第136回国会 厚生委員会 第19号
平成八年六月十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     村上 正邦君     中島 眞人君
     田村 秀昭君     木暮 山人君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     常田 享詳君
     山本  保君     西川 玲子君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     西川 玲子君     山本  保君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         今井  澄君
    理 事
                石井 道子君
                大島 慶久君
                釘宮  磐君
                朝日 俊弘君
    委 員
                阿部 正俊君
                尾辻 秀久君
                清水嘉与子君
                塩崎 恭久君
                高木 正明君
                中島 眞人君
                長峯  基君
                勝木 健司君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                西川 玲子君
                水島  裕君
                山本  保君
                竹村 泰子君
                西山登紀子君
   衆議院議員
       厚生委員長    和田 貞夫君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  菅  直人君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     亀田 克彦君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省保健医療
       局長       松村 明仁君
       厚生省生活衛生
       局長       小林 秀資君
       厚生省薬務局長  荒賀 泰太君
       厚生省保険局長  岡光 序治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   説明員
       行政改革委員会
       事務局参事官   田中 順一君
       文部省高等教育
       局医学教育課長  寺脇  研君
       文部省体育局学
       校健康教育課長  北見 耕一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旅館業法の一部を改正する法律案(衆議院提出
 )
○薬事法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(今井澄君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、田村秀昭君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。
 また、昨十二日、木暮山人君及び山本保君が委員を辞任され、その補欠として常田享詳君及び西川玲子君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(今井澄君) 旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院厚生委員長和田貞夫君から趣旨説明を聴取いたします。和田貞夫君。
○衆議院議員(和田貞夫君) ただいま議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 現行の旅館業法は、終戦直後に公衆衛生の見地からの取り締まりを目的として制定され、その後、いわゆる善良な風俗を保持する観点からの規制を加え現在に至っておりますが、旅館業を取り巻く社会経済状況が大きく変化したことを踏まえ、時代に適合した旅館業の位置づけを明確にし、旅館業の健全な発達を図るとともに、利用者の需要に対応したサービスの提供を促進する必要があります。
 本案は、このような状況にかんがみ、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は、第一に、法律の目的を、旅館業の健全な発達を図るとともに、利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もって公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することに改めること、第二に、旅館業が国民生活において果たしている役割の重要性にかんがみ、営業者は、利用者の需要に対応した営業の施設の整備及び宿泊に関するサービスの向上等に努めなければならないこと、第三に、旅館業の健全な発達を図り、利用者の需要に対応したサービスの提供を促進するため、国及び地方公共団体は、営業者に対し、必要な資金の確保、助言、情報の提供等の措置を講ずるよう努めることとすることであります。
 なお、この法律は公布の日から施行することといたしております。
 以上が本案の提案理由及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(今井澄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。――別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 旅館業法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(今井澄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(今井澄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(今井澄君) 薬事法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。
 今度の通常国会も会期末まで本当に残りわずかとなりました。厚生委員会も重要法案を手がけてきたのでございますが、本日は閣法十本日の法律として薬事法の審議がようやくできますことを大変うれしく思っております。それは、最近の医薬品の副作用とか、またエイズ問題に関係をしております重要な課題であるわけでございまして、医薬品の安全対策、また再発防止対策というものが大変緊急かつ重要な課題であるということでございまして、速やかな薬事法の改正を期待しているというところでもございます。
 最近の医学、薬学の進歩によって、また国民皆保険によって日本は世界一の長寿国となりましたが、高齢化社会になって新たな問題を抱えているわけでございまして、医療、年金、福祉の問題は非常に重要な国民的、国家的課題であるわけでございます。
 医療とか治療に対して欠かすことのできない医薬品の問題につきましては積極的な研究開発が進められているわけでございまして、昭和三十五年ごろには六千品目ぐらいであったものが現在一万四千品目を超えるような医薬品ができているわけでございます。中には薬理作用が強くて副作用が起こりやすい、使用方法が非常に複雑で難しいという医薬品がふえてきているというふうに感じております。
 既に昭和三十年代にキノホルム剤によりますスモン事件とか、あるいはサリドマイド剤によるもの、クロロキンによる薬害事件というものもございました。最近では、ソリブジンと抗がん剤の併用によります副作用も、薬害も起こってきているわけでございまして、また血液製剤によります問題も起こってきたのでございます。このようなとうとい人命を犠牲にせざるを得なかったという大変残念な経験もしてまいりまして、この貴重な経験をやはりこれからの薬事行政、医療行政に十分に生かしていかなければならない、そういうことを痛感するところでございます。
 今回の薬事法の改正は、医薬品の治験、承認審査、またさらに特徴として市販後の各段階において医薬品の総合的な安全対策を推進するために実施されるものであるというふうに思いますが、各段階での制度改正について御質問したいと思います。
 最近、治療法のない疾病につきましての治療薬の開発が求められているという点もありますが、そのような治療薬が大変国民に期待されているということでありまして、その意味で治験は非常に重要であると思います。この治験の場合には、被験者の自主的な協力が不可欠でありますし、その被験者の権利が確保されなければならないという面もあります。
 今回の薬事法改正では、治験届のチェック制度の導入とGCPの法制化が図られているわけでございますけれども、治験段階においてどのような安全性の強化が図られたのでございましょうか、その点についてまずお伺いをいたします。
○政府委員(荒賀泰太君) 今回の薬事法等の一部改正法案は、今お話もございましたが、治験から承認審査、それから市販後に至る各段階の総合的な安全性の確保対策を充実していこうというねらいがあるわけでございます。
 その中で、この治験段階の改正事項の内容でございますが、医薬品の臨床試験の実施に関する基準、GCPでございますが、これを今回法制化いたしまして、製薬企業あるいは医療機関による遵守を徹底するということが一つございます。それから、治験を行う、これは初めて治験薬を人に投与する場合でございますが、厚生大臣が医薬品機構を活用いたしまして治験計画の届け出の内容を調査して、そして製薬企業に対して必要な指示を行うことができるものにしたわけでございます。
 さらに、製薬企業におきましては、治験薬を使用した場合の副作用でありますとか、あるいは感染症につきまして厚生大臣に対して報告をしなければならないものとしております。さらに、治験中に重篤な副作用が発生した場合には、厚生大臣がGCPの適用状況を調査することができるものといたしまして、製薬企業あるいは医療機関に対し必要な指示を行うことができるものといたしております。さらに、医薬品機構におきましては治験相談が行えるようにいたしまして、適正な治験の実施、そして被験者の安全性の確保が図られるようにしておるわけでございます。
 こういったもろもろの措置によりましてインフォームド・コンセント、文書によりますインフォームド・コンセントを実施いたしまして、被験者の人権保護の強化、それからもう一つは治験データの信頼性の向上が図られるものと考えております。それから、この治験の実施計画を作成する段階からこういった公的な機関によるチェックあるいは相談を行うことによりまして、より科学的、より倫理的にも適正な治験が実施されるようになると考えております。そして、治験全体の水準の向上が図られて、とりわけこの治験段階の被験者の安全性の一層の確保が図られるものというふうに考えておるところでございます。
○石井道子君 次に、承認審査の問題でございますけれども、このことにつきましてはいわゆる医薬品機構を利用して行う、その活用を図られるということでございます。そして、この医薬品機構が昭和五十四年にスタートいたしましてから、その時々の新しい重要なニーズにこたえて、今国会でも改正がありましたけれども、六回の改正が行われてきたわけでございまして、その中身の充実も期待をされるところでございます。
 この承認審査段階におきまして、どのようにして安全性の強化が図られたのでございましょうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 今回の改正におきまして、医薬品機構におきましては、申請者でございます製薬企業から提出をされました資料につきまして、データの照合あるいはGCP調査、そういった調査業務を行いまして、そして申請資料の信頼性についての調査確認を行うことにしておるわけでございます。
 一方、厚生省、私どもの業務局におきましては、この医薬品機構の調査結果をもとにいたしましてチーム審査を行っていきたい。これは医学、薬学、獣医学、統計学、そういった多様な専門職員によりますチームを編成して、そのチームによる審査を行う。それによって申請をされた医薬品の有効性なり安全性の評価、あるいは論点の整理、過去の事例との比較、そういった基礎的な評価判断業務を充実いたしまして事務局の審査の強化を図ってまいりたい、このように考えております。
 この事務局審査の評価判断業務を充実するとともに、中央薬事審議会の段階では最新の医学、薬学の治験に基づいてより高度な有効性、安全性についての評価判断を行っていただけるようにしていきたい、そして全体としてこの有効性、安全性の評価について質の高度化を図ってまいりたいと考えております。
○石井道子君 この審査体制の問題につきましては、アメリカのFDAにおいてはその審査部門が七百四十一名で行われているということでございますし、イギリスでは三百十九人、ドイツでは五百人がそれぞれの部署で担当されております。それに比べて日本の場合には審査課がわずか三十八人という大変少ない人数でやっているというところにいろいろと無理が起こってくるのではないかと思います。
 そのような面について、医薬品機構との連携、活用の中でやると思いますけれども、どのようにお考えでございましょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 承認審査段階の充実強化は非常に大きな課題でございまして、私どももいろいろと検討をしたわけでございますが、やはり本省段階だけの人員の増には限界があるということで、医薬品に関する専門的な知識、経験で、しかも今までそういったことについて業務をお願いしております医薬品機構に基礎的な承認申請データのチェック、そういったものをやっていただく。今申し上げましたように、本省はそれを受けて事務局審査を充実する、さらに中薬審も最先端の医学、薬学に基づくチェックをしていただくということでそれぞれ役割分担をし、しかし最終的には厚生大臣が承認権限を持っておるわけでありますから全体の運営についての責任を持ち、また薬の承認についての権限と責任を持つと、そういう形で今後とも対応をしてまいりたいと考えております。
○石井道子君 医薬品は、最新の情報を踏まえまして、その情報を生かして使用しなければならないという特殊性があります。そのために副作用情報というものを今までもいろいろとモニターを使いましたり収集をしてこられたと思いますけれども、病院とか薬局からの医薬品情報につきましては、日本の場合には大変少ないということを伺っております。平成六年度の副作用報告は全部で一万四千五百九十五件あった、そのうち製薬企業からの報告が一万二千九百八十件であって、医療関係者からの報告が千六百十五件にとどまっているという大変少ない数字でございまして、これもやはり外国から比べますと非常に格段の差があります。
 そのような状況はなぜ起こってくるかという点も考えられますけれども、やはりこれから医療機関などへの情報の収集と提供、それを量の面でもまた質の面でも強化をしていかなければなりません。それもさらに速やかに行わなければなりません。
 そういう点で、医薬品情報の収集、提供の充実についてどのような対策を考えられていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 副作用情報の収集につきましては、今回の薬事法の改正におきまして、製薬企業が国に対して副作用を報告することを法律で義務づけることにいたす一方、感染症情報につきましてもその報告を法律で義務づけることにしておるわけでございます。
 また、今御指摘もございましたが、諸外国に比べまして医師からの国への直接の報告が少ないと言われておりますが、副作用モニター制度につきましては、モニター施設あるいは参加の医師を拡大していきたいということでこの副作用モニター制度を拡充することに努力をしてまいりたいと考えております。
 また、現在の国内の市販後の使用成績調査の年次報告というのは廃止をいたしまして、ICH、これは日米欧三極の医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議でございますが、このICHで合意をされております安全性定期報告制度というものを我が国でも採用いたしたいと考えております。
 この安全性の定期報告制度でございますが、従来は国内情報だけでございましたけれども、国内情報に加えまして諸外国の薬の副作用の発生状況、あるいは規制状況等について定期的にその企業から国に報告をしてもらうということで、特に市販直後の二年間につきましては安全対策が特に重要でございますので、半年ごとに報告を求めるということを考えておるわけでございます。
 それから、医薬品の情報の提供につきましては、いろいろな段階で対策を講じることを検討をいたしておるわけでありますが、医療機関への情報提供といたしましては、新薬につきまして医師が理解をしやすいように「使用上の注意」に解説を加えて、そしてこれを企業に作成をしてもらい、市販開始直後に集中的に医療機関に対して配布をして理解を深めるということを検討いたしております。
 それから、新薬につきまして適正使用ということが図られますように、治験の際には得られなかった小児とか高齢者とかそういった方についての安全性の実績というものを含みました再審査概要というものを国が作成して、市販後の使用実績について医療機関がその情報が入手できるようにいたしたいと考えております。
 それから、患者等への情報提供でございますが、医療機関、薬局等から患者に対する情報提供といたしましては、医薬品の患者に対する服薬指導を薬剤師の義務として法制化をして強化いたしておりますし、また今年度におきましては、患者に向けてのわかりやすい説明文書を医師あるいは薬剤師から患者の方に手渡しをするというパイロットスタディーの実施について検討をしておるところでございます。さらに、この医薬品の安全性情報の提供に関しましては、いろいろな情報通信技術を活用いたしまして、医療関係者あるいは一般の国民が簡便に最新の情報が入手できるような、そういうシステムをつくっていきたいということで現在検討をいたしておるところでございます。
 今回の改正はそういったこと、さらに市販後調査の実施に関する基準ということで、GPMSPと言っておりますが、情報の収集あるいは提供、市販後調査を確実にやっていただく、このGPMSPを製造業者に遵守事項として法制化をするということを盛り込んでおるところでございます。
 これらの対策によりまして医薬品情報の収集、提供の充実を図って市販後安全対策の強化に努めてまいりたいと、このように考えております。
○石井道子君 薬害を防止するためには薬事法の改正だけでは不十分であると思いますし、今度の改正の中で市販後の対策について特に盛り込まれました。その点で日本の医療全体の立場からこの問題を考える必要があるというふうに思います。
 特に、患者への医療内容の説明については不十分であるということが指摘をされておりますし、患者からの同意を得ることもまた重要であろうと思います。
 そこで、インフォームド・コンセントの実施につきまして厚生省といたしましてどのような対策をお考えでございましょうか、伺いたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 医療におきまして、医師を初めとする医療の従事者、医療の担い手と受ける者との信頼関係に基づいて提供されるということが必要だと考えておりまして、この信頼関係を支える一つの方法としていわゆるインフォームド・コンセントの考え方が重要なことだと認識をしております。
 インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会という検討会から昨年の六月に報告書がまとめられております。この報告書におきましては、「インフォームド・コンセントを、より良い医療の基盤づくりのための新しい患者・医療従事者関係の在り方を追求するうえで、なくてはならない手段」というふうに位置づけております。この報告書の提言を受けまして、厚生省におきましては、平成七年度、ポスターの作成あるいは講習会等を実施いたしまして、医療従事者や患者の意識改革を進めるということ、さらに八年度予算におきましては病院の管理者に対する研修会の実施等を行う予定にいたしております。
 なお、このインフォームド・コンセントの考え方を医療法に位置づけるということにつきましては、四月二十五日に取りまとめられました医療審議会の意見具申におきましても、「医療の担い手は、医療提供に当たり、適切な説明を行い、患者の理解を得るよう努める旨の規定を医療法に位置付けることが肝要」というふうな御意見をいただいたところでございまして、厚生省といたしましては、この医療法の改正に当たってこのような考え方を努力規定として位置づけることを検討しているところでございます。
○石井道子君 次に、厚生大臣にお伺いいたしますけれども、衆議院におきまして慎重審議の結果、附則に「総合的な検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずる」旨の規定が盛り込まれておりますが、このことをどのように受けとめて対応していらっしゃるおつもりでございましょうか。
 そして、今回の薬事法の改正は総合的な医薬品の安全対策の充実を図る上において大変重要なことでありまして、この改正を通じて薬害の再発防止に向けて、大臣の御決意のほどもあわせてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 石井委員御承知のように、今回の薬事法の一部を改正する法律案は、ソリブジンによる副作用問題などを踏まえまして、治験から承認審査、市販後に至る医薬品の総合的な安全性確保対策などを講ずるとともに、もう一点が、いわゆる血液製剤の投与によるエイズ問題に関しましては、医薬品の承認前の特例許可制度の導入など緊急のものについてあわせて措置をしたわけであります。
 そういった意味で、衆議院で今御指摘のように修正をいただきまして、先ほど委員からもお話がありましたように、附則の中で「政府は、血液製剤の投与によるエイズ問題を踏まえ、医薬品等による健康被害の防止のための措置に関し、速やかに総合的な検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。」という規定を入れていただいたわけであります。
 そういった意味で、今回の法律はソリブジン事件の副作用に対する対応と薬害エイズに対する緊急の措置ということになっておりまして、この薬害エイズの大規模な悲惨な健康被害を発生させた問題についてはこれから本格的な御議論をいただく中で考えなければならない問題というふうに思っております。
 現在、本院においてもいろいろ御議論をいただいておりますが、あわせて厚生科学会議における議論をお願いいたしまして、先日、一応の御報告をいただいたところです。また、それを受けて第三者による原因究明の何らかの機関をつくりたいということで今努力をいたしております。また、省内には医薬品による健康被害再発防止に関するプロジェクトチームをスタートさせておりまして、そういう中でも議論を積み重ねているところであります。
 そういったことを含めまして、今回のこの法律案を成立させていただいた後に、そういったいろいろな場所での議論を踏まえて、さらに薬害による健康被害が二度と生じることがないようにといいましょうか、そういうものに対する万全の措置としてどうすべきか、薬事行政のあり方などに対する根本的な改革を含む措置を考えなければならない、そのように思っております。
 そういったことで、この委員会の議論も踏まえながら本格的な改革を目指すというのがこれからとるべき道だろうと考えております。
○石井道子君 次に、薬学教育の問題についてお伺いをいたします。
 このたび、薬事法の改正を受けまして、薬剤師法の中に情報提供の義務化の規定が盛り込まれるわけでございまして、薬剤師の責任というものも大変重くなってまいりました。この責任を十分に果たすためには、今までの薬学教育だけでは不十分であるということが指摘をされているわけでございまして、やはり薬剤師の生涯研修を充実させたり、また薬剤師の臨床実習の充実など、薬剤師の資質の向上に努めなければならないことが不可欠であろうと思います。このような医療の大きな変化に対応できる点で、医療人としての薬剤師を養成するということが大変重要な喫緊の課題でございまして、その点で今後も厚生省としてもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 特に、生涯教育とかあるいは薬剤師の免許を取得した後の実習研修というものが今薬剤師の場合には十分に担保されておりません。医師の場合には臨床研修が二年間努力義務でございますし、歯科医師の場合にも今国会で臨床研修一年以上ということが努力義務化されました。
 そのような点で、やはり医療の中で特に薬の専門家として重要な地位を占める薬剤師の臨床研修がやはり制度化される必要があるのではないかと思います。その点についての法整備の問題、また研修予算の問題、これを検討すべきであろうと思いますが、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) ただいまお話がございましたが、薬剤師の病棟業務あるいは在宅業務に積極的に参画をしていただくということで、薬剤師をめぐる環境というのは今大きく変わろうとしておるわけであります。その中で、薬剤師の資質の向上を図るということは、免許取得直後の研修を充実させるということが必要であるというふうに考えております。
 その研修を実施するためには、病院の受け入れ体制の整備というものが必要でございまして、厚生省では昨年度九つの病院に実際に研修生を受け入れてもらいまして、研修を行う上での問題点の把握といったモデル事業を実施したわけでございます。その結果、受け入れ施設の拡充でありますとか、あるいは研修を指導する指導者の確保、そういったことの課題が指摘をされておるわけでございます。
 御指摘の薬剤師の免許取得直後の研修につきましては、現在制度化されていないわけでありますけれども、今後、受け入れ施設の確保でありますとか、あるいは指導者の養成等の課題につきましても積極的に検討していきたい、そして関係団体あるいは大学関係者の方々等の意見も伺いながら制度化も含めて検討していきたいと考えております。
○石井道子君 薬剤師の研修につきましては、開局の方の問題もありますし、また病院の薬剤師の問題もございます。今後、病院におきます薬剤師の体制の整備もまた重要であると思います。
 先日、厚生省の市販後調査検討会が病院の薬剤部を活用して病院の医薬品情報の管理体制を整備すべきであるという提案をいたしました。そして、今回医療審議会が意見具申をされておりまして、薬剤師の配置基準を見直すというふうに示されているわけでございまして、病院薬剤師の配置を考えた場合に、入院患者に対する病棟業務の重要性を踏まえ、外来患者の調剤に加えまして、さらに医薬品情報の活動、そして特殊製剤とか麻薬の管理など、中央業務のための薬剤師も配置すべきではないかというふうに思います。
 情報活動がより一層重要性を増している中で、今、診療報酬体系の中では病棟業務に携わる場合に点数が設置されておりますけれども、その条件の中に医薬品情報室があって、そこに二人の薬剤師を配置しなければならないというルールもあります。そんなことを踏まえまして、第二次医療法改正において、特定機能病院においては病棟業務に対して三十人に一人の薬剤師が配置されました。
 そういうことを考え合わせまして、今後の病院薬剤師の配置の問題についてどのようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。
○政府委員(谷修一君) 今、先生お触れになりました四月末の医療審議会の意見具申の中で、薬剤師の配置については、調剤技術の進歩とともに、服薬指導あるいは薬歴管理等の病棟業務の増大という状況を踏まえて、業務に応じた適切な数の薬剤師を配置する、そういう観点から、例示として病棟単位に薬剤師一人を配置するといったような入院患者数等を考慮した基準に見直すことが必要だということが意見としてまとめられております。
 私どもといたしましては、その報告書の中にもありますような病棟業務の増大、あるいは薬剤師によります副作用の情報提供、また病院におきます薬剤師の業務の全体の変化、そういうものを踏まえまして配置基準というものの見直しをしていきたい、その際にはまたいろいろ関係者の御意見も聞きながら配置基準の検討をしてまいりたいと考えております。
○石井道子君 病棟業務における仕事の重要性、高度化ということに関係もいたしまして、これからの薬剤師教育というものは大変重要になってまいりました。
 その教育を直接担当されております文部省にお伺いしたいと思いますが、医療薬学修士コースをどのように充実されて指導者を養成され、そして臨床実習につきましてどのように取り組まれるお考えでございましょうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(寺脇研君) 文部省といたしましても、薬剤師の資質向上を図ることは非常に重要であると認識をいたしております。このために、薬学関係の有識者の皆様方で薬学教育の改善に関する調査研究協力者会議を設けまして、今後の大学及び大学院における薬学教育の改善方策につきまして調査研究を行って、本年の三月に取りまとめを公表したところでございます。
 この報告に従いまして、文部省といたしましては、学部段階におけるカリキュラム改革も行ってまいるわけでございますが、御指摘の大学院修士課程における医療薬学専攻を整備してまいることによりまして各大学における薬学教育の改善充実を図ってまいりたいと思うわけでございます。
 こういった場合、修士課程におきましては臨床実習を実施するわけでございますけれども、今申し上げましたような医療薬学専攻というような課程におきましては、病院等の現場におきまして実務実習を約六カ月間、一般調剤実習等のほか医薬品情報業務、薬歴作成、服薬指導等、さまぎまなことを行ってもらうように考えております。
 平成八年度現在におきましては、医療薬学専攻を設置しております大学は十三大学、国立が七大学、私立が六大学でございますけれども、今後ともこの充実に努めてまいりたいと存じます。
○石井道子君 卒後研修につきましては、やはりその必要性も高いと思います。生涯研修の問題についてどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。そして、今までの四年制の教育では不十分であるという多くの方々の指摘の中で、薬学教育の六年制についてどのようにお考えでございましょうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(寺脇研君) 先ほど委員御指摘のとおり、私どもあらゆる医療人により高い資質が求められてまいるという考え方で今後の医療人養成に当たらなければならないというふうに考えております。その中で、薬剤師の教育につきまして教育内容を強化していくという問題が急務であるという認識を持っておるところでございます。
 生涯学習という観点から申しますと、薬剤師の皆さんが卒業直後も含め生涯にわたり資質向上に努められるよう、研修機会の充実が図られるよう、何がしか力を尽くしてまいりたいというふうに思う次第でございます。
 現在、生涯学習関係では、国立大学附属病院については従来から既に薬剤師の免許を取得なさっておられる方々の研修が行えますように研修生受け入れの制度を設けて、各薬学系大学等を通して一般に募集をしているところでございます。平成六年度の数字でございますけれども、六百八十三名の既に薬剤師になられた方を研修に受け入れておるところでございます。
 また、修業年限の問題でございますが、これにつきましても先ほど申し上げました調査研究協力者会議においていかにあるべきか検討いたしたところでございます。ただ、この報告では、現在の大学及び大学院の入学定員、また施設設備の現況、また病院等での実務実習充実のための施設、指導体制の状況等を踏まえますと、現時点で現行の四年の年限を延長することは難しいと御指摘をいただいておるところでございます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたように、薬学教育の強化ということを急がねばならないのは文部省も認識をしておるところでございまして、当面は学部段階のカリキュラム改革、それから大学院の充実というようなことの中ででき得る限りこれからのニーズに、薬剤師に求められるものに対応した教育ができますように努力させていただきたいと存じます。
○石井道子君 この間、国立病院の院長先生から医薬品に対する啓蒙教育が不十分であるというふうなことが言われました。そして、それはやはり学校教育の中で、義務教育のときからやらなければならないのではないかというふうなことが言われたわけでございまして、そういう点では小中高校におきます学習指導要領の変更の中で医薬品に対する教育も盛り込まれたというふうに私も受けとめておりますが、どのような形でやっていらっしゃいますでしょうか、お伺いしたいと思います。
○説明員(北見耕一君) 学校におきます薬剤に関する教育につきましては、従来から教科の保健体育あるいは特別活動において取り上げるように指導してきたところでございます。
 平成元年に改訂いたしました学習指導要領におきまして、この問題の重要性にかんがみまして高等学校の教科、保健体育におきまして新たに医薬品の正しい使い方に関する内容を加えて指導の充実を図ったところでございます。具体的には、医薬品の有効性、医薬品の副作用、医薬品の正しい使用法等について理解させることとしているところでございます。
 また、昨年の四月には厚生省の作成しましたパンフレット「薬の知識と正しい使い方」を文部省から都道府県の教育委員会等に配布して、高等学校の保健におきます指導において活用するように指導したところでございます。
○石井道子君 文部省の方、お帰りになって結構でございます。お忙しいところ、どうもありがとうございました。
 それでは、次にお伺いいたしますことは医薬分業の問題でございます。
 医療審議会の四月二十五日の意見具申の中で、医療計画の記載事項の見直しをすることが提案されております。その中で、かかりつけ薬局による医薬分業について必要的記載事項とするということになっているわけでございまして、これは医薬分業を推進する上において極めて重要な施策であろうというふうに思います。
 医薬分業がなぜ必要かということは今さらいろいろ申すまでもないのでございますが、やはり医薬品の副作用を完全に防止するためには一軒の薬局ですべての患者の薬についての管理をする必要があるということが重要なことでございまして、そういう点について、この医療計画の内容について、どのようなものにしていくお考えでございましょうか。
○政府委員(谷修一君) 現在までの医療計画は主として病床規制ということが必要的な記載事項、その他の事項につきましてはいわゆる任意的記載事項というふうに整理をされております。
 四月にまとめられました医療審議会の意見におきましては、地域におきます医療機関の連携なりあるいは整備の目標、そういったようなことも含めまして全体としてこの必要的記載事項の中に入れたらどうかという御意見でございます。その中に、かかりつけ薬局によります医薬分業等、医療関係施設相互の機能や業務の連携等を必ず明記するという形で医療計画の見直しが提言をされたところでございます。
 今後、医薬分業を進め、地域に必要な医療提供体制をどのように確保するかというような観点、また、もちろんそれぞれの地域の実情を踏まえた上で、この医療計画の見直しということにつきましては制度改正の中で検討してまいりたいというふうに考えております。
○石井道子君 医薬分業を進める上において、医療機関からの院外処方せんの発行がどうしても推進されなければなりません。国立病院では、平成六年に完全分業を目指す六つの病院を指定して、医薬分業の推進を図ってきたというふうに聞いております。さらにこれは拡大していく必要があろうと思いますが、国立病院の院外処方せんの発行に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
○政府委員(松村明仁君) 医薬分業の推進は、医薬品の適正な使用を図る上で重要なことと認識をしております。したがいまして、国立病院におきましても平成元年度より院外処方せん発行の推進を図る、こういうことで、その具体的な方法といたしまして、当時はモデル病院を三十七選びました。現在は三十八になっておりますけれども、こういったモデル病院を中心に院外処方せんの発行の推進を図ってまいりました。
 今、委員も御指摘でございましたけれども、平成七年度におきましては、院外処方せん発行の一層の推進を図るために、九施設を選びまして、原則として院外処方せんを発行する完全分業の形をとると。完全分業と申しましても、いろいろな事情がございまして、七〇%以上発行を確保しておる、これを一応完全分業、こういうふうに考えておるわけなんですが、こういったことで九施設で実施しております。
 こういったことで、モデル病院におきます処方せんの発行率は平成元年度に九・二%でございました。しかし、これが平成七年度におきましては三五・八%まで伸びてきておる、こういう状況でございまして、私ども国立病院といたしましては、こういったモデル的な病院の医薬分業をさらに進めることによりまして全体として国立病院の院外処方せんの発行の推進を図ってまいりたい、このように考えて実施をしておるところでございます。
○石井道子君 このたびの薬事法の改正の実を上げていくためには、やはり適切な制度の運用が図られることが必要であると思います。そのためには製造業者とか医療関係者、そして行政の皆様方がともに協力をし合ってやっていかなければならないと思いますし、厳密に守るべきものは守りながら責任ある立場で連携を図っていくということが必要だろうと思います。
 医薬品の安全性の確保につきまして、その充実を図っていく、このことが本当に重要であるということを改めて痛感しているところでございますが、そのような立場に立って、医薬品について薬剤師がその医薬品の適正使用に向けて責任を持って特に対応すべきであるというふうに考えるわけでございます。
 厚生大臣にお伺いいたしますが、薬剤師の役割について大臣の御見解をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(菅直人君) 今、石井委員の方からもお話しいただきましたように、医薬品の適正使用についての薬剤師の皆さんの役割というのは大変重要であると私も認識をいたしております。
 そういった意味で、今回、医薬品の適正使用を進めていく上で、患者や医師に対し医薬品の情報を適切に伝えるということのために、薬剤師である薬局の管理者は薬局の開設者に必要な意見を述べ、開設者はその意見を尊重しなければならない、また薬剤師は患者に調剤した薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供しなければならないとしたわけであります。つまりは、責任も持っていただくと同時に権限もある意味では持っていただいて、場合によってはお医者さんや開設者に対してきちんと意見を言い、またそれを開設者は尊重しなければならない、そういう形になったわけであります。
 私は、さらに加えて言いますと、最近、門前薬局とかいろんな問題も含めて、ある意味では薬剤師という資格を持った皆さんにある程度責任と権限を持っていただいて、もし何かルールの違反があった場合は逆に責任を負っていただくかわりに権限もそれなりに強めていくというようなやり方の中でそういった問題も解決する道はないのかと、そんなことも今省内で検討をさせているところです。
 こういうことを含めまして、最初にも申し上げましたように、医薬品の適正使用を進めていくためには薬剤師の果たすべき役割は大変大きいと考えておりますので、今後とも、その資質の向上を図るとともに、薬剤師業務の充実等の環境整備に努めてまいりたい、このように考えております。
○石井道子君 ありがとうございました。
○中島眞人君 大変時間がございません。予定した時間をもっとまだ詰めていかなければならない雰囲気にありますので要点を申し上げます。答弁も簡潔にいただきたいと思います。
 まず、質問というよりは、大臣に急を要しております介護保険問題についてひとつ私の意見を申し上げておきたいと思うのであります。
 社会保障制度審議会並びに老健審からの答申がなされました。そして、昨晩、私どもの党では九時過ぎまでこれに対して論議を重ねてきたわけであります。その論議については、さまざまの危惧される問題等の論議がなされているわけであります。
 ただ、私は、厚生省にとってみても、私どももやっぱり考えていかなければならないものは、二十一世紀に向かって高齢化社会の中で介護保険というものを導入していかなければならないという理念というか哲学みたいなものが、論議がこちらへ置かれてしまって、そして何か関係団体等の中でそれぞれの問題がミクロの問題で何かデッドロックのような状況にあるという感じがするんです。これはやっぱり厚生省にも大きな責任があると私は思うんですよ。
 例えば一例を言うと、月平均五百円ずつ出した、年六千円になる、夫婦でやると一万二千円になる。二十余年間掛けて、そして介護を受ける比率は現状で推測するならば一三%だと。そうすると、あとの八七%は掛け捨てになってしまうんじゃないのか、これでは損だと。私は、この問題が損得勘定の中で論議をされているところに一つの介護保険問題というものがさまざまな要因、意見を生み出しているのではないのか、こういうことを実は痛感するんです。
 例えば、町村等の中から昨今また新たに出てきている問題で一例を言いますと、在宅福祉サービスでいく、しかし平成十三年から施設福祉でいくんだと。そうすると、それを同時にやってくれと。
 同時にやらなくたって現在ゴールドプラン、新ゴールドプランの中で施設福祉というのはやっているわけですよ。しかし、そういう問題が、だめじゃなくて、形態は違うけれども進んでいるのであって、そういうことの説明や理解というものがやっぱり足りなかったのではないのか、こういうふうに私は率直に感ずるんです。
 そこで、大臣、私はやっぱり永田町の論議、永田町を通じて各種団体との関係の論議は非常に過熱をしておりますけれども、受ける、これを守っていく国民各階層はどのように受けとめているのか、理解をしているかというと、二月時点の総理府の調査では、七〇%くらいの方々が介護保険ということについてまだ知らないということを言っておるわけです。
 そこで、私は、法案が提案されるされないにかかわらず厚生省は、永田町で、中央でこれだけの熱心な論議を重ねている、この力を、地方へ出向いて例えば公聴会とか一日厚生省というふうな形で、各界各層の方々に意見を聞く前に、二十一世紀に向かって例えば少なくとも皆で助けていきましょう、そして一三%しか介護を受ける人がいない、いや、片方では一三%をもっと低くしていく努力もしましょうやということを言い続ける一日厚生省みたいな形で地方へ積極的に出向いていくべきだ、そして国民の理解を深めていくべきだというふうに私は思うんですけれども、大臣、ちょっとこの辺について意欲を聞かせてください、今後の国民に対する意欲を。
○国務大臣(菅直人君) 今、中島委員の方からおっしゃっていただいたことは私も全く同感であります。
 つまり、今回の問題は何か二つの問題があるというふうに思うんです。つまりは、一つは実際に介護を必要としている人が百万人以上存在して、それは各家庭や各施設の中におられるわけですから、私は国民の広い皆さんが介護の必要性あるいは公的介護の必要性ということはかなり浸透されているんだと思うんです。
 ただ、制度ということになりますと、いわゆる公的介護保険制度というものがどういう内容であるかということについては、老健審というところが比較的関係者をすべて集めたという形になっている関係である意味ではいろいろな利害調整のようなこともかなり中心になったということで、確かにその部分が国民の皆さんからいうと最後の絵がなかなか見えてこなかったという段階があったと思うわけです。そういう点で、やっと最終的な段階でトータルの試案を出させていただいて、今日、大綱の形で一応答申をいただいているわけです。
 ですから、ある意味ではこれからがいわゆる一般的な意味の介護の必要性ということは国民の皆さんには物すごくいわゆるニーズがあると思うんですが、それを受けとめる制度としてこういう制度でいきたいんだということについては、まさにここからが本当の意味での国民全体を巻き込んでの議論ということになっていくのではないかと思っております。
 御承知のように、今回法案を出す出さないという御議論を今与党を中心にいただいておりますが、つまりはこの段階で出させていただきたいというのも、すぐ法案を成立させていただくためというよりは、まさに全体の形がわかりやすい形で国民の前に提示されるには法案という形の方がよりはっきりしていいのではないかなと、そういう思いもあってお願いをしているところであります。
 そういう点で、今、一日厚生省というような言い方もしていただきましたが、まさにいろんな形で、私も、法案を出す出さないにかかわらず、この国会が終わればいろんな機会を見つけて各地方に出ていきたいと思っておりますし、この間も実はいろんな機会を見つけて北海道やあるいは沖縄やいろんなところでシンポジウムなどに出されましたけれども、大変関心が高いということは痛感しております。同時に、制度としての理解が確かにまだまだ十分に浸透していないということも痛感しておりますので、その点については今後ともおっしゃるような方向で努力したいと思っております。
○中島眞人君 大臣、私は大臣に課せられた使命というのは大変大きな使命だと思いますよ。ですから、この方法しかないんだと自信を持って国民の皆さん方に、言うなればミクロの問題で論議するんじゃなくてマクロで日本の高齢化社会をどうするのかという問題で、そして損得勘定じゃないんだと、みんなで助けよう、こういう一つの理念で勇気を持って自信を持ってやっていただかなきやいけない。打たれてもたたかれても、ひとつこれに取り組んでいただきたい。要望しておきます。
 次に、大臣、今、国民的な課題になっております問題ですからお聞きしますけれども、京都の京北病院における山中院長の安楽死事件と言っていいのかどうかわかりませんけれども、この問題が大変な国民的関心を呼んでおります。大臣の率直なお気持ちをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(菅直人君) この事件、報道で知る以上のことは実は厚生省にも余り情報が入っておりませんで、私もそれ以上の状況は把握をいたしておりません。そういった意味では、報道に沿っての私なりの感想ということとして述べさせていただきますと、本質的に安楽死というものをどう考えるかという問題もありますが、今回の事件はどうもそれよりも一つ手前の問題があるのではないかと。つまりは、従来、判例などでも本人の同意とか家族の理解とかいろいろなものがあるわけですが、今回の場合はどちらかといえばお医者さん自身がある意味では独自で判断をしてそういった行動をとられていると。しかも、何といいましょうか、痛みをとめるといったようなやり方で、それ以上延命を図らないというそういうやり方を超えて、つまりは積極的に命を縮めるというような行動をとられている、これはやはり安楽死という考え方をやや超えた行動ではないかなというふうに思っております。
 また、この問題については、厚生省の中で以前、末期医療に関する国民意識調査等検討会という健康政策局長の私的諮問機関で平成五年にいろんな意識調査をいたしております。これらをいろいろ分析してみますと、やはり、今申し上げたように、積極的に命を縮めて安楽死をするということについての国民的な合意はまだまだない、一割程度というような数字もありますが、そういうふうな考え方をしている人は極めて少ないというふうに認識しております。
 そういう中で、もう一つだけ申し上げますと、一方で、できれば亡くなるときは自分の家で亡くなりたいといったような意味で、何といいましょうか、自分の死の迎え方を自分で選びたいという気持ちがあることも私は事実だと思いますし、そういう点はこれからそういうものをどういう形で受けとめて、できるだけ尊厳ある形での死を迎えられるという形がどうあるかということはもう少しこの議論を深めていく必要があるのではないか、こんなふうに感じております。
○中島眞人君 大臣は就任早々からエイズ問題については積極的な取り組みをなされ、そしてそれを受けまして衆参でエイズ問題に対するいろいろな参考人招致等が行われてきたわけであります。
 エイズ問題の和解を踏まえ、大臣は恒久対策を約束しているわけであります。HIV感染症の治療・研究センターの設置、拠点病院の整備充実の進捗状況、二次・三次感染者の医療費、差額ベッドの解消対策についての進捗状況、今後、未結審、未提訴の方々について和解による早期解決を進めていく一つのあり方の保障の問題、これらについて時間もございませんから三つまとめて御質問を申し上げますが、この辺の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(松村明仁君) 進捗状況について私の方から御説明を申し上げます。
 エイズ訴訟の和解におきます恒久対策において、エイズ医療を総合的、一体的に推進するということで、国立国際医療センターにエイズ治療・研究開発センターを設置することとしております。ここでは必要な専門病棟の整備でございますとか専門外来、あるいは臨床研究情報等の体制を整えていこうということで現在一生懸命検討を行って、その早期実現に努めているところでございます。
 それから、差額ベッドの問題でございますけれども、差額ベッドの解消につきましては、エイズ拠点病院における個室整備を促進するとともに、新たに本年五月一日から、感染者が個室に入った場合には、浴室ですとかあるいは台所等特別の設備が整っているいわゆる特別の部屋、すなわち特室を特に御希望された場合、こういった場合を除きまして医療保険の診療報酬における重症者加算の対象として、患者さんから差額ベッド代を徴収してはならないこととしております。
 さらに、厚生省、都道府県に差額ベッド問題に関する苦情相談窓口を設置いたしまして、不適切な事例については個別に指導を行っているところでございます。
 こういったことで、これら差額ベッドに関します指導方針につきましては、四月にエイズ拠点病院長会議を行いました。あるいはまた、緊急に保険主管課の担当者会議を開催いたしまして周知徹底を図ったところでございまして、差額ベッドの解消に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○政府委員(荒賀泰太君) 未結審、未提訴者の関係でございますが、去る三月二十九日の和解に際しての確認書におきまして、未結審の原告の方については速やかに非加熱製剤の使用によるHIV感染の事実等についての証拠調べを実施し、そして順次和解の対象にすることにしております。また、未提訴者につきましては、訴えの提起を待ちまして、これについても証拠調べを実施した上で順次和解の対象にする、このようなことになっておるわけでございます。
 国といたしましては、三月の和解後初めて、五月十五日に大阪地裁で開かれました法廷におきまして、この未結審原告についての和解を求める上申を行いました。そして、去る六月十一日に大阪地裁におきまして、十四名の患者の方々につきまして和解をしたところでございます。
 今後とも、未結審、未提訴の方々につきまして、和解による早期解決を進めてまいりたいと考えております。
○中島眞人君 日本の非常にお役所的な面が出るんですけれども、まあこれは和解ということですから提訴がないとできないかと思うんですけれども、現実にHIV感染者で提訴をしていない方々というのはかなりの数に上っているわけですから、これはそれに準じてやっていくというのがやっぱり行政のあり方ではなかろうかと。この辺については工夫してください。何か提訴をしないとその対象にならない、まさにお役所的だなという感じが当事者にとってみるとするのではないのかと思うんです。だから、そんな点はひとつ研究課題としていただきたいと思います。
 次に、エイズ問題でありますけれども、私は衆参両院の参考人招致等を聞いておりますと、同時にまた薬事審議会とかいろいろな機構を調べていきますと、エイズ研究班というのは何だったんだと。エイズ研究班というのはどういう責任があって、どういう目的があって、どういう権限があったんだということがどこにも出てこないんですね。
 同時に、参考人として集まってきている方々の陳述を聞きますと、エイズ研究班に参画をしてくる方々の心構えというものはみんなばらばらだと。ところが、エイズ研究班がある人の発言等によってぐんぐん動いていってしまう。こういうことで、何かエイズ研究班というものは現在の日本の薬事行政の中にどういう位置づけで、どういう権限で、どういう責任で、どういうことをお願いしてやったんだということが全く明確になっていないんですね。ここに問題があったんじゃないのか。一人一人の参考人の方々の意見、陳述というものの食い違いがあったあったとマスコミでいろいろ出ていますけれども、そもそも機構上に問題があったのではないかということをつくづく感じるんですけれども、その辺、いかがですか。
○政府委員(荒賀泰太君) 御指摘のエイズ研究班につきましては、欧米でエイズが流行して発生の報告がなされておりまして、我が国においてもその疾患が存在するのかどうかを調査し、そしてその対策を早急に検討するために設置したものでございます。
 この研究班の研究成果につきましては、研究班で責任を持つものでありますけれども、その結果をどのように行政に反映させるか、これはまさに厚生省が責任を持つべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
 今御指摘の研究班という専門家のみの検討結果に頼り過ぎたのではないか、あるいは法律的な責任が明確でない研究班、そういったことについて私どもも責任と権限の明確な組織に検討をゆだねるべきではなかったのか、そういった点の反省をいたし、また今後の再発防止の観点からの検討が必要というふうに考えておるわけでございます。
 現在、厚生省内で厚生科学会議の議論を踏まえまして、再発防止プロジェクトチームにおきまして、ただいまのような政策決定プロセスのあり方、あるいは情報提供のあり方、あるいは薬事行政、その組織のあり方について検討を行っておるところでございまして、調査結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○中島眞人君 今後の調査結果でなくて、研究班というものの位置づけられた経過ということは、私の解釈では全く何が何なのかわからなかったという形の中でこれがいってしまったというところにそもそも問題があったということ。もっと端的に言えば、じゃ、これの調査をゆだねて厚生省が責任を持っていくというならば、このエイズ問題が中央薬事審議会の中で一回でもかかって審議されたことがあったのかどうかという問題を調べてみると、中央薬事審議会では一回も論議をされていない。ということから考えてみると、全くこれはある日突然に私生子的に生まれたものがひとり歩きをしていろんなことを出してきた、こういうことになるのではなかろうか、こんなふうに思うのでありますが、これはまた時間がありませんから私は問題の提起だけをしておきたいと思います。
 さて、委員長、ちょっと私はお願いがございます。
 エイズ小委員会の皆さん方には大変御努力をいただきました。さまざまな問題等が出てきたわけであります。しかし、その後、血友病以外の症例にも、例えば白血病だとか肝疾患だとか新生児への投与等々の問題が新聞で報道されているわけでありますから、何かあと一回ぐらいの調査だということでございますが、これはもう会期内外問わず、これだけの問題の小委員会をやったわけでありますから会期にとらわれずに、この問題についての究明は、やっぱり厚生委員長の名のもとに責任を持って開催をし、明らかにしていけるものは明らかにし、今問題になりましたように、厚生省のそもそもの機構の問題に問題点があったとするならば、その機構の問題もチェックをしていかなければいけない、こういうふうなことを私は強く委員長にお願いをいたしておきます。七月、八月夏休みなどとは言わずに、この問題については精力的に厚生委員会として取り組んでいただきたい。
 さらに、小委員会の中で出てきた意見の中で私は非常に不快感を持った参考人陳述があるんです。少なくとも国会の場に出てきて陳述をする場合に、だれだれから圧力があったと聞いている、そのような風聞を聞いている、そういうことがあったようだと、この辺については大変権威にかかわる問題でございますのでこれらについてはさらに追及をして、どういううわさをだれから聞いたのか、どうしたのかということまで突っ込んだ形での取り扱いを、委員長、お願いを私はいたしておきたいと思います。
 さて、本論の医薬品の審査体制に入ります。先ほど石井先生が導入部分で中心部分をやっていただきました。
 薬事法等の一部を改正する法律案の中の改正のねらいというのがあります。治験、承認審査、市販後の規制を欧米並みの水準にすること、審査体制を欧米並みの水準にすることを目指すこと。水準にすることと目指すことですからかなり違うと思うんですが、先ほど言いました治験、審査の段階で、現在、我が国では三十八名、アメリカでは七百四十一名、イギリスでは二百四十四名、ドイツでは五百人、こういう数字が出ており、私が二月の厚生委員会でこれらについてもマンパワーが不足をしているんじゃないのか、こういうことをお聞きいたしました。そうしたら、日本には各国にない冠たる中央薬事審議会というのがあって、五百五十名の審査体制があるのでこれで万全なんですと言って、そうなんですかと言って私はそのときはいたのでありますが、その後薬事審議会のメンバーの先生にお聞きをいたしましたら、そこが問題なんですと。我々薬事審議会のメンバーというのは、事務局から上がってくる資料を、いわゆるこれについていいのか悪いのかということを判断するだけの仕事であって、その資料を上げてくるスタッフがいない、ここに問題があるんですと。そして、では今回はどのくらいふやすのかといいますと、医薬品機構の中で何人ふやすんですかとお聞きしたら、十五名。そして、副作用については十一名だと。
 そこで、昨年平成六年の副作用報告事例約一万四千六百件に上る副作用の資料整理を十一名でどういう方法、どういう仕組みでやっておるんですか。私は神わざでなければできない、神様でもできないんじゃないかと思うんですけれども、この辺についての実態論をお聞かせください。
○政府委員(荒賀泰太君) ただいま御指摘がございましたが、私どもも医薬品の審査体制あるいは市販後の体制につきまして、本省の充実強化ということはぜひ図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
 その中で、当面まず治験のレベルを国際的な水準に高め、そして国際的に通用する医薬品を開発していくということで、まず先ほど先生からもお話がありました機構と本省の定員をふやしたところでございます。市販後につきましても決して十分ではございません。今後、市販後の調査業務についても必要な人員について段階的に充実を図ってまいりたいと、このように考えております。
○中島眞人君 これも強く要望しておきますけれども、せっかく医薬品機構というものがこのような形で新たなる構想でいくわけでありますから、公務員の定数等々の問題になりますとなかなか大変だろうと思うけれども、国民の命と健康を守るという点で、例えば十一名の人間で副作用チェックをする、一万四千六百件ある、さらに今回は副作用症例をどんどん出してもらうんだと言っておるんでしょう、一万四千六百件をもっともっと出してもらうんだと言っているんでしょう、それに対して十一名ではここで言っている欧米並みの水準にすること、審査体制を欧米の水準に引き上げること、私は絶対できないと思います。私はこれは非難しているんじゃないですよ。厚生省はもっと勇気を出して国民の命と健康を守るためにどんどん、そういう点でお金を使うんだったら国民は絶対に納得してくれますよ。勇気を持ってどんどん増員を図って、怠りないスタッフで私はやっていただきたいと、このように思います。
 次に、薬事審議会も、私先ほど研究班の問題を言いましたけれども、この間阿部先生に薬事審議会というのはどういう法律ですかと教わりましたら、薬事法第三条、厚生省に中央薬事審議会置く、調査審議をさせるために置く、あとは政令で定めると。二項しかないんですよ、二項しか。そして、この二項しかない薬事審議会が、二月の厚生委員会のときにお聞きしましたら、世界に冠たる薬事審議会だと。これじゃ責任の所在もない。はっきり言って、最後は厚生省が責任を持つんでしょうけれども、厚生省が最終的に責任を持つにしても、薬事審議会が持つべき目的と責任と権限というものをはっきり明確にしなければ私はやっぱりだめだと思うんですよ。
 そういう点で、そもそも機構そのものに大改革を加えていかなければ日本の薬事行政というものは再び同じような繰り返しが、十年に一回ぐらいの繰り返しが起こってくるということを私は感ずるんですけれども、この辺についていかがですか。
○国務大臣(菅直人君) この医薬品の承認、あるいは今お話がありました副作用の問題等を含めてどういう形でこれを審査をしていくかというのは、今おっしゃるとおり大変重大な問題、重要な問題だと思っております。
 現状はまさにおっしゃったとおり、厚生省本体で言いますと業務局全体で百八十人ぐらい、審査課が先ほど言われた三十八名、医薬品機構で多少の仕事をやっていただいているにしても数十人という単位であります。それに対してアメリカのFDAは、先ほど御指摘もいただきましたが、一般の製剤だけで七百四十一人で、生物製剤を合わせますと千四百人ぐらいの大組織になっております。この場合は、ほとんどのことをFDAそのもので、何といいましょうか、治験のやり方からそういう指導からあるいはそれに対する最終的な評価から、事実上そこで全部やっておられるというふうに聞いております。
 ですから、日本の場合もそういう方向に切りかえていくという大方針を立てるとすれば、これは大変大きな機構改革が必要ではないかと思っております。この点については、私はその可能性も含めて議論をしていく必要があるだろうと。厚生省の全体の枠の中でその定数が捻出できるかどうか、これはいろいろ議論がありますけれども、しかし国民にとって優先度の高いところの仕事を優先させるというのは当然だと思いますので、そういうことをひとつ考えたい、議論を進めるということを考えたいと思っております。
 それから、中央薬事審議会についてはですからそれと非常に重なる問題だと思っておりますが、実はついせんだって中薬審の南原会長と高久会長代理に直接お会いをいたしまして、今後の中薬審のあり方についてもいろいろとざっくばらんな意見交換をいたしました。一つは、やはりそこにおける情報公開をどうするかという問題。あるいは、今もいろいろエイズ研究班の問題でも言われましたが、今の中薬審というのはほとんどの仕事が薬のいわゆる承認に対する認可になっておりまして、何か事柄が起きたときに検討していただくというのは、今回のようなソリブジンのときに常任部会に特別にメンバーを入れて議論していただくというのは、逆に言うと非常にこれまではケースとしては少ないケースでありまして、そういう点では薬事審議会のメンバーというのは法律の専門家とかそういうものはほとんど一般的には入っておられません。ですから、そういう意味ではもうちょっと制度的な議論をいただけるようなメンバーにも参加していただくというようなことも必要ではないかとか、そんなことを意見交換をしたところであります。
 まさに、今、中島委員が言われましたように、薬事行政全般をどうするかということの中で、厚生省本体あるいは医薬品機構あるいは中央薬事審議会にお願いする役割全体を含めて議論をし、改革を進めていかなければならないと私も思っております。
○中島眞人君 ぜひ大臣、勇気を持ってやってください。大臣、あなたならできると私は大きく期待をしております。
 次に、副作用問題ですけれども、この間、国立東京第二病院の高橋先生とお話をすることになりました。先生、日本の現行薬事体制の中で第二のソリブジン問題というのは起きるんですかと言ったら、第二、第三のソリブジンは起きますと言うんですよ。これは一つには、まずこの副作用報告が義務づけられて企業はふえてきますね。モニターの報告数は、二千九百八十七の施設をモニターにしておるんですけれども、モニターの報告件数は千六百十五、〇・五ですよ。一施設一件モニターから出てこないんですよ。副作用症例はふえているんですかと言ったら、ふえておりますと。特に重篤症例数はふえつつあると言うんですね。そういうことの結論として、第二、第三のソリブジンは起こり得る要素を多分に持っていて、大変不安で危険だという御指摘をなさっております。これは厚生省だけの問題じゃないと思うんです。一つには、〇・五しか出てこないものをどういうふうにもっとモニターからそういう症例を引き上げていくのか、医師にある程度の義務をお願いすることが必要ではないのか、あるいは病棟薬剤師の位置づけをどういうふうにするのか等々の問題が私はあると思うんですね。今、みんなお願いでしょう。これをやっぱり義務に準ずるような形の位置づけというものをしていかなければいけないのではないかというのが行政側の対応です。
 次に、今度は病院と患者との関係でありますけれども、例えば私がある病院で肝臓の薬を飲んだ、耳鼻科へ行った、眼科へ行ったとしますと、全部別々の薬がその患者のところへ集まってきて、それを服用する。そうすると、これは複数服用によっていわゆる副作用が出てくる。そこで、先ほど石井先生から出たかかりつけ薬局、一人の患者が、一人の人間がかかりつけ薬局に登録しておく、そしてそこには自分が過去から現在まで服用している薬というものが既にコンピュータ、の中にインプットされている、そしてその中に飲むことによって起こる副作用症例が配備されている、こういうシステムを任意でなくてかなり拘束性を持った形で私は導入をしていくべきではないのか。これもあるいは一つの権力だなんだというような問題が起きようかと思いますが、まず薬というものを多用していくことを防ぐという面と害という問題をなくす意味からも私は必要かと思うんです。
 これらの問題についての積極的な取り組みを私は期待したいんですけれども、いかがですか。
○政府委員(荒賀泰太君) まず、医師に対して副作用報告の義務づけをしてはどうかということでございますが、今お話がございましたモニター制度については、今御指摘のように、まだ必ずしも十分な機能を果たしていないというふうに考えております。
 これについては、諸外国の例を見ましても医療の関係者に対しまして副作用症例の報告義務を課している例は比較的少ないと理解しておるわけでございまして、私どもは何よりもモニター制度の拡充を全力を挙げて環境整備を図っていきたい、そのためにはこの副作用報告症例様式というものを簡略化するとか、手軽に報告をしていただけるようないろいろな工夫を今検討いたしておるところでございます。
 また、モニター施設の拡大につきましては、会員数一万九千人を擁します日本臨床内科医会の協力が得られるということでございまして、医師の拡大を図って今後とも可能なところからモニター制度の充実改善を図ってまいりたいというふうに今考えておるわけでございます。
 それから、かかりつけ薬局におきまして一元的に薬歴の管理を行って、そして服薬指導を通じて相互作用の防止を行う、そういった適正な医薬分業の推進を図ろうということで今進めておるわけでございます。
 先ほど御指摘の医薬分業をやっておられる地域におきましては、薬歴管理あるいは相互作用の情報をコンピューターに入れて、そしてそれを実際に患者からの処方せんの提供に対して服薬指導をやっておるということを行っておるところがあるわけでございますが、これに対しては国としても補助を行っておるわけでございます。
 そういったことで、今後とも適正な医薬分業を推進していくために医薬分業の推進計画というものを策定していく、そしてこれを全国的に展開をし計画的に分業を推進していきたい、そのようなことで今後とも全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○中島眞人君 積極的にという、検討しますの上に積極がついたから早くいくだろうと思います。
 ともかく、私は幾つかの病院を回っているわけですよ。どんな薬を飲んでいますかと言われたってわからないわけです。ですから、かかりつけ薬局を決めて、そこに飲んでいる薬というものが全部登録をされている、そしてそれからはみ出たものは飲まないという形はやっぱり患者に向かってもある程度拘束性を持っていくというやり方は僕は両得あると思うんですよ。薬の多用、いわゆる乱飲といいますか、そういうことも防げるし、副作用も防げるということ、そういうことでぜひ取り組んでください。
 最後に、帝京大学、悪いことじゃないです、今度は。私はNHKで見たものですから取り寄せたんですけれども、帝京大学の薬学部が飲み合わせについてのパソコン情報を今つくって、そしてことしの夏から秋にかけて日本薬剤師会と提携して、この薬と薬を飲み合わせると害がありますよという飲み合わせ情報、これを作成しているんですね。こういうものを片方では大きくクローズアップさせる、そして例えば薬剤師会などと連携をとって、十年に一回大体副作用というのは起きているんですね、十年に一回起こったときには数十名あるいは数百名の方々が影響を受けているわけですから、そういうことがないように、機構を変え、システムを変え、そして拘束性を持たせながら、国民の命と健康を守るために格段の努力を御期待申し上げて、私の質問を終わります。
○田浦直君 私は、今回の薬事法一部改正に関連をしまして業務行政について幾つかお尋ねをしたいと思っております。
 今回の改正が、ソリブジンあるいは血液製剤の薬害が続発するということによりまして薬事法を検討し、あるいは法的に整備し直す、こういうふうなことに業務局が取り組まれておられるということにつきましては、これは私は評価をしたいというふうに思っているわけでございます。
 ただ、薬害エイズのことを見ましても、これだけで防止できるかなという感じがするんですね。
 一つは、やはり厚生省あるいは業務局の情報公開とかあるいは真相究明に対する姿勢というものがもう少し積極的であってほしいなという感じを今まで私ずっとやってきて持っておるわけでございます。今回も、この薬害エイズの混乱の発端というのはいわゆる書類隠しというところから始まったような感じがするんですね。そういったことをぜひ今後改めて、積極的に情報を公開する、これはもう当然のことだと思うんですけれども、重ねてひとつお願いを申し上げたい。
 あるいはプロジェクトチームができましていろんなことをやられました。それはそれなりに評価できるんですけれども、結果的に見ますと、これは本当に真相究明に対してどれほどのことがあったか。いろんな情報は出ましたけれども、じゃ、真相は何だったのかということになりますと、かえって真相というのが混乱するような感じさえしておるわけですね。その中でもうプロジェクトチームは活動を停止するというふうな状況では本当に厚生省が積極的に薬害エイズに対して真相究明をしようという姿勢があるのかどうか、そこら辺に私は疑問を持っておるわけです。
 そういったことから、まず冒頭に情報公開と真相究明に対して業務局の御姿勢をお伺い申し上げたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) この問題につきましては、私どもも薬害エイズの問題に関して三つのポイント、一つはことしの一月の段階でございましたが、総理の施政方針演説にもございましたが、和解の早期の推進を図るということ、それから真相究明を徹底するということ、さらに再発防止に関して万全の対策をとるということ、この三点について常に念頭に置いて取り組んだつもりでございます。
 しかしながら、御指摘の点については私どもも十分反省をし、今後情報の提供あるいは真相究明に対するさらなる努力というものを続けていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○田浦直君 それで、この血液製剤についてはいわゆる内外価格差といいますか、アメリカにおける価格よりも日本おいては、ある週刊誌によれば、五倍から十倍もするんだと、そのためにメーカーがその製品を売るのに狂奔して、そしてこういう二千人にも上る被害を起こしたんだということが書いてありましたけれども、一つはこれが本当かどうか。この内外価格差、血液製剤もそうですけれども、ほかのいろんな新薬についてもそういったものが本当にあるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
○政府委員(岡光序治君) まず、総論的に申し上げますと、国際的によく使われている上位の品目で比較をいたしますと、為替レートとか薬価制度が違いますので単純な比較は本当に問題があろうかと思いますが、そこのところはちょっと捨象しながら申し上げてみますと、一日最大薬価、一日量で計算した場合の薬価ベースで申し上げますと、よく使われている品目、日本を一〇〇とした場合にはアメリカが二〇〇、それから英国が九三、フランスが八九、ドイツが一五八というふうに、いわばそれぞれの国の制度によって違いがあるのだろうと思いますが、ばらけておるというのが実態でございます。
 それから、血液製剤の薬価、特に問題になっております血液凝固因子製剤、例えば第[因子製剤、これも為替レートとか薬局マージン率の問題がございますが、そういったものを一定の条件に置いて平成六年度の薬価で比較をしてまいりますと、日本の薬価を一〇〇とした場合には、やはりアメリカが二〇三、イギリスが一二四ということで日本より高うございますが、一方でフランスは大体同じぐらい、ドイツはもう少し安いということで、そういう意味ではかなり国によってのばらつきがあるようでございます。
○田浦直君 今のお話だと、日本とアメリカとを比較すると、アメリカの方が大体二倍するという、日本の方が半分ということになりますか。
○政府委員(岡光序治君) 血液凝固因子製剤を平成六年度価格で比較しますとそのとおりでございます。
○田浦直君 それはいわゆる民間で、アメリカなんかは民間の売買ということになりますが、日本の方は薬価基準に載って、いわば公定価格みたいなものになるんですけれども、どことどことを比較したということになりますか。
○政府委員(岡光序治君) 銘柄をまず限定いたします。ある銘柄に特定をいたしまして、そして、アメリカの場合には薬価と言われているものは卸価格でございますので、これに平均マージンを乗せます。例えば一・四、四〇%ぐらいのマージンを乗せますが、それを乗せた場合の価格を比較すると、日本を一〇〇とした場合にはアメリカが二〇三という程度になります。
○田浦直君 そうしますと、さっき僕が言ったことは事実にもとる、全然事実ではないというふうに理解していいというわけですね。日本の方が高いからたくさん売るのに狂奔したんだということはないというわけですね。
○政府委員(岡光序治君) 平成六年度価格での比較でございますので、この問題が起きた当時の状況をそこまでつぶさに比較できておりません。これは、要するに内外価格差問題、特に中医協でそういう価格差問題があるんじゃないかというので最近になって調べたものでございますので、そこはちょっと最近の様子だという限定づきでお考えをいただきたいと思います。
○田浦直君 そのことはわかりました。
 私は、日本の薬、これは薬価基準に載る薬ですけれども、これは一般的に見て高いんじゃないかなという感じがするんですね。あるいは外国と比べると日本は高いという感じがずっとしておったわけなんですけれども、今のお話では必ずしもそうでもないというふうに受け取ったわけです。
 新薬の価格を決めるとき、これはどういうふうにしてこの価格を決定されるのか、それをちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 繰り返しの答弁になりますが、個々の銘柄によって比べますと、本当に高いものもありますし安いものもあります。例えば、よく外国でも使われておる降圧剤、具体的には申し上げませんが、よく使われておりますが、それはむしろ日本の価格が安くて外国の方が高うございます。そういうことで、どうも品目によって、それからまたその国における処方のありようによって随分影響を受けているというふうに理解をしております。
 新薬の価格の決定方法でございますが、原則としましては類似薬効比較方式ということで、新薬が承認された場合に既存の薬の中で薬効が似ているものを持ってまいりまして、それと価格を合わせるというのが原則でございます。なお、それにつきまして従来のものと比べてより新規性が高いとか、より有効性が高いとかいうふうな評価がされますと、それに加算をつけるというやり方をしているわけでございます。
 それから、類似薬効のものがない場合、そういう場合には新しく出てまいりましたものについての原価計算をいたします。この原価計算の割り振り方法も非常に会計学的にはいろいろな方法がございますが、会社の申請をもちまして、例えば労賃なんかは平均賃金にするとか、利益率は大体全体の利益率に合わせるとか、そういう調整をいたしますが、そういった類似のものがない場合には原価計算方式をやる、こういうやり方で新薬の価格を設定しております。
○田浦直君 それでは、薬価というのは二年に一遍ずつぐらいずっと改定をしておられますね。その改定する理由、あるいはどういうふうなことで改定をするのか、改定率といいますか、そういったことについてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 現在の薬価基準価格というのは、市場においてどのような価格で取引をされているか、市場における実勢価格をベースにいたしまして、その上に、取引上いろんな条件の差がございまして、都市部と農村部とでは運賃が違うとか、あるいは品物によりましては冷蔵庫に入れておかなきゃいけないとか、あるいは使っているうちに損耗が出てきたとか、ある一定期間になりますと廃棄をしなきゃいけないとか、そういう必要なコストがかかりますので、実勢価格を把握した上にその必要なコストをオンするという格好でその値段を決めております。
 なぜ二年に一回かということでございますが、やはり品物が出るなり、あるいは競合品があった場合に市場で競争が起こるわけでございますが、そういう市場における価格形成なり、あるいは競合品が出てきた場合の価格変動なり、そういったものを一定期間ごとにっかまえていこう、原則はそういう意味では一年間の状況を見てそこで把握をして、後の一年間でいろんなそういう価格変動を把握した上で改定をするというので、そういう意味でおおむね二年に一回というようなことにしているわけでございます。
 それが結果としましては、市場における実勢価格を正確に把握するためにはそのぐらいのタイムラグが要るんじゃないだろうかというのが基本でございます。ただし、これは原則でございまして、毎年改正をするということもそのときの事態によっては起こり得るわけでございますが、最近は二年に一回程度という結果になっております。
○田浦直君 薬価の改定をされますと、それと引きかえにといいますか、技術料をアップするということに大体なっているような感じがするんですね。ただ、薬価がどれだけ下がったからというのが、薬を使っている側からいいますと、非常にたくさん使っている薬というのは薬価ががくっと下がるんですね。そうでなくして、余り使っていない薬というのは逆に上がったりすることもあるわけですね。
 したがいまして、その平均をとりましても実質的に医療機関としてはマイナスのダメージの方が多いと思うんですね。その分を技術料にアップするというふうなことになるわけですけれども、今言ったように大量に使っているものを下げられるわけですから、実際的には技術料をその分上げたといっても上がっていないということが多いんですね。例えば、今回も実質〇・八%上がりましたというふうになっているんですけれども、ほとんど病院ではゼロかマイナスかという話になっておるわけですね。
 私は、この薬価を二年ごとに改定して技術料にはね返す、このことについてはいいことであろうというふうに思うんです。したがいまして、薬価をどれだけ下げたというこの計算の仕方、ここがもっと実態と合ったようにできないものかなというふうに思っておるんですけれども、これは非常に難しい問題かもしれません。結局、大量に薬を使うというところは大体大きな病院ですね。
 この前、長峯先生からもちょっと話が出ておりましたけれども、大きな病院がたくさんの薬を使っている。その病院がほとんど大きな赤字を持っている。それは何かというと、今までは薬の利幅でもうけていたのを、今度は薬価を抑えられて、そのかわり技術料が上がるということになっておるんですけれども、実際的にはそうならないために非常に赤字の病院が多くなってきておる、したがって払えない、薬問屋さんにしわ寄せをしているというふうなことになっているんじゃないかなと思うんですね。もちろん、これだけではないですよ。いろんなことがあると思うんです。
 そういった意味では、この薬価改正というのはかなり大事な意味があるというふうに私は思うんですけれども、この薬価についてもう少し診療側の役に立つような、そういうものになれないものかなというふうに思うんですけれども、その点についてちょっと一言だけでも。
○政府委員(岡光序治君) 医療機関の経営の安定という問題と、それから実態的には経営原資の中にかなり大きな部分薬価差があるというこの事実関係とが非常に微妙に絡まっているんだと思います。
 この両者の関係は、基本的な性格としましては別問題だと思っておりますが、実態は絡んでいるわけでございまして、そういう意味で薬価改定をやれば結果として薬価差が縮小する、その部分を経営原資として技術料に振りかえる、そういう操作を実はここ数年改定ごとにやったわけでございます。しかしながら、先生おっしゃいますように、そういうマクロの対応と個別の医療機関における影響とは違っておりますので、どうしてもそこに御不満が出てきておるというのが実情だろうと思っております。
 そもそも私どもは、そういう問題に対しましては薬価差に依存しない経営体質にしなきゃいかぬのじゃないだろうかということで、そういう意味で薬価差問題の基本問題に取り組む必要があるんじゃないだろうか、こう認識をしております。
 それとあわせまして、診療報酬体系がいわば昭和三十三年につくられた新医療費体系からずっと流れているわけでございまして、やや今の実情に合わないような診療報酬体系になりつつあるんじゃないだろうか、そこの点については診療報酬のあり方そのものを論じなきゃいかぬだろう、こんな認識で今議論をしているところでございます。
○田浦直君 薬価差というのが今出ましたけれども、R幅というのがありますね。これについてちょっと御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) 先ほども申し上げましたように、ある銘柄品につきまして全国の使われている医療機関における実際の取引価格を把握するわけでございます。そうすると、医療機関において同じ銘柄品でもいろんな条件で差がございます。そうすると、ある品物についてある医療機関では百円で買った場合、Bの医療機関では百十円で買った場合、Cで九十円で買った場合といろいろあるわけでございまして、そういうものを、価格とその使った量とをいわば加重平均しましてある銘柄品の市場における取引価格というふうに想定をしているわけでございます。
 それでは、その市場価格でもって薬価基準価格にするかといいますと、そういう取引条件とかいろんな差がございますので、その部分については一定の価格幅を認めて許容しなきゃいかぬじゃないかと。現在、そういった取引条件の差異等による合理的な価格幅という観点から、その加重平均価格で求められた価格に一〇%乗せるというのを原則にしようということが実は平成三年の中医協での建議で出たわけでございます。
 ただし、これは結果として、その価格幅というのが実情を見た場合にはそんな一〇%ではないんじゃないだろうか、もっともっと価格幅のぶれがあるんじゃないかということでございましたので、平成三年の改定の当初ではとりあえずこの価格幅を一五%にしておこうと。そして、薬価改定のたびごとにこの価格幅も当面目標にしておる一〇%に近づけていこうではないかということで、一五%、一三%、一一%というふうに改定のたびに段階的に一〇%に近づけていくというやり方をとっているわけでございます。
 これは、繰り返しになりますが、ある品物について全国の医療機関でお使いになるときに取引条件の差異とかいろんな条件の差異があるだろうから、それは平均価格の上にその部分だけは乗せなきゃいかぬだろう、そういうことによって全国の医療機関が購入できる価格として設定できるんじゃないだろうか、そういう発想で一定の価格幅というのを認めて、一〇%を一応目標にして作業をしておるというところでございます。
○田浦直君 その薬価差というのを今言ったようなR幅に近づけていきたいと。R幅は一〇%なら一〇%というのはこれはいろんなことで認めざるを得ぬだろうということだろうと思うんですね。
 R幅を一五%あるいは平成十年には一〇%までと目標にしているわけですけれども、その根拠というのは何かあるんですか。例えば、一〇%ぐらいは、やはりそのくらい置かないとちょっと診療側も困るんじゃないかというふうな、そういった何か数字的な根拠がありますか。
○政府委員(岡光序治君) これはいろいろ、その一〇%を目標にする際の議論を申し上げますと、都市部と農村部の違いで医療機関の立地条件に差があるじゃないか、そうすると卸屋さんが運ぶときにそれだけ価格の、運賃の差が出てくるんじゃないかとか、あるいは都市部ですとすぐ電話をかければ卸の倉庫から持ってきてもらえるけれども農村部だったらやはり自分のところで保管しておかなきゃいけない、そうすると保管をする場合に一定期間たてば廃棄をしなきやなりませんし、それから保管中も、そういうことはほとんどありませんが、錠剤が割れるとか、あるいは液剤であれば容器が壊れるとか、そういう損耗のケースもあるではないか、そういう医薬品を持っておくに当たって必要経費というのが生ずるであろう、そういう必要経費は価格に対してどのくらいのパーセンテージを占めているんだろうか、まあ一〇%を認めておけば医薬品を保管管理しているに当たって必要な経費というのはそれでカバーできるはずだ、こういう発想で許容幅という発想が出たわけでございます。
○田浦直君 私が聞きたかったのは、その管理あるいは流通、そんなものに対してやはり一〇%ぐらい要るんじゃないか、その根拠は何か数字があるのかなということを聞きたかったわけです。
 今のお話によると、大体一〇%ぐらいのところでという、大体そんなことなんですか。数字に裏打ちされた一五%とか一〇%ということではなくして、支払い側とかあるいは診療側の話し合いで大体この辺ぐらいかなと、そういうところで数字が決まっているわけですか。
○政府委員(岡光序治君) よく使われている医薬品を前提にいたしまして、それについて今申し上げましたような保管管理、取引条件の問題でどのぐらいの影響率があるか、そういうのは事例的に把握をいたしました。そうしますと、約五%くらいじゃないだろうかというのが、物によって違うわけでございますが、出てまいりまして、そうするとそれの倍ぐらいを許容しておけばほとんどの医薬品についてそういった条件を飲み込めるであろうということで、とりあえず一〇%を目標にしようということにしたわけでございます。
○田浦直君 それでは、R幅についてはこれくらいにして、仕切り価というのがございますね。この仕切り価というのを最近は非常に推し進めているような感じがするわけです。
 この仕切り価というものの意義とか、あるいはどうしてこういうものをつくったのか、そういったことについてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 仕切り価といいますのは、商品の取引に際しましてメーカーが卸業者に対して行います商品の販売価格でございます。取引の一般的な慣習として取り入れられてきたものでございます。卸売業者はこの仕切り価を、これは卸業者にとりましては仕入れ価格ということになりますが、この仕切り価を基準にいたしましてみずからの利益とかあるいは経費とかそういったことを勘案しまして医療機関へ販売をするということで販売価格を決定していくという形になるわけでございます。
 この関係につきましては、医薬品流通の仕切り価の問題でございますが、昭和五十五年に公正取引委員会におきまして医療用医薬品の流通実態調査が行われまして、その結果が五十七年七月に公表されておるところでございます。これによりますと、当時におきまして製薬企業が仕切り価を設定するわけでございますが、この卸業者の医療機関への納入価格を実質的に製薬企業が決定をする、いわゆる値引き補償制度というものがとられておりまして、これにつきまして公正取引委員会がこの値引き補償制度を初めとする取引形態に問題がある、これは卸業者の医薬品についての自由な価格の形成を抑制するおそれがあるということで独禁法違反、独禁法上の問題あるいは独占禁止政策上の問題があるというふうに指摘をいたしたわけでございます。
 このために、厚生省におきましては製薬企業と卸業者等の関係者から成ります医薬品流通近代化協議会というものを昭和五十八年三月に設置いたしまして、流近協と言っておりますが、この場におきまして自由かつ公正な競争の確保を図るということの対策を検討されたわけでございます。この仕切り価の改善につきましては、平成二年六月に薬価改正後の新たな仕切り価のもとにおきましては従来の値引き補償あるいはそれに類する行為を行わないということが提言をされております。
 したがって、その仕切り価はいわゆる新仕切り価と呼ばれておりますが、平成四年四月からは全面的に導入をされまして今日に至っておるところでございます。
 これによりまして、医薬品の流通につきましては、今度は卸業者が医療機関への納入価格について、従来は実質的に製薬企業が決定権を持っておったわけでありますが、そういった製薬企業の関与がなくなりまして、卸業者が新仕切り価を基準にいたしまして販売価格を決定し、そして卸業者の経営の自主性が確保されるというふうになったと考えておるわけでございます。
○田浦直君 その仕切り価をやっぱり問屋さんが今一生懸命進めたいということで努力をされておられるんですね。しかし、診療側からいいますと、例えば契約書を結ぶ、そして薬を買うという新しい商取引といいますか、そういうふうなことを導入されたということになるわけですね。
 私ども診療側からしますと、これまでの取引で一つも差し支えなかったのに、新たにこういうふうな、何というんですか、煩わしいというんですか、そういう取引をしなければならないということで、問屋さんが随分努力されておるようですけれども、診療側としてはそんなことをしなくていいんじゃないか、こんな煩わしいことまでする必要はないんじゃないかということで、僕の感じでは実際にはそれほど実行されておらないんじゃないかなというふうに思うんですね。そういうものがどうしても必要なのかどうか、その辺についてぜひお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) ただいまの御質問は文書による契約の問題かと思いますが、医薬品の流通につきましては、従来価格が妥結しないままに医療機関に商品を納入するということで、取引の基本的な事項でございます契約が結ばれないままに取引が行われていた、いわばそういう点の問題が指摘をされておったわけでございます。この状況を改善いたしますために、医療機関とか卸とかメーカーの関係者を含めた先ほど申し上げました流近協の場で、やはり流通の近代化ということについてそれぞれの立場で努力をしていかなければいけないということで、合意のもとに取り組みを進めてきたわけでございます。
 そういった中で、取引を行う上で必要最小限の基本的内容でございます個別取引ごとの文書による契約というものにつきましては、それぞれの努力によりまして今着実にといいますか、少しずつ改善が図られておるところでございまして、私どもとしては今後ともそういったことについては努力をしていかなければならないというふうに理解をいたしております。
○田浦直君 これまでの慣習は、納品書を入れます、請求書を入れるわけですね、そして領収書をとる。これでも立派な商取引じゃないかと思うんですよ。それにまた新たに契約書を交換することが必要だと言われても、診療側としてはそんなことまでする必要はないんじゃないかという考えがあると思うんですね。
 これは病院の規模にもよるかと思うんですね。
 例えば薬代だけでもう何千万、あるいはひょっとしたら何億になるような取引だと、これはおっしゃるようにきちんと契約書を入れてやるべきだと私も思うんですけれども、診療所、極端に言えば御夫婦でされているような診療所みたいなところではこれまでやっておったような商取引でも一つも構わない、またそれほどの量を取り扱うわけではないわけですから、私は、やはりそういったところはもう分けてされた方がいいんじゃないかなと、その方がスムーズに進むのではないかなというふうに思うんですね。今、恐らく二五%ぐらいしか達成していないという話も聞きますけれども、その辺に隘路があるんじゃないかというふうな気がするわけです。
 大きな病院と小さな診療所、こういったものについては考えを分けた方がいいんじゃないかなと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) この件につきましては、むしろ流通段階におけるある意味では非近代的といいますか前近代的な取引慣行として、これは何とか是正をしていきたい。これは当時、流近協でもいろいろ議論をされまして、モデル契約を作成して、それを普及していく。今お話がございましたが、この数年来、文書による取引契約締結率も、平成三年で八%程度でございましたが、平成七年で二七%程度まで上昇してきておるということもございます。
 規模の小さい医療機関に対しまして決して過重な負担を強いているというふうにも考えておらないわけでございますので、今後とも関係者の努力によってモデル契約あるいは文書契約に定めた事項の普及について努力をしていただきたいというふうに理解をいたしております。
○田浦直君 そういうことを決められた医薬品流通近代化協議会というのがございますね。この協議会というのはこれまで何回ぐらい開かれておりますか。あるいは、平成四年に新仕切り価といいますか、そういったものを発足させたわけですけれども、その後は何回ぐらい開かれているか。
○政府委員(荒賀泰太君) 私の承知している限りでは、最近は年に二回程度開いているというふうに理解しております。
○田浦直君 そういうものを推し進められるならそういう会合をもう少し開いて、そこの中で診療側あるいは問屋、メーカーのいろんな御意見をよく聞きながら意思疎通をさせていかなければなかなか僕は進まないんじゃないかなというふうな気がするわけです。これからはもう少し数多く開いていかれたらいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(荒賀泰太君) 今お話がございましたこの流近協にはメーカーあるいは卸、それからユーザーであります医療機関あるいは学識経験者、いろんな立場の方が入っていただいて、そして流通近代化に向けて合意できるものを取りまとめ、またお互いに実行していこうということでございます。
 私どもも、必要に応じて議論を尽くすために流近協の開催についてはさらに意を用いていきたいと、このように考えております。
○田浦直君 最後になりますけれども、冒頭に言いましたけれども、やはり厚生省というのは情報公開というものをもう少しやられた方がいい、そして、今の話でもそうですけれども、意見の交換を盛んにされた方がいいと思うんですね。どうも末端まで流れてこないし、医師会なんかにお聞きしても、なかなか情報が手に入らないという話を聞くんですよね。
 この医療行政というのは国民の健康と非常に関連をしておるわけですから、そういった意味で厚生省から率先して情報公開をお願い申し上げたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
○委員長(今井澄君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
○委員長(今井澄君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 西川玲子君が委員を辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。
     ―――――・―――――
○委員長(今井澄君) 休憩前に引き続き、薬事法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○水島裕君 医薬品行政全体を視野に入れまして御質問をしたいと思います。
 今回の薬事法改正は、今までいろいろお話が出ましたように、治験と承認審査及び市販後の対策ということについて、これまでGCPに沿って大体やっていたんですけれども、それは通達でございますのがこれを法制化するということ、しかも今ICHをやっておりますので、国際化をするということで極めて好ましいことだと思います。
 個々についてはもう既に石井議員の方からもお話がありましたし、同僚の常田議員も後でいろいろと御質問をいたしますので、私は二、三の問題点に絞ってお尋ねしていきたいと思います。
 まず、健政局長にお尋ねいたしますけれども、インフォームド・コンセントというのが今度の薬事法でも非常に重要になっておりまして、書面でとるようにするということになっておりますし、私もその方が好ましいと思います。
 ところが、今回お出しになるかあるいは次回になるかと思いますけれども、医療法の改正のところを見ますと、患者への説明というところが努力目標ということになっておりますよね。ですから、多分まずインフォームド・コンセントは治験から始めて、それから一般の治療あるいはいろんな検査をするときにもインフォームド・コンセントをとるというふうに進んでいく予定だと思います。
 その辺の食い違いはないと思いますけれども、特に今後の予定についてお尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) いわゆるインフォームド・コンセントの問題につきましては、昨年の六月にまとめられましたインフオームド・コンセントの在り方に関する検討会、その報告書の中でも幾つかの指摘がございますが、今、先生御指摘になりました治験との関係におきましては、その報告書の中でも、治験におけるインフォームド・コンセントは特に重要な意味を持つことから文書によることが必要であるというふうにされております。一方、医療全般についてのインフォームド・コンセントの位置づけにつきましては、一律に法律上強制することは責任回避のための形式的あるいは画一的な説明や同意の確認に陥るおそれが多いのではないかというようなことから適切ではないといったような御意見も報告をされております。
 その後、医療審議会におきまして、現在の医療供給体制全般の問題についていろいろ御議論をいただきまして、その医療審議会が取りまとめました四月末の意見具申におきましては、「医療の担い手は、医療提供に当たり、適切な説明を行い、患者の理解を得るよう努める旨の規定を医療法に位置付けることが肝要」といったようなことが提言をされておりまして、これを受けまして、厚生省といたしましては、医療法を改正して医療提供に当たっての患者への説明を医師等の努力規定として位置づける予定をいたしております。
○水島裕君 国民の医療に関する知識を上げる意味でも、また国民に情報を与えて国民にも責任を持ってもらうというふうに我が国の医療も進んでいった方がいいと思いますので、その方向で少しずつでも余り遅くならないように実行していただければいいと思います。仮に治験だけを考えましても、インフォームド・コンセントを書面できちんととるというのはなかなか大変だと思うんです。
 私どももいい方法がないかということでいろいろ考えているわけでございますけれども、治験に限らずほかの医療一般についても今後どういう形でインフォームド・コンセントをとっていくか、いろいろ工夫されていると思いますが、その件に関してもお尋ねいたします。
○政府委員(谷修一君) インフォームド・コンセントを医療の現場に徹底させていく、あるいは普及をさせていくということのためには、適切な説明の具体的な方法の検討でありますとか、あるいは医療機関におきます理解を求めるということが必要だと考えております。
 このため、治験の関係で申しますと、平成八年度の予算におきまして、GCP適正運用推進モデル事業というモデル事業を実施いたしまして、その中におきましてインフォームド・コンセントの問題も取り上げていこうというようなことを予定いたしております。
 また、医療全般におきますインフォームド・コンセントの普及と申しますか、そういうことにつきましては平成七年度から講習会等を通じまして医療従事者あるいは患者の意識改革を促す施策を講じてきております。また、八年度の予算におきましても、より具体的な推進方策といたしまして、この問題について先進的な取り組みをしております事例の紹介あるいは病院等の管理者に対する研修会、そういうようなものを実施していきたいというふうに考えているところでございます。
○水島裕君 それでは、話を次に移しまして、今度の薬事法の改正、もちろん副作用の防止、薬害対策ということが重要でございますけれども、もう一つの柱は、やはり国際貢献につながるようなすぐれた医薬品を開発するということだと思います。
 厚生大臣に総論的なことをひとつお伺いしたい、あるいは私の意見をお聞き願いたいと思いますけれども、実はここ五十年でもって日本人の平均寿命は二十年、二十五年ぐらい延びているわけでございます。なぜ延びたかというのをいろいろ検討してみますと、衛生環境の改善、そういうこともございますけれども、主として抗生物質を中心とするすぐれた医薬品の開発によって寿命が二十年以上延びたわけであります。寿命が延びたばかりではなくて、例えば胃・十二指腸潰瘍、これは薬で大部分は治って手術をしなくて済むようになったわけでございますので、医薬品というのはそれなりに非常に役に立ってきているわけでございます。
 ところが、残念なことに、私の方で最も役に立った薬を二十個例えば挙げてみますと、それはすべて外国の開発品であります。もちろん、日本はその後まねして同じようなものもつくっておりますが、残念なことにそういうことでございます。
 それでは、今後どうかと申しますと、現在でもなおすぐれた医薬品が開発できれば解決できる難病というのが世界にたくさんあるわけであります。例えば、最近のWHOの報告、合っているかどうかは知りませんが、アフリカのザンビアの平均寿命が今六十六歳だそうでございますけれども、それが来世紀、二〇一〇年になりますとエイズのために六十六歳が三十三歳になってしまうということでございますので、日本とすっかり逆なわけでございます。ですから、今まで日本は外国の医薬品研究の恩恵を受けてこれだけ長寿国になり、健康でいられるわけでございますから、そういう点で国際貢献をしなくてはならないと思います。
 幸い、日本は科学技術にもすぐれ、頭脳もすぐれ、みんながすぐれているわけじゃないかもしれませんけれども、経済力もあるということで、今申し上げたような環境の中で国際貢献という立場から今後の医薬品行政をどういうふうにしていくか。すぐれたものができれば、国際貢献ができれば国際競争力もつくわけでございますので、例えば凝固製剤をいろんな変な病気にたくさん売りまくったりなんかしなくても会社も済むことになるわけでございますけれども、そういうことも踏まえて大臣からお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今、日本で必ずしも、何といいましょうか、オリジナリティーの高い重要な薬が余り開発されてこなかったという歴史的な状況を御指摘いただいたわけですが、ある意味では本当に残念なことだと思っております。
 我が国は、一般的にもややオリジナルな発明というのが少ないとは言われておりますが、それでも他の分野では、例えば半導体とか自動車とか、そういうものをつくるという点では大変すぐれた能力を示して、その製品が質も含めて世界を席巻をしているというか、世界で広く使われているにもかかわらず、この分野だけなぜそういう体制、何といいましょうか、そういうことにおくれをとっているのかということを考えなきゃいけないと思います。
 多分、何か本質的な問題が幾つかあるのではないかという感じもいたしております。例えば、今回も問題になっております治験といったようなものというのは、いわゆる電気製品なんかと違って、すべては人間を軸にして物事が進みますので、そういう関係の中での研究の進め方といったり、あるいは開発の仕方というものが必ずしもいいものを開発するということに適さないような構造になっているのかという感じもいたしております。
 そういう中で、現在、厚生省としてといいましょうか、できることを一つずつ積み重ねているわけですが、一つは御承知のように、患者数が少ない難病などに対する医薬品の開発については、企業の経済的メリットが少ないためにどうしてもおくれがちですが、それはオーファンドラッグという形で指定をして研究費の補助、税制上の優遇などをやっている。また、今回と並行して、先日通過していただきました医薬品機構法の改正によって基礎研究事業を充実するということが一つの柱になっておりますが、こういう中でこれから努力していくという問題。そして、今回お願いしている法律によって、GCPの法制化などによって国際的にも通用するような、そういう研究試験環境を確保したいというふうに思っているところであります。
 そういった意味で、これまではやや、何といいましょうか、護送船団ではないですが、日本の中だけでよく使われる薬というような感じで開発が進められていたものが、そういう必ずしも従来に比べて効果が変わらないようなものについて優遇するのではなくて、そういうものは薬価も必ずしもそう高くないという形に変えられておりますので、これからは積極的な国際貢献にもつながるようなものについては国としても大いに支援をしてそういう方向に向かうべきではないかと。
 ただ、その中では、先ほど申し上げたように、経済的な問題とか国の支援といったものと同時に、多分何らかの人間の仕組みのようなところでもう少し工夫が必要なのではないかと。そのあたりは逆に水島先生初め皆さんの中からもぜひお知恵をおかりしたい、こう思っております。
○水島裕君 この件に関しましては業務局長からも後で御答弁いただく予定でございますけれども、もう一、二追加いたしますと、実は私、議員になる前に、ここに参考人においでいただいた高久教授と、それから元の厚生事務次官の幸田さんと三人で世話役をさせていただきまして医薬品の調査をしたわけでございます。そのとき、国際的に見て検討したわけでございますけれども、五十九のAランク、画期的なものというものが選ばれたわけでございますけれども、その中に日本のものはたった二つしがなかったということでございます。今度は逆に同じ種類のもの、つまりまねのような薬がどうかというのを国際的に調べてみましたら、イギリス、アメリカ、ドイツはある薬剤群ですとせいぜい十幾つぐらいですけれども、日本は三十とか四十とか、二倍ぐらいあるわけですね。ですから、日本はある意味ではすぐれたまねする技術でもって薬はたくさん開発するけれども、本当に国際貢献のできるオリジナルのものはなかったという、非常に私もこういう分野を専門の一つとしておりますので自分の恥にもなるわけでございますけれども、そういう結果でございました。
 それからもう一つ、この医薬品は、今、医療費がふえて困るということでございますが、先ほど申しました胃・十二指腸潰瘍が薬で治るようになったというのは、これはH2ブロッカーのシメチジンというものが開発されて、これが日本で使われるようになりましたのが一九八二年ですけれども、そのころ胃潰瘍の患者さんがどのくらいいたかと申しますと、我々の計算は厚生省と違って極めてざっとでございますけれども百五十万人おりまして、手術すると幾らぐらいかかるかなと思って最近の例を大学で調べてもらいましたら、大体八十万円かかる。そうしますと、仮に十人に一人、あるいは二、三十人に一人手術をしましても、その手術料というのは何百億円にもなるわけなんです。薬は今、このシメジチンは一月使っても一万円にもならないものでございますので、すぐれた医薬品を開発することによって医療費も抑制できる。あるいは、患者さんのクオリティー・オブ・ライフと言っておりますけれども、手術もしないし、おなかも切らないで済むということでございます。このごろ薬の悪い点ばかりが注目されておりますけれども、やはり本来の好ましい姿というのも今後ますます伸ばしていかなくてはならないということを申し上げます。
 また、先ほどのなぜ今まで日本ではそれほど画期的なものが開発できなかったか、原因はどういうところにあったかということで、業務局長からも御答弁をお願いいたします。
○政府委員(荒賀泰太君) 我が国の製薬産業につきましては、ただいま御指摘の新薬の開発は多いわけでありますが、世界に通用する新薬が少ないというふうに言われておるわけでございます。また、売上高に対します研究開発費の割合は高いと言えるわけでありますが、しかし一社当たりの研究開発費は世界的に見ますと金額が少ない、そういったことが指摘をされておるところでございます。
 こうした原因につきましては、いろいろあろうかと思うわけでございますが、やはり一つは、我が国の新薬開発というのは、戦後の産業の再建といいますかキャッチアップ過程を通じまして、長い間欧米諸国からの導入品の開発ということを中心に進められてきた、そういう経過が一つあろうかと思います。
 したがいまして、国内で研究開発体制が整いまして、みずからの技術力でもって本格的に新薬の開発が開始できましたのは比較的最近のこと、昭和四十年代以降であるというふうに考えておるわけでございます。
 また、さらに薬価基準につきましても、新薬の価格の設定でありますとか、あるいは薬価改定のあり方についても、改良型の新薬の開発というものを助長してきた面もあるのではないか、そういった問題点も指摘をされておるわけでございます。
 従来から私どもの方におきましては、この医薬品の研究開発というものを促進するということで、研究費に対する補助制度でありますとか、あるいは官民の共同研究でありますとか、あるいは医薬品機構法における出融資制度でありますとか、あるいはオーファンの指定制度、そういったいろんな施策を講じてきておるわけでございます。
 また、本年の四月におきましては、薬価基準において画期的な新薬についての加算率を大幅に引き上げたということで、新薬の開発のインセンティブをより高める、そういったルールの見直しも行ったわけでございます。
 今申し上げましたようないろいろな施策を一層今後充実させ活用していただくことによりまして研究開発を伸ばしていく。先ほど大臣からもお話をいたしましたように、せんだっての医薬品機構法の改正によりまして基礎的研究の重要性ということを踏まえて出資制度というものを新たに創設させていただくことになったわけでありますが、そういった面も含めて画期的な医薬品の開発を振興してまいりたいと、このように考えております。
○水島裕君 実は私もこの二、三年、厚生省薬務局はこういう方面に向かって非常に前向きの行政を進められていると思っております。
 実は、私はずっと前から日本は画期的医薬品、国際貢献につながる医薬品を出さなくてはいけない、それからまねのものはなるたけ少なくしなくてはいけないということを言っておりまして、厚生省の委員になっていた十五年ぐらい前だと思いますけれども、厚生省でも申し上げましたし、それから朝日新聞の「論壇」に一九八三年に私が書かせていただいているのを見ますと、ちょうど今改革をなさっているようなことをしなくてはということが書いてあるわけでございます。
 ですから、厚生省は、いろいろなことよくわかるんだけれども、どうしても対策が何となく十年ぐらいおくれているような気がするというふうに思います。例えば、その当時、四つ目、五つ目ぐらいの同じものは仮に承認しても薬価は低くした方がいいという議論も我々はしていたわけでございますけれども、ようやっと去年になりまして中医協の薬価に関する建議というのが出されまして、それとほぼ同じようなことがつくっていただけたわけでございます。それはそれでよかったわけですけれども、もっと早くできればよかったのではないかというふうに思うわけでございます。
 でも、それだけできたということは、全くできないよりかはずっとよろしかったのではないかと思いまして、その点は評価させていただきたいと思います。
 それでは、また大臣にお伺いしたいと思いますけれども、すぐれた医薬品の開発を支援すると同時に重要なことがあります。それはエイズも含めた難病が中心になると思いますけれども、そういう病気に第一選択と言われている薬剤が日本の国内、国外にあってもそれが使えない例というのがかなり多いわけでございます。つまり、厚生省のこれまでの制度ですと、製薬会社がその効能を申請してこない限りは、幾らその病気に問題になる薬が明らかによくてみんなが使っていても適応症の認可をおろしていないわけでございます。
 私どもも今調査をしておりますけれども、厚生省も、これは疾病対策課ですか、難病に使われているいわゆる適応外の薬というのを調査なさって随分すごい結果が出たようでございますけれども、そういう医薬品、特にほかの適応症に使われていて日本にある薬、みんなが使っている薬だけれども、実はこちらの適応症の方が本当は使った方がいい、使うべきであるという適応症が認められていないわけでございます。
 具体例は後でお伺いするといたしまして、厚生大臣から、これはエイズの薬も入ると思いますけれども、そういうことについてひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思いますので、御意見をお願いいたします。
○国務大臣(菅直人君) この問題についても従来から水島委員の方からいろいろ御指摘をいただいておりまして、基本的には、つまりは患者にとって国民にとって必要な薬がきちんと提供され、逆に言えば必ずしもなくても同じような薬があるものについてはそれほど国が応援をしてまでそれを促進する必要はないということではないかと思っております。
 そういう意味で、難病を含め幾つかの疾患にとっての第一選択の薬というのは、国際的にもそういうものがある程度認められているというのはそれなりの効果があって認められているわけでしょうから、もちろん手続としては何らかの手続をとる必要があると思いますが、それが日本においても使えるようにするということは基本的には好ましいことであろうと思っております。
 そういう場合に、特に難病のように比較的その患者さんの数が少ない場合はどうしても企業によって採算ベースに乗らない場合もありますので、そういうものについてはオーファンドラッグに指定をするといったような形で応援することも必要だと考えておりますし、また今回エイズに関する薬については、これは主にアメリカの薬を日本で少し急いで優先審査をしている、その中で順次認可をするようになっておりますけれども、そういった対応も含めて、先ほど申し上げたように、患者にとって優先度の高い薬は国のいわばある種の責任として何らかの支援措置をとることも含めて提供できるようにする、これが基本的考え方でなければならないと思っております。
○水島裕君 ありがとうございました。
 今度は業務局長にお尋ねしたいんですけれども、先日、らい予防法のときの厚生委員会で、ハンセン病の第一選択でありながら認可されていないリファンピシンその他について私がお尋ねしたのでございますけれども、その後何か対策はおとりになりましたでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 三月二十六日に御質問いただきましたハンセン病の治療薬の件でございますが、リファンピシン、オフロキサシン、クロファジミン、この三つの医薬品を四月一日付でオーファンドラッグに指定をいたしております。
 既存の国内外のデータを集めまして承認申請をしてもらうべく今手続が進んでおるわけでありますが、リファンピシンにつきましては五月三十一日に承認申請が行われております。また、オフロキサシンにつきましては六月四日に承認申請が行われました。それから、クロファジミンにつきましても承認申請の準備を企業の方で進めておりまして、今月中の申請が目途として考えております。
 厚生省といたしましては、こういった申請を受けまして優先審査を実施して、できるだけ速やかに承認をいたしたいというふうに考えております。
○水島裕君 御検討、そして対策をとっていただけまして、ハンセン病患者さんにかわりまして、あるいは論理的な医学者にかわりまして御礼申し上げます。
 私の考えを述べますと、そのほかでも今のハンセン病に対する第一選択の薬剤みたいなものがいろいろあるわけでございますね。ですから、特にこの日本でほかの適応で許可されている薬で他の疾患に対する有用性がもうほとんど確立している、特に第一選択の薬剤として確立されている、そういうことが教科書でもはっきりと書かれている、そういうものに関しましては、今のハンセン病の薬以外のものにつきましても、メーカーを指導していただいて書類審査で認可をおろしてよろしいんじゃないか、あるいはそういうふうに御検討いただいてよろしいんじゃないかと思います。
 今私どもも調査しておりますけれども、私の専門の分野について申し上げますと、膠原病に対するシクロフォスファマイド、それからアザチオプリン、それからステロイドのパルス療法、これは余り専門的なことを言ってもしょうがないんですけれども、例えば回診をしておりまして膠原病の重症の肺臓炎なんか起きますと、これはある程度以上のドクターでしたら必ずこれはステロイドのパルス療法をやりなさいと言って、それがみんなにそういうことを使っていいものだと思って言うわけですね。
 実際はどうかと言いますと、本当に半分ぐらいの医者は当然こういうものは厚生省の許可もおりて使えるものだと思って言っているわけでございますけれども、半分ぐらいの人は厚生省では使えないけれども使う、ちょっとわかりにくくて恐縮ですけれども、厚生省で許可がおりてないからこれを使うのはやめましょうと言うお医者さんはまずゼロだと思いますね。ですから、どこかで違反、正確に言うと違反していると思いますけれども、実際は患者さんのために医者は使っているわけでございますので、そういうのがつじつまが合うように早く検討していただきたいと思います。
 それから、ベーチェット病に対するコルヒチンなどもそういう例でありますので、何か今後どういうふうに対策するか、後でお考えをいただければありがたいと思います。
 それから、そうでないものに関しましては一部書類審査でもいいようなものもございますけれども、あとは先ほど御答弁がありましたようにオーファンに指定していただくとか、あるいはメーカーを強く指導していただくというようなことで難病、特にこの希少疾患の治療が今後合理的に、しかも合法的にできるようになりますことを強く願っているわけでございます。
 局長にお尋ねしたいのは、今後どういう方法でこういう薬剤について対処していくか、お考えがございましたら御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 医薬品の承認審査資料はGCPに適合する臨床試験成績を受け入れるということになっておるわけでありますが、今御指摘の難病などに対しまして長年にわたって使用経験があるにもかかわらず承認申請がされていないような医薬品の取り扱いでございますが、これについては公表論文あるいは研究班の報告書、そういった国内外の既存のデータを積極的に審査資料として活用をしていきたいと考えております。そして、有効性、安全性をその資料によって確認ができる、あるいはどうしてもできない場合には補完的に治験を行うというような方法を検討していきたいと考えております。
 それから、医療上の必要性が高いにもかかわらず患者数が少ないということで研究開発が進んでいない医薬品については、今お話のありましたオーファンドラッグに指定をして、そして助成金の交付なり優先審査の実施ということで開発の促進を図っているところでございます。
 厚生省といたしましては、今後ともその制度を活用して、医療上の必要性が高いにもかかわらず開発が敬遠されがちな医薬品については製薬企業に対しましてその開発促進の指導を行ってまいりたいと考えております。
 先ほどベーチェット病に対するコルヒチンにつきましてのお尋ねもございましたが、これについては開発の可能性を企業に対して打診をしておるところでございます。
○水島裕君 私の方からも特定疾患の班長の方には今の御答弁の内容などを伝えておきますけれども、荒賀局長さんの方からもどうぞ疾病対策課などを通じて、そういうところでデータをまとめる、あるいはこれは製薬会社に依頼するという形になると思いますけれども、ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。
 それで、今御答弁がありましたような方向でもって必要な薬が、もちろん何でもかんでも認可するということはまた副作用、薬害ということで問題がありますけれども、今の御答弁に沿って、そういう患者さんに必須の医薬品が合法的に使えるようにというふうなことを一、二年のうちに解決していただければ、もう厚生省の業務局には久しぶりで大きな拍手がいくのではないかと思いますので、ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。
 それでは、その次のテーマに移りまして、耳なれない方もいらっしゃるかと思いますけれども、CROということについてお尋ねいたします。
 CROというのはコントラクト・リサーチ・オーガナイゼーションの頭文字をとってCROと言って、どういうものかと申しますと、一般的には製薬会社がオーガナイゼーション、会社ですけれども、その会社に臨床試験を依頼して、その会社がいろいろ臨床試験をするというのがCROであります。
 ですから、第一相から市販後の調査までどの臨床試験を受け持ってもいいわけでございます。私は、このCROを進めていく立場にあります。と申しますのは、CROが日本ではまだ非常に未熟で、欧米ではもう確立していて、臨床試験、医薬品の開発にとってはなくてはならない組織となりつつあるわけでございますけれども、日本のCROも経験を積んでいろいろノウハウを獲得すれば質の高い臨床試験を第三者が行うということで、今よりかむしろ好ましいことがいろいろ出てくるのではないかと思います。
 その一つの例としましては、中小の製薬会社、特に小さな製薬会社が治験をして申請するときにそれだけの有能なスタッフがいないわけですね。
 ですから、CROをきちんと、これだんだん話がずれて後で私自分のを聞いてみますと少し話がずれていけないかなと思っているんですけれども、話がずれて恐縮ですけれども、移植もやり出したら日本で十も二十もやろうなんという医者がいるけれども、あれはもう非常によくないことでございまして、まず二つか三つで本当に脳死移植ができるところをつくって経験を積んでからふやしていけばいいと思います。それは全く余談でございますけれども、CROもまず日本で二つか三つ本当に立派なものをつくって、そこにすぐれた臨床評価ができる、あるいはサポートする人材を置きますと、そういう中小メーカーがそこに臨床試験を頼んでやる方が質も高いし、何と申しますか、正確に倫理的にできるということになるわけであります。それからもう一つ、開発には非常に経費がかかるわけでございますので、たまにしか臨床試験ができないという会社はそういうCROに頼んだ方が経済的に言ってもいいわけでございます。
 それから、今、オーファンということで問題になりましたように、患者さんにとっては極めて有用だけれども、どうしても会社が開発をしたがらないというときは、例えば厚生省がCROにこの薬を臨床試験するようにと研究費をつけて依頼すれば申請に足る臨床試験ができるわけでございますので、そういうメリットもあるわけであります。
 それから、先はどのような今たくさん使われている薬、例えばアスピリンを我々脳梗塞の予防として普通に使っているんですね。でも、これはメーカーに治験しろと言ってもアスピリンの治験なんかなかなかやってくれないわけでございます。といって、日本で正確な治験がやられていない以上、日本としても本当にアスピリンを脳梗塞に使っていいかどうかと、日本としてというか厚生省として判断を下せないわけでございます。
 これはそんなにお金のかかることではないわけでございますので、CROに研究費を出してアスピリンの脳梗塞、まあ一過性脳虚血発作という方が明らかに効くわけでございますけれども、脳梗塞に対する治験をするというようにいろいろなメリットがあるわけでございますので、CROについてひとつまとめて御質問させていただきたいと思います。
 まず、CROが行いました臨床試験というのが申請資料には今はできないわけでございますね。
 それを将来できるようにした方がいいと思いますが、その点が第一点。
 それから第二点は、一九八三年の薬事法のときに、国内管理人あるいは治験国内管理人、これは主として日本に支店がない外国の会社の薬の治験をするということで取り決められたものだと思いますけれども、それとの関係がどうか。
 それから、現在、第一相試験を行っている会社は結構多いんですけれども、そういうものもちゃんとCROに組み入れた方がいいという意見があると思います。
 最後に、CROはいろんな点で今後発展していってもらいたいと思いますけれども、先ほど私が申し上げたようなことも含めまして、CROに厚生省としてはどういうことを望むかという四点についてまとめてお答えしていただければ幸いでございます。
○政府委員(荒賀泰太君) このCRO、医薬品の開発業務受託機関でございますが、これは、先ほど先生からもお話がございましたように、メーカーからの委託を受けて、そして医薬品の開発あるいは市販後の調査の業務を行います企業でございますが、欧米では既にGCP等のメーカーの開発にかかわる業務の一部あるいは全部を受諾してやっているところが約七百社程度あるというふうに聞いておるわけでございます。
 治験の依頼者の委託を受けまして、医療機関に対しますモニタリングでありますとか、あるいは治験データの取りまとめなどさまざまな業務を行っておるわけでございます。
 一方、我が国におきましては、治験というものについて、承認申請を行います製薬企業の責任で依頼を行うというふうに指導しておりますし、また、今お話がございましたように、我が国のCROはまだその人員とか規模とかあるいは能力といった点で十分なところまではいっていないというようなことから、CROが治験の根幹にかかわるような業務を受託するということについては制限をしてまいったわけでございます。その結果、我が国のCROは、治験薬の回収といった治験の中のごく一部の業務を受託しているという状況でございます。
 しかし、このCROにつきましても、徐々に人的にも物的にも、あるいはノウハウの面でもいろいろ能力がこれから向上していくことが予想されますし、またそれを期待いたしておるわけでありますけれども、そういったことで、適正な治験の遂行ができるようになりますと、治験の効率的な実施という面での貢献が考えられるというふうに考えております。
 ただ、この点につきましては、私どもが医薬品安全性確保対策検討会、安全検と言っておりますが、この検討会でいろいろ議論をしていただいておりまして、このCROを今どのように活用すべきなのか、あるいはまだそこまで至っていないということなのか、議論が両面ございます。少なくともCROにつきましては適正な業務が行われますように質の確保というものが必要ではないかと。
 それから、業務内容でありますとかあるいはメーカーの責任のもとで活用をする、その活用の仕方あるいは規制のあり方、そういったことについてやはり十分な検討が必要であるというふうに報告書でもなされておるわけでございます。したがって、CROを活用する場合におきましても、今申し上げましたような課題をクリアしていくことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、こういった検討の結果、CROの活用ということを将来的に認めることになりますと、今、先生がおっしゃったような治験データが承認申請資料として受け入れられるということになるわけでございますが、そのための検討がなお必要であるというふうに判断をいたしております。
 それから、国内管理人につきましては、今お話がございましたが、外国の製造業者が日本に輸出する場合に国内に住所を持っている人を管理人として選任してその手続の代行を行うということをやっておりますし、また治験の国内管理人につきましてもこれは薬事法施行規則の規定がございまして、治験薬による保健衛生上の危害の発生、拡大防止に必要な措置をとらせるということで、これも国内に住所を持っている人のうちから選任をいたしまして治験の依頼の手続を行っておるわけでございます。
 これにつきましては、私どもの方は国内管理人あるいは治験国内管理人につきましては、外国の製造業者が日本国内で承認申請あるいは治験を行えるようにするという観点で行われておると理解しておりますので、これらの業務をCROの業務として位置づけているものではないというふうに理解はいたしておるわけでございます。
 それから、第一相試験を受託する医療機関と密接な関係を持って、そして治験関係の業務あるいは健常ボランティアの募集を行う会社が存在していることはもう御指摘のとおりでございますが、このような受託会社につきましては、GCP上は医療機関が治験依頼者であるメーカーと治験契約を結びまして治験を実施するということでございます。受託会社は医療機関の事務的な業務を代行するということで、この点につきまして治験依頼者の業務を受託いたしますCROとは性格を異にしておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 このCROが、今お話がございましたように、私どもも世界の状況、それからICHの取り扱いを見ましてもCROの位置づけということも行っておるわけでございますので、今申し上げました幾つかの課題、特に質の確保、業務内容とかそういったことについての検討をいたしまして、またCROが今まで蓄積をしたノウハウを活用して効率的に治験が行えるということを私どもも期待をいたします一方、被験者の安全性の確保に対しまして、製薬企業にこれからこの改正法によってより大きな責任と役割を果たしてもらうということもございます。
 そういったことを全体としてどのようにレベルを上げていくか、その手順をどうしていくか、CROの位置づけというものをその中でどう考えていくか、そういったことについてさらに検討をしてまいりたいと考えております。
○水島裕君 今のお答えを聞きますと、現在の日本のCROはまだ少々未熟でいろいろな業務を委託するのも心配だとかというようなことだと思います。私の認識も大体同じでございますけれども、やはりもう少し育ってCROにも活躍、活動してもらうことが必要じゃないかと思います。
 例えばですけれども、ある会社が非常に有益な薬の治験をしていてある過ちを犯した、問題を起こしたというときに、今の厚生省の行政はもうその薬の開発はストップ、そういう形になることがあるわけでございますね。だけれども、薬というのは会社がもうけるためにあるのではなくて、患者さんのためにあるものでございますので、仮に本当に役に立つ薬を問題のある会社が開発していたら、しばらくCROでその治験をやらせる、厚生省としてもそういう選択肢ができてくるわけでございますので、今後いろいろ検討なさって、エイズその他で薬事法などをまた改正しなくてはならない運命だと思いますので、そのときにそういうこともいろいろ考えていただければと思います。
 それでは、あと十二分ぐらいございまして、何も早くやめてもよろしいんですけれども、そろそろ閉会になりますので菅厚生大臣ともこういうところで議論する機会もしばらくないのではないかと思いますので、残りの時間を使いまして、そちらの方には申し上げていないかもしれませんけれども、一、二ぜひ御意見をお伺いしたいと思います。
 私は、今の日本の医薬品行政で大切なことは大きく言って三つあるのではないかと思います。
 一つが、大きな薬害を起こさないように、また副作用をできるだけ少なく抑えるような工夫、行政を行うというのが一つであります。それから第二は、大臣もおっしゃっていらっしゃいますけれども、薬価差益のようなもので病院の経営が成り立つというこのおかしな状況は直していかなくてはいけないというようなことが一つ。それから第三番目は、先ほどから言っておりますように、これまでのお返し、あるいは日本は国際貢献をできる国でございますので、その意味からも国際貢献できる、世界の患者さんの役に立つ医薬品を開発するという三つではないかと思います。
 その中でどれが一番難しいかと申しますと、私は三番目の画期的医薬品を開発するというのが難しいわけでございますので、そのためにも厚生省薬務局の機構もいろいろ変えたり、これはすぐにできることではございませんので、今からいろいろ対策を立てていただくことが重要じゃないかと思いますけれども、その点について、特に薬の両面を正しく認識して行政をするという点についていかがでございましょうか。
○国務大臣(菅直人君) この間、多くの議論をいただきまして、医薬品についての今までの薬事行政のいろいろな問題点、まだまだ御議論をいただかなければいけない、あるいはいろいろお願いしているところもあるわけですが、私なりに少しずつ浮かび上がってきているような気がいたします。
 一つは、よく言われます薬の開発あるいは治験あるいは承認と言われるものと、それからいわゆる業界の指導とか育成という問題、どこでどう線を引くかという問題があろうかと思います。
 きょう、朝方の議論の中でも、例えば薬価を決めるときのいろいろなルールがあると。R幅が一五とか一一とかですね。ああいう分野というのは、基本的には薬というものができた後のいわば経済行為である。しかし、もちろん場合によったらその決め方が開発に影響はする。ですから、影響はするけれども、基本的にはやはりこれは経済行為というふうに見るべきなんだろうという感じがしております。
 それから、開発と治験と承認というのは、ここもある程度いろんなものが入っておりますが、ここはもしかしたらなかなか機械的には分離できない分野なのかもしれないと。
 アメリカのFDAのこともいろんな方から聞いておりますが、例えば治験のプロトコールなんかも相談をしながら、つまりFDAとメーカーが相談しながらやっていって、逆に言えば相談をするから効率もいい。しかし、そうすると、じゃFDAと薬メーカーが癒着しているようなことになるのかというと、そこは逆にすべてのやりとりを文書でやることで、あと公開するという形で透明性は保っている。
 今回の加熱製剤の開発の段階も、私なりに見ておりますと、一相をやるとかやらないとか、一変でいくとかいかないとか、つまりは申請前のいろんな議論が例えば正式な記録として残っていないような段階の問題がたくさんある。じゃ、それはやらなかった方がいいのかやるべきだったのかというと、やはりそうはいってもどういう治験をするかということが固まらなければ承認申請もできませんし、またはどういう治験が必要かというのも場合によっては物によっていろいろ差があるのだろうという感じもしております。
 ですから、そういう点で一つには、それがFDAという形なのか、あるいは食品は抜きにして医薬品庁ということを水島先生もよくおっしゃっていますが、そういうものとしてひとつ考えてみるというのもあるのではないだろうか。そこにきちっと入れるべきことと、その透明性をどう確保するかということ、あるいはそこからは切り離して、場合によったら同じ役所だとしても経済的な分野と担当を切り離す、そういうふうな形で開発と同時に副作用なんかについてはきちんとしたチェックが行える体制をつくるべきかなと、一つはそんな感じがいたしております。
 もう一つは、これも先ほどのに絡みますが、薬価差益の問題もこの間省内でいろいろ議論をしてもらっておりますが、差益の問題と薬価そのものの問題とがいろいろ重なり合っているような気がしております。
 先ほども他の委員の方からありましたが、今、日本の医療費の三〇%が薬代で占められていると。差益があるから高くなるというのではなくて、一般的に言えば、やはり薬の使用量が本来必要なものに比べて多くなっているんじゃないだろうかと。これは、アメリカなどは何か病院の中での薬というのは一緒にとっている関係で医療費の非常に小さいパーセントだと。日本でも中間施設ですか、老健施設の場合は医療費に占める薬代は非常に低くなっておりますから、そういう点では医薬品の使い方の問題というのは極めて大きな要素になっているんじゃないかなと思っております。そんな意味で、そういうものを含めた全体の青写真をどのようにつくっていくかということではないかと思っております。
 その中で、最後に言われました国際的な貢献というものに値する医薬品の開発というのは、最初の御指摘のときと重なりますけれども、いろいろなシステム上の工夫が必要だということが一つと、もしかしたら日本のこれは教育から研究に至るまでのあり方が、どうも日本はクリエーティブな面を育てるのが下手なのではないだろうかと。
 大体クリエーティブな人というのは多少変わった人が多いわけですが、そうすると変わった人だとなかなかシステムの中ではじき出されてちゃんとした研究の主流に残れないというようなことをよく、これは必ずしも医学の分野に限らないで、ノーベル賞なんかもらう人が少ない、別に東大が少なくて京大が多いとかということの比較だけではないかもしれませんが、どうも日本ではそういうクリエーティブなもの、そういうものを伸ばすことがいろんな分野で少し下手なのではないか。
 そういう意味では、これはどうすればいいというのは一言では言えませんが、もう少しそういうオリジナルなもの、クリエーティブなものが育つような教育研究環境をどうつくるかということもあわせて考える必要があるのかなと。
 感想ですけれども、私なりの現時点の感想をちょっと申し上げてみました。
○水島裕君 ありがとうございました。
 個々のものはそれぞれリンクしているわけでございますね。ですから、国際貢献ができるようになりますと日本で薬を売りまくらなくても済むし、それから日本の会社というのは経営の面でも伸びが外国に比べて悪いんですよね。ですから、本当に日本の中で売っていて外国にも売れないものですから伸びも悪いということになりますので、先ほどの薬価も含めて全部リンクしていると考えてもよろしいんじゃないかと思いますので、やはりそれは行政もいろいろ働きかけていただきたいと思います。
 先ほどの大臣のお話の中でも感じたんですけれども、もう一つは、肝心なことは思い切って公表することが必要だと思います。例えばイギリスのMCAも、あれは企業からの寄附のお金でほとんど経営しているわけですけれども、それでも完全に公平にやっているということで、これはもう国民も全くそれで信頼しているわけでございますので、そういうことははっきり公表するということが一つ。
 それからもう一つ重要だと感じましたのは、レビューも、今例えば中央薬事審議会でやっている、あるいは厚生省のプロジェクトでエイズの調査をしておりますけれども、もう一つ別に同じぐらいの能力のある委員会をつくって、そういうところでレビューしてもらう。何もそれが厚生省の行き方と全然違うとかそういう必要はないわけでございますけれども、言葉がどういうのが適切かわかりませんけれども、やはり監視のためのそういうレビューの委員会を別につくって、例えば中央薬事審議会で問題があったら少なくともそこまでは報告しておいていただくということになりますと、今回のエイズの悲劇なども起こらなかったのではないかと思います。
 次の臨時国会前にもまたいろいろ御議論する機会があることを願って、これで終わりにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○常田享詳君 平成会の常田でございます。
 最初にちょっと、先ほど平成会の田浦委員が質問いたしました血液製剤の内外価格差の質問と答弁にミスマッチがありますので、大事なことでありますのでこれをただしておきたいと思います。
 といいますのは、田浦委員が聞きたかったのは、内外価格差があることがこのたびの薬害エイズの問題、特に製薬メーカーの動向等にいろいろ影響があったのではないかということだったんですが、答弁は今の時点をとらえておっしゃいましたので、それはそれで間違いではなかったんですが、実は私の手元に一九八七年に某事業団が出した「血漿分画製剤価格の日米比較について」という当時極秘資料扱いの資料があるんです。
 先ほどミスマッチと言いましたのは、アメリカの実態があれではよくわからない。実はアメリカというのは大変な値引きがされている国なんです。で、申し上げますと、この文書の出た趣旨は、要するに血漿分画製剤を日本で安く買いなさいということで病院に回っているわけですね、一部の病院に。これはそういう文書でありますが、この数字を見ますと驚くべき数字なんであります。
 例えば、二五%五十ミリリットルのアルブミンはアメリカで四千四百二十三円で、日本の薬価の六二・五三%引きなんです。薬価の六二・五三%引きですよ、この当時。それから、第[因子二百五十単位は三千四十五円で、同じく八七・四%引きなんです、日本の薬価の。引く方ですよ、引く方の数字です。それから、筋注グロブリン一〇%十ミリリットルは四百三十五円で九〇・六九%引きであります。静注グロブリン五グラムは、日本の場合、二・五グラム二本の計算で八四・四七%引きとなっている。つまり、日本の二・五グラムインタクト静注グロブリン一本は八千四十八円ということでありまして、こういう状況にあるわけであります。ここでどういうふうに結んでいるかといいますと、「この米国のある病院の購入価格の近くまでは、輸入製剤は値引きが可能であると考えるべきであろう。」という文章が出ております。いかにおいしい商品であったかということであります。
 先ほどの答弁では、そうではない、アメリカのものは日本の薬価にあれすると二倍ぐらいになりますよということでありました。それは今比較すればそういう比較対象になるのかもしれませんが、あの当時の実態は驚くべき値引きが行われておりまして、物すごい安い価格で日本に入ってきていたということであります。
 このことについては、恐らく厚生大臣は御存じだと思いますが、大切な部分でありますので御存じであるかどうかということだけ御答弁いただきたい。
○国務大臣(菅直人君) そのことは存じておりません。いろいろ、何といいましょうか、うわさ的に当時の薬価基準なり、あるいはよく言われる差益なりが大きかった小さかった、加熱に比べて非加熱が大きかったとかというのはうわさ的には聞いたり、あるいは場合によったら週刊誌等で見かけたかもしれませんが、今示されたアメリカでの薬価と日本での薬価基準とが当時それだけの大きな差があったということは、残念ながら私自身は資料も見たことがありませんし、特に報告を受けたことも、特に報告を求めてもいませんが、受けたこともありませんで、その事実関係は全く承知をしておりません。
○常田享詳君 それでは後ほどこのコピーをお届けいたしますので、ぜひお目通しをいただきたい。これは大変大切な部分で、その当時の状況を把握していただく上で大切だと思いますので取り上げさせていただきました。
 それでは次に、薬事法の改正の問題でありますけれども、私も厚生委員会で質問させていただくのが三回目になりまして、もう厚生大臣も耳にたこができたとお思いでしょうが、もう一回薬事法第一条「目的」のところを読ませていただきます。
  この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療用具の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。というのが目的であります。これはもう、厚生大臣、よく御存じであります。
 私は、薬事法の改正はこの目的に沿っているかどうかということで進められていくべきであろうと思いますし、そのようにされていると思います。
 第一点目の質問でありますが、先ほど来お話が出ておりますように、ソリブジンの問題等への対応を中心としてこのたびの改正案が出ているわけでありまして、このたびの薬害エイズの問題等の再発防止という面では十分ではない、不十分であるということで衆議院でも修正案が提出されたということであります。
 そこで、厚生大臣にお尋ねいたしますが、エイズ問題の反省に立ちまして、現行の制度がどのように今後変わっていくべきだと、変えていくべきだと、このたびのものではこの程度までだけれども、今後どの程度までどういうところを変えていくべきだというような御所見がありましたら聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 御承知のように、今、何といいましょうか、形の上で申し上げますと、この問題では厚生科学会議の方で御議論いただいた結果が先日まとまりまして、さらにそれを受けての第三者機関をつくろうという段階が一つあります。それから、役所の中に薬害、いわゆる医薬品による健康被害を防ぐ再発防止本部をつくりまして、その中の一つのプロジェクトとして今後の薬事行政のあり方について今議論をしております。
 また、本委員会を含めて国会でのたくさんの議論をいただいているという段階で、現時点で何らかの方向性が出ているかといえば、まだ特に具体的な方向性は出ておりません。
 ただ、先ほど来、水島先生の御質問にもお答えいたしましたように、あるいはいろんな方から御指摘を受けておりますように、日本の薬事行政のかなり根本的なところから見直す必要があるのではないだろうかと。
 これもいろんな方から御指摘いただいていますが、今の日本の薬事行政は、本体の業務局は決して大きくなくて、中央薬事審議会を中心に多くのことをお願いしている。その点はうまくすればそれは非常に効率のいい行政ということになりますけれども、少しそれがまずくなると、つまりは責任が不明確で、しかもこれだけ非常にテンポの速いいろいろな新しい薬などの開発に対して行政そのものは追っかけ切れなくて、結果的にはある程度もうどこかにお任せした結果だけを受けとめていくというような形になっているのではないかということもありまして、そういう点では、いろんな方の合意が得られれば、あるいは国民的な理解が得られれば、私はもっと厚生省の行政の中で相当部分まで責任を持てるような薬事の承認なり審査なりの体制をつくるべきではないかと。
 しかし、それとまさに同時的に、先ほどの御指摘にもありましたように、やっぱりある段階での、徹底的な透明性を高くするということもあわせて行うことで国民的な理解を得られると同時に、透明性が高いということはある意味では第三者がチェックができるということですから、チェックができるという形の中でも再発なり副作用なりの防止にもつながっていくのではないだろうか。まだ大変漠然としておりますけれども、そういう方向性を私自身は感じているということであります。
○常田享詳君 あわせて厚生大臣にもう一点だけお尋ねをいたしますが、今回の薬事法改正は患者、国民の立場に立って見てどのような利点があるのか、その点に絞ってちょっとお聞きします。
○国務大臣(菅直人君) 今回の薬事法改正は、御承知のように、一つにはソリブジンによる副作用問題を踏まえて、特に治験から承認審査、市販後に至る医薬品の総合的な安全性確保というものが一つの柱になっております。ですから、今回の改正によって、従来必ずしも法律という意味ではきちっと定義されていなかった治験のあり方とかあるいは副作用についての市販後の安全性などに対する対策などが相当に前進するのではないかというのが一つであります。
 それからもう一つ、この法案は、いわゆる血液製剤投与によるHIV問題に関しましては当面その考えられる措置として二つのことを盛り込ませていただきました。一つはいわゆる医薬品の承認前の特例許可制度と、もう一つは医薬品使用による感染症発生の報告を義務づけたということであります。
 この第一点目は、もうよく御承知のように、こういうケースは少ないんだと思いますが、例えば緊急な感染症がわっと広がってきて、それに対して日本においてはまだ薬がないというような場合に、外国にあれば緊急にそれを使えるようにするという、そういう危機管理のときの対応に一つの、何といいましょうか、手段を認めるということでありますし、また感染症の発生の報告は、これも今回のことを踏まえて、そうした報告を義務づけることによってより安全性を高めていく、こういった面では今回の薬事法は相当部分に前進をしているというふうに認識をいたしております。
○常田享詳君 それでは、審査体制の充実について何点かお伺いしたいと思います。
 我が国の審査体制は、米国と異なりまして、内部審査ではなく審議会に大きく依存した体制となっているということは御存じのとおりであります。
 審査を担当する行政官が少なくても審議会の委員が多ければ審査に問題はないというふうに考えておられるのか、いわゆる欧米に比べて日本の審査体制は遜色がないというふうに考えておられるのか、業務局長、基本的な考え方をお尋ねいたします。
○政府委員(荒賀泰太君) 残念ながら、欧米諸国に比較して審査体制が決して十分なものではないという認識をいたしております。
 これはもう委員も御承知のとおりでございますが、同じ外部審査方式をとっておりますフランスにおきましても事務局のスタッフは約百五十名おるわけでございまして、私どもは機構と業務局合わせて五十名、業務局だけでは三十八名ということで、フランスに比べても非常に少ない数でやっておるということでございます。
 これは何としても体制の強化を図っていく必要があるということで、今回その審査業務の一部を医薬品機構へお願いをいたしまして、医薬品機構においても治験の関係の相談業務あるいは調査業務を行うこととして、またそのスタッフを充実させることにいたしておるわけでございます。
 私どもも中薬審にいろんな最新の医学、薬学の治験に基づいて審議をお願いしておるわけでありますが、やはりその前提としては事務局の審査、特に医薬品機構における調査、そしてそれを踏まえた業務局の事務局審査をきちっとしてこそ本来の中薬審の最新の治験に基づく審議が意味のあるものになってくると、このように考えておる次第でございます。
○常田享詳君 おっしゃっているとおり、欧米諸国に比べて日本の体制は残念ながら大変おくれているということだろうと思います。そういう審査体制を残念ながら大幅に拡充できないということで医薬品機構を活用するということであろうと思います。そのこと自体私も理解できるところであります。現実的な対応としてはそういうことであろうと思いますけれども、これでは今も業務局長がお話しになりましたように根本的な解決にはならないわけであります。
 私心配しますのは、機構と厚生省との連携がよほどうまくいきませんと、審査体制の分散化、そして無責任化を招く、責任の転嫁、そういうような危険性があるんじゃないかというふうに、これは老婆心かもしれませんけれども心配するわけでありますが、このあたりはいかがでございましょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 私どもも医薬品機構と業務局の事務局審査がいかに連携をとり、そしてすき間なくしかも効率的にしていくか、これについて非常に重要視をし、またそれについていろいろな工夫をしていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、医薬品機構に調査を行ってもらいますけれども、これは比較的定型的な画一的な調査を行ってもらうということで、これは機構がそういった専門のスタッフでやっていけばより能率的にやっていけるんじゃないかと。それで、審査そのものの責任は最終的には厚生大臣にあるわけでございますから、そういった意味では中薬審の審議も含めて全体の承認審査の責任と権限は厚生省にあるということをよく認識しながら、責任体制があいまいにならないように気をつけてやってまいりたいと考えております。
○常田享詳君 先ほど水島委員からも我が国の新薬開発について御指摘があったところでありますけれども、日本の新薬は同じようなもの、いわゆるゾロ新が多いわけであります。それで画期的なものが少ない。これはもう指摘されているところであります。
 新薬承認のハードルを高くして真に有効性の高いもののみを承認する必要があるのではないかと考えるわけであります。また、あわせてその審査期間が、いいものをつくっても審査期間が一年半から二年ぐらいかかっちゃって、許可がおりたころには国際的に競争できないというような状況があるわけでありまして、少なくとも一年以内に私はすべきではないかと。というのは、よい新薬が早く患者さんに提供されるということでありますから、国民、そして患者さんのために私は申し上げているわけで、新薬の承認は厳格であるべきであるけれども迅速でなければならない。例えばアメリカのFDAの事務処理の期間は、優先審査品目は百八十日以内を目標にする、それから標準的な審査品目は三百六十日以内を目標にするというようなことで、とにかく一年以内にはやる、特にいいものはもう半年で患者さんのところで使えるようにするというようなことがきちんとFDAではやられているわけであります。
 このあたりの迅速化ということもあわせてお尋ねをいたしたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 私ども薬事法にのっとって審査をやっておるわけでございますので、新薬についても確かにいろいろな形、画期的なものもあればそうでないものもございますが、これは法律にのっとって審査を適正にやってまいるということではないかと思います。ただし、今回、治験が大幅にレベルアップをし、そういった意味でインフォームド・コンセントその他のある意味でハードルが高くなるという面もございますから、それを実施をいたします医療機関がむしろいい薬に限って治験を受け入れるとか、そういうような形になるのではないかという感じもいたしますので、結果においていい薬が治験で行われ承認申請に上がってくるということはあり得るというふうに考えておるわけでございます。
 もう一つのレベルアップと迅速化、これはやはり私も国際的な今の動きから見て両方必要であるというふうに思います。ただし、これは非常に難しい点でございまして、私どもの新薬の標準処理期間が一年六カ月でございますが、実際は一年三カ月程度ということでございますが、他の欧米諸国においてはそれをさらに短縮した形で承認が行われている。これも何とかスタッフの充実とあわせてレベルの高度化、そして迅速化が両立できるように私どもも努力をしていきたい。
 例えば米国の場合は、委員御承知のとおりでございますが、最近ユーザーフィー法という法律をつくりまして、これは業界からもアメリカの審査期間が非常に長いということで何とか迅速化をするということの要望があり、費用は申請者たる製薬企業がかなり多額の手数料を支払う、そのかわりに審査期間の短縮を図る、その高い手数料によりまして審査官の増員であるとか今申し上げましたような期間の短縮を図る、そういう成果を上げておるわけでございます。
 私どもの方もそういった意味では、必要な経費として手数料はいただきつつ、承認申請の審査の厳格化と迅速化というものの両立が図られるように今後とも努力していきたいと考えております。
○常田享詳君 厚生省の審査課なんかに行ってみますと、非常に狭いところで、通路も何かやっと通れるようなところに書類が山積みになって、少ない人たちで土曜も日曜もなしに審査しているというような状況を見まして、これでは勝てないなということを私も感じていたわけであります。
 今、業務局長から図らずも一九九三年に施行されたユーザーフィー法、それに伴ってFDAが新薬の審査手数料を大幅に値上げした、それによって人員の整備からいろんな体制整備を行ったということであります。ちなみにFDAの場合は一九九五年で二十・八万ドル、約二千万円。日本の場合は七十万ぐらいですかね。やはりいいものを早くメーカーも出したい、自信のあるものを早く出したいということでありますから、審査料を高くしても私はその方が理解が得られるんじゃないかと。
 こういったことを整備するためには当然財源も要るわけでありますから、私はFDAに見習って手数料の値上げを考えるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、改めてお伺いいたします。
○政府委員(荒賀泰太君) こういった審査業務を迅速にしかも適正に行うための体制整備に要する費用につきましては、諸外国の例は今お話しのとおりでございまして、今回、医薬品機構におきましても、その調査業務をお願いすることにしておりますが、そこにおいても必要な手数料を企業に負担していただくということで、今後とも手数料の適正な設定ということで質の高い審査を行うための体制整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
○常田享詳君 それでは次に、今回の薬事法改正において、先ほど厚生大臣の御答弁の中にもございましたけれども、承認前の特例許可制度について二点ほどお尋ねをしたいと思います。
 エイズ問題が持ち上がった昭和五十八年当時、加熱した血液製剤を緊急輸入していれば被害者が拡大しなかった、これはもう事実であります。
 今回の承認前の特例許可制度とは、そのような場合において選択肢をふやしておこうということなのか、それを法律上明記しておくということなのか、その点をお伺いいたします。
 特例はあくまで特例でありまして、安易に行われるべきではないと思うわけでありますが、過去、ポリオワクチンの超法規的な緊急輸入が行われたことがあります。御存じのとおりであります。そのような事例を想定しておられるということになるとするとどのようなものを考えておられるのか、厚生大臣が先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、業務局長、もっと踏み込んで答えていただければと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたが、今回の薬事法改正におきまして血液製剤のHIV感染問題の反省の上に立った一つの方策でございます。
 国民の生命、健康に重大な被害を与えるおそれがある疾病の蔓延を防止するために緊急に使用されることが必要な医薬品である、ここにおいては生命、健康に重大な被害を与えるおそれがあるということ、そしてその疾病の蔓延を防止するために緊急な使用が必要な医薬品であるということ、それからその医薬品の使用以外に適当な方法がないということ、さらに外国でその医薬品が承認をされ販売が認められていること、こういった要件を設けまして、こういったことに該当することになるものについてこれは政令で指定をする、これは閣議、政府全体としての意思でもって政府全体が判断をするというふうに考えておるわけでございます。
 この緊急に医薬品を必要とする事態は、今お話がございました過去にポリオワクチンの緊急輸入、ちょうど昭和三十六年でございましたけれども、そういったときの緊急輸入を行いました場合のような相当程度の感染症の発生がある場合でありますとか、あるいは有害物質によります大規模な汚染でありますとか、あるいはまた有害動物等が異常発生をして、それが国民の健康、生命に重大な影響を及ぼす場合でありますとか、そういったものを想定いたしておるところでございます。
 なお、こういったあくまで特例中の特例という許可の性質上、この発動に関しては一定の特別な措置をとる、ある意味では安全性を担保するための措置をとるということもあわせて盛り込んでおるところでございます。
○常田享詳君 それでは、使用に当たっての安全対策はより厳しくする必要があると思うわけでありますし、また副作用等の必要な報告義務のみではなくて、何らかの義務を別途かけるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、このあたりについてはどのようにお考えになりますか。
○政府委員(荒賀泰太君) この法律上は、特例許可に当たりましては政令で定める措置を講ずる義務を課すことができるということで、これは今検討をしておるわけでございますが、この政令で定める措置を講ずる特別の義務として、今お話がありました副作用の問題、やはり何といっても安全性について厳重にチェックをする必要があるということでありますので、必要に応じましてその医薬品を使用したすべての患者さんにつきまして安全性とか有効性とか、そういったことに対する使用成績調査を企業は行って、その結果を厚生大臣に報告してもらうというようなことで、より厳密なこの市販後対策といいますか、そういったことを想定して今検討をいたしておるところでございます。
○常田享詳君 それでは、市販後対策についてお尋ねをいたします。
 薬害の防止のためには市販後の副作用情報の迅速かつ的確な収集、報告、分析評価、伝達が必要なことは言うまでもないわけでありますけれども、エイズ問題の場合でも末端のお医者さんはその危険性を加熱製剤が供給された後も認識していなかったというような事実があるわけですね。そういうようなことをこのたびの薬害エイズ問題で知りますと、企業も承認まではそういったことに力を注ぎますが、承認されると販売に力を注ぐと、会社も売れ売れと、私も製薬会社に九年ほどおりましたけれども、そういうところがどうしてもこれは経済行為としてあるというわけであります。
 このたびの薬事法改正によって今申し上げたような市販後対策が具体的にどのように強化されるのか、お尋ねしておきたいと思うんです。
○政府委員(荒賀泰太君) 今般の薬事法改正によります医薬品の市販後対策でございますが、一つは医薬品の副作用あるいは感染症情報、あるいは医薬品の自主回収に着手した場合の報告を義務づけるという点がございます。こういった報告によりまして、厚生大臣として必要があれば迅速に、また適切に措置を講ずることができるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、医薬品に関する情報の収集、評価、提供ということで市販後調査を確実に企業に行ってもらうということで、市販後調査の実施基準、GPMSPと言っておりますが、この遵守事項として法制化をして企業に義務づけをいたしたい、このように考えております。
 このGPMSPの法制化に当たりましては、ソリブジンの副作用問題の教訓を生かしまして、開発時の安全性の情報、それから市販後の安全対策をどう生かしていくか、つまり企業の中における開発部門と市販後調査管理部門との連携強化ということを一つ柱に打ち立てておるわけでございます。これはやはり市販後調査部門が今まで弱いということでございまして、大企業でありましても非常に手薄であったという実態も中にはあるわけでございますので、そういったところを強化していく、そして開発部門と市販後部門との連携を強化していくということが一つございます。
 それから、ソリブジンの場合もございましたが、医薬品を複数の企業で共同販売するような場合の企業間の連携がうまくいっていない場合もございますので、そういったことについても連携の強化を検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、企業がそういった副作用、感染症あるいは回収報告義務、GPMSPを遵守しない場合には業務の停止等の行政処分の対象になるということでございますので、そういった意味で企業の遵守を図っていけるものというふうに考えております。こういった対策を講ずることによりまして市販後の安全対策の充実を図っていくという考え方でございます。
○常田享詳君 副作用情報の問題で、これは先ほど石井委員からも詳しく指摘がありましたけれども、企業報告はPL法の施行もあって大幅に増加しているけれども、医療機関からの報告は依然として少ない、そういう現状だという答弁があったわけであります。
 そこで、私は、やはり副作用情報は医薬品との関連が定かでなくても報告させ、データベース化しておく必要があるんじゃないかというふうに思うわけであります。もちろん、報告しやすい方策を講じるということでありますが、医療機関や医師に副作用等の報告義務を課すべきではないか。
 一例一例では因果関係が不明であっても、多くの情報がプールされることによって因果関係が明らかになるということもあるわけでありますから、私は医療機関や医師に副作用等の報告義務をかけるべきではないかと。
 というのは、私がこれを申し上げるのは、ドクターのためにそうしておく必要があると。というのは、アメリカではPL法で二剤まではメーカーの責任です。二剤で何かがあった、二つの薬を使ってトラブルがあったところまではメーカーの責任。ところが、三剤以上でトラブルがあるとこれはドクターの責任なんです。裁判がもうどんどん起こっているんですね。
 結局、こういうところをあいまいにしていると回り回ってドクターのところへ行くわけですから、ドクターのためにも医療機関のためにも今申し上げたような医療機関や医師に副作用等の報告義務をかけておくことがそういうトラブルを未然に防ぐ、患者さんのためにも医療機関のためにもドクターのためにも、みんなのためにいい方法ではないかと私は思うわけであります。いずれ来ますよ、あのPL法を日本もかけたわけでありますから。そういう点についてお尋ねをしてみたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 今、副作用の報告のあり方については、委員御承知のとおり、企業報告というのと、それからモニター制度によります医療機関からの直接情報収集をする方法と二つあるわけでございます。
 それぞれの特色があるわけでございまして、企業報告には自社製品ということに特化した形で組織的に副作用情報が収集できるということがございますし、それからモニター制度につきましては、そういったこととは逆に、特定の品目に偏らずに幅広く、しかも迅速にできるというメリットがあるわけでございます。私どもは両方の活用を図ってまいるというふうに考えておるわけでございます。
 その場合に、御指摘のこのモニター制度につきましては、確かに諸外国に比べまして今件数が少ない。それには幾つか問題点があろうかと思っております。報告内容が複雑で手間がかかるというようなこともあるわけでございます。
 ただ、これを義務づけるということにつきましては、これは米国とか英国等の外国の例を見てみますと、一部の国におきましては確かに義務づけをしておる国もございますけれども、米国、英国等におきましてはそういった医療関係者に対して副作用報告の報告義務は課しておらないというふうに承知しておるわけでございまして、私どもとしては、やはり現在のモニター制度をできるだけ拡大して、そして各種の学会でありますとかあるいは団体の協力を得て、そしてモニター施設あるいは参加医師の拡大を図っていきたい。そのためには、副作用報告の様式というものをできるだけ簡略化して手軽に報告をしてもらえるような方式をぜひ実行していきたいというふうに考えております。
 現に、今一万九千人を擁しております日本臨床内科医会の協力が得られてこの副作用モニター施設の拡大について御協力をいただけることになっておるわけでございますが、今後ともできるだけ広く医療機関から直接情報が得られるように制度の充実改善を図ってまいりたい、このように考えております。
○常田享詳君 副作用情報とか使用上の注意事項というのは的確に医療関係者に伝達されなければ、当然適正使用されないということであります。また、医薬品情報は、情報機関のみではなくて患者さんにも知らされる必要がますますこれから求められるんじゃないか。石井委員がおっしゃいましたように、インフォームド・コンセントの問題であります。
 患者の方々は本来医療の中心であるべきで、また医療情報も非常に求めておられるんだけれども、ともすれば医療の外側に置かれてしまっているという現状がある。そういった点につきまして、患者さんが情報を入手するということについて、今後こういったことに具体的に取り組むというようなことがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(荒賀泰太君) 患者、国民の皆様に直接情報提供をするということは副作用被害防止の観点から重要であると考えております。
 それで、今までソリブジンの例にも見られますように、ドクターレターと言っておりますが、緊急安全情報を発行するという場合には、厚生省において記者発表を行って直接国民に呼びかけるということを行っておるわけでありますが、別の方法といたしましては、医薬品の患者向けの説明文書というものを今研究を進めております。先般この報告書がまとまりまして公表をいたしたわけでございますが、これをさらに進めまして、患者向けの文書モデルというものをつくって、注意をしなければいけない副作用情報を実際に医師とか薬剤師から患者に手渡していただく、その際に患者からもいろいろ必要な情報を聞き取っていくということで、パイロットスタディーを実施して実用化に向けて今検討を進めておるわけでございます。
 それから、文書によるそういった情報を補完するということで、これは患者、国民に対します副作用情報の提供ということで、コンピューター技術を活用したシステムの設計といいますか、簡便に最新の情報が得られるように、また提供できるように、そういったことについて検討をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○常田享詳君 薬剤師の養成等についてお尋ねを申し上げたいんです。これも石井委員から出たことでありますけれども、大変重要な問題でありますので重ねて私からもお尋ねをしたいと思います。
 このたびの薬事法の改正等を踏まえて、薬剤師の果たすべき役割が非常に大きくなった。先ほども厚生大臣の方から、どんどん薬剤師の方々にしっかりやっていただきたいと、あわせて何かあったときはしっかり責任もとっていただくんだということでありました。しっかり責任をとっていただくということになりますと、当然薬剤師の資質といいますか、それにこたえられるだけの資質の向上が図られなければならないわけであります。
 インフォームド・コンセントの問題、いろいろ言われますけれども、私は最終的には教育ではないかと。それを成功ならしむるも失敗に終わらせるも教育だと。これは薬剤師に限らずドクターも含めてであります。また、看護婦さんの世界もそうでありますし、医療に従事するみんなの教育のさらなる充実ということが一番大切なところ、それがひいては回り回って患者の方々に、国民の方々により質の高い医療を提供するということになるんじゃないかというふうに考えるわけであります。
 薬剤師の教育、六年制の問題については、厚生省は平成六年六月にまことに明快にそれはやるべきだと提案したにもかかわらず文部省がブレーキをかけたということであります。文部省だけではなくて大学関係者もいろいろ働きかけがあったと聞いておりますけれども、どちらにしても文部省はちょっと待ったというようなことで四プラス二というような、四年制の上に二つを乗せて先送りすると、その間にいろいろお話し合いはしましょうよということでありますが、要するに厚生省に比べて非常に消極的な姿勢であるということには違いがないわけであります。
 私は、今こうやって国民、また医療、インフォームド・コンセントの中で薬剤師の役割が大きく期待されているときに、文部省の根本である教育に対するこういう消極的な姿勢は納得できないのであります。厚生省は二十一世紀までに結論を出して着手したいと言っているわけでありますが、私は、ここで明快に文部省も厚生省とスタンスをきちんと合わせて時期を設定していただいて、二十一世紀までにスタートできる体制をつくるという確たる御答弁を期待して質問をいたしたいと思います。
○説明員(寺脇研君) 薬学教育の年限の問題でございますけれども、私どもも薬学教育に求められるものの大きさというのは認識をいたしておるわけでございます。また、その求められるものが大きければそれに要する時間もかかるというのも、つまり教育の期間がかかるというのも当然のことではあろうかというふうに思うわけでございます。
 しかしながら、現状を見ますといろいろな解決しなければならない問題がございます。例えば、今、薬学部四年を修了する人間というのは入学定員で言いますれば七千七百人余でございます。大学院の修士課程、つまり六年までをやる学生というのが一千三百人余でございますので、現在の状況で六年教育を受けていないと薬剤師資格が取れないというようなことになりますと六千四百人余の学生がそこで宙に浮くということになってしまうわけでございます。
 だから、そういった意味で薬剤師の資格につきましては厚生省の方で御検討がなされ、またそれは厳正でかつ重いものであるというのは一つの考え方だとは思うわけでございますけれども、そうなりますとそれを取得できる学生の数の問題というのが出てまいります。ですから私どもとしては、大学院をこれからふやしていけばそこのところがだんだんに解決していけるということで、全体的には大学院の修士課程をつくってまいるという考え方で努めてはおるわけでございますけれども、十八歳人口の減少という中で高等教育全体の入口と出口という問題も考えてまいらなければなりませんので、それらの状況、また現在薬学部を置きます大学で薬学を学びます学生の入学定員はその八〇%以上が私立の大学によっているというような現状もございまして、そういうことの中で七千七百人すべてが六年の年限を終えられるようにしてまいるというのは現状では非常に難しい問題があるという結論を本年の三月に調査会の方で得たわけでございます。
 そうはいいながら、先ほど来御議論のように、さまざまな新しい課題を解決していくための薬学教育というものが必要であるという認識は持っておりますし、この私どもの報告でも引き続いて年限についての検討は続けていくということで考えておりますので、文部省といたしましては学部段階における薬学教育の抜本的な改善をまずやっていく。現在、学部段階で実務実習というのは二週間程度でございますが、これを一カ月に延長していこうじゃないかというようなことを初めとする学部段階での教育の充実、そしてまた今申し上げましたように大学院を整備していくということで、大学院修士課程の医療薬学専攻を量的、質的に整備をしていきたいということでございます。
 今後はこういった六年修了者に対する医療現場等のニーズの一層の拡大、また六年教育ということになりますと六カ月程度必要なのではないかという実務実習の場の確保というようなものも考えつつ、厚生省と連携をとりまして協議の場を設けて引き続いて検討をいたしまして、年限をいつとは申し上げられる段階ではございませんが、できるだけ速やかに充実した薬学教育の実施ができますよう努めさせていただきたいと存じます。
○常田享詳君 大いに期待をしておりますので、今御答弁いただきましたように速やかに協議の場を持って進めていただきたいと思います。
 文部省の方、お帰りいただいて結構でございます。
 これも石井委員が取り上げられましたけれども、薬学教育ということだけじゃなくて免許取得直後の臨床研修を、医師、歯科医師同様、薬剤師も充実すべきだというふうに思っております。
 このたび、今国会で歯科医師法の改正も通ったわけであります。医師法はもう既に入っておりますが、薬剤師法だけが努力規定が入っていないわけであります。私は、近い将来、速やかに薬剤師法にも努力規定を入れるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 あわせて、薬剤師が十分な業務を果たすことが医薬品の適正使用の確保、そして結果的には医療費の適正化につながると私は考えております。そういった意味からも薬剤師法に努力規定を入れるべきであるというふうに考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 薬剤師の役割でございますが、病棟業務あるいは在宅業務への積極的な参画が求められるということで、薬剤師をめぐる環境というのは今大きく変わろうとしておるわけでございます。そういった意味で、薬剤師の質を向上させるために免許取得直後の研修を充実させるということは必要であるというふうに考えております。ただ、そのためにはいろいろな条件整備が必要でございまして、私どもは、この研修の受け入れ体制の整備が必要でございますので、昨年度九つの病院で実際に研修生を受け入れてもらいまして、研修を行う上での問題点の把握等のモデル事業を実施しておるわけでございます。受け入れ施設の拡充であるとか、あるいは研修指導者の確保、そういった課題が指摘をされておるところでございます。
 したがって、この免許取得直後の研修につきましては現在制度化をされておらないわけでございますけれども、受け入れ施設の確保でありますとか、あるいは指導者の養成等の課題について検討をいたしますとともに、関係団体あるいは大学関係者の意見も伺いながら、制度化も含めて検討してまいりたいと考えております。
○常田享詳君 たびたび重複して申しわけないのでありますが、重要なことでありますので私も病院薬剤師の問題についてお伺いをしたいと思います。
 このたびの薬事法の改正、特に副作用情報の収集等の問題、あわせて医薬分業の進展等を考えますときに、病院薬剤師の病棟業務というものは非常に重要な、そしてまた副作用情報収集業務というのは非常に重要な役割を担うわけであります。
 病院の薬剤師の仕事というのは、ともすれば外来で調剤する、処方せんに基づいて調剤する、それから病棟に出て病棟指導するということだけではなくて、そのほかにも中央業務としては特殊製剤なんかをつくるということ、それから麻薬等の管理、そしてあわせて今申し上げた医薬品情報の収集、たくさんあるわけですね、病院の中でやらなきゃならない重要なことは。そういう中で病院薬剤師の配置数という非常に厳しい現実があるわけであります。
 そういうことで、今申し上げたような大変期待されている病院薬剤師の状況にかんがみて、今後薬剤師の配置数についてどのように考えておられるのか、あわせて、一病棟に一人との医療審議会の意見具申がありましたけれども、一病棟とは患者数で何名のことを言うのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 病院の薬剤師の配置基準というのは現行の制度では八十調剤に一人ということになっております。このことにつきましては、今、先生お話ございましたように、薬剤師の業務が非常に変わってきている、またそもそも調剤というもののやり方がかつてのような状況と違って機械でやるようになってきているというようなことから、先般取りまとめられました医療審議会の意見具申では、「調剤技術の進歩とともに、服薬指導や薬歴管理等の病棟業務の増大という状況を踏まえ、業務に応じて適切な数の薬剤師を配置する観点から、病棟単位に薬剤師一人を配置するなど入院患者数等を考慮した基準」に見直したらどうかという御意見をいただいております。例えば医師の場合につきましても、入院患者並びに外来患者の数に応じた医師数というようなことが設定をされているわけでございます。そういったような状況も踏まえまして、今後、私どもといたしましては、病院における薬剤師の具体的な配置基準については関係者の意見もさらに聞きながら詰めてまいりたい、検討してまいりたいというふうに思っております。
 なお、今私が申し上げました医療審議会の意見の中では、一つの例示として、「病棟単位に薬剤師一人を配置するなど」と、要するに入院患者数を考慮した基準という形で言っておられるわけでございますが、一病棟の患者数というのは、これは病院の規模あるいは病院の形態等により違いがあると思いますけれども、一般的にはおおむね四十人から六十人程度というものが一病棟として数えられるんじゃないかというふうに考えております。
○常田享詳君 これは要望しておきますけれども、病院薬剤師の役割としては、医薬品情報の管理、特に副作用の収集等について私は一病院に一人ぐらいそのためだけの薬剤師が配置されてもいいというぐらいに思っておりまして、そのことを強く要望して次の質問に移りたいと思います。
 大衆薬の規制緩和の問題であります。
 このたびの薬事法改正案では、薬局開設者等に患者への情報提供の努力義務を規定しているわけであります。ということは、大衆薬、OTCにつきましてもこのたび薬剤師に非常に厳しい義務と責任が課せられたということであります。
 ところが一方では、総理府の行政改革委員会では医薬品をコンビニで売らせてもいいじゃないか、規制緩和したらどうかというような、今起こっている医薬品を取り巻く厳しい国民の状況と真反対のことを、いわばざるのようなことをおっしゃっておるというようなことでありまして、これは私としては納得のできないことであります。
 そういう意味で、行政改革委員会の方はお見えいただいていますでしょうか、行政改革委員会の方に、今こうやって取り巻いているいろいろな状況、そして薬事法の改正、こういうことを踏まえて、行政改革委員会でこの医薬品の規制緩和の問題についてどのように考えておられるのか、今後の取り組みも含めてお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(田中順一君) 医薬品の販売規制の問題につきましては、昨年の十二月十四日に当委員会から規制緩和の推進に関します第一次意見を総理の方に提出いたしまして、その意見の中におきまして、現行の医薬品に関する規制のあり方につきまして、社会的規制であってもこれは必要最小限とすべきであるという判断を前提といたしまして、安全性の確保、薬物乱用防止等の観点を踏まえまして、規制のあり方について医薬品のカテゴリーの見直しを含め検討を開始すべきことを政府に意見として申し上げたところでございます。
 ただいま申しましたこの意見は、医薬品につきましては、有効性と安全性はもとより、副作用による被害の防止が医薬品の規制の基本である、この点は前提といたしつつも、薬はすべて専門家による対面販売、服薬指導が不可欠という判断に対しまして、少なくとも大衆薬についてはすべてがそうであろうか、見直す余地はないのであろうかという認識で御議論いただいたものと考えております。
 委員会では、先ほど申し上げました意見の取りまとめまでの間に、医療関係団体やそれから消費者団体等にヒアリングを行うなどによりましてさまざまな意見や要望をお聞かせいただきましたし、昨年にはまた当委員会でも御議論いただいたところでございます。委員会では、結果、具体的な内容にさらに議論を深化するためには引き続き実態等をよく見る必要があるという御議論もございまして、先ほど冒頭申し上げましたように、規制のあり方につきまして検討を開始すべきことを意見としてお出ししたわけでございます。
 当委員会といたしましては、厚生省におきます検討状況を見ながら、今年度以降におきましても引き続きまして医薬品販売規制とその実態、副作用の実態等について調査をさせていただきまして、医薬品販売規制の望ましいあり方について引き続き検討する、これが委員会の現段階の方針でございます。
 御指摘のように、今ここで御議論いただいております薬事法改正の趣旨も、当然これもよく御認識いただきまして御議論していただくものと思っております。
○常田享詳君 去年の暮れには市販の風邪薬で大変重い副作用が出ておりますし、ことしの三月には漢方薬の小柴胡湯で八十八人が間質性肺炎、うち十人が死亡するというような事故も起こっているわけですから、こういう点を踏まえていただいて、私は行政改革委員会に薬の専門家を、専門家が入ってないんですね、専門家が入ってない状況でどんどんと話がされているという恐ろしい状況でありまして、専門家をぜひとも加えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後に、厚生大臣に最後の質問をさせていただきます。
 エイズ問題、それからソリブジン問題等により業務行政に対する国民の信頼が残念ながら大きく損なわれているわけであります。今後、これらの問題についてどのように信頼回復をしていくか、その決意を伺いたいと思います。
 あわせて、当時の業務局長の持永さんが、私は業務局長をしていたけれども専門家でなくてよくわからなかった、専門家でないからよくわからなかったとおっしゃっている。専門家でない方が例えば非加熱製剤の回収命令を厚生大臣に最終的に具申するべきところにおられるというようなことでは私は困るわけであります。そういう意味から、緊急判断ができる専門家を業務局長に置くべきではないかと私は思うわけでありまして、そして責任と権限を与えるということであろうと思います。そのことについてもあわせて、持永さんの発言についてどういうふうに思われるかお聞きして、質問を終わります。
○国務大臣(菅直人君) 今回の薬害エイズの問題で厚生省の特に薬事行政が問われているということはそのとおりだと思います。
 そういった意味では、これまで省内におけるいろいろな調査、さらには本院を含め国会におけるいろいろな調査、さらに捜査機関なども動いておりますし、また厚生科学会議で御指摘をいただいたものを受けて、できれば何とか第三者による調査委員会といったものをスタートさせたいと、このように考えております。
 こういったことを通して、まず当時のいろいろなことについてどういういわば落ち度があったのか、失敗があったのか、間違いがあったのか、そういうことを明確にしつつ、その上に立ってこれからの薬事行政をどのように変えていくのか、そういった方向で、医薬品による健康被害が再度発生しないような、そういう体制をつくっていくことが国民の皆さんに対する信頼を回復する上での一つの大きな課題だと、このように受けとめております。
 今、当時の業務局長の発言についての御指摘ですが、確かに一般的に申し上げても、例えば私も薬事法を読んでおりまして、いろんなところに「厚生大臣は」という主語で書かれている。じゃ、厚生大臣が薬の専門家であるかといえば、もちろん専門家の方がなられることもあるかもしれないけれども、一般的に言えば薬ということ自体の専門家ではないわけでありまして、そういう意味ではそういういろいろな部署に、必要なところには専門家が配置をされ、そういう中からいわば積み重なってきた中での判断を最終的にはするのが例えば厚生大臣の役目であろうと思っております。
 ですから、それぞれの部署が必ずしも何かその中身についての専門家である必要があるのか、あるいは必ずしもそうではなくても、きちっと必要な専門的な意見を、何といいましょうか、必要な人からきちんと聞いた中でどちらが正しいかどちらが適切か判断できれば、それはそれで務まる場面も多いと思います。一般的に言ってそういう部署が大部分ではないかと思っております。
 そういう点では、私は、それぞれの行政の部署にいる人はやはり当然ながらその部署に期待されている権限と責任については十分に自覚をしてその仕事に当たるべきだろう、このように今考えております。
○竹村泰子君 今回の薬事法の改正でありますけれども、これはソリブジン問題等の反省に立って治験の充実強化また承認審査の充実強化、特例的な緊急輸入許可、市販後の対策の充実などを目指して改正案が提出されているというふうに思います。
   〔委員長退席、理事朝日俊弘君着席〕
 そこで質問を申し上げますけれども、現在の業務行政、これにつきましてはけさほどからもうずっと同僚の議員たちが質問を申し上げておりますけれども、安全確保のための規制と指導育成の業界対策とを同一局で取り扱っているということがそれでよろしいのかと思うわけです。
 これまでサリドマイド、スモン、クロロキン、ソリブジン、HIVとまだまだこうやって繰り返されてきた後を絶たぬ薬害の問題、こういったことをどうすればいいのかということで私も厚生省から医薬品による健康被害の再発防止対策に関するプロジェクトチームの設置目的、あるいは体制のあり方などをいただき、また最近は六月十日発行の厚生科学会議の「厚生科学と健康被害防止のための行政のあり方」を読ませていただきました。
 この中に幾つか、私も大変いいことを検討してくださっているということを思うんです。
 先ほど申しましたとおり、安全性、信頼性確保が目的であるならば、現在の法機構の抜本改革をやっぱり検討する必要があるのではないだろうかと。厚生省は業務行政への信頼回復のための自助努力、そしてそういったことからいえば、大変総論的になって恐縮ですけれども、国家公務員の天下りを定めた国家公務員法百三条などとは別に、当分の間OBの製薬企業への天下りは自粛するべきではないか、こういったことを思いながらきょう質問に立たせていただいているわけでありますけれども、これらのことについてどうお思いになりますでしょうか。
○国務大臣(菅直人君) 先ほどもどなたかに御指摘をいただいたんですが、薬事法の第一条を見ておりますと、今、竹村委員も言われましたいわゆる医薬品の安全性の確保ということが述べられております。と同時に、医薬品の有効性とか医療用具を含めた品質の問題、さらには医療上特に必要性の高い医薬品などの研究開発といったこともあわせて述べられております。
 私は、薬事行政という物の考え方は、この第一条も昭和五十四年改正によって盛り込まれたと聞いておりますが、基本的にはこの現在の薬事法の「目的」に一応の大きな方向は示されていると思うわけです。ただ、その有効性とか安全性の確保ということと、確かにいわゆる製薬企業のある意味での保護育成ということをどのような形で両立させ、場合によってはある種の緊張関係の中でチェックをしていくかということはこれからの薬事行政としては考えなければならないと思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、薬の開発とか治験とか承認とか副作用というのはかなりこれは、何といいましょうか、関連をしているために、余りばらばらにしてしまうと逆に一つの薬のメリットとデメリットを総合的に判断することができなくなっても問題ですので、そういうところは総合的に判断できるようにするけれども、同時に透明性が高い形で必ずどういう資料でどういう形で判断したかということが明らかになるといった、そういう形でのチェックといいますか歯どめというものもあっていいのではないかと思っております。
 また、天下りについては、せんだって厚生省としてこの薬害エイズの問題について一定の処分をしたときに、同時に事務次官、官房長及び業務局長、業務局の指定職、つまり局長と審議官ですが、これらを経験した者が製薬企業の役員に再就職することについては自粛をする、こういうことを省内で決めまして発表をいたしたところであります。
○竹村泰子君 この厚生科学会議のお出しになりました「薬害エイズ問題から何を学ぶべきか」、これを見ておりまして、今こういった大きなHIV薬害の問題が出てきている中でのこの薬事法の改正でありますから、少し触れないわけにはいかないと思うんです。
 今回の薬害エイズのような失敗がなぜ繰り返されるのか、なぜ過去の失敗に学ばなかったのか、そういったことで厚生省は一応の処罰をなさったんですけれども、要因の一つ一つに対して手を打つという原因指向型の調査をしていかなければ、日本では責任追求型の調査が優先する余り、諸要因を洗い出すということの方が背景要因として論じられる程度になってしまっていると、これは柳田邦男さんがそんなふうに言っておられます。教訓が生かされない問題の第一はやっぱり記録が伝承されなかったということであるというふうなことも言っていらっしゃいます。
 やはり記録あるいは議事録、そういったものが一つの局できちんとまとめて保存されていく、伝承されていくということが非常に重要ではないかと私たちもこのエイズの審議に携わっていてそういうふうに思ったことでした。
 そういったことを踏まえながら少し質問を申し上げたいと思いますけれども、今度の問題でやはり、後でまた触れますけれども、どうすれば薬害の多発を防げるのだろうかということは、きっと菅大臣が一番頭を今悩ませていらっしゃる問題であるだろうと思います。
 その具体的な方法としては、後でお考えがあれば私も聞かせていただきたいというふうに思いますけれども、薬事法のこの抜本改正ということで言うならば、やはり二義性といいますか、法の第一条の目的に、「品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制」ということと、「必要性が高い医薬品及び医療用具の研究開発の促進」ということ、この二義性を持たせていると。これは平成五年の改正で二義性を持たせていること、そして薬害事件の多発という状況の中で、一般的に薬事法に求められる医薬品の品質、有効性及び安全性の確保のための必要な規制ということがやはり万全に果たされていないのではないかと私は思うんですね。
 それで、日本の国会では私たちが求めましてもなかなか証人喚問もできていないんですけれども、例えば、これも先ほどの科学会議のお出しになったもので柳田さんが発言していらっしゃいますけれども、「アメリカでは、大統領が臨時の調査委員会を設置して、そこに全権を委任して、調査権まで与えることのできる決定権を持っている。スペースシャトル事故のときには、利害関係のない五人から成るボードとその下にタスク・フォースを作り、膨大な資料や関係者からの証言を分析して調査を行った。」と。日本にはこういった事件の調査班が、委員会がないんですけれども、「航空機事故調査の例から見て、特別な法律がなくても、大臣の決定により、お金と人材集めさえ成功すれば、薬害エイズ問題に関する第三者的な委員会を作ることは可能ではないか。」、こういうふうに言っていらっしゃって、もちろん大臣もこの会議に出ておられますからお聞きになっていると思いますけれども、その辺で何かお考えがあれば御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 先ほど来、この厚生科学会議の報告の幾つかのところを引用されておりますが、私も竹村委員が今引用された幾つかのところが特に強く印象に残っております。
   〔理事朝日俊弘君退席、委員長着席〕
 最初のところで、先ほど言われました「処罰の対象とするという責任指向型の調査方法と、事故が起きた要因を明らかにして、その要因一つ一つに対して手を打つという原因指向型の調査方法の二つがある。」と。もちろん、これは両方必要だということだとは思いますが、ややもすれば、何といいましょうか、その段階である種の責任をだれかがとる、あるいはとらせることによって一応一段落してしまって、組織としてのいろいろなあり方の問題とかそういうものが結局は手がつかないでそのまま残ってしまうということも十分あるわけでありまして、そういう点では私は、責任指向型の調査というものはそれはそれとして重要ではありますけれども、今後の薬事行政のあり方ということを考える場合にはこの原因指向型の調査というものをやはりきちんとやらなければならないのではないかというふうに思っております。
 そういう中で、これも今御指摘のありましたアメリカのチャレンジャーの爆発のときのいろいろなことについて私も聞かせていただいておりますが、なかなかアメリカのように、何といいましょうか、大統領自身が選挙で選ばれて、そして大統領が多くのいろんなメンバーをポリティカルにアポイントする、つまりは政治的に指名するというシステムと違って、日本の場合は何らかの法律的なバックグラウンドがないとなかなか権限を付与することが難しいという状況もあります。
 しかし、ここで御指摘いただいているように、法律的な権限ということでは必ずしも十分ではなくても、社会的にきちんとした形をとることができればそれが大きな意味を持つという、そういうことも数多くあるわけですので、何とかここで言われているような第三者機関をつくれないかということで現在さらに努力をしている状況です。
○竹村泰子君 大臣というお立場でありますから軽々にいろいろなことをおっしゃれないというふうに思いますが、ぜひ御決断いただいて、かなりこれは大がかりな改革にならざるを得ないと思いますけれども、ぜひ英断を持って実行に移していただきたいなと私たちは期待もし、見ておりますので、協力を惜しみませんのでどうか頑張っていただきたいというふうに思います。
 それで、先ほどからたくさん治験のことがいろいろ出ておりましたのですけれども、治験実施について少しお伺いしたいと思います。
 製薬企業任せとなっている治験及び市販後調査のことについては、今度の改正で多少は責任をとることになってきたような思いがいたしますが、でもでも、まだまだ生ぬるいという感じがいたします。治験の実施内容やデータの信頼性等についてはやっぱり公的な責任というものをやはりきちんと厚生省が出さなければいけないのではないかと。そして、厚生省の内局及び外局的な医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構、過日この委員会で審議いたしましたこの機構に治験の業務も少しやらせようというふうなことなんですけれども、これはどういうふうにお考えなのでしょうか。
 厚生省の内局及び外局的な機関ではない第三者機関、しっかりとした第三者機関を充てるべきだと先ほど同僚の議員から御質問があったように思いますけれども、その辺のことはどう考えておられるのでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 今回の法改正の中の一番大きな点の一つが治験の水準を欧米並みの国際的に通用する水準まで引き上げる、そのための必要な規制を強化していこうというねらいがあるわけでございます。
 特に治験の段階におきましては今お話がございました承認申請データの取得ということが一つのねらいでございますので、そのデータがいかに科学的でしかも倫理的な配慮のもとに適正な治験が行われているかということが重要でございます。
 この治験の責任は、これは申すまでもなく治験依頼者であります企業が責任を持って計画立案をするわけでございますが、今まではそういった治験に関して相談をする、事前に相談をして、そしてこの内容について具体的に気軽に相談できるような体制というものがなかったわけでございます。FDAなどにおきましては、その機構そのものが最初からそういった相談指導も含めてやっておるわけでありますが、私どもの方は、今回、医薬品機構が今までの医薬品に関する専門的な知識を持ち、また中立公正な機関として活用していくことが適当ではないかということで治験相談を行ってもらいますとともに、治験を行います前に、届け出をして三十日以内に必要なチェックを行うというふうに今回いたしておるわけであります。
 これはFDAもそのような形でやっておるわけでありますが、その間にこの治験計画の内容を調査して、必要があればその変更を求める、場合によっては中止を求めることもあるわけでありますが、その治験届の内容の調査について医薬品機構に委託をし、そしてその調査に基づいて厚生省が必要な指示を行うという形をとりたいと考えておるわけであります。
 医薬品機構にそういった事務を委託することについてはいろいろ御議論があることは承知をしておりますけれども、やはり厚生省の中だけで必要な人材を確保していくということは現在の定員事情からいきますと非常に困難である、そういった意味で、本省の体制の充実強化を図るとともに、医薬品機構を活用して、その中でこういった治験の適正な実施に向けての調査業務をお願いし、それが全体のレベルアップにつなげていきたい、そういったねらいで機構に委託をしておるところでございます。
○竹村泰子君 非常にわかりにくいというか、どっちつかずというか、厚生省の治験あるいは薬剤の認可という部門をFDAのようにきちんと強力にして、先ほどから体制の違いが、アメリカでは千三百八十四人、日本は三十八人とかいうふうに出されておりますけれども、そこのところをきちんと強化して厚生省が公的な責任をちゃんととっていこうとしているのか、あるいは機構の方に少し治験あるいは認可の部分を、そちらに業務を譲っていこうとしていることは、もしかして将来的に公共性の高い、国家行政組織法第三条に基づくような新たな組織を設立していこうとしているのか、ちょっとよくわからないんですね。その辺のところは今お答えできないかなとも思いますけれども、もし答えられたら答えてください。
○政府委員(荒賀泰太君) 先ほど来大臣が答弁をさせていただいておりますように、業務行政全体の見直し、それから組織の関係も含めて今議論をしておるわけでありますが、それは今検討中ということで、私どもこの法案におきましては、今もういわば待ったなしといいますか、今この法改正をお願いし、そして一日も早く治験と承認審査と市販後の総合的な対策を、しかもこれは今回安全性ということに最重点を置いた改正でございますから、そのために現実的な実行し得る案として最適なものを選択したつもりでございます。もちろん、いろいろな御批判もあろうかとは思いますけれども、しかし今の状況の中でやはり機構を活用し、しかし最終的な責任はもちろん厚生省が負うわけでございますので、そういった責任体制は不明確にならないように十分配慮をしながら進めてまいりたい、このように考えております。
○竹村泰子君 よくわからないけれども、今の段階では仕方がないでしょう。
 それで、例えば先ほどから出ている治験に対するインフォームド・コンセントですけれども、これは欧米では、諸外国では法律で内容も厳しく規定されているというふうに聞いておりますけれども、日本では業務局長の通達であって、被験者に対するインフォームド・コンセントについては書面または口頭でもいいというふうになっているんですね。これはやはりきちんと文書による義務化をするべきではないかと思いますが、どうですか。
○政府委員(荒賀泰太君) GCPにつきましては、今回、法制化をいたしまして、厚生省令できちっと規定をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 インフォームド・コンセントにつきましては、諸外国においては既に文書による同意ということが行われておるわけでございますが、私どもとしても、文書による説明と同意というものが行われるように、今そういった方向で検討をいたしております。
○竹村泰子君 では次に、事故発生後被害を最小限にとどめる措置ということで、医薬品の性質上、安全性に万全を期したつもりでも副作用は排除できないのではないかと思います。併用副作用の発生など臨床試験段階では完全に把握することは不可能なのかなと、私は素人でございますけれども、そういうふうに思います。しかし、市販後の副作用や感染症情報の収集はやっぱり医薬品の使用を認めた国の第一責任として行われるべきであるというふうに思うんですね。また、伝達に対しても同様に基本的に現行を見直すべきだというふうに思います。
 そこで、過去の副作用被害事件、事故発生後被害を最小限にとどめる行政措置のおくれが被害を拡大したと。今度のHIVもそうでありますし、スモンなどもまさにそうであったというふうに思います。そのことを思えば、今回の幾つかの改正点の中で、被害発生の防止のための指示が、医療機関へも必要な指示ができる、あるいは薬局、薬剤師の情報提供、これも新規でありますが、患者への医薬品情報の提供が努力規定というふうになっているのは、今この時点でできるとか努力規定だとかというのは非常に生ぬるいという気がしてならないんですけれども、この辺は大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 今回の制度改正で市販後対策を強化する、これは大きな柱でございます。法改正事項としては、医薬品の副作用、感染症情報についての報告を義務づけること、それから医薬品の自主回収に着手した場合の報告を義務づける、そういったことで報告を受けて、そして厚生省として迅速な措置がとれるような、そういった構えを持って対応していきたいと考えております。
 それから、市販後調査、先ほどお話がございましたように、確かに治験段階での副作用というものを、これは数がどうしても限られてまいりますから、市販後にいろいろなデータをあわせてとっていく、特に市販直後の副作用の問題については集中的な注意を持って対応していく必要がある、このように考えておるわけでございます。そういったことを全体に対しまして市販後調査の実施基準、GPMSPというものを、これも従来は運用でやっておったわけでありますが、法制化をして、そして企業に遵守義務を課すということで義務づけをいたしておるわけでございます。
 特に、このGPMSPの法制化に当たりましては、開発部門よりも市販後の管理部門というものの体制が弱いということを踏まえまして、企業の中でも市販後対策に十分な組織と人材が投入できるような、そのようなことを通じて、仮に副作用被害が発生した場合に最小限にとどめることについて対策を強化いたしたい、このように考えております。
○竹村泰子君 各種措置の機敏に動く機動性というんですか、これを行政が今最も深刻に考えるべきなのではないかと思うんですね。
 現行の薬事法第五十六条「販売、製造等の禁止」、第六十九条の二「緊急命令」等の規定と運用、やはりこういった法的な規制は私企業の企業論理に基づいた活動と公共性の見合いから要請される。これは薬事法の基本的な役割、ベースでありますよね。その法文の見直しとともに、やはり運用上の見直しというか、市販後の見直しというか、そういうところも必要なのではないかと思いますが、そのあたりはどのようにお考えですか。
 短くて結構でございます。
○政府委員(荒賀泰太君) 先ほどお答えをいたしましたが、市販後の場合に副作用の報告義務あるいは感染症の報告義務、さらに自主回収に着手した場合の報告義務、こういったことはそれ自身が意味を持つと同時に、今お話のありました厚生大臣がいろいろな権限を持っているわけでありますが、それをいかにタイムリーに、そして機敏に対応していくか、そういった判断をするための条件整備といいますか、そういった側面もあるわけでございます。
 したがって、万が一被害が生じた場合のそれぞれの段階における必要な権限の行使については、今お話がありました六十九条の二の「緊急命令」等の措置が的確に発動できるように、これは私どもも日ごろからそのためのマニュアルをつくるとか、そういった基本的な幾つかの想定をしながら対応していきたい、このように考えております。
○竹村泰子君 そして、危険性情報の収集というか、それを収集してどう伝えていくかということなんですけれども、今度の教訓からいっても、この危険性情報の収集、伝達の対象は海外も含めて対象とするべきだということを痛い教訓として厚生省も思っておられると思いますけれども、するべきだと思います。
 それから、これは大臣にお聞きしたいと思いますけれども、薬害のHIV第四ルートの問題やソリブジン問題を初め、その危険性情報の伝達に今回は重要な欠陥が露呈して、最終使用者、ユーザーと直接的に接する医師や医療機関または薬剤師への伝達、あるいはそこでの認識、そういうことがもう本当に大きな欠陥ということで露呈されたわけです。
 いろいろデータベースを集めたり、あるいはモニター病院の強化をしたり、いろいろと厚生省も工夫をしておられるようでありますけれども、再発防止への根本的な対応策を認識していらっしゃるというふうに思うのですけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 今回二つの問題、一つはソリブジンの問題、一つは薬害エイズの問題があるわけですが、ソリブジンの例などでは、一つは治験の段階でのいろいろな不十分さがあったということで、それが一つのきっかけですが、同時に国際的にも通用する治験ということで、治験についてのいろいろな制度の見直しといいましょうか、それを行っているわけです。同時に、薬害エイズの問題については、今回は緊急の特例的な使用の問題と感染症の報告といった問題、あるいは一部自主回収のときの報告といった形でいろいろな情報が厚生省にきちんと入ってくる、そのことをこの法律で少ししっかりさせたわけです。
 こういうことがはっきりしてくれば、その段階で現在ある法律に基づくさらなる回収命令等もかけられる、そういう形になっているわけであります。しかし、ではこれですべて十分かというふうに言われますと、衆議院の修正でも述べられておりますように、薬害エイズ問題の議論を踏まえて、必要な薬事行政の全般的な見直しというのは私も必要ではないかと思っております。
 その方向につきましては、先ほど来いろんな場面で議論をしておりますが、竹村委員からもお話のありました、いかにして情報がきちっと入ってくるかということと同時に、そういう問題をいわば業界育成という問題と切り離してきちっとした形で透明性の高い形で承認をする、あるいはいろいろな情報に対して対応する、チェックする、そういう体制を同時に整備する必要があるのではないか、このように考えております。
○竹村泰子君 今、大臣がお触れくださいましたが、衆議院の修正を踏まえて、再発防止とそれから薬事法及び薬事審議会の抜本改正に向けてしっかりと頑張っていただきたいというふうに思います。
 それでは、少し変わりまして、先ほど中島委員もお触れでしたけれども、今回の国保京北病院、この事件の事実関係はどのように認識しておられるでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 今回の京北病院の事件の事実関係ということでございますが、現在捜査当局による捜査が進められている段階でございまして、率直に申し上げて、私どもが承知をしておりますのは新聞等で報道されている内容でございます。
 今回のこのいわゆる安楽死の問題につきましては、今まで承知している範囲では、本人へのがんの告知あるいは本人のその時点での意思の表明、そういうようなものが行われていなかったのではないか、あるいは、一部で言われておりますように、院長の判断でやられて、主治医の医師は関与していなかったのではないかといったようなことは承知をしておりますが、ただ、いずれにしてもまだ現在捜査中でございますので、私どもとしては捜査当局の捜査状況を見守ってまいりたいと思いますし、またその推移の中で必要に応じて情報の収集に努めてまいりたいと考えております。
○竹村泰子君 本人の同意が得られていなかったというふうに伝えられておりますし、今触れられた同僚の医師や看護婦などとも相談していなかったのではないかというふうに伝えられております。厚生省としてはまだはっきりとした事実関係をつかんでおられないということですが、こうした点にもさっきから出ておりますインフォームド・コンセントが医療の現場で根づいていないことがあらわれているのではないかと思います。
 インフォームド・コンセント、私も余りお医者さんにかからないのでわからないんですけれども、インフォームドはされるけれども同意は得られていないのじゃないか、説明しましたということでもうインフォームド・コンセントというふうなことになっているのではないかと思われますけれども、今後どのように進めていく御決意か伺いたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 確かに医療の現場におきまして医師と患者との信頼関係を支える方法としていわゆるインフォームド・コンセントの考え方は重要なことだというふうに認識をしています。
 そのことにつきましては、先ほども触れさせていただきましたけれども、昨年の六月にインフォームド・コンセントの在り方に関する検討会、座長が柳田邦男先生でございましたけれども、での報告書がまとめられております。この報告書の中でも、よりよい医療の基盤づくりのための新しい患者・医療従事者関係のあり方を追求する上でインフォームド・コンセントがなくてはならない手段というふうに位置づけられております。
 厚生省におきましては、平成七年度には講習会等を実施いたしました。また、八年度予算におきましても、病院の管理者等に対する研修会の実施というようなことを盛り込んでいるところでございます。
 なお、この問題につきましては、その後医療審議会でも御議論がございまして、医療審議会の報告におきましては、医療の担い手は、医療提供に当たり、適切な説明を行い、患者の理解を得るよう努める旨の規定を医療法に位置づけるべきだという御意見をいただいておりまして、現在この医療法を改正して医療提供に当たっての患者への説明を医師等の努力規定として位置づけることで検討しているところでございます。
○竹村泰子君 さっき局長おっしゃいましたけれども、同僚の医師や看護婦などとも相談していなかったと。個人的に決めて、そして筋肉を弛緩させるものを投与したというようなことを聞いておりますけれども、厚生省が力を入れていらっしゃるチーム医療、このことが実際に行われていたら今回のような事件にはならなかったのではないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(谷修一君) まず、チーム医療と今回の京北病院におきます安楽死事件と言っていいのかどうかわかりませんが、との関係については、先ほど申しましたように、現在この事件そのものについて警察が捜査中でございますし、先ほどちょっと申しましたように、院長がこの亡くなられた患者さんと非常に親しかった、この院長さんが一人でやられたというようなことが伝えられているわけでございますけれども、今の段階ではこの病院との関係においてチーム医療がどうだったかということについてはコメントを差し控えさせていただきたいと思っております。
 ただ、一般的に現在の医療において一人の医師がすべてを決定する、あるいは一人の医師あるいは医療従事者が一人ですべてができるといったような状況にはないのじゃないかということは認識をしておりまして、そういう意味ではあらゆる医療従事者がそれぞれの立場から患者にとって最適と考えられる医療を提供する、そういう努力をするといったいわゆるチーム医療が重要であるということは認識をしております。
 いずれにいたしましても、先ほどの話に戻りますが、今回の事件を個別に判断するということはできませんが、一般論としてはチーム医療によって医療の質の向上を図っていくということが期待されると考えております。
○竹村泰子君 安楽死という非常に大きなテーマも絡んできますし、人間の命にかかわる大変重要な問題であると思いますけれども、私たちもこのようなことが起きないような医療体制、医療現場にしていただきたいと切に願うところでございます。
 ところで、先日同僚の西山委員が質問をなさいました陣痛促進剤のことについて少し御説明したいと思います。
 お手元にお配りしました資料がありますけれども、これの意味がおわかりでしょうか。赤ちゃんの誕生はこんなに操作されているんです。大人のあるいは医療関係者の都合の悪いときに赤ちゃんは産めない、産まないんですね。
 この@の資料の方を見ていただきますと、これはつけ加えておきますと、厚生省の人口動態統計課のデータを表にしたものでございます。これを見ていただきますと、まず一月、お正月の一、二、三の三日間、赤ちゃんは生まれていないんですね。土日はずっと出生率が下がるわけですね。そして、今度は四月の末と五月の連休を見ていただきたいんですけれども、四月、五月、真ん中のあたりですが、この二十八、二十九、三十あたり、それから連休の三、四、五、六、ここのところがどかんと下がっています。この辺は赤ちゃんが生まれてもらっちゃ困るわけですね。それから、暮れの十二月、十二月はやっぱりお医者さんもお休みしたいから、そこのところはちょっと生まれてもらっちゃ困るんで早く産ませちゃおうということで陣痛促進剤が、この山になっているところ、特に休日の前には陣痛促進剤が非常に多く使われるという、これは本当にきれいな表になっているのがおわかりいただけると思います。
 それから、次の棒グラフでありますけれども、これは、過去十年間、病院・診療所で生まれたこれだけの数の赤ちゃんの時間別の分布図です。一番多いのが、これは医療体制の手の一番濃いときということもあるのでしょうけれども、午前九時から午後六時ぐらいまでの間が一番赤ちゃんが多く生まれるのでございます。自然に任せれば赤ちゃんの誕生は実は夜中から明け方が一番多いのだということを聞いたことがありますけれども、赤ちゃんはこうやって陣痛促進剤などで操作されているということの一つの例でございます。
 朝日の記事がつけ加えてありますけれども、先日、西山議員の質問の中にもありましたが、これは「基準改定後 母子七人」ということなんですけれども、少し下の方の段を見ていただきますと、「七〇年代以降、今回明らかになった十件を含め百二十件の事故」、「このうち死者は子供が五十二人、母親が十七人。」というふうなデータが出ておりますが、この辺がこの調査をした陣痛促進剤による被害を考える会の数字と厚生省の数字と違うんですね。
 それで、もう一度調査をきちんとやり直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 陣痛促進剤の問題でございますが、平成四年十月に陣痛促進剤の「使用上の注意」に母体、胎児に対する安全性に十分考慮して分娩の進行に必要な最小限にとどめるという記載をするなど繰り返しこの適正使用についての関係者への注意を喚起したところでございます。
 しかしながら、この平成四年十月の改定後も、陣痛促進剤を使用したところ、子宮破裂等を起こして死亡した症例、あるいは脳性麻痺の子供が続発しているという指摘がございまして、平成七年十月に厚生省におきましては、製薬企業に対してこの副作用の発現の実態についての医療機関に対する調査を行うように指示をいたしまして、報告を求めたわけでございます。
 昨年十一月から本年一月までの調査結果によりますと、平成四年十月以降に発生した症例が二十三例、そのうち母体死亡が二例、胎児・新生児死亡は七例等でございます。また、二種類の陣痛促進剤を同時に併用するなどの禁忌の使用法があるというような事例もあったわけでございます。
 ことしの二月十四日でございますが、厚生省におきましては、添付文書に新たに子宮破裂の危険性等につきまして警告欄を設けまして、安全対策について改めて伝達するように関係企業を指導いたしますとともに、日本産科婦人科学会でありますとかあるいは日本母性保護産婦人科医会に対しまして、会員向けの情報誌あるいは卒後研修等を活用した子宮収縮剤の安全で適正な使用の周知徹底について図ったところでございます。
 そういったことで、私どもの方もこのことにつきましてはさらに今調査をいたしておるわけでございますが、団体から出されておりました症例をもとに企業が収集した副作用の症例との突合をいたしております。そして、中薬審の専門家によります検討をするということで今調査を行っておるところでございます。
○竹村泰子君 先ほど見ていただきました病院と助産所の出産の分布、助産所は余り偏りがないのに病院は平日の昼間に集中している、病院が陣痛促進剤の使用などにより病院の都合のいいように出産時期をコントロールしている、まさにそのデータであると思います。このような危険を伴う、必ずとは言いませんが、危険を伴う例が多くあるものを使う、こうしたコントロール、病院の都合による患者不在のまさに医療ではないかというふうに思います。今、調査をし直しているというふうなお返事でしたけれども、ぜひこういったことをきちんと調査し、そして自然に反するような、そういうことをなるべく医療の現場でしなくてもいいような、そういう行政指導をしていただきたいと痛切に思うわけでございます。
 では、もう余り時間がなくなりましたので、丸山ワクチンについてちょっとお伺いをしたいと思います。
 これは、実は菅大臣が社労委員でいらっしゃった間非常に熱心に丸山ワクチンのことを質問しておられまして、私も議事録をまた改めて拝読いたしました。丸山ワクチンのことはもう詳しく言わなくても皆さんおわかりだと思いますけれども、丸山ワクチンが使用され始めましてからもう十七、八年、そして今は三十二万人に及ぶ患者、そして紹介医師数も二万数千名に達している。使用患者のほとんどは末期のがんであり、しかもほかの既存の治療では効果が得られなかったためにこの丸山ワクチンを使ってかなり日常的にとてもいい結果を得ている方が多いということで、丸山ワクチンの今の有償治験という中途半端な形、これをいつまで続けていくのか、私は菅大臣にお考えを聞かせていただきたいと思います。
 この壁は一般に四つぐらいあるのではないかと、これを承認に導けない壁は。腫瘍の縮小率、これがやっぱりきちんと出せない。それから、なぜ効能があるのかが解明できていないということ。それから、厚生省の医療費抑制の壁もあるのではないかとか、あるいは中薬審と学会の間に製薬メーカーの影がちらちらというふうないろいろな壁があるというふうに聞いておりますけれども、菅大臣が一番お詳しいと思いますのでお考えを聞かせていただきまして、三十二万人の人々のために継続をしてほしい、決してその使用を打ち切らないでほしい、そして承認に向けて御決断をいただきたいというお願いでございます。大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(菅直人君) 今、竹村さんがおっしゃったように、私もこの件についてはかなり早い時点から社会労働委員会などで取り上げてまいりました。
 それはそれとしまして、現在の状況を、まだ詳細には把握しておりませんが、一応の状況を御報告申し上げますと、丸山ワクチンにつきましてはゼリア新薬工業が昭和五十六年の中央薬事審議会答申で附帯意見が付されているわけであります。
 一つは、医薬品の恒常性を確保するため、規格及び試験方法の確立。二つ目は、動物実験の不備な点の充足、また人への至適用量の設定。三つは、新たな臨床試験成績の収集。こういったことについて検討を行ってきており、一の規格及び試験方法、二の動物実験は終了している。そういうことでいえば三がまだ継続しているということになるわけです。
 臨床試験については、丸山ワクチンの抗がん剤としての効果を実証するに足る資料を得るため、期間を区切って試験を行っているわけですが、現在四回目の延長中で、この有償治験の期間が平成九年度末に、次の一つの延長されているところが平成九年度末でありまして、このときをめどにして有償治験の臨床試験を継続している、こういう状況になっております。
 この件につきまして私もまだ詳細にその後の動きを調査しておりませんので今私が個人的な思いで物を言うということもできませんが、この有償治験という形がやや異例の形であるということは御指摘のとおりですし、また一方では大変長い時間にわたって多くの人に使われているということの実際の状況もよく承知をいたしておりますので、どういう形でこの承認申請について検討が、さらに必要なことについてどう検討すべきところが残っているのかについてはもう一度よく状況を把握してみたいと、このように考えております。
○竹村泰子君 ありがとうございます。
 今の問題では例えば抗がん剤の副作用被害が随分報告されております。例えば効き目が強いと言われている抗がん剤イリノテカン、そのイリノテカンによる臨床試験で副作用による死亡が五十五人に上っていたというふうな報道がされているような、ほかにも抗がん剤、ソリブジンも抗がん剤との併用でありましたし、たくさんの被害が報告されている中で、やはり丸山ワクチン、一生懸命がん患者のために頑張ってきたと思うんですね。
 ですから、ぜひ大臣の御決断をお願い申し上げたいのと、それから薬事審をやはり大臣の御英断で改革するべきであると先ほど申し上げましたけれども、ぜひ大きな改革を目指して大臣に頑張っていただきたい。
 最後に、もしよければ一言お答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 先ほどの答弁の続きにもなりますが、厚生省として今後の臨床試験の進捗を見守り、試験データが提出された場合に適切に審査を行うこととしているというのが現在の状況であります。
 中央薬事審議会のあり方につきましては、実はつい数日前、中央薬事審議会の南原会長と高久会長代理にお会いをいたしまして、中央薬事審議会の公開のあり方、あるいは今後中央薬事審議会で薬の承認という問題だけでなくてまさに薬事行政のあり方などについて議論をいただく場合には、今のように薬の専門家だけではない、もうちょっと幅広い人を加えていただいた方がいいのではないかと。これはもしかしたら厚生省として考えなきゃいけないことかもしれませんが、まず当事者である会長、会長代理ともお話をさせていただきました。
 中央薬事審議会、先ほど来の議論のように大変大きな組織でありますが、逆に言いますと皆さんは忙しい本業をお持ちの方でありますので、その中央薬事審議会全体が医療行政の中でどういう位置づけになって、どうなっているかというシステム的な考え方で参加をいただいているというよりも、自分の専門の分野でそれぞれ参加いただいているものですから、そういった問題を含めて、ある意味では一緒になって今後の中薬審のあり方については考えてみたいと、そういう趣旨で割とざっくばらんなお話をさせていただきましたので、今後の中薬審の改革の一つの取っかかりになるのではないかと期待をいたしております。
○竹村泰子君 ありがとうございました。
○西山登紀子君 まず最初に、大臣にお伺いしたいわけですけれども、本改正案に対しましてスモンの会やそれからHIV訴訟原告団、それから弁護団から意見が出されているわけです。改正案は一歩前進だと思うけれども、薬害の発生を抜本的に防止をしていく、そういう抜本的な制度改正を行うという姿勢がまだ弱いのではないかということで具体的な提言をたくさんなさっているわけです。私はやはりこれは耳を傾ける必要があるだろうというふうに思います。
 法案も修正されてまいりましたけれども、この修正された部分、非常に重要ではないかと思うわけです。薬害の再発防止のためには薬害エイズの真相究明、これがやはり不可欠ではないかと思います。もちろん、大臣もいろいろな努力をされてこられましたし、私たちもいろいろ努力をしてきたところでございますけれども、まだまだ真相の核心の部分というものはやみの中であるというふうにも思うわけです。なぜサリドマイドやスモンの教訓が生かされなかったのか、それから世界的に見ても血友病の患者の四割が感染をするというような恐ろしい、ヘモフィリアホロコースト、こういうふうな言葉を原告の方が言われるわけですけれども、そういう恐ろしい被害がどうして起きたのかというようなことについてもっともっと検討していく必要があるだろうし、私は真相の究明なくして再発防止なし、こういうふうにも思っているわけです。
 そこで大臣にお伺いしますけれども、本改正というのは薬害防止、薬害の被害をなくすための一歩であって、決して終わりであってはならないと思いますが、その点での大臣の御決意を最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 御承知のように、今回の法律改正は、ソリブジンによる副作用問題を踏まえ、治験、承認審査、市販後の医薬品の総合的な安全確保を講ずるということが一つのきっかけでありまして、またそれに加えまして、血液製剤投与によるエイズ問題について緊急に必要となる措置として、特例許可あるいは感染症の発生などを盛り込んだわけであります。
 そういった意味では、今御指摘のとおり、このHIV感染問題に関しましては、本院を含めまだまだ議論が続いておりますし、厚生科学会議の議論を踏まえて、第三者による何らかの調査委員会をつくるということについても今努力中であるわけであります。
 また、御指摘をいただきましたように、衆議院の審議におきまして、「政府は、血液製剤の投与によるエイズ問題を踏まえ、医薬品等による健康被害を防止するための措置に関し、速やかに総合的な検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。」という修正もいただいておりまして、その趣旨もあわせて重く受けとめ、今後さらに必要な薬事行政の改革を目指していかなければならない、このように考えております。
○西山登紀子君 私は、きょうは医薬品の審査検定に関して国立予防衛生研究所の問題について質問をしたいと思いますが、以下予研と呼ばせていただきます。
 薬害エイズの問題について、この予研の責任も非常に重大だと思うわけです。予研はアメリカのCDC、国立防疫センターの週報はもちろんのこと、エイズなど感染症に関する世界の最新の情報が日本で一番集中するところであると思うんですけれども、この点はそのとおりですね。
○政府委員(亀田克彦君) 予防衛生研究所でございますが、御案内のように、感染症に関しまして病原及び病因の検索を行う、予防・治療法の研究を行う、また疫学的な調査研究等を行う、こういう国立の試験研究機関でございます。そういうことから、この研究所の役割を適切に果たしていくためには感染症に関する情報を迅速に収集し評価をしていくことが重要である、こういうふうに考えております。
 このため、お話しのエイズにつきましては、昭和六十二年四月にエイズ研究センターを新設するとともに、その他の感染症につきましても、平成四年七月でございますが、感染症疫学部を新設いたしまして、これらによりまして感染症情報の収集に努めておる、こういうところでございます。
○西山登紀子君 荒賀局長は、衆議院の答弁の中で、アメリカのCDCに相当するというふうにおっしゃったわけですけれども、規模におきましても機能においても私は少し違うんじゃないかと思います。しかし、CDCの疾病週報、MMWRという週報は即座にこの予研は収集をしていたはずであります。八二年七月に血友病患者三人のうち二人がカリニ肺炎で死亡するだとかという情報、最新の情報を刻々と予研は得ていた、かなりの情報を得ていたということは明白であります。
 しかも、このような海外の最新の情報を踏まえた上で、こういうふうな論文が出されているんです。八三年度、昭和五十八年度の厚生省の血液事業研究報告には、予研の当時の血液製剤部長であります安田純一さん、この方はエイズ研究班のメンバーのお一人ですが、この方が「AIDSと血液製剤、特に血液凝固因子製剤について」と題する論文をその血液事業研究報告の中に発表されているわけです。その研究論文を読ませていただいて私は本当に驚きました。こういうことが書かれているわけです。当時、ですから八三年度でございますが、その当時、こういうことまできちっと書かれているわけです。つまり、血友病患者からのエイズの発症という問題について書いているわけですけれども、少し御紹介したいと思います。
 一般的常識の域を出ないスクリーニングしか経ていない血液を原材料とした血漿分画製剤が米国から流入しているという事実を率直に認めなくてはならない。言いかえれば、凝固因子の濃縮製剤によるAIDS感染の危険は、日本の血友病患者にとって米国の同程度以下ではあり得ない。もし、米国において赤十字の献血血液由来の製品の危険率が市販の製品より低いと仮定すれば、その供給を受けられないわが国の患者は、その分だけ米国の患者よりAIDS感染の危険が大きいといえるかもしれない。
と、これは予研の血液製剤部長、安田さんがこの論文に書いていらっしゃるわけです。
 そして、最後に安田さんはさらにこういうふうにも書いています。一九八三年五月にリスボンで行われた、英語で書かれていますが、日本語では欧州評議会の会議の中で緊急議題に取り上げられたエイズ対策のまとめを紹介したいということで書かれているんですが、
 特に2)の凝固因子製剤の献血血液からの国内自給の呼びかけと3)risk populationが存在する国の売血血液からの血漿および凝固因子製剤の輸入を避けるべきであるという勧告とは、言い古されていることではあるが、誌名そのまま「血の叫び」であると言うべきでなかろうか。
と、こういうことをリスボン会議の対策を紹介しながら予研の安田さんが書かれているわけです。
 当時、こうした見解が厚生省のエイズ対策になぜ生かされなかったのでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 御指摘のエイズ研究班分担報告で今お話しのございましたエイズの発症・感染対策、あるいはこの欧州共同体のリスボンの議論を引用して国内自給でありますとか、あるいはリスクのある国からの輸入の回避というようなことの重要性を指摘しておるわけでございます。
 当時の状況としては、輸血用血液製剤がすべて献血によって賄われておりましたが、需要の増大します血漿分画製剤について多くは輸入に依存をしておりました。この凝固因子製剤をすべて国内自給で賄うためには、クリオの場合には約二百万人、あるいは濃縮製剤の場合は約五百万人分の献血を新たに得なければならないというようなことで、これを短期間のうちに達成することは困難であったというふうにも考えられるわけでございます。
 しかし、現時点で考えますと、裁判所の所見にも示しておりますように、当時血友病患者がエイズに罹患する危険性、あるいはエイズの重篤性についての認識が十分でなくて、危険性についての情報提供あるいはクリオ製剤への自給など、そういった期待された有効な方策をとることがなかったものというふうに考えております。
○西山登紀子君 それは経過の説明だと思うんですね。八四年三月二十九日のエイズ研究班に出された血液製剤小委員会の最終報告は、濃縮製剤の地位は動かしがたいと、全く逆の結論を報告しているではありませんか。私はなぜそれが生かされなかったかという問題を指摘したいと思うわけです。
 つまり、当時常識となっていた、エイズが血液製剤を介してウイルスとして伝播してくるというのは科学者の常識的な見解であったと和解の所見には書かれているわけですけれども、それが予研のこの論文でも私は裏づけされるだろうというふうに思うわけです。
 ところで、お配りいたしました資料を見ていただきたいんですけれども、予研が発行しております八四年度版の国立予防衛生研究所年報百四十七ページ、これは実物を見やすいように拡大しているわけですけれども、これに二つの研究論文が載っております。論文というか、報告ですね。その一つは、鳥取大学教授の例の栗村氏の研究、もう一つは「関東地区における血友病者のLAV抗体保有状況」という研究の紹介です。内容は詳しくは出ておりませんが、それには外来性ウイルス室長の北村氏が帝京大学の安部英氏と共同研究の形をとっているわけです。阿部の「阿」は間違っていますけれども、これは帝京大医の木下先生が前に、阿部英さんが後に出ておりますから、帝京大学の安部英先生に間違いはないと思います。共同研究をとっています。
 この共同研究はいつなされたんでしょうか。それから、北村氏が安部氏に依頼をして研究されたのか、関東の血友病患者というのは安部氏がギャロ博士に依頼した患者と同じか、またこの研究の学会発表はいつなされたか、教えてください。
○政府委員(亀田克彦君) 御質問の研究でございますが、昭和五十九年十一月ごろから翌年三月ごろにかけてでございますが、予研の腸内ウイルス部におきまして抗HIV抗体の検査方法を研究しておったわけでございますけれども、これを実際に血友病患者の血清中の抗HIV抗体の有無を測定することによりその妥当性を確認する、こういう目的で行ったと、こういうふうに承知をいたしております。
 お尋ねの、いつ行われたかでございますが、今お名前のございました北村元腸内ウイルス部外来性ウイルス室長から聴取をいたしましたところでは、昭和六十年の三月末ごろに予研におきましてHIVの抗原が作製されまして、それによりまして同年四月中旬以降、当該抗原を用いまして関東の血友病患者の血清中の抗HIV抗体を測定したと、こういう回答になってございます。
 それから、安部元帝京大教授が共同研究者の一人になっておる経緯でございますが、これも北村元室長によりますと、安部元教授が血友病患者の血清を保有しているとの情報を北村元室長が得まして、安部氏に依頼をしてその血清の提供を受けた、こういうことによりまして共同研究者ということになっておると、こういう回答でございました。
 また、関東の血友病患者の検体が安部元教授が米国のギャロ氏に検査を依頼しました検体と同一のものかどうかにつきましては、北村元室長によりますと、当時、安部元教授からは番号を付した血清の提供を受けたのみであり、安部元教授がギャロ氏に検査を依頼したものと同一のものである、そういう認識は当時なかったと、こういう回答になっております。
 それから最後に、この研究が学会発表されているかどうかでございますが、昨夜来、一生懸命調べたわけでございますが、昭和六十年十月七日の第三十三回日本ウイルス学会総会におきまして、本研究にかかわる抗体検査法の妥当性等についての研究発表が行われておるところでございます。
 この抄録が残されております。
 以上でございます。
○西山登紀子君 今、四月とおっしゃいましたね。これは八四年度版に載っているわけですから、十一月から三月の間に実験を始めたんでしょう。
○政府委員(亀田克彦君) 抗体検査法の研究をいたしましたのが五十九年の十一月ごろから三月ごろまで、三月ごろに予研独自の抗原をつくることができたということでございまして、実際にこの安部元教授から検体をいただいて検査を始めたのは四月中旬以降、こういうのが北村元室長の御回答でございます。
○西山登紀子君 おかしいんですね。これは八四年度版に載っているわけです。八四年度版ですから翌年の三月末日までの分が載っているんです。
 既に実験の結果は出ていますよ。現在までのところ五〇%が抗体陽性であることが判明をしたと、関東の血友病患者のLAV抗体をはかったところ、現在までのところ五〇%が抗体陽性であることが判明したというふうに実験の結果がこれに書かれているわけですから、それは八四年度中にこの結果が出ているということじゃないとそれはおかしいと思います。
 それで、毎日新聞にも一月に抗体検査をやったということとか、それから北村さんが安部氏とギャロ博士の結果とよく合っていますねというふうにお話をしているインタビューの記事だとか、それから広島大学名誉教授の芝田進午氏が直接北村氏にインタビューをされたときのお答えは、北村氏は安部氏がアメリカのNIHに送った同じ患者の血清をもらったというふうにお答えをされているわけです。私はその方が事実ではないかと思います。
 それで、ちょっと急ぎますのでお答えは簡潔にしていただきたいと思いますが、こういう重要な研究ですから北村氏の個人的な研究ではなかったと思うんですね。厚生省が仲介をして安部氏と北村氏を結びつけてといいますか、共同研究をさせるようにしたのではないかと思うんですが、どうですか。
○政府委員(亀田克彦君) 北村氏が安部氏から検体をもらった経緯でございますけれども、北村元室長によりますと、北村氏が直接安部元教授に検体の提供を依頼した、こういう回答になっております。
○西山登紀子君 ちょっと時間がありませんので急ぎますけれども、つまり私が思いますには、このギャロ報告を知って、国内で同じ安部氏の患者の血清を用いて予研でもそれの追試をしたと。そして、追試をしたところ、結果はギャロ報告と同じ結論になった。このときのウイルスというのはLAVというウイルスを使っているわけですが、ギャロ報告はLAVではなくてHTLVVというんですか、そういう名前で呼ばれているウイルス、このそれぞれのウイルスの抗体の陽性検査が同じかどうかというのは非常に注目をされていたわけであります。
 それで、八四年の十一月二十九日のエイズ調査検討委員会、ここで大変注目されますのは、私も先日参考人招致のところでこのことをあれしましたけれども、この検討委員会でそういうことが話し合われているのがメモでわかります。このウイルスの抗体測定については栗村のところでフランスから取り寄せて検討していると、いずれLAVの何とかに関する抗体の測定が可能になるだろう、アメリカに送らないとできないだろうかとか、いろいろそういうやりとりをしているというところから見て、私はこれはギャロ報告の追試を試みたのではないかと思います。それはそれとして、とにかくこの血友病患者の五〇%が陽性であったという結論、これは非常に重大です。
 ところで、予研の所長などは薬事審議会の委員になっているわけですから、この報告を薬事審議会にされていたのかどうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 御指摘の予研の報告につきましては、昭和五十九年、六十年の中薬審の血液製剤特別部会、それから血液製剤調査会の記録を調べたわけでございますが、報告されたとの記録は残っておりません。また、五十九年、六十年当時の所長は中薬審には所属をしておりませんが、所属をしておりました副所長に確認をいたしましたところ、中薬審に報告した記憶はないということでございました。また、当時の血液製剤部長は現在病気療養中のためにまだ確認ができておりません。
 今後、さらに血液製剤特別部会あるいは調査会の委員の方々に対して調査を行ってまいりたいと考えております。
○西山登紀子君 こういう重大なことを薬事審議会に予研が報告をしていないということは非常に重大ではないかと思うんですね。国内の血友病患者の五割が、五〇%が陽性であった、ウイルスに感染をしている、こういう恐るべき実態を薬事審議会に予研から報告がされていない、今のところされていないということですから、非常に重大だと思います。
 予研は厚生省にこの実験の結果を報告し、緊急な対策をとるべきだというような積極的な働きかけをしていたかどうか。
○政府委員(亀田克彦君) まず、厚生省への報告でございますけれども、北村元室長によりますと、厚生省へ報告したかどうか記憶はないという回答でございまして、現段階におきまして厚生省といたしまして当時の事実関係は把握し切れていない状況でございます。また、その上に働きかけをしたかどうかと、こういうことでございますが、これは北村元室長によりますと、自分としては厚生省へ働きかけを行った記憶はないと、こういう回答になってございます。
 なお、戻りまして恐縮でございますが、報告の件でございますが、先生御指摘のように、この調査研究につきましては昭和五十九年度の予研の年報に掲載されております。通常、年報は厚生省の関係部局に配付される、こういうことになっておりましたので……
○西山登紀子君 時間がないのでいいです。
○政府委員(亀田克彦君) わかりました。
 少なくとも年報という形では厚生省はいただいていたのではないかと、こう思います。
○西山登紀子君 大臣にお伺いしたいわけですけれども、予研がみずからの手で行っているこの重要な実験の結果、血友病の患者さんの半分がエイズウイルスに感染をしているというこのデータが薬事審議会にも厚生省にも緊急に提出されることなく何らの対策を立てることにもならなかったわけです。
 ギャロ報告を厚生省が知っていたか知っていなかったか、私は知っていたと思いますけれども、しかし今のところ厚生省はこれを否定しております。ギャロ博士の手紙も出てきているんですけれども、否定をしている。そのことはきょうはちょっとおいておくとしても、予研自身が行ったこの研究の結果というのは、当然その時点で日本のエイズ対策の、例えば緊急輸入禁止だとか、治験が進んでいたわけですけれども、ストップさせてすぐにでも加熱を一変の処理として認めるだとか、クリオに戻るとか、そういう緊急の対策などの変更を迫るだけの非常に重要な研究結果であったというふうに思うわけです。
 大臣は、こういう予研の役割と責任、厚生省の責任についてどのように認識されていらっしゃいますか。
○国務大臣(菅直人君) 国立予防衛生研究所は、感染症に関する専門の国立試験研究機関として、国民の健康を脅かすおそれのある感染症に関する情報を入手したときは、当然のこととして速やかに厚生省の担当部局に情報提供を行う必要がある、そういうふうに考えております。
 したがって、御指摘の調査研究については、その結果が判明した段階で速やかに厚生省の担当部局に本来報告がなされるべきであったと考えております。しかし、現在のところはそのあたりについてはまだ事実関係が判明しておりません。それから先のことはちょっとわかりませんが、少なくとも予研においてこういった事実がわかっていたということであれば、当然のこととして何らかの対応をするのが予研という性格からしても当然であったと私は考えております。
○西山登紀子君 大臣もお認めになりましたように、私も本当にこれは重大な問題だというふうに思うんですね。予研が本当に重要な実験をしておきながら、この時点でこのことを公表もしなかったし、厚生省や薬事審議会にも報告していなかったとすれば、それは予研そのものにも責任があるでしょうし、もし報告されていたとすれば、そういうことを見過ごしていた厚生省の連帯の責任の問題もあるでしょうし、また予研が報告をしていないということについても当時の厚生省の責任は免れないというふうに思うわけです。
 次に、国家検定制度について移りたいと思うんですが、国家検定のシールが製剤にきちっと張られているということから、国家検定に合格しなければ販売できないということで予研の責任が問われているわけです。
 この国家検定の基準というのは厚生省の業務局が薬事審議会の答申を受けて策定する、そういうことですか。短くお願いします。
○政府委員(荒賀泰太君) 国家検定は検定基準に基づいて実施をするわけでございますが、検定基準の作成に当たりましては、血液製剤の品目ごとに中央薬事審議会の答申を受けて告示をされます生物学的な製剤基準に定められました試験の中から、これは国立予防衛生研究所の意見も聞きまして、高度な技術を必要とするものを検定基準として定めておりまして、業務局により告示の手続を行っておるところでございます。
○西山登紀子君 国家検定といえば、例えばお医者さんの国家試験なんかでもそうですけれども、非常に重要な重みを持ったものだと思うんです。
 しかし、これは調べてみて非常にずさんであるということに私は大変驚きました。例えば、同じ製剤でも第以因子はその検定からは除外をされています。初めから検定の対象ではありません。それから、この検定の対象は、原料は対象ではありません。予研の国家検定の対象というのは製品になってきた分、瓶に入った部分、それだけが検定の対象であるので、ウイルスの検査というのは製品になった段階ではできませんので、結局はその原料段階にまざっているウイルスの検定というのは全くフリーパス、そういうふうなことになっているわけです。
 ですから、予研の担当者がなぜ引き続き危険な製剤に国家検定というそのシールを発行し続けたのかと言われたときに、いや、予研は決められた検定基準をそのままやっていただけなんだ、その検定基準が変更にならなかったのであくまでも発行し続けたというふうな非常に事務的なお話がテレビニュースで流れたわけですけれども、こういう内容があったということを知りまして大変私は驚いています。
 そこで、それならその原料部分の製剤基準というのは、じゃ、どうだったかということですけれども、業務局監修の「生物学的製剤基準」に総則というのがあるんですが、その総則の三にHIVなどの抗体検査を行わなければならないという改定がされたのは九三年のことです。そして、それまではどうかといえば、厚生省の生物製剤課長の一片の通知で、六十一年、つまり一九八六年の九月に通知を出しまして、このエイズの抗体検査陰性のものに限りますという承認申請の一部を変更をしているわけです。
 大変私は驚きました。予研みずからが検査をして大変危険だということがわかっておきながら、しかしエイズ検査の指示を厚生省がいたしましたのは二年後の八六年の九月なんですね。
 どうしてこんなに遅くなったんでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) 我が国では昭和六十年五月に血友病患者のエイズ発症者が報告をされましたことから、社団法人の日本血液製剤協会を通じまして、米国の血液製剤あるいは原料血漿を輸入しておりますメーカーに対しまして、HIVの抗体検査スクリーニングの早期実施を要請する措置を講じたところでございます。
 それから、昭和六十一年九月には、我が国におきまして、献血血液にHIV抗体検査の陽性事例が確認されたことなどにかんがみまして、血液製剤の安全性について一層万全を期すという目的で、既に実施をしておりました輸入の血液製剤あるいは原料血液並びに国内の供血血液に対します抗体検査の徹底を図るよう、これは日本赤十字社あるいは社団法人の日本血液製剤協会を通じまして指導いたしますとともに、このHIV抗体検査の徹底を図るために承認申請の一部変更を指示いたしまして、原料血漿のHIV抗体検査を義務づけたところでございます。
 それから、平成五年にはそういったことで生物学的製剤基準の全面改正に際しまして、血液製剤の原料血漿につきましてはHIV抗体陰性のもののみが使用されたところでございますが、血液製剤の総則の中で、HIV抗体試験を行いまして陰性のものを原料として用いるような明確化を図ったものでございます。
○西山登紀子君 それも経過の説明であって、なぜそういうふうにおくれたのかという御説明にはならないと思います。
 予研は、みずからの研究として国内の血友病患者さんの五割がエイズウイルスに感染しているという検査結果を持っていながら、国家検定をとにかく続けたわけですよね。ストップさせるというようなことを厚生省に対して進言はしなかったんでしょうか。そういう事実はなかったですか。
○政府委員(荒賀泰太君) これは北村元室長によりますと、予研が厚生省の担当部局に進言しなかったのかについての記憶がないというふうにしておるわけでございます。
 先ほどお話も出ましたが、検定項目というものがございまして、それに製剤が適合するかどうかを公的にチェックをするという定められた一連の手続に従って実施をされるということがあったわけでございますが、確かに当時の状況はそのようであったかとは思いますが、現時点からいたしますと、そのあたりの取り扱いについては何らかの工夫があり得たのかなということも考えておるところでございます。
○西山登紀子君 北村室長がということではなくて予研が、予研の所長はそのように厚生省に進言はしなかったんでしょうか。みずからの研究所で重要な実験結果が出ているんだから、今この国家検定のシールを発行するのはやめなければいけないよというふうな進言を厚生省にしなかったんでしょうか。
○政府委員(荒賀泰太君) それは再度確認をいたしますが、現在までのところ、そういった情報は得ておりません。
○西山登紀子君 それでは最後に、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、私は今お話ししただけでもこの予研の国家検定のあり方、これはもう抜本的に検討し改善しなければいけないというふうに思うわけです。
 アメリカのCDCというのは、エイズについて国民の安全だとか世界の安全を考えていつも積極的な発信をしてきたというふうに思います。ところが、日本のこの予研というのは全く私は矛盾した行為をやってきていると思うわけですね。
 といいますのは、最も新しいCDCの情報を得ておきながら、一方で安全だという国家検定のラベルを発行し続けていると。また、みずからが研究をしたデータの中には、自国の血友病患者の中に五割もエイズウイルスの感染者がいるという事実を持っていながら、一方では国家検定のシールというか、ラベルというんですか、それを発行し続ける、また、最近明らかになった事実ですけれども、加熱が承認された後も一方で一万四千本も国家検定のシールを発行し続ける、こういうことを予研はやっているわけです。
 いわば、血液製剤による感染の危険を機構としては知りながら、検定ではいわばいいかげんに判を押すというんでしょうか、そういう危険な製剤の販売にむしろお墨つきを与えていくと。国家検定ということでシールが張ってあれば患者さんも安心するし、病院や医療関係者も安心すると思うんですね。ですから、逆にこれは被害を拡大をさせていったその責任の一端も予研にはあるのではないかと思うわけです。また、そういうふうにさせてきた厚生省全体の責任もあるだろうと思います。予研のあり方や国家検定のあり方を抜本的に検討し、改善することが再発防止にとって私は絶対に必要だと思うんです。
 感染症のこの問題というのは、決してエイズウイルスで終わりになるということではないと思いますので、その点の大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 確かにアメリカのCDCがこの問題では非常に早い段階でいろいろなシグナル、危険シグナルを送ったのに対して、今御指摘のように、国立予研の場合は、ある意味ではそういう同じような機能が期待されていたにもかかわらず、みずからの研究結果が出ていたという御指摘をいただいておりますが、そういうものがあった上で適切な助言なり行動なりがなかったということは大変残念ですし、当然ながら、この予研のその時点における、何といいましょうか、機能が十分に発揮できていないと言わざるを得ないという感じがいたしております。
 また、検定という制度につきましては、私もいろいろ聞いておりますが、現品になったもの、製品になったものの中の特定されたウイルスの存在みたいなことになるとなかなか難しいというか、制度そのものが難しくできているということを感じておりまして、その検定制度によっても、今度は新しく血液製剤が製造される工程について工程管理をするための基準などを定めて、より高度な品質確保対策を講じるようなことも検討したいと、こういうことを含めて予研のあり方、トータルも含めて薬事行政全体の見直しの中で考えていくべきだろう、そのように思っております。
○委員長(今井澄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時散会