第136回国会 厚生委員会薬害エイズ問題に関する小委員会 第3号
平成八年六月三日(月曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
   小委員の異動
 五月十七日
    辞任          常田 享詳君
 五月三十一日
    補欠選任        田浦  直君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        釘宮  磐君
    小委員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                大島 慶久君
                清水嘉与子君
                長峯  基君
                田浦  直君
                水島  裕君
                朝日 俊弘君
                竹村 泰子君
                西山登紀子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水野 国利君
   参考人
       自治医科大学長  高久 史麿君
       国立療養所中部
       病院・長寿医療
       研究センター院
       長        井形 昭弘君
       弁  護  士  光石 忠敬君
       東京都立駒込病
       院感染症科医長  根岸 昌功君
       東京大学医学部
       感染制御学教授  木村  哲君
       東京大学医科学
       研究所助教授   岡  慎一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○薬害エイズ問題に関する件
    ―――――――――――――
○小委員長(釘宮磐君) ただいまから厚生委員会薬害エイズ問題に関する小委員会を開会いたします。
 まず、小委員の異動について御報告いたします。
 委員の異動に伴い欠員となりました小委員の補欠として、去る五月三十一日、田浦直君が選任されました。
    ―――――――――――――
○小委員長(釘宮磐君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 薬害エイズ問題に関する調査のため、本日、参考人として、自治医科大学長高久史麿君、国立療養所中部病院・長寿医療研究センター院長井形昭弘君、弁護士光石忠敬君、東京都立駒込病院感染症科医長根岸昌功君、東京大学医学部感染制御学教授木村哲君及び東京大学医科学研究所助教授岡慎一君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小委員長(釘宮磐君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○小委員長(釘宮磐君) 薬害エイズ問題に関する件について調査を行います。
 本日は、本件について参考人の方々から御意見を求めることといたしております。
 まず、自治医科大学長の高久史麿君、国立療養所中部病院・長寿医療研究センター院長の井形昭弘君及び弁護士の光石忠敬君の三名に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ、当小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 本日は、薬害の再発防止につきまして参考人の皆様から忌憚のない御意見をお伺いし、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、高久参考人、井形参考人及び光石参考人の順序で、お一人十分程度の御意見をお述べいただき、その後、各小委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は御着席のままで結構でございます。
 それでは、高久参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。高久参考人。
○参考人(高久史麿君) 高久でございます。この場で薬害の再発防止について意見を述べよというお申し出でありますので、責任を持ってお答えしたいと思います。
 最初に、これは皆さん御存じのことでありますけれども、薬というものは副作用を持っているということを前提にしてその開発、臨床治験、承認、市販後の調査を行うべきであるということであります。
 そのためには、まず薬を開発する製薬企業の社内体制の整備というのが私は非常に重要ではないかと考えております。
 その一つとして、専門家の活用ということが言われております。欧米諸国に比べますと、日本の製薬企業でメディカルドクター、MDが、医師が働いている比率というのは非常に少ない。これは、ドクターになりますとどうしても臨床の最前線で患者さんを診たいという希望の方が多いものですから、ある程度はやむを得ないと思うんですけれども、本来ならばもう少し医学の専門家が製薬企業の中で働いて、薬の開発に積極的に関与すべきじゃないかというふうに私は考えております。
 さらに、もう一つの問題として、薬の臨床治験の内容をよくするためには製薬企業の役割は極めて重要でありますけれども、日本は欧米に、特にアメリカに比べますと治験の内容に対する製薬企業の発言権が弱いという印象を持っております。
 これは、恐らく市販された後の販売のことなどを考えているんだと思いますけれども、アメリカでは企業が治験の進行に対してかなり大きな権限を持っておりまして、後で申し上げますGCPなどを実施しない医療機関に対しては製薬企業の方がむしろ断るというようなことが行われていますけれども、日本ではそのような権限は製薬企業は持っていない。私どもは、ある程度責任がある以上、製薬企業が治験に対してもう少し権限を持ってもいいんではないかというように考えております。
 それから、これもよく言われていることでありますけれども、新しい薬剤の治験の実施に当たりましては、製薬企業、治験の依頼者と医療機関とそれから実際に治験を行う医師が、医薬品の臨床試験の実施に関する基準、これはGCPと言われておりまして、治験のデータの信頼性とそれから治験における患者さんの人権の保護ということをうたった基準でありますけれども、これについて十分にそれを守ることが非常に重要であると思っております。
 それから、次に申し上げたいことは、治験が行われて、その後厚生省で審査を受けて承認を受けるわけでありますけれども、我が国の審査承認機構の一層の充実を図る必要があるというふうに考えております。例えば、今度薬事法の改正で改められたと思いますけれども、従来は、例えば企業が治験届を出しますと、三十日たちますと自動的に治験を開始することができると。今回、アメリカとほぼ同じように、我が国でも届け出の出た治験の計画に対して審査をして、場合によっては改正あるいは改定とか、あるいは治験そのものを停止させることができるようになりましたけれども、従来その機能が余り働いていなかったということが一つの問題点であると思います。
 それから、各治験に関係する、これは業務局の審査課で行われるわけでありますけれども、それに該当する例えばアメリカのFDAの審査部門の担当者は、その審査に当たると同時に、専門家としての治験の内容の相談に当たっているわけでありますが、我が国ではそのような機構は全くございませんで、治験の依頼をする製薬企業とそれから治験の計画を立てて実施する治験の担当医師、それにすべてが任せられておりまして、最後に中央薬事審議会の調査部会で行われた治験の採否を決定するということになってきております。
 このことに対しましては外資系の企業ではかなり不満がありまして、アメリカのFDAではかなりその審査の方で治験の内容に関する相談とか指導が行われているのに、日本ではそれが全く行われずに、最後になって可否が決まる。可の場合はいいんですけれども、否の場合には非常に膨大なお金を使ってそれがすべてだめになるということに対しての不満がありました。
 今回の薬事法の改定で一応相談に応じるということになっているようでありますけれども、しかしながら、このような審査とか相談に応ずる担当の人の数を比較してみますと、例えばFDAでは千三百八十四人、ドイツでは五百人、イギリス二百四十四人、フランスでは百五十人という数になっていますけれども、それに当たる我が国の審査課はわずか三十八人と極めて少ないということになっております。この点なども非常に問題ではないかと思っています。
 私個人の考えでは、業務局での審査に当たる人たちの人数をさらに強化する必要があるのではないか、特に医学とか薬学の専門家の数をふやすべきではないかというふうに考えております。それで、これは全くの素人の意見でありますけれども、外からの意見でありますけれども、そのような強化というのは厚生省の中の人事の配置ということだけでは恐らく不十分であって、むしろ私は各省庁間の人員の枠を一度全部外して、お役人全体の数の再配分ということをできればやっていただければありがたい。というのは、これは言うまでもないことでありますけれども、人口の高齢化とか、あるいは医療費の問題でありますとか、今回の薬害の問題などを考えますと、我が国の将来の厚生省の役割というのは今後ますます増大するんじゃないかと考えておりますけれども、そういう意味でも強化をする必要があるんではないかというふうに考えています。
 そのほか、治験中、それから治験が終了した後の市販の際に起こった副作用を厚生省が速やかに入手して、かつそれを各医療機関の医師、薬剤師に直ちに伝達するシステムを構築する必要があると思います。また、副作用情報のデータベースもぜひつくる必要があると考えています。
 さらに、治験を行う医師に治験の実施に関する基準、先ほど申し上げましたGCPでありますけれども、そういう基準に関しての研修などを行うとともに、治験を行う医療機関を限定して、その機関での体制の整備、それから人材の養成、治験事務局の整備、医薬品情報管理室の整備などを、これはお金がかかると思いますけれども、治験が正しく行われるためにはそういう整備がぜひ必要ではないかと考えております。
 私の個人的な考えでは、今回の薬害エイズがなぜ起こったか、それはいろんな理由がたくさんあると思いますけれども、その一つには、現在の薬剤の治験審査・承認体制そのものにやはり原因となる欠陥があるのではないかというように考えておりまして、どういう欠陥があるかということを検討して、そういう欠陥が見出されたならば速やかに改めることが今後の薬害の再発の防止に最も重要であると考えております。
 ちょうど時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○小委員長(釘宮磐君) ありがとうございました。
 次に、井形参考人にお願いいたします。井形参考人。
○参考人(井形昭弘君) 井形でございます。
 私は、現在、国立中部病院・長寿医療研究センターの院長を務めておりますが、参考人として御指名をいただきまして、現在大きな社会問題になっている薬害エイズの問題につき、私の経験から若干の意見を申し上げたいと思います。
 この問題は、先生方が御議論になっておられるように、結果的に多くの犠牲者を出したわけでありまして、二度と繰り返してはならないということは言うまでもなく、私どもを含めて大いに反省を要するところでありましょうが、今回の場合は明らかに対策の誤りがあったということは私たちも痛感しておるところであります。当時の知見の中でいかに的確な判断ができたか、どうすべきであったか、お薬はメリットとデメリットがあるわけで、その時々によって情報の正確度も変わっておるわけでありますが、それを的確に判断し対策をとる態度が、あるいはそれを保証するシステムが絶対必要であるということを痛切に感じています。
 私は、実はスモンという薬害、これも二度と繰り返さないという厚生大臣のお約束で和解が成立したいきさつがございますが、に関係しておりました。
 昭和二十九年ごろから約一万名の犠牲者が出て、結局昭和四十五年にキノホルムという整腸剤が原因であることが決定する前に、薬事審議会は疑わしきは罰するという法則で、当時は石館守三という会長さんだったんですが、この方のすぐれた英断によって即座に中止が決定しまして、その後の発症を見事に食いとめた経緯があります。これは当時の新聞にもかなり高く評価されたことは先生方の御記憶にあるとおりであろうかと思いますが、これに当たりまして、私どももキノホルムが原因だということは論文でも発表いたしましたし、それを受けて、もう亡くなられました新潟大学の椿教授は、直接に厚生省に対して危険であるから即刻販売を停止すべきであるという提言をされたわけであります。
 これを受けまして、厚生省は直ちに中央薬事審議会に諮問されて、いろいろ調査は行われたわけでありますけれども、まだそのころはビールス説も生きており、結論が決定しない。大体クロという空気ではありましたけれども、正式結論が出ないうちに薬事審議会では販売停止を決定して、それを通告されたわけであります。これで多くの方が救われた。
 こういう出来事を見ますと、スモンの問題と比べますと、新聞にも論評されたとおり、厚生省の中でも責任を十分感じ、しかも薬事審議会が、厚生省の諮問だけを受けるという受け身でなくて、積極的にこの問題に対処されたということは、言うならばやればできるというシステムで、今回のエイズの問題と比較しますと非常に際立ったコントラストが見られるように思います。この種の英断は今回のエイズの問題では見られなかったことは非常に残念だと思っております。
 もう一つ私が経験しておりますのは、昭和四十六年に東京大学から鹿児島大学へ赴任いたしまして、そこで従来見たことのない新しい脊髄疾患を発見したわけであります。結局、紆余曲折を経ましてHTLVI、当時はエイズのことをHTLVVと呼んでおりましたが、レトロビールスによって起こるということを発見いたしまして、これが世界の奇病、熱帯痙性麻痺と同じ疾患であるということがわかりまして、世界のトピックになったわけであります。
 我々がこの患者さんをたくさん診ておりますうちに、どうも手術の経歴の人がいやに多い、四〇%にも達するということを感じまして、調べてみますとやはり輸血が原因であると。そうすると、ビールス説で、ビールスによって起こる。これは、本来は成人丁細胞白血病という血液のがんを起こすビールスであったわけでありますが、学者もびっくりしたわけです。がんを起こすビールスが、障害部位も経過も全く違う神経疾患を起こすということでびっくりしたわけです。
 こちらの成人丁細胞白血病の方はビールスによって起こりますけれども、潜伐期が非常に長いので、禁止したことによってどういうメリットが出たかということについてはまだはっきりはわかりませんが、脊髄疾患の方は輸血を受けましてから平均して二・七年に発病するということがわかっておりました。そこでこのことをランセットに発表いたしまして、なおかつ厚生省にお届けし、そして厚生省に的確な情報をお伝えしたわけであります。
 当時は生物製剤課長が高橋透先生、京都大学を出られた先生でありますが、この方がその情報を聞かれて、即座に決断されて、その日のうちに、これは間接的に聞いたことですけれども、厚生次官までの了解を取りつけて輸血、献血のすべてにHTLVIの検査を実施するということを決定された。結果としては、昭和六十二年以降の輸血によるHAMの発病がゼロになった。非常に際立ったあれを経験しております。
 もちろん絶対数が少ないですから、今日のエイズほどの大きな問題ではありませんけれども、こういう経験を見ますと、私どもから見れば、とにかく正確な情報が保証され、そして責任感ある人が立場に立てばいろんなことが先手先手と予防ができると。
 ただ、すべてそれを善意に頼っているだけでは今回のような事件が起こるわけでありますから、したがって私どもは、こういう経験から言いますと、厚生省やあるいは学者の中から出た貴重な提言というものをそのまま受けとめて、しかも的確な判断ができるシステムが絶対不可欠で、今回の場合は研究班の性格も責任も不明確のまま過ぎましたし、現在もまだ責任の所在は私どもには余りはっきり見えてきておりませんが、そういう意味ではこのシステムの確立を強くお願い申し上げたいと思います。
 もちろん、当時はスモンの後には薬剤の副作用防止基金もできましたし、それなりのいろいろ対策が講じられました。製薬会社の中にも、利益を上げるよりもむしろミスをしないということが会社の発展につながるという倫理観というか、そういうものが非常に強くなった時期があったと思いますが、これもやはりシステムでもっと保証しておくべきであったということを感じております。
 厚生省は国民から預託された健康を守る責務とあれがありますから、そういう意味ではこれを保証する責務を担い、そして権限を付与したシステム、私はちょっと細かいことがよくわかりませんけれども、石館会長の英断から見れば、現在の中央薬事審議会にそういう権限と、それから諮問を受けるだけでなくて積極的にこの問題を何とかすべきだという提言権といいますか、もちろんいろいろあり得ることはあり得るんですけれども、そういうものを何かシステムとして保証しておけばこういう問題は起こらなかったんではないかというようなことを強く感じております。
 それで、特に情報の収集ということについては、今コンピューターが発達しておりますから、副作用に関する情報は比較的早く、以前よりもずっと早く我々の耳に達します。ですけれども、やはり日本のシステムは、先ほど高久参考人が言われましたように、アメリカのFDAに比べますと非常に見劣りがする段階です。したがって、現在でもとにかく我々は副作用の情報を知る責務があるんですけれども、これを受けまして、非常に容易にいつでも必要な副作用情報を我々が入手できるというシステムが必要だと思いますが、ぜひシステムを入手していただきたいというふうに思います。
 それから、私が申し上げたいことは、私自身の経験から申し上げて、もしかスモンのときの英断とそれを保証するシステムがあれば今回の薬害は少なくとも何分かは防止されたということを思いますし、またそれをやっておくべきだったということを強く感じておる次第であります。
 終わります。
○小委員長(釘宮磐君) ありがとうございました。
 次に、光石参考人にお願いいたします。光石参考人。
○参考人(光石忠敬君) 光石忠敬と申します。発言の機会を与えていただいて、感謝いたします。
 もっとも、証人喚問じゃないということでちょっとほっとしておりますが、お手やわらかにお願いします。
 次から次にこの日本で薬害が発生してきました。サリドマイド、スモン、クロロキン、薬害エイズ、ソリブジン等々。そのたびに再発防止が議論された。パッチワークのように継ぎはぎ継ぎはぎしながらしのいできたわけですけれども、どうやらこの日本のシステムは既に耐用年数が尽きて、そして無残な姿をさらしているのではないか。何か根本的な欠陥がこのシステムにあるのではないか。私はその問いを法律に関係する仕事をしている者の一人として皆さんの前でみずからに問い、そして考え方の筋道を示すことができればありがたいというふうに思っております。
 薬害エイズ問題で、私はその被害の悲惨さ、不条理さに打ちのめされます。のみならず、かかわっていた医・薬・官・業の専門家たちの心が少しも患者の方に向かわなかった。患者の生命、健康、自己決定、そういうものに無関心であったように見えるその心のありようにも暗い衝撃を受けます。
 多くの患者の方々が味わってこられた、そして現在も味わっておられる苦しみや痛み、それは私の想像を絶するものがあろうかと思いますけれども、それでも何か込み上げてくるものを抑えることができません。もし、私や私の家族が血友病患者で非加熱血液製剤のためにHIVに感染していたらと、そう考えるととても人ごととして、同情するような気持ち、そういう気持ちにはなれないんです。恐らくこれはここにおられる皆様方を初め、多くの方々が共有している感情ではないか、そういうふうに思います。
 今回の薬害エイズ問題は、肝心なポイントについてその真相や責任の所在がいまだ明らかになっておりません。徹底的な真相の究明や責任の所在の明確化なしに再発防止はあり得ない、それは言うまでもないことです。
 特に、関係者が意図的に資料を隠した疑いのある今回の事案では、行政の意思形成過程の情報を含めてすべての情報を提出させて、そしてやぶの中に持ち込んでうやむやにしようとする動きに対しては、食い違う陳述ごとに偽証罪の制裁を伴う対質というのがありますが、対質などを活用して真実に肉薄する方法、そういうものが検討されるべきではないか。そのためには、行政から独立して独自の権限を行使できる機関が、今回の薬害エイズ問題のみならず、将来の問題についても調査、検討し得るよう、恒常的に設置されなければならないのではないか。
 専門学会が倫理判断を停止して自浄努力を果たしているとは言えない日本の医学界、科学界の現状にかんがみますと、科学的非行、サイエンティフィック・スコンタクトがもしあれば、それにふさわしい制裁を科する権限もこの機関に与えなければならないのではないかと、そんなことを考えています。
 審議会や研究班などの権限と責任のあいまいさ、これが今回の問題で大きくクローズアップされました。それらをめぐって行政と学界とが互いに役割や権限や責任を押しつけ合って争っているように見えます。
 私は、新しい医薬品を初めとして、新しい医療技術の有効性・安全性の評価は、本来国が責任を持って行うべき仕事で、そのための省庁横断的な本格的な国の評価機関が必要だと考えております。しかし、必ずしもそう考えない人たちでも、今の日本の医薬品審査承認システムは余りにも不十分だというふうに考えておるのではないでしょうか。審議会や調査会などに依存していて、いざというときに責任の所在がわからなくなる。どうしたらいいんでしょうか。
 私は、審議会、研究班などが持っている情報は国民の情報である、そう考えて、国民の知る権利に基づいて審議や資料を徹底的に公開するということだと思います。
 今、新しい民事訴訟法案が衆議院で審議されておりますが、私は文書提出義務規定に重大な関心を寄せている者の一人ですが、官公庁文書の取り扱いについて今回の薬害エイズ問題から何も学ばないような、そういう逆行と思われるような考え方が見られるのは不可解と言うほかありません。
 今回の薬害エイズ問題は、来るべき情報公開法の審議に対して貴重な判断材料を与えてくれていると思います。殊に適用除外情報、こういうことは適用しなくてよろしいという適用除外情報に関して少なくとも次の二つを学ぶことができるのではないか。
 第一は、企業情報のうち適用除外とするものから、人の生命または身体の安全、健康の保持に影響を及ぼすおそれがある情報は除くべきということです。人の生命、身体、健康の保護に優越する企業利益というものは考え得ないから、このような情報は企業の不利益になっても公開すべきだからです。
 第二は、行政情報のうち適用除外とするものに意思形成過程情報を一律に含めるべきではない、少なくとも事実資料、コメントに関する資料ではないんですが、少なくとも事実資料に関する部分は公開されるべきだというふうに思います。
 情報を持つ者は常に持たぬ者を支配する、それゆえ、みずからの支配者であらんとする人民は知識の力によってみずからを武装しなければならないというのはアメリカ憲法起草者の一人のジェームズ・マディソンの言葉ですけれども、医療の現場で弱い立場に置かれる患者にとって、これらの情報が公開されることは、インフォームド・コンセントないしインフォームド・チョイスがその本来の役割を全うするために必要にして不可欠な土台だというふうに考えます。
 そういう意味で、私は、薬害エイズの被害者は、患者の選択権、そしてその前提となる知る権利を奪われてきたのではないかと思います。従来どおりの治療を続けることによって血友病の止血効果は保たれるにしても、HIV感染の危険性、可能性があるかどうかを知ることができたのではないか。行政情報が意思形成過程を含めて透明であれば、そして政策決定において肝心の当事者である患者の代表が加わっていれば、エイズの危険性を専門家とともに知ることができたのではないか。HIV感染の危険性を知っていれば、従来どおりの治療を続けるかそれ以外の治療法に切りかえるかの患者としての選択権を行使できたはずではないかというふうに考えるんです。
 こういう国民の知る権利に基づく情報公開法や患者の権利を守る法律が本来あるべきなのに、日本には存在しないということが患者の苦しみを増大させてきたことではなかったかというふうに思うのであります。
 また、ちなみに薬事法というのは、医薬品という物をつくったり売ったりする行為や事業をコントロールして保護する、要するに薬事行政の基本となる法律です。
 日本の行政は、財貨やサービスを製造したり提供したりする者をコントロールする、そして保護するということには熱心です。しかし、財貨やサービスの消費者を保護することに目が行き届かない。これは何も厚生省に限ったことではありません。厚生行政に医療サービスの受給者たる患者を保護する法律上の根拠がないといえばないのであります。個々の国民がこうむる具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的とするものではないというのが薬事法の性格についての国側の主張ですけれども、もしそうなら、なおのこと情報公開法や患者の権利保護法をつくることは焦眉の急だと言わなければなりません。
 また、私は、薬害エイズの被害者は、HIV感染の危険のある治療法に不必要に長くさらされ続けたのではないか、そういうふうに思います。海外で製造された加熱血液製剤の治験が、日本の製薬企業から多額の寄附を受けたとされる学界の権威者の裁量で調整され、おくらせられて、その結果、加熱血液製剤の日本への輸入承認がおくれ、HIVに感染する患者を増大させたのではないかという疑いがあるからです。
 医師には、伝統的な医師としての使命、すなわち一人一人の患者の健康を守るということと、研究者としての使命、すなわち人々の健康を守るということとがあります。そして、研究者の立場と伝統的な医師の立場の両方を兼ねて、医師は治験を初めとする臨床医学研究を行っています。
 しかし、製薬企業の委託に基づく治験を患者を被験者として行う以上、製薬企業から研究者としての医師や医療機関に支払われる金銭その他の経済的利益の妥当性についても、ほかの事項とともに独立かつ公正な審査機関が審査する制度を確立しないと、被験者の権利は守られません。
 研究者として振る舞う医師とて人間ですから、まして多額の経済的利益が関係してくると、真理を決して曲げないという保証はなく、ここは科学を社会が制御するという観点からの評価が必要だと思います。適正な臨床医学研究は必要不可欠ですから、基本的には被験者保護法、被験者の権利を保護する法律によってコントロールするのが合理的だと思います。もちろん、この問題は一業務局とか一健康政策局とか一厚生省とかという枠を越えておりまして、文部省、科学技術庁などにもまたがる全国家的な仕事が既に必要になっているというふうに考えます。
 そういうわけで、私の結論は、独立した独自の権限を有する機関による徹底的な真相の究明と責任の所在の明確化を実践していくこと、そして国民の知る権利にしっかりと裏打ちされた情報公開法、そして患者、被験者の権利保護法、これらを創造することが日本のシステムをよみがえらせるための呼び水の役目を果たすのではないかというふうに思います。
 御清聴ありがとうございました。
○小委員長(釘宮磐君) 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿部正俊君 三十分少してございますけれども、私の方から参考人の方々に薬害の再発防止というふうな観点から、原因究明というふうなこともさることながら、特にこれから先の形、体制、システムをどういうふうにつくっていったらいいのかというところを積極的に論議されてほしいというふうに思いますので、参考人の方々に幾つかの点で御意見をお伺いしたいと、こんなふうに思います。特に高久参考人、井形参考人、お二人にお話をお伺いすることになると思いますけれども、よろしくお願いします。
 私の認識といいましょうか、先ほど高久参考人からは体制の問題について触れられました。それから井形参考人からはいわばシステムの問題について触れられました。そのとおりだと思います。
 この辺につきまして、具体的というとなかなか難しいのですけれども、もう少し観点を幾つかに絞りながら、より具体的な提案に迫るような意味でお話をお伺いしてみたいと、こんなふうに思います。
 最初に、具体的な話に入る前に、既に触れられましたけれども、今回の薬害エイズ問題をめぐるさまざまな問題なりその後の展開を考えますと、私が一番ひっかかりますのは、いわゆる研究班という形で問題が論議され、かつその舞台ですべて完結するような形で判断が行われた、それの判断を前提にして幾つかの政策決定がなされた、こんなふうなことなんだろうと思うんです。
 そもそも研究班というのは何なのかということが、まあ日本的といえば日本的かもしれませんけれども、極めてあやふやな形でございますし、形としても生物製剤課長の一諮問機関といいましょうか、招集した研究班ということになりますと、意思決定システムの重要な部分を形づくるものがそういういわばあやふやな研究班という形で行われたということにつきまして、あるいはそうせざるを得なかったということにつきまして、私どもとしても反省しなきゃいけませんし、その辺からの吟味をすることによってこれからの展望を切り開いていくことにするべきじゃないのかなと、こんなふうに思うわけです。
 最初に、そうしたふうな研究班で行ったということにつきまして、井形参考人と高久参考人から一言ずつ、感想的なことで結構ですが、御意見をちょうだいできればと思います。
○参考人(高久史麿君) 意見を申し上げさせていただきます。
 今、阿部先生の方から、今回のような極めて重要な問題の決定が、課長がつくられた研究班の答申といいますか、そういう形でなされたというのは非常に問題ではないかとおっしゃいました。私も、まさにそのとおりでありまして、なぜ研究班と呼んで委員会と呼ばなかったか、そこのところがよくわからないのであります。
 委員会とか研究班というのは、私の理解では最終的な決定権を持っていないのではないか、むしろ行政に対してアドバイスをするという機能を私は持っているのではないかというふうに考えておりました。そういう考えで今までも委員会などに参加していたわけでありますけれども、しかし今回は、非加熱製剤の中止とかあるいは加熱製剤の緊急輸入というような極めて重要な問題の決定をこういう研究班でやったということも今回の非常に不幸な事件の一つの大きな原因ではないかというふうに考えております。
○参考人(井形昭弘君) ただいまの御質問でありますが、結論から言うと、研究班によって政策を決定したということについては残念ながらまずいということをはっきり申し上げたいと思います。
 というのは、この研究班という流れが、もとは実はスモンあたりにあるんですね。スモンは、研究班を組織したときに全国の専門家を集めて、そして一つの病気としては異例の研究費をつけて原因究明に三年間で成功した。それから研究班というのはそういうことをするものを言うと。もちろん、文部省とかそういうところには別に研究班がありますけれども。でありますから、そういう意味ではもっと責任と権限をはっきりさせておくべきだったということを思います。
 それからもう一つは、私の口から言うのはおかしいんですけれども、日本の医学界というのは、どうも私の感じでは社会性が少ない。こういう問題についてもっと学会で積極的に発言し、先ほど光石先生が言われたようなことについても我々の意見を述べたりすることがあってもいいと思うんですけれども、どうもアカデミックなものは社会的なものにそぐわないという空気が長くあります。本来ならば、こういうことをどうするかということをそれぞれ専門の学会にかけて、そして学会の正式の答申を求めればそれが最もベストなあれであるし、またそれについての学者としての責任が十分持ち得るんであろうと、理論的にはですね。それはできませんから、ですからその研究班の人選が厚生省によって恣意的になされるということもまた問題であったと思います。
 したがって、私は、研究班をつくるにしましても、もっと責任と権限を明確に示して、なおかつ研究班の成果についてもっと高い立場の学会全体あるいは中央薬事審議会、そういうところからのチェック機構を備えておくべきだったというふうに思います。
○阿部正俊君 もう少し具体的に入り込んでみたいと思うわけでございますが、先ほどから高久参考人からも、ヨーロッパなんかと比べていわゆる審査体制についてのお話があったわけでございますけれども、日本の形をどうつくっていくのか、意見としてはさまざまあると思います。
 お二人からも少しずつ話が出てまいっておりますけれども、いわば薬の問題につきましては我が国では、専門家の集団といいましょうか、機構として中央薬事審議会があるわけでございます。この辺を全く度外視して全く新しいシステムというのも言うべくしてどうかなという気がしますし、かなり思い切って中央薬事審議会のそこをベースにしてそれの機能というものを強化していくといいましょうか、というふうな中から新しいシステムを構築していくというのが実際的な方向なんじゃないかなと、こんなふうに思いますので、この辺につきましてお伺いしたいと思います。
 先ほどからお話としても出てまいっておりますけれども、薬というのはプラス面、ベネフィットと、あとマイナス面、リスクが常につきまとう中で何がしかの判断をして、科学としての判断、それから社会的な面も含めた判断、それを行った上での政策決定、こういうふうになっていくんだと思うのでございます。それで、少し問題があるから先送りだということが許されない面もいわば医療というものの特性なのかな、それに大きな支えになる医薬品の持つべき役目ではないか、こう思いますので、言ってみれば常識的な判断というだけではなくて、かなり精密な判断というのが要求されるのが一般的だろうと思うんです。
 そういうふうな目から見ますと、現在の中央薬事審議会は実質的にかなり専門的な判断を行う機関である。にもかかわらず、一面では、法律上はというふうに見ますと、いわば単なる審議機関、諮問機関といいましょうか、「厚生大臣の諮問に応じ、」「調査審議させるため、厚生省に中央薬事審議会を置く。」ということしか、いわば法律的な体系ではそれしかないわけです。言ってみれば、先ほど研究班につきまして非常に不十分だというふうなお話がございましたけれども、ある意味では研究班とそう違わない法体系になっていることは事実なんですね。この辺は幾らなんでもどうだろうかなと、こんなふうな気がするわけです。
 いわば公式な機関ではあるけれども、法律的な権限といいましょうか、機能というふうなものが定式化されたものとしては、薬事審議会も研究会と五十歩百歩と言っちゃ失礼ですけれども、そう大きな違いが、明確に違うということを言い切れない面があるわけですね。
 それで、この点につきまして高久参考人にお伺いしたいんですが、高久先生は実質的な意味で薬事審議会にも役目をお願いしているようなこともございますので、御意見をお伺いしたいわけですけれども、この辺は改めて私も法律を見ましてどきっとしたといいましょうか、というふうに思うわけですけれども、この辺からまず先生のお考えを、これでいいんだろうかというようなことをまず最初にお伺いしたいと思います。
○参考人(高久史麿君) お答えいたします。
 確かに、薬の認可をするかしないかという極めて重要な問題について審議会は答申をするという形になっていると思います。ですけれども、実質的には審議会で決まったことがほとんど通っているのではないかと思います。もちろん例外はあると思います。そういう意味では審議会はかなりの権限を持っているはずですけれども、表向きは持っていないという形です。それは、必ずしも中央薬事審議会だけじゃなくて、お役所の審議会は全部そうなのではないかと思っています。ただ、薬の場合には、その決定が今回の場合のように非常に大きな社会的な影響を与えるということで中央薬事審議会はほかの審議会とは違っている点があると思いますが、実質的には同じであると思います。
 したがいまして、阿部議員が今おっしゃったように、もしも中央薬事審議会に責任を持たせるならば、当然権限というのも与えなければならないというふうに思います。
 ただ、これはもちろん御存じであるから言う必要はないかもしれませんけれども、恐らくほとんどすべての審議会の委員というのは別に職業を持っていて、ある意味ではボランティアとして参加をしている。そういうボランティアのグループにそれだけの権限と責任を与えられるのかという、そういう問題はやはりあるのではないかというのもまた私の考えであります。
 以上であります。
○阿部正俊君 審議会一般、日本の場合の審議会の行政とのかかわり方というのは、プラス面もあれば、ある意味ではマイナス面も引きずっている面が否定できないと思うんです。ただ、薬事審議会は、今の薬事審議会がどうということもさることながら、改めまして薬というものに対する何がしかの科学的・専門的な判断をしていくということからしますと、どうも一般の審議会とは全然違った機能なんじゃないか。
 一般の審議会は、高久先生なんかも御参加いただいたりしていますさまざまな医療保険関係の審議会だとか福祉関係の審議会だとかというのは、どっちかといいますと大多数の意見をどう集約するかというのが一つの機能かなというふうに思いますけれども、ここは違うんだろうと思うんですね。
 そういう面も薬事審議会にはある面ではあるのだと思いますけれども、実質的に期待されている役目というのは違うところにあるのではないか。
 かなり緊張関係の中でのある種の科学的な判断というものがやはり一番重要なものになると思いますので、そういう意味からすると、それを審議会と言うかどうかというふうな問題はあるのかもしれませんけれども、そういう機能を明確に区切って、その判断のある程度のシステム化といいましょうか、私はできると思うんです、法律的に。
 ただ調査審議させますよというだけじゃなくて、どういう形の、ある程度フォームをつくらなきゃいかぬと思うんです。ある特定、例えば厚生大臣が明示をして、こうこうこういうことについての御判断というものを依頼すると。それをある一定の期間内にやるとか、あるいはそのための意見交換というものを、どこまで公式化するかはともかくとして、ある程度ルール化して幾つかの意見を並べて、最終的にどう判断したのかということを確定していくという作業があれば、私はある程度できるんじゃないかなと思うんです。
 そんなふうなことにつきまして、改めて高久先生にもう一度、専門判断機関としての審議会の活用というのは可能なのかどうなのかみたいなあたりのことにつきましてちょっと御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(高久史麿君) お答え申し上げます。
 今、阿部議員がおっしゃったとおりでありまして、特に薬の場合には非常に特殊であるというふうに考えております。私は、先ほど冒頭の意見で審査課を強化する必要があると申しましたけれども、しかしながら、薬の範囲も非常に広いし、これをすべて専門家で賄うということはほとんど不可能でありますから、審査会、審議会という形でいろんな分野の専門の人に集まってもらってその意見を聞くということはどうしても不可欠であると考えております。
 ただ、その場合に、先ほどから申し上げましたように、委員個人の善意だけというんではなくて、やはりそれについてはある程度の身分の保障とか処遇というのが必要ではないか、そういう形で少なくとも薬に関しては専門家を動員して行うということが現実的な方法ではないかというふうに考えております。
 以上であります。
○阿部正俊君 後ほどまとめてと思ったんですけれども、先生からお話が出ましたので触れますが、いわゆる委員の処遇といいましょうか、専門家をお願いするときに何がしかの義務も課すような形にならざるを得ないと思うんです。例えば企業なら企業なんかとの関係をどう切るのかとか、あるいは一定期間に限って何がしかの公務員的な機能を果たす者としての守秘義務を課しますとかいうことも出てくると思いますので、それにあわせて、いわば地位の独立性のようなものを担保するための何がしかの経済的な保障ということも当然のことに私は行うべきものであろうというふうに思います。
 お聞きしますと、今の薬事審議会といいますのは他の審議会と全く同じで、いわば若干の交通費的な謝礼にも当たらぬようなものでかなり難しいお仕事を依頼しているような形になっておると思うんです。これにつきましても、高久先生ももう余りそういう処遇のことについて声高にはおっしゃりたくないということなのかもしれませんので、そういったふうなことも十分考えた上でのお話ではないかなというふうにお聞きしておきたいと思います。
 それで、あわせまして、先ほどからも話が出ていますけれども、日本の薬事審議会の成り立ちといいますのは、お薬の製造承認をいわば事後的、受け身になってチェックするという機能がどうしても中心になっているのだと思うんです。
 それは、行政のスタイルにもよりますけれども、いわゆる許認可行政というものを、行政行為を担保するための専門家集団の意見集団、こんなふうな構成なので、どうしても受け身になるんですけれども、今回のエイズ薬害問題も含めまして、あるいは先ほど井形先生から、スモンのときの非常に英断、機動的な判断というものがあったと思うんですが、これもいわばたまたまそのときの方々がそうだったということなのかなと思いますので、システムとしてはどうしても受け身の機能というのが薬事審議会だろうと思うんです。これじゃやっぱりこれから先不十分ではないか、もう少し機動的に動き得る機能も持ってもらわなきゃいかぬ。
 今回は、新聞等で拝見しますと、いわゆる狂牛病の問題につきまして薬事審議会も特別部会をつくって取り組み出したというような話も聞いていますけれども、私は大変意味のあることだと思うし、そうした機動性というのをこれから大いに発揮していただかなきゃいかぬけれども、ただそれはたまたまやろうかということの善意じゃなくて、システムとしてもそういう機能と機能を持つんだよということをある程度法律的にも位置づけをはっきりさせるべきなんじゃないのかなと、こんなふうに思いますけれども、この辺につきまして高久参考人どうでしょうか。
 例えば、回収命令云々のような場合に遭遇したときに、臨機応変的にむしろ積極的な意見表明といいましょうか、あるいは厚生大臣に対して何がしかの勧告をするとかいうふうなこともあり得るというふうなことを期待できるような形に持っていければなと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○参考人(高久史麿君) お答え申し上げます。
 今、阿部議員のおっしゃったとおりでありまして、こういう問題は、エイズの問題だけではありませんで、先ほどもお話しになりました狂牛病の問題でありますとか、あるいは幸い日本には来ませんでしたけれどもエボラの問題とか、そういういろいろな緊急の問題というのが常に起こってくる可能性があると思います。そのときに即時に対応できるような柔軟な体制というのをぜひ私は厚生省の中につくっておく必要があるのではないかと。
 そういう意味で、今おっしゃったように中央薬事審議会の中にアドホック的な委員会を随時つくることができるようなシステムがあって、その委員会が先ほどから話題にありますようにある程度の権限を持つということがぜひ将来にとっては必要なことではないかというふうに考えております。
○阿部正俊君 次に、いわゆる今回のエイズ問題なんかについても議論されていますけれども、記録を隠したとか隠さないというふうな議論がどうしても表に出ますけれども、そもそも考えてみますと、こうした重要な政策決定が行われた場面であったにもかかわらず、議論に出てくる記録的なものは何か個人の備忘録のようなものが基礎になって論議がされている。非常に不確かで、ある意味での偏見的な要素が議論として出かねないようなあやふやな記録と言ってもいいのではないかなという気がするわけですけれども、これ自体を一つ私は残念に思います。
 もう少し審議会等できちっとした専門家集団をもし仮に位置づけてやるとするならば、あわせて論議のシステムということにつきましても、当然のことですけれども公式の記録をつくり、過程を明らかにでき、すぐオープンにするかどうかはともかくとして、少なくとも事後的にきちっとトレースできる道筋をつけておくことは常識なんじゃないのかなと改めて思うんですけれども、その辺、今回のエイズ薬害問題についてのシステムとしての大変な反省点の一つなのではないかなと、こんなふうに私は思います。
 同時に、先ほど光石参考人からもお話が出ましたけれども、いわゆる公開ということとの関連ですけれども、私は、一般論として行政決定システムをできるだけオープンにしましょうよというのはわからないではありませんけれども、同時に、政策決定のシステムがある程度公式にシステム化していなければ公開というのもなかなか容易じゃないというのも現実ではないか。
 公開というのは、たどった経過を公式に残し、それをオープンにすることによってある意味での状況の確定というものを進めていくということにもつながるわけでございますので、私は、情報の公開というのは、意思決定なり政策決定なり、あるいは審議機関であるならば議事運営のシステム化というものと裏腹のものではないかなと、こんなふうな気がするわけです。
 そうした、一つは意思決定をもう少し事後的にトレースできる仕掛けにするということ、それを前提にした上での公開ということをきちっと考えていくというふうな二点につきまして、井形参考人と高久参考人から御意見をちょうだいしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) 先ほどちょっと時間が足らなくて、申し上げたいと思っていて忘れましたけれども、意思決定の過程をきちっと記録にとどめていくということは、もちろん学問の世界ですから、刻々判断するもとのデータが時にひっくり返ることもありますし、それから薬剤の場合にはメリットとデメリットとの総合的評価であれするわけですから、例えば、今お話に出た狂牛病の評価もイギリスとヨーロッパ共同体とは全く違う評価になっておるので、そのときのベストの判断でもしか誤ったらその人が責任を負うということにならざるを得ないと思います。
 情報の公開という点は、光石先生からお話があるまでもなく、どういう情報をもとにどういうディスカッションを経てどういう政策に反映する決定をしたかということははっきりと明示する必要があると。そうしませんと、それこそメモだけではとても対応できるものではありませんし、それがまた時代の流れでありますし、政府も情報公開を進めるということの方針を決めておりますので、時代は必ずそうなっていきます。
 ただ、全くそれを全部公開するかどうかについては、それはその状況状況によって変わってくると思います。別に隠すという意味ではなくて、また学会のオリジナリティーに触れたり、それから不正確なデータを正確なようにあれしたり、これは後でまた決定して発言の内容を補強する必要があろうかと思いますし、私は脳死臨調の委員でもありましたけれども、脳死臨調も、審議内容は全部公開いたしましたけれども、審議そのものは公開はしませんでした。皮肉なもので、そのためにかえって各社が競争してくれて大きな関心を上げていただいたという経験を持っております。
○参考人(高久史麿君) お答えします。
 私も基本的には公開すべきであるというふうに考えております。
 これは審議内容もそうでありますけれども、今回のエイズの問題などを考えてみますと、その審議をしたときの科学的な知識がどれだけであったかということも極めて重要なことであると思いますので、後でいろんなことを言うのは簡単ですけれども、その当時の情報というのがどれだけあったかということも含めて記録はきっちりとっておかないといけないんではないか、それがまた薬害などの再発防止に極めて重要であるというふうに思っております。
 恐らく十数年前にはほとんどそういう審議というものの内容が公開されなかったと思うんですけれども、私が関係しています遺伝子治療の場合にはもう完全公開で、だれでも入って聞けるという形になっておりまして、それでもほとんど審議に差し支えはないということでありますから、原則公開ということに私は賛成であって、むしろ公開をしないのは例外的な場合、例えば個人のプライバシーとかあるいは特定の権利の問題などが起こったときだけにすべきではないかというふうに考えております。
○阿部正俊君 次に話を進めますが、今まではどちらかといいますと専門家、いわば日本の薬に関係することの判断に際しまして、一番の権威の方々にどう御参加いただくかということを中心に話しましたけれども、あわせまして、この方々がすべてのことを全部やるというのも実際上できませんし、大変もったいない話でもありますので、一面、それを支えるタスクフォースというふうな形も、かなり今までと違ってしっかりした体制をつくる必要があるんじゃないかなと、こんなふうに思います。この辺についてお聞きしたいと思います。
 先ほど冒頭の御意見の中にも出てまいりましたけれども、いわゆる医薬品の審査に当たる人員の外国との比較がございました。高久先生だったでしょうか、話されましたけれども、いわば一けたも二けたも違うような話で、大変驚くべきことなのではありますけれども、やはりこれはそのままほっておくわけにはいかぬだろうというふうな気がします。
 これを、一般の行政事務から独立をして、日常的にかなり数の多い医薬品の事前審査のような話とか、あるいはそれの治験のいわばそのままの資料をどんと審議会の皆さんにお渡しするのじゃ審議もできませんので、それをある程度分解して、分析をした上でこの辺はどうかというようなある程度形をつくって、合理的あるいは効率的な形で一つの意思決定というものに持っていく作業員というのは非常に重要な役目をするし、あとは、先ほど高久先生もおっしゃられたように企業とのコンタクトなんかもある程度むしろさせた方がいいと、余り明確に分離しないようにですね。一緒にいい医薬品をつくりましょうということに参加しているというふうな機能も医薬品企業も持つわけですから、そんなふうなことでももう少ししっかりしたスタッフが必要なんだろうなと、こんなふうに思います。
 この辺についてもう一度お話をお聞きすると同時に、私は、かといって日本の特性として、いわゆる行政改革だとか公務員の増加を抑制するとかいうことを今言われているさなかでもありますので、例えば業務局の審査課の職員をあと百人ふやすとかいうのはなかなか言うべくしてうまくいかない面もあるだろうというような気がします。
 その辺、具体的に考えますと、例えば今医薬品基金と通称されていますけれども、非常に長ったらしい名前ですけれども、医薬品基金あたりを全面的にいわば改組いたしまして、恒常的にそういう機能を持った、いわば事実上の審査、あるいは審議会の事務局的な機能を持った専門スタッフの常駐する機構として活用していくというふうなことも考えていいのではないかなと、こんなふうに思うわけです。
 タスクフォースの体制整備と、例えばそのときの医薬品基金の活用とそれの改組というようなことで対応できないだろうかということについて、両先生から簡単に御意見をちょうだいしたいと思います。
○参考人(高久史麿君) 私、最初の意見の陳述のときに、審査課を強化する必要があるんではないかと。おっしゃるようになかなか公務員の数をふやすということは容易なことではありませんので、私の考えとしては、お役所全体のリストラというか再配分ということをやっていただくのが本当は一番いいんじゃないかと思うんですけれども、これはなかなか言うのは易しくて実際には非常に困難ではないかと。そういたしますと、阿部議員のおっしゃったように第三者機関というものを利用せざるを得ないんではないかというふうに考えております。
 これはまた同時に、仮に審査課を強化したときに、審査とそれから先ほど私が申し上げた開発に対する助言というところを同じところでするということにもやはり少し問題が、アメリカではしていますのでうまくやっているとは思うんですけれども、問題がないわけではないと思います。そういう意味では、むしろ最終的な審査は厚生省で行うにしましても、それに必要な書類の整備でありますとかあるいはメーカーさんに対する助言とか、そういうものを行う第三者機関をつくる方が日本の現状を考えると現実的ではないかと思います。
 それから、お役所はどうしても二年か三年の単位で人がどんどんかわりますので、第三者機関ですと特定の専門家をある程度の期間置くことができると思いますので、そしてまた、外からお金を持ってくれば人数をふやすことができますので、阿部議員の今おっしゃったような形、それをどこがするかはまた別な問題としても、第三者機関でそういうことをするというのが一番現実的な解決ではないかというふうに思っております。
○参考人(井形昭弘君) 私も全くそのとおりで、先ほど言われましたように、アメリカのFDA、食品医薬品局、これは先生が今おっしゃったようなシステム、調査能力を持った機関になっています。日本はそれが非常に弱いということを先ほども申し上げたと思いますけれども、そういう意味ではいろんな形で、一つは中央薬事審議会の権限を強化し、それからサブコミッティー、それに活発に動いていただくし、またそれに対する何らかの国としての政策、それからそのほかの団体の能力を活用すること。
 ただ、先ほどの、ちょっと正式な名前は忘れましたけれども、医薬品の被害救済基金ですか、これは実はスモンの後で製薬業界から拠金したものだと。したがって、私は、それにお手伝いいただくことには賛成でありますけれども、その際、やはりその任務とあれとを法的にきちっと整備して、製薬業界の代表機関ではないということを明示していただきたい。
○阿部正俊君 限られた時間ですので、大体これで終わりますけれども、私は、最後に申し上げました体制の整備なりシステムの構築なりということも、正直申しまして相当のコストを要するものだろうというふうに思います。これは安全というものもそれなりのコストを持つべき話ですし、それを避けてはきれいごとだけになってしまうというふうに思いますので、私自身は、例えばそのコストは国民全体でカバーしていくということなのかなと、こんなふうに思いますし、そのときの一つのあり方として、日本は幸いにも国民皆保険という形でもございますので、その辺での対応も、保険との対応というような関係も率直に考えていいのではないかなと、こんなふうに思っております。
 最後にお二人に、簡単にというのは恐縮でございますけれども、再発防止というもののためのいわばキーワードといいましょうか、何だろうかなということでございます。私は、安全のコストをちゃんとしようよということがあえて言いますとこれからのキーワードかなと、こんなふうな気がしますけれども、お二人の先生からもしお聞かせいただければ、簡単にキーワードは何なのかということをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
○参考人(高久史麿君) 私は、冒頭に申し上げましたように、すべての薬剤は副作用を起こす可能性があるということがキーワードじゃないかというふうに考えております。
○参考人(井形昭弘君) 先ほど申し上げたとおり、副作用に関する情報の整備、それから安全性をあれする理念とシステム、そして審議内容の、政策決定に至る情報の公開、これだけ申し上げておきます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。
○水島裕君 きょうは、三人の先生方、どうも御苦労さまでございます。
 私は、井形参考人から始めさせていただきます。
 薬害の再発防止あるいは今回のエイズの責任がどうであるかということを考えるときに、今度のエイズのことだけを考えていてもぐあいが悪いので、もっと薬害全般にわたって、特にエイズ薬害とともに非常に大きな薬害でございましたスモンのことなどについてもいろいろお尋ねするというところで、井形参考人がおいでになりましたので、大変ありがたく思っております。
 先ほどからお話しになっております井形先生のお人柄にも私は引かれまして、敬意を払って、何年か前、鹿児島大学にも講演に行きまして、多分そのときにスモンのことをいろいろお話をお聞きしたと思いますので、今回もこのエイズが問題になりましたときに私は、井形先生のお考えなどがそういうところに反映していたらとか、あるいはお考えを聞いてみたいと思っていたところでございます。
 それで、まず認識でございますけれども、おもしろいことに、今が一九九六年で十三年前が一九八三年で、ちょうどエイズがどっちに転んだかということが始まった年でございます。そのまた十三年前が一九七〇年で、キノホルムを中止したのがその年でございます。
 それでございますから、まず最初にお伺いしたいのは、一九八三年のエイズのときのいろいろなことと、それから一九七〇年、スモンが問題になって、あるいはキノホルムが問題になったときの認識がどうであったかということ。それは患者がどうであったとか、危険がどのくらいであったとか、物は変えられたかとか、それからどういうふうにすればよかったかとか、いろいろ違いがあると思いますけれども、その辺から先生の率直なお考えをお聞かせいただければと思います。
 と申しますのは、エイズはそれから解決まで四年か五年かかってしまった、それからスモンのときは一カ月か二カ月で解決してしまったという違いがあるわけでございますね。
○参考人(井形昭弘君) スモンの問題は、最初は原因のわからない奇病、しかも日本にしかない奇病ということで大きな社会問題になった問題であります。多くの方が自殺をいたしました。私の知っている人もたくさん思い出すことができます。それだけに我が国で解決しなきゃいけないという使命感を皆さん持っていたと思います。
 しかし、それに至るアプローチはいろいろあれがございまして、ただいま言われました一九七〇年の一月には、京都大学の先生がこれはビールスによるという大きな発表をして、それを某大新聞がトップ記事に掲げたんですね。結果的にはこれは誤りであったわけです。でありますけれども、世の中全体が、スモンというのはうつる病気だ、ビールスによるんだということで事態がずっと流れておったわけですけれども、私どもはいろんな理由からビールスではないということを確信しておりました。
 そのうちに緑舌が見つかり、緑便が見つかり、これはキノホルムが鉄と一緒になると緑になっておったんですね。それが当時はわからなかったわけですが、たまたま貧血のために鉄剤を投与しましたら尿の中に出てきました。緑色の尿が出てきて、これを分析してキノホルムがわかったわけですが。ただ、こうなりましても当時の情勢は、先ほど申し上げたとおりキノホルムに対する反対の論は非常に強かったんですね。
 それで、教科書にはキノホルムは無害であるとはっきり明記してあったんです。しかも、吸収されないと書いてあったんですけれども、これが七〇%吸収されるということで、吸収されないというデータはなかったんですね。それだけに皆さんの強い反論もあったわけでありますが、その中においてだんだん疫学的に言えばキノホルムが疑わしいという流れがあったときに、薬事委員会が開かれ、あるいは椿先生がこれをストレートに厚生省へ提言されたわけであります。
 したがって、その時点では、賛否両論があった中でなおかつ石館先生が言われたことは、もしかキノホルムによって起こるならば、中止すれば完全に消失するだろう、国民の健康は守られるだろう、もしかそれでスモンの発生が続くならばキノホルムではないということになるから、そのときはまた改めて考えればいいと、これが石館先生の英断の、一つの説得のあれであったように思います。しかし、結果としては、毎年何千人と出ておったスモンがその決定をあれにゼロになったわけです。
 ただ、こういう判断は、エイズの問題ももちろん、今の知識から見れば当時は絶対おかしいとだれしもがそう思いますけれども、その時点にはいろいろ学界の中にはいろんな意見とあれがあります。そういう中において的確な判断を求め、的確な決定を下すということがいかに難しいかということを痛切に感じておりますが、それにしてもやはりそのときにおける最も正しい情報をできるだけきちっと整備して、そして的確な判断ができるシステムがあればですね。
 それから疑わしきは、恐らく石館会長の頭にも、スモンの患者の悲惨な状態とそれから切々たる訴えが頭の中に入っていたと思うんですね。事、命にかかわるという重大な決断で英断を下されたということに非常に私は感銘を受けております。
○水島裕君 端的に申し上げまして、一九八三年の七月、八月とそれから一九七〇年、前のスモンのとき、どの程度それぞれの薬に対する危機感が違っていたか、同じだったかというところですけれども、その辺、一言で言うとどちらでございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) 何といいますか、根本にあるのは、やっぱり患者さんあるいは住民、国民一人一人の健康と、それから生死にかかわる重大事件であるということを認識し、責任を感じておるかどうかということにあると思うんですね。それが私は一番重要なあれだと思います。
○水島裕君 少なくともその後、スピラ博士の認定とか、それからギャロに頼んで抗体が陽性であったと、その時点と先生のスモンの時点を比べると、やはりもう抗体が陽性という方がはるかに危険度を認識しなくてはいけなかったんじゃないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) 先生の御指摘のとおりであります。
 当時はキノホルムの危険性ということが、ギャロ博士のあれとか、そういう事実に比べるとまだ少なかったと思うんです。
○水島裕君 先生、御自分ではおっしゃりにくかったのかもしれませんけれども、実は、井形先生が一番最初、三楽病院のスモンの患者さんの尿に緑で析出したものがありまして、それを熱心に調べることを勧めていただいて、それがきっかけでその後二カ月か三カ月して中止になったわけでございますので、そのことが非常によかったということと、毎年発症していた二千名がほとんど発症がゼロになったということです。
 これからの薬害は、先ほどから話に出ております組織あるいは制度が完備しても、それよりもむしろ私はいまだに人の方が大切ではないかなと思うので、先生、御自分のことで言いにくいと思いますけれども、やはり先ほど先生がおっしゃったいつも患者のこととか真実を追求するということを今後もやっていかなければ、制度を幾ら変えてもまた何か起きてしまうんじゃないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) 全く先生と同じことを考えております。
 スモンが解決した当時は、新聞の論調も社説なんかも、すべて二度と繰り返してはならないと、それには今度の教訓をきちっとシステム化すべきであるということが書いてあったと思います。そういう意味では、その熱気が残念ながらエイズの問題のときには少し後退しておったというふうに感じます。
○水島裕君 私が厚生委員会などでよく申し上げていることは、名前は別といたしまして、監視するための特別の委員会を厚生省、あるいは厚生省の中でもいいですけれども、任命権は外にある委員会をつくりまして、そこでは、機構がうまくいっているかとか、あるいは大事な政策決定がどうかということとともに、いろいろ委員会を構成している人材が適切かどうかとか、そういうところまで検討するということでもしないと、これまた長い間にはずるずるといろんな人が選ばれて、また思わぬ決定がされるということもありますので、やはりこれは制度でもって人間が適切かどうか、ミスキャストじゃないかどうかということも判定することが必要じゃないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) まさにそのとおりだと思います。
 本来は、最新の知識を研究している研究者の集団である学会がもっと日本は社会性あるいは社会的責務を感じていいんではないかということを日ごろ感じておりますが、スモンの場合も椿先生が手を挙げられましたけれども、私どもは全体の研究集団としてそれをサポートしたわけで、そういう意味では、先生が言われたチェック機構といいますかというのは、この際残念ながら不備であったと、エイズの場合は。
 したがって、先ほどのお話にもありましたように、私が申し上げたシステムというのは、まさにそのチェックシステムをきちっとすることによって今後これは防げるであろうというふうに思っております。
○水島裕君 本日もあるいはスモンの被害を受けた方々もこれを聞いていらっしゃる可能性もございますので、スモンについても行政上問題がなかったということではないわけでございまして、外国での警告を無視する形で適応症が拡大されたり、それから乳化剤を非常に使って吸収がよくなったり、それから投与量が多くなったりしたことがやはり問題だと私は思っておりますけれども、先生の方がもちろん専門でございますが、そんなところでよろしゅうございましょうか。
○参考人(井形昭弘君) 実は私の原稿にはそのことを書いてあったのでありますが、ちょっとカットいたしました。
 つまり、最後だけ強調いたしましたのは、エイズの問題に焦点を合わせるからそこだけを述べましたけれども、なぜ薬事審議会を通ったキノホルムという薬がこれほど有害であったのか。外国ではもうきちっと有害であるという前提のもとに、四週間一日〇・六グラム以下ということでそれをはみ出しておりませんでしたから、私は世界のスモン患者を調査に行きましたときも、日本ほど多数の患者、なかったわけじゃないんですけれどもほとんどゼロに近い状態であったわけです。日本だけがこれがあれいたしましたのは、全般的にやっぱりお薬に対する認識が甘かったということと、一つは、キノホルムというのは古くからある薬でございまして、何となく古くからあるから、副作用があれば淘汰されているだろうという先入観があったのではないかと思います。
 それで、これが効くというPRは結構なんですけれども、多ければ多いほど効くという発想は日本に生まれたわけでありますから、そういう意味では、薬事審議会のこれを許可した責任というのはまた別途にあると思うんですね。
○水島裕君 それでは、光石参考人の方にお伺いしたいと思います。
 先ほどから情報公開、それから被験者保護ということをおっしゃっていらっしゃいました。私も原則的には全く賛成でございます。
 ただ、どういう情報を公開するのがいいかということで、光石さんとは意見があるいは合わないのかもしれませんが、私は、政策決定、それから医薬品ですとそれの審査の書類というのは膨大なものがございますから、そのうちのサマリーみたいなものを何とかまずわかりやすい形で出して、それから、そのほかの細かい本当の二メートルぐらいにも及ぶ書類は、その中にごく一部企業秘密があるので、それだけは何かの委員会で出さなくてもいいということを決めて、それ以外のものはすべてどこかに行けば見られるようにしておくという二本立てがよろしいんではないかと思いますけれども、その辺もう少し詳しくお考えをお聞かせください。
○参考人(光石忠敬君) サマリーベーシス・オブ・アプルーバルというのが今既に厚生省でやっております。あれは確かに一つの進歩だと思うんですが、問題は、生の情報がやっぱり丸くなってしまうという問題点もあると思うんです。ですから、生の情報にアクセスできるようにしておくということが肝心で、その場合、企業秘密というのはアメリカなんかの経験でもかなり狭く解釈されていて、例えば、製造過程に何かノウハウがあるとかということでもない限りは、企業秘密だということをもってオープンにしないということはできないというふうになっておると思うんです。ですから、そういう意味では考えられているよりはるかに狭いと。
 もう一つは、委員会でそういうことを決めるということなんですけれども、それはある程度やむを得ないですけれども、それは最終的には司法審査に属するように制度をつくっていっていただきたい、そういうふうに思います。
○水島裕君 私もそういう書類をずっと読んでいた方でよくわかりますが、秘密にしたいところというのは全体の二十分の一か百分の一ぐらいなんですね、せいぜい。それで、そのことはまずほとんど安全性とかそういうことに関係ないところなんでございますね。ですから、こういうことで議論が起きるのは私はいろんな細かいことを御存じなくていろいろ議論しているんじゃないかと思いまして、本質的には何ら問題はないと思います。
 それで、ただ、いつも司法で決めると申しましてもなかなか大変でございましょうから、もちろん最初に方法論を確立して、それに沿ってやれば本質的に問題はないと思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(光石忠敬君) 司法審査と申し上げたのは、委員会が決定したことでもという意味でして、ですから、当面はそういうことでやることになるのはやむを得ないと思います。
 ただ、秘密にしたい情報がどのくらいかというようなことについて、アメリカの経験なんかを見ますと、かなり副作用情報が隠されておったというふうなことが情報公開法に基づく申し立てによっていろいろあらわれてきている例が幾つもございます。そういう意味では、かなり国民の健康にとって重要な情報が隠されていることがあったということはやっぱりアメリカでも随分あると思います、経験として。
○水島裕君 私は全く賛成でありまして、副作用情報とかいうことで隠すというのはメーカーが損とか得ということで隠すのでありまして、本質的には隠すべきものではないわけでございますので、それはあらかじめ有識者が相談して決めれば、どこどこだけは秘密と。
 例えば、やはり合成法とか製剤をつくる法とかということに長年かかってきて、まだ許可にもならないところで、そういうところだけは秘密にしたいというのは、これは日本の企業を発展させる意味でも意味があるわけでございますので、その辺は法律家も含めて知っている人が相談すれば全く問題はないので、情報公開法議員連盟がございまして、私もここでいろいろ意見を言う立場だと思いますので、その辺は間違いないようにやりたいと思います。
 何か御注文がありますれば聞いておきますけれども。
○参考人(光石忠敬君) やはり生命、身体、健康にかかわることは企業秘密というのも退くべきだということをぜひ明記するような、適用除外情報についてですね、それをお願いしたいと思います。
○水島裕君 それでは、高久先生に一つだけ。
 先生とはこういうことも含めてしょっちゅうお話をしているので何となく余り聞く気がしないんですけれども、一つだけ皆様の前でお話ししていただければと思いますのは、血液製剤の将来の薬害防止、副作用防止ということはかなり問題があると思うんです。どういうふうに工夫しましても血液から物をつくっている以上は危険性があるので、やはりあるものの場合はバイオでつくった方がいいのではないかと思いますので、その辺の現在の進歩と先生のお考えを薬害防止という立場からお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(高久史麿君) お答え申し上げます。
 今、水島議員がおっしゃったように、血液製剤というのは基本的に副作用を持っている可能性がある。これは例えば今のエイズだけではございませんで、従来からもいろいろ問題になっておりましたし、あるいは輸血の場合のGVHDなども現在問題になっていることは皆さん御存じのとおりであります。
 したがいまして、私の個人の意見としては、血液製剤はできればいわゆるバイオテクノロジーといいますか、遺伝子組みかえによるものに取ってかわる方がいいのではないかというふうに思っております。
 現実に、既にインターフェロンでありますとか、それから成長ホルモンもそうでありますし、それから糖尿病の治療に使っていますインスリンも、従来は豚の膵臓からつくっていたんですけれども、現在は一〇〇%遺伝子工学で大腸菌によってつくられている。
 日本のこういうバイオテクノロジーによってつくられた組みかえ産物のマーケットは、今たしか一年間に四千億円を超えているというふうに考えております。現実に、血友病の患者さんに使われる第八因子、第九因子に関しましても遺伝子工学によってつくられるようになっておりますので、そういたしますといろんなものがチェックできますので、私は生の人の血液から抽出するよりも遺伝子工学の技術を使ってつくった方がはるかに安全ではないかというふうに思っています。
 これは去年の暮れに「サイエンス」という有名な雑誌に載っておりましたけれども、アメリカでサーベイをしたときに、遺伝子工学の技術で物をつくって、それを使うことについて賛成かどうかという意見を聞きましたら、物によっては意見がいろいろ分かれるところもあるんですけれども、薬剤に関しては九〇%以上の人が遺伝子工学によってつくられたものを積極的に受け入れるというアンケートの結果が出ておりました。
 皆さん方の御了解というか、よく理解していただいて、将来は凝固因子だけではありませんで、例えばアルブミンとかそういうものも遺伝子工学によってつくられたものに移った方が血液製剤による薬害を防ぐためにはいいというふうに考えております。
○水島裕君 バイオの薬、つまり今の遺伝子工学を用いた薬は、国会の中でもそうですし、厚生省でも一部、遺伝子を使うので、また我々にわからないことを何かやらかしているんではないかというふうに考える方も今まだいるわけでございますが、先生、きょうは参考人としての証言ですから重いわけでございますから、こういうところだけ一番気をつけるということで今やっている、そこが問題なければ、やはり生の血液からとるものよりかははるかにいいだろうということがございましたら、ひとつお話しください。
○参考人(高久史麿君) お答え申し上げます。
 今使われていますのは大部分のものが大腸菌を使って、それにインスリンの遺伝子でありますとか成長ホルモンの遺伝子などを入れてつくっていることが多い。それからバイオ細胞でもつくっていることがあります。
 そこで最初問題になりましたのは、その産物の中に大腸菌由来のたんぱくの混入があって、それがアレルギー反応を起こすのではないかということが問題になりましたが、これは生成の技術の進歩によりまして、また仮にインスリンを豚の膵臓からとっても同じことが言えるわけでありまして、当時はインスリンの場合でもインターフェロンの場合でも大腸菌のたんぱくの混入ということを非常に注意深くチェックいたしましたが、現実にはそのような点も克服されております。
 それ以外には、確かにおっしゃるように、一般の方々は遺伝子という言葉になかなか微妙な反応をされるという点があって、その点は我々も注意して使わなきゃならないと思いますけれども、遺伝子工学によってつくられた医薬品に関しては問題になる点はない。全くないとはもちろんなかなか言えないと思いますけれども、非常に少ないんではないかと考えております。
○水島裕君 あと三分ぐらいですので、一言ずつ御印象だけでよろしいんですけれども。
 私もいろいろ研究班に所属していましたし、先生方はそれの総元締めもやっていらっしゃるわけで、班長であったときと班員として仕事をするときでは大分心構えが違っておりまして、エイズの研究班がほかのいろいろな難病の研究班と同じかどうかということもございますでしょうが、研究班員としてそういうところに出ていきましても、ノルマを果たす、いただいただけのお金に見合う仕事を一生懸命するというところで、何か全体の流れについては余り責任がないように私どもも思っておりました。
 今回、いろいろこの国会でも責任追及を真相解明とともにしなくてはならないんですけれども、その点について、おっしゃりにくいし、あるいはお聞きしても余り意味がないかもしれませんけれども、高久先生と井形先生に、仮にそういうところの班長じゃなくて研究班員だったつもりになると、どういう御印象を持っていらっしゃいますでしょうか。
○参考人(高久史麿君) 私は今までいろいろな研究班に入らせていただいておりましたし、また班長をしたこともありますけれども、従来の研究班というのは、例えば病気の原因を明らかにするとか、診断法を開発するとか、あるいは皆さんで共同してある薬を使ってみてその効果を判定するとかというような形のもので、今度のエイズの研究班のようないわゆる政策の決定ということにはほとんど関係していなかったと思います。
 委員会の場合にはある程度関係した記憶がございます。例えば、骨髄移植の専門委員会のときに、骨髄バンクを日本につくる必要があるということと、そのためにはその第三者機関をつくる必要があると、そういう決定をしたことはありますが、研究班は、本来はそういう政策的な決定はしないのが大部分ではないかというふうに理解しておりました。
○参考人(井形昭弘君) ただいまの御指摘でありますが、同じ研究班でも文部省の研究班と厚生省の研究班とはかなりニュアンスが違うと思っております。
 私も厚生省の研究班長をやらせていただいたことがございますが、私は班員に、どんな基礎的な研究でも患者さんのどの悩みとどの苦しみに対応するかという視点は忘れないでやる、厚生省の研究班というのは一つの目的を持ったプロジェクトですから、これに対してフォーカスを合わせてほしいということをはっきり申し上げておりました。私は実はそれだけの責任があると思っております。
 現在、高久先生もそうでありますが、特定疾患、難病の懇談会に私は御指名をいただいておりますが、早速ながらクロイッフェルト・ヤコブ病と狂牛病の研究班を組織しました。これなんかはかなり具体的な目標を持って、一定期間に学者としてできるベストの結論を出していただきたいし、班長さんになった方はそういうことを十分意識していただきたいと希望しています。
○水島裕君 終わります。
 どうもありがとうございました。
○朝日俊弘君 社会民主党の朝日と申します。よろしくお願い申し上げます。
 私の持ち時間は大変限られていますので、それぞれ三人の参考人の方に一つずつお尋ねをしたいと、こういうふうに思います。
 まず、光石参考人にお尋ねしたいと思いますが、先ほどの意見では、第三者機関の設置、情報公開、患者の権利という基本的に三点にわたってお考えを述べていただきました。基本的な考え方として大いに参考になりましたし、賛成をしたいと思うんですが、現時点で、決して結論を急ぐつもりはありませんけれども、薬剤の許認可に関しても今後何らかの形で行政から独立した第三者機関的な審査機関を設置すべきであるというふうに私は思っているんですが、そのことについてお考えがあればぜひお聞かせください。
 その際、いささかこれまでの常識とは違うかもしれませんけれども、例えば仮称、医薬品安全性監視委員会なるものをぜひつくり、その中に専門家以外の人たちも入れる仕組みをつくったらどうかと考えているのですが、参考までに御意見をいただきたいと思います。
○参考人(光石忠敬君) 先ほど申し上げたように、医薬品に限らず新しい医療技術の有効性とか安全性の評価というのは、本来国が最終的に責任を持ってやるべき仕事だと思っているんです。ただし、その場合に政府機関としてそういう評価機関ができるということは、なかなか言うべくして先ほどから出ておりますような予算の問題、人員の問題があるようです。
 しかし、そうだからといって第三者機関というのが、例えば先ほどの長たらしい機構なんかで相談とか助言とかということを今進めようとしていますけれども、何となくそういうのだけでやり切れるのかなと。先ほどの審査課三十何人対FDAの千三百何人ですか、その差だけ見ても、結局手弁当で片手間でやるには余りにも重大なことを調査会なりなんなりが決定しているんですね。それは原則と例外が逆じゃないか。やはり原則は政府機関の職員が責任を持って評価して、そして専門その他によって間に合わないようなところはFDAのように諮問委員会という形で助言してもらうとか。ですから、そういう意味では、私は基本的には政府機関がやるべきことだというふうに思っています。
 それから、その中に専門家以外の方が入ってくるというのは、それは結構なことだと思います。
○朝日俊弘君 次に、井形参考人にお伺いします。
 ちょっと私の理解が間違っていたら御訂正ください。
 冒頭の意見をお聞きしますと、医薬品のチェックあるいは審査の仕組み、現行の法制度的枠組みでもやればできるんだというふうにもお聞きしました。現在の法制度的枠組みをつくり変える必要があるのかないのか。場合によっては、その法制度的枠組みは残したままその運用なりシステム化をきちっとしたら、それなりに機能は発揮できるというお考えだったかどうか。
 薬害エイズ問題を今後どう教訓として受けとめていくかという点で、大きな考え方の分かれ目だと思います。現行の法制度上の枠組みはそれでよろしかったのかどうか、ちょっと私の聞き取りが間違っていたかもしれませんけれども、その点もあわせてお伺いします。
○参考人(井形昭弘君) 表現の問題でありますし、私は根本的には厚生省の責任感と薬事審議会の決断によって予防できた事例が幾つかあると申し上げましたが、それを保証するシステムをつくっていなかったことがいけなかったというふうに申し上げたつもりであります。
 ということは、現在の枠組みでも、それを保証する機能を付与すれば、それは別の組織というか、現行の枠でないというふうにとられても結構でありますし、現行の枠内でも結構でありますが、少なくとも現行にプラス責任と権限を付与し、そしてきちっとできるシステムを完備すべきだと。それは薬害エイズを許した現状からいえば、現状をちょっと手直ししただけでよろしいということではとてもないと思うんですね、根本的に変える必要があると。したがって、先生の御質問には、画期的変革を使えれば現行でも可能というつもりであります。
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 じゃ、最後に、高久参考人にお伺いします。
 一つは、参考人は厚生科学会議のメンバーでもいらっしゃるということで、きょうお伺いしたようなことも含めて科学会議の方でも御発言いただいたというふうに思っているんですが、今後、その厚生科学会議でさまざまな御意見をいただいた部分についてどのような形で生かされていくのだろうか、今後の問題を御存じでしたらちょっと教えていただきたいと思います。
 そのこととあわせて、先ほど光石参考人にお尋ねしたことと重なりますが、薬剤のチェック、許認可の権限を非常に少数の役人が行っているということに問題がある。さて、これを行政の内につくって体制を強化充実するのか、内につくることができにくいから消極的に外につくってもいいというふうに考えるのか、むしろ積極的に外につくるという考え方はできないだろうかという点について、先ほど少し議論のあったところでもありますが、ぜひ参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思いますし、冒頭に申し上げましたように、さて、厚生科学会議でのさまざまな御意見は今後どんなふうに生かされていくのかもあわせてお尋ねしたいと思います。
○参考人(高久史麿君) お答えいたします。
 後の方の御質問に最初にお答えしたいと思いますけれども、私は光石参考人と同じ意見でありまして、薬の許認可というのはやはり厚生省が責任を持つべきであるというふうに考えております。
 ですから、本来ならば、中の人を質的にも量的にも充実して、その中で許認可に必要なことをやるべきだと考えております。
 しかし、現実にはなかなか行うことが難しい点がたくさんあることも承知しておりまして、その場合には第三者機関を活用するのもやむを得ないというのが私のある程度の考えでございます。しかし、第三者機関を活用することによる利点も、先ほど挙げましたように、認可ということと審査ということあるいは助言とかいうものを分けるという意味ではいい点があるかもしれませんけれども、やはり責任は厚生省の中で持つべきだというふうに考えています。
 それから、厚生科学会議に関してでありますれども、これは従来は厚生省の行う健康科学、健康に関係するサイエンスのいろいろな問題を検討して、それをたしか大臣に答申をするというんですか、御意見を申し上げるという機関であるというふうに考えておりましたけれども、そういう機関として今回のエイズの問題についても議論をしたんだと思います。
 二回にわたって議論をしましたし、ここにおられる光石参考人も出られたわけでありますが、最後の方の二回目の中の議論としては、今回のようなエイズ薬害が起こらないようにするためには純粋な第三者機関による調査の委員会をつくって、なぜエイズ薬害が起こったかということを明らかにすべきであるという一つの意見が出たと思いますけれども、それが今後どのように具体化されるのかということについては、その後会議が開かれておりませんので、私は情報を得ておりません。
 以上であります。
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
 終わります。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子です。
 どうぞよろしくお願いをいたします。
 光石参考人にお伺いしたいわけですけれども、薬害の再発防止のためには、やはり薬害エイズの真相の解明というのが私は不可欠の大前提だというふうに考えております。当小委員会の目的にも、この薬害エイズの真相の解明によって薬害の再発防止及び恒久の対策、治療の対策を検討していくということにこの小委員会の目的もなっているわけです。
 この間、国会でさまざまな努力がされてまいりました。もちろん、国民の皆さんにとっては大変不満な部分があり、私もまだ核心の部分はやみの中であるというふうにも思いますけれども、少しずつ事実がわかり、食い違いがわかり、責任のなすり合いということもわかってきたというふうに思うわけですけれども、HIV訴訟の場合には弁護団の皆さんの大きな支援があったと思いますし、同じ弁護士のお立場から、これからの真相解明について国会に何を望まれるか、御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(光石忠敬君) 今まで随分の努力がなされて食い違った点とかいうのがわかってきたんですが、やはり問題は、これから胸突き八丁で、食い違いを食い違いとしてそのままにしておかないという手続というのがどうしても必要ではないかと。具体的なケースほど情報量が多いわけですから、これをとことん真相を明らかにしていくということによってこれからの道筋というのがおのずと見えてくるだろうと思うんです。
 そういう意味では、先ほど申し上げましたような証人喚問という形で対質というような、食い、違っている人をその点だけについて並んで相互に弁明してもらったり質問したりすると。それは裁判で行われておりますけれども、そういう手続も駆使していただけたらいいんではないかと、そういうふうに思います。
○西山登紀子君 光石参考人にまたお聞きしたいわけですけれども、情報の公開それから第三者機関、これはいずれも必要なものではないかというふうに私も思うわけですけれども、薬害エイズがなぜ起こったのかというその原因を、例えばシステムの不備だとか法律の不備に帰する場合には、私はその本質を見誤るのではないかというふうに思っております。当時の厚生省、政策決定の権限を持っていた厚生省のだれがいつそういう誤った政策決定をしたのかということをきっちり明らかにしていくことが必要だと思っているわけです。
 私、五月十六日でしたか、この場で郡司元生物製剤課長に質問をいたしましたけれども、先生がおっしゃる情報の公開、非常に重要だとおっしゃるその点で、八三年の六月二日、トラベノール社が実は汚染されている血液製剤を回収したという報告を郡司氏あてに出しているわけです。この文書を、当時、厚生省は公表もいたしませんでしたし、エイズの研究班に報告もいたしませんでしたし、その汚染された血液製剤を緊急にストップするということの政策決定もしなかったわけです。
 今、郡司氏は、当時意味がないと考えたので公表もしなかったし、上司にも報告しなかったと言っているんですけれども、私の参考人招致の答弁のところでは、局長の決裁がある文書は見た、自分は報告はしていない、このように答弁をされているわけです。薬害エイズの被害を起こし、また拡大したという意味で、こういうトラベノールの回収報告を隠してしまった、情報を隠してしまったこの責任について、先生のお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(光石忠敬君) この具体的な場面で責任はどうかということになりますと、私も全容を把握しておりませんけれども、ただ、先ほど私が申し上げた行政情報の適用除外となるべきものとして意思形成過程情報というものも一律に除外すべきじゃないんだということも申し上げましたし、事実資料についてはやはり一切除外してはいけないということも申し上げました。それは主として先生が今おっしゃったようなトラベノール社の回収報告というのは、これは事実としてそういう報告があったということですから、こういうことを公開するということを考えながら発言したつもりなんです。
○西山登紀子君 実はこういう薬害を防止していく上で、私はやはり今度の薬害エイズというのは、政・官・財・学の構造的な癒着、そのことが大きな根本的な原因だというふうに思っているわけです。そういう癒着にメスを入れて、今後そういう癒着を断ち切っていく、そのためには根本的に何が必要かということなんですけれども、例えば天下りの禁止それから企業献金の禁止といったそういう措置については、光石参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(光石忠敬君) 天下りについては、一昨日の報道を読みますと、当分の間というような言葉をどこかが入れるというようなとんでもないことが報じられておりまして、私もとんでもないことだなと思います。
 企業献金のことについてはちょっと、私は経済的な問題は非常に大事だと思っておって、さっき申し上げたように、製薬企業の委託に基づく臨床研究のような場合に、どういう経済的な利益がどうなっているかということをやはり第三者的なところがレビューするべきだというふうに思っておりますけれども、企業献金一般についてはちょっと私には今お答えできません。
○西山登紀子君 それでは、最後の質問です。
 厚生科学会議が二回開かれたということなんですけれども、私は再発防止を最も切実に願っていらっしゃるのは被害者の皆さんだと思いますし、また本当に必要で有効な対策を提起できるのも被害者の皆さんだというふうに思っているわけですが、この厚生科学会議のメンバーを見ましても、被害者の代表もいらっしゃらなければ弁護団の代表も入っていないというようなことです。光石参考人は臨時だということで二回お出になっているわけですけれども、私はやはり、薬害エイズを引き起こしたのも、結局は患者の人権や生命を非常に軽んじたという、そういうのがあるわけですので、再発防止の政策検討をする場所には被害者の代表なり弁護団の代表なりが参加をするような、そういう機会を設けるべきではないかと思うんですが、最後にお伺いします。
○参考人(光石忠敬君) 私も臨時委員をお受けするときに、これは当然被害者の患者の方ないしその弁護団の方がということを申し上げておきました。患者の代表がこういう政策決定の場に入るような措置を皆様方の力でぜひ講じていただいて、厚生科学会議に限りませんけれども、当事者の関心が一番集中しているその方々の意見なり質問なりにちゃんとこたえられるような、そういう会議であってほしいというふうに私も願っております。
○小委員長(釘宮磐君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 小委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々は御退席くださって結構でございます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○小委員長(釘宮磐君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
○小委員長(釘宮磐君) 次に、東京都立駒込病院感染症科医長の根岸昌功君、東京大学医学部感染制御学教授の木村哲君及び東京大学医科学研究所助教授の岡慎一君の三名に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用の中、当小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日は、エイズ治療等の恒久対策につきまして参考人の皆様から忌憚のない御意見をお伺いし、今後の調査の参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方でございますが、まず根岸参考人、木村参考人及び岡参考人の順序で、お一人十分程度の御意見をお述べいただき、その後、各小委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は御着席のままで結構でございます。
 それでは、根岸参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。根岸参考人。
○参考人(根岸昌功君) お手元に資料をお配りいたしましたが、その資料の第二ページ目のところをちょっとごらんいただきたいと思います。一番最後のページのところです。
 ここに参考1、参考2として書いてございますが、参考1は、HIV感染者、エイズの患者さんが告知を受けたときにどのような反応があるのかということを羅列して書いてあります。そして参考2の方には、その後医療機関に対してどんなニーズを持っておられるかということを書いたものです。このニーズに沿いながら、私たちのところでも医療の内容を整備しようという努力をしてまいりました。
 恒久対策の中で幾つかの点が必要であるというふうに考えますが、その大きな面は、その少し前に書いてございます六番目、ちょうど中ごろぐらいにありますが、「総合的医療システムの開発」というところにあるというふうに思っております。
 それで、先ほどの参考2のところのニーズを分析していきますと、医療機関に求められるものというのは、やはり体に対しての何らかのケアを充実させること、そして二番目には、いろいろな困難に直面し、そして心理的なストレスにさらされるということもありまして、心理的なケアが必要であるということと、それから社会生活上の幾つかの困難に直面いたしますので、その社会生活上の支援を提供していくという、この三つの柱が必要であるというふうに考えております。
 それで、身体的なケアに関しては、医療機関は医療の技術、看護の技術を提供する場所ですので、その技術をいかに上手に磨いていくかということと、それから必要な薬剤をいかに効率よく早く手に入れるかという問題に尽きるだろうというふうに思います。この件に関しましては幾つかのやらなければならないと思っていることがございますが、これはもし必要でしたらまた質問のときにお答えしたいというふうに思います。
 二番目の心理的なケアに関してですが、今までの医療の技術を提供することプラスアルファとして、どうしてもカウンセリングという考え方、御自身が事実に直面し、そしてそれを乗り越えていくのを心理的に周りから援助していくという考え方をシステムとして医療機関の中に導入していくという手続がどうしても必要であるというふうに考えています。
 三番目の社会生活上の支援ということに関しましては、もちろん一つには、個人情報をいかに尊重できるようなシステムがつくれるかというところにあるだろうというふうに思います。そしてもう一つは、どうしても体の方のハンディキャップを背負うということは事実として起こり得る話であり、これから確実に起こってくるだろうというふうに思いますので、既存の福祉制度をいかに上手に適用していくかというところにあるように思います。
 アメリカ合衆国では、ハンディキャップを背負った人としての幾つかの福祉の適用をされております。それと同じように、仮に発病された場合には、その発病の定義ということがまたもう一つ大変問題になると思いますが、その定義の中で、例えば障害者手帳の交付とかそういう形での具体的な社会生活上の支援を提供していく、そのような姿勢を見せていくことが非常に重要であるというふうに思います。
 その三つの点をお話しいたしました。
○小委員長(釘宮磐君) ありがとうございました。
 次に、木村参考人にお願いいたします。木村参考人。
○参考人(木村哲君) 木村でございます。よろしくお願いします。
 お手元に配付させていただきました資料に沿って意見を述べさせていただきますが、冒頭にも書いてありますように、この恒久対策といいますのは、患者・感染者の方々からの強い要望によって生まれたものでありまして、その対策の内容としては、できるだけ患者・感染者の方々の希望を酌み入れた形にするのがよろしいのではないかというふうに考えております。
 私は、これまで十年余りのHIV感染症・エイズの診療を続けてまいりまして、それの経験から二、三の意見を述べさせていただきますが、あくまでも患者・感染者の方々の意見が優先するものであって、もし私の方から少しでも補足できれば幸いというようなスタンスで述べさせていただきたいというふうに思います。
 それで、和解の中でエイズの研究・治療センターというものの設置が決まってまいりましたが、これは、血友病の人たちが感染いたしましてから多くの人が既に十三、四年たっているということを考え、またエイズの発症までの期間が平均十年と言われているようなことを考えあわせますと、この研究・治療センターの設置というのは、恒久対策の中でも最も急がれるものの一つであろうというふうに考えております。
 その設置の場所につきましては、国立国際医療センターの方にということで大筋で合意が得られているようでありますので、これについては立地条件からいってふさわしいであろうということを述べさせていただいて、省略いたしたいと思います。
 それから、そこにおける診療体制についてでありますけれども、全国のエイズ拠点病院がほぼ出そろいましたけれども、それらの病院でのHIV感染症・エイズの診療経験というものは、まだ患者が希望しているレベルに達していない場合が多いというのが確かに現状であります。したがいまして、これらの患者・感染者の方々の緊急な要望にこたえるためには、診療経験の豊富なすぐれた医師や看護婦を集めて、すぐに対応できる診療、チームを早急に編成することが必要だと思います。人材の選択に当たりましては、非常に新しい分野であるというようなことにかんがみて、年齢などに余りこだわらず、これまでの実績等々を踏まえた上で人選をしていくのがよろしいのではないかというふうに思います。また、先ほど根岸先生の方からもお話がありましたけれども、精神面のサポートのためにカウンセラーのようなものを設置するというようなことが必要と考えております。
 それから、エイズ診療と申しますのは、合併症が非常に多岐にわたりまして、病院全体というか全科といいますか、いろいろな科にまたがることが非常に多うございます。したがいまして、総合病院としての機能を持った病院で他の診療部門との協調が非常に大切であるわけですが、その一方において、他の診療部門からの圧力によってエイズ研究・治療センターの機能が損なわれることのないような機構上の配慮も必要ではないかというふうに考えております。
 それから、第三点といたしまして、診療のほかに臨床研究がぜひとも必要でありまして、そのための設備であるとか人材、体制などを整える必要があろうかと思います。
 この病気は、まだ新しい、歴史の浅い病気であって、未知の部分が非常に多い状況です。それで、恒久対策としてHIV感染症・エイズの診療体制を考えますときに、単に日常診療を積極的に行うというだけでは不十分でありまして、将来に向けて活発な臨床研究のできる機構と設備、人材が必要となってまいります。そのためには、臨床部門に直結した研究施設が必要でありまして、少なくともウイルスの培養ができたり、その遺伝子の解析ができたり、あるいは個々の患者・感染者から分離されたHIVの変異状況を調べたり、薬剤の感受性が試験できるような施設が必要であろうというふうに思います。
 一見、このようなことは基礎研究者との共同によってできるであろうというふうに考えられるかもしれませんけれども、今までの経験から、やはり基礎は基礎としての関心があり、臨床のこのようなニーズになかなか対応し切れないというようなことがありまして、ぜひとも臨床に直結した研究部門というものが必要であろうというふうに思っております。
 それから次に、臨床試験、いわゆる治験でありますが、新薬の開発あるいは新しい治療法の開発のための治験は、一定レベルの病院であれば既にどこでも実施しているものでありますけれども、その質の向上と、それら新しい治療法の早期承認のためには、このセンターが中心的存在としてそれをリードするようなことが必要だろうと思います。現在、GCPを遵守して治験が厳密に行われてきつつありますけれども、時間の限られた外来の中においてそれらを遺漏なく実施するというのはだんだんと困難な状況になってきておりまして、これを補助し、治験の質を維持するために、リサーチナースなどのような制度がぜひともつくられていくべきであろうというふうに思っております。
 あと、私は日本病院会の会員の方々を、施設を対象といたしましてアンケート調査をことし一月に行いましたけれども、その結果によりますと、八七%、約九〇%の病院が自分たちはHIV感染症・エイズの診療の経験不足ということを認識されておられて、研修やコンサルテーションを希望しておられます。
 このようなことを考えましても、拠点病院その他の医療機関の教育・研修といったものを充実させることが必要でありまして、エイズ研究・治療センターでそのような研修コースというものをつくって医療機関のニーズにこたえていくべきであろうというふうに思います。また、この点は多くの患者・感染者の方々からも強く要求が出されているというふうに伺っております。そのためには、カリキュラムとか日程の調整を行う事務職員であるとかコーディネーターあるいは教官などの配置も考える必要があるのではないかと思っております。
 そのほか、「情報の収集」、それから「保険適応外検査」あるいは「治療に対する措置」、それから「基礎研究の充実」等々、以下に項目を並べましたが、これらについては、時間の関係もありまして、省略させていただきます。
 以上でございます。
○小委員長(釘宮磐君) ありがとうございました。
 次に、岡参考人にお願いいたします。岡参考人。
○参考人(岡慎一君) 東大医科研の岡と申します。
 八六年、約十年前から、今お話しいただきました木村当時助教授と一緒に、それから島田教授と一緒にエイズ診療というものを開始しまして約十年がたっております。同じ仕事をずっとしてきましたので、かなりの部分木村先生のお話とダブるところもあるかと思いますけれども、私の私見ということで少しお話ししたいと思います。
 恒久対策について、これからどう取り組んだらいいか、その取り組みに関しても国としてどう取り組んだらいいかというようなことについて考えてみたいと思います。
 八六年当時、まだエイズを診る社会基盤もできておりませんでしたけれども、我々が考えたことというのは、研究医療です。治療法のない非常に難しい病気であったわけですけれども、ともかく前進しようということで行ってきました。
 この病気は確かに非常に難しい問題をいっぱい含んでおりますので、社会学的な側面からのサポートも、根岸先生おっしゃられましたように非常に重要な分野だろうというふうに考えております。その中で我々があえて第一位に推してきたことは研究医療ということなんですけれども、研究医療を行うときにこの病気を考えますと、病気自体は十年以上の経過を持ってゆっくり進む病気であります。それで、その時々に応じて、例えばその患者さんのエイズウイルスというものを相手にする時期と、それから抵抗力が弱ったときに起こってくるいろいろな感染症、専門的には日和見感染と言いますけれども、そういうまれにしか見ないような感染症をどう診断、治療するかというふうに大きく二つに分かれできます。
 これは先ほど木村先生からもお話がありましたけれども、非常に複合疾患で、一方ではウイルスを診ながら、一方ではまれな感染症を診るというふうに病気をトータルに診なければいけないという難しさから、恒久対策として望まれる研究センターには、いわゆるウイルスの基礎的なことだけ、もしくは極めて専門的な感染症だけを相手にするのではなくて、それらを複合して診れることが非常に大事だろうというふうに考えております。
 今、拠点病院構想ができまして、これは僕は個人的には非常にタイムリーないい政策だっただろうというふうに思っているんですけれども、患者数はどんどんふえてきております。ただ、じゃ、全国の拠点病院で一般医療の枠の中でこれが行えるかといいますと、まだまだ不可能な部分がたくさんあります。例えば、エイズという病気、先ほど言いましたまれにしか起こらないような感染症を保険医療の中でできるかどうかというと、これはまだまだ不可能であります。例えば、診断をするためにも保険医療では不可能であったり、診断がついたとしても治療もできない、そういうような現実であります。
 それから、実はこの一、二年非常に多くの患者さんが医科研の方に転院されてきております。例えば、昨年度約五十名、それからことしに入って、まだ半年足らずですけれども既に四十名の方が転院されてきていますけれども、転院理由を聞いてみますと、やはり医療を望んでいると。もちろん、拠点病院なりではかなり一生懸命されているんでしょうけれども、その経験からくる不安が強いんだろうと思います。これは患者さんにとっては当然なことでして、今から拠点病院で経験を積むのではその個人にとっては間に合わないということも多々起こり得るかと思います。
 そういうことを踏まえて考えますと、これからの対策というものは、いかに拠点病院で一般医療の枠の中で安心してみんなが医療を受けれるかというような医療環境をできるだけ早くつくる必要があるだろうと思います。そのためには、我々が今まで行ってきた研究医療というものは非常に大事ではなかろうかというふうに考えております。
 例えば、もし新しい治療法それから診断法等が開発できましたら、新しい治療法というのは、何もエイズを治すというような大きなことでなくても、エイズに合併する一つのちっちゃな日和見感染症だったとしても、それは非常に早く、それから経済的に言えば安く診断、治療できるような方法を一つずつつくっていけば、これは日本国内だけではなくて世界的な貢献という意味でも非常に大きいだろうというふうに考えております。
 以上のようなことから、国として今後恒久対策にどういうふうに取り組むべきであるかということを自分なりの意見として考えてみますと、この病気というのは、山に例えればまだ二合目までも達していないような、これからすべきものが多く残されている病気ですので、ある意味では研究医療というのはまだまだ必要であると。そのためには、そういうような研究所もしくは病院というものがもっともっとたくさん日本国内にも必要だろうというふうに考えておりますし、そういう場を動かせるようなスタッフの育成というのも非常に大事だろうというふうに考えております。
 恒久対策として、いろんな情報の発信ですとか、それから社会学的な側面、もちろんそれも非常に大事だろうと思いますけれども、その設立すべき医療機関に絶対に欠けてはならないものの一つとしては、今まで述べてきましたような、まだまだこれからこの病気に対して挑戦していくんだというような臨床研究のできる医療施設というものを強く望んでおります。
 以上です。
○小委員長(釘宮磐君) 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○石井道子君 自由民主党の石井道子でございます。
 参議院の厚生委員会においては薬害エイズに関する小委員会をつくりまして、いろいろとエイズ対策について取り組んできているところでございまして、きょうは大変お忙しい中をわざわざこの小委員会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。心から感謝を申し上げます。
 エイズ対策につきましては、今までも参考人をお呼びいたしまして真相解明などにつきまして取り組んでまいりましたが、薬害の再発防止の問題、また患者救済に対します医療体制の充実、これが最も差し迫った重要な問題であろうということになりまして、きょうは参考人にもおいでいただいたところでございます。
 既に、平成五年の七月に厚生省も「エイズ治療の拠点病院の整備について」という局長通達を出されております。それから三年近くたっているわけでございますが、医療体制の整備については患者の方々にとって本当に急を要する大切な問題でございます。この間の和解成立の「確認書」におきましても、「厚生大臣は、引き続き原告らHIV感染者の意見を聴取しつつ、HIV感染症の医療体制の整備等につき適切な措置をとることに努める。」というふうにされました。私どももそのようなことで、何とか患者さんの方々にとって適切な医療が行われるようにということを願っているところでございまして、その点についてお伺いをしたいと思うわけでございます。
 特に、根岸参考人にお伺いいたしますけれども、先生がお勤めになっていらっしゃいます都立駒込病院でございますが、患者さんの方々から大変評判がよい、いち早くこのエイズ治療に対して取り組んでいただいているということでございまして、大変高い評価を受けられていると伺っております。
 この医療の現場というのは非常にさまざまな難しい課題を抱えているわけでございまして、そう簡単にはいかないのではないかと思いますが、エイズ患者の方々の治療に対しまして特別の治療方法というものが特に今のところあるわけではありませんし、基本的にはどの医療機関でも対応できるものであるという、そういうふうな認識を先生は持っていらっしゃると伺っております。
 そのような先生の御経験から、先ほどもいろいろ御意見も伺わせていただきまして、医療システムの開発については身体的ケアまた心理的ケアの問題、社会生活上の支援の問題そのような幅広い分野での対策が必要であるということも伺いました。
 そのような点で、駒込病院の医療現場においてどのような共通の認識に立って医療関係者の方々が取り組んでいらっしゃいますか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○参考人(根岸昌功君) 私どものHIV感染者、エイズ患者さんに対しての医療は一九八五年十月から始まっております。この間、どのような質と量の医療を提供していいのかということで大分苦労をしてまいりましたが、私たちが今行おうとしていることは、今お話ししたような三つの柱をどのようにうまく現場で融合させることができるかということです。
 特に、医療の技術、そして看護の技術を提供するというのがやはり第一義的な職務でありますから、これは努力をしてまいりましたが、ただ私たちだけが行っていくということでは当然のことながら足りないだろうというふうに考えております。したがって、同じ臨床医療機関あるいは研究の機関との連携をとりながらそのネットワークをつくっていく、そして自分たちの得た臨床上のノウハウあるいは研究上のノウハウをお互いにやりとりするという、そういうシステムをつくりながら、ぜひともその診療の輪を広げていくという活動をしてまいりました。
 この中で非常に大切であるというふうに考えておりますのは、例えば現在、東京HIV診療ネットワークという医師の間のボランティアないしは医療従事者、ほかの人たちも看護婦さんも含めて入っておりますが、それらのグループの活動を続けてまいりました。これが東京にとどまらず、当然のことながら大阪の同じような仲間がおりますのでその人たちとのネットワーク、そして福岡とのネットワーク、そういう形で診療上の問題点をフランクに話し合い、それに対しての経験を共有するというやり方をこれからも続けていきたいというふうに考えています。
 医療機関の間での情報のやりとりだけではなくて、木村先生もおっしゃいましたように、病院の中での実際の研修をしていただいて、そして余りまだ日本の世の中にはないエイズという病気に対しての認識を深めていただくということは医療従事者にとっては非常に重要だと思います。そういう意味で、現在もほかの病院からの研修を引き受けてやっております。
 また、例えば非常に卑近な例でお話をいたしますと、東京都内のある病院から、私どものところにエイズの患者さんがいるから引き取ってくださいと言われた場合に、私たちは引き取っておりません。むしろ、私たちがそちらに伺ってお手伝いしますのでぜひそちらで診ていっていただきたいと。これは経験を十分に積んでいただくということと同時に、医療の質を保っていくためにはやはり経験の豊富な病院、そして研究施設、そういうものと一般病院との間の連係プレーというのがとても大切であるというふうに考えているからです。そのような形で医療機関の間でのネットワークをむしろ強めていくことが大切だと考えています。
○石井道子君 いろいろと御苦労があると思いますが、この間、五月二十八日にHIV原告団と弁護団の要望書をいただきました。そして、まだまだ医療体制が被害者の意思と関係ないところで決められるとか、治療の一貫性がないとか、いろいろと御注文があったわけでございます。
   〔小委員長退席、水島裕君着席〕
 しっかりとエイズ治療をやっていらっしゃる病院もありますが、全国的には拠点病院制度があってもなかなか思うようにいかないというのが現実の姿だろうと思っておりますが、駒込病院などのように御努力をされて、そして苦難を克服されて立派な成果を上げられているという、そのような過程を通じて、今後行政においてどのようなバックアップが必要であろうかということを感じるわけでございまして、その点についての率直な先生の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(根岸昌功君) 二つございます。
 一つは、より高度の、そして最新の医療を提供するようなシステムをぜひともつくってほしいということです。これは私どもの病院だけではなくて、ほかの一般病院の方にも参加をお願いして、ともに診療の輪を広げていくという形で最新の医療ができるような、例えば技術の導入あるいは薬剤の導入に関してしっかりとしたシステムをつくっていただきたいというふうに考えています。
 それからもう一つは、今おいでになっている患者さんたち、この病気と正面切って闘っておられる方、その方たちの社会生活上の困難に関して何らかの行政の上での便宜を図っていただきたいというふうに考えています。
 その中の具体的なものとして、先ほどのお話の中でいたしましたけれども、少なくとも発病された方に対して既存の福祉制度を利用できるような便宜をぜひ図っていただきたい。例えば、血友病の患者さんの場合でしたらば、特に関節あるいはほかのことでの身体的な障害というのもお持ちになることが多いので、それに対してきちんとした、障害者手帳のようなものの交付をお願いしたいことと、あるいはこの恒久対策の中では決して血友病の問題だけではなくて、これからのこの疾患にかかられる方に対しての便宜というのも当然入ってくるだろうというふうに考えておりますので、そういう意味で、発病された方に対して障害者としての支援を具体化していただきたいというふうに考えております。
○石井道子君 どうもありがとうございました。
 次に、木村先生の方にお伺いしたいと思うのでございますが、先ほど参考資料もちょうだいいたしまして、長いことエイズ対策について取り組まれ、体系的にいろいろと研究をされていらっしゃるということを伺いまして、大変力強く思ったところでもございます。
 この間もHIV感染者の方々のお話の中で、治療・研究開発センターをつくってほしいという御要望があります。そしてまた、地方の拠点病院においては全科で対応できる総合病院が必要であるというようなお話も出ておりまして、いろんな科の連携の中でやらなければならないという木村先生のお話もあったわけでございますけれども、先生は診療科目の少ない病院と総合病院と両方のエイズ治療を経験されていらっしゃると聞いておりますけれども、そのような面で総合的なエイズの診療体制を実現するためにどのような条件、対策が必要であるか、改めてもう一度伺わせていただきたいと思います。
○参考人(木村哲君) 先ほども申し上げましたが、エイズはいろいろな合併症を出すということで、基本的にはどのようなことが起こっても対応できるような総合病院の中で診ていくというのが一番大事だろうと思います。
   〔小委員長代理水島裕君退席、小委員長着席〕
 ただ、例えば結核であるとか特殊な精神症状を出したというような場合にはそれぞれの専門病院ということが考えられると思いますが、基本はあくまでもやはり総合的な病院がふさわしいのではないかというふうに思います。
 医科研は、内科が二つ、外科が二つというような非常に限られた診療科で運営されているところでございますが、このときにも、隣の岡先生の方が現在もそこで頑張っておられてより詳しいと思いますけれども、かなり積極的にHIV診療をやってまいりました。その中で感じたことは、非常に重要なほかの科が存在しないという大きなハンディキャップでありまして、その点を補うために非常勤講師の方に来ていただくとか、そういうポジションがなければ全くボランティアのような格好でドクターに来ていただくというような非常に変則的な形で曲がりなりにもやってきた、あるいは現在もそうしているということでありまして、このような無理な体制で長くやっていくことには非常に難しい面があろうかというふうに思います。
 そういう意味で、基本としては総合病院がふさわしいであろう、拠点病院的に多くの患者さんを診ていくというのは総合病院がいいであろうと。
 ただ、それを補う意味で単科病院あるいは診療科の少ない病院も大いに参加していただきたい。それぞれの分野でできることがあるわけでございまして、それぞれの能力に応じた診療への参加形態があるだろうというふうに思います。
○石井道子君 最近、厚生省の方で、血友病患者以外の患者に血液製剤を投与したという実態調査を行っておりまして、五月の末までに報告するようにというようなことが示されておりますが、なかなか回収が難しいと。千二百ぐらいの病院にそういう調査を行っているというふうに聞いているわけでございますが、そのような実態調査を受けられていらっしゃるでしょうか。それで、その調査の結果はどのような状況でございましょうか。
○参考人(木村哲君) これは私の今いる病院についての御質問でございましょうか。
○石井道子君 はい。
○参考人(木村哲君) 東大病院でも現在、十数年前から七、八年にわたる病歴を見直そうということで調査を行っております。と申しますのは、当時の帳票類などがもうほとんど存在いたしませんし、結局は使ったか使わないかというのをカルテにさかのぼって調査するよりしようがないということでやっておりますけれども、何分非常に膨大なカルテの数になりまして、今かなり進んではおりますけれども、まだ完了いたしておりません。
○石井道子君 いろいろなケースの感染の状況があるわけでございますけれども、最近ウィンドーピリオドという問題が出ております。潜伐期間が七、八年から十年ぐらいあるというエイズの問題でございますから、これからどのような状況が起こるかというのは大変心配されるところでもありますが、そのような中で、やはり一口にエイズ患者といっても、血友病患者で感染された方以外に、二次・三次・四次感染というような、第四ルートといいますか、そのような形のかなりの患者さんが出てきているというふうに聞いているわけでございまして、そのような問題に対してどのようにお考えになられますでしょうか。
○参考人(木村哲君) 第四ルートに関しましては、当時のドクターに危険性についてほとんど情報が行っていなかったような状況であるというふうに言われております。血液製剤を専門に扱う血友病の担当医の間でも今現在問題になっているような情報不足というようなことがあったわけで、それが外科医であるとか肝疾患を扱うドクターにどのように伝わっていたのか、あるいはその危険性がわかったときにどのような形でどこまで情報が流されていたのか、このあたりをきちんと調査することが非常に大切であろうというふうに思います。
○石井道子君 今回、エイズ治療薬の治験の問題がありますが、普通の治験と並行して行います拡大治験という方法で広く患者の方々が治験薬を使用できるようにするということでございますけれども、どのような点に配慮しつつ進めていかれるお考えでございましょうか。
○参考人(木村哲君) 日本における抗HIV薬の開発、承認というのは非常におくれておりまして、そのために患者さんも非常に焦り、またドクターの方も焦りがありまして、患者さんの中にはわざわざ海外まで出かけて薬を買ってきて飲むというような事態も出ているような状況にありました。幸い一、二カ月前から臨床試験を積極的に促進していくというような動きがありまして、またさらに拡大治験というような形でコアとなる治験の対象から若干外れるような患者さんに対しても必要と認めた場合には投与できるというふうな拡大治験が行われるようになったということで、この点は患者側にとっても、また治療をする側にとっても大変メリットのあることだと考えております。
 ただ、どのような使い方をするかという点につきましては非常に慎重にならなければならないということで、現在行われておりますのは、アメリカが承認した薬についてのみ、そしてアメリカで承認されているような対象患者についてのみ適用できるというふうな形で進めておりまして、何でもかんでもどんな形でも使えるというものではございませんが、それだけでもかなりの進歩であろうというふうに思っております。
 そのような拡大治験の中で安易に使って何か大きな事故などにつながりますと、これはかえってその薬の承認をおくらせることにもなると思われますので、各受け持ちのドクターには様子を見ながら慎重に、またその適用をきちんと守りながら使っていただきたいというふうに思っておりまして、研究会等でもそのようなスタンスで進めさせていただいております。
○石井道子君 ありがとうございました。
 それでは、岡先生の方にもお伺いしたいと思いますけれども、今回、エイズの問題に関係いたしまして血液製剤の問題がかなりいろいろと議論を呼んでおります。この血液製剤が日本において非常に消費量が多い、世界の三分の一を占めるような使用状況であるというふうなことも言われているわけでございまして、その血液製剤の供給体制の問題とか安全性の問題でありますとか、またこの使用の方法でありますとか、そのことに対してどのような御見解をお持ちでございましょうか。
○参考人(岡慎一君) 血液製剤の使用に関しましては、もちろんこの製剤の中にウイルスが入っているということがわかってからも使われたということに関しては非常に問題があったんだろうというふうに思っております。ただ、多くの医療、例えば血液製剤だけとは限らずに、輸血一つをとりましても、先ほど石井先生の方からおっしゃられましたウインドーピリオドというものもエイズの場合には存在します。
 情報を開示されずにうつってしまったということを置いておいて、輸血とか製剤とかそういうものに関しての私の意見を言いますと、やっぱりすべての医療というものにはいい面、メリットと、それから副作用として出てくる悪い面というものが必ずあるんだろうと思います。それをはかりにかけた上で、今その場でそういう医療をしたときに、それはいい方が主に出てくるのか、それとも悪い方が出てくるのかというものを考えながらしていくべきだろうと思います。すべての医療行為にはある種のリスクというのは伴うんだろうというふうに思っております。
 ですから、世界じゅうの血液を集めてきて行ったということについてはやはり本当の適用をどこまで考えて行ったのかというような問題は残るだろうと思いますし、これから先の輸血等を考えましても、本当にその場で必要であるから、もしかすると少しの危険はあるかもしれないけれども行うんだという認識を持って、そういう情報をちゃんと開示した上で行う医療であれば、これはやむを得ない場合もあり得るんじゃないかというふうに考えております。
○石井道子君 治験の問題が大変重要になってまいりますが、とかく製薬会社との癒着とかいろいろと好ましくない話も耳にいたします。この治験のあり方についてどのようにお考えになりますでしょうか。
○参考人(岡慎一君) 治験といいますのはあくまでもある種の研究医療だろうというふうに考えています。その場合に、その臨床研究というものが何を目的にされるのかということを明らかにして行っていかないと臨床研究のレベルがだんだん落ちてくるんだろうと思います。一番初めに木村先生の方からそういう治験の質を維持するためのということで意見を述べられていましたけれども、私も全く同感でして、ある一つの治験というものがその薬の危険性、安全性、そういうものを明らかにするためにそれに一番適したレベルの人をエントリーしてきちっとした試験をしていくということが一番大事で、そこのところを押さえておくことがまず治験を行う上での大前提だろうと思います。
 それがなされていけば、例えば今、世界でハーモナイゼーションというものも非常に話題になってきでおりますけれども、どこの国で行っても同じレベルの臨床研究を行ったとみなして、より早い一般医療への貢献というのができるんだろうというふうに考えております。ですから、治験を行うに当たっては、きちっとしたプロトコールを作成して、それに沿って行うというのが大前提だろうというふうに僕自身は考えております。
○石井道子君 医学、薬学の進歩というものは大変目覚ましいものがありますし、また疾病の状態もさまざまでございますし、難病もたくさんある、そして新しい病気もどんどんふえてくるという状態の中で非常に不確実な要素を含んでおります。
 ですから、その時々の研究体制、学問的な裏づけ、いろんな問題があるわけでございますが、臨床の場における実績、経験を十分にフォローアップして、そしてそれが反映されなければならないのではないかというふうに思うわけでございまして、そのことによってより一層因果関係がはっきりしたり、また臨床医学的な確実性も高まってくるというふうに思いますが、そういうときにやはり行政の果たす役割というものも重要ではないかとも思うわけです。そういう点で、先生方の行政に対する要望といいますか御意見がございましたら、一言ずつお願いをいたします。
○参考人(根岸昌功君) 先ほどお話しいたしましたが、エイズの診療を行っていく上でやはり順序があるというふうに思います。
 といいますのは、現場で大変苦しんでおられる患者さんが実際に直接どこへ行ったらいいんだろうかという情報の開示がまだ十分にされていないこと。そしてまた、それが受け入れられるほどのいわゆる拠点病院としての十分な機能が果たせるかどうか、そこの部分。そういう意味で、現在指定されている拠点病院を何とか実力アップをするための方策をとっていただきたい。これは人的な資源としても、あるいは設備としてもそのように希望しております。それがまず第一であるというふうに考えております。
○参考人(木村哲君) 私の資料の二ページ目の下の方に項目だけ並べた部分がございますが、その多くが行政の方に考えていただきたい部分になろうかと思います。
 例えば、2)の「保険適応外検査」あるいは「治療に対する措置」とございますが、HIV感染症・エイズの治療をしていくわけで、例えばエイズウイルスのRNAの定量を行うとか、あるいは日和見感染症でありますサイトメガロウイルスのアンチゲネミアを測定するとかいうことが非常に大事でありますが、これらのものはまだ認められておりませんし、それから日和見感染症等に対します幾つかの薬が海外では自由に使われているのにまだ日本で使えないということで、医師が個大使用ということで輸入して使っているものもございます。
 そういった薬についてもし何か事故が起きたときに、その医師個人が責任をとることになっておるわけでございますけれども、そのようなことをこのまま続けていていいのかどうか。医師個人の責任にそのような状況を嫁してしまうのではなく、何か行政的な計らいでもう少し患者のために使える薬を導入するなり検査を導入するというような措置をお願いしたいということが一つ。
 それから、三番の「基礎研究の充実」はもちろんでございますが、四番の「拠点病院の整備と診療内容の充実」、こういったものにはいろいろ予算的な措置を伴うものも多うございまして、これは根岸先生の方からも出ておりましたので繰り返しませんが、そういった配慮をお願いしたい。
 それから、「医療機関の啓発」であるとか、それから「地域住民、他の患者の啓発」という項目がございますが、これは差別偏見の意識が住民あるいは医療機関の中にもまだ多少残っているために受け入れがなかなか進まないという状況がアンケート調査の方からも出ておりまして、これらの啓発活動をぜひより活発にしていっていただきたい。エイズをちゃんと診療できる病院はいい病院なんだというようなイメージをみんなが持てるようにしていただきたいと思います。
 最後の「薬害の再発防止」については情報の公開がより必要なのではないかと。
 以上でございます。
○参考人(岡慎一君) 恒久対策に関する行政の果たす役割というのを考えますと、一つは、長期的な視野に立ってどういう目的のものをどうしたらいいんだということをじっくり考えた上での設立というものを望みたいと思います。
 根岸先生からも非常に建設的な意見が出されています。これはまだまだエイズ診療というものが一般医療のレベルに達していない。それをなるべく早く一般医療に達するための行政的に果たす役割、これが第一義的に非常に必要だろうというふうに思います。それから、今度は病気そのものをとらえて、なぜこの病気が治らないんだろうかということをちゃんと考えた上で研究医療ができるような医療機関もやはり必要だろうというふうに思いますし、その目的に沿った恒久対策それぞれについて、しかもこれが短期的であっては到底でき得ないことだろうと思いますので、長期的視野に立った対策というのを希望いたします。
○石井道子君 昨日、ちょうどテレビでエイズの方々のビデオが放映されておりました。私もちょうど見られたんですけれども、尾瀬哲也さんという方のことがいろいろと放映されておりまして、亡くなる二週間前のビデオですから、何か非常に切実な悲しい場面でもあったわけでございます。
 その尾瀬さんは血友病からエイズに感染されたという方なんですけれども、その痛みとかつらさとか苦しみとか大変悲惨な状況の中で生きてこられて、そしてその最後のときになって、やはり人間として何か役に立ちたい、限られた時間の中で、今の中で精いっぱい闘っていくけれども、その間に治療薬の治験台になって、そして若い方々のこれからの命を救いたいと、そんなようなことをお話しになっていらっしゃいました。
 そういうことで、人間として最後まで役に立ちたいというそんな願いを込めてテレビが放映されておりまして、私も何か胸が締めつけられるような思いで深い感動を覚えたわけでございますが、薬害エイズ問題をよき教訓として、関係者それぞれが協力をし合って、そしてこの問題解決のために取り組んでいかなければならないと改めて痛感したところでございます。
 きょうは大変お忙しい中をいろいろと質問に答えていただきまして、まことにありがとうございました。
 以上で終わります。
○田浦直君 平成会の田浦でございます。
 きょうは、お忙しい中を三先生ありがとうございます。
 早速ですけれども、木村先生にちょっと冒頭にお尋ねしたいと思います。
 この十年ぐらい診療に携わっておられるということです。この十年間の経過を見て、研究という面では結構進んできているんじゃないかなと思っておりますが、治療という面ではどうなのか、それから将来の見通しというものについて、先生の御意見をちょっと冒頭にお受けしたいというふうに思っております。
○参考人(木村哲君) 基礎研究におきましては、確かに御指摘のとおり大分進歩してきておりますけれども、ただそれがなかなか臨床の場に生かされてこない、臨床に直結するような基礎研究が少ないというのが現状であります。そして、臨床面から治療法というものについて考えてみますと、治療薬が日本では特に非常に限られていたという現実がございます。
 ですが、最近アメリカの方でもどんどん新しい薬が出てきて、日本でもようやくそれらが治験の方にのってきつつあるということで、一つの薬ですとウィルスの方もどんどん変容して耐性になって、その薬から逃れる形に変化していく。したがいまして、数カ月とか一年ぐらいで薬が効かなくなっていくわけでありますが、最近わかってきたことでは、幾つかの薬を組み合わせて併用いたしますと耐性がかなりできにくくなるというふうなことがわかってきております。
 治験が進んで幾つかの薬が承認されてまいりますと、それらを組み合わせた併用療法というものが可能になってきて、患者さんの予後も今よりはかなりよくなっていくのではないか。病気そのものを治すことはできないにしても、それが余り症状を出さない、発症しないとか進行をおくらせるとかいうような形がだんだんとれるようになっていくのではないか。これが何年かかるかよくわかりませんが、数年とか十年たってみると今よりは大分よくなっているんではないかというふうに思っております。
○田浦直君 ぜひそういうふうに先生方のお力でお願いをしたいというふうに思っております。
 この十年間で、診療をしていく中で、あるいは医療体系の中で特に困られたというようなことはございませんでしょうか。
○参考人(木村哲君) 一番苦慮をいたしましたのは、やはり患者さんが区別、差別されていたということであろうというふうに感じております。
 この十年間で大分その辺の意識が薄れてきたといいますか差別が少なくなってきているとは思います。医療機関でのHIV感染者の診療の経験、あるいはそれらの患者さんを受け入れていくというような施設の数、パーセントを見ていきますとだんだんとふえてきているということで、そういう医療機関における差別偏見、あるいは一般人の差別偏見というものも少しずつ薄れてはきているように思いますが、いまだにまだその辺が障害になっているという現実もございまして、診療の中で気を使ったのは、医療従事者においても地域住民においてもその辺の意識改革をどのようにして行っていったらいいのかなというところは非常に気になっていたところでございます。
○田浦直君 先生のこの文章の中にエイズ研究・治療センターといいますか、そういったものが大変大事なものの一つであるというふうに書かれておられますけれども、これは国立国際医療センターの中にという御意向のような気がいたしますですね。私もそうあるのがいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、先生にちょっとお尋ねしたいのは、このセンターをつくるときに特に注意するような点、あるいは要望しておきたいというようなこと、そういうことがあったらおっしゃっていただけばというふうに思います。
○参考人(木村哲君) そのセンターをつくるに当たりましては、臨床が十分にできること、そして臨床研究が十分にできること、その他ここに挙げさせていただいたものが十分にできるような形にしていくとよろしいのではないかなというふうに思っております。
 それともう一つは、エイズ研究・治療センターが実現いたしたとしましても、恐らく割と限られた規模のものだろう、その中にすべての診療科を含むというような形ではないだろうと思います。
 医療センターのような、総合病院にこういうものをくっつけて持ってくるというのがいいというのは、既存の総合的な診療部門がすべてHIV感染症・エイズの診療に協力する、参画していくというようなコンセンサスがあるということを前提としておりますので、このようなものができた暁には、ほかの診療科は、HIV感染症・エイズはそのセンターに任せておけばいいんだというようなことではなくて、すべての科が協力して一緒に診療をやっていけるというようなシステムをぜひつくっていく必要があるだろうというふうに思います。
○田浦直君 これからそれにかかるというタイミングでございますから、ぜひ岡参考人にも根岸参考人にもつくる前の段階で御意向を伺っておきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○参考人(岡慎一君) 建物というハードの部分については、もちろんこれは予算等いろんなことがあるんだろうと思うんです。それから、総合病院という。パワーを利用してつくっていくということは非常に大事なことだろうと思いますけれども、基本的な面で何が一番大事かといいますと、やっぱりそこで働く人間だろうと思います。
 結局、いかに大きなもの、いいものができたとしても、それを動かすソフトの方、人間の方がうまく機能しなければうまくいかないだろうと。それはどういうふうにしたらうまくいくかというのは、木村先生が今おっしゃいましたけれども、医療センターの方としても全面的なバックアップをしていくという中で行っていくと。
 我々がこの十年医療をやってきて一番困ったことというのは、エイズを真剣にやろうという人間が非常に少なかった。医科研というのは非常に限られた施設でしたし、ああいう大きな総合病院があって、そこが本当に強力なバックアップをするのであれば、これは非常に力を持ったセンターになるだろうというふうに考えておりますので、ハードだけではなくて、ソフト面でそういう人が十二分に活躍できるようなシステムをつくっていくというのが一番大事だろうというふうに考えております。
○参考人(根岸昌功君) 都立駒込病院は、産科を除いて総合病院になっております。それで、私たちが一九八五年に始めたころ、小さなグループで始めたものですが、患者さんからこういうニーズがある。例えば肺の方に影が見えてくると、そうすると呼吸器の専門家の方と連絡をとりながら診療を進めていく。あるいは歯科の問題、あるいは眼科の問題、幾つかのほかの科との連携というのがどうしても必要になってまいります。それで、その必要のたびにそこと話し合いをしながら診療の輪を広げていきますと、実際に動いた科というのはやはり一つのチームを組むことが可能なようになってまいります。
 これは、我々医療スタッフの方の努力というよりも、むしろ患者さんの方から出されてきた幾つものサインに対して医療従事者の方が動かされていったというのが本当の姿なんだろうというふうに思います。
 そういう意味で、現在、私たちのところでは、患者さんたちが集まれるような部屋を用意するというところにまで進んでまいりました。カウンセラーが来てカウンセリングするのではなくて、同じ病気の方たちがお互いに本音で話し合いができるような場を設けていくということさえもできるようになってきました。そういう意味で、医療センターという総合的な医療を提供できるような場所でこの研究・治療センターができることは、私は大賛成であります。
 ただ、一つ注文したいのは、患者さんからのニーズをいかにうまく取り入れられるかという、お話にありました診療の上でのソフトを大切にするという考え方。そして、医療従事者、これは医師だけではありません、いろんな職種の方がおられますが、その人たちとの連携、チームプレーがとれるような、そういう運営の仕方と言うんでしょうか、そういうソフトが大変大切であるというふうに考えています。
○田浦直君 総合的な病院でありながら、しかも独立性を持っておらなければちょっといかぬのじゃないかなということになるんじゃないかなと思うんです。
 今度は人の問題になりますけれども、例えばそこの一番上の方になられる診療部長と言うんですか、これがどういう位置づけになるのか。例えば、ほかの眼科だとか皮膚科の診療部の部長さんと一緒のような位置づけになるのか、あるいはまた全然枠外の、病院に直結したような、例えば看護学校みたいな、そういうふうな医療センターになるのかということもあるのではないかなというふうに私は思うんですね。
 その診療部長、例えば人で言いますと診療部長となる方は兼務できるようなものかどうかということをお尋ねをしたいんですね。どこかよその病院の仕事をされておって、兼務でそこの院長になるというようなことは、実際問題としてこの場合は難しいんじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。これは、木村先生、どうでしょうか。
○参考人(木村哲君) これが軌道に乗ればかなりの施設になりますし、いろいろな配慮をしながら周りとの調整を図っていくというようなことが必要になってくるので、やはり専任でないと無理だろうというふうに思います。
 ただ、それを立ち上げる過程において、ある一定の時期においては、これが軌道に乗るまでの間といいますか、その仕事の量に応じてだろうと思いますけれども、兼務ということもあり得るとは思いますが、できるだけ専任が好ましいというふうに思います。
○田浦直君 根岸先生、先ほど情報ネットワーク構想というのをおっしゃられましたですね。ここのセンターの中にもそういう構想があると聞いておるんですけれども、それについて何かお聞きしていることはございませんか。ここのネットワーク構想と先生のおっしゃられたネットワーク構想はほぼ同じようなものなんですか。
○参考人(根岸昌功君) この研究・治療センターがどういうものであるのかというのは、アウトラインを私はよく知らないのでお答えできないんですが、少なくとも、私たち駒込病院で治療を行っていったり、いろいろな情報が必要になった場合に、国際医療センターの中のAIDS医療情報センターがたくさんの文献とそして多くの治験を持っておられるので、そことの連携によって非常に最新の情報が得られていることは事実ですし、ほかの医療施設からこの件に関してわからないんだけれどもどうしたらいいだろうという質問があったとき、我々で答えられるものは答えますが、それ以外のものはAIDS医療情報センターの方に回しております。そこで得られる情報というのは非常に質が高いものであるというふうに思っております。ですから、それが恐らく研究・治療センターの中の一つの機能部門として位置づけられているというふうに思っております。
○田浦直君 根岸先生にちょっと教わりたいと思うんですけれども、私は長崎なんですけれども、長崎に行きまして拠点病院の先生方にもいろいろお話を聞きましたし、患者さんの代表の方にもお聞きをしてきたわけなんですけれども、東京では起こらないようなことも地方では起こり得る、まだそういうふうな段階だというお話もありました。
 その中で一番両方の側から希望が強かったのは、先生が書かれております心理的なケアといいますか、医療に関しては医者が責任を持って実際にやっておられるわけですが、患者さんとかあるいは患者の家族まで巻き込んで孤立しておるようなところもたくさんあるし、悩んでおられる方もたくさんおられる。そういった中ではどうしてもそこに入ってそういうものを解決してもらうような人が欲しい。それはカウンセラーでもあるしケースワーカーであるかもしれませんですけれども、ただその人たちに対しては、エイズあるいは医学の知識を豊富に持っていてもらわなければ困るんだというふうな御意見もあったんです。
 先生のところでは実際に今もうやっておられると思うので、参考になるような御意見がありましたら、それをどういうふうにして養成していくのか、どういうふうにして患者さんと接触をさせるのか、そういったところをぜひお教えいただけばというふうに思います。
○参考人(根岸昌功君) 私たちのところでは確かにカウンセラーが活躍しております。これは病院の職員として存在しているのではなくて、都の衛生局の中のエイズ対策室に所属する専門相談員を派遣していただくという形でやっております。
 現在の医療の点数の中にはカウンセリングに関しての保険点数が入っておりませんので、職業としてもまだ確立されておりません。その意味で病院が、あるいは拠点病院がその相談員を確保していくという方向性は恐らくこれからしばらくないだろうというふうに考えています。それから考えますと、大変必要であるカウンセラーは、むしろ地方自治体のレベルで何らかの予算的な措置をとり、そしてそれが臨床の病院、特に拠点病院の方に派遣されるという形をとる方がより現実的であるというふうに思います。これが一つの方向だと思います。
 それからもう一つ、随分前から、もう数年前からエイズ予防財団で医療従事者向けのカウンセリング研修会が年に何回か開かれております。現在のところは年に四回開かれていて、ここにいる三人ともそれに協力してきたわけなんですが、医療従事者だけにカウンセリングのテクニック、そしてその精神を教えるだけではなくて、むしろ心理職にある方、つまりカウンセラーになり得る方たちに来ていただいて、その方たちにその技術を磨いていただくのと同時に、エイズに関しての十分な知識を持っていただくという研修、実務者研修というふうに言っておりますが、それが導入されるようになりました。これは年に何回か開かれるでしょうけれども、それが行われていきますと各地に人的な資源としてカウンセラーを確保することができる道があるだろうというふうに思います。
 ですから、一つ一つカウンセリングに関しては手が打たれておりますが、行政的な配慮としてぜひともカウンセリング研修会を続けていただきたいことと、それからその身分、制度のようなものが何とかならないだろうかということ、それをお願いしたいというふうに思います。
○田浦直君 岡先生にもう一つお尋ねしたいと思うんですけれども、先ほどちょっとお話がありましたが、患者さんの方が診療を拒否するということもあるわけですね。HIV診療の理念といいますか、医者の理念と相反するというようなことで拒否されるとかいうこともあるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、医師サイドからそれを見ましてどういうふうにお考えになられるか、あるいはどういうふうに対処していったらいいかというふうなことをちょっとお尋ねしたいと思うんですね。難しいかもしれませんけれども。
○参考人(岡慎一君) 非常に答えにくい質問なんですけれども、患者さんの側に立って考えてみて、自分が患者だったと考えてみて、医者の前に座ったときに本当に今の苦しい病気を治してくれるんだろうかどうだろうかということがやっぱり最大の関心事だろうと思うんです。そのときに相手の医者がどれだけその病気に対して真剣に時間を割いて勉強してやってくれているんだろうかというのが一番大事なところだろうと思うんです。ですから、それを振り返って医者の側から今度患者を見ると、どれだけその人たちのニーズにこたえた医療ができるだろうかということを常に考える必要がある。
 そのためには、ともかくこの病気自体が今までの医学常識がなかなか通用しない分野がたくさん入っています。例えば、細かな感染症の診断でも今までの診断体系ではできないとかいろんなことがありますから、そういうのにいかによりよい医療を提供できるだろうかということを第一義的に考えて医療を行っていくのが、恐らく患者さんと医者との信頼関係の第一歩だろうというふうには考えております。
○田浦直君 例えば、新薬がある、これはいい薬だというのが流れますね。しかし、医者の方から見ますと、この人にこれを与えると副作用が強くて結局体力を消耗するんじゃないかという考えで与えないということもたくさんあると思うんですね。そういった場合に、医者と患者さんとの間が本当に分け隔てなくあればいいんですが、患者さんというのは大体受け身の立場でありますから、なかなか率直に物を聞けないということが現実にはあると思うんですね。そういうときにそういうふうないろんなトラブルが起こってくるんじゃないかなというふうな私は気がするわけですね。
 そういうときに何らかしなければそのままでお互いに不信感ができて終わってしまうという、そういうふうなことがあるのではないかなというふうな気がするんですけれども、これは根岸先生でも岡先生でもよろしゅうございますから、そういうふうな体験をされて、何かそういうときにどういうふうな対処をしたかということでもありましたら、最後にお尋ねをしたいというふうに思います。
○参考人(根岸昌功君) 現状がどんな病状であるのかということはかなり正確に時間をかけて御本人にお話をしています。当然、大変つらい現実に直面することになりますので、今の状況ではこの薬剤が使えない、なぜ使えないのかということをお話しした上で、これから選択できるものはこういうものがあるということでその選択肢を示して、その一つ一つに対してこちらから説明をしていくというやり方でやっております。
 特に、臨床の現場で気をつけていますのは、常に希望があるわけです。これをやったらばこうなっていってうまくいってくれるかもしれないということを常に思っております。それが私ども臨床の医師にとって自分たちをも救う力であるというふうに思います。
 そういう意味で、多くの情報を持っていることと、それから常に前向きであるということが、患者さんにもそれから医療者側の方にも必要だというふうに考えています。正直にお話をしています。
○参考人(岡慎一君) まさに根岸先生のおっしゃったことと全く同じです。その場その場において一番その人に何がメリットであるのかということをこちらが持っている情報をすべて提示して、それで考えていくということが一番大事だと思います。
 ですから、一つの薬があったときに、この薬はこう使うべきというようなガイドラインはあったとしても、必ずしも個人個人を診療する上においては当てはまらないこともたくさんあるだろうと思いますけれども、そういうときに一番大事なのは、その人にとって何が一番ハッピーであるかということを考えて行う医療だろうというふうに考えています。
○田浦直君 そういう話をちょっとお聞きしたものですから、善意でお互いにやっているのにかかわらずそういう不信感が出てくるというのは非常に悲しいことだというふうに思いますので、これからそういう情報をいろいろたくさん流していただいて、よりよき医療ができますようにぜひお願いを申し上げたいと思います。
 以上で終わります。
○竹村泰子君 社会民主党の竹村と申します。
 きょうはありがとうございます。
 私は北海道に住んでおりまして、二月ごろだったかと思いますが、北海道のHIVの原告の方を含む患者の皆さんと北海道選出の国会議員が会わせていただく場がございました。そのときにも、残念ながらまだまだ医療現場での理解がない、そして差別的なことも受けるということで、東大の医科研に行って本当に救われた思いがしたと皆さんが口々におっしゃっておられまして、やってこられたことに対して本当に心から敬意を払いたいと同時に、お礼を申し上げたいと思います。
 そこで、先ほどからいろんな問題が出ておりまして、かなり言い尽くされた感もあるんですけれども、厚生省は拠点病院を二百三ですか、現在挙げられることができたと言っておられるんですけれども、北海道もそのときはゼロだったんですが、おかげさまで幾つかの拠点病院が手を挙げてくださったというふうに聞いております。
 拠点病院がそういうふうにたくさんできていくということは大変いいことですけれども、だからといってそこで理想的な先端の治療が行われているとは限らないわけでございまして、日ごろいろいろなことを岡先生はお感じになっていらっしゃると思いますが、先ほど診療体制の問題についてもございましたけれども、手短に日ごろの御感想をちょっとお聞きしたいというふうに思います。
○参考人(岡慎一君) 確かに、拠点病院が指定されまして、これはすばらしいことだろうと思います。ここのレベルというのは、診る病院ができたということで、これは残念ながらまだ診れる病院とは違うと思います。
 そういう面で言いますと、これからすべきことは、そういう病院においてある一定レベルの医療水準で治療していくことだろうというふうに思いますけれども、そのために必要なことは、何度も言っていますけれども、この病気は非常に特殊な病気です。ただ、恐らく日本の医療のレベルというのは非常に高いレベルを維持しておりますので、例えば医科研で十年かかったことであっても、そこのドクターが真剣に学ぶつもりであれば一年も要さずに追いついてこれるだろうと思います。そういうときに一番大事になってくるのはやはり研修システムだろうと思うんです。
 今盛んにそういう研修も行われているんですけれども、残念ながら非常に短期的な研修で、時間で言うと一週間レベルのもの。これは当然出す方の病院にとっても、研修に出している間はそこは医師が不在になるわけですから、非常に難しい問題はあるんですけれども、僕が考えて望ましいと思うのは、拠点となった病院にそこで本当に診れる核となる医者をまず一人つくるために、もうちょっと長い半年なり一年の研修というものを組み入れていって、その人が戻ってそこで核になれば、今度そこがまた拠点の中核となって広がっていくんだろうというふうに考えていますので、もう一歩地道な努力というのもこれから必要になってくるんだろうというふうに考えております。
○竹村泰子君 時間のかかることでもありますけれども、緊急に対策を講じていかなければならない問題でもあり、私たちも気が焦る思いでいっぱいでございます。
 木村先生にお伺いしたいと思いますが、先ほどいただきましたきょうのレジュメの中で「診療体制について」というところがございます。それから終わりの方に「研修部門の必要性」というところで今私どもが話題にしておりますことが入っておりますのですけれども、これは実行できると大変すばらしいと思いますが、この中でちょっと気になることが一カ所ございます。ですけれども、教えていただきたいと思います。
 こういうことがやっぱりあるのかなと思いますのは、b)の「診療体制について」というところで終わりから三行目ですか、「他の診療部門からの圧力により、エイズ研究/治療センター(仮)の機能が損なわれることのないような機構上の配慮も必要と考えます。」というふうにお書きになっていらっしゃいますけれども、やはりそういうことが現場ではございますか。
○参考人(木村哲君) この点については、いろいろ研修に来られているドクターなどからそれぞれの病院での状況を聞いたりいたしておりますと、自分がやろうと思っても周りのコンセンサスが得られずに非常にやりにくいとか、ある程度やってきたけれども、例えば病院長から好ましくないからやめろと言われたとか、そういうような話を聞くことがございます。ですので、多くの病院がある程度滑り出してきたけれども、それがいつまで続けられるかわからないという危機感を持っていました。
 これは拠点病院などの設置が軌道に乗るよりちょっと前のことでありますので、現在は少しその辺の状況が恐らく変わってきていて、拠点病院等においては病院としてそれを受けるという立場をとりましたから、そのようなことは余り起こらないんだろうと思いますけれども、それ以外の病院において同じようなことがあるのではないかというふうな危惧がございます。
 このエイズ研究・治療センターにおいても、そのようなことがないようなある程度の独立性が確保されている必要があるだろうというふうに書いてあるのでございます。
○竹村泰子君 まあ、ありがちなこととしてお書きになったということで、特別にそういうことをひしひしと感じておられるわけではないというふうにとりましてよろしゅうございますね。――いや結構でございます。時間が限られているものですから、申しわけありません。
 根岸先生にお伺いいたしますが、先ほどお聞きしておりまして、やはり心理的なケアというのが非常に重要だと。先生のお出しくださいましたこのレジュメの中にもありますとおり、その参考例として書かれた、「信じられない」、「詳しく説明をして欲しい」、「逃げ出したい」というふうな、そういう心理状態、これをやっぱりきちんと受けとめてカウンセリングしていくということは非常に重要であるというふうに考えるわけです。
 先ほどお聞きしておりましてちょっと気になりましたのは、病院には病院ケースワーカーという方がいらっしゃいますね。しかし、さっき先生がカウンセラーはというふうにおっしゃいましたのは、その方とは別にエイズに関連するエイズ専門のカウンセラーはという意味で東京都の職員が派遣されているというふうなことだったんでしょうか。
○参考人(根岸昌功君) そのとおりです。
 総合病院で入院の数が大体九百近くございますので、ケースワーカーとしての職員は三名おられます。この方たちはメディカルソーシャルワーカーとしての訓練を受けておりますので、ある程度の心理的なアプローチの能力を持っている方です。しかし、それだけではなくて、HIV、エイズに関しての知識を十分お持ちになっていて、そして専門のカウンセラーとして働いておられる方がどうしてもそれ以外に必要になりますので、そういう意味で東京都からの派遣をお願いしているわけです。
 それから、社会生活上の困難ということになりますと、どうしてもケースワーキングというまた心理の方とは違ったアプローチが必要になります。例えば、利用できる福祉の制度に関して十分な知識を持っていて個々のケースをそれに合わせていくという非常に重要な作業がありますので、患者さんへのアプローチはケースワーキングのアプローチとカウンセリングのアプローチと両方とも必要であるというふうに考えています。
○竹村泰子君 都立駒込病院ではたくさんのエイズ患者さんたちを受け入れて治療に当たってくださっているというふうにお聞きしておりますけれども、そういう意味で、今病院には専門のカウンセラーの方が何人おられて、将来的にはこういうことでは全然足りないんだ、やはりこのぐらいは欲しいんだと。ほかの都立の病院のこともおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
○参考人(根岸昌功君) 私どもの病院にはカウンセラーは一人もおりません。ケースワーカーが三人おられてケースワーキングをしています。そして、東京都の衛生局の方に所属しているカウンセラーが現在七名動いておりまして、その方たちに来ていただいてカウンセリングをしていただくというやり方をとっています。医師そして看護婦はカウンセリングのテクニックは持っておりませんが、カウンセリングが大切である、あるいはこういう場面で必要であるという感覚を磨くために、カウンセリングマインドを得るための研修会に参加してきました。大体そういう構造になっています。
 そして、ほかの都立病院でもかなりの数のHIV感染者を扱っておりまして、そこにも東京都のカウンセラーは派遣されております。おのおのの病院のケースワーカーとカウンセラーとそして医療従事者が患者さんの心理的なケアをつくり上げていこうという努力をしているところです。
○竹村泰子君 限られた時間でお一言ずつお聞きしたいというふうに思いますけれども、私たちがエイズの患者さんたちと、あるいは血友病の被害を受けられた方たちと社会の中でどう共生していけるかということがやはり非常に大切なことであるというふうに思います。
 知らないということでやたらに怖がったり避けたり差別をしたりと、偏見を持って見ることが大変悲しい事実としてあるわけでございますけれども、そういう意味で、もうほとんど時間がございませんのですけれども、一番難しいかもしれないと思われる共生ということについて、一言ずつお聞きできたらありがたいと思います。
 それで私は終わります。
○参考人(根岸昌功君) 病院を訪ねておいでになる患者さんは、どういう方であろうとも医療を求めておいでになっている方であるという位置づけはどうしても外すことができないというふうに思います。そしてまた、それに対して感染の経路を問わずに医療を提供するというのが医療従事者のプロフェッショナルとしての誇りであるというふうに考えています。
○参考人(木村哲君) HIV感染症の診療をしてきて思いますことは、一人二人経験すればもうごく普通の病気と変わらないということが実感としてすぐによくわかるわけで、まずは医療機関の医療従事者が研修などを通じて少しでも多くの方がHIVは特別なものではないということを実感として経験してもらうということだろうと思います。
 医療機関からいろいろな偏見がとれていけば、一般国民の偏見というものもだんだんと消えていくだろうということで、医療従事者が率先してそのような偏見を払拭していく必要があるだろうというふうに思います。
○参考人(岡慎一君) HIV患者の社会との共生ということを考えますと、もちろん血友病の方も大事なんですけれども、根岸先生がおっしゃられたように、感染ルートにかかわらずこの病気を持っている人がいかに社会に溶け込むかということがすごく大事だろうと思うんですけれども、実際問題じゃ、今その偏見がどの程度あるかというと、まだ実際的には地方にはHIV患者は非常に人数的には少ないものですから、本当の偏見とか差別とかいう問題が起こってくるのはむしろこれからじゃないかというふうに考えています。
 それで、そういうときに何が一番大事かというと、やはり教育だろうと思います。学校等で、それぞれの小学校、中学校、高校と段階を追った教育というのを地道にやっていくというのがそういう患者が社会で共生していくための非常に大事なステップだろうというふうに考えます。
○竹村泰子君 ありがとうございました。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子です。
 どうぞよろしくお願いをいたします。
 最初に、三人の先生方にお伺いしたいと思うんですけれども、木村先生が「患者/感染者の皆さんの意見が優先すると言うのが私の基本的スタンス」であるとお書きになっているわけですけれども、三人の先生方皆さんそうだろうというふうに思うわけです。
 私も国会でいろんな原告の皆さんから陳情を受けたりするわけなんですけれども、その場合には、私たちは薬害エイズの被害者ですというふうな言い方をされます。やはり、薬害エイズの被害者であるというこの立場、このことを抜きにして診療に立ち向かうこともまたできないのではないかというふうに思うわけですけれども、実際いろいろなところで訴えたいと思っても、患者さんが私たちのところに来るには大変な障害がありまして、現に入院をしていらっしゃる方もいらっしゃるということで、なかなか生の声が届きにくいという場合があります。
 そこで、実際現場で患者さんの診療に当たっていらっしゃって、その患者さんが最も切実に望んでいらっしゃること、また私たちの国会やあるいは厚生省や社会に対して最も訴えたいと思っているその願いというのは何なのかということを、それぞれの先生方からお伺いしたいと思います。
○参考人(根岸昌功君) 患者さんたちがなかなか声を上げられないということは確かに事実だと思います。
 その中で、例えば「HIVoice」という冊子があります。これは感染された方が投稿されて、そして刊行されている刊行物なわけで、その中で大変多岐にわたるいろいろな問題点が出されています。
 それを集約することがなかなかできないというのが現状なんですが、実際我々が何かをしたい、どういうふうになってほしいと思う、それでお話をしますと、彼らが一人の人間としてきちんと発言できるような場所を設けてほしい、あるいは彼らが自分たちでそれをつくる勇気を持ってほしいというふうに思っています。
○参考人(木村哲君) 患者さんが一番望んでいるのは、恐らく社会から特別視、特別扱いされないことが一つ。それから、どこの医療機関に行っても差のない最新の医療が受けられることの二つが大きいのではないかというふうに思います。
○参考人(岡慎一君) 外来で患者さんと接していて一番何度も繰り返し訴えられるのは治りたいということだろうと思います。
 ですから、確かにこれはまだまだ治るというレベルには達していないわけですけれども、そこにいかに近づけていくかということが患者さんがやっぱり一番望んでいることだろうというふうに思います。
○西山登紀子君 それで、被害者の皆さんが望んでいらっしゃるエイズ治療・研究開発センター、先ほども出ておりましたけれども、エイズ治療・研究開発センターが本当に被害者の皆さんが願っていらっしゃる機能を持ち、体制を持ち、効果を持つのかということが一番懸念されるわけなんです。
 岡先生にお伺いしたいんですけれども、エイズ治療・研究開発センターにとって必須条件というのは何なのかということと、それから、これは少しお答えしにくいかもしれませんけれども、被害者の方から信頼されるといいますか、信頼関係が持てるそういう人材が配置されるといいますか、スタッフが配置されるということが非常にこのセンターの設立が成功するということの一つのかぎを握るんじゃないかと思うんですが、その二つの点についてお伺いいたします。
○参考人(岡慎一君) 初めに、二つ目の質問の方からお答えしたいと思いますけれども、やはりキーとなるのは建物よりもソフトだろうと思います。それが成功するかどうかをほぼ決定するような気はします。
 それから、じゃ、そういう研究・治療センターが機能していくための条件は何かというと、これはなぜ研究・治療センターを望んだかという患者さんたちの希望ですけれども、これはやはり治りたいというか、もっと病気がよくなるような医療を提供してくれるようなところをつくりたいというのを望んでいるんだろうと思います。ですから、そこですべきことというのは、なぜこの病気が治らないんだということを考えた上で研究・治療を行っていく場であるべきだろうと思います。
 ですから、患者さんがエイズ研究・治療センター、単なる治療センターではなくてわざわざ研究・治療センターという名前を入れているということは、やはりなぜ治らないかという病気を解明して治してほしいという意思が非常に強く入っているんだろうというふうに考えております。
○西山登紀子君 ありがとうございます。
 それで、実際問題として国立国際医療センターに設置しようというふうなお話が具体的には進んでいるわけですけれども、そういう場合に、とりわけこれだけは絶対に注意をしておかなければいけないというふうな点で御意見がありましたら、岡参考人の方からお願いいたします。
○参考人(岡慎一君) HIV診療それから研究というのは、これは多分チーム医療だろうと思います。一人だれかを連れてきて、もしくはそこでだれかを決めてできるものでは決してないと思います。ですから、非常にいいチームがつくれるような環境をつくっていくというのは欠くことのできないものだろうというふうに考えております。
○西山登紀子君 最後にですけれども、先ほど拠点病院では一般の診療の中では大変難しいと岡参考人の方からお話がありまして、私も心配をしていた点なんですけれども、私は地元が京都なんですが、患者さんはどこへ行っているかといいますと、血友病の担当医のところに被害者が行っていらっしゃるんです。そういった場合に、血友病の担当医さんにまずは連携をつけるというふうな、そういう点は既になされているのかどうか、教えていただきたいと思います。
○参考人(岡慎一君) 実際問題、日本で一番たくさん血友病患者さんを診られているのは、日本にかなりたくさんおられる血友病のドクターだろうと思います。そういう人たちは、恐らく数名ずつ今患者さんを持っておられて、実際、非常に病気が進んできて困ったときに我々の施設に送ってこられるところが非常に多いんだろうと思います。
 我々として時に残念に思うことは、もう少し早くこちらにコンサルトしてくれて、どういう医療をその人にしてあげられていればよかったのにというような気持ちを持つことはあります。まだまだそういう意味で、そういう地域で実際に何人かずつ診ておられる医者と我々とのネットワークというのはうまくできていないんだろうというふうに反省しております。
○小委員長(釘宮磐君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 小委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会