第134回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第2号
平成七年十一月八日(水曜日)
   午後一時五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜四津敏子君
    理 事
                斎藤 文夫君
                山口 哲夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                亀谷 博昭君
                北岡 秀二君
                久世 公堯君
                谷川 秀善君
                野沢 太三君
                小川 勝也君
                小山 峰男君
                菅川 健二君
                続  訓弘君
                今井  澄君
                上山 和人君
                吉川 春子君
                末広真樹子君
   国務大臣
       自 治 大 臣  深谷 隆司君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江藤 隆美君
   政府委員
       行政改革委員会
       事務局長     田中 一昭君
       地方分権推進委
       員会事務局長   東田 親司君
       総務庁長官官房
       長        河野  昭君
       総務庁行政管理
       局長       陶山  晧君
       総務庁行政監察
       局長       大橋 豊彦君
       自治大臣官房長  二橋 正弘君
       自治大臣官房総
       務審議官     湊  和夫君
       自治省行政局長  松本 英昭君
       自治省財政局長  遠藤 安彦君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
   説明員
       内閣官房内閣参
       事官       安富 正文君
       文部省教育助成
       局地方課長    清水  潔君
       文化庁文化部宗
       務課長      佐々木順司君
       厚生省社会・援
       護局企画課長   辻  宏二君
       通商産業省産業
       政策局流通産業
       課長       福井 雅輝君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方分権の推進及び規制緩和に関する調査
 (地方分権の推進及び規制緩和に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(浜四津敏子君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を開会いたします。
 地方分権の推進及び規制緩和に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久世公堯君 地方分権の推進につきましてはここ二年余りは大変画期的でございまして、平成五年には衆参両院で国会決議が行われる、平成六年には大綱方針が決定される、さらに本年の五月には分権推進法が制定されたわけでございます。そして、直ちに七月には推進委員会が発足をし、今日までたしか十二回開かれていると聞いております。そして、「分権推進に当たっての基本的考え方」、それから「留意すべき事項」というものをこの九月に明示されますとともに、地域づくり部会とくらしづくり部会を設置されまして、それが既に開催されていると承っております。
 きょうは、これの基本方針なりあるいは特に留意すべき事項についてお尋ねをしたいと思っております。
 地方分権につきましては、シャウプ勧告に基づいて設置をされました地方行政調査委員会議が二回にわたって勧告をして以来、四十五年間が推移いたしております。私も長く地方自治に携わったものの一人として大変この二年数カ月は感慨無量でございます。
 さて、推進委員会はこれを決定するに当たりまして、「今や実行の段階にある地方分権の推進は、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革ともいうべきもの」というふうに位置づけておられます。みずからの責任を自覚しておられるわけでございまして、いわば地方分権は、この特別委員会がそうでありますように、官と民との規制緩和とそれから地方分権、この二本柱がまさに二十一世紀を切り開く改革としてその意義が大きいと思います。
 そこで、まず自治省に地方分権の実現に対する決意をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) お答え申し上げます。
 今日、国民が豊かさとゆとりを実感できる魅力ある地域社会を実現することが極めて重要でございまして、地方公共団体がみずからの創意に基づく施策を積極的に展開していくことができるよう、地方分権の推進を図ってまいることが何よりも必要であると考えておるところでございます。
 このような地方分権の推進は、明治以来続きました我が国の中央集権的システムの改革に全力を挙げて取り組もうとするものでございまして、二十一世紀に向かいまして時代の大きな転換期にある今日、画期的な事業であると考えているところでございます。
 そういうことで、今、委員も御指摘のように、去る十月十九日に地方分権推進委員会におきまして、「今や実行の段階にある地方分権の推進は、明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革ともいうべきもの」との考え方を示したところでございます。私どももそういう考え方に立ちまして、具体的な成果を上げるべく強い決意でこれに取り組んでまいる所存でございます。
○久世公堯君 私は、この地方分権の実現というもの、地方分権の意義というものに対して、中央集権には三つの弊害がある、そう考えております。
 一つは、この基本的な考え方にも出ておりますが、集権と画一の弊害でございます。もうこれは御説明するまでもありません。二番目は、縦割り行政の弊害でございます。そして三つ目は、東京一極集中の弊害でございます。昨年の四全総総点検、また今つくっております次期計画では東京一極集中は多少と奉りを見せていると言っておりますが、まだまだ油断はできません。
 この集権と画一の弊害、縦割り行政の弊害、東京一極集中の弊害、この中央集権の三つの弊害というものの反省に立って、地方分権というものがこれから必要だということについて江藤大臣、また政府委員のお考えを承りたいと思うわけでございます。
 ところで、日本国憲法の第八章は地方自治をうたっております。これほどすばらしい規定はございません。また、地方自治法にも、例えばこの団体事務についての国の関与の規定というのがございますが、それは本当に地方自治を尊重してやりなさいということが規定されているわけでございます。建前は確かに分権でございますけれども、我が国の国、地方を通ずる行政を考えますと、本音は私は集権にほかならないと常日ごろ思っているわけでございます。
 したがって、地方分権問題というのは総論ではだめで各論をやらなければ全く意味がない。各論と申しますのは、役割分担なり、必置規制の問題なり、機関委任事務の問題なり、あるいは地方事務官、補助金、それに国の地方出先機関、さらに中央省庁のあり方の問題だと私は思っております。
 ところで、今回のこの「分権推進に当たっての基本的考え方」、それから「留意すべき事項」というものを見てみますと、まさに総論は大変立派なことが書いてございます。「基本的考え方」は総論、「留意すべき事項」というのは私に言わせれば各論の総論でございまして、各論の各論というものはまだ何も書いてない、これが実態だろうと思います。そして、今日までほとんど与野党通じて、地方分権については総論は賛成、しかし各論になりますといろいろ議論があるわけでございます。
 そういう見地に立って考えますと、今回の総論を読ませていただきますと、私は基本的な考え方は非常にできがいいと思います。わかりやすいし、文章もキーワードも現代に合致をいたしております。今まで過去三、四十年間、地方制度調査会、臨時行政調査会、行革審、何十回となくこの総論は繰り返されたわけでございます。したがって、私は、きょう総論について云々する気持ちはございません。ただ、留意すべき事項にはいろいろ問題がございますので、以下個別、具体的にお尋ねをしようと思います。
 江藤大臣は殊のほか農政、建設、各行政にお詳しいわけでございますので、少し具体的な問題から入りたいと思いますが、国と地方との役割分担ないし国の関与につきまして、都市計画行政、農地転用の二ヘクタール以上を国の直接の権限にしておられる点、さらに保安林の指定、解除につきまして、これもいろいろございますが、特に水源涵養保安林等がまだ農水大臣になっております。この三つの行政についてどのようにお感じになっているか、分権の見地からどうしようと思われるのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) これは専門家のお尋ねでありますから大変痛み入りますが、建設大臣をやってきまして、やっぱり一番の問題は今でも非常に景気がよくない。よくないというのは何だと言われたら、土地の規制が多過ぎるということです。それは、農地転用でもやったら、それは山ほどしょうゆをつくって、それはもう何カ月もかかる。今おっしゃったように、二ヘクタール以上は農水大臣の許可事項である。私は意味をなさぬと思っているんです、そんなことは。私が、例えば宮崎市にバイパスをつくったとしますね。それは四車線のバイパスですから瞬くうちにここに家ができていくんですね。ところが、いや、それはガソリンスタンドやらスーパーじやなきゃだめよと、一般の商店とか個人の住宅はだめだという、そういうことをいまだにやっておる。やめろというんです、そんなことは。
 私はかつて福島へ行ったときに、天野光晴さんがちょっと来いと。建設大臣をしておいででした。このインターチェンジの周りは便利がいいから工場進出の青写真が全部できている。農水省がどうしてもやらさぬと言うんです。それから帰って、米をつくりたいところで減反をさせて、米をつくらなくても他に転用のできるところで米をつくるということはどういうことかといって、そのときにインターチェンジ周辺の農地については原則として外してよろしいということをしたんです。そして、そういうところで減反して、それなら米しかつくれないところで米をつくらせたらいいと、こういうことをしたんですが、なかなかまだ農地法の関係で農水省のそういう姿勢に非常にかたい面があります。
 ですから、これは都市計画にしろあるいはそういう農地転用にしろ、非常にややこしい。ですから規制緩和の中で、これは知らないことではありませんから、絶対に取り組んでいくべきことであると思っています。
 それから水源涵養林というものも、昭和四十年代でしたか、国有林野の活用法案というのが国会へ提出されたんです。そうしたら当時の林野庁は、ここは保安林だ、ここは水源涵養林だ、ここは風致林だといって網をかぶせてしもうて、そして法律ができ上がったときには全く活用するところはなくなってしまっで、今そのお陰で、その網の中でもうそれこそ身動きがならぬで、三兆円を超す赤字を持つようになってきた。ですから、もう一回私は、国有林で管理すべき山林とは一体何なのだということの仕分けが必要であろうと思っています。そうでない限りは日本の森は守れない。何もかも一緒くたに全部やってしまったんです。それだから、どこか山の中のだれも手を出さぬようなところだけ活用ができるような結果にしたものですから、おっしゃるような保安林等についても問題の点が多々あるということはよく存じておりますから、これらの問題にはしっかり取り組んでまいります。
○久世公堯君 ただいまの大臣の御答弁は、全く地方分権の立場に立って、従来何回も問題になった都市計画あるいは農地転用、保安林、私は非常に象徴的なものだけを挙げたわけでございますが、まだ何百となくこういう例があるわけでございますが、大変御理解のある御答弁をいただいたわけでございます。
 大体、行政分野別云々というものの「国と地方の役割分担」のところにいいことは書いてあるんですが、全国的な云々というと、これはこちらから見れば国の権限だという見方もできるし、またその執行に当たって地方団体が全国的なものも地方自治でやるべきだ、こういうふうにも読めるわけでございます。
 したがって、後者の読み方をひとつ今の大臣の御答弁のような趣旨で生かしていただきたい。主体的、総合的に担い、企画・立案、実施にわたって一貫的に地方自治体が取り組めるような、全国的なものであっても地域に即したものはぜひそのような国との役割分担というものをお願いしたいと思っております。
 次は、よく問題になります機関委任事務でございます。
 最近、新聞を見ておりますと、機関委任事務は国の下請事業だとか下請事務だというふうに書いてございますが、私はそのようには理解しておりません。機関委任事務の実態は、機関委任事務についても予算は全部県議会であるいは市町村議会で審議が行われております用地方自治体の職員が仕事をやるのに、これは団体事務だ、これは機関委任事務だと仕分けをしているわけじゃありません。一体としてやっているわけでございます。
 平成三年の地方自治法の改正によりますと、監査も機関委任事務について及ぶし、また議会の検査権や監査請求権も、これは一定の限界を越えますけれども、機関委任事務には及ぶと。私は、機関委任事務といえども地方団体の事務というものにすべきだし、またそういうふうに建前もなっておると思うわけでございます。
 戦前の地方制度というものを見ますと、知事は確かに官選でございました。国民が選んでいるわけじゃございません。しかしながら、戦前の知事も、知事になった以上はその県についての行政を総合的にやっていたわけでございます。国家公務員である知事も自治体の事務と一緒になってやっていたのが昔の府県制度でございました。現在は、知事は民選によって選ばれているけれども、そこに機関委任事務という形で国が指揮監督権を持っているわけでございます。
 戦前は、私は、建前は集権、しかし本音は分権であったと思うわけでございます。戦後は、建前はそれこそ選挙によって選ばれた知事、分権でございますけれども、本音の方はかえって集権である、このように私は理解しているわけでございます。しかし、戦前も戦後も地域の総合行政を府県がやっていたということについては全く間違いがないわけでございます。
 そこで、私は、今基本的な考え方あるいはそれについて言われておりますように、機関委任事務を団体事務化することは結構でございます。そのかわりに機関委任事務というもの全部を取り上げて、まず事務自身が要るか要らないかを検討して、その上で本当に国が関与しなきゃいけない事務、監督しなければいけない事務、そういうものに限定をいたしまして、かつ監督、関与の方法もいろいろ知恵を絞ってシステムをぜひ考えていただきたい。大事なことは地域の総合行政ということを確保することである、このように考えているわけでございます。
 典型的な例といたしまして、例えば旅券の発行というのは機関委任事務でございます。それは地域ごとに違う形だったら困るから、典型的な機関委任事務でございましょう。しかしながら、今やこれだけ海外旅行が多くなりますと、県庁だけではなくて、県庁の出先にも窓口をつくってやっているのが旅券の発行事務でございます。そういうふうに地域性というものを持たせながらいかに国の監督、関与というものを考えていくか、これがこれから大事なことだろうと思いますが、それについて自治省の御見解を承りたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) もう大変な御専門の先生でいらっしゃいまして、機関委任事務等についても大変に御造詣が深いわけでございますので私のようなものが申し上げるのもなんなのかと思いますが、まず第一点の御質問の中で、機関委任事務についてはまず事務自体の存続というものについて検討しろ、こういうお話でございまして、その点につきましてはさきの十月十九日の分野別検討に対する留意事項、いわゆる地方分権推進委員会の留意事項におきましても「事務自体の存続の可否を検討したうえで」という言葉で積極的に団体事務化を図るといたしているところでございまして、そのことについては委員と全く同じ基調ではないかと思うわけでございます。
 それからまた、そうあったとしても引き続き国の事務として存続しなければならないようなもの、今、委員は旅券の発行ということをお挙げになりましたが、旅券の発行というようなものは国の事務であるということはわかっていると。しかしながら、それは今も御指摘のように、地方の住民の利便性というものを考えますと地方団体の窓口でそれを処理した方がいいというようなものもあるわけでございます。その際に、機関委任事務という概念なり制度なりを廃止いたしましたときには、それをどういうふうに国民の利便のために国民の要請に沿う形で処理するような方途を見つけるか、これが非常に大きな課題であろう、それもまた今、委員の御指摘のとおりだと思います。
 さきの地方分権推進委員会でも、「機関委任事務制度を廃止した場合の問題点、新たな事務処理方法等についても検討するものとする。」と言われているわけでございまして、そういう方針に沿って今後地方分権推進委員会等において前向きの検討がなされるのではないかと私どもは期待をいたしているところでございます。
○久世公堯君 ありがとうございました。
 そこで次は、国の地方出先機関と中央省庁の問題についてお尋ねしたいと思います。
 発表されたこれを見まして大変不満なのは、「その他」というところに国の地方出先機関、地方事務官制度が書いてあるわけでございます。私は、地方分権にとって何が問題点かということを三つ挙げろと言えば、一つは機関委任事務及び国の関与でございましょう。二番目は国庫補助金制度。三番目は国の地方出先機関あるいは中央省庁のあり方だと思います。
 そこで、国の地方出先機関につきましては「所要の見直し」ということが書いてありますが、私は抜本的改革の必要性というものをぜひうたってもらいたい。国の出先機関についてもいろいろございます。現業は別でございます。専ら地域に関係のないものはまた別でございますが、府県、市町村の行政事務事業と関係するものにつきましてはこれを改革することが私は地方分権にとって非常に大事だと思うわけでございます。地方農政局、通産局を初めとして、相当国の補助金の分配なりあるいは許認可なり、それを経由しているのが国の地方出先機関でございます。
 先ほどの国の関与とともに申し上げますならば、ざっくばらんに言って役割分担なり出先機関の問題といいますのはどっちか生言えば従来は面倒な事務、厄介な事務、事務に手間暇かかる、あるいはいざこざが多い、こういう事務は地方自治体に機関委任しておけとか地方自治体にやらせろとか。用地買収だって、国の事業であれ公団の事業であれ、用地買収の実際の手先をやっているのは酒をぶら下げて地主と折衝して、そしてくどいてやっているのが実態だろうと私は思うわけでございます。
 そういう嫌な事務は地方自治体に任せて、うま味があると申すと問題があるかもしれませんが、そういう権力のある許認可であるとか補助金のような金目なものとか、そういうものは機関委任という形でやらせる。それはやらせるけれども、実際の権限は出先機関なりあるいは本省が握っている。これが私は実態じゃなかろうかと思うわけでございます。そして、地方出先機関にはろくろく権限というものを与えないで、そして経由というのがかなりあって、本省で決定しているものがかなり多い。ですから、地方分権の問題は国の地方出先機関全般に、そして地方行政とかかわるものについてやはりメスを入れていかなければいけない、このように考えているわけでございます。
 しかしこういう考え方もありましょう、やっぱりブロックならブロックで処理できるものはおろそうと。それならそれでもいいんです、そこで全部事務が完結するならばそれは結構でございます。ところが、そうでなくて、結局経由してまた上に来る。静岡県とか新潟県、長野県なんかは、出先機関が省によって違いますから、総合的にやろうというときにまた大変面倒になるわけでございます。静岡なんかは、あるときには名古屋まで行ってまた引き返して東京まで行く、こういう現象もあるわけでございます。
 それに、江藤大臣は大変その辺お詳しいと思いますが、例えば地方建設局の場合は、地建の局長を経なければ絶対に河川局長にも道路局長にもなれません。これは地建の場合は全部その伝統がつながっております。例えば、大蔵省の財務局あるいは通産省の通産局、これは近畿と中部は別でございますが、それ以外の地方の局長というのはほとんど中央省庁の局長や審議会委員にはなれない、これが実態だろうと思います。
 どうでしょうか、九州の各出先機関で中央省庁の、私は本省という言葉は嫌いでございますので、中央省庁の局長になっておられる方がおられるかどうか。ひとつ出先機関と地方分権についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 建設省はそういう前例が非常にあるわけです。例えば、参議院の皆さんの仲間の陣内議員は九州地建、私が大臣のときの河川部長であります。それから、前の建設省の藤川道路局長というのは九州地建の局長であります。それから、今、事務次官をしておる藤井君は、中部地建の局長をしてそれから道路局長になりまして事務次官になりました。
 農水省は、時たま半分ぐらいでしょうか、例えば熊本営林局長、北海道営林局長をやって林野庁長官になるというケースがありますが、普通の農政局長でそのまま本省の局長に上がるというのは余り見かけないようです。
○久世公堯君 いや、私は人事の話だけではなくて、むしろ事務事業の話、しかも今の営林局の場合はこれは現業でございますから、地方自治行政とは余り関係ないわけでございます。
 地方行政と関係のある行政について、一体この出先機関というものの存在を地方分権の立場からどう考えるか。さらに、地方分権というものを本当にやる気だったら中央省庁は余りにも大き過ぎます。しかも、もう鉛筆をなめて箇所づけまでやっております。これをやめさせない限りにおいては地方分権はできないと私は思っておりますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(江藤隆美君) これはもう委員一番御存じで、例えば市町村が土地改良をやろうとする、そうすると県に持っていく、県が農政局に持っていく、農政局からまた農水本省に持ってこないと決まらない。ですから、一体何のためにあるやらわからない。これは道路、河川でもそうです、地建に持っていく。しかし不思議と、例えば公園とか都市計画ですとか、そういうものは地建の管轄外になって、道路と河川だけなんです、地方建設局というのは。
 これからはいよいよブロックの時代になるし、小選挙区の時代になる、地方分権の時代になるわけですから、地方の支局というものがある程度の権限と決定権を持っておるとするならば、それは私は存在理由はあると思います。そのかわり、地方の権限というのをうんと移さぬといかぬですね。いわゆる小さい政府ということにならざるを得ない。
 そうでない限り、今のままでありますと、これはお恥ずかしい話ですが、建設工事事務所がある、あれは一国をやるだけですから、第一国道ですね。一国の仕事は終わってしまった。そうすると、つぶすわけにいかぬから、本来県が管理しておるいわゆる二国というのを県にかわって建設省が直轄工事をやっておるというのを見ると、こんなのはちょっとおかしいな、それぐらいならばもうすべてそれは県がやっていいのではないかというようなことを実はよく見受けているところであります。
○久世公堯君 今の大臣のお言葉を返すわけじゃありませんが、地建の場合は国の直轄事業だけをやっているいわば現業官庁です。県のやっている道路行政や河川行政は直本省になっております。ほとんど地建を通らないで調整だけやっておる程度でございます。
○国務大臣(江藤隆美君) 陳情に行くんです。
○久世公堯君 陳情問題はあろうかと思いますが、都市計画とか公園緑地は頭から関係ない。一時、昭和三十年代に地建にそれを持っていこうということがあったけれども、さすが聡明な建設省は、それは二重行政になる、だからやめたわけでございます。
 そういう昔を考えますと、建設省はまだいいんですけれども、ほかの省にいろいろ問題がある。しかも、地元の局長の人は絶対に中央省庁の局長や審議官にほとんどなれない、これも問題だと思うわけでございます。そのあたりは総務庁長官として、今後ぜひそういうことを踏まえて各省行政というものを見ていただきたいと思うわけでございます。
 さて、法律の規定も協議とか合意という言葉があります。これはすべて国の方から地方にこの協議をしろと言う、それから地方に対して合意をしてやると言う。私は、法律の規定も地方自治体の方がむしろ場合によっては国に許可するものがあってもいいと思うんです。地方自治から国に関与するものも団体事務の中にはあってよいと思います。協議とか合意についてもそういう関係があってもいい、対等のものもあってもいいんだ、こう思うわけでございますが、ここもひとつ頭に入れていただきたいと思っております。
 それから、今地方分権の問題を考えますと、昔の内務省時代、そしてそのもとにおける府県制度というものを考えてみますと、その時代からやっておりました地域行政というものは、今の省庁別に申しますと厚生省、労働省、建設省、農水省、通産省、文部省、警察、こんなところでございます。ところが、そのころは例えば運輸省とか郵政省は鉄道省、逓信省と言われていたわけでございまして、それが地方行政とはほとんど関係がなかった。だから府県についてもそういう仕事をやらなかったわけでございます。
 ところが、例えば今地域交通問題というのはまさに町づくりの中心でございます。住民にとってはこれほど近い存在はございません。タクシーの台数を何台にするかというのを一々運輸局や中央省庁に、運輸省に持っていくのでは困るんです。小さな市でタクシーの台数は何台がいいかというのを一番知っているのは市長です。せいぜい広域にわたるといっても知事でございます。バスの路線だって、東京まで来るバスは別でございますが、市内を回るバスの路線や停留所の場所とか、それは知事で結構だと思うわけでございます。
 また、加えて最近はモノレールだとかあるいは新交通機関というのがありますけれども、そういうものはまさに住民の品なのでございますから、これはやはり当然知事がやってもいい行政だと私は思います。それから、CATVなんかもその一つの例でございましょう。まさに地域に限られたもの、郵政行政と申しますかそういうものも当然取り入れて、今度は俎上にのせて、何が分権なのか、何が町づくりに必要なのか、国民の生活に身近なのかということを私は検討すべきだと思いますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) これはもういつも言われておるように、都市計画の決定あたりは何も建設省に持ってくることはないじゃないか、地方分権の最たるものであるということで、これはもう規制緩和の最たるものの中に入っております。それから、そういう道路交通網の整備、なかんずくタクシーとかトラックとか、そういう問題もいろいろあります。
 したがいまして、今回のいわゆる規制緩和につきましては、例外を求めることなくすべての問題にメスを入れる。そして毎年これを加えていく、毎年加えて、もうこれで終わりですよというのではなくて、一年間検討をしながら、また次のときにはふやしで実効を深めていくということをやろうとしておるわけであります。
○久世公堯君 ありがとうございました。大変御理解のあるお話でございますので、私はやはり地方分権あるいは役割分担にとって一番大事なことは地域の総合行政を確保すること、特に町づくりとか暮らしに近いところの問題、今の交通問題もそうでございましょう。都市計画もそうでございます。そういうのはやはり地域の長である知事なり市町村長ができるようなシステムに変えるということが地方分権にとって大事なことだろうと思うわけでございます。
 地方事務官につきましても、私が育ちました自治省の考えと私の個人的な考えはちょっと違うのでございますが、私は地方事務官でも、例えば雇用行政、これは職業安定、労働基準というのは貫くことは大事だから機関委任の必要性はあります。しかし、一方において地域雇用の問題は、今や高齢化社会を迎えてシルバー労働だ何だと本当に国民と密着しております。
 そういう例もありますし、ほかの問題もありますが、これも「その他」でくくられておりますけれども、私は全部を取り入れて国との関係で監督や関与をしなきゃいかぬという新しいシステムは考える必要があると思うけれども、しかし全部を俎上にのせてもう一回再検討していただきたい。これは特に自治省にお願いしたい点でございます。
 さて、もう一つの大きな柱が補助金でございます。私は今回承っておりますと、法律で補助金の整理合理化を書いたのは初めてだ、こういうふうに承りました。かつて、補助金の合理化といいますか、整理合理化法がありましたけれども、これはいわばもうけちなものばかり、トカゲのしっぽを切ってしっぽばかりを集めたような法律でございまして本質にかからないので、今度の法律はそういう意味においては高く評価しなければいけないのかなと思います。
 問題は、先ほどから出先機関あるいは機関委任事務について申しておりますように、補助金につきましてはよく一般財源化なり整理合理化が言われておりますが、これも大事なことですが、これはおかげさまでその方向になっていると思います。しかし、片や新しい補助金もどんどんできておりますから、ここにも問題がございますが、私はやはり補助基準とか補助要綱とか設計変更だとか関与、監督とか、さらに終わった後の監査、検査、そしてそれはすべて地方出先機関を経由して関与している、こういうところに問題があると思います。これはぜひとも抜本的な改正が必要だと思いますけれども、この手続等も含めてよろしくお願いをしたいと思っております。
 私は、昨年の夏からふるさとづくり事業というものを各県にわたって少し見ております。十県ぐらい回りました。これは簡単に言えば例の一村一億円事業から始まって、要するに単独事業で行って国は関与をしないと。市町村長なり知事なりがやりたいものをやって、起債でやるかわりに一定のものにつきましては元利償還というものを交付税で措置する。率的に見れば大体十分の四ぐらいの補助金と同じ効果があるのに関与はほとんどない。非常に市町村長から歓迎をされ、知事からもこういうことになって初めて本当の事業ができるんだということで私もいろいろ見せていただいております。しかも、いよいよそういう制度ができると市町村長は知恵を出す。
 箱物も見ましたけれども、単なる箱物ではありません。例えば、長野市で見ました。今度オリンピックがある、外国人も来れば婦人の力が大きい、婦人会館をつくる。これも普通の今までの補助金の箱物なら土地を買って何か建てる。しかし、やっぱり一番わかっている長野市だから、奥さんたちが買い物かごを提げてでも入れるようなということで一番の市街地の中につくっているわけでございます。本当に知恵を出すといろんなものができる。
 それから、感心いたしましたのは鹿児島市の中央公園。この中央公園に単独事業で地下に五百台の駐車場をつくった。今、例のフランスのルーブル博物館の地下に千六百台の駐車場をつくりました。あれも偉大だと思いましたけれども、鹿児島市で五百台を町のど真ん中の市立公園の地下につくった。これをこのふるさと事業でやった。
 例は山ほどありますけれども、やっぱりもう監督や関与をやめて地域の自主性それからアイデア、そういうものを育てるのが私はこのふるさと事業というものの成果であると。見れば見るほど楽しくなるし、またこれこそ分権の象徴だと私は思っておりますが、自治省はいかにお考えでございましょうか。
○政府委員(湊和夫君) お話しございましたように、自治省におきまして昭和六十三年度から平成元年度に、まず、みずから考えみずから行う地域づくり事業ということで、一般的には一億円事業、こう呼ばれた事業を実施いたしました。また、平成二年から平成四年度にかけまして地域づくり推進事業を展開してまいりましたし、また平成五年度から一応今年度までということで、このふるさと創生事業の着実な浸透、定着を図るべく第二次ふるさとづくり事業を引き続き展開してまいってきておるわけでございます。
 地方公共団体がこうした施策を十分に活用いたしましていろんな成果が上がっておりますが、何よりもこうした取り組みを通じまして地域の創意工夫による独自の、また個性を生かした地域づくりの推進が図られるようになった、また地域づくりに対します住民の参加意欲の高まりも大いに見られますし、市町村の企画能力の向上などの面でも成果が上がっていると考えております。
 平成八年度以降につきましては、地方公共団体のこうした自主的、主体的な地域づくりの取り組みにつきまして、その着実な進展に努めますとともに、お話にございました地方分権の推進を図るという観点からも、これを支援するための施策を講じてまいりたいと考えておりまして、内容等につきましては現在検討をしておるところでございます。
○久世公堯君 江藤大臣、これはぜひ御理解をいただきたいのでございますが、このふるさと事業というのは、もはや県の事業でございますと一つの事業が百億なり何百億の台になっております。市町村の事業でも御承知のとおり、一つがもう小さいものは何億から、十何億から始まりますけれども、数十億のものもかなりございます。
 この制度、このシステム、こういう地方の創意を生かすというのは案外国会議員の先生は御存じにならない。やっぱり補助金が一番ありがたいものだと、補助金を獲得することが一番だと、補助金病がもうこんなにまで蔓延したかと。各省庁の理解もないわけでございます。だから、金がない外務省なんかというのは、このふるさと事業で国際交流のいろんな仕事をやっております。国際交流のために外人もわかる道しるべをつくらせたり、あるいはつくってもらったり、あるいは一つの会館の中でも市町村が国際交流室という部屋一つでも起債の事業でつくってもらっている。お金のないところがかえって活用しているわけでございます。お金を持っているところは、やっぱり自分の補助金だ、補助金だけが自分の行政の縄張りだと。こう思っているのじゃなくて、行政というのは住民、国民のためにあるということを忘れてはいけないということを、私はふるさとづくり行脚をしながら感じておるところでございます。
 さて、次に地方分権の実現でございますが、どうしてもこれは分権の推進をやってもらわなければいけない。それに当たって、特に江藤大臣のリーダーシップをお願い申し上げたい、こう思っております。
 そこで、お聞きするところによりますと、私ども与党三党が制度的な課題については今年度中に中間報告を政府に要請したい、こういうことを言っておりますし、それにこたえて推進委員会は来年三月に中間報告の提出を予定していると承っておりますが、この推進委員会が策定する指針の勧告の時期はいつでございましょうか。また、この指針の勧告は一回なのか、数回にわたるのか、そのあたりはひとつ事務局の方からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(東田親司君) 地方分権推進計画作成のための具体的な指針の勧告の時期でございますけれども、まず来年の三月に御指摘のありましたように中間報告を行いまして、その後できるだけ早く行いたいというのが基本的な考え方でございます。
 具体的にいつになるかという時期でございますけれども、今後の委員会、部会での審議状況によるわけでございまして、明確に確定的なことは申し上げられませんが、できれば平成九年度予算に反映することが可能な時期までに勧告するのが望ましいのではないかという考え方を持っておりまして、緊要度の高い事項を中心に、できれば来年の秋ごろをめどに、遅くとも来年中には勧告を行えるよう審議を急いでいきたいというのが現在の委員会の意向でございます。
 それから、もう一点お尋ねになりました、勧告の回数が一回限りなのかどうかという点でございますけれども、私ども委員会といたしましては、現在の地方分権推進法の規定から見て、必ずしも法律上一回に限定されているとは解釈しておりません。今後の審議の状況によりますけれども、できるだけ早く具体的な指針の勧告を行いたいと考えております。その場合、広範多岐にわたる事項でございますので、すべてを一回で勧告するということができないということも考えられますので、その場合には勧告の回数が複数回になることもあり得るだろうというふうに考えております。
 以上です。
○久世公堯君 今、一回ではなくて数次にわたることがあり得ると。ところが、往々にいたしまして、今までの調査会や審議会あるいは政府もそうなのでございますが、できるものから出すんだとか、あるいは各省庁平等に一つずっとか二つずっとか出すというくせがございます。だから、絶対これは避けてもらいたい。
 規制緩和も今進んでおりますけれども、かつて私は予算委員会で、当時石田長官でいらっしゃいましたけれども、何度となくこの規制緩和問題を聞いたことがございます。あのときはオウムのように、何と申しますか、地ビールであるとかそれから地下室だとか携帯電話とか、何か典型的なものを二つか三つ、いつ言ってもそれしか答えられない。あとはつまらないものばかりあるから答えられないような実態だっと思うのでございますが、大山鳴動してネズミ一匹では困るわけでございまして、地方分権では絶対的にそれをやっては困る。むしろ、先ほど大臣がおっしゃいましたような、都市計画とかあるいは地域交通とか、保安林とか農地転用とか、従来何回も言われながらできなかったこと、象徴的なもの、大きなものをまず出す、そういうようなことをぜひお願いしたいなと。勧告もそういうのを出していただきたいし、それを受けて政府の方もリーダーシップを発揮していただいて、各省庁の抵抗を排して強力なリーダーシップを持ってやっていただきたいと思うわけでございます。
 また、この分権推進法は五年間の時限立法でございまして、地方分権はまさに今時代の要請、かつ速やかに分権計画をつくってそれから実行するというか、結局法律をつくる、そこまでを五年間にやらなきゃいけないと思うわけです。
 そこで、今申し上げました、この勧告について数次にわたる、それを受けて立つ政府としては象徴的なものからやってもらいたい。それについての考え方、それからいろいろ御苦労あろうと思いますが、各省庁の抵抗を排して、ぜひ強力なリーダーシップを持ってもらいたい。そしてもう一つは、五年間の時限立法なんだから、五年間でこの計画をつくるだけじゃなくて法律までつくって実行する、それについての大臣の御決意を承りたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 私も、実は地方議会を経て国会に出てまいりました。農政をやり、建設、運輸、直接担当してきておりますが、前後三回私は国対委員長をやりましたので、各省庁のことは、深くは知りませんが、ある程度の問題点は存じておる面もあります。
 したがいまして、ただ単に推進委員会にすべてを任せるということではなくて、やっぱりこれは与野党の中でも熱心な議論が続けられておるわけでありますし、私どもの党でも今度は行政改革本部を設けるということになって、人事も決まったようであります。各党ともこれは熱心に取り組んでおられるわけでありますから、ひとり委員会に任せるだけではなく、私もですから近々推進委員会の皆さんとフリートーキングの時間を持つようにしております。そして、総務庁と委員会との意見のすり合わせ、やっぱり役所が委員会とか審議会を隠れみのにするという習性は私はよくないと思っております。したがいまして、そういういわゆるフリートーキングをやって意見のすり合わせをし、そしてまた与野党の皆さん方からいろんな御意見を賜って、そして五年間の時限立法でありますから、御意見のように五年間の間には見るべき成果があるように努力いたしたいと思っておりますから、よろしくまた御指導のほどをお願い申し上げます。
○久世公堯君 今、大臣がおっしゃいましたように、総務庁長官は非常に大事なポストでございまして、国務大臣を長とする外局、総理府の外局の長というのは各省に対して全部総合調整権を持った、そういう人がならなければ絶対にだめだということで、今回は地方分権、規制緩和両方を、これは各省庁を押さえつけてやらなきゃいけない仕事だから大物大臣を内閣は持ってきているわけでございますから、今の御答弁に従ってひとつよろしく実現をお願い申し上げたい、このように考えております。
 最後でございますが、私はこの地方分権にとってもう一つ大事なことは地方自治体の姿勢と国民、この二つだろうと思います。
 まず地方自治体の方でございますが、長年の中央集権になれてしまって、もう波風が立たない方がいい、眠っている方がましだと、こういう地方自治体の長もいないわけではございません。あるいは補助金が決まってから自分の市町村の政策を立てるというような、どっちが主体がわからないような、分権の魂を忘れてしまったような市町村長がいないとも限りません。
 したがいまして、分権というものは与えられるものではなくて、みずから求め、またみずから実現しなければいけない自覚が必要だろうと思います。しかも、今回の答申と申しますか報告書には、地方分権は地方の自己決定権の強化だと書いてございます。そういう意味において、自治省からひとつ地方自治体の分権に取り組む姿勢、また地方自治体の自覚、また地方自治体としてやらなければいけないこと、これについて御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) 地方分権にとりまして、地方の側において望ましい、期待される姿勢の問題かと存じます。
 大きく分けまして、一つは地方の側において政策形成能力を含めて、ただいま御指摘のような自己決定、自己責任という原則が貫徹できるような体制を確立していく、そういう面が一つあろうかと思います。その点につきましては、私どもも地方分権の推進ということと並行いたしまして、鋭意地方団体に対して啓蒙をいたしているところでございます。
 他の一面は、ただいま先生もおっしゃいましたけれども、地方公共団体から国に対して、ある意味において主張すべき点は主張していくというようなことも重要ではないかということではなかったかと思います。そのような意味から、一昨年この国会におかれまして議員立法で地方公共団体の長等の意見具申権というのを法律改正で認めていただくことになったわけでございます。その規定を用いまして地方六団体が昨年、地方分権の推進に関する意見書というものを提出して、そして今日の地方分権推進の一つの足がかりになってきているということでございます。
 また各地方公共団体においては、地方分権の推進につきまして検討会等を設置いたしまして、積極的に地方分権の推進に向かった取り組みを行っておられますし、地方六団体におかれましても、地方公共団体の職員を集めまして地方分権推進本部を設置して活発な活動を行うなど、地方団体側の自覚も日に日に高まってきているのではないかと私どもも思っているわけでございます。
 今後とも具体的な地方分権を進めていく上で、地方公共団体の積極的な取り組みが展開されるよう期待もいたしますし、私たちも応援もいたしてまいりたい、かように考えているところでございます。
○久世公堯君 最後に、地方分権に対する国民の理解と支援の問題でございますが、私ごとにわたって恐縮ですが、私は中央大学というところから頼まれて、ここ十二年間中央大学の法学部の講師をやっております用地方自治制度を講義いたしております。ちょうど平成五年の国会決議がありました後、私は学生に地方分権の国会決議を、この参議院の文章を示しまして、これを地方自治の立場から自由に論じなさいというレポートをみんなに書かせたことがございました。私が非常に感心したのは、新聞論調や何かよりも、百名近い学生のそのレポートを見ましたときに非常に打たれるものがございました。
 その一つは、もちろん中央省庁や地方自治体の自覚も必要だけれども、それ以上に政治家の責任であるということ。国会決議を行った以上はそれを最大に実現をしなければいけない、努力をしなければいけない、そのとおりなんです。国会決議というのはそれだけ重いと学生は見てくれている、それに感心しました。
 もう一つは住民でございます。地方分権は究極のところ真の民主主義の実現にほかならないと。民主主義の主人公は住民なんだから、自分の問題として住民が考えなければ地方分権というのは実現できないと。自覚と反省、さらに住民が輪を広げる、教育それから運動を積極的に行動すべし、こういうことを書いてくれたのが数多くございました。私はやはり学生、若い人は純粋だ、私どもも教えられるところがあったわけでございます。
 そこで、今回の地方分権の推進は、新聞論調等によりますと、お役所同士の官官分権じゃないだろうかと、国民に対する分権の啓発はどうしているんだと、こういう論調もございます。また、私は分権の位置づけにつきましては国民世論の支持がやっぱり大事だと。国民が一番知りたいのは分権国家のイメージだと。国と地方自治体との役割がどういうふうに具体的に変化をするのか、地域や住民の暮らしがどのように変革をするのか、そういう分権国家の将来像というものを国民にわかるように具体的に描き、しかもその実現への道筋を示す、これが大事だろうと思うわけでございます。
 そこで最後に、江藤大臣にひとつ分権の実現についての国民の理解と支援を得るためにどういう御決意であるか、それを承りまして私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 国会で地方分権推進法を通過させていただきまして、ようやく推進委員会がこの夏発足したばかりであります。
 したがいまして、今度は地方自治団体におきましても行政改革本部をつくってもらい、あるいは地方分権推進会議をつくっていただいて、そして広くみんなが参加しながらこの問題を取り上げて、これは上から示すのではなくて、私は気づいておる人がたくさんおると思うんです。毎日の行政の中、毎日の生活の中で不都合なこと、不便なこと、厄介なこと、そういう意見をどうしたら吸い上げて、それをいわゆるおっしゃったように、これは最終的には政治の責任でありますから、私どもがそれをどう解決していくかということに向かってこれから全力を挙げてまいりたいと思っております。
○久世公堯君 終わります。
○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。
 今、久世先生は中央省庁におられた経験からいろいろと御質問をされたわけでございます。私はちょっと久世さんに異議がございますが、それはともかくとして、何か地方はのうてんきみたいな感じのことがございましたが、私は三十数年間地方の立場で仕事をしてまいりました。その立場から地方分権と規制緩和について二、三お伺いをいたしたい、かように考えておるところでございます。
 大体今の時期は、本当に今、久世先生がおっしゃったように、明治維新または第二次世界大戦直後、その変革期にまさるとも劣らぬ大変な変革期を迎えておると私は思います。本当に国難ともいうべき重大な時期に、結局政府や行政機構が重要課題の解決に迅速に対応できていないということにほとんどの国民はいらいらといたしまして、今やもう爆発寸前になっているのではないかというふうに思うわけであります。
 一言で言えば、大変失礼でございますが、今や日本の官僚制度は完全に制度疲労を起こしているということであります。局あって省なし、これはもう常に言われておることでございますが、ほとんど自己の保身のために、まあ官僚の皆さん方は非常に優秀でございますが、その頭脳をもう自己の保身のために使っているというふうに国民の目には映っているのではないかと私は思います。そういう意味で、最近相次ぐ公務員の不祥事件やら官官接待の問題、こういった問題がそういう見方にますます拍車をかけているのではないかというふうに私は考えております。
 こうしたありがたくない見方を払拭いたしますためにも、国がもっと国らしい仕事をし、スリム化をして総合化し、国益、国民の幸せをトータルとして追求できる体制に再編成、再構築することが今大変重要な時期ではないかというふうに思っております。そのためには、地方にできる仕事は思い切って地方に任せる、そのことが地方における自主性、自律性を高め、地方の発展にもつながると思うのであります。
 そういう意味で、まず原点に立ち返りまして、地方分権に対する基本的な認識についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) 先ほども申し上げましたが、委員も御指摘のとおり、今日の地方分権の推進というのは、明治以来築きました我が国の中央集権システムの改革に全力を挙げて取り組もうとするものでございまして、二十一世紀に向かって時代の大きな転換期にある今日、画期的な事業であると認識をいたしているところでございます。
 そういう意味で、これはある人がおっしゃっていたことでございますけれども、戦後の日本国憲法で保障されました地方自治の充実ということが、いわば五十年たってまだ宿題を済ませておらないというような感覚だけではなくてそれ以上のものがあるんだというようなことをおっしゃっていられたことを私もお聞きしまして、そのとおりだとつくづく思ったわけでございます。ただいまの委員の御指摘もそういうことではないかと思っているところでございます。
 そういう意味で、私は、今回の地方分権というものは、役割分担の明確化ということと、自己決定と自己責任というものをいかに確立していくかということが重要であろうと思いまして、ただいま委員のおっしゃいました自主性、自律性を高め、そのことが地方の発展にもつながっていくという認識は全く同じところでございます。
○谷川秀善君 それを聞いて安心いたしました。
 地方の時代と言われているわけですが、地方の時代と言われましてから大変な時間がずっと経過をいたしております。そういう意味で、今度この分権を総合的にやるということで、七月に分権推進委員会を発足させていただきました。そして、熱心に議論されているということを聞いております用地方自治体の関係者は、本当にその成り行きに大変な希望と期待を寄せているところでありますけれども、国と地方との権限配分につきましては、国はやっぱり思い切って国の権限を、事務を限定するという立場に立って見直されるのか、これが第一です。
 それで、その権限が移譲されましても、今までどおり統一的な処理等の必要性と称して事細かにいろいろと地方自治体の事務に関与してきた実績があるわけです。そういう仕組みもあるわけです。これをされたんでは、もう何ぼ権限をいただいても地方自治体側からすると何にもならないということでありますので、その辺、権限を移譲する、事務を移譲する、その場合にそういうことをされるのかされないのか、まずそれをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) 先ほども申し上げましたように、今回の地方分権の推進ということで非常に従来より特徴的なことは、国と地方の役割分担を明確化するということをはっきりとうたっている点が挙げられるのではないかと思います。そういうことで、先ほどの御質問の中にもございましたけれども、さきの分権推進委員会の「基本的考え方」及び「留意すべき事項」の中で、「地域に関する行政を主体的かつ総合的に担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくものとする。」という明らかな方針を示されているわけでございます。
 この背景には、委員御指摘のように、この企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していく体制というのはやはりそのための国の関与、そういうものもできるだけ少なくしていく、そういうことが当然前提になってくるのではないか。その際における関与のあり方、それから国と地方の関係のいろんなもろもろのあり方、そういうものについてもこの際見直しが進むのではないかと私どもは期待をいたしているところでございます。
○谷川秀善君 ぜひそういう方向で御検討を願いたいと思います。
 それでは、ちょっと具体的になりますが、国の関与につきましては権力的関与、いわゆる許可とか承認とか認可というのがございますが、それと非権力的関与というのがある。これは報告をしろとか届け出を出せとかいろいろございます。二つに分けられると思いますけれども、平成四年度末と平成五年度末の件数をそれぞれ教えていただけますか。
○政府委員(大橋豊彦君) 総務庁では、国の関与につきまして昭和六十三年以来統一的な把握をいたしておりますが、私どもがこの統一的把握で対象としております国の関与というのは、今、委員が申し述べられましたように、地方公共団体あるいはその執行機関が事務を行うに当たりまして、法律、政令、省令に基づきまして権力的あるいは非権力的な手段を用いて個別具体的に地方公共団体の行政に関与しているものということで統一的把握をしているわけでございます。
 御質問の最近におきます国の関与の総数を申し上げますと、平成五年度末、これは具体的には平成六年の三月三十一日でございますが、これ現在で三千二百九十三件というふうになっておりまして、前回の調査時、つまり平成四年度末が三千二百三十七件でございましたから、これに比べまして差し引き五十六件の増となっております。
 具体的にさらに詳しく申し上げますると、今、委員から御説明ございましたように、承認だとか認可だとか命令等の権力的関与につきましては、平成四年度末で千二百件、五年度末では千二百十八件で十八件の増加になっておりますし、また報告、届け出、通知等の非権力的関与につきましては、四年度末で二千三十七件、五年度末で二千七十五件ということで三十八件の増加になっている状況でございます。
○谷川秀善君 今言われましたように、地方分権、地方自治を進めると言いながら、結局、権力的関与、非権力的関与はふえているんですよ。減っていないんですよ、全然。そこにやっぱり問題があるというふうに私は思います。なるほど、これらの関与の根底には、地方自治体はいろいろあります、地方自治体には府県もあれば市町村もあるわけですから、これはもうさまざま、大小ざっとあるわけでございますね。それで、行政能力にしても財政能力にしても、またそれぞれの違いがございますから、だから一概にどうこうと言うわけにはいきませんが。
 そういうことで、少なくとも国の方からいいますと、非常に心配だ、任せておいたら心配だからという親心でいろいろと御指導を賜り関与もあるのだろうと思いますが、やはりもう地方自治体も、戦後五十年であります、それそれなりに行政経験を積んでおりますし、自主的な判断と責任のもとに地方行政を担う実績と能力をそれぞれなりに養ってきたと思います。
 だから、そういう意味では、せめてこういう関与をまず少なくしていく努力をこれからも続けながら、地方分権を根本的にどう進めていくのかということをお考えいただかぬと口では言いながら、年々ふえているんですよ、関与の件数が。これでは全然おかしいというふうに思いますが、せめて非権力的関与、これぐらいはもうすぱっとなくするぐらいの覚悟でやっていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(陶山晧君) 地方分権と言われております言葉の意味の一つとして、地方団体の自主性、自律性を高めるということだろうと存じます。そういう観点から申しましても、ただいま先生の御指摘のありました国の地方団体に対する関与の整理合理化という問題は極めて大きな課題であろうと考えております。
 なお、権限移譲という言葉が別途使われておりますが、この関与の整理合理化という課題は、実質的には権限移譲という事柄につながる要素を有しているというふうに考えております。これまで臨調や行革審答申を受けて、個別事項の整理合理化を幾たびか一括整理法等の形で国会に御提案を申し上げてまいりましたが、ただいま監察局長から説明のありましたようにまことに数の多い存在でもございます。地方分権推進委員会で権限移譲とか関与の整理合理化の課題について、その考え方や具体的な方針の御審議がこれから始まるわけでございますが、私どもそれを注視しながら具体的な対応は考えていく必要があろうと考えております。
 ちなみに、地方分権推進法のベースになりました昨年十二月の地方分権に関する大綱方針、いわゆる地方分権大綱の中でもこの問題を取り上げておりまして、国の関与と必置規制について、ただいま先生の御指摘のとおり、「必要最小限のものに整理合理化を図る」という方針をまず前提とし、「存置する場合においても、国の関与については、事前関与から事後関与、権力的関与から非権力的関与への移行を、必置規制については、基準の弾力化を、それぞれ基本とする。」という方針を閣議決定で定めたところでございます。この方針に沿って当然のことながら今後対応してまいりますが、具体的には推進委員会での御議論の推移を見守っているところでございます。
○谷川秀善君 件数が相当ございますから、それぞれいろんな程度の髪もございますから、その辺は十分御検討いただきたいと思います。
 次に、財政面についてお伺いいたします。
 平成五年度の租税収入の総額のうち、国税は幾らで地方税は幾らでございますか。
○政府委員(遠藤安彦君) 平成五年度の国と地方を合わせました租税総額は九十兆七千五十五億円でございまして、御質問の国税は五十七兆一千百四十二億円、地方税は三十三兆五千九百十二億円ということになっておりまして、租税総額に占める地方税の割合は三七%ということになっております。
○谷川秀善君 それでは、平成五年度の歳出、国と地方の状況はいかがでございますか。
○政府委員(遠藤安彦君) 平成五年度の純計の歳出決算額は、国と地方を合わせまして百三十九兆八千五百六十三億円でございます。このうち、御質問の国の歳出決算でありますが、国と地方とやりとりした後の姿でありますけれども、実質的に国が実際に仕事をした分ということでございますが、四十八兆一千五百九十一億円、地方の方は九十一兆六千九百七十二億円ということでございまして、歳出では、先ほど御答弁いたしました税収とかわりまして、全体に占める地方の割合が六五・六%になっております。
○谷川秀善君 今おっしゃったように、歳出ではまるっきりこれは道なんです。ここが大変な問題なんです、地方分権を進める、地方自治を進めるという場合に。歳入では三七・〇%でしょう、歳出では六五・六%。歳出になるとそれがまるっきり逆転している。ということは、結局国税中心主義になっている、こういうことであります。これで地方自治の推進に非常にブレーキがかかっておる、こういうことでこれは指摘だけにしておきます。
 それでは、大阪府だけに限定をいたしますが、平成五年度の大阪府内での国税と地方税は幾らでございますか。
○政府委員(佐野徹治君) 平成五年度の大阪府におきます国税収入についてでございますけれども、これは一定の前提を置きまして算出した数字でございますが、国税収入は六兆一千二百七十億円であります。一方、大阪府の税収は一兆一千三百六十九億円でありまして、また大阪府内の市町村の税収は一兆七千八十五億円でございます。府税の収入と市町村税の収入を合わせました大阪府におきます地方税の収入総額は二兆八千四百五十四億円でございます。
○谷川秀善君 大阪だけを見ましても、国税が大体六兆、府税は一兆で、市町村の税金が一兆七、八千億、せいぜい全部丸めても三兆であります。そうすると、大阪府民はせっせと働いて毎年三兆ずつ国へ納めているわけですよ。これが現在のいわゆる税体系であります。なるほど税金の集まる府県もあれば税金の集まりにくい府県もあります。国は国防もやらなきゃいけません、外交もやらにゃいかぬということはよくわかります。しかしながら、余りにもその差が激し過ぎるのではないかと思うんです。だから、地方分権を進め地方自治を推進するためには、やっぱり税源をどうするのかというところにメスを入れていただかないと絵にかいたもちになるのではないかというふうに、これは指摘だけをいたしておきます。
 それでは次に、機関委任事務についてお伺いをいたします。
 まず、都道府県知事への機関委任事務の項目と市町村長等への機関委任事務の項目、それぞれ幾らですか。
○政府委員(松本英昭君) 機関委任事務の項目数でございますが、現行の地方自治法別表に掲げております機関委任事務として申し上げたいと思います。
 都道府県知事等都道府県の機関に対するものが三百七十九項目、市町村長等市町村の機関に対するものが百八十二項目、合わせまして五百六十一項目となっております。
○谷川秀善君 この機関委任事務、久世先生も大分おっしゃいましたが、これは相当な項目があるわけです。これもいろいろ本当に検討していただかなきゃいかぬと思う。
 それで、最近東京と大阪でいろいろ信組の問題が問題になっております。これは機関委任事務制度の行政責任をどうするのかということですよ。機関委任事務制度が非常に不明確であるから、結局どこに責任が来るのかということになっておるわけですよ。だから、これはやっぱりはっきりと、機関委任事務についてはもう決着がほぼつきかかっているわけですから決着をつけていただくと。
 金融問題みたいな全国的なものはもう国がおやりになったらいいですよ、何も府県にやらせることはないですから。だから、機関委任事務のうち国が統一的にやらなきゃいかぬものはもう早速国がお引き取りになったらいいと思うんです。それで、地方にやらせるべきものは機関委任事務じゃなくて、権限も財源もつけてもう完全に渡してしまうということにしていただいたら機関委任事務制度は廃止できるわけです。
 その辺を何とか頑張ってやっていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。もうあとちょっとでやめますから、江藤大臣、せっかくお越してございますので、その辺を。
○国務大臣(江藤隆美君) 私も県や市町村によく聞いてみるんです。おい、何の機関委任事務をもらいたいかと言うと、余り答えがないんです、実際がっかりするくらいにですね。これが大阪とか東京あたりになりますと、大自治体ですからそれなりの機能も持っておるし能力も持っていますから、これこれと言えるんでしょうが、ところによっては、いやもうこれ以工事務量がふえるのは真っ平だというところも実はあるわけです。しかし、そういうことを言っておったらいつまでも始まらぬことであります。
 ただ、御承知のように、特に多いのは、国会で問題になってきましたのは労働省関係、これは職安とか失対とかです。それから厚生省の保険とか年金とか、こういういわゆる地方事務官制度を廃止してもう国家公務員にせいというのと、いやそうじゃない、地方公務員にせいという意見と両方ありまして、五十九年以来五回あれは国会に提出したけれども、なかなか国会の同意が得られなくてまだ法案が国会通過に至っていないようなものもあります。
 したがいまして、個別の問題ではいろいろと利害得失あるものですから問題はありましょうが、方向としてはもう地方分権の時代ですから、新たな決意を持ってお互いに国も地方も取り組むべき時代に来ておる、こういうふうに考えております。
○谷川秀善君 ありがとうございます。
 結局、国と地方が今度こそ手をつないで一体となって進めていかないと、この日本の国は大変なことになると思うんですね。そういう意味で大いに期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、規制緩和につきましてちょっと一つだけお伺いをいたしたいと思います。
 日本の国は規制規制でもう大変な状況に相なっているわけです。そのために公務員も多いということで、行政改革が進んでいないということも事実でありますが、本年の四月十九日、行政改革委員会のもとに規制緩和小委員会が発足し精力的に作業を行っていただいていると聞いております。大変結構なことでございます。
 そこでお伺いをいたしますが、この規制緩和推進計画の中で経済的規制については大体原則自由で例外規制と、それから社会的規制については本来の政策目的に沿った最小限度のものとすると、こう言われておりますが、結局この規制は経済に重点を置くのか、それとも日本の発展のために何が大事かということに重点を置くのか、そういう点について総務庁長官の基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 規制緩和と一概に言っておりますが、一体規制とはこの国に何ぼあるんだということになりますと、これはだれもわからぬのです、実際、恥ずかしながら。規制にあらざる規制、例えば行政指導だとか何だとかいう名前で、結局数限りないものがこの世の中で行われておる。それによってこの五十年間の経済成長を遂げた面もありましょうけれども、今やそういうものによってがんじがらめになって日本の経済が活力を失いつつあると。
 こういうことから、歴代内閣もやってきたことですが、今改めて国会を挙げてこの規制緩和の問題に取り組んでいこうということでありますから、もう予断と偏見とを持たずに、すべてのものについで私どもは一応メスを入れて取り組んでいくと。これは別よ、これは特別よということなしに、もうすべての問題に取り組みながら毎年毎年この数をふやしていくと。そのためには国会からも御意見をいただき一般からも御意見をいただいて、私どもの気のつかないものもたくさんあるでしょうから、そういうものをいただきながらこれを進めていこう、こういうふうに思っておるところであります。
○谷川秀善君 長官の御決意、非常に心強いわけでございますが、その品目の中を見ておりましてちょっと私は不思議に思ったことが一点あるわけでございます。
 それはいわゆる医薬品の販売規制というのがちょっと目についたわけでございますが、この医薬品の販売規制のうち、何か品目を指定して規制解除をするというような議論をされておると聞いておるんですが、それではその品目、どういう品目なんですか。
○政府委員(田中一昭君) 今、委員が言われましたように、行革委員会の規制緩和小委員会が七月二十七日に、仰せのように「規制緩和に関する論点公開」の四十項目の一つとして「医薬品販売の規制緩和(品目を限定した医薬品のコンビニ販売等)」というのを取り上げておることは事実でございます。
 論点公開という形にしましたのは、今江藤長官もおっしやいましたけれども、規制というのは非常に広範囲でございますし議論のいろいろあるところであるということで、国民の皆様に現状維持の議論と改革をすべきである、規制緩和すべきであるという意見を両方お示しして御意見を伺う、そういうために公開をしたものでございます。
 その医薬品販売の規制緩和の中で、規制緩和の対象となる医薬品の範囲について小委員会で決めて議論しておるわけではございません。小委員会の中では、例えば製造段階で十分安全性がチェックされているものやCM等で商品内容のわかるものについては販売規制を見直してもよいのではなかろうかという観点から検討を進めておられるというふうに承知しております。
 いずれにいたしましても、小委員会においては、この論点公開に対しまして寄せられた国民からの御意見、あるいは関係省庁、関係団体との公開のディスカッション、さらには専門家からのヒアリング等の結果を踏まえまして報告を取りまとめることにしております。現在、鋭意検討しておるという段階でございまして、現段階で品目を限定して医薬品販売の規制緩和を行うということを決定しておるわけではございません。
○谷川秀善君 もう時間がございませんから、詳しくお伺いをするわけにはまいりませんが、いずれにしても、医薬品というのはやっぱり国民の健康と命にかかわる問題であります。これを十分まず認識をしてもらいたいと思っているわけです。
 ほかの規制と一緒にして、国民の命と健康にかかわる問題をとこかスーパーで、コンビニで売ったらいいんだというのはとんでもない、これが日本を今まで五十年誤らせてきた問題なんですよ。もう経済だけ発展したらいいと。結局最後は、水俣病の問題にしても皆そうです。薬の問題にしてもそうです。だから、こんなものを規制緩和の項目に入れるというその精神構造が大体私は問題だと思うんですよ。いろいろやらなきゃいかぬことはやったらいいですよ。やったらいいけれども、命は大事にしてもらいたい、健康を大事にしてもらいたい、これから二十一世紀に向けて日本の国が発展していくために。命と金と引きかえたらいい、これが今までの私は五十年だと思いますよ。だから、世界からエコノミックアニマルとかなんとか言われるわけです。
 そういう意味で、これでやめておきますが、そういうことを大臣、済みませんけれども、やっぱり原点に据えて、規制緩和、やらなきゃいかぬことはたくさんありますよ、何ぼでも。これはどんどんやっていただいたらいいと思いますが、そういう意味でお願いをいたし、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○菅川健二君 平成会の菅川健二でございます。
 まず、私ごとで恐縮でございますが、私も自治省を振り出しに大阪府、兵庫県、そして広島県と、三十一年間地方自治の道を歩んでまいったわけでございます。長い間地方自治に携わっておりました者として、さきの国会で成立いたしました地方分権推進法はまさに画期的な法律でございまして、この成立に努力されました先人の皆様に深く敬意を表したいと思うわけでございます。
 その後、所管の総務庁長官も自治大臣もおかわりになりましたので、法律審議の際に議論になりました基本的事項について若干の確認と、その後の経過等を踏まえまして幾つかの見解をお聞きいたしたいと思います。先ほどの質問に若干ダブりますことをお許しいただきたいと思います。
 まず、この分権推進法の法律の性格でございますけれども、分権の基本理念や基本方針、具体化の手続についての基本的なフレームについて規定しておるわけでございまして、まさにこれに魂を入れるかどうかというのはこれからが正念場だと思うわけでございます。
 そういった点で、総務庁長官並びに自治大臣はどのようにお考えになっておるか、これに取り組む決意につきまして再度御質問させていただきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 長い間国会でも議論をされ、また地方においても強く求められてきたことがようやく地方分権推進法という形で日の目を見たわけでありまして、これでようやく七月に推進委員会を設置させていただくことができました。したがいまして、国会で議決をいただいたその精神を私どもは尊重しながら、その実が上がるようにこれから全力を挙げて取り組んでいこうと、新たな決意をいたしておるところであります。
○政府委員(松本英昭君) 地方分権推進法は、ただいま委員御指摘のように、確かに基本的にはフレーム等を定める規定が主体になっているわけでございますが、この法律の評価につきまして、これは先生も御指摘の学者の先生でございますけれども、今後地方分権推進委員会が計画の指針をつくり、それを受けて内閣総理大臣が推進計画をつくる場合にその基本的枠組みとなり、あるいは内容について基本的な原則を示しているものであり、そういう意味では立派に規範的効力があるものとして受けとめていくべきであろうという見方を示しておられます。
 私どももそういう考え方で、この地方分権推進法が成立したことは地方分権のための確かな第一歩を踏み出したと言うことができると思っておりまして、まことに画期的なことと考えております。私どもも一生懸命地方分権の推進に向かって努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
○菅川健二君 ひとつ大いに頑張っていただきたいと思います。
 ところで、現在宗教法人法の改正案が衆議院で審議されておりますが、その第五条で、宗教法人の所轄庁を都道府県知事から文部大臣に一部引き上げようとしておる規定がございます。この規定は、地方分権推進法に定めます地方分権の基本理念や基本方針に明らかに反し、逆行するものではないかと思うわけでございます。
 この点につきまして、地方分権推進法を所管しております総務庁長官、自治省、それから宗教法人法の所管庁でございます文部省の意見をそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 宗教法人法については、私は余り内容は詳しくありませんからそれは差し控えるとしまして、地方分権からのお尋ねでありましたら、例えばオウム真理教の問題が起こった、これは東京都が所管しておりますよ、しかし事件は山梨県あるいは熊本県で起こった、そうなると東京都は手も足も出ないと、こういう問題が出てきたわけでありまして、昭和二十六年以来改正のなかったものを所管をちゃんとしようと。ですから、私は別に地方分権に逆らうとは思っておりません。
 それからもう一つ、どうしても宗教法人になるのが嫌ならば、普通の宗教団体であればそれは一切の規制を受けないわけでありますから、その方法も私はあると思っておるんです。だから、憲法二十条に示されたように、国からいかなる特権も受けてはならぬと決まっておるけれども、租税上、所得税なり法人税なり固定資産税なり恩恵を受ける以上はそれだけのことをしなさいよと。私は別にそんなに、私もいろんなところへ聞いてみるんですが、大賛成というところもあるんです。それはもう結構ですよ、それは国に移して結構ですよというところもあれば、いや、そうはいかぬと言われるところもあるわけで、そこのところがどういう事情なのか、私はわかりかねます。
 しかし、他県にまたがることを、例えばオウム真理教のことを東京都の責任ではないかと言われても、私は東京都庁は大変お困りではないかと。それならばそれは国の責任において、ほかにも既に三百何十あるわけですから、国が所管をしておる宗教団体というのは。そのことであって、別にそう目くじら立てて言うことはないのではないかなという感じがしております。
○政府委員(松本英昭君) 所管の文部省の方から後で御答弁があることと思いますが、この宗教法人法立法当時と比較いたしまして、現在は都道府県の区域を超えて広域的に活動を展開している宗教法人が増加してきていると聞いております。このような宗教法人に対して、例えば他の都道府県において問題が生じた場合の適切な対応など、法に基づく適正な権限行使を行えるようにすることが必要となってきており、こうした観点から他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人の所轄庁を文部大臣に変更するものと承知しておるところでございます。これは、宗教法人をめぐる状況の変化に対応してこのような措置をとったものでございまして、地方分権の推進に反するものではないと考えているところでございます。
○説明員(佐々木順司君) お答えします。
 現行法におきましては、宗教法人の所轄庁は原則として都道府県知事とされておりまして、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人、これの所轄庁は文部大臣とされているところでございます。これは、宗教法人に関する事務は現行法上国の事務とされておりますが、立法当時、宗教団体の活動が一般的に狭くて地域性を有していたこと、あるいはすべての宗教法人の認証を文部大臣が行う場合の事務処理の問題等々を考慮してこういう定めがされているところでございます。
 しかしながら、先ほども御説明ございましたように、現在では立法当時に比べまして広域的に活動を展開する宗教団体が増加をしてきております。このような宗教法人につきまして、所轄庁であります都道府県知事が実際上他の都道府県内での活動状況を把握する、あるいは適正に権限を行使するということが困難になっております。今回の所轄庁に関します改正案は、このような現行法の問題点を改善し、他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人の所轄庁を文部大臣にすることによりまして所轄庁が適正に権限を行使できるようにしようというものでございまして、地方分権の方針に反するものではないというふうに考えているところでございます。
○菅川健二君 それぞれの意見をお聞きしたわけでございますが、多分そういう答えが返ってくるだろうという予想はしておったわけでございます。
 御案内のように、宗教というのは大体当初発生の地点は一地域から発生するわけでございます。それが布教活動をやることによりまして広域にわたる活動というものが出てまいるのが一般的でございます。私はその場合に、広域にわたる、二府県以上にまたがるような状況になった場合は、国に権限を吸い上げるということではなくて、その影響を持つ他の県の関与に係らしめたら、それで十分それなりの対応ができるんじゃないかと考えておるわけでございます。
 単独の県ができないからすぐ国の文部省よということではなくて、関係県がふえれば関係県それぞれに関与させていくという方法があるのではないかと思うわけでございます。いずれにしましても水かけ論になりますのでこの問題につきましてはこれでとどめさせていただきます。
 このほか最近の問題といたしまして、例えば信用組合をめぐる問題もあるわけでございます。こういった具体の事件が起こりますと、すぐに一般的には国の責任あるいは国の権限に吸い上げようとする、いわば集権志向といいますか、そういった悪弊が絶えないわけでございます。ここにおられる皆さん方とか、地方分権推進法では非常に地方分権について崇高なこと宣言われるわけでございますけれども、しかしながら具体にいろいろな事案が出た場合に、すぐこれについて政府の対応はどうかとか、いろいろな形での国の関与を求めてきがちでございます。まだまだ地方分権の趣旨というものが、政府関係者はもとよりのことマスコミや国民の皆様の間に定着をしていない、定着どころかまだ意識がそこまで及んでいないというようなことが多いんではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、せっかくこの地方分権推進法ができたわけでございますので、分権法の趣旨をもっともっと国民にわかりやすくPRすべきではないかと思うわけでございますが、総務庁長官、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(陶山晧君) 地方分権推進法案の取りまとめに当たりました私どもの立場といたしましても、ただいま先生の御指摘は非常に大きな課題であろうと考えております。
 自治省としてもいろいろ御努力をされておりますし、地方分権推進委員会当局におかれてもいろいろな努力をされているところでございますが、いずれにしろ地方団体のお立場、そのサイドからいわば雰囲気が盛り上がっていくということが一つ大きな要素ではなかろうかというふうに考えております。
 分権推進委員会におかれましては、御案内のところと存じますが、会議の状況を逐次公開されると同時に、各地域において地方公聴会を開催される等々の努力をされておりまして、今後とも審議の状況に応じながら、先生の御指摘のような法律の趣旨のPRを含めた分権推進に関する機運の盛り上げに努力をされるというふうに承知をしております。私どもの立場としても、できるだけの協力をしていきたいと考えているところでございます。
○菅川健二君 次に、分権推進委員会の件についてお尋ねしようと思ったわけでございますが、先ほど質問がございました。私の質問とダブっておりますので、これは省略させていただきます。いずれにいたしましても、分権推進委員会というのは大変精力的に活動をしておられて、また精力的に具体的な指針を出される、しかもそれも必要な都度出されるというふうにお聞きいたしたわけでございます。
 その次に問題になりますのは、それを受けての推進計画でございますけれども、五年の期間の前半に策定するという短い期間の中で大変な作業だと思うわけでございますが、やはり何といいましても、鉄は熱いうちに打てと言われるように、早く策定していただきたいと思うわけでございます。
 ただ、先ほどの推進委員会の具体的な指針というものがある意味では段階的に出されるということになりますと、推進計画につきましても逐次段階的に計画を策定するということが考えられると思うわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(陶山晧君) 分権委員会の今後の審議の運び方等につきましては、先ほど委員会の事務局長から説明のあったとおりでございます。私どももそれは承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても具体的な指針の勧告が委員会から政府に提出をされ、これを受けて政府としてはなるべく速やかに実効ある推進計画を作成するということになるわけでございます。
 ただいま先生御指摘の具体的な手順の問題でございますが、分権委員会の勧告の内容いかんと申しますか、それによってその対応の仕方をいろいろその段階で判断していくという要素の問題でございますので、現段階で直ちに具体的な御説明を申し上げることは困難でございますけれども、委員会の御意見、御趣旨を最大限尊重して政府としては対応していくということは、当然のことながら申し上げておきたいと存じます。
○菅川健二君 蛇足でございますけれども、つまみ食いにならないように、ひとつ緊急かつ重要なものから逐次精力的に計画を策定し、実行していただきたいと思うわけでございます。
 次に、国の関与、必置規制でございますが、これにつきましては原則として廃止の方向を明確にして、必要最小限に、また縮小していくということがどうしでも必要ではないかと思うわけでございます。先ほど来総務庁長官初め関係の皆さん方、そういう方向で努力すると言われておりますので、この点についての質問はいたさないことといたしますけれども、この件につきまして、私自身が広島県庁で経験いたしました若干の具体的な問題につきまして各省の皆さんにお話しして、御見解をお聞きしたいと思うわけでございます。
 まず、私は県の教育長を五年ほどやっておったわけでございますが、そのほか総務部長とか企画部長とかいろいろな部長も経験いたしたわけでございます。その後に教育長になるときは、教育長というのは教育委員会が任命することになっておるわけでございますが、その前に文部大臣の承認事項となっておるわけでございます。まず文部大臣の方からそういう面では面接を受けまして、そして文部大臣の承認書をいただいた上で任命するという、これは法手続上そうなっておるわけでございます。
 しかし、なぜこういった承認制になっておるのか、その立法趣旨とまた今日的にそういった必要性があるのかどうか、地方公共団体に対するいたずらな干渉ではないかと思っておるわけでございます。したがいまして、この文部大臣の承認制は速やかに廃止すべきだと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○説明員(清水潔君) ただいま先生御指摘のように、都道府県に置かれる教育委員会の教育長及び指定都市に置かれる教育委員会の教育長につきましては文部大臣の承認を得て任命するという仕組みが、あるいは市町村教育委員会の教育長につきましては都道府県教育委員会の承認を得て任命するという仕組みが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりとられているところでございます。
 御案内のとおり、地方行政、なかんずく地方教育行政におきましても、地方自治の制度にのっとりまして、それを尊重しつつ行うということであるわけでありますけれども、教育行政におきましては、全体として国の教育を形づくるという観点から、特に義務教育の面で全国的な水準の維持、機会均等の確保という要請もございます。そのため、教育行政におきましては、地方自治を尊重しつつも、同時に国、都道府県、市町村の連携協力が必要とされておるということでございます。
 御案内のように、教育委員会における教育長でございますが、教育委員会の合議制による、教育委員さん方の大所高所による方針決定を経ましてすべての事務を行うわけでございますので、教育長さんは教育に関する専門的識見、高い行政能力が求められるという意味で重要な職であるというふうに考えております。その意味で、地方公共団体のそれぞれの御判断というものを尊重しながら、国、都道府県、市町村が連携協力して適材を確保するということを目的として任命承認制度がとられているわけでございます。
 そういう意味での任命承認制度の趣旨等にかんんがみまして、私どもとしてはこれを維持する必要があるというふうに考えておるところでございます。
○菅川健二君 ちょっと確認いたしておきますけれども、今まで不承認になった事例はございますか。
○説明員(清水潔君) 都道府県教育委員会の教育長に関し、これまで文部省として不承認とした事例はございません。ただ、過去で、地元でも異論がある等の問題があって、文部省として実情を把握するということで承認を控え、そしてその間に候補者の差しかえが行われた事例はございます。ただ、これは承認しなかったわけではございません。
○菅川健二君 今の説明を聞いていますと、教育長はもちろん重要な職でございますが、ほかにも県には重要な職、甲乙つけがたい職というのはそれぞれたくさんあるわけでございまして、その中で教育長だけが承認制になっておるわけでございます。そういった面で、私は、これはやはり地方公共団体に対する国の信頼というものが必ずしもここでなされていないと。ある意味では、地方分権の推進という面からすると極めて不愉快な制度ではないかと思うわけでございます。今後、分権推進計画並びにその実行に当たっては、十分この事項につきまして御留意いただきたいと思うわけでございます。
 それから次にもう一つ、余り合理的でないといいますか、今日的課題で申し上げますと、現在福祉と保健分野の一体化、特に市町村、都道府県の中では、住民に密着する行政の中で一体化が進められておるわけでございます。
 広島県におきましても、保健所と福祉事務所を統合いたしまして福祉保健センターを設置いたしたわけでございます。しかしながら、法律によりますと、保健所長は医師でなければならないと規定しておるわけでございます。それから、福祉事務所の所長は専任でなければならないということになっておるわけでございまして、せっかく一元化したにもかかわらず、いろいろな法の縛りによりまして、この縦割りの弊害により効果が減殺されておるわけでございます。
 これからますます福祉、保健分野の一体化が叫ばれて、さらに新ゴールドプランを本当に進めるということでございましたら、それを阻害しているさまざまな法の縛りというものを撤廃すべきであると思うわけでございますが、厚生省の御見解を伺いたいと思います。
○説明員(辻宏二君) 御指摘のように、高齢者や障害者の方々に対するサービスを適切に提供しでまいりますためには、福祉事務所等の福祉部局と保健所等の保健部局の緊密な連携が不可欠でございます。このため、日常の業務の遂行に当たりまして両者が連携していくことはもとより、先生が今申されましたように、各自治体が地域の実情に応じまして、組織の上でも福祉事務所、保健所等が連携した形を工夫しておられる、そういう事例がふえてきておるということは承知いたしております。
 このような趨勢を踏まえまして、御指摘の福祉事務所長の職務専念義務につきましては、保健と福祉の連携、規制緩和の観点等から兼務が可能となるよう、これを見直す方向で検討してまいりたいというふうに考えております。
 なお、保健所長の医師資格の見直しについてでございますが、これにつきましては、先般制定されました地域保健法の制定の際にも関係審議会においていろいろ議論があったところでございます。保健所が性格上、難病、精神保健、エイズの対策といった非常に専門的な保健サービスの実施あるいは調査研究等を推進する技術的な拠点であるというふうな位置づけでございますので、所長はやはり医師であることが必要であるということが再確認されておるところでございます。しかしながら、保健所長の研修に福祉との連携を念頭に置いた政策研修等を充実していくなどによりまして、今後とも保健と福祉との連携を深める方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
○菅川健二君 ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 今二つ例を挙げたわけでございますが、このような事例はたくさんあるわけでございまして、地方団体が地方分権の趣旨に基づいてみずからの責任と権限でもって効率的な行政を推進できるように、これからの五年間のうちに地方分権推進を実効あるものにぜひしていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○小川勝也君 北海道選出の小川勝也でございます。
 先輩委員や同僚委員のように地方行政の経験もございませんので、大いなるアマチュアリズムを生かして大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。
 まず最初に、私見を交えて、地方分権そして規制緩和の総論について、総務庁長官のお考えをお伺いしたいんです。
 私は、かつて自民党代議士の秘書をしておりました。自民党政権が続いていた時代には、どうもこの地方分権、規制緩和が大きなテーマとして扱われてはいなかったような気がしております。永田町あるいは霞が関の外から私が聞いたところによりますと、細川前熊本県知事あるいは岩國前出雲市長あるいは平成維新の会を率いていた大前研一さんといったこの世界の外からのオピニオンリーダーが大きな論調を、そして潮流を起こしてきた、そのように認識しておるところでございます。
 これは私の仮説でございますが、自民党は戦後ずっと一貫して政権を担っでそれなりの大きな成果を上げられましたし、自治大臣も、ここにおられる総務庁長官も閣僚として立派な実績を残された。その中で、例えば霞が関あるいは官庁と手に手をとって国家のために推進する事業についてはそれこそ見事な実績を上げたけれども、官僚の協力が得られにくいそういう分野については後回しになった。細川政権以後、そういう積み残された問題が大きなテーマとなり、そしてこのテーマに関する特別委員会も設置され、それと同時に閣僚そのものの地位あるいは役割というのは、そういう面において物すごく大きくなったんではないか。
 一つ例えると、役所の皆さんと一緒に仕事をするのが大臣であったのが、逆に霞が関の皆さんを敵に回しても豊富な政治経験とその識見を利用して、国家国民のために刀をもって、霞が関の皆さんとは違う意見を国家のために通さなければいけない、そういう大きな役割を現在の総務庁長官も担っておられると思いますが、この大きな、そして国にとって必須のテーマに当たる大臣としての御所見をお伺いしたい。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(江藤隆美君) 細川さんは、行革審のときに地方分権部会長やらやっていただいて、そこでいろいろとお考えになり、それを総理になったときに実行しようということで、志半ばでおやめになったということになるかと思います。私は、行政改革、地方分権というのは長い間の念願であり話題であるけれども一向にはかどらなかった、それがようやく歩み始めたというところであろうと思います。
 私は、総務庁長官に就任したときに幹部諸君に集まってもらって話をしております。この役所は他の省庁から褒められるようなことをしておったのでは職務を遂行したということにはならない。しかし、一人一人の役人の諸君が責任を負って他の省庁と対峙するようではこれは命のもたぬ話でありますから、便宜上、私は政治家は消耗品だと心得ております。だから、すべては大臣の強権に基づいてやっておることでありますと、君らが責任を持つ必要はない、都合が悪ければ悪いほど大臣の責任にして職務に励んでもらうようにと。そして、恨まれるけれども、各省庁から恨まれたり敵に回されることがあるが、最終的には国家国民のためになった、そういう輝ける役所にしようではないか、こう言ってきておるところであります。
○小川勝也君 ありがとうございます。
 総務庁長官の大いなるリーダーシップに期待するところではございますが、最近のはや旦言葉にもなっております官官接待について御質問をさせていただきたいと思います。
 どうも接待が接待だけで終わるわけがございませんので、その先に何があるかというふうに考えますと、どうも予算や権限と密着をした陳情があるのではないかな、その観点で御質問をさせていただきます。
 褒められた話ではありませんが、予算、権限、補助金をすべて中央省庁が握っている現状のシステムから考えますと、私の選挙区北海道からもどんどん、知事あるいは道職員そして道議会議員、はたまた市町村長、市町村議会議員、そしてその職員、利益団体、業種団体、各種団体の代表者、これが入れかわり立ちかわり東京に陳情に訪れております。当然、手ぶらというわけにいかないんでしょう、ジャガイモやメロンを持って霞が関に回るという話も聞いております。あるいは先ほどもお話に出ました総務庁長官のお隣の細川前熊本県知事はかつて、熊本と東京を結ぶ線路の上に熊本県の職員がいない日はない、こんな逸話も残しております。
 また、北海道だけではない、地方公共団体の多くの自治体が東京に東京事務所を構え、情報収集やら、あるいは接待も含まれるんでしょうか、大きな活動をしておる。総論になりますが、このような現状に対して総務庁長官並びに自治省の所感をお伺いしたい。
○国務大臣(江藤隆美君) 官官接待と言いましてもあくまでも税金でありますから、優秀な公務員諸君がそのことを厳しく認識するならば、おのずから私はその行動に自制すべきものが出てくると思っています。これはもう幾ら言ってもやらぬやつはやらぬのでして、手をかえ品をかえやるわけでありますが、いやしくも国家公務員たるもの、地方公務員たるもの、すべてが税金である、みんなの汗の結晶がこの予算であるということを考えたならば、私はこれは厳格に慎むべきことである、こう思っています。
 しかし、みんな官官接待でもないんですよ。私は、この前、中標津空港に行ってきました。吹雪の中を運輸大臣のとき行きましたが、あのときも、紋別空港と中標津空港をあれは延長することにしましたけれども、それは接待を受けずに私は帰ったわけです。その後、お礼も受けておりません。当然、国がなすべきことと自分たちがやらなきゃならぬ使命というものを考えたら、官官接待にあずかる、十数万円などと聞いて、私なんかもそんなことはあり得べからざることだと思うんです。
 それともう一つは、おっしゃるような中央集権によってすべて国に予算が握られておる、この体質を直さざる限りこういうことは後を絶たないのではないか、そこにやはり行政改革の必要性が生まれてくる、こう考えております。
○政府委員(松本英昭君) 最近におきます地方公共団体の国に対しますいわゆる接待の問題、私どももまことに遺憾なことだと思っているところでございます。食糧費の支出のあり方につきましては、もとより厳に改めるべきものと考えておりまして、各地方公共団体においても現在、通達のもとに鋭意改善に取り組んでいただいているところでございます。
 ただいま御指摘のように、その背後に中央集権的な行政システムがあるのではないかという御指摘は御指摘として私どもも耳にいたすところでございますが、しかしそういうことがあろうとなかろうと、やはり地方公共団体として厳に慎むべきものは慎んでいく、この姿勢が大切ではないかと考えているところであります。
○小川勝也君 当然税金を使って飲み食いをすることが許されるわけはございませんが、今御答弁にもありましたとおり、中央集権がその根底にあることを深く御認識いただいて、みんなで力を合わせてそうじゃない社会をつくりたいと思っております。
 地方にいろいろな権限を移したい、共通の願いでございますが、その中で受け皿の議論になりますと、必ず道州制という話題が出てまいります。この漠然とした道州制という言葉でございますが、総務庁長官、どういうお感じをお持ちかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) これから比例代表もブロック制になるわけでありまして、例えば北海道ブロック、九州、四国ブロックというふうに分かれるんですから、道州制というのは一つの私は重要な考え方であろうと思っています。
 ただ、新進党から、例えば沖縄開発庁、北海道開発庁を廃止して国土庁や建設省と統合せいという話がありますけれども、ならばそういう権限は、私もこの前、北方領土の視察に行ってあの道路を通りながら、ここの道路はどこがやっている、あの道路はどこがやって、ここの河川はどこがやっていると聞いたんです。こういうことは一体北海道庁そのものでやれないのかどうか。
 ただ、北海道開発庁には約八千人の人々が働いております。もう要らぬよ、全部あとは北海道でやれ、あるいは北海道に全部八千人やるよということもなかなか困難なことであります。そして、これは単なる建設にかかわらず、一般の福祉の問題から郵政から農林から建設から運輸から万般あるわけでありますから、一体どういうふうに地方の出先の局というものの権限を持ったらいいのか。あるいはまた、例えば建設局は福岡にあって農政局やら郵政局やら営林局は熊本にある、あっちこっちにありまして、今度は港湾建設局は下関にあるというふうにばらばらになっておる。その中の仕事の量も随分と長い間に変化してきた。
 ですから、こういうものを効率的な行政というものにするのには、それは道州制というのは考えられますが、そうすると九州の知事さんというのは福岡県からだけ出て、宮崎県、鹿児島あたりはもう未来永劫出ないなと。そうすると、やっぱり九州の中で福岡一極集中というものの問題が出てくるのではないか、はてさて難しいなと今思い悩んでおるところであります。
○小川勝也君 メリット・デメリットはあるように私も考えておりますが、地方に権限を移したいということを考えておるとすれば、当然その受け皿の問題もさまざまな研究をなさなければならないと思いますが、その受け皿の一環としての道州制の研究などは自治省の方では進んでおられますでしょうか。
○政府委員(松本英昭君) 委員御指摘のように、道州制というのは構想としては戦前からの大変長い歴史のある話でございまして、一時は地方制度調査会としても地方制案というようなものを出したことがあるわけでございます。道州制といいましても、そういういろんな沿革がございますし、その構想の中身も区々でございまして、さまざまな論議が従来からなされてまいっております。私どもといたしましても、そういうものについてはこれまでからいろいろと検討、研究をしてきているところでございます。
 その道州制の問題というようなことも一方であるわけでございますが、御承知のように、今回の地方分権の推進に当たりましては、二十四次の地方制度調査会で地方分権の推進に関する答申において「現在の市町村、都道府県という二層制を基礎とする地方自治制度は、既に国民の間に広く定着」しているというようにされたところでございますし、また去る十月十九日の地方分権推進委員会がまとめました、先ほどから出ております基本的な考え方でも、「当面現行の市町村・都道府県という二層制の地方制度を前提にこということにいたしているわけでございます。
 ただ、委員御指摘のように、地方制度のあり方というものは幅広く研究、検討を常にしてまいる、その心構えは私どもも十分持っているつもりでございます。
○小川勝也君 いずれにしろ、そんな簡単に結論の出る問題ではありませんし、しからば現行の制度の中で分権を推進するに当たっては、都道府県はそれなりにしっかりとした行政システム、あるいはスタッフ、人員の問題も考えられますので、これは受け皿としてしっかりしておる。じゃ、その下の市町村はどうか。それは市も政令市から人口が三万人を切っている市もありますし、また町村を考えますと、宮崎県にもあるかわかりませんが、私どもの北海道なども過疎に悩む町村があります。その市町村の経営という面から考えても、あるいは分権への受け皿というふうに考えましても、適正な能力を持つ規模への市町村の合併を推進してはどうか、これは私の素人考えでございますが、自治省の方で何か名案があるのかないのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) 御指摘のように、地方分権の推進という観点からも、住民に身近な基礎的な地方団体でございます市町村が自主的な合併によりましてその行財政能力を高めていくということは非常に望ましいと申しますか、そういう方向ではないかと考えているわけでございます。
 そういうこともございまして、先般、ちょうど市町村の合併の特例に関する法律というのが本年の三月三十一日までで期限切れを迎えておりましたので、国会の方の御議決によりまして十年間の延長とともに内容の充実、特にそのような自主的な市町村の合併を推進してまいるという考え方のもとで、新しい市町村の合併の特例に関する法律を施行させていただいたわけでございます。その中には、住民の発議によるいわゆるイニシアチブの制度というのを制度的に取り入れましたこととか、合併をいたしました後の財政支援にさらに充実したものを加えたこととか、あるいは議員の任期、定数の特例をさらに充実したとか、そういう措置も講じているところでございます。
 現在、全国九ブロックに分けまして、そして都道府県や市町村に対しまして研修会を設けております。そういうことで法律改正の趣旨の周知を図るとともに、合併というものに対する情報の提供あるいは理解を得るといいますか、そういうことについても努力をいたしているところでございます。
○小川勝也君 ありがとうございます。いろいろな工夫の中で市町村にも体力がつけばより一層充実した行政が図られると私も考えております。
 総務庁長官にお伺いしたいんですが、先日の閣議で、審議会委員あるいは会長に出身のあるいは直接関係のある省庁のOBを起用しない、このような閣議決定がなされて、これは総務庁長官の御努力も多とするところではございますが、いまだ現委員には相当数省庁出身者がおられますし、農水省などはその比率は物すごいものだというふうな声も聞いております。この現状をどう変えていくのか、その辺の御決意をお伺いしたい。
○国務大臣(江藤隆美君) 御意見のように、一番多いのは農水省でありまして、そのほかの役所もほとんど全員近くがその省出身という審議会もあります。そうすると、結局、審議会は役所の隠れみのではないかというそしりをこれは免れることはできない。したがいまして、九月二十九日に閣議決定をいたしまして、自省出身の者は会長にしない、特別の場合を除いて、よっぽど人がいないとかその人が人畜無害だとかいうなら別だけれども、とにもかくにもそれはしない。委員についても同じようにする。それから、一定期間を経たものについては、今度も八つ廃止を含めて三月までに今検討を急いでおるわけです。もう用をなさなくなったものはいつまでも置かないと、あれは勲章をもらうのに便利がいいんだそうですが。
 それから新しくつくるものも、これからはもうやたらとつくればいいというものでもないから、厳にこれは抑制していく、こういうふうなことを決めたわけでありまして、今ちょうど交代期にだんだん来ております。今おる人をおまえやめろというわけにもなかなかこれはいかないことでありまして、やってやれないことではないでしょうが、折よくちょうど交代期に来ておりますから、順次この閣議決定の趣旨を生かして審議会の透明度を図っていこう、こう思っておるところであります。
○小川勝也君 長官のますますのリーダーシップを期待するところであります。
 ちょっと私見になりますが、先ほど冒頭でも述べましたとおり、これから国を大きく変えていこう、特に政治のリーダーシップが必要であると私は強く認識をするところでございます。
 もう質問は残っておりませんが駄弁を弄しますと、戦後五十年、このような発展を我が国が遂げましたことに関しましては、優秀な官僚組織と個々の優秀な役人の方々、そしてこの先もその優秀な官僚の方々にこの国の命運を担っていただかなければいけない。ただ、国益と省益が合致しなくなったとき、あるいは省益が脱線してしまったとき、その官僚制度があるいは役人の皆さんが持つ能力を最大限国のために発揮していただくための素地づくりは当然政治家の仕事だと思っております。その先頭に立つ総務庁長官に今後とも大きな期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○小山峰男君 私は、規制緩和、それに関連しまして地方分権につきまして御質問を申し上げたいと思います。若干ダブる点があろうかと思いますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 規制緩和につきましては、従来からかなりもう言い古されてきたわけでございまして、その都度いろいろの理由づけがなされてきているところは御存じのとおりでございます。最初は許認可等の整理というような形で規制緩和等が実施されるというような状況があったわけでございますが、その後、時代の推移とともに国民負担の軽減だとか行政事務の簡素合理化、あるいは民間活力の発揮というようなことが重点的に主張されて実施された。さらに最近では、いわゆる国民生活の質的な向上だとか産業構造の転換、あるいは国際的な調和の問題だとか、また昨今の経済情勢を背景にいたしまして、新規事業の拡大だとかあるいは内外価格差の縮小などというようなことが言われながらこの問題が論議されてきているわけでございます。
 政府においても、規制緩和推進要綱というようなものをつくって進めているわけでございますが、現在どのように進められているのか、また進めるつもりか、その決意のほどをお伺いしたいと思います。
○政府委員(陶山晧君) 江藤大臣からたびたび御答弁のあるところでございますけれども、本年三月に閣議決定をいたしました規制緩和推進計画の次の改定期が来年の三月になっております。この来年三月の改定に向けて、ただいま政府全体の見直し作業を進めているところでございます。
 大臣がいつも申されておりますように、私どもの見通しては、個別事項につきましては本年度内に約六割のものが実施済みということになろうと考えておりますが、次の改定の際には内容をより具体化するということが一つ。それから、実施時期につきまして、必ずしも明確でなかった事項についてはより具体的な時期を定めること。つまり、内容の具体化と時期の明確化、この二つの要素以外に、現在の計画に掲上されております事項以外の新たな事項をできるだけ多く取り込むというような観点の作業をただいま政府全体として進めているところでございます。
 今後、内外の御意見を聴取いたしまして、それを計画にできるだけ反映させるような段取りを考えておりますし、また大きな要素といたしましては、年内を目途に行政改革委員会から政府計画改定に向けての具体的な御意見が政府に提出されることになっております。この意見につきましても、政府としては最大限にこれを尊重して計画に反映させることが必要になってまいります。
 以上のような各界の御意見をいろいろ取り入れ、かつまた政府部内での検討作業を進めながら、来年の三月に最初の改定をすべく鋭意作業を進めているところであるということを御理解いただきたいと存じます。
○小山峰男君 大変いろいろ努力をされている状況はわかるわけでございますが、マスコミ等におきましては規制緩和が一向に進まないというような記事が見受けられるわけでございます。また、民間の各界等におきましても、経済対策で四十五兆円を超える公共投資の追加等が行われても一向に日本の景気が明るさを増してこないというようなことも含めて、規制緩和に対する要望が大変強いわけでございます。
 そういう意味では、一日も早い規制緩和の実施というのが望まれるというふうに思っておりますが、なかなか実現しない隘路と申しますか、そういうものに対する打開策、そういうものをどんなふうに考えているか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 端的に言いますと、規制緩和が進まないと言うマスコミが一番再販制度で反対と言っているわけです。ですから、総論は賛成だが自分のところに都合の悪いことは反対というのが、これが規制緩和の宿命でありまして、しかし私どもは、予見と例外を求めずにすべての問題を平等に冷静に判断していこうと。
 先ほども、コンビニエンスストアで薬品を売るなどということはもってのほかという御意見がありました。それは、便利がいいから、夜でも買えるようにしたらいいじゃないかという反面、それならアルバイトの者に、何の医薬の知識もない者に人の命を預かる薬を売らせていいのかという、そういう強い意見もあります。
 しかし、概して財界というのはそういう意見が多いわけであります。どこでもいいから売らせる、大店舗法を廃止せい、規制も全部なくせ、しかしおれのところは反対よというのがあるわけでありまして、なかなかそこいらが実は難儀をいたしておりますから、またひとつ御理解の上、御指導を賜りたいと思います。
○小山峰男君 おっしゃるとおりの問題があるわけでございますが、しかしこれを乗り越えない限り日本の活性化にはつながっていかないというふうに思うわけでございます。そのためには、やっぱり行革委の積極的な活動というのが大変望まれるわけでございますし、また国民の理解というものが大変重要だというふうに思うわけでございます。
 この「規制緩和推進の現況」ですか、いわゆる規制緩和白書にもいろいろの御努力の跡等は見えるわけでございますが、いずれにしても透明性の確保だとか、あるいはいろんな問題を国民にできるだけ情報公開をしていく、そういう努力が大変大事だというふうに思うわけでございます。
 私は、素人で見ておりまして、この事務は何で規制緩和をするのかということについて、もう少し集約したその目的を出していただけたらというふうに思うわけでございます。その事項について規制緩和をする、このことについてはいわゆる事業者間の競争を促進していくために規制緩和をするんですよとか、あるいは官主導から民自立への転換を図るためにやるんですよとか、あるいは制度、仕組みの国際的協調を図るためにやるんですよとか、あるいは国民負担だとか行政事務負担の軽減を図るためというような形で、この事務を規制緩和するためにはこういう目的を持って実施するんだというようなことを、それぞれの事務についてやはり国民にわかりやすく知らせてもらうというようなことが国民の理解の促進につながるというふうに思っているわけでございまして、その辺の今後の進め方はいかがでしょうか。
○政府委員(陶山晧君) ただいまの先生の御指摘、まことに私どもとしても十分理解できるところでございますし、おしかりをちょうだいしたという意味で受け取らせていただきたいと存じます。
 私どもとして、そのことにつきましてこれまでもいろいろな努力をしてきたつもりではございます。ただいま申されました第一回目の規制緩和白書、これも初回でもございまして、いろいろな御意見をちょうだいして、来年また改訂版を出すことになっておりますので、その際にいろいろな御意見、御批判を生かしていきたいというふうに考えております。
 また、規制緩和の問題と申しましても、非常に国民一般の方々にとってわかりやすい話と必ずしもそうでない分野といろいろでございます。大変専門的、技術的な事項もまた多いわけでございます。そうした非常に多種多様な分野、事項について、わかりやすい説明、PRということが技術的にもなかなか難しいという面がございますけれども、できるだけ今後とも知恵を絞って工夫をしていきたいという気持ちでございます。
 なお、これは毎年出しておりますが、一般の国民の方々向けに、いわばポンチ絵、漫画等を多用した規制緩和に関するパンフレット、カラー刷りのものでございますが、そういうものもいろいろ工夫しながら全国の市町村等に配布をさせていただいたりしておりますが、一層の努力は今後ともさせていただきたいというふうに考えております。
○小山峰男君 ぜひそういう形でお願いをしたいと思います。
 次に、規制緩和白書でございますが、規制緩和について「我が国経済社会を国際的に開かれたものとし、自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会としていくためには、規制緩和を今後とも推進していく必要がある。」というふうに書いてあるわけでございますが、まさにそのとおりでございます。
 この場合にやっぱり市場原理なりあるいは自己責任ということでございますが、個人の自覚あるいは責任部分というのは大変必要だというふうにも思いますし、また規制緩和を行うことによって負の部分も当然考えられるわけでございます。人によっては逆に寡占が進むのではないかとかいろいろの意見もあるわけでございますが、これらについても将来的に、先ほどお話ございましたパンフレットによりますと、「暮らしのびのび」とか「経済いきいき」とかいろいろキャッチフレーズが出ていますが、そういうものを保障するためにも、いわゆる対応というようなものを十分確保しながら進めないと、本当にねらっていた目的どおりの効果が出てこないという結果になる可能性もあるわけでして、その辺について対応と申しますか、考え方をお聞きしたいと思います。
○政府委員(陶山晧君) ただいまの先生の御指摘はまことにごもっともな御指摘だろうと存じます。
 従来からもそうでございましたが、個別の一つ一つの規制緩和の課題につきまして、それがメリットとして働く面とデメリット、その逆の影響を与える面と当然あるわけでございます。江藤大臣から私どもに対して、物によっては規制緩和は光と影、両面があるぞという御指摘をいただいたこともございます。
 いずれにいたしましても、この規制緩和推進というのはもちろん一般論としては政府の大方針でございますけれども、ただいま先生の御指摘のようにいろいろなそれに伴う影響があるということは事実でございます。例えば、中小企業の事業活動への影響という問題でございますとか、あるいは場合によっては雇用の問題などにかかわるというような要素も考えられるところでございます。
 こうした問題につきましては、いずれにしろ個別の事情に即してそれぞれその適切な対応策を検討していく、そういう基盤を整備しながら規制緩和を進めていく、こういう考え方を前提にしながら進めていくしかない問題でございまして、具体的な対応策につきましてはそれぞれの所管省庁において条件整備という意味において十分それを検討しながら進めていただくというふうに、私ども政府全体を取りまとめる立場としては考えておるところでございます。
○小山峰男君 そういうようにお願いしたいと思います。
 ところで、地方分権推進委員会にお尋ねをいたすわけでございますが、地方分権の論議に際しましても、国、地方を通じ公的規制の廃止あるいは緩和をしていく視点が大変重要であるというふうに白書でも書いているわけでございますが、現在推進委員会では地方分権についていろんな検討がなされているわけでございますが、今後のスケジュール等の中でいわゆる公的規制あるいは緩和、そういう問題についてどういう形で検討をし、その上で地方分権を行っていくのかという、その辺の考え方あるいは状況等がありましたらお願いしたいと思います。
○政府委員(東田親司君) まず、私どもの地方分権推進委員会の大まかなスケジュールでございますが、先ほどもお答えいたしましたように本年度末、来年三月でございますが、その場で一度中間報告で公表をさせていただきたいと思っております。そして、その後できるだけ早く勧告をしたいという基本姿勢でございますが、具体的には来年度予算編成の時期に一つの勧告を出すというのも適切な考えであろうということもありまして、来年の秋ごろを目指しておりますが、遅くとも来年中には勧告を出したいという考え方でございます。
 それで、親委員会が七月に発足いたしまして、十月からは二つの部会がまた新たに発足いたしたわけでございます。十月からの二つの部会の発足に当たりまして、新たに二十四人の専門委員の方々を任命していただきまして委員会に加わっていただきましたので、この方々と一緒に、なぜ今地方分権を進める必要があるのか、それから今後部会の場ではどういう視点から審議をしていただかなければならないか、それをきちっとまとめておく必要があるだろうということで、今回、十月十九日に公表いたしたものでございますけれども、「地方分権推進に当たっての基本的考え方」というものと「行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」という二つの物の考え方をまとめて、これも公表させていただいたわけでございます。
 その中に、委員御指摘の規制緩和と地方分権の関係についてでございますけれども、基本的考え方の中にも出てきておりますけれども、今後我が国が社会の活力を維持してより豊かで創造性にあふれた社会を実現していくためには、地方分権だけでなく、規制緩和等もあわせて進めていかなければならないという考えが出ておりまして、現にまたそういう意見も委員会、部会の場で出されたところでございます。
 それから、昨年暮れに政府でまとめました地方分権大綱方針におきましても、行政の簡素化及び規制緩和の視点から、行政事務そのものの必要性を検討することが必要であるという趣旨の記述もあるわけでございます。
 こういう分権大綱の方針も踏まえまして当委員会として審議していくわけでございますが、具体的な例として一つ申し上げますと、例えば機関委任事務につきまして今度の留意事項におきましては、「廃止を基本として検討すべきであるとの意見があることを踏まえ、それぞれの事務について、事務自体の存続の可否を検討したうえで積極的に団体事務化を図り、引き続き国の事務として残らざるを得ないものについては、機関委任事務制度を廃止した場合の問題点、新たな事務処理方法等についても検討するものとする。」と、こういう記述がございます。
 これをちょっと説明いたしますと、機関委任事務を検討する際に、まずその事務そのものが要るのかどうか、その事務というのは個別の一つ一つの機関委任事務というものが引き続き要る事務であるのかどうかというところから出発していただきたい。そして、それが要るということであれば、それじゃ地方公共団体の団体事務化ができないものか。それもできない、やはり国としてやらざるを得ないということであれば、現在機関委任事務制度があるけれども、これを廃止して問題がないのかどうか、それから新しい事務処理方法があるのかどうかということも検討していただきたいと、こういう物の考え方を示しておりまして、出発点におきまして機関委任事務個々について、まず事務そのものの存続の可否を検討するというのも一つの規制緩和という観点から見ることもできる考え方じゃないかと思います。
 やや説明が長くなりましたが、以上でございます。
○小山峰男君 地方分権を進める場合に、ぜひそういう観点からまず事務を見直して、その上で分権をすべきだと。あるいはこれは国に残すとか、そういう検討があるわけでございますが、そういう形で推進委員会でも事務を見直してほしいというふうに思います。
 時間もあれでございますが、自治省のお考え方もあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(松本英昭君) ただいま分権推進委員会の事務局長の方からるる説明があったとおりでございまして、全く委員の御指摘のとおり、当然、地方分権ということを考える、その際の事務の移譲ということを検討します際には、当該事務が果たして存続することが必要かどうか、法令でもって存続することが必要かどうかということをあわせて検討して、そして存続することが必要であるものとないものと、それはただいま御指摘のような規制緩和の観点からと、もう一つ行政の簡素化という観点と二つあるわけでございますけれども、両方からそういう検討をして、そして地方分権というものに取り組んでいくという姿勢が重要であると考えておるところでございます。
○小山峰男君 いずれにしましても、許認可だけでも一万件以上というふうに言われておるわけでございまして、またこの委員会でその推進状況等もお聞きしながらお願いをしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○山口哲夫君 百三十年間続いてきた中央集権からいよいよ地方分権の時代を迎えよう、そういうことでそれぞれの立場で一生懸命頑張っているわけでございますけれども、私は何としても日本の民主化のためにもこの機会に地方分権だけはどんなことがあっても実現をさせていかなければならない、そう考えています。そういう点で長官も随分御苦労されていらっしゃるようでございますけれども、大きな期待を寄せておりますので、どうぞひとつ頑張っていただきたいと思います。
 さて、今の時点で地方分権の作業がどういうことになっているか考えてみますと、御案内のとおり、七名の推進委員の方々が、これから総理大臣に出してもらう地方分権推進計画に対する勧告をつくるために、大変一生懸命精力的に現在審議をしているわけでございます。そういう今の時点に立って議論をしておく必要があると思う二、三の問題についてお尋ねをしてみたいと思います。
 まず第一は、先ほど来お話にありますように、三月には中間報告を出したいということがあります。それからもう一つは、平成九年の予算に間に合わせるように、来年の秋ごろには指針の勧告を出したい、こんなような作業が続けられているわけでございます。これを受けて総理大臣が地方分権推進計画を作成して、そして国会にも報告をする、こういうことになるわけでございますけれども、問題は、計画の作成の段階で出された勧告というものが相当骨抜きにされてしまうんじゃないかということが非常に心配になるわけです。
 これは、御案内のとおり随分いろんな有識者の中からもそのことが言われておりますし、また過去の例を見ておりますと、パイロット自治体のときは特にそうでありました。それから、地方制度調査会も権限移譲について何回か勧告を出しておりますけれども、その勧告の内容がどういうふうに施行されていっているかと分析してみますと、肝心な問題はほとんど実行されていない。地方にとってみればどうでもいいような、こんな権限はもらってももらわなくてもいいような、そういう問題だけを権限移譲するというこれまでの例から見ますと、残念ながら勧告のその骨格になる部分というのはほとんど手をづけられていない。
 そういう前例が幾つもあるものですから、有識者に言わせると、せっかく推進法ができて推進委員の方々が一生懸命論議をして勧告を出すんだろうけれども、また同じような轍を踏むんだろう、こんなように言われているんです。それであってはせっかく法律をつくった意味がなくなりますので、決して途中で勧告の内容が骨抜きにされることのないように長官に頑張っていただきたいものだと期待をしておりますけれども、そういった基本的なお考えについて、まず御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 前にもお話ししたかと思いますが、例えば国有林野活用法という法律を国会でつくろうとしたら、林野庁が全部網をかぶせてしまって、法律ができたときには全く用をなさぬようになって、どこもかしこも、いや保安林だ、いや水源涵養林だ、いや防潮林だということになってしまったと。そういうふうに具体的な問題がありますからただいまの御意見のようなことがあると思うんです。
 しかし、今回はもう待ったなしであります。景気対策と行政改革、規制緩和というのは、これはもう内閣の命綱として掲げてやっておるわけですから、今度はそういうわけにはいかぬと、私は衆議院の本会議でそのことを申し上げたわけであります。もしそういうものを阻むものがあるとするならば、不肖、政治生命をかけてそういうものの存在は許さぬ、命をかけてこのことはやろうと、こう思っておるところであります。
○山口哲夫君 大変な御決意なので大いに期待をしたいと思います。
 今は出された勧告が計画をつくる段階で骨抜きにされたということについて申し上げましたが、今度は事務局長の方にお尋ねするんですけれども、推進委員会の中でいろいろと議論をしたことが勧告としてまとめられる段階でこれまた骨抜きにされるという例があります。パイロット自治体が典型的な例だと私は思っております。
 せっかくパイロット自治体のときはくらし部会の中で大変いい議論をして、そしてパイロット自治体としてできるだけ実験的に自治体に権限を移譲させていこうといって、本当に前向きの議論をされていたわけです。ですから、この議論がまとめられて勧告が出されるならば我々が期待していたことが大体実現するだろうという期待を持って見詰めておりましたら、出された勧告を見てがっかりいたしました。立法化もしない。結局はこんなものなら何もパイロット自治体なんといって大きく構える必要も何もなかったのではないかということで、一体どうしてこういう議論が勧告文になったときに骨抜きにされるのかなということでそれなりに調査をしてみました。
 結局結論としては、委員の間で論議した内容を勧告として書くときに役所側と事務局が中心になって協議をしている。こんな勧告を出されても役所側ではとても実現させるわけにはいきません、そういうふうに役所側から突っぱねられると出した勧告は宙に浮いてしまう。格好がつかない。したがって、出したものはある程度実現ができるという可能性のあるものに絞っで勧告を書く、そういうことがあったというふうに私は聞いているわけでございます。
 しかし、せっかく委員の方が選ばれて大所高所から論議をして、地方分権あるいは権限移譲、過去の例でいえば権限移譲を通して分権というものの精神をこの中で何とかして実現させようと思っていい議論をしているわけですから、それが果たして役所側として受け入れられるか受け入れられないかというのは、これは役所が判断するべき問題ではないと思うわけです。これは少なくとも政治家、特に大臣がそれを判断するべきであって、あるいは役所側としてできないという問題があっても、閣議の中で議論をして、これはやっぱり分権の立場に立つならばやらせなきゃだめなんだと、そういう政治的な判断をするべきことであると思うわけです。ですから、そこに中間的に役所側が入って、その議論というものを現実性がないからといって勧告の中で骨抜きにするような作業というものは私は絶対にするべきではないだろうと思うんです。
 今回は恐らくそんなようなことはしないとは思いますけれども、そういうことのないようにぜひ、特に事務局長の立場というのは重要でございますので、過去にあったようなことが起きないように各省庁と協議をして、役所側が受け入れられないというようなものは書かないような、そんなようなことだけはしないように私はしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(東田親司君) 山口委員からの御質問は、私ども事務局員の基本姿勢についての御注意だったと思います。
 現在三十人ほどの事務局員をいただいておりますけれども、この三十人の職員の気持ちを代弁させていただきますと、まず委員会そのものの位置づけにつきまして、先ほど来引用しております基本的考え方の中にも出ておりますが、今回の地方分権の推進というのは明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革という位置づけでなければならないなと、したがって「我々の責任には、極めて重いものがある。」、こういう文章が入っておりますけれども、こういうところにあらわれておりますように、七人の先生方、それから二十四人の専門委員の方々は大変かたい決意、重い使命感を持って事に当たっていただいていると思っております。
 したがって、私ども事務局員というのは、この先生方の委員会なり部会なりの意を体してその補佐に全力を尽くすという一言に尽きるのではないかというふうに思っております。まだヒアリング等浅い段階でございますので、これから厳しい時期が来るかと思いますけれども、委員会、部会の意を体して補佐に全力を挙げるという決意を申し上げまして、御理解をいただきたいと思っております。
○山口哲夫君 ぜひそういうお立場で作業を進めていただきたいと思います。
 それからもう一つ、通告しておりませんでしたけれども、ちょっと気になるのは、部会が二つできましたね。部会の中にそれぞれ専門の委員が選ばれました。その中に、役所出身のいわば通称高級官僚出身の方が五人ほど入っております。今までのいろんな権限移譲の委員会等の審議状況を聞いておりますと、結局そういう方々を通じて、何とか勧告の中で役所側としては受け入れられないようなものだけは入れてもらいたくないということで、部会の中でも役所側とそうでない方々との間の攻防が非常に激しいというような話もよく聞かされておりますので、そういうことのないように、これは大臣にお尋ねした方がいいのかと思いますけれども。
 前に、推進委員を選ぶときには役所出身の方だけは絶対入れないでほしい、そういう要望をいたしました。当時、山口長官でしたけれども、今まで村山内閣の中でやった行政改革審議会でしたでしょうか、そのメンバーを見ていただければ十分御理解いただけますということで、いわゆる入れませんという考え方でしたけれども、経験者ということからいえば三人入っています。しかし、いずれもそれぞれの六団体を代表する立場で出ておりますので私は心配ないと思いますけれども、しかし今度の部会の場合はそうではございません。各省庁の高級官僚御出身の方も相当入っておりますだけに、そういう方を通して各省庁が自分たちの考えを部会の中に入れさせようという動きというものは今までの例から見ると相当激しいものがありますので、これだけはぜひないように大臣のお力で頑張ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(江藤隆美君) 片っ方で審議会の公開というのがありまして、私は、非常にいいことではあるが、今おっしゃるように審議会の公開あるいは部会の中にその人がおるということは外部から利害関係者の非常な圧力を受ける面もあると。情報公開という非常にいい面もあるが、今度は委員そのものが非常に圧力を受ける面もある。役所出身の人たちが偏った意見を持って議論をするとするならば、そういう方についてはこれは一考せざるを得ないであろうと、こう思っております。
○山口哲夫君 大臣の御努力にひとつ期待をいたします。
 次に、事務局長にお尋ねしますけれども、二つの部会が設置されましたね。一つは地域づくり部会、これは主に土地利用、公園、産業、交通などの分野と書いております。二つ目にはくらしづくり部会、これは主に福祉、保健、教育、文化などの分野を審議すると言われておりますが、抜けている分野があるんではないかなと気になるんですけれども、この二つの部会の設置の意味と、また抜けている分野等についてはどういうところで審議をされるのか、その辺についてお尋ねいたします。
○政府委員(東田親司君) 先月、十月に二つの部会の発足をしていただいたわけでございます。ただいま委員御指摘のように、主に地域づくり部会におきましては、土地利用、公園、産業、交通等々がございます。また、くらしづくり部会においては、主に福祉、保健、教育、文化等々というふうにしてございます。
 この分けた物の考え方は、地域づくり部会の方は主として地域社会の基盤にかかわる行政分野を担当しようではないか、それからくらしづくり部会は住民の日常生活、暮らしにかかわる行政分野を担当しようではないか、こういう二大別の考え方をもって分けたわけでございまして、先ほどの土地利用云々とか福祉云々というのはあくまで例示でございまして、限定する趣旨ではございません。今後、例えばある行政分野がどっちの部会になるかはっきりしないというようなものが出てきた場合には、よく話し合いをして、地域社会の基盤にかかわる分野に近いと見るのかそれとも日常生活に近いと見るのか、こういう物の考え方で分けていくことになろうと思っております。
○山口哲夫君 よくわかりました。
 それで、具体的な問題にちょっと触れてみたいと思うんですけれども、分権と補助金の関係でございます。
 分権という立場から見ますと、きょうは建設政務次官もいらしておりますけれども、例えば都道府県道、市町村道の建設、それから港湾とか漁港などの建設にも全部補助金が出ておりますね。それで、補助金が出ているということになりますと、当然関係する省庁の審査を、道路の構造から港湾、漁港の構造まで全部一々検査というか点検されるわけですね。その上で、これならいいだろうというので補助金が出るということになるんですけれども、私は、分権の時代になりますと、こういう都道府県道、市町村道、あるいは例としては港湾、漁港と挙げましたが、そのほかいろんなものがたくさんあると思うんですけれども、今まで建設省とか運輸省が握っていた補助金というものはもう一切必要がなくなるだろうと思うわけです。ですから、都道府県道は都道府県がやればいいし市町村道は市町村がやればいいわけで、そのかわりに財政をどうするかという問題が出てくるわけです。
 地方を回っておりますと、よく言われるのは、分権結構です、権限移譲は大いにやってほしいと思うけれども、問題はそれに伴う財源がどうなるんですかという話が必ず戻ってくるわけです。きょうは自治省の財政局長はもうお帰りになっていますけれども、私はこういうふうに考えるんです。今まで出していた補助金というものを交付税の中の一般財源としてそれぞれの建設をやっていた自治体に対して交付していくという形をとれば、一々これまでのような補助金をもらうための審査とかそういうものは一切なくなるだろう、そんなふうに思うわけです。
 たまたま今出した例というものが地域部会でやるのかくらし部会でやるのかよくわからなかったものですから、そういうものは一体財源化の問題も含めて大体いつどこのところで審議していくのか、そういう問題を即推進委員会の中でやるのか、あるいはもっと専門的なところでやるのか、その辺についておわかりでしたら、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
○政府委員(東田親司君) 先月、十月に二つの部会をつくっていただいた際の物の考え方は、今回対象とする行政分野というのは大変広範に及んでいる、そこで専門的な検討をしないとならないというときに、やはり親委員会だけではマンパワー的に無理があるだろうということで、専門委員を二十四人任命していただきまして部会というものを設けたわけでございます。
 まず、先生御指摘の道路等の社会生活の基盤にかかわる分野につきましては、二つの部会の中では地域づくり部会が担当することになると思います。地域づくり部会におきましては、審議のやり方といたしまして、権限移譲、国の関与、必置規制、それから補助金の整理等の課題を行政分野ごとに一括して見ていくという物の考え方でございます。ですから、道路なら道路について権限移譲はどうか、関与はどうか、必置規制はどうか、補助金はどうかということを一括してまとめて見ていくという物の考え方でございますので、部会として当面はまず中間報告の段階で、今申したような視点についてそれぞれ中間的なお答えを出していただくことになると思います。
 それで、それはあくまで一つの部会の受け持ち範囲だけの報告でございますので、もう一つの部会があるわけでございます。そこで、私ども制度的課題と言っておりますけれども、全行政分野を通じて検討しなければならない課題、例えば補助金についてどうあるべきかということを一般的に提言するということになりますと、それぞれの部会にお任せするというわけにはいきませんので、こういう制度的な課題については親委員会において検討をするというふうに考えております。
 したがって、年内は親委員会と部会とは合同でヒアリングを中心にやってまいりますけれども、年が明けますと親と子供は別々に分かれまして、親委員会は主として制度的課題を中心にやっていく、それから子供の二つの部会は与えられた行政分野ごとにさらに審議を深めていくということで別々な活動になりまして、そして三月の中間報告の段階でそれを両方ドッキングして一つの報告にいたしたいというふうに思っております。
○山口哲夫君 通告していませんけれども、今のお話を聞いてもう少し聞いておきたいことは、中間報告を三月ごろに出される。大変結構なことだと思うんですけれども、中間報告というのは全体の勧告に比べますといわば実験的なものもそこに含まれるんではないだろうかなという感じがするわけです。
 例えば道路行政一つとりましても、今まで市道をつくる場合でも全部建設省の許可を得なきゃならないわけですね。それに伴って補助金がつくんですけれども、それをこの分野だけは今度一切自治体に任せてみましょうというようなことで、財源も含めて何か一つ二つ、これが分権の姿ですよというものをやるためには、これは三月でなくてもう少し早めて、できれば平成八年度予算に一つでも二つでも関係させて分権的なものを出す方法というのは考えられないものでしょうか。
○政府委員(東田親司君) 現在、これから先の中間報告、それから来年中にはいたしたいと思っております勧告に向けてのスケジュールを検討しているところでございますが、来年三月の中間報告を例にとりましても、毎週各部会を開いていただき、まだほとんど毎週親委員会も開いていただくというスケジュールで見ても、同じ分野について第一ラウンド、第二ラウンド、第三ラウンドと深めて議論をしていくことがなかなか余裕がない状態でございます。それだけ与えられた行政分野が非常に広範に及んでいるわけでございます。
 ですから、三月までの間はまず地方団体側の要望の強い分野を中心にして地方側の意見を聞き、それに対して中央省庁側の意見を聞く、また有識者の意見も聞く、そして論点を整理して、必要があればまた追加のヒアリングをやっていく、こういうスケジュールで、大体三月まで毎週開いたとしても手いっぱいの状態といいましょうか、そういう状況でございます。
 それから、先ほど行政分野ごとに一括して見ていくというふうに申し上げましたが、その際に必要に応じて部会は部会なりに、行政分野における補助金のあり方あるいは財源のあり方等について部会なりの考えを出していただいても結構だというふうに考えております。
○山口哲夫君 なぜ今のような質問をしたかと申しますと、三月に中間報告を出されることは賛成なんですよ。賛成なんですけれども、せっかく中間報告を出されますと、それをできるだけ実行に移していこうという、例えば権限移譲の問題ですと、一々計画にのせなくたってやれるものはやっていけばいいと思うんですね。そういう場合に、予算が全然伴わなくなるということになると、結局は権限は移譲してもらったけれども予算がつかなくて自治体の方が苦労するだけだというような心配が出るものですからお尋ねしてみたわけでございまして、そんなようなことも含めてこれからも御検討をいただきたいなと要望しておきたいと思います。
 次に、規制緩和の問題に入ります。
 もし時間が残れば、もう一問だけ分権の問題が残っておりますけれども、先に規制緩和をやらせていただきます。
 長官に基本的なお考えをお伺いしたいんですけれども、経団連とかそれから在日米国商工会議所などから随分規制緩和について要望書が出されております。私は、基本的には日本の景気というものを回復していくためには規制緩和は当然やっていかなければならないことだと、そう思っておりますけれども、ただ問題は、国民生活の安定という立場あるいは快適な町づくりをする、そういう立場から申しますと、簡単に規制緩和されては困るという問題もあるんではないだろうかというように思うわけです。
 余り例は挙げられませんけれども、一つだけ例を挙げてみますと、例えば町づくりの点で経団連の方から建築に関係して容積率を緩和せいというような問題も出ておりますけれども、しかしそれはそれぞれの町にとっては都市計画上やっぱりそれではちょっと困るという問題もあるんではないだろうか。いろいろ議論のあるところです。
 しかし、例は別にさておきまして、前の山口鶴男長官のときにこの基本的な問題についてお尋ねをいたしました。そうしましたら、こういうお答えです。特定の団体だけの御意見を尊重してやろうとは思っていません。国民各方面の御意見を謙虚に承る中で、経済的規制、社会的規制について国民の皆さんからの要望があるわけですから、その点を踏まえてこの問題を推進していきたい、そんな答弁をされております。
 要するに、社会的規制ということを相当しっかり踏まえておかないと、何でも規制緩和規制緩和、そんなような雰囲気の中でやられては、今言ったように、国民生活の安定、町づくりのところからいきましても問題があるようにも思いますので、そういったことについて長官としての基本的なお考えをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 先生は北海道で、北海道は言うならばもう農業をもって立っておるところです、農業、酪農をもって。やっぱりこの中で非常に難問は、一つには農畜産物の価格支持制度を全部なくせというのがいわゆる財界からあります。農水省から言ってもなかなか歯が立たぬそうでありまして、非常に厳しい。
 しかし、もうこの国はカロリーベースで三七%、穀物自給率で二二%という国になっている。私は国を守るということと国民の命を守るということは独立国家の絶対的な条件だと思っております。そうすると、規制緩和が先にあって、そして農政は後回していいという議論にはならない。やっぱり国の食糧の基本政策にのっとって規制緩和というのは議論をすべきことであって、何でもかんでも外してしまえばいいというものではないと。
 ただ、ただいま熱心に審議中でありますから、私が予断をもって断定的なことを申し上げることはいささか越権になりますから差し控えますけれども、政治家として私はそういうことを考えております。
○山口哲夫君 そういった社会的規制の重要性といいますか、そういうことを十分踏まえながらこれからの規制緩和についても対処していただきたいと思います。
 最後に、具体例を一つ、大店法の見直し問題ですけれども、在日米国商工会議所からは見直しを求めてきておりますね。それから、経団連の方からは段階的廃止という言い方で要望をされております。
 それで、政府の方としても大規模小売店舗法の見直しというものを検討していらっしゃるようです。聞くところによると、平成九年までに何とか見直ししたいということのようですけれども、ただ自治体の立場からいたしますと、やはりまず中小企業を守っていかなきゃならない。大店舗ができますと、どうしてもやっぱりそれに関連する中小企業が倒産していくという例が随分あります。
 それからもう一つは、都市形態の上で、都市の中心をなすのが商店街というのがあるわけですね。昔から古い商店街というのがあって、そこを中心にして町が発展していった、そういう都市形態もあるわけですね。そうすると、中小企業、いわゆる小売業者がつぶれていけば商店街形成が完全に変わってしまって、都市形態そのものをつくり直さなきゃならない、そういう問題もあります。そういうことを考えますと、消費者の利便性だけを考えて大店舗法の見直しをやるということは果たしてどうだろうかなという実は疑問を持つわけです。
 これまで大店舗法、三次にわたって規制緩和を行って、中小小売業者にも少なからず影響を与えてきたというふうにも聞いておりますし、特に昨年の五月にまた規制緩和をしておりますので、そういうことから見ますと、当面は規制緩和の影響というものをしっかり見定めた上でこの大店舗法の見直し等について検討していく必要があるんじゃないだろうかなというように思います。アメリカ、それからそのほかからも要望があるからといって簡単にこれを見直しの中に入れるべきではないと思いますので、通産省の意見をお伺いしておきたいと思います。
○説明員(福井雅輝君) 御指摘のとおり、大店法については三次にわたって規制緩和措置が講じられてきたところでございます。
 大店法の今後の取り扱いにつきましては、規制緩和推進計画において決定されましたとおり、平成六年五月からの規制緩和措置の実効を確保しつつ、流通を取り巻く環境の変化等を踏まえて、平成九年度を目途に制度について見直しを行うということにしているところであります。もちろんその間、昨年五月の規制緩和後の状況についても十分見守ってまいりたいと思います。
 また、今後見直しということを行う際には、中小小売業の方々の御意見はもちろんですが、関係の皆さんの御意見を十分お聞きした上で検討するということになるかと思います。
○山口哲夫君 アメリカ側、それから経団連側の要望はあるけれども、これからさらにこれを進めていく場合には、いわゆる中小小売業者、そういうような方々の団体ともよく話し合っていく、今そういうふうに聞き取ったんですけれども、そういう聞き取りというか、よく話し合いをするという場は必ず設けますね。
○説明員(福井雅輝君) これまでも緩和の際には産業構造審議会及び中小企業政策審議会で各方面、もちろん中小企業団体の代表の方々も委員になっていただいていますが、そこで幅広い議論をしていただいた上で決定させていただいているということでございます。
○山口哲夫君 よく聞き取れないんですけれども。
 今まで何回か規制緩和をやりましたね。そういうものが結構中小小売業者に対して影響を与えているということが言われております。そういうような実態もきちっと通産省としては把握をするべきだと思うんですね。そういう都市の実態を十分把握した上で、さらに関係する諸団体ときちっと話し合いをするということだけはお約束していただけますか。
○説明員(福井雅輝君) 規制緩和の中小小売業に対する影響というのは十分把握する努力をいたしますし、六年五月の規制緩和の影響についても十分に見守ってまいりたいというふうに思っております。
 もちろん中小企業の団体の方々とも審議会の場等を通じ、さまざまな場があると思いますが、よく意見をお聞きした上で進めるということになるかと思います。
○山口哲夫君 それじゃ、最後にお願いしておきますけれども、実態調査した結果、それから小売店業界の方々との話し合いをした結果、そういうものを我々に報告していただけますか。今まではそういう例の報告というのはほとんどないです。在日米国商工会議所とか経団連のあれは必ず報告が来ますけれども、今言ったような報告はないものですからちょっと心配なんですけれども、やっていただけますね、報告をしていただけますね。
○説明員(福井雅輝君) 通常ですと商工委員会の場で報告をさせていただくということになるかと思います。
○山口哲夫君 規制緩和をやっているんですよ、こっちが。
○説明員(福井雅輝君) それは委員会の方の御判断ということになるかと思います。
○山口哲夫君 終わります。
○吉川春子君 総務庁長官にまずお伺いいたします。
 けさ各紙で報道されたところによりますと、長官は先月十一日に閣議後の記者会見に続いて行ったオフレコの懇談会で日韓併合条約に触れて、「あれは無効だったといいはじめたら国際協定は成り立たない」「強い国と弱い国、ほかに方法がないわけだから。あの時は自分の国が」、自分の国というのは朝鮮のことだと思うんですが、「やられたときだから仕方なかった」と。また、日本の朝鮮統治については、「日本はいいこともした。全市町村に学校をつくった。高等農林学校をつくり、ソウルに帝国大学をつくり、一挙に教育水準をあげた。鉄道五千キロ、港湾整備、開田・水利をし、山には木を植えた」、このように賛美をされて、創氏改名についても、「全部の国民に創氏改名をやらせたとは思えない」と半強制的だった歴史的事実を否定いたしました。
 これまで多くの閣僚の方が暴言、妄言を繰り返して罷免されたり辞任したりしてまいりましたけれども、こういう事実を御存じの上このような発言をされたのかどうか、まず伺います。
○国務大臣(江藤隆美君) 懇談会で記録をとらないということで話をしたことでありまして、報道された内容については随分とそれは不備の点がありますから、けさ改めて記者会見をやりまして、そして改めて私の公式の見解を申し述べますと言って、けさお話をしたところです。
 その趣旨は何だと言いましたら、少なくともこれは総理が国会において答弁をされて、植民地政策によって多くの人に多大の迷惑を与えた、そのことについて反省をし謝罪をされたことについては当然閣僚の一員としてそれに従いますと申し上げたわけです。
 私がこの前言ったのは、あの中で特に強調したことは、あれは合法的に問題なく締結された条約ではなかったと私は思っておるんです。なぜならば、あの発表は一週間後なんです。軍隊を配置して、そして半強制的に協定を結んだわけでありますから、合法的に日韓併合条約が結ばれたとは私は考えていない。しかし、今度は日韓基本条約で今までの協定、条約はもうなかったものとする、こうなったわけですから、存在したことはこれは間違いないであろうと。
 それから、もう一つ申し上げましたのは、小さいころ私どもは農村に育ちました。私の近所にも北朝鮮か韓国がどちらか知りませんが朝鮮の人たちがやっぱり住んでおった。同級生にもそのままのいわゆる朝鮮名で、そして一緒に小学校から中学校まで勉強していきました。だから、創氏改名などということを法律で決めるということはそれはもってのほかでありますが、あの戦時中の厳しいときでも我々と同じように朝鮮人名で一生懸命努力して勉強した諸君がいると、そして私どもは育ちましたから、最初から違和感というのはありません。そういう思い出をもとにしてお話をしたわけです。
 我々のときには中学校に上がる者は一割もいないし、それから学校に来る者は三分の一ぐらいは家の手伝いで学校に行けないし、修学旅行といっても三分の一は行けない。たった一円五十銭でした、あの当時。そういう時代をずっと振り返りながら、日本政府が一生懸命道路をつくったり港をつくったり鉄道をつくったり学校をつくったり大学をつくったということは私はいいことではなかったのかなと。
 しかしながら、今度は受ける側に立って見たときに、それはあくまでも日本の御都合主義ではなかったのかという受け取り方があることも私は否定できないと思うんです。そういう人たちからすれば迷惑千万な話であるし無礼千万な話であったろうと私は思う。そのことは私も認める。しかし、お互い子供たちは勉強したいわけですから、学校ができて勉強の機会ができたということは素直に考えてよかったのかなと、私はそう思ってきました。しかし、それが悪いというならば、それは私は日本人の思い上がりであったとしか言いようがない。
 それから、数々の弾圧をしました。だから、戦後の李承晩大統領は反対してペンチで生づめをはがされてアメリカに亡命をした人ですから、そういう日本のいわゆる帝国主義、軍国主義華やかなりしころに犯した誇り高き民族に対する無礼の数々は私は残念ながら率直に認めざるを得ない。そのことを総理も深く反省し、おわびを申し上げる、こういったことであろうと思います。
 私は本来親韓派でありますから、郷土においても日韓友好議員連盟をいち早くつくって会長になり、日韓漁業交渉で行ったときに正装のチョゴリをもらいました。それはいまだに大事にとってあります。私の刎頸の友は、先ほどお話がありましたが、自分の郷土に百済の里というのをつくりました。これは村おこし運動であります。相談を受けて、どうだろうというから、いいことだ、できるだけの手伝いをしようといって、田舎に百済の里が見事にでき上がりました。今韓国からもたくさんの人たちがお祭りにやってきます。
 ですから、言葉足らざる点がたくさんあったわけでありますから、改めてけさ記者会見をしてその真意を申し述べたということであります。いささかも韓国を侮辱し、歴史を汚すような発言をした覚えはありません。
○吉川春子君 けさの記者会見で、朝鮮半島で日本が一生懸命教育を施し、道路、港湾、用水を開いたのはいいことをしたと思っていた、そのことが朝鮮半島の人にとって日本が利益を得るためで迷惑千万とするならば、思い違いをしていた、いいことをしていたというのは私は誤りだと思うとおっしゃられましたけれども、いつまでいいことだと思っていて、いつから誤りだと思うようになったんですか。
○国務大臣(江藤隆美君) いつからということはありません。それはずっと歴史というものを勉強するようになって、それは民族によって受ける側とそうでない側とでは全く一つのことについてもそれぞれ受けとめ方が違うものだな、だから世の中を一方的に見てはいかぬということをずっと考えてきたわけで、限られた時間の話でありますから誤解を生む点があるのでけさ改めて記者会見をした、こういうことです。
○吉川春子君 これは受け取り方の問題じゃないですよ。結局、厳然たる事実があって、そのことについてどうなのかということが問われているのであって、日本から見ればいいことをした、しかし韓国から見れば、朝鮮の方から見ればこれは迷惑だった、そういう問題じゃないと思うんです。
 私は、本題に入りたいのでもう一つだけ大臣にこの問題について伺っておきたいんですが、結局、侵略戦争の問題で肯定発言をした大臣の中には、発言を撤回した人もいる、藤尾元文部大臣のように撤回せずに罷免されて今日も同じようなことを繰り返しおっしゃっている方もいる。
 私は、率直に伺いたいんですけれども、大臣は閣僚であるがために内閣の方針に合わせる発言をしたのか、そしてその発言をオフレコだからということで修正されたのか、あるいは根本的に発言を変えたのではないのか、その点についてもう一度見解を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(江藤隆美君) 本来オフレコで話をしたことがこういうことになるということは、私は人の信頼を裏切ることだと思います。本来あり得べからざることである、こう思うんです。ですから、その表現についてもさまざまな表現が出てくる。だから、けさ改めて私の見解を申し上げた、こういうことであります。
○吉川春子君 私は、少なくともオフレコで述べたにしろ、こういうふうに報道されている意見を聞くと、これは今までのいろんな事実に照らしてもやっぱり閣僚としての資格に欠けるのではないか、こういうことを強く指摘しておきたいと思います。
 自治大臣もお見えになりましたので、分権推進委員会の問題について質問をしたいと思うんですけれども、私はこの委員会の公開問題について前の山口総務庁長官にも強く質問したことがありますので、一定程度公開されているということについて、私はこれは是としたいと思います。
 同時に、それぞれお二人の大臣に確認的にお伺いしたいことは、分権推進委員会の論議の際に当時の山口長官が、憲法で言う地方自治の本旨、それを守るために今回の地方分権推進法を提案したというふうに言われました。地方自治の本旨というのは住民自治であり、団体自治です。そして、分権の場合は団体自治ということが当面問題になると思いますけれども、この団体自治ということは、国から独立した団体、地方公共団体を設けて、この団体が自己の事務を自己の機関により自己の責任において処理することだ、このように言われていますけれども、この点についてお二人の大臣のまず見解を確認しておきたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 本日この委員会が開催されておりますのに私は宗教法人特別委員会にずっと出ておったものでありますから、ただいまおくれてまいりましたことをおわび申し上げたいと存じます。
 憲法第九十二条に規定する「地方自治の本旨」というのは、地方公共団体の運営を住民自身の責任においてみずからの手で行うという今お話しの住民自治、それから地方公共団体の自主性、自律性が十分発揮できるよう地方自治の制度を定めて運営するという団体自治をともに実現するということの趣旨であると私は考えます。
 一方、地方分権の推進は、国と地方公共団体の役割分担を抜本的に見直して地方公共団体の自主性と自律性を高めていく、地域住民みずからの判断と選択のもとでそれぞれの歴史や文化や自然の条件だとか、そういうものの個性を生かした多様で活力に満ちた地域社会をつくっていく、そういうことを目指すわけでございます。
 したがいまして、地方分権というのはまさに住民自治と団体自治の強化を求めるものであって、そういう意味では全く一つのものだと理解しております。
○国務大臣(江藤隆美君) ただいま自治大臣が詳しく述べられたとおりであります。
○吉川春子君 地方分権の進め方については、今後、推進委員会から勧告が出されることになるわけですけれども、政府としてはいたずらに勧告を待つことなく積極的に地方分権を推進していくべきだというふうに考えます。地方公共団体が地域の個性を生かした個性的で多様性に富んだ活力あふれる地域づくり、これができるように地域における行政の自主性、自律性を高めるということは非常に重要だと思います。
 それで、七月二十八日の第三回推進委員会で地方団体の代表から意見を聞いていますけれども、その中で増山全国市長会会長がこのように述べています。「まちづくりと密接な関係にある都市計画等の土地利用計画の分野は、本来的に都市の責任においてなされるべきであることから、土地利用計画に関する事項は基本的にはすべて市町村が決定することとし、広域的な調整を要するものについては必要に応じ都道府県と協議を行い、国はその基準を作成するに止めるべき。」と、このように言っておられるんですけれども、こうした主張は個性的で多様性に富んだ自治体づくりのために重要な指摘だと思いますが、自治大臣いかがですか。
○政府委員(松本英昭君) 大臣のお答えの前に私の方から説明をさせていただきます。
 かねてから特に市町村におきましては町づくり、都市づくりに関します都市計画あるいは土地利用の計画、そういうものにつきまして市町村において自主的に処理する体制をつくってもらいたい、そういう要望が大変強く出てまいりまして、御指摘の七月二十八日の増山会長の御意見もその線に沿ったものだと思います。
 また、かねて第二十一次の地方制度調査会におきましても、都市計画に関します権限は市町村が都道府県と協議をして定めるように改革すべきであるというような意見具申もいたしているところでございます。
 ただ一方では、都市計画というものの広域性あるいはまた国家的な関心というような問題等もございまして現在のような制度になっているところでございますが、私どもといたしましては、これはやはり市町村の、ただいまの会長の御意見にもありましたような方向を一つの考え方として強く意識いたしているところでございます。
○吉川春子君 自治体はいろいろな国の一律的な管理の中でも多様な地域社会を目指すために努力をされていますけれども、その一つが乱開発による生活環境の破壊から住環境を守るために全国で広がっている宅地開発指導要綱であると思います。これに自治省、建設省が大変圧力をかけているわけですけれども、まず伺いますが、宅地開発指導要綱が全国にどの程度広がったか、時間がないのでちょっと数字だけ簡単に説明してください。
○政府委員(湊和夫君) 昭和五十二年度から調査いたしておりますので、その数字を申し上げたいと思います。
 昭和五十二年度九百二件、五十六年度千百四件、昭和六十年度千三百三十件、平成元年度千四百九件、平成五年度千七百二十四件、以上となっております。
○吉川春子君 この指導要綱がすごく広がってきた陰には、やはり宅地開発要綱について、各地方公共団体が地域の実情を勘案しつつその自主的な判断のもとに定めているもので、乱開発を防止して良好な都市環境を整備するもの、このように当委員会でも室長がお答えになっておられますけれども、国が勝手に基準を設けてここから先は行き過ぎだとか、こういうような押しつけをするというのは本来的なやり方ではないんじゃないですか。大臣どうですか。
○国務大臣(深谷隆司君) それぞれの地域が乱開発を防止して住民の良好な環境をつくろうということのために宅地開発等指導要綱というのをこしらえておるわけであります。これは自主的な判断のもとに定めていることでありますから、私たちは各種法令を補完して良好な地域をつくるためのものと考えて大事にしなければならぬと思っています。
 しかし今までにも、一方ではかねてから行き過ぎているぞというようなさまざまな提議もなされて、それが裁判その他で実際に論議されたりしたこともございました。
 例えば、具体的に名前を申し上げませんけれども、児童が非常に減少しているのに学校施設の建設用地提供、寄附金等を求めている、それがかなり多額なものに及んでいて今もそのまま続いている、そういうのも見られるものでありますから、自治省といたしましては、昨年七月の閣議決定等を踏まえて地方公共団体に行き過ぎの是正を要請するというときもあるということであります。
○吉川春子君 裁判にもなりましていろいろな判断が出ているんですが、例えば武蔵野市あるいは九州の志免町、これにかかわる事例について、ちょっと時間がなくなりまして恐縮ですけれども、端的に結論を説明してください。
○政府委員(湊和夫君) 武蔵野市の事例につきましては、宅地開発要綱に教育施設負担金の定めがございまして、その納付を開発業者が拒んだということで、マンションに対します給水を拒否した事例に係るものでございます。時間がございませんので結論だけ申し上げますと、最高裁の平成五年の判決におきまして、この指導要綱が全体として申しますとかなり強制的な割り当てになっているというようなこと等を挙げて、武蔵野市の行政指導は行政指導としての限度を超えておるという判示がなされております。これはまさに宅地開発要綱の実効性を担保するために行使された水道給水に係る事案についての問題でございました。
 一方、志免町の事例でございます。現在なお上告されていると伺っております。平成七年に福岡高裁の判決が出たわけでございますが、これはいわゆる宅開要綱の実効性を担保するということで争われた事例ではございません。志免町は福岡市に隣接した町でございますけれども、地域の水道事情というものを勘案して、人口の増加に伴う水不足を理由にいたしまして、水道法に基づいて運用いたします水道事業規則によりまして二十戸を超える集合住宅には給水しないということを定めたことの是非が争われたものでございますけれども、高裁判決では、当町の水の供給に関してのこれまでの努力の状況それから現下の水状況、そして今後の多量の給水量の増加が見込まれる集合住宅に対する給水への取り組みについていろいろ判示をした結果、これは水道法に基づく規則として著しく不合理で妥当性を欠くものとは言えないということで、これは水道法上の問題として正当事由に当たるという取り扱いがされたものというふうに受けとめております。
○吉川春子君 今ちょっと簡単に言っていただいたんですけれども、つまり開発指導要綱の給水拒否の問題についても、裁判所の見解も一方では理由があると言い、一方では理由がないと言い、判断が分かれるわけですね。
 私はこの裁判所の判決の是非については触れる時間がありませんけれども、つまりそういう問題についてもいろんな見方があるし、それからまたそれぞれの自治体が置かれている水資源の状況とかいろんなものによって判断が違ってくるんであって、国が一律に基準を示して、これは行き過ぎです、こうしなさいという形は好ましくない、ましてや地方分権を推進するということであるのでますます好ましくないと思うんです。
 それで、実はきのう建設省が宅開指導要綱の見直し、行き過ぎ是正の徹底を図るという通達を出したんですね。この内容は、例えば公共施設の設置について事業者の負担の範囲を狭く限定するとか、義務教育施設、文化ホール、これは専ら開発地域の住民のみの利用であっても業者から適正価格で買い取れとか、あるいは事業者からの寄附は廃止しなさいとか、一定面積当たりの戸数制限は行政上の内部目標にとどめて業者に対する建築制限になるような指導は適当でないとか、あるいは今言った水道の給水拒否の問題などについても制裁を廃止せよとか、こういう通達を出しているんです。
 大臣、最後にお伺いいたしますけれども、これは今まで地方自治体が進めてきた宅開指導要綱の骨抜きを図る、そしてまた地方自治体に圧力をかけるということは地方分権推進ということからいっても逆行であるし、地域の実情にも合わないと思いますが、きょうは建設大臣はお呼びできませんので自治大臣に伺いますけれども、こういう方向を自治省としてはお認めになるんですか。その中身で答弁してください。
○国務大臣(深谷隆司君) 建設省の方がお見えでないですから、私から答弁するのはいかがかと思いますが、基本的なことだけ申し上げると、やっぱり大局的に見てこれは行き過ぎだなという事例も確かにあるわけです。だけれども、私たちは、特に自治省の場合は個々の事例を挙げてこれをこういうふうに是正せよという通達は出しておりませんで、行き過ぎに対しての御注意を申し上げる、後はそこで自主的に判断していただく、最後の判断はもう地方の皆さんにお任せする、こういう態度でいくのが地方分権の趣旨にかなっていると思っております。
○吉川春子君 終わります。
○末広真樹子君 参議院フォーラムの末広真樹子でございます。
 愛知県で二十年間パーソナリティーとして勤めてまいりまして、その結果、政治が見えない、わかりにくい。春になったら毎年のように道路工事をやる、これは予算を消化するためにやっているんだとみんな知っているんです。市民は、こういうことは何でやっているかということはわかっていることで、むだなことだとみんな言っております。年のうち三分の一は知事や役人が中央省庁もうでをやります。これはもうお金も時間もむだです。国民にはばっさりリストラだの消費税アップだのを強いるのに、政治は旧態依然、むだばかり。何でやの、この素朴な疑問に対して、ちょっと国会行ってくるわと言って現在私がいるわけでございます。
 地方分権に絞りまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、政府がいかに地方分権に取り組む思いがあるのかをお尋ねしたいのですが、地方分権を進めることでどのように社会や政治がよくなるとお考えなのでしょうか。地方分権を進めるに当たっての目的とメリット・デメリット、どのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 私が申し上げるまでもなく御存じのとおりでありますが、日本の政治というのは国の政治と地方の政治と二通りあります。その行政が車の両輪のように動いていることで今日までの日本が築き上げられてきた。しかし、だんだんに時代が成熟してまいりますと、やっぱり地域の問題については地域の人たちが考える、自分たちで自主的に判断して、そしてその地域にふさわしい町づくりを行う、そういう時代に変わってきた。いわばそれが地方分権の考え方なのであります。ですから、一つの時代、一つの国民の声、そういうものが地方分権を求めてきている、それに対して政治が答えを出していく、それが私どもの思う地方分権運動でございます。
 そこで、国会では地方分権推進法というのを定めまして、推進委員会ができて、五年間の間に一定のものを打ち出していこうということで、今その委員会の方々が必死に、国はどの仕事をするか、地方はどういう分担をするか、そしてその財政の裏づけはどうするのかといったようなものを議論していただいているわけであります。私たちはその提言を待って十分にそれにこたえていくような仕組みをつくっていきたい、そう思っております。
○末広真樹子君 地方分権を進めるということは、この日本におきましては壮大な改革になることと思われます。本年五月に成立しました地方分権推進法はなぜ五年間の時限立法なのでしょうか。五年という短い年月でどうにかなるような課題ではないと思うのでございます。
 先ほど来、総務庁長官の力強いお言葉で、責任は大臣がとる、思い切ってやりなさいというすごい御決意を伺いまして大変頼もしく思っている次第でございますけれども、それでは今後どれくらいの期間でもってこの地方分権を進めていこうと考えていらっしゃるのか、グランドスケジュールをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(陶山晧君) 地方分権推進法につきましては、私どもと自治省とで政府部内の取りまとめに当たった立場でございますが、まず先生御指摘の五年間という時限立法につきましては、いろいろな議論を経た上で結論として五年としたものでございます。その理由としては、大変難しいこの地方分権推進という問題を進めていくに当たって一定の期限内に集中的かつ計画的に取り組む、そのことが具体的な成果を上げる上で最も効果的であろうという判断から五年間の時限という形をとったものでございます。
 今後の大まかなスケジュールという御指摘でございますが、法案審議の際、本委員会におきましても前大臣から御答弁を申し上げましたように、政府の立場といたしましては、委員会から具体的な指針の勧告をできるだけ早くちょうだいし、五年間という時限ではございますが、その期間の前半には分権推進計画を作成したいという答弁を申し上げたところでございます。そういうスケジュールに沿って政府として対応してまいりたいと考えております。
○末広真樹子君 一定の期間内に集中的にやり遂げるという、これまた頼もしいお言葉の割にはグランドスケジュールが出てこない。聞いている方は、ちょっとわかりにくいなと思ったり、何か期待がうっと高まるとまたしゅんとなってしまうような感じがするのでございますが、時間もありませんので。
 昭和五十七年七月の第二臨調の第三次答申以来さまざまな形で地方分権に取り組んでこられたと思いますが、十分な実効は上がっているとは思えません。しかし、今回は平成五年六月の国会で地方分権の推進に関する決議に始まりまして、推進法の制定、推進委員会の設置と着実に進んでいるところで、大いに期待しております。
 次の質問に移らせていただきますが、地方分権推進計画が作成されたとしまして、それを推進していく母体、これをどのようにつくっていくお考えなのか、母体となるグランドデザインをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(陶山晧君) 私から御説明するのが必ずしも的確かどうか疑念はございますが、先生ただいま御指摘の主体と仰せられた意味について必ずしもその真意をはかりかねる面がございますが、通常の意味で申し上げさせていただくならば、委員会から御提言を受けたものを受けて政府として計画を策定いたします場合に、例えば分権推進法案の取りまとめに当たりました際には、内閣官房の内政審議室のもとに私どもと自治省とが各省庁の意見の取りまとめ、調整に当たったところでございます。ごく通常のイメージとして申し上げますならば、政府全体の取りまとめに当たる形態といたしましては同じようなことが通常の場合であろうというふうに考えております。
○末広真樹子君 地方分権を進めるに当たっては、中央省庁の姿勢がまずもって問われることと思います。
 特殊法人への天下りについては三年以内に改善の成果を上げるとのことでございました。しかし、最近の新聞発表によりますと一年目では全く前進していないとのことです。これでは地方分権ところではありませんよね。その実態はどのようなものかお聞かせください。
 そして、その改善の実効をどのようにつくり出していくのかお教えいただきたいと思います。
○説明員(安富正文君) お答えいたします。
 特殊法人の役員の国家公務員出身者の任用につきましては、平成七年二月二十四日の特殊法人の整理合理化に関する閣議決定を踏まえて鋭意努力をしているところでございます。
 ただ、先ほどお話がありましたように、現在のところ、国が役員大事に関与している法人につきましては、その常勤役員に対し国家公務員出身者の占める割合は、本年一月一日現在五六・五%でございました。ただ、本年十月一日現在では五五・一%ということで、若干ではございますが減少しているところでございます。
 先ほどお話がありました御指摘の新聞報道につきましては、サンプルのとり方、それから期間のとり方、若干ちょっと違いますので必ずしも数字が一定しませんが、人数として八人程度ということで、減少しているところでございます。ただ、現在の状況ではまだ、一年弱だっているわけですが、これからも我々として努力していきたいというふうに考えております。特に、閣議決定により今後三年間で実施される特殊法人の整理統合、この問題がございますので、この統合に伴う役員数の削減の動向というものも踏まえましてやっていきたいと思いますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
 また、先般の新聞報道に際しましては、十月二十四日の閣僚懇談会におきまして総理の方からも各閣僚に対しこれの実施方について改めて指示が行われたところでございます。その着実な実行に努めてまいりたいと考えております。
○末広真樹子君 御努力に期待いたします。
 地方分権を進めるに当たって二番目に大事なことは、地方行政の姿勢ではないかと思います。
 そこで心配なのは、現在の都道府県知事四十七人中二十六人、これは約五五%に当たりますが、中央官僚出身者、とりわけそのうちの十六人につきましては自治省出身者でございます。いずれにしましても、中央官僚出身者が、本日の委員会冒頭での久世委員のように、一〇〇%理解を持ってやるぞというような方もたくさんいらっしゃるとは思いますけれども、必ずしも全員が地方分権に熱心であるとは決まったわけではありません。むしろ、逆の方を危惧する次第でございます。これでは地方自治が形骸化しないだろうかという心配を率直に持つわけでございます。
 それで、中央官僚が知事になることに対し何らかの制限が必要かと思われますが、いかがなんでしょうか。
○国務大臣(深谷隆司君) 末広委員の、つまり中央の官僚がそのまま天下り式に知事になることに対する懸念というのはわからないではありませんが、だれがなるかというのは挙げて選挙民が選ぶ、それが民主選挙でございます。その人はどういう人格であり、どういう識見を持ち、どういう能力があるかということを国民は冷静に見守りながら選挙をするわけであります。その選挙の前に、この人はこういう職業だからだめでございます、この人は制限するということは、憲法の中で認められている選挙の自由ということに全く反するわけであります。
 かつては、男性でなければだめだとか一定の税金を払わなきゃだめだとかいろいろ制限されておりました。しかし、今日は、おかげさまで私のような丸裸の者も選挙を通して国会に出られる時代でございますし、先生のような幅広く大勢の視聴者に好かれた人たちもこうして上がってくるわけでありますから、私はそれが民主選挙のいいところだと思いますので、それを制限するということは適切でないし不可能であると考えます。
○末広真樹子君 そうありたいと思うんですけれども、昨今のように知事選挙がオール与党相乗りであったりとか、出てきてもオール与党相乗りそれからオール野党相乗り、これで両方ともが中央官僚出身者、どっちか選びなさい式だったら投票所に行きませんわね、結果的に。これが今日の投票率低下につながっているんだろうと私は思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(深谷隆司君) 国民の皆さんが選挙を行うという大前提で選択がなされているときに、その所管の自治大臣の私がそれはけしからぬ当選者であるとかそんなことを言えるはずもないことでありますから、選挙の実態、そういうことをお考えいただいて、ただいまの発言は、失礼ですが、行き過ぎだと私は思います。
○末広真樹子君 あくまでも懸念でございますので、そういうことのないようにみんなで見守っていきたいと思っております。
○国務大臣(深谷隆司君) ぜひそうしてください。
○末広真樹子君 はい。
 次の質問でございます。
 私の地元愛知県では、愛知芸術文化センターに絡む汚職で副知事が辞職いたしました。名古屋市ではごみ焼却工場に絡む汚職で市議と市職員三人が逮捕され、今新聞紙上をにぎわしております。このように地方行政では、大変残念なことではございますが、地方の権限拡大が腐敗の拡大となってしまいます。その防止のために一層の行政の透明化が必要と思います。
 地方行政では情報公開が進んでいますが、中央官庁での情報公開への取り組みはどうなっているのでしょうか。お願いいたします。
○政府委員(陶山晧君) 国の行政機関の保有する行政情報、これの公開のための法律その他の制度の問題につきましては、現在行革委員会の行政情報公開部会の場におきまして各界の専門家が参集されまして精力的に調査、審議が行われているところでございます。行革委員会として来年十二月までに意見具申がなされるという予定になっております。
 ところで、地方公共団体に情報公開に関する条例が多々ございますけれども、国の場合には地方公共団体と異なりまして外交とか防衛とか治安とか、いわば地方団体にはない情報を含めまして多様な行政情報がございます。これら多様な行政情報についての公開、非公開の区分でありますとか関連法制度との調整等々、法律的、専門的な観点から検討すべき課題が多々あると考えております。これらについて先ほど申し上げました行革委員会の専門部会において鋭意調査検討を行っていただいているという段階でございます。
○末広真樹子君 できるだけ速やかに御検討いただきたいと思います。
 最後になりますけれども、地方分権を進めるに当たって国民の共感がどれだけあるのかが三つ目の問題、しかも一番大切な課題であろうかと思います。
 現在、国民各層の地方分権への認識はいかほどなのでございましょうか。どのようなPR努力をなさってまいったのでしょうか。今後、地方分権の意義や必要性をどのようにして国民に訴えていくんでしょうか。私は、この特別委員会の名称を地元に帰りまして皆さんにお伝えしてもちんぷんかんぷんなんです。あげくの果てにみんなぷいと横を向いちゃうんです、頑張ってとか言って、一番暮らしと関係のある地域について大きな改革になるはずなのに。国民の声を聞くどのような方法をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。お聞かせください。
○国務大臣(深谷隆司君) 地方分権を進める上に一番大事なのは、国のさまざまな機関が今までいろんな権限を持っていますから、それを手放すということに対してきっと先々抵抗するかもしれない、そういうことをさせないようにきちんと我々も今から各省庁に働きかけるということが大事であります。同時に、今度は地方自治体が権限を受けるわけですから、委員今御指摘のように、ただ受けさえすればいいということでなしに責任が伴うわけでありますから、行政改革をどうするのか、リストラをどうするのか、あるいは地域のさまざまな、二重三重に道路を掘り起こしているような調整はどうするのか、つまり地方自治体がしっかり責任を負うという体制もまた大事だろうと思います。
 そして、何よりも国民全体がこのことに大きな関心を持っていただいて、積極的に目を光らせて、御意見もおっしゃっていただく、協力もしていただく、このことが大変大事なことであります。
 そういう意味では、自治省といたしましてもさまざまなパンフレットを配ったり、また地方におきましてもそれぞれの地域でこのようなパンフレットなどを配付して積極的に声をかけています。一番いいのは、あなたのようなわかりやすい言葉でそれぞれの地域にお伝えすることでしょうか。それらも含めてみんなで国民の皆さんの関心と協力が得られるように頑張りたいものだと思っております。
○末広真樹子君 ありがとうございます。
 パンフレットを読まないんですよね。今の方はもう本当に読まない。テレビのチャンネルひねっても政治のことになるとぷっとよそへ変えちゃうんですね。それが非常に残念で、テレビの番組でも結構です、お父さんとお母さんの社会学というような形で何か毎週しかるべきテーマを持って番組をつくっていくことができないかどうか。これを、こういう広報活動を一生懸命やってこそ、国民の声を聞く政治、開かれた政治というのが日本の新しい政治のあり方として皆さんに認めてもらえるんじゃないかしらと思います。
○国務大臣(深谷隆司君) 大変適切な御提言だと思って、終わりにお褒めするわけじゃありませんが、全く同感であります。
 私はかつて労働政務次官をやっておりましたときに、労働省の問題で、例えば定年制についてさまざまなコマーシャルやPRを従来やっておりました。しかし、役所の側はやっているんだというだけで見てくれているのかということまで思いを及ぼしていなかった。そこで、変わったやり方でありましたけれども、例えば劇の制作費だけ労働省が出しまして、労働省というのを表に出さずに、小林桂樹立演で「ああ定年」というドラマを放映したこともございました。これは大変視聴率も高くて成功した例であります。
 つまり、我々がPRする場合に、ともすると、これとこれもパンフレットを出しました、こういうコマーシャルをやりました、それで終わってしまうのでありますが、そうではなくて、それをどう国民の方がごらんになりわかっていただけるか、そこまで考えていく必要があり、そういう意味ではあなたのような方の御提言やこれからの動きがとても大事になると思いますから、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○末広真樹子君 そんなにお願いされちゃっても困るんですけれども、以上で私の質問を終わらせていただきます。
○委員長(浜四津敏子君) 本日の調査はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
  午後五時一分散会