正な保持のためには努力をしていかなければならないと思っておりますし、そのために真剣に大蔵省の中でもひとつ議論をして意志統一を図っていきたいと思っているところであります。
○池田治君 ただいま白浜議員の質問に対しまして、本年度計画されていたNTT株五十万株の第四次売却については見送ることを継続をする御答弁がございました。
 NTT株は、昭和六十一年度から六十三年度に計五百四十万株を売却、平成三年度から毎年五十万株を売却するという計画を発表されましたが、たしか一度もこれは実行されていないようでございます。
 平成六年度でも、NTT株売却により三千四百五十二億円の歳入を見込み、整理基金に計上されていたようでございますが、売却見送りに伴って、計上されていた三千四百五十二億円の歳入はどのような形で補てんされたのか、今からされるのか、お伺いをいたします。
○政府委員(田波耕治君) 委員御指摘のように、平成六年度におけるNTT株式の売却につきましては、市場の状況等をぎりぎりまで見きわめてまいったところでございましたが、先般、本年度内売却見送りを決定したところでございます。
 それで、おっしゃいましたように、その結果予定されておりました売却収入が国債整理基金に入ってこない、その分については見込みどおりではなくなったということでございますけれども、当面、国債整理基金の運営の上でそのために特段の支障が生ずるということはないものと考えております。
○池田治君 どういう形で補てんされたかとお尋ねしているんですが、支障があるかないかとは別に、補てんの形式をお尋ねいたします。
○政府委員(田波耕治君) そういう意味では、当面その分について現在すぐ補てんが行われるということではございませんで、将来において、その株式が売却をされる時期においてその売却収入が実現される、そういうふうにお考えいただきたいと思います。
○池田治君 それでは、次にNTTの無利子貸付事業についてお伺いをいたします。これも白浜議員もお尋ねになりましたが、ちょっと突っ込んでお尋ねしたいと思います。
 昨年度と一昨年度に繰り上げ償還されたいわゆるBタイプ事業、これは公共団体に対する補助金的な性格のものでございまして、国の資金を建設国債に振りかえることも当初から許容されておりました。また、Bタイプ事業については繰り上げ償還についての規定もあり、創設当初から一般会計が苦しくなったときは繰り上げ償還対象となることも規定しておられたと考えております。
 しかし、今回繰り上げ償還の対象となるAタイプ、Cタイプは、繰り上げ償還の規定もございませんので、繰り上げ償還ということを当初からは考えておられなかったんじゃないか、こういう疑問がわいできますが、当時はどうだったのか、大蔵省にお尋ねいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) お答えいたします。
 委員今御指摘のとおりでございますが、まず、Bタイプ事業といいますのはいわゆるNTTの事業の補助金型と言っておるものでございます。元来、先ほど委員が言われましたように償還時には補助金が交付される仕組みとなっております。したがって繰り上げ償還を行う。したがって、まさに委員が言われましたようにそういう仕組みが前提でございますので、あらかじめ繰り上げ償還の規定が設けられておりました。
 他方、Aタイプ、私ども収益回収型とか、Cタイプはいわゆる民活型と言っておりますが、これにつきましては償還によってすべてが完了する仕組みでございますので、まさに委員が言われましたように、当時はあらかじめ繰り上げ償還の規定を設けるような考え方をとっておりませんでしたので、繰り上げ償還の規定はないというまさに御指摘のとおりでございます。
○池田治君 だから、最近になってその趣旨が変わってきたわけですよね。
 そこで、Aタイプ、Cタイプの事業も、これは社会公共のために有益な事業を手助けするわけでございまして、立派なものだったと思っておりますが、ただ、これらの事業は売却収入があったからこそ行えたのであって、本年度のように一般会計に資金を戻さなくちゃならないという状況ではなかったからやれたと思うんです。こうなった以上、大蔵省のお考えとしては、事業を中止してもいいしまた縮小してもよいし、また財投に頼ったり地方公共団体に事業の継続をお任せになってもよかったんじゃないかと、こういう選択肢があったと思うんですが、どうしてBタイプと同様の財源対策に繰り込んでこられたのか、手っ取り早いからやられたんだろうと思いますが、この理由をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(伏屋和彦君) Bタイプは、先ほど申し上げましたように繰り上げ償還を行ってももともと債務者に不利益にならない、補助金が交付されるものですから、そういう仕組みであったわけでございますが、一方Cタイプは、そこで債務者に不利益とならないような措置を講じながら、まさに今回繰り上げ償還ということをお願いしているわけでございますが、基本的な考え方は、まずNTTの株式売り払い収入、当時の考え方といたしまして、これは国民共通の資産、財産であると。当時からも大きな国債残高を抱えておったものですから、その国民共通の資産、財産を国民共通の負債に充当する、いわば国債の償還財源に充てるべきものとしてもともと位置づけられていたわけでございます。
 他方、現在のNTT事業といいますか社会資本整備にかかりますスキームは、国民共通の資産は国民共通の負債に充てるという基本的な原則は維持しつつも、国債の償還等の国債整理基金の運営に支障の生じない範囲内でその一部を活用して社会資本整備を図ることとしているものでございます。
 一方で、先ほど委員も言われましたが、この社会資本整備事業でございますが、やはりこれは有効な事業としてなお今後とも続けさせていただくということで、他方、制度の本来の趣旨に照らしまして、また国民共通の資産を国民共通の負債に充てるという考え方に従いまして、何といっても七年度の厳しい財政事情の中で特例公債の発行を回避するためには、やはりこの繰り上げ償還という措置をとることによって国債の償還財源を確保する、そういう意味で、全体としてぎりぎりやむを得ない措置と考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
○池田治君 なかなか厳しい財政のもと、大蔵省も御苦労されていることはよくわかりますが、ちょっと趣旨が大分違ってきて、これで果たしていいのかなという疑問はあります。
 次に、A、B、Cタイプの残り枠についてお尋ねしますが、国債整理基金への定率繰り入れの停止は昭和五十七年度から平成元年度まで行われました。五年度から再開されて本年度で三年目になります。五年度以降の繰り入れ停止措置に伴って一般会計に保留されていた金額は、五年度が三兆四百八十七億円、六年度が三兆八百四十九億円、七年度が三兆二千四百五十七億円となっております。このような国債整理基金への定率繰り入れにかわる財源としてNTT無利子貸付事業の繰り上げ償還が今まで充てられてきたと思います。
 五年度、六年度は、Bタイプ事業がそれぞれ二兆四千八百三十八億円と二兆二千六百四十一億円繰り上げ償還されております。しかし、昨年度でBタイプ事業はほぼ建設国債に振りかわったと思いますがどうですか、確認させてください。
 また、七年度はA、Cタイプを一兆一千八十七億円繰り上げ償還することにされておりますけれども、Aタイプは八千百二十八億円、Cタイプは五千七百八十億円が総事業額のようでありますが、今後繰り上げ償還の財源となる事業額は余り残っていないんではないかと考えられますが、残額はどのくらい残っておるのか、明示してくれませんか。
○政府委員(伏屋和彦君) 六年度までBタイプ事業につきまして、七年度につきましてはA、Cタイプにつきまして繰り上げ償還措置を講じようとしているところでございますが、委員が御指摘ありましたところでございますが、まずBタイプにつきましては既に建設公債に振りかえておるわけでございます。それから、A、Cタイプにつきまして今回の繰り上げ償還措置は、今まで行ってまいりましたA、Cタイプの昭和六十二年度から平成六年度までに貸し付けられ、いまだ償還されていないものにつき特例的に繰り上げ償還を行うものとするものでございます。
 したがいまして、御指摘のように、原則として六年度末のNTT無利子貸付金のすべてについて七年度中に償還されるものでございますので、既往の貸し付けにかかるものにつきましては一応これで全部繰り上げ償還の対象としたということでございます。
○池田治君 それでは、大臣に最後にお尋ねしますが、残額はもうほとんどなくなったというさっきの答弁でございます。
 そうしますと、本年度でA、B、CのNTT無利子貸付融資の繰り上げ償還もほぼ使い切ってしまったという以上、本年度以降は定率繰り入れ停止という措置はもうとれなくなったと思いますが、この点について、停止にかわる何か財源措置が考えられておりますかどうかお熱ねします。
 株の売却のお話も白浜議員からお尋ねになりましたが、これは景気がよくなったらとか株価の問題が解決すればとかということで、来年度も五十万株の売却が可能かどうかもわからない、こういった要素がございますので、これにかわる財源は何を考えておられるか、御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 今は何も考えておりません。
 御指摘のように、NTTのA、B、C、ほんの少し残っているようですが、もうほとんどないと見ていいわけでございますから、こういう非常措置はもう道を閉ざされることになります。来年度予算編成も、従来やってまいりましたような姿勢で概算要求を行い、編成を行っていきますと、間違いなく要調整額がかなり出るということが想定されるわけでありまして、そういう道を来年度も歩んでいくのかどうか、そのことこそこれから真剣に論議をしなければならないと思っております。
 大蔵省、政府としましても、まさに一段とというよりももうかなりの絶壁に追い込まれてきているという認識を持たなければなりませんし、そういう中で歳出削減の努力も歳入確保の努力も、したがって、歳出歳入のバランスをどうより健全な方向に少しでも進めていくかという財政健全化に向かって相当な決意と努力をしなければならない思いでいっぱいでございます。
 今の時点で具体的にどうするかというところまではまだ頭が及んでいないことを御理解いただきたいと存じます。
○池田治君 時間です。終わります。
○吉岡吉典君 午前、答弁が得られませんでしたけれども、官房長おいでなのでお伺いします。
 高橋氏の自家用機で田谷氏が香港へ同行したという問題ですが、これはきのうまでは本人は一切そのようなことはないと全面否定なさっていたのか、あるいは部分的には認めておられたのか、この点まずお伺いします。
○政府委員(小村武君) 昨日、週刊誌におきましてそういう報道があり、また議院証言の中でもありましたものですから、私どもそういうことが表に出てきたといいますか、承知をするに至りました。それを踏まえまして、本人出張中でございますので電話連絡等々とりまして、公務員として恥ずかしくない行動をしておるかという点について問いただしたものでございます。
○吉岡吉典君 いや、それ以前のことをお伺いしているんです。きのう証言があって、本人が認めたことは午前にはっきりしているわけです。それまでは一切ないというように大蔵省の調査に対して言っておられたかどうか。
○政府委員(小村武君) 私どもは、個々一つ一ついろんな風評がございますが、確かめたわけではございません。私どもの調査能力等々においても限界がございます。本人にどういう質問をしたかというのはここでは差し控えたいと思いますが、公務員として社会通年上恥ずかしくない行為をしているかということについて常日ごろから問題意識を持ち、かつ、こういう問題が生じたときには本人にまた問いただしたり等をしておったわけでございます。
○吉岡吉典君 これ一問で終わりたかったけれども、そう言われると、大臣が答弁しておられた本人は否定しているという答弁はどういうことになっちゃうんですか。
○国務大臣(武村正義君) お答えしましたように、事実無根であるといって文芸春秋社に対して弁護士を同道して抗議をする意向だと聞いているとお答えをしましたのは、これは本人に確認してみないとわかりませんが、香港へ行ったことを否定しているんではなしに、そのことは私はよく中身までわかりませんから、いやしくも公務員として恥ずかしい行為、節度を超える行為は一切していないということであったと思うし、文芸春秋にどういう表現で書かれているのか、香港へ行ったということも報道されていますが、その事実が端的に報道されているんじゃなしに、恐らくいろいろその前後書かれているんじゃないか。いわゆる公務員としてあるまじき云々という、そういうところに対してきちっと否定していると、こういう意味ではないかと私は思います。
○吉岡吉典君 香港へ行っていたことは本人は否定していなかったということだとすれば、問題ははっきりします。
 そこで、官房長でも大臣でもいいんですが、官庁綱紀の粛正についてという通達が何回も出ていますよね。これはいわば、私が午前言った政治家の倫理綱領に当たる公務員についての基準だと思います。そうすると、きのう明らかになったように、香港へ高橋氏の自家用機で同行していてもやましいことはないとおっしゃっていたとすると、この綱紀粛正の通達に照らして、それはそういう認識でいいのかどうなのか。官庁の綱紀の粛正についての通達というのは厳格に守られていると自信を持って言えるかどうか。これはどちらでもいいですからお答え願います。
○政府委員(小村武君) 私ども機会があることに、幹部会あるいは総務課長会議等々におきまして綱紀の粛正あるいは職員の健康管理の問題等々について常にそういう指示を出しております。綱紀の粛正については、なおこういう機会に一層努力をいたしたいと思います。
 なお、本人に関する件につきましては、出張中でございまして、帰り次第大臣が直接会ってその事実を確認して、その上で大臣がまた御判断をなさることであろうかと存じます。
○吉岡吉典君 法案に移ります。
 これまで私聞きたかったこともいろいろ論議されましたので、まず最初に、大臣もこういうやりくりというのは不健全だと、こういうふうにおっしゃっているわけですね。不健全な状態でなくさなくちゃいかぬということですが、こういうのは簡単にはなくならないと思いますね、こういうやり方というのはね。やはりいつまでにはこうしたいとか、ある目標を持ってやるとか、何らかの思い切った方向でやらなければいつまでも結局続くことになると思いますけれども、何かそういうめどでも持ってやろうというふうなことは御検討なさっていませんか。
○国務大臣(武村正義君) 一般的には行政改革とか行財政改革という総理先頭に政府挙げて取り組んでいる課題があるわけであります。
 しかし、ややもすると行政改革というのは、行政をスリムにしていこう、より小さな政府を目指していこうというニュアンスはありますけれども、時代の流れに沿って、あるいは国民の御期待に沿った行政をつくっていこうというそんな認識もありまして、必ずしも財政の健全化といいますか、歳入歳出の中で特に歳出を切り詰めていくというその一点に焦点を絞った意識ではないようにも思えるわけであります。
 そういう意味では、行財政という言い方を最近使ってもいただいているわけでございまして、私どもはさらにそれを締まった言い方をすれば、財政再建、財政改革という言葉を使っていいと思いますが、その視点では、まずは歳出のカットを優先してぎりぎりの努力をしなければいけないという思いであります。
 その場合に、言葉として制度の根本にまでさかのぼって見直すと言っておりますのは、要するに、法律で義務づけられている支出、国民サービスにかかわる支出であっても、法律改正をしてでも削るべきは削る、削減すべきは削減していかざるを得ないという思いを込めているわけであります。また、厳しい優先順位の選択をしなきゃならないと言っておりますのも、もうむだとか不急不要を超えて、もちろんむだとか不急不要の予算は削らなければなりませんし使ってはいけませんが、それを超えて必要な経費、国民からは非常に期待されている経費であっても、より優先順位の高いものがあれば、低いものを抑える、あるいは削る、そして高いものに回していくと。そういう大変厳しい選択をしなければならないところへ来ているという意味を込めて申し上げているわけであります。
 今日まで十分その努力をしたとは言い切れませんが、平成八年度以降についてはそういう険しい道を歩まなければならないという思いでありますし、これは大蔵省が努力するというよりは、やはり国会を含めた各政党、政治全体のやはり決意や御努力にもかかわる問題であると、大変僭越な言い方で恐縮でございますが、そういうふうにも思うわけであります。なぜなら、やっぱり予算を削るとなれば、やはり国民の意向を反映して、なかなか容易にそのことをお認めいただくことは難しい状況があることを知っているからでございます。私どもの決意だけで済む話ではありませんので、ぜひ議員各位におかれましても御理解を賜りたく存じます。
○吉岡吉典君 去年のこのやりくり法案の採決に当たって行われた全会一致の附帯決議の中でも、各歳出項目についての徹底した洗い直しや制度、施策の根本に踏み込んだ見直しを幅広く進めることというのがあり、当時は林大蔵大臣ですけれども、その御趣旨を踏まえて努力するというように述べておられるわけですけれども、やっぱりこういう事態になっているわけですね。
 大臣言われた中で、国民の要求があってもというところは何を念頭に置いておられるか私はわかりませんけれども、私どもは歳出の検討すべきものを提案しているので、国民の要求も抑えるということになるのは、やっぱりこれはいただけませんけれども、私どもはこういうやりくりなしでやれるようにしていただきたいと思います。
 その上で、これは言葉じりになるかもしれませんけれども、そういう不健全なやりくりについてのこの提案理由で、財政運営を適切に行うためにこの法案を提出すると言われると、その論議がありましたけれども、これが適切な財政運営だといえるかどうか、やっぱりそこらに私は大蔵省の認識のまだ甘さがあるんじゃないかと思うんですね。
 例えば決算調整資金制度にしましても、今度の提案、私繰り返すまでもありませんけれども、繰入残高というのはゼロだと。これもゼロでないはずなんですね、そもそもつくられた制度の目的からいえば。しかも、国債整理基金からの繰り入れというのは当分の間というのが恒常化してしまっている。国債整理基金からの繰り入れの返済は翌年というのをまた延ばそうと、こういう法案が財政運営を適切に行うための法案だということには私はならないと思うんです。それは言葉の問題ですが。
 この決算調整資金制度というのは、こういう無理に無理を重ねている状況でもやはり正常に機能している、そういうふうにお考えになるんですか。
○政府委員(伏屋和彦君) 決算調整資金制度は昭和五十二年度に、年度末の間際あるいはその年度が経過してしまった後に決算上の不足が生じた場合に備えて、そのような事態が生じた場合にその資金から不足を補てんする制度として創設されたわけでございます。その意味では本来この決算調整資金の財源は、できればあらかじめ剰余金を繰り入れるとか、必要に応じ予算を繰り入れることによって確保しておくといいますか、それが望ましいわけでございますが、現実に法律の規定といたしましては、この法律の四条に剰余金の繰り入れ、予算繰り入れによって賄うということとされているところでございます。
 そこで、現在はこの資金の現在高のみでは不足を補てんし切れない状態でございます。したがって、まさにその場合に備えての当分の間の措置として附則の規定がありまして、その附則の規定が、今回で言いますと七年度までに一般会計から資金を通じて繰り戻しなさいと書いてあるわけでございまして、その意味では適切な財政運営にもかかわる部分でございますが、特例公債を回避するぎりぎりの措置としてこれを八年度までに延期させていただきたいという趣旨で繰り入れ特例法をお願いしているわけでございます。
○吉岡吉典君 適正というのは、赤字公債を出さないというのが適切な運営ということの意味の模様ですけれども。
 時間が来ましたけれども、もう一つだけお伺いします。国債整理基金の資金繰りの問題ですけれども、大蔵省の仮定計算によると九五年度末残高は一兆六千三百億円となっていますが、このうち一兆千五百億円はNTT無利子融資を繰り上げ償還させて確保したものでありますね。そのために別途建設国債を発行して無利子融資を継続するというやり方になっておりますね。これは大蔵省からいただいた表を見ましても、結局は回り道した形になっているけれども、建設公債を発行してそういうやりくりをやるということ、ちょっと格好つけるだけの措置だと思うんですよね。だから、ややこしくてわかりにくいことになっているわけですね。
 こういうこともやっぱり財政運営を適切なものにするためというふうに説明されている。そうじゃなくて、やっぱりもっと厳しく今の事態に沿って、非常にわかりにくいこういう事態になっているというふうに言わなければ、僕はやっぱり何とか格好つけているということになると思うんですけれども、これは大臣、これでもやっぱり適切な財政運営ということになるんですか。
○国務大臣(武村正義君) 大変ややこしい仕組みでありますが、まさにこのややこしさがやりくりの内容を証明しているというふうにも、これは反省を込めて申し上げているわけであります。こういうところまで手をつけざるを得なくなってきていると。財政健全化への努力という意味では確かに適切とは私は思いません。しかし、おっしゃるように、赤字国債を発行することに比べれば妥当な選択、やむを得ない選択であるというふうに思っておりまして、その点、御理解賜りたく存じます。
○吉岡吉典君 終わります。
○島袋宗康君 歳入の確保と歳出の削減のための措置などによって奇心惨たんの平成七年度予算が編成されているわけでありますけれども、ことしの大蔵省のやりくりを見ていますと、率直に申し上げまして、なぜそんなにしてまで赤字公債を隠す必要があるのかどうか。私は、このような国民の側から見てわかりにくいやりくり算段といいますか、そういった問題について歯どめをかけて、むしろ悪化した我が国の財政実態を国民の前に明らかにして、そして、隠れ借金といいますか、国民の論議を待つべきではないかというふうに考えますけれども、大臣の御所見をお願いします。
○国務大臣(武村正義君) こういうやりくり措置と赤字公債の発行との比較の議論になってくると思うのでありますが、単純明快という意味ではおっしゃるとおり赤字国債の方がわかりやすいと思います。
 しかし、今度は赤字国債の持つまた大きな問題点もお互い認識をする必要があると思うのであります。一つは、やはり健全な毎年の収入で毎年の歳出を賄うべしと、これが財政の基本でございます。収入を超える歳出を組むところに問題があるわけでございますが、その差額をどんどん赤字国債を発行することは、基本的に健全でないという考えがございますし、六十年償還でございますから、先生、これはやっぱり孫や子供に利子をつけて負担を背負わす、後世代の税負担に任せると。今の世代の我々としては大変安易な道、くみしやすいわけでありますが、非常に子孫に重い責任を果たして任せていいんだろうかという問題があります。
 あわせて、やはり一たび赤字国債というのは発行し始めますと、何にでも使えるわけですから、もうどんどん、既に過去体験してきましたようにいちずにこの道を走ってしまう。まさに歯どめがなくなる可能性がある。そんなこと等々で私どもは赤字国債の発行だけは何としてもぎりぎり最後まで思いとどまらなきゃならないという考えに立っておりまして、そのことが結果としてこういうやりくり算段の方途を選ばざるを得なかったという現状であります。
○島袋宗康君 そこで、平成七年度にはもう既に四十一兆円という隠れ借金といいますか、そういった実態になるわけでありますけれども、やはりこの事態に対して大臣のまた御所見をお願いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) これは隠れ借金ではないのでありますが、そういうふうに言われておりまして、こうして堂々と法律で国会にお諮りをしてお認めをいただいているわけでございますが、いわゆる公債以外のいわば借金的な措置だという意味で隠れ借金と言われていると思っております。本当に四十一兆円、この数字の大きさからいっても意味をかみしめなければなりませんし、こっちに二百十三兆円の公債があり、プラスこういう措置があるということを厳粛に見詰めなければならないと思っております。
○島袋宗康君 予算のやりくりの中で最大の歳出削減策は、三兆二千億円以上もある国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れを行わない特例ですが、その手当てを貸付金の償還繰り上げによって行うというふうになっております。その繰り上げに対しても、政府はそれを改めて無利子で貸し付けることにし、その財源を建設国債で賄おうとしておられるわけであります。
 この問題は、本来無利子で貸し付けられているNTT事業貸付金が繰り上げ償還され、いつの間にか建設国債に取ってかわられていることであります。その利子相当分は当然ながら国民の税金で賄うことになっているわけですが、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
○政府委員(伏屋和彦君) 今、委員が御指摘ありましたように、一方で七年度予算におきまして定率繰り入れ等の停止措置を講じているわけでございます。
 NTTの事業でございますが、本来NTTの株式売り払い収入は、国民共通の資産、財産を国民共通の負債に充てるべきであるという考え方に従いまして、もともと国債の償還財源に充てるべきものとされておるわけでございます。
 現在のNTTの事業、いわゆる現行の社会資本整備に係るスキームは、この基本原則は維持しながら、国債の償還等国債整理基金の運営に支障を生じない範囲内でその一部を活用して社会資本整備を図ることとしているものでございまして、一方でその繰り入れ等の措置を停止する場合に、やはり国債整理基金の運営に支障を生じないようにするためには、このNTT株式売り払い取入を国債整理基金に繰り戻すべきであると、本来の考え方からだと支障を生じないために繰り戻すべきであると考えられるわけでございます。
 その場合に、この繰り上げ償還に当たりまして、別途実質的に同じような同等の貸付措置を行うこととしておるわけでございますが、これは既に実施しております社会資本整備に係る事業に、こちらの事業にも支障が生じてはいけませんですから、この支障が生じないようにするための措置でございます。
 じゃ、それをどういう財源で確保するかということになりますと、現在の厳しい財政事情のもとでは、結局社会資本の方に支障を生じないようにするためには、貸し付けに当たり建設公債を発行して賄わざるを得ないということで、私どもやはりこの建設公債、これは確かにおっしゃるように利子負担を伴うものでございますが、そういうことでやらざるを得ないということでございますので、何とかその点を御理解いただきたいと思います。
○島袋宗康君 三月四日の日経新聞の報道によりますと、大蔵省はNTT株の年度内の売却を見送る決定をされたと、株式市場の状況を見ながら、というふうなことになっていると思いますけれども、この問題について今後どのように対処されていかれるのか、お聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(田波耕治君) NTT株式につきましては、本年度の売却につきまして市場の状況等をぎりぎり見きわめてまいったところでございますけれども、株式市場に悪影響を与えることなく円滑に消化し得る環境とは言いがたい状況が続いていることから、委員おっしゃいましたように、先般本年度内の売却見送りを決定したところでございます。
 七年度におきましては、民営化の趣旨を踏まえまして、計画的に売却することを基本とする方針にのっとりまして、五十万株について売却のための予算計上を行っているところでございます。株式市場の動向等を十分見きわめながら、適切な売却が図られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○島袋宗康君 そこで、NTT株収入による無利子貸付制度の財源は株式を売却しなければ調達できないわけでありますけれども、もし売却が再開された場合、貸付制度そのものはどうなっていくんでしょうか。今後も維持されていくのか、お伺いいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) 今言われました事業、制度の方でございますが、このNTT株式を活用しました無利子貸付事業は、NTTの株式売り払い収入に着目いたしまして、それを活用することによって大切な社会資本整備を推進していくという、そのための重要なスキームとしてこれまでも有効に機能してきたところでございます。今後ともこのスキームは必要であり、かつ重要なものとしてその機能が期待されるところでございます。
 今、委員が言われましたように、近年NTT株式の売却が必ずしも順調ではないことなどを背景といたしまして、国債整理基金の運営は必ずしも余裕があるといった状況ではございませんが、今後国債整理基金保有の株式の売却も期待されること等も踏まえますと、この無利子貸付事業を今後とも維持することが適当であると私どもは現在のところ考えております。
○島袋宗康君 産業投資特別会計からの貸し付けのうち、いわゆるCタイプの無利子貸し付けは、昭和六十二年度から平成六年度までの期間で五千七百八十億円の実績があるようであります。この貸付原資のうち、開銀、北東公庫、沖縄金庫にはそれぞれどれぐらいずつ配分されているのか、お聞かせ願いたいと思います。その資金は主にどのような事業で活用されているのか、お伺いいたします。
○政府委員(伏屋和彦君) 今、委員が言われました日本開発銀行、北海道東北開発公庫、沖縄振興開発金融公庫、これらの政府関係金融機関におきまして、NTT株式の売り払い収入の一部を活用いたしまして社会資本の整備の推進を図るという趣旨から、今委員が言われましたのはいわゆるCタイプの話だと思いますが、第三セクターが行う事業でありまして国民経済の基盤の充実に資する、そういう特定の公共性の高い施設を対象に無利子融資制度が設けられているわけでございます。
 そこで、この制度の財源となります産投特会からのこれらの各機関への繰り入れが、先ほど委員も言われましたように、昭和六十二年度、これが制度創設当時でございますが、昭和六十二年度から平成六年度まで行われてきておるわけでございますが、その予算額を単純に合計いたしまして累計で申し上げますと、日本開発銀行が四千六百二十億円、北海道東北開発公庫が千百十八億円、沖縄振興開発金融公庫が四十二億円でございまして、合計がまさに委員が言われました五千七百八十億円となっているわけでございます。
 これらによりまして一体どういう事業が具体的に行われているかということでございますが、日本開発銀行におきましては幕張メッセとか京阪奈学園都市とか、それから北海道東北開発公庫におきましては札幌副都心開発、地下無重力実験センター等の事業が行われておりますが、沖縄振興開発金融公庫におきましても沖縄のケーブルネットワーク、それから泊埠頭の開発、これら等に投入されているわけでございます。
○島袋宗康君 来年度の補正予算を組む必要があるんじゃないかというような閣僚の御意見があるようでありますけれども、それについて、質問事項ではないんですけれども、もしありましたら御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 御承知のように、まず大震災関係については、これはもう目をつぶって補正対応をしなければならないということであります。
 昨今、円高等をめぐって社会資本整備あるいは中小企業対策等で補正が要るんではないかという意見がぼつぼつ出ているというのは私も伺っております。まだ大蔵省としてはその問題を検討する状況ではありませんが、真剣に各界の意見に耳を傾けたいと思っております。
○委員長(西田吉宏君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十分散会