第134回国会 逓信委員会 第2号
平成七年十一月九日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     陣内 孝雄君     高木 正明君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 一夫君
    理 事
                岡  利定君
                広中和歌子君
                松前 達郎君
    委 員
                加藤 紀文君
                景山俊太郎君
                河本 英典君
                北岡 秀二君
                保坂 三蔵君
                守住 有信君
                小林  元君
                鶴岡  洋君
                西川 玲子君
                林 久美子君
                伊藤 基隆君
                上田耕一郎君
                山田 俊昭君
                水野 誠一君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  井上 一成君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       津野  修君
       郵政政務次官   吉村剛太郎君
       郵政大臣官房長  谷  公士君
       郵政大臣官房審
       議官       品川 萬里君
       郵政省放送行政
       局長       楠田 修司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        星野 欣司君
   説明員
       外務省北米局日
       米安全保障条約
       課長       梅本 和義君
       厚生省社会・援
       護局更生課長   冨岡  悟君
       通商産業省機械
       情報産業局電気
       機器課長     鷲見 良彦君
       会計検査院事務
       総局第四局長   五十嵐清人君
   参考人
       日本放送協会会
       長        川口 幹夫君
       日本放送協会専
       務理事・技師長  森川 脩一君
       日本放送協会専
       務理事      齋藤  曉君
       日本放送協会理
       事        中井 盛久君
       日本放送協会理
       事        菅野 洋史君
       日本放送協会理
       事        河野 尚行君
       日本放送協会理
       事        石渡 和夫君
       日本放送協会総
       合企画室〔経営
       計画〕局長    稲葉 和彦君
       日本放送協会経
       理局長      酒井  伸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表
 及び損益計算書並びにこれに関する説明書(第
 百三十二回国会提出)
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○委員長(及川一夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本放送協会関係の付託案件の審査及び郵政事業、通信、放送及び電波等に関する調査のため、日本放送協会の役職員を参考人として今期国会中、必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(及川一夫君) 次に、日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、政府から説明を聴取いたします。井上郵政大臣。
○国務大臣(井上一成君) ただいま議題とされました日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書の国会提出につきまして、その概略を御説明申し上げます。
 これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院の検査を経まして国会に提出するものであります。
 日本放送協会から提出された平成五年度の財務諸表によりますと、平成六年三月三十一日現在、一般勘定につきましては、資産合計は五千六百十四億二千九百万円で、前年度に比し二百八十二億二千三百万円の増加となっております。
 これに対しまして、負債合計は二千三百八億一千四百万円で、前年度に比し十六億三千四百万円の減少となっております。
 資本合計は三千三百六億一千五百万円で、前年度に比し二百九十八億五千七百万円の増加となっております。
 資産の内容は、流動資産一千二百六十七億五千七百万円、固定資産四千百六十四億七千二百万円、特定資産百八十二億円であり、負債の内容は、流動負債一千三百九十五億三千三百万円、固定負債九百十二億八千百万円となっております。
 また、資本の内容は、資本二千四百六十六億六千五百万円、積立金五百四十億九千三百万円、当期事業収支差金二百九十八億五千七百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、資産合計、負債合計とも七百万円となっております。
 次に、損益について御説明申し上げます。
 一般勘定につきましては、経常事業収入は五千五百六十二億八千万円で、前年度に比し百六十四億五千六百万円の増加となっております。
 これに対しまして、経常事業支出は五千二百二十六億八千八百万円で、前年度に比し百六十三億四千二百万円の増加となっております。
 この結果、経常事業収支差金は三百三十五億九千二百万円となり、これに経常事業外収支差金二十六億一千四百万円の欠損を加えた経常収支差金は三百九億七千八百万円となっております。
 これに特別収入八億八千二百万円を加え、特別支出二十億三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百九十八億五千七百万円となっております。
 受託業務等勘定につきましては、経常事業収入は六億一千万円であり、これに対しまして、経常事業支出は四億九千九百万円となっております。
 この結果、経常事業収支差金は一億一千百万円となり、これに経常事業外収支差金一千七百万円の欠損を加えた当期事業収支差金は九千四百万円となっております。
 なお、監事の意見書におきましては、監査の結果、財務諸表は、日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○委員長(及川一夫君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。川口日本放送協会会長。
○参考人(川口幹夫君) ただいま議題となっております日本放送協会の平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要について御説明申し上げます。
 まず、一般勘定の当年度末の資産総額を財産目録、貸借対照表で見ますと五千六百十四億二千九百万円で、この内訳は、流動資産一千二百六十七億五千七百万円、固定資産四千百六十四億七千二百万円、特定資産百八十二億円。このうち固定資産の内容は、建物一千十七億二百万円、土地二百三十八億四千三百万円、機械及び装置一千百五十三億二千七百万円、放送衛星百四十億五千三百万円、その他の固定資産一千六百十五億四千七百万円でございます。
 当年度末資産総額を前年度末と比較しますと、二百八十二億二千三百万円の増加となっておりますが、これは建設計画に基づく衛星放送設備、番組制作設備の整備等によるものでございます。
 一方、これに対する負債総額は、二千三百八億一千四百万円で、この内訳は、流動負債一千三百九十五億三千三百万円、固定負債九百十二億八千百万円。このうち固定負債の内容は、放送債券三百八十一億五千万円、長期借入金二百三十四億八千百万円、退職手当引当金二百九十六億五千万円でございます。
 当年度末負債総額を前年度末と比較しますと、十六億三千四百万円の減少となっておりますが、これは長期借入金の減少等によるものでございます。
 また、資本総額は三千三百六億一千五百万円で、この内訳は、資本二千四百六十六億六千五百万円、積立金五百四十億九千三百万円、当期事業収支差金二百九十八億五千七百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較しまして二百九十八億五千七百万円の増加となっております。
 次に、受託業務等勘定について見ますと、当年度末の資産総額及び負債総額はそれぞれ七百万円でございます。
 次に、損益計算書について申し上げます。
 まず、一般勘定の経常事業収支について見ますと、受信料等の経常事業収入は五千五百六十二億八千万円で、前年度と比較し百六十四億五千六百万円の増加となりました。これは主として、受信契約の維持・増加に努めた結果によるものでございます。
 なお、有料受信契約件数は三十六万件増加し、当年度末には三千三百八十一万件となりました。
 次に、経常事業支出は五千二百二十六億八千八百万円で、この内訳は、国内放送費一千九百八十億五千六百万円、国際放送費四十四億三千三百万円、契約収納費四百九十四億一千三百万円、受信対策費十六億円、広報費二十五億七千六百万円、調査研究費五十九億五千三百万円、給与一千三百七十三億五千百万円、退職手当・厚生費四百八十七億九千百万円、一般管理費百二十三億七千万円、減価償却費四百六十六億四千七百万円、未収受信料欠損償却費百五十四億九千八百万円となっております。
 これは前年度と比較し百六十三億四千二百万円の増加となりましたが、主として、放送番組の充実に伴う事業運営費の増加等によるものでございます。
 以上の結果、経常事業収支差金は三百三十五億九千二百万円となり、これに経常事業外収支差金二十六億一千四百万円の欠損を差し引いた経常収支差金は三百九億七千八百万円であります。さらに、特別収入八億八千二百万円を加え、特別支出二十億三百万円を差し引いた当期事業収支差金は二百九十八億五千七百万円となりました。このうち、債務償還に充てました資本支出充当は百六十六億二千三百万円であり、事業収支剰余金は百三十二億三千四百万円であります。
 なお、この事業収支剰余金は翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものであります。
 次に、受託業務等勘定の経常事業収入は六億一千万円で、経常事業支出は四億九千九百万円となりました。その結果、経常事業収支差金は一億一千百万円となり、これに経常事業外収支差金一千七百万円の欠損を差し引いた当期事業収支差金は九千四百万円となりました。この当期事業収支差金につきましては一般勘定の経常事業収入へ繰り入れております。
 なお、監事の意見書では、貸借対照表等は、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。
 これをもちまして概要説明を終わらせていただきますが、今後の協会経営に当たりましては、公共放送としての使命と責務を深く認識し、放送事業の一層の発展に努力してまいる所存でございます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○委員長(及川一夫君) 次に、会計検査院から検査結果についての説明を聴取いたします。五十嵐会計検査院第四局長。
○説明員(五十嵐清人君) 日本放送協会の平成五年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。
 日本放送協会の平成五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、平成六年七月八日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて同年十二月八日内閣に回付いたしました。
 同協会の決算につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。
 以上、簡単でございますが、説明を終わります。
○委員長(及川一夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○河本英典君 自由民主党・自由国民会議の河本でございます。先頭でまず質問に立たせていただきます。
 まずは、日ごろから公共放送ということで大変な使命感を背負って放送事業にかかわっておられますNHKの経営陣に対して敬意を表したいと思います。きょうは平成五年度の決算ということでございますが、決算そのものの数字じゃなくて、NHKの経営一般について私は質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 先般もNHKの社内のボトムアップ運動であるとかCI活動のようなことにつきまして会長みずから御説明いただいたところでございまして、活性化に大変御努力をいただいておるということを認識しているつもりでございます。経営ということでなくても、NHKという大きな組織で、この間のお話じゃないですけれども、会長の考え方であるとか意思であるとかが組織の末端にまで行き渡るようなことというのはなかなか難しいと思うわけでございますけれども、その点、大変御苦労されているようにも思うわけでございます。
 何といいましても経営といいますのは、ある意味じゃ民間であればつぶれるという危機感のもとに大変な力を出すわけでございますけれども、悪く言いますと親方日の丸的な部分もあると思いますし、その辺の中で活性化を図っていくということは大変なことだと思うわけでございます。そんなことでございますけれども、独立事業体としてNHKを運営されておるわけでございますので、親方日の丸的な中にも経営としての大変な努力ということを絶えず積み重ねておられると思うわけでございます。大変な御努力をしていただいておるわけでございます。
 平成七年の一月にNHKは中長期経営方針ということを策定されまして、公共放送として平成七年度以降の中長期の展望に立った事業運営の具体的な指針を示しておられるわけでございますけれども、最近の国内の景気という面から申しますと大変よくないわけでございまして、その辺の経営状況というのは大変厳しいわけでございます。NHKは、受信料が決まっておるわけでございまして、民放が収入が減るとかいうことと意味がちょっと違いますけれども、経済環境が大変難しいということは変わりないと思うわけでございます。
 その辺につきまして、十カ月ほど経過したわけでございますけれども、中長期経営方針はどのように推移したかということをまずお伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 平成二年から六年までの五カ年計画というものを私どもは立てました。そして、その計画を非常に順調に遂行することができました。五百億を超えるお金も留保することができまして、次年度以降の計画に充てるというようなことで、経営的に言えば極めて順調であったかと思います。
 ただ問題は、その中で一番大事な報道、番組の充実ということが果たして十分御期待にこたえられたかという点検もしなければいけませんし、それから、おっしゃるとおり大組織でございますから、一万二千余りの職員がどうやって一つの気持ちになってNHKを盛り上げていくのか、そういう結集の方向についてもいろいろと苦慮いたしました。
 そこで、本来ならば六年度の計画が終わった段階で次の五カ年計画というものを立てるはずでございましたけれども、二つに分けました。平成七、八、九年度の三年間と、それ以後の計画、中長期と申し上げたのはそこでございます。この七、八、九年間については、改めて値上げをすることなしに、経営の安定を図りながら新しいことを次々と実行していこうというふうに思っておりまして、その第一年度がこの七年度でありますけれども、現在までの推移を見ますと、もちろん阪神大震災の影響とか、それから世間一般の不況、円高等々の影響もありまして、それほど楽観する状態でございませんけれども、まずは順調にいっております。
 同時に、収入が入りそうもないときは当然支出を抑えるという、これは経営の原則でございますから、いち早く四月段階で「経営の安定化について」という会長の要望を出しまして、極端に支出を抑える、そして安定化を図っていくというふうなことを通知して、現在までのところは順調に進んでいるというふうに思っております。
 もちろん、神戸の震災の影響は相当ありまして、いまだに免除世帯とか、それから契約の解除とかというふうなことも起こっておりますけれども、これも営業努力によってそれほど大きな負担にならないように、今順調にまず進んでいると申し上げていいかと思います。
 したがって、この七、八、九年度は、大体中長期計画に盛り上げたように、値上げすることなしに安定した経営状態を図ろうというふうに思っております。
○河本英典君 六年までの時点で収支とんとんぐらいが、余剰金が出たというようなお話でございますけれども、大変な企業努力をされたというふうに理解しております。
 収入が大体決まっておるから支出を抑えたというお話ございましたけれども、まざしくそのとおりでございまして、立派な職員が一万二千人もおられるということで大変な負担でございますけれども、まさしく経営の妙味と申しますか、やりがいのあるお仕事だと思うわけでございます。
 そんなことで、剰余金が出て黒字決算であるということで、当分受信料の値上げということについては考えなくてもいいということでございますか。
○参考人(川口幹夫君) 既にことしの一月の記者会見で申し上げましたけれども、平成八年度については値上げをしないということを申し上げました。
 あとは九年度のことですけれども、これからの推移を少し見なければいけません。それは、ことしがまだ非常に流動的でありまして、一つは阪神大震災の影響、それから世界的な不況の影響、なかんずく日本経済の影響というのがありまして、衛星契約等々が伸び悩みを示しております。これがどう伸びていくのかという問題もありますので、軽々には言えませんけれども、九年度についても私どもとしては視聴者には御負担をかけないということを大前提にして努力を続けてまいりたいと思っております。
○河本英典君 衛星放送のことについては、後ほどまた少しお伺いしたいと思っておるんですけれども、私の理解もちょっと悪かったかもしれませんけれども、収入が決まっているから支出だけのコントロールかなと思っていましたら、本年は神戸震災というふうなハプニングもございまして、大変御苦労されたわけでございますけれども、そんなことでの決算でございます。
 我々は、国会のこの場でNHKの決算をこのような形で質問させていただいたり議論させていただいておるわけでございますけれども、受信料を払っておられる一般視聴者に対して、NHKの決算とは申しませんけれども、新聞に出るわけでございましょうけれども、経営内容を積極的に情報公開して、透明性の確保を図る必要があるというふうに思うわけでございます。その辺、予算書や決算書の内容などについては情報公開ということで具体的にどのような対応をされているのかをお伺いしたいと思います。
○参考人(石渡和夫君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、全国の視聴者の方々からいただきます受信料を基盤としておりますNHKとしまして、経営に関する情報を積極的に視聴者の方々にお示ししまして御理解いただくことは極めて大切なことと考えております。
 したがいまして、NHKの予算、決算の内容につきましてはNHKの放送でお伝えしております。それから、記者発表しておりますし、また新聞、官報への広告、掲載などを行っておりまして、積極的なディスクロージャーを行っております。また、予算書や決算書につきましては全国各放送局に備えまして、視聴者の閲覧に供しますとともに、希望される方には資料の送付なども行っております。また、今年度からはパソコンネットを使いまして、事業計画、収支予算など、NHKの情報をお知らせすることとしております。
 今後とも、引き続き情報の開示に積極的に取り組み、視聴者の方々の理解を得るよう努めていきたいと考えております。
○河本英典君 わかりました。
 そういう意味では、上場会社なんかより余分に情報公開していただいておるようでございます。知ろうと思えば何でもわかるという仕組みはできているようなので、一応安心するところでございます。
 次に、受信料制度のあり方についてお聞きしたいと思います。
 NHKの中長期経営方針で、高度情報社会の中核的なメディアとして、積極的、計画的にハイビジョン放送の早期普及や、将来を見据えたディジタル技術の特性を最大限に生かした統合ディジタル放送の実現を目指すなど、新しい時代の公共放送サービスに挑戦されていると伺っておるわけでございます。
 その一方、外部状況としましては、多チャンネル化といいますか、大変チャンネルがふえてまいりまして、情報に対する対価意識といいますか、その情報が値打ちがあるかどうかということなんでしょうけれども、対価意識がますます強くなってくると予想されるわけですが、NHKはどのようにして受信料制度を維持していくかというお考え方を伺いたいと思います。
○参考人(中井盛久君) お答えいたします。
 今、河本先生御指摘のように、これから多チャンネル化時代になりますと、いろいろな情報を国民が手に入れることができるような状態になってまいります。したがいまして、テレビジョンと音声放送というサービスを今NHKではやっているわけですけれども、それに加えてさまざまな新しいサービスが可能となるということがわかってきております。
 特に、今現在でも文字放送などということももう既にやっておりますけれども、さらに細々したデータを今の電波の中に重畳することによっていろいろな詳しい情報を視聴者が手に入れようと思えばできる状態が技術的には開発されております。そういう新しいサービスが登場するということで、我々もそれに対してどう対処するかということをいろいろ中長期の中でも検討してきたところでございます。
 その新しいサービスの財源については、具体的にサービスの内容がどういうことになるか、あるいはその性格、それから利用者にどの程度利用していただける状態なのか、あるいは利用した場合に本当に役立つ情報がどうかという受益感ということが非常に重要な要素になってくると思っております。
 ただ、NHKとしましては、基本的な放送サービスとして受信料で賄うものは、やっぱりある程度基本的なサービスはできるだけ安く手に入りやすくという形で、基本的なものはどうしても受信料で皆さんに出していただくのがいいのではないか。
 ただ、そういう多様化してきた場合に、NHKが利用者から別途料金をいただくようなものも出てくるんではないだろうか。さらに、関連団体を含めて他の事業主体で行うもの、NHKはやらないけれども、関連団体というか、あるいは民間会社というか、そういうようなところが独自に切り開いていくべきものじゃないかというようなことの仕分けということがいろいろ考えられまして、そういうものを総合的になお検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。
 マルチ時代においても、地上波と衛星波の基本的な放送サービスは、将来にわたってやっぱり安い低廉なコストであまねく国民に提供されて、そして多種多様な情報の共有化を人々に提供して、それをつなぐきずなとなるような、そういう基本的な情報というのが非常に重要性を増すというふうに我々は考えております。
 したがいまして、公共放送としての基本的な財源としての受信料制度というものは、やはり基本においては安い値段で基本的なものが流れるという状況をつくっていかなければいけない。そのために我々は、努力としては、阪神大震災じゃありませんけれども、ああいう大災害が起きたときにいち早い情報が提供できるとか、あるいは少数者のサービス、これは単なるお金の、受益感ということもあるかもしれませんけれども、やはり視聴率とかそういうものだけで、広告料だけに頼るとどうしても視聴率に偏って少数者が置き去りになりますから、そういうような少数者のための基本的なサービスも我々としては基本的にその中に入れていって、公共放送の価値というものはそういうところにあるんだということを高めていく必要があると思います。
 それから、視聴者との結びつきに一層努力して、先ほど申しました受益感というものがますます増すようなそういう状態をつくっていく。それから営業の、我々収納の第一線でやっておりますけれども、そういうようなところに一層力を入れて、受信料というものはやっぱりいいものだと、みんなが払うよと、見る以上は絶対払うよというような性善説に基づくこれ制度ですけれども、そういう状況をますますつくり上げていきたいなと思っております。
○河本英典君 できるだけ安くということで、やはりそうすると口数をふやすということが大前提になりますね。払っておられない方からどう集めるかということがいつも議論になりますけれども、その辺は日ごろ努力していただいているわけでございますので、引き続きまして安く、コストダウンするために受信料の口数をふやしていただく努力はお願いしたいと思うわけでございます。
 受信料制度を守るためには、そういった意味で国民に受信料、今、中井さんおっしゃいましたように、積極的に性善説に基づいて払わなきゃならないというふうになれば一番いいわけでございますけれども、公平負担ということで出していただいて公共放送の財政基盤の安定に努めなければならないと思うわけであります。
 営業活動でもそういった意味でいろいろな御苦労があるわけでしょうけれども、受信料収入確保のために、今言いました契約総数や、それから先ほどお話出ました衛星放送の契約の増加など、どのような展開をされているのかをお伺いしたいわけでございます。
 衛星契約につきまして、この間ちょっと新聞の記事、小さい記事でございましたけれども見ましたら、この間の野茂効果ですか、メジャーリーグの試合を随分やっていただいたりしてふえたというようなことが書いてありましたので、やっぱりああいったことを通じて衛星契約が伸びたんだなというふうに認識しておりますけれども、その辺、お伺いしたいと思います。
○参考人(菅野洋史君) 営業担当の菅野でございます。お答え申し上げます。
 先生のおっしゃるとおり、受信料負担の公平ということは、受信料制度を維持していく上で最も大切なことであるというふうに考えております。私たちNHKといたしましては、その公平負担の確保に常に全力を傾注しなければならぬということで頑張っておるわけですが、視聴者の価値観の多様化、あるいは生活が二十四時間化するというような生活態様の変化というようなことがございまして、我々営業活動、つまり受信料を契約、収納するというその活動についてはなかなか環境は年々厳しさを増しているという実態がございます。
 このような困難な状況ではございますけれども、視聴者の理解と納得をいただいて、そして受信料をお支払いいただくというためには、まず国民の皆さんの信頼にこたえる豊かな放送サービスの充実というものが基本にならなければならないということは当然のことであるというふうに思っております。
 あわせて、受信料制度の理解促進というものを図るとともに、公平負担を実現するために効果的な営業活動に努めているところでございます。
 幾つか例を申し上げさせていただきますが、例えば衛星受信者についてお話ございました。パラボラアンテナをつけて衛星を受信したということになりますと、直ちにそれを把握しなければなりません。その早期把握に努めるために、学生あるいは主婦の方々にお願いいたしまして、そしてそういった発見業務をお願いしております。
 それから、大都市圏が中心でございますが、単身者を中心にどうしても面接ができないというようなことがございまして、そういったことについて、委託取次収納員と言っているわけですが、そういう方々の体制整備、あるいはそれに伴って契約化の対策の強化というようなことをやっております。
 また、訪問だけでなく、やはり効率的、効果的に仕事をしなければならぬということでございまして、文書あるいは電話による契約の勧奨、あるいは夜間、休日の訪問活動を効果的に組み合わせるというようなことを通じて営業活動を進めております。
 また、フリーダイヤルヘお客様から自主的に届け出をしていただくというようなことについても取り入れておりまして、そういったさまざまな工夫を重ねて営業活動を進めているところでございます。
○河本英典君 大変な営業努力をしておられることを聞いて敬意を表するわけでございますけれども、今後のNHKの財政ポイントといいますと、やはり衛星放送の普及にかかっているんではないかと思うわけでございます。
 衛星放送を見ておりますと、今までの電波と違った内外情報やエンターテインメントであるとか映画、カルチャー番組など、多様な消費者のニーズにこたえた番組の充実を図っておられるようでございますけれども、肝心の衛星放送の普及はどのような状態であるのか、また衛星の契約化への取り組みというのはどういうふうになっておるんでしょうか。
○参考人(菅野洋史君) 衛星放送につきましては、平成元年度に本放送を開始いたしまして、以来順調に普及が進んでおりまして、七年度中には衛星普及は一千万を超えるのではないかというふうに私どもとしては見込んでおります。しかしながら、ここ二、三年、いわゆるバブル経済崩壊という後の景気の低迷あるいは阪神大震災、先ほど会長が申し上げましたが、阪神大震災の影響などもございまして、衛星普及はなかなか厳しい状況になっていることも事実でございます。
 衛星の契約開発につきましては、訪問集金の圧縮をいたしまして、口座あるいは振替というふうに切りかえていただくようにお客様にいろいろお願いしてございますけれども、そういったことによって訪問しなくて済む余力というようなものをできるだけ生み出しまして、衛星契約の開発というところへ業務をシフトするようにしてございます。
 また、そういった衛星契約開発のために体制の整備も行わせていただきまして、衛星契約の増加目標の確保に取り組んでいるところでございます。
 今後につきましては、先生のおっしゃるように、もちろん魅力ある番組の開発が必要でございますし、それから例えば受信機器メーカーあるいは電気店等との連携によるアンテナキャンペーン、衛星のチャンネルを内蔵しているテレビをお持ちなんですが、実はパラボラアンテナにつがっていないというお客さんもかなりおられまして、そういったことでアンテナキャンペーンなどを展開して、そして衛星放送の普及に積極的に取り組むということとともに、公平負担を徹底する観点から衛星の契約開発については営業の最重点課題であるという位置づけで取り組んでおります。
 それから、先生がおっしゃいました野茂ということでございます。去年どことしのパラボラアンテナの出荷状況を比較いたしますと、去年どことしで、四月から七月までで大体八割ぐらいの伸びでございました。そういう意味では非常に我々は憂慮しておったわけでございますが、七月以降、いわゆる野茂効果ということはあったのだというふうに思っておりますが、それが非常に挽回するような形になっております。
 さまざまな形でこれからも普及と契約に努めたいと思っております。
○河本英典君 やはりそういったスポーツとかいうのは切り口としては一番効果が出やすいようでございます。
 私は、夜遅いのは嫌いなので衛星放送は余り見ないんですけれども、テレビでマスターズをやっていたら朝まで見ていたという話もよく聞きますし、本当にそういった意味で我々の生活も衛星放送のおかげで二十四時間営業のような生活をせにゃいかぬようになっておるわけでございますけれども、いずれにしても選べばいいことでございますので、大いにいろんなことをやっていただきたいなというふうにお願いするわけでございます。
 それから、ハイビジョン放送の将来像について保お聞きしたいと思います。
 まず、衛星放送で一波だけハイビジョン化するなど、ハイビジョン放送の積極的な推進役となっておられますけれども、世界で最も高画質、高音質な放送を国民に提供するとともに、二十一世紀に向けて高度な映像文化を切り開くために、どのようにハイビジョン放送に取り組み、本格的な普及を目指すのかをお聞きしたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 新しい映像文化を構築するという観点から申し上げますと、ハイビジョンにふさわしい番組の開発、それからハードウエアの開発、つまり廉価な受信機あるいは機動性にすぐれた制作機器の開発、この二つが両輪となりましてハイビジョンの本格普及が達成されるというふうに考えております。
 平成六年の十一月二十五日から開始されました独自免許によるハイビジョン実用化試験放送、これは本年の四月から一時間の放送時間の拡大を行いました。現在は一日六時間放送しております。今後も放送時間の拡大を検討しております。
 ソフト面から申し上げますと、ハイビジョン独自番組、いわゆる紀行番組あるいは美術番組等々、魅力ある番組の内容充実に努めておりますけれども、そのほかにニュース、情報番組、こういった分野への取り組みも徐々に強化していきたいというふうに考えております。
 二十一世紀に向けて高度な映像文化を切り開くための放送という御質問でございますが、現在、ハイビジョンソフトの開発につきましては三つの方向で取り組んでおります。
 まず一点は、表現力の追求。現行のテレビの五倍の情報量という高画質と、視野が三倍広いワイド画面、これをどう生かすか。今までのテレビにはない臨場感、迫力ある番組づくりということでございます。
 それから二点目は、電子映像の追求。コンピューターグラフィックや特殊撮影あるいは特殊合成など、ハイビジョンのディジタル画像処理のすぐれた能力、こういうものを駆使した映像世界の開発。
 三番目に、マルチメディアへの可能性の追求。ハイビジョンテレビはパソコン用のディスプレーを上回る精細な画像を表示することが可能でありまして、マルチメディア時代における家庭内の映像表示装置として大きな潜在能力を持っております。そうした時代にどういうソフトが展開できるか、可能性を追求しております。
 また、普及にとって具体的に大きなポイントとなる二つの点がございます。一つはアトランタのオリンピック、それからその後に控えます長野の冬季オリンピック、こういったビッグスポーツイベントも普及には大きなかぎとなると考えております。さらに、長野のオリンピックに合わせて登場いたします壁がけテレビ、これもハイビジョン普及という観点からは大きな力になるだろうというふうに期待しております。
 NHKの中長期経営方針でお示ししましたように、ハイビジョンは、高画質、高音質の特性を生かして新しい番組の開発に資するという点で、国民生活を豊かにし、高度情報社会の中核的なメディアというふうに位置づけております。
 NHKは、公共放送の先導的な役割として、現行の衛星放送を二十一世紀の早い時期にハイビジョン化することを目指しまして、ハイビジョン放送の早期普及に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○河本英典君 今、壁がけテレビの話がちょっと出ましたけれども、このごろ時々そういったことを聞くわけですけれども、量産されていないから当然高いわけですけれども、かなり普及してくるのはどの程度の時期で、どのくらいの値段帯までになってくるんですかね。それはわからぬでしょうけれども、大体の話で結構でございますので、よろしく。
○参考人(森川脩一君) お答え申し上げます。
 先生がおっしゃいましたように、ハイビジョンの普及には形の大きな、しかも場所をとらない奥行きの薄い受像機というのが不可欠でございまして、このためにNHKとしましては、財団法人でありますNHKエンジニアリングサービスが主体となりまして、これまで基礎的な研究を進めてまいりましたこの壁がけテレビを、さらに実用化へ持ち込むために、昨年、このエンジニアリングサービスを事務局として、先端企業二十五社の参加を求めまして実用化へ向けた開発作業のただいま真っ最中にございます。
 この協議会を通じまして、平成十年の長野オリンピックまでに四十インチタイプのものを実用化していこう、それから、さらにそれに続きまして、もう一つ大型のものの試作を進めていこうというぐあいに考えております。
 お尋ねの、どのくらい手に入りやすくなるだろうかということでございますが、なかなか予測は難しいんでございますが、私どもとしては、量産が進めば一インチ当たり一万円ぐらいの値段で比較的手に入りやすい形のものができてくるんではないかということを、願望を込めて今期待をしているわけでございます。そのことに向けて、現在、開発業務の真っ最中である、こういう状況でございます。
○河本英典君 時間が来ましたので、終わります。
○景山俊太郎君 自由民主党・自由国民会議の景山俊太郎でございます。
 衛星放送やハイビジョンにつきましては大体諸先輩がいろいろされると思いますので、私はごく普通の一般家庭の主婦とかサラリーマンの皆さん方がNHKに対して、放送を見て感じておられることの一部について御質問を申し上げたいと思います。
 まず、フランスの核実験についてでありますけれども、御承知のとおり、フランスは世界の多くの人たちの反対を押し切ってムルロア環礁で核実験を再開いたしました。世界で唯一の被爆国であります日本の代表的な放送局でありますNHKは、一般的な感想としまして、今の報道は事実を単に述べているにすぎないと。例えば、シラクがアメリカで核実験に関するその理由をコメントしましたときでも、それを右から左に流してそれっきりという感じを持ったわけであります。私の偏見がもわかりません。
 そういった核実験への報道姿勢とか、核実験への独自の意見というものがNHKに見られないのは、これが普通なのかどうか、ちょっと疑問に思ったわけなんです。報道の中立性ということであるのかなというふうに善意にも解釈したんですが、やっぱり被爆国日本を代表するNHKとしては、やはり独自の報道指針というものがあった方がいいんじゃないのかなというふうな気もいたしたところであります。
 そこで、例えば第一回目の核実験をやったときに、日本の国民のいろんな方々に出てもらったり、また在日の外国特派員の記者の皆さん方に集まってもらって、例えばイエス、ノーでもいいから特別番組でも組んでもらって、世界にアピールされるような番組をつくられたらよかったのではないか。また、そういうことを今からでも遅くないからやってみたらどうかというふうにも感じておるわけなんです。
 それから、シラクが七回も核実験をやると言って、今二回ですか三回ですか、やったんですけれども、その七回分の核実験を、あれだけ大変な技術を持っておられますので、コンピューターか何かを活用してシミュレーションをして、環境に対します影響であるとか、または生態系に対する影響であるとか、または南太平洋の諸国に対する影響であるとか、いろんなデータをはじき出して、こういうことになるんじゃないかというふうな報道をされたらいいんじゃないか。NHKも少しはそういう国際的なお邪魔虫のような感じを持って対処されたらやはり世界の平和にも貢献される大きな役目を果たされるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点について御感想なり御意見があれば伺いたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) フランスの核実験報道についてでございますけれども、日本は今先生がおっしゃいました唯一の被爆国ということで、核兵器の廃絶を願い、どの国のいかなる核実験にも反対する、こういった国民感情を十分に踏まえた上で、報道に当たっては事実を客観的に、その背景を含めて多角的に伝えるように努めました。
 具体的には、報道局の国際部とパリの支局、これが中心になりまして、現地のタヒチとムルロア環礁に近い南太平洋海域にも取材チームを派遣いたしました。そして、世界じゅうに広がる実験反対の動きや現地住民の抗議運動、それに国際環境保護団体グリーンピースの抗議活動等を刻々と伝えました。その一方で、実験を強行いたしましたフランスのシラク政権の立場、あるいは賛否両論のフランス国民の声、それから非難から事実上の黙認まで対応がさまざまございます欧米各国政府の立場、こういったことについても多角的に取材をいたして報道いたしました。
 今申し上げましたように、唯一の被爆国でございますから核兵器廃絶は国民の悲願であるという認識は十分しておりまして、こういった立場から、具体的な番組といたしましては「日曜討論」、こういった番組でもフランスとの衛星中継も使いまして国の内外の各界の代表による討論を行いました。そして、実験再開の背景や問題点を浮き彫りにしたつもりでございます。
 フランスが核実験を再開する事情とか、あるいは安全性への懸念あるいは環境への影響、こういったことにつきましても、現地からのリポートに加えて、コンピューターグラフィックを使ったり専門家の分析も加えて、「クローズアップ現代」、こういった番組でも客観的かつ科学的に伝えてまいりました。
 これまでも核兵器や核実験、こういった核をめぐる問題につきましては、最新の映像処理技術あるいは記録映画等を駆使しまして「NHKスペシャル」、これは八月には「調査報告・地球核汚染・ヒロシマからの警告」、こういった番組も放送しておりますけれども、こういった実績の上で、今先生が申されました御提案の趣旨を生かして、今後とも多角的でわかりやすい番組づくりということを心がけてまいりたいというふうに思っております。
○景山俊太郎君 きょうは時間がありませんので、もうちょっと追及したいわけですが、仰せいっぱい質問しなくてはいけませんので、このくらいにしたいと思います。
 次に、オウムの報道について伺いたいと思います。
 これも何か偏見のような感じがするんですが、オウムの報道に関して、NHKさんだけではないと思いますけれども、何だかオウム寄りの感じを与えるような報道を感じたことがあるんです。例えば名前の呼び方ですが、麻原は、麻原こと松本何がしと言われればいいんです。それからサティアンというのは、サティアンと呼ばれる建物と言うのが正しいのではないか。オウムが発表したとおりの名前で呼ぶというのは、何だかそういう感じを、私は田舎者ですから受けるような感じがするんです。
 これもNHKの方でどういうふうに報道、この問題に限らずですけれども、そういう問題が起きたときにチェック機関であるとか委員会、そういうところで御検討になっているんだろうか、ただ単にそういう言葉的に報道されているんだろうか、そういうことを伺いたいと思います。今からたくさん裁判が行われて、その結果が毎日のように報道されてまいりますけれども、今のところ起こったことの事実を羅列しているように感じますし、また今からもそうかなというふうに思います。オウムのような化け物宗教が生まれた戦後の背景であるとか、なぜ捜査がおくれたのか、そういった奥行きの深い報道にそろそろ取り組まれてみられたらいかがかなというふうな気もいたします。
 それから、やっぱり宗教に対しまして非常にあいまいに扱っているような感じもいたします。戦後五十年、確かに宗教に対しましてはだれもがさわりたくないということでございました。しかし、憲法に信教の自由がうたってあります。NHKさんとしてはこれは難しい問題かもわかりませんけれども、宗教の自由、そして信教の自由というものをどういうふうに位置づけて報道されるか。哲学的な問題で申しわけないんですけれども、ただ単に事実の羅列がいいのか、そういうところまで深まっていくのがいいのか、いろいろ御議論があろうと思いますけれども、伺いたいと思います。
 宗教法人というのは、信教の自由を盾にして人の自由を侵したり人に危害を加えては絶対いけないわけでありまして、オウムのようなのは全くの邪教中の邪教であろうと思います。宗教も自由も人の心の中にあるわけなんです。それは日々変化する場合もあります。我々の宗教観をどうとらえて今日のオウムの報道をされているのか、または宗教というものを取材されるに当たって非常に御苦労があろうと思いますけれども、もしその御苦労話でもあれば伺いたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) オウム真理教の事件に対しましても、NHKとしては当然客観的な冷静な報道、センセーショナルにならないような報道を心がけたということでございます。
 今、具体的な呼び名等について御指摘がございましたけれども、例えばサティアンにつきましては原則的にはサティアンと呼ばれる建物と、今先生がおっしゃいましたような表現を使っております。それから、いわゆる省庁、何々省庁とか○○大臣、こういった言葉についても何々省と呼ばれる組織、こういった表現を原則としておりまして、それから大臣等についても何々省と呼ばれる組織の責任者、こういうふうに表現する等々、オウム内部で使われております表現は排除して、客観的な報道に徹するよう心がけております。
 それから、麻原被告の表現の御指摘がございましたけれども、この犯罪は教団の教祖、こういった立場を悪用して起こしたものという認識に加えまして、被告が麻原という名前で選挙に出る等を含めまして麻原彰晃という名前は社会的に非常に幅広く認識されているということでございまして、視聴者に理解してもらいやすいという判断からあえて麻原という名前を使いました。しかし、今御指摘がありましたように、本名は松本智津夫でございます。起訴状などでも麻原彰晃こと松本智津夫、こういうふうになっておりまして、逮捕や起訴あるいは初公判、こういった節目節目の報道では御指摘のような表現にしたいというふうに検討しております。
 それから、言葉のチェックでございますが、内部機関としては経験豊かな人材を集めた考査室というのがNHKにはございます。この考査室では特にニュースについては重点的に一つ一つ精査しております。
 それから、信仰の自由についての御質問もございました。これは非常に難しい問題ですが、信仰の自由については憲法で保障された基本的な人権である、これは当然そういった認識に立って取材、報道に当たっております。
 オウム真理教が宗教であるかどうか、いわゆる信者である方とそうでない人たち、とりわけ事件の被害者、こういった方たちの間では受けとめ方は大きく違っていると思います。しかし、いずれにしましても、オウム真理教という団体が教祖麻原彰晃被告を頂点とした教団の一方的で身勝手な理由で許すことのできない犯罪を積み重ねてきたもの、こういう認識の上に立って真相に追っていく取材を進めてまいりたいというふうに思っております。
 事実を羅列する報道というような御指摘もございましたけれども、私どもはオウム報道につきましては、十月二十日、なぜ暴走を許したか、こういう視点で当時の警察、行政担当者の証言インタビューを使いながら「クローズアップ現代」で放送いたしました。それから、十月二十七日、これは「NHKスペシャル」でございますが、「深き闇の中から」というタイトルで、なぜ彼らが暴走したのか、あるいはせざるを得なかったのかを焦点に、オウム幹部の証言をもとにスペシャルを放送いたしました。
 まだ一連の事件の真相に十分追ったかどうかということは必ずしも言えない部分が当然ございます。御指摘のように、なぜオウムが存在し得たのか、あるいはなぜかくも肥大していったのか、事件の核心は本当に何だったのか、こういったことに迫る取材を今後も進めて、ニュースその他の番組で積極的に放送していきたいというふうに思っております。
○景山俊太郎君 次に、この間もらったNHKの小冊子の十一ページに随分御努力されていることが書いてありますけれども、阪神・淡路の大震災のときにNHKの放送は随分大きな役割を果たされたと思っております。会長さんは事故が起こったらまずはNHKと、こういうこともおっしゃっておりますけれども、その経験を生かして、災害時や緊急時に対する反省を踏まえて、NHKとしては今後どういうふうにしたらいいか、また一段上がったお考えも出ていると思います。
 それから、特に東京とか大阪とか大都市でこれだけ大きな震度七、こういったような地震が起きたときにはどのように今後対処されるか、それも反省点から出ていると思いますけれども、御苦心のこともあろうと思いますが、もしお話ししていただければと思います。
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、この阪神大震災というのは今までに我々が経験したことのない非常に大きな災害で、しかも突然やってまいりました。これに対する対応は一生懸命にやりましたけれども、省みて幾つかの反省点が当然ございます。
 私は大きく分けて三つの点で今後の災害報道対策というものをきちんとやっていこうと思っております。
 一つは、事前の準備でございます。例えば、あのときはまだ明け方の五時何分でありましたから、どこで何が起こっているのか、あるいは火が出ているのか、死者がどうなのか、ほとんど全くわからなかった。そういうものに対する例えば暗視カメラ、超高感度カメラの設置というのはできないのか、そういうことから始めて、準備すべき機材の整備と、それから人間の体制、今そういうものの再検討をさせております。特に耐震設備というのは全局をもう一遍点検をさせまして、特に強度の弱いところなどは補強工事をさせました。そういうふうないわゆる準備というものをきちんとやっておこうということを今考えております。
 二番目は、起こった後のいわゆる現場速報的報道ですが、これはあのとき問題になりました、例えばヘリコプターが飛び過ぎて邪魔になった、あるいは救済されるべき人もそのために救済されなかったというふうな問題提起もありましたし、どのような形でそういう刻々と動いていく状況をお伝えするのか、その仕方をきちんと今検証をさせまして、何が必要なのか、そのときに何を一番初めに報道すべきなのか、次にするのは何なのか、三番目は何なのかという一種の報道のマニュアルみたいなものについても各現場の隅々まで行き渡らせるように指示をいたしました。
 それから三番目は、当然被災の後の問題でございまして、事が終わった後でどのような復興の形をとるのか、あるいは被災者の救済はどうなのかという問題が当然起こってまいります。大きくいえば、大きな都市の復興ですからいろんな問題がありますけれども、息長くやらないといけない。ということは、一時的に、もう震災が終わったからいいんじゃなくて、延々と今やっておりますのは、そのためです。今「NHKスペシャル」では震災後の特集を毎月やっておりますが、これはまだ延々と続けます。そして、今後の問題点をきちんと把握しながら、本当に災害が起こったときにどうするかの問題と、起こった後の対応ということについてより一層細かい情報を提供したいというふうに思っておりまして、以上のような覚悟で災害の報道についてはよりよき形をつくりたいというふうに存じております。
○景山俊太郎君 きょうは大臣が御出席でないのはやむを得ないわけでありますけれども、大臣がおられないというのは全く緊急時でありますので、政務次官にちょっと伺ってもいいですか。
○委員長(及川一夫君) はい、どうぞ。
○景山俊太郎君 こういうふうな大事件が起きたときに、郵政省としてはNHKとかKDDとかNTTとか、いわゆる情報機関のまとめ役をされる郵政省ではないかと思います。大臣はときどき海外に行っておられたり、だれもが同じ部署に毎日座っているわけではありませんから、そういうふうに何かが起こったときに一番先頭に立つ人間がしっかりしないといけないと思いますが、その御決意を伺いたいと思います保。
○政府委員(吉村剛太郎君) ただいま委員のおっしゃったこと、まことにそのとおりでございます。何といいましても災害時における情報収集、それから指令といいますのは第一はやっぱり官邸じゃないか、このように思いますが、補助的な立場で、郵政省が今日蓄えておりますあらゆる機能を駆使するということ、これは当然のことだと、このように思っております。
 以上です。
○景山俊太郎君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、決まり文句と手あかのついたまくら言葉ということがございます。これは最近新聞に出ていますけれども、ら抜き言葉や省略語、合成語のはんらんによって日本語が非常に乱れておる。言葉を伝達の手段としております放送業界の言葉のチェックにつきましてちょっと伺いたいと思います。
 民放のワイドショーやバラエティー番組を見ますと、非常に中途半端な敬語でありますとか間違った言葉も気になることが時々ございます。また、それがおもしろいということもあろうと思いますけれども、NHKの番組でもたまにそういう言葉を聞く場合がございまして気になることがありまして、ちょっとお話しして御理解をいただきたいと思います。
 これはマニュアルがつくってあって、それにはめられているんじゃないかと思うんですけれども、NHKの日曜日の昼のニュースなんかですが、特に大ニュースがない場合などは、例えば晴天に恵まれた行楽地は家族連れでにぎわい、ちひっ子たちはうれしそうに手づくりのお弁当をほおばっていましたと、こういう報道をするわけなんです。ところが、このちびっ子という言葉は広辞苑にもほかの国語辞典にも全くない言葉である。ましてや我々の日常生活でちびっ子という言葉は、私は余り使わないんですけれども、皆さん方も使わないと思います。使われますか。NHKの、特にまた男性のアナウンサーがちびっ子、ちひっ子というふうに言うわけなんですけれども、やっぱり子供たちと言った方がいいんじゃないのかなと。機械的にマニュアルを読ませているような感じも、やっぱりそういうところは気になるわけなんです。それから、そういうことは国語を殺しまして、ひいては国民の文化というものまで殺していくんじゃないかというふうに気にとめるわけであります。
 また、高齢者が出られる番組がございますね。特にアナウンサーや司会者が高齢者に向かっておじいちゃん、おばあちゃんと連発するわけなんです。これは初めは感じがいいわけですが、連発しますと、それは決していたわりの言葉とも敬語の言葉とも聞こえなくて、便宜的に使っていると。やっぱり人格がありますから、名前を呼んであげたりとか、もうちょっといい呼び方がいろいろあるんじゃないか。いかに高齢化社会といえども、もう少し呼び方を考えられたらいいんじゃないかというふうにも考えるわけなんです。田舎の方にアナウンサーが行って、おじいちゃん、おばあちゃんと言っても、どうも地元にそぐわないような面もあるわけなんです。そういう点が感じたところであります。
 だから、言葉というものはやっぱり私は文化だと思いますから、いつも単一な言葉だけを羅列されるNHKさんの影響を受けて日本の文化が低くなっては困りますので、もう少し言葉というものを、日本人は言葉というものの中から文化を生み出すんだと、そしていろんなバラエティーに富んだ社会をつくっていく、NHKはそういう大きな役割をされるべきじゃないか。そういう点につきまして、どうお考えですか。
○参考人(川口幹夫君) 御指摘いただきましたことは私も非常に憂慮しておりまして、アナウンサーがつい常套句として使ってしまう、そういうのがございます。それから、例えば記者が書く原稿でも成り注というのがあるんですが、成り行きが注目されますというふうなことを必ずくっつけるとか、そういうのを新しいニュースのあり方としては絶対にしまいということを前提にいろいろやっていますけれども、ついそれを使ってしまう。あるいは、今のちびっ子でありますとか、何げなく使ってしまうというようなこともありまして、こういうものについてはできるだけきちんとした言葉を使うように指導をしております。
 ただ、言葉というものはいわゆる生き物でありまして、時代の流れと社会の動きに従ってある程度変化していくということはどうもやむを得ないものではないかと思うんです。今回のら抜き発言につきましても、国語審議会が原則的には「ら」を入れる、ら抜きは使わないということを決めましたけれども、あれについても直ちに反論がありまして、今若い人ではもう五八%の人が「ら」を抜いて使っている、そういう形で使っているものを無理やりに「ら」を入れろと言っても結局効果がないんだという議論もあります。
 ただ私は、やっぱりNHKというのはいい日本語、正しい日本語を保存していく、保持していく責任があると思っておりますから、基本的には「ら」は抜いてはいけないということを前提にして、アナウンサーそのほかはきちんと対応するというふうにすべきだと思っております。
 言葉の乱れについては、乱れ過ぎないように、しかし世の中の動き、社会の変遷に従って多少の流動性はそれに対応してきちんと守っていくというふうなことが必要であろうかと思いますので、御指摘の趣旨を踏まえて、今後十分国語対策については気をつけたいと思っております。
○景山俊太郎君 あと三分ですから、まとめて質問します。
 一つは、この間も研修させていただいて、NHKさんは随分世界との橋渡しをされていると感じたわけなんです。それで、NHKさんはやっぱり外国と日本の扇のかなめになるべきだ、こういうのが私の考えてあります。
 ところが、衛星放送とかいろいろやっておられますが、やっぱり日本人が大方見るのはNHKの総合テレビじゃないかと思います。NHK総合は一週間百四十時間やっていて、私はここ四週ぐらいちょっと調べてみたんですけれども、十月十九日から十月二十五日の間には、要するに「アジア発見」とか「アジア発見」の再放送とか「NHKスペシャル」、こういうもので大体この一週間で百四十時間のうちの六時間二十分、海外の放送、海外的な放送をやっているんです。その次の週を見ますと、三時間五分しかやっていないわけなんですね。それはほかでやっているとおっしゃればそれまでですが、やっぱりNHKの総合はだれもが見ていますし、これだけ国際化しますと、外国の日常の生活を映したり、日本と外国との大きなかけ橋の役目、かなめをしていただくということがNHKの大きな役割でありますから、この点についてお考えを伺いたい。
 と同時に、もう一つは、NHKというのは公共放送でありますし、例えばいじめの問題が起こったと。いじめの問題が起こって子供たちが大変な状態になったと。その事実を報道されて、そして死人が出たと。死人が出てこうだったということで報道されて、いじめの問題が後追いの調査を若干して大体終わったと。ところが、私はいじめの問題などは本当に戦後の教育の中から生まれてきた問題だと思いますから、公共放送を担っているNHKさんとしては、こういう起こったというだけではなくて、それを追求することにおいてやっぱり私は社会の心のお医者さんになってもらいたいわけなんです。そして、ただ報道を垂れ流す箱ではなくて、やっぱり報道はいろんなものを受けて、後はどういうふうになっているかと追求をして、そしていい意味で本当に社会の心のお医者さんになってもらいたい、こういうふうに思っております。
 それから、余り悪いことばっかり言ってはいけませんけれども、非常に私感心しましたのは、私は島根県の松江の放送局の皆さんとつき合うことが多いんですが、ことしの一月に放送されました「プライム11」で、「心を開いて笑顔を見せて」、こういう表題で出雲市にある老人性痴呆症の医療施設における精神療法で痴呆症の老人の心を開かせる試みをとらえた番組が制作されたわけなんです。これは非常に反響がありまして、全国でも見られた方があるかわかりませんけれども、こういう番組をつくって、九五年の地方の時代賞映像コンクールで優秀賞をもらわれました。
 ところが、田舎ではこういう放送をつくろうと思いましても大変なお金と、そして労力が要ると思いますけれども、地方の時代と言われる今日、NHKさんの役割というのは地方における文化とか地方の役割というものをやはり担っていただくことも必要であろうと思います。
 この三つの点を総括してお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
○参考人(齊藤曉君) まず一点目、国際化の中での国際情報、これらへの取り組みを十分やるべきだという御指摘でございますけれども、私どもは当然そういったことは非常に重要であるという認識はしております。国際政治の動向あるいは事件、そのほかさまざまな文化情報に至るまで、総合テレビでは、朝の「おはよう日本」から昼のニュース、夜のニュースを含めて多角的に伝えるようにしております。今後もさらに強化する方向で考えていこうというふうに思っております。
 それから、いじめの問題について御指摘がございましたが、これはやっぱり継続するテーマであろうというふうに考えておりまして、私どももニュース、情報番組あるいは特集番組、教育番組、いろんな角度からこれに現在も取り組んでおります。ことしに入りましても「日曜討論」で扱いましたし、十月には「NHKスペシャル」で二回、生徒の立場あるいは先生の立場から二度番組化しております。そのほかの番組でもさまざまな番組で取り扱っておりますが、いずれにしても継続して取り組んでいきたいというふうに思っております。
 それから、地方の文化あるいは伝統的な民俗行事等々について、これを大事にしていくべきだという御指摘でございますけれども、私どもはそういった認識の上に立ちまして、放送開始七十周年に関連する事業の一つとしてこれを位置づけております。民間伝承の体系的な記録、保存、こういったことを各局がそれぞれ取材をいたしまして保存し、これを放送においてはことしの四月から「ふるさとの伝承」という番組で紹介いたしております。
 いずれにしても、高度経済成長等によりましてこういったことがだんだん失われていく現実がございますので、私どもはこういうことをきちっと正しく、必要によっては発掘しながら伝えていく方向でさらに取り組んでいきたいというふうに思っております。
○保坂三蔵君 自民党の保坂三蔵でございます。
 この七月の改選で出てまいりました新人でございますので、今後よろしく御指導のほどお願い申し上げます。
 ところで、この十一月一日、一千二百万都民待望の初の東京地区のローカルテレビであるMXテレビが開局をいたしました。郵政省、NHK等関係者各位の御協力に都民の一人として深く感謝申し上げる次第でございます。
 皆様には、東京都民専門のテレビ局が今までなかったなどと言いましてもにわかに信じがたいものがあると思います。確かに、東京にはNHKのほかに民放五局が現に存在しておりますが、いずれも民放は全国ネットのキー局でありまして、実は今日まで東京における地域放送局が全くなかったというために、東京は奇妙な情報過疎地域化していたと言っても過言ではないのであります。都民は日本や世界のニュースはよく熟知しておりますが、実はふるさと東京のニュースにはまさしく飢餓の状態だったと言っても言い過ぎではないような気がするわけであります。
 映像文化全盛の時代にあって、今やテレビで放送されなかったことはなかったに等しいとさえ言われております。例えば、最近東京都では博覧会の開催で東京経済の活性化のきっかけをつかみたい、また開発中の臨海部に耳目を集めたいとの願いのもとに、長い時間をかけた世界都市博覧会も、青島知事の選択によりまして、都民は知らなかったとの理由で短慮にも中止をされてしまいました。その段になって初めてお茶の間のテレビは臨海部に注目をし、世界都市博覧会についての配信を始めたのであります。
 ちなみに、東京都の広報広聴費は他都市にぬきんでた支出になっておりますが、いかに東京都がPRいたしましても、全国配信の報道機関にとりましては毎日が激しく動く首都東京のニュースとしてはあくまでも小種であり、全国ネットにはなじまないニュースであったようで、結局それらのテレビのみを見るレシーバーたる都民は、結果的に東京都や首都圏三千万人の隣のことも知らなかったということになってしまいました。事実、青島知事でさえも世界博とは何かを知らず、臨海部に行ったこともなかったそうであります。MXテレビにかける期待の大きさをぜひ知っていただきたいと思うのであります。
 しかし、初のローカル局の誕生でありながら、七番目の局と言われ、競争の激化が心配されております。ましてもや、バブル崩壊の不幸な時期での旅立ちであり、チューナーが必要なUHFというハンディキャップもあります。東京都も全力で守る決意と言われておりますが、ぜひとも新局誕生の原点を御理解いただき、親方日の丸とやゆされない程度に当局並びにNHKの御支援をお願いしてやまない次第であります。これは要望でございますので、御答弁は結構でございます。
 次に、何点か質問を続けてまいりますが、衛星放送とハイビジョンにつきましては既に河本先輩からお尋ねがございまして適切な御答弁をいただいているところでございますが、衛星放送、期待のとおりと言いたいところでございますが、資料によりますと、平成四年度は百五十八万、五年度は百九万、六年度は九十七万と減少傾向にあります。野茂効果は私はやっぱり一過性のものじゃないかと思うわけですが、バブル崩壊後の未曾有の不況や阪神・淡路大震災などの影響が大きかったことではありましょうが、当初の普及見通しとどのぐらいの差が出てしまったことか、また予測より少なくなった理由と、なぜ伸びなかったのか、NHKとしての今後の普及策をどのように考えているのか、もう一度念のため伺いたいと思います。
 また、もう一点、実は私この間伊豆七島に船で参ったんでございますが、乗船中にNHKの衛星放送を見たのであります。非常にすばらしい画質でございました。しかも、揺れる船の中でぶれなどなくびっくりしました。私は、普及の中で考えたいんですが、例えば自動車やバスの中で移動中にもっと衛星放送を見ることができないんだろうか、こう単純に考えたわけでありますが、移動中に衛星放送を受信する技術は実はどこまで御研究されているか、あわせて御答弁をいただきたいと思います。
○参考人(菅野洋史君) 衛星放送につきましては、平成元年度に本放送を開始して以来、順調に普及が進んでおります。七年度中、今年度末でございますけれども、衛星普及は一千万を超えるというふうに私どもとしては見込んでいるところでございます。
 しかしながら、ここ二、三年、バブル経済崩壊ということがございまして、景気の低迷、それからことし、年の初めでございましたが、阪神大震災の影響ということも実際ございました。こうしたこともございまして、平成二年から六年度の五カ年の経営計画で見込んだ衛星放送の普及については、六年度末では一千万を九十三万ほど下回っていることになっております。
 今後につきましては、衛星放送のすぐれた特質というものを十分に発揮させながら、公共放送としてふさわしい斬新で魅力ある番組の開発を進めたいというふうに思っております。
 それから、受信機器メーカーあるいは電気店などと連携をいたしまして、強力な普及キャンペーンというものも実施したいというふうに思っております。あわせて、ハイビジョン放送の普及というものもてこにいたしまして、衛星放送の魅力のアップを図るということなど、衛星放送の普及に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから、移動体の問題については技師長から答えます。
○参考人(森川脩一君) 移動中に衛星放送を受信する技術の部分についてお答え申し上げます。
 小型で移動体向きの衛星放送のアンテナは、平成二年にバスでございますとかあるいは列車、あわせて先生おっしゃいました船舶、そういうものの用途に使うものが商品化をされました。その後、さらにこれを軽くし小型化するということが進められまして、現在では乗用車にも搭載できるものが既に販売をされております。それからさらに、旅客機に搭載できるアンテナの開発も、これはまだ開発中でございますが、現在行われております。これらのアンテナは船舶用あるいはバス用合わせて約二千台が既に出回っております。
 NHKの技術研究所では、これに先立ちまして平成元年に最初の小型の移動体用のBSアンテナを開発いたしまして、これらを技術協力という形でメーカーに移転し、それが先ほど申し上げましたような商品化に結びついているわけでございます。
 現在、研究所自身は、今申し上げました旅客機に搭載できるBS受信用のアンテナというものの研究開発を進めている、こういう現状にございます。
○保坂三蔵君 ありがとうございます。
 次に、ハイビジョンにつきまして、これも河本先生がお尋ねでございますが、私は経済、産業対策上から言っても、ハイビジョンというのは非常に有効な商品開発になると思うんでございます。
 先ほどの御答弁の中に、量産によって一インチ一万円時代と言われますが、現在既に秋葉原などでは二十八インチで三十万円台、こんなものも出てきておりまして、通常のカラーテレビは一インチ二千円で売っているわけです。こういうことを考えますと、非常に将来性があると思うんです。特に、現下の経済不況というのは突破口がないと言われておりますが、一方ではマルチメディア産業の市場規模は二〇一〇年で百二十兆円、景気のいい話も聞くわけです。遠い先の話はさておきましても、確かに目先だけ考えましても日本の産業の突破口にマルチメディア産業の振興が考えられると思うわけです。
 現実に、ハイビジョンなどは格好のエレクトロニクス産業の起爆剤になるのではないかと思っておりますが、ぜひ当局のこのあたりの御見解も伺っておきたいと思います。また、NHKさんでは今後のハイビジョン放送をどのように展開していくか、簡単で結構ですが、重ねてお尋ねいたします。
○政府委員(楠田修司君) お答え申し上げます。
 映像、音声、データ等の情報を自由に創造、加工、発信できる将来のマルチメディア時代におきまして、ハイビジョンは高画質ソフトの制作、映像資産の蓄積及び高度なディスプレー、表示装置でありますが、このようなものの先行的な普及という点で重要な役割を果たすものと考えております。また、ハイビジョンは、ディジタル技術を広範に活用し、高度に集積されたIC等のハイテク技術が集積されたものでございまして、放送だけでなく通信、映画、出版、教育、医療など、多彩な分野に応用が可能であります。
 ハイビジョンに生かされておりますこのようなディジタル技術を広く活用することによりまして、放送制作機器や高度な受信機に対する新規需要、こういうものが期待されます。また、それによりましてエレクトロニクス産業全体への経済的な波及効果が大きく期待されると思っております。また一方で、ハイビジョン放送は放送関係者に対しまして高度映像技術に取り組む場を提供するという重要な意義を有していると認識しております。
 そういう意味で、郵政省としましても、ハイビジョンの普及を図るため、これまでハイビジョンシティー構想などを推進してまいりまして、モデル都市におきまして、特にソフトの自主的な制作というものが活発化するように指導しているところでございます。
○保坂三蔵君 NHK結構です、先ほど伺いましたから。先ほど河本先生のときに御答弁いただきました。
 ただいまお話がございましたハイビジョンと並んでディジタル技術、マルチメディア関連技術も今後の日本の産業振興には不可欠なものと考えられておりますが、世界でも有数の放送技術研究所を持っているNHKは、ぜひ先導的な技術開発を行って、放送文化のみならず日本経済そのものに貢献してもらいたい、こう願ってやみません。
 NHK技術研究所はどういうところに重点を置いているのか、また具体的にどういうものを研究開発されているのか、御披露いただきたいと思います。
○参考人(森川脩一君) NHKでは、過去ラジオから始まりまして今日のハイビジョンに至るまで、新しいメディアの開発と普及ということに取り組んでまいりましたが、お尋ねの技術研究所が現在取り組んでいるテーマを大きく申し上げますと二つございまして、一つはハイビジョンの実用化並びに普及促進のための研究開発、これが一つでございます。それから二つ目はマルチメディア時代に向けました次の世代の放送の基盤となるディジタル放送技術の研究開発、この二点を重点的に進めております。
 ハイビジョンにつきましては、具体的に申しますと、先ほどございました壁がけテレビとか、あるいは小型で高性能なハイビジョン用の番組を制作する機器、機材、そういうものの研究開発を進めております。
 一方、ディジタルの放送技術としましては、映像、音声、文字、データといったあらゆる情報を組み合わせた多様なサービスがフレキシブルに提供できる統合ディジタル放送、あるいは地上でそういうものを可能とするディジタル伝送技術の研究、そういうものを行っております。
 それから、そのほかにスピードの高いコンピューター、こういう技術を利用しまして、新しい映像表現が可能になるようないわばバーチャルスタジオといったものの研究、それから高齢化時代に向けましてお年寄りに音声を聞き取りやすくするための研究開発、それからさらには極めて暗いところででもきちっと映像が映るような感度の高いカメラの研究、さらにはもう少し先の将来の放送を支えるための基盤の技術の研究、そういうものを積極的に進めているわけでございます。
 今後とも、先生今御指摘のあったように、私どもは公共放送に課せられた使命、つまり先導的に新しい技術開発に積極的に取り組むということを肝に銘じまして、今後も努力を続けていきたいというぐあいに考えております。
○保坂三蔵君 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 与えられた時間が追ってまいりましたので、ここでマイノリティーと放送について何点がお尋ねをしたいと思います。
 先日、NHKとも御縁の深い財団法人日本民謡協会の春日理事長が逝去されまして、盛大な葬儀が執行されました。私も協会にいささか関係してまいりましたので、生前、春日理事長のお話をよく聞くことができました。日本音楽の母体と言われながら、日本民謡はカラオケや演歌に押されっ放しで残念でしょうがないと常に嘆いておりましたが、ただNHKさんには大変に世話になり、特に川口会長は現場時代に民謡番組も担当されただけに伝統芸能には造詣が深く、理解が温かい、非常にうれしいと言っておられましたのが懐かしい思い出になっております。
 しかし、NHK出身の春日さんや町田佳聲さんなど、あるいはまた川口会長などがおいでの間は大丈夫と言われるほど、実は甚だ寒心にたえない環境にあるのが民謡などの大衆芸能の存在などと言われております。歌舞伎や能楽などは国が後継者を育成するなど公的な支援が現実にありますが、余り日が当たらないというか、日本の伝統的な文化の継承の上で後継者すら少ない芸能にもぜひスポットを当てていただきたいわけであります。
 少数者にしか支持されないが、伝統的に保存が必要と言われる大衆芸能はぜひ番組でも多く取り上げてほしいのであります。たとえ視聴率が低くても、そういったマイナーの保護育成は今日のNHKの大事な使命の一つとも考えられるわけでありますが、御見解を伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおり、私はかつて民謡の番組や古典芸能の番組も担当しましたし、それから特段、日本が持っているそういうすぐれた古い伝統芸能や伝統芸術については何とかしていい形で保持し、そしてその伝統を受け継ぐ人たちを育成すべきだということを考えております。
 ところが、残念ながら、テレビにおいてあるいはラジオにおいての現状はどうかと申しますと、だんだんそれこそマイナーになってしまったという現状があります。理由は二つございまして、一つはお客様の方がだんだんそういうものに対して興味と関心を示さなくなってきた、視聴率がどんどん下がっていくというふうなことがあります。それからもう一つは、そういうものをやろうとする担当者が若い人の中からだんだん出なくなった。
 今は特にそういう問題がありますので、私は今二つの方法を考えております。一つは、採用するときに、特別に古典的なものをやりたい、保存したい、そういう意欲を持った若者を採用しよう、そしてこういう特別なジャンルについても伝統を絶やさないようにしていこうというやり方が一つでございます。それからもう一つは、番組としていろんな工夫をしながら、少してもいい形でもって残るように、それから民謡なんかは古典的なものの中では非常に大衆的でありますから、大衆的な芸能音楽のあり方としてもっとアピールする魅力のある番組をつくるにはどうしたらいいか、そのことに重点的に努力したいと思っております。
 現在は、テレビでは「どんとこい民謡」というのがありますし、それからラジオの第一では「民謡をたずねて」、これは長いんですけれども、この二つでございますけれども、さらにいろんな番組のあり方を工夫させまして、何とかおっしゃるような趣旨に沿うようなことをしたいというふうに思います。
○保坂三蔵君 ありがとうございます。
 マイノリティーを大事にしてほしいという意味で、次に在日外国人に対する放送サービスについてもお尋ねしたいと思います。
 正式に外国人登録をしているだけでも百三十万、旅行や一時滞在者等を入れますと相当多くの外国人が全国津々浦々にいるわけですが、こういう人々に対する放送は、阪神・淡路大震災のような有事の際だけでなく、日常的に必要な時代に入ってきたと言われております。NHKとしては、この時代の要請にどうこたえていかれようとしているのか、伺いたいと思います。また、この問題は在外邦人や世界への国際放送も含めて郵政省としてはどう考えているのか、あわせてお尋ねをいたします。
○参考人(齊藤曉君) 在日外国人に対する放送サービスについて、具体的な番組に沿いまして御説明いたします。
 昭和五十三年から総合テレビの夜の七時のニュース、これは音声多重放送の副音声を用いまして英語で伝えております。それから、平成七年度からは新しく「NHKニュース9」、九時のニュースも副音声でお伝えしております。それから、日本の伝統芸能、こういったことにも広く外国の方々に理解していただきたいということで、「日本の伝統芸能」、これも二カ国語で放送しております。それから、海外から購入しましたドラマのソフトの多くは副音声で二カ国語で放送しております。それから、衛星第一テレビ、情報波と位置づけておりますけれども、世界十一カ国プラス一地域、香港でございますが、これにつきましては十九放送機関が制作したニュース番組をそれぞれの言語と日本語の二カ国語で放送しているということでございます。さらに、教育テレビでは日本語を学習していただくために「プラクティカル日本語講座」、あるいはラジオの第二で平成七年度から英語とポルトガル語による定時ニュース、あるいは英語による日本語講座を新設いたしております。
 いずれにしましても、今御指摘のありましたように、在日外国人の数は昨年十二月で百三十五万人を超えるということでございますから、こういった状況を踏まえながら、さらに充実させていきたいというふうに思っております。
○政府委員(楠田修司君) まず、在日外国人に対する方針でありますが、日常的に在日外国人に対する情報提供も非常に必要だというふうに我々思っております。
 そのため、本年一月に、在日外国人の対日理解とか、あるいは日本人の国際理解の促進も含めまして、外国語FM放送を制度上可能にいたしました。それによりまして、本年の十月十六日、大阪で初の外国語FM放送局ができました。アジア地域の言葉を中心に十四カ国語で生活情報、各国の情報を流しておりまして、非常な反響を呼んでおると聞いております。
 また来年四月には、東京を中心とした地域にエフェムインターウェーブといいます局が開局の予定でありまして、これは英語を中心として幾つかのアジアの言葉を使ってやる予定であります。また、将来の話でありますが、CSディジタル放送等ができれば、映像がポルトガル語とか韓国語というようないろんな放送ができる可能性はございます。将来のことであります。
 それから、在外の邦人といいますか、あるいは外国へ向けての国際放送でありますが、NHKは放送法によりまして本来業務として国際放送を義務づけられておりまして、従来より短波国際放送を実施していただいております。また本年より、北米及び欧州におきまして委託による映像国際放送を開始し、またアジアに対しましても各国の放送機関への番組提供という形で拡充をしていただいております。
 今後とも、国際情報発信の充実につきましてNHKの役割発揮を期待するとともに、またその他の放送局の方の振興も郵政省としては進めてまいりたいというふうに思っておるわけであります。
○保坂三蔵君 私も湾岸戦争のときにたまたま南米に行っておりまして、NHKの海外短波を聞きまして、拉致監禁されている在外邦人に対する放送を本当に涙ながらに聞いた覚えがあります。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 時間がありませんので、マイノリティーの問題を二つ続けてお尋ねしますが、よろしくお願いいたします。
 身近なマイノリティーについてお尋ねいたします。ケーブルテレビの普及は近年目覚ましいものがありますが、実は私たちの国会や中央省庁、大使館、皇居がある千代田区はいまだ未普及地域となっております。
 お隣の文京区には既に東京ケーブルネットワークテレビがありまして、CNN、BBC、NCN、読売文字ニュース、朝日ニュースター、日経サテライトニュース、MXテレビ等、ニュースチャンネルだけでも七つのチャンネルが放送されており、ハイビジョン放送のBS9を含む衛星放送、教育、文化、スポーツ、娯楽放送など三十三チャンネルという多彩な選択肢を視聴者に提供してくれております。
 国会では近くMXテレビとBBCを引くということでありますが、それよりも、採算上実は千代田区にはCATVが開設される可能性が少ないと判断されている今日、隣接の東京ケーブルネットワークの配信サービスを受けられもように何とか御指導願えませんでしょうか。問題は、従来の道路上の架空線方式では認可はできないだろうと言われておりますので、結局地下埋設配線となれば膨大な費用がかかり、これは事実上不可能となってしまいます。
 そこで、小生が関係者から調べたところによりますと、TTNetの光ファイバーケーブルの活用だとか、あるいは東京都の下水道内の光ケーブルネットの利用だとか、近く実用化が決定している同じく東京都のミニ共同溝の使用などをごあっせんいただければ、既定経費の十分の一か二十分の一、二億円で配線が可能となると言われております。これで実現可能なのではないでしょうか。この際、規制緩和のモデル事業として、社会インフラの欠如した中央官庁街の汚名を返上すべくチャンスをひとつ物にしていただけないでしょうか。これがお尋ねの第一点であります。
 それから、マイノリティーの最後なんですが、サッカーについてお尋ねしておきたいと思います。
 一気に大ブームとなったサッカーでありますが、最近既に人気に陰りが見えると言われ始めましたが、事実でありましょうか。不幸にしてワールドカップの開催権を逃したなら一層の悲劇で、熱しやすく冷めやすい日本の国民性は世界の笑い物になるのは必定であります。
 しかし、サッカーは一方では町おこしとして各地が取り組んでいるだけに、影響が心配であります。もし、こういうことが事実であれば、サッカーを再びマイナーな競技にしないよう、そのときにこそNHKの出番と考えてやみません。サッカーの将来展望と、放送としてのサッカーについてどのような対応をお持ちか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 千代田区におけるCATV事業化の問題でございます。
 御指摘の点の中で幾つか規律の点の御指摘をいただきました。一つはCATVのエリアでございますが、複数行政区をエリアにすることは現在可能となっております。それから、架空線の道路占用許可につきまして建設省等と協議してまいっているところでございまして、そのような規制はないというふうに聞いております。
 具体的な提案をいただきました通信事業者の光ケーブル利用の可能性でありますが、これが経費の面で問題があるというふうに聞いているわけであります。
 いずれにしましても、現在、CATV事業を行おうとする者の事業採算性という面で千代田区においてなかなか難しい問題があると聞いておりますが、今後、同区におけるCATVサービスの実現の可能性に関しまして、御指摘の点を踏まえまして郵政省としても検討してまいりたいというふうに思っております。
○参考人(齊藤曉君) サッカーについてのお尋ねでございますけれども、現在、日本ではプロ野球、それから大相撲、それにこのサッカーと、一応プロスポーツの三本柱ということで依然として根強い人気が続いているんではないかなというふうに思っております。一時大ブームを巻き起こしまして、若干過熱ぎみではあったんですが、鎮静化したと申しますか安定化して、人気そのものは落ちついて安定化しているんではないかなというふうに考えております。
 NHKとしましては、Jリーグの開始当初から衛星放送を中心に開催日ごとに全試合を中継してきました。それから、日曜日には「プロサッカーJリーグダイジェスト」も放送いたしております。総合テレビでもことしは四試合の中継をいたしました。ワールドカップサッカー、これは八二年のスペイン大会以来毎回中継を実施しておりまして、昨年のアメリカ大会では衛星放送で全試合を放送いたしました。
 今後の展望でございますが、九八年のフランス大会、これも既にNHKとしては放送の権利を獲得しております。二〇〇二年、これはアジア大会、韓国なのか日本なのかということで大きな関心を呼んでおりますけれども、いずれにしましても、NHKとしましてはサッカーについて今後も継続的に視聴者の皆さんの期待に沿えるような放送は続けていきたいというふうに思っております。
○保坂三蔵君 済みません、時間がございませんが、最後に一つだけお許しいただきたいと思います。
 サッカーについてお尋ねいたしましたから、オリンピックやサッカーのワールドカップの放送権料について一応念のためにお尋ねいたします。
 いよいよ来年はアトランタのオリンピック、また長野まで一千日を割りました。オリンピックやワールドカップは国民の関心が極めて高いスポーツイベントでありまして、NHKのような公共放送が全国津々浦々に放送するべきものと考えております。
 ところで、近年、放送権料がべらぽうに高騰していると聞いておりますが、バルセロナに比べてアトランタの場合はどのような状況になっておりますでしょうか。また、長野オリンピックはどうなっておりますでしょうか。これもお尋ねをいたします。また、放送権料が高ければ実質的に受信料にも影響するのではないかと懸念しておりますが、その点はどうお取り扱いになるのか。また、国際的に高騰を抑える時期が来ているんじゃないかと私たちは考えております。残った余剰金をボーナスに回した国さえあるわけでありますから、最初からリスクが伴いましても電波を広く世界じゅうにという念頭でお取り扱いをいただきたいと思います。これが最後の質問であります。
 なお、一つ要望がございますが、先ほど景山委員からもお話がありましたが、NHKの放送は多岐多様にわたって私たち日本の国民の文化を支えていると思いますが、一方ではNHKの報道の信頼性というのは非常に定着している、このように考えておりまして、NHKが言っているから、NHKがこう解説しているから、こういう言葉すら私は最近聞くわけであります。
 そういう点で、オウムのような事件にかかわらず、一方に偏した報道というのは非常に歯切れもよく、聞く方は聞く方で楽しさというのはあるかもしれませんが、やはり報道の中立性やあるいは冷静な報道やまた深奥に及ぶ解説などはNHKに期待されている国民が多いと思いますので、ぜひこの点でも頑張っていただきますように川口会長にお願いを申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
○参考人(齊藤曉君) オリンピックの放送権料についてでございます。
 アトランタのオリンピックにつきましては、NHKと民放がこれまでどおりジャパン・プールを組んで一緒に放送権を獲得いたしました。金額で申し上げますと九千九百五十万ドル、八十四億五千七百五十万というふうになっております。バルセロナの場合と比較しますと、バルセロナは六千二百五十万ドル、九十五億七千七百万、これは円高の影響で結果的にはアトランタ五輪の放送権料の方が十億円ばかり安くなっているということでございます。
 それから放送権料の高騰についてでございますけれども、これはもう非常に私ども憂慮しております。御承知のとおり、九二年にローザンヌで開かれました放送事業者の国際会議、ここでも会長が危惧を表明しておりますけれども、今後も国際会議等々あらゆる機会を通じまして、この放送権料の高騰には歯どめがかけられるように世界の放送機関にも協力を求めていきたい。
 受信料につきましては、ここ二年、先ほど会長も申し上げました九年度までは何とか私どもは値上げをしない方向で努力しておりますし、このオリンピック権料の取り組みにしましても、長野については今まさにこれから具体的な放送権料の交渉が始まります。情勢では非常に冬季オリンピックの値段も高騰しているということですが、いずれにしても粘り強い交渉をしたいというふうに思っております。
 スポーツ放送全体の支出につきましては、こういった片っ方では支出がふえる面もございますが、全体としてはなるべくバランスをとりながら計画的な支出をしたいというふうに思っております。
○守住有信君 自民党の守住でございます。
 既に河本委員から保坂委員まで三人の御質問がございまして、いろいろ参考になる御指摘がありましたが、なるべくダブらぬようにしながら御質問させていただきたいと思います。
 きょうはNHKの五年度の決算でございますから、経営的な角度がメーンだとは思いますけれども、やっぱり放送でございますから、まして公共放送ですから、番組の内容、その基準、新聞見ておりましたら、「NHK 三十六年ぶり番組基準変更」、もちろんサプリミナル、あのTBSでありましたけれども、それの禁止も明文化。中身を読みますと、産経さんが一番詳しいんですな。朝日なんかはちょっとだけだ、一行十二字で七行、百字もないような報道ぶりでございました。後ろにおられると思うが、新聞記者の諸君も。
 この中で産経が一番正確に紙面を、相当な紙面、時間がないから一々申し上げませんけれども、そしてポイントを見ておりますと、もちろん衆議院選の選挙放送、政見放送、これ制度が変わりましたからその改正が加わっておりますが、いわゆる地方局発の全国中継番組が近年目立ってきておるということで、「地域文化」という一項目を追加、新設されたということでございます。「「地方の時代」という時代の流れを受けたNHKとしての放送スタンスを明確にした。」と。
 保坂委員のあれは民放でございましたけれども、江戸っ子東京と昔から言うとおり、世界都市東京、何で地方民放が東京都民だけにないのか、こういうことでやっとこさできたわけでございますけれども、これの連携とか強化策とか、あるいは都議会から東京都の商工会議所、都知事、いろいろ御要望を受けておりました。昔のことでございますが、大分おくれておりましたけれども、そういう地方文化、私は九州でございますから田舎文化と言うこともできる。
 もう一?つれしいのは、今までは「放送のことばは、原則として、標準語による。必要により方言を用いるときは、慎重に取り扱う」としてあったのを、「共通語によるものとし、必要により方言を用いる」、ローカル文化、言葉でございますからね。そういうことにぐっと変えておられます。
 そういうこと等々詳しく出ておりますけれども、三十何年ぶりですから、基準を変更するというのは相当慎重にいろんな角度から御検討なさったと思います。そういう内容はポイントだけ申し上げましたけれども、どういう角度でどういう点に力点を置かれて、これからの中長期の、NHKの長期計画の中にもこの番組基準というのは大きな意味を持つと思っておりますので、この点について御説明なり、触れていただければありがたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 国内番組基準はNHKの放送に関する規範を示すものとして、私ども放送番組を制作する場合の憲法というような位置づけでございます。設定しましてから三十六年たっておりますので、現在に合わない状況も出てまいりました。いずれにいたしましても、私どもはNHKの公共放送の立場として、それにふさわしい放送を的確にしていくという視点から、必要な見直しは今後も随時していきたいというふうに思っております。
 取り急ぎ現段階で今先生が申されました四つの点につきましては即刻改正した方がいいということで、四点について優先してと申しますか、改正いたしました。
 一点は、政見放送の取り扱いでございますが、これはもう御承知のとおり、公職選挙法の改正に伴いまして衆議院選挙の政見放送は個人の政見から政党の政見に変わったということでございまして、実態に合わせまして、「すべての候補者に平等の機会を提供する。」、こういう文言を「法律に従って実施する。」と実際に即して改めたわけでございます。
 それから、地域文化、これが重要であるということはもう申し上げるまでもないんでございますが、当然地方分権が言われて、分権化も含めて地方の時代と言われて久しいわけでございます。NHKの立場として国内番組基準にこれをきちっと明文化して、我々の自覚とともにきちっとした取り組みをさらにしていこうということで改正いたしました。
 それから、放送の言葉についてでございます。原則として標準語による、必要により方言を用いるときは慎重に取り扱う、これは現在の状況に合わなくなりました。標準語という言葉は理想的な言葉というような意味を含んでおりますけれども、現在では共通語という言葉の方が一般的で、学校でも共通語というふうに使っております。したがいまして、「標準語」という言葉は「共通語」に改める。それから、方言につきましては、今申し上げましたように、地方の時代という中で方言も時には積極的に使うということで、そういったことで「放送のことばは、原則として、共通語によるものとし、必要により方言を用いる。」と。「慎重に」という表現はあえて取っております。
 それから四点目は、最近大変話題になっておりますいわゆるサプリミナル手法について、これも私ども放送に携わる者として態度を明確にしておくべきだということで、この番組基準の中にきちっとした基準を設けました。NHKといたしましては、視聴者が普通にテレビやラジオを視聴しているだけでははっきり認識できない、そういう形で人の潜在意識に働きかける方法については視聴者の意識をそれとわからずにコントロールするというものでありまして、放送にはふさわしくないと考える。したがいまして、文案といたしましては、「通常知覚できない技法で、潜在意識に働きかける表現はしない。」という項目を設けて、サプリミナル手法は禁止するということにいたしました。
 いずれも時代の変化をとらえながら、その時代時代にふさわしい改正を今後もやっていきたいというふうに思っております。
○守住有信君 四点にわたって明確にわかりました。これは報道がなされておると思いますので、全国の聴視者の皆さんは今のポイントの御理解がこれからどんどん進んでいくと思います。
 私は、皆さんのお手元にある日本放送協会平成五年度業務報告書及び郵政大臣の意見並びに監事の意見書、これずっと全部読ませていただきました。その中で、冒頭も申し上げましたように、地域文化を含めた番組の放映、報道だけじゃなくて、ほかもいろいろ含めて、ニュースだけじゃなくて。それが中央のNHKの本部に行って全国的に展開される。もちろん編集はそれぞれ地域で編集されると思いますけれども、最近非常にこれが出だしたということで、我々熊本、九州の人間も非常に喜んでおるんです。
 こういうのが最近出だしてきましたから、その辺の実態を、何も九州に限らぬ、北海道とか東北とか沖縄とかそれぞれあるわけですから、その辺のところをちょっと御説明いただきたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 地域の文化なり地域の情報にさらに積極的に取り組んでいくということは、ここ数年私どもも意識的に取り組んでいるわけでございますが、番組の中でもいわゆる地域のための地域の情報、それから今先生おっしゃいました地域の情報を全国に発信する、この両建てで地域の情報に積極的に取り組んでいくということをやっております。
 時には地域同士が組んでブロック放送をやるとか、あるいは地域と東京と一緒になってサポートしながら新しい番組に取り組むということは積極的にこれからもやっていくつもりでございます。具体的に、来年度の番組改定等も地域の情報への取り組みの強化ということは重点を置いて今作業をしております。
 以上でございます。
○守住有信君 私も熊本の民放の社長連中にも言うわけです。民放は何でできぬのかと。キー局の垂れ流しがほとんどで、六時からわずか何十分ですかな、ローカル番組は。それは編集費がかかりますと、こういうことなんだけれども、近ごろバブルがはじけてスポンサーが大分減りましたとか、いろんな話を社長連中から聞いております。
 これ行政にかかわるんですけれども、民放もキー局と系列があるわけだ。そういう努力を、やはり知恵と努力、ここまでいかぬと、何も個々の番組への支配介入じゃありませんよ。NHKはどんどんやっておる。余りにも民放と格差が、報道ぶりとかいろいろありますけれども、それは省略しますが、放送行政としてもっとマクロ的にこういうものに知恵を出してもらう、キー局と地方民放系列、そういうことにもっと努力すべきじゃないか。
 公に何か場をつくって座談会でもやって、キー局と代表的な民放を入れて、そしてどこに隆路があるか、放送番組の視聴覚と同じように、じゃ、それを克服するためにはどういう助成をするとか、個々の番組編集は民放にあるんだから、そうじゃなくて、土台づくりというか雰囲気づくりというかバックアップというか、これを何かおやりになったことがありますか、民放に対して。
○政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のとおり、地方からの情報発信ということは非常に重要だというふうに我々認識しております。幾つかの例もあるわけですが、最近では地方局によって非常にすばらしい番組をつくりまして、全国的にネットで放映しているという例は幾つか出てきております。
 時間の関係で省略させていただきますが、我々としては今後ともそのような番組がどんどんふえるようにということで放送事業者に働きかける。例えば再免許のときに、これは一つの機会でありますので、各民放のキー局、そういうようなところへお願いする、あるいは地方局にも番組をつくる能力をどんどん強めていただきたいというようなことをお願いしております。また、具体的な支援策といいますか、そういうことでは現在は放送番組素材利用促進事業というようなことを始めておりまして、平成八年六月から事業開始の予定で今進めております。
 こういうふうな形で、地方の民放局がよりすばらしい番組をつくれるような形での促進策というものを、将来でありますが進めてまいりたいというふうに思っております。
○守住有信君 そこで、郵政省はいろいろ立法されて、幾つか放送に関する支援措置がございます。申し上げれば、平成三年から電気通信基盤充実臨時措置法を活用して、特に人材研修、ソフトづくり、これは特別の人材の養成に時間が要るわけだから、その支援とか、高度有線テレビジョン放送施設整備事業に対する特別融資とか、あるいは有線テレビジョン、身障者の利便の増進の身障者利用円滑化事業推進に関する法律、平成五年五月、それから最後、今おっしゃった番組素材利用促進事業推進、平成六年九月、ここで論議もされたわけです。
 じゃ、その結果はどうだろうかと思ったら、法律をつくってすぐというのはなかなかあれだと思いますけれども、人材研修事業については北海道、北陸、神奈川メディアセンター、その三カ所だけなんだな。平成四年、五年、六年と。それから、高度有線テレビジョン施設整備特別融資、これは平成三年に法律は施行されたけれども、やっとことしの十月中に何か三社ぐらい予定があると。それから、有線テレビジョンの放送番組充実、これもやっぱり同じように北海道、北陸、神奈川メディア、こういうことでございます。
 身障者の方は、初年度四百万だったけれども、六年度やっと二千九百万。それは三十分字幕で二十万か三十万かかるわけですから、NHKは一生懸命自腹を切ってやっておるけれども、民放の方、身障者の、弱者というか視聴覚障害者、やっと二千九百万円にもなってきたけれども、これを番組に換算すると何時間の放映時間だろうかと思いながらおるわけです。そういうことで、今度の素材の利用促進の方も東京映像アーカイブですか、平成七年五月にスタートした。十カ月ぐらいたっている、法施行から。それでこれからと、こういうことです。
 私のイメージですけれども、通信産業政策と比べて放送産業政策に対する支援というか、これが通信政策局とか電気通信局とか、どうもこれに比較してちょっと出おくれておるような私はイメージを持っておる。時間がないから私の印象だけを率直に申し上げておきます。
 そして、具体例として、視覚障害者、その他高齢者、いわゆる視力弱者を含めての字幕、文字、二音声放送の強化対策というのがどの程度浸透しておるだろうか。
 例えて言うと、一つ具体例を申し上げますけれども、ハートコミュニケーションという機器の開発、これは私の熊本の電子応用機械技術研究所、テクノポリスの中にありますけれども、そこで技術陣が三年間かけて、点字と健常者の漢字、平仮名の相互変換ができる。点字も紙を両方使います、表面だけではなくて裏も。点字を入れれば健常者の漢字、言葉がディスプレーに出てくる、音声も出てくる。今度は健常者の漢字と平仮名を入れれば点字が自動的に出てくる。そういうのが通産省の補助で、三年間かけて、四月に研究開発で発明賞までもらった。
 一方を見ますと、郵政省にもちゃんとこういう法律制度がある。福祉の増進、身体障害者の電気通信利用機会の確保ということで、この法律は平成五年五月だ。字幕放送や解説放送番組の制作に関する助成金の交付、今出ましたな。金額もやっとだんだん出てきた。利子補給もある。文字多重放送の整備に関する利子補給、それからもう一つ身障者のための新しいサービス、五十音点字、または音声に変換する通信サービス等の開発に関する助成金の交付等が入っております、法律的に。
 これが、実は通産省もやっておるんだ、コンピューターで。放送・通信相互変換、これは実は通産省の法制度で、どこの法制でもいいけれども、身障者にとっては。それがやっと開発されて、何も会社の宣伝するわけじゃないんですよ。ハートコミュニケーションといって報道でもばんばん出ておるんですよ。「第七回中小企業優秀新技術・新製品賞 受賞技術・製品決まる」、一般的な報道でも、こういうやつですけれども、要するに点字プリンター、パソコン、点字スキャナー、音声も出る。こういうのが開発されまして、既に点字図書館、一般図書館、東京都は大したものだ。世田谷区や葛飾区、ほとんど同時に入っている。新サービスです。四国銀行も入れている、小さな四国銀行。東京ディズニーランド、NTTも、電力会社、料金の請求書等ですな。
 それで私、前から郵便もやがて内容証明を点字でする、貯金も保険もみんな総合口座通帳でしょう。機械的なやつでかちゃかちゃやって、実験用研究とやっておるけれども、努力しておるんですけれども、こういう新商品が開発されたりして、私はこれを持って、郵務局長、貯金局長、保険局長等々もたもただから、事務次官のところまで行って、これを見せてちょっとほえてきたんだけれども、よそがこうやっている。NTTも銀行もやりおる。あなた一人だけに言うんじゃない、官房長も横に並んでおるから、こういうのを、せっかく助成制度が、通産に先を越された、開発できた、発明賞ももらった、それでよそはどんどん導入し出した。あなたのところのNTTもいろいろ、こういう郵便局あるいは放送界、通信界、弱者に対する対策、随分これは議論されていますな。
 この逓信委員会でも、あの紋付はかまの先生が前から何回も言っておるようだが、私もその刺激を受けたんです。これは衆議院の方ですけれども、平成三年二月、逓信委員会で菅野悦子という先生がやっぱり指摘されて、詳しく御勉強になって、点字ファックス等々を通じてさらにこういうのを指摘をされております。
 だから、ここで回答はせぬでもいいけれども、政務次官、大臣のかわりしているんだから。官房長、どうぞ。
○政府委員(谷公士君) 私ども郵政省といたしましては、国の機関といたしまして、また国民の日常生活に大変密接なサービスを提供している事業体といたしまして、障害者対策を積極的に推進していく立場にあるということは十分認識しておるつもりでございまして、行政分野のほかにも郵政事業分野におきまして、例えば局舎施設等の構造の問題でございますとか、あるいはサービスそのものの内容でございますとか、あるいは職員の点字、手話の訓練でございますとか、いろいろな施策をとってきたところであります。
 ただいま御指摘の視覚障害者の方のコミュニケーション活動を支援する点字情報システムでございますけれども、これもそういった施策の一つとして、平成三年度に全国の貯金事務センター等に通常貯金あるいは定額貯金の取扱内容を通知するといったようなサービスのためにパソコン型の点訳機を配備するというような施策をとってまいりました。ただ、ただいま委員御指摘のこのシステムにつきましては、私どもが現在配備しておりますものよりもさらに一段と性能が向上したシステムであるだろうということは私ども承知しておるところでございます。
 そういった意味で、郵政行政を円滑に推進し、また視覚障害者の方々のサービスを向上するという観点から、御指摘のような機能を持った機器が私どものサービス提供においてどのような機能を発揮することになるのかというその導入の要否といいますか、適否につきまして、今、関係各局において検討を進めているところでございますので、いましばらくお時間をおかしいただきたいと存じます。
○守住有信君 いろんな過去のやつが入っているのは知っているんです。どちらかというと機械的な操作、能率、人件費をどれだけ余計食うかとか人手を食うかとか、こういう面がありますので、よく比較してくださいよ。東京都も今度は導入しようという。都内の区役所の窓口はこれをどんどんあれしておるとか、銀行も入れ出すとか、これは後ろがさくら銀行さんで、金融の、金を貸しておるものだから、さくら銀行も入れる。そうしたら郵便局の方は、まして政府は、政府事業ですから、人に優しいと村山総理以下が言ってござるので、そういう思いがありますので、もう可及的速やかに比較検討し、よそはどう使っておるかとか、使っているところも、東京都内だけでいいからばっばっと人を派遣して、この目で見て写真を撮って確認してきてください。以上、お願い申し上げておきます。
 時間もありませんので、あと地方番組との関係ですけれども、地方審議会がございますね、NHKさんの。これにも名簿はずっと載っておる。中央審議会は川口さん以下並んで出ますよ、NHKのテレビの報道でね、放映で。ところが、地方番組は出たことがないんですよ。これは御承知ですか。
 ローカル番組の強化をなさる地方審議会が、どういうテーマで、どういう方々が入ってお互い議論をして提言をしておるかということを、やっぱり映像の時代ですよ。NHKはみずから手段を持っておる。民放はやるにもなかなかスポンサーがつかぬものだから、系列の新聞社の記事にこれぐらい出るんですよ、地方民放はね。NHKはみずから持っているんだから、大いに地方審議会の論議の姿というものを映像でひとつ出してもらいたい。そしてまた、視聴者の代表の意見等もその場の中で開陳していただくというふうなことも、大きな流れの中で、非常に具体的な地方の状況ということで、そういうことでお願いを申し上げる次第でございます。
 それで、時間がありませんが、もう一つは受信料対策の中で特に衛星放送の受信料、CATVとどう前線では連携をしておられるだろうかということでございます。
 モアチャンネルでCATVもどんどん伸びていく。そこと契約しておれば、NHKの衛星放送だって、他のCNNだって何だってこれはいいわけですね。ところが、これは受信料なんだな。CATVの業界、業者とNHKの最前線が連携してやらないとだめだ。CATVはCATVだ、NHKはNHKだと、最前線の世界ですよ。これについてのお取り組み、どんどんやっておられるならばまた御説明いただきたいと思います。
○参考人(菅野洋史君) CATVの事業者は日本ケーブルテレビ連盟というふうに名前が変わりましたけれども、そこの方々とはこれまでも共存共栄という考え方のもとにともに手を携えて、そして仕事を進めてきております。
 受信料の契約、収納については、これまでも全国の各放送局と個々のテレビ事業者の皆さんと個別に話し合いをさせていただいて、そして具体的な協力をお願いしておるわけでございますけれども、特に今年度に入りましては、さらにそういった状況をレベルアップする意味で、幾つかの事業者の皆さんと試行的に非常に密接な連携をとるようにしてございます。
○守住有信君 ちょっと、時間がないから。大筋、わかればいい。やってください。
○参考人(菅野洋史君) そういうことでやっております。
○守住有信君 最後に一言だけ、その関連で。
 今度は番組なんだ。NHKでも民放でも、いろいろ放送記者がカメラを持ってやっておるが、ところが放映時間はこれだけなんだ。あとは倉庫の中に捨てておる。捨てておるという言い方は何だけれども、せっかくそういうローカル番組、それを地元のCATVでやる。編集はCATVですよ。それに番組を提供する、こういう仕組みを、受信料だけでなくて、一番大事なのは番組ですから、これをCATVの業者、せっかくカメラを持っていろんなところで撮ってもらっているのに放映はちょっと、これだけですよ。いっぱい撮ってあるが、地下倉庫の中に置いてある。
 それだけを私の提言として、お互い共生じ連携して、放送分担、手段は違っても、経営は違っても。そういうことをお願い申し上げまして、終わります。
○委員長(及川一夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
  午後一時開会
○委員長(及川一夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○西川玲子君 平成会の松あきらこと西川玲子でございます。
 私は、この七月に参議院に上げていただきまして、本日が初めての質問でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 平成五年度NHK決算について質問させていただきます。私は、一視聴者としての視点で、平成五年度のNHK。予算につけられました附帯決議の中から、NHKの御努力を中心に伺いたいと思います。
 まず、附帯決議の項目に入る前に、NHKの将来ビジョンについて伺いたいと思っております。
 平成七年一月に、NHKでは「より豊かな文化としての放送を目指して」と題して中長期経営方針をまとめられました。一昨日、NHKを視察させていただきまして、この九五年パンフレットの御説明をいただきました。私も実はこれは三週間ほど前から手に入れておりましたけれども、「二十一世紀にむけて、思い切って変わります。」と宣言して、NEXT10運動としての努力を始められているとのことでございます。新しい「未来を見つめる創造の輪」ということで、卵マークのことも説明をしていただきました。シンボルマークだそうでございます。
 「みなさんと歩き始めます。新しい歴史への第一歩。」のテーマに五つのビジョンも打ち出しました。一、「視聴者本位制です。」、二、「二十一世紀のテーマに着手します。」、三、「建て前主義をやめます。」、四、「「革新する総合メディア」です。」、五、「「さすがNHK」になります。」。そのために、「真」「「真」時代の流れを敏感にとらえ、真実を見いだすこと」、「「絆」−人と人とが支え合って生きることの大切さを問い直すこと」、「「夢」二十一世紀を担う子どもたち、若い人たちの夢を育てること」。
 私はこのパンフレットは本当にすばらしいなと思って拝見していたんですけれども、社会が目まぐるしく変化しまして価値観が揺らぐこの時代でも、NHKがこんなふうに前向きにしっかり進んでいってくれれば非常にうれしいというふうに感じました。
 そこで、九五年NHKパンフレットの製作にはどんな背景があったのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 私が一たんNHKをやめまして、NHK交響楽団の理事長をやっておりましたときに会長の発言事件というのがありまして、急速NHKの方で呼び出されまして会長に就任を求められたわけですが、私は、もとよりそういう才能もありませんし、いかがかと思ったんですが、昭和二十五年以来NHKに奉職していまして一方ならぬ愛情を感じておりました。しかも、この組織が視聴者にとって非常に大きな意味のあるものだということを実感しておりましたので、あえてお受けしたわけです。
 そして、三年たちまして、去年の七月でございますけれども、七月三十一日が任期でしたけれども、その二週間ぐらい前に内示といいますか経営委員会の決定がありまして再任をすることになったわけです。そのときに、私の周りに若い人たちが何人かいるんですけれども、改革運動をやりましょう、このままでいくとNHKは相当肥大して、そして七十年という歴史がかえって重荷になっていろんな面で改革をしないと危ないと思いますよ、あなたが再任をしたら、ぜひそういう運動をやってNHK自体を一つの方向に建て直してほしいという大変強いアピールを受けたわけです。多少デモンストレーション的になり過ぎるかなという気もしましたけれども、私はあえてやっぱりやるべきだと思うし、そしてみんなの知恵を集めて、NEXT1Oという次の十年をどうつくるかということを前提にして改革運動を始めようというふうに思ったわけでございます。
 それが、今の五つの項目に象徴されるように、NHK自体のまず意識を改革しよう、それから業務を改革していこう、結果としてNHKが国民に対して非常に信頼していただける組織であるというふうに持っていこうというふうに思って、この一年、このNEXT10運動を中心に据えてまいりました。
 ですから、「思い切って変わります。」という言い方なんかもちょっとオーバーですが、やっぱり七十年という歴史は長い長い歴史でございますから、それからなかなか抜け切ることも難しいんです。ですから、その重い負担をできるだけ大事に持ちながら、しかし変えるべきところは変えようという気持ちでこのNEXT1O運動を始めました。それから一年半になりましたから、大体いろんな形で改革運動が少しずつ浸透してまいったようには思います。ただ、本当にこれからでございますから、まだ一生懸命頑張っていきたいと思います。
○西川玲子君 どうもありがとうございました。お気持ち、よくわかりました。
 それでは、先ほど五つ項目を挙げましたけれども、その中で二つ、「視聴者本位制です。」、それから「建て前主義をやめます。」というこの二点をちょっと伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) NHKが視聴者本位というのは当たり前のことなんです。それで、視聴者に対して番組、報道を送り続けるし、それから視聴者からお金をいただいて運営をするという関係にありますから視聴者本位ということはもう当然なんですね。
 ただ、いわゆる視聴者本位ですと言ってしまうと、それは在来の言い方とちっとも変わりませんので、ここで「制」というのを下につけたのは、それがもうNHKの憲法みたいなもので、そういう制度なんだぞということを、視聴者本位の制度だということをもう一遍確認しようという意味でこの「制」をつけました。そういう意味ではちょっと大胆な言い方でしたけれども、そこのところはみんなも再認識をしてくれたように思います。
 それから、建前主義云々というのがありましたけれども、これは職員の意識調査というのをやってみたんです。そうしたら、やっぱり一番NHKにとってやめなければいけないものは何かという中で三つありまして、一つはこの建前主義ということ、それからもう一つは内部志向的だという指摘、それから保守的、非常にコンサーバティブでありますと。この三つが大方の指摘するみずからのよろしくない点だというふうになりましたので、この中でやっぱり一番全員が建前ということにこだわり過ぎているというのがありましたので、それをやめましょうということを掲げたわけでございます。
○西川玲子君 NHKのそうした御決意を郵政大臣はどういうふうに受けとめておられるんでございましょうか。
○国務大臣(井上一成君) 公共放送の大きな役割を担うNHKは、今、会長がるる説明されましたが、私は大いに期待をし、またそうあってほしい。毎々申し上げるようでありますけれども、既成の概念にとらわれることなく、常に国民の目の高さというんでしょうか、あるいは地域の声というんでしょうか、そういう意味でNHKの果たしてくれる役割に期待をいたしております。
○西川玲子君 ありがとうございました。
 ある本で私は川口会長の「川口公共放送論」というのを読みました。川口会長はこう申されております。
  新米のころ、福岡の直方の炭坑住宅で取材した思い出が忘れられない。ラジオが床の間にでんと置いてあってね。石炭掘りのきつい労働でくたくたに疲れた人たちが、それは夢中で放送を聴いていた。
  放送とは、視聴者とそれが求める何かをつなぐものであって、それ以上でもそれ以下でもない。メディア戦略とかソフト売買とかそういうものじゃなくて、その「何か」を届けるために、絶えず視聴者と向き合う姿勢こそ、公共放送の原点だと信じています。
 こういうふうに申されておりますけれども、この情熱は今でもお変わりないでしょうか。
○参考人(川口幹夫君) 全く変わっておりません。
 と申しますのは、本当に長い長い昔ですが、昭和二十五年、当時テレビは全くなくてラジオだけの時代ですが、私は福岡の放送局に行きまして、当時はデンスケという録音機さえもなかったんです。ぐるぐる回るレコード式の録音しかなかった時代ですが、そういうものを持って筑豊炭田の炭鉱の皆さんのところにお伺いしたときにそういう情景に接しまして、放送がいかに国民生活の中にしみ通っているものであるか、またしみ通ってなければいけないものであるかということを実感しましたので、さる新聞記者さんのインタビューに答えたのがその文章でございます。
 初心は全く忘れておりません。
○西川玲子君 うれしく承りました。よろしくお願いいたします。
 さて今日、放送はラジオからテレビへと比重が高くなって、この間も見せていただきましたけれども、本当に今やマルチメディア、多チャンネルの時代でございます。ラジオはどうしても影が薄くなってまいりました。ラジオ放送は要らないなんというそんな声すらあるようでございます。
 平成六年三月二十九日の参議院逓信委員会で、ラジオ放送について会長は、聴取者会議みたいなものを開いていろんな意見を吸収したいと述べられております。私も直接NHKが視聴者の意見を聞くことはとっても大事だというふうに思っておりますけれども、その後、いかがなりましたでしょうか。
○参考人(川口幹夫君) 実は、私が手がけなければいけない一番初めのことが、将来どうするかというNHKの経営に関する部門でありまして、当時、民放サイドからも、NHKはたくさんのメディアを持ち過ぎている、少し減らしなさい、そして民放のいわゆる商業的分野に食い込むようなことをするのはけしからぬ、だから公共放送としての形の中できちんとやってくれという御要望が非常に強かったわけです。
 そこで、中長期のビジョンを立てる前に、NHKはどのような形で将来あるべきかということを考えましたときに、いろんな意見が出まして、そして例えばテレビは衛星二波と地上二波、これはそれぞれ必要性があるし、またそれぞれの特色を出せるからこのままにしておこう。ただ、ラジオ三波、音声三波については整理することができるかできないか考えてみようということでもって議論の対象にしまして、そしてそれをオープンに皆さんにも問うたわけです。
 結果としては、新聞その他が報じてくれましたけれども、あっという間にNHKに対する反応が来まして、ラジオ第二放送をやめるという議論は全く承服しがたい、我々は第二放送によって情報を得、教養を得、それを自分たちの支えにして生きているんだという人が実にたくさんの熱心な投書をくださいまして、私はそれを持って、こういう状況ですからどうしましょうかということを再度有識者の方々にお伺いをして、今の時期はまだやめない方がいいと。いずれ、いろんな形で多メディアになってくるわけですからその時期に考えることにして、ラジオの有用さ、大事さはこの際十分に確保しておいた方がいいだろうということで、ラジオも三波そのままということにしたわけでございます。
○西川玲子君 私もラジオはいつも車の中で聞いておりますけれども、NHKのラジオ放送で「深夜便」という番組がよく話題になります。私も実はこれは新聞でまず読みました。夜遅い時間は若者しか起きていないという考え方を変えて、高齢者向けに番組を編成したら大反響があったということでございます。
 これは十一時から四時ぐらいまでやっております。ほぼ毎日やっている番組で、実は起きているんじゃなくて、三時、四時という朝の時間ですね、とても早く起きるお年寄りが多いわけですよ。それで、その三時、四時という時間帯は早起きのお年寄りが聞いていらっしゃるわけなんです。それで大反響があったということなんですけれども、たまたまそこに高齢者がいたから、起きていたから反響があったというだけでなくて、やはりその方たちの心のひだに感ずるものがあったから反響としてあらわれたのだと私は思います。
 ですから、NHKはより豊かな文化としての放送を目指しておられますけれども、まさしくこの放送の中に何かその豊かさを感じられたのだと思います。NHKの「深夜便」の放送を聞いて心を満たされている人々がこんなにたくさんいるという現実に、やはり視聴者の気持ちを反映できる番組の編成や工夫がますますNHKとして大切だと私は痛感をいたします。
 NHKは、この間もハイビジョンを見せていただきました。本当にすばらしいと思いました。ハードがどんどん拡大されております。先ほど専務理事もお答えでしたけれども、ソフトがどういうふうに研究されているのか、もう少し詳しくお答えいただきたいというふうに思います。
○参考人(齊藤曉君) これからどんどん多メディア、多チャンネルが進展していくという中で、世界的にソフトの需要が増大しているわけでございますけれども、NHKが従来にも増して多様な視聴者のニーズにこたえていくためには、質の高い、しかも魅力のあるソフトを十分確保しなければならないわけであります。
 そのために、NHK内には各分野にわたりまして高い制作能力がございます。まずこの高い制作能力を生かしまして、そして創造力を十分に発揮し得る柔軟な組織をつくる、そういった体制の中で継続的に良質のソフトを確保し、そして蓄積していくということを心がけております。
 その一方で、外部のすぐれたソフトをより経済的に確保する体制、これを構築しまして多彩なソフトを確保していきたいというふうに考えております。これまでにもNHKは海外の放送機関あるいは外部プロダクションとの共同制作を推進するなど、国際的なソフトを確保するとともに、関連団体への番組の制作委託、あるいは外部制作の映画とかアニメーション、こういったソフトの購入を行ってまいりました。
 今後とも、こういった外部のすぐれた人材の活用あるいは外部制作ソフトの積極的な導入によりまして、ソフトの多様化、さらに活性化を図りながらソフトの確保に努めていきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、NHKの波として地上、衛星、ハイビジョン放送もやっておりますけれども、こういった各波の間の番組を有効に活用する。衛星で大変評判がよかったものを適切な時間に地上で再放送するとかいうようなことを含めまして、そういった有効活用を考えながら、また一方では地域の放送番組の全国放送への活用、こういったこともあわせて考えまして対応策を検討していきたいと思っております。
○西川玲子君 ありがとうございました。
 十一月三日の文化の日に、朝日新聞に「アダージョの文化を」という社説が載っておりました。少し読んで御紹介したいと思います。
  何だか落ち着かない。何かにせかされているような気がする。外に出てもつい速足になってしまう。街では、襲いかかる騒音にさらされ、ひたすら目的地に急ぐ。
  だれもが経験する、めずらしくもない現代生活の一面だ。でもちょっと立ち止まって考える。これは度が過ぎているのではないか。もう少し、すべてを緩める方向にいくわけにはいかないものか。
  さらに考える。日本社会のこの落ち着きのなさは、知らず知らず、すべてが若者中心に動いていることに一因があるのではないか。
ずっと続くわけでございますけれども、この「若者中心」、ファッションあるいは映画、出版界すべてが若者中心になっちゃっているんじゃないか。若者中心の文化というのは、やっぱりまずスピードだと思うんです。そして、「高速高音文化に対抗して、低速微音文化についてしばし考えたい。」、「音楽でいえば、アダージョの文化だ。」と書いてあるわけです。「「静かにゆるやかに」を指示するアダージョは、もともと「くつろぎ」の意味だった。」、「若者文化を排撃するのではない。ただ、若者に傾きすぎている文化を、少し元に戻し、老若文化のすみわけをはかる。そして、社会の風潮を少し切りかえる。」、こんなふうに提案をしているわけなんです。
 私は、やっぱり世の中が本当に動き、皆さんの気持ちの中で視聴者の欲するものが次第にだんだん変化しているのではないかというふうに思っております。
 それでは、先ほどの豊かな文化ということについてどのような御所見をお持ちか、まず川口会長に伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) この「アダージョの文化を」というのは私も十一月三日に家で読みました。このようなことが実に今大事になっているなという実感を強く持っております。アダージョ、ゆっくりと、という感じでもって生活を送ることがどんなに大切であるかということもわかっているつもりでございます。
 ところが、おっしゃるように、世の中が若者の方を見てしまうと、どうしてもせかせかと急いで、しかも刺激的に何かをやらなければ若い者は見てくれないという感じになるんですね。これが大変大きな問題であろうということは御指摘のとおりです。
 NHKの放送はその若者も実は大きな対象なんです。だから、NHKが若い者を引きつけるために民放と同じような形でもってといったら、日本の文化は極めて足早の、しかも落ちつかない感じのものになってしまうだろうという感じを強く持っていまして、私は、テレビもそうですけれども、音声も含めてNHKの番組自体がもっと静かで奥行きのあるものというふうなことを考えております。奥行きのあるものということは、結局中身が豊かでなければいけないわけですから、古典あるいは芸術、そういうものを含んで、例えば心の問題を追求するとか、あるいは人生の中でどういう過ごし方をした方がいいのかという問題までを含めて、NHKがいろいろな形でもって識者のいろいろなお話をお送りする、そういうものでありたいと思います。
 その間に、例えばいい音楽、いい映像というものをお目にかけるようなこともうんと工夫をしていきたいと思っていまして、そういうものを総称して豊かな文化を目指したいというふうに申し上げております。
○西川玲子君 ありがとうございました。
 井上郵政大臣も心の豊かさを大切にしていらっしゃると伺っておりますけれども、御所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(井上一成君) 私は毎々申し上げるように、マルチメディアの時代になって情報の格差が生まれる、そこに取り残される人たちがどういう思いをするか、そのことをやっぱり考えなきゃいけない。それから、人間が本来持つべき人間性、心、これがゆがんでしまう、そういうことであってはよろしくない。そういうためにも文化的なソフトの面でもっともっと私たちは目を向けていかなきゃいけない。
 豊かな放送、今NHKの会長さんの方からお話がありましたが、私流にもしこれをとらえるならば、過去から現在、さらには未来、これは歴史とその展望というんでしょうか、それから次は国際的な広がり、より広くという国際化、そういう視点、視野の中に立って、さっきお話もありましたけれども、引きつける。さらには、役に立つ、それから楽しめる、さらに考えさせる、教えるのではなく今の教育は考えさせる、そういうことが相融合していく中で、お互いが理解をし合う、相互理解。そういうところに生まれてくるものが一つの友情でもあるし、また共存、共生でもあるし、それは時には文化というものに置きかえられるのではないだろうか。そういう認識に立って、そんな放送がより豊かな文化としての放送である、NHKがそういうところに力点を置いて取り組んでいただいていると私は理解をしているわけなんです。
 さっき西川さんの方から朝日新聞の文化の話が、私もちょうどここに、読売ですけれども、「文化をもっと楽しむために」という社説があるんです。これは一々読みませんが。
 要は、アメリカに渡って頑張った野茂投手が何を知ったか。野球をして、プレーをして楽しむことを知ったと、彼はこう言っているんです。そして、決勝戦でライバルの、自分の球を打った相手の投手から、盛り上げてくれた、ありがとうと感謝の意を表されたと。
 まさに世の中というのはそういうところで成り立っていくのではないだろうか。それが調和、ハーモニー、バランス。ハードとソフトの、ハードばかり、技術と経済性と効率性ばかり優先して、そこに精神的なものが取り残されるとするならば、私は二十一世紀は決して明るい世代だと言い切れない。そういうことを考えたら、いわゆる調和、バランスのとれた世代をつくっていくために、公共性のある、そして放送は時代を変えるというんですから、それぐらいの強い影響力を持った電波あるいは通信、いろいろな意味で二十一世紀、マルチメディアはバランスを崩さないスピード。スピードを求めてバランスを崩しては取り返しがつきません。
 そういう意味で、私も別に打ち合わせをしたわけではないんですが、何か西川さんと私は文化論について共通した、共有するものがあるのではないだろうか。きょうはNHKの放送の質疑ですから、機会があれば文化というものについてひとつまたお互いに意見を交換する、こういうことはいいことではないだろうかと思います。
 長くなりましたけれども、私の考えを申し上げました。
○西川玲子君 大臣、ありがとうございました。よくわかりました。
 それでは、川口会長は、御自分のNHKですけれども、番組で特に楽しみにされているような番組がおありでしょうか。
○参考人(川口幹夫君) 私は、NHKの番組はもう一つ残さず愛しておりまして、それこそ報道から教育、教養、芸能に至るまで、およそポイントは逃さないように見ております。
 しかし、特段今気をつけているのは報道ドキュメントの番組です。それは、やっぱり時代というものをどう映すかということがテレビの現在では一番大事だと思うからでございます。
○西川玲子君 それでは、まず平成五年度予算につけられました附帯決議の第二項からお伺いをしたいと思います。
 「協会は、放送の社会的影響の重大性を再認識し、真実かつ公正な報道に徹し、自ら放送倫理の確立を図り、公共放送に対する国民の要望を反映しつつ信頼の確保・向上に努めること。」とあります。どのような努力をされたのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) ただいまの附帯決議の第二項は、このときはムスタン問題というのが起こりまして、そして真実でないドキュメンタリーをやった、いわゆるやらせでございますね、そういうことを受けての附帯決議であったと思うんです。
 私どもは、この附帯決議を受けましていろいろなことを早速やりました。まず、NHKと民放、これは民放も入りませんと大きな問題として処理はできませんから、一緒になって番組倫理委員会というものをつくりました。そこで放送番組のつくり方、放送の仕方、編成の仕方等々について、倫理的な問題をお互いに提言し合うというふうなことをやりました。
 それから、部内としては、責任体制を明確にするということとチェック機能を徹底する。チェックというのはいわゆる規制的なものじゃなくて、果たしてこれでいいのか、間違いはないのかというチェックであり、あるいはこのことはいわゆる真実を報道するという意味からちょっと逸脱はしていないかという感じをチェックする機能を徹底させました。
 それから、目立つものとしてはNHK番組基準ハンドブックというのをつくり直しました。これは青い色の小冊子でありますけれども、この中に書いてあるいろんな番組をつくる基準が時代に合わなくなっておりましたので、これを改定しまして、新たに放送人としての心構えに関する項目というのを入れました。
 それから、次は放送現場の倫理に関する委員会というのをつくりました。平成五年の三月ですが、当時の放送総局の副総局長を座長にしまして、この委員会が取材者、制作者等々に集まってもらって番組基準に係る具体的な問題について討議をし、月に一遍開催をして、これは今も続いております。
 それからもう一つ、研修を徹底しようということで、職員一人一人に対して、放送の倫理というものをどう考えるのか、あるいはメディアミックスと称するいわゆる番組をほかに利用する、ほかに売るというふうなことについてのやり方等をどうすればいいかきちんと認識をさせるような研修をしました。
 そして、メディアミックスについては、殊さらに関連団体等を含めて行き過ぎないように、やっぱりNHKという立場をきちんと守った上で適切な、節度のあるメディアミックス活動を行うようにということを指示いたしました。
 以上が大体私どもの取り組みでございます。
○西川玲子君 ありがとうございました。
 NHKは国民が支える公共放送ですから、しっかりこの立場を保っていただきたいというふうに思います。
 私は、NHKの公共放送の使命の一つとして教育問題を考えます。景山先生も触れておられましたけれども、私もこの教育問題ということはとっても大事だというふうに思っております。
 社会問題化しているいじめの問題一つでも論議が尽きません。その多くが、教師の資質や人間教育を重視しない今の教育制度、義務教育制度のあり方にまで問題が広がっております。優秀な子供でも飛び級が認められない、そして学習のおくれた子供でも同じ教育を受けさせる、いろんな点があります。文部省はもう要らないなんていう過激な声すら上がっております。私は、こうした状況を絶対に学校だけに任せておいてはいけない、みんなで取り組まなければいけないというふうに思っております。
 もちろん、NHKもいじめは社会問題としてとらえていると思いますけれども、どのような認識をお持ちでしょうか、会長に伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 教育の問題というのは非常に大事でございまして、ただ教育は全部学校でやればいいんだという考え方は、もうとてもそういうふうにはいかない時代だということを深く考えます。そして、学校ではもちろん大事ですけれども、家庭の教育というのがまずあって、それから学校教育があって、それから社会の教育があって、その社会の教育の一環を放送とか新聞とかそういうメディアが担っているんだという認識をしております。
 特にNHKは、ラジオのときから教育放送には非常に熱心でありまして、昭和三十四年に教育テレビができましたときも一波全部を教育番組に使うというふうなことをやってきておりますので、そういう基本的な態度はますます強くしていこうと思っています。
 ただ、番組として考えますと、これまでの教育番組はちょっと子供に受け入れられなかった、あるいは現実にそぐわなかった、それほど深い教育効果をもたらしていなかったという面がやっぱりあったというふうに自覚をしておりまして、この際、教育番組のあり方については根本的にいろんな検討を進めたいというふうに思っております。
 特に、ハイビジョンなんかは、これまでの放送教育研修会の検討結果などを見ますと、子供さんが実に食い入るように見ているんですね。ですから、それを教育の場で使うことはできないかとか、いろんな面を教育の場で生かすように努力をしていこうと思っております。
○西川玲子君 ありがとうございます。もう少しこのいじめについてお話をしたいと思います。
 本当に今深刻な問題でございます。とにかく個性があるとやられてしまう。個性がなければ伸びていかないと思うんですけれども、やはりそれでは今の日本の学校教育の中ではだめだということなんですね。まさしく会長のおっしゃったように、教師と家庭と子供が一体にならなきゃいけない。
 私の家庭の話で恐縮なんですけれども、私は、夫と亡くなった前の奥様との間の子供を育てました。そして、中学一年のとき、入る前に結婚いたしましたけれども、担任の先生とは三日置きくらいに私は電話連絡をとり合いました。そして、一年たちまして修了したときに、その担任の先生が、私は二十数年教師をしているけれども、お母さんみたいな人は初めてでしたと言ってくださったんです。芸能人だし、二度目のお母さんだし、どんなふうかなと思っていたけれども、こんなに明るくて前向きで信念がある、そして愛情を持っているお母さんは初めてだと。とにかく小さいときに母親が亡くなっていますので、心に非常に問題があったと。その子がこんなによくなった、何でなんだろう。自分の本当の子供でも悩んでいるお母さん方がいっぱいいるから、そういったお母さん、お父さんの話し相手というか、相談に乗ってあげてくださいなんていうふうに私は言われました。
 そのとき私はびっくりして、とんでもないと申し上げたんですけれども、こんな私にもぽつぽつと相談にみえるお母さんたちが多くなったんです。私はびっくりしました。それは、子供も、先生にも言えない、親にも言えない、友達にも言えない。親御さんもそうなんですよ。こんな問題、先生にはとても話せないし、もちろん専門家のところなんか門をたたいて聞きに行けない、どうしたらいいんだろう。そういう悩みを抱えている方がいっぱいいるわけですね。不登校の子供もいっぱいいる。学校嫌い、勉強嫌い。だけど、テレビを見ない子はいないわけです。親御さんもテレビを見ない親御さんはいないわけですよ。
 私は、そのテレビ、NHKはある種教育の広場みたいなところがあってもいいんじゃないか。教育という名前がつくとちょっと、まさしくおっしゃったように、教育とつくと、うんなんて思う方いるんですけれどもね。
 もちろんNHKも、先ほどもおっしゃっていましたけれども、例えば中学生日記とか特番でもやっていらっしゃいます。だけど、そういうことじゃなくて、もっとしっかりと四つに組んで、長期的に私はこの問題に取り組んでいってほしい。
 例えば、毎週ある曜日のこの時間を見れば必ず何か教育にかかわる問題をやっていると。時には討論会風でもいい、時には声を直接流してもいい、ある時はドラマ仕立てでもいい。とにかく自分の悩みを抱えているお子さんなり御父兄なりが何かの参考、今週は自分の参考になるんじゃないかと。
 そういうことで、私は、要するにNHKですから視聴率と関係ないと言うと申し訳ないんだけれども、もし民放でしたらとても視聴率がよくない、と打ち切らなきゃならないですよ。だけど、NHKならば、そういう本当に良心的な番組であれば、例えば視聴率が全然上がらなくても、あるいは上がる週もあり上がらない週もあっても打ち切りなどにならない。そういったことで、私はぜひこういう番組をやっていただきたい、そういうふうに思って、これはお願いをしたいというふうに思っております。
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるように、テレビが非常にいい媒体となって、そういうことを家庭で教えることができれば、これはもう私どもの役目の一つが果たせたと思います。
 ETVの中ではいろんなことを今やっております。ただ、それだけじゃなくて、今度は総合テレビの中でも何かこういうもので役に立つようなことができないかと。それが、先ほど齊藤専務からも話しましたけれども、いじめに関する「NHKスペシャル」を二回連続でやる。それは家庭の立場、本人の立場、そして学校の立場というものを踏まえて、いろんな考えるべき問題が出ていたと思います。
 さらに、私の印象に鮮やかなのは、かつて、今「八代将軍 吉宗」を書いているジェームス三木さんという人が台本を書いて「翼をください」という番組を、ドラマを放送したことがあるんです。この「翼をください」は、いわゆる落ちこぼれ学級というのがありまして、一方には進学校があって、その対比の中から落ちこぽれというふうにいわばいじめられ、さげすまれてきた子供たちがどうやって立ち直るかというのをテーマにしたドラマでございます。これは非常な反響を呼びまして、私ども再々放送まで含めてたしか三回放送したと思いますけれども、そういう意味では、例えばそういうふうにいじめられていじけてしまった子供たちがどうやってその差別を乗り越えて再生するかという、それが「翼をください」という題名になっているんですけれども、なかなか社会的な問題も含めて非常に効果があったと思っていまして、そのようなドラマも放送したいと思っております。
 おっしゃるとおり、視聴率には全くこだわりませんから、いろんなお役に立つような放送を今後とも心がけてまいります。
○西川玲子君 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。
 それでは、附帯決議の第五項についてお尋ねをいたします。
 「協会は、その経営が受信料を基盤としていることにかんがみ、経営内容を積極的に開示して受信料制度の理解の促進を図り、衛星契約を含む受信契約の締結と受信料の収納に努め、負担の公平を期すこと。」とあります。受信料制度の理解と促進を図りなさいというのがあるんですね。以前、民放連の磯崎会長と対談の際に、NHKは宣伝がとても下手だと。例えば、受信料の問題にしてももうちょっとうまく宣伝すればいいじゃないかともおっしゃっているんです。何か民放の方がはるかにノウハウを持っているから聞きにいらっしゃいというふうに言われたというふうに以前に会長が逓信委員会でおっしゃっているんですけれども、その受信料制度の理解をどのように図ったかについてお尋ねをいたしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 受信料制度を御理解いただくという番組、それから催しというのは幾つも幾つもやりましたけれども、やるたびに難しいなと思います。
 難しいなというのは、こういう問題になりますとやっぱり聞いてくださらないんです。だから、聞いていただけるような努力をまずしなきゃいけないということで、一遍、上岡龍太郎さんという大阪のタレントの方を司会者にしてやったときは、これはなかなかおもしろかったんですけれども、いろんな工夫をやって、私自体も出席をして、そして視聴者の皆さんに受信料制度というものがどんなものか、そして公平負担というものがどんなものか十分に御理解いただけるようにもっともっといろいろやります。
 現在、いわゆる広報番組と称して、「日曜プラザ」とか「テレビ自由席」、「テレマップ」等々があります。まだまだ受信料の制度の理解ということについては行き届いていないなと思いますので、今後とも努力をいたします。
○西川玲子君 その受信料なんですけれども、全く税金のように感じてしまう国民も多いんですよね。何か一律に取られている、大会社も、自分のような二人で暮らしている、あるいは一人で暮らしている人間も同じように取られるのは何か不公平だななんと思う人もいると思うんです。そこで、時間がないのですけれども、わかりやすく理解するために受信契約の具体例でお尋ねをいたしたいと思います。羅列をいたしますので、よろしくお答えくださいませ。
 まず、二軒の住宅を持っていて、二軒とも自己使用している場合。うちもそうです。皆さんも例えば議員会館、議員宿舎、自宅とか、そういうふうに何軒も持っていらっしゃる。二は、二世帯住宅の場合。三、子供が大学などでアパートを借りた場合。四、小中学校、これは免除なんですけれども、例えば職員室とか宿直室はどうなのか。五、会社など事業所はどうか。六、秋葉原の電気衝みたいにたくさんテレビを置いてあるところはどうなのか。七、外国人はどうなんでしょうか。そして八、オートロックマンションではなかなか入れなかったりするんじゃないかなと思うんですけれども、それもちょっと伺いたい。それから最後に、長いことかかってやっと契約にこぎつけた場合の起算日はいつになるのか。過去は問いますかということで、これだけ続けて伺いたいと思います。
○参考人(菅野洋史君) さっとメモをとりましたけれども、多少前後するかと思いますけれども、それでは順に申し上げます。
 住宅を二軒持っている場合、例えば別荘のような場合もそうだと思いますが、受信契約の単位というのは世帯ごとということにしてございますが、世帯とは住居をともにし、さらに生計をともにする方々の集まりということを基本にしてございます。したがって、その考え方から申し上げますと、住宅を二軒持っている場合には、例えば別荘の場合もそうですが、一つ一つ、つまり二軒であれば二軒の契約をいただくということでございます。
 それから、子供さんがアパートを借りた場合、例えば親元を離れてどこかで下宿をして学校に通われるというケースがあろうかと思いますけれども、この場合も住居が別でございますので、受信契約も親御さんとそれからお子さんとそれぞれに必要であるということでございます。
 それから、学校の職員室と宿直室でございますが、これは教育の用に供するという部分については免除の対象になっております。したがって、職員室は教育の専用に供するということで免除の対象ですが、宿直室の場合には受信料をいただくということになってございます。
 それから、事業所でございますが、事業所の場合はテレビの設置場所ごとにいただきます。ですから、例えばホテルなんかは部屋ごとにテレビがある場合にはいただくということになっております。
 ラジオ、テレビ業者のお店屋さんの店頭に展示用に設置されているテレビは受信契約の対象とはいたしておりません。
 それから、外国人、国籍に関係なく、NHKの放送を受信できるテレビを設置した場合には受信契約が必要であるということでございます。
 それから、オートロックのマンション、これについては管理人の方々の御理解をいただきながら中に入って契約をすることにしてございます。
 それから、長いことかかって契約にこぎつけた場合のことでございますが、いっ受信機を設置したか、その設置したときから受信契約をいただくということになっております。ただ、客観的にはなかなか判断できないものですから、御本人と話し合いをさせていただいて決めさせていただいているということになっております。
 二世帯住宅、受信契約は世帯ごとでございまして、したがって二世帯住宅の場合に独立して生計を立てていれば、つまり財布が別だということであれば別の受信契約になりますし、生計をともにしているという場合には一つでございます。
○西川玲子君 ありがとうございました。これからいろいろ突っ込んだ質問をしたいと思ったんですけれども、時間が来てしまいました。
 NHKは、これからも不偏不党を守り続けていただきたいし、国民に愛される番組をつくっていただきたい。私は、これをNHKに期待しまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 本当にありがとうございました。
○小林元君 平成会の小林元でございます。
 この七月に上げさせていただきました新人議員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 一昨日、NHKの放送センターを視察させていただきまして、まことにありがとうございました。NHKホールの方には何度か行ったことがあるんでございますが、中の方を見ましたのは初めてでございまして、大変びっくりいたしました。
 そこで、これからの放送といいますかテレビといいますか、大変大事なメディアでございますし、それからまた公共放送といいますか、一般放送事業者とは違いまして、公共放送としての重い任務があるということを先ほど来重ね重ね聞いたわけでございます。
 ことしはNHKの七十周年という記念すべき年でございまして、本来であれば大変お祝いを申し上げたいと思うわけでございます。しかし、ことしは大変な年でございまして、正月早々に阪神・淡路の大震災があり、あるいはサリン事件、オウム事件、そしてまた最近では沖縄の痛ましい少女暴行事件などもございました。そういう中で、本当に公共放送としての使命、役割、大変な御苦労をされているんではないかとつくづく感じておる次第でございます。
 放送法の中でも、最初に放送事業者の使命といいますか、いろいろ書かれておりますし、またNHKにつきましては第七条で四つのことが書かれております。そしてまた、第九条の「業務」の中でも第一項に三つのことが書かれております。順序がちょっと逆でございますけれども、公共的な使命ということで国際放送を唯一担当されているというふうに理解してもいいのかなと思っております。
 私、茨城県の出身でございます。我が茨城県は国際放送と大変深い関係がございます。もう私から申し上げるまでもないと思いますが、実は短波国際放送、七十年の歴史の中で、ことしは六十年になるわけでございましょうか、茨城県の三和町のKDDの八俣送信所から放送を発信されているわけでございまして、その前の名崎送信所も茨城県でございまして、昭和十年六月に海外放送が開始をされたということで、茨城県からは今も国際放送を放送し続けているというような状況でございます。
 また、昭和三十九年の東京オリンピックの国際中継の際、当時オリンピック宇宙中継というような言葉が使われたと思いますが、これも茨城県鹿嶋市にございます郵政省の電波研究所、現在の通信総合研究所鹿嶋支所でございましょうか、そこからシンコム衛星を使って行われた。さらにまた、リレー衛星による初の日米間のテレビ中継、ケネディ大統領の暗殺の悲報という大変な第一報になったわけでございますが、それを日本で受けたのは十王町にありますKDDの茨城衛星通信所でございます。
 ことし四月から始められましたNHKによるテレビ国際放送につきましても、この茨城衛星通信所から太平洋上のPAS−2を通じまして送られているわけでございます。私も、選挙の期間中すぐわきを通ったり、あるいは以前にも県の職員をしていたものですから、何度がお邪魔をして中も見せてもらったこともございますが、大変関係が深いというようなことで、逓信委員になったことにつきまして本当の御縁がなというふうに感じているわけでございます。我が県の宣伝ばかりしまして恐縮でございます。
 ところで、日本の放送はNHKとそして民放の二本立てになっておりまして、事国際放送に関しましてはNHKのみが本来業務として行っているというようなことでございます。
 そこで、NHKが我が国を代表する国際放送機関としまして国際放送を行っております理由につきまして、NHKの会長さんから所信をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) まず、茨城県の皆さんに基地をお貸しいただいていることを本当に心からお礼申し上げます。ありがとうございます。
 今、先生おっしゃられたように、昭和十年にラジオの短波の国際放送が始まっておりますけれども、国際放送というのは、国営と、それから私どものような特殊法人がやっている放送と、大体二つに分けられると思います。ロシアとか中国とか、あるいはアメリカのVOAもそうですが、大体国が経営している、お金を出しているというふうな形での運営が一つあります。それから、イギリスのBBCというのはNHKのような公共企業体ですが、これがイギリスの国際放送を担当している、そういう形をとっております。
 NHKは昭和十年から国際放送というものを自分の業務としてやっておりますが、これは世界に向かってその国の情報をお知らせするという役目と、それからその国を通して世界的な情報あるいは地域的な情報をお知らせするという二通りの目的がありまして、それについてもやっぱりBBCとかNHKとか、いわゆる信用のある企業体がやった方がいいだろうという解釈をされたものだというふうに私は受けとめております。
 現在は二十二カ国の言葉を使いまして一日六十五時間の放送をやっておりますから、規模としては世界では大体九番目ぐらいの規模になりました。今後とも、短波の需要はなかなかなくなりませんから、この規模で続けていくつもりでございます。
 一方、四月から映像による国際放送を実施いたしまして、現在は北米、アメリカ方面と、それからヨーロッパの西の方に対して映像国際放送を行っておりますが、今は常時在住している日本人が世界に七十万人ぐらいいるというふうに考えられます。それから、年間に千三百万から千四百万ぐらいの旅行者がいるというふうに考えられますので、その方々にとってテレビの映像国際放送は非常に大きな効力を発揮しているということが言えます。多くの方々から非常に頼りになったというふうなお手紙などをいただいております。
 そういう状況で、今後、NHKがみずからに課せられた任務として、国際放送を映像それから短波両方とも実施をしていきたいというふうに思っております。
○小林元君 今お話がございましたが、NHKが行っている国際放送につきまして、番組の編集の基準から見ましても、これは法律の四十四条の四項に書いてありますが、それによりますと、外国に対する日本紹介、そして、今お話がございましたが、海外にいる日本人への適切な情報を提供する、そういう二つの目的、趣旨がございます。言論機関でございますNHKに対しまして郵政大臣が国際放送を命令することができる、これは放送法の三十三条に定められておりますが、この二つの目的がありまして、日本の対外政策の一環を担っているから国際放送があるというふうに考えております。
 平成七年度の国際放送の実施命令書を見せていただいたわけでございますけれども、これによりますと、従来どおりの短波による国際放送に限られた命令の内容となっているようでございます。本年四月からテレビ国際放送が始まったわけでございますが、これに対しましては、ただいま会長からもお話がありましたように、NHKの自主番組といいますか自主努力でおやりになっているというふうに受けとめたわけでございます。
 これはもう既に御承知かと思いますが、世界の中で日本に対するいろいろな角度からの期待感といいますか、ODAはもちろんでございますが、そういうことがございますけれども、一方でなかなか日本のことを理解していただけないというようなこともございますので、やはり正しく日本を理解していただく、そういうことが国際的な貢献の中で非常に重要な役割ではないかというふうに思っております。
 したがいまして、やはりこれからテレビ国際放送を続けるにしても、この実施命令といいますか、そういうものをお出しになって明確に位置づけをすべきではないか。むやみやたらに、いわゆるコマーシャルというんでしょうか政府広報というんでしょうか、そういう形ではなくて、真に国際的な理解が得られるというような形でやるということには決して力を惜しむ必要はないんではないかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
○政府委員(楠田修司君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますが、我が国のこれまでの短波国際放送というのは、NHKの自主放送と国の命令放送ということの二本立てでやっております。
 先生御指摘のように、命令書の中では、時事とか国の重要な政策あるいは国際問題に対する政府の見解というものをNHKの国際番組と一体として放送していただくということでこれまで進めてまいっているわけであります。
 ところで、新たに映像の国際放送というものが出てきておるわけで、NHKでも既に映像の国際放送を逐次始めていただいておりますが、まだ映像の国際放送につきましては実績が十分にない分野であるということから、国が命令により実施させる必要性の判断というものを行うに当たりまして、NHKの自主的な当該業務の実施状況、例えば受信状況、視聴者からの反応あるいは実施に関する費用、それから日本以外の諸外国の映像の実施状況、それから短波との役割分担、こういうようなものを踏まえる必要があるというふうに思っております。
 このため、平成七年度以降の当分の間は、NHKの自主的な当該業務の実施状況を見守っていきたいというふうに考えております。今申し上げましたような点が明らかになった時点におきまして、映像放送に対する実施命令というものにつきまして判断していきたいというふうに現在考えているところでございます。
○小林元君 今お答えがありましたけれども、業務報告書に添付する監事さんの意見書、これは平成五年度分も含めまして、毎年のように国際放送の交付金の増額を図るというようなことを求めております。また、国会の附帯決議におきましても交付金の増額という、そこまでは言っておりませんけれども、交付金の確保というようなことが求められております。また、今回の附帯決議におきましても同様に交付金の確保ということを求めておりまして、この附帯決議に対しまして歴代の郵政大臣は「今後の放送行政を進めるに当たり御趣旨を十分に尊重してまいりたい」、またNHK会長は「協会経営の根幹をなすもの」とまでおっしゃっております。
 しかし、残念ながら、現在の政府交付金の割合は、十年前、昭和六十年でございますか、四十八億円に対しまして十二億四千万、平成五年度決算によりますと九十四億二千四百万に対して十七億八千六百万、額はふえているように見えるわけでございますが、その割合を見ますと二五%から現在は二〇%を割っているというような状況でございます。
 いろんな諸般の事情は今伺いました。テレビ国際放送の実績といいますか反応といいますか、進捗状況、そういうものを見ながらこれから考えていくというようなお話があったわけでございますが、法律の規定に基づいて添えられている監事の意見書、国会の決議、こういうものをどうも軽視しているんではないか。ですから、その辺の努力の状況なり、どうしてこういうふうに割合が減ってきているのか、理由があればお伺いをしたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 命令放送の交付金でございますけれども、先生御指摘のように、昭和六十一年度ですと国際放送関係経費全般に占める割合が当時二四・八%でございました。それが平成五年度になりますと一九%になっております。
 最近の状況を申し上げますと、平成七年度は十八億六千五百万でありまして、アセンション中継局というものの利用によりますアフリカ中西部地域の受信改善を図るということで対前年度六千百万円の増になったということで、ずっとパーセントは落ちておりますが、平成七年度は上がったという状況になっております。
 ただ、こういうふうに全体として国際関係経費が昔に比べまして比率が落ちておることは事実であります。我々としては最大限努力する所存でありますが、一方で政府予算のシーリング等いろいろ厳しい状況がありまして苦心をしておるところであります。今後、映像放送等非常に重要性を増してまいりますので、必要な交付金を確保するようにできるだけ努力したいというふうに考えております。
○小林元君 今いろいろお伺いして、いろんな事情はあろうかと思います。例えば、日本と同様に受信料制度を採用しておりますイギリスのBBC放送の場合におきまして、国際放送業務の収入はほとんど国の交付金で賄われている。これは、NHKのデータブックによりますと、BBCの国際放送のほとんどが国の負担金で賄われているというような状況がございます。
 したがいまして、これから世界的にも映像の時代になる、あるいはことし四月から始められました、先ほど来申し上げておりますように、テレビ国際放送も拡充をしていくというようなNHKの考えもあるわけでございます。世界的な水準、時代の要請などを十分に踏まえまして、これからの国際放送のあり方につきまして国として積極的に取り組むべきではないかというふうに思う次第でございます。
 もちろん、文化の侵略といいますか、一方的な宣伝というんではなくて、正しく理解をしてもらうというような方針のもとで、財源対策等も含めまして抜本的な検討を行う時期に来ているんではないか。郵政大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 繰り返しの御答弁になるかもしれませんが、現在、国際放送はNHKのみに短波及び映像でやっていただいており、非常に大きな役割を果たしていただいております。本年より北米、欧州におきまして映像国際放送を始められた。かつアジアの方へも、アジアの放送機関に番組を提供しておられて、非常に大きな役割を果たしていただいております。
 国の命令放送との関係でいろいろと検討すべきではないかという御指摘でございます。現在のところ、我々としては、命令放送の予算をNHKの方へお渡しいたしまして、その範囲内で国のお願いする放送をやっていただきたいという仕組みで今のところやっておるわけでございまして、今後ともそういう方向でやってまいりたいということで御承知願いたいと思うわけであります。
○小林元君 先ほど来繰り返し申し上げておりますが、これ以上申し上げませんが、国際放送の重要性について大臣も十分認識されておると思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから次に、学校放送といいますか教育番組といいましょうか、午前中もいろいろ議論が出ましたし、ただいまも西川委員からもいろいろお話が出ました。
 学校放送が始まってから六十周年になります。そして、教育テレビが開局して三十五周年というような状況でございます。NHKは、先ほど来の御議論にもありましたが、公共放送としての役割を十分に認識されまして、教育の推進に大きな力を発揮されてきたんではないかというふうに高く評価をいたしておりますし、また私も教育の現場に携わっておりましたので、その一人として心から敬意を表する次第でございます。
 現在の番組編成におきましても、これはテレビ免許の際の条件にもなっているのかもしれませんが、それにいたしましても教育テレビが八一%、あるいは第二放送の方でも六七%、非常に高い比率で放送されているわけでございます。
 もちろん、教育問題につきましては、先ほど来会長さんもいろいろお話がございましたけれども、学校だけでこれをすべてやるんだというような状況にはございません。時代の変化に伴っていろいろと学校教育をめぐる状況も変わっておりますし、学校放送をめぐる状況も大変変わってきております。この中長期方針の資料編の中を見ますと、意向調査によりますと、教育テレビは学校の授業に貢献をしているというふうに四三%の方が評価をされております。学校の中で、以前はテレビを見る、そして教育番組を教室で見るというようなことが非常に珍しかったといいますか、時代はもうとっくに過ぎたわけでございますが、NHK自身としまして、学校の授業にどのように利用されているのか、あるいは学校の中でどのように使われているか、どのように把握しておりますか。その辺の状況を知らせていただければと思います。
○参考人(齊藤曉君) まず、どういうふうに利用されているかということからお答えしたいと思います。
 学校では、授業の内容に沿って番組を視聴しまして、そして教師の支援を受けながら子供たち自身が自分たちで課題を見つけて解決していくという利用のされ方であります。平成六年度の調査の結果がございますが、テレビの利用率は、幼稚園が半分強の五六・八%、保育所ではこれをさらに上回っておりまして六九・〇%、小学校はさらに高くて九四・二%、中学校の方は三六・九、高等学校が四三・一〇、こういった利用状況でございます。
 それから、利用状況をどういうふうに把握するかという点で若干申し上げますが、二年に一回NHKの放送文化研究所が、全国学校総覧というのがございますけれども、ここから幼稚園、保育所、それから小中高、学校全部合わせまして合計五千校を無作為に抽出しまして、各番組ごとに利用状況の調査、把握に努めているということでございます。
 それから、学校放送につきましては、実際の学校現場が学校放送にどういう印象を持って、どういう要望を持っているか、それをどういうふうに反映するかというのが大事でございますけれども、このために、まず一つは現場の教師を招きまして、年二回、全国八ブロックでの教育放送企画検討会議・ブロック会議と、それから東京の教育放送企画検討会議・全体会議、こういったものを開催いたしまして、基本的な計画にその要望を反映させているということでございます。
 それからもう一方では、毎年一回、現場教師の研究組織であります全国放送教育研究会連盟とともに放送教育研究会全国大会を開催しておりますほか、各番組ごとに現場の教師、教育学者、文部省の係官、それから制作者で構成いたします番組委員会というのを設置しまして、年間計画あるいは各学期ごとの個別の番組内容についても話し合っております。
 以上でございます。
○小林元君 現在、不況が長引いておりまして、産業の空洞化、あるいは失業率が三・二%を超えるというような中で、大臣の所信表明にもございましたが、新産業の創出、特にメディア関連の産業などにつきまして大きな期待がかかっているわけでございます。
 そして、今本当に二十一世紀はマルチメディアの時代だ、高度情報化社会だというふうに言われているわけでございますが、教育の現場から日本の将来を考えますと、子供たちの算数嫌いといいましょうか、あるいは高校から大学にかけましていわゆる理工系離れというようなことが大変心配をされているわけでございます。理数系はともかく積み重ねの勉強が大切であるというようなことでございまして、壁に突き当たってしまうとなかなか先へ進めない、進まなくなってしまう。それが算数はどうしても嫌いだ、理科嫌いだというようなことになってしまうわけでございます。
 今国会で科学技術基本法が通りましたけれども、日本はまさに科学技術立国を目指している中で、理工系離れというものを何とか防ぎ、興味、関心を喚起させることが非常に大事ではないか。これは、もちろん教育問題といいますか、文部省が考えるべき問題かもしれませんが、NHKでもいろいろと取り上げておられるようでございまして、「クローズアップ現代」の中ですとかあるいは「新・電子立国」でございましょうか、そういうものの中でありますとか、あるいは子供向けの「算数ぎらい大集合」というような番組もつくられているのは承知しておりますけれども、小学校低学年向けの教育番組としましては多いというような状況の中で、なかなか難しいと思うんでございますが、中学あるいは高校向けのよい番組ができないものか。このいわゆる理工系離れというようなものに対しまして積極的に取り組んでもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○参考人(齊藤曉君) かたいあるいは難しい、なじみにくい、理工系の番組はそういうイメージがつきまとうんですが、放送ではとにかくおもしろい、関心を持ちやすい、そういう角度から番組づくりを心がけております。
 理科的な考え方を育てる学校放送番組としましては、不思議な現象あるいはふだん見ることのできないもの、こういったものを見せて、関心を呼びながら、常に子供たちに感動を与えながら楽しく学習してもらう、そういうことを目指しております。この辺は理工系離れを防ぐ対策としては十分役に立っているんではないかなというふうに思っております。
 平成七年度は、子供たちが理科に親しめる番組といたしまして、「やってみようなんでも実験」、こういった番組も新たに開発しました。それから、特にハイビジョンを利用した番組でございますけれども、最新の技術を生かしまして「ハイビジョン電視科学館」を制作しまして、新しい表現といいますか、精密な画像を生かして、ハイビジョンが科学番組に非常に新しい分野を開拓できるという特性を生かしまして高品質な理科番組を目指しております。
 中学校、高校につきましても、「ステップ&ジャンプ」というタイトルで物理、化学、生物、地学とか、この辺も力を入れてやっております。
 以上でございます。
○小林元君 NHKの方からもデータをいただいたんですけれども、それによりますと、我々逆だと思っていたんですが、これ平成五年度の実績のようでございますが、いわゆる学校放送番組の中で理科系の番組が三二%、総合といいますか区分がなかなか難しいものが二三%、文科系が四四%というような状況になっております。
 確かに、歴史とか地理とか音楽とか芸術とか、そういう番組は非常につくりやすいんだろうと思うんですけれども、もう少し理科系というような番組につきましてうまいつくり方がないものか。学校番組の委員会というようなものもあるようでございますので、その辺で御議論をいただきまして、どうかよい番組をつくっていただければ大変ありがたいというふうに思います。御要望をいたします。
 それから、学校放送、教育番組の中を見てみますと、いわゆる再放送というんでしょうか、そういう番組がかなり多いような、今はいわゆるリアルタイムでなくても、ビデオを幾らでも撮れるわけでございますから、再放送をするというようなことはなくてもいいのかなと思うんです。授業時間でリアルで使うというのは余りないと思うんですけれども、その辺のいわゆる再放送の基準というんでしょうか、何かそういうものがNHKとしておありなのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 各学校の科目の時間表といいますか、これは学校によってそれぞれかなり違うわけでございます。そういう意味では、視聴の機会をより多く確保してもらうということで、曜日や放送時間を変えて編成しまして、それによって教育現場の方の利用しやすい状況をつくるということにいたしております。それから、現場の方でもまた最近VTRの利用がかなりふえております。ただ、小学校では現在でも八〇%近くが生で利用している、放送時間に合わせて授業を行っているということでございます。
○小林元君 どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
 教育テレビといいますかスポーツ番組というんでしょうか、特にアマチュアスポーツの番組につきましてお伺いをしたいと思います。
 先ほど来、二〇〇二年のワールドカップサッカーとか、あるいは高校野球とか大相撲というのがメーンというようなお話がございました。確かに、視聴率といいますか、そういう関心を呼ぶ、スポーツというよりはイベントというような意味合いの方があるいは強いかと思いますが、いずれにしましても、放送波別の放送時間量を見ますとスポーツ番組というものは大変多いわけでございます。
 例えば、衛星第一、BS1で二千二百五十時間近い、それから総合テレビでも七百時間、しかし教育テレビでは案外少なくて百七十三時間というようなことで、これは六年度の数字でございますが、大型スポーツの集中編成に積極的に取り組むというような放送番組編集の計画がある結果がなというふうに考えております。
 そういう方はあれとしまして、むしろスポーツが持っておりますいわゆるスポーツの振興というんでしょうか、特に健康づくりというんでしょうか、イベントというよりはそういう観点が国民皆スポーツというようなことで言われているわけでございます。
 例えば、国体というのは競技大会のレベルとしては必ずしもトップレベルではないかもしれません。しかし、三十九種目で三万人が参加しているというような現実がございます。それから、競技のレベルはとにかくとして、これから世界で活躍する著名な選手が出てくる、あるいはその中に既にもうオリンピックの選手がいるというような状況の全国高校総合体育大会というのがございます。インターハイと言われているわけでございますが、三十二種目で実に四万三千人が参加しているわけでございます。さらにまた、インターミドル、全国の中学校体育大会もやはり二万人以上参加をしているということでございまして、そういう多数の選手が参加しております。
 中には競技人口が非常に少ないスポーツをやっている選手もあるわけでございます。それはそれで一生懸命汗をかいてやっているわけでございまして、やはりそういう国民になかなか注目されないようなスポーツにつきましても、NHKでもいわゆるスポーツ教室というようなものを通して新しい種目のスポーツですとか、いろんな御紹介があるのは承知をしております。例えばインターハイ、国体にしましても、大体四十種目、三十種目の中で九種目、時間数でも十四時間程度の中継放送というような状況でございまして、もっと何か工夫ができないのかなというような感じを持っております。
 また、よく話題になることがあったと思いますが、定時制の大会ですとか、あるいは盲学校、聾学校の全国の大会ですとか、あるいはパラリンピックといいますか、これは放送上いろいろ問題があるのは十分承知をしておりますけれども、身体障害者のスポーツ大会などにつきましてももっと目を向けていただければなというふうに思っております。
 そういうことで、その辺の取り上げ方、考え方といいますか、あるいは取り上げるアマチュアスポーツといいますか、一般のそういうスポーツについての何か考え方、基準等がありましたらお聞かせをいただければと思います。
○参考人(齊藤曉君) アマチュアスポーツをやはりきちんと適宜取り上げるというのはNHKにとって大事なことだとは思っております。
 ちょっと具体的な数字をもう少し申し上げますと、平成七年度の中学体育大会、高校総体、それから国体、この三つの放送実績は次のようになっております。
 中学体育大会、これは四競技、陸上、水泳、サッカー、相撲でございますが、合わせて六時間、高校総体、これが開会式を初めとして陸上、相撲、剣道等、七競技ございますが、放送時間は合計で十四時間三十分、それから国民体育大会、これは開会式、閉会式、それから競技が十二競技、各種ございますが、全部合わせまして二十四時間十九分、こういった取り組みが現状でございます。
 アマチュアスポーツ全体に関しましては、今申し上げた三つの大会のほかに、アマチュアスポーツの普及促進という観点から、一つの競技につきまして原則的には少なくとも全日本選手権については放送をするようには努めているということでございます。
 全般的にもっとふやすべきではないかというお話でございますが、ほかの番組との編成の兼ね合いといいますかバランスもございますので、アマチュアスポーツの放送としては一応現状程度で推移していくのが望ましいんではないかというふうに私どもは考えております。
○小林元君 ただいまのお答えでございますけれども、やはり一生懸命いろんな種目で汗をかいている選手がございます。これはやはり国民のスポーツを振興する上で、非常に競技人口は少ないんでございますが、同じ汗をかいているわけでございますので、どうぞよろしく御理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、先ほど来お話がありましたが、現在、教育を取り巻く諸問題というのは非常に大変な状況でございます。いじめ、不登校というような問題はもちろんでありますが、社会経済の大きな変革といいますか、改革が求められている中で、教育も例外ではないわけでございます。そして、画一的な教育のあり方、あるいは知識量を競うような偏差値教育といいますか、そういうものをやはり改革して、個性を伸ばす、創造力を育てる、そして豊かな人間形成などの方向が求められていることは御承知のとおりでございます。
 これは、もちろん教育問題でございますので、国といいますか文部省がおのずから国を挙げて考えるべきことでございますけれども、NHKにつきまして、民放は一波が原則に対して、地上テレビ二チャンネル、あるいは中波ラジオでも二波、そして衛星放送につきましても二チャンネルというようなことで、どちらかといいますとその一波につきましては学校放送といいますか、教育放送、教育番組というようなものに貢献をしてきた実績があるからだというふうに考えております。
 もちろん、これからディジタル、多メディア化の方向に向かっておりまして、経営の問題もございますからいろいろあると思いますけれども、やはり公共放送の役割を考えますと、そういう教育といいますか生涯学習といいますか、そういうことは不可欠な問題でありまして、やはりこれから大いに取り上げていただきたいと思う次第でございます。
 そういう教育の方向を踏まえまして、第二チャンネルの意義、あるいは放送教育のあり方につきましてどう考えておられるのか、会長さんにお伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 今、放送界に日本では民放とNHKの併存状態というのがありまして、これが非常にうまくいっている世界でも希有な例だというふうに言われます。私もそう思います。
 大体系列的に言うと民放が五波で、NHKが衛星を含めると四波持っていますけれども、この二つの形がきちんと併存しているというのは世界でも珍しいのでございまして、その中でNHKがきちんとみずからの役割を自覚して、そしてその効果を発揮すれば一番いい形ではないだろうかなと思います。
 それでは、NHKがやるべき放送とは何かということになりますが、私は少なくとも次の六つの条件は必ず備えなければいけないものだというふうに思っております。
 一つは、緊急報道において、NHKはいわゆる指定公共機関という形になっておりまして、国民の財産、生命を守るためにまず緊急報道に徹するという大使命がございますので、これは片時も忘れてはいけないと思うんです。
 その次には、内外の情報というものを的確にお知らせする、世界の政治、経済ないしは社会の動きというものを的確にお知らせする義務がございます。
 三番目に、教育放送と私はあえて申し上げますが、NHKの持っている力を教育の場で生かすということをやる必要があるのではないかというぐあいに思います。これが三番目。
 四番目が国際放送でございます。先生先ほどからおっしゃるように、現在の情勢からすると、国際放送はもっと映像、音声ともに充実させなければいけないものだというぐあいに認識をしております。
 それから、五番目がマイノリティーサービスでありまして、障害者を含む少数者のためにNHKの放送はお役に立ちたいということがございます。
 そして、これらをひっくるめて最後に、豊かな内容、豊かな放送というものを提供するんだということで、この中には、当然のことながら、調和のある放送として教養関係の番組ですとかあるいは深い内容の娯楽のようなものも当然入ってくると思います。
 こういう六つの分野できちんとNHKがその役割を果たすということで、民放、NHK併存状態の日本の放送の位置づけが非常に高くなるんではないだろうか、そのために努力をしたいというふうに思っております。
○小林元君 終わります。
○松前達郎君 平成五年度のNHK決算に関しましては比較的順調な経営であるというふうに考えていいと思います。これに関しましては既に各委員からいろいろと質問がございましたから、私からはその点よりも具体的な問題について質問をさせていただきたいと思います。NHKの日ごろの御努力にまず敬意を表したいと思います。
 さてそこで、十一月八日、昨日ですが、参議院の本会議で二本の議員立法が可決成立しているわけであります。そのうちの一本、これは高齢社会対策基本法、それからもう一つが科学技術基本法、この二本なのでありますけれども、聞くところによりますと、NHKの五時のニュースなんですが、高齢社会対策基本法については趣旨と成立の報道があった。ところが、科学技術基本法についてはなかった。そしてまた、九時のニュースにもなかった、科学技術の方ですね。こういうことを伺ったんですが、もしかそうだとしますと、非常に不可解な気がするわけでありますが、何か特別にそれは理由があったんでしょうか。まず、それをお聞きいたしたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 先生のおっしゃるとおり、この二法案がいずれも議員立法という形で成立いたしましたことは承知しております。
 この二つの法案のうち、高齢社会対策基本法案でございますけれども、これは参議院の国民生活に関する調査会が初めて独自に法案として国会に提出した法案でありまして、また参議院の調査会が参議院政車の一環としまして、長期的な視点から政策を研究するという目線で設置されました三つの調査会の一つであるということなどから、最終的なニュース判断としてこれを放送したものでございます。
 もとより、科学技術基本法案、これとても軽視したものではございませんで、今後とも基本法にかかわる行政の動きなどにつきましては綿密に取材をしていきたいというふうには考えております。
○松前達郎君 科学技術基本法なんですが、これは非常に重要な法案だと思うんです。恐らく、これは相当長い間かかって練り上げられてきた法律だと思うんです。しかも、議員立法。先ほどの高齢社会対策基本法も議員立法で全く同じなんですね。その点、ひとつ今後注意をしていただきたいと思います。
 科学技術基本法そのものは行政がとるべき施策について述べたものなんです。これについてはもう御存じだと思いますが、とりわけその中で、科学技術の振興について、人間の生活、社会及び自然との調和を図るということ、これが盛り込まれておりますし、また自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要である、ですから、両者の調和のとれた発展について留意しなければならない、こういうこともあるわけであります。新しい文明社会といいますか、これの構築に向かっての第一歩だろうと私は理解をしているわけでございます。
 精神文明と物質文明といいますか、その二つの調和ということをここでうたってあるわけですから、先ほど大臣も同じような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、こういうことも内容的にも十分理解をしていただいて、ぜひ国民の皆さんに知っていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 そこで、国の施策としての指針なんですが、この法律ですね。公共放送であるNHKとして全然関係ないということはないんだろうと私は思うんです。先ほど来、いろいろと教育番組の問題が質問の中にもございました。とりわけ、その中でも理工系離れといいますか、こういった問題についてのお話もあったわけであります。
 科学技術基本法で盛り込んでおりますのは、「青少年をはじめ広く国民があらゆる機会を通じて科学技術に対する理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における科学技術に関する学習の振興並びに科学技術に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずる」、これで結んであるわけなんです。
 こうなりますと、やはりNHKの報道――報道といいますか放送としての番組も多少これとの関連を持ってくるだろうと私は思います。
 そこで、私もいろいろと番組を拝見しているんですが、私自身科学技術の方をやった者として、特に私が興味を持ってきたのは、「NHKスペシャル」というのがあります。特別番組と言ってもいいでしょうが、ユニークな科学番組が今まで放送されてきたわけなんです。
 それからもう一つは、高等学校の教育番組だと思いますが、物理とか化学とか数学、いろいろあると思いますが、これも非常におもしろいんです。やはり、見ている人が興味を持たなきゃ何にも意味がないので、そういった興味を持たせるような手法を使いながら放送が展開されている、私はこれについては高く評価したいと思うんです。
 それともう一つは、今度、そこに出演というんですか、先生で出ておられる方、出演者と言っていいんでしょうけれども、この方のやはり教え方といいますか、これはシナリオに書いてあるので、そこで工夫して突然変えることもできないと思いますが、これもまた問題だと思うんです。教育というのは、一方的にしゃべってしまえばそれで終わりかというとそうじゃなくて、吸収されなきゃ話にならない、考えさせなきゃ話にならない、こういうことでありますから、出演者の選択も十分考えなきゃいけないだろうと思うんです。
 ちょっと余談になりますが、私のところの教育機関に秋山仁という人がいるんですが、この人は格好もちょっと変わっているんですけれども言うこともなかなかおもしろい。数学嫌いの若者が聞くと一遍で数学が好きになるんだと、本人はそう言っているんですが、本当にそうなるかどうかわかりません。一緒に歩いていますと、子供たちは私のところへ来ないで彼のところにはかり行くんですね。ある意味ではタレント的な要素もあるんだろうと思っておりますが、これはちょっと余談であります。
 やはり教育は、吸収をされていく、相手が興味を持つということ、これが必要だと思いますので、とりわけ先ほどお話がありました理工系、数学というと私も昔大嫌いだったんですが、こういったものに対して若い人たちに興味を持たせるような努力をする必要があるのではないか。これがさっきの科学技術基本法の第十九条に挙げてあるわけであります。ひとつ御努力いただければと思います。その点について、いかがでしょうか。
○参考人(齊藤曉君) 二十世紀が終わって二十一世紀が間近というときに当たりまして、私どももこれからは先へ向けての番組づくりということに重点を移していきたいと思っておりますが、そういう意味では、これからの科学技術の発展あるいは高齢化社会に向けてのいろんな取り組みということは非常に重要であろうということは重々認識しております。
 結果として高齢社会対策基本法案をニュースとして扱いましたけれども、先ほども申し上げましたが、今後も綿密な取材をいたしまして、その辺十分目配りをしながら、放送、ニュースに取り上げたいというふうに思っております。
○松前達郎君 それで、これは申し上げる必要もないんですが、先ほどもお触れになったんですが、放送法で「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように」というふうになっていますね。その後で「良い放送番組」と、これちょっとよくわからないんですね、僕は。「良い」という意味がどういう意味がわからないんですが、国内放送をそういうことで行うんだと。
 それからさらに、あまねく全国において受信できるように措置しろ、こういうことが書いてあるんですが、現在、NHKの放送で受信できない難視聴世帯がどのぐらいあるのか。これ簡単で結構です。また、一年間にどのくらいの難視聴が解消されたのか。その点、ひとつ説明をしていただければありがたいと思います。
○参考人(菅野洋史君) NHKの放送が聞こえないというか聞けないというか、あるいは見れない、そういう難視聴地域というところは全国に小規模な形で散在しておるわけでございます。
 平成二年度、三年度に行われました郵政省による辺地におけるテレビジョン放送の難視聴実態調査の結果によりますれば、NHKの全国難視聴地域内世帯数は約四十万世帯となっております。そのうち、共同受信施設やあるいは性能のよい受信設備の設置等によりましてはぼ良好な画質で受信している世帯が多数ございまして、地上放送が不満足な画質の世帯、いわゆる難視聴世帯でございますが、これは約七万世帯と推定されております。
 全国に散在するこれら難視聴地域については、衛星放送により改善することとし、このため、置局などによる計画的な難視聴解消は昭和五十八年度で終了しているものでございます。衛星放送の普及による改善という観点でいえば、難視聴地域約七万世帯のうち、現在までに約二万世帯程度が衛星放送を受信していると推定しております。
○松前達郎君 これも大分時間がたってきて、いつもこういう問題が取り上げられてくるんですが、ひとつ今後もさらなる努力をお願いしたいと思います。
 さて、次は国際放送なんですが、これも先ほど国内からの海外に向けての放送、これを中心としていろいろお話があったんですが、本委員会の及川委員長、同委員も一緒だったと思うんですが、九月にブラジルに行かれた。そのときの話を私、伺ったんです。
 南米のブラジルには日系の方が全部で百二十八万人ほどおられるわけです。これは日系です。それで、しかもそのうち百万人は東南部に住んでおられます。日系の方々にとって日本に関する情報を入手するということは祖国とを結ぶ心のきずなであろう、私はそう思うんですが、みずからに誇りと自信を持たす重要な役割も持っているのではないか。
 ところが、NHKの国際放送、ラジオ日本は短波ですね。再送信だと思いますが、世界に向けて放送を現在行っておられるわけなんです。南米向けの放送というのはギアナから再送信をされている。そのギアナからの再送信の指向性を見ますと、中米それから南米東部、南米西部、この三つの方向に向かって送信されているわけであります。
 ところが、現地の日系人あるいは日系新聞の記者の皆さんから、どうも聞こえないんだというお話があったというんですね。これはテープなどで配信をするというか、放送をごらんいただくというのとまた意味が違って、リアルタイムの問題ですから、これが一番重要だと思うんですけれども、聞こえないという声があったということを伺いました。
 地上波の場合は、距離によってはスキップがありますから余り近いところは聞こえないかもしれませんが、ギアナからリオデジャネイロとかその辺は十分距離があるんでそういうことはないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。「日本の郵政」という本があるんです。これによりますと、送信方向が三方向であって、しかもその三つの方向の、扇のような方向、それのちょうど境目になるんですね、このサンパウロ、リオデジャネイロの地域が。ですから、あるいはそういうこともあるのかもしれませんが、この点についてNHKとして何か調査をされましたでしょうか。
○参考人(齊藤曉君) NHKでは、年々国際放送のサービスの拡充それから受信改善に取り組んできたわけですけれども、特に八俣送信所の整備あるいは海外中継放送の強化、こういったことのための条件整備を進めてきておるわけですが、そのことによりましてNHKの国際放送は一部の地域を除いて世界各地でおおむね良好な受信が可能という状態にはなっております。
 今、ブラジルについて御指摘がございましたけれども、この南米地域におきます国際放送の受信状況、これも一九八八年、ギアナの中継放送の開始によりまして飛躍的に受信状況は向上したというふうに考えております。モニター報告あるいは投書がございますが、ブラジルでの受信状況は年間を通じておおむね良好という報告を受けております。
 ただ、今も御指摘がございましたけれども、短波放送の持つ特性というのがございまして、電離層の状態によって他局と混信しやすい場合があったり、あるいは早朝など受信状態が不安定になったり、こういう受信状態が一時的に低下することがあるということでございます。
 そこで、いずれにしても受信しにくいという声があるという御指摘でございますので、現地に問い合わせまして、受信状況の実態に加えまして、周波数、放送時間等の周知がまず十分かどうかの調査を始めております。
 いずれにしても、調査を十分にいたしまして、その結果を見て対策を講じたいというふうに思っております。
○松前達郎君 その点、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つだけ質問させていただきますが、阪神・淡路大震災に関連して、地震などの災害に対するNHKの危機管理の問題です。
 ことしの一月の震災について、私、実は日本にいなくて、デンマークのコペンハーゲンで深夜にCNNで見たわけでありますが、非常に短い画面だったわけでありますが、映し出された映像はたしかNHKの神戸放送局が最初に映し出されたと思うんです。
 こういった問題は突如として起こったということだけで済まないんでありまして、やはりこれからも起こる可能性が幾らでもあるわけですから、これらについて発信不能の被害を受けたような場合もあると思いますが、こういったときのバックアップ体制、危機管理について、どういうお考えをお持ちでしょうか、これについて最後にお伺いします。
○参考人(森川脩一君) NHKは、先生今おっしゃいましたような突発的な大災害に備えるためにふだんから各種の施策を講じているわけでございますが、特に大災害、大震災の場合を考えてみますと、そういう場合に例えば放送が不可能になるというのは系統上二つ考えられまして、一つは番組をつくったりあるいはこれを送出したりする放送会館の設備が被害を受けるという放送会館の場合、それからもう一つは放送の電波を出します放送所、送信所でございますが、こっちが被害を受ける場合、この二つが考えられまして、NHKはそれぞれに対して必要な危機管理と申しますか、対策をとっています。
 まず、放送会館の設備が使えなくなったという場合には、NHKが部内で定めております災害対策規定というのがございまして、これによって被害を受けた放送局以外の局舎からバックアップして番組の送出を行う、送出に当たる、こういうことになっております。例えば、東京の放送センターが非常に大きな被害を受けて使えなくなってしまったという場合には、例えば大阪の放送局であるとかそれから仙台の放送局がこのかわりの役目を果たしまして、そこから番組を全国に送出していくということにしております。
 それから一方、放送所が使えなくなってしまった場合には、そのために我々のところはあらかじめ非常用の放送所あるいは全国に非常用の放送機材というものを配備してございまして、それによりまして迅速に電波を復旧させるということにしてございます。例えば、東京の場合にはテレビとラジオと両方の予備の放送所を設けておりまして、テレビはすぐこの近くの紀尾井町の予備放送所から電波が出ます。それから、ラジオの場合には、埼玉県の川口に予備放送所がございまして、ここから送信をする、こういう体制をとっております。
○松前達郎君 ありがとうございました。
○伊藤基隆君 社会党の伊藤でございます。
 本日の逓信委員会の質疑を午前中からお聞きしまして、大変多岐にわたった多方面からの質疑が行われました。マルチメディア時代ということが今言われておりまして、まさにマルチな発想がこの中で行われたというふうに興味深くお聞きしました。これから質疑をなさる方々の内容も大変期待されると思います。
 私は、そういう時代にあって、まず郵政大臣にお聞きしたいわけですが、ディジタル技術などの技術革新と相まって国民の情報ニーズの多様化が進んでいる、確かにそういう状況になっていると思います。大臣は、先ほどの御答弁の中で、生活、経済、文化に対するマルチメディア時代に対する期待というものと同時に、影の部分についても触れられました。そのことは非常に重要な視点であろうし、放送行政というものはそこを常に念頭に置いていかなければならないというふうに考えております。
 そうした中で、十一月七日に逓信委員会は都内の関係施設の見学を行いまして、通信・放送、それぞれの分野で情報メディアが多様化、高度化している実態をつぶさに見てまいりました。遠隔教育、遠隔医療、在宅ショッピング、電子郵便、電子新聞などの新しい動きが昨今新聞紙上で毎日のように報道されております。
 マルチメディア時代には映像情報が大きな価値を持つということは、私自身も実際に見て、また感じておるわけでございます。映像といえばすぐテレビ番組というところに認識が参ります。あるいは画像ということでしょうか。豊かな映像文化の形成にテレビの果たす役割は非常に大きいというふうに思っております。
 冒頭、大臣から、このようなマルチメディア時代における放送のあり方について、また特に基盤的技術であるディジタル化への取り組み姿勢について、どのような将来像を描いているか、またどのようにかじ取りをされようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(井上一成君) たびたび申し上げているわけですが、まさにマルチメディアの時代にもう入ったと言っても言い過ぎではなかろうと思うんです。それだけに、マルチメディアというのは考え方によればもろ刃の剣だとおっしゃられる方もたくさんいらっしゃるわけなんです。
 私は、だれもが、いつでも、どこででも、だれとでもコミュニケーションを持てる、そういう情報の民主化効果というんでしょうか、そういうものには一定の評価をし、またメリットがあると。反面、それが、取り残されてしまう、受けることができない、使うことができない、使えないといういわゆる情報弱者、これは放送だけにかかわらず、情報通信すべてを含めてマルチメディアの時代に取り残される、伊藤委員のおっしゃる影の部分というんでしょうか、そういうデメリットをやっぱり私はしっかりととらえていかなければならないし、そういう情報弱者を生むような状態に置いてはいけない、こういうふうに思うわけです。
 とりわけ、先ほどからも小林さんのときにも御議論がありましたけれども、西川さんの場合もそうでしたけれども、教育の問題。私は、さっき人間性の問題で心ということを強く強調いたしましたけれども、大量の情報が人間の判断能力を超えてしまう、そういう場合にはどうなっていくのかと。これは、特に成長期にある子供たちや、あるいは老齢化、高齢化社会を迎えた老人たちへの安心、安定への求めに応じられる、そういうものをつくり出していく。そういう状況に逆らうことのないように、やっぱり人間の本来持つべき人間性の問題を大事にしていかなきゃいけないということを、そういうところに留意をしなければいけないということを申し上げたわけであります。
 そして、さらにその判断までをテクノロジーに任せてしまうというか、テクノロジーに任せるとするならば、人間の本来持つべき主体性、自主性を失うことになるんではないか。そういう影の部分というか、そういう面をどうしても捨て切ることはできないし、そういうことを置き去りにしてはいけないと。それは、とりわけ公共放送、これはNHKにかかわらず、民放も含めて、資源の少ないというか、国民共有の財産という波を使った放送を通して、そういう問題に的確に私は認識を強めていかなければならない。
 先ほどから幾たびも申し上げましたように、精神面あるいは文化面でのアプローチを強く進めていくこと。同時に、それはもとより、技術開発は予想を上回った速さで進んでいるわけでありますけれども、そういう意味では、郵政はもとより、これは高度情報社会を推進していくという政府の方針として、総理を本部長に、各省庁、郵政と通産省の大臣は副本部長になってこの情報化社会をつくり出そうと、こういうことでありまして、そういう意味では私は、公共放送の持つ役割、そしてその影響、そしてどう対処していかなきゃいけないか、これは政府全体が、郵政省はマルチ省庁、もうすべて国民生活全体とかかわりを持った省庁だと自負しているわけなんです。
 だから、さっき国際放送のお話もありまして、担当の方から、政府委員から説明をさせましたけれども、アジアの地域に対しても一緒に共同で番組制作をしていこうではないか、そういう呼びかけもこれまた一つの国際交流あるいは相互理解、そして冒頭申し上げた広い視野に立っての将来への展望を持ったときにはぜひ必要な問題ではなかろうか。先ほど小林委員からの御質問に直接お答えができませんでしたけれども、今私はそういうことも御一緒に答えさせていただいているわけであります。
 そういうことで、短く言えば文化は常に文明のあるじでなければならない、こういうふうな認識のもとに、この情報通信、とりわけ放送というものを十分我々は強く公共性、公共の福利を優先して対応していかなければならないという強い自覚を持っていることも申し上げ、具体的な技術論については政府委員から答弁をいたさせます。
○伊藤基隆君 全体の将来像に対する大臣の所見をお伺いした上で、放送行政局長にお伺いします。
 放送の分野で、放送のディジタル化、衛星放送のマルチメディア化や、またはニュービジネスの振興策など、多くの行政課題が山積していると思います。そういうことについて、郵政省の当面の方針、方策についてお伺いいたします。
○政府委員(楠田修司君) 今後、映像、音声、データ等を自由に創造、加工するいわゆるマルチメディアの時代が到来するわけでありますが、これを実現するために、放送分野において最も基本的、共通的な技術がいわゆるディジタル化、ディジタル技術であるというふうに認識しております。
 そして、このようなディジタル技術を生かしまして、有線、無線を問わず、放送と通信が全体として整合性のとれた形で発展していくよう政策を推進していくということが重要な行政課題の一つであるというふうに認識しておるわけであります。
 このため、郵政省としましては、放送のディジタル化に対応した放送産業の環境整備を図るというふうな観点から、まず第一点としまして、すべてのメディアに共通したディジタル放送方式の策定、これは政府の仕事でございますので、これが一つございます。それから、近く予定されております衛星ディジタルの多チャンネル放送、これの円滑な導入に向けての環境の整備。それから第三点としまして、CATV、ケーブルテレビのディジタル化及びその光ファイバー化の一体的な促進。四番目としまして、将来の地上放送のディジタル化をにらみました放送技術の研究開発基盤の整備。こういう四点を積極的に推進してまいりたいと思います。
 また、近年、ディジタル技術の発展に伴いまして、放送と通信との融合、放送とコンピューターとの融合が進展しております。具体的なものとして、放送分野でも衛星データ放送あるいはFM多重放送等の新しいビジネスというものも出現しております。一番簡単なものでいいますと、文字の見えるラジオというようなものも出ておりますが、いろんなサービスが出てまいります。
 このようなものがひいては雇用の創出、あるいは豊かな国民生活につながるものというふうに考えておりまして、これらニュービジネスの展開にも積極的に対応してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○伊藤基隆君 ただいま郵政大臣また放送行政局長、行政の立場でマルチメディア時代における放送の分野のディジタル技術を初めとする技術革新、またはディジタル放送ソフトの開発などについて、さらにはニュービジネスの振興策についてもお伺いしました。
 さて、放送事業者としてのNHKにお伺いしますが、このマルチメディア時代、大きな変化が予測されます。十三日から十五日まで三夜連続で教育テレビでマルチメディア時代の放送があるようで、私もぜひ見たいと思っております。
 NHKには、大きな変化が予測される中で、今後、公共放送としてNHKの役割をどうとらえていくのか。公共放送の立場で先ほど松前委員から放送法七条について触れられました。「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良い放送番組」、「放送及びその受信の進歩発達に必要な業務」、ここは非常に重要なところだと思います。さらに「国際放送」、これが目的として掲げられております。そういう立場としてのNHKの役割、私は特に「放送及びその受信の進歩発達に必要な業務」というところに大きな関心を持っておるわけですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
 また、国民のニーズにこたえるためにどのような番組づくりをしようとしているか、技術革新と番組との相まった進め方についてお伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) これから二十一世紀にかけて大きな技術の革新が行われるということはもう当然であります。それが恐らくマルチメディアというものになっていくであろう、これまた当然の趨勢だと思っております。
 我々は、現在、放送は放送、通信は通信と分けて考えておりますけれども、これも将来は垣根がある程度非常に低くなってしまうような状況になるんではないか。そして現在、一方的に放送局側から視聴者の方に送り届けているものが、逆に視聴者の側から御要望があってそれにこたえるといういわゆるオン・ディマンドという形のもの、あるいは双方向のテレビ、ラジオというものが出現するであろう、これも恐らく間違いないところだと思います。
 そういう新しい時代に対して、ではNHKはどうするかというようなことでありますが、ここで私どもが今考えているのは、そういう時代の公共放送像というものをもう一遍つくり直そう、それで、きちんとした目標を持って新しい公共放送像に向かって邁進をしていこうというふうに思っております。そして、基本はやっぱり視聴者の側に置こう、視聴者がどういうサービスを欲しているのか、どのようなメディアであれというふうにNHKに望んでいるのかということを絶えず根本に置いてそのことを考えていこうというふうに思っています。
 現在でもそうですけれども、公共放送としては市場経済原理になじまない、つまり余りたくさんの人が見てくれない番組でもやらなければいけないものはやるという少数者向けのサービスを初めとして、たくさんの人がいろんな形で見ていただく、そういう多様策が欲しいと思いますが、多様であっただけではだめなんで、それが一つ一つ質の高いものでなければいけないというぐあいに思います。
 そして、けさほども技師長が言いましたけれども、いずれはディジタル技術というものを使って総合的にいろんな情報が一つの画面でごらんいただけるような統合ディジタルサービスというものを実施するのが一番いいんじゃないか、こう考えておりまして、そのための努力をこれから重ねてまいろうと思います。
 当然のことですが、現在の番組の編成だとか内容の演出だとか、そういうものについても大胆な組みかえを必要とする時代が当然来るという覚悟をしております。新しい時代に新しい公共放送像というものをつくり上げていくということを目指しております。
○伊藤基隆君 先ほどの大臣答弁と今の会長の答弁をお聞きしまして、特にマルチメディアに向かって新たな方向を公共放送として築かなきゃならないという御答弁をいただきました。御答弁というよりは方針をお伺いしたというふうに思います。
 特に、会長が申された視聴者中心というところは非常に重要であろうかと思います。マルチメディアの影の部分について大臣が触れられたことも今後非常に重要な課題になっていくわけですが、余りにもの技術革新の進捗によってコミュニケーションクラッシュというのが社会的に起こったら何のための技術革新かということになります。特に、ディジタルということについてはほとんどの人が理解しておりません。なぜディジタルが0と1でそうなるのかということがわかっておりません。そういうところから出てくるさまざまなメディアというものに対するハレーションが起こりかねないということもぜひ認識していただきたいと思いますし、答弁をお聞きして、公共放送の今後の方向について新たに立て直すということに力強いものを感ずるわけでございます。
 さて、郵政省にお伺いしますが、アメリカでは、一九九四年から衛星によるディジタル放送を開始し、また地上放送のディジタル化を目指した計画を持っているというふうに聞いております。先ほど放送行政局長もあらゆる放送のディジタル化ということで触れられました。ヨーロッパでは、衛星放送に関してイギリス、フランスが一九九五年からディジタル放送を開始する予定というふうに聞いております。
 このように、ヨーロッパ、アメリカを中心とした放送のディジタル化は国際的な潮流になっていると思いますが、我が国におけるディジタル放送技術はどのような動向にあるのか、郵政省放送行政局長にお伺いしたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 我が国におきましても、諸外国の動向を踏まえましてディジタル放送に関する方式の策定及び必要な技術開発を鋭意進めているところでございます。
 郵政省では、昨年六月に電気通信技術審議会にディジタル放送方式にかかる技術的条件につきまして諮問いたしました。地上放送、衛星放送、CATVに関する放送方式につきまして、横断的、総合的に審議を行っているところであります。この中で、通信衛星、いわゆるCSでありますが、これを利用する衛星のディジタル放送についてはこの七月二十四日に一部答申をいただいたところであります。
 今後、通信衛星による衛星ディジタル放送方式の技術的基準を策定するとともに、制度面の整備を行い、そして来年、平成八年の春ごろにCSディジタル放送の実用化を目指すという予定にしております。
 また、地上系や将来の放送ニーズに対応したディジタル放送の実現に必要な技術開発は、郵政省の通信総合研究所あるいはNHK等において進められておりまして、今後一層推進してまいる所存でございます。
○伊藤基隆君 本日はNHKの技師長がおいででございますので、技師長にお伺いしたいと思います。
 NHKは、中長期経営方針でハイビジョンの推進を第一に掲げております。ハイビジョン推進についての今後の具体的取り組みはどのようなものでしょうか。ミューズ方式によるハイビジョン方式がマルチメディア時代に向けて果たす役割と展望についてお伺いしたいと思います。また、将来、情報通信、放送のディジタル化に十分な対応ができるのかどうかをお伺いしたいと思います。
 先ほど自民党の河本、保坂委員の質疑の中で、ハイビジョン時代、ハイビジョンにおけるソフトの面について御答弁がございました。私は、ハイビジョン放送は今ミューズ方式でやるということになっておりますけれども、技術的にディジタル伝送技術によるハイビジョン放送方式が現在の国際基準になっておるミューズ方式の映像段階まで到達できるのはいつごろなのか、また、そのことについては、NHKとしてはディジタル伝送技術のハイビジョン方式の研究というのはどこまで進んでいるのか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
○参考人(森川脩一君) まず、ハイビジョン推進についての具体的な取り組みについての御質問からお答えさせていただきます。
 まず、番組面でございますが、ニュースや情報番組、教育、あるいは大型スポーツといった放送番組のジャンルの拡大ということに今努力をしている最中でございます。さらに、今後におきましては実用化試験放送の放送時間の拡大というものにも引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。
 それから、新しい受信機の開発ということについて申し上げたいんですが、けさほどもお答え申し上げましたように、大きな画面で臨場感のあるハイビジョンの特徴というものはフラットパネル受像機、これは画面が非常に大きい一方、非常に薄くて場所をとらない受像機でございますが、こういうものを長年にわたって研究してまいりましたが、いよいよ実用に向けて今最後の開発の段階に入っておりまして、長野のオリンピックには実用化したいというぐあいに考えております。
 それから、番組制作に関するいろんな機材が非常に高いために、ハイビジョンの番組をつくろうと思ってもなかなか手が届かないということがかつてはございましたけれども、これをできるだけ克服しますために、放送局のスタジオで使う機材の低廉化というものにも研究面からも努力いたしまして、ここ一年以内に今の方式とほとんど変わらない値段のハイビジョンの番組制作機器というものを実用化していきたいと考えております。
 それから、同時に受信機メーカー各社に対しまして、特にハイビジョンの受信機の低廉化と、それから衛星放送受信機へのMNコンバーターを内蔵して、ハイビジョンの画面がとにかく、高画質ではありません、現行の画質と同じ画質ですけれども、ハイビジョンの番組はちゃんと見えるというようにしてほしいという要望を出しております。
 それから、マルチメディア時代におきますハイビジョンの役割はどうかということでございますが、今さら先生に申し上げるまでもないことと思いますけれども、ハイビジョンの放送と申しますのは高画質放送ソフトの充実を促進して高度な映像文化をはぐくんでいくという観点から、将来のマルチメディアを切り開く上での大きな役割を果たすものだというふうに考えております。
 その時代には、高画質の映像を中心といたしまして、複数の映像、音声、文字、図形、あるいはデータ情報、こういうものをいろいろ組み合わせて画面に表示することができるようになるわけで、この点からもきめ細かい表示ができるディスプレーが必須のものとなるわけで、そのために壁がけの開発に注力をしているわけです。ハイビジョンはこういうディスプレーを大きく広めるのに大変役に立つというふうに考えています。
 それから、ディジタルヘの問題でございますが、ハイビジョン放送は、試験放送とはいいましても、世界で一番早くこういう高画質、ワイド画面の放送をスタートいたしました。ただし、これはアナログと言われる形式でございますけれども、放送方式をディジタルに、ディジタル時代でございますから、それへ向けて変更していくということを将来の課題としておりますけれども、途中で放送方式を変更するというのはいろんな面でなかなか問題点が少なくないわけでございまして、例えば既にハイビジョンの受信機を買った受信者の方々がある日からそれが見えなくなってしまうということでは大変困りますので、そういう受信者への保護が必要になります。
 それからもう一つは、今申し上げましたようなマルチメディア時代に向けた新しい形での番組表現を実現するための研究開発というものがこれからまたさらに必要になります。先ほど文字、図形、いろんなものを組み合わせた情報を表の番組と同時に見ることができると申し上げましたけれども、一体それではそういうものは中身としてどういうものを受信者が要望されているのか、あるいはこれからの時代の変化に向けてそういう要望がどういうぐあいにどこへ変化していくのか、しないのかとか、そういうことを十分に見きわめた上でサービスの内容を考えていかなければならないわけです。
 以上、もろもろなことを考え合わせて、私どもは二十一世紀の初頭へ向けましてこういうものの、つまり新しい時代のサービスの実現というものに目下努力を注いでいる段階でございます。
○伊藤基隆君 時間が少なくなりまして、簡単に答えられるかどうかわかりませんが、簡単に答えていただきたいわけです。
 ハイビジョンについて郵政省とNHKの見解が違う。たしか一年ほど前に放送行政局長の新聞会見記事が出まして、直ちに撤回されるという事態も当時起こりましたけれども、郵政省ではハイビジョンについて今後どのように取り組んでいくのか、ぜひお伺いしたいと思います。また、これと関連して、BS4後発機のチャンネルプランについてもお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) マルチメディアの時代におきましても高画質の映像に対する需要は非常にこれからふえていくだろうと思います。そういう意味で、ハイビジョンは高画質ソフトの制作、あるいはそういうふうな映像資産の蓄積、それから先ほども説明ありましたように、高度なディスプレーの先行的な普及ということで、非常に重要な役割を果たしておるというふうに承知しております。
 また、ハイビジョン放送で放送関係者が高度映像技術に取り組むという場が提供されるという役割もありまして、そういう意味でこれまで郵政省としましてもハイビジョンシティー構想等を推進してまいったわけであります。
 今後のハイビジョンのあり方ということについて考えてみますと、一つは高精細度テレビジョン、ハイディフィニションテレビに対する国民のニーズの動向というのも見なきゃならない。それから、放送全体のディジタル化の動向、これは今非常に速く動いております。これを見なきゃならない。それから、通信、放送、コンピューターが融合するようなマルチメディアの時代における放送の役割、こういうことも踏まえまして総合的に検討していきたいというふうに考えております。
 それから、BS3の後継機と称しておりますが、この後の衛星の後継機の問題でありますが、これは先発機と後発機があるかどうか、先発機、後発機という言い方を今しておるんですけれども、後継機の先発機の四チャンネルというものにつきましては、平成五年五月の電波監理審議会の答申に基づきまして、平成六年の七月にNHK二チャンネル、一般放送事業者、いわゆるWOWOWでありますが一チャンネル、それからハイビジョン普及チャンネル一チャンネルとする旨の放送普及基本計画というものの変更を行ったということで、現在計画を行ったところでございます。
 それから、BS3後継機の後発機というものがあります。これについては少し先になりますけれども、ディジタル技術の動向や国際的な流れを勘案の上、国民利用者あるいは事業者等の具体的な要望を確認した上でどう対処すべきかについて検討していきたい、このように承知しております。
○委員長(及川一夫君) 次に移ることになる前に、ちょっと一言だけ私の立場から郵政大臣と川口会長にお願いしておきたいんです。
 先ほどブラジルの国際放送関係について松前先生の方から指摘をされました。これは、ブラジルに行きましたのは衆参両院の立法府の代表ということで八名行きまして、参議院の方からは三名でございました。平成会、それから自民党、社会党に割り当てられましてブラジルを訪れた際の話でございます。
 それで、日伯百周年記念ということでの行事の一環としてやられている問題でして、現地の日系人が大変この行事を歓迎しながら期待をしている、そういう中での記者会見、それから日系人の会長とか各県の代表から出たお話でございますので、できれば早く解決をしてあげたい、こういうことで、郵政省にもそれからNHKにも既に細かく連絡してありますので、来年の三月には大統領もおいでになるというお話がございますから、ぜひ問題解決のために御努力をお願いしたいということをつけ加えさせていただきます。
○上田耕一郎君 日本共産党の上田でございます。
 質問時間が三十分でございますので、私もなるべく絞って質問いたしますので、答弁も簡潔にお願いしたいと思います。
 第一の問題は、放送法第一条の不偏不党、第三条の政治的公平にかかわる問題です。
 九三年度は、政治改革、小選挙区制、また椿発言などマスコミのあり方が非常に問われた年だった。NHKも、民放よりはましたと私も思いますけれども、やはり問題なきにしもあらずだったと思うんです。
 一番の問題は小選挙区制問題で、海部内閣のときに第八次選挙制度審議会が小選挙区比例代表並立制の答申をしたんですけれども、この中にNHKの解説委員長だった成田さんがいらしたんですわ。現解説委員長が並立制に賛成の審議会委員ですと、やっぱり影響があらわれる。
 これは、二十七人の審議会委員中十二人がマスコミ関係者だったことが大きいんですけれども、現に九二年十月十二日、「ニュース21」で民間政治臨調と一緒に番組が放送されている。民間政治臨調というのは亀井正夫さんが代表で、小選挙区制を一生懸命推進したところです。
 この民間政治臨調の第一委員会の議事録で、NHKとタイアップして民間政治臨調の特集番組の準備が進められていることが報告されて、NHKと民間政治臨調が相談して作成した番組のプロットが配られたというんです。それで、みんなで検討したというんですね。
 これは一例ですけれども、やっぱりこれは反省すべきことだと思うんです。私ども参議院は、本会議でこの小選挙区制の政治改革法案を一回否決したんですから。だから、意見の対立が非常にあるところの一万のところへ、この審議会にNHKの現職の幹部を出すというのは、これは第三条の政治的公平、意見の異なる問題については公平にということにもかかわりかねないので、これらの経過についてやっぱり反省と検討が必要になっていると思いますけれども、会長の率直な御意見をお聞きしたいと思います。会長です。あなたではなくて会長です。
○参考人(川口幹夫君) 上田先生おっしゃるように、各種の政府の審議会の委員にNHKの者が参加したケースはありましたし、今も参加しているものもあります。
 ただ、この参加の場合も、これまでもそのことについて、それが妥当なのか非妥当なのかというふうなことを一々諮りまして、少なくともNHK報道の公正さとかあるいは不偏不党の原則に影響がないという範囲の中で参加を認めたという経緯があります。
 それが、しかし国民の批判を受けたり、今、先生おっしゃるように、それは明らかに間違っているという御指摘を受けたりいたしましたので、委員会の委員になることについては昨年の五月から運用に慎重を期しまして、一々そういう細かい検討をした上で委員に就任するかしないかを決めるということにしております。現在の委員の就任については、そういう審議を経た上でやっておりますので、特段の御批判を受けるようなことはないというふうに信じております。
○上田耕一郎君 この問題は公共放送としてのNHKで大きな問題なので、今、会長の答弁がありましたように、今後慎重に行っていっていただきたいと思います。
 九三年度は政党代表の討論会は二十三回あった。私ども日本共産党は、これだけじゃありませんけれども、この九三年度の放送内容で、討論番組の公正な運用その他九件の申し入れをしているんです。これは何も日本共産党が自分の党のことだけを考えているんじゃなくて、共産党を除くか除かないかというのは政治的公平のあるシンボルになるんですよ。我々は少数政党だし、オール与党政治に対して反対のことが多いので。
 例えば参議院で、今二百五十二人の定数のうち、うちは十四名なので、計算すると五・五%になる。この間の十月十七日の日経に、沖縄問題で安保条約解消が急にふえて、四〇%超えたんでしょう。ペリー国防長官は大ショックだったと報道されている。だから、国会では我々は五・五%の議席数だけど、安保解消の四割の世論の代表でもあるので、やっぱり今後そういう点を考えて、ぜひ公平な運営を期待したい。これは答弁要りません。
 それで、今の安保絡みの問題で一つお伺いしたいのは、米軍並びに米軍人家族のNHK受信料問題。私、今度初めて逓信委員になったんで、戦後五十年、日米地位協定、これが大問題になっているときにこういう問題がいまだに続いているというので議事録を調べてびっくり仰天したんです。
 うちの藤原委員が逓信委員会で取り上げたのが十八年前ですよ。十七年前に米軍がこれは日米地位協定十二条の税金に当たるから払わないという態度を明らかにして、日本側はNHKも全部、いや、これは税金じゃないから当然払うべきだと。ずっと調べたら、いろいろ経過があって、米軍側は払うのは自由だと。それでNHK側が郵便を出したり、それから払うのは自由だというので米軍基地の家庭を訪問しようとすると米軍側は基地立ち入りは拒否。入れないんですね。それで何と十七年、いまだにそのままなんです。
 当時の議事録を見ますと、当時のNHKの会長は坂本会長。NHKの根幹に触れる問題だという答弁を坂本会長は述べていますよ。根幹に触れる問題だと。それが十七年間放置されてきた。これはちょっと僕は驚きました。
 NHKにお聞きしますが、この米軍家族の払うべき受信料は総額十五億七千万円に達しているという話を聞いたんですが、大体そのぐらいになっているんですか。お答えいただきたい。
○参考人(菅野洋史君) お答えいたします。
 これは試算でございますけれども、米軍との対応を開始した昭和五十三年度以降平成六年度までの分について、基地内の世帯数を約一万一千世帯というふうな勘定をいたしまして考えますと、大体十五億七千万円になるということでございます。
○上田耕一郎君 法制局、十七年前にこの問題で立場を表明されましたけれども、法制局としての解釈はいかがでしょうか。
○政府委員(津野修君) お答えいたします。
 この点につきまして、一般的に申し上げますと、我が国に駐留する米軍の軍人軍属及びその家族は、地位協定に特別の定めがない限り、我が国の国内法令の適用を当然に受けるのでありまして、放送法第三十二条の規定もこれらの者に当然に適用されるわけでございます。
 したがいまして、これらの者が放送法第三十二条第一項に言う受信設備を設置した場合には、同項の規定によりましてNHKとの間で受信契約を締結する義務を負うということになるわけでございます。
○上田耕一郎君 ですから、日本側の法律解釈は非常に明確なんですね、郵政省も法制局もNHKも。米軍は日米地位協定第十二条の租税に当たると。租税は払わないでいいんだから払わないということで十七年間対立している。
 外務省、これはつまり日米地位協定の解釈についての違いなんだから日米合同委員会で当然取り上げるべき問題だと思うんですけれども、外務省の見解はどうか。それから、これまで外務省として日米合同委員会でこの解釈を統一すべく、特に日本の国内法に従って努力をしたのかどうか、簡単に答えてください。
○説明員(梅本和義君) お答え申し上げます。
 本件受信料問題につきましては、従来から御説明しておりますとおり、米側は、NHK受信料は地位協定に春うところの租税または類似の公課であるということでございますので、地位協定上、支払う義務はないということを主張しております。これに対して私ども外務省も含め日本側は、これはそういう租税またはそれに類似する公課には当たらないというふうな主張をして、まさに解釈の違いがあるところでございます。
 昭和五十三年来、NHKと米軍当局との間で調整が行われ、私どももNHKあるいは郵政省とも御相談をしながら、在京アメリカ大使館との間でこの辺の問題について調整をしてきておるところでございます。そういう結果もございまして、今、委員御指摘ございましたような米側は解釈については立場は変わらないとしながら、個別の取り扱いについては、軍人あるいはその家族等が個別に勧奨に応じて契約をするということについては差し支えないということになったわけでございます。
 いずれにつきましても、解釈につきまして差があるということは現にそういうことでございますので、私どもこれからも郵政省あるいはNHKとよく御相談をして、この辺の問題について実質的に解決できるように努力していきたいというふうに思います。
○上田耕一郎君 私は議事録を全部調べた。外務省は極めて怠慢で、アメリカに対して弱腰なんです。
 昭和五十三年の逓信委員会の議事録で、当時の北村参事官、目下合同委員会の中のどの委員会でどういうふうにこの問題をアメリカが調整するか郵政省と協議している。北村参事官。五十四年、つまり七九年です。当時の丹波安全保障課長、この間まで条約局長だった方。丹波さんは、外務省に話が来た場合には、その時点で合同委員会なりなんなりで取り上げることをアメリカ側ともう一度話してみたい。十七年前に逓信委員会ではっきりこういう答弁あるんですよ。それ以来、合同委員会に全然出してないんです。合同委員会の代表は北米局長ですよ。十七年間こんな問題を出しもしないで、アメリカ大使館に行ったってけりがつくわけないじゃないですか。知り抜いているんです、そんなこと。
 僕は、やっぱり外務省というのは、話があちこち僕の場合は飛びますけれども、核兵器が国際法違反でないなんということを平気で言ったり、広島市長に何か言ったり、この新聞の社説でもどこの国の外務省だと言われているけれども、これだってそうですよ、十七年間。
 だから私は、郵政大臣、外務大臣に郵政大臣としてこの問題を日本側の解釈どおり日米合同委員会、合同委員会を調べてみますと、分科会がちゃんとあります。そこに通信分科委員会というのがあるんです。これは郵政省も代表が出ているんでしょう。当然ここで取り上げるべきなんですよ。ここで取り上げるためには、合同委員会でこの問題を取り上げると、この通信分科委員会で取り上げるということを日米で合意すればいいんですよ。それを郵政大臣に外務省に話をするということをやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(井上一成君) 郵政省の見解はもう申し上げる必要はない、早い解決を目指して話し合いを持つべきであるとか努力をする、そういう御趣旨だと思います。今日まで関係者が熱心に御努力をなさったと私は理解していますが、引き続いて話し合いを持てるように努力をしてまいりたいと思います。
○上田耕一郎君 及川委員長、十七年間、こういう問題はこうなっているんで、郵政省にも努力していただくと同時に、憲法四十一条の国権の最高機関の国会の担当の逓信委員会としても、この問題を逓信委員会として超党派で態度を決めて行動を起こすべきだと思うので、理事会で協議をいただきたいと思います。
○委員長(及川一夫君) 理事会で協議をいたします。
○上田耕一郎君 次の問題は障害者問題。
 私は日本共産党国会議員団の障害者対策の責任者を十五年やっておりますので、残った時間、短いですけれども幾つかお聞きしたい。
 一つは郵政省に、今度、精神保健法が改正されて精神障害者も手帳が出ることになったんです。それで、厚生省から新しく精神障害者が手帳をとったので支援策をやってほしいという通達が出ているはずです。NHKの日本放送協会受信料免除基準というのがあります。これに、身体障害者、精神薄弱者、聴覚障害者など、全額免除、半額免除の規定がありますけれども、今度精神障害者の手帳配付が実現しましたので、郵政省として、NHKの受信料について、こういう免除規定を精神障害者にも適用するよう御努力いただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。
○政府委員(楠田修司君) 受信料免除措置の必要性、それに伴う減収見通し等を踏まえたNHKの判断を待って、NHKより免除基準改正の認可申請があった場合に形式的には関係規定に照らして判断するというシステムになっております。
 さて、このNHKの受信料免除の関係で、先生御指摘のことでありますが、郵政省としまして、免除措置の見直しを求められました逓信委員会の附帯決議、あるいはこれまでNHKと協力して、関係機関の理解を得つつ、昭和五十二年以来逐次免除措置をむしろ廃止してまいったところでございます。NHKとしては、今後とも免除措置を縮減していく立場、こういうふうなものであると理解しております。
 またNHKは、現在の免除対象につきまして、それぞれの行政負担による財源措置、例えば文部関係でありますと文部省、厚生関係であると厚生省ということで、毎年、厚生省初め関係機関に対しまして受信料免除措置の廃止について理解を求めるという要望書も提出してきております。
 郵政省としましては、NHKとともに、これら関係機関の理解を得るということにむしろ努めてまいりたい、このように思っております。
○上田耕一郎君 今の問題、ひとつ御努力願いたい。
 次は、字幕放送問題。字幕放送が始まってから十年たちました。字幕放送というのは、御存じと思いますけれども、毎日の番組表にもマル字としてついておりまして、NHKはドラマ中心にやっていますけれども、デコーダーという特殊な装置をつけた場合にその字幕が表示されるというもので、一般のテレビには入らないけれどもデコーダーつきの受信機には字幕がずっと入る。特に難聴者に大変喜ばれているものですけれども、十年たって、現在の進捗状況はNHKと民放とで一週間でどのくらいになっているか、それから最も進んでいるアメリカ、イギリス、ここではどうなっているかを簡潔に御説明願いたい。
○政府委員(楠田修司君) 現在、NHKも含めました字幕放送及び文字放送、字幕放送も含めました文字放送でありますが、これを実施している放送事業者は二十五社でございます。ニュース、天気予報等五百以上の文字放送番組がほぼ一日じゅう視聴可能ということになっております。
 このうちいわゆる字幕放送、これにつきましてはテレビジョン放送事業者、NHKを含めまして十五社が実施しております。その放送時間は、本年十月現在で、関東地区の場合、一週間当たり約二十四時間となっております。詳細を申し上げますと、NHKが約十七時間、民間放送が約七時間ということであります。
 なお、文字放送を見る場合、その受信機が必要でありまして、デコーダー内蔵型の台数も含めまして最近かなり大きく伸びておりまして、平成六年末で約九十三万台となっております。なお、この伸びが今非常に大きくて、かなり伸びる可能性が出てきておるということであります。
 なお、アメリカとヨーロッパの事情でありますが、アメリカは一九九〇年テレビジョン・デコーダー回路法というものを決めまして、米国内で製造され、あるいは輸入される十三インチ以上のすべてのテレビ受信機に対して字幕放送を表示するためのデコーダーを義務づけております。こうした制度の中で、米国においては三大ネットワークを初め多くのローカル局、ケーブル局において字幕放送が実施されておる。
 一方、英国でありますが、一九九〇年放送法におきまして、民間放送は一九九八年までに全番組の五〇%以上を字幕つき番組にすることを義務づけております。これによりまして、公共放送であるBBC放送及び民間放送局各局において字幕放送が実施されておる。
 簡単に言いますと以上でございます。
○上田耕一郎君 アメリカは一週間七百五十時間です。日本は二十四時間で、三十分の一なんですね。
 NHKの編成局専任部長の木村さんが、全難聴、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の機関誌、この全難聴の方々と私ども懇談いたしましたけれども、機関誌に論文を書かれている。これを見ると、「大海の一滴程のサービス」だと。NHKの人が大海の一滴だと嘆いているぐらいなんだね。だから、アメリカのわずか三十分の一、そういう状況。イギリスは、とにかく五〇%以上全部九八年までに字幕放送をつけろというわけです。
 これは、やっぱり僕は大きな原因が二つあると思うんです。一つは、やっぱり聴覚障害者の方々の権利の問題、また放送局の義務の問題という意識が弱いんですよ。イギリスを視察された秋山さんという東京情報大学教授はこう書かれている。イギリスでは字幕放送は障害者の権利、放送局の義務ととらえられていると。
 その点で、ちょっと郵政省、こういう字幕放送の対象者の数、どのぐらいと見ているんですか。
○政府委員(楠田修司君) お答え申し上げます。
 平成三年の数字でございます。平成三年において聴覚障害者は三十五万八千人ということでございますので、これが一つの対象になろうかと思います。
○上田耕一郎君 そういう認識では困るんですよ。さっきデコーダーつきの受信機の普及台数九十三万台だと言ったでしょう。三十五万人の聴覚障害者が対象だと思うと、それは手帳を持っている人がそれだというんですよ。
 それで、今度私この問題を質問すると言いましたら、全難聴の方がファクスで全国に知らせていただいたら、私も驚いた、私の部屋に切実な要求のファクスが青森や沖縄から全国から三十五枚来たんです。耳が難聴でもうテレビから遠ざかって久しいとか、家族と一緒に笑えないというんですよ、わからないから。そういう嘆きの言葉。それから、特に関東、関西以外は民放はほとんどありませんから、NHKしかない。これはもう大変ですよ。
 それで、私この中の埼玉県の川原さんという方からのファクスで知ったんです。「全国の難聴者の数は約六百万人います(去年十月十日付朝日新聞の社説一。」というので、朝日の社説をとってみた。これは、「「難聴化社会」対策を急ごう」と。それで、日本は七十歳を超えると二人に一人耳が遠くなる。若くして難聴になった人を加えると六百万人に上ると推定されている。高齢化社会は難聴化社会だと。
 ですから、郵政省やNHKが三十五万人の手帳を持った難聴者の方々だけだと思っていると、アメリカの三十分の一になっちゃうんですよ。アメリカは十三インチ以上のすべてのテレビにデコーダーをつけるという法律を通した、五年前に。イギリスは、民放も公共放送も九八年には五〇%以上全部字幕放送をつけろというのをやったんですよ。やはり権利の問題について非常におくれているんです。担当の局長が対象は三十五万人だなんて言っているんだから、これは非常におくれが大きい。
 二番目の原因は、これはさっきどなたかが言われたように、マルチメディア時代の先取りにもなる。障害者に優しい社会というのはすべての人に優しい社会になる。僕は、今度、厚生省に聞いて驚いたんだけれども、テレビでリモコンがあるでしょう、リモコンは最初大分県で障害者の方がスイッチができないので障害者のためにつくられたんです。それがたちまち広がったと。そういう意味では、字幕放送を六百万人の難聴者のためにということは、字幕放送というのは文字放送のことですから、マルチメディアで多重文字放送というのは非常に大事な問題なんですよ。だから、メーカーも盛んに今文字放送つきの、デコーダーつきのテレビ受信機というのをうんとやっている。
 厚生省、去年、障害者用にこのデコーダーつき受信機の助成が始まりましたね。これはいいことなんだけれども、どのくらい使われておりますか。
○説明員(冨岡悟君) 御説明申し上げます。
 昨年から、平成六年度から日常生活用具ということで、御指摘のデコーダーを種目としたところでございます。
 この趣旨は、聴覚に障害のある方が社会の中で活躍していく上で、それを支援するという趣旨で始めたものでございます。市町村に申請することによって入手できるわけでございますが、何せ昨年始まったばかりでございまして、事業の実績というものも現在まだまとまっておりませんが、東京都の方に問い合わせましたところ、平成六年度、東京都におきまして実績は二百七十四件、そのようにお聞きしております。
○上田耕一郎君 通産省にお伺いします。
 このデコーダーつきのテレビ受信機、もう各メーカーずっとやっているんですけれども、これは難聴者用なんて書いてないんです。そうじゃなくて、文字放送の見られるというのでやっているんだけれども、通産省としては、最近この普及が始まって、一体価格はどのくらいに今なっていて、一般の受信機との価格差はどのくらいで、将来どのぐらいになるのか。それから、アメリカでの価格差などもわかっていたらお答えいただきたいと思います。
○説明員(鷲見良彦君) まず、文字・字幕放送用のデコーダーにつきましては、昨年まで十万円強でございましたが、ことしに入ってから最も安いもので五万五千円の機種が発売されております。それから、内蔵型テレビでございますが、文字・字幕放送対応型テレビを例にとりますと、昨年まで十五万円程度でおおむね推移してきたところでございますが、ことしに入りまして七万五千円の機種が発売されております。
 今後、我が国におきましても、アメリカと単純に比較しがたいさまざまな要因もございますけれども、普及が進めば価格差が一層縮小するというふうに考えております。ちなみに、アメリカにつきましては文字数も少のうございます、ということで、現在その価格差は数千円程度というふうに聞いておるところでございます。
○上田耕一郎君 アメリカという国は、まねるのが嫌なこともうんと多いけれども、まねなきゃならぬ点もかなりあるんですね。特に障害者対策なんてすばらしい。
 この九〇年のテレビジョン・デコーダー回路法を見ますと、米国内の二千四百万人の耳の不自由な人々に提供できると法律に書いてある。二千四百万人。字幕放送は米国老人の約三八%に当たる聴力に幾らかの衰えのある人々に利益をもたらす。全国民を対象にやっているんですよ。
 この法律ができるころ、資料によりますと、デコーダーつき受信機と一般受信機との価格差は百五十ドルだったんですって。確かに、この法律が通って、大量生産になったら十分の一になってしまった。価格差は十五ドルだというんです、今。とすると千五百円ですよ。イギリスは、この秋山教授の論文によると価格差なしたというんです。だから、デコーダーつきのテレビ受信機、それから一般の受信機とイギリスは価格差なし。アメリカはわずか千五百円ですよ。日本は今安くなって、今のお話のとおり一万五千円ぐらいの価格差だけれども、本当に普及したらこの価格差は日本でも、日本メーカーはアメリカに輸出しているんですから、この千五百円の差のやつを。だから、日本の技術だったらやれるんです。
 ですから、私はこれはNHKにひとつ指導力を発揮していただいて、三十五万人の難聴者、中途失聴者のための施策だと、それでもうんとやらなければいけないでしょう。それだけじゃないんですよ、対象者が六百万人いるんだから。それから、マルチメディアで文字放送対象というのは全国民ですよ。そういう時代を先取りする問題としてアメリカ、イギリスのように法律で義務づける、またデコーダーをある大きさ以上のテレビには全部つけるというような法律を日本でも思い切ってやるということが、これは価格差は本当に千円か二千円ぐらいの差になるし、難聴者、聴覚障害者の方が喜ばれるだけでなくて、やっぱりマルチメディア時代の障害者に優しい社会はすべての人に優しい社会ということの先取りにもなる仕事なので、もう一度本気で検討して、私もにわか勉強なんですけれども、勉強するとだんだんいろいろとわかってきたんだけれども、ぜひやってほしい。
 もう一つ、ちょっと聞いていただきたいのは、アメリカでは生放送もニュースも、スタジオ番組も、それからスポーツも全部これをやっている。生放送も字幕が入る。これは特別のタイプライター、特別のあれがあって、音声で入れるとすぐ字になるというんですね。日本の場合には文字がアルファベットじゃないからやっぱりかなり難しいことがあるけれども、NHKの技研では音声を入れてすぐ文字にする研究をこのために始めているということが木村論文にも書かれているので、やっぱりこういう技術的問題は確かに日本の場合あるんだけれども、この問題もぜひ研究を深めていただいて、大きな施策を打ち出していただきたい。そのことを、最後に郵政大臣に感想を、できれば決意もお伺いして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(井上一成君) 私は再三申し上げているように、情報格差というか、いわゆる受け手の側を優先すべきであると。具体的な、時間がありませんが、ある方がこういうことを記されていました。大阪の方に壷坂寺というお寺があるんです。その近くに目の御不自由な老人の方がたくさん住んでいらっしゃる老人ホーム。その方々は、それぞれを引きつけるテレビの番組、楽しめる番組、さっき私が少し触れましたけれども、そういう番組を、その時間帯を心待ちにしていると。目の見えない方がテレビの番組を心待ちにしているというこのことは何なのか。心の目でその番組を楽しみ、待ち、その番組はその人たちの心を引きつけているんです。私は、文化的なソフトな面でこれからのマルチの時代に放送というものも大いに配慮してほしい、こういうことを申し上げております。
 具体的な一例として申し上げて、私の認識と、マルチの時代、未知の世界なんです。この未知の世界をどう私たちはつくっていくか、そのことを十分、取り残される人があってはいけない、そういう意味で私自身が再三皆さんの前で強く申し上げてきたわけでありますので、御理解がいただけると思います。
○上田耕一郎君 終わります。
○山田俊昭君 二院クラブの山田でございます。
 私を含めましてあと二人でございますので、いましばらくおつき合いをいただきたいと思います。
 私は、放送と人権という観点から二、三質問をしたいと思います。
 およそ民主主義と基本的人権尊重の理念が支配する近代国家におきましては、報道の自由、それの前提となります取材の自由これが最大限尊重されなければならないことはもとより当然であります。しかしながら、報道の自由取材の自由といえども国民の基本的人権を侵害することが許されないことはもとより当然のことであります。
   〔委員長退席、理事岡利定君着席〕
 そこで、NHK放送との絡みにおける人権というのは、人格権と申しますか、肖像権、名誉、プライバシーというような権利になるかと思うわけでありますけれども、これらの人権というものは放送上非常に大事なところだと思うわけでありますので、最初にNHKに対して、国民の基本的人権、そういうそれらの権利に対してどのような対応なり対策をとられているのかということをお尋ねしたいわけであります。
 NHKが独自にそういう人権のチェック機能と申しますか、国民の権利侵害がなきよう図るための組織なり機関などを設けられていらっしゃるかどうかということをお尋ねしたい。
 さらに、人権という問題は放送全般にわたる問題でございますので、ひとりNHKのみならず、民放との関連において何かこの人権保障のための対策なり機関なりをタイアップしてやられていることがあるかどうか。
 以上三点、お尋ねいたします。
○参考人(齊藤曉君) 放送というものが非常に大きな影響力を持つということを十分認識いたしまして、私どもは人権侵害には十分細心の注意を払って放送を実施してきております。
 具体的に申し上げますと、平成五年に放送番組基準ハンドブックを改訂いたしました。そして、番組制作の担当者、記者、関係職員に配付をいたしましたほかに、職員の研修を強化して人権についての周知徹底を図る等々、常に人権意識の涵養を心がけております。
 組織的にどうかというお尋ねですが、人権問題等に対応するために、平成五年の三月、放送総局に放送現場の倫理に関する委員会というものを設置いたしております。この委員会では、人権の尊重、それから放送人としてのモラル、事実に即した表現、こういった放送に向けられた視聴者の厳しい視線を受けとめ、みずからを検証していく場として活動しております。
 それから、民放との協力についてでございますが、NHKと民放連は、昭和四十四年、放送番組向上協議会というものを設けておりますけれども、ここと提携しながら、毎年、人権に関するシンポジウムの開催等々、放送現場の倫理の高揚には私ども不断の努力を払っています。
○山田俊昭君 組織というところで、放送倫理委員会を設けて、そこで倫理に伴ういろんな研究なり検討なりがなされているというお話でしたのですが、具体的にこの放送倫理委員会なるものの構成と運営と具体的な活動内容等をちょっとお話しいただきたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) この倫理に関する委員会の責任者は私でございます。NHKでは放送にかかわるさまざまな問題が日常発生いたします。その中でも特に重要なのはこうした人権にかかわる問題でございますが、そういったときに、詳しく申し上げれば特別委員会というようなものを設けまして、これの具体的な取り組みの報告を待って、最終的に私が決断するというようなシステムで運営しております。
○山田俊昭君 その委員会の御活躍と機能を発揮されることを希望いたします。
 NHKに限らず、民放もそうなんでしょうけれども、年間でも結構です、毎月の統計でも結構ですが、人権に伴うトラブルといいますか、放送された後に電話なり文書なりで恐らくクレームというものが入ると思うんですけれども、この人権に伴うNHKのデータがあれば教えていただきたいんですが、年間との程度あるのか。
 さらに、人権をめぐるNHKとの訴訟にまでなったケースがあるのかないのか、それらのトラブル処理を、訴訟は結果がわかるわけだけれども、クレームなり何かがついた場合の人権のトラブルにどのように対処されているか、その結果等がわかればお尋ねいたしたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) 年間、視聴者からのさまざまな要望なり問い合わせ、意見あるいはクレーム等ございます。五百万を超すだけの件数がございます。
 一つ一つの内容を具体的に把握するのは非常に難しいわけですけれども、それぞれ直接の担当者が適宜誠意を持ってこれに当たっております。しかし、そういった説明でも納得をいただけない、人権に関して訴訟に持ち込まれたケース、これは厳密な数で申し上げますと戦後十一件でございます。NHKが勝訴したもの六件、和解三件、いまだ係争中二件、こういったものでございます。
 以上でございます。
○山田俊昭君 クレームが年間五百万件もあると、その対処が大変だろうと思うんですが、電話、文書によるクレームに対する、担当員が誠意を持ってクレームをつけた抗議者に対しての対応をされていると思うんですが、ことごとく訴訟事件にまでなっていないということは、誠意あるNHKの対応で解決がすべて済んでいるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
   〔理事岡利定君退席、委員長着席〕
○参考人(川口幹夫君) 今、五百万件と齊藤総局長が答えましたけれども、この五百万件は年間にNHKに寄せられる電話、投書、それからクレーム、その他を含めたすべての総数でございます。したがって、純粋なクレームというのはこの五百万件という数にはとてもならない、もっともっと少ないものでございます。
 ただ、現場的に処理する、例えば一つの番組が終わりますと、それに対するクレームというのはすぐかかってくるケースがやっぱり多うございます。それについては、担当者が残っておりますから、とことんまで話し合って、御納得いただかなければ、また明くる日にお伺いをしたり電話で連絡をしたりして、そのことについては御了解いただくという形をとっております。
 私も何遍も経験がありますけれども、チーフプロデューサーまたは部長としてクレームがついた件については、もうその場ですぐ、あるいは明くる日、できなければ一週間以内という形で、直接お会いして話を伺ってクレームを解消するというふうなことをとってまいりました。そういうのがありますから、訴訟になるのは今までに十一件あったということでございますが、実際はそういうふうに話し合いで解決をした、納得をした、あるいは妥協をしていただいたというふうなこともあろうかと思うんですが、大体そういう件数になっております。
○山田俊昭君 戦後で合計十一件しか訴訟事件がないというのはさすがにNHKだなと思うんですけれども、しかもそのうち勝訴が六件、和解三件、あと係属中というちょっと信じられない数字で、さすがNHKだなという感じを受けるわけであります。その点ももう少し詳しく事件内容なんかも聞きたいんですが、次に進みます。
 次に、今回のオウム事件の報道についてでありますけれども、オウム事件の発端と言われます坂本弁護士一家の事件、地下鉄サリン事件という一般の国民が関心を持たざるを得ないという事件、凶悪な事件が発生いたしまして、国民の関心は非常に高くなっているのも事実であります。それに便乗してというか、NHKさんはないんでしょうけれども、このオウム報道の過剰というか過激なまでの報道の姿勢を見ていまして何か異常なものを感ずるわけであります。NHKはしていない、民放がしているんだとおっしゃるかもしれませんけれども、半ばワイドショー的に報道されているやに思われる面が多々あるわけでありますが、このオウム報道に関しましてNHKの基本姿勢と申しますか、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
○参考人(齊藤曉君) このオウム真理教事件でございますが、国民生活を不安に陥れた非常に凶悪な事件ということで、国民の関心も非常に高かったと思います。
 報道としてはつい過度にわたりがちでございますけれども、私どもNHKといたしましては、終始、いたずらにセンセーショナルにならない、冷静な報道ということを心がけました。そして、疑惑の解明に役立つ事実をみずからの取材に基づいて伝える、こういう基本姿勢で臨んでおります。
○山田俊昭君 時間の関係で次に進みますが、犯罪報道と人権という問題に絞ってお尋ねをいたします。
 オウム事件の解明がされたおかげで、例の松本サリン事件の第一通報者の河野さん、この人は潔白が証明されましたけれども、この人が半ば犯罪者みたいな、クロだというふうに思われる根拠は、各マスコミの、参考人の事情聴取、河野さんの事情聴取だとか河野宅の家宅捜索というようなものが報道されることによって、まさしく河野さんはクロであるというような印象を国民に与えたというのも事実だと思うわけであります。この河野さんは潔白が証明されたわけで非常にいいわけですけれども、しかし彼がこの事件を通じてこうむった人権の侵害は著しいものがあったと思われるわけであります。
 私は、弁護士としてかねがね犯罪報道と人権というものに対して極めて大きな関心を持っているものでありますけれども、日本の場合、裁判というか、マスコミ裁判なんですね。例えば、だれだれが殺人容疑で逮捕と報道されますと、もうその段階で報道された人はクロなんですね。有罪が即確定すると。裁判はこれから始まります、検察庁がその容疑で逮捕した人を起訴するかどうかこれから決めるわけです。そして、起訴があっても、その人が本当に犯罪者かどうかは裁判によって決められていくわけです。被告人というのは刑が確定するまで無罪の推定を受けるというのが法治国家における原則であります。しかしながら、日本の場合、そういう形でマスコミ報道をされまして、容疑のみで犯罪者とされてしまうという非常に強い怖さを持っているわけであります。
 河野さんの場合は潔白が証明されましたが、潔白を証明されないままこの犯罪報道によって、真犯人が見つからなかったために不起訴だとか処分を受けずに済んだ人たちの名誉、信用の回復というのがほとんどなされない。もちろん、国家賠償法だとか精神的苦痛に対する慰謝料請求訴訟が行われるでありましょうが、それは事件の報道された何年か後であって、その被疑者、被告人なり報道された人間の精神的苦痛がわずかな金銭によって換価されるはずはないのであります。
 そういう意味において、NHKのみならず、放送界全般にわたって犯罪報道と人権というのはまさしく大きな問題だと考えるのであります。そういう意味において、犯罪報道と人権に対するNHKの報道姿勢をお伺いしたいのであります。
○参考人(齊藤曉君) 人権の尊重というのは、もう言うまでもないことでございますが、具体的な例として今先生の御指摘のありました河野さんの件でございますけれども、私どもは警察が河野さんの自宅を家宅捜索した際も匿名で放送しております。人権には十分配慮したつもりではございます。しかし、警察が家宅捜索をした事実を河野さんの家の映像と一緒に放送した。結果的に河野さんが事件に関与したという印象を与えかねない表現があったのも事実であります。
 そういったことで、河野さん自身が松本サリン事件に関係がないということが明らかになった時点で河野さんとお話し合いをしまして、六月五日の「おはよう日本」、これは朝の情報番組でございますが、ここで次のようなお断りの放送をいたしました。「事件直後、NHKでは河野さんを匿名で報道しましたが、河野さんが事件に関係しているという印象を与えかねない表現があり、河野さんと関係者に御迷惑をおかけしました。」と、こういう放送をいたしまして、私どもとしては河野さんが負った痛手をいやすとともに、名誉回復を図ったつもりでございます。
 人権については、NHKとしては組織を挙げて取り組んでおりまして、例えば報道局では報道と人権委員会というものを設けまして、例えば実名で放送するのか匿名か、あるいは映像をどうするのか、事件の容疑者や被疑者の人権あるいはプライバシーに十分配慮しているか、こういう点を常に日常的に検証しているということでございます。
○山田俊昭君 犯罪報道における人権侵害がなされるというケースは、マスコミ一般、NHKは例外だろうとは思いますけれども、警察の発表をすぐに放送されるということが間々あるわけですね。警察というのは、犯人の逮捕のために必死になって捜査をされていますので、どうしても思い込みと、自分が調べている人を犯人に仕立て上げていくという、表現が悪いんですがそういう要素がある。そういう主観的に犯人逮捕のためにそれを専門的にしている人間から取材をするということは、どうしても冤罪を生む要素が多々あるわけでありますけれども、NHKの場合、いわゆる俗に言う裏をとるといいますか、調査はどの程度されて報道されるのか、そこら辺のところをちょっとお尋ねしたいんです。
○参考人(齊藤曉君) 現実の問題として申し上げますが、事件取材の場合に、容疑者が捜査当局に拘束されて、マスコミサイドとしては直接取材できないケースが非常に多いわけでございます。そういった場合、容疑者の供述内容などについてはどうしても捜査当局の情報に頼らざるを得ないという側面がございます。松本サリン事件につきましても、警察の発表を私どもがうのみにしたわけではございませんけれども、結果的に第一通報者が事件に関与していたというような印象を与えかねない放送を行ったという事実はございます。
 取材のあり方については今後の反省の材料にしたいと思っておりますが、いずれにしましても、可能な限り事件の関係者あるいは目撃者等に直接取材する努力をいたしまして事実関係を多角的にとらえる、今までもこういう基本線でやっておりますけれども、さらにそういう努力を重ねて、真実に迫る正確かつ的確な報道に努めてまいりたいというふうに思っております。
○山田俊昭君 十分に人権に配慮した報道を期待いたしまして、質問を終わります。
○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。
 まず、郵政省に伺いたいと思います。
 去る二月に閣議決定をされました「特殊法人の整理合理化について」では、「特殊法人の経理について、会計監査機能の強化を図るとともに、」「いわゆる子会社・関連会社が存在する法人については、子会社等の財務内容等の情報公開を進めること」としております。この特殊法人に関する閣議決定は、平成七年度行革大綱が示すとおり、与党の行革の基本方針を踏まえたものであるというふうに認識をしておりますが、その具体化は政府のみならず、与党の責任であるというふうに認識をしているところでございます。
 逓信委員会に属します特殊法人は、NTT、KDDとともに簡保事業団とNHKになるわけでありますが、NHKにはNHKが出資を行った子会社、関連会社が多数存在をしております。しかしながら、現在審議をしておりますNHKの決算あるいは業務報告書には子会社等の財務内容が明らかにされていないということが言えます。また、NHKの子会社等に対する出資の財源というのは、もとをただせば受信料になる。しかも、NHK本体の出資比率は、五〇%を切る子会社でも、グループの持ち合いを入れますと実質上一〇〇%の持ち株比率の会社も多いというふうに認識をしています。
 そういう視点からも、受信料の使われ万全体、すなわちNHKグループ全体の財務状況について国会で明らかにすべきである、報告されるべきではないかというふうに思うわけであります。
 NHKを監督する郵政省は、閣議決定に基づいて行政を行う立場にあるわけでありますから、子会社等の財務内容や連結財務諸表をNHK決算の説明書に掲載するようにするなど、閣議決定に従ったNHK財務内容の公開に向けた取り組みが必要ではないかというふうに思っております。
 その具体策あるいは基本的な考え方について、郵政省の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 先生御指摘のとおり、NHKは国民の負担する受信料を経営基盤としており、その経営全般につきまして国民の理解を求める努力が必要でございます。NHKも従来から自主的に経営の公開に努めてきたところと承知しております。
 郵政省といたしましても、経営公開をより一層推進するため、昭和六十三年に放送法を改正し、毎事業年度の財務諸表及び業務報告書を各事務所に備え置くことを義務づけたところでございます。現在、全国六十八カ所の放送局及び支局で閲覧が可能となっておるということがまずあります。
 また、昭和六十一年六月の行革審答申を受けまして、平成元年に放送法を改正いたしました。NHK監事に子会社に対する報告徴収及び調査権限を付与するということで監査機能というものの強化を図ったところであります。この監事はNHKの経営委員会が直接任命するものでございます。
 なお、御指摘の子会社等の財務内容等の情報公開という問題でございますが、今後、政府の方針にのっとりまして、将来必要な措置をとっていくこととしたいというふうに思っております。
 なお、おのおののNHKの子会社の財務内容につきましては、商法、企業会計原則等に基づき、それぞれが必要な公開を行っているというふうに承知しております。
○水野誠一君 今お話がありました子会社の中で、実質上NHKあるいはNHKの関連会社の出資というものがほとんどである、つまり一〇〇%近い会社というのは何%ぐらいあるのか、お教えいただきたいと思うんです。
○参考人(中井盛久君) ちょっと今資料が手元にございませんが、NHKの関連団体というのは六年度の段階で二十八社ございます。放送番組の企画とか制作、販売分野ということで十五社、それから業務支援分野ということで、文化センターでありますとかコンピューターサービスとか、そういうようなのが六社ございます。それから公益法人グルーブ、公益サービスをやるところとして例えば放送研修センター、外国の人たちを呼んだり民間の人たちの研修をしております。そういうところだとか、NHK交響楽団、あるいはNHK学園といいまして授業料で成り立っておるというような、収入、売り上げも非常に多岐にわたっております。
 この二十八団体の六年度の総合計の売り上げは二千百九十一億に上っておりますが、従業員としては四千五百人ぐらいが一応当たっておりまして、NHK自身が本来的にやる業務あるいはそれに付随するような業務というものは、新しいマルチメディア時代とかソフトが多く要る時代になりまして、ますますふえてきている状態を企業集団といいますか、今まで企業集団と言っていたのを、川口会長になってからその命名も創造的な文化集団であるという位置づけにしまして、NHKの本体とこのグループが一緒になっていろんな番組とか支援による活動をしていこうと。N響の活動がありますとN響を、放送自体はNHKがやりますけれども、外国へ行ったりしてやっているものはN響自身と、それにプロモーションがついていくとか、そういう活動をやっている実態でございます。
○水野誠一君 私の記憶では、NHKの二十八団体、子会社の中で純然たる外部資本が入っている企業というのは非常に限られているというふうに思っております。ということは、子会社でありながら実はNHK本体の仕事をサポートする、実質上はNHKと一心同体の企業というものが多いのではないかなと、そういう認識をしているところでございます。
 そういう中で、川口会長にお尋ねしたいんですが、こういった子会社というものが、今現在四千五百名の職員というふうにお話があったわけでありますが、果たしてNHKからその子会社に出向しているあるいは転籍されている方というのがその中にどれくらいいらっしゃるのか。
 それから、こういった子会社がNHK本体の経営改善、リストラというためのバッファーに使われている面というのも非常に大きいんではないかと思うんですが、今後こういった子会社の数をふやしていく、これは、前の島会長時代よりも、川口会長の時代になられてから経営改善も含めて子会社自体のリストラも非常にお進めになっているということでありますが、片方ではそういった子会社というものが今後どうしても増加せざるを得ないというような傾向というのもあるのではないかというふうに思いますので、その辺について御見解を伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) まず、総論のようなことから申し上げます。
 NHKの関連団体は、御存じのように、四千五百人を超えますけれども、これのあり方については私は前会長とがらりと変えたつもりでございます。つまり以前は、事業をする幾つかの子会社が、関連団体があって、それを通じてNHKに還元をする、それが結果的には受信料収入に期待しないで別な財源とする、そういう構想です。ですから、大変積極的といいますか、企業活動を進めるような傾向になっていったわけです。
 私が会長に就任しまして、それはどこかでやっぱり無理がある、ひずみが起こるというふうに考えまして、いわゆる企業団体というものを文化の創造をする団体だというふうに規定をし直しました。そして、この関連事業体は、それぞれハイリスク、ハイリターンというようなことを考えるな、むしろローリスクでローリターンということを前提にしなさいと。そして、NHKが持っている社会的責任というものをきちんと果たしていくことを、関連団体としてもそのことを前提にして仕事をしてくれということを要請しまして、今、大体そちらの方で落ちついております。
 ただ、関連団体を持ったことの意味は、一つはやっぱりNHK自体が一万二千を超える非常にたくさんの従業員を抱えておりまして、これは将来経営を非常に圧迫するということになり、それを効率化の方向に従って関連団体に一部移して、協業という形ですね、関連団体とNHKが共同して仕事をしていく形をつくれないかという発想が一つございます。
 それからもう一つは、いわゆる公益団体でございまして、公益的な仕事をそこがやることによってNHK本体ではできないことができる。例えば、厚生文化事業団とか、そういうふうなものは積極的にやるべきではないか。
 もう一つは、NHKがいわゆる外部に仕事をおろすときに、おろす仕事を的確にかつ廉価にやってもらえる団体、コンピューターサービスだとか、それから総合ビジネスという関連会社があります。そういう会社です。それは、つまりNHKの手足になって働くところがあった方が便利じゃないか。この三つの要素があるわけです。
 問題は、協業の団体ですけれども、これをふやすのかと言われますと、私はそんなにふえないと思います。また、ふやす必要もない。どうしてかといいますと、NHKの効率化ももう限度に来ております。大体一万二千ちょっとのところで、もうこれ以上は減らせない状況になっておりますし、したがって、そういう意味での無理な関連団体への出向というのはする必要もだんだんなくなるだろうと思います。
 それともう一つは、テレビ放送業者といいますか、テレビ番組をつくっているところは外部に非常にすぐれた幾つかの会社ができております。ここからNHKが企画を募集して、そしてつくってもらうという純粋外部制作の番組というのが非常に多くなります。しかも、今それが非常に質が高いという状況になりましたので、本体がつくるものと関連事業と、そして純粋外部と、三つのセクションから極めて質の高いものが集まってくるような状況になれば、それは経営的には非常に安定をするということになりますから、大体そちらの方向を目指しておるところでございます。
 それから、お尋ねになった関連団体要員の中で、四千五百九十二名のうち、協会から出向している人は九百九十七、それから退職して再雇用しているのが九百三十九、それからその団体で採用した人数、いわゆるプロパーというタイプの人たちが二千六百五十六という内訳になっております。
 以上です。
○水野誠一君 ありがとうございました。
 いま一つ、子会社の経理あるいは監査についてお尋ねをしたいと思います。
 民間の大会社については、社内監査のほかに会計監査人の監査というものが義務づけられているわけであります。先ほど御答弁の中で、NHKの子会社についてもNHK監事による監査をされるということでありますが、今後、NHKの子会社に対する会計検査院の検査権を認めるというような方向で放送法の法律関係の改正などの検討を進めるおつもりがあるのかないのか。これは郵政省の御見解をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(楠田修司君) 先ほど御説明しましたとおり、昭和六十一年の行革審答申で、「法人が出資する子会社等の業務及び財産の状況に関する監事の監査権限を商法の規定に準じ制度化するものとする。」と、監事の権限をここで強化したわけでありまして、それに基づきまして、放送法第二十六条第五項から第七項、ここでNHKの監事に子会社審査権が認められることになりました。このようにしまして、NHKの出資する子会社についても監事の権限を強化してきたという状況がございます。そういうことで、実際問題としまして、子会社の事業状況の的確な把握と、それから業務運営の適正を確保することが十分担保されておると私どもは考えておりまして、今のところNHKが出資する会社の会計をNHKと同様の会計検査院の検査対象とすることは必要ないというふうに考えております。
○水野誠一君 ありがとうございました。
 次に、NHKのハイビジョン放送についてちょっと触れさせていただきたいと思います。
 NHKは、これまでも高画質、高音質なハイビジョン放送を高度情報化社会の中の中核メディアという位置づけをしながら、その開発普及に取り組んでこられたというふうに思っています。このために、開発スタート時の昭和三十九年から平成六年度までに開発研究のために二百十億円、放送関連費を含めると八百六億円の経費をかけてきている。平成七年度予算においても百七十五億円を関連経費として執行されているわけであります。
 また、NHK技術研究所の発行誌「NHK技研R&D」というのを拝見したんですが、昨年度の掲載論文、三十四の論文のうち十二をハイビジョン関係の論文が占めている、こういう状況でございます。
 しかし、世界の趨勢を見るにつけても、二十一世紀のマルチメディア時代には、テレビジョンというのは現在NHKがお進めになっております高画質、高音質な受像機から、さまざまな情報を受発信する多機能型端末へとその役割が変化していくのではないかとも言えるわけであります。したがいまして、その研究開発もハイビジョンを中心としたものから機能重視の方向へ変わらざるを得ない、あるいはその双方を重視しなければいけない時代に入ってきているというふうに認識をしています。
 そこで、NHKは、二十一世紀に向けまして統合ディジタル放送、ISDBの実現を目指すことを本年一月の中長期経営方針でも明らかにされているわけでありますが、マルチメディア時代に対応した研究開発戦略について、今後の研究の方向性あるいは経費の問題等についてNHK、できれば会長の御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) 技術的な細かい開発については技師長から後で補足してもらいます。
 ハイビジョンに私どもが非常に力を入れております理由というものを申し上げます。
 私どもは、ハイビジョンの開発にかかったのはもう三十年以上前ですけれども、その後、この機械がこれからの映像社会に、特に日本の社会においては非常に有用ではないかというふうに思ったんです。ただ、問題がありまして、それはあの大きなずうたいと、それから高い価格というふうなものがある限りは絶対に普及しないと。その価格の面と容積の面等が改善されれば、これは将来やっぱり日本人にとって高画質、高音質、そして大画面というのは非常に魅力的でありますから、私は将来の中心になるだろうというふうに思いました。そして、その後の開発が進みまして、先ほどから話が出ておりますように、壁がけテレビの開発がどんどん進み、それから一インチ一万円という廉価も望めるという状況になってまいりました。
 それで、将来のディジタルヘの接続というのが一番大事でございまして、今のアナログでスタートして、アナログの受信者が新しいものを買いかえなきゃ全く映らないという状況になったらこれは大変ですから、接続ができるかできないかということを最後の決め手にしたわけです。そこが極めて簡単にできるというようなことがわかりましたので、去年の十一月二十五日から実験放送の強化と、そしてハイビジョンの推進ということに踏み切って、今そちらの方に進めています。
 視聴者がどう受けとめるか、これが一番大事なんです。私ども、今一年間の反応では、特に阪神大震災の大画面だとか、それからスポーツ大画面だとか、それから特に美術関係の教育効果がとてもあるというのがわかりましたので、相当強い期待を抱かれているように思います。現実には、去年の段階から比べますと、この一年間で買い求められた受像機は大体三倍を超えました。来年は相当伸びていくだろうという予測もできます。
 そういう状況でございますので、私は、しばらく慎重ですけれども、しかし希望を持ってハイビジョンの開発は進めたいと思っております。
○参考人(森川脩一君) 先生からISDBに関する御質問がございましたので、ちょっとお答えさせていただきますが、今先生おっしゃいましたように、NHKではマルチメディア時代に対応した研究開発の中心に統合ディジタル放送、ISDBというサービスを据えて、これの研究開発に当たっております。
 具体的には、研究すべき要素が幾つかございまして、例えば欲しい番組を簡単に楽しむことが可能なディジタル受信機の研究開発、さらには映像、音声、データといった多様な番組を能率よく御家庭に、あるいは車その他の移動体に送り届けるためのディジタル伝送技術の研究開発、さらには対話性あるいは双方向性を持った番組を能率よく制作可能なディジタル技術の研究開発、そういった点にポイントを置きまして研究開発をやっております。
 それから、経費の問題についての御質問でございますが、もとより協会の限られた財政の中でお金は重点的に配分しておりますが、その枠組みの中で研究開発の推進に努力をしているわけでございます。ディジタル放送、マルチメディアの研究経費は、直接的には六年度に九億円、七年度にはその約三〇%増しの十二億円を充てております。
○水野誠一君 今の数字を拝見していても、まだまだマルチメディアに対しての研究というのが今後の大きな課題ではないかなという感じがしております。
 その中で、こういったマルチメディア時代が来る、あるいは二年後にNHKの方では二十四時間放送を計画されているというようなことも伺っているわけです。そうなると、今後ますます放送番組ソフトというものの絶対数、あるいは質的な面も含めて足りなくなってくる、そういう課題が、問題が出てくるのではないかというふうに思うわけでありますが、視聴料金というものを上げることなく、質量両面からどういうふうに対応していかれるおつもりなのか、この辺についてNHKの御見解を伺いたいと思います。
○参考人(川口幹夫君) いわゆる経営計画として私が持っておりますのは、入るをはかる、それで出るを制すという基本的な戦略でありますけれども、入るをはかるために、先ほど申し上げたハイビジョンを中心とした衛星放送の拡大ということをねらいとしたいと思っています。
 現実には、いろいろ危倶されました衛星放送も来年の三月には普及が一千万台を超します。確実に超します。そして、この大体七三%ぐらい契約が必ずできると思いますので、七百三十万ぐらい確保できる。そして、これが今後進むためにも、より魅力的な衛星放送をしなきゃいけない。当然、その内容の問題もそうですが、将来は、私どもはやっぱりハイビジョン化することの方がより大きな受益感があるんじゃないかというふうに思っていまして、そういう方向づけに衛星を持っていこうということも考えております。
 そうしまして、衛星契約者をふやすことによって経営の安定化を図る。もう地上放送は大体三千五百万世帯で一種の頭打ち状態でありますから、これは値上げをしなければ何とも収入はふえませんけれども、衛星の方は新しい契約者がふえるわけですから、そういう点での経営的なメリットは非常に大きいと言うべきだと思うんです。
 そして、一方にこういう形で膨らんできましたから、今度は出るを制すということで、できるだけスリムな形でもって運営をしなければいけないというふうに思っていまして、今いろんな点での見直しをやっております。効率的な計画を立てて、そして出ていく支出を抑えて、入ってくるのをふやす、そういう形でもって協会の経営をできるだけ長く安定をさせたい。
 今までは大体四年に一遍値上げをしましたのでオリンピックだなんて言われましたけれども、そういうことはもう全くできる世の中ではございません。したがって、平成二年に値上げをさせていただいた、それはできたらもう来年もやりませんし、それから再来年もやりたくない。平成十年も何とか今の形でしのげないか、そういう経営努力を、目標を立てて頑張ろうというふうに思っております。
○水野誠一君 大変すばらしい御決意を伺うことができまして心強く思っております。
 最後に、放送番組に対する国民の関心の高まりということにつれまして、この四月の放送法改正に際しまして、視聴者の人権を最大限尊重することを内容とする参議院の附帯決議が行れました。
 そこで、郵政省はこの九月から多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会を開催して、今放送のあり方について検討をしているというふうに伺っています。
 郵政省に、まずこの懇談会を設置したねらい。と検討内容ということについて伺いたいということと、NHKの方からは、これは会長がメンバーになっておられるわけでありますが、どのような姿勢でそれに対応されているのか、また視聴者と放送との関係についてはどのような認識を持っておられるか。先ほど来の答弁の中にもその一片は伺っているわけでございますが、改めて簡潔にお答えをいただければと思います。
○政府委員(楠田修司君) 昨今、衛星ディジタル多チャンネル放送の動きなど、多チャンネル化の進展が展望されるわけであります。そのようになった場合、非常に多チャンネルの放送が出てくる、今までの放送と違った形のものが出てまいる可能性があります。そういうときに、番組も含めました放送の規律というものはどうあるべきか、あるいは視聴者との関係はどうあるべきかということの検討がひとつ必要だろうということであります。
 また、一昨年の椿発言の問題、あるいはその後のオウムの報道あるいはサプリミナル問題等、放送番組に対する社会的な関心も非常に高まっております。このような中で、先生今御指摘のとおり、本年四月の本委員会における放送法改正の附帯決議では、放送番組審議機関の機能の十分な活用、放送番組に関する苦情処理のあり方等、マルチメディア社会における放送番組の諸課題について広く各界からの意見を聞き、総合的な検討を行うことが要請されているわけであります。
 こうした状況を踏まえまして、先ほども述べましたような放送番組に関する諸問題、放送規律のあり方あるいは放送番組審議機関のあり方等々を検討すると。それによりまして、二十一世紀に向けた放送の健全な発達に資したいという目的を持ちまして、多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会ということで本年九月に一つの懇談会を設置したわけであります。既にもう二回実施いたしまして、この中で多チャンネル時代の展望であるとか、あるいは放送番組の青少年に対する影響の問題あるいは番組に対する苦情をどうするかというような問題等々、幅広く審議されておりまして、今後、来年に向けて一層この懇談会で検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
○参考人(川口幹夫君) NHKと民放連の会長はこの懇談会のメンバーになりました。そして、これまでは民放もNHKもそれぞれ番組審議会とか視聴者会議を持っていますけれども、それはやっぱり自分の社のこと、自分の組織の中のことでありまして、広く放送界全部の問題として討議するチャンスというのはなかなかありません。したがって、この放送行政局長の主催される諮問委員会がそういう意味では新しい時代の放送のあり方を民放、NHKが一緒になって議論をし合おうというふうな御趣旨ですので、喜んで参加させていただくことにしたわけでございます。
○水野誠一君 ありがとうございました。
○委員長(及川一夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川一夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 日本放送協会平成五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手一
○委員長(及川一夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川一夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会