第134回国会 外務委員会 第8号
平成七年十一月二十九日(水曜日)
   午前十時四十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十一日
    辞任         補欠選任
     伊藤 基隆君     照屋 寛徳君
     小島 慶三君     武田邦太郎君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     田村 秀昭君     木暮 山人君
     武田邦太郎君     小島 慶三君
 十一月二十九日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     田村 秀昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木庭健太郎君
    理 事
                笠原 潤一君
                野沢 太三君
                寺澤 芳男君
                矢田部 理君
    委 員
                大木  浩君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                成瀬 守重君
                矢野 哲朗君
                田村 秀昭君
                高野 博師君
                畑   恵君
                川橋 幸子君
                照屋 寛徳君
                立木  洋君
                小島 慶三君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外 務 大 臣  河野 洋平君
   政府委員
       防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君
       防衛施設庁施設
       部長       小澤  毅君
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務大臣官房審
       議官       谷内正太郎君
       外務省総合外交
       政策局長     川島  裕君
       外務省アジア局
       長        加藤 良三君
       外務省北米局長  折田 正樹君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    法眼 健作君
       外務省経済局長  原口 幸市君
       外務省条約局長  林   暘君
       大蔵大臣官房審
       議官       尾原 榮夫君
       大蔵省銀行局保
       険部長      福田  誠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   説明員
       外務大臣官房外
       務報道官     橋本  宏君
       大蔵大臣官房審
       議官       永田 俊一君
       厚生大臣官房審
       議官       矢野 朝水君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム
 社会主義共和国政府との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書
 の締結について承認を求めるの件(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、伊藤基隆君が委員を辞任され、その補欠として照屋寛徳君が選任されました。
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○委員長(木庭健太郎君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィエトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及びサービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○武見敬三君 それでは、まず一般質問から始めさせていただきます。外交と世論という観点から御質問をさせていただくことになります。
 今日の外交政策を検討するに当たりまして、世論の果たす役割というものを無視してこれを検討し策定することはできないという状況にあることは、民主主義国家であるならば明らかであります。しかし、我が国の現状においては、外交政策の立案、そして決定、実行の過程におきまして、世論というものが十分にそしゃくされ、健全な形でその政策に反映しているかどうかという点に関しましては、まだ必ずしも万全の体制とは言えないのが実情ではないかという気がしてならないわけであります。
 そこで、外務省としての外交政策の中での世論の位置づけという点について御質問をさせていただきたいわけでありますが、具体的には外交青書という一つの公文書を例に御質問をさせていただきたいと思うわけであります。
 平成五年版の外交青書、この版から外交青書の中におきまして「外交体制」という第三章の最後の第三に初めて「外交と世論」という項目が登場するわけであります。この中で世論について、ただ単に御理解をいただくという対象としてのみとらえるわけではなくて、むしろ「世論の高まりを外交政策にいかしていけるよう、外交の実施体制を強化していくことが必要である」というふうに書かれております。去年発刊されたこの外交青書の場合には、そういう意味では非常に積極的に世論を取り込もうという姿勢がこの中にある。
 他方で、ことし出版された一九九五年の外交青書の場合に、同じ「外交と世論」という項目の中での書き方は、はるかにその位置づけが低下をして、結果としていわば外交政策について御理解をいただく対象としてのみ世論を位置づけているという内容にどうもなっているようであります。
 なぜ外交青書の中で世論の位置づけが昨年とことしと比較した場合にこのように変化をしたのか、また内容的にはむしろ後退をしてしまったのか、その点についての御説明をいただければ幸いでございます。
○説明員(橋本宏君) 今の武見先生の御質問でございますけれども、当省といたしましては、まさに御指摘のとおり外交を展開するに当たって国内の方々に広く御支持を得なきゃいけないということは常日ごろ思っているところでございまして、それに従いまして外務報道官組織としてもいろいろな形で事業を展開しているわけでございます。
 したがいまして、我々として意図して先生御指摘のような世論に対する働きかけを薄めていこうとしたわけではないということを御説明させていただきたいと思います。
○武見敬三君 この場合に重要なことは、世論の意向をどのような形で健全にそしゃくをして外交政策の中に生かすかという側面と、それからある一定の既存の外交政策についていかに世論により正確に理解をしていただくかという二つの側面があるわけです。この二つの側面の中で、昨年の外交青書は双方をともに強調しているという点が特徴であります。
 ところが、ことしの外交青書は、後者の御理解をいただくという側面のみについて言及がされているという点は、明らかに世論の位置づけという点からすれば後退ということに一般的にはならざるを得ない。こういう書き方がされているということは、すなわち外交政策の中での世論の位置づけがどうもきちんとした形で定着していないのではないかというふうに一般的には見られてしまう。これは極めて不適切なことであって、やはり本来はあってはならないだろうという気がしてならないものですからその点についてお聞きしているんですが、いかがでしょう。
○説明員(橋本宏君) 我々は、本来それを意図したものではございませんでしたけれども、先生の御指摘は非常に重要でございまして、今後とも世論の動向をよく見、そこからくみ上げるべき意見というものをくみ上げ、それを外交政策に反映していくように今後とも引き続き努力してまいる所存でございます。また、外交青書の中にそのような記述がなかったということは、我々はそういった努力をしないということではございませんので、先生の御指摘を今後に生かしてまいりたいと思います。
○武見敬三君 そうすると、外交体制の中に世論を健全にそしゃくするための体制を整備する、強化する必要があるという去年の外交青書の中にあった姿勢、それが現在の外務省の基本姿勢であると理解してよろしいわけですね。
○説明員(橋本宏君) そのとおりでございます。
○武見敬三君 では、本日の課題のベトナムとの租税条約に関連した質問に移らせていただきます。
 この租税条約は二重課税あるいは脱税等を防止するための条約として関係諸国と結ばれているわけでありまして、内容もOECDモデル条約案に沿ったものということであり、内容的には特に問題があるものとは思われません。問題があるとすれば、むしろ協定内容を実行するベトナム政府側にあるというふうに思われるわけであります。
 第一には、徴税上の国内法の整備状況が果たして十分であるか否か。第二に、政府の徴税組織の整備状況がどういう状況であるのか。第三には、実際に税務当局者が国際慣習上の未成熟さを持ち、法律概念等についても理解不足であった場合には、そういう協定があったとしても政策上の一貫性というものに欠如が生じてしまうのではないかというようなさまざまな問題点が表出する可能性が出てくるわけであります。
 具体的に一つ例をとって、特に外務当局から御説明をいただきたいと思うわけであります。
 例えば、我が国の場合には、仮にA社としておきましょう、このA社は石油関連の会社でありますが、ベトナム石油公社と事業契約を結ぶ。その事業契約の内容というのはいわゆるプロダクト・シェアリング・コントラクト方式の契約でございまして、石油の採掘に成功するまでのコスト及びもうけの何割かを、商業ベースに乗った後、配当の形で分配する契約というふうに承っております。この契約の方式ですれば、配当に当然課税されることになるというふうに理解をするわけでありますが、ベトナム石油公社の場合には現行ではいわゆる生産分与契約というものを外国石油会社と締結をしておりまして、その生産分与契約というものの内容は個人所得税以外のすべての税金をベトナム石油公社が負担する、そういう内容になっているということであります。
 こうした日本側A社とベトナム石油公社との契約内容というものは通常非公開になっているわけであります。この場合に、いかにしてベトナムにおける課税実態というものを的確に把握して、この租税協定に基づいて日本において該当する日本の石油企業に適切に課税するのかという問題が当然この結論として出てくるわけであります。
 この場合に、ベトナム政府側の税務当局の果たす役割が決定的に重要になってくるわけでありますが、ベトナム側のこうした契約等の内容についての把握、そして納税状況等についてのいわば管理能力と申しましょうか、こういったものは果たして十分に期待し得るものであるのかどうか。この点について外務当局から御説明をいただけたらと思います。
○政府委員(加藤良三君) 最初に私の方から一般的な状況を御説明申し上げまして、その後、別途個別論に入らせていただきたいと存じます。
 ベトナムは御承知のとおり社会主義の計画経済システムから市場経済システムへの移行期にあるわけでございまして、そのために今日の租税制度は先進諸国の制度に比べますといまだに整備の途上にあるということは言えると思います。しかし、ベトナム政府は民法とか一連の法整備に努めておりますし、各種税法の整備、税制改革にも力を入れておることは事実でございまして、租税制度の整備は着実な進展を示しているというふうに言えると思います。
 また、今回の協定締結交渉の過程でベトナム側の租税制度についていろいろ調査、照会を行うところがありましたけれども、この協定の適正な運用に支障を来すような重大な不備というのはないのではないかという結論になっております。私たちといたしましては、ベトナム側の租税制度のもとにおいてもこの協定が適正に運用されていくものと考えております。
 例えば投資家への保護については、協定上の相互協議、二十四条などの当局間協力の仕組みを活用し得るわけですし、また日越ハイレベル経済協議の実施なんかの機会に我が方の問題点を提起することもございましょうし、そういうことを打って一丸として本件協定の適正な運用は確保できるのではないかというのが私どもの考え方でございます。
○武見敬三君 それで、実際にある程度具体的な石油企業に関連した一般的なケースについてはいろいろあるわけでありますが、時間の関係で次にサービス貿易に関する一般協定の第二議定書の方の質問に移らせていただきます。
 この内容も金融サービス分野に関しまして世界貿易機関の関係加盟国が一層高い水準のサービス貿易の自由化を達成することを目的としております。日本は主要な金融サービス貿易国であり、多角的貿易体制の発展に寄与する見地から極めて有意義であるという御趣旨の説明があったかに思いますが、内容を吟味したところ、まさにそのとおりということと承りました。ただ問題は、金融サービス分野におけるサービス貿易の自由化というものをこうした協定の趣旨に沿って国内できちんと施行しているのか、あるいはし得るのかというのは、そういう国内における自由化推進の努力にかかわってくるように思います。
 これとの関連で御質問させていただきたいのは、米国はこの第二議定書に署名をしていないわけでありまして、米国が署名していないことによって生ずる問題というものは、今年二月十三日に調印された日米間の金融サービスに関する措置の取り決めによって十分に解消し得るのかどうかという点についてお聞きしたいと思います。この辺についてはいかがでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 米国は、確かに先生おっしゃるように、最恵国待遇義務からの広範な免除登録を行っているわけでございます。その際に挙げた理由といいますのが、一部開発途上国の自由化約束の内容が不十分であるということでございました。また、日米間におきましては、日米通商航海条約上、一般的に最恵国待遇を付与することが義務づけられております。また、先ほど先生お触れになりましたけれども、金融サービスの決着文書あるいは昨年合意になりました保険の決着文書におきましては自由化措置を最恵国待遇の原則に基。づいて実施することを確認しております。
 そういう点を総合的に考えますと、米国が我が国に対してこの分野で差別的な措置をとるということはないと思っておりまして、我が国が不当な不利益をこうむることもないというふうに我々は理解しております。
○武見敬三君 わかりました。
 この日米間の金融サービスに関する措置の中で、サービス貿易に関する一般協定の内容と同様に厚生年金基金のアクセスへの改善というものが取り決められております。この取り決めを通じて果たして積極的に我が国で自由化の努力が行われているのかということを検証してみようとしますと厚生省の御意見を伺わなければならなくなりますが、厚生省は特に厚生年金基金の運用拡大枠というものを現在の三分の一から二分の一に拡大するということ以上に、より積極的な自由化というものを求めておられる。他方で、大蔵省の銀行局はそれに対して必ずしも同調をしていないというようなお話も伺っているわけでありますが、その点に関する御答弁をちょうだいしたいと思います。
○説明員(矢野朝水君) 今御指摘のございましたように、厚生年金基金の資産運用につきましては、運用拡大枠が三分の一ですとかあるいは預託銀行別にいわゆる五・三・三・二規制とか、こういったいろんな規制があるわけでございます。私どもとしましては、これは世界に例のない規制でございますし、年金基金の運用にとりまして制約となっておるということでございます。こういった規制を撤廃していただきたいということをかねてからお願いしているわけでございます。特に生命保険会社につきまして最低保障利回りを四・五から二・五%に下げる、こういう話もございまして、それであればぜひこの機会に規制撤廃をして自由化していただきたいということで現在交渉中でございます。
○委員長(木庭健太郎君) できるだけ簡潔に答弁してください、時間がぎりぎりですので。
○説明員(永田俊一君) それでは簡単に御答弁させていただきますけれども、規制緩和の方向で私どもも検討をさせていただいておりますが、先ほど先生がおっしゃられました三分の一を二分の一に拡大した後のさらなる拡大ということについては、技術的な問題もございますし、それから加入者保護の観点から、あるいはこの基金の運用体制の整備、あるいは運用失敗によります基金破綻の問題も現在生じておりますので、そういう際のセーフティーネットの拡充等、環境整備を進めつつ検討する必要があるというふうに考えておりまして、今後検討していきたいと思っております。
○武見敬三君 できるだけ政府内におきましてもこうした協定の趣旨に沿い、かつまた国内官庁の趣旨にも沿った形でより積極的に自由化の努力が進むことを期待して、私の質問を終わります。
○畑恵君 平成会の畑でございます。本日、時間が短縮になりましたので、そうした関係上、一般質問の方を先にさせていただきます。
 まず、さきのAPECにおきます外務省の広報体制及び情報開示の必要性の認識について伺ってまいりたいと思います。
 幾つかの問題がございますけれども、今回のAPEC大阪会議は国内外を合わせて約二万大規模の報道陣が集まってさまざまな報道活動をした。そうした中で、今回は俗に言われますぶら下がりが禁止されたということがいろいろなところで、私も以前の仕事の関係上、ぶら下がりが禁止されたということで、正常な報道活動の中でそれがやはり障害になったという声を多く聞きました。
 私がもとにしておりますのは十一月十七日に毎日新聞が掲載をした記事でございますけれども、これによりますと、今回は政府関係者以外は会議が行われるホテル自体からシャットアウトをして、そのかわりに一カ国数人のみが代表で会議の冒頭取材を許可されたと。ですから、こうなりますと、プレスセンターで発表される外務省の会見が唯一の情報源になってしまうということで、大変にジャーナリストに対しては活動が制限されるということになるんです。通常こうした会議の中でぶら下がりをここまで禁止してしまうということは非常に珍しいと思うんですけれども、なぜ今回の会議においてこのような措置をとられたのか、伺いたいと思います。
○説明員(橋本宏君) このたびのAPEC大阪会合に際しまして広報体制の責任者は私でございましたので、私から御説明させていただきます。
 このような大きな国際会議というものを東京以外のところでやったのは今度初めてでございまして、私どもといたしましては、できるだけ内外のプレスの方々に会議の模様を正しく報道していただくと同時に、一方において各国各地域の首脳、大臣の方々の安全の確保というものも守らなきゃいけない。両方の間で非常に悩みました。
 その結果として、ある程度の規制に伴う取材制限というか取材の機会が狭まざるを得なかったというのはまことに申しわけない次第でございますけれども、その中では、会見場への記者のアクセスも認められたところもございますし、その間でぶら下がりというものはやっていただきました。河野外務大臣もぶら下がりの取材を受けたことがございます。したがいまして、ぶら下がりそのものをやめたということはございませんで、そういう機会が今までよりも少なかったなということは、御批判を受けますけれども、規制上やむを得なかった点も御理解をいただきたいと思います。
○畑恵君 確かに板挟みになられるということは今回の会議に限ったことではございませんで、これはあらゆる会議、国際会議等々にすべて共通の問題でございます。
 そうした中で、やはり今回「禁止」という見出し自体に、そういうことを完全に撤廃したわけではないというお答えでございましたけれども、ただそれは報道を実際制限された者たちが禁止に非常に近い感触を得たということで「禁止」という見出しを使ったのでございましょうから、やはりそういう中でセキュリティーと情報開示、どこに落としどころを持っていくかという中で、その落としどころの中立点が今回はセキュリティーの方に余りにもウエートを置き過ぎていて問題があったのではないかというような声が上がっていたのは事実でございますので、ぜひこの部分を踏まえられて、次回からは、セキュリティーはもちろん大事でございますけれども、あわせて情報開示もできるようにということを重ねてお願いいたしたいと思います。
 また、加えまして、特に諸外国から来た方々に対してのプレスというのが日本語だけであった部分が非常に多かった、そういう御不満の声も私のところには届いておりましたので、ぜひとも各国語で、幅広くなさる努力はもちろんなさっていると思うんですけれども、なお一層の御努力をなさって、高級事務レベル協議後の会見はなかったということでございますけれども、ぜひこれぐらいのレベルに関しては各国語でなるべく多く対応していただければと思います。
 今のぶら下がりの問題と呼応する問題でございますけれども、そうした足で稼ぐ古来からの情報収集の方法とあわせまして、高度情報通信システムが非常に発展している昨今でございます。今回APECでもインターネットが活躍したということを伺っておりました。
 ただ、これは十一月二十七日の日経新聞の朝刊でございますけれども、このインターネットを利用するに当たって、外務省とあと地元のAPEC大阪会議協議会、こちらの方の地元のボランティア団体が設置なさったAPECインターネットというそのプロジェクトとの間に、いささか協力関係で問題があったのではないかとされる記事がございました。私の方も、これは双方にきちんと尋ねませんとどちらかの言い分だけを聞いて何か物事を申し上げるわけにはいきませんので、双方にお伺いを立てましたところ、実際かなりその間に隔たりがあるということを感じました。ですから、私自身がそこにいたわけではございませんので残念ながらこのことについて言及するわけにはいかないんですけれども、ただ確かに外務省とAPECインターネットというボランティアプロジェクトとの間に何かしら不満を感じた方がいたということは事実であったと。
 そして、あわせまして、外務省側が用意なさったインターネット利用のデモンストレーションシステム、こちらが六十四キロビット・パー・セカンドという、こちらの記事には最低と書いてありますけれども、決して多いとは言えない容量でございます。これに対して地元の方が用意なさったのは最高速が百五十五メガビット・パー・セカンドということでございますので、こちらは反対に非常に精度がよかったということで両者の開きが大きかったんだと思いますけれども、単純に計算して二千倍でございますので、やはりこういうものしか、これだけ大きな国際会議で、しかも議長国でそれだけの責務と期待を担った日本でありますのに、しかも経済大国で技術大国でありますのに、外務省が用意なさるものが地元のものの二千分の一の容量であった、そして両者の協力関係の中にも不満の声があった関係というのは非常に残念なことだと思うんです。
 私は、どうしてこういうことが起きたかというその背景に、やはり経済的な問題が非常に大きかったと考えております。そもそもなぜそういう不満の声が起きてしまったのか。両者の協力関係、信頼関係が一番最初につまずき始めだというのは、伺っておりますところでは、一番最初に数億規模の予算をこのインターネットの情報公開について外務省が用意なさる、そういう話がAPECインターネット側にあった。ところが、実際そういうことはなされなかったという中で、やはりこれだけの会議に向けて情報通信関連への予算を割く余裕がなかったんだと思います。余裕がなかったということ自体非常に大きな問題だと私は憂えております。このことについては、終えられてどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。
○説明員(橋本宏君) 今、畑先生御指摘の新聞は恐らく十一月二十七日付の日経だと思います。先生は非常に公平に見ておられて、この記事については問題にしないと言われましたので、あえてその内容について私が申し上げることはできないんですけれども、ただ全般として非常に事実と違ったことをこの中で言っておりまして、言われなき批判を外務省が浴びているということは極めて残念でございます。事実関係については、何ら別途の方法で何とかして説明していきたいと思います。
 それとは別に、予算につきましては限られた予算の中で我々は全力を尽くしているわけでございますけれども、今のインターネットの回線の送信能力ということにつきましては、結果として利用されたのが一日当たり最大三万五千件ということでございまして、これを処理するだけの能力はあったという事実はございます。ただ、今後とも技術はますます発達していくわけでございますし、また我々もできるだけ発信能力というものは高めていかなければなりませんので、またこのような機会がありましたときに、日本の考え方ができるだけ迅速に各国に伝わるように予算も含めて充実をしていきたいと思います。
 それから、地元のボランティアの組織と我々との間に誤解がもしも生じていたということであればこれは甚だ残念でございまして、これにつきましてもどうしてそのような誤解なり不満が生じたのか、別の機会に我々としてもよくそこら辺を調べまして、地元の方々と今後ともうまくやっていきたいと思います。
 恐らくこの国際会議はいろんな場において、また東京以外でもやることが多くなると思います。そういった中で、外務省と地元の方々との関係強化というのは非常に重要でございますので、その点十分に参考にさせていただきたいと思います。
○畑恵君 今のお答えの中で、確かに三万数千件というアクセスがあって、きちんと処理はして、パンクをしたわけではないというふうにおっしゃられたんですけれども、私としましては、そもそもそうした御答弁をなさるその認識自体がもう既に、今、高度情報通信システムがメガコンペディション、メガキャリアという流れの中で、日本が落ちこぼれて立ちおくれているというそうした流れの中では、パンクしないからよいというような、そういうレベルで考えていらっしゃるとすればいささか問題があるのではないか。先ほども申し上げましたように、日本は特にこの部門はこれからリードをすべき立場だと思いますし、またやはり先ほどのぶら下がりの問題と呼応する問題でございます。
 日本自身のイメージというのは、今の大和銀行初め、大蔵省に対する批判を含めてですけれども、密室主義であるとか護送船団方式であるとか非常に閉鎖的であるとか、そういうかなりネガティブなイメージをただでも持たれがちでございますので、そういうイメージを払拭するためにもやはり情報開示、広報体制の強化というのは非常に日本の中ではポイントを置くべきところだったと思います。そういう中で今回こういう問題が起きてしまったということに対してはやはり残念だと思いますので、ぜひまた次の会議に向けて改善をなさっていただきたいと思います。要望ということです。
 ちょっと時間もなくなってまいりましたけれども、協定の方を簡単に。
 まず、ベトナムとの租税協定の方について一問だけ質問させていただきます。
 先ほど武見議員のお話の中にもありましたように、ソフト、ハード両面でのインフラ整備というのがなかなかまだベトナムは整っていないところがあると承っております。ただ、日本との貿易体制というものにつきましては、ことし上半期の国別順位は第一位でございますし、九五年七月現在、累積投資額も台湾、香港に次いで第三位ということで非常に緊密な関係でございますので、ぜひとも今回の租税協定を含めてそうした関係をさらに促進させる動きをとっていただきたいと思うんです。
 そうしたインフラの整備に向けまして、ことしの二月に経団連の方から九項目の改善要望書が出されました。四月にド・モオイ共産党書記長が来日の際に前向きに善処するというような、そういうニュアンスでのお答えはいただいておりますけれども、これに対する具体的な回答というのがまだ来ていないと伺っておるんですけれども、これについての具体的なお答えというのはこちらの方に参っておるんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 私の承知いたしております限り、この件についての具体的な回答というのはまだだろうと思います。
 我が方としては、同じ問題点を先般四月の日越首脳会談の折に総理から提起した経緯がございます。それから、先ほど申し上げましたように、この租税協定自体が委員がおっしゃられるとおり対越投資の環境の整備に資するものと思っておりますのと、それから日越ハイレベル経済協議という外務審議官級の協議を実施すべく今準備中でございます。そういう場で我が国の直接投資を行う民間が直面する問題というのを政府として取りまとめて提起するといったような機会もまたあろうかと思いますので、そういう機会を通じて具体的な回答を取りつけてまいりたいというふうに考えております。
○畑恵君 ぜひとも御努力のほどよろしくお願いいたします。
 時間も来てしまいましたが、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書につきましては、先ほど武見議員からの質問の中で米国の離脱に関して一方的な制裁措置の危険性はないというお答えがございましたので、そちらの方はないということで、私の方は問題はないのではないか、このまま通させていただきたいと思います。
 質問を終わらせていただきます。
○川橋幸子君 社会党の川橋と申します。
 大変御苦労さまでございました。一日たちまして、時間短縮された一方では伺いたいことがたくさんあるのでございますが、コンパクトに伺わせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また、防衛庁の方には追加の説明を急遽お願いすることになりましたことを初めにおわびして、質問に入らせていただきたいと思います。
 本日の新聞の一面トップは、どの新聞も新防衛大綱の決定という非常に大きな記事でございます。各紙にそれぞれ大綱と官房長官談話が二本立てで紹介されているわけでございますけれども、大綱と談話というのはどの程度、どっちが重くてどっちが軽いのか。あるいはその中身の談話の中に盛られていることの中に、例えば私ども社会党が大変強く主張しておりました武器輸出三原則の問題ですとか、集団的自衛権の行使の問題ですとか、極東の範囲の問題ですとか、私どもが重視しているところが談話の中に多く盛り込まれているということでございますが、これはどのように考えていけばよろしいのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のとおり、武器輸出に関する三原則その他が官房長官談話という形で官房長官から発表されたところでございますが、この官房長官談話につきましても閣議で了承をされたものでございまして、村山内閣としての方針というふうに受けとめていただいて結構だと思います。
○川橋幸子君 あと伺いましたのは、集団的自衛権の行使の問題とそれから極東の範囲の問題でございます。ちょっと断片的ですが、重要な点ですのでよろしくお願いします。
○国務大臣(河野洋平君) これらも官房長官談話の中に盛り込まれております。
 これも今申し上げたとおり、村山内閣としてのきちんとした認識であり主張であるというふうにお考えをいただいて結構でございます。
○川橋幸子君 防衛庁の方は追加でお答えいただくことがございますか。
○政府委員(秋山昌廣君) 昨日、安全保障会議と閣議で「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱」について決定がございました。このタイトルにもございますように、防衛計画の大綱、防衛力の役割、そういったものについての指針でございます。
 他方で、従来から防衛計画が決定され、あるいは大綱に限らず防衛力整備計画もそうでございますけれども、閣議で決定されるときに通常、大体官房長官談話というものが発出されます。これは計画の内容ですとかあるいは大綱の内容について、その背景とかあるいは概要について官房長官が談話として発表すると同時に、そのときの決定の背景とか議論とかそういったものについてそこでまた官房長官が発言をされる、こういうことでございます。
 今御指摘がございましたように、集団的自衛権の問題あるいは極東の範囲あるいは武器輸出三原則等につきまして、この大綱の決定の過程で特に与党三党の中での御議論がございました。それから、集団的自衛権の問題については新進党の一部からも議論があったと認識しております。そういう問題について、この大綱の決定に当たって官房長官が特に談話で政府としての考え方を明確にしたというふうに理解しております。
○川橋幸子君 ありがとうございます。
 素人わかりがするように確認の質問をさせていただきたいのですが、そうしますと、大綱と官房長官談話といいますのはワンセットであって、いずれが重い軽いというものではない、その理解でよろしいですか。イエス・ノーで結構です。
○政府委員(秋山昌廣君) 防衛計画は閣議で決定いたしたものでございます。その閣議の決定に当たって、官房長官が政府の考え方を談話として発表したものでございます。我々の認識もワンセットという認識でございます。
○川橋幸子君 では、イエスということでよろしゅうございますね。ワンセットであって軽重はない、いずれもが重要なものであると。イエス・ノーでお答えください。
○政府委員(秋山昌廣君) 私が今答弁したとおりでございます。
○川橋幸子君 もうそれ以上は御無理かと思いますが、それではこういう尋ね方をさせていただきたいと思います。
 武器輸出三原則なり集団的自衛権の行使なり極東の範囲なり、これは今までの政府の基本方針でございます。今回はこれは変化、変更されていない、もしそれぞれの基本方針に変更がある場合には改めて国民の議を問うものであると。これもイエス・ノーでお願いいたします。
○政府委員(秋山昌廣君) 今取り上げられました三点につきまして、今までの基本方針を変更するものではないという御指摘についてはイエスでございます。
○川橋幸子君 それでは堅持していただきたいと思います。変わることのないものは堅持をお願いしたいと思います。
 もう一点、新防衛大綱の関係につきまして、これは外務大臣にお願いするお話でございましょうか。
 各紙とも表現は違いますが、大体、日米安保再定義を先取りしたものではないか、首脳会談における共同文書で発表することを実質的に先取りしたものであると。とすると、もう首脳会談の意義というものも薄れていくのではないかというようなコメントがなされておりますが、これについてはどのように考えればよろしいでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 新しい防衛計画の大綱の中には安保条約が不可欠であると明記してございます。これはまさに今お話しのとおり、我が国の防衛に日米安保条約の果たす役割を確認したという意味では確認と言っていいかと思いますが、他方、日米首脳対談におきます日米関係というものを語っていただくということもまたこれは極めて重要なことだと私どもは思っておるわけでございまして、日米首脳会談は日米首脳会談としての意味というものがあるというふうに私は思っております。
 ただ、今、議員がお話をなさった限りにおいて、我が国の日米安保条約に対する考え方がここで確認をされたということは、そう言ってよろしいかと思います。
○川橋幸子君 確認ということで再定義ということではないというふうに理解してよろしゅうございますでしょうか。新聞等の表現は再定義という言葉が使われ、かつて外務省もその言葉をお使いになったことがおありになったと伺いますが、再定義なのでしょうか、確認なのでしょうか。
○政府委員(秋山昌廣君) 日米安保体制のもとになっております一つの大きな柱が日米安全保障条約でございます。日米安全保障条約についてその内容を変更するものでもございませんし、その解釈につきましても、今御指摘がございましたように、変更するものではございません。これをベースにして日米安保体制ができ、そしてその日米安保体制をベースにして日米関係というものができている。これは従来からそういう考え方で繰り返し政府側も答弁してきております。
 ただ、冷戦下における日米安保体制と冷戦後における日米安保体制について、おのずから周囲の状況の変化あるいは条件の変化があるであろうと。その変化のあった後における日米安保体制についてはどうあるべきかということを、実はこの一年間以上、外務省ともども米側と議論をしてまいったわけでございます。
 そういう意味におきまして、我々は冷戦後の状況下における日米安保体制について再確認をしたということでございますが、それをマスコミで再定義という言葉で言っておりますけれども、特段我々はそこに余り大きな差異を感じてはおりません。
○川橋幸子君 それでは、連続性、継続性のあるという意味で確認された、状況の変化を含めながらも確認されたということですね。クリントン大統領訪日の意味がなくなったというわけではない、さらに日米がお話し合いになる重要なことがあるということはよくわかります。
 さて、訪日延期が取りざたされておりますけれども、外務省はできるだけ早い訪日をアメリカ側には重ねて御要望なさいますか。
○国務大臣(河野洋平君) 日米関係は極めて重要など申しますか、最も重要な二国間関係でございます。この二国間関係の中で首脳が会談をなさることの意味の大きさというものは今申し上げたとおりでございますが、せっかく計画されていたものが延期されているわけでございまして、私どもとしては双方の都合のいい最も早い時期に行っていただきたい、こう考えております。
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 それでは、沖縄の問題について一問お尋ねさせていただきたいと思います。
 APEC週間が終わりまして、沖縄の問題も山場を越えられまして、沖縄の大田知事も実りのある会合だったと評価されているようでございます。昨日は早速、実務者レベルの幹事会が開かれたと伺っております。沖縄の問題について県の要望は、目に見える形でということと、具体的にできるだけ早くということが要望のポイントではないかと存じます。ということで、昨日の幹事会の結果、そのあたりどのように、間もなく代理署名の訴訟も始まるわけでございますけれども、これは幹事会の段階の話し合いが非常に重要になってくると思いますが、昨日はいかがでございましたでしょうか。
○政府委員(折田正樹君) 昨日、二時間ほど幹事会を開かせていただきました。私どもの方から官房長官が冒頭出席されまして、古川副長官、北米局長、それから施設庁長官、沖縄からは、吉元副知事、高山政策調整監が出席されました。
 協議会が開かれたわけですが、その際に、主として沖縄県側より提起のありました米軍基地の整理縮小の問題、それから日米地位協定の見直しの問題、騒音防止協定の早期締結、それから基地被害等の軽減、それから三者連絡協議会の活性化について沖縄県側の考え方を詳細に説明していただきました。
 私どもは、大体十二月十五日ごろをめどに次の幹事会を開くということで合意いたしまして、次の会合では特に沖縄側から要請のありました日米地位協定の見直しについての十項目の話を一つ一つ詰めていこうということで、きのうの話し合いは終わったわけでございます。
○川橋幸子君 時間がございませんので、もう質問ではなくて要望ということで言わせていただきます。
 十五日の段階で、沖縄からの要求事項の中の一項目でも具体的に解決の風穴があきますように御努力をお願いしたいと思います。
 さて、きょうの審議はベトナム租税協定とサービス貿易協定でございます。最後にサービス貿易協定についてだけお伺いして、質問を終わらせていただきます。
 今回のは米国抜きの協定であることの問題が一番大きいかと思います。そこで、米国抜きであるこの協定の有効性というものはどのように考えればよいかそれから今後アメリカが参加してくる可能性があるのかないのか、それから日本側としてはアメリカの参加についてどのように努力をしていかれるおつもりかこの三点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。
 今回の金融サービス分野にかかわる継続交渉におきまして米国が最恵国待遇義務の適用を受け入れなかったことは、我が国を含むWTO各加盟国にとってまことに残念なことでございましたけれども、交渉全体として見ますと、米国抜きではございますけれども、最終的に主要国の大多数が最恵国待遇の原則に基づきつつ自由化約束を行うことに合意したことによりまして最恵国待遇原則が重要であるという認識が強まったということは重要な成果であったと考えております。今回の成果を基礎に、今後米国もまた最恵国待遇原則に基づく自由化約束を行い、WTO体制のもとでの金融サービス貿易の多角的自由化がさらに大きく進展することを期待しているものでございます。
 アメリカは、先ほど御説明しましたように、特に開発途上国の金融サービスの自由化が不足しているという理由で今回のような措置をとったわけでございますので、多分アメリカの決定を左右する一つのエレメントとしては、開発途上国サイドの金融の自由化がどれだけこれから進展するかという面もあろうかと思います。
 他方、我が国といたしましては、やはり重要なプレーヤーであるアメリカができるだけ早い機会に最恵国待遇義務というものを受け入れてくれることが必要だと思っておりますので、別途米国に対してその意義を主張して、ぜひ早期に我々と一緒に動くように勧奨していきたい、そのように考えている次第でございます。
○川橋幸子君 日米は重要な関係でございますので、ぜひ大臣もよろしくお願いいたします。
 終わります。
○立木洋君 サービス貿易の協定についての第二議定書で質問をいたします。
 戦争中の経過と経験によって一九四七年にガットが発足したということは、これはもう言うまでもないわけです。それで、数回のラウンドが重ねられてきたわけですけれども、当初の状況を見れば、やはりこの機構というのは、結局、一方的な考え方を相手に押しつけたり物事の判断を裁くというふうな機構ではなくて、経済的な主権をよく尊重し、祖父条項に見られるように選択の可能性というのはあったわけです。そういうものが東京ラウンドからは農業分野での問題が問題にされ、さらには今度のウルグアイ・ラウンドではWTOというふうな形で一括採択方式になって、我々は賛成できないという趣旨をやったんですが、この問題の中で特にその典型的な点がサービス貿易、とりわけ金融サービスに私は出ているんじゃないかということを非常に感じるわけです。
 それで、この問題で交渉が難航したという点については、局長さんの方ではいろいろな問題点があるということをたくさん知っておられるでしょうけれども、交渉が難航した最も主要な点は何だったのか、主要な点について日本政府のひとつ見解をお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) 最も主要な点といえば、これまで全くルールがなかった分野でございますので、新しくそのルールをつくるという中で、そういう新しい環境が一番大きな問題だったと思います。
 同時にもう一つだけ言わせていただければ、この金融サービス分野に関しては米国が入らなかったということでございます。それは、米国が実は自分たちの金融サービス分野が一番進んでいると思っておりまして、それ以外の国が最恵国待遇という原則のもとで入ってきますと、言ってみればフリーライドを許してしまって、他方において一層そういう国に対する自由化ということを求めるてこを失ってしまうということで入らなかった。そこが一番大きな問題点だったと思います。
○立木洋君 結局アメリカの状態を見てみますと、一九七〇年代から物に対する貿易は赤字がどんどんふえたんですね。しかし、サービス貿易の分野で言えば一九七一年から黒字に転化して、黒字幅というのはずっとふえたんですよ。だから、サービス貿易においては金融サービスだとかそれから通信なんかの分野での貿易を拡大してアメリカとしては自国の地位を保っていく、そういう考え方がやっぱり相当働いたということが私は背景にあっただろうと思うんです。
 同時に、これまでサービス貿易の分野というのは言うならば大体二国間でいろいろ話し合いが行われてきて、ある程度の枠組みというのが二国間でできているんですね。そういう状況の中で、これをこういう一般的な形で当てはめる、しかも急速にその拡大を要求してくるアメリカの意図に基づいてこれをやるということでは、そういうようなサービス貿易の分野で未発達になっているいわゆる発展途上国においてはこれはなかなか受け入れられない、こういうものを一括して審議するというのはどうなのかという抵抗があって相当これが難航した。手続上の問題とアメリカの意図との間でのギャップがあったというふうに私は思っているんです。
 ですから今の問題で言えば、例えば金融分野なんかの問題でいいますと、それぞれの国の金融当局が適当な時期に適切な措置をとるということをすべてこれが非関税障壁になるという形で自由化を要求されてしまいますと、その国の金融秩序を保っていく上では大きな問題が出てくるわけですね。だから、今、局長がおっしゃったように、これは初めての分野ですから相当やっぱり時間をかけて議論をするという必要も私はあっただろうと思うし、アメリカのそういうふうな意図で一方的に進めていくというようなことでないようなあり方というのも私は考えられてしかるべきではなかったんだろうかというふうに思うんです。結局最終的にはアメリカとしてはより高い水準の自由化を要求して、それが水準に達していないということで、自分としては加わらないよということになってしまったんですね。
 だけれども、海運なんかの問題を見てみますと、アメリカは自分としては海運における自国船に対する保護措置というのは存続させているわけです。これはあえて自由化はしないと言っているんです。自分のところはそういう自由化はしないと言いながら、結局未発達の国における問題においては、いわゆる金融問題なんかでももっと自由化を受け入れなければおれはやらないぞというふうな態度というのは私はいただけないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○政府委員(原口幸市君) 今、先生御指摘のとおり、問題はいろいろあるとは思うんですが、よくよく考えてみますと、物の貿易でも最初は二国間のいろんな取り決めというのがありまして、そういう中からいろんな欠陥がみんなに理解されて、次第に多角的な形になってきたと思うんです。
 したがって、我々はサービスの分野において、私は冒頭これは新しい分野だと申しましたけれども、サービス貿易の分野においても二国間の取り決めという形で話は進んでおりますけれども、やはり将来的には多角的な枠組みをつくってこの分野でも貿易を拡大していくことが望ましいという考え方は、今度のウルグアイ・ラウンドにおいても基本的な哲学だったと思っております。最初のうちはいろいろと問題はあると思います。
 しかし、それにもかかわらず、そうした問題を乗り越えてこの分野においても多角的な枠組みをつくっていくということは重要だと思っておりまして、日本はそういう考え方でこの金融サービスの問題についても海運の問題についても対処していきたいと、このように考えております。
○立木洋君 これで最後になりますから、大臣ひとつお願いします。よく聞いておいていただきたいと思います。
 アメリカのいろんな文献を見てみますと、つまりサービス分野での各国からの自由化の約束を引き出すのは不十分だと、だからそういう点については最恵国待遇の例外措置の登録を行う意向というのは崩していませんね、アメリカとしては。ですから、これをてこにして各国に譲歩を迫っていくという戦略を引き続いてとっていくという状態に私はなっていくだろうと思うんです。
 先ほど原口局長がおっしゃった日本に対してはそういう最恵国待遇を維持していくという書簡が来ておるということは、私も承知しております。しかし、アメリカの議会側としては金融報復法案を九四年、九五年に上程されていますね。これはクリントン大統領だけの意図がまた米側の議会の意向もあるでしょう。そうなってきますと金融分野においていろいろ、これはもう時間がないから具体的に言いませんが、日米二国間の中でもやっぱり米側としては相当問題にしている点があるんですね。これらの問題についてはどういうふうに対処していかれるのか、アメリカはどう考えているのか、どういうふうに対処していくのか。
 それで、二国間だけでの取引をするというのはやらないでほしいということが先日のWTOの文書等にも出てきておりますから、この問題についてはきちっとした対応が私は必要だと思うんです。とりわけアメリカの態度を私としては厳しく考えるならば、批判的にですよ、厳しく考えるならば、この問題の日本の対応は必要だと思うのです。あと反対討論に時間が必要なので、簡潔で結構ですからよろしくお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほどから政府委員が申し上げておりますように、アメリカが参加をしていないということについて我々は非常に残念に思いますと同時に、アメリカを加えて多角的自由貿易体制というものの枠組みをきちんとつくるという努力を我々はこれから先もしていかなければいけないと思います。
 先般のAPECの会合などを見ておりましても、アメリカにはアメリカの御主張というものが相当強くありますけれども、しかしアメリカもきちんとマルチの場面で自分たちがやらなければならないこと、主張すべきこと、あるいは自分たちで自制すべきこと、十分考えてやっている部分もありまして、これは全体的な判断というものを、議会には議会の判断があろうかと思いますけれども、アメリカの政府当局には政府当局のそうした判断もちゃんと働いている部分もあるというふうに思いまして、私ども、もちろんきちんとアメリカを含めて枠組みをつくる、そういう努力をしていかなければならないと思いますが、一遍にできないこともございます。しかし、我々がやるべきことは徐々にやっていかなきゃいかぬというふうに思います。
○小島慶三君 私の時間が非常に少ないものですから、恐らく一問しかできないと思うんですけれども。
 一つは、私は前からベトナムといろんな関係がありまして、一番古くは国連のメコン委員会というのがありまして、あそこに十ばかりダムをつくるということで、環境問題だとかいろんな関係で議論がたくさんありまして、結局これは今でもまだ実現していないわけであります。国連メコン委員会のメンバーとして行きまして、私もいろんなことを感じたんだけれども、確かにポテンシャルのある国で、これから恐らくいろんな形で伸びていくであろうというふうに思って帰ってきたわけです。
 それからもう一つのかかわりというのは、メコンのメコンデルタ、あの地域で石油開発というのを最初にやって、ヒットしたわけであります。しかし、これは結局ソ連にとられたというか、そういう形になってしまったんです。
 ですから、ベトナムについてはいろいろ苦い思い出があるんですけれども、果たしてこの国のポテンシャル、それからもう一つは逆に安定度といったようなものはどの程度のものなのか。殊に中国が最近非常に軍事力を増強しておりますね。だから、ベトナムを含めてあの辺一帯がいわば第二次の冷戦の渦中に取り込まれるという危険性が果たしてないのか。この辺のことを、ベトナムの将来についてのお考えをぜひ伺わせていただきたい、こういうふうに思っております。
○政府委員(加藤良三君) ベトナムの政府自体は、国内的には御承知のとおりドイモイ政策を掲げまして経済発展を通じて民生の安定と国民生活水準の向上を図っており、それから対外的な面ではASEANへの加盟などの積極的な姿勢等を最近示していると思います。今、委員がおっしゃられた第二の冷戦的なものがその地域にできているかどうかという認識の問題はさておきましても、ベトナムがASEANの第七番目のメンバーとして加盟したということは、結局地域の安定に資するものではないかと我々はとらえているわけでございます。
 いずれにいたしましても、ベトナムは潜在力に富む国でございますし、将来性のある国だということでございますので、私たちは、地域社会と国際社会の安定と発展に寄与するためにはベトナムとの間に今のような積極的な支援、それを受け取ってもらうという関係、これがあることが重要だと認識いたしております。
○小島慶三君 十分御警戒になる必要があるというふうに私は思っておりますけれども、これは私の個人的見解でございますから。
 それから、あとサービス貿易の問題についてもいろいろお聞きしたいこともあるんですけれども、時間がありませんので、これはきょうはやめておきます。
 さっき武見さんの質問のときに、これから石油開発とかいろんな問題が出てくる可能性があるというお話だったと思うんですけれども、私も社会主義国との開発協定というのは非常に注意しなきゃならない面があると思っておりますので、これはそういうことだけは申し上げて、私の質問はこれで終わらせていただきます。
○佐藤道夫君 私からは、最初に外交上の儀礼の問題についてお尋ねさせてください。
 証文の出しおくれのような感もいたしますけれども、十一月六日、村山総理大臣がイスラエルのラビン首相の葬儀に参列しなかったその理由いかんと、こういうことであります。あの葬儀につきましては、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、いずれも大統領、首相が参列した。それから四十数カ国の首脳も参列した。エジプトのムバラク大統領も初めてイスラエルの地を踏んだというぐらいあの葬儀を各国が大変重く見ていた。
 外交というのは、内容も大事ですけれども、礼に始まり礼に終わるという礼儀の社会でもあるわけです。我々の家庭で何か家庭内の問題がある、それと並行して世間のつき合いの上での問題がある。どこの家庭でもやはり家庭内のことは犠牲にしまして世間のつき合いを大事にする、第一に考える、これは当たり前のことです。
 亡くなりました田中元首相がおもしろいことを言っておる。結婚式の欠礼は許されるが葬式の欠礼は人の道に外れるんだ、自分は何をおいても葬式に参列するんだと。彼の場合には票集めの目的も多少あったのかもしれませんけれども、いずれにしても葬式というものは大変大事なものであろうと、こう思うわけです。村山総理はまさか人の道に反するようなことをするお方ではないと思っておりますけれども、恐らくこの件につきましては外務省の方から官邸に対して総理の出席、参列を要望された、それに対して官邸はどういう返事をしたのか。その事実関係だけで結構ですからお話し願えればと、こう思います。
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと時間がたって正確でないかもしれませんが、あの日の朝、たしか六時過ぎにラビン首相の訃報を聞きました。そして、官邸とも御連絡をいたしまして、現職の首相、しかも総理とはここ一、二カ月の間に二度がなり親密にお話し合いをなさった相手、しかも中東という極めて重要な場所でもあるということを考えて対応をする必要があると思いますという意味のことを申し上げたと思います。もちろん官邸も十分そうしたことを御存じで、総理御自身、自分はたしか数週間前にラビン首相ともニューヨークで会っていて、もう本当にびっくりした、そして身近な人のように思えるので、自分としてはできれば行きたいというお気持ちを漏らしておられました。
 ただ、その当時、ちょっと正確にそこは私の記憶が定かでないので申し上げられませんが、総理としてはどうしても国を離れることができない重要な問題を抱えている、どうすることがいいかということでかなり考えられたと思います。私に対しましては、その日の十一時ごろだったと思いますが、どうしても自分は行かれないので外務大臣に行ってもらいたいという御指示がございました。
 お気づきだと思いますけれども、あの暗殺事件という大変忌まわしい事件が起こって、ラビン氏が亡くなられて葬儀が行われますまでに三十時間しか時間がございません。亡くなられてちょうど三十時間目が葬儀でございました。日本から現地へ参りますのに相当な時間がかかるということもあって、私は総理からの御指示でございましたから、その場で、わかりました、私が参りますという御返事をした次第でございます。
○佐藤道夫君 どうしても国を離れることができない重要案件を抱えているのは各国首脳皆同じだと思います。村山さんだけが忙しいわけではないと思います。
 それから、私は事実関係を聞きたいと、こう言ったのです。これは事務当局と官邸の事務サイドでの折衝が恐らくあったんだろうと思いますが、事務の方から申し入れをしたら官邸からは事務を通じてこういう回答が来た、村山首相はこういう用事を抱えておって出られないと言ってきたと、そのことを話していただきたい、こう言っているわけです。事務の方で結構です、大した問題じゃないですから。
○国務大臣(河野洋平君) 実はあの日はたしか日曜日でございまして、朝、私に直接、これは事務方からでございますが一報が入りました。直接官房長官とやりとりを私自身がいたしました。したがって、その間には事務方が入って相談をする場面は恐らくなかっただろうと思います。
○佐藤道夫君 多少意地悪い質問で恐縮ですけれども、その際、官房長官に対して、これだけ大事な葬儀ですからぜひとも総理に出席願いたいということを外務大臣として進言いたしたんでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど申し上げましたように、私は事の重要性については申し上げました。官房長官もその点は確かにそうだというふうに受け取られました。
○佐藤道夫君 どうも余り重要な意識がないようですが、これで終わります。
○委員長(木庭健太郎君) 他に御発言もないようですから、二件の質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。立木洋君。
○立木洋君 私は、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書に対し、反対の討論を行うものです。
 貿易に対してサービス分野が扱われるようになった背景には、金融、通信など国際的にも圧倒的な競争力を誇るサービス分野の輸出拡大をねらって、途上国の門戸の拡大を進め、アメリカなどの利益の拡大をねらうものが反映しているというふうに考えられます。競争力が全く育っていない途上国の経済から見ても、こうしたやり方では公平公正、平等互恵の関係を発展させることは望み得ないということが第一点であります。
 しかも、我が国についても本協定で、例えば一億円を超える大口の資金移動の自由度が高まり政府のチェックが難しくなるということ、年金資金という国民の大事な資産を株などへの運用の多い投資顧問機関にゆだねるのは不安がある等々の問題もあります。
 さらに、アメリカのさらなる自由化への圧力的背景を考慮するならば、これらについては当然賛成できないものであるということから、反対の意思を表明して、討論を終わります。
○委員長(木庭健太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とヴィェトナム社会主義共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(木庭健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、サービスの貿易に関する一般協定の第二議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(木庭健太郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、河野外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) 発言をお許しいただいてありがとうございました。
 私は、特に委員長初め外務委員会の皆様方に、日本とベトナムの租税条約など非常に緊急性がございますこの審議に御理解をいただいて、本日委員会を特別にこうして開いていただいたことに心から感謝を申し上げたいとお礼を申し上げたくて発言を求めた次第でございます。
 ありがとうございました。
○委員長(木庭健太郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十七分散会