第136回国会 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会 第2号
平成八年二月二十一日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     上山 和人君     一井 淳治君
 二月二十一日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     緒方 靖夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         浜四津敏子君
    理 事
                斎藤 文夫君
                服部三男雄君
                勝木 健司君
                齋藤  勁君
    委 員
                阿部 正俊君
                亀谷 博昭君
                北岡 秀二君
                久世 公堯君
                陣内 孝雄君
                谷川 秀善君
                野沢 太三君
                小川 勝也君
                小山 峰男君
                菅川 健二君
                続  訓弘君
                一井 淳治君
                今井  澄君
                緒方 靖夫君
                吉川 春子君
                小島 慶三君
   政府委員
       行政改革委員会
       事務局長     田中 一昭君
       地方分権推進委
       員会事務局長   東田 親司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐藤  勝君
   参考人
       地方分権推進委
       員会委員長    諸井  虔君
       地方分権推進会
       員委員長代理   堀江  湛君
       地方分権推進委
       員会地域づくり
       部会部会長    成田 頼明君
       行政改革委員会
       委員       大宅 映子君
       行政改革委員会
       規制緩和小委員
       会参与      鈴木 良男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○地方分権の推進及び規制緩和に関する調査
 (地方分権の推進に関する件)
 (規制緩和に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(浜四津敏子君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、上山和人君が委員を辞任され、その補欠として一井淳治君が選任されました。
    ―――――――――――――委員長(浜四津敏子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方分権の推進及び規制緩和に関する調査のため、本日の委員会に地方分権推進委員会より委員長諸井度君、委員長代理堀江湛君及び地域づくり部会部会長成田頼明君を、行政改革委員会より委員大宅映子君及び規制緩和小委員会参与鈴木良男君を参考人として出席を求め、御意見をお聞きしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜四津敏子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(浜四津敏子君) 地方分権の推進及び規制緩和に関する調査を議題とし、地方分権の推進に関する件について参考人から御意見を聴取いたします。
 午前は、地方分権推進委員会より委員長諸井度君、委員長代理堀江湛君、地域づくり部会部会長成田頼明君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして、本委員会における調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、地方分権推進委員会の審議状況等について諸井参考人及び成田参考人から御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。なお、意見の陳述、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず諸井参考人にお願いいたします。諸井参考人。
○参考人(諸井虔君) おはようございます。
 御紹介いただきました諸井でございます。よろしくお願いいたします。私のお隣が委員長代理の堀江湛慶応大学教授でございます。それから、こちらが地域づくり部会の部会長成田頼明横浜国立大学名誉教授でございます。
 きょうは、地方分権推進委員会の審議状況につきまして御説明を申し上げる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
 それでは、まず当委員会の発足からこれまでの主な審議経緯及び今後の予定につきまして御説明を申し上げます。
 当委員会は、資料一にございますとおり、地方分権推進法が施行された昨年七月三日に発足をし、委員として、私と堀江委員のほか、福岡市長の桑原敬一さん、前神奈川県知事の長洲一二さん、東京大学教授の西尾勝さん、評論家の樋口恵子さん、元宮城県知事の山本壮一郎さんの七人が国会の御同意をいただきました上で総理から任命をされております。
 初会合には、総理初め関係大臣が臨席され、総理から、政府としては五年間の前半をめどに地方分権推進計画を作成したいとの御意向が示されるとともに、地方分権推進委員会に対し、二十一世紀に向け、地方分権の総合的かつ計画的な推進を揺るぎなきものとするよう、幅広い観点からの十分な審議に基づき、具体的な指針を勧告するよう要請がございました。
 それ以降、これまでの約七カ月半の間に委員会、部会合わせて四十三回の会合を重ねてまいりました。
 この間、昨年十月中旬には、行政分野別課題について個別具体的かつ専門的に調査審議を行うため、各界を代表する二十四人の専門委員が総理から任命されるとともに、委員会のもとに地域づくり部会及びくらしづくり部会の二つの部会を設置いたしました。
 地域づくり部会においては、国土・土地利用、住宅・公園、産業・交通・通信、公害・自然環境など主として地域社会の基盤にかかわる行政分野を担当し、それからくらしづくり部会におきましては、福祉・保健・医療、衛生、教育・文化、雇用・婦人・少年、消費者など主として住民の暮らしにかかわる行政分野を担当しております。
 なお、専門委員の中から、地域づくり部会の部会長にはこちらにおいでの成田さん、それからくらしづくり部会の部会長には東京大学教授の大森彌さんを指名したところでございます。
 また、これらの部会の設置に当たり、それまでの委員会における論議を整理することといたしまして、「地方分権推進に当たっての基本的考え方」、それから「行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」を取りまとめて各部会に伝達するとともに、十月十九日にこれらを公表したところでございます。
 委員会はその後、昨年末まで主として委員会と部会の合同会議を開催し、行政分野ごとに、主に地方団体からは具体的な改革意見や要望を、また関係各省庁からは地方への関与等を行っている具体的理由や地方団体から指摘された事項に関する見解を伺うとともに、さらに有識者からもヒアリングを行って、地方分権を具体的に推進するに当たっての改革課題の主な論点を整理しながら審議を進めてまいりました。
 また、地方分権の推進に関し国民各層の幅広い意見を聞き、今後の中間報告、指針作成の参考にするとともに、広く分権の必要性を国民の皆さんにアピールするため、十一月二十七日の月曜日には広島県広島市で、また十二月六日の水曜日には群馬県前橋市で一日地方分権委員会を開催いたしました。
 このように審議を進めてきた結果、昨年十二月二十二日には、機関委任事務制度を廃止した場合の従前の機関委任事務の取り扱いについての検討試案を取りまとめ公表するとともに、今後の審議の進め方について昨年十月に委員会で取りまとめた基本的考え方などを一歩進めた委員長見解を記者会見で示しました。これらについては後ほど御説明を申し上げます。
 また、本年一月以降は、委員会と部会を合わせるとおおむね週二回ないし三回の頻度で開催をいたしまして、昨年末に取りまとめた機関委任事務制度の廃止に係る検討試案あるいは委員長見解の考え方を踏まえて審議を進めております。
 委員会では、機関委任事務、国の関与・必置規制、補助負担金、地方税財源等の制度的課題について改めて地方団体、関係各省庁、有識者からヒアリングを行うとともに、フリートーキングを行っております。また、両部会では、個別行政分野ごとに論点を整理し、各省庁、地方団体からヒアリングを行いつつ、掘り下げた審議を行っております。
 これにより、本年三月末を目途に委員会として中間報告を取りまとめる予定としております。また、地方分権推進計画作成のための具体的指針の勧告の時期については、審議の状況にもよりますが、少なくとも緊要度の高い事項につきましてはできれば本年秋ごろまでに、また遅くとも本年じゅうには行えるよう審議を進めてまいりたいと考えております。
 以上がこれまでの主な審議経緯と今後の予定でございます。
 次に、昨年十二月二十二日に取りまとめました機関委任事務制度を廃止した場合の従前の機関委任事務の取り扱いについての検討試案、それからその他の事項についての委員長見解のメモについて御説明をいたします。
 最初に、機関委任事務制度の廃止に係る検討試案について御説明いたします。資料二の一をごらん願います。
 御承知のとおり、政府が閣議決定しました一昨年末の地方分権大綱方針や地方分権推進法案に係る国会審議等を通じて、機関委任事務制度のあり方について当委員会として検討することが要請されております。
 また、昨年十月から二つの部会がスタートし、地方団体、中央省庁等からヒアリングを実施し主な論点を整理した結果、地方団体側と中央省庁側の意見にはかなりの隔たりがあるという状況が出てまいりました。そこで、当委員会では機関委任事務制度を廃止した場合の代替措置についての基本的な考え方や仕組みを示し、それに対して各省庁や地方団体の意見を聞くことが今後の論議を深めるために効果的であると判断をいたしまして、委員会で検討試案を取りまとめ公表したところでございます。
 試案の考え方は、現在の機関委任事務制度を廃止した場合、まず、事務自体を廃止するものは別として、原則的に地方公共団体の事務とするよう図り、引き続き国の事務として残さざるを得ないものについては、法律により地方公共団体への委託事務とするなどの新たな事務処理方法を設けてはどうかということでございます。内容の詳細につきましては、後ほど検討試案作成の中心となられました成田部会長から御説明をいたします。
 なお、これはあくまでも検討試案でございまして、各省庁、地方団体等の意見を踏まえてさらに細部を詰めるなど検討を深めていくこととしております。
 次に、委員長見解について御説明をいたします。資料二の二をごらんいただきたいと思います。
 この資料は、国と地方の役割分担、国の関与及び必置規制、補助金等の三項目に関しまして、今後の委員会及び部会における検討の考え方について私が昨年十二月二十二日の委員会終了後の記者会見で発言したものを整理したものでございます。昨年十月に当委員会が取りまとめて公表しました「地方分権推進に当たっての基本的考え方」及び「行政分野別課題審議に当たって留意すべき事項」等における考え方を一歩進めた内容となっております。両者を比較したものが資料二の三でございますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
 最初は、「国と地方の役割分担」でございます。
 昨年十月に公表した基本的考え方では、国と地方の役割分担について、一昨年の地方分権大綱方針や地方分権推進法と基本的に同じ考え方に立った内容でしたが、今回の委員長見解では、十月に示しました、国は、全国的規模、視点で行われることが必要不可欠な施策、事業の実施など国が本来果たすべき役割を重点的に分担する、その考え方について、これまで全国的な規模、視点で国によって行われてきた施策、事業であっても、国はナショナルミニマムの維持達成等に係る基本的な事項を重点的に担うこととし、地域に関する行政は広く地方公共団体が担うものとする、こういうふうに一歩踏み込んだ考え方に立っております。
 次に、「国の関与及び必置規制」について御説明いたします。
 今回示した考え方では、国の関与の基本ルールと手続に関する一般的な制度を設ける方針で具体的な検討を行うということにしておりますほか、国の関与や必置規制については、法令の定めによらないものは原則として廃止するとともに、存置する場合においても基本的な事項は法律で定める方針で具体的な検討を行うということにしております。
 前回に比べ、国と地方公共団体との間において行政手続法的な考え方に立ったルールを設けることを検討することを新たにつけ加えたところであり、新たな国、地方のパートナーシップのもとにおける国の関与は、従来の上下関係を基本としたものから、透明、公正を旨とする対等の関係に移行すべきであるという考え方に立っております。
 三番目が「補助金等」でございます。
 補助金等についての本格的な論議はこれからでございますが、昨年十月に示した考え方に沿って、積極的にその整理合理化を進めることはもとより、国の過度の関与を是正する観点から、補助基準、補助要綱等のあり方について基本的な見直しを行うとの考え方を示したところであります。
 また、補助施設の活用の問題がいろいろ出ておりますので、補助施設の有効活用を進めるため、補助金交付後一定期間を経過した後は、地域の実情に沿って簡素な手続により地方公共団体が転用できることとする方向で検討することとしております。
 以上で委員長見解メモの御説明を終わります。
 なお、この機会に当委員会における審議内容の公開等の取り扱いについて御紹介をさせていただきます。
 当委員会では、審議状況を関係各位に御理解いただくため、委員会終了後、原則として委員長及び委員長代理から記者会見を即日行っております。また、審議経過の速報版を審議概要として公表しているほか、議事録に相当するより詳細な議事要録を公表しております。また、部会についても、記者会見のほか、審議要旨の公開を行っております。さらに、原則として毎月一回、当委員会の活動状況をまとめた「分権委ニュース」を発行し、国会関係、中央省庁、地方公共団体等に配付させていただいており、委員会運営の透明性に努力していることを付言させていただきます。
 それでは最後に、私から一言お願いを申し上げます。
 申すまでもなく、今回の地方分権の推進は、平成五年六月の衆参両院の「地方分権の推進に関する決議」が採択されたことに始まり、一昨年暮れの地方分権大綱方針の閣議決定、昨年五月の地方分権推進法の制定や当委員会の発足により新たな段階に入ったと考えております。
 当委員会としては、今回の地方分権の推進を我が国の地方制度にとって明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革として位置づけ、今後とも精力的に調査審議を進めてまいる所存でございます。
 今回の地方分権の推進を実のあるものとするためには、当地方分権推進委員会の活動のみならず、何よりも国会における強力な御支援、御協力と国民各位の御理解、御支持が必要と考えているところでありますので、このことを切にお願い申し上げまして、私の説明を終わりたいと存じます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○委員長(浜四津敏子君) ありがとうございました。
 次に、成田参考人にお願いいたします。成田参考人。
○参考人(成田頼明君) 成田でございます。
 それでは、機関委任事務制度の廃止に係る検討試案につきまして御説明を申し上げたいと存じます。
 最初に、この試案の背景にございます基本的な哲学ないしは考え方について御説明申し上げたいというふうに考えております。
 三点ございまして、第一点は、現在の国と地方の関係というものは上下の主従関係あるいは支配服従関係にあるというふうに言われておりますけれども、地方分権推進法にもございますように、今後は対等の協力関係に改めていく、こういう考え方が一つ基本になっております。
 それから第二は、国、地方の関係を、住民による選挙で選ばれました地方公共団体の首長、これを国の機関としてとらえ、しかも国の各省大臣が無限定かつ広範な指揮監督を行っている、こういうような責任の所在が不明確でしかも広範な指揮監督のもとに極めて不透明な関係にあるわけでございますけれども、これを透明かつ公正なものに改めていこうということでございます。
 第三は、国、地方の関係につきましてもいわゆる法治主義というものを徹底いたしまして、現在各省庁による非常に広範な無限定な行政統制が行われているわけでありますけれども、そういう行政統制から国会による立法統制及び裁判所による司法統制を中心とするシステムに変えていこうということでございます。
 この検討試案では、まず現行の地方自治法第二条で決められております地方公共団体の四種類の事務区分、つまり公共事務、団体委任事務、それから行政事務、機関委任事務、こういう四種類の事務区分を一応全部白紙に戻しまして、白紙から考え直していこうというところから出発しております。
 それからまた、現行の機関委任事務制度は、これは私もよく前から考えているところでございますけれども、集権的行政システムの象徴的な存在であるというふうに思われますので、これを抜本的に改めるということがこの試案の基本的な考え方でございます。
 以上、三つの基本的な考え方に立ってこれを策定したという次第でございます。
 次に、試案の内容について御説明を申し上げますが、資料の二の一をごらんいただきたいと存じます。
 まず、現在機関委任事務とされておりますものの中で、事務の存続の必要性を検討した結果、事務そのものを廃止するというものにつきましては、これは法令の規定を廃止するということにいたしております。例えば、これは規制緩和の観点あるいは時代的背景から見て現在ではそういう事務は必要ないというふうなものがありましたら、そういった事務はもうやめてしまうという場合、あるいは地方公共団体の任意にゆだねたらどうかといった場合には法令自体を廃止するということになるわけでございます。
 それからまた、今後とも存続が必要な事務につきましては、原則として地方公共団体の自治事務というものにするという扱いにしております。これにつきましては、従来、団体事務というふうに呼ばれておりましたものと新たに地方公共団体の事務とされるものを合わせて自治事務という言葉をここでは使っております。
 自治事務につきましては、これはさらに随意事務と必要事務の二つに分けてございます。
 そこでまず随意事務と申しますのは、地方公共団体が住民のニーズあるいは能力、規模、意欲、そういうものに応じて必要であるというふうに判断すれば実施するという形になる事務でございます。本来、地方公共団体が条例や規則に基づいて実施するのが建前でございますけれども、国がガイドラインというふうな形で、あるいは計画をつくれというふうな形で法律を制定する場合もございます。現在の公共事務、行政事務と言われているものがここに入っているわけでございます。
 その場合にも、国の関与のあり方としましては、こういった事務の性質からいたしまして、報告の徴収や技術的な助言、勧告を行うということにとどめるべきであるというふうに思っているわけであります。
 それから次は、必要事務であります。
 これは、法律で定めるところにより、地方公共団体は実施しなきゃならない、つまり実施が義務づけられる事務ということになるわけでございます。
 必要事務の実施方法の基本的な枠組みにつきましては法令で定めるということになるわけでありますが、法令で定めることに加えて、場合によっては、現在も既に行われておりますけれども、地方公共団体の条例あるいは場合によっては規則等で上乗せ、横出しをする、あるいは適用除外規定を設けるというふうなこともできるだけ広く認める方がよいのではないかというふうに思います。
 したがいまして、国の関与のあり方としましては、報告徴収や技術的助言、勧告のほかに、特に必要がある場合には法令によって最小限度の基準の設定を行うこと、あるいは国が事前協議を求め地方がそれに応ずる、こういうことも認めるということにいたしております。ただし、現在の事前協議の場合には、協議が成立するまでは地方公共団体は行動ができないということになっている場合が多いわけですけれども、ここでは協議が成立することを必須の要件にはしないということを原則にいたしまして、一定の期間内に協議が成立しない場合においても地方公共団体はその判断で行動することができるようにしてはどうかというふうに考えているのであります。
 それからまた、現在の地方自治法にもございますけれども、地方公共団体の事務の管理執行が法令に違反する、違法の行政を行っている、こういった場合には、事後的に地方公共団体に対しまして当該違法行為を是正するために必要な措置を講ずる、こういうことを認めたらどうかということで、これは違法是正措置要求というふうにいたしております。ただし、現在の地方自治法では、著しく不当な事務の管理執行につきましても是正措置要求ができるということになっておりますけれども、ここでは法令に違反する、違法なものに限定するというふうに考えているわけでございます。
 それからさらに、この場合に、国の要求に行き過ぎがあってはいけませんので、違法是正措置要求については地方公共団体の異議の申し出を認め、なお不服があるという場合には、司法統制ということで裁判所に持ち込んで争うという道を開いてはどうかということにしております。行政統制から立法行政、司法統制へというふうに最初に申しましたけれども、最終の決着を行うような場合には裁判所で行うということにしてはどうかということでございます。
 この必要事務には、現在法律に基づいて行われております団体委任事務と機関委任事務のうちの多くの部分がこの範嗜に、このカテゴリーに入ってくるものというふうに考えております。
 それから次は、法定受託事務でございます。
 今申しましたように、現在の団体事務と機関委任事務の非常に多くの部分を自治事務のうち必要事務にするということにしたいと思っておりますが、それでもなお国政事務という形で残らざるを得ないものがあるだろうというふうに思われます。これをどうするかという問題が残るわけですので、それを一応法定受託事務、国からいいますと委託ということになりますが、地方自治体の側から見ると受託ということになるわけで、これを法定受託事務という形にしてはどうかというふうに思っております。
 これは、都道府県知事や市町村長が国の機関として事務を委任されるというのではなくて、あくまでも地方公共団体が団体として受託をするということになります。したがって、国と地方公共団体を上下の支配服従関係に置くというこれまでの機関委任事務とは大いに性格が違ったものである、それが一つの大きな特色ではないかというふうに思っておるわけであります。
 法定受託事務と申しますのは、これは事務自体は国政マターとしての性格が非常に強いということでありますけれども、住民ないしは国民の利便ということを考えますと、あるいは事務処理が効率的に行われるということを考えますと、やはり法律の規定によって地方公共団体が受託をし処理するというのが妥当ではないかというふうに思っているわけであります。
 受託という制度につきましては、これは現在でも地方公共団体が例えば国の公共事業の用地買収について委託を受けるということをやっております。そのほかにもこういった委託の例はいろいろあると存じますけれども、この場合に、地方公共団体にそれを受託するあるいは受託しないという判断の自由があるわけであります。これに対して試案で出しております法定受託事務につきましては、法律の規定によって受託すべきものということで地方公共団体に事務の受託を断る自由はないということで、実施すること自体が義務づけられるということにしてはどうかということでございます。
 法定受託事務は、事務の性格によりまして事実行為に係る事務と処分行為に係る事務の二つの種類の事務に分かれます。
 まず、事実行為に関する事務でございますけれども、これは例えば国勢調査その他の統計法等に基づきます指定統計等の事務がこれに該当いたします。国勢調査などは全国を対象として一定の期日に一斉にやらなきゃならないという性質のものでございますので、その目的から申しまして、どうしても国が一斉に行わなきゃならないものでございます。しかし他方で、国が隅々まで国の公務員を派遣して統計調査を行うということはもう到底不可能でございますので、やはり地方公共団体が受託して実施するということが適当であるということに相なるわけでございます。
 それから次は、処分行為に係る事務であります。この処分と申しますのは、これは行政手続法等にいう行政庁の処分にほぼ相当するものというふうに考えてよろしいかと思われますけれども、いわゆる許認可のように国民の権利義務に法的な効果を及ぼす、そういう個別的、具体的な行為というものを指すわけでございます。
 処分行為に係る法定受託事務はできるだけ限定したいというふうに考えておりまして、例えば旅券の交付、外国人登録、あるいは国政選挙、あるいは国政事務としての性格が明白なものに限定していきたいというふうに思っているわけであります。
 こういった法定受託事務に対する国の関与につきましては、ただいま御説明いたしました二つの事務と同様に、非権力的な関与というものを認めることにしていますが、同時に、従来の機関委任事務制度で認められております一般的な国の指揮監督にかえて、地方公共団体に国が個別の法律に基づいて指示を行うということができるようにしてはどうかと思っております。
 また、処分行為に係る事務につきましては、特に必要がある場合には法令の規定を明確にいたしまして、国が認可、承認をするとか代執行するといったことを認めてはどうかというふうに考えております。このような指示、認可、承認、代執行につきましては、自治事務における是正措置要求と同じように地方公共団体の異議を認め、さらに不服があれば裁判所に持ち込むという形で司法統制にゆだねるという考え方にしております。
 それから、国の直接執行でありますが、現在機関委任事務として地方公共団体が処理しております事務のうち、国政事務としての性格が明らかなものの中には、むしろ国がじかに執行した方がよいというふうに思われるものもございます。そういったものにつきましては、これは機関委任事務ではなくて国が直接執行するということで、国に事務を返上するということではいかがであろうかというふうに思っております。
 それから次に、一ページの下のところにスターマークがついたところがございます。これは透明、公正、あるいは法治主義という観点から報告徴収等々の非権力的な関与あるいは権力的関与につきましては、個々にそれぞれの法律に根拠を定めるということにしております。また、行政手続法の趣旨を国と地方の関係についても当てはめて、国の関与についての一定のルールや手続に関する制度を一般的に決めるというふうな考え方をとっております。
 それからまた、その下のスターマークにつきましては、これは自治事務及び法定受託事務のいずれについても、国の関与や基準の設定等に関して地方公共団体は所管大臣に意見を申し出るということにしておるわけでございまして、これはいわゆる意見具申権と呼ばれるものでございます。事務の執行に当たりますのは地方自治体でございますので、地方自治体の意向を反映させようということでございます。ただ、これに対して、所管大臣は意見が出ました場合には必ず応答するという義務をここで課しております。意見が認められない場合には、その理由を明らかにする理由付記なども認めるということにしております。
 以上が昨年公表いたしました機関委任事務制度を廃止した場合の従前の機関委任事務の取り扱いに関する検討試案の概要でございます。これに対する各省庁、地方公共団体、有識者等の関係者の意見を伺い、さらに専門委員会での検討を経まして、必要な部分の明確化、詳細化等の修正を加え、取りまとめていく所存でございますので、どうかよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいというふうに存じます。
 若干時間が超過して申しわけございませんけれども、これで私の説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○委員長(浜四津敏子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○谷川秀善君 自由民主党の谷川秀善でございます。
 諸井虔地方分権推進委員会委員長さん、堀江湛地方分権推進委員会委員長代理さん、また成田頼明地方分権推進委員会地域づくり部会部会長さんにおかれましては、本日、大変お忙しい中お出ましをいただきまして、まことにありがとうございます。
 ただいまは諸井委員長さん、成田部会長さんから、昨年七月の委員会発足以降それこそ本当に精力的に御審議を賜り、本日まで委員会及び両部会を合わせまして四十三回もの会合を重ねていただいていることをお伺いいたし、私も長年地方自治体の現場で働いてまいりました者として大変意を強くいたしたところでございます。
 この法律は、先生方もう御存じのとおり、五年の時限立法でございます。五年の時限立法ですけれども、やらなきゃならない問題は本当に山ほど山積をしているんじゃないかというふうに思うわけでございます。これからいよいよ各論に入っていただくわけでございますが、各論に入りますとそれぞれの考え方が恐らく表面に出てまいりまして、総論賛成各論反対とまではいきませんでしょうけれども、国と地方の思惑や、また関係団体との調整など、地方分権推進計画の策定までの道のりは大変な道のりだろうというふうに御推察を申し上げるわけでございます。
 しかし、これからの事項の具体的な中身は、先生方の調整、審議を経て勧告をされる趣旨に基づいて政府が作成をいたします地方分権推進計画にすべてがゆだねられることになっておりますので、地方分権がどういう形でどの程度まで実現されるのかというのはこの計画のできぐあいいかんにかかっていると言っても過言ではないと思うのであります。そういう意味では、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。したがいまして、本日は委員長さんに基本的な考え方について二、三お伺いをいたしたいと思うのであります。
 ただいま成田部会長さんから機関委任事務制度の検討状況についてはお伺いをいたしましたが、私は地方自治体で働いておった者としてこれが地方分権を阻害している一番大きな問題ではなかろうかと思うわけであります。地方自治体から見ますと機関委任事務は五百数十件あるわけでございますが、これをどうするかというのは大変なことだろうと思いますけれども、少なくともいわゆるこの機関委任事務の大半は恐らく地方自治体の固有事務だろうというふうに私はかねがね考えておるわけでございますので、何とぞその点を踏まえましていろいろ御審議を賜りたいというふうに思っておるところでございます。
 まずお伺いをいたしたいのは、今日、地方分権をすべきだという考え方に対しては、今のままでいいというような論議を正々堂々とおっしゃる方は恐らくいないだろうと思うわけでございますが、いざということになりますと、中央省庁の方々は権限をおろしたくてもおろす受け皿がないんじゃないか。市町村にその準備ができていない、受け入れ体制ができていない、おろしたくてもおろせないという、いわゆる受け皿不備論が出てまいろうかと思うわけでございますが、受け皿ができていないというようなことを言っておりますと、なかなかこれは前へまず進まないというふうに思うわけであります。
 ところが、そうすると受け皿というのはどういうことが要件になるのかということになろうと思いますが、どうもその受け皿については、大体要件は人口を基準にその判断をしているのではないか。議論というのは今までずっと続いておりますが、人口が多いところはそれなりに財政力もあるし人材もおるだろうということで、いわゆる人口を基準に受け皿をつくればいいということが一番わかりやすいんだろうと思います。結局今までの考え方を見ていますと、政令指定都市だとか個別の法律による指定だとか、あるいはまた今度できます中核都市だとか、これはすべて人口を基準にいわゆる仕分けをしているわけでございます。
 現在、御存じのように地方自治体、三千三百ほどの市町村があるわけです、府県を入れましてもうそれこそその行財政能力というのは千差万別であります。大阪府のような人口一千万近くの自治体もあれば、もう千人ぐらいの市町村もあるというようなことでございますので、これはなかなか一概に論じられないと思いますが、新進党の小沢さんは、市町村合併を促進して人口三十万から五十万ぐらいの都市にして、それで全国三百ぐらいの受け皿にすればいいんじゃないかというようなことをおっしゃっておられるようでございますが、そういうことを言っておりますと日暮れて道遠い、全然前へ進まないだろうと思います。
 いずれにしてもこの議論は出てまいろうと思いますので、なかなか言いにくいとは思いますが、仮に受け皿として適正規模はどれぐらいがいいのかということを、もしお考えがあればちょっとお伺いいたしたいと思います。
○参考人(諸井虔君) おっしゃるように、中央省庁はさすがに正面切って受け皿がだめだということはおっしゃいませんけれども、御発言の節々にそういう点は感じられますし、それからそのほかに経済界その他でもそういう議論があることは私もよく承知しております。
 それについて、例えば道州制の議論であるとか、今おっしゃった市町村の合併が先行すべきだ、そういう議論もいろいろ聞いておるわけでございます。ただ、今おっしゃいましたように、受け皿の議論を先行させますと地方分権に入っていくのに大変時間がかかるということになりかねないと思っております。また逆に、権限や財源を渡して自主的にやらせないからなかなか育たないというような面もあろうかと思うのであります。そこで、我々としては、一応都道府県、市町村の二層制でやれという前提はいただいておることでございますし、そういう線で検討を進めてまいりました。
 それから、小規模の市町村なんかの場合に、都道府県がやはりバックアップをするとか、周辺の市町村を広域的に連帯してカバーしていく、そうしながらだんだん市町村等の行政の力を強めていく。そしてまた、権限の移譲等も場合によっては段階的にやっていく、その市町村の状況によって。そういういろんな考え方があるんじゃないかなというふうな今考えでございまして、人口幾らを目標にするとか、そういうふうにならなきゃ権限移譲ができないんだというふうな考え方は現時点ではとっておりませんのでございます。
○谷川秀善君 おっしゃるとおりだと思います。受け皿論をやりますとこれはなかなか前へ進まないと思いますので、それは現実の問題としては非常に犬切だろうと思いますけれども、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 地方分権を進める上でやっぱり一番大事なのは私は財政問題だと思うんです、結局は。いかに地方分権を唱えまして制度面で整備を図りましても、地方自治体が財政的に自立ができなければこれは絵にかいたもちにしかすぎないというふうに私は思っておるわけです。そういう意味では、自主財源をどのように確保し充実させていくのかということが地方分権を進める最大のかぎになるのではないかというふうに思うわけでございます。
 例えば、自治省が人口規模と産業構造の組み合わせで全国の市町村を六十九に分類しています。それで、財政分析を行って毎年発表しておりますが、いわゆる類似団体別市町村財政指数表というのを出しておりますけれども、これを見ますと、人口が多く都市化が進んでいるところは市の収入に占める市税の比率も大体五〇%前後ぐらいだろうと思いますが、人口が少なく都市化も進んでいない市町村に至っては市町村税の比率は一〇%あるかもつとそれ以下のところもありまして、大体ほとんどの市町村、府県も含めましてですが、国からの地方交付税に頼っておることがこの表を見ますと一目瞭然だろうと思うんですね。
 それで、平成七年度のいわゆる交付税の交付状況を見ますと、全国三千数百ある団体のうち、不交付団体は市町村で百五十三団体、都道府県に至っては一団体です。大阪みたいなところでも交付団体になってしまったわけでございますから、そういうことから見ますと、全国で恐らく九五%近くが国からの財政援助がないと立ち行かないというのが現実であって、これは本当に異常と言う以外の何物でもない。地方分権を進めるとか地方自治体をどうするとかということからいいますと、異常と言う以外の何物でもないと私は常々思っておったわけです。
 これは結局原因は何かというと、一言で言うと国が税金を集め過ぎておるんですよ、国が税金を。税の仕組みが全然なっておらぬということで実態とかけ離れてしまっている。だから、せめて私は、税源調整をやりまして、少なくとも地方自治体の半分ぐらいは自主財源でその団体が運営できるというふうにならなければなかなか前へ進まないだろうと思います。そういう意味で、いわゆる税の仕組みについてはいろんな議論があろうかと思いますが、委員長さん、どのようにお考えでございましょうか。
○参考人(諸井虔君) 税あるいは財政の問題が非常に重要な、あるいはキーポイントであるという意識は我々も十分持っております。ただ、どういう権限を地方へ移すのかということがある程度はっきりしてまいりませんと、税を具体的にどうするかというところへなかなか議論が進まないものでございますから、実はこの問題については二月に初めて大蔵省あるいは自治省等からのヒアリングを始めて、だんだん分権の内容がはっきりしていくのに合わせて議論を進めていく。むしろ、これからその問題が非常に大きな大事な問題になっていくというふうに考えております。
 ただ、基本的な考え方では、やはり今、先生のおっしゃいました税収とそれから歳出の大きな乖離、これは甚だ問題である、ですから自主財源をやはり充実していく方向で考えなくちゃいかぬ。と同時に、都道府県、市町村には相当な乖離もあるわけでございますから、一方で交付税というものもどうしてもこれは確保していかなくちゃならぬ。そういう形で、両方を整備するような形で地方の財政をしっかりしていかなくちゃいかぬ、そういう基本的な考え方はもう初めからはっきりしております。検討はこれからむしろだんだん力が入っていくということであろうかと思います。
○谷川秀善君 ありがとうございました。
 今、委員長さんおっしゃったように、徴税から見ますと、大体国は二で地方は一ですね。逆に支出から見ますと逆転している。だから、一対二だということですので、これは逆にしたらいいんじゃないかというのは、これは粗っぽい議論だろうと思いますのでそういうことは申しませんが、せめて何かある程度ここにメスを入れないとなかなか難しい、実現性が担保されないということに相なろうかと思いますので、その辺のところをよろしくお願いいたしたいと思います。
 その次に、補助金の制度の問題につきましてはいろいろ御論議を始めていただいておるようでございますが、結局地方分権を阻害いたしておりますのはこの補助金なんですね、補助金の制度なんですよ。結局、市町村財政の中で見ますと、大変なウエートを占めておるんですね、この補助金というのが。
 それで、総じて市町村よりも市の方が補助金に依存する度合いが高いわけでございます。そうしてまた、人口が多くて規模が大きくなってまいりますと、地方交付税よりも補助金の額が大きくなる。おかしな形なんですけれども、そういう傾向があるわけでございます。これは、もちろん都市化に伴いまして道路だとか下水道だとかという社会資本整備のほとんどが補助金の事業ということに相なっておりますから、これはやむを得ないのだろうと思いますが、地方分権を本当に本格的に進めようと思えば、身近な行政はそれぞれの市町村の業務ということに相ならなきゃこれは前へ進まないと思います。
 そういたしますと、補助金行政というのは、これは本来なら基本的にはなくならなきやおかしいわけでございますね、補助金行政はなくならないとおかしい。ところが、恐らくこれは具体的な論議になりますと、なかなか各省庁がその補助金を手放すとはちょっと考えられないのです。それはもう議論してみなきやわからぬと思いますが、現実問題としては手放すとは考えられないと思います。
 そういたしますと、結果的には補助金だけは打ち切られてしまう、事業だけはいく、これでは地方自治体にとってはもう泣きっ面にハチみたいな話になりますので、この補助金制度を地方分権を進めて権限等を移譲していく場合にどのようにしていったらいいと、なかなか難しい問題だろうと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。
○参考人(堀江湛君) ただいま谷川先生が御質問のとおりでございまして、私どももこれが一番大きな重要な問題と考えております。目下のところ機関委任事務の廃止という大きな問題があるものですから、まずそちらに集中的に論議の焦点を当てておりますけれども、中間報告に向けて補助金の問題についても今検討を重ねておるところでございます。
 既に、昨年十月に委員会で公表いたしました「地方分権推進に当たっての基本的な考え方」という文書、お手元にもあろうかと思いますが、ここでその事務事業の内容等を十分検討いたしまして、地方公共団体の事務として既に同化定着、定型化しているもの等はできるだけ一般財源化を進めると同時に、国と地方との役割分担、こういう見地からこれを見直していかなければならない。そして、一挙に補助金全廃というわけにはいかぬと思いますが、真に必要なもののみに限定してできる限り地方公共団体にこれを移していく、こういうことを進めていかなければいけないだろうと、こういうふうに考えております。殊に、暮れに委員長見解で、さらに国の過度な関与を是正するという観点から、この一番問題の補助基準あるいは補助要綱等について基本的な根本的な見直しを行わなければならぬだろうということで、目下、地方六団体あるいは中央省庁の御意見等をヒアリングによって聴取しておるところでございますけれども、可能な限り補助金を一般財源化していく、つまり地方税もしくは一般交付税という形に組みかえていく。御指摘のように、権限は移したけれども補助金が打ち切られて、そして全部自治体の負担になるということになっては本末転倒でございますので、その辺を見ながら目下検討を重ねておるというところでございます。
○谷川秀善君 おっしゃるとおりでございまして、補助金の数というのはもう気が遠くなるぐらい種類があるわけですね。これはどれぐらいあるのか勘定できぬぐらいですね。零細補助金だとか、私が昔おったときは五十件ぐらいの補助金がありました、極端に言いますと。それをつくるのに書類を整える。だから、これをある程度整理統合していただきますと、地方自治体も本当にリストラできる部分が相当あるんではないかというふうに思います。
 そういうことで何とか、まだまだ補助金全廃というわけにはいかぬでしょうけれども、まずわけのわからぬ小さな過去から引きずっているような補助金は全部やめてしまうということで整理統合していただかないと、なかなかこれは前へ進んでいかないかなと。地方自治体もそれに伴ってリストラをしていく、行政改革をしていくためにもやっぱりそういうむだな、むだとは言いませんが、むだな事務は極力もうやめてしまうということでないとなかなかと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それで、結局この自主財源を確保する大きな一つの手段が地方自治体にとりましては地方債の発行なんですね。今、地方自治体が地方債を発行しようといたしますと、自治省の許可が要るわけですね。これは許可が要るというだけじゃなくて、許可に当たっては、単に債券発行の量だけをお認めいただくということじゃなくて、何の目的にどうその起債をするのかという非常に細かなチェックをずっとされておるわけであります。
 地方債の発行がこうした厳しい規制のもとに置かれておるのは、ある意味では、最初に申し上げましたように、地方公共団体ももう本当にピンからキリまでの規模の団体があるわけでございますから、放漫財政になったんではいかぬという自治省のありがたい、のかどうかわかりませんが、いわゆる親心ではなかろうかど思います。
 もっと大きな理由は、私はやっぱり地方債が一般の市場では流通していないということだろうと思うんですね。だから、結局その地方債が一般資本市場で流通をせずに、専ら引き受けは財投、いわゆる財投資金で引き受けられておるということと、さらにその元利償還につきまして、全額ではないにしても地方交付税の算定の際の財政需要にカウントされているということだろうと思うんですね。それで、自治省が親心なのか、それとも何か要するに干渉しているということだろうと思うわけであります。
 しかし、一般に言いまして、地方債といっても、普通の人が考えますと、何か会社が社債を発行するような感覚でどこかで引き受けてもらったらいいじゃないかということでしょうけれども、全然違いまして、いわゆる発行から引き受け、それから償還まで全部自治省が面倒を見ておるわけですね、今。そうすると、考えてみたら、結局は形の変わった補助金のようなものであって、地方自治体が自主的に財政計画を立てて発行しているというようなものじゃないと思うんですね。
 だから、地方債が今後ともこういう形の変わった補助金みたいなものであれば、これはもうこれからの財政計画は成り立っていかないだろうと私は思いますので、地方債というのはこれからは財政資金なんかを当てにせずに、いわゆる一般市場で、市中銀行でも発行できるような仕組みを検討していただいて、どういう形で地方債を発行するのが一番いいのか、それは自治体の規模がございますからなかなか一律にというわけにはいかぬと思いますが、その辺、地方債の発行につきまして参考人の先生方から御意見があればお伺いいたしたいと思います。
○参考人(諸井虔君) 先ほど申し上げましたように、財政の問題については全般にまだちょっと十分に踏み込んだ議論になっておりません。その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
 今の地方債の問題に関しては、地方六団体側の方からは弾力化をやってくれと。今おっしゃるようにかなりいろいろ制約があるようでございまして、政府資金の借り入れ手続なんかも同じでございますが、弾力化、簡素化をやってもらいたいという議論が一つ出ております。それからもう一つは、地方債市場の整備をしてくれと、これも今おっしゃったようなことではないかと思うんです。それから、あるいは外債発行のチャンスというのはどうなんだろうかと。いずれにしても、資金調達方法をもっと多様にしてもらいたい、弾力的にして多様にしてもらいたい、こういうことを地方団体側は言っておられます。
 一方、これに対して自治省等からは、かなり枠配分にして弾力化しているんですよというようなことも言ってきておられます。前は一つ一つの事業ごとの一件審査でやっておった、しかし最近は地方団体の自主的な判断にゆだねる枠配分方式をとっていますというようなことを言っておられます。
 それからもう一つ、自治省側の言っておられるのは、地方公共団体によっては必ずしも信用力が十分でないというようなところもあるんじゃないのかと。今の許可制度というものが、許可をするからには国に責任があるというようなことになるんでしょうから、そういう面から信用付与機能を果たしておると。
 それから、この資金的な全体の配分の中での一種の調整機能というんでしょうか、資金配分、資金調整の機能をも果たしている、そういう面もあります。弾力化、簡素化の方向で進めますが、そういう点もお忘れなきようにお願いしたいというのが自治省側の意見でございまして、実は私どももまだ十分な検討をしておりません。
 いずれにしましても、地方債を含む地方税財源の問題というのは地方分権の実はだるまに目玉を入れるようなポイントであろうかというふうに考えておりますので、これから本格的な議論をしてまいりたいと思っております。
○谷川秀善君 もう今おっしゃられたとおりでございまして、この地方債の発行が首根っこを締めているわけですね。それで、地方自治法を見ますと「当分の間、」と書いてあるんですね。これがもう五十年近く「当分の間、」であります。
 それは自治省さんのいろんな言い分もよくわかるんです。自由にしたら借金漬けになってしもうて、大変な地方自治体がようけできますよということも。今の状況でも地方債の償還で市町村財政がパンクしそうになっているところはごまんとあるわけでございますから、これを自由に認めると、特に首長さんは選挙でございますから、人気をとるために自分の任期の間にばあっと地方債を発行して、あとは野となれ山となれというようなこともあろうかもわかりません。そういう意味では、ある程度御指導を賜るということはこれからも大事なことではなかろうかと思いますが、基本的に地方債の発行についての条件なりなんなりはある程度弾力的にしていただくようにしないといかぬと思います。
 それとまた外債ですね。大阪府の場合は昔、特例を認めていただいてマルク債を発行いたしました。やっぱり国際化してまいりますと、外債の発行もある程度大きなそういう償還能力のある地方自治体については認めるとか、何かそういう方向で財源のある程度の自由な手当てができる方向へ進めていっていただきたい。これが地方分権ということが本当に血の通ったものになっていくのかどうかということのポイントだと思いますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 本日は財政問題を中心に基本的なことをお伺いいたしましたが、最近盛んに問題になっております官官接待、それから、これからまた問題になろうと思いますが天下り人事、これは結局は一にかかっていわゆる財源が国に握られてしまっておる、一言で言いますと。これが私はやっぱり諸悪の根源である。地方自治体が好きこのんで予算時期になったら東京へ東京へと上がっていって陳情をし御接待を申し上げて補助金をちょうだいする、何をちょうだいする、これが結局諸悪の根源で、官官接待を引き起こしている。これは何も中央省庁だけではございません。府県は府県で、今度は市町村が府県へどんどん陳情に、これはもう結局行き着くところは財源問題なんですね。だから、そういう意味では、地方分権を進めるためにまず財源問題にあらゆる意味でメスを入れていただいて、権限と財源をセットにして地方へ渡すと。
 地方自治体は人材についてもまだまだ育っておりません。育っておるところもございましょうし、育っていないところも多うございますが、まずそれをやらないと育たないと思うんですね、ある意味では育たない。もう依存型だ。だから、大事につきましても適当な人に天下ってもらったらいい、こういうことになりますとなかなか育っていかない。結局どちらがニワトリか、どちらが卵かということに相なろうかと思いますが、そういう意味では私は財源問題に本格的にメスを入れていただくということを、特に先生方は大変な御作業だろうと思いますが、お願いをいたしたいと思うわけであります。
 これから本当に各論として地方分権推進委員会の論議が深まってまいろうと思いますが、戦後五十年、最初に委員長さんがごあいさつされましたように、第三の革命に近い改革をやっていかなきゃ、これから二十一世紀に向かって日本の国が世界平和に貢献できるような国になるためにはこれをやらなきゃいけない。特に一極集中を是正しまして、何も東京一極集中とは言いません、大阪も集中しておりますから。ある程度それぞれで一極集中を是正して均衡のある国土の発展を進めていかないと、私はこれからの日本は世界において成り立っていかないのじゃないかというふうに思っております。先生方には大変な御作業をお願いするわけでございますけれども、どうぞ不退転の決意で頑張っていただき、我々も全力を挙げて応援をさせていただきますことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○菅川健二君 平成会の管川健二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、地方分権推進委員会の皆さん方には、発足以来、他に例が見られないほどの精力的な審議を重ねておられるわけでございまして、諸井委員長さん初め委員の先生方の御熱意、御苦労に対して心から敬意を表したいと思います。
 私も三十有余年間地方行政に携わっておりましたので、それらの経験を踏まえまして、委員の先生方に若干の御見解をお聞きいたしたいと思います。
 地方行政の現状につきましてはまさに皆さん御存じのとおりでございますけれども、国の法令とか通達、補助金、現地調査、現地指導等、過度の干渉や介入によりましてがんじがらめにされておりまして、閉塞状況にあると言っても過言ではないと思います。このたびの地方分権推進を機会に、地方のことは地方で決めるという地方自治の原点に立ち返りまして、地域社会を個性と創造性豊かなあるいは活力ある社会にぜひよみがえらせていただきたいと念願いたすものでございまして一我々も微力を尽くしたいと思っておるわけでございます。
 この際、内政についての国の関与につきましては必要最小限度に限定するということはもとよりでございますけれども、国と地方の関係は抜本的に簡単明瞭にして、国民にわかりやすい分権システムをぜひ構築していただきたいと思うわけでございます。この点につきまして、これから述べます三点に留意して推進していただければありがたいと思うわけでございますが、その三点につきましてそれぞれ若干の御見解をお聞きいたしたいと思うわけでございます。
 まず、国と地方の事務を明確にいたしまして、責任の所在をはっきりさせるということが大変重要でございます。これは分権委員会でもその点につきまして大変御尽力いただいておるわけでございます。
 この観点から、機関委任事務の問題、それから地方事務官の問題これが最も組織としてはわかりにくい制度ではないかと思うわけでございます。幸い、機関委任事務制度につきましては廃止に係る画期的な検討試案を出されまして、従来の国と地方の上下関係を前提としたものから、国と地方の関係は対等、協力の関係であるという見解を提案されておることに対して、本当に高く敬意を表したいと思うわけでございます。
 しかしながら、仄聞するところによると、中央省庁のいろんなヒアリングをやっておられるのを速記録等で見せていただいておるわけでございますが、それぞれがいろいろな理屈をつけて反対しておるやにお聞きいたしておるわけでございます。例えば、こういった事務は国と地方の共同事務であるというような意見もあるようでございますが、そうしますと責任の所在が非常に不明確になるわけでございまして、まさに地方分権に逆行するものではないかと思うわけでございます。
 そこで、まずお聞きいたしますが、中央省庁のいわゆる試案に対する反論として、主なものとしてはどんなものが挙げられておりましょうか。
○参考人(諸井虔君) 地方団体側の方は当然のことながら非常に画期的だといって評価をしてくれているんですが、中央の省庁は、一点は、機関委任事務といっても非常にたくさんの種類があります、多種多様でそれぞれいろんな性格があるんだが、それを検討試案のように自治事務と法定受託事務という二種類に分けてしまうということが果たして本当にできるんだろうか、これはやっぱり個別具体的に検討していかないと多分いろいろ問題が起こってくるんではないんだろうか、この二つに分けるのには少し無理があるんじゃないでしょうかというのが一点であります。
 それからもう一つは、今、先生がおっしゃったように、大体行政というのは国と地方の共同でやるものだ、共同事務である、それをもうはつきりこれは国、これは地方というふうに分けちゃうということは余り現実的ではないんではないでしょうか、今までも地方と協力、共同して非常にうまくやってきたし、これからもそういうふうにやらないといけないんではないんでしょうか、そういう意味で今の機関委任事務の撤廃というのは少し問題がないでしょうかと。
 それから三点目は、じゃ仮に自治事務としたとしても、やはり片方で国は、国ということはそれぞれの省庁という意味だと思いますが、全国を統一的にやらなくちゃいけない、あるいは公平にやらなくちゃならない、そういう責任を負っております、自治事務にした場合にそこのところがどうやって担保されるんでしょうか、ちょっと問題が残るんではないでしょうかと。大体大ざっぱにくくりますと、そういうような反論が出ておるわけでございます。
 それで、我々ももちろん検討試案が一〇〇%万全なものだというふうに考えているわけではございません。いろいろそういう意見を聞きながら、懸念、心配等があるんであればいろいろ理屈のやりとりはしなくちゃなりませんが、ある程度その心配を消すようなやり方というものも考えていかなくちゃならないだろう。しかし、基本的にはやはり今までの上下関係じゃなくて、対等の関係で国と地方が行政をやっていくという方向で考えるべきじゃないかというふうなことで、大体基本的には大きくその線、枠組みは変えないでいきたいなというふうに考えております。
○菅川健二君 ぜひ基本的な枠組みを維持していただきまして、これからいろいろな障壁があろうかと思いますが、機関委任事務の廃止に強い決意で臨んでいただきたいと思います。
 それから次に、先ほど谷川委員からも財源の問題の話があったわけでございますが、私は若干観点を変えまして納税者の立場から考えますと、御案内のように国税は非常に酷だけれども納めるのはしようがないわと、地方税は何か面倒くさいなというようなつけ足しのような納税者の感覚もあろうかと思うわけでございます。
 いずれにしても、事務配分と財源配分とがうまくマッチングしていないということ、それからマッチングしても受益と負担との関係が必ずしも明快でないというような複雑ないわゆる財源対応というものが納税者にとって非常にわかりにくくしておるんじゃないかと思うわけでございます。
 地方分権を進める以上、みずからの負担したものについてはどういう施策がそれによって推進できるのかという受益と負担の関係ができるだけ明快になりますように、例えば地方の税率につきましても、現在かなり制限税率の幅が狭いわけでございます。それから、法定外の税を設けるにいたしましても非常に制約があるわけでございます。そういった面で、現段階におきましてはナショナルミニマム的なものにつきましては地方でもほぼ充足いたしておるわけでございまして、より高度なサービスを受けようとすればより税を負担するということやむなしという判断も地方でそれぞれできるんではないかと思うわけでございます。
 そういった点で、納税者の点からわかりやすい税財源のシステムをぜひ構築していただきたいと思うわけでございますが、御見解をお聞きいたしたいと思います。
○参考人(諸井虔君) 先ほどもちょっと申し上げましたのですが、実は税財政の問題というのが少しおくれております。それは、要するに分権の内容の輪郭が見えてきませんと、どういうふうな財政の考え方をしたらいいかということがはっきりしないということがあるのでございます。
 ただ、今おっしゃったような地方と国の歳入歳出の乖離というのはやはり大きな問題であろうと思っております。基本的には、今おっしゃったようにその役割分担に応じた財政あるいは税、特に地方の独自の財源の充実というものが必要ではないかというふうに考えております。しかし、地方にもいろいろ格差がございますので、交付税についてもこれはやっぱり安定的な確保を図っていかなくちゃ.いけない。
 それと、補助金の問題、さっき堀江先生からもおっしゃっていただいたんですが、これがかなり大きな問題であって、この間地方六団体の方から、奨励的な補助金というのは三兆七千億くらいあるようでございますが、そのうちもう二兆ぐらいはやめたらどうだと。そして、一兆は自主的な税金に振りかえる、新しい税目なりなんなりを設けて地方税に振りかえる、それからもう一兆は交付税をふやすというふうな形で財源的にカバーをしてくれないかというふうな御意見も出ておるところでございます。
 いずれにしても、この問題については引き続き非常に重要な事項ということで検討を進めてまいりたいと思っております。
○菅川健二君 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 三点目でございますけれども、国の関与というものに非常に過度なものがあるわけでございまして、御案内のように法令によらずして行政通達といいますか、それがどんどん出されて、それによる制約というのは物すごくあるわけでございます。
 最近、住専の問題で大蔵省の通達、覚書等が大変問題になっておりますけれども、地方団体、受ける立場からしますと、まさに法令並みの制約を非常に受けるということで、それぞれの地域にマッチしていないものでも従わざるを得ない。それによりまして、その地域の損害あるいはむだというものもかなり大きなものがあろうかと思うわけでございます。
 そういった面で、国の地方への関与は法令によりましてきちっとした一定の手続、ルールをつくられるというお話でございまして、それは大賛成でございます。行政指導といいますか、法令によらない行政指導はもう無効にするといいますか、あるいはそれに対して厳重な歯どめをかけていただきたいと思うわけでございます。
 あわせて、やはりたびたび指摘がございますように、補助金の補助基準、補助要綱、それから実際の補助手続に大変なエネルギー、膨大な事務量がかかるわけでございまして、こういった点も思い切って簡素あるいは弾力化を図っていただきたいと思うわけでございます。この点につきまして、同じような御意見だろうと思いますが、何かございましたらお聞きいたしたいと思います。
○参考人(堀江湛君) 管川先生の御意見、全く御指摘のとおりでございまして、私どももそういった方向で検討を進めてまいりたいと思っております。
 既に昨年暮れ、諸井委員長の委員長見解を発表しました中に、国の関与は法令によらないものは廃止する、そして万やむを得ないものについて存置する場合には基本的な事項は少なくとも法律で定める方針で整理をしていくんだということを明らかにしておりますし、また補助金につきましても、いわゆる補助基準や補助要綱をめぐりまして事実上厳しい国の関与が行われているという現実にかんがみまして、これについても根本的な見直しを行うということを既に述べております。
 先ほど諸井委員長の報告にもございましたように、今各省のヒアリングを進めているところでございますが、ただこの見解を実現するのにはまだまだいろいろと乗り越えていかなければいけないバリアも多いかとは思いますが、できるだけ努力してそういった方向を貫きたい、かように考えている次第でございます。
○菅川健二君 どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど、今後のスケジュールをお聞きしておりますと、三月に中間報告を出されるやに伺っておるわけでございますが、その際、ただいま私が申し上げました国民にわかりやすい分権システムといいますか、そういった観点からも事務配分の問題、財源問題、それから国の関与のあり方等につきまして基本的な方向というものをぜひ盛り込んでいただきたいと思いますが、この中間報告の内容というのをどのようにお考えになっておられるか、お聞きいたしたいと思います。
○参考人(諸井虔君) 実はまだ中間報告の内容をどういうふうにするかということについて十分な議論が行われておりません。ただ、これは中間報告でございますから、三月までのいろんな議論の経過というものを報告するとともに、その時点でまとまりました我々の考え方というのをなるべく前向きに出そうと思っておりますし、それから財政の問題がやや検討がおくれておりますので御満足いただけるような形になりにくいのかもしれませんが、先生がおっしゃるようになるべく全体をセットで考えてわかりやすいような形で出したい。そして、その中間報告でまた各界のいろんな御意見を承りました上で、年末の指針の方へ向けて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○菅川健二君 単なる経過報告に終わらず、三月の中間報告をステップにしてさらに地方分権がジャンプしていくような報告であるようにぜひひとつお願いいたしたいと思います。
 次に、今後の検討になろうかと思うわけでございますが、具体の事務配分につきまして若干意見を申させていただきたいと思います。
 事務配分といいましても、国と地方の事務というのは御案内のように大変膨大な事務量でございまして、これを一つ一つ精査するということは大変な作業なり時間がかかると思うわけでございます。したがいまして、私はやはり優先度の高いものから早く結論を出していただいて実行していただくということが重要ではないかと思うわけでございます。
 この際、去る二月二日に公明が地方分権、規制緩和に関する注目すべき政策提言をまとめておられまして、それをぜひ御参考にしていただきたいと思うわけでございます。
 その中で都道府県知事にアンケート調査をしておられまして、都道府県知事が望む権限移譲の優先順位の高いものからずっと並べてあるわけでございますが、五つほどちょっと高いものから申し上げますと、一番目が都市計画関係、二番目が農地転用関係、三番目が保安林の指定、解除の関係、四番目が医療、保健、福祉の関係、五番目が土地利用関係となっておるわけでございます。これを見ていただきますと、四番目の保健、医療、福祉の関係を除いてはいずれも町づくり、地域づくりに関係するものでございます。知事がいかにみずからの権限でもって、あるいはみずからの判断でもって豊かな住みよい地域づくりをしたいかという意欲のあらわれではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、私は、町づくりに関するあるいは地域づくりに関する権限移譲をできるだけ早く検討すべきであろうかと思うわけでございますが、その点につきまして、現段階におきます御見解がございましたら教えていただきたいと思います。
○参考人(成田頼明君) 町づくりについての御要望が非常に強いということを私も調査、アンケート等を拝見してよく承知しておりますけれども、同様な形で行われました他のアンケートでも大体似たり寄ったりの結果が出ているんではないかというふうに思うんです。そういうことで、我々の方でも都市計画、農地転用あるいは保安林といったような町づくりを進めることがやっぱり分権の非常に大きな問題ではないかというふうに思っております。
 こういった分野につきましては、御承知のように現在でも主務大臣がかなり強力な権限を持っていたり、あるいは都道府県知事が機関委任事務の担い手として市町村に対して指導したりするということがございますので、そういうことを念頭に置きながら、地方公共団体の声を反映してこれを改めていくという方向で進めていきたいと思っております。
 この委員会で、今御指摘のような土地利用分野を初めといたしまして、地域社会の基盤にかかわる行政分野、これは具体的に申しますと、土地利用それから各種の都市施設あるいは各種の事業、こういったものを担当すべく地域づくり部会というのを発足させまして、昨年十月以降、大体週一遍ほどのベースで地方公共団体、関係省庁あるいは学識経験者等からの意見の聴取を行っております。これは当然、地方分権の推進に向けてどうすべきかということを検討しているわけでございます。
 現在、地域づくり部会におきまして、個性のあるしかも多様な町づくりというものを求める地域の声が非常に高いということも踏まえまして、当面は土地利用及びこれに関連する各種行政分野を優先的に取り上げようということにしておりまして、今後、住民に身近な町づくりの行政は住民に身近な地方公共団体が住民の参加あるいは住民の意向を受けながら進めていくということが基本であるというふうに思っているわけであります。
 理想的には私は、地方公共団体が一元的、総合的な土地利用を自分の区域内で行えるというふうな体制にした方がよろしいというふうに思うので、一挙にそこにはなかなかいきにくいと思うんですけれども、そういう方向を目指して今後もさらにおっしゃるような検討を進めていきたいというふうに思っております。
○菅川健二君 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 その次は、四番目に出ておったことでございますが、高齢化社会を迎えまして保健、福祉、医療の一元化が叫ばれておるわけでございまして、現実には市町村の現場ではいろいろな試みが行われておるわけでございます。
 去る昨年十一月に、私の選挙区の広島で一日地方分権委員会を設けていただいたわけでございます。これは大変感謝いたしておるわけでございますが、その際、知事や病院長からも御指摘されたようでございますが、それぞれ保健、福祉、医療と制度がばらばらになっておりますために、現場では困惑なり、あるいは住民の負担ということもあっていろいろなそごを来している状況にあるわけでございます。
 また、ことし介護保険制度の導入も間近に迫っておるやにもお聞きいたしておるわけでございます。この問題につきましては速やかに相互のバリアを取り払っていただきまして、地域の実情に合った充実した福祉サービスを提供できるようにしていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○参考人(堀江湛君) これも既に昨年十月、私どもの委員会で、分権を進めるに当たっての基本的な考え方において言及しておることでございますが、現在、御指摘のようにそういった医療、保健、福祉行政につきまして中央省庁の縦割り行政、場合によりましては特定の省庁の部局による縦割り行政というようなものに基づきましてどうも画一的な施策が進められているということで、県あるいは市町村が総合行政という見地から総合的にこの保健、医療、福祉の問題を進めていこうという障害になっておると、先生御指摘のとおりでございますので、何とかこれをもう少し実情に合った総合行政を進めるという見地で見直していきたいというふうに考えておるわけでございます。
 これも先日来、非常に強い御要請が地方六団体からも出ておりますし、そこで私ども委員会でもいろいろとヒアリング等を中心に審議を重ねておりますが、中央省庁の間にはそれぞれこれまでのいろいろな理由もあるようでございまして、そういったことを伺いつつ、またそこで議論しながら、ぜひ当初の私どもの基本的な考え方に基づいて問題を解決していきたいというふうに今鋭意努力をしておるところでございます。
○菅川健二君 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。時間がなくなりましたので、ひとつ要望にとどめておきますけれども、私は県で教育長を五年間やっておった経験から申し上げますと、教育長の文部大臣の承認制があるわけでございます。この承認制というのは基本的にやはり地方不信を背景にした制度ではないかと思うわけでございまして、国と地方との関係は対等、協力の関係にあるとすればこの制度は全くなじまないわけでございますので、ぜひ廃止していただきたいと思うわけでございます。
 以上、それぞれ申し上げたわけでございますが、私どもは地方分権委員会に大変な期待を寄せておるわけでございます。ただ、今後具体化するに従って恐らく関係各省庁の障害といいますか、大変な障壁が多くなるんではないかと憂慮いたしておるわけでございます。精いっぱいバックアップさせていただきたいと思いますので、どうか障害を乗り越えていただきまして、我が国の活力ある地域社会構築のために御尽力いただきたいということを心から念願いたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは、諸井委員長そして堀江委員、成田委員、参考人としてどうもありがとうございます。連日精力的な会合にということで、今スケジュールを拝見させていただいておりますけれども、大変ハードスケジュールだなと率直に実は思うところでございます。そんな中で、三月の中間報告へ向けての現段階での御説明をいただきまして感謝を申し上げたいというふうに思います。
 とりわけ、十二月二十二日の第二十五回の委員会で「機関委任事務制度を廃止した場合の従前の機関委任事務の取扱いについて」、いわゆる検討試案、先ほど御説明も概略いただきましたけれども、これが提示をされました。これは我が党としても、機関委任事務の廃止を明確にしたということ、そして新たな事務の分類が提起をされたということについて大変高く評価をさせていただきたいというふうに思います。率直に申しまして、さっきのやりとりにもございましたけれども、各省庁のさまざまな反発があろうかと思いますけれども、どうぞ具体的な最後の中間報告また勧告、そしてまた法制化に向けまして引き続きの御努力をお願いしたいというふうに思います。
 これも先ほど諸井委員長のお話の中にもありましたし、私も諸井委員長が分権推進委員長をお引き受けになったときのお言葉として非常に鮮明に覚えていますのは、日本の改革の三つの波というお話もありました、明治維新、戦後改革、そして今度の地方分権と。斎藤文夫先生もいらっしゃいますが、私も神奈川県選出ということでございまして、前神奈川県知事が長洲知事、今は委員でございますがいろいろ、現職の知事時代にもザ・ベストチャンス・アンド・ラストチャンスというお話がありました。樋口恵子さんも男性中心社会から今度は女性も参加する、そういう社会なんだというようなそんな例えでお話があったのも、私もついきのうのように記憶をしているところでございます。
 これは、先ほど来御決意を伺っているんですが、改めて委員長にお伺いをさせていただきますが、率直に申し上げまして、これからさまざまな方面からのいろいろな圧力、抵抗があろうかと思うんです。先ほどのやりとりを聞いていますと、試案ですから一〇〇%のものじゃないよと言いながら、十二月ころから委員長のリードというのは私もひしひしと感じるんですが、しかしいろいろ抵抗に遭うとどうも何か気持ちがなえちゃうんじゃないかというふうに、心配はしていないんですけれども、実はやりとりの中でそんな気がしているものですから、ぜひ強い決意で臨んでいただきたいという気持ちを込めて、再度諸井委員長のお言葉をいただきたいと思うんです。
○参考人(諸井虔君) ありがとうございます。
 この分権委員会スタートのときに第三の改革ということを申したわけでございますけれども、これについては少しオーバーじゃないかというような意見もございました。しかし、私どもとしては、やはり今、日本は非常に大きな全般的な改革の時期に来ておるのではないだろうか。先進国の大体水準に追いつき追い越しして、ナショナルミニマムも一応整備をしたわけでございます。これから本当の意味で国民あるいは住民の意思に基づく民主国家をつくっていかなくちゃいけない、そういう時期に来ておろうかと思います。そういう意味で第三の改革ということを強く申したわけでございます。
 ナショナルミニマムを到達した後、住民の行政に対する需要というのは非常に多様になってくるわけでありまして、その多様な需要に対してやはりそれぞれの地方の実情あるいはそれぞれの地方の住民の多数の方の要請というものに基づいて行政が行われていくということがとても大事なことではないかと思っております。そういう意味で地方分権は非常に重要でありますし、それから国会決議から始まって、法律ができ、委員会ができて、こうして委員会でも皆さんからも非常にバックアップされている。こういう形というものは恐らく戦後初めてできたんではないかと思います。ですから、長洲さんじゃないですけれども、今度の機会を逸すると地方分権というのは当分の間できないんではないだろうか、この機会にどうしてもやらなくちゃいけないんだという覚悟でおります。
 各省庁も確かにいろいろ心配をしておるんですけれども、ただ初めからこれはだめです、これは困ります、やれませんということではなくて、こういう点はどうでしょうかというふうなことを言ってきているわけでございますから、そういう誤解も解き、あるいは対応もしながら、基本的にはやはりきちんと進めてまいりたいというふうに思っておりますので、ひとつ何分よろしく御支援をお願いいたしたいと思います。
○齋藤勁君 今伺って、私ももう一つ、諸井委員長のお言葉と申しましょうか委員長就任時のコメントを思い出したんですが、推進委員会の七人のメンバーだけが分権、分権とこれから議論をしていっても、これは第三の改革の波ということに関連づけたお話だと思うんですが、広範な世論の盛り上がりというのが大切なんだということをお話しになったと思います。そして、中間報告を出すという段階で、今省庁ということもございますけれども、私も政治に携わる一人でございますが、この政治へのリーダーシップ性を求める。世論に対する喚起、それから政治に対するリーダーシップ性というのでしょうか、これは衆参両院で全員で決議していますからもう大変なものだと思うんですが、この二点について現段階でのお考えなんかがございましたらお伺いしたいと思います。
○参考人(諸井虔君) ただいまもお答えをいたしましたけれども、やはりもうこれだけの条件を整備していただいて、体制をつくっていただいて、そして専任の事務局も今一生懸命働いております。そういう中で各省庁も、いろいろ心配はしながらも、ある程度今回はどうも全く無傷では済まぬなというような感じも持っておられるような気もいたします。よく説得もし、また説明もし、あるいは場合によって彼らの言うところに理屈のあるところがあれば必要な対応もして、何とかきちっと仕上げてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○齋藤勁君 検討試案なんですけれども、この試案は、一つは自治体の地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割が前提とされている点、二つ目には事務の分類から機関委任事務を廃止したにもかかわらず全面的に分類自体を改めたということ、それから三つ目に、私は最大の特徴だと思うんですが、知事や市町村長の法的性格を法人格を有する自治体の長として純化した点が私は今回の試案の最大の特徴ではないかというふうに思います。国の機関と同じく直接日本国憲法に根拠を有する自治体が国の機関と対等に並立するという姿が確立をされようとしているわけで、まさにこの点が私は画期的だというふうに思います。
 ところで、各省庁という言葉がたくさん出ますが、「機関委任事務の原則廃止はいかがなものか。農地転用許可が自治体の固有事務になれば、首長の判断で開発優先、利益誘導型の地方政治になる可能性もある」ということを言う。省庁名を言わなくても多分これはわかると思うんです。それから、「社会福祉関係の事務が随意事務になった場合、」「首長や地方議員の人気取りで水準を極端に上げられたり、切り捨てられても困る」と、これが「官庁速報」の一月九日付に載っているわけですね。
 総論的に委員長から決意を伺ったんですが、この枠組み、きちんとした枠組みを変えないで中間報告まで行っていただくということについて、まず成田参考人さんにもし現在の考え方があればお伺いいたしたいと思います。
○参考人(成田頼明君) 委員会でのヒアリングをしておりまして感じましたことは、先ほど諸井委員長からもお話がございましたけれども、各省の主張は、国家的な意味では全国的な統一性、公平性、これが国の任務である、それからおよそ財産権の制限にわたることは国の任務である、あるいは五つの府県の区域を越える仕事は国の任務である、こういう形でえらく国の責任を強調されるわけです。それは全部国の任務であるがゆえに、やはり国の機関としての知事なり市町村長をつかまえるというのが論理的に一番いいのだ、こういう説明が当初あったわけでございます。
 こちらの試案を出しました後には、やはり各省庁によって若干温度差はあるというふうに見ておりますけれども、この枠組み全体を全面的に否定しているというふうな意見はそれほど目立っておりません。これは多分遠慮しているということもあるのかと思いますし、思い切って言えないということもあるのかもしれませんけれども、全面的には否定しておりません。
 ただ、国の関与を初めこの枠組みの中に出ておりますところでは、やはり全国的な統一性、公平性というふうなことはなかなか保てないなということでのいろんな各論的な指摘が最近出てきているという状況でございます。それからさらに、最近目立ちますのは、先ほど委員長からお話がございましたけれども、いや、これは国と地方の共同事務であるということを盛んに今度は言い出しておりまして、必要事務という枠組みを共同事務に変えてほしいとでも言いたいような主張もかなり出てきておりますけれども、私たちはこれには乗らない方針でおります。
 他方、地方公共団体の方からは、やはりこういった各省の主張をそのまま認めますと現在の機関委任事務が存在している状況とちっとも違わないことになるのでそれでは困る、ひとつ頑張ってくれというふうなお話がございまして、現在の段階ではまだ原理と原理がぶつかり合っているというふうな状況だと思います。私たちもヒアリングをこれ以上続けるのは余り意味がないと思っておりまして、むしろ各省と論争をやりたいというぐらいのつもりでいるわけでございます。
 今後は、今申しましたように、現在の検討試案の基本的な枠組みは維持する、さらに関係省庁や地方公共団体等から出された意見も参考にしながらこの検討試案に対する検討をもう少し深めていきまして、これは実際に明確化し、さらに詳細化する。こういった所要の修正を加えまして、三月の中間答申に間に合わせたいというふうに思っている次第でございます。
○齋藤勁君 私の持ち時間はあとわずかでなくなってしまいますのでお尋ねすることはできないかもわかりません。要望になると思います。
 今、成田参考人からもお話がございました共同事務という省庁からの言葉、いろいろ議事録とかで出てくるんですね、たくさん。これは非常にあいまいな表現でございまして、国の実質的なコントロールを何か図る意図が明白な気持ちがいたしまして、この自治事務のコントロールというのは市民自治の課題であるということで理解していないんではないかというような気がいたします。この共同事務ということについて、だまされるなんて大変失礼な申しわけない言い方でございますけれども、今、成田委員からのとおりだと私も思いますので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 また、もう一つ心配されていますのは、さきにお二人の委員からもお話がございました財源保障の問題でございます。この財源につきましては何らまだこの時点では確立されていないわけでございまして、やはりワンセットの問題でございますので、ぜひともこの財源問題の確立についてきちんとした事務がとれるという立場に立った対応をお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○吉川春子君 日本共産党の吉川です。お三方の参考人、どうもきょうはありがとうございます。
 まず諸井参考人にお伺いいたしますけれども、首都移転とか遷都ということをおっしゃっておられまして、中央官庁をスリムにしてそして必要最小限度のものを新しい首都に移すと規制緩和も進むんだ、いいチャンスだというふうにおっしゃっているんですけれども、私は、首都移転と地方分権というのは全く切り離して考えるべきではないかというふうに思います。
 なぜならば、私は首都移転は反対の立場なんですが、今、例えば霞が関でも新しいビルはどんどん建っているし、今建設中のものもあるんですよ。国会図書館は地下八階の書庫が完成してまだ何年もたっていないんです。議事堂も毎年多額のお金をかけて改修したり、押しボタン式導入の調査費までことしつけたわけですね。
 そういうことを一方でやりながら、十四兆円とかいうお金で首都を移転して、もうけ口があるというようなことをおっしゃる方もいるやに伺います。しかしそういう問題ではないと思うんですね。ましてや防災対策とかは今緊急にやらなきゃいけない。首都をどこにするかという問題を地方分権と絡めておっしゃるのは、絡めておっしゃらなくても私は反対なんですけれども、絡めておっしゃることは余計ちょっといかがなものかと思いますが、まずこの点についてお伺いいたします。
○参考人(諸井虔君) おっしゃるように、我々地方分権推進委員会の仕事と国会等移転、首都移転の問題というのは全くこれは別個の問題でございまして、地方分権推進委員会としてこれを一緒に議論するという考え方はございません。ただ、私は以前に国会等移転の調査会のメンバーに入っておりまして、その関係でいろいろコメントを求められたようなこともございますし、それから地方分散の問題を扱った経済同友会の委員会なんかにも入っておりましたものですから、そういう個人的ないろいろな考え方をあちこちでもってお話をしたことがあります。ただ、委員長としてこの問題を結びつけて考えるということはしないことはお約束いたします。
 その調査会で、亡くなった司馬遼太郎さんが、そういう遷都をやるときには必ず何か大きな社会的あるいは歴史的な意味があるときのはずだ、今回の遷都というのは一体どういう意味を持っているのかというふうな問題提起をされたことがあろうかと思います。もし意味をつけるのだとすれば、行政改革とか地方分権とか、そういう問題なのかなというふうな議論を私は個人的にはしたことがございます。ただ、地方分権推進委員会の仕事としてそういうことを申したつもりはございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○吉川春子君 参考人質問ですからそれ以上はお伺いしないことにします。
 もう一つ、受け皿論ですね。そこから入るとどこか本筋と違うところに行っちゃうので入らないのだという御答弁がさっきありました。
 これも諸井参考人がおっしゃっている記事によりますと、バスの問題に例えて、バスは県境などを突破して動いている、ですからバス行政を県で引き受けるにしても今のままではできない、市町村でも百万を超える政令指定都市から人口千人なんというところまである、そうしたところへ権限を移すとなればそれ相当に大きな受け皿にしないと無理だ、こういう趣旨のことをおっしゃっておられるんです。
 自治体の合併、中核都市とかいろんな考えがあるんですけれども、地方分権とそれから地方自治体の合併ということをセットに考えておられるんじゃないかと。ただ政策的に最初は言わないというだけであって、やっぱり地方自治体の合併をどんどん進めて地方分権の権限移譲の受け皿にしておく、そういうお考えを本当はお持ちなんですか。
○参考人(諸井虔君) 人間ですから個人的な考え方はいろいろ持っております。ただ、市町村合併が前提であるというふうな考え方は持っておりません。合併をしなくても、例えば弱小の町村等で分権に対応できないような場合には都道府県がカバーをするとか、周辺の市町村と連合、連帯してやっていくとか、いろんなやり方はあろうかと思うんですね。ですから、私は合併が前提だとは考えておりません。むしろそういうことを言い出すことで分権そのものが非常におくれていくというふうなことは避けるべきだというふうに考えております。
○吉川春子君 企業では状況が悪くなると合併して規模を大きくしてむだな部分を省き資源の再配分をしている、そうしたことが自治体にも必要かもしれませんと、こういうふうにおっしゃっておられますね。これはまさに企業の論理を地方自治体に当てはめるということかもしれませんが。
 今、状況は悪いんですね、確かに地方自治体の財政問題にあらわれていますけれども。そうすると、やっぱりそういう形で財政問題も乗り切っていくと。乗り切れるかどうかは別ですけれども、そういうお考えがあるのではないかという懸念もあるんです。
 私は、地方分権というのは、今の憲法が新しく設けた地方自治ということをやはり基礎にしていかなくてはならないと思うんです。地方自治といことがまさに憲法の言う民主主義とか基本的人権を守るとりでですから、地方分権を進めることによって、例えばいろいろ、さっき分限に応じたというような表現もあったと思いますけれども、サービスを低下させたり、何か大きくなることによって細かいことができなくなる、そういうようなことでの分権の推進というのはやはり地方自治の本旨に基づいた分権推進とは言えないと思うんです。
 地方分権というのは、やっぱり地方自治ということを一番考えて、それを基礎にいろいろ機関委任事務の廃止とか財政論とかその他のことを進めていかなくてはならないのではないかと思いますが、その辺の哲学といいますか基本的考え方について伺いたいと思います。
○参考人(諸井虔君) だんだん難しいお話になってまいりますが、私は秩父で仕事をしておりますが、秩父市の周辺の町村の様子を見ておりますと、非常に荒廃が激しくなり、高齢化が激しくなり、現実問題として自治体としての機能とかあるいは福祉行政、国土行政、いろんなものが非常に困難になってきておる実情を目の当たりにしております。ああいうような地域に関しては、現在九カ市町村の事務組合ができて、そういう形でカバーをするようなことがだんだん進められておりますけれども、やはりそういうことはどうしても必要じゃないか。
 一方、地方分権をやります場合に、先ほども申し上げました自治体に対するいろんな不安を言われる方があるわけでございますけれども、私どもはむしろ、おっしゃるように地方自治体ほど住民に近いところにある、そして住民の監視なり住民の参加がしやすいところにある。そういう住民の参加した本当の意味での住民の自治という形を理想として考えていくことができれば、自治体に権限を移していくということはむしろ全体の行政を正しくしていく、住民の要請に合った形にしていくということになるのではないか、またそういうもののない地方分権ではいけないんではないかというふうに基本的には考えております。
○吉川春子君 時間ですので、終わります。
○委員長(浜四津敏子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の皆様には、長時間にわたり御出席をいただきまして貴重な御意見をお述べいただき、大変ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(浜四津敏子君) ただいまから地方分権及び規制緩和に関する特別委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。
○委員長(浜四津敏子君) 地方分権の推進及び規制緩和に関する調査を議題とし、規制緩和に関する件について参考人から御意見を聴取いたします。
 午後は、行政改革委員会より委員大宅映子君、規制緩和小委員会参与鈴木良男君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆様から忌憚のない御意見をいただきまして、本委員会における調査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、規制緩和の推進について大宅参考人及び鈴木参考人から御意見をお述べいただき、その後各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁とも、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず大宅参考人にお願いいたします。大宅参考人。
○参考人(大宅映子君) ただいま御紹介いただきました行政改革委員の大宅映子でございます。
 本日は、私どもお招きいただきまして、発言の機会を与えていただきましたこと、ありがとうございます。
 本日、本来であれば飯田委員長が参りまして皆様にごあいさつし、それから意見陳述を行うべきところなんでございますけれども、先月の末からちょっと体調を崩しまして、あと二、三週間程度静養が必要ということですので、きょうは伺うことができませんでした。この点御了承いただきたいと思います。
 さて、私どもの行政改革委員会の規制緩和推進の活動についてなんですが、私どもの委員会は御承知のように平成六年十二月、三年の任期で発足いたしました。私たちの主たる任務というのは、一つは規制緩和を初めとする行政改革の実施状況を監視すること、もう一つは行政情報の公開に係る法律、制度に関する調査審議を行うこと、その他もあるんですけれども、今のところその二つがメインになっています。
 まず最初に規制緩和のことなんですが、規制緩和につきましては皆さんもうよく御存じで、この重要性をわざわざ言うこともないと思うんですけれども、規制緩和というのは閉塞状態にあるこの日本を自由で活力ある社会にするために今最も重要な問題であるというふうに私どもは思っています。
 ただ、規制というのは国民にとってはなかなかよく見えないんですね。規制が外されて初めて、ああそんな規制があったのかというようなことも間々あるわけでして、そのことは逆に言いますと、規制を緩和してもどういうメリットがあるのかということがよく見えない部分というのがある。ですから、私たちはこの規制緩和を考えるときに、国民の目と耳になる、国民の立場で考えていくというのを第一のスタンスとしてやっております。政府は、昨年三月三十一日に規制緩和推進計画というのを閣議決定されました。この計画は、私どもの監視結果を踏まえて毎年改定されるということになっています。ですから、私どもの委員会は昨年の四月、規制緩和小委員会というのを発足させまして、毎週一回三時間、合計二十七回、大変活発に監視活動をやってまいりました。その取りまとめの報告書をもとにいたしまして、行政改革委員会として昨年十二月十四日、「規制緩和の推進に関する意見(第一次)」というものを内閣総理大臣に提出したところでございます。
 今回提出した第一次意見、「意見」と言うとちょっと普通の一般名詞になってしまうので、「第一次意見書」とでも申しましょうか、これは規制緩和の推進に当たって基本的な考え方を示した総論の部分と十二分野にわたる個別の規制緩和方策から成っています。個別の方策の方につきましては後ほど鈴木参与の方から説明していただくことにいたしまして、私の方からは総論を踏まえながら今回の第一次意見の特徴というものを幾つか述べさせていただきたいと思います。
 この意見書の第一の特徴なんですが、委員会の取り組みとして聖域、タブーはなしということにしました。つまり、これまで踏み込まれていなかった事項も検討の対象としました。政府が出しました規制緩和推進計画には千九十一項目があるわけですけれども、私たちの委員会の方はその千九十一項目だけに限るのではなくて、それ以外でも国民にとって重要なものは何かという観点に立って、既に措置済みとされているものとか実施困難とされているものとかも検討の対象にいたしました。
 また、従来規制として取り扱われていなかったもの、それから国の行政に直接かかわる問題ではないかもしれないというものにつきましても、規制緩和を推進するという意味で考えると、これは同時的に考えていかなきゃいけないというものは取り上げたわけです。結果として志どおりにはいかなかったものもありますけれども、反対が起きる、亀裂が起きるというのはあえて承知の上で取り上げました。それは、規制緩和というのは国民の間で大きな議論が巻き起こらないと実効が上がらないというふうに思っているからです。規制緩和というのは、本当に大多数の国民が味方についてくれない限りうまくいかないというふうに思っているものですから、あえてそういうことに挑戦したと言ってもいいかもしれません。
 二番目の特徴ですが、政府に対してだけではなくて、民間に対しても規制撤廃を訴えました。
 民間の規制というのは、規制のようなものですけれども、談合とかカルテルとか取引慣行とか商慣行などで、競争を制限するようなものがかなり民の中にあるわけです。またもう一つ、政府の方で公的に参入規制みたいなものがあるときに、申請するときには既存事業者の同意が必要だというような官の威をかりた民の規制というものもあるわけですね。これ考えてみますと、民間の方がやめようと思えばすぐにでも撤廃できることなわけです。それがいわゆる慣行という形でずっと残っている。
 それはなぜかといいますと、規制によって守られて、既得権で利益を受けている人がいるわけですから、そういう人たちは規制緩和に反対をする。その声はかなり大きいわけですから、行政とか政治とかを動かす力にもなります。そうすると相変わらず規制というのは維持されるというふうに、こうずっとそのまま動いてきたということだと思います。
 その結果、どういうことが起きるかといいますと、大多数の国民は、本来は受けられるはずのもっとよいサービスというのが受けられない、またはずっと高いコストを払わなければいけないということが起きているわけです。規制に守られている人は国民に負担を強いているのだということを認識すべきだと思います。
 今回の第一次の意見書では、民間の意識改革、つまりみずから規制を返上するというような心意気も求めました。これは、こういうことができましたのは、行政改革委員会の委員それから規制緩和小委員会の参与もすべて民間人であったからだったというふうに思います。
 第三番目の特徴ですが、議論をできるだけ透明にしようとしたことです。
 昨今の国民のいろんな不信、不満、それの大もとはつまりすべて不透明であるというところにあると思うんですね。政策決定にしても、いろいろなことがどこでどう決まったのか見えてこない。だから、責任もだれがとるかわからないというようなこと、この不透明さというものが諸悪の根源だろうというふうに私は思っています。
 そこで私どもがやったのは、まず論点公開というのをやりました。四十七項目につきまして、規制維持が必要だという論理を片方で挙げまして、片方では規制は要らない、規制は不要である、規制は撤廃すべきであるという論理、つまり両方とも理屈があるわけですから、それを両方あわせて載せることによって国民に対して判断の材料を提供したわけです。こうすれば広く国民から意見とか要望が寄せられるということを期待したんですが、結果としていろんな意見は確かに寄せられたんですけれども、多くのものは既得権を擁護して規制を維持してほしいというような声の方が多かったということは実に残念なことでありました。
 また、委員会、小委員会とも審議概要というのを公表はしているんですけれども、それに加えまして九月以降は関係団体とか各省庁とのディスカッション、これそのものを公開にいたしました。スペースの関係でマスコミに限ったんですけれども、こういうことをやったこと、さきの論点公開それからディスカッションの公開、二つとも審議会としては初めての画期的なものであったと自負しています。これからも透明性の追求に関しましてはいろんな工夫をしていきたいと思っています。
 第四の特徴ですけれども、すべての運営を委員、参与、我々の主導でやりました。こんなことは実は本当は当たり前のことなんですけれども、実際上、従来の審議会というのはほとんどお役所の事務局任せということが多いわけです。
 私たちの方はテーマの選び方はもちろん、それから関係団体からのヒアリング、各省庁とのディスカッション、例えば規制緩和小委員会でしたら参与が全部担当いたしまして、先ほども申しましたけれども、最終段階では連日深夜にまで及ぶ調整を委員とか参与自身が行ったんですね。この二十七回の出席率が七〇%以上というのも、皆さんには特にお伝えしておきたいと思うんですが、審議会としては驚異的な出席率だったんじゃないかというふうに思っています。
 最後にちょっとお願いなんですけれども、今回の第一次意見書というのは、分野ごとに体系的に考え方を取りまとめたものですので、都合のよいところだけつまみ食いというのは困るんですね。それからまた、規制緩和と同時に必要な施策というのを指摘したところがあるんですけれども、規制緩和はやらないでおいといて、施策の方だけをやるというのも困ります。全部まとめてやっていただきたいというふうに思います。
 以上が「規制緩和の推進に関する意見(第一次)」の特徴についてでございます。
 次に、一月二十六日に各省庁から中間公表というのが出ました。これについて一言述べさせていただきます。
 この三月末が規制緩和推進計画の第一回の改定に当たるわけですけれども、政府は昨年十二月二十五日に閣議決定された行革大綱において、行政改革委員会の意見を最大限に尊重するという方針を明らかにしています。その決定にのっとって今各省庁が見直し作業を進めているわけですけれども、一月二十六日の中間発表、これを見まして、これはかなり不満です。余りにあいまいで漠然としているものが多いんですね。措置予定、検討中、措置予定として検討中エトセトラですね。何かそういう言葉があちこちほとんどでして、しかもそれが各省によって言葉の意味がどうも違うらしいんですね。これまた実に不透明でして、制度全体のあり方を総合的に検討するなんて書いてあるのもあります。これじゃ何が何だかさっぱりわからないんで、果たしてやるのかやらないのか、どこまでどうしてくれるのか。措置困難としているものでも、みんなが納得いく説得力のある説明があればいいんですけれども、何となくさっき言ったような何かわけのわからぬいわゆる役所用語で書いてありまして、やる気があるのかないのか、本当にどうしてできないのかというのがわからないというような状況が多い。
 大体、本当は昨年末にその中間公表がされるはずだったのが、一カ月おくれたにもかかわらず、こんな状況というのでは本当に先が思いやられるという感じがします。
 さらにもう一つ言えば、一応前向きに対応すると書いてあるものの中にも審議会にげたを預けているというものがかなりあります。この第一次の意見書の中にも書きましたけれども、審議会というのがコンセンサス形成の名のもとに既得権を持つ人の拒否権が発動される場になってはいけませんし、規制維持の隠れみのになってしまっては本当に困るわけで、審議会の委員の方々の自覚を改めて促したいと同時に、しっかり見届けていきたいというふうにも思っています。
 もう一つ、何かもう一つもう一つが多くて申しわけありませんですが、この際国民から選ばれた国会議員の先生方にお願いしたいことがあります。
 それは法務、法曹の問題というのを議論するときに必ず出てくるのが、司法制度改革法案は法曹三者の合意をもって提出するべきであるという昭和四十五年の参議院法務委員会及び昭和四十六年の衆議院法務委員会の附帯決議なんですね。法曹三者で調整した上で法案が提出できればそれにこしたことはないんですけれども、先ほどから何度も言っていますように、規制緩和というのは既得権を持っている人から既得権を奪う行為ですから、各論になればなるほど利害調整が難しくなるのは当たり前です。ひとり司法界のみがこのしがらみから自由というのはどう考えても変です。直接の利害を持つ人たちに拒否権を与えてしまえば規制緩和が進まないのは当たり前です。
 国会は国権の最高機関であるはずです。ですから、国会がみずからその義務と責任を放棄するようなことがあったら、国民としては大変困った状態だというふうに思います。
 さらに言えば、そもそも国政というのは国民の厳粛な信託によるものであり、その福利は国民が享受するものであるというのは憲法の前文に書いてあるわけです。司法のみがこのようなことから例外である、例外にできるというはずはありません。司法制度のあり方に関しても、直接的な関係者間の調整のみに期待するのではなくて、真に利害関係を有する利用者、つまり国民の立場に立って議論が進められることを期待したいというふうに思います。全国民を代表する先生方のその英断に期待したいというふうに思います。時間が少なくなりましたけれども、当委員会がやっておりますもう一つの行政情報の公開に関して一言述べさせていただきます。先ほども言いましたように、日本におけるいろんな問題の中の透明性を追求するということに関して、ディスクロージャーというのは本当に大変大切なことだと思います。行政情報の公開に関して、当委員会は三年の任期なんですが、なぜか法律上は二年以内に検討結果を出せということになっております。昨年三月に行政情報公開部会を発足させて部会においてずっと検討を進めてきているんですが、ことしの四月、中間報告を取りまとめたいというふうに思っております。そして、十二月の意見提出期限に向けてさらなる検討を進めていくということにしております。
 当委員会の普通の活動なんですけれども、これからまた新しいことを一つやろうとしております。行政改革というのはただ行政のみをとらえて考えるのではなくて、日本全体のリエンジニアリングなんですね。つまり、どこまでを公的部門が責任を持ってやり、どこからは民間が責任を持ち、どこからは国民一人一人が個人の責任でやるという、その守備範囲の見直しということだと思うんです。
 この見直しに関してはずっと指摘はされてきたのですが、その守備範囲の見直しに際して、どういう判断基準、どういう哲学、どういう物差しで分けるのかということがその共通認識として存在していないんですね。ですから、その切り方の物差しを考えなきゃいけないということで、ことしは新たに官民の担うべき役割を見直すための物差しづくりということをテーマとして取り上げて、その検討体制や進め方を決めていこうと思っています。
 最後ですけれども、国民の視点に立って行政改革を進めるということで、私たちはファクスとか郵便によって意見、要望を受け付けていると同時に、一日行政改革委員会というのを各地に出向いてやっております。全国五カ所でやりましたけれども、今後とも各地で開催していくつもりです。
 我々としましては、規制緩和推進計画というのが内閣及び先生方を初めとする政治のリーダーシップのもとに着実に実行されることを期待しています。残された二年の間、監視もしっかりやっていくつもりでおりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(浜四津敏子君) ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いいたします。鈴木参考人。
○参考人(鈴木良男君) 御紹介いただきました行政改革委員会の参与の鈴木でございます。
 地方分権及び規制緩和に関する特別委員会の先生方におかれましては、日ごろから規制緩和や地方分権に熱心に取り組まれており、心より敬意を表する次第であります。また、本日は私どもに発言の機会をお与えいただき、まことにありがとうございます。
 さて、規制緩和の推進に関する意見につきましては、大宅委員からただいま御説明がありましたが、取りまとめに当たりまして最前線でこれを行った参与の一人として若干補足をさせていただきたいというふうに思います。総論につきましては、大宅委員の御説明のとおりでございますので、私からは各分野別の規制緩和の具体策について補足をさせていただきたいと思います。時間の制限もありますので、説明が簡略になり、また適宜省略させていただきますことをお許しいただきたいと存じます。
 まず、土地、住宅の分野でございます。良質で職住接近の住宅、安い住宅、そういう課題で五項目を取り上げております。
 第一は、空間の利用であります。建築基準法の採光や日照などの衛生規制は建物の使用者だけに影響が及ぶものであるということと技術進歩によっていろいろな代替手段というものが発達していることから緩和を図るべきだとしております。さらに、地区計画制度などの積極的活用も提言しております。
 第二は、宅地供給の促進であります。平成三年の生産緑地法の改正により、現行の生産緑地制度というものが設けられました。ですけれども、虫食い状態での点在も見受けられます。一方、宅地並み課税を受ける農地も周辺の整備がされていないので宅地化ができないという状況があります。こうした点から、宅地並み課税農地について周辺の整備や生産緑地との交換分合の推進を、また生産緑地指定の厳格な運用などを指摘しております。
 第三は、借地借家の供給促進であります。現行の借地借家法は正当事由がないと契約解除を認めておりません。これが借家供給の制約になっております。このため、定期借家権制度の創設を含め、供給を促進する方策の検討を求めております。
 第四に、住宅建築に関しまして、海外の工法や技術の進歩による新しい工法の受け入れのために、現行建築基準法を素材などを指定する基準から性能基準に転換することなどを指摘いたしました。
 第五番目に、住宅設備関係につきましては、現在、水道工事店が指定制度となっているので、自分の区域の外で仕事ができないだけでなく、地域によってはこの仕組みが参人制限的な効果をもたらしているということがありますことから、工事店の要件を客観的かつ合理的なものにすることと、それからもう一つ給水器具の型式承認とかあるいは検査につきまして合理化を図ることなどを指摘しております。
 次に、情報通信分野ですけれども、インターネットなどマルチメディアが進む中で、利用者が多様な選択ができて安くてよいサービスが受けられるためには、活発な新規参入の促進と自由かつ公正な競争環境というものが何よりも必要であることは言うまでもございません。
 現状は、まだまだ規制が厳しくて本当の競争があるとは言えない一方、地域網は事実上NTTの独占状態にあり、それに依存せざるを得ない特異な状況にあります。そこで、規制緩和と実態として独占体であるNTTにかかわる問題、この二つを一体として解決するという事柄が必要だという認識、考えを示しております。
 具体的には、規制緩和面では、第一種電気通信事業者の参入許可基準のうち需給調整条項というものがありますが、それの削除とその前提としての公益事業特権付与の新しい仕組みを確立すべきだということ、それから退出規制につきましては、当面、現行基準を厳格に運用するとともに、将来は順次届け出制に移行することを求めました。そのほか、地域や国際という業務区分はないんだということの明確化だとか、それから料金認可制の対象を限定する、あるいはKDD法を早く廃止する、NTT法を段階的に緩和して最終的には廃止することなどを提言しております。
 NTTのあり方につきましては、真の競争原理が働くような形態にすることが望ましいとして、分割の方法等については電通審等での議論にゆだねております。
 続いて、流通分野に参ります。五項目について取り上げました。
 一つは、大店法です。平成二年以降三回にわたって規制が緩和され、消費者の利便は向上しつつあります。この規制は、地方公共団体の規制も含めて、将来的にはこれをなくしていくべきことだということを提言しております。
 二つ目は、酒類小売販売業の免許でございます。需給調整要件について廃止を含めて検討すること、免許制自体を見直すことを指摘いたしました。身近な話では、みりんも酒類ということでお酒の販売店でしか扱えませんでしたが、これを食料品店で販売できるように提言しております。
 三つ目は、酒税でございます。税の問題とはいえ、購買の際の選択に当たって消費者に影響を与えるものですから、合理的な課税基準を検討するよう指摘しております。
 四つ目に、たばこ小売販売の許可制と定価制を取り上げました。専売制度の改革のときに当分の間維持すべきとされたものでございますけれども、廃止を含めて抜本的な見直しを行うことや社会的規制のあり方についても検討すべき旨を指摘いたしました。
 五つ目に、医薬品の販売規制につきましては、社会的規制についても必要最小限にすべきとの見地から、安全性の確保などを踏まえて医薬品のカテゴリーの見直しを含めて検討を開始するよう指摘して、当委員会でも今後引き続き検討していくことといたしております。
 続いて、農水産物の分野に参ります。食料という国民生活の根幹を支える産業でありますだけに、農業分野の規制につきましては幅広い視点からの議論が必要かと思います。
 農産物価格支持制度でございますけれども、これについてはコストを負担するのは国民でございますが、現在の制度というのはわかりにくい、そして実態把握が難しいということが言えます。そこで意見では、この制度のあり方について国民の意向を十分に反映させて幅広い議論が行われるように関係情報の提供を指摘しております。
 また、農業経営につきましては株式会社によるものは原則として認められておりません。株式会社形態による利点と問題点というものを踏まえて株式会社の農業経営へのかかわり方などについて幅広い検討を行うべきだということを指摘しております。
 続いて、運輸分野でございます。この分野でも市場原理を活用した自由な事業展開が重要であります。物流コストの低減だとか旅客輸送サービスの向上、輸送力の確保などの観点から四項目を取り上げました。
 まず、車検制度につきましては、昨年七月に大幅な緩和がされましたけれども、一層の負担軽減のために、民間車検場の検査の際に事前に点検整備を同一工場で行わなければならないとする制約がございます。これの見直し、それから透明なプロセスでの点検検査手法の見直しなどを提言いたしました。
 次に、トラック事業につきましては営業区域の拡大のスケジュールを明確にすること、それからトラックにつきましては全国でばらばらな最低保有台数という規制がございます。これを一律五台となるよう.に段階的引き下げをしていただくこと、それから運賃、料金について事後届け出その他のより自由な規制にする方向での検討、そういうことを指摘いたしております。
 内航海運関係では、船腹調整事業のほかに一部業者間で運賃協定が行われております。これらは今年度末までに見直されることになっておりますが、市場原理を導入すべく種々の措置を講ずることを指摘しております。
 旅客鉄道運賃の価格設定についてもこれを積極的に見直すよう提言いたしております。
 続きまして、金融・証券・保険の分野について申し上げます。経済の安定的発展のためには健全で活力ある金融システムや証券市場の活性化というのが不可欠であります。競争制限的な規制を緩和、撤廃して、金融・証券市場での競争を促進し、市場メカニズムを機能させていく必要があります。こうした観点から今回は十二項目を取り上げました。
 まず、株式関係につきましては、店頭特則市場の対象を研究開発型企業に限定せずに市場の自主的な判断にゆだねること、時価発行公募増資に係るガイドライン規制を撤廃すること、株式委託手数料の完全自由化に向けて具体的スケジュールを明示すること、証券業の免許制から登録制への移行の可能性を検討することなどを指摘いたしております。
 また、銀行、証券、信託の業態別子会社につきましては、業務分野について規制があるわけでございますけれども、それの撤廃を含めて対等に競争できる状況をつくるよう提言いたしております。
 CP、コマーシャルペーパーにつきましては発行適格基準の撤廃、償還期間制限の撤廃、そういう方向で見直すこと、それからリース、クレジット会社の社債だとかコマーシャルペーパーによる調達資金に関する規制につきましては法律の拡張解釈を直ちにやめることや根拠が不透明なままに行われている規制は存在しないことを明らかにすべきこと、それから居住者ユーロ円債の国内還流制限及び厚生年金基金の運用に関する規制の撤廃などを提言しております。
 さらに、資産運用の選択肢をふやすために、投資顧問業者に関して最低契約額の引き下げ、一括発注の容認を、それから商品ファンドに関しましては最低販売額の引き下げ、解約の自由化を提言いたしているほか、ストックオプション制度の一般企業への拡大などについても触れております。
 次に、エネルギーの分野では、最近事業者間の競争を目指す諸施策が法改正を含めて進められつつありますが、今回の意見では改正の目指す目的を有効に実現するための制度や運用の問題を取り上げ、検討を行いました。
 電力事業については、卸電力事業の自由化を受けて透明な入札が行われるよう電力会社が買電計画、落札上限価格の算定根拠に関する情報公開を行うことなどを提言いたしました。ガソリン販売につきましては、緊急時対応のための制度を別途講ずることによって、供給元証明を登録の条件としないことを検討すること、またセルフスタンドについて、認容に当たっては必要最小限の保安規制とし、遅くとも九年度中に結論を得ることを求めております。
 続いて、雇用・労働の分野であります。これまで労働力の需給調整だとか失業者への就職機会の提供は国の役割と位置づけられ、民間の職業紹介は限定された職種しか認められておりません。また、労働者派遣制度についても対象業務は限定されております。しかし、産業構造の転換が大きな課題となって、労働者の意識やニーズが多様化して、職業も高度化する状況に適切に対応するためには、民間の力を大幅に活用するシステムに転換する必要があります。
 有料職業紹介事業、労働者派遣事業については、業種の大幅拡大を前提に、民間が取り扱い可能な業種を限定列挙する現在の方法から民間が取り扱うことが不適切な業種を列挙する、いわゆるネガティブリストと言っておりますが、そういう方式へ移行することを提言しております。
 医療・福祉分野について申し上げます。よりよい医療サービスをより多くの国民が享受するためには、利用者の立場に立った改革が必要であります。
 医療法によって禁じられている企業による病院経営については、聖域とすることなく、利用者、国民の意見も踏まえながらその是非を検討すべきとしております。この問題は、当委員会で引き続き検討する考えであります。
 指定訪問看護事業につきましても、高齢化への対応を早急に図る必要にかんがみ、企業の参入に向けて早期に検討を進めるべきとしております。
 医療機関の広告規制についても、緩和できる部分を認めることを提言しております。
 続いて、競争政策について申し上げます。
 純粋持ち株会社規制は、財閥による事業支配という歴史的背景の中で導入されたものですが、今日でもこのような一律規制を行う根拠があるとは考えられないにもかかわらず、企業の分社化などの事業活動を制約するものであります。また、大規模会社の株式保有総額規制につきましては、一律的な禁止には合理的な理由はなく、企業の子会社設立などの事業活動を制約するものであります。このため、これらの規制は廃止すべく速やかに検討を進め、所要の法改正を行うべきだといたしております。
 再販売価格維持制度につきましては医薬品及び化粧品の指定品目の廃止を八年度末までに完了すべきであるとし、著作物については引き続き検討することにしております。
 合併、営業譲渡の届け出制度については、裾切り要件の導入を指摘いたしました。
 外国企業などとの全契約の届け出は時代不適応でありまして、無用の負担を強いておりますので、速やかな廃止を提言いたしております。
 また、独禁法適用除外カルテル等については、個別法によるものは原則廃止の観点で七年度末までに結論を出すこと、独禁法の適用除外等に関する法律に基づくものは検討スケジュールを明らかにして具体的結論を速やかに得ることとしております。
 なお、公正取引委員会の組織、人員等の強化については、規制緩和と一体的に競争政策を展開するとの趣旨にのっとって進められるべきものであり、規制緩和の推進による全体としての行政の簡素化、人員合理化にあわせて実施すべきものであるということを申し述べておきます。
 続いて、法務関係に参ります。司法は規制緩和後の世界の基本インフラであるとの考えから、司法機能の充実強化が必要であるという観点から問題提起をいたしました。
 法曹人口につきましては、法曹養成制度等改革協議会の多数意見を評価するとともに、具体的増員数及びそのスケジュールの明確化を図ること、弁護士による法律事務独占を見直し類似の職種による部分参入を認めることを検討すべきといたしております。
 外国法事務弁護士関係につきましては、日本弁護士の雇用を認容すること、それから職務経験要件及び第三国法の取り扱いについて一層の規制緩和を行うことを指摘しております。
 最後の基準・認証の分野は個別に要望があった分野でございまして、具体的な調査を踏まえまして十八項目四十一事項について指摘したものでございますが、詳細な説明は省略させていただきます。
 以上、行政改革委員会意見の概要を説明させていただきました。
 当委員会におきましては、この意見を出しました後にも、小委員会で各省からのヒアリングを行うなどによって、引き続き政府の規制緩和推進計画の初めての改定に向けた検討状況を注視しつつ、厳しく監視を続けることといたしております。
 次に、中間公表を読ませていただいた限りで、私たちが驚きかつ遺憾に思っている事例を二、三紹介させていただきたく思います。これらの事項につきましては、計画の改定までに所管省庁と議論させていただき、真意をただしていくつもりでございます。
 一番驚かされましたのは、公正取引委員会の対応であります。
 持ち株会社についてのこれまでの全面的な禁止を見直そうとする動き自体は、特にこれまでの公正取引委員会の対応を考えるときには一応の評価をすべきこととは思いますけれども、そもそもこの規制を維持すべき理由がきちんと説明されておりません。さらに、大規模会社の株式保有規制に至っては、持ち株会社を緩和するのだかちもう十分と言いたいのでしょうか。私たちの提言を完全に無視しております。
 持ち株会社に関する公正取引委員会の説明は、事業支配力の過度の集中の防止という文言が独占禁止法の目的規定の中にあるので、改正は現行法の枠内に限るということでした。しかし、規制緩和は現在の制度そのものを見直すことであります。現在の制度があるからと言っていたら、すべての規制緩和はできません。
 そもそもこの規制は、戦後の財閥解体に当たり、将来の財閥の復活防止が目的だとされます。戦後の日本経済の奇跡と言われた発展は、各産業分野にいささか過剰とさえいえる数の企業が入りまじって競争を展開したその活力によることは明白です。それが定着した今日、戦前の財閥の悪夢を見るのは公正取引委員会以外にはいないと思います。規制を維持するならば、規制を必要とした過去の歴史を説明するのではなく、今日でもその規制が必要かどうかについて積極的な説明がなされなければならないはずです。
 この意味で、公取は、この規制を維持するのなら、少なくとも事業支配力の過度の集中とはどのような状態を指すのか、他の弊害規制では担保できない具体的な弊害は何かなど、だれもが疑問に感じることぐらいは具体的に国民に示す義務があるものと思います。
 しかし、公取はこれらに対して何ら意味のある回答をいたしておりません。株式の持ち合いが促進されるだとか、現在の事業会社方式でも持ち株はできるという筋違いの回答と何回やり合ったかしれません。持ち合いと持ち株とは違う、他に方法があるからといって要らない規制は要らない、そういう当然のことが理解してもらえません。
 また、事業支配力の過度の集中に対する定義さえ持ち合わせずに、どういう基準で持ち株会社を禁止し、また認めるのか、甚だ見識のないところだと思います。
 いずれにしても、私たちは、国民の活動は本来自由であるはずで、制限されるならその目的が納得できるものであることは当然であって、かつ規制の内容、方法は目的に照らして必要最小限のものでなければならないと考えます。そして、その立証責任というのは、規制を受ける側ではなく、規制をする側にあると考えます。
 次に、もう一つ注目しておりますのは、労働省の中間公表です。
 私たちが行った具体的指摘に対して具体的に答えることなく、すべて労働省関係の審議会で検討するとしています。意見書作成に当たって、文案を含めて行政改革委員会と労働省との間で十分な議論が交わされた上のものであるという事実を重く受けとめてもらいたいと思います。
 特に、規制緩和に伴って雇用問題というのは今後重要な意味を持ちます。ちまたでは、規制緩和は雇用の不安を招くという間違った議論が横行しております。規制緩和はそれによって経済の活性化を促すものであって、全体量としての雇用は活性化により経済が成長することにより確保されます。
 規制緩和が行われたかどうかを図るバロメーターは二つあると思います。
 その一つは、全体量としての雇用が確保されたかどうかという視点のものです。もし、ちまたに失業者があふれるとしたら、規制緩和がされていない証拠です。経済が活性化されずに成長がなければ、そういう事態になるわけです。
 もう一つのバロメーターは、雇用の流動が起こるかどうかという視点のものです。雇用の流動が起これば、それは規制緩和がされているという証拠です。規制緩和は競争の導入によって経済の活性化を目指しますから、競争は勝者と敗者を必然的につくります。努力不足の企業が倒産することも起こります。この場合、強く求められるのは、倒産企業に属していた人をその能力に応じてミスマッチングなく機敏に吸収するシステムの整備であります。
 この意味で、規制緩和後の世界を考えるとき、職業紹介は従来の失業対策的な感覚で国だけに任せるという時代はもう終わっておると思います。民間の多彩な機関の知恵で雇用の流動化という新たな課題に対処しなければなりません。
 労働省は、こういう新たな時代に対応する雇用のシステムについて、私たちが行った提言に対して謙虚に受けとめてもらいたいと思います。
 また、金融関係についても注目しております。この分野は、いろいろな理由はあるにしろ、今の日本で最も不自由な分野の一つであることは確かだと思います。しかしながら、この分野はこれからの日本にとって大変重要な分野であることも論をまたないと思います。幸い、幾つかの項目が与党行革PTでも取り上げられておりますために、行政改革委員会が今年度検討した項目については相当の改善が見込めると考えております。
 しかし、中間公表については大きな懸念を持っております。店頭特則市場の自由化、その他多くの事項について現行計画の域を全く出ない回答をしております。リース、クレジット会社の社債などについては検討課題と当面の措置とを区分けして指摘したのでありますけれども、十把一からげで検討するという処理がされております。
 現在、住専問題の審議を通じて明らかになりつつあるように、これまでの金融行政には改善すべき点が多々あります。行政改革委員会としてもこの分野は継続して最重要分野の一つとして取り組む考えであります。
 以上、今回の行政改革委員会の意見具申の各分野別の提言の概要を御説明するとともに、これに対する各省庁の中間公表について特に問題ありと考える事項について意見を申し述べさせていただきました。
○委員長(浜四津敏子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○阿部正俊君 四十分にわたりまして参考人の方からかなり辛らつなあるいは筋の通ったお話をお聞きいたしました。特に大宅さんからは国会議員の心得などもちょうだいいたしまして、改めて身の引き締まる思いをさせていただいたわけでございます。
 私に与えられた時間は三十分でございますが、一応その間に個別具体的な、今触れられた項目云々ということとはちょっと違いますけれども、いわば自由な意見交換をお二人の方とさせていただけたらなと、こんなふうに思います。したがって、お名前もあえて大宅さん、鈴木さんと言わせていただきますので、お許しいただきたいと思います。
 これを拝見しますと、私、不思議に思いますことの一つとして、大宅さんの御意見にも聖域はないんだというふうな表現がございましたけれども、教育は完全に落ちているんですよね。これはなぜでしょうか。
○参考人(大宅映子君) 私自身も教育が根っこだというふうに思っているんですけれども、すごく難しいですね。もちろん上がってはいるんです、間で。この教育をどういうふうに取り上げるかという話は、テーマとして取り上げる前の段階では出てきているんですけれども、どういう切り口にするかという辺でまだなかなか突破口が見出せないでいるという感じがあるんです。
○阿部正俊君 鈴木さん、いかがですか。
○参考人(鈴木良男君) 今、大宅参考人が申し上げましたが、最初の段階ではこれも項目の一つとして議論はしたわけでございますが、いろいろ子細に考えてみますと、どちらかといいますと民民規制と称しますか、いわゆる官の規制である部分でないところが少し多いので、今回の問題の検討に当たって、切り口問題その他について若干、いわゆる国家規制という視点でのアプローチという点がどこまでいけるのかという視点から、取り上げることをやめました。議論はいたしております。
 今後の問題として、範囲をもう少しいろいろ広げた形でそれを視点に入れるということは、これはまたこれとしてあり得ようかというふうに考えております。
○阿部正俊君 意見にわたりますけれども、私は教育というのは本来自由なものだろうというふうに思います。それを社会的な必要性によりまして、特に初等教育というものにつきましてはある程度均一性というか、大宅さんの先ほどのお話ですと、あるいはいろいろなところにお書きになっていることなども拝見しますと、どうしてもやっぱり均一にというような色彩が非常に強くならざるを得ないと思うんです。これ自体も私はそれでいいんだろうかという気はありますけれども、少なくとも大学については大幅な自由化というものが今非常に求められているんではないだろうか。
 大学の本来の目的が、何のためにある大学なのかというものが非常に不明確になっておるので、逆に言うと、高校生もじゃ何のために大学に入るのかということがわからなくなっている。それは高校の存在とは何なんだという話にもなるというようなことで、どうも私は大学の自由化といいましょうか、大学教育に関する規制緩和というのは非常に大きな意味を持つのではないかなというような気がしてならないわけでございます。
 一面、大学の学術研究機関としての存在というのはあるんだと思いますけれども、どうも日本の現実はおざなりでございまして、高等研究機関としての機能を果たしているかどうかということになりますと、国際的に見ても恥ずかしい感じがするわけでございます。
 そちらの方はそういう状態の中で、じゃ大学というのは何なんだということについては、何か一律にやるようなことばかり考えて、本当の意味での進歩、これからのより高度な技術なりなんなりを基礎にして生きていかなきゃならぬ我が国のリーダー養成というようなことからすると、非常に問題なんじゃないかなと、こんなふうに思うわけでございます。
 具体的に言いますと、大学もやはり、今の文部省なりあるいはいろいろな意味で我々が何となく前提にして考えているのは、大学は決して倒れないということを前提にしているんですね。したがって、例えば具体的な大学設置基準というようなこと、大学設置審議会で非常に微に入り細にわたり長年かけて、しかも細かい基準までつくって、全部クリアしなければ大学は認可しないという話になっているわけですよ。
 例えば、大学の教員の一人一人の論文の審査まで全部やるんです。何でそんなことをやるのか。大学設置基準というのは何のためにあるんでしょうかというと、よくわからぬのです、文部省幹部も多分。私は、むしろ利用する人に教育というもののある種の品質表示をするということが一つのあり方なのではないかということなんだけれども、教育そのものを何か統制すること自体が目的化しちゃっている感じが非常にするわけです。
 だから今、金融機関につきましても住専問題を契機にいたしまして、護送船団で永久にだれも倒れないということではなくて考えられていますけれども、どうかひとつ、私は最大の規制だと思いますので、当面、大学の設置について自由化ということをぜひお願いしたい。これは大宅さん難しいとおっしゃいましたけれども、そんなことはない。皆さん方がさんざっぱら各省と議論されて苦労されておることから見れば非常にわかりやすいことなんじゃないか。しかも、国民に対する今までの社会体質みたいなものの転換のイメージとしては非常に訴えるところが多いんじゃないか、こんなふうに思います。
 あえてもう一度、例えば大学設置基準を中心にした大学教育の自由化ということについてのお二人の御意見と、それからこれから先、規制緩和委員会でお取り上げいただけるかどうか、これについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 教育が根っこだと言いましたのは、つまり護送船団と同じなんですね。日本の教育というのは、だれも勝つちゃいけない、だれも負けちゃいけない、落ちこぼれが出ちゃいけない。それはとても優しいんですけれども、逆に、勝ってもいけない、つまり優秀な人がどんどん伸ばせるという状況にはない。エリートなんといったらとんでもないという話になる。ということは、つまりリーダーも生まれないという形なんですね。
 戦後のいわゆるキャッチアップ体制の中での人づくりということであれば、平均点のかなり高い人で右向け右と言ったらすぐ右を向いてくれる人、高品質の整ったのが大量にいればよかったわけですね。これは実にうまくいったんだと思うんです。ところが、今世界の中で日本のプレゼンスがここまで来て、特にこれから先の社会を考えたときに知恵が必要なわけです。知恵がある人を今育てているかというと、ほとんど絶望的な感じに見えるわけです。つまり、抜本的に変えなきゃいけない根っこの部分で全然変えられないでいる。
 さっき鈴木さんが民民規制の部分があると言いましたのは、つまり親の方が反対してくれればいいんです。例えば、大学の話じゃなくてもっと下の方で。ところが、なぜか余りにも学校に依存していると思うんですね。私たちのころはあんなにすべて学校にお任せじゃなくて、教育権は親にあるんだ、学校は大きなお世話をしてくれるなというぐらいの心意気が親の方にあったんですが、もう全部学校に任せてしまっている。そこにいじめだとか登校拒否だとか全部根っこがあるような気が私はするわけです。
 残念ながら、例えば中学でも高校でも三年ずつでかわっていってしまいます。反対しようと思っても子供は人質にとられているからとりあえず我慢しよう、三年間我慢すれば終わるからという形で親がどんどん動いていってしまうので、いつまでたっても改革の形というのが出てこないというのが現状なんじゃないかというふうに思うんです。ですから、民の側が、違いますと、私たちが自分で子供の根っこの教育はやりますという形に動かないといけないんです。私がそれはなかなか難しいと言っているのはそういう面なんです。
 大学に関してはいろんな議論が出ていて、中曽根さんの時代にも随分いろんなことが出たにもかかわらず動かない。文部省というのは外圧がないからなんじゃないかと私は思っていますけれども、それはもう本当に何かそういうあらしを呼び起こすようなパワーをどこかにつくらない限り私は難しいというふうに思ってしまいます。もちろんこれは根っこの根っこなので、任期は三年、あと二年しかありませんからどこまでできるかわかりませんけれども、やりたいという意思は明確にお伝えしておきたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) 基本趣旨は大宅委員と同じです。
 私は思うんですけれども、これからの日本に一体何が一番重要かということです。これは成熟国家の段階に達して、今まではまねておればよかったわけですね。まねる相手があった。したがって、まねていくというものに対しては当然なるべく力を集中してやった方がいい。その力を集中する役割はだれだ。それは官僚だ、行政だ。その根拠は何だ、規制だと。こういう仕組みでこれは明治以来ずっとやってきて、キャッチアップ段階を通ってきたと思うんです。それがバブルの景気といいますけれども、ああいうところを頂点としていわゆる成熟国家の段階に明らかに入ったと。その後の変化の仕方を見ても、これは日本がキャッチアップを終わったということはもう明らかになったと私は思います。
 そうすると、今度はまねがないという時代になったらどうするのか。その中で生きていくんだったら、これはもう何とか頑張って後は自分でやるしかない。その自分でやるのは一体何かといったら、やはり自分で考えられる頭脳というものをつくり直す、今までのまねすればよろしいという日本の百年続いた物の考え方を変えなくちゃいかぬ。そこに私は、教育の基本的な問題に規制緩和が必要だという問題があるというふうに思っております。
 特に私、最近そういうので、そういうキャッチアップ後の問題というのをどうするのかということを研究しておるんですけれども、あるアンケートをとってみましたら非常に多くの方が、何といいますか、三、四年もたっておるわけです、バブルが終わって。そして、一体どうしたらいいか、最初のうちはどうしていいのかわからなかったのが、たしか九一年ぐらいから九三年、四年ぐらいだと思うんですけれども、最近はどうなっていくのかという方向をどうやらみんな見出してきた。その中で、この教育の重要性という問題と、それからもう一つは勤労心というアンケートの返事が非常に多いんですね。勤労意欲というのが多いんです。
 そんなところからも、教育という問題は本当に今までの意味とは違って見直さなければいけない、それも何といいますか創造性のあるものをやらなくちゃいけない。そうでないと規制緩和後の世の中、キャッチアップ後の成熟社会の日本というものの将来はないという、そういう認識に立っております。
 先生御指摘のそういう問題も含めて、規制がこれにかかわり合いをつけていくというものがあるという分野に関する問題については、昨年こそ取り上げませんでしたけれども、今後は持ち帰りまして委員会、小委員会にも諮りまして検討させていただきたいというふうに思っております。
○阿部正俊君 ぜひお願いします。ありがとうございます。
 それで、なかなか大学改革、自由化というのは言うべくしてできないんだというお話ございましたけれども、これは役所、文部省が元凶だということなのかもしれませんが、文部省はどういうふうになろうとも、経済界の方々と今度の規制緩和小委員会の方々の御意見があれば確実にできる、動かし得る一つの提案をいたします。それは、結論から先に言いますと、いわゆる就職協定というものを全廃することです。
 今、就職協定というのは、御存じのとおり、七月一日から会社訪問をしましょう、八月になったら試験をしましょう、十月一日になったら内定を出しましょう、こういう話でございます。多分、鈴木さんの会社でも、これをどういうふうにされておるのか僕は知りませんが、建前としてはそれはお守りいただくというふうな形になっているのかなと思いますけれども、率直に言って正確に守っている会社は日本全国どこにもないんじゃないかと思います。これはどういう意味なのか、今さら。
 大学に入る方々の進学率というのは今四〇%を超して五〇%に近づいているんじゃないかと思いますけれども、大半の方々は、いわば大学というものの四年間なり六年間なりの期間を通じて何がしかの広い意味での技能というものを身につけて社会に出るための用意をするんだと、こういうことですね。そうすると、言ってみれば最終目標というのは、言葉は平たいかもしれませんけれども、就職というのが一つのゴールになるんでしょう。それなら何も四年まで待たずに、一年生のときにも二年生のときにもできることならば就職させていただいて一向に構わないと考えるのが普通の考えでございます。
 では、今の就職協定がいわゆる青田刈りということを防止するんだというふうな大義名分のもとに導入されたときの頭の中にあった考えは何かというと、産業というもの、就職というのは、学問の自由とか学問というもので自分の知識を高めるということに対する妨害をするものなんだ、その悪に染まるのをできるだけ先に送りたい、こんなふうな感じが正直に言ってあったんだろうと私は思います。ちょっと言い過ぎかもしれません。でも、やはりそれをやっていたのではどうかなと思うし、本来、だから一年生のときからきちっと就職できる方というのはむしろ私はエリートだと思うんです。そんなふうに物事を考えていくべきなんじゃないか。
 よく言われるのは、勉強しない大学生が多いという意味じゃ日本はいつも例に挙げられるわけですね。四十代、五十代なりのサラリーマンは、子供の学資を稼ぐために残業をして、千八百時間どころか二千何百時間やって稼いでおる。それで、いわば本来の老後の備えみたいなものについては、どっちかというと国頼みになってしまって手が薄い、こんな状態なんですね。やはり、これからの日本を考えますと、二十過ぎぐらいの大学生なりについて全部親がかりで面倒をみてやるというのはどう考えても非効率的だと思うんです。まともな大人ですよ、これ。ということは、やはり子供というのは何も親の庇護のもとにあるんじゃなくて、子供はいわば育つんだと思うんですね、育てるんではなくて。
 しかも、今私たちが抱えている問題として、いわゆる少子社会という問題がございます。これを解決するためにも、私はネックはそこにあるんだと思うんです。子供を育てるということに対するいろんな意味での、経済的あるいは精神的な負担というものが非常に大きくなっているものですから、なかなか子供がふえないというような状況なんじゃないか。若干の手当を出すとか児童手当を一万円ふやすとかといったって、決して私はそうはならないだろうと思うんです。
 そうすると、やっぱりこの大学教育の改革ということにつながっていくんですけれども、それに一つインパクトを与える意味で、どうも就職協定というのは建前論だけ横行して実際はだれも守っていないというのをずっと二十年間もやり続けているわけですから、あしたからでもこれは廃止できると思います。
 午前中にお話をお聞きしました日経連の諸井さんのお話、まさに日経連が中心になって文部省の音頭取りで、大学の協会と一緒のテーブルに着いて、あれはみんな談合しているわけですね。実態は違う。個々の会社は何をしているのかということとは全く別の対応をとっておられるのが一般的なんですよ。
 今回の就職が冬の時代と言われる中で、実際に就職協定の存在というのはどういう作用をしたかといいますと、どっちかといいますと就職を断る材料にされてしまったというのが一般的じゃないでしょうか。早々と就職、会社説明なんかへ行くと、うちは十月一日にならないと内定出しませんから、まだ八月一日の試験前ですから、そんなこと来てもらっても困りますという、いわば言いわけに使われたというのをいろんな週刊誌で私は見ました。これは週刊誌情報ですからあるいは違っているかもしれませんけれども、そういうふうな効果になっちゃった。
 何か建前と本音というのが物すごくずれているのをずっとやる社会というのはもういいかげんに終わりにしないといかぬのじゃないかなという気がしますので、この就職協定はまさに大学側と経済界が一緒のテーブルに着いておるんですから、この規制緩和委員会はまさに経済界の中心人物の皆さん方が入っておられるんで、あしたからやめましょうと言えばできると思うんです。
 どういう意味があるのか、この就職協定について。しかも、それをやめることによって大学改革に対するインパクトが非常に大きなものがあるんではないか、私はこんなふうな気がしますけれども、この辺の考え方について大宅さんと鈴木さんの御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 私自身も自由が一番大事で、選択肢がたくさんあることが豊かさだと思っているんですけれども、どうも日本を覆っている全体のムードというのは、一人でもかわいそうな人が出たらいけないというとても優しい人たちで構成されているものですから、どこかで何かだめな人が出そうな話は事前にやめさせねばいけないというのがいろんな規制の根っこにあるんだというふうに思っています。
 教育の場合に一番日本で問題なのは、敗者復活戦がないんですよね。ここでだめでおりちゃって、ほかの道に曲がっていってまた戻ってくるとか、また違うところへ出てくるとかというのがなくて、ほとんど一筋で、浪人何年ぐらいは認められる感じがありますけれども、大学まで真っすぐ行ってブランドの企業に入るのがよしとされているみたいなところがある。
 それが日本以外のところを見ますと、途中でもう本当にテニスだけ夢中になってやってみて、もしかしたらプロになれるかもしれないと思ってやったけれどもだめだったと、戻って法学部で弁護士になりましたなんという人がごろごろいる社会なんですね。もしそういう自由な道がいっぱい開けているというのであれば、もうちょっと子供たちが気楽になって、あんなに追い詰められたりしないんじゃないかというふうに私は思っているんです。
 今の就職協定なんというのは、おっしゃるとおり本当にこれは紳士協定だそうでして、やめようと思えばすぐにでもやめられる話。でも、また不思議なことに大学側は、学生の就職の機会均等、それから学校の中の日程を尊重するためにある程度就職に対しての時間というのがはっきりわかつていた方がいい、学生にとっても就職活動のめどがついた方がいいというようなことで続けた方がいいと言っていらっしゃるようでして、企業側はいわゆる青田刈りの防止とか企業の採用体制の都合のためには一応必要だと言っていらっしゃるんですね、形としては。
○阿部正俊君 それに対して大宅さんの御意見をお聞きします。
○参考人(大宅映子君) 私は、さっさとやめた方がいいと思いますよ、単純な話。
○参考人(鈴木良男君) 御指摘のように、就職協定というのが相当部分有名無実のものになっておるし、それに伴う弊害があるというのは私もおっしゃるとおりじゃないかと思います。
 その意味で、就職協定と称する、これは一体何という規制でしょうか、これは公的規制ではないですね。ですから、私どもも、さっき大宅委員が申しましたように、民に対しても呼びかけるという立場を持っておりますから、そういうポジションはありますが、当面はこれは政府の行政機関に対して、行政機関がやっておる規制をやめてくださ
 いと、こういうことを言う立場でおるわけです。そういうことは御理解いただきたいと思うんです。
 そういうところで幅広に言っていくとしたら、必要のないもの、意味のないもの、むしろ害を与えているというようなものをやめるというのはこれは当たり前のこと。おっしゃるように企業によっては、まだそこまで発達しておるのが全部とは思いませんけれども、一部には学校の名前は書かせないという企業も出始めておりますし、そういうことになっていけば、これから雇用の形態というのもいろいろ大きくさま変わりしていくというふうに私は思います。
 そういうふうになっていくと、無意味な大学をやっておったら学生は逃げていくだけ、それで学校は授業料がもらえずにつぶれるだけ、こういう世界に入っていくのは当たり前の話だというふうに思っています。結論としては、無意味なものはやめるべしというふうに思っております。
○阿部正俊君 あと五分ぐらいしかないのであれですけれども、今のお話の中で、いわゆる機会均等ということをよく言いますね。だけれども、機会均等というのはあくまでも形なんですね。じゃ、最終的に機会均等でそれらしく言われるのは、大宅さん今おっしゃられたように、落ちこぼれのケースのないようにというんだけれども、結果的にはそんなことはあり得ないわけです。機会は均等かもしれませんけれども、落ちこぼれは落ちこぼれなんです。結果、不平等はできているわけです。
 それなら、最初からそんな機会均等とかいうようないかにも優しそうな顔をせずに、正当な形で、もう二十過ぎの大人ですから、そんな保護的なことをやる必要はない。むしろ、それで落後する二十二、三歳の大学生がいるなら、それは落後してもらってしょうがないんじゃないですか。
 そういうふうなことで、まさにこの話になりますと、先ほどの歯切れのいい大宅さんなり鈴木さんのお話とはちょっと違いまして、何か文部省から言われたのかどうか知りませんけれども、そんなふうな御答弁のような気がしてしようがないわけです。
 どうかひとつ委員会の中できちっとお取り上げいただいて、そんなに難しい話じゃないですよ、特に就職協定の廃止ということは。非常に簡単にできる話ではないかと思いますので、どうかひとつこれを具体的な項目としてお取り上げいただいて結論を出していただきたい。何もむしろ役所に難しい難しいと言うのを、ぐじゅぐじゅ言うのを引っ張り出してきてやるという難しさも要らぬわけですよね、やめようということでそれは決まるわけですから。どうかひとつ御提案をお願いしたいものだと思います。
 それに尽きるわけですけれども、経済界の立場にしても、青田刈り云々ということではありますが、私は大学教育の中でこの就職協定ということを通じて、何というんでしょうか、就職ということがもう少しフリーに、自由に行き来ができるようになっておれば、学術研究なりなんなりについても、もっともっと実質的な最先端の技術なり、お互いが、片やお金も出し合い、こちらは人も出し合いしてやれるようになるんじゃないか。
 何か、あくまでも別世界ですよと、大学という何か高尚な世界がこっちにあって、こっちに何か非常に荒海の産業界というか、生き馬の目を抜くような産業界があって、それを保護しなきゃ、そこの接点というのをできるだけ先送りしてまともに、かわいい大学生は、金の卵はちゃんと勉強させてからやらなきゃいかぬのだと、こんなふうな感覚がやっぱりどこかにあるんだと思うんです。そうするとそんなのは、本当は実態はどうなんだろうかなというふうにあくまでも思います。
 もう少しそこは、これから先、大学生ということはもう二十数歳の立派な大人ですから、やっぱりひとり立ちできるような、自分の行為について自分で選択できるような、就職したかったら、大半の人たちはある種の就職を目指して大学に入っているわけですよね。それなら一年生で就職できたらそれにこしたことはないんじゃないでしょうか。
 そうすると、これがよく言われる、大義名分で皆さんおっしゃるんだけれども、学歴偏重社会の打破とか言いますが、就職協定というのがある意味じゃ私は実際的な作用としては学歴社会の温存のために役に立っている、こういうふうに言ってもいいのかなというふうにも思います。これは私の意見ですからあれですけれども、どうかひとつ、大変お忙しい中ではございましょうけれども、そういうふうな観点からこの就職協定をお取り上げいただきたい。
 教育というものが一つの大きな社会的な影響も持ちますし、かつまた国民的な認識という意味でも、何か自分らの生活とは関係ないところで規制緩和が、経済界の方々と役所の綱引きみたいなことをやっているなと皆さん眺めているような感じなんで、そうじゃないんですよと。先ほど鈴木さんが成熟国家とおっしゃられました。私は別な意味で成熟社会と言っておるんですけれども、やはり大人の社会なんだろうと思うんです。今まではどっちかというと子供の社会なんですよね。大人の社会のありようとしてどうなんでしょうかということを国民お一人お一人が考えていかなきゃいかぬ、生活スタイルも変えていかなきゃいかぬ、こんなことだと思うんです。
 やっぱり、教育というものが非常にそういう意味でつながりの深いことですから、ぜひこれをお取り上げいただきまして、そうしたいわば規制緩和、これはまさに規制緩和、アメリカから言われたから、ヨーロッパから言われたからやっているわけじゃないんですね。「光り輝く国をめざして」と、こういう話ですから、言ってみれば成熟国家というか成熟社会というもののあり方としてやっているわけですから、そういう意味で少し幅広くお取り上げいただき、特に今申し上げた教育というものをやっていただきたいなと思います。
 最後に、お二人にその辺のお気持ちをお聞かせいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(大宅映子君) 全く私も同感なんですが、さっき鈴木さんがおっしゃったように、とりあえず行政に対する規制の緩和ということの方をメーンにやっておりまして、民に対するのは、これを読んでいただくとわかるんですが、かなり強烈に民自身がいろんなばかなことをやっているじゃないかということは言っているわけです。
 その中のこれも一つになると思うんですけれども、今大学で、例えば基礎研究なんというのは民間の研究所の方がよっぽど進んでいるわけでして、昔学士様がやっているというような状況じゃないんですけれども、いまだにそのしっぽを引きずっているという感じはまさにありまして、それもある種、何というんでしょう、親の側の相変わらず変わらない部分というのがあるんじゃないかなという気も私としてはしています。
○参考人(鈴木良男君) 御趣旨は十分理解できますし、私も賛同するところがありますので、どんな切り口、どういうふうなポジションという問題もあわせ研究してやっていきたいというふうに思っております。
○阿部正俊君 終わります。
○北岡秀二君 自民党の北岡秀二でございます。
 ただいま阿部先生の方からは、守備範囲の外ということで多少答弁も慎重におなりになっただろうと思うわけでございますけれども、私の方からは総論の部分、今までいろいろ議論をされた中で十分に検討された部分、総論の枠の中をお聞きしたいと思いますので、本音で十分にお述べをいただきたいと思う次第でございます。
 大宅、鈴木両参考人におかれましては、先ほどからのお話ではございませんけれども、今の日本の閉塞状態を何とか脱皮しなければならないという観点から申し上げますと、規制緩和はぜひとも推進すべきという考え方のもとに、日本の国にとりまして大変貴重な場面の中で御意見番として本当に熱心に御討議され、なおかつ御意見を出されておられますことに対しまして、まずもって敬意を表したいと思う次第でございます。
 私も、今申し上げましたとおり、今の状況の中にありましては規制緩和を大いに推進すべき、そしてまた現在のいろいろ取りざたされております規制緩和が今推進されなければ日本の国の将来は非常に不安が増大するんではないかなというような観点を持っておるわけでございます。
 まず総論の部分からお伺いするんですけれども、つい先日、それに関連しましておもしろい事例があったわけでございますが、今、EUの方が欧州委員会ということで、規制緩和に関連する要望等も含めて使節団が来日されておられるわけでございます。ちょうどきのうの午前中でございますが、自民党の方でも行革の規制緩和委員会というところで一団と意見交換をさせていただく機会がございました。
 団長というか、ジオラ総局次長という方のコメントの中に、ECの認識として、日本の規制緩和はスローダウンしておるんじゃないかと。アメリカの関連の方とお話を申し上げても、もう日本の規制緩和はともすると死んでしまったんではないかなというような認識を持っておりますということを冒頭におっしゃられております。
 それに関連して、日本の政治家の皆さん方、あなたたちはこれに対してどういうふうな対応をするんですかというような投げかけが最初にあったわけでございます。これは後の議論のやりとりの中で、ここ数カ月の日本の動向、これに関連する情報の認識に対する誤解というのが多少あったというようなことではございましたけれども、往々にして外国の方からはそういうふうな見られ方をされておるという側面は確かにあるなというような感じがするわけでございます。
 そしてまた、そこからいただいております参考資料というのを読ませていただきますと、総論の部分で、二番目の要望で包括的な政策の一部としての規制緩和ということで、具体的な規制緩和措置は目的が明快に表明されている全般的な政策に組み込まれていることが望ましいというような条項も入っておるわけでございます。
 私は、EUサイドの話が御無理ごもっともで、なおかつすべて正しいとは一切思ってもおりません。日本は日本なりに努力をしておるというような認識は持っておるわけでございますけれども、この事例、まさに今の日本の国民自体が感じておる部分、同じような認識を持っておるような印象を私自身持っておるわけでございます。
 と申しますのは、先ほどからの説明にもありましたけれども、規制緩和によって日本の国をどういうふうに持っていくんだろう、あるいは規制緩和をやることに対して日本の国がどういう方向へ行こうとしておるんだろうという部分、その目的意識というのが、一生懸命努力はされておられますけれども、まだまだはっきりと確定というか、国民にもっと理解されやすい、わかりやすい形で打ち出されていないんじゃないかなと。私は、規制緩和を推進していく上で、この問題が非常に大きなウエートを占めておるような感じがするわけでございます。
 先ほどの話のとおり、規制緩和を推進すると非常に痛みを伴う、光と影の部分で痛みを伴いますし、なおかついろんな犠牲を払っていかなければならない。ならばこそ、犠牲を払って痛みを伴うからこそ、これを乗り越えてどういうふうに日本の国をしていくんだというような部分というのが、私は、これはもう政治の大きな役割だろうと思うんです。今、悲しい現実の中に、その規制緩和の必要性はわかるんですけれども、それを乗り越えた先、日本の国をどういうふうな方向へ持っていくんだという、総論の部分の一番肝心な部分での煮詰めというのがされていないような現状ではないかなという認識を持っておるわけでございます。
 こういう状況の中で、もっとわかりやすく、そしてまた、はっきりと中立かつ客観的な指標も含めまして、もっともっと具体的にどういう方向へ進んでおるんだという位置づけというのが必要なんではないかと感じるわけでございますけれども、そのあたりに関連しまして、大宅、鈴木両参考人はどういうふうにお考えになっておられるか、改めて御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 先ほど申し上げましたみたいに、規制緩和というのはどこの何をちょっとそぎ取ってどうとかするという問題ではなくて、国のリエンジニアリングだと、リストラでもなくてリエンジニアリング、もうほとんどシャッフルし直す状態であろうというふうに認識としてとらえているわけなんです。
 どういうふうになるかというのは、実はこれは目に見えて出すのは難しい。つまり、規制緩和をして自由にするということはマーケットメカニズムに任せるわけですから、それは国民が決めるわけですね、いろんな時点で。こんな高いものは買わないとか、こういうものは要らないとかといって買わなかったらその商品がマーケットからなくなるというような形で、すべて国民の意思にかかわることであって、結果というのは実ははっきりは見えない。それをつくってしまうと管理になつてしまうわけですね。つまり規制やなんかでため込んでいくという形になるわけで、そこが実に難しいところで、こういう形になりますよというのが本当は見せられればいいんですけれども、かなり難しい部分があるというふうに私は思っているんです。
 ですけれども、今規制緩和をやらないと、今痛みを伴うことをやらないと将来に笑顔はないということは確かだろうと。それを一生懸命説得するんですが、ヨーロッパからもそう言われる、国民の中でも何かもう飽きてしまっているみたいな部分というのはよく言われるんですけれども、一日行政改革委員会などに行っても感じるのは、だれも痛みを感じるのは嫌だという感じなんですね。
 そこで思うのは、長年、この五十年間平和で豊かでというのになれてきてしまって、余りにもシビアなことは言われてきてないですね。人に優しい政治と言われて、私だったら怒る。でも怒らなかった。この痛みを感じなきゃいけない構造的改革の真つただ中に入って、人に優しい政治、そんなばかなことを言ってもらっちゃ困る、国民は怒りますよと私は言ったんですが、支持率は上がりましたから、あの時点で。全然国民は怒らなかったわけですね。つまり、私には優しいことをしてくださるんだとみんなそれぞれ思ってしまったというような体質ができ上がってしまっているんじゃないかという気が私はすごくするんです。
 それは、意見書の中にも書いていますけれども、私たちが思っている今までのそういう優しい日本人、仲間、画一、お上依存、大きな政府、横並び、もたれ合いというような単一の価値観とか、違ってちゃいけないとかというものから、国際的に開かれていて、世界から魅力があると思われるような、小さな政府で個性的で自立して自由で多様な価値観というように変えなきゃいけないと言っているわけですが、何かそんなことをしなくてもやっていけるんじゃないかと思っていらっしゃるように見えます。それは幾らおどしをかけても、物すごく私そういう意味でむなしい感じがしているわけです。
 最初にも申し上げましたように、規制で得をしている人というのは一握りいるわけです。この人たちははぎ取られたら損をするわけですから大声で反対と言うわけですよね。でも、あとの一億ぐらいの人がこれがあるおかげでよりよいサービスが受けられないとか、物すごく高いものでしかもらえないというので怒ってくれない限り声の高い人からはぎ取れないわけですよ。
 実にむなしいことを考えているんですけれども、その部分、今は痛いですよ、でもこういう手段、政策をこう打って、こうなりますよというのを見せていただけるのは政治家の先生方なのではないか。タイムラグがあるわけですよ、規制緩和したら多分失業も出ますよ。でも失業が出ますよと大体はっきりおっしゃらないですよね。人に優しい、みんなに優しいと言っちゃうから。
 私は何もアメリカがいいとか全然思いませんけれども、クリントンさんが大統領になったときにサクリファイスという言葉を使いました。国民に犠牲を強いることをやらなくてはいけないかもしれません。私、いまだかつて日本の政治家から国民に犠牲を強いるかもしれませんという言葉は聞いたことがない。今言わないでいつ言うのかと私は思いますけれども、そのタイムラグの間をどうやって、それこそ二十一世紀に明るい輝く日本にするためにどういう形でどういうことをやるから大丈夫だと、今の痛みはそのかわり我慢してくれと言うのは、私は申しわけありませんけれども政治家のお役目と心得ています。
○参考人(鈴木良男君) 私もさっきちょっと申し上げましたけれども、規制緩和で日本をどういうふうに持っていくかという御質問なんですけれども、しなかった場合に日本はどうなるのかという発想をしていただきたいと思うんですね。
 私、さっき申し上げましたように、今、従来百年間なれになれ切ってきた先導者、まねする人ありのところからそうでないところへ出ていったと、この現実があるわけですね。しかし、その中で国民は、それじゃ貧乏になろうというんだったら解決はあるわけです。要するに規制はそのままある、競争はいいんだと、そしておくれでいく、しかしそれでもいいんだと。十分国民は豊かになったから少し貧乏はと言うけれども、これは貧乏をしたことのない人の言い分なんですね。私どもの年齢になるというと、食うものも食わずの時代を経てきておりますから、本当にその時代を知っているのかと言いたくなるんです。
 そういう時代に入っていくのをどうするのかという問題が規制緩和だと思うんです。それは、やはりさっき申しましたけれども、私はあがく自由を持つ、みんながあがかなくちゃだめだと。そして、今、将来の問題というのは例えば新規事業分野ということを盛んに言います。規制緩和はそれを発掘する一つの重要な武器であることは間違いありません。しかし、そうするとすぐ新規分野は何だと、こういう議論になるんですけれども、そんなものは簡単に見つかるんだったらみんながやっておるわけです。
 そういうのを、自分たちが毎日毎日生きていかなくちゃいけないという問題で一生懸命になって生存をかけて探す、こういうことをするためには何が必要かと言ったらあがく自由を与えるということだと。今まではあがく自由は与えられていない。そういう時代にもう明らかに入ってきているから、そうすることによって日本がトータルとして経済成長というのを、もうかつてのような五%あるいはもとより二けたなんというのは望めません、潜在成長率として二、三%もあったらよしとしなくちゃいけません。しかし、逆にマイナスになることも簡単です。貿易黒字が非常にあるというけれども、今急激に減っておるわけです。もしそれがなくなったら、戦後の時期というのは非常に大変な苦労をしてきたわけですけれども、そういう非常に脆弱な無資源国の日本の基盤の上に立っておるということを考えてこれからどうするかと、こういう問題でそれによって発展する問題だと。
 それからもう一つ申し上げますと、規制緩和は非常に最近必要でないという見方をする方もございますが、私も規制緩和を少し勉強して、かつて古い時代からの、臨調時代からの規制緩和問題というものの流れは眺めていますけれども、私はやっぱり今申し上げた事柄は、特にバブルの崩壊後のあの不況、特に九二、三年のころから、規制緩和というのはやっぱり全然今までの、何とはなしに行革というと規制緩和と、こういうような話から変質してきておるというふうに思いますね。着々とそれが行われておると。今度私どもがやりましたものというのは、上から選んだ四十七項目、実際は五十ですけれども、というテーマの大きいものから選ぼうと。
 従来の規制緩和というのは、下から何かを出せ何かを出せと各省庁に何回も言いますと少しずつ出してくるわけです。最初は要らないものを出してくるわけですけれども、次第次第に、私は不良在庫と言っているんだけれども、使っていない在庫がなくなると使っておる在庫を出してくるという、そういう規制緩和だったんです。でも、それでも意味はあったと思います。
 臨調でやっておったころというのは、ちょうど御殿場から富士山の頂上を見ておるようなもので、規制山のということだったんですけれども、それでも二合目ぐらいまで私は登ってきたと思うんですね。だけれども、今度の場合は頂上の上にこれが規制よと言って飛びおりてみたわけですね。うまくいくかどうかというのは大変危惧したんですけれども、幸い私は八合目あたり、あるいはもうちょっと上ぐらいに引っかかったんじゃないかというので、これをパワーとして私どもの方は上から下に落としていく。
 それからさらに、行革推進本部でやっておるのは下から出せ出せ出せという攻め方をしていくという、こういう事柄が必要で、規制緩和をやっておるのかというふうに外国が見ておられるとしたら、もう少しEUさんもしっかり勉強してくださいと先生もおっしゃっていただきたいという状態で、明らかに変わっていると思っています。
○北岡秀二君 EUの件に関しましては結局同じような結論になりました。私どもの方からもそういう反対意見を、反対というか同じような意見を最終的には申し上げたんです。
 今お答えいただきましたとおり、基本的にはこれはもう将来のビジョンを出すというのは政治の大きな使命だろうと思いますし、一番大きな役割を政治家が担っていかなければならないだろうと思っております。ただ、今悲しい現実の中にしっかりとしたビジョンが出せない状況の中で、あえてどういうお考えですかということを聞かせていただいたわけでございます。
 これはもう表裏の部分もあるわけでございますけれども、先ほどもちょっと話がございましたが、痛みの部分を行政でどこまで救済をしていくのか。なおかつどこまで手を差し伸べるかという部分と、そしてまたこれは簡潔に質問申し上げますけれども、もう一つ別の観点から申し上げますと、地域間格差が出てくるのではないのかなというような危惧も持つわけでございます。
 すなわち、痛みの部分で、ともするとずうたいの大きい小さいという観点だけじゃなくて、比較的都市部、大都市部には足腰の強い業界が存在しておりますし、地方へ行けば行くほどどちらかというと下請型、そしてまた足腰の弱い産業というのが集積をしておるわけでございます。緩和されて今まで守られておった部分が撤廃されていくと、これも総論の話でございますけれども、ともすると痛みというのは比較的地方の方へより集中していくのではないのか。裏返せば、それだけ地方の方が規制によって守られておるウエートが高かろうと思うわけでございます。
 これは、一極集中是正という観点からも、そしてまた地方の時代とかそういう言葉もありますけれども、規制緩和によって地域間格差が助長されるんではないのかなという心配もあります。この点に関連して、委員会で今までどういう議論がなされたのか、大宅参考人の方からお伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 規制緩和をすれば当然いろんな変革は出ますね。でも、それはもうどうしても必要だというのが我々のスタンスです。つまり、市場原理で自由にする、そのかわり自己責任をとるという、これがセットになっているわけです。
 中途半端に規制が入ることによってかえってゆがめられてしまうというのが今までの状況だったと思うんです。完璧に自由であれば、そこに参入してだめだったときは単なる敗者なんですね。わかっていて入って失敗しました、撤退しましたという形で、それは敗者であって弱者ではないわけですよ。でも、日本の場合、敗者が出るとそれを弱者としてずっと救わなきゃいけないという形で均等に一律あまねくという形でずっと来たわけですね。
 地方の場合も、逆にそうやったことによって地方が特性を発揮できなかったんじゃないか。私はこういうことをやりたいんだ、この地域にはこれだけの特性があってこういうことをやりたいと思うと言っても、多分一律何%の何とかの補助金がどうとかでという形で、その地域の特性を生かすような何かができなかったんじゃないかというふうに私なんかは思うわけです。
 今のような中途半端な規制で、何でも一定にするという、サービスの提供が一定だとか、いろんな何かお金の分配にしろ何にしろめり張りをつけられない、優先順位がつけられないというのは、頑張りたい人にとってもサービスを受ける側にとっても損という形だと思うんですね。
 根っことして考えると、その地域格差という格差という考えがおかしいんで、単なる差なんですね。上等とか下等とかいう話ではなくて、何産業の方が上等で何か地場産業の方が下等という話があるから格差という話になるんで、単なる違いという発想が日本国はない、これが私もすべてのところで問題だと思うんです。単なるディファレンス、日本の場合、違うというと必ず上下関係にして序列化しちゃうわけですね。どっちかの方が上等でどっちかの方が下と。だから、それが差別という発想になって格差という話になる。
 空気がよくて光がきれいで緑が多くて家が広くて通勤時間が短くてというのと、空気が汚くて通勤時間、満員電車で一時間半かかって車も持てなくてという、田舎へ行くと、この間掛川へ行きましたら、車が一家に七台あると言われまして、一人に一台ずつ四台あって、野良仕事用に二台あって、レジャー用に別にもう一台ある。東京にいたら七台駐車場を確保したら後はビジキで食っていかなきゃいけない、いろんな生き方があっていいわけですよ。どっちが上等という話、いろんな物差しがあって、それを順番に並べて、地方は過疎化していていわゆる所得が少ないからかわいそうだという話はないんじゃないかというふうに私は思っているんです。
 格差という言葉に差別の考えがあるわけで、逆に今地方分権とかいろいろ言っていますけれども、頑張ったところが頑張れるような環境をつくるということが大事なのであって、頑張りたくない人にまでやることはない、それをまたやろうとすると変なゆがんだ形になるんじゃないかと私は思っています。
○北岡秀二君 今の地域間格差の問題に関しては、ちょっと私は多少異論があるんですけれども、時間の関係でお話できる機会がありましたらまたぜひとも。
 NTTの問題についてちょっと鈴木参考人にお伺い申し上げたいわけでございますけれども、もう本当に分離・分割が是か非かという議論というのが間近に迫っておりますし、非常にこれに関するいろんな角度からの注目というのも熱い状況になっている。いろいろ過去において相当な議論がなされておられる。私は、これは集約すると、もういろんろな個々の問題は別にして、最終的にはこれから今の経済状況の中で将来日本の国のリーディング産業と多分なるであろう電気通信産業をどうするか。
 そしてまた、この状況の中で、これはもう外国との国際競争力あるいは研究開発力をいかにして確保するかという一つの観点と、そしてまた国内状況の中で利用者、ユーザーに対して利便性をもっと高めてサービスも高めていくんだ、そういう観点で国内での競争を喚起しなければならないんだという観点と、この二つの論点になっていくんではないかなというような感じがするわけでございます。この二つ、国際競争力、研究開発をより高めていこう、そしてまた国内の競争を高めることによって利用者なり国民の価格面あるいはサービス面でのサービスを高めていこうという議論、非常にある面で申し上げますと関連しておることであり、ある面で申し上げますと相反することでもあるかなというような、ここが非常に大きな二つの争点になっているような感じがするわけでございます。
 今の日本の国の将来、そしてまた日本の国自身が技術立国であり、なおかつ貿易立国である。経済的に糧として外国を相手にして成り立っているんだというような観点から申し上げますと、その電気通信分野はぜひとも日本の国策として国際的な競争力も維持していかなければならないし、なおかつ研究開発力というのも確保していかなければならないんではないのかなというような、そちらにスタンスを置くべきであろうというような考え方を私は持っておるわけでございます。
 ところが、分離・分割ということに関連して申し上げますと、これは私の主観かもわかりませんけれども、ともすると国内での競争を高めることによって、そしてまたその利用者に対して価格を下げる、あるいはサービスを高めるんですよという部分にややウエートを置き過ぎているような、その観点でもっての分離・分割論が進められ過ぎておるような懸念を私は持っておるわけでございます。
 これはもういろんな理屈から申し上げましても、スケールメリット、競争力に関しても、あるいは研究開発力に関してもスケールメリットというのは当然あるべきであって、これから将来の日本の産業ということを考えみたときに、何としてでもこれは守っていかなければならないし、なおかつ育成していかなければならない分野であるという観点から申し上げますと、これはNTTサイドから言われております規制緩和あるいは地域網をオープンにすることによって、従来されておる議論というのは、懸念というのは解消されますよという部分に私は理があるような感じがするわけでございます。鈴木参考人、このあたりはどうお考えでございましょうか。
 それともう一つこれにつけ加えて、最近アメリカでATTも含めての電気通信分野のあり方ということで、長距離と地域の垣根をなくすというような法案が新たにでき上がったようでございます。これは今の日本の進んでおる状況から、ともすると反対の方向へアメリカは行っておるような感じがするわけでございますけれども、この点についても御意見をお伺いさせていただきたいと思う次第でございます。
○参考人(鈴木良男君) 御返事を詳細にやりますと本一冊になるわけでございますけれども、端的に申し上げますと、私、NTTが特に国際競争力という、NTTとは言いません、日本の電気通信というのが国際競争力をきちっと持ってやっていく、研究開発が強くなる、これはもう当然それを目的としておるわけですね。
 ちょっとお話がございましたけれども、国内での問題、これはひょっとすると従来入っておったNCC三社というものが少しかわいそうじゃないかという議論という意味もあるかと思いますが、そういう視点に基本的に立っておるわけじゃないわけですね。そういうかわいそう云々の議論はあれにして、国内に既にあるものをどうするかというのを一つの視野の中に入れたことは確かですけれども、そこにポイントがあったわけじゃない。まさしく、どうやったら日本の通信事業が全体として世界に誇れるものになるのかと、この視点で私ども検討したわけでございます。
 結論を申し上げますと、NTTが大きくて国内インフラに対しては支配的な勢力を持つということはもう当然なことになってしまいます。その今のNTTが国内を独占したままで、それでNTTに自由が与えられますかという問題、これはスタートのときからの議論なんです。
 そして、私どもの考え方は、NTTにできるだけの自由を持たして、今三四%の株式を放出していますけれども、そのままストップしていますね。これは売れないという問題もありますけれども、本来、早く株式を放出し終わって完全民間会社にする。十年もたってなってないのは何だというふうに私は思います。しかし、それでは九二%の独占体というそういう民間会社というのは考えられないわけですね。ですから、民間会社である以上は競争しなくちゃいけないというマーケットの競争環境をNTT自身がつくって、そして民営化していって、その民営化の自由さというもの、そこを生かしながら強くなっていく、こういう問題だと思うんですね。
 ですから、簡単に言いますというと、大きければ強い力があって、そして研究力がすぐれるというのは、これは日本の今までの企業が世界において強い力を持ってきたという経験則に照らしても間違っております。決して大きいものが強いものではないわけです。要するに、競争によって磨かれたるものが強いものであるということは、これはもう明らかな事実です。
 そういう点もあって、私は、NTTが本気に競争の中で世界にも出ていける、そして研究もやれる、そして自由になれる、そういうことをするためには何が必要かといったら、国民が安心してNTTにそれをやってくれと言えるような状態をつくることだ。それは何かといったら、分割をして、それもむちゃくちゃな数に分割しろとは言っておりません。リーズナブルな範囲内でやっていって世界で競争してもらいたいと。また、そうしなかったら本当に世界で競争する力がどうやってできてくるのか、こういう観点に基本的に立っておるわけです。
 世界的な競争と言いますけれども、今のアメリカの話なんですけれども、ネットワークというものは世界で結ばれているんです。しかし、世界をひとり占めしておるものじゃないんですね。三つのグループで、要するにネットワークというのを囲い込むと言っていますけれども、それぞれ例えば、ATTとそれからどことが結びつくとか、BTとどことが結びつくという格好で、ネットワークというのはどこかで接続しながらお互いで構成していくのをネットワークというんです。そのネットワークというのをひとりが独占した会社でやる必要はないわけですね。
 そういう問題でとらえて、日本の電気通信の中に活性化というのか、そういう力を入れるのは今の手法しかないし、もうおくれにおくれておる、一体いつまで引き延ばすんだと。その間に本当にパフォーマンスを得たのか、こういう点を、よくお考えいただいて、私は日本の情報通信のためにも今の未解決の問題、十三年間ですよ、これは臨調以来、もう解決しないとだめですよと、こういうことを申し上げておるわけですね。
 そして、アメリカがというお話ですけれども、ネットワークはさっき言ったようにつながっておるから、そこの中で提携が起こって相互接続が起こってくるというのは当然なことです。しかし、アメリカの場合は、ATTはベビーベルを今度また資本的に吸収して一つの会社になろうということを言っていませんし、それはまた禁止しております。要するに提携し合うことなんです。
 そういう形でやっていますから、今NTTを中央とそれから長距離と地域とに分けたからといって、アメリカの傾向と違うじゃないかということをよく言われますけれども、それは私はちょっと認識が間違っておるというふうに思いますので、この際そういうふうに御理解いただいて、ぜひ御推進をいただきたいなというふうに思っております。本当に必要なことだと思います。
○北岡秀二君 まだたくさん用意しておったんですけれども、もう時間が参りましたので終わります。
 ただ、これはもう私は基本的には規制緩和を推進しなければならないという観点で、現実問題として総論賛成、各論反対の壁というのはもういろんな部分であるだろうと思います。各論反対の痛みの部分をいかにして取り払うかという議論がなければ、多分これはもう永遠に同じような繰り返しが続いていくだろうと思います。
 委員会の立場として、プラス面を強調するのも当然の一つの策だろうと思うんですけれども、マイナス部分をどうするかという議論にもやっぱり対応していかなければ、まあ対応できない部分もあるんだろうとは思いますけれども、その観点というのをぜひとも貫いていただいて、なおかつ、一番最初にお話がございましたけれども、行政サイドあるいは政治サイドの中にも暗黙の中での規制というのがたくさん、これは表に規定されておるわけでない規制がありますので、ぜひとも委員会の皆さん方のお力でそのあたりの規制も破っていただいて、もう本当に将来光り輝く国家を築き上げていただくことに御貢献をいただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○小川勝也君 平成会の小川勝也でございます。
 きょうは、大宅参考人、鈴木参考人に質問ができるということで、非常に楽しみにしてまいりました。
 私は、どちらかといいますと、悲観主義というか、悲観的な立場からきょうはちょっと懐疑的な質問をさせていただこうかと考えております。どういうふうに悲観的かといいますと、先ほど鈴木参考人からお話がありましたように、このまま規制緩和もできないようなこの国がどんどんどんどん進んでいくと、我々が年寄りになって棺おけに入るころはどんな世の中になっているのかな、こんなことを心配して夜も眠れない、そんなところでございます。
 きょうは、この「光り輝く国をめざして」、読ませていただいたんですが、非常に美しい作文でございまして、ぜひこれが私たちの国の将来、現実となるように私も頑張りたいし、行政改革委員会の皆さんにも御尽力をいただきたいので、失礼をお許しいただきまして、幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、私は、こういう痛みを伴う改革には何が必要であるかというふうに考えたときに、やはり政治家を中心としたリーダーシップであろう。中でも当然、総理大臣である橋本総理の指導力といいますかリーダーシップというか、何としてもやるぞというそういう意欲が必要なんではないかなというふうに考えております。大宅参考人の村山前総理に対する評価はある程度わかるんですけれども、私も総理に、何としてもやり抜くぞというそういうところが見えないし、委員の皆さんからしてどういう御感想をお持ちか、率直にお伺いしたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 参りましたね。私は、大臣に毎週インタビューするという番組を十四年間やっておりましたので、橋本総理のことは大分前から存じ上げているわけですけれども、橋本さんが総理大臣になれない理由みたいなのがいろいろちまたで言われていた中に、おれがおれがと言い過ぎる、政策を知り過ぎていて何か全部自分でやろうとするとかというのがさんざんあったと思っていたのにもかかわらず、改革と創造とうたいとげた内閣のメンツを見たら、あららという感じがいたしまして、これで改革ができるとはとても思えない。だから、あの形から見ると、規制緩和をやるとおっしゃっています、もちろん、施政方針演説その他で高らかに言っていらっしゃるんですけれども、ちょっとクエスチョンマークかなという気がする。
 なぜか総理大臣になってから、何か元気がないように見えるのは私だけなのでしょうか。妙に何かおとなしくなってしまって、あの座に座るとやっぱりあっちこっちに気配りをしなくちゃいけなくなってしまうのだろうか。でも、リーダーシップというのはあの場でやらなくちゃリーダーシップではないので、こっち側にいてぎゃあぎゃあ文句言っているのは何のリーダーシップでもないわけです。
 ただ、あの方はそれだけの力をお持ちだと思いますので、私は、やってくれという話を機会があればどんどんたきつけたいというふうには思っております。
○小川勝也君 続けますけれども、やると言うだけでしたら前総理もおっしゃったわけです。橋本総理は役所の皆さんからとても好かれているんですね。今この痛みを伴う改革をやるというときに、だれが一番痛みを伴うのかというふうに考えたときに、僕はやっぱり中央省庁の官僚の皆さんだろうと。その官僚の方々と闘って我々は未来をつかまなきゃいけないというふうに考えたときに、やはり大宅参考人と同じように、もっと強いリーダーシップを発揮してもらいたいなというふうに考えるところでございます。
 私個人的に、自分の昔のことなんですけれども、学生時代に学生運動をやっておりました。学生運動といいましても例の学生運動じゃありませんで、当時の土光さんの行革を支えるという学生運動をやっておりました。そういう意味で、あのときの、何といいますか、学生の一部まで巻き込んだ国民運動的な行革へのプレッシャーであるとか、例えば、改革をしないとこの国はこうなってしまうぞというような意思が今の内閣からは全然感じられません。
 また、そんな内閣の中でお仕事をされる行政改革委員会の皆さんにとりましても、一生懸命やっていただいているのはわかるけれども、非常にむなしいものもあるかもしれないし、非常に官僚の皆さんとの対峙の中でも厳しいものがあるのではないかなというふうにも思う。
 先ほど大宅参考人の方から、私たちの委員会は今までと違ってこんなふうに充実していますというふうな自信もお伺いしましたが、政治や我々を含めた政治家への、これを果たしてこの国会が実行するのだろうかという観点から、現在の行政改革委員会と政治、政治家に対する信頼感というものの感想をお伺いしたいなと思います。
○参考人(大宅映子君) 先ほども申し上げましたけれども、実行の場というのは政治家にやっていただかないと困るんでして、三月三十一日のその第一回目の見直しでどういう形になるかというのをまずとりあえず見させていただいて、余りにもひどかったらもう一回大声で何かを言いたいなというふうに思っております。ひとえに本当に政治家の皆さんの決断と実行にかかっていることですので、その点よろしくお願いしたいと思います。
○小川勝也君 具体的な例を少し見ましたので、ちょっとお伺いしたいんです。
 特殊法人の統廃合に関することなんですけれども、例えば今度金融庁構想などというのがちらほら出てますけれども、焼け太りなんという言葉があります。今回また行革関連法案として出てくる幾つかの法案の中の一つは、具体名は出しませんけれども、いわゆる特殊法人の合併、統廃合ということなんですが、どうもこのままでいくと何もする仕事がなくなるような特殊法人をくっつけて定員が数%減るという。これは私の心の中で、政治は、国会は、申しわけないけれども、優秀な霞が関の皆さんと知恵を出し合いながら頑張っていかなきゃいけないと思ったんですけれども、ともすれば彼らの利益を我々が擁護しているような、そういうような気がするんですね。
 先ほど鈴木参与の方からもお話がありましたとおり、何か出してくださいということになりますと、いわゆる在庫整理というんですか、先ほど初めて聞きましたけれども、それを内閣や国会や皆さんの委員会がやってください、やりましょうということで引っ張り出したものが、役所がしめしめなどと言いまして、どうせこれはもうすぐ役に立たなくなってつぶさなきゃいけなかったものを統合という形で安堵されたと。こういうような例を見ましたときに、私は国会に参りましてまだわずかでございますが、大変なことだな、優秀な日本全国から集まってきた役人の皆さんと闘いながらこの国の将来をつくっていくというのは非常に大変なことだなと思ったわけなんです。
 今回の行政改革委員会は、監視ということで非常に期待をしておるし、国民も期待しておると思うんですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
○参考人(大宅映子君) さっき行政改革委員会と規制緩和小委員会は今までとは違うと大分誇らしげに言ってしまったんですが、私もいろんな審議会に出ておりまして、明らかにそれは違っていると実感しています。逆に、何か全部こちらに弾が飛んでくるものですからすごく大変で、みんなこんなにこき使われるとは思わなかったと悲鳴を上げているのが実情なんです。
 私も第三次行革審に入って、専門委員会ですけれども入っていた時点なんかでは、いわゆるマスコミの情報でけしからぬという感じでいたわけですけれども、ただけしからぬで役所いじめをやっていてもどうもだめなんですね。いじめるというのはいとやすいことなんですけれども、目的は建設的にちゃんと変えなきゃいけないということであって、そのためには何かかなり高等な手段が要るらしいということが中に入ってみてかなりよくわかってきました。
 そうすると、ちょっと懐柔されちゃったんじゃないかなんて言われるのも嫌なんですけれども、実効が上がらなくて、ただいじめていて、あいつをいじめてやったといっても何の意味もないわけです。役所には役所の長い論理というのがありまして、今ここでこういうことをやったらだめだとか、いろんなことがあるらしいのですよ、まだ本当にわからないんですけれども。それをやっぱり踏まえた上で本当に実効が上がる形にしなくちゃいけないというふうに思っています。
 今、官僚の方でもかなりの危機感があるので、今までみたいにこうやって既得権を持って全部おれたちがやるというほどの自信もなくしているようですから、それこそ今がチャンスだと思うので、さっきから言っています国民の支持がなかったら本当に動かないんですね。そういう意味で、何か行政改革、規制緩和のあらしみたいなものが起きてくれるといいなというふうに念じて、かなりわざと風が起きるような発言を意図的にしようとは思っているんですけれども、今そんな状態でいます。
○小川勝也君 国民の理解というのは本当に必要なものだと思います。私も政治家の末席に座らせていただいて、非常に国会の無力というんですか、これはちょっと言い過ぎでしょうけれども、非常に先が見えないというか自分たちが何をできるんだろうかというふうにもどかしくなることがあるんです。
 例えば、国民の理解があってということを前提にしますと、例えば適切じゃないかもしれませんけれども、住専問題に税金を投入するということは国民の風が吹いていなくても実現されてしまう。国民の風がそうしてくれと言ってもこの永田町や霞が関の論理でできないこともある。そんなふうに悲観的に考えたときには非常に悲しい思いをするんです。
 では、ちょっと発想を変えまして、きょう午前中は地方分権の方の参考人からお話を伺ったんですが、もし仮に地方分権や今お話しの規制緩和がこのペーパーどおりにきちっと進んだ暁にはどうなるのかというふうなことを考えてみたときに、僕は、今の中央省庁のあり方というのが根本的に変わってくるだろう。あるいは、規制というのは行政府の中の仕事の大きな部分を占めているので、この規制が委員会の皆さんや私たち国会が望む方向にどんどん少なくなっていくと当然仕事の量が減っていく。そんな将来の姿を考えたときに、例えば中央省庁であるとか、中央と地方とか、そういう行政のあり方というのがどんなものになっているのかというのを、個人的な意見でも構いませんので、鈴木参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) おっしゃるように、規制緩和というのは、中央省庁というのをここに置いたとしましょう。そうしますというと、規制緩和というのは官から民への流れというこういうふうに位置づけられますね。そして地方分権というのはこれは国から地方へということで、いずれも中央省庁というもののありようというものを厳しく問うているものだということだと私は思います。
 そういうことで、しかも時代はまさしくそれを必然のものとして要求しておる。さっき、やる気があるかないのかということを御質問なさっておったようですけれども、当然この政治家の方々のやる気が前提になることは当たり前ですけれども、やる気あるいはどこのだれということと無関係に、今、日本がやらないととんでもないことになってしまうんですね。ですから、やらない方はやっぱり将来必ず責任をとっていただかなくてはならない話になってくる。これは、どこの政党が政権をとってあれしておっても全く同じだということ、その時代認識はこれは私はもう持っていただいておると思います。
 そういう中で考えていきますと、右の方は規制緩和によって中央省庁の役割は民に移っていくということ。そして、こちら側は地方に移っていくということ。そうなりましたら、これは中央省庁というのは改めて考え直さなくちゃならないのは当然のことでございますね。
 ですから、個人的なということでもございますが、私、かねてあれしておりますのは、その後は中央省庁というものをどうするのかという問題に当然アプローチしていかなくちゃいけない。それが今度の、さっき大宅委員が申し上げましたけれども、国の役割の問題の議論のスタートラインになっていく。そして、ファイナルなゴールとしては一体どこへ着くのかということになっていったら中央省庁の再編。私は大省庁制をとれというのを年来の主張としておりますけれども、これの詳しい理屈は言いません。
 それと国家公務員の一括採用というもののカップリングという事柄によって、権限を行使して仕事をやるという従来のキャッチアップ時代の官僚の発想を全くやめて、そうではないんだと、つまり規制とか国家の仕事の必要最小限のものをやって、どれだけ少なくしてどれだけ国費を削減するのかというのが中央省庁の人の考える基本的な目的である、こういう官僚群というものをつくっていかないとだめだと。規制緩和、地方分権というものがそういう状況に導いていくステップである、ファイナルのゴールはそういうことだと、こういうふうに私は思っております。
○小川勝也君 何としても、先ほど与野党とか政党とかを超えてというお話もありましたけれども、私は、語弊があるかもしれませんけれども、ある意味ではこれは世代間の問題をはらんでいるんじゃないかなというふうに思います。
 例えば、財政赤字であるとか年金の負担であるとか少子化の問題であるとか、これはどんどん先に行くのに従って厳しくなっていくものであると考えるからであります。そういう意味で、私も立場は違いますけれども、自民党の皆さんとも協力をしてこの規制緩和の問題には取り組んでいきたいと考えております。
 最後に、両参考人から、規制緩和を推進するに当たって、政治家のやる気はもちろんでございますが、これだけは必要な要件だというのを一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大宅映子君) かなり難しい御質問ですね。
 先ほどから何度も申し上げているんですけれども、変える、改革をするパワーというか原点というのは国民一人一人だと思うんです、根っこにある部分は。政治家がやるとか行政がみずからやるとか行政改革委員会がやるとかということではなくて、一人一人の意識がそれこそ変わって、我々が自分で選んで自分で責任をとるという意識が日本の中にない限り、実質的な規制緩和というのは進まないだろうというふうに私としては思っているわけです。
 それをどうやって広げていくかというところが一番難しいわけですけれども、さっき、国民の代表として国会にいらしていて無力感を感じるとおっしゃられたので、議員の先生も無力感という話になるとこれは大変だぞというふうにちょっと思っておりましたけれども、実は国会の場でちゃんと審議がされるのであれば、本当は審議会なんというのは要らないんですということだけお伝えしておきたいと思います。失礼いたしました。
○参考人(鈴木良男君) これだけはというと、それだけじゃないよというふうに言いたくなりまして、大変難しい、絞り込めというのはね。ですけれども、そう難しい話ではないんです。
 繰り返すようですけれども、私は、四十五歳の日本だと、こういうふうに言っておるんです。四十五歳というのは何かというと、これは当然今ごろ四十五歳で親から仕送りをもらっている人はいませんけれども、中にはいるかもしれない。それから、会社なんかですと、四十五歳というのは右の方行きか左の方行きかというのを選別されるんです。もうあなたは窓際で結構、あなたはもう少しこっち側というふうにやられていくのが四十五歳ですね。
 そこの日本経済というのがある成熟段階だと、そこのところで、これまでは六十歳まで仕事をしないというと女房、子供を養わなくちゃいけませんですから、六十五歳ぐらいまでしないというと年金との関係で大変不利でございますから。そういうのが日本の今の姿じゃないかと思うんです。
 要するに、日本は今そういう意味で選別されておる。つまり四十五歳というのは選別のときだと申し上げましたけれども、選別されていくと。これは産業の中でもそうですよ。やめていく産業、企業というのはいっぱい出ております。そういうところを乗り切るのにはどうしたらいいのかといったら、親からの独立、つまり規制、国家からの独立というその精神というものがまずきちんと基本的になくちゃならない。国民はそれを持ったけれども、政治と行政の方は全然違うというんじゃだめですね。
 ですから、私は、スタートラインは国民の意識で、それはどんどん熟しつつあると。大変失礼なことを言うようだけれども、後追いでもいいですから政治と行政は後を追ってきてください、こういうふうに離れておってもらっちゃ困りますというふうに、ちょっと失礼な言い方ですけれども、そういう時代感覚の問題だというふうに思っております。
○小川勝也君 同じ志で頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
○小山峰男君 平成会の小山峰男でございます。
 きょうは大宅先生、鈴木先生、本当にお忙しいところをおいでいただいたわけでございまして厚く御礼を申し上げます。よろしくお願いいたします。
 規制緩和の推進につきましては、先生方大変御苦労をいただいて御努力いただいておるわけでございまして、大変国民に開かれた状況の中で少しずつ進展しているというふうに思っております。私は、推進に賛成の立場で若干御質問させていただきたいと思います。
 規制緩和のねらいとしましては、公正なる競争というものを前提としているというふうに思っておるわけでございます。しかし、ともすると規制緩和が寡占につながるという意見も聞こえてくるわけでございます。きょういただきました「規制緩和の推進に関する意見」の中でも、十一ページでございますが、(2)の「公正競争の確保」の中で、「規制緩和後の世界では、市場における公正かつ有効な競争の確保がポイントとなる。」と。ちょっと飛びまして、「全体として、規制の緩和・撤廃、市場原理・自己責任原則の徹底、競争の基本ルール遵守及びディスクロージャーの徹底は、四点セットで考える必要がある。」というふうに書かれているわけでございます。まさに、規制緩和と公正な競争を確保するための独禁法の強化というのは車の両輪だというふうに思っているわけでございます。
 この意見書の中でも、独禁法の果たすべき役割が一層重要になるというようなことも書かれておるわけでございまして、独禁法そのものの中における規制緩和という問題がいろいろ書かれておりますが、法律改正によって独禁法を強化する、規制を実効あらしめるために強化するというような施策について触れておられないということもあるわけでございますが、その辺についてどのようにお考えか、これは鈴木先生でよろしいでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) 強化問題については、議論はこれは私どもはありました。ただ、まずやるべきことは何かといったら、私は的確かつ厳正な運用だと思います。ですから、公正取引委員会が現在本来の役割の中において十分に機能しているのかどうかをまず問うべき問題があるという事柄を指摘したいということでございます。
 それから、強化問題というものは規制緩和の進捗というものと深く関連するわけです。規制が緩和されてきてフリーな世界になれば、どんどんそれに向けてさらにフリーにして、しかしフリーという問題は、時にフリーはすべてがうまく作用するとは限らない、そうでないことを起こす。そういう場合に独禁法というのは強くされて、そして不公正な取引というものを排除していくというふうに機能しなくちゃいけないという問題認識もあるわけです。ですから、規制緩和を進めるというものと独禁法の規定自体を強化するというのは不即不離の問題だというふうには思っております。
 ただ、現在の公正取引委員会の施策を見ますと、まず初歩的な段階である、しかも当然やらなくちゃいけない的確かつ厳正な運用自体について万全なりや否やと、この問題もあるという考え方をしております。ですから、そういうステップで規制緩和というものと独禁法の強化という問題はもっともっと連携しつつ将来的に発展していく問題だというふうに思っております。
 よろしいでございましょうか。
○小山峰男君 そうすると、現在の時点でもまだ独禁法の運用そのものが不十分な面もあるではないか、将来的に規制緩和が行われた場合にさらに独禁法の強化というような問題に進んでいく、そういう理解でよろしいわけでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) 結構でございます。そういう議論はいたしております。
○小山峰男君 それと、現在の時点で独禁法を運用していく場合にまだ不十分だということになるとすれば、公正取引委員会の組織強化というような問題も当然考えなければならないというふうに思うわけでございますが、この辺についてはいかがでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) 当然の問題として、自由というものは競争を促進するため、したがって競争を阻害する問題に対しては監視すべきもの、そのための公取の機能強化ですから。私は、公正取引委員会というのがそういう今後規制緩和あるいは競争政策の推進に対しての大きな役割を持っているということを思っております。だから、したがってそれの機能というものを強化していくというのはこれは当然の帰結だと思っております。
 したがって、私どもの競争政策の中でもその趣旨のことを提言しております。もちろん、強化だからといって公正取引委員会だけ、これはまた人間の数も規制緩和したらお役人が減るわけですから、エコノマイズされるわけですから、それで人間は出てくるわけですね。しかし、この場合も公正取引委員会だけは何ぼ大きくなってもいいという問題じゃない。公正取引委員会も必要にして最小限という範囲内で行動してもらわなくちゃいけないというのは当然だと思います。
 それに関連して、持ち株会社とは何だ、こういうことを私は申し上げたいわけであります。持ち株会社というのはまさかそういうようなものを、今まではそれを届け出だ認可だという妙な方法を持ち込んできて、そうすることによって必要もないもの、本来自由にすべきものに対して大幅な届け出、大幅な認可というようなシステムをつくって、そこで仕事をやろうという考えであるならば、そういうたぐいの強化は要らない。そういうものは幾らでもある。外国契約にしろ、その他幾らでもある。そこら辺の公取自身のいわゆる取り締まりといいますか、監視行政以外の業者行政的なそういう部分というようなもう公取が今持つ必要のない部分は相当ある。まずそこを純化し、そこのところの骨を削ってからの話だというふうに強化論を考えておりますから、ただひたすらにアメリカが言うのに従って人間をふやして組織強化しさえずればいいというのには簡単にはくみするわけにはいかないということは申し上げておきます。
○小山峰男君 そうすると、今の独禁法の強化の問題につきましても、行政改革委員会では将来的に当然課題として検討されていくというふうに理解させていただいていいですか。
○参考人(鈴木良男君) 将来的どころか、今の問題として強化するということに対してはそれを当然織り込んでおります。つまり、六十一ページですけれども、規制緩和と一体的に競争政策を展開するとの趣旨に即して進められるべきであって、人員拡充についても行革の精神に沿い、規制緩和の推進による公取を含めた全体としての行政の簡素化の中でやっていくべきだと言って、組織機能強化それから人員合理化に対してもそれを行うべしということを言っております。
○小山峰男君 次に、先ほどのやはり十一ページの問題でございますが、ディスクロージャーの徹底ということを言っているわけでございますが、このディスクロージャーの徹底というのは、いわゆる先ほど言われました行政情報の公開とかそういう意味のディスクロージャーを意味しているのか、あるいは企業における経理の公開だとか、あるいは取引の状況の公開だとか、そういうものも念頭に置いてこういうことを言われているのかどうか、その辺どうでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) おっしゃるように、両者を念頭に置いて入れております。規制緩和ということは民に、民間に任せるということでありまして、そして市場原理に任せる、そして民間の自己責任を徹底するということを言っております。その後の官は何かといったら、これは守るべき競争のルールをつくる。つまり官はルールメーカーだということですね。そして、ルールの違反者に対するチェックというのが官の役割に限定される。その間、いわゆる実際の実行領域というものは民に任されている、自分で自由にやるわけですから。したがって、民自身も自分の姿勢というものを、姿というものを世の中に対してトランスペアレントな、透明なものにするというのは当然の責務であるわけでありまして、ディスクロージャーというのはもちろん行政に対して求められるのは当然でございます。しかし、規制緩和後の世界の主要な担い手である民間に対しても適切なディスクロージャーというものが求められるというのは、これはもう規制緩和を進める場合の基本の考え方であるというふうに思って提言しておる次第でございます。
○小山峰男君 この報告ではディスクロージャーの徹底というようなことで一言で書かれているわけでございますが、具体論として、こういう場合には民間企業の株式会社なら株式会社は公開しなければならないとか、そういうことまで踏み込むのかどうかというその辺はどうでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) 今回の意見は、これは直接的には政府に言っておる、そして行政府を相手にしておる。そして、こういうことをやってくださいと言っておる、そういう形でございます。しかし、先ほど申し上げましたようなロジックとコンテクストの中において、いわゆる民間の自己責任、規制緩和と自己責任というのはもう絶対に切り離せませんから、自己責任というのを強く主張して民民規制のあり方を問うておる、こういうスタンスでございますね。
 ですから、第一回目のそこのところでは民の心構えというものに対して強い注文をつけております。では、何をどこまでどういうふうに民はディスクローズすべきかという事柄を、これを当委員会がさらに踏み込んで言うべき問題か、それともそういう問題についてもう少し市場の原理といいますか、そういうものにゆだねていくべき問題なのか。
 基本は自由ですからね。基本は自由なんだから、自由ということはそれは尊重してやらなくちゃいかぬ。しかし、それを阻害するような事柄に対してはルール違反は認めませんよ。そのルール違反がないという事柄をはっきりするためにディスクロージャーをしなさいよ、こういう仕組みですから、そのコンテクストからいったら、将来的には行政に対するだけではなく、一つの健全な社会の、国家の運営の問題としてもはや主になった民に対してディスクロージャーのあり方というものについて議論をする機会の必要性というものも理論的にはあり得るし、またそういう時期になったら私どももやらなくちゃいけないというふうに、いささか個人的な見解にもわたりますけれども、私はそういう感じはしております。
○小山峰男君 基本は自由だということでございますが、選択の場合にやはり情報が知らされてないといわゆる自由な選択もできないということになろうかと思います。今回の住専の問題にしても、やっぱり情報公開の必要性を本当に感ずるわけでございます。そういう意味では、自由の中にも民間企業においてもやはりそういう情報を公開するというような責任が当然あるわけでございまして、それを自主的にやっていただくということが一番望ましいわけです。
 しかし、必ずしも日本の現在の慣行の中ではそういうものが自主的に行われてないという中で、やはりもう少し踏み込んで、自由な競争あるいは自由な選択を国民に求めるとすれば、それなりの対応をやっぱりむしろ検討していただいた方がいいんではないかというふうに思うわけですが、どうでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) おっしゃることはよくわかります。わかりますが、私はそのほかに関連していろいろな諸制度というものがさらに充実されるべきだと思いますね。例えば、株主代表訴訟の簡易提訴化というような問題というもの、あるいはPL法の問題というふうなものはもう民が民であるがゆえにというので、もう民というと何か悪者みたいに言う人がほんのこの間までいて、今もおるんですけれども、そういう制度というものが企業のディスクロージャーというものを促進するという意味合いで担保しておると。
 それから情報公開法というものの制定も、これは企業情報というようなのは基本的にはマル秘ではございます。しかし、公に関係するようなものに対してはやっぱり例外的にそれは出すというふうな方向とか、そういう諸制度というのが整備されていく中でディスクロージャー問題はやっていくわけでございます。
 さらに、このディスクロージャーは、さっき言いましたように、私はこれから民が中心になってやっていく規制緩和後の世界の基本のインフラだと思いますから、ディスクロージャーに対しての問題を検討するのは当然なことだと思います。ただ、これが妙な規制に、民に対して再規制にならないように、この事柄ももう一つの視点としては考えなくてはいかぬ。民間というのはすべからく競争原理の中においてみずからをクリーニングして、決して反社会性ができない、それは競争条理で敗者になるという、そういうものをもってきれいになっていくものですから、そういう競争のメカニズムを考えながらディスクロージャー問題を考えていかないと、いわゆる規制に出していくようなことであっては自己矛盾に陥るんじゃないか。そこら辺の兼ね合いを考えながら今後進めるべき問題だと私は思っております。
○小山峰男君 それでは、次に大宅先生にお伺いします。
 先生、先ほど政府の規制緩和推進計画の見直し、あの中で、大変あいまいで前向きな答弁が少ないみたいなお話をいただいたわけでございます。私も十一月に出されましたフォローアップの冊子を拝見させていただきまして、千九十一件の中でこれだけ実施済みだという資料でございますが、この中を見てみますと、本当にこれが規制緩和という項目に値するのかなというようなことまで感ずるようなことも入っているわけでございます。しかし、そういうことでも実施されることについてはそれなりの意義があるわけでございます。
 千九十一にこだわらないでというお話をいただきましたが、新聞等によりますとあと約六百ぐらいの項目が実施困難みたいな形で千九十一からは除外されているというお話でございます。そういう意味ではまだまだ進めなければならないというふうに思うわけでございます。その辺について、先ほどもちょっとありましたが、お答えというかお考え方をお聞かせいただければと思います。
○参考人(大宅映子君) 必ず規制の項目が出てきたときに、今回の千九十一もそうですけれども、その前の細川さんのときなんかもいろいろたくさん出てくるんですけれども、一つ一つ見ていますとそれこそこんなものが規制されていたんだというのがいっぱいあるわけですね。
 さっき不良在庫という話がありましたが、私は冷蔵庫に入れて腐っちゃっていた食べ物という言い方をしているんですけれども、もったいないから一応しまっておこうと入れるわけですね。カビが生えると安心して捨てるというのが主婦のパターンとしてあるわけでして、そういうのが続々出てくるわけですね。でも、聞いてみると、それ一個ずつを消すのでもどのぐらいのエネルギーが要るのかと言われると、ああそういうものなのかと思わざるを得ないんです。
 だから、一応数で削っていくというものも片方でやっていかなきゃいけない。もっと本当に根っこの大きなところでどんと、我々にとってはすごい規制緩和だなというものが出てくるのがいいなというふうに私なんかも思いますけれども、やっぱり積み重ねていかないとだめな部分もあるのかなという気がつくづくしています。
 さっきも言いましたけれども、聖域なしとしていろいろな措置困難というようなものも全部挑戦したという形で言いました。ですから、これから先も本当に国民にとって必要であると思われることに関して、それから規制緩和推進に関してはこういうものはどうしても同時に並行してやらなきゃいけないというものに関しては徹底的に監視を続けていくつもりでいますので、この意気込みだけはどうにかあと二年頑張りたいと思っています。
○小山峰男君 ぜひ頑張ってよろしくお願いしたいと思います。
 それから、先ほどの鈴木参考人の方から持ち株会社のお話があったわけでございますが、私も七月に出ました論点公開の持ち株会社の部分を見させていただきますと、私などは素人ですからなかなか理解が難しい。維持の意見を読むとなるほどというふうに思うわけでございますし、また規制緩和の意見を読むとああそうかとも思うわけでございまして、これはなかなか判断が難しいなというふうに思っております。
 ただ、本当に今規制緩和をどうしてもしなければいけないのかなというような気持ちもあるわけです。戦前から戦中にかけての財閥というような形の復活に本当につながらないのかなというようなこと。それから、この規制緩和の意見の中で、そういうことはないとか、外国ではもうこんな特殊な制度はないんだとか、あるいはベンチャー企業とか合併とかそういう場合に現在の制度では有効に機能しないんだとかいろいろ言われていますが、制限的な規制緩和でいけるのかいけないのか、その辺ちょっとお願いしたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) 財閥の復活につながらないか。実は私は、村山内閣の昨年の規制緩和検討委員会のとき以来、この議論はもう公取さんから何回聞いたか。何度いっても、財閥と言うんですね。一体どこを考えて、私はさっき大変激しい言葉でそういう悪夢を見るのは公取だけだというふうに申し上げましたけれども、まさしく公取だけなんですね。これは弊害があろうがあるまいが一律だめだと言っているんですね。それと大規模会社の株式の取得はだめだと。これはまさしく戦後にできたものであって、公取さんの言ってみたら生まれた発祥地の故郷に記念碑を築いた、その記念碑がこれなものだから記念碑はとりたくないと言っておるだけの話なんですね。
 私どもは、要するに意味のない規制というのはやめてくれと、こういうことを言っておるわけです。それが使われてないよとか、ほかの方法があるよと盛んに言うわけです。それは何かというと、今の事業会社でもできるという主張です。事業会社でできるからいいじゃないかと言うんですけれども、そもそもこちら側が要らないのだったら、無意味だったらそれはやめていただくというのが規制緩和の基本の理念です。だから、それを言っておるのですね。
 そうしたら、それはそもそも要るからというので六大財閥ということをおっしゃる。それは少し現実を無視し過ぎていないかという話をしますと何と言うかというと、株式の持ち合いがアメリカから批判されるところであると。株式の持ち合いというものと持ち株会社とはまるきり違うんですね。それに対してそういうことを言われる。そのうちに、もし持ち株会社の社員になったら親会社に対して士気にかかわるから問題だと。大きなお世話だと私は思うんですね。人の会社の士気の問題を公取さんに何も心配していただく必要はないわけです。
 そういう意味合いからいったら、財閥の復活につながらないのかということは、これは常識で考えてくださいと。千四百兆あるというふうに公取さんは言っておるわけですね。それを、公取さんの二五%ルールというので弊害があるんだということをいろいろ言っていますけれども、そうすると、三百数十兆円という金額ですよ。三百数十兆円を集めて会社はそれを支配してというような事柄をする意味もなければ、するお金もある企業がどこにありますか。ということを考えたら、これがいかにナンセンスな規定かという事柄が私は自明だと思いますね。
 何か政治の方では大分まだ今もめておるようでございますけれども、こういう意味のないところで余りもめるのはひとつ平に国民としては御容赦いただきたいというふうに思うわけでございまして、公取さんの言っておるこの議論に対しては私は容認しがたしというふうに思っております。
 国家で買い占めても三百兆円ないし三百数十兆円の企業集団をつくるというのは無理です。だから、そういうものをもって日本経済に対する過度集中による弊害だと言ってくるなら話はわかりますけれども、たかだか十五兆円でそれを上限にしようとかというのは二けたも三けたも話が違っておる。そこで何の弊害が起こるのかという問題。その弊害ではなくて、それを一律で禁止するというのは全く根拠がない。
 よく、税金の問題が解決しなかったらなかなか使わないんじゃないかと言うけれども、それもまた大きなお世話でありまして、ちょっと言葉が悪くなっちゃって恐縮ですけれども、それを使うか使わぬかは税金の問題で解決すればいい問題であって、しかし税金の問題があってもそれを使いたいという人がおるならば使わせるべきではないかというふうに思っております。
 ぜひこの問題は、いろいろ新聞では拝見しておりますけれども、政党間でリーズナブルにお話し合いになって御解決いただくことを期待しております。
○小山峰男君 それでは、時間が切れてしまったわけでございまして、まだまだいろいろ御意見をお聞きしたい部分ございます。しかし、いずれにしましても、基本的には規制緩和を進めなければというふうに私も思っておりますので、先生方もどうか頑張っていただいて、よろしくお願いします。
 どうもありがどうございました。
○齋藤勁君 社会民主党の齋藤勁でございます。あと、私を含めまして三名でございますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 既に四名の委員の方々から総括的、総論的なお話もされているわけでございますが、私の方からも、十二月七日付の「光り輝く国をめざして」、この推進計画の見直しについて私どもの所感について述べさせていただきまして、幾つか具体的に大宅参考人、鈴木参考人にそれぞれの御意見を例えれば幸いでございます。
 午前中、御案内のように地方分権の関係を、実は私も午前午後を通じましてたまたま委員として発言させていただいているんですけれども、この十二月七日付の一ページを見ましたら、実は「基本認識」のところで、「今回の構造改革は、明治維新や第二次大戦後の改革に匹敵するか、それ以上の大きな社会及び意識の変革を迫るものであり、従来の考え方や枠組みの延長線上だけでは考えられない。」という記述は、地方分権推進委員会の諸井委員長が、やはり地方分権を指して同じ表現を使ってごあいさつなり、先ほども実は説明の冒頭で言われている言葉でございます。
 中身の方へ行きまして、規制の緩和・撤廃についてということで、いろいろこの間のいわゆる政府それから各業界もそうでしょうけれども、そういった経過の中で、しかしながらということで、日本の規制緩和の動きについて、残念ながら世の中の変化についていけない、追いついていないのが実情だ、こういうまた指摘もございます。
 先ほど来のやりとりで、地方分権が中央集権から地方へ、そして規制緩和が官から民へ、こういうことについての位置づけについても、私も全く同感でございます。
 とりわけ、この「見直しについて」の前に、きょうも大宅参考人から述べられましたいわゆる論点整理をして、賛成あるいは異論ということについて両論併記をされて、内外のいろいろな喚起をするということで、私、このことについても大変画期的なことだということで、これについても、大変失礼な言い方でございますけれども、評価をさせていただくわけでございます。そして、「痛みについて」も、「リスクをとるのが事業であり、企業がリスクを回避するために政治や行政に依存することは、新しい国づくりを阻害することにほかならない。」、こう痛みについて述べられておるわけでございます。
 さて、そういった全体的なこの規制緩和推進計画の見直しについてということで、そういう上でとりわけ私は、金融、それから証券、保険、この分野について幾つかお尋ねさせていただきたいというふうに思います。
 最初に、「論点公開」の中で、二十五番になるんですけれども、「銀行・証券・信託の業態別子会社の業務分野規制の緩和」、こういう実は項目がございます。さらに、このこととあわせて、いわゆる銀行の保険業務への参入等にも関係をしてくるんですけれども、全体的なとらえ方の問題として、日本の金融の自由化ということについての視点なんです。
 これはアメリカの動きでございますけれども、昨年の報道等をずっと見てみますと、アメリカの金融制度改革案が昨年の夏前から秋にかけて保険兼業をめぐりなお攻防ということで、業界の反発が根強いということで、いわゆるGS法、グラス・スティーガル法を軸とするということで、これの改正をめぐりまして実は非常にアメリカ国内で大きな動きがあるということで、なかなかこの改正が難しいのかなというような昨年段階だったんですが、ことしになりまして、とにかく銀行、証券の垣根、これについてはもう時代おくれだ、こういうことで、規制緩和の潮流は非常に勢いを増しているというアメリカの方の金融の動きがある。
 これは、今のGS法は、米国の金融制度が大恐慌後の一九三〇年代に整って約六十年たっているんです。この六十年の間に何度も改革の動きがあったようですけれども、挫折をしている。しかし今回は、とにかく六十年ぶりに改革に本腰を入れていくというそういう実は動きでございます。
 そしてなお、欧州、いわゆるヨーロッパの方でございますけれども、EU各国でございますけれども、資本・金融市場の自由化を進めているということで、基本的に銀行と証券を兼営できるユニバーサル・バンク・システムを認められているという実は動きがございます。
 しかるに、実は先ほどの論点整理あるいは一月付の政府の方の見直し・検討状況の中間公表等を見ましても、大変積極的ではないというふうに率直に言わざるを得ません。
 とりわけ、平成五年四月に施行しました金融制度改革法で、銀行、信託会社と証券会社がそれぞれ業態別子会社を設立することにより相互参入することが可能となった。しかし、実際は銀行系の子会社は株式の仲介、売買を禁じられおり、当初見直されると予定されていた平成七年四月を経過しても見直されていないということです。私どもへ入ってくる大蔵省の表向きの理由は証券市況の悪化だと。しかしながら、現在二万円台を回復し、そして証券会社の業績改善も見込まれているのではないかというふうに思います。しかしながら、この見直しのスケジュールが予定されていないということで、このままで推移しますと、大蔵省は銀行と証券の業務隔壁を固定化するという意図があるのではないかというふうに実は疑わざるを得ないわけでございます。
 まず、ちょっと前置きが大変長くなって恐縮だったんですけれども、いわゆる国際的な金融の自由化の中で大変日本の金融の自由化がおくれにおくれているということについて、参考人の御意見を例えれば幸いでございます。
○参考人(鈴木良男君) 御指摘のとおりでございまして、この意見書は、大宅委員がさっき御紹介されましたけれども、これ私も三分野を持ちまして、これも私も初めてやりました。昔、臨調時代に事務局員をやったときは当然の仕事として官庁と夜中に折衝しましたけれども、参与が官庁の責任者と夜中に四つに組むというのは、第三次行革審でもやりましたけれども、それは余りやらなくて、事務局任せでやっておったんですけれども、今回はそれをやりました。
 ということは、説得すればいいわけです、相手を。もちろん全部が全部説得し切れるわけじゃありませんから、それじゃここのところはこうだという事柄で譲るわけですけれども、そういう格好でやって、実現可能であって最大限尊重できるものにしていかなくちゃいけない。そのためには、行政改革委員会がその省というものに対してこういうあらまほしきものをぶつけて、しかしここはちょっと待ってくださいというものには、わかるものは納得していますという形で答申をつくって尊重してもらうというのが、これが一番いい方法だし、いたずらに理想論だけ我々が書いたって迷惑な話、こういうことでやってきたわけです。
 やってきて、ここの金融の分野は私は副主査をやっておったので直接的ではありませんけれども、ここもそういうことを経ておるはずなんですよ、すべてが。その辺の分野は全部経ておりますから。それを経ておるにもかかわらず、そしてそういう事柄をやると言っておるのに、何ですかこの返事は。昨年三月閣議決定された、昔の閣議決定された計画で、二年後ないし三年後に見直しをやるとされておったから、本計画にのっとった、のっとったというのは前の計画にのっとった方針で臨んでいるところであるというのは、じゃこの間に議論した我々の立場は一体どうしてくれるんだと、私もこういうことを言いたくなるわけですね。これが大蔵省の答申には非常に多いから、さっき大蔵省の答申に不満を申し上げたんです。
 こんなことを言っておられたら、どうして折衝したのか、何を意味しておったのか、参与の中には非常に不信を持っておる人もおります。これから、だから直していきましょうということを、三月いっぱいまでには各省をお招きして、なぜそういうことになったのかということをやりますので、直していくという事柄にしますけれども、まさしくここのところが代表するような、こういう話ではなかったはずなんです。
 こういうことをぜひ御理解いただいて、約束したものは守るというのは当たり前のことなんです。それを約束しなくてもいいのに、約束した方が進めやすいというので、一生懸命に約束してきたというのを余り無視するものではないということをここでちょっと申し上げて御理解いただいて、各省庁にそういうところが幾つかありますので、しかっていただきたいというふうに思うわけです。
 それで、御質問の金融の問題でございますけれども、まさしくここが今日本経済の一番ボトルネックになっておると思います。なぜかといったら、改革すべきときに改革をしなかったからの一言に尽きるわけですね。規制にこだわった業界の混乱というのは、金融の業界が象徴しているのが一番の例だと私は思うんですね。もっと早く規制を緩和して、そして競争状態というものをやって足腰を強くしておけば、今回のようないろいろな不祥事に、もう全く不祥事と言っていいと思いますが、そういう問題を起こさずに済んだわけです。それを、護送船団というものは続く、大蔵省は保護するというような錯覚に陥ってきて、その規制が緩和されるときになると大慌てをして、どうしたらいいかというので日本経済自体を麻痺に持ち込んでいくのが、これが今の金融だと。
 それは何も金融だけを言っているんじゃない。いわゆる規制に守られた業界のもたらす被害だと思うわけでございます。そういう事柄に対しての問題がはっきりわかった以上、もう金融という問題に対して、これを葵の御紋のようにおっしゃいます、金融秩序の維持というのは大変だと。どこかの信用金庫が危ないというと、まるで東京の都市銀行までつぶれるような話に発展するというふうなことを言われてきた葵の御紋の金融秩序の維持ということですけれども、これはもういろいろな方法で乗り切っていかなくちゃいけない。
 金利の自由化ということをおっしゃいますけれども、これは金融の自由化の一つの側面であるにすぎない。金融の自由化というのは経営の自由化である、それは大蔵省を中心とする護送船団の解体である。そういうことになったら、倒産する金融機関が出るのはやむを得ないことなんです。ですから、そういう状況をやっぱりきちっとつくって自己責任をはっきりさせると。
 それからもう一つ言えば、預金者にも責任ありきという事柄をもうはつきりしていかないと、世の中もたない次元に来ておると思うんです。ですけれども、預金者に、あしたから金融機関はつぶれることはあるけれども、あなたは一千万以上はだめですよと言っても、これはだめですね。ですから私は、預金者に対してもそういうことをはっきり宣言して、そしてしかるべき期間に預金者の自己責任を問うと。
 しかし、その自己責任を問う前提としては、さっきも議論になりました、その金融機関のディスクロージャーというものを徹底的にやって預金者が判断できるようにする。判断して、ディスクロージャーされておる上で、預金者がさらに預けたときには、もはや国がその金融秩序の名によって救う必要がない、もとよりその金融機関を救う必要はない、こういう時代にならざるを得ないわけですね。
 前の大蔵大臣もそのようなことを示唆されるようなことを言っておられましたけれども、私はそれはもう必然的にならざるを得ない。ならざるを得ない段階に立ち至っておるわけですけれども、もっと早くやるべきであった。それが時外れに問題を起こして、国民全部に迷惑をかけるという問題がここに潜んでおると、そういう感じがしてならないわけでございまして、そういう御回答にさせていただきたいと思うわけです。
○齋藤勁君 とにかく、国境を越えて欧米で進むということで、直接金融の時代というような情報としていろいろ今回の規制緩和に関しまして、アメリカなりイギリスの動き等を見て私もびっくりしたんです。
 例えば、ロンドンではシティーと呼ばれる国際金融市場があるわけですけれども、伝統あるシティーのマーチャントバンクの大手が、買収によって昨年だけで四社がオランダ、スイス、ドイツ、米国の銀行や証券会社の傘下に入り、英国籍ではなくなったということ。マーチャントバンクは、証券の引き受け、投資家への売却、資産運用、企業の買収・合併の仲介などを得意とするというこういった動き。先ほど私GS法のお話をしましたけれども、日本が参考にした米国の金融制度になるわけですけれども、六十余年ぶりに大改正をしていくと。
 それから我が日本でございますけれども、東京、三菱あるいは住友、大和といった巨大合併の動きに欧米から脅威の声が上がらないのは、証券強化という世界の潮流とずれている、こういうためではないかということで、英国の投資銀行幹部は、日本興業銀行など日本の大手銀行が五年以内に我々の競争相手になることはないだろうとまで言い切っているという、こういうことを断言しているということです。今回、住専不良債権問題、新たな金融システムの構築ということで、これはもう国会でも大変な論議になっているわけですし、引き続き参議院の場でもなりますが、この規制緩和小委員会のメンバーの皆様方にも、私どもももちろん国会の役割として大蔵省に指摘をしますけれども、引き続きこのことについて取り組みをお願いしたいというふうに思います。
 同じく金融関係でございますけれども、いわゆる証券の委託手数料の自由化でございます。これは、「十億円超の部分に係る株式委託手数料の自由化について、その現実の影響を今後一、二年後(平成八年度ないし九年度)に検証し、以後の自由化につき検討する。」というのが政府の対応ということで伺っているところでございます。
 これは、平成六年四月に十億円以上の取引の手数料の自由化が行われております。これまで〇・〇七五と取引額の手数料が定められていたんですが、自由化に伴って平均手数料率が四千百七十二件で〇・〇四四%まで下がっているというふうに把握をしております。
 このような手数料の引き下げが証券会社の経営に大きな影響を及ぼしているというふうなこと。それから、今この行革委員会の中間報告、委託手数料の自由化をさらに小口のものまで進めていくと、小口手数料が上がるため個人投資家に不利になると。さらに、個人投資家の株取引から得られる手数料に依存して経営を行っている中小証券会社は倒産する可能性もあると証券業協会の会長さんがお話しになっております。
 さらに、実はこれは「金融財政事情」での会長さんのお話の中で、「株式委託手数料の完全自由化までにどれぐらいかかるとみるか」という問いに対して、「私は「一〇〇年、一五〇年」という言葉を使っている。ただ、一般的にアメリカで起こったことを日本が後追いすることも少なくないから、気にはなる。」と、こういうお話でございます。このことについて参考人から、委託手数料の自由化について、基本的な見解について伺いたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) そういうことを言っておれる業界はうらやましいなということに尽きちゃいますね。
 私ども製造業の会社をベースとしておりますけれども、そういうせりふを一遍吐いてみたいという気持ちでございます。御承知のような価格破壊というものを乗り越えて、リストラというものを営々辛苦としてやって、開発途上国に譲るべきものは譲って、そして自分のところが何をやろうかというのを今一生懸命に模索して、私がさっき申し上げましたキャッチアップ後の体制に対して即応しょうとしておるのが普通の産業なんですよ、普通の産業です。
 そういうせりふを吐いておられるところというのは、価格というのはもう取引そのものの中の一番最大中の最大ですから、その価格というのがカルテルと言われずに守られておったら、これは楽に決まっています、商売は。そんなものは商売とは言わないというふうに思いますね。それは楽な話です。しかし、証券界というのが、銀行の場合にはまだ若干お金という極めて無形なものであるというので理解することができ得ないわけじゃありませんけれども、株式の場合には、それが例えば倒産したからといってだれに被害を与えるのかといったら、決済する機関の株式を持っておる人とそれからお金を預けた人だけのはずなんですね。だから、そこのところはだれにもそんなに大きな被害をかけるわけがないわけです。ですから、なぜここのところだけをそういうふうにしなくちゃいけないのか、私には理解はできないところであります。
 これは、前から言われておるのは、アメリカでは自由化したら小口が上がったと。じゃアメリカのようなSECを導入するかといったら、アメリカと日本とは事情が違うというのは、これは証券等取引委員会をつくるときに私も参加いたしましたけれども、その言い分です。私は、やはり小口なら小口というので小さなものだったらそれをやっぱり知恵を出して、そして小口を吸収していきながら、決して値段を上げない、こういうふうにやっていくのがビジネスであって、そのビジネスを、アメリカの例ではこうだ、切り捨てだということだけを言って、都合のいいところではアメリカのSECはだめ、しかし値上げはしちゃったよだなんていうような理屈を言って、百年、百五十年とおっしゃられる、それほどの楽な話の世界の中に日本のほとんどの産業は入っておりませんよというふうに私は申し上げたいというお答えにさせていただきます。
○齋藤勁君 本当に御苦労さまでございます。
 小委員会から見直しのこの文書が出されて、幾つかの社説を見させていただきましたが、総じて大変評価をされているというふうに委員会の方も受けとめられているんじゃないかと思います。その中で、今たまたま私は金融、証券、保険の一部分を申し上げましたけれども、今やりとりしただけでも大変まだ非常に大きな壁があるということです。この一つのマスコミの例は、小委員会の報告で評価されるのは例えば金融、証券、保険の分野だと、そういうことも言っているわけで、私はそうではないんじゃないかなというような気もして、実はあえて話をさせていただきました。
 いずれにしましても、分権と同様にやはり国民世論の喚起というのは大変大切だと思います。それぞれの立場に応じまして何としても、せっかく五年から三年にということで、今の日本の国を改革するために私どもも頑張りたいと思いますので、引き続きまた御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
 委員長のお許しを得て、立ってやらせていただきます。
 規制緩和についてなんですけれども、規制の中には当然撤廃すべきもの、あるいは緩和すべきもの、それはあると思うんですね。例えば過労死の認定基準、これは労働省もですけれども、そういったもの、あるいは病院の医療費を圧迫する病院設置基準などですね。しかし同時に、そういう何といいますか、規制緩和については個々に検討してどうすべきかということがあってしかるべきで、すべて一括して規制緩和をということはなりにくい、そういうふうにあってはならないんじゃないかと私は思うんですね。
 それで、この答申を読ませていただきますと、これは十一ページですけれども、規制の持っているもたれ合いを批判した後、規制の緩和・撤廃、市場原理・自己責任原則の徹底、競争の基本ルール遵守及びディスクロージャーの徹底など、これが強調されておりますね。
 先ほどお話を伺っておりますと、鈴木さんの方で住専問題に見られる金融行政では改善すべき点は多くあると述べられましたね。それから、私、大宅さんの書かれたものをよく読んでいるんですけれども、たしか以前に、民と官の体質が驚くほど一致している、それを批判されているものがあったと思うんですね。
 例えば今回の住専問題で言いますと、護送船団方式と言われるようなああいう形、それはこの答申から見てどういう問題になるのか、この答申から果たしてそういうやり方が出てくるのかどうか、今の政府の住専問題スキームの考え方ですね。ですから、この答申から出発してああいうやり方は到底認められないんじゃないか、そういうふうに感じるわけですけれども、その点、最初に大宅さんにお伺いしたいと思います。
○参考人(大宅映子君) 官と民が似ているという意味、私がいつも言っているのは、つまり、お上がかなり大きなお世話をして、民の方も自分で決めて自分で自己責任をとるつらい立場よりはお任せしておいた方が楽と、何かまずいことが起きたら管理者責任だと言っているという、うまく利害関係が一致してしまったので今の状況があるという言い方をしてきている、そのことかなというふうにも思います。
 さっきから言っているように、つまり国民の覚悟がかなり必要なわけですね、やることに関しては。任せておいた方が楽です、はっきり言って。そうでしょう。でも、その自由にしたおかげで得られる楽しさとか活力みたいなものをどのぐらい評価するか、そっちに軸足を置けるか置けないかという今その瀬戸際だというふうに私は思っているわけです。住専の問題なんかにしても、今おっしゃったディスクロージャーの話から四点セット、全部入っているわけですね。
○緒方靖夫君 そうすると、この答申の精神と住専処理のああいう方向というのはどういうふうに考えるわけですか。
○参考人(大宅映子君) あれも、実は私はもっと前に起こらなきゃいけなかった事態だと思っているんです。少なくとも去年の十二月のときに、半分にぽんとなったときに、その次の新聞、私期待したわけです。それほど大騒ぎにはなっていなかった。あれは何なんだろうというふうに思いました。マスコミの問題もあるわけですけれども、物をすごく単純化してわっと世論を起こさない限り今みたいな状態にならないというのがちょっと私としてはむなしいというような感じがあるわけですけれども。今まさにこの話ですよね。四点セットがちゃんとできていればああいう形にはならない。
○緒方靖夫君 では次の問題で、土地、住宅の容積率等の規制緩和の問題なんですけれども、これは十四ページにありますけれども、それについて、真ん中からちょっと下の方ですけれども、「大都市部において必要とされる良好な市街地環境の内容を検証し、目的と手段の対応関係が明確かつ合理的な容積率規制等のあり方を引き続き検討していく必要がある。」、そう書かれております。都市計画の専門家の方には、日本では容積率が非常に高過ぎるという、そういう指摘もいろいろあるわけですね。
 これは東京都の資料なんですけれども、平成三年十一月、均衡のとれた都市づくり検討プロジェクトチームの中間報告、私これを読んでいて思ったんですけれども、そこには東京都の容積率指定について二つあります。一つは、「土地の高度利用は道路や公園などの都市基盤施設の整備と調和をって進む、」、それから二つ目に、「高い容積率が指定されている地域においても住機能の立地が確保され、区部中心部においては職と住の近接した土地利用が行われる、」、このことが強調されているんです。しかしその後に「しかし、業務機能を中心とする東京集中の進展の結果、今日における東京の土地利用は、こうした前提にそぐわないものになってきている。」という、そういうことが書かれているんですね。
 そこで、私、こうしたことからすると、むしろ指定容積率を下げるという必要が出てくるのではないかなということを感じます。良好な市街地環境の検証の結果によってはそういったこともあり得るのか、あるいは初めから容積率は引き上げが前提になっているのか、その点について鈴木さんにお伺いしたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) 容積率というのがこういうここに書いてあるような目的を持ってやっておったけれども、しかしそれ自身が今ふさわしいものかどうかということ、これを問うてみよというのが私どもの疑問のスタートのポイントですね。
 その結果、それの対応は、必ずしも今マッチングしているのかどうかという問題に対し私どもは疑問を投げかけて、そしてどちらの方向かといったら、これは職住接近というものを図っていく、そしてなるべく、特に東京の場合において通勤問題というのは大変きつい問題で、酷何とかと言われていますね。ですから、そういう問題からそれを緩和する方向、つまり容積率を高める方向という事柄で見直すべきではないかと。
 従来のものに対して、こういう問題というのはいろいろな議論は当然あるわけですね。今の方がコンフォータブルだ、いやもう少し上げてもいいじゃないかという議論はいろいろある。これはわかります、それぞれの立場で。しかし、私どもはそういう立場で、緩和する方向で容積率をふやしてもっと有効利用を図りたい、こういう立場で提案をしております。
○緒方靖夫君 そうすると、例えば東京都の場合においては容積率を下げるというような方向とかそういう場合もあり得るということが考えられるのですか。大体、もうそこのところは緩和して高めていく、容積率を高めていくイコール高度の土地利用というそういう考えに立っていられるのかどうか。
○参考人(鈴木良男君) そのとおりです。
 ただ問題は、これは具体的個々の問題も、やっぱり土地というのは極めて個性的なものですから、これはあり得ますから、だからどこもここもという問題とは必ずしも言えないというところは御注意いただいて、しかし基本の方向はもう少し空間を利用しようじゃないかというスタンスです。
○緒方靖夫君 それから、これは十六、十七ページに書かれていることですけれども、定期借家権についてお伺いしたいんですけれども、定期借家権制度について答申は借地借家法の正当事由による裁判所の判断という方法だけでなくて、この十七ページの上のところですけれども、「真の弱者に対する必要な施策は、公的な主体が住宅に関する施策全般の中でもこれを行うべきである」、そういったことが書かれているわけですね。このことは具体的にはどういう住宅政策を指しているのか、そのことが一つ。
 それから、こうした施策が確定する以前にどういうあり方をするのか、定期借家権制度をどうしていくのか、その点。それからまた、そういうやり方では弱者の保護が一体どうなるのか。それについてお伺いして質問を終わりたいと思います。
○参考人(鈴木良男君) 私どもは、現在の借地借家法というのが正当事由を理由にしておるために解約ができないものとなって、そして建てかえをしたいという希望があるけれどもそれに対して借り主の方が応じなかったら一切できないというので老朽化していく。そして、もっと高度化、近代化したいというのに対しても何人かの人が反対するとそれができない。こういう現象であるのが問題というならやっぱり手をつけていかざるを得ないでしょうという認識に立っておるわけですね。
 借地借家法というのは、これはできたときは御承知のように、言ってみましたら住環境が極めて悪い、そして本当に住むや住まずのあれだ、しかもかつて長屋の大家さんというのがおって、これはたしか片仮名の法律だと思いますけれども、追い出すというのは自由だと、でもそれじゃ何ぼ何でもというところからスタートした法律ではないかと理解しております。
 今や住宅というのは量として、数としては需要よりも供給の方が上回っておるわけです。したがって、時代はもう大きく変わっておる。そういう時代になお正当事由という事柄によって、本来なるべく早くリニューアルをしていくというのが有効利用のためにも経済の発展のためにもあらゆる意味でいいわけですけれども、それを阻害することに機能しておるということになったら本末転倒というのか、本来の目的を外れておるでしょうと、だから変えましょうと。
 しかし、そうは言うけれども、弱者という方で、どういうのをイメージしたらいいんでしょうか、本当にそこのところでしか住めないというような方がおって、それが出ていくというような場合には、これはやはり公的なものがありますから、弱者切り捨て論を私どもやるつもりはない。だから、それには公的なものの手を伸ばしていくということで解決できるでしょう。
 だから、定期借家権という契約の中でやるというシステムで、そのかわり家主さんもある期間になったらこれは契約で出ていってもらって、三十年もたったら世の中まるっきり変わりますから、だから新しい家をつくれるようにずる。そのときにトラブルがないようにしていくということで、弱者問題というものともっと切り離して解決すれば、いわゆるスタートのときの弱者保護というのは、これは本当にあった弱者と今の弱者とは大分話が違ってきておりますから、もう時代不相応じゃないか、こういう提案をしておるわけです。
○緒方靖夫君 ありがとうございました。終わります。
○小島慶三君 規制緩和は今の政治あるいは政策の基本的な柱である、これは私もよく理解いたします。そしてまた、これを推進するという必要、これもわかるわけでありますが、政府のいろんな推進計画とかそういうものを見ておりますと、どうも何か本腰が入らないという感じがするんです。大宅さんもそういうふうな御認識であるかと思うんですが、一体これだけの大きな問題がなぜ進まないのかということに私少し疑問を持っておるわけであります。
 一つには、やはり規制緩和という問題と、リエンジニアリングとさっき大宅さんおっしゃいましたけれども、この関係がよくほどけていないというか、そういうことが一つあるのではなかろうか。つまり、規制緩和それ自体があるリスクを持っている。それから、規制緩和の言うならば自己矛盾というかそういったものもないわけではない。
 一つ例を挙げますと、今度の独禁法の改正の問題で、確かに前あったようなサブスタンシャルディスパリティーの規定とかこういうものはなくなっております。今残っておるのは持ち株会社の制度、これが残っているんです。これは先進国では日本だけの非常に独特な制度でありますし、こういうものが残っていること自体がおかしいと私は思っております。
 それで、実は原則自由といったような話が出てまいりましたときに、よくここまで来たなと私思ったのでありますけれども、それが最初に提案されてから五日の間にすっかり変わってしまって、部分自由化、四つのカテゴリーでどうのこうのというようなことになってきたようであります。一体どうしてそんなことが起こるのか。それから、そういうことは委員会の皆さんの方に御相談があったのかないのか。私、その辺非常に不可解であります。
 一体こういうものに対して委員会の皆さんはどういうふうにお考えになるか、最初にそれをお伺いしたいというふうに思います。
○参考人(鈴木良男君) 持ち株会社につきましては、先ほど私ちょっと早口で御説明申し上げましたけれども、当委員会としても大変驚かされかつ遺憾な話でございまして、まず持ち株会社を廃止するという提案に対して、全く原則禁止、ほんの例外だけを認めると言わんばかりなものを出すというのは、一体何と受け取っていただいたのかというので、非常に驚かされた以上に遺憾の気持ちでございました。
 その後、私どもの方のベースで説明を求めましたところ、公取さんの方もかなり慌ててろうばいしておられまして、そして上は自由にするというような事柄を言われた。そして、下の方は本来自由ではないか、原則があれなんですからね。そして、上の方はもっと上の方の、本当のもし弊害があるとしたら、私さっき千四百兆の中の三百兆ぐらいと言ったけれども、それだったらそこら辺に限界を置いて、それからそれまでの間というのは単なる届け出にしたらいいじゃないかと、こういうような話もしたわけです、一たんは。
 一たんはしたけれども、三日ぐらいでまた変わってきまして、それから後は当委員会に対して、これに対してはあっちへ行って変えこっちへ行って変え、また行革委員会で変えじゃどうしようもないから、ひとつ闘うのは行革委員会、ここは聞くまいと。これは私、直接会ったわけじゃありませんのであれなんですけれども、私どもの担当しておる主査及び参与はその態度に大変遺憾の意を持っておりまして、なぜあのような形であれされるのか、私どもにも正直言ってわかりません。
 もう少し、規制緩和後の世界の中で極めて重要な役割を担う公正取引委員会であるとするならば、私は哲学と毅然たる態度というものと、それからそれ以前に持ち株会社たるものの何たるかについての正しい理解というものを持ち合わせてしかるべきであるというふうに思えてなりません。
○小島慶三君 ありがとうございます。
 それで、その後の始末がどうなるのかわかりませんが、私どもとしては、例えばその最も筋の通った議論、これをもっと徹底的にやって、あるいは議員提案で法律を出すというふうなことも必要になってくるかと思うんですけれども、とにかくいつの間にか規制緩和という名前で筋が曲がってしまうというのは大変危険なことであります。
 例えばこの問題に連結決算の問題を絡める、あるいは会社法の改正とかそういうことも入ってくる、あるいは雇用の問題も大きな問題でございますから、こういうふうな問題も入ってくるということになりますと、これは大変に大きなシステムの改正ということになる。日本の法人資本主義を変えるというふうな話にあるいはなるのかもしれませんが、その辺のところまで委員会の方では御関係になるかどうか、その点はいかがでしょうか。
○参考人(鈴木良男君) 私どもは要らない規制は要らないというスタンドポイントに立って、独禁法の持ち株会社というものは何の弊害がなくても一律にその持ち株であるがゆえに規制するという規定はもう要らない、財閥という議論は認めがたい、この判断をしたわけですね。ただし、これを今後使い勝手がいいようにするに当たっては、確かにおっしゃられたような連結決算の問題だとかあるいは商法上の問題もいろいろ絡んでくるかと思います。
 その問題に対して、規制緩和の視点のものはそういうもの、これはまた規制緩和後の世界を律するためにはいろいろな経営のやりやすい仕組みといいますか、仕掛けが欲しいわけですね。例えばベンチャービジネスをどうこうするとか、いろいろな事態のときに分権化というのは一つのキーワードだと思います、今後の経営をやっていくに当たっては。
 すべてが同じわけではございませんので、例えば発展するノウハウ産業みたいなもので、そこのところでは裁量労働的なもので仕事をするというのが適しておるものもあれば、工場へ来て二十四時間オペレーションをやってくれないと困るという産業もあるわけですね。しかも、こっち側の方が非常に発展途上国から追い上げられて、もはや変わらざるを得ないという、こちら側は伸ばさなくちゃいかぬという、こういういろいろな形で産業が大きく変わっていきます。
 私の考えでは、そういう世界の中で自分の知恵と責任で生きていくものにはできるだけの武器を与えてもらいたい。そうしたときには、緩和しただけの、独禁法上のものをとっただけでは機能不全だという問題が確かにあるわけです。そこら辺の問題についても配慮していただかないと、規制緩和後の社会の企業活動というのがうまくいかないという意味でやはり関心を持ち続けるべきだと私は思っております。
○小島慶三君 そういうふうに目を広くというか、総合的に見ていただいて、規制緩和の問題がねじ曲げられないようにぜひお願いをしたいと思います。終わります。
○委員長(浜四津敏子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人のお二方に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、当委員会に御出席いただきまして、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会