第134回国会 宗教法人等に関する特別委員会 第3号
平成七年十一月二十七日(月曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任
     藁科 滿治君     渕上 貞雄君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     風間  昶君     白浜 一良君
     横尾 和伸君     猪熊 重二君
     菅野 久光君     前川 忠夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         佐々木 満君
    理 事
                尾辻 秀久君
                関根 則之君
                松浦  功君
                白浜 一良君
                平井 卓志君
                渕上 貞雄君
                有働 正治君
    委 員
                上杉 光弘君
                岡部 三郎君
                鎌田 要人君
                久世 公堯君
                倉田 寛之君
                小山 孝雄君
                下稲葉耕吉君
                中島 眞人君
                楢崎 泰昌君
                服部三男雄君
                保坂 三蔵君
                村上 正邦君
                荒木 清寛君
                猪熊 重二君
                魚住裕一郎君
                大森 礼子君
                釘宮  磐君
                直嶋 正行君
                山下 栄一君
                和田 洋子君
                齋藤  勁君
                菅野 久光君
                竹村 泰子君
                前川 忠夫君
                峰崎 直樹君
                阿部 幸代君
                本岡 昭次君
                国井 正幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   村山 富市君
       通商産業大臣   橋本龍太郎君
       法 務 大 臣  宮澤  弘君
       外 務 大 臣  河野 洋平君
       大 蔵 大 臣  武村 正義君
       文 部 大 臣  島村 宜伸君
       厚 生 大 臣  森井 忠良君
       農林水産大臣   野呂田芳成君
       運 輸 大 臣  平沼 赳夫君
       郵 政 大 臣  井上 一成君
       労 働 大 臣  青木 薪次君
       建 設 大 臣  森  喜朗君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    深谷 隆司君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 野坂 浩賢君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  中山 正暉君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       高木 正明君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  衛藤征士郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       宮崎  勇君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       浦野 烋興君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  大島 理森君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  池端 清一君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        藤井  威君
       内閣法制局長官  大出 峻郎君
       内閣法制局第二
       部長       秋山  收君
       警察庁生活安全
       局長       中田 恒夫君
       警察庁刑事局長  野田  健君
       警察庁警備局長  杉田 和博君
       防衛庁参事官   藤島 正之君
       防衛庁装備局長  荒井 寿光君
       防衛施設庁建設
       部長       田中 幹雄君
       経済企画長調整
       局審議官     河出 英治君
       経済企画長調査
       局長       澤田五十六君
       法務省民事局長  濱崎 恭生君
       法務省刑事局長  則定  衛君
       公安調査庁長官  杉原 弘泰君
       外務大臣官房長  池田  維君
       外務省北米局長  折田 正樹君
       外務省条約局長  林   暘君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     武藤 敏郎君
       大蔵主計局次
       長        伏屋 和彦君
       大蔵省主税局長  薄井 信明君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       国税庁次長    若林 勝三君
       文部大臣官房長  佐藤 禎一君
       文部大臣官房総
       務審議官     辻村 哲夫君
       文部省初等中等
       教育局長     井上 孝美君
       文部省高等教育
       局長       吉田  茂君
       文化庁次長    小野 元之君
       農林水産大臣官
       房長       高木 勇樹君
       郵政大臣官房審
       議官       品川 萬里君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房長  伴   襄君
       建設省住宅局長  梅野捷一郎君
       自治省行政局選
       挙部長      谷合 靖夫君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青柳  徹君
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  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○宗教法人法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
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○委員長(佐々木満君) ただいまから宗教法人等に関する特別委員会を開会いたします。
○平井卓志君 委員長不信任の動議を提出いたします。
○委員長(佐々木満君) ただいま平井君(外一名)から、賛成者と連署の上、文書により委員長不信任の動議が提出されました。よって、委員長はこの席を譲って、理事松浦君に会議を主宰していただきます。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
 
○理事(松浦功君) 宗教法人等に関する特別委員長佐々木満君不信任の動議を議題といたします。
 まず、提出者から本動議の趣旨説明をお願いいたします。白浜君。
○白浜一良君 宗教法人等に関する特別委員長佐々木満君は、中立公平であるべき委員長の職員に反し、委員会の運営について、理事会等における十分な合意形成も図らずに、一方的に十一月二十二日の委員会の開催を決めたのみならず、さらに欠席を承知で委員会を開会し、法案の趣旨説明聴取を強行した。
 我々は、宗教法人法改正案の重要性にかんがみ、その審議日程の協議を慎重に行い、合意した日程に従って審議に応ずることを宣言しているものである。しかるに委員長佐々木満君は、我々の意見を聞かず、数を頼りに総括審議その他を強行しようとしている。これは、少数意見を尊重する議会制民主主義を破壊する暴挙であり、断固として許すことはできない。
 このような委員会運営を行う委員長佐々木満君は、本国会の重要法案を審議する宗教法人等に関する特別委員長としてその職員を遂行するには不適当であると判断する。
 これが、本動議を提出する理由である。
 以上でございます。
○理事(松浦功君) これより討論に入ります。別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 宗教法人等に関する特別委員長佐々木満君不信任の動議に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
 
○理事(松浦功君) 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数により否決されました。
 委員長の復席をお願いいたします。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
 
    ―――――――――――――
○委員長(佐々木満君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十四日、藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
 また、本日、風間昶君及び横尾和伸君が委員を辞任され、その補欠として白浜一良君及び猪熊重二君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(佐々木満君) 理事の辞任についてお諮りいたします。
 山下栄一君及び峰崎直樹君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○委員長(佐々木満君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に白浜一良君及び渕上貞雄君を指名いたします。
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○委員長(佐々木満君) 宗教法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては前回既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○関根則之君 自由民主党の関根則之でございます。党を代表いたしまして質問を申し上げたいと思います。
 最初にお願いを申し上げておきたいと思いますけれども、この宗教法人法の改正問題に関しましては国民から大変関心を寄せられております。そういう幅広い国民の関心を背景にして、私は総理以下各大臣に御質問を申し上げたいと思っておりますので、法律の改正の問題ですからなかなか難しい言葉も出てくると思いますけれども、できるだけわかりやすい言葉を使っていただいて、私にわからせるんじゃなくて、私の背後にいるそれこそ数千万の国民の皆様におわかりいただけるように、率直に本当の真意をお話しいただきたいということをお願い申し上げておきます。
 それから次に、やはりそれだけの国民的関心を持っている法律の改正の問題でございますから、慎重に十分論点を尽くして審議をしなければいけない。それをきちんとやりませんと、参議院に対しまして国民の皆様から寄せられている期待にこたえることができないんじゃないかと私どもは思います。
 実は、衆議院の方では総括が三日、一般が三日ですか合わせて六日おやりいただきました。一つの法案に対する審議時間としては相当長時間を費やしているんではないかと思います。三十時間ちょっと超えていると思います。しかし、問題は、衆議院では参考人からの意見の聞き取り並びに公聴会、これをやっておりません。
 これはやっぱりこれだけ重大な法案の審議ということになれば、当然我々が政府と議員の間で議論を交わすだけじゃなくて、外部の方といいますか一般の皆さんからも、学識経験者、経験のある人あるいは現場で宗教活動をなさっていらっしゃる方、導く側の人もいるでしょうし導かれる側の人もいるでしょうけれども、そういう広範な国民の各層の皆様からの意見も聞いていかなければいけないだろうと思うんですよ。
 だから、委員長、参考人の意見聴取、それから公聴会につきましては、中央でやるだけではなくて地方へも出ていってぜひ公聴会をやっていただきたい。この前の政治改革特別委員会におきまして政治改革法案を今から二年前に審議をいたしましたけれども、そのときもきちんとそういう公聴会を、地方で三カ所だったと思いますが、やっておるわけです。少なくもあの程度の公聴会並びに参考人、これをぜひやっていただきたいと思いますが、委員長、いかがお取り計らいいただけますか。委員長からちょっとお願いします。
○委員長(佐々木満君) 本件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
○関根則之君 私は、きょうは宗教団体と政治のかかわり、宗教と政治の関係はどうあらねばならないかという問題につきまして重点を置いて質問をしたいと思っているんですよ。
 我が国の宗教団体の中で単立巨大宗教団体が最近大変政治活動を活発におやりになっております。七月の参議院の選挙におきましてもあちこちで全国的に選挙活動を展開されたと聞いておりますし、この間の佐賀の参議院の補選におきましても大変な動員がなされておるということを聞いております。
 ちょっとパネル。(写真掲示)この問題につきまして、ちょっと総理に考え方をお聞きしたいと思うんです。
 これは唐津の池田文化会館の今月十七日の十二時の写真です。閑散としていますね。自動車もだれもいない。それが、夕方の九時四十八分の写真ですけれども、会館の前にこれだけ大勢のというか、自動車がそろっている。これ全部自動車ですね。テレビの方にもごらんいただきたいんですが、これだけの自動車が前にびっしり入っているんです。別のパネルもございますけれども、このナンバーのほとんど大部分は佐賀県のナンバーじゃないんですよ。これはちょっと個人の秘密の
問題もありますから隠してあるんですよ、わざわざ。しかし、よその県のナンバーの車が全部入ってきているんです。
 それから、人の出入りですけれども、これは時間別にあるんですけれども、夜の十時、二十二時九分の写真ですが、こんなに大勢の方々が盛んに出入りしているわけです。(写真掲示)その方々は、多分日中はどこかへおいでになっていろんな活動をなさっているんだと思いますが、これは選挙中の写真ですけれども、そういう活動をなさっていらっしゃるわけでございます。
 後ほどいろいろと詳しい話を申し上げますけれども、宗教団体というのはある程度の政治活動というのは私は当然許されてしかるべきだと思っていますよ。しかし、そこにはおのずから限度があります。どの程度のところまでそれが許されるのか、その辺の問題について私は非常に関心を持っております。そういった問題をきちんと議論するために、今申し上げたこういう活動をなさっている宗教団体の代表者なり、実際にその宗教団体を動かしている力のある実力者と申しますか、そういった方に、きちんとここへ来て、そういう問題についてどういうお考え方で実際どうおやりになっているのか、その辺のところをどうしても直接お聞きしたい、教えていただきたい、そう思っております。
 それから、ちょっと外務大臣にお尋ねいたしますけれども、実は一九八八年の一月六日付で、八八年ですから昭和六十二年ですか、創価学会の事務総長原田稔さん、この方から当時の外務省官房長の小和田恒さんあてに、「本年一月末より二月中旬にかけて、創価学会インタナショナル一SGI)会長・池田大作(創価学会名誉会長)一行が教育・文化交流のため、香港並びにアセアン三ケ国(タイ・マレーシア・シンガポール)を約二週間にわたり、下記の日程で訪問する予定です。
 何卒宜しくお願い申しあげます。」ということで、メンバーは、池田大作創価学会インタナショナル会長・創価学会名誉会長、池田かね同夫人、池田博正同子息、創価学会副青年部長。これは、何か奥さんと家族ぐるみで訪問をするから、外務省の官房長によろしく頼むと言っているんですね。
 これに対してどう対応なさったか。まだいるんですよ、ほかにも。原田さんという方、鈴木さん、長谷川さん、高沢さん。全部で七人。一行七人が、一月二十七日、秋谷栄之助SGI理事長も同行しますと、こう書いてございますから総勢八人になったんですか、そういうことでスケジュールは一月二十八日、大阪から香港へ行きましてずっと回りまして、成田着が二月十四日ということですから二週間以上に及ぶ旅行だと思いますけれども、これに対して、通常の言葉でいわば便宜供与の依頼だと思うんですけれども、どんな便宜をお与えになったのか、ちょっとその対応ぶりについてお教えをいただきたいと思います。
○政府委員(池田維君) お答えを申し上げます。
 外務省で通常行っておりますいわゆる便宜供与につきましては、文書の規定上約五年間の保存ということになっておりますが、先ほど御指摘されました文書あるいはその便宜供与の内容につきましては、私ども調査をいたしましたが、文書規定がそうなっておりますので、記録が残っていないということで確認ができないわけでございます。
○関根則之君 私は何も文書を読んでくれと言ったんじゃないんで、そのときの対応の概略でいいですから、そもそもこの文書に対して実質的に、例えば駅に出迎えに行ったのか旅館の手配をしたのか、あるいは車を提供して空港から旅館まで送り迎えといいますか、そういう便宜をしたのか、あるいは外交先の現地の、これは文化、教育ということを目的としていますから、そういうことがあったのかなかったのかだけで結構ですから説明をしてください。
○国務大臣(河野洋平君) 官房長からお答えいたしましたとおり、何分古いものでございますから正確にはお答えができませんが、一般的なことを申し上げれば、外務省の出先機関は交通分社でもなければそうしたことをすることが本来の仕事ではございませんから、旅館の手配をするとか送り迎えのためにそうした人員が配置してあるわけではないということだけは申し上げていいと思います。
○関根則之君 そうすると、この旅行に関して、外務省の在外公館の車を使ってもらったとか、それから旅館の手配のあっせんをしたとか、そういうことは一切ないというふうにお答えをいただいたということでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、古いものでございますから、御指摘の問題についてお答えを申し上げるというだけの資料を私は持っておりませんので、一般的にと申し上げたわけでございます。
○関根則之君 一般的にはそのために置いているんではないということだけれども、そのために置いているわけではないけれども実際やっている場合があるんです、外務省は。我々もお世話になることはあるんです。しかし、これは大体公務ですから一向に差し支えないと思います。
 そういう本来の在外公館の設置目的はそうではないということを大臣はお答えになったにすぎないので、そういう目的ではあるけれども、実際にこの池田大作さん御一行がおいでになったときにどうであったかということはわからないと、こういうことですね。それでは、ぜひそういうことも実は私ははっきりと解明する必要があると思うんです、実際どうだったかというのは行っている人はわかっているんですから。
 そういう意味で、実は重大なのは、憲法二十条第三項、よく出てきますけれども、これは国の方からの宗教的活動をしてはならないという規定。その裏腹の問題として、憲法八十九条に「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のためこ「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」、こういう条文があります。
 そういうことから、在外公館の財産、お金を出したということはないかもしれませんけれども、財産なり自動車という動産が使われたということになりますと、これは直接憲法問題にもかかわるんですよ。政教分離という物の考え方のもとに、公金は宗教団体のために使っちゃいけない、公の財産を使ってもだめよということがきちっと書いてある、我々の憲法に。その憲法にも抵触する可能性があるわけでございますので、ぜひこの辺を解明いたしたいと思いますので、先ほど申し上げたこれらの方々を含めて参考人としてここでお話を伺いたい、そう思っておりますので、委員長さん、そこまで参考人お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○委員長(佐々木満君) 後刻、理事会で協議をいたします。
○関根則之君 十分ひとつ御協議をいただいて、疑問が解明をされますようにお取り計らいをお願い申し上げます。
 それでは、やっとこれで本論の中へ入れます。
 最初に、総理にお伺いを申し上げますけれども、今回、宗教法人法が改正をなされるということですが、そもそもこの改正の目的は何でございましょうか。
○国務大臣(村山富市君) もう御説明までもないと思いますけれども、宗教法人法というのは宗教団体の活動を監督したりあるいは取り締まりをするという前提に立ってつくられた法律ではないわけです。そうではなくて、宗教団体が法人格を与えられることによって自由で自主的な宗教活動ができるように物的基礎を与えていこうという意味でこの宗教法人法というのは制定されたものであると私は認識をいたしております。
 しかし、もう既に議論がございますように、二十六年に宗教法人法が制定されて以降、これは社会の情勢も変わりましたし、あるいは宗教団体自体の活動の範囲とかいろんなあり方についても相当な変化があらわれてきておる。こういう社会やあるいは宗教団体自体の変化に対応して法律が適
正に適用できるようになっているかどうかという観点からしますといろいろな問題があるんではな結いかということが指摘をされて、国民の多くの保方々からも、先ほど御意見もございましたように、宗教法人法の改正をやるべきである、こういう世論調査の結果も相当反映されておる状況にございます。
 特に今回問題になりましたのは、認証する所轄官庁の存在について、例えば東京都の範囲内で活動している部分について東京都が認証するということはあり得るにしても、山梨県であったり熊本県であったり全国各県、どうかすると外国まで手を伸ばして活動するような宗教団体の活動に対して東京都という都道府県だけで管轄するというのはやっぱり無理があるんではないかというようなことが具体的に例示として挙げられてきておる。
 こういうことから考えてみますと、これはやっぱり宗教法人法の見直し、改正をやって、そして少なくとも全国的に展開されているような宗教団体については文部省なら文部省が所管をしていくということが、各所轄庁が責任を持って対応できるような体制にするためにはその程度の改正は行うべきではないか、これは一つの例ですけれども、そういうことも指摘をされております。
 具体的にいろんな事例を考えてみて、今の宗教団体が自主的に自由に活動できるように物的保障をしていくということのためにどういう改正が必要なのか、あるいは所轄庁が責任を持って対応できるような体制にするためには何を改正する必要があるのかというようなことを検討した結論として、最小限この程度の改正は必要ではないか、こういう結論に達して今回の改正案を提出している次第でありますから、何分御理解をいただきたいと思います。
○関根則之君 私は、村山総理、国会でいろいろお話を伺っておりまして、日本の近代の政治史上でまれに見る能弁な政治家ではないかと本当に敬意を表しているんです、敬服しているんです。今の御答弁も本当に非常に滑らかにおっしゃるんですね。ところが、これを一般の人が聞いていて意味がわからないんじゃないか、何を言っているのか余りよくわからないんじゃないかと私は思うんです。どうしてそういうもっともらしい、役人がずっと準備をして書いたそういう原稿を中心にしてお話をなさるのか。二十六年に制定されて、ことしは昭和七十年ですからもう四十四年たっている、だからその間には状況も変わり、交通の便もよくなって外国へまで出ていっている、だから改正するんですと言うんです。ところが、一般の国民にそんなことを言ったってわからないですよ。
 今回の法律改正はオウムがあったからじゃないですか。オウムというあれだけのとんでもない事件が発生して、非常に漫画チックな面もありますけれども、東京ではサリンで五千五百人の方が亡くなったりけがをした。百人を超えるような消防士が中へ入って実際やられているんですよ。私のかつての部下だった消防士が中へ入っていって、知らされていなかったから何が起こっているのかわからない、しかし救命救急をやらなければいけないということで狭い穴から中へ入っていったんですよ。そのために、気がついてみたら大変な人数の消防士が吸い込みまして、けがして、後遺症のある人もいっぱいいるんですよ。それだけの事件を起こしている。
 そういうものに対して、本当に今の法律が的確に対応できるのか。それを二度と起こさないためにどう法律制度はあらねばならないか。仮にそういう不心得な人たちが何かやろうとして、この次に起こってきたときにはいち早く発見をして、大きくならないうちにちゃんと手が打てる、そのために必要な法律改正をやるんです、今お願いをしているんですと、どうしてそういうことが言えないんですか。そういうことをはっきりと言うことによって国民は納得すると思うんですよ。
 四十年たっていますなんて、そんなこと言うことないんじゃないんですか。それは確かにありますよ。法律ができてから四十年たてばいろいろ条件が変わってくるからいろんな面があるでしょうけれども、直接的には再発防止ですよ。もし起こったときの早期発見、それをするために今回の法律改正をやろうとしているんですと、そういうことが言えませんかね。
○国務大臣(村山富市君) 今お話がございましたように、オウム事件というものが宗教法人という宗教団体の活動に対して、あるいは法の適用に対して国民の皆さんが関心を持ってきたことは間違いない事実だと思います。
ですから、宗教法人法の改正というものがオウム事件がきっかけになったということは私は言えると思います。
 現に、東京都が所管をして認証している宗教団体が山梨県や熊本県で活動しておるというような場合に、東京都の権限外のことになりますから、したがってなかなか指導もできなければ質問もできないし、実態を把握することもできないというようなことがはっきりすれば、その実態を把握するためには東京都ではやっぱり無理があるんではないか、だからこういうものについては文部省に所管を移した方がいいと、こういう意見があるのは私は当然だと思います。
 したがって、オウム事件がきっかけになったことは間違いない。そして、国民の関心が高まって、宗教法人が、宗教団体が活動しているその法の適用というのはどうなっているのかというようなことについていろんな意見が出てきた。そういう意見を背景にして検討してみれば、なるほどやっぱり無理があるなということで今回の改正案が提案されておるということについては、それは率直に私は申し上げることができると思います。
○関根則之君 大分率直になってまいりましたので、もうちょっとだというような感じがいたします。
 私は、そういう信教の自由を侵してはいけないなんというのは、それはもう当たり前の話ですよ。我々はそんなことを一つも考えていないし、多分文部大臣もそんなことは考えていらっしゃらないと思う。(発言する者あり)しかし、そういうふうにサリンの事件が起こってオウムの問題が発生した、それが二度と起こってはいけないよという説明をすると、すぐ後ろでごちょごちょ言っているように、信教の自由を害するんじゃないかとか、そういう話が出てくるから、やや過敏症になって、役人の皆さんは、そういうふうにとられるような説明をするとどうもぐあいが悪いよ、だからストレートな説明をしないで、時間がたったから、外国への交流がふえたから、あるいは東京都だけじゃなくなって全国的になり、諸外国へも行っていると、そういう説明をなされると思うんです。
 やっぱり今政治が国民から割がし見放されていると言っちゃ失礼、まあそこまではいっていないと思いますけれども、政治に対する関心が薄くなっているということが言われていますね。それは国民から見ていてわかりにくくて、何をやっているのかよくわからないからなんですよ。そんな配慮も必要ですよ、行政をやっていくんですから、大きな権限を持っていらっしゃるんですから、いろんな配慮は必要だけれども、しかし国民にもっとわかりやすいようなストレートな物の言い方、これはこういうものを考えて、二度とサリン事件のようなものが起こらないように、第六サティアンだとか第七サティアンだとか、あんなとんでもないもの、千丁もの銃器をつくっている、こんなことが起こらないように、起こったときには早くわかるように、そういうことを頭に置いて、それが国民に対する我々の責任だと、そう思ったからこの法律を出しました、そう言ってもらいたいんですが、これ以上時間も何ですから詰めません。
 私は、今度の、総理は必要最小限度、必要最小限度と言いますけれども、必要最小限度じゃだめなんですよ。やっぱり信教の自由を侵さない、その限りにおいてはこれは必要最小限度でなければならないと思いますよ。この機会に乗じてどんど
ん要りもしない規定まで直していって宗教団体の宗教活動に手を突っ込んでいく、こんなことをしたらとんでもないことですよ。
 その意味では必要最小限度かもしれませんけれども、再発防止とか早期発見とか、とんでもないことが起こったときに、そういうときには、今の信教の自由を侵さないという枠内で可能な最大限度の手は打ちました、時間的にもそんなにない、そういう中でいろいろな意見も聞いて我々にできる最大の手は打ちました、そういうことが言えなければ、最小限度の対応策だけやっていたんじゃ国民の皆様は、国会は何をしているんだ、政府は何をしているんだと、すぐそういうことに結びついてくるんじゃありませんか。文部大臣、どう思いますか。
○国務大臣(島村宜伸君) まことに仰せのとおりだと思います。
 問題は、今回の宗教法人法の改正はオウム事件を契機としていることは御高承のとおりであります。ただ、宗教法人法はもともと性善説に立って設けられているわけでございまして、我々はあくまでこの姿勢を貫いていきたい、こう考えているところであります。
 しかしながら、現在、宗教法人法七十九条において収益事業の停止命令、八十条は認証の取り消し、八十一条で解散命令の請求等厳しい規定を置いておりますものの、宗教法人を一たん認証いたしますと、あとは備えつけの書類その他がございますけれども、閲覧権等は全く認められておらない。どういう活動をなさっているかという把握をする方法も認められていない。そういうことの中の盲点を突いてオウム真理教の事件が起こったと、こういうふうに考えております。
 今時点、約十八万四千の宗教法人がありますが、その実態にもいろいろ問題のあるところがないわけではないので、こういうことについて所轄庁としてのその責任を果たしたいという最小限の改正と受けとめております。
○関根則之君 次に移りたいと思いますが、文部大臣、宗教法人法というのは何を扱っている法律でございますか。
 私は、宗教法人法の改正というとすぐに信教の自由を侵すんじゃないかとかそういうことを聞きますけれども、そもそもこの法律というのは信仰の内容だとか教えだとか、そういう心の中の問題まで踏み込んだ法律じゃないんじゃないか、そんな感じがするんですよ。
 例えば、まず目的のところ、第一条一項に「この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。」と書いてあるんですね。宗教団体だって非常に高次の精神作用を扱っているんですよ、宗教活動というのはそうだと思いますよ。
 しかし、宗教団体でも一つの経済主体として、一般社会経済の中でいろんな物の売り買いから始まって、必要なものは買ってこなけりゃいけませんから、また時にはお金を貸したり惜りたりすることもあるでしょう。そういう法律関係をどうしても一般社会と結ぶものですから、そのときには法人格というものが必要だし、そういう法人格を与えることによって事業だとか業務とかをやりやすくするためにある法律ですよ、心の中の問題を扱う法律じゃありませんよという趣旨だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) この点は先ほど総理も申されたとおりでございますが、宗教法人法の目的とするところは、宗教団体に法人格を与えて、宗教法人が自由でかつ実質的な活動をするための物的基礎を確保するところにあるわけであります。
 問題は、宗教法人はいわば宗教的事項とそれから法人としての管理運営に関する事項の二面の機能をあわせ持っているわけでありますが、宗教法人法は、憲法の信教の自由あるいは政教分離の原則から、宗教法人の宗教的事項についてではなく、法人としての管理運営に関する事項について規定しているものである、こう考えております。
○関根則之君 まさに私もそのとおり理解させていただきます。
 およそこの宗教法人法というのは、あの宗教の考え方がいいとか、この宗教の教えがすばらしいとか、あるいはちょっとおかしいとか、そんなことを判断する法律ではないんだ。宗教団体が経済活動なり、いわゆる世俗的な面でいろんな活動をなさる。そのときに法人格というのがないといろいろやりにくい。だから法人格を与えるんですよ。そういうことになっているんだと思うんですよ。
 十八条第六項というのがありますね。これちょっとわかりにくい法律なんですが、これの意味はどういう趣旨の規定でありますか、大臣。
○政府委員(小野元之君) 法律の条文でございますので、私の方から答弁させていただきたいと思います。
 十八条六項でございますけれども、「代表役員及び責任役員の宗教法人の事務に関する権限は、当該役員の宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限も含むものではない。」という規定でございます。この趣旨は、先ほど来お話しございますように、宗教法人法は宗教法人の世俗的部分の管理運営に関する事項について主として規定を置いているわけでございまして、この十八条六項も、代表役員とか責任役員という方がいらっしゃるわけでございますけれども、そういった管理運営に関する事務のトップにいらっしゃる方の権限といったものは宗教上の機能、宗教の中身等には及ばないということを明らかにしている規定だというふうに理解しております。
○関根則之君 そういう規定であるとすれば、この規定に宗教法人法の性格といいますか、そういうものが非常に私は端的にあらわれているんだと思うんですよ。この法律では宗教法人に法人格を与えるためにいろんな規定があります。規則はこういうものを書きなさいとか代表役員を定めなさい、責任役員を定めなざいと書いてある。しかし、そこで宗教団体を代表する代表役員、責任を持つ責任役員というのが定められますが、それらの方は「宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限も含むものではない。」と書いてあるんですね。
 普通、民間会社で代表取締役社長さんというものが定まれば、まさにその社長さんはその事業を代表するでしょう。業務の運営、取り仕切り全部をやるわけですよ、社長さんというのは。ところが、宗教団体の場合にはそうじゃないんですね。ただ単に経済的な取引の主体、そういうものとして代表役員なり責任役員というものが仕事をしなさい、事務を行いなさいと、こう書いてあるんですね。
 宗教上の機能、すなわち教えの中身、信仰の中身、そういうものはその団体団体で、会長さんという人でもいいでしょう、いろんな名前がつくでしょうね。法主ざんという名前のところもあると思います。いろいろな名前がありますけれども、そういう方々が適宜、適宜と言っては失礼、別にふまじめな意味じゃないですよ、自分のところで定めたやり方できちんとおやりください、法律が扱っているのは少なくもそういう心に直接触れ合う話ではありませんよ、経済の問題ですよ、こういうことですね。
 大臣、ちょっとそれ確認だけお願いしたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) まさにおっしゃるとおりでありまして、法人としてのいわばいろいろな保障、自由と自主性、責任と公共性というものを要求するためにしっかりした管理運営を当然期待している、こういうことでございます。
○関根則之君 したがって、今回、所轄庁の問題でありますとか書類の整理、提出、閲覧、こういう規定が入っております。それから、解散命令等の異常事態が発生いたしましたときには、質問権、報告徴取、そういう規定も入っております。しかし、これらは今申し上げましたこの法律の性
格上決して教えの中身に入っていくものではない、信教の自由というものに、中身に手を触れるものではないということが明確になったと思います。そのために、信教の自由に触れない必要最小限度の中で法律改正をいたしましたと、そういう説明だと思うんですよ。
 それで、総理も大臣も必要最小限度だというお話をたびたびしておりますけれども、しかしそうは言っても、宗教団体の皆さんとこの間も私、直接責任者とお会いしていろいろ御疑問点等はありませんかということをお伺いしました。やっぱり心配しているんですね。大変心配しているんですよ、いろんな点で。その点を二、三ただしておきたいと思います。
 一つは、収支報告書を今度つくる義務が発生をいたしましたけれども、比較的小規模のものは作成しなくてもよろしい、今までと同じようでいいですよと、こういうことになっております。附則の二十二項、四項ですか、そこに書いてあると思うんですが、この収入基準というのはどの程度のものを設定するおつもりでございますか。
○国務大臣(島村宜伸君) 先生御承知のとおり、今回の法改正では宗教法人の収支計算書の作成を義務づけているというところでございますが、規模の小さい宗教法人は免除することとしております。
 問題は、免除される宗教法人につきましては、その収入の額が文部大臣があらかじめ宗教法人審議会の意見を聞いて定める額の範囲内であるか否かにより決まる、こういうことになっております。
○関根則之君 だから、率直に大体どのくらいのことを考えているんだということを私はお聞きしたかったんです。持って回ったような答弁じゃ困るんですよ。私の後ろで聞いているんですから。
 それで、一番心配しているのは、私も農村の出身です、農家の次男坊です。村には鎮守様というのがあるんです。ちっちゃなほこらがあって、だれもいませんよ。神主さんがお正月とか祭日、秋と春の大祭というのがありまして集まってきてやる、その程度のこと。おさい銭箱が置いてありますが、こんなものは、きのうも私の親戚の人が、氏子総代というのがあるんですよ、氏神様ですから。その氏神様の氏子総代に聞いてみた。そうしたら、このごろは年間どんなに入ったって十万以下だと言うんですね、相当立派なところでも。普通のところは大体入っていないと言うんですよ、まあせいぜい一万円でしょうと。
 しかも、あれは貧民救済と言っちゃおかしいけれども、非常におもしろい機能を持っていて、ちょっとお金が足りない人が来て、持っていっちゃうんだそうですよ、このごろは。月に一遍見回りが行ってあけてみても、中はほとんど入っていないと言うんですね。だけれども、しかし何ほどかのそういう収入があるでしょう。そういった田舎の、村の鎮守様とかちょっとした神社とか、あるいはお寺なんかも無住のお寺がありますね。そういうようなところはほとんど大部分がこんなもの、収支報告なんかつくらされたらたまったものじゃないですよ。わざわざそのために書記を雇ってこなきゃいけないということになったら、もう成り立たなくなっちゃうでしょう。
 そういうごくごく小さなお寺さんとか神社とか、そういうところではこの収支報告はつくらなくてもいいようになさいますか、どうですか。その辺のところをお聞かせください。
○国務大臣(島村宜伸君) 冒頭御指摘ありましたようにわかりやすくというお話ですが、先生もよく御存じのとおり、神社にしろあるいは仏閣にせよ、専任の神主さんとかお坊さんを持たないところがたくさんございます。例えばこういうところに収支計算書を作成しなさいと言っても事実上無理であります。そういうことを含めてある程度の規模以内のものについてはこれを免除するということにしたわけでありますから、御理解をいただきたいと思います。
○関根則之君 実情に即して無理のないようにおやりいただくということでございますから、安心するように私は言っておきます、氏子総代に。ぜひひとつ本当にそういう実情をよく見てやっていただきますようにお願いをします。
 次は閲覧請求の問題ですが、これも大変心配しているんです、トラブルのもとになるんじゃないかと。何か悪意を持って見せてくれと言って難癖をつけてくる、トラブルがそこで発生する、そういうことになっちゃたまらない。まじめに宗教活動をやっていらっしゃる宗教団体ならなおさらそういう心配をしているんです。非常に心配をしております。
 条文を見ましても、これは二十五条の三項ですか、要するに信者その他の利害関係人が、正当な理由があって、不当な目的のためにやるんではないということが書いてあるわけです。そういう範囲内で請求があった。それを受け付けるのは宗教団体ですね。その宗教団体が受け付けるんですから、正当な理由があるのかどうか、信者であるのか利害関係者であるのか、それを判定するのはそれは宗教団体ですね。お寺さんなり神社なり、その方が自分で、これは正当な理由があるのかどうか、不当な目的ではないかどうか、そこのところをきちんと判定する、そういう選択権を持っているんだと思いますが、そこのところを心配しているんですよ。言ってきたら何が何でも見せなきゃいけないということでは困ると言っているんです。
 そこのところを大臣、明確にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) 大変大事な点の御指摘と思いますので、明確にお答えを申し上げます。
 今回の法改正では、閲覧することについて正当な利益があり、かつ不当な目的でない信者その他の利害関係人に対して法二十五条二項の備えつけ書類の閲覧請求権を認めることとしている、これは御指摘のとおりであります。
 このような閲覧請求権が認められる信者等がだれであるのかについては、各宗教団体の特性や慣習にかんがみ宗教法人が判断する、こうなっております。
○関根則之君 信者であるのか利害関係人であるのか、また閲覧することについて正当な利益があるのか、不当な目的によって請求しているのではないのか、そういうことを判定するのはその請求を受けた宗教団体であるというふうに御答弁をいただきました。極めて明確でございますので、これも関係者は安心なさると思っております。
 次の問題。
 法律の違反があって著しく公共の福祉を害するような場合には解散命令が出せますね。その解散命令という、いわば非常事態ですよ、そのときには報告を求めたり質問をしたりすることができるという規定が今度入りましたね。
 私のところへ言っておいでになった方の中に、報告まではいいにしても、この質問権というのは使い方によっては大変心配だ、宗教団体の活動の中に手を突っ込んでくる心配があるんじゃないか、そういう心配をなさっております。
 この質問権は、報告権があれば質問権は要らないんじゃないですか、いかがですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 私なりにいろいろ勉強した過程では、やはり質問権だけでは事態の把握に不足であると正直認識しておりますが、この問題は非常に重要な御指摘でありますから、これを専門に取り組んできた政府委員から御答弁させます。
○政府委員(小野元之君) 今回の法改正において質問権は少し必要がないのではないかという御質問でございますけれども、今回、法改正におきまして、七十九条、八十条、八十一条、これは特別な事例でございまして、収益事業の停止命令や認証の取り消し、あるいは解散命令請求に該当するような事態についての疑いがある場合、特別な場合でございますけれども、こういった場合に所轄庁が権限を適正に行使するということが必要でございますので、その判断の基礎となる客観的な資
料を把握する必要があるということでございます。
 この場合に、具体的な事例として七十九条、八十条、八十一条、それぞれの場合でございますけれども、まず報告を求める。宗教法人から、そういった疑いがある場合に、報告を出してくださいということをお願いするわけでございます。ただ、その報告だけでは、権限をきちんと行使することができる判断として、基礎資料として不十分である場合も考えられるわけでございまして、一応報告をいただいて、それについていろいろ御質問をさせていただく。あるいは毎年出していただいております財務関係書類等に基づきましていろいろ御質問する。あるいは場合によっては宗教法人の方に出向いていろいろ御質問するということも必要があるわけでございまして、こういった規定をきちんとすることによって所轄庁がより権限をきちんと行うことができるというふうに考えているものでございます。
○関根則之君 それは報告を徴収するということになりますと大体文書だと思うんです。電話で報告してもらうということもあるかもしれませんけれども、大体文書だと。文書だとやっぱり面倒くさいですね。文書を一々書くのは、このごろはワープロがありますけれども面倒くさい、時間もかかる。なかなかかっちりした実態がつかめない。そういうことで、ついつい現場へ行って口頭でやりとりをしながらいろいろ質問して聞いた方が手っ取り早いし、実態により迫れるだろうと思うんです。
 しかし、報告の徴収というのは、この問題はどうも時間がかかるかもしれませんけれども、前の報告ではちょっとそこのところは不十分でよくわかりません、この点はさらにどうなんですかと二、三回やったらどうなんですか。そういうことをやることによって、実際問題としては時間は確かにかかる、まだるっこしい面はあるかもしれないけれども、余りいわゆる宗教団体の中に手を突っ込んでいく、そういう感じがなくて済まされるんじゃないかと思うんです。
 だから、これは今後審議をずっと詰めていかなきゃいけないんですけれども、私はこれについては非常に問題がある、そんなふうに思います。特に、これを実施する段階で、もう一方的にぱんと行って質問をする、こんなことになってきたら大変なことになりますから、そんなことはないとは思いますけれども、その辺の運用については十分慎重にやっていかなければいけないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 先ほどの重要な三つの特別な事例に疑いがあるような場合、あるいはそういうようなことに対して何か内容を把握する必要が出た場合に求めるのが報告の徴収であり、また質問でありますが、これはどちらを先にやると決まっているわけではございません。質問で済ますこともあれば、報告書をいただいて、それによって内容を把握できる場合には、それで解決する場合もあるわけでございます。
○関根則之君 特にその点については慎重にやっていただく。また国会において、常任委員会等でいろんな意見も出るでしょうし、実情に対する把握、いろんな地元からの、宗教団体からの、現場からの要望も出てくると思いますから、ぜひひとつそこのところはもう慎重の上にも慎重にやっていただきますようにお願いします。
 質問権は代理を認めますか。
○政府委員(小野元之君) 代理という御趣旨がちょっとよくわからないのでございますが……
○関根則之君 質問権の行使。
○政府委員(小野元之君) 質問権を行使する場合に、もちろん文部省なり文化庁の職員が宗教法人に行って具体的に御質問をするということがございます。その場合に、もちろんこの規定にもございますけれども、特に質問する場合に、「宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」というような規定もございますので、先ほどの御指摘を踏まえて、十分慎重に対応したいというふうに考えております。
○関根則之君 政教分離という言葉が国会の審議の段階でたびたび出てきておりますが、総理、政教分離というのはどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(村山富市君) 国、地方公共団体が行政権を行使する場合に、宗教団体にそれを及ぼしてはならないという政教分離の原則というものが保障されておるということのように私は解釈をいたしております。
○関根則之君 国が権限を行使する過程において宗教団体に介入しなければいけない、そういう御趣旨でございますか。
○国務大臣(村山富市君) 道でありまして、介入してはならないということであります。
○関根則之君 総理が御答弁いただいた、介入してはならないと。それは、宗教団体と国家権力というのがありますね。それの国家権力の側から宗教団体に対して介入していってはいけない、金品を出したりそういうことをしてはいけない、宗教行事を直接国がやってはいけないと、一方通行の考え方ですか。
○国務大臣(村山富市君) 政教分離の原則というのは、これはこれまでも国会の中でたびたび議論もございますし、政府の統一見解も出した前例もあるわけですけれども、そういう統一見解を参照してみますと、今、議員から言われたとおり、例えば宗教団体に国が補助金を出したり、あるいはまたその宗教活動に対して介入をしたり、あるいは権力を行使したりしてはならないという規定だというふうに私は理解をいたしております。
○関根則之君 私は、政教分離というのは、まさに政治と宗教が分離するということでしょう、二つはくっついちゃだめだ、離れていなさいと、そういう原則だと思うんですよ。
 言葉の議論をするつもりはありませんけれども、これは国の権力が宗教活動に介入してはいけない、宗教団体に。それもあるけれども、逆に宗教団体が国権の行使、国の統治行為、そういうものに介入していってはいけない。介入というのは難しいかもしれませんが、それをコントロールして宗教団体が自分で政治をやっちゃう、そんなことはあってはならない。要するに、双方向性ではないかと思うんですよ。
 総理は片っ方だけですか。
○国務大臣(村山富市君) これまでの政教分離の原則というものに対する解釈は、先ほど私が申し上げましたように、この政教分離の原則というのは、今私が申し上げたような理解に立っておるというふうに統一見解が出されております。
○関根則之君 私は、今までそうだったからそのとおり言っているんですという、そういう答弁じゃ困るんですよ。物事の本質にさかのぼって、政教分離とは何だということを総理にも文部大臣にも考えていただきたい。それはあくまでも言葉の上からだけ説明するつもりはありません、私は。歴史的なこともこれから言いますけれども、あくまでもそれは分離なんですよ、政治と宗教というものは。お互いに介入してはいけませんよ、そういう原則だと思うんですが、文部大臣、いかがですか。
○国務大臣(島村宜伸君) これはたしか参議院の本会議で総理の御答弁の中にもあったと思いますが、その一部分に、宗教法人は宗教活動を主たる目的とすることを要件として法人格を取得しているのであって、宗教法人が宗教活動以外の活動を主要な活動とするようなことについては宗教法人法上これを予定していない、こういう答弁がございます。それはある意味では先生のお考えと同じだと思います。
○関根則之君 私は宗教法人のことを聞いているんじゃないんですよ。宗教法人というのは、さっき言ったように、まさに宗教法人法に基づいて法人格を持った団体だけが宗教法人なんですよ。憲法二十条は何と書いてありますか、宗教法人と書いてありますか。
○政府委員(大出峻郎君) 憲法の二十条第一項後段でございますけれども、「いかなる宗教団体
もこと、宗教団体という言葉が使われております。
○関根則之君 宗教団体という言葉が使われておりますと言うけれども、あそこで言う宗教団体というのは、宗教法人だけじゃないでしょう。そういうことを聞いているんですから、宗教団体は読めばわかりますよ、参議院の手帳にあるんだから。そういうことを聞いているんじゃなくて、憲法で保障している条文は宗教団体と言っているんですよ。宗教法人というのは宗教法人法に定義がありますよ。しかし、あんな定義は宗教法人法の上、経済面をやるときだけに適用される定義なんですよ。憲法を解釈するときに宗教法人法の規定の解釈だけでは困るんですよ。そこのところをはっきりしてください。
○政府委員(大出峻郎君) 憲法二十条では宗教団体という言葉が使われております。この宗教団体の中には宗教法人法による宗教法人も含まれると思います。しかし、その宗教団体の範囲というのは、何も宗教法人に限らず、それ以外の場合もあり得ると、こういうことだと思います。
○関根則之君 憲法で言う宗教団体というのはどういう団体であるのか、この定義というのは非常に難しいと思うんですよ。しかし、ここではそれをやっている暇がありません。
 この宗教団体の行動について、信教の自由について憲法にはいろんな規定がありますね。それで、法制局長官、大出さん、あなた方が政教分離の原則を説明するときには、憲法二十条の第一項後段、第三項、八十九条、この三つを合わせてその精神が政教分離の原則だと、こういうふうに説明なさっていますね。それは間違いありませんか。
○政府委員(大出峻郎君) そのとおりでございます。
○関根則之君 どうも法制局長官と話をしていると時間ばかりかかっちゃってなにですけれども。
 それでは、私の方から申し上げますが、二十条一項後段というのはどういうことが書いてあるかというと、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と書いてあるんです。これは宗教団体の側から政権行使をやってはいけないと、こういうことが書いてあるんでしょう。そういうことでしょう。
 そうすると、あなたは、まさに宗教団体側から国権の行使をしてはならない、国権にアプローチの仕方、介入していってはいけない、平たい言葉で言えば、そういう規定が含まれている二十条一項を含んで政教分離の原則と言っているんだとすれば、総理が言っているのはおかしいじゃないですか。宗教団体の側から国権行使にかかわってはいけないと言っているんですよ。国の権限行使に宗教団体がかかわってはいけないと言っているんですよ。
 それは、最初私が設定した政教分離の原則というのは、国と宗教団体を分けなさいという原則だと。だとすれば、国が宗教団体に介入してはいけないのは当然だけれども、逆に宗教団体も国の方に介入してはいけませんよと、その規定を含んだ原則なんじゃないですか。総理、いかがですか。
○政府委員(大出峻郎君) 憲法の規定でございますけれども、憲法は信教の自由について、第二十条第一項の前段で「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」、こういうふうに規定するとともに、信教の自由の中でも宗教的行為の自由について、同条第二項で「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」、こういうふうに規定をいたしております。さらに憲法は、政教分離の規定といたしまして、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」とする同条第一項後段、それから「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」とする同条第三項を置いておるわけであります。
 また憲法第八十九条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のためこ、途中を省略いたしますが、「これを支出し、又はその利用に供してはならない。」というふうに定めて政教分離を財政面から捕捉いたしておるわけであります。
 そこで、憲法の定めるこのような政教分離のそれぞれの規定は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨のものである、こういうふうに解してきているところであります。
○関根則之君 今までの解釈がそうだったということ、それは私は及ばずながら勉強して知っているんです。その今までの解釈がおかしいんじゃないか、そういうことを提起しているんですから、素直にそういう観点から答えてくださいよ。今まではこういう答弁をしておりましたという答弁では私の疑問に対する答えにならない。
 いいですか。少し整理しますよ。
 春日一幸さんという大政治家がおりましたよ、日本には。その春日一幸さんが質問主意書を出されて、それに対する答弁があるんです。これが全く今の大出長官が御答弁されたそういうトーンで、二十条一項のいかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないという規定を含みながら、一方的に国が宗教団体に関与してはいけない、それを言っているだけなんだから、したがって宗教団体が政治活動をしても構わないと言っているんですよ。
 それは、この間の総理御自身の石橋一弥議員に対する衆議院の宗教特の答弁でもほぼ同じようなことを言っている。これが政府の定説ですよ。その定説が私は少しおかしいんじゃないかと、こういうことを申し上げているんです。
 それじゃ申し上げますが、政治活動は自由ですとおっしゃいましたね。その宗教団体の政治活動には限度はありませんか、どんなことをやってもいいですか。
○国務大臣(村山富市君) いや、そのどんなことをという意味が私にはちょっとわかりませんけれども、しかし憲法の解釈というのは、これは条文の解釈がそのときそのときの事情によって変わるということはあってはならないと私は思います。ですから、憲法の条文の解釈というものはやっぱりきちっとしておく必要がある。
 個人の政治活動の自由とか、あるいは宗教団体が政治活動をする自由とかいうものは憲法で保障されているということは前提として踏まえておかなきゃならぬと思うんです。したがって、その範囲で、先日、私も本会議で答弁をしましたし、また文部大臣からも答弁がございましたけれども、宗教団体というのは宗教活動が主たる業務であって、政治活動を予定しているものではない、主たる業務として予定するものではないということはもう明確だと思いますから、その前提に立って私どもは良識を持って判断をする必要があるというふうに思いますけれども、しかし同時に、憲法解釈をとことん突き詰めていけば、私は今まで申し上げているような意見を申し上げる以外にはないというふうに思います。
○関根則之君 宗教団体と国とのかかわりの従来の憲法の解釈が私は少し一方的過ぎるんじゃないかと思うんですよ。国が介入してはいけない、そこだけ言っているわけでしょう。宗教団体の側からは権力行使をやってはいけないということを書いてあるんですよ、条文に。書いてあるんだから、政教分離の原則というのはまさに双方向で物を考えるべきだ、そういう観点に立って憲法の解釈を変えなさい、そういうことを総理に申し上げているんですよ。
 今まで、憲法解釈は安定していた方がいいから確立されたものは変えないんだと、そんなばかなことがありますか。憲法の変遷というのはあるんですよ。九条の解釈はどう変遷しましたか。それを考えてみてくださいよ。
 憲法というのは、実態に即して、そのときそのときの情勢に応じて、少しずつではあるかもしれ
ないけれども、実態に合うように変わっていくんですよ。現に、自衛権の問題に対する解釈が変わっているじゃないですか。変わっている人もいるじゃないですか。そういう問題なんです。
 それじゃ、根本にさかのぼってお伺いいたしますけれども、政教分離という言葉は日本の言葉なんですか。(「日本語だよ」と呼ぶ者あり)どこの言葉ですかと聞いたら、日本語じゃないかという声が後ろから来たから、まさか賢明なる総理がそんなふうに思っているとは思いませんけれども、そもそも日本には政教分離なんというそんな思想はなかったと思いますよ。もとからあった思想、考え方であるのか、あるいはよそから入ってきた考え方であるのか。
 日本の文明とか文化とかいうのは、西欧、ヨーロッパ、長い歴史の中で近代化の中からずっと生まれてきているんですよ。そういうものを持ってきたのが憲法という、それは十七条の憲法というのはありましたよ、昔、日本には。しかし、あれとは全然性格が違うんですよ、今の憲法というのは。
 今つくられている日本国憲法というのは、まさに西欧近代化の所産なんですよ。それを日本が借りてきて、借りてきてといいますか、取り入れて今の憲法ができているんですよ。だから、言論の自由だとか人権とか、いろんなそういう物の考え方、そういう物の概念、もちろん日本にもなかったとは言わない。しかし、はっきりした形で概念規定されて憲法に書かれたのは、ヨーロッパの長い間の歴史を通じて掲げてきたもの、そこででき上がったもの、それを日本に導入してきてできているんですよ。
 この政教分離の原則というのは、日本オリジナルなものであるのか、それとも西欧からほかの文明と同じように導入されたものであるのか、どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(村山富市君) 今お話がございましたような歴史の過程の中には、それぞれ違いもあるし、濃淡の違いもあると思います。しかし、思想・信条の自由とか言論・出版・結社の自由とか、そういう基本的な権利については私は普遍的なものだというふうに考えておりますから、今の憲法で保障されておるそういう基本的な権利というものは維持し守っていくべきものだというふうに考えております。
○関根則之君 これは人類に普遍的に適用されるものですよ。しかし、考え方そのものをそういうふうに固めてきたのは、これは長い間の歴史の中から、一つの文明の中から築き上げられてくるものなんですよ。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
 
 日本で昔からそういうものが温められて、論理的に構成されて、政教分離の原則というのができ上がっているんじゃないんですよ。これは日本国憲法をつくるときのあの政治的な状況、御存じでしょう。あの状況の中で国民の人権というものをきちっと保障していこう。その中で重要な信教の自由、その前の言論の自由もあるんでしょう。思想・信条の、良心の自由というのもあるんでしょう。その中の一つの重要なものとして信教の自由というものが保障されているんですよ。そうでしょう。だから、そういう歴史というものを尊重しながら我々はこの解釈をしていかなけりゃいけないんですよ。
 大学の憲法の講義を見てごらんなさいよ。大体、先生は説明をするときに日本の歴史なんか言いませんよ。ヨーロッパでどういうことが、マグナカルタから始まって、そういう説明をして、人権の問題だとか自由の問題を説明しているんですよ。政教分離の原則だって同じですよ。そういうものじゃないですかと私は考えるんです。まあいいですよ。いきなりそんな議論をぶつけても何ですから。
 それで、この政教分離の原則というのは、中世あるいはもっと古い段階のヨーロッパでキリスト教の教皇の権限から、王様だとか諸侯だとか近代民主政治の政権、あるいは王政をとっているところもあるでしょう、そういう近代的な政治が生まれるときに、政治がキリスト教の支配から独立するためにできた理論なんですよ。こんなことは、日本ではまだどうも余りそういう議論がなされていないけれども、少し政教分離の原則の大もとを尋ねたらはっきりしているんですよ。
 いいですか、これは総理、ちょっと私は知識をひけらかすために言っているんじゃないんですよ。基本的な問題ですから聞いてくださいよ。
 政教分離とは、宗教から政治を守る、すなわち宗教の力から近代社会の政治を守り、国家に自由を回復することであって、政治から宗教を守り、宗教団体に自由を保障するというようなそんな話ではない。そんなのんきなことを言っているのは日本だけである。これは完全な日本的誤解である。すなわち、歴史的由来から言えば、カトリック教会の威力から近代国家の自由を守るために唱えられたのが政教分離のそもそもの考え方である、こういうことを西尾幹二さんという方、御存じでしょう、はっきりと言っているんですよ。
 そういう考え方、これが基本なんですよ。それがアメリカにもちろん移りました。それで、アメリカが日本を占領したときに、日本の憲法の草案はこれははっきりしている、アメリカがつくったんですから。それをもちろん修正はしていますよ。
 ところが、憲法二十条という規定は、最初提案されたときには十八条という条文だった。番号が変わっただけですよ。国会の審議いろいろありましたけれども、国会の審議を経て原案どおり可決されているんです。ナンバーが十八から二十に変わっただけなんです。内容はそのまま、マッカーサー原案そのままの憲法がここに書いてあるわけですよ。
 例えば、だからこのもとを、二十条のもとを見ますとこういうふうに書いてあるんですよ。「ノーレリジャスオーガニゼーションシャルレシーブェニープリビレッジイズ フロムザステート、ノア エクササイズ エニーポリィティカルオーソリティー」、これがもとの条文ですよ。この「ポリィティカル・オーソリティー」というのを何と訳しているんですか。政治上の権力と訳しているんですよ。
 ところが、これはもっと素直に訳せば、「ポリィティカル・オーソリティー」というのは政権のことですよ。政治権力のことですよ。英語の達者な方もいらっしゃると思いますけれども、そういう規定なんですよ。宗教団体が、エニー・レリジャス・オーガニゼーションがポリィティカル・オーソリティーをエクササイズしてはならない、行使してはならないというのがこの英語の原文なんですよ。これをアメリカ人やイギリス人に見せたら、まさに宗教団体が国権に介入していってはいけないんだ、国権をつかんでいってはいけないんだと、こういう規定だというふうに理解しますよ。
 その辺を本当はきょうはじっくり議論をしたかったんですけれども、少し観点を変えて議論をしたいと思います。「政府答弁を求めろよ」と呼ぶ者あり)いやいや、ちょっと待って。
 春日一幸先生は第一次の質問で、さっき総理が御答弁いただいたように、国から宗教団体に介入してはならない、一方交通が憲法の規定だ、そういう返事をもらって承服しなかったんです。そうじゃありませんよ、そんなばかな話があるかということで第二次質問というのを出しているんですよ、第二次の質問を。
 その中で、さすがやっぱり春日先生というのは立派な方だと私は思いますよ。その春日先生の系譜を引いている方々が、今統一会派で御一緒に政治活動をなさっていらっしゃる。春日先生がどういう感懐で今お休みになっていらっしゃるのか、そんな感じがするわけでございます。(発言する者多し)
 それは別として、政治活動を放置いたしておりますと、「たとえば創価学会のごとく、宗教団体が、この程度の政治的活動の範囲をこえて、その教義に基づく政治支配を企て、政権獲得をめざす政治的活動をすることについては問題があり、こ
れはそのまま是認すべきではない」。政治活動もいいでしょう。ある程度の自由はあるでしょう。しかし、程度を越えて政権の中枢をねらう、政権をとってしまう、そこには問題があるんじゃないかということを言っているんですよ。
 それで、「宗教団体にその教義に基づく政治上の権力の行使を認めることになるものであるからこ、政権をとっちゃったら、憲法の二十条第一項後段に言っている宗教団体は「政治上の権力を行使してはならない。」、この規定にどんぴしゃり当たるじゃないかと。だから、そういうものを是認しないで、そういうものを是認すると大変なことになるから、こういうものを是認すべきでないという考え方は、「憲法の政教分離の根本精神に反し、断じて許されるべきことではない」と質問しているんですよ。
 それに対する政府の答えは全然変わらないんだ、前の答えと。その答えを申し上げますから、ちょっと聞いていてください。(発言する者多し)もううるさくて質問できない。速記とめてくれ。ちょっと言って。
○理事(松浦功君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
 
○理事(松浦功君) 速記を起こして。
 ただいまの件につきましては、後刻、速記録を調査の上、適当な措置をとることにいたします。
 質疑を続行してください。
○関根則之君 その第二弾に対する政府の答弁、ちょっと総理、聞いてください。もうややこしい話なんですけれども、聞いていらっしゃる方もよくわからないかもしれませんけれども、ここは非常に重大なことなんですよ。
 というのは、どう答えているかというと、「宗教団体が政権を獲得するというのは、宗教団体が、公職の候補者を推薦し、または支持した結果、これらの者が公職に就任して国政を担当するにいたることを指すものと解される」というんです。私が言っているのはまさにそうなんですよ。
 大出長官、宗教団体が課税権を行使したら憲法違反ですね。司法権を行使したら憲法違反ですね。例えば防衛力、防衛機能を宗教団体が、この間のオウムみたいに銃器いっぱい持ってきて、日本の国防はおれに任せると仮に言ったとすれば、それはおかしい話ですね。オウムの話は別にしていいですけれども、要するに国防権を宗教団体が預かって行使したということになったら、これは憲法違反でしょう。そんな細かい部分的なものじゃなくて、ごっそり全部宗教団体が国権を行使したらどうなるんですか。憲法違反じゃないんですか。
○政府委員(大出峻郎君) 憲法の二十条一項後段の規定でございますが、「いかなる宗教団体もこ「政治上の権力を行使してはならない。」というふうに書かれておるわけであります。その政治上の権力というものをどのように理解するかということでございますが、これは国または地方公共団体が独占的に持っているところのいわゆる統治的権力、こういうものを指すというふうに理解をいたしておるわけであります。
 そこで、先ほどの引用されました例でございますと、課税権とか、これは国が独占すべきものと考えられると思いますが、そういうものを宗教団体が行使するということになれば、これは憲法に違反をすることは間違いないということだと思います。
○関根則之君 だから、例えば課税権なんというのは法律をつくることによってちょこっと委任することができないことはないかもしれない。しかし、そういうことをやったら憲法違反ですと、こういうことを書いてあるのが憲法二十条ですね。
 ところが、そういう個別の統治権、統治権の一部じゃなくて全部を獲得する方法があるわけですよ。適法な選挙を通じて、民主的な手続を通じて候補者を出して、国民に投票してもらって政権を獲得することができるわけです。これはまさに一見合法的な方法をもって宗教団体が政権を自分の手にとってしまう、獲得してしまう、そういう方法があるわけですよ。それは憲法二十条第一項後段に違反するんじゃないんですか。
○政府委員(大出峻郎君) ただいまのお話でございますが、お尋ねの御趣旨というのは、宗教団体というものが公職の候補者を推薦したり支持をしたり、そうした結果としてこれらの者が公職に就任をいたしまして、そして国政を担当するに至ることを指すものと理解をされます。
 それにつきましては、先ほど委員が引用されましたように、昭和四十五年四月二十四日の答弁書があるわけでありますが、仮にそのような状態が生じたといたしましても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは法律的には別個の存在であり、宗教団体がお尋ねのような政治上の権力を行使していることにはならないのであるから違憲の問題は生じない、こういう考え方であります。これが当時の、四十五年四月二十四日の答弁書の趣旨でもあるわけであります。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
○関根則之君 宗教団体が、オウムだってあれだけの候補者を立てて選挙をやったんですからね。あれはとれなかったけれども、オウムなんというあんなやり方じゃなくて、もっと戦略的にもたけて上手にうまくやる宗教団体が仮にあったとして、それがほかの勢力を結集して、自分の信者あるいは役員、そういう者を一斉に選挙に立てて、当選して議会の多数を制して内閣を組織して行政権を執行したらどうなるんですか。それは、明らかに宗教団体による政治上の権力の行使というはっきりした憲法二十条の一項後段の条文違反なんですよ。それを今、法制局長官は別個の存在であるからと言うんですね。別個の存在と言ったって、世の中のことというのは全部別個の存在じゃないですか。
 例えば、病院へ行って病気を診てもらうときに、病院が病気を診てくれますか。そんなばかな話はないでしょう。みんなお医者さんが診ているんですよ。そうでしょう。監査法人に一般の会社が監査をお願いしますよ。そのときは監査法人が監査しますか。そんなことはありませんよ。全部公認会計士なりなんなり、個人個人の資格を持っている人が行使するんですよ。もう全部そうじゃないですか。建築設計所へ建築設計を頼みに行って、建築設計所は設計図をかきますか。そんなことはない。このごろはコンピューターがありますけれども、個人個人の一級建築士とか二級建築士とか、そういう資格を持った人がやるんですよ。
 宗教団体が政治上の権力を行使するというのは、宗教団体には行使できるはずがないじゃないですか。そんなことは当たり前の話なんです。それは、宗教団体がその意を通じて、その意思に従って代議士をつくり、多数を制して内閣を組織して政権を執行するんですよ。それをやっちゃいけないというのが憲法の規定ですよ。それを、三百代言のように、別人格だ、人格が別だからいいんですなんて、そんな答弁はもう承服できません。これは、しっかりとそこのところを答えていただきたい。
 と同時に、時間がありませんから次に申し上げますけれども、この春日質問に対する答弁、この中で二段構えで言っているんですよ、総理。これは後でゆっくり読んで、また考え方を機会があるときに私はお聞かせいただきたいと思うんですが、「別個の存在であるばかりでなくこというのは政権をとっちゃったというそういう状態が生じたときに、たとえ仮にこのような状態が生じたとしても、宗教団体の意を受けた人が政権をとっちゃったとしても、それは別個の存在の代議士というものが、選ばれた代議士なり参議院議員がやるんだから、別個の存在であるから関係ないんだと言っているんですよ。
 それでやめときゃいいんですよ。その論理が一つあるかもしれない。だけれども、それでは論理が弱いから、「あるばかりでなくこ、その次が問題、聞いてください。「また、前述のように、当
該国政を担当することとなった者が、国権行使の面において、当該宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行なう等宗教に介入し、または関与することは、憲法が厳に禁止しているところであるから、前述の状態が生じたからといって、直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が現出するもの」とは思わない、こう言っているんですよ。
 どういうことを言っているかといいますと、仮にある宗教団体が政権をとっちゃった、大変なことになった、そういうことがあっても、それは別人格がやっているんだから構わないんだと。そういうふうに言っておきながら、それだけじゃちょっと弱いなと思ったんじゃないですか。それはあるかもしれないけれども、仮にとっちゃっても、その宗教団体は、国権を行使するわけですから、国権行使するときにほかの宗教団体に介入することは憲法で禁止されているんだ、だからそんなことをする心配がないから心配ないんだ、全体としてうまくいくんだ、政教分離の原則に反しないんだと、こう言っているんですよ。
 これはおかしい。営々努力してお金も使うでしょう、人も使うでしょう、時間も物も動員して選挙運動をやって、大勢の代議士を当選させてせっかく内閣をつくった。何のためにそんな努力をするんですか、宗教団体がもしやったとすれば。それはおのれの信条に基づく、おのれの宗教的良心に基づく政治をやりたいからですよ。その宗教団体が仮にほかの宗教団体の存在を許さないようなそういう宗教団体だったらどうなんですか。ほかの宗教団体の存在の余地というのはなくなるじゃないですか。
 そういう団体が政権をとって、その政権が政治をするときに、ほかの宗教団体には一切手を触れません、ちゃんと憲法に書いてあるとおり介入はしません、そんなことを期待できますか。それは本当に私に言わせれば空念仏ですよ、そんなことを言っているのは。全くそんなことは期待できない。そういう政権をとっちゃったときにはもう大変な事態になる、私はそう思います。そこのところが問題なんです。
 しかも、その論理の基礎になっているのは、いいですか、政教分離の原則が守られているからいいんだと言っているんですよ。その政教分離の原則というのは、私の説によれば双方向性なんです。総理の説によれば一方向性なんです。政教分離の原則というのはもともと二方向性なんですよ。両方を禁止しているんですよ。ところが、国の方から宗教団体に介入してはいけないという規定が守られているから、仮に宗教団体は国権に介入してはならないという、そういうことが起こっても憲法違反じゃないと言っているんですよ。
 これはまことにおかしな話ですよ。勝手に自分で政教分離の原則を半分に割っておいて、宗教団体から国権に介入してはならないという部分を除外しておいて、もし仮にそういうことが起こってもこっちが残っているからそれでいいんだ、国権が宗教団体に介入することがない、そういうことが憲法上書いてあるからそれでいいんだと言っているんですよ。
 そんなことが守られますか、正直な話。そんなばかな政教分離の原則を一方向だけに勝手に解釈していって、それをもとにしてこういう明らかに憲法二十条第一項後段で禁止している宗教団体の国権介入があったにしてもそれは構わない。論理的じゃないじゃないですか。そこのところをきちんと文部大臣、答弁していただけませんか。
○国務大臣(島村宜伸君) 我々はあくまで信教の自由という憲法の精神を尊重していかなきゃいけないと、こう考えます。先生のおっしゃることも理解ができますが、そういう基本に立ってこれからこれらに対して対応していきたいと、こう思います。
○関根則之君 これは精神とか考え方の問題じゃないんですよ。現にある、みんな憲法を守ろう、そういう人たちがそういう立場から憲法を素直に読んだら、憲法二十条第一項後段にははっきり書いてあるんですから。いかなる宗教団体も政治上の権力、ポリティカルパワーを行使してはならないと書いてあるんです。そういう宗教団体というものの行動規制をしているんですよ、憲法ははっきり。
 それを犯してしまっても、片一方で国権が宗教に介入することが禁止されているからそれでいいんだと。守られもしない条文を当てにして、はっきり書いてある憲法二十条第一項後段の規定を犯してもいいなんという、そんな解釈はとても承認するわけにはいかない。従来は通ってきたかもしれないけれども、これは制度の本質、憲法の精神、そういうものに照らしたときに考え方を変えるべきだというふうに私は思います。
 私は、したがって、政教分離の原則は一方向だけではないんだ、双方向だ、そういうふうに政府の考え方、解釈を変えてもらいたい。
 それから、政治活動にはおのずから限界があると、それはいいですよ。宗教団体も政治活動をやってもいいですよ。これはいい人だ、おれたちの信条と全く同じ、まじめな人だ、そういう人を選挙で出そうよということ、その程度の運動をすることはいいですよ。それは、しかしおのずから限界がある。その限界を示しているのが憲法二十条第一項後段なんですよ。宗教団体は政治上の権力を行使してはならない、そういう規定があるんですよ。その規定からいっておのずから限界がある。限界があるんだという解釈をしっかり出してもらいたい。そうでしょう。別個の存在である、そんな論理でこの問題をごまかすわけにはいかない。
 それらの三点をひっくるめて政府に対して再答弁を求めます。おかしいんじゃないの、やっぱり。政治的な話じゃない、憲法解釈です。
○政府委員(大出峻郎君) 昭和四十五年四月二十四日の答弁書でございますが、ここのところで後の方の部分におきまして宗教的活動等との関係について触れておる、これはどういう趣旨がと、こういう御指摘が一つあったと思います。
 御存じのように、御指摘の昭和四十五年四月二十四日付の質問主意書に対する答弁書では、最初の方で「宗教団体が政権を獲得するというのは、宗教団体が、公職の候補者を推薦し、または支持した結果、これらの者が公職に就任して国政を担当するにいたることを指すものと解されるところ、仮りに、このような状態が生じたとしても、当該宗教団体と国政を担当することとなった者とは、法律的には、別個の存在である」ということを述べまして、御質問の点というのは、質問主意書におけるところの御質問でございますが、御質問の点の二十条第一項後段との関係について答弁をいたしておるということであります。
 その後、この答弁書では、続けまして、「当該国政を担当することとなった者が、国権行使の面において、当該宗教団体の教義に基づく宗教的活動を行なう等宗教に介入し、または関与することは、憲法が厳に禁止しているところであるからこ、この辺の部分だろうと思いますが、「前述の状態が生じたからといって、直ちに憲法が定める政教分離の原則にもとる事態が現出するものではなくしたがって、前述の状態が生ずることそれ自体が、憲法に抵触するものとは解されない。」とも述べておるわけであります。
 これは、質問主意書におけるところの質問の部分におきまして「宗教団体にその教義に基づく政治上の権力の行使を認めることになるものであるから、これは憲法の政教分離の根本精神に反し、断じて許されるべきことではないと考えるかどうか。」というような質問の部分がありましたので、これに対応して今のところも触れている、こういう趣旨であろうかと思います。
○関根則之君 今お読みいただいたことは私は知った上で物を言っているんだから。それを、時間が貴重なんですよ、今テレビで放送していますしね。
 総理、こういうことなんですよ。この政教分離という原則はヨーロッパで起こってきた、それがアメリカを通じて日本に入ってきた、そういう概
念。どう見たってそれはキリスト教から近代社会、近代政治というものが独立をする、世俗化ですよ。昔は神の言葉で政治をやったんです、神のお告げで政治をやったんですよ。それから人間の論理で政治をやるようになったんです。それが近代民主主義です、議会制民主主義なんですよ。神からの独立。神からの独立って言葉はいいけれども、世俗化なんですよ。
 昔は神様が政治をやってくれたんです。今はそうじゃない。それじゃなくて、神様が、神様は立派なんです。ところが中間者に変なのがいるわけですよ、時にね。間で神様の口をきく人が、神様の意思だと言う人がおかしいのがいるからおかしくなっちゃって、そんな政治は人間の合理主義精神に合わない、やっぱり人間が論理に基づいて政治をやった方がいい。それじゃ賢人にやらせたらいいじゃないか。賢人はふだんは頭がいいけれども、時に配線が狂ったりすることがある。そういうことがあると困るからみんなで決めれば間違いないじゃないかというのが、人間の頭でみんなで、全部で決めれば間違いないじゃないか、大東亜戦争やることなかったじゃないか、それが私の原体験ですよ。
 だから、民主主義なんというのは仮定ですよ、こんなものは。仮定、仮想。みんなで決めればおかしなことは起こらないであろうという前提がついているんです。もちろんそれを信じているかもしれませんよ。しかし、そういう賢人でもだめなんです。みんなで決めよう、それが民主主義でしょう。そういうもとになった思想なんですよ、これは。
 だから、数が多ければだれでもいい、だれが政権をとってもいいんですよ、国民から支持を受ければ。農業党も結構、工業党も結構、商業党だっていいんです。だれだっていいんですよ。米を開放したいという政党があったらそれでもいい。緑を守ろうという政党があったら、それが政権とったって構わない。ただ、宗教だけはだめですよ、宗教が政権をとることはだめですよ、それを決めたのが憲法二十条の精神なんです。
 憲法二十条というのは、ほかの、いろんな政党だとか信条の持ち主が政権をとる、政権に近づくために選挙法をきちっと使ってやることは構わない、しかし宗教団体だけはだめよというのを書いたのが憲法二十条の第一項後段なんです。いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないと書いてある。これは、そういう歴史の上に法治国として法定されているんですよ、憲法ではっきり。
 だから、あっちこっち持っていかないで、政教分離の原則は一方向だよなんて、そんなこと言わないで、まさによって来たところが、それは国権からの介入もだめだけれども、宗教団体が政権とっちゃだめだよ、それを定めた規定なんだから、双方向性ではないか。それを、勝手に政教分離の原則は国権からの介入を禁止した一方向性のものだということを前提にしておいて、そういう定義規定をつくっておいて、宗教団体が国権に介入したという事実、明らかに憲法二十条第一項後段の規定に該当するような、違反するような行動が起こっていても、自分で勝手に解釈した、こっちが残っているからそれでいいんだ、そんな解釈はとても容認することができない。
 したがって、少なくもこの政教分離の原則というのは双方向性のものであるということと、いいですか、それと憲法に書いてあることをきちんと守らなければだめですよということを言っているんですよ。政治活動に限界があるのかないのか。
 この二点について、まあ総理は限界がありそうななさそうな、その辺のところはちょっとニュアンスが変わってきましたけれども、その考え方について、私は今までの政府の答弁では納得することができません。
○政府委員(大出峻郎君) まず第一点の問題でありますけれども、政府としては従来から、憲法の定めるこのような政教分離の規定といいますのは、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨のものである、こういうふうに解しているわけであります。
 それを前提といたしましてといいますか、憲法二十条第一項後段のいかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないということは、この政治上の権力の意味でございますけれども、これは制憲議会のころから同じように現在も解釈をしてきているということであります。言葉をかえて言えば、国または地方公共団体が独占的に持っているようなそういう統治的権力というもの、一項後段の政治上の権力というものはそういうものを意味しておる、こういう考え方であるわけであります。
 それを前提といたしますというと、政教分離原則の中で宗教団体が政治活動を行ってはならないという趣旨までは含まれていないというふうに理解をいたしてきておるわけであります。
○関根則之君 私が主張しているのは、宗教団体が政治活動をすることを禁止されているなんて、そんなことを言っているんじゃないんですよ。宗教団体だって、さっき言ったでしょう、本当に自分たちの信条なり教えに忠実な人がいて、これはいい人だというのならどんどん応援したっていいんですよ。まさにそういうことは結構なことだと思うんですよ。そういう政治的な行動をすること、そんなことが憲法違反だなんて言っているんじゃないんです。
 しかし、それがだんだん高じてきて、オウムは漫画チックなことをやりましたよ。しかし、あんなものじゃなくて、もっともっと計画的に組織的に幅広くやってそれをしたら、政権をとっちゃったら、代議士をいっぱいつくってとっちゃったときにどうなんだ。そんなことできるはずがないじゃないかなんて言っていますけれども、安心していたら危ないんですよ。日本の歴史の中ではないんですよ。宗教が日本の政権をとっちゃったなんていうなにはないんですよ。ヨーロッパにはいっぱいあるんですよ、そういうなにが。そうでしょう。
 今のヨーロッパがそうだと言っているんじゃないんですよ。かつて中世において、キリスト教が中心ですけれども、キリスト教が君臨するといいますか優越的な力を持って政治を支配したときがあるんですよ。そういうものに対して、近代国家というものが成り立つ過程で宗教というものを別にしたんですよ。そのかわり逆に、宗教はだめよ、自分たちでやりますといって世俗的な権力としての政府をこしらえたんです。
 しかし、そこで出てきた政府は、信教の寛容というものが出てきておる。そういう概念が出て、寛容というのは許すということですよ。おれと考え方が違う、おれと宗教は違うけれども、一般の国民におれの宗教を押しつけることはいたしません、国の側から信教の自由を認めて、自分とは宗派の違う宗教団体の活動に介入しませんということを言っているわけです。
 そのもとは、国の権力が宗教団体に介入するなんていう、そんなものじゃないんです。宗教団体がまさに国家権力というものを握っていたんですよ。そういうものからの独立なんですよ。そういうのが政教分離の原則なんですから、それを頭にしっかりと据えて政府見解を見直していただけませんか。今私が申し上げたような基本に戻ってもう一回検討していただけませんか。
○政府委員(大出峻郎君) 一般論として申し上げますというと、憲法を初め法令の解釈といいますのは、当該法令の規定の文言とか趣旨等に即して、立案者の意図なども考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであると考えられるわけであります。
 政府による憲法解釈についての見解は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものと承知をいたしており、最高法規である憲法の解釈は、政府がこうした考え方を離れて自由に変更することができると
いう性質のものではないというふうに考えておるところであります。
 特に、国会等における論議の積み重ねを経て確立され定着しているような解釈については、政府がこれを基本的に変更することは困難であるということでございます。
○関根則之君 今、ともかく私が新しい観点からの基本的な議論を申し上げているんですから、それに対して、即答でそんなものだめだというようなことはおかしいんで、変えるつもりはないんじゃなくて、これは検討を、これから私どもも同僚の質問を通じてきちっとそこのところを明らかにしていきたいと思います。そういう意味で検討をぜひお願い申し上げまして、質問を終わります。
     ―――――・―――――
○委員長(佐々木満君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として前川忠夫君が選任されました。
 残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
○委員長(佐々木満君) ただいまから宗教法人等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、宗教法人法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○尾辻秀久君 尾辻です。午前中、関根委員の英語も出てくる大変鋭い質問がありました。私は私の能力の範囲でしかやれませんので、どうぞ総理、私にわかる答弁をしてください。
 まず、不信任案が冒頭に出ましたので、一言言わせてください。
 公平中立でないという理由でありましたけれども、委員会もまだ始まっていないわけでありますから、何が公平中立でないないのかよくわかりませんけれども、察するに準備の段階の話だろうと思います。しかし、準備をするための理事会といいますか、理事懇といいますか、平成会の皆さんはほとんど出てこられなかったのであります。そのことだけはやっぱり言わせておいていただきたいと思います。
 しかも、にもかかわらず、委員長は私ども自民党の主張は余り取り入れていただけませんでした。むしろ不満があったわけであります。しかし、私どもが不満を持つぐらいが公平中立なんだろうなと、そういうふうに思いながらやってきたんですが、あの不信任案というのはわからないなということだけは言わせていただきます。
 続きまして、関根委員の質問の中で二つだけ私にも納得できないことがありますので、引き続き質問をさせていただきたいと思います。
 まず、創価学会池田大作名誉会長への外務省の便宜供与のことであります。お聞きいたしておりましたら、古い話であるからわからないから答えられない、こういう理由でありました。これは決して皆さんのよく使われる守秘義務であるとかなんとか、そういう理由ではないんですね。確認だけします。
○政府委員(池田維君) 先ほど申し上げましたのは、既に一切の記録が残っていないということで確認できないという趣旨から申し上げたわけでございまして、これは守秘義務に基づくものではございません。
 なお、一般論として申し上げますと、民間団体であってもその活動が国際交流あるいは文化交流に資するものである、あるいは実績があるという団体、個人に対しまして便宜供与を行うことがあるわけでございます。
○尾辻秀久君 そんなことをお聞きしているわけじゃありませんので、後段の部分は結構なんであります。
 古いことだから答えられない、こういうことでありますから、それでは一番新しいことをお尋ねいたします。
 これは国会図書館から借りてきたので大事にしなきゃいけないんですが、ここに雑誌があります。この雑誌の中に、極めて最近、池田名誉会長が外国にお出かけだということが出ております。この中に外務省や税関にも信者はいるからと、こういうことが出てくるんです。
 そういえば、何かのときに大風会という存在を聞いたことがございます。外務省に大風会というのはあるんですか。
○政府委員(池田維君) お答えを申し上げます。
 大風会なるものについて書かれたものを読んだことはございますけれども、信教の自由に関係するということもありまして、私ども確認する立場にないわけでございます。
○尾辻秀久君 では、とりあえずそのことはおいておきましょう。
 先ほど古いから答えられないと言われたこと、これは古過ぎるからということなんでしょうが、五年ぐらいのところなら資料があるんじゃないですか、どうですか。
○政府委員(池田維君) 五年間程度のことにつきましては、私ども資料はあると思いますので、調べることはできると思います。
○尾辻秀久君 それでは、あるとはっきりお答えになりましたから、どうぞ調べて出してください。この要求をいたしておきます。(「何の資料か」と呼ぶ者あり)何かということでございますから申し上げます。
 まず池田名誉会長が外国にお出かけになるとき、私ども聞いておりますのは、大使とか公使とか恭しくお出迎えになるということでありますが、そういうことがあったのかないのか、あるのかないのか。それから、通関が自由におできになるという話も聞いておりますが、そういうことができるのかどうか。それから、外国の要人にお会いになるのにアポイントをとられる、それも外務省がかわってやる、かわってやるというか外務省がやるということでありますけれども、そういう実態について調べてお答えください。こういうことでありますから、いいですね。
 それから、先ほどずっと続いておりました政教分離の点でございます。これは当然ですけれども、団体の政治活動に限界があるんだというところまではお答えになったと思うんですね。その限界があるというところまではお認めになったわけでありますから、ではどのくらいの限界があるのか、どのぐらいのところに限界があるのかどうか、これは統一見解をぜひ出してもらいたいと思います。
 ですから、私は二点お願いいたしましたので、きちっとした外務省からの資料を出してもらえるのかどうか、外務大臣に。それから政教分離について、宗教団体の政治活動の限界についての統一見解を出していただけるかどうか、官房長官にお聞きをいたします。確認したいんです。
○国務大臣(河野洋平君) お出しできる資料はきちっとお出しをするつもりでおります。
○国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。
 今お話しになっております関根議員の質問、これに関連する尾辻議員の質問であります。いわゆる宗教活動の政治的限界、この問題については、午前中、法制局長官が一応の見解を出しましたけれども、四十五年の当時の質問主意書に基づく答弁であります。したがいまして、その限界の問題については、十分検討して統一見解を出していきたいと考えております。
○尾辻秀久君 いずれもきっちりお出しいただくという御答弁をいただきましたので、お願いをいたしておきます。
 議論が先に進んでしまいましたけれども、改めて私の質問をさせていただきます。
 今、もう一回頭を整理して質問をやり直してみたいなと思っているんですが、私はこういうふうに整理しているんです。
 私たち日本人は、そもそもというか、多くの人がやおよろずの神を信ずる多神教徒でありますから、どうしても絶対唯一の神を信ずる一神教の宗
教観にはなじみが薄い。また、宗教が国家を支配したという歴史もないと言っていい。こういうことでありますから、宗教について元来深刻に議論したことはなかったのでありますけれども、このたびオウム事件などありで、そうのんびりもしておれないということで、改めて幾つかのことに気がついたと。
 一つは、午前中随分議論されましたけれども、政教分離と言葉では言うけれども、中身をきちっと詰めておかないとこれは大変だと。一つは、教育の中で宗教をどう扱うか真剣に考えなければならない。また一つは、宗教法人法を初め税制を含めた幾つかの法律にこの際検討を加える必要がある。それからまた、午前中の御答弁の中でも出てきましたけれども、こうした法律の適用に当たって、宗教性善説に立って宗教を聖域にして、宗教団体を治外法権に置いてはいけない。それからまた一つは、カルト対策をしっかりさせておかないと危険である、こんなことがあると思うんです。
 そして、今、こうした環境といいますか認識のもとで宗教法人法の改正がなされようとしておる、今我々は議論をしようとしている、こういうふうに整理しているんですが、総理はこの宗教法人法改正の言うならば環境といいますか、どういうふうに整理しておられるか、お聞きをいたします。
○国務大臣(村山富市君) 幾つかの観点からそれぞれ御指摘があったわけでありますけれども、例えば課税の問題については、これはまた税法があって別の法律が適用されるというので、それぞれ対象によってその適用される法律が違いますから、それぞれあるわけです。
 今度の宗教法人法の改正というのは、もうたびたび申し上げておりますように、信教の自由とかあるいは政教分離とかいうような大前提は保障しますということを前提にして、しかし、一つの例として申し上げましたけれども、この法律がつくられた当時と現在とはもう社会情勢も変わっていますし、宗教団体の活動も変わってきておる、したがって今のままの法律では適用に無理があると。同時に、そのことは、単に行政上の責任が果たせないというだけではなくて、本当の意味で庶民の皆さん方からもなるほどと納得されるような公正公平な宗教活動といいますか、皆さんがお互いに認め合うような、そういう宗教活動を保障していくためにもこういうことが必要ではないかという観点から私は今度の法律の改正はなされておるというふうに確信をいたしております。
 ですから、一つの例として申し上げましたけれども、もう宗教団体の活動というのは全国的に広がってきておる。それを一つの都道府県だけで認証して管轄するということについては行政上無理があるんではないか。だから、複数の県にわたるような宗教団体の活動については、当然それを統括できるような文部省というものがその所管に当たるべきではないかというのはごく当たり前のことではないかと私は思っていますから、決して無理なものではないと。
 これは一つの例ですけれども、例えばオウム真理教といったようなものが本当に宗教法人として適正なのかどうかということについて、解散命令を請求する権利は文部省にも都道府県にもあるわけです。しかし、その解散に値するかどうかということの裏づけをつかむ手段がないというようなことでは行政上の責任が持てませんから、したがって、最低そういう活動についてお互いに納得できるようなやっぱりその把握というものは必要ではないかというようなことについて今度の改正案は出されているわけです。
 ですから私は、むしろこういうことをやることによって、宗教団体の宗教活動も本当に大衆が認め合った中で保障されていくのではないかというふうに思いますから、むしろ大きく前進していくのではないか、よくなっていくのではないかというふうに思っております。
○尾辻秀久君 だんだんにお尋ねしていきますから、先にいろいろお答えいただくと質問しづらくなりますから、どうぞお聞きしたことにお答えいただきたいと思います。
 私が申し上げたかったのは、我々が議論することは多岐にわたるんだということを申し上げたかったのであります。それからまた、ごく最近の世論調査でも法改正に賛成というのは実に八三%なんですね。国民の皆さんの期待、関心も極めて高いのでありますから、きょうから私たちの議論も始まったわけでありますけれども、まさに良識の府と呼ばれるにふさわしい議論をしていきたいなと、こういうふうに思っていることを申し上げたのであります。
 二点申し上げてみたいと思います。一点は、午前中、関根委員も言われましたけれども、私たちの議論を深めるために、いろいろな方にぜひこの委員会に来ていただいて御意見をお聞かせいただきたいと思っているということを申し上げます。それからもう一点、宗教法人法改正後も私たちは議論を続けなきゃいかぬ、議論を続けたいということも申し上げておきたいと思います。
 先日、ある新聞を読んだんです。「消えた神棚」という記事なんです。ことしの七月の参議院議員選挙に際してある候補者が、前回の選挙までは選挙事務所に神棚があったんだけれども、今度は消えてしまったと。それは、その新聞に実にはっきり書いてあるのですが、ある宗教団体に誠意を示した結果なんだそうです。
 他人様のことばかり言っちゃいけませんから自分のことも言っておきますけれども、我が家には仏壇があります。選挙が近づくと急に信心深くなりまして選挙事務所に神棚を祭るのであります。我が家で仏壇を拝んで、そして選挙事務所では神棚を拝むのでありますけれども、そういう私からすると、その新聞記事の宗教観というのは非常に違和感があります。総理はどういうふうに感じられるかなというのをお聞きしてみたいのであります。
○国務大臣(村山富市君) 私個人の宗教観といいますか、私のうちは真宗ですから、ちゃんと仏壇がございます。盆にはお墓参りもしますし、法事の際には仏様にお参りもする。それから、選挙になりますと、選挙事務所の皆さんが一緒になって、必勝祈願といって、お宮に行って祝詞を上げていただいて、そしてやるわけですね。それから、年初めにはお正月に氏神様にお参りするとか、あるいはお祭りには子供を連れて神様にお参りするとかいうようなことは一般的にごく普通にやられていることであったと思いますけれども、私もそういう態度をとっております。
○尾辻秀久君 余り細々したことをお聞きしようと思って聞いたわけでもございません。ただ言いたいことは、宗教の問題は難しいなと思うということなんです、信じている人たちには絶対正しいわけですから。オウムに至っては人を殺しておいて魂を救済したと、こういうわけでありますから。しかし、同じことが信じてない方から見ますと迷惑千万であったり荒唐無稽であったりするわけでありまして、非常に難しいなと思うことを率直にまず申し上げてみたところであります。
 しかし、負託を受けて議論をするわけでありますから、慎重に、しかし恐れずに、本当に国民の負託にこたえられるように議論しなけりゃいけない、今自分を叱咤激励するために言っているわけでありますけれども、そう思います。
 先ほど、統一見解を出していただくということになりましたので、余りこだわりたくはないんですが、ちょっとこだわらせてください。
 総理は、宗教法人が選挙活動を行うことを主たる目的とするということは宗教法人法には予定されていないと、こういう言い方をしておられるんですね。予定されていないのはいいんですけれども、今度の統一見解で出てくるかもしれませんが、予定外のことが起きたらどうなるんでしょうね。
 それじゃ、そのことはもうおいておきましょう。午前中で時間がなくなっていますから。
 それじゃもう一つ、金もうけを主たる目的とする宗教団体が出てきたら、まあこれも予定外なん
でしょうが、しかし私に言わせていただくと、いっぱいと言ったら語弊があるかもしれません、幾つかあると思うんですね、実質は金もうけを主たる目的とする宗教団体が。こういうものが出てきたらと申し上げますが、これはどういうことになるんでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) これはいろいろな法律の適用があると思いますけれども、主たる目的は宗教活動を行うということによって認証されるわけですね。しかし、その認証された主たる目的と違うことをずっと継続してやっておる。これは明らかに宗教法人法に照らして適正な宗教法人ではない、こういうことが立証されれば、私はやっぱり宗教法人としての解散手続は当然所轄庁でとられるべきものだと思いますし、また宗教活動と違った意味で金もうけをした分については当然課税されてしかるべきだというふうに思います。
○尾辻秀久君 総理はそういうふうにお答えになるんですが、文部大臣、たしか衆議院の質疑の中で文部大臣は、率直に言って、正直に言ってそういうことの把握といいますか、実態をとらえるということはほとんど難しいんだというふうに答えておられると思いますが、違いませんか。ちょっと答えてください。
○国務大臣(島村宜伸君) 現行法上は全く無理だと言っても言い過ぎでないくらい把握ができません。
○尾辻秀久君 今、文部大臣がお答えになったように、総理のお答えはお答えなんですけれども、それは解散させるというか、認証取り消しとかいろいろな方法は条文には書いてありますからやれるよといえばそのとおりでしょうけれども、じゃ実態をどうやってつかんでそれをやるのということになると、実態のつかみようがないというのが今の文部大臣のお答えで、これが正直なんだと思うんですね。ですから、やっぱりこの宗教法人法というのは随分不備があるな、こういうふうに思うわけであります。
 そしてまた、今私はそういう不備があるから改正当然ですよねということを言いたくてこんなことを言っているんですけれども、ただ先にちょっと進ませていただくけれども、そういう不備すらも今回の改正で解決されていますかね。なぜされてないのかということをちょっと文部大臣、お答えいただけますか。
○国務大臣(島村宜伸君) 私どもは、これは本来必要的付議事項ではないのですが、前文部大臣から宗教法人審議会に御検討願って、現行の宗教法人法が時宜に合わない、今の実態に合わない、そういうものがあればいろいろ御検討いただきたいという中で、宗教法人審議会では所轄のあり方と情報開示のあり方と活動報告の把握のあり方、この三点に絞られて十三回に及ぶ総会、特別委員会で御検討願った。
 我々は、政治的に恣意的に何かここにかかわりを持つことは一切遠慮すべきだという判断から、審議会の方との接触は電話一本いたしませんでしたし、その結論を待ってこの法改正を今お諮りしているところです。
 したがって、私は再三、テレビやラジオでお聞きの皆さんおられると思うので、皆さんにも申し上げているところですが、今回のこの法改正に問題があるかどうか、一般の国民の方にもぜひ内容をごらんいただきたい。本当にわずかな部分を、先生おっしゃるように、随分ささやかではないか、こう言われますけれども、再三申し上げているように必要最小限の改正ということでお願いしているところです。
○尾辻秀久君 今、不備が幾つかあるんじゃないですかということで申し上げておるんですけれども、もう一つ聞かせてください。
 これは後で中島委員からもいろいろお話があるのかなと思いますけれども、オウムが東京都に認証を求めましたね。その際に既に東京都の担当者は出家制度をめぐって都民から苦情が相次いでいるというふうにもう実態を認識していたというふうに言われておるんですけれども、この辺はどうですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 宗教法人の設立にかかわる規則の認証につきましては、宗教法人法第十四条一項で、所轄庁は申請に係る事案について、一、当該団体が宗教団体であること、二、当該規則が宗教法人法その他の法令の規定に適合していること、三、当該設立の手続が宗教法人法第十二条の規定に従ってなされていることの要件をすべて備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をしなければならないと、こうされているところであります。
 なるほど、先生御指摘のとおり、オウム真理教の認証のいわば申請につきましては、いろいろそれまでの間問題があったように聞きますけれども、結果的には、平成元年三月一日、東京都知事に対して規則の認証申請書が提出され、八月二十五日にこれを認証したものであると、こう聞いているところであります。
 以上でよろしゅうございましょうか。
○尾辻秀久君 今の御答弁も少し先回りをされてしまったんですけれども、今からそのことを聞こうかなと思っていたんです。
 私は、問題があるとわかっていながら東京都が認証した、そのことをけしからぬと言おうと思って今言っているんじゃないんです。むしろ、法の不備があって、ちゃんと書いてあるわけですから、申請を受けたら三カ月以内に認証しなきゃいけないと法律に書いてある、申請を受けたら、どんなにこれはおかしいなと思っても結局三カ月たったらもう認証せざるを得ないということになって、それがオウムの例ではありませんかということで言ったつもりなんです。それは法律にこう書いてあるからですよと、今既にもう文部大臣からお答えいただいたわけで、そのとおりなんですね。そこの部分がやっぱりおかしいんじゃありませんかと。
 そして、これもまた今回全然手がついていませんね。午前中、関根委員もそういう立場からの御質問だったんだろうと思うんですけれども、必要最小限と再三言われるけれども、最小限は認めるんですけれども、必要の方がくっつくのかなという感じを持っていることだけを申し上げておいて、引き続きの検討をお願いしておきます。
 そこで、私がそういうふうに認識するこの宗教法人法、そして改正、これでも反対だと言う方がおられるんですね。私は正直に言ってよくわからぬのです。だから、ここにも「宗教法人法改悪を斬る」とかいろいろ反対の皆さんの御意見も勉強させていただきました。それでもやっぱりわかりませんので、この際いろいろお尋ねをしてみたいと思っておるんです。
 その反対の皆さんの御意見、私なりに言わせていただくと、もう中身より何よりも、もともと反対だと言ったら怒られるかもしれないけれども、とにかくそういう中身以前で反対だと、こういう御意見が幾つかあるんですね。代表的なのは、(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)今から言いますから聞いてください。代表的なのは、これは宗教宗派の名前は言いません、宗教宗派の名前がついていて中央協議会の事務局長と言われる方が言っておられるんですが、文部省そのものに不信があるんだ、文部省に不信があるから反対だと、こういうような御意見があったり、あるいはこのたぐいだと思うんですけれども、毎日新聞なんかのある日の指摘なんですが、文部省が政治の流れに乗って省益拡大の発想はなかったんだろうかとかいろいろ言っておるわけでありまして、こんなことどうですかと聞いても答えもわかっていますし、お互いに八百長みたいなやりとりをしてもしようがありませんからお聞きもしませんけれども、こういったぐいの反対もあるんですね。そういう中から、まあまあお聞きをしてみなきゃいかぬなと思うことをちょっと聞かせてください。
 法人法を変えなくとも法の運用で済むんだとか、あるいはオウム対策には全く効力がないから、だから改正反対だと言う人たちがいるわけであります。法人法の不備でオウム事件が起きたとか警察の捜査がおくれたなどということは全くなくしたがって改正はオウムの再発防止にならない、よって反対だと、こういう主張が代表的なものだと思うんですけれども、私は、先ほど申し上げたように、法の不備で、オウム一つをとってもやっぱり問題があるなと思いながら認証せざるを得なかった。その認証したことによってそれは一種のお墨つきになるんですね。これは間違いなくなると思いますよ。そして、それが暴走をとめにくくしたことはもう事実だと思います。法人になることで一般には国が宗教性を認定したんだというふうに理解するんです。それはそう思います。そして、遠慮しているうちにどんどん芽が大きくなってしまってと、こういうことなんだと思います。このことについて既に私の意見を申し上げてしまいましたから、もう質問はしません。
 それで、質問なんですけれども、宗教法人審議会の報告の中で、基本的なスタンスとして、現行法の運用で対処できる点はより適切な運用を図るべきと、こういうふうに言っているんですが、具体的にはどんなことを指しているんですか。
○政府委員(小野元之君) 御指摘のように、宗教法人審議会の報告の中にも、例えば「認証時の審査を厳正に行うなど、現行宗教法人法の運用で対処できる点はその適切な運用に努めることとすべきである。」という報告がなされております。
 私どもといたしましては、もちろん、先ほど来議論の出ております認証の性格でございますけれども、法律の定める要件を備えていれば認証しなければいけないということは事実でございますけれども、認証の時点から著しく公共の福祉に反することがはっきりしておる、それが明らかである、そういったものについては認証の時点で認証しないという判断をすべきだということは当然法も許容している範囲だと思うものでございますから、そういった意味での認証時の審査を厳正に行うといったような点は今後も検討していかなければいけないというふうに考えております。
○尾辻秀久君 それでは、今そういう答弁がありましたから、今後は認証を厳しくやっていただけるなと思います。ぜひそうしていただきたいと思います。
 ただ、私の意見をあえて言わせておいていただくと、余り運用で扱わない方がいいんじゃないか。解釈でやるといろいろ法律というのは問題を生む。やっぱりきっちり条文に書いておくことが必要だというふうに思いますから、そのことだけは申し上げておきたいと思います。
 この法改正の議論の中で、特定の宗教団体の規制をねらったものであるとかないとかというのが大きな問題になっています。口にするかしないかはいろいろなんですけれども、その宗教団体というのが創価学会を指しているということは、これはみんな承知していますから、あえて私もそう言います。総理が宗教法人法の予定外のことだといろいろ言っておられるけれども、これほどの巨大教団が出現するというのがまさに最大の予定外だろうなとも思います。
 そこで、市川雄一新進党幹事長代理はこう言っておられるんです。特定の宗派の政治的規制が強くなったのは実力があったからで、自民党が強かったころもそれでけしからぬとはならなかったはずだ、こう言っておられます。確かに力があることは非難することはできないと思います。しかし、宗教団体がそこまで力をつけることの議論というのはもう既に行われましたし、政府の統一見解も出てくるでしょうから、そのことについては触れません。
 しかし、力があるということで言わせていただくと、自民党も力があるそのことを非難されたことはなかったと思います。しかし、力があるがゆえに監視の目を強くされたのは事実だと思うんです。やっぱり強い力、大きな力に対して監視の目が強くなる、それはもう必然だと思います。大きな力が何か間違った方向に行ったら危険ですから、当然そうなるんだと思うんです。だから、ぜひ創価学会の皆さんもこのことは御理解いただきたい、そういうふうに思います。
 そして、私自身、言わせていただくと、まじめな関心も素朴な興味も、そして正直に言うといささかの恐れも感じていることをすべて申し上げるんですが、ぜひ指導者たる方のお話は伺ってみたいなと、こういうふうに思っておりますので、お願いしたくてここであえて申しました。そして、一つの宗教団体だけをねらい撃ちにして法律を変えるなどということが、この民主主義のもとで、衆人環視のもとでやれるはずはないと申しておきたいと思います。質問はいたしません。
 衆議院のこの議論の中で、宗教法人審議会の審議のあり方について随分いろいろと御議論がありました。きょうは随分時間を節約しなきゃなりませんので、一々はお尋ねいたしません。確認だけをさせていただきますので、そうであるかないかだけ言ってください。
 法の改正に当たって、審議会が格別意見を言わなければ法の改正はできない、要するに手続上ですよ。それを必要な条件としているということはないと私は理解しておりますので、それでいいのか。
 それから、今度の意見は、あれは私は報告だと聞いています。そして思っています。という意味は、答申という重みのあるものではないんですねということをお聞きしているわけでありまして、一つの言うならば参考意見としてお聞きになった、こういうふうに理解しておるんですが、今申し上げた二つのことはこれでいいですかという確認であります。
○国務大臣(島村宜伸君) おっしゃるとおりでございます。これは、まさに参考までに御検討を願ったと、こういうことで受けとめていただいて結構です。
○尾辻秀久君 今、確認していただきましたので、余り審議会の審議の内容でごたごた言ってもそう意味はないなと思いますから、予告しました審議会の運営のことや議事録の公開のことなんかもうきょうは質問いたしません。
 一つだけそのことで質問させていただきますと、昭和三十二年に答申が出ていますね。これは答申としてきっちり出ている、重みがあることなんです。しかも、読みますと非常に適切な指摘をしていると考えるんです。
 例えば、「宗教法人となることができる宗教団体の基準を設けること。」とか、特に、宗教法人の認証の取り消しは認証後一年を経過した後でもやれるようにしなきゃいかぬのじゃないかとか、そういうことを言っておるわけであります。
 こうした至極もっともだと思われるような指摘すらも今回触れられていませんね。これはやっぱりちょっとと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) オウム真理教事件を契機として、一体所轄庁は何をやっているんだ、いわば文部省は一体宗務行政の所管庁として何をやっているんだという御批判がありました。しかし、警察当局の非常に的確な対応で、オウム真理教にサリンの元凶が突きとめられてかなり安心したことは事実です。
 しかしこれを契機に、今までは認証したらそれっきり、放置したままといいましょうか、本来の法治国家でなくて、いわばほったらかしの方の放置であったような我々には反省があるわけでございます。その中で、特にどうこうしてくれという注文を一切つけずに御検討願った結果が報告としてまとめられましたが、それはそれとして尊重するのが私たちの建前でありますから、今回その御報告に基づいて法改正をお願いしたと、こういうことでございます。
○尾辻秀久君 さっきから言っていますように、引き続きいろいろと検討してみてください。怠慢と言われてもしょうがないなということにならないようにしておいていただきたいと思います。
 午前中の関根委員の質問で、法人法では、宗教法人の活動のうちの法人の持つ財産の管理だとか維持運用などの世俗的な面についてのみ規定しておる。要するに、聖と俗という関係で言うと、その俗の部分だけの規定をしておるのであって、信教の自由に触れるような規定はどこにもないというようなことは確認されたと思っておりますので、これはもう質問しません。確認だけをここで
させておいていただきます。
 そこで、宗教法人法の第一条で「この法律の目的」を定めています。「宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。」と、こう書いてあるんですが、これはいかにも法律でありましてわかりにくい表現なんで、簡単に説明をしてください。
○政府委員(小野元之君) 宗教法人法第一条の目的の中の「法律上の能力」でございますけれども、これはいわゆる法人格を付与するということでございまして、権利能力、すなわち権利や義務の主体となることができる資格を与えるということを意味しているわけでございます。
○尾辻秀久君 いろいろ説明されると難しくなるんですけれども、私はこんな理解をしているんです。
 宗教法人法によって宗教団体が法人と認められる最大のメリットというのは、要するに税金の一部は納めなくてもいいようになって、一部は軽くなると、このことだと思っているんですけれども、この理解は間違いでしょうか。
○国務大臣(島村宜伸君) 私は、宗教法人に期待される公益性というのはもっと高いものだと、こんなふうに思っております。
○尾辻秀久君 それじゃ、質問の趣旨をちょっと変えてみたいと思います。
 この法人法の基本的な性格について、ノーザポート・ノーコントロールなのかどうかというのがこれまた議論をされております。総理の答弁を聞いていますと、国と宗教との関係というのは、援助とかそれからまた一方から関与とかというかかわりが全くないのかどうかということで先ほどからも議論が行われていますけれども、これについて今申し上げたような、少なくとも税の軽減措置などというのはあるわけでありますから、これを受ける権利を与えておるわけでありますから、そのこと自体が既に支援というか援助というか、すなわちサポートである。したがって、この部分において既にノーサポー卜・ノーコントロールというのはちょっと言えないんじゃないかと、総理はこう答弁しておられるんだと私は思っているんですが、どうですか、総理。
○国務大臣(村山富市君) ノーサポート・ノーコントロールというのは、もう認証したら一切そうだというものではないと思いますね。これはやっぱり公益法人としての法人格を与えているわけですから、法人格を与えれば民法上の法人もあるいは私学の法人も同じように扱うという意味で減税措置等も講じられているわけでありますから、したがって、その限りにおいてはやっぱり行政とそれからその宗教団体とのかかわり合いは当然あるわけですし、お互いにノーコントロール・ノーサポートというわけにはいきませんということを私は申し上げているわけです。
○尾辻秀久君 それじゃ、改正の中身について少しお尋ねをいたします。
 改正のポイントは五点でありますけれども、私は、所轄庁に関することについてお聞きをいたします。
 後ほど、山梨県の御出身でありますから中島委員より山梨県の詳しいお話なんかあるんだと思いますけれども、先ほど来話題になっているように、オウムは東京都の認証を受けていたわけであります。そして、山梨県とか静岡県とか熊本県で悪いことをする。その県の皆さんが、これはいかぬと言って悲鳴を上げて県に行って何とかしてくれと言うと、県はどう言うかというと、これは東京都で認証されているんだから我々は知らない、東京都に行ってくれと、こういうふうに言う。
 そうすると、今度は東京都に行って、じゃ何とかしてくださいよと言うと、いやそんな、うちが差し出がましくよそ様の県に行っていろいろ調べるわけにもいきませんからどうにもなりません。こんなたらい回しをしているうちに事態が深刻になったと、こういうふうに思いますので、所轄庁がかわるというのはもうこれは至極当然だ、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、まず所轄という言葉、これ聞きなれない言葉なんで、どういう言葉なのか説明していただけますか。
○政府委員(小野元之君) 所轄という言葉でございますけれども、一般に所轄庁というふうな言葉を使いますと、一定の行政事務について権限を有する行政機関のことを言う。それを所管しているといいますか、所轄しておるという形で言うわけでございますけれども、一定の行政事務について権限を有する行政機関のことを所轄庁、所轄というふうに言っているわけでございます。
○尾辻秀久君 申しわけないんですが、お聞きしてもまたわからなくなるわけであります。言葉のことでひっかかっていてもしょうがないんですが、私が言いたいのは、認証という言葉も実はそうなんですね。最近は、こんなふうにして宗教法人法を議論させていただくので、所轄とか認証とか何となく自分もなれてしまって抵抗なく使うんですけれども、最初はやっぱりちょっと聞きなれない言葉であるというか、そういう意味で抵抗があるという言葉だったんですね。
 それで、同じ民法第三十四条を基本にした法人だといいながら、学校法人などと比べてみてもはれものにさわるようにしてあることだけは確かだと思うんです。さわらぬ神にたたりなしとすれば、行政もやっぱり法律がそうできているんだから当然遠慮がちになる、それが今日の事態を招いている、いろいろ言われていることだというふうに繰り返し申し上げているんですけれども、言葉もそんなことがあるんじゃないかなということで、もっとここははっきりと言ってもいいのではないだろうか。例えば所管で悪いのかなと思うということを申し上げたわけでございます。
 今回の改正のポイントの一つであります二以上の都道府県で宗教活動を行う宗教法人が文部省の所轄になるわけですが、これはもう今申し上げているように私は当然だと思っております。
 ただ、いろいろ御意見はあるもので、所轄の問題も都道府県と文部省では全然違うんだ、文部省は国家権力である、これはある国会議員の方の御意見なんですが、それはそうかなと私も思います。多くの法人が既に文部大臣の所轄なんですからね。じゃ、一体その法人はどういう扱いを受けているんだろうと思いますし、大体、今度の改正によって何かそんなことが変わりますか。もうこれも結構答えておられますけれども、改めて答えてください。
○国務大臣(島村宜伸君) 国が所轄庁であろうと地方自治体が所轄庁であろうと、この権限において全く変わりありません。したがいまして、変化はありません。
○尾辻秀久君 反対意見も少し御紹介してみたいと思いますけれども、二つ以上の都道府県で活動していることは、二つ以上の都道府県に宗教施設があることで判断されるわけですね。宗教施設が二つあるか境内建物が二つあるか、こういうことなんです。
 そこで、結局、宗教施設があるかどうかということを判定する必要が出てくる、それはそうなんでしょう。それが建物内部の調査につながって国家権力の介入のおそれがあるという、こういう見方もあるんですが、これは文部大臣、ですから今お聞きしたので、もう一回答えてください。
○国務大臣(島村宜伸君) 境内建物で判断することにいたしましたのは、例えば信者の数とか活動の範囲というのはやっぱり見方によっていろいろ差異が出ます。その場合に、境内建物で把握するのであれば、これは外形的にも客観的にも御判断いただける、こういうことから境内建物で判断する、こうなっております。
○尾辻秀久君 今度はちょっと改正後の技術的なことというか、そんなことで聞いてみたいと思います。
 改正後、所轄庁がかわる法人が出てきますね。その法人には国か都道府県の側から通知をするんですか、それとも自己申告をしてもらうことになるんですか。これは今後も、一度知事の認証を受けた法人がだんだん大きくなって、二つ以上の都
道府県にまたがって新たにというケースも出てくるわけですが、そういう場合の各法人に周知徹底させるのはどういうふうにしてなさるおつもりなのか、ういうことを聞いてみたいわけであります。
 ついでに、ちょっと細かなことですけれども、一口に宗教施設、境内建物と言いますけれども、例えばそれが借地借家だったらどうなるんだろう、教祖の墓を聖地にしていたらどうなるんだろう、あるいは海外の施設はどういうことになるんだろう、いろいろ出てくるので、私は、その細々した部分を答えてくださいと言っているわけじゃないんです。
 ただ、こうした判断は全部法人の判断に任されるのか、所轄庁がちゃんと何かを言われるのか、この辺のところをお聞きしているわけでありまして、答えてください。
○政府委員(小野元之君) 今回の法改正をお認めいただきますと、所轄庁といたしましては、境内建物がほかの県にあるかどうかということを把握する必要があるわけでございます。そういった観点で、通達等を私どもからお出しをいたしまして、法改正が成立して公布いたされますと、その間に宗教団体の方から、ほかの県内に境内建物を持っているというところについては現所轄庁、都道府県知事を経由して文部大臣にその旨をお知らせいただくということにしているわけでございます。
 このお知らせいただく段階で、それが境内建物ということであるかどうかということについては、現所轄庁でございます都道府県知事の御判断ということもあると思いますけれども、それを判断して経由していただいたものを受けて、国としては、その法人が文部大臣法人であるということを確認することになるわけでございます。
○尾辻秀久君 今の御説明を聞きますと、いずれにしてもやっぱり所轄庁は体制を強化せざるを得ませんね、私が言うのは人的な体制のことですが、と思うんです。そうなると、どんなことを考えておられるのか、国と都道府県の連携とか都道府県の財政負担はどうなりますかとか、いろいろ聞いてみたいと思いますが、もう時間がありませんから聞きません。
 もう一つ大事なことだと思うのは、今回の改正のポイントの一つである備えつけ書類の見直しと提出というのがありますね。宗教法人側からの心配というのは、そういう書類によって宗教活動、すなわちさっき言いました聖と俗の部分のその聖の部分までのぞかれるのではないかという心配があるんだと思うんですね。それともう一つは、今までは備えつけだけでよかったのに、出せと言われると提出しなきゃいけないということになると、やっぱりこれは抵抗があると思うんです。
 この辺のことについては答えておいてください。
○政府委員(小野元之君) 法改正をお認めいただきますと、御指摘のように毎年度、財産目録その他の会計書類を所轄庁に御提出いただくということになるわけでございます。この目的でございますけれども、これは宗教活動をどんなことをやっていらっしゃるかといったことを知るためではもちろんございませんで、全体としての一会計年度の会計がどうなっているのか、収支の状況が全体としてどうなっているのか、財産目録がどうかということを総体として計数で把握する、そのことが目的なわけでございます。
 したがいまして、この書類をいただいたからといって、いわゆる聖の部分について所轄庁がとやかく申し上げるとかいろいろ調べるといったようなことでは全くないわけでございまして、客観的に法人の管理運営の観点の財務会計面からの状況を把握するということが目的であるわけでございます。
○尾辻秀久君 もう本当に時間がありませんから残りの時間で、さっきから税制についてこだわっているんですけれども、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。やっぱり国民の関心というのは大きくそこにあるんだというふうに思っているんです。
 素朴にといいますか、まさに素朴に言わせていただきます。お布施としてお金を幾ら集めてももちろん無税です。それを預貯金して利息を稼いでも無税です。株の売買をして稼いでも無税です。不動産の売買でもうけても無税です。それを政党や政治家に幾ら献金してもさらにお構いなしであります。宗教法人が土地、建物を買っても、宗教施設だと言いさえすれば不動産取得税はかかりません。固定資産税ももちろんなしであります。本当に宗教施設ならいいのですけれども、先ほど文部大臣が言われたように、金もうけに使われてもこれは把握のしょうがない。まあいろいろあるんですけれども、幾ら何でもと思うことを例として申し上げたわけであります。
 そこで、このところ総理と大蔵大臣の宗教法人に対する優遇税制の見直しについては私は前向きな発言だと思っているんですが、前向きな発言がありますから、この際、御見解をお聞かせください。
○国務大臣(武村正義君) 公益法人課税に対する私の発言でありますが、総理もたびたび答弁をなさっているわけでありまして、公益法人等という表現を使っておりますが、「等」の中には労働組合も入ってまいりますし、いわゆる民法法人、財団・社団・学校法人、それから福祉法人、医療法人、プラス労働組合のようなものも入っていきます。今回、政党助成法が成立をして政党にも一定の法人格を認められましたので、我々の所属している政党もこの「等」の中に入ってくる、こういうふうに認識をいたしておりまして、そういう幅広い公益法人等の中に宗教法人も立っている、こういう認識でありますし、今日までも、宗教法人に対する非課税措置の考え方はそういう幅広い公益法人全体の中で取り組まれてきているということであります。
 しかし、その中でもいわゆる収益事業というのは、一定の収益の上がる事業については、これは他の一般民間法人と競合するという状況もございまして、これには課税をさせていただこう、こういう姿勢でやってまいりました。
 それで、この分野についても、今回の論議の中で改めて私どもは認識を深めながら、この収益事業の非課税の税率はいいのかどうか、範囲はいいのかどうか、あるいは今おっしゃったように金融資産に対する収益、いわゆる果実ですね、一般は二割の課税がなされているわけですが、これが非課税になっています、これでいいのかどうか、あるいはみなし寄附金と言われる制度のあり方もこれでいいのかどうか等々、こういった問題については政府税調も党税調も早速議論を始めていただいているという状況であります。議論で党、政府ともにまとまったものは、すべからく新年度、八年度からでも実施できるものは実施していこうという姿勢ております。
 なお、それ以外の問題は、収益事業以外の分野が非課税になっておりまして、ここにひとつ皆さんの論議も非常に強く大きくなってきておりまして、私自身も当初からこの分野についてもいろいろ矛盾を感じています。サリンのようなああいう人々を殺りくするような犯罪行為に非課税資金が使われている、これでいいんだろうかという議論がありますし、政治資金をめぐっても議論があるところでございます。これは大変根の深い問題でして、公益法人全体の中で考えていく必要がありますから、ここで具体的な方向づけまではまだお答えいたしておりませんが、真剣に目を向けさせていただきたいという考えております。
○尾辻秀久君 宗教法人と金の問題というのはいろいろまた難しいところがあります。
 そこで、識者の皆さん、この中には創価学会の秋谷会長も入っているんですけれども、多くの方がやっぱり宗教法人の会計基準、会計原則、これはつくらなきゃいけないんじゃないかと言っておられるんですね。これはぜひ検討するというか、やるべきことだと私も思うんですが、文部大臣どうでしょうか。
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございました宗教法人の会計基準でございますけれども、宗教法人審議会の報告の中にも、「宗教法人の拠るべき会計の基準を設けることを検討していくことが望まれる。」という御指摘もあるわけでございますし、私どもとしても検討してまいりたいというふうに考えております。
○尾辻秀久君 雑誌でなんですけれども、与謝野前文部大臣が言っておられるんですが、宗教法人審議会の中にも随分そうしたことは前向きですよという記事があるんですね。これは宗教法人審議会の中でそういうことですか、もう一回答えてください。
○政府委員(小野元之君) 宗教法人の現在の会計の状況というのはさまざまでございまして、これを一つにまとめるというのはなかなか難しいものがあるのも事実でございますけれども、審議会の委員の御意見として多かったのは、よるべき会計の基準というものをやっぱり考えていくべきではないだろうかという御意見が強かったというふうに記憶をいたしております。
○尾辻秀久君 最後の質問として文部大臣にお尋ねいたします。
 これは、文部大臣がまだ文部大臣になられる前に書いておられるんです。「我々国会議員の側の問題として宗教法人法の改正、特に財務状況の公開と収益事業の原則禁止というようなことが、旧公明党と創価学会の関係から後回しにされてきたことは否定できない。ある意味では、これらの馴れ合いの結果が、無茶苦茶な金集めと使い道を野放しにしたという意味で、オウム真理教の暴挙を可能にしたといっても、あながち間違いではあるまい。」、こういうふうに述べておられるんですが、文部大臣の決意をお聞きいたします。
○国務大臣(島村宜伸君) 今、御指摘のその文章は、文芸春秋の七月号、当時まだ私は一政治家であり、文部大臣になることは全く予測しなかった段階でございます。
 私は、政治家としての自分の良心に照らしてそれを書いたわけでございますが、現在は、すべての宗教法人、まさに宗務行政をいわばつかさどる文部省の責任者でありますので、私はこの点は、現在はそのことについては御遠慮申し上げたいと思います。
○尾辻秀久君 文部大臣としてしっかり頑張ってくださいということだけを申し上げておきます。
 先ほど来、関根委員からもお願いしておりますけれども、私も途中でお願いいたしました創価学会の池田大作名誉会長と秋谷会長、申し上げたようなことでぜひ御意見を承りたいなと思っておりますので、参考人としてお呼びいただけますように委員長のお取り計らいをお願いをいたしておきます。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
○中島眞人君 関根、尾辻両委員がいろんな点で御質問をいたしましたが、私は山梨県出身でございます。オウムの大変な被害を受けた県でございます。そんな点からまず御質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどから話がございましたように、東京都で平成二年に、平成元年に認可をされた。そしてそういう経過の中で、東京都で認証をされたオウム真理教が山梨、静岡、熊本、全国各地で問題を起こしてきている。それは大変な、地元におりますと壮絶なものなんですね。私は地元にいた人間として、このような問題が起こってきた背景には、先ほどから話されておりますけれども、まずすなわち認証という段階でやっぱり問題があったんだろうと。我が党の北川先生が東京都まで出かけていって、これはもう家庭破壊までいっている問題だから、認証すべきでない、そういう問題を再三にわたってやった。しかし、現行の宗教法人法ではやむなくそれは認証せざるを得ない。
 もう一つは、東京都で認証したオウム真理教が山梨や静岡や熊本へ来て問題を起こしている。そして、ことしの時点から大変な問題が起こってきている。それまでもこの五年間、私の山梨県におきまして地元の町村長が、ともかく何とかしてくれと、血の叫びですよ、言い続けてきた。そして、山梨県は、オウム真理教の建物が建っているところに行って何とかしないかという話をするんですけれども、宗教的行事であるから立ち入りは困るという形でずっと解決ができなかった、そういう問題点がある。そういう問題点というのは、そもそも現行宗教法人法に問題点があったんだと。
 同時に、三つ目の問題としては、好ましからざる反社会的な行為をした宗教法人に対して何らチェックができないという現行法にも問題があるのではないか。こういう三つの点がオウム真理教にあのような形で問題を起こさせていったのではないかという点で、オウムとは関係ないんだという論調にはいささか私は地元の人間として問題があると。
 やっぱり現行宗教法人法の中に問題点があったからこそあのような形でオウムはやっぱりいろいろなことをしてかしてしまったんだと、こう思うんですけれども、大臣、地元の人々というのは大変苦しんでおるんです。率直にその点のお答えを、総理と文部大臣からお答えをいただきたいと思うんです。
○国務大臣(島村宜伸君) さきの予算委員会、そしてこの宗教法人等特別委員会、衆議院等でも何遍も申し上げてきているところではございますが、この宗教法人法は、まず性善説に立って昭和二十六年に制定されたものでございます。それ以来、社会の変化、そして宗教法人の実態も大きく変化したところでございます。
 ただ、一口に社会の変化と申しますが、まず経済の状態も当時と比べますと名目でGNPが約九十倍、八十七倍ぐらいになっておりますし、また同時に都市化が急速に進み、都市部においては人口集中が行われ、交通手段が空路に至るまで非常に全国的に網羅されて、さらには情報通信の機能等も極めて充実したところであります。
 戦後、まさに法制定当時の社会環境でいえば、宗教法人の実態というのはそれぞれの地域を主体に宗教活動を行うというのが実態であったように思います。しかし、その社会の進展あるいは変化の中で極めて広域的に活動する宗教団体が急速にふえたということでございまして、機関委任事務として当初いわばそれぞれの地方自治体に委任してきた宗教法人の所轄というものが結局二つ以上の都道府県にまたがるという、先生御指摘のオウム真理教ではございませんが、四つの都道府県にまたがったわけでございまして、これがいざ調べるとなると現実には大変無理が出てまいりました。
 そういうことから、法の不備といいますか、な点が結果的にはこういう事件を引き起こしたという意味では、私たちも謙虚に反省をいたしておるところであります。
○中島眞人君 先ほどの平成二年に認証というのは私の間違いでございまして、平成元年の認証で、訂正をしておきます。
 そこで、問題が発生をしたことし、山梨県知事は上九一色や富沢町の住民から大変な悩みを受けるわけです。そして、御存じのように、児童福祉法によってあの五十二名の子供たちを児童相談所へ預かって職員が寝ずの番をしてやっている。警察官はあそこにいて、何千人の警察官が不寝番をしてくれた。しかし、山梨県知事は何にもとる手だてがないんです。逆に、山梨県の住民の苦しみを、東京都知事と文部大臣のところへ行って、何とかしてください、解散させてくださいと。
 こんな法治国家の中で、自分の県の住民の苦しみを自分が何らコメントできない、対応ができないという法律は、今、法の不備だとおっしゃったからそれでいいんですけれども、その過程、例えば山梨県の知事はどんなに苦しんだか、その気持ちを私は酌み取っていただきたい。法の不備だ、現行の宗教法人法が不備であったからということをお聞きしましたからこの答弁は私は要りませんけれども、そういう状況だったということです。
 さて、御存じのように、山梨県の知事の要請におきまして、東京地裁は宗教法人法に基づき、東京都知事と東京地検検事正が求めていたオウム真理教の解散請求訴訟で、解散命令が出ました。そして、続きましてオウムは即時抗告をいたしたことも事実でございます。しかし、その中の解散理由の大きな原因として、三月二十日の東京地下鉄サリン事件とそれに続く上九一色村富士ケ嶺の教団施設の強制捜査、そういうことをしていく中で、そこでサリンがつくられた、これは大変なことだと解散命令が出たわけです。即時抗告が出た。
 さてそこで、この即時抗告をした中で、地元にとってみると、今後オウム真理教の財産が散逸してしまうんじゃないのか。この間は東京青山の本部の高価なピアノが売られたとか、あるいは所有権が移転をしているとか、現に上九一色の約十一筆、四万八千百八十四平米の中には株式会社オウムと有限会社ぶれーめん所有の土地もあるんです。これらのこと等を踏まえて、あの土地は今から五十年前、住民が汗と力で築き上げたいわゆる牧畜を主体とした地域なんです。これが返ってこないのではないのか、そういう心配が大変あるわけであります。
 そういう点で、即時抗告をされたのでありますけれども、いち早く解散命令を緒につけていただきたい、こういう願いに対してどのような経過でこれからいくのか、文部大臣にお答えをいただきたい、あるいは法務大臣にもお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) オウム真理教事件に対する対応は、既に司法の手にゆだねられているわけでございまして、私ども協力できるものはどのようにでも協力をいたしますが、今その動向を見守っているところでございます。宗務関係のあれであります文化庁の次長からこの点については詳しく御報告をさせたいと思います。
○政府委員(小野元之君) 御指摘のございました財産隠しの動きの問題でございます。
 現行制度上は、所轄庁は認証後、宗教法人の活動状況を把握できないということが問題なわけでございますけれども、現在行っております、教団が関連会社等に土地の所有権の移転等を行って一部登記も行われているということでございますが、私どもといたしましては、これを直接差しとめる権限というのはないのでございますけれども、各都道府県知事に通達を発しまして、違法行為の疑いがある場合には関係機関と連携し、厳正かつ適切に対処してほしいということで、例えば休眠法人を売買することであるとか、さまざまなことについて厳正に見張っていこうということをやっているわけでございます。
 それから、なお債権者が民事保全法に基づきまして教団の財産を仮差し押さえができるという部分もあるわけでございまして、事実、一部そういったことも行われているわけでございますけれども、私どもとしてはこういった教団の財産が隠匿されないように、しかもオウム真理教では幹部が今ほとんど逮捕されておるわけでございまして、そういった不動産等の所有権移転を行うためには公告等の手続をきちんととらなければいけないわけでございますけれども、そういったものがきちんと行われているかどうかということも非常に疑わしいわけでございます。
 いずれにいたしましても、早く解散命令を出していただいて、清算人の手できちっとした形で財産の管理、処分を行っていただきたいというふうに考えておるところでございます。
○中島眞人君 ともかく、地元の住民の不安が解消できるように最大の努力をお願いいたしたいと思います。
 財産の問題はそういうことでお願いをするんですけれども、解散命令が出ましても、大臣、法人としての資格はなくなる、しかしオウムという教義とオウムを信仰するということはできるんです。現に、地元の新聞ですけれども、十一月二十二日、「幹部謝罪それでも「教義」 上九信者百五十人信仰に固執 撤退へ行政ケア訴え」と。
 私ども九月二十六日に、今年度当選をいたしました参議院の同僚十五名と行ってまいりましたけれども、反省なんという色はありませんよ。私どもが行きますとビデオで一人一人の顔を写すんです。このことが地元にとってみると大変なことなんです。
 ですから、宗教法人法を幾ら論議したってこの問題の解決はできない、残るんですよ。だから、これはカルトですから、少なくともこういうものを取り締まっていく違った法律というものをやっぱりつくらなきゃいかぬ、あるいは現行ある法律を適用しなきゃいかぬ。そうしなければやっぱり住民にとってみればともかく不安てしょうがないんです。だから、現行の法律があるなら現行の法律を適用する、破防法。あるいはないとするならば、暴力団を取り締まった暴対法のような新しい法律をつくる、こういうくらいのことをやっていかないと住民は安心して眠れないということになると思うんですけれども、この辺について総理いかがですか。
○国務大臣(村山富市君) 宗教法人法の改正によって、こうしたオウム真理教が行ったような凶悪な犯罪行為が防止できるとか、あるいは取り締まれるとかいうふうなことは考えていません、これはもう全然目的が違うわけですからね。
 今、委員から御指摘がございましまたように、地元の皆さん方のお困りになっている姿やら御苦労やらあるいは困惑している姿、不安等はよくわかると私は思います。そういったことを十分踏まえた上で、少してもこの不安を一日も早く解消するために、東京高裁で今解散命令が審議されていますから、解散命令が確定して出されることを期待いたしますし、それから、それが出ますと裁判所が清算人を決めて清算事務に入るわけですから、即時にその清算をやっていただくということも大事なことではないか。
 しかし、今お話もございましたように、宗教法人としては解散するけれども、宗教団体としての宗教活動は自由にやれるわけです。したがって、今関係省庁で連絡会議も設けて、そして各省が担当する分野について落ち度のないように、今の制度、法律を全部駆使して何としても根を絶つという方向で取り組んでおるところでございます。同時に、それでもなおかつ足りないという面がもしあるとするならば、それはそれでまた検討しなきゃならぬというふうに私は思っておりますが、とりあえず現段階では今ある法制度を全面的に駆使して、そして政府を挙げてこの問題の根絶に取り組んでおるということについては御理解をいただきたいと思います。
○中島眞人君 総理、このオウム真理教関連事件というのは、これは警察庁からいただいた資料なんですけれども、死者二十四名、負傷者三千九百四十名が出ているんです。サリンあるいは毒ガスVX、こういうものまで用意をされているんです。
 その中で、オウムの解散が行われてからということじゃなくて、はっきり言って解散をしたって後に不安材料というのは残るわけですから、この問題を同時にやっていかないと。私は警察当局の取り組んでいただいた努力というものを大変多としております。今、オウムの上九一色にはこの冬を迎えながら警察官が五十人、百人と毎晩いるんです。そういう中で地域の人々というのは大変不安がっているんです。これは解散をしてからじゃなくて同時進行でいかないといけない、こう思うんですけれども、総理、その辺はもう少し地域住民の声にしかと耳を傾けていただきたいと私は思います。
○国務大臣(村山富市君) いや、別に解散をしてからとかなんとかいうふうに区別をして考えているわけじゃないんですよ。
 宗教法人法の適用をもって宗教法人としての解散命令を裁判所から早く出していただくということを期待する。同時に、今ある刑法なりいろいろな法律を駆使して、そして取り締まれるものについては全面的に取り締まっていくというので関係省庁が連絡し合って必要な対策を講じておる。そ
れでもなおかつ根が絶てないという現状があるかもしれないんですね。したがって、並行して破防法の適用についても今調査をしているわけです。
 私は法と証拠に基づいて厳正に判断をする必要があるというふうに思いますけれども、特に、この法律はもう御案内のように基本的人権に関する問題でもありますから、そこらも含めて慎重に検討して扱っていく必要があるというふうには考えておりますけれども、しかしこうした犯罪行為がなおかつ残っていくということについては、これは厳正に対応する必要があるというふうには考えています。
○中島眞人君 ともかくこの五、六年間、地元の住民というのはまさに不安でいたし方ない日を過ごしているわけです。どうかこれを契機に、住民が安堵して眠れるようなそういう対応を国としてつくっていただきたい、このように思います。
 そこで、私は熊本の波野村の問題にも触れたいと思うんです。
 波野村の和解口頭弁論調書を私は取り寄せてみたわけであります。これは原告がオウム真理教、代理人として青山弁護士であります。被告が波野村の村長さん以下関係者であります。この請求の表示はどういう内容かといいますと、言うなれば、波野村ヘオウム真理教がやってくると困る、住民登録の受け付けをしなかった、同時に、オウムという団体は大変な団体ですよということを村長以下が言ったことだと、これに対する住民票の不受理及び名誉棄損という形でオウム真理教が原告になって波野村を訴えた事件なんですね。
 そこで、和解が平成六年八月九日に行われるんです。そして、和解の金額はこう書いてある。「住民票不受理及び名誉毀損による各損害賠償請求事件の和解金として、金九億二〇〇〇万円の支払義務あることを認め、次の方法で支払う。」「金五億円については、平成六年八月三〇日限り」「残金の四億二〇〇〇万円については、六回に分割して、平成七年から平成九年まで毎年四月二〇日及び八月末日に各七〇〇〇万円」を支払うとある。
 しかし、今に至ってみると、原告であるオウムが訴訟を起こしていることよりは、被告になっている波野村が言っていることの方が正しいんですよ。それに、六億の金がもう支払われている。支払われた金は何に使われたかというと、サリンとかVX、毒ガスに使われているとすると、これは大変なことですね。
 私は決算委員会のときに法務大臣にも法務当局にもお聞きをしたわけでありますけれども、これは波野村がこの破棄通告をすべきだ、そして今まで支払われた六億円というものの返還を法の手続の中でやるべきだと私は思うんですよ。これが法の正義じゃないですか。訴えた人間と訴えられた人間が今度は逆転しているんです。これは明白な事実ですよ。法務大臣どうですか。
○政府委員(濱崎恭生君) まず事務当局の方から、現在の民事法の考え方について僭越ですが申し上げさせていただきます。
 御指摘の事案につきましては、私どもも新聞報道等で概要承知しておりますが、詳細な内容を承知しておりませんので、その事案についてどうなるということは差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げますと、和解契約というのは一つの契約でございますので、契約をすれば当事者はその契約を守らなければならないということでございまして、一方的にこれを解消するということはなかなか難しいわけでございます。
 ただ、民法の規定によりますと、和解契約上の意思表示が詐欺、強迫によってされたものであるという場合でございますとその契約を取り消すことができますし、またその意思表示に錯誤があるということを理由として無効を主張することができるということになっております。したがいまして、そのような事情がもしあれば、当該和解の効力を裁判上争うことができる余地があるというふうに考えております。
○中島眞人君 波野村というのは人口が千九百六十人、今年度当初予算十七億五千六百六十万円、この中で九億のいわゆる和解金を支払う。それも正しいならいいんですよ。しかし、結果的には訴えられている方が正しくて、訴えた方が間違いだということは明々白々になっているんです。
 だから、こういうことについて、裁判所が和解をしたんですから、私は、波野村がこれは和解破棄を申し入れて、そして今まで支払われた六億円というものの返還請求をすべきだと。そのことを法務当局はどう思っているのか。よく調べていないと言うけれども、私でさえ調べているんですから、法務当局、もっと調べてくださいよ、それは。
○政府委員(濱崎恭生君) ただいまも申しましたように、もし波野村においてそういう破棄という行為に出られてそれを裁判上争うということになりますと、それは裁判所が最終的に判断することでございますので、しかも裁判所がその具体的な事情を考慮して判断されるわけでございますので、今、行政当局においてその結果がどうなるかということを申し上げることはできないわけでございます。御理解を賜りたいというふうに思います。
○中島眞人君 時間がもったいないから、この問題は提起だけしておきます。
 ともかく、善なる者同士が結んだ契約ならこれはあれですけれども、一つは結んだ相手が犯罪者ということですから、これは私は、法の正義の上からも波野村に法務当局は手をかしていわゆる指導をしてやるべきだ、そういうふうに要望を申し上げておきたいと思います。(「大臣に聞いてみろよ、大臣に」と呼ぶ者あり)大臣、どうですか。
○国務大臣(宮澤弘君) 法律的にはただいま民事局長から御答弁を申し上げたとおりであると思います。
 ただ、おっしゃいますように、いかにも今の状況のもとにおいて常識的にはどうだろうかという御質問のお気持ちは十分わかります。なお民事局を中心にもう少し検討をさせていただきたいと思います。大変難しい問題であるということはひとつ御承知おきを願いたいと思います。
○中島眞人君 難しい問題だと言うけれども、法の正義という点からいけば、訴えられた人間が正しくて訴えた人間の方が間違いだ、犯罪者だという確定がされた和解なんですから、これは私は、波野村のその問題について法の正義の上からもやっぱりこの問題は取り上げていかなければいけない、こんなふうに思います。
 さて、そういうことで平成元年の段階で認証とかいろいろな問題があったオウム真理教というのは、ともかく政治に関心を持たなければいけないんだということの中で、平成二年にオウム真理教は真理党をつくって二十五名が四都県から立候補をしてくるんですね。ここに、オウムが政治の権力というものと手を握っていかないと自分たちのいわゆる教義というものは拡大できないんだということを契機に、平成二年にオウム真理教は真理党というものを結成してくるわけです。
 そういうことの中で、大臣、自治大臣で結構ですけれども、端的に申してあのオウム真理教が真理党をつくって二十五名の立候補をしていったことはどうなんですか。正しいことだったんですか、間違いなことだったんですか、端的にお答え願いたい。
○国務大臣(深谷隆司君) 選挙にどういう集団がどういう人を立てようか、それは法律上違法行為のない限りは許されていることでありますが、今日のような状態を見ますと、ああいう形で宗教団体の名をかりたテロ集団があることは重大な問題でありますから、私たちは今後こういうことが起きないように情報収集も含めてきちっと対応していきたいと思っております。
○中島眞人君 そこで、文部大臣にお聞きします。
 当時は思わなかったけれども、今になってみるととんでもないことだと自治大臣がお答えになっ
た。そのことが現行の宗教法人法ではチェックできないんですね。そうでしょう。できないんですね。ですから、そういう問題も今後課題として残りますね。
 例えば先ほど言った、法人はなくなる、しかし教義あるいは信者は残る、そういう問題が残ってくるわけです。そういう問題に対して、少なくとも新たなる、別な法律適用というものを考えなきゃいけないんだと先ほどから言っておったんですけれども、この問題を含めて私はもう一度文部大臣にお尋ねいたしたい。
○国務大臣(島村宜伸君) 私どもの立場は、宗教法人法のいわば規定に基づいて認証を与え、法人格を与えているという責任においてでございます。したがいまして、それ以外のお答えに対しましては所管の大臣にお任せしたいと思います。
○中島眞人君 いや、大臣、総理や法務大臣の見解というのは慎重にやってくれという答弁なんです。ところが、宗教法人全体を所轄する文部大臣としてみれば、こういう問題がまた起こってきては困るんで、よその省庁、またそういう違った法律でしっかり図ってもらわないと善なる宗教団体が大変迷惑してしまいますから、何とかひとつという答弁が私は文部大臣から出てくるんだろうというふうに思ったんですけれども。
 そういうことで、さきの解散された信者の問題とか、あるいはこれらの宗教団体が政治へ出てくる、立候補する。いわゆるカルト集団という問題が、今までは想像もしなかったんだけれども日本の社会に出てきたんですよ、カルトというのが。だから、こういう問題について私は対応を急いでいかなきゃいかぬ。総理から先ほど答弁いただいておりますから再答弁は要りませんけれども、そういう問題を含めてぜひひとつ早急に解決をして国民に安堵感を与えていただきたいと思います。
 さてそこで、地方版はぼつぼつ終わらせていただきたいと思いますが、オウム真理教が興ってきた原因には法律の不備があったんだという率直な文部大臣のお答え、地元の方々も御納得していただいていると思うんです。そうすると、上九一色とか富沢町とか波野村とか富士宮、この法の不備があってあの地域に大変なつめ跡が残っているんですよ。あれを修復するのには何十億の金が必要なんです。
 こういう問題について、自治大臣、やっぱり法の不備があったんですよ。そういう中でああいう凶暴な集団が地方を荒らしたんですから、国としては責任を持って財政的な支援、いろんな法的な支援というものをしてくださいと、山梨県知事からこういう要望書が出ていると思いますけれども、これに対する御決意をいただき、そして地元住民に安堵感をお与えいただきたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 委員御指摘のように、現地において本当に多くの人々が大変な御苦労をなさっている。そのことを考えますと私どもも心休まるときはありません。過日も、知事及び市長、議員の皆様が大臣室へおいでになりまして、ただいまお示しの要望書を提出されました。
 一体、自治省として何ができるか今私たちは十分な検討をいたしておりますが、例えば経済対策の中で、公共事業に関する土地の先行取得、これらについての起債を認めるとか、あるいは利子について補てんをするとかこれは可能であろうと私は思っております。
 また、現地を心ない人々が大変見学に参りまして、土地を荒らしたり、あるいはごみ等々を散逸させる。これらもその町や村で大変な費用がかかっているわけでありますが、これらは特別交付税で見なければならないと思っておりますし、またいわば不名誉な印象を全国に与えてしまったわけでありますから、これからの新しい村おこし等々についても我々としては全力を挙げてお手伝いをすべきだと考えております。
○中島眞人君 法の不備の中で起こった問題を自治大臣から大変前向きな御答弁をいただきました。血の叫びといいますか、そんな思いにこたえていただけるように、今後とも関係各省と御連絡をとりながらぜひひとつ前向きにお取り組みいただくことを心から要望いたしておきたいと思います。
 さてそこで、オウムが政党をつくって、そして選挙に出てきた。私は、宗教団体というものが性善説であるにもかかわらず、法人をめぐる事件というのがたくさんあることに実は調査をして驚いたんです。
 例えば、昭和四十年代以前のことについてはもう時効ですから触れませんけれども、五十年代になりますとともかく創価学会による、これは被害者であったのか加害者であったのか知りませんけれども、三億円恐喝、五億円恐喝未遂事件、あるいは月刊ペン、あるいはまた金庫事件、墓園事業に関する事件、脱税事件、ルノワール絵画事件、またもっとさかのぼれば言諭出版問題事件、あるいは政党の党首のところに盗聴器を宗教団体がつける、こういう問題が、私は調査をしてみましたところが、驚くなかれ宗教団体が起こしている事件というのは大変多いんですね、それはそれなりに裁判で決着がついておりますけれども。
 文部大臣、こういう例えば金庫事件、墓園事件、脱税事件とか盗聴事件とか、もっと端的に言えば、昭和五十年ですか、創共協定なんてありました。政党がどの団体と協定を結ぼうと構いませんけれども、宗教団体がいわゆる政党と協定を結ぶなんということは本来的に総理が言っている宗教法人の宗教活動の域を越えたことだろうというふうに思うんです。
 何ら権限がないとはいいながらも、文部省はこういう問題が起こったときにどういう指導をし、どういう聞き取りをしたんですか。普通の公益法人だったら、理事長、会長はこんな事件を起こせばもう一発で首ですよ。そういうことに文部省は過去どういうお取り組みをなさっておったのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
○政府委員(小野元之君) 宗教法人といえども、御指摘のように、法令にのっとって活動していただかなければいけないということは言うまでもないわけでございます。現行宗教法人法の第八十六条には、「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。」という規定があるわけでございます。
 私どもといたしましては、一般論でございますけれども、宗教法人が法令違反の行動を行うということはもちろんあってはいけないことでございまして、個々具体的な法令違反につきましてはそれぞれ法令の所管部局において対処いただくということしかないのではないかと思うのでございます。仮に宗教法人のこういった法令違反行為が宗教法人法の八十一条一項にございます「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる」、こういった解散命令請求事由に該当するような場合には、裁判所に対して解散命令の請求をするということはできるわけでございます。
 ただ一方で、所轄庁でございますから、宗教法人法の規定に例えば特定の宗教法人が違反をしている、あるいは宗教法人法の規定からこうした方がいいということが法律に、宗教法人法に反しておるというような場合には、所轄庁といたしまして、当然のことでございますが、当該宗教法人に対してその是正を指導しなければいけないというふうに思うわけでございます。
 ただ、ほかの法令の違反ということでございますが、こういったことが明らかになった場合、私どもとしても、例えば建築基準法あるいは水質汚濁防止法等々さまざまな法令があるわけでございますけれども、必要に応じてそういった当該法令を担当しておられる省庁と連絡をとっていくということが必要であろうと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、宗教法人がこういった社会的に批判されることがないように、法令違反ということが行われることがないように、必要
な対応をしていかなければならないと思うところでございます。
○中島眞人君 今の答弁を聞きますと、これからのことについてこうありたいということですけれども、過去さまざまないわゆる宗教団体が起こした例えば想像もできないような事件があるわけですね。こういう問題に対して、過去、文部省というのは公益法人あるいはそういう宗教活動として認めている、そういう所管をしている文部省として聞き取りをなさったことがあるのかそしてそういう問題について対応したことがあるのかそのいろいろなことは結構ですから、あるのかないのか聞きたいのです。
○政府委員(小野元之君) 私どもとしても、文部大臣所管法人であれば、当然宗教法人法違反ということでございましたら私どもの方で事情をお聞かせいただく、相手方の協力を得てお聞かせいただくということができるわけでございますが、現行宗教法人法ではそういった、何といいますか、認証した後の所轄庁としての報告を受けるシステムといったものはないわけでございます。
 今回、法改正をお願いいたしまして、毎年度の財務会計等の書類をいただく、あるいは本当に問題になった場合に七十九条、八十条、八十一条につきまして質問をするということはできるわけでございますけれども、今までのところそういった事柄につきまして所轄庁として法律の権限でもってやったという例は余りないのが実情でございます。
○中島眞人君 余りないという言葉で、それ以上私も、性善説の中で余りなかったと。なかったどころかやらなかったんです。だから宗教法人の中はやっぱりいわゆる治外法権みたいなものがあった、こういうことを私は言わざるを得ないと思うんです。
 そこで私は、十二月二日の週刊現代、私も自分なりに調べてまいりましたけれども、外務大臣、我が国の創価学会という巨大集団を海外のイギリスのBBC放送あるいはタイムあるいはカリフォルニアABCテレビが取り上げた特集というのが報道されております。私も私なりにこの記事から問題を深めたんですけれども、外務当局は、これらの報道がどういう報道であったのか大変すばらしい報道だったのか、あるいはやっぱり警戒をしている報道であったのか、この辺について外務大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 海外におきます。ただいま御指摘の報道につきましては、私もタイム誌の報道については承知をいたしております。その内容についてどう評価するかということについては差し控えさせていただきますが、内容については承知をいたしております。
○中島眞人君 評価は結構ですから、具体的な事実をひとつ外務大臣、どういう内容だったのか、どういう記事だったのか。タイム、BBCあるいはABC放送の内容を、大臣にお手数を煩わせるといけませんから、このくらいの報道は歪曲しなくて結構ですから、ありのままをひとつ外務当局から、事務当局からお聞きをしたいと思います。
○政府委員(池田維君) ただいま外務大臣から御答弁のありましたタイム誌でございますが、十一月二十日付でございまして、その中では「創価学会の力」ということで政治と宗教のつながりについての特集記事を組んでおります。また、その特集の中心記事の中では、東京支局長のデズモンド氏が「創価学会の力」ということで創価学会について記述をしているわけでございます。
○中島眞人君 それと、カリフォルニアABCが創価大学のロサンゼルス分校をつくることについての特集はどんな内容ですか。
○政府委員(池田維君) 現在、手元にございませんので、ちょっとお答えすることを控えさせていただきたいと思います。
○中島眞人君 いや、外務省というのは外国で日本のかかわる記事や報道がなされたとき、あるいは国益に関する問題とか日本の名誉に関する問題とかというのは的確につかんで、そしてそれに対応するというのが外務省の一つの役割じゃないんですか。それが定かでない。あるいはフランスにおけるシャトーの買収問題もありますね。イギリスにおけるいわゆるBBC放送の問題もあるわけですよ。
 はっきり言って、これらを今答えないというのなら、この審議は一般質疑が続くわけですから、外務大臣、どういう報道の内容なのか。評価は結構ですよ、大臣は評価をしないと言いますけれども、リアルに報道されているそのものを、外国でどう報道されているかというそのものを、私はぜひひとつこの審議の中へ出していただきたい。
○国務大臣(河野洋平君) 雑誌その他で記事が残っているものがあれば至急取り寄せて御報告いたしたいと思います。
 ただ、今お話しのようなテレビでありますとかラジオでありますとかということになりますと、取り寄せることが可能かどうかちょっと私には自信がございませんが、雑誌の記事でございますれば取り寄せることが可能だと存じます。
○中島眞人君 日本人というのは今まで、先ほど文部大臣がおっしゃいましたけれども、さっき尾辻先生が話をいたしましたように宗教というのは善なるものだと、いろいろあっても口に出さなかったんですね。しかし、オウムという問題が出たことによって、日本人は宗教というのはすばらしいものだという一面、怖いものだということを持ち始めている。
 そういう中で、日本の中もさることながら、外国で、我が国の政治的にもいろいろな点で大変な影響力を持つ創価学会に対する論評が、アメリカやイギリスやフランス、ブラジルにおいては池田さんに対する評価は大変な評価をしているんですよ、好ましからざる人物だという。私はちょっとポルトゲスがよく発言できませんけれども、そういう表現まであるんですね。
 そういう問題を、外務当局は放送をされちゃったものだからわからないんじゃなくて、大使館なりそういうところで放送されたものや日本に関する記事というのは持っているはずだと思うんですよ。そういうものを日本国民に的確に伝えていくのが、VIP扱いをして税関フリーパス、別扱いなんという行動に便宜を図るよりは、そういう日本の報道が的確に報道されるということ、そういうことが外務当局の役割だと私は思うんです。そういう点で、この問題については重要な海外での評価を日本人も知るべきだと思うんです。
 そこで、いつまで答えるか、大臣、ひとつこの報道を区切ってお約束をいただきたいと思います。
○政府委員(池田維君) 私ども外務省といたしましては、先生が御指摘になられましたように、日本に関係する記事等につきましてはできるだけ広く手分けをしてフォローはいたしております。ただ、あらゆる種類の日本に関係することを逐一全部知っているわけではございません。
 ただ、ただいま御指摘のございました点について私どもが入手でき、調べることができますものにつきましてはできるだけ早急に調べて御報告を申し上げたいと思います。
○中島眞人君 いつまでですか。あしたくらいまでに調べていただけますか。
○政府委員(池田維君) できるだけ早くということで努力いたしたいと思います。
○中島眞人君 委員長、この取り扱いについては我が党の理事に扱いを一任して、今できるだけ早くということですから、この審議の中で明らかにしていただき、国民の皆さん方にも海外での報道というのはどういうものかということをひとつ知らしめていただくようお取り計らいをいただきたいと思います。時間がもったいないですから。
○国務大臣(河野洋平君) もう一度どれとどれという特定をしていただければ非常に私どもとしても調べやすうございますので、幾つか特定をしていただきたいと思います。申しわけございません。
○中島眞人君 先ほども話を申し上げましたよう
に、アメリカのタイム誌、イギリスのBBC放送、そして創価大学の分校移転にかかわるアメリカ・カリフォルニアABCテレビ、これらの報道がなされた旨の、一部触れた内容が十二月二日の週刊現代に出ておりますので、現地大使館等に問い合わせれば十分わかることだと思いますので、これは委員長、よろしくお願い申し上げます。
 さてそこで、この中に書かれている私が理解をした内容というのは、創価学会という宗教団体は大変巨大な集団である、政治的にもいろんな強い集団であるという、そういう見方がされておるんですね。
 そこで私は、まず冒頭、先ほど総理からも御答弁がありましたように、宗教団体が政治活動にかかわるものについての限界の統一見解をおつくりいただくということですから、それはそれとして大変期待をしておるわけでありますけれども、十一月二十二日の読売新聞は、宗教法人法の改正は賛成八三%である、このほか、宗教法人や宗教団体が政治や選挙にかかわることをどう思うかでは、「望ましくない」が六四%、六割を超えると報道しております。
 同時に、朝日新聞は九月二十二日、今回の事件で宗教法人に関する法律の改正が検討されていますが、あなたはこの宗教法人法の改正をどう思いますかということで、すべきと思いますというのが六三%。次に、宗教団体が選挙で候補者を支持することについてどう思いますか。問題があると思いますか、問題はないと思いますかで、「問題がある」というのが朝日では六一%であるわけです。
 そこで、金森見解並びに法制局長官がるる述べました見解というのは四十五年見解なんですね、四十五年当時なんです。そして、少なくとも宗教は善なるものだ、宗教は問題を起こすことはないだろうという一つの国民意識の中で、法制局の長官がるる述べているようなそういう答弁が繰り返されているわけでありますけれども、二十二日の参議院本会議におきまして村山総理が、宗教法人は宗教活動が趣旨であって、政治活動をやることについては限界があるんだという御答弁があった。
 そのことについて、先ほどまた、繰り返しはいたしませんけれども、尾辻委員の見解に対して政府見解が出るということでございますから、これは私どもは出た時点でまた論議をさせていただきたいと思うんですけれども、政府見解が出てくる過程の中には、宗教団体が政党を持ったりあるいは政治活動を丸抱えでやるようなことについては問題があるんだということを国民世論は如実にデータの中で示しているということを私は申し添えておきたい、このように思います。
 さてそこで、政策不在の佐賀補欠選挙とよく言われておりました。しかし、これだけ宗教法人特別委員会が衆議院、参議院で国会を延長してまで論議をしていることですから、政策不在どころか政策に忠実な選挙であったというふうに私どもは思うし、同時にその結果は、やっぱり宗教と政治というものに対しては一線を引かなければいけないというのが佐賀補欠選挙と土浦市長選挙の結果であろう、こういうふうに私どもは評価をいたしているわけであります。
 そこで、私は行ってまいりました。佐賀県へ行って、四日間いたのでありますけれども、その間ともかくマスコミの論調は、この佐賀補欠選挙、創価学会か自民党かという見出してございます。自民党かと言われるのは、我が党は政党ですからこれは結構なんですけれども、これまた異常なことだなと思ったわけでございます。
 同時に、朝日新聞の十一月十二日、「十一日、佐賀市内の創価学会佐賀文化会館の駐車場には、九州各県ナンバーの乗用車が並んだ。」と書いてあります。そしてこの中にはさらに、ともかく時間がありませんからあれですけれども、まあ創価学会一辺倒なんです。(発言する者あり)いや、先ほど配ろうと思いましたら、これは配ってはいけないということでございましたから配れないんです。こういう時間のロスがあってはいかぬということでいたわけでありますけれども。ともかく、創価学会が選挙の中心勢力であった。ましてや、この新聞の中にもありますけれども、新進党は、我が方には創価学会がいるから大丈夫だと、いわゆる政党の責任者のコメントまであるんです。これはまさに異常だ。
 そういう中で、実は先ほど関根委員が見せましたいわゆるパネルでありますけれども、あれは実は私が写したんです。実は、昼間行きますとだれもいないんです。ところが、夜十時、十一時になりますとあの広場にはいっぱいいるんです。私は、ちなみに佐賀市内や唐津市内の宗教団体、例えば立正佼成会とかあるいはPL教団というふうなところを見て回った。ところが、そこは静かな眠りの中でまさに聖域でした。ところが、さんさんと電気がつく中で人の出入りは物すごいんです。こういう実態を私は見てきた。
 やっぱり口で言ったのでは評価をされないのではなかろうかということで、あの写真を私が撮ってきましたので、二度も使うわけにもいきませんから、先ほど関根委員がお見せをいたしましたように、十一時過ぎです、あれは。十一時過ぎにあの人が、創価学会文化会館という宗教団体の建物ですよ、そういう時間帯の中でいわゆる選挙活動が行われているんです。
 そういう中で、私は行って聖教新聞を佐賀県の県の図書館で見させていただきました。これまた今回も、七月のときに池田会長が和歌を贈った、今度も、十月二十九日、九州の最高会議で、「大九州 怒濤の如く 朗らかに 歌い勝ちゆけ 先駆の誉れと」、こういう歌を歌っているわけですね。これが和歌だというんです。だから私も、専門の方にこれはどういう形のものですかと言いましたら、これが和歌などとはとんでもない話だ、我々和歌を学んでいる冒涜するものである、これは道歌というものだと。こういうことが今度の佐賀にもあったんですね。
 そういうこと等を踏まえて、宗教団体といわゆる政治の取り組みという問題には国民はやっぱりさめた目で見ているな、そういう感じを実はいたしているわけであります。
 そういう中で、実は私は、理事の方々にこの資料を政府委員に配付していただきたいということでお願いをしたのでありますけれども、午前中の理事会ではよろしいということですけれども、(「理事懇」と呼ぶ者あり)理事懇では、中身を見たらだめだということなんですね。
 これは、平成二年のオウムが真理党をつくって選挙に二十五名出してきたときの資料です。
 そういう中に、私は、宗教団体が政治をしたり政治活動をすることは、そんなことは信教の自由の中で認めることは重々承知しております。しかし、ぐるみなんですね。これは宗教団体の行事予定表が選挙日程に、選挙行動に全部……(「それは創価学会のか」と呼ぶ者あり)そうなんです。これが選挙の日程に全部、日程表がこうあるんです。
 これは大臣、自治大臣、これは東京の板橋、北区です。(「その資料何の資料」と呼ぶ者あり)選挙資料です、学会の。そうなんです。(「さっきオウムと言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)
 ですから、これを全部、実は総理と自治大臣と法務大臣と文部大臣、各大臣に見ていただこうと思ったんですけれども、出してはいけないということです。やっぱりこういうものを見ていただいて、あるんですよ、ここにはっきりと。ここに書いてあるんです、ちゃんと。「創価学会の内部資料だ、それ」と呼ぶ者あり)
 だから、こういうものを見ていくことによって、総理が言う宗教団体が政治にかかわっていく限界というのを私は判断をしてもらいたいという意味で、けさの理事懇でこの資料をひとつ総理初め担当大臣に見ていただきたいということで出したんですけれども、大変残念なんですけれども、これが終わりましたら個人的にお見せをしますので、ぜひひとつあしたの、また一般質疑の中でお答えをいただきたい。(「信教の自由」と呼ぶ者あ
り)
 そんなものじゃないんですよ。これはもう異常と言えるほど徹底したものですね。しかし、こんなものを朗読したらそれこそ五十分もかかっちゃいますから、私の貴重な時間がなくなってしまいますから、ぜひ見ていただきたいと思ったのでありますけれども、これは彼ほど質問が終わってから総理、文部大臣、法務大臣、自治大臣、ひとつごらんになっていただきたいと思います。
 同時に、橋本総裁、武村党首も、ぜひ政党の党首としてこういうものにやっぱり関心をお持ちいただいて、政府の統一見解をつくるときの大いな資料にしていただきたい、こういうふうに私は思います。(「もう一回資料の内容を言った方がいい」と呼ぶ者あり)
 私は言ったつもりですけれども、言ってないようですけれども、創価学会が平成二年のときに使った選挙資料です。いわゆる一般会員の活動計画です。同時に、平成四年のときの参議院選挙に対する、今や創価学会、公明党なくして日本は動いていかないという、いわゆる指導マニュアルもここにございます。
 そういうものをひとつぜひお読みいただいて、そして、(「署名がない」と呼ぶ者あり)署名はなくともちゃんと出典がここに出ておりますから、それはひとつ見ていただきたいと、こんなふうに思います。
 さて、時間も迫ってまいりました。私は、この宗教法人法が話題になりまして、宗教団体がどういう取り組みをしておるのかという点で大変興味がございましたものですから、全部の教団の意向はわかりませんでしたけれども、ここに衆議院で十一月十三日に本会議を通過いたしました宗教法人法について、十四日の聖教新聞は「諭苑」という、いわゆる主張の中でこう書いております。
 これが戦後日本の民主主義というものか。今回の宗教法人法「改正」の強行は、人類の進歩、民主主義の未来に対する冒涜だ。
 しかも、それを推進したのが、民主主義を食い物にする低級な政治家だったことを嘆かざるをえない。
 マスコミは「政争の具」などという言葉をもてあそんだ。
 地方紙の方がむしろ、おしなべて良識的な「慎重論」であった。一方、「政争の具」と指摘しながら、なおかつ「改正」を推進した一部の全国紙への疑惑はぬぐえない。
 つまり、自分たちが甘い汁≠吸える民主主義は万歳だが、そうでない真の民主主義は厭わしい。これが保守勢力の本音なのである。
 「彼ら」を日本の権力者と置き換えれば、日本の戦後政治の実態にそのまま当てはまるであろう。
これが創価学会の機関紙、聖教新聞の論調なんですね。
 そこで、同じく、十一月十七日、やはり創価学会に次ぐ多数の信者を擁しております宗教、立正佼成会が、第三回、「宗教法人法」改正問題を考える」という解説を佼成新聞で書いております。
 これをちょっと読んでみますと、
 オウム真理教事件は、確かに宗教団体が行った犯罪行為です。また、現在問題化している霊視鑑定なども、ごく一部の教団の行き過ぎた行為です。しかし、「わが教団には、何一つ問題はない」「他教団の事件で、宗教界全体が疑惑の眼で見られるのは迷惑だ」――そうした他人事のような突き放した態度は、取るべきではないと考えます。社会が、宗教に対する信頼感を失いつつあることは、宗教界全体にとって非常に悲しい出来事です。個々の教団が、この現実を直視し、自らの『自主・責任』で自己改革を図り、地道な努力を通して信頼を回復していくことが、いま、最も大切だと思います。
さらに、
 本会は従来、税務調査の受け入れはもとより、所轄庁及び税務当局に対し、教団活動に関する必要な報告を行ってきましたが、今後も更なる透明性の向上に努めていきます。そして、
 本会は、今後「宗教法人法」の改正いかんにかかわらず、政教分離の原則が侵されて、国家権力による宗教団体への介入が不当に行われることのないよう、また、宗教団体自身が国家権力を利用したりすることのないよう、十分な監視を行っていく必要があると考えています。
 本会は、宗教団体自身が国家権力を利用することも決して許すべきではないと考えます。宗教団体による政治活動は、基本的人権として自由であるべきですが、政党を持ったり、直接権力を握ることは厳に慎むべきです。
 憲法二十条に次のような一文があります。『いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない』。
 その意味で、本会は、独自の政党をつくることはしません。教団役職者を選挙に立候補させることもしません。一党一派に偏することのないよう、どの政党も固定的に支持したりしません。という内容が立正佼成会なんですね。
 私は、宗教団体の中にもこんなにこの宗教法人を、私どもは改正をしていく人間ですから、低級な政治家であったことは、低級な政治家扱いをされているんですよ、文部大臣。に対して、いわゆる立正佼成会の方は、これを契機に透明性を深めようじゃないか。そして、宗教団体と政治というものは一線を画していこうじゃないか。そしてさらに、日本の社会に育たない宗教、第三者機関を設けようじゃないか、そしてそれは少なくとも宗教センターのような役割を持っていこうじゃないか。こういうふうに真摯な態度でこたえている両極端な意見の問題を私は今御提示申し上げたんです。
 その辺を、私は前もって政府委員を通じてこの問題についての御見解を文部大臣にお聞きしたいということで申し上げてございますので、率直にひとつ、かつまた国民にわかるように御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) 何度も繰り返すようでございますが、きょう午後からテレビをごらんの方もおられると思うので改めて申し上げます。
 現行の宗教法人法は昭和二十六年に制定されたものでありまして、それ以降社会の状況や宗教法人の実態も大きく変化いたしました。したがって、制度が実態にいわばそぐわない面が生じていることは御高承のとおりであります。国民からもその見直しを図るべきであると圧倒的な御意見が寄せられているところです。その意味で、今回の改正はまさに必要最小限の改正でございまして、冷静にその内容を御検討いただければどなたにでも御理解いただけると私は確信いたしているところであります。
○中島眞人君 そこで、私どもが賛成、反対、国民世論は八〇%、八三%の宗教法人に対する改正、そして宗教団体と政治というものはやっぱりある程度分けていかなければいけないんだという国民世論、こういう問題をこういう一つの委員会の中での論議も必要でしょうけれども、私はそれぞれの宗教団体がどう考えているかという問題も、文部大臣、今までお聞きをすると、宣撫工作だなどと言われていただろうと、誤解を受けてはいけないかとも思うんですけれども、こういう宗教団体のまじめな意見をやっぱり聞いていかなきゃいかぬと思うんですね。
 そういう点で、週刊現代の十二月二日に「「宗教法人法」の何を変えるのかLという問題の中で、二十一団体がございます。宗教法人法について見直し自体への賛否を問うております。そうすると、二十一団体のうち賛成が十三、絶対反対がこれは世界基督教統一神霊協会のほかあと一団体、実効があるとは思えないというのが一件、慎重にというのが一件、反対が三件ということで、回答をしないのが一件あるわけですね。
 私は、この論議を通じていく中で、宗教団体の中にも、ともかく透明性を明らかにしよう、宗教団体としての本来に帰ろうという一つの動きが私は出てきているんじゃないかと、こんなふうに思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 今、中島先生おっしゃったとおりだと私も思います。
 今回の法改正につきましては、私は正直申して法治国家として必要最小限のものだと、こう考えておりますと同時に、私も、たくさんの宗教団体の中に、極めてまじめな宗教活動を行って心から敬意を持っている宗教団体はたくさんございます。先ほど新聞の具体的論評は御遠慮申し上げましたけれども、今回のこの改正に当たっても、我々のいわばまともな活動を明確にするためにもきちっとおやりくださいと、そういう御激励も中にはあるわけであります。そういうことを含めまして、私は今、先生のお考えになった考えと同感であります。
○中島眞人君 ぜひひとつ、先ほど尾辻委員が話をいたしましたように、これだけで宗教法人は終わるわけじゃないと思うんです。同時に、官房長官がお約束をいたしましたように、宗教団体のいわゆる政治的な行動の限界という政府見解も出てくるでしょうから、あわせて宗教団体の皆さん方の真摯な態度、そしていわゆる国民に安心して心の支えになっていけるような宗教団体を政治あるいは国家という場面からも願いながら、この問題については継続をしてありとあらゆる機会に取り組んでいってほしい、そういう点で私は要望をし、そして質問をし忘れた一、二の問題について、追加で御質問をしたいと思います。
 そこで、先ほどちょっと私早とちりを、急行列車で打っちゃったんですけれども、日本にも宗教のカルト教団という問題に対する対応策というのは、現にオウムが出てきたんですから、カルトというのは何だろうか、その定義を、私の知っている範囲というのはやっぱり反社会的なもので、そして個人的に言うならば家庭を崩壊していくようなものだということなんですけれども、カルトという定義をどのように意義づけているのかこれを、文部大臣でいいんでしょうか。
○政府委員(小野元之君) 御指摘ございましたカルトでございますけれども、宗教学の説によりますれば、カルト、教団という意味でございますけれども、自発的な集団でいまだ教義や組織が未成熟である、そしてカリスマ的な指導者に率いられた熱狂的な宗教団体を指すというふうに一般的には言われているようでございます。
 このカルトという言葉でございますが、近年アメリカの学会やジャーナリズムを中心に盛んに使われているわけでございまして、特に破壊的カルトといったような場合には、その宗教活動を主観的に判断して、閉鎖的で異端的、反社会的で危険な運動を行う団体、こういったものを指すというふうに聞いているところでございます。
○中島眞人君 カルトがやっぱり日本にもあったんですよ、あるんですよ。外国の報道も、日本の宗教に対してカルト的だという表現を使っている。ですから、そういうことは本当にそうなんだろうか、もしそうでなかったとしたら大変迷惑な話でありますから、そういう点で外務当局にタイムとかBBCとかABC放送の内容というものを的確に見せていただきたい。そして、その言っていることが間違いだとしたら国を挙げて抗議をしなきゃいかぬでしょう。そのとおりだということであったら政治や国会という場の中でこれに対して警告を発していかなきゃいかぬじゃないですか。
 そういう意味で、私どもは外務当局に先ほどお願いをいたしたわけでありますけれども、そういうことについて早急に資料をお出しいただけるということでございますから、それはその時点でお話をいたしたいと思います。
 さて、実は先ほど聖教新聞のいわゆる選挙特集を発言したのでありますけれども、聖教新聞というのはどういう新聞なんですか。
○政府委員(小野元之君) 私も詳しく存じ上げませんが、創価学会の機関紙というふうに考えております。
○中島眞人君 機関紙ですね。これは確認をしておかないといけないものですから、わかっていましたけれども確認をさせてもらったんです。
 この中で、いわゆる和歌が朗詠されて、天下をとれという、そういう和歌が論じられていくということですね。その中で、朝日新聞の十一月十六日のテレビ解説欄なんですけれども、(資料を示す)これは六時から「ニュースの森 緊迫!一票をめぐり自民党と創価学会が壮絶攻防戦 未公開VTRを入手!! 杉尾秀哉ほか」とあるんですね。同じ日の聖教新聞のテレビ欄には「ニュースの森」、全部あとカット、何にもありません。
 こういうふうに、公共的な報道をなさっておるというやの衆議院での意見の開陳があったようでありますけれども、ひとつこういうことを見ましても、うがった見方をすると、やっぱり自分の都合の悪いことは報道しない。こういう中で、片方では、先ほど個人的にお見せをした学会のマニュアルや指導、表という形の中で選挙に取り組んでいく、そういうことを私は申し上げ、そして先ほど官房長官が発言もなされましたような、そういうことなんですよ。
 ですから、ひとつ信教の自由、政教分離、昭和二十一年の金森発言をずっと引きずっているその政府見解。しかし、世の中変わっているんですよ。そして、そのことによって宗教というものを、少なくとも認証をした宗教がいわゆる殺人集団に変わっていったこの現時点の中で、もう一回宗教と政治のあり方、もっと端的に言えば、昭和二十六年に宗教法人がつくられたときというのは、私は戦前のいわゆる宗教弾圧という問題の中から、政治から、国家から宗教を守るという意思だったと思うんですよ。しかし、今は違う。やっぱり宗教から政治や国家がどう守っていくかという、もっと端的に言えばそういう時代に入っていると私は思うんです。
 そんなことも含めながら、私の質問の言わんとする趣旨をひとつ御理解をいただきながら、総理と文部大臣から最後の御所見をいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
○国務大臣(島村宜伸君) 私は、宗教は人の心を安定させるもので、我が国におきましては、我が国の精神文化の向上に深くかかわるものであって、現代においても国民の生活に深く定着し大変大きな役割を果たしている、そう敬意を表しているところでございます。そして同時に、国民もその大半の宗教団体に対してはそういう期待を持ち、またそういう敬意を持っていると思います。
 したがって、そういう法の精神に照らしても、性善説にいわば合致するような行動に終始していただきたいと心から希望するわけでありますし、我々はこれを法律で云々するのではなくて、宗教団体の自主的な活動の中にそういう目覚めを期待したい、こんなふうに思います。
○中島眞人君 いろいろな問題を提起させていただきましたけれども、本来的に言えば、宗教というのは、人が行くべき道を迷っているときにそれに指針を与え、そして困っているときにはその福音を求める。そういうものであるはずの宗教が、今や殺人を起こし、そして破防法適用までもというようなそんなことが論議をされ、そしてまた一つには宗教団体が巨大化して政治の場面に強力にぐるみで入ってくる。こういう一つの時代はある面では日本の悲しい時代を迎えているな、そんな思いをいたしてならないわけでございます。
 そういう面で、私どもは政治の場の中で国民の負託を受けている国会議員でありますから、国民の率直な世論調査にあらわれているそういう気持ちをこれからも大事にしながら一生懸命頑張っていきます。
 答弁ありがとうございました。私の質問を終わります。(拍手)
○平井卓志君 本法律案にただ一党だけ反対をしております平成会の平井卓志であります。
 質問通告をいたしておりませんので、どうか総理、あなたの御見識と常識の範囲内で率直にお答え願えればと。私の持ち時間においては決してかつての野党のように委員会をとめたり、そういう
御懸念は全くございませんから。
 若干切り口を変えまして、さんざん午前中の議論も聞かせていただきました。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
 私は、総理とあえて橋本大臣にお聞きしたい。最近の我が国の現状を見ますと、世界から信頼されておる状態にあるとお思いなのかないとお思いなのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) 見方はいろいろあるかと思いますけれども、私はAPECの会合等を通じて感じますのに、あるいはまた中東等を訪問して感じますのに、日本の国は信頼されておるというふうに思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、総理から御答弁のありましたとおり、先般終わりましたAPECの閣僚会議等における論議、さらには四極通商代表会議等を体験いたします限りにおいて、期待もされ、またそれなりの信頼を受けておると思っております。
○平井卓志君 これはやはり見方の相違でございまして、必ずしも信頼を受けておる状態にないと。したがって、村山内閣の信頼性について若干のことを申し上げて、御答弁いただきたい。
 御案内のように、この内閣の経過を見てみますると、竹下内閣から数えましてちょうどあなたで宰相は七人目ですね。このこと自体は何らあなたに私は責任があるとは申し上げてない。しかし、成立の経過を見ますると、若干無理があるなど。七年間で七人というのは一年に一人ですね。なるほど日本の政治もかなり変革期に入ってきたのかな、こういう感じも持ちました。持ちましたけれども、自民、社会のこの連立、私どもあっと驚きました。しかし、あえて皆さん方が離合集散世の習いとおっしゃればそれまででありますが、どうしても埋めがたい亀裂が内閣の中に出てくる、埋めがたい亀裂がある。これは左と右とありますと、それは三党合意というものがあったでしょう。そして皆さん方には何よりも優先する政権の維持、私はそれがすべてに優先していると思うんですね。
 じゃ、わかりやすいお話をいたしましょう。昨年六月にこの内閣は発足いたしましたね。一年有半、その中で既に閣僚が三人辞任された。これは御案内のとおりです。お一人お一人のやめられた理由について私は一々あげつらうつもりはない。しかし短期間で憲政史上例を見ないような、こういう閣僚の辞任が続きますと、じゃそろそろ四人目だなと。いや、五人目なしとしない。そんな保証はありませんよ。それでは幾ら信頼しろと言っても信頼いたしかねる。
 閣僚三人がそれぞれ辞任された理由について、総括的に総理のお考えを拝聴したい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、総理への御質問でありますけれども、辞任されました三人の閣僚それぞれ自由民主党所属の閣僚でありましたので、あえて私からおわびとともに御答弁をさせていただきたいと存じます。
 我が党出身の閣僚三名が辞任いたさなければならない事態になりましたのは、それぞれの発言等によりまして国の内外に反響を呼び、あるいは誤解を招くに至りましたことが、これによって国会の審議などに重要な影響を与えること等を心配され、いずれも本人が責任を感じて本人の御判断で辞任をされたものであります。
 そして、党としてはその本人の意思を酌み、了解したものでありますが、いずれにいたしましても、我が党所属の閣僚が任期の中途におきまして辞任をいたさなければならなくなりましたことは、国会、内閣、さらに国民にも御心配をかけたことでありまして、おわびを申し上げますとともに、今後こうした事態がないように全員が心を引き締めて国政に当たりたいと考えております。この点はおわびをいたします。
○国務大臣(村山富市君) 御指摘がありました三閣僚の辞任につきましては、それぞれ事情があって本人が辞表を提出してきた、私はそれを受理したんです。その経過のいきさつについては、これは報道等を通じて国民の前に明らかにされておる、私はそういうふうに理解をいたしております。
○平井卓志君 もうそうおっしゃれば、あえてすべて総理の責任とは申し上げませんが、一つだけ問題にいたしますと、一番最近やめられた江藤さん、いろいろな御事情があるけれども、私が漏れ承ったところでは、最初はこの方のオフレコ発言に対して、内閣は厳重注意ということで済まされようとしたのか、済むとお考えになったのかこれはわかりませんが、大体そういうことであったと思うんです。ところが、外国がテーブルをたたいたか、どういうお声があったか詳細に存じませんけれども、結局みずからの辞任やむなしに至った。
 これはあえて申し上げれば、内閣運営で今後もずっと出てくる問題なんですよ。これは、自民党出身の閣僚の方は随分おられますけれども、事は少なくとも、是非善悪は置いておいて、五十年以上昔の話ですよ。そのことをああいう形で流したマスコミ、マスメディア、このことをあえて、私はわかりませんけれども、すぐに取り上げる、すぐに反応せざるを得ないと。私は、今後の問題について非常に危惧するんです。
 なぜかと申し上げれば、これは連立の中で埋めがたい亀裂があるんですよ。やはり理念の違いがある、そう言わざるを得ないんです。だから私から言わしめれば、相当無理があったために、その亀裂の中で自己の信念を貫きつつもやはり政権の維持に協力しなけりゃならぬと、ほとんどの人がその谷間に消えていった人なんですよ。ですから、一朝一夕に人間の理念、信念が変わるわけないんです。
 ですから、私はもうあえて心配とまでは言いませんが、そこにやはり四人目五人目  島村さん、あなたも私の古くからの友人だ。若干もう既に韓国問題でございましたね。それはいいでしょう。どうか十分にお気をつけになっていただかぬと、四人目五人目は冗談抜きにしまして、これは質問はやりませんよ、極端に言えばやったたびに閣僚が消えていく、こんなばかなことはないでしょう。総理、一言脚感想をどうぞ。
○国務大臣(村山富市君) それぞれ思想・信条は自由ですから、先ほど来お話がありますように。したがって、それぞれ政治家個人として一つの理念、見解を持っておることは尊重すべきだし、当然だと私は思うんです。しかし、一つの政党というものにまとまった場合に、政党が決めた方針に従うあるいは守っていくというのも当然かもしれません。まして内閣の一員となったといった場合に、内閣の方針が決まればその内閣の方針に従うのが当然であって、その内閣の方針に従えないというのであれば入閣すべきではない、私はそう思っております。
○平井卓志君 あえてもう一言だけ申し上げますと、こういう難しい連立を組みますと連立維持が優先する、三党合意が優先するために、皆さん方が求める国民の利益、国益というのはその枠内においてしか行い得ないんですよ。そのことを私は心配して申し上げる。しかし、これは幾ら御答弁いただいても若干すれ違いでしょう。腹でそうだとわかってもそのとおりだとは皆さん方の立場では言えないことはわかっているんですよ。
 いま一つ申し上げておきます、少し重要課題の順位をお間違えではないかなと。先ほどから聞きまして、これは村山内閣、めぐり合わせが悪いのかいいのかわかりませんけれども、最近の事案をずっと見ると、地震といいオウムといい、これは村山さん、何も全部あなたの責任じゃないんですよ。日米問題、財政問題、これは政治全体の責任ですね。ですから、政治継続の中でいろいろの事案が噴き出してきたにしても、これはもう今までの政治の積み重ね、政界全体の責任として、当面の対応はすべてどうしてもあなたの責任になってくる。行政の最高責任者というのはあなたしかいないんです。若干余分なことを申し上げれば、この三党連立の中で結局あなたしかいないんですよ。だから、どうしても勇断を持ってあらゆる問題に対処していただきたい。
 そこで、財政問題も日米関係もすべて含めて、北朝鮮のことはわかりませんが、この世紀末になりまして全部が危険水域に来つつあるなと、こういう危機感を持たれるのかどうか。全部何かがおかしくなってはいないかなと。まあそのうち何とかなるだろうとほっておいて何とかなったためしはない。ですから、あらゆる分野で危険だと思われたときにはやはりきっちりと対応していただきたい。この情勢認識を誤りますと、日米関係だって、財政の問題だって、金融の問題だって、これは取り返しかつかなくなるんですよ。
 今申し上げたことに対する結論を申し上げれば、倫理観の欠如、責任の不明確、これは理屈でございませんで、国家も組織も倫理観が欠如して責任の所在が不明確になりますともちませんよ。これは政界全体に言えることでありますがね。何をやってもこれはもう十分に考えなきゃいかぬ、私はそのように思っております。
 若干大蔵省にお聞きします。
 いろんな重要課題を抱えておりまして、今の財政、来年の歳入等出ておりますね。歳入歳出不足。どういう計算になるのか、おっしゃってください。
○国務大臣(武村正義君) もう間もなく十二月を迎えます。そして、恒例ではありますが、平成八年度の予算編成作業が山場を迎えるわけでございます。目下作業が進行中でございますが、そんな中で、先般、来年度の予算編成をめぐるいわば歳入歳出の状況、なかんずくそのギャップについて率直に現在の把握できている状況を発表させていただきました。約十兆円を超える歳入歳出ギャップが出そうだということであります。もちろん一つは、今年度も経済のこうした状況から、既に予定をいたしております五十三兆六千億という税収見積もりも三兆円前後下回るんではないかということであります。
 そういう前提で来年度を展望いたしますと、今年度の当初の額を下回らざるを得ないという見通してございますし、これにプラス例の特別減税、まだ最終方針は決まっておりませんが、景気が好転しない場合は来年度も継続するという方針でございまして、これを継続いたしますと二兆円の特別減税がこれに加わります。この歳入問題がございます。
 もっと大きい問題は、このギャップ、昨年は七兆円ぐらいございましたが、あらゆるやりくり算段といいますか決算調整資金の三兆円余りを利用したり、いろんな予算の中でやりくり、といっても隠れてやったわけじゃありませんが、全部国会に承認をいただいたわけですけれども、そういう会計上のやりくりの努力をして七兆円ほど穴埋めをさせていただきました。
 それで、もうそういうことが続かないといいますか、そういう知恵がなくなったということもございまして、そういうギャップは依然構造的に続いておりますから、等々の状況を重ね合わせますと、約十兆円を超える大きなギャップが生ずるということであります。
 私ども、景気がこういう状況でございます以上は、来年度の予算編成におきましては、まことに残念でありますけれども、特例公債の発行やむを得ないという認識を持ちながら、しかし一段と厳しく歳出を切り込む姿勢で予算編成にかかってまいりたいと考えております。
○平井卓志君 いま一つだけお聞きしますが、金融システムに対する大変な不安ですね。信用失墜。信用組合のみならず大和銀行までまさかああいう姿になったことは、これは全く想像つきませんよ。このことに対するあなたのお考えを聞きたい。
○国務大臣(武村正義君) 率直に申し上げて、私自身もこの一年、金融不安といいますか、不良債権、金融機関の倒産等のいわば北風にずっと立っていたような感じでございます。
 二億組から始まってコスモの破綻、そして夏には木津信用、兵庫銀行の破綻、そして秋は、これは破綻ではございませんが、ニューヨークでああした不祥事が出来をいたしました。
 こういう中で、いよいよ年末までには住専問題を中心にした不良債権問題に対する政府のきちっとした解決策をまとめていきたいというふうに思っております。九月決算で、不良債権の額を全金融機関集計をいたしまして三十七兆四千億という数字になりました。六月時点では推計でございましたが、これが積み上げた数字でございます。もちろん、大蔵省が定義をしております一定の基準で破綻先債権、延滞債権、そして金利減免債権というものを合算したものでございまして、この数字を見ながら、これをなるたけ早い期間でどう解決していくかということが、金融問題でありますと同時に、日本経済全体にとっても、あるいはこの国の景気の回復にとっても最大の仕事であると思っております。もう既に金融機関は必死で努力を始めているわけでございまして、私ども大ざっぱに言えば、ここ二、三年ぐらいの期間の間に、早いところは一、二年、遅いところは四、五年になりますが、大方の金融機関はみずから努力をしてこの不良債権問題を乗り切っていくというふうに見ております。
 しかし、住専問題だけは、一般の金融機関も大きく関係しておりますが、同時に農業系の系統融資もかかわっている問題でありまして、これは別格の問題として私どもは真剣に見詰めているところでございまして、これはこれとして七兆七千億という回収不能債権を抱えておりますが、農林省ともしっかり相談をさせていただきながら、年内に具体的な解決策をまとめたいという考えております。
○平井卓志君 いま一つ、経企庁。
 今の非常に長引いております不況問題、これは出口は見えるんでしょうかこれが一つ。もう一つは、この不況を何とか脱したいという、これは国民のある意味の私は最大の関心事だと思う。そうしますと、私どもにわからないのは、この長期にわたる不況は構造不況なのか消費不況なのか。経企庁いかがでしょうか。
○国務大臣(宮崎勇君) お答えいたします。
 景気は一昨年の十月に底を打ちまして、それから回復過程にあるわけですが、大変その回復テンポは緩いものがございます。従来の景気回復と比べまして不景気が長引いている。回復テンポが遅い理由は幾つかございますけれども、一つは循環的な要因で、バブルがはじけてその調整に非常に手間がかかっているということが一つございますが、もう一つは先生御指摘の構造的な要因があるわけです。つまり、バブルがはじけて不良債権を銀行が抱え込むようになったということ、それからそれと裏腹の問題でございますが、消費者あるいは企業家が負債比率が高まったために先行きの行動について大変慎重になったということがございます。それにもう一つ構造的な要因といたしましては、急速な円高がいわゆる空洞化現象を起こして、構造的な問題として景気の不振が長引いているということだと思います。
 そういう状況に対しまして、政府はこれまで何度か景気対策を講じてまいりましたが、特に九月二十日の経済対策において、内需拡大を中心にし、かつその上に不良債権の処理の問題ですとか、あるいは円高対策等の構造対策を講じました。したがって、今の段階ではまだ景気が足踏み状況を呈しておりますけれども、これらの対策の効果によって来年、年明けには景気回復が始まるものと期待しております。
○平井卓志君 いま一つ、青木労働大臣、あなたにお尋ねしたい。
 あなたは労働省の最高責任者だ。今の失業の実態についてどの程度深刻だとお考えですか。
○国務大臣(青木薪次君) お答えいたします。
 九月の失業率は三・二%と、統計開始以来最悪の数字であります。それから、今もお話が出ましたけれども、有効求人倍率は〇・六〇倍ということでありまして、昭和六十一年の九月以来最も悪い現状にあると認識をいたしております。
 このために、今、経企庁長官も言われましたように、景気循環的なものとそれから構造不況的なものとを兼ね加えまして、今の失業者を何として
も早く就職させたいということを重点にしつつ、改正業種雇用安定法に基づきまして失業なき労働移転というようなこともやっておりますけれども、さらに先般の国会で決められましたところの改正中小企業労働力確保法で雇用の創出を図るために全力を注いで頑張りたい、こう思っているところでございます。
○平井卓志君 労働大臣、私が申し上げたいのは、あなたはあなたなりにやっておられるけれども、この失業問題というのは表の率だけ見てもだめなんですよ。日本の中小企業、総じて企業は内部に非常に無理して抱えている。それがほうり出されますときには、これは社会不安を招くんですよ。日本ほどの行政組織の整ったところで社会不安を招きますと、最後はもう人心の荒廃につながるんです。そうなったら取り返しかつかないから、こんな手当てで、日本ほどの経済大国ですから、一兆や二兆つぎ込んでそれがおさまるなら安いものじゃないですか。そういう意味で発想を転換してやっていただきたい、このことを申し上げておきます。答弁は結構です。
 外務大臣、あと重要課題として、私は今の宗教法人法よりも重要な課題があるということで一通り申し上げているんですよ。
 それで、外務大臣にお尋ねしたいのは、これももう率直に。お答えください。日米関係、あなたは、今どういうふうな水域にある、危険が、従来と変わらないのか、少し悪いのか、先の見通しが暗いのか、若干御意見をください。どうぞ。
○国務大臣(河野洋平君) 日米関係は、両国がこの二国間関係を極めて重要な二国間関係という認識をしております。したがいまして、この二国間関係にそれぞれ配慮をしながら対応しておりますから、現在でも二国間関係は悪い状況とは私は考えておりません。
 しかしながら、それぞれの国がそれぞれの経済問題を抱え、その他いろいろな問題を抱えております。問題を抱えておりますというと、時に国内で、例えば民族主義的な意見が台頭するというようなこともございます。あるいは内向きの問題を優先させるべしという議論が顕著になってくることもございます。そういったことを十分気をつけて両国関係というものをきっちりとかみ合って進めていけばこの二国間関係は悪い状況にはならない、こういうふうに私は見ております。
○平井卓志君 あと総理にも非常に重要な安全保障の問題についてお尋ねしたい。
 日米安保が日本の安全の基軸だと、これは今も昔も変わりませんね。ところが、沖縄の不祥事を契機にして、これは基地問題の解決というのはあなたでなくてもだれがやっても大変なんです、非常に難しい。ただ、私が残念なのは、それが一足飛びに基地の縮小、日米安保の変質、こういうふうに短絡するところにどうも日本の腰の据わり方が若干おかしいんじゃないかと。これはあえて失礼を省みずあなたに申し上げれば、連立という形の中において相当思い切ってあなたの言う日米関係、安保は堅持と言われておりますね。当然ながら自衛隊も容認だ。
 しかし、私よく考えてみますると、あなたの赤まれた半生というのは、社会主義政党に籍を置かれてあなたなりに一生懸命やってこられた。これが堅持、容認というのが連立維持、三党合意、それでやっていくというためだけであれば、私からあなたに日本の安全保障の将来について幾ら申し上げても無理なのかなと。
 そうではなくて、本当に価値観を同じくするような国はやはりアメリカなんですよ。どうしてもここの安全保障が基軸になる。むしろ言えば、アメリカが好きか嫌いかじゃないんですよ。日本のある意味の不幸は、近隣諸国に価値観がかなり似たところはほとんどないんですね。ロシアから朝鮮半島、中国、あえて全部を言わなくても、日本が一つの先進国として求め得る同盟国は結局アメリカしかなかったと、これはわかりやすい話なんですよ。
 しかし、そこの基軸にひびが入るようなら、これは一内閣の問題じゃない。総理、そこのところは慎重に将来の国益を考えてあらゆる局面で御決断をいただきたいと思いますが、どうですか。
○国務大臣(村山富市君) きょうはテレビで放映しているものですから、誤解があるといけませんから、この際私も自分の見解を申し上げたいと思うんですけれども、三党が政策合意をして連立政権をつくっておる。これは政権維持のためにつくっておるのではないんですよ。政党というのは国民のために働くためにあるわけですね。したがって、三党でそれぞれの担当者がどういう選択をすることが一番国民の期待にこたえ合意が得られるかというので、それぞれの担当者が真剣に議論してやっているんですよ。そこのところはよく理解してもらわにゃいかぬと思うんです。
 そして、その結果として、これは内閣も決断をするし、一体となって実行しておる。やっぱり政治は国民のためにあるわけですから、国民のためにならぬような政治はもう消えていくのは当然なんで、そのために私どもは一生懸命やっているわけです。そのことはひとつ誤解のないように御理解を賜っておきたいと思うんです。
 それから、日米関係について、これは社会党もずっと長い間議論をしてきているわけですけれども、先般の大会でもって政策を変えたんですね。そして、自衛隊も認めるし、安保条約も維持していくという方針を決めたわけです。
 私は一月に訪米してクリントン大統領と首脳会談をやりましたけれども、そのときにこう申し上げたんですよ。何かおたくの国の新聞、マスコミを見ますと、今度は社会主義者が政権をとった、日本は変わるんじゃないかといって大変誤報があるようですからこの際ひとつ申し上げておきたいので、はっきり御理解をいただきたいというので私の見解を率直に述べました。そのことについてはクリントン大統領も、よくわかりました、これで結構です、これからひとつ真剣な議論をいたしましょうと言って、議論をして合意を得て、私はその会談を通じて一層日米の信頼関係は深まったというふうに確信をいたしました。
 今回、沖縄問題があって、そしてクリントン大統領が云々ではなくて、APECが日本であることはもう去年から決まっているわけですから、したがってAPECが終わったところでクリントン大統領を国賓として日本にお招きをしたい、こういうことはもう決定しておったわけですね。ところが、たまたまアメリカの国内事情があって、議会との関係等もあってクリントン大統領の訪日が取りやめになった。
 このことは十四日に私に直接電話がかかってまいりまして、そして大変申しわけないけれどもと言っておわびのあいさつがございましたから、私も、国内事情はよく理解ができますと、こういうお話を申し上げたんですね。できるだけ早い機会に訪日をしていただくように期待をいたしております、できるだけ検討させてもらいますと、こういうお話もございました。そのかわりにゴア副大統領を派遣するのでよろしくお願いします、こういうお話がありましたから、私の方では、副大統領も歓迎いたしますと、こういうごあいさつを申し上げて、副大統領と私はAPECが終わった段階で日米の会談をやったんです。
 その際にも申し上げたんですけれども、日米安保条約というのは、これは日米関係の安全保障だけではなくて、やっぱりアジア地域全体の安定のためにも非常に役割を果たしておる。同時に、この日米安保体制というのは、これは日米関係、アジア全体を含めて政治的な安定する一つの基盤になっておる。このことについてはもう共通した理解と認識を私は持っておるというふうに思います。これはもうゴア副大統領とも率直な話をいたしましたけれども、全く合意をいたしました。
 その上で、日本にはアメリカの軍事基地があるわけです。アメリカの軍人が駐留しているわけです。したがって、この基地が今後どのように円滑に活用されるかということについては、日本国民の理解がなきゃできないことだし、同時に基地や施設が所在する地域の住民の理解と納得がないとなかなかうまくいかない。したがって、そのため
にこれから大いに力を尽くしていかなきゃならぬと思いますと。ついては、これだけ国際情勢も変わったんだし、これからまた変わる可能性もあるし、私どもは何とか戦争の原因や紛争の種になるようなものは取り除いていって、アジア・太平洋全体が平和な国になるように一生懸命これからは協力して努力していく。そういう努力の過程において情勢が変わってくれば、その情勢の変化に見合ってあり方というものも検討するのは当然の話ですから、率直な話をいたしましょうと、こういうお話も申し上げたんです。全くそれは同感ですという話になっているわけであります。
 当面、沖縄基地の問題については、ああいう事件もございまして沖縄県民の怒りというものはよくわかるんですよ。これは私はよくお話も聞きましたけれども、本土と沖縄の違いというのは、本土の場合には日米安保条約が締結をされて、日米協定に基づいて軍事基地が提供されたんです。ところが沖縄の場合はそうではなくて、占領からずっと続いてきてそのまま基地が使われているんですよ。そこにはやっぱり歴史的な由来の違いがあるんですよ。
 私は、そういう沖縄の置かれている現状というものを考えた場合に、いつかも申し上げましたけれども、戦前、戦中、戦後を通じて沖縄県民の皆さんが担ってきた苦悩というものは、それは本土から考えた場合にはかり知れないものがある。そういう沖縄県民の心情というものをしっかり踏まえた上で、これからどうするかという取り組みを真剣に考えさせていただきたいし、また考えていかなきゃならぬというふうには申し上げたんですよ。これはゴア副大統領にも率直に私は申し上げました。
 そのために、今後、特別行動委員会というものも設置をして具体的に沖縄の基地の問題をどうするかということについて率直な話し合いもさせてもらいましょうということになって、軌道に乗っていっているわけですから、私は全力を挙げてそういう努力はしなきゃならぬというふうに思っていますし、日米安保体制も維持をする、同時に、その円滑な運用を図って日米両国のために効果的に活用できるようにするためには、何よりもやっぱり国民の理解と、とりわけ基地周辺の住民の納得と理解が必要だ、そのために政府は全力を挙げて取り組んで誠意を持って尽くす必要があるというふうに考えておりますから、その点については誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
○平井卓志君 おっしゃるように、沖縄県民の心情を十分にお酌みになって、なおかつ、もうくどくど申しませんが、国益はどこに軸を置くべきか日本の国益は何かと、それが結果的には国民の利益でありますから、これは非常に難しいんですね。だからそういうことで、一生懸命おやりになっていることは私はわかるんです。一生懸命やることと、うまくやって結果がよかったことは必ずしも一緒じゃないんですね。そこはあなたにお任せしているんだから、あなたが全責任を持っておやりいただくしかない、こう思っております。
 こういうふうな問題で自治省に一つだけお伺いいたしますが、今、衆議院に公職選挙法の一部改正、これは議員立法でありますが、これが出ておる、政治資金規正法も出ておる。この内容、おわかりになりますか。自治省どうぞ。
○国務大臣(深谷隆司君) 記号式となっておりますものを自署式に変えろ、それから三分の二条項を変えていこう、そういう形で議員立法でただいま衆議院に提出されている法律改正案であります。
○平井卓志君 議員立法という手法をとっておりますので、あえて皆さん方にこのことの是非善悪は問いませんよ。しかし、この法律は一昨年通ったばかりなんです。通ったばかりでしょう。そうでしょう。それがなぜ突如として、政党助成金の三分の二条項なんというのは当時議論になったんですよ。そういうことでありますから、なぜこういうふうなものが出たかということを私はあえて申し上げたい。皆さん方は賛成なさったんでしょう。これは朝令暮改なんというものじゃない。党利党略じゃないんですよ。
 私がこういうことを申し上げているのは、何でこういうふうな法律を容認するかと。全部その根っこはこの内閣の性格にあるんですよ。違いますか。ですから、どこの政党が得するとかどこがぐあいが悪いから意見の内容を交換したとかもうあえてこの席では申しませんよ。
 もともと、こういう中では、(「関係ないよ」と呼ぶ者あり)いや、これは関係あるんだよ。いいですか、こういう問題を今後論議するときには、皆さん方全部賛成でしょう。私らはこれ賛成できないんですよ。そうでしょう。これはつまみ食いでもないんだ。かつてこの法律案ができたときに、私もその経過は全部知っていますよ。これは国民が戸惑った。しかし若干の期待感も持ったんですよ。やらないうちにもう変更ですか。
 そういう論理に立ちますと、もう数さえあったら何でもかんでもやりたい放題ということになるじゃありませんか。それを容認する内閣なら、出てくる宗教法人法の一部改正、一部改正一部改正と言いましても都合のいいところのつまみ食いになるじゃありませんか。御意見ありますか。
○国務大臣(深谷隆司君) 最後のところで宗教法人法の改正に結びつけられましたが、私は論理的に無理があると思っています。
 私たちがこの法律を変えましたのは、これは政府提案で、国会の皆さんの議決を経て変えていただいたものでございます。今回出されております改正案はあくまでも議員立法であります。私たち政府側が出したものではありません。我々としましては、国会議員の皆さんの発言を十分に見守りながら、国会の決めたことについて政府としては従っていこう、こういう立場でありますから、誤解なきように御理解をいただきたい。
○平井卓志君 議員立法であることは百も承知しておりますし、この三党の皆さん方が全員反対だったらこんなの出っこないんですよ。あえてそのことを私は申し上げておる。
 では、若干宗教法人法に入りましょうか。
 総理、先ほど来ずっと政治と宗教の問題についてやりとりがございましたけれども、これは古来どこの国でもこの議論はなかなか結論が出ない、難しいんですよ。ですから、そういう意味合いから申し上げると、十月三十一日に衆議院で趣旨説明が行われた、翌十一月一日に提案理由説明が行われた、実質審議はわずかと言っていいか六日間であった。総理、いかがでしょう、これで十分に審議は尽くされたとお思いですか。いやしくも衆議院は一院ですよ。法は粛々と通ってきた、審議は十分に尽くされたとお考えなのかどうか、どうぞ。
○国務大臣(村山富市君) 今、発言もございましたけれども、審議日程等については議会でお決めになることでありまして、皆さん方が話し合いをして、相談をして運営も決めるわけですから、したがって私は、この議会で審議が決まれば、その審議に対して尊重して応ずる、そして誠意を持ってこたえていくという関係にあるわけですから、私がここで、いや衆議院の審議はまだ足りなかったとかいや十分だったとかいうようなコメントをすべき立場にないということについては御理解を賜りたいと思います。
○平井卓志君 先ほど来、オウムを奇貨としてこの問題が提案されたのか、あなたたちはオウムがきっかけにはなったと、こういうことを言われておりますね。いろいろ聞いておりますと、オウムの再発防止というのは国民世論なんですよ。国民世論の求めるところというのは、世論調査はいろんなとり方がありますね。もうオウムはだめだ、壊滅しなきゃいかぬ、再発防止だと。ここのところはどなたも異論はないんです。異論はないけれども、よく議論を聞いてみますと、オウム再発防止の決め手というのはどこからも出てこない。極端に言ったら、内部資料を若干見ればないよりまし程度になってくる。では、オウム再発防止の決め手は何ですかと。だれもお答えになりません
ね。
 そこで、一つお伺いしたいのは、若干出ておりました破防法の問題ですね。これは先般、本会議場で、共産党の諸君は破防法をとらえて憲法違反だと。政府側はどなたも釈明なさらない。これはどうでしょう。これは憲法違反ですかどうですか。改めて総理からひとつ。
○国務大臣(村山富市君) 合法的に存在している法律ですから、憲法に反する法律というのは存在しないんです。それはそのとおりであります。
○平井卓志君 そうだとしたら、もう一つ質問を変えましょう。
 この破防法は適用にどうもしり込みなさる。この法律はあった方がいいのかしょせん抜かないならばない方がいいのか。総理、どうでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) 国会でそれぞれ審議をされて、そして多数で決められ、多数で決められたかどうかは、そのときのことは記憶ありませんけれども、要するに成立しているんですね。成立した法律ですから、したがってそれは存在している法律は尊重して、法を施行するのは政府の責任ですから当然だと思います。
○平井卓志君 法務大臣、あなたにもお伺いしたい。
 このオウム事件というのは、検証しますと、一口に言ってどういう事件だったと理解されていますか。
○国務大臣(宮澤弘君) 一口に申し上げろと言われましてもなかなか難しゅうございますけれども、我が国の憲法的秩序と申しますか民主的秩序というものについて大きな危険を与えるかどうか、こういうことについて慎重な判断を要すべき事件であるというふうに思っております。
○平井卓志君 文部大臣、今までずっと衆議院からあなたはやりとりしてきた。今さらここでなぞってみてもこれは時間が経過しますから。
 ただ、率直な感じを申し上げますと、どうも行政の自由裁量の幅が大き過ぎるんじゃないか。その歯どめのところで議論が行ったり来たりしている。ある見方をすれば、行政の責任で対応できるものを宗教法人法改正の中に全部逃げ込んだんじゃないかと、こういう見方もあるわけですね。文部大臣、どうですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 行政のいろいろ行為を行う場合も法律に基づいていたすわけでありますから、当然法律の中に不備な点があれば行政はこれで動きがとれません。その意味で、所轄庁の問題とか、あるいは情報開示の問題とかあるいは活動報告の把握のあり方等について不備な点がある、こういう御認識のもとに宗教法人審議会の報告をいただいたところであります。
○平井卓志君 あなたは審議会の問題をおっしゃいましたが、これはずばり申し上げて、入り口論議から、議事録を出すの出さぬの、やれ会長が一任されたのされないの、いろいろございますけれども、これは文部大臣のあなた自身で審議会抜きにして提案しようと思ったらできるんじゃありませんか。
○国務大臣(島村宜伸君) 確かに、これは必要的付議事項ではございませんから、文部大臣独自でもできることですが、与謝野前大臣が宗教法人審議会に検討をお願いしたのは、宗教法人法といういわば重要な意味合いを持つ、まさに信教の自由、政教分離の原則を維持しつつこれをいろいろ例えば改めるということになれば、それなりの確かな学識経験者の意見やあるいは宗教法人の実際上の代表者の方々の御意見も承っておく必要がある、こういう判断をして御検討を願い御報告をいただいた、これに基づいているところであります。
○平井卓志君 そういうおっしゃりようをしますと、大臣、委員は十五人ですね。今、その質疑の内容、議事録はともかく、七人の委員の方々がどうしても文部大臣にお会いしたいと。御存じですか。お会いになりましたか。
○国務大臣(島村宜伸君) そのことはよく承知をいたしておりますが、現在、その十五人の宗教法人審議会の御審議の結果を踏まえて法改正について国会にお諮りしている段階でありますから、私はお目にかかっておりません。
○平井卓志君 先ほど来いろいろ議論を聞いていますと、この改正案の入り口では必ずオウム問題が出てくる、出口のところでは必ず創価学会という話が出てくる。私は不思議に思って聞いておったんですよ。
 これは私に言わせたら、民主主義国においては、偶発的なテロ、意図的なこういう一時的な暴力には民主政治そのものは弱いんですよ。これを完全に防止する策は、これはもう正直言って全体主義国家しかないんです。民主政治は強靱なものだけれども、一時的な暴力に弱い。それを、何かをつくれば完全に防止できるような錯覚を与えるなり、これはいけないんですね。
 ですから、私なんかに言わせますと、このオウム事件というのは、いろんな見方がございますけれども、今の社会の中から、いろんな複合された理由の中から麻原教祖の問題も含めて出てきた。出てきた結果は、例のサリン事件等を見ますると、これはもう結論から申し上げたら国家の統治能力に対する挑戦なんですよ。そういう観点からいえば、破防法の適用を、私は専門家じゃございませんよ、逡巡するのがおかしい。そこを避けて通れば絶対に防止策なんかない。それをあるがごとくああ言えばこう言うとなれば、法律改正だけで全部が終わるということになってしまうんですね。
 総理、いかがですか。
○国務大臣(村山富市君) これは、今御審議をいただいておりますこの宗教法人法の改正というのは、オウム真理教のああいう凶悪な犯罪を取り締まるために改正するものじゃないんですよ。これはもう刑法があって、刑法に基づいて、法と証拠に基づいて厳正に今捜査をやっているわけですから、これは別ですよ。
 ただ、このオウム真理教のような事件が起きた、それをきっかけにして宗教法人法というものに対する国民の関心が高まって、そして、先ほど来お話がありますように、世論調査の結果を見ても八〇%以上がやっぱり改正すべきだ、こういう国民の声があるわけです。
 しかも、ここで議論していますように、私は、今度の改正案というのはどこから考えてみても、この程度の改正をすることはむしろ行政に責任を持つ立場としては当然のことではないかと思うし、改正されることによってむしろ宗教法人に対する信頼も高まっていくんではないか、こう考えておりますから、決して悪いものではないというふうに私は思っておりますから、十分ひとつ御審議をいただきたいと思います。
○平井卓志君 総理、改めてお聞きしましょう。
 あなたの答弁の中で、信教の自由と政教分離の原則を侵すものではないと言われている、そして必要最小限度の改正と答弁されていますね。そうだとしたらこれ以上の改正は考えておらない、こういうことでしょうか。
○国務大臣(村山富市君) 何物も絶対というものは私は存在しないと思うんですね。そういうことから申し上げますと、当面考えられる範囲で私どもはやっぱり最小限度の改正は必要だと思いまして今提案をして御審議をいただいているわけです。
 しかし、これから世の中がどう変わるかわかりませんし、時代がどういうふうになっていくかわかりません。そうした情勢の変化に応じて検討していくのはある意味では政府の責任ですし、当然のことだと思いますし、また国会の責任でもあると私はそういうふうに思っていますから、そのように御理解を賜りたいと思います。
○平井卓志君 この審議会の会長の三角さんは、読売新聞のインタビューに答えましてこう言っているんです。この改正は宗教法人を監督するものではない、所轄庁が責任を負える改正だと、こういうふうな表現をしているんですね。これなかなか国民はわかりませんよ。
 文部大臣、所轄庁の責任というのは何ですか。
わかりやすく言ってください。
○国務大臣(島村宜伸君) 法律に基づいて、例えば宗教法人に限れば、文部省なら文部省の所轄する法人に対して最大限の責任を行使する、こういうことです。
○平井卓志君 大臣、所轄という言葉、おわかりですか。
 じゃ、私から申し上げましょう。
 私なりに見てみましたら、所轄とは管轄することとあるんです。管轄とは権限によって支配することとある。
 皆さん方の御答弁を聞いていると、最低限の改正だという答弁の中に一貫して流れているのは、もうマイルドにマイルドに、いやもう心配ないんだと言われておりますが、私は即弾圧とかそういう古色蒼然とした言葉は使いたくないんです。しかし、総理も御無礼ながら社会主義を標榜する政党におられたら、弾圧というのは、歴史を見てみますると、だれもが反対できないような状態の中で初期段階は何となく出てくるんですよ。それを真綿で首を絞めると言う。そうでないとおっしゃるなら、最低限の改正はこれが限界であると御答弁いただけませんか。どうでしょう。
○国務大臣(村山富市君) 戦争中は国家主義というものが柱にあって、そして治安維持法という法律もあって、そして思想・信条の自由も基本的人権も認められないという状況の中で弾圧が繰り返されたという歴史の反省に立って、日本の国は今の憲法をつくって持っているわけですね。その憲法の中では基本的人権というものが保障されているわけですから、したがってそのことを私どもは大事にして、踏まえてこれからのすべてについてやっていく必要があるというのはもう当然の話だと私は思います。
 そういう中で、今回の改正案が宗教団体を監督するとかあるいは支配するとかあるいは弾圧するとか、そういう意図がどこから考えたら出てくるのか、私はもう見当がつかないわけで、わからないわけですね。そんなものではなくて、行政としての責任というのは、行政が認証するんですから、認証した限りにおいては、今度のオウムみたいなものが出てきた場合に一体責任をとれたのかと、こう言われれば、いやこれはこういう法律があってなかなか手が出ないものですからというようなことになれば、やっぱり責任が問われるじゃないですか。
 そんな意味では、憲法で保障されたような宗教活動が世間にも認められるような形で行われているかどうなのかとかいうようなことの最低必要なものは行政の立場から知っておくことは必要ではないかこれは当然のことだと思います、私は。
 そして、しかもそのことは世間の皆さんも、ああ、あの宗教団体はこういう宗教活動をやっているのかと言ってわかるようにすることが社会的な信頼を得ることになるんじゃないかというふうに思いますから、これは行政の立場から考えても、宗教団体の宗教活動の面から考えてもこの程度の法律の改正は当然ではないかと、私はそのように理解をいたしております。
○平井卓志君 もうこれ以上押し問答しませんが、最後に一つ、どなたもおっしゃらぬことを申し上げましょう。
 これは、自民党の国会議員の中に、わかりやすい話が、公明党の方々、ひいては学会の方々、過去随分懇意な方がたくさんおられた。違いますか。これは笑い事じゃないんですよ。「今でもいるよ」と呼ぶ者あり)そうそう。そして、社公民路線というのもありましたね。お互いに同一歩調で、反自民で攻めた。時流れて、今度は自公民というのがあった。PKO通しましたね。断固粉砕を叫んだ人も今日そこに座っておられる。
 特に、私どものかつての指導者であった田中角栄さん、これは大変仲がよかった。竹下登さんもそうですよ。いろんな意味で仲がよかった。そして、今日見てみますると、まさかと思った。私に言わせたら、もう奇想天外ですね。自社が組んだ。かつての盟友、反対政党に回った。
 どうも最近、自民党の人気が思わしくない。これはもう選挙はどうにもならぬなと、どうしても選挙を前提に置いての議論に政党というのはなるんですよ。政党の党利党略は悪いなんて言う人いますが、私は一度も言ったことない。党利党略のない政党は、明治憲政史上存在し得ないんですね。ただ、そのよって来るところが常に国益というものから軸足を外してはいかぬということなんですよ。
 議員というのは、これは若干ほかのことを申し上げますと、出てくるときにはそれぞれ立場は違いますよ。違うけれども、おのれの抱負経論を問わんとして、国家民族のためと自負して出てくるんですよ。ところが、こういう時代の転換期、公選法も大幅に改正になった、さあ生き残りをかける、どちらへ行って残ろうかということで、もうほかのことは目に入らなくなる。そういうことがこの法律案の底に流れていないか。――ここは笑うところじゃないんですよ。
 敵方に回ったら、何とか新進党をやっつけてやろうと。だれも言いませんよ、そんなことは。昔のことはほおかぶりだ。そして、そのバックで強力に応援しておる創価学会、これを何とかやっつける方法はないかと。
 党利党略として考えるのは自由でありますが、国の立法権をもって選挙を有利にしようなどということを考えたら、これは国はおしまいですよ。そのことは、私は特に申し上げておきたいと思う。どうですかこれに対して。
○国務大臣(島村宜伸君) ただいまのお話を伺っておりまして少し感じたことですが、平井先生も私は大変仲のいい先輩と、こう思って御交誼願ってきている。やはり相手、立場が変わると、そこまで考えが変わるかなと思いました。
 ところで、先ほど来お話がある中で、きょうの一番の主題でありますこの宗教法人法の改正、この問題でぜひ御理解いただきたいのは、何遍も申し上げていることですが、今回の改正点を国民の皆さんがごらんになって、これが宗教弾圧につながるものかどうかあるいは先ほど所轄庁があたかも何か宗教法人の首を押さえつけるような印象のお考えを示されましたけれども、そういう何か可能性を感じるかどうか。これは、むしろ国民の皆さんがテレビをごらんになっていてどう感じるかを伺いたいところであります。
 宗教法人審議会の十五人のうち十一名は宗教法人の代表者であるということ、それから効率的ないわば御審議を願うために、その宗教法人審議会で御判断いただいた特別委員会のメンバー八名中五名も宗教法人の代表であるということ、その中でどうして恣意的な、あるいは弾圧につながるようなおかしな改正案が出るかどうか、少なくともその基本となった報告がまとめられるかどうかを御判断いただきたい。
 七名の方のお話も出ましたけれども、その七名の後から異議を唱えておられる方のうちの三名は、整々粛々と特別委員会の審議に加わられた中に入っておられる。そういう方々が、もし御異議があるならば、その時点できちんと意見を言われるべきだったと、私はそう思うがゆえにあえてお会いしておらない、こういうことでございます。
○平井卓志君 もう時間がございませんので、多く言いませんが、これはもう審議会のことを言い始めたら、あなたにはあなたの言い分があり、審議会の会長は会長の言い分がある。反対党から見たらそれなりの言い分もあるんです。それは堂々めぐりですよ。ただ、私は全く承服できないということを申し上げておきます。
 今、一つの例えで社公民、自公民、懇意な方、昔の友人について触れましたが、そこのところで御理解いただきたいのは、その当時も公明党には今もきちっと学会という支持母体があったんです。そんなことは昔も今も変わりはしないんです。選挙で助けてもらった人だっていっぱいいるでしょう。
 ところが、反対側に回った、さあ大変だと、何か恐怖感に近いものをヒステリックに感じて、そうであるとは言えないのは私はわかっているんで
すよ。わかっているけれども、立場立場によって、どうしてもここで相手教団、相手政党を締め上げたいというふうな、邪推だとおっしゃるなら邪推と言っていいんですよ、私はもうその危惧がある。
 事あるごとに創価学会、それで結びつけようとするのがオウムの問題、非常に意図的なものを感じます。これは答弁は要りません。詳細はまた質問の機会もございます。またじっくりやるそうですから、後輩に譲りますけれども。
 そこで、どうか軸がぶれないように、文部大臣あなたも言うとおり、あなたの性格よくわかっておる、軸がぶれないように。参議院は出口なんですよ。ここで出たら法律案は成立なんです。最後の責任者はあなたなんです。いろんなお気持ちあるでしょう。十分に慎重に国益に立ってひとつお考えください。
 終わります。(拍手)
○荒木清寛君 平成会の荒木でございます。
 先ほどの議論を聞いておりますと、与党の委員が政教分離に関する政府の解釈をとらえて、三百代言のように同じようなことをずっと言っていると、そういうことを言っていましたですね。しかし、時の政府の都合によって、また与党の都合によって憲法解釈が変わってしまう、もしそんなことがあったのでは大変なことなんです。ですから、まず確認をしておきます。先ほどの議論を聞いておりましても、宗教団体が選挙運動をする、何かそのこと自体が問題であるというような趣旨の質問が続いているわけです。
 そこで確認しますが、宗教団体が政治活動をする、選挙運動をする、これは憲法の政治活動の自由で保障されておりますね。また、その宗教団体が応援をした議員が当選をして例えば大臣になる、あるいは応援をした政党が政権政党になる、そういうことがあっても政教分離原則には違反をしませんね。その点を改めて確認をしておきます。
○国務大臣(村山富市君) 憲法第二十条で保障されておる信教の自由、政教分離の原則というのは尊重されるべきものだということはたびたび申し上げているとおりです。思想・信条の自由、言論・出版・結社の自由といったものも基本的な人権として保障されております。
 したがって、宗教団体が特定の候補者を推薦する、あるいはみずから立候補する、そして選挙を行う、また応援をするといったような選挙活動は自由でありますし、議員になることも当然だし、同時にまた閣僚の一人に加わるということも現にあったわけですから、これは別に憲法に反するものではないということは明らかだと思います。
○荒木清寛君 今回の冒頭の質問では、佐賀における補欠選挙の宗教団体の活動について質問がありました。
 そこで、国家公安委員長に聞きますが、今回の佐賀の補欠選挙において宗教団体が何か公職選挙法の違反を犯した、そういう例はありますかありませんか。
○政府委員(野田健君) 佐賀県警察においては、本年十月二十六日付で警察本部長を長とする参議院佐賀県選出議員補欠選挙違反取締本部を設置し、取り締まりに当たっているところでございますが、現在までに文書違反四十六件、言論四件、その他三件、合計五十三件の警告を実施しておりますが、違反事件として立件したものはございません。
○荒木清寛君 では、国家公安委員長お帰りですから確認しますが、佐賀においては宗教団体に関しての違反事件は検挙されていない、間違いないですね。
○国務大臣(深谷隆司君) ただいま刑事局長が答弁したとおりであります。
○荒木清寛君 要するに、憲法でも政治活動の自由、選挙運動の自由、宗教団体について保障されているわけです。また、実際に今回の佐賀の運動においても何の違反もないわけです。そのことを、あんな大きな写真を持ってきて何か問題があるように質問をする、私は非常にそれは見識がないというふうに思います。
 次に、先ほどどなたか大臣のお話で、冷静に考えればどなたも賛成するような法案だというふうに言いましたが、じゃ総理にお聞きします。
 今回の改正案につきまして、多くの宗教団体から反対あるいは慎重に審議をせよ、そういう意見表明がされていることは知っていますね。
○国務大臣(村山富市君) 宗教団体の皆さんから幾つかそういう反対意見があるということについては承知をいたしております。
 とりわけ地方の小さな、そう言っては失礼ですけれども、お号とかそれからお宮とかというようなところは、それはもう帳簿をつける人もいないし一人だけでお宮をお守りしているというようなところの皆さんは、そんなこと言われたって私どもは会計出納簿をつけるわけじゃないし、それは困ったなというような声は聞いたことがありますから、そういう点は十分配慮しなきゃならぬというふうに思っております。
○荒木清寛君 書類をつくるのが面倒くさいと、そんな反対論じゃないんです。
 私はきょう、京都のあるお寺さんから、「宗教法人法改正問題についての声明」、これのコピーをちょうだいいたしました。これはどういうことかといいますと、今回の改正案は信教の自由と政教分離原則を損なう内容である、そういうことで学者の飯坂良明先生を初め五人の先生方が呼びかけ人となりまして広く宗教団体の賛同を求めている。その文書のコピーをいただいてきたわけです。もう多くの宗教団体から賛同があり、きょうの夕方、官邸に総理あてに声明に賛同する申し入れをする、あるいは文部省にも文部大臣あてに、反対、もっと慎重にやれと、そういう声明文を提出されるというふうに聞いているわけです。
 そこで、きょうのことですから総理は御案内でないと思いますので、私からその賛同が寄せられている声明の概要をここでせっかくですから御紹介いたします。これは、
 憲法に保障されている信教の自由と政教分離の原則を損ない自由と民主主義を危うくするものとして、重大な危惧と疑問を表明するものであります。
そういうことで始まっているわけです。いろいろ書かれています。
 改正の動機について、オウム真理教の犯罪は特異な刑事事件であり、基本的に宗教法人法の問題ではなく、その改正によって防止し得るようなものではありません。だったらなぜ急ぐのかということをおっしゃっているんです。あるいは、
 政府・与党の有力者が今回の改正について、特定教団の抑制をねらったものだと、公然と語っていることも重大な問題です。
というふうにおっしゃっています。後で見てください。
 また、今回の改正手続については、
 宗教法人審議会の十五人の委員のうち七人までが、いまだ同意は形成されていないと主張しているのに、一方的に審議を打ち切り、会長に一任されたものとして、行政側の提出したとおりの報告書が作成されたのは、どう考えても納得のいくものではありません。
とおっしゃっています。
 また、改正の内容についても個々に危惧を抱いておられます。所轄の問題については、財務報告・開示義務、および所轄庁の質問権と相まって、宗教全般に対する国家の恒常的な監視体制が確立されるということになります。このような管理体制は、過去の国家による宗教への差別や弾圧の歴史を繰り返さないよう、憲法に規定された信教の自由とは、本質的に相容れないものであります。
あるいは、
 経理の適正化、透明性の確保に関しては、現行法のもとでも厳しい税務調査を受けており、収益事業を行う法人は公益会計を含めた税務申告を行っております。今回の改正案では、法人の規模によって報告義務を免除することになっ
ておりますが、本来、内心の価値にかかわる宗教を、規模によって差別扱いすること自体にも重大な疑義があります。
 最後に、信者その他の利害関係人のことについても、範囲もあいまいなままに備えつけ帳簿の閲覧請求権を認めることは、法人経理の透明化に資するよりも、宗教教団に無用な混乱を生じさせるおそれの方が大きいものと思われます、ということですよ。
 総理、先ほど何か小さい宗教団体が事務が煩雑になるから反対である、そんなレベルじゃないんです、これは。多くの宗教界の方が、要するに信教の自由を侵害する、そういう危惧を抱いて反対している、あるいは慎重論を唱えているんです。承知していますかそういうことは。そんなといいますか単にそういう小さな神社やお寺の事務の問題だけですか、反対されているのは。
○国務大臣(村山富市君) 今、御指摘のあったような立場から反対の意見があるということは、この委員会でも皆さん方からそういう意見は十分聞いていますから、これは衆議院の委員会の審議の中でも新進党の皆さんからはそういう点で厳しく追及があっていますから、そういう意見もあるんだなということはよく承知いたしております。だけれども、私は今度の改正案がそういう意味で信教の自由を侵すようなものになっているのかどうかということをよく考えていただけばわかると思うんです。
 これは何度も申し上げますけれども、今度の改正案というのは四つぐらいの中身があると思います。
 例えば所轄庁を、都道府県から広域にわたるような都道府県にまたがって宗教活動を行っているような団体なり法人の扱いは管轄する責任の立場から文部省に移した方がいいのではないかというのは、先ほど来いろんな事例を挙げて話がありましたけれども、ある意味では当然なことではないかと思います。
 それから、透明性を高めて民主的な運営をしていただくというのは、これは宗教法人といえども公益法人という立場がある以上は当然なことだと思いますから、それは信者の皆さんがこういう会計はどうなっているのか知りたい、こうした場合に正当な理由があって認められればそれは閲覧をさせるというのもこれは当然な話だと思いますし、何も私は隠す必要はないのではないかというふうに思います。
 それからまた、例えばこの八十条やら八十一条に基づいて宗教法人が正当な宗教活動をやっているかどうかというようなことについても、現行法ではそれを知る手続がないんですから、したがってそういう点も行政の責任としてある程度知っておく必要があるというようなことはある意味では当然なことではないか。
 だから私は、何度も申し上げますけれども、行政の責任として所轄するそれぞれの立場から、責任の持てるようなものにきちっとしておく必要があるし、同時にそのことは、またその反面、宗教団体から申し上げましても社会的な信頼を得ることになるんではないか。ある意味では公明性を高めて、そして民主的に運営していただくというのが当然ではないかというふうに思うんです。
○荒木清寛君 私はそんなことを聞いたのではありません。
 一つだけ言っておきますと、行政の責任と言いますけれども、所轄庁の責任というのは法に基づいて適正な認証をする、これが責任なんですよ。(「そうじゃないよ」と呼ぶ者あり)そうですよ。犯罪を取り締まるのは捜査当局です。もし宗教団体が何か建築基準法あるいは児童福祉法、そういう法律に違反をすれば、それはその担当の行政がやることなんですよ。所轄庁の仕事じゃないんです。総理、先ほどのお話で何ですか、答弁が違うわけですよ、小さな法人のお話だけで。
 ところで、カトリック教団の連合体あるいはプロテスタント系の教団の連合体から総理の方に反対という要望書が届いておりますね。また、島村さんのところにも新宗連から反対の意見書、また近畿宗教連盟からも慎重にという要望書、また京都仏教会からも反対の要望書が行っておりますね。私は、今の答弁はそういう要望書なり意見書をちゃんと読んだ上での答弁とは到底思えないわけです。
 きょうの声明、申し入れがされるという声明にもあるように、仏教会またキリスト教の諸団体あるいは新宗教あるいは教派神道、そういう方々が広く反対の声を今上げていらっしゃるわけです。危機感を持っているわけですよ。いや首振っている場合じゃないよ。これだけ当の信仰をしている皆さん方が反対しているのにどうしてこんなに急いで改正するんですか。どうしてそういう意見を聞かないんですか。なぜそういう宗教界の方の理解を求めた上で改正をしようということにならないんですか。
 総理と文部大臣から答えてください。
○国務大臣(村山富市君) 私どもは、今度の改正案は十分御審議をいただいて、速やかに成立をいただきたいということでお願いをしておるわけです。国会の中で審議をされる際に、それは先ほど来お話もございますように、宗教団体の意見を多く聞いて、そしてもっと審議をやるべきじゃないかという意見もありますから、これは国会の方でお決めになることですから、私どもがとやかく言う筋のものではないというふうに思います。
 しかし、こうして反対の皆さん方の意見も聞いて、それに対して私どももお答えをして審議しているわけです。一方的に賛成意見だけ聞いてやっているわけでもないし、これはここで十分御審議を尽くしていただけば、私どもも誠意を持って答えて、そしてこの結論が出るように努力をしていきたいというふうに思っておりますから、そういう点はひとつ誤解のないように御理解を賜りたいと思うんです。
○国務大臣(島村宜伸君) 荒木委員の御発言、これはテレビを見ている方が誤解されるといけないので少しく申し上げますが、何か反対ばかりが非常に多いようにあなたは御発言になりますけれども、私のところへも、今の宗教法人法は確かにいろいろ問題がある、したがってこれはきちんと改正して、国民の理解の中で我々は宗教法人としてのきちっとした役目を果たしていきたいという貴重な御意見もたくさんあるんです。
 なるほど長い間、昭和二十六年以降、一たん認証したらもう何も我々は内容を知ることができない、いわば全く野放しと言ったら言葉は適当ではないかもしれませんけれども、少なくもそういう言葉。全く事実の把握のできないような、いわば放置したままの宗教法人に対する所轄では、これは法人格を与えた側に責任がない、こう言われても仕方がないので、今回その改正の内容についてお諮りしたと。
 それからもう一つ、大事なことですから申し上げますが、七人の人が一任の合意形成なしとおっしゃいますが、この七人の方々の中で一任にはっきり反対した人はたしか二、三名のはずであります。これは文化庁のその当時現場にいた人たちから何遍もそういう報告が国会でなされているところです。しかもこの七人の方の中のお一人は、御自分が新聞に投書なさった中で、自分もその一任に反対しなかったとはっきり書いていらっしゃる。そういうことを含めて正確に御発言いただきたい。
 もう一つだけ申し上げます。どうして急いでとおっしゃいますが、所轄の問題と情報開示の問題、そして活動報告の把握のあり方、これだけの問題に絞り込んで御審議願って、なぜこれがどうして急いでと言われるんでしょうか。これを二年も三年も四年もかけてやることが果たして国民の理解が得られるかどうか、私はそれは逆であると思うんです。
○荒木清寛君 いや、そんなに私が今読み上げた審議会の部分についての経過が違うと言うのであれば、議事録出したらいいじゃないですか。
 それともう一点、宗教団体を野放しにしたとは何ですか、それは。要するに宗教団体は……(発言する者多し)野放しと言いましたよ、野放し
と。言いましたよ。宗教団体は危険だから……「野放しなんて言ってないよ」と呼ぶ者あり二言いましたよ。じゃ、委員長……(発言する者多し)いやいや、野放しと言ったかどうか、私は確認できなかったら質問できません、そんなことは。
○国務大臣(島村宜伸君) 野放しという言葉が適当でないかもしれないと、あなたも確かに怒られた。したがって私は、結果的に認証した後は放置したままという形は好ましくない、こう言ったんです。
○荒木清寛君 こういうことばかりやっておっても時間がありませんから。
 そして今の声明書の最後、こう言っていますよ。
 現代における宗教の在り方と役割を明確にし、宗教教団の自治能力や自浄能力をより高め、その社会的責任を果たし、国民の豊かな精神文化の醸成と、社会の信頼を確立するために各界に参加を呼びかけ、諸宗教が共に手を携えて幅広い議論のもと、宗教の使命を実現するための具体的方策を練り上げ、これを実施することを提言いたします。
と結ばれているわけですよ。要するに、そういう社会的責任ということはわかるから宗教界も連携して自主努力をしますというふうに言っているわけですよ。
 これだけじゃないですよ、これだけじゃないです。新宗連の先ほどの文部大臣への意見書、あるいは立正佼成会が表明された見解、先ほども引用されましたが、それでも自主努力をします、自浄努力をしますというふうに言われているんですよ。だったらどうして、宗教界の方が努力をしますと言ってるんですから、それを待つことができないんですか。それを待って、なおかつ不十分だというのであれば法改正を議論すればいいじゃないですか。それはもう全く宗教界の方の意見といいますか、心情を踏みにじった改正案の提出ですよ。
 総理、どうですか。
○国務大臣(村山富市君) これはさっきから言っていますけれども、きょうはテレビで公開していますから、誤解があるといけませんからこの際申し上げておきたいと思うんですけれども、審議会の議事録の公開というのは、何か出すと困るものがあって出さないというんじゃないんですよ。ですから、そこはひとつ誤解のないようにしてくださいよ。(発言する者多し)いいですか、いやいや、それはお互いに紳士的に議論せにゃいけませんから、だから言うべきことは言わなきゃならぬと思いますからね。ですから、議事録を出すと何か困るようなものがあって出さないのではなくて、出さないということを前提にして議論しているものですから、信義に反するということもありますから出さないわけです。その点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。(発言する者多し)ですから、そういうことはひとつ誤解のないようにお願いしたいと思うんですね。
 それから、先ほど来言っていますけれども、私どもは何も反対意見の皆さんの意見を聞かないというんじゃないんですよ。いろんな宗教団体の皆さんの反対意見があることも、これはよく承知しています。その反対意見を聞いてみても、なおかつこの程度の最低の改正は必要ではないかというふうに思っていますし、この改正は、先ほど来お話がありますように、八十何%の国民の皆さんもそれは当然だと言って賛意を表しているわけですから、その国民の気持ちにこたえるのはある意味では政府の責任ではないかというふうに思いますから、誤解のないように御理解を賜りたいと思います。
○荒木清寛君 私は、限られた時間で質問するものですから、聞いたことに端的にお答えいただきたいということを申し上げたんです。
 総理は、今回の法案は信教の自由、また政教分離原則を侵すものではないと繰り返しおっしゃっていますから、それはこの法案の内容をよく知った上での御発言だと思います。だから質問をいたします。今回の信者その他の利害関係人の宗教法人に対する書類の閲覧請求権のことでございます。
 ここで言う信者、信者でもいろいろあるわけです。年に一回お参りに行くという方も信者かもしれませんし、あるいはお参りには全然行かないけれども自分のおうちでずっとお祈りをしている、そういう信者さんもいるわけですね。では、ここで言う信者というのは何を指すんですか。また、だれがそれを判断するんですか。総理からお答えください。
○国務大臣(島村宜伸君) これを総理から伺うのはおかしいと思うんです。私から御返事いたします。
 信者につきましては、寺院の檀徒やあるいは神社の氏子などのうち、法人と継続的な関係があり、その財産基盤の形成に貢献している者、あるいは総代など法人の管理運営上の地位が規則等で定められている者、そして宗教教師など法人と継続的な雇用関係にある者。
 信者以外の利害関係人についても御説明いたしますか。
○荒木清寛君 お願いいたします。
○国務大臣(島村宜伸君) 信者以外の利害関係人につきましては、一、債権者や保証人など法人と取引等の契約関係にある者、二、法人の行為により損害をこうむった者、三、包括・被包括関係にある宗教法人等を指すもので考えられております。
○荒木清寛君 ちょっとこの衆議院の答弁と整合性があるかなというふうに思うんですね。
 信者がだれかというのは今言われましたけれども、それは私は例示ではないかと思うんですよ。――そうですと言われましたね。例示なんですよ、定義そのものじゃないんです。だから、限定的にこういう人はどうですかと、例えば今言いましたように、お参りはしないけれども毎日お祈りしているという方はどうかとか、そういうふうになってきますと非常にその例示では判断できないわけです。だから、信者かどうかというのはだれが最終的に判断するんですか、文部大臣。
○国務大臣(島村宜伸君) 今、私がその前に申し上げたのはまさに例示で、例えばこういうものが考えられるという一般的な例を申し上げたところですが、この最終的な信者は宗教法人が決めると、こういうふうに判断します。
○荒木清寛君 わかりました。それを言っていただければわかるんです。
 そうなりますと、もしも私が信者だから見せてください、あるいは見せませんという紛争になった場合には裁判になるわけです。
 そうですね。その場合の裁判所の判断基準としても、この宗教法人の判断というのが基準になるわけですね。要するに、宗教法人が信者と認めたかどうかということで裁判所も判断するわけですね。
○国務大臣(島村宜伸君) 私は裁判所の当事者でありませんから的確にお答えできませんが、少なくも裁判所がいろんな社会的な背景とか、あるいは原告のそれまでのいろんな活動についての検討をした上で御判断いただくのだろうと思います。
○荒木清寛君 いや、それは違うんじゃないですか。だって、先ほどの一つ前の質問では最終的には宗教法人が判断すると言ったんだから、裁判の基準もそれでしょう。今言ったように、何か活動歴とかそういうことを総合的にということじゃないでしょう。違うじゃないですか。
○国務大臣(島村宜伸君) これは必ずしも私の所管ではございませんが、少なくも宗教法人が決めると言ったのは、宗教法人に信者あるいはその他利害関係人がいわば閲覧権を求めて、それを認める場合には宗教法人が認める場合と、こういうことですね。
 ただし、認めないといっても、その信者の方なら信者の方が納得できない、自分は信者である、それなりの貢献をしてきた、ぜひ閲覧をしたい、もしそのトラブルがあるときは、これはまさに司法の手にゆだねるというところを申し上げている
わけです。
○荒木清寛君 いや、それだったら宗教法人が最終的に決定するんじゃないんですよ。裁判所が最終的に決定するんだから、(発言する者多し)いや聞いてくださいよ。私はまじめに議論しているんですから聞いてくださいよ。裁判所が最終的に決定するんですから、この裁判の基準として信者の定義がはっきりしてなきゃいけないじゃないですか。それを示してくださいよ。先ほどのは例示ですからね。裁判所が判断する場合の信者の基準というのをきちんと定義してくださいよ。そうじゃないと裁判できないじゃないですか。
○政府委員(小野元之君) 御指摘の判断の基準でございますけれども、これは大臣からも御答弁申し上げましたように、宗教法人が決めるものでございます。
 もちろん、御承知のように、宗教法人における信者といいますのはそれぞれの宗教法人によってさまざまな形態があるわけでございます。そういったものについて、当然のことでございますが、この法律では正当な利益があり、かつ不当な目的でない信者その他の利害関係人に対して閲覧請求を認めているわけでございまして、宗教法人の方でこれを見せるかどうかは決定される。ただし、争いになった場合に、裁判を起こされた場合には、最終的には裁判所がその点を判断するというのは、これは司法制度の建前から当然のことだと思うところでございます。
○荒木清寛君 それでは、改めてお聞きします。
 ですから、裁判所が信者かどうかを決めるときにはどういう基準で決めるんですか、それを示してくださいと言っているんですよ。裁判所がやるんですと言ったって、基準がなければわからないじゃないですか。それは法律をつくる人が……(発言する者多し)何を言っているんだ、私は弁護士なんだよ。
○委員長(佐々木満君) 静粛に願います。
○荒木清寛君 それは裁判所が決めることは当たり前なんですよ。それは司法権の独立なんですよ。しかし、裁判所は法律を解釈して判決するんですから、信者というのであればその定義を法律をつくった人がきちんと示さなければ裁判できないじゃないですか判決できないじゃないですか。そのことを言っているんですよ。
○政府委員(小野元之君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、宗教法人が最終的にお決めになるわけでございますが、信者については、例えば寺院の檀徒や神社の氏子などのうち、法人と継続的な関係があってその財産基盤の形成に貢献している方、それから総代など法人の管理運営上の地位が規則等で定められている方、あるいは宗教の教師などで法人と継続的な雇用関係にある方、一般的にはこういった方が考えられるということを大臣から御答弁申し上げたところでございます。
 信者以外の利害関係人につきましても、大臣から御答弁申し上げましたように、債権者や保証人など法人と取引等の契約関係にある方、法人の行為により損害をこうむった方、あるいは包括・被包括の関係にある宗教法人の方、こういった方がここで言う信者あるいは信者以外の利害関係人ということで例示として考えられるというものでございます。
○荒木清寛君 時間がありませんからまた改めて議論したいと思いますが、利害関係人も今あなたは例示だとおっしゃいましたね。要するに定義はないんですよ。
 じゃ、こういう場合どうですか。例えば、信者の家族の方が書類を見たいと言ってきたら、この方は利害関係人ですか。
○政府委員(小野元之君) 個別の事例といたしまして、当該書類を見るにつきまして、正当な法律上の利益がありかつ不当な目的でないという条件がかぶっておりますので、そういったものが今おっしゃった方について該当するかどうかという判断の問題がございますけれども、ケース・バイ・ケースで判断しなければいけないというふうに思っております。
○荒木清寛君 いや、私は利害関係人かどうかと聞いたのでして、正当な利益とか不当な目的ということは聞いてないんです。だって、まず利害関係人かどうかで絞りがかかって、その上で正当な目的がありますか不当な目的はないですかということでしょう。
 じゃ、もう少し具体的に言います。
 多額の寄附をした元信者が、私は教団の財産の形成に寄与しましたと言ってきた場合には利害関係人ですか。
○国務大臣(島村宜伸君) ですから、それは宗教法人の方で御判断なさるのが基本でしょう。もしそれが両者の間で納得できないときは、またそれは司法の手で御判断いただくということになるんだと思います。
○荒木清寛君 いや、要するにそんなことでは困るんですよ。じゃ、具体的にそういう方が来た場合に、宗教法人は見せる義務があるのかあるいは断ってもいいのかというのはわからないじゃないですか。最後に裁判になって解決すればいいという話じゃないんですよ。
 じゃ、もう一つだけ聞きますよ。
 例えば、町内会でお祭りの寄附をしていると言って町内会長さんがその神社に書類を見せてくださいと言いましたら、これは利害関係人ですか。
○政府委員(小野元之君) 個別の事例でございますから、その神社の例えは氏子なり寺院の檀家総代といったような地位にあるということであればここで言います信者に入るというふうに思われますけれども、具体的なケースで個別の、どの程度継続的な関係があるのかとか、そういったことについて具体的な点を勘案した上で判断すべき問題だというふうに思うわけでございます。
○荒木清寛君 それでは、大臣にお聞きします。
 今、私はあり得るような三例を出しましたけれども、それははっきりしないわけですよ、利害関係人かどうか。要するに定義がないわけですよ。だから、解釈のしようによっては幾らでも広がってしまうから、宗教界の方は無用な混乱を生じさせるおそれがあると言っているんじゃないですか。じゃ、この宗教界の方の心配というのは、杞憂というかそういうことですか。利害関係人がはっきりしないんだから、トラブルに巻き込まれる可能性というのは多いんじゃないですか。
○国務大臣(島村宜伸君) 例えば、信者を規定しろとおっしゃいますけれども、各宗教団体、まさにさまざまな特性や慣習をお持ちですから、これを一々規定するということは現実に困難であります。そして、もし徹底的にその内容を究明してその規定をするまでに踏み込むとなると、今度は逆に信教の自由を侵すということになりませんか。
○荒木清寛君 要するに、議論させていただきましてわかったことは、信者その他の利害関係人といいましても定義は非常にあいまいであるということがはっきりしたわけです。
 私どもの方には、暴力団の間で、宗教法人法の改正は暴対法で断ち切られた資金源を回復させることになると大変喜んでいるという情報も寄せられています。いろんなことが考えられますけれども、にせ信者とか総会屋のような人、あるいは暴力団等による閲覧請求の乱用ということは、この法律で本当に防げますか大臣。
○国務大臣(深谷隆司君) 国家公安委員会委員長としてお答えしますが、今度の法律改正によって暴力団が喜んでいるという情報は、どこから出されたかわかりませんが、我々の手元にはございません。
 また、例えば株主総会で総会屋が暗躍するような場合、刑法に触れるような状況があれば断固我々が取り締まることは当然のことであります。
○荒木清寛君 私は文部大臣に聞いたわけですが、今のお話は商法のいわゆる総会屋といいますか、商法には株主の会計帳簿閲覧権というのがありますね。これは単なる利害関係人では見ることができないんです。株主でなければ見られないんですよ。しかも、一株株主じゃだめなんです。百
分の三という大株主です、これは。そういったくさんの株を持っていないと見せてもらえない。しかも、商法二百九十二条ノ七で、どういう場合に会社は閲覧請求を拒否してもいいのかそう具体的に書いてあるわけです。要するに、もうそこまで、単なる株主ではだめです、あるいは閲覧拒否をできる場合もこういう場合ですというように書いているわけですね。それでもトラブルが発生しているわけですよ。
 文部大臣、笑っている場合じゃなくて、この法律で本当にそういう乱用事例、宗教界の方が心配するような乱用事例というのは起こりませんか。
○国務大臣(島村宜伸君) 今回の改正案の基本は、基本というかそのもととなっておりますのは報告なんですね。この宗教法人審議会の御報告は、御承知のように五つの宗教団体から選ばれた宗教法人の関係者十一名と学識経験者四名で、しかも十三回も会議が持たれてまとめられている話なんですよ。だから、閲覧権についてもし危惧するものや危険があるんだとすれば、どうしてそういう方たちが整々粛々とこの結論を出されたんでしょうか。むしろその辺からお考えいただくべきだと思います。
○荒木清寛君 いや、そういう御答弁はおかしいんじゃないですか。国会で議論しているんですから、大臣自身が、いやこの法律はこうなっているから大丈夫ですよというふうに言わなきゃだめじゃないですか。審議会が言っているんだからそうだと言われたんじゃ、私は議論のしょうがないじゃないですか。議論にならないじゃないですか。一発言する者あり)いやいや、ちょっと待ってくださいよ。
 じゃ、お聞きしますよ。正当な目的がなければいけない、あるいは不当な目的があっては閲覧できないというふうになっていますね。恐らくこれは乱用を防ぐためにこういう一つの制限といいますか、要件を設けたと思うんですよ。しかし、こんなことで本当にそういう心配はないんですか。
 だって実際に、ほかに情報を売るために見せてくださいとか、あるいは誹講中傷するために使いますなんて言って見に来る人はいないわけですから、わからないじゃないですか。だから、正当な利益とか不当な目的とか言われたって、これじゃそういうほかの目的を持って見ようという人を防ぐなんということは実際できないんですよ。どうでしょうか、大臣。
○国務大臣(島村宜伸君) 詳しくはこの内容、経過を全部承知している小野次長から答弁をいたさせますが、少なくも今回の法案は宗教法人審議会のいわば御報告を踏まえて、これをゆがめてつくったものではないということをぜひ御理解いただきたい。
○政府委員(小野元之君) 御指摘のように、正当な利益があるということと、それから不当な目的でないというこの二つの条件をかぶせておりますのは、いわゆる総会屋とか一株株主のような形で宗教法人を害する目的の方がいたずらに閲覧を求めるということで混乱があってはいけないということから、そういった規定を設けているわけでございます。
 その場合に、個別の書類、例えば財産目録でございますとか収支計算書でございますとかこれは宗教法人の事務所に備えつけ義務のある書類の一部でございますけれども、そういった備えつけ書類というのは、そもそもそういった信者その他の利害関係人の閲覧に供するということがある程度前提の考え方としてあるわけでございまして、そういったものに対して正当な利益があり、ではなぜ財産目録を見る必要があるのかということを宗教法人の側がお尋ねになって、そしてこれを何にお使いになるんですかといったことで不当な目的に使われることがある程度わかるということもあり得るわけでございます。
 いずれにいたしましても、そういった書類を見せろということでございましたら、それに対して宗教法人の側で正当な利益があるかどうか、あるいは不当な目的でないかどうか等をじっくり考えられて対応されれば、それが宗教法人の決定になるわけでございますから、大きな混乱は起きないものというふうに考えておるところでございます。
○委員長(佐々木満君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十三分散会
     ―――――・―――――