第140回国会 外務委員会 第7号
平成九年三月三十一日(月曜日)
   午後零時三十分開会
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   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     戸田 邦司君     猪熊 重二君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     矢田部 理君     山口 哲夫君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         寺澤 芳男君
    理 事
                須藤良太郎君
                野間  赳君
                高野 博師君
                武田邦太郎君
    委 員
                岩崎 純三君
                笠原 潤一君
                武見 敬三君
                成瀬 守重君
                宮澤  弘君
                猪熊 重二君
                田  英夫君
                萱野  茂君
                立木  洋君
                佐藤 道夫君
                椎名 素夫君
                山口 哲夫君
                小山 峰男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  池田 行彦君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        平林  博君
       防衛施設庁施設
       部長       首藤 新悟君
       経済企画庁調整
       局長       土志田征一君
       法務省入国管理
       局長       伊集院明夫君
       外務大臣官房長  原口 幸市君
       外務大臣官房領
       事移住部長    齋藤 正樹君
       外務省総合外交
       政策局軍備管
       理・科学審議官  河村 武和君
       外務省総合外交
       政策局国際社会
       協力部長     朝海 和夫君
       外務省アジア局
       長        加藤 良三君
       外務省北米局長  折田 正樹君
       外務省欧亜局長  浦部 和好君
       外務省経済協力
       局長       畠中  篤君
       外務省条約局長  林   暘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大島 弘輔君
   参考人
       海外経済協力基
       金理事      清川 佑二君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十八日、戸田邦司君が委員を辞任され、その補欠として猪熊重二君が選任されました。
 また、本日、矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君が選任されました。
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○委員長(寺澤芳男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として海外経済協力基金理事情川佑二君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(寺澤芳男君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○武見敬三君 外務大臣、訪中大変御苦労さまでございました。
 ことしは日中国交正常化二十五周年ということで、昨年来ぎくしゃくした日中関係を改善するには極めて好ましいタイミングであろうかと存じておりまして、そのかぶら矢としての訪中を成功させて改善への糸口をつくられたことに心から祝意を述べさせていただきたいと思います。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案についてでございますが、この点につきましては政府案どおり異議なくこれを支持したいと考えるものであります。
 そこで、一般質問の方に移らせていただきたいと思います。
 初めに、この二月に第十三回目の外交文書の公開が行われました。外交文書の公開というものは歴史の教訓を正確に学ぶ上において私は極めて重要なものであろうと考えているものであります。しかるに、外務省は、こうした外交文書の公開をするに当たっていかなる意義を認め、その目的は何であるのか、まずその基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。
 外務省といたしましては、民主主義のもとでの外交を展開するという立場から、公開できる文書は積極的に公開することを目指しておりまして、作成後三十年を経過した外交記録を公開するとの原則を定めまして、昭和五十一年より逐次これを実施してきているところでございます。
 私どもといたしましては、情報公開法制定の流れをも踏まえつつ、今後とも情報公開のため一層努力していく考えでございますが、こういう情報公開によって我が国外交のこれまでの歩みに対する国民の御理解というものを深めさせていただくということは極めて重要だと考えて、こういう措置を自主的にとってきたということでございます。
○武見敬三君 これまでの外交の歩みを国民に理解していただくというためには何が必要であるかというと歴史についての客観的な研究であります。歴史の教訓というものを正確に学ぶまず第一前提がこうした歴史の客観的研究でございまして、そのためにこうした政府の外交文書の分析というものが不可欠となるわけであります。こうした客観性を持つ学術的な研究によって歴史の教訓というものが明示されて、そして国民が正しくそうした歴史を学ぶ前提が確立てきるものと考えます。
 しかも、昨今は外交政策の透明性を求める世論も次第に高まりつつある状況でございまして、こうしたいわば世論の役割が拡大していく中で、それがまた成熟した正しい判断を持ち得るようにするためにも客観的な歴史研究の成果が私は常に求められているというふうに考えます。それだけに、この外交文書の公開というものについては非常に重要な意義を私は認めるものでございまして、この点、この問題意識を基本にきょうは御質問をさせていただきます。
 では、今お話しになられましたとおり、外務省は昭和五十一年に他省に先駆けてこうした外交文書の公開を始められたわけでありますけれども、この公開に当たってはいかなる法的な根拠があるのでありましょうか。また、こうした外交文書というものは国民の財産というふうに認識してよろしいものでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(原口幸市君) 法的根拠は何かという御質問でございますが、先ほど申しましたように、昭和五十一年以来行ってきたわけでございますが、これは法令に義務づけられて行っているわけではなく、その意義にかんがみまして外務省で自主的に省内の決裁ベースでそういうことにしようと決定して行っているものでございます。言うなれば内規ベース、内規が基礎になっているということでございます。
 それから、外交文書が国民の財産であるかどうかという話は、財産というものの定義等なかなか難しい点はあると思いますけれども、基本的に我々としてはそういうものと考えたからこそできるだけ原則として公開しようという内規を決定したということでございます。
○武見敬三君 そういたしますと、外務省内部の内規として公開が定められていると。そうすると、公開というのは、公開することが原則というふうに考えて、公開しないことは例外というふうに考えてよろしいものなんですか。
○政府委員(原口幸市君) 先ほど申しましたように、外務省の決裁は作成後三十年を経過した外交文書を公開するとの原則を定めたものでございます。まさに公開が原則でございます。
 他方、外交を行うに当たりましては、公開しますと国家の安全や利益、他の国々との信頼関係を損なうおそれのあるものなど一部の情報を非公開にすることも必要でございまして、これはいずれの国でもこの関連で行われているところでございますので、我が国としても例外扱いをしているということについては御理解を賜りたいというふうに考えます。
○武見敬三君 それで、この外交文書の公開は、第一回目百九十冊と量的にも最高であったわけでありますが、第六回目までは毎年公開されているんですね。第七回目以降は二年から三年というふうにだんだんこうした公開のペースがダウンしているんです。これはなぜそういうことになっているんでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 事実関係につきましては先生が今おっしゃるとおりでございます。
 一つには、独立回復後の外交文書の記録の量が著しく増大しておりまして、それでこれら記録の中には、先ほど申しましたように、国家の利益や安全にかかわるもの、あるいは公開すれば他国との信頼関係を損なうおそれのあるようなもの、いろいろなものが入っておりますので、その審査に当たって慎重を期せざるを得ないということもございました。
 他方、審査に当たる人員が正直ベースで申しますと恒常的に不足しているということから作業がおくれてきたという側面もございます。
 ただし、平成九年度以降につきましては年に一回のペースで公開することを原則とするということで今後とも努めていきたいというのが私どもの今の考え方でございます。
○武見敬三君 実際に公開作業をしている担当の部局、ここで実際に作業に従事しておられる方の数、例えばワシントンDCにありますナショナルアーカイブズ、あそこで私は冷戦期のアメリカの統合参謀本部のアジア戦略の決定過程の分析をするために何度もこもっておったことがございます。こういうときには最低五十人ぐらいは常にそういうスタッフがいて公開作業をしておりました。
 そういうことと比較してみた場合に、外務省の中でどういう人たちが、外務省OBも入っているというようなことを聞いておりますけれども、一体どのぐらいの人数の規模でやっておられるんですか。
○政府委員(原口幸市君) 要するに常勤の外務省職員でこれに携わっている者は約十名おりまして、それに加えて非常勤の、これは外務省OBでございますが、これが約十名、合計で二十名程度で対応しております。
○武見敬三君 そうすると、実際に毎年量的にも質的にもきちんとした内容のものを公開していくとすると、現状の人員規模では不足だということですね。
○政府委員(原口幸市君) かなり厳しいことは厳しいということでございます。ただ、今申しましたのは専従でございまして、それ以外に関係している地域課等からの協力も得てできるだけ効率的に審査を行っていきたい、このように考えております。
○武見敬三君 この公開に当たっての基準について次にお尋ねしたいと思います。
 例えば、アメリカの場合ばかり比較して恐縮なんでございますけれども、大統領の行政命令で秘密指定の基準というのが明確にされているわけであります。こうした形での公開に当たっての明確な基準というものは外務省としては設定されておられるんでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 先ほど御紹介いたしました原則として作成後三十年を経たものについては公開するという方針を決めました外務省の決裁案、それに基づく内規におきましては公開により国の重大な利益が害される場合及び個人の利益が害される場合についてこれを例外とすると。もう一度正確に申しますと、それが正確な話なんでございますけれども、国の重大な利益が害される場合ということにつきましては、国の安全が害されるおそれがあること、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあること、外交交渉上不利益をこうむるおそれがあること、こういうふうに我々は解釈しております。いずれにしましても、内規の上で非公開にする基準というものは明確に定めてございます。
○武見敬三君 だから、考え方としては明確かもしれませんが、基準ということになるともう少し具体的なコードがやはり必要になってくるように思われますが、そうしたより具体的な基準設定についてのお考えはあるんでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 今、先生のお言葉ですが、ほかの国、例えば英国とかフランス等におきましてもそれほど我が国の外務省の内規における基準との違いはないように思います。
 例えば、英国においては非公開の基準は国の安全と国益に反する場合、それから秘密裏に収集された情報の場合、それから個人に被害、危険を与える場合というふうに定められておりますし、フランスの場合には防衛費及び極秘指定文書、国家の安全、国防、それから国境関係、外国との係争、金融、通貨、通商交渉及び個人のプライバシーに関するもの等というふうに書かれておりまして、若干長さの違いはありますけれども、基本的には同じラインにあると思っております。
○武見敬三君 昨今、行革関係の委員会からも情報公開法というものを新たに設定しようという動きが出てきているようでありますけれども、こうした情報公開法というものの中で外交文書の公開のあり方というものも改めて位置づけられることになるかと思います。この場合に、外務省内においてもやはり我が国の基本的な考え方に適した明確な基準の設定というものが特に求められてくるように思うわけでありますけれども、こうした情報公開法の策定の動きとあわせて、外務省内においてはそうした新しい基準の策定等についての意思はございますでしょうか。
○政府委員(原口幸市君) 情報公開法が制定されれば、外交記録についても同法に基づいて公開していくことになると考えております。
 情報公開法制定後の具体的な外交記録公開の対応については同法の規定を踏まえて今後検討をしていくということになると思いますが、現在我々が承知しております情報公開法要綱案においては、外務省の外交記録公開制度と同様に、開示によって国の安全が害されるおそれ、それから他国等との信頼関係が損なわれるおそれ、それから他国等との交渉上不利益をこうむるおそれがある情報や個人情報については不開示情報とされるというふうになっていると承知しております。
 先ほど申しましたように、現在私どもが行っておる内規に基づく情報公開の基準、それから各国の情報公開に当たっての不開示情報判定基準というものと基本的には軌を一にする考え方があると思いますし、私どももそこはそう国際的にも離れた考え方ではないというふうに考えております。
○武見敬三君 今後そういうことを検討する場合に、あくまでも原則は公開であるという考え方でさまざまな対応措置をやはり外務省としてもとっていただきたいと思うんです。
 特に、不服審査といったようなものも当然必要になって出てくるでありましょうし、また同時に実際に公開、非公開の基準に基づく作業を進める場合のあり方、そこにどの程度第三者的な人たちが入り込む余地があるのか、学術的な研究者などもその中に入ることが可能であるかどうか、こういったことも積極的に私は検討すべきだろうと思うわけでありますけれども、いかがでしょう。
○政府委員(原口幸市君) 情報公開法そのものが政府の持っている情報については原則公開という考え方に立っていると思っておりまして、先ほど申しましたように、私どもも外交関係の情報も原則公開、ただし先ほど申しましたような種類の情報については例外とせざるを得ないというふうに考えております。
 それから、どういうものを公開するしないの審査に当たって民間の例えば有識者の意見を聞く聞かないというお話でございますが、これはなかなか慎重に検討を要する問題だろうと思っております。もちろん、情報公開法ができて、例えば政府がこれは非公開が適切であるという判断を下したときに不服を申し立てて審査をするということは十分あると思いますが、それ以前の段階として各省庁、例えば外務省がこれは非公開とするしないという判断をする基準等の作成に当たって民間の人の意見を聞くということが適当かどうかということについては慎重に考える必要があると思っております。
 それはなぜかと申しますと、何もこれは日本の外務省だけの考え方ではございませんで、各国においてもそういう民間の有識者の判断にゆだねるという制度をとっていない国が非常に多いわけでございまして、やはり実際に外交交渉あるいは外交の実態をよく知っている人間が責任を持って情報の公開、非公開の適否ということを判断する方が適当であるという考え方はそれなりに意味があるものだと思っております。
○武見敬三君 私としては、大学での研究者でもあるという立場もございますので、例えば守秘義務等を課しながらそうした専門家の意見もまた一部反映できるような余地をでき得る限り残しておくということは私は必要なことではないかと思います。
 具体的内容について今度またお尋ねします。
 今回の公開の対象というのは、例えば岸信介首相の第一次東南アジア訪問などが入っているわけであります。これは、一九五七年の五月二十日に出発をして六月四日に帰国をしておりますが、六カ国を訪問し、この中では台湾で蒋介石総統との会談などもあったわけであります。この訪問というのは、その直後の訪米、すなわち六月十六日に出発をし、二十一日に日米共同声明を行った、そうした日米安保改定を行うための布石としての東南アジア訪問であったわけであります。この場合、東南アジア訪問のところだけが公開されておりまして、その直後の関連する極めて重要な訪米部分というものはすべて未公開になっております。なぜですか。
○政府委員(原口幸市君) 岸総理の訪米の記録等につきましては現在審査作業を鋭意進めているところでございまして、先ほど申しましたように、準備が整えば原則公開ということになろうかと思います。
 他方、まさに先生御指摘のとおりでございまして、この訪米の際の記録の内容が日米安保条約改定交渉に関連する部分もあるわけでございまして、その部分につきましては、特に先ほど申したような国の安全にかかわるということもありますので、慎重に審査を行う必要があるという面があることは御理解いただきたい、このように考えております。
○武見敬三君 まさに安保改定にかかわるこの時期の交渉の経緯というものを逐次国民に知らしむることによって、我が国の中である意味で建前と本音というものが分かれた形でこの日米安保というものが維持されているような仕組みというものをやはり徐々に打ち崩していく必要があるだろうと私は思います。そのためにも歴史というものは極めて重要な役割を担い得るものだろうと考えますので、それをやはりきちんと認識をした上で、私はこの安保改定の部分についても情報の公開を進めていく必要性をつとに認識するものであります。
 次に、日ソ国交回復も、これは領土問題をめぐる対ロシア交渉というものとの関係もあるのかどうか知りませんけれども、未公開になっておりますが、なぜですか。
○政府委員(浦部和好君) 先生御指摘のように、まさに北方領土問題というのは我が国にとって大変重要な外交案件の一つでございますし、去る三月二十八日にも平和条約作業部会をモスクワで行いまして、次官レベルでこの交渉を継続してやっているわけでございます。
 したがいまして、この日ソ共同宣言と北方領土問題に関する記録を現在交渉をやっているという段階で公開をいたしますことはやはり交渉上大変な不利益をもたらすおそれがあるということでございますので、いまだ公開し得ないということについてはぜひ先生の御理解をいただきたい、かように考えます。
○武見敬三君 私はこの点はなかなか理解ができないところがございまして、これは松本全権時代の一時二島返還論の立場をとったかに見ゆるそういう内容があるがゆえに日本の外交文書でそのことを認めたくないんだというような認識があるのかもしれません。
 しかしながら、実際にはロンドンの。パブリック・レコード・オフィスの資料を収集して日本の研究者が既にこの点についての歴史事実の確認等すべて行った研究成果を発表しているわけです。そういたしますと、なぜ外務省で、そういう学術的研究調査がもう進んでしまっているにもかかわらず、あえて自分たちのところだけはそうやって機密保持で交渉上問題があるなんというのは半ばこっけいにも思えるわけでありますけれども、あえて部分公開も含めておやりになればいいのにというふうに私は思うのでありますが、いかがでしょう。
○政府委員(浦部和好君) 御指摘の中に二つの点があったかと思います。
 一つは、我が方の基本的なポジションについてでございますが、これは従来から国会等の場で非常にはっきりと我が方については、日本政府のポジションというのは四島返還論であるということは非常にはっきりしていると思います。
 また、共同宣言からまさに四十年たっておるわけでございまして、御案内のように、常時交渉があったと、残念ながらそういう状況ではなくて、交渉が実際に行われているというのは大変少ない機会でございます。その交渉がたまたま現在開かれて真剣にやっている、こういう状況にあるわけでございますので、先ほどの答弁を繰り返させていただきますが、ぜひ先生の御理解をいただきたい、かように考えます。
○武見敬三君 私は、こういう実質省内でお決めになっていらっしゃる基本的な考え方や基準に基づいて公表される内容を見る限りにおいては余りにも消極的過ぎるなという感じを持たざるを得ません。また、私のよく知るそうした学術研究者たちもいずれもこうした点には大きな不満を持っているわけであります。
 しかも、こうした研究者たちの研究を通じて国民の歴史に対する正しい理解というものからその教訓が学ばれて、そして世論が外交政策の決定過程でも大きな役割を担い始める時代の中で正しい判断ができ得る状況というものがそれだけつくり出しやすくなるわけでありますから、この点に関してはやはりもう少し積極的なお考えを外務省に私は持っていただきたいと思います。
 その次に、今度は公表の、公開の仕方の問題であります。
 外務省は、公開に先立ちまして新聞などに対しては事前にレクチャーをして、そして二カ月前に非公開の段階でマイクロフィルム等を新聞社等に対しては限定して独自に渡しておいて、そしてしっかり新聞社などが調べ終わった段階で一斉に公開をする、公表をするという形をとっているようでありますけれども、なぜこんなことをしなきゃいけないのか。こういう公開の仕方というのは、不必要に歴史のこういう問題をセンセーショナルにマスコミが扱って、それによってある一定のバランスのとれた歴史観というものがゆがめられることさえ私はあるだろうと思うんです。
 したがって、こういう公開は研究者に対してもマスコミに対しても国民全般に対しても公平に私は公開がされるべきだと考えるわけでありますが、外務省はなぜ新聞等に対してだけ事前に、先に公開をしてしまうのでありますか。
○政府委員(原口幸市君) 先生御指摘のとおり、一般公開に先立って報道関係者にその内容を事前に伝達していることは事実でございますが、これは膨大な記録文書について公開と同時に正確に報道を行うためには事前にその内容を承知してそしゃくしたいという報道機関からの要望を踏まえまして、一般公開までは報道しないという了解のもとに行っているものでございます。
 このような取り扱いは報道関係者を一般の国民の方よりも優遇しようという趣旨では毛頭ございませんで、むしろ公開と同時に多くの国民の方にその内容を正確に知っていただく上に便利であろうという観点から私どもとして行ってきているところでございます。
 ちなみに、諸外国でも、先生今おっしゃったように、全くそういうエンバーグもつけないで一般にすぐ公開というやり方をとっている国もあれば、エンバーグをつけて事前に公開するという国もあるようでございます。
○武見敬三君 私は、日本の国民の常識的判断に基づくならば、マスコミに対しても国民に対してもすべてがやはり一律に公平に公開をされるべきだということを考えます。公開された後、各新聞社等が独自の努力でこうした研究調査を行い、発表するということは自由な社会の中の自由な競争の中で行われるべきであって、こういうふうにマスコミだけ取り囲んで教えて、それによって正しい報道を求めるというようなことよりもはるかに私は公平な政府としての態度であろうと思います。
 そこで、歴史の問題について、改めてそれを教訓としてきちんと国民が理解する上で重要な役割を担うのではないかと私が考えておりますのが、これは村山内閣のときでありますけれども、官房長官の諮問委員会の答申を得て構想が公表されましたアジア歴史資料センターについてでございます。
 これについては現在調査等の予算はついているようでありますが、実際に担当する所轄の官庁さえも決まらないで宙に浮いた形であるというようなことも漏れ伝わってきておりますが、実態は一体どういう状況になっているんでしょうか。
○政府委員(平林博君) 先生の本件センターへの御熱意は大変ありがたく存じております。宙に浮いているということはございませんで、一つは有識者会合の提言がございますので、その提言を踏まえながら所要の調査検討を行っておりますし、またできるだけ早い段階で準備体制をつくるということでやっております。
 他方、今御指摘のございましたように、センターができた場合に備えまして、いただいている予算を委託調査に回して、世界各国に対しまして共通でございますが、アジアの歴史に関する資料の所在あるいはどのくらいの資料があるか、そういう分量などを概括的に把握する努力もしておりまして、この委託調査の中間報告につきましてはそう遠くない将来に公表できるというふうに考えております。
○武見敬三君 これはどこまでの範囲をもってして歴史研究とするかという基本的な考え方によって量も質も大いに変わってくるものであろうと考えます。しかし、昨今慰安婦問題も含めて歴史の事実関係についての客観的な調査研究、またそれをどこまで国民に広くきちんと伝達し得るかということがやはり常に問題になってきております。
 したがいまして、そうした歴史の客観的な研究というものがきちんとできるような情報センターとしてアジア歴史資料センターというものは重要な役割を現在のみならず未来においても私は持ち得るものだろうと思います。その場合に、例えば外務省の史料館の中に組織がえをしてこういうものを設けることも可能でありましょうし、あるいは政府が本来関与すべきものでないと考えるならば国会図書館の中にこうした機能を持つものも設置できるだろうと思います。
 したがいまして、こうしたことをやはりきちんと一つ一つ時代の流れの中で解決をし処理していきながら、日本国民が正しく歴史を客観的に認識し、その教訓を学び、かつ未来に対し目標を設定できるような状況、環境を整えることがやはり政府としても重要な役割であろうと考えますので、引き続き積極的な御努力を期待するものであります。
 以上で質問を終わります。
○高野博師君 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案については特に問題がないと思いますので、賛成であります。
 それでは、一般質問に移らせていただきますが、最初に海外経済協力基金の出資問題について経企庁とそれから基金の参考人の清川理事にお伺いいたします。
 一月三十一日の日経新聞にも出ていましたが、海外経済協力基金、OECFは中国でのウナギの養殖事業に十五億八千万円の融資をした、しかしこの事業が行き詰まって、債務保証したアジア金融投資会社からも資金が一時的に支払われなかったということで、融資する前の事業内容の審査と調査あるいは判断が極めて甘かったんではないか、私はそういう印象を持っております。
 円借款の決定に関しては、当然政府間の協議が十分行われた上で、OECFも極めて慎重に、ミッションを何度も派遣したりして事業内容を調査しているんですが、融資とか出資についてはどうもそうではないんではないかという印象を持っております。国民の貴重な税金を使っているという点で問題はないんだろうかという感じがいたします。
 そこで、基金が全体の業務のうちの五%程度融資ないし出資事業を行っていると理解していますが、これら事業について経企庁あるいは大蔵省は事業の審査にどのように対応しているのか、それともOECFが独自に事業を決定しているのか、さらにまたこれら事業について政治的あるいは外交的な判断が行われているのかどうか、この辺についてお伺いいたします。
○政府委員(土志田征一君) 海外経済協力基金の海外投融資実施状況でございます。
 海外経済協力基金が行っております海外投融資事業というものは、民間企業が開発途上国で実施する事業のうち、産業の開発、雇用の創出等に寄与し、同時に我が国との経済交流が期待されるような経済協力性の高い事業に対して海外経済協力基金が出資とか融資を行う、こういう性格のものでございます。
 個々の出資、融資につきましては、基金が海外経済協力基金法の目的に沿いまして業務を行っているところでございますけれども、私ども経済企画庁といたしましても監督官庁の立場に立ちまして、出資、融資の際には一般的に基金から説明を受けまして、海外経済協力基金法に照らしまして基金が行っていく事業としてふさわしいかどうかというような点につきましては判断をしているところでございます。
○高野博師君 この中国のウナギの養殖事業については具体的にどうだったのか。この辺については、これはODAの一部ですから外交的な判断というのはあったんでしょうか、あるいは事業の見通し等についてはどうだったんでしょうか。簡単で結構です。
○参考人(清川佑二君) 日経新聞に出ております広東省の東昇地域にございますウナギの養殖事業に関する融資の案件でございますけれども、私どもは当時の時点におきましては貸し付けの資金の用途あるいはまた採算性などをチェックいたしまして、その時点におきまして私どもはこれは実行可能であるというふうに判断をいたしたわけでございます。
 なお、その後にこの借り受け人であります日盛産業株式会社が他の事業によりまして事実上倒産をいたしたということもございまして、このウナギの事業そのものについての資金が回らなくなったという点はございますが、ウナギに関する事業そのものにつきましては成功の見込みのある事業であったと当時判断をいたしました。
○高野博師君 そうすると、これは基金が独自に判断したということの理解でよろしいですか。
○政府委員(土志田征一君) この案件につきましても、海外経済協力基金の方から今のような事業の内容それから経済協力性の高い事業であるという判断につきまして、私どもも基金の実施する海外投融資案件として問題はないであろうというふうに当時判断したというふうに聞いております。
○高野博師君 そうしますと、この融資事業が万一完全に失敗したということになって返済不可能ということになったときはだれが責任をとるんでしょうか。
○参考人(清川佑二君) 本件は日経新聞にたまたま出ていたわけでございますけれども、この恵州東昇鰻業有限公司の事業につきましては保証を得ておりまして、事業そのものとして本件の貸し付けにつきましては回収をいたしております。
○高野博師君 一時的に回収できなかった時期があったわけですからこれからどうなるかわかりませんが、万一失敗した場合の責任を聞いているんです。そこだけ答えてください。
○参考人(清川佑二君) 一般の投融資案件につきましては、先ほど局長からお話がございましたように、海外経済協力基金で審査の上、自主的に自己の裁量で審査、承諾、貸し付けを行っているわけでございます。このような金融業務の事業で最終的にうまくいかなくなる案件というものもあるわけでございますが、これにつきまして、今申し上げましたように、回収できるように保証を立て、回収に努めているところでございます。
○高野博師君 ですから、私が聞いているのは、回収できなかったときにはだれが責任をとるんですかと聞いているんです。そこだけ答えてください。説明は要りません。
○参考人(清川佑二君) 金融機関からの貸し付けでございますので、私どもは審査に精力を集中しているわけでございますけれども、万一貸し付けが回収できない場合にこのような形で保証をいただき、回収をしているわけでございます。
○高野博師君 それでは、上海の金融センタービルの建設に関するプロジェクトなんですが、上海環球金融中心投資株式会社が上海でこのビルを建設するというプロジェクトがありまして、総事業費七百五十億円、完成すれば九十五階建て、高さ四百六十メートル、世界一の超高層ビルになると言われているんですが、このプロジェクトにOECFが五十億円の出資をしたと、既に二十六億七千万円出資済みと。この事業の主体は日本の森ビルが中心になっていると言われていまして、そのほかいろんな商社も含めて三十六社ぐらいあると。そもそもこの不動産事業にOECFが出資するのが適当かどうかという問題があると思うんですが、この事業に出資するについて政府間の交渉なり要望なり、あるいは外交的なアプローチ等があったんでしょうか。
○参考人(清川佑二君) 上海金融センタービルにつきまして、この概要を一言先にお話をさせていただきたいと思いますが、この事業につきましては、将来の国際金融センターとなることを目指している上海市の浦東地区陸家嘴の金融貿易区に外国金融機関が入居可能な高規格のインテリジェントビル、金融センタービルを建設するものでございます。これによって外国金融機関の同地域への進出を促し、中国に進出する製造業の外資企業を支援することによって中国経済の発展に貢献するということが期待される事業でございまして、先ほど委員のお話のとおり、この金融センタービル事業につきましては中国に設立されました上海環球金融中心有限公司によって実施するものでございます。
 これにつきましては総額七百五十億円、うち出資二百五十億円、金融機関からの融資五百億円が予定されておりまして、出資につきましては最終的に九〇%は日本企業、一〇%は外国企業からの出資が予定されております。この金融センタービル事業のために、九五年七月に資本金百二十四億円をもって日本からの投資会社である上海環球金融中心投資株式会社が設立されまして、森ビルを中心に主要銀行、保険、商社など三十六企業が出資を行っております。当海外経済協力基金は二十六・七億円の出資を行っておりますが、将来、最終的には五十億円までの出資の承諾をいたしております。
 そして、これに当たって政府間の交渉あるいは中国政府からの要望があったかという御指摘でございますが、この上海金融センタービル事業に関する出資案件は相手が政府でなくて民間ベースの事業となっておりますので、円借款の手順と違っておりまして、政府間交渉を行っているものではございません。ただ、先ほど申し上げましたようなこの地域の開発の政策性等につきまして私どもも説明を受け、また基金としても直接に上海市当局等から政策性の説明、確認などを行っているところであります。
○高野博師君 聞いていることにだけ答えてください。
 OECFの出資が開発事業の遂行のために特に必要がある場合にのみ貸し付けにかえて行うことができるということは海外経済協力基金法に定められていると思うんですが、これが特に必要があると認められたんでしょうか。そして、この審査をするに当たって、あるいは貸し付けをするに当たって調査団の派遣、あるいは申請書の審査とか関係者からの意見聴取、この辺はどういうふうにやったんでしょうか。
○参考人(清川佑二君) 海外経済協力基金の法律及び業務方法書におきまして、委員御指摘のとおり、基金は開発事業の遂行のために特に必要がある場合に貸し付けにかえて出資を行うことができるようになっているわけでございますが、この基金法の規定を受けまして、業務方法書によりまして特に必要であるという場合の条件をそろえております。
 三点ございますが、一つは、その開発事業につき基金以外のものからの資金の貸し付けまたは出資を受けることが困難であると認められる場合、二番目は、その開発事業が特に必要であって、貸し付けにかえて出資しなければ事業の遂行が著しく困難であると認められる場合、第三に、その事業計画に係る事業計画の内容が適切であって、その達成の見込みがあると認められる場合ということになっております。私どもはそれぞれについて審査をいたしまして認めたわけでございます。
 ごく簡単に申し上げますと、第一におきましては中国のカントリーリスクの大きさ、そしてまた収益性の問題、また投資に多額の資金が必要であるという問題から、基金以外からの調達がなかなか困難であると審査をいたしました。また、中国におきましては、三千万ドル以上のプロジェクトにつきましては中国の規定により三分の一以上の出資を要するということも確認をいたしました。また、本事業の場合、日本側が中核となる企業がしっかりしていることによって事業達成の見込みも認められるということを確認をいたしております。
 具体的に幾つかの審査につきまして、ちょっと時間がかかりますので省略させていただきますが、基金は審査ミッションを派遣しているのかという点でございますけれども、冒頭申し上げましたが、この民間事業にかかわる出資案件につきましては円借款の場合のような定型的な段取りはございません。しかしながら、本件に関しましては、内々の打診を受けまして担当の部長が訪問して現地の市政府当局者との協議も行い、あるいはまた九五年の二月から三月にかけましては本部からも派遣いたしまして、現地で上海副市長を初め当局からの要請も聞いてまいったわけでございます。
○高野博師君 長い説明は必要ありませんで、簡潔に答えてください。
 このプロジェクトはもともと輸銀に融資の依頼をしたけれども断られたと。その理由は、この事業はコマーシャルベースに乗ることが容易だというのと、輸銀が低利の融資をする必要性が認められなかった、リスクが少なくて援助性が薄い、そういう事業だという判断を輸銀がしたというふうに報じられております。
 基金は、本来はリスクが大きくても援助性、援助の必要がある際に融資なり出資に動くべきであるにもかかわらず純粋な不動産事業に、不動産事業が開発途上国の経済社会の発展あるいは貿易の振興に寄与するとは思われない。これは基金法に触れるんではないかと私は思うんですが、どうでしょうか。簡潔に答えてください。
○参考人(清川佑二君) 雑誌の記事に関連いたしまして議員のお話が出てまいりましたが、私ども輸銀に確認いたしましたら、輸銀として内部で調査したけれども、このような発言をした者は見当たらないというお話を承っておりまして、この点は以上のような状態でございますということをまず申し上げておきたいと思います。
 それから、本件について、それではどのような性格のものかということになるわけでございますけれども、先ほどの説明と繰り返しになるわけでございますけれども……
○高野博師君 繰り返しはもう結構です。
○参考人(清川佑二君) 繰り返しになるわけでございますけれども、基金法で定める開発途上国の産業の開発に寄与し、かつ本邦との経済交流を促進する事業であるというふうに考えられるわけでございまして……
○高野博師君 要するに、援助性が低いんではないかと思うんですよ。そこのところの説明はどうですか。
○参考人(清川佑二君) 相手国経済への寄与度あるいは援助性についてこのように考えているわけでございますが、一つには、浦東の開発地域におきましては国際金融センターとなる施設を建設するということで、中国政府の浦東地区開発に貢献をするという点が第一にございます。第二に、国際金融センターを構築するということにより上海ひいては中国の国際金融市場における発展に貢献をする。第三に、外国の金融機関が進出することによって中国で活動している外国系企業への支援が強化され、中国経済の発展に貢献をする、このような援助性がございまして、御案内のとおりでございますが上海は揚子江の河口の都市でございまして、上海の発展により揚子江沿岸の内陸への発展の波及が期待されるわけでございます。
○高野博師君 そういう言い方をすると何でもできることになると思います。ウナギの養殖にしてもこの不動産の問題にしても、ODAという観点からすれば、貴重な税金を使うということであれば、もっと厳密な審査をした上で本当に基金が援助しなくてはいけないのかどうかと、そこのところが非常に甘いという私は印象を持っておりまして、森ビルが中心になっているいわば不動産投機に基金が乗ったんではないか、そういう印象を私は持っております。
 それで、「財界展望」の一月号にこの出資の背後事情として西垣基金総裁と森ビルの森稔社長との関係に触れておりますが、この点についてはどう説明されますか。
○参考人(清川佑二君) 先ほど援助性の薄いという点をお話伺ったわけでございますけれども、繰り返しになりますが、陸家嘴金融貿易地区につきましては上海の総領事館の領事のレポート等にございますけれども、ここにおきまして戦前のアジアの金融、貿易の中心であった上海の復権を目指し、金融機関を集中するという方針のもとに種々の施策が行われているわけでございます。
○高野博師君 聞いていることだけ答えてください。
○参考人(清川佑二君) この大きな計画の中にこの超高層の金融インテリジェントビルも考えられているわけでございます。
 海外経済協力基金の総裁と森ビル社長との関係についてのお尋ねでございますけれども、私どもは本件につきまして実務的に相談を受け、事務的に淡々と処理をして出資の承諾を行ったものでございます。
 なお、出資についての森ビル側からの説明が相当進んだ段階で森ビル社長が総裁を往訪した事実はございますけれども、総裁からは実務的に処理をするようにと言われて処理をいたしておるわけでございます。
○高野博師君 要するに、そういう背後関係がなくても一般的に納得のいく出資であるかということがポイントだと思うんですが、客観的にそれが説明できるかというと必ずしもそうではないと。リスクの問題あるいは援助性の問題等極めて不自然な点があるということからこういうことが取りざたされるのであると思うんですが、まさにODAの問題にかかわるものを、政治的、外交的判断も全く入っていない、基金独自に判断をして出資をやる。そして、出資の限度額というのはあるのかどうかわかりませんが、かなり恣意的に判断してやるとすれば、これは大きな問題だと私は思います。
 それで、先ほどウナギの養殖についても聞きましたが、もしこの事業が万一失敗したときの責任はどこにあるんでしょうか、明快に答えてください。
○参考人(清川佑二君) 私ども、本事業の審査におきまして、事業の将来性、収益性を考え、そしてまた本件への出資者等を考え、事業の実現の可能性があるというふうに考えて結論を出しているわけでございます。
○高野博師君 答えになっていません、それは。万一失敗したらどうなるんですかと言っているんです。だれも責任とらない体制になっているんですか。企画庁ですか、それとも基金ですか。もしこのビルが途中で挫折したと、できなかったと、あるいはこの出資をした目的として金融センターにならなかったと、あるいはビルに入るテナントがいなかったとか、そういう事態が起きたときに責任はだれがとるんですか。簡単に答えてください。
○参考人(清川佑二君) 一般の海外投融資案件になりましては、基金がみずからの裁量で審査、承諾、貸し付けあるいは出資を行っているわけでございまして、これにつきまして、繰り返しになりますけれども、事業が順調に実施されるよう、そしてまた万が一事業が必ずしも収益をうまく生まない場合には、主たる出資者を初めとして関係の業者に要請しながら事業の成功に向けて努力をしてまいるつもりでおります。
○高野博師君 要するに、事業が失敗したときにどうなるのかというんです。国民の税金を使って、結果的にむだ遣いしたんではないかという批判にどうやってこたえるんですか。
 こういうODAの問題、やっぱり責任の所在を明確にしてもらいたい。勝手に出資、融資を決めるのはやっぱり問題があるということを指摘して、次の問題に移ります。――答えられますか。
○参考人(清川佑二君) 繰り返しになりますが
○高野博師君 繰り返しなら結構です。
○参考人(清川佑二君) 開発経済の金融機関として、出資、融資等につきまして私どもは全力を挙げて審査をしているわけでございます。
○高野博師君 もう結構です。
 それでは、次の問題に移らせていただきます。
 旧日本軍の化学兵器の遺棄の問題ですが、旧日本軍がさきの大戦時代に中国に遺棄した化学兵器について、中国側の調査によれば、砲弾で約二万発、化学剤で約百トン。それから、これまでにこの化学兵器によって二千名以上の被害が発生している、これは中国側の発表ですが、日本側の調査結果では遺棄砲弾の数は七十万発となっていると。
 そもそも化学兵器については終戦のときに中国側が兵器を置いていくようにと要請したという背景があると思うんですが、日本側が勝手に遺棄してきたんではなくて、中国側が置いていけと言ったから置いていったという場合でも化学兵器禁止条約によれば廃棄する義務は生ずるんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 今、委員がおっしゃられた中国側が化学兵器を置いていくよう日本側に要請した経緯というものがいかなる事実関係を指すのか私どもに明らかでございませんけれども、日本政府としてはそういう事実関係があったということを承知いたしておりません。
 なお、中国側の一九九二年にジュネーブの軍縮委員会に出した資料の中の砲弾の数は二万発でなくて二百万発だったと思います。
○高野博師君 中国側の調査方法はどういう形でやったんでしょうか、この二百万発というのは。
○政府委員(加藤良三君) 中国側といろいろ話し合ってみたところ、こういう経過だったと思います。
 すなわち、中国側に今歴史的な文書というものは存在しないわけであります。かつては存在したということでありますけれども、これは文革のあの騒ぎの過程で大方が散逸してしまって、そういう文書はないと。ただ、実際に五〇年から六〇年にかけましてハルバレイを中心に埋設をしたという人は今も残っているわけで、そういう人たちの経験というか知識というものからして大体二百万発であるだろうというふうに言ったものと承知しております。概略そのようなことでございます。
○高野博師君 日本側はこれまでいろいろな調査をやってきて七十万発という数字が出ているんですが、この調査を今後も続けていくと相当ふえる可能性はあるんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) それは幾らかの増減はあろうかと思いますけれども、そう大幅な増加とか減少ということはないことを想定はしております。ただ、最終結果はわかりません。
 日本側は、御承知のとおり、中国と日本側が共通に確認した第一埋設坑と第二埋設坑、これはハルバレイにいずれも存在するわけでございますが、そこにおいてサンプル調査を行ったわけでございます。そのサンプル調査の内容は時間の関係で今ここで私から申し上げませんけれども、その結果としておおむね七十万発であるだろうということを推定値として出したということでございまして、絶対的なものではございません。
○高野博師君 CWC、化学兵器禁止条約は本年の四月二十九日に発効が確定しているということなんですが、化学兵器を保有している可能性の高いアメリカそれから中国、ロシア、この三大国が批准していないということと北朝鮮も入っていない。この条約の実効性に疑問があるんではないかと思うんですが、これらの四カ国に対して我が国はどのような働きかけをしているんでしょうか。
○政府委員(河村武和君) 米国及びロシアに対しましては、化学兵器の保有を公言している両国でございますので、これら両国が本条約の発効前に原加盟国となることは極めて重要であるという考え方から、あらゆる機会をとらえまして早期批准を働きかけてきております。
 中国につきましては、昨年十二月に全人代で批准をしており、手続としては国家主席による承認作業及び批准書の寄託が残されているのみと承知しております。我が国は、一昨日の日中外相会談等二国間の会談、協議等のあらゆる機会をとらえまして中国の早期批准を促してきております。
○高野博師君 日本側のこの遺棄化学兵器に関する調査結果を中国側はどういうふうにとらえているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 日本側は、先はどのような中国側の経緯があるということで、我が方としてもこれを確かめる必要があるという観点からこれまで七回にわたる調査を行ってきたわけでございますが、そのそれぞれの調査に中国側も参加しております。そういうわけで、私たちとしては中国側が我が方の調査結果というようなものを話し合いの過程で淡々と受けとめているという印象をこれまでのところ持っております。
○高野博師君 この日本側の調査結果については、一つの科学的調査結果と受けとめるというのと、しかし最終的には掘り出してみなくちゃわからないというような言い方をしているということを聞いているんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) これはまさに事実といたしまして掘り出してみるまでわからないところは残ろうと思います。
 これまでの調査をどういう名前で表現するかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、第一埋設坑、第二埋設坑という主たるハルバレイの埋設坑についてそれぞれ底地の形が違っておりました。一つは茶わんの底型、もう一つはでこぼこがあるということで、そういう地形をも加味して大体こういうことであろうということを算定したのが七十万発前後という推定値でございます。したがって、それが絶対的な意味とか法律的な意味を現在この時点において持っているということはそもそもございません。
○高野博師君 新聞報道によると、この吉林省に兵器解体の小型試験施設を建設することを日本が日中共同作業部会で提案すると伝えられていますが、これは事実でしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 今、委員が御指摘になられました点については、今般外務大臣が訪中の際に中国側と同意に達しました四月十日の日中共同作業グループの会合という場を通じて、これから処理方法、施設の形態その他について討議が重ねられていくことになると思います。
○高野博師君 この七十万発の砲弾の処理に要する経費は概算で出ているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 砲弾の埋設の状況、種類その他いろいろ細部についてまだ未知のところもあるというのが我々の理解でございます。したがいまして、そういう金額的なものにつきましては、今後いかなる処理体制、処理機構、技術を用いるか、いろいろな点が絡んでくるんだろうと思うんです。現時点において相当巨額なものになるであろうということは考えられますけれども、具体的に幾らということはちょっと申し上げられる段階ではございません。
○高野博師君 先ほどの答弁の中で、中国は批准はしているということですね。
○政府委員(加藤良三君) 厳密に申しますならば、中国は批准に必要な全人代の承認を取りつけて、あとは批准書の寄託を待つばかりという状況でございます。
○高野博師君 そうすると、これは間もなくという理解でよろしいんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) はい、そのように期待しております。
○高野博師君 これは私の個人的な杞憂かもしれませんが、この条約が発効すると十年以内に廃棄する義務が締約国にあるわけですが、中国がことしから十年以内、早目に入ればいいんですが、ずっとこれを延ばしていって、それで十年間近になってから入った場合には日本は廃棄できないことになるわけですね。そういうことは考えられないのかどうか。その場合はかなり問題になるんではないかと私は見ているんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 今申し上げましたように、中国は昨年の十二月に全人代で必要な承認というものを了しておりますし、またこの化学兵器禁止条約の原締約国となる意向であるということをこれまでは表明してきているわけでございます。したがって、中国としてあとは批准書の寄託という行為を残すのみという状況にございますので、委員が今おっしゃられたような前提に立つことなく我々としては作業を進めていきたいと考えております。
○高野博師君 これは仄聞した話ではあるんですが、七十万発という廃棄には膨大な費用がかかる、一説によると、日本が今円借款で貸している公的債務に匹敵するぐらいの金がかかるというようなことが言われておりまして、この廃棄と絡んで日本側の費用負担の問題、円借と絡めて何か中国からアプローチなんかがある可能性はないのかなという私は一つの懸念を持っているんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 私どもとしては、化学兵器禁止条約についての日中双方の現在までの立場というのはこれまで申し上げましたとおりでございますし、また四月十日以降、日中共同作業グループの会合が開かれていくことになると、そういう過程を通じて事実関係を一つ一つ現実に確認をしていって、その上に立って適切な処理をしていく、そして、そういう処理は化学兵器禁止条約の規定というものに従って行っていくということであろうと思っております。
○高野博師君 それでは、限られた時間ですが、外務大臣の訪中についてお伺いしたいと思います。
 今回の訪中の最大の成果は何だったんでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、ことしは日中国交回復いたしまして二十五周年という節目の年でございます。これまで日中関係はこの二十五年間いろいろとございました。基本的には大きく発展してまいりましたけれども、その過程でもいろいろ協議もし、また調整もしなくちゃいけない問題もいろいろ出てきたわけでございます。そういったものをすべて踏まえながら、両国の良好な関係をしっかりと維持しながら、さらに将来に向かって発展させたい、こういうことで今回の外相会談では両国の意見が完全に一致したわけでございます。
 具体的には、そういったことも踏まえましていろんなレベルでの交流を深めてまいりますが、とりわけ首脳レベルでの相互訪問というものを、ことし、そして明年が平和友好条約締結二十周年と、こういうことになるわけでございますが、そのあたりに進めていこうということで大枠の合意が得られたということが一つの成果であろうと思います。
 そうしてまた、いろいろな懸案につきましては、ただいま御指摘のございました遺棄化学兵器の問題、あるいは漁業協定の問題もございます。そういった問題につきましてもいろいろ意見の交換をいたしまして、そういったものを踏まえまして、例えば化学兵器につきましては四月十日に先ほどから御議論になっております会合を開く、それから漁業の関係につきましても四月の下旬に次の会合を持とうということも合意をしたと、こういうふうにいろいろ懸案についてもある一定の進展があったと。それからさらに、国際情勢あるいは国際的な場における両国の協力関係等々についても幅広く議論したということでございまして、ことし、冒頭に申しましたような節目の年であるということを踏まえて、両国関係を一層発展させていく上での一つの素地をつくることができたのかな、こう考える次第でございます。
○高野博師君 時間がありませんので、簡単に二つだけお伺いしたいと思うんですが、一つは十七億円の無償援助再開ということで交換公文に署名をされてこられたということなんですが、対中国のODA供与との関係で、あるいはODAと関係なく、日本が中国に対して国防費の透明性を高めるようにということを求めているんでしょうか。これは、私、去年の委員会でも指摘しましたが、日本のODAで浮いた予算を軍事費に回すというような構図になっていないだろうということを絶えず確認しなくてはいけないんではないかなという私は考えを持っておりますが、この点はいかがでしょうか。
 それからもう一つ、銭其シン外相との会談で、国際人権規約加入を検討する方針を表明したということ、これに対して外務大臣の方から、国連人権委員会に中国の人権問題に関する共同決議案が出された場合には、日本は従来の姿勢を変えて共同提案国にはならないことを検討する意向を伝えたということが報じられておりますが、なぜ向こうの人権規約加入を検討するということに対してかなり手のうちを見せて共同提案国にならないというようなことまで踏み込んでしまっているのか。このやりとりが私にはちょっと不自然だというか、中国の人権状況の改善を望む、人権規約に加入することは中国の国際社会における信頼を得る上で意義があるというような程度ぐらいでよかったんではないか、国連人権委員会云々というのはかなりまだ早い話ではないかなという印象を持っているんですが、この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) まず第一点の中国の軍備の整備状況についてでございますが、この点につきましては、従来も二国間の場あるいはARFのようなマルチの場におきましても透明性を高めるように、またその内容はどうかということでいろいろ我が方からも先方に問いかけてきておったわけでございます。そういったことに対しまして中国も、まだ十分ではございませんが、例えば白書的なものも発行する、さらにそれを整備していく、こういうこともやってきたわけでございます。
 つい最近、一週間ほど前でございますか十日ほど前になりましょうか、日中間の局長レベルの安全保障の対話をやりました。この中ではいろんな問題、例えば日米安保の問題等も議論になりましたけれども、そういった中で、中国側のこういった軍備の整備状況はどうなっているのか、透明性はどうなのかという問題についてもいろいろ議論が交わされたところでございます。
 そして、一昨日の外相会談におきましても、私の方からこういった両国間の安保対話をさらに深めていくことが大切だということを申しまして、銭其シン外相も同じ認識を持っておられて、そしてさらに進めていこう、こういうことでございました。
 それから、二つ目の人権規約の関係でございますが、この点につきましては、中国は最近になりまして国際人権規約、A規約、B規約とございますけれども、この二つに入るという意向を明らかにしておったという事実はございますけれども、その点を私の方からただしましたところ、銭其シン外相の方からかなり詳細に御説明がございました。
 まず、中国として決して人権の問題について欧米あるいは国際社会と対抗しようとするものじゃない、いろいろ対話も進めることもやぶさかではないと。ただ、一方的に、中国の立場からいえば一方的にぽんと決議でなされることには、どうもそれは受け入れるわけにはいかぬのだ、こういう話でございました。そして、そういったことを踏まえて、中国としても人権規約に入っていこうということで、入る場合に国内のいろいろな法令との関係はどうなるか、そういったところも今詳細に研究、検討も進めているんだという話もあったわけでございます。そういったことを踏まえまして、私どもの方からも日中の間でもそういった人権問題についての対話を進めていこうじゃないか、銭其シンさんもそれで何の問題もない、やりましょうという話があったと。
 それから、今人権規約に加盟するということのためにいろいろ研究、検討をしておられる。そういった作業の過程においていろいろ日本として協力できることもあるかと思う、日本の経験等も踏まえましていろいろアドバイスなりなんなりすることもできると思うがどうだろうか、そういった専門家レベルの協力を日本は考えるけれどもと申しましたのに対しまして、銭其シンさんもそれもぜひやろうじゃないか、こういうことでございました。
 だから、単に規約に入ることを検討しますというだけじゃなくて、具体的なそういうこともございました。そんなことも踏まえまして、私といたしましてはあのようなことを言ったわけでございます。
 さらにもう一点申しますと、人権委員会における決議については昨年までにたしか五回ございましたけれども、五回あってもそれが具体的に何らかの実質的な進展には必ずしもつながらないということで、これまで共同提案している国の中においても、いつまでもこういう同じような手法を繰り返すだけで果たしていいのかどうなのかと、意見はいろいろございました。そういったあらわれの一つとして、ごく最近、フランスはことしはこういうやり方をとることはやめたいということも明らかにしております。そういった動きもございます。
 そういったことをいろいろ勘案いたしながら、日本といたしましてもことしは共同提案国になるということはやめておこうということを、そういう方向で検討したい、こういうことを申し上げたわけでございます。しかしながら、人権は大切であることは当然でございまして、そのためには実質的な努力はしなくちゃいけないし、実質的な進展が大切なんだということは明確に申しておりますし、中国側もそういうことは否定せずに、具体的な先ほど申しましたようなこともやろうとしているわけでございます。
○高野博師君 わかりました。終わります。
○田英夫君 外務大臣、今もお話ありましたが、中国を訪問され、かなり厳しい日程の中で江沢民総書記・国家主席以下とお会いになって大変御苦労さまでした。
 日中国交回復後、去年は日中関係は最も厳しい年だったと中国側も言っていたわけでありますが、今回の訪中を通じて中国側の態度といいますか、一言でどういうふうな御印象を持たれたか、まず承りたい。
○国務大臣(池田行彦君) 委員御指摘のとおり、確かに昨年は両国間でいろいろ調整をしなくちゃいけない問題がかなり表面化した、そしてそれに対する対応に両国ともに腐心したという年でもあったと思います。そういったことを踏まえまして、ある程度その関係をさらによくしていく歩みは昨年の後半からしておったわけでございますが、そういったことを踏まえて、我々としても国交回復二十五周年に当たることしはきちんとそういった友好関係を維持しながら、さらに発展させなくちゃいけない、こういう認識を持っておったわけでございますが、中国側も同じ認識であったと。
 そして、そういったことを基本といたしまして、中国側も懸案の処理についても積極的に話し合っていこう、さらに首脳も含めた両国間の往来を活発化していこう、そういった積極的な友好関係増進の意図、意欲というものが非常に明確だった、そういったことが一般的な印象でございます。
○田英夫君 私も三月と一月に訪中いたしましたし、昨年は四月に、一回は日中民間人会議という形で国会議員、学者、文化人といった方々、両方からのそうした人たちでかなり議論をいたしました。昨年のときは相当激しい議論で、後藤田さんが事実上日本側の中心でおられたんですが、尖閣列島もさることながら、核実験の問題、台湾問題――台湾問題はちょうどアメリカの空母が周辺に行くというような緊迫した空気もありましたし、まさに非常に厳しい議論をしたのであります。
 ことしは、大臣今言われたように、非常に配慮の届いたといいましょうか、そうした態度に変わってきている。これはもちろん、日本との場合は日中国交回復二十五周年、来年が条約の二十年ということもあるでしょうけれども、何がこういう変化をもたらしたのか、どういう御印象ですか。
○国務大臣(池田行彦君) これは中国だけではなくて我が国の政府もそうでございますが、お互いにいろいろな問題は出てくるけれども、基本的に日中の関係は大切にしなくちゃいけないんだと。それは、お互いの国にとってだけではなくて、これからのアジア太平洋地域全体あるいは国際社会全体を考えましたときに、やはりこの両国の関係を友好裏に推移させ、さらに発展させていくということがいわば両国の国際社会に対する責務でもある、そういった認識というものが昨年のいろいろ問題が出てくる中でかえって痛切に感じられたと、そういう点もあるんだというふうに考えております。
○田英夫君 同時に、報道によりますと、江沢民主席との会談の中で、江沢民さんの方は歴史認識の問題あるいは日米安保の問題というようなことにも触れられたと言われておりますが、それは事実なのか、どういう形で言われたのか。
 歴史認識といっても、要するに過去の歴史を正しく考えなければいけない、認識しなくちゃいけないというような言い方だったんじゃないかと思います。日米安保も中国脅威論というようなことは大変不本意だというようなことが言われたと言われていますが、この辺のところは、そういう意味でいえば中国側に言い分のあるところなんでしょうが、これはどういうふうな取り上げ方ですか。
○国務大臣(池田行彦君) 江沢民主席との会談の中では、歴史認識の問題について主席の方からは、両国間にはもう二千年を超える非常に長い友好の歴史があるということからまずお始めになりまして、しかしながら大変近い過去の一時期に不幸な時期があって中国人民に大きな災難をもたらしたと、日本の軍国主義が。こういうお話がございました。それはまた同時に、日本の国民にも大きな痛みをもたらしたということをおっしゃいまして、その上に立って、過去を忘れずに今後の戒めとしなくてはならないということをおっしゃったわけでございます。
 そして、私の方からも、これは日本政府の基本的な立場でございますけれども、マニラの首脳会談でも昨年橋本総理からも申し上げましたけれども、過去に対しては真摯に対応していく、未来志向の関係を築いてまいりたいということを申し上げたと、このようなことでございました。
 それから、日米安保の問題につきましては主席との間では話題になっておりません。
 李鵬首相との間では、これむしろ私の方から申し上げたかと思いますけれども、御承知のとおり、日米安保の体制というものはどこか特定の国を対象にして考えているわけではないと、この地域全般の安定のために役立つものであるし、特に中国との関係については日米とも友好関係をさらに進めていかなくちゃならないということを文字どおりこの安保共同宣言の中でも申し上げていることであると申し上げまして、その点について特に先方からこれという話はなかったわけでございます。
○田英夫君 先ほど申し上げたように、昨年厳しい議論になりました核の問題、CTBTが発効して中国はもう実験はやらないと言っているわけですが、核の問題あるいは尖閣列島の問題に先方から触れたということはなかったんでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 核の問題については今回は特に議論にはなっておりません。言及もされておりません。
 それから、尖閣の問題につきましては外相会談の場で銭其シン副首相の方からちょっと出たことがございます。その趣旨というのは、なかなかこの問題の解決は難しいので先送りするのが現実的だと、また実行可能な方法じゃないかというお話がございました。
 それに対しまして私は、この尖閣諸島の問題については両国の立場が違うと、日本政府として中国のそのようなお立場は受け入れるわけにはいかない、これは先送りも含めて受け入れるわけにはいかないと。しかしながら、この問題についていろいろな問題が起きてきて、そのことが両国関係全般に好ましくない影響を与えるということは避けなくちゃいけない、それは冷静に対処していかなくちゃいけない、その点については日中両国の認識は一致していますねと申し上げまして、そういったことであといろいろな話を進めた、こういうことでございます。
○田英夫君 おっしゃるとおり、尖閣列島の問題は亡くなったケ小平さんも言ったことですから、これが一つの知恵かという意味で一致しているんだと思います。
 核兵器の問題につきましては、実は私ども社民党代表団で行きます前に中国側にこの問題について議論をしたいんだと言いましたところが、大変結構だと、ぜひ提起してくださいということでありましたが、残念ながらこの問題について時間をとって詳しく議論をすることにならなかったのでありますが、そのときの中国側の態度は、昨年までは毛沢東元主席の言葉を引用していました。
 核というのはすべてが持たないのが一番いい、しかし一方が持って一方が持たないというのは一番悪い、したがって中国はその両極端の中をとって両方が持つという選択をしているんだと、こういう言葉を引用しておりました。核実験についても、相手が持って実験をしている以上こちらも実験をして、今の両方が持つという事実を続けなければならないとしてきたけれども、CTBTができてもう一切やらないと。こうなると、中国は本来の姿に戻って核は廃絶すべきであるという目標を明確に表明したい、それから今持っている核を先制的に使うことは、先に使うことはしないという従来の基本的態度を確認したい、こういうことで、結果的には核を廃絶するということを実は明確に表明したいんだというぐらいのことまで言っておりました。
 今回もそういう意味では、出ていないということですけれども、この問題もしたがって日中間の争点にならなくなったというふうに理解していいんでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 実はこの問題は今回は話し合いにはなりませんでした。ただ、昨年はいろんな会合でいろいろ話はしているわけでございます。例えば、核実験に対する抗議を日本側から申し入れるなんというときにいろんなやりとりがございました。そういった過程におきまして中国側は、御承知のとおり、今も御指摘になりましたように、CTBTに加盟したわけでございますし、それから核実験もモラトリアムということでやめたわけでございますが、委員も今おっしゃいましたが、自分たちは先制使用はしないということは私も何度か中国側から聞いております。
○田英夫君 時間がなくなりましたが、きょうの議題になっております法案にも香港のことが入っているわけであります。
 香港の返還ということは、実はどうも日本の多くの人あるいはアメリカの人なんかは、香港が中国に返ってきて香港の体質が中国のあしき体質になってしまうんじゃないかというような意味のことを言う人もいるわけであります。いわゆる人権の問題とか民主化の問題とか、また事実香港の人の中にそういう運動をしてきた人もいるわけですけれども、よく考えてみると、実は中国にとってみれば長い間の欧米各国からの植民地支配、それが中国の場合は点々とした。青島であったり上海の租界であったりしてきた。その最後のものとして香港が返ってくる、こういうことなんで、どうも今の日本の若い方などはその辺の歴史のことを余り意識しておられないのではないかと心配をします。したがって、香港返還のいわば意義というようなものを取り違えてしまうといけないんじゃないか。もちろん体制が違うわけですが、その体制も一国二制度ということを明快に言っております。
 私どもが三月に行ったときに江沢民総書記、党間交流ですから総書記という立場で私伺ったんですが、香港返還のときに江沢民さんは香港に行かれるつもりはありませんかという質問をしましたら、どういうことを意味しておられるかよくわかりますがと言って、実は明快に答えませんでした。そんなことで、実は香港のことはすぐに台湾に連動するわけでありますから、一国二制度ということは本来台湾のためにつくられた、言われた言葉が香港にまず適用されるということでありますから、この辺はそんなことも含めて私の方も注目していきたいなと思っております。
 時間が来てしまいました。終わります。
○立木洋君 議題の案件につきましては賛成ですし、特にお尋ねすることはございませんので、私も旧日本軍が中国へ遺棄した化学兵器の問題について若干お尋ねしておきたいと思うんです。
 一九九一年から七回にわたって現地視察並びに調査が行われてきましたことは承知しておりますし、また政府間においても協議が行われ、あるいは専門家の協議も行われてきたというふうにも承知しております。
 それで、現在までの時点でどこまでどういう点で日中間で基本的な合意ができているのか、基本的な合意ができている点はどういう点なのか、まずお尋ねしたいと思います。
○政府委員(加藤良三君) 現在までのところ、ごく簡単に申し上げますと、基本的に中国側はこの遺棄化学兵器を処理する場所として、条約上の規定が充足されることを条件に、中国においてこれを行うことに前向きに対応するという趣旨を述べております。
 そして、その他のこと、すなわちいかなる体制で処理をするか、施設はどのようなものにするか、場所はどうするか云々ということにつきましては非常に慎重なかつ精密な検討を要することでもあり、四月十日に第一回会合が行われるところの日中共同作業グループの場の協議を通じて決していこう、こういうことになっているわけでございます。
○立木洋君 これまで七回行われてきた現地視察並びに調査、これは敦化市のハルバレイだけではなくして、吉林市の郊外、落陽市あるいは梅河口、さらには問題になっている杭州市や南京、さまざまなところで行われたわけですね。それらを調査した結果については、つまり砲弾の形として遺棄されている化学兵器と、そうじゃなくて化学剤そのものが缶に入れられて埋蔵されているだとか、さまざまな形で埋蔵されておる。
 七十万発というのは、一号坑、二号坑、ハルバレイに行っての調査の実態で大体七十万発があるだろうというわけですけれども、これは全体調査して大小含めた砲弾や化学剤の遺棄された箇所が大体何カ所ぐらい、その全体の量の見積もり、現在の時点での推定で結構ですが、日本側としてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 実は、我々のこれまでの調査、委員が今おっしゃられたとおり、いろいろな場所について行われておりますけれども、一番中心的なものはやはりハルバレイであると思っております。中国側もハルバレイ付近に九〇%の埋設量があるということを述べているわけでございます。したがって、私たちはハルバレイにおける調査というものをまず優先的に行って、その結果どういう姿が想定されるかということで今日まで仕事をしてきているわけでございます。
 ハルバレイにおきまして日中が双方で確認した埋設坑というものは二つございます。第一坑、第二坑でございます。このそれぞれについてサンプル調査を行いました。二つの埋設坑の形状は特に底の部分が違うことは先ほどちょっと申し上げましたとおりでございます。そこをできるだけ客観的に、かつこれよりは多いことはないだろうなという観点も踏まえて積算したものに、さらにほかのところにもハルバレイほどではないけれども何千発というような単位である可能性はあるということも加味しておおむね七十万発前後であろう、こういう推定値を出したということがその経過でございます。
○立木洋君 この処理の問題では、外務省の方とされては、保管中で即刻調査が可能なもの、それから埋蔵されているが数量あるいは状態が比較的明らかにできるもの、三つ目には埋蔵されており数量、状態も不明で発掘が困難なもの、三つの種類に分けて大体調査をされておられるというふうに承知しております。
 今お話があったように、例えば南京市などについては三千発ぐらいの砲弾の埋蔵があるんではないかというふうな数字等も出されております。それからさらに、御承知のように、ほかの地域においても事故が起こったといって問題になっている。化学兵器が浸透して、そしてそのために被害をこうむったというふうなことで告訴をするとかという話も新聞で報道されたりしておりますので、全体的な状況をできるだけ速やかに把握して、そういう被害が起こるような状態にならないように適切な形で進めていくことも私は必要だろうと。
 確かに一番量が多いのはハルバレイですけれども、ここは延吉から車で三時間、それも途中は一時間ぐらい山道を歩いていかなければならないという大変なところです。そこでの状態と、市街地に近いところで埋蔵されている、遺棄されているような場合と、いろいろな場合が私はあり得るだろうと思うので、そういう状態をよく検討して、そして政府も申しておられるように、化学兵器の禁止条約並びに日中友好条約や共同声明の精神に基づいて速やかに処理ができていけるように努力していただくことを特に要望したいわけですが、今何か差し迫って困難があるという問題等はあるんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 本件全体がある意味で緊迫した問題であるということは中国側からもっとに幾度か指摘を受けているところでございます。私たちも委員が今おっしゃられたような埋設の状況ということを含めて緊迫性があることを認めておるわけでございます。
 そういう状況のもとで具体的にどのような処理を進めていくかということについては、必要な調査も含めて今後も中国側と協議をしてまいりたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、砲弾埋蔵量の調査だけではなくて、砲弾の内部構造の調査ですとか環境・地形調査、こういったものを含めて総合的に行ってまいりたいと考えております。
○立木洋君 前に問題になっておりましたけれども、化学兵器を解体して処理していくという点での技術については日本だとか中国だとかは欧米等に比べると非常におくれている。だから、その点では非常に困難があるので、外国の援助を求めることも考えられるのではないかというふうなことも若干お聞きしたことがあるんですけれども、そういうふうな技術上の問題は今後の問題になるわけですね。まだ問題にはなっていないわけですか。
○政府委員(加藤良三君) 御指摘のとおり、今後、四月十日を皮切りに行われる日中共同作業グループ等においてまず話し合われるべきものと思っております。
○立木洋君 四回か五回にわたって行われた政府間協議の中で、つまり戦争中に旧日本軍が使用した化学兵器の問題について話し合いがなされたということはあったんでしょうか。戦争中に使われた旧日本軍の毒ガス、化学兵器の使用について話し合われたことがあったのでしょうか。もしあったとしたら、どういう話し合いが行われたんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) これまでの政府間協議において日本軍が使用した化学兵器云々の点について議論はございません。
○立木洋君 この問題については、もう御承知だろうと思いますけれども、中国の軍の化学防御指揮工程学院の研究者グループが旧日本軍が中国でどういうふうに毒ガスを使ったかということの詳細な調査と研究した内容を発表されております。
 それによりますと、中国人が少なくともこの日本軍が使った毒ガス兵器で死傷したのが九万四千人に上っていると。それから、一万五千人以上がそれで死亡したという数字が発表されております。旧日本軍は一九三七年から四五年まで八年間の戦争で二千回以上この化学兵器を使用した、それは致死性のイペリットをも含む毒ガスが使用されたというふうな研究が発表されておりますが、かつての旧日本軍が使用した毒ガスの使用について日本側は中国側に何らかの意思を今後表明するつもりはあるんでしょうか。どういうふうなお考えなんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 御指摘の点につきましては、基本的に戦争に起因する請求権賠償の問題は日中共同声明などをもって処理済みであるということでございます。
 他方において、化学兵器禁止条約につきましてはごく短期的に一気にでき上がったものではなくて、国際世論の関心の高まりを背景として、化学兵器の根本的廃絶というものを目指して長年の軍縮交渉があって、それを経て結実したという位置づけなのだろうと思います。
 したがって、私どもとして、この遺棄化学兵器の問題については先ほど来申し上げております調査などを行っておりますけれども、御指摘のような点について新しい措置をとるという考えはございません。
○立木洋君 先ほど同僚議員から情報公開等のお話がありましたけれども、この問題について、平成七年の十一月三十日、河野外務大臣の当時に私がこの問題を質問したときに、たしか加藤さんもおいでになったんじゃないかと思うんですけれども、あのときに防衛庁の秋山局長は、非致死性の毒ガスは製造し使用したということについては明確にお認めになったけれども、致死性の毒ガスの使用については明確ではないというふうに述べられた。それに対して私の方で、致死性の毒ガスが非常に使われておるという事実を防衛庁の研究所にある資料で指摘をしてお話をしました。それに対して河野外務大臣は、私が述べた事実に対して、私は今の議員の話を伺って非常に重要な問題だというふうに受けとめましたと、もしそうであれば今の話をきちんと受けとめたいというふうな趣旨の答弁がなされました。
 外務省がハルバレイで前回調査した中で、御承知のように、きい弾と言われた砲弾に穴をあけてみるとマスタード、別名イペリットですが、これとルイサイトの混合剤が確認されたという報告がなされておりますけれども、これはまさにびらん性の毒ガスで致死性の毒ガスです。これが事実上存在している。それが全体的にどの程度の量が存在しておるのかということは不明ですけれども、事実上やはりそういうものが持ち込まれて使用されていたという事実はこのことによっても明らかにされるんだと思いますけれども、この致死性の毒ガスを使ったという点について。
 それから、もしそうであるならばというふうに言われて、それからあの調査が行われただろうと思いますけれども、もう既に一年半近くたっているんですが、政府としては致死性の毒ガスが使われたかどうかについては今どのように御判断なさっているんでしょうか。
○政府委員(加藤良三君) 私どもの調査の結果はいろいろなことが出てきておりますけれども、その前に御指摘の河野大臣の答弁と称しますものは、立木委員の質問ということを受けました形で、「今お話しのものがそうした遺棄されて残っているかどうかということはまだよくわかりませんが、もしそうであるとすれば、それはひとつ検討しなければならないであろうというふうに私は思います。今のお話をきちんと受けとめて私としては考えたいと思います。」ということで、結局、遺棄された化学兵器というものを日中共同声明とかそういう精神に従って、そして化学兵器禁止条約の規定に従って処理するという今の政府がとっております方針、これと変わらないことを述べられたのではないかと思います。
○立木洋君 ちょっと局長のとり方と私は違うんですが、秋山さんが致死性の毒ガスを使用しているということがわからないということを述べて、事実上非致死性の毒ガスだけではなくて致死性の毒ガスが使われている可能性があるということについて私は指摘した、その問題について非常に重要なものと受けとめますというのが河野外相の答弁なんですね。だから、私は防衛研究所に行って調べてくだされば十分にわかると。これもらってきたんですよ、防衛研究所からコピーしてもらったんです。膨大なものがあるんです。
 致死性の毒ガスについては、結局、昭和十四年五月十三日、一九三九年ですが、大陸指第四百五十二号の指示、大陸指というのは御承知だろうと思うんです。参謀本部がつくって、そして天皇の命を受けて、それで天皇にかわって現地の司令官に命令を発するというものですね。
 この大陸指第四百五十二号については、北支那方面軍司令官にきい剤等の特種資材を使って作戦上の価値について研究せよという指示を出したのが一九三九年の五月十三日なんです。これは参謀総長閑院宮載仁親王という名前によって北支那方面軍司令官の杉山元殿というふうになっているんです。そして、これを研究せよと言って、北部司令官に実施させたところが山西省内なんです。
 時間がありませんから全部言えませんけれども、防衛庁のあそこの研究所にある資料で一九三九年に使われたものがたくさん出されてあります。こんな分厚いものですから持ってこれないので、使った主要なところだけ後でごらんになっていただきたいんですけれども、使われているんです、全部。例えば、山西省において一九三九年の七月に使われたのはきい弾六十六発、九月に使われたのが十二発、そういうのが全部出されております。
 そして、今度、大陸指第六百九十九号においては支那派遣軍総司令官西尾殿それから南支那方面軍司令官安藤殿、この二人に対して先ほどの載仁親王が六百九十九号の大陸指で全面的にそれを使え、使用せよという指示を出したんです。その後の資料もここにあります。
 だから、致死性の毒ガスが完全に使われているということは明白な資料が日本にあるのに、既に河野外務大臣がその問題については非常に重要なものとして受けとめますと言っているのに、そういう問題についてやっぱり十分に検討する必要が私はあるんじゃないかと思う。その問題について、やはり戦争での教訓から何を学ぶべきかということもありますので、私はその点を特に最後に指摘して、池田外務大臣のこの問題についての所見をお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 今お話のございました河野前大臣の答弁というのは、アジア局長からも申しましたけれども、委員のいろいろな御質問を受けた上で、「今お話しのものがそうした遺棄されて残っているかどうかということはまだよくわかりませんが、もしそうであるとすれば、それはひとつ検討しなければならないであろうというふうに私は思います。今のお話をきちんと受けとめて私としては考えたいと思います。」と、こういう答弁になっておりますので……
○立木洋君 その前段があるんですよ。前段をお読みにならないと。
○国務大臣(池田行彦君) 前段もございますけれども、答弁の部分は遺棄ということに着目して答弁をしておられます。そして、文字どおり私どもは今この遺棄兵器の処理については誠意を持って対応しているところでございます。
○立木洋君 ちょっと一言だけ。済みません。その前段に、「私は今の議員のお話を伺って、やはり非常に重要な問題だというふうに受けとめました。」と、つまり致死性の毒ガスが使われたという事実を多く述べたことに対してそういうお話をされたわけです。そして、遺棄された化学兵器の問題があるから、遺棄された問題についてはと言って後段に移っているんです。二つの話の内容があるんです。
 ですから、私は、致死性の強い毒ガスが使われたという事実については資料があるわけですからしっかりと受けとめて、日本政府としての明確な態度をされる必要があるだろう。いつまでもこの問題を、そういうものが使われていないんだという形で隠ぺいするようなことはやめていただきたいということを最後に強調して、どうも済みません、時間が過ぎました。
○佐藤道夫君 前回に引き続きまして駐留軍用地特別措置法の改正問題を取り上げたいと思います。
 前回この委員会が開かれたのは二十七日、はるばると沖縄では県収用委員会の第三回の公開審理が開かれていた、こういうことでございますが、その当日の審理状況につきまして、わかる限りで結構ですけれども、説明していただければと思います。
○政府委員(首藤新悟君) 今、先生おっしゃいました第三回目の公開審理でございますが、これは三月二十七日に開催されまして、所要時間が約三時間でございました。この中で土地所有者側十二名の方から意見陳述がなされております。それから、起業者でございます那覇防衛施設局の方から釈明事項の回答が行われるなどいたしております。このことは、一回は二月二十一日、第二回が三月十二日にそれぞれ開かれておりますが、過去一回、二回同様整々と三回目も審理が行われたというふうに承知いたしております。
○佐藤道夫君 二十七日に三時間の所要時間であったと。一回目、二回目も大体そんなものでございましょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 一度目が約三時間半、それから二回目が約四時間でございました。
○佐藤道夫君 新聞報道によると、委員長が病気入院のため委員長代理であって、そのために次回期日も決められずして散会したということが報道されておりましたが、そのとおりでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) おっしゃられますとおり、今後の公開審理の予定に関しまして、第三回の公開審理の終わりに当たりまして会長代理の方から、会長が入院中であって一、二週間ははっきりしない、会長が退院されたら所有者及び起業者と調整したいという発言がございまして、次回以降の日程が現在のところ未定でございます。
○佐藤道夫君 土地所有者、地権者は大体三千名近いと言われておりますが、それをこれから一件一件意見を聴取していくということになるんでしょうか。わかる限りで結構です。
○政府委員(首藤新悟君) 一回目においては土地所有者側十名から意見陳述、それから二回目は十九名、三回目は十二名というふうになってございますので、今のところ約四十名の方が合計でなさっておられるわけですが、そういうことからいたしまして、今おっしゃられた三千名全員が今後おやりになるかというのはちょっと考えにくいことかと存じます。
○佐藤道夫君 これまた外部から見ているだけでよくわからないかもしれませんけれども、今後の見通しは一体どういうことになるんでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 今申しましたとおり、三回目の審理に当たって今後の予定が未定ということになっておりますので、具体的には何とも申し上げられないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、施設庁の方といたしましては、収用委員会の公開審理あるいはその他の手続が今後とも円滑に行われまして、一刻でも早く収用委員会裁決による使用権原が得られますように期待しているところでございます。
 いずれにしましても、五月十五日以降、使用権原のない状況が生ずることのないよう適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤道夫君 あなたの方で当日を過ぎても使用権原がなくなるようなことのないように適切に対応してまいりたいと言っても、問題を処理している委員会がそういうふうに一回に二十名以下ですか、そういう所有者からの意見陳述で終わっている。
 それから、先ほどの質問で回答をちょっと聞き漏らしたんですけれども、これから三千名をやることはないというんですか、それともやっぱり三千名から意見を徴する必要があるんだというふうに委員会が考えられておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 五年前あるいはそれ以前の過去の公開審理の例を見ましても全員の方から聞いているという例はございません。
○佐藤道夫君 過去の例に照らして大体何名ぐらいでこれはおやめになるようですかな。
○政府委員(首藤新悟君) 人数的にはばらつきがあるようでございますので、具体的にどのぐらいの人数になるかということは今ここで申し上げるのはなかなか困難であろうかと存じます。
○佐藤道夫君 いずれにしろ、五月十四日までに間に合わせる気は全くないとしか言いようがないように思うんですけれども、その辺は委員会がどう考えておるか見当がつかないでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 私どもとしましては、起業者でございます那覇防衛施設局長が収用委員会と地主側、あるいは収用委員会と起業者との段取りの打ち合わせといったような場で早期審理ということを常々お願いしているという報告は受けておりますけれども、収用委員会の方で具体的な日程の日取りとかいうことをお示しになったということは聞いておりません。
○佐藤道夫君 昨日のテレビで社民党の土井委員長が、県収用委員会が粛々と審理を進めておる際に改正問題を論ずる、あるいは改正法案を提出するのはいかがかと思うという意見を述べておられましたが、どうも聞いておりますと粛々ということじゃなくて、だらだらというのが正確な言葉ではないかと思うんです。
 やっぱりこれ最低週一か少なくとも十日に一回ぐらいは委員会を開いて、一回に百名か二百名ぐらい、大体同じことを述べ立てるわけでしょうから一括して意見を聴取する、あるいは代表者を指定して同じような意見の者はまとまった意見を書面で提出させるとか、そういうやり方を当然考えてしかるべきであろうと思うんですけれども、どうもそういうことも一切やっておられないことは期日までに間に合わせる気は全くない、その後の無権利状態を作出させて少しその状態を楽しもうかというふうな、露骨な言い方ですけれども、はたから見ていてそうとしか思えないんですけれども、いかがでしょうか、その点は。
○政府委員(首藤新悟君) 過去の例で、五十七年あるいは六十二年、平成四年とございますが、そういった例を見ますと、大体一回の審理の間隔というのが一カ月以上にわたっている場合がかなり見られるという例に対しまして、今回は二月二十一日、三月十二日、三月二十七日とかなり詰まってやっていただいているという感じがいたすのは事実でございます。
○佐藤道夫君 前回も申し上げましたけれども、これは機関委任事務ですから、委任者として国から、結論は別といたしまして、審理はやはり的確に迅速にやってほしいということは要望の段階を通り過ぎて要求していいのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。国が要求することについていささか問題があるとせば、委員たちを任命したのは沖縄県でありますから、県をしてそういうことを要望させる、要求させる、あるいは命令させるということも考えていいんじゃないか。
 橋本総理は、この前も大田知事と会談をして、大変有意義な結果であったというようなことを言っておられましたけれども、沖縄の将来をどうするかとか、そういう大変大事な問題を議論することも大事でありましょうけれども、今問題になっておる委員会の審理について率直に国の考えを述べて、そして知事をして委員会に対して、結論は別として、とにかく迅速に審理をしてほしいということを要望させるのは当たり前のことではないか。もしそういうことを総理がおっしゃらなかったら総理の怠慢だと言ってもおかしくはないと思うんですけれども、あの会談で総理はそういうことを要望されたでしょうか。わかっておる限りで結構です。
○政府委員(首藤新悟君) その会談の中身を具体的につまびらかに承知しているわけではございませんが、ただ私ども、かねがね総理あるいは防衛庁長官からも国会等で申し上げておりますとおり、国としては収用委員会の審理が整々と進み早期審理がなされることを期待しているということはかねがね申し上げているとおりでございますし、他方、起業者である那覇施設局長自身は収用委員会に対しましては起業者としての立場から早期審理を要請はいたしております。
 しかしながら、土地収用法五十一条第二項におきまして、「収用委員会は、独立してその職権を行う。」と規定されておりまして、収用委員会は公正中立な行政委員会としてほかから指揮監督を受けないでその独立性が尊重されているというものでございますので、収用委員会への具体的な働きかけというのはいわば不当干渉となりまして、私どもこれは控えるべきものと考えているところでございます。
○佐藤道夫君 別にあなたから法律論を聞こうと私全く思っていないんですよ。中身について干渉することは許されないんですけれども、もし委員会がほとんど審理をしないで仕事を怠けていたら、しっかりやってくれと要望するのは当たり前のことでありまして、これは別に委員会の中身の運営に干渉していることでも何でもない、当たり前のことだと私は思いますよ。その点、いかがでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 今ちょっと申し上げましたが、十月八日には那覇局長から沖縄県の収用委員会に対しまして今後の手続の迅速化を文書で依頼しております。また、十一月十二日、去年でございますが、那覇施設局が収用委員会に対しまして公開審理の早期開催、これは当時としては一月中の開催でございますが要望したというようなことを従来起業者としての立場からはいたしてきておるところでございます。
○佐藤道夫君 この件についてある二、三の政党は、法律的に認められている緊急使用の申し立てをすべきではないか、やるべきことをやらないで法改正に至るのはおかしい、こういう意見のようであります。
 確かにそういう考えもありましょうが、実は昨年の楚辺通信所の問題で政府は緊急使用の申し立てをしましてそれは認められなかった、こういうことでありますけれども、その認められなかった理由を簡単でいいですからちょっと述べてください。
○政府委員(首藤新悟君) 那覇局が昨年の三月二十九日に申し立てました楚辺通信所の一部土地の緊急使用についてでございますが、沖縄県の収用委員会は五月十一日にこれを不許可とする決定をいたしましたが、その理由は次の三つ。すなわち、一つに現実に使用できなくなることを前提とした緊急性、必要性が認められない、それから二つ目に沖縄県知事による署名押印拒否による遅延は申立人側の内部事情である、三つ目に施設の具体的役割、機能あるいは設備のメカニズム等について十分な疎明をしていないというような内容でございました。
○佐藤道夫君 状況に変化がない限り、その委員会の法律見解は私正しいと思うんです。ですから、今回ももしそういうことで緊急使用の申し立てをしても同じ結果になるんだろうと思われますけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(首藤新悟君) 現時点では今回緊急使用を考えておりませんので、仮定の話としてどうなるかということを申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
○佐藤道夫君 時間がなくなってきましたけれども、基本的な考え方をちょっと述べさせてもらいますけれども、継続使用の場合と新規使用の場合には基本的な考え方が違うんだろうと思うんです。これは非常に大事なことです。
 ある事業をやる、公益上必要な事業をやる。しかし、地権者の相当多数は同意をして使用を認めてくれたが、何人かがやっぱりこれは自分の所有権であるからしてそんな公益には協力できないと。これも当然そういうことを主張していいわけですから、公益が優先するのか、個人の権利を尊重して考えるのか、その辺は慎重に、場合によっては一年も二年もかかりましょうが、それはそれで仕方がない。しかし、そういうふうな審理中にどうしてもその土地が必要だという場合に初めて緊急使用が六カ月に限って認められる、こういうのが新規使用の場合です。
 継続使用の場合には、既にもう二十年あるいは三十年にわたってその土地を使用している、公益のために必要だという前提があって建物を所有して、その土地を使用して、期限が来る、建物は依然として使用する必要があるんだ、こういうことになりますれば、それについて公益性の判断をまず優先的に考えていいんだろうと思うんです。ですから、その問題について収用委員会が一年も二年もかかるなんというばかげたことは極端に言ってないわけで、これは原則としてまず必要だと。
 この前もちょっとこの委員会で申し上げましたけれども、借地借家法では、大家さんが建物を所有している場合には、借りている人がこれからも継続して使いますよということを申し入れればそれが契約更新の要件になる。それだけでいい、建物が存する限り。建物の使用条件として土地を提供して賃料を受け取っているというものですから、ある期限が来たのでこれからはもう貸さないというのは権利の乱用だということで、昔からそういう解釈で来ているわけです。
 本件の場合も同じように考えていいんだろうと。地権者全員がそろって返してくれとか地権者の半数以上の者が返してくれとか、こう言っている場合は別だと思いますけれども、地権者のごく一部の者が急に貸さないと、私の所有権の方が大事だとか先祖伝来の土地であることを急に思い出したとか基地はうるさいから出ていってもらいたいとか、そういうことを言い出してもなかなか通らない話だろうと思うんです。それが当たり前の法律見解だろうと思います。
 しかし、基地全体をどうするかというごと、あるいは基地を縮小した方がいいんじゃないかとか、そういう議論はまた落ちついて国会でゆっくりと議論すべきことなのでありまして、この問題に絡めて話を進めていくというのは私はいかに考えてもおかしいなと、まともな法律論とは言えないなと、こう思っておるわけであります。
 ですから、正々堂々ときちっとあるべき筋論を説明して国民の納得を得る、それが政府の責任でもあろうと思うわけでありまして、こんなものを取り急ぎやって、何かクリントン大統領への手土産にしようとか、これも言葉が悪いんですけれども、そういうさもしい発想はやめまして、きちっと説明をして、みんなの了解を得て、何だそれだけの話ではないのかと、沖縄の問題は大事だ大事だ、それはまたゆっくり議論しようやと、そういうことでよろしいんじゃないかと私は考えておりますけれども、最後に国務大臣である池田外務大臣の御見解を承れればと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 本件は大変時間も切迫しておりまして、私どもとしても、政府全体としても大変苦慮しているところでございます。何とか条約上の義務を果たしていかなくてはならない、そういう立場がございますので、使用権原のない状態が生ずることのないように、いろいろ知恵を働かせ、相談しながら対応してまいりたい、こう考えております。
 もとより、委員が今お述べになりました法理あるいは法解釈論、私どもも十分理解できるところでございます。ただ、なかなか全体がそういう考えのもとに進行してくれないというところが今私どもも苦労しているところでございますが、お説もよく参考にさせていただきまして適切に対応してまいりたいと存じます。
○佐藤道夫君 終わります。
○小山峰男君 本日議題になっております法律案については賛成でございますので、きょうは密入国に関するいろいろな問題について御質問をいたしたいと思います。
   〔委員長退席、理事高野博師君着席〕
 最近、船による密入国者というようなのが特にふえているというふうに報道等で言われているわけでございますが、まず最近の状況はどうなっているか、人数がどうかとか、あるいはその人たちの国籍がどうなっているのか、また密入国をする理由がどんなところにあるのか、それからいろいろなところへ漂流するというが入ってきているわけでございますが、主な県としてはどんなところがあるのかということをお聞きしたいと思います。
○政府委員(伊集院明夫君) 最近の船舶による不法入国事案の発生状況でございますが、昨年十二月から本年三月三十日までの間に入国管理局及び関係機関が水際で身柄を確保した不法入国者の総数は、件数で四十五件、人数で千七十九名に上っております。これは昨年、平成八年一年間に不法入国により退去強制手続をとった外国人の総数にほぼ匹敵するものでございます。
 国籍別に申しますと、この千七十九人のうち中国が九百十二名、バングラデシュ八十二、パキスタン三十六、イラン二十八、インド七、韓国五、フィリピン九というところでございます。
 集団不法入国者の入国の理由でございますが、ほとんど大部分、ほぼ一〇〇%が日本で不法に就労する目的でございます。
 それから、こういう集団密入国者の到着地でございますが、九州が多うございますが、最近は北海道から本州、四国、九州、沖縄まで我が国全域にわたっておりまして、広域化してきているということでございます。
○小山峰男君 今お話がございましたように、最近四カ月ほどで昨年一年間分と同じだというような状況のようでございまして、大変な状況だというふうに思っております。
   〔理事高野博師君退席、委員長着席〕
 千七十九人が保護されたわけですが、実際に、例えば五十人で来て三十人が保護されて、あとの人たちは保護されないでどこかへ消えちゃったというような問題もあろうと思いますが、そういうのはどの程度いるかというのははっきりしていますか。
○政府委員(伊集院明夫君) 昨年十二月以降に発生した集団密航事件において逃走したと思われる密航者数ですが、検挙された密航者の供述によりますと百六十五名となっております。
○小山峰男君 そうすると、その供述が正しいかどうかは別として、何人乗ってきたかというような形で聴取をされて、今の百六十五名が依然として日本の全国へ散ってしまっているという状況と理解していいわけですね。
○政府委員(伊集院明夫君) そのとおりでございます。
○小山峰男君 そうすると、検挙されないでいわゆる散った人が百六十五名だと。そのほかに全然発見されないで日本に密入国をした人というのは相当予想されるというふうに考えていいんでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) これはいろいろな報道等がありますが、事柄の性質上、私どもには正確に把握しかねるということでございます。
○小山峰男君 現在、不法滞在者と言われている人たちが何名ぐらいいて、そのうち旅券等の期限が切れて滞在している人と、それから今のような形で、密入国みたいな形で入った人というのはおおむねわかりますか。
○政府委員(伊集院明夫君) 密入国で入った人が何人かというのはちょっとわかりかねますが、正規に入国して、滞在期間を経過したにもかかわらずまだ日本にいるという、私ども不法残留者と申しておりますけれども、この数は把握しております。これを申し上げますと、不法残留者数は平成五年五月一日付で約二十九万九千人に達しておりますが、その後、私どもの厳格な入国審査、積極的な摘発、それから経済情勢の変化等もございまして、一応増加には今歯どめがかかっております。本年一月一日現在の不法残留者数は約二十八万三千人とまだ高水準にあるということでございます。
○小山峰男君 今の話で、経済状態等で若干減ってきたということでございますが、いずれにしても期間オーバーで不法滞在者が二十八万余。そのほかに多分本当の意味の密入国者というのもまだかなりいるんではないか、こういうことを考えますと、日本の治安とか犯罪というものにもかなり関与が出てくる可能性が強くなるというふうに思っております。
 法務省だけの問題ではないと思いますが、いずれにしても出入国管理体制というものをやっぱり充実強化する必要があろうというふうに思っておりますが、法務省としてその辺の見解はどうなんでしょうか。
○政府委員(伊集院明夫君) そのとおりでございまして、特に最近の集団密航事案につきましては密航ブローカー組織等の介在が大変目立っております。中でも、中国人にかかわる密航につきましてはいわゆる蛇頭、スネークヘッドと呼ばれる組織が深く関与しておりまして、我が国の暴力団関係者等も結託していると。そして、こういう組織が密航者を計画的、組織的に募集、運搬、出迎え、さらに我が国における居住、稼働先を準備する、こういうことも行っております。
 入国管理局としましては、この種の案件の効果的な防圧を図るということで、警察、海上保安庁など関係機関との連携を密にして、取り締まりの強化をまず図る、さらに潜入に成功した先ほど委員の御指摘の潜在密航者、それからブローカー組織について集中摘発努力期間というものを設定して摘発に努力しているところでございます。
 それから、一方、密航者の国籍国、それから経由国に対しまして外務省を介しまして再三にわたり密航防止策を講じるよう申し入れを行っております。また、警察庁、外務省、海上保安庁とともに入国管理局の担当者が訪中しまして、中国公安当局に対して中国における対策の強化等を直接申し入れているところでございます。
 さらに、集団密航事案が急増している状況を踏まえまして、このような集団密航を助長、援助する行為を重く処罰することなどを内容とする出入国管理及び難民認定法の改正を検討中でございまして、できるだけ早く成案を得まして通常国会において御審議をお願いしたいと考えておるところでございます。
○小山峰男君 これは法務省だけの問題ではないと思います。当然外務省も相手国等に対していろいろの対応をしていると思いますが、そういう外務省の現在の対応状況をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) この問題につきましては従来からいろいろな機会をとらえて外交ルートで中国側に対しまして申し入れをしてきたところでございますが、とりわけ昨年末からの中国からの密入国者の急増という事態を踏まえまして、東京におきましては改めてアジア局長が具体的に四項目にわたって対応を求めたところでございます。
 若干申しますと、中国側において、中央政府だけでなくて地方政府とも連携して港を含む沿岸の警備やその審査の強化、あるいは船舶の管理を徹底する、こういうことを第一点として申し入れました。第二点としては、いわゆる密航ブローカーとか密航を企てる者に対する取り締まりの強化あるいは処罰の厳格化ということ。第三点といたしましては、福建省、特に福州周辺を中心とした地域において広報活動の強化、これを防止するための。それから第四点として、このように多発している背景や原因について徹底的に究明するとともに、防止のための緊急対策を実施すること、さらにこの組織に関するいろいろな情報等の提供。こういったことにつきまして中国と我が国の関係機関との間の協議の場を設ける、こういったことを申し入れたところでございます。また同時に、在北京の大使館あるいは上海あるいは広東等の総領事館から地方政府に対しても申し入れました。
 そういったものを踏まえまして、先ほど答弁もありましたけれども、警察庁、法務省、海上保安庁、もとより外務省も入っておりますが、そういった関係機関の代表団が三月十七日から中国へ参りまして中国側といろいろ協議をし、さらに福建省、上海等へも行ってきたところでございます。
 そんなことがありましたので、ここのところかなり減ってきておりまして、三月に入ってからは六人というふうに私承知しておりますが、こういうふうになっております。
 私が一昨日銭其シン外務大臣と会談を持ちました際にも私の方からこの問題を提起いたしました。そして、今申しましたように、日中間の協力によってここのところ効果は出ているけれども、さらに協力しながらこういったものが根絶するように徹底的に対策をとっていかなくちゃいけないから中国側の協力を求めると、こういう話もしたところでございます。銭外交部長の方からは、この問題を中国としても非常に重視しているんだと、取り締まりを強化し、犯罪集団、いわゆる蛇頭であろうと思いますが、これに打撃を与え、厳しく取り締まっていくと、こういうお話があり、また日本側においても取り締まりの強化を引き続きやってほしい、こんな話があったわけでございます。
 今後とも、中国とも協力しながら、このような問題の根絶に外務省としても努力してまいりたいと考える次第でございます。
○小山峰男君 それじゃ、最後にもう一問だけ。
 現時点ではまあまあ数がそんなにいないからある程度対応できていると思いますが、これが例えば何十万単位みたいな話で日本のそれぞれの海岸へ漂着するというか入ってくるというような状況になると、本当に日本の現在の体制で対応ができるのかなという大変な危機感を持っているわけです。今回の油事故についても危機管理についての対応というのは一週間ぐらいおくれたとか、いろいろの面でその対応がおくれているというような状況です。
 そういう意味で、例えばそういうことを想定して、一体どういうことをどうすればいいのかぐらいのことをぴしっとやっぱり危機管理体制を確保しておく必要があろうというふうに思っておりまして、これは海上保安庁、警察庁、法務省、外務省あるいは地方公共団体とか、いろいろ巻き込むわけでございますが、こういう意味の危機管理についてもやっぱり内閣としてぴしっとした方向を出しておくというようなことが必要だと思いますので、国務大臣としての外務大臣の意見をお聞きして、終わることにいたします。
○国務大臣(池田行彦君) 内閣としてもいろいろな危機に対してどういうふうに対処していくか検討を進めておるところでございますが、そういった一環としてこういった問題にも関係機関とよく提携しながら万全を期してまいりたいと考えております。
 それと同時に、外務省といたしましては、もとよりそういった大量の密航者あるいは難民といったものの発生を未然に防止するためにはどうしたらいいのかと、それは関係各国との連携もございますし、あるいはそういった問題が生ずる背景あるいは原因というものを考えまして、そういったものが起きないように我が国として一体何ができるか、何をすべきか、その辺もよく考えてまいりたいと思うところでございます。
○委員長(寺澤芳男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十八分散会
     ―――――・―――――