第136回国会 法務委員会 第7号
平成八年五月七日(火曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     益田 洋介君     大森 礼子君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     中原  爽君     松谷蒼一郎君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     松谷蒼一郎君     中原  爽君
 五月二日
    辞任         補欠選任
     一井 淳治君     菅野 久光君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                志村 哲良君
                野村 五男君
                平野 貞夫君
                橋本  敦君
    委 員
                遠藤  要君
                下稲葉耕吉君
                中原  爽君
                林田悠紀夫君
                魚住裕一郎君
                大森 礼子君
                山崎 順子君
                菅野 久光君
                千葉 景子君
                本岡 昭次君
                田  英夫君
                大野つや子君
    国務大臣
        法 務 大 臣 長尾 立子君
    政府委員
        法務政務次官  河村 建夫君
        法務大臣官房長 頃安 健司君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 永井 紀昭君
        法務省民事局長 濱崎 恭生君
        法務省刑事局長 原田 明夫君
        法務省人権擁護
        局長      大藤  敏君
        法務省入国管理
        局長      伊集院明夫君
        公安調査庁長官 杉原 弘泰君
    最高裁判所長官代理者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  涌井 紀夫君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  堀籠 幸男君
        最高裁判所事務
        総局経理局長  仁田 陸郎君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       吉岡 恒男君
    説明員
        内閣総理大臣官
        房参事官    東  良信君
        警察庁警備局外
        事課国際テロ対
        策室長     折田 康徳君
        外務省総合外交
        政策局国際社会
        協力部人権難民
        課長      川田  司君
        外務省北米局日
        米安全保障条約
        課長      梅本 和義君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成八年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成八年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
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○委員長(及川順郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十一日、益田洋介君が委員を辞任され、その補欠として大森礼子君が選任されました。
 また、去る二日、一井淳治君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
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○委員長(及川順郎君) 去る一日、予算委員会から、本日五月七日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては、去る二月二十二日に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○志村哲良君 最初に、民法関係に関してお伺いをいたします。
 法制審議会の答申については、現在選択的夫婦別氏制度の問題に議論が集中しておりますが、このほかにも婚姻制度全般にわたってさまざまな改正事項が示されていると承知をいたしております。例えば婚姻適齢について、現在の民法が男満十八歳、女満十六歳としているのを改めて、男女とも満十八歳とするものとしておりますが、これを改める理由を伺いたいと思います。民事局長、お願いします。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、本年二月二十六日に法制審議会から答申されました民法改正要綱案におきましては幾つかの改正事項が提案されているところでございますが、御指摘の婚姻適齢の改正もその一つでございます。
 婚姻適齢の制度は、早婚、早過ぎる婚姻によって生ずる弊害を防止するという見地から、肉体的、精神的あるいは社会的、経済的に健全な婚姻をする能力がまだ十分でないと考えられる年少者の婚姻を禁止するという制度でございます。現行法が女子の婚姻適齢を満十六歳として男女の間に差を設けておりますのは、主として男女間の肉体的な成熟の速度の差異というものを考慮したものであるというふうに考えられております。
 しかし、現在の社会におきましては、婚姻をする当事者には、肉体的な成熟ということはもちろんでございますけれども、社会的な面でも経済的な面でも十分に成熟していることがより重要となっていると考えられるわけでございます。こういった能力は教育水準というものにも重要なかかわりを有するものでございますが、現在の社会におきましては高校教育修了程度の年齢的成熟が男女とも必要であるというふうに考えられるということから、男女これを同じように満十八歳にならなければ婚姻をすることができないということにするのが適当である、法制審議会においてそのように考えられたわけでございます。
○志村哲良君 ただいま、法制審議会が適当であるとなさったその理由を伺ったつもりでございますが、どうも法制審議会の決定ということではやむを得ないかと思います。
 それでは次に、住専の件に関してお伺いをいた
します。
 住専の処理におきましては、住専の債権の回収が重要な問題であると考えられておりますが、一般に債権を回収するための法的な手段としてはどのようなものがあるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、いわゆる住専の処理におきましては、住専の有する債権の回収が適切にされるということが極めて重要な問題であるというふうに私どもも認識しているところでございます。
 債務者が任意に債務の履行をしない場合の債権回収の方法論でございますが、まず担保つきの債権でございますればその担保権を実行する、これは民事執行法の定める手続によりその担保権の実行をすることによって債権の回収をすることができるわけでございますが、無担保の場合あるいは担保権では十分な弁済を受けられないものについては債務者の一般財産に対して強制執行をするということによって実現されるわけであります。強制執行はいわゆる債務名義を必要といたしますので、例えば支払い命令を得るとか、争いがある場合には訴訟を起こして勝訴判決を得て、その確定判決に基づいて強制執行をするということになるわけでございます。また、さらには債務者がいわゆる破産状態にあるような場合には、破産の申し立てをして破産手続の中において債権の回収が図られるということでございます。
 概要は、一般論として申し上げますと以上のとおりでございます。
○志村哲良君 住総の役員の皆さんが商法違反で告発されたと伺っておりますが、現在の捜査状況に関しましてお差し支えない範囲でお伺いできたらと思います。
○政府委員(原田明夫君) ただいま御質問にございましたように、平成八年四月十九日に東京地方検察庁におきましては、株式会社住総の役員らに対します告発を受理したという報告を受けております。その告発の内容は、不正に自己の株式を取得いたしまして会社の財産を危うくしたとする商法違反、これは会社財産を危うくする罪の一つでございますが、そのような商法違反の事実であると聞いております。
 捜査の内容にかかわる事項につきまして、法務当局といたしまして現在の段階で答弁いたしますことは差し控えさせていただきたいのでございますが、現在検察当局におきましては鋭意所要の捜査を進めているものと承知しております。
○志村哲良君 これも同じようなことで、お伺いづらいような気もいたしますが、末野興産株式会社の末野社長らが公正証書原本不実記載等で逮捕されましたが、現在の捜査状況などをお伺いできたらと思います。
○政府委員(原田明夫君) 大阪地方検察庁におきましては、平成八年四月十八日から二十日にかけまして末野興産株式会社の末野社長や関係会社の役員らを、会社設立の事実がないのにその旨の設立登記をしたという公正証書原本不実記載罪、同行使罪、これは刑法百五十七条一項、百五十八条一項に当たるものでございますが、その容疑事実で逮捕したと聞いております。
 捜査の内容にわたりますので具体的に申し述べることは差し控えさせていただきたいのでございますが、やはり検察当局におきましては、事件の全容の解明に向けまして被疑者及び関係者らの取り調べ、収集した証拠、資料の分析検討等の所要の捜査を現在鋭意進めているものと承知しております。
○志村哲良君 住専問題につきましては、関係者らの刑事責任が明らかにされるべきだと思いますが、今後の捜査に取り組む法務・検察当局の姿勢を伺いたいと存じます。
○政府委員(原田明夫君) 委員御指摘のとおり、いわゆる住専問題につきましては、関係者らの法的な責任が可能な限り明らかにされる必要があると考えているところでございます。検察当局におきましては、住専問題等に関しまして関係部局の協議会を設置いたすなど、既に所要の体制を整えているところでございまして、住専関係者に対する告発事件につきましては鋭意所要の捜査を現在行っておりますほか、あらゆる観点から情報や資料の収集、分析、検討を進めているものと存じます。
 今後、関係者らの刑事責任を追及すべき具体的な容疑事実が判明いたした場合には、検察当局におきまして警察当局等関係機関と緊密な連携のもとに、法と証拠に基づきまして厳正に対処するものと存じます。
○志村哲良君 今後、住専問題に伏在していると考えられる犯罪の捜査を進めていく中で、どのような障害が予想されますか。あるといたしますと、特別の手当てが必要ではないかと存じますが、いかがでしょうか。
○政府委員(原田明夫君) 現実に捜査を進めてまいる過程でどのような障害が生ずるかにつきましては、現段階でにわかに予測することは困難でございますが、検察当局におきましては関係当局とも密接な連携のもとに現行法令と証拠に基づきまして厳正に対処してまいるものと存じます。
 ただ、あくまで一般論ということで申し上げさせていただきますと、金融関係事犯等におきましてはそれが通常、組織ぐるみの犯行であることが多いということにかんがみまして、場合によっては捜査に対する非協力的なあり方、罪証を隠滅するような行為、口裏を合わせるとかあるいは供述を拒否する等の事態が考えられるわけでございます。
 また、捜査を進めていく場合のこのようないろいろな問題に対処するための立法措置が必要であるかにつきましては、事案の実態また新たにいろいろ考えられます措置の有効性、我が国の現行法制のもとにおける基本的な考え方との整合性など種々の観点を踏まえつつ、さまざまな観点から種々の方策を今後とも真剣に検討してまいりたいと考えております。
○志村哲良君 ただいま伺いました供述の拒否あるいは口裏合わせというようなことが確かに、私ども素人でも行われてくるのではないかということが危惧されます。それらに対処すべく、この当委員会で何らかの行動を起こす必要があるのではないかとも考えられますが、またひとつ委員長、役所と御相談願って、必要な措置をお図り願いたいと私は考える次第です。
 今回の住専問題に絡む犯罪は組織犯罪の性格を有すると考えられ、また住専から流出した資金により暴力団等が組織的に巨額の利益を得ているのではないかとも疑われることから、組織的な犯罪に的確に対処するための立法措置が必要ではないか、実はこれも今申し上げましたことと類似をいたしておりますが、考えるものでありますが、いかがでございますか。
○政府委員(原田明夫君) 御指摘のとおり、組織的な不正、違法行為が行われた場合のさまざまな問題点を考えますと、先ほど申し上げましたようなさまざまな問題があるわけでございますが、その対応につきましては、現行の刑法また手続法の中におきましても、集団組織の構成員につきまして共犯規定等によりまして犯罪の実行行為者、実際に実行を行った者のみならず、これに関与した者をも処罰することが可能でございます。また、警察当局におきましても、暴力団対策等組織犯罪対策の所要の立法も行しましたし、関係機関とも協力いたしまして現行法制を十分に活用することが肝要であると考えております。
 もっとも、ただいま委員御指摘のような、組織的な犯罪にもっと有効に対処するために特別立法が必要なのではないかという考え方があり得るところでございまして、当局といたしましても、組織性また密行性が非常に高い犯罪が多くなりつつあるという状況にかんがみまして、当面必要と認められる実体法の規定、また手続法的な観点からの規定、また国際的な協力を進めていくための手当てなど種々の観点から真剣に検討いたしているところでございまして、また当委員会等の御議論の状況も十分踏まえさせていただきまして、今後とも鋭意検討してまいりたいと考えております。
○志村哲良君 大変大事な問題であるなと、私など素人でも思いますので、ひとつ御検討のほどをお願いいたします。
 いわゆる金融犯罪に係る刑罰の重さがアメリカと比較いたしまして軽いのではないかとの指摘もありますが、法務当局の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) 確かに委員御指摘のとおり、アメリカと比較いたしました場合、我が国の金融犯罪に係る刑罰の法定刑、またそれに従って科せられる実際の刑もそうでございますが、それが軽いのではないかという御指摘があることは承知いたしているのでございます。
 しかしながら、どのような犯罪に対しましてどの程度の刑罰が適当であるかにつきましては、それぞれの国の刑罰の体系全体あるいは犯罪情勢を踏まえて決められるべきものと考えるのでございまして、その法律の定め方、その刑の多寡のみを即座に比較してまいるという点については若干問題があろうかという感じもいたします。
 しかしながら、最近の金融犯罪に関する犯罪の動向にかんがみますと、金融犯罪に対して実際にどの程度の刑罰をもって臨むのが相当であるかということにつきまして種々の論議がこれからなされてまいることは意義のあることであるというふうに考えております。
 また、一連の事態につきましても現行法制のもとで鋭意対応に当たってまいりたいと存じますが、そのような種々の論議を踏まえまして、今後刑罰の一般的なあり方につきましても検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。
○志村哲良君 住専問題等の金融犯罪の再発防止を図るため罰則の強化を図るべきとの意見があり、また業法における罰則強化について議員立法の動きもあると伺いますが、法務当局の見解を伺います。
○政府委員(原田明夫君) ただいま委員御指摘のとおり、今般のいわゆる住専問題を契機といたしまして、金融犯罪の再発防止のための特別立法を求める議論が種々の観点から活発化していることは承知しております。ただ、刑法等の一般的な刑事法は広く一般に適用される基本的な犯罪を規定するものでございますため、その改正は金融機関のみならず広い範囲に影響を及ぼすことから、改正に当たりましては種々の問題点や我が国の法制度全般に及ぼす影響などを十分検討してまいる必要があると考えております。
 ただ、この種の犯罪が金融機関内外の多数の関係者の関与のもとに敢行されるのが常態となっており、また金融機関から流出した資金によって犯罪組織において多額な不法の利益が生み出されることがあり得ることを勘案いたしますと、組織犯罪と共通した一面を有しているものと認められるところ、組織的な犯罪に対処するための特別立法につきましては、当局としても現在さまざまな御議論を踏まえまして、種々の観点から真剣に検討しているところでございます。
 また、当局といたしましても、委員がただいま御指摘になったような議員立法の動きがあることは承知しております。最近の金融機関に関する犯罪の動向等にかんがみますれば、金融犯罪における罰則のあり方につきまして検討されることは有意義なことと思うのでございますが、何分現在御論議が続けられていることでございますので、その内容等について意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○志村哲良君 実は、私は昨日、本日のこの質問に対することを少ししっかりと勉強しようと思っておりましたが、天気が余りよかったものですから、私の地元の富士山の富士桜という桜が見事に開花を始めました。そんなことで、どうも部屋に閉じこもっているのも余りいかがかと思いまして久しぶりに、二人の子供を育てるときには随分したものでしたが、もうその子供たちが成人となってからはしたこともなかったんですが、帯で誕生五カ月になった孫を背負いまして、一人で桜の花見をいたしました。そんなことをいたしながら、子供というのはやっぱりかわいいなというようなことをしみじみと思い起こした次第でありますが、そんな中で、子供をめぐる最近のいじめの問題等についていろいろ思いをいたしました。
 法務省では、人権擁護の観点から、具体的にどのようにこの子供をめぐるいじめ問題についてお考えになっておられるのかという点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長尾立子君) 子供をめぐりますいろいろな最近の情報の中で、確かに先生がおっしゃいましたいじめの問題というのは痛ましいといいますか、しかし深い根を持った、そして将来にわたって大きな問題をはらむことであると思っております。心身ともに健全に育っていかなければならない、そのことが私たちの社会にとって基本的な大切なことでありますのにかかわらず、このように大きな社会問題になりますような形でいじめということが存在している、大変重大な問題であると思っております。
 いじめの問題は、学校の現場の問題また家庭の問題でありますと同時に、やはり今御指摘をいただきましたように社会全体としてこの問題を受けとめていく必要があると考えております。法務省は人権という問題について所管をさせていただいておりますので、そういう観点からこの問題に積極的に取り組んでいくべきであるという御指摘であろうと思います。私もそのとおりに考えているわけでございます。
 法務省といたしましては、全国に人権擁護委員の方がおられまして人権問題に広く御尽力をいただいているわけでございますが、こういった方々と御一緒にこの問題の解決に向け積極的に取り組んできたわけでございます。特に昭和六十年以降、いじめの問題をこの人権問題の中で重要な問題として取り上げまして、この問題についての啓発活動、これを展開するといたしまして、一方、具体的ないじめ事件、こういった事件につきましては人権相談または人権侵犯事件、こういうこととして対処してきたわけでございます。
 本年度は、子どもの人権を守ろうということを啓発活動の重点目標に定めております。子供の人権問題を専門的にお取り扱いをいただきます子どもの人権専門委員、この方々に子供の人権をめぐります問題の取り組みについての強化をお願いしたところでございまして、この皆様と御一緒にいじめ問題についての解決に向けまして積極的に取り組んでまいりたい、このように考えている次第でございます。
○志村哲良君 大変子供に対する愛情に満ちた御答弁を伺いまして、ありがとうございました。
 子供の人権が今論議されておりますが、私は教職員による体罰も子供の人権問題の一つではないかという思いもいたします。法務省が処理した人権侵犯事件の中で体罰の実態はどうなのか、またその具体的取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(大藤敏君) 過去三年間におきまして、法務省の人権擁護機関が教職員による体罰を人権侵犯事件として処理をいたしました件数は、平成五年が百十八件、平成六年が九十一件、それから平成七年が百十二件となっております。
 今御指摘の教職員による体罰につきましては、法務省の人権擁護機関といたしましては従来から、一切の体罰は許されないという考え方をとっておりまして、その考え方のもとに積極的に啓発活動を行っているところでございます。
 具体的な事案につきましては、人権侵犯事件として事実関係の調査を行います。その結果に基づきまして体罰の事実が認められた場合におきましては、児童生徒の人権を擁護するという観点から、体罰を加えた教師等に対しまして人権思想を啓発する。そして、学校に体罰を容認するようなそういう体質があります場合には、必要に応じまして校長や教育委員会等に対して、その体質を除去して再発を防止するための適切な方策を講じるように要望をするというような方法をとっているわけでございます。
 今後とも、体罰の問題を初めといたしまして、子供をめぐる人権問題につきまして積極的に取り
組んでまいりたいと考えております。
○志村哲良君 ありがとうございました。
 次に、入管問題に関してお伺いをいたします。
 よく海外からの入国者がありますが、興行のために来日する方々の在留資格が付与される外国人は、我が国に在留をしておる最中にどのような活動を行うことが実際に認められているのですか。具体的な例を挙げてわかりやすく説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 興行の在留資格につきましては、演劇、歌謡、舞踊、演奏、スポーツ等の興行その他の芸能活動を通じまして外国の伝統や大衆文化、芸能等を広く紹介する、また国民一般に健全な娯楽を提供するものとして入管制度発足当初からその幅広い受け入れを認めているものでございます。
 具体的には、歌手、ダンサー、演奏家、合唱団、オーケストラの公演でありますとか、プロ野球、プロサッカーの選手、大相撲の力士、アクロバット、サーカスといった公開興行の目的で我が国に入国する外国人について、上陸許可の際に興行の在留資格を付与することとしております。
○志村哲良君 ただいま御説明がありましたが、今のお話の中にありましたいろいろな分野の在留者が、当院委員会での説明などにおきまして、風俗営業店に出演しようとする外国人芸能人に入管行政上の問題が多々あったものと承知をしておりますが、入管当局が実施したと言われる実態調査の結果として具体的にどのような事例が確認されたのか、お伺いできたらと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 先ほども御説明申し上げましたように、興行の在留資格に基づいた先ほど申し上げたような本来の活動が行われている限りでは入管行政上の問題というのは生じないわけでございますが、近年、招聘機関、出演先施設等で外国人芸能人に対する処遇という面で非常に人権上も問題があるのではないかという点が内外から指摘されておりましたので、昨年の五月以降、全国の地方入国管理局におきまして実態調査を一斉に実施いたしました。
 実態調査の結果、最も多かった問題の事例といいますのは、歌手やダンサー等として風俗営業店の舞台で公演を行うべき外国人が、興行の在留資格では認められていないいわゆるホステス行為に従事していたということでございます。このほか、入国申請の際には控室として利用するとの申請があった部屋が実際には物置と化しているとか、本来出演しているはずの店舗には外国人芸能人が全くおらない、そのかわりに別の店舗において無断で出演しているといった名義貸しの事例なども今般の調査において確認されております。
○志村哲良君 私ごとですが、実は、先ほどは孫にと申し上げましたが、今度は孫でなくて家内にどうしても行こうということで誘われまして、二、三日前にサーカスを見に行きました。それを見ながら、子供のころよくサーカスが私などの小さな町にもかかりましたが、そこで歌ったり踊ったりしている大変若い、かわいいお子さんを見まして、家内に、おれたちが子供のころ感じたことと同じことを思うなというようなことを帰路、話しながら実は帰ったものでしたが、やはり今の興行というお話の中でもそんなことをも思い浮かべた次第であります。
 一連のいろいろな問題がございますが、それらを解決していくために審査基準を見直す方針であると伺っておりますが、具体的にどのような部分について適正化を目指しておられるのかを伺いたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 先ほどお答えしましたとおり、実態調査の結果、この興行の分野については種々問題があるということが認められましたので、基準省令について所要の適正化を図る必要があると考えております。
 具体的には、まず招聘機関にかかわる要件につきまして、現行の基準では招聘機関において外国人の興行を管理する常勤職員一名につき十名以内の外国人芸能人を招聴できるものとされておりますが、招聘機関による管理運営体制の充実を図るために、ここに言う常勤職員とは当該招聘機関に六カ月以上継続して勤務している者に限るものとするよう改正する方向で考えております。
 次に、招聘先施設要件にかかわる要件につきまして、バーやキャバレー等いわゆる風俗法に規定するところの客の接待を業として行うような店舗を出演先とする場合につきましては、専ら接客に従事する従業員が五名以上確保されていること、さらに外国人芸能人が客の接待に従事するおそれがないと認められることを新たな要件としたいと考えております。
○志村哲良君 ただいま具体的な常勤職員の問題等々をお伺いいたしましたが、私は今回の審査基準の見直しに際しましては、厳格な審査体制を貫くことも大事ですが、その一方で、各般の要望や過去の在留実績等を踏まえ、規制緩和を進める観点からの制度上の手当ては何か考えておられるのかなと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) 今回の基準省令の改正に当たりましては、これまで問題の発生がなかった分野、また今後もないと考えられるものにつきましては規制緩和を図る考えでございます。
 具体的には、我が国の国または地方公共団体、特殊法人、教育機関、国際的な文化交流を目的とした公益団体、大規模なテーマパークに招聘される外国人芸能人については、基本的に月額報酬にかかわる要件を満たしていれば在留資格興行による入国を容易に認めるということとしたいと考えております。
 また、例えばスペイン料理店などのいわゆる民族料理店が民族音楽の歌謡や演奏を行う外国人芸能人を受け入れやすくする方向で検討しておりますし、また外国人がピアノやギターのソロ演奏など単独で興行活動に従事するような場合については、舞台の面積等に関する要件を不要とする方向で検討しております。
○志村哲良君 ただいま御答弁を伺いましても、今回の審査基準の見直しは、入管当局による全国一斉の精力的な実態調査の結果が反映されたものなのだろうと理解をいたしております。
 今後、興行やその他の在留資格についても、単に申請書類ばかりではなく、申請内容に応じて実態調査を実施するなど、誤りのない審査に向けて万全を期するべきであろうと考えますが、入管当局の見解を伺います。
○政府委員(伊集院明夫君) 今、委員御指摘のとおり、入国在留許可の申請の際に、申請者側から提出のあった立証書類のみで外国人受け入れの適否を判断するということには一定の限界がございます。
 入管当局といたしましては、単に書類審査に頼るだけでなく、今後とも必要に応じて外国人を実際に受け入れる機関などの協力を求めまして実態調査を実施することによりまして、適正な入国在留審査に努めてまいりたいと考えます。
○志村哲良君 ちょっと時間を残しましたが、以上をもちまして私の質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○平野貞夫君 平成会の平野でございます。
 この国会は住専国会と言われているわけでございますが、住専問題について両院の予算委員会初めいろんなところでいろんな議論がありましたのですが、この住専を初め不良債権の回収ということが果たしてできるか。そして、それが適切に行われて、妙な形でアウトローの世界に資金が放置されたままになるんではないかという、そういう危惧がなされておりますし、ただいまも志村先生の御質疑の中でそれが取り上げられて、刑事局長から御答弁もございましたのですが、再度お聞きしたいと思います。
 実は参議院の平成会それから衆議院では新進党の有志の方々が集まっていろいろ勉強いたしまして、今回のバブル崩壊による不良債権で一体どのくらいアウトローの世界に金が回るというか、もう回っているのかもわかりませんが、一つの試算によれば四十兆という話がございます。仮に、四十兆でなくても、それに近い金がアウトローの世
界に回るということになりますと、政治、経済、社会、教育あらゆることにかかわる大変な悪影響が出てくると思います。
 そこで、私たちは、御承知のようにアメリカでできましたRICO法、組織犯罪規制法あるいはここ二、三年前のサミットで提唱されておりますマネーロンダリング法、こういったものを日本でも整備しないと、現行の法規ではこういった巨額の資金が暴力団とかそういうアウトローの世界に行くことを阻止できないんじゃないか、こういう問題意識を持っておるわけでございます。まずそういう法制、RICO法なんかはジョン・F・ケネディが暗殺された原因だと言われているわけでございますけれども、与野党あるいは政府挙げてそういうものに対してしっかりとした対応をすべきだと思うんですが、そういう法律の立法について法務当局はどういうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(原田明夫君) ただいま委員御指摘のような観点は、今後の我が国が直面してまいりますさまざまな犯罪をめぐる諸問題に対応していくために、やはり検討を十分していかなければならない大きな問題であろうかというふうに考えております。
 ただ、RICO法そのものにつきましては、アメリカ法と日本法との間にある大きな基本的な刑事政策面での、あるいは立法面の考え方からくるものだろうと思いますが、かなりの難しい問題もはらんでいるやに思います。
 しかしながら、一方においては、組織犯罪が国際的にも行われる、そして国際的にも批判にたえる法執行を我が国がこれからしていかなきゃならないという点は十分認識しなきゃならないところであろうと考えますので、国会における御論議、またさまざまな立場での御意見を十分尊重いたしながら検討してまいらなければならないというふうに考えております。
○平野貞夫君 確かに、おっしゃるように、技術的にも法制的にも相当難しい問題があると思います。しかし、我々はやはりこれに挑戦したいと思っておりますので、法務当局並びに与党の先生方の御協力をお願いして、この議論はこの程度にとどめさせていただきたいと思います。
 次に、公安調査庁の機能整備ほか、当面の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 私は、平成四年の七月に参議院議員に当選させていただきまして、当時は無所属でございましたが、法務委員に配置されて、以後、自民党に入ったり新生党に行ったりいろいろしておりますが、ずっと四年近くこの法務委員を続けております。
 私が非常に強い関心を持っていますのは、公安調査庁の機能整備という、内外の状況変化にどう対応するかという問題でございました。
 昨年は破防法の適用ということで、私たち党内にもいろいろな意見がありましたのですけれども、私は初めから適用すべきだという論を申し上げたわけでございます。そういう意味で、私は公安調査庁のあり方について大変関心を持っております。
 それはなぜかといいますと、自由で健全なデモクラシーの社会をつくるためにはどうしてもやはり健全な法秩序の維持が大前提だと思っているわけでございまして、何も秩序至上主義者じゃございません、それは誤解のないようにひとつ御理解いただきたいんですが。
 そこで、例えば法務省から出されておりますこの法務省のパンフレットによりますと、公安調査庁の新しい役割として、海外公安情報の収集・分析が極めて重要な業務になっているということを書かれております。そういったことについて、どういう整備をされたか、あるいはされるつもりか、簡単で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
○政府委員(杉原弘泰君) 東西冷戦構造が崩壊いたしました後、複雑に流動する内外の公安情勢と多様化する調査対象団体の動きに適切に対応するために、私どもやはり部内での改革をこれまで検討してまいりました。そして、このほど平成八年度の予算の成立を待って政令の改正という形で機構改革をする予定にいたしております。
 この改正は、もとより現行の破防法と公安調査庁設置法の枠内のものでございまして、これまでの公安調査庁のいわゆる調査活動、そしてその目的等については一切変更はございません。
 ただ、今、委員御指摘のとおり、東西の冷戦構造崩壊後の公安動向というものは非常に流動化しまして、いわゆる治安動向のボーダーレス化、そして国際化というようなこととも相まちまして、価値観が非常に多様化し、かつての治安常識では考えられなかったようなオウム事件というようなものも発生を見たわけでございます。そんなことで、私どもとしましては、従来の調査のあり方をここで見直したいということで改正をすることにいたしたわけでございます。
 その内容を若干申しますと、まず、本庁の調査第二部を国外担当の専門部とする組織改正を行いまして、現在の三課一参事官制から二課三公安調査管理官制に移行しまして、また地方支分部局の調査部門におきましても、本庁同様に、調査部門を国内担当、国外担当に分けて専門職制を大幅に取り入れることにしております。
 この組織改正によりまして、海外の関係の情報収集あるいは分析体制というものもこれまで以上に効率的、機動的になるものというふうに期待をしているところであります。
○平野貞夫君 この海外公安情報の収集・分析が大事だという観点から、北朝鮮問題について若干お尋ねをしたいと思います。
 私は個人的には、北朝鮮という国家が将来民主的国家として発展することをこいねがっておるわけでございます。それが東アジアの安定の一番になると思っておりますが、しかし現段階でいろいろお話を伺ってみますと、やはり日本にとってまだまだ危険な部分も持っておる面がある国だというふうに思っておるんですが、最近の北朝鮮の状況を、長官、どのように御理解しているでしょうか。
○政府委員(杉原弘泰君) 大変大きな問題でありまして、一言で御説明することはできないわけでありますけれども、私どもの考えでおりますのは、端的に申しますと、北朝鮮の状況につきましては、金正日書記を最高指導者と仰ぎ、社会主義体制を維持しようとしておるわけでありますが、内部的にはいろいろ食糧事情の悪化あるいはエネルギー不足というような困難な状況に直面しているというふうに認識いたしております。
○平野貞夫君 その米の問題でございますが、昨年、たしか第一次、第二次にわたって五十万トンの援助米を日本からも出したわけでございますが、四月二十七日の産経新聞の報道によりますと、この米の備蓄のために軍用貯蔵庫を大量に建設している、推定百二十万トンぐらいの米を軍が直接管理していると、こういう報道でございます。
 日本からの米というのは、人道的救援米だということで民衆、人民の方たちに配付されるはずでございますが、まさかこういったところに使われているとは思いませんが、公安調査庁としてどのような情報をお持ちか、あるいはお持ちでないか、お願いします。
○政府委員(杉原弘泰君) 私どもが入手いたしました情報によりますと、一部の地域において昨年八月以降、米の配給がないとも言われておりますけれども、我が国からの北朝鮮への支援米がどのように使用されたかということについては、その実態について把握いたしておりません。
○平野貞夫君 例えば、韓国は、韓国の船で北朝鮮の港へ持っていってそして北朝鮮の国旗にかえて荷揚げする、あるいは国連からの援助米は、たしか職員がついてどういうふうに配置、配分されているかということをチェックしていると、こういうことを聞いております。
 そうすると、公安調査庁にここまで聞くのはどうかとも思いますが、日本の援助米がどこの港に荷揚げされて、それがどこに運ばれてどういうふうになったかというのは日本政府としては把握し
ていないと、こういうふうに理解していいでしょうか。
○政府委員(杉原弘泰君) 日本政府としてはというふうにお尋ねになりますと、私の立場ではお答えするのに適当ではないと思いますが、少なくとも私ども公安調査庁に関しましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、支援米が北朝鮮の国内でどのようにして使用されたかという点に関しては必ずしも実態を把握していないということだけお答えしたいと思います。
○平野貞夫君 わかりました。これ以上は申し上げませんが、ただ、仮にこういったものが食糧に使われずに転売されて、武器の購入とかあるいはいろいろな危険なものへ姿が変わるということになりますと、これは人道という名前で逆に日本が危機状態に入っているわけでございますが、そういったことがないように、ないことを祈るだけでございますが、いずれまた別の機会に、ほかの責任ある省庁の方々にその問題は提起したいと思います。
 そこで、この点はどうでございましょうか。
 食糧庁からいただいた資料をいろいろチェックしてみますと、この援助米が日本から第一次、第二次、昨年の七月ごろからことしの四月まで約十カ月ぐらいの間に、日本の港に九十九回、これはダブっているのもございますが、沖縄を除いて三十二の主要港に北朝鮮の船が来て荷積みをやっておるわけでございます。こういうやり方は私は危機管理上の問題があると思うんですが、例えばこの中で二回、大阪と神戸からサリンの原料と言われるものが密輸出されたわけでございます。
 公安調査庁としては、こういう援助米の運び方について異常と思いますかどうか、あるいはこれらの九十九回にわたる北朝鮮の船及び船員の動向について調査なさったでしょうか。
○政府委員(杉原弘泰君) 公安調査庁といたしましては、我が国の公共の安全を図る観点から、我が国に来航してまいります北朝鮮船舶に不審な動向があるか否かにつきまして以前から調査を実施しております。また、今回の北朝鮮への援助米を輸送するために来航いたしました同国の船舶等についても、そのような観点から必要と思われる調査を可能な範囲で行いました。
 ただ、委員御指摘の点につきましては、私ども危機管理の立場からいろいろコメントする立場にはないというふうに考えておりますので、仮に何か私どもの立場からして特異な動向が認められれば、それは関係官庁に御連絡をするということをしたと思いますけれども、今回の調査を通じてそのような特異な動向は認められなかったというふうに考えております。
○平野貞夫君 要するに、例えば東京港に七回入っております。調べますと、延べ七十三日間北朝鮮の船が停泊しておるわけでございます。不審な行動があるかどうかを調査して、もしそういったものがあれば関係機関に知らせる。それで、今回はそういうものはなかった、いわゆる調査で見つからなかった。あったかなかったかということは別だと思いますが、連絡するような事項は把握してないというのが今の長官のお話だと思います。
 長官、港湾、港というのはどういうものだとお考えでしょうか。
○政府委員(杉原弘泰君) 何とお答えしたらいいのかわかりませんが、要するに船舶が出入りするための根拠地というふうに考えております。
○平野貞夫君 いや、それは運輸省ならそれでいいかもわかりませんけれども、港というのは国境なんですよね。それから、別の言い方をすれば危機管理施設なんですよ。もうちょっと重い言い方をすれば軍事施設ですよ。ですから、船が出入りするところだというだけじゃ、やっぱり秩序を維持する、その調査の対象としている公安調査庁としてはちょっと寂しい限りだと思います。国境ですよ、空港とか港湾というのは。
 なぜ私、こういうことを申し上げるかといいますと、ある著名な識者から教えてもらったことなんですが、ソ連がまだ元気であったころは査察衛星で日本のそういう施設というのを探知できて、それを北朝鮮側は情報としてもらっていたと。ところが、ソ連がなくなって、ロシアはもうそういう能力がなくなって、今回の援助米について九十九回も北朝鮮側から日本列島三十二カ所の主要港に来て、そこで米を積み荷した。これはいわばそういう情報と同時に進行されたんじゃないかという見方があるわけですよ、私もそうだとは言えませんけれども。そういう疑いの目を持って見るのが公安調査庁としては当然じゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(杉原弘泰君) 私どもといたしましては、委員御指摘のような点も含めて、船舶あるいはその船員の動向に不審なものがないかどうかという観点で、関係機関等の協力も得ながら調査をしているということで御理解いただきたいと思います。
○平野貞夫君 じゃちょっと角度を変えた質問をしたいと思いますが、この北朝鮮への米援助、これ自体は大事なことでございます。これに私は別に反対するわけじゃございませんが、援助するならやっぱり我が国の安全保障上のコストというのを、そういうものは少々かかっても本来なら持っていくべきじゃないか、こういう意見を私は持っているわけでございます。
 今回の米援助で言われていますことは、これは報道だけじゃなくて、既に両院の国会で取り上げられ、外務省も認めているところなんですが、与党の首脳の方の事務所の名前で、吉田さんという方と佐藤さんという方の二人が当初からこの米の援助の交渉にかかわっていたと。これは外務省の局長さんたちも認めておるわけでございます。
 国交のない国だからしようがないといえばしょうがないんですが、この二人の働きというのが非常に米援助というものに大きく影響を与えたということなんですが、このお二人がそういうことにかかわって大変な働きをされていたということは公安調査庁としては独自に御承知だったかどうか、あるいは国会で話が出たから知ったのか、その知った段階等について御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(杉原弘泰君) 委員御指摘の吉田猛氏と佐藤三郎氏がこの米の問題についてかかわっていたとの関連の記事が一部の週刊誌、九六年四月十八日付の週刊文春でございますが、これに掲載していることは私ども承知しておりました。また、御指摘のとおり、予算委員会でもその問題について外務省当局から関連の御答弁があったことも承知しております。ただ、公安調査庁としてこの問題についてどういうふうに考えているかということにつきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○平野貞夫君 そのコメントを言いたくないという部分については私も別にここでお聞きしません。お聞きしませんが、この米の運送方法、そしてどの国の船を使うか、どの港から出すか、どういう集積の仕方をするか、出荷の仕方をするかということは、これは単なる食糧庁の仕事じゃないと思うんですよ。当然、そういうものに対してどういうチェックをしていくかということは、さまざまな機関があると思いますが、危機管理と直結する問題だと私は思うわけなんですが、そういったことの把握は公安調査庁としてはなかったわけですか。週刊文春のことしの四月十八日号で知り、国会の答弁で知ったというだけですか。
○政府委員(杉原弘泰君) 先ほど来お答えしておりますとおり、私どもといたしましては、破防法に基づいて我が国の公共の安全を図る観点から、北朝鮮からの往来する船舶について必要な範囲で調査をしているということでございまして、その調査の具体的内容についてここで申し上げることは適切でないというふうに考えておりますので、その点は御容赦いただきたいというふうに考えております。
○平野貞夫君 公安調査庁の業務の中で、「公共の安全の確保に寄与するという観点から、調査の過程で得られた情報・資料を必要に応じて関係機関に提供しています。」という説明がございます
が、いろいろ調査されて、例えばこういった援助米の、今後もあるかもわかりませんですが、運送の方法、どの国の船を使うか、どういう集積をするか、どういう港から出すかということに何か問題があれば、公安調査庁としても当然それなりのチェックを行うことが現行の制度ではできますか、できないんですか。
○政府委員(杉原弘泰君) 危機管理につきましては、これまでも公共の安全の確保に寄与する観点から、当庁が収集いたしました情報を国家行政組織法第二条第二項の趣旨に従いまして関係機関に提供してまいりました。
 今回の米問題の御質問についてですが、仮に私どもは、何か調査の過程で不審な動向が発見された場合には、当然この趣旨に従いまして関係機関に通報したと思いますが、先ほどお答えしましたとおり、私どもの把握している範囲内では特異な動向は認められなかったわけでございます。
 また、公安調査庁としては、破壊活動防止法に定められた法規に従って調査をすることができるにすぎないわけでありまして、それ以上、委員御指摘のような積み出し港の問題ですとか、あるいはその積み出しにかかるいろんな点についてどうしろこうしろと言う立場にないということは、るる申し上げるまでもないことであろうと思います。
 なお、ちなみに、この米の問題につきましては、それぞれの港で、私どもだけではなくて、警察あるいは税関等の関係官庁がそれなりの調査といいますか、職務遂行をしておられるというふうに考えております。
○平野貞夫君 時間の関係でこの問題はこれで終わりますが、公安調査庁もそれなりに一生懸命やられていることはよくわかりました。本来なら、情報、資料を提供する関係機関は国会もその中の一つだと思いますが、ここでかなりな部分については申し上げられないというなら、きょうのところはそれでおさめておきます。
 にせドル問題についてちょっとお聞きしたいと思いますが、警察庁の方お見えでございますね。
 先般タイで逮捕された元赤軍派の田中義三さん、この方の日本への送還の見通しを教えてください。
○説明員(折田康徳君) 現在タイにおいて拘束されております田中義三につきましては、タイ当局に対してその引き渡しを要請しております。ただ、現在、同人に対しましてはタイ国内における司法手続が進んでいる段階でございまして、いつ日本に戻ってくるか、引き渡しが行われるかということについては確定しておりません。なお、今後引き続きタイ当局に対しましては、外交ルートを通じまして田中義三の身柄の早期引き渡しを求めてまいる所存でございます。
○平野貞夫君 そうすると、全く見通しが立たぬということでございますね、具体的には。
○説明員(折田康徳君) 今までの折衝の中で、タイ当局といたしまして、タイの司法手続が終われば日本へ引き渡しをしたいという意向も示されておりますけれども、それはまだ確定したものであるというふうには私どもは認識しておりません。いずれにいたしましても、引き続きそのように要請を重ねてまいりたいというふうに思っております。
○平野貞夫君 できるだけ強い要請をして、やはり早く日本に送還して日本の司直が直接いろいろ取り調べるのが私は適当だと思っておりますので、お願いをしておきます。
 そこで、これは一月ぐらい前でございましたか、新潟港からにせ札の識別機が過去二十回ぐらい北朝鮮に輸出されたことがあるという報道があったんですが、このことについて情報として、あるいは実際どうであったか、どういうふうに把握されているでしょうか。
○説明員(折田康徳君) 私どもといたしましても、この市販のにせドル札識別機が過去に我が国から北朝鮮に輸出されたということは承知しております。ただし、その回数等、詳細に関しましては個々具体的な案件でございますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
○平野貞夫君 輸出されたという事実は、今答弁でありましたんですが、どういう企業、あるいはだれがだれに輸出したということはいかがでございましょうか。
○説明員(折田康徳君) そのような具体的な案件につきましては、答弁を控えさぜていただきたいというふうに思っておりますので御了解いただきたいと思います。
○平野貞夫君 わかっているけれども言えないということだと思います。
 ぼつぼつ時間が参りましたので、公安調査庁の長官にお願いといいますか、要望を申し上げたいと思います。
 最近、週刊誌もそうでございますが、あるいは月刊誌、あるいは会員制で出されているまじめな出版物、この中にこの米の問題、あるいはにせドルの問題、さまざまな問題が公安関係者の情報あるいは捜査関係者の情報ということで出されております。もちろん、中にはかなり問題で創作的なものもございますが、中にはやはり、あ、これはまともな話だなと。といいますのは、数週間たつとそういうものが現実に出てくるという、結構そういう、括弧して公安関係者情報、括弧して捜査関係者情報というのが非常に目立つわけでございます。
 一般的にいいますとリークといいますか、こういうやり方がいいか悪いかというのは一つあると思いますが、率直に言いまして、私は、現場でやはり活躍されている方たちは本当に自分の身命を賭して国益を守ろう、あるいは国の秩序に寄与しようと思って一生懸命やってくれていると思います。ところが、政治というのは切ないものでございまして、与党もあるし野党もあるし、またいろんな政党もあるし、いろんな機関もあるし、そういうところで、そういう現場の人たちの本当の真心が生かされるかどうかというそういう危惧、そういったものが案外この括弧公安情報とかという形に変わるということもあり得ると思うんです。
 長官もなかなかおつらい立場だと思いますが、やはり法秩序の維持というのは、一つの政権のための法秩序の維持じゃございませんで、全体的な国家国民のための法秩序の維持でございます。さまざまな政治的あるいはいろいろ権力的な圧力もあろうと思いますが、そこのところはやはり国家国民のためにきちっと真心を持って職務を遂行している人たちの立場を踏まえて、生かしていただきたいということを、そして国益のために頑張っていただきたいということを要請いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○大森礼子君 平成会の大森礼子です。主に法務大臣にお尋ねいたします。
 平成八年度の予算案が遅くても十日には成立するわけで、住専処理の一次損失負担六千八百五十億円の税金投入が決まるわけであります。そして、予算が成立しましたならば、直ちに住専処理法案が審議されまして、これが与党によって可決されますと、国民は先で、二次損失について半分の負担を余儀なくされるという、こういう流れになっているわけであります。
 私は、きょうこの時期に、法務大臣にぜひ確認しておきたいことがありますので、質問させていただきます。各論ではなく総論的な質問になります。
 まず、この政府の住専処理案、国民の多くの方はいまだに全然納得していない状態であります。橋本総理御自身も、参議院の予算審議の段階でも、いまだ国民の理解を得るに至っていないということを認めておられるわけです。昨年十二月から非常に大きな問題になりまして、国民の方も最大の関心を持ってきた。マスコミもそうである。国会の場でも論議がされてきたと。それにもかかわらず、この住専処理案というものがいまだに国民の理解を得られていないのは、これは非常に不可解なわけですが、法務大臣としては閣僚のお一人としてどのように思われるんでしょうか。国民の無知によるのか、それとも政府の説明不足なのか、それとも、これは私の考えですが、本来説明
のつかないどんぶり勘定的な手法によっているためか、あるいはそれ以外の理由か、法務大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長尾立子君) お答えをさせていただきます。
 今回の住専問題は、いろいろな意味で国民の皆様からの御批判を受け、そして多方面からの御議論がされておりますが、現在に蓄きましてもなお十分な御理解が得られているとは言いがたい状況はどういう理由によるものかというのが委員の御質問であるかと思います。
 一つには、やはりこの住専の問題が我が国の金融問題、これに深く絡んでおりまして、その中で関係者がそれぞれの考えを持ち寄りまして今回のスキームをつくっていったわけでございまして、その過程が、国民の皆様の前には突然にあらわれて、その中に行われました議論が十分に伝わっていないということが非常に大きな問題であろうと思っております。
 国会の御審議におきましても、その点につきましていろいろな委員の方から御質問ございましたが、その意味では、この問題の深さ、大きさ、こういうものが問題のわかりにくさというものを深めているというような認識を持った次第でございます。
○大森礼子君 金融問題に深く絡んでいて関係者が検討してきたと、だから関係者の間で片づけてくださるのであれば別にいいわけなんですけれども、いきなり国民負担になってくるということです。そのプロセスがいきなり出てきたからわかりにくかったとおっしゃいますけれども、先ほど言いましたように十二月の初めごろから問題になっているわけです。それにもかかわらずいまだに国民の理解を得ていないというその理由について、ただ突然出てきたからというのでは説明として不十分だろうと私は思います。
 それで、この問題については、私一番問題にしたいのは法治主義との関係なんです。識者の多くの方も、それからほとんどのマスコミも、法治国家にあるまじき処理案であるとして批判をしているわけです。
 二月二十三日の衆議院予算委員会公聴会で慶応義塾大学の池尾教授も述べておられるんですけれども、議事録を少し引用しますと、
 司法的判断を求めることを忌避したまま、特定の主体に責任があるというふうに決めつけて事態の処理を進めるというのは、法治国家の自己否定にほかなりません。今回の住専処理案を正当化しようとする説明の中には、残念ながら、こうした法治国家の自己否定につながるような説明がしばしば見かけられ、非常に残念に思っております。
こういうふうに述べておられます。
 私も、今回の処理スキームというものは法治国家の自己否定じゃないかというふうに思っております。
 そこで、法秩序維持というものを最大の任務とする法務行政の最高責任者として法務大臣は、法治国家との関係、法治主義との関係で向けられた政府に対する批判、これをどのように受けとめておられるんでしょうか。
○国務大臣(長尾立子君) 今回の政府の処理スキームでございますが、これは住専七社、住専各社、また住専各社に対します債権者でございます母体行等、これは三百ぐらいと聞いておりますが、こういった関係当事者間に合意が成立をしているということを前提といたしまして、現行法制のもとで住専問題の処理を適正かつ円滑に行うことができるということとして選択されたものと理解しております。
 破産法でございますとか会社更生法を適用するといった御議論がございますが、こういったものを適用しないというものの、何か超法規的とかそういうものではないというふうに私は考えております。
○大森礼子君 その考えはおかしいと思うんです。確かに、当事者間のその範囲で合意すれば破産法適用によらない、会社更生法の適用を受けない、これはできるのは当然です。自己の権利、そういうものを処分することはできるわけですから。
 問題は、ですから、要するに母体行、一般行とか系統とか住専とか、その当事者の間で、大蔵省入ってもいいですけれども、その間で済むことであれば何も文句言うことはないと思うんです。その枠を踏み越えて、言ってみれば第三者である国民まで影響を受ける。そして六千八百五十億円、これのみならず、先で、二次損失でその半分負担という形になるわけですから、全く当事者の合意だけでは私はないと思います。
 そしてまた、大蔵省自体どういうふうに関与したのかまだよくわかっていませんけれども、やはり法的処理にいかない方向でいったということですね。ここに問題もあると私は思うんです。
 それで、国民は文句を言う権利はあるわけですから、税金を払うわけですから。その前提で質問するんですけれども、住専処理に法的手段をとり得ない理由として、関係者多数、事案複雑、時間がかかり過ぎる、訴訟合戦になるとか、こういう説明がされております。訴訟合戦になるといっても、ちゃんと要件事実があって、それで裁判を受ける権利はあるわけですから、それは別に訴えてもいいんじゃないかと。要するに、要件を満たしていなければ却下されるわけですから、訴訟合戦になるという言い方は非常にやっぱり裁判制度を侮辱している言い方ではないかと私も個人的に思っております。
 この点について、政府の方で住専パンフというものをつくっております。「住専問題とは何ですか。お答えします。」ということなんです。これは政府広報・大蔵省とあるんですけれども、このパンフレットの作成について法務省は何か関与されたんでしょうか。これは通告していなかったかもしれません。わかればで結構です。
○政府委員(濱崎恭生君) 私どもこれには直接関与いたしておりません。こういうものが作成されるという情報はいただいておりますけれども、内容について特に関与はいたしておりません。
○大森礼子君 そうすると、これは作成は大蔵省ということでよろしいわけですね。イエス、ノーで結構です。
○政府委員(濱崎恭生君) そのように理解いたしております。
○大森礼子君 そうしますと、ここに法的整理に任せないとかの理由で、八ページになるんですけれども、ここの部分については法務省も同じ見解と理解してよろしいんでしょうか、それとも大蔵省が勝手につくったことだから知らぬということになるのか、この点いかがでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) この八ページという御指摘と思いますが、ただいまも申し上げましたように、このパンフレット自体については直接関与いたしておりませんが、この住専処理をめぐるいろんな法的な問題については、いろんな機会あるごとに事務担当者の間での事務連絡といいますか、内々の相談というようなものを受けております。そういった事務レベルでの意見交換といいますか、検討というものがこのパンフレットの内容にも反映されているというふうに理解をいたしております。この分析自体については私どもは直接関与いたしておりません。
○大森礼子君 それでは、質問をこういう形にいたしましょうか。
 この八ページでは、質問、国民の方の素朴な疑問なんでしょうが、「民間の不良債権なのだから、住専を法的な整理に任せればよいのではないですか。」、こうあります。これに対する答えとして、「住専を破産などの法的整理で処理すると、経営困難となる金融機関がでて、信用不安が起こるおそれがあります。」と。時間がかかるということを強調しているわけです。この下に、金融機関三百行だとか延べ人数二十万とか言っていますが、これは情報自体正しくないわけで、法的整理でしたら各別に行うんですから、各住専ごとにやって比較してもらいたいものだなと私は思ったわけなんです。
 それはさておきまして、次に下の質問で、「法的整理を行って経営が困難となった金融機関を公的資金で救済すればよいのではないですか。」という質問に対して、「信用不安は一度起きたら一部の金融機関にはとどまりません。信用不安が起きた時の深刻さを考えると、信用不安が起きる可能性があることはとてもできません。」というふうに強調しているわけなんです。その下に、「深刻な信用不安に発展する可能性は否定できません。」と。確かに、可能性がないという立証は、これはないという立証は悪魔の立証ですから確かにできないわけで、だったら可能性があるからやっていいのかということにも、それが否定できなかったらやっていいのかということになると思うんです。
 このパンフの説明を要約しますと、民間の不良債権でも法的整理によると信用不安が起こるおそれがあると。その深刻さを考えると、信用不安が起きる可能性があるようなこと、つまりこの場合は法的整理ですけれども、これはできないという、こういう結論になると私は思うんです。
 そうしますと、信用不安の可能性が否定できないという、これが我が国の法の支配のもとにおける法治主義に何か優先するような気がするんですけれども、私の見解は間違っておるのか、あるいは法務大臣はこの点について、この説明についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(長尾立子君) 大きな社会的な影響のあります問題を解決する方法としては、やはりその問題の性質、国民生活に与える影響、現在の経済情勢の大きな流れ、こういったさまざまな要因を勘案いたしましてその解決策を決めていく、その上で幾つかの解決策の中の適否、順位を考えていく、このようなものであると考えております。
 この住専の問題の処理に当たりまして、各方面からこういう方向の解決があるのではないかという御指摘もいただいているわけでございますが、我が国の金融財政全般を預かります立場として、現在の改善案ということについて、これがいろいろな諸案の中でやはり最もふさわしいものであるという判断をさせていただいたものというふうに理解をいたしております。
○大森礼子君 前に質問させていただいたときに、二月二十七日、法務大臣はそのようにお答えになったんです。ただ、これはやはり法適用を除外する処理スキームなわけですから、そういった意味で私なんかは超法規的な措置と言っているわけなんです。原則は法によって解決する、これは原則です。要するにルールに基づいてやるということです。原則でなく例外をとるのであれば、なぜその例外が必要かということをやはりきちっと説明する必要があると思うんです。そこの説明がなされていない。だからあいまいなままになっていると思うんです。
 私は、なぜ例外を認める必要があるのかということを、これは法秩序の維持にかかわる問題ですから、大蔵省なんかに任せるのではなくて、こういう理由ですからこういう例外をとらざるを得ないんですよとか、法務省としてきちっとやっぱり国民に説明する必要があるんではないかと思うんですけれども、法務大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(長尾立子君) 今回の政府の決定に際しまして、閣僚の一員として賛成をさせていただいた法務大臣でございますので、確かにおっしゃいますように、この問題について国民の皆様に御理解をいただけるような努力をしろという御指摘はそのとおりであると思いますし、そのような観点から私もできる限り御説明をさせていただいてきたというふうに考えております。
○大森礼子君 今まで説明をそんなにしていただいてないと思うんですけれども。こっちがいい悪いだけで、裏づけを示さなかったら、これは単なる水かけ論になると思うんです。
 最後にお尋ねしますけれども、今回のこの大蔵省のパンフなんかを見ますと、要するに破産法とか会社更生法とか、こういう場合には向いていないんだとかと言われるんですが、破産法とか会社更生法、これはやはり不備な点を持った法律なんでしょうか、それとも裁判所の能力に問題があるから時間がかかるというんでしょうか。もし破産法とか会社更生法、不備な点があるというんでしたら、この改正というものは現実の問題として考えておられるんでしょうか、これを最後にお尋ねいたします。
○政府委員(濱崎恭生君) 破産法及び会社更生法は、御説明申し上げるまでもなく、債務者に破産原因が生じた場合、あるいは窮状にあるが再建の見込みがない株式会社、そういったもの一般についてその法的な処理をするための手続として用意されているものでございます。
 これらの手続のあり方について、もちろん個々の規定についてこうすべき、ああすべきというような改正意見というものがあるということは私どもも承知しておりますが、全体として、一般的な手続といたしましては、それぞれの破産の場合、会社更生の場合に適切に対応することができる手続になっているというふうに考えておりますし、また実務も、時間がかかり過ぎるというような批判が一部にはございますけれども、それなりに対応することができておるというふうに承知しております。
 今回の住専問題の処理について、この手続を使わないで特別の処理スキームをつくるということの理由につきましては、先ほど来大臣が御答弁申し上げたとおりでございますし、いろんなところで御答弁がされているところでございますが、これは今回の住専問題という特殊性にかんがみまして、一般的な手続によるのではなくて特別の処理スキーム、これはもちろん法律に基づいて処理しようと考えておられるものでございますが、その方が適切であるということでとられたものと承知しております。
 したがって、今回の住専問題の処理に破産法や会社更生法が使われないことになったからといって、それだけでこの手続について特別の改正をする必要があるという性質のものではないというふうに理解をいたしております。
○大森礼子君 終わります。
○千葉景子君 私の方からは、まず冒頭、民法改正問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 法務大臣も所信の中で、民法改正が大きな目標であるということをお述べになっておられます。ちょうど法制審議会の答申が二月二十六日に出まして、はや二カ月半ぐらいになるわけでございます。しかも、法制審議会でも三年余の審議、さまざまな調査なども踏まえて結論を出されておりまして、そういうことを考えますと、それ以降改正案が国会に提案をされずにおるというのは極めて異常な状況ではないだろうか。しかも、私は大変残念な気持ちでいっぱいでございます。
 この改正案の内容は、きょうは多くを申し上げる必要はないと思います。さまざまな問題点もございますし、意見としても、答申の内容に全面的に大賛成という方もいらっしゃれば、あるいはもうちょっとこの部分を手直しした方がいいんではないかという御意見もありますし、あるいはどうもこれは納得ができないという御意見があることも私も承知をしているつもりでございます。しかし、これまでの国際的なさまざまな流れを考えたりあるいは日本の国内でも、いろいろな家族のありようとかあるいは個人の生き方の変容とか、そういうことを考え、あるいは男性女性の真の平等というようなことも考えたときには、まさにこの問題を論ずるということは時宜を得た問題ではないだろうか、こういうふうに考えているところでございます。
 そして、私は非常にここがポイントではないかと思うのは、多分この民法改正案の中でも選択的な夫婦別姓制度、これが一番大きな焦点になっているのではないかというふうに思います。これは決して、どっちが絶対によろしい、別氏が絶対によろしいあるいは同氏が絶対によろしいというのではなくて、むしろさまざまな多様な生き方、そういうものをお互いに尊重し合っていこうじゃな
いか、そういう社会でこれからはあるべきであろうというのが根底にあるんだろうというふうに思うんです。とかく、別姓がいいんだ、それがけしからぬとか、同氏がいいんだ、いやそれがけしからぬとか、こういう是か非かという議論になりがちですけれども、むしろそれを両方受け入れられるような、そういう寛容た社会というものを考えていきたいし、そういうことが基本にあろうかというふうに思っています。
 そういう意味では、いろいろと法務省も困難を克服されるために御努力をいただいていようかというふうに思いますけれども、この国会も期間が限られているということもございます。改めて大臣の御決意のほどといいましょうか、お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 多くの皆さんが、これはまずは、結論というよりも、こういうものを基本にしながら国会で活発な議論をしたらいいんではないだろうかと、こういう御意見も強いようでございます。その辺も踏まえまして、大臣の御見解をお聞かせいただけたら幸いでございます。
○国務大臣(長尾立子君) 婚姻制度等の改正を内容といたします民法の改正につきましては、今委員からお話がございましたように、二月二十六日に法制審議会から民法の一部を改正する法律案要綱として御答申をいただいたところでございます。
 私どもといたしましては、この御答申を踏まえまして民法と戸籍法の一部を改正する法律案を立案いたしまして、関係各位の御理解をいただきまして今国会に提出をさせていただきたい、このように考えているところでございます。
 今、委員からもお話がございましたが、この問題は国民の皆様に密接なかかわりを有するものでございます。法制審議会の御答申をいただきました後も、さまざまな御議論がされているところでございますので、法務省といたしましては、関係各位の御理解をいただきますよう一層の努力を続けたい、このように考えております。
○千葉景子君 ぜひ御努力をいただきたいというふうに思うんですけれども、今大臣がおっしゃいましたように、まさに国民的な生活にも関連をする、そういう問題ですので、逆に言えば、国会の場で大いに賛否も含め、あるいはいろいろな問題点も含めてオープンな形で議論をするということがむしろ適切なことではないだろうか、こんなふうにも思うわけです。そういう意味で改めて、この国会に御提案の御予定か、そのところはもう言いただけませんでしょうか。
○国務大臣(長尾立子君) ただいまの委員のお言葉を大変力強い援軍と受けとめさせていただきまして、なお一層努力させていただきます。
○千葉景子君 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思っております。
 さて、今、住専処理の問題が大きな課題になっておりますけれども、今後住専処理も進行してまいります。しかし、裁判所の不動産競売部門などは非常に事件も多くなっておりまして、処理について大変滞りが起きているのではないか、こういう指摘もございます。十分に機能を果たしていくためには今後ともさまざまな手だてが必要ではないだろうか、こういうふうに思うわけです。
 また、サリン事件のようなことがあったり、あるいは民暴とかあるいは経済事犯など、新たな複雑な刑事事犯なども大変多くなっております。そういう意味では、競売部門だけではなくてこういう裁判の迅速化、あるいは滞りなく進めていくという意味ではこれまた強力な対策というものが必要であろうというふうに思っております。
 そこで、とりわけ裁判所にお聞きしたいと思いますけれども、今このような競売部門あるいは刑事事犯などその処理について、実情とそれから今後の対策、どんなふうに今後の処理をできるだけ迅速に進めていくか、そういうことについてお考えがあればお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 現在の社会状況からいたしまして、委員御指摘のとおり、裁判所に提起されてまいります事件の中身自体、非常に複雑困難化の度を増しておることはそのとおりでございます。また、事件の数の面でも、民事事件一般、それから御指摘のありました不動産競売の関係、不動産執行事件の関係、非常に急増してきております。
 こういう状況を踏まえまして、我々裁判所の側としましては、本当の意味で裁判というものを国民が利用しやすく、しかもわかりやすいものにしていく、そういう努力を継続していく必要があるだろうと考えております。
 当面、急増しております事件の対策としてはいろんなことをやっておりますが、例えば不動産の執行関係の対策としましては、この四月から事件がとりわけ集中しております東京とか大阪といったところに、ほかの庁からの人の応援を出しまして、従前のスケールで言いますと随分思い切った人員の手当てもいたしました。
 それから、一番処理を急いでほしいという国民の側からの要望がございますのは、やはり民事訴訟が中心になろうかと思います。この関係では、委員も御承知のとおりでございまして、弁護士会等の協力も得ながら、手続の運用自体今までと違った、もっと効率的といいますか中身のあるものにしていくような運営改善の工夫をずっと続けてきておるところでございますし、今国会にはそういう手続の運用改善を可能にするための民事訴訟法の改正案も提出されているところでございます。
 さらに、こういった手続の運用面での改善策にあわせまして、裁判官を中心とする人的な面での陣容強化といった点も当然必要になってこようかと思います。
 今後とも事件の動向等も見ながら、処理手続の運用の面と、さらに人的な面あるいは物的な面での基盤の整備といいますか、そういった両面にわたって必要な努力を継続していきたいというふうに考えております。
○千葉景子君 それに関連するわけですけれども、人員を確保するという意味では司法修習生からの採用、これも大変重要なことだろうというふうに思います。司法試験合格者もふやしておりますし、そういう意味ではそういうところからの人材の確保というのも大分環境がよくなってきているというふうに思います。
 片方では大変不況でなかなか就職が困難という状況もございますから、こういう際に優秀な人材というものをぜひ裁判所でも積極的に採用していただいて、そして裁判所の機能強化、やはり裁判所というのは人的な陣容というものが一番の財産であろうというふうに思いますので、そういうところにも積極的に対応していただきたい。
 これまではどうしても裁判官の採用というのは、考えても少し厳しいのではないかなという感がしないでもございませんけれども、そのあたりについて今後の考え方などがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 私どもといたしましては、国民の負託にこたえ適正迅速な裁判を実現するためには、委員御指摘のように、すぐれた人材を数多く裁判官として確保することが必要であるというふうに考えているところでございます。
 その意味で、司法修習生からの裁判官の採用に当たりましても、裁判官にふさわしい人材をできる限り多く採用できるように努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○千葉景子君 ぜひそういう意味では、体制を強化するために積極的な対応をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 さて、最近の厳しい経済変動の中で、株式会社の倒産などが増加をしております。そういう中で、どうも決算書が会社の経営内容を正しく記載していない、そういう事例が多いのではないか。それによって突然倒産ということが周りに大変迷惑をこうむらせるということもあるのではないかというふうに思います。
 銀行の決算書については、金銭債権の数字に商
法二百八十五条ノ四との関係で疑問があるのではないかということが参議院の予算委員会でも指摘をされているところでもございます。
 今後、それぞれの自己責任あるいは情報の開示、こういうものが非常に重要になってくるという中で、決算書についての信頼性をより一層高めていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点について、実情と今後の何か対応というものがございましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、株式会社制度におきまして、会社の計算処理が適正にされるということは極めて重要なことであるというふうに考えておるところでございます。
 そういう観点から、商法におきましては、会社の計算処理の適正のために株主の監視あるいは取締役会制度の適正な運用ということのほかに、監査役制度、さらには大会社につきましては会計監査人制度を用意いたしまして、そういった制度の充実強化ということを図るという観点から、御案内のとおり、何回か商法の改正をさせていただいているところでございます。
 さらに加えて、取締役がそのような不適当な会計処理をしたということによって会社に損害を与える、あるいは債権者に損害を与えるというような場合には、商法二百六十六条あるいは二百六十六条ノ三の規定に基づく損害賠償義務を負うこともあるというようなことを制度として用意いたしまして、その適正確保を図っているところでございます。
 法務省といたしましては、個々の会社に対して直接監視をする、監督をするというような立場にはないわけでございますが、会社法制を所掌する立場におきまして、取締役、監査役あるいは会計監査人等の会社関係者に対しまして、機会あるごとにそういった商法の趣旨、計算書類等の意義、計算処理の適正確保の重要性、そういったことを十分に周知徹底させるように努めることによりまして、そういった不適当な処理が未然に防止されるということに努めてまいりたいというふうに考えております。
○千葉景子君 そこで、商法四百九十八条の十九号で過料というのが科されることになっておりますけれども、これは実際にはほとんど実行されていないのではないかと、ある意味では死文化されているということも言えるのではないかというふうに思います。
 そういう意味では、やはりこういうものを生かしていくことも必要なのではないか。過料ですからなかなかこれで十分な担保になるかどうかあれですけれども、あるいはそれ以外にも何らかの方策というものが考えられる必要もあるのではないかというふうにも思うわけです。
 今おっしゃったように、やはり計算書類に対する信頼性を高めるために御指導いただくと同時に、こういう過料とかそういう対策の面では何か考えておられるようなことがございますでしょうか。
○政府委員(濱崎恭生君) 過料の制度の実効性確保という御質問でございますが、大変難しい問題でございます。
 御案内のとおり、商業登記の解怠につきましては、商業登記規則で登記官から裁判所に通知するという制度がございまして、相当の成果を上げているわけでございますが、会社の計算書類の中身につきましてそういう制度をとるということもなかなか難しい問題でございますし、その計算処理規定に違反しているかどうかということを外部から容易に判断することができるというような問題ではございません。そういった問題について、公務員がすべての会社について常時目を光らせて、会社の活動に深く立ち入って監視するというようなことが適当であるかどうかということは大変大きな問題でございます。
 そういうことでございますが、株主あるいは会社債権者等の利害関係人から裁判所に対する通報があれば、裁判所がそれに対応することができるということでございますし、何よりもまず、その会社の計算の適正ということは、先ほど申しましたような制度を充実強化し、かつその適正な運用のための努力をするということが先決であろうというふうに思っております。
 そういったものとこの過料の制裁規定によるいわば抑止効果というものと相まって、違反行為の防止ということに努めてまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
○千葉景子君 そういうことから考えますと、やはり株主の保護あるいは債権者の保護、会社制度でそこが非常に重要なポイントであろうというふうに思います。
 そういう趣旨も踏まえて、最低資本金制度、これがアップをされました。形だけ会社形態をとつているとか、ほとんどペーパーカンパニーであるというようなことを避けていくということを考えますと、この最低資本金制度の改正というのは私もそれなりの意味というのは理解をするところでございます。
 しかし、三月末時点で、いろいろな情報をお聞きいたしますと、この最低資本金を達成できない会社というのがやはりかなり存在しているということも聞いております。決して単なる形の上だけではなくて、地道な仕事をしながら、しかしやはりなかなか資金をふやすというのは難しい、こういう会社なども当然あるのではないかというふうに思います。
 これは四月一日付の官報で、五月三十一日まで増資かあるいは組織変更をしませんと、これは解散とみなすということになってしまうわけですね。こうなりますと、やはりこれまでの事業継続ができませんし、あるいは非常に周辺の取引関係にも影響が出てこようかというふうに思います。そういう意味では、この趣旨自体は私も十分に理解をいたしますけれども、この対応、アフターケアというんでしょうか、そこがやはり必要であろうというふうに思います。
 これは従前から何回かお尋ねをさせていただいたところでもございますけれども、現時点で、実情と、そしてこれから限られた日数になりますけれども、その間の対応についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(濱崎恭生君) 御指摘のとおり、平成三年四月から施行されました商法改正に基づきます最低資本金制度の既存会社に対する適用猶予期間が本年三月末をもって満了いたしまして、四月一日付で御指摘の大臣告示をさせていただいたところでございます。
 この機会に、三月末現在で未達成会社がどのくらいかということを御紹介させていただきたいと思いますが、これは阪神・淡路大震災に伴いまして適用猶予期間を一年延長いたしました大阪府、兵庫県に本店を有する会社を除きまして、株式会社、有限会社、それぞれ、約百十七万社、約百六十九万社、合計約二百八十六万社でございますが、このうち未達成会社の合計数合わせて約四十八万社、会社全体の一六・九%ということになっております。株式、有限会社別に見ますと、株式会社では約一一・三%、有限会社では約二〇・七%が未達成会社ということになっております。
 改正法施行当時の五年前には、全会社の六割を超える会社が未達成と推測されましたので、それから考えますと、大変多くの会社が増資等の努力をしていただいたということであろうと思います。
 この残りの数自体、数としては相当数に上るように見えますが、その大多数は既に営業を廃止しながら解散の登記をしていないいわゆる休眠会社であろうと推測いたしております。推測の材料といたしましては、昭和四十九年の商法改正によりまして、商法四百六条ノ三という規定による株式会社の休眠整理の規定が設けられましたが、その実績がどうであったかということを御紹介させていただきますと、昭和四十九年に初めて行ったその整理におきまして株式会社の約二四・三%が解散処理になりました。今回有限会社について残っております二〇・七%という数字と対比をいたしますと、このうちの大多数は実質休眠会社であろ
うと推測されるわけです。
 さらに、株式会社については、その後五年ごとに整理を行っておりますが、その都度、約七ないし八%の会社が解散処理ということになっております。前回のこの処理をいたしましたのが平成元年でございまして、現在まで七年たっておりますので、過去の五年間の実績をこの七年という期間に置きかえてみますと、およそ一〇%前後が休眠会社ではないだろうかという一応の推定ができるわけでございまして、株式会社についての未達成会社一一・三%と申しましたが、その大部分は休眠会社であろうというふうに推測されるわけでございます。
 そういうことでございますので、現実に営業をしておられる会社で未達成のものの割合は極めて低いものであるというふうに推測しておりますが、しかし、そういう会社がなおあるということは事実でございます。そのような会社につきましても、今御指摘のように、本月末までは増資等の登記の申請を受理することといたしております。
 法務省といたしましては、残された期間内にこれらの会社のできるだけ多くが所要の手続をとっていただけるように、各種の中小企業団体等にも広報や支援活動をお願いいたしておりますとともに、全国の登記所においても登記申請に関する相談や事務の円滑な処理に努めてまいりたいと考えております。
 またさらに、制度といたしましては、一たん解散となりましても、なおその後三年間は継続の手続をとって会社の復活をすることができるという手続が用意されております。そういった手続の処理も含めまして、できるだけトラブルのない適切な処理ができるように、今後とも努めていきたいというふうに考えております。
○千葉景子君 ありがとうございました。
 最後になりますけれども、先ほどから裁判所におきましては、やはり人的な充実、こういうものも大きな課題となっているということはお聞きいたしました。そんな中で、速記官なども十分な確保というものが課題となっているということもお聞きをしております。
 そういう意味では、やはり司法が充実をするということは、その国の文化水準をも意味いたしますし、それから国民の権利義務、こういうもののアップにもつながってくるということにもなろうかというふうに思います。
 そういう意味では、とかく予算の場合に、裁判所あるいは法務省などは割と遠慮深いといいましょうか、そういう面もあるのではないかというふうに思います。むしろ誇りを持って、積極的にやっぱりこれからの司法の発展充実ということを目指して大いに御主張をいただきたいというふうに思いますし、そういう気構えといいますか、そういうものを持っていただければ、私たちもできるだけそれをバックアップしていきたいというふうに思っておりますけれども、そういう点について、最後ですので大臣に御所見をお伺いして終わりたいというふうに思います。
○国務大臣(長尾立子君) 裁判所それから法務関係、検察庁等の充実、大変大きな課題であって、それは一つの、一国の文化水準、一国の司法の権威を保っていくためには絶対必要なことであると、そのために尽力をすべきであるという御意見、大変ありがたく承らせていただきました。私どももその線に沿って努力をさせていただきます。
○千葉景子君 終わります。
○橋本敦君 予算に関連をしてまず最初に伺っておきたいと思うのですが、法律扶助予算の問題であります。
 我が国の法律扶助予算が諸外国に比して余りにも低いということは、衆参の法務委員会でたびたび論議をされてきた問題であります。本年度の予算を見ますと昨年より一一・九%増となっておりますが、わずか二億八千三百万円、これは法律扶助協会の年間予算のおよそ一割を占めるにすぎないという現状であります。これの抜本的な改善ということが常に言われておるわけであります。今日、法務省、日弁連、法律扶助協会の三者の間で法律扶助制度研究会が持たれ検討されておりますが、この研究会の趣旨、目的からいって、公的援助の抜本的拡充を目指す具体案がここで審議されるのかどうか、これが一つは大事な問題だと思うんですが、その点はどうなのかということであります。
 それと同時に、この抜本的増額ということのためには、思い切って法務省としては年次計画を立てるなど計画的に予算増を図っていく、そういった仕組みが必要ではないかというように考えるわけであります。
 今日、法曹人口の増大ということが多く言われておりますが、法曹人口だけを幾らふやしても、国民的な司法の基盤というのが整備されませんと、国民の権利を守るというそういったことが貫一かれないわけでありますから、そういう意味でも、国民の権利を守る立場を貫く上でも、法律扶助予算の増大というのは私はいよいよ重大になってきていると思います。
 以上の点について当局の御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(大藤敏君) 今御指摘のとおり、法務省におきましては、財団法人法律扶助協会が行っております法律扶助事業につきましては、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障する大変重要な制度であるという観点に基づきまして、毎年国庫補助金を交付いたしまして制度の充実を図っているところでございます。
 今御指摘の諸外国との比較につきましては、その扶助制度の背景となる社会の実態でございますとかあるいは司法制度、さらには法律扶助制度の運用実態等がそれぞれ異なっているということがございまして、これらを踏まえた総合的な検討とその評価がどうしても必要であるということでございまして、こうした観点から法務省は現在、関係機関の参加を得まして法律扶助制度研究会を行っておりまして、ここの研究会におきまして、我が国の司法制度に適合した望ましい法律扶助制度について鋭意検討を行っているところでございます。
 なお、法律扶助事業の重要性にかんがみまして、今後ともこの制度の充実のために努力をしてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 具体的な展望はいかがですか。
○政府委員(大藤敏君) 今、第一読会が研究会で終了したところでございまして、今後さらに第二読会、第三読会に入っていく予定になっておりまして、その内容の重要性にかんがみまして、慎重かつしかし適正にできるだけ早く実現をしたいというふうに考えております。
○橋本敦君 法務省として、法律扶助予算の抜本的な増額自体が今後とも必要であるというお考えは、これは間違いありませんか。
○政府委員(大藤敏君) これは財政当局の御理解をいただきながら、その制度の必要性を御説明申し上げて、できるだけ可能な範囲内で増額を図っていただきたいと、このように考えております。
○橋本敦君 一段の努力をこの際はお願いすることにして、この質問は終わっておきたいと思います。
 ほかのテーマに入ります。
 沖縄の少女暴行事件という痛ましい事件が起こりまして、我が国の捜査権及び裁判権という問題が、日米安保条約下の地位協定の見直しにも関連をして重大な問題になってまいりました。
 それに関連して思い起こすのが、一九五七年の実はジラード事件の問題なのでございます。大変古い事件のようですが、今日的な重大な問題を含んでおりますので、私はこの問題について質問をしたいと思います。
 ジラード事件というのは、言うまでもありませんが、米陸軍第一騎兵師団第八連隊所属であったウィリアム・S・ジラードが、一九五七年の一月三十日に、群馬県の相馬ケ原演習場におきまして、薬きょうを拾いに来た坂井なかさんを狙撃をして殺害したという、実に残忍な事件であります。
 この事件が起こりますと、米陸軍当局は二月七日、いち早く、公務中であるという証明書を発行いたしまして、裁判権はアメリカにあるということを当時の行政協定に基づいて主張する状況になります。しかし、これに対しては、日本国内から、こんなことが公務中であるわけはないという大きな世論が沸きまして、大変な日米間の重大な問題になったわけでありますが、日米合同委員会等の交渉経過を経まして、五月十六日に、この問題については、日本側が起訴をするという、裁判権を持つという決着になったわけであります。
 それに基づいて日本側は、五月十六日に、前橋地検は傷害致死罪で起訴をいたしました。これが問題であります。なぜ殺人罪で起訴しなかったのか。改めてこの問題で大きな国民の批判が沸きました。その事件は、十一月十九日に判決が言い渡されまして、懲役三年、執行猶予四年、執行猶予つきの判決が下されました。
 その問題について群馬県民大会まで開かれて、検察庁は控訴すべきであるという意見が沸騰したのでありますが、最高検は、控訴しない、そういった決定を十二月三日に行いまして、十二月六日にはジラードは妻とともに日本を離れて帰国をしてしまう。こういった状況で、事実上野放しになったケースであります。
 そこで、この問題で、五月十六日になぜ検察庁は殺人罪で起訴しなかったのか、傷害致死罪の起訴にとどまったのかという、まずこの問題があります。この点については、アメリカ側から、日本に裁判権を認めるかわりに、殺人罪の起訴ではなくて傷害致死罪の起訴にとどめよという強い要請があったのではないかという重大な疑いを私は持っておりますが、どうだったんですか。
○説明員(梅本和義君) 私どもも、アメリカの方で外交文書がいろいろと公開をされておりまして、その中で、ただいま委員が御指摘になったようなことを示唆するような箇所があるということは承知しておりますが、アメリカの文書につきまして政府としてコメントをする立場にはございません。
 御指摘の点につきましては、当時の、昭和三十二年七月八日の参議院の内閣委員会においても同じような趣旨の御質問がございまして、その際に政府の説明員の方からは、「事、裁判の内容あるいは結果に属する事柄でございますので、全然さようなことについては話をいたしておりません。」、「裁判の内容自体については、何ら今まで申し入れを受けたことは一度もございません。」というふうにお答えをされておるということで、その当時の答弁がそうであるということで、私ども今もそのように考えております。
○橋本敦君 今の答弁は何月何日でしたか、何年の。もう一遍ちょっと言ってください。
○説明員(梅本和義君) 昭和三十二年の七月八日でございます。
○橋本敦君 三十二年、三十二年というと五七年ですね。それではだめなんですよ。
 あなたはアメリカの文書、それなりに私が指摘したような問題があるのを承知しているとおっしゃいましたが、今答弁あったときには、アメリカのそういった解禁された秘密公文書というのは、これは出ていないはずですよ。そうでしょう。
 この本は、これはアメリカの国務省が発行したアメリカの対外関係、日本についての本ですが、これは公にされておりますし、日本の図書館にもありますよね。あなたがアメリカのそれなりの文書を見たとおっしゃるのは、この本に登載されている文書のことですね。まず、その点。
○説明員(梅本和義君) 今、先生がお手元に持っておられる本は、私今ここで見ておるわけでございませんが、アメリカの国務省から公開文書として公表された昭和三十二年当時の、例えばここの大使館から国務省あての電報であるとか、あるいはそういう文書でございます。
○橋本敦君 だから、こういう文書がはっきりしていないときの国会答弁では真相は明らかにならないわけです。
 この国務省の公開された文書の二百八十三ページに、四月二十六日付で、陸軍省からレムニッツ極東米軍司令官あてのDA921933という番号が付された電報が出ている。これはこの本の二百八十三ページにありますね。これによりますと、明白にここに書いてあるのは、レムニッツ極東米軍司令官あての電報で、アメリカが第一次裁判権を持ち、日本との問題を解決しようとする立場をとり続けることが望ましいと、こうしながらも、日本が可能な限り軽微な罪で起訴し、法務省と一致することが明らかに我々の利益になると。明らかに我々の利益になると、こう記した後で、貴官は、つまりこの電報を受け取った極東軍司令官は、この点について日本の同意が取りつけられることができるのではないか、それができるかもしれないよと、こういった指示を出しているわけですね。
 この文書は、私が指摘した文書は、内容は御存じですか。
○説明員(梅本和義君) 承知しております。
○橋本敦君 そして、この電報が四月二十六日に出された後、五月一日、今度はハーター国務次官補から駐日米大使館、当時はマッカーサー二世でありますが、そのマッカーサー二世に対して引き続き電報が発せられました。
 この電報によりますと、この問題について、国務省もまたこのDA921933の指令なる文書をこれはもう既に受領して見ておる、国務省もこれを踏まえて、そしてその上で国務省としては、これに従って処置をするという方向について大方の了解がある、そういった考え方を示す電報まで出されているわけであります。
 そこで、これに基づいて二百九十二ページを見ますと、駐日大使館から国務省あての電報が出されて、具体的に次のように記載されています。これは非常に重大であります。
 DA921933の今の極東米軍司令官あての指示に基づいて、裁判権問題で明確な合意を得るための米側代表と日本の法務省当局者との非公式、秘密の会談の結果として、日米合同委員会は本日、裁判権分科委員会刑事部会から受け取った次の勧告を承認した。こう言ってその勧告内容がここに記載されております。
 そこにははっきりと、ジラードの犯罪容疑が公務中に起きたかどうかという問題にかかわりなく、米軍当局は行政協定の条項に基づいて裁判を行わないと決定したと日本当局に通告するということで、米側が正式に裁判権を日本側に譲るということをここではっきりと米側と日本の法務省当局との非公式、秘密会談の結果として確認したというのであります。
 そして重大なのは、パラグラフ2、二行半のこの部分のソーステキストはディクラスファイド、解禁しないよ、こう言ってここは伏せてある。まさにこの伏せたところが秘密の協定だと思うんですが、こういう文書があるわけですね。そして、五月十六日のこの電報が来た日に検察庁は殺人罪でなく傷害致死罪で起訴をする、こういう決定になるのであります。だからしたがって、ここに書いてあるように、秘密の交渉の結果として日本側が傷害致死罪で起訴するという、そういう経緯にあったということはこのことからも明白ではありませんか。
 そしてさらに、それだけではありません。二百九十三ページ、五月二十日のロバートソン極東担当国務次官補からダレス国務長官あてのメモランダム草案というのがあります。これによりますと、さらに具体的に中身がわかってきます。どう言っているかといいますと、ジラード容疑者をできるだけ早く裁判に付すことが望ましいこと、裁判権問題が行き詰まっていることを考慮して、妥協が成立し、アメリカはジラードの裁判を行わないことを決定した。これはさきに述べたとおりですね。この妥協は、ジラードの犯罪容疑が公務中に起きたというアメリカ政府の立場を損なうものではない。つまりアメリカは裁判権はまだ持つんだよという立場を維持しながら、妥協の一部として秘密取り決めが結ばれたというんです。はっき
りこう書いているんです、この文書でね。
 As part of this compromise a confidentiallarrangement was concluded 妥協の一部として秘密取り決めがはっきり結ばれた。そして、日本側はジラードを日本の刑法二百五条に定める二年から十五年の傷害致死罪より重い罪では起訴しないことに同意したとはっきり書いているじゃないですか。重い罪では起訴しないことに同意したと。これは日本の法律のもとでジラードを起訴するものとしては最も軽い罪である。
 日本側はまた、次が大事ですよ、日本の裁判所が事件の状況を考慮して、そしてなし得る限り刑を軽くすることを行政当局を通じて勧告することに同意した。裁判所にまで最低限の刑にするように勧告するということを日本側は同意したと、こう言うんですね。はっきり書いているじゃありませんか、この文書では。Japan also agreed torecommend, though japanese procurationallchannels, 行政当局のチャンネルを通じて日本が、裁判所ができる限り可能な罪で判決をする、そういったことをやるということを勧告することを同意した。こういうことまで秘密協定でやられていたということは、これは日本の裁判権の独立の問題、主権の侵害もひどいものじゃありませんか。
 こういうことがはっきりとこの国務省の公開文書、五月二十日付でダレス長官あてのメモランダム草案で記されている、この事実は、これはお認めになりますね。
○説明員(梅本和義君) ただいま御指摘のありましたような文書が米側によって公表されているということは、私どもも承知しております。
○橋本敦君 ですから、アメリカの国務省がディクラスファイドした、解禁文書としてこれを公刊していることははっきりしている。この事実について知らないとあなた言えますか、ここまではっきり書いていることを。
 明らかに日米の裁判権をめぐる妥協の一部として秘密取り決めが結ばれたというんですよ。コンフィデンシャル・アレンジメントがなされたというんですよ。調べるべきじゃありませんか、知らないで済みませんよ。
 そして、このことは、単に日米合同委員会の当局者だけの話で終わっていないんですよ。このアメリカの文書をずっとひもといていくと、この問題は大統領にまで行っているんですよ、アメリカの大統領まで。五月二十八日の文書を見てください。ホワイトハウスでの会議のメモランダムがここにあります。
 この会議に出席しているのはダレス国務長官それからウィルソン国防長官、最高首脳が出席している。そして、ここで大統領に報告するためのメモランダムをつくる討論がなされているわけなんです。この中でも、はっきり言っていることはどういうことかというと、これはまさに、ダレス、ウィルソン両長官は、いろいろ議論した結果、このコミットメント、つまり日本側に裁判をゆだねるという、裁判権を譲渡するというそのコミットメントについて、両長官がこの立場を進めることに同意して、そしてこの問題については共同して二人の長官は責任を負うことにすると。 Secretary dulles and Secretary Wilson agreed to joinin the responsibility for this action, 二人はそろってこれに責任を持つとまではっきり書いている。そして、President approved these arrangements.そして大統領はこれをアプルーブした、承認したということが最後に書いてあるじゃありませんか。
 だから、大統領までアメリカは行って、裁判権を日本に譲るかわりにできるだけ軽い罪で起訴し、できるだけ軽い罪で判決するよう裁判所に勧告するということを含めたコンフィデンシャル・アレンジメント、秘密協定を承認しているわけなんです。大問題ですよ、これは。
 こういう重大な事実について、知らないということで済まされるわけはない。日本の主権にかかわる重要問題なんです。外務省はこの事実について徹底的に調べるべきじゃありませんか。調べる気もないんですか、どうなんですか。
○説明員(梅本和義君) 先ほど私が御答弁させていただきました答弁では、実はまさに当時におきましても、これは、質問は、日本側で裁判をすれば厳罰にしないという大体の了解がついておるんではないかと、こういう質問でございまして、その質問に対して当時これは政府の説明員の方から、そのような話はしておらないということを答弁しているとおりでございます。
○橋本敦君 その当時の答弁がだめだということを言っているんだよ。その後これがはっきりしてきたんだから、調べなきゃだめだよ。日本の主権と日本の司法にかかわる重大問題ですよ。そんなものを、この文書があることは知ってます、読みました、私が指摘したとおりに書いてあることはそのとおりです、そう言って事実を調べもしないで置いておいてよろしいですか。そんなことだったら、日本の安保体制下での裁判権の独立、主権の維持、責任を持ってやれないことになりますよ。私はそういうことは絶対に許されないと思います。
 それだけではありません。三百二十三ページ、五月二十五日付、これは国務省の大統領に対する今言ったメモランダムを出すその草案ですけれども、ここにもはっきりと、米側代表は米国が裁判を行わないと決定したことを日本側に伝え、そのかわりに日本側はジラードを可能な限り軽微な罪で起訴し、この状況のもとで最小限の刑にすることを日本の裁判所に勧告するという秘密の合意に達した、こうまで書いているんですよ。英語で言うなら、agreed, on a confidential basis, 秘密裏にこのアグリーメントがなされた、こう書いているんですよ。
 これはアメリカが公開した文書ですから、三十年たったら秘密を公開しますけれども、その文書ではっきり出ているんですから。アメリカがここまで、大統領にまで報告したこのようなコンフィデンシャル・アレンジメント、秘密協定があったという事実がないと言えますか。外務省はないと思っているんですか、どうですか。ないと言えますか。
 じゃ、アメリカはこの文書全部うそを書いていると、こう言うんですか。アメリカのこの文書の序文を読みましたか。アメリカのもろもろの関係する秘密公開された文書を収録して適正なアメリカの外交関係を資料的に整備した本だと、ここに書いているでしょう。アメリカ国務省が責任を一持って発行しているわけだ。そういう本の中に書いてあるこういう重大な問題が、事実無根でアメリカが勝手に提造して書いた、大統領まで承認している、そんなばかなことはないですよ。
 こういう日本の裁判権の重大な問題について、これは調査をするのが当たり前じゃありませんか。そういう外務省の姿勢では余りにも対米屈辱的だ。日米安保条約というのはそういうものでいいんですか。
 日本の裁判権を守る、司法の公正を守るという立場から、アメリカの公開された文書でここまではっきり秘密協定があるという指摘があるなら、これは法務省としても無関心ではおれないはずですよ。さっき私が指摘したように、日本の法務省高官との協議もあったというのがこの中に書いてあるんですから、知らないということで済まされないですよ。この問題について改めて重大な関心を持って検討をする必要があると、こう思いますが、時間が来ましたから法務大臣の御所見を伺って終わりますけれども、どうなんでしょうか。
○政府委員(原田明夫君) お尋ねの点につきまして、ただいま委員からるる当時の米側の資料に基づきまして御疑念が呈されたわけでございます。
 私どもといたしましては、昭和三十二年に発生いたしました御指摘のジラード事件につきましては、当時検察当局におきましては、与えられた条件の中で、法と証拠に基づいて適正に捜査処理したものと承知しているわけでございまして、ただいま御疑念の件につきましては、外務省から先ほどお答えがございましたように、日本側のいわば公的な立場としては当時の国会でお答えいたしたとおりということになっております。
 その点につきまして、私どもといたしましても、ただいまの委員の御指摘を踏まえまして、なお法務省といたしまして検討いたしたいと思います。
○橋本敦君 時間がありませんから終わりますが、大臣、私が指摘した問題は重大な問題ですので、大臣としてもそれなりに御検討をしていただくようにお願いして、質問を終わります。
○本岡昭次君 私は、与えられた時間の中で、人権擁護行政の問題と国連人権委員会の問題についてお伺いをいたします。
 まず初めに、人権擁護行政についてであります。長尾法務大臣は所信表明の中で、人権尊重の思想の普及高揚に努めるとともに、人権侵犯事件の調査処理を通じて被害者の救済にも努めますと述べられておりました。
 しかし、本年度のこの法務省の一般会計予算総額五千六百六十八億八千万円のうち、人権擁護制度の充実に要する経費は十一億五千七百万円で、予算総額のわずか〇・二%です。金ですべて推しはかるわけじゃありませんが、人権擁護行政を法務行政の中でどのように位置づけているのか、お伺いいたします。
○国務大臣(長尾立子君) 人権擁護という問題は憲法の大きな柱であると考えております。法務省は人権擁護を所管いたしております。この人権擁護の問題につきまして、所信表明でも申し上げましたとおり、私として最大限の努力を払いたい、このように考えているわけでございます。
○本岡昭次君 いや、大臣が最大限の努力をすると言ったって、現場ではほとんどこの人権擁護問題について法務省の人権擁護行政というものが力を持っていない、ある意味では国民は信頼していないという状況を認識しにゃいけませんよ、あなたは。そして、今あなたは憲法の重要な柱とおっしゃいました。それで、また民主政治の基本でありますと述べておられますね。
 しかし、人権擁護行政を直接担当する定員は、職員定数はどうなっていますか。法務省の人権擁護局の定員はわずか十五名なんです。本省全体の定員八百十名の一・九%です。これで日本の人権の擁護をするというのですから恐れ入りますよ。また、この全国の法務局で人権擁護事務を担当している職員数は二百八人。この人たちがいろんなことを地域社会で人権擁護の担当をしておるんです。この人数も、法務局全職員数一万二千五百五十四人のうちわずか一・七%です。
 このような微々たる予算とわずかの職員で国民の人権擁護や家庭、学校、職場などにおける人権尊重の思想の啓発にどのようにして取り組むんですか。人権侵害が起こって、そしてそのことについて調査を依頼して、一日も早い処理をと望んでも一年二年と引き延ばされて、全く解決のめどがつかないというようなことすら現にあるわけであります。
 私は、大幅な予算の増額と人権擁護に当たる職員の増員を図っていくということを法務大臣はやらなければいけないと思います。いかがでしょうか。
○国務大臣(長尾立子君) 法務省の人権擁護の仕事の大きな柱は、やはり国民の皆様の間に広く人権思想の普及に努める、普及徹底ということが大きな柱であると思っております。
 それから、御指摘のような、具体的には私どもの職員によります人権に関する相談、人権侵犯事件の調査処理、こういったことも重要な柱になってくると思うわけでございますが、こういった人権の仕事のためには、私は、国民の皆様が、今先生から御指摘になられておりますような人権擁護ということが我が国の憲法の重要な柱であるということについての認識を深めていただく、これが大変に重要であると思いますし、そのためには法務省また法務省の出先機関といった公務員の立場だけではなくて、民間のボランティアの皆様、いろいろな形での御協力をいただいております方々の活動というものが重要な役割を持ってくるものと思っているわけでございます。
 先生御指摘のように、このためには確かに予算の上で相当な手当てをしていきたいという気持ちは強いわけでございますが、現在の国家の情勢の中で、国の財政の状況の中では、特に公務員の人員をふやしていくということについては大きな制約があるということはもう先生十分御承知のことであるかと思っております。
 私どもといたしましては、こういった民間の方々の御努力を切にお願いしていく、人権擁護委員の活動の活性化を促進させていただく、こういうことも大きな柱として考えさせていただきたいと思っております。もちろん、所要な予算、職員の確保、こういうことを人権擁護行政の充実のために今後とも一層努力をさせていただきたいと思っております。
○本岡昭次君 大変不満であります。だけれども、その今の大臣の答弁に私がいろいろ具体的提案をしてそれにまた答弁をいただくということをやっておりますと、肝心の国連人権委員会の問題の質疑ができませんので、今の御答弁には不満であるということを申し上げ、改めて時間を設けていただいて議論をさせていただきます。
 それでは、国連人権委員会の問題についてお伺いします。
 三月十八日から第五十二回国連人権委員会が開かれました。私も、一週間国会を休ませていただいて、これに参加してきました。そして、そこでは、旧日本軍が戦争中に行った慰安婦問題これに対する審議が行われました。この慰安婦問題は、人権委員会で軍事的性奴隷というふうに位置づけられて、そして日本の法的責任が厳しくそこで求められるということになり、クマラスワミ女史の報告も決議として採択されるようになりました。その採択は四月十九日に行われて、この外務省の仮訳によりますと、この女性に対する暴力、その原因と結果に関する特別報告者の作業を歓迎し、報告をテークノートするということで、無投票でコンセンサス採択されたということになっております。
 この無投票でコンセンサス採択と言っておりますが、このクマラスワミ報告は全会一致で採択されたと。日本も反対しなかったということは、賛成したというふうに理解してよろしいですか。
○説明員(川田司君) お答えいたします。
 先生ただいまの御指摘の決議は、いわゆる女性に対する暴力撤廃に関する決議であると考えておりますけれども、この決議は家庭内暴力など今日の社会においていわゆる緊急の課題となっている女性に対する暴力の撤廃に関するものでございまして、いわゆる従軍慰安婦問題についての決議ではございません。このような女性に対する暴力の問題、我が国も大変重要な問題と考えておりまして、この決議に賛成いたした次第です、といいますか、コンセンサス採択に参加したというのが事実でございます。
○本岡昭次君 それであるならば、なぜ事前に、女性に対する暴力に関する特別報告者により提出された報告の追加文書T、アドTについて日本政府の見解なるものをわざわざ関係諸国に配付して、この従軍慰安婦問題について日本政府の立場を説明して、それが拒否されるようになぜ各国に求めたんですか。この文書の存在をあなたは認めますか。なぜこういうものを事前にそれじゃ配らなければならなかったんですか。それで、この文書認めますか。
○説明員(川田司君) 先生御指摘の点でございますけれども、先生の最初の御質問にありましたように、クマラスワミ報告者の報告書というのが出ているわけでございます。
 報告書は、報告書本体というのがございまして、これは女性に対する暴力に関する報告書でございます。それと附属書が二つついておりまして、附属書の第一の附属文書といいますのがこのいわゆる従軍慰安婦問題を扱った報告書でございます。それから、第二の附属文書と申しますのがいわゆる家庭内暴力の法的側面を扱った文書でございます。
 先ほど私が申し上げました女性に対する暴力撤廃に関する決議におきましては、この報告書全体
をテークノートするという形で、いわば報告書、従軍慰安婦関係も含めた報告書全体が言及されているという形でございます。ただ、これはあくまでもテークノートということでございまして、一般的には記録にとどめるとか記録するとかあるいは留意するというふうに訳されている言葉でございます。
○本岡昭次君 私の質問に答えてください。わざわざ日本政府は、この女性の暴力に関する議論の中に、附属書の一ですね、アドーの従軍慰安婦問題についてクマラスワミさんが述べている事柄に対して徹底的に反対していますね。大変な言葉でもって反対しておりますね。なぜここまでやらなければならなかったんですか。女性に対する暴力全般ならもっと素直に臨めばいいじゃないですか。
 この文書の存在を認めますね、幻の文書、国連で配付直前に日本政府が撤回をして、そして別の文書を出し直したといういわくつきの文書。この存在を認めますね、まず。
○説明員(川田司君) 先生が今お持ちの文書がどの文書か定かでありませんけれども、一つは、我が国政府として我が国の立場を説明した文書を国連文書として人権委員会の場で配付いたしました。それから、それとは別に、各国ベースに対して我が国の立場をきちんと述べるという意味で二国間ベースで使った文書というのもございます。
○本岡昭次君 それじゃ、この文書の存在認めますね。認めますって言いなさい。
○説明員(川田司君) ちょっとよく見えないんですけれども、その文書が最初二国間ベースで使った文書でありますなら、その文書は確かに存在いたします。先生もお持ちですから。
○本岡昭次君 いや、あなたに見せると、だれからどこから入手したかということを調べて、またその出した人をあなた方は厳しい目に遭わせるからやめます。
 そこで、この文書を私は日本語に訳された文を読んだんですが、これは大変なんですよ。このクマラスワミ報告を拒否せよ拒否せよというのが三回も書いてあって、特に私は唖然としたのは、「実際には特別報告者の議論は恣意的で根拠のない国際法の「解釈」にもとずく政治的発言である。」と書いてある。「国際社会がこのような議論を受け入れるならば、国際社会における法の支配にたいする重大な侵害となるであろう。」、どういうことですか。ここまで書かにゃいけなかったんですか。そして、結論として、「そこで人権委員会が、事実の不正確な記述と国際法の間違った解釈に基づく「法的」議論を提起しているこの追加文書を拒否し、また「慰安婦」問題と女性にたいする暴力一般の問題について日本がとった行動を適切に認めることを繰り返し強く希望する。」という文書を事前に配付したんですよ。そして、国連に配付した文書は全然そういうところがない。全部削除されてしまって、国民基金でやりますからどうぞ日本を認めてくださいというような文書になってくるわけなんですね。
 それで、そうすると日本政府は、ここに書いてあるように、クマラスワミ女史が一応調査をしてそして公式に人権委員会に出した、附属文書であっても公式の文書ですね、その文書を政治的発言というふうに決めつけて、そしてこれを受け入れたら「国際社会における法の支配にたいする重大な侵害となるであろう。」と言ったんですよ。それで、これが留意であろうと何であろうと、テークノートという言葉の解釈は私もいろいろ調べましたから後でやりますけれども、一応それは記録にするにしろ留意するにしろどんな言葉にしろ、消すことのできないものとして国連の中に残ったわけでしょう。そのことに対して日本が今言いましたように議論を展開したという、このことは消せないでしょう、これ。何カ国にもお渡しになったんですよ、二国間というけれども、こんな文書を。これ責任は重大ですよ。私の言っていることに間違いありますか。
○説明員(川田司君) 日本政府の立場でございますけれども、二月六日に官房長官が明らかにしておりますが、いわゆる従軍慰安婦問題に関するクマラスワミ特別報告者の報告書第一附属文書の法的に受け入れられる余地はないという考えに基づきまして、そのような立場で人権委員会に臨んだわけでございます。先生お持ちの資料につきましても、基本的にはそういった考え方に立って作成した文書でございます。
○本岡昭次君 そうすると、国連は国際社会における法の支配に対する重大な侵害になるものを採択したんですか、みんなで。だから、日本政府はその直前までアドI、附属文書の一、従軍慰安婦問題が書かれてあることの削除を徹底して三日間求めてあなたも頑張ったんでしょうが、抵抗したんでしょう。だけれども、国際社会の中に受け入れられることなく、アドIもアドUも一つの文書としてクマラスワミ報告は、コンセンサス採択にしろ何にしろそれは支持されたことになったわけじゃないですか。
 そうすると、国連は、何ですか、人権委員会はこのクマラスワミさんの政治的発言を受け入れて、そして法の支配に対する重大な侵害とまで日本が言い切ったものを受け入れたという、この関係はどうなるんですか。日本はこれからどうするんですか、これ。国連の人権委員会から脱退するんですか。
○説明員(川田司君) お答えいたします。
 クマラスワミのいわゆる第一附属文書が採択されたということでございますけれども、それは先ほどから申し上げますとおり、この報告書はテークノートされたにすぎないわけでございます。
 私どもの考えとしましては、このテークノートといいますのは、記録にとどめるとか記録するとか留意するとかいうことでございまして、いわば評価を含まない中立的な表現でございます。したがって、採択されたというのは必ずしも適当ではないと思います。
○本岡昭次君 それではお聞きしますが、過去の日本が国際社会の中でいろいろな条約を結び、また共同宣言をし、共同声明をなした中にこのテークノートというのはしばしば使われているでしょう。これを日本語に外務省はどう訳してきましたか、今まで。テークノートというのをどう訳してきましたか、留意と訳してきましたか。
○説明員(川田司君) 先ほど来述べておりますけれども、一般的には記録にとどめる、記録する、留意するといった訳語が使われております。
○本岡昭次君 そんなことありませんよ。テークノートという言葉を訳しているのを見ると、この一つだけ例を取り上げますと、一九七四年十二月九日の国連総会決議で盛んにこのテークノートという言葉が使われているんです。これは全部、注目する、注目する、注目して何々をする、その報告を注目してどうする、その決議を注目してどうするという、そういう言葉なんですよ、注目する。
 それで、その留意というふうにあなた方が無理やり訳すけれども、しかし、今まで留意と訳したのは皆、マインドフルザットとか、ハビングインマインドとかいう言葉を皆留意と訳していますよ。見てみなさいよ、私、これずっと調べたんです。これは見せてもいいですよ、秘密じゃないからね。
 だから、あなた方が好き勝手にいろんな、時には、評価を伴わない単なる言葉ですと言い、あるところでは注目しとして、注目するという言葉はこれはどうですか、無視できない言葉でしょう、注目するという。そうでしょう。留意だって、字引引いてみなさいよ。心にとめ置くとかいろんな、あなた、それなりの意味を持っているじゃないですか。
 だからあなたは、外務省は、テークノートするだから大して意味がないんだという態度を、これからもこの人権委員会を中心とする国際社会の中でこの附属文書を見ていかれるのですか。それで、その注目すると今までずっと訳してきた、今回はこれは注目するとは訳さないんですか、テークノート。
○説明員(川田司君) 先生御指摘の総会決議、注
目すると訳されたのは、外務省でそう訳したのかどうかわかりませんけれども、一般にはテークノート、記録する。確かに、注目するという訳もあるかもしれません。ただ、ここでテークノートするという本来の意味はどういう意味かといいますと、通常、こういった特別報告者の報告書というのは歓迎されるとかいう言葉を使われるのが通常であるわけですけれども、何らかの問題があるといったような場合に、よくテークノートという言葉を使うわけでございます。
 したがいまして、今回の決議につきましても、そういった趣旨でテークノートという言葉が使われている。我々としてはこれにつきましては、評価を含んでいない極めて中立的な言葉であるというふうに理解しているわけでございます。
○本岡昭次君 それは国際社会の中で通用するんですか、今のあなたの解釈が。
○説明員(川田司君) 実はこの決議案、私が交渉に参加したんですけれども、交渉参加当事国の間でのそういった理解に基づいたテークノートという言葉が使われたものだと理解しております。
○本岡昭次君 しかし、先ほど言ったように、拒否すべきものであると言い、そして先ほど私が何回も引用しましたように、国際社会における法の支配に対する重大な侵害であるから削除しなさい削除しなさいと言っても削除できなかった。それで、審議もするなと言って求めたけれども、審議は行われた。韓国、中国初め十カ国から、またNGOも二十数カ国がこれを歓迎した。日本のこの立場を支持した国は一国もなかった、全く日本は国連人権外交において孤立化したというこの事実は認めますか。
○説明員(川田司君) 先ほど来申し上げていますけれども、クマラスワミ特別報告者の報告書といいますのは、家庭内暴力を扱った報告書本体、それから第二附属文書、それからいわゆる従軍慰安婦問題を扱った第一附属文書から成るわけでございます。
 この件につきましては、人権委員会におきましていわゆる女性に対する暴力撤廃に関する本会議の審議において議論されたわけですけれども、私どもの承知する限り、いわゆる従軍慰安婦問題ないしこれを扱いましたこの報告書第一附属文書に言及した国は、我が国のほかは、韓国、中国、フィリピン及び北朝鮮の四カ国であったと理解しております。また、このうち特にフィリピンは我が国の取り組みを評価する発言をしたわけです。また、この問題に何らかの形で言及したNGOは、本会議で発言したNGOというものは全部で五十四団体あったわけですけれども、このうち約十団体であったと理解しております。
 女性に対する暴力に関する討議の焦点は、報告書本体及び第二附属文書にある家庭内暴力の問題、あるいはまたセクハラ等社会における女性に対する暴力の問題といった現代社会の直面する問題であったというふうに承知いたしております。
○本岡昭次君 どうも皆すれ違って時間がもったいない。
 それで、最後にあなたに一点お伺いします。
 そうすると、配付直前に撤回した、幻の文書になっておるんですが、この資料、これが最後に撤回されて別のその文書が出された、ごく穏やかなものが、重大に留保しますという言葉で。なぜこの最初に出した文書をきちっと国連に正式の文書として、印刷直前までやって、私の聞くところでは、アラビア語の訳までできておったけれども、だめだと引き取って別のものを出したと。なぜそこまでしなければならなかったんですか。
○説明員(川田司君) 先生お持ちの資料は、基本的には二国間の話し合いといいますか、二国間で我が国の立場を説明する際に使う資料として作成したものでございます。ただ、国連人権委員会の場におきましては、こういった大部の資料を配付するのは必ずしも適当でないということで、もっとわかりやすい文書ということで簡単な文書を作成したわけです。
 ですけれども、この国連人権委員会で配付した文書も、基本的にはその最初の文書と内容的には同じものである、基本的には簡単にしたものであるというふうに理解いたしております。
○本岡昭次君 いや、そうはなっていないじゃないですか。最後は重大に留保するという言い方、片一方は拒否する拒否する拒否するということでもって審議さえさせないというふうな立場での臨み方が、何で最後重大な留保ということなんです。やっぱり国際社会の中で日本も、こういう文書を出すとこれは大変なことだということであなた方はやわらかい文書に書き直したんでしょう。そこは認めなさいよ、はっきりと。
○説明員(川田司君) 国連文書として配付した文書の中でも、そのクマラスワミ特別報告者の法的議論については我が国として受け入れられないということを述べておりまして、基本的には同じ内容でございます。
○本岡昭次君 そうしたら、あなたは最後まで、今でもこのクマラスワミのアドIの附属文書、日本の従軍慰安婦問題の書いてあるところは、恣意的で根拠のない国際法の解釈に基づく政治的発言、国際社会がこんな議論を受け入れたら国際社会における法の支配に対する重大な侵害になると、今もあなたはそう思っていますか。
○説明員(川田司君) はい、基本的にはそのように考えております。
○本岡昭次君 これ、また改めて別のときに。
 最後に、ちょっと国民基金、せっかくおいでやから一問だけ。
 国民基金、今いろいろざわついておりますね。せっかくなってもらった偉い人がやめるややめぬじゃ言って、あるいはまた金を渡そうと思うけれども、金が集まっていないんでどうしようやと。そこで二つ尋ねます。
 金が予定どおり集まらなかったときは政府からお金を出してもらうんや、こう言っていますね。それで政府は、国は出すんですか。国民から募金している金で予定額が集まらなければ、その差額は国の予算から出すんですか。
 それと、内閣総理大臣に署名入りでその謝罪文を書いてもらうということを言っておりますが、橋本総理が書けるんですか。国民基金のお金を渡すときに、民間団体がお金を渡すときに一国の総理大臣がそれに対して謝罪文書けるんですか。この二ついかがですか。
○説明員(東良信君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生が御指摘ございましたとおり、国としてお金が出せるかということにつきましては、やはり我々といたしましては、さきの大戦にかかわる賠償問題等々につきましてはいわゆる国際法上整理をしているというふうに考えておりますので、そういうお金は出せないというふうに考えております。
 それから、二点目におっしゃいましたことでございますけれども、政府といたしましては、昨年の六月十四日に当時の五十嵐官房長官が、元従軍慰安婦の方々に国民的償いをあらわす事業を実施する折に、元従軍慰安婦の方々に対して国として率直な反省とおわびの気持ちを表明するという形でお話をしてございます。現在、そういう形で検討を進めているということでございます。
○本岡昭次君 時間が来ましたから、もっとやりたいんですが、また改めて。
○大野つや子君 大野つや子でございます。初めての質問でございますので、もし失礼な点がございましたら御教示くださいますよう、諸先生方、よろしくお願い申し上げます。
 まず、女性として初めて法務大臣になられました長尾大臣にお伺いいたします。
 女性法務大臣として、法務行政において特にお気づきの点、またお気遣いになっていること、また改善を早急に図らなければならないとお感じになっている事柄などがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(長尾立子君) お答えを申し上げます。
 法務省の仕事は、私たちの社会のかなめともいうべき法秩序を維持し、国民の皆様お一人お一人の権利を守っていくということにあると思ってお
ります。ただいまの私どもの社会の情勢を見ますると、非常に大きな変動の中にあるという印象を持っておりますし、家庭や社会の中の女性の役割につきましても変動の過程にあるように思っております。このような社会情勢の変化をきちんと受けとめまして、それにふさわしい方法で本来の課題でございます法秩序の維持と国民の権利を守るという役割を果たしていく必要があるというふうに考えております。
○大野つや子君 ありがとうございます。
 法務関係の職務といいますと、私の印象では男性社会という印象が強いように思います。確かに近年、裁判官などの法曹や他の分野においても女性の進出がふえておりますが、全体から見ればまだ不十分ではないかと思います。司法試験など任用の道は男女平等に開かれているにもかかわらずこのような印象を受けることに関して、裁判所の見解をお伺いするとともに、大臣に、法務行政全般において女性の役割をもっと活用することが必要であると思いますが、いかがお考えでしょうか、お伺い申し上げます。
○最高裁判所長官代理者(堀籠幸男君) 最高裁判所といたしましては、裁判官それから裁判官以外の一般職員につきましても、男性、女性というようなことを意識せずに、裁判官にふさわしい方、裁判所の職員にふさわしい方を積極的に採用するという姿勢で進んでおりまして、特に裁判官につきましては採用が非常にふえておるところでございます。
 例えば、昨年は判事補九十九名採用いたしましたが、そのうち女性は三十四名ということで三分の一を超えております。それから、ことしは九十九人採用しまして女性裁判官は二十六名でございまして、これも四分の一を超えております。司法修習生で最近合格し研修所を出る方は約二割ということで、平均以上の採用になっているのではないかというふうに考えているところでございます。
○国務大臣(長尾立子君) 男女平等社会というものは、男女が単に共同して物事を行っていくという社会ということではなくて、男性、女性が社会の一員として責任と義務を果たし真のパートナーとして一緒に社会を支えていく、こういう社会であるというふうに理解をいたしております。
 今、委員から御指摘がございましたように、公職を初めいろいろな分野の政策、方針、こういったことの決定への女性の参加、これを促進することが必要であるというふうに考えております。国の政策決定などにおきましても、これは男女ということだけではなくて、さまざまな立場、それからさまざまな御意見を持った我が国を構成しておられます方々の意見を取り入れていく、こういった方々の参画が望ましいことだと思っております。
 法務行政におきましても、多種多様な人材を得るということは、本来の課題でございます法秩序の維持、国民の権利を守るという私たちの役割を果たしていく上でも大変重要なことであるというふうに考えております。
○大野つや子君 ありがとうございます。
 次に、入管業務についてお伺いいたします。
 私、名古屋と東京の入国管理局に出かけることがありました。滞在のための在留許可を取得するための外国人の方でしょうか、また再入国の許可申請のための方でしょうか、大変ごった返しておりまして係官の方々もてんてこ舞いなさっておられました。
 入管業務については、申請してもなかなか許可がおりない、何とか早く審査してほしいなどという陳情もございます。本年三月、総務庁がまとめました平成七年度さわやか行政サービス改善評価調査結果によりますと、郵便局、警察など、主要八公共機関に対する外国人の印象度は、入国管理部局が一番悪いという結果も出ております。
 我が国の国際化は確実に訪れております。例えば昭和六十年と平成六年とを比較しますと、正規入国の外国人数が二百二十五万人から三百八十三万人に、これは約一・七倍でございます。在留資格審査関係の申請は四十万件から九十九万件に、これは約二・五倍弱ふえているわけでございますので、それに不法滞在や不法就労の外国人の調査や処分が重要な職務になっているわけですから、係官が十分な対応ができないということが原因なのではないかとも感じております。
 そこで、この国際化の進展に合わせて入管業務をどのように改善なさってこられましたでしょうか、そして総務庁の調査結果についてはどのような所見をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 出入国管理行政というものは、外国人の出入国、在留などの許認可にかかわるもので我が国に対するイメージとも密接な関係を持つ行政分野でございますので、公正な行政の遂行とともに、その行政サービスの改善という点につきましてもかねてから十分留意しておるところでございます。
 ただいま委員から御指摘のあった、例えば手続の明確化、簡素化、迅速化といったこと、それから施設の整備などにも努めてきておりますが、今回の調査におきまして芳しからざる評価の割合が高いということにつきましては、当局といたしましてもこれを率直に受けとめまして、これまで以上に行政サービスの向上に努めていきたいと考えております。
 それから、入管当局といたしましては、我が国の国際化の進展に伴う出入国者の増加並びに外国人の入国・在留目的や不法就労外国人の多様化に対応しまして、これに適切に対処するためにこれまでも入管法の改正、機械化の推進など所要の体制整備等を図ってきたところでございます。
○大野つや子君 ありがとうございました。
 しかし、前に申し上げましたように、実際、地方入国管理局は毎日多くの外国人の方々であふれているわけでございます。我が国を理解し我が国で勉強したいと思っているいわば善意の外国人の方々には迅速な処理を、悪意の滞在者には厳格な処置をとれる体制の整備がぜひ必要であると思います。そのためには、時代に合わせたシステムの抜本的な改善や、また行政改革が重要な課題となっている時期ではございますが担当官の増員など、さらなる早急な措置が必要なのではないかと思います。この点について、大臣、いかがお考えでございましょうか。
○国務大臣(長尾立子君) 委員がお話しになりましたように、確かに、入国されます外国の方々にとりましては、私どもの職員が一番最初にお目にかかってお世話をさせていただくということでございますので、我が国の第一印象を受け持たせていただいているということになるかと思います。その意味では、職員の事務処理に当たります心がけ、これは大変重要なものであるということは御指摘のとおりと思います。
 私も、それぞれの入国管理の任に当たっております者の話を聞かせてもらいましたけれども、確かに訓練等について相当の気遣いをして一生懸命やらせていただいているという気もいたすわけでございますが、御指摘のとおり、確かに人員の不足ということは否めない事実であるかと思います。
 全体といたしまして、行政サービスの向上のためには、事務を機械化していくということと、あわせまして人員の適正化を図っていくということになるかと思いますが、入国部門につきましてはどうしてもある程度の人員増はお願いせざるを得ないという気もいたすわけでございまして、円滑適正な入国管理行政、この重要性を十分認識いたしましてさらに努力をさせていただきたいと思っております。
○大野つや子君 大臣、ありがとうございました。
 次に、裁判制度についてお伺いいたします。
 裁判の現状については、時間が余りにもかかり過ぎるというのが国民から見た率直な意見でございます。特に大事件であればあるほど判決までに何年も要するという実態になっており、今後の状況を考える上でも憂慮される事態であると心配を
いたしております。
 審理期間の短縮に御努力なさってこられたことはいろいろな資料からも存じ上げておりますし、理解はしておるつもりでございます。しかし、特に最近、民事事件では住専問題の裁判が予想されますし、刑事事件ではオウム真理教事件など国民の注目を集めている事件が司法手続に入っているわけですが、住専問題は判決がおくれればおくれるほど損失額が大きくなることと思われます。また、オウム事件でも裁判がおくれれば、被害者の皆様の感情はもとより、国民の多くは裁判制度に不信感すら持ちかねないと心配をいたしております。
 迅速な裁判は国民の権利を守るために憲法上の要請にもなっているわけですが、迅速な裁判の必要性と実現の方策について裁判所当局のお考えをお伺いし、大臣の御所見もお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 我が国の裁判につきましては、委員御指摘のとおり、裁判の迅速化というのが最大の課題であるということを各方面から御指摘を受けておるところでございます。裁判所側としましても、本当に国民にとって利用しやすい裁判を実現するための一つの重点課題としまして、この裁判の迅速化というテーマに取り組んできているところでございます。
 裁判の迅速化を実現するための具体的な方策ということになりますと、特に事件処理の迅速化の要請の強い民事裁判について申し上げますと、民事の裁判の手続というのは、大きく分けますと、当事者双方の主張を整理するといいますか、それを突き合わせる手続と、それからそこで争点になっている点について証人調べを中心とした証拠調べを行う手続、この二段階がございます。
 したがいまして、裁判の迅速化のためには、一つは、その双方の主張を整理する段階で、双方の言い分、本当に争いになっているポイントがどこにあるのかという点、それをもうできるだけ早い段階で確定していくということが一つ要点かと思います。それからさらに、その争点が決まりましたら、証拠調べの段階ではもうそのポイントに絞った証拠調べをできるだけ短期間に効率的に実施していくという、この二点がポイントになってくるわけでございます。
 したがいまして、裁判の迅速化というのは、裁判所だけが工夫をすればできるというものではございませんで、やはり裁判に関与されます当事者、あるいは代理人として関与されます弁護人の方の御協力がどうしても必要になってまいります。そういう観点から、このところ裁判所では、弁護士会の御協力も得ながら、裁判の手続の運用を今申し上げましたような形に改善していくための工夫をいろいろ重ねてきているところでございます。
 今国会に民事訴訟法の改正法案が提出されておりますが、この新しい民事訴訟法案というのも実はそういうふうな、早期に争点を確定してその争点に集中した証拠調べを効率的に実施していくという、そういう運用ができるようにしようという、そういうねらいの法律でございますので、この法改正が実現しましたら、またさらにそういう審理の運営改善のための一つの大きな力になるものと私どもは考えているところでございます。
 もちろん、こういった手続の運用面での工夫とあわせまして、やはり裁判官を中心とします人的な機構の面、あるいは庁舎とか機器を中心としました物的設備の充実という観点も必要でございます。今後とも、我々の方といたしましては、この手続の運用という面と、それから人的、物的な面での事件処理体制の充実強化という、この両面にわたって迅速な裁判を実現するための努力を続けていきたい、こういうふうに考えております。
○国務大臣(長尾立子君) 委員が御指摘をいただいておりますように、裁判が適正かつ迅速に行われるということは極めて重要なことであると私も思います。今予算におきましても裁判所定員の増をお願いいたしているわけでございますが、こういった裁判所職員の増員それから訴訟手続の改善など、こういった措置が必要であると考えております。
 今国会、民事訴訟法案を提出させていただいております。この法案は、今も御説明を申し上げましたように、民事訴訟が迅速に処理されることを主要な目的とするものでございます。この法案が成立いたしますならば、裁判実務における運用の一層の改善と相まちまして、民事裁判の迅速化には大きく役立つものというふうに考えているところでございます。
 また、オウム事件等のいわゆるオウム真理教関係の刑事裁判などの刑事事件の問題でございますが、関係者が大変多数にわたりまして、かつ複雑重大な刑事事件、この公判につきましては、検察庁におきまして適宜専従の検察官を配置いたしまして公判立ち会い体制を整備するなど迅速な裁判の実現に努力するなど、所要の対策を講じているところと聞いておるところでございます。御指摘のように、今後とも迅速な裁判を実現するために努力をさせていただきたいと思っております。
○大野つや子君 ありがとうございました。
 先ほど千葉先生からも御質問がございました夫婦別姓問題でございます。質問というより、これは私の意見でございますので、御答弁はなくても結構でございます。
 今般の法制審議会答申を踏まえました民法改正における焦点の夫婦別姓問題ですが、私どものところにも賛否両論、どちらかといえば夫婦別姓について反対の御意見が多く届いております。また、姓の選択後の変更規定などについても、ある程度自由な変更を認めるべきだとの御意見もございます。
 夫婦別姓問題は、国の伝統、家族制度と民主主義のぶつかり合う難しい問題と考えますので、事前に改正内容や社会的影響、とりわけお子様に対する影響などを国民の皆様へ十分アナウンスしていただき、時間をかけて、国民の皆様が本当に望んでいることか、また世論を集約してから対処していただきたいということをお願いしたいと思います。もしお考えがあればお伺いしたいと思います。
 これで私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(長尾立子君) 委員からお話がございましたように、今回議論になっております民法の改正の問題は、国民の皆様に大変密接なかかわりを有するものでございます。法制審議会の答申がございました後も、さまざまな御議論がなされております。これは、先生から御指摘をいただいたとおりでございます。
 法務省といたしましても、関係各位の御理解を得るためになお一層の努力を続けてまいりたい、このように考えております。
○委員長(及川順郎君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十二分散会
     ―――――・―――――