第136回国会 運輸委員会 第13号
平成八年五月二十三日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     岩井 國臣君     浦田  勝君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         寺崎 昭久君
    理 事
                鹿熊 安正君
                河本 三郎君
                鴻池 祥肇君
                横尾 和伸君
    委 員
                亀谷 博昭君
                鈴木 政二君
                二木 秀夫君
                松浦 孝治君
                吉川 芳男君
                泉  信也君
                戸田 邦司君
                瀬谷 英行君
                渕上 貞雄君
                筆坂 秀世君
                末広真樹子君
                栗原 君子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  亀井 善之君
   政府委員
       運輸省海上技術
       安全局長     小川 健兒君
       運輸省港湾局長  栢原 英郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        志村 昌俊君
   説明員
       外務省経済局外
       務参事官     近藤 誠一君
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  本日の会議に付した案件
○外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造
 契約の防止に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
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○委員長(寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、岩井國臣君が委員を辞任され、その補欠として浦田勝君が選任されました。
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○委員長(寺崎昭久君) 外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造契約の防止に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○戸田邦司君 本日、議題となっております外国船舶製造事業者による船舶の不当廉価建造契約の防止に関する法律の審議に先立ちまして、若干この問題についての私の感想といいますか、この法律のもとになっております造船協定と呼ばれております商業的造船業における正常な競争条件に関する協定、この協定の合意に達したことにつきまして一言述べさせていただきたいと思います。
 私から申し上げるまでもないことでありますが、この造船協定は一九九四年の十二月二十一日に合意に達したということであります。実は、私もこの造船協定の交渉の当事者として長いことこの問題に関与してまいりました。ただいまの小川局長のもとでこの合意に達することができたと、運輸省の担当者の皆さんはもちろん、外務省本省あるいは現地で御支援いただきました皆さんには私も非常に感謝しております。
 そもそも、この問題が取り上げられましたのは、一九八九年アメリカの造船業界が、悪名高きと言っていいかと思いますが通商法三〇一条によりまして、日本、韓国、ノルウェーそれに西ドイツ、この四カ国を不当な助成措置を行っているということで訴え出たのが始まりでありました。この問題をどこで扱うか、各国が個々にアメリカと交渉するか、あるいは今までこういった問題を長い間扱ってまいりましたOECDの場で検討するかということで問題にされたわけでありますが、私自身はこのOECDの場で検討したということが非常に正しい選択ではなかったかと思います。
 前後五年に及ぶ長い交渉になったわけでありますが、その間、交渉相手として主として我々と交渉に当たってきましたのはEC及びアメリカであったわけでありますが、時に、造船あるいは顧客であります海運を全く知らない、そういうような人たちと長い長い対話をしなければならない、そういう先の見えないような交渉もありました。また、議長あるいは事務局が中立を保っていない、そういうようなこともありました。そういうような中で、我々がといいますか日本側が誠意を持って大変な努力を重ねてこの協定の合意に達したということでありますが、私は、この協定の交渉に当たった各代表団、また中でもこの交渉をまとめた、途中からの議長ではありましたがスウェーデンのソルマン駐OECD大使、この方々に深甚なる敬意を表したいと思います。
 そもそも、こういった問題は米国から提起されて、不当な助成措置を各国が行っていると、そういうような認識のもとに始まったわけでありますが、その前から造船業につきましては、たびたび日本のダンピングといいますかそういうようなことを問題にし、自国域内で助成措置を始めたEC側にも非常に大きな問題があったかと思っております。そういうようなことが起こってきた背景は、やはり造船業というのが歴史的に見てみますとどうしても過剰な設備を持ちがちである、そういうような背景があったかと思います。
 そこで、本日の問題点をたどっていくためにも、現在の世界の造船業の現状、それに新興国がどういうような動きをしてきているか、そういったことも含め、さらに地域別にもどのようなことになっているか、それらの点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 世界の造船業に関する現状でございますが、最近のアジア地域における経済成長などを背景といたしまして、過去五年間の平均で年間二千万総トンを上回る受注を記録しております。これを受けまして竣工量も、千六百万総トンから二千万総トンと順調な推移を見せております。
 国別に見ますと、まず我が国についてでございますが、円高の急激な進行により厳しい局面もありましたが、競争力の確保に努め四五%前後のシェアを保っております。
 それから韓国でございますけれども、二〇%から二五%程度のシェアを保っているわけですが、新増設を行っていた建造設備が稼働を始めておりまして、今後の推移が注目されるところでございます。
 それから西欧でございますが、造船所ごとにLNG船だとかコンテナ船あるいは旅客船、作業船等の得意分野の船舶の建造に特化することで競争力を保っており、その全体のシェアは一五%から二〇%程度で推移しております。
 それから旧ソ連とか東欧についてでございますが、市場経済への移行期にありまして厳しい状況であります。その中で、ポーランドは輸出船を中心に二%台のシェアを確保しております。
 それから米国でございますが、現在輸出船を含めた商船の建造に努力しているわけでございますが、量的には非常に小さく一%のシェアに満たない状況にあります。
 それから中国についてでございますが、ここ十年間でそのシェアを一・五%から約三%と緩やかながら増大させておりまして、今後も成長を続けるものと思っております。
○戸田邦司君 ただいまのお話の中にもございましたように、この協定に参加していない中国、台湾、あるいはポーランドも含めての東欧諸国、そういった国の動きがこれから注目されてくるところではないかと思います。協定参加国で世界のシェアの大部分を占めているというようなことでありますが、そういった中国、台湾、東欧といった国々のシェアが拡大してくるということになりますと協定の実効性の問題にもなります。
 そういったことで、将来さらに成長を進めていくだろうと思われます中国も含めての新興国に対して、この造船協定への加盟促進をしていかなければならないということが将来の問題としてあると思いますが、そういった点の政府の取り組み状況につきまして外務省の方からお願いしたいと思います。
○説明員(近藤誠一君) 造船協定の作成交渉に参加をしなかった国であってなお相当の造船能力を有する国に対して、この協定への加入を奨励するということはこの協定が採択された際にも交渉参加国の間で確認をされておりまして、その後、OECDの造船部会あるいは事務局を通じましてこれら国々との意見交換を進めております。ただいま入ったニュースによりますと、現在パリで開かれておりますOECDの第三十五回閣僚理事会で採択されましたコミュニケにおきましても、他の国が造船協定の締約国となるよう奨励するということが明記されたというふうに連絡を受けております。
 したがいまして、我が国といたしましても、これら中国等の他の国がこの協定に加入するように今後とも奨励していきたいと存じております。
○戸田邦司君 最新の情報というのは大変歓迎すべきことであると思います。これからの不断の努力が要請されるところであります。
 そこで、この協定の発効でありますが、協定が合意に達したときにいつまでに発効させるというようなことを一応の目標を決めていたということでありますが、昨年の十二月に七月十五日を発効のターゲットデートにするというような合意がなされていると聞いておりますが、現在の加盟の状況、それからこれからの見通し、中でもアメリカの議会の動き、そういったところについての外務省の御所見をお願いしたいと思います。
○説明員(近藤誠一君) この協定の締結が予定されております国は、我が国のほかに欧州共同体、韓国、ノルウェー及びアメリカでございます。現在まで、これらのうち欧州共同体、韓国、ノルウェーが既に締結をしております。
 残っておりますのは日本と米国でございますが、米国につきましては、既に上院において財政委員会を通過いたしまして本会議を待つだけになっていると承知しております。また、下院につきましては、歳入委員会を既に通過いたしまして、国家安全保障委員会での審議を今月末までに終える予定であるというふうに承知しております。アメリカ行政府は議会に対して、できるだけ早い時期にこの協定を締結することができるよう積極的な働きかけを行っているというふうに存じております。
○戸田邦司君 日本も、七月十五日の発効ということになりますと六月十五日までに批准書を寄託しなければならないというようなことで、タイミングとしては大変難しいところになってきているわけで、本日の審議もそういった意味でできるだけスムーズにということではないかと思います。
 この協定の中身というものを、私は、今回一種の感慨を持って全部読み返してみました。この協定の中に大きな柱としてありますのは不当廉売の問題と、もう一つは政府助成の問題。政府助成の問題は国が自分でやっていることをやめるというようなことでもありますし、また、我が国に対しては特に問題になる点がないということで国内法の措置が要らないということになったわけでありますが、そもそもこの造船協定の交渉のきっかけとなりましたのは政府助成、公的助成の廃止ということであったわけです。
 どういうような公的助成が存在して、それで、今回の協定が締結されることによってそれがどのように廃止されていくかというような点について御説明いただきたいと思います。
○説明員(近藤誠一君) 諸外国におきましては、商業的造船業に対して特定的にとられる輸出補助金でありますとか、直接あるいは間接の国内助成、あるいは研究開発に対する援助、あるいは公の規制、そういったものがございましたが、今回の協定によりましてこうした措置を撤廃する、あるいは今後新たに導入してはいけないということになっております。
 なお、我が国には現在この協定に適合しない措置は存在しておりませんので、かつ、今後ともそうした措置はとらないように対処する方針でございます。
○戸田邦司君 協定の中で各国の助成措置、そういったものについては注意深く監視していくというようなことにもなっておりまして、これも一つ大きな仕事になっていくかと思います。
 そこで、もう一つの柱になっておりますダンピング防止の問題でありますが、協定上はインジュリアスプライシング、こう書いてあります。このダンピングを防止するにつきましては、一つは我が国が他の締約国の造船事業者によってダンピング被害を受けるというケースと、それから他の締約国によって我が国の造船事業者のダンピングを問題にされる、そういった二つの面、さらに申し上げますと第三国といいますか第三のケースというか、そういったものがありますが、具体的にはどういうような契約をその対象とするか。
 ダンピングの考え方というのは非常に難しいかと思います。造船市場の変動といいますか波動といいますか、そういった問題とも価格が連携しているということを考えますとなかなか難しいところではあるかと思いますが、具体的にどういうような契約が対象になるかお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 造船協定におきましては、便宜置籍制度など船舶の取引の特殊性から、通常の輸入が行われる場合だけでなくて便宜置籍船や長期の用船契約があるような場合についてもダンピングの防止を図ることとしているわけでございます。
 まず、我が国がダンピング防止手続をとることができる建造契約というのは三つのケースがございます。
 まず第一は、我が国が船舶の輸入を行う場合で、我が国の法人や国民が他の締約国の造船所と締結する建造契約、これがまず第一に対象になります。
 それから第二でございますけれども、便宜置籍船の場合でございますが、外国にある我が国の子会社が他の締約国の造船所と締結する建造契約、これが対象になります。なお、この場合は、我が国の法人が五〇%を超える株式や持ち分を保有する子会社はもちろんでございますが、それだけでなく、我が国の法人等が二五%以上の株式あるいは持ち分を保有し、さらに実質的に経営を支配する者との間の建造契約というものも対象となります。
 それから第三番目ですが、これはいわゆる仕組み船などの場合でございまして、外国の法人等が他の締約国の造船所と締結する建造契約であっても、その船舶を我が国の法人等が長期用船等を行うことを前提としたもの、これは我が国のダンピング防止手続の対象となります。
 以上が我が国がダンピング防止手続をとることができる建造契約でございます。
 次に、我が国の造船所が行う建造契約で他の締約国のダンピング防止手続の対象となるもの、これも三つのケースがございます。
 第一は、他の締約国へ船舶の輸出を行う場合で、その国の法人や国民と締結する建造契約、これが対象になります。それから第二は、便宜置籍船の場合でございまして、他の締約国の法人等が経営を支配する外国法人と締結する建造契約。それから第三は、長期用船等が前提となっている場合で、我が国の船会社と締結する建造契約であっても、例えばその船舶を欧州共同体の法人等が長期用船を行うことが前提となっているような場合、欧州共同体のダンピング防止手続の対象となる。
 それぞれに三つのケースがございます。
○戸田邦司君 この協定と法案の取り合いといいますか関係をつぶさに眺めてみますと、国内法で手当てをしなければならないのは今回のこの法律案に取り上げられております事項ということになるわけでありますが、この法律で言っております外国造船事業者からの不当廉売の防止措置、これにつきましては具体的にどういうようなことになりますでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 先ほど御説明いたしましたが、我が国がダンピング防止手続をとることができる契約、これに関しまして、我が国の造船事業者からの求めがある場合、または政府みずからが必要と考える場合で、外国造船所からの不当廉価建造契約について十分な証拠がある場合、そういった場合には運輸大臣及び通商産業大臣でまず調査を実施することになるわけでございます。
 次に、運輸大臣は、調査の結果、不当廉価建造契約であると判断される場合には、契約を行った外国造船所に調査結果を通知いたします。それと同時に、廉売価格差といいますか、正常価格とそれから契約価格との差額でございますこの価格差の国庫への納付を通告することになります。
 運輸大臣は、所要の期間内にその価格差の国庫納付とかあるいは建造契約の解除とかいう不当廉価建造契約の影響を除去する措置、これがとられない場合は、我が国におきまして貨物の積みおろしの禁止を受ける事業者としてその外国造船所を指定することができるようになっております。運輸大臣は、その指定された造船所がその後四年以内の期間内に受注する船舶につきまして、引き渡し後最大四年間我が国における貨物の積みおろしを禁止することができるわけでございます。なお、その貨物の積みおろしの禁止命令に違反した者には罰則が適用されることになっております。
 以上が不当廉価建造契約の防止措置の概要でございます。
○戸田邦司君 我が国の法制論上から考えますと画期的といいますか、この協定自身を国内法化するのに非常に苦労があった点ではないかと思いますが、今後の運用になかなか難しい点があるかと思います。他の締約国は、我が国の造船所をウの目タカの目で眺めていくことになるだろうと思います。特に、百総トン以上の船舶ということになっているわけですから、相当注意をしなければならないというようなことかと思います。
 一方で、我が方が措置をとっていく場合に問題となります我が国の競争相手国、特に韓国とかあるいはフィンランド、そういった国があるわけでありますが、そういった国の受注動向とかあるいは価格がどういうような動き方をしているか、そういうようなことについての情報収集、分析、これがないとこの法律の実効性が保てないということに相なるかと思いますが、その実施体制の仕組みあるいは方法、さらに可能なれば予算措置などについてお話しいただきたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 先生御指摘のとおり、本法を円滑に実施していく上で、他の締約国の造船所の受注動向とか船価についての情報を基礎情報として把握しておくことが重要であると認識しております。造船協定におきましては、各締約国は自国造船所が受注した船舶の船価動向につきまして六カ月ごとにその情報を提供することになつておりまして、こうした情報がまず活用できるものと思っております。
 それから実施体制でございますが、運輸省といたしては、本年度から専任の対策官を設置するなど体制の整備に努めております。また、造船業基盤整備事業協会法を改正いたしまして、同協会におきまして外国造船所の締結いたします建造契約等の情報収集といった業務を実施することとなつておりまして、これによりさらに細かな受注動向等の把握ができるものと思っております。そのための予算も、今年度、造船業基盤整備事業協会につけてございます。
○戸田邦司君 そういうようなことで相手を摘弊し、実際にアクションを起こしていくというようなことになるわけです。そういった不当廉売によって我が国の造船業が被害を受ける、その被害を受けるようなことのないようにということで廉売価格差を国庫に納付させる、そういうような命令を出すということでありますが、これは不当廉売をした相手から国がその価格差を召し上げてしまう、そういうような仕組みになるわけであります。また、もう一つの方法としては相手方がその契約を解除する、そういうような規定になっております。
 契約の解除というのは、これは訴えるべき原円がなくなってしまう、解消してしまうということですから非常によくわかるわけでありますが、国庫納付をさせるという点については、その基本的な考え方はいかがなものでありましょうか。
○政府委員(小川健兒君) 本法では、廉売価格差は正常価格と契約価格の価格差でございますが、この差を国庫に納付した場合や契約を解除した場合などは、不当廉売建造契約の及ぼす影響を除去する措置として貨物の積みおろしの禁止を行わないということになっているわけですが、廉売価格差の国庫納付につきましては、納付金は最終的に船価に転嫁されると考えられることから、その船価の正常化を図る措置というふうに考えたわけでございます。
○戸田邦司君 不当廉売を防止していくという考え方からいけばそういうことに相なるかと思います。
 もう一つの方法として、その造船所で建造された船に対しての貨物の積みおろしの禁止を規定するということでありますが、これは協定の交渉の途上におきまして、船主がそういうような措置声受けるということについて、船主が自分でそういったことにくみした意識がない、あるいは場合によっては長期用船をしている、そういったチャータラーにとりましては全く自分に意識がないといいますかイノセントであるというようなことで、これもかなり大きな問題になった点ではなかったかと思いますが、この考え方はいかがなことでこういうようなことに相なりましたでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) まず、防止措置として貨物の積みおろしの禁止を規定する理由でございますが、不当廉価建造契約を行った外国造船所が悪影響を除去する措置、これは先ほど申し上げました国庫納付とか契約解除でございますが、これを講じない場合、当該造船所がその後受注、建造する船舶について日本における貨物の積みおろしを禁止するということでございます。こうした措置を受ける外国造船所に船舶を発注し建造した場合、その船舶は我が国発着の貨物の輸送に従事できないことになるわけですが、それによってその外国造船への発注が手控えられて、外国造船所は事業活動に大きな制約を受けることになるわけです。このように、貨物の積みおろしの禁止は、不当廉価建造契約を行った外国造船所の事業活動に間接的に不利益を与える措置でありまして、不当廉価建造契約を防止する有効な措置であると考えられてこういった規定が設けられたわけでございます。
 そこで、運航者を禁止命令対象者とすることにつきましては、まず第一は、貨物の積みおろし禁止命令の対象となり得る船舶、これは外国船舶製造事業者を指定した後に契約する船舶でございまして、運航者は、他の事業者から船舶を購入または対象外の船舶を用船することによって、貨物の積みおろし禁止命令による不利益を回避することができるということがまずあります。それから、それにもかかわらずに運航者は、貨物の積みおろし禁止命令の対象船舶であることを知りながらあえて当該船舶を発注あるいは用船を行い、当該措置の実効性を失わせたものであるということになるわけで、そういったことから運航者を禁止命令対象者とすることについては合理的なものであるというふうに考えているわけでございます。
○戸田邦司君 米国が、今まで我が国との通商問題について、通商法三〇一条とかあるいはスーパー三〇一条とか、そういった法律に基づいて我が国に対していろいろな報復措置をとってきたというような経緯もありますが、考え方としては、こういった考え方が今回国内法として導入されることによって、我が国もそういうようなアクションがとりやすくなる。アメリカと同じようなアクションをとるのが適当かどうかというような問題はありますが、しかし今まで切歯扼腕していたようなところについて何か道が開けていくのではないかというような気はしております。ただ、実効上はなかなかこれも、船をじっと見ていないとならない、入ってきた船がその船であるかどうか対象船であるかどうかをはっきりさせる、そういうような点でもなかなか苦労が多いのかなと、こう思います。
 そこで、この協定が発効いたしますと、ダンピングのそしりを受けるというか、この協定の対象とされるよりは自国で建造した方が楽である、そういう問題を避けることができると、そういうようなことで船主が自国の造船所に発注するというようなことになっていって、別な面から見ますと、これは一種の保護主義を助長するというようなことになりはしないかという危惧があるわけであります。
 協定のそもそもの目的にも、そういった自国造船所を大事にする、保護する、そういうようなことを排除しようと、アメリカの沿岸法などが公的助成措置の廃止の対象の一つとなって、この協定の中にも今後どういう扱いをするかということについて明記してあるというようなこともあるわけですから、そういったことが問題になるかと思いますが、そのおそれはないかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 造船協定のダンピング防止措置というものは、外国の造船所からの建造契約を規制するもので、国内の建造契約にはもちろんのこと適用されません。ただし、外国の造船所からの建造契約といっても、公正な価格により行われる契約、これは制限するものではございませんので、保護主義を助長するようなことにはならないというふうに思います。
 それからまた、ダンピング防止措置の恣意的な運用につきましても、これを防止するためにいろいろな措置がございます。まず第一に、十分な証拠に基づき調査を進めるということがございます。それから二番目としては、協定に適合しない調査等の措置につきましては二国間協議を行うことができるということになっております。それから第三番目として、二国間協議で解決できない場合は、第三者機関であります小委員会を設置して、小委員会で客観的かつ公平に決定ができるというような規定が設けられているわけでございます。
 こうしたことから、協定のダンピング防止措置が保護主義を助長するおそれはないものと考えておりまして、むしろ、本協定の発効によりまして競争力に基づく健全な競争が促進されるということを期待しているわけでございます。
○戸田邦司君 我が国の造船事業者が他の締約国によって不当廉売の摘発を受けるということが起こるわけでありますが、この協定の対象船舶が百総トン以上と非常に幅が広いというようなことを考えますと、我が国の造船事業者の中でも、大企業はともかくとして特に中小企業ですね、その人たちが身のあかしを立てるために大変な作業をしなければならない。一説によると、トラック一台ぐらいの文書が要るんだということが言われております。実際にはそんなにたくさんの資料をつくらなければならないということではないだろうと思いますが、いずれにしましても相当の労力を必要とする、もちろん経費もかかる、そういうようなことになるだろうと思います。
 こういうような場合に、そういう事業者への調査について運輸省が何らかの支援をすべきではないかと思われますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 日本の造船所が外国政府から調査を受ける場合、特に中小造船所のような場合は、十分な対応が困難な事態も想定されます。運輸省といたしましては、既に地方運輸局で中小造船所を含めた造船協定の説明会を開催したり、あるいは造船協定の理解の促進を図ったりしているところでございます。今後とも、地方運輸局を中心に協定の実施状況の情報を提供する機会を設けるようにしたいと思っております。
 それでまた、外国からダンピング調査を受けるような場合には、協定上、相手国政府に対し二国間協議を要請することができるようになっております。したがって、必要に応じて二国間協議を通じて我が国の主張を申し入れることもできますし、調査の対応につき中小造船事業者への助言を行うことなど、できる限りの支援をしていきたいというふうに思っております。
○戸田邦司君 その点につきましては、これからも業界自身でも自分たちで、そういうことが起こった場合の対応について考えていただくことも大事だろうと思いますが、やはりこの協定締結の当事者であります特に運輸省がどういうような対応をしたらよろしいかというような点について十分な指導ができれば、それらの中小造船事業者にとっては大変力強いことではないかと思います。
 そこで、この造船協定が発効されまして一応国際的に統一された基準に従ってダンピング防止タ図るということになるわけでありますが、船の取引というのは非常に特殊な分野でありまして、例えば世界のマーケットは一つであるとよく言われておりますが、どこからどこへ輸出されてもおかしくない、輸入されてもおかしくない、マーケットの単一性と、それから、国によって輸入手続というようなものが我が国の場合と違っていまして通関手続というのがない。
 そういうようなこともあって、それらの状況の違うケースについてダンピング防止の手続を適用していく。これも初めての経験でありますから、その具体的な運用について、例えば我が国の造船業が摘発される場合と我が国が他の締約国の造船業を摘発する場合、そこに差が生じてくると非常に問題になりはしないかと。恐らく、締約国団でその辺の運用についてこれから打ち合わせをしながら、統一されたやり方で、それで運用されていくことになるのではないかと思いますが、今後の運輸省の対応についてお話しいただきたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 造船協定は五年を超える長い交渉を経て策定されたものでありまして、この間の協議を通じまして基本的には各国で共通の解釈がなされているものと思っております。
 しかしながら、御指摘のように船舶という特殊な取引にダンピングの防止手続を適用するのは、各国ともこれが初めてでございます。我が国としても、各締約国間の具体的な運用についての情報収集に努めてまいりたいと思っております。また、各国の運用に問題となるような差が生ずるようであれば、締約国団会議というのがありますが、そういった場における協議を通じましてその調整を図っていきたいというふうに思っております。
○戸田邦司君 この協定は、ダンピングが起こった場合にそれを防止するというようなことで、将来はダンピングをなくそうということを意図していると考えてよろしいかと思いますが、そういったダンピングが起こるとか、そういうそもそもの原因を考えますと、需給の安定が一番大きな点ではないかと思います。
 日本の造船業を考えてみますと、昭和五十四年に大幅設備削減、たしか三七%だったと思いますし、それから六十二年に約四分の一設備を削減している。トータルしますと半分以上の設備を削減したというようなことになっているわけですが、一方でお隣の韓国の設備増強、これを見てみますと非常に背筋の寒い思いがする。韓国の設備の増強を見ていますと、世界の造船市場に彼らのシェアをふやそうというよりは国内の財閥間の競争で突っ走っている、そういうようなことではないかと思います。
 それでなくても造船の供給力というのはどうしても過剰になりがち、今明らかに過剰になっている、そういうようなことではないかと思いますが、そういった面で各国との政策協調、これが非常に大事になってきていると思いますが、こういった国際協調への取り組みについてはどのようにお考えになっておられるか。
○政府委員(小川健兒君) 先生ただいま御指摘のとおり、造船業の健全な発展にとって正常な競争条件の確保ということと需給の安定、この二つはいわば車の両輪でございまして、需給の安定なしに公正な競争条件の確保は困難なものというふうに思っております。
 それで、需給の安定を図るためには、各国の政府及び造船事業者が需給の動向を的確に見きわめて適切な対応をとっていくことが必要であります。このために、基礎となる受注動向につきまして共通の認識を持つため、OECDの造船部会のもとに設けられております需給サブグループにおきまして、世界の建造需要見通しあるいは造船能力の評価、これらにつきまして密接な意見交換を進めているところでございます。また、韓国との二国間協議とか、あるいはアジア太平洋造船専門家会議といったような場におきましてこうした共通認識の醸成に努めているところでございます。我々といたしましても、こうした活動が今後一層充実したものとなるよう積極的に貢献していきたいというふうに思っております。
○戸田邦司君 韓国の動向というのは、そういったことでも今後相当注意深く見守っていかなければならないと思います。韓国造船業との問題につきましては、一時期日高もありまして我が国の造船業が非常に苦しい状況に立たされたというようなこともあります。コストの違いといいますか、材料費も違う、労賃も違う、しかし生産性は我が方が抜群にいい。それに為替レートがどう変動していくか、そういった点が問題になるかと思います。これは運輸省だけではなくて、業界もそういった国際協調の点で大いに努力していただければと、こう思っております。
 最後に、大臣に一言お伺いしたいと思いますが、我が国造船業が、これからこういった協定の発効もあり、また一方で新興国の台頭もあり、さらに韓国との国際競争に打ちかっていかなければならないということもありまして、競争力の確保はもちろん非常に重要な課題になっております。私は、基本的には企業による自助努力ということではないかと思いますが、運輸省としまして今後造船政策の基本的な考え方をいかにまとめていくか、どう対応していくか、それらの点が非常に重要な点ではないかと思いますが、一言大臣から御見解をお願いしたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 先ほど来委員からもいろいろお話しいただきました。また、局長からも我が国造船業の現状につきましていろいろ御説明もいたしました。
 操業量はある程度確保しているものの、為替相場の変動の影響、受注競争が激化、そういう中下船価水準は依然として低迷をしているというのが状況でもあります。造船業の経営はまさに不透明、このように申し上げなければならない状況ではなかろうかと思います。今後の需要を考えますと代替需要を中心として増加していく、このようにも考えられますが、今も御指摘の韓国造船業の大幅な設備拡張、こういうことも十分考えられるわけでありまして、世界的に新造船建造能力は拡大の傾向にあり、御指摘の国際競争が激化をすると、このようにも考えております。
 そんな中で、やはり今後とも我が国の造船業が発展していくためには、国際競争力の維持、向上とあわせて国際協調の推進を図っていかなければならないんではなかろうかと。あわせて技術開発の推進、テクノスーパーライナーやメガフロート、この実用化など新規需要の創出にいろいろ積極的な取り組みをしていくことが大変重要なことではなかろうか、このように考えております。これらの問題は現在海運造船合理化審議会においていろいろ御議論もちょうだいしておるわけでありまして、これらの御審議とあわせて適切な施策をぜひとも運輸省として進めてまいりたい、このように考えております。
○戸田邦司君 御見解ありがとうございました。
 平成会はこの法律案に賛成でありまして、こういったダンピング防止が行き渡る、世界の造船所の中で不当廉売が起こらないような仕組みになっていくというようなことでありますから適正価格が維持しやすくなる、そういう環境が整備されていくことではないかと思います。そういった点から考えますと、共産党の委員も、参議院フォーラムも、あるいは新社会党も、社民党ももちろん御賛同いただけるのではないかということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○瀬谷英行君 先手を打たれて、賛成をしていただくように、こういうふうに言われました。私も、趣旨についてはもっともだと思うんです。
 ただ、船というのは、この売買の場合には商品ですから、だから一般の購買者の心理とすれば、いいものを安く買えるということであればそこへ飛びつくと。スーパーで買い物をする人だって、あっちの店がいいとか悪いとか安いとかいうこしが人気を左右するわけですから。そういう原則があるんですけれども、ダンピングも防止しなきゃならない。
 船の場合は特に、この場合には百トン以上何万トンまであるわけでしょう。そうすると、ピンからキリまでなんですよ、本当に。この船をどこの国が注文して、どこの造船所で幾らでつくったかというようなことはなかなか把握できないですね。それは、価格というものが、安い高いがすぐにわかるようになっていないんです。株の値段なら株式欄を見るというと一日でもって何が高いとか何が安いとかというのがわかるんだけれども、船の場合はそうはいかないですね。
 そうすると、ダンピングを防止するためには、一体幾らが妥当であるかという標準がないというとなかなか難しいと思うんです。それらの調査〉かあるいは情報収集とかというものが適切に行われないとできません。だから、そういう点から考えると、運用の面あるいは調査の面となると大変難しい問題が出てきはしないか。現在の運輸省の能力でもって、世界じゅうの船が一体どこで幾らでできたかということをちゃんと把握しておかなきゃいけないということになるんです。そういう意味で難しいことになるという気がするんです。
 また、でき上がった船は海のあるところならどこへでも自力で行けるわけですから、船を大安売りで安く買ったとかたたき売りで買ったとかというふうにレッテルを張ってあるわけじゃないですから、そうすると、来た船の価格やら何やらどこでつくったかなんということはわからないですよ。船ができ上がってきてからでは間に合わないから、その前に自己規制をそれぞれの国でもってやらせよう、ねらいはこういうことでしょう。
 それをやるためには、過去において苦い目に遭った経験があるからこういうものができ上がったんだろうと思うんです。日本自体が円高やら何やらいろいろな条件がありましたけれども、そういう苦い経験をしたということがあるとすれば、一体どこの国が競争相手でどういう例があったのかというようなこともこの際報告をしてもらった方がいいと思いますので、その点についてまず最初にお伺いしたいと思うんです。
○政府委員(小川健兒君) 過去にダンピングの事例があったかどうかということかと思いますが、まずダンピングの調査というのは、当該建造契約が、外国の造船事業者と我が国の船主あるいはその子会社などとの間で結ばれたものが要するに正常価格を下回るものであるかどうか、あるいはその建造契約が我が国の船舶造船所に損害を及ぼし、または損害を及ぼすおそれがあるかどうかということについて、詳細な調査を行ってダンピングかどうかというのが決定されるものでございまして、これまでの建造契約のうちダンピングに該当するものがあったかどうかということについては過去にさかのぼって調査するのは非常に困難でございます。
 一般的に言って、造船市場というのは変動が非常に大きくて、過去において国際競争が激化して船価水準というのが非常に低下したといったことは何度かございます。しかし、それがダンピングであったかどうかというのはちょっと一概には申し上げられません。
○瀬谷英行君 果たしてダンピングであったかどうかということになるとわからないんじゃ困るんです。それらしきものがあったからこういうものができたんじゃないかという気がするんです。だからそういう点、過去におけるいろんな例に照らして苦い経験をした覚えがあるのかないのか。先ほどの御質問でも、アメリカは三〇一条を振り回していろいろやったということがありましたね。アメリカに限らず、あるいは韓国であろうと、どこかにそういう問題がいろいろあったと。
 何しろ船の数は星の数ほどいっぱいあるんですから、これは調べるというのはなかなか大変だと思うんです。だけれども、安く買って得をしたと思うところは、実はこの船は特売品で安く買いましたというレッテルを張っているわけじゃないからわからないわけです。そういう点、過去の実例というものが、苦い思いをしたという経験がなければこういう協定の必要もないわけです。だから、こういう協定の必要があるということは、そういう過去における経験というものがあってのことだというふうに考えざるを得ないでしょう。
 そういう場合には、どこの国でこういうことがあったというようなことをある程度掌握しておかないというと、これから先も、注意をするにしても調査をするにしてもやりにくいと思うんです。だから、その点はどうだったかということを私はお聞きしたわけであります。そのことを余り漠然とじゃなくて、具体的にこういう経験がありますということを言ってもらった方がいいと思うんです。
○政府委員(小川健兒君) ダンピングと判定するのはいろいろな調査、それから船のコストそういったものを全部調べ上げて判断しなきゃいけないことですので、これまでそういった船に関するダンピングの調査というのは行った経験がございませんので、過去にあったかどうかというのははっきりとは申し上げられません。造船市場というのは船価水準が非常に大きく変動する市場でございまして、需給のバランスが崩れると非常に船価が下がり、また何割も船価水準が下がったというようなケースは過去何度かございます。一般的にそういうことしかちょっと申し上げられません。ダンピングがどの程度あったかというのは、ちょっと数量的には把握できません。
○瀬谷英行君 例えば「不当廉価建造契約に係る調査」というところがありますけれども、運輸大臣は、この調査でもって「外国船舶製造事業者の締結した建造契約が不当廉価建造契約であると認める場合には、当該外国船舶製造事業者に対し、当該不当廉価建造契約に係る船舶の正常価格と契約価格との差額に相当する金額の国庫への納付を書面で通告するものとする。」と。
 この条文というのは非常にややこしいのです。わかりやすく言えば、安いものをダンピングで売買した場合には、もうけた分は国に納めろというのでしょう、平たく言えば。そういう事例はなかったでしょう。あるいは、あるとしてもすぐにわかりますか。いろんなところででき上がっている船の価格を調べてみて、そういうことがあったかどうか。
 あるいは、あるとしてもわかってから、おまえのところは安売りの船を買ったからもうけた分を国に納めろと言ったって、どういうふうにして調査をして具体的にどんな処置をするのかということになると、条文は非常に御丁寧に書いてあるけれども、具体的には一体どうするんだろうというふうに疑問がわいてくるんです。その点どうですか。
○政府委員(小川健兒君) 日本の船主が外国の造船事業者に船を発注して、その発注した船舶がダンピングであるかどうかということについて、ダンピングの可能性があるということで調査の要請が日本の造船事業者からあった場合に、その場合に運輸大臣と通商産業大臣が、外国の造船所のその船の価格が正常価格と比較してダンピングかどうかということを調査することになります。調査をしてダンピングだということになれば、その旨をその造船事業者に通知し、その造船事業者が、影響を除去する措置と言っておりますが、契約解除とかあるいは国庫納付とか、そういった措置をとらない場合は対抗措置、要するにその造船所でその後つくる船が日本に来た場合に貨物の積み込み、積みおろしを禁止するというような仕組みになっているわけです。
 その調査につきましては運輸大臣、通産大臣が行うわけですが、調査を円滑に実施するために造船業基盤整備事業協会にその調査の一部を委託して実施することにしているわけでございます。
○瀬谷英行君 仕組みはわかりますけれども、実際の運用ですよ、これは。
 過去においてそういうダンピングらしきものがあったということだけれども、もしそういうものがあったら調べなきゃならないと、大臣がそれに対して、これは安く買ったんだから普通の値段の分までその差額を国庫に納めろなんて、判こを押すんじゃ大変ですよ、大臣も。押し切れないだろうと思うんです、実際にそういうものが全部上がってきたら。
 だけれども、こういう調査機関というものは、もしこういう仕事をまともにやろうとすると二人や三人じゃできませんよ、どう考えたって。かなり大きな組織でもって、国別にあるいは船主別にすべて綿密に調べなきゃならないということになってきますね。そういう組織というものが運輸省あるいは通産省の中にできているのかどうか。これからどういうふうにするつもりなのかということもあわせてお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(小川健兒君) ダンピングの調査をするに当たっては、常日ごろからいろいろな基礎的情報を把握しておくことが非常に重要なことでございます。協定上でも、各締約国は自国造船所が受注いたしました船舶の船価動向、こういったものを六カ月ごとにOECDの事務局に提供することになっております。そういった情報は各締約国間で自由に活用できるようになっております。
 そういった基礎的な情報をもとにして実際にダンピングの提訴があったときは調査をするわけでございますが、その実施に当たっては、運輸省は海上技術安全局に専任の対策官を今度設置いたしました。その対策官が中心となって、通産省と一緒に現地に行っていろいろ造船所の調査を行うことになるわけです。さらには、造船業基盤整備事業協会に対してその調査のうち一部を委託することができるようにこの法律で措置しているわけでございます。
○瀬谷英行君 ダンピングに対して十分警戒をしなければならないということはこれはわかるのでありますけれども、一面において日本の造船業も過去において非常に苦しい思いをしてきたわけでしょう、今まで。その苦しい思いをしてきたという原因は何であるかということもよく調べてみて、そして日本の造船業自体を保護するということもまず国としては大事な仕事になってくると思うんです。だからその場合に、我々の方も価格面でもって造船業がなるべく多くの注文を受けるように、そして公正な収益を上げるようにというふうにしなければならないと思うんです。
 しかし、そうするためにはやはり仕組みだけの問題じゃなくて、運用の面で情報収集もちゃんとしておかなければならないということになるし、それは国別にそれぞれが紳士協定という格好でもってうそ偽りのないようにしないというと、抜け駆けの功名をされるわけですね。だから、抜け駆けの功名をされて勝手に安売りをされるということになっては、今度また日本の造船業が苦渋を味わうということになると思うんです。だからそういう点、抜かりのないようにするためには、運輸省としてどういうふうな対応策を講じていくのかということが非常に大きな問題になると思います。
 その点について大臣、これは事と次第によっては国際問題にだってなり得る可能性があると思うのでありますけれども、それらの点を十分に勘案して対策を講ずる必要があると思うのでありますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) まさに御指摘のとおりでございます。
 まず、この法律を円滑に実施していく、そういう面では他の締約国との情報、先ほど局長からも御答弁申し上げましたが六カ月ごとに情報の提供と、そして船価の動向というものを十分把握しなければなりませんし、また役所の組織の充実、そういうことで専任の造船協定対策官を設置する。さらには、造船業基盤整備事業協会の活用によりましていろいろの情報そして調査の体制というものを整備していくということが大切なことでありますし、それぞれの国がやはりこの問題につきまして正確な情報を提供するということが一番大切なことであろうかと思います。
 御指摘のように、いろいろの国で大変国際競争こういう観点から、さらには、特に最近設備拡大こういうことでシェアを強めてきております国もあるわけであります。当然、厳しいいろいろの競争が行われる、このように思いますが、この法にのっとりまた条約にのっとりその成果が得られるよう最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
○瀬谷英行君 最初に申し上げましたけれども、趣旨には賛成でありますが、具体的な運用の面になると難しい問題が非常に多くあると思いますので、その点、十分な御配慮を願った上で実行を期待するということを申し上げまして、私の質問を終わります。
○筆坂秀世君 今の局長の答弁を聞いていまして、この法案の目的であるダンピングの防止と公正な国際競争の確保というのがなかなかこれはおぼつかないというふうに私は言わざるを得ないと思うんですね。過去にあったかなかったかはっきりしないというぐらいなわけですから。
 私ども聞きましたら、どうやってダンピング契約かどうかを判断するのかと、一応三つの基準があるというんですね。同一の船舶をまず国内価格と比較をする。二つ目には、第三国に輸出した価格と比較をする。三つ目には、コストを比較する、調べる。こういう順序で比較をして、その差が二%以上ならダンピングと判定する、こういうふうに運輸省から説明を聞きました。それはその範囲でよくわかるんです。しかし問題は、今御指摘もありましたが、いかにその実効性を担保していくかということだと思うんです。
 比較といったって、これはなかなか簡単じゃないと思うんです。全く同一の船というのもあるでしょうけれども、大きな船になればそれぞれが個性を持った船で、同一の船というのがそんなにあるのか、実際問題として。その場合どうやって比較するのか〉これ一つ問題があります。
 あるいは、二%以上の差があったということが一つの基準になると聞いておりますけれども、為替変動によって二%ぐらいは幾らでも上下するわけですね。この為替変動なんかをどう見込んでいくのかという問題が生まれてきます。
 あるいは、同じような型の船でもどういう資材を使ったのか、使う資材によってもこれは当然コストが違ってくる。あるいは、設備される機材がどういうものか、これだってその機材によって価格は当然違ってきます。これまで調べようと思えば、これはそれこそ船を設計するぐらいの詳細な調査をやらなければなかなか正しい比較というのはできないんじゃないかという問題が三つ目にある。
 それで四つ目に、これは国内の取引じゃありませんから、今も話がありましたが、外国との関係で紛争が起こるという事態もこれは当然生まれ得ると思うんですね。そのときに、じゃ日本の言う主張が正しいのかあるいは外国の言う主張が正しいのか、一体どこが判定するのか。
 我々も、ダンピングは防止しなきゃいかぬ、公正な国際競争のルールを確立しなきやいけないと。しかし、そのためにはこういう問題をクリアしていかないと、仏つくって魂入れずということになってしまうんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) まず、ダンピングの認定でございますが、ダンピングの認定は、この協定の締約国である外国の造船事業者と日本の船主との間で結ばれる建造契約につきまして、まず第一に契約価格がその船舶の正常な価格を下回るものであるかどうか、先ほど協定上では二%という数字が出ておりますが、下回るものであるかどうか、さらに、これによって我が国の造船業に損害を及ぼしあるいは損害を及ぼすおそれがあるかどうか、この要件を満たす場合にダンピングというふうに認定するわけでございます。
 この要件を満たしているかどうかの判断を行うために、運輸大臣と通産大臣が共同で調査を実施してその判断を行うという仕組みになっているわけでございます。
○筆坂秀世君 余り答弁になっていないですよ、今それは瀬谷先生にお答えになった答弁と一緒でね。
 今、私は四点挙げましたが、一体同一の船があるのか、為替変動でそのぐらい変わるじゃないか、資材、機材だって変わるじゃないか、外国との紛争が起こったときにそれをどうやってどこが判断するんだということをお伺いしたんだけれども、その点はどうなんですか。仕組みはわかりました。
○政府委員(小川健兒君) まず、同種の船舶でございますが、国内販売がまずあれば一番いいわけですし、国内販売がない場合は第三国への同種の船舶の輸出、それから、それもない場合は要するにコストを積み上げた価格を考えるわけでございます。一隻一隻船というのは全部違うということではございますけれども、最終的にはスペック、仕様書を調査していけば大体その建造コストというのは積み上がるということでございますので、同種の船舶がない場合でも一応正常価格というものは算定できると思っております。
 それから、為替レートの話で船価が変動するといいますが、それは契約したときの為替で契約をしているわけでございますので、そのときのレートで考えるということになっております。
 それから、外国と紛争が起こったときの話でございますけれども、要するにダンピングだと認定された造船所がそれを不満とする場合は小委員会に提訴することができておりまして、その小委員会は第三者から成る委員三人で公平に判断されることになっております。それは当該当事者の国籍の人間は含まれないで、パネリストと言っておりますが、第三の国からのパネリスト三人で決定することになっておりまして、紛争が起こった最終的な判断はそこで行われるということになると思います。
○筆坂秀世君 専任対策官を設置するとおっしゃいましたね。これは通産省も設置されるんでしょうか。もしされるとすれば今予定としては運輸省は何人ぐらい設置されるのか、通産省の方はどうなるのか。
○政府委員(小川健兒君) 運輸省の海上技術安全局に専任の対策官を一人置くことになっております。それから、通産省については詳しく私は知りませんけれども、従来からガットの、WTOのダンピング業務を行っておりまして、その中でこの業務を行うものと聞いております。
○筆坂秀世君 何もむやみに人をふやせと言うわけじゃないですが、専任対策官一人でしょう。ですから、先ほども指摘ありましたけれども、本当にダンピングを防止しようということになれば、少なくとも今のこの体制では、果たしてどこまでできるのかということは大変おぼつかないということを指摘しておきたいと思います。
 次に、造船業をめぐる幾つかの問題についてお伺いしたいと思いますが、造船業界が韓国などの追い上げもあって非常に厳しい状況にある。かつて造船国日本と言われたわけだけれども、今は二十六社八グループということになっている。さらに、規制緩和の動きもある。それで、この間、造船不況のもとで二度にわたる設備処理が行われてきて、その結果、今の設備能力は四百六十万CGTというふうになっていますね。この体制というのは、この総量規制というのはいわば国際公約だというふうに思うわけですけれども、この総量規制というのは引き続き維持していくというお考えでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 日本の建造設備能力、現在四百六十万CGTということになっております。これは第二次の設備削減後の数字でございまして、それ以降、日本においては設備の拡張はやらないという方針で造船法を運用してまいっております。したがって、現在もそれ以降ずっと四百六十万CGTの能力できております。
○筆坂秀世君 並列建造について伺いますが、大手造船所の船台で一・五隻を超える船舶を同時に建造してはならないというふうになっています。この目的というのは、中小造船会社の営業を守っていくというところに大きなねらいがあるわけですけれども、ところが、現に第一次処理のときに大手が十万トンの船台で、中堅や中小造船会社が建造対象とする船舶を三隻同時に建造しようとした、こういうことがありました。大手が業務を集中的にとっていく、これをやめさせなければ中小造船業者が生き残れない、そういうことから並列建造を認めないということになったと思います。
 今の厳しい造船業界の状況を考えれば、中小造船業者の営業を守っていくという点で当然今後もこの規制というのは私は必要だというふうに思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) これまで長期間にわたって設備の新増設の厳しい抑制を続けてきたわけですが、その結果として、建造設備の老朽化とかあるいは産業活力の低下とか、そういった弊害も一方では出てきているというふうに思います。そういったことで、今後の日本の造船業のあり方について、現在、海運造船合理化審議会におきまして検討していただいているところでございまして、先生今御指摘になりました並列建造規制等の設備規制の問題も含めて、その審議の結果を踏まえて必要な施策を講じていきたいというふうに思っております。
○筆坂秀世君 海事新聞という新聞に三菱重工の正木さんという常務が設備規制の緩和について御見解を述べられているんですが、私なかなかもっともだと思うんですよ。
 今、二十六社体制になっている、これを仮に五社に減らしたとしても、最後はその数社が闘うんだからより一層激烈な競争になるという可能性もあると、規制緩和はしなければならないがその前に一つの柱を立てる必要があると、造船所というのは地方にある、企業城下町を形成しており、従業員の生活がある、その地方に合った事業を考える必要があるというふうに述べられています。
 ですから、今規制緩和だとかあるいはスクラップが進んでいるわけで、これは非常にすさまじいものがあると思うんですが、私、三菱重工の常務がよくぞこういうことをおっしゃったと思うんですけれども、やはりこういう立場を貫いていくことが大事だと思うんですよ。
 そこでお伺いしたいんですが、第一次設備処理が行われた一九八〇年と今と比較して、造船企業数、造船で働く労働者の数、あるいは建造能力、これはどういうふうに一九八〇年から現在まで変化してきているでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 第一次設備処理以前と現状との、まず企業数でございますが、六十一社から二十六社に減っております。それから設備能力は、九百六十万CGTから先ほど申し上げた四百六十万CGTに半分以下になっております。労働者数でございますが、十六万三千人から八万四千人に減っております。それから工事量は、四百五十万総トンから九百六万総トンにふえております。
○筆坂秀世君 今お答えになったように、企業数は六十一社から二十六社になっている。三十五社、この間、大手を除く中小、中堅の造船業者が淘汰されてきたということです。労働者の数も十六万三千から八万四千ですから約八万人、半減ということです。しかし、工事量というのは四百五十万総トンから約九百万総トンまでふえているわけですから、つまり企業数は半分以上減った、労働者も半分減った、工事量は倍になったということなんです。
 これはいかに猛烈なリストラといいますか、これがやられてきたか、これが地域経済に非常に深刻な影響を与えているということだと思います。ですから、この点に配慮していかなきゃ地域経済は一体どうなんだと、大手造船業者は繁栄したけれども、地域経済は疲弊してしまったということになりかねないと思うんですよ。
 例えば、今どういう状況にあるかというと、手持ち工事、これは運輸省の白書ですね、過去二十年間で最高の約一千四百十万総トンとなっており、一年半程度の仕事量を確保していると。現在の海造審答申の建造水準も超えるぐらいの手持ち量を持っているわけです。これは大手造船業者を中心に持っているということなんです。
 ところが、その一方ではどうかといいますと、例えば石川島播磨、愛知工場を撤退する、そして呉と東京の能力をふやす。川崎重工、神戸を坂出に集約してしまう。日本鋼管、浅野工場を閉鎖する、清水工場を撤退する。競争力確保ももちろんそれは必要でしょう、そうしなきゃ生き残れないから。しかし同時に、地域経済やそこに働く労働者、この問題を無視してやったんでは、こっちはよかったけれども、こっちに大きな穴があいてしまったということになると思うんですね。
 ですから、統廃合や規制緩和やいろんなことを進めていく上で、地域の自治体やあるいは関連企業やあるいは労働者、こういう人たちの声を本当によく集めていかないと、日本経済全体としてどうなんだということになってくると思うんですね。この点について、大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 国際競争が激化する中で、造船所の集約化あるいは産業基盤の整備、これは進めていく必要があるわけでありまして、いろいろ最新鋭の設備等々を用いて能力の向上を図ってまいらなければなりません。しかし、今御指摘の労働者や地域経済、このことに対しましても十分配慮していくことは当然のことでありまして、それらを考慮し慎重にいろいろ進めていきたいと、このように考えております。
○筆坂秀世君 終わります。
○末広真樹子君 この造船協定法案は、国際条約に基づくもので、船舶のダンピングを防止する上で大変重要な法案であると思います。先ほどの瀬谷委員と同じく、私もダンピング船の追跡方法についてはかなりお聞きしたんですけれども、これは最終的にIMO番号というものをつけて船名や船主がかわろうとも未来永劫に追跡するというふうな説明で私は納得した次第でございます。
 アメリカでの自動車問題のようにならないようにしっかり国際ルールを定めて、日本の世界に誇る造船技術力を今後とも確たるものにしていくことが望まれます。また、日本がダンピングやったんじゃないのと疑惑を持たれた場合に、きちんと身のあかしが立てられるようなマニュアルづくりというのもぜひお願いしたい。これは、そういうところにまで手の回らない零細や中小企業のためには大変急がれる問題であると思いますので、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。
 そこで、きょう私は、今後の国際競争力という観点から造船業の将来像について幾つかお伺いしてまいりたいと思います。
 まず、日本の造船業の将来を考えました場合に若年労働力の不足が心配されるわけでございますが、二十一世紀における造船業の位置づけと、とりわけ若年労働力の確保について運輸省はどのような展望をお持ちなんでしょうか。また、現在の造船業の従業者数の中で女性の比率は何%程度になっているか、あわせて御説明ください。
○政府委員(小川健兒君) 我が国造船業は、過去の不況の際に新規採用を中止したりいたしましたので、他の産業に比べて従業員の平均年齢は若干高くなっております。造船業の平均年齢四十二・一歳に対し、製造業全体が三十九・六歳、全産業が三十八・八歳というように、高齢化が進んでいるわけでございます。その中で、造船業の全従業員八万四千人の中で女性従業員は約五千人ということで、その比率は約六%でございます。
○末広真樹子君 恐縮ですが、私は本日たくさん質問の数を用意しておりますので、とんとんとお願いしたいと思います。
 女性の数六%とおっしゃいましたが、正確には五・八%と私どもは承知しております。非常に女性が少ないわけでございますね。さらに調べてまいりますと、その女性たちの内訳は四十代から五十代が主力ということで、仕事の内容はペンキ塗りなどの作業補助にとどまっているのが現状でございます。
 それでお伺いします。女性の登用につきましては、今後造船業としてはどのような意向を持っていると把握なさっていらっしゃるんでしょうか。造船業においても、今後は女性の採用を積極的になさるべきではないかなと思うんですが、何と申しましても、若い女性のいる職場には若い男性が集まってくるというのが世の常と申しますかまことに自然なことと思われますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(小川健兒君) 日本の造船業におきましては、生産性の向上を図るとともにその就労環境の改善を進めるために、自動化とか省力化あるいは情報化を積極的に進めてきているわけですが、こうした取り組みによって女性従業員の活躍の場もふえてきているというふうに聞いております。例えば女性従業員の活躍の場の例として、NC機器とか自動溶接機等の自動化機器のオペレーター、あるいは設計部門におけるCAD計算機のオペレーター等、女性従業員の活躍の場はふえているというふうに聞いております。
○末広真樹子君 昨今、建築現場では、若い女性が現場監督となりまして高い足場に上っている姿をよく目にするようになりました。以来、若い男性がカラフルなニッカーボッカーを競ってはくようになったと、喜ばしく感じております。ぜひ造船業界でも御一考を要したいところでございます。
 次の質問です。
 最近、大学ないし高校教育の課程で、いわゆる造船関係学科というものが年々少なくなってきていると聞いております。さらに、造船学科卒業生の造船関係会社への就職割合の推移を調べてみますと、昭和四十年代から五十年代は半数以上が造船関係に就職できていたのに対しまして、最近では四分の一程度しか造船関係に就職できていない状況にございます。しかも、造船関係学科には、女性は皆無に等しい状況にございます。こうした現状を運輸省としてはどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 先生、今御指摘のように、造船学科を卒業した者で造船会社に就職する割合、昭和五十年で五五%でしたが、現在平成七年三月末では二五%でございます。
 我が国造船業が今後とも発展していくためには技術ポテンシャルの維持向上が不可欠であり、その担い手であります若年の技術者の確保が非常に重要な問題であるというふうに思っております。こうした観点から造船事業者におきましては、就労環境の改善とか賃金水準の向上などによって、多くの卒業者が造船会社を志向するよう環境の改善を図っているというふうに聞いております。
○末広真樹子君 女性に対してはというところが抜けておりますが、お答えはないということですね。
○政府委員(小川健兒君) それは女性も含めてでございますし、また、先ほど申し上げましたように、女性の活躍の場というのは造船会社においても非常に広くなっているということでございます。
○末広真樹子君 造船業に対しまして若者のイメージが低下しているわけでございます。いわゆる三K職場と一般的に言われる危険、汚い、きついというイメージをぬぐい去ることも大切かと思いますね。その方策としては幾つかございますが、先ほど運輸大臣からちらっとお話の出ましたテクノスーパーライナーを、魅力ある新技術としてPRしていくこともその一つだと考えられます。例えば外国船が不法侵入してきても、追いかける船より逃げ足が速くて取り逃がしたなんていうニュースを再三私たちは見るわけでございます。テクノスーパーライナーを海上保安庁に巡視艇として導入することで、格段にそういった不名誉なことも減少して船舶の技術革新の大きなPRの目玉になるんじゃないかと思います。
 そこでお聞きしますが、テクノスーパーライナー開発の現状について少しお答えください。
○政府委員(小川健兒君) テクノスーパーライナーにつきましては、平成元年度から研究開発ん始めまして、平成六年度までで設計及び建造に関する基礎的技術は確立いたしました。昨年度は、テクノスーパーライナーの安全運航の確保のための総合実験というのを実施いたしまして、成功裏に終了いたしております。
 今年度は、テクノスーパーライナーの事業化を支援するための総合調査というものを始めております。これは、具体的なルートや何かでテクノスーパーライナーの事業化を行うためのいろんな諸問題を検討し、来年度以降の事業化のための基礎的な検討を始めているところでございます。
○末広真樹子君 時速九十八キロということで大変魅力ある船であると認識いたしております。本年度にルートを検討すると今御答弁にございました。私その検討図なるものをちらっと見たんですが、我が名古屋港が入っていなかったので、ぜひテクノスーパーライナーの実用化の折には名古屋港を就航港として位置づけていただきたいと思いまずが、いかがでしょうか。
○政府委員(小川健兒君) 今年度行います総合的な調査で具体的なルートごとの検討を行うことにしております。ただ、事業を行うに当たって必至なことは、要するに事業を行う主体が整うかどらか、あるいは適合する貨物が必要量確保されるかどうか、こういったことが具体的なルートが決まる上での必要条件かと思います。そういったことを今年度調査して、来年度以降の事業化につなげていきたいというふうに思っております。
○末広真樹子君 そこで、名古屋港の整備促進問題に入らせていただきたいのでございます。
 コンテナ船の大型化が進んでおりますが、将来的には世界で最大規模のものはどのくらいのものになると予想されているでしょうか。まずこの点をお願いします。
○政府委員(小川健兒君) 最近、貨物のコンテナ化が進む傾向にございまして、またそれに伴いましてコンテナ船の大型化も進んできております。現時点においては、二十フィートコンテナ六千六百個程度を積載できるものが発注されております。これが世界で最大のコンテナ船かと思います。船の大きさは個々の船舶の設計により若干異なりますが、長さが約三百メーター、幅四十メーター、総トン数八万トン程度でございまして、喫水は約十四メートルと聞いております。
○末広真樹子君 その大型船を受け入れるには、水深何メートルのバースが必要でございますか。
○政府委員(栢原英郎君) 超大型船の喫水が十四メーター程度ということでございますので、余裕水深を考慮しまして十五メーター程度の水深を有する岸壁があれば十分この船舶に対応できるというふうに考えております。
○末広真樹子君 名古屋港におきますコンテナ貨物の取扱状況について御報告ください。
○政府委員(栢原英郎君) 平成六年におきます名古屋港の外貿のコンテナ取扱貨物量は、トン数でいきまして二千二百十六万トン、二十フィートコンテナに換算をいたしまして百二十二万個のコンテナを扱っております。これは我が国では第三位、世界では第二十四位の扱い量となっております。
○末広真樹子君 去年八月に私当選しまして、実はすぐに地元の各省庁の出先機関にごあいさつに上がりました。その折、名古屋港の港湾整備は非常に問題があって立ちおくれているんだと局長が嘆いていらっしゃったのを、私運輸委員になって思い出したのでございます。
 名古屋港は、大水深コンテナターミナル整備を積極的に進める中枢国際港湾の一つであるにもかかわらず、今御指摘の十五メートルの水深バースの計画がなく、水深十四メートルのコンテナターミナルの整備しか含まれていないようでございますね。その理由をぜひお聞かせください。
○政府委員(栢原英郎君) 名古屋港は、御案内のように伊勢湾の一番奥に位置をしておりまして、特に木曽三川等の大型の河川が流入をしているということから、海底が非常に遠浅であるという状況にございます。したがいまして、超大型コンテナ船の入港のためにもしその必要な航路を掘るとすれば約十キロメートルに及ぶ超大な航路を掘り進む必要があります。まずこの事業が大変であるということと同時に、この航路のしゅんせつから生じました大量の土砂を埋め立てて処分する場所をまた別途確保しなければいけないという状況がございまして、現在のところは、水深十四メーターのコンテナターミナルを二バース計画し、そのバースの整備を進めているというところでございます。
○末広真樹子君 大変であるからやらないというのでは、やはりこれは少し問題があろうかと思うんです。二点目に御指摘になりました土砂の持っていく場がないということに対しましては、我が県では中部新国際空港埋立問題というのがございまして、これは鈴木委員もよく御承知のことだと思います。そういう土砂の持って行き場というのはこれは明確にございますので、ぜひその点は意を強くしてお取り組みいただきたいなと思います。
 先般、閣議了解されました第九次港湾整備五カ年計画に貨物取扱量国内第三位の名古屋港の名前が入っていないというのはまことに残念でございます。名古屋港の将来を一体どのようにお考えなのか、ここでひとつ大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 第九次港湾整備五カ年計画におきまして、東京湾、伊勢湾あるいは大阪湾、北部九州の四地域を中枢国際港湾として整備をし、十五メートルの大水深ターミナルの整備を最重点的な課題として取り組んでまいりたい、投資を重点的配分する、そして国際競争力のある形にしてまいりたいと、このように考えております。
 また、名古屋港は背後の経済活動の規模に比べましてコンテナバースの整備が御指摘のとおり立ちおくれておりますことは事実であります。今後、中枢国際港湾の一つとして大水深ターミナルの整備に努力をし、国際的な競争力のある港湾にしていかなければならない、このように考えておるところでもございますし、今委員からいろいろ御指摘をいただきましたが、大変厳しい財政状況下でいろいろなところにいろいろな施設をやらなければならないわけでありますので、ぜひそういう面でのまた御支援をよろしくお願い申し上げます。
○末広真樹子君 前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
 また、今大臣のお言葉の中にもございましたように、地元愛知県というところは造船技術を支えるすそ野産業の大変発達したところでございます。このことは、名古屋港のコンテナ貨物は輸出におきまして工作機械や自動車部品が大半を占めているという事実からも十分に推察できることだと思います。名古屋港の港湾整備問題についてさらなる御理解をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。私は本法案の審議に当たりまして、地球環境に優しいタンカーの二重船体について、これを中心にお伺いをさせていただきたいと思います。
 一九八九年三月、アラスカ沖で発生いたしました超大型タンカー、エクソン・バルディーズ号による大規模な油の流出事故を契機といたしまして、国際海事機関IMOにおきましてタンカーの構造基準について見直しが行われ、九二年三月、MARPOL条約の改正が採択をされました。座礁等の事故発生時の油の流出の可能性を低減させるためのものでございますが、九三年七月よりの新造船から順次船体の二重構造化を義務づけることになりました。我が国もこの関係法令の整備を行いまして、条約の発効に合わせまして九三年七月より施行をしているところであります。
 そこで、我が国の造船会社の二重船体化はどのようになっているのでございましょうか。また、国内外からの受注状況などお聞かせくださいませ。
○政府委員(小川健兒君) 海洋汚染防止条約の改正によりまして、一九九三年七月以降契約されます載貨重量トン数五千トン以上のタンカー、これは二重船体構造とすることが義務づけられたわけでございます。それ以降受注したタンカーの数でございますけれども、日本の受注量は九五年の末まで二年半でございますが三十六隻ございます。
○栗原君子君 それで、いわゆる中間甲板つき二重船側タンカー、これはいわゆるミッドデッキ構造タンカーと言われておりますけれども、我が国を含めこれの建造の提案をしているわけでございます。これらについてはどのような状況になっているのでございましょうか。
○政府委員(小川健兒君) ミッドデッキ構造のタンカーでございますが、貨物タンクの中間に甲板を設けまして貨物タンクを上下に分割したものでございまして、そのために、座礁により船底外板が損傷を生じた場合であっても、タンク内の貨物油が外に流出する圧力よりも海水がタンク内に入ってくる圧力の方が高くなるため油の流出が防止されるという構造のタンカーでございます。
 これに対しまして、一般の二重船体構造のタンカーは、座礁時に外板にのみ損傷が生じた場合には油の流出が全くない、内側のタンクまで損傷した場合は油の流出を防止することができないという構造になっているわけです。したがって、ミッドデッキタンカーは大規模な座礁時における油流出防止性能が大きい、すぐれているということで日本が提案したわけでございます。
 それで日本は、このミッドデッキ構造の有効性につきまして、IMOに対して二重船体構造と同等なものとして条約上に規定するよう提案したわけでございます。一九九二隻.月の海洋環境保護委員会において我が国の主張が認められ、条約改正が採択されるに至ったものでございます。しかしながら、今までのところミッドデッキ構造のタンカーの建造実績はまだございません。
○栗原君子君 これは、話に聞きますと大変コストも安くつくし、そしてまた建造のための工期も短くて済む、こういったことで何かいいことずくめのような構造になっているように私は思うのでございますが、これがなぜ建造された実績がないんでしょうか。どこに原因があるんですか。
○政府委員(小川健兒君) ミッドデッキ構造のタンカーにつきましては、先ほど申し上げましたように、IMOでは同等のものとして認められておりますが、アメリカがまだ認めていないということでございます。これが建造実績のない一つの理由じゃないかと思っております。
○栗原君子君 なぜアメリカが認めないからできないんですか。IMOではこれは大変いいことだということで認められているわけでしょう。どうしてアメリカが言うからできないんですか。そこをお聞きしているんです。
○政府委員(小川健兒君) 私もはっきりとはアメリカの言い分はわかりませんが、小規模の座礁のときは二重船体構造の場合は全く油が流出しない、しかしながら、ミッドデッキ構造のタンカーは小規模の座礁の場合でも若干油の流出があるというところでアメリカが認めていないんだろうというふうに推測しております。
○栗原君子君 構造上からいたしましても、船底に三メートルから四メートルの大きな穴があいた場合でも余り影響がないということであるわけなんですね。それで、なぜアメリカが認めないからできないんですか。そこはわかりませんか。
○政府委員(小川健兒君) 今申し上げたようなことじゃないかと。確かに、大規模な座礁の場合はミッドデッキ構造のタンカーの方が有効だということは、アメリカも知っているはずでございます。ただ、小規模の座礁、その場合はやはり若干はミッドデッキ構造のタンカー、油の流出は避けられないというところでアメリカが認めていないということだと推測しております。
○栗原君子君 新聞などの報道からいたしますと、構造的にもいいと、いいことずくめであるけれども、これは「しかし米国は日本への反発から中間甲板方式の承認に反対をしており、同方式採用タンカーの米寄港を認めない可能性も強い。」、これだけ強硬にきているわけですね。それから、これの採択のときでございますけれども、アメリカは「造船所のある州の出身議員がロンドンに乗り込み、自国のIMO代表に譲歩しないよう圧力をかけるなど、なりふり構わぬ自国権益保護に動いた。」ということでございまして、アメリカの横暴としか私は思えないんですけれども、これに対してはどのようにこれからしていこうと思われますか。
○政府委員(小川健兒君) 我々といたしましては、IMOにおいて二重船体構造のタンカーと同等というふうに認められたわけですので、今後も国際機関IMOの場を通じまして米国の説得に努めてまいりたいというふうに思っております。
○栗原君子君 今の答弁を聞いておりましてもそうですし、私自身も思っておりますけれども、アメリカは今まで軍艦をつくっていたわけですね。それが、米ソの冷戦構造が崩れまして世界は軍縮へ向かう中で国際マーケットを見た場合、多い少ないはありますけれども、他国は造船業に対して国が支援をしているわけでございます。しかも、日本の造船技術は高い位置にあるのでありまして、これを見て大変フェアでない、このように言い出したわけでございまして、この共通のルールをつくることを言い始めたわけでございます。私は、このルールが必ずしも悪いとは思っておりませんけれども、いずれにせよ、余りにもアメリカの横暴が目につくわけでございます。それから、日本の大手の造船会社、この方式を開発いたしました会社は、世界の海洋汚染に役立つなら特許料は請求しないとまで明言をしているわけでございます。
 そういう意味で、ぜひ私はもっと強い態度で交渉に応じていただきたいと思いますけれども、もう一度ちょっと決意のほどをお聞かせください。
○政府委員(小川健兒君) 我々といたしましても、IMOの場を通じまして米国の説得をしていきたいと思います。説得というのは、アメリカがアメリカ国内にミッドデッキ構造のタンカーの入港を認めない、これを廃止するように求めていきたいということでございます。
○栗原君子君 次に、我が国の造船業にかかわっております従業員のことについてお伺いをいたしたいと思います。従業員の高齢化、そしてまたあわせまして、私は、不安定雇用が大変行われているんではなかろうか、こんなことを思うわけでございます。
 いただきました資料を見ましても、九〇年代に入りまして若干増加をし始めましたけれども、九五年になりまして合理化によって減少傾向にあるわけでございます。とりわけ、社外工は微増をいたしておりますが、正規の社員というのは少なくなっております。
 実は、私がおります広島県のある大手の造船会社でございますが、かつては戦艦大和などを建造いたしましたその流れをくみました造船会社でございます。何年か前でございましたけれども、造船不況の折にもう余りにたくさんの人たちの首切り、合理化をやったわけでございます。そして、余りやり過ぎたために、次に仕事が来たときには従業員が少なくなりまして仕事に対応できなくなったわけです。それで、急速臨時工みたいな人をかき集めてきて仕事をやった、こういったありさまであります。
 それとまたあわせまして、他産業の従業員に比べまして、平均年齢から見ましても大体四歳高い年齢になっているわけでございます。
 こういう中で二十一世紀に向けましての、とりわけ世界一の技術を誇ります日本の造船業界に対して、どのように発展させようと思っていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(小川健兒君) 日本の造船業は、他の産業に比べまして従業員の平均年齢、御指摘のように高くなっております。しかしながら、構造調整等によりまして不況から脱却して業況が回復したこととか、あるいは先進的な技術開発の取り細み、あるいは自動化などによる就労環境の改善等を通じまして産業のイメージアップを図ってきたことから、最近では若年労働者の割合は着実に増加していると聞いております。
 それから下請のことでございますが、造船業は需要の変動が他の産業に比べて極めて大きいということ、また、多種多様の部品を総合的に組み立てていくという特性も持っております。現在の下請請負制度は、こういった造船業の特性に対応していくという中で歴史的に形成されてきたものでございまして、造船業にとっては合理的な制度として機能しているというふうに理解しております。我々としては、請負制度というのは我が国造船業の安定に重要な役割を担っているというふうに理解しております。最近の請負社外工の人数は、ふえてはいなくて大体横ばいで推移してきているというふうに理解しております。
○栗原君子君 運輸省の担当者の方の説明を受けましても、社外工はジプシーのような働き方をしているといった報告もいただいておりますけれども、ぜひ安心して働けるようなそういった政策序提示していっていただきたいと思うわけでございます。
 最後になりますけれども、大臣にお伺いをいたします。
 先ほどのミッドデッキ構造のタンカーのことについてもそうでございますが、アメリカはこの間、自動車の問題とかあるいは半導体、フィルムの問題など次々と強引とも言えるような要求を我が国に突きつけてきたわけでございます。そういった意味で私は、ぜひアメリカにも反省をしてもらわなければいけない問題がたくさんあると思うのでございます。とりわけ、大臣はいろんなそういった国際会議の場などにもお出かけになるわけでございますから、ぜひ我が国の国益のことはもちろん、特に船体の二重構造のタンカー、いわゆるミッドデッキダブルハルタンカーにつきましては原油の流出事故をなくすという世界の環境に大変優しいタンカーの方式でありますから、そういったことも含めまして強く要望していただきたいと思います。
 先般、航空法のところでも話が出ておりましたけれども、いわゆる日米の二国間の航空協定は不平等協定でございます。それらも含めまして強い態度で臨んでいただきたいと思うわけでございますが、大臣の決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀井善之君) 先生から御指摘をいただきましたミッドデッキ構造の件につきまして、先ほども局長からも答弁を申し上げましたが、国際機関でこれは認められておるわけでありますので、その機関を通じてその対応と、このことに全力を挙げてまいりたい。
 また、国際的ないろいろな問題、今回のこの造船業の協定につきましても国際的に統一された基準、手続、これに基づきましてそれぞれのところがダンピング防止に努力をするわけでありまして、我が国にとりましても不利益を受けることのないことと考えておりますが、今後ともこの趣旨にのっとって適切に対応してまいりたい、このように考えております。
○栗原君子君 終わります。
○委員長(寺崎昭久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十八分散会