第136回国会 決算委員会 第1号
平成八年六月二十日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員長の異動
 六月十九日浦田勝君委員長辞任につき、その補
 欠として野沢太三君を議院において委員長に選
 任した。
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   委員の異動
 六月十九日
    辞任         補欠選任
     浦田  勝君     野沢 太三君
     寺澤 芳男君     山崎  力君
     伊藤 基隆君     菅野  壽君
     竹村 泰子君     上山 和人君
     照屋 寛徳君     清水 澄子君
     筆坂 秀世君     有働 正治君
 六月二十日
    辞任         補欠選任
     菅野  壽君     竹村 泰子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野沢 太三君
    理 事
                尾辻 秀久君
                岡  利定君
                吉川 芳男君
                星野 朋市君
                山崎 順子君
                有働 正治君
    委 員
                岩井 國臣君
                海老原義彦君
                景山俊太郎君
                笠原 潤一君
                清水嘉与子君
                陣内 孝雄君
                中島 眞人君
                長峯  基君
                松村 龍二君
                守住 有信君
                牛嶋  正君
                武田 節子君
                続  訓弘君
                山崎  力君
                山下 栄一君
                今井  澄君
                上山 和人君
                竹村 泰子君
                本岡 昭次君
                水野 誠一君
                田  英夫君
                栗原 君子君
   委員以外の議員
       議     員  浦田  勝君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  久保  亘君
       外 務 大 臣  池田 行彦君
       厚 生 大 臣  菅  直人君
       通商産業大臣   塚原 俊平君
       運 輸 大 臣  亀井 善之君
       建 設 大 臣  中尾 栄一君
       自 治 大 臣  倉田 寛之君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 梶山 静六君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  中西 績介君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      岡部 三郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       田中 秀征君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 秀直君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  岩垂寿喜男君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  鈴木 和美君
        ―――――
       会計検査院長   矢崎 新二君
        ―――――
   事務局側
       常任委員会専門
       員        貝田 泰雄君
   説明員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        平林  博君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       人事院事務総局
       給与局長     小堀紀久生君
       総務庁統計局長  伊藤 彰彦君
       北海道開発庁総
       務監理間     松川 隆志君
       経済企画庁調整
       局審議官     河出 英治君
       国土庁地方振興
       局長       岩崎 忠夫君
       外務大臣官房審
       議官       大島 賢三君
       外務省経済協力
       局長       畠中  篤君
       外務省条約局長  林   暘君
       大蔵大臣官房審
       議官       尾原 榮夫君
       大蔵省主計局次
       長        林  正和君
       大蔵省理財局長  田波 耕治君
       大蔵省銀行局長  西村 吉正君
       厚生省社会・援
       護局長      佐々木典夫君
       厚生省年金局長  近藤純五郎君
       農林水産政務次
       官        野間  赳君
       農林水産省構造
       改善局長     野中 和雄君
       通商産業省貿易
       局長       広瀬 勝貞君
       資源エネルギー
       庁長官      江崎  格君
       運輸省航空局長  黒野 匡彦君
       運輸省航空局技
       術部長      北田 彰良君
       建設省道路局長  橋本鋼太郎君
       自治省行政局長  松本 英昭君
       自治省財政局長  遠藤 安彦君
       自治省税務局長  佐野 徹治君
       消防庁長官    秋本 敏文君
       会計検査院事務
       総局次長     中島 孝夫君
       会計検査院事務
       総長官房総務審
       議官       牛嶋 博久君
       会計検査院事務
       総局第一局長   深田 烝治君
       会計検査院事務
       総局第二局長   森下 伸昭君
       会計検査院事務
       総局第三局長   山田 昭郎君
       会計検査院事務
       総局第五局長   平岡 哲也君
   参考人
       国際協力事業団
       総裁       藤田 公郎君
       日本輸出入銀行  南原  晃君
       副総裁
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○平成六年度一般会計歳入歳出決算、平成六年度
 特別会計歳入歳出決算、平成六年度国税収納金
 整理資金受払計算書、平成六年度政府関係機関
 決算書(内閣提出)
○平成六年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (内閣提出)
○平成六年度国有財産無償貸付状況総計算書(内
 閣提出)
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○委員長(野沢太三君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 議事に先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 昨日の本会議におきまして、決算委員長に選任されました野沢太三でございます。
 甚だふなれではございますが、皆様方の御協力と、また御支援を賜りまして、公正、円滑な運営を心がけてまいりたいと存じます。どうぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)
 この際、前委員長の浦田勝君から発言を求められておりますので、これを許します。浦田勝君。
○委員以外の議員(浦田勝君) ただいま委員長のお取り計らいによりまして、ごあいさつをする機会を与えていただきましてまことにありがとうございます。
 顧みますれば、昨年委員長就任と同時に諸先生方にお願い申し上げましたことは、決算重視である参議院の審査が余りにもおくれて、四年、五年ということはおかしいというようなこともございまして、特に、決算というのは参議院の独自性からいたしましてもこれはきちっとやるべきじゃないか。いろいろと問題があっても、横にそれるようなことになってしまったら、これは到底年度末までには、会期内に終わらないだろうと思いまして、先生方には大変御無理なことではございましたが、まずこれを処理しましょうということで、精力的に審査をいただいて、夏休みの返上ということで大変御迷惑をおかけいたしました。
 おかげをもちまして、タッチの差でちょっとおくれはしましたが、過ぎてしまいましたが、二十七年ぶりというようなことで成果を上げ得ましたことは、ひとえに先生方の御協力のたまものであります。
 もとより、私は浅学非才でありますが、お見かけどおりの生地丸出しの委員長であって、甚だ皆様方には御迷惑もおかけをいたしましたが、今申しましたようなことで、一応は軌道に乗ったと、こういうふうに存じておるわけであります。
 六年度の審査に入れるような措置をしていかなきゃならぬと同時に、まず予算の長年の結果というものを国民の皆さん方にも知ってもらうと同時に、政府においても十分審査の結果を尊重されましてこれを予算編成に資していただく。
 なおまた、官官接待がいろいろ叫ばれましたが、会計検査院の皆さん方の処遇の問題、あるいはまたこれらに対するいろいろな関連する問題等もございまして、これは当然我々としてはきちっとしてあげるべきじゃないかということ、あるいはODAの問題等もございましたが、これらについてもいささかも国民の皆さん方が疑惑を持たないように、きちんとした流れというものを明確にする必要もあろうかということで、村山総理にも御提言を申し上げ、また政府におかれましても、この調査官等の旅費の問題等々もございますが、これらについては十分今後は配慮していくということでございます。
 私としては、辞任に当たりまして何ら思い残すことはございませんが、今申しましたように、参議院の決算であると、なれば参議院の良識というものを十分今後御発揮いただくと同時に、これから夏の休みを横目に見ながら皆さん方が大変御苦労なさるんじゃないかなと、そういう面では皆さん方に大変お気の毒だと思いますけれども、正常化ということが大事でございますので、先生方におかれましてはどうかひとつ御健勝で御活躍をされますことを心から祈念申し上げ、本当に皆さん方には温かい御支援、御協力を賜りまして、ここに胸を張って退任することができますことを本当に喜んでおります。
 新しい委員長のもとで皆さん方の御活躍を重ねてお願い申し上げまして、失礼させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○委員長(野沢太三君) 浦田先生、御苦労さまでございました。
○委員長(野沢太三君) 委員の異動について御報告いたします。
 昨十九日、浦田勝君、伊藤基隆君、照屋寛徳君、筆坂秀世君及び寺澤芳男君が委員を辞任され、その補欠として上山和人君、清水澄子君、有働正治君、山崎力君及び私、野沢太三が選任されました。
○委員長(野沢太三君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に有働正治君を指名いたします。
○委員長(野沢太三君) 平成六年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、全般的質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡利定君 自由民主党の岡利定でございます。
 やっと平成六年度の決算の審議が始まりました。浦田前委員長が先ほどおっしゃいましたように、委員の先生方の大変な御努力で、いわば決算の審査が正常になったといいますか、政府から提出された平成六年度決算外二件を対象として早々に質疑させていただけるような状態になったわけでございます。
 しかし御承知のとおり、国会の日程上、会期内には委員会を開会することが実質的にできず、きょうまでおくれてしまいましたことは大変残念に思います。浦田前委員長のお話にもありましたように、決算委員会の任務の大きさ、特に参議院の任務との関係から大変重要だと言われておりますが、実際の委員会の開会は他の委員会との関係で、結局ほかの委員会のいわゆるすき間、あるいは閉会中にならざるを得ないというのが実態でありまして、現に今国会では、五月十五日に本会議、引き続き委員会で概要説明を聴取するのが精いっぱいであったわけでございます。
 大変難しいことかもわかりませんが、できるだけ会期内にこの決算委員会の審議を可能にするように努めなければならないと思う次第でございますが、それを委員長にぜひお願いするだけとか、あるいは委員だけでやろうとしても大変難しいいろんな条件がございます。そういう意味で、決算委員会の重要性を考えましたとき、参議院の全各派がそれぞれ共通の問題意識を持ってこれをどうするかということに上がっていかなければならないかと思います。
 そういう意味で、まず最初に、それが今後の大事な宿題であるということをお互いに確認し合って、また知恵を出していきたいということを提言いたしたいと思う次第でございます。
 また、初めの予定から大幅におくれてしまいまして、きのうやっと第百三十六回国会が終わった直後のきょうからこの委員会に入ったわけでございますが、これもそういう意味で去年の夏以来の本委員会の努力をむだにしないようにということで、七年度決算が提出されるまでにこの決算を議了することはもちろんでありますけれども、先ほど浦田前委員長が言われましたように、次の政府の予算編成にぜひとも反映させていくためにも決算審査の充実と決算審議の促進ということが大変必要かと思っております。
 そういう意味で、政府におかれましてもこの趣旨を御理解いただいて、決算審査が本委員会の予定どおり終了できますように日程等の確保について最大限の御協力をお願いいたしたい次第でございます。特に大蔵大臣には、いろんなほかの委員会との関係等から大変お忙しい場面があるかと思いますけれども、この趣旨を御理解いただいて、御協力をお願いいたしたい次第でございます。
 冒頭そういうことを申し上げまして、六年度決算の審査に入りたいわけでございますが、その審査の前に、六年度の事項に入ります前に、きのうきようの新聞でも、前国会で大変問題になった住専関係で、追加措置等についていろいろと政府の方でも御努力され、それなりの取りまとめといいますか、ものがつくられてきたというようなことが報道されております。その辺について、まず大蔵大臣から正確に、どのようなことがどのようになっているのかというようなことも含めましてお尋ねし、そして、まだ今後も引き続き協議しなければならないというようなことも報ぜられておりますけれども、その辺についてもお話しいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(久保亘君) 国会で住専問題に関する長い御論議を通じて、関係金融機関に対して追加負担等による新たなる寄与を行わせることで財政支出が国民負担とならないよう、その軽減のために可能な限りの努力をしなければならない、こういうことでございました。また、私どももそのような立場で政府の考え方を一貫して審議に当たって申し述べてきたところでございます。
 去る十八日、本院におきまして金融関連六法案を可決、成立させていただきました機会に、私の方から、今日まで要請を重ねてまいりましたことについて改めて関係者に要請を申し上げたのでございます。
 十八日の午後、系統金融機関に対する協力の要請に関しましては、大原農林水産大臣にお目にかかりましてその努力を要請いたしました。また、引き続き松下日銀総裁に対しても、日銀の持つ使命に照らして、私どもが関係金融機関に要請をいたしてまいりました新基金構想について、日本銀行のできる協力は何かということについてぜひ御検討いただきたいということを申し上げたのであります。
 その後、銀行協会会長初め地銀協の会長、第二地銀協の会長、信託協会の会長、生保協会の副会長など十名近くの方々が大蔵省にお見えいただきまして、私から、新基金構想を中心にしてぜひ新たなる寄与について協力をいただくように、そしてその回答は会期末、つまり昨日までにいただくようにということを申し上げました。
 昨日、金融機関からの回答をいただきました。その回答は、
  大臣要請に対する回答
  金融界と致しましては、昨日の大臣からのご
 要請を重く受け止め、以下の基本的な考え方に
 基づき基金の設置について、関係金融機関全て
 が法的側面も含め各方面と協議を重ね、早期に
 結論を得られるよう真剣に検討してまいる所存
 であります。
 一、基金の目的は、我が国金融機能に対する内
 外からの信頼確保に資するものとする。
 二、関係金融機関等の資金拠出による基金の運
 用益をもって、結果として国民のご負担を可能
 なかぎり軽減するよう努める。
 なお、農林系統金融機関については、相当程
 度の協力が不可欠と考えております。
 これが銀行協会等金融機関から文書をもってなされた回答でございます。
 なお、系統金融機関につきましては、昨日、大原農林水産大臣から、前向きに検討をさせていただきたい、ただ、系統金融機関の経営の実態と困難な問題についてもぜひ御論議をいただきたい、こういうことが系統金融機関から述べられておるという報告がございました。
 日本銀行は、私が申し上げました際に、松下総裁から、日本銀行としてどのような協力ができるかについてぜひ検討させていただきたいということでございました。
 これらの回答を通じて、私は、新基金構想を軸にして、新たなる寄与についての各関係金融機関の前向きの回答を寄せられたものと思っておりまして、今後、住専処理法に基づく住専処理機構が設置されますまでの間に、具体的な寄与の中身について、つまり新基金構想を中心にして新たなる寄与の具体的な中身を詰めてまいりたいと考えているところでございます。
○岡利定君 ありがとうございました。
 きのう、この関連でもまた政府・与党声明というのが出ております。新聞によりますと、官房長官は記者会見で、不退転の決意でやるという考えを確認したものだと、きっちりやるということだというようなことをお話しいただいておりますけれども、これについて政府としてはどのような対応をとられるお考えでしょうか。
○国務大臣(久保亘君) 与党におかれましても、熱心に御協議を賜り、また国会の審議の段階でも関係金融機関の代表ともお会いいただいたと伺っております。
 そのような立場に立ちまして、政府とも緊密に連携をとりながらこの問題等の今後の取り組みについてお取りまとめをいただき、昨日、政府・与党首脳会議におきまして、政府・与党の新たなる寄与等に関する住専問題処理の基本的な立場についての声明を政府・与党首脳会議において確認をいたしました。その後、この声明は内外に明らかにされたものでございます。
 声明の内容につきましては、御承知かと思いますので省略をさせていただきますが、政府といたしましては、この政府・与党声明の精神に沿って、これを尊重しながら全力を挙げて回収と新しい金融システムの確立のために力を尽くしてまいりたいと考えております。
○岡利定君 先ほど大蔵大臣は、新たな寄与については新しい基金ですか、新基金を設立するということであるようでございますが、その新基金の関連で、運用利率とかはどのように見込んでいるのか、あるいは財政負担の軽減にどの程度寄与するというように考えておられましょうか。
○国務大臣(久保亘君) どの規模にするかということにつきましては、まだ数量的にお答え申し上げることは難しい段階でございますけれども、基本的には六千八百億の損失負担の財政支出ができる限り国民負担とならないよう、その軽減に新基金が役割を果たすという基本的な立場が貫かれるようなものとしなければならないと考えております。
 運用の金利その他につきましても、近年の預金保険機構における運用の利率は三%台の後半かと存じておりますが、しかしこれからの景気の動向その他を念頭に置いてまいりますと、できるだけもう少し上回るような運用が可能となるのかどうか、そこを考えながら運用益が最終的にどの程度になるかということをよく考慮に置きつつ決めてまいりたいと考えております。
 今はまだそのような詰めに関係金融機関との間で入っておりませんものですから、具体的な数字を私が申し上げることは差し控えたいと思っております。
○岡利定君 今のお話では、現段階ではこの新しい寄与について関係者間で基本的な認識が一致したといいますか合意ができたと、各論的なものについては住専処理機構が設立されるまでの間に具体的なものをも詰めてやっていきたいというお話でございました。大蔵大臣初め関係の皆さんの真剣な取り組みによりまして、国民の皆さんから理解いただけるような実効性のあるものにしていただきたいということを強く要望させていただきます。
 それでは、決算関係に入らせていただきます。
 私、トップバッターをやらせていただいておりますので、今までにこの委員会で出たようなことの総括的なことを中心にして御質問申し上げます。
 まず、決算の早期提出の関係でございます。
 自由民主党は、去年の通常選挙で、参議院の改革は大きなテーマの一つであるというように取り上げまして、そのテーマの中で決算審査の充実を挙げております。また、議長の諮問機関として去年十月に設置されました参議院制度改革検討会においても、決算審査の充実の問題がほかの幾つかの項目とともに調査審議されておるところでございます。
 そういう意味で、有効な決算審査を行うという立場から、従来取り上げられておるのがこの早期提出の問題でございますが、財政法四十条は、「決算を、翌年度開会の常会において国会に提出するのを常例とする。」というふうに規定しております。
 これについて、平成四年六月の宮澤元総理の答弁に続きまして、去年十二月には、浦田決算委員長の質疑に対し村山前総理から、「決算を常会以前に提出することは現行財政法上可能であるというふうに考えておりますので、できるだけこれからも早期に提出できるようにさらに一層努力をしてまいりたい」と答弁をいただいております。
 また、久保大蔵大臣は、五月十五日の本院の本会議での六年度決算の質疑におきまして、決算の国会への早期提出は、予算編成に反映させる見地のみならず、決算の効果的な審議のためにも望ましいとの所見を述べられた後、決算の国会提出前の手続について政府内の努力をお話しになっております。
 そういう意味から、この決算の早期提出問題は、何とか早く出すようにというようなことだけを抽象的にお話ししておる段階は過ぎて、具体的にどのようにしていったらいいのかというのをお互いに考えていくべき時期に来ているのかなと思っております。
 そういう意味で、念のためでございますけれども法制局から、宮澤、村山両元総理から、常会以前に決算を提出することは現行財政法上可能であるという旨の答弁もされておるわけでございますけれども、これは財政法四十条の解釈の問題になりますので、法制局から決算の早期提出と財政法の関係について、念のために解釈をお伺いいたしておきたいと思います。
○説明員(大森政輔君) ただいま御指摘のとおり、財政法第四十条では、「常例とする」という言葉を使っているわけでございます。
 したがいまして、事情が許すならば、常会より前の臨時会等に提出するということを財政法第四十条が、それが支障になるということではございません。従前述べてきましたことは、そのとおりでございます。
○岡利定君 両元総理からの答弁ですから、当然法制局とのすり合わせもあったかと思いますが、結局、早期提出には財政法四十条が邪魔にならないといいますか、支障でないということを確認させていただいたわけでございます。
 財政法三十九条では、内閣から会計検査院への決算の送付は翌年度の十一月三十日までとされておりますが、調べてみますと、昭和四十二年度以降は十月中旬、平成二年度以降は十月初旬に送付されており、六年度の決算は十月六日ということで、大臣おっしゃっておりますように、政府の努力も大変いただいておると思います。
 さらにこの辺を詰めていくということは大変いろいろと支障、難しい問題もあるかと思いますけれども、今後の取り組みについて大蔵省はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(久保亘君) 今御指摘がございましたように、決算の審査は、予算が目的に沿って効率的に執行されたかどうかを御審査いただきますと同時に、その決算の審査を通じて、これをどのように予算に反映をさせていくかという大変大事なことだと考えております。
 そのような意味では、今お話のように、できるだけ早く決算を国会に提出して御審査をいただくことが重要であると考えておりますので、必要な手続を早期に完了して、そしてできるだけ早く国会の御審査に付するということを大蔵省としても最大限努力をしなければならないと考えております。
○岡利定君 ぜひ御努力をお願いいたします。
 この関係で検査院にお伺いしますが、平成六年度の決算報告によりますと、検査院が内閣に検査報告を送付したのは平成七年十二月十五日というように、ここに書いてございます。これは具体的には去年の年末のことでございますけれども、八年度予算の大蔵内示の五日前ということになっております。決算の早期提出のねらいはいろいろあるわけでございますが、そのねらいの大きいものの一つは、決算値とか決算報告の成果を次の予算編成に生かしていきたいということもあると思います。
 そういう意味で、検査報告の内閣への送付が大蔵内示の直前というのでは、せっかくのこの検査院の御苦労も十分生きないんじゃないかと思うわけでございますが、この点についての会計検査院の所見と検査事務の現状がどのようになっておるのか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) 会計検査院といたしましても、検査の結果が予算編成に十分反映されることを期待しているところでございまして、このために毎年、検査報告をできるだけ早く作成いたしまして早期に内閣に送付するよう努めているところでございますけれども、今後ともそういった早期送付の努力はしていきたいと思っております。
 平成六年度決算検査報告を例にとりましてその作成事務を説明いたしますと、検査には書面検査と実地検査の二つがございます。会計検査院は、平成七年次におきまして、国や公団、事業団などのさまざまな検査対象機関について、約二十三万冊の計算書及び約七千万枚の証拠書類に基づいて書面検査を実施いたしました。また、九月までに各省庁、公団等の全国の官署約三千四百カ所及び国が補助金等の財政援助を与えた地方公共団体など約六千カ所を対象に約四万四千人目を投入して実地検査を行いました。
 これらの検査の結果は検査の進行中随時取りまとめるとともに、実地検査終了時から十二月中旬までの三カ月間に集中的な取りまとめ作業を行いまして、その結果、不当事項、改善処置要求事項等を記載いたしました平成六年度決算検査報告を作成して、七年十二月十五日に内閣に送付したところでございます。
 それからまた、会計検査院は、七年十月六日に内閣から平成六年度歳入歳出決算の送付を受けまして、その検査を終えて、十二月十五日に検査報告とともに内閣に回付したところでございます。
○岡利定君 会計検査院が検査報告の作成を含めて内閣から送付された決算を検査し確認するのにどの程度の期間が必要なのか、また、決算確認事務の促進によってどの程度短縮できるのかというような点についてお伺いしたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) お答え申し上げます。
 御指摘の問題につきまして、つまりどの程度短縮が可能かという問題について御判断いただきますためには、検査業務の実態を御理解いただく必要がありますので、少し具体的に御説明申し上げたいと思います。
 会計検査院では、膨大な検査対象団体につきまして一年間の検査サイクルで会計検査を実施しておりまして、現行のサイクルは大きく分けて三つの段階から成っております。すなわち第一は一月から七月までの地方実地検査、第二は九月の本省等検査、第三は十月から十二月までの検査報告の取りまとめ業務ということになっております。
 そこで、仮に決算及び検査報告の内閣への送付をニカ月程度早めるためには、この会計検査のサイクルを変更いたしまして、地方実地検査を十一月から五月までの間に実施をし、次に本省等検査を六月に実施をし、さらに検査報告の取りまとめ業務を七月から十月の間に実施するというように、それぞれの業務の実施時期について大幅な変更を行わなければならないということになるわけでございます。
 それで、このような検査サイクルの変更を行うことになりますと、検査業務及び検査報告の取りまとめ業務におきまして幾つかの重大な問題が生ずるように思います。
 第一に、検査が早まりまして六月には終了するということによりまして、検査の時点で、決算の確認を行うべき年度の会計経理が完結をしていないものが多くなるということであります。このために、検査を行う主な対象が、その決算確認年度の会計経理ではなくて、既に完結をいたしました過年度の会計経理とならざるを得ないことになるわけでございます。
 このことによりまして、一つには決算確認年度の決算についての検査密度が低下するという問題が生じます。言いかえますと、その低下した検査密度でもって決算の確認を行うということになるわけですね。さらには、検査報告が直近の年度の予算執行の状況を必ずしも十分反映したものにならないという問題も生じるわけでございます。
 それから第二の問題といたしまして、十一月から五月の間に実地検査をしようといたしましても、次のようなことから実効ある効率的な検査が期待できないと思われます。
 一つは、十一月から十二月にかけての年末は地方公共団体におきます予算編成作業の繁忙期に当たります。それからまた、三月後半は国、地方などにおける年度末の繁忙期に当たりますことから、いずれも実地検査を十分に行えないということでございまして、これに対して現行の検査サイクルでは、十一月から十二月は検査報告の取りまとめ業務の期間となっておりますし、また三月後半は検査計画の検査官会議審議の期間となっておりまして、いずれも内部での業務処理に当てられているわけであります。
 それからまた、地方実地検査期間の大部分が冬季に当たると、冬の間になりますので積雪寒冷地におきます公共事業関係の検査に支障を生じたり検査の実績が低下したりするという問題があると思います。
 それからさらに、地方実地検査終了直後に直ちに本省等実地検査を引き続いて行うことになりますために、本省等検査やそれに引き続く検査報告の取りまとめに当たって必要不可欠な地方検査結果の整理、検討等を行う期間が十分確保できないということになります。これに対しまして現行のサイクルでは、ちょうど八月がこのための期間に活用されているわけでございます。
 以上申し上げましたように、会計検査のサイクルを前倒しした場合には、決算の確認や検査の実施におきまして会計検査の基本にかかわる重大な問題が生じまして、国会や国民の期待にこたえる検査成果が得られなくなるおそれがあることを御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、会計検査院としても、委員御指摘の決算の早期提出の重要性につきましては十分認識いたしておりますので、現行の検査サイクルを基本としつつも、十月以降の検査報告の取りまとめ業務をより効率的に行うなど一層の工夫を凝らすことによりまして、検査報告の内閣送付をできるだけ早めるように最大限の努力をすることにいたしたいというふうに考えております。
○岡利定君 今の丁寧な御説明の結果、サイクルを変えたりするということは大変、逆に言うと早めるためにいろんなことをやってみても目的が達せられないこともあるという面をお話しになったわけでございますが、幾ら早くなっても検査が立派に行われないんじゃ意味がないわけであります。
 そういう意味で、早期提出といってもやはりそれなりの限度があるということを今お聞きしたわけでございますが、大蔵省あるいは会計検査院の両方の御努力によって、まず当面は、今院長お話ありましたように、検査報告が政府に出されてその年の予算編成に大変参考になれるような時期ぐらいまでに早めるというような御努力をぜひお願いいたしたいと思う次第でございます。
 次に、来年は日本国憲法が施行されて五十年ということでございます。憲法の附属法規であります会計検査院法も、そういう意味では丸五十年を迎えるわけでございますが、その間、会計検査院法は他の法改正に伴うわずかな改正がありましたけれども、院法そのものを見直すというようなことは行われておらないんじゃないかと思います。
 しかし、どのような制度であっても、五十年たってくるとやはり状況の変化とかあるいは制度疲労といいますか、そういうような面、あるいは検査院に対する期待の基本的なものは変わらないにしましても、もっとこのようなものというようなことの役割に対する期待が変わってくるというようなこともあるわけでありますので、検査院のあり方を現実に即したものにするためにも、院法の改正も含めて積極的にこの際考えるべきじゃないかなと思っているわけでございます。
 その一つとして、検査官の任命についての両院の同意の関係でございますけれども、会計検査院法第四条第二項は、検査官の任命についての両院の同意の関係で衆議院の優越規定を置いておるわけでございます。具体的な条文としましては、「検査官の任命について、衆議院が同意して参議院が同意しない場合においては、日本国憲法第六十七条第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て両議院の同意とする。」と、こう書いてあるわけです。
 これは、内閣総理大臣の指名のときのやり方をそのまま受けているわけでございますが、なぜそのようにしたのかということもそれなりに聞きたい面もありますけれども、当初、衆議院の優越規定を置いてあったのは、この検査官だけではなくて、人事官、それから公正取引委員会委員長及び委員、国家公安委員会委員がそういう衆議院の優越規定があったようでございますけれども、いずれも法改正で削除されて、残っておるのは検査官だけというようになっております。
 二院制をとる国では、人事案件についてはむしろ上院に権限を与える傾向もあるというようなこともありますが、それはさておき、衆議院は決算を軽視しているとは言いませんけれども、この決算の審査を大きな任務と考えてやっております参議院の立場が検査官の任命のときには全然無視されるようなことになるというようなことで、個人的にはむしろ参議院の優越条項にしてもらいたいなというぐらいの気持ちであるわけでございます。
 そういう意味で、ひとつ五十年目に当たっての見直しの一つの点として、検査官の任命のあり方について考える必要があるんじゃないかなと思っておりますが、会計検査院の方ではどのようにお考えでしょうか。
○会計検査院長(矢崎新二君) 院法第四条第二項に御指摘のような趣旨の規定が置かれておりますことは承知いたしておりますけれども、この問題は、基本的には立法政策上の問題ではないかと考えておりますので、私からコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡利定君 院長のお立場ではそうかもわかりません。しかし、政府としてやはりこれは一つの見直すべき点じゃないかと思いますので、この関係は内閣官房の仕事かもわかりませんが、こういう意見を持っている者もおるということを大蔵大臣、また官房長官にでもお会いになったときにぜひお訴えいただいて、もしまじめに取り上げるべきことだとお思いでしたら、ぜひ来年の五十年に当たっての改正点の一つに入れていただきたいと思う次第でございます。
 もう一点でございますけれども、検査院は近年、事業が経済的、効率的に実施されているか、あるいは所期の目的を達しているかという観点での検査に重点を置いておられるというように聞いておりますけれども、検査報告を見せていただきましたら、基本的には個別の事業、支出について法令、規則とかあるいは予算どおりに行われているかどうかといった点に重点を置いての検査になっておるんじゃないかと思います。
 これがまた一つの大きな基本ではあると思いますけれども、そういう意味で予算を使うこと自体がむだだとか、あるいはもう意味がないんだとかいうような観点からの指摘とか、あるいはもうこの業務は本当に目的を達したんじゃないかというような点の指摘とか、もっと大きく言いますと、特殊法人の存続そのものについてもはっきり御意見を出されてもいいんじゃないかというような感じもいたします。
 会計検査院法第三十六条では、「検査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。」という規定があるわけでございます。この規定で今言いましたようなことが可能なのかどうか。
 あるいは検査院として今後のあり方、いわゆる予算のとおり、あるいは規則のとおりやっているかどうかということを見ることだけが、これも大変大事でありますけれども、検査院の任務の基本として置くことだけで十分だろうか。もっと予算を切り込むというような形での、いわゆる政府全体をそういう立場から見て見直すというような立場を取り入れるということについてどうお考えでしょうか。
 アメリカでは、GAOというんですか、それは議会に属しておって会計検査院に当たるような機関と聞いておりますけれども、そのような権限も持って行政府との関係の中でいろいろと全体について監査するとか検査するという立場を持っておると聞いておりますが、いかがでしょうか。
○会計検査院長(矢崎新二君) お答え申し上げます。
 会計検査院といたしましては、社会経済情勢の動向や国民の関心に的確に対応いたしまして、積極的に検査の所見であるとか検査の状況、これを開示していくことが重要であると考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、ただいま委員御指摘の処置要求とか意見表示であるとか、それからさらには特記事項であるとかというふうな分野がいろいろと検査報告に掲記されているわけでございます。
 これは必ずしもすべてが検査院法で現在明確に検査報告の記載事項として書かれているわけではございませんけれども、私どもの検査院法に基づく規則によりまして、これらを必要と認める事項は検査報告に記載してよろしいというふうな定めをしていることによってそういう処置をとっているわけでございます。
 委員御指摘のように、やはり新しい検査分野を開拓していく努力は大変重要でございまして、これまでもそういった努力を積み重ねまして、新しい掲記事項の分野、つまり特記事項でありますとか特定検査状況についての記載というものを逐次設けてきております。そのことによって検査報告の内容を拡大する努力を重ねてきたところでございます。
 こういった検査報告の掲記事項の拡大充実ということにつきましては各方面の御理解もいただいているところでございまして、御指摘の掲記事項が会計検査院法に現在直接の根拠を持っていないという点につきまして私どもは特段支障は感じていないところでございます。
 いずれにいたしましても、会計検査院としては、現行法の中で従来に引き続きまして国会や国民の期待におこたえ申し上げるべく一層の努力を払っていきたいというふうに考えております。
○岡利定君 現行法のお立場でお答えになるとそういうことになると思いますが、いずれにしましても行政監察との関係なんかもやはりあると思いますが、会計検査院の検査そのもののあり方が、もっと国民の期待するような面にも及んでいいんじゃないかと思いますので、どこまで検査院が、そんな全部万能になって行政をチェックするというような立場に立つのもいかがと思いますけれども、応用問題としてやっているということだけじゃなくて、やはり基本的には予算のむだ遣いではないかとか、あるいはもう意味がないんではないかというのを検査の中でいろいろ感じられている人が多いんではないかと思いますので、そういうものをずばっと出せるような法的な根拠を与えてあげた方がいいのかなというようなことも思います。
 いずれにしましても、これは五十年に一回ぐらいはせめて見直したらどうかという一つの提案でございますので、採用に値するとすればまた御検討いただけたらと思います。
 平成六年度の決算の関係、時間がございませんが、ざっとお聞きしたいと思います。
 平成六年度というのを見てみますと、本当に内外ともに大変な年だったんだなと思います。特に日本の状況というのは異常といいますか、尋常でないような事件、事態、災害なんというのがいっぱい起こりました。
 政治の面でも、もう皆様御存じのとおり内閣だけでも三つかわっておりまして、細川内閣、羽田内閣、村山内閣というようにかわっております。また、景気の方も、経済企画庁の月例報告におきまして、一たん緩やかながら回復の方向に向かっておるというような事実上の景気回復宣言を行いましたけれども、年度後半に入って設備投資の低迷とか急速な円高の進行で景気が減速し、株価が下がる、また土地も一段と安くなるといったようなことで、世の中にはリストラ、価格破壊、経済の空洞化といったような言葉が飛び回っております。日本経済の変質と発展の限界を感じるというような意見も、いっぱいこの当時出ておりました。
 自然の面でも、平成五年は大変な冷夏で、米がないといって平成六年の二月ごろには大騒ぎがありましたが、一転して夏には猛暑ということで、西日本を中心としてもう大変な水不足の事態が出るとかというような極端な変化がございました。さらに、戦後最大の惨事をもたらした阪神・淡路大震災が一月十七日に起こっております。
 社会的な事件におきましても、いじめによる自殺事件というのがいろいろと明らかになってくるような年でありましたし、また、銃による殺人というのが、単に暴力団の抗争だけじゃなくて市民社会の中でも発生するというような治安の問題も発生してきております。そのきわめつきなのは、いわゆる松本サリン事件あるいは地下鉄サリン事件ということに代表される、もう想像もできなかったようなオウム事件でございます。これも六年度に起こっております。
 これら一つ一つを見てみましても、決して偶発的とか一過性のものというよりは、むしろ今までの日本が歩んできた道の中でたまってきたうみが一挙に噴き出したというようなものとか、あるいは制度疲労的なものがあらわれて現状に合わなくなった、あるいは大きな流れが変わってきて日本にも大きな影響を与えてきておるというような、そういうことの中であらわれた現象ではないか。そして、それらの現象というのは、今日なおその状態がずっと引き続いて起こっておるということだろうと思います。
 そういう意味で、この平成六年度のいろんな起こったことを反省するといいますか分析する、あるいはそれと予算がどのように使われてどういう効果があったのかということは、単にこうしてあったらこうなったであろうというような、たら話的なものだけじゃなくて、今後の大変大事な教訓を含んでおるんじゃないかなと思っております。そういう意味から、毎年度の決算審査というのは大変重要でありますけれども、特に平成六年度のこの審査というのは、本当に今日、これから将来のいろんな政策に反映すべき教訓を持っておる年度の審査であるということを強く自覚しながら行わなければならないかなと思っておるところでございます。
 そういう意味から見まして、まず、平成六年度の財政運営についての全体的な評価について大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
 平成六年度予算というのは、これもまたそういうものを反映しまして大変変則的な形でつくられたんだなと思います。何しろ、十二月には予算編成より政治改革が大事だということで予算編成自体が年越えをしてしまいました。そして、二月の下旬になってやっと政府原案がつくられる。そして、それまでは細川内閣でやられたわけでありますけれども、予算審議はその次の羽田内閣で行われて、執行は村山内閣でやられるというようなことで、三代の内閣がそれぞれ分担してやったようなつくり方になっております。しかも、その予算が成立したのは六月下旬ということで、大変おくれております。さらに、平成七年二月に補正予算が一次、二次と組まれましたが、いわばそういう面でも大変異常な年であったんじゃないかなと思います。
 平成六年度の財政運営について、まず大蔵大臣から全体的な評価をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 今お話がございましたように、平成六年度というのは非常に大きな出来事や変化が見られた年であったと思っております。確かに、細川連立内閣のもとで予算案を国会に提出いたしましたのが三月四日という異例のことでございました。これが成立いたしますのは六月二十三日でございました。長期の暫定予算が編成をされたわけでございます。
 ただ、それでは平成六年度の財政の立場から見まして、経済対策を初めそういったものが非常にそのことによって問題を残したかどうかの評価はこれからまた決算の審査等を通じて問われるところだと思いますが、五年度の第三次補正でありますとか総合経済対策などを通じて、また暫定予算におきましても、公共事業の執行などが停滞することがないようにというような配慮は、国会の御審議等も経てかなりなされたところだとは思っております。しかし、平成六年度の財政運営は、そのようなスタート段階から非常に異例の予算の編成決定というようなこともございまして、多くのまた問題も残したところであろうと思っております。
 これらの問題の大蔵省としての評価につきましては、正確な計数上のいろいろな問題などにつきまして必要でございましたら政府委員の方から答弁をさせます。
○岡利定君 その辺の計数的なものは、時間の関係もございますので、また別途お尋ねをさせていただきます。
 この平成六年度の決算の中で、結局税収の関係が四年連続対前年マイナスになっているというような状況が出ておりますけれども、その要因について大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
○説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 六年度税収は五年度に比べまして三・一兆円減の五十一兆となりまして、税収は結果的に四年連続してマイナスとなったわけでございます。
 前年度より減少いたしました理由といたしましては、所得税の特別減税等各般の減税が実施されておりまして、これを見込みますと約四兆三千億円の減少があったのではないか、これが前年度より減少した原因というふうに考えているところでございます。
○岡利定君 いずれにしましても、大変厳しい税収の落ち込みの中での財政運営であったわけでございますが、七年度の税収について対前年度比〇・五%減の五十兆八千億円前後になるという報道もございます。そうしますと、五年連続の対前年度割れということになるわけでございますが、三月期決算の法人税もほぼ見通しがっく時期かと思います。平成七年度の一般会計税収額について、大蔵省はどのような見通しをお持ちでしょうか。
○説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 七年度税収の決算見込みでございますが、今お話がございましたように、ウエートの高い五月分税収がまだ明らかになっておりませんので具体的に述べる段階にはございませんけれども、五月分税収の大半を占める法人税について申し上げますと、上場しております三月期決算法人の公表決算が好調でございます。それからまた、七年度の経済成長でございますが、政府見通しを上回っているということがございます。そういうことから、増収が見込まれるのではないかと考えておりまして、全体としては三次補正後の予算税収額五十兆七千億円でございますが、これをある程度上回るのではないかなと考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、七年度決算については現在集計中でございますし、現段階で確たることを申し上げられる状況にはございませんが、残された五月分税収の動向を注視しているというのが今の状況でございます。
○岡利定君 我が国の財政は、今お話がありましたように、平成七年度、何とかせめて減にならぬようにというようなことの中で動いてほしいと思いますが、いずれにしましても、しかし大変厳しい状況が続いている。しかも、八年度末の国債残高見込みも二百四十一兆円ということで、深刻な財政状況にあるということでございます。
 そういう意味から、財政再建というのは大変大事な課題でございます。この財政再建という大切な課題にどのようにお取り組みになるのか、大蔵大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 御指摘のように、今我が国の財政事情はかつてない厳しい状況にございます。私の前任者であります大蔵大臣も、昨年の十一月十四日に財政危機宣言と言われました容易ならざる事態ということを国民の皆様に申し上げた状態でございます。政府が持ちます長期債務は、国債の累積が二百四十一兆でございますけれども、中央、地方を合わせ、これに公債の累積以外の債務等も合わせてまいりますと、ほぼGDPの九〇%と言われる債務を抱える状況でございます。
 そういう中でどのように財政再建を行うかということは、もうこれは喫緊の課題でございます。首相の御指示もございまして、財政制度審議会、政府税調を初め関係のあります各審議会の皆様方に、財政再建といいますよりは財政構造改革に思い切って取り組むための意見の交換等も行っていただいているところでございます。私どもといたしましては、平成九年度の予算編成を財政構造改革の初年度とできるよう、今財政制度審議会におきましても二つの分会をつくっていただいておりまして、財政再建の目標をどうするか、もう一つは財政の役割と守備範囲をどう考えるかということでございまして、これらの御協議の内容等を私どもも注意深くうかがいながら、やはり今日の財政を再建するためにはもうかなり大胆な構造改革に取り組まなければならないであろうと思っております。
 ただ、今景気回復がようやく財政と金融両面からの支えによって回復基調にある、この問題との関係が大変難しいところでございます。しかし、私どもといたしましては、これを両立させつつ、財政再建は今や避けて通れぬ直ちに取り組まなければならない重要な課題として取り組んでまいりたいと考えております。
○岡利定君 ちょっと時間の方が詰まってまいりましたので、会計検査院の方にお聞きいたします。
 平成六年度の決算を御報告いただいたわけでございますが、検査院はその時々の社会経済の情勢を加味して、国民の関心が高いと思われる問題についても積極的に取り組まれてきたと思います。六年度はどのような方針に基づいて、どのような点に重点を置いて検査を行われたか、また検査結果はどうであったかについてお伺いいたしたいと思います。
○会計検査院長(矢崎新二君) 会計検査院は、国民の期待にこたえるべく、毎年多種多様な事業につきましてさまざまな観点から検査を実施いたしております。
 平成六年度においても、社会保障や農林水産業、公共事業、防衛、経済協力、文教、科学技術、租税などさまざまな分野にわたって多角的な検査を行いました。この結果、平成六年度決算検査報告に掲記した事項等の件数、金額は二百五十五件、二百四十二億円、さらに背景金額は八百七十七億円となっております。これは、前年に比べまして件数で五二%の増、指摘金額で七一%の増となっております。
 この平成六年度決算検査報告の主な特徴を申し上げますと、第一は、食糧費、政府開発援助、入札談合など国民の関心が高い問題について積極的に取り組んで、その検査結果を数多く掲記したことであります。
 第二は、有効性の観点からの検査を重視いたしました結果、多目的ダムなどの長期大規模工事を初めといたしまして、事業が所期の目的を達成しておらず十分効果を上げていない事態を種々取り上げまして、改善の努力を要請したことであります。
 第三は、高齢化に伴いまして財政支出が拡大をし、適正、公平な負担と受益が求められております社会保障の分野におきまして、制度が適正に機能していない事態など多数の指摘を行ったことであります。
 第四は、阪神・淡路大震災による被災状況を踏まえまして、従来にも増して工事検査に力を入れた結果、設計、積算、施工の各面で多数の指摘を行ったことであります。
 平成六年度決算検査報告の主な特徴は以上のような点でございます。
 今後とも同様の努力を引き続き実施してまいりたいと思っております。
○岡利定君 どうもありがとうございました。
 質問をもう少し用意してあったわけでございますけれども、時間がもう海老原先生の分まで食い込んできておりますので、この辺で終わらせていただきますが、大蔵大臣には大変御多忙のところ、また今度は二十七日でございますか、リヨン・サミットで我が国の代表として御活躍いただくことになっております。経済問題、特に失業問題を初めとする雇用問題が大きなテーマだというようなことも報道されておりますけれども、為替レートの問題等々大変重要な課題が多うございますので、我が国のためにも、また世界のリーダーとしての立場でも御活躍していただきますように心からお祈り申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○海老原義彦君 自由民主党の海老原義彦でございます。
 昨日、通常国会も無事閉幕いたしまして、いよいよこれから行政の本来のお仕事に戻って一生懸命やられようというお忙しいときに、久保大蔵大臣、各大臣、また政府高官の皆様方にお集まりいただきまして本当に恐縮でございます。
 まず、久保大臣に大変苦言を呈するような質問を申し上げたいと思うのでございますが、去る五月十五日の本会議におきまして、久保大蔵大臣から平成六年度決算の概要についての報告をいただきました。この報告を伺っておりまして、私は実はがっかりしたんです。
 なぜかと申しますと、今、日本の財政は大変な危機の状態にある、国債の発行はどんどんふえていく、世界じゅうで見ても、国際的に日本の国債依存度というのは大変な悪い数字になっておる、そういうような状況がみんな頭にありながら、なかなか言う機会がない。せめて大蔵大臣のこういった重要な報告の際に、平成六年度における国債の状況はどうであったか、また国債の残高はどうなってどういう危機的な状況にあるのかというお話が伺えると思っておりましたところ、これはどういうわけか出てこない。
 もちろんこれは長年の慣行がありまして、大蔵省のお役人方、役人の中でも秀才中の秀才と言われる方々が大臣に読んでいただく原稿をつくったんだろうと思うんです。だけれども、どうしてそういうふうになってしまうのか、私はそのシステムが不思議でしょうがない。
 ここで、このことに関しての大臣の御所感なり御意見なりを伺いたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 本会議におきます年度決算の報告が、決算そのものを正確に御報告申し上げる、そしてその御審査をいただくということでございますから、この報告に基づいて、決算委員会において今お話がございましたような決算の評価に関する問題については御論議をいただけるものと思っております。
 本会議における報告に政府としての評価をどういう形でどの程度加えるかということにつきましては、今の御意見も参考にしながら今後検討をしてみたいと思っております。
○海老原義彦君 大臣、前向きの御発言、ありがとうございます。
 私は、この問題は、評価の問題でもありますけれども、同時に客観的記述の問題である、客観的記述の中におのずから評価が含まれると、こういうことだろうと思っておるんです。
 私も諸外国のことは余り知らないんでこれから事務当局によく教えていただきたいと思っておるんですが、私の聞くところでは、例えばアメリカなどでは貸借対照表を政府でもつくっておる。日本でも、どこの国でも政府の会計というのは、これは消費経済でございますから単式簿記でやっておるという関係で、それを複式の貸借対照表に踏み切るというのはなかなか容易なことではないと思うんです。
 まず、事務当局から、諸外国で決算にバランスシートまで持ち込んでおるのはどういうところがあるのか、また具体的にどういう方法でバランスシートをつくることができるのか、そういった諸外国の例を伺いたいと思います。
○説明員(林正和君) お答え申し上げます。
 諸外国におきまして国の財政状況を貸借対照表であらわしている国はあるかという御質問でございます。
 私ども必ずしも詳細には把握してございませんが、当方で承知している限りでは、アメリカ及びニュージーランドにおきまして、財政状況についての国民の理解を得るための努力として、国の財務状況を貸借対照表であらわしている例が見られるところでございます。イギリス、ドイツ、フランス等、これらについてはないように私どもは承知しております。
 アメリカについて申し上げますと、一九九五年度予算教書から連邦政府の財務状況を貸借対照表の形で示しておりまして、ニュージーランドにおきましては一九九一年度予算からこうしたことをやっているようでございます。
 私どもにおきましては、従来から、国民の皆さん方に対してできるだけ各種の資料を提供して広く国民の御理解を得るべく努めてきたところでございますが、今後とも財政状況に対する国民の御理解が深まるよういろいろ努力をしてまいりたいと思います。
○海老原義彦君 従来からの慣例によっていくというのが役人としては一番無難な道でございましょうけれども、しかし今の前古未曾有の財政的な危機において、あらゆる機会を通じて国民にその危機的状況を訴えなきゃいかぬと思うんですよ。決算で一番最初に大臣が発言されるそういう事項にバランスシート的感覚を盛り込まない。バランスシートそのものをつくれとまでは言いません。それはいろいろ難しい問題もあるんだろうと思います。例えば国有財産の評価なんて、公有水面だなんだというような評価不能なものもあるんでしょう。だから、精密なバランスシートをつくれなんということを言っているわけじゃないんですよ。ただ、貸借対照表的な感覚を持ってもう一度作成し直してみたらどうか。
 国債の状況がどうなっておるのか、またそのほかの国の債務あるいは債務のようなもの、ようなものといいますのは、例えばよそへ渡す金を押さえておるというようなものもたくさんあるわけで、これも民間的な感覚でいえば未払い金でございますから一種の債務でございましょうね。そういうようなものがいろいろあるんだということで、私は決算書類をぱらぱらめくってみたんですが、私の能力じゃとても見つからない。そういうような決算書類を国会に上げておるということも問題でありまして、国会議員は専門家じゃないんですから、せめて国会議員が見てわかる程度の決算書類を上げていただきたい。
 そういうことで、まずこの場で、時間もありませんから、一番重要な国債の状況について一言御説明いただきたいと思います。
○説明員(林正和君) 国債の状況ということでございます。
 平成六年度におきます国債の新規発行額、これは十六兆四千九百億円、償還額は二兆六千七百九十九億円でございまして、平成六年度末におきます国債の発行残高は二百六兆六千四十六億円でございます。
○海老原義彦君 そういうことを決算書の中にもだれにもわかるように明記しておいていただかないと、この決算審査のやりようがない。決算審査を個々の支出だけでやるというのじゃしょうがないと思うんですよ。
 それから、先ほどちらっと触れましたけれども、未払い金と言って妥当なのか、いろいろな支払いの繰り延べだとかあるいは他の会計からちょっと借りてくるだとか、そういったものが全部で二十一兆になっておるという、これは話で聞くんですが、決算書類のどこを見てもわからないんですが、これも時間がございませんから総額の実態だけでも伺いましょう。
○説明員(林正和君) 御指摘の点は、私ども厳しい財政事情のもとで講じてまいりました特例的な歳出削減措置、あるいは国鉄清算事業団債務など今後国が繰り入れを行う等の適切な処理を行う必要がある措置、これを今後措置を要する措置として整理しておりますが、これはさまざまな性格を先生御案内のとおり持っておりますので合計して一つのものと考えることには問題があると存じますが、あえて合計いたしますと、平成六年度末で約四十兆円でございます。
○海老原義彦君 国債残高にその四十兆円を加えて、一方、国の債権もいろいろあるだろうと思うんですけれども、最後にこの問題の締めくくりとして大臣に御発言いただきたいんですが、五月十五日の本会議において述べられなかった国の債権債務の概要について取りまとめた御報告をいただきたいと思います。
○説明員(林正和君) 平成六年度末におきます……
○海老原義彦君 この問題は非常に重いものでありまして、事務的にお答えいただく性質のものではない。これは、本来本会議で報告すべき事項をかわってこの場で御説明いただいて、それで承ったということにまとめたいと思っておりますので、大臣の方から言いただけませんか。
○国務大臣(久保亘君) 数字的な問題、正確に事務方から。
○海老原義彦君 では、数字的なことをまず事務当局の方からお願いして、その後大臣から一言お願いいたします。
○説明員(林正和君) 平成六年度末におきます国の債権現在額は、国の債権の現在額総報告にありますように約二百六十九兆二千億円でございまして、前年度に比し約十八兆五千億円の増加になってございます。他方、平成六年度末におきます国の債務でございますが、これも御提出申し上げている国の債務に関する計算書にございますように約三百四十六兆一千億円でございまして、前年度に比べ約二十五兆円の増加となってございます。
○国務大臣(久保亘君) 御指摘をいただきました点につきましては、五月十五日の決算の概要説明の中で債権債務のことについても触れてはございますけれども、しかし今お話しのように、もう少しわかりやすい取りまとめ方をして、そしてその報告を通じて、皆様方はもちろん、国民の皆様がごらんになったりお聞きになったりしました場合も、国の財政の状況というものが御指摘のような視点から十分理解がいただけるような工夫をしなければいけない、こう考えております。
○海老原義彦君 大臣の前向きな御発言、ありがとうございました。来年度の国会報告の際には、ぜひ今のようなお気持ちを踏まえてやっていただきたいと思うわけでございます。
 さて、このような財政危機が極めて著しいこういう時期に我々はどうしたらいいか。政党も政府も一体になって考えていかなきゃならぬ問題は多々あると思います。
 基本は、入るをはかり出るを制する、これしかない。出るを制する方は、これは行財政改革でございましょう。行財政改革ももちろん進めなきゃならない。だけれども、一方、入るをはかるというのは、これは国民には大変つらい話でございますが、税金その他の入るをはかる方法を講じなきゃならぬ。
 私は、消費税の引き上げというのはどうしても必要じゃないか。直接税をせっかく諸外国の水準に近いように国民負担を減らす方向でやっていって、これをまたもとへ戻すというのも大変難しい話かと思います。できれば、それも並行すればいいんじゃないかぐらいの思想を私は持っておりますけれども、ともかくこういう危機に当たって国民にもっと負担をお願いするということは、本当にやむを得ないことじゃないかと思います。
 消費税の五%への引き上げというのは、平成六年の法律改正におきまして既に法律にも織り込んでおりまして、平成八年の九月三十日までにもう一度再検討するということになっております。このことについて、再検討を今まさにしておられる時期だと思います。どの程度平成九年度の状況について今からお話を伺えるか私もわかりませんですけれども、可能な範囲内で平成九年の四月にどうするのかというお話、あわせて消費税だけでなくて所得税の減免措置は引き続き行うのかとか、そういったことにも触れてお話しいただければと思います。
○説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 現在、消費税率の検討につきましては、一昨年来議論を積み重ねてきたところでございます。これまでの議論を整理し、現在、法定された五%という税率について最終的な確認を行うという作業が残されているところでございます。
 今お話がございましたように、現在、政府税調及び与党税調におきまして、こうした最終的な確認作業を行っていただいているところでございますけれども、昨日までの審議では、先行して実施されている恒久減税見合いの五%という消費税率を確実に実施すべきであるとの意見が大勢であるというふうに承知しているところでございます。
 いずれにいたしましても、消費税率を五%といたします平成六年秋の税制改革は国民に認知されているところでございまして、我が国の構造改革を税制面から進めるためにも、法律にのっとりこれを確実に実施していくということが財政経済運営の信頼、安定につながるというふうに考えているところでございます。
 なお、特別減税のお話がございました。
 特別減税の継続の問題につきましては、景気状況に関しまして、六、七、八年と十六・五兆円の規模で先行減税を実施してきておりまして、こういうことも相まちまして、景気は緩やかながら回復の動きを続けております。また、今後民需中心の持続的な確たる回復に結びついていくものと期待しているわけでございます。
 また、特別減税を継続するということになります場合には、その財源は赤字国債の増発によらなければならない。そうなってまいりますと、危機的な財政状況をさらに悪化させ、よく言われますようにクラウディングアウト等のような問題によりまして我が国の経済活力をむしばんではいかないかという問題がございます。等々考えますと、大蔵省といたしましては、特別減税の継続はとり得ないものではないかというふうに思っているわけでございます。
○国務大臣(久保亘君) 今、政府委員の方から申し上げましたけれども、与党税調、政府税調の方で精力的に御検討を賜っておりまして、今日まで、平成六年十一月の税制改正以来、二十五条に定められました検討条項に基づいて、予算編成期を中心に各審議会等においても政府におきましても検討が続けられてきたところでございますが、あの二十五条の検討条項の趣旨は、もし決定した平成九年四月一日の消費税率五%を変更しなければならない事情があると判断した場合には、本年の九月三十日までに法律の改正をすることによって変更が可能だという条項でございます。
 したがいまして、そのようなことを念頭に置きつつ御検討をいただいているわけでございますが、政府委員も申し上げましたように、この消費税率五%へのアップを決めますときには、景気対策と税制の改正ということとあわせて五兆五千億の特別減税を平成六年に行い、七年度からそのうち三兆五千億を制度減税といたしたわけでございます。これは恒久的に続いているわけであります。この三・五兆の減税に見合う財源措置として消費税の五%へのアップを決定せざるを得なかった事情がございます。特別減税は単年度で景気対策として検討され決定されてきたものでございまして、平成九年度に継続されているものではございません。したがいまして、平成九年度の予算編成に当たって特別減税を財政事情、景気対策両面からどのように判断するかどいうことは、その予算編成が進みます時点において検討をせられるべきものと考えております。
 消費税につきましては、できるだけ早く平成六年の法改正の趣旨に基づいてこの結論を出さなければならないと考えておりまして、今政府税調、与党税調の御審議の結論を見ながら、私の方で取りまとめまして、首相にも御報告申し上げた上、政府としてできるだけ早い機会に消費税の税率の問題については最終的な決定を平成九年四月一日の問題について行わなければならないと考えております。
○海老原義彦君 消費税の引き上げに際して一番重要なのは低所得層対策ではないかと思うんです。消費税で一律に税金をかけるということはもちろん逆進的というか、そうも言えないんですけれども、ともかく今までの所得税の体系の累進的に上へ行くほど高く取るという制度とは全く違うということでありまして、今まで税がかかっていなかった人に税がかかってくるというのが結果としてあらわれてくる。このための低所得層対策というものを一番重視しなきゃならないと思うんです。
 もっとも、この低所得層、具体的にいろいろなものを考えてみますと、例えば生活保護でございますとか年金でございますとかそういうものは物価スライドが確立しておる。だから、消費税というのは物価の中に入り込んで物価が上がったという形でとらえられますので、翌年の物価スライドには消費税は織り込まれるということは言える、そうすると、大事なのは、初年度、上げた当年度分のつなぎをどうするか。本当に低所得層でその日にも困るという人たち、自分の貯金からつなぎを出せと言うわけにはいかない。そこで、抽象的にばかり言っておってもなんでございますから、厚生省、事務方で結構でございます、どなたか生活保護基準の金額について答弁いただけませんか。
○説明員(佐々木典夫君) 生活保護の基準はどの程度であろうかというお尋ねでございます。
 御案内のとおり、生活保護制度につきましては、まさに最低生活を保障する、資産だとか能力だとか、あるいは扶養義務の履行であるとか、あるいは他の施策を活用するといったようなことを前提にした上で最低生活を営めない場合に保護をするかどうかというふうな基準、そういう意味での基準でございますが、この基準は、世帯を構成する個々の人の年齢別であるとか、あるいは世帯人員、あるいはさらに級地、所在地別に応じて設定をいたしているわけでございます。そういう意味で、現在、東京等の都市部におきます例えば夫婦と子二人の四人世帯で見てみますと、平成八年の保護基準で年額二百三十八万四千円というふうに積み上げられるところでございます。
○海老原義彦君 四人世帯で東京で年額二百二十八万四千円、東京ですから割合高目につくっているんだろうと思うんです。四人でございますから、一人頭にして六十万ぐらいでございましょうか、だから全国的に見れば五、六十万ということかなと。物価が二%上がりますと、五十万の人は一万円負担増になる。そうすると、その翌年からは物価スライドで生活保護基準も上がるでしょうから、こういう低所得層にはとりあえずのつなぎ資金として一万円ずつ配る、そういうような発想は私は非常にいいことだろうと思います。ところが、これが非常に誤解を招いておる。私は、これは政府としてもそれから我々政党人としても、もっと国民の理解をしっかりと求めていかなきゃならないと思うんです.
 これは、大分古い新聞を持ち出しました。平成六年の九月二十三日、すなわち前に消費税問題が論議されて税制改革大綱などが決まったというあのときでございます。「今回の税制改革は」という書き出しでいっていろいろ言っておりますが、「年金生活者などに一律にカネを配ることはバラマキ的色彩が強く、かつて放漫財政と批判された美濃部都政を支えた社会党の体質が露呈したとみる向きもある。」、当時、村山内閣でございましたから、「禍根を残した福祉対策との批判も出そうだ。」。
 もう少し中身に入ってみますと、「一律給付は「バラマキ」とのそしりを免れない。一万円程度のカネを一年限りで配っても本当の福祉充実になるのかという問題がある。さらに年金には物価スライド制が取り入れられており、消費税率アップで物価が上昇した分、年金も上昇する仕組みになっている。この点からすると年金受給者には一時金支給で消費税率上げによる負担増を緩和するという論理におかしい面もある」、こういうような非常に理解度が低いことを堂々と日経新聞が取り上げておる。
 こういう問題は、やはり政府として説明が足りなかったんだろうと思うんです。当時、私はまだ政治家をやっておりませんので、まあ先輩諸公で既にやっておられた方には申しわけないんですが、政治家の説明も悪かったんじゃないかと思うんですね。こういうことにならないように考えていかなきゃならない。同時に、今回の消費税率引き上げについては、低所得層と税金を払っている層との差が、先行減税がずっと続いておりましたから特に著しいものがあると言えると思うんです。
 具体的な数字でもう少し伺っていきたいと思いますが、課税限度額は今どれぐらいになっておるんでしょうか、大蔵省と自治省、それぞれお願いいたします。
○説明員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 現在の所得税の課税最低限は、先般の税制改革の中で行われた所得税の負担軽減の中で決められたものでございます。課税最低限は既に国際的には高い水準にございますけれども、消費税率の引き上げに伴います少額な納税者の方への配慮といたしまして引き上げが行われたわけでございます。
 数字を申し上げますと、給与所得者の課税最低限でございますが、独身者につきましては百十万七千円、夫婦世帯でございますと二百九万五千円、夫婦子一人世帯について申し上げますと二百六十九万八千円、夫婦子二人の標準世帯、うち一人は特定扶養親族ということでございますが、三百五十三万九千円というふうに引き上げられたところでございます。
○説明員(佐野徹治君) 個人住民税につきましても平成六年の税制改革で課税最低限が引き上げられておりますけれども、給与所得者におきます平成八年度の個人住民税の課税最低限を給与収入ベースで申し上げますと、独身の方で百五万三千円でございます。夫婦お二人で百八十五万七千円でございます。夫婦で子がお一人の場合には二百三十八万円、お二人の場合には三百三万一千円となっているところでございます。
○海老原義彦君 こういった課税最低限が国民生活の中でどのぐらいの階層の人に当たっておるのかということを私いろいろ考えてみたんですが、人事院で標準生計費というものを算定しております。この標準生計費と課税最低限と大体同じぐらいの水準じゃないか。そうすると、標準生計費というのはどういう階層で考えておるのか、ちょっとそこら辺の説明を事務的で結構ですから、人事院にお願いいたします。
○説明員(小堀紀久生君) 人事院は、毎年給与勧告に際しまして国民一般のいわゆる世間並みの生活水準を把握いたしまして、給与配分の妥当性を検討するための資料としております。
 具体的に申し上げますと、家計調査等に基づきまして、世帯人員別に最も多数の世帯が集中する、我々いわゆる並数階層と言っておりますが、そういう階層における生計費を算出しているものでございます。
 昨年の勧告の際の数字といたしまして四月におけるものがございますが、これは全国の標準生計費で二人世帯で十七万五千五百七十円、それから三人世帯で二十一万四千六百十円、四人世帯で二十五万三千六百七十円というふうに算出しているところでございます。
○海老原義彦君 今、月額でお話しいただいている間、私ちょっと頭の中で考えてみますと、十二倍すると先ほど聞いた課税限度額とほぼ同じぐらいの水準になる。つまり、課税限度額というのは、国民の中で並数的な、普通そういった階層が一番多いというあたりから下はもう税金がかからないんだ、そういうふうにしておるということに結果的には相なっておるようでございます。
 さて、その辺の水準というのは平均的なものではもちろんない。私の記憶では、たしか平均の三分の二ぐらいの消費水準だと思います。
 念のために、総務庁統計局、来ておりましたならば、世帯人員別の全世帯の消費支出の平均、二人、三人、四人あたりのところをちょっとお願いいたします。
○説明員(伊藤彰彦君) お答え申し上げます。
 当庁が実施しております家計調査の結果によりますと、平成七年平均の一世帯当たり一カ月間の消費支出額でございますが、全国全世帯で三十二万九千円、それから全国のサラリーマン世帯で三十五万円となっております。今お尋ねの二人、三人、四人の数字は今持ち合わせておりませんが、特に今御関心のあります高齢夫婦無職世帯、夫が六十五歳以上で妻が六十歳以上の夫婦一組の無職世帯、これの消費支出額は今持っておりますが、これは二十三万一千円となっております。そういうことで、全世帯に対する比率に対しまして約七割でございます。
○海老原義彦君 今、夫婦高齢の世帯というお話も出ましたけれども、夫婦高齢の世帯というのは割合に消費支出の水準が低い、全世帯の平均に比べて八割五分ぐらいかと記憶しておりますけれども、それも平均の話でございまして、その中で本当に標準的ないわば並数階層をとれば、やはりさっき申し上げましたように三分の二ぐらいになっておるということです。
 もう一つ統計局長に確認したいんですが、この夫婦高齢という方々、今の統計の対象の方々の収入はほとんど年金収入だろうと思うんですが、ちょっとその辺御説明いただきたい。
○説明員(伊藤彰彦君) 可処分所得に対します今の消費支出、いわゆる生活費の割合でございますが、高齢夫婦無職世帯、これは一〇九・三%となっております。といいますのは、赤字が九・三%出ているということでございます。
 これに対しまして、サラリーマン世帯の平均では消費性向は七二・五%でございますから、黒字が大体二七・五%と、こういうような対比であるところでございます。
○海老原義彦君 今、消費性向のお話などを伺いまして、収入は案外少ないんだ、それで赤字が大分出ておるんだということまで伺ったんですが、その収入の内訳を見ると、ほとんど年金収入であるというような統計が発表になっております。
 さて、そうやって年金収入を受けているような人たちというのは非常に幅広く分布していると思うんですが、今回の消費税の明年度の引き上げにおいて、一般的に低所得層に対する措置としてどんなことを考えておられるのか。これは厚生大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) 先ほど、委員の方からお話がありましたように、消費税の引き上げに際しては低所得者に対して特段の配慮が必要ではないかということで、福祉年金の受給者に対しては一人当たり一万円、低所得の六十五歳以上の寝たきり老人に対しては一人当たり三万円という一時金を、先ほどおっしゃった時点でですが支給することを決めております。
 ただ、一般の年金額につきましては、御承知のように、これは前年の消費者物価の変動の実績に基づいて改定を行い、その実質的な価値を維持する、そういう形の物価スライド制がとられております。
 このため、消費税引き上げに伴う物価上昇についても、消費者物価の変動の実績に基づいて翌年四月に年金額を改定することから、その影響は翌年ではありますけれどもそういう形で吸収していく、そういう仕組みになっていると理解しております。
○海老原義彦君 大臣、私が伺っておりますのは、そのことを踏まえて一年間のつなぎをどうするんだと、こういう問題でございます。福祉年金ももちろん物価スライドでベアしておるわけでございますね。福祉年金は、非常にお困りの方だから一万円つなぎ資金を出しましょうと、そういう趣旨でございますね。
 そうすると、今の大臣のお答えは私の質問に対する答えになっておりませんので、年金受給者についてはどういうふうな考え方からこの一万円の対象から外しておるのか、そこを再度お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(菅直人君) これは一昨年、平成六年九月二十二日に当時の与党首脳会談において決定された中身におきまして、先ほど委員から御指摘もありましたように、九年度における臨時給付金の支給、それが約五百億というふうに想定をされているわけです。
 その中で、特に低所得者とか弱い立場にある人については確かに先ほど申し上げたような措置がとられているわけですが、一般の年金受給者についてはそういう意味では特別な措置という形にはなっておりませんで、一般の年金受給者については翌年からの改定で吸収できるんではないか、特に低所得者なり弱い皆さんには特別な措置を講ずる、そういう形で対応していると、そういうふうに理解しております。
○海老原義彦君 甚だ不満ですが、時間の関係もありますので先へ進ませていただきたいと思います。
 総務庁長官に伺いますが、恩給についても今の厚生大臣と基本的には同じような考え方ということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(中西績介君) 基本的には今、厚生大臣のお答えになりました内容と一致すると思いますが、いずれにしましても国家補償的な性格に基づきまして恩給の実質価値の維持を図る、こういうことになっておりますので、公務員給与の改定状況あるいは消費者物価の変動、これによって総合的に勘案していくということになっておりますので、消費税の税率引き上げがもし物価上昇に影響を与えるということになりますと、翌年度の年額改定に実績として反映されるものと思っています。
○海老原義彦君 恩給改善につきましてはいろいろとしなきゃならない問題もございますし、そういった問題とあわせてこの消費税に伴う措置も考えていただきたいと思うんですよ。もちろん、閣議申し合わせですか、何かあるようでございますので、その五百億の枠の中でやってくれというようなことを言っているんじゃないんです。
 だけれども、やはりそういった状況を踏まえて、先ほど生活保護の話が出ましたが、生活保護一人当たり六十万だと、恩給受給者は六十万に満たないような額で生活保護も受けずに、プライドがありますから、生活保護を受けている人はいません。それでやっているんですよ。
 ですから、これは来年の改定に際しては十分お考えをいただきたいということで、時間の関係もございますので、この問題を終わりまして、次に地方の監査体制のあり方について自治大臣に伺います。
 昨年以来、官官接待でございますとか食糧費の流用だとか空出張、いろいろ地方自治体の不祥事件というのが重なっております。それで、地方の行政あるいは財政の公正の確保ということを目的にして監査委員という制度があるわけでございます。これは、平成三年には前向きの改善もしております。しかし実際には、監査委員はどうもこういった不正に対して有効な手段を講ずることができない。幾つかの自治体では、監査事務局における空出張とか、監査委員の事務局ですよ、監査委員のおひざ元の事務局で空出張だ、水増し請求だと、こういうことをやっておる。
 こういう事態をごらんになって、自治大臣はどのように認識しどのような改善方策をお考えいただいているか、御所見を承りたいと思います。
○説明員(松本英昭君) お答え申し上げます。
 地方公共団体におきます行政の公正と能率を確保しまして、地方団体がみずから自己チェックシステムの向上を図ることが大変重要である、かように考えております。
 第二十四次の地方制度調査会の専門小委員会におかれましては、この現行の監査委員制度の充実強化という面と、それから外部監査制度を導入するという両面から検討すべきという御報告をいただいているところでございます。
 そういう報告の中で、現行監査委員制度のより高い独立性と専門性を確保するための方策といたしまして、退職職員の選任制限の強化、監査委員の定数、選任方法、選任資格の見直し、事務局体制の充実方策等について検討する必要があるとするとともに、外部監査制度につきましては、その導入の必要性とともに、導入の検討に当たって、現行の監査委員制度と外部監査制度との関係とか、外部監査の対象であるとか方式等に十分留意をして検討するように述べられておるところでございまして、先日発足いたしました第二十五次の地方制度調査会において、この監査委員の監査のあり方についても検討が進められるものと私ども期待をいたしているところでございます。
○国務大臣(倉田寛之君) 自治省の行政局長から監査制度につきましての対応、検討課題についてはただいま御説明を申し上げたとおりでございますが、私といたしましても、二十四次の地方制度調査会の専門小委員会の報告、さらには過日発足を見ました第二十五次の地方制度調査会における審議の内容を踏まえながら、地方公共団体の監査機能の充実につきましては、委員御指摘の問題等も十分受けとめながら積極的に検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○海老原義彦君 ありがとうございました。
 なお、外部監査の問題であるとか、いろいろとこの際伺いたいことはあるのですが、既に時間も過ぎておりますので、本日の質問はこれで終わります。
○委員長(野沢太三君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(野沢太三君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成六年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○星野朋市君 私は、平成六年の会計年度における特徴的な三つのことについて申し上げたいと思います。
 一つは、一会計年度に三つの内閣が存在していたこと、それからもう一つは昨年の一月に起こりました阪神大震災の問題、それから三つ目は為替の問題でございます。月間のレートが百円を超えたというのが平成六年度、それでしかもやや緩やかに円高が続いておったのが、昨年の三月に急激な円高になりました。最も高かったのはその翌月、平成七年度の昨年の四月であったかと思います。
 この中から、まず最初に為替の問題についてお伺いしたいと思いますけれども、政府は、平成六年度の予算を立てるに当たって、平成六年度のドルの円レートというのを幾らで積算なさいましたか、お伺いしたい。
○説明員(林正和君) 平成六年度の予算編成に当たりまして、外貨関連経費の予算積算レートといたしましては、一ドル百六円で計算をいたしました。
○星野朋市君 そうしますと、今私が経緯を述べましたけれども、実際に平成六年度全体を通して円レートは幾らだったですか。
○説明員(林正和君) 平成六年度の間の年度の平均レート、これは月末の平均でございますが、九十九円でございます。
○星野朋市君 先ほども私申し上げましたけれども、私の資料によりますと、九五年三月の平均レートは九十円七十九銭、これが平成六年度の最後、それから平成七年度の最初の月である四月が八十三円六十七銭と、こういうように資料を得ております。百六円の積算レートだと、今おっしゃった九十九円です。この差益が当然あるわけです。
 これは全部の省庁についてどうだということをやっているととても時間がございませんけれども、このドルに関連した予算を持っておる省庁の中で代表的なものを二つか三つお示しいただいて、それの予算がどういうふうに余ったか、恐らく大蔵省の予算ではその分は不用額として処理されたと思うんですけれども、それをお示しいただければわかりやすいと思いますが、いかがですか。
○説明員(林正和君) 平成六年度の外貨関連経費は、先生御案内のとおり約四千五百億円余りございますが、これは支出形態によりまして二つに分かれるものでございます。一つは支出官レートで執行されるもの、それから実勢レートで執行されるものとございます。
 まず最初に、支出官レートで執行される予算は、これは制度的に貨幣交換差増減整理手続、ちょっと事務的で恐縮でございますが、これによって整理されることになっておりまして、各省各庁の個別経費の予算執行上は特に問題を生じないわけでございます。支出官レートより円高の場合には、実勢レートとの差額は国の雑収入、これは大蔵省所管貨幣交換差増ということで雑収入に入ってまいります。六年度におきましては、貨幣交換差増約百十三億円が雑収入として収納されているところでございます。
 これが支出官レートで執行される予算でございますが、もう一つの実勢レートで執行される予算につきましては、支出官レートと実勢レートの差額は円高の場合には原則として不用に相なるわけでございます。六年度におきましては、第一次の補正予算において外貨関連経費の不用額として約六十八億円を計上しているところでございます。
 あと、決算不用でございますが、一つ二つ例を挙げさせていただきますと、六年度に外貨為替相場が変動したことに伴います決算不用といたしましては、例えば防衛庁の武器車両等購入費、これが約五十三億円、外務省の国際分担金約十億円、こうしたところが大きいところでございます。
○星野朋市君 大体私の得ておった資料とほぼ同じでございますので、全体に及ぼす影響はそんな大きなものではなかった、こう解釈してよろしいですか。
○説明員(林正和君) そのように私ども理解しております。
○星野朋市君 実は、私ごとになって恐縮なんでございますけれども、昨年の四月二十日、私は、この場における予算委員会の席上で、極めて大胆に申し上げれば、投機筋のいわゆるターニングポイントは過ぎたのではないか。四月の十九日が七十九円九十五銭という瞬間高値がついたときなんです。
 その後、若干ずつ円安に振れ始めました。六月に月例経済報告がございましたときに、大蔵、日銀、それから経済企画庁、この三者を前にして、私が次に国会に出てきたときには円は百円になっておるだろうということを申し上げました。七月、八月、九月と実は心筋梗塞を思いまして、九月末に九死に一生を得て出てまいりましたときには円レートは百円になっておりました。
 それは、いろいろな大蔵省の努力その他が実って、国際金融局長の名声を高からしめたんでありますけれども、その後、この円レートは百円ならず百五円、それから百九円、きょうの午前中の相場がほぼ百八円前後で推移しております。
 今度は、平成八年度、今年度のいわゆる積算レートは、大蔵省、幾らで計算なさっておられますか。
○説明員(林正和君) 八年度予算の支出官レートは、七年の後半、これは平成七年の七月から十一月の平均為替レート、一ドル九十七円としてございます。
○星野朋市君 そうすると大臣、大蔵省は、大蔵省だけではありませんね、通産省も非常に関係あるわけですが、円レートを何とか百円台に戻したいという一種の合意事項があったと思うんです。それで、百円を超えてもうそういうことが実現されておるにもかかわらず、実際に平成八年度の予算をつくるときになお九十円台で積算しているというのが私には納得できないんです。この矛盾をどうお考えになりますか。
○説明員(林正和君) 先生御案内のとおり、予算の編成上、外貨関連予算には一定のレートを設定するという事務的な必要がございますので、従来から作業開始前の実勢相場の状況を踏まえて予算積算のためのレートを定めているところでございます。
 申し上げましたように、まさに予算編成上一定のレートをつくる、設定する必要があるという事務的な必要性から設けているところでございまして、当局による為替相場の予測云々という性格のものでは全くございません。
○星野朋市君 それは事務的にはそうでしょうけれども、実際には輸出入業者の一番理想的なところは百円前後なんですね。努力してここに戻そうとしてそうなったにもかかわらず、なお九十円台であるということについての矛盾がありはしないかと、私はこう言っているわけですから、それについてもう一回お答えいただきたい。
○説明員(林正和君) 先ほど申し上げましたように、各年度の予算編成では作業開始前までの為替相場の動向を勘案して、できる限り予算の積算レートとして適切なものを設定するようにということでやっているところでございますが、八年度予算におきましても、特に七年度後半に入りましてからの急速な円安傾向を反映させるとともに、為替相場の変動をある程度ならすために七年の七月から十一月までというレートをとらせていただいたものでございます。
○星野朋市君 これは押し問答になりますからもうやめますけれども、平成七年度よりも平成八年度の方が円レートは高くなっているんですよ。これは大きな矛盾だと私は思います。
 政界も、いわゆる行政府も、それからマスコミも、日本が円高になってくるとギャーギャーギャーギャー騒ぐ。いかにも日本の経済がぶつつぶれそうな騒ぎ方をします。それでありながら、円安になってくるとみんな黙っちゃうんです。円高のときにいろいろな方策が提案されておりますけれども、今はもうそういう声がほとんど聞こえない。これが私は日本人の悪い癖だと思っているんです。
 通産省にお伺いしますけれども、円高のときに、日本はこれだけの大きな貿易大国になったんだからもっと円建てを進めるべきだ。ただし、これについては大蔵省の規制のもとにある日本の金融市場をもっと開放しないと、せっかく貿易自体を円建てにしてもそこはうまくいかないよと、こういう議論があったと思うんですけれども、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、ここら辺の先進国について自国建て通貨の貿易の割合、これはどのぐらいだというふうにおとらえになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(広瀬勝貞君) お答えいたします。
 アメリカでございますけれども、IMFの報告書で見る限り、一九八八年でございますけれども、輸出のドル建てが九六・〇%、輸入が八五・〇%でございます。ヨーロッパでございますけれども、ドイツ、これは連銀の九二年の調査でございますけれども、輸出がマルク建て七七%、輸入が五五%。イギリスにつきましては中央統計局の調査でございますけれども、輸出がポンド建て六二%、輸入が四三%でございます。フランスは九四年の経済省の調査でございますが、輸出が五丁九%、輸入が四七・一%でございます。
 日本の数字でございますが、最近、ことしの三月に調査をしたものがございますが、円建て輸出が三六・二%、円建ての輸入が二〇・七%ということでございまして、欧米の先進国に比べて自国通貨建ての輸出入は低くなっております。
○星野朋市君 今の数字をお聞きしまして、私はかねてからあらゆる機会を通じて申し上げておるんですけれども、日本の輸出、今三六という数字ですけれども、ほぼ四〇%、相当長い間変わっていないんです。それから輸入の円建てというのが一八から二〇%、これも変わっていない。どうしてもっと自国通貨建てにしないのか。それによって為替の変動に一々騒がない、左右されないといいますか、そういう体質をつくらなくちゃいけないんじゃないかということを申し上げてまいりました。
 私の計算では、さらにしばらく続いた輸出額三千数百億ドル、輸入額二千数百億ドル、貿易収支の差が千二、三百億ドルの黒字という構造のもとでは、実は十円の円高で約二兆円の差損ができるけれども、同時にほぼ同額の差益が出ている。円高になっても輸入額の差益と合わせると大体帳消しになる体質であった。特に、最近少し輸入額がふえましたので、その構造は少し変わってくると思いますけれども、そうだと私は解釈しておりまして、実は日本にとって緩やかな円高の方がむしろ望ましいんであるという持論なんですが、通産省はいかがお考えですか。
○説明員(広瀬勝貞君) 今、委員から円高に伴う差益、差損のお話がございました。
 おっしゃるように輸出入額、それからドル建ての比率等を勘案してマクロで計算をしてみるとそういう計算は成り立つのかもしれませんけれども、もう委員御承知のとおり、仮に円高が進行する過程で、直ちにおっしゃるように輸出入価格の改定がそのままいくかどうかということになりますと、これは需給とかあるいは競争力といったようなものを反映した交渉力によって大分タイムラグが出てくるわけでございます。
 それから、同じような意味で、価格に変動があれば輸出入の数量が変化するというようなことで、一概にはそういう計算のとおりにはならないというのがこの為替の世界のことではないかというふうに思っております。
 特に、急激な円高が進展いたしますと、輸出産業、これはもう中小企業も含まれるわけですけれども、それから輸出関連の企業、こういったものの企業収益というのは直ちに圧迫を受けるわけでございまして、そういう意味ではまた景気に悪影響を与えるというようなことにもなるんではないかというふうなことでございまして、私どもは昨年度の急激な円高については大変心配をしたということでございます。
○星野朋市君 だから、私は急速なとは言っていないんですよ。緩やかなと言っているんですけれども、そこも時間の関係でこれ以上議論をすることができないのは残念であります。
 通産大臣に最後にお聞きしたいんですが、輸出業界、特に自動車、電機、こういうところが円高になりますと、いわゆる合理化と称して下請、彼らは決して下請とは言わないですね、協力会社と言うんですけれども、ここの値段を相当たたく。じゃ、円安になったら値上げを認めるか。そんなこと絶対ないですね。一回値下げさせたものはもとへ戻さない。こういうことで協力企業というのは必然的にいわゆる限界企業として一つは失業を生む問題にもなります。通産大臣はその点についてどういうふうにお考えになって、どういうふうな対策をお立てになるか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(塚原俊平君) 各企業のいわゆる協力企業につきましては、現状の中でコストを下げなくちゃいけないということで、どこの企業も大変苦労いたしております。特に、私の場合は地元が日立市でございますので、もろに今先生の御指摘の点が私の政治課題、いわゆる地元の選挙区としての政治課題にもなっております。
 現実の問題としていろいろなことが考えられると思うんです。まず、ある程度下請を守るために、単価等について大変厳しい圧迫を親企業がかけた場合に、それに対して厳しい指導をするというのも一点でございまして、当然我が通産省としてもやろうと思えばそれはできるんだと思います。
 ただ、今日までの長年の慣習、慣行の中で、非常に信頼関係の中で親企業と下請さんができているという部分もございますので、そこら辺のいわゆる親企業に対する指導の仕方というのは私どもも大変難しい面もあるわけでございますけれども、先生が今お持ちの問題認識をそのまま私も持っておりますし、その場その場の状況に合わせて悪質なものはこれを厳しく指導しなければいけないと思いますし、また慣行の中でお互いにちょっと我慢し合おうとして努力しているところはこれを激励しなければいけない。何としてもでき得る限りコストの面で製造業が日本から逃げないでいいような、中小企業が経営できるような、そういう中小企業対策というものをこれからいたしてまいりたいというふうに考えております。
○星野朋市君 為替の問題について、最後に大蔵大臣にお聞きしたいのですが、間もなくサミットが始まります。このサミットの一つの課題の中に雇用問題が大きく浮かび上がってきておるわけでございますけれども、実はこの雇用の問題に関して、ヨーロッパでは日本以上に大失業時代が来るのではないかという心配をされております。為替の問題はまさしくそこをかなり左右することだろうと私は思っておりますけれども、大蔵大臣として日本の為替の安定、改めて決意のほどをお示し願いたいと思います。
○国務大臣(久保亘君) 為替相場の安定を図るということは、G7やサミットの経済問題に関する極めて重要なテーマでございます。
 昨年は、特にG7におきましては、当時の為替相場の秩序ある反転ということに向けてG7各国が連携を強め緊密に協力していこうという合意をいたしまして、その方向へ向かう上で一つの力になったと考えております。
 それで、現在の状況につきましては、ことしになりましてから一月、四月の二回にわたりますG7におきまして、為替相場については、現在の相場の展開を歓迎するといいますか、秩序ある反転を目指した方向で進んだものという評価をいたしまして、そして特に為替相場の安定のための対策というようなことよりも、従来の緊密な先進諸国間における協力関係を続けようということで合意をいたしてまいりました。
 今度のリヨン・サミットにおきましては、為替相場の安定の問題は当然話にはなると思いますが、特に今の状況では重要な論議のテーマにはなってこないのではないかと考えております。
○星野朋市君 為替の問題を終わりまして、平成六年度における会計検査院の検査内容について特色ある一つの問題がございますので、それについてお聞きしたいと思います。
 大体、会計検査院の御指摘というのは、こういう問題があった、こういうところに不正があった、こういうところを直すべきだということでありますけれども、平成六年度の会計検査の中に、「阪神・淡路大震災を契機とした公共土木施設の検査について」という一項目がございまして、これは我が会派の武田議員が本会議場でもそのことについて若干触れまして評価をしております。
 被災原因究明のための委員会の中間報告によれば、阪神高速道路、国道、山陽新幹線の高架橋、神戸港の岸壁等に大きな被害が生じたのは、設計上の想定を上回る大きな地震力が作用したことによるとしている。本院がこれら被災施設の設計、施工について調査したが、特に問題となる点はなかった。
 首都圏の高速道路等と東海道新幹線の高架橋等については、耐震補強工事が既に実施されているが、今回の被災状況を踏まえて、新たに七年度から三年程度で行う補強計画が策定された。本院は今後実施される補強工事の計画、設計、施工等を十分調査していくという指摘があるんです。
 この指摘に基づいて、建設省及び運輸省、現在の進行状況、建設省の特に道路工事の補強に関してはかなりの部分が進んでいるというふうに私は聞いておりますけれども、その詳細についてお聞かせ願えればありがたいと思います。
○説明員(橋本鋼太郎君) 阪神・淡路大震災におきましては、道路の高架橋等に大きな被害が生じました。そのため、平成七年度から三カ年にわたりまして、高速自動車国道、東名、名神のような重要な高速国道であります、あるいは首都高、阪高というような都市高速、さらに一般国道等におきます複断面区間等の緊急度の高い橋梁につきまして橋脚等の点検を行いまして補強を行うべく、震災対策緊急橋梁補強事業を現在実施しております。
 この事業は、大震災を踏まえ、阪神・淡路大震災の地震にも耐えるという復旧仕様、これは技術基準でありますが、そういうものを定めまして、これに基づき行っております。三カ年で、有料道路で約二万一千八百基、一般道路で六千百基、合計二万七千九百基の橋脚を補強する予定でございます。
 平成七年度の補正予算あるいは平成八年度では千七百三十七億の事業費を充当しておりまして、平成八年度までに約七六%進捗する予定でありますし、平成九年度末には補強を完了させたいと考えております。
 なお、……
○星野朋市君 結構。それでいいです、時間がありませんので。
○国務大臣(亀井善之君) 鉄道関係につきましては、山陽新幹線の高架橋八カ所の落下、そのほか東海道、山陽、阪神、阪急電鉄あるいは地下鉄、神戸高速鉄道大開駅の崩壊と、大変大きなものがあったわけであります。いわゆる不通区間六百三十八キロ。そして、鉄道施設耐震構造検討委員会におきましていろいろ御指示をいただき、またその復旧の方法等につきましても御検討いただいたわけでありまして、七カ月後の平成七年八月二十三日に全区間運転を再開しました。
 したがって、その後、補強につきましては、平成七年七月二十六日の提言に基づきまして八月に緊急耐震補強計画を策定し、新幹線についてはおおむね三年、在来線につきましてはおおむね五年。高架橋、開削トンネル等の柱約五万一千本に鋼板を巻くなど、補強及び約一万一千連の落橋防止工の設置を行うこととしておりまして、今それらにつきまして工事を進めておるところでもございますし、これからもなおその基準の見直しについて、同委員会の指示に基づき原因の究明あるいは耐震構造のあり方を精力的に検討してまいりたい、このように考えております。
○星野朋市君 終わります。
○山崎順子君 平成会の山崎順子です。
 農業者年金についてお伺いしたいと思っております。
 農業者年金といいますのは、もうここにいらっしゃる皆様は御存じだと思いますが、国民共通の基礎的な給付であります国民年金に上乗せして年金給付を行うものでございます。ところが、これについてほとんどの私の周りの国民の皆様といいますか人々は、そんな制度があるのか、国庫補助が多いのかというようなことは御存じなくて、皆さん、えっとぴっくりなさるその農業者年金について今からお伺いしたいのでございますけれども、この農業者年金の財源は被保険者からの保険料収入と積立金の運用収入、それに国庫助成等によって運用されております。
 この財源についてでございますが、直近の数字、平成六年でも七年でもよろしいんでございますが、この保険料収入と積立金の運用収入、それから国庫助成の金額等について答えていただけますか。
○説明員(近藤純五郎君) 平成六年度の実績が出ておりますので、これによりまして御説明申し上げたいと存じます。
 平成六年度保険料収入が六百五十八億でございます。それから運用収入が百三十五億、国庫補助が一千八十二億、合計で千八百七十五億ということになっております。
○山崎順子君 平成七年のも大体の見込みが出ておりまして、六百三十八億、それから運用収入が百九億、国庫助成が千二十三億になっておりまして、計千七百七十億ですけれども、この収入から経営移譲年金と老齢年金、一時金が支払われるわけですね。このそれぞれ六年と七年に支払いました経営移譲年金の額をお教えください。
○説明員(近藤純五郎君) 経営移譲年金でございますが、六年度が千二百十七億円、それから七年度の見込みでございますが、一千二十三億円でございます。
○山崎順子君 つまり、平成六年では支払った額の八九%、それから平成七年では実に一〇〇%、つまり全額です、これが国庫補助から支払われているということになりますね。これはつまり、国庫補助ということは人々の税金ということでございますけれども、さて国民の税金で賄われているこの経営移譲年金が平成五年、平成六年とその支給に不適正、不正な支給があったということで会計検査院の指摘を受けております。
 会計検査院にお聞きしたいんですけれども、一体金額的には幾らぐらいあったのか、また調査件数等何件ぐらいの指摘があったのか、お答えいただけますでしょうか。
○説明員(森下伸昭君) お答え申し上げます。
 指摘をいたしました件数、金額でございますが、平成六年度決算検査報告におきましては五十二名の受給者に係るもので不適正支給額が六千二百九十五万円でございます。それから同じく平成五年度の決算検査報告におきましては四十二名の者に係る四千五百八十五万円を指摘しているところでございます。
○山崎順子君 調査件数の中に占める指摘件数というのはそれほど多くございませんけれども、聞いておりますと本当に極端なケースでしか今回は指摘していないということらしいんですけれども、一体どのようなケースが指摘されたのか。典型例で結構でございます、ちょっと手短に御説明いただければと思います。
○説明員(森下伸昭君) お答えをいたします。
 代表的な指摘の事例を申し上げますと、後継者または第三者に経営移譲を行ったとしておりましたが、実際は第三者との使用収益権の設定契約が履行されていなかったり、後継者とした者が以前から遠隔地で農業以外の職について農業に従事していなかったりしていて、経営移譲を行ったとした後も引き続き農業経営を行っていたというようなものがございます。
○山崎順子君 これはここの委員会だけというよりも国民の皆さんにわかりやすくするために、ちょっと今のをもう少し私がかみ砕いて話させていただきますと、例えば経営移譲年金といいますのは、今まで農地を耕し維持管理をしてきた農民の方が老齢になって、自分の子孫または第三者にその農地をそのままそっくり移譲して、そこで農地をまた耕す農業者として働くということを前提にして、移譲できた場合に年金が支払われるということだと思うんです。
 今の会計検査院の御報告を聞きますと、農業者にならない人に農地を移譲したというような形になっていて、実はサラリーマンをしていたというような人たちにも年金が支払われていたとか、それから聞きますと、福岡県内で例えば福岡市に息子がサラリーマンでいて郊外で父親が農業をやっている、それで息子に移譲したんだと。息子はサラリーマンで仕事を持っているけれども、週末は帰ってちゃんと耕作をしているんだというようなところでは、なかなかその実態をつかめないので指摘ができなかったということを聞いております。
 今回指摘されたようなケースの中には、沖縄に農地があって東京で勤めているのにもかかわらずちゃんと移譲されているんだというようなことで、もう本当に歴然とわかるケースだけが指摘されたと聞いておりますが、多分もっと多くのケースが、実は経営移譲年金を受けるにはふさわしくないケースがたくさんあるのではないか、また五年、六年とたまたま会計検査院が検査されましたけれども、それ以前からもあったかもしれないし、今後ももししなければもっと多くあるかもしれない、そういったことが考えられるんです。
 まず、こういった指摘する原因になりましたケースといいますか、それは委託を受けた農業委員会の審査、そういった確認業務というものが十分でなかったのではないかと思われるんですが、農水省、いかがでしょうか。
○説明員(野中和雄君) 農業者年金は、専業的農業者の老後の生活の安定とともに、適格な経営移譲を通じて農業経営の近代化と農地保有の合理化を促進することによりまして農業構造の改善に寄与することを目的としているわけでございますが、御指摘のように適正を欠く事例が発生しているわけでございます。
 これは、農業委員会によりますいろいろな確認が不十分であったというようなこと、あるいは基金の指導、制度の周知徹底が十分でなかったというようなことが原因であるというふうに考えておりまして、私どもも極めて遺憾なことであるというふうに考えているところでございまして、御指摘につきましては真剣に受けとめているところでございます。
 このため、農水省におきましては、こういう事態が二度と発生をしないように、担当しております農業者年金基金に対しましてその適正な実施を図りますように、今申し上げましたような年金の業務を受託しております農業委員会、農協等への一層の指導の強化を図って、この受託業務の適正化に万全を期するように強力に指導をいたしているところでございます。
○山崎順子君 会計検査院としては、この農業委員会の審査確認業務が十分でなかったということについてはどう思われますでしょうか。
○説明員(森下伸昭君) ただいまのような不適正な事態の発生原因ということでございますが、私どもはまず第一に、やはり基金から業務の委託を受けました市町村の農業委員会におきまして裁定請求書の審査確認や受給権者の現況確認が十分行われていなかったのではないかというふうに考えております。
 あわせまして、基金におきましても農業委員会に対します委託業務に関する指導が十分でないのではないか、受給権者あるいは関係者に対する制度の周知徹底が十分図られていないのではないか、このような点もこういう事態の発生原因の一端ではなかろうかというふうに考えているところでございます。
○山崎順子君 農業委員会の農業委員というのは地域の農業者でございます。つまり、同じ農業者として、また知り合いといいますか知人としてチェック機能がどうしても甘くなるのではないかと私は思います。総務庁の行政監察の指摘にもそれはございますが、一つの農業委員会当たりの農業関係事務担当職員数というのは一・五人なんですね。その中で専任の職員配置というのは一五・八%にしかすぎません。こうした弱体な事務実施体制というものの改善がぜひとも必要だと思われますけれども、きょうはこのことについてというよりは、実はもっと大事な問題、この経営移譲年金の制度そのものを私は廃止した方がいいのではないかと思っておりまして、この点についてお伺いしたいと思っております。
 まず、農業者年金の受給権者、被保険者、今現在何名でしょうか、お答えください。
○説明員(近藤純五郎君) 六年度末でございますけれども、被保険者数は四十一万人でございます。それから受給権者数、これは老齢年金も含んでございますけれども、七十四万人でございます。
○山崎順子君 そうしますと、それは一人の被保険者が何人の受給権者を支えることになりますか。また成熟度というのはどのくらいでしょうか。
○説明員(近藤純五郎君) 一・八でございますので、成熟度で申しますと一八〇%ということになります。
○山崎順子君 一八〇%、それは正確な数字ですね。
○説明員(近藤純五郎君) 七十四万人を四十一万人で割りますと一・八ということでございます。
○山崎順子君 国民年金の成熟度になりますと一九・五%、これは平成五年あたりのものでございます。この成熟度といいますのは、JRの年金のことが随分問題になっておりますけれども、JRの年金のピーク時の成熟度でも一六四・八なんですね。それよりも上回っているというのは本当に異常な数字だと思うんですけれども、これで年金財政の均衡がとれていると言えるのかどうか、ちょっとこのあたりを厚生大臣にお聞きしたいんですが、年金の方の専門家としてお願いいたします。
○国務大臣(菅直人君) この制度、いわゆる農業者年金基金でありますので、それに先ほど来お話のありますように、経営移譲年金という事実上公費の部分が相当の割合を占めておりますから、通常の例えば厚生年金といったものとはかなり性格が違うんだというふうに認識しておりまして、そういう意味ではこの制度はこの制度として現在運営されている、そういうふうに理解しております。
○山崎順子君 とにかく被保険者の数が少なく受給権者が多い、これはもちろん農業人口がどんどん高齢化していることもありますし、後継者が少なくなっていることが原因だと思いますけれども、年金の面から見ますと当然これは国庫補助があっても赤字になっているわけですね。昭和六十一年度以降、単年度収支がずっと赤字になっております。そうしますと当然積立金としての年金の資産も年々減少を続けております。
 例えば、平成六年度の単年度収支は百八十九億円の赤字でございました。年度末資産は三千百億円で、平成七年、これはまだ見込みでございますが、これも百六十九億円の赤字、そして資産は多分二千九百三十億に減っている、資産がどんどん減っているわけですね。
 このことから見ますと、今、菅厚生大臣もこれはちょっと特別の年金だからというようなことをおっしゃいましたが、つまり、こんなに赤字を出していても国庫補助をどんどん出せばまあいいんじゃないか、国庫補助があるからいいと思っていらっしゃるのかなという、どうもそんな安易な考えでこれを運営していらっしゃるように思えてならないんですけれども、平成二年の改正で、従来の経営移譲年金の二分の一という国庫助成に加えて追加の国庫補助が入りました。このこともこの時点で不思議だと思ったんです。
 まず、五年ごとに財政再計算というのが行われて将来見通しを立てているわけですね。これを見ますと、平成二年の財政再計算では七年度の単年度収支は二十六億円の黒字になるというふうに見込んでありました。二十六億円の黒字なんです。こんなふうに黒字になっていくから、国庫補助を一生懸命入れていても、今は入れるけれども、だんだん大丈夫になるよというような多分見通しだったんじゃないかと思うんですが、それが百六十九億円の赤字で、これは農業への新規加入者数推計が大幅に実績と乖離しているのではないかと思われるんですね。
 ということは、お立てになった財政再計算の見積もりがもう本当に大甘過ぎるんじゃないかと思われるんですが、これはもうぜひとも農水省の大臣にお聞きしたがったんですけれども、やむを得ない事情できょう御欠席ですので、政務次官いかがでしょうか。
○説明員(野中和雄君) 事務的な数字等の問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 平成二年の財政再計算におきまして新規加入の見通しを行ったわけでございますけれども、これは元年に行ったわけでございますが、当時把握が可能でございましたその直近三年間の新規学卒就農者数、それから離職して就農する方の数、こういうのをベースに毎年一万五千人程度というふうに見込みまして、これに未加入、まだ加入をしていらっしゃらない方の加入促進効果を加味いたしまして、平成二年から五年度は一万七千人、その後は十年までに一万六千人、十一年以降一万五千人、こういうふうに見込んだものでございます。
 これは当時の状況でございますが、新規就農者というのは当時確かに減少傾向にはあったわけでございますが、年金への新規加入者の実績がその直前の昭和六十年から六十二年度は二万人程度で推移をいたしておりまして、六十三年度も一万六千人の新規加入がございました。それから、これは現在でもそうでございますけれども、私どもといたしましては新規就農者の確保につきまして、農業の新しい政策という中でその確保に努めていくというような政策を講じているところでございますので、こういうことを総じて見ますと、当時としては必ずしも過大な見通しではなかったというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、この問題につきまして、私どもも新規就農者の増加ということについて政策的にも力を入れて取り組んでいるところでございまして、今後とも努力をしてまいりたいと存じております。
○山崎順子君 当時としては過大な見通しではなかったとおっしゃって、大体そういうことで、大変な赤字が出ても、いや、申しわけなかった、見通しが甘かったとはなかなか皆さんおっしゃらないんです。
 平成七年にまた財政再計算が行われておりまして、これでいきますと、その後もずっと、三十二年までの見通しもとりあえず立ててあるんですけれども、平成三年のこの追加の助成金が出始めたときから、一体どのくらいこの農業者年金に国庫補助金が出されるのか計算してみたんです。三兆六千七百三十七億になるんです。これが全部国民の税金から補助される、国民の税金が投入されるということなんですけれども、六千八百五十億の住専の金額どころじゃないんですが、こういったことを国民のほとんどが知らないという現実がございます。これはちょっとまた後におきます。
 まず、私は平成七年の財政再計算も、皆さんが行われたような改善を多分二年のときに比べてなさったんだと思いますけれども、これもきっと実績とは食い違うんじゃないかと思うんです。そのときにまた、いやその当時は決して見通しは甘くはございませんでしたとおっしゃるんじゃないかという気がしてならないんですけれども一この年金制度は昭和四十五年の制度発足当初から社会保障制度としての年金のあり方に疑念があると言われ続けてまいりました。
 こうした年金財政のあり方について、もう一度厚生大臣にお聞きしたいんですけれども、社会的妥当性があると思われるでしょうか。また、これで財政の健全性があると思われますか。国民の税金を使っているわけですから、社会的妥当性ということについてもきちんとお答えいただきたいと思うんです。
○国務大臣(菅直人君) 今おっしゃったことは、言っておられる意味は私なりにわかるつもりです。つまり、年金というふうに考えますといろいろな年金がありまして、厚生年金、さきの国会で他の共済年金三共済を統合していただきましたし、それぞれの議論の中でかなり厳しい、何といいましょうか、それぞれの被保険者の負担なりあるいは経営者の負担なりをお願いをしたわけです。そういうことを考えますと、この農業者年金というのは制度の相当大きな根幹部分に公費が投入されているという意味では、先ほど申し上げましたが、一般の年金と比べますとかなり性格を異にしている。
 これは所管ということを越えるかもしれませんが、農業におけるいろいろな構造改善の事業あるいは後継者の育成等々の要素があったということだと思いますが、そこは農業政策としてこういうことがより有効である、あるいは適切であるという判断なのか、逆に言えば、そちらで判断をいただくことが半ば適当なのかなと。年金という概念の中で言えば、ややこの制度は他の制度とは性格を異にしている、そういうふうに認識しております。
○山崎順子君 政策的な面もあるがとおっしゃいましたが、年金という制度に限って見れば、私はややではなくて本当に他の公的年金制度と比べて異例とも言える多額の国庫補助だと思っておりまして、年金制度としては本当にこれはおかしい制度で、抜本的な改善が必要だと思います。
 さて、そうしますと当然農業者年金制度は、おっしゃるとおり農業者の老後生活の安定と福祉の向上に資する、それと農業経営の近代化や農地の規模拡大等に寄与するためにもちろんできた制度でございますけれども、農業者の老後生活の安定と福祉の向上に私は一切反対などいたしておりません。それ以外のところで、農地の流動化とか経営規模の拡大化等の農業構造の改善に寄与することをもし目的としているのであれば、本当にこの経営移譲年金が農業政策上有効性があるのか、大変疑問に思っております。
 その二つの根拠を申し上げますと、まず一つは、加算つき年金の支給対象というものがありまして、これは昭和六十一年に加算つきの経営移譲年金支給制度が創設されました。ところが、この支給対象とならないサラリーマン後継者等の者は約六〇%で、特定譲り受け者に経営移譲して加算つき年金を受給した件数及び面積の割合は、制度ができて以降、横ばいのところもありますが、ずっと低下しているんですね。
 例えば昭和六十二年、その件数は三八・四%でしたが、平成四年は三一%になっております。面積については五八・五%、これは五四・六%になっております。これが農業構造の改善に寄与していないということの一つのあかしてはないかとも思いますし、もう一つは、この年金に強制加入している人たちは中核の専業農家です。これは兼業農家の方が今は多いことは皆さん御存じだと思いますが、第二種兼業農家の場合は任意加入もできないわけですね。
 農業を今支えているのは、確かに生産額で言えば専業農家が四割と多いですけれども、専業農家は昭和四十五年の一五・六%から一二%に減少しておりますし、それから兼業農家は、やはり四十五年の八四・四%から平成四年には八八%に逆にふえております。
 こういったことを考えますと、今後の農業というもの、農業構造というものをいろいろ考えていく上で、専業農家だけに手厚くしていては無理なんじゃないか。ですから、本当の意味で農業政策を考えるときに、この年金とドッキングさせることが必要なのかどうか。もう一度年金というものは切り離して農業政策というものを考えるべきではないかと私は思います。時間がなくなってきましたので、農業構造の改善に寄与していないということを指摘すると同時に、国民の税金をこれほど投入して、農業構造の改善に寄与していないようなものが国民の納得が得られるのかどうか、ここが私は大きな問題だと思うんです。
 そこで、この農業者年金、経営移譲年金というものが国民の皆様にちゃんと納得してもらうような形で説明がなされているのかどうか。先ほど言いましたけれども、こんなに投入しているのに赤字が出て申しわけなかったとか、今度の平成七年の財政再計算はこのように変えますといったようなことをきちんと国民にアピールしていらっしゃるのかどうか。全くそれがされていないんじゃないかと思います。
 そこで、情報開示の必要性というものがここでも大変必要で、本当に情報開示して国民が納得したなら私はこのままこの経営移譲年金を続けられてもいいと思いますけれども、その点について、HIVのことやさまざま情報開示に御努力なさってきた菅さんにもう一度お伺いしたいんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(菅直人君) この制度は農水省と厚生省の共管でもありますし、もちろん私は年金担当相ということも拝命していますので、そういう点ではそれぞれの年金について、国民の皆さんに十分理解をいただけるようにいろいろな情報開示をしていかなければならないと思っております。
 ただ、この年金のいわゆる国庫補助は、たしか農水省の予算の方でその中に含まれておりまして、そういった意味では、もちろん厚生省も今言いましたように共管ですからできるだけ明らかにしていきたいと思いますが、政策の目的がいわゆる一般的な年金に加えてかなり農業的な目的がありますので、できればそちらも含めてそれぞれの所管官庁でそれぞれ明らかにしていくべきだろう、厚生省としては私としてできることはしていきたい、こう思っております。
○山崎順子君 本当は農水大臣に申し上げてお聞きするべきところ、菅さんには申しわけないんですが何度も立っていただきまして、これはぜひ農水省の方に、情報開示を国民の方にして、納得してもらうような説明をしていただきたいと思っております。
 高齢社会を迎える、もう本当にその中に入っております我が国は、年金についても税金の使い方についても、まともに使われていないんじゃないか、年金は大丈夫なのかというような不信感を国民の人たちがたくさん持っていらっしゃる。そこをぜひとも払拭していくためにも情報の開示と、そしてもう一度この制度の見直しをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○続訓弘君 平成会の続でございます。
 昨年の九月二十六日に、大和銀行のニューヨーク支店で、米国債投資の失敗によって日本円換算千百億円の損失の報道がなされました。当時の大蔵大臣は、直ちに、これは遺憾である、同時に大和銀行に厳しく指導し善処方を求める、こういう談話を発表されました。それが一年もたたないうちに、今度はまた住友商事が銅地金の取引によって十八億ドル、日本円換算で千九百六十億円の損害をこうむった、こんな大々的な報道がなされております。
 大和銀行の事件もそうでありますし今度の事件も、やはり私ども日本の国益を損なう大きな事件ではないだろうかと私は思います。これらに対して、現時点での情報あるいは政府の対応、確かに民間の企業でございますので、場合によっては政府が云々するということはないとも思いますけれども、やはり事は日本の国益に関係する事柄でもございますので、その辺のことをぜひ御見解を承りたいと存じます。
○国務大臣(塚原俊平君) 住友商事から私どもが現在報告を受けていますことをまず申し上げますと、第一点といたしまして、米国商品先物取引委員会及び英国証券投資委員会が最近の銅地金市場の異常な値動きに関して調査を開始し、同社もこれに協力してきた過程で、同社職員が会社の許可を得ない銅地金取引により損失を与えていた事実が判明した。二点として、現段階で同社が負担するおそれのある金額は、銅の市場価格にもよるが、十八億ドル程度と予想される。第三点として、同社としては、事態の解明に向けて社内調査を進めるとともに、英国及び米国の監督当局の調査に全面的に協力していく方針である。四点目として、予想される損失は多額であるが、同社の財務体力から見て十分吸収できる額であり、損失が確定した段階で直ちに処理する方針であるとの報告を受けております。
 また、昨日も同社から連絡を受けましたが、本件につきましては引き続き社内調査中とのことであり、当省としてはこの社内調査及び英米監督当局による調査の進展を見守ってまいりたいと思います。
 本件の発生はまことに残念なことでございますが、企業として責任を持って善後策に万全を期すことを期待いたしております。
○続訓弘君 大和銀行のその後の決着につきまして、大蔵大臣からお答えを願いたいと存じます。
○国務大臣(久保亘君) 昨年発生いたしました大和銀行の事件につきましては、大蔵省として九月二十九日に内部管理体制等の問題について点検を行うよう指示をいたしたのでありますが、その後、十一月二日にアメリカの監督当局からアメリカからの撤退命令が出されて、ことしの二月二日までに米国におきますすべての営業を閉鎖いたしました。十一月二日にそのような命令が出されました翌日、大蔵省といたしましても大和銀行に対して銀行法等に基づく業務改善命令を発したところでございます。
 司法の方はその後アメリカの司法当局とのいわゆる司法取引によって裁判は決着いたしておりますが、これは司法当局と大和銀行との問題でございまして、私からコメントする立場にございませんが、この教訓に基づいて、これらの金融機関等の内部管理体制、リスク管理体制等についてさらに厳しく改善が行われるよう指導してまいりたいと思っております。
○続訓弘君 私は、両事件を教訓に、これからも日本の国益を損なわないような施策を政府当局に要望申し上げます。
 次に、私は長年地方自治に携わってまいりました。それだけに地方分権についてはとりわけ関心がございます。
 たまたま私の手元に「「自治・分権」で活力ある日本へ」、こういう冊子を入手いたしました。これはことしの五月二十日発行の公明新聞の編集に係る冊子でございますけれども、この中を読ませていただきまして、地方自治体が抱えている要望といいますか、私はそれらについてなるほどなという感じを受けました。
 中尾建設大臣も地方自治に大変関心がおありの方だと存じますので、ぜひこの生の調査のデータをお示ししながら御所見を伺いたいと存じます。
 この中で、実は都道府県は一〇〇%の回収率でありました。二十三区ももちろん一〇〇%でした。市は八七・八%の回収率でした。三千三百余団体の悉皆調査であります。これからの地方分権を推進する意味でどんな問題点があるのか、分権、緩和に対して地方団体はどんな要望を持っているのかというのが調査の内容でございました。この結果につきましては、四月二十二日に梶山官房長官を通じて総理大臣にも調査結果を藤井代表から発表してあるというコメントまでついてございました。
 その中で、四十七都道府県も政令市のすべても、また市町村のすべてが第一に掲げているのが実は都市計画法の見直しでありました。身近な町づくりにいろいろ制約があっては困る、その制約をぜひ外してほしい、これが地方団体の要望の第一であります。
 建設省とされては今までも都市計画法の見直しを積極的に進めてこられましたけれども、こんな生の調査のデータを私は直接拝見しながら、なお大臣の政治的な力でこの際、今すぐとは言わないまでも、ぜひ都市計画法の見直しを地方団体が望む方向でお願いをしたい、こういうふうに思いますけれども、所見をひとつお聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(中尾栄一君) 続委員にお答えさせていただきたいと思います。
 都市計画についての御質問でございまして、都市計画の決定というものは、身近な事項は地域に密着をしている市町村、広域的事項は知事という役割分担のもとに、すべて地方公共団体において行われていることになっておる次第でございます。
 このうち、市町村決定の都市計画につきましては、知事が定める都市計画との総合性、一体性というものを確保するためには、原則として、もう委員も既に御案内のとおり、知事が承認を行っているわけでございます。また、知事決定の都市計画のうち、高速道路などの国の政策や利害との調整が必要な事項については建設大臣認可あるいは関係省庁協議を行っているわけでございます。
 地方公共団体の都市計画に関する意見は、市町村が定める都市計画の範囲や、あるいはまた知事や国との調整手続に関するものが多いと理解しておる次第でございます。
 建設省といたしましても、地方分権推進委員会や都市計画中央審議会における検討も十分に踏まえまして、地域住民に身近な市町村の役割を一層拡大するとともに、知事や国の関与についても、その趣旨に必要な範囲にとどまるような必要な見直しを行おうという方向で努力していく心算でございます。
 以上でございます。
○続訓弘君 今、大臣から力強い方針を承りまして、安心いたしました。ぜひその方向で見直しをお願い申し上げます。
 次に、固定資産税の関係について自治大臣にお伺いいたします。
 来年度の評価がえをいよいよ間近に控えまして、地方団体は、地方団体というよりも納税者が大変心配をしておられます。それは、御案内のように、土地はどんどん下がっている、にもかかわらず固定資産税は場合によっては今よりも高くなるんじゃなかろうか、こういう心配であります。
 それはいろんな仕組みがそうさせているんですけれども、実際に土地は下がっているのにかかわらず何で税金は高いんだ、こういう疑問と不安があるわけでございますけれども、来年度の実際の固定資産税の評価のあり方についてどういう検討をしておられるのか、その辺のことを伺います。
○説明員(佐野徹治君) 固定資産税につきましては、来年度、平成九年度は評価がえの年でございます。前回の平成六年度の評価がえのときに、これは土地基本法の趣旨を踏まえまして公的な評価の均衡化を図るというような観点から、地価公示価格の七割程度を目標に固定資産税の評価額を定める、こういう方針で平成六年度の評価がえを行った次第でございます。これは土地基本法のそういう基本的な考え方を受けて行っておりますので、私ども平成九年度の評価がえにおきましても、この地価公示価格の七割程度を目標にといった基本方針を堅持いたしながら、評価の均衡化、適正化を推進してまいりたいと考えております。
 今お話ございましたけれども、地価公示価格の七割という考え方でやっておりますので、平成九年度の評価がえにおきましては、恐らく大方の地域におきまして評価額は下がるのではなかろうかと考えております。
 ただ、固定資産税につきましては、毎年非常に多くの納税者の方々から継続して税負担をお願いする、こういう性格の税でございますので、地価が非常に高騰いたしましたときにも、本来でしたら固定資産税というのは資産の価値に応じて課税をいたす税でございますので、地価が大幅に高騰いたしましたときには、本則で課税をいたしますとそれに見合って税負担が上昇する、こういう性格のものでございますけれども、今申し上げました固定資産税の性格を踏まえますと、そこは一挙に税負担の増加を、増大をお願いするわけにはいかない、こういう考え方で従来やってきておりますので、地価が下がりました場合に、従前からの課税標準額と現実の評価額、ここのところにつきましては大方の地域におきましてはまだある程度の乖離がございます。恐らく平成九年度の評価がえ、これはまだ数字出ておりませんけれども、平成九年度の評価がえのある程度の姿が見えてまいりましたときにも、そこの乖離の問題というのはやはりまだ残るのではないか。
 そういたしますと、税負担のあり方を考えます際に、今お話ございました、一方で現実に地価が下がり、また評価額が下がっている、こういう問題があるわけでございますが、固定資産税というのは従来過去からの積み重ね、積み上げで税負担をお願いしてきておりまして、今申し上げましたような評価額と課税標準額との乖離の問題というのが残っておりますので、そこいらの税負担のあり方をどうするか、こういうことにつきましては今後評価がえの動向を見ながら税制調査会等でもいろいろ御議論をいただくことになると思いますけれども、そういうことも踏まえながら検討してまいりたい課題であると思っております。
○続訓弘君 東京新聞のことしの六月十二日付にこんな見出しがございます。「固定資産税「大増税」に首都圏悲鳴」、こういう大見出しであります。
 その中に、実は「九四年度の固定資産税評価額の大幅引き上げをめぐり、全国で大都市を中心に過去最高の約二万件の不服審査請求が出された。東京都には二千三百件が殺到」と。前回評価がえのときにはわずかに三十件であったのにかかわらず、今申し上げたように二千三百件、何と八十倍の増加であったと。その二千三百件の審査請求に対してまだ実は結論が出されていない。本来ならば、法律によれば三十日以内に結論を出さなければならないのにかかわらず、二年たってもまだ結論が出ないという膨大な審査請求が出されている。恐らく来年度の評価がえに対してもこれ以上の審査請求が出されるんじゃなかろうか、こんなふうにこの新聞は報じておりました。
 今、せっかくのお答えではございますけれども、そういうことのないような何らかの負担調整その他の配慮ができるのかできないのか、あるいは当局としてそういうお考えを持って市町村に指導しておられるのかどうなのか、その辺のことについてお伺い申し上げます。
○説明員(佐野徹治君) まず、固定資産評価審査委員会のお話がございましたけれども、この件につきましては、平成六年度の評価がえに伴います審査の申し出の状況につきましては、私どもも関係の団体からいろんな状況はお聞きをしているところでございます。
 確かに、まだ審査が終わっていないというようなところもございまして、法律の規定等もございますので、私どもといたしましては迅速な処理については関係の団体に適切に指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 また、固定資産評価審査委員会自体は固定資産の評価等に関する納税義務者の不服を審査、決定する、そういう非常に重要な職務を担当する組織でもございますので、これらにつきまして平成六年度の評価がえに伴いますいろんな現実の問題点、取り扱いの状況、こういうことにつきましては、私どもそれぞれの団体の実情等につきましてはよくお聞きもし、そのあり方等につきましては十分に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、その負担等についてどう考えるかというお尋ねでございますけれども、先ほど由しましたようなことでございます。要するに、評価額につきましては恐らく平成九年度の評価がえでは大方の地域において下がるとは思いますが、負担のあり方自体につきましては、評価の動向が判明をいたしまして、それらを見ながら具体的にどういう考え方でやっていくか、これは税制調査会等いろんな関係の機関での御審議もいただかないといけない性格のものでございますから、そこいらの審議の状況も踏まえながら私どもも検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○続訓弘君 せっかくの御検討をお願いいたします。
 次に、先ほどの調査データに基づく市町村あるいは都道府県等々、地方団体の要望の中にこんな要望がございました。何といっても仕事に見合う財源をちゃんと手当てしてほしい。実際の歳入は三割しか入ってこない、しかし仕事は七割の仕事をやっている。したがって、少なくとも地方団体に対しては五対五の財源配分が当然ではないか、こんな要望でございました。
 その中に具体的にこんな提言もございました。例えば所得税、住民税については、平成六年度決算で所得税が約二十兆四千億円に対して、個人住民税は八兆八千億弱であります。ほぼ五対二の割合でありました。今後高齢化が進むにつれ地方団体の役割がますます高まることはもう当然見込まれております。そういう中で、住民が居住する都道府県、市町村の行政サービスの原資となる税としては、個人住民税はいろんな税目の中で一番地方団体に適しているんではないか、こんな指摘がございました。
 そこで、今後所得税に対する個人住民税の割合を高めてはどうかというのが要望としてございました。これらに対する自治大臣の所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(倉田寛之君) 続委員からいろいろな視点で御指摘を賜りましたが、地方団体は高齢化社会に向けましてその施策の推進あるいは社会資本の整備充実等を図ってまいります上で重要な役割を果たしていかなければなりません。したがいまして、地方税源の充実を図りますとともに、安定的な地方税体系を確立する必要があるものと同様に考えておるところでございます。
 地方税源は、できる限り住民の皆様が地方団体に対しまして直接負担する税によって充足することが望ましいことだと思います。税制調査会の答申におきましても、地方の基幹税目である個人住民税につきましては、中長期的にはその充実を目指す必要があるとの考え方が示されておるところであります。
 いずれにいたしましても、個人住民税を含めました地方税源の充実につきましては、今後とも税制調査会等の審議を煩わしながら検討を進めてまいりたい、かように考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
○続訓弘君 なお、要望の一つとして、今申し上げた地方の事務配分に見合う財源配分を今後真剣に検討していただくためには、総理大臣の諮問機関である税制調査会の中に国税部会と地方税部会を設置して、税源配分を精力的に検討していただくことはできないだろうか、こういう要望がございます。これについての所見を伺います。
○国務大臣(倉田寛之君) ただいまの御指摘の点でございますが、地方分権推進委員会におきましては、地方分権の推進に関する基本的な事項につきまして調査、審議をするため設けられておりまして、この中で国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保のあり方などにつきましても専門的な検討を加えてまいりますために、補助金・税財源検討グループを五月に設置いたしまして、現在鋭意御審議をいただいているところでございます。
 一方、税制調査会におきましては、国税及び地方税を通じた課税のあり方などの租税制度の基本的な事項を調査、審議をするため設けられているものでございまして、地方税につきましても国税との関連、また国税、地方税を通じる国民の租税負担率のあり方など税制全般について十分な審議をいただいておるところでもございます。
 なお、必要に応じまして税制調査会に小委員会、専門部会等を設置し、近年におきましても、地方税に関しましては、平成六年四月に地方消費税を検討するため地方税源問題ワーキング・グループが設置されるなどいたしまして、地方税源の充実に十分配慮した運営が行われておるものと、かように考えておるところでございます。
○続訓弘君 ありがとうございました。
○竹村泰子君 初めに、二年前、平成六年度から予算が計上されておりまして着々と準備が進んでおりますアジア歴史資料センター、八年度予算は千五百三十二万七千円の予算がとられておりますけれども、きょうは梶山官房長官においでいただきました。
 昨年の六月に「アジア歴史資料センターの設立について」という有識者会議からの報告書が出ておりますけれども、これはもうみんな配られておりますので、そのあたりは時間の関係で詳しくお聞きする暇がございませんけれども、この報告が出されて以来この一年、どのような準備がされて、そしてどんなふうに、いつ本格的に立ち上げようとしておられるのか。そして、これは大事なアジアの歴史資料センターとなるために、アジア地域、国内のハブセンターとしての機能もというふうにうたわれておりますので、ぜひ官房長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○説明員(平林博君) 官房長官からの御決意のほどの前に一言だけ事実関係を御説明させていただきます。
 竹村先生におかれましては、常日ごろから本件につきまして大変な御理解と御支援をいただいて感謝申し上げます。
 詳細は申し上げませんが、この有識者会合の意見を出していただいた後、政府といたしましては、これの実現のために関係各省庁、それから国会図書館等のいろいろな御意見、お知恵もおかりしながら目下鋭意検討中でございまして、本年度は約一千五百万円の予算もいただいておりますので、これを適切に執行してまいりたいと考えております。今、内閣の官房で鋭意検討しておりまして、関係省庁と近々できるだけ具体的な話に入りたい、こういうふうに考えているところでございます。
○国務大臣(梶山静六君) お答えを申し上げたいんですが、残念ながら私はこの問題に関して深い知識を持っておりません。この質問が出てから有識者の提言を概読させていただきまして、改めてこの問題の大切さを感じたわけであります。
 いずれにいたしましても、私たち戦後五十年余を過ごしているわけでありますが、戦前と戦後における価値観やあるいはそれぞれの国の持っている歴史性、あるいは国際認識の違い、歴史観、そういうものをやはり客観的に組み立てて、それを一つは国内的には次の世代に残して、その部材、部材をどうつなぎ合わせてみずからの判断に資するか。それから、今先生御指摘のように、特にアジアにおけるハブ的な役割をどう果たしていくか。改めてこの大切さを感じたわけであります。
 歴史というものは、一度失ってしまいますと資料というものはなくなってしまいます。そういうことを考えますと、極めて大切な問題だという問題意識を持ちまして、この推進に努めてまいりたい、このように考えております。
○竹村泰子君 官房長官の非常に大切なものであるので成功に向けてきちんと進めてまいりたいという御決意を伺いまして、私も大変うれしく思います。ぜひ計画倒れにならないように。
 そして、諸外国、特にアメリカやドイツ、ヨーロッパなどでは本当に戦争というものの悲惨さを後世に伝えよう、二度と再び過ちを犯さないようにしようという決意のもとに大変いい歴史資料館がたくさんございます。この有識者の先生方も大分海外も視察をしてくださっているようでございますけれども、ぜひとも歴史に残るよいものをつくっていくためにお力を注いでくださいますように、改めてお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。仮称戦没者追悼平和祈念館の建設をめぐってであります。
 平成五年度予算で戦没者追悼平和祈念館は総経費百二十三億円の国庫債務負担行為として計上されました。平成七年度の予算で二年間の延長が認められ、平成九年度内に完工を見ることになっておりますが、地元の千代田区の区議会や住民の反対により、まだ着工に至っていないというふうに聞いております。厚生省はどのような着工見通し、また平成九年度内に完工見通しを持っていらっしゃるのかどうなのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(佐々木典夫君) 戦没者追悼平和祈念館(仮称)の着工、それからいつごろの完工の見通しであるかというお尋ねでございます。
 これは先生よくよく御案内のとおりでございますけれども、この戦没者追悼平和祈念館(仮称)につきましては、厚生省が戦没者遺族の援護施策の一環として長い時間かけて検討してまいった事業でございます。
 細かい経緯は省略いたしますけれども、今御紹介がございましたように、平成五年に計上いたしましたが、その後、各方面の御意見もいただきいろいろ検討も重ねまして、昨年九月、地元の住民の皆様の御要望などを踏まえまして、事業の内容それから建物のデザイン両面にわたりまして見直しを行いました。そういうプロセスを経まして、三月より建設予定地の碑の移転などの事前工事に着工し、準備を進めているところでございます。
 現在、建物本体の建設工事につきましては、建築確認の申請を東京都知事に申請をいたしておるところでございます。この建築確認を受け次第、本体工事に着工いたしまして、今の予算で予定をいたしてございますが、平成九年度末の竣工を目指して諸般の準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○竹村泰子君 これがいろいろないきさつがありまして、地元の千代田区民から、先般、工事差しとめの仮処分申請が出されております。千代田区住民は風致、景観、防災の面から建設に反対をしているわけです。
 厚生省は建設計画を地元にこれまでどのように説明してこられたのか。また、今後とも地元住民と話し合うつもりでしょうか。その際、地元住民が納得するまで着工を見合わせるお考えはおありでしょうか。どうでしょうか。
○説明員(佐々木典夫君) これまでの、特に建設予定地千代田区の地域の住民の方々への御説明の経緯なりのお尋ねでございます。順次御報告させていただきます。
 実は、この建設に当たりましては、地元の千代田区議会の議長さんより平成六年三月、それから同じ平成六年八月に景観問題につきまして御意見をちょうだいいたした経過がございますし、昨年三月には防災対策につきまして御意見をちょうだいしているといったようなことがございます。
 ただ、平成六年八月の意見書で見てみますと、平和祈念館の建設そのものには反対するものではない、しかし景観問題等についてよくよく地域との相談をするようにというようなことでございました。このほか地元の町会等からも要望書等が寄せられてきているという経過がございます。
 それで、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、そのほか関係各方面からの御意見も踏まえまして、昨年九月にデザインあるいは事業内容の見直しを終えたわけでございますが、特に建物のデザインにつきましては、九段坂の周辺環境との調和に最大限配慮したものに抜本的に見直しをいたしたところでございます。
 それで、昨年十月に区議会からは、その意見書等を踏まえ厚生省より周辺環境との調和に配慮した設計の一部見直しが示されたが、地域住民や地元町会の皆様方と十分に協議を行い、引き続き努力するようにという意見を重ねていただいた経過がございます。
 そして、防災対策に関し、建物の耐震性あるいは避難場所の提供、非常時の飲料用水供給設備の設置等必要な対応を講じまして、その旨地元に十分に説明をしてまいったところでございます。
 このような経緯を経ているわけでございますが、さらに先般三月でございますが、千代田区議会担当委員会、企画総務建設常任委員会でございましたが、その委員会との懇談会に私どもの担当が出席いたしまして、特にデザインの見直しあるいは防災対策、さらには都市計画公園あるいは国民公園の手続などにつきまして御説明の機会を持たせていただいたところでございます。
 このような経過を最近たどっておるわけでございますが、この結果を踏まえまして、三月二十七日には区議会から地域住民の皆様とさらに協議を行うよう要望が出されてきており、その後も私どもも住民の方々との話し合いを行ってまいったところでございます。あるときは竹村先生にごあっせんいただきまして、住民の方々と接触の機会等もお取り計らいを願ったことも先生御案内のとおりでございます。
 なお、先ほどもございましたが、最近、今もお話の中で工事差しとめの仮処分申請があったというふうな報道が確かにございました。しかしながら、厚生省といたしましては、現時点におきまして報道にありましたような申し立ての文書等を入手いたしておりませんで、事実関係は確認できておりません。恐らく裁判所が必要な判断を加えた上で、被申立人であります国の方に必要がありますれば書類の送達等があるかと思いますが、現時点まではそういうこともないような状況でございます。
 いずれにいたしましても、厚生省といたしましては、今後とも地元などの関係方面の御理解を得る努力をさらに重ねながら祈念館の建設を進めていきたいと考えております。
○竹村泰子君 時間が短いものですから長い答弁は困るんです。
 今いろいろ御説明がありましたけれども、なぜこんなにこじれてしまったか。
 一つには、皆様御案内のとおりですが、九段会館の前の駐車場という非常にすばらしい一等地であるということですね。ここに戦没者追悼平和祈念館、このいきさつはもう私触れません。八〇年から調査費がついて、いろいろと遺族会の強い御要望もあり、そしてこういう経過になっているわけですけれども、私が問題にしたいのは、周辺住民及び地元自治体の理解と協力のもとに建設されるべきであると。
 今御説明があったように、区議会は九四年の三月、建設省それから厚生省に対して見直しを求める意見書を出しました。これに対して、両省は説明会を開催して、電波障害、風害、交通、景観などを含めて地元の了承を得たものとする国と、景観問題は平行線とする地元の住民たちと意見の対立があった。そして、ここが非常に、後で時間があれば触れたいと思いますが、江戸切り絵図によりましても大変大切な火よけ場なのですね、避難場所でありまして、大切にこれまで守られてきたところであるということ。
 それから、区議会の方の書類によりますと、区議会の昨年の第三回定例会において、防災上の観点から見直してほしいという意見書を提出されました。そして、十二月には地元住民の意向を把握するため委員会との懇談会を開催し、厚生省等との懇談会をする必要があるという意見があった。しかし、ことしの三月に厚生省は突如として十二日から事前工事として碑などの移転に着手するとともに、五月から本体工事を開始するとのプレス発表を突然行った。これに対して区議会は、地域住民との協議中であり、合意も得られていないではないかと言って怒っているわけですね。このための抗議文を厚生大臣及び建設大臣に直接手渡した、こういう経過があった。
 それから、ことしの三月十三日の朝日新聞の夕刊でありますが、厚生省と環境庁のいわゆる密約があったと。この密約というのは、将来、戦没者追悼平和祈念館建設後に環境庁の管理する国民公園にこれを編入するという確認書でありまして、これが密約というふうに報道されたわけです。この土地は都市計画公園予定地でありまして、都市計画法により建築制限がなされている地域なんですね。ですから、計画されている戦没者追悼平和祈念館は、現状の都市計画公園予定地として建設すれば制限に引っかかってしまう。このような大きな建物は都市計画法の公園施設としては許されていないものなので、それは違法建築ということになってしまいます。違法建築にならないために、将来的にできたときにはそれじゃ国民公園にしようじゃないかという局長クラスの密約ができていたと。
 こういう現状のままでいけば、戦没者追悼平和祈念館は都市計画公園予定地のままで建築すれば違法建築であると、こういう認識を厚生省はお持ちでしょうか、どうでしょうか。
○説明員(佐々木典夫君) いろんな角度からの論点がございました。
 地域の住民の方への対応は先ほど申しましたので繰り返しませんけれども、私どもとしましては、電波障害の問題を含めていろんな問題について最大限できることをやり、誠実に対応してまいっているつもりでございますし、今後ともそういう努力を引き続き続けたいというふうに思っております。
 それから、密約でないか、あるいは土地の規制の上での適法な手続なのかどうかというお尋ねでございますが、この点はいろんな機会に御説明をさせていただいているつもりでございますけれども、改めて申し上げさせていただきたいと思います。
 この祈念館の建設予定地が、実は今ございましたように都市計画の上では東京都都市計画中央公園の区域に確かに入ってございます。その意味では、その地域に建築物を建てる場合には、都市計画法第五十三条という規定に基づきまして都知事の許可がありますれば、これは適正に建築ができるという扱いになっていることは御案内のとおりでございます。
 そういう意味での都市計画法第五十三条の規定に基づく許可はどういう場合に得られるか。この建設に当たりまして、私どもは東京都庁に当然のことながら事前の協議をさせていただきました。協議の結果は、平和祈念館(仮称)が国民に広く利用される共用施設、例えば陳列館とか図書館等というのが東京都の例示に挙がっておるわけでございますが、そういう共用施設としての性格を備えている。それから二つ目には、建物が完成後は国民公園に編入する。それから三つ目には、公園としての機能をよりょく発揮させるために、オープンスペース等の確保により来訪者のための休憩とかあるいは憩いの場となるようにするとともに、植栽等により周辺の自然環境との調和に十分配慮すること。こういったような大きく三点の条件が満たされるならば、都市計画法第五十三条の許可の対象とされるというふうな御判断でありました。
 そういったような経過を踏まえまして、私どもは環境庁と協議を行った結果、平和祈念館建設用地の取り扱いあるいは周辺環境への配慮等を内容とする厚生省社会・援護局長と環境庁自然保護局長との連名によります東京都知事あての確認書を提出したというのが経過でございまして、そういう意味では、行政庁である東京都知事に申請に当たっての添付文書ということで出したものでございまして、何ら密約とかいったようなことを言われる文書ではないことは御理解をいただけるものと思います。
 そういう意味で、やや長くなって恐縮でございますけれども、建築基準法にのっとった適法な手続で処理を進め、必要な文書処理をしてきたものということでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○竹村泰子君 菅大臣にお伺いいたします。
 今いろいろと言いわけがございましたけれども、こういった都市計画法に基づいて堂々と規格に合ったものを、そうしたら小さ目に建てるというふうにするか、あるいはまた違うところを探すかという方法もあると思いますけれども、何しろ初めにそこに建てるべきという、平和祈念館ありきということでいくからこういうことになるんだと思うんです。しかし、新聞に報道されるまで地元の住民もこのような確認書の存在は知らされておりませんでした。もちろん区議会も知らされておりませんでした。これでは当然地元の理解は得られないんじゃないか。私は、これはエイズ資料を隠してきた厚生省の体質と共通するものではないかと思うんです。
 菅厚生大臣は、この確認書の存在についていつ知らされ、どのような説明をお受けになりましたか。それから、これは国立の施設ですから、このような法を犯してと言うと言い過ぎかもしれないですけれども、違法な建築をしようとすることに対して、どのような感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(菅直人君) お尋ねの確認書というものは、これは平成五年の十二月に東京都に出されているわけですが、東京都に対してこの資料の開示請求がことしの二月半ば過ぎに出されたようでありまして、そういった段階で私にも事務方から三月の初めにこういった経緯についての報告がありました。
 その後、新聞にもそのことが若干、先ほど来、何か密約というふうな表現で報道されましたが、それよりも少し前に私のところに報告があって受けております。
 その経緯については先ほど局長から答弁がありましたが、土地利用について、都市計画法の許可を受ける場合にいろいろな行政間の手続などがあるわけでありまして、そういう点では、この場合、この祈念館建設用地の取り扱いについて厚生省、環境庁がこういう扱いで考えるということを確認したことによって、東京都もそれなら都市計画法上許可を与えることができるという判断を示される、そういう材料になったわけでありますので、そのこと自体が違法な行為に当たるということでもないと思いますし、また、そういう結果許可がされるとすれば、それもまた違法だということにはならないんではないか、このように認識しております。
○竹村泰子君 私は、これまで国会の中で、強制連行や在日の旧軍人軍属の国籍問題、従軍慰安婦問題などを取り上げてまいりました。内容的にも、加害の歴史を忘却するような戦没者追悼平和祈念館では、アジアの国々から日本に対する不信感はますます募るのではないかと思います。この平和祈念館の展示やその活動が歴史認識の溝を埋め、アジアの国々から日本への信頼を回復する場になることこそふさわしいものではないかと思います。
 厚生省は、この立場に立って戦没者追悼平和祈念館の建設、展示、運営をいましばらく調査検討し、もっとふさわしいものにしていく、見直すお考えはありませんでしょうか、大臣。
○国務大臣(菅直人君) 今、竹村委員がおっしゃった考え方は私も共通な点が多いわけであります。最初の御質問の中でも、アジア歴史資料センターについて官房長官の方からも現在の取り組みの考え方がありましたし、また、この連立政権ができている三党合意の中でもこの歴史資料館などについての一つの合意がなされております。そういった点については、それは新たな施設であるのかどうなるのかは私も定かではありませんが、そういった中で十分に議論をしていただき、進められるということを期待いたしているわけであります。
 この戦没者追悼平和祈念館につきましては、先ほどるる担当の局長が申し上げたように、厚生省が戦没者遺族の援護施策の一環として長い時間をかけて検討した経緯がありまして、地元を初め各方面の意見を入れて幅広く手直しもしたり、見直しをしたり、いろいろな形の中で所要の準備を進めてきた事業であります。
 私としましては、これまで検討して積み上げてきた考え方や方針を踏まえ、さらに地元の関係各方面の御理解を得ながら施設の建設を進め、祈念館が広く国民に親しまれるものとなるように、そういったものを目指して事務方にも努力するように指示をしているところであります。
○竹村泰子君 私はきのう菅大臣のところにこういう江戸切り絵図をお届けしておきました。
 これによりますと、本当に大切な火よけ場としての役割がよくわかるようになっております。そして、この真ん中には、住民たちが、仮称九段平和祈念公園、こういう公園を私たちは欲しいんだと言っておられる、そういう計画、思いが書かれております。ぜひこれを菅大臣ごらんいただきまして、この予定されている敷地は一時江戸幕府の蕃書調所でもあった。つまり西洋の書類を調べたところでもあった。
 そして、もっとおもしろい資料が私ちょっと調べておりましたら出てきたんですが、「靖国神社百年史」によれば、日露戦争のときに沙河停車場という、中国の地名ですが、ここで戦利品の給水器一台が遊就館に寄贈せられたということで、その給水器というのは、ここに写真がありますけれども、大変立派な重々しいものなんです。これを壊してしまうおつもりなんです、厚生省は。
 それで、やはり西南の役から日露、ずっと日本の大切な中心地として、遺跡を預かる場所として、あるいは住民の火よけ場として大切にされてきたこの場所を、何とか住民の意向に沿ったよいものを建てていただけるように私は改めてお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○今井澄君 社会民主党の今井澄でございます。
 平成六年度決算について、会計検査院が力を入れましたODAについて本日は質問したいと思いますが、それに先立って、緊急の課題であります部落差別撤廃にかかわる問題、いわゆる同和問題について中西総務庁長官にお尋ねしたいと思います。
 緊急と申しますのは、去る六月五日に与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームが三項目の合意、法的措置を含むものの合意をいたしまして、六月七日には与党の政策調整会議で確認し、さらに十日には政府・与党首脳連絡会議で報告をし了承された。この問題は法的措置、それから特に来年三月に期限が切れるいわゆる地対財特法にかかわる期限切れの問題があって、それに先立ってこの夏の概算要求の時点で予算措置をすると同時に、法律についての措置をしなければならないということがあるので、御質問をいたしたいと思います。
 今申し上げた長い間の議論の経過をたどって大変前進をした、法的措置によって対処するという三項目の合意事項が確認されましたが、こういった合意を受けて、総務庁長官として同和問題の抜本的解決に向けた今後の決意と取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(中西績介君) 今、委員御指摘の与党プロジェクトの三点にわたる合意が確認をされたわけでありますけれども、これをさかのぼってみますと、五月十七日に地対協の方から意見具申がございました。それに沿ってプロジェクトの方も論議をしていただきまして、今、委員御指摘のように、三つにわたっての合意点、特に教育・啓発の推進に関する問題、さらにまた人権侵害に対する必要な法的措置あるいは制度の問題、さらにまた地域改善対策協議会からの内容の中でより具体的な事業課題としまして、財政的措置、法的措置をしなくてはならぬという問題についても法的措置を講じることということで三点合意をいたしております。その後、委員御承知かと思いますけれども、与党政策調整会議におきましてもこれを報告し、了承を得ておりますし、引き続いて首脳会議におきましても同じように報告、了承をされておるところであります。
 こういう状況の中で、私といたしましても、与党プロジェクトチームの方々が参りまして、与党合意の内容を実現していくように強い要請がございました。
 こうした中で、私自身、去る五月十七日には法的措置を講ずるということでもって政府としてのまとめを発表したところでありますし、あわせまして、六月十九日には閣僚懇におきまして関係閣僚の皆さんにこれらの経緯を説明申し上げまして、協力要請をいたしたところであります。したがって、全体的に環境としては、こうした法的措置について私は大きな前進を見たし、大体でき上がってきておるということが言えると思います。
 そうした中でございますので、政府といたしましては、地対協の意見具申を尊重いたしますとともに、関係各省の緊密な連携の中におきまして、来年度予算の概算要求を念頭に置くということになりますと、七月までに法的措置についてある程度結論的なものを出していかなくてはならぬ、こういうことになると思います。したがって、そうした方向でこれから進めていきたいと思います。
 特に、与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームの議論の動向等も十分お聞きしながら、連携をとりながら、これらについてもさらに進めていきたいと思います。
 そして、特に問題になっております地対協意見具申の中でも、第一の問題点として教育・啓発の推進に関する問題については、これの解消なしに戦後五十年、人権問題の解決を見たなどということは到底できないわけでありますから、何としても政府・与党一体となって同和問題の早期解決をするという視点からいたしますと、この問題についても十分精査をして一定のまとめを出していきたい、このように考えております。
○今井澄君 中西長官の力強い決意をお聞きしたところでありますが、そうしますと、ちょっと具体的にお尋ねいたしますが、地域改善対策特定事業に関する法的措置については、来年度予算にかかわることですので、法案の提出は次の通常国会になるだろうと思いますが、この夏の概算要求の確定していく時期には法案要綱的なものは大体明らかになる、具体化されるというふうに理解しておりますが、それでよろしいかどうかということ、それから第二点目は、最後に長官がおっしゃいました教育・啓発の推進に関する法的措置でありますが、これに取り組んでいくということになりますと、次の国会あたりにそういったものが出てくるのかどうか、その辺についてちょっとお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中西績介君) 一点目につきましては、今御指摘ございましたように、予算関連もございますので、法案としては通常会になると思いますが、概算要求時期に方向性というものを明確にしなくてはならぬわけでありますから、これまでに結論を得る必要があると思います。したがって、この七月という時期を目指していかなくてはならぬ、こう考えております。
 それから二点目の問題でありますけれども、この問題につきましては、他省庁との関係もまだございますので、十分な連携をこれからとるようにしていかなくてはならぬと思いますし、先ほど申し上げました与党の人権と差別問題に関するプロジェクトチームの御議論等も経まして、十分な体制の中でこれをつくり上げていかなくてはならぬだろう、こう考えますので、可及的速やかに何としても一定の姿が見えるようにこれをしていきたいと思っております。
 以上です。
○今井澄君 できるだけ近い国会に提出できるように、可及的速やかに実現していただくことを切に要望しておきたいと思います。
 それでは、ODAについての質問に移りたいと思いますが、私はこの四年間ずっと決算委員会に所属しまして、ODAの問題、それからダムの問題、核燃料リサイクルの問題、こういった大きなむだ遣いの問題について取り上げてきたつもりでありますし、小さなむだ遣いでは、さきの平成四年度、五年度の審査のときに医療食の問題を質疑いたしまして、ありがたいことに今年度をもって廃止されるということになって、大変私自身も喜んでいるわけです。
 さて、そのODAの問題ですが、今回大変会計検査院、力を入れて取り組んでおられることに敬意を表したいと思います。
 けさの新聞でしたか、マレーシアのサラワクの巨大ダムの建設について、高等裁判所が環境アセス等ができていないということで差しとめの判決を出したということがありました。これに日本のODAがどういうふうにかかわっているのか、まだ精査をしてはおりませんので、このことは後ほどまた機会を改めて御質問したいと思います。
 今回の平成六年度の決算検査報告によりますと、平成七年次、六カ国七十七事業の現地調査をされたようでありまして、おおむね順調に推移している。ところが、うち六事業については効果が十分発現していないということで記載されておりますが、その中で直接借款、いわゆる円借款による超高圧送電線の建設事業、これは国の名前が書いてありませんが、恐らくフィリピンだと思います。
 これは、平成四年度までに三百二十億円が貸し付けられて三百二十六キロメートルの超高圧送電線が完成しているわけです。ところが、相手国が自国予算によってつくるという発電所の一つができていないために送電ができないわけですね。全くむだになっているというだけではなくて、実は治安が悪い、それからゲリラが出没するということで、鉄塔が破壊されて電線が盗まれちゃった。私も敗戦直後幼いころに、よくくずがねを集めまして、特に太い銅線なんかがあると喜んで、当時はあかあかと言って、本当にこれでおいしい物が食べられると喜んで集めた覚えがありますが、まさに今、目の前に電気の通っていない高価なものがあればゲリラならずとも欲しくなるでしょうし、また、これがどこの資金源になっているのか、大変ODAとしては問題だろうというふうに思います。
 それも、また復旧工事を始めているらしいんですね、今度は国際金融機関からの融資ということで。そうすると、日本から国際金融機関にもODAでお金が出ているわけですから、どういう関係があるのかわかりませんが、しかも、これはせっかく援助してつくった、それでだめになった。これは全部相手国の借金になって、その相手国の国民の負担にもなっているわけですね。こういうことについて、無計画につくったことを外務省としては一体どうお考えなのか、ちょっとお答えをいただきたい。
○説明員(畠中篤君) 外務省といたしましては、従来から援助の実施に当たりまして、相手国政府及び我が国援助実施機関と緊密に連絡調整いたしまして、ODAの効果的、効率的実施に努めておるところでございますが、基本的な考え方といたしまして、開発の主体は開発途上国自身であるということで、我が国の援助は被援助国の自助努力を前提として支援していくという考え方に基づいております。
 本件報告において指摘がありました案件につきましては、ゲリラによる破壊、盗難、さらには台風による破損という、私どもとしては予見しがたい事情のために当初予定した援助効果が十分発現されていない、そういう事態が生じましたこと、大変残念に思っております。
 我が方といたしましては、このような事態を踏まえまして、フィリピン政府側に鋭意その盗まれた送電線のそういったものの手配を改善するようにということを強く働きかけてまいりまして、その結果、フィリピン政府側が自己資金あるいは一部世銀の融資によって修復作業を行うということになりまして、現在その修復作業が行われております。九七年までにはすべての事業が完了いたしまして、当初の援助効果が得られる見通しとなっております。
 我が方といたしましては、こういう事態が再発しないようにいろいろ心がけながら、援助の一層の適正かつ効果的な実施に心がけていく考えであります。
○今井澄君 そういう予測できなかったと言うけれども、必ずしもそういうものかどうか、もうちょっときちっと当初から考えに入れなければならないと思うんですね。
 昨年末の大蔵大臣の財政危機宣言以来、特に住専が終わったら次は財政再建だと言うぐらい、もう永田町、霞が関を挙げて今最重要の課題になっているわけでありまして、公債依存度についても、それから累積の残高についても、もう先ほどから何人もの方が指摘しておられるように非常に大変な状況だと思いますね。そうすると、このODAも本当に効果を上げる、あるいは相手の国のためにもなるということにならなければならないので、結果的に見通しが甘かったでは済まない問題だろうと思うんですね。
 また、財政改革の場合には聖域は設けないということで、社会保障もODAも今挙げられているわけですけれども、そういった中で、今、日本のODAは、円高のこともあるわけですが、五年連続世界一の額ということが昨今各紙、テレビで報道されているわけです。
 一方、一九九三年から九七年までの五年間に七百億ドルから七百五十億ドルのODAを供与するという中期目標を我が国は掲げているわけですね。現在までのところ四百億ドルですか、それが行われて、この中には先ほども申し上げたようなむだもあったということになりますと、これからこの中期目標を是が非でも実現するということでもいけないと思いますし、必要なものだったら何とか実現しなければならないと思うんですけれども、この中期目標の実現について、それができるのかできないのか、すべきなのかどうなのか、その内容の検討も含めて外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ODAといえども、こういった財政の非常に危機的な状態の中でございますので、決して聖域ではないという御答弁は大蔵大臣がなさると思うのでございますけれども、ODAを担当しております私の立場から申しましても、それはやはり貴重な国民の税金を原資とし行うものでございますから、決してそこにむだがあってはならないし、また、真に開発途上国の方々の生活の安定なり向上につながる効果的なものでなくちゃいけない、そういったことで努力していかなくちゃいけないのは当然だと、このように心得ております。
 そして、確かに中期目標は、暦年で一九九三年から九七年にかけましての五年間で七百億ドルないし七百五十億ドルという目標を掲げまして、九五年までの実績として大体四百億ドルまでいっております。
   〔委員長退席、理事吉川芳男君着席〕
 これをどうするのだというお話でございますけれども、私どもといたしましては、いろいろな事情はあるといたしましても、世界に対しましても、我が国としてこれだけの経済協力を行っていく、そして世界全体の安定と繁栄のために貢献していくということを表明いたしました以上、これはやはりこの目標を達成するために全力を尽くしていくべきものと、このように考えている次第でございます。
 決してODAというのは、いわば持てる国から持たざる国へ何かチャリティーみたいに差し上げるというものじゃございません。御承知のとおり、環境問題一つとりましても、今やもう地球規模の問題、共通の問題でございますし、これだけ経済もグローバル化しておりますから、先進国も開発途上国もみずからの問題として地球全体の安定、発展を考えなくちゃいけない、こう思いますし、とりわけ平和立国を旨としております我が国の外交にとりましてはこのODAというものも大変大切なものだと思います。
 そういったことで、むだ遣いのないように効果的に、そういったことを心がけながら中期目標の実現には努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
○今井澄君 くれぐれもむだのないように、これは日本だけではなく相手国にも大変な負担になるということなんですから。
 ところで、平成六年度検査報告によると、OECFの持っている一年以上の延滞債権額が三千百六十億円、それからいわゆるパリ・クラブで弁済繰り延べが合意されたものが九百七十二億円で、合わせて四千億円余り、貸付残高八兆円ぐらいの中の五%になるわけですね。これは返してもらうお金ですから、返せない国がだんだん出てくるとOECFの会計も苦しくなるし、その分また国庫から入れなければならなくなるということも含めて、これも日本の財政再建にとって非常に大きな問題だと思います。
 経済企画庁としては、一年以上の延滞債権額が貸付残高の五%という数字は非常に高いと思うんですけれども、どういうふうな所見を持っておられるか、また本当にその弁済は可能なのか、その辺について御回答をお願いします。
○説明員(河出英治君) 海外経済協力基金が供与いたしております円借款につきましては、これは政府間の合意に基づきまして、相手国の政府または政府機関に貸し付けられるものでございます。
 したがいまして、円借款の債権は、民間企業などを主な貸付先といたします他の政府系金融機関あるいは民間金融機関の債権とは基本的に性格が異なるものでございまして、当該借入国の政治、経済情勢などの悪化に伴いまして一時的に延滞が発生することはございますけれども、当該国が消滅をしない限り確実に回収される債権であるわけでございます。
 ただいま先生御指摘のとおりに、海外経済協力基金の保有する一年以上の延滞債権額は、いわゆるパリ・クラブにおいて債務繰り延べの合意がなされているものも含めまして、平成六年度末におきまして四千百三十二億円、貸付残高の約五%あるわけでございますけれども、こうした延滞債権発生の背景のほとんどは、債務国側の長期的な経済不振あるいは内戦の勃発などの不測の事態によるものでございます。
 こうした債務国に対しましては、IMF・世銀によりますところの構造調整プログラムの実施あるいは債権国会議での債務繰り延べ等の措置が講じられているところでございまして、この場合でも、円借款債権の償還の確実性は引き続き確保されていると考えているところでございます。
 なお、これまで円借款に関しまして貸し倒れは生じていないところでございます。
○今井澄君 どうもありがとうございました。
○有働正治君 私は、ガルーダ・インドネシア航空機事故にかかわって幾つかお尋ねしたいと思うのであります。
 残念なことに、三名の方がお亡くなりになりました。負傷者も百九名出たわけであります。私は、御遺族の方々に本当に心から哀悼の意を表したいと思います。そして、負傷なされた方々に心からお見舞いをこの場でも申し上げたいと思うのであります。また、関係者、救出その他、犠牲を顧みないで当たられた方々に心から敬意を表したいと思うのであります。
 この事故を通じまして、改めて航空機の安全確保の重要性が国民の間でも大きな課題になってきたわけであります。事故原因の徹底究明、また情報公開、これが求められているわけであります。同時に、今回の事故は外国機ということではありましたけれども、日本の航空機の安全にとっても、再発を防止するという点から見ても、幾つかの問題を課しているんではないかということで、その点でお尋ねしたいと思うのであります。
 まず、消火、救難対策についてでありますが、運輸省当局に事務的にお尋ねします。
 空港独自の消防、救難対策が初期消火という点からいって極めて重大であることは言うまでもないわけであります。ICAOの基準で、空港の機能ごとに消火施設、機材能力等のあるべき基準が克明に決められています。
 そこで、お尋ねします。ICAO基準では、施設内においては二分以内に現場に到着し、一分以内で火災を制圧するということになっていると思うわけでありますが、その点、事実関係だけお尋ねします。
○説明員(黒野匡彦君) お答え申し上げます。
 ICAOにおきましては、今先生のおっしゃったようなことを目標として具体的な消火剤とかその辺の整備を義務づけられているということでございます。
○有働正治君 ICAO基準では、空港カテゴリーに基づきまして消防力のランクが定められているようであります。その空港カテゴリーは1から9にランクされて、空港を利用する機種、その大きさに合わせて、最も大きい機種に合わせてそれが決められている。事故がありました福岡空港は一番大きいカテゴリー9であります。それに対応した消火体制、防火体制、救難体制という問題であります。
 私も実は日本共産党国会議員団の吉井衆議院議員を団長とする調査団の一員として現地を訪れてまいりました。いろいろお話もお伺いいたしました。確かに車両数、泡生産用水、消火薬剤、放射率等々、ICAOの基準をこれは完全に満たしています。問題はそれを動かす人の体制だと思うのであります。
 そこで、運輸省にお尋ねします。福岡空港消防の総員は何人か。それから事故当日、何人体制であったのか。これは万全の体制がとれたというふうに考えておられるか、事実関係だけ。
○説明員(黒野匡彦君) 福岡空港の消防関係の要員は三十二名でございます。ただ、これらの方々は交代制でございますから、いわゆる出面と申しましょうか、事故が起きた当時、勤務についていた人数は十二名でございます。また、さらに非常呼集をかけまして、最終的には三十一名が現場に入っております。
○有働正治君 事実は私もお聞きしたそのとおりであります。私も現場でお聞きしまして、現場に最初に到着した、これはいわば緩衝地帯という状況があったことも事実でありますが、いずれにしても現場に最初に到着したのは指揮車で、これは六分後なんです。しかも、これは車両ごとに定員が決められています。これも詳しくお尋ねしました、定員六名。しかし、一名でこれは出動しています。それから次に、高速の化学車、これも定員三名のところ一名で出動、その後、大型化学車二台、定員三名のところ二名で出動しています。
 つまり、定員は確かにICAO基準、いろんな基準は満たしています。しかし、その基準を完全に実行する上では人がいなくては動かないわけで、人が完備されていてその基準が完遂される、こういう状況になるわけでありますが、定員三名乗車に一名ないし二名しか乗らずに出動せざるを得なかった状況が事故当日の状況のようです。この点、間違いないかどうか。
 それから、二分以内に到著し一分で火災を鎮火するという点とのかかわりでいいますと、本当にこれを完遂するには、一名で運転しポンプオペレーターも行う、通常の数倍の時間がかかることになるわけで、だから現場の実際のところの切なる要望、それは責任を完遂する上での要望でありますが、一人の場合、運転手が車からおりてポンプを作動させることになり時間がかかるだけでなく、火が回ってきたときは消防士の安全にもかかわってくる。人手が足りないということで、この点、万全を期す上でのいま一歩の善処方をよろしくお願いしたい、こういう要望が出されていたわけであります。
 この現状をどう見ておられるのか、定員問題については改善の意向があるのか、本当に動かすには人が足りない、こういう強い要望でありますけれども、この点運輸大臣に改善方を求めるわけでありますが、いかがでありますか。
○説明員(黒野匡彦君) 大臣の前に事実関係をお話し申し上げたいと思いますが、今先生、指揮車の定員が六名と御指摘いただきましたが、実はこの定員は道路運送車両法で言う定員、言いかえれば六名まで乗れますよという定員でございます。したがって、指揮車なり消防の車が十分に機能するのに六名必要だという数字ではございません。したがいまして、指揮車の場合は指揮をとる者が一人でもまず車に乗って現場に早く入るということでもう十分効果があるわけでございまして、そこのところはひとつ御認識をいただきたいと思っております。
 また、二分以内に現場に着くというお話、これは滑走路の末端まで二分以内で着くように各種の機能を整備しましょうということになっておりますが、今回、不幸かあるいは幸いかもしれませんが、道を挟んだ空港の敷地内ということで若干時間をとったのは御指摘のとおりでございます。
○有働正治君 そのことは私も承知しているわけで、しかし化学車についての一人ないし二人については述べられなかったところに問題があるわけなんです。だから、運輸大臣、今の実際上十二人しかその日体制がとれていないというのは現実なわけで、そういう点から言ってこれまで増員等の要望をされてきておられるやには聞いていますけれども、今後この点での改善、やっぱり基準がそのとおりに完遂できる上での改善を求めるわけでありますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(亀井善之君) お答えをいたします。先ほど航空局長から御答弁申し上げましたが、空港の消防関係の要員、このことにつきましてはICAOの勧告、これに基づき、それを上回る消防力の整備がなされておった、このことは事実であります。
 しかし、今般の事故に際しまして消火活動は適切に行われたと、このように信じておりますし、私もすぐその晩現地に参りまして、いろいろ消防団あるいは航空自衛隊の関係の皆さん方に大変な御活躍をいただき、本当に燃料を多量に抱えたそういう状況下であったわけでありますが、いろいろ御努力をいただきましたことに感謝を申し上げている次第でございますが、今後とも空港における消火救難体制については、その充実に努めてまいる決意であります。
○有働正治君 もう一点、大臣にお尋ねいたします。
 本当に当日空港の人たちが必死で対応されたことは、私も実情を聞いてそのとおりで、述べたとおりです。今おっしゃられましたけれども、那覇その他の空港あるいは直営外の委託空港等々を含めまして、今回の事故にかんがみまして消防施設、機材、人員等々、ICAO基準に見合っているかどうか、改めて点検していただいて、改善すべきは改善するという方向で御尽力いただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(亀井善之君) 運輸省といたしましても、これまでも空港における消火救難体制の充実強化に努めてきたところであります。今後ともその意義を十分踏まえて適切に対処してまいりたい、このように考えております。
○有働正治君 次に、総務庁長官に、この人員とのかかわりもありますのでお尋ねしますけれども、長官は福岡県選出ということもありまして、とりわけ御心配し、また対応についても積極的に対応されていると聞き及んでいるわけであります。また、現場にも行かれたというふうに聞いているわけであります。
 そこで、感想を含めてお尋ねするわけでありますが、空港の消防体制、今運輸大臣も今後できるだけ生命を守るために努力していく、改善を図っていく意向を示されたわけでありますが、定員管理にかかわる総務庁長官といたしましても、実態に応じて要望等を出された場合にできるだけ積極的に対応していただくということをお願いするわけでありますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中西績介君) 福岡空港における事故につきましては、今御指摘のとおりだと思います。
 私も福岡空港でいろいろ調査もいたしましたし、意見等についてもお聞きをしたところです。消防体制の整備ということは、これはもう当然過ぎる中身でございます。ただ、問題になっておりますように、消防業務を国が直営するかどうかという問題等につきましても、民間委託が可能なものについては云々ということで今勧告がなされておるところでありますが、こうした点についても、あくまでも安全ということを中心にして、各空港の状況だとか環境だとかいろいろなものを考えて決定していく必要があろうかと思っています。
 ただ問題は、この他の問題につきましては、福岡空港でお聞きになったと思いますけれども、安全対策関係の定員につきましては、平成八年で十五名増員をいたしまして三十一名体制に持っていったところでありますし、特に航空管制官を中心にいたしまして体制を整えておるというところであります。したがって、これらにかかわる要員につきましては、運航の安全性を十分考慮しながら、運輸省とも十分御連絡を申し上げながら今後の体制を整えなくてはならぬ、適正な措置をしていかなくちゃならぬだろう、こう考えています。
○有働正治君 これは総務庁としても前向きに対応していただきたいと改めて要望しておきます。
 それで、長官おっしゃられました民営化の問題、やはり状況を考えながら対応していかなくてはいけないということで、機械的な対応ではだめだという趣旨だと思うのでありますけれども、勧告は確かに民営化の問題でなされています。なされていますけれども、勧告があった後名古屋空港のああいう中華航空の大惨事も起きたわけですね。あれは勧告の後なんです。あの場合を見ましても、委託したそういう消防・消火救難体制が完全であったかという点を見ますと、運輸省の航空事故調査委員会がまとめた事故調査に関する報告書等々の中でも、当時基準が下回っていた部門があったということが明確に指摘されて、そのことが大惨事とも無関係でなかったと。また、平成七年二月の航空事故調査委員会の意見聴取会の記録を見ましても、御遺族の方々が、初動の発動のおくれがなければもっと多くの生存者があったと思うと、本当に痛恨の念をこもごも語っておられるわけです。
 だから、今おっしゃられました民営化の問題、長官の御発言だと勧告どおりにというふうには私は受け取りまぜんでした。勧告の後にこういう大事故が起こって、民営化の空港でそういう問題点が指摘されている。しかも、今回、福岡空港のこういう事故も起きているということで、この点は、民営化についてもそういう教訓を踏まえて慎重にやるべきであるということを強く述べておきます。
 次にお尋ねいたしますけれども、次は整備の問題です。
 事故につきまして、インドネシアから福岡に向かう途中に何か異常があったのではないかという乗客の指摘もマスコミ等々で報道されています。そして、これは解明する必要があるわけでありますが、同時に、福岡空港に到着し離陸するまでの間の飛行間点検、これがやはり問題になるだろうと思うのでありますが、運輸省当局に具体的にお尋ねします。JAL、ANA、JASの場合、現状でどういう機種の場合に何人でどういうふうに行っているのか、機種によって違うと思うのでありますが、その点の実情、また各社、今後この飛行間点検についてどういう動きがあるのか、簡潔にお知らせいただきたいと思います。
○説明員(北田彰良君) 現在、航空会社が各フライト前に行っております点検整備に当たる整備士の配置人数は、YS11等の小型機の場合は各社とも共通して一名でございます。また、ボーイング767等の中型機の場合は会社によっても違いますが一名から二名、それからボーイング747等の大型機の場合は二名ということになっておりまして、その点検によって発生するふぐあいの内容によってはさらに応援要員がプラスされるということになっております。現在、航空会社の方におきましては、機材の信頼性の向上とか整備技術の向上を踏まえまして、さらに大型機についても人数を少なくするということの検討が行われております。
○有働正治君 二人についても注釈がありまして、飛行間点検の大部分が終了した後は、時間的余裕がある場合は状況を考慮して一人とすることができるということだそうです。間違いないですね。
○説明員(北田彰良君) 日本航空ではそのようになっております。
○有働正治君 しかもそれを今後、JAL、全日空等、一人にする動きが出てきている。これも間違いございませんか。
○説明員(北田彰良君) まだ申請はございませんが、そういうようなことが検討されていると承知しております。
○有働正治君 私は、これは本当に国民の生命を守る上で一人体制というのは問題だと思うんです。やはり二人体制にすべきだと思うのであります。つまり、なぜ従来二人体制でやってきたかという点では、手分けして、分担してチェックするというのではなかったんです。ダブルチェックをやる、それが従来基本に置かれてきていたわけです。そしてミスを絶対に見逃さない。ダブルチェックのおかげでいろいろ防いだ話というのは、現場から聞きますと聞かれるわけです。
 それが、規制緩和の名のもとで次々に、事実上、私から言わせれば生命の安全にかかわる重大な問題が一人体制に移されてきているという、これは、運輸省としては二人体制を確保すべきという、万全の体制をとるべきという点で、強力に指導すべきであるというふうに考えるわけであります。
 したがって、今回の事故、中華航空の事故等々の教訓にかんがみまして、軽々に技術の進歩だの何だかんだということでやるべきではない、原則はダブルチェック、そういう点から対応されることを強く要望しておきます。
 時間の関係で次に進みます。次に、自治省・消防庁の方のかかわりで、自治大臣の方にお尋ねします。
 この事故に当たりまして、地元消防署が大量に出動して火勢鎮圧の上で大きな役割を果たしたこと、福岡の博多消防署、現地に私も赴きまして実情もお聞きしまして、本当に御奮闘された、そういう点では、よくわかりました。
 それを前提としての話でありますが、残念ながら業務に忠実で頑張られたということもあってと思いますが、負傷者四十六人、これは軽傷です。中程度の症状六人で、合計五十二人の消防署員の方が炎症を起こされたということです。
 そこでお尋ねします。時間の関係で大臣、まとめてお願いしたいのでありますが、対策として、この炎症対策を防ぐためにどうされるのか、防護服を含めて改善が求められているわけでありますが、この点どうなのか。
 それから、委託自治体管理空港の場合、消防体制等について自治体等々から交付税など改善の御要望があれば積極的に対応願いたい。
 もう一点、空港を抱えるこういう地方自治体の消防体制、福岡市の消防力を消防力基準から見ますと、人は六割強と、非常に基準からいったらまだまだ低い。そういう中で必死で今回頑張られたわけでありますが、こういう空港を抱えている自治体消防体制の拡充に御尽力いただきたいという、これについての大臣の所見。
 そして最後に、あわせて運輸大臣、三人の方が残念ながらお亡くなりになりました。このガルーダ・インドネシア航空会社の場合、国営の会社だと聞いているわけでありますが、補償基準というのが最高千五百七十万円相当だということをお聞きしています。
   〔理事吉川芳男君退席、委員長着席〕
日本の補償基準から見たらやはり隔たりがあると思うわけでありまして、政府としても関係者の要望等を伝えるなど積極的に補償の問題でも取り組んでいただきたい。
 最後に、運輸大臣にあわせお答えいただいて、終わりたいと思うのであります。
○説明員(秋本敏文君) 事実関係のことにつきまして、私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。
 消防隊員の負傷の件でございますけれども、漏れ出しましたジェット燃料と消火薬剤の混合した液体が救助、消火作業中に靴内にしみ込み、そのまま長時間作業した結果皮膚が炎症を起こしたということでございますが、消防隊員の着装しております防護衣の中に、いわゆる銀色の警防隊用の防火衣と、それから救助隊用のいわゆるオレンジ色の作業衣がございますけれども、今回の場合、私ども報告を受けておるところでは、銀色のいわゆる長靴もつけた作業衣、防火衣の場合は炎症を受けるというようなことになっていなくて、オレンジ色の作業衣の場合に炎症を受けるというようなことになっておる。したがって、これについては銀色の防火衣、長靴を履くということで対応できるのではないかというように福岡市消防局では判断しておりますけれども、これからさらに詳細について報告を受けながら、このようなことが二度とないように全国の消防隊員にも周知をさせるというようなことをしていきたいと思っております。
 それから、空港所在の市町村の消防体制でございますけれども、それぞれの市町村で消防体制を整備するということで従来から努力をしていただいておりますが、同時にまた大きな災害をもたらすおそれのあるような航空事故につきましては、空港の管理者と消防との間あるいはまた周辺の市町村消防との間でそれぞれ応援協定を結んでおりまして、今回の場合もその応援協定に基づいた出動をして、総力を挙げて対処いたしております。
 これから先におきましてもそういうような対応が必要だろうと思いますが、同時にまた消防力の整備につきましては引き続き私どもとしても適切な指導をしてまいりたいと存じます。
○国務大臣(亀井善之君) 補償の問題につきましては、まず当事者とガルーダ・インドネシア航空との間で解決されることが望ましいと思いますが、運輸省といたしましても側面から支援をしてまいりたい、このように考えております。
○説明員(遠藤安彦君) 地方団体の消防体制の拡充に対する財政措置の充実の御質問がありましたが、毎年度、地方交付税の算定におきましては地方団体からもよく要望を伺っておりますし、消防庁の方ともよく協議をいたしまして、必要な部分について地方交付税の内容の充実には今後とも努めてまいりたいというように思っております。
○国務大臣(倉田寛之君) 有働委員から御指摘ございましたように、航空機事故は万一発生をいたしますと大惨事を招くおそれがあるために、消防機関の保有する装備、人員等の広域的に活動できる体制につきましては、従前からそれが確保のために指導をいたしてきたところでございます。
 今回の事故の経験を踏まえまして、全国の消防機関に対して、消防力の充実、応援体制の整備なども含めてさらにきめ細かな必要な指導を徹底してまいりたい、かように考えております。
○有働正治君 終わります。ありがとうございました。
○本岡昭次君 まず初めに、阪神・淡路大震災の復旧・復興問題を一問お伺いしておきます。
 私は、六月五日の本院災害対策特別委員会において、政府が災害復興公営住宅の家賃補助を行い、家賃を入居者の収入の一〇%以下に抑えて、特に応急仮設住宅入居者で低所得の被害者の生活再建を支援することを鈴木国土庁長官に求めました。復興の中で最も重要な観点は、失われた政治や政府に対する信頼の回復をすることであると考えるからであります。私の言葉で言えば、信頼の復興であります。その観点から、費用負担はすべて国費とすることを、被災自治体あるいは住民の声を代表して久保大蔵大臣にも強く要請をしておきたいと思います。答弁は求めません。
 この家賃低減策は、七月に予定されている第一次募集に間に合うよう早期に具体案を示すべきだと考えます。現状はどうなっていますか、鈴木大臣の方から答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木和美君) 家賃低減策を含む被災者のための住宅対策につきましては、本日午前に、政府の事務方と地元知事さんと市長さんとの間で最終の協議が行われました。その協議が行われましたときに、地元から正式な要求が出てまいりました。本日中に総理から御指示のあった関係大臣が最終の協議を行って、その結論を総理に報告することにいたしております。
 私といたしましては、この関係大臣の協議の際に、本岡先生が具体的に提唱された発言及び関係各議員から発言された内容などを紹介しながら、皆様の意見がより実現されるようにこれからも努力してまいりたい、かように思っておるところでございます。
○本岡昭次君 具体的な答えが聞けなくて残念ですが、頑張っていただきたいということを申し上げておきます。
 それでは次に、戦時性的強制被害者問題、いわゆる従軍慰安婦問題について幾つか官房長官、外務大臣に質問いたします。
 私は、昨日閉会しました通常国会に、参議院新緑風会として、平成会、二院クラブ、新社会党、参議院フォーラムなど院内各会派の有志の御賛同を得て、二十六名の議員でこの戦時性的強制被害者問題調査会設置法案というのを発議させていただきました。
 この法案の目的は、「今次の大戦における旧陸海軍の直接又は間接の関与による女性に対する組織的かつ継続的な性的な行為の強制」、いわゆる従軍慰安婦の「実態を迅速かつ総合的に調査するため、総理府に、戦時性的強制被害者問題調査会を置く。」こととしています。
 調査会は二年以内に調査を終え、その結果を内閣総理大臣に報告し、内閣総理大臣はこれを国会に報告するとともに、一般に公開することとしております。
 この法案は、残念ながら廃案となりましたけれども、今政府が進めている国民基金にも絶対必要なものであると考えております。
 こうした立場を踏まえて、私は戦時性的強制被害者問題について質問をするわけですが、去る六月十五日の新聞報道によると、総理は芦田連合会長と会談された際、六月二十三日の韓国大統領との首脳会談で従軍慰安婦問題について話し合う考えを明らかにしたと報道をされております。政府は女性のためのアジア平和国民基金による被害者への一時金支給と総理のおわびの手紙を添えることで解決ができると考えておられるようであります。しかし、私は絶対解決しないと思っています。解決するどころか、むしろ逆に混乱が起こり、より深刻な事態を招くことになることを心配しているものであります。
 事実、私の手元に「韓国国会女性議員たちの文書発表」ということで、韓国の国会議員、超党派女性議員九名が韓国の国会議員二百九十九名中百九十一名の支持を得て、きょう午前十時に発表を行っております。要するに、その発表は「日本軍「慰安婦」問題に対する日本政府の真実な責任履行を追求する」ということであります。
  二十一世紀に備える我々十五代国会議員は、アジアと世界の平和に重要な役割を担当することとなる韓国と日本の新しい関係の樹立に深い関心をもっている。また我々は韓日両国が共同で開催する二〇〇二年のW杯サッカー大会が韓日間の相互理解の幅を広げる上に大きく寄与することを期待している。
  我々は韓日間の新たな関係樹立のためには過去の植民地侵略と支配に対する日本の反省とともに、真実な謝罪が要求され、特に国際社会で重要な人権問題として提起されている日本軍「慰安婦」問題について日本政府が確実に責任を履行することが必要だと考える。
という前書きに、後ずっといろいろ理由が述べてありますが、最終的に結論として二つ書いてあります。
 一 日本政府は国連人権委員会は勧告した通りに、日本軍「慰安婦」問題が非人道的な戦争犯罪であることを認め、法的賠償、責任者処罰等の義務を誠実に履行すべきである。
 一 問題の本質を歪曲する「女性のためのアジア平和国民基金」計画は中断すべきである。
                                     以上
というのを、このようにして超党派の議員が名前を連ねてきょう文書を出したと。これが特に橋本総理が訪韓される直前に今こういうことが起こっているということであります。
 また、フィリピンにおきましても、上院においてこの慰安婦問題についての決議が今議論されようとしています。それはどういうことかというと、
 戦時下の女性に対する軍事性的暴力を非難し、戦時のかかる暴力を受けたフィリピン人犠牲者に対し日本政府が法的賠償をおこなうよう、圧力をかけるというフィリピン政府の公式の方針を宣言し、人権委員会に対してこうした犠牲者を認定し公式記録をつくるべきことを指示する決議
ということで、六人の提案者、そして四人の賛同者、過半数の賛同者が出ている、こういうふうに言われているんですが、この中にも、
  この問題を日本政府の公的活動の代わりに、民間基金を通じてでも解決できるような問題へと格下げしょうとする、こうした試みは、受け入れられず、他の全ての当事者によって拒絶されるべきである。
というふうに、国民基金は拒否すべきであるというふうなことをこの決議の中に盛り込んでいます。
 また、慰安婦とされた人たち百六十九名を組織しているフィリピンのリラピリピーナという団体があります。そこもこの国民基金に対してノーという回答を寄せております。
 一.第二次世界大戦時に日本帝国軍隊によって行われた「従軍慰安婦」問題は戦争犯罪としての強姦であり、軍事的性奴隷制であると認めること
 二.この犯罪の犠牲者と生存者を認定すること
 三.公式に、そして犠牲者、生存者の一人一人に謝罪をし、法的な賠償を行うことというふうに発表をいたしております。
 また、台湾からも既にそういうものが届いておって、これは各議員にも送付され、総理大臣にも送られております。また、五月十四日の発表として日本の新聞にも紹介されておりましたが、台北市婦女救援基金会というんですか、これは慰安婦の皆さんたちの支援をやっている台湾政府の公認の団体でありますが、そこがついに日本政府責任回避へこの国民基金でやろうとしているからこれは認められない、そしてそれの旗を振っている日本のトヨタ自動車に対して不買運動をやるべきであるということを世界各国の女性NGOに呼びかけるというふうな声明を出している、このようなことが現に起こっているんですね。
 だから私は、こうした国際的な動きというものをしっかりと受けとめて対応しなければならないと。私は、余りにも外務省のやり方は硬直している、むしろ日本の国益に反することを今やろうとしているんではないかと思えて仕方がないわけであります。
 総理がおられれば総理にお聞きしたかったのでありますが、官房長官も直接この問題にかかわられていろいろと胸を痛めておられるというふうに私も聞いておりますので、官房長官はこの問題に対して、今起ころうとしていることについてどうお考えか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 以上です。
○説明員(平林博君) 恐縮でございますが、官房長官のお答えの前に一言だけ、事実関係でございますので……。
○本岡昭次君 私は事実関係を求めてないんですよ。一つ一つについてどうですかと、何も求めてない。そういうことを答えないでください。私は全部時間をかけて、私の持ち時間の中で事実を言ったんですから。そういうやり方、まずいですよ。
○国務大臣(梶山静六君) お答えを申し上げます。
 委員が過般、この問題の調査会の設置法案をお出しになったことはお聞きをし、また中身も読ませていただきました。そしてまた、今、日韓首脳会談の直前にこの問題が提起をされていることは極めて大切な問題だというふうに理解をいたしております。
 しかし、戦後五十年、その歳月を経て、国民各層からの気持ちを込めたアジア女性基金からの償い金と総理からのおわびの手紙、政府の資金などにより、また基金が支援する医療・福祉などの事業が総合的に実施されることが広範な意味で最も望ましいという判断をされて、この基金の問題の方々が大変御苦労をなさりながら今日まで至っております。こういうのを踏まえて私たちは懸命にアジア的な問題いわばアジア的な心情を理解し合いながらこの問題に対処をしていくことが今日とり得る最善の道というふうに理解をし、この目的がよく理解をされ貫徹ができますように全身の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
○本岡昭次君 私は、国民基金による問題解決は今のままでやればうまくいかないだろう、逆に混乱が起こり、より深刻な問題がその対象国であるフィリピン、韓国、台湾で起こるであろう、こう言っているわけです。
 官房長官の方は、そうではないうまくいくというふうに今お答えになったというふうに理解していいんですか。
○国務大臣(梶山静六君) すべての被害者と言っていいのかどうかわかりませんが、すべての方々のすべてに満足のいく解決策があるかどうかというのはまだ判然といたしませんけれども、少なくともこの問題の処理に当たる日本の民間、そして政府、善意を結集して行うとすれば、私は、それぞれの国ないしはそういう被害者の方々の大半の意見の集約につながるもの、このようなことを確信しながら今日この事業を進めているわけであります。
○本岡昭次君 時間が限られておりますし、まだほかにも質問したいことがありますので、後日また改めて質問させていただきます。
 それでは、官房長官にお尋ねしますが、今回国民基金はフィリピン、台湾、韓国三地域、約三百人を対象にしておられますが、これは外政審議室の調査によると、そのほか朝鮮民主主義人民共和国、インドネシア、中国、オランダというところにも被害者がある。まだ調べれば、マレーシアとかビルマとかもっとあると思うんですが、外政審議室ではそこまで被害者がいると言っておるんです。この三つの国の三百人を解決して、その後これをどうされるんですか。その他の地域の被害者は、官房長官としてどういうふうに解決されるおつもりでございますか。
○説明員(平林博君) 今、先生がおっしゃいましたような国あるいは地域につきましては、それぞれの国、地域の事情を考慮しながら、また相手国政府関係者のお話などを十分に伺いながら総合的に判断してまいる必要があるのではないかというふうに考えておりまして、現在、基金においてもそのような観点から検討が進められていると承知しております。また、政府としてもそういう考えのもとにこれから十分に基金と協力してやってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○本岡昭次君 そうすると、残された国々の問題解決にまた改めて募金をするわけですか、今度は中国です、インドネシアです、よろしくお願いしますと。次々とそういう新しい問題が起こるたびに国民に対して募金を呼びかけるというんですか。
○説明員(平林博君) 先生御承知のように、この女性のためのアジア平和国民基金の運動は、いろいろな女性問題、過去における従軍慰安婦の問題、あるいは今日的な女性の名誉と尊厳にかかわる問題ということで、かなり長期にわたって継続する事業を考えているわけでございます。したがいまして、今申し上げましたように、いろいろな国の事情を考えながらこの基金を運営していくという理解でございますので、今おっしゃいましたような募金につきましては、ことしだけで終わるとかそういうことではないものと理解しております。
 元従軍慰安婦問題につきましては、償い金等あるいは医療・福祉事業等の実施によってできるだけ早く解決したい、従軍慰安婦の方々が生きておられる間に事業を行ってできるだけ多くの方々に裨益するようにしたいというふうに考えておりますが、しばらく中長期的に考えながら事業を行っていく必要があるのではないかというふうには考えております。
○本岡昭次君 いや、中長期的にといったって、中国、インドネシア、そしてオランダ、朝鮮民主主義人民共和国、そのほかも調査すれば私は出てくると思うんですが、そういうところに対して、中長期的にということでこれを先延ばしをして、この問題はずっとこれからも引き続き今のような形態でおやりになっていくんですか。それとも募金は、一人二百万円以上というのはこれでもう終わりなのか。新しく出てきたら、また金額が変わったり、金額を出さないところといろいろ対応を変えるんですか。
○説明員(平林博君) 中国、インドネシア等とはいろいろなお話し合いを今実はやっております。また、支給の金額につきましては、基金の関係機関の方で一人二百万円を下回らない金額だと。ただし、そのほかの医療・福祉事業も同時に考えるというようなことも一緒に考えておりますので、総合的にこの問題は対応していくということでございます。
○本岡昭次君 官房長官、今外政審議室長はああいうことを言っておりますけれども、私は大変なことになると思うんですよ。
 それで、一体何人被害者がいるんですか。この間アメリカの人権報告を見たら、二十万人と書いてありましたよ。台湾の方も二十万人と。日本のこの調査の中には七万人から二十万人近くではないかと。三百五十万人海外に日本の将兵が出ていった、それで三万から五万人に千人の慰安婦がいたのではないかというふうなことがここに書いてある。生きておられる方だけといっても事実が確定していないんです。土台のない上に家を建てようとしているんです。どだい無理な話です。本当に無理です。
 そして、受け取る側の人たちはこれを拒否しているというのに、これ説得して受け取らせるような筋合いのものでしょうか。これは新たな混乱をそれぞれ被害国との間に起こそうとしているんです。また、そのことを実際無理やりやろうというのですから、やってみたらどんな結果が起こるか、また改めてそのときに議論をさせていただきます。
 ただ、サンフランシスコ平和条約と二国間条約でこれは終わったから政府はできないと言うんですが、それでは台湾はどういう条約でどのように終わったんですか。簡単に言ってください、時間がないから。
○説明員(大島賢三君) 台湾は、サンフランシスコ平和条約のもとで戦後日本より分離されたいわゆる分離地域に当たるわけでございますけれども、こうした分離地域との関係につきましては、分離に伴う日本と相手国の間の相互の財産請求権をどういうふうに処理していくかということで、サンフランシスコ条約の中で予定をされておりました。それに伴いまして日本と台湾の施政当局との間に特別取り決めを結ぶということであったわけでございますけれども、その処理が実現に至らないうちに日本と中国との間の国交正常化が実現をしたということでございまして、そういう意味で全般的な請求権の処理というものは台湾との間には行われておらないわけでございます。
 他方、我が国の国内法上の根拠があります個々の請求権の問題につきましては、これは日本の法律上出すべきであるということでございまして、例えば軍事郵便貯金、元軍人等の……
○本岡昭次君 よろしい、時間がないから。
○説明員(大島賢三君) はい。そういったものについて確定債務の処理をしておるということでございます。
○本岡昭次君 台湾問題は今言ったように条約で解決していないというのに、十把一からげで条約で終わった、だから国は責任を持てないから国民基金。台湾の方には国民基金を渡して、また条約に基づいてやったら今度は国のものを台湾の人に渡せるということを台湾の人には言っているということになるんですよ、今の話は。それは後ほど具体的に解明をしていきたいと思います。大変なことです。
 それから、時間もないので、先ほどフィリピンだとか台湾だとかあるいは韓国のこのことに関していろいろおっしゃっている事柄の中で共通しているのは、そしてまた私たちがこれを認めなきゃ仕方がないのは、旧日本軍が犯した戦争犯罪だということを私たちは認めなければこれは仕方がない。戦争犯罪ではないんだと言うのかどうかということなんです。既にオランダ人を慰安婦にして、そしてこのことがB・C級裁判で裁かれたときの判決文にはこれは人道に反する戦争犯罪として裁かれて、最高は死刑からあと二十年、十五年、七年という有罪判決を既に受けて、そのことは戦争犯罪として認定されているんです。だから、今私たちが立ち向かっているのは、そんな気の毒であるとか何とかいうことじゃなくて、戦争犯罪というふうにB・C級裁判で裁かれ、サンフランシスコ平和条約で日本もそれを認めた、その上に立ってこのことをどう処理するかということであるわけでなんですよ。
 そこのところを間違って、今外政審議室長が言っているようなやり方というのは私は日本にとって今後に重大な損失を与えていくんじゃないかと、こう思いますが、梶山官房長官、これは極めて大事なところなんでありますが、このことについてどうお考えになりますか。
○国務大臣(梶山静六君) 条約上の問題や法律上の問題は私は詳しく知っておりません。
 確かに被害というか、そういうものがあれば加害者があり被害者があるわけでありますから、法的な論拠ということよりも、今日なぜこの問題がこういうふうに俎上に上っているかという背景を考えますれば、過去に清算が終わっている、あるいは個人的ないわば犯罪形成をする証拠がないとか、そういうもので解決ができないために、国民の総意的なものでこの償い金を支出し、そしてわびの手紙をつけながら相手の心情に思いをいたす、これが私は今日とり得る現実的な道、こういうふうな思いをいたしますし、また今その他の地域、まだわからない方々、この問題に対してどうするかといえば、この問題についても私は、起こり得たことに関して事実が判明をすれば今日ただいまやっていることだけで打ち切れるというものではない、このような思いをいたします。
○本岡昭次君 もう時間がないから仕方がないです。
○水野誠一君 私は、本日、まず島根県の中海干拓事業について農林水産省に伺いたいと思います。
 この事業は、戦後の食糧難時代に米増産のために計画された農水省の直轄事業として三十三年前に始まったものでありますが、中海と宍道湖の淡水化計画に住民が反対したために一九八八年から延期されていると聞いております。本年三月に島根県知事が、中海本庄工区、これは干拓事業の最も大きい地域でありまして総面積で約千四百ヘクタール、これは関西空港の約三倍という広大な地域でありますが、この本庄工区の全面干拓を再開する方針を決めて、現在国に対して工事の再開を求めているわけであります。
 この計画が始まった三十年前と現在では食糧事情も大きく異なっておりますし、巨額の国費を使って新たな農地をつくるということはまさに問題があるんではないかと思います。県としては、とりあえず農地としてつくっておいてほかの目的に転用するのが本音ではないかというような報道もあるわけでありますし、さらに申せば環境破壊の視点からも大いに問題があります。これに対しては、市民団体の六万人を超す署名運動、こういうものも地元では起きておりますし、また沿岸の鳥取県の米子市議会でも反対決議が議決されている、そんなこともございます。
 これまで、国、地方合わせまして約三百六十八億円がつぎ込まれております。再開後にはさらに二百七十億円が必要だというふうに言われておりますが、多額の国費をはっきり採算制のわからない事業につぎ込む余裕というのは現在の財政事情の中ではないのではないか、許されないのではないかというふうに考えます。事業が中止となった場合には、県がこれまでかかった費用をすべて負担する必要がある、また既に建設された堤防は壊さなくてはいけないなどといろいろ言われているようでありますが、もし事業中止を決定した場合に実際にそのようなことになるのか、この点について農水省の見解を伺いたいと思います。
 それからまた、事業中止は不可能というスタンスではなくて、中止をした場合の事業処理の根本的な骨組みや枠組みやあるいはルール、例えば費用負担をどうするのかということをはっきりさせて、より具体的な議論を進めることが重要ではないかと考えますが、これについても農水省の御見解を伺いたいと思います。
○説明員(野間赳君) お答えを申し上げます。
 島根県知事は、中海干拓事業の本庄工区につきまして、島根県議会、関係市町の合意を得まして、本年三月、平成九年度からの工事の再開を中国四国農政局に要請したところであります。
 農林水産省といたしましては、この要請を受けまして、現在、中国四国農政局が島根県との間で営農計画を初め県から要請のありました工事再開に当たっての留意事項等について順次協議、検討を行っております。今後、この状況を踏まえまして、本庄工区の事業の進め方につきまして結論を得たいと考えております。仮 に、工事が今後行われないというような事態となった場合の取り扱いにつきましては、現時点では確たることを申し上げる段階ではございません。一般論といたしまして申し上げますれば、県と協議をすることとなるものと考えております。
○水野誠一君 次に、環境庁長官に伺いたいと思います。
 中海の環境問題に関しましては、長官も非常に御関心をお持ちのようでございます。島根県に対しまして水質の再調査を要求されていらっしゃいましたが、先月県の方でも環境庁の要求をのんで一年程度の長期の水質調査を行うことを同意したというふうに聞いております。
 環境調査というのはあくまで事業者が実施するのが原則ではありますが、長良川の場合でも調査結果について、結果水かけ論争が起こっている、こういうこともございます。また、今回の場合も県の実施した調査の不備がわかったわけでありまして、やはり事業者主体の環境調査というものに大いに問題があるのではないか、これからは第三者的な機関による環境調査に方向転換をすべき時期が来たのではないかなというふうにも考えるわけですが、この点について長官の御見解を伺いたいと思います。
 また、今回島根県が行う再調査の客観性をどのように担保するおつもりであるのか、この点についてもお話しいただければと思います。
○国務大臣(岩垂寿喜男君) 環境庁が今回行いました指摘は、御案内のように従前に島根県が行った調査によって、水質予測手法の充実やデータの補足などにより詳細な調査の実施を申し入れたわけでございます。この調査というのは、本来今の制度で言いますとそういうことにならざるを得ないわけでありまして、その点はぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
 ただ、私どもとしては、いわゆるアセスという制度がどういうふうになっていくのかということをも含めて今研究会の答申もいただきながら検討をしている最中でございますので、先生の御指摘のような方向というものがより住民なりあるいは国民の信頼を高める上で必要だなという御判断をいただいた上で制度などについて見直しをしていく可能性について研究を続けたい、こんなふうに思っていますので、今の制度の上で言えばこういうことであります。
 さて、それにもかかわらず具体的に項目を挙げて調査の要請をいたしておりますから、それは環境庁としてその結果に基づいてきちんと調査をしながら、それを判断をしながら、また同時に広く国民に公開をしてそのことの信憑性についても御判断を仰いでいく、こういう手続は続けてまいりたい、このように思っていますので御理解をいただきたいと思います。
○水野誠一君 この事業自体、現在二百四十兆の国債残高あるいは財政赤字の中で果たして本当に行うべきかどうかということも含めてひとつ慎重な審議をしていただければというふうに思います。
 次に、北海道東北開発公庫、いわゆる北東公庫の二つの開発プロジェクトに対する巨額な融資について、北海道開発庁長官及び国土庁長官にそれぞれ伺いたいと思います。
 このプロジェクトと申しますのは、御承知のように、北海道の苫小牧東部開発計画、いわゆる苫東開発と、青森県のむつ小川原開発でございます。ともに一九七〇年代に計画された国家プロジェクトですが、北東公庫は、事業主体である第三セクターの苫小牧東部開発株式会社と、むつ小川原開発株式会社に、それぞれ八百五十億円と八百七十六億円、計千七百二十六億円という巨額の融資を行っています。
 重厚長大産業の誘致を目指したこれらのプロジェクトは、その後経済状況の変化もあり現在では破綻状況にあるというふうに聞いております。北東公庫の融資しております約千七百億円は、返済のめども立たず、回収不能の不良債権のおそれがあるというふうにも報道されているわけであります。また、利払いを受けている形をとるために追加融資を重ね、残高も年ごとに膨らんでいる、これが現状であります。
 私も、その両社の財務諸表を取り寄せて見ましたが、苫東開発会社は平成七年三月期で北東公庫の融資分を含めて約千六百億円の借入金残高があるのに対して、営業収益はわずか二十二億六千万円、利払いだけでも年額九十一億円あるわけでありますから、実際にはとても利子は払えない状況にあるわけであります。追加融資と補助金で自転車操業しているのが現状であります。実際、北東公庫からの融資残高は、平成五年の七百六十七億円から、先ほど申しました平成七年には八百五十億円に膨らんできている。会社が設立されてから二十五年後でこんな状態であります。
 経済状況も大きく変わっている現在、負債もこれからますます増加していく一方と考えるのが常識ではないかと思いますが、政府としてはどのような見通しを持っておられるのか、北海道開発庁長官に伺いたいと思います。
○説明員(松川隆志君) お答えいたします。
 苫小牧東部地域のような大規模な開発につきましては、元来、長期間にわたって土地の取得、造成、分譲を行うという性格のものでございます。したがいまして、事業主体でございます苫小牧東部開発株式会社は事業遂行上、相応の借入金を保有することが避けられないというふうに考えております。
 同地域の開発でございますが、当初計画策定以降いろいろと経済社会情勢が変動いたしまして、いろいろと企業進出にも波がありまして、年度によりまして好、不調の波がありました。御指摘のように、最近はなかなか企業進出が多くはございませんけれども、現在まで約八百七十ヘクタールの分譲実績を有しております。
 この苫小牧東部開発につきましては、昨年八月に従来の産業開発を中心としたそれまでの計画を改めまして、産業、それから物流、研究、都市開発あるいは公園緑地などのいわゆる複合開発を推進することといたしまして、国際化時代にふさわしい新計画を策定したところでございます。
 元来、苫小牧東港を有しておりますし、また新千歳空港にも近接するという地理的条件にございますし、価格的にも十分他の工業団地と競争力があるというふうに考えております。各般の施策が関係者の取り組みによりまして進められることが見込まれておりまして、中長期的に見て、用地分譲が着実に推進し、借入金も逐次償還されていくものと考えております。
○水野誠一君 わかりました。
 次に、むつ小川原開発株式会社について伺いたいと思うんですが、こちらについては平成七年十二月期の借入金残高が二千百十一億円、つまり、今伺いました苫東会社の約一・三倍になるわけであります。営業収益の方は二十六億円ということでありまして、苫東会社よりもさらに財政状況は悪い状況にあります。実際にどのように利払いをしているのか、またどのような将来の見通しを持っているのか、国土庁に伺いたいと思います。
○説明員(岩崎忠夫君) むつ小川原開発株式会社は、むつ小川原開発に寄与することを目的とした土地の取得、造成、分譲などの事業を行います株式会社でございます。このむつ小川原開発株式会社の土地造成事業に係ります支払い利息についてでございますが、これにつきましては北海道東北開発公庫と民間金融機関とが協調いたしまして土地造成事業に必要な長期の資金として融資が行われていると、そういうように伺っているのでございます。
 このむつ小川原開発につきましては、これまでも長期的な視点に立って進められてきているものでございますが、企業立地につきましては、これまでに国家石油備蓄基地、原燃サイクル施設及び関連企業等の立地によりまして約千百ヘクタールの用地分譲がなされておりまして、現在も多角的な企業立地や港湾や道路等の所要の基盤整備が進められているところでございます。
 関係者におきましては、用地分譲の促進に鋭意取り組んでいると伺っているところでございまして、中長期的にはこうした用地分譲に伴いましてむつ小川原開発株式会社の借入金については逐次償還されていくものと受けとめているところでございます。
○水野誠一君 ちょっとそういうふうに希望的な観測は難しいのではないかなと思いますし、時間的にも制約がありますのでまた改めて質問をしたいと思うんですが、この千七百億円の北東公庫からの貸し付けというのが、これは不良債権化をする可能性というのがかなりあるのではないかなというふうに私は見ております。そうなると、最終的には住専と同様に国税の投入ということになる可能性があるわけであります。
 北海道開発庁と国土庁は、大蔵省とともに北東公庫を共管しているわけでありますが、商法上の民間会社であるこの苫東開発株式会社とむつ小川原開発会社の監督の権限は有しないということで、両社の経営見直し、償還計画については言及する立場にないと明言しています。
 しかし、最終的には国税投入という危険性もあるわけでありますから、監督責任がないというのはちょっとおかしいんではないか。役所に責任はないがいざとなれば国民の税金を使って解決すればよいというのは、かなり無責任な体制になってしまうのではないかなという感じもするわけであります。
 こういった融資に対してどういうふうにお考えになるのか、これをできますれば両長官及び大蔵省から御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(岡部三郎君) 先生御指摘のように、北東公庫は北海道及び東北地域の産業開発の振興等のための長期の資金の供給を行う政府関係金融機関でございますので、その監督業務を行う北海道開発庁といたしましては、今後とも同公庫の業務が適切に行われるように指導監督をいたしてまいりたいと存じております。
 それから、苫東株式会社につきましては、これも先生御指摘のように、これは商法上の株式会社でございますから、これを直接政府が監督することはできませんが、苫東地域の開発プロジェクトにつきましては、これは開発事業の総合的推進に資することを目的といたしまして、今中央段階では十三省庁から成ります開発連絡会議を設けております。さらに、現地におきましては、北海道庁それから苫小牧市等、我々は九者連と申しておりますが、九つの機関による開発連絡会議を設けておりまして、この場を通じましてその事業の円滑な推進に努めてまいりたいと考えております。
 内容につきましては、先ほど政府委員からも申しましたように、昨年、従来の産業開発を中心とした計画を改めましていわゆる複合開発ということにいたしまして、土地利用計画等も新たに改めたわけでございまして、今後とも関係省庁とも十分な連携を図りながらこの新たな計画の円滑な推進が図られるように最大限に努力をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(鈴木和美君) 北海道東北開発公庫の性格、目的については、今岡部長官からお話しのとおりでございますので、省略させていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、現在私どもが聞き及んでいるところによれば、この公庫の融資は同公庫の適切な判断において行われているように今伺っております。けれども、借入金でございますから用地分譲に伴って逐次償還される、やりますというように受けとめておるわけでございますが、国土庁としては今後とも監督官庁といたしまして同公庫の適切な運営が行われるように指導をしてまいりたい、かように思っているところでございます。
○説明員(西村吉正君) 政府関係の金融機関を横断的に管轄しております大蔵省の立場からお答え申し上げます。
 政府関係金融機関が行いますいわゆる政策金融につきましては、政策的な重要度が高いもののリスクが高いとかあるいは収益が低いというような観点から、民間金融のみでは十分対応ができない分野に対しまして、民間金融の補完、奨励、そういう意味で資金を供給しているわけでございます。
 このように、政府関係金融機関は政策目的実現のために融資を行っているものではございますが、しかしながら、他方におきまして金融機関でございますから、個々の融資の実行に当たりましては、金融機関としての収支の健全性を確保する観点から、融資審査及び債権管理を適切に行いまして貸付金の十分な回収を図る必要があると考えている次第でございます。
○水野誠一君 この北東公庫の問題について朝日新聞の平成六年の記事がありました。この中では、この問題が今後特殊法人の見直しあるいは当時ありました北東公庫と日本開発銀行との統合案というようなものにつながっていくのではないかという期待を込めた記事もあるわけでありますが、やはりいろいろな意味でこういった問題をドラスチックにとらえ、解決に向けて努力をしていっていただきたい、こういうふうに思います。
 そういう中で、今、運用資金残高が四百兆円を超える財投資金の問題というのがあるわけでありますが、財政再建は、一般会計だけではなくて特別会計や財政投融資の抱える問題にも並行して取り組む必要があります。財投制度の見直しに関して久保大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。また、採算の合わない事業への貸し付けに歯どめをかけるシステム、例えば政策金融についても機関ごとに財投機関債を発行して、市場原理を導入して自己資金調達を拡充することが今後の財政赤字を増大させないためにも必要ではないかと思いますが、この点についても大蔵大臣の御見解を伺って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○説明員(田波耕治君) 財政投融資についての御質問でございますが、委員御指摘のように、財政投融資の原資は国の制度、信用に基づきまして多くの国民の方々から集められた郵便貯金とか年金の積立金でございます。
 したがいまして、安全かつ確実な運用が求められるのは当然でございまして、このことは資金運用部資金法などの法律に明示されているところでございます。
 私どもといたしましても、財投の運用に当たりましては、個々の財投機関や事業につきまして財務や事業の健全性あるいは償還確実性の観点から、運用先としてふさわしいかどうかについて今後とも十分にチェックをしていきたいというふうに考えております。
 後段の、いわば採算の合わない事業への貸し付けに歯どめをかけるために、各財投機関において財投機関債という格好で資金を調達してはどうかという御指摘でございますけれども、現在でも政府関係金融機関の資金調達につきましては、かなりの機関におきまして政府保証債あるいは政府保証外債という形で市場からの資金調達を行っておるところでございますが、その資金調達を全面的に債券発行に依存するという考え方につきましては、そもそも政策金融というのは民間金融では供給ができない、あるいは困難な資金を供給するということを目的としているところでございます。
 したがいまして、その資金調達を民間市場からの直接調達に全面的に依存する仕組みにはなかなかなじみにくいのではないか。あるいは政府関係金融機関が供給しております長期固定の金利につきましては、そういった性格の資金を市場から安定的に調達することが本当にできるだろうかというような問題があるというふうに考えておりまして、私どもといたしましては慎重に検討をする必要がある、こういうふうに考えておるところでございます。
○田英夫君 最初に、去る四月十七日に橋本総理とクリントン・アメリカ大統領との間で出されました日米安保共同宣言について、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 この共同宣言の中ではアジア太平洋という表現が使われておりまして、安保条約第六条の極東という言葉はどこにも出てこない。これはさきの国会でも御議論があったところでありますけれども、改めてアジア太平洋という表現と極東という表現との関係をお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 安保条約上の極東という概念でございますが、これは日米両国が平和・安全の維持に共通の関心を有している地域、区域と、こういうことでございまして、そういった意味で実際問題として共通の関心の的となる極東の区域というのは、この安保条約に関する限りは在日米軍が日本の施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域、こういうことになるわけでございます。そして、従来から政府は繰り返し御答弁申し上げているところでございますけれども、このような区域は大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域である、こういうふうになっております。
 一方、今回四月に行いました日米安全保障共同宣言でアジア太平洋地域という言葉を使っておりますけれども、これは日米安保条約によりまして米軍が日本に駐在している、駐留している。その駐留しているという事実が結果としてアジア太平洋地域の平和と安定に寄与する、そういった結果といいましょうか、効果といいましょうか、あるいは作用といいましょうか、そういう点からとらえたものでございますので、安保条約上の極東のように条約上の概念ではございませんし、また明確な境界を画せるような性格のものではないわけでございます。
○田英夫君 この問題についてもいろいろ議論をしなければならないと思いますが、きょうは時間がありません。
 極東の範囲という問題については、実は六〇年、安保条約が改定をされたとき以来、実にしばしば衆参両院で議論をされました。
 先ほど、国会図書館に頼みましてその歴史を調べてもらいましたら、小さな字でこんなに一冊の本になるぐらい先輩の皆さんが極東の範囲について議論をしておられます。ちょっと数えてみますと、昭和三十四年、つまり六〇年安保の前の年から平成六年まで、二年前ですが、そこまでのところだけで延べ六十人という衆参両院の先輩の皆さんがこの一つの問題をめぐって議論を展開しておられます。内閣で言いますと岸総理、藤山外務大臣というところから始まっていると思います。
 そして、今外務大臣言われたように、岸内閣時代に政府統一見解として、極東とはフィリピン以北、日本の周辺と、それで、当時は中華民国という表現を、韓国及び中華民国を含むと、こういうことを答えておられます。いろいろ資料を見てみますと、本院では青木一男先輩がこの問題を取り上げられていることもありまして、いかに多くの皆さんがこのことに重大な関心を持っておられたかという、その問題と先ほどのアジア太平洋ということとこれは誤解をされると大変いけないのですが、今外務大臣がお答えになったことでひとつこれは国民の皆さんに対する理解を深めなければいけないということを申し上げておきます。
 そこで、今先輩の皆さんが議論をしてこられたその上に立って、現在の国際情勢の中でこの極東という問題をもう一度議論してみる必要があるのではないかと思います。
 まず、この中華民国という表現は、現在では一九七二年の日中共同宣言、七八年の日中平和友好条約の締結によって台湾は中国の一部であるということが明確に両国の間で合意をしているわけでありますから、いわゆる中国は一つということになりますと、この中華民国というのはかつての政府統一見解の中から当然外れると思いますが、いかがですか。
○説明員(林暘君) 三十五年の政府統一見解にございました中華民国の支配下にある地域という部分につきましては、日中国交正常化が行われました後、昭和四十七年の十一月でございますけれども、衆議院の予算委員会におきまして当時の田中総理大臣の答弁で、中華民国の支配下にある地域は台湾地域と読みかえるというふうにしておりまして、それ以降そういうことになっております。
○田英夫君 したがって、その後の政府の御答弁は終始、フィリピン以北、日本の周辺、韓国、台湾を含むと、こういうふうに修正をされてきたと思いますが、しかし改めて考えてみますと、なぜそれじゃそこに限定をしているのか、韓国が入って北朝鮮は入らない、台湾周辺といって中国そのものは入らない。中国は一つなんですから、台湾という言い方が残っていること自体、実はおかしいんです。条約上おかしいと思いますよ、これは、国際条約としてはっきり日中平和友好条約によって中国の範囲が画定しているわけでありますから。ところが、私の方からもう結論を言ってしまいますけれども、当時の極東の範囲というのは、ソ連だって極東ソ連という言葉があったぐらいですから極東に入るはずです。北朝鮮も中国も極東に入るはずです。それを入れなかったのは、いわゆる社会主義圏は入れないと、東西対立の中でアメリカの世界戦略の一環としての日米安保条約というふうに私は思っておりますが、そういうことの上に立って考えたときに、まさにこの日米安保条約の極東というのは社会主義圏は入れないという、そういう大前提があったと思いますけれども、これは外務大臣、冷戦構造が崩壊をして東西対立は今や解消したと、こう見るべきだと思いますが、なおかつこの日米安保条約の極東の範囲にはロシア、中国、北朝鮮は入らないんでしょうか。
○説明員(林暘君) 先生御案内のとおり、三十五年の統一見解にも明確に述べてあるわけでございますけれども、この極東という地域については日米両国が条約にいうとおり共通の関心を持っている地域、つまり、そこの平和及び安全を維持するということについて共通の関心を持っている地域ということでございますので、そういう意味で、過去の答弁にもございますようにいわゆる共産圏は入らないということにしていたわけでございますけれども、その限りにおいては現在も同じ考え方をとっております。
○田英夫君 そこに今の日本政府の根本的な問題が、日本政府というより外務大臣、外務省のと私はあえて申し上げたいんです。
 それは、与党の中にも非常に明快に、今や冷戦構造が崩壊をした、西側とか東側とかいう状態ではなくなってきた、こういうことを明快に意識しておられる方がおられることを私も承知しております。
 ところが、外務省の外交の基本は現在も西側の一員ということの上に立っているとしか思えない。そして防衛庁の防衛政策というものももちろんその上に立っている。アメリカはもちろん現在もそういう基本の上に立っていると思います。日本もそれでいいのかということをぜひお考えをいただきたい。長い間こういう問題に携わってきた者の一人として、このことを大変私は心配をしております。
 今度の日米安保共同宣言を詳細に何回も拝読をして思うことは、この共同宣言に出てくるような、そして今外務省の局長も言われたようなそういう基本的な姿勢でいて、歴史的にも地理的にもあるいはすべての社会的な習慣なども含めて日本とアメリカとは非常に違う。しかし、私は基本的に外交の上でアメリカとの関係は非常に重要だと思っていることは間違いないんですけれども、例えば韓国、北朝鮮、この朝鮮半島あるいは中国、こういう人たちと比べてみて日本はすべての習慣とか歴史とかいうことの中で、この地域とは極めて深い関係がある。
 アメリカは建国以来まだたかだか二百年ちょっとですよ。こういう中で、もちろん世界の現状の中でアメリカの持つ意味というものは極めて大きいからこそ日米関係というのは重要だということをまた繰り返して申し上げますが、そういうことを考えたときに、この日米安保共同宣言のような形で、日本とはかなり違うアメリカと運命共同体のような形でしっかりと手を握って、もしその結果として中国やアジア諸国との関係が悪化するようなことに結びつくならば、これは日本にとって大変なマイナスになるんじゃないかというところを広く見るのが、これからの日本の外交の最も大切な部分じゃないかと思います。
 外務省もきっと、今私が具体的なことを言うとアメリカと同じ答えが出てくると思いますが、アメリカは、アジアのことを考えるときに、APECのことを言うときに、あのマレーシアのマハティール首相が主張するEAECというものに反対をする、不快感を示す。日本もこれでいいのかということなんですよ。この辺のところが日本の外交を考えるときにこれから非常に重要ではないだろうか。
 また、軍事的な問題を含めて、安全保障の問題を含めて考えたときに、アメリカとの間で安保条約というものの結びつきをどんどん強化していく軍事同盟的な色彩がますます強くなっていく、そういうことを最近感じます。それでいいんだろうか。
 特に、具体的な例でいえば、きょうは防衛庁をあえてお呼びしていませんけれども、TMD、戦域ミサイル防衛構想、これに既に昨年度から予算がついています。こういう問題に深入りしていっていいのかどうか。アメリカは、さきの中国の台湾周辺でのミサイル演習に結びつけて台湾に対してもTMDに参加するように今呼びかけている。韓国に対しても呼びかけている。こういう中で、日本に対して最も熱心に、出資を含めて、研究費を出すことを含めてこれに参加することを求めてきている。これでいいんだろうか。
 また、この間の四月の共同宣言と同時にACSAが結ばれました。これも平時ということになっておりますが、この後方支援と言っていいこのことが平時だけで済むだろうか。こういうことを考えたときに、さきの外交の基本的な問題とあわせて考えたときに、私はここが心配だと申し上げざるを得ない。
 きようもある週刊誌を読んでおりましたら、あえてお名前を申し上げるけれども、河野洋平前外務大臣、自民党前総裁が、私は基本的に有事をつくらないという外交をやるべきだと思うということを語っておられる。恐らく池田外務大臣も同じことを考えておられるだろうと思う。これが日本の外交の基本じゃないでしょうか、先ほど申し上げたようなこととあわせて。
 ですから、私は、結論を言ってしまえば、中国を殊さらに敵視するような、敵と言うのはちょっと強過ぎるかもしれません、アメリカの場合はかなり中国に対して冷たい関係を今持ちつつある、これと同じ態度は日本は絶対にとるべきでない。そして、北朝鮮との関係でいえば、一日も早く日朝国交正常化交渉を再開すべきだと私は思っています。
 きょうは時間がありませんから、私の意見を一方的に申し上げました。
 私は実は、参議院の審議というのは、余談ですけれども、行政府に対して立法府の我々が御質問をするというだけではいささか良識の府としていかがなものかとかねてから思っておりますので、あえて私の意見を申し上げまして、これが外務大臣の御参考になればと、生意気なことを申し上げますが、思います。
 時間がありませんから、ODAの問題は先ほど今井委員が六年度の会計検査院の報告に基づいて実例を挙げてお話しになりました。したがって、重複を避けます。
 ただ、私が申し上げたいのは、この六年度、六カ所でよくなかった例があるという会計検査院の御指摘を読み、またこれに対する外務省の御見解も読みました。そこで、これも私の方から意見を一方的に申し上げれば、ODAはぜひ現地の政治的、経済的、社会的あるいは民族的、さまざまな実情を踏まえた上でやらなければならない。先ほど今井委員に対する外務省のお答えのようなことであると、やっぱりODA基本法が必要なんじゃないかなと。実は宮澤内閣の末期に参議院で議員立法で提出をして、すぐに廃案になってしまったことがありましたけれども、したがって法案はできております。そういう思いに駆られます。
 そこで、ODAについては一言御質問をしたいのは、ミャンマーの情勢がまた緊張しているということを報道で承知をしております。アウン・サン・スー・チーさんが逮捕されるんではないかというような情報もあります。この最近のミャンマー情勢をどのように受け取っておられるか、そしてこれに関連をしてミャンマーに対するODAをどうなさるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ミャンマーについてお答え申し上げます前に、日米安保体制の問題につきまして簡潔にお答え申し上げます。
 私どもも、現在依然として冷戦下の東西対決の構造の中で日本はどうするかと考えているわけじゃございません。冷戦は終えんしてもうかなり年数もたちました。しかし、そういった状況下にございましても、我が国を取り巻きます国際社会、その安全保障環境を考えました場合に、やはり我が国の安全を守るために、そしてまた我が国周辺地域の平和を維持していくために何をすべきかと、こう考えた場合に、自衛隊を中心としてみずからの国はみずからが守るという努力と同時に、日米の安全保障条約をもとにしたこの体制が大切だと、こういう観点からやっているということだけ申し上げておきます。
 それから、ミャンマーの関係でございますが、御承知のとおり、先般、政権によるNLDの党員に対するかなり大規模な拘束という、こういった事態がございました。その際、たまたまミャンマーの外務大臣が日本に来ておられましたので、直ちに外務省に来ていただきまして、私はこのような措置は甚だ遺憾であると、直ちにその拘束を解き、国際社会の民主化あるいは人権尊重を求める、そういった流れに沿った行動をしてほしいということを申し入れたところでございます。
 その後も、依然としていろいろな緊張の状態が続いているようでございます。あるいは新たな立法も行われたようでございます。そういったことで私どもも非常に大きな関心を持って注視しておりますけれども、我々といたしましては民主化あるいは人権の尊重という流れが着実に一歩一歩進んでいくことを期待しております。それが直ちに一〇〇%、いわゆる先進国で実現しているような状況を実現しろということが、あるいはそれは無理だということはわからないでもございませんけれども、確実にそちらの方へ進んでいくということが肝心だと思っております。
 そして、経済協力の関係につきましては、私どもはこれまでベーシック・ヒューマン・ニーズにかかわる、基本的な民生にかかわる問題に限定してケース・バイ・ケースでやってまいった、こういうことでございますので、私どもも、これからも一方で先ほど申しました政治的な面での進展を期待しながら、経済協力についてもそのようなケース・バイ・ケースで、しかも基本的な民生にかかわるものと、こういうことで考えていくべきだと思っている次第でございます。
○田英夫君 ODAで、もう一つアジアの国で私が心配しておりますのはカンボジアです。カンボジアは依然として実は政情が不安定で、ある意味では最近ますます不安定ではないかと思うんですが、時間がなくなりましたから私からのお願い、きのう橋本総理にもお耳に入れておきましたので外務大臣にも申し上げておきますが、カンボジアの政情が不安定であるにもかかわらず、やはりカンボジアこそ、ああいう闘いがありましたから、その復興のために日本がいろいろ協力をしなければならない問題が山積をしていると思います。
 何よりも今重要なのは、あそこはもともとお米の輸出国である、農業国でありますが、地雷のためにこれが進まない。ところが、私も関係しております日本カンボジア友好協会のメンバーである日本の人が、地雷を処理しながら耕作ができるという機械を開発いたしました。今、二台現地に持ち込んで、今回カンボジア政権の方から土地も提供されて、それは土地といっても地雷がまだたくさんあるところですが、そこでテストを始めております。テストの結果は、私もVTRで見ましたが、大変いいようです。対人地雷なら全く関係なく、どこで爆発したかわからないぐらいの感じでどんどん開墾が進んでいく。既にかなりの広さのところで田んぼをつくり、米の収穫もいたしております。最初バッタンバンの辺でやっていたのを今プノンペンの近くで始めておりますが、これなどはまさに日本の技術であり、またこれを使って農業開発を、農業国としての復興を遂げるためには大変いいことではないかと思います。
 また、リヨン・サミットではこの地雷のことが首脳の間で一つの議題になるということであります。日本の対人地雷処理の技術でもあるわけですから、これをODAと絡めて、アフガニスタンその他地雷で悩んでいる国はたくさんあるわけですから、役に立てばということで、これは外務大臣のお耳に入れておくということで、時間が来ましたので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。私は、インドネシアに対しての原発の輸出に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 この件に関しましては、かつて先輩の議員の皆さんが外務委員会あるいはまた科学技術委員会、予算委員会においてお触れになっていらっしゃったという、そういった経緯もあるわけでございます。
 まず、関西電力の子会社、ニュージェックが日本輸出入銀行の融資を受けまして九一年十一月から行ってきたわけでございますけれども、この基本調査は今月中に終わるとまで言われているわけでございます。いよいよそうした終盤を迎えておりますけれども、その最終報告書は九六年に提出をされる予定だと、こういった報道もなされているところでございます。
 計画によりますと、二〇一五年までに六十ないし九十万キロワット級の十二基の原発を設置いたしまして、合計出力が七百万キロワットの原発を建設するということになっているようでございます。
 こうなりますと、新潟県の柏崎の五基五百万キロワットをしのぐものでございます。また、極度に一カ所に集中をするということになりますと、原発銀座になると心配をされているわけでございます。
 そのような中で、インドネシアにおきましては新聞は政府の許可制になっているにもかかわらず、こういったことが連日賛否について取り上げられているとか、あるいは女性団体も反原発の声を上げたとか、また二つの野党の政党あるいはまた電力会社もこれに反対を表明しているとか、こういったことになっております。
 また、識者の中では、一基について約二十億ドルということになりますと、九百億ドルを上回る大変高価な債務をまた一層増大させるということになる、またそのお金があればもっと太陽エネルギーのような再生可能なエネルギーにしていきたいと、こういった声も出ております。
 そしてまた、日本は今日インドネシアから石油や天然ガスも輸入をいたしております。さらにまた、インドネシアにおきましては、地熱とか石炭とか水力、そして太陽光も、大変豊富な資源があるわけでございます。
 そういった中で、実は九六年四月十七日から二十七日にかけまして、原子力発電所の開発がインドネシアのムリア半島において計画されていることに対してインドネシアの新聞のコンパスが世論調査をやっております。
 これはジャワ島を初めといたしましてのジャカルタあるいはまたそのほか十一の都市を中心に世論調査をいたしておりまして、千四百九十六人を対象にして電話の聞き取り調査をしております。それに対しまして、大都市の高等教育を受けた中産階級の人たちが多く答えていたということを報道しておりますけれども、五二%の人が反対だ、そして四二%の人が計画を受けている、六%の人は意見を述べなかった、またこういったことを語るための知識を持ち合わせていない住民もたくさんいるんだと、こういったことになっております。そしてまた、計画が進みますと断食までする、こういう強い声を上げている住民もいる、このようなことを言っております。
 そこで、まず大蔵大臣に、そうしたODAのあり方あるいはまた輸銀とかさらにはJICAの協力とか、そうした財源にかかわるものについて大蔵大臣としてのコメントを最初にお聞きさせていただきたいと思います。
○説明員(西村吉正君) 御指摘のニュージェック社のフィージビリティースタディーに関する問題につきましては、仄聞はいたしておるところでございますけれども、大蔵省といたしまして、本件融資自体の可否につきましては、金融上の判断に基づきまして輸出入銀行が決定をされるべきものと考えているところでございます。
 大蔵省という立場で申し上げますならば、輸出入銀行法の規定に従いまして輸出入銀行を監督しておるわけでございますが、輸出入銀行法に違背しない限り、個別の融資に当たっては輸出入銀行自身がみずからの金融判断に基づいて行われるべきものであろうと考えております。
 大蔵省といたしまして、原子力の国際協力に関する我が国の政策についてお答えすべき立場にはございませんが、そういう問題に反するということがない限り、本件融資に関して私どもの立場から特段に申し上げるということは適当ではないように考えておるわけでございます。
○栗原君子君 インドネシアに原発は必要でないといった声が国内においてもあるわけでございます。もちろん日本においてもありますし、そして現地インドネシアにおいても反対運動が大きくなっているところでございます。
 そのような中で、インドネシアの大統領の指示によります太陽光発電を利用した百万戸の家電を行う計画が既に推進中であり、また最近もオーストラリアの援助で三万二千戸の家庭に太陽光発電システムの設置が決定している、こういったような状況の中でありますけれども、それでもまだ現地に対して原発のそういった一連のものを輸出させるということに対しては、私は核拡散防止に対しての担保ができるのかどうか、そういうことを心配するわけでございます。それから、公害の輸出にはならないのか、こういったことについてはどのようにお考えでございましょうか。
○説明員(江崎格君) 最近、アジアにおきまして、エネルギー需要が大変急増するとかあるいは地球環境問題に対応するというような観点から、原子力発電の拡大あるいは新規の導入というような動きが活発になってきております。
 具体的には、中国とかあるいは韓国におきまして既に原子力発電所が稼働しておりますし、またその他の地域でも原子力発電の開発が進んでいくものというように認識しております。
 それで、それぞれの国に原子力発電を導入するあるいは拡大するという問題についてどのように判断するかですが、これは申し上げるまでもなく、基本的にはそれぞれの当該国がエネルギー事情とかあるいはその他のいろいろな情勢判断をいたしまして、導入するかどうかということをその国自身がその国の責任において決めるわけでございます。
 我が国としてこれにどう対応するかという問題でございますが、仮に各国がその責任において原子力発電の導入を進めるということを決定した場合に、機器の引き合いといいますか提供の要請があった場合に、日本としては安全な原子力発電が行われますように信頼性の高い高品質の原子力機器を提供する、かつすぐれた運転管理技術、こういったものもあわせて提供するという方がむしろその国の原子力に関する安全性の向上に資するんではないか、このように考えております。
 もちろん、輸出に際しましては輸入国政府に対しまして、平和利用、非核爆発目的利用あるいは保障措置の適用、あるいは核物質の防護措置といったような国際ルールにのっとりました核不拡散を担保するための措置を確保するというのはもちろん当然でございます。
○栗原君子君 科技庁長官がおいででございますので、先般も日本においては「もんじゅ」の事故がございまして、この「もんじゅ」を当分の間運転しない、凍結をする、そういった新聞報道もなされているわけでございます。
 そんな中でインドネシアにおいては、大変地震の多いところでございまして、そしてまた立地条件を考えますと、私はそういったところにはいろいろ現地の皆さんの報告を聞く中では決して原発を設置すべきではない、そういう考えを持っております。
 科技庁長官の立場で、放射性の廃棄物の管理とかあるいは処分に対する責任が、そういったアジアの国々でも日本と同じような安全基準のもとにおいてできるとお考えなんでございましょうか。ちょっとそこをお触れいただきたいと思います。
○国務大臣(中川秀直君) 廃棄物の処分については、各国が国際基準に従って処理処分を行うということが重要であろうと、このように思っておりますが、その国際基準としては、IAEAが指針として放射性廃棄物管理安全基準、RADWASSというものを定めております。
 これについては、既に放射性廃棄物管理の原則、あるいは国の放射性廃棄物管理システム確立の基準、処分施設立地の指針等が作成されており、さらにそれが充実が図られることになっております。そして、現在IAEAを中心に各国の協力のもとで放射性廃棄物の管理の安全性に関する条約の作成作業が進められておるところでございます。我が国もこの作業に積極的に参加をしておるところでございます。
 インドネシアのケースでどうか、こうお尋ねでございますが、正直、こうした条約やあるいは今申し上げました安全基準が守られるということが大前提であろうと、こう思っておりまして、私の立場でインドネシアがこの廃棄物の処理処分にどういう御方針を持っておられるのか、あるいはまたそれが安全であるのか、お答えする資料はございません。
 ただ、流れはそういうことであるべきだというふうに考えております。
○栗原君子君 実は、動燃の人がわざわざインドネシアに出かけまして、「もんじゅ」は大したことはなかったと、そういった報告をなさったということが私たちのところにも報告が入っているわけでございますけれども、もう一度、「もんじゅ」は大したことなかったんでしょうか、大したことあったんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中川秀直君) 今度の事故で起こりましたことは、非放射性の二次系配管室の温度計のさやが折れましてナトリウムが漏えいしたという事故でございます。
 我が国の原子力施設については、周辺公衆に、あるいは環境に影響を及ぼさない、放射性災害だけは起こさない、こういう考え方で、多重防護という思想で安全審査あるいはまたダブルチェック等が行われており、また現実に長い期間そうした災害は起こしていないわけでございますが、今度の事故もそういう意味での放射性災害は起こしていない、その意味では技術的安全性というものは保たれたとこう思っております。
 しかし、今問われておりますことは、社会的な安全性と申しましょうか、地元の多くの方々に不安感、不信感を与えた。特に、いろいろな情報の開示をめぐりまして大変大きな不信感を与えたという意味で重く受けとめておるわけでございます。また、ナトリウムは漏れないという説明をしてきたことが実際に漏えいを起こした、火災を起こしたという意味で重く受けとめております。そういった社会的安全性という見地から我々は重大に受けとめて、今徹底的な原因究明と安全対策を講じておるところでございます。
○栗原君子君 通産大臣もおいでいただいておりますけれども、日本の原子力発電関係のものは過去どれくらい海外に輸出をされているのでございましょうか。そうした実績、またそれにかかわってのトラブルなど発生しているものでしょうか、どうでしょうか。
○説明員(江崎格君) これまでの我が国からの原子力関係の機器の輸出でございますけれども、これまで欧米を中心にいたしまして幾つかの部品が出ておりまして、例えばスウェーデン向けの圧力容器の上ぶたですとか、あるいはベルギー向けの蒸気発生器などでございます。それからアジア向けには、中国向けに昭和六十年から六十三年度にかけまして中国の秦山のI期の発電所がございまして、ここに原子炉の圧力容器及びそれに関連する資材が輸出されております。
 これらに関連しまして、特にトラブルが発生したということは承知しておりません。
○栗原君子君 貿易保険の関係についてお尋ねをしたいと思いますけれども、貿易保険につきましては独立採算制ということが原則になっているようでございます。そして、こういったことに対して危険の大きな国に対しては、引受制度を行うことができることとなっているため保険の引き受けが行われない場合もありますと、こういったことになっておりますけれども、入りたいと言いましたときに入れないといった状況というのはどういったときに起こるのでございましょうか。
 特に、先ほどお触れいただきましたこの中国の秦山の五期用の原子力機材につきましては、三菱重工に輸出許可がおりたといった報道もあるわけでございますけれども、とりわけ中国においては核保有国でございます。核兵器国でございます。そういう中で、この核の平和利用とそれから軍事利用については、どういうお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
○説明員(広瀬勝貞君) 中国の秦山U期原子力発電所向けの貿易保険の関係でございますけれども、これにつきましては、現在、付保の相談を受けているところでございます。貿易保険を付保するかどうかにつきましてはいろんな検討項目があるわけでございますけれども、一つは輸出信用に関する国際ルールでございますOECDガイドラインとの整合性あるいは代金返済の確実性、さらには安全確保等の観点から適切な配慮がなされているかどうかといったような諸点について検討をすることになるわけでございます。
 秦山U期の原子力発電所のものにつきましても、そういう観点から適否をこれから決定していくということになると思います。
○栗原君子君 これは輸銀の融資あるいはまた貿易保険などの輸出信用を適用する方向で検討していく方針だと、こういったことが言われております。そして、適用が決まれば原子力資機材の輸出について政府の輸出信用が付与される初のケースとなると言われておりますけれども、こういう初のケースになりますと、これからこういったことに対して日本はもっと門戸を開いていく、このように解釈をしてよろしいですね。
○説明員(広瀬勝貞君) ただいまお答え申し上げましたとおり、いろんな観点から所要の審査を実施しているところでございます。
○栗原君子君 そういうのは木で鼻をくくったような答弁だというんです。私は、この関係について質問をさせていただくということは最初申し上げているはずでございます。
 時間がなくなりますので、JICAのことについて少し触れさせていただきたいと存じます。
 インドネシアヘの原子力分野の協力に対しての実績、そういったことが大変この間言われてきたわけでございますけれども、インドネシアからの研修貝の受け入れについてお伺いしたいと思います。
 原子力関係につきまして、おおよそ六千七百六十万円研究用として供与をされております。そしてまた、研修貝の受け入れの実績は五十一名となっておりまして、原子力基礎技術コースが十四名、さらには原子力発電コースが十一名、原子力安全規制セミナーコースというのが十二名、ほかに個別研修が十四名、こういうことになっております。人的資源の育成という名目でそうしたバックアップをしているんではなかろうか、こういうことを感じるわけでございますけれども、国際協力事業団ではどういうお考えを持っていらっしゃいますか。もともと原子力についてODAは出さないということが今まで言われてきたわけでございますけれども、この関係からすればどのように解釈すればよろしいですか。
○参考人(藤田公郎君) ただいまの御質問の原子力発電分野を含む原子力関係についての国際協力事業団の協力の概要をまず御説明申し上げます。
 ただいま委員が御引用になりました数字が大体適合しておりますけれども、国際協力事業団が行っております研修、これは開発途上国全体から、原子力に関しましては今お述べになりましたように、原子力基礎技術コース、原子力発電コース、原子力安全規制行政セミナーコースというこの三つのコースにつきまして過去十年間ぐらい各国から研修生を受け入れまして研修を行っております。インドネシアからは毎年一人参加されている場合ないしは参加されない場合もございますが、十年間の総計を人数の累計で申し上げますと、先ほどの委員の御指摘の人数どおり十四名、十一名、十二名ということになります。
 セミナーの内容は、原子力面における主として安全の対策、安全の規制、そういう基本的な基礎的な教育をするということを目的にしておりまして、我が国の関係諸機関にお願いをして教育をしていただいております。
 それから第二点の、委員がお触れになりました六千七百万円云々という件でございますけれども、これは実は中性子線回折装置という装置でございまして、物質の結晶の構造を解明するために中性子線を物質に当てるという内容の機材でございます。これは入七年度にインドネシアの原子力庁に供与いたしております。現在、ジャカルタ郊外のスルポンというところにございます原子力庁に設置をされております。
 それから第三点、委員のお触れになりましたODAと原子力云々ということにつきましては、これは政策問題でございますので、私よりもむしろ政府側から御回答いただいた方がいいんではないかと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ただいまの第三点、御質問ございますのでお答えを申し上げます。
 ODAと原子炉の関係につきまして、先ほど通産省の答弁にも一部ございましたけれども、たしか一九八三年だと思いましたけれども、OECDで、原子力発電所の輸出については、ODAあるいは非常にコンセッショナルな、条件の緩やかな信用は供与しない、そういう取り決めがございます。それに従ってやっておるところでございます。
 しかし、これは原子力発電所というものが商業炉であり、非常に収益性が高いという観点からのものでございまして、決して原子力だからODAの対象にしないということではございません。先ほどJICAの総裁から御答弁申し上げましたように、原子力の関係、とりわけ安全性の面で技術的な協力をやっていく、こういうことは我が国のODAの中でもきちんと位置づけられてしかるべきものかと思っております。
○栗原君子君 もう時間がないので、終わります。
○委員長(野沢太三君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会