第136回国会 外務委員会 第2号
平成八年二月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     岡部 三郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         木庭健太郎君
    理 事
                笠原 潤一君
                野沢 太三君
                寺澤 芳男君
                川橋 幸子君
    委 員
                岩崎 純三君
                大木  浩君
                武見 敬三君
                成瀬 守重君
                宮澤  弘君
                田村 秀昭君
                高野 博師君
                畑   恵君
                照屋 寛徳君
                立木  洋君
                武田邦太郎君
                佐藤 道夫君
                矢田部 理君
    国務大臣
        外 務 大 臣 池田 行彦君
    政府委員
        防衛庁参事官  小池 寛治君
        外務省総合外交
        政策局長    川島  裕君
        外務省総合外交
        政策局国際社会
        協力部長    朝海 和夫君
        外務省アジア局
        長       加藤 良三君
        外務省北米局長 折田 正樹君
        外務省欧亜局長 浦部 和好君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   法眼 健作君
        外務省経済協力
        局長      畠中  篤君
        外務省条約局長 林   暘君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       大島 弘輔君
    説明員
        防衛庁長官官房
        防衛審議官
        兼防衛局防衛政
        策課長     守屋 武昌君
        外務大臣官房領
        事移住部長   齋藤 正樹君
        自治大臣官房審
        議官      井戸 敏三君
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  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (日米関係に関する件)
 (国連海洋法条約に関する件)
 (竹島問題に関する件)
 (朝鮮半島エネルギー開発機構に関する件)
 (台湾海峡の軍事情勢に関する件)
 (国連安保理常任理事国入りに関する件)
 (自立的外交に関する件)
 (国連ボランティアに関する件)
 (在沖縄米海兵隊の訓練に関する件)
 (沖縄米軍基地に関する件)
 (パレスチナ支援に関する件)
 (日米安保体制に関する件)
 (在外邦人の選挙権に関する件)
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○委員長(木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十五日、倉田寛之君が委員を辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。
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○委員長(木庭健太郎君) 国際情勢等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木浩君 自民党の大木浩でございます。
 橋本内閣が発足いたしまして以来、外務大臣には大変にお忙しい日程をこなしておられまして、御苦労さまでございます。先日もアメリカへ行って米国の首脳と話をしてこられましたし、いよいよ明日は総理がアメリカへ行かれるということで、外交活動が大変に活発に展開しておるわけであります。
 ただ、今非常に変化の大きい国際情勢の中で日本の外交上の立場が国民に十分理解されているかということになりますと、余りにも動きが激しいだけになかなかそれに追いついていないんじゃないかというような感じもしておるわけでございます。
 外務大臣も先般の外交演説の中で、日米関係が日本外交の基軸であるということを言っておられます。これは、私どももそういう理解においては全く違いはないんですけれども、どういう意味で基軸かということになりますと、これはまたいろいろと意見もあると思うんですね。日本におきましてもあるいはアメリカにおいても、例えば今の日米安保体制はこのままでいいかというような議論もあります。
 そこで、本日は、日米関係につきましてはこれから総理が行かれるところでございますから余り細かいことはさておきまして、むしろ現在のアジア太平洋地域における情勢というものを頭に置きながら、今後の日米関係はどういう意味で基軸なのかということを、まず最初に外務大臣から総括的に一言御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) お答え申し上げます。
 ただいま、外交問題について大変御造詣も深く、また大きな役割を果たしてこられました大木委員からの御質問でございます。激動いたします国際情勢の中で的確に我が国のスタンスを定めて、また国民の皆様方の御理解を得ながら外交を進めていかなくちゃならないと。御指摘のとおりに考えるところでございます。
 さて、日米関係の重要性を今の情勢の中でどう考えるかという点でございますが、まず第一に、米国との間では自由と民主主義、あるいは市場経済原理といった価値観の共有をしております。また、そういった点につきまして、「歴史の終わり」などという本が数年前に随分評判になりましたけれども、いわばそういった価値観というものがこれからの世界を全体として律していくものになろうとしている。そういうときであるだけに、この価値観を共有しているという意味は大きくなるだろうと思います。
 そうしてまた力の面で申しますと、特に経済的な面では両国を合わせますと世界のGNPの四割を占める、こういう大きさを持っているわけでございますので、日米の良好な関係というものは冷戦終結後もなお、いや、冷戦終結後一層、アジア太平洋だけではなくて世界全体の平和あるいは繁栄を維持していく上で大きな役割を果たさなくてはならないと、こういうことがまずございます。
 次に、特にアジア太平洋地域の情勢との関連でいかんという点でございますけれども、もとよりアジア太平洋の情勢は冷戦の終えんによって大きく変わってはまいりました。しかしながら、今日も依然、東アジア、朝鮮半島等々を含めまして非常に不安定な要因を内包しているところでございますし、また核も含めたいろいろな軍事力が存在することも事実でございます。
 そういった中でどうやって我が国の安全を確保していくか、あるいはこの地域の安定を維持していくか、こういうふうに考えてまいりますと、冷戦の時代とは違った状況の中ではございますけれども、我が国の平和を維持するために不可欠なものとして日米安保体制というものの意義がある。また、この地域にきちんとそういった体制があるということが、ヨーロッパと違いまして今マルチのいろんな仕組みがきちんと見えていないアジア太平洋地域全体の安定維持のために好ましい影響を持つのではないかと、このように考えておるわけでございます。
 日米安保体制は、アジアにおける地域の安定、そして繁栄の基礎になるといいましょうか、重要な役割を果たしている、こう考えるわけでございます。そういった世界の情勢、あるいはアジア太平洋の情勢を考えましたときに、やはり我が国の外交の基軸には日米安保体制というものを堅持していかなくちゃいけない、こう思います。
 そしてさらに、これまでの我が国あるいはアジア太平洋という問題だけじゃなくて、中東あるいは旧ユーゴ等の問題も含めまして、世界大のいろいろな課題、問題につきましても日米が協力いたしまして政策協調のもとに対処していくということが大切なのではないか。
 ただいま申しましたような意味合いで私どもは日本外交の基軸に日米関係があると、このように考える次第でございます。
○大木浩君 ただいま外務大臣も価値観の共有ということを言われたわけであります。ただ、この価値観の共有で、その価値観を守るための体制といいますか、それについてはアメリカにはアメリカの構想があるし、アメリカというかアメリカ政府の構想があると言った方が正確かもしれませんがあるし、日本側には日本側のがある。ただ、どうもその辺で必ずしもぴったりと合っていないところもあるんじゃないか。
 いろいろな議論をし出すと長くなりますけれども、日米安保というものが大切だと。そこまではわかるけれども、日米安保一辺倒ということではなく、今もちょっとおっしゃいましたけれどももう少しマルチのものも、仮に日米安保の代替ではないにしても、補充する、補完するというような意味でもう少しそこら辺のところも関心を持っていいんじゃないかというような議論もあるわけであります。ですから、その辺のところをどうするかという問題がある。
 それからもう一つ、アメリカ側で現在の日米安保体制というものについてはいささか、例えばですけれども、余りにも片務的なものではないかというような議論もあるし、いや、むしろ日本側の立場から考えてももう少し見直す必要があるんじゃないだろうかと。極端に言えば日米安保廃止論というものもあります。ですから、そういったものの全体をとらえて、日米安保というものをいろんな角度からもう一遍見直す必要があるんじゃないか。
 例えば、きょうの産経新聞にも出ておりましたけれども、集団安全保障という考え方、これは現実の問題として現在の国際情勢の中で集団安全保障という考え方をもう少し見直すというか正面から取り入れる必要があるんじゃないだろうか。もちろん憲法論もありますし法律論もありますが、その辺のところをとらえまして、やっぱり私自身としては今の、特に集団安全保障という考え方、あるいはもちろん今の法律の問題もありますから、その辺のところをもうちょっと正面から取り組むべきじゃないかと思うんですが、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 日米安保の重要性はわかるけれども、新しい観点からいろいろそのあり方を考えるべきじゃないかという御意見が日米双方、各方面から出ているということは私どもも承知しているところでございます。
 まず、マルチの仕組みとの関係はどうかという点がございましたけれども、私どももこれからの世界の、とりわけアジア太平洋地域の安定を維持していく上で、それぞれの国の努力あるいは二国間のいろんな安全保障の体制とともに、リージョナルな、地域的な仕組みというものの重要性も十分認識しているところでございます。
 しかしながら、ヨーロッパと違いましてマルチの仕組みと申しましても信頼醸成の仕組み、いろいろな対話だとか協議の仕組みというのは、御承知のとおりASEAN地域フォーラムを初めとしまして今いろいろ現にできているし、また発展しつつあるところでございますけれども、実力を備えた、例えばNATOのようなそういったマルチの仕組みがこのアジア太平洋の地域で近い将来現実のものになり得るかと申しますと、時間の関係もございましていろいろ理由は申しませんけれども、なかなかそういうことにはならないのではないか。そういうことを考えますと、委員おっしゃいましたようにマルチの仕組みというものは日米安保体制を代替するものにはなり得ない、やはり両々相まってというか、まだ今の段階では補完というようなことで考えるべきものじゃないか、このように考える次第でございます。
 そういったことになりますと、集団安全保障ということに言及されましたけれども、この問題につきましては、今申しましたように現実の問題としてアジア太平洋地域でそういった集団安全保障体制を力も備えたものとして構築できるかどうかというのはまだ少し先の問題ではないか。具体的な検討の段階に入っておらないと思います。そしてまた、我が国の憲法その他の構成から申しましても、そういった問題にどういうふうに対応したらいいのか、国民の中でまず論議を始めるかどうかという話でありまして、まだまだ現実的な政策の選択の段階には至っていないのではないか、このように考える次第でございます。
○大木浩君 今のお話の集団安保体制、何か日米安保にプラスするものとしてということでは、現実の力になるものがあるかと言われれば、確かにまだなかなかないというのが結論だと思います。
 ただ、問題を日米だけに限るというよりも、集団自衛権の行使という問題がやはり私は避けては通れない問題だと思うんですね。これはもちろん憲法論もありますし、今のアジア太平洋情勢というものがそういうことを全く考えないでいいのかという二つの面からの検討が私は必要だと思います。これはお答えは要りませんけれども、私としてはそういうことをもう少し正面から取り上げるべき段階に来ておるという感じを持っておりますので、ぜひひとつ今後とも御検討をいただきたいというふうに思います。
 それで、アメリカ政府の今のアジア太平洋地域における安全保障政策というものが、御存じのとおりに昨年の二月でございましたか、いわゆるナイ報告というのが出まして、どうもあの報告がずっと基本になっておる。先般、大臣もお会いになったと思いますけれども、レーク補佐官も来まして、私もいろいろ議論したんですが、やはり基本的にはあれの考え方というのはずっとついておるわけですね。しかも、考え方だけじゃなくて、例えばアジア太平洋地域に米軍を十万とか、あるいは日本に四万幾らとか、そういった基本的なある程度のレベルの問題あるいは体制の問題も含めて余り基本的には違っていないというのが向こうの立場だと思うんですけれども、その辺、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 私も委員御指摘の見方と同じような認識を持っております。ナイの考え方と、こうおつしゃいましたけれども、米政府の方針としては、具体的には昨年の二月でございましたか出ました東アジア太平洋戦略報告、いわゆるEASRというものに具体化されておるわけでございますが、その認識、そしてそれに基づいてのアジア太平洋地域での十万人の前方展開、プレゼンス、こういったものをとらえておるわけでございますけれども、私どもも米側のような認識を共有するものでございますし、それに基づく米のいろいろな政策についてそれを評価しているところでございます。
○大木浩君 今、外務大臣の方からお話があったんですが、たしかあしたでしたね、参議院の方で、防衛庁というか日本政府としての中期防やら防衛大綱についてのお話も伺う予定になっていると思いますが、今の外務大臣のお話について防衛庁として、もちろん基本的には私と同じような考えを持っていると思いますが、ひとつ確認していただきたいと思います。
○説明員(守屋武昌君) 大綱とEASRでの軍事情勢認識ということについての御質問でございますので、大綱でどんなふうに見ているかということをちょっと御説明させていただきます。
 極東ロシアの軍事力の量的削減等の変化が見られますが、依然として大規模な軍事力が存在しているということ、多数の国がこの地域では軍事力の近代化を行っておるということ、それから朝鮮半島における緊張が継続するなど、依然として不透明、不確実な要素が残されている。しかしながら同時に、この地域では二国間対話の拡大、地域的な安全保障への取り組み等、地域の安定を図ろうとするさまざまな動きが見られるということを挙げております。日米安保体制の存在は我が国の安全及び地域の平和と安定を図る上で引き続き重要な役割を果たしていくと、こういうふうな認識を私どもは防衛計画の大綱で述べているところでございます。
 では、EASR、東アジア太平洋戦略報告ではアジア太平洋地域の情勢についてどう考えているかということでございますが、この地域におきましては米国はソ連の脅威にはもはや直面していないものの、依然として朝鮮半島における軍事的な脅威、複雑な緊張要因に直面しており、また不確実性、緊張及び膨大な軍事力の蓄積が見られる。そういう認識を示した上で、米国の軍事プレゼンスはこの地域の安定に今後も必要なものであり、日米同盟はアジアにおける米国の安全保障政策のかなめであるとしつつ、同盟及び米軍の前方展開を補完し、地域的な対立や混乱及び軍備競争を防ぐとの観点から、米国が地域安全保障対話に取り組み、これを支援していく、こういう考え方を明らかにいたしております。
 このように、今、私は新防衛計画の大綱とEASRの関連部分を御紹介させていただきましたけれども、両方の認識というものは基本的に同様のものであると考えております。
○大木浩君 こういう場でどうだということになると、いつもそういう話になってくるわけで、ちゃんと両方とも同じような考え方だということになるんですけれども。
 いろいろと具体的な問題が出てきますと、例えば先般の沖縄の事件のようなものが出てまいりますと、それじゃ日米安保体制をどういうふうにこれから見直していくかというところでいろいろと差があると思うんです。ですからその辺のところを、具体的には日米だけでどうだということではなくて、現実にアジア太平洋地域でどういう状況があるかということの認識、そこにまず日米間で余りにも大きな差があったのではこれはなかなか具体的な対策についても意見が合わないということになります。
 今、アジア太平洋地域で一番の緊張要因といえば、一つは中台関係でありますし、一つは朝鮮半島だと思うんですが、中国の方につきましては後で武見先生からもいろいろと御質問があると思いますので、私はまず朝鮮半島についてお伺いしたいんです。
 先般、先ほどのレーク補佐官は、韓国へも行ってまいりましたし、私どもも日本でまたいろいろと議論したんですが、北の方の情勢というのは本当のことを言ってだれも一〇〇%確実な情報は持っていないというのが真相じゃないかと思いますけれども、アメリカとしては差し当たり例のKEDOの計画等を中心にして北朝鮮との対話を続ける、むしろ制裁措置も緩和しようというような動きも新聞報道ではかなりあります。
 レークさんの話を聞いておりましても、今とにかく北朝鮮が余り爆発的な動きにならないように何とか、いろいろと国内問題はあるにしても、国際的には核武装というようなことは言わせない、あるいは通常兵器につきましても武力ですぐにどうだというようなことは余り言わせないように一種の、何といいますか、取り込みと言うと変ですけれども、囲い込みといいますか、北朝鮮はできるだけ平和な形で国際社会に入ってきてもらいたい、こういう感じだと思うんですが、大臣、その辺のところ、アメリカの最近における対北朝鮮政策というものをどういうふうに評価しておられましょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 私、先ほど委員がおっしゃいましたレーク補佐官とも、先般来日されましたときも、そしてまた先般私が訪米いたしたときもいろいろお話ししておりますし、またクリストファー国務長官あるいはペリー国防長官とのお話の中でもそういったアジア情勢全般についていろいろお話ししました。その中には、もちろん半島情勢についての認識についていろいろ意見の交換もしておるわけでございます。
 個々具体的にどの会談がどうであったということは差し控えさせていただきますけれども、まず北朝鮮についてどういうふうに対応しようとアメリカが考えているか、また日本はどうかということでございますが、今、委員が最後におっしゃいましたように、なるべく平和的な形で国際社会へという道でございますね。やはりそれはアメリカも一番考えているところだと思いますし、我が国としてもそういうことであるべきだと思っております。できればソフトランディングでと、こう思うのでございますけれども、しかし絶対に避けなくちゃならないのは、クラッシュは避けなくちゃいけない。ある程度がたがたすることはあっても、国際社会の中に何とかうまくランディングさせたいというのが共通の認識だと思っております。
 そういった中で、特に核の問題なんかにつきましては、これは我が国の安全保障にとりましても大変大切な問題でございますから、そういった関連でKEDOという問題が日米韓の協力のもとに進められているというのは御承知のとおりでございます。
○大木浩君 そういうアメリカの態度だといたしますと、なかなか難しい相手だけれども、日本側もやはりいろいろなチャネルを通じて北との接触、話し合いというのは続けたらいいんじゃないかと思うんです。ただ、北との話をするということになると、すぐに韓国との関係というのが出てきます。
 私は、今の北に対する態度がアメリカと韓国でちょっと温度差があるような感じもしているんですが、そういった中で日本側としてはどのような接触を北と努力しておられるのか、差し支えのない範囲で御説明いただければありがたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) なるべく円滑な姿で国際社会ヘランディングをということは、これは日米だけではなくて韓国も基本的にそういう考えを持っているんじゃないかと、こう思います。そしてまた、そのようなことを実現するのは何と申しましても韓国と北朝鮮との間の話し合い、南北対話を通じて平和裏にこの問題を解決するというのが一番のいわばメーンストリートだと思います。米国あるいは我が国としては、そういった道が円滑に進むように、そういった南北対話に資するようにいろいろ努力をしていくんだと、こう思うわけでございます。
 ところが、その南北対話がここのところちょっと途切れたと申しましょうか、うまくいっていない様子でございますので、そういったところで具体的な対応について米国あるいは韓国と若干の考え方の違いがあるんじゃないかということを委員おっしゃいましたけれども、そういった見方も出てくるんじゃないかと思います。しかし、基本は変わらないと思います。
 さて、そういった中で我が国はどうするかでございますが、我が国もそういった南北対話がメーンストリートであるということを踏まえながら、しかしきちんとそれに資するようにやっていかなくちゃいけない、北朝鮮とのいろいろな接触については韓国と密接な連携のもとに進めなくちゃいけない、こういう進め方をするのが第一でございます。
 しかし、我が国としても北ともいろんなことを考えなくちゃいけないと思います。御承知のとおり国交が不正常な状態にございますので、これを正常化しなくちゃいけないというので政府間で八回の交渉をいたしましたけれども、今それが中断した姿になっております。
 実はきのうも衆議院の委員会でちょっと御答弁したんですけれども、どうかと言われましたので、昔、日中の関係につきましてアヒルの水かきという言葉がございましたけれども、今、北との関係ではアヒルの水かきの準備体制といいましょうか、そういったものを考えていないことはないんだと御答弁を申し上げた次第でございますけれども、そういったことでひとつ御理解をいただければと思います。
○大木浩君 なかなか難しい相手ですから、アヒルの水かきもなかなかそうはできないというお考えかと思います。
 御存じのとおりに昨年の三月、渡辺先生を団長とするミッションが行って、実は私もお供させていただいたわけですが、結局あれが一つのきっかけで国交、今度は政府間の話し合いがスタートした。しかし、今のお話では八回までやったけれどもとまってしまったということですし、それはむしろあちらさんの出方にもいろいろ問題があって、こちらもなかなか再開できないというようなことだと思います。
 やはり外交というのは、今いみじくも大臣がおっしゃったようなアヒルの水かきであろうが何であろうが、あらゆるチャネルを通じてひとつやっていただきたいと思います。議員のことを申し上げても、先般、堂本さんが北へ行かれましたし、それから社民党の深田さんもいろいろ接触しておられると。私は、北との接触というのは何も自民党だとか日本政府だとかということだけではなくて、あらゆるものを使って情報はとるべきであるし、接触も継続すべきであろうというふうに思いますので、その辺、ぜひともひとつ前向きに続けていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 そこで、あと北とどういう話をするか。今の政府ベースあるいは議員ベースではある程度制約もあるんでしょうけれども、その他民間でもいろいろ接触があるわけですね。何といいましても日本に朝鮮総連を初め北と接触のある方もあるわけですし、それから民間の大学だとか宗教団体だとかいろいろあるわけでございますから、どうぞひとつその辺のところとも接触は続けていただきたい。
 何かそこのところで大臣からコメントを言いただければと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 今御指摘の民間あるいは自治体レベル等の交流は、やはり相互の理解、信頼の醸成ということで、それ自体意義のあることだと思います。ただ、国交がございませんので、政府としての直接の交流事業については制約があるということは御理解をちょうだいできると思います。
 ただ、先ほどちょっとお話ございましたけれども、いろんなチャンネルで交流をというのはそのとおりでございますけれども、国交正常化の問題につきましてはきちんと政府間で、外交ルートで進めるべきものと私どもは認識しているところでございます。
○大木浩君 ただいまのお話はよくわかります。ぜひともひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、一昨日、閣議で例の国連海洋法条約との関連で排他的経済水域二百海里の設定というようなことも基本方針としてお決めになったというふうに理解しておりますし、これから海洋法条約の問題はいずれこの外務委員会におきまして、あるいはほかの委員会も関連しておりますからどういうふうに審議するか、相当時間を費やして細かく議論しなきゃいかぬのですが、とにかく海洋法条約との関連で韓国なりあるいは中国とのいろいろな政治的な問題、領土問題、領水問題を含めての政治問題も潜在的にあり得るわけでございます。
 これについて、政府としては、先般来いろいろお話を伺っておりますと、領土問題は切り離してあくまで経済水域の話としてこれから話を進めたい。いずれにしても、中国も韓国も海洋法条約に入ってくるということについては、基本的にはそうなんですね。そうすると、今の経済水域の方に重点を置いてこれから交渉を進めると言っておられますけれども、例えば韓国などで早速国民の方ではいろいろな激しい動きもあるし、幸いにして韓国の外務省の方は非常に冷静な対応のようでございますが、これから海洋法との関連で、中国の問題はまた後で別途伺いたいと思いますけれども、対韓国についてはどういうふうに進めていかれるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 国連海洋法条約並びにその関連法につきましては、いずれまたこの委員会で御審議を賜らなくちゃいけないと思います。
 今御指摘の問題でございますけれども、私どもは、御指摘のとおり海洋法条約については既に韓国も批准しておりますし、その海洋法条約の考え方のもとに新しいいろんな漁業その他の問題の秩序もつくろうという点では我が方と方向が一致しているわけでございますので、領土問題の解決というものとは切り離して新しい秩序を、具体的には例えば漁業の面では漁業協定、新しい協定でございますけれども、それをつくっていくという話し合いは可能なんだと、こう思っております。
 そして、いろいろぎくしゃくしたこともございましたけれども、我が方といたしましては竹島についての態度、立場というものは一貫したものでございますけれども、その解決は今回の問題とは切り離して進めたいと思っております。あくまで冷静に対応してまいりたいと思っております。韓国の方でも、やはり我々の申しております日韓関係全体が大変大切だという御認識は同じだと思います。そういったことで話し合いの道は開けていくと思いますし開かなくてはいけない、こう思っております。
○大木浩君 そういうアプローチだろうと思うんですけれども、これは韓国側の方、特に一般国民の対日感情というか機運が非常に熱くなっておりますのでなかなか難しいと思いますが、御苦労さまなことだと思います。
 経済水域というか漁業問題といいますか、これについては日本としても長い歴史があるわけです。例えば旧ソ連、今はロシアですけれども、いろいろな経験というものもあるわけでありますから、そういうものが一つの参考にはなるかと思います。
 しかし、ロシアとの関係も完全にすべて解決というわけでもないんですね。先般来、たしか日ロでいろいろと漁業交渉もやっておられた、それからもちろん現存するいろいろな、地先沖合協定ですか、そういうようなものもあるわけですけれども、現実にはロシアとでさえいろいろな問題が残っておる。そういう中でこの漁業問題あるいは経済水域問題をどういうふうにこれから進めていかれるのか。
 特に、先般、これは衆議院の予算委員会であったと思いますが、大臣はこれを今のところ国際司法裁判所へ提訴することは考えていないというようなこともおっしゃいましたけれども、私は国際司法裁判所へ提訴するのは何も遠慮することはないので、向こうが受けようが受けまいが必要があればどんどん出して、それとの関連で日本側の立場をもっとPRしたらいいんじゃないかという感じもするわけであります。
 特に、竹島の問題というのは、今まで現状がどうなっているかというようなことも余り日本国民はよく知らないわけでございまして、今度海洋法条約との関連で急に、竹島にはだれが住んでおるかとか、韓国の警備隊が来たとか来ないとか、そういうような情報がどんどん入ってくる。そういうのを見ていると日本は今まで何もしていなかったんじゃないかと、こういう感触を国民は持ちかねないわけであります。
 そこのところ、非常に難しいので、無用に韓国側と事を構える必要はないというお考えもあると思いますけれども、少なくとも国際司法裁判所の話などは、あるいはそれでなくてもいいんですが、もっと日本の立場というものをきちっと外へ向かって、それからもう一つ日本国民に向けてもきっちりしていただかないと、なかなか国民の理解が得られないんじゃないかと思いますが、大臣どうでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 委員御高承のとおり、国際司法裁判所の紛争処理の仕組みというのは、まず両当事者の間でこの国際司法裁判所で問題の解決を求めるという合意があって初めて動き出す、こういう仕組みになっているところでございます。
 それで現に、もうかなり昔でございますが、一九五〇年代でございますけれども、我が国といたしましてこの問題を国際司法裁判所に提訴したいと、こういうふうなことを考えまして、まずこういうことでいきたいがどうだろうかと韓国に提案したことがございます。しかし、そのときには韓国の方が、韓国のとっている基本的な立場は領土問題はない、存在しないという立場でございます。そのしからしむるところでございましょうけれども、国際司法裁判所でその解決を求めるということにがえんじなかったと、こんな経緯があったわけでございます。
 そういったことでございますけれども、我が国といたしましては、いずれにいたしましても、この問題は平和裏に友好裏に解決してまいらなくちゃいけないと思っておりますので、ただいまの点も含めまして今後ともあらゆる可能性を探っていく、こういうことは続けたいと、こう思っております。
○大木浩君 裁判所の話が出たついでにもう一つの別の裁判所、国際海洋法裁判所、これがまたこの間うちの新聞情報というか解説などではこの裁判官の選挙もある、それで日本も早く海洋法を通してきちっとしておかないといけないんだと言うんですが、この海洋法裁判所の裁判官選挙の問題について政府では今どういうふうに考えておられるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(林暘君) 御指摘のとおり、海洋法ができまして、そこで海洋法の問題を取り扱います海洋法裁判所ができる予定になっております。裁判官の選挙が今の予定ですとことしの八月に行われる予定になっておりまして、この六月三十日までに海洋法を批准いたしませんと立候補資格がございませんが、それを前提に我が国からも上智大学の山本草二先生を候補者として登録して選挙運動を始めているところでございます。
○大木浩君 今の選挙運動というのは、日本が海洋法を早く批准しなきゃいかぬということと裁判官の選挙というのは絡んでいるんですか。
○政府委員(林暘君) 先ほどちょっと申し上げましたように、裁判官になる資格としては本年の六月末日までに海洋法を締結していることということがございます。したがいまして、我々は六月三十日までに、これから出すものですからこういうことを言うのも恐縮でございますけれども、六月末日までに海洋法を批准できる、締結できるという前提で山本先生にお願いをしているわけでございますけれども、仮定の問題としてもしそういうことができないということであれば立候補の資格はなくなるということでございます。
○大木浩君 確認させていただきます。要するに批准が済まないとだめなわけですね。わかりました。
 この海洋法裁判所でどういう案件が出てくる可能性があるんでしょうか。
○政府委員(林暘君) 海洋法条約、海洋法にかかわる問題はすべて海洋法裁判所は取り上げることができますが、たしか領土問題は対象としないということになっておったかと記憶いたしております。
○大木浩君 別途また細かいことをお伺いしますので、この場ではこれ以上御質問いたしません。
 時間がなくなりましたので、あと一つ。アジア太平洋ということを考える場合にもう一つ大きな要素はロシアですね。ロシアがどう考えているかということでありまして、最近ロシアの話はどうも韓国や中国の方のあれに消されてしまって出てこないんですが、外務大臣、新しい外務大臣として日ロ関係をどういうふうにされるか、簡単にお伺いいたします。
○国務大臣(池田行彦君) 委員御高承のとおりロシアとの間では北方領土問題、これがございますので、我が国といたしましてはまずこれを解決する、そして平和条約を締結して完全に両国の関係を正常化する、これが基本の方針でございます。
 御承知のとおり、現在ロシア情勢は非常に流動的でございますけれども、この基本方針を踏まえて進めてまいりたい、このように考えておるような次第でございます。そのことはプリマコフ新外務大臣に対しましても私からも書簡をもってお伝えしている、こういうところでございます。
○大木浩君 一つだけ。
 外務大臣の外交演説の中にも、ロシアの改革が後退しないように「継続されることを強く支持する」と言っておられる。これはどういうことですか。今のエリツィン政権と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、この「支持する」というのは具体的にどういうことを考えておられるか、一言つけ加えていただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 私どもといたしましては、具体的にだれをということではなくてロシアの改革路線が引き続き進展していくように、そのことを大切にしてまいりたいと。そういったことで、米欧等とも協調しながらそういった流れを支持していくと、こういう考えでございます。
○大木浩君 ありがとうございました。終わります。
○武見敬三君 それではお聞きいたします。
 まず、KEDOの取り決めに関連したことをお伺いしたいと思いますが、近ごろ米国の国内における共和党、民主党の対立が深刻化いたしまして、予算作成の問題が解決できておりません。その結果、北朝鮮の必要とする重油代金二千万ドルの支出ができず、日本に対して米国の肩がわりにその二千万ドルを支払うように求めてきているということを伺っておりますが、その要請の具体的内容、これは先日来日したアンソニー・レーク安全保障担当補佐官より提示されたというふうに伺っているわけでありますが、その内容をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、KEDOは、これは日米韓の間の取り決めで、北朝鮮の進めておりました黒鉛炉による原子力発電所の計画を取りやめさせる、それにかわるものとして軽水炉を供与する、その軽水炉が完成するまでのつなぎのエネルギー源として重油を供給していく、こういう枠組みでございます。そういった中で重油の部分については主として米国がその責任を持つと、こういうことになっておったわけでございます。
 それで、日本はどういう態度であったかと申しますと、これは先ほど申しましたKEDOの全体の枠組みの資金的な面、財政的な面が明らかになった段階で適切なしかるべき応分の負担をしていく、こういうことでございました。ところが、重油の関係につきまして、御指摘のような米国議会の関係もあり、その他の要因もございましたけれども、短期的に、今出せない、資金繰りの面で難しいという情勢がございましたので、これを何とかしなくちゃいけないということでKEDOでいろいろ議論になった、こういうことでございます。
 そして、三国でもちろん相談する問題でございますが、我が国に要請がございましたのは、米国からもお話がございましたが、まずKEDO自身の、事務局長はボスワースさんと言われますけれども、その方も私どものところにおいでになりまして、短期的な流動性の危機を何とか日本の協力でぜひひとつ解決してくれないかと、こういう要請がございました。そしてまた、米国からも同様の趣旨のお話があった、こういうことでございます。
 我が国といたしましては、今どういうふうにそれに対応するか、流動性の問題でございますので、何とか対応しなくちゃいけないかなということで検討を進めておるということでございます。
○武見敬三君 その内容でございますが、実際にこれは肩がわりをするのか、あるいは立てかえになるのか。この点についてはどう理解したらよろしいのでございましょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申しましたけれども、そもそも我が国がこの枠組み、仕組みの中でどういう負担をしていくかということは、全体の中で応分のということでございますので、重油の部分については米国が主たる責任であるけれども、すべて米国だということにはなっておりません。そういうことが一つあるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、肩がわりあるいは代替と言われますけれども、先ほども申しましたように、今回の問題は恒常的にこれから八年あるいは十年ぐらいかかるであろう重油の供給についての負担をどうするかという側面もございますけれども、当面はそうではなくてここ何カ月かのあるいは今年度内の資金繰りをどうするかという面でございますから、そういった資金繰りに対する対応という手法もそれはあり得るのじゃないかということで、いろいろ協力するとするならば、協力の仕方、その手法をも含めて今ぎりぎり詰めの検討を行っている、こういうことでございます。
○武見敬三君 この点に関しましては、実際に重油の代金としては支払いたくないという考え方もあるやに伺っているわけでありますが、結果として日本が二千万ドルを支出するという点に関しては変わりがないだろう、しかもそのきっかけになったのが米国の予算作成の問題の深刻化ということもこれは事実ではないかと思うわけであります。この点、我が国の中で二千万ドルについて立てかえか肩がわりかはっきりしてもらいたいというような意見もあるわけでございます。
 しかし、実際、私などが考える限りにおきましては、額は確定はしておりませんが、十億ドル前後とも言われる相当額をいずれ日本はこれから支出しなければならない。そういう中でこの二千万ドルというものがいずれ調整されるというような言い方もされているわけでありますが、しかし実際にその多額の額を決めるときにその中に二千万ドルが含まれているかいないかということは極めてわかりにくい問題でもございますし、そうした議論をすることは余り建設的ではないように私は思うわけであります。
 この際、私は、日米、日韓、そしてさらに日朝の関係を大局的な見地から考えて、こうした米国がつくった問題を日本が助けてあげるという基本的立場の中で二千万ドル、二十億円でございますが、むしろ供与するという率直な立場をとった方が外交的にははるかに効果があるのではないかというような気もするわけであります。
 実際に橋本総理がこれから訪米をされ、そこでクリントン大統領と個人的な関係というようなものを築く重要な会談も行われるやに伺っております。こうしたときに、従来より通商交渉などでタフネゴシエーターとして認められてきた総理の立場だけではなくて、いざというときには信頼できる、頼り得る同盟国の首脳であるということをお知らせする上でもこれは絶好のチャンスではないかというようなことをむしろ私などは考えるわけであります。しかも、これは竹島などで今ぎくしゃくしております日韓関係ということを考えてみましても、こうしたときにおいても日本は朝鮮半島の平和と安定のために責任ある対応をする国であるということを韓国側に示す非常に重要なシグナルにもなる。
 そういうふうなことを考えて、私はこの点に関しては、二十億円というお金は個人で考える限りにおいては非常に多額ではございますが、税金というのはむだには使ってはいけませんが、しかし効果的に使わなければやはりいけない。外交における効果というのは決して金銭ではかれるものではないケースがたくさんあるわけでございますから、この場合もまさにそれに当てはまるのではないか。それだけにこの二千万ドルという額というものの価値を外交的な尺度に従って支出するという点に関しては私は国民の御理解を得られるのではないかというような考え方を持っているわけでありますが、外務大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま武見委員の御指摘のように、対米、対韓あるいは対朝等々の関連から考えましても外交的な面で非常に意義がある、それはそのとおりだと存じます。また同時に、KEDOの目的自身が北朝鮮の核兵器開発問題あるいはそれにつながるおそれのある問題を何としても解消しなくちゃいけない。これは我が国の安全保障にもかかわる問題でございます。そういったことからも、やはり何とか考えなくちゃいけないという意味で、先ほども申しましたように前向きの方向で詰めの検討を行っているということでございます。
○武見敬三君 ぜひ効果的にお使いいただくことを心から期待しているわけであります。
 別の問題に移ります。
 一九九五年度版のODA白書、これは外務省の経済協力局が編集しておりますが、その中で当然ODA大綱四原則の一つでもあります開発途上国の民主化の促進が挙げられております。そしてさらに、これを人類共通とも言うべき目標の一つとしてとらえ、その実現に向け「我が国の外交活動全体によって取り組むべき重要な課題である。」というふうにこれを位置づけているわけでありますが、大臣はこの考え方と外交上の基本指針というものをいかに考えておられるか、また基本的に同意されているかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 我が国のODAの進め方についてはいろいろな議論があったわけでございますけれども、ただいま御指摘の原則というものを先年定めまして、そういったことを中心にして進めておるところでございます。私といたしましても経済協力白書に記述されたような考え方で臨んでおるところでございます。
○武見敬三君 そこで、日本は台湾にございます中華民国政府、これを外交上は承認をしておりません。しかし、その中華民国が所在をしております台湾におきましては、政治体制の民主化が近年着実に進行しております。三月二十三日にはその最高指導者である総統を直接選挙するための投票が行われることになっておりまして、台湾における政治制度の民主化がこれにより一応完了するというふうに言われているわけであります。
 外務大臣は、この台湾における総統の直接選挙というものをいかなる価値観に基づいていかように評価されるのかをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) まず、お答え申します前に、台湾との関係における我が国の立場でございますけれども、御承知のとおり日中国交回復の際に共同宣言においてそれが明らかにされております。そして、現在、我が国と台湾との関係というのは非政府間の実務の関係である、こういうふうにまず理解しておるわけでございます。
 そういった前提に立っての話でございますけれども、しかし台湾において今御指摘のような政治の面で民主的な動きが進展しているということは、これはアジア太平洋地域の全体としての安定のためにも好ましいことだと、このように認識している次第でございます。
○武見敬三君 先ほどのODA白書の中でも「外交活動全体によって取り組むべき重要な課題である。」というふうにこの民主化を促進する基本姿勢が明らかにされているわけでございまして、その点をぜひ基本的にとらえてこの総統直接選挙についての評価をしていただきたいと考えているわけであります。
 そこで、この台湾における総統直接選挙が無事にきちんとした形で終了したとすれば、その場合、日本政府は、外務大臣御自身か、あるいは日中国交正常化のときに日台関係についてそれを規定する談話を発表した方式、すなわち官房長官談話かその他の方式によりまして、こうした民主主義の制度化という点についての歓迎談話などをお出しになる考え方はございませんでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 我が国と台湾との関係は先ほど御答弁申し上げたようなことである、こういうことでございます。しかし、台湾における民主的な制度あるいはそういった状況がどんどん進展していくということは歓迎すべきことではありましょうけれども、それを政府として例えば官房長官談話として評価するということは、他の国との関係におきましても先例等で考えましても余り例のないことではないかと思いますし、そういった点については私から御答弁申し上げることは差し控えさせていただいた方がよろしいんじゃないかと思います。
○武見敬三君 私自身は、実は基本的に政府の方針にも基づいた形でこうしたことが可能だと考えております。
 現に、例えばこうした台湾における民主主義の制度化についての歓迎談話の中で、それを評価しつつも、さらに加えて台湾は中国の一部であるという我が国政府が理解する見解を再び確認し、その上で平和的にこの台湾の問題が解決することを切願するというようなそうした姿勢を加味してその民主主義を評価するということであればこれは可能であろうと思いますし、それは先ほども外務大臣おっしゃいました民主主義というものを共有する国家あるいは地域というもの同士の間における温かい基本姿勢というものを国際社会にきちんとした形で私はアピールできる方法ではないかと、こういうふうに考えているわけであります。
 次に、台湾海峡をめぐる軍事情勢というものについてお聞きしたいと思います。
 台湾の李登輝総統の昨年の訪米をきっかけにいたしまして、中国の軍が台湾近海あるいは近辺におきまして一連の軍事演習を行っております。その結果、にわかに台湾海峡情勢が緊迫化してきているわけでありますが、実際にこの軍事演習の内容というものは、ミサイルによる攻撃、海上封鎖、そして三軍による上陸作戦等々の演習だというふうに伺っております。
 そこで、防衛庁にその軍事的な目的は何であるのか、そしてその演習の具体的内容についての説明をいただきたいと思います。
○政府委員(小池寛治君) 中国による最近の軍事演習の目的、それから内容についての御質問ですけれども、種々の情報を注意深く追っているところでございますが、最近、中国が台湾近辺で実施した主な演習の概要というのは大きく分けて次の三つがございます。
 第一には、昨年七月の後半にミサイル発射訓練を行っております。台湾北方の公海上で地対地ミサイルの発射訓練、六発を実施しております。それから、昨年八月の後半にミサイル等の実弾射撃訓練を行っております。東シナ海の台湾北方沖海域においてミサイル、それから火砲の実弾射撃訓練を実施しております。その訓練には航空機、フリゲート等が参加していた模様でございます。それから三番目に、昨年の十一月ですけれども、福建省の沿海地方で陸海空軍による上陸演習を実施した。こういったところが演習の概要でございます。
 この演習の具体的な目的は何かということですけれども、台湾の李登輝総統の訪米、これは昨年の六月以降、中国は台湾近辺での演習を連続して実施しているという状況から判断しますと、台湾の国際的地位向上を図る動き等に対していわば牽制する意図を持っているという見方が多うございます。
 いずれにしても、その具体的な目的、意図ということについて防衛庁として確定的に判断しておるわけではございません。
○武見敬三君 今おっしゃったのは、むしろ私は政治目的であろうかと思います。軍事目的と申しますと、一九八〇年代の中ごろから人民解放軍は急速にその近代化を進めてきておりまして、それによって集団軍であるとかあるいはその技術の改善等、装備の改善等に相当力を入れてきた、それがある一定の段階に達したことによってその能力を確認する軍事演習が必要になってきたのがたまたまこの時期に私は重なったんだろうと思います。それをあえて今おっしゃった政治目的と結びつけた形で実施したというのが私は実情ではないかというような気がするわけであります。
 実際に軍事的能力の評価という点から見た場合、防衛庁はこの中国の軍事力というものが台湾に対する上陸作戦等を実行する軍事力を実際に保持したものであるのか否か、どのように評価されるか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(小池寛治君) 中国は台湾に上陸することができるか、いわば台湾侵攻あるいはそういう侵攻能力についての御質問ですけれども、仮定の問題でございますから、事柄の性格上、突っ込んだ説明は差し控えさせていただきたいと思います。
 しかし、最近の米国軍当局の見方としては、中国軍は台湾海峡を越えて台湾上陸作戦を実施するのに必要な兵力と支援能力を欠いている、あるいは台湾上陸作戦を実施する能力がないというような報道がなされております。
 防衛庁としても、あえて極めて純粋に軍事的な能力という点にのみ限定して申し上げれば、中国軍は規模的には確かに大きな兵器を保有しております。しかし、質的には旧式な装備が多い。例えば、上陸作戦ということになりますと両用戦艦艇というのが必要になりますけれども、数は確かに多いけれども小型のものが大部分であって、その輸送能力などは極めて制約されているのではないか、したがって台湾に侵攻する能力は純粋に軍事的能力という見地から見ますと限定されているのではないかというふうに考えております。
○武見敬三君 この軍事演習等に関する政治目的については既に防衛庁の方から述べられたわけでありますが、外務省として基本的に台湾問題は国内問題であるとの理解を一応示されているのではないかとは思いますが、このような軍事的な行為というものを通じて政治目的を達成しようとする中国政府のやり方についてどのように評価しているかを伺いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) この中国の軍事演習についてはいろいろな見方があるところでございますけれども、先ほど防衛庁からもお話しございましたが、私どもは、いずれにいたしましても、能力的な面から見ましても、あるいは意図という点から考えましても、台湾海峡で差し迫った危険があるというふうには認識しておりません。
 中国の意図をどう見るかという点でございまするけれども、私どもとしては、いずれにしても、あの地域における緊張が高まるということは、これは両当事者の関係はもとよりのこと、アジア太平洋地域全般、我が国にとりましても当然これは重大な関心を持たざるを得ないところでございまするので、そういった緊張が和らぐように、高まらないようにそれなりの両当事者の自制を期待したいと思います。我々としても、我々の立場からの働きかけは、そういった考えを伝えるという意味での働きかけはしておるところでございます。
○武見敬三君 自制を求めるということで、こうした軍事演習等を使った政治目的の達成については否定的な評価をされたと私は受けとめますが、実際にその旨日本政府は中国政府に対して何らかの申し入れ等をしておられるのでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 私どもがそういったことを中国あるいは両当事者に自制を期待しているということは、いろいろなルートを通じて先方には伝わっておると思います。
 一つだけ申し上げますと、私自身が先般タイで銭其_中国外務大臣とお会いいたしましたときも、そのような我が国の考えというものをお伝えしたところでございます。
○武見敬三君 そのときの銭其シン外交部長の回答はいかなるものでございましたか。
○国務大臣(池田行彦君) 会談の具体的内容についてはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますけれども、私どもがそういう考えを持っているということ、そしてそれのよってもってくるゆえんは理解されたものだと思います。
 それからなお、こういったことは我が国だけではございませんで、同じようにこの地域に利害と関心を有する国、例えば米国におきましてもやはりそのような我が国と基本的に共通する認識、見解を持っていまして、米国もその立場で両当事者にそういった見解を伝えているものと承知しております。
○武見敬三君 ところで、伝えられるところによりますと、中国は引き続き三月二十三日に行われる総統直接選挙に向けて対岸福建省等における次の軍事演習の準備を進めているというふうに伺っております。これは防衛庁、いつごろどの程度の規模の軍事演習が現在計画されているのでありましょうか。
○政府委員(小池寛治君) 中国が昨年六月の李登輝総統訪米以来、台湾近辺においてミサイル発射訓練等の活発な動きを見せてきたということは先ほど申し上げたとおりでございますが、今後、総統選挙に向けて何らかの訓練を行うということは十分予想されるところでございます。しかし、どのように実施するのかは、その訓練の規模あるいは時期等について、いろいろ憶測に基づくような報道はなされておりますけれども、具体的な内容について我が方として確認しているわけではございません。
○武見敬三君 こうした一連の中国の軍事演習等は、やはり北東アジア全体の安全保障にもさまざまな影響を及ぼす重要な問題であると私は考えるわけでありますが、実際にこの一月、局長レベルで日中安全保障対話が開かれております。このときにこうした問題は議論になったのでありましょうか否かをお聞きしたいと思います。
○政府委員(加藤良三君) この点も含めまして幅広い議論を行いました。
○武見敬三君 その実際の対話の中で、中国側は日本にとって満足のいく回答をきちんと示してくれたんですか。いかがでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) この日中の安保対話それ自体はクローズド・ドアのかぎでございますので、やりとりの細かい一々を御説明することはできないわけでございますけれども、この協議を通じて中国側は、一方においては中国の改革・解放政策の追求、これは軍事的な面での投資というものをも上回る優先順位第一の課題であるのでこれを引き続き追求していきたいということを述べておりまして、そのためには当然のことながらそういう政策の追求に資するような国際的な環境というものを中国は欲するわけだというような点も含めて、いろいろやりとりがございました。
○武見敬三君 わかりました。
 それでは、日本がこうした台湾海峡情勢にどういう形で実際にかかわっているのかということを確認したいと思います。
 そこで、冷戦下においてもさまざまに議論されてきたことでありますが、日米安全保障条約の第六条、極東条項の再確認を実際にしてみたいと思うわけであります。
 極東条項というのは、言うまでもなく極東における国際の平和と安定のために在日米軍の使用を許可している条項でございますが、これについては昭和三十五年二月二十六日に極東の範囲に関する政府統一見解が出されておりますが、この統一見解は今日においても引き続き効力を有しているのかどうかの御確認をお願いしたいと思います。
○政府委員(林暘君) 今御指摘の昭和三十五年二月二十六日の極東の範囲に関する政府の統一見解につきましては、基本的にこの考え方に現在も政府はのっとっております。
 ただ、言葉遣いとして、その後の状況によって、この三十五年の統一見解には「中華民国の支配下」という言葉がございますけれども、これは「台湾地域」と読みかえているということはございますけれども、基本的に同じ考え方に立っております。
○武見敬三君 その「台湾地域」には台湾海峡、澎湖島さらには金門、馬祖沿岸諸島は含まれているのでございますか。
○政府委員(林暘君) この統一見解のときにも、統一見解の中にありますように、この「極東」という言葉は別に地理学上正確に確定されたものではないという前提で、地理的には「フィリピン以北」云々という御承知の文言を使っておるわけでございます。これは三十五年のときにもいろいろと御議論が国会でございましたけれども、基本的に個々の、一々小さな島を含めましてこれが入るこれが入らないという議論をするのは適切でないということを申し上げている次第でございます。
 この「極東」という言葉は今御指摘のように安保条約の第六条に掲げておりますけれども、それのポイントは日本とアメリカ両国がその平和と安全の維持に共通の関心を有している地域であるということがポイントでございまして、そういう地域で、おおよそ言えば先ほど申し上げましたようにフィリピン以北並びに日本及びその周辺地域、韓国、台湾地域は含むということでございます。
○武見敬三君 私は、殊さら台湾海峡における軍事的緊張をあおってみたり、それを実際に扇動するような気持ちは全くないわけでございまして、むしろ冷戦が終了した後さまざまな地域がやはり流動化し、不確定な要素を含み始めている現実を国民にきちんと知らしむる必要があるという認識に立って御質問をさせていただいているわけであります。
 しかも、これから総理が訪米をされ、日米安保体制の再定義のクリントン訪日に向けてのいわゆる布石をこれから打たれていくわけでありますし、こうした極めて重要な我が国の安全保障政策の課題というものがこの日米安保体制の再定義だと考えるわけでありますが、その中にはこれまで以前と変わらない日米安全保障条約の再確認部分というのが当然含まれていなければいけないわけでございます。その内容が実際にはこうした台湾地域も含むということを改めて認識し、そしてこの流動化している現状について国民がきちんと理解をしておくことが、現状においては緊迫化していないといえども実際にそれが不幸にして緊迫化したときに日本がきちんと対応し得るためのやはり前提条件になるだろう、こう考えて質問をさせていただいた次第であります。
 さらに、アジア諸国の民主化に対して政府としても温かい姿勢というものを示し続けることが極めて重要であり、台湾も決してその例外ではないだろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
○寺澤芳男君 池田外務大臣、おくればせながら外務大臣御就任をお祝い申し上げます。
 去年の十月十九日、私は当外務委員会におきまして国連の常任理事国入りについて質問をいたしました。日本は平和憲法を持ち、核も持たないユニークな常任理事国になるとはっきりした立候補宣言をすべきではないか、控え目な表現は国際社会では通用しないのではないかと質問いたしました。河野洋平大臣は、「だれがそのいすに座るかということになったときに、我が国は国民の理解、そして国際社会の期待といいますか理解といいますか、そういうものを踏まえて考えますということを言っているわけで、こうした考え方は、昨年私が国連で演説をして以来、村山政権は一貫してそうした考え方を持っております。」と非常に丁寧にお答えいただきました。しかし、この答弁そのものもまさに日本的表現で大変に失望いたしました。
 この常任理事国入りという問題は、これからの日本のあり方を考える上で非常に重要なものだと思います。今後、橋本政権がどのように取り組むのか注目をしております。
 一月二十四日の衆議院の代表質問、このときに橋本首相は、常任理事国入りについては憲法が禁ずる武力行使を行わないという考えのもと多くの国の賛同を得て責任を果たす用意がある、こうおっしゃいました。我が国は主権国家なのでありますから、私ははっきりと責任を果たしたいと言うべきだと思います。ただ、今この場で言葉についてのせんさくをしても仕方がありませんので、常任理事国入りについての池田外務大臣の御所信をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 安保理常任理事国入りにつきましては、ただいま委員御指摘のとおり、一昨年並びに昨年の国連総会におきまして当時の河野前外務大臣から我が国の立場を鮮明にしておりますし、またこれも御指摘ございましたけれども、先般の衆議院本会議におきまして橋本総理より、憲法の禁ずる武力行使を行わないという点を含む我が国の基本的な考え方のもとで多くの国々の賛同を得て安保理常任理事国としての責任を果たす用意がある、こういうことでございまして、私もそのような考えで臨んでおるところでございます。
○寺澤芳男君 カンボジアのPKOをやり遂げた九三年の五月ごろには我が国の常任理事国入りを歓迎する空気が確かにあったと思います。しかし最近はどうなっているのか、常任理事国に立候補さえすればなれるのか、もし立候補してもなれないのではないか。
 我が国が常任理事国になるためには国連憲章を改正しなければならない。憲章百八条には「この憲章の改正は、総会の構成国の三分の二の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の三分の二によって各自の憲法上の手続に従って批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。」、こうあります。
 つまり、百八十五カ国の加盟国のうち分担金を支払っている国、仮にそれが百八十カ国だといたしますと、その百八十カ国のうち百二十カ国が賛成しなければならない。さらに、米、英、仏、中、ロ、これの支持が果たして得られるのかどうか。
 昨年十一月に予定されていた日米首脳会談では、常任理事国入りに対する米国の支持が盛り込まれるはずであったと聞いております。ほかにはフランスのシラク大統領も賛意を表明しているように聞いております。チェコのハベル大統領も昨年十二月、来日した折に賛成の声明を出しております。
 現在、我が国への支持を得るために外交の現場ではどのような運動、作業をなさっておられるのか、また我が国を支持する国は現在どのぐらいの数だと考えておられるのか、さらには今世紀中に我が国は常任理事国になれるのか、今後の長期的なスケジュールをお話し願いたいと思います。
○政府委員(川島裕君) 我が国の常任理事国入りについてどういう国際社会における反応があるかということについてまず申し上げますと、今、安保理改革作業部会というものがございましていろいろ議論を進めておりますが、その中で我が国とそれからドイツの常任理事国入りということについてはかなり支持が表明されております。
 ちなみに、国連の場及びいろいろな二国間会談の機会において我が国の常任理事国入りについてこれを支持するという意向が表明されることがいろいろございまして、これは八十六カ国に及んでおります。国連で発言した国が五十五カ国、二国間会談等で発言した国が三十一カ国ございます。
 そして問題は、ただその安保理の改革というものが作業部会を通じて順調に進むかどうかということになるわけでございますけれども、そう簡単ではないというのが現状でございます。つまり、日独は常任理事国だろうなという雰囲気があればそれで十分かというとそうではなくて、それ以外にアジアあるいはラ米それからアフリカのそれぞれの地域からもやっぱり常任理事国を選ぶべきではなかろうかというようなことになりますと、どの国がなるべきかということについてむしろ意見が収れんよりは拡散ぎみなわけでございます。つまり、あの国だけは阻止したいという国の数の方がどうしても多いというのが実態になるわけでございますので、なかなか議論が収れんしないということでございます。
 しかしながら、昨年が国連五十周年でございまして、五十周年の会期がことしの九月までございます。こういう一つの節目の年であるだけに、この安保理の改革の作業を何とか前に動かすべくいろいろ日本としても作業部会の場に積極的に参加をして、今のところは意見の開陳がばらばらと行われる状況なんですけれども、もう少し交渉のテーブルに着くというか議論を収れんしてやりとりが行われる方向に持っていくべきではないかということで、いろいろ動いているというのが実態でございます。
 しからば、いつごろになればということにつきましては、今申しましたとおり、作業のテーブルに着いて交渉に移るべきではないかと主張はしておりますけれども、先ほど申しましたとおりなかなか議論の収れんが見えてこないものでございますから、いつごろまでに議論がまとまって、そして先ほど委員御指摘の憲章改正の手続に移れるかと言われますと、これはちょっと何とも申しかねるというのが実態でございます。
○寺澤芳男君 現在、我が国は安保理の非常任理事国でもない。つまり、現在アジア地域からの非常任理事国は韓国とインドネシアであって、ことしインドネシアの二年の任期が切れます。日本としては、この非常任理事国を目指してインドとこれからそのポストを争うというふうに理解しておりますが、さっきの常任理事国と同じように、それがたとえ非常任理事国であっても三分の二という、仮に百八十だとすると百二十という票数を集めなければならないわけですから、インドを向こうに回して仮にインドが六十一とったら日本は百十九しかとれないわけで、そうするとインドは日本が非常任理事国になることをブロックできる立場にあろう、そういうふうな厳しい状態であるのだろうというふうに理解しております。
 常任理事国を仮に目指す日本があえてこのインドと戦って非常任理事国を目指す理由、こういう理由があるとすれば那辺にあるのか、教えていただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、我が国は国連加盟以来七回非常任理事国、最近では九二年から九三年にかけてそれを務めております。
 常任理事国の方につきまして先ほど局長から答弁申し上げましたように、ことし総会決議が採択できるかどうかめどがまだ立っていない。そしてさらに、採択されましてもまだ批准の手続に二、三年はどうしてもかかろうということでございますので、そういった情勢を踏まえまして、現在の段階でもやはり我が国として国際社会の中で果たすべき役割は果たしてまいらなくちゃいけない、このように考えておりまして、今回非常任理事国として立候補しているところでございます。
 御指摘のとおり、インドとの競合という問題がございます。最初はアジア地域から我が国のほかにインドとフィリピンも立候補しておったわけでございますが、フィリピンはその後いろいろ調整の結果、立候補を取り下げました。現在、我々としては支持の取りつけに最大限の努力を、私自身も少しはやっているわけでございますけれども、インドも非同盟諸国等を中心にして影響力を持っておる極めて強力な相手である、このように考えています。このため、私どもとしましては、引き続き支持の拡大に努めると同時に、機会をとらえてインドともお話をしてみたいなと、こういうふうに考えている次第でございます。
○寺澤芳男君 ありがとうございました。
 我が国は一九五六年十二月十八日に国際連合への加盟が認められました。申請書を提出してから四年半かかっております。重光外務大臣は、加盟受諾の演説の中で、日本が国際連合の崇高な目的に対し誠実に奉仕する決意を有するということを表明いたしました。このとき以来ずっと我が国はいわゆる国連中心主義ということを日本外交の三本柱の一つに掲げ、どの国よりも国連崇拝ともいうべき態度で日本の外交を進めてきたと言えるのではないかと思います。
 けさも今来日中の明石さんと話すチャンスがあったんですが、もう日本の国連崇拝外交、国連というものを神棚からおろすべきときが来たと。どういう意味かと申しますと、結局、今国連の最大の問題として財政上の問題があるわけで、日本がちゃんと分担金も払っているにもかかわらず、例えばアメリカが約十六億ドルもの滞納金がある。しかも、なおかつアメリカは二五%国連に出資しており、それを背景に国連で大きな顔をしている。日本は優等生なのにもかかわらずどうも小さくなっている。口は出すけれども金は出さないというのがアメリカの実情だろうと思います。
 そういう国連というものに対するかかわり方について、崇拝をするという以上にもっと踏み込んだ、国連を何とかしなければいけない、日本がもっと一歩踏み込んでマネージしていくという、そういう態度に出ていかなければならないときがやってきたというふうに私は考えます。
 これは明石さんが言っていることですが、今の日本は世界一ぜいたくな消費国家として、フィルターにかけられて入ってくる世界文化を鑑賞しながら自分だけの生活領域で満足感に浸っている。そういう世界には抗争する旧ユーゴも国家づくりに苦悩する開発途上国も入ってくる余地がない。それは知的怠惰と精神の傲慢であると言う。
 個人的な体験で恐縮なんですが、私も四年ばかり世界銀行で発展途上国の経済開発のためにそういう職務についたことがあるんですが、これから日本が国際社会とどうかかわっていったらいいのか、そしてある意味では国連を外交のためにどういうふうに利用していったらいいのか、アメリカが湾岸戦争のときにあるいは朝鮮戦争のときに国連を利用したように。その辺のところのお考えを一言お聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 寺澤委員御指摘のとおり、我が国は国連外交を三本柱の一つとして重要に考えていくといたしましても、これからの時代は従来のようにただそれをいいものだと、崇拝するという表現を使われましたが、そういったものでは済まないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 我々は国連の運営に責任を持つと同時に、これからのあり方についても、財政の問題、安保理の問題あるいは経済社会の関係の改革を今考えられておりますが、積極的に発言し、そしてその上で責任も果たしていくべきものと考えておる次第でございます。
○高野博師君 新外務大臣を迎えての最初の外務委員会でありますので、まず外務大臣の外交理念とか外交姿勢とか、基本的な点についてお伺いしたいと思います。
 その前に、一つだけ住専問題との関係でお尋ねしたいと思うんですが、大臣は住専関連の企業から政治献金とかあるいは役員報酬等を一切受け取ってはいないとは思いますが、念のためお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) この問題は今国民の大変重大な関心の的にもなっておることでございますし、政治家としてそのあたりはきちんとしなくちゃいけないと思います。
 私といたしましても、就任以来、自治省あるいは選管に届けている書類、さらには私の事務所に保管してございます書類等でいわばチェックをしてまいりましたけれども、その限りにおいてはございません。
 ただ、御承知のとおり、私の関係します政治団体がいろいろな会合、勉強会であるとかいわゆるパーティーなどがございますが、そういった際に御参加いただいた方の中にそういった関係者がいなかったかと申しますと、それはございます。
 御承知いただいていると思いますが、私は政界に入ります前にかつて大蔵省に勤務していた時期がございます。その当時、職場をともにしたというよりも、一種の上司であった方がその後別の世界へ進まれまして、いわゆる住専とかあるいはその関連する企業の役員なんかになられた方もおいでになります。そういった方が先ほど申しましたような会合に出られたことはございますけれども、これは私どもの方の認識としましては、その時点で一体何をやっておられたかというよりも、何年入省の先輩のあの方が来ておられるなとか、そういう感触で見ておりましたし、恐らく御参加いただいた方もそういった御認識のもとでおいでいただいたものと、このように考える次第でございます。
○高野博師君 ありがとうございました。
 橋本総理の施政方針演説の中で平和と繁栄の創造のための自立的外交の展開、それから外務大臣の外交演説の中で創造的外交を展開する、こう言っておられるんですが、自立的外交、創造的外交。外務大臣は自立的外交とは二百も言っておりません。それから、総理も創造的外交については全く言及されていない。それぞれ一体どんな外交であって、両者の関係はどうなのか、外務大臣と総理がそれぞれ別個の外交をやられるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 私は橋本内閣の外務大臣でございまして、私が自立して独自の政策展開をしょうなんという大それたことは考えておりません。このことは先般当委員会においてごあいさつを申し上げました節にも、自立的外交を提唱しておられる橋本総理の方針のもとに私も創造的な外交を展開してまいりたいと、こういうふうに申し上げたというふうに記憶しているところでございます。
 物事のとらえ方、その表現の仕方はいろいろございますけれども、当然、橋本総理のおっしゃいました施政方針演説で規定されました大枠の中で私の外交演説も存在するのだというふうに御理解ちょうだいできればと思います。
○高野博師君 私が伺いたいのはその中身の話なんです。一体自立的外交とは何を指すのか、創造的外交とは一体何なのか、そのことをお伺いしたいと思っているんです。
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、現在、国際情勢も随分大きく変化してまいりました。そうしてまた、国際社会における我が国の立場あるいは期待される役割というものも事務的にも非常に大きくなりますし、質的にもいろいろ変わってきたと思うのでございます。
 かつてでございますと、国際社会のいろいろな動きというものをいわば要件として考えて、そういったものを前提にしながら我が国はどう対応するかなと、ちょっと雑な言い方になったかもしれませんけれども、そういうことであったかと思います。そういった中で、例えば米国との関係にいたしましても、やはり米国の存在が非常に大きくて、それとのかかわり、経済の面でもあるいは政治の面でもそれを中心にして我々はどう対応するかと、そういうとらえ方であったかと思います。
 ところが、現在におきましては、我が国が国際社会において占める経済的なウエートは非常に大きくなっております。そうしてまた、政治的あるいは文化的な面でも国際社会の期待するところは非常に多くなっていると思うのでございます。そういったときに我々は、やはりそういった国際社会の要件というんじゃなくて、我々自身がこれからの国際社会のあり方はどうあるべきなのか、そして我々の行動が意図するとせざるとにかかわらず国際社会のありようを動かしていく、影響するものでございますから、むしろそれを意図するというか、十分にそういったことを認識した上で自主的に判断をし行動していくということだと思います。
 しかし、要件ではないからといってそれを無視していいわけではない。当然、国際社会の諸条件というものは十分念頭に置きながら、とりわけ、先ほどちょっと米国と申しましたが、米国との相対的な力関係あるいは位置というものは変化があったかもしれませんけれども、依然として米国は大きな存在、あらゆる意味で大きな存在であり、このあり方というものを十分に考えながら、しかも連携をとりながら進めていくわけでございますけれども、やはりそこに国際社会のあり方というものを我々も動かしていくんだという認識のもとに取り組んでいく、こういうふうに私なりに解釈している次第でございます。
○高野博師君 総理が施政方針演説の中で「今や我が国は、従来型の国際貢献からさらに歩を進め、国際社会に受け入れられる理念を打ち立て、世界の安定と発展のためみずからのイニシアチブで行動する国家であるべきであります。」、こうおっしゃっております。従来型の国際貢献をさらに歩を進めるというのは具体的にどこをどういうふうにするのか、それから国際社会に受け入れられる理念とは一体何を指すのか、その中身についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) まず、理念の面でございますが、御承知のとおり、我が国の憲法が掲げております基本的人権の尊重あるいは民主主義、平和主義というものが我々の基本的な理念でございます。これまではいわば我々日本国あるいは日本の国民のありようとしてそういうものを考えておったわけでございますが、我々が国際社会に処していく、あるいは先ほど申しましたように国際社会のあり方を考え、それをつくり出していくという面でもそういった理念を大切にし、そういったものを押し出してまいる、こういうことだと思います。
 さて次に、具体的な国際的な貢献といいましょうか、協力の方途いかんということでございますが、これにつきましても従来から経済面、文化面あるいは政治面でもいろいろ協力を推進してまいりました。そういったことを引き続き行うのは当然でございますけれども、それが単に、例えば経済協力の規模においてどうこうであるというだけではなくて、そういったものがそれぞれの国あるいは地域の開発なり発展にどのように寄与していくんだろうか、また我々として、大きなウエートを占める我が国として国際社会、そして具体的にはその地域の将来のあり方をどう考えるか、そういった理念と結びつけながらいろいろ協力していく。
 例えば金の援助だけでなくていろいろなノウハウ、社会の運営の仕方、発展についての我々の経験を踏まえたノウハウを移転するということは、現在、次第に広げられている我々の協力のあり方でございますけれども、むしろそういったところにウエートを置きながら考えてまいりたい、こう思っております。
○高野博師君 アメリカのコロンビア大学のジェラルド・カーチス教授が、日本の外交政策はスローガンばかりでやろうとすることが見えない、こういうことを言っておられます。総理の演説、外務大臣の演説を見ましても、日本外交の方向性とか進路あるいは理念といったものが明確でないという印象を私は持っております。世界の平和とか共生とか人権、文化とか、基本的に日本外交が目指すものがなかなか見えてこないという感じであります。そして、国際社会の中で日本がいかなる国としてこれから生存するのか、生きていくのかというところもなかなか不透明ではないかなという感じを持っております。
 大臣がその演説の中で「我が国の安全と繁栄は、国際社会の平和と繁栄があって初めて可能であることを改めて強調したいと思います。」、こう言っておられますが、一国の安全と繁栄というのは世界の平和と繁栄にかかっているということはもう当然で、改めて強調するまでもないだろう、そう思います。
 それから「我が国の行動いかんが世界の平和と安定に大きな影響を持つことも認識しなければなりません。」と、こう言っておられます。そもそも我が国の行動が世界の平和と安定にこれまで大きな影響を持ったことがあったのかなという疑問を持っております。むしろ、一国平和主義とか繁栄主義とかという批判をされてきたのではないかと思います。だからこそそこに新しい自立的外交とか創造的外交を打ち出す意義があるんだろうと思います。
 大臣は演説の中で積極的という言葉を何度も使っておられます。十数回使っておられます。一層の努力とか一層の強化とか、こういう言葉も頻繁に使っておられます。この外交演説が単なるセレモニーとか、それだけの意味しか持たないというのであれば問題だろうと思います。私は、スローガンとかかけ声だけに終わらないように、言葉どおりこれまで以上の積極的な外交を展開していただきたいと期待いたします。
 それで、外交演説の中の幾つかのテーマについて御質問させていただきたいと思います。
 大臣は冷戦後の国際情勢にも言及されておりますけれども、冷戦が終わった後噴出したいろんな問題を突き詰めると、結局はこの二十世紀という時代そのものにいかざるを得ないと、こう言われておりまして、人によっては二十世紀は極端の時代だとか、あるいは暴力と戦争の世紀だった、そうも言われております。
 現在猛威を振るっているこの分断のエネルギー、これを克服する、あるいは環境破壊とか貧困とか山積する地球的問題群に向けての人類の共闘、そういう足場を築き上げていくことが二十一世紀までの残された期間の我々の最優先の課題ではないか、そう思います。そして、この人類の共闘を支えるには深い精神性がなくてはならない。その精神性とは未来への責任感、我々の責務ではないかと思います。さまざまな形の地球的問題群に直面して地球は病んでいると言われますが、しかし本当の問題は人間そのものが病んでいるのではないかと思います。
 大臣の演説の中で、環境、人権、人口、難民、麻薬、テロなどの地球的問題群は我が国の国際貢献の最も重要な柱の一つである、こう言われておりまして、今後とも我が国の知識や経験を生かして国際社会と協力して問題解決に取り組んでまいりたい、こうおっしゃっていますけれども、我が国の知識とか経験を超えたところに存在しているのがこれらの問題ではないかなというふうにも思います。いずれにしても、人間の生存権とか尊厳にかかわる解決困難な問題ではないかと思います。
 ところで、国連がことしを貧困撲滅のための国際年と定めておられます。来年の九七年からは第一次貧困撲滅のための十年をスタートさせるとも聞いております。そこで大臣は、この貧困という問題をどのようにとらえておられるか、解決のための我が国の方途とか取り組み方についてグローバルな視点からの御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま高野委員から委員御自身の長い経験を踏まえて、また現在の地球社会の状況と将来のあるべき姿についての大変示唆に富んだお話をちょうだいしまして、大変参考になったところでございます。
 ところで、その中で貧困撲滅の国際年でございますけれども、まず貧困というものをどういうふうに考えておるかということでございます。
 基本的に申しまして、みずからの生活を支えるに足るような所得が十分に得られないということ、あるいは社会といたしましてはそのようなものをその社会の構成員に与えるに十分な生産的な資源の不足、そういったことだと思います。そして、そのような社会全体としての絶対的な不足部分と同時に、社会全体としては充足するに足る手段はあるんだけれどもいろいろなことで均等な分配ができないというようなことで生活を維持できない、またそういったことで飢餓や疾病の状況が起こる、そういったことを言っているのだと思いますけれども、国際的な具体的あるいは一義的な定義というものはこれは国連においてもないものと、こう考える次第でございます。
○高野博師君 私がお伺いしたいのは貧困の定義ではなくて、貧困が一体この国際社会の中でどういう意味を持っているかという観点であります。
 世銀の報告によりますと、世界人口の五十八億人のうち十一億人は絶対的貧困層にある、六人に一人は絶対的貧困に属している、そして問題はその数が増加し続けている、西暦二〇〇〇年には十三億人になる見通しだ、こう言われております。
 私も実際に各地で貧民街とかいうような実態も見てまいりました。国連のガリ事務総長は、さまざまな紛争の根源がこの地球上に存在する十億人を超える絶対的貧困層にある、こう指摘されております。また、WHOの報告でも、最も恐ろしい病気は貧困である、世界の子供たちのうちの三分の一は栄養不良の状態にある、こういう報告もあります。
 冷戦後の現在、世界各地で貧困から対立を助長させて、その対立から起こる紛争がさらに貧困を深刻化させているという悪循環がある、そう言えると思います。そこで、この貧困問題に関する各国の援助があるわけであると思います。
 大臣も演説の中で、先進諸国における援助疲れがあるということも指摘されております。そこで新たな長期的な開発戦略を策定する必要がある、おっしゃっておられるとおりだと私は思います。国連における開発のための課題に関する議論に貢献する必要がある、そうもおっしゃっておられまして、ただそこで援助の行き詰まりを打開するための新しい発想、新しいコンセプトに基づく国際的な枠組みを確立する必要があるのではないかと思います。
 その新しいコンセプトとは、やはり国連も言っているヒューマンセキュリティー、人間のための安全保障の概念であろうと思います。私もこれまで何度かこれについては言及してまいりました。これまでの援助は、二国間援助を軸として一国の経済社会開発に、むしろマクロに主眼を置いてきた。これからは貧困に苦しむ人間そのものに焦点というか光を当てて、教育あるいは保健衛生といった、いわば人間開発に重点を置くことが必要になろうと思います。
 ちなみに、国連のUNDPでは各国の人間開発指標、HDIという新しい指標を発表しております。国家の順序をつけるのにこれまで経済力とか軍事力とかそういうことが基準になってきた、これからは人権が守られているのかどうか、あるいはHDIがどの程度かどうか、そういうことが基準になるだろうとも言われておりまして、この人間という再生も拡大も可能な無限の資源を開発するという環境づくりを、すなわちこの長期的な開発戦略を国連が中心となって進めることが紛争を未然に防止する、そして悲惨な悪循環を断つことにもなるのではないかと思います。
 いずれにしても、結局は教育という問題に行き着くのではないかなと思います。この貧困撲滅という極めて困難な問題に我が国が率先して粘り強く取り組んでいくということをすれば、国際貢献として大変重要なことで、その努力は国際社会から高く評価されるであろう、私はそう思います。
 大臣は、外交演説の結びのところで、次の五十年の始まりを迎えて、今後ともアジア近隣諸国等との間の過去の歴史を直視して、そして将来に向けて各国との相互理解や信頼関係を促進すべく積極的に取り組んでいく所存である、こう述べておられます。
 そこで、過去の歴史を直視するという大臣の発言との関連でお尋ねしますが、太平洋戦争の目的とか性格についての大臣の歴史認識についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 過去の歴史に関する認識いかんという御質問でございますけれども、私といたしましては、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これに対する深い反省に立って将来の世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくべきものと、このように認識している次第でございます。
 なお、戦争の性格いかんという点につきましては、これはいろいろな考え方もあるわけでございますので、一義的にその性格づけをするということは差し控えさせていただきたいと思います。
○高野博師君 橋本総理が、過去の大戦の目的や性格を特定するのは容易ではない、断定的に言うのは困難であると発言しておられますが、ほぼ同じお考えでございましょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
○高野博師君 この総理の発言については、韓国や中国のマスコミから、総理は侵略戦争であることを事実上否定した、こういう非難もされております。対アジア関係の最大のポイントはやはり我が国の指導者の歴史認識にあるとも言えると思います。韓国との竹島問題、これも根底にはやはり歴史認識の問題が存在しているのではないかなと思います。
 ところで、浅利慶太氏が「外交フォーラム」という雑誌の中で「ODAは文化・教育に使うべし」、こういうタイトルで提言しておられます。その中で同氏は、
 東アジアのアヘン戦争以降の歴史観をめぐるドキュメンタリー番組を各国共同で製作し、放映したい。各国の歴史学者・政治学者が一堂に会して議論し、そのうえで各国の制作者が協力し合うのです。大叙事詩のタペストリーができるでしょう。これを各国で放映すれば共通意識も生まれます。こういう方向に、日本政府が積極的にODA予算を活用してくれることを希望したいのです。
こう述べておられます。
 私は、非常に興味深い大胆なアイデアだと思いました。これを実現するぐらい我が国政府に度量があれば、日本はアジア各国の中からもっと信頼されて本当の友人になれるんではないかなということを感じました。日韓の間ではこの歴史認識についての共同研究のチームができておりますけれども、アジア各国とも正確な歴史認識を共有する努力が必要ではないかなと思います。
 先ほど同僚の議員から同じような質問があったので簡単に触れたいと思うんですが、最近の日韓関係が竹島の領有権をめぐってぎくしゃくしている。両国関係に対する政府の現状認識と竹島問題についての対応をお伺いしたいと思います。簡単で結構でございます。
○国務大臣(池田行彦君) 日韓両国の関係につきましては、それは両国の価値観も共有しておりますし、いろいろな幅広い分野におきまして利害も共通する国でございます。何と申しましても一衣帯水の国でございます。長い交流の歴史を有しております。いかなることがありましても、この二国間の友好的な環境というもの、関係というものは守っていかなくちゃいけない、これが我が国の外交にとりまして最も重要な課題の一つであると認識しておるところでございます。
 そういった前提に立ちまして、竹島の問題でございますけれども、この問題についての我が国の立場は御承知のとおりずっと一貫しているところでございます。しかしながら、韓国とはその立場が違います。見解がといいましょうか、主張の違うことは事実でございますけれども、その立場の相違というものが先ほど申しましたような二国間の友好関係というものを損なうようなことがあってはいけない、そこのところは慎重にまた冷静に対応してまいりたいということでございます。
 当面、具体的には国連海洋法条約の締結に関連いたしましていろいろな問題、漁業等の問題はございますけれども、こういった問題につきましては領土問題の解決とは切り離して適切な解決の方途を話し合いを通じて見出してまいりたい、こう思っております。
○高野博師君 日韓の友好関係がアジアの平和と安定にとっても重要であることはもう論をまたないと思います。東南アジアについてはASEANという一定のまとまった枠組みができている。東アジアについては朝鮮半島とか台湾とか日中関係を含めて不安定な要素が多いということで、政治的な対話を行う多国間の枠組みがないので緊張が一気に高まる状況にあるのではないかなと思っております。
 また、日本はこの地域での政治的な対話を後回しにしてきたというツケが回ってきているのではないかなということも感じております。これからまさに日本外交の構想力とかリーダーシップが問われるときではないかなと思います。
 竹島問題についてはまた別の機会に御質問させていただきたいと思うんですが、これは政治問題化しないということが大切ではないか、そして両国とも感情的な反応、対応を差し控えるということが重要ではないかと思います。この点については国連海洋法条約の関係でまた御質問させていただきたいと思います。
 次に、橋本総理が二月二十三日から二十五日まで訪米されるということで、主たる目的は何なのか、また具体的な成果というと何が期待されているのか、簡単で結構でございますのでお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 今週末、橋本総理が訪米され、サンタモニカにおいてクリントン米大統領と会談を行います。この目的いかんということでございますが、これは両国の首脳の間で個人的な信頼関係をきちっと構築し、それを固めていく、このことが主目的でございます。
 それで、どのような具体的な成果が期待されるかという御質問でございますが、先ほど申しましたようなこの会談の性格からいたしまして、それは両首脳の間で文字どおりお話し合いがあり、その中から何が出てくるかということでございますけれども、基本的には先ほど言いましたような個人的な信頼関係の構築でございますので、この会談自体で具体的な物事を取り決めようとか、そういうふうなものではないということでございます。
○高野博師君 首脳間の対話を通じての信頼関係を構築するということは二国間関係にとって非常に重要なことで、大いに歓迎すべきことだと思います。しかし、一部のマスコミでは、この時期の総理の訪米は住専問題で低落傾向にある橋本人気の復活を意図した側面もあることは否定できないというような報道もあります。人気取りのパフォーマンス的な要素を外交に持ち込むことは、時として国益に反する結果を招くこともあり得るのではないかと思います。
 日米関係は、沖縄の問題とか安保体制のあり方、クリントン大統領の訪日、日台関係等、大変重要な懸案事項を抱えている。また、米国は大統領選挙を控えているということで、総理の訪米が米国の国内政治にいわば利用されることのないように十分配慮すべきではないかというふうに思っております。昨年十一月のクリントン大統領の訪日の延期、こういう事態が二度と起こらないように期待いたします。
 時間がないので、最後に国連ボランティアの件についてお伺いしたいと思います。
 先般訪日した国連ボランティアのマックスウィニー事務局長と懇談する機会がありました。我が国の国際貢献の中でも特に人的貢献、目に見える貢献としてより多くの国民が国連ボランティアスペシャリストに参加して、また政府としてもっとUNVを支援したらどうかと思うんですが、政府の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 先般来日されましたUNVのマックスウィニー事務局長に私もお目にかかりました。そしてその際、先年カンボジアで御令息を失われて、その後そういったボランティア活動で大変な活動をしておられます中田さんも御一緒でございました。今、UNVの名誉大使という立場で活躍しておられますが、その際にもいろいろなお話を申し上げた次第でございます。UNV、そしてまた国際的なボランティア活動の重要性というのは近年ますます増してきていると思いますので、我が国としても積極的に対応しなくちゃいけない、このように考え、またマックスウィニーさんともそういったお話をした次第でございます。
 具体的には、これまでUNVに対する拠出金は二百五十万ドルだと思いましたけれども、これを今国会で御審議いただいております平成八年度の予算案では五十万ドル増加して三百万ドルに引き上げようと政府として提案している次第でございますので、どうかひとつ参議院において御審議の節もよろしく御理解をいただきたいと思います。
 また、今、委員から御指摘がございましたスペシャリスト等の点でございますが、我が国としても今以上に積極的にそういった人の面でもUNVの活動に貢献してまいりたいと思っております。
○高野博師君 国際貢献としてPKOも重要であると思うんですが、ソフトの協力としてこのUNVも考慮すべきではないかと思います。現在、世界各地で約二千人のUNVが働いている。その中で日本人は約三十人ということでありまして、今、大臣おっしゃられたように政府は二百五十万ドル、過去二年間援助をされたと。これは国民一人当たり二円であります。来年度からは三百万ドルにするということでありますけれども、もっと額をふやすことはできないものか。住専で国民一人当たり五千五百円あるいは一万円というものと比較すれば、二円とか三円という額で相当の国際貢献ができるということもあります。できれば五百万ドルとか一千万ドルぐらいの援助ができないものかと思います。
 それで、もう一つ問題はUNVの国内の積立金、これがボランティアとして行くときに一カ月百ドル、約一万円しかない。日本の青年海外協力隊、JOCVの場合は月二十七万円、約二十七倍というような事情もあって、これだけの積立金では、二年間働いてきてもほとんど貯金が残っていないということではなかなか行く人はいないだろうと思います。オランダとかノルウェーの場合は本国政府がボランティアにバックアップをしているということも聞いておりまして、政府としてもっと青年協力隊並みの援助ができないものかと思います。
 それと、ボランティアで行ってきた後、企業とかあるいは地方公共団体がこの帰国者についての就職についてもっと協力あるいは支援体制を組めるような措置がとれないものかなというふうに思っております。
 いずれにしても、平和とか人道、経済協力等の分野での国際貢献はこれで非常に大きく拡大されるということで、国際社会の中でも大変評価されるのではないかと思います。
 このUNVについて政府のもっと前向きな対応を期待いたして、私の質問を終わります。
○委員長(木庭健太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○照屋寛徳君 それでは、あらかじめ通告してございますけれども、必ずしも通告の順序どおりにはなりませんが、最初に、去る二月十六日に沖縄県でアメリカの第三海兵師団司令部大隊が住民地域で行軍をしたと。このことについて外務大臣のお考えをお聞かせ願いたいというふうに思います。
 この二月十六日の第三海兵師団司令部大隊の百五十人が、まずキャンプ・コートニーの部隊を出て、それから具志川市内の目抜き通りの県道七十五号線、それから国道三百二十九号線を通って、延長約十二キロメートルの一般道路を行軍したという事件でございます。
 なぜ私があえて事件かと申し上げますと、政府はよく、日米安保が非常に大事だ、日本の平和と安全保障のために大事だと、こうおっしゃるわけでありますが、この海兵隊の民間地域における行軍問題というのは、今回は武装しておりませんでしたが、これまでの例でいいますと、武装した海兵隊員が基地内ではなくて基地外の、要するに県道、国道で行軍をして訓練をする、こういう実態があるわけであります。安全保障、安全保障だと言っておられるわけですが、一体この住民、県民の生活の平穏すら守れないような安全保障というのが私は本当に安全保障の名に値するんだろうかと。これぐらい深刻な問題なわけであります。
 まず、外務省として、去る二月十六日の海兵隊の行軍、このことをどのように御認識をしておられるのか、あるいはまた現地サイドから御報告を受けておるのか、その点、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(折田正樹君) 米側によりますれば、二月十六日、委員御指摘のように、第三海兵師団、本部大隊、本部中隊所属の隊員約百五十名が午前五時にキャンプ・コートニーを出発いたしましてキャンプ・マクトリアスへ行き、再びキャンプ・コートニーに戻る八マイルの徒歩による移動、行軍を実施したものと承知しております。
 そして、本件でございますけれども、地位協定第五条二項によりまして米軍の構成員等は施設・区域への出入り及びそれらの間の移動をする権利を有しているわけでございまして、私どもとしては、そのようなものとして受けとめておるわけでございます。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま委員御指摘の問題についての事実関係について外務省の承知しておるところ、また地位協定との関係でどういう位置づけになるかという点については、ただいま政府委員から御答弁申し上げたとおりでございます。しかしながら、私といたしましては、沖縄における基地の存在というのは、これは安保条約の目的との調和を図りつつ極力県民の皆様方の御負担を軽減していくということで最大限の努力をしていかなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
 そして、ただいま委員の方から住民の平穏な生活そのものが守られないようでは問題ではないか、安全保障も何もないではないか、こういう御指摘がございました。やはりそれは、基地の存在に伴って生活にある程度の御不自由を与えることは避けられない面もございますけれども、極力そのような影響を軽減していかなくちゃいけない、このように考えておりまして、沖縄県の方から民間地域での行軍を禁止するようにという要請を提起されておることもよく承知しております。
 地位協定にかかわります。そういったいろいろな問題につきましては、真剣に取り組んでまいりまして、早期に、動かせるものから一つ一つ取り組んで具体的な改善を図ってまいりたいと考えまして、航空機の騒音の問題等につきましても今いろいろ協議をしておるところでございます。
 御指摘の問題につきましても、これからどういうふうに取り組んでいくか真剣に考えてまいりたい、こう思います。
○照屋寛徳君 今度の行軍に関して、海兵隊の報道部が、行軍は部隊移動であるとともに通常訓練の一環である、兵隊の体調と部隊の即応態勢を維持する目的での訓練だと、こういうふうにコメントをして地元の新聞にも大きく報道されておるんですが、外務省はこのような海兵隊の一般県道、一般国道における行軍というのは軍事訓練であると、こういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○政府委員(折田正樹君) 訓練の要素も含んだ行軍であるというふうに受けとめております。
○照屋寛徳君 訓練の要素を含んだ行軍という御答弁でございましたが、これはもう海兵隊自身が訓練だと、こういうふうに言っているわけで、訓練であることは私は間違いないと思います。
 それで、先ほど日米地位協定第五条で許されておるんだと、こういうふうな答弁でございましたけれども、私はこれは非常に大きな疑問があります。確かに日米地位協定第五条には合衆国の船舶、航空機、軍構成員、軍属及び家族は施設・区域に出入りしその間を移動できる、こういう定めがあることは私も承知をしております。
 ところで、地位協定全体の精神あるいはその地位協定五条が日米両政府間で合意をされた立法論というんでしょうか、それは私は、県道、国道における軍事訓練を許す、認めると、こういう意味での地位協定の立法精神にはそもそもなっていないんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、地位協定第五条というのは一体どのような立法目的で日米両政府間で合意をされたんでしょうか。
○政府委員(折田正樹君) 一般論で恐縮でございますけれども、一般論として申し上げますと、米軍は安保条約の目的を達成するために我が国に駐留することが認められているわけでございます。これは、事前協議に係る事項のように特定の定めがある場合を除くほか、米軍がかかる目的達成のために訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としておるものであろうと思います。
 射撃訓練のように米軍が本来施設・区域で行うことが予想されている活動を施設・区域外で行うことは地位協定の予想しないところでございますけれども、それ以外の活動が施設・区域外で行われることは地位協定上排除されていないと、このように考えておるところでございます。
○照屋寛徳君 私は一般論を聞いているわけじゃなくして、日米地位協定第五条というのは、この条文全体の趣旨を解釈しますと、入港料とか着陸料の免除について定めるというのがそもそも地位協定第五条の本文の趣旨になっているわけであります。そこは論争する時間がございませんけれども、今回、キャンプ・コートニーを出発した百五十名の海兵隊の部隊は、キャンプ・コートニーを出て、それから具志川市市内を行軍して、またキャンプ・コートニーに戻っているわけです。
 これまで政府は一貫して、本件行軍をやめてもらいたいという沖縄県民を初め県当局の要請に対して、地位協定五条の部隊間の移動であるというふうなことでそれを政府として認めるような発言を繰り返してきておりますけれども、今度のようにキャンプ・コートニーを出て別の基地、別の部隊に移動するんじゃなくしてまたキャンプ・コートニーに戻ってくると。こういうものも地位協定第五条は想定していることなんでしょうか。
○政府委員(折田正樹君) キャンプ・コートニーを出発してキャンプ・マクトリアスに行き、またキャンプ・コートニーに戻ってきたということでございますが、地位協定五条二項は施設・区域への出入り及びそれらの間の移動を認める規定となっているわけでございます。
○照屋寛徳君 いや、今回はキャンプ・コートニーを出てどこの部隊にも出入りをしないで、またキャンプ・コートニーに戻っているんですよ。従来外務省は、武装したり、あるいは武装しない形態もありますけれども、これらの行軍は部隊間の移動だから許されるんだ、こういうふうに言っていたのが、海兵隊が訓練の一環として部隊間の移動の必要もないのに一般県道、一般国道を行軍して訓練をする。今回は部隊間の移動はないんじゃありませんか。
○政府委員(折田正樹君) キャンプ・コートニーからキャンプ・マクトリアスに移動しておりまして、それからキャンプ・コートニーを出入りしたということだろうと思います。
○照屋寛徳君 私は、これはかねてより大きな社会問題になっているわけでありますが、海兵隊が行っているこれまでの行軍、それから今回二月十六日に強行した訓練という名の行軍は、これはもう日米地位協定第五条二項で言う施設間の移動、こういう概念ではとらえられない、むしろ施設外の訓練であるというふうに断じ切ってもいいんじゃないかというふうに思うわけです。
 これは決して大したことないということじゃなくして、まさに、時として武装して、兵器を持って市民生活の場を闊歩するわけですから、行軍するわけですから、県民が非常におびえているわけです。それで何度も何度もやめてくれと言ってもやめない。これは、私はもっと実態に即して、やはり日本政府として、安保条約を堅持する立場であっても言うべきは言わないと、実態はもう施設外訓練だ、こういうふうに思うんですが、外務大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 私は、地位協定上認められるものかどうかといった解釈論もございましょうけれども、それはそれといたしまして、やはり今私どもが文字どおり取り組んでおりますのは、地位協定に伴ういろんな問題、つまり米軍が駐留することによって、その行動によって住民の生活にいろんな影響を及ぼす、そのことをどう考えるかということで検討しておりまして、先ほども申しましたように、騒音問題その他につきましても具体的な改善を見るべく協議を開始しているところでございます。
 そういった意味で、協定上認められる行動ならばすべてそれは当然やるんだという考え方じゃなくて、安保条約の目的を達成するために必要な行動は当然しなくちゃなりませんけれども、一方において住民生活に対する影響を極力軽減するように実質的な改善を図っていく、こういったことで対応してまいりたい、こう思います。
○照屋寛徳君 私は、大臣、このような市民地域で、しかも県道、国道で武装した米兵の行軍が地位協定五条二項で許されると、こういうふうな政府の解釈、態度には到底納得し得ません。もしそうだとすると、何のために演習場を提供しているんですか。演習場がある、その演習場で訓練するのならまだしも、一般市民の生活の場で百五十名が訓練をする。しかも、同じ日にキャンプ・ハンセンから二百五十名の部隊が訓練をしているじゃありませんか。そうすると、私はその施設外の訓練がどんどんなし崩しにされてしまう。そのことによる県民生活への悪影響というものを政府は真剣に受けとめていただきたいと思います。幾ら安保が必要だ必要だと言っても沖縄の人たちの理解が得られなければだめだと思うんです、私は。
 ところで、この問題についてかねてから沖縄県から政府に対して日米地位協定の見直しの中の一つの問題として提起をされていると思いますが、民間地域における行軍問題について日米行動委員会でのこれまでの論議の経過、それからいつごろを目途に結論が出るのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(折田正樹君) アメリカ側とはいわゆる特別行動委員会の作業部会でいろんな問題について協議をしておるわけでございますが、今まで協議をしておりますのは、航空機騒音、軍用車番の問題、動植物検疫、保健衛生、それから日本人の施設内ゴルフ場使用の問題、まずこれらの問題から取り組んでいるわけでございます。
 それで、できるものからやっていくという趣旨でそういうところから始めているわけでございますが、今の民間地域での行軍の問題につきましては沖縄県の方から御要望をいただいているのは承知しておりますけれども、今後アメリカ側と取り上げていくということで今やっておるわけでございます。
○照屋寛徳君 これは大きな問題になっているところでございますので、沖縄で報道されたマスコミ報道あるいは海兵隊報道部の発表、地元具志川市が海兵隊に抗議を申し入れた内容等に照らすとキャンプ・マクトリアスには立ち寄っていない、こういうことが言われておりますが、先ほどのキャンプ・コートニーを出て、キャンプ・マクトリアスの施設内に入って、またそこを出てコートニーに戻ったんですか、本当に。その点だけ事実関係をただしておきたいと思います。
○政府委員(折田正樹君) キャンプ・マクトリアスの中にまで入ったかどうかというところは、私、正直申し上げまして確認しておりません。マクトリアスのところまで行ったというふうに伺っております。
○照屋寛徳君 これはとても重大な問題です。マクトリアスには入っていないんです、私が知り得る限りでは。もちろん、キャンプ・マクトリアスの基地の前は、これは県道なんですよ。だから、従来外務省は、それから防衛施設庁なども、基地と基地との間の部隊間の移動は地位協定五条二項で可能であると言っておった。ところが、今回はキャンプ・コートニーからキャンプ・マクトリアスへ部隊間の移動はやっていないんですよ。そういうことまで私は地位協定五条二項で許していいんですかと言うんです、日本の主体的な外交のあり方としてもう一度お答えください。
○政府委員(折田正樹君) 地位協定第五条二項は、施設・区域への出入り及びそれらの間を移動する権利でございまして、私はそれに該当するものであろうというふうに考えます。
○照屋寛徳君 論争している時間がありませんので残念ですが、恐らく今のような外務省の発表だともう沖縄は大騒動になるでしょうね。どんどん既成事実をつくって、軍隊が住民生活の分野まで我が物顔でね。皆さん、大臣を含めてお考えになってくださいよ。東京都のど真ん中で、国道や県道をアメリカの兵隊が武装して行軍する、例えば横田や厚木から佐世保まで、こんなことが許されますか。納得できませんよ。
 今回、那覇防衛施設局は、このような行為は差し控えるべきであると、こういうコメントを発表しているんですが、外務省はどうなんですか。
○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたけれども、私は地位協定の解釈は解釈といたしまして、現実に米軍の行動が住民生活に与えている影響、これをどう軽減していくか、こういうことで実質的な改善を図ってまいりたいと、こう考えております。
 そして、先ほども政府委員からお答え申しましたように、航空機騒音の問題を初め五つの問題につきましては今もう精力的に作業を進めているわけでございますけれども、こういった行軍を含む他の項目につきましても、これまで寄せられております御要望なんかにつきまして、生活上どのような支障が生じているのか、そういった点を、例の沖縄の米軍基地問題に関する協議会もございますので、そういったような場を使いまして、いろいろその実情をお聞かせいただき、そしてどのような実質的な改善を図ることができるか真剣に検討をしてまいりたいと、このように考えます。
○照屋寛徳君 大臣、この行軍問題というのは、子供やお年寄りが物すごくおびえるんですよ。そして、私も遭遇したことがありますけれども、物すごく異様で、僕ら自身もおびえるというか恐怖心にさいなまれるような形態でやっておりますので、ぜひこのようなことが住民地域で繰り返されないように、外務省もしっかりやっていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。
 ところで、私はせんだってパレスチナ自治評議会の選挙監視団の一員として参議院から行かせていただきました。参議院は前田勲男先生を団長に五名で行ってまいりました。もう選挙は終わりましたが、御案内のとおり、私自身監視団の一員として立ち会った経験に照らしますと選挙は成功であったのではないか、こういうふうな評価をしておるわけでございます。五十八名の政府派遣団員、うち民間人が三十八名でございますが、それぞれの任務をしっかりこなして、日本の監視団員はよく頑張ってくれたというふうに思っております。同時に、監視に行きましたときに、それぞれ関係国の大使館の大使を初め職員の皆様に大変お世話をいただきました。心から感謝を申し上げるわけであります。
 今度のパレスチナ自治評議会の選挙、弾丸から投票用紙による民主的な政体、国家をつくる一つの道程だというふうに思っておるわけでございますが、今度のパレスチナの選挙の結果について、あるいはまた日本が国際監視団の一員として果たした役割等についてどのようにお考えになっているか、大臣の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(池田行彦君) まず最初に、照屋委員御自身が今回のパレスチナ選挙に際しまして選挙監視団の一員として御活躍になりましたことに心から敬意と、また外務省あるいは政府全体としても感謝の意を表明させていただきたいと存じます。
 今回の選挙は、さきのパレスチナ暫定自治地域全体にわたる初めての選挙でございます。そして、このパレスチナの和平プロセスの大変大切なステップだと認識しておりますけれども、今回は選挙全体としてさしたる混乱もなく行われ、しかも投票率も七〇%を超える大変高い投票率だったというふうにお伺いしております。
 そういったプロセスの選挙を通じまして、アラファト議長が民主的な選挙を通じて行政機関の長官として選ばれたわけでございますので、そういった意味でパレスチナの暫定自治というものは今次選挙を通じて軌道に乗ったものと、こういうふうに評価しているわけでございます。五月から暫定自治地域の最終的な地位に関する交渉が始まることになっておりますけれども、その動向を注視して、さらにその発展を期待したいと思います。
 さて、そういった中で日本の選挙監視団、参議院からも五名行っていただきました。衆参合わせて十三名の方、そして民間も加えると七十七名だと思いますが、一番大きな監視団であったと承知しておりますし、このことにつきましてパレスチナ地域住民も含めて大変高い評価と謝意が表されていると大使館等を通じてもよく承知しているところでございます。
 私自身、ちょうどこの選挙の関係で先生方が現地で活躍しておられるころにワシントンに参りまして、いろいろ米国の首脳と話をしておりましたけれども、クリストファー国務長官からも、中東地域の、特にパレスチナの和平がいかに大切であるかということのお話がございました。その際に、私の方からも、先生も含めた選挙監視団のお話を申し上げまして、クリストファー長官からも謝意が表されたところでございます。
○照屋寛徳君 今回のパレスチナの選挙については、監視団の派遣だけじゃなくして、八十万ドルですか、日本も投票箱や投票ブースの購入費等の支援を行ったようでございますが、今後のパレスチナに対する我が国の支援策みたいなものについてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(畠中篤君) 我が国はパレスチナに支援をすることにつきまして九三年九月に二年間で約二億ドル支援をするということを決めてございますけれども、昨年の秋の段階でそのうちの一億五千万ドル程度を主として国際機関を通じまして援助しております。昨年の秋、村山当時の総理が訪問されたわけでございますけれども、そのときを契機にいたしまして、今後は国際機関を通じる援助のみならず、直接二国間の援助も実施していくということを先方にも伝えました。
 具体的には、今我々が考えておりますのは、あの辺の病院その他の医療施設に対する器材供与とか、あるいは教育機関に対しますいろいろな協力といったものを今年度内にも実施すべく、今準備を進めておるところでございます。
○照屋寛徳君 エジプトのカイロに立ち寄りましたときに、ODAの援助でつくられましたカイロの小児科病院を見学させていただきました。そこの病院のスタッフの皆さん方とも意見交換をする機会がありました。また、同じくODA援助でつくったオペラハウスも見させていただきましたし、それからエリコの方の病院も見させていただきました。
 私は、今御答弁がありましたように、日本はやはりパレスチナを含めて中東地域全域に医療とか教育とか環境とか文化とか、そういう形での積極的な支援がもっと必要ではないか、こういうふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(法眼健作君) まさに先生御指摘のとおりでございまして、先ほど経協局長の方からも申し上げましたとおり、中東の特にパレスチナそれから周辺国、その辺は産油国でないものでございますからお金もないということで、その辺の経済的、社会的環境を整えることが非常に重要であると認識しております。
 特に、そのような国々の皆様の中から、日本は我々の見本である、かつて途上国のようであった日本が我々途上国の見本である、しかも中近東では歴史的ないろいろな難しいしがらみがないという面もございまして、そういう日本に援助をしてもらいたいという意識は強く持っておるものでございますから、私どもも、先ほど大臣が申し上げましたような点、それから経協局長の申し上げました具体的な点、それに加えまして多国間の協力だとか中東・北アフリカ・サミット、こういったような地域の皆様方のいろんな企画に積極的に参加して、少しでも先生の今おっしゃったような民生、社会的環境が整うように一生懸命努力していきたいと考えております。
○照屋寛徳君 ありがとうございました。終わります。
○立木洋君 大臣、沖縄の問題ですが、これは沖縄県の問題だけにとどまらないで、日本にとっても私は非常に大切な問題だというふうに考えているわけです。
 大臣が外務大臣に就任されたときに、いろんな新聞社とインタビューをなさっておられます。私、それを詳細に読ませていただきました。これから外務委員会でいろいろと質問もしなければならない大臣ですから、よく読ませていただきました。
 ある新聞とのインタビューについては、現段階で米軍の規模を変えるようなことをアメリカ側に申し上げることは考えていませんと述べておられます。もう一つの新聞では、アメリカはこの地域に十万人、日本に四万七千人のプレゼンスを打ち出している、日本もこの認識を十分に頭に入れ、米国と相談して、現段階でそのプレゼンスの規模についてこちらから変えろとかカットしろと求める考えはないというふうに述べておられます。これは御記憶にあるだろうと思います。
 私は一つ一つじっと見ていきましたけれども、沖縄県民の苦しみの問題については一言も述べておられませんでした。お読みになってください、もう一遍。それで、この考え方は現在でも変わりがないのかどうか。私は、池田さんが神戸の出身で阪神・淡路大震災の大変なところの出身の方であり、広島の被爆を受けたというところで選挙区に出られているから、苦しい国民の気持ちをよく考えるならばわからない方ではないだろうというふうにあなたの経歴を見て思ったんです。だけれども、そのことは一言も書いていませんでした。
 もう一度お読みになっていただいても結構ですが、この考え方は今でもお変わりないのかどうなのか。多少この間の経過がありましたから、考え方の上で変化が生じたのかどうなのか、まず大臣のお考えを簡潔に述べていただきたい。
○国務大臣(池田行彦君) 私は、本日の委員会でも何度か申し上げておりますけれども、沖縄の県民の皆様方が長年にわたり大変な負担を忍んでこられ、そのたびに大変な憤りのお気持ちあるいは悲しみのお気持ちをお持ちになっていることは痛切に感ずるところでございます。
 そういった観点から、もとより私ども政府の立場といたしまして日米安保体制は堅持しなくてはなりませんし、そういった観点からいきまして基地の存在そのものも必要だと考えておりますけれども、もうありとあらゆる努力を傾注いたしまして基地の整理、統合、縮小に努めると同時に、そのほかの面でも住民の皆様方にお与えしておりますいろいろな御負担を軽減するために最善を尽くしてまいりたい、こういう気持ちであることをまず申し上げたいと思います。
 それからまた、今御質問がございましたのは米軍のアジア太平洋地域あるいは日本におけるプレゼンスの水準に関する私のコメントについてでございます。この点につきましては、詳細は申しませんけれども、私は今のアジア太平洋の情勢、またその中における日本の情勢にかんがみまして、やはり米国はこの地域の安定、平和を維持するために確固たるコミットメントをされるということは大切なことであると思いますし、私どもとしても評価するところでございます。そうしてまた、そういったコミットメントを実効あらしめるために一定水準のプレゼンスを考えるということはそれはそれで必要なことだ、このように考えております。
○立木洋君 私が申し上げた新聞についてのインタビューというのは、一月十三日に行ったインタビューと一月十五日に行ったインタビューです。その後いろいろな機会で大臣がお話しになっている中では沖縄県民のことは触れております。しかし、一番最初の二つのインタビューには述べていない。このことだけはもう一度御確認していただきたい。私、今ここに資料を持ってきておりますけれども、読んでいただく時間がないので読みませんが、あなたにやっぱり見ていただきたいと思います。その後あなたの考え方がそういうふうに、ここにも問題点の目を向けなければならないなということに気づいたのかどうなのか、それでそういうことを言い出したのかどうなのか。
 そこで私がお聞きしたいのは、二十二日の参議院の本会議で述べられたあなたの所信ですが、ここでは、我が国は「日米安保体制を堅持するとともに、引き続きその円滑かつ効果的運用に努めてまいります。」というふうにお述べになって、そして「沖縄における米軍施設・区域の整理・統合・縮小及び関連する諸問題については、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ」努力をするという述べられ方がなされております。
 私は、この「調和」という言葉は極めてあいまいである。内容は一体何なのか。一方では、区域・施設を整理、統合して縮小するというんです。ところが、安保の目的については円滑に実行できなければならない。これが相矛盾したときにどんなふうに調和するのか、調和の内容というのは一体何なのか、その調和の中身についてちょっと御説明いただきたい。
○国務大臣(池田行彦君) まずその前に、一月十三、十四日の時点で沖縄県民の苦しみに何ら思いはなかったのかという点につきましては、そんなことはございません。新聞の報道がどの部分をとらえたかは私の関知するところではございませんけれども、その点は十分申し上げておきます。
 それから今、一方で基地の整理、統合、縮小を進めながら、他方で安保体制の円滑な運用というのは矛盾しているじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもはその間の調和を文字どおり図っていきたいわけでございまして、あえて申しますならば整理、統合、縮小を図っていく、あるいはその他いろいろな問題について実質的な改善を図っていくということによって県民の皆様方の御負担を和らげていく、軽減していくということによって、そのことも県民の皆様方の安保の重要性に対しての御理解を深めることにつながる、したがってそのことは円滑な運用の確保にもつながるという側面もあるということは御理解いただけるかと思います。
○立木洋君 私、その点について一言だけ申し述べておきたいのは、地位協定の十七条五項(c)について、この運用の改善を図るといって、そして特別の理由がある場合日本側の申し入れによって好意的に考慮をするということが言えると。それについて法的な拘束力があるのか、この合意は。協定みたいな法的な拘束力はございませんというのが外務省の答弁でした。運用の改善にはならないんです。十七条五項(c)の文章をそのまま生かしておいて、実質的には法的な拘束力がないような文書を幾ら結んでみても、それは問題にならないということは既にこの外務委員会の席上で明確になっていることです。そのことだけ私は一言申し述べておきたい。
 目に見える具体的な成果を上げるために努力しますというふうに所信でも述べておられます。そうすると、これまでの間、日本政府として公式に米側に米軍の具体的な兵力、施設・区域等についての整理、統合、縮小を具体的に提起をされたのかどうか、これまでに。なかったらなかったで結構です。具体的に提起しているというのがあればどこどこを提起したのか、沖縄の要求ではなくて日本政府の要求として何が提起されたのか。
○国務大臣(池田行彦君) 我が国にございます米軍の区域・施設につきましては、従来から日米合同委員会等の場におきまして適宜整理できるものは整理していく、縮小するものは縮小するということで作業をやってきた。このことは先生も御存じかと思います。特に最近になりまして、どうしてもさらに格段にその点を考慮し、また作業も進めなくちゃいけない、特に沖縄に存在する区域・施設についてと、そういった考えのもとで今作業を進めている次第でございます。
 御承知のとおり、昨年の秋、SACOと言っておりますけれども、特別行動委員会をつくりまして、日米間でいろいろ協議を進めております。これまでもSACOあるいはそのもとの作業グループなどの会合を何回かやっております。そういった場において我が方も米側と真剣に話をしているところでございます。具体的にどこということを申し上げるのは差し控えさせていただきます。これは両方の共同作業で目に見える成果を上げる、それを目指して真剣な作業をしているところでございます。
○立木洋君 そうすると、今までいろいろな問題について米側にも申し入れをしているけれども、具体的な問題は交渉中の過程であるので今ここで述べることはできないということですね。
○国務大臣(池田行彦君) これは作業の性格からいって、申し入れをしてそれのいい悪いをアメリカ側に決めてもらう、そんなことじゃございません。これはもう日米が一緒になって極力整理していこうじゃないか、統合していこうじゃないか、安保の目的との調和を図りつつも極力そういった整理、統合、縮小を進めようということで共同して汗をかいておる、こういうことでございます。
○立木洋君 海兵隊、米軍の海兵遠征軍が日本の沖縄に駐留しているということはもう大臣御承知のとおりですが、この海兵隊が日本に駐留している目的は一体何でしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 米軍が日本に駐留しております目的は、御承知のとおり、日米安全保障条約でアメリカが担っていく役割、あるいは責務と言ってもよろしゅうございましょう、それを果たしていくために必要なものとして存在するわけでございます。具体的にその米軍の構成がどうなっていくか、海兵隊がどう空軍がどうということは、これは条約上の責任を果たし得るために必要なものとして全体的に考えて構成されておるわけでございますので、その中を因数分解いたしまして、これはどうあれはどうということは申し上げるべきではない、このように考えております。
○立木洋君 米国議会の議事録で明確になっているんですよ。ワインバーガーが国防長官の時代に、この沖縄の海兵隊を緊急配備軍の一部隊に任命することはできないのかという質問が出されたのに対して、沖縄の海兵隊は日本の防衛任務には充てられていないとワインバーガー国防長官は明確に答弁しているんです。そうではなくて沖縄海兵隊は第七艦隊の即戦海兵隊をなし、第七艦隊の通常作戦区域である西太平洋、インド洋のいかなる場所にも配備されるものであると、これはワインバーガー国防長官が一九八二年にアメリカの議会で答弁した内容です。
 そして、この間、新しい防衛大綱について官房長官が説明しました。「我が国周辺地域における平和と安定を確保し、」という表現は一体どういうものかということについては、「日米安全保障条約にいう「極東」の範囲の解釈に関する政府統一見解を変更するようなものではありません。」と言っているんですよ。
 そうすると、極東地域に問題の目的を持っていない、日本の防衛にもかかわらない。ここに言われているのは西太平洋、インド洋のいかなる場所にも配備されるものであるという海兵隊、これは日米安保条約にも反しているんだからどうぞお帰りくださいと言うことができるんじゃないんですか。
 そして、沖縄が日本に返還されてから十三件の殺人事件が米兵によって行われました。そのうち十一件がこの海兵隊なんです。世界じゅうの米軍基地の中で一番犯罪事件が多いのは日本にある米軍基地だ、その中でも海兵隊が十三件のうち十一件の殺人事件を起こしているんです。
 ですから、目的にも合致しない、いわゆる安保条約の内容さえ変更していないと。海兵隊の目的は全く違うわけですから、そういうことは安保条約に基づいても日本におっていただく理由はございません、どうぞお帰りくださいと言えば、米兵力は六一%削減できるんです。こういうことを申し上げるおつもりはございませんか。
○国務大臣(池田行彦君) ございません。
 ただいま委員の方からいろいろお話ございましたけれども、委員がおっしゃいました米議会におけるやりとりなんかにつきましては、私も今手元に持っておりませんからそれを前提にお話しすることは避けたいと思いますけれども、我が国に存在します米軍が安保条約の目的を達成するためにいるということはこれは厳然たる事実でございます。ただ、我が国に存在する米軍も米軍全体の運用の中でいろいろ交代したり移動したりすることはございますので、そういうことは当然だろう、こういうふうに思っています。
 それからまた、第七艦隊云々とおっしゃいましたけれども、第七艦隊の行動の目的の中にも我が国の安全あるいは安全保障条約の目的とする極東地域の安全を守るための行動もあることは御承知のとおりでございます。
○立木洋君 調和の問題にしても先ほど同僚議員が申し述べた米軍の行軍の問題にしてもそうですが、地位協定だとか日米安保条約で決められた内容をどんどん拡大解釈して事実上犠牲が多くなるような状態というのが現実の状況なんですよ。我々は、この安保条約に賛成していませんけれども、少なくとも結んだならば結んだ範囲内できちっと守らせる、そういう外交姿勢というのがやっぱりあなたがおっしゃった実質的な外交なんですよ。相手の言いなりにならない、決められたことは決められたことできちっと守る、それを外交姿勢としては明確にしていただきたいということを私はちょっと述べておきたいと思うんです。
 それで、申し上げたいのは、四万七千人の在日兵力の削減が問題になっております。米側としては削減するかどうかわからない。しかし、共同文書をつくる場合にその問題には言及しない方がいいかもしれないというふうな話も出てきております。結局何かと言ったら、調和をとるという話はアメリカの要求をいかに沖縄県民や日本国民にのませるかという結果にならざるを得ないと私は言っておきたいんです。
 現にアメリカ国防総省が発表している東アジア太平洋の戦略報告では、アジア太平洋地域と地球的規模での安全という新しい課題への日米同盟を強化することを趣旨にしていることが明確に述べられています。今や問題は日本と極東の周辺地域ではないんです。地球的な規模なんです。それに米側と日本側が協力するということが東アジア太平洋の戦略報告に出されており、これと同じような形で、重なる形で日本側が方針を出すべきだというのが新防衛大綱の内容として明確にされました。私は具体的には申しません。
 それから、この問題について私が申し上げたいのは、ここに米側の発表している、国防総省の出している「ディフェンス」というのを持ってきました。いわゆるアジア太平洋地域に毎年米兵がどれだけ駐留しているのか。これは毎年の分です。これは世界じゅうです。それから日本にはどれだけ派遣しているか、全部あります。
 これを見てみますと、東アジアと太平洋における米軍は一九八九年が最高で十四万六千人余りです。九〇年が十三万六千人、その十二月が十二万六千人、九一年十二月が十万九千人、九三年が十万四千人、九三年九月が九万九千人、九四年九月が九万八千人、アジアではずっと減ってきているんです。
 ところが、九〇年から見てみますと、日本に駐留している米兵は四万二千から四万五千、四万六千、四万七千人体制というふうにふえてきているんです。これは、今私が申し上げましたように、東アジア太平洋の戦略報告で述べられている日本の役割をより強化するというものとあわせて、日本に駐留する米軍が現実にアメリカの「ディフェンス」という資料によって明確にされている。これをどういうふうに大臣はお考えでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) まず最初に、安保条約の目的との調和という点は、米軍の要求を日本にいかにのませるかというものだという点については全く認識が違うということを申し上げておきます。我が国の安全、そして極東地域の安定を守るといった安保条約の目的、これは我が国にとっても大切なものであるということをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、今のアジア太平洋地域における米軍のプレゼンスの変化、そしてまた日本の変化についてのお話でございますけれども、アジア太平洋地域全体については、冷戦の終結を受けてアメリカとしても全世界的なプレゼンスを考える中でいろいろ考えてまいりました。かつてはボトムアップ戦略等いろいろございましたけれども、そういった中で全体としての水準をたしか十五万ぐらいであったのを十万にしようというのがあるというふうに承知しております。
 それから、日本につきましてもいろいろございましたけれども、あのときはたしか五万二千という一応の水準があり、それが今四万七千と言われているところでございます。しかし、今の十万とか四万七千とか申しますのはいわば定数的な考え方でございまして、現実にその時点その時点でどれだけの実員がいるかというのはずっと変化していく、そういうものでございます。
 それで、先ほどおっしゃいました数の中で趨勢的に見ますと、アジア太平洋全域については先ほど申し上げました十五万から十万へという流れにずっとなっていると思います。それから、日本についてふえているじゃないかとおっしゃいましたけれども、たしか九〇年以降をおっしゃったと思いますけれども、いわば定数的な基準としては先ほど申し上げましたように五万二千から四万七千になっている、その中での変化の話でございます。たまたま九〇年ごろというのは米軍の世界全体での運用の中でこの地域への現実の配備が少なくなった。その理由は何かというのは御承知だと、おわかりになると思います。
○立木洋君 日米安保条約の問題に関しては、これは大臣と見解が全く違いますからここで議論しても一日じゃ終わりません。この問題で私は議論しようとは思いません。だけれども、少なくとも安保条約の中でアメリカ側と取り決められている内容については、やっぱり日本の自主性をきちっと守って、言うべきことは言い、述べるべきことは述べて、守ることは守らせるという明確な態度を私は重ねて要求しておきたいと思うんです。
 それで、もう時間がなくなってきたので最後一問だけになります。ゴラン高原に対する自衛隊の派遣問題についても若干議論したかったわけですけれども、もう時間がありません。
 私の認識を申しますと、先般も問題にしたわけですけれども、ゴラン高原におけるPKOに派遣しましたけれども、ゴラン高原におけるPKOの主要な任務は兵力引き離しの停戦監視という、言うならばこれは明確にPKFなんです。平和維持軍というのが主要目的です。しかも、駐留する部隊はPKF本体の部隊と一体として駐留しているわけです。
 この問題について、以前私が武器・弾薬の輸送を行うのかと質問したとき、当時、外務省の柳井局長は武器・弾薬の輸送は行いませんと明言いたしました。これは昨年五月十一日の外務委員会でであります。ところが、一昨日でしたか昨日でしたか、衆議院の予算委員会で官房長官は、武器・弾薬の輸送は緊急事態には例外規定を置かなくてはならないという趣旨の答弁をしております。これはPKF凍結という国会で決められた内容にも私は反するのではないかということを一つ申し上げたい。
 それからもう一つは武器の使用の問題ですが、これはPKO協力法の審議のときに、自己の生命を守るためにのみ武器を使う、国連の任務の遂行のケースが阻害されたときには武器の使用は憲法上は抵触するのでやらないということになっていましたけれども、これも二十日の衆議院予算委員会で防衛庁長官は、武器の使用の問題についての見直しの検討もあり得るということを述べておられます。
 そうすると、これは以前国会で取り決めたことを、PKO協力法の中で凍結した内容についてそれを踏み外していくという状態になります。共同訓練の問題についても、参加するか参加しないか、こういう形なら参加し得るというふうなことも問題として出されてきておりますけれども、こういうやり方でゴラン高原に対する今までと違ったPKFへの参加という形での今回のあり方が事実上国会での審議に反してより拡大されていくという状態については私たちは全く同意できない。
 こういう武器の使用の見直しやあるいは武器を輸送すると。武器・弾薬を輸送しないという国会のこれまでの答弁にも反した態度を外務大臣としては肯定なさるのかどうなのか、この点について大臣の所感を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 私はゴラン高原に対するPKOの派遣が従来のPKOの派遣と本質においてあるいは基本的なところにおいて異なっておるとは考えておりません。それから、我が国のPKOの活動というものが国会でお決めいただきました国際平和協力法の規定するところに従って行われるのは当然でございます。しかし、そういった範囲内におきまして、これまで積み重ねてまいりましたPKOの経験を踏まえ、より円滑にその目的を遂行するために必要なことはいろいろ考えてまいらなくちゃいけない、こう思います。
○立木洋君 一つだけ、済みません。
 大臣は防衛庁長官をやっておられたので防衛庁長官的な考え方を持っておいでになるかもしれませんけれども、外務大臣の任務というのはまた違うんです。そのあり方というのを明確にしていただきたいし、私は今お述べになった大臣の見解には全面的に賛成できません。改めて議論する機会を持って、大臣にいろいろお尋ねすることにしたいと思います。
 終わります。
○武田邦太郎君 この数十年来、人類はいまだかつて経験のない歴史段階を生きていると思います。御承知のアーノルド・トインビーさんは二十世紀最大の歴史家と言われた一人であります。もう亡くなりましたが、彼が幾たびとなく、今、人類の歴史は核戦争で文明の破局に陥るのか、それとも国家対立のないいわば恒久平和的な世界を実現するのか、その分かれ道に立っている、こういうことを繰り返して申しました。もっともこの人が生きているときはまだアメリカとソ連の対立時代で今とは若干違うかもしれませんけれども、核兵器を持って対立しているという勢力があるという意味ではそう変わらないと思うんです。
 そこで、日米安保体制というものは日本とアメリカを本当に恒久平和の国家対立のない社会へプッシュするものなのか、それとも核兵器で文明が破局に陥る方向に行く危険を内包しているのか、これについて大臣の御見解を伺いたいんです。
 トインビー氏は一九七四年、彼の死の前の年に発表した論文で、中国の例をとりまして、秦の始皇は武力中心にやったために一代で滅んでしまった、ところが前漢の劉邦は武力よりも英知とモラルをもって国策を遂行したために三世紀にわたる平和を保ったということを例にとりまして、これはもっとも中国一国と世界とはちょっと違うでしょうけれども、文明の進歩によって今日の世界はかつての中国ぐらいでしょう、一単位みたいなものですから。そういう中で、アメリカあるいはソ連の態度は秦の始皇的ではないか、劉邦を学んでもらいたい、こういうことを言って、その時点では中国の古来堅持してきた高き政治性に人類の運命を託すしかないだろうと、こういうことを言っているんですね。
 日本としては、アメリカの対等の親友として、日本とアメリカはともに劉邦の道を歩むのか、秦の始皇の道を歩むのか、日米安保はどちらにウエートがかかるかということについての御判断をお願いします。
○国務大臣(池田行彦君) 人生の大先輩でございます武田先生から大変高道な、また我々の将来の運命に深いおもんばかりをお持ちになりました御質問を受けました。
 さて、今の日米安保体制は文明の底への道へ行くのか、あるいは恒久平和の道へ行くのかという点でございますが、私どもといたしましては、戦争のない本当に平和な世の中を実現していく、これが理想であると同時に、その理想に向かって着実に歩みを進めなくてはならないと思います。しかし、そういった歩みを進めていく過程におきましては、やはり我々の目前にしております現実というものを踏まえて、その現実に対処しながら理想に一歩でも近づいていく、こういった努力が必要なんだと思います。そういった意味におきまして、日米安保体制は現在の世界の情勢、そして我が国を取り巻く周辺地域の情勢を踏まえた上で、まず日米協力のもとにこの地域の平和と安定を守っていく、そのことが将来的には恒久的な平和の道につながることを目指したい、こう思います。
 始皇の道か劉邦の道かという点でございますが、私どもは劉邦の持ちましたような高い倫理性と申しましょうか、そういったものを大切にしながら、そういった理念や倫理性というものが現実に力になるような裏打ちというものも考えていかなくちゃいけないと、こう思います。
○武田邦太郎君 永久平和とか国家対立がない世界というと非常に遠方の理想のように感じがちでありまして、現実から離れたような議論にとられがちなんですね。それで私は、人類はいまだかつて経験したことのない時代を生きている、文明全体が破局に陥るのかそれとも仲よくするしか方法のない時代に生きているかということを申し上げているわけであります。
 例えば、この委員会でも発言したことがありますけれども、中国のある要人から、ソ連解体以後における沖縄の米軍基地はどこをねらっているだろうか、そういうことを非常に苦渋の表情で語られたことがあります。それから先は言うな、言わずと知れた、我々をねらっているに決まっているじゃないか、それで日本は中国と仲よくするというのかと言わんばかりの質問なんです。これは、日本がアメリカの核の傘にいると世界は思っておりますように、日本人の多くもそう思っているかもしれませんけれども、核の傘というのは案外安全でない。
 これは、例えば、満州事変を起こし満州建国をやった石原莞爾という人は、卓越した作戦家でありましたけれども、同時に戦争の歴史の世界的権威だったと言う人もおります。昭和天皇に戦争史の進講をされたこともあります。この人が、現在の戦争の歴史の段階は、トインビー氏の言われたことと大体同じように、戦争は進歩の極致に来ている、これ以上進歩のしようのないところまで来ている、しかもその性格は決戦戦争の、戦争が始まったと思えばもう終わっているというような戦争の段階に入っていると。これは日本が戦争に負けたときの発言でありますからもう五十年ぐらい前です。こういう時代になると戦争放棄以外に安全の方法はないと。
 日本に戦争放棄の憲法が、アメリカが押しつけたのかどうか知りませんけれども、それよりも一年以上も前にそういう発言をして、戦争放棄を日本から始めようということを力説しまして、戦えば攻めることはできるけれども防ぐことはできない戦争である、これ以上の戦争の進歩のあり方はないと、こう言っているんですね。
 そういう場合に、日米安保の中身にアメリカの核兵器と中国の核兵器がにらみ合っている内容を内包している心配はないか。これは日本の意思よりも日本の意思のほかにそういうものが客観的にあって、日米安保がある限りにおいて、中国の認識をそのままとれば、日本は核戦争の最前線に立たざるを得ない状況はないか。この御判断はどうですか。これは必ずしも空論じゃなくて現実的なものであると思いますが。
○国務大臣(池田行彦君) まず、武田委員が、もう文明全体が仲よくしていくしかない状況になっているじゃないかと。私は、そういった認識はそのとおり共有するものでございます。戦争といった問題は別にいたしましても、例えば環境問題一つ考えましても、これはもうグローバルの問題として人類全体が一緒になって考えるしかない問題でございます。ましてや、核を含む戦争の問題についてもそういうことは言えると思います。
 それからまた、中国と米国との間の核をめぐって云々というお話でございますけれども、そこのところは、私どもとしましては、御承知のとおり核の究極的な廃絶に向かって一歩一歩着実に努力していこうということを一方においてやっておるわけでございます。そして、本年になりましても現実に中国に対しましても、核の実験をまずやめてください、その後、全面的な核実験の停止条約をいろいろな留保条件をつけずにとにかく積極的に進めてくださいと、こういうことを申し上げているところでございますし、そういうふうな着実な努力をしてまいりたい、こう思っています。
 それから、日米安保体制が一体どこを目指しているんだろうかという点についての中国の見方も御披露されましたけれども、これはかつての冷戦構造の中でも一体どこが脅威なのか、潜在的脅威なのかといういろいろ議論があったところでございます。ましてや、現在において日米安保体制が考えているのは決して特定のところをあれこれ考えているわけではない。ただ、このアジア太平洋地域の状況を見ますと、非常に不安定な要因も内包されております。あるいは大きな軍事力の存在もございます。
 そういった中で、やはり日本がしっかりと安定した姿にある、あるいはその周辺の地域についても日米安保体制というものが安定した状況をもたらしているということが、これが効果としてあるいは影響力としてアジア太平洋地域全体にいわば安心感を与える、そういうことがございまして、そういったことは中国も含めて多くのアジアの国が現在の時点では日米安保体制のそういう役割、あるいはそういった効果といったものを認めておるんだと、こういうふうに認識しております。
○武田邦太郎君 世界のすべての国が日米安保というものをそれほど平和的な歴史の推進力と見ておってくれると私は何も心配しないんですけれどもね。
 特に日本が、同僚議員の言われたようにアメリカの言いなりになる面がないのか。沖縄で言えば、生活空間で完全武装した兵隊が行軍だか演習だかをする。こういうようなことを日本側で、そんなものは日米安保の使命にとって意味ないじゃないかというようなことぐらいは言えないのかと。それから例の実弾射撃、ああいうものは実戦においてどこに意味があるのか。現代の戦争でああいうものはほとんど意味がないというのが軍事学の常識であります。第二次大戦のときでもソ連軍がベルリンを占領する以前にもうベルリン、ハンブルクはB29で徹底的に爆砕されてしまって、何も抵抗力のないところへソ連の陸軍が入っているんですね。
 日本だってそうです。空軍によって戦争の決がついた。そういう時代にあんな短距離の大砲を撃つのが実戦に何か役に立つとは到底思えないですね。あの青々とした山が見る影もなく裸の山になるほど撃ち込む。ちょっと想像つかない演習のやり方だと思うんですけれども、そういうことをさえ日本の側は言えないのか。自衛隊に対する統帥権は日本の総理が完全無欠に握り得ているのか。そういうことは非常に心配ですね。
 特に、アメリカという国はどちらかといえば武力を発動しやすい、武力を発動すると次には経済制裁と。英知やモラルを主とする劉邦よりも秦の始皇のようなやり方をやる国として、危険と言えば言い過ぎかもしれませんが、ややもすると危険な姿勢をとりがちな国だというふうに多くの国で見られているんじゃないかというのが私の観察なんです。だから、日米安保がおっしゃるように世界から本当に平和の安定の力として安心され、信用されているとは決して思えないんです。これは見解の相違ですから結構ですが、そういう憂いがかなり広くあるんじゃないかということはもう一度お調べ願いたいと、こう思います。
 それから、この前の本会議で申し上げたんですが、日本、中国、アメリカ、韓国、北朝鮮、次いでロシア、東南アジア等との三十年間の相互不可侵条約を緊急の課題とし、検討していただけないだろうかと。こういう私の発言が一顧の価値もないように片づけられ、もっとも時間もありませんでしたけれども、日米安保と三十年の不可侵条約のどちらが現実を踏まえた、そして各国に安心感と信頼感を与え得る国際的な取り決めかということになりますと、私は必ずしも一顧の価値もないものだとは思わないんですね。
 先ほど来申し上げているトインビー氏の歴史認識あるいは石原莞爾氏の戦争判断を総合しまして、私はこれからの三十年というものは過去の六十年、八十年に匹敵する地球情勢の大変化の時期だと思います。三十年という年数は本当の安定した世界情勢をつくるのに十分な年数だと思うんです。まだ随分御活動になるわけですから、そういうことについて十分の御検討をお願いしたい。今即答は必ずしも希望しませんけれども。
○国務大臣(池田行彦君) 先生御提言の三十年間の相互不可侵条約、具体的なそういった枠組みが現実的にどうかという問題は別にいたしまして、やはりこの地域にある国々との間の相互信頼の関係を確立していくということは大切なことだと思います。いろいろな対話や交流を通じまして信頼醸成には努めてまいりたいと、こう考えている次第でございます。
○武田邦太郎君 私は、自衛隊のような先端的な科学技術を駆使する組織的な大部隊の活動力というのは非常にこれから貴重だと思うんですね。
 それで、私の願いとしては、現在のように五兆円近いような世界で三番目の大予算を組まなくても、その半分でも三分の一でもいいから平和的な、例えばこの間の神戸の大震災のようなときに迅速的確に出動する。あるいは日本の国土がもう荒廃して、山は荒れ、川は荒れ、海は稚魚や稚貝を放しても育たない、こういう大変な状況になっておる。それに対する対策は今までの行政手段ではもう不可能ですね。やはり自衛隊的な大組織をもって洪水だとか、あるいはこれから先は堤防の決壊が頻々と起こるだろうという警告もありますが、そういうことをあらかじめ防ぐとか、起こったらすぐ対策を講ずるとかというようなことは、現在の行政手段では全く歯が立たない。
 かつて社会党が戦争直後、軍隊を改組して平和建設隊ですか、というようなものを盛んに議論されて私は大賛成した記憶がありますけれども、そういう方向に切りかえる。そして、中国で大変なことがあればすぐ行くとか、韓国が大変なら応援するとか、あるいはロシアの応援もそうですけれども、そういう近隣諸国あるいは途上国の非常に立ちおくれた状況、災害などに対して迅速的確に応援すれば、それがむしろ武器を持った防衛力よりも各国の信頼、尊敬によって日本の安全を本質的に保持することができるのじゃないかと思うんです。これは外務大臣は防衛庁におられたからよくおわかりでしょうが、御一考願いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 私は、自衛隊が日本の防衛を担っているという意味において非常に大切な存在であるということは前提にしなくちゃいけないと思います。しかし、おっしゃるように、自衛隊の持つ組織的な力というものを、災害の関係あるいはPKO等の国際的な関係においてもそれを生かしていくということも大切なことだと思います。そういった意味で、先般策定されました新しい防衛計画の大綱におきましては、そういった災害等いろいろな緊急事態に対応するという役割とかあるいは国際的な貢献の面についても、きちんとこれまで入っておりませんでしたものを明記したところでございます。
 ただ、そういった問題につきましては、自衛隊だけではなくて、やはり国内の災害等でございますと関係各省庁の各機関の間の連携あるいは地方公共団体とのいろいろな連携等々もあわせて総合的に勘案するべきものじゃないかと思います。
 なお、国際的な面についてもそれはいろいろな形の貢献があるのは当然でございます。
○武田邦太郎君 終わります。
○佐藤道夫君 大変高尚な御議論の後に余りにも現実的な問題でいささか気が引けるんですけれども、当面の三つほどの問題についてお尋ねしたいと思います。なお、大臣はこれからの日程がいろいろ控えておるようでございますから、お答えは極めて簡潔で結構でございます。
 最初は竹島問題でして、今回の二百海里の経済水域の設定について、日韓両国ともに竹島問題、領土問題に言及しなかったのはやはり一つの見識だろうと思います。これからの話し合いで果たしてうまい線が引けるのかどうかわかりません、なかなか難しいと思いますが、線が引けないうちに運用が現実化しまして、日本の官憲が韓国の違反漁船を拿捕する、検挙する、同じように韓国側が日本の違反漁船を拿捕する、検挙するということになりますと、両国民の血がまた頭に上ってきて大変な問題になっていくのだろうという気もしないわけではないわけです。
 昔から領土問題というのは話し合いで解決することは非常に難しい。最後は武力で、勝った方は正義の戦は勝ったと言いますし、負けた方は臥薪嘗胆、今に見ておれということが繰り返されてきたわけです。話し合いがつかなければやっぱり最後は裁判ということになって、先ほど大木議員もお尋ねしておられたようですけれども、話し合いで紛争が解決しなければ最後は国際司法裁判所ということになるわけです。
 韓国側はかつて応じなかったということですけれども、もう二十一世紀ですから、いつまでも古い国境だ、領土だという時代でもないと思いますので、そういう問題はもうお互い淡々と司法の場に持ち出して、その下された判断に欣然として従う。これが二十一世紀の新しい領土問題のあり方だろうという気もしますので、そういう先鞭をつける意味でもひとつ韓国側に熱意を尽くして説得、勧誘に努められて、最後のぎりぎりの場合には司法裁判所に持ち出すというようなことで解決してはどうかなという気もしておるわけですけれども、新しい外務大臣の御所見をひとつお聞かせ願えればと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、韓国と我が国は非常に長い間の交流の歴史、そしてまた非常に深い利害関係の一致ということがございます。そういったことで両国関係を友好な状態に保つということは我が国外交の最重要課題の一つである、こう考えております。そういった観点からすべての問題に対処してまいります。
 国連海洋法条約締結に伴う漁業等の問題につきましては、領有権をめぐる問題の解決とは切り離して、現実的、適正な方途を見出していき、先ほど先生が御指摘になりましたようないろいろな紛争の起こるような状態は避けてまいりたい、このように考えております。
 領土問題そのものについてでございますけれども、我が国の立場は一貫しているわけでございますが、残念ながら韓国との間で立場の相違がございます。その相違を解決するために、私どもはあくまで平和的な友好的な状態の中で進めてまいりたいと思っております。そういった中の一つのあり方として、国際司法裁判所の判断を仰ぐということもかつてこれも考えたこともございます。現に韓国側へそうしたらいかがでしょうかと御相談したこともございます。しかし、残念ながらその時点においては韓国の同意を得るには至らなかったわけでございますけれども、今後とも平和的にこの問題の解決の道を模索していくという過程の中であらゆる可能性を検討してまいりたい、こう思います。
○佐藤道夫君 次は、またがらりと話が変わりまして、海外在留日本人の選挙権の問題であります。
 自治省か外務省かわかりませんけれども、海外在留の日本人で二十歳以上の成年、要するに選挙権を有する者というのは何万人ぐらいおるのでございましょうか。
○説明員(齋藤正樹君) 在外邦人の全体の数につきましてでございますけれども、調査する上でいろんな制約がありますので必ずしも正確な統計を持っているわけではございませんけれども、平成六年十月一日現在で外務省が行った調査によりますと六十八万九千八百九十五人、こういう統計を持っております。
 では、この中で有権者がどのぐらいかということにつきましても、正確な統計があるわけではございませんけれども、過去の経験則から大体その七割ぐらい、すなわち約四十八万人ぐらいが有権者ではないかというように我々は考えております。
○佐藤道夫君 私、海外旅行などをして海外在住の日本人と会った際に、私の経験では大体五人に一人ないし四人に一人ぐらいの割合でこの問題について非常に高い関心を持っておられて、ぜひとも選挙権の行使が実現されるように一働き願いたいという話を聞くことがあるわけです。もちろん外務省あるいは自治省の方にもこういう要望が寄せられていると思いますけれども、その熱意の度合いあるいは要望が寄せられている度合いはいかがなものでございましょうか。調査したことがあるのかどうかも含めましてお願いします。
○説明員(井戸敏三君) 具体的な状況を申し上げますと、海外に在住の日本人会の皆様方、いろんなところにあるわけでございますが、大きなところでございますと例えばニューヨークでございますとかあるいはパリでございますとかそういうような方々から、帰国されたりした際に例えば私どもにお立ち寄りいただいたり、あるいは外務省あるいは国会議員の先生方にもお聞きしておりますけれども、強く要望がなされておるところでございます。
 それからまた、二年前であったと存じますけれども、衆議院の政治改革特委の委員の皆様方が、主としてシンガポールと、それからオーストラリアであったと存じますが、現地の声を聞くということで海外調査もなされたと承知しております。
○佐藤道夫君 昭和五十九年、この海外在住日本人に選挙権を付与してはという法案が提出されておりますけれども、ほとんど審議らしい審議がないままに廃案になったということを聞いておりますけれども、その間どういう経緯だったのか、もしわかればお教え願いたいと思います。
○説明員(井戸敏三君) 今御指摘ございましたように、昭和五十九年四月の第百一国会にいわゆる在外選挙法案ということで、公職選挙法の一部を改正する法律案を政府から提案いたしたものでございます。四月に提案し、提案理由説明は八月に行ったわけでございますが、それ以降審議が行われることなく第百五国会まで継続審議とされまして、昭和六十一年六月の衆議院の解散で廃案になったという経過でございます。
 この間、継続審議ということではございましたが、審議が行われていないという事実は承知しているわけでございますけれども、その辺の審議が行われなかった理由等につきましては私どももつまびらかにしてはおりませんので、この点は御理解賜りたいと存じます。
○佐藤道夫君 その後、政府側から再提案の動きがなかったのはどういう理由なんでしょうか。これまたお教え願いたいと思います。
○説明員(井戸敏三君) 政府側といたしましても、今までの経過も踏まえまして何らかの対応をすべく研究等をさせていただいてきたわけでございますが、在外選挙につきましては、御承知のように日本国内にお住まいになっておられない方々の投票機会をどのような形で、方法で対応していくのかという問題でございますので、そのような意味から技術的な観点等も含めまして検討を続けてきていたという次第でございます。
 ただ、現在はできるだけその早急な実現に向けまして、与党の政治改革協議会におきまして検討が鋭意行われているところでございます。
○佐藤道夫君 この問題は大体の先進諸国がおおむね実現していることだと思いますので、我が国もやはりもうそろそろ踏み切っていいんじゃないかという気がしておるわけです。
 確かに技術的に難しい問題があるようです。選挙人名簿をどうやって確定するのかとか、選挙公報はどうやって一人一人に配るのかとか、あるいは山間僻地で在外公館のある場所までも馬車に乗って何日もかかるというふうな人については郵便投票を認めてはどうかとか、いや、それは問題だとか、いろんな技術的な問題があることは承知しておりますけれども、やると決めたならば技術的な問題というのはこれは大した問題じゃない、克服できないことはないと思いますので、どうかひとつ外務省、自治省、歩調をそろえてこれを実現すべく取り組んでもらえればと思います。
 在外邦人の何人かが、この前の参議院選挙で投票率が五割を切っておる、我々は行使したくても行使できない、行使できるのにいいかげんな連中だなと、こういうことを言っておりましたので、こういう話も御披露させていただきたいと思います。
 それから三番目は、これまた話ががらりと変わりまして地位協定であります。
 この前の沖縄での米軍人の少女暴行事件、あれが引き金になって今日の沖縄の反基地感情あるいは反米軍感情が盛り上がったということにもなりまして、刑事事件の扱いというのは非常に感情的ではありますけれども、それだけにまた重要な慎重を要する問題だと思います。あの場合は日本の警察が起訴まで逮捕できない地位協定十七条五項(c)、あれが非常な不平等条約ということで反感が持たれたわけですが、地位協定の見直しはおいておいて、外務省の御努力で合意事項ができました。
 これはこの前の委員会でも私ちょっとお尋ねしましたが、遺憾ながら凶悪事件の代表である強盗が抜けておる。殺人と強姦だけということで、凶悪事件といいますればこれは強盗が一番発生しやすいわけです。あしたにでも米兵がピストルを持って日本の民家に入って金を出せと、こういうことで日本の警察が逮捕しようとすると、いや、それは地位協定十七条五項(c)で逮捕できませんと。なんだ、あの話はもうすべて話がついていると思ったのにまだ同じことではないかといって、沖縄の感情がまた燃え上がるだろうという気もいたします。
 それから、地位協定はそのままですから、これはいわば法律であって、運用解釈合意事項というのは単なる運用の覚書ですから、この覚書で身柄を渡すとか渡さないとかいってみても本当は始まらないわけだと思います。
 私がアメリカの政治家ならば、米軍人が殺人か何かで日本の警察に逮捕されようとしている、米軍が覚書に従って引き渡そうとしておる、私は激しく米軍を叱咤すると思いますよ。地位協定によれば起訴まで渡さないということになっておるではないか、渡すとは一体何事だ、そういうことは議会の承認を得てからにしたまえと言って叱責すると思います。米軍の、米国民の感情もまた燃え上がって、それに応じて沖縄のあるいは日本人の感情がまた燃え上がるだろうと思います。
 本当のところの協定、地位協定をこのままにしておいて運用でというのは、日本人の生活の知恵、建前は建前、それはおいておいて本音で処理していこうというふうなのがこの地位協定、その覚書にあらわれていることだろうと思いますが、もういつまでもこんな時代ではないと思いますので、少なくとも十七条五項(c)ぐらいについては、NATO諸国あるいは韓国などと歩調をそろえて、その見直しを米軍あるいはアメリカ政府に申し入れるというふうなことを外務大臣として考えていただければと思います。いかがでございましょうか、この点。
○国務大臣(池田行彦君) 司法手続については、文字どおり御専門の佐藤委員からの御質問でございます。
 御指摘もございましたように、昨年十月の合同委員会合意におきまして、地位協定の改定ではございませんけれども、きちんとした文書によって確認いたしまして、起訴前に被疑者の身柄が引き渡される道が開かれたわけでございます。私は、その面では手続の改善を見たものと考えております。しかしなお、委員御指摘のようないろんなことがあり得るということは、それはそのとおりだとも思います。
 しかしただ、今、米国の政治家から見れば、地位協定がこういうことならば、覚書ではなくて地位協定本体によって当然いくべきじゃないかという点につきましては、これはやはり米国民の側における日本の司法手続の公正さに対する理解というものが深まっていくということを通じてもその辺は大分変わってくるんじゃないか、このように考える次第でございます。
 また、少なくとも十七条五項(c)につきましては、NATOあるいは韓国等とも話し合って改定の動きをしたらどうかと、こういう御提言でございますけれども、NATOあるいは韓国と言われますように多数の国々といわゆる地位協定的なものが米国との間で結ばれておる、またそれが、この点だけじゃなくていろいろな点で少しずつ違ったというような点もございますので、そういったところはなかなか簡単に合意の形成というものはできる状況にはないのではないか、こう思いますので、私どもといたしましては、実質的に改善を図っていくという観点からいろいろ取り組んでまいりたい、先般の覚書もその一つであった、このように御理解いただきたいと思います。
○佐藤道夫君 日本語で痛い目に遭わないとわからないという言葉がありますけれども、確かにあすにでも強盗事件が発生してまた同じ問題の繰り返しになると、やっぱりこれじゃいかぬのだというふうな意見が出てきまして、それが解決の一歩一歩の前進だということにもなろうかと思いますけれども、なるべくそういう痛い目に遭わないうちに解決できるものは解決するという姿勢で臨んでいただければということを希望しまして、質問を終わります。
 以上です。
○委員長(木庭健太郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十四分散会