第136回国会 本会議 第6号
平成八年二月二十三日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第六号
  平成八年二月二十三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(「新防衛計
  画大綱」及び「新中期防衛力整備計画」に関
  する報告について)
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○本日の会議に付した案件
 一、議員大野明君逝去につき哀悼の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
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○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 議員大野明君は、去る五日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされさきに衆議院の院議をもって永年の功労を表彰せられまた国務大臣としての重任にあたられました議員正三位勲一等大野明君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
○議長(斎藤十朗君) 平井卓志君から発言を求められております。この際、発言を許します。平井卓志君。
   〔平井卓志君登壇〕
○平井卓志君 本院議員大野明君は、去る五日、急性心筋梗塞のため逝去されました。
 前夜、御家族や知人の方々とドライブや食事を楽しまれた後、帰宅の途中、突然苦しさを訴えられ、それからわずか数時間の後に忽然と不帰の客となられました。
 突然の悲報、まことに哀惜痛恨のきわみであります。
 私は、ここに、同僚議員各位のお許しを得て、議員一同を代表して、正三位勲一等故大野明君のみたまに謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 君は、昭和三年十一月、岐阜県山県郡美山町に、戦後の保守政界の重鎮、故大野伴睦先生の四男として誕生され、慶応義塾幼稚舎から、長じて慶応義塾大学法学部政治学科を御卒業になりました。まさに慶応ボーイとしての青春時代を過ごされたのであります。
 卒業後、お父上の秘書となり、政治に携わる歩みを始められたのでありますが、その傍ら、印刷会社や建設会社の経営にも意欲を持って当たられました。会社経営には、お父上からの特別の援助があるわけでもなく、苦労の連続であったとのことでございますが、その中からさまざまな経験を積まれ、大いに社会勉強も実践されたのであります。
 その後、昭和三十九年、大野伴睦先生の後継者として衆議院選挙に立候補し、見事初陣を飾り、自来、当選九回、実に二十六年の長きにわたり衆議院議員として活躍され、平成四年四月には院議をもって永年の功労を表彰されたのであります。
 さらに、昨年七月の参議院選挙では、見事に転身を図られ、トップ当選され、参議院自民党の柱として今日まで活躍されてまいりました。
 この間、衆議院においては、社会労働、運輸、予算、証券及び金融問題等の各委員長の要職を歴任され、内閣にあっては、労働大臣、運輸大臣として二度の入閣を果たされるなど、多くの功績を残され、また、自民党にあっては、副幹事長、国民運動本部長、財務委員長、選挙制度調査会長、政治改革副本部長等、数々の要職につかれるなど、政治家としてその手腕を大いに発揮してこられたのであります。
 大野明君、永年在職議員として表彰の栄に浴された際、演壇に立たれた君は、その謝辞の中で、政治の基本は「思いやり」であり、そして「何事も常に相手の立場に立った物の考え方こそ大切であり、このことが自由と平和と民主主義の原点である」と、その信念を強調され、満場の拍手を受けたのでありますが、国会の役員としてもその信念に従った議会運営を実践され、円満な人格と相まって与野党を問わず厚い信頼を得ていたのであります。対立よりも話し合いに徹したその手法は、まさに議会運営の亀鑑と言えましょう。
 君は、国政にかける情熱とすぐれた洞察力、判断力を持って活躍されましたが、政治家としての真骨頂は労働行政において発揮されたと言えましょう。
 労働大臣就任当時は、二度にわたる石油危機や発展途上国の追い上げ等、経済的事情の変化に伴って構造不況に陥っている業種が少なくなく、とりわけ雇用情勢に深刻な影響を与えている状況でありましたが、第五次雇用対策基本計画の策定と、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の成立に尽力されたのであります。
 また、労働問題に精力的に取り組んでこられた君は、労働関係の御著書を数多く著しておられますが、その御著書の一節に、労働大臣としての基本的姿勢について述べておられます。そこでは、「人を対象とする労働行政は、思いやりのある心のふれ合う姿勢が何よりも基本であること」、そしてまた、「だんらんのある家庭、くつろぎと豊かな生活の実現に労働行政面から積極的にアプローチすること」を挙げておられます。
 この人と人との心のつながりを大切にする精神は、単に労働行政に造詣の深いということのみならず、まさに温かい人情家としての君の人柄がにじみ出ていると言えましょう。
 また、運輸大臣在任中は、交通関係社会資本の整備充実に心血を注がれ、鉄道の分野では、整備新幹線三線の同時着工、そして鉄道整備基金の創設といった画期的な歴史に残る足跡を残され、空港整備については、第六次空港整備五箇年計画の基本方針を取りまとめ、事業規模の拡大に尽力されたほか、中部国際空港あるいは首都圏第三空港といった二十一世紀を展望しての新規事業の推進に道筋をつけられたのであります。
 このような社会資本の整備は、将来によりよい資産を引き継ぐものとして大いにその功績は評価されるのであり、必ずや後の国民がその成果を享受することでありましょう。
 君は、政治家として、国政のみならず、地元岐阜県の振興と発展のためにも心を砕かれ、JR岐阜駅周辺鉄道高架事業の実現、旧国鉄樽見線の第三セクター移行、職業訓練短期大学の誘致等に貢献されたほか、新農業構造改善事業の推進や、県らしさを大切にした歴史と情緒ある住みよいふるさとづくりに取り組んでこられたのであります。
 このほか、日本造園緑仕組合連合会会長、日本鳶職連合会顧問、建設業労働災害防止協会顧問等を歴任し、幅広い分野でその振興に力を尽くされてきたのであります。
 君の座右の銘といえば「ど根性」でありますが、言わんとするところは、最後まで粘る精神が大切だということでありましょう。六十七年の人生における君の輝かしい数々の業績も、「ど根性」と思いやりがあったればのことでありましょう。
 君は、また、大変なスポーツマンでありました。
 慶応義塾時代は、野球を初め、スキー、柔道、剣道、弓道、サッカー、ヨット、登山等々、何でもこなされたわけでありますが、中でもスキーは名手の部類に入ると評されたとのことであります。
 また、ヨットでは、悪天候の中、若さに任せて突き進むうち、突風に見舞われてあえなく転覆、危ういところで命拾いをしたとのことでありますが、これはさしずめ「ど根性」の勇み足といったところでありましょうか。
 大野明君、党人派の大物政治家として鳴らしたお父上と比べ、どちらかといえばおっとりとした人柄の君は、政界の荒波の中では必ずしも順風満帆とも言えず、衆議院では二度の落選を味わっておられます。
 君は、御自身のことを「政治家としてはずうずうしさが足りない」とみずから評されておりますが、まさに物事にこだわらないらいらくな性格ゆえかもしれません。
 しかし、参議院議員として国政に復帰し、これまでの豊富な経験を生かし、これからも国家国民のため大いに役立ちたいと満々の意欲を示されておりました。そしてまた、新たな政策提言のための執筆の準備も始められたとも聞いております。
 そうした中での急逝であり、まさに志半ば、まことに残念無念であります。
 また、お父上伴睦先生と比べ、十年も早く旅立たれましたことも、御家族の皆様にとりましては一層悲しみ深いものとお察し申し上げる次第であります。
 今日、政治状況も激しく変動し、内外の諸問題に対するかじ取りの難しさも一方ではありません。この多難の折、高通な政治信念と卓越する識見を持ち、そして政策通として名声をほしいままにする君を失うことは、大野家の嘆きのみにとどまらず、我が国政界にとってまことに痛恨のきわみであります。
 人の世のほかなさをかみしめながら、二十有余年の御厚情を感謝しつつ、ここに、ありし日の故大野明君をしのび、心から御冥福をお祈り申し上げ、哀悼の言葉といたします。
     ―――――・―――――
○議長(斎藤十朗君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、行政改革委員会委員に宮崎勇君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
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○議長(斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(「新防衛計画大綱」及び「新中期防衛力整備計画」に関する報告について)
 橋本内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。橋本内閣総理大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 新防衛計画大綱及び新中期防衛力整備計画につきまして御報告を申し上げます。
 国際情勢を見ますと、冷戦終結後、東西間の軍事的対峙の構造は消滅しましたが、宗教上の対立や民族問題等に根差す対立が顕在化するなど依然として不透明、不確実な要素が残っており、我が国周辺地域においてもいまだ種々の不安定要因が残っております。他方、国際関係の一層の安定化を図るための各般の努力も継続されております。
 また、自衛隊の主たる任務である我が国の防衛に加え、大規模な災害等への対応、国際平和協力業務や安全保障対話等を通じたより安定した安全保障環境の構築への貢献という分野においても、自衛隊の役割に対する国内外の期待が高まってきております。
 このような認識を踏まえ、また、格段に厳しさを増している経済財政事情等にも配慮しつつ、政府は昨年十一月、安全保障会議及び閣議において新防衛大綱を決定いたしました。
 新防衛大綱は、まず第一に、防衛力の役割について、直接間接の侵略に対する「我が国の防衛」が今後も防衛力の主要な役割であり続けることを基本としつつ、これに加え、「大規模災害等各種事態への対応」、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」という点を防衛力の役割として明確にいたしました。
 第二に、ポスト冷戦の時代における日米安全保障体制の意義を明らかにいたしました。日米安全保障体制は、我が国の安全の確保にとって不可欠なものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも引き続き重要な役割を果たしていくとの認識を明らかにしております。
 第三に、我が国が保有する防衛力の内容について見直しを行いました。すなわち、防衛力についてその合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備することとしております。
 また、政府は、昨年十二月、安全保障会議及び閣議において新しい中期防衛力整備計画を決定いたしました。もとより、防衛力の整備は、中期的な見通しに立って継続的かつ計画的に行っていくことが必要であります。このため、政府としては、昭和六十一年度以降、中期防衛力整備計画を策定し、これに基づき各年度の防衛力整備を行ってまいりました。現在の計画は平成七年度で終了するため、政府としては、新防衛大綱の策定を受けて新たな計画を策定したものであります。
 新中期防は、新防衛大綱のもとでの最初の中期的な計画であり、先ほど申し上げたような新防衛大綱に示された防衛力の内容を実現することを目指すものであります。したがって、計画には、現行の防衛力の規模及び機能の見直しに係る各種の施策を盛り込んでおります。これらの施策の実施に当たっては、種々の事情を勘案して計画的かつ段階的に行っていくことが肝要であります。
 政府としては、新防衛大綱のもと、新中期防に従い、適切な防衛力の整備を行ってまいる所存であります。
 議員各位におかれましては、今後の我が国の防衛力のあり方について、国会で御論議され、御理解、御協力くださるようお願い申し上げますとともに、国民の皆様におかれましても一層の御理解を切に希望する次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。尾辻秀久君。
   〔尾辻秀久君登壇、拍手〕
○尾辻秀久君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま報告がありました新防衛計画の大綱及び新中期防衛力整備計画について、総理大臣並びに防衛庁長官に質問いたします。
 新防衛計画の大綱は、昭和五十一年に策定された前防衛大綱にかわって、今後の我が国の防衛政策のかなめになる重要な政策大綱であります。昨年十一月二十八日の閣議決定に至るまで、十回に及ぶ安全保障会議での審議と与党三党の真摯な議論の積み重ねにより、冷戦後の防衛力のあり方について明確な指針を示されたことに対して、その努力を高く評価するものであります。
 さて、冷戦は終結しましたが、イラクのクウェート侵略や旧ユーゴの内戦に見られるように、民族問題、宗教問題、領土問題等に起因する地域紛争が多発し、世界の人々が期待する世界平和はいまだに実現するに至っておりません。我が国周辺においても、朝鮮半島の緊張や中国・台湾関係の現状など予断を許さないものがあります。また、いまだに膨大な軍事力を抱えるロシアの混迷した状況や、中国を初めとするアジア諸国が経済発展を背景に軍拡を進めていることも地域の安定にとって不安な材料であります。
 このような国際情勢に対し、新防衛大綱は、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいているけれども、複雑で多様な地域紛争が発生し、大量破壊兵器やミサイル等の拡散といった新たな危険が増大するなど、国際情勢は依然として不透明、不確実な要素をはらんでいるとしております。さらに、我が国周辺についても、多数の国が軍事力の拡充、近代化に力を注ぎ、朝鮮半島に緊張が継続するなど不透明、不確実な要素が残されており、安定的な安全保障環境が確立されるには至っていないとの認識を示しております。
 このような新防衛大綱の情勢判断は、我が国の安全保障、防衛を考える上でまことに適切な判断であると考えます。
 そこで、まず我が国周辺の情勢について総理にお伺いいたします。
 最近の報道によれば、北朝鮮の情勢が一段と不透明になっており、食糧事情の悪化などが伝えられております。総理はこのような北朝鮮の動静をどのように見ておられるのか、お伺いいたします。
 また、中国が台湾海峡付近で大規模な軍事演習を準備しておりますが、これに関して米国のペリー国防長官は、台湾に対する武力による威嚇であるとして、このような脅迫は直ちにやめるべきであると批判しております。
 総理は、先日の施政方針演説に対する我が党村上議員の代表質問に対して、「武力行使が直ちに行われるといった差し迫った状況にあるという情報には接しておりません」と答えておられますが、最近の台湾に対する中国政府の言動についてどのような見解を持っておられるのか、お伺いいたします。
 次に、日米安保体制についてお伺いいたします。
 新防衛大綱は、日米安保体制について、「我が国の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、我が国周辺地域における平和と安定を確保し、より安定した安全保障環境を構築するためにも、引き続き重要な役割を果たしていくもの」との認識を示しております。米国の国防次官補であったジョセフ・ナイ氏は、たびたび「安全保障とは酸素のようなものであり、失われそうになるまで気づかれない」と発言しておりますが、日米安保の重要性は、それがなくなったときのことを考えればだれの目にも明らかであります。
 この認識から、私は、最近米国の一部にある日米安保条約解消論について危惧の念を抱いております。このような米国内の空気が日米両国間にどのような影響を与えているかについて、総理の認識を承りたいと思います。
 また、本日の夜、総理は訪米の途につかれます。日米両国の関係をより一層強固にするため、どのような姿勢で首脳会談に臨まれるのか、沖縄基地問題への対応を含め、お伺いいたします。
 新防衛大綱の大きな特徴の一つは、大規模な自然災害、テロリズムによって引き起こされることが考えられる各種の事態に対して、自衛隊が対応することを大きな柱として位置づけたことであります。
 阪神・淡路大震災における自衛隊の献身的な活動、雲仙・普賢岳における長期にわたる災害派遣、地下鉄サリン事件における自衛隊の技術の活用等、国民の生命財産を守るために危険を顧みず働く自衛官の姿は国民の目に焼きついております。昨年七月に実施された総理府の自衛隊に関する世論調査でも、自衛隊の役割について、主たる任務である国の安全の確保のほかに重視すべき任務として、六〇%近くの人が災害派遣を挙げております。このような国民の自衛隊に対する期待を真っ正面から受けとめて今回の防衛大綱の中に明確に位置づけたことは、極めて適切な措置であると評価するものであります。
 そこで、総理に伺いますが、自衛隊の今までの災害派遣活動に対しどのように評価しておられるのか、また、今後この分野における自衛隊の活動に対しどのような期待を持っておられるのか、御見解を承りたいのであります。
 新防衛大綱のもう一つの特徴は、PKO等を通じてより安定した安全保障環境を構築することを防衛力の役割として明確に位置づけたことにあります。
 カンボジア、モザンビークにおけるPKO活動やザイールでのルワンダ難民救援活動に自衛隊の部隊等が参加し、困難な条件のもとで立派に実績を上げたことは、国際的にも高く評価され、これによって国民の自衛隊に対する理解と共感も格段に高まったのであります。私自身、それぞれの地域に激励に参りました。極めて厳しい条件のもとでの若い隊員諸君の頑張りに、涙の出る思いがいたしました。
 また、先日もゴラン高原に自衛隊の部隊が派遣されました。我が国の国際貢献が世界の人々の目に見える形で行われることは、平和国家としての姿勢を世界に示すまたとない機会であると同時に、我が国のイメージアップに多大な効果があることは言うまでもありません。無事に任務を果たしてくれることを心より願うものであります。
 ところで、PKO協力法が施行されて既に三年半が経過しております。三年後の見直しはいまだに行われておりませんが、これまでの国際平和協力業務を通じてPKO協力法の問題点は既に洗い出されていると思います。これまでの経験に基づいて、見直しの方向あるいは問題点について防衛庁はどのように整理し検討しているのか、防衛庁長官に伺います。
 次に、中期防衛力整備計画についてお伺いいたします。
 中期防は、これまで三たび策定されておりますが、このたびの新中期防は、新防衛大綱に定めた新たな防衛力水準への円滑な移行を目指して、基幹部隊の再編成を明記したこと、陸上自衛隊の定数を削減し即応予備自衛官制度を導入すること、正面装備の契約額を現中期防より減額することなど、極めて抑制された内容であると考えます。
 しかし、同時に、日本を取り巻くアジア太平洋地域の不透明、不確実な情勢のもとでは防衛力を維持することが必要であり、そのためには質的なレベルアップに努めなければならず、両者を調和させるため非常に御苦労されたのではないかと考えております。
 橋本総理は、新中期防策定当時、副総理として安全保障会議に臨まれておりましたので、その内容は十分御承知のことと考えますが、我が国を取り巻く情勢を踏まえつつ、新中期防策定の意義について改めてお伺いいたします。
 新防衛大綱で初めて導入されることとなりました即応予備自衛官は、新中期防では五千人の体制を整える計画になっております。第一線の戦闘部隊に充当できるだけの即応性を確保した予備兵力ということでありますが、具体的な内容については明らかにされておりません。しかし、現行の予備自衛官制度以上に雇用主である企業や社会の理解、支援が不可欠なものになると考えております。
 即応予備自衛官は、文字どおり即応性を保持するための訓練や任務遂行のため、長期にわたって拘束されることが予想されますが、その間、御負担をかけます企業に対しまして何らかの優遇措置等を実施しなければこの制度の円滑な実現は難しいものと考えております。現行の予備自衛官も通常の仕事との関係で訓練等が十分にできていない状況にあります。このような施策は防衛庁だけでは不可能であります。政府全体で取り組まなければならないものと考えます。
 即応予備自衛官制度の取り組みについてどのように考えておられるのか、橋本総理の御見解をお聞かせください。
 また、今回は合理化、効率化、コンパクト化を目指した基幹部隊の再編成ということで、部隊の改廃や駐屯地等の統廃合などが言われており、二十四万人の自衛官にとりましては大変不安に思っていることでありましょう。
 自衛官は崇高な任務に従事しているのであり、国民の信頼と期待にこたえていかなければなりません。再編成による不安を払拭し、もっと誇りを持ってもらうためにも、待遇改善を含め種々の施策が必要であると考えます。同様に、駐屯地等のある自治体も不安を抱えていると思いますが、駐屯地等の効率的な維持、円滑な統廃合を実施するためにも、一層の調和を図るため、生活環境の整備等の諸施策を積極的に推進することが重要であります。この点につきましての防衛庁長官の御見解を伺います。
 最後に、この新中期防は、正面装備につきましては極めて抑制されたもので、国内の防衛産業にとりましては現中期防に続き大変厳しいものとなっております。防衛産業においては、関連企業の多くが中小企業であることや、それぞれの企業にとりまして防衛関連生産への依存度が高いことなど、防衛関係費抑制の影響は大きいものがあります。
 防衛産業は、防衛力の生産・技術基盤そのものであり、今後とも質の高い装備品を供給し得る体制を保持し続けることは、我が国の安全保障上極めて重要なことであると考えます。また、防衛技術は、民生技術に対する技術先導効果、波及効果が大きく、民生技術との相乗効果をもって産業全体の技術水準の向上に重要な役割を果たしていると考えます。
 このようなことから、防衛産業の生産・技術基盤に十分配慮した施策を実施すべきであると考えますが、橋本総理の御見解を伺いまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 尾辻議員にお答えを申し上げます
 まず、北朝鮮情勢につきましては、情勢の把握にはさまざまな困難がございますが、北朝鮮は現在、食糧不足、エネルギー不足などさまざまな困難を抱えておると伝えられておりまして、今後ともにその動向には細心の注意を払っていく必要があると考えております。
 次に、台湾に対する中国政府の言動につきましては、中国が表明しております立場は、中国は一貫して平和的な方式による祖国統一の実現を主張しているが、外国勢力による統一への干渉や台湾独立をねらう陰謀に対しては武力行使を放棄しないというものであります。
 我が国といたしましては、台湾をめぐる問題が当事者間で平和裏に解決されることを強く希望していることは従来から述べてきたとおりであります。台湾海峡において武力行使が直ちに行われるといった差し迫った状況にある、そうした情報には接しておりませんけれども、関係当事者が自制した対応をとるよう希望いたしております。
 日米安保解消論の日米両国に与えている影響についてお尋ねがありました。
 確かに、米国の政界、学者の一部には日米安保解消論を唱える向きもありますが、これが米国の中で主流をなしているとは考えておりません。
 日米安保体制が冷戦後も引き続き重要な役割を果たしてきていることは、これまでの日米安保対話等を通じ日米両政府間で完全に認識が一致しており、今般の訪米におきましても、日米安保体制を基盤とする日米協力関係を強化することの重要性をクリントン大統領との間で改めて確認したいと考えております。
 同時に、米国の中の各層各界における日米安保に対する広範な理解と支持を得るための努力を続けることは極めて必要であります。四月のクリントン大統領の訪日の際に発出する予定の日米安保に関する共同文書は、このような目的にも資するものと考えております。
 また、私は、両国の首脳ができるだけ早い機会に個人的な信頼関係を築き、今後の日米関係について話し合うことによって、四月のクリントン大統領の公式訪問を成功裏に導き、良好な日米関係を発展させていくという姿勢で今回の会談には臨みたいと考えております。
 したがって、沖縄問題を初め個別の問題について詳細に議論をすることが目的ではありませんし、また、それだけの時間もないかもしれませんが、沖縄における施設・区域の整理・統合・縮小については、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、特別行動委員会における作業などを精力的に進めて、四月の大統領訪日の際に一定の方向性を示したいと考えており、これに向けて日米両国が協力して努力することを両首脳間で確認したいと考えております。
 自衛隊の災害派遣活動につきましては、今日まで、阪神・淡路大震災あるいは地下鉄サリン事件、先般の北海道におけるトンネルの崩落といった事態の際にも大変な活躍をしていただきました。そして、その活躍により、災害派遣を含めて国民の自衛隊に対する期待は高まっていると私は考えておりますし、こうした認識のもとに新防衛大綱においても、防衛力の役割の一つとして「大規模災害等各種の事態への対応」を盛り込んだところでありますが、今後とも自衛隊の災害派遣体制整備に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、新中期防策定の意義につきましては、冷戦の終結などによる国際情勢の変化などを踏まえ策定された新防衛大綱での最初の中期的な防衛力整備計画であり、現行の防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図るなど、新防衛大綱に定めた防衛力の内容の実現を計画的、段階的に図るものであります。
 政府といたしましては、新中期防に従い、新たな防衛力の水準への円滑な移行に配慮しつつ、引き続き適切な防衛力の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、即応予備自衛官につきましては、新防衛大綱においては、陸上自衛隊の新たな体制として、一部の部隊については即応予備自衛官を主体として編成することとしております。そのため、政府といたしまして、新中期防に基づいて即応予備自衛官を実効性のあるものとして導入するため、議員御指摘のとおり、所要の施策を講じていくには政府一体となった努力が必要であり、具体的に検討を進めてまいる所存であります。
 また、防衛産業の生産・技術基盤の維持についてであります。
 新中期防では、正面装備費の抑制基調が継続しており、我が国防衛産業への影響について配慮する必要は御指摘のとおりであります。防衛産業は、防衛力の主要な生産・技術基盤でありますとともに、その健全性の維持は安全保障上も不可欠であり、我が国産業の技術水準の向上にも貢献をいたしております。
 このような観点から、関係省庁連携のもとに、企業体質の強化など関連産業の生産・技術力の維持向上に努めると同時に、装備品などの適切な国産化等を通じ防衛生産・技術基盤の維持に配慮してまいりたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣臼井日出男君登壇、拍手〕
○国務大臣(臼井日出男君) 尾辻議員にお答えをいたします。
 初めに、国際平和協力法の見直しについてのお尋ねでございます。
 同法の施行後三年を経過し、見直しの時期を迎えたことから、防衛庁におきましても、これまでの派遣の経験から得た課題を洗い出す作業を行っているところでございます。
 これまでの活動を通じて得られた主要な教訓、反省の事項といたしましては、防衛庁、自衛隊という組織を挙げての対応が不可欠であったこと、派遣先国政府、国連等との良好な関係が不可欠であったこと、武器使用について隊員の心理的負担が大きかったこと、教育訓練を今後さらに充実させる必要があること等が挙げられております。今後とも国会等の御議論の動向にも十分耳を傾けつつ、引き続き検討を行っていく必要があると考えております。
 次に、基幹部隊の再編成に対する自衛官の不安を払拭するためにも種々の施策が必要ではないかという御質問でございます。
 新防衛大綱におきましては、一部師団の旅団への改編など、現行の防衛体制の大幅な見直しを予定しているところでございますが、その実施に当たっては、新たな体制への移行を円滑に推進し得るよう的確な措置をとってまいることといたしております。
 なお、防衛庁といたしましては、隊員が後顧の憂いなく隊務に邁進し得る環境を整備することが不可欠であるとの認識をいたしておりまして、今後とも隊員の士気の影響等に十分配慮しつつ、必要な施策を図ってまいる所存でございます。
 次に、駐屯地等の統廃合に伴う地域対策を含めた諸施策についてのお尋ねでございます。
 新防衛大綱におきましては、自衛隊の新たな体制への移行に伴い、防衛施設の効率的な維持、円滑な統廃合の実施を推進するため所要の態勢の整備に配慮する旨、記述をされているところでございます。これを踏まえまして、今後の駐屯地のあり方について現在検討を行っているところでございます。
 この検討に当たっては、地域との融和を図るとの観点に配慮しつつ、どのような施策が必要か否かという点について十分考慮してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(斎藤十朗君) 風間昶君。
   〔風間昶君登壇、拍手〕
○風間昶君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました平成八年度以降に係る防衛計画の大綱と新中期防衛力整備計画について質問いたします。
 その前に、過日、北海道後志管内の豊浜トンネルで発生した岩盤崩落事故でお亡くなりになられました二十名の方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の皆様には心よりお悔やみを申し上げます。
 今回の事故処理におきましても、初動のおくれと縦割り行政の弊害が強く指摘されております。阪神・淡路大震災での教訓が生かされていないと言わざるを得ませんが、この点について、まず総理の御見解を伺っておきます。
 さて、総理、本日より訪米の途につかれるとのことでございますが、訪米の真意について伺いたいと思います。
 クリントン大統領の近々の来日は既に決まっており、それまでの間に片をつけるべき緊急重要な課題も特に見当たらず、あまつさえ国会で国民の大方の世論を無視した住専処理予算を審議している最中の外遊に疑問の声が上がるのは当然のことであります。この疑問に対する総理のお答えが単にあいさつのためと聞かされては、マスコミの中では、四月解散の意思を内々伝えに行くのではないかとか、村山前首相が昨年出かけていって北朝鮮軽水炉に対して資金を拠出させられたように、何か約束させられるのではないかという憶測が乱れ飛んでおります。この際、総理に、訪米の真意について国民にもわかりやすい言葉で説明していただきたいと思います。
 次に、今回の防衛大綱策定に至った世界情勢の認識について、総理並びに外務大臣にお伺いをいたします。
 新大綱にもあるとおり、冷戦の終結により米ソ両大国緊張のなくなった分、地域紛争の複雑化、多様化が指摘されております。極東アジア地域におきましても、我が国が一方当事者となっている複数の領土問題が、国民の願いとは裏腹に未解決のまま残されております。また、北朝鮮の軍事的不安要素は払拭されておりません。昨年の大水害により国内に不安がある現在では、なおさら同国の動きを注視する必要があります。さらに、香港の中国返還、中台関係など、我が国の周辺にも不透明要素が山積しているこの現状を外務大臣はどのように分析していらっしゃいますでしょうか。
 また、これを含めた極東アジア全般の情勢をいかに感じていらっしゃるか、総理の御所見を承りたいと思います。
 次に、沖縄の米軍基地問題について伺います。
 昨年、沖縄で小学生女児が在沖米兵三名に暴行されるというまことに痛ましい事件が発生し、沖縄県民のみならず、全国民に衝撃を与えたのであります。日米関係は世界で最も重要な二国間関係でありますが、かといって我が国が払うべき負担のすべてを沖縄に押しつけて許されるわけがありません。
 総理、今回の御訪米に当たり、米軍基地の整理・縮小についてどれだけ踏み込んだ合意が得られるかが国民的関心となっております。その国民の声を総理としてどのように受けとめていらっしゃるのか伺いたい。
 さらに、本日の一部新聞報道によりますと、普天間飛行場を岩国に移転してもよいとの米国の意向が伝えられたようですが、総理のお考えとして、在沖米軍基地の整理・縮小という場合に本土への一部移転が含まれているのか否か伺います。
 また、防衛庁長官には、在沖米軍基地の整理・縮小についての交渉内容を伺いたいと思います。
 ところで、米海兵隊が去る十六日、具志川市を中心に町の中を十一キロ行軍し、市民に不安を与え、基地撤去を望む沖縄県民の気持ちを逆なでした結果となりました。行軍訓練については、地元から何度も中止要請が出ており、地位協定見直しの中でも検討すべき課題であると考えますが、総理として沖縄の心にどうこたえていくのかをはっきりとお示し願いたい。
 さて、我が国は憲法で国際協力をうたい、その実現化としてPKO法を制定いたしましたが、PKFについては施行後三年で凍結を見直すと規定されており、昨年八月にその三年が経過いたしました。現在、ゴラン高原へ自衛隊の部隊が派遣されておりますが、本来ならば見直しの終わった法に基づいて派遣すべきでありました。しかし、政府・与党は、三党間の政策論争とそれによる政権の瓦解を恐れ、何もしていないのであります。権力を維持したいばかりに、国際社会に対して日本の方針を提示することもなく、無責任な内閣の姿を浮き彫りにしております。PKFの凍結解除だけでなく、PKO法の見直しにどのようなリーダーシップを発揮するおつもりなのか、総理の見解を伺います。
 総理、今こうして議論をしている間にも、ゴラン高原にいる自衛隊の諸君は身に危険を感じながら頑張っているのです。平和維持活動といいましても、日本で言う平和とは意味内容を全く異にしているのであります。機関銃二丁はだめで一丁ならいいという議論は余りにもお粗末です。隊員が自分の生命を守るに足る武器の携行を現在以上に認めるべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
 また、安全保障理事会常任理事国入りの問題についても、施政方針演説の中で「国連改革の進展状況やアジア近隣諸国を初め国際社会の支持と一層の国民的理解を踏まえて対処する」とおっしゃっていますが、周りの状況を眺めているだけで、主体性もなければ「自立」もありません。国際社会の中では、待ちの姿勢だけでは通用しないのであります。常任理事国になって国連改革や世界平和貢献を我が国が堂々と主張していくチャンスなのです。常任理事国になるという姿勢を明確にすべきであり、入って何をするのかという積極外交が必要であると思いますが、総理の毅然とした答弁を求めます。
 次に、新防衛大綱について伺います。
 今回の大綱策定は昨年の三月から十一月にかけて行われたものでありますが、その経過を一切国民の前に明らかにしないまま議論を進めてきたのであります。大綱は文民統制を大きな柱の一つに数えておりますが、文民統制の意味するところは民主的な手続の遵守であり、新大綱や中期防の策定に当たって国会の承認を義務づけるべきではないかと考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、大綱において専守防衛に徹すると明確に定めておりますが、一方では基盤的防衛力構想を打ち立てており、この関係について御質問をさせていただきます。
 専守防衛に徹する場合、周辺諸国の情勢の変化により必要とされる防衛力に変動があります。しかし、基盤的防衛力を整備するためには、周辺諸国の情勢とは無関係に一定の防衛力を持つ必要があります。両者は矛盾する概念であり、実は防衛費を抑えたいときに専守防衛、防衛費を使いたいときに基盤的防衛力構想と使い分けただけなのではないかと思いますが、二者の関係はどうなっているのでしょうか、総理に伺います。
 また、有事対応として日本は一体どのようなことができるのかについてはこの大綱に全く触れられておりません。そもそも有事といっても、外国からの侵略、大規模な自然災害、同時多発的なテロリズムなど幾つかの類型があり、それぞれについて対応の仕方は異なるはずであるにもかかわらず、大綱を読む限りでは対応の具体的手順は一切不明であります。
 例えば、「関係機関との緊密な協力の下、適時適切に災害救援等の所要の行動を実施する」と言ってみても、仮に東京で直下型地震が発生して、総理以下主要閣僚の生死が不明で、省庁間の連絡もとれない場合、自衛隊はだれの指示で動けばいいのかわかりません。また、地方から東駅への救援部隊はどうやって東京に入り、所要は何時間ぐらいかを住民に知らせるにはどうすればよいのか、そういったことなど肝心なことは何もわからないのであります。いざというときの対応は、心構えばかりではなく、こうした具体的な対処の方法を確立しておくことも不可欠であると考えますが、総理の御所見を伺います。
 さて、新大綱が日米安保体制のもとでの共同対処を確認し、日本単独の限定的小規模侵略に対しては日本が独力で対処するということがなくなりましたが、これは大きな前進であります。しかしながら、主要装備の削減については若干疑問があります。政府は、質が向上した分、量を減らしてもいいと説明しておりますが、今、我が国が抱えている脅威は、核の脅威を除けば、質的脅威というよりもむしろ量的な脅威ではないでしょうか。今回の措置がこうした現状にきちんと対処できるものか、総理に説明を求めます。
 次に、中期防衛力整備計画について伺います。
 まず、装備についてでありますが、連立三党の合意により、空中給油機や弾道ミサイルについては調査検討の対象として結論を先送りした形になっておりますが、全体としては、社民党のイデオロギーに押されて正面装備が後退しているとの印象をぬぐえません。正面装備のあり方について防衛庁長官に意見を求めます。
 また、後方支援の中で、掃海部隊は日本は世界最高の水準を誇りながら、これもコンパクト化することになっております。これにより本当に掃海能力は後退しないのか、説明をいただきたいと思います。
 さらに、装備のコンパクト化に伴い、国内の防衛関連産業の生産ラインに急激な影響を与えることにならないのか、また、技術研究の水準を維持できるのかを伺いたいと思います。
 また、人員については、今回、即応予備自衛官の制度が導入されましたが、この制度をうまく機能させるためには、国民にもっと広く防衛に関する理解をしていただく必要があります。例えば、即応予備自衛官を招集する際、本人に対する手当の支給はもちろんですが、招集により人員の減少する企業に対して財政的な支援制度を講ずることができるのか、伺いたいと思います。
 防衛は、国民の生命財産を守る大変に崇高な職務であります。にもかかわらず、我が国においては堂々と自衛隊出身であると言いにくい環境があります。それは一部政党の偏狭な歴史観、世界観が広まってしまったものであって、自衛隊の責任でも自衛官の諸君の責任でもありません。自衛官がもっと誇りと責任を持ったとき、我が国の防衛力の質的向上が遂げられるのであります。そのための施策について総理に伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 答弁に当たりまして、まず豊浜トンネルの岩盤崩落事故に関し、亡くなられました被災者の方々に対し謹んで哀悼の意を表しますとともに、御家族の皆様方に心からお悔やみを申し上げます。
 二月十日に発生いたしました北海道古平町における一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故につきましては、事態を重く受けとめ、事故発生直後から関係機関において対策本部が順次設置され、救助活動体制が整備されるとともに、関係機関の緊密な連携を図りますために、現地に北海道開発局、警察、消防、自衛隊、関係自治体などから成ります現地合同対策本部を設置し、これら機関が一丸となって救助活動が実施されたものと考えます。
 結果は、トンネルに残されておりました被災者全員が御遺体で発見されるという最悪の結果となり、まことに残念であります。亡くなられた方々に対し再び哀悼の意を表しますとともに、今後ともにより一層こうした事態に速やかに対応できますよう努力してまいりたいと考えます。
 次に、今次訪米の真意についてお尋ねがございました。
 私は、両国首脳ができるだけ早い機会に個人的な信頼関係を築きますとともに、十分に話し合える状況をつくり出しておくこと、今後の日米関係について話し合うことによって、四月のクリントン大統領訪日を成功に導き、良好な日米関係を発展させていくことを目的として訪米する決心をいたしました。
 今回の首脳会談におきましては、日米二国間の関係及び両国が共通に関心を有している国際情勢について話し合う予定でありますが、このことにより大統領訪日の成功に向けての下地が醸成されることを期待いたしております。
 次に、極東アジア情勢につきましては、冷戦の終結やソ連の崩壊といった動きは、極東アジアにおいてロシア軍の量的削減や軍事配置の変化に影響を及ぼしております。
 このように、極東アジアにおきましては、緊張緩和に向けた動きが見られる一方、朝鮮半島において南北の軍事的対峙の構造が残るなど、複雑、不安定な状況が継続しております。
 台湾海峡情勢に関しては、武力行使が直ちに行われるという差し迫った状況にはありませんが、引き続き関心を持って注目していく必要があります。
 このような情勢につき、我が国としては、安全保障についてのさまざまな対話を進めながら、極東アジアの安定に向け、種々の機会を利用し働きかけていく所存であります。
 今回の訪米における沖縄の施設・区域の整理・統合・縮小に関する結果への国民的関心については、今回の訪米は両国首脳間の個人的信頼関係の構築が主たる目的であり、沖縄問題を初め個別問題について詳細に議論をする時間的なものもなく、また、目的でもございません。
 しかしながら、沖縄における施設・区域の整理・統合・縮小につきましては、長年にわたる沖縄の方々の苦しみと悲しみに最大限心を配った解決を得ることが大切であると考え、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りながら、特別行動委員会における作業等を精力的に進め、四月の大統領訪日の際には一定の方向を示したいと考えており、今回の訪米におきまして、これに向けて日米両国が協力して努力することを両首脳間で確認したいと考えております。
 マスコミ報道を引用され、個別の基地名を挙げ、沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小のための選択肢に本土移転が含まれているかとお尋ねがございましたが、この問題につきましては、現在、まさに特別行動委員会におきましてアメリカ側とも協議をしながら、さまざまな創意工夫を凝らしつつ、あらゆる可能性を探っているさなかでありまして、現段階におきまして整理・統合・縮小を具体的にどのように進めていくかについての立ち入ったコメントは控えさせていただきたいと思います。
 いわゆる行軍については、昨年十一月、沖縄県側から、地位協定の見直しに関する要請の一項目として、民間地域での行軍を禁止することが提起されており、先般、大田知事にお目にかかりましたときにも知事からこのお話を承りました。
 政府としては、これらの沖縄県側の御要請について、早期に動かせるものから一つ一つ取り組み、具体的改善を図ろうとしているところであり、既に航空機騒音など幾つかの項目につきましては米側との協議を開始したところであります。また、いわゆる行軍を含むその他の項目におきましても、沖縄米軍基地問題協議会などにおきまして、県民の方々の生活にどのような支障が生じているか等についても伺いながら、どのようにすれば実質的な改善が図れるか、真剣に検討を行っていく所存であります。
 次に、いわゆる平和維持隊本体業務の凍結解除の問題及び国際平和協力法の見直しにつきましてですが、これらにつきましては、これまでの派遣の経験を踏まえながら、国会等における御議論にも十分耳を傾けつつ幅広く検討していきたいと考えております。
 国連兵力引き離し監視隊UNDOFに参加しております我が国部隊が装備する武器につきましては、今回の派遣におきまして我が国部隊が装備する武器につき、業務の内容、現地の情勢、UNDOF参加各国の装備の状況なども踏まえ、政府として要員の安全確保のため必要な装備の内容を決定いたしました。いずれにせよ、政府といたしましては今後とも要員の安全確保に万全を期してまいる所存であります。
 我が国の安全保障理事会常任理事国入りの問題についてでありますが、常任理事国となることは、国連の意思決定機関であります安全保障理事会に常時参加し、日本の立場を安保理の決定に、より効果的に反映させることができるということであり、具体的には我が国は安保理において次のような役割を果たすことができると考えております。
 第一に、現在の安保理常任理事国はすべて核保有国であります。我が国は、ただ一つ被爆という悲惨な経験を持ち、非核三原則を堅持している非核保有国としての立場から、軍備管理・軍縮分野で積極的に我が国の立場を主張することもできます。
 第二に、PKOの活動に関しても我が国の主張をより効果的に反映することができます。
 第三に、地域問題の解決に向け我が国の考えや努力を示すことができるわけであり、こうした主張を明確にしながら努力しているさなかであります。
 防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画につき国会の承認を受けるような制度の導入を図るべきだという御指摘でありますが、防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画は国防に関する重要事項であり、両者とも安全保障会議設置法に基づいて安全保障会議に諮った上で政府が責任を持って決定すべきものと理解しております。
 いずれにせよ、これらにつき国権の最高機関である国会において十分な御議論をいただくことは大切なことだと考えております。
 次に、専守防衛に徹する場合に必要とされる防衛力と基盤的防衛力の関係についてでありますが、新防衛大綱におきましては、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するより、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないように、独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力を保有するという前大綱の基盤的防衛力構想を基本的に踏襲いたしております。
 このような基盤的防衛力構想のもとで保有すべき防衛力の内容は、当然のことながら、国際情勢をも考慮しつつ適切なものとされる必要があることは言うまでもありません。したがって、私は専守防衛との間に矛盾があるとは考えておりません。
 さまざまな有事の類型ごとに具体的対処方法を確立しておくことが不可欠であると御指摘でありました。
 新防衛大綱におきましては、「我が国の防衛」が今後とも防衛力の主要な役割であり続けることを基本としながら、「大規模災害等各種の事態への対応」につきましても防衛力の役割として明記をいたしました。
 こうした新防衛大綱の記述をも踏まえ、各種の緊急事態に対する具体的な対処方法を検討、整備しておくことは極めて重要であり、本日、閣僚懇談会として、東京が直下型地震を受けた場合における対応につきましても議論をしたところでありますが、政府としても万全の体制で臨み得るよう引き続き努力をしてまいります。
 脅威についての認識と防衛力整備についてでありますが、新防衛大綱は、先ほども申しましたように、我が国に対する軍事的脅威に直接対抗するというより、みずからが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう必要最小限の基盤的な防衛力を保有する、これを基本的にとっているところであります。
 新防衛大綱におきましては、国際情勢や自衛隊に期待される役割の変化などを踏まえて現行の防衛力についての見直しを行い、規模については一部削減を図りますが、他方、必要な機能の充実と質的向上を図り、多様な事態に対し有効に対応し得る防衛力の整備を図ることとしております。
 防衛力の質的向上の前提となる環境整備に対してお話がありました。
 自衛隊の組織の基盤は人であり、隊員が誇りとゆとりを持って任務に従事し得るようにすることは極めて重要である、御指摘のとおりに思います。こうした考え方のもとに、隊舎、宿舎など生活関連施設の整備を初めとする隊員の処遇改善策に今後とも努めてまいりますとともに、国民からそれだけの敬意を払っていただけるように御協力を心から願う次第であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣池田行彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(池田行彦君) 風間議員の私への御質問は、不透明要素が山積する極東アジア情勢をどのように分析しているかという点でございました。
 総理から御答弁がございましたように、ロシア軍の量的な削減、あるいはARFやAPECなどの多国間の仕組みを通じた政治・安全保障の協力が進展するといったような地域の安定化へ向けた動きが見られます。その反面、北方領土問題あるいは南シナ海の領有権問題などの領土問題とか、あるいは朝鮮半島における軍事的対峙、こういった構造が残るといったことでございまして、複雑、不安定な状況が継続している次第でございます。
 なお、台湾海峡の情勢に関しましては、引き続き注目してまいらなくてはなりませんけれども、武力行使が直ちに行われるといった差し迫った状況にはないと考えております。
 また、香港につきましては、一九九七年の返還後も引き続き政治的安定と経済的な繁栄が維持されることを期待したい、こう考えております。
 いずれにいたしましても、このような緊張緩和の方向とまた不安定要因の存続といった交錯した状況があるわけでございまして、この地域の情勢には引き続き注目してまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣臼井日出男君登壇、拍手〕
○国務大臣(臼井日出男君) 初めに、在沖縄米軍基地の整理・縮小についての関係方面との交渉内容についてのお尋ねでございます。
 防衛庁といたしましては、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、長年にわたりまして御苦労されました沖縄県民の御苦労にも配意をしつつ、沖縄県における米軍施設・区域の整理・統合・縮小に、米軍側とも協議の上、現実的にかつ誠意を持って対応してまいる所存でございます。
 米軍側との協議の内容等の一々につきましては、事柄の性質上、公表を差し控えさせていただきたいと思います。
 防衛庁といたしましては、今後とも、先般設置をされました特別行動委員会を通じて米側との協議を行うとともに、沖縄米軍基地問題協議会を初めとするさまざまな機会をとらえて、地元の御理解と御協力を得て、沖縄県民の負担が軽減されるよう誠心誠意努力を続けてまいる覚悟でございます。
 次に、新中期防における正面装備のあり方についてのお尋ねでございます。
 新中期防におきましては、新防衛大綱のもと、防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を推進するとともに、多様な事態に対して有効に対応し得るよう必要な機能の充実と防衛力の質的な向上に努める等の計画の基本に従い、防空能力、周辺海域の防衛能力、着上陸侵攻対処能力等の充実を図るため、所要の正面装備の更新・近代化を行うことといたしております。新防衛大綱のもと、新中期防に従い、正面装備の更新・近代化を初めといたしまして適切な防衛力の整備に努めてまいりたいと思います。
 掃海部隊のコンパクト化と掃海能力についてのお尋ねでございます。
 我が国の海上交通の安全を確保するためには、主要な港湾、海峡への機雷敷設事態に対応し得るよう、機動的に運用する掃海部隊を保有する必要がございます。新防衛大綱におきましては、国際情勢の変化を踏まえて見直しをいたしました結果、機動的に運用する掃海部隊については一個掃海隊群に集約化することといたしておりますが、あわせて掃海艦艇の質的向上を図ることにより必要な機能は確保し得るものと考えております。
 次に、防衛生産・技術基盤の維持についての御質問でございます。
 新防衛大綱におきましては、装備品等の整備に当たっては適切な国産化等を通じた防衛生産・技術基盤の維持に配慮するといたしておりまして、新中期防におきましては引き続き技術研究開発の推進を図ることとされ、また、新中期防の着実な実施により国内受注量の適切な確保が可能になるものと考えております。
 防衛庁といたしましては、健全な防衛産業の存在が防衛力の整備を図る上で重要な前提であるとの基本的な考え方のもとに、中長期的な観点に立ち、効率的な調達、技術研究開発の推進等を通じ、健全な防衛生産・技術基盤の維持確保に十分配慮いたしてまいる所存でございます。
 即応予備自衛官についてのお尋ねでございますが、新防衛大綱のもと、新中期防において、改編する師団及び旅団の一部の部隊を即応予備自衛官を主体として編成し、また、即応予備自衛官を円滑にかつ実効性のあるものとして導入するため所要の施策を講ずるものといたしております。
 現在、即応予備自衛官が訓練出頭しやすい環境を整備するためいかなる措置が必要となるのかといった点を含め、具体的な施策につきまして検討いたしているところでございまして、その実現のため鋭意努力をいたしてまいる覚悟でございます。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) 先ほどの風間君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
○議長(斎藤十朗君) 笠井亮君。
   〔笠井亮君登壇、拍手〕
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、新防衛計画の大綱について橋本総理に質問いたします。
 政府は、これまでの防衛大綱のもとで、ソ連の脅威に対抗するといって日米安保条約に沿い自衛隊を強化し、一九七八年の日米防衛協力の指針に基づいて日米共同作戦体制をつくり上げてきました。しかし、ソ連が崩壊した今日、もはや政府自身が主張してきた日米安保条約の論拠がなくなったのですから、この際、日本の安全保障体制を根本的に見直すべきは当然ではありませんか。
 ところが、現在、ソ連が崩壊したのに、どうしてこの見直しとは逆に、総理の報告にあるような「国際情勢は依然として不透明・不確実」などという理由を持ち出して、日米軍事同盟と自衛隊をいつまでも強化しようとするのですか。今こそ憲法の平和原則に立って、安保も基地もなくし、日本の平和と安全を確保する方向を確立すべきときではありませんか。
 さて、今度の新大綱の最大の特徴は、自衛隊の任務について、武力攻撃に対する我が国の防衛に限定せず、それを大きく踏み越えて新たに二つの役割を加えたことです。
 第一に、新大綱では大規模災害等への対応という項目の中に、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合」、我が国への直接の武力攻撃がなくとも「日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する」と述べて、これまでの自衛隊の任務になかった重大な項目を加えたことです。
 これは日本国の施政のもとにある領域に対する攻撃がなくとも、安保条約第五条の対処行動により、自衛隊が出動し、米軍と共同行動を行うようにすることではありませんか。我が国周辺地域において日米共同作戦を行えるとするなら、どのような根拠によるのですか。
 さらに、旧大綱にあった「限定的かつ小規模な侵略については、原則として独力でこれを排除」という規定がなくなったのはどういう理由か、明確にすべきであります。これはまさに今後の防衛体制としては我が国有事に限定されない日米共同作戦体制が前提になったということを意味するのではないですか、お答えいただきたい。
 第二の問題は、自衛隊のPKO活動参加を新大綱で新しく任務として確認していることです。
 政府は、ゴラン高原のPKOに自衛隊派遣を強行しました。この国連兵力引き離し監視軍の主な任務は凍結中のPKFであり、自衛隊は本体業務のPKF部隊と一体となって駐留しています。しかも、緊急事態には武器・弾薬の輸送まで容認し、武器使用の見直しさえ行おうとしています。こうした活動は、自衛隊に許されていない武力の行使に道を開くものです。このようにゴラン局原への自衛隊派遣は明白にPKO協力法に違反するものではありませんか。
 昨年五月の日米防衛首脳会議で玉沢前防衛庁長官は、ゴラン高原の監視軍に参加することはPKO日米協力の準備的な試行だとしていますが、この発言でも明らかなように、新大綱の新しい任務は、憲法上認められていない自衛隊海外派兵をいよいよ具体的にアメリカ主導の多国籍軍型のPKO協力へと進めることになりませんか。
 新大綱のさらに重大な問題は、四月十六日に来日するクリントン大統領との日米共同宣言で盛り込まれようとしている日米安保再定義を先取りすることであります。
 米・東アジア戦略を立案した当時のナイ国防次官補は、昨年十月二十五日の議会証言で、米日二国間の安全保障関係は地球的規模でのアメリカと日本の協力の基礎であるとし、日本に対して地域的並びに地球的規模の安定に対する一層大きな貢献を求めています。そして、新大綱がアメリカの東アジア戦略とアプローチにおいて明確に重なり合うことが両国の安全保障協力の成功をはかる尺度であるとまで明言しております。
 一方、防衛庁は、こうした米側の要望にこたえて、今回の大綱見直しに当たっては、一年半も前から米国とかってなかったほどの本格的な安全保障対話を行い、急ピッチで作成作業をしてきたと言われております。
 こうしてアメリカの要求に従って自衛隊を地球的規模でのアメリカの補完部隊とも言うべき方向に進めていけば、アメリカがみずからの国益から関与する紛争に日本が巻き込まれ、これに協力することは、まさに従来政府自身も憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使の体制に踏み込むことは明白ではありませんか。
 このように、新大綱は二十一世紀に向けた平和の方向に反するものであり、これによって一層強化される日米軍事同盟は、アジア諸国民にとっては最大の軍事的脅威となるでしょう。それを取り除くことこそ日本がなし得る最大の平和的国際貢献ではありませんか。
 また、沖縄を含む在日米軍配備の現状継続を前提にした新大綱は、沖縄県民の要求とは真っ向から相入れないものです。昨年九月の沖縄での米海兵隊員による少女暴行事件を契機に、我が国世論には、日米地位協定の根本的見直し、そして安保条約への批判の声が急速に広がっております。
 大田知事から、二〇一五年までに沖縄からすべての米軍基地をなくし、武器なき心で世界の人々との友好を目指すアクションプログラムを提起されていますが、総理はこれをどう受けとめるのか、お答えいただきたい。
 アメリカのチャーマーズ・ジョンソン日本政策研究所長も、二月十五日付英字紙で、もしアメリカが日本との安定した安全保障関係を望むなら、アメリカはむだな基地を沖縄に返還しなければならないと主張し、第三海兵遠征軍の撤退などを挙げて、これが橋本首相がサンタモニカでクリントン大統領に言うべきことであると提言しております。当然のことであります。
 総理、明日の日米首脳会談では、再び沖縄県民を苦しめるようなことが起きないように、在日米軍の削減、海兵隊の撤去をはっきりと申し入れるべきではありませんか。そして、日米安保を再定義するための四月の日米首脳会談は中止すべきであります。
 一九七七年度から今年度まで十九年間に、旧大綱のもとで六十三兆四千億円もの軍事費が費やされ、日本は世界第三位の軍事大国になりました。しかも、九六年度末に二百四十一兆円にも達する国債残高について、財政審の報告書で「近い将来において破裂することが予想される大きな時限爆弾を抱えた状態」とさえ言われる事態であります。
 総理が今回の新大綱決定に当たって格段に厳しさを増している経済財政事情にも配慮すると言うなら、毎年二・二五%の軍事費増を続け、五年間に総額二十五兆二千六百億円もつぎ込む新中期防衛力整備計画のような軍拡の道を改め、経済再建と国民生活の向上に振り向けるべきではありませんか。阪神・淡路大震災の被災者への個人補償はもとより、北海道豊浜トンネル事故のような災害から国民を守る対策にこそ回すべきではありませんか。
 最後に、外国の軍事基地も軍事同盟もない独立自主、非核・非同盟の日本として二十一世紀を迎えるため、日本共産党は全力を挙げる決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 笠井議員にお答えを申し上げます。
 今日の国際社会におきましては、ソ連邦の解体により冷戦当時の東西間の軍事的対峙の構造が消滅したことは事実でありますけれども、宗教上の対立、民族問題等に根差す対立が顕在化するなど、依然として不透明、不確実な要素は残っております。
 このような中におき、日米安保体制は我が国の安全を確保していく上で必要不可欠であり、また、日米安保体制は日米協力関係の政治的な基盤をなし、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要な役割を果たしており、私はこれを堅持してまいります。
 なお、我が国が武力攻撃を受けた際に日米が共同対処することを定めている日米安全保障条約第五条は、日米安保体制の中核的な部分をなすものであり、この点を含め日米安保体制を見直すという考え方は持っておりません。
 安保も基地もなくし、日本の平和と安全を確保すべきではないかと仰せられましたが、今申し上げたような国際情勢の中で我が国が単独でその安全を確保することは困難であり、米国との安全保障体制を堅持することによってその安全を確保することが最も賢明な道であると考えております。
 新防衛大綱におきまして、我が国への武力攻撃がなくとも日米共同作戦が行えるようにしようとしているのか、また、その根拠は何かとのお話がありました。
 新防衛大綱にありますとおり、我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、必要に応じ国際連合の活動を適切に支持しつつ、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図ることにより適切に対応したいと考えておりますが、このような対応は当然憲法及び関係法令に従うものであり、また、日米安保体制との関係ではその枠内で行われるものであり、御懸念には及ばないと思います。
 次に、前大綱にあった「限定的かつ小規模な侵略については、原則として独力でこれを排除」という表現がなくなったことにつきましては、限定小規模侵略独力排除という表現自体がむしろ限定的小規模侵略の蓋然性が特に高いというような誤解を招く向きがあったこと、限定的小規模侵略などの事態とそれ以外の事態で日米協力を含め防衛力の運用のあり方が大きく異なるような誤解を与えかねないことから、新防衛大綱におきましては使用いたしませんでした。
 国連兵力引き離し監視隊への自衛隊の派遣は国際平和協力法に違反するのではないかというお尋ねでありますが、我が国部隊が行う輸送等の業務はいわゆる平和維持隊後方支援業務であり、凍結業務には該当いたしません。また、他国の武器・弾薬の輸送は通常想定されておりません。
 新防衛大綱とPKOとの関係につきましては、国際平和協力業務の実施を通じ国際平和のための努力に寄与するとしており、政府としては、国際平和協力法の枠内で今後とも国連平和維持活動に人的な面でも積極的に貢献してまいりたいと考えております。
 新防衛大綱におきましては、憲法のもとにおいてこれまでとってきた防衛の基本方針について引き続き堅持することとしており、専守防衛に徹する旨を明記しております。また、集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されないとしている事項について、新大綱において従来の政府見解に何ら変更がないことは、新大綱決定時に発表された官房長官談話で明らかにされております。
 また、アジア太平洋地域が依然不安定な要因を残しております中で、日米安保体制は地域の安定要因であるアメリカのコミットメントと米国軍のプレゼンスを支える大きな柱の一つであり、このような日米安保体制は多くのアジアの国々に歓迎されているものと私は認識をいたします。
 政府としては、このようにアジア太平洋地域の平和と繁栄にとって極めて重要な役割を果たしている日米安保体制を堅持し、その信頼性を一層向上させてまいります。
 沖縄県から示されました基地返還アクションプログラムにつきましては、沖縄県の御説明によれば、このプログラムは先月提示された時点で県がまとめられたもので、さらに地元でも調整していくとのお話でありました。
 政府としては、日米安保条約堅持という基本方針のもとに、この条約の目的達成との調和を図りながら、沖縄県における施設・区域の整理・統合・縮小について総合的に検討し、アメリカ側とも協議の上、現実的にかつ誠意を持って対応してまいります。
 また、日米首脳会談について御意見がございました。
 政府といたしましては、依然として不安定要因を残している繰り返し申し上げております国際社会において、日米安保条約の目的達成にとり必要な米軍が我が国に駐留することは不可欠だと考えております。
 他方、長年にわたる沖縄の方々の御負担を可能な限り軽減することが最も重要であると考え、先般設置された特別行動委員会などを通じ、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、沖縄の米軍施設・区域の整理・統合・縮小を図るよう誠心誠意努力を行ってまいる決意であり、私は、このような整理・統合・縮小は、必ずしも在日米軍の規模縮小によることなく、さまざまな創意工夫と合理化によって可能であると考えております。
 四月の日米首脳会談を中止せよという仰せでありましたが、この点については私は同意をいたしません。むしろ、非常にこの会合の意義は重く、この機会に日米関係の重要性を国民レベルで再確認し、多くの分野における日米協力の成果を確認したいと考えておりまして、これをぜひ成功させたいと考えております。
 特に、日米関係の中核をなす日米安全保障条約体制につきましては、これまでの安全保障分野における日米間の緊密な対話の成果を踏まえ、日米安保体制の重要な役割を改めて確認する共同文書を発出し、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方について内外に明らかにしていきたいと考えております。
 新中期防の経費につきましては、現行の防衛力の規模及び機能についての見直しを行い、その合理化、効率化、コンパクト化を一層進めることを初め、新防衛大綱に示された防衛力の内容を実現することを目指したものであり、具体的には、その計画の基本として、その時々の経済情勢、格段に厳しさを増している財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りながら節度ある防衛力の整備に一層努力することとしており、新中期防は軍拡の道という御指摘は当たらないと考えております。
 中期防と経済事情との関係につきましては、中期防は、その策定に当たり構造改革のための経済社会計画に示す経済の姿を参考としており、経済財政事情について適切な考慮を払ったものであると考えております。
 最後に、政府といたしましては、災害救助法による救助や各種融資措置などによる被災者支援等によりまして、幅広くかつきめ細かく被災者の生活再建を支援しております。
 特に、阪神・淡路大震災につきましては、特別の立法などにより、被災者への生活再建等の支援措置を従来以上に拡充いたしております。
 防災対策につきましては、平成八年度の公共事業予算の中でも、防災対策費に重点を置きその確保に努めたところであり、今後とも国民が安心して生活、経済活動を行うことができるよう安全な国土づくりに努めるとともに、万全の災害救助や復興支援、生活再建支援に努めてまいる所存であります。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
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