第132回国会 決算委員会 第2号
平成七年四月十日(月曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     翫  正敏君     西野 康雄君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     西野 康雄君     翫  正敏君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     楢崎 泰昌君     野間  赳君
     翫  正敏君     西野 康雄君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     野間  赳君     宮崎 秀樹君
     高崎 裕子君     西山登紀子君
     西野 康雄君     翫  正敏君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     宮崎 秀樹君     楢崎 泰昌君
     川橋 幸子君    日下部禧代子君
     西山登紀子君     高崎 裕子君
 三月八日
    辞任         補欠選任
    日下部禧代子君     川橋 幸子君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     高崎 裕子君     林  紀子君
     喜屋武眞榮君     下村  泰君
 三月十日
    辞任         補欠選任
     林  紀子君     高崎 裕子君
     翫  正敏君     西野 康雄君
     下村  泰君     喜屋武眞榮君
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     佐藤 静雄君     野村 五男君
     西野 康雄君     翫  正敏君
     喜屋武眞榮君     下村  泰君
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     笠原 潤一君     木宮 和彦君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     笠原 潤一君
     楢崎 泰昌君     中曽根弘文君
     野村 五男君     佐藤 静雄君
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     楢崎 泰昌君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     溝手 顕正君     岩崎 純三君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     溝手 顕正君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     楢崎 泰昌君     岩崎 純三君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     大塚清次郎君
     下村  泰君     西川  潔君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     大塚清次郎君     楢崎 泰昌君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     川橋 幸子君     峰崎 直樹君
     小林  正君     中村 鋭一君
     続  訓弘君     都築  譲君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     峰崎 直樹君     川橋 幸子君
     都築  譲君     続  訓弘君
     中村 鋭一君     小林  正君
     西川  潔君     下村  泰君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         前畑 幸子君
    理 事
                岡部 三郎君
                松谷蒼一郎君
                今井  澄君
                牛嶋  正君
                武田 節子君
                高崎 裕子君
    委 員
                笠原 潤一君
                鎌田 要人君
                北  修二君
                佐藤 静雄君
                清水 達雄君
                楢崎 泰昌君
                南野知惠子君
                溝手 顕正君
                守住 有信君
                会田 長栄君
                川橋 幸子君
                栗原 君子君
                佐藤 三吾君
                小林  正君
                統  訓弘君
                山崎 順子君
                横尾 和伸君
                星川 保松君
                翫  正敏君
                下村  泰君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
       厚 生 大 臣  井出 正一君
       農林水産大臣  大河原太一郎君
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       建 設 大 臣  野坂 浩賢君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野中 広務君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 五十嵐広三君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山口 鶴男君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  小澤  潔君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       高村 正彦君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       田中眞紀子君
        ―――――
       会計検査院長   矢崎 新二君
        ―――――
   政府委員
       国際平和協力本
       部事務局次長   藤島 正之君
       公正取引委員会  小粥 正巳君
       委員長
       公正取引委員会  矢部丈太郎君
       事務局審査部長
       総務庁人事局長  杉浦  力君
       総務庁行政管理  陶山  晧君
       局長
       防衛庁参事官   江間 清二君
       経済企画庁調整  吉川  淳君
       局長
       科学技術庁長官  宮林 正恭君
       官房審議官
       科学技術庁研究  沖村 憲樹君
       開発局長
       国土庁地方振興  松本 英昭君
       局長
       外務省総合外交  柳井 俊二君
       政策局長
       外務省経済協力  平林  博君
       局長
       外務省条約局長  折田 正樹君
       大蔵大臣官房長  小村  武君
       大蔵大臣官房総  竹島 一彦君
       務審議官
       大蔵大臣官房審  薄井 信明君
       議官
       大蔵大臣官房参
       事官       福田  誠君
       兼内閣審議官
       大蔵省主計局次  中島 義雄君
       長
       国税庁課税部長  堀田 隆夫君
       厚生大臣官房総  太田 義武君
       務審議官
       厚生省健康政策  谷  修一君
       局長
       厚生省保健医療  松村 明仁君
       局長
       厚生省薬務局長  田中 健次君
       厚生省社会・援  佐野 利昭君
       護局長
       厚生省児童家庭  佐々木典夫君
       局長
       厚生省保険局長  岡光 序治君
       農林水産大臣官  高橋 政行君
       房長
       農林水産省経済  今藤 洋海君
       局統計情報部長
       農林水産省畜産  高木 勇樹君
       局長
       通商産業大臣官  河野 博文君
       房審議官
       運輸大臣官房長  黒野 匡彦君
       運輸大臣官房技  澤田  諄君
       術参事官
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設大臣官房総  原  隆之君
       務審議官
       建設省建設経済  小野 邦久君
       局長
       建設省道路局長  藤川 寛之君
       建設省住宅局長  梅野捷一郎君
       自治省行政局長  吉田 弘正君
       自治省財政局長  遠藤 安彦君
   事務局側
       常任委員会専門  鈴木 重夫君
       員
   説明員
       会計検査院事務  中島 孝夫君
       総局次長
       会計検査院事務  阿部 杉人君
       総局第一局長
       会計検査院事務  森下 伸昭君
       総局第二局長
       会計検査院事務  天野  進君
       総局第三局長
       会計検査院事務  五十嵐清人君
       総局第四局長
   参考人
       日本銀行理事   小島 邦夫君
       国際協力事業団  藤田 公郎君
       総裁
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成四年度一般会計歳入歳出決算、平成四年度
 特別会計歳入歳出決算、平成四年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成四年度政府関係機関
 決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続案
 件)
○平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件)
○平成四年度国有財産無償貸付状況総計算書(第
 百二十九回国会内閣提出)(継続案件)
○平成五年度一般会計歳入歳出決算、平成五年度
 特別会計歳入歳出決算、平成五年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成五年度政府関係機関
 決算書
○平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書
○平成五年度国有財産無償貸付状況総計算書
    ―――――――――――――
○委員長(前畑幸子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(前畑幸子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高崎裕子君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(前畑幸子君) 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は全般的質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡部三郎君 自由民主党の岡部三郎でございます。
 質問に入ります前に、一言お願いを申し上げたいと思います。
 委員長からもお話があるかと思ったんですが、決算委員会におきましては、今回は平成四年度と五年度の決算を一括して審査するということになりました。これは、最近の決算審査のおくれを取り戻しまして、少なくとも次の常会では、冒頭に提出される平成六年度決算を正常な形で審査できるようにその体制を整えていこうという趣旨でございます。
 申すまでもございませんが、決算審査の終局の目的は、審査結果を次年度以降の予算に速やかに反映させるというところにあろうかと思いますが、決算の提出自体が一年おくれであることに加えまして、国会での審査はどうしても予算や法案審査が優先されるものですから、決算の審議日程を確保するというのはなかなか難しいわけでありまして、したがって、審査がとかくおくれがちであるわけであります。
 平成四年度の決算は本日から委員会審査が始まるわけでございますが、このままでは、その結果は四年おくれの平成八年度の予算に反映されるというのが精いっぱいでございまして、これでは余りにも遅過ぎるということで、平成五年度の決算も今回一括して審査することによりまして一年早めようとするものであります。
 これは全く異例の措置でありますが、参議院では特に決算の審査を重視しているということもありますので、政府におかれましてもこの趣旨を御理解いただきまして、両年度の決算審査が本年の十二月までに終了するように、審議日程の確保等に格段の御協力を賜りたいと存ずる次第でございます。大蔵大臣は特にお忙しい身でありますし、関係する委員会もたくさんあるわけでございますが、どうかこの趣旨を御理解いただきまして御協力をいただきたい、お願いいたします。
 さて、平成四年度、五年度の決算についてでありますが、この時期はちょうどバブルが崩壊をして日本経済が大きく転換したときでもあります。したがって、この両年度を通じての決算の最大の特徴は、何といいましても、平成四年度が一兆五子四百四十七億円、平成五年度は五千六百六十三億円という大幅な歳入欠陥をもたらしたことだと思います。過去にも歳入欠陥の年はあったわけでありますが、いずれも一年限りでありまして、このように二年連続で、しかも大幅な歳入欠陥というのは初めてのケースだというふうに聞いておるわけであります。
 この点に関しまして、大蔵大臣はどのようにお考えになっておられるか、大臣の御所感をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘のように、五年度決算も約五千七百億円の不足になりまして、二年連続して決算上の不足が生じるという極めて異例な事態に立ち至っております。五年度の税収が見込みを大きく下回った結果というふうに言えるわけでありますが、当時の経済情勢等予見しがたい事情によるものとはいえ、この結果はまことに残念なことであると考えます。
 いずれにせよ、今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応をし、経済、社会の豊かさと活力を維持増進していくためには、これ以上公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが基本的な課題であると認識いたします。
 今後とも、あらゆる経費について制度の根本にまでさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行うなど、財政改革に強力に取り組んでいかなければならないと考えておる次第でございます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。
 次に、手続的な問題でございますが、平成四年度、五年度とも歳入不足額は決算調整資金を使って処理したわけでありますが、この決算調整資金は昭和五十六年度の決算処理に全額が使用され、剰余金繰り入れ、予算繰り入れのいずれもがその後全くなかったために十年以上にわたってその残高はゼロのままであります。
 そこで、今回も国債整理基金からの繰り入れによって一般会計の不足を補てんしたわけでありますが、こうした措置は決して違法なものではございませんけれども、国債整理基金というのは本来国債の元金償還に充てるために一般会計から積み立てを行っているものであり、そういった制度の趣旨から考えますと必ずしも好ましいものではないと思われますが、今後もあってはならないんですが、万一、歳入欠陥が生じたような場合にも同じような処置をとられるのか、今後の決算調整資金の運営方針について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(中島義雄君) ただいま決算調整資金の運営について御指摘がございました。
 おっしゃいますように、決算調整資金は昭和五十二年度に創設されたのでございますけれども、昭和五十六年度の決算不足に対処するために全額一般会計に繰り入れまして、その後、残高はずっとゼロのままでございます。本来、資金の財源といたしましては、財政法六条の剰余金、それから特別な必要がある場合には予算繰り入れということになっているわけでございますけれども、委員御指摘のように、できればこの決算調整資金に財源を十分積み立てまして、その財源で万が一の場合の決算上の不足に対処するのが望ましい姿であるということは私ども十分認識いたしております。
 したがいまして、委員からの御指摘はまことに私どもにとりましてもつらい御指摘なんでございますけれども、残念ながら、我が国の財政はこのところ大変深刻な状況を続けておりまして、近年一段とその深刻さを増してきております、例年多額の公債を発行していることは御承知のとおりでございます。こういった状況のもとで、残念ながら決算調整資金へ繰り入れを行う余力がないというのが実情でございまして、この辺の事情はどうか御理解いただきたいと思います。
 しかし、いずれにしましても、今後の社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、公債残高がこれ以上累増しないような財政体質をつくっていくことが最も基本的な課題でございまして、その方向に向かいまして最大限の努力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。
○岡部三郎君 特例公債の発行から脱却をして、多少増収があった時期でも決算調整資金への繰り入れというのはなかなか行われなかったわけでありますから、この問題はなかなか困難な問題であるということは十分理解できるわけでありますが、しかし、余剰時に資金をあらかじめ蓄えて不足のときに対応するといったこの制度の趣旨からいたしますと、今後はやはり決算調整資金への着実な繰り入れをまず行って、不足する額に限って第二線準備に頼るというのが本来の姿だと思いまするので、そういう姿に少しでも近づけるようにひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。
 そこで、歳入欠陥の原因についてでございますが、これは一言で言えば、先ほど大臣もおっしゃいましたが、バブル崩壊による大幅な経済の落ち込みによって経済見通しも税収の見積もりも大きな誤差が生じたということだろうと思います。そこで、まず二つに問題を分けまして、経済見通しの誤差についてお伺いをしたいと思います。
 平成四年度は、名目成長率で申しますと、当初見通しが五%に対して実績は二・六%、仮にこの差を誤差率といたしますと、この誤差率はマイナスの二・四%となるわけであります。平成五年度は、当初が四・九%に対して実績は〇・四%、誤差率は実にマイナスの四・五%となります。このマイナス四・五%という数字は、第一次石油ショック後の昭和五十年のマイナス六・二%以来の大きなマイナス誤差であるわけでありますが、なぜこのような大きな誤差が生じたのか、企画庁からお伺いをしたいと思います。
○政府委員(吉川淳君) お答え申し上げます。
 経済見通しの改定あるいはそれの事後の分析という中で、特にやはり注目いたしますのが民間活動によって行われております経済活動でございます。今、先生御指摘になりました平成四年、五年でございますけれども、とりわけ企業の設備投資活動におきまして大変見通しが難しかったということで、今御指摘になられました見通しとそれから実績のギャップの大半をこの企業設備投資の見方のギャップによって大体説明することができるということでございます。当時は、御指摘がございましたようにバブルの崩壊ということで、これがどの程度設備投資に影響するかということにつきましていろいろ検討がなされたわけでございますが、事後で見ますとややその見通しが少し楽観的過ぎたという点があるかと思っております。
○岡部三郎君 石油ショックのときは、まさに青天のへきれきと申しますか、何人も予想できなかったわけでありますが、今回は既にバブルが起きてから三年たちまして、地価も株も異常な高騰を示していたと。さらに、既に平成三年の六月時点では税収も前年に比べますと落ち込みを示しておりましたし、九月末にはその幅も拡大しておったということでございますから、経済の専門家ならばバブルの崩壊というのは十分予想でき、それによる民間投資の落ち込みも想定できたんではないかと思うんですが、その点もう一度ひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(吉川淳君) ちょっと細かい数字で恐縮でございますけれども、平成四年の場合でございますが、設備投資は当初五%と見ておりまして、今先生の御指摘もございましたように、その後の推移を見ますとかなり弱い可能性があるということで、これを私ども当初見通しに比べまして実績見込みという名前で呼んでおりますけれども、その年が始まりまして修正したわけでございます。五%から実はマイナス三・七%まで修正したわけでございます。
 ところが、実際にはさらに設備投資の意欲が落ち込みまして、最終的にはついにマイナス七%強までになってしまったということで、この経緯を見ますと、一応私どもといたしましても、当時の予想外の設備投資の落ち込みということから、かなり見通しては下に下げるべく努め、そしてそのようにいたしたわけですが、現実がもう少し厳しかったと、こういうことでございます。
○岡部三郎君 一般に政府の経済見通しというのは、好況時には低く不況時には高いといったような法則性があると言われておるわけでありますが、確かに一九六〇年代の高度成長の時期を見ますと、一九六五年を除いてはいずれもこの見通しが実績よりも低いわけですね。それから、七〇年代の安定成長の時期になると、逆に七二年を除いてはいずれも見通しが高い。そしてバブル期は、これは当然ながら見通しが低く崩壊後は高い。こういったような状況を見ますと、何か経済見通しに政策的な配慮がなされているんじゃなかろうかといったようなことを邪推してみたくなるわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(吉川淳君) 過去の経済見通しの実績と見通しとの対比、それをしかも景気循環のいわゆる好況期、不況期という形で見ます場合に、今先生がおっしゃいましたように、好況期の方がやや過小になりがちであり、不況期の方が過大になりがちである、こういう傾向は数字としてあるように思います。
 ただ、その要因ということで見てみますと、今申し上げましたように、やはり民間経済活動の振幅といいますか、振れといいますか、そういうものが非常に大きく好況期及び不況期に出るということで、基本的にはやはり設備投資の問題ではないかと思っておりまして、今平成四年、五年について申し上げましたけれども、他の期につきましてもやはり設備投資の見方が非常にこのギャップに影響しているというふうに思っております。
 したがいまして、もちろん当時つくられましたときの見通しの考え方等をすべて把握しているわけじゃございませんけれども、政策的意図というよりか、むしろやはり経済見通しを含めました政府の経済運営に対する民間経済活動の反応あるいは反応しないこと、そういったものが合わさってこういう結果になっているのじゃないかと思っておりまして、とりわけそれが日本には特有の、特に日本経済に特有だと思いますけれども、民間企業設備投資の振幅が大きいと、こういうことだと思っております。
○岡部三郎君 企画庁は独立した機関とはいえ、政府の一機関でありますから、私は政策的な配慮が一切あってはならないとは申しませんけれども、余りそれがたび重なると、やはり公正な経済見通しに対する信頼性を失う結果になるんではないかとも思いますので、その点は注意すべきことではないかというふうに感じておる次第でございます。
 次に、税収見積もりの誤差についてでございますが、税収における当初予算額と決算額との乖離は、平成四年度が八兆五百八十七億円、平成五年度が七兆一千七百六十九億円、平成三年度も一兆九千五百十六億円の減でしたから、三年連続して、十七兆円余という大変大幅な乖離が生じたことになるわけであります。
 税収の所得弾性値は、一対一とも言われるように、一般的には一より大きいとされておりますから、所得の見通しが下方修正されれば税収の見積もりもそれに増して大きな減になるということは当然かもわかりませんけれども、それにしてもこの額は大変大き過ぎるんではないかと思います。
 なぜこのような大幅な見積もり違いが生じたのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 今御指摘いただきましたが、税収の決算額自体の推移を見ましても三年連続して減少しているという状況でございまして、このこと自体が当時の経済の勢いといいますか、情勢を反映したものと私ども見ておる次第でございます。決算額というのは経済の情勢を反映している、一方でそれを一年数カ月前に予算の形で推計しなければいけないということで、結果的には御指摘のような大きな誤差が生じてしまったということでございます。当然のことながら、途中の段階で補正の機会があるときには補正をさせていただきまして、今申し上げた数字がそのまま歳入減という形ではあらわれてはおりませんけれども、バブル期の前後における経済の大きな変動の中で確かに税収見積もりに誤差が生じていたということでございます。
 具体的に各年度について何を間違えたかということを考えてみますと、平成三年度につきましては、平成四年からの土地についての課税強化ということから三年度に駆け込みの税収が入ったということ。それから、平成四年度につきましては、土地の譲渡益所得が今度は激減していった、バブルがはげていったということによる所得税収の減収、それから企業収益が悪化する、これは株と土地両方が原因だったと思います。また、平成五年度には、企業収益ですけれども、極めて大きな悪化があったということが、御指摘のような、当初予算と決算とを比べますと十数兆円という差になってしまったということでございます。
 念のために、補正後で申し上げますと三年度はプラスの八千三百四億円であったということでございます。
○岡部三郎君 経済変動が激しい時期に税収の的確な見積もりを行うということは、これはなかなか困難なことではあろうと思いますけれども、しかし、このことに関しては、正確な経済見通しの策定とともに、平成三年度決算の警告決議にも指摘されたことでもありますので、引き続き税収見積もりの精度を高めるための御努力をお願いしたいと思います。
 次に、これから税収弾性値について若干御質問をしたいと思うんです。
 平成四年度の税収弾性値はマイナス四・七一、平成五年度もマイナス三・二五と、二年続けてこれまた大幅なマイナスになっておるわけであります。税収弾性値がマイナスになるということは、名目成長率はプラスなのにもかかわらず税収が減るということでありますから、これは非常に珍しいケースでありまして、過去には石油ショック後の昭和五十年に一年あっただけであります。しかも、このときはマイナスの〇・三四というふうにごくわずかなマイナスになったわけですが、今回はマイナス四・七一とかマイナス三・二五というふうに大幅なマイナスであります。
 なぜ二年にもわたってこのような逆転現象が生じたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 名目経済成長率と税収の伸びの間には、ただいま御指摘いただきましたように、中長期的に見ればある程度安定的な関係がございまして、最近では名目成長率のほぼ一・一倍程度の税収があるというふうに私ども見ているわけでございますが、そういった中でこの二年間プラスマイナスが逆転しているという、確かに異常な状況が生じてしまっております。
 数字を申し上げますと、平成四年度の名目GNPの成長率は二・一%であったにもかかわらず税収の伸び率は三角の九・〇%、また五年度のGNP成長率はプラスの〇・四%であったのに税収の伸び率は〇・六%の減ということになっておりますので、弾性値の計算上、GNP成長率分の税収の伸び率ということですから、これがマイナスに出てきてしまったということでございます。
 これは、昭和六十一年度から平成二年度にかけましていわゆるバブル経済のもとでもたらされた経済成長率、これに見合っていればともかく、それも超えるような平成二年度までの、異常というのも変なんですが、非常に大きな税収増がございました。ところが、バブルの崩壊に伴いましてその部分が剥落して税収が経済成長率に逆に戻っていくわけですけれども、対応するように戻っていくわけですが、その過程で生じた異常な現象であろうと私ども見ております。
 やや抽象的に申し上げましたが、具体的に考えてみますと、法人税を例にとりますと、土地とか株式などの取引によるキャピタルゲインというのはバブルが崩壊しますと減少したわけです。急激に減少しました。これは、国民経済計算上、付加価値を生み出していないわけですから、既存資産の取引により企業収益が減少するということを示しているものでございまして、この点が経済成長率には反映していない、税収の方には反映してくる。バブルではげ落ちた分で土地の取引が落ちるあるいは株の取引が落ちる分は土地譲渡益なり企業収益に影響を与え、また株の方も同じように影響を与えていく。しかし、国民経済計算上の経済成長率の方はこれを反映しませんので、そこに方向が逆転してしまう原因があったというふうに見ております。
 それから、もう一つ考えられますのは、バブル期には固定費が増加しましたが、これがバブルがはげる過程でなかなか減少しがたい、こういう不可逆性があると言われております。こういったことが企業収益に影響いたしまして、法人税収は直撃を受けてしまったということかと思います。この点が、GNP成長率がプラスでありながら全体の税収伸び率をマイナスにしてしまっているという現象を導いたのかと思います。
 また、弾性値が極めて極端に大きい、けた違いに大きいという意味の御指摘がございましたが、これは、先ほど申し上げましたように、平成五年度の成長率がプラス〇・四%というぐあいに非常に小さいことから、分母に小さいものが来た結果こういう数字になってしまっているということかと思っております。
○岡部三郎君 平成五年度の弾性値についてもう一つわからない点は、法人税の弾性値というのがマイナス三一・〇というふうに二けたのマイナス、それも極端なマイナスになっているわけです。それにもかかわらず所得税の弾性値は三・七五というふうにプラスになっておる。会社の業績が悪ければ当然所得税の方も前年に比べて悪くなるだろうと考えられるんですが、この場合には逆に所得税は前年に比べると一〇ポイントも上回っておる。これは一体なぜこういう現象が生じているんでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のように、平成五年度における法人税のいわゆる弾性値は大幅なマイナスにかかわらず所得税の方はむしろプラスになっているという、これも御指摘のような変わった方向を示していることは事実でございます。
 この点について私ども分析いたしますと、まず所得税につきましてですが、所得税といいますのはその中心が勤労性の所得に対する税金、サラリーマンの税金を初め事業所得者の所得税も含めてですけれども、勤労性所得につきましては御承知のように比較的安定して伸びている。伸び率は確かに落ちたかもしれませんが、給料が減ってしまったというような状況がない形になっておりますので、これを反映してプラスの方向に維持されている点。それからもう一つは、所得税につきましては、税制自体が累進構造を持っておりまして、この累進構造が影響するという、この二つの点がこの時期における所得税の弾性値をプラスに維持したものと見ております。
 それに対しまして法人税の方は、これも幾つかの要因があると思いますが、一つは比例税率ですから、理論的に言えば中長期的に見れば税収の伸び率というのは、法人税の税収の伸び率ですが、これは名目成長率とほぼ見合っていくはずなんですけれども、また一方、企業収益は経済動向が大きく変動すればそれに伴って影響を受けるものであろうと思っておりますが、五年度においてはやや幾つかの異なった要因があったと。
 やや先ほど申し上げたことと重なりますが、一つは五年度が景気の谷に当たっていたこと。それから二つ目には、先ほど申し上げましたバブル期に増加しました固定費がなかなかその後減少していないということもございます。それから三つ目には、金融機関等の不良債権の償却という問題がこのころから発生しております。
 こういったことが企業収益の悪化に直結いたしまして法人税収が大幅に減少するという形になったということで、法人が給料として払う分についてはそこそこ伸びているけれども、その他の部分では大きく影響を受けて法人税収に影響したというふうに見ております。このことが先ほど申し上げたねじれといいますか、逆方向の弾性値を実現してしまったということになるかと分析させていただいております。
○岡部三郎君 先ほど薄井さんがおっしゃった税収弾性値は通常一・一として計算していると、こういうことについてちょっと申し上げたいと思うんです。
 昭和五十年度に税収弾性値がマイナスになったときのことを元国税庁長官をされていた水野勝さんがある雑誌にこういうふうに書いておるんです。ちょっと引用をしますと、
  昭和四十八年度、四十九年度、五十年度は、税収の伸びが著しく変動したが、この三年度間を通じての伸びを見ると、同じ三年度間を通じた名目経済成長率とほとんど同水準となっており、税収伸び率の方がわずかながら、名目成長率を上回っている。
やはりマクロ的に見れば、税収弾性値は一に近く、一を若干上回っているという性質は失われていなかった。それから、第二次石油ショックの後の昭和五十六年度、五十七年度にも、このときにはマイナスにはならなかったものの〇・五四とか〇・八〇とか二年続けて税収弾性値が一を割ったわけですが、しかしこのときも、水野さんが言うように第二次石油ショックが発生した昭和五十四年度からの四年間の平均をとると税収弾性値は一・一となっている。
 こうした五十年代の経験から、毎年予算のときに大蔵省が提出する「財政の中期展望」においても税収弾性値は一・一として計算をされておるのだと思います。
 ところが、先般参議院の予算委員会に大蔵省が提出をされた資料によりますと、昭和六十一年度から平成五年度までの八年間の税収弾性値の平均をとりますと〇・二六にしかならないわけであります。それから平成六年度、七年度、これについては全くの推定でございますが、仮にこれを加えても恐らく一・○には遠く及ばないんではないかと思います。そうすると、十年たっても一にはとても達しないというのが昨今の税収弾性値の傾向だと思うわけであります。
 結果論ではありますけれども、五十年代の経験というのはもはや六十年以降には通用しなくなっているんではなかろうか。さらに、バブル崩壊に伴うさまざまな後遺症の大きさだとかあるいは資産価値の低落、円高等に伴う日本経済の構造変化等を考えますと、今後も一・一というような高い税収弾性値を期待するということはもはや無理なのではなかろうかと思われるんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のとおり、「財政の中期展望」では一・一という弾性値を使わせていただいておりますが、これは中期的な推計を示すものであるということから、中期的にはどのぐらいと考えるのがいいとか、経済成長率との関係では一・一を変えなければならないような積極的な理由が見当たらないということから一・一を使わせていただいておるわけです。
 先ほど御指摘がありましたが、過去の推移を見ますと、昭和三十年代から四十年代ごろは平均的に見まして、例えば十年平均などをとってみますと弾性値は一・三ありました。その後高度成長の終えんとともに五十年代は御指摘いただいたとおり一・一程度でございます。その後いろいろな変化を示しているわけですが、各年で見ますと、例えば昭和六十年度から一番新しい平成五年度までの平均をとってみますと、やはりこれも一・一である。ただし一番下のところが、一番最近のところが、先ほど来申し上げているようなバブルの終えんの時期に異常な数値を示しているがゆえに、今後この二年間をどう伸ばしていくかという議論をすると悲観的なことになってしまうのかとは思いますが、私ども昭和六十年以降の期間を見てみましても、まだ一・一は維持されているというふうに見ております。
 そして、最初に申し上げましたように、決算額が三年連続して減少した背景には、平成二年度までの間に経済の実力を超える極端な異常な税収増があった、これは株価なり土地の高騰があったということで、今やこれからは税収が経済成長率に見合った水準で回復していくんではないかなという期待を私どもしている次第でございまして、そういう意味では、経済成長率が下がれば税収は下がりますけれども、経済成長率に対しては一・一倍程度の増収を期待していいんではないか。と同時に、理論的にも所得税収というものが相当な割合を税収のうち占めているわけですから、これは累進構造になっておりますので、その点からも一以上にはなることは間違いないし、この一・一を手を加えなければならない積極的な理由は現状では見当たらないことから、中期的な見通し作業においては一・一を今回も使わせていただいているということです。
 御指摘の点については、今後とも十分フォローして無理がないようにしていくことについては十分考えていかなければいけないと思っております。
○岡部三郎君 ちょっと今の薄井さんがおっしゃった数字と私の数字とが大分違うので、私は大蔵省が予算委員会に提出された昭和六十一年から平成五年までの八年間の平均でも〇・二六にしかならないということを申し上げているんですが、この点は改めてまた打ち合わせをしたいと思います。
 そこで、大蔵大臣に今後の財政運営についてお伺いをしたいんですが、その前に、会計検査院長さんもお見えになっておりますので、その方の話をちょっとさせていただきたいと思います。
 会計検査院は国の歳入歳出全般にわたってこれが適正に行われているか否かということについての検査を行われておるわけでありますけれども、いずれにしても限られた人数と限られた時間によって行っておるわけでありますから。当然その時々の社会経済情勢を加味して重点的な検査が実施されておるのではないかと思います。
 そうした面で、平成四年度、五年度の検査に当たってはどのような方針に基づいて行われ、またその検査結果にあらわれた特徴にはどういうふうなものがあるのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) 会計検査院の検査活動が重点的に、効率的に行われなければならないというのはまさに御指摘のとおりだと思います。平成四年度、五年度両年度の決算検査におきましては、高齢化でありますとか国際化あるいは農業を取り巻く環境の変化、増大する公共投資といったような社会経済情勢等の動向に対応しまして、社会保障、政府開発援助、農業、公共事業などの関係に重点を置いて検査を実施したところでございます。
 検査の実施に当たりましては、例年どおり正確性、合規性といった形式的なチェックの観点にとどまりませんで、事業の内容について経済的、効率的に実施されているかという経済性、効率性の観点や、あるいは事業全体が所期の目的を達成して効果を上げているかどうかといった有効性の観点を重視して検査を実施したところでございます。
 その結果といたしまして、検査報告に掲記をいたしましたのは、平成四年度が計二百七十五件、指摘金額で百二十六億余円でありまして、また平成五年度が計二百五十九件、指摘金額で百四十一億余円となっているところでございます。
 この平成四年度、五年度両年度の検査報告の特徴といたしましては、先ほど申し上げたような検査の結果といたしまして、要約して申し上げますと、医療や年金を初めといたします社会保障に関する種々の問題、それから農業分野におきます各種施策に関する問題、さらには公共事業の実施に関する設計、積算、施工などにつきまして種々の問題を数多く指摘したこと、さらにまた政府開発援助の実施につきまして、その検査状況を特定検査対象に関する検査状況という項目の中に掲記をしたというようなことが特徴として掲げられるかと思います。
 本院といたしましては、今後とも社会経済情勢の動向に対応した検査を行いまして、国民の期待にこたえるよう一層の努力を払ってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。
 会計検査の方法についても時代とともに相当変化があるように思われます。私は、多年公共事業に携わってまいりましたので、検査院には大変お世話になった者でもございますけれども、当時はやはり不当事項の摘発ということが最大の課題でありまして、今でもそうかもわかりませんが、特に出来高不足のようなハード中心の検査というものが盛んに行われたわけでありますが、最近ではソフト面の指摘もいろいろありますし、また制度面まで踏み込んだ改善要求というふうなこともなされておるわけであります。
 特に、平成二年度から実施されました特定検査対象に関する検査状況報告では、従来の省庁の壁を越えた問題についても多年度にわたって調査検討を始められたというふうに、大変ユニークな方法がとられておると思うわけでありますが、検査院としてはこのような検査に対してどのような効果を期待され、またその結果についてどのように評価をされているのか。さらに、今後この特定検査対象にどのような項目を取り上げようとしておられるのか、お差し支えなければお伺いをしたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) 御指摘ございましたように、会計検査院の検査活動、伝統的には工事検査が主流であったということであろうと思いますが、近年のいろいろな社会経済情勢の変化に対応しまして、先生御指摘のように各種の分野に幅広く検査の目を行き届かせるというふうな努力をしてまいったところでございます。そしてさらに、平成二年度からは新しいスタイルとしまして特定検査対象に関する検査状況という項目も設けまして、新しい視点での取り上げ方を工夫したつもりでございます。
 この特定検査対象に関する検査状況というものは、従来から伝統的に取り上げておりました不当事項などとして不適切、不合理な事態を指摘するといったようなことには至らない問題でありましても、国民の関心が極めて高い問題であってその検査の状況を報告する必要があると認めたもの、これをそこに記述しよう、こういう考え方のものでございます。これは本院の検査活動に対する御理解を得るために、検査院の活動状況を国民に対して十分に御説明申し上げたいという趣旨で記述をすることにしたものでございます。
 こういった記述の場が設けられますことによって、国民の関心の高い問題につきまして検査院の検査活動の状況が明らかにされることによりまして、国会の御審議の御参考にもなるでありましょうし、また国民も本院に対する理解を一層深めていただけるのではないかというふうに考えたわけでございます。
 そして、この記述の内容につきましても、検査活動の状況だけにとどまるわけではございませんで、今後の課題といったようなことについての検査院の見解もあわせて記述をするということにいたしておりますので、事業の実施に当たります当局におきましては、この点も参考にして事業や事務の実施に当たっておられるのではないかというふうに思っているわけでございまして、この点が一つの効果ではないだろうかなというふうに思います。
 そしてまた、最後にお尋ねありました今後の問題でございますけれども、毎年度の決算検査の実施の過程の中でどのような問題を取り上げていくかということが検討されることにならざるを得ませんので、率直に申し上げまして、現在の時点で、ことしどの問題を取り上げるということを明確に予測をして申し上げることはできないわけでありますけれども、今後ともできるだけこの特定検査対象に関する検査状況というテーマを活用いたしまして、国民の期待にこたえられる会計検査を推進していくように一層の努力をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。
 次に、政府開発援助につきましては、年々多額の経費が計上され、それが適正に使用されているかどうかということは国民の強い関心の的でもあるわけであります。しかしながら、何しろ相手国政府があるものでもありますし、また現場が海外にあるために、検査実施に際しでもいろいろな障害があるというようなことも十分考えられるわけであります。
 今後、これに対する検査はどのように進められていかれるか。特に、外交的な配慮から相手の国の名前を出さないという方針で合されておるわけでありますが、これは一般国民にとってはいま一つすっきりしない点ではないかと思いますし、マスコミ等では既に相手国の名前を出した報道がされておるという事実もあるわけでありますから、例えば、一方的にまずい点だけを指摘するのではなくて、優良事例とともに注意事項も書くとか、いろいろな工夫の仕方があるのではなかろうかとも思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○会計検査院長(矢崎新二君) 政府開発援助、いわゆるODAの問題は非常に国民の関心も高い問題でございますので、この実施状況について平成二年度以降、先ほど申し上げました特定検査対象に関する検査状況という項目の中で状況を報告申し上げているということはもう御承知のとおりでございます。
 実施の困難性につきましては、先生御指摘のとおり、国内の検査とは違った問題があると思います。
 政府開発援助の検査の場合は、実施機関であります三つの機関、外務省、国際協力事業団及び海外経済協力基金を検査することになるわけでございます。そして、この検査の一環としまして外国にも出かけまして、毎年五カ国程度につきまして現地の調査を実施しているところでございます。ただ、この場合、本院が検査を行う対象はあくまでも我が国の援助実施機関ということでございます。援助の対象になった事業を実施する相手国の政府や機関を直接検査する権限は会計検査院は持っていないわけでございます。
 そこで、どうやって現地調査をやっているかと申しますと、我が国の援助実施機関の職員に立ち会いをしていただきまして、そして相手国の協力が得られた範囲内で現地調査をするという一つの特色がございます。
 それからまた、現地調査に当たりましては、何分現場が外国であるという事情から、時間と経費が非常にかかるということはもちろんでございますけれども、言語の問題がございましたり、治安、交通、衛生等の面でも大変恵まれていない地域に入り込んでいって現場を見なければいけないというようなことで、国内の検査に比べまして数多くの困難があることは、率直に言って認めざるを得ないわけでございます。
 しかしながら、会計検査院としては、そういったいろんな困難はありますけれども、国民の関心の高いこの問題については今後とも一層の努力を続けてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
 それから、検査報告におきましては、政府開発援助の事業は全体としては順調にいっているという状況を説明した上で、しかし中でも幾つか問題があるというものを取り上げるというふうなスタイルを従来とっておるわけでございます。その場合に、国名を具体的に明らかにしていないということにつきましては、会計検査院の検査報告におきましての従来の取り扱いの方針がございまして、これは国内検査の場合も同じなのでございますが、検査権限の及ばないものについては具体的な名称は明らかにしないということで処理をしてきておりますので、この点はひとつ御理解を賜りたいというふうに思う次第でございます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。
 それでは最後に、大蔵大臣に今後の財政の運営方針についてお伺いをしたいと思います。
 先ほども申しましたように、これは主税局の方は若干異論があるようでございますが、従来は年度間の自然増収があるということを前提に財政の中期展望も行われ、単年度の予算も組まれてきた。しかし、私の計算によりますと、現在ではもはやそういうものは余り期待できないほど厳しい環境になってきているんではなかろうか。
 それからまた、これは大臣も言われましたが、国債残高も平成七年度末には二百十二兆円に達すると。この点については、しかしGDPに対する長期政府債務残高の比率を見るとこれはまだアメリカよりも低いではないかというような指摘もございますけれども、いずれにしても国債費の急増というものが一般会計の大きな圧迫要因になっているということは、これは間違いのない事実であります。
 しかし一方、日本経済の現況を見ますと、年初来の阪神・淡路大震災、あるいは二信組問題、あるいは地下鉄サリン事件等の影響もあって消費も落ち込みがちでありますし、一昨年の秋以来やっと回復軌道に乗ったと思った景気も、どうもここのところ低下傾向にあるのではないかというふうなことが感ぜられるわけであります。
 特に、最近のこの異常とも言える急激な円高によって、企業の三月期決算においても業績を下方修正するとか、あるいは設備投資計画を後倒しにするとか、さらには海外生産をふやすとか、海外での部品調達をふやすというふうな報道が毎日のようにされておるわけでありまして、こうした状況を反映して株価も低迷をしておる。金融システム不安もさらに広がるんではないかといったような心配もあるわけでありますが、こうしたことが長く続くと、せっかく回復しかけた景気も腰折れになって、日本経済も本格的な低成長の時代に突入するんではないかといったような危倶さえ感ぜられる昨今であります。
 当面の円高については、あしたにも対策が発表されるというふうには聞いておりますが、こういうことも含めまして今後の財政運営を基本的にどのように持っていかれようとしておられるのか、その方針をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘をいただきましたとおり、公債残高に象徴されるように、日本国の国家財政は、大変脆弱といいますか不健全な要素が刻々強くなってきていると言わざるを得ないわけであります。
 確かに、GDP対比ではアメリカよりはまだいいとおっしゃいましたが、利払い比率とか、国債発行高とか、予算に占める比率とか、いろんな指標で比較いたしますと、もうすべてが一番とは言いませんが、G7の先進国の中で財政悪化の状況は一番ないし二番という姿になってきております。
 つい二、三年前までは、G7の会合ではアメリカの財政赤字あるいはヨーロッパ各国の財政赤字がかなり大きなテーマでありました。最近IMFの専務理事が、毎回G7がありますと冒頭に各国の経済状況を報告してくれるわけでありますが、日本は、成長率といいますかようやく回復軌道に入った状況は報告してくれますが、財政が刻々悪化しているということを大変肩身の狭い思いで聞かざるを得なくなってまいりました。世界経済全体の中で日本財政の赤字というのが一つのテーマになってくるのではないか。貿易は黒字、しかし財政は赤字、アメリカは両方とも赤字でございますが、この状況は改めて真剣に見詰めなければならない。
 そういう中に今急速な荒々しい円高が進行しているわけでありますが、そうすると震災対策にしましても円高に対しても、財政の出動に対する期待あるいは積極的な発言は絶えず出てくるわけであります。このテーマを見詰めては私もそういう方向はやむを得ないのかなという思いでありますが、しかしこの財政の足元の状況を見ますと、すくむような気持ちもするわけであります。過去も恐らく経済が悪いときには公共事業を中心にして大型補正予算、経済政策等、これ何回も発動してきて、その結果がこういう二百十三兆。二月までは二百十二兆と言ってまいりましたが、一兆円余の震災対策の財源がプラス加わりまして二百十三兆という、また一兆円ふえておりますが、七年度末はそういう数字でございます。
 単純に言えば、今景気がまだ回復過程でございますから、新年度も大幅な減税をお願いしております。減税に対応するいわばつなぎ国債も予算でお認めいただいたわけだし、公共事業も建設国債十兆円弱のそういう発行をしてまた公債を積み上げる方向にあるわけでありますが、しかし今は経済がまだ回復軌道だからやむを得ないと私は認識しておりましたが、やがて経済が本格軌道に乗ればこれもなかなか展望が難しいわけで、そのときは思い切った財政再建を政府、国会挙げて取り組まなければならないんじゃないか、いましばらく我慢かなと、こんな思いでおりましたが、そこへこの円高の出来でございますだけに、景気そのものの足取りがとまったり極端にダウンするようなことがあってはなりません。
 そういう意味では、今御指摘のように、あしたという意味ではありませんが、今週中には政府全体の緊急経済政策を総合的にまとめて発表をしていきたいというふうに思っているところでございまして、その中に財政に対する姿勢も明らかにさせていただきたいと思っている次第でございます。
 いろいろお触れになりましたけれども、当面この事態の中で間違いのないような我が国財政の運営に最善を尽くさせていただかなければならないと思っております。
○岡部三郎君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(前畑幸子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時開会
○委員長(前畑幸子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題とし、全般的質疑を行います、
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。
 阪神大震災の工事に関連をいたしまして質疑をいたしたいと思いますが、阪神大震災におきまして阪神高速道路が完全に倒壊をいたしました。大変ショッキングなことであったわけでありますが、これは設計指針に問題があったのかという問題もありますが、一面、いろいろな報道を伺っておりますと、工事に手抜きがあったんじゃないかというようなことも聞いております。こういう点につきまして、所管官庁として建設省それから運輸省、調査を行ったかどうか、その結果について伺いたいと思います。
○政府委員(藤川寛之君) 阪神高速道路の倒壊、大変大規模な被災をこうむったところでございますが、建設省といたしましても大変重く受けとめておりまして、この被災の原因につきましては徹底的に究明したいというようなことで、被災状況の把握に努めますとともに、耐震工学、橋梁工学の専門家から成ります委員会を設置いたしまして、被災原因のメカニズム等の検討、それから耐震設計のあり方等について検討をしていただいてきたところでございます。それで、先月の終わり、三月三十日に、阪神高速道路で大きく被災いたしました五橋を中心に検討結果を中間的に取りまとめていただいたところでございます。
 この取りまとめの中で、今回の地震動というのが、新潟地震以後本格的に地震の動きというのが観測されるようになったわけでございますが、そういう観測が開始されて以来最大の地震動であったということでございまして、今回被災をした橋梁につきましては、設計で想定しておりました地震力を大きく上回るような水平方向の地震力を受けたのがやはり根本的な被災の原因であるということでございます。
 また、いろんな報道等もあったわけでございますが、構造物の設計につきましては、確認した結果、建設当時の設計基準にきちっと適合した設計をやっている。それから、現地の被災した構造物につきまして鉄筋をサンプリングいたしましてこれの強度試験をいたしました。それから、コンクリートにつきましてもコアを抜きましてそれの材料試験をやったわけでございますが、橋脚の耐力に与える影響から見まして、この材料の強度については特に問題はないというふうに御報告をいただいているところでございます。
 したがいまして、建設省といたしましては、委員会のこれまでの検討結果から見まして工事はやはり適切に行われていただろうというふうに判断しているところでございます。
○松谷蒼一郎君 工事は適切に行われていただろうとおっしゃるけれども、じゃ、鉄筋が基礎に緊結されていなくて浮き上がったというような写真が出ておりましたけれども、それはどうなんですか。
○政府委員(藤川寛之君) 今申し上げましたのは大きな被災をした橋梁について調査した結果でございまして、今お話がございましたような、例えば鉄筋の接合位置の配置の問題が適切でなかったんじゃないかというようなそういう報道もあったわけでございます。この点につきましては、阪神高速道路公団の方で実際に施工状況がどうだったかというようなことを現在調査を進めているところでございまして、その調査結果を踏まえて私どもとしても所要の適切な対応をやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○松谷蒼一郎君 そうしますと、まだ検査の途中で、阪神大震災が発生をしましてからもう三カ月近くになるんですが、その結果がまだはっきりしない、こういうことですか。
○政府委員(藤川寛之君) 施工の実態がどうだったかというのを被災地域のすべての橋脚について今チェックしているところでございます。
 先ほど申し上げましたが、とりあえずまず被災した橋脚について先行的に被災のメカニズムをチェックしようということで、その辺について中間的な取りまとめができたということでございまして、その他の橋脚たくさんございますが、そういうものについて調査をいたしまして、その施工の実態がどうだったかというのは別途検討しているということでございます。
○松谷蒼一郎君 運輸省関係で、鉄道関係はいかがですか。
○政府委員(澤田諄君) 鉄道関係でございますが、特に山陽新幹線につきまして八カ所の高架橋が崩壊したというような被災を受けたわけでございますが、この被災の後、報道等で木片の混入ですとか、コンクリートの打ち方ですとか、帯鉄筋について等の施工の不良があるのではないかというような報道がなされたわけでありますが、私ども鉄道施設耐震構造検討委員会というものを設置いたしまして、その検討委員会の中におきまして、被災施設の施工上の問題として指摘されている事項につきまして検討、実態調査のほかに、被災した部材の試料等につきまして材料強度試験あるいは材料分析試験を実施してまいりました。
 三月二十九日でございますが、第四回の鉄道施設耐震構造検討委員会でその中間的な取りまとめを行ったところでございます。
 中間取りまとめにおきましては、木材混入等、施工時の入念さに欠ける処置や材料劣化につながる要因が一部で認められたが強度上問題なく、被害の主因とは考えられないとされているが、引き続き試験等を実施いたしまして、今後の対応について十分検討していきたいと思っております。
○松谷蒼一郎君 四月七日付の読売新聞なんですが、二面全部つぶしまして、「施工不良、手抜き…続々」という非常にショッキングな見出しで報道がされていたわけであります。
 これは主として、公共工事の関係というよりは建築関係の工事であるというように思いますが、こういった手抜き工事をなくすためには、やはり施工業者にただ監理を十分やってくれということだけではやはり効果がないので、検査を行う第三者機関といいますか、そういうようなものをつくったり、あるいは建築士法を改正いたしまして監理を強化するとか、こういうようなことが考えられるんじゃないかと思うんですが、この点について大臣いかがですか。
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えいたします。
 読売新聞に「施工不良、手抜き…続々」と書いてありまして、この内容につきましては民間のものが非常に多いというのが現状でございますし、これに対応したのが住宅局長でございますので詳しく御報告したいと思います。
○政府委員(梅野捷一郎君) 一般の建築物関係につきましても現在調査を鋭意進めているところでございますが、そちらの調査の現在の進みぐあいで言いますと、三月末に全体を実態調査に入られました先生方の意見の第一段階の集約はされております。その段階では、例えば基準については現行の基準を大がかりにいじるというような状況ではないのではないかというようなことを中心とした御報告でございます。
 今御指摘のような点につきましては、先生御案内のとおり、きちんとした建物ができるにつきましては基準と、それからそれを受けました設計並びに工事監理というものがバランスよくきちんと行われることによって初めて成り立つ仕組みになっているわけでございまして、今回の委員会におきます原因の究明に当たっても、単に基準の問題だけではなくて、施工面がどういう弱点を示しているのか、そういうこともしっかりと整理をしていただこうというつもりでございますし、私どもも基準法によります基準だけではなくて、御指摘のような十法の問題、あるいは一部には第三者検査機関というようなものも現に鉄骨などにもございますけれども、そういう問題もさらにきっちりしたシステムに組み立て直さなければいけないかというようなことも前向きに検討していきたいなと思っているところでございます。
○松谷蒼一郎君 ひとつ前向きに検討していただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、道路にしてもあるいは橋梁にしても、一般建築物にしてもあるいは鉄道にしても、いろいろな手抜き工事等があって、これが地震災害の被害を非常に大きくするというようなことが言われているわけですね。ところが、現在建設工事の発注につきましては専ら価格だけが言われておりまして、それで安くさえあればいいということで従来の指名競争入札を一般競争入札制度にどんどん変えていくというようなことが行われておりますが、これは価格だけの競争になっていって安かろう悪かろうというような工事になっていく弊害を持つんじゃないかというように思うわけでございますが、こういった点につきまして建設大臣の見解をぜひお願いいたしたいと思うわけです。
○政府委員(小野邦久君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、現在の会計法ではやはり価格が大変重要な要素を占めていることは御指摘のとおりでございます。一昨年来のいろいろな不祥事を背景といたしまして、私どもでは現在契約方式の改正を進めております。一般競争方式はどちらかというとやはり不正防止の観点からはすぐれた制度でございますので、まずこれを平成六年度から採用しようということにいたしております。
 ただその場合も、御指摘のとおり、当面は非常に技術力のある大手業者を対象とする大型工事に限定をいたしましてこれを採用していこう、こういうふうに考えておりまして、あらゆるものについて一般競争を採用するようなことではなくて、まず技術力のある大手業者が実施をするような工事についてこれを採用し、いろいろそういう一般競争の実施結果等を見て検討をしよう、こういうふうに考えているところでございます。
 また同時に、価格以外の工期でございますとか安全性、あるいは維持管理費用とかデザインとか、価格以外の要素も含めた総合評価による落札者の決定方式というようなものにつきましても、例えば技術提案総合評価方式というものを取り入れられないかというようなことにつきまして現在その導入の状況を検討しているところでございます。
 いずれにいたしましても、価格中心主義によって安かろう悪かろうということにならないように、いろいろな制度を適宜組み合わせましてしっかりやってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○松谷蒼一郎君 この問題についてはいずれまた建設委員会で伺いたいと思います。
 ところで、阪神・淡路大震災に関しまして、最初被害が発生をして、被災者の方が一番望んだのはこれは応急仮設住宅の建設なんですわ。私どもが災害発生して直ちに参りましても、本当にもう悲惨な状態で、体育館とかあるいは県庁や市役所のロビーに段ボールに包まれながら住んでいるというような悲惨な状況があった。なぜかというと、応急仮設住宅がなかなか建設されなかった。なぜ応急仮設住宅が建設されなかったのかといろいろ調べてみますと、この応急仮設住宅の建設というのは厚生省の所管になりますね。
 当然住宅ですからこれは建設省の所管であろうというように思って、いろいろと建設省を呼んでなぜ急がないかというような話をいたしましたところ、いや、これは厚生省の所管だと。じゃ厚生省はどういうところで所管がというと、厚生省の社会・援護局の保護課という一つの課があるんです。その保護課というのは一体何をやるかといいますと、本来は生活保護法の関係をやっておるわけです。その保護課の所管事務の中に七項目ぐらいあって、わずかに五番目に一項目、災害救助法の施行に関することというのがあります。
 ところが、災害救助法全般ですから、その中の応急仮設住宅の建設というのは何十の中の一つですから、逆に言えば厚生省全体の中のもうそれこそ何百分の一にすぎないような事務になっているわけです。これが、すべての原因であるとは言いませんけれども、応急仮設住宅の建設が非常におくれていったということの原因ではなかったか、少なくとも大きな原因の一つではなかったか。
 いろいろ調査してみますと、建設省の住宅局でこれは一生懸命バックアップしてあげたんだ、建設省の住宅局でこれを所管していれば、恐らく何倍ものスピードで応急仮設住宅の建設ができたであろうと、こういうようなことも聞いているわけです、
 であるならば、今、行政改革が大変声高に叫ばれておりますし、また村山内閣の非常に大きな看板になっているわけですから、こういう実態にそぐわないことは直ちに行政改革の中で取り上げて、こういった組織について見直しをしていただくということが求められるのではないかと思いますが、総務庁長官の御見解をお伺いします。
○国務大臣(山口鶴男君) お答えいたします。
 確かに御指摘のとおり、現在の法体系では建設省ではなくて厚生省の社会・援護局の保護課が所管をしているという形になっておるようでございます。それはやはり応急仮設住宅というものは、被災された方々のうち自力で住居を建設できない方々を対象にした簡単な住宅を建設する、そういった福祉的観点からこのような法体系になっているんだろうと思いますけれども、しかし現実には建設省が用地の取得でありますとか、あるいは建設省といたしまして建設業界を集めて協力を強く要請するとか、さまざまな形で建設省がこれをバックアップいたしまして、厚生省と建設省とが相協力をしてこの応急仮設住宅の問題については懸命に取り組んできたというふうに承っている次第でございます。
 今後の問題をどうするかということにつきましては、中央防災会議等で今後の災害のあり方について御議論をされるでありましょうし、また近く総理の諮問機関として防災臨調というような形でいろいろ御論議がある、こう承っているわけでございまして、直ちに行革の対象というふうには私ども考えておりませんけれども、そういった御議論というものをやはり参考にしながら、将来国民のためにどうあるべきかという観点では十分検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
○松谷蒼一郎君 ただいま総務庁長官からお話がありましたように、建設省に用地関係の部局もあれば住宅建設の部局もあるし、それからこういった応急仮設住宅を建設する場合のいろんな幅広い経験、実績というようなものがありますから、厚生省と協力するのもいいんですけれども、まずは建設省が中心になってやっていくというような体制を整えていかないと、これから先、万が一首都圏に大震災が発生するというような場合に、またおくれをとるようなことになるのじゃないかと思いますね。
 こういう点について建設大臣は、建設委員会で私が質問したときに、閣僚懇談会でそういった意見があったということを発言するとおっしゃっていましたが、いかがでしたですか。
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをします。
 松谷先生から建設委員会でその点を厳しくといいますか穏やかにお話をいただきました。私も、仮設住宅を建設するに当たりまして全力を尽くしてやらなきゃならぬ。現在では三万二百六十四戸完成をしております。もうあと一万戸は終わるわけですが、お入りになっておる方々は一万三千七百六十四、その程度だったと思います。まだ半分にも満たぬ。一生懸命つくったと、我々は。今、被災者の皆さんは五万五千を数えて、神戸市内が大体四万五千で他の市が大体一万程度というところまで来ております。この四万戸ができれば全部入ることはできるだろうと、こういう見通してあります。
 そこで、先生が言われたことについて厚生大臣とも率直に話し合いました。つかさつかさで全力を挙げて相協力をしてやると。したがって、お入りになる場合、収入の面等であるいは年齢の問題なりあるいはまた身体障害者の関係なり、そういう点についてはやはり厚生省の方が十分知悉をしていらっしゃる。特に、入居問題についてはそれらを含めて地方自治体が決定するわけでありますから、我々は、今すべて御指示があったところに全力を挙げて、御指摘をされたようなことがないように早急に完成をしなきゃならぬ、そのことが第一義的な我々の考え方である。
 したがって、今後お入りいただくことまでやるかどうかについては、厚生省と十分話し合っていきますが、落ちのないように、問題がないように厚生省と十分協議、打ち合わせをして、整々としてつかさつかさでその職分を発揮していこう、こういうような話し合いを先ほどしたところでもございますので、御意見を重く受けとめながら、今後の推移を見て、十分前向きに総務庁長官等含めて検討してまいる所存でございます。
○松谷蒼一郎君 建設委員会の答弁より少し後退したような気がするんですが、それはそれといたしまして、両大臣ともに前向きに検討するというお話でございますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
○国務大臣(井出正一君) 先生の御質問でございますが、どうも今回の大震災の応急仮設住宅、厚生省の一課で行った結果とおっしゃられるのはいささか心外でございます。
 確かに大変な大きな被害でございましたから、当初用地の確保、資材の生産・搬入あるいは建設に携わる従業員の動員等大変難しい問題があって、残念ながらかなり日数を要してしまったことは確かであります。しかし、このような課題を克服するために、建設省初め関係省庁の皆さんに大変な御協力をいただきながら、用地の活用あるいは各関係業界の協力等大変なお力添えをちょうだいしたところであります。それで、ただいま建設大臣が御答弁のように、三月末で三万戸、目下四万戸に向かって一生懸命やっておるところでございます。
 応急仮設住宅は、被災された方々のうちで自力で住家を建設できない方々を対象に簡単な住宅を仮設し、福祉的観点を踏まえて提供するものでございまして、災害救助法に基づいて厚生省が従来から責任を持って対応してきているところでございます。
 今後とも、関係省庁との連携を密にしながら、他の災害救助事業と同様、厚生省においてしっかり対応してまいりたいと考えております、どうかよろしくお願いします。
○松谷蒼一郎君 次に、公共工事の委託設計に対する審査体制の確立について質問をいたします。
 平成三年度の決算に関しまして、参議院は内閣に対し、
  国の補助事業で地方公共団体が発注した公共工事に関して、近年、設計業務を委託された設計コンサルタントの成果物に対する審査が不十分なまま施工された結果、構造物が不安定な状態となっている事例が見受けられることは遺憾である。
 政府は、設計業務の外部委託に係る設計計算書及び図面等に対する地方公共団体の審査体制が確立されるよう、その指導等に努めるべきである。
と警告をしたわけであります。
 これについて会計検査院に伺いますが、平成四年度、五年度の決算に関する会計検査院の検査の結果はこのことに関連してどういうような内容になっておるか、概要を報告してください。
○説明員(天野進君) お答えいたします。
 国の補助事業で地方公共団体が発注した公共工事において設計コンサルタントに係るもので設計不適切として平成四年度及び五年度の両年度に決算検査報告に掲記いたしましたものは、両年度ともそれぞれ四件となっております。
 これらの態様を申し上げますと、鉄筋の配置本数を適正なものより少なく配置しているもの、鉄筋の径を適正なものより細かい径の鉄筋としているもの、擁壁等に作用する土圧を適正なものより小さく計算していたものなどとなっております。これら誤った設計に基づいて施工したため完成した構造物が不安定な状態になっているというものでございます。
○松谷蒼一郎君 このことについて自治大臣、いかがですか。
○政府委員(吉田弘正君) 設計業務を外部委託する場合の地方団体の審査体制の問題でございますが、この問題につきましては、従来から私ども、当該団体の適正な管理監督のもとに行政責任の確保と住民サービスの向上が図られることに留意しつつ、外部委託を行うように指導してまいってきたところでございます。
 今お話しございましたように、先般の警告決議がございました。私ども、これを踏まえつつ、昨年の十月には事務次官通達によりまして地方公共団体における行政改革推進のための指針というものを各地方団体あてに通知をいたしまして、その推進を要請したところでございます。
 今後とも適正な管理監督のもとに外部委託が行われますように配意してまいりたいと考えている次第でございます。
○松谷蒼一郎君 多くの町あるいは村では設計関係の技術者というのが全くいないというような状態なんですね。
 そこで、そのまま予算はついた、補助金はいただいた、そこですぐ工事はもう外部の設計コンサルタントにほうり投げる、それを検査する能力もないというような状態がありますので、これから先もなかなか大変な事態が発生しないだろうかという心配があるわけでございますので、ぜひその点については留意して御指導を賜りたいというように思います。
 この点については、直轄工事についても同じような問題がありますが、建設省はいかがですか。
○政府委員(伴襄君) 設計業務の外部委託のチェックでございますけれども、私どもは直轄の場合には一系列でチェックしておりまして、特に委託先でありますコンサルタント側におきましては、実際に設計をする従事者とは別に、照査技術者というのを別に任命させまして入念な調査を行わせております。それから、あわせまして発注者側でも調査員を決めまして、発注時から設計計画の段階、一般図作成の段階、詳細図作成の段階、それから報告書作成の各段階において厳正な照査をやっておりまして、さらに確実なチェックを行うためにその照査のあり方に関するマニュアルを作成しておりまして、これによってチェックを厳正に実施しております。
 今、補助金との関係がございましたけれども、直轄ではこういうことをしておりますが、あわせまして、地方公共団体においてもそういうことを普及しようということで、これは自治省ともいろいろ綿密な連携をとっておりますけれども、例えば今申し上げたマニュアル、こういったような情報の提供をさせていただく、県の技術管理主管課長会議等を開きましてその内容についてもよく伝達しております。あわせまして、設計業務に関する研修でございますけれども、これにつきましても河川構造物とか道路構造物等につきまして設計に関する研修がございます、研修コースがございますので、そういった場でも地方公共団体職員を相手に研修をさせていただいているところでございます。
○松谷蒼一郎君 次に、時間がありませんので規制緩和について伺いますが、本年の三月三十一日に閣議決定をされました規制緩和の推進計画につきましていろいろ報道されているわけですが、なかなか厳しい意見が多いと思うんです。
 例えば、規制については社会的規制と経済的規制がある、経済的規制については原則はフリーだ、例外的なものだけを残すんだと、こういう方針が確立されているわけでございますけれども、実際には流通の関係とか基準・認証、輸入等の関係、あるいは価格規制の関係、また別に、これは逆かもしれませんが価格の支持、農産物等に見られます、そういうような関係でかなりたくさん、多数のまだ規制が残っているんじゃないかというように思うわけです。
 そういうような状況の中で、この、規制緩和推進計画に関連するコメントで、これは政府が出したんだろうと思うんですけれども、国民に身近な規制緩和の例として例示されているものがたくさんありますね。
 これを読みますと、余り細かいものとかこんなものかというようなものがたくさんあるわけです。実際には今、円高等の状態にも見られますように、規制緩和によって中期的に我が国の経済体質というものを強化していこう、そういうようなことでありますとか、あるいは内外価格差の縮小のためにこの規制緩和を役立てようと。そのほか日本市場の開放、これは対外的な問題でありますが。
 そういうような大きな目標があるにもかかわらず、その中で言われているのは、例えば住宅の増改築によるホームエレベーターの個別認定を一般化するとか、何か大体、住宅のホームエレベーターなんて少ししかないのにそれの認定を一般化しようとか、あるいは調理を行う自動販売機における調理基準の緩和とか、ちょっと幾ら何でも内閣、村山内閣の一番重要な政策として打ち上げているものの例としては余りにも情けないような例示がある。定期借地権方式の導入、これは一体規制緩和と関係があるのかなというような、そういうようなものもあるわけです。
 そこで、私の方も総務庁に聞いてみたわけです。総務庁の行政管理局に尋ねてみまして、緩和すべきものはまだたくさんある、規制緩和すべきものはたくさんあるだろうけれども、これは一体どうなっているんだというように聞きましたら、これは文書で来まして、緩和すべきものはすべて計画に盛り込んでおり、緩和すべきであるのにできなかったものはありませんという返事なんですよ。これは熱意が全く感じられないなと思っているんです。私どもも村山内閣を支える一員ではありますけれども、幾ら何でもこういうようなことをぬけぬけと言えるものだなというふうに思ったわけです。
 それからさらに、今回の計画では、前述のとおり、各省庁において緩和すべきものは、計画に盛り込んでおりますので、現時点で、特に問題は残っておりません、これまた随分はっきりと、これ文書ですから、ちゃんと文書で来ているわけですね。
 こういうようなことでは、規制緩和の元締めである総務庁がこういうような熱意のなさではなかなかこれは村山内閣としても前途が厳しいのではないかと思うんですが、総務庁の見解、いかがで促すか。
○国務大臣(山口鶴男君) 文書の点は後で事務当局に答えさせようと思いますが、御指摘の規制緩和の問題に対します村山内閣としての考え方について私の方からお答えをいたしたいと思うんです。
 御指摘のように、経済的規制につきましては原則自由、社会的規制につきましてはこれはできる限り最小限度のものにとどめるように努力をするということが私たちの基本であることは言うまでもございません。
 そうして、この問題は、役所の間だけでやっているということではよくない。やはり国民の皆さん方、各界各層の皆さんからの御意見を謙虚に承りたい、またアメリカ初めEU等内外の方々の御意見も十分に承ろう、こういうことで私どもやってまいりました。
 そうして、政府として進めておりますこの具体的な組織としましては規制緩和検討委員会というものをつくりまして、内外の方々を御委嘱を申し上げまして率直な御意見を出していただきました。そうして、総理がこの規制緩和の問題についてはできるだけ透明性を確保して決定をするようにすべきだということをかねてから私に指示しておられますので、この際ひとつ中間報告を求めることにしようということで、御案内のように中間報告も求めまして、そうしてこの中間報告を国内のみならず日本にあります大使館の方々にも御連絡を申し上げて、外国の方々にもその中間報告について率直に御報告をいたしました。その上さらに御要望を承った上で、約千九十項目の閣議決定を五カ年計画としていたした次第でございます。
 検討するというような形であってはいけない、検討するんならいつまでにこの検討をすると、時期を明確化せいということを強く指示をいたしまして、千九十一項目ですか正確に言いますと、千九十一項目でありますが、すべていつまでにこれは解決をいたします、また少なくともこういう方向で検討いたしますと、この中塚をできる限り明確化するように努めて閣議決定をいたしました。
 そればかりではなく、これは毎年毎年ローリングをしていく、見直しをしていくということにいたしておりますし、昨年、衆参両院の御議決で発足をいたしました行政改革委員会というのがございますが、この改革委員会で監視もいただく、そうして必要とあらば勧告もいただく。そういう中でさらにこれを見直していこうというわけでございますので、この規制緩和につきましてはできる限り透明性を確保し、内外の意見を聞いて、そうして内容も明確化してこれを行うということでやっております点はひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 文書等につきましては、事務当局の方に答えさせます。
○松谷蒼一郎君 もう時間がありませんので、文書はよく読んでください、ここにありますから。
 次に、円高対策と景気の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
 このところ、幾つかの経済指標を見ていますと、例えば民間消費支出、それから住宅着工あるいは百貨店の販売額、そういうようなものに陰りが見えてきた。ところが、これは経企庁が出している月例経済報告を見ると非常に楽観的に書いてあるんですね。
 よく言われるのは、経企庁は楽観的過ぎるんじゃないかと、例えば今後の経済見通し等につきましても。こういうようなときに円高が襲ってきた、それも大変あらしのような円高であるわけです。土曜日ですか、八十三円台になりました。しかも、円高だけならばまだあれですが、株が安くなってきたというように景気に非常に悪影響をもたらしてきておるわけでございますが、少なくとも円高対策としては公定歩合を引き下げるべきではないか。もうタイミシグを失したのかどうかわかりませんが、これについて経済関係大臣の御見解を伺いたいんですが、経済企画庁長官、大蔵大臣、通産大臣の御見解をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) 公定歩合の件については、これは日銀の専管事項でありますから、私がここでどうしろ、どうするべきだと言うのは適当でないというふうに考えております。
○松谷蒼一郎君 どうしろというんじゃないんですよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今日の状況を見ましても、八十二円台あるいは八十一円台といった動きを続けておりますこの局面は、私にとりましては大変深刻であります、それだけに、通産省としてできる対応策はすべてを使いたいと本院においても御答弁を申し上げてまいりました。
 そうした中におきまして、私は、公定歩合の問題につきましても、日銀当用が最善のタイミングを判断され適切な行動をしていただくであろうと、そう信じておりますし、我々としては使える武器は何もかにも使いたいという気持ちであります。
○国務大臣(武村正義君) 過般、大蔵省としましては、財政金融運営について考え方を発表いたしたところでございますが、我が国の金融政策は内外の経済動向を真剣に注視しながら最も有効に働くように機動的な運営がなされるべきであるというふうに思っております。
○松谷蒼一郎君 経企庁長官に私はどうしろこうしろということを言ったわけじゃなくて、まさに今、通産大臣や大蔵大臣がお話しになったような、そういう見解を発表したって少しもおかしくないと思うんですね、国会の場でありますから。
 それについて、もう一度経企庁長官の御見解を承ります。
○国務大臣(高村正彦君) 御質問部分が公定歩合をどう考えるかということでありましたからあのようにお答えいたしましたが、もう少し幅広いところでお答えいたしますと、きょう午前中に総理から円高対策を今週中にまとめるという指示がございまして、幅広い観点からそういった点について、例えば今国会中に補正予算をするというのはもう既定の方針でありますけれども、単に震災復旧・復興対策だけでなくて、その中に円高対策も入れるとか、あるいは中小企業対策だとかあるいは経済構造対策だとか、そういったことがとりあえず私の頭の中にありますが、具体的ないろいろな点については今週中にまとめるそういったものの中でパッケージとして国民にお示ししたい、こういうふうに考えているわけであります。
○松谷蒼一郎君 日銀の理事の方がお見えだと思いますが、こういった円高対策について、日銀としての見解はいかがですか。
○参考人(小島邦夫君) お答えを申し上げます。
 景気の現状ですが、引き続き緩やかな回復過程をたどっておると考えておりますけれども、そうした中で、やはりこのところその緩慢さが明確になってきているという状況だと考えております。加えまして、このところの為替円高下の動き等を受けまして、景気の先行きについての不透明感が強まっているということではないかと思っております。
 こういった現状にかんがみまして、景気回復の足取りをより確かなものとするために、金融面から一段のサポートを加えるということが適切であると考えまして、先般市場金利の思い切った低下を促す措置を実施いたしました。これによりまして、御承知のとおり短期プライムレートが〇・二五%引き下げられましたし、長期プライムレートも引き下げの方向と聞いておりますし、預金の金利につきましても、例えば去年の年末ぐらいには一年物で二・一%強ぐらいのところでございましたけれども、この措置の後では一・三%というところまで下がってきております。
 こういった金利の低下が浸透するにつれて、景気にもよい影響が及んでいくというふうに考えておりますが、そういった意味で当面はこの措置に伴う金利の低下の効果を見守りたいというふうに思っておりますけれども、予断を持つことなくこれからの経済金融情勢の展開を注意深く点検してまいりたいと考えております。
○松谷蒼一郎君 短期金利を誘導して安くしていくという方策も実質的な効果というのはあるんでしょうけれども、しかし今景気対策にあるいは円高対策に非常に求められているのは全体の経済的な心理効果というものがあるわけですから、アメリカの金利と連動しながらできるだけ早く、あるいはタイミングを間違えないように公定歩合を下げるべきではないか。
 我が国の物価は非常に安定している、実際にはむしろ下がってきているんじゃないかと言われているんですね。アメリカの場合は物価は三%ぐらいで上昇しているわけですから、物価と金利の関係からいえば、我が国の実質金利はむしろ上がっているんじゃないかとさえ言われているわけです。
 そういう意味から、再度お伺いいたしますが、公定歩合の発動も含めて、こういった危機的な状況にあるとき、日銀としてどういうような動きをする用意があるかどうか、それについてお伺いいたします。
○参考人(小島邦夫君) 実質金利という側面につきましては、ただいま申し上げましたようなことで日本の金利は下がってきておりますし、一方、物価との関係を見ましても、現状はアメリカよりも日本の方が低いという状況になっていることは間違いございません。アメリカの金利がどう動くかということにつきましては、まだ私ども、そういった動きはございませんし、現状までのところではアメリカがさらに金利を上げるというような動きが出ているということでもございません。
 いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、景気回復をより着実なものとするということで金融面からサポートを強化するということでございまして、預貯金金利が完全に自由化された現状におきましては、市場金利というものが預金金利、貸出金利を決定する最大の要因でございます。過去のように金利が規制されております時代には、公定歩合が動けばそういった金利は動くということで非常に効果が大きかったわけでございますが、現状は公定歩合というのは日本銀行の貸出金利でございまして、これが動くだけでは余り大きな意味はないわけでございますので、この辺もあわせて、今回の措置、実質的な利下げということでもございます、今後とも経済の流れをじっくり見ながら対応を考えていきたいというふうに思っております。
○松谷蒼一郎君 いずれにしても、公定歩合の引き下げは多少タイミングを失したかなというような思いがいたしますが、これから経済が非常に厳しい局面に入ってくるわけでございます。そうであるとすれば、公定歩合の引き下げも含めて、補正予算をどう編成していくか、あるいはその他のいろいろな、規制緩和等も含めるんでしょうが、総合的な形で経済対策を打ち出すべきではないかと思うんです。
 時間がありませんので、最後に大蔵大臣に、総合的なそういった経済対策をどういうような形で打ち出していったらいいか、総括的な御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) まさに御質問のこの時期の総合的な対策をきょう総理から企画庁長官に指示がなされまして、恐らく急いで通産大臣や私どもも一緒になってこの対策の中身を詰めることになろうかと思っております。短期の対策もございますし、かなりロングレンジで基本的なとらえ方に立った対策もあろうかと思います。
 かねがね言われておりますように、日本経済の今置かれている状況からすれば、何としても経済を本格的な回復の軌道に乗せることが大事であります。そのことが内需拡大につながり、貿易収支等にもいい影響を与えるということでありますから、そのことをまず柱に置く必要があります。
 しかしまた、日本経済が今立っております状況は、構造改革という言葉が盛んに使われますように、従来のどんどん物をつくれば売れて経済が拡大していくという状況ではなくなりました。世界のさまざまな動きの中で、日本経済もかなり構造そのものを転換しなきゃならない。アジア各国の新しい状況と共存共栄するためにも、より付加価値の高い、創意工夫を凝らせるような、そういう産業構造に変えていくための応援の政策、税制も金融もあるいは行政措置も含めて、そういうものを総動員して、いわば経済のニューフロンティアを開拓していくための姿勢が大事であろうかと思っております。
 円高につきましてもいろんな視点がございますが、当面は各国との協調、政策や介入の協調ということは今後も一層重視をしていきたいと思っておりますが、この通貨のシステムそのものはこれでいいんだろうかと。こういう急激な、しかも経済の諸条件に合わない乱れた変動が出来をいたしますと、何が問題なのか、変動為替相場制そのものも含めた議論が既にもう国際社会でも続けられているところでございますが、改めて私どももそういったテーマについても大きく関心を向けていきたいと思っております。
 日本としては、やはり円の国際化というふうな視点についても中長期的には努力をしていく必要がある等々、思いつくまま申し上げました。
○会田長栄君 日本社会党・護憲民主連合の会田でございます。
 質問に入る前に、阪神大地震、地下鉄サリン事件、あるいは東京協和・安全信用組合、大蔵省幹部の癒着問題等、大変困難な課題を背負って毎日努力されていることに敬意を表しながら質問に入りたい、こう思います。限られた時間でありますから、端的に質問し端的に答えていただいて事を進めていきたい、こう思っております。
 私は、参議院議員に当選して六年目、間もなく六年終わりです。六年間、実は日本の政治のあり方の根幹、予算、決算というものを非常に大事にして勉強していかなきゃいかぬというところで、この決算委員会に籍を置いて、国民の皆さんからいただいている税金の使われ方、特に納税者の気持ちに立って政府及び会計検査院に対して真剣に質疑を続けてまいりました。また、決算審査のおくれについても早期に解決しなければいけないと言って努力してきた一人であります。
 その意味では、昭和六十一年、六十二年、六十三年、平成元年、二年、三年、そして四年、五年と入るわけであります。いかに決算審査がおくれているかという結論でもあります。四年度、五年度というのは宮澤内閣のときの問題でありまして、もちろん五年度は宮澤、細川内閣のときでございます。それ以前は、平成三年度は海部内閣、宮澤内閣、そして平成二年度は海部内閣、元年度は竹下、宇野、海部内閣と、こういうときでありますから、村山内閣というのは、武村大蔵大臣というのは実はこの時代の後始末に今全精力を費やしているんだなという受けとめ方をしています。
 そこで、後始末というのは、実は難しいんだけれども、これは特に内閣にとって非常に大事なんですね。あいまいに処理すれば国民にしかられる、怒る、それが必ず選挙に反映をする。だから私は、その点ではあいまいにすることなく、時には大臣は鬼になって整理しなきゃならないことはきちっと整理すべきだという立場をとっています。
 そういうことを考えますと非常に大事なところへ来ていますから、以下、簡潔に質問していきます。
 第一は、四年度、五年度が連続して歳入欠陥になって財政の見通しを誤った問題についてであります。
 私は、本会議においても取り上げました。大蔵大臣から答弁もいただきました。しかし、これを惹起した財政当局の責任について、四年度、五年度の当時のことでありますが、今引き継いでいる大蔵大臣といたしましてどういう御所見をお持ちか、改めてお聞きしたい。
○国務大臣(武村正義君) 四年度、五年度、二年度にわたりまして歳入欠陥の発生を見たわけでございます。これ自体どういう弁解をしましても異例な事態であることには間違いがありませんし、当然その責任は痛感をしなければなりません。資本主義経済というと、そのせいにしてしまうわけではありませんが、刻々と経済が生き物のように動いている社会であります。それだけに行く先を予測することも大変なことでありますし、結果としてはこういうふうな残念な事態にもなるわけであります。補正予算等によって一定のまた修正を加えておきながら、なおかつ決算上の不足が生じたということであります。
 理由としては、そのときの経済情勢の予測がきちっと見通すことが大変困難であったということになるわけでありますが、経済情勢の責任にして申し上げているわけではありません。そのことは当然でありますだけに、その中でより的確な、より間違いのない判断に今後も一層こういう経験を踏まえながら努力をさせていただかなければならないというふうに思います。
○会田長栄君 次に、五年度に生じた歳入欠陥五千六百六十三億円については、当然七年度当初予算で返さなければならないと私は思っていました。ところが、特例法で八年度まで繰り延べることにより新たな隠れ借金ができました。我々は、バブル期の税収を決算調整資金に積んでおくべきだということを再三述べてきました。しかし、残金ゼロのまま国債整理基金から一時借用して、大蔵省は当面を糊塗してきました。そして、まさか決算調整資金からの国債整理基金への繰り戻しにまで私は手をつけるとは思いませんでした。が、それも大蔵省はやりました。今後処理を要する隠れ借金の総額は、大蔵省の国会提出資料でも四十一兆五千億、我々の試算では四十八兆円にもなろうとしております。これに公債残高二百十四兆円、まさに大変な財政を取り巻く状況であります。
 しかし、ここで考えなきゃいけないのは、このバブル経済が破綻をしてまさしく我が国の財政運営も危機的状況を招いたそのときに、大蔵省の幹部は一体何をしていたのかということなんです。この点について私は絶対にあいまいにしてはいけない、こう思っている一人であります。今回、異例の大蔵大臣からの訓告があったと聞きます。しかし、これは訓告を受けたのは二名。こんなものをあいまいにしてはいけないという私の意見であります。
 主計局を中心とする大蔵省幹部ぐるみのいわゆるただ飲み、ただ食い、ただ遊びというこういう作風、風習ですね、一体どう考えたらいいのか。まあ接待漬けという言葉をつけられておりますけれども、そういう意味で具体的にきょうは若干お尋ねしたい。
 そこで、私はこの中心的存在であります主計局長、次長の方々においでいただきたいと、こういう要求をしておりました。これは大蔵大臣に聞けばわかるということでありますが、そうではありません。先ほど言ったように、大蔵大臣は後始末をして今大変骨折っている大臣でありますから、当然この主計局が中心になって話題になっているわけでありますが、おいでいただけたでしょうか。
○政府委員(小村武君) 大蔵省全体の綱紀にかかわる問題については、私ども官房が所管をしております。お尋ねの件については私が責任を持ってお答えを申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○会田長栄君 それではお聞きします。
 いわゆる東京協和信用組合の高橋前理事長から大蔵省幹部職員が供応を受けたこと等の問題で、三月十三日、本院の予算委員会で武村大蔵大臣から処分の内容が報告されました。これを受けた委員の質疑に対し、今回の措置は大蔵省内部、特に二人について大臣自身が一時間余り事情を聞いて判断した措置である。今後これ以上のことが起こることを予想したくないが、万々一そういう事態が起これは、新たな事態には新たな措置が必要である。これは今回の処分対象になった者もならなかった者も含めて申し上げているつもりだと、大蔵大臣は明言されました。
 そこで、大臣自身が二人から事情聴取したと言われる中身についての御答弁を熟読してみました。そうすると、幾つか疑問点、明確でない点が出てまいりましたので、お尋ねいたします。
 田谷氏が高橋前理事長の自家用機で香港旅行をしていた時期はいつですか。ここは全くあいまいなんです。
○政府委員(小村武君) 平成二年の夏休み、八月四日から六日でございます。
○会田長栄君 わかりました。
 二つ目は、田谷氏は割り勘で二十万円を窪田氏に払ったとのことであるが、高橋証人は、自家用機で五人乗ろうが十人乗ろうが余り運賃をいただくようなことでもない、特にいただかなかったと思うと証言している。そうすると、割り勘で払ったとする二十万円は香港での宿舎、飲食等の割り勘であって飛行機代は入っていないのではないかと、こう思われますが、この件についてどうですか。
○政府委員(小村武君) 本人から聴取したところを御報告申し上げますと、友人から香港の旅行を誘われた。自分以外は民間人であった。私は公務員だから費用を払いたい、幾らかと言ったところ、二十万円と言うので、誘われた友人に二十万円を支払った。その中に往復の飛行機代と宿泊費等が入っていると思っていた。ただ、往路は高橋氏の自家用機に乗せてもらうこととなったが、その費用も当然その中に入っていると思っていた。証人尋問では高橋氏は費用を受け取っていないという認識なので、結果としては往路は便宜供与となった。事前に費用の内訳を聞くべきであった、という報告でございます。
○会田長栄君 これも結論から言えば簡単なんです。二十万円払ったといえば、当然領収書をいただいておけば、だれにも疑問を持たれないんですね。
 この件について調査しましたか。
○政府委員(小村武君) 領収書の所在について本人に問いただしたところ、領収書はもらったが、五年前の話なので今捜してもなかなか見つからないということでございます。
○会田長栄君 五年前のことであれば、そういうこともあり得るかもしれません。しかし、こういうところはやっぱり調査したらしたように、二回も三回もお尋ねしなくてもいいようにすっきりしておけばいいんです。そうすれば、きょうもあしたもあさってもといって国民はそんなに怒りを感じないんですよ。そこのところをあいまいにしないでほしい、こういうことです。
 次に、ゴルフの点です。先ほど私は、どうもただ飲み、ただ食い、ただ遊びと、こう言いましたけれども、この点について大蔵大臣の答弁では、中島氏は二回、田谷氏は一回、それも全部数年前に政治家等に誘われて、ここが大事なんです、政治家等に誘われて複数で高橋氏と一緒にゴルフしたことがあると認めているということでありますが、果たしてこれだけなんですか。これ調査したらおわかりでしょう。二人だけで誘われて行った、実際はそうではなくて、六人も七人も八人も、最後は政府関係者が十何人も行ったんじゃないんですか。
○政府委員(小村武君) 高橋前理事長とゴルフを一緒にいたしましたのは、中島主計局次長については二回ぐらい、それから田谷前東京税関長については平成二年に一回というふうに聞いております。いずれにいたしましても、高橋氏との関係においてゴルフをしたということにつきましては大臣からもかわがね御答弁申し上げたとおりであります。
○会田長栄君 私は、官房長、大臣に二度も三度も答えさせないように正確に調査をして報告したらそれで済むんじゃないですかと言うの。隠せば隠すほど人というのは疑いが増幅するんです。私はこんなことを隠す必要ないと言うんですよ。ここまで来たら正直に聞いて報告した方がいいということなんですよ。きょうは時間の関係もありますから、この問題についてはここらにしておきます。
 そこで、ここで関連して聞きます。なぜ、大蔵省の幹部がいわゆる前理事長の高橋氏と京都に行った話や、元IBMの経営コンサルタントの窪田、こういう人たちが大蔵省に自由に出入りしているというのは、これはどういうことですか。何か理由があるんですか、これ。
○政府委員(小村武君) 今回の事態につきましては、私どもまことに遺憾に思っております。訓告を受けた二人の職員あるいはその他の職員についても、今回の事態は極めて重大なことと認識をしております。
 私ども大蔵省の職員たる者、私的な交際相手といたしましても常に自戒し慎重であるべきであるということを改めて反省をしておりまして、今回の社会的な批判を謙虚に受けとめまして、再びこのようなことが起きないように省を挙げて最大限努力してまいりたいと思いますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
○会田長栄君 それでは、もう一つこれに関連をしてお聞きします。
 大蔵大臣、この二つの信用組合の問題が出たときに、大変国民は共感をしたんですね、こういう放漫経営の金融機関など一つや二つつぶれたっていいんだと。それはそうだ、おれもそう思う。それがなぜ金融秩序の維持ということでお変わりになったのかというところが国民がなかなかやっぱり納得しない一面ですよ、これを、大蔵大臣。あの言葉を言ったときに、大蔵大臣さすがとみんな言ったんです。ところが最後に、まあ私から言わせりゃこれはどら息子ですから、前理事長なんといったって。人の金で遊んで歩くなんというのはもってのほかだ。ましてや、政治家を利用してみたり、あるいは大蔵省まで巻き込んだりしてやるなんということは、おれから、言ったら不逞のやからだ、こんな者。これは国民が怒るのは当たり前なんですよ。なぜ、大蔵大臣があそこまですぱっと言ったものが途中で変わったのか、その心境を聞かせてください。
○国務大臣(武村正義君) 一番最初、この二つの信用組合の不良債権の額あるいは回収不能額等々をめぐる乱脈経営の実態の報告を受けたときに、私は思わずそういう声というか、そういう発言をいたしました。これはその実態だけを見た素直な私の感想というか思いであったし、多くの国民の皆さんとそういう意味じゃ変わらないと思います。
 ただ、そのことと、問題は対策ですね、対策は、その高橋何がしを救済するものではありません。二つの信用組合を救済するものではありません。もう姿を消しました。二つの信用組合は二度と浮上しません。高橋氏もやめて、私財も提供を言われて、今経営的な面も含めて法律的な責任を追及されるような状況に立っているわけであります。
 問題は、この二つの信用組合にお金を預けた預金者、二万数千人おられますが、この預金者をどうするか、あるいはこの信用組合をめぐるたくさんの債権債務関係をどう処理するか、そのことであります。ぜひそこは、信用組合を救済する、高橋前理事長を救済するわけじゃないということを御理解いただきたい。私は、そこへ話が移りますと、これはほうっておけばいいというわけではない。同時に、ここで突然ある日二つの信組が倒産をするという事態を招いたときには、日本全体の預金とか金融機関に対する国民の信頼が損なわれることがないだろうか、不安が起こることがないだろうか、その一点は真剣に注視をいたしました。
 そうすると、必ず信用不安が起こるというふうに確信したわけではありませんが、過去の例とかあるいは世界の例を見ますと、やはり信用不安だけはどんなことがあっても起こしてはならない、預金とか金融機関に対する信頼感をある日突然損なうようなことを起こしたんでは大変心配なことになる可能性があると、そういう判断をして、その後発表いたしましたようなスキームといいますか処理、整理案を日銀、東京都、三者で合意をさせていただいたわけであります。
 むしろ、一番最初の報告を受けたときに、じゃそれでいくとしても高橋氏を含めた経営責任だけはきちっと問うてくれ、あらゆる法律的責任を問おうじゃないかということも私は一番最初の日に局長に指示をしたわけであります。その後はそういう方向に、責任追及といいますか、真相の解明と責任をきちっとすることと、それから預金者の救済を含めたこの処理対策案と、二つに分けながら今日に至っているというふうに認識をいたしております。
○会田長栄君 これに関連してもう一つ官房長にお尋ねしますが、こういういわゆるただ飲み、ただ食い、ただ遊び、それもなかなか奥の深い遊びまで含めてやってきて、大蔵省内に紀律保持委員会というものを設置した。この紀律保持委員会の責任者は、じゃ全くこういうことに関係していない人がなったのね。いや、実は何回かまざっていたというんでは私から言わせれば責任者はちょっと不適格なんだから、これは調査の対象なんだからとても紀律保持委員会の責任者なんかになれるものではないんです。その心配はないんだね。
○政府委員(小村武君) 今回のこの事態に対しまして、先ほど申し上げましたように私ども大変省を挙げて反省をしておりまして、先生御指摘の紀律保持委員会を設置いたしました。
 この紀律保持委員会におきましては、今いろんなところで御指摘をいただいたそのことについて点検するとともに、新たに大蔵省として反省の上に立ってどうあるべきかということを検討していこうとしております。
 委員長は、私か相当しております。私は高橋氏とは一面識もございません。
○会田長栄君 そうがな。絶対ないね。そう言ってください、ないならないと、三回あるならあると。その方がいいんです。
○政府委員(小村武君) 御答弁申し上げます。
 高橋氏及びIBM関係者と称する方とは一面識もございません。
○会田長栄君 それじゃひとつ後で、この人たちの関連会社の人たちともないということを信じて、きょうは違うんだからこれで終わっておきますが、あすも私やりますから、ぜひその際ひとつ改めて質問させていただきます。
 私、なぜこう言うかというと、これ大蔵大臣、内閣官房長官、よく聞いていてほしいんですよ。私は、平成四年の六月に本委員会で、当時の宮澤総理にこれに関した質問をしているんです。それは、俗に霞が関業界誌と言われている「輪際」の問題で質問しているんです、これ。
 もちろんそのときは大蔵省は関係誌の話題にはならなかった。そのときに、実は渡部通産大臣が通産相だったんですね。直ちに行って調べたんですな。そうしたら、なるほど通産省の幹部とその窓口になった人、IBMの窪田氏と、業界とのつながりをつくって勉強会として企業から金を出させて、それでいろいろ分け合っていたと。
 この問題は決して公務員の綱紀粛正からいって見逃すことはできないんだよと。それはなぜできないか。こういう不景気の中にあって現場の税務署の職員を見てみなさいよ、あの努力というのは並大抵じゃないですよ、税金を集めるために。もちろん昔から税務署と金融機関というのはおかたい人の集まりと、こうなっていたんだから、これ有名なんだから。おかたいことをできない人はその企業には勤めない方がいい、少しずつこうずれるような人は。だから、まじめな人ばっかり集まっていたから、まさかその監督官庁である直接の大蔵省がそんな生活をしているとはだれも思わないんですよ、これ。
 それでその質問をしたんだよ。そうしたら、渡部元通産大臣は閣議後その報告をして、直ちに通産省の内規をつくった。内規をつくったということは率直に認めたことなんです。そして、記者会見をして陳謝した。
 こういうことがあるにもかかわらず、同じようにその時期に、今になってみれば大蔵省も一緒ではなかったのかと。こう思うと、これは納税者の気持ち、国民の気持ちを考えたら決してあいまいにしておくべきではないと私は思うからこれ聞いているんです。これは意見だけ申し上げておきますから、最後に。
 だから、それは言い逃れすることないんです、こんなこと。なるほど長い間そういう風習でした、悪いとは思っていなかった、悪に利用された、しかし今後はやめますと、こう言えばいいんですよ。それを、見つかったのは通産省と運輸省と厚生省だなんてそのころはこう口をぬぐっておいて、二、三年後になったらその話がまた出てくるようじゃこれ困るから私は言っているんです。
 これは現場で汗水垂らして納税者に督促して、お茶一杯がせんぎりだといってやっている人たちのことを考えたら、政府内の各省庁の規律というものについて私はあいまいにすることなく、英断を持ってそこはやらなきゃいかぬと。
 最後に言いますよ。その窪田氏というのはなぜ大蔵省に自由に出入りてきたか。それは、もう事務次官のところでオーケーになっているから事務次官以下のところはだめなどということは言えないという話になっているらしい。どうもいろんな話をしていくと、大蔵大臣、必ず事務次官のところに行き着くんですね、これ。それは誤解であればいいですよ。誤解でなかったらこれ大変なんです。
 だから、そういう意味で「輪際」の教訓というのは決して通産省や厚生省や運輸省だけじゃなかったんだということなんですよ。本家本元が入っていたんだということなんだから、そのことは一つ……
○委員長(前畑幸子君) 時間が来ています。
○会田長栄君 ええ、やめますから、意見だけ申し上げておきます。これに関連するのはあすもありますから、どうぞその点お願いして、次の質問者の許可を得て延びましたので、委員長、お許し願いたいと、こう思います。これで終わります。
○川橋幸子君 日本社会党・護憲民主連合の川橋幸子と申します。決算委員会は初めて所属させていただきました。ということで、非常に素朴な素人の質問をさせていただくことが多いかと思いますが、お許しいただきまして質問させていただきます。
 矢崎会計検査院長、就任されて二年目を迎えられました。午前中も岡部委員の質問に答えられまして、会計検査の方針につきまして所信をお述べいただきました。ということで、繰り返しをしていただくのは恐縮でございますので、午前中の院長の所信につけ加えまして何かお話しいただけることがあったら御発言といいますか、所信をお述べいただきたいと思います。
 といいますのは、マスコミの論調でございましたけれども、昨年十二月二十二日、ある新聞の論説で、検査院は政策に切り込んで会計検査をやってほしいというようなタイトルの論説がございましたり、あるいはまた別の新聞でございます、これは十二月二十日付でございましたか、「会計検査院を目覚めさせよう」という、こういうタイトルの論説がございました。眠っていらっしゃるわけではなくて、大変御苦労いただいている仕事だと思いますが、そこで引用されておりました中では、ほどほどの摘発金額といいましょうか、不当な使用額として摘発されます金額がちょうど会計検査院の年間予算額に、偶然なのかもわかりませんが、等しいような金額であると、どうも各省庁からもそうにらまれないようにほどほどに会計検査をやっているのではないかという、そのような少々からかいぎみの記事もあったわけでございます。
 という意味で、一年たたれましていろいろ御苦労があったと思いますけれども、ここで改めて所信のほどをつけ加えてお話しいただくことがありましたら、よろしくお答えいただきたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) 会計検査院は、憲法上の独立機関といたしまして、国のほか、国の出資法人でございますとか国が財政援助を与えた地方公共団体等の会計経理を監督いたしまして、その適正を期し、かつ是正を図るということを目的といたしまして会計検査を実施いたしているわけでございます。
 こういった立場から、会計検査院は従来から検査活動を多角的な観点に立って実施しているということは午前中も申し上げたとおりでございます。単なる正確性とか会規性ということにとどまらずに、事業の内容に踏み込んだ経済性、効率性の問題とか、あるいは事業が全体として所期の目的を達して効果を上げているかという有効性の問題、こういったいろいろな観点から検査をやっておるつもりでございます。
 その結果として、毎年、検査報告にも書いておりますけれども、不当事項の指摘もありますし、あるいは処置要求あるいは意見表示といったような問題も取り上げております。さらには、特定検査対象に関する検査状況という新しい記述の方法を近年開発しているというようなことでございまして、検査領域をできるだけ幅広く展開していくというふうな努力をしているつもりでございます。
 そして、そういった検査の結果が検査報告に記載されている件数なり金額になっているわけでございまして、例えば平成五年度の決算検査報告におきます指摘額は百四十一億円ということになっているわけでございますが、これは会計検査院がいろいろ工夫を凝らしまして実施をした検査活動の成果であると思っておるわけでございまして、決して小さな金額であるとは考えておりません。
 こういった成果を生むに当たりましては検査院としてもいろいろな努力をしているわけでございまして、例えば組織体制の整備でございますとか、あるいは研修の充実、徹底によります職員の検査能力の向上を図るとか、あるいはコンピューターを利用した検査能率の向上を図る、いろんな工夫をしているつもりでございまして、私どもはこういった努力を今後ともさらに引き続き続けることによりまして国民の期待にこたえる会計検査を展開してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 国民の期待にこたえ得る会計検査に取り組んでいただくということでございますので、ぜひ積極的な姿勢でお臨みいただきたいと存じます。
 さて、午前中も特定検査状況につきまして御質問がございました。また、今、院長の御答弁の中にもございまして、国民の関心が極めて高い事項について、今後の課題を明らかにするという観点から検査院としての見解もお述べいただいているわけでございます。
 しかし、平成五年度の検査結果を拝見いたしますと、特定検査対象、このところずっと例年新規のテーマを加えまして検査が行われているわけでございますが、五年度につきましては、ODAに加えましては前年度のフォローアップであるシール談合のテーマが取り上げられておりまして、特に新しいものがなかったわけでございます。国民の関心が高い事項がなかったとは思われませんのでございますけれども、それはなぜ新規がなかったかというよりも、むしろ今後の取り組みにつきまして国民の関心の高い事項、あるいは国会の関心の高い事項についてテーマを絞ってお取り上げいただけないものか。今後のテーマの取り組み方も含めまして、お答えをいただきたいと存じます。
○会計検査院長(矢崎新二君) 特定検査対象に関する検査状況という記述のスタイルは、平成二年度の決算検査報告から導入をした新しい仕組みでございます。
 お話にございましたように、国民の関心が極めて高い問題であってその検査の状況を報告する必要があると認めたものがあった場合に、それを通常の不当事項等のような指摘に足らないような事態であっても、これを検査報告で書いていこうという趣旨で設けたわけでございます。
 どういった項目がそこで出てくるかということにつきましては、これはやはり毎年毎年の検査を実際に展開していく過程で今言った定義に該当するものがあるかどうかということを選別していくことになるわけでございまして、まさに毎年毎年これは新しい問題として取り組まざるを得ないだろうというふうに思っておるわけでございます。
 したがいまして、昨年の場合は、ODAのほかに一昨年の政府調達の問題のフォローアップのような形のもの、合わせて二件ということでございますが、これは昨年の検査状況の結果がそうであったということでございます。今後どういうふうになるかということについては、これまた毎年の検査の過程で判断せざるを得ないと思っております。
 しかし、いずれにいたしましても、最初に申し上げました定義に該当するようなものがあれば、私どもとしては積極的にこういった新しいスタイルを活用して国民に御報告もし、国会の御参考にも申し上げていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○川橋幸子君 国民の関心の高い事項をこれからも取り上げていただけるということでございますが、七年度に入りまして、六年度の検査結果は今お取りまとめ中かと存じますが、六年度の本当に未になりましてから神戸の震災等がございます。まあ七年度にかけてということかもわかりませんが、このところ非常に新たな課題が山積みのような気がいたします。
 しかも、村山内閣の中では行財政改革というのが非常に大きな使命として閣僚の皆様方も、あるいは政府とは独立という存在でいらっしゃるとしましても、国民的な課題といたしまして検査院の方でも認識していらっしゃると存じます。政党交付金も始まるのでございます。ぜひ新たなテーマにつきまして積極的にお取り上げいただきたいということを御要望させていただきたいと思います。
 もう少し会計検査のあり方につきまして質問を続けさせていただきたいと思います。
 外国の例も参考にしてお伺いさせていただきたいと思うのでございます。先ほどの所信の中にも研修を強化する等々、院の内部的な仕事の進めぐあいにつきましての強化充実についてお話がございました。もう少し観点を変えてお尋ねさせていただきたいのでございますが、先日、これはことしに入りまして一月二十六日付の新聞の報道でございました。アメリカの会計検査院、頭文字をGAO、ガオというふうに読むようでございますが、これは国会レベル、議会レベルに置かれているということのようでございます。また、イギリスでは、私どもはよくわからないのですが、NAO、ナオという例もあるようでございます。
 そこで、新しい時代の要請にこたえまして会計検査院が国民の期待に沿うような機能の発揮を実現するためには、議会と会計検査との有機的な連携のとり方等々、既にもう国際業務室の方でも諸外国の例をさまざま研究していらっしゃると伺いますけれども、そのあたりの調査結果を私ども国会議員にもお示しいただきまして、会計検査院と国会とが連携をとりながら国民の期待にこたえていく、そういう方向が工夫され得るのではないかと存じます。
 以上、このような観点から会計検査のあり方と機能の強化につきましてまとめてお答えいただければありがたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) ただいまアメリカ、イギリスの例について御指摘がございました。
 少しく参考になろうかと思いますので御説明申し上げますと、まず会計検査院の地位につきましては、アメリカの会計検査院は議会に附属する機関という形になっているようであります。それから、イギリスの会計検査院は、その院長が下院の官吏というふうになっているということなど、議会に密接に関係する機関でございます。いずれも行政府からは独立をしているというふうに承知しております。
 我が国の場合も、会計検査院は内閣に対して独立の地位を有しておりますとともに、国会との関係では衆参両院の決算委員会と密接な関係を有しているということであります。
 次は、会計検査院の権限でございますが、これは国によって若干の差異があるようでございますが、アメリカの会計検査院の場合は、連邦政府の事業及び活動、公的資金の収支及び使い道に関する事項を検査の対象とするということでありますが、検査の重点は連邦政府の事業及び活動の効果に関する検査、すなわち有効性の検査に置かれております。
 また、イギリスの会計検査院の場合は、国や公的団体の決算を検査対象としておりまして、検査は決算に関する合規性や財務の検査のほかに、バリュー・フォー・マネーといいまして支出に見合った価値の検査というものが行われております。このバリュー・フォー・マネーの検査と申しますのは、検査対象機関がその資源を経済的、効率的、有効に使用したかどうかを検査するということであります。
 今申し上げましたように、アメリカ、イギリス両国の検査院におきましてもいわゆる有効性の検査が一般的になっているところでありますけれども、日本の会計検査院の場合も、検査に当たりましては、先ほども申し上げましたように事業実施の経済性や効率性、あるいは事業目的達成の有効性の観点を特に重視して現在検査をやっているところでございます。
 会計検査院と議会との関係でございますが、私どもも検査活動の毎年の成果を決算検査報告として内閣に提出しているわけでありますけれども、これはさらに国会にも提出されることになるわけでございます。私どもは、この検査報告が国会の決算審議において活用されまして、関係当局の財政運営に対します国会の監督機能が一層充実されることを心から期待しているわけでございます。
 そういう意味で、私ども会計検査院は、決算委員会などの御審議に際しましては審議が十分に尽くされるように説明などに最大限の努力をさせていただいているわけでございます。それとともに、検査院としても決算委員会の審議の結果が検査活動に反映できますように最大の努力を払っているわけでございまして、例えば審議の際には担当の局長を常時出席させるということをしておりますし、それからまた、国会の決議とかあるいはその委員会における種々の御論議のうち本院の業務に関係のある事柄につきましては、十分参考にして検査を実施しているというのが現状でございます。
 今後とも国会における御論議を参考にしながら、効果的な検査活動を実施してまいるようにさらに一段と努力を払ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 当国会の決算委員会を活性化する、これも一つ大きな課題かと思いますので、反省の意味も含めましてといいますか、初めて所属した委員としての義務感といいましょうか、そういう意味からも、私個人としても努力したい、あるいは委員会が実りある審議が行えるようにしたいということで、国会の側からも検査院との有機的な連携を尊重していくように、一人の議員でございますけれども、微力でございますけれども、努力したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 ところで、そうした新たな検査システムを工夫するということも今大事でございますけれども、現行の検査システムの中でももう少し何か効果的に、効率的に行えないものかということを素人の目でも考えるわけでございます。例えば、むだ遣いされた後のむだ遣いを指摘する前に、税金がむだ遣いされないようにする未然防止の方策も検査院としてはおとりになれるのではないかと思います。
 こんなことを思いますのは、具体例を挙げますと、国民健康保険の普通調整交付金が不当であるというような指摘が昭和六十二年度以降、六年連続で書かれているわけでございます。五年度の検査では四市町ですか、金額が非常に大きゅうございまして、五億円という金額が挙げられております。なぜ毎年毎年こうしたイタチごっこが続きますのか、素人にはわからないということでございます。内部監査の機能強化に移行すべきことであって、会計検査院がいつまでもいつまでも抜き取り検査をなさるというのは非常に非効率的ではないかと思います。
 もう一つ具体的な例を挙げさせていただきますと、これは建設工事の鉄筋加工組み立て費の過大積算の件でございます。六十三年度に原子力研究所の事例が指摘されました後、元年度には五つの国立大学附属病院と住宅公団の高層マンションについて指摘があった。それで、この件につきましては周知されたのかと思いましたら、五年度にまた労働省の関係の労災病院で全く同様の指摘がされていて、時間がたつとまたもとどおりになるのかなということを国民は思うわけでございます。
 検査院はしっかり政府部内の周知をしてくださったのかどうか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) まさに御指摘のとおりでありまして、毎年同種の指摘の事態が繰り返されているということは、本院としてもまことに残念なことであるというふうに思っておるわけでございます。各検査対象機関におきましては、本院の指摘を参考にされましてこういった同種事態の根絶をぜひ図っていただきたいというふうに強く願っておりますし、毎回そのことを強調しているつもりでございます。
 こういった立場から、会計検査院といたしましては、検査対象機関に対して検査報告の指摘内容を周知徹底するということによって再発防止に寄与したいというふうに考えていろんな措置をとっております。
 その一つは、まず各省庁の会計課長等に対する検査報告の説明会であるとか、あるいは出資法人等の監事、監査役に対する検査報告の説明会を開催しておりますし、そのほかにもさまざまな機会に各省庁などの職員に対しまして検査報告の指摘内容の説明をやっております。それから、出資法人であるとかあるいは都道府県などの会計職員を対象にいたしまして講習会を開催して、法令の実務にとどまらず、監査技法の研修を徹底するという措置も検査院としてとっているわけでございます。
 それから、検査報告の指摘の再発防止が検査結果の実効性を確保する上でも最も重要なことであると考えているわけでございまして、そのためにいろいろと措置をとっております。例えば、意見を表示しまたは処置を要求した事項はもとよりでございますが、不当事項につきましてもこれらはすべてフォローアップを行って、自後どういうふうになっているかということを調査を続けております。そのことによって、再発防止対策としてどういうことがとられているのかということを把握し、また検討もし、その実行状況を注視しておるということでございます。
 私どもとしては、その指摘の事態の改善あるいは再発防止が図られるためには、やはり国会審議におきましてこの検査報告を御活用していただくということが非常に重要であろうかと考えておるわけでございまして、本院として今申し上げましたような手だてを講じておるのと同時に、御審議の充実を切にお願い申し上げたいと思っている次第でございます。
○国務大臣(井出正一君) 先生、具体的な例として国民健康保険の財政調整交付金についてお触れになられましたものですから、その関係で少しお答えさせていただきます。
 先生御案内のように、この調整交付金は、国民健康保険財政の安定化を図るために、市町村保険者の財政力を調整するよう交付されるものでございます。国民健康保険事業におきましては、保険料の適正な収納が事業運営の根幹にかかわる事務でございまして、その見合いから、保険料収納の割合の低い市町村に対しましては、この財政調整交付金について一定割合を減額して交付しているわけでございます。
 会計検査院の御指摘を受けている財政調整交付金の交付につきましては、残念ながら一部の市町村で、保険料の収納割合を過大に申告する等によって、本来減額されるべき財政調整交付金を過大に受け取っていたケースが昨年も四市町村ございました。このような事例が生じたことにつきましては、大変残念なことでございますし、また財政状況が大変厳しい折でございますから困るわけでございます。したがいまして、過大に交付を受けた交付金についてはその全額を返還させているところでございまして、六年度分につきましては四市町村すべて返還をさせました。
 また、このような事態が生じないようこれまでも通知等により市町村保険者の指導を行ってきておるところでございますが、今後も全国関係課長会議を初め、あらゆる機会を通じて財政調整交付金の適正な申請事務について指導を行ってまいりたい、こう考えておるところでございます。
○川橋幸子君 たまたま金額が大きかったものですから厚生大臣だけにお尋ねをさせていただきましたけれども、類似の事件、案件があるかと思いますので、やはり各省の内部監査というものを強化していただくことが必要ではないかと思います。
 そういう意味から、決算を予算にフィードバックするという大きなお役目を持ちます大蔵大臣には殊のほかそのあたりの御配慮をお願いしたいのでございますけれども、システマチックに会計検査で指摘された事項が翌年の予算編成の中ではちゃんと反映されておるのでございましょうか。事務的な細かい積算まではなかなか大蔵省の予算編成では見つからないということがあるのかもわかりませんけれども、しかしかなりの省庁に及ぶような建設工事なんですね。官庁営繕に及ぶようなことですと、どこでも間違えやすいことはチェックすることが可能ではないかと思うのでございますけれども。お疲れのところ恐縮です。
○国務大臣(武村正義君) おっしゃるとおり、検査院の御努力とその御指摘がその後の予算編成の中にもあるいは予算執行の中にも生きてこなければなりません。あるいはこの決算委員会の御審議も、そういう意味ではこれからの予算編成に生きていかなければならないというふうに思っているわけであります。
 大蔵省としましては、各省各庁の適正、効率的な予算執行にあわせて、指摘事項が毎年減少することを期待し、従来から大蔵省主計局と会計検査院の担当者の間の事務連絡会議、あるいは文書による要請のほか、各省各庁等予算執行・決算担当者会議、会計事務職員研修等々、あらゆる機会に予算の効率的な執行や指摘事項の周知徹底、再発防止等に努めているところでございます。努めておりますが、なお絶えないというところをやっぱり真剣に見詰めながら努力をしていきたいというふうに思っております。
○川橋幸子君 統一選前半戦の翌日ということで大変お疲れかと思いますが、私も欲張って大勢の大臣の方に出席をお願いしておりますので、やはり官房長官にも一言お答えいただきたいと思います。
 内閣の主要課題でございます、もう少しシステマチックに、毎年毎年同じ努力をやってもなお同類の再犯といいますか、累犯が出てくるということに対して、内閣官房の機能を発揮されることから何か御工夫いただけないものでございましょうか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 従前からも政府といたしましては厳正かつ効率的な予算の執行に努めているところでございますが、御指摘のように不適正使用の事例が生じておりますことは事実でございまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。
 これらの不当事項等の原因の主なものは、予算の執行に当たる職員などのモラルの欠如あるいは関係者の不注意などによるものと考えます。したがいまして、このような不当事項の再発を防止するためにさまざまな会議や研修の機会をとらえてモラルの一層の確立に努めるとともに、予算の効率的な執行及び指摘事項の周知徹底、再発防止の指導等をしっかり行ってまいらなければならないと考えている次第であります。
 今後とも各省庁をよく指導いたしまして、予算の厳正かつ効率的な執行に一層努めてまいりたいと思う次第であります。
○川橋幸子君 モラルの欠如、ゆゆしいことでございますけれども、モラルが欠如するのも人間でございます。ぜひ、チェックする機能をシステマチックに組み込んでいただくということをお願いして、今度はODAの関係に入らせていただきたいと思います。
 ODA、日本で外務省が取り組まれまして四十周年だそうでございます。九一年からはトップドナーになっていらっしゃるわけでございます。昨年九月には、カイロの人口会議に河野大臣にはお出ましいただきまして、グローバルイシュー、イニシアチブについて努力されるというようなお話もございました。
 対外的には、援助疲れという声がある先進国の中で、非常な円高進行中の日本への期待が逆に高まるのではないかと思います。トップドナーからリーディングドナーとしての使命を発揮したいというのが外務省の姿勢でいらっしゃると伺いますけれども、対外的にトップドナー国として日本はどのようにこれからODAの政策を進めていらっしゃるおつもりか。
 それから、もう一点あわせてお伺いしてしまいますが、対内的には、世論調査結果などに見られますように、ODAもそろそろカットしてはどうか、震災復興財源にODAを充てたらいいのではないかというような、このような声も聞かれるのでございます。国内に対してもODAといいますか途上国に対する支援の必要性が余り十分に発信されていないような感じがあるわけでございますが、国内について、このODAの問題についてどのように発信していかれようとなさるか。対外的、対内的、二面からのお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) ODAにつきましてかねてからいろいろと御注意、御意見をいただいておりますことをお礼申し上げたいと思います。
 御指摘のとおり、今や世界第一位の援助供与国ということになりました。先進国の中に御指摘のように援助疲れと言われるような現象が見られますが、一方、途上国の中にはまだまだ極めて難しい状況に置かれている国あるいは人たちがたくさんいることを我々は承知をしているわけでございまして、こうした点につきまして我が国としての国際貢献、それは政府開発援助というものがその中で大きな位置を占めているということを考えながら、これから先もこの仕事にしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っているわけでございます。
 今お話がございましたように人口会議、さらにさかのぼればUNCED、環境問題に対する会議、そしてことしはこれから北京で女性会議なども行われまして、これらの問題についても我が国としてはいわばリーダーシップを発揮していきたいというふうに考えているわけでございます。
 話がちょっと長くなって恐縮でございますが、環境問題につきましても、我が国としては、お約束をいたしました我が国の取り組みにつきましては着実に、むしろ少し早いぐらいに援助を行っているわけでございまして、そうしたことが国際社会の環境に対します作業をより力強くさせるということで意味のあるものになっているというふうに考えているわけでございます。まだまだ環境問題、人口問題あるいはエイズの問題、先ほど申し上げました女性を支援する問題、こういった問題につきましても我が国としてはしっかりと取り組んでまいりたい、こう考えておるところでございます。
 一方、今御指摘がございました国内のいわば世論でございますが、先般行われました世論調査などを見ますと、大部分の方はこの問題について理解をしていただいているというふうに思います。もっと積極的に取り組めとおっしゃる方、まあまあこのくらいでいっていいんじゃないかとおっしゃる方々、こういったところが多数を占めているわけでございますが、中には今御指摘のとおり、国内的にも経済問題が非常に厳しい、あるいは震災の状況を考えれば外に支援をするよりもまずは国内的な支援が先ではないか、こういったような声もないわけではございません。
 しかし一方、考えてみますと、あの阪神・淡路大震災のときに世界の多くの国々から支援をしていただいたわけでございます。あの七十カ国を超える支援の中には、正直我々が考えてみてもなかなか他国に支援をするのは難しい国情ではないかと思われる国から非常に温かい支援をいただいた。人道的な支援といいますか、困ったときにはお互いに助け合おうと、こういう意味のメッセージもつけて温かい支援が送られてきているわけです。これらはこれまでの我が国の支援があったからということももちろんあると思いますが、やはりこの地球社会というものはお互いに助け合って生きていくのだ、こういう考え方というものがだれしも考えるところだと思います。
 我々は、国内に向けましてもこのODAの必要性、この地球上に生きている人間、その置かれている環境、立場というものがさまざまであって、そしてこのODAによってそうした地域がよりよく活性化され、それが国際社会の平和につながるということを説明し、さらにまた人道上の問題というものは何をおいても支援をし合うということが大事だということをできる限り説明をして御理解をいただきたい、こう考えております。
○川橋幸子君 我が国の外交政策の中では非常に重要な手段であるODAでございます。大臣おっしゃるとおりでございます。
 さて、残念な事件でございましたが、このたびODA談合ということで三月二十七日に公正取引委員会からの排除勧告が出されております。――お見えでいらっしゃいますか。
 残り時間が少のうございまして大変申しわけないのですが、まず一つは、公取の方にこの事件の内容とそれから勧告を出した後の措置を簡単にお答えいただきたい。その後引き続きまして、きょうはJICAの総裁にお見えいただいているかと存じます、非常にいい事業をやっていらっしゃるJICAでいらっしゃいますが、こういうところでダメージを受けられるのはもったいないと思いますけれども、この排除勧告を受けられましてといいますか、それ以前からの指摘でどのように措置していらっしゃるのか、残り時間八分でございますので、時間を見計らいながらお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねのJICA関連の入札談合事案でございますが、公正取引委員会は去る三月二十七日、国際協力事業団が発注する政府開発援助の技術協力の実施等のために供与される機材の指名競争入札におきまして、一般商社三十七社が受注予定者を決定し受注予定者が受注できるようにしていた事実、いわゆる入札談合でございます、この事実が認められましたので、独占禁止法第三条、不当な取引制限の規定に違反するとして、違反行為排除のための措置をとるように勧告を行いました。
 この排除措置の内容を極めて簡単に申し上げますと、私どもが指摘をいたしましたいわゆる入札談合行為そのものを取りやめているということの確認、それから今後このような入札談合行為をしないという将来にわたる不作為の義務づけでございまして、さらにその確認ないし将来にわたってそのような行為をしないということを発注者である国際協力事業団にこの入札談合を行ったとされました三十七社が通知をすると、そしてその通知の仕方、形につきまして公正取引委員会の承認を受けることと、こういうことが排除措置の内容でございます。このような内容をもちまして勧告をいたしました。
 そして、勧告期限までにこの三十七社はいわゆる勧告の応諾を行いました。したがいまして私どもは、今後これらの事業者に対しまして、ただいま申し上げました排除措置の内容であります勧告と同じ趣旨の審決を行います。これによりまして公正取引委員会の行政処分が確定をしたということになります。それによりまして改めて、先ほど申し上げましたが、違反行為の取りやめの確認、将来の不作為義務を命じることになります。
 なお、本件は価格に関する入札談合行為でございますので、したがいまして独占禁止法の規定によりまして課徴金納付命令の対象になります。これも簡単に申し上げますが、談合期間にかかわる総売り上げに一定の算定率を乗じまして、それによって算出されました金額を課徴金として国庫に納付を命ずる、こういうものでございます。
○参考人(藤田公郎君) 国際協力事業団の機材入札に関連いたしまして、ただいま公正取引委員会の委員長から御説明がございましたように、一般商社等に排除勧告が下されまして、これら関係業者により不当な取引制限が行われていたとの事実が確認をされました。これは政府開発援助に対する信頼を傷つける極めて遺憾な行為であると考えております。
 公正取引委員会の勧告の対象となりました事業者に対しては、政府からも指示をいただき、厳正なる措置をもって対処することといたしまして、勧告後直ちに対象となった業者三十九社に対して向こう三カ月間の指名停止の措置をとったところでございます。
 また、当事業団による機材の調達をめぐりましてこのような騒ぎが持ち上がったことについては、当事業団はいわば被害者の立場にあるわけではございますけれども、それはそれとして、政府開発援助の実施の一翼を担わせていただいております者として極めて厳粛に受けとめておりまして、これを教訓に、再発を防止するためにも反省し、改善すべきものは改善するという対応をとっております。
 このような考えに基づきまして、一般競争入札の導入、指名競争入札の改善、入札にかかわる情報公開の促進等一連の改善策をとりまして、これを公にいたしております。
 今後とも、業務実施体制全般につきまして再度徹底した見直しを行いまして、改むべき点については改め、事業の推進に遺漏のないよう最大限の努力を払っていきたいと考えております。
 以上でございます。
○川橋幸子君 公正取引委員会小粥委員長、それからJICA総裁、それぞれお答えいただきまして、本件につきましては、ODAといいましても聖域ではない、やはり独占禁止法に違反する部分については厳正に公取が対処され、また商社等の方もこれを認められてペナルティーを受けると。また、JICAの方でも、三カ月の指名停止というのは何か短いような気もいたしますけれども、再発がないということが一番肝心なことでございます。日本の外交政策にも及ぶ問題でございます。関係者の方々のそれこそモラルの引き締めを最後にお願いしまして、再発することがないようにということもお願いしまして、時間が一分ございますが、それじゃ河野外務大臣から最後の締めの御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 公取の調査によりまして談合の事実が指摘をされたことはまことに遺憾なことでございます。今、委員からお話をいただきましたけれども、私といたしましては、ODAのような分野であるからこそこういうことは決してあってはならないというふうに思っているわけでございます。JICAに対しましても厳正な対応をとってほしいということを指示いたしております。
 確かに、三カ月という期間が短いか長いかということではいろいろ御意見があろうかと思いますが、私は、再発は決してあってはならぬということを担当者は心して今後やってもらいたいというふうに思っているわけでございまして、透明性あるいはその他正すべきところ、直すべきところはきちっと直して、今後かかるような事態は決してないということになってほしいという指示をいたした次第でございます。
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 終わります。
○牛嶋正君 平成会の牛嶋正でございます。
 きょうは、本会議で代表質問をさせていただきましたけれども、そのときに取り上げました問題を中心にもう少し議論を深めて、できればこれからの財政運営の一つの方向づけを何とか引き出せたらと、こんなふうに思っておりまして、大蔵大臣を中心に御質問をさせていただきたい、こんなふうに思っております。
   〔委員長退席、理事今井澄君着席〕
 先ほどからいろいろ御議論がありましたように、我が国の経済の構造及び我が国経済を取り巻く国際的環境がバブル崩壊後非常に大きく変化してきたわけであります。そして、社会のあらゆる側面で、その変化に対応すべく制度の改革あるいは発想の転換が迫られているのが現在ではないかというふうに思っております。
 しかし、財政運営に関して見ますと、私はどうも従来の姿勢やスタンスが少しかたくなに守られ過ぎているのではないかというふうに思うわけであります。そのために、経済の実態と財政運営の基本姿勢の間に非常に大きなずれといいますか、乖離が生まれつつある。そのことが実は財政のいろんな問題を引き起こしているのではないかというふうに思うわけであります。その典型は、先ほどからも議論の中で出ておりますように、平成三年、四年、五年度、三年連続の歳入欠陥ではなかったかというふうに思っております。
 きょうの質問では、今我が国の財政が抱えている諸問題が経済の実態と財政運営の基本姿勢の間のずれとどのように関連しているか、こういうことを明らかにしながら、今後の財政運営あるいは予算編成のあり方について少し議論をさせていただきたい、こんなふうに思います。
 私がまず最初に取り上げる経済の実態の変化でありますけれども、それはマクロ的指標でとらえまして、経済の成長率の著しい低下、そしていま一つは消費者物価の安定化ということではないかと思います。この消費者物価の安定化、これはインフレ率が非常に低く抑えられているということですから経済運営にとりましては非常に好ましいことであります。
 しかし、この二つの動きを見てまいりますと、こういうことが言えるんですね。
 実質成長率と名目成長率の乖離幅が非常に狭くなってきたということです。高度成長のときには実質成長率が一〇%ぐらいありましたけれども、名目成長率と実質成長率の乖離幅というのは大体平均で五%ぐらいあったんです。そして、オイルショック以降、安定成長に入りましてからも大体二、三%の乖離がありました。しかし、最近の、バブル崩壊後の実質成長率と名目成長率の乖離を見てみますと一%を切っている状態であります。ここが私、財政運営の非常に難しい側面をつくり出しているんじゃないかと思うんです。
 と申しますのは、シーリング方式で歳出の概算要求枠を決定されるときには、多分私は実質成長率を一応基準にされているというふうに思います。しかし、けさの御議論にもありましたように、税収の方は名目成長率に依存しているわけです。ですから、高度成長のときに両者に五%の乖離があったということは非常に財政運営に余裕を持たせてきたということ。その余裕が今はほとんどないわけであります。ここに財政運営の難しさがある。そうだといたしますと、この実質成長率と名目成長率の乖離がほとんどなくなってきたようなそういう経済の実態に合った財政運営をやらなければならないんではないか、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、まずこれは企画庁長官にお尋ねしたいのですけれども、先ほど申しました平成三年、四年、五年度の経済見通しにおける実質成長率と名目成長率、そしてその実績と申しますか、結果の実質成長率と名目成長率をちょっと教えていただきたいのであります。
○政府委員(吉川淳君) 三年度、四年度、五年度の順に申し上げます。
 まず、名目成長率の見通してございます。これはすべて程度がございますけれども、程度は省略させていただきます。五・五%、五・〇%、四・九%、これは名目成長率の見通してございます。それぞれに対応いたします実績でございますが、五・四%、二・一%、〇・四%でございます。
 それから、実質成長率でございます。まず、見通しにつきまして平成三年度、四年度、五年度について順に申し上げます。三・八%、三・五%、三・三%、これに対応いたします実績でございますが、三・六%、〇・六%、それから最後はマイナス〇・四%でございます。
○牛嶋正君 先ほど御議論のときには実質成長率の見通しと実績との乖離を問題にされておりましたけれども、私は税収の問題を議論するときには、むしろ名目成長率における見通しと実績を比較すべきではないか。そうしますと、実質成長率よりもっと開きが大きくなるんです。なぜ私が名目成長率を問題にするかというと、それは税収を計算されるときには名目成長率に立っておられるからです。ですから、いろいろ御議論を大蔵省はされますけれども、私はこの点が非常に大事ではないか。
 ですから、税収計算されるときも、実質成長率と名目成長率の乖離はもう一%以下なんだということをやっぱり頭に置いてやるべきではないかと思います。もしできましたら今の私の考えに対しましてお聞きしたいのですけれども。
○政府委員(薄井信明君) 税収の見積もりをする際には、今御指摘のように税収が名目成長率にリンクしているということから、マクロ的には、例えば先ほど御議論いただきましたように、弾性値の世界でも名目の世界でも私どもマクロチェックをさせていただいているようなわけですし、また各税目について、例えば所得税の税収の伸びを考えるときには所得がどれだけ伸びるか、また雇用がどれだけ伸びるかということで、その際にも名目でやっているわけでございます。
 そういう意味で、名目ではやっておるわけですが、その名目と実質の差が非常に狭くなっているということについては十分承知の上で、実体経済といいますか、そういうものも踏まえて、それもチェックしながらやるべきことについては御指摘のとおりだと思っております。
○牛嶋正君 次に取り上げたい経済の実態の変化ですけれども、これは企業の設備投資の低迷であります。もう三年にわたって対前年比でマイナスの伸びが続いているわけでありまして、このことが景気回復の足取りを非常に鈍らせているということはこれまでの議論のとおりであります。
 なぜ低迷するのかということですけれども、その原因につきましては、一番有力な議論というのは、バブル期の過剰投資がなお調整されていないということがよく言われるんですけれども、私はむしろ個々の企業が設備投資の目標を今見失っているんではないかというふうに思います。これは経済全体もそうなんですけれども、個々の企業は何に投資していったらいいのか、恐らく新しい分野を模索していると思いますけれども、なかなかそのあたりが高齢化が進む過程で見当たらないというのが現状ではないかと思います。そうだといたしますと、企業の設備投資は、いずれは回復するでしょうけれどもしばらくはこの低迷が続くんではないか、こういうふうに私は思うわけであります。
 このことが景気の回復を鈍らせていることは確かでありますけれども、また我が国のこれまでの景気循環のパターンを大きく変えてしまいました。これまでの景気循環パターンというのは、どちらかといいますと好況期が長くて不況期が短い、早く終わってしまう、そして調整がすぐに終わってまた新しい好況期が始まる、こういうふうなパターンでしたけれども、今回の不況からもわかりますように、これからはむしろ好況期が短くて不況期が長くなる、そういったパターンに変わっていくのではないかというふうに思います。
 そこで問題は、貯蓄率がほとんど落ちておりません。ですから、貯蓄、投資が大きく乖離するわけです。いわゆるデフレギャップであります。これからの我が国の経済はこのデフレギャップをどう埋めていくか、そして雇用の安定をどう図っていくか、これが一番大きな課題だろうと思います。
 その場合に、今申しましたように、結局これまでのデフレギャップが広がってきたというのは民間企業の設備投資が低迷していることによるわけでありますから、そのギャップを埋めるためにはやはり財政がそれを埋めていかなければならない。すなわち公共投資でそのデフレギャップを埋めていくということにならざるを得ないのではないかと思います。国は現在六百三十兆円の公共投資基本計画を立てておられますけれども、恐らくそういったデフレギャップを公共事業あるいは公共投資で埋めていく政策をとらざるを得ないというところがその前提にあるのではないかというふうに私は思うわけであります。
 その場合、こういうふうな形で公共投資でもってデフレギャップを埋めていくのはいいのでありますけれども、一つ財源問題があるのではないかと思います。
 私の極めて単純な計算でありますけれども、実質成長率を二・五%、それから名目成長率を三・五%と設定いたしまして、この六百三十兆円の公共投資基本計画の財源調達を国債発行で行っていくといたしましても、しばらくは建設国債でいけるんですけれども、国債が累積いたしましてやがて赤字国債を発行せざるを得ない非常に厳しい財政構造に陥るというふうな一つの計算結果が出ております。
 大蔵省はこの六百三十兆円の公共投資基本計画をお立てになるとき、そういった財源問題をどういうふうに考えておられるのか、その見通しをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
   〔理事今井澄潜退席、委員長着席〕
○政府委員(中島義雄君) 公共投資基本計画の財源問題についてのお尋ねでございますが、この公共投資基本計画は大変長期にわたる計画でございます。かつ、その実施に際しましては、国、地方それから公的企業の各実施主体が、そのときどきの経済情勢、財政事情等を踏まえながら、またその一方では社会資本の性格に応じまして、あるいは租税、公債、財政資金等適切に組み合わせて対応していくということになろうかと思います。
 したがって、これがどのような形になっていくか、現時点で具体的に見通すことは大変困難でございますけれども、先生御指摘のように、すべてを国債で賄うということといたしますと、その累増に伴う旧債費の負担というものも大変大きくなるわけでございますので、これから本格的な高齢化社会を控えまして後世代に負担を残さないよう、社会資本整備の財源につきましてはさまざまな観点から検討を進めまして、可能な限り公債依存度を引き下げまして税財源を充当できるよう努めていく必要があろうかと考えているところでございます。
 このことは、公共投資基本計画の中にも、財源といたしまして、「社会資本整備の財源については、各々の社会資本の性格に応じ、租税、公債、財政投融資資金、民間資金等を適切に組み合わせる。今後の高齢化の進歴を踏まえれば、本計画の実施に際しては、後世代に負担を残さないような財源の確保を前提として、その具体的実施を図っていく必要がある。というふうに明記されておりまして、これは私どもの考え方と一致しているところでございます。
 現在の厳しい財政事情のもとで社会資本整備の着実な推進を図っていくためには、この国債費の重圧が政策的経費の圧迫要因となっているという、この財政の状態の改善を図っていくことがますます急務でございます。したがいまして、このような状態から脱却するために、公債残高がこれ以上累増しないような財政体質をつくり上げていくという努力目標に向かいまして、今後とも歳出歳入両面において最大限の努力を傾けていきたい、このように考えているところでございます。
○牛嶋正君 私が言いたかったのは、先ほど申しましたように、これからの雇用安定を図っていくために財政がかなり役割を果たしていかなきゃいけない、その場合に、そういう役割も果たしながら同時に財政の健全化というのが果たしてうまく進んでいくのかということをちょっと懸念いたしまして、御質問をしたんです。この問題は、後の財政計画の問題とも関連しますので、私、もう一度また後ほどお尋ねすることにいたします。
 それから、このデフレギャップを公共投資で埋めていくということですけれども、私は同時に、公共投資をすることによって民間の設備投資に対してインパクトを与えて、そして、その民間の設備投資がどんどん伸びていくことによってデフレギャップが埋められていくと、これが先ほどの財政の健全化も考えますと好ましい方向だと思うんです。
 例えば、今第二東名が、東名・名神ですかが計画されておりますけれども、その道路の規格は高規格を想定されているようでございます。現在の高速道路は制限速度が百キロでございますけれども、高規格の場合は百四十キロというふうに聞いております。私、余り自動車のことはよく知らないんですけれども、四十キロも制限速度が引き上げられるわけですから、やっぱりそれに見合った大型の自動車というのが私は開発されていくと思うんです。そうしますと、そこからまた新たな需要が生まれて、そして自動車産業における設備投資もプラスに転じていくということも考えられる。
 そうしますと、ただ単に公共投資計画がその数字を合わせるだけ、すなわちデフレギャップを埋めるだけではなくて、今言いましたように、民間の設備投資を引き起こすようなインパクトを与えるようなそういうものでなければならない。私は、そのためにはかなりやっぱり思い切った重点配分をしていかなければならないと思うんですけれども、今のシーリング方式では十分に対応できないのではないかというふうに思っております。
 この点について、できれば大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘のように、シーリングというのは枠をはめるということでございます。天井をはっきり示して、それ以上は遠慮をしていただくと。そういう意味では、翌年の予算総体の大枠をがちっと決めるためには大変有効な手法であったと。以前は、シーリングがなかった時代を思い起こしますと、青天井と言っていいのかどうかは知りませんが、どんどん積極的な要求がまず各省から出てくる、なかなかそれが最終段階では抑え切れないという状況であったわけでありますから、翌年の経済見通し、税制あるいは経済成長率等を見通しながら一定の大枠を設定して協力をいただく、こういうことでもう長年取り組んできているわけであります。
 今後もこの基本的な考え方は有効だと思いますし、ちょっとこれにかわるいい提案がなかなか出てこないという気持ちを持っているわけですが、しかし、去年までと同じシーリングを認めるにしても、同じやり方でいいのかどうか。そこにやはりさらに工夫が必要ではないか。特に、各省単位の事業の横のシフトはなかなか起こりにくい。既存の枠をどうしても固めてしまうと、そういう悩みがございます。
 時代の流れの中で本当に重点は何なのか、各省でそれを判断いただくというのがシーリングなんですけれども、政府全体として、歳出全体としての対応にやや欠ける嫌いがあるというのが私の感想でございまして、その辺もやはり考えながら、新年度はまた、シーリングという基本は恐らくなかなかこれにかわるものがないという意味で堅持しながらも、ぜひ工夫を凝らしていきたいというふうに思います。
○牛嶋正君 次に取り上げたい経済の実態の変化の側面ですが、これは消費者行動が非常に大きく変わってきたという点であります。
 バブル経済崩壊後、これまでのブランド志向というのが影を潜めまして、かなり実質的な、実質的といいますか堅実的な消費行動というものが非常に見られるようになったと思います。恐らくそれは、電気製品あるいは自動車を中心とする耐久消費財が大体行き渡って飽和状態になったということ、それからまた持ち家比率も六〇%を超えたということ、さらには出生率が一・五を下回ったということ、そして実労働時間が二千時間を切ったということ、それから価格破壊の進展が見られる、こういった消費者を取り巻く環境というのが大きく変わり、当然のこと消費者行動も質的な変化を遂げてきているということが言えると思います。
 その消費者の行動の変化というのは、恐らく毎日使う消費に対する買い方の変化というふうなことになりますけれども、また同時に、行政サービスといいますかあるいは財政サービスといいますか、そういうものに対するニーズも大きく変わってきているんではないかというふうに思うわけであります。
 例えば、これまでの行政サービスに対するニーズというのは、大体一日の生活時間で申しますと、生活必需時間あるいは労働時間とか移動時間に関連していろいろなニーズが行政に対して出てきた。ところが、自由時間がふえてまいりますと、自由時間と関連した行政に対するニーズが出てくる。例えば、文化行政に対するニーズ、社会教育に対するニーズあるいはスポーツ振興に対するニーズ、こういったニーズは二つの性格を持っていると思うんです。
 これまでのように、生活必需時間とかあるいは労働時間に関連してのニーズというのは、大体各個人同じようなニーズなんです。例えば、ごみを取り上げてみましても、ごみに対するニーズというのは、毎日自分たちが出す平均九百グラムから一キロぐらいのごみを速やかに収集して処理してくれればいい、そういうニーズだった。
 ところが、自由時間に関連してのニーズというのは個人によってニーズの質が非常に違うということであります。例えば、文化行政について申しますと、ある人は美術館を欲しいというふうに言うかもしれません。ところが、ある人はそれよりもまず図書館がいいというふうに言うかもしれないわけです。そういうふうに考えていきますと、これからの行政に対するニーズは、これまでのように一律、同質的なものではなくて、非常にばらつきがあるということであります。
 それからもう一つは、そのニーズが非常に地域性を持ってくるということであります。そうしますと、これに対応するために国が一律に水準を決めて、そしてその供給は地方自治体がやるにいたしましても、そういうふうな形で国が一律に行政水準を決めて供給をしていっても、今申しましたような個人のニーズにばらつきがあるものについては十分な対応ができない。また、地域性を非常に持った形でニーズが出てくるとするならば、それもやっぱり対応できないということになるわけであります。
 また、先ほど申しました持ち家比率が六〇%を超えたということについて申しますと、もちろんまだ住宅に対するニーズはあると思いますけれども、それよりも住宅を取り囲む住環境と申しますか、あるいは自然環境の方にだんだんと関心が移っていっているわけです。そういうふうな各個人の納税者のニーズの変化に今の行財政がうまく対応できているのかなという気がするわけです。
 そのためにはまず、もう一度国と地方の間の役割分担というのを考え直さなければならないのではないかと思います。そしてまた、先ほどから出ておりますように全国一律に水準を決めてそしてサービスを供給する、これはシーリング方式とも結びついていると思いますけれども、そういう消費者のニーズに柔軟に対応するためには、やっぱり予算編成においてもそれなりの対応を示していかなければならないと思いますけれども、再度また大蔵大臣にこの点についてお尋ねをさせていただきます。
○国務大臣(武村正義君) 御指摘のとおりだと思います。
 これからというよりも、もうそういう状況に入っていると私は認識をいたしますし、やはり地方分権という考え方もそこにある。これまではどちらかというと、中央政府が効率的な国家の経営を行う、そのために国が基本的な方針だけでなしに細かな基準や具体的な方針まで定めて、それを地方で実施していただく、こういう姿勢が強かったと思いますわ。この時代に入りますと、むしろ発想、企画の段階から地方にゆだねる、そこにバラエティーが出てくると思いますし、ある種の健全な、地方と地方の間の競争といいますか、創意工夫の凝らし合いという、そういう姿が出てくると私は期待をいたします。
 結果としては、日本の国全体をもっと多様な、バラエティーに富んだ国につくり上げていくことができるのではないか。今日までがどっちかというと効率を重視した画一的、単調な日本列島をつくってしまったことを反省しながら、そういう時代に入っていくと認識をいたしますし、そういう中に財政の役割もありますし、また財政のあり方も問われてきている、こんなふうに思います。
○牛嶋正君 三番目に取り上げます経済実態の変化でございますが、これはやはり円高でございます。
 円高に関しましては、これはもうプラザ合意後ずっと続いているわけです。バブルの前後でも同じように円高傾向というのはずっと続いているわけですが、ただ、プラザ合意後は一ドル二百円からの円高であったと私は思いますわ。しかし、バブル崩壊後の円高というのは一ドル百円からの円高である。そこにかなり大きな意味の違いがあるのではないかというふうに思います。
 この対策につきましてはいろいろ議論されておりますし、またお聞きするところによりますと、早急に国の方も総合的な対策を打ち出されるようでございます。
 私がここで取り上げたいのは、円高というのはいつもマイナスの面ばかり議論されますけれども、円高はプラスの面もあるわけですね。円高差益なんというのがあるわけであります。ですから、このプラスの面をできるだけ生かして、そして日本の国内における経済活動に活気を与えるというふうなことにもっともっと工夫をすべきではないかなというふうに思うわけでございます。
 今おやりになっているのは規制緩和でもってできるだけ円高差益を国民に還元するということのようでございますけれども、私は、財政運営の中でもこの円高差益をうまく活用できるのではないかというふうに思っております。言うならば、財政支出の中には海外から財サービスを購入する部分がかなりあるわけでありますから、そうしますとそれはまさに輸入でありますから、したがって円高差益を十分に享受できるわけであります。
 しかし、一方では円高差損を受ける人たち、企業もあるわけでありますから、そういう人たちあるいは企業の納める税金は減収になります。しかし、輸入業者の収益は上がっているでしょうから、税は増収になります。何もかもひっくるめて財政全体で考えた場合は、円高差益が十分想定できるのではないかというふうに私は思うんですけれども、もしできましたら、一円の円高でどれくらいの円高差益が想定できるのか、こういうことは計算できないのか、できるとするならばどれぐらいなのか、教えていただければと思います。
○政府委員(中島義雄君) 為替相場の変動が財政支出に与える影響の方からまず申し上げたいと思います。
 一般的には、円高が国内物価に与える影響等から御指摘のような円高差益といった面も確かにあり得ると思うのでございますけれども、具体的にどれくらいの影響がということにつきましては、なかなか直ちには把握しがたいものでございます。さまざまな直接、間接の影響が複合的にあらわれてくると思います。また、今後の為替相場の動向等にも左右されるわけでございますので、現段階で確たることは申し上げられないことをまず御容赦いただきたいと思います。
 あえて円高による外貨関連の経費への影響を試算せよということでございましたら、外貨関連の経費、毎年の予算で一定額あるわけでございますけれども、その積算についてちなみに申しますと、七年度の当初予算では一ドル九十八円というレートで積算をいたしておるわけでございます。仮に、年間を通じましてこのレートが一ドル当たり一円変化したといたします。一円円高となった場合の影響額を計算いたしますと、大変機械的な試算でございますが、約四十億円ということになります。
 歳入面については、主税局の方からお答え申し上げます。
○政府委員(薄井信明君) 為替レートが税収にどう影響を与えるかということを考える際に、多分、法人の企業収益、あるいは事業といいますか、個人も含めての事業の企業収益がどうなるか、どういう影響を受けるかということで税収への影響が考えられるのかと思います。
 定性的に、あるいは方向という意味で申し上げれば、例えば輸入原材料のコストが低下すれば、原材料、素材あるいは燃料等が安くなれば収益の増加という形でプラスの効果が出てくることが考えられますが、他面、輸出関連産業におきましては、輸出価格が低下する、ドル建て輸出で建て値を変えなければ円表示では価格は低下することになりますでしょうし、また、円高の中で輸出する際にドル建ての表示を高くして売ろうとすれば、今度は向こうで売れないという形で、輸出数量の減少という形を通じて収益の減少が生じると思います。
 また、どちらの方向がはっきりしない面もありますけれども、輸入製品が一般的に安くなれば国内産品の値段もこれに影響を受けて安くなる。そのことは悪いごとではないと思いますが、そのことが物価を安定化させ、あるいは賃金にも影響してくるという形で、極めて複雑に影響をするところがあろうかと思います。そういった形で、企業収益に影響を与えあるいは所得に影響を与え、これが間接的に税収に影響を与えるということだと思います。
 そういう意味で、一つ一つのあるいは毎年毎年の税収見積もりに際しては、個々にヒアリング等をしながら、そういった点も含めた企業が把握している状況を受けとめながら、私ども間接的にこれを税収に反映していくわけでございますけれども、先生が今取り上げられましたように、理論的にここの部分を取り出して計算できるかと言われますと、正直言って確たることは申し上げられない、極めて複雑な中身があるというふうに理解しております。
○牛嶋正君 先ほど、四十億という数字も出ました。私もそんなに多くはないと思うんですね。だけれども、この円高で非常に沈滞ムードのあるときに、財政がわずかでも差益があった場合それを国民に還元する、こういうふうなことが私はアナウンスメント効果として非常に大きいんではないかというふうなことでちょっとお尋ねをしたわけでございます。
 この問題は非常に計算が大変でございますのでこれぐらいにいたしまして、もう一つだけ経済の実態の変化について取り上げてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 それは、地価の下降傾向でございます。バブル以前は、土地神話というふうなことで、土地、地価というのは上がるものとみんなが信じていて、そのことがバブルを生み出したわけでございますけれども、その後遺症と申しますか、それが今まで続いておりまして、まだ地価はどちらかというと下降傾向にあるわけであります。
 この土地神話に対する信頼がある間は、財政当局にとって土地というのは非常に有望な税源であるというふうに私は見ることができるのではないかというふうに思うわけであります。そのために、これまでも税制の中で、そういった有望な税源であります土地をできるだけ税制の中に組み込もうとされてまいりました。
 その一つは、所得、消費、資産の間の課税のバランス論を議論されるときに、私はこの考え方についてはちょっと賛成できないんですけれども、資産所得、特にキャピタルゲインに対する課税を所得課税ではなくて資産課税というふうな形で取り扱っておられる、この点が一つあったと思います。
 それからもう一つ、地価抑制のために地価税が導入されたわけであります。この地価税が導入されましたけれども、もう地価が一応抑制されて、先ほど申しましたように下降傾向にありながらまだ課税が続けられているわけですけれども、そういうふうに考えますと次のような質問が出てくるわけで、財政当局としてはこの地価の動向についてどんなふうな見通しを立てておられるのか。そして、地価税の負担が企業の経済活動の活性化を抑制しているという説がありますけれども、考え方がありますけれども、これに対してどういうお考えをお持ちなのか、地価税の取り扱いも含めてちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 地価の動向につきましては、私ども専門家でございませんので、国土庁より最近発表になりました地価公示の動向について御説明させていただき、その後、地価税について申し述べさせていただきたいと思います。
 先日発表になりました平成七年一月一日時点の地価公示によりますと、大都市圏における地価につきましては、住宅地は都心部を除いてわずかな下落、商業地は顕著な下落となっておるようです。また、地方圏におきましては、住宅地はほぼ横ばい、商業地は下落とされております。
 今後の地価動向についての国土庁の見解、これも受け売りでございますが申し上げさせていただきますと、大都市圏におきましては、住宅地は優良で値ごろ感のある物件は引き合いが多いもののマンションの供給過剰感といったものから地価は弱含みで推移するだろうと。商業地につきましては、立地条件のよい優良ビルは空室率の低下の兆しがあるようでございますが、オフィス需要の不均衡からオフィス賃料は引き続き低下傾向にあり、地価は引き続き下落する、しかしその下落幅は今までよりは縮小するというのが大方の見方ではないかと国土庁がコメントをしている次第でございます。
 大蔵省としましてもこのコメントについてはかの意見があるわけではございませんが、国土庁の地価等につきましての国際比較調査というものを読ませていただきますと、地価の面でもあるいはオフィス賃料の面でも東京の水準というのはまだまだ海外諸都市の水準を上回っているという指摘があると聞いております。このような地価動向についての認識をしているということをまず申し上げます。
 それから、地価税についての御質問でございました。
 申し上げるまでもなく、地価税は、所得、消費、資産等の間の均衡のとれた税体系の構築ということから、土地に対する課税の適正、公平を確保するというベースのもとで、土地基本法の基本理念、土地の公共性といった基本理念がございますが、こういうものを踏まえまして総合的な土地対策の一環として税金の面でも必要であるということで創設されました。端的には、土地の保有コストの引き上げを通じまして土地の資産としての有利性を縮減しよう、このことが地価の適正な形成に役立つという観点からつくられたものと承知しておりまして、短期的な地価動向の上に立って短期的な地価抑制を目的としてつくられたものではないというふうに私ども考えております。
 この地価税につきまして、企業、法人の負担が多いわけでございますが、どういう負担感を持たれているか、この点につきましては、幸い地価が下がってきておりますので、一時に比べその絶対額としての地価税負担は下がってきている。当然のことながら、税率が〇・三%ですから地価に対する比率としては維持されているという状況にあります。一方で、土地の保有課税の中では固定資産税というものがございます。固定資産税の改正、評価の見直し等も行われてきておりまして、それと両方を踏まえて負担を考えたらどうかということになってこようかと思います。
 繰り返しになりますが、地価税そのものについては下がってきておりますが、固定資産税の負担の変化というものもございます。この点は、平成四年から動き出しました地価税法の附則八条に、「地価税の負担の在り方については、」「固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ土地の保有に対する税負担全体の状況等を踏まえて検討する」ということになっておりますので、この点につきまして、こういう附則八条の考え方、あるいはこれを踏まえた考え方になっておりますが、昨年十二月の政府税調の平成七年度税制改正の答申におきましても、地価税の負担のあり方につき、「附則の趣旨に沿い、固定資産税の評価替えの状況等も踏まえつつ、その検討を行う必要がある。」とされておりますので、必要な時期に必要な見直しの検討をすることが必要かと思っております。
○牛嶋正君 以上、私は経済の実態の変化というのを五点について取り上げてきたわけですが、まだまだ取り上げればあると思います。
 この議論からわかりますように、今財政が抱えている問題というのは、結局は経済の実態の方がどんどん変わっていく、それに対して制度とかあるいは社会の仕組みが非常に固定的である、そのずれがいろいろな問題をもたらしていると思うんです。財政についてもそうでありまして、最初に指摘もしましたように、財政の基本姿勢というのが非常に保守的で固定的、そういうふうに私には見られるわけであります。ですから、今抱えている財政問題を解決するためには、思い切った財政運営の基本方向というものを見直していかなければならないのではないかというふうに思います。
 それでは、これまでの財政運営の基本姿勢というのはどういうふうに整理できるのかということですが、私なりに四点ほど整理させていただきました、間違っておればまた大蔵省の方から御指摘をいただきたいと思うんですけれども。
 第一の点というのは、やはり見ておりますと、財政法四条に決められている均衡予算主義、これをやっぱり基本にして財政運営がなされているというふうに考えるわけであります。これはそれでいいと思うんですけれども、私は、財政が本来担うべき役割というのは、これはちょっと説明的になりますけれども、よく言われておりますことは、三つの役割、機能があるというふうに言われております。
 一つは、限られた資源をできるだけ効率的に利用する、そうして国民の生活水準をできるだけ引き上げていく、いわゆる資源配分の機能であります。いま一つは、所得の公平な分配を実現してできるだけ最低生活水準を引き上げていく、そしてだれもがかなりの生活水準を享受できるようにしていく、そういう所得分配の役割があろうかと思います。そして三番目は、経済を安定化していく、特に雇用の安定化を図っていくという役割があろうかと思います。
 そういたしますと、財政の健全化というのは、私はそれ自体は目的ではないと思います。今申しました財政に課せられた三つの機能、役割を十分に果たしていくための前提ではないかというふうに思うわけであります。
 ところが、これまでの財政運営を見ますと、まず最初に財政再建あるいは財政の健全化がある。そして、その範囲の中で今申しました三つの役割をできるだけ発揮していくような財政運営を行うというふうなことであったんじゃないかなと思うのであります。そのために、どうしても景気対策について申しますとおくれが目立ちますし、不十分さが目立つ。そして、そのことがまた税収の回復をおくらせるというふうな、むしろ三すくみになっていっているんじゃないか、そういうふうに考えるんですけれども、その点について、大蔵大臣、これまでの財政運営の基本的なところはどこに置かれてきたのかということをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 長年の財政運営の結果が今日の姿だとも言えるわけでありますが、大蔵省主計局の判断でなかなか財政を動かすことは難しい。私は、昨年、中で一緒に作業をしてみまして、結局、言葉をかえれば、我々政治が、国会がそうしてきたと。その背後には国民の世論があった、こういうふうにも言えるわけであります。
 単純に申し上げて言えることは、まず歳入、入りを図って出るを制すると言いますが、入るを図ることは、御承知のようにこれは増税の道でありますだけに、容易なことではありません。そうすると、むしろ出の方が財政の主役になりがちであります。入りの方はほとんど努力しないで出の方で熱心に議論していくということになりますと、その矛盾は、ギャップが出るとそれはそれこそ大蔵大臣なり大蔵省主計局が知恵を出せと。それは国債の道ということになりますし、国債もなくなってくると、過般御審議をいただいたような、やりくりのいろいろな知恵ということにもなってきているわけでありまして、この歳入、歳出のギャップをそのままにして毎年毎年予算を組んできたことがこういう結果を招いている。
 それじゃ今すぐに歳入に見合う歳出にぐっと抑えることができるかというと、容易ではありません。昨年も予算編成をそういう姿勢でやらせていただきましたが、なかなか容易ではありません。そういうところへ来ていることをひしひしと感じながら、このまま今後もこういう姿勢を繰り返していくことはもう許されないという思いであります。
 それだけに、午前中も申し上げましたけれども、時期をどう選ぶかというのは大変難しゅうございますが、本当は、日本経済が本格的な回復軌道に乗ってくれるそのときかなという、私は自分個人としてはひそかにそう思ったりもしたことがあるんですが、いずれにしましても、遠くない時期に政治全体が本当に財政再建に真剣に取り組まなきゃならないときが来たというふうに認識をいたしております。
○牛嶋正君 二番目の財政運営の基本姿勢は、私は単年度主義に徹底した財政運営がなされてきたということを取り上げてみたいのであります。
 財政運営における単年度主義、これはもう各国ともとっているわけでありますし、またすべての我々の経済活動というのは一年を単位に動いているわけでありますから、制度上はこれはやむを得ないというふうに思います。
 ただ、国の経済活動の中には、先ほども取り上げました公共投資や公共事業、あるいは年金制度、そういったものを見ますと将来にわたって非常に影響を持っているものが多く含まれているわけであります。このことを考えますと、単年度主義に徹底した財政運営というのはいろいろな面で弊害をもたらすのではないか、こういうふうに思います。適正な財政運営の実現を難しくしているとも言えるわけであります。
 例えば、我が国では生活大国五カ年計画あるいは全国総合開発計画など中長期の視点に立って計画づくりがなされておりますけれども、財政の方が、予算が単年度主義に基づいて編成されておりますから、そういった中長期的視点に立った計画が十分に生かされない、もうほとんど生かされていないというふうなことになっているのではないかと思います。
 また、財政再建あるいは財政健全化、いろいろな数値をお決めになりますけれども、それは決められるだけでありまして、これが実現していくための手順が全然示されておりませんから、目標を掲げるだけで終わってしまっている。これもやっぱり単年度主義に立っているための大きな弊害ではないか、こういうふうに思います。
 今、国債累積額二百十三兆円ですか、そして国債の依存度が再び一五%を超えているわけであります。こういう状況を見ますと、やっぱりもう中長期的な視点を予算編成にも導入してこなければ財政再建の道筋というのは示すことはできないんではないか、こんなふうに思うわけであります。
 これまでも中期財政計画の導入ということが何回か財政制度審議会で議論されております。私は四十八年に小委員会で行われた報告書とそれから五十三年でしたか行われた報告書を読ませていただいておりますけれども、これまでの財政制度審議会におけるこういった検討に対して、大蔵省は今どういうふうに対処されようとしているのか、まずその点をお聞きしたいと思います。
○政府委員(中島義雄君) 先生御指摘の中長期的な視点に立った財政運営の必要性ということは、私ども日ごろ認識をいたしているところでございます。
 そこで、財政計画といったものを導入してはどうかということがかつて何度か議論されたことがございまして、御指摘がありましたように、昭和四十八年度とそれから昭和五十三年度、この二回は私どもの財政制度審議会でもかなり専門的かつ集中的にこの問題を検討いたしました。その結論は今先生がお読みいただいたということでございます。
 その後も事あるごとに財政制度審議会の場などでこの問題が議論されてきたわけでございますけれども、現在のところ私どもの基本的な考え方は、今までの二回の報告にもございますように、現在の財政を取り巻くさまざまな環境等を踏まえれば、財政のいわゆるフレキシビリティーの確保、あるいは経常経費の既得権化といったような問題点が指摘されているところでございまして、そういった点を抜きにはこの問題は議論できないと考えているところでございます。
 つまり、財政計画を策定しようといたしますと、まず今後の中長期的な社会経済情勢あるいは我が国を取り巻く国際情勢の変化を正確に見通す必要もあるわけでございますけれども、今日のように社会経済情勢が大きく変化する時代にあっては、そのような見通しはなかなか難しいといった事情もございます。こういった状況のもとで、あえて一定の仮定のもとで将来を見通しまして財政計画を策定いたしました場合は、ここはいろいろ議論があるところかとは存じますけれども、実際上経常経費が既得権化する傾向がございます。かえって財政の膨張や硬直化を助長するなどの問題がございまして、効率的な資源配分とか財政の機動的、弾力的な対応が損なわれるといった懸念もあるわけでございます。
 しかし、御指摘のように、中長期的な視点に立って財政運営に当たっていくことはもとより重要であると考えておりまして、この点については財政制度審議会におきましても、今後の中期的財政運営のあり方として公債依存度の引き下げ等により公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げるという努力目標を、改めて取り組みを強く要請する、これは去年の二月でございますけれども、こういった御指摘がなされているわけでございます。
 そこで、大蔵省といたしましては、中期的な視点に立った財政運営を進めていく上での、これは議論のいわば足がかりといいますか、検討の手がかりといいますか、そういった参考資料としまして、いわゆる後年度負担額推計によります中期的な財政需要を機械的な手法で試算いたしました財政の中期展望を作成して国会に提出させていただいているところでございます。諸外国のこのような中期的な試算を見ましても、多少は違いますけれども、大体後年度負担類推計の手法によっていると私どもは承知いたしているところでございます。
 今後とも財政改革を一層強力に推進するという観点から、こういった中期的な展望を手がかりにいたしまして広範囲な検討を加えまして、各年度の予算編成において、その時々の景気情勢や財政事情等に応じ可能な限りまずは公債依存度を引き下げるよう最大限の努力を図っていきたいと考えているところでございます。
○牛嶋正君 先ほど申しました五十二年度の財政制度審議会の報告書を見ますと、財政計画の持っている機能というのを幾つか挙げているんですが、そのうち一つ注目されるのが、財政に関する情報の提供というのがあるんですね。私、これからの財政運営、国民にもやっぱり負担を求めていかなければなりません。ですから、今我が国の財政が置かれている状況というのを国民に、納税者にやっぱりちゃんと理解していただかなければ協力は求められないんじゃないでしょうか。
 そういう意味で、私は、財政計画の持っている一つのこれは機能、役割ですけれども、非常に重要な意味を持っているんではないか。先ほどからむしろ財政は膨張するとか、あるいはこれによって拘束されるとか既得権とかおっしゃるけれども、そうじゃなくて、私はやっぱりこの情報の提供ということをもっともっと考えるべきではないかと思いますけれども、何かコメントがありましたら。
○政府委員(中島義雄君) 先生御指摘のように、情報を提供するということは大変重要であると考えております。殊に、今日のような厳しい財政状況のもとで国民の財政運営に対する理解を求めるためには、情報をできるだけ的確かつ広範囲に提供することが最も基本的なことであると私どもは日ごろ考えているところでございます。そのために、さまざまな形での広報活動に努力いたしておりまして、種々のパンフレットを作成したり、大蔵省の幹部が地方に出向いていって講演活動をしたりといった努力、あるいはテレビ、ラジオ等を通ずる広報などにも努力しているところでございます。
 そのような観点から財政計画が有用ではないかという御指摘でございますけれども、財政計画につきましてはまだ先ほど申し上げましたようなさまざまの懸念もございますが、これにかえまして、機械的な手法ではございますけれども財政の中期展望というものを作成いたしまして、これによって財政の当面の厳しさ、あるいは今後のやはり克服すべき問題点の議論の手がかりというものを国民にお示ししているつもりでございます。
○牛嶋正君 中長期的視点を財政運営に導入するもう一つの役割といたしまして、私は公債管理政策を確立するということが大切ではないかと思います。
 先ほども申しましたように、公債依存度を五%に抑えるといったってそれは目標だけですから、それに到達するために公債管理をどういうふうに展開していくかということは非常に重要です。むしろ、私が先ほど申しました中期財政計画の前提にこの公債管理政策の確立がなければならない、こういうふうに考えております。そして、そのことがまた、先ほど申しました納税者に対して財政の今の状況について非常に正確な情報を供給するということになるのではないか、こんなふうに思っております。
 今、この公債管理政策の現状はどうなっているのか、ちょっと教えていただけるでしょうか。
○政府委員(中島義雄君) 公債管理政策の言葉の意味でございますけれども、金融市場に対してどういった公債を発行し償還するのがいいかといった意味での公債管理ではなく、お尋ねの趣旨は、例えば公債残高をどうするかといった点であろうかと思いますので、そういった趣旨と受けとめてお答え申し上げたいと思います。
 そういったことでございますと、実は正直なところ私どもそう立派な公債管理政策と称するものを持っているわけではございません。ただ、御承知のように、財政の健全化を促すために公債依存度を五%程度に抑えるべきであるといったようなことが財政制度審議会の提言などで言われております。
 この五%という意味は、五%程度の依存度にすれば、一つの機械的な試算ではございますけれども、公債の残高の累増とネット償還額とがほぼ見合う結果、公債残高のそれ以上の累増が食いとめられるといった一つの目安として五%ということが言われているわけでございます。
 そこで、毎年お示ししております財政の中期展望においては、数年かけて公債依存度を五%にするとした場合に公債はこの程度毎年減額しなければいけないといった形の前提を置いて計算を示しているところでございます。
 この五%ということについて、私どもは言ってみればなかなか実現が容易でない目標と知りつつ掲げているわけでございますけれども、そのように公債依存度を下げていくということが、とりもなおさず財政の機動性、弾力性を保つ、あるいは回復する上で最も大事なことであると考えるからでございます。
 しかし、現実の公債の引き下げがそのように機械的に行われるかといいますと、これはそのときの経済社会情勢の動向と緊密に関連してくるわけでございまして、そう毎年毎年単純機械的に減っていくものではございません。したがって、これはあくまで中期的なめどといいますか、目標といたしまして私どもの気持ちが込められた数字というふうにお受け取りいただきたいと思います。
 毎年の具体的な償還計画をあらかじめ非常にリゾットな形で決めるということになりますと、現実の非常に変動する経済社会情勢、あるいはそれに財政が弾力的に対応していくということからしますと、それが制約条件になってしまう懸念もございます。したがいまして、中期的な目標は目標として掲げつつ、毎年の予算編成ではそれに対して弾力的に対応していくという、そういった姿勢で予算編成に臨んでいるということを御理解賜りたいと思います。
○牛嶋正君 もう時間が来ました。あと二点ほどお尋ねしたかったんですが、一つはシーリング方式で先ほどちょっと議論がありましたので、残されましたもう一つだけちょっとお尋ねしたいと思います。
 これまでの財政運営のもう一つの特徴点というのは、税制改正を行うときに増減税同額というのを前提に置かれたということですね。私は、これは今まではそれでよかったかもしれませんけれども、これからこういう前提では税制改革はできないんではないかというふうに思っております。
 幸い、平成九年四月から消費税率の引き上げが行われます。その一年前に見直しということがございますけれども、この見直しに当たって、これまでの増減税同額を前提にした税制改革というのは基本的に変わるのかどうか。これは大蔵大臣に最後にお尋ねして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(武村正義君) 昨年の税制改革は、出発点から増減税同額といいますか、中立的な姿勢で論議をいただきました。最終的には四千億でしたか、福祉財源を見つけることができましたが、でも大枠では基本的に増減税イコールの税制改革であったというふうに思います。
 いつも増減税イコールでなければいけないというふうにはもちろん思わないわけでありますが、見直し条項をめぐっては、二年間といってももうあと一年半になりますか、猶予がございますが、さまざまな側面から真剣に議論をいただいて、最終あの消費税率でいくか、あるいは修正するか、これはまさに議会の判断だと思います日ふえる要素、減る要素、さまざまある中で真剣にむしろ国民の皆さんにわかりやすいような論議を重ねて適切な結論を見出していかなければいけないというふうに思っております。
○牛嶋正君 終わります。
○星川保松君 決算の審議に当たりまして、お金がどのように適正に使われたかということももちろん大事でありますし、帳じりがどのようにきちんとしているかということも大事でありますが、もう一つは、行われた行政がどのように効果を上げているかということはさらに大事なことではないか、こう私は思っております。
 それで、今、国家の極めて重要な課題の一つに、均衡のとれた国土の発展ということがあると私は考えております。つまり、我が国は高度経済成長を遂げたわけでありますけれども、その際に経済の各部門は均衡がとれて発展したわけではないのでございます。つまり、商工業の部門は大変発展いたしましたが、農業の方はむしろ後退をしてしまったということになったわけでありまして、その際に農業地帯、つまり農山漁村の方から、都市、つまり商工業地帯に向かって人口の大移動が行われたわけでございます。その結果、大変な超過密の大都市とそれから過疎の農山漁村地帯というふうに二極分化が始まったわけでございます。
 それで、超過密の方はもう京浜とか阪神地帯とかというようなことで、今回の阪神の大震災の際にも、果たしてこういう超過密な住み方をしていいのだろうか、いわゆる一億二千万の日本の国民が三十七万平方キロメートルのこの日本の国土にこのように偏在して住むということは、果たして国民の幸せをあるいは安全を確保することができるんだろうかという極めて大きな問題が今生じてきていると思うんです。
 それで、国土庁の方では、例えば東京に関東大震災並みの地震が来た場合にどうなるか、来るときによっても違うということで、秋のお昼ごろに来た場合は十五万人の犠牲者が出るということを言っているというのが新聞に出ておりましたんですが、それは、関東大震災というのは神戸のように直下型ではないわけでありまして、直下型の地震がもしこの東京にやってきたらどうなるか、私は見当がつかないのではないかと思います。
 そういうことで、今のような住み方をしておってはもう国民の快適性どころか安全性も保障できないということになると思います。それで、今急がなければならないのは、全国どこにでも快適に安全に住めるというように均衡のとれた国土づくりというのが極めて重要だと、私はこう思うわけでございます。
 その中の一つとして、私はいわゆる過疎地域指定の町に住んで、特別豪雪地帯の町に住んでおりまして、そこに住みながら、この豪雪地帯、これは国土の半分を占めるわけでありますけれども、ここにももっと快適に住めるような豪雪地帯対策というものをもっと力を入れてやっていくということをすれば、国土の均衡ある発展というものにつながっていくのではないかという見地から、豪雪地帯対策についてお尋ねをいたします。
 まず、豪雪地帯対策の元締めであります国土庁、それから自治省に、この過疎地域とそれから豪雪地帯の重なりはどのようになっておるか、このことから、過疎と過密の地域不均衡是正のために、この積雪地帯にどういう対策をやっていくべきだと考えていらっしゃるのか、ここからお尋ねをいたします。
○国務大臣(小澤潔君) お答えいたします。
 豪雪地帯と過疎についてのお尋ねかと思いますが、豪雪地帯対策特別措置法に基づく豪雪地帯の指定は、国で九百六十二市町村の区域につきなされております。そのうち過疎地域である市町村は約半数の四百八十市町村となっており、雪害の防除その他、産業等の基礎条件の改善のため、施設等の一層の推進が必要と考えておるところであります、
 過疎・過密地域不均衡の是正の問題につきましては、これまでも四全総に基づき各般の施策の展開に努めてまいりましたが、さらに現存進めている新しい全国総合開発計画の策定においても、御指摘のような事項も踏まえ、なお一層の検討を進めてまいる所存であります。
○国務大臣(野中広務君) 委員御指摘の豪雪地帯市町村に対します自治省としての対応につきましてお答えをいたします。
 豪雪地帯の市町村に対しましては、今日までも普通交付税におきまして寒冷補正の適用をいたしますほか、豪雪等によりますいわゆる臨時的増加の行政経費に対しまして特別交付税措置をいたしておりますほか、また起債面につきましても、豪雪地帯市町村に対しまして一般単独事業債について豪雪対策事業分としての枠を確保いたし、かつ自然災害防止事業債を活用いたしまして関連防雪施設の整備の推進に努めてきたところでございまして、加えまして地方税制の面におきましても、固定資産税につきましては家屋につきまして一定の減額措置を講じまして、また個人住民税につきましても雪おろし費用等につきましての雑損控除等を積雪寒冷地域について配慮しておるところでございます。
 さらに、豪雪地帯市町村の多くが、委員が先ほど御指摘ございましたように、過疎市町村または辺地を有する市町でありますところから、過疎及び辺地対策事業を中心にいたしまして、さらにはいわゆるふるさと一億円事業を初めとするふるさと創生関連施策により、地域づくり、町づくりの事業につきましても積極的に支援を行ってきたところでございます。先般のガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に基づきます農山漁村ふるさと事業をもまた加えまして、今後とも引き続き豪雪地帯市町村に対するこれらの施策の推進に努めてまいる所存でございます。
○星川保松君 いろいろやっていらっしゃるというのでありますけれども、私ども特別豪雪地帯の過疎地域に住んでおって、まだまだこれでは我々よくなれないというのが実感でございます。
 過疎地域も三千三百ある自治体の中で今でもまだ千百幾つあるんですね。三分の一が過疎地域なわけですよ。過疎白書などを見ますと、三回にわたって特別法を施行して、それでつぎ込んだ事業費が二十五兆と書いてありましたのですが、それだけやってもまだ依然として変わらないというような状況でありますから、まだまだやはり有効な対策というものを打ち出していかなければならないんじゃないか、こう思っております。
 特に雪というのは、これは何も害なすだけではないんですね。邪魔になるのは屋根の雪と道路の雪なんですよ。あと山の雪なんというのは春まで高いところに積んでおける極めて優秀な水資源なわけですから。ですから、そう考えますと、この雪のデメリットをむしろメリットに切りかえていくという方法は幾らでもあるわけですよ。ただ、そういう試みは到底個人ではこれはできるものではありません。自治体としても非常に難しい問題でありますから、やはり豪雪地帯を対象に国が本気になってそういう対策を考えていっていただきたい、こう思うところでございます。
 次に、冬になると私どもの豪雪地帯は通れなくなる道路がいっぱい出てくるわけでございます。除雪をしないために通れない。それで、もう今では除雪にならない道路では家を建てる人はおりません。住めないわけですね、車社会になっていますから。
 そういう中で、もう市道なんか、ところによって違いますけれども、もう何分の一ぐらいしか除雪をやっていません。ところが、国道、県道も除雪をしないために冬期間不通になるというところがあるんですね。これは今現在でどのぐらいあるんでしょうか。
○政府委員(藤川寛之君) 今もお話がございましたように、道路というのが日常生活とかあるいは経済社会活動を支える大変重要な施設でございますので、私どもといたしましても、冬期間の道路交通を何とか確保したいということで、できる限り努力しているところでございます。
 しかし、やはりどうしても道路の幅が狭いあるいは線形が悪い未改良な道路がまだ残っておりますし、また峠越えとか雪の大変多いところ、あるいは雪崩等の危険性があるようなところ、そういうところにつきましては、道路利用者の安全を確保するということから冬期間の交通どめをやっているところでございます。
 今お話がございました国道につきましては約千二百キロ、それから都道府県道につきましては約四千キロの区間につきまして、冬期間の除雪をやっていない交通不能区間というようなことになっております。
○星川保松君 それは、除雪をやめるというのはどういう基準でやっておるんですか。
○政府委員(藤川寛之君) 基準というのは特別にあるわけではございませんが、今申し上げましたように、道路がまだ未改良で非常に危険だというような区間につきまして冬期間やむを得ず通行規制をしているということでございます。
○星川保松君 私の身の回りの道路なんか見ても、危険だから除雪をやめるというのはないと思うんですがね。改良していないからという、国道ですよ、国道でそんな狭いところありませんし、除雪しないと結局もうそこに住めないということで、みんな山をおりてしまわなきゃならないわけです。それで基準もないというのはちょっと私わからないんですが、本当にないんですか、何にも。
○政府委員(藤川寛之君) 今申し上げましたのは、冬期間の非常に危険な区間につきましてはいわゆる除雪をやる対象にしていない、非常に危険だから対象にしていないということでございます。
 除雪をやるやり方といたしましては一応基準を設けておりまして、交通量に応じて除雪のやり方が若干違うわけでございますけれども、例えば交通量が多い、日交通量が一千台以上通っているような道路につきましては二車線以上の幅員が確保できるような除雪というのはやっておりますし、また五百台以下というふうに大変交通量の少ない道路につきましては一車線を確保して待避所を設けるような、そういう除雪のやり方をやっております。
 状況によっては、そういう道路については一時交通不能になるというふうなこともやむを得ないということで判断して対応しているというふうなことで、除雪の出動のやり方と申しますか、そういうやり方については基準を設けているということでございます。
○星川保松君 どうもその点はっきりしないようでありますが。
 次に、科学技術庁は防災対策の研究をなさっておられるわけでありますが、田中長官は豪雪地帯の方でありますし、長岡に施設がありますけれども、私の近くの新庄にもございまして、それで一生懸命やっておられるようでありますが、どうも一般の豪雪の中で暮らす我々も使えるような研究が少ないのではないかという気がしてならないわけです。ですから、基礎研究も大事でありますけれども、やはり使えるようなといいますのは、私たち豪雪地帯で一番困っているのは屋根の雪おろしなんですよ。
 ところで、その屋根の雪おろしというのは、屋根のいわゆる勾配をきつくして、そして降っただけ落ちてしまうような構造にすればいいのでありますけれども、道路のそばに建っている場合それから隣が近い場合はそれができないんですね。私も実験したんですけれども、注文したように降っただけするすると落ちてくれないんです。固まるんですね。そして勢いよくおっこちていくわけですよ。そうすると、隣のうちを壊したり、道路を通る人のところへおっこちていったり、なかなかそれが難しいんです。
 ですから、もしその降っただけ少しずつ落ちるようなトタン屋根の塗料でも開発されたら非常に楽なんですよ。そういうものがないために、みんなもう昔からの雪どめをつくるわけです。それで一たんそこに全部ためてから人力でおろすわけです。私らは多いときは三回、四回おろしますけれども、一回で今十万円かかります、おろした雪を全部今度はダンプで捨てなけりゃなりませんから。
 ですから、そういう基礎研究も大事ですけれども、もう少し雪国の住民が使えるような、雪国でもっと快適な暮らしができるような実用研究などもやってほしいと思うんですが、その研究の内容、お願いします。
○国務大臣(田中眞紀子君) お答えいたします。
 星川先生の山形と同じく私も新潟県で本当に豪雪地帯でございます。日本じゅうの国土の五二%が豪雪地帯ということでございますけれども、私もこの週末に新潟県の山間部に入りましたら、里の方は桜が咲きそうになっていますのに、一メーター五十もまだ雪があるんですね。そういうところは、暮らしている人でないと本当にわからなくて、雪おろしの御苦労、労働だけではなくて、事故につながりますし、雪が落ちるか人間が落ちるかみたいなところで暮らしているわけです。
 そういう中で、私も新潟の長岡にあります。その雪氷防災実験研究所は就任後すぐに参りました。先生の方の新庄では吹雪の研究、こちら新潟は雪崩の研究をやっているんですが、一言で言うと、陳腐とは申しませんけれども、基礎研究といっても、ああいうのは学者の人はおもしろいかもしれませんけれども、そこの方に、あなたはここにいて何が一番いいかと言ったら、ここにいたら静かで論文を書くのにとてもいい環境だなんて言ったんですね。私、今回の行革であれやめようかと思ったぐらいなんです。新庄もそのうち行ってみたいと思いますが、あれは本当に雪国に暮らしている人の生活の痛みというものがわかっていないと思うんです。
 幸い新潟県の場合は道路はよろしゅうございまして、結構奥地まではっと、大雪でも八十キロぐらいですっ飛ばして入れることから、大変すばらしいと感謝をいろいろとしているわけでございます。それであっても、雪はとめられません。それで、結局今具体的に何をやっているかということでございますのでいろいろ調べたんですが、大したことをやっていなくてお怒りかと思います。
 私が一番自分でも感じて、今回立候補のときも言ったことですけれども、道路は融雪道路がありますけれども、融雪道路はやっぱり地下水をくみ上げ過ぎまして、いろいろ地盤沈下等の問題があるのは御案内のとおりでございますので、ソーラー熱の利用、ソーラーを屋根につけてあげると。それは地方公共団体、国も援助をしまして、それでもって雪が自然に危険のないように、さっき先生がおっしゃったように、雪は勾配をつけてもだめです。ですから、そういうものを蓄電しておいて、必要なときには障害者やお年寄り、過疎地なんか特に優先的につけてさしあげるということをしたいと思って、私もこれには随分予算づけをしたいというふうに思っております。通産省が余り動きませんので、またお力添えいただきたいと思っています。
 それから、あとは冬期の交通障害の要因となります吹雪の広域予測、これはかなり具体的に研究はやっておりますが、なかなか実用の段階には来ていないということを申し上げざるを得ません。
 結局、あとはアイデアっぽいことになるかもしれませんが、この間も北海道の大雪でつぶれそうになったところの方が来られまして、雪を克雪から利雪にするしかないと。先ほど先生がおっしゃったとおり、雪というものは避けて通れないし、水資源でありますので、ですから低温を利用して雪の氷室のようなものをつくってお米の貯蔵をできると、それはかなり具体的なプランを持ってこられました。
 それから、直接除雪には関係ないんですけれども、雪を使った冷房装置をつくるとか、それから私が一番雪のときに思っていますのは、去年の夏なんかは渇水でしたが、雪は結局水ですからこれを何とか、貯雪という言葉があるかどうか知りませんけれども、それをためて渇水期には下水道なり田んぼに使うとか工業用水に使うとか、そういうことをすることによって雪おろしした雪もどこかで、そのままストックするのではなくて科学の力で圧縮したようなものにしておいて、それで何かを散布すれば湯舟一杯のお水になるとかそういうふうな研究はぜひしたいと思いまして、具体的に生活に役立つ科学という意味で努力はいたしております。また具体的なアドバイスがありましたらぜひお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○星川保松君 それから、私は雪を眺めながらいつも思っておることなんですけれども、除雪とかいろんなことをというのは全部雪が地べたにおっこちてからの処理なんですね。落ちてきて冷えますともう氷になりますから、これは非常に大変なわけですよ。ところが、そこまで落ちてくる間というのはまことにふわふわとして軽いものなわけですよ。だからそのときに風を利用してでもいろいろ処理できる方法もあるんですよ、極めて軽いものですから。そのときに処理をする方法を考えたらもっと効果的に乱れるんじゃないかと、こう思っていますから、長官、ひとつそのことも研究者の皆さんに話してくれませんか。
 最後に、先ほども言いましたように、私ども雪おろしにも大変な金がかかっておるというようなことでありますので、税制の面で雪国の私どもの生活者の雪のための諸経費などをどのように考えていらっしゃるか、ひとつ税の方からお伺いしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 豪雪地帯の住宅の屋根に積もった雪等についての除去ということについてはお金がかかるということかと思います。
 この点につきましては、豪雪の場合に住宅の倒壊を防止するという考え方もできますので、屋根に積もった雪をおろす費用は雑損控除の世界で対応できるという考え方をとらせていただいております。これは雪おろしのみならず、住宅の外周の雪の取り除き費用あるいは運搬、こういったことも含めて雑損控除の対象にさせていただいております。
 この制度はたしか昭和五十六年に導入させていただいたわけですが、雑損控除というのは所得の一〇%ということでなかなか拾いにくいということだったので、その際に国会での御論議をもとに、医療費控除は限度額十万円なんですけれども、その半分の五万円を超える分、上限なしで控除を認めるという考え方をとらせていただいているということでございます。
○星川保松君 終わります。
○高崎裕子君 まず、農水大臣にお尋ねいたします。
 九三年度の食糧自給率はカロリーベースで前年度の四六%から史上最低の三七%に急激に低下をいたしました。政府や農水省はこれまで歯どめをかけると何度も国会で答弁を繰り返してこられました。この二月三日も我が党の松本議員の質問に、衆議院予算委員会ですけれども、村山総理が今もって「可能な限り食糧自給率の低下傾向に歯どめをかける。」、こう言われました。
 なぜ歯どめがかからないのか、特にヨーロッパ諸国では家族経営を見直すという立場で食糧自給率を高めるための努力もしているわけで、世界の流れはこういう方向でいるのになぜ日本が歯どめがかからないのかと。これは農産物の輸入自由化とそれから円高による輸入の増大が国内生産を押しつぶして、そして自給率を下げているということは、これはもうはっきりしているのではないかというふうに思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お答え申し上げます。
 まず、第一点の一九九三年の自給率の急激な低下、これは御案内のとおり、作況指数七四、米の大不作に伴う異例のことでございまして、大体四六%程度で近年推移しているわけでございます。
 御案内のとおりでございますが、我が国の自給率は一九六五年ごろ、三十年前は七〇%以上の自給率を確保いたしましたが、食生活の高度化と申しますか多様化によりまして、畜産物消費なりあるいは油脂分の大幅な消費の増加によって飼料穀物並びに油脂原料農産物の大量な輸入が始まりました。一方、米の消費が大幅に減少したと。そのような需要サイドにおける大きな変化が自給率の低下の基本的要因でございます。
 もっとも近年では大豆なり小麦の生産の停滞、あるいは動物性たんぱくの供給源である水産においてはイワシ等大衆性多獲魚が大変不漁だというようなことも加速しておるところでございまして、我々としては、先進国の自給率に比べて格段に低く、かつさらに低下をしているこの状況にかんがみまして、ただいまも委員おっしゃいましたように、総理もおっしゃっておりますように、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国内対策においては、我が国の農業供給力、食糧供給力を強化するために農業生産の大宗を効率的、安定的な経営に集積をいたして地域の農業生産を活発化して、それによる国内資源の最大限の活用、それによる国内生産の維持、増大ということによって自給率の低下に歯どめをかけたいと、さように考えておるところでございます。
○高崎裕子君 九三年度は大凶作だと言われましたけれども、年々食糧自給率というのは日本の場合は下がっていることははっきりしているわけで、特に日本は世界で最大の農産物輸入国という点でも、今供給力、つまり自給力の強化ということを言われますが、私は食糧自給率、これをやっぱり高めるということが今求められているということで、今の御答弁では歯どめはかけると言葉ではおっしゃいますけれども、歯どめはかかっていかないということははっきりしていると思うんですね。
 そして、この異常なまでの食糧自給率の落ち込みというのは、日本の農家の切り捨ての道であり、国民にとっても食糧の約三分の二を外国からの輸入にゆだねるということはとても容認できない事態だということはもうはっきりしているわけで、九四年度の野菜、牛肉の輸入量というのは、前年比で見ますと、それぞれ野菜で六八%増、そして牛肉で一五%増と過去最高となっているわけで、輸入自由化の影響はすさまじいものがあるということは数字ではっきり示されているわけですね。この洪水のような輸入増大、そして政府の農業政策のもとで、今北海道の農業というのは次々と破壊され、深刻な影響を受けているというのが実態なわけです。
 そこで、農水省にお尋ねいたしますけれども、北海道の農家で昭和六十年と平成五年度で農家戸数の現状がそれぞれどうなっているのか、御報告ください。
○政府委員(今藤洋海君) 北海道の農家戸数でございますが、昭和六十年、十万九千戸でございまして、平成五年につきましては八万八下戸ということに相なっております。
○高崎裕子君 平成六年は八万五千戸でよろしいですね。
○政府委員(今藤洋海君) はい、平成六年は八万五千戸でございます。
○高崎裕子君 昭和六十年と比較しまして平成六年で約二万四千戸が減少、つまり二二%も農業を離れているというのが実際の実態なわけですね。それで、北海道が行った平成五年の離農実態調査でも、これは依然として離農増加傾向が続いていると、こういうふうに総括をしているわけです。
 北海道の農民の方はこれまで政府の言うとおり、米をつくれと言われれば米をつくってきた。そして減反と言われれば減反し転作もした。そして他用途米をつくれと言われればそれもつくってきた。今度は花やあるいは野菜だと言われればそれもつくってきた。しかしせっかくつくったのに輸入のあらしでもう太刀打ちできない、酪農も畜産も自由化で大打撃を受けて、もう今何をつくったらいいのかわからない、教えてほしいという悲痛な声を皆さん上げているんですね。
 奈井江の米づくりの農家の方も、親の代からやってきたけれどももう限界でとうとう離農を決意した、今やめるのは涙が出る思いだと、こうも言われました。私、六年間、北海道どこに行っても農家の人々がこういう声を上げ続けているということを胸の痛む思いで聞いてまいりました。
 これから野菜が大量に海外から入ってきて、夏の野菜の時期になるとまともに影響を受けるとも言われます。例えば長沼町では、減反しないということでかんがい事業をしたのに今度は減反だと、全くこれが使用されないまま一戸当たり五十万から百万は負担するという事態も生まれてきているわけなんですわ。これは長沼町だけではなく、剣淵でも和寒でもそれから士別でも、みんなこういうことがこもごも言われているわけです。
 大臣は一体どうこの声に対してこたえられるのか。そして、農家の皆さん方が一体何をつくったらいいのか教えてほしいと、こう言われているんですけれども、大臣、一体何をつくったらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話しのとおり、北海道でも年平均にいたしますと二千ないし三千戸のペースで農家戸数が減っております。
 今お話のあったような北海道庁等の実態調査によりますと、その原因については、高齢化農家の労働力の問題、あるいは跡取り、後継者の問題、さらには一割以上ですか、負債の問題、さらには先行き不安と申しますか、そういうものが一割ぐらいあるということでございまして、その点については十分承知しておるところでございます。
   〔委員長退席、理事今井澄君着席〕
 ただ、北海道は我が国の農業基地、食糧基地でございまして、それぞれの農家の方が大変頑張っていただいております。例えば酪農一つをとりましても、乳用牛の頭数は若干であるけれどもふえつつあるわけでございますし、牛乳生産もなおふえておるわけでございます。そのように私は北海道農業の活力と申しますか、担っておる農家の皆さんが大変頑張っていただいておると。国の施策等々あるいは道の施策等よろしきを得れば、それに対する今後もなお十分なる展望を持ち得るんだというふうに思っております。
 なお、作物の選択を国が押しつけるというようなお話でございますが、北海道の農家は非常に先進的な方々でございまして、それぞれの作物選択のオプション等もそれぞれやっておられる面もあるわけでございます。ただ、農業情勢が大変厳しく、変転常でございますので、いろいろな状況の変化に応じた施策もとられるという点については御理解願いたいと思うわけでございます。
○高崎裕子君 農家の皆さんは、政府が言うとおりそのまま信じて、本当にそうしたら農家はやっていけるんだという言葉を信じてまじめに皆さんやってこられているわけですね。
 それで、転々とそうやって変わる、それにもやっぱりこれで生き残れるんだということで従ってやってきて、そして、今言ったように後継者不足、これはもう農業に未来を持てない、希望が持てないということのあらわれなんです。そして負債もあると。これは、政府の言うとおりやってきて、そして負債をしょってきたその結果で、一体何をしたらいいのか、何をつくったらいいのか教えてほしいと、こう言っているんですよ。大臣、どうしたらいいんですか。
 それで、もう少し具体的にお聞きしますけれども、昭和六十年四月の予算委員会で我が党の小笠原前議員が、畑作農民は何をつくったらいいかと大臣に聞いてくれと、そういう農民の声を紹介しながら大臣に答弁を求めました。そのとき大臣は、北海道農業が今後とも我が国の重要な食糧基地の役割を果たしていく。特に、自給率の向上が望まれる小麦、大麦、大豆、牛肉を中心に北海道農業の発展方策に沿いやっていくと、こう当時述べられたわけなんです。
 しかし、小麦で見ますと、昭和六十年の生産量が四十万九千トン、それが平成六年度では三十四万五千トンと一五%も減っている。それから、大麦も作付面積で見ますと三百三十ヘクタール、これが減っていて八・五%の減です。それから、大豆に至っては生産量五万四千トンから一万八千トンと六七%も大幅に減少しています。作付面積で見ますと六四・三%の減少。そして、牛肉も、消費量は大幅に増大して、昭和六十年度一人当たり四・四キログラムから平成五年度で七・四キログラムというふうになっているにもかかわらず、それに見合う生産量とは全くなっていないというのが実態で、むしろ平成三年四月からの牛肉の自由化で輸入量というのは平成四年で三〇%増、そして平成五年度で三四%増と急激に伸びて、その影響を受けているわけです。
 それで、先ほどの答弁で、北海道農業発展のため、需要が増大していく、だからこれらを中心にやっていくと、昭和六十年、当時の大臣が言われたわけですけれども、こういうふうに答弁をされた事態とは全く逆の事態が北海道ではもう進行している。北海道の農民の方は、だからもう怒りを込めて、どうしたらいいのかということで私にも言われるわけですね。
 それで、大臣に、昭和六十年に、これを中心にいけば北海道農業は発展すると、こう言われた大臣のその約束は一体どうなったんだろうか、それを聞いてくださいと、こういうふうにも私、迫られてきたんですけれども、大臣、どうなんでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 六十年当時における当時の農政責任者のお話のとおり、やはり国際環境なりあるいは需要の動向、いろいろ変化するわけでございまして、それに対応した消費者なり実需者のニーズ、これに応じた農業生産が行われていかなければならないということは今日も変わらないと思うわけでございます。
 ただ、それぞれの作物、北海道は御案内のとおり、米以下、今おっしゃった各作物、皆、国内第一位の名を占めておるわけでございまして、その意味で我が国の農業基地、食糧基地という役割を果たしておるところでございます。
 今申しました小麦なりバレイショ、いろいろなものも北海道の畑作独特の輪作体系の中でそれぞれ位置づけられておるわけでございまして、ある作物が伸びますと他の作物の作付面積が減るとか、いろいろの条件もあるわけでございます。私どもはいろいろな問題提起を北海道の農家の方からもじかに受けておりますけれども、なお諸般の問題、自立のお考えと、これに対する国の適切な援助施策によってその困難を克服していこうというようなお気持ちを、私どもが接しております、また直接お話を聞いております農家の方々からは承っているところでございはす。
○高崎裕子君 全く農民の声にこたえていないと思うんですが、畑作も今こういうことになっている。酪農も同じで、規模拡大一辺倒で、今やそれはデンマークなどECをはるかに超えております。酪農でも、畜産、米でもある程度の規模を超えると逆にコストは上がるということはもう数字がはっきり示しているわけです。ですから、世界の流れも家族経営に見直そうということになっていますが、新農政は逆で、大規模経営を育成して九割の農家を切り捨てようということで、これも逆行しているわけですね。ですから、この規模拡大一辺倒でやってきたことを私は見直して、家族総官を基本とするやっぱり適正な水準にこの際思い切って転換をすることが大事だと思います。
 例えば北海道の根釧地域、別海ですけれども、別海中心にマイペース酪農と言って、酪農家が人間らしい生活ができる適正規模の経営で行うということで、大規模経営よりは多くの利益を上げるという実践例もあり、これを政府としてもやっぱり研究して検討していくべきだと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
 そしてもう一つ、畜産経営にとってゆとりある経営という点ではヘルパー制度の拡充というのが大切なんですが、一番の問題はその人件費が大変だということで、人件費に対する国の補助など、ヘルパー制度が本当に十分進むような拡充という措置をやっぱりぜひとっていただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) 御質問の前段については、やや誤解があるのではないかというふうにも思うところでございます。
 平成四年の新政策あるいは今度のウルグアイ・ラウンド農業合意に伴う国内対策においては、経営感覚のすぐれた効率的、安定的な経営を育成する、それはまさに家族農業経営を主体としたものでございまして、これはEU等の農業政策と全く同じでございます。その発展の過程でやはり組織経営体といいますか、農業生産法人、家族経営の延長である農業生産法人等々が効率的であるという地域においては、農家の皆さん自主的な農業生産法人の育成に努めようということでございまして、我々としては、切り捨てというお話もございましたが、家族農業経営を中心とした我が国の効率的な農業構造をつくろうというのが農政の基本方針でございます。
 それから第二点については、ヘルパー制度についてのお話でございますが、これについては、端的に申し上げますと、酪農は搾乳その他、周年拘束、終日拘束ということで他の農業部門より大変ハンディが多いということで、我々としてはヘルパーの援助制度は平成二年から開始しておりますけれども、これについては、本年度もこの運営費等については、活動費等については無利子資金の貸し付けという制度を明らかにしているところでございますが、人件費は他の業種、中小零細企業が労働者を雇う場合の問題とか、あるいは農業においても施設園芸その他は相当な労働力を要しているわけでございまして、何と申しますか、冠婚葬祭とかあるいは休日のために代替の方を雇う経費を補助するというわけにはなかなかいかないわけでございます。
○高崎裕子君 マイペース酪農については。
○国務大臣(大河原太一郎君) お話しございますように、私も実態は見ておりませんけれどもいろいろお話を承っております。単なる規模拡大による所得拡大ではなくて、ゆとりのある、収益に見合った投資をしていく、放牧を大幅に取り入れるという酪農、これも今後の一つの方向だろうというふうに思っております。
○高崎裕子君 今後の方向ということで、ここはぜひ研究し検討していただきたいと思いますが、よろしいですね。
○国務大臣(大河原太一郎君) 今後のあるべき酪農経営につきましては、実は本年から平成十七年を目途に酪農、これは酪農が肉用生産とも関連しますので、酪農肉用生産の近代化基本方針というものを平成十七年度を目途にただいま作業中でございますが、そこにおいては望ましい酪農経営、これを位置づけたいということでございまして、御指摘の経営についても十分念頭に置いて考えていきたい、さように思っています。
○高崎裕子君 それで、酪農は今、自由化と個体価格の暴落の二重のダメージを受けていて、私も昨年、天北地方で実際に酪農家の家に泊まりまして搾乳などもお手伝いして、本当に大変な仕事だという思いを改めてしているんです。
 新酪農村事業の象徴で、猫の目農政の典型なんですけれども、スチールサイロについて当初から高い、それで故障が多いという問題があったんですけれども、政府は十分利点があるとして対応してこなくて、実態はどうかというと、北海道の調査でも四割がもう使われていない。農民は、スチールサイロを奨励され使ったけれども負担が多くて効率的ではない、使わないのに固定資産税が二十万円、壊すのにもお金がかかるからせめて非課税にしてほしい。あるいは北海道の調査では、酪農の方の負債が平均六千四百万、一億円以上が二一%もあるという実態で、特にこの負債の重圧さえなくなれば北海道の農業というのは、酪農というのはやっていけると。
 ですから、この税の減免とか無利子融資など、これはもう政府の責任でぜひ解決していっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(大河原太一郎君) スチールサイロの問題については我々も承知しておりまして、簡易な乾燥飼料調製施設が別途に伸びてきた、むしろその方がコストも安いというようなことで、遊休化したスチールサイロ問題があることも十分承知しておりますが、これについては、税制等の問題においては固定資産税の問題等があり、我々もいろいろ検討したわけでございますが、他との均衡でなかなか税制として難しい。遊休利用の、ほかの部門の家屋とか倉庫等が遊休している場合においても、これについての固定資産税はその建前から賦課せざるを得ないというような問題もありますが、この問題についてはいろいろ指摘を受けておりますので、ただいま調査研究をしておるところでございます。
○高崎裕子君 負債の重圧などをなくすためにも無利子融資等の制度の創設など、これはぜひやっていただきたいんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(大河原太一郎君) いかなる方式が適切であるか、我々としては、行政としてはどういうふうな対応ができるかについては、ただいま調査研究をしておりまして、具体的な施策についてはまだ申し上げられる段階ではございません。
○高崎裕子君 この負債の問題というのは大変大きな問題ですので、ぜひここは新制度創設という立場でやっていただきたいと思います。
 五十嵐官房長官にお尋ねいたしますが、今ずっと指摘もしてきましたけれども、食糧自給率を上げる、歯どめをかけると言い続けて、そのことを信じて北海道の農家の方は本当にまじめに模範的に従ってきた。けれども実態は、北海道の農民を裏切り続けてきているというのが実態をわけですね。
 官房長官自身も牛肉の輸入自由化の際には、農民に迷惑かけない、万全の対策をとる、こういうふうに述べてこられたわけですけれども、こういう今の北海道の農民の皆さんのその声に、そしてそう答えたそのことに対してどう考えておられるのか、そしてどう責任をとられるのか、その点いかがですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 今の委員の御質問をずっとお聞きしていて、お話しのように私も北海道なものですから大変よくわかる点も多い気持ちがするわけであります。
 言うまでもないことでありますが、北海道は耕地面積で全国の約二割、それから粗生産額で約一割ぐらいで、大変豊かな土地で、しかも広大な土地基盤の上で、かなり最近では生産性も高まりながら農業生産を進めているというふうに思うわけであります。
 しかし、今もお話がございましたように、一方では大変借金が多い。欧米と違って近年、短期間にこの施設の投資をしてきたというようなこと等もあって、あるいは大規模化を進めたということもあって、やはりどうしてもそこに借金がかさんでいるという問題がありますし、あるいは高齢化であるとかあるいは後継者難であるとかいうことは、御多分に漏れず北海道も大変苦しい、厳しい状況にあろうというふうに思うのであります。しかし、そういう中で今、大河原農水大臣もお話しのように、北海道の農民は本当に頑張っているというふうに思います。
 この間、昨年六月ですか、北海道庁の方で「北海道農業・農村のめざす姿」というこれからの我が北海道の農業のあるべきビジョンというものをまとめて公表したところでありますが、この中で具体的目標として、広大、冷涼な自然を生かした環境に優しく高収益な農業であるとか、あるいは家族経営を柱としつつ、組織経営支援システムを取り入れたゆとりある農業経営であるとか、あるいは生活環境整備等を進めて活気あふれる開かれた農村づくりなどの柱を掲げて力強い北海道農業・農村づくりを目指す、こういうぐあいにしているところであります。
 私は、これはやはり我が国の中で北海道というのは一番重要な農業基地と言えるところであろうというふうに思いますし、今申し上げたような状況から考えても、北海道の農業がだめなら日本の農業は死ぬというぐらいの思いで関係者は皆頑張っているというふうに思うのであります。
 先ほども農水大臣、お話がございましたように、ウルグアイ・ラウンド合意関連の政策というようなものも含めて、この際ぜひ農水大臣にも今お話しのように積極的な御協力、御支援をいただきながら、この厳しい現状ではあるが、そこを越えてやっぱり未来の明るさをどうしても実現していくんだということでの頑張りを進めていくことのできるように我々も力を合わせて努力したい、こういうぐあいに思う次第であります。
○翫正敏君 官房長官に質問します。
 三月二十九日の午後に、官邸の方に秘書官にあてて、私が市民団体の人と一緒にゴラン高原に展開中の国連兵力引き離し監視軍、いわゆるUNDOFですね、ここへの自衛隊の派兵に反対するという趣旨の申し入れをしましたが、この件についての官房長官のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(五十嵐広三君) 政府のUNDOFの調査団は、政府として、ゴラン高原におけるカナダ後方支援部隊の一部機能を我が国が引き継ぐ可。能性について、技術的、実務的な観点からの検討をさらに進めるために必要となる情報の収集及び関係者との協議を行うということを主たる目的として派遣されたものであります。
   〔理事今井澄君退席、委員長着席〕
 この調査団は、各国政府関係者及び現地関係者などとの協議や現地の視察等を通じて、ゴラン高原における活動の実態や我が国の参加が国際平和協力法上、問題ないかどうかというようなこと等について調査することといたしている次第でございます。全く時を同じゅうして与党の調査団も同時に派遣されることになりまして、両者それぞれの調査の結果が期待されるところであります。
○翫正敏君 自衛隊の派遣があるかないかは、その後に何かを基準にして決めるんですか。どんな基準で決定されるんですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) これはもうかねがね、我が国のこれら事業についての協力の基本的な態度というものは国会等の御審議等もいただいて方針が決まっているわけでありますが、そういうものに照らして、調査の結果とあわせて判断をする、慎重に判断をするということであろうと思います。
○翫正敏君 国会の審議ということが出ましたのでちょっとお聞きしておきたいんですが、PKO協力法が国会で審議されましたときに、官房長官はその採決に当たってどのような態度をおとりになりましたか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 当時は社会党、野党の立場で厳しく反対をいたした経過もございました、
○翫正敏君 単に厳しく反対したというだけではなくて、牛歩戦術というのをとり、それから議員辞職願を議長に提出するという、そういうことも長官はなされたんじゃありませんか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 仰せのとおりであります。
○翫正敏君 今どうしてそういうことを進める方に、どういう事情で変わられたんですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) これは御承知のように、当時はやはり国民的な合意形成という面では非常に不十分な点があったと思います。相当国民の中に強い不安や疑問というものがあった。我々もやはりまさにその国民の気持ちを代弁して国会でそういう疑問を晴らす、不安のないようにということでの当時活動をしたものだと思います。
○翫正敏君 不安のないような質疑をするという程度のことじゃなくて、牛歩戦術と議員辞職願というようなものはその程度のものじゃないと思うんですが、そういうことをして反対しておりながら、今日に至って賛成から推進へと変わってきているという、こういうことが政党というものに対する国民の大きな不信を招いているというふうに私は思うんです。統一地方選の選挙結果なども踏まえて、政党への国民の不信感というものの原因が全部だとは言いませんよ、その一つがこういう事情の変化がどうかわかりませんが、そういうものの中にあるんではないかと私は思うんですが、官房長官、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) これは御承知のように、その後PKO活動への我が国の参加の活動の経験あるいは実績によって国民の理解も広まってきた、また国際社会の評価も高まっていることを踏まえて、社会党はPKO派遣五原則というものと憲法の範囲内で協力するという方針で今日に至っていると、こういうことであろうと思います。
○翫正敏君 繰り返すのは時間がないのでよろしくないと思いますが、そういうことを聞いたんじゃなくて、そういうふうにあなたやあなたの党みたいにして事情が変わったということで簡単に基本的な政策が変えられるということがあるから、政党に対する不信感というものが国民の中に今広がっているのではないかと私は思うんですが、そう思いませんかという質問をしているんです。
 簡単に答えてください。それで終わりますから、簡単に。
○国務大臣(五十嵐広三君) ただ、政党というのもやっぱり自己変革に常に忠実でなければならぬというふうに思うわけでありまして、まあこの程度に……。
○翫正敏君 次に、官房長官にお聞きしますのでお願いします。
 市ヶ谷台一号館の保存を求めるということでお聞きをしたいんですが、従来から何回もいろんな委員会の機会に市ヶ谷台一号館の歴史的価値を大事にするということでこの保存を求める要望や質問をしてきているんですけれども、きょうは文化財の立場でちょっと質問をしたいんです。
 文化庁の委嘱に基づいて近代の文化遺産の保存・活用に関する調査研究協力者会議というのが四回にわたっていろいろ検討して調査の結果を取りまとめ、ことしの一月二十日付で「近代の文化遺産の保存と活用について」という報告書を提出した。
 この報告書の中では、「近代の遺跡の保護の在り方に関する検討の視点」ということで、「近代の遺跡の保護の必要性」には、現在、明治中ごろ以降のものは指定していない状況にあるが、近代の遺跡の中にはその歴史的な重要性についての認識がある程度定まっているものも多いのに、土地利用の改変や都市の再開発等に伴い損壊されるものも少なくないので、我が国の近代の歴史を理解する上で欠くことのできない重要な遺跡の適切な保護が急務になっていると。
 こういう提言をして、これを受けて文部省の告示も変わりまして、文化財の保護の基準ですね、これについても変更がなされて、そして近代の文化財、そういうものについても、例えば官公庁その他政治に関する遺跡も残すとか、学校なども残すとか、この施設は軍事教練という意味での学校施設の史跡でもありますし、また官公庁の跡でもあるわけですし、近代の日本の第二次世界大戦の戦跡という意味合いもあるんですけれども、こういうものをやっぱり残すということは非常に重要な歴史教育の教材として必要な措置だと思うんです。何年も同じことを言っておるのでちょっとあれなんですけれども、改めて文化財の保護の規定も変わったことですので、それを踏まえての見解をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(五十嵐広三君) これは翫委員からもかねがねお話がございましたことは、お説のとおりでございます。また、非常に多面的な立場からいろいろな御要望も同様の趣旨であったこともございます。
 市ヶ谷地区一号館につきましては、そういう皆さんの御意見というものも踏まえて、できるだけやっぱり保存を考えていこうというようなぎりぎりの検討もさせていただきました。そして、保存すべきという皆さんの御主張の核心とも言うべき大講堂、それから旧軍人大臣室、それから旧便殿の間、便殿の間というのは陸自幹部学校長室でありますが、これらを可能な限り現部材を利用しつつ同地区内に少し移設して、敷地内でちょっと移設をして復元を図るというようなことにしているところであります。
 こういう方針のもとに、移転計画を着実に進めるために、昨年の十月以来、移設、復元のための部材の取り外しを進めて、現在一号館の躯体の解体工事も進めているというふうに承知しているところであります。
 防衛庁本庁庁舎等移転計画につきましては、できるだけ早期に完了したいと考えておりまして、今後とも一号館の移設、復元を含めて本移転計画の着実な推進を図ってまいりたい、このように考えておる次第であります。
○翫正敏君 今、その解体工事が進んでいるということは知っているんですけれども、そういうことについて参議院の内閣委員会のところでは請願が採択をされる。ですから、本会議で採択されたわけですね。そういうことがありましたし、それから地元の新宿区議会でも、保存すべしという、「「市ヶ谷台一号館」の保存を求める意見書」というものが採択をされておるわけであります。
 「昭和十二年に陸軍士官学校の庁舎として建設された「市ヶ谷台一号館」はさきの大戦において大本営、参謀本部、陸軍省等がおかれ、戦後はその大講堂において、「極東国際軍事裁判」が行われています。わが国の歴史が刻み込まれた、この「市ヶ谷台一号館」は、重要な建造物として政府の責任において保存すべきであります。」というのが地元の新宿区の全会一致の決議なわけですね。
 そういうこと、それから先ほど言いましたように、請願が内閣委員会において採択をされたという事実、こういうことから考えましても、取り壊しが進んでいるからこのまま取り壊して、そして近くのところに小さなものを建てて、そこへ部材を移せばいいということではないというふうに思うんで、ぜひこの機会に再考をしてほしいというふうに思うんです。
 そのことと同時に、先ほど残すものの中にちょっと入っていなかったので確かめたいんですが、地下ごうですね、大本営の跡として使おうとして準備をした地下ごうはどういうふうになりますか。現在の政府の計画ではどういうふうになりますか。
○政府委員(江間清二君) お答えをいたします。
 現在ございます市ヶ谷の地下ごうの部分でございますけれども、これは現在私どもが進めております移転計画におきましてもその大部分が現状のままで、これを取り壊すというような計画にはなっておりません。
 もっとも、私どもは、その地下ごうは庁舎移転をしました後、地下部分として使用するという計画は持ち合わせておりませんけれども、地下ごう自身の大部分はそのまま残る姿になっています。
○翫正敏君 地下ごうの大部分は残るという前提なんですけれども、それでも先ほど言いましたように建物そのものは移築をされて、それで小さくなって部材の一部は使われるんだと思いますが、そういうことなんですが、今ほど言いましたように地元の区議会の決議や内閣委員会における請願の採択、それから文化庁の方の近代の文化財を保存するということの基準の見直し、まさに近代、五十年前に終わった戦争、第二次世界大戦というものを物的に見てわかるものの重要なものの一つだと思うんですね。原爆ドームもありますけれども、これは世界遺産に指定されて永久保存されるようですが、それに匹敵するぐらいの大きな歴史的価値のある、ここでどういうことが行われたのか、どういう会議が行われ、どういう戦後の裁判が行われたのかというようなことをそこへ行って学ぶということは、現在と将来の国民にとって極めて重要な教育的価値のあるまさに近代の文化遺産、文化庁の近代の文化遺産に対する残す基準を変えておるということにぴったり適合するような施設の第一号ではないかというふうにも思うんです。
 ですから、そんなことについてもう少し、今はもう取り壊しが進んでいると、防衛庁の方は当初の計画でここに新しい建物をつくらなければならない、それはもともと土地を売って、そして計画をして、この庁舎の建設計画が、どんどん玉突き的なものが進んでいる、そういうものを今さらとめることはできない云々というようなことになるのかもしれませんけれども、やっぱり立ちどまって歴史を振り返って考えるということからいっても、進んでいるところを何とかしてとめるということも私は政治の決断だと思うんですけれども、いかがなものでございましょうか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 昨年、そういうような非常に熱心な御意見というようなものも受けとめながら、今説明いたしましたように主要部分については保存を図ると、そして移転計画そのものも進めていくということで、これはもうまさにぎりぎりの検討の結果、最大限に、なるほど一部かもしれませんが、主要部分についてはしっかり保存していくということにしたものでございますので御理解を賜りたい、このように思う次第であります。
○翫正敏君 非常に残念でならないんですけれども、お考えが変わらないようですから、これ以上繰り返しても前進がありませんので、あと残りの時間、さっきの話にちょっと戻らせていただきます、済みません。もう政党の話はしませんが、そういうことじゃなくて。
 「中東和平問題に関するわが国の基本的立場」ということについてちょっと確かめておきたいんですが、「中東和平は、国連安保理決議二四二及び三三八を基礎に、イスラエルが六七年以降占領したすべての地域からの撤退、独立国家樹立の権利を含むパレスチナ人の民族自決権の承認、イスラエルの生存権の承認により達成されるべし。また和平は域内諸国の正当な安全保障上の要請を考慮しつつ実現されるべし。」、あと(2)と(3)がありますが、こういう基本的な我が国の立場は現在も変わらないと、こう考えてよろしいでしょうか。
 つまり、イスラエルという国が建国されたということ自体は認めるというのが我が国の立場であるけれども、イスラエルがゴラン高原やそれからヨルダン川西岸地区やガザ地区を占領しているのは不当である、違法であるという、そういうことですね。これが我が国の立場であるという、これは変わらないと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(柳井俊二君) 突然のお尋ねでございましたので必ずしも私は正確に記憶しておりませんけれども、我が国といたしましては、この安保理決議に従って中東和平というものが平和的に、また一日も早く達成されるべきであるという立場でございます。また、その間におきまして、我が国といたしましては、現地の住民の方々の生活向上というようなことにつきましても積極的に援助をしているということでございます。
○翫正敏君 ゴラン高原、ここでのPKO、これは一九七四年六月から現在までずっと続けられているわけなんですけれども、この活動は兵力引き離し活動と先ほど私が紹介しましたように、国連の活動の中では、PKOとPKFを区別するというのは日本だけなんだという話もありますが、ともかく我が国の法律上は凍結をされている活動を行っていることは明らかなんですけれども、そのことが調査によって明らかになれば我が国の自衛隊を派遣することはできないと、このように理解してよろしいですか。官房長官、それはよろしいですか。
○政府委員(柳井俊二君) ゴラン高原のPKOでございますが、いわゆるUNDOFでございますけれども、これはただいま御指摘のとおり一九七四年六月以降二十年以上にわたって行われているものでございます。その内容は、停戦監視及びイスラエル・シリア両軍の兵力引き離しの監視と履行状況の監視活動ということでございます。
 この活動の中には確かに歩兵部隊による監視活動というものもございまして、これは実態をつぶさに検討する必要がございますけれども、あるいはその歩兵部隊の活動そのものは、いわゆる凍結された活動に該当するものがあろうかと思います。
 ただ、これも先生御承知のとおり、このPKOの活動の中には、それ以外のいわゆる後方支援的なものもいろいろございます。先ほど官房長官からもお答えがございましたが、カナダの活動の一部を担当してはどうかというような非公式な打診が国連からあったわけでございますが、そのようなカナダの活動はいわゆる凍結された活動ではございませんで、後方支援活動でございます。
 ただ、今回、けさ出発されました与党及び政府の調査団の調査結果を待ってどうするかということを検討するわけでございますから、現時点におきましては、我が国がどのような活動に参加するということは決まっていないわけでございます。
○翫正敏君 官房長官にお聞きしたいんですが、これを機に政府の方から凍結を解除するようなPKO協力法の改正提案をするという考えはないと、こう理解してよろしいですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) 現在、そのようなことは考えておりません。
○翫正敏君 もう一点だけで終わりますが、ゴラン高原PKOに、今調査中ですから自衛隊が派遣されるかどうかわからないんですけれども、派遣されるといたしますと、凍結されている活動はしないわけですから後方支援の活動になるんだろうと思いますが、その場合で、今後この活動というものはどれくらい続くというふうに考えておられるか、それをお示し願いたいと思います。
 一九七四年六月から今日まで延々二十年以上続いているPKO活動なんですけれども、ここへ参加をするということですね。さらに、この地区は第二次世界大戦後数次にわたって戦火が火を噴いたところでありますから、こういうところに派遣するということなので、もし派遣するとした場合にどれくらいになるのかという見当、そういうものはやっぱりつけておかなきゃならないことなんじゃないかと思いますが、どんなふうにお考えですか。
○国務大臣(五十嵐広三君) これは今申し上げましたように、現在、政府並びに与党の調査団が行っているところでありまして、これはその結果を待って検討すべきものでございますので、いかなる予断もできないのではないかと思います。
○翫正敏君 終わります。
○下村泰君 都知事選にあらしを起こした二院クラブの下村でございます。
 本質に入る前に、厚生大臣、この間はどうもありがとうございました。まだ現地の方から小規模作業所のどうなったこうなったという報告は来ておりませんけれども、大変速やかに処置していただきまして本当にありがとうございました。お礼申し上げておきます。
 本日はひとつエイズについて伺いたいんですが、まず、熊本大学の遺伝子治療臨床研究審査委員会がエイズ感染者に対する遺伝子治療の臨床応用計画というものを承認したようなんですが、これは効果についてはまだよくわからないようなんです。その経緯と安全性についてどうなのか。このまま進めるのかどうか。厚生省の考えと対応をお聞かせください。
○政府委員(太田義武君) 熊本大学の遺伝子治療臨床研究につきましては、これは我が国で初めてのエイズを対象とした治療研究でございますけれども、まだ、学内で審査委員会というのがございまして、そこで承認された段階でございます。
 それで、今後は、厚生省の方に申請がなされてくると思いますが、その段階で中央評価会議という場がございます、これは正式には遺伝子治療臨床研究中央評価会議というのがございますが、ここで十分に慎重に御検討いただきまして、この方法についての評価がなされるということでございます。
 なお、遺伝子治療の臨床研究の実施に当たりましては、安全性、有効性とともに倫理性というものが大変大事であるということで、そういう点が確保される必要がございますので、昨年の二月に遺伝子治療臨床研究に関する指針というのを定めまして、それを告示してございます。この指針に沿って臨床研究が適切に計画されているかどうか、これを評価するのが先ほど申し上げましたそういう評価会議でございます。ここの評価会議で、繰り返しますが、慎重に御検討いただいて評価がなされるというふうに考えております。
○下村泰君 もう一回お尋ねしますけれども、松田教授という方が、「人体実験的要素の強い治療ではあるが、安全性などにも問題がないと判断し承認した」というふうにおっしゃっているんですが、これだけのやっぱり危険性か何かあるんですか。
○政府委員(太田義武君) 遺伝子を使いまして、エイズの場合はにせのエイズウイルスというのをつくりまして、それを体内に入れますと、それが体内でエイズウイルスが入ってきたという誤解をいたしまして、それに対する抗体ができるわけです。その抗体ができますと、その抗体がほかの本当のエイズウイルスを殺していくということになるということでございますが、いずれにいたしましても、遺伝子を使うということでございますから大変慎重にやる必要がございます。
 それで、我が国ではまだ一件しかこの遺伝子で認められた例はございません。それは北海道大学でADA欠損症というものがございますが、これがもしそのまま手続を進めるとすれば二件目に当たるということでございますが、大変慎重な取り運びが必要なものであるというふうに考えております。
○下村泰君 まあ大いに皆さん、これに期待をしたいと思いますけれども。
 先般、劇症肝炎の治療で、十年前に非加熱の血液製剤の投与によってエイズに感染していたということがわかったんですけれども、その経緯と対応をひとつ説明していただきたいと思います。
○政府委員(松村明仁君) 御指摘の件につきましては、本年二月に開催されましたHIV感染者発症予防・治療に関する研究班というのがございますが、この班会議におきまして、昭和五十九年の暮れに劇症肝炎の治療のために非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けHIVに感染した患者の症例について報告があったところでございます。
 このため、本研究班におきましては、他に同様の症例がないか調査を行うこととしておりまして、現在調査の方法等について検討を行っているところでございます。
○下村泰君 例えば、今までエイズにかかる方法としては、性的接触とか母予感染とか血友病の治療とかというようなことが言われていました。ところが、この肝炎の治療でということが第四の感染ルートというふうに心配されているんだそうですね、今。
 肝炎治療で、同じところで同じメーカーの同じ薬で治療を受けた例は一例ではないというふうに思われるんですけれども、ほかにもいる可能性があるというふうに判断せざるを得ません。現に昨年の十一月のほかの例では、エイズ治療薬の一つAZTを投与することで、それまで余命二、三カ月と言われた方がその生命を長らえたと言うことができるというふうに言われておるんですから、発見が早ければ十分こういう有効な手段があるということは考えられるわけでございます。
 ここにもう一つの記事があるんですけれども、これは昨年の七月十六日の読売なんですけれども、未熟児で生まれた新生児が出血症の治療で実はエイズになってしまったという記事があるんですね。この少女が、
  昭和六十年の誕生時、千二百グラムの未熟児で肝臓の働きが悪く、ビタミンKの合成が不十分だった。このため血液凝固因子の一部が不足して、出血が止まらなくなり、出産時の病院で輸入血漿を材料にした非加熱血液製剤一第九因子複合濃縮製剤一の投与や日赤の赤血球輸血などを受けていたことが分かった。
 免疫機能の値を示すCD4は、健康な人で千―千五百だが、少女は現在わずか三十前後。いつ発症してもおかしくない状態が続いている。と、この少女の診察に当たりました白幡という助教授さんがいるんですけれども、この方が、未熟児の新生児出血症でも重症なケースでは、血液製剤の注射が一般的な治療として行われてきた。それだけにほかにも感染している子供たちがいるはず。治療の心当たりのある医師は早急に、子供の感染有無の確認をしてほしい
と、こういうふうにこの助教授はおっしゃっているんですけれども、この少女は昨年夏、発熱や下痢を繰り返し、近くの病院で診察を受けたが、血液検査で白血球だけが異常に低かったため、エイズウイルスの抗体検査を実施したところ、感染が判明、だから、もしこの血液検査をしなかったらこのお子さんはエイズに感染したということは全然わからずじまいで一体何の病気だかわからないうちに命を落としたと、こういうことになるんですね。
 これからもう十年たっているわけです。そうしますと、その当時新生児でこういう症状だったお子さんが、例えばカルテがあればようございますが、カルテは五年でなくなるそうですね、ほとんど。その当時の、もしそういったお子さんの治療に当たったお医者さんが現在いればようございますけれども、いないとなるとどこでどうなったかわからなくなっているわけですね。こういうお子さんが現在もいるとなると、一体どうしたらいいのだろうかという心配が出てくるわけであります。
 殊に、先ほど申し上げましたように、発見が早ければ何らか助けられることかできるんだけれども、わけのわからないうちに、何だか病気がわからないんだと言っているうちにお亡くなりになるお子さんもいらっしゃるということは、これは確実にあるわけですね。そうなりますと、一体どういう手を打ったらいいのか。まして、血友病の患者の方については特別手当が出たりいろんなことがありますけれども、この少女の場合には救済対象からも外されているわけですけれども、一体これを厚生省はどういうふうにお考えになりましょうか。
○政府委員(松村明仁君) 血友病以外の目的に凝固因子製剤が使われたというケースについて、これは何分十年前のことでございまして、これを今確実に調べる方法というのはなかなか難しいんではないかと思いまして、厚生省としては、先ほども申し上げましたけれども、現在この研究班で、専門的な先生方がたくさんこれに参加していただいておりますから、そういった専門家のネットワークを通じて調査することを考えておるところでございます。
○下村泰君 今、厚生省のお答えの中身はわからないではないんですけれども、何とか細かく、とにかくそのネットワークというものをきちんとしていただいて、一人でも多くの方が発見されて治療ができるような方法というのをひとつとっくりとやっていただきたい、そういうふうに思います。私も、どういうふうにしたらいいんだろうかなと、こちらから何にも提案もできませんし、こうしたらこうなるんじゃないかという案もないんですよ。
 先ほども申し上げましたようにもう十年たっていますし、カルテはないんだし、治療に当たったお医者さんか記憶になければなくなっちゃうんだし、もう調べようがないといえば調べようがないんですけれども、もし先ほどの記事の中にもありましたように、原因不明で熱を出したり下痢をしたりというようなお子さんがいたらば、ひょっとしたらそのお子さんが生まれるときに、新生児のときにこうであったということがわかればあるいはそういう治療ができないとも限らないということになりますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
 次に、日赤の献血血液からエイズウイルスの感染を示す抗体が発見された人が、昨年一年間で三十六人に減ったということが報道されました。そのあたり厚生省はどう把握されていらっしゃるのか。また、このようなことが今後ふえていくことも考えられますし、輸血による感染もあり得ると思いますが、今後の対応についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(松村明仁君) 御指摘の問題につきましては、これも厚生省が実施をしておりますHIVの疫学と対策に関する研究班、この中にモニタリング部会というのを置いておるんですが、このモニタリング部会において過日新聞に報道されたとおりの調査報告があった、こういうふうに承知をしております。
○下村泰君 エイズの感染また発病の状況、今後の見通しについて日本国内についてどのようになっているのか、また世界のエイズ対策における日本の役割は何なのかということをひとつどういうふうにお考えなのか。
○政府委員(松村明仁君) 世界におけるエイズの状況と日本の役割、取り組みということで非常に大きな問題でございますのでちょっと答えにくいところもありますが、現在世界におきますエイズ患者は、WHOの報告によりますと百二万五千人、こういう数になっております。また、感染しておられる方々は、これもWHOの推計でございますが、千九百五十万人、こういう数になっております。
 今、世界でどのように取り組んでおるかということでございますが、WHOを中心といたしまして、予防対策、ケア及び研究活動等について国際協力が推進されているところでございます。昨年八月には我が国において国際エイズ会議というものも開催されました。また、十二月にはエイズサミットがパリで開催されたと。こういったことを通じまして、エイズ予防対策、患者、感染者の人権の保護、それから国際協力の一層の推進等を内容とする宣言も行われているところでございます。
 我が国におきましては、二〇〇〇年までの目標の一つとしましてアジア地域におけるエイズの流行阻止を掲げまして、平成六年度からエイズストップ七年作戦というのを展開しておるところでございます。また、WHOの世界エイズ対策プログラムへの拠出を初めといたしまして、アジア地域の研究者等の研修の受け入れあるいは国際的な研究交流、さらには、今年度より新たに開発途上国エイズ・人口対策人材養成事業等を創設するなど、国際協力にも積極的に取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
○下村泰君 これはもう本当に悲しいことなんですけれども、確実にふえていくことは事実なんですね。予防あるいは治療も言うには及びませんが、患者や感染者が生きていく上、暮らしやすい社会をつくる必要があると思います。血友病だけでなく、感染者、患者に対するバックアップも不十分だと思いますが、厚生省の現在の対応はどういうふうなのでしょうか、今後についても伺わせてください。
○政府委員(松村明仁君) エイズの患者さんあるいはHIVの感染者の方々に対する支援ということといたしましては、何よりもまず安心して医療を受けられる体制の整備をすることか必要であると考えております。
 そこで、厚生省といたしましては、平成五年度よりエイズ治療の拠点病院というのを整備いたしまして、この拠点病院を中心として地域の他の医療機関においてもエイズ患者を受け入れる体制の整備の促進に努めておるところでございます。現在、三十の県で七十の医療機関が拠点病院として選定されておりますが、今後とも関係者の理解と協力を得ながら一層の医療体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、医療体制の整備に加えまして、患者、感染者やその家族に対する相談、カウンセリングやきめ細かい支援を行うことが重要でありまして、エイズ予防財団を通じて相談事業あるいはボランティアの指導者育成事業等を実施しておるところでございます。
○下村泰君 血友病以外に肝炎治療や献血といった形で感染したりその可能性があったりするわけなんですが、現在争われている血友病治療における裁判は一刻も早く終わらせ、原告となっている患者、感染者を治療に専念させてあげることが国としての今できるバックアップであり義務だと私は思います。このままでは、原告全員が裁判の中で命を失ってしまいかねないと思います。
 そこで、この五年間の歴代大臣がなし得なかった決断を厚生大臣にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(井出正一君) 血友病治療のための血液製剤を通じてエイズウイルスに感染なさってしまった方々、本当にお気の毒でございます。ただ、国としては、その時々の知見に基づき最善の努力をしてきたこともこれまた事実でございますから、ここで法的責任が国にあるとは本当に言えないのが残念ではあります。
 この間のエイズ訴訟につきましては、原告、被告双方の主張が対立したまま弁論が終結したところでございまして、できるだけ早い裁判所の御判断を待ちたいと思っておるところであります。
 なお、これはもう先生御存じでしょうから申し上げませんが、これとは別個にといいますか、法的責任とは切り離して、エイズを発症された方々に対しましては医療手当、これは国があれしておりますし、また発症された場合には特別手当として関係のメーカーが負担している制度があることだけあとは申し添えておきます。
○下村泰君 それでは今度、安楽死についてちょっと伺いたいと思いますが、三月二十八日、横浜地裁で安楽死に関する判決がありました。そこで、厚生省としての問題認識を伺いたいんですが、尊厳死は別として、安楽死についての日本における状況はどうなっているとお考えか、許されるような社会的状況があるのか、また厚生省として認めるという方向があるのかないのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 安楽死について、先生今お触れになりましたようにいわゆる東海大学の安楽死事件についての判決が示されておることは承知しております。
 ただ、私ども平成五年の三月に末期医療に関する意識調査というのをやっておりますが、その中で安楽死の問題についても取り上げております。その際には男女五千人を対象といたしまして調査をいたしておりますが、その中で末期状態におきます安楽死、つまり積極的な方法によります生命の短縮というものを希望されている方は、自分自身の場合でも一割程度、また肉親の場合にはさらにそれよりも低い数字でございまして、そういう意味ではこの安楽死という問題については現段階で国民の間には定着をしていない、理解が得られていないんじゃないかというふうに考えております。
○下村泰君 私自身もまだまだそう簡単には思いませんし、みんな恐らく合意がないことでしょうし、明確に意思表示のできない殊に障害を持った人や子供のことを考えるととても賛成という明言はできないんですけれども。
 この間、オランダの安楽死についてのテレビ放映がありました。ところが、私の知り合いの中にあのいわゆるテレビ放映の中に出ていた方よりもまだまだ重度の方がいて、その方があれを見ていて、冗談じゃない、あれだったらおれはとっくに死んでいるよと。つまり一生懸命生きようと努力しているわけですよ。はっきりお名前を言うと、いつも出てきますけれども仙台の山田富也君という筋ジスの人なんですけれども、あの程度でもって死ぬんだったらとてもじゃないけれどもおれなんか命が幾つあっても足らぬと。で、一生懸命生きている。つまり生きることに努力している人が日本にはいっぱいいるわけですよ、重度の方で。
 そこで伺いますけれども、今回裁判所が示した四条件というのはどういう重み、意味があるのか、厚生省としてどうお考えなのか、それを一つ伺って、お時間がまだありますけれども、皆さんお疲れのようですからこれでおしまいにしたいと思います。
 どうぞ大臣。
○国務大臣(井出正一君) 過日の東海大学の安楽死事件の判決、私も承知をしておりますが、個別の刑事事件に関しての一つの司法判断がなされたものであり、行政庁としてはコメントすることは差し控えたいと思います。お許しをいただきとうございます。
○委員長(前畑幸子君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の委員会は明十一日午前十時に開会し、本日に引き続き全般的質疑を行うことといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十一分散会