第134回国会 法務委員会 第2号
平成七年十一月九日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                志村 哲良君
                野村 五男君
                平野 貞夫君
                橋本  敦君
    委 員
                遠藤  要君
                下稲葉耕吉君
                鈴木 省吾君
                中原  爽君
                林田悠紀夫君
                魚住裕一郎君
                大森 礼子君
                山崎 順子君
                菅野  壽君
                千葉 景子君
                本岡 昭次君
   国務大臣
       法 務 大 臣  宮澤  弘君
   政府委員
       法務大臣官房長  原田 明夫君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  永井 紀昭君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       法務省入国管理
       局長       塚田 千裕君
       公安調査庁次長  河内 悠紀君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  石垣 君雄君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   高橋 省吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉岡 恒男君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房男女共同参画
       室長       名取はにわ君
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    中島 勝利君
       警察庁警備局公
       安第一課長    高石 和夫君
       法務大臣官房審
       議官       山崎  潮君
       大蔵省主税局主
       税企画官     藤岡  博君
       大蔵省銀行局調
       査課長      内藤 純一君
       文化庁文化部総
       務課長      佐々木順司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (法曹養成制度改革に関する件)
 (入国管理行政に関する件)
 (オウム真理教関連事件の捜査状況と破壊活動
 防止法適用問題に関する件)
 (宗教法人法改正に関する件)
 (競売制度の現状と改善に関する件)
 (売春防止法に関する件)
 (会社の最低資本金制度に関する件)
 (不動産登記制度の運用に関する件)
 (従軍慰安婦問題の調査に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(及川順郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○野村五男君 自由民主党の野村でございます。数点質問をさせていただきます。
 まず、不動産登記の登録免許税についてお伺いしたいのでございますが、今考えますとあのバブルというのは一体何であったのかということで、大変これが今私たちの国民生活に非常に影響を及ぼしている。
 実は私は茨城県なんでございますが、つくば市という市に近いところに住んでおるんですけれども、実際の例でございますが、ある銀行がつくば市にやはり支店を出したいということで、ちょうどバブルの絶頂期でございますが、銀行でさえ一坪七百五十万円ぐらいの土地を買いまして、そしてそこへ出店をした。ところが、最近のいわゆる土地の価格といいますか路線価格によりますと、九十万円ぐらいになる。そういう関係もありまして、その周りに住む人たちにはその後いわゆる自分たちが出店した七百五十万に相当するようなものを担保にとって貸し付けだというような実情を踏まえますと、最近不動産登記の登録免許税のいわゆるそれにかかわるもちろん売買の例、それから相続の場合、この負担が、今日のように大変価格破壊と申しますか、土地が下がってまいりますとこの重みが非常に増してきてしまう。しかも、この登録免許税がいわゆる課税の標準額に大変重みを増しましたので、むしろ流動化を妨げてしまっているような原因にもなっているというような状態でございますので質問させていただくわけでございます。
 まず、不動産登記の登録免許税についての課税標準額に係る税制改正要望についてどのように考えているのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(山崎潮君) お答え申し上げます。
 不動産を取得する場合の、その中で支払う税金の中でも登記に関する登録免許税の負担はかなり大きなものがございます。特に、平成六年度から固定資産税評価額が約三倍に上げられましたので、その負担はますます大きくなっているというのが現状でございます。こういうような事態がありますと、登録免許税を逃れるために、例えば数度の権利移転がありましてもそれを一度で済ましてしまうという事態も生じてまいりますし、場合によっては権利変動を生じながら登記をしないという事態も生じてまいります。このような事態になりますと、やはり登記制度の信頼が失われるということもございますし、また国民の権利の移転を忠実に登記に反映するという点でも支障を来すというふうに考えられます。
 こういう点から私どもといたしましては、不動産登記の登録免許税全般に関して、不動産登記制度の適正な運用を維持するという観点から税の負担のあり方を再度検討すべきであるというふうに要望しておるところでございます。
○野村五男君 これは大蔵省との関係もございますでしょうけれども、やはりこういうことが非常に目立って重みを余りにも増してしまうということが今日の現状でございますので、できるだけ軽減に努力してもらいたいという感じを持って、まず要望しておきます。
 次に、法曹養成制度等の改革についてお聞きしたいわけでございます。過去にも他の委員からも質問があったと存じております。私はこの質問をするに際して、やはり国民の側と法に携わる人たちをもっと密接にしなくてはならないという観点から質問をさせていただくわけでございます。
 現在、法曹養成制度の改革について法曹養成制度等改革協議会で議論が行われていると聞いております。私はかねてから、弁護士の先生の数が不足しており、国民からいわゆる弁護士の方たちとの間のコミュニケーションといいますか、縁遠い存在になっていると聞いております。また、国際的に見ましても、我が国の弁護士さんは欧米に比べて極めて少ない数にとどまっていることがそういう原因であろうかと思っております。
 その結果、国民は日常生活で生じた法律問題を弁護士に相談したいと思いましても身近なところに弁護士がいないし、また企業にとっても国際取引や知的財産権、独占禁止法関係等、専門的な弁護士が不足していると言われているところでもありますし、今後国際化や規制緩和が進みますと、物事を法的基準に従って公正に解決する必要がますます高まると思っております。
 このような観点から、我が国の弁護士については大幅な増員が必要であると私は思うのでありますが、改革協議会での議論はその点についてどのようになっているのか、お伺いいたします。
○政府委員(永井紀昭君) ただいまお話しのございました法曹養成制度等改革協議会といいますのは、法曹の三者、すなわち裁判所、法務省、それから日本弁護士連合会、この三者の共催によりまして、法曹三者だけではなくて大学関係者や学識経験者を構成員といたしまして平成三年六月に発足したものでございます。以来、四年間にわたりまして司法試験制度と法曹養成制度の国民的見地に立った抜本的改革というテーマで協議を続けてまいったわけですが、いよいよ来週早々の十三日に協議の結果を取りまとめた意見書を出すという、こういう予定になっております。
 まだ最終的な意見の取りまとめをここで正確に申し上げるわけにはまいりません。と申しますのも、実は十一月二日に日本弁護士連合会では臨時総会が開催されまして、今まで具体的な案を提示しておられなかったんですが、少なくとも千名までは増員という方向で考えていこうというような決議も出されましたし、それを改めて月曜日に協議会の場に提示した上で意見を取りまとめたい、こういうような日程になっております。
 現在までの改革協議会におきます議論の概要でございますが、御指摘の弁護士人口の問題でございますが、確かに弁護士さんが必ずしも国民の身近な存在になっていないのではないか、あるいは弁護士さんの地域的偏在が著しいのではないかという御指摘もありまして、やはり国民の法的ニーズにこたえるためには、弁護士さんのみならず他の裁判官、検察官を含めまして、法曹全体の人口を増加させるべきであるという点では意見がほぼ一致しております。
 ただ、その具体的な方策につきましては若干意見が分かれておりまして、司法試験の合格者につきましても、現在七百数十名でございますが、中期的には年間千五百人程度、すなわち倍増、こういうことを目標として増加を図るべきであって、また現在、司法試験合格後丸二年間行っております修習期間につきましても、現代社会のテンポの速さにかんがみますと、統一的な実務修習を維持しながら効果的かつ現実的な修習を可能とするために修習期間を大幅に短縮すべきである、また継続教育を重視すべきであるという、こういう意見が多数を占めているという、こういう状況になっております。
 いずれにいたしましても、来週の月曜日に意見書の取りまとめがされますので、改めまして特に法務委員会の先生方にはその結果等について御報告を申し上げたい、かように思っております。
○野村五男君 アメリカ社会とかヨーロッパの社会と日本は異にするわけでありますが、司法試験制度と法曹養成制度の国民的見地に立った抜本的改革案の内容として、ただいま申されましたように、司法試験合格者の大幅な増員とかいわゆる修習期間の大幅な短縮が多数の意見となっているところであると思います。
 私としましては、合格者の大幅な増員は我が国の法曹人口を増加させるという国民のニーズにこたえるためぜひとも必要な改革ともちろん考えるわけでありますが、修習期間につきましても、確かに今の時代に司法試験に合格された方についていわゆる見習いとして責任も根拠もない立場で二年間も勉強をさせるということについては長過ぎるのではないかとも思うわけであります。やはり司法試験合格後、早目に法曹としての資格を得て責任ある立場で現場で訓練を受けることによって真に実力のある法曹が養成をされることになるのではないかと思うのであります。今後はこの改革協議会での多数意見を踏まえて、法務省として責任を持ってその改革を進めてほしいと思うのであります。
 ところで、現在、司法試験の実際に現状はどうなっているのか、また合格枠制の実施が問題となっておるようでございますが、どのような状況になっているのか、御説明をお願いします。
○政府委員(永井紀昭君) ただいま御指摘のございました合格枠制というのが最近問題になっておりまして、これはいわゆる丙案と称されるものでございまして、これは実は司法試験第二次試験の論文式試験の合格者を決めるに当たりましては、合格者のおおむね七分の五、すなわち七割強に相当する部分を受験期間にかかわりなく従来どおり成績順に定めていく、残りの七分の二、約三〇%弱ぐらいの部分につきましては新規受験から三年以内の老から定めるという制度でございます。
 このような制度が取り入れられましたのは、実は平成二年の十月に法曹三者で合意ができまして、司法試験の現状が余りにも異常である、できるだけより多くの者をより早く合格させてあげるべきだという観点から法曹三者が合意をいたしまして、それに基づきまして、法制審議会を経まして当委員会等の法務委員会でも御審議いただきました司法試験法を改正いたしまして、そういう制度を取り入れることができるようにと、こういうことになったものでございます。
 その実施につきましては、先ほども申しました平成二年の法曹三者の基本的合意によりまして、平成三年から平成七年までの司法試験の結果を検証してみようじゃないかと。一定の基準に達成すれば、すなわち改善効果がこの平成七年までに出れば丙案というものは実施しない、しかしそれが達成しなければ平成八年から、すなわち来年度の司法試験からそういうことをやってみようじゃないかという、そういういわば緊急的な方策としてそういうことが定められたわけでございます。
 それで、この一定の基準と申しますのはどういうことが決められたかといいますと、合格者のうち初回受験から三年以内の者が三〇%ぐらいいるかあるいは初回受験から五年以内の者が六〇%ぐらいいるという、そういうできるだけより多くの者がより早く受かるような状況になればこれは丙案をやらなくても済むだろう、しかしそれに達しない場合はとにかく丙案というものを来年からやってみようという、こういう仕組みになっているわけでございます。
 ところが、本年の司法試験の結果を見てみますと、出願者数二万四千四百二十二名、合格者は七百三十八名、合格率は三・〇一%でございます。合格者の平均年齢は二十七・七四歳でございました。先ほど申し上げました検証の基準との関係で申し上げますと、三年以内の合格者は二三・八%、だから本来三〇%に行ってほしいと願っていたんですが二三・八%という、それから五年以内の合格者は六〇%行ってほしいと思っていたんですが、これが五二・四%、いずれも検証基準に及ばない結果になってしまいました。これはこの五年間に一度もこういう基準に達しないばかりか、これから将来もなかなかそれは難しいんではないかというような見込みも言われております。
 こういう観点から、合格枠制というものが実施されるかどうかということが今問題になるわけですが、これ自体は制度の仕組みとして既に司法試験管理委員会が決定するという仕組みにされておりますので、私ども法務当局としては何とも申し上げられないわけでございますが、司法試験管理委員会においては、平成七年、ことしの司法試験の結果を踏まえまして適切に対応されるんではないか、かように思っているところでございます。
○野村五男君 これからはいろんな意味におきましても自己責任の時代に入っていきますので、ひとつ国民の立場に立った抜本的改革を早急に実現するため、今後とも努力を願いたいと思っております。
 次に、入国管理局にお伺いしたいわけであります。
 社会面を新聞で見るたびに、いろんな問題が出てくるたびに考えなくてはならない問題に、いわゆる在留資格として興行ですか、興行として国民に娯楽を提供するという芸能人、スポーツ選手などを外国から幅広く受け入れるために設けられたものではあると思いますが、実際にこうして入国した外国人は毎年九万人にも達すると聞いております。この方たちが実際にはそうして入ってきながら酒の席での接客みたいな仕事に入ったり、そういう人たちの我が国においていろんな問題を発生させている社会問題がありますのでお伺いしたいわけなんです。
 入国管理局において外国人芸能人の出演先に赴いてその活動の実態などの調査をしているとのことでありますが、このような調査の目的は何なのか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(塚田千裕君) 御指摘のとおり、最近に至りまして在留資格、興行というもので入国してまいります外国人芸能人の中には、ホステス、ウエーター、ウエートレスなどを行って客の応対に従事する者が多くを占めております。また招聘機関におきましては、出演先の無断変更等を隠しての申請、あるいは名義貸しなどの虚偽の申請を行う者も後を絶っておりません。さらに、出演先においては客の応対、甚だしきは売春の強要が行われているとの情報も頻繁に寄せられてきておりますので、こうした状況を受けて、内外から人権にかかわる重大な問題であるとの指摘もなされるに至っております。
 外国人の適正な在留管理を図らなければならない立場にある私どもといたしましては、こうした状況は看過できるものではございませんので、全国的規模でその実態を把握いたしまして、適正な興行活動を確保するため、実態調査を実施することとしたものでございます。
○野村五男君 それでは、これまでの調査結果のもう少し詳しい概要をお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(塚田千裕君) 本年の五月十五日以降、全国の地方入国管理局でただいま申しました興行の在留資格で入国した外国人が適正な活動を行っているか否か、あるいは出演先の舞台が興行にかかわる私どもの基準省令、省令の基準を満たしているかなどの実態について調査を行っております。九月末現在での調査件数は四百二十二件でございますが、そのうち三百七十件につきましては既に調査結果が出ております。
 調査結果が出ているものについて見ますと、適正な活動が行われていないもの及び基準省令を満たしていないものが約九三%に達しております。主な例といたしましては、ホステス等としての活動をしていたもの及び舞台設備がないもの、控室の用をなさないものであるなど省令に満たないものがございました。残りの五十二件につきましては、引き続き最終的な調査結果を出すべく調査を進めているところでございます。
○野村五男君 大半の出演先において、いわゆる外国人芸能人が興行の在留資格で認められた活動以外の活動に従事していたり、出演先が法務省令に違反していたことを認めた場合、そのような問題の事実が確認された場合、外国人招聘業者及び出演先に対してどのような措置をとっているのか、お伺いします。
○政府委員(塚田千裕君) 現に問題があったことが認められました出演先に出演している外国人に対しましては、出国を勧奨することとしております。これに応じないで在留期間更新許可申請を行ったりした場合は、当該の申請を不許可とすることとしております。
 また、外国人から、当該の招聘業者に招聘され、また当該の出演先において在留資格、興行にかかわる活動に従事することを目的として在留資格認定証明書の交付申請があった場合には、外国人芸能人としての適正な活動が期待できないことから、一定期間これをもう交付しないということといたしまして、その方針を招聘機関に対し伝えておるところでございます。
○野村五男君 そのような入国管理局が行っている実態調査に対して関係業界の反応はどうなっているのか、お伺いします。
○政府委員(塚田千裕君) 実態調査を行いました結果、在留資格認定証明書の交付申請があっても、一定の期間これをもう交付しない旨を伝えた招聘機関や出演先に対してのみならず、業界の関係者から措置の緩和等を求める動きがございますけれども、私どもとして全体的に見ておりますと改善の動きは鈍いものと、そういう感じで受け取っております。
○野村五男君 興行の在留資格で入国した外国人芸能人のうち、約九〇%を超える者がホステス行為や許可された活動以外の活動を行っていると聞いておりますが、これは外国人の人権にかかわる重大問題でもありますし、入国者の大多数を占めるフィリピンと我が国との国際関係の上からも大変問題があるのではないかと思っております。このようなことがもちろん許されていいとは思えないし、この際、バーやクラブなど、いわゆる専ら客を接待して酒を提供するような場所への外国人芸能人の受け入れは一切認めないようにすべきではないかとも考えるのですが、その点についてお伺いします。
○政府委員(塚田千裕君) 実態調査の結果を踏まえまして、外国人芸能人の適正な受け入れを図るという観点から、ただいま御指摘をいただきました点も考慮に入れて、この在留資格、興行にかかわる私どもの基準省令の見直しを行っていきたいと考えております。
○野村五男君 ありがとうございます。
 それでは、公安庁の方にお伺いします。
 大変オウムの問題が社会問題化して、外国の日本に対する考え方、いわゆる安全神話を崩してしまうようなそういう問題を起こしてしまっている、社会問題が発生している時期でありますので質問をさせていただきますけれども、宗教団体に破防法を適用することは信教の自由との関係で問題があるのではないかと言われておりますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(河内悠紀君) 破防法の解散指定によって規制される行為は、当該団体の存続とか再建とかあるいは発展のためになされる行為、いわゆる破防法八条に言う当該団体のためにする行為でございます。しかし、教義を信仰することはもとより、個人的に自宅などで礼拝を行うことなど、内的信仰の保障は絶対不可侵であり、規制の対象とはなりませんので、破防法の適用によって信教の自由を侵害することにはならないと考えております。
○野村五男君 宗教法人法による解散と破防法による解散の効果の違いについてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(河内悠紀君) 宗教法人法による解散命令が確定した場合、宗教法人オウム真理教は法人格を喪失し、その法人財産を清算することになりますが、任意の団体として存続することまでは禁止できず、活動を継続できるものと承知しております。
 これに対しまして、破防法による解散指定処分をした場合のその最大の効果は、当該団体の構成員等による当該団体のためにする行為を禁止できる点にございます。解散指定処分の効力が生じますと、破防法八条の規定により、当該団体の役職員または構成員であった者は、団体のためにするいかなる行為も禁止されます。また、同法第九条の規定により、この禁止行為を免れるためのいわゆる脱法行為も禁止されます。
○野村五男君 オウム真理教のような集団に対して宗教法人法による解散では十分ではないと考えますが、これに破防法を適用することによって同教団を壊滅することができると思うのでありますが、この点についてお伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) 一般論としてお答えさせていただきますと、団体の解散指定の効力につきましては、当該団体の役職員または構成員であった者は、当該団体のためにするいかなる行為も禁止されます。また、団体の役職員、構成員であった者は、禁止行為を免れるためのいわゆる脱法行為も禁止されます。したがいまして、このような破防法の規定を厳格に運用することによって所要の目的を達成することはできると思います。
○野村五男君 破防法を適用しなくても、宗教法人法による解散命令と信者に対する刑事罰の適用により犯罪の再発を防止できるのではないかとも思うのでありますが、この点についてお伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) 先ほど申し上げましたように、宗教法人法による解散命令の効果は法人格の喪失と法人財産の清算であって、任意の団体としての活動については何ら制約ができません。また一方、犯人を検挙することによって犯罪を予防する相当の効果はございますが、犯罪性の強い団体におきましては他にも多数の構成員が存在しているので、過去の犯罪行為について個人責任を問う刑法などによっては直ちに団体を壊滅状態に追い込んだり事件の再発を完全に防止することは困難であると思われます。これに対しまして破防法による団体規制は、団体としての活動を制限することによって将来の暴力主義的破壊活動を抑制する効果がございます。
○野村五男君 オウム真理教のような集団に対しては、宗教法人法による解散命令のほか、破防法を適用すべきであると思うのでありますが、この点についてお答え願います。
○政府委員(河内悠紀君) 宗教法人法による解散命令と破防法による解散指定ではその効果が異なることにつきましては、既に御説明したとおりでございます。宗教法人法による解散命令の効果は、主として法人格を喪失させることとその財産の整理にあるのに対しまして、破防法による解散の指定では、団体のためにする活動を禁止することが最大の効果であります。したがいまして、再びあのような破壊活動を許さないために、宗教法人法による解散のほかに、破防法の適用についても法と証拠に基づいて慎重に検討すべきものと考えております。
○野村五男君 規制手続の開始決定の有無がいわゆる総理大臣の意によって左右されていいのか、その辺の見解をお伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) 村山首相は、弁明手続開始までは行政の長として責任があるが、弁明手続開始後は準司法的に扱うべきである旨述べられております。
 これは、行政府としては、破防法が国民の基本的人権に重大な関係を有するものであることから、この手続は法と証拠に従って厳正かつ慎重に運用さるべきであると同時に、それが一つの行政上の手続である以上、その手続の開始については行政の長である総理大臣にもそれなりの責任があるとの考え方を示されたものと考えております。
○野村五男君 総理は、弁明手続の開始までは行政の長として報告を受け意見も言うと述べておりますが、団体規制処分の請求手続は公安調査庁長官の専権事項ではないかと思うのでありますが、その点についてお伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) 破防法による団体規制処分の請求手続の権限は、法律上公安調査庁長官に帰属しております。
 ただし、この団体規制処分の請求の手続は法務省の外局であります公安調査庁が行う行政上の行為でありますから、この手続の開始に当たりましては主任の大臣である法務大臣の了解を得る必要があるものと考えております。また、内閣全体にも影響を及ぼす事案でありますので、行政の長である総理大臣の御理解も得ることになると考えております。
○野村五男君 オウム真理教に破防法を適用した場合、信者の活動はどのように規制されるのか、法務当局にお伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) ただいまの御質問は、オウム真理教に対して破防法を適用した場合という仮定の御質問であり、若干お答えしにくいところでありますが、一般論として申し上げますと、破防法が適用され解散指定処分の効力が生じますと、破防法第八条の規定によりまして、当該団体の役職員または構成員であった者は団体のためにするいかなる行為も禁止されます。また、九条の規定により、この禁止行為を免れるためのいわゆる脱法行為も禁止されます。具体的にどのような活動が団体のためにする行為として破防法の八条及び九条の規定により禁止されるかにつきましては、事実関係によって判断さるべきであると思います。
 代表的な例を申し上げますと、暴力主義的破壊活動が行われた日以後、当該団体の役職員または構成員であった者が当該宗教団体のために資金を調達したり団体の拠点を確保したり、当該団体の主義、教義への支持者を勧誘するなどは代表的な例だと思います。個人的な信教の自由を規制することができないのは当然であると考えております。
○野村五男君 オウム真理教に破防法による団体解散命令が出された後、元信者が生活のために新しい法人をつくる行為が許されるのか、これもお伺いしたいと思います。
○政府委員(河内悠紀君) 破防法による解散指定処分の効力が生じますと、八条の規定によりまして、当該団体の役職員または構成員であった者は団体のためにするいかなる行為も禁止されますし、また九条の規定によりその脱法行為も禁止されます。
 お尋ねの行為につきましては、具体的な事実関係を見きわめた上で判断することになろうと思いますが、一般論として申し上げますと、当該行為が団体のためにする行為あるいは脱法行為と認められるのであれば禁止できると考えておりますが、それが専ら個人のための行為であるなら規制の対象とはなり得ないことになると思います。
○野村五男君 破防法が適用されオウム真理教が解散させられた場合、信者の一部は地下に潜行してしまい解散の効果は期待できないとの声も聞こえるのでありますが、これについてはどうお考えになりますか。
○政府委員(河内悠紀君) まず、破防法の解散指定によりまして大切なことは、公然活動が全くできなくなるわけでございます。そうなりますと、その活動資金を集めることとかその主張を強く広く一般に喧伝することとか、全国的に組織の意思統一を図ることが非常に困難になります。
 ところで、一部の信者が地下に潜行して活動を行うためには、その活動をするための人員と活動資金が絶対必要不可欠でございます。これらの確保のためには、一般信者による公然面での支援活動に頼らざるを得ません。
 ところが、一方、解散の指定によって教団のためにする活動が禁止されれば現実には非公然活動への支援は極めて困難となってしまいますので、結局このような動きは封じ込むことができると考えております。
○野村五男君 それでは、解散指定の処分に対して団体側から処分取り消しの訴訟が提起された場合、解散指定の効果はどうなっていくのか、お伺いします。
○政府委員(河内悠紀君) 破防法による解散指定の効果につきましては、当該団体のためにする行為の禁止と当該団体の財産整理の二つに分けられますが、このうち団体のためにする行為の禁止につきましては、解散指定の処分の決定が官報公示されたときから効力を発生することになります。この決定に対しましては、行政事件訴訟法による取り消し訴訟が提起されましても原則として処分の効力には影響は及ぼしませんので、団体のためにする行為の禁止の効力は維持されます。
 財産整理につきましては、解散指定の処分は訴訟手続により取り消しを求めることはできないことが確定したときに開始されることになります。
○野村五男君 オウム真理教に対する破防法の適用について、総理は法と証拠に基づいて慎重にという態度でありますが、現在、適用に向けてどれぐらいの段階まで来ているのか、大変難しい質問ですけれども、法務当局にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤弘君) 破防法の適用の問題につきましては、先ほど来いろいろ御議論がございましたように、事柄の性質上、厳正かつ慎重に判断することが必要でございます。このような認識のもとに、現在公安調査庁では調査を進めております。公安調査庁におきましては、なお検討すべき幾つかの問題を残しておりますけれども、調査は詰めの段階にあるというふうに承知をいたしております。
○野村五男君 ただいまいろいろ質問をさせていただきました。ただいまこの時間にも衆議院の方の特別委員会で大変審議をされていると聞いております。
 私の持ち時間はまだあるわけでございますが、以上をもちまして質問を終わらせていただきます。
○委員長(及川順郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十時四十分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時開会
○委員長(及川順郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大森礼子君 平成会の大森礼子です。新人でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 私は大学時代から約二十年間東京で生活したことがあります。夜ふらふら町の中を歩いておりまして、あることに気づきました。それは何かというと、女性が夜一人歩きできる、これは何とすごいことかというふうに思ったわけです。
 私は、日本が世界に誇れるもの、それはまず第一にこの社会の治安のよさであると思っておりました。そして、誇れるものであれば守るべきだと思います。その安全な社会を維持するために、司法試験に受かった後、微力ではありますけれども、何かお役に立てたらという思いから検事の仕事についたこともございます。そして、議員になった今ももちろん、社会の治安をいかに守るか、そして安全な社会を国民の皆さんにいかに保障できるかということが私の重大な関心事でもあります。
 そこで、オウム事件の話になるわけなんですけれども、一連のオウム真理教事件の捜査、これをテレビや新聞で見ます。そして、このような凶悪事件の再発を防止するためにとういう対策が政府側から打ち出されるのかと、私も興味を持って見守っておりました。当然それは法務省から対策が出てくると思ったわけなんですけれども、出てきちゃったのは文部省だったわけです。宗教法人法を改正するということです。世の中、オウムオウムで大騒ぎをしているときに、オウムの再発防止のために宗教法人法を改正するという、そういう動きの中でこういう問題が出てきたわけなんです。私は、犯罪防止であればそれは法務省の仕事であろうと、まず思います。
 質問に移るわけなんですけれども、まず法務省にお尋ねしますけれども、オウム信者による犯罪について現在刑事裁判が行われております。そのうちで既に判決が出たもので執行猶予がついていたもの、これは何件、これは何人という言い方の方がいいかもわかりませんが、あるでしょうか。
 それから、その中にはもしかすると別事件でまだ勾留されている人もいるかもしれません。そういう勾留をされている人を除くとそれは何人になるでしょうか。つまり社会へ出ていった人数というのを知りたいわけです。
○政府委員(則定衛君) 一連のオウム関連事件で全国で今日まで約二百八十名の起訴人員になっておるわけでございますけれども、そのうち判決がありましたのが四十五名、その判決で執行猶予がついた者は三十九名、こういうことでございます。御案内のとおり、比較的法定刑の軽くて、被告人が認諾するといいましょうか、みずからの罪を認めておる案件について早期に判決が出ておるものですからそういう結果になっていると、こういうことでございます。
○大森礼子君 その三十九名の者が執行猶予つきで釈放されていったということでよろしいんでしょうか。
○政府委員(則定衛君) 起訴された者についてはそういうことでございます。
○大森礼子君 現行宗教法人法の規定によりましてオウムという宗教法人が解散されたとしても、彼らは、破防法のことを除きますと、任意団体として活動していくことはできるわけです。そして、執行猶予の判決を受けた人たちが再びその集団に復帰する蓋然性も高いと思います。それから、実刑判決を受けた人もいるわけですけれども、こういう人もいずれは刑期を終えて社会に出ていく、一年ぐらいであれば比較的すぐ経過するのではないかという気もいたします。
 もちろん私は彼らの更生を心から期待しております。しかし、もしマインドコントロールから覚めていない場合であればということも想定しまして、やはり再犯の危険というものを頭に入れておかなければならないと思います。彼らにとりまして、宗教法人法を改正しても直接には影響がないわけであります。そして、オウムのような凶悪な集団犯罪、こういう犯罪の再発防止、それから信者の再犯防止をどうするか、これも切迫した課題だと思います。文部省ではなく、まず法務省が積極的に乗り出していただきたいと思うわけです。
 そこで、文部省はオウム事件をきっかけとして宗教法人法改正を進めたわけなんですけれども、法務省の場合にはこのオウム事件をきっかけとしまして、このような犯罪に対処するために現在どのような対策が講じられているんでしょうか。それから、例えば法務省内で再発防止プロジェクトみたいな、名称は何でもいいんですけれども、そういうものはつくられているんでしょうか。イエスとすれば支障のない範囲でお答えいただきたいと思います。
○政府委員(則定衛君) オウムのような凶悪な犯罪を次々と起こす団体につきまして、いろんなアプローチがあるんだろうと思います。その再発防止という観点から私ども検察を抱えております部局からは、一つは、やはり適正なまた効果的な罰則運用、つまり検察権の行使という面があります。それからもう一つは、今後この種の事案を早期に解明するための法律上の問題点がないかどうか、こういうアプローチがあるかと思います。また、他の法務機関においては、例えば破防法の問題等々があるかと思います。
 私の所管いたします検察及び刑事立法という面から御説明いたしますと、何よりも、現に犯罪が起こった場合、つまり今回の一連のオウムの関係に即して申しますと、警察等第一次捜査機関と緊密な連携をとって、犯人の検挙及びその厳正な処分を行うことによりまして、その勢力の再犯能力と申しましょうか、犯罪性向の強いそういう団体の勢力をできるだけ減殺するということになるかと思います。
 現にそのために、今回の事案におきましては、最高検察庁を頂点といたしまして、関係する地方検察庁がそれぞれ関係する情報を相互に提供し合いながら、いわば全国組織でございます検察の利点を最大限に活用いたしまして、効率的な検察権の行使に努めてきたということでございます。
 この経験を共通のものにするということで、先般、十月下旬でございましたけれども、全国の検察庁の次席検事を招集いたしまして、そこでこの種事件の検挙処理の問題についていわば経験を分から合い、今後の一層の充実した検察活動に資するという会議を持たせていただいたわけでございます。
 また、刑事関係の立法面につきましては、実体法の分野、これにつきましては、今回一連のオウム事件の捜査処理の経験にかんがみまして、必ずしもすき間があいている部分というのはまずないというふうに考えておるわけでございます。ただ、例えばサリンの問題、サリン自体を製造、所持するという分野につきましては、今回、国会で新たな法律が手当てされる前におきましても、殺人予備ということで制度の問題については対応することができたわけでございます。
 ただ、いわゆる運び役的なものがあらわれたと。サリンの単なる運び役ということになりますと、凶器準備集合ということも考えられますけれども、より適正な法律が必要だということもありまして、いわゆるサリン取り締まりの特別立法がなされたということでございます。その面におきましては、私ども刑事罰則の運用という面から警察庁とも緊密な協議をさせていただきまして、それを現に適用する場面で適正な量刑と構成要件が盛られているかどうか、十分意見を言わせていただいたということでございます。
 ただ、加えて申しますと、犯罪性向の強い団体が隠密裏に犯行を行うという場合に、初期の段階で端緒を得るのが大変難しいということ、それから初期段階での証拠の収集というものは大変難しいというネックがあることは事実だろうと思います。これにつきまして、今後、諸外国の立法例等も参考にしながら、新しい捜査手法等についても真剣に検討していく必要があるという問題意識を強めておるわけでございます。そういう観点から、今後必要な調査と検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
○大森礼子君 ちょっと確認です。今、検察庁としてこのように臨んでいるということでよろしいわけですね。――はい、確認しました。
 それから、これからこういう犯罪が起きた場合に備えてどうするかということを考える場合、ちょっとオウムの犯罪が異常な点もありましたので、対策とかを考える場合にまずこれまでの経過を振り返って、果たして対応が十分であったか、あるいは適正であったかどうか、こういう検証作業というのが必要であろうと思うんです。それで、国民の間ではオウムが怪しいんだ怪しいんだと、それから松本サリン事件についてもオウムが怪しいんだと言われる中で、上九一色村の土壌からサリンの副成生物が検出された以後には特に怪しいという声が大きくなるわけなんですけれども、そんな中で地下鉄サリン事件が起こったということに非常に国民の皆さんはショックを受けていると思います。それで、警察のトップがもっと危機感を持っていたら少なくとも地下鉄サリン事件は防げたのではないかと、こういう見方をする方もいらっしゃいます。ただ、これは果たして警察だけの問題だろうかという気もいたします。つまり検察庁はどのように対応していたのかということなんです。
 そこで、通常警察で事件捜査とかする場合には、それが特殊なもの、重大事犯であるような場合には、対応する検察庁に事件相談というのをすると思うんですね。着手前でも、どういうふうな方向性を持って捜査したらいいかとか捜査手法とかいろんな相談をする場合があると思うんです。
 そこで質問なんですけれども、坂本弁護士事件、それから熊本県波野村での事件、それから宮崎県の旅館経営者略取誘拐事件、それから松本サリン事件等につきまして、所轄の警察から各地検の検察庁は適宜事件相談を受けておったのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府委員(則定衛君) 今御指摘のように、一連のオウムの凶悪な犯罪等につきましては、第一次捜査機関の警察が原則的に取り締まり、検挙に当たるということでございまして、検察の役割からいいますと、この種の問題について最初から前面に出るというものではないと思います。したがいまして、御指摘のように、それぞれの対応警察本部等あるいは警察署といいましょうか、こういったところから事件の発生がありましたときに必要な情報の連絡があり、かつまた検挙に向けた打ち合わせが行われるというのが実態でございます。
 御指摘の幾つかの案件について果たして検察がどのような相談を受け、どのように対応したのかということになるわけでございますが、個々の具体的な対応ぶりということを明らかにいたしかねるわけでございますが、全般的に申しまして、その事件が地元において大きな案件であるという場合には、いずれも比較的早い段階におきまして警察当局から検察当局に連絡があり、問題点の説明等々も受けていたわけでございます。
 今日、振り返ってみますと、このオウム教団というのがいわば犯罪集団的な色彩を帯びたグループであるわけでございますけれども、当時におきましては、今日の捜査結果によって判明したような実像というものは必ずしも率直に申しまして捜査当局において把握していなかったのが現状でございます。そういう意味で、これだけの大きな広がりを持って、かつ反復継続して行っているという認識がオウムに関しまして必ずしも十分でなかったという点は、今後この種の事犯が起きたときにはいわば反省材料としてその対応ぶりに反映していかなければならないという気持ちを検察当局も持っていると理解しております。
○大森礼子君 率直にお話ししていただいてありがとうございました。確かに認識が及ばなかったようなこともあるだろうと思います。
 今のお話の中で次の私の質問の答えが入っているような形になるんですけれども、犯罪の特殊性のゆえに十分対応できなかったという部分が多々あるだろうと思います。振り返ってみたときに、検察庁としてはできる立場で、あのときああいうふうにすべきではなかったかとか、こういうこともあるだろうと思います。今、お話を伺った中でもう答えが出たようなものもあるんですけれども、そういう点についての事件を振り返っての、果たして検察庁はこれでよかったかという検証作業というのは現在なされていると伺ってよろしいわけですね。
○政府委員(則定衛君) そういうことでございまして、先ほど申しました全国の次席検事会同もまさにその問題で一日を費やしたということでございます。今後とも、今回の一連のオウム関係事件の捜査処理の経験を生かしまして、より一層適切な警察権の運用がなされるよう努めるものと考えております。
○大森礼子君 ありがとうございました。
 次に、法務大臣にお伺いしたいんです。
 済みません、ちょっと通告してなかったので御感想だけで結構なんですけれども、十月三十一日付の読売新聞の夕刊の第一面に「米議会「オウム」公聴会へ」という見出しで、米議会が独自に日本へ調査チームを派遣しまして、それで公聴会でその調査結果を報告するんだという記事が出ておりました。そして、三十一日午前ですか、オウム公聴会が海の向こうのアメリカで開かれております。その際には、その後の記事によりますと、約百ページに及ぶ詳細な報告書が提出されていると思います。
 この米側の調査、その公聴会の内容等について法務大臣は何か情報を得ておられるのか。得られたとすれば、そういう会が設けられたということを知ってどういうふうに思われたか。
 次の質問まで一緒に言ってしまいますけれども、海の向こうでこういう迅速な対応がなされていると思いますと、では日本ではどうなっているんだということになります。この点について法務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤弘君) 政府委員から御答弁をいたさせます。
○政府委員(則定衛君) 今御指摘のように、アメリカにおきまして公聴会が行われたということはもちろん承知しておるわけでございますし、私どもも外交ルートからそれに関係する資料というものを取り寄せておるところでございます。
 我が国においてオウム等の問題団体についての対策をどうされているのかということでございますけれども、これは先ほど来応答させていただいておりますように、当面、何よりもまず犯人の徹底した検挙及びその適正なあるいは厳正な警察処理と、それから刑事司法におきます。あるべき刑罰の実現ということによりましてその再発防止に資するということだろうと思います。
 加えて、先ほど申しましたような今後の立法面という点についても鋭意検討するということになるわけでございまして、大きなプロジェクト的な、公聴会的なものが行われていないからといって、日本政府において再発防止を含めた、オウムのような犯罪性向の強い団体への種々の対策がとられていないというわけではないことは御理解いただけると思います。
○大森礼子君 犯人の徹底した検挙ということですけれども、もちろん犯罪を犯した者の検挙を急ぐ、これはもう当然であろうと思います。
 ただ、百頭に言いましたように、例えば執行猶予つきで社会へ出ていく人がおります。疑っていたら切りがないわけですけれども、しかしやはり先ほど言いましたように、マインドコントロールの中身がどういうものかわかりませんけれども、そういうものが解けていなかった場合あるいはまた集団に復帰した場合とか、やはり再犯の危険というものもあると思いますし、またほかの信者による犯罪ということもやはり予測していかなくてはいけないのではないかというふうに思いますので、その点もひとつよろしくお願いいたします。
 オウム事件の捜査、公判と検察庁はこれから大変な仕事が待っているわけであります。公判の方も長期に及ぶと予想されます。オウム事件の背景につきましてはまだ多くが明らかにされておりません。国民の皆さんはやはりこの裁判の中で事件の背景も含めて真相が解明されることを期待していらっしゃると思いますので、大変御苦労があると思いますが、ぜひ検察庁には頑張っていただきたいと思います。
 では次の質問に移ります。
 宗教法人法の改正に関連して文化庁の方にお尋ねいたします。
 これにつきましては、衆議院でも特別委員会が開かれております。ですから、法務委員会ではその内容そのものに深く立ち入ってのことは質問しません。ただ、改正案二十五条三項の信者その他利害関係人に与えられた閲覧請求権、この点についてちょっと素朴な疑問がありますので、その点についてお尋ねしたいと思います。
 まず質問の第一ですが、改正案二十五条三項では、宗教法人は信者その他利害関係人に対して事務所備えつけの書類または帳簿をその請求によって閲覧させなければならないということになっているわけですけれども、閲覧請求権を持つ信者の定義というのは一体どういうふうになるんでしょうか。
○説明員(佐々木順司君) 定義というお尋ねでございます。
 御案内のとおり、宗教法人法は信者という言葉を使っでございますが、信者そのものについては定義をしてございません。それで、今回第二十五条三項で新しく閲覧請求権を設けるということを改正案で入れてございます。ちょっとこの趣旨を御説明した方があるいはいいのかもしれませんので、恐縮でございますが……
○大森礼子君 いえ、趣旨、結構です。それで、時間の関係でと思ったものですから、信者の定義というのはどうであるのかと、これは端的にお答えいただければそれで了解いたします。
○説明員(佐々木順司君) 申しわけございません。
 今回予定しております信者その他の利害関係人で正当な利益を有する者には閲覧請求権を認めるというふうにしたらどうかということでございます。ここに言っております信者につきましては、そういう事柄から、一般的には例えばお寺さんの檀家あるいは神社の氏子のうち宗教法人と継続的な関係を有しており、宗教法人の財産基盤の維持形成に貢献している人たち、あるいは総代など宗教法人の管理運営上の一定の地位が規則などで定められている人、こういう人たちが該当するのではないかというふうに考えているところでございます。
○大森礼子君 何かすごくいっぱいおっしゃるんですけれども、宗教もいろいろありますからいろんな信仰を持つ人もいろいろいらっしゃるだろうと思うんですけれども、今おっしゃったようなことによりますと、そういう客観的な基準によってこの改正法に言う信者の内容が定められるということでございますか。
○説明員(佐々木順司君) 先生おっしゃいますとおり、宗教団体におきましては信者さんというのはいろんな形が存在をしてございます。よりまして、これを一律に定義づけるということは極めて困難でございますので、先ほど申し上げましたような方々が一般的には該当するのではないかというふうに申し上げたわけでございますが、当然だれが該当するのかという具体的な範囲につきましては、一義的には当該宗教法人の方で御判断になる事柄というふうに考えておるところでございます。
○大森礼子君 宗教法人側が一義的に信者について決めるということでよろしいわけですね。はい、わかりました。
 そうすると、信者かどうか、この閲覧請求権をめぐりまして争われた場合、すんなりいかなかった場合にはどのように解決されることになるでしょうか。
○説明員(佐々木順司君) 申し上げましたように、宗教法人が一義的な御判断をされるわけでございますが、そこで例えば断られたという場合には最終的には裁判所の判断、訴えればの話でございますが、裁判所の判断によって決定をされるというふうに考えておるところでございます。
○大森礼子君 裁判に訴えるには信者に当たるという当事者適格が当然必要となるわけなんです。だから、信者の範囲ということが明確になっていなければならないと思うわけなんですけれども、これについては宗教法人側で一義的に決められると。
 そうしますと、もう一度確認しますけれども、信者の範囲につきましては、宗教法人がみずからの裁量で自由に決めでいいのかどうか。つまり、それに当たっては宗教法人内部の団体自治というんでしょうか、これが尊重されるということでしょうか。
○説明員(佐々木順司君) 申し上げましたように、宗教団体の信者さんというのはそれぞれの団体によってまちまちといいますか、それぞれの特性に応じていろんなことが決められておるんだというふうに思っております。ということでございますので、閲覧請求がなされた場合、その方がここに言う正当な利益を有するということについて当たるかどうかというのは、当然第一義的には宗教法人の方でお決めになる。ただ、閲覧請求権を制度的に認めるという趣旨でございますから、当然そのあたりは宗教法人の方でも制度をつくったという趣旨を勘案されてお決めになることだというふうに考えておるところでございます。
○大森礼子君 今お尋ねしているのは、例えば閲覧請求する場合に、要件事実というんでしょうか、まず信者その他利害関係人であること、それからその請求は正当な利益があること、それから不当な目的によるものでないこと、これが要件となるわけですが、今問題にしているのは当事者適格の部分、信者その他利害関係人、ここだけに限っておりますので、それを念頭に置いてお答えいただきたいと思います。
 それで、現行の宗教法人法には、二条一項で「信者」という言葉が出てまいります。「信者を教化育成することを主たる目的とする」という表現です。十二条三項では、これは公告の相手として「信者その他の利害関係人」という文言が出てきます。信者が出てきます。それから二十三条、「財産処分等の公告」にも信者という言葉が出てまいります。それで、今言いましたようなのに出てきた信者と改正案二十五条二項の信者というものは同一内容のものであるべきなのかどうか、それとも二十五条三項の信者につきましてはまた宗教法人の側で違った内容にすることができるのかどうか。
 何でこんな質問をするかといいますと、それぞれ信者という言葉が出てくるんですけれども、二条の信者ですとこれから教化育成される立場としての信者ですね。だから、きょう入ったという人でもいいわけですね。それから公告相手につきましても、例えばこの二十二条で財産処分を公告するんだけれども、三号から五号ですか、緊急の必要性のある場合、軽微なときはこの限りでないというふうにして、宗教法人の裁量を認めているところがあります。それから、公告対象も機関紙とかでもいいわけですから、機関紙、第三者が見ることもあるわけですから、そういうことも予期して宗教法人側はそういう行動をとるわけですね。
 ところが、閲覧請求権となりますと、やはり法人側が受けるインパクトといいますか、利害がちょっと異なってくるんじゃないかと思うわけなんです。こういう視点から、今言った信者というのは全部同一内容でなくてはいけないのか、それとも閲覧請求権の信者については法人の自治を勘案してといいますか、ちょっと違った決め方ができるのかどうか、この点いかがでしょうか。
○説明員(佐々木順司君) 先生お話しございましたように、現行宗教法人法では第二条で「信者」という言い方をしてございます。ここで言います信者につきましては、その一つの宗教を奉信する人及び人々を総称したということで、広い概念で用いているというふうに私ども考えております。
 それから、御指摘ございました公告対象等で「信者その他の利害関係人」という言葉が用いられております。これはまさに信者その他の利害関係人でございまして、宗教法人との利害関係を有するという立場にある者ということで、二条の信者というのはそれよりは広い概念であるというふうに考えているところでございます。
○大森礼子君 そうしますと、今のお答えですと信者概念、広い狭い、広狭があるということですね。ということでよろしいわけですね。
○説明員(佐々木順司君) 公告対象あるいは十二条などで使われておりますのは、信者その他の利害関係人という言葉で使われているところでございまして、そこは宗教法人と利害関係を有する者というとらえ方であるということでございます。
○大森礼子君 言葉の問題かもしれませんけれども、信者その他の利害関係人、これをワンワードといいますか、一つの単語としてとらえておるのか、それとも信者、それからその他の利害関係人というふうに二つの言葉の複合語になっておるのか、どういうふうな御見解をお持ちなんですか。
○説明員(佐々木順司君) 説明がまずくて申しわけございません。
 信者その他の利害関係人、ワンワードでございます。
○大森礼子君 わかりました。そういう解釈とはちょっと気がつきませんでした。
 それじゃ次に、こういう質問をしたいと思うんです。宗教法人側が少なくとも信者と言う、これを定める場合に、事は営利法人ではございません、宗教に関することですから、信仰にかかわる要素、つまり聖なる要素を入れるのがむしろ自然だろうと思うんですね。例えば、だれそれのとかこれこれの教義を深く理解し信仰心厚き者、これを信者と認めるとか、あるいはだれそれ何々の教義に背かずこれを疑いなく信ずる者とか、こういう決め方をする場合がむしろ自然じゃないかと思うわけなんです。宗教法人から見まして信者を定める場合はこういう規定でもよろしいわけですね。
○説明員(佐々木順司君) 先ほども申し上げましたように、それぞれの宗教団体で信者さんをどういう方というふうにお考えになるかというのは、まさにそれぞれの宗教法人のおっしゃいましたような教義とかにも密接に関係してこようと思います。ということで、そこはそれぞれの宗教法人の方でお考えに基づいてお決めになるということだと思います。
○大森礼子君 そうしますと、ちょっと今気になって質問したのは、信者その他の利害関係人は、これはワンワードであるというんですけれども、信者のところには聖なる部分が入りまして、多分この利害関係、その前に利害関係人の定義をお聞きすればよかったんですけれども、やっぱりお聞きしましょう。利害関係人の定義はどのようにしておられますか。これは客観的なものなのかどうか。
○説明員(佐々木順司君) 宗教法人法には利害関係人について法律上の定義はしてございませんが、まさに利害関係人でございまして、この利害関係人の中に信者も入るということで、信者その他の利害関係人という言い方をしているわけでございます。
 それから、端的な例で申しますと、例えばその宗教法人に対して債権を持っている人というのは当たろうかというふうに思っております。それでよろしゅうございましょうか。
○大森礼子君 いやもう余計わからなくなってしまったんですが、そうすると最初、信者その他の利害関係人をワンワードとすると、利害関係人を財産法的な見地からの客観的に判断できる法律上の利害関係人とすると、聖なるものと俗なるものがワンワードというのはおかしいなと思ったんです。
 それで、今の御説明を聞きますと、信者その他の利害関係人、この利害関係人の中に聖なる部分を持つ人とそれからそういうことがない人と一緒に含まれるという、こういうことになるんでしょうか。イエスかノーかだけで結構です。
○説明員(佐々木順司君) どうも説明がまずいようで申しわけございませんが、信者さんの中で、中でという言い方がいいかどうかわかりませんが、信者さんで利害関係を有している人というのがいい説明かなというふうに思いますが。
○大森礼子君 ちょっと、ちゃんと説明してくださいよ。信者さんで利害関係を持つ者ですか。そうすると、信者プラス要件としてさらに利害関係が要るということなんですか。
○説明員(佐々木順司君) まさに信者その他の利害関係人でございまして、利害関係人ということでございます。その中に信者さんもいれば債権者もいるという図式でございます。
○大森礼子君 ちょっとよくわからないですね。ちょっと文化庁のお考えよくわかりません。これはわからない内容だなということを指摘するにとどめます。
 信者その他の利害関係人、じゃこれは例えば訴訟になった場合、信者あるいはその他利害関係人のどっちに当たるかというふうに裁判所は判断するのかと思っていたんですが、ごっちゃな感じになりますわね。
 いずれにしましても、その信者の定義を宗教法人が決める、その中に例えば教義とかかわるような要素を入れてもいいということになりますと、いずれにしてもその信者その他の利害関係人を認定するに当たりまして、現実に訴訟の場で非常に難しい問題が出てくるんじゃないか、これが冒頭に言いました素朴な疑問なんです。法秩序の維持と人権の擁護を使命とするのが法務省ですから、その点から法務委員会で問題にしたわけなんです。
 例えば、宗教法人が信者の要件として宗教の教義にかかわるような内容を規定したとき、あるいは信仰心厚き者とか規定したとき、裁判所が判断できないような場面が出てくるんではないかと思うんですけれども、この点はどなたにお尋ねしたらよろしいのかわからないんですけれども、法務省になるんでしょうか。そういう問題が出てくるんではないかという一般論で結構です。つまり、裁判官が信者については信ずる者かどうかを判断できるのかどうかという部分です、聖なる部分。言ってみれば司法権の限界についての問題なんですが、この点をどなたかお答えいただけないでしょうか。
○説明員(佐々木順司君) 私どもの考え方をまず申し上げさせていただきますと、信者その他の利害関係人ということで、まさに法人と利害関係がある方ということで考えておるわけでございます。
 これは先生には釈迦に説法になる話だと思いますが、檀徒の地位をめぐって裁判所で争われた例もございまして、これは最高裁の判決でございますが、「檀徒等の信者の地位が具体的な権利義務ないし法律関係を含む法律上の地位と言うことができるかどうかは、当該宗教法人が同法十二条一項」、規則のところでございますが、「一項に基づく規則等において檀徒等の信者をどのようなものに規定していると検討して決すべきこととなる」というふうな判例もございます。
○大森礼子君 同じ判例を挙げていただくのならば、最高裁の昭和五十六年四月になります寄附金返還請求事件、これを挙げていただいた方がよかったわけなんですけれども、「信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断は」と続きまして、要するに「実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なもの」であるということで「法律上の争訟にあならない」と請求却下されているわけです。これは裁判所法三条一項の「法律上の争訟」、これが司法の権限なわけですけれども、これには当たらないという、こういう判断が出ております。詳しくはもう聞かないわけですけれども、これとの関係で非常に訴訟上も問題が起きるのではないかという点を危惧する、この点指摘しておきたいと思います。
 もうこれで終わりにするんですけれども、先日、この委員会で平野委員から閲覧請求権が乱用されて宗教法人荒らし、こういうもので宗教法人がゆすられる事態が予想されております。私も早い段階で改正案骨子というものを文化庁から説明されまして、ぴいんときたのは、ああこれで暴力団の宗教法人に対する恐喝事犯がふえるな、警察、検察庁は忙しくなるなと思いました。犯罪捜査の現場にいた人間ならこれはすぐ思いつくことでありますし、現場の警察官の方でもすぐぴんとくることではないかと思います。
 これに加えまして、きょう指摘しました閲覧請求をめぐって善良な法人側と善良な請求者との間でも裁判ですんなり片づかない問題が出てくるのではないかという、この点を危惧しております。殊さらに裁判に恐喝まがいのトラブルをふやすような法改正は宗教界に混乱をもたらすものでしかないと指摘して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○山崎順子君 平成会の山崎順子です。
 きょうは不良債権回収の問題につきまして、法務省、裁判所の方に競売についてお聞きしたいと思っております。
 まず、不良債権の処理に公的資金を導入することにつきましては、借り手の責任を厳しく追及すべきというような声が金融制度調査会の審議等でも強まっております。これはもう多くの国民の声でもあると思います。バブル期にも別に大もうけもできなかった、もちろんそんなこと、バブルに踊らされもせず、まじめにこつこつ働いて、そしてささやかな家を買って、住宅ローンを今もなおまじめに返済している多くの国民にとっては、金融機関等の損失を公的資金で穴埋めしたりするのは国民不在の問題解決ではないかというふうに感じている人が多いと思います。
 しかし、このまま不良債権の解決を先送りしていましては日本全体が沈没しかねない状況でございますから、担保不動産の流動化ということが大変重要な問題になってくると思います。これができれば不良債権の問題はほとんどが解決するかもしれないというところがありますけれども、この借り手からの債権回収を進めると不良債権処理に投入する公的資金が少なくて済むわけですね。そうすれば社会的な公平感も保たれるわけです。ところが、この債権回収が全く進んでおりません。その背景には、もう皆様御存じだと思いますが、地価の大幅な下落や土地に対する需要の低迷、また借り手や占有者など既得権者に有利な法体系や、それから競売の問題、そして複雑な権利関係等、さまざまな問題が、要因が複雑に絡み合っているわけですけれども、きょうはまずこの債権回収の一つの有力な手段としての競売制度を円滑に進めるための機能強化について御質問させていただきます。
 もし、銀行が本気になって担保不動産を処分しようと競売を申し立てても、今東京では二年ぐらいかかるんじゃないか、それ以上かかるんじゃないかと言われておりますし、落札される保証もありません。本当にそんなに長期間申し立てから売却までかかるのか、ちょっとお教え願いたいんですが、お聞きしましたところ統計的な数字が出ていないということですので、実態を推測する材料として権利関係が比較的単純なものと複雑なものと二つに分けて、東京地裁の例で結構ですから、お願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 競売の申し立てから売りに出されるまでの期間でございますが、今、委員から御指摘のあったように全国的な統計資料がございませんので、取り急ぎ実情を聴取したということでアバウトな話で恐縮でございますが、東京地裁の例で言いますと、権利関係が比較的単純で短期処理されている事件については十カ月程度、権利関係が複雑で手続に長期間を要する事件については長いもので二年三カ月程度かかっているようでございます。ただ、全国的に見ますと、例えば地方ですと六カ月程度で終えているというようなこともございます。
○山崎順子君 当然御存じですが、時間がかかるほど不動産の市場価格が下がる傾向にあるため、今、当初決めた最低売却価格、最低競売価格を実勢が下回って競売が成立しない例も多く出てきていますね。つまり、できるだけ短期間で処理することが望ましいと思われますけれども、裁判所は今大変持ち込み件数がふえておりまして、案件の処理が著しくおくれていると聞いております。抵当権の実行による不動産競売の新受事件は、平成三年から急激に増加して、ピークの平成五年は、平成二年がボトムだったんですが、このときの約五倍にも達していると聞いております。この東京地裁の、これもまたこの例で結構ですが、平成二年から六年までの正確な新受事件数を教えてください。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) まず、東京地裁の新受件数のお尋ねでございますので、一例として平成元年を一とした場合の割合で申し上げさせていただきますが、今御指摘のありましたように平成二年は〇・八でございました。それから三年になりまして一・八、四年が二・八、五年が三・三、六年が三・三というぐあいに大幅に増加をしてきております。
○山崎順子君 平成六年は前年をピークに、これ今二・三と大体同じでしたが、多少減少しているようですね。でも相変わらず高いし、これらの事件の抵当権設定時期はバブル期以前のものが中心だと聞いております。その時期の抵当権実行が一巡したとは考えられませんから、まだしばらくこの増加傾向が続くと予測していいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 非常に微妙なところかと思います。件数で言えば新受件数はほぼ高値安定という感じかなという感じでおります。
○山崎順子君 では、競売物件の売却率はどうでしょうか。これも東京地裁の例で結構です。平成元年か二年あたりから現在までお教えください。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 売却率ですが、この売却に付した物件のうち現実に売れたという割合をとります。これは東京地裁の例でございますが、平成元年が七四%、二年が七三%、これが平成三年になりますと三三%、四年が三五%、五年が三八%、そして六年になって四一%でございます。最近の数字で申し上げますと、ここ前半は三〇%台で推移しておりましたが、ことしの八月になりまして四四%、九月に四七%と若干持ち直してきているという状況でございます。
○山崎順子君 多分それはいろいろコンピューターなどをお入れになって手続を簡略化なさったその成果だと最近のところ思いますけれども、一応平成六年末では未済事件が一万四千五百五十五件となっております。ですから、七四%とか七三%の売却率が今少し持ち直しているとしても半数近くに下がっているわけですから、未済件数はもっとふえているんだと思うんですね。これ、平成二年末の約八・七倍の件数になっているわけですから。これでは裁判所で本当に事件の処理に当たっている方々はもう大変だと思います。もう残業に次ぐ残業なんというお話も聞いております。
 そこで、まず、最低売却価格を決める評価人ですとか、また物件調査を担当する執行官が足りないんじゃないかというふうに思うんです。また、評価人のなり手がいないのか、また報酬が低いのか、その辺のこと等、評価人をどのように選定なさっているのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今、東京地裁の未済件数についてお触れになりましたので少し正確なところを申し上げますと、平成六年度末で東京地裁の競売事件の未済件数は一万四千六百十一件になっております。そしてこれは、例えば平成元年を一とした場合の割合でいきますと七・三倍ということになっております。
 今お尋ねの人的な手当ての関係でございますが、実はこの事件が急増する以前と現在とでは人的な手当てをできるだけのことをしてきたとは思っております。具体的に申し上げますと、例えば平成三年四月と平成七年四月とを比較いたしますと、裁判官については例えば以前は五人でありましたものが現在では十人、書記官、事務官の一般職は以前は三十九人でございましたが、現在は書記官等六十六人と増員をしております。また執行官につきましても二十五人から三十五人、あるいは評価人の、これは評価人は個別事件ごとに指定されますが、一応候補者という制度を置いておりまして、この候補者につきましても十六人から二十九人に増員をしているところでございます。しかし、事件の動向をよく見きわめた上で、まだなお手当てが必要であれば考えざるを得ないかなというふうに思っているところでございます。
○山崎順子君 例えば、今いろいろ工夫、努力をなさっていることはよくわかりましたけれども、もし評価に人と時間がかかって大変でしたら、例えば共国債権買取機構の価格判定委員会が決めた担保不動産の評価額を、それを最低売却価格に準用してはどうかというような声がございますけれども、こういうことは検討なさっているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 実はこの評価人の評価といいますのは裁判所の競売手続を前提とするものでありますけれども、一定の経験、それから適正妥当な評価を行う能力ということが求められます。特に、評価人は競売手続の一端を担う者でございますので中立の立場を保持しなければいけない。それから、対象物件の内部への立ち入り権なども認められているところでございまして、そのように評価人については非常に責任の重いといいますか、高い資格を求められているということになります。そしてその評価人の評価であればこそ、またその評価に基づきます最低売却価格というものについての信頼があるというふうに考えております。
 例えば、ほかの制度にあります鑑定等を利用した場合、不満のある当事者から執行異議なり執行抗告なり、こういう問題が起きることは当然に予想されることでございますので、今のところ、現在のような評価人の制度でなるべく賄っていきたいというふうに思っているところでございます。
○山崎順子君 新しく入ってくる事件がたくさんある上に、今おっしゃったような最低売却価格を決めて、評価人の条件も厳しいようですが、それでもなかなか落札されないという物件が多い場合に、一回目で売却できなかったものについては再評価をした上で再度売却いたしますね。このときに、期間入札に付して入札のなかった事件については六カ月間特別売却に付する取り扱いというのがございますね。
 これをもう少し早期に債権回収をするために特別売却期間を東京地裁では三カ月に短縮なさったということを聞いております。これはかなり有効かと思うんですけれども、どのように利用され、相当効果が上がっているのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今御指摘のように、特別売却に付する期間の短縮を東京地裁では図ったというふうに私どもも承知しております。
 先ほど、売却率が上がってきた中に、あるいはそういうことが影響しているかもしれない。といいますのは、この短縮は比較的最近のことではないかと思いますので、こういういろんな細かい工夫でありますが、できるだけの工夫を尽くしていきたいというふうに思っております。
○山崎順子君 今おっしゃったように、最近のことらしくて、三月ぐらいかららしいんですけれども、それがもし効果があるとしたら、東京地裁だけではなくてほかでもおやりになる予定なのかどうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 事は裁判の手続の一つなものですから、私どもがこうしろああしろというふうなことを申し上げられるべき性質のものではございませんが、実はこういう東京地裁の工夫等につきましては、つい最近も全国的に事件をたくさん抱えている庁の裁判官あるいは書記官等に集まってもらいまして、その紹介かたがたまた検討いただくという機会を持ったところでございます。
○山崎順子君 それでは、ちょっとお聞きしたいのは、競売に加わる方、参加する方たちというのは不動産業者が多いのかと思いますけれども、一般の人たちというのはどのくらいいらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたんですが余り比率がはっきり出てないらしいんですが、おおよその見当とかというのはわかりませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 実は私どももそれが把握できれば一番いいなとは思っております。ただ、現実にはかなり高い率でやっぱり業者が落札をしているのではなかろうか、実質的にですね、というふうに承知はしております。
○山崎順子君 多分おっしゃるとおりじゃないかなと思うんです。でも、よく最近新聞等で競売の公告なども見まずし、競売ではありませんけれども、テレビで公売のコマーシャルなどもこのごろやっていたりして、結構そういうものに対する関心は高まっているんじゃないかと思うんです。それで、一般の人が競売にもっと参加できるようになれば、また先ほど言いましたような不動産の流動化も進むのではないかと考えるんですけれども、結構そのアクセスが難しいのではないかと考えるんです。
 なぜ一般の人がもう少し入るといいんじゃないかと思いますのは、例えば東京圏の最近の競売物件の内容を調べますと、また違っていればお教えいただきたいんですが、マンションが約五割、それから一戸建て住宅が約二割を占めておりまして、一般のユーザーが購入してもそのまま使用できるような物件が多いですし、値段も手ごろですし、ですからぜひ一般人が参加しやすいような競売の工夫もお願いしたいなと思うんです。
 そこでお聞きしているわけですけれども、例えば東京地裁の二階には競売物件の閲覧室がございますね。最近は大変物件が多いせいもありますけれども、混雑していて、ところが物件のファイルは一件につき一冊しかないし、それから一度に閲覧できるのは三冊までですし、コピー機もなかなか順番が来ないというようなところがあります。普通、私たちが家を買うなんといいますと、一般の場合は不動産屋さんのもうさまざまな情報があって、そして詳しくその説明をしてもらい、また現地にも出向いて調査もできるという状況ですけれども、そういうような、そこまででなくても、相当一般物件のアクセスに比べますと雲泥の差がございますので、何かそういう一般人がアクセスしやすいようなことを検討なさっているのかどうかちょっとお伺いしたいのですが。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 委員御指摘のとおり、私どもも一般の最終需要者が直接競落ができるという制度が広い意味で非常に大きな意味を持つというふうに考えております。
 御承知のとおり、現在の競売法、民事執行法ですが、この執行法を改正する際に、期間入札制度ということで一般人の参加しやすい形がとられたということがございますが、それ以外に、その後大都市の裁判所を中心に多くの裁判所で、日刊新聞や住宅情報誌等に売却物件を掲載しているということも御承知いただけるかと思います。
 今、物件明細書等の閲覧のことについてお尋ねでございますので、裁判所としましては、この物件明細書等の書類、俗に三点セットと言っているんですが、これらを裁判所の構内の閲覧しやすい場所に備えておくということをしております。
 ただ、最近では暴力団等による執行妨害がふえておりまして、例えば物件明細書等の一部を切り取ったり、書き込みをしたり、暴力団員が名刺を挟んだりすると、暴力団の名前がそこに何らかの形で出てしまうということだけでこの執行が非常に阻害されるわけでございます。こういうことにつきましては、公正な競売を維持するという立場から、もちろん厳正な手続をとると同時に、閲覧場所についてもやはり裁判所の目の届くような配慮ということが必要であろうと思っております。
 あわせて、できるだけ多くの買い受け希望者に情報提供をする必要があるということはなお考えておりまして、競売物件の情報を要約してファクシミリを利用した情報提供ができないかということで、現在、現実に検討中でございます。
○山崎順子君 ぜひそういったものを進めていただきたいと思います。
 もう一つ、入札までの時間が短いのも問題ではないかと思います。物件明細書が公開されてから入札期日まで二週間程度と聞いておりますけれども、一般のユーザーにとっては一生に一度か二度の買い物をするというようなときに、検討期間が短過ぎるのではないかと。これを延ばすことなどは考えられないんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 御案内のとおり、民事執行規則上、売却の公売というのは、売却実施、具体的には期間入札の開始の日になりますが、その二週間前までに行う。それから、三点セットと言っておりますが、この物件明細書等は売却実施の日の一週間前までに備え置かなければならないと定められております。
 いつからどの程度の期間置くかということにつきましては、事件を担当する裁判所の判断することでございますが、例えば東京地裁の例で申し上げますと、売却実施三週間前に公告をすると、それから二週間前から三点セットを備え置くと、あわせて、一週間の入札期間中、これも据え置きを継続しておりますので、この三点セットについて言いますと、計三週間閲覧をすることができることになっているというふうに聞いております。
 先般、閲覧室のスペースも拡張しておりまして、閲覧期間の初日等を除いて通常は十分余裕を持って閲覧できる状態であるというふうに聞いております。どの庁におきましても機会が十分保障されるように配慮がされていると考えてはおりますけれども、なお一層目配りをしていきたいというふうに思います。
○山崎順子君 もう一つ一般ユーザーにとって問題なのは資金とローンの仲なんですけれども、競売の場合は購入価格全額を自己資金で準備しなければなりませんね。ローンが借りられないというようなことがあるんですけれども、横浜地裁でいわゆる横浜方式というのがとられていると聞くんですけれども、これはかなり有効なのか、利用されているのか、もしそうならばこの方式を全国に広げて一般ユーザーが参加しやすい形にしたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今御指摘がありましたように、競売手続では競落人は買い受け代金を一括して支払わなければならない、しかも競落人は代金を支払って初めて所有権移転登記を受けることができるということになるために、事前に抵当権を設定してローンを組むということが難しいという建前になっております。
 そこで、横浜で裁判所や弁護士会、司法書士会、法務局、金融機関等の了解のもとに、裁判所から嘱託される所有権移転登記と競落人及び金融機関が申請する抵当権設定登記を同時に行うというような運用が考えられたものというふうに聞いております。
 これ手続がかなり複雑でございますので若干大ざっぱな説明になって恐縮でございますが、このやり方は関係者が了解の上で、金融機関は抵当権の登記を受ける前に、つまり担保がないうちに司法書士や弁護士に融資金を交付する、そして裁判所は通常ですと所有権移転登記の嘱託書等を直接登記所へ送るべきところを、抵当権設定登記等の手続をとってもらう必要があるために書類を司法書士や弁護士に交付するというふうな方法であろうかと思います。
 ただ、今お話をしたとおり、金融機関にとってはその不動産を担保にとることができなくなる可能性があるという意味で不安定な方式である、それからまた裁判所としても競落された物件の登記手続に必要な書類を司法書士や弁護士に預けなければならないということになるために、きちんと責任を持って手続を行う司法書士や弁護士が当事者についているということが前提になるということで、こういう理由から現状としてはこの方式は余り活用されていないようでございます。拡大をするに当たっても、その前提条件の整備がなかなか難しいというのが現場の感覚のようでございます。
○山崎順子君 せっかくのいい方法を考えても手続が煩瑣では残念でございますけれども、とにかくもう少し競売がスムーズにいくような形に制度なり法なりを変えていくべきではないかと考えます。
 さて、大蔵省にお聞きしたいんですけれども、どうも不良債権問題というのは、現在検討されておりますのは銀行の救済だけしか考えていないのではないかと思えるようなところがございまして、担保物件の処理まで手が回らない状態かなというふうに思うんです。もちろん大蔵省の方も担保物件の処理ということをいろいろお考えなんだと思いますが、今、公的資金を導入いたしましても、現実に担保物件の処理ができなければ何年後かには同じ程度の公的資金を導入しなければその間に物が腐っていくというような状況があると思うんです。そういうことになると大変でございますから、不動産の流動化、担保物件の処理ということについてどういう手を打っていらっしゃるか、ちょっとお教え願いたいんですが。
○説明員(内藤純一君) 金融機関の不良債権の問題につきましては、現下の喫緊の課題であり、大蔵省といたしましても先般金融制度調査会の審議経過報告を踏まえまして「金融機関の不良債権の早期処理について」を発表し、不良債権問題に対する当面の対応方針をお示ししたところでございます。
 具体的に申し上げますと、ディスクロージャーの拡充でございますとか、預金保険料率の引き上げの実施を表明いたしますとともに預金保険の拡充、信用組合の経営健全化のための所要の措置を講ずるほか、住専をめぐる問題の適切な対応を図り、また公的資金の時限的な導入も含めた公的な関与のあり方についても金融システム内での最大限の対応等を踏まえつつ検討を進めることとしております。
 今後、この委員会の審議等を踏まえまして、年内に不良債権問題解決に向けての対応策がまとまるよう取り組むことといたしまして、法律改正が必要なものについては次期通常国会に所要の法律案を提出したいというふうに考えておるところでございます。
 そこで、委員御指摘の担保不動産の流動化の問題でございますが、これにつきましても私ども重要であるというふうに考えておりまして、この問題につきまして、まず金融機関の不良債権の処理につきまして当局といたしましても、償却、引き当ての改善でありますとか共国債権買取機構の設立支援など、その環境整備に努めてきたところでございます。金融機関はこうした施策の活用によりバランスシート上の処理を進めてきておりますが、今後はこういったバランスシート上の処理にとどまらず、担保不動産そのものの流動化といったものについての努力が一層要請されているというふうに考えているところでございます。
 こうした観点に立ちまして、私どもといたしましては、先般、平成七年六月でございますが、「緊急円高・経済対策の具体化・補強を図るための諸施策」等を受けまして、金融機関の担保不動産等の流動化策の拡充に努めるとともに、新たな流動化方策につきましても検討を進め、可能なものからその活用を促進してまいるというふうに考えております。
○山崎順子君 そこで、競売についてなんですけれども、競売については裁判所の機能強化や努力だけではなくて、大蔵省がまずやっていただければというものがあるんです。それは税制上の優遇措置だと思うんですけれども、不動産業者が競売によって割安な価格で不動産を落札して優良な宅地として分譲するというようなときに、超短期重課や短期重課が課せられると、若干のリスクを覚悟してでも落札しようという意欲がそがれるのではないかと思うんです。競売手続の活性化を進めて、景気回復の足かせとなっている不良債権の処理のために大蔵省は率先して税制上の何らかの優遇措置を考えていらしてもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(藤岡博君) お答え申し上げます。
 現行の土地譲渡益課税制度は、先生も御案内のとおり、平成三年度の税制改正におきまして所得、消費、資産等の間の課税バランスの確保、あるいは土地基本法の基本理念を踏まえました総合的な土地政策の一環として、土地に対する課税の適正公平の確保と土地の資産としての有利性の縮減といった観点から、長期、安定的な制度として導入されたものでございます。
 今の先生の御質問は、たとえ短期の転売であっても競売で取得した土地については土地譲渡益追加課税を免除あるいは軽減してはどうかという御趣旨だと承りましたが、これは競売によって取得した土地といいましても短期の転売でございます以上、短期ないし超短期の土地譲渡益課税制度の対象外といたしますのは、仮需要やいわゆる土地転がしの抑制といった本制度の目的から見て問題があるのではないかと考えている次第でございます。
 ただ、今、先生が、優良な者に売ったようなケースについてはどうかといったようなお話がございました。御案内のとおり、現行の超短期あるいは短期の課税制度につきましても、公共用地、これは国や地方公共団体あるいは住都公団等でございますが、に対する売却でございますとか、あるいは一定の要件を満たしました造成土地につきましては適用をしていない、適用除外をしておるといったような状況でございますので、その点も御勘案願いたいと存ずる次第でございます。
○山崎順子君 ありがとうございました。
 それでは、競売の方の質問はこれで終わらせていただきまして、売防法の改正についてちょっと御質問したいと思っております。
 もう時間が余りありませんので、まず最初に大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、九月の北京会議、つまり第四回世界女性会議が開かれたことはもう大臣よく御存じのことと思います。その折に採択された行動綱領の中に、ちょっと読み上げさせていただきますと、「人身売買を撤廃するために、売買春、他のセックス・ワーク、強制結婚、強制労働を目的とした女性および少女の売買を奨励する根本原因を、外在的な要因も含めて究明するための適切な措置をとる。」というふうに書かれていまして、ここからがあれなんですが、「女性や少女の権利のよりよい保護の提供および刑事および民事上の措置による加害者の処罰の観点からの現行法の強化を含む。」というふうに書かれているのでございます。
 この間、沖縄で大変痛ましいというよりも本当にひどい少女暴行事件がございましたけれども、日本国内でもさまざまな性の虐待とかそういったものがあります。これは法務省関係というより厚生省の児童福祉法になると思いますけれども、そういった少女への性的暴行とかに関する加害者の罰則というのが、条例はあってもはっきり決められていないんですね。
 それから、売防法も女子のみが対象となっておりまして、売春というのは売買春で両方のあれがあると思うんですけれども、相手方に対する処罰というのがないんです。こういったようなことの法改正を、今後、北京綱領を受けてしなければならないとかいうような、そういった問題について宮澤大臣はどういうふうにお考えか、ちょっと御意見をお聞かせいただければと思います。
○政府委員(則定衛君) 最初に、ちょっと法技術的な点だけ御説明させていただきます。
 今お尋ねの中で、売春防止法におきます処罰は売春行為について女性だけが対象になるのじゃないか、あるいは禁止されているのは女性だけじゃないか、こういうことでございますけれども、確かにイメージ的にそういうふうに理解されやすい面があるわけでございますが……
○山崎順子君 ちょっと答弁結構でございます。
 法的なことに関しては私きちんとそれは、あっせんとかそういうことは男性が多く入っていることは存じておりますしお話しいたしますので、ちょっと大臣に向けてもう一度話を、大臣はお出になる時間があったものですから、それで先にと思ったもので、申しわけありません。
 暴行事件とかさまざまなものに見られるように、性というものが商品化されているというようなそういう社会風潮がありますので、罰則規定みたいなものをきちんと、売買春の場合もそうですし、強姦の場合もそうですし、買う側の男性、買う側だって別に男性だけとは限りませんが多くは男性ということで、買う側の人にも罰則規定があるような法律になれば、かなり性の商品化とか女性の性をないがしろにするような事件が減るのではないかなということについて御意見を例えればと思います。
○国務大臣(宮澤弘君) 売春防止法についての改正と申しますか、それについてのお話でございました。
 ただいま女性が加害者というようなお話がございました。私も実は専門家でございませんので、あるいは私が受けました印象が間違っているかもしれませんが、売春に一体加害者、被害者という概念があるのかどうかというようなこともなお検討を要するかと思いますけれども、御質問に対して一、二感想を申し上げますと、売春防止法につきましても、私はおっしゃるようなことも含めましてなおその改正について議論をすべき点があろうかと思います。
 と同時に、売春防止の問題は単に刑罰権の行使にとどまることではなかろうと思っておりまして、売春を許さないというような社会環境をつくっていく、あるいは売春を行った者に対する補導でありますとかあるいは更生保護とか、刑罰権についての検討も必要でございますが、同時にもう少し広い角度からのお互いの議論、検討が必要ではないかと、私の印象を申し上げましてお答えにかえさせていただきたいと思います。
○山崎順子君 加害者と被害者の問題については、今、女性は加害者と、多分お間違えになったんだと思いますが、被害者ということだと思いますけれども、その件については時間がないのでちょっと議論というか質問は控えさせていただきます。とりあえず売春防止法について改正論議が必要だとおっしゃっていただけましたので、その点についてはまたお伺いしたいと思います。
 まず、売春防止法ですけれども、「目的」のところに、一つは「売春が人としての尊厳を害しこということで個人の尊厳や人権のことをきちんと保護することをうたわれているんです。もう一つは、社会、国家の善良の風俗の保護ということもこれは目的としてうたわれて、二つあると思うんですね。「性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみこという形で二つの目的が入っていると思うんですけれども、人権ということで言いますと、これは後の方の社会、国家の善良な風俗の保護の方は削除されるべきではないかなと私は考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤弘君) 私が、おっしゃいましたことをまだ十分理解していないのかもしれませんけれども、人権の保護ということはもちろんこの中心的な課題であると思いますが、社会、国家の善良な風俗の保護でございますかという点は、先ほど私は社会環境の醸成ということを申し上げましたけれども、そういう面からの考慮というものがやはりこの問題についてはなされてしかるべきではないかと思っております。
 専門的な政府委員の方からあとは御答弁をいたさせます。
○政府委員(則定衛君) 「社会の善良の風俗をみだす」という部分は削除すべきじゃないかということなんでございますが、現行の売春防止法の仕組みと申しましょうか、これは売買春行為そのもの自体は禁止しておりますけれども、取り締まりの対象にはしていないわけでございます。取り締まりの対象はあくまでも、売春行為を公衆の目に触れるような方法で勧誘するような行為とか、それを助長する行為等を対象にしていると、こういうことでございます。
 そういう意味におきましては、売春が人としての尊厳を害する、いわゆる人権を害するということのほかに性道徳に反するということ、さらには今申しましたような形態を対象としておりますので、社会の善良の風俗を乱すということも十分意識しておる法律であると考えております。したがいまして、「社会の善良の風俗をみだす」という部分はやはり存置相当じゃないか、削除すべきじゃないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○山崎順子君 先ほどの加害者、被害者というようなこともありますけれども、やはり非行的加害性というのは私はより買う方にあるととらえるべきではないかと考えているんです。
 それで、今の則定局長のおっしゃったような、もし社会的風俗とかそういうことがありますと、この目的としてはそうだとしても、じゃそれだけでなぜ女子だけが、売る方の側だけが処罰されなければいけないのか。これはやはり、売春を行った女子のみを処罰対象とすることを定めているのは、法の一条もそうですが、五条、十七条とも憲法違反ではないかという形で、逆に撤廃の方向とか、それから非行的加害性の多い買う側の人に対する処罰等をまた逆にすべきではないかというふうな考え方をするんです。
 そういった意味で言いますと、両方の関係をうたうべきで、売春防止法ではなくてタイトルも売買春防止法とかそういうふうに変えるべきではないかというふうに考え、そして一条、五条、十七条ともに変えていくべきではないかと思っているんです。
 総理府の方でも多分、北京の女性会議を受けてこのあたりをお考えになっているかと思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(名取はにわ君) 先生の御指摘のとおり、行動綱領におきまして女性に対する暴力が大きく取り上げられていることは十分私どもも認識しております。
 平成三年五月に、現男女共同参画推進本部の前身でございます婦人問題企画推進本部が策定いたしました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画(第一次改定)」の中におきましても、売春防止に関しては、性の尊重についての認識の浸透の推進、女性に対する暴力の根絶等として取り上げられておりまして、これまでも関係省庁連携のもとで取り組みを推進してきたところでございます。
 今後におきましても、関係省庁との連携を図りつつ、第四回世界女性会議におきまして採択された行動綱領の国内施策に取り組むため、一層努力をしていく所存でございます。
○山崎順子君 時間があれで、これで終わりますけれども、現実に今、売買春と変えた方がいいんじゃないかという話もいたしましたけれども、ただ、売買春を助長する行為等への処罰規定は実は本当は刑法の方に入れて、こういった福祉的役割の強い売春防止法というのは女性福祉法とかそんな形にでも変えて、もう少し教育的な、さっき大臣もおっしゃいましたが、男性、女性ともに、ただ罰するという形だけではなくて、教育的効果を高めるような方向へ持っていく、そういったことも必要ではないかと私なんかは考えております。きょうは本当にこれ、とても時間がなくて残念なんですけれども、またいずれゆっくり話をさせていただきたいと思っております。
○政府委員(則定衛君) ちょっと一点だけ、お許しを得て補足説明させていただきたいと思うんですけれども、売買春の場合に男性は罰せられず女性は罰せられるというふうな前提でございますけれども、売買春自体は、現行法、この売春防止法はどちらも罰していないという点がございます。
 それから、五条の関係では男女とも罰せられるということでございまして、既にお調べかと思いますけれども、制定されましたときの当法務委員会におきまして、当時の政府委員が次のように申しておることだけつけ加えさせていただきたいと思います。
 その内容でございますけれども、「売春の主体は女性に限らず、男性であっても差しつかえない。最近におきまして男が有閑マダムなどにこびを売るというものがあるようでありまして、」、当時そういうことがあったようでございます、「そういうふうな男性を主体とする売春もここに言う売春であります。その実態は必ずしも明らかではないのでありますけれども、社会の善良の風俗を乱すという点においては女性の場合と変らないというふうに考えられますので、特に主体を制限しなかったわけでございます。」と、こういうことでございますので、念のため申し添えさせていただきます。
○山崎順子君 一言だけ。
 五条のことは勧誘のことでよくわかっておりますし、いわゆる単純売春といいますか、性交といいますか、その場合の加害者の、罰するというよりも補導、すべてを含めての処分という意味で申し上げました。
 どうもありがとうございました。これで終わります。
○千葉景子君 限られた時間でもございますので、何点か、多少まとまりのない質問がと思いますけれども、よろしくお願いをしたいと思います。
 まず、商法に絡む問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 平成二年、商法改正が行われました。平成三年四月一日に施行されておりますが、その中で最低資本金制度が導入をされ、株式会社では一千万円という額が決められております。また、有限会社においても最低資本金を三百万円に引き上げるという改正がなされました。これは、猶予期間として平成八年三月三十一日までにこれを満たすようにということでございますので、いよいよ来年でその猶予期間が満了するということになろうかというふうに思います。
 これ猶予期間が過ぎますと、法的に言いますと、その猶予期間、三月三十一日の翌日、平成八年四月一日以降、法務大臣がみなし解散公告を行い、その公告が官報に掲載された日から二カ月を経過したところで清算会社という形になるということになろうかというふうに思っています。
 この制度が導入されて以降、法務省の方でもさまざまなこれについての広報活動やあるいは周知徹底方について御努力をされてきたかというふうに思いますけれども、なかなかこれも資本金を準備するとか、あるいは組織を変更するとか、そういうことをやらなければいけませんので、企業にとってもそうたやすいことではないのではないかというふうに思っています。
 そこで、これは来年三月三十一日をそろそろ目前に控えて、今実情として一体どんなふうになっているのかお尋ねをしたいというふうに思うんです。どの程度の企業がこの基準を充足しているのか、あるいはどの程度がまだ未達成ているのか、その辺について法務省の方でも十分お調べのところかと思いますので、この実情についてまず御報告を賜りたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘の最低資本金を満たしていない株式会社及び有限会社の数をこの制度が施行されました平成三年四月一日現在と最近の調べたところ、本年の八月末時点における推定数との対比で御説明申し上げますと、平成三年四月一日現在で現存する株式会社及び有限会社の総数が約二百八十万社でございましたが、そのうち約六割余りが最低資本金に達していない会社であったわけでございます。
 それに対しまして、平成七年八月未現在におきます、これは必ずしも正確な数字というよりは推計に基づく数字でございますけれども、会社数が約三百十四万社となっておりますが、そのうち約三割強がまだ最低資本金に達していない会社であるというふうに推測しております。
○千葉景子君 今御報告をいただいた限りでもまだ三割強の会社が未達成ということでございます。いろんな雑誌等に掲載された調査などを見ましても、例えば帝国データバンクが調査をした、これは平成七年五月末時点ということでございますけれども、帝国データバンクが持っている企業のデータ百三万社だそうですけれども、株式会社の場合で未達成の企業が約三四%、それから有限会社ですと二九・二%、まあどちらも三〇%前後ということでございます。また、東証が昨年、平成六年十二月に調査をされて、この春やはり発表されておりますけれども、五百八十二社ですね、株式、有限合わせて。その中で、何らか増資をしたとか組織変更をした、対応策をとったというところで二〇%、近々その手続をとりたいというところを含めると七五%。ですから、これ昨年からですから、これが大分ふえてきているんではないかというふうに思いますけれども、こういうのが実情のようでございます。
 あと数カ月というところに迫っておりまして、これまでもいろいろな対応をとっていただいているかというふうに思いますけれども、来年三月三十一日までにこれできませんと企業も営業活動ができなくなるということにもなり、経済的な影響も大きいかというふうに思います。
 そういう意味で、この残された期間どのような対応をとっていかれるのか、法務省としての何らか対応策がございましたらお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) この制度に適切に対応していただくためには、何よりも期限までに必要な対応をとらなければならないということを各対象会社に知っていただくということが大切でございますので、私どもといたしましては、これまでもテレビ、新聞等の媒体を初めといたしまして、ポスターやリーフレット等によって制度の趣旨と早期の対応方について周知を図ってまいりました。また全国レベルでは、全国中小企業団体中央会とかあるいは全国法人会総連合といった、そういう中小企業を傘下に持っておられる関係団体を通じまして、また各県の法務局、地方法務局単位におきましても、地元の商工会とか法人会とか、また地方の通信媒体等を通じまして同様の広報、それからどう対応していただいたらいいかといったことについて周知を図ってきたところでございます。
 これによりまして、かなりの方々がもうその制度は知っておられる、ほとんどの人が制度は知っておられる。ただ、その対応をどうするかということに苦慮しておられる方はかなり多いのではないかと思いますけれども、そういう状態に至っておると思いますけれども、なお残された期間、同様の方法を繰り返し実施するといったことによって必要な対応をしていただくということについて努めていきたいというふうに思っています。
○千葉景子君 これは本当にそれぞれの企業の自主的な判断によるわけですから、法務省の方でああせいこうせいと言うことはできなかろうと思います。やはりできるだけ趣旨とそしてその手続方について周知徹底いただくということであろうかというふうに思いますけれども、専門家、税理士とかそういう者が関与していらっしゃる企業とかあるいは今のような団体が集約されている企業などは、十分にこのあたりの趣旨とか手続、わかっていらっしゃるかと思うんですけれども、むしろやはりこういうところから漏れるのは個人企業的なそういう部分ではないかというふうに思いますので、ぜひ今後とも周知徹底、そしてわかりやすい御説明などを続けていただきたいというふうに思っているところでございます。
 さて、これ三月三十一日までで、それ以降のことになるんですけれども、法律を、法の制度を法務省がむやみやたらに曲げるというわけにはいかないかというふうに思いますが、四月一日以降、法務大臣がみなし解散の公告をされるということになるんですが、その辺の手続といいましょうか、対応というのは大体どんなふうに予定をされるのでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 期限までに必要な増資または組織変更をしていただけなかった株式会社または有限会社につきましては、期間満了後速やかに法務大臣が官報で公告をするということになっておりまして、その公告の内容は、公告の日から二月を経過するまでに必要な増資または組織変更の登記の申請をしないときは、その二カ月を経過した日に解散されたものとみなすという旨の公告をいたします。それによって、その申請手続をその期限までにやっていただかないと、その日にその会社は解散したものとみなされるということになるわけであります。
 なお、その後の対応でございますが、そのようにして解散したものとみなされた株式会社あるいは有限会社は、当面、清算の目的の範囲内において存続するものとみなされるわけでありますが、解散したものとみなされた後におきましても、それからさらに三年内であれば会社継続の手続をした上で増資または組織変更の手続をとることによって会社を復活させることができるという手当ても講じられているところであります。
○千葉景子君 ぜひ、それぞれ努力を重ねてきている企業ができる限りこの期間に適切な対応がとれるように、今後とも法務省として抜かりない対応をしていただきたいというふうに思います。
 もう一点、商法にかかわる問題なんですけれども、商法改正も大分と何次にもわたって行われてきて、残り少なくなってきているわけですね、課題としては。その課題の一つとして、株式会社の決算書類の公開の問題が議論されていたかというふうに思うんです。その中で、登記所で決算書類の公開をしたらどうかというのが国会の議論の中でも出ておりました。これについて、その後、外国からも日本企業のディスクロージャー、公開度をもっとより一層というような要請もあり、そういう時代の潮流もあろうかというふうに思うんですけれども、このあたりの議論というのはその後進んでおりましょうか、あるいは一定の方向性などが見えてきているでしょうか、その辺についていかがでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 株式会社の計算につきましては、御案内のとおり、株主総会で承認された貸借対照表またはその要旨の公告という制度があるわけですが、実際には決算公告と呼んでおりますが、その公告はそれぞれの会社において履行されているわけではないということから、この貸借対照表等を官報や新聞紙に掲載するという現行の決算公告にかえて、その計算書類を登記所に提出いただいて登記所で公開するということにしてはどうかということがかねてから検討の対象になっているところでございまして、従来、国会の附帯決議においてもそういう制度の導入を指摘されているところでございます。
 この問題と他方、関連する問題といたしまして、中小規模の会社にありましては、監査役の制度はあるわけですが、この機能が十分に機能していないというところから、中小会社の計算の適正を担保するために一定の資格のある専門家のチェックを受けさせる制度を導入すべきであるという問題も同時にございまして、その問題との関係で、登記所に提出するのであればその前提としてそういうチェックを受けるという制度を同時に導入して、そういうチェックを受けたものを登記所で公開するということにすべきではないかという意見もあるわけでございまして、この二つの問題が関連するわけでございます。
 また、もっと広く中小会社にふさわしい会社制度というものを全体として考え直すべきではないかという御意見もあり、そういった中で考えるべきではないかという御意見もあるところでございます。
 そういった関係で、この問題については引き続き重要な検討課題と受けとめているわけでございますけれども、関係団体とかあるいはこういう制度、今申しましたような二つの制度、いずれも中小会社にとっては負担が増加するという抵抗もあるわけでございまして、そういった関係の調整がなかなか難しい問題があるということでございまして、なかなか早急に結論を出すということが難しい状況にありますけれども、今後とも私どもとしてはその調整を進めて成果が得られるように努力していきたいというふうに考えているところであります。
○千葉景子君 今お話を伺ってもなかなか難しいところはあるんですけれども、これも一定の方向をやはり今後つけていく必要がある課題であろうかと思いますので、また機会がありましたら委員会の議論なども積み重ねさせていただきたいというふうに思います。
 さて次に、ちょっと登記の問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 昭和六十年ですが、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律が審議をされまして、その中で衆参ともに附帯決議がなされております。いずれも幾つかあるんですけれども、その中で不動産登記法第十七条の地図、十七条地図とよく言われておりますけれども、この整備についてさらに努力をせいと、あるいは整備を図ることということで附帯決議がされています。これは国会で決議をしたことでございますので、その後この決議に沿って整備方あるいは御努力を重ねていただいているかというふうに思いますけれども、その辺についてはどうなっているでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のような附帯決議をいただいておりますし、私どもとしてもこのいわゆる十七条地図の整備ということは登記制度の基本をなすものとして大変重要なものであるという認識を持っているところでございます。
 その法律を成立させていただきました昭和六十年度から平成六年度までの間に、十七条地図として整備した枚数がどのように推移しているかということについて御紹介させていただきますと、昭和六十年四月一日現在で百五十万枚でございましたけれども、平成七年四月一日現在で約二百六十万枚ということになっておりまして、その間約百十万枚の地図を新たに備えたということになっております。
 この十七条地図の最大の供給源は、国土調査法の規定によって登記所に送られてくる地籍図でございます。かつては、送られてきた地籍図がそのまま法十七条地図として指定できないというようなものもございましたが、そのようなことがないように地籍調査の実施機関と緊密な連絡をとってまいりまして、そういうことの努力によって十七条地図の整備促進を図っているところでございます。
 また、法務局自身におきましても、昭和四十三年度から法務局の手で十七条地図をつくっていくという作業を行ってきておりますが、平成元年度以降は、これは法務局が行っている分量は現実には微々たるものでございますので、この重点を地図が最も必要であるいわゆる地図混乱地域、地図が大変混乱している地域を重点的に対象にして法務局としての地図作成作業を実施しているところであります。
 いずれについても今後一層努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
○千葉景子君 この十七条地図の整備というのがやはり公共事業や土地取引と密接にかかわっておりますし、経済活動などの大きな基礎になってまいりますので、ぜひ今後とも引き続いて整備促進に努めていただきたいというふうに思います。
 同時に、この司法書士法、土地家屋調査士法の改正の際に、いわゆる公共嘱託登記の処理というものを受けとめるといいますか、そういう意味で公共嘱託登記土地家屋調査士協会というのができております。公共嘱託登記については、現在でも司法書士会あるいはこの土地家屋調査士会などがかなり精力的に職務を遂行しているということが言えようかというふうに思いますけれども、やはり今後も行政の一定のスリム化とかあるいは迅速化あるいはスムーズな運用ということから考えますと、こういう専門的な問題というのはでき得る限りこういう職務団体などに委託をしていくということも必要かというふうに思います。
 そういう意味で、この公共嘱託登記の運用方について、実情とあるいは今後の対応の仕方、考え方がございましたらお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、官公署その他公共の利益となる事業を行う者が公共の利益となる事業に関してする登記、これは従来は官公署自体が行っておられるということが多かったわけですが、その手続の規模とか性質にかんがみまして、専門的を立場にある司法書士あるいは土地家屋調査士が関与して行う方がその適正迅速な処理のために好ましいという観点から、その受け皿として昭和六十年の改正によって司法書士、土地家屋調査士ともそれぞれ公共嘱託登記の協会という法人制度をつくったわけでございます。
 この制度は、そういった登記の迅速適正な処理に寄与するものであると考えておるところでございますので、できるだけ私どもとしてもそういう手続が十分に利用されるということが好ましいと考えているところでございまして、そのためには何よりもその公共事業が行われる官公署等の御理解をいただくということが大切であるというふうに考えております。
 これまでもいろんな機会を通じて、この制度の合理性とその積極的な利用についてそういった方面への周知を図ることとしております。その結果、徐々にではありますが、その受託の量も両協会ともふえてきております。今後とも協会と協力してその広報に努めて、その利用の促進を図っていきたいというふうに考えております。
○千葉景子君 ちょっと時間もなくなってまいりましたので、最後に大分観点が違った課題についてお尋ねをしておきたいというふうに思います。
 つい先般、十月二十七日ですが、さっきおいでになっていましたけれども、内閣総理大臣官房男女共同参画室から国の審議会の女性委員の割合、これがどうなっているかというのが発表になりました。これは実は政府では「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」において、およそ平成七年度までに女性委員の割合を一五%にしようということで、総理大臣以下大変努力をいただいているところでございます。先ほど北京での女性会議のお話もございましたけれども、やはり意思決定の場への女性の参画というのが大変重要な今課題になってきております。
 この発表によりますと、平成七年九月三十日現在で一四・一%になりました。一五%まであと一歩というところでございますが、その中で法務省を見てみますと、これが残念ながらちょっとまだ道のりが遠いなという感じがいたします。女性委員の割合が一一・九%ということになっておりまして、各省庁の中でも上から数えるよりは下から数えた方が早いというのが実情のようでございます。とりわけ、やはりどこもそうなんですけれども、職務指定の場合あるいは団体推薦、こういうところが多分難しい部分なのかなというふうに思います。
 法務省の方からも、七つ審議会を一応管轄をされておりまして、時間がないので申し上げませんけれども、それぞれ一覧をいただきました。総数百九名、女性が十五名ということで先ほどの数字になるわけでございます。
 ぜひ今後、改善方あるいは御努力をお願いしたいんですけれども、どうでしょうか、どういうところに難しいネックがあるのか、そういうところございましたらば、あるいは今後の御努力方、御決意のほどなどを事務方の方から、あるいはそれから最後には大臣の御決意のほどもお聞かせいただければ幸いだと思います。
○政府委員(原田明夫君) ただいまの問題は当委員会でもたびたびお取り上げいただきまして、審議会の女性委員の方々の任命について御関心をいただいておりましたところでございます。
 そこで、先ほど委員御指摘のように、九月三十日現在では法務省全体といたしまして一一・九%だったんでございますが、その後十一月一日に民事行政審議会が改組になりまして、ここで率が上がりましてようやく一三・八%まで参りました。御報告がおくれまして申しわけございません。大変微妙でございますけれども、法務省にとっても大変よかったと思っております。
 ただいまの御質問の中にもございましたけれども、法務省の所管しております七つの審議会のうち、実は中央更生保護審査会、民事行政審議会、矯正保護審議会というところでは大変高い率になっているわけでございます。ただ、問題は、副検事選考審査会、検察官特別考試審査会、公証人審査会、この三つが実はまだ女性の委員がございません。この点は大変問題だという面がございますのと、それから法制審議会におきましてもまだ三十名中三人、ちょうど一割という程度でございまして、まだまだふやしていかなければならないように私どもも考えております。
 ただ、ただいま御指摘いただきましたように、役職指定というところがございまして、例えば副検事選考審査会、あるいは検察官特別考試審査会、公証人審査会は試験ないしその特別な専門家の審査をするというところでございまして、役所の何々局長であるとかというような形でポスト指定、役職指定で定められているという点が一つあるわけでございます。そこらあたりの考え方はいろいろあるかと思いますが、やはり試験なり審査をするということになりますとある程度そのようなことも必要であるというふうに考えられてきたのではないだろうかと思います。
 ただ、ここらあたりについても私どもとしてはできるだけ何とか考えられないのかと思います。特に法制審議会なんかもそうなんですが、いろいろ学識経験者ということで部外から御推薦をいただく場合がございます。委員の属しておられます弁護士会の方々もそうなんでございますが、そうした場合に、それぞれの推薦母体におきましてもやはりさまざまな、役職指定でございませんけれどもそういうことが考慮された結果、推薦されてくる中に女性の方が含まれていないという面も従来はあったようでございます。
 しかし、そこらあたりも含めまして女性の参画を進めてまいるということにつきまして、政府全体の方針に法務省としてもできるだけ協力申し上げていきたい。特に先ほど申し上げました中央更生保護審査会、民事行政審議会、矯正保護審議会というところは一般行政の分野ででも法務省の場合いろいろ女性の活躍している分野でございます。そういうことからすると、全体の率を上げる面からもこのあたりにつきましては今後とも努力させていただきたい、そういうふうに考えておりますので、どうぞよろしくお見守りいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま官房長から御答弁を申し上げましたが、この問題は、きょう御質問があるからということでなくして、実は私就任をいたしましてからいろいろ官房長と相談をしたことがございます。そのうちの一つでございます。
 ただ、今、官房長から御答弁申し上げましたように、職務指定のような審議会であって、しかも小人数でございますと、なかなかこれは実際問題として難しい面がございますけれども、しかしなお、今、官房長から御説明を申し上げましたように、ほかの審議会等で考え得る余地が私はあるように思います。したがいまして、政府の方針でもございますし、これからさらにこの問題については積極的に検討をしてまいります。
 ただ、推薦をお願いする団体の方の御事情もあると思いますけれども、そちらの団体の方にも政府の方針もよく御説明を申し上げまして、できるだけ各省に比べて遜色のないようにやっていきたいと思っております。
○橋本敦君 警察庁にお越しいただいておりますので、まずオウム問題から質問させていただきたいと思います。
 最近の公判を通じても、またこれまでの捜査を通じても、オウム教団のまさに危険な犯罪的集団であるという実態が次々に明るみに出てまいりました。国民からは厳しい法令の適用と再発防止に対する強い要望があることは言うまでもありません。
 こうした中で警察当局としては、強制捜査開始以来今日まで、かつてないほどの大量の警官の動員を初めとして、いわば全力を挙げて捜査の徹底に尽力をされてきたと思うわけでございますが、そういった構えについて、これまで十分尽力されてきた、そういうことの中で現在の時点での捜査状況はどうなってどこに問題点があるか、まずかいつまんでお話しいただけますか。
○説明員(中島勝利君) オウム真理教の一連の捜査につきましては、三月二十二日に強制捜査に着手以来いろいろと事件検挙をしてきたわけでございますけれども、やはりそういう犯罪一つ一つの中で今まで私どもが犯罪捜査の面で経験をしたことのない犯罪史上類例のないような事件が次々と明るみに出て、その中には科学捜査知識というものを相当要求される事案もございました。それからまた、教団の内部のいわゆるリンチ殺人と称するもの、こういうふうなものは非常に外から見ていた場合にはなかなか解明をしづらい事件もございました。
 こういうあれを重ねて現在に至っているわけでございますけれども、特に今問題点というふうなことで御指摘をされるならば、地下鉄サリン事件等を敢行した被疑者を含めて特別手配を現在やっているわけでございますけれども、こういう人がまだ未検挙になっているということが、私どもは当面やはりこの問題の解決に全力を挙げていかなければいかぬじゃないかなというふうに考えている次第でございます。
○橋本敦君 今お話がありました容疑者の検挙という点について言えば、主要な幹部を含めて、もちろん麻原は先頭ですが、基本的には幹部のほとんどが逮捕されあるいは起訴されているという現状にほぼ来ていると思うんですが、残されている者として一般手配あるいは特別手配で何人ぐらいがまだ逃亡しているという状況ですか。
○説明員(中島勝利君) オウム事件の強制捜査開始以来今までに百四名を指名手配いたしております。このうち特に警察庁特別手配として十七名を指名手配しております。
 検挙でございますけれども、現在までに特別手配は十七名中十二名を検挙いたしまして、現在五名が未検挙という状況でございます。一般手配の方は八十五名を検挙して、総計になりますと九十七名を検挙しているという状況にございます。
○橋本敦君 そうすると、一般手配では未逮捕は二名ということですね。
○説明員(中島勝利君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 だからしたがって、特別手配五名はまだですが、主要な容疑者は基本的にはほとんど逮捕するというところまで来ておると、こう思うわけです。
 中でも最大の組織的凶悪犯罪であるサリンの問題ですが、サリンを製造した第七サティアンあるいは実験棟、こういったものはもちろん現在彼らがどのように使おうとも使えない状況であるし、またサリン製造の材料等についても基本的に押収されているということで、サリンを使った組織犯罪が行われる可能性というのは実際問題としてはもう基本的にはない状況まで追い詰めていると見ていいんじゃないでしょうか。
○説明員(中島勝利君) サリンを含めましていろいろ有毒物質の押収というものは、つくられたものも含めて相当数押収しております。いろいろ巧妙な隠匿の仕方をしておりまして、山中に埋めておったり、あるいは教団の中の、もう一見しても、どういろいろの角度から見てもわからないというふうなところに工夫して隠匿していたり、いろいろな形態がございました。今まで相当量のこういう原料も含めて押収をしておりますけれども、あわせて今まで逮捕等をしてある関係者の供述等もいろいろ詰めました。その結果、どこどこに隠匿をしているというふうな状況が明らかな場合は速やかに回収もしております。
 それで、サリンについてでございますけれども、私どもは以上のような判断から、まずサリンそのものが現在残存をしているという可能性というのは極めて少ないのではないかという判断をしているわけでございます。
○橋本敦君 伝えられたイペリットとか青酸ナトリウムという、こういう関係はどうですか。
○説明員(中島勝利君) 青酸ナトリウムについては、先般も日光の山中から押収をいたしております。
 それから、VXガスあるいはイペリットでございますけれども、今までの捜査におきまして、上九一色等のオウム真理教の施設におきまして製造はしていたのではないかなというふうに認められる状況でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、関係者等からの供述あるいはいろいろの角度からの判断をいたしまして、今申し上げたような有毒物につきましても、存在可能性というものは極めて少なくなってきているのではないかというふうな今認識をしているところでございます。
○橋本敦君 こういったものをつくるにはそれなりの施設、実験棟あるいは機械、それから原料、材料、そしてまた人員ということで特殊な技能を持った者もいるわけですが、そういったものはほとんど現在追及をされ、あるいは差し押さえをされ、警察の方で押収もしていますから、今おっしゃったように、基本的にはそういう状況はほとんど壊滅的に追い詰めているという状況だと私は思うんです。
 それで、今オウムの方はたび重なる警察の追及等の中で、オウム教団としての運営も非常に経済的にも行き詰まってきて、支部を撤収したり、あるいは信者を労働に連れていくというようなことも一部あったようですが、かなり支部の撤収とかそういったことで活動自体も後退をしていっておるという状況が伝えられておりますが、警察庁としては現状はどうごらんになっていますか。
○説明員(高石和夫君) ただいま先生おっしゃいましたように、かなり財政的にも困窮をきわめておるのは間違いなかろうと思います。
 それから、以前、富士山総本部あるいは上九一色に多数の出家信者がおったわけでありますが、これがやはり東京あるいは大阪の方に労働のため、つまりアルバイトで資金を稼ぐという目的で東京、大阪に移ってきておるという事実も把握してございます。
○橋本敦君 今、上九一色村に何人ぐらいの信者がおりますか。
○説明員(高石和夫君) およそ百二、三十名と把握しております。
○橋本敦君 全国的に信者がどれくらいおるか、これはなかなかわかりがたいところだと思うんですが、その百二、三十名おるという信者は、今現実に、見たところ、何をやっていますか。
○説明員(高石和夫君) 彼らは施設の中で修行に励んでおります。
○橋本敦君 彼ら自体の行動そのもので、今私が指摘したような事業を使いあるいは組織的に拉致その他犯罪行為に出るという状況は、今感知はされておりませんね。
○説明員(高石和夫君) 現在のところ特異な動向は見当たりません。
○橋本敦君 オウムの犯罪行為を絶対に再発させてはならぬというのはそのとおりですが、私は、今お話があったような状況で、かなり彼らを追い詰めてきていると思うんです。これから公判も進められる。そして宗教法人法による裁判所の解散命令が確定をすれば、清算人が財産の清算手続に入ります。そうすると、施設を全部管理して、信者をそこから出ていかせることもできるし、社会復帰に一歩近づけていくというきっかけにもなるだろうし、それからそういった活動の経済的な資産的な基盤、それ自体を失っていきますから、当然活動も後退をしていくという状況が出てくる。
 そういう状況で、宗教法人法による解散命令を早く確定させて、速やかにその面からも進めていくことが必要でありますが、それが早く進められることも犯罪の再発をさせない上で大変重要な課題であるというように思いますが、この点、法務大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(宮澤弘君) 今の具体的なオウムということになりますと、公安調査庁で調査をいたしております最中でございますので、具体的なお答えは申しかねますが……
○橋本敦君 いや、私の質問はそれを聞いてない。
○国務大臣(宮澤弘君) 一つの組織として依然として活動的なものを持っている、社会的な実態としてそういうものが存在しているということでありますれば、それに対する対策は考えていかなければならないと思っております。
○橋本敦君 大臣、私の質問をよく聞いていただきたいんですが、オウムは社会的にも遣い詰められ、警察の努力、裁判所の努力、検察官の努力によって犯罪実態が明らかになり、厳しい法の適用も進んで追い詰められつつあるというんです。それで、宗教法人法に基づく解散命令が出ましたから、これを早く、速やかに確定するように検察官にも努力していただいて、そしてそれが確定すれば清算手続に入りますから、そういう意味で活動基盤である財産の処分ということを通じても組織的な活動を抑えていくという上では大変プラスになるのではないか。それは当然ではありませんかということをお伺いしているんですが、それはそれでいいんでしょう。
○国務大臣(宮澤弘君) 組織的な活動というものをなるべく行わせないような措置を講ずるということは必要だと思います。
○橋本敦君 いや、どうも話が合わぬな。そのためにも今の解散手続を速やかにどんどん進行させることはプラスになり、そのことをさらに検察官は進めるために努力してもらうべきだと思いますが、それは努力してくれるんでしょう。そういうことですよ。
○国務大臣(宮澤弘君) おっしゃるとおりだと思います。
○橋本敦君 やっとかみ合いました。
 それで、きょうも野村委員から破防法の適用をすべきだという御意見がありましたが、私は前回にも言ったように、破防法などという基本的人権に重大なかかわりのある、憲法違反の疑いの、可能性の強い破防法を今さら持ち出すのは反対という立場でお話しをさせてもらっておるんです。
 この破防法の適用について野村委員からも御指摘があった、公安調査庁がこの破防法の適用手続を進めることについて、それは公安調査庁の専権事項だということではないかという質問がありました。それは私はとんでもないと思うんですね。一行政庁でありますから、その行政庁の判断については、行政機関のそれなりの責任ある法務大臣も最高の責任ある総理大臣も御意見をおっしゃり判断をされる、当然それは当たり前だと思うんですね。この点については法務大臣、私の意見と違いがありませんね。
○国務大臣(宮澤弘君) 処分の請求をいたしますのは破防法に基づいて公安調査庁の長官でございますけれども、公安調査庁も法務省の一組織の中でございますので、法務大臣といたしましても当然それについての判断をいたすべき立場にございます。
○橋本敦君 だからしたがって、専権事項などということは事実上も行政組織法上も法的にも成立しない、成り立たない議論だと私は思うんです。
 そこで、この問題について総理大臣は、破防法の適用云々の問題についてはみずからも判断権を持っていらっしゃる立場での答弁ですが、宗教法人法による解散請求が出された以後の事態もよく検討して、その上で判断をするという答弁をなさっておられます、私はそれは当然だと思う。今言ったように、現状でもここまで追い詰めておる、そして宗教法人法による解散手続がこれが確定しさらに進められた場合に、再発防止にさらに一歩進む可能性も絶大ですから、そういった状況もよく判断しなければならないというようにおっしゃったのは私は当然の御判断だと思いますが、法務大臣、その点はお変わりないでしょうか。
○国務大臣(宮澤弘君) 私どもはかねてから法と証拠に基づいてということを申し上げております。証拠というのはむろん過去から今までのことでございまして、行政判断をいたします場合に、その時点における過去からそれまでのいろいろな証拠というものを判断の基本にするという考え方でございます。
○橋本敦君 したがって、今おっしゃったその時点におけるというのは、現在私が指摘したことも含めてよく検討していただく必要がある。つまり、警察庁の話を聞いても、かなり徹底的な捜査によって、オウムの再犯、暴力行為の再発という点については、もうサリンはほとんど使うようなことはあり得ないというところまで追い詰めているし、幹部の大多数は逮捕しているということで、なるほど残っているけれどもそれは少数だしということで、再発の可能性が現に具体的に存在するかどうかという点については、むしろそうではなくてオウムを追い詰めていっているという状況が出ているということが大事なんです。
 だから、破防法で言っているところの暴力主義的破壊活動というのは、信者がいるから抽象的に行われるだろうということはこれは要件に合致しないので、暴力主義的破壊活動という具体的な破壊活動がさらに行われるという明らかなおそれがなきゃならぬ、そういう明らかなおそれが認められるという、それを認めるに足りる十分な理由がなくちゃならぬ、これは法に要件を定めていますよね。これはやっぱり厳格に定めているのは、この破防法の適用が基本的人権に深くかかわるからでしょう。だから、そういうことからいえば、オウムの信者がまだ残っている、何人かが、数名がまだ逮捕されずに逃亡しているというそのことだけで、今言ったような明らかなおそれがあるというように認定するということは破防法自体から見ても許されないわけですね。
 そういう観点からいって私は、今警察庁からお話があったような状況、それから宗教法人法に基づく解散命令の今後の推移、そして現在彼らが今何をやっているか、今お話では修行に励んでいる、アルバイトに行っている程度だというような状況もしっかり踏まえて、破防法の適用はみだりにやるべきでないということを申し上げて、この問題は終わって次の質問をしたいと思います。
 次の問題は、千葉委員からさっき御質問がありました最低資本金の問題で、私もこれを質問として用意しておったんですが、もう時間がなくなりましたので、これはまた続いてやることにして、先ほど民事局長からお話があった数字からいたしましても、最低資本金を達成していない会社の数は約百万近いはずだと推定されるわけです。大体そういうことでいいですか、まずこの点。
○政府委員(濱崎恭生君) 先ほど申しました割合で大体そういう数字になります。
○橋本敦君 そこで、この法律が出されたときに我が党は厳しく反対したんですが、圧倒的多数の中小企業が日本にある。この中小企業が一千万あるいは有限会社三百万、簡単なようだけれども、本当に中小企業は余裕なく資金繰りに苦労しながらやっていますから、そう簡単ではありませんよ。もしこれが達成できないということでどうやるかというと、現に営業している中小企業でもまさにみなし解散をやられてしまうわけでしょう、ですから、生きている会社を一千万の資本金調達ができないからという理由だけで、そこにいる従業員もあれば機械も動いているわ、取引先もある。現に活動しているんですよ。現に活動しているそういう中小企業を、今おっしゃったように来年四月一日にでも公告をして、二カ月以内に資本金達成ができなかったら法律の力で解散するんですから、いいですか、生きている赤ん坊を絞め殺す、子供を絞め殺すに等しいことをやるんですよ。
 だから、その解散ということで、法務大臣の公告が出されて二カ月後までにできなかったらいや応なしにそこでまさに清算法人にされてしまうんですから、もう営業活動できなくなりますよ。従業員はどうなりますか。掛けていた火災保険や労災保険、失業保険どうなりますか。あるいはいろいろ認可を受けていた、宅建業法できちっと認可を受けていた、それは法人で受けていますから消滅するでしょう。
 それは日本の中小企業というのは、この法案が出されたときに、平成二年、なるほどバブルの時代だから多くの社会的感覚として一千万ぐらい資本調達はいいだろうというようなことでやられたんだが、今の深刻な不況の中で中小企業は相次いで倒産している。これはもう本当に大変でしょう。日本の全労働者の七割以上中小企業で働いています。大企業といえども莫大なすそ野の中小企業があって成り立っているんですから、日本における中小企業を守るということは、これは政府の重大な政策課題だ。ところが、資本金一千万調達できない、倒産していないんですよ、営業やっているんですよ、だがその余裕がないというだけで百万近い会社のうち何十万か知りませんが法律上消滅させられる、こんなことをやっていいんですか。
 その一つとして、私は具体的にいろいろ聞きたいんですが、時間がありませんが、そういうことをやってはならないから、阪神一淡路大震災の場合はどうしました。阪神・淡路大震災に伴う法人の破産宣告及び会社の最低資本金の制限の特例に関する法律を政府は出している。そして、この特例法によって、大阪及び兵庫県の区域内に本店がある会社については、来年の平成八年ではなく平成九年三月三十一日まで猶予期間を一年延長しましたね。私はこれは当然だと思うんですよ。
 しかし、今中小企業の当面している問題というのは、阪神・淡路、大阪、兵庫だけじゃないです。まさに深刻な不況だから政府はその対策で本当に真剣にやっていかなきゃならぬそのときに、一方で百万近い中小企業を絞め殺すというようなことをやっていいんですか。こういう点については、まだ来年三月まで余裕がありますから、法務省としては中小企業をどう守るかという観点に立ってこの問題にどう対応するか、本当に真剣に考えていくべきだと私は思います。
 具体的にどうするか。私は、この阪神・淡路大震災と同じように法務省の責任で猶予期間を延期することも一つでしょうし、それからまたさらにこの法改正ということで中小企業の意見を聞いて新たな手だてを考えることも一つでしょうが、抜本的に対応を今から考えていく必要がある。
 法務大臣、その点について、中小企業を守る立場からこの問題をどうお考えになりますか。この問題について、来年三月までに真剣に考えていただく必要があると思いますが、どうお考えでしょうか、その点を伺って終わりたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) まず事務当局からお答えさせていただきますが、この最低資本金制度を平成二年の法改正で実現いただいたわけですが、委員も御案内のとおり、この成立に至るまで大変長い間の議論を経て成立したものでありまして、この株式会社一千万、有限会社三百万という金額を決めるに当たりましても、さまざまな意見の中の調整が行われた結果、法制審議会における審議の経過から見ますと、現実受け入れ可能性ということを考慮した控え目な金額ということで法案を作成し、成立させていただいたわけであります。
 また、導入に当たりましては、制度の円滑な定着を図るということのために、先ほど千葉委員の御質問にお答えしましたように、五年間の猶予期間を置いて、特にどうしても一千万、三百万円に達しない会社については、一般には有限責任会社から合名・合資会社への組織変更はできないことになっておりますが、特にこの場合については組織変更をすることができる。すなわち、どうしても資本金を調達できない会社はとりあえず合名会社または合資会社へ組織変更をしていただくという道も設けて存続の道を図ったということでございます。
 さらに、先ほども御説明しましたが、所定の手続を経て解散したものとみなされた場合におきましても、なお三年間は会社の継続決議をして必要な増資またはどうしてもできない場合には合名・合資会社への組織変更をすることによって会社を復活することができるという手当てをしているわけでございます。
 そういう十分な手当てをさせていただいて法律として成立させていただいたわけでありますし、これまでも、また現在なお日々この制度を満たすべく増資の登記をしておられる会社がたくさんこれまたあるわけでございまして、これからもなお多くの会社があと残された期間内に努力をされて最低資本金を満たす、あるいはどうしてもできなければ他の会社組織への組織変更ということで対応されると思います。
 そういう会社とのバランスをも考慮する必要があると考えておりまして、したがいまして、その適用をおくらせるということは適当ではないというふうに考えております。
 以上です。
○国務大臣(宮澤弘君) ただいま政府委員から御答弁を申し上げましたが、本件につきましては相当程度の手当てがなされているところでございますので、既存会社に対する最低資本金制度の適用をおくらせることは適当ではないというふうに考えております。
○橋本敦君 納得できません。またやりますから。
 きょうは終わります。
○本岡昭次君 私は、きょうは法務省の旧日本軍の従軍慰安婦関係資料の問題に絞って質問をいたします。
 法務省は一九九五年より、第二次世界大戦における戦犯裁判関係資料の調査を始めています。その調査結果として「BC級戦犯被告概見表」と「戦争犯罪裁判概史要」という二つの資料が法務省に保存されているはずですが、これは保存されていますね。
○政府委員(永井紀昭君) 委員御指摘の「戦争犯罪裁判概史要」と題する本を持っております。
 それからまた、「BC級戦犯被告概見表」というのは、これは多分「戦争犯罪裁判概見表」という、こういう書類ではないかと思います。そういう資料を持っております。
○本岡昭次君 総理府の外政審議室が日本軍の慰安婦問題の実態を解明するために、一九九一年から一九九三年にかけて関係各省庁に資料の提出を求めました。法務省はバタビア臨時軍法会議の記録を提出しています。その記録では、インドネシアのジャワ島で、オランダ人女性を慰安婦とした軍人、民間人十人が死刑を最高に七年、十年、十五年、二十年という有期刑の判決を受けていますが、この資料を提出した事実の確認をしたいと思います。
○政府委員(永井紀昭君) そのような資料を提供したことはそのとおりでございます。二年前の八月でございます。
○本岡昭次君 私の手元にその資料がありますが、ここには慰安所で女性に売春を強要するなどの戦争犯罪行為を行ったことによって有罪判決を受けている、このことは確認できますね。
○政府委員(永井紀昭君) このジャワ島セマラン所在の慰安所関係の事件及びジャワ島バタビア所在の慰安婦関係事件の報告でございますが、これは実は法務省のこういうBC級戦犯に関する資料というものの性質をちょっと御説明させていただきますが……
○本岡昭次君 いや、そんなのじゃなしに、今の私の言うたことだけ答えてもらったらいいんです。
○政府委員(永井紀昭君) それは出しておりますが、その報告を出したのは何から基づいて出したかということを一言御説明したいと思っております。
○本岡昭次君 いや、それはよろしい、時間がないから。
 私の手元に「破られた沈黙 アジアの「従軍慰安婦」たち」という本があるわけです。ここにインドネシア関係でジャンヌ・オヘルネさん、一九二三年生まれの方でオーストラリアに今在住されております。この方の手記をちょっと早口で読んでみます。
 私はオランダ人です。私が十九歳だった一九四二年、オランダ領東インドを侵略した日本軍によって、ジャワにある捕虜収容所に入れられました。収容所には三年半いたのです。最初、アンバラワ収容所にお母さんと二人の妹と一緒に入れられ、ここに約二年間いました。
 一九四四年二月のことでした。大勢の日本の軍人たちがトラックで到着したので、収容所が騒がしくなりました。「点呼のために呼び出されるのだ」と思いましたがそうではなく、「十七歳以上の独身女性は中庭に整列しろ」という命令が出されました。
 少女たちと母親たち、収容所にいるすべての人が力の限り抵抗しました。あたりは悲鳴や叫び声・泣き声に包まれました。しかし、敵の前には従うしかありませんでした。私は聖書・祈祷書・十字架を鞄に入れました。その時、これらが私を守ってくれる武器のように思えたからです。六人の少女が加えられ、結局十六人が無理やりトラックに入れられました。
 トラックは、セマラン郊外の丘陵地帯の道に入り、大きな家の前で止まりました。私を含む七人が降りると言われました。そして、一人ひとりに部屋があてがわれました。その夜、私たちは恐怖の中で抱き合って、祈ることで勇気を奮い立たせようとしました。
 次の日、やって来た日本人が「日本人の性の
 慰みのためにここにいるのだ」と私たちに説明しました。私たちは強制売春の奴隷にされたのです。ちょっとあとは読むにたえませんから省きますが、最後の方に
 セマランの「慰安所」には少なくとも三カ月はいたと思います。彼らは私の青春を目茶苦茶にしました。と書いてあるんですね。そして、
 これが私の話です。ほぼ五十年にわたり守ってきた沈黙を破って上げる叫びです。また、日本軍に捕らえられ、ジャワのあちこちの収容所で私と同じ苦難をくぐり抜けてきた約二百人の勇気あるオランダの少女たちの話でもあります。こういう本、ここにずっとたくさんの方の証言があるんですよ。戦争犯罪なんです、はっきり言って。
 そこで、私はここに書かれてあるセマランというところの慰安所、そこで行われた性的奴隷、ここで言う蛮行、これを裁いたバタビア臨時裁判所とこれはやっぱり一致するわけですね。これは一致するんです、中身が、ほとんど一致する。
 そこで、一体この裁判の記録は、法務省ではどのようにこの記録は資料として保存されていたんですか。
○政府委員(永井紀昭君) 法務省にはそういう公式記録は何らございません。
 ただ、先ほども御説明申し上げようと思いましたのは、このBC級戦犯の記録を法務省が昭和三十年から収集し始めましたのは、それまで各省庁がいろんなものを持っていたりするものを集めたものでございまして、実は戦犯裁判につきましては、BC級については何ら公式記録を我々日本国としては受け取っておりません。ほとんどその資料は、被告人本人がたまたま持っていたものであるとか、遺族の方が持っているとか、あるいは弁護人として関与された方がメモ書きをされたものとか、そういう雑多な資料を集めたわけでございます。
 そういう関係でバタビアのあれにつきましても、正式記録といいますか公式記録は一切ございません。従軍慰安婦の問題が起きまして急いで調べたのですが、どうもオランダ語で書かれた起訴状の写しと判決書きの写しらしいものがあるというので、それで二年前に急いでオランダ語を翻訳していただきまして、それを見たところ、これは多分間違いないだろうという推定ができましたので、多分これはこういう事件があったろうということで報告をした、こういうことでございます。
○本岡昭次君 その努力は歩といたしますが、それでは、そこまで御努力いただいたのであるならば、このグアムにおける従軍慰安婦問題もなぜ同じように調査ができなかったのかということなんです。
 ここに私が持っておりますのは、グアム島の日本人に対する起訴理由概要ということの中で、日本人が原住民婦女を慰安婦として日本軍にあっせん、売淫せしめた罪によって終身刑、そして減刑で十五年になったというこの起訴理由概要というものがある。これは法務省の資料としてあったわけなんです。それを入手したんです。法務省にある資料として間違いないですね。
○政府委員(永井紀昭君) この「概見表」というものは、収集を始めるに当たって、いろんな雑多なものから多分こういうことがあったんではないかというものを全部一覧表にして整理したものでございます。そのときには、中身が本当かどうかというより、多分こうではないか、こういう話も聞いているということで全部整理して、いわば整理表のように索引としてつくったものでございまして、中身が本当かどうかはちょっとわからないわけでございます。
 そこで、実は、これはまだ終戦前のときのグアム島における裁判で、戦争裁判の概見表の中には確かに、今、委員御指摘のとおり、原住民婦女を慰安婦として日本軍にあっせん、売淫せしめたとの起訴理由概要が記載されております。これは、ある民間の男性でございますが、ところがこの方につきましては、その起訴理由概要の中にも、実は、ちょうど日本軍が昭和十六年十二月に占領したときに立ち会った方でございますが、米軍の司令官を殴ったとか、あるいは米国旗を侮辱したとか、あるいは米国人からエンジン二台を強奪したとか、あるいは地元民を日本軍の飛行場建設に従事させたとか、そういったいろんなたくさんの訴因らしきものが並んでおります。
 この方につきましては、実は客観的な資料が何もないんです。昭和三十七年に実は、その方はもう高齢の方らしいんですが、聞き取りをやったんです。ところが、中身がよくわからない、何が理由で判決を受けたのかもよくわからないと。こういうようなメモ書きだけが一部残っておりまして、客観的な資料がないものですから、これはどうにもならないということで報告はしなかったという、こういうことになっております。
○本岡昭次君 いや、ないとかどうにもならないとかって、これをお渡ししますよ。グアム裁判記録ですよ。これは日本の国立国会図書館にあるんですよ。そして、一九八八年三月三十一日に一般公開しておるんですよ。それを入手しておるんですよ。グアム裁判記録ということでこの膨大な資料の中に、慰安婦関係の証言、そしてそれに対する起訴状、判決、いわゆる慰安婦に対してですよ。これだけマイクロフィッシュを戻したんです。私はちょっとこれだけの英文をとても、とてもやない、初めからわからへんけれどもね、私は。おたくらやったらこれを、さっきオランダ語を訳してバタビアの裁判の分を資料として出したんでしょう。それならこれをちゃんとあなた入手して、グアム島裁判の記録を、裁判の問題なんだからやりなさいよ。何もオランダやらインドネシアまで行かなくたって、ついそこにあるんです、この資料が。国会図書館がGHQの協力を得て入手して一般公開しているんです。どうしますか、これ。ほっときますか、このまま。
○政府委員(永井紀昭君) 国会図書館にはGHQ関係の資料、マイクロ化した資料が保管されているという話は承知しております。ただ、私どもその中にグアムの裁判記録があるかどうかというのを確認したことはございませんでした。今まで国会図書館の方に……
○本岡昭次君 これからどうするんですか。
○政府委員(永井紀昭君) もし資料提供いただけるんでしたら調べてみたい、こういうふうに思います。
○本岡昭次君 いや、提供していただけたらって、あなたが行って、国立国会図書館に法務省が行って、これ一般公開されておるんですよ、入手されたらいいじゃないですか。
 大臣、こういうことなんですよ、事実は、法務省の関係している人の感覚が。やってくださいね、これ。これだけの中身をどういうものであるか解明してくださいね。約束してください。
○政府委員(永井紀昭君) 今突然のお話で、私ども本当を言いますと、本当にそういうものがきちっとあったか確認していなかったものですから、改めてそういう確認作業をさせていただきたい、かように思います。
○本岡昭次君 ひとつよろしくお願いします。
 それと、先ほどおっしゃいました「戦争犯罪裁判概史要」というこの本の二百六十七から二百六十八ページの中に、BC級戦争犯罪裁判起訴事実調査表というのがありますということを書いた本があったわけなんですが、出典としてこれは確認していただけましたか。
○政府委員(永井紀昭君) 確かにそのような記載がございます。
○本岡昭次君 はい、それで結構です。
 その中に、どういう起訴事実であったかという区分があります。それをずっと読んでいきますと、強姦百四十二件、売春強制三十四件、婦女誘拐二件というのがあります。私は、この従軍慰安婦問題をずっとここ五年ばかり追及してきましたけれども、この売春強制というのはこれは従軍慰安婦問題であろう、こう考えるんですが、法務省の見解はいかがですか。
○政府委員(永井紀昭君) 確かに「戦争犯罪裁判概史要」の中に戦争犯罪裁判起訴事実調査表というのが整理されておりまして、その中に売春強制という項目があることも事実でございます。
 ただ、この資料は、昭和三十年から約十五年間、当調査部の顧問あるいは参与として戦犯資料の収集調査の作業に携わった方々からの報告書という性質を持っておりまして、その収集の過程においてはいろんな文献調査なんかもやられていろいろやっておられたようでございまして、それが、その当時執筆された方はいずれも故人となっておられまして、この売春強制という言葉の意味そのものにどういうふうに定義をつけられたかというのはちょっと確認できておりません。そういう意味で、すべてが従軍慰安婦を意味するかどうかということもちょっと今の時点では確認できないという、こういう状況でございます。
○本岡昭次君 それでは、ぜひ確認をしていただきたいのであります。
 その上で、この裁判国です。それは要するに三十四件の内訳となります。米国が一、オランダが三十、中国が三、合わせて三十四という数字が出てくるわけです。米国の一というのはグアムの一ではないかというふうに私は思うんです。オランダの三十というのは、先ほどのバタビア臨時軍法会議ですか、そこで裁かれた十人のほかにまだ二十人、どこかにこの資料が眠っているんではないかと推察できます。中国三、これは一体どういうことなのか。
 従軍慰安婦問題について、今政府は、女性のためのアジア平和国民基金ですか、何か一億総ざんげみたいなやり方で国民からカンパを集めてやろうとしております。私は大反対なんです。国が責任も明らかにしないで、あなたのお父さんやおじいさんもひょっとしたら従軍慰安婦にかかわっているかもしれないから、その償いのために国民は金を出せという、そんなやり方は間違っていると思うんです。国がまずきちっと責任をとって、そしておわびをして個人補償をやって、その後を、国民が私たちもというんならわかるんですけれども、順序が全く逆だと思うんです。
 そういうときですから、私、今このことを問題にしておるんですよ。その集めたお金を従軍慰安婦の方に渡すというんでしょう。ところが、従軍慰安婦というものが、いつ、だれが、どのようにして組織したのか、何人いたのかということがわからないでやっているんです。そんなばかなことがありますか。
 だれが、いつ、どのようにして従軍慰安婦を組織したと、何人いたと、中国に何人、フィリピンに何人、インドネシアに何人というふうに、従軍慰安所がどこにあって、そこに何人の従軍慰安婦がいたと。その人たちは原籍は、朝鮮半島から来られた、現在の韓国とか朝鮮民主主義人民共和国の人は何人、中国の人は何人、台湾の方は何人、また日本から行った人もおるだろうから何人というふうに、そういうことができて初めて実態がわかるんです。
 実態も真相もわからないのに、国民から金を集めて、やれおわびのためのカンパをするんだという、こんなことができるはずもないし、そんなことがこのことを問題にしている世界の人たちから日本は立派なことをしたということには絶対に私はならぬと思うんです。
 だから、法務省は法務省なりに、一体従軍慰安婦と、私たちにとって恥ずべきこと、口で語るも本当に恥ずかしい思いをしなければ物が言えない、こういうことを過去の日本軍はやってきた。だけれども今、その実態をみんながしんどくてもつらくてもやらなければしょうがないんです、これ。だから、法務省は自分たちの関係するものをしっかりと調査をして出してきてほしいと私は言っているんです。
 そういう意味で、米国の一、オランダの三十、中国の三は一体何なのか、責任を持ってこれを法務省調べ上げてください。法務大臣、いかがですか。
○政府委員(永井紀昭君) この「概史要」の中の起訴事実調査表といいますのは、これはどうも起訴事実の数室言っているんではないかと推測されまして、もともと法務省がいろんなところから引き継いだ資料としてそういうものが全部この中に含まれているかといいますと、特に中国関係なんかはほとんどないというのが現状でございます。
 私ども、長年整理をしてきた中にそういったものがあるかどうかをまた改めて検討するということではやぶさかではございませんが、とにかく資料の範囲が非常に、どこまで手を伸ばせてやれるのかどうかということについては、余り自信がない面もあるという問題もございます。
○本岡昭次君 大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤弘君) 何分五十年前のことでございますので、一体どこまで正確な調査ができるかどうかわかりませんけれども、法務省が持っております資料についての、そういう意味の調査というのはできるだけいたしたいと思っております。
○本岡昭次君 その一つが、先ほどちょっと嫌みになったけれども見せた、こういうことなんですよ。本当にやる気があるのかないのか、私は疑っているんです。
 なぜならば、私が一九九〇年六月にこの従軍慰安婦問題を予算委員会で取り上げたときに、まず政府の答弁は何であったかというと、そんなことは知りません、民間人が勝手に連れ歩いたんでしょうと、こう逃げたんですよ。そんなことはないと言ったんだけれども、政府は調べないんですよ、調査をしない。仕方がないので私たちがやったんですよ、民間人の人たちが。
 私だって、あなた、GHQの持っている資料をアメリカの公文書館の中から、そういう探す力のある人の協力を得て探し出して、そして政府にこれは何ですかと。アメリカの捕虜が沖縄からハワイヘ連れていかれたと。しかし、その捕虜と言われておる人の中に女性の名前があるじゃないかと。その当時、日本軍は女性を軍人にしていなかったはずだと、その女性とは何だと、これは恐らく従軍慰安婦ではないかと言ってこうやる。そういうことで仕方なく渋々と政府は調査に乗り出したんですよ。そういう経過がありますから、本当に皆さん方があるべき資料、出すべき資料を全部出し切ったのかということに対して私は疑問を持つんです。
 しかし、それは無理からぬと思うんです。厚生省やいろんなところへ頼みに行ったら、先生こらえてくださいと。今でも手いっぱいなのに、先生が言われるように、そうしたら、倉庫へ入ってわあっとかき回して見ている間に、私の責任ある仕事はだれがどうしてくれるんですかと、こう言われるたら私もつらいです。
 だからこれは結局、この従軍慰安婦問題の真相を解明するためには、真相を解明するための特別のチームを組むなりそのためのやはり組織を一つ設けるなりして、そしてそのことだけを専任する人を集めてやらなければ、さあ厚生省だ、法務省だ、外務省だという縦割り行政の中でそれぞれある資料を出してきなさいとやったって、だれがそれでは本気になって集めるか。集めたら、ようやったと言って、おまえはよう集めた、課長にしてやるわと、そんな問題でもないでしょう。むしろ出してきたら、おまえ、要らぬものを出してくるなというぐらいの状況じゃないかと私は見ておるんですよ。だから、本気になってひとつやっていただきたいと思うんです。
 そこで、最近日本を訪問した、この従軍慰安婦問題についての特別報告官のラディカ・クマラスワミさんという方がおいでになりました。これは国連の人権委員会の公式の調査団であり、ある人に言わせると、国連から正式の調査団が日本を訪問したのはリットン調査団以来のことだと、こう言う人もありますが、しかし正式の国連の人権委員会の調査団であったことは間違いない。
 この方が一週間ほど日本に滞在されて、この従軍慰安婦問題をずっと聞き取りをなさいました。法務省にも行かれた。そのときに、ラディカ・クマラスワミさんは、先ほど私が言いましたこのグアムの資料ですか記録ですか、そういうものが法務省にあるんではありませんかと言って尋ねられたところ、対応した人がそのことについて精通されている方でなかったということもありました。何かわかったようなわからぬようなことで、この資料は結局ないということになって、その後、国連の正式の調査団に対して法務省が資料の提出を拒否したという形になったようであります。
 私はこれは人ごとだと思うんです。先ほど聞きますと、いやそうじゃないと、後できちっとおわびをして前後関係を説明して正式の報告をクマラスワミさんにしたと、こうおっしゃいました。それはそれでいいでしょう。しかしながら、事実、グアムの資料がないのかというと、たとえあなた方の言うこれは公式の記録ではないんだとおっしゃるにしても、こういうのがあるんですよ、これ。記録か資料かというと、皆さん方は、いやそれは記録ではありません、資料ですとおっしゃるそうですね。ようわからぬですね、記録と資料がどう違うのか。しかし、あることは間違いないと思うんです。
 そして、ここに国立国会図書館のこうしたGHQから日本に渡されたこの資料がある。だから、こういうものをきちっと国連の調査団に、要請された以上、要請に誠実にこたえていくのが今の法務省の立場じゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(永井紀昭君) 「概見表」自体が資料だと申し上げておりますのは、それは、例えばグアムのこの事件だけ見ましても、御本人から聞いたところだけを一応メモをしておいて、それが果たして客観的な証拠があるかどうかを探ってみたんですがそれがなかったという、こういうことでございまして、それ自体が公式記録であるとか真実であるとかというものではないという性質のものであります。
 ところで、クマラスワミさんがおいでになりましたのは、実は私どもの調査部にはおいでになりませんで、何か外務省からは女性の暴力に関する刑事法制について説明の場を設けられたいということで、これは刑事局が対応されたようでございます。私ども調査部は全く知らなかったんでございます。
 ところが、訪問された際、刑事局で対応されたわけですが、クマラスワミさんが、ジャパン・タイムズにグアムの戦犯記録を法務省が隠しているんではないかというようなこういう新聞記事が出ているけれどもこれはどういうことですかという、こういう御質問があったようでございます。これはジャパン・タイムズに出た記録、新聞でございます。それで、事実関係の確認を刑事局にされたようでございますが、刑事局ではちょっとそれがわからなくて、調査部の方で確認いたしますという答えでそのままで終わったようでございます。
 それで、早速調査部に連絡ございましたので私どもの担当官が参りまして、これは実は記録がございません、決してうそを言っているわけじゃございません、それらしい客観的なものでもあればいろいろ何とか対応するんですが、今のところ見当たりません、本人が言っているのを見てもよくわかりません、こういう状況ですということを御説明いたしました。またジャパン・タイムズにも、何も法務省が隠しているものではございませんという投書を載せていただきました。
 そういうことで、クマラスワミさんにも直接お会いして説明し、あるいは文書も出し、またジャパン・タイムズにも掲載していただいた、こういう経緯がございます。
○本岡昭次君 時間が来ましたので、最後に法務大臣に御答弁をいただいて終わります。
 約三十分近く、私は従軍慰安婦問題の法務省に関係する問題について質問いたしました。それで、一番今欠け落ちているのは真相が解明されていないということなんですよ、真相が。しかし、私は、解明されていないというよりも、政府が、各省庁が本気になってこれを解明しようという意思があるのかという問題だと思っているんですよ。私はここで、やはり国際舞台の中で大きな役割を果たそうとしている日本です。国連の中でも重要な地位を占めなければならぬ、世界の信頼、名誉、そうしたものを私たちは大事にしていかなきゃいかぬが、従軍慰安婦問題というのは文字どおり恥部ですよ、のど元に刺さったとげですよ、これ。こういうものをあいまいにしておったらだめです。
 だから、法務省は法務省として、ひとつ法務大臣、もう一度従軍慰安婦関係のすべての資料を調査して、そしてそれを公開する。これは見せられませんとか、これはだめですとか、そういうことじゃなくて公開する。そして、政府の責任で真相はこうだということを公表させていくということをぜひとも閣僚のお一人としてやっていただきたい。このことについての法務大臣の決意をひとつ伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤弘君) 先ほども申しましたように、半世紀前のことでもございますし、なかなか調査には人手も要します、時間も要すると思います。しかし、法務省のかかわっております資料につきましては、今もおっしゃいましたけれども、公開をするに当たってやはり正確性なりなんなりというものもチェックする必要がございます。そういうことで、内容の正確性についても十分検討しなければなりませんし、あるいは個人のプライバシーに関することもあるかもしれません。でありますから、そういうことも当然考慮に入れて、できる限りそれは調査をいたしたいと思っております。
○委員長(及川順郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会