第140回国会 大蔵委員会 第5号
平成九年三月二十一日(金曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     山本 一太君     嶋崎  均君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     林 久美子君     寺崎 昭久君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         松浦 孝治君
    理 事
                石川  弘君
                河本 英典君
                荒木 清寛君
                鈴木 和美君
                小島 慶三君
    委 員
                阿部 正俊君
                上杉 光弘君
                片山虎之助君
                金田 勝年君
                清水 達雄君
                嶋崎  均君
                楢崎 泰昌君
                岩瀬 良三君
                海野 義孝君
                白浜 一良君
                寺崎 昭久君
                益田 洋介君
                志苫  裕君
                千葉 景子君
                吉岡 吉典君
                山口 哲夫君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  三塚  博君
   政府委員
       大蔵政務次官   西田 吉宏君
       大蔵省主計局次
       長        林  正和君
       大蔵省主税局長  薄井 信明君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省銀行局保
       険部長      福田  誠君
       国税庁次長    堀田 隆夫君
       国税庁課税部長  船橋 晴雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   説明員
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部取引
       企画課長     和泉澤 衞君
       農林水産省農産
       園芸局畑作振興  坂野 雅敏君
       課長
       通商産業省環境
       立地局立地政策
       課長       岡田 秀一君
       通商産業省機械
       情報産業局航空
       機武器課長    久郷 達也君
       中小企業庁計画
       部計画課長    松島  茂君
       建設省道路局日
       本道路公団・本
       州四国連絡橋公
       団監理官     小坂 裕男君
       建設省道路局高
       速国道課長    菊地 賢三君
       自治省税務局府
       県税課長     石田 直裕君
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  本日の会議に付した案件
○酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者
 等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○中東・北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に
 伴う措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に
 伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加
 盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、山本一太君が委員を辞任され、その補欠として嶋崎均君が、また、去る十八日、林久美子君が委員を辞任され、その補欠として寺崎昭久君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(松浦孝治君) 酒税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○金田勝年君 自由民主党の金田でございます。
 きょうは、八十六分という時間をいただきました。私は、租特の方の内容につきまして、そしてまた税制の今問題となっておる、一般的に非常に重要と思われることについて幾つか御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、去る十八日ですか、財政構造改革五原則というのが発表されました。この内容については、財政構造改革会議の中で、これまで達成しょうとしていた財政構造改革のその目標をさらに前倒しに厳しくすると、こういうふうな内容であったわけでございます。これを拝見しまして、本当に今私ども政治家として真剣に取り組まなければいけない課題というのが、六つの改革の中のまさにこの財政構造改革がその中核にあるなと、私はそういう思いをして拝見しておったわけであります。その中身について、かなり厳しい難しい話が多いわけでありますけれども、この辺について大蔵大臣の現在の御所感を、まずお伺いしたいと思うわけであります。
○国務大臣(三塚博君) 御指摘の財政構造改革五原則は、橋本内閣として不退転の決心で実現を期していかなければならないと、こういう改めての表明でございます。
 本件、ここまで参りますまでの大事なポイントは、衆参両院の御論議、また各党間の動向、国民世論の動向を踏まえて、二〇〇五年では長過ぎるのではないのか、こう指摘し、それから政府・与党は九年度予算編成をしたけれども評価するに足らないと、もっと激しい御批判もいただいておるところもございますが、御案内のとおり精いっぱいの努力をいたしまして、後世に借金を残さない形をつくりながら健全財政体質を実現していく。歳出につきましても、今必要な歳出についてはこれは措置し執行をしてまいりますけれども、役目の終わったものについては廃止をしなければならないと、数項目にわたってカットをいたしたことも御案内のとおりであります。
 活力のある今日ただいま構造改革に手をつけずして、力がなくなり活力が失われておる状況ではタイミングを逸することになり、我が国経済が困難の深みにはまってしまうのではないかと、こういうこと等を踏まえながら、西暦で言いますと二〇〇五年ですから二〇〇三年までの六年間において、六年間というのは来年度を含めて六年間。前三カ年を集中改革期間と位置づけまして、これに取り組まなければならないということであります。三党の六者会談その他関係機関の御議論が行われまして、本件五原則に盛られました基本的な理念も三党から強く打ち出されたところでございます。それを受けて、六カ年とし前三カ年を集中改革期間とする、平成十年度の予算編成においてはマイナスシーリングとすると、こういうことになりました。
 歳出の削減目標を明示することによりまして諸改革が前進をするであろう、行政改革も特殊法人の問題も含めまして前進をするであろうと、こういうことの不退転の決意表明でございます。決意表明だけではございませんで、その実行に向けて予算が成立をさせていただきましたならば、その後毎週三日程度企画委員会において具体的に議論をし方向をつくり上げてまいる、そのめどは五月中旬にと、こういうことに相なりました。そして、決定いたしましたならば全体会議に提示をいたしまして議決をいただき、平成十年度の国家予算編成の基準がそこで明らかになると、こういうことでございます。
 国会論議を踏まえ国民の論議を踏まえまして、本件が二カ年短縮の中で、まず当面の目標として二〇〇三年に行うと。集中期間、そして後半の三カ年は諸改革の終結をそこで果たしていきたいと。もちろん、前三カ年においても全体の諸改革は進められるものは見直しがあるわけでございますから、取り進めさせていただき成果を出していかなければならないと、それがとりもなおさず経済の安定的成長に大きく貢献をするであろう、こういうことであります。
○金田勝年君 大変な御決意ということで、受けとめさせていただいたわけでございます。今の我が国の置かれた現状、そして将来の私どもの子供や孫の時代にどういう日本をつくってあげるのかと、そのためにやはり私どもが今のうちにできることをきっちりしておかなければいけない、そういう意味において非常に重要な御決意だと、こういうふうに思うのであります。
 ここで、一つぜひともお願いしたいことがあるわけでございます。先ほど、大臣が国会と国民の議論を踏まえてとおっしゃられたわけですけれども、その国民の議論というものを考えた場合に非常に大事なことは、今そういう五原則、財政構造改革については五原則ありますし、ほかにも六つの改革ということで、本当に二十一世紀に向けての厚い壁を破って、そして新しい二十一世紀の日本をつくるために一番やらなければいけないことが、しかしかなり広範にわたっているんですけれども、それをやるということ、その必要性、そしてもしそれをやらなかった場合にどうなるのかということにつきまして、もっともっと国民にわかりやすく、いろんな機会をとらえてPRをぜひしていただきたいということであります。
 恐らく、ここにお集まりの先生方や大臣を初め大蔵省の関係の皆様、霞が関の関係の皆様はわかっておると思いますが、私どもは地元に帰っていろんな団体やいろんな国民の皆さんと話をするんですが、なぜ今しなければいけないのか、そしてこれをそれぞれやらなかった場合にどうなるのかということについて、はっきりとわかっている方というのが意外に少ないんではないかと。ここをどういうふうな形で対応していくのか。これは、やっぱりそのPRというか、わかりやすい説明というか、こういうものをもっともっとやっていただく必要があるんではないかと私は思うわけであります。
 例えば、私の地元では、高速道路をつくるのに、ほかの地域ではたくさんあるかもしれませんが、ずっと順番を待って待ってきた。やっと私どもの方の地元に来るかなと思った途端に、世の中がこういうふうに激変して、壁にぶつかったと。もう来ないんじゃないかという不安は、それは大変なものなんであります。ですから、そういうふうなことに対して、どういうふうにわかりやすく国民の側に立って説明をしていくか、これはこの大改革に立ち向かう立派な御決意と、もう一つのやはり重要なポイントなんじゃないか、そういうふうに思うのであります。
 例えば、この前の平成六年十一月の税制改革関連法、これでもって所得税の減税をまず先行させたと。そして、その総仕上げとして今回の消費税の三から五への引き上げ、それから経済状況の判断、財政状況の判断もあったと思いますが、特別減税の取りやめということが決定しておるわけなんです。そういうセットのものを国民がはっきりわかっているかといいますと、なかなかこれもまたわかりにくい。今回上がることだけがどんどんひとり歩きしてしまっておる、そういう状況をやっぱり感じざるを得ないのであります。
 私は昔、昔といっても平成元年の消費税導入のときに、こういう説明を聞きました。消費税を導入するときに、新たな税ですからいいよと言う人はいないのであります、基本的に。国民感情としているはずがない。でも、理解してもらうためにこういう説明をしてくださった方がいるのであります。
 四十八カ国でもう既に、平成元年の段階でもう導入されておるんだよと。そして、またチェコスロバキア、ソ連、そういう当時社会主義の国でございますが、この国でさえ付加価値税として導入されておる、そういう税制なんだと。それからもう一つ、ヨーロッパの国々でも消費税を導入する、付加価値税を導入するに当たって、どっちかと言えば社会主義的な政党が必ずそれを提案しておる、そういう経緯もあるんだと、私はそういう説明を当時間いたのであります。ああそうなのか、消費税というのはそういうふうにほかの国でもう進んでおる税制なのかと。そして、OECD二十四カ国の中で消費課税の割合は日本が一番低いということも聞いたのであります。
 そういうことを聞きますと、やはり我が国は何で今までそういう税制を導入していなかったのかという疑問に変わるのであります。それが説明であります。わかりやすい事実に即した説明をするかしないか、それをどんどんPRをするかしないかで、日本国民は賢いんですから、その国民がそれは必要だと叫ぶかどうかにつながってくる、私はそういう経験も一つの貴重な経験ではないかと。だから、そういうことを踏まえてぜひPRというものを大事に考えていただきたい。
 例えば、法律ができ上がったり、そしてそれを施行する、実際に運用するという段階になったり、予算が通ってそれを運用する、執行する段階になったら、それはもう完全にあまねくPRするために使うお金というのは予備費を組んでもできるのではないか、あるいは金をかけても政府としてやらなきゃいけないのではないか、私はそう思うのであります。それが将来の我々の子供や孫の時代にプラスになることであったら、きっちりそれをやらなきゃいかぬ。果たしてそれを今まで十分にやってきたのか、そういうふうな問いかけを私はどうしても常にするのであります。
 そういうことをぜひこの機会に参考にしていただいて、立派な決意だけではなくて、そしてまた国民の皆さんがそれぞれの分野で、待ちに待って我慢をしてやっと、もうこれから二、三年の予算で道路ができるかもしれない、あの危ない河川が改修されるかもしれないと思っているときに、世の中が急に変わったんだよと、お前のところへはもう行かないな、残念だな、その前までだなと言われたのでは国民もたまったものじゃないし、私が地元に行ってどう説明するのか大変なことになります。ですから、そういうことをよく、国民の立場に立ってぜひお願いしたいと、こう思うわけであります。
 よろしいでしょうか、大臣、一言だけ簡単に。
○国務大臣(三塚博君) 国民の御理解を得るためのPRは極めて重要でございます。本件成立をいたしますと、改めてPRのためのパンフレット、理解を得るための勉強会等も政府が行うこととなるわけでございます。わかりいい形のものを出してほしいということについては、これもさらに工夫をしてやってほしいと事務方には私から申し上げておるわけでございます。いずれにいたしましても、やることはやり抜いてベストを尽くして理解を得ていただきませんことには、民主主義は成り立たぬわけでありますから、精進してまいります。
 ポイントは、少子・高齢化社会が急速に進んでおる今日、世界の中でこれほどのピッチを上げて高齢化社会へ進んでおるという国はございません。それは社会保障制度の完成、完備がそうせしめたと、政治、行政の成果であると言っても過言ではございません。しかしながら、その結果として膨大な政府負担が必要ということになりますし、自治体またしかりと、こういうことで医療改革が叫ばれ、ただいま法律も提出をされておるわけでございます。
 そんな点を考えながら、国民負担率という論議が久しい時間を置いて盛んになってきたわけでございまして、社会の構成員が広く負担を分かち合いながら、郷土とこの国のためにいいふるさと、いい国をつくるということでいくことでありましょうし、それから歳出面の諸措置の安定的な確保に資するよう税制全般を検討しつつ、課税の充実を一体的に実施すると、こういうことであります。
 公平、中立、簡素という言い方がありますけれども、税は国民の理解なくして賦課ができませんから、そういうことでありますし、国民的な理解の中で国民負担についての考え方を、もっと論議が盛んになることによって政府としてその取りまとめに取り組むと、こういうことになろうかと思います。必要性はG7諸国、財政構造改革を今やらねばということでまなじりを決しております。アメリカは、かつてない繁栄を誇り経済成長を誇っておる今日でございますが、我が国より一歩早く構造改革を達成しようという決心のもとで施策が講じられております。ヨーロッパの諸国、またしかりであります。
 先進国家としての我が国が、垂れ流しと批判をされるようなことを続けておることは到底許されない環境にあります。世界の中の日本ということで、国際経済の中で、また国際金融政策の中で、また世界の安定、平和のために貢献をしていかなければならないということでございますと、財政が破滅に近いことになりますと、到底尊敬もされませんし、お呼びもなくなっていくのではないかと思います。
 今日、こういう現実を踏まえながら厳しい状況ではございますが、まず国会の御理解を得て、そして国民各位に向けて、なぜこうしなければならないかということについて二十一世紀を展望し、明確な指針を改めて提示し、これを突破いたしますと、活力に満ち、安心して生業にいそしむ、また国際社会に向けても分に相応をした貢献のできる国家として尊敬されることになるでしょうと、こんなことに近づいていくと思っております。
○金田勝年君 ぜひ十分な議論を重ねていただきたい、そして国民の立場に立った、できるだけわかりやすい説明をしていただきたい、そして理解してもらう努力のためにはPRもどんどん、必要とあらば金も使ってやっていただきたい、そしていい結果が出て、そして二十一世紀につなげていただきたい、それがやはり政治家の努力としては最も基本ではないか。大臣、事務方によくというふうにもおっしゃられましたけれども、政治家としてそれをやらなければいけない時期に今ぶつかっておる、こういうふうに考える次第であります。どうかよろしくお願いします。
 そういうわかりやすいという観点から、一つ質問させていただきます。先般、財政構造改革五原則が出たんですが、私はわからない部分が一つあります。五番の国民負担率。わからないというのは、ほかはわかったという意味ではありません。この概念を教えてもらいたいという意味であります。「国民負担率(財政赤字を含む)が五十パーセントを超えない財政運営を行う。」と、こういう表現がございます。私は、経済審議会の資料としてこういう表現を見たことはありました。でも政府の考え方として、財政赤字を含む国民負担率という概念は、どのようなものであるのか。要するに、私は租税負担率と社会保障負担率を合わせたものが国民負担率である、こういうふうに考えてまいりましたし、外国との比較においてもそういう発想で物事を考えてきたわけであります。そういうときに「国民負担率(財政赤字を含む)」という概念はどのようなものであって、今後どういう考え方でその国民負担率という、括弧がついたりつかなかったりという、非常にこれは国民が見たらわかりにくい、何なんだろうと。
 この前は、三七%ぐらいに達したかどうかという国民負担率の議論を、ここへ来て四五だとか五〇を超えないだとか、非常にこれはわかりにくい。こういうふうな説明の仕方では、私は先ほども申し上げました国民にわかりやすいというものには反するのではないかというふうに思うんですが、いかがなものでございましょうか。ちょっと教えていただきたい。
○政府委員(林正和君) 国民負担率のお話がございました。先生御案内のとおり、国民負担率というのは国民の租税それから社会保障負担、これが国民所得に占める割合でございます。したがって、公債発行による公共サービスの供給等は、その時点での国民負担率には含まれておりません。ただ、考えてみますと、すべての公共サービス、これが最終的には国民の負担に裏づけられるものである以上、その財源は長期的に国民の後世代の負担になるものでございます。そこで、今回の五原則はそのような財政赤字、これも国民負担率に加えたもの、これを財政赤字を含んだ国民負担率というように位置づけられたものというように私どもは承知をしております。
 御質問にもございましたように、潜在的な国民負担率、これは昨年十月、経済審議会から打ち出された考え方でありまして、今申し上げましたように国民負担率と財政赤字、これを合計した数値を用いているということでございます。私どもとしては、今後あらゆる歳出分野について聖域のない見直しを行うということで財政構造改革を積極的に推進してまいりたいと思っておりますが、こうした五原則に沿いまして努力をしていきたいということでございます。
○金田勝年君 その考え方はわからぬでもないんですが、要するに財政赤字を含む国民負担率といった場合に、ただいまそのレベルで対外比較はできるんでしょうか。
 それからまた、これは毎年毎年追いかけていって財政赤字を含む国民負担率の数字の見通しが出てきております。これは、経済審議会の資料には出てきております。しかし、そういうとらえ方をしたときに、経年的に毎年ごとに出てきたときに建設国債で賄っている部分というのは、それは将来の負担につながるものであって、資産も残るものであって、そういう財政法の考え方、建設国債の考え方、そういうものまで入れてその数字をつくるということはどういう意味を持つのか。以上二点、非常にわかりにくいのであります。お願いします。
○政府委員(林正和君) 地方の赤字も含めました国民負担率でございますが、我が国の場合について申し上げますと、九年度について申し上げますと、国民負担率、これは租税と社会保障負担ですが、これが三八%でございますが、これに国、地方の赤字、これの国民所得比が七%でございます。これを合わせますと両方で四五%ということになろうかと思います。なお、国際比較のお話ございましたが、ちょっと手元に数字がございません。ここはちょっと調べさせていただきたいと思います。
 それから、二番目の御質問で建設国債のお話がございましたが、考え方として、建設国債の発行については、これは特例公債と同様に公債の残高の累増に伴います利払い費の増大によって財政のバランスを崩すということになるという問題があるのは御案内のとおりであります。したがって、後世代の負担を残さないという観点からいたしまして、公債依存度全体の引き下げを目指しているところであります。こうした利払い費の増大、これは建設国債にも伴うということから御理解をいただけるものと思っております。
○金田勝年君 きょうは税法の審議ですので、このぐらいでやめておきますが、要するにネーミングにしても「国民負担率(財政赤字を含む)」なんて、こういうわかりにくいのではだめだと私は思います。将来を踏まえた国民負担率とか、そういうふうな要するに現時点で国民負担は幾らかというのが国民負担率であって、それを将来にわたって建設国債で賄う分まで全部入れていうんであれば、将来を踏まえた国民負担率とかいろんなネーミングもあろうかと思いますし、そこら辺は今後またいろいろ教えていただく機会があると思いますので、本来の税法の方に移らせていただきたい、こういうふうに思います。
 限られた時間ですので、短くお答えいただければありがたいと思います。まず御質問申し上げたいと思っておりますのは、先ほどもちょっと触れましたが、今回の九年度の税制改正を拝見しますと、酒税法につきましては後で楢崎先生の方から御質問申し上げると思いますので、私としましては、消費税の五%への引き上げと特別減税の廃止ということにつきまして、それから二つ目は、去年非常に熱心に御議論された法人税につきまして、ことしまた改めて御審議されるということでございますのでその辺について、それから三つ目には、ことしの土地税制それから住宅税制ですね、それから四つ目に、エンゼル税制とかそれから地域空洞化に対する税制、そういうものが社会経済情勢を踏まえて出てきておる、そういうこと。あとはその他の話ということで、順を追っていろいろ盛りだくさん御質問申し上げたいものですから、ひとつお答えは簡単におっしゃっていただければありがたいなと、こういうふうに思うわけであります。
 まず初めの消費税の引き上げと特別減税の廃止の関係でございますが、やっぱり九年度の税制のポイントはここだろう、こういうふうに思うのであります。活力ある福祉社会の実現を目指すという考え方で、働き盛りの中堅所得者層を中心に所得課税の負担軽減を図るんだ、そしてその一方で、社会の構成員が広く税負担を分かち合えるように消費課税を充実するんだ、この考え方が今回の税制改革の考え方なわけです。
 これは先ほども触れましたが、平成六年十一月に税制改革関連法、これを通して、その場でまず減税から始めた、そういう実績を持つものであります。そして、七月一日から所得税の制度減税というものも始まったわけでありまして、それと特別減税。ですから、その一連の税制改正がまずあって、そしてその最後の局面で出てきたのが、やはりそれに見合う形での消費税の引き上げということであった。
 そして、三から五になったんですけれども、その部分については、消費課税の充実ということなんでしょうけれども、二つの内容がありまして、その一つには消費税率の一%の引き上げ、それから一%の地方消費税の創設だと。こういう合計二%だというのはだれしも思い浮かぶわけでございますけれども、そういうふうなあわせわざだということをきちっと国民にわかっていただく。わかっている方が多いと思いますが、やはりそういう努力をもっと、重ねて申し上げるんですが、それは一例であります、努力の一例です。全部そういう難しい課題というのはきちっとわかっていただける努力をしていただきたい。
 そしてその際に、まず消費税率の引き上げというものを見た場合に三から五ということになっているんですが、今回話題になりました重要な側面というのは、中小企業の特例措置等の是正というところだったと思うわけであります。いわゆる益税が、消費税が導入されてから消費者の払った税金が国庫に納付されないではないかという益税問題が提起されておった。それに対して、平成二年から三年にかけまして議員立法で全会一致で可決、成立した法案があるわけでありまして、そのときの対応で益税解消に向けての前進があったわけですけれども、また四月一日からさらにその前進があるということなんでありまして、その側面を簡単に教えていただきたい。お願いします。
○政府委員(薄井信明君) いわゆる益税についての御質問でございます。
 平成三年に、御指摘のように全会一致によりまして消費税法の一部が改正されました。このとき前進したわけですが、今回消費税率が地方消費税を含めて五%になる際に、つまりことしの四月からということを期しまして幾つかの面で前進を見ているわけでございます。
 簡単に整理して申し上げますと、簡易課税制度につきましては、平成元年の消費税成立当初五億円という上限がございました。これが平成三年に四億円に下がり、今回、ことしの四月から二億円にさらに下がるということでございます。
 また、みなし仕入れ率というのが大きな意味を持つわけですが、創設当時は九〇%と八〇%、この二本でございました。これを平成三年の改正で七〇%、六〇%の区分を入れたわけでございます。今回、これに加えまして五〇%という区分を入れたということになります。
 また、限界控除制度、これは導入に際して、この種の税になれていない中小零細の方々を考えた場合、特に免税業者のちょっと上の方々が影響を受けるということで、当初上限六千万円ということで入れましたが、平成三年に五千万円に下げ、今回制度の廃止をするということにいたしたわけでございます。
 そのほか、申告の時期につきましても、当初は年二回ということでございました。中間申告と確定申告ということでございましたが、この中間申告を、ケースによりましてですが、年三回に増加するといったことや、添付資料の義務づけ等々につきましても整備をいたして今日に至っているということでございます。
○金田勝年君 限界控除制度、あるいは簡易課税適用上限の引き下げとか、みなし仕入れ率についての見直しとか、それから請求書等の書類の保存義務、そういったものについて抜本的な措置がとられたということでございますが、逆にやはり中小事業者、中小零細事業者のために残されている部分というものもあろうかと思いますが、そういうことも含めて、今後の考え方はどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(薄井信明君) 付加価値税、前段階税額控除の間接税というものが、一般的な間接税のなかった日本では非常に事務負担を負う、事業者にとってみれば煩わしい、あるいはコストがかかると、いろんな問題があったわけでございます。一方で付加価値税、また日本の消費税というものは、最終的には消費者が負担するものであるという税の性格。この両者をどうバランスをとるかということが大事なことでございまして、導入当初におきましては、先ほど申し上げましたように、中小零細事業者を中心とした事務負担についてかなり配慮をさせていただいたと。しかし、年々この税が取引の中に溶け込んでいきまして、いわゆる習熟といいますか、なれてこられているわけでございますから、そうなれば本来の姿に一歩でも進めていくということが大事かと思います。
 ただし、例えば免税点、三千万円でございますが、年間三千万円の取引というのは、大体普通の御商売されている方ですと使用人二人とか三人の規模でございます。そういった方々につきましてこれをさらにきつくしていくということは今の時点ではとても難しい問題だとは思っております。
 ただ、先ほど申し上げたように、このバランスというのはだんだん習熟していくということの方向ですから、今後の方向としては、例えばいろいろ金額基準がありますが、これを下げていく方向に行くのが方向だと思っております。
○金田勝年君 どうもありがとうございます。
 続いて、四月一日から消費税率が引き上げられるということなんですが、それが円滑に実施されるということが非常に重要だと思うんですが、政府としても責任を持って対応することが重要なんですけれども、転嫁が行われるかどうか、便乗値上げが行われないかどうか、そういういろいろと視点はありますけれども、円滑な実施に向けた取り組み姿勢について簡単に教えていただきたい。
○政府委員(薄井信明君) この消費税、つまり付加価値税というものは、間接税一般にそうですけれども、ものの値段の中に税金が入ってそれを購入していただくということで、消費者に負担していただくというシステムでございます。そういう意味で、ものの値段との関係が非常に密接でございます。となりますと、税金以上に、便乗値上げとよく言われますが、そういったものが生じないようにしなければいけない。一方で、力のない事業者が税率が上がっても値段を上げられないという状況で転嫁が難しいということも避けなければならない。
 これは、ある意味では裏腹でございますが、この両面を中心に適正にこれが運営されるように私ども努力しておりまして、平成元年以来やってきていることではございますが、今回の消費税率引き上げに際しましても税制改革実施円滑化推進本部、これは閣僚レベルでございますが、ここにおきまして各省が連携して今申し上げたことが円滑に進むようにという努力をいたしているわけでございまして、関係団体を通じた講習会の開催、マニュアルの作成あるいは相談窓口の設置等々、できる限りのことをやっております。
 特に平成元年の経験がありますので、これを十分に生かして努力しているということを御説明したいと思います。
○金田勝年君 消費税率の引き上げに当たりまして、平成六年十一月の税制改革関連法ですけれども、この法律でいわゆる検討条項というものが付されて、それで社会保障に要する財源を確保する、観点、租税特別措置の整理合理化や消費税の課税の適正化の状況、それから行財政改革の推進状況、財政状況を総合的に勘案して五%でいいのかどうかを検討することとされていたわけですけれども、どのように検討して判断されて五%を実施するという結論に至ったのか、その簡単な整理を教えていただきたい。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のように、法律の附則に御指摘のような規定、いわゆる検討条項がございました。税率につきましての検討条項でございまして、消費税の税率については、今御指摘のような点を総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずることとするとなっておりました。
 この趣旨を簡単に申し上げれば、四つの項目につきまして検討した結果、五%のままではよくないということであれば去年の九月三十日までに、政府の立場から申し上げれば、そういうことを政府が意識した場合には去年の九月三十日までに法律改正をして税率を変えなさいという規定でございました。
 この四点につきまして、法律制定後、各年度の予算編成時、あるいは平時におきましても議論を重ねてまいりました。その結果、五%はそのまま変更せずに実施することが必要であるという結論を去年の六月に政府としては出しまして、閣議決定によりまして国民の皆様にお知らせしたということでございます。
○金田勝年君 一方で、特別減税の取りやめというか所得課税の負担軽減の方を考えてまいりますと、まず平成六年に一年限りということで所得税、個人住民税について五・五兆円の特別減税を行った。平成七年からは恒久的な制度減税、ですからこの九年度も続くわけですけれども、一年に三・五兆円という規模で制度減税がスタートをしたと。これはもう税制改正を行わない限りずっと続いていくわけでございまして、こういうものがあるということをきっちりとやはり国民にわかっていただく必要があるのではないかと私は思うんです。
 それに加えまして、特別減税は、平成八年を振り返ってみますと景気対策としてやったということなんでしょうが、赤字国債を発行しながら実施したんだというところがポイントだというふうに私も聞いておるわけであります。赤字国債を発行しながら特別減税を八年度はしたよと。しかし、今の経済状況、財政状況を総合的に考えればこれは九年度は取りやめざるを得ない、こういう判断に至ったというふうに聞いているんですが、その辺の状況をちょっと教えていただきたいと思うんです。
 結局、特別減税が廃止された場合には、平成六年から八年までで既に十六兆五千億の先行減税が行われている、それから三・五兆円規模の恒久的な今言いました制度減税は続いておるんだと。それから、今言いましたように特別減税については赤字国債を八年度は財源としたんだと、ですから将来の世代の負担に基づいて減税してもらっても親である私たちは余りありがたくないなという世界の話につながってくると、こういうことだと思うんです。
 そういう意味で、九年度に継続しょうとした場合には将来の負担を増加させるわけで、その赤字国債の分を、私は赤字国債と建設国債というのは違うと思っておるんですけれども、赤字国債で賄った分を先送りしてしまうというような特別減税であれば、それはよほどのことがない限りやるわけにはいかないというふうに思うわけでありますが、その辺どういうふうに考えられるか、教えてください。
○政府委員(薄井信明君) 平成六年秋の税制改革は、最初に金田委員御指摘いただきましたように、所得税、個人住民税の負担の今日におけるあるべき姿について議論をした末に、いわゆる制度減税、恒久減税としてそれを平成七年一月から先行して実施したと、これも御指摘のように、今後法律を直さない限り今後ともこれは続いていくという状況にあるわけです。
 一方、景気との関係から個人の負担の問題とは別に二兆円規模の特別減税を七年、八年とやってきておりまして、八年は特に財源がなかったものですからいわゆる赤字国債を財源に実施したということで、このことを整理して申し上げれば、所得税、個人住民税の負担のあり方としては制度減税で完結しておって景気対策のために行ったわけでございます。したがって、平成九年についてさらにこれを続けるかどうかは景気との関係を考えた場合に判断しなければいけない。
 これは、赤字公債で減税すれば景気にマイナスということはあり得ないわけですが、しかし中長期的には財政が悪くなるということが、クラウディングアウト等々の経済効果を通じて経済にマイナスになるという面がありますし、それから御指摘のとおり赤字公債分はいずれ税金で返さなければいけない、こういうことを考え、一方ことし、つまり平成九年度の景気を考えた場合に、消費税率が上がり特別減税はやらないという状況の中で実質一・九%の経済成長が見込まれるということでもありますから、これは実施しないことが国民のために必要であるという判断をしたということでございます。
○金田勝年君 そういうことで両方比べて見てまいりますと、結局消費税率の引き上げは、七年から実施されている所得税それから個人住民税の減税の財源ということになるわけでありますし、景気に配慮して実施時期をずらしたのではないかという受けとめ方もできるというふうに思うわけであります。そして、平成九年度からはようやく平成六年十一月の税制改革が本来目指した姿にやっと到達するものだというふうに言えるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、税制改革ということでトータルとして見た場合に、今度は国民経済に与える影響ということでちょっと二、三お聞きしたい。税制改革の影響を税負担という側面から見ますと、まず一連の税制改革の前の平成五年度、そして平成九年度、この間の租税負担率の推移を伺いたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 平成五年度は、いわゆる改革前でございますが、国、地方を合わせたいわゆる租税負担率は二四・四%でございます。平成六年度が二三・二、七年度が二三・三、八年度が二三・三、そして予算上ですが平成九年度が二四・四になります。
 したがいまして、六、七、八と、一%ポイント強租税負担率が低いと。平成九年度の水準というのは平成五年度とたまたまかもしれませんが同じ数字になっているということでございます。六、七、八に先行減税が五・五兆円規模で行われたということが、ここにあらわれているということかと思います。
○金田勝年君 今、主税局長言われたようなことも、もっと国民にわかりやすく話をしていただければいいんじゃないかなというように思うわけであります。
 それから、年収七百万円の標準的な勤労世帯の税負担額について、今回の税制改革の前の、前回の抜本改革というのは六十二年、六十三年、平成元年とやったわけですけれども、そのときの改革前と比べて今回の税制改革あるいは今回の税制改革前と比べて現状、要するにこの四月一日以降が税負担の増減がどうなるのかということも、ちょっとあわせてお教えいただきたい。時間がないので簡単にお願いします。
○政府委員(薄井信明君) 今、平成元年前ということでかなり前になるので、ちょっと計数が間違っていれば後ほど訂正いたしますが、平成元年前後の消費税導入前後に減税を何回かやっておりまして、それ以前となりますと昭和六十一年の税負担との比較ということになろうかと思います。
 例えば、年収七百万円の勤労者世帯、しかも夫婦子二人の標準世帯ということで計算いたしますと、当時所得税の負担は九十万円弱、八十九万円程度であったかと思います。これが現在、制度減税が何度か行われたことによりまして四十六万円台になっておるかと思いますので、そういう意味では三十数万円、当時に比べれば七百万円の段階で税負担は下がっているというふうに把握しております。
○金田勝年君 要するに、六十二年、三年、平成元年という前回の抜本改革、それから平成六年、七年、八年、九年にわたる今回の税制改革というので、前回の方では低中所得者といいますか若い人たちも含めて、そういうところを中心にかなり負担の軽減がなされておる。そして逆に、今回の税制改革では働き盛りの中堅所得者層に対する税負担の累増感を軽減しようと意図したと。所得税、住民税の関係でそういうふうに措置してきたということがはっきりしておるわけでありまして、今の数字、教えていただいたことはそういうことを意味するのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 いずれにしましても、今回の消費税引き上げ、それから特別減税の取りやめですけれども、そういうセットのいわゆる平成六年からの税制改革の仕上げというものは全体として見れば大事なポイントですが、常に税というのは所得課税、消費課税、資産課税、そういうバランスを大事にしながら考えていくというポイントがあるわけでありまして、それではそういう側面から見た場合には、かつてOECD二十四カ国の中で一番低いと言われた消費課税の割合、そして所得課税、法人課税、そういうものに頼る割合が非常に高かった我が国の税制構造が、やはりそういう意味で二回の制度改正を通じて是正されてきておって、そしてほかの欧米先進国と一緒に比べてみてもそういう後追いをしているという考え方が成り立つと思うんですね。
 そしてまた、今回の消費税を引き上げた分の地方との関係、国と地方との関係でいけば、平成九年度以降は、御承知のとおり、地方消費税一%分と地方交付税と合わせれば消費税五%の中の四三・六%が、私が聞いたところでは地方の取り分となるんだと。これがこういう改正をしなかった場合には地方譲与税と地方交付税で三%だったんですが、そのうちの三九・二%地方に回る。ですから、その割合も高くなっておる。こういうふうな状況で、やはり今回の措置が伴わないと非常にバランスという意味から考えたときにいい意味を強調することはできないのではないか。だから、全体として一つの大事な税制改革であった、こういう点を非常に感ずるわけであります。
 そういうことで、いろいろとこの辺もお聞きしたいわけですが、時間の関係もありますので、ここはそんな理解でいいかどうかだけ、局長、お願いいたします。
○政府委員(薄井信明君) 今、御指摘のとおりに私も感じております。
○金田勝年君 ということでございます。私と局長の意見がたまたま一致したわけですが、今のお答えで非常に私も頭が整理されてきたように思います。
 最初に申し上げましたように、ぜひ大臣にお願い申し上げたいのは、今上がるのは嫌だとかこれだけをやるのは嫌だとか、いろんな意見があると思いますが、全体像をわかりやすく教えていただく、国民に正確な情報を過不足なくお伝えして、そして理解していただくというプロセスがこれからは一番重要だと本当に心から思うわけでございまして、その点、大臣には二度お聞きしてもなんでございますから、お願いを強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、法人税改革であります。時間の関係でどんどん早口になって申しわけありませんが、法人税改革を考えた場合に、今橋本内閣の六つの改革の中で規制緩和を含めた経済改革、それから金融システム改革、そういうものもあるわけであります。我が国というのは経済社会構造が物すごく今変化しつつある。そして、新規の産業をつくっていかなければいけない、そしてまた企業活力を発揮させなければいけない、いろんな前提があります。企業はどんどん海外展開をしていく、そして経済もボーダーレス化が進んでいる、後からもいろいろ申し上げますが。ですから、日本の企業というのは、日本というのは経済力で世界に伍してきた、そして自信を持って物を言ってきた、そういう国なんですけれども、その日本企業が欧米とかアジアの新興国の企業と非常に厳しい国際競争に今さらされておる。
 そういうときに問題になるのは法人税率、法人課税。法人税率というと地方が入りませんのであえて法人課税と申し上げますが、海外からの我が国への投資意欲が減退する、あるいは投資が阻害される、これは高い税率がハードルになってそうなるということでございます。あるいは、我が国の企業が海外子会社をつくって、そして利益を向こうに置いて我が国に還流させないようにするとか、いろんな問題がどんどん出てくる、こういう時代になっておるわけであります。そうなりますと、企業の競争力という基本的な問題から考えても、人件費とか地代、企業の技術開発力などさまざまな要因もあるんですけれども、法人税や事業税といったような税負担のあり方も基本から議論して検討しなければいけないのではないかと思うわけであります。
 そのときに、私どもの国は、国、地方を通じて法人課税の表面税率というのは四九・九八%なんです。ドイツは五二、三%なんですけれども、あとほかの国はアメリカが四一%、イギリスが三三%、フランスが三六%ということで、日本がドイツと並んで非常に高い。また、いろんな競争の中でキャッチアップしてきているアジアの国々というのはタイとかマレーシアが三〇%、そしてシンガポールが二六%、香港が一六・五%ということで非常に低くなっておる、そういう状況であります。
 そうしますと、国際競争の中で我が国の企業活力を発揮させるためには税率を引き下げるということをぜひとも検討しなければいけないということになるのでありますが、各国の最近の法人税改革の状況というものをちょっと教えていただきたいなと。そして、去年の十一月に政府税調の法人課税小委員会報告というのが出ておるんですけれども、その中で書かれたことも含めて、今回の九年度の税制には入らなかったんですけれども、簡単で結構ですから思いというか経緯というか、そういうことについて簡単に説明してもらい、特に最近の法人税の改革の状況はドイツについて触れていただき、また今のことを簡単にで結構ですから、よろしくお願いします。
○政府委員(薄井信明君) 各国のいわゆる調整後の表面税率は御指摘のとおりでございまして、そういう水準に至るまでの経緯みたいなものを簡単に申し上げますと、アメリカにおきましてはレーガン政権下の一九八六年の税制改正におきまして投資税額控除だとか加速度償却制度を見直したり、あるいは貸倒引当金の原則廃止といったようなことによりまして、いわゆる課税ベースの拡大を行いました。これと同時に税率を、最高税率四六を三四%に引き下げております。当時の計算によりますと、全体としてはその結果、法人税増税になっている改正を行っているわけですが、税率は下がっているということでございます。その後、クリントンの政権下におきまして一九九四年に法人税率を一%上げまして三五%にしております。
 それから、イギリスにおきましては、サッチャー政権下の一九八四年度税制改正におきまして在庫評価の特例措置の廃止等々の課税ベースの拡大を行いました。これと同時に法人税率を五二%から引き下げまして、段階的に下げたわけですが、三五%まで下げております。その後、メージャー政権で付加価値税率の引き上げが行われました一九九一年の改正で、法人税につきましては税率を二%下げて三三にいたしております。
 ドイツにおきましては、一九九〇年、九四年の改正で、これも減価償却制度の見直し等の課税ベースの拡大を行いながら、税率の引き下げが行われております。留保分五六%を四五%にする、配当分三六%を三〇%にするといったようなことが行われているわけです。なお、一九九五年以降、法人税額の七・五%の付加税が課されております。これは東西ドイツの統合との関係があったかと記憶しております。
 それから、フランスにおきましては、一九九三年の改正で税率が三四%から三三カ三分の一%というところに下がってきております。なお、一九九五年以降、税額の一〇%の付加税を課しております。これは、たしか雇用問題等々のための財源あるいは財政構造の改善ということから行ったと承知しております。
 なお、昨年の法人税の議論についての御指摘でした。簡単に申し上げますと、一昨年来、法人課税につきましては確かに税率水準でいうと、法人課税日本は高いという認識を私どもも持っておりまして、ただ法人の負担ということからしますと、税率だけで比較するのはおかしく、課税ベースと一緒に議論すべきであるということから一昨年来議論をしてまいりました。その取りまとめが政府税調で出てまいりました。その中から一部を取り出して引当金部分について是正を行い、それに見合う財源で税率を下げられないかということを検討いたしましたが、成案を得るに至らず今日に至っておりまして、今後の課題としておるわけでございます。
○金田勝年君 今のお話の経緯の中で、私が聞いております限りでは、昨年のその大蔵省の検討は、今ドイツもそうだというふうにおっしゃったんですけれども、課税ベースの見直しと法人税率の引き下げという形で進めておられた。税率一%下げると日本の場合は、法人税の場合は四千億という財源が必要だというふうに言われておりますし、その課税ベース、どういうふうに見直して何億出てくるのかというふうな点については、今時間の関係で聞きませんが、要するに非常に難しい話になってくる。
 しかし、この問題はやはり日本の経済の企業活動が活性化するということが基本にある話でございますから、税率一%でじゃ経済的効果はどうなるんだという議論をされると非常に弱いんじゃないかなというふうに思いますし、逆に課税ベースを見直しして、また新たな租税特別措置の及ぶところ及ばないところでいろんな差が出てきます。業種間にも差が出てくるでしょうし、そういうことについてやはり、慎重に検討はされているんでしょうけれども、もっといろんないい知恵がないかなと、こういうふうに考えていってほしいなと思うわけであります。
 財源の選択肢としては、皆様御承知のとおりに、赤字国債の発行なのか、それで法人税の年度減税を行うのか、あるいは歳出の削減をして法人税率を下げるのか、あるいは消費税とかほかの税金の税率の引き上げでそれをカバーするのか、あるいは法人課税の枠内での今の課税ベースの見直しあるいは法人税そのもののいろんな知恵を出していくのか、そういうことになっていくんだろう、こういうふうに思うわけであります。
 財政構造改革を強く推し進めなければいけない、そういう現状であれば財源問題が非常にネックになってくるわけですけれども、もちろんその赤字国債の発行でというのは論外でありますし、それから消費税の引き上げとかそういうものも、税のバランス論はありますけれども、それはやはり十分な議論と理解とコンセンサスを国民から得る必要があるでしょうし、なかなかすぐにできるという話ではない。だからこそ、これに対する皆様の検討というのは非常に重要で物すごく日本経済にとっても大事な話であり、かつ国民にとっても大事な話だということを踏まえていろんな知恵を出していただきたいなと。
 そのときに、例えば今赤字法人とか公益法人、そういうものに対して何かアプローチできないんだろうか、そういう考え方も私は持っておるわけであります。我が国の法人数は今二百五十四万あります。そのうち約六四%が赤字申告であります。三分の二が赤字申告で、黒字の法人というのがまあ三分の一、百万を切るのであります。ですから結局その赤字法人の、もっと詳しく言えば繰越欠損金控除前、欠損の繰り越しによる赤字法人化しているものがそのうち二〇%ありますから、それを除けば本当のこの期ごとの赤字で出てくるのは四四%というふうに聞いておるんですが、ですから、その繰越欠損金控除の制度はどういうふうに考えたらいいかとか、あるいは赤字法人課税として例えば外形標準でとらえて何かできるのかできないのか、しかしそういうことを考えることも知恵の一つだと思いますし、それから公益法人は今二十六万あります。これらについてはどういうふうに考えていったらいいのか。そういうふうなことをいろいろと知恵を出していくんだろうな、議論されるんだろうな、こういうふうに思うわけであります。
 そこでもう一つは、外国と比較をしますと、自治省来られていますね、国の法人税に比べて、法人課税の見直しでございますから、法人住民税とか法人事業税についての議論というものも十分に行われなければいけない、当然のことですけれども、そう思うわけであります。特に、地方の法人課税の見直しというものも必要だと。ですから、今のようなそういうふうなことを全部あわせて今後検討されていくんだろうなと、こういうように思うんですが、主税局長と自治省から一言ずつ簡単にお答え願います。
○政府委員(薄井信明君) 赤字法人課税あるいは外形標準に対する課税ということについての御質問だったかと思います。
 御指摘のように、赤字法人の件数が非常に高まってきておりますが、これは必ずしも分析ができているわけではありませんけれども、不況期の繰越欠損が今日景気がややよくなってきた中でいまだにその法人の申告のベースでは影響が出ているというふうに見ることもできますし、一方で傾向的にトレンドとして赤字法人比率が高まっているということも考えられるわけでございます。
 いずれにしましても、赤字法人比率がこれだけ高いというのは何かおかしなところがあるんではないかという考え方を持つのは当然のことでございまして、そういう意味ではどういうアプローチがあるか。一つには、先ほど来話題になっております課税ベースが適正化すればそういった問題の解決策になってくるのではないかというアプローチがあろうかと思います。もう一つは、外形標準といったようなことでございますけれども、所得課税としての法人税の枠内での対応が可能かという問題はあるわけですが、いずれにしましてもこの問題については今後とも検討していきたいと思っております。
 なお、欠損金の繰り越しについてもちょっと御指摘ありましたけれども、これを制限することはなかなか難しい問題があるのかなと、法人税の税負担の合理化を図るための仕組みとしての繰り越し制度ですので、この点を配慮しなければいけないなと思っております。
○説明員(石田直裕君) 地方の法人課税についての見直しでございますが、先ほども薄井局長言われましたけれども、国税におかれましても課税ベースを拡大しつつ、その結果法人税率の基本税率を引き下げることができればその方向でやっていくことが望ましいと言われたことでございますけれども、私どもも、地方の法人課税につきましても税収中立を前提といたしまして、同様の見地から税率を引き下げていくことが望ましいというふうに考えております。
○金田勝年君 ぜひ、国際化時代の経済の活性化という視点をもっと重視して検討を進めていっていただきたいなと思うことと、それからもう一つは、やはり法人側からしますと、国も地方も両方議論が必要だというのは当然でありまして、国の議論だけではだめなわけで地方の議論も、法人側から見れば両方必要だということも踏まえていかなければいけないんじゃないかというように思うわけであります。そして、今回復しつつある景気の足元を確かなものにし、経済構造改革を二十一世紀につなげていくというのはこの分野も同じだと。経済構造改革それから金融システム改革にもつながるわけですけれども、そういうふうなことをぜひ、そして課税ベースの見直しに当たっては同時に国際基準というものも考慮に入れていただきたいな、こういうふうに思うわけであります。そういうことで、いろいろと申し上げましたが、時間の関係で進ませていただきたいと思います。
 そこで、九年度税制改正の経緯とかいろんなものを踏まえますと、今の二つが非常に私は肝心というか重要だと思いましたので、消費税と法人税、それから特別減税の話に触れたわけであります。続いて、税法の中身として、住宅土地関連でございますが、このたび改正が幾つか行われておるわけであります。そういう中で、このたびの住宅取得促進税制の改正の意義づけを、ぜひお聞きしたいと思うわけであります。
○政府委員(薄井信明君) 住宅取得促進税制について、今回改正を出させていただいて御審議いただいているわけでございますが、この税制、減収額が、推計ですけれども、六千六百十億円と租税特別措置の中では突出して大きな規模になっております。その必要があってやっているわけでございますが、一方で歳出面の住宅対策も含めますとかなりの額になるわけでございます。
 それから控除額、ミクロで言いますと、一人一人の控除額が最高限度三十万円ということで、今回の改正では三十五万円にする部分ができるわけでございますが、この三十万円という金額は、平均的なサラリーマンが給与収入七百万円程度ですと、一年間に納める所得税額は二十六万六千円でございます。それを超えるということで、それとの関係で考えたときに、住宅対策の重要性ということを認識しつつも、この租税特別措置の大きさについては常に関心を持っているわけでございます。
 そういう意味で、経済対策、景気対策というような観点から拡充に拡充を重ねてきた面もありますので、この点については中長期的な面からいったときには望ましい姿というのは、もうちょっと縮小した姿ではないかなと思っているわけでございます。この点については、政府の税制調査会等でも指摘をいただいていたところでございます。
 こうした中で、じゃ平成九年をどうするかということですが、平成九年の経済の状況、景気の足取りを確かなものにしなければいけないということを考えますと、住宅需要というものについては関心を持たざるを得ないということで、当面の平成十二年までの間のいろいろ指摘されている問題を踏まえまして、制度の適正化を図っていきつつ当面の刺激を行う、二つのことをねらいまして今回の改正を出させていただいております。
 具体的には、借入金の年末残高が一千万円以下の部分につきまして控除率を一・五%から二%に引き上げるということでございまして、当初二年分だけこれを行わせていただくということでございます。ただし、平成十二年までに段階的にこれを引き下げまして、十二年の段階ではかつての姿に戻していくということにいたしておるわけでございます。この五年間の一体的な措置として仕組み直させていただいたということでございます。
○金田勝年君 景気の足取りを確かなものにするために、平成九年中心に住宅需要刺激策を打ったというふうに今おっしゃられたわけですが、一方で、中期的には合理的な制度となるよう配慮したということも趣旨としてお聞きしたわけですが、この改正につきましては阪神・淡路大震災で被災された方々に対しての住宅再建の際の配慮というものも一段と配慮されていることは非常に望ましいことだというように感ずるわけであります。
 次に、土地税制でございますが、去る二月十日に閣議決定されました新総合土地政策推進要綱というのがございます。これは土地政策について非常に画期的な見直しといいますか転換といいますか、地価の抑制から土地の有効利用へという転換を行った考え方が要綱として示されたわけですけれども、こういう中でやはりまだ不良債権の担保土地とか、虫食い状態の土地とか、権利関係の複雑な土地とかいうものは放置されたままになっておりますし、金融機関の不良債権問題なんかも含めて土地問題の解決のためには土地の有効利用を図ると。そういう意味で、円滑な土地取引の確保も重要だと。そういう意味で、土地税制が果たすべき役割というのは非常に大きいのではないかというように思うわけであります。
 こういう中で、今回の土地税制の改正内容というものは、登録免許税、不動産取得税について手当てをしていただいてはおりますが、そのほかに譲渡益課税とか、地価税と固定資産税の関係、あるいは固定資産税についてはことし、かなり新しい発想で調整が行われているようでございます。そういうこととか、譲渡益課税で言えば法人の土地重課の問題あるいは昭和六十二年からの負債利子控除の制限の見直しの問題とか、いろんな検討の話があると思いますし、あるいは個人の譲渡益課税、これは今四段階になっておるわけですが、これをどういうふうに見直しするかとか、まだまだいろんな残された課題というものはあるというふうに思うわけであります。
 こういうことを平成十年度以降の税制改正に向けて、もっともっと土地政策、この要綱にも書かれておるわけですが、その考え方を踏まえて議論を進めていかなければいけないのではないか、こういうように思うわけであります。
 そこで、一点だけ。ことしの土地税制の改正が、小規模にとどまっているというように私は思うんですが、抜本的に見直すべきではなかったかという点について、一言お聞きしたいと思います。簡単にお願いいたします。
○政府委員(薄井信明君) ことしの税制改正の中で、土地税制関係が少ないという御指摘でございました。この点につきまして端的に申し上げますと、土地税制につきましては、もう昨年、一昨年あたりから土地をめぐる状況に大きな変化があったというふうに認識しておりまして、既に平成八年度、昨年度というか当年度といいますか、平成八年度税制改正におきまして、一歩先んじてといいますか、土地の保有、譲渡、所得の各段階にわたる税負担を総合的に見直させていただいたわけでございます。それが今動いていて、その上でことし何をやるかということで、改正事項としては御指摘のようなことになるかと思いますが、去年の改正を土台にことしの改正があるというふうにごらんいただきたいと思います。
 なお、いずれにしましても土地政策あるいは土地税制につきましては、今後とも土地の有効利用の促進という観点から適切な方策を探っていくということは当然のことかと思います。
○金田勝年君 先般の三月十八日、大蔵大臣が担保不動産の流動化策というものを記者会見されました。三月中に方針をまとめるというふうに言われたんですが、そのことについてもちょっとお聞きしたかったんですが、時間の関係でまた別の機会にさせていただきたいと思います。
 続いて、社会経済情勢に対応するために、経済を覆っている閉塞感というものを吹き飛ばして、新しい産業や企業活力を生み出すということが重要な課題であることは、先ほどから申し上げているとおりであります。今回の法案の中にエンゼル税制それから地域空洞化対策、それぞれ実体法があるわけですけれども、それにこの税制の面からもサポートしよう、こういう新しい言ってみれば租税特別措置が設けられたわけであります。こういうものをつくった場合には、ぜひその政策目的が完全に達成されなければいけない、私は基本はそこにあるというように思うんですが、租税特別措置をそういうふうに二点設けたその対象として、どういう企業がどのぐらいそういう期待にこたえてくれるのか、そういうふうなものをしっかりと通産省としては見きわめてやっておられるのかどうか。
 それから、税当局としても、やはりこういう新たな政策的な意義を認めて措置したわけでございますから、これは非常に重要なことだと思うんですが、これをぜひ通産省とよく連絡をとって、こういうものが有意義に運用されるということを確認していっていただきたいなと。そういう意味で、通産省の方から一言だけ、この二つの税制に対する自信のほどと、その意味づけを簡単におっしゃっていただきたい。時間がありませんので、簡単に。
○説明員(松島茂君) エンゼル税制について御説明申し上げます。
 我が国の経済構造改革を達成する上で、新規産業の創出というのは、先生おっしゃるとおり大変重要でございます。このために、ベンチャー企業の育成を図るということをやってまいりたいと考えております。我が国において、豊富に存在する民間資金がベンチャー企業にはまだ十分向けられていないという現状にございます。こうした現状を打開いたしまして、ベンチャー企業への円滑な資金供給を通じまして、経済構造改革に不可欠な新規産業の創出を促進しようということで、これまでもベンチャー企業と投資家の出会いの場の創設など、環境の整備を図ってきたところであります。
 今回、これらに加えまして、個人投資家がベンチャー企業に投資を行う際の投資リスクを軽減する新たな税制措置、いわゆるエンゼル税制を創出しょうということといたしているところであります。対象企業といたしましては、創業五年未満の企業であって、試験研究費等の費用が一定比率を超えるものなどとすることを予定しております。こうした企業が実際どのくらい存在するかというのは、具体的な数字で言うのは大変難しゅうございますが、相当数の企業がこの対象になるものと考えております。
 いずれにいたしましても、これらの措置によりまして、個人投資家の資金が少しでも多くのベンチャー企業の創出、成長につながるように、我々としても努力してまいる所存でございます。
○金田勝年君 しっかりと地域活性化のために、
 どういう地域をどういうふうに指定していくのか。例えば、地域空洞化対策といってもそういうところをしっかりとまた別の機会に教えていただ
 きたいなと、こういうふうに思うわけであります。
 今、ベンチャー企業を対象としたエンゼル税制のところだけ説明いただきましたけれども、一言だけ簡単にお願いします、時間がないですから。
○説明員(岡田秀一君) 御説明を申し上げます。
 日本の物づくりを支えております基盤技術を持っている産業集積あるいは産地などの地域経済の担い手となっております産業集積の空洞化が懸念されておりますので、これらの集積内におります企業の技術開発力の強化などを税制を通じまして図っていくことによりまして、産業の空洞化を防止していきたいと思っております。
 通産省といたしましても、大蔵省と連絡をとりまして、施策の有効性を確保していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○金田勝年君 そこで、あと今非常に重要なのは、金融システム改革がございますし、金融ビッグバンに向けた動きを総理指示のもとに着々と進めておられる。銀行局、証券局両方で、審議会で六月までに報告を示すというふうに聞いておるんですが、取りまとめ作業も進んでいる。そして一方で、フロントランナーとして外為法の改正もあるということで、金融取引については非常に税制が重要な要因になってきておるんではないか、これもまた諸外国との関係を十分踏まえてやっていかなきゃいかぬと思うんです。例えば、外為法が改正されますと資金の動きが出てまいりますから、資料・情報制度も充実していかなきゃいかぬとか、いろいろと検討しなきゃいかぬことがある。あるいは、有取税や取引所税はかつてからいろんな議論がある、そういうふうなことに対してどんどん対応していかなければいけないという状況に今及んでおるわけです。時間の関係で余り言えませんが、大臣、一言ちょっと教えていただきたいというか、お願いなんですけれども、その後にもう一問ありますので、どうかひとつ簡単にお教えいただきたい。
 要するに、行財政改革を今やらなければいけない非常に重要な時期に当たっている。そのときに、税制面も法人課税の軽減問題あるいは土地住宅税制の問題、もう軽減しろという声もある。それで、エンゼル税制や今言ったような社会経済情勢を踏まえた税制もある。それから金融関係の税制の問題もある。それから、最初に触れたような消費税や所得税、住民税のそういう基本となる税制の問題もある。そういう中で、さまざまなあり方が今本当に壁にぶち当たっていて、急速に取り上げなければならないさまざまなあり方というのがもう本当に個々にいろんな事情があるんですけれども、これは行財政改革という中で取り組んでいかなければいけないわけです。
 そのときに、私は思うんですが、要するに基本というのは日本の国をどういう経済社会に改革していこうと思っているのかと、その基本だと思うんです。ですから、そのための税制はどうあるべきなのかという、その二点が私は基本的な論議が必要なんじゃないか。日本はどうなるんだと、二十一世紀。どういうふうな経済社会に持っていくのかということを十分議論して税制改革というのをしていかなければいけない、本当にそう思うんです。税というのは非常に政治的な側面が多いわけでありますし、その辺についての大臣の御理解といいますか、御決意といいますか、そういうものを簡単に一言だけ、政治家としてで結構でございますから、お願いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 大変重要な問題なんです。税収があればすべてうまくいくわけです。そうはいかないところに基本的な問題があるわけです。よって、行政改革が極めて重要と、こうなりました。
 国と地方の分担、分権を含めて果敢にこれをやってまいりませんと、国庫支出金、補助金の問題が相並行して出ますものですから、そういう点から考えますと、国民負担率はどうするのか、受益者負担はどうするのかと、こういう論議にもなります。要すれば、敗戦後、貧乏なときの我が日本は、ありとあらゆる法制の中で祖国再建、福祉国家の建設のために努力をしました。ここまで参りました。ここまで来た以上、みずからでき得る分野は何なのかということの理解の中で、行政経費、いわゆる行政に頼る分野は何なのかと。地方団体は何をなすべきなのかと、国民一人一人受益者としてどうあるべきなのかと、こういうところに帰着をするのだろうと思うんです。そうしますと小さな政府と、当然そうならざるを得ません。
 そういう点で、何から何まで政府が抱えてやるという時代は終えていかなければならないのだろうというところで、格段のまた御論議をいただきながら御理解を賜る、御提言をいただくと。特に、橋本内閣必死の形相、不退転で五原則を出しました最大の理由はそこにあります。よろしくお願いをします。
○金田勝年君 最後に一言だけ。
 今、制度面でのそういうことで御質問させていただきました。執行面で一点だけでございますが、私はきょうは質問は申し上げませんが、やはり今のそういう国際化、そして高度情報化、機械化、そういうことを踏まえますと、その税務執行の職員が中高年層職員を中心に非常に頑張っております。国税局、税務署の特にスタッフ、専門職を中心に、処遇、ポスト、それから機構の充実をぜひ図っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○楢崎泰昌君 金田さんに引き続きまして質問を申し上げますが、酒税法等について御質問を申し上げます。
 今回の酒税法は、WTOの裁定に応じて、九年の十月−十三年十月の五年間にわたって、三段階に分けてしょうちゅう、ウイスキー類等の税法を改正することになっていると承知をしております。ただ、履行期限について、米国がWTOに長過ぎるじゃないかと言って救済を申し出たということのようでございますが、この点について若干の御説明をお願いします。
○政府委員(薄井信明君) 我が国の蒸留酒につきましての酒税問題につきましては、昨年の十一月一日、WTOの理事会におきまして、いわゆる上級委員会報告というものが採択されました。その内容は極めて我が国にとりまして厳しい内容でございまして、大変残念に思っているわけでございますし、その衝に当たった者として大変申しわけないと思っておる次第でございます。
 今回、この報告に沿って改正を行おうということで、今回の酒税法の改正法案を出させていただいております。その内容につきましては、税率水準その他につきましては問題はないと思いますが、アメリカとの関係で御指摘のような問題が今残っているということはそのとおりでございます。
○楢崎泰昌君 アメリカの方は十五カ月ということで申し入れをやっているようですが、これについては外交交渉のことでもあり、しっかり関係各国の理解を得るように努力を継続させていただきたいと思います。
 この中で、特に今度の改正の中で、中小企業者が非常に多いしょうちゅう乙類業者、これが非常に困難を訴えております。税率はリッター当たり百二円から二百四十八円、約二・四倍に引き上げられるという内容のようですが、これについて一層の近代化等を進めていかなければならないんではないかというぐあいに考えておりますが、これについて対応策等をどのように考えておられますか。
○政府委員(船橋晴雄君) お答え申し上げます。
 今般のWTOの勧告を受けた酒税法改正案におきましてただいま御指摘のような税率アップが行われ、特にしようちゅう乙類につきましてはそのほとんどが中小零細企業であるというようなことでございます。したがいまして、このしょうちゅう乙類製造業者が自助努力のみでその影響を克服していくには限界があるというふうに私どもも考えております。
 こういった状況にかんがみまして、業界の構造改善、経営の近代化を一層促進していく観点から、現在、日本酒造組合中央会におきましてしょうちゅう乙類業対策基金の運用益によって行っている事業、これを大幅に拡充いたしたいというふうに考えておりまして、近代化、合理化など経営基盤の強化を図る者に対する支援事業及び転廃業を余儀なくされる者に対する転廃給付金の支給等の対策を講じることといたしております。このため、先般、平成八年度の補正予算におきまして、しょうちゅう乙類業対策基金の積み増しを二百億円お認めいただいたわけでございます。また、現在御審議いただいております平成九年度予算案におきましても、一般会計補助金三億三千三百万円を計上させていただいているところでございます。
 なお、近代化の問題につきましては、平成七年の七月に中小企業近代化促進法に基づく中小企業近代化計画を策定いたしております。現在、中長期的な視野に立った総合的な近代化を進めておりますが、このたびの税率引き上げによる経営環境の激変に対処していくためには緊急に業界の構造改善を図る必要があるということで、このしょうちゅう乙類製造業を中小企業近代化促進法の特定業種に指定いたしまして、業界が主体となった構造改善事業を実施し、一層の近代化に取り組むこととしておりまして、国税庁といたしましても、この構造改善計画の作成、実施について積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 それなりに対応策は考えておられると思いますけれども、さらに補正予算で近代化資金等について積み増しの必要があるということで、しっかりその間の措置をやってもらいたいと思います。
 さらに、しょうちゅう乙類については、原料関係で例えば泡盛ですとお米、これはタイ国米を輸入しているようですけれども、それから鹿児島県等のしょうちゅう業者ではサツマイモ等々、その原料について問題があるように思います。特にタイ国米は国で一括購入をするものですから、国際価格は三万数千円というぐあいに言われていますけれども、売り渡し価格は九万数千円という形で、非常に高い原料を使用している。サツマイモについても季節性がございますから、これを貯蔵するのに相当のお金がかかるというようなことを勘案して、十分な施策をとっていただきたいと思います。その点について、どうですか。
○政府委員(船橋晴雄君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のように、しょうちゅうにおきましてはタイ産米あるいはサツマイモ等を原料にしているわけでございます。原料米価格の引き下げ自体につきましては、当庁において措置できるものではございませんけれども、しょうちゅう乙類業界は従来から安価で安定的な原料米の供給を要求してきておりまして、国税庁といたしましても、こういった業界の要望を踏まえ、関係方面の御理解を得られるように努力してまいりたいというふうに考えております。
○楢崎泰昌君 ぜひそのように、ここら辺についても配慮の目を広げていただきたいというぐあいに思います。
 さて、今回の酒税の値上げの部分、ウイスキーは値下げになったわけですが、しょうちゅうの値上げに際して、先ほどもちょっと金田先生からお話がございましたけれども、消費税の転嫁をどうするかとかそういう問題が非常に強くなっております。酒税の円滑かつ適正な転嫁を努力していただきたいというぐあいに思っております。
 ところが、お酒については、大変恐縮な話なんですけれども、行き過ぎた安売りというのが非常に出てきているわけですね。DSその他で非常に大きな安売りをやっておられて、関係小売業等々について現在倒産が続いているというような事態も出てきております。もちろん安売りそのものはいろんな原則があるんだと思いますけれども、行き過ぎた安売りで近隣に迷惑をどんどんかけていく。特に規制緩和が今現在我が国で言われていますけれども、規制緩和は公正な競争を旨とするんですね。ところが、公正な競争でなくて、著しく近隣に迷惑をかけるような販売も行われているやに聞いているんです。
 酒税の増税に関連して言えば、一昨年ビールが値上げとなりました。そのときにダイエーがビールのむしろ値下げをやって販売をする。特に私どもの伺ったところでは、輸入原価、輸入のビールですけれども、百八円とか九円ぐらいの原価で輸入しているものを百円でお売りになるというような事態もございました。最近の事案としては、マツバドウという埼玉県の小売店が三百五十ミリリットルの缶ビール二十四本を、酒税が千八百九十一円なんですね、ところが千八百円で売り出している。税額を割り込んで売っている。そのような事例もあったやに聞いておりますが、一般的に極端な安売り、不当廉売と考えられているものについてどのように対処されているのか。公取が来ておられますので、公取の方に伺います。
○説明員(和泉澤衞君) 御説明申し上げます。
 先生御指摘のとおり、規制緩和の推進とともに我が国経済におきまする公正かつ自由な競争を一層推進していくということが必要となっているところでございます。こうした観点から、公正取引委員会といたしましては、規制緩和への取り組みにあわせまして、規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小企業者に不当な不利益を与える不公正な取引に対しましては厳正、迅速に対処するということといたしているところでございます。
 お尋ねの不当廉売事案に対しましては、これまでも適正な対処に努めてきたところではございますけれども、一層迅速かつ効果的な処理を図っていきたいと考えております。
○楢崎泰昌君 今、迅速適正な処理を行いたいと考えているというぐあいに言われていますけれども、実は公取が随分御努力なすっておられることはそれなりに認めますけれども、どうも対応が遅すぎる。それから目に見えない。一体公取として、どのような活動をなすっておられるのかというのが十分我々としては承知できないところがあるんですね。
 いわゆる不当廉売の原則として、原価を著しく割るとか、継続反復であるとか、近隣に影響を与えるとか、そういう原則があることは存じ上げていますけれども、我々が見ていると、特に目玉商品について特売をやっている例が非常に多いんですね。そのときにその原価だけを、卸売業者との協力もあるんだと思いますけれども、安くしておいてそして廉売をすると。そうすると、著しく原価を割ったことにならないじゃないかというようなエクスキューズがまかり通っているように考えるんです。
 私は、過去一定期間の仕入れ価格を下回ってはならないんだ、それは定価を著しく割っているんだというぐあいに当然認識をすべきであるというぐあいに思います。また、仄聞するところによれば、牛乳であるとかあるいはガソリンについて、そのような指導もなされているやに聞いていますけれども、お酒についてはいかがですか。
○説明員(和泉澤衞君) 独占禁止法で禁止される不当廉売とは、御存じかと思いますけれども、正当な理由がないのに商品または役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、その他不当に商品または役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるというものでございます。
 小売業の不当廉売に関する独占禁止法上の考え方につきましては、公正取引委員会といたしまして昭和五十九年にガイドラインを作成して公表しておるところでございます。このガイドラインにおきまして、供給に要する費用を著しく下回る対価とは、通常、仕入れ価格を下回る価格がこれに当たると考えられるとしております。ここで言う仕入れ価格でございますが、その廉売を行っている事業者の廉売対象商品の仕入れ価格でございまして、名目上の仕入れ価格ではなく、値引きなどがございます場合には、これらを考慮に入れた実質的な仕入れ価格とされているところでございます。
 お尋ねの点でございますけれども、このガイドラインにおきまして、不当廉売規制を免れるため、例えば廉売商品の仕入れ価格を低くし、その分を通常時の仕入れ価格に加算するなど作為的に仕入れ価格を低くしていると見られる場合は、その点を修正の上、通常の仕入れ価格で判断することとなる、この旨を明らかにしておりまして、法運用に当たりましてもこの考え方に基づいて行っておるところでございます。
○楢崎泰昌君 今御説明になった、価格を修正してというところですね、そこはどうも酒業界には徹底していないようですね。ぜひ公取としては、いろんなガイドラインがあると思いますけれども、そういうガイドラインだということを酒業界には徹底をすべきではないかというぐあいに思います。
 だから、今のガイドラインでいいんだと言うわけにはなかなかいかないので、近隣に影響を与えるとかいいましても、実は非常に立証困難でうやむやに終わっている例が多いんですね。私は、そのガイドラインそのものを再検討すべき時期に達しているんじゃないかというぐあいに思っております。
 さらに、もう一点つけ加えますと、安売りの一番の根源はリベートであるというぐあいに言われています。そのリベートも、商慣習としてその業に応じてやるとかそういうリベートでは、リベートは経済合理性があると思いますけれども、どうも見ていると差別的なリベートをやっている場合が往々にしてあるように思います。リベートというのは隠微な話で、なかなか証明ができないというところがありますので、難しいとは思いますけれども、差別的なリベートというものは差別対価であるというぐあいに思いますが、いかがですか。
○説明員(和泉澤衞君) リベートは、さまざまな目的のために支払われておりまして、また価格の一要素として、市場の実態に即した価格形成を促進するという面も有しておりますので、リベートの供与自体が直ちに独禁法上問題となるものではございません。しかし、リベート供与の方法によりましては再販売価格の維持とかあるいは競争品の取扱制限など、流通業者の事業活動を制限することとなり独禁法上問題となるという場合もあるわけでございます。
 先生の御指摘の点につきましては、所管官庁とも連絡をとりつつ、独禁法上問題となる行為が生じないよう競争政策の観点から見守っていくこととしたいと考えております。
○楢崎泰昌君 ぜひそのような方向で、この問題を取り扱っていただきたいというぐあいに要望しておきます。
 次に、ちょっと酒税法とは違いますけれども、損害保険の問題に移りたいというぐあいに思います。
 去る三月十一日の予算委員会でも少し質問をさせていただいたんですけれども、日米協議の結果、九月から自動車保険について年齢、性別、地域等で保険料を何段階にも差別する形の自動車保険が認められることになっておりますが、どうもアメリカ等の例を見てみると、これを徹底させていくと、どえらい問題が起こってくるんですね。
 例えて言えば、自動車保険について申し上げますと、十八歳の人の自動車保険料は現在二十九万円です。要するに十八歳限定の保険料ですね。これは二十九万円です。これが九十六万円に上がる。これは新聞に出ておりまして、大方の方に聞いてもそれぐらいになるだろうというようなことになる。そんな高い保険料は払えないよというと無保険車になる。アメリカでは現在このようなことが行われていて、二千四百万台とも二千五百万台とも言いますが、無保険車、任意保険に入っていない。日本には自賠責ありますけれども、自賠責では当然足らないわけですから、このようなものがはんらんをしてくるおそれもあり、深刻な問題になるんじゃないか。
 それからさらに申し上げれば、今は自動車保険ですけれども、火災保険についても、実のことを申し上げますと、長崎県の例を取り上げて恐縮ですけれども、長崎市というのは火災は発生しないんですけれども台風が通るんですね。台風が通ると損害保険料の支払いがぐっとふえてくる。これも新聞によりますと、損害発生率からいうと長崎市の火災保険料は現在七万円のものが四十一万円に上昇してしまうというようなことになるというぐあいに報ぜられています。
 私は、保険の本来の役割は相互扶助にあると思うんです。すなわち、台風の被害を受けた人たちあるいは十八歳の人たちでも、全部の国民が多数の人間の保険制度によって少しずつ救われていく、我が国の美風であるというぐあいに思いますけれども、それがどうも今度の改正で十分にカバーされないというような問題が生じるのではないかということを危惧しているわけですけれども、保険部長は、商品認可の際にしっかり見ていきたいというような答弁を先般の予算委員会でされました。時間がないので、それをさらにどのような方針で行われるのか十分な御質問をできませんでしたけれども、重ねて本件についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(福田誠君) お答えいたします。
 先般の予算委員会でも委員から御指摘いただきましたが、確かにリスクが細分化された自動車保険が認められることによりまして、保険契約者の選択の幅が広がるなどの利便性の向上は期待されますが、反面、事故率の高い若年契約者等の保険料が大幅に上昇するおそれがあるといった御意見があることも承知いたしております。
 自由化措置の結果として、もし国民生活に不可欠な保険の安定供給が著しく損なわれるということは問題でございますので、当局といたしましても、自由化後の保険料率に年齢等により極端な格差が生ずることのないように、保険会社に対する商品認可の際に、被害者救済等の観点から必要な対応を行ってまいる所存でございます。
 具体的にどうするかということでございますが、例えばリスク細分化の項目ごとに、年齢とか地域でございますが、どの程度までの料率の格差であれば認め得るかというようなことについて、保険会社に対しましてガイドラインのようなものをつくることも検討してまいりたいと存じます。行政の透明性確保という意味でもそのようなことをちょっと検討してみたいと考えております。
 それから、火災保険についてのお尋ねがございました。火災保険につきましては、被害者救済の側面を有する自動車保険とは必ずしも同一に論じられないわけでございますが、しかしながら火災保険につきましても、自動車保険と同様に、保険料率の自由化の結果として保険の安定供給が著しく損なわれるというようなことは問題でございますので、その辺につきましても、御指摘のありました地域等により極端な格差が生ずるといったことのないように、十分に商品認可の際に対応してまいりたいど存じております。
○楢崎泰昌君 私は、日米保険協議のときに十分その点も御検討になり、御議論になった上で日米保険協議が終わったんだというぐあいに理解をしております。
 しかし、そのことの結果としてどういうぐあいになるかというと、一部議論をされておりますように、そのようなことが起こり得るという事態でございますから、大蔵省からお話しいただいていますように保険の認可に際してガイドラインをつくるとか、そのグループ化を少し考えるとか、そのような形で十分な施策をやっていただきたいと思いますが、大蔵大臣、いかがでございましょう、本件についてはいろいろ御苦労なさった末の話でございますけれども、ぜひそのようなことを考慮して行政上取り扱っていただきたいと思いますので。
○国務大臣(三塚博君) 今の御質疑の中で御提示いただきました問題もこれあります。担当、保険部長また銀行局でありますので、協議をし、何ができるのか、取り進めてまいります。
○楢崎泰昌君 それから最後に、銀行による窓販の話をお伺いいたしたいと思うんです。
 これは、損害保険についてあるいは生命保険についてあるいは投資信託について、銀行の窓口で販売されるいわゆる窓販ですね、それについて議論が今されております。先般の予算委員会では、業界の中の規制緩和はできる限り早く、そして業際間の問題は慎重に細心の注意をしておやりくださいということを御質問いたしました。実は銀行の窓販というのは、やっぱりその中の一つの問題点であると思うんですね。
 こんなこと言っては悪いですけれども、銀行というのは国際的には問題があるというように言われておりますけれども、我が国の金融機関の中ではやっぱり非常に強力な存在であることは間違いありません。そればかりじゃなくて、実のことを言うと生命保険というのは、今簡易生命保険では無審査ということが行われていますけれども、これには告知義務がついており、そして生命保険の実行のときには医者の診断その他をやっているんですね。それから、損害保険については家の構造等々を見、またその持っている家屋等々を評価しなきゃならぬと。
 要するに窓口で、言葉は悪いかもしれませんけれども、証券であるかといってばさぱさと売ってしまうようなものではないと。ないというよりも、そうすると非常にぐあいが悪い側面が出てくるように思われるんですね。さらに言えば、消費者にきめ細かいサービスを特に自動車保険の場合にはしなきゃいけません。そういうようなことも含めて考えると、これはなかなか難しい問題だなというぐあいに考えておりますが、大蔵省の御感想はいかがでしょうか。
○政府委員(福田誠君) お答えいたします。
 銀行によります保険販売につきましては、従来の保険審議会等におきましても、販売チャネルの多様化あるいは効率化による契約者利便の向上に資するということが言われております一方で、御指摘のように契約者に対するアフターサービスの提供が十分に期待できるのかどうか、それから銀行の影響力を行使した販売が行われるおそれがあるのではないか等々、いろいろな意見が述べられているところでございます。このような賛否両論の意見があることを勘案しつつ、現在保険審議会の基本問題部会におきまして、改めてこの問題を審議していただいております。
 当局といたしましては、今後その審議結果を踏まえまして、あくまでもやはり契約者保護が十分にできるかどうか、そして消費者利便の向上につながるかどうかといった観点から検討してまいりたいと存じております。
○楢崎泰昌君 金融ビッグバンは、我が国の将来にとって非常に重要な問題であるというぐあいに思います。また、やるならば中途半端じゃなくて相当程度ドリルをかけてやれるところはやっていかなきゃいかぬと、そういう性格のものだと思います。私は、先ほども申し上げましたように、業界内の規制緩和はできる限り速やかに大きく、そして業際間にかかわることは慎重に細心の注意を払ってやっていかなきゃならぬと。先ほど言われましたように、消費者の利便が当然広がっていくわけです。しかし、それに対してかつ取扱業者によってその難易度が変わってくるというようなところもございますので、ぜひ慎重にやっていただきたいというぐあいに思います。
 最後に、大蔵大臣に、今の点についての御所見をお伺いします。
○国務大臣(三塚博君) 金融システム改革という大命題が、ここにあります。フロントランナーという言葉がございますが、外為法改正の御審議をお願いを申し上げるということになります。
 業際間の問題、極めてこれはシリアスな問題であります。この改革が進みますと、相互乗り入れであり競争が行われる。その競争は、御承知のとおり、サービスによって競争すると、こういうことなのでしょうか。その辺のところをおわかりの中での御質問でございますので、本件は三原則に従って進めながらよりよき道を模索すると、こういうことではないでしょうか。
○楢崎泰昌君 終わります。
○委員長(松浦孝治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時開会
○委員長(松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、酒税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○益田洋介君 法案の質問に入る前に、本日は公務多忙の中、大蔵大臣に御出席いただいておりますので、ただいま巷間話題となっております日本版ビッグバンについて御所見をまずお伺いしたいと思います。
 昨年十一月に橋本総理が打ち上げました、実施時期を二〇〇一年とする日本版ビッグバン構想についてでございますが、もともと天文物理学の仮説の一つでありました宇宙創造説の呼称に由来するビッグバンは、一九八六年十月からロンドンの金融街、シティーで実施され、国際的マーケットとしてのシティーを見事に復活させ、活性化に成功したものであります。ビッグバンの手始めに、外国為替管理法の改正を予定していると大蔵大臣はお述べになっておりますが、その際、大蔵大臣はよく日本版ビッグバンのフロントランナーとして外為法の改正をしたいと述べられておりますが、この誤用を私は適切とは思えないわけでございます。
 こうしたフロントランナーなどという美辞麗句を聞いている国民は、あたかも我が国が他の先進諸国、特にウォールストリートやシティーに先駆けて、何か斬新な試みをリーダーシップをとって取り組んでいこうとしているかのような誤解を招きかねない。現実にはシティーやウォールストリートで金融自由化が進んでいくのに反して、旧態依然とした自国保護的規制を続けるうちに取引量で格段の差をつけられてしまった我が国が、フランクフルトやパリのディフォンスのマーケットからも肉薄されてきていることにやっと気づき、長い眠りから覚めて改革に着手しようという状況に立ち至ったのにすぎないわけですから、フロントランナーなどという美辞麗句を用いて現状を国民の目からそらそうとするようなこそくな手段を講ずるべきではないと私は考えます。
 何でも国民の目から隠ぺいしようとする閉塞的、閉鎖的な対応の仕方がここ数年さまざまな不祥事や不都合を引き起こして、大蔵省が国民の非難の矢面に立たされる結果を招いているという事実にもかかわらず、なおも国民を欺こうとしてフロントランナーなどという言葉を選定してくるのはどういうわけでしょうか。
 また、外為法だけを改正しても、法人税や有価証券取引税の低減や撤廃、私ども新進党は有取税は撤廃するべきだと、このように主張を繰り返してきているわけでございますが、さらに株式委託手数料の低減などもあわせて実施しなければマーケットの活性化というのは望むべくもない、このように私は考えるわけでございますが、今後の具体的なビッグバンの実施に関するスケジュールに関して、大蔵大臣の構想をお伺いいたします。
○国務大臣(三塚博君) 大変おしかりを受けましたが、私は全然そんな気はございません。
 金融システムの改革は第三の開国みたいなものでございまして、よく言われる護送船団であったのではないかという御批判などを踏まえながら、政治本来の基本であります資本主義のメッカである金融市場は自由闊達に行動することにより利用者の期待にこたえていく、そのためには多様な商品を開発することによって一千二百兆とも言われる個人資産が大いに所を得て伸び伸びと活用されていくようにしなければならぬと。
 そういう意味で、大変重要な柱は、三つの方針である市場原理が働く自由な市場という意味で参入、商品価格等の自由化を基本的に提示いたしております。また、透明で信頼のできる市場、いわゆるディスクロージャーであります。ルールの明確化、透明化、投資家保護と、こういう観点で取り組まなければいけませんし、国際的な基準に合う、時代を先取りする市場に取り組まなければならないと。グローバル化に対応した制度、会計制度、監督体制の整備と、こういうことでウォール街及びロンドン市場でもそれぞれの改善、改革が行われましたが、ロンドンの改革を上回るペース改善目標を立てまして、その中でも外為法が鎖国的なものであると言われることでございますから、開国にふさわしい痛みの伴う外為法というものでグローバルな、自由闊達な投資者の選択に基づいて市場が活性化するようにと、こういうことで取り組まさせていただいたところでございます。
 おしかりはおしかりとして率直に受けますが、意図するところはそういうところでございます。私の諮問機関であるそれぞれの金融関係の諮問機関が本年六月に向けて中間取りまとめをし、やり得るものは直ちにスタートを切る、法制の必要があるものは毅然として法制化に取り組むと、こういうことでございます。
 御案内のとおり、一年にして成るものではございませんので、五カ年計画、二〇〇一年と、前倒ししろというお声もしきりに入ってまいります昨今でありますから、それにふさわしいという意味で外為法の改正を提案いたしたところでございます。命名してフロントランナー、先陣を切って一番困難な問題に取り組むと、こういうことでございました。
 これに引き続きまして、税制の問題は薄井主税局長からお聞きをいただきますし、その他の規制の問題は証券局長が中心となりまして、これまたそれぞれの諮問委員会、審議会を督励していただきながら対応に専心をいたしておるというのが現況でございます。
○政府委員(薄井信明君) 金融システムの改革が進んでいるわけでございますから、そういった中での税制がどうあるべきかということを考えていかなければならないと私どもも思っております。
 ただし、その際、税制は税制としての基本がございます。公平、中立、簡素といった三原則を踏まえて、かつ自由化されるシステムの中で税制をどう構築していくかということを考えていかなければならないと思っております。その際に、大きく分けて二つの面があると思います。一つは、鎖国という言葉が出ましたけれども、そういう状況の中であり得ても自由化した場合になかなかそれが存在しにくくなる、あるいは姿を変えざるを得ないという部分については変更していかなければならないと思いますが、一方で、自由化されれば自由化されたで必要なものはむしろきちっと整備していかなければならない、この二面があるかと思います。
 前者は証券税制の世界だと思います。有取税の問題にお触れになりましたが、一方でキャピタルゲイン課税をどうするかといった金融税制、証券税制全体の中で考えていくべきだと思いますし、後者の問題につきましては資料情報システム制度、これは欧米並みのものを日本も備えておかないと、自由になったけれども非常にフェアでなくなるということではいけないと思います。そういった意味で、最初に申し上げたような対応を、時期を失することなく金融システム改革の進展に合わせて、おくれることのないように対応していきたいと思っております。
 なお、法人税についてはそもそもの議論がございますので、これは今検討している方向で今後とも検討を続けていきたいと思っております。
○政府委員(長野厖士君) 証券市場の側から若干御説明させていただきたいと思いますけれども、アメリカにおきまして一九七五年、アメリカのメーデーと言っておりますけれども、証券市場改革がございました。イギリスで一九八五年、これはビッグバンとして知られておるところでございます。英米ともにいずれも、フロントランナーというお言葉につきましておしかりをいただきましたけれども、為替市場の自由化ということがまず先陣を切って行われ、そういった内外の自由な取引が発展する中で国内の市場の自由度をどう高めていくかという改革が進んだものと理解いたしております。
 私どもも、日本のビッグバンの目的は何かと聞かれれば、まず第一には、内外の投資家あるいは資金調達者が最も有利な方法で、日本の国内であれ海外であれ自由な資金調達あるいは運用ができるという体制を整えていくということが一番最初の目標であろうと思いますし、外為法の自由化というのはそれにかなった施策だと考えております。
 そういたしますと、その上でそういった自由な取引というものが東京で行われる、東京市場が地球の三大市場の一つとしてきちんとした役割を果たしていくということが次の課題になってこようかと思います。そのためには、諸外国で自由に取引されているものが日本の国内においても取引されるようにどういう点を改めていくべきかということを現在証取審で御審議いただいておりますし、また逆に、日本の市場というものが諸外国にない独自な、不都合と申しますか、余分な規制というものを抱えておるとすればそれを除いていかなければいけない、そういった観点で取り組んでおります。
 そして、そういった市場を前提といたしまして、三番目には、そこで金融機関あるいは証券業という市場仲介者が世界の投資家や調達者にまで役に立っていただけるような生き生きとした活力ある産業として発展していくためには今までの規制の中で改めるべき点があるか、あるいは制度の枠組みとして帰着するものがあるかというふうな観点で取り組んでおるところでございまして、全体として、これから二〇〇一年を目標と御指摘ございましたけれども、二〇〇一年は完了目標でございます。それに向けまして全力を尽くしてまいりたいと思います。
○益田洋介君 古くからシティーは閉鎖クラブという言葉を使われて批判をされてきたわけでございますが、そのシティーにおけるマネーマーケットのビッグバンの内容というのは売買委託手数料の自由化、ジョバーなど資格制度の廃止、外資による出資制限の撤廃などであったわけでございます。
 しかし、一方では、イギリスの代表的な証券会社の倒産が相次ぎましたし、ジョバーと呼ばれる売買業者十三社や、客の注文をジョバーにつなぐブローカーの中で大手と称される二十社のうち十九社がすべて外国資本の傘下に置かれてしまったわけでございます。この結果、ロンドン市場の株式売買代金は八六年から九五年までの十年間で二・三倍になりましたし、雇用人口に至っては八六年からわずか三年間で一・三倍に上昇したわけでございます。言いかえれば、英国資本が衰退いたした代償としまして外国資本によるロンドン市場が復活した、そういうふうな成り行きであったというふうに伺っております。
 日本版ビッグバンが成功したと、今局長は二〇〇一年は完了の時期であると言われましたが、そうした目標が達成されて、日本も世界の三大市場と言われていた時代にまた復活できた場合、この場合も外国資本の企業はどんどんと乗り込んできて、マーケットは活性化されるわけでございますが、結果的に日本企業が東京のマーケットから締め出されるようなことになってしまうのではないか、そうした可能性が十分に考えられるわけでございます。
 こうした欧米的な弱肉強食、優勝劣敗、そして適者生存といったありようは日本の社会的土壌にはなじまないと私は個人的に考えますが、ビッグバンを実施するに当たってのこうした不利益な点、懸念について、大蔵大臣の御所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 益田議員御指摘のポイント、分析の中に入っておるわけであります。同時に、ロンドン・ビッグバンの結果としての分析、そのとおり私も承っておるところでございます。
 適者生存というお話がありましたが、まさにそういうものだと思います。そういう中におきまして、我が国の東京ビッグバン、日本版ビッグバンとも言われておりますが、その目的といたすところは、活性化した東京市場を含むグローバルな市場で我が国金融仲介者がその力が発揮できますように、証券、銀行の取扱業者の拡大や持ち株会社の活用など、我が国の仲介者の国際競争力、機能強化をもたらす施策もあわせて検討されておるところでございます。こういう施策を踏まえながら、二十一世紀を展望し、我が国金融業が基幹産業の一つとして世界をリードする仲介者となるため御審議もいただいておりますし、担当審議会においてもただいま議論を展開して、六月の中間取りまとめを期待いたしておるというのがただいまの現状でございます。
○益田洋介君 日米保険合意を受けまして、来年の七月には自動車保険と火災保険の料率が自由化されることになっております。しかし、私は、ここで注意を喚起しておかなければならないのは、米国流の競争原理だけにゆだねてしまうとさまざまな問題が生じかねないということでございます。
 アメリカには強制自動車保険制度はございません。そこで、金銭にゆとりのない人たちは保険に入らなくとも責任を問われることはないわけでございます。アメリカ国内を走っている車の総数、約一億四千五百万台と言われていますが、実にその中の一七%に相当する二千五百万台が保険に加入していない車であると言われております。特に、ロサンゼルスの中心部では保険に加入していない車が九〇%になんなんとしている。こういう車を無保険車というふうに呼んでいるわけでございますが、こうした無保険車が自動車事故を起こした場合、保険に入れないほどの経済状態にある加害者のことでございますので、賠償する経済力もありませんし、もともと保険に入る意思がなかったのですから、賠償するなんということを考えることもない、賠償の意思も持ち合わせていない。
 そういう状況でございますので、往々にしてアメリカでは、被害者が治療費、そして自分の車両の修理費などを取り立てることができないためにみずからでかぶらざるを得なくなったという事例が多岐にわたっていると、そういうふうな理解をいたしておりますが、こういうアメリカの自動車保険に対する一現象ではございますが、そうしたことを見てもおわかりになるように、消費者利益や社会利益を追求する余りにすべてを市場原理にゆだねた規制緩和というものはおのずから限界があると私は考えております。
 この点について、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(福田誠君) お答えいたします。
 午前中にも質疑をいただいたわけでございますが、御指摘のように、任意加入の自動車保険の分野におきまして今後リスク細分型の自動車保険を認める等の規制緩和を進めることといたしております。その結果、保険契約者の選択の幅が広がる等の利便性の向上が期待される反面、一方で事故率の高い若年契約者等の保険料が上昇するおそれがある等の御意見は承知いたしております。
 私どもといたしましては、規制緩和の実施に際しまして、国民生活に不可欠な自動車保険の安定供給が著しく損なわれることがないよう、保険会社に対する商品認可に際しまして被害者救済等の観点から必要な対応を行ってまいりたいと存じております。
○益田洋介君 それでは、酒税法の一部を改正する法律案について質問に入らせていただきます。
 ウイスキーの税率低減による税収減を補てんすることを目的として、そのかわりにしょうちゅうの税率を引き上げて、酒税全体としての税収入を確保しようとするのが今回の法改正の意図であると私は読み取りましたが、酒類販売実績で見ますと、ここ十年間でウイスキーは二百七十メガリットルから百五十二メガリットルまで四三%も減少しているわけでございます。
 その一方で、しょうちゅうの販売実績は、飛躍的ではございませんが、上昇している。例えば、甲類で言いますと三百四十五メガリットルから三百八十メガリットルへと一〇%の増加でございます。乙類につきましては二百二十九メガリットルから二百六十七メガリットルまで一二%の増加という傾向がこの十年間漸減漸増という形であらわれてきているわけでございます。
 今回の法改正によって、これらウイスキー、甲類、乙類のしょうちゅうの販売量のシェアはどういうことになるのか、どういう予測をされているのかということをお伺いしたいことと、相互に補完し合って、全体として税収入にはどういう影響があらわれると考えるのか、大蔵省の御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 酒税の改正について御質問いただきました。
 ウイスキーの減税分、それをしょうちゅうの増税分で補う趣旨の改正であるという整理をされましたが、一面を見ますとそういうことですが、私ども、蒸留酒についての課税のあり方ということと他の酒類との関係ということを考えますと今回の改正のような姿になってくるということでございまして、一義的、単に税収だけの問題で今日の提案のような姿になってきたというふうには理解していないわけでございます。
 いずれにしましても、しょうちゅうにつきましては相当な増税になります。また、ウイスキーにつきましてはこれも大きな減税になります。その結果として消費に影響があろうかと思いますが、正直申し上げまして、それを精緻に分析するわけにはいきません。難しい問題があります。ただ、そこは可能な限りアプローチするといたしますと、平成元年にこの種の改正をいたしておりますので、そのときの消費動向の変化、例えばしょうちゅうの甲類が当時一六・五%減っております、乙類が六・四%減っておりますといったことなどを基準に計算をしてみますと、今回の改正が完全に実施されたその暁には、しょうちゅうにつきましては二割程度消費が減少するのではないかという仮説といいますか、仮定のもとに減収額の計算を、増収額の計算をいたしております。
 また、ウイスキーにつきましても、平成元年の改正の際の消費動向を頼りにするほかないわけですが、このときの状況から、こちらは逆に減税いたしますので二割程度増加するのではないかという推計をいたしまして、今回の増減収額の計算をさせていただいたわけでございます。
 結論的には、平年度ベースで二百九十億円の減収になる、そういうことでレベニュー・ニュートラルという形にはなっておりません。それから、初年度ベースで計算いたしますと百八十億円の減収になるというふうに見込んでおるわけでございます。
○益田洋介君 ウイスキーにつきましても、しょうちゅうにつきましても税収額がふえないように、何とか私も個人的に努力をさせていただきたいというふうに思っております。
 もともと酒税格差問題が本格化しましたのは八六年の十月、イギリスがスコッチウイスキーの税率についてガット、関税貿易一般協定に提訴したのが発端であると言われております。今回の改正案を国会提出と同時にEUとは合意ができたわけでございます。五日付のロンドン・タイムズによりますと、三十年戦争に勝利という表題で論説が発表されておりますし、結果的にはEUは満足しているという報道がなされております。ウイスキー、これはバーボンのことでございますが、のアメリカからの日本への輸入量はイギリスの約四割弱の一万五千キロリットルでしかないわけでございますが、一昨年からカナダとともにEUのWTO、世界貿易機関提訴に共同歩調をとって追随したわけでございます。
 ところで、アメリカとカナダにつきましては、改正案の国会提出をよしとせず強硬姿勢を崩さないで現在まで至っているわけでございますが、この強硬姿勢を続けているというアメリカとカナダの主張の背景には一体どういうものがあるのか、御説明願います。
○政府委員(薄井信明君) 昨年十一月一日に、WTOの上級委員会の報告がWTOとして採択されました。その後、我が国はEU、米国、それからカナダとの間で誠心誠意協議を行ってきたわけでございます。その協議の過程で、EUが関心を有するスコッチ等のウイスキー、それからブランデーの関税の引き下げも同時に議論されまして、そういったものをトータルといたしまして、EUとの間では昨年十二月に実質的合意、また一月には完全な合意を見たわけでございます。
 ところが、米国との関係が御指摘のような状況になっておりまして、昨年来数度にわたり訪米するなど、我が国の実情を伝え、我が国の提案も伝えてまいったわけでございますが、WTOの定める履行に係る協議期限、これが去年の十二月十六日でございましたが、その期限までに何ら回答が寄せられなかったという状況にございます。
 その後、米国は経過期間、しょうちゅう乙を中心とした経過期間が長過ぎるということでWTOに仲裁手続を申請しつつ、同時に我が国に対して並行して二国間協議をしようという意向を示してまいりました。これに応じまして一月中に私ども二度米国に参りまして協議を行ったわけですが、そこでバーボンウイスキーの関税問題も議論に出てまいりましたが、結局は原則論に先方が立ち返りまして合意に至りませんでした。そして、二月十三、十四日の仲裁裁定ということに至ったわけでございます。
 先方の内部事情といいますか、お考えについて、私どもわかりませんというのが正直なところでございますが、WTOにはいろいろな案件がかかっておりますので、米国は米国なりの実情があって経過期間についてこだわらざるを得なかったのかと思います。
 なお、御承知だと存じますけれども、米国は来月、つまりこの四月から実施せよという主張を仲裁に際して申し立てました。仲裁裁定はこのアメリカの主張を退けてはおりますが、他方、私どもの主張も退けて、原則どおりの十五カ月というのを言ってきているということでございます。
○益田洋介君 WTOの仲裁裁定の規定で示された格差是正期間は、今主税局長が言ったように、勧告後十五カ月以内ということになっているわけでございますが、今回の法改正では、実施期間を五年間として激変緩和措置を講じているわけでございます。仲裁裁定から十五カ月目に当たる来年二月までにアメリカとの間のウイスキーの、バーボンの税率に関する協議がまとまらない場合、まあまとめる方向でこれからも努力をなさっていかれることと思いますが、もしそれが実現しなかった場合には日本は法案を再改正するか、あるいはまた二月十七日に小川大蔵事務次官が明らかにしたように米国の報復措置を受けて立つか、この二者択一を強いられる立場に日本はあるわけでございます。
 報復措置についてはアメリカは具体的にどのような内容を表明してきているのか、あるいは示唆してきているのか、また報復措置を受けざるを得ない場合に立ち至った場合はどのように対処する考えなのか、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) WTOの仲裁で十五カ月とまずされたわけでございますが、事柄を整理して申し上げますと、酒税のしょうちゅうなりウイスキーとの間の税率格差の問題についての私どもの日本の提案につきまして、その内容については問題はないと承知しております。ただ、その実施期間について仲裁に持ち込まれ、十五カ月というものが出てきたということでございます。
 ところで、WTOの仕組みからしますと、当事者間で事柄が解決すれば仲裁裁定どおりでなくてもいいはずでございますので、そういう意味では、現在御審議いただいております法案によりまして内容的にはこれでいいと。じゃ実施期間についてはどうかとなると、アメリカが不満であると。そうすると、その点について日本とアメリカがこれから協議をする、その協議期間はいつまであるかというと来年の二月が十五カ月というところに当たりますので、それまでに答えを出すと。それでも答えが出ない場合には、それから三十日の間にアメリカは次の報復措置ということに手続を進めるということが手続上あり得るということになります。
 そこで、私どもは、内容的にはこれでいいということならば期間については日本の実情をわかってほしいと。ただ、何か代償措置が要るということであるならば、それは私どもこの一月に向こうにも提言していますように、関税におきまして対応していくと、やぶさかでないということでやっていきたいと思いますので、報復措置の問題については私ども今考えることは適当でないと思っております。
 なお、二月十四日に仲裁の結論が出た際にアメリカの反応がありました。二つありまして、一つは、バーシェフスキーUSTR代表代行、現在代表になっておりますが当時代表代行でした、から、仲裁裁定の内容については歓迎するということでございました。また、USTRの当局者からは、記者会見におきまして、今後の対応については日本が仲裁決定に従えない場合は代償交渉が行われるであろう、私ども御説明したのはこのことに当たるわけです。その上、同交渉がうまくいかなかったときには米国は対抗措置をとることができるということを言っております。ということでございまして、その後、米国からは何ら動きがございません。したがいまして、代償交渉がまず先にあるという位置づけで向こうもいることと思います。
 なお、今回、法律を日本政府が国会に提出し審議をいただいていることにつきましても、米国から何ら意見は入ってきておりません。
○益田洋介君 それでは、二番目の法律でございます租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 この法律改正の柱としましては、住宅取得促進税制というのがあるわけでございますが、これは本来、被災地を含めた日本全国の景気浮揚策の一環であったというふうに理解しているものでございます。しかし、国民の皆さんの九割を超える反対にもかかわらず、政府は一方的に消費税率を五%にアップしょうとしている。ですから、本来、本件の法改正によって企図していました経済効果というのは泡沫化してしまうという結果が生まれることは一目瞭然でございます。
 すなわち、例えば四千万から五千万円の住宅を購入したとしまして、法改正により六年間の控除額が百八十万、特に被災地におきましては二百十万となったとしても、実はほとんどが消費税率引き上げ分によって相殺されてしまうことになる。そこで法改正の効果は全くあらわれない。御苦労されている被災地の方々に本気で手を差し伸べようというのであれば、こうした見せかけだけの実効のない小手先の法改正などでお茶を濁すのではなくて、もっと抜本的な政策を立案、実行すべきであると私は強く訴えるものでございます。
 例えば、神戸のエンタープライズゾーンや沖縄の自由貿易地域を経済特区として位置づけて経済の活性化を図るなどはその一例ではないかと私は考えます。農業関係者ですら首をかしげたウルグアイ・ラウンド対策費の計上や、整備新幹線の未着工区間に事業費をつけたり、ばらまき型の公共事業費に予算をつぎ込むかわりに、私はこうした施策をとるのは現政府に求められていることであると考えますが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 税金関係の部分についてお答えさせていただきます。
 まず第一点ですが、消費税率がこの四月から四%になります。また、地方消費税が創設されて現在三%のものが五になるということは御承知のとおりでございます。ただ、これは平成六年秋の税制改革によりまして、所得税、個人住民税の減税、制度減税、恒久減税と一体として、ワンセットとして考えられたものでございまして、景気の観点から減税については平成七年かち実施していた。そういうこともありまして消費税が二年ほどおくれてスタートするということから、確かに今月と来月では税率が違うという意味では御指摘のとおりですけれども、そこはここ数年の中で考えていただきたいと思っております。
 住宅建築に関しましても、消費税が上がることによって影響はあろうかと思います。現に前倒しといいますか、非常にたくさんの住宅がことしじゅうにということで契約されている面がありますし、そういった影響はあるわけですが、前回の消費税が導入されたときの状況を踏まえますと、一年を通じて考えていけばならされていくのではないかと思っております。
 また、現在の住宅が非常に着工が多い、あるいは契約が多いということは、金利が低水準で推移していることも大きく役立っていると思いますし、またよい面、悪い面あるようですが、地価が安定的に推移していることも影響しているわけでございまして、そういったことを全体として考えていった場合、今回の税制上の住宅取得促進税制の拡充というのはマージナルな面でかなりプラスな影響があるものと私どもは思っております。こういった総合的な面でこの税制について御理解賜りたいところでございます。
○国務大臣(三塚博君) ただいま益田委員から予算編成につきまして、また税制のあり方についての御質疑がございました。
 毎回御質問のたびに申し上げておるわけでございますが、危機的な我が国の財政危機、終止符を打って活性化に向けて取り組まなければならない。その大前提は少子化であり、特にスピードの高い程度で高齢化社会が進行してまいっております。一年に百万近い年金受給者がふえるということ、社会保険関係で約一兆円、当然増経費として出てくるわけでございます。
 そういう中にありながら、予算編成においては財政構造改革を基本に元年としての位置づけをし、スタートを切ったところでございますから、これ以上国債費の膨張を座視するわけにはまいりません。また、公債費に対する依存度をこれ以上にふやすわけにもまいらないという至上命題に向けて、御承知のとおり四・三兆円の特例公債減、最終的には四・五兆になりましたが、公債減を予算の中に計上をし、一般会計におきまして一・五%の伸び率に抑えると。基本的には当然増、特殊要因として四千億円の国が払う消費税分がございますから、これを除きますと〇・六の伸び率、十年ぶりの低率で歳出カットの基本的命題にこたえたということでございます。
 やはり、ここまで参っておりますと、ケインズ流に総需要、喚起をいたしまして自然増収を上げながら、その中から財政再建をすべしということが新進党からは両院において提起をされておるわけでございますが、今日ただいまの我が国の危機的な長期債務がありますことにかんがみ、ここでストップをしていかなければならないということで、前段申し上げましたところに決心をさせていただいたところでございます。
 しかし、一般歳出のプライオリティーの中で国民の希望する方向、さらに二十一世紀に向けて活力ある社会を築くためにはという観点から、基礎研究、応用研究、情報通信等々の分野に思い切った予算を投じたことも御承知のとおりでございます。そんなことの中で取り組んでおりますことに、理解を賜りたいと存じます。
○益田洋介君 大蔵大臣は特例公債を四・三兆円減らしたと胸を張っておっしゃっておりましたが、実際この消費税率が五%に引き上げられることによって五兆円の増税になるわけですね。加えて所得税、住民税の特別減税の打ち切り、これは私ども新進党は反対したわけでございますが、政府は断行いたしました。これで二兆円。それから、医療費など社会保障制度改悪で二兆円と、締めて九兆円もの負担増になるわけです、結果として。
 だから、特例公債四・三兆円減らしたといっても、昨年度の十二兆円というのはとんでもない額の特例公債だったわけですから、それに比べて四・三兆減らしたといっても実際これは減らしたことにはなっていない。そのように私は考えるわけでございますが、そうした予算案が衆議院を無修正で通過した、このことに対して国民は本当に憤りを感じておるわけでございます。
 ですから、政府が、特に大蔵大臣が好んでお使いの財政構造改革元年などという表現は私はしないでいただきたい。十四日の本会議の代表質問におきましても、私はこのことを総理にお願いを申し上げましたが、期待した答弁はしていただけなかったわけでございますが、この点について大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) お互い政党をつくり、総選挙及び参議院議員選挙という二大国政選挙に臨み、国民の審判を仰いでおるわけでございます。
 自由民主党、過半数をお与えをいただけませんでした。十一議席足りませんでした。よって、村山内閣以来の関係にございます社民党、そしてさきがけ両党に対しまして政策協定を結びまして、総選挙後の政治課題解決に向けてスタートを切ったところは御案内のとおり。政党政治の原点はまさに公約、それから現状分析の上に立って一番ベストな道を目指しながら限られた財源の中、また極めて緊迫をいたしております諸状況などを考えてみますと、その中のベストな道と、こういうことで財政構造改革にスタートを切ること以下五改革、教育改革まで合わせて六改革、特に高コスト構造の経済システムを変えることによって競争にたえ得る日本経済界、企業体質をつくり上げていく、変えていただくと、こういうことになったわけでございます。
 この財政構造改革だけではなく、経済システムがスタートを切っております。許認可の解消だけではなく、新しい手法を用いたベンチャービジネスとあえて申し上げさせていただきますが、多様なニーズにこたえるための産業振興と、そのためにはグローバルスタンダードな企業でなければならぬことも御承知のとおりであります。
 御批判がありました金融システム、ビッグバンヘのスタートもそういう意味でスタートを切らさせていただき、六改革がくつわを並べて今その改革に臨み、三改革が全力を挙げて相並行しながら緊急な課題として取り組まさせていただいていることは御案内のとおりであろうと思います。選挙の結果に忠実に対応してまいるのは政党政治の原点でありますし、三党がその点で協調いたしておるところでございます。それと、九兆円といつも言われるわけでございますが、医療改革は国会の審議が終わりましてから、国会の意思で提案どおりこれが認められるということになりますと、平年度でそういうことになると思います。
 特に、新進党の代表議員の質疑にいつも出ますのは、国の消費税負担額、地方への交付分ということで五兆円とよく言われます。しかしながら、御案内のとおり、初年度は三カ月足らぬわけでございますから、そういう点もこれありまして、計算をいたしますと、実質手取り増は平成九年度においては二・七兆でございます。これはオーソライズされた数字でございまして、必要があれば薄井主税局長から説明をいたさせるところでございます。地方への一%は、御案内のように、そっくり地方自治団体にこれが、交付というよりも、それを目的として決めたものでございますから、そちらに納入をされるわけでございます。
 以上、そのことだけ申し上げさせていただき、消費税分を除く特別減税、これは後世にツケ回しをすることの重大な問題でございますからやめることといたしたことでございますので、御理解の中で今後の御論議にお取り組みいただきたいと存じます。
○益田洋介君 ベンチャービジネスという言葉をお使いになりましたが、ベンチャーというのは一回表に出ちゃうとベンチャーじゃないんですよ。ベンチャービジネスだとかフロントランナーだとか財政構造改革元年なんて、大蔵省の方は頭のいい方ばかりそろっているので非常に耳ざわりのいい言葉をお使いになりますが、要するに新規産業という意味だと思います。
 財政上の深刻な問題の一つとして、我が国は今、旧国鉄債務問題を抱えているわけでございます。長期債務はことし四月に二十八兆円を超えるとされておりますし、一日三十五億円に上る金利が雪だるま式に毎日ふえ続けているわけです。六十一年の閣議決定に従えば、このまま無策に返済がおくれることになると全部国民にツケが回ってくる、そういう仕組みになっているわけです。こうしたことは、住専で辛苦をなめさせられたそうした記憶がまだ新しい日本の国民の方は到底容認しない、できないと私は考えます。
 また、最近建設省の内部資料が明らかになりました。九五年度で約二十三兆円に上る日本道路公団の負債があるんだということがわかり、数年後には、大問題である旧国鉄債務を超えて二〇一三年には三十五兆円にも達する、そういう見通しである。そして、負債の約九割は郵便貯金などから還流してくる財政投融資の借り入れ、それから政府出資金であります。残りが地方自治体や銀行が引き受ける縁故債、こういう仕組みになっているわけでございます。特に、高速道路建設費の約二割は国費から出資されているわけでございますので、公団財政が悪化すればするほど税金投入の大幅増は確実になってくる、そういう仕組みになっているわけでございます。
 一体、返済についてはどういうふうな考え方をお持ちか、大蔵大臣の御所見並びに建設省の御意見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(林正和君) 道路公団の債務が三十五兆円に達するというお話でございます。
 これは、昨年十二月に国土開発幹線自動車道建設審議会、いわゆる国幹審と言っておりますが、これにおいて策定されました新しい整備計画区間を追加した場合の採算見通しについて建設省が資料を公表されたというふうに聞いておりまして、これによりますと、確かに御指摘のように、平成二十四年ころ、日本道路公団の未償還残高は約三十五兆円に達する見込みであるというようにされているところでございます。
 ただ、先生御案内のとおり、現在の日本道路公団の高速道路の収支状況、これを見てみますと、平成七年度の決算で見ますと、収入が一兆七千億余り、これが順調に前年度に比べますと一〇%伸びておりまして、収入と費用、この差額につきましては償還準備金として将来の債務の償還に充てるために積み立てられております。こうした償還準備金が現在五兆二千億円余りに上っている、こうしたことを考えますと、償還は順調に行われるものというように認識しております。
 いずれにしましても、昨年十二月に策定されました、先ほど申し上げました整備計画区間につきましては、これから日本道路公団で所要の調査が行われた後、償還可能性についての検討を行った上、その上で工事実施が可能な区間につき施行命令が出されるという段取りになっております。
 私どもといたしましても、今の厳しい財政事情を踏まえながら、適正な料金水準のもとで公団の採算性が確保されるように必要な検討は十分行っていきたいと思っております。
○説明員(菊地賢三君) 御説明いたします。
 高速自動車国道、まだ建設の道半ばでございまして、地域の要望等におこたえしまして早急な整備が必要ということでございまして、二十一世紀初頭までにその完成を目指すということで建設省として推進しているところでございます。
 このための方策としまして、平成六年九月に高速道路の料金を認可いたしました。高速道路整備のためには有料道路制度をとりまして、借金をして後ほど料金で返すということで有料道路制度を使っておりますが、それには一定の償還計画がございまして、これを六年九月に建設・運輸大臣の方で認可をしております。
 その償還の状況につきましては、今御説明のあったとおりでございまして、私ども、その償還に加えまして、今御説明がございましたが、新たな計画を追加することといたしました。この新たな計画を追加すること及び既に、現在まだ事業中のものがございますので、そのものを含めますと現在の未償還残高借入金というのが若干ふえまして、平成二十四年ごろには三十五兆円になるという計画のもとでございますが、これも御説明がありましたように、現在順調な償還でございますので、この新たな追加によりまして、料金を改定せず、値上げせずに償還ができる見通しというものを持っているところでございます。
○益田洋介君 ところが一方で、日本道路公団の請負企業である民間会社の日本道路興運という会社が、自由民主党の政治資金団体、国民政治協会に対して、九五年度、六年度に総額一千五百万円の献金をしていることが明らかになっております。
 特殊法人である日本道路公団の請負企業への委託費は公的性格が非常に強いと私は考えます。そうした会社から献金ということになればこれは公費の還流ということにならないのか、そういう懸念があるのではないかと私は思いますが、御意見をお伺いしたいと思います。
○説明員(小坂裕男君) ただいま御指摘いただきましたとおりの趣旨の報道が、十八日の毎日新聞になされております。日本道路興運が政治献金をしていること、それから日本道路興運に対しまして日本道路公団が業務委託をしておることでございます。
 最初の、営利企業の、株式会社の政治献金につきましては私どもコメントする立場にはございませんが、日本道路公団が道路興運に対しまして業務委託をしておるということにつきましては、日本道路公団の事業が現在六千キロを超える高速道路の管理及び新たな建設を進めているという極めて公共性の高い事業であること、また将来の国民の資産になる重要な高規格幹線道路ネットワークを建設していることということにかんがみまして、大変重要なことと思います。
 したがいまして、業務委託等、契約のあり方につきましては透明性を一層確保してまいりたいと考えておりますし、同時に公団全体の業務につきましても、事業の一層の効率化を図りますとともに経費の節減を含めた努力をさせてまいりたいと、このように思っております。
○益田洋介君 ありがとうございました。終わります。
○海野義孝君 平成会の海野でございます。
 三塚大蔵大臣を初め、大蔵省の関係各位の皆様方には御多忙のところをおいでいただきまして、大変ありがとうございます。
 私は、益田議員に続きまして、今回審議中の租税特別措置法案を中心に御質問させていただきたいど思います。
 大蔵委員会では、この常会で二回目の質問に立たせていただいておりますけれども、午前中に金田、楢崎両先生、さらにただいま益田議員と三名の方から質問がありまして、大体後から質問に立っぽど貧乏くじはないわけでありまして、ほとほと私も困っているわけであります。どうやって五十八分間の時間を、税金の浪費ではなくして前向きに御質問できるかということで考えながらいろいろと教えていただこうと、こういうことでございます。
 最近、私は、財政再建にかかわる小チーム、三人ほどで今いろいろとやっておりますけれども、その一人に選ばれまして最初にそこで始めた仕事は、昨年のあれは夏ごろに出ました英文の「エコノミック・アウトルック」、これはOECDが出した本でございますけれども、そこの日本に関係する部分についての抄訳とその報告を座長にするという仕事を言いつかりまして、訳本がないかと今苦慮しております。
 それはそれ乏しまして、実は一昨日の夕刊の某紙にこういう記事が出ておりました。私も証券界におりまして、普通、朝刊というのは朝早く起きて読みますけれども、夕刊というのはほとんど役立たずということで見ないわけでありますけれども、一昨日の夕刊に大変ショッキングな記事が出ておりましたので、大蔵大臣もこれをごらんになっているか、ちょっと確認の意味で申し上げたいと思います。
 大きな見出しで「日本の金融行政不透明 OECD規制改革報告案が批判」、ビッグバンについては大蔵改革がかぎを握っていると、こういうような見出しで、さらにそれの解説記事それからその要旨についてのほぼ全文、こういったものが出ていたわけでございます。これは、五月の経済協力開発機構、つまりOECDの閣僚理事会に提出される金融サービス分野の規制改革に関する報告書の原案全文ということでありますけれども、この点について大蔵大臣、お目にとまったか、その内容について、新聞ではありますけれども、把握なさったか、まず御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 精読は残念ながらしませんでしたが、さらっと一回だけ読まさせていただきました。OECDの調査であります。全体のトーンとしまして、警告を発しておりますものの、金融システム改革、ビッグバンはその成功を期待する、こういうトーンであったというふうに思います。
 経済は、世界経済の中で取り組んでいかなければなりません。その中における金融はまさに経済の血液でございますから、この順調な流れはキープするべく最大の努力をしていくことは当然であろうかと思っております。
 そういう中で、切れ目のない経済運営、執行をしていくという意味で、大変御熱心に予算委員会において御論議をいただき、御提言等もいただいておることを感謝申し上げるわけでございますが、成立後の経済運営に切れ目のないということで申し上げてきておるわけでございますから、万全を尽くして対応してまいりたいと、こう思って読まさせていただきました。
○海野義孝君 その内容につきましては、またいろいろ新聞、雑誌等でもあるいは詳しい話も出るかもわかりませんし、さらにまた、ことしの夏には英文版でも発表になれば、これはやはり世界各国の金融関係者も恐らく読むことになるでしょうし、それ以前に、五月のOECDの閣僚理事会におきまして、参加なさる方々はいろいろとまたそこで議論になるだろう、こう思うわけでございます。
 前回ここで、大蔵委員会で御質問させていただいたときには、今益田議員から御質問ありましたように、大蔵大臣にはいわゆるビッグバンに関してのフロントランナー等の問題についての御答弁を当時いただいたわけであります。もう日にちは忘れましたけれども、あの質問をさせていただいた委員会から随分たっているような感じが自分としてはするわけでありまして、それほど今我が国の置かれております、政治にしましても経済にしましても産業問題にしましても、大変激変のそういった中に私どもは身を置いている、このように感ぜざるを得ない、こういうことであります。そういった中で、大変このところも、先ほど申し上げましたのも一例でありますけれども、当局におかれましても日増しにいろいろと厳しい、また緊迫したそういった状況というものが私どもにも感じられてならないわけであります。
 そこで、本日は、租税特別措置法の改正に関連したことを中心にして関係の皆様方に順次御質問をさせていただこう、このように思うわけでありますけれども、私は、大蔵大臣には最初と真ん中と最後と三回御質問をさせていただこうと、こう思っております。
 最初に大蔵大臣にお聞きしたいことは、これまで三人の方々も質問の中でお触れになっているわけでありますけれども、現在我が国としては世界でも注目されております大改革に今取り組んでいる、こういうことでありまして、これについては先般の御質問の際にも大蔵大臣より、これを一体として推進していくんだということをたしか承りましたけれども、きょうの場合は、そういった中で特に税金といいますか、税制、税体系といいますか、そういったこととの関係の部分について大蔵大臣の御所見をお伺いしたい、こう思うわけであります。いわゆる財政の健全化という問題と税制のあり方ということについての御所見、とりわけ財政健全化を二〇〇三年、つまり当初のターゲットよりも二年繰り上げたことに関連しまして、財政の健全化と税制のあり方についての大蔵大臣の御所見を、まずお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 財政のあり方でございますが、まさに財政運営の基本は税収に見合う歳出の構成と、これが基本的な基準でなければならない、こう思います。
 よく、「入るを計りて出るを制する」は財政の基本なりと、阿部議員でしたかね言われたこと、先般の委員会でありますが、これが理想的でありますことはもう大蔵委員会の委員各位どなたも異論がなかろうと思います。ただ、好不況の中で山が出ますものですから、義務的経費の補てんという意味で節目節目で決議をお願いする、国債発行の上限をお許しいただくと、こういうことで来ておることであると思います。
 しかしながら、基本は特別なケースについて上限を設けてお願いするというのが法制の立場でございますから、毎回母川国債発行が累増していくということはまさに財政の基本から外れるのではないかと、これだけは言えることであろうと思います。建設国債、資産が見合いで残りますからといいますものの、六十年のロングで考えるということでありますと、安易に流れるという意味で、借金は借金ということで気を緩めますと最悪の財政運営になり、その結果は国民各位に降りかかることも過去に例があったことは御案内のとおりであります。
 そういう点から、健全財政を目指していかなければならないということで、今日、橋本内閣が総選挙後の第二次内閣を編成するに当たりましての基本的な政策の目標、理念としたこと、けだし当然であろうと思うわけでございます。直ちに健全財政に戻ることはかなわぬわけでありますから、二〇〇五年までということに目標を置きましたが、さらにこれを二年短縮をし前期集中期間三年、後期フォローアップを取り残された諸改革の断行と、こういうことで取り組むという不退転の決意を表明いたしましたのも、財政の基本原理に立ち返っておのれを滅してやるということであろうと思います。
 税制は財政の根幹であります。同時に、税制によって国会が開設をされたと言っても過言ではない、まさに大事なことであります。国民各位から税を調達させていただく、公正、公平にこれが執行されていく、国民生活の安心度を増す、地域の安定を図る、国家の基本がその中で確立されていく。しかしながら、その使い道はまさに極めて重要なことであります。税金をちょうだいして税金で全部賄うということであれば、きょうよりもあすを目指すのが人間の感情でありますし、政治もそういう方向を目指すということになりますと、とめどもなく税負担はふえていく傾向にあるんだと思うのであります。
 そういうことを考えますと、税として納めるものの限界が来ますと、税金で働いたもののすべてを失う、こういう極端な言い方が当てはまるような状態になりますことは政治としてとってはならぬことになりますから、やはり未来というものが極めて重要であろうし、また税をふやしていただくということであれば、今般の場合のような理由が明確に示されなければなりませんし、医療改革、社会保障全体、これをどう見るかということで改革、改善がその都度法律によって提示をされていくわけですが、その国民負担部分は医療の共有ということ、年金の贈与ということでみずから返ってくるものでございますから、これは負担と見るのも正しい、しかし受益を安定して供与をするという意味のお預かり金でありますという言い方になっても私はそれほど間違いではないのではないかと、こんなふうに思っておるところであります。
○海野義孝君 どうも大変御丁寧にありがとうございました。
 私、今いろいろと問題になっていることは、やはり国民負担の問題も、いわゆる給付と負担の分離という状況にあるということが大変国民を不幸にしているのではないか、あらゆる面で政治を不信にしているのではないか、こう思えて残念でなりません。
 次に、薄井主税局長に承りたいと思いますが、租税特別措置とか、いわゆる非課税等特別措置、こういった制度があるわけですけれども、いわゆる税制におきましてこういったものの理念というか位置づけというか、これについて簡潔にひとつお聞かせいただきたい。
○政府委員(薄井信明君) 大臣から説明しましたこととつながるのかと思います。公共サービス、行政サービスを提供するためには、最終的には税が必要である、それによって税の総額が決まってくると思います。行政サービス、公共サービスの質と量をどう考えるかというのを国民が選択し、その結果として総体としての税の総体も決まってくる。これは、前後関係どちらとも言えないところがありますけれども、一方で税負担には限度があるということ等から総額が決まってくる。そうすると、その総額として決まってくる税をどうやって国民みんなで負担していくかというときに、公平、中立、簡素という原則が必要であるということになろうと思います。この三つの原則は必ずしも同時に達成できませんけれども、その時代その時代の必要に応じて追求していくことかと思います。
 そういった際に、さらに加えて言えば、経済と税、あるいは個人生活と企業と税ということは密接に関係しておりますから、この税金を政策手段として使うことによって経済をよりよい方向に持っていく、社会をよりよい方向に持っていくということも考えられるわけでございます。ただし、これは主たる目的ではなくて、先ほど申し上げた税収を確保し公共サービスを提供する糧となるということと、それが公平、中立、簡素に集められるということに加えて、政策的に活用する道があるんだと思います。租税特別措置というのはまさにそういう性格のものであろうと私は思っております。
 したがって、要らないものをつくるというのはおかしいのであって、しかし必要な租税特別措置はまた政策手段として大事である。しかし、政策手段である以上、それをどんどん広げていって本体がやせ細っていくということは、これは本末転倒だと思っております。そういう意味で租税特別措置を位置づけますと、必要なものを必要なだけ持てばいいので、長く置いてあるもう意味のないと思われるものがあるならば、これは整理していくべきだというのが基本的な考え方になろうかと思います。
○海野義孝君 大変よくわかりました。
 つまり、租税特別措置という制度は、税負担の公平、中立、簡素という税制の基本理念の言うなれば例外措置として設けられている、このように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(薄井信明君) 表現はいろいろ言い得るんでしょうが、そういうことであろうかと思います。例外措置というか、租税特別措置の活用ということが必要であろうとは思いますけれども、それが税制の主たる存在意義ではない。税制があって、それをうまく活用することによって経済なり国民生活をよりよい方向に誘導していく、そういう手段になり得るという位置づけであろうかと思っております。
○海野義孝君 そういたしますと、租税特別措置というのも戦後日本経済の推移とともにやはり移り変わってきているということが言えるのではないか、このように思います。
 事前に、私の部屋の方へ大蔵省の関係の方においでいただきましてお調べをいただいておりますので、その点ちょっと御質問させていただこうと思います。余り数字をだらだらとやってもお聞きになっている人は眠気を増すばかりですから、直近のわかっている年度の数字と十年前の数字ということで、いわゆる租税特別措置に伴う税の減収分といいますか、これが年間でどのぐらいあるか。国税はいいんですけれども、地方税については自治省のマターであるということだと思うので、この辺はもしできれば国税との比較で、地方税という一本でも結構ですけれども、それの直近の年度の数字と十年前の数字、これをまずトータルでお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 租税特別措置の中で、企業関係の租特について手に持っております資料で申し上げますと、この三年間でかなり大きく改正してきておりまして、この三年間といいますのは、平成六年の改革がありましたその直前からの比較ですが、まずそれを申し上げますと、平成六年の改正後で企業関係租特八十二項目ございました。十項目を廃止し、創設五項目ということで、現在七十七項目になっております。なお、十年前といいますと、昭和六十三年あるいは二年ごろになろうかと思いますが、当時企業関係の特別措置は八十一項目あったということでございます。
 それから、企業関係の租特の改正増減収といいますか、毎年どれだけ整理合理化して増減収が出ているかということを御説明いたしますと、この三年間をまず申し上げますと、平成七年度には四百二十億円、八年度には二百億円、九年度には百六十億円出ております。それから、これは改正の増減収でございますので、根っこからとの関係がこれはわかりにくくなっておりますが、平成元年当時はむしろ二百三十億円の減収になっていたと。租特で減収が、改正分がふえたという状況にあります。また平成二年度には、六百億円ほどのやはり減収になっていると。そういう意味では、ここ最近の数年は増収になっているということは整理合理化が、大きいとは言えないかもしれませんが、かなり進んでおるということが言えるかと思います。
 地方税については、ちょっと手持ちがございません。後ほどわかれば申し上げます。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
 でき得れば、これに伴う減収分、それから一方で増収分、差っ引きしてネット幾らということがわかれば大体の規模というのが判断できるわけでありますけれども、まあ直近としまして、いわゆる租税特別措置による減収額というのは年間でどのぐらいに上っているかその中身を、それを二つに分けて、トータルとその中で企業の分と、それから家計の分、家計にプラスというか、その分に分けて教えていただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 企業関係について、まず申し上げます。
 平成九年度、租税特別措置による減収額が、交際費の分を除きまして、三千八百三十億円の減収になっております。それから、昭和六十三年度あるいは平成元年度の状況を申し上げますと、当時四千五百七十億あるいは五千七十億という減収になっております。
 それから全体については、所得税等についても租税特別措置がございます、そういったものを全部累計いたしまして申し上げますと、平成八年度で八千五百四十億円でございます。十年前の六十三年には八千四百五十億円と、こういう数字になっております。
○海野義孝君 ありがとうございました。
 最後におっしゃったこの八千数億という数字は、つまり企業もそれから家計も一切含めた分ということですか。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のとおりでございます。
 もう一つ数字が出てまいりましたので、平成九年度で一兆六百二十億円でございます。この中には企業関係も個人の所得税も入っておりますし、また交際費課税の特例分も、これは増収になっておりますが、その分も含まれているということになります。
○海野義孝君 大変細かな数字をありがとうございました。大変よくわかりました。
 数字の上では十年もたてばいろいろな変化があるなということを感じましたけれども、相当税制の中におきまして、こういった特別措置というものはかなり整理合理化されてきているなという感じを、トータル的な数字で見れば受けとめることができると、このように思うわけでございます。
 そこで次に、またちょっと教えていただきたいと思いますけれども、地方の関係はちょっと把握できないわけでございますので、国税関係ということでありますが、この十年間を見ますと、一つはバブルの発生があり、そしてまたバブルの崩壊があったということであります。そういったバブルの発生ということについては余り細かいことは申しませんけれども、いろいろな政策上のうまくいかなかった部分がやはりあったようでありまして、当時の八五年秋、円・ドル委員会が発足して今日まで十二年という中で大変その対応が、世界的に見ればフロントランナーどころかかなり後塵を拝したような、そういう部分があったと、こういうふうに思うんです。
 産業界としましても、相当激動したわけでありますが、そういった中で租税特別措置という面で、後でまた最近の話はがらっと変わるんですが、これまでのそういったバブルの発生、それからその後のバブルの崩壊、景気の長期低迷、産業のいろいろな空洞化等々の中で、租税特別措置として特徴的なことについて幾つが御指摘いただければありがたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) バブルの関係で特徴的なことということで申し上げれば、例えば土地関係の税制につきましては、これは租税特別措置によって措置している部分が多いわけでございますが、例えば平成二年秋に土地税制の議論をした際には、租税特別措置による例えば土地譲渡益課税をどうするかということについてはかなり深い議論をしていただきまして、大胆な提案をさせていただきました。しかし、その後、地価が下がってくる、土地をめぐる状況が変わってくる中で、もう一点税制の抜本改革ということで所得税の税率構造も変わってくると。そういった中でのバランスを考えたときに、平成二年のままでいいのだろうかということから、例えば昨年の税制改正では土地税制関係、かなり大胆にまた改正をいたしております。
 そのように、経済なり国民生活の変動、あるいはこれからの先行きを見きわめながら、租特についてはできる限り機敏に対応してきているつもりでございます。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
 そういった中で、今六つの大改革を進めていこうということで、総理がまさに退路を断つような悲壮的な決意に立って毎日陣頭指揮をとっていらっしゃるということであります。我々としても、これに対して、立法の一員として全面的に支援をしていかなくちゃならないと、このように思うわけであります。
 私の持論は、我が国の国内でのいろいろな行財政問題とか経済構造の問題であるとか、そういった問題はいわゆる党派で議論する段階ではない。これをやっていると、十二年おくれているのが、二十一世紀の入口でビッグバンがようやく緒についたときには、さらに十年ぐらい引き離されると。こういうことですから、G7の中での日本を除くG6が日本に対してどう評価しているかということが、国会の議論においてもあるいは法制、税制等においても、あらゆる面においてそれは監視されていると、このように私はとらえて自分を律しているわけであります。
 そういった中で、一昨年の暮れに企画庁が御発表になりまして、私も企画庁の方においでいただきまして長時間レクチャーをしていただきましたけれども、「構造改革のための経済社会計画」というものを御発表になりまして、その後、これについては昨年の暮れにさらに見直し等をなさったということで来ておりますけれども、やはりこれは経済企画庁ということですからプランニングのエージェンシーということで、ここでは言うなれば、そういった日本の新しい経済構造というもののグランドデザインを描いていかれる、こういうケースの場合はこうだということをおやりになっていると思いますが、その中で幾つかのことを申されているわけです。
 一つは、法制度の見直しの問題。二つ目は、後ほどまた時間があったら触れますけれども、法人課税のあり方の問題。これはもう金田先生がおやりになっているから私みたいな素人が出る幕はないんですけれども、二つ目としてベンチャー企業等への資金供給の円滑化。その中で一つはベンチャーキャピタルの機能強化、それから二つ目は公的支援制度の活用、三つ目は資本市場を通じた資金調達の円滑化、こういったものがそこに盛り込まれているわけでありますけれども、実は今回のこの平成九年度の租税特別措置の一部改正の中では、この一昨年暮れの企画庁で盛り込んでいなかった大変重要な問題が、実は今回のその特別措置の中で出てきております。
 これは、金田先生も私の同僚の益田議員からも先ほど御指摘がありましたが、いわゆるエンゼル税制の問題でありますけれども、時間が大変限られておりますのでエンゼル税制だけを長くやるということもできませんけれども、私は今回の六つの改革の中でも、いわゆる財政改革の問題あるいは金融システムの改革の問題等々いずれも重要でありますが、経済構造の改革ということは大変重要な問題でありまして、総理も特にこの点については従来から政策通をもって任じておられるだけに相当詳しく突っ込んだ考え方をよく披歴されておるわけでありますけれども、どうも私は今回のこの租税特別措置の中でのエンゼル税制というのは、エンゼルという言葉は一体どういう言葉か私なりに解釈すると、これは天使みたいなものでありましょうけれども、どうも今回のこの我が国のエンゼル税制は、このG7のほかの国、なかんずく米英などの制度に比べると、エンゼルといっても羽がないエンゼルじゃないか、ラッパを吹いていないエンゼルじゃないか、何か今の日本の経済、財政の状態を象徴しているような、ややうつむきかげんな、とぼとぼしたエンゼルじゃないかと思うんで、これではちょっと困るんじゃないかと思うんです。
 その点でちょっと薄井局長、エンゼル税制についてのポイントを、それとこれによって平成九年度から今後二十一世紀にかけてどのぐらい我が国の産業の、企業の活性化に貢献することになるか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 今、御指摘のいわゆるエンゼル税制といいますのは、今回の改正法案の中でこういう規定を設けております。中小ベンチャー法に規定します特定中小会社というのがございます。これは通産省の法律に基づくわけですが、この株式を取得して上場等の日の前日までにこれを売る等の行為を行う。その結果損をしてしまったというときには、翌年以降、当年に加えて翌年以降三年間の繰越控除を認めるという制度でございます。
 これが、何でエンゼル税制かといいますと、ベンチャーというのはうまくいくかどうかわからないということで企業家が企画するわけですが、それには資金が要る。この資金を助けるという意味で個人がお金を出すときに損をすることが、リスクが大きいということだとなかなかお金が集まらないということから三年間、つまり売っても利益が出ない、損が出ちゃった場合には、通常のケースですとその年でしか控除が認められませんが、その後三年間繰越控除を認めますということになれば資金が集まるであろうということから設けた制度でございます。
 私ども、この制度を考えるに当たって、直接の担当省である通産省と本当に悩んだわけでございます。正直にその点を申し上げれば、まさにそのエンゼルの前にベンチャーとは何かということから始まるかと思います。どのような企業家も成功しようと思ってやっているんだと思います。そうすると、どの企業がベンチャーであるかということを政府あるいは法律が決めるわけにいきません。そうしますと、それならば一般的な中小法人が設立されて、これをどう助けるかという話と違わないんではないかということから、いかにこれを構成するかということに腐心してつくり上げたものでございます。そういう意味で、御指摘のようにぱっとしないという評価もあるのかと思いますが、私どもは、税制があるいは法人税制がとり得る限度の中でぎりぎりの線としてこれを設けたということでございまして、これがどのように活用されるのか、今後を見ていきたいと思っております。
 なお、付言いたしますれば、最初に申し上げたことにつながるんですけれども、中小法人の課税をどうするかという一般的な話とこれはリンクしているように思います。あわせて、株式を売ったときの税金、キャピタルゲイン課税をどうするかという一般論ともこれは関係しております。そういう意味では、現在日本では株式を売った場合には、個人が譲渡した場合には源泉分離課税といいまして、譲渡額の一%をその売ったときに納付していただけばそれで終わる制度がありますし、それを選択しない場合には申告納税制度、申告分離制度になっております。
 ただ、上場等をしていないものについては申告分離だけというようなシステムになっておりますが、この申告分離制度のもとにおいても、分離と言っておりますように国、地方を合わせて二六%
 の税率ということが決まっております。さらには、各種のオーナー株主がどの時期にどれを売ったらどうするというようなことを含めますと、我が国のキャピタルゲイン課税はかなりその辺配慮した形に既になっているというふうに考えております。
 そういうベースの中で、エンゼル税制をどう仕組むかということを悩んだあげく今の制度になったということでございます。繰り返しになりますが、これが今後どういうふうに活用されるか見きわめてまいりたいと思っております。
○海野義孝君 ありがとうございました。
 次に、大蔵大臣に中間での質問をさせていただきたいと思います。今のエンゼル税制に関連しますけれども、アメリカにおいては創業期のベンチャー企業に対するエンゼルによるそういった投資というのは、つまり、ベンチャー企業を積極的に育成しようとする個人の投資家にとって、このエンゼル税制がまさに創業期のベンチャー企業の最大の資金の供給源になっている、こういうことであります。欧米の場合、さっきもちょっと申しましたけれども、税額控除あるいは所得控除、こういったものがありまして、他の所得との損益通算ができるという大変手厚いやり方をしているというように聞いております。そういう意味でも、高額の納税者にとってはまさにうってつけの資金の供給源であり、またベンチャー企業にとっては大変ありがたい制度だということであります。
 どうも我が国の場合、財政再建というようなことがあるということで、いささか卑屈になっているのではないかというように思うんですけれども、大蔵大臣はかねてより、我が国の金融制度の改革、つまり日本版のビッグバン、これを推進しよう、このようにされているわけでありますから、そういう点から見ますと、外為管理法の完全自由化も結構でありますけれども、有取税の廃止あるいは取引所税の廃止、こういったことも当然のことながら、この面におきましても税制面でやはり国民にビッグなそういうプレゼントをするというぐらいの気持ちがないと、なかなか経済構造の改革とはいっても実際の歯車は動き出さないと、さびついたままだと、このように私は感じるわけであります。
 そういう意味でも、このエンゼル税制、アメリカでまさに高額納税者にとって、そういったアメリカの産業の振興の上にも、また個人のそういった節税というか合理的節税の上でもこのエンゼル税制というのは使い方によって相当喝采を受けるんじゃないかと、このように思います。私は、これまでの我が国の金融制度等が今日に至ったのはやはり漸進主義というところに欠陥があったと思うわけでありますので、税制の面でも、薄井局長も言われたような事情は重々わかりますけれども、ビックバンを控えてこういった税制の面でも国民にビッグなプレゼントとなるようなそういうエンゼル税制に抜本的にこれを改正されると。まだ法律が出てないのに先に改正というのもおかしいんですけれども。
 それこそ、今政府は平成九年度の予算審議中に平成十年度以降の構想をもう既に立て続けに国民に示していらっしゃるわけですから、そういう意味でもエンゼル税制、これよりもっと大きなものでもいいんですけれども、その辺についての大蔵大臣御自身のお考えを、ひとつお聞かせいただきたい。
○国務大臣(三塚博君) 羽が生えてないエンゼルじゃないかという意味のお話、大変興味深く聞きましたけれども、エンゼルという以上は飛び立つ寸前まであるんだと思うんです。上空高く舞い上がるのが最終目的でありましょうけれども、一生懸命飛ぼうとして頑張っておると、こういうのに活力とエネルギーを与えるという意味で、今回のエンゼル税制ということ、通産提案を受けて税務当局がこれに踏み切ったということでございますから、今後ともこれを助長するようにしていかなければならないと思います。
 ベンチャーの資本、アメリカの対比において御披露賜りました。ベンチャーの資本のためには株の店頭市場の拡充などに努力をしていかなければならないと思って、瞬間的にそんな感じが浮かんでまいりましたし、今聞きましたら証券局もその研究に入っておりますと、こういうことでありますから、これまたエンゼルと同じように飛び立てるように激励をしてまいりたいと思います。
 あと税制がありますから。
○政府委員(薄井信明君) 補足いたします。
 先ほど申し上げたことは繰り返しませんが、各国のそれぞれの税制のその部分だけを見ますと、確かに日本よりいいなというのは幾つもあろうと思います。しかし、先ほど触れたことをちょっと触れますと、キャピタルゲイン課税がどうなっているかというベースを比較していただくと案外日本でやっていることが向こうの制度とそう大差ないというものもあるわけです。あわせて、つけ加えて申し上げれば、日本の所得税、個人住民税の制度自体が超高額所得者についてはもう極めて高い税負担になっておりますが、普通の一千万円以下の方々にとってみては、あるいは一千五百万とか二千万のところを見ても、イギリス、アメリカに比べれば格段に税負担が低くなっているのが現実でございます。
 そういった中で、一般の方々が株式投資、株式を持つことにどういう関心を持たれるかという、今大臣がお話ししましたようなそういう面の問題も絡んでくると思います。それをすべて税制を軽減するということだけで措置する、これは結局は租税特別措置になろうと思います。先ほど申し上げた租税の大原則との関係でこれを考えないといけないとなると、今回かなり思い切って私ども踏み切ったつもりであるということを申し上げたいと思います。
○海野義孝君 御趣旨は大変よく理解できます。
 ただ、私は、こだわるわけではありませんけれども、このビッグバンの問題を考えますと、やはり我が国には千二百兆円という大変な個人の金融資産があるということでありまして、これが現在の我が国の超低金利政策によれば、いわゆる俸給生活者も年金生活者も金利を主体とする生活者も、大変な今の金利水準では、いわゆる元本がほとんど利息を生まないというような状況にあるわけであります。
 そういった中でビッグバンが行われますと、そういったお金が、現に今月間十五兆円ベースぐらいで海外の債券なり、あるいは預金、こういった形で日本から資本が流出しているという大変ゆゆしき問題があるだけに、ビッグバンという問題は、いろいろな問題はありますけれども、早期にこれをそれこそ前倒ししてでも進めなくちゃならないというのは当然でありまして、そのためには万全な措置を講じるということが片や大事なわけであります。
 先般、私、ここで大蔵大臣には、そういった意味でフロントランナーというのは外為管理法の自由化というような問題ではなくして、まさに現在の金融システムあるいは信用秩序というものを盤石なものにするということに手をつけることが先決ではないかということを申し上げまして、きょうはそのことはもうそれ以上申し上げません。ただ、税制の関係からいいますと、そういった千二百兆円の個人の金融資産というものが、個人のそういう預金者にとっては、これは投資家ともなり、そしてそのお金がかつての日本のいわゆる戦後復興から成長時代において、まさに間接金融の形で日本の高度経済成長あるいは産業の振興を担ったという面に使われた時代がありましたけれども、今は千二百兆円のお金が、カビが生えているとは言いませんけれども、なかなか十分にこれが活用されているとは思えない。そういう意味でも、一つの例としてのエンゼル税制と、そういったいわゆる個人の金融資産というものが有効に使われていくということ、これが私は大事だと思います。
 確かに、先ほど薄井局長は店頭市場等の日本の踏みとかいろいろなことを申されましたけれども、これは、もちろん法制とか税制とかいろいろな問題はありますけれども、私はビッグバンが成功すれば日本のマーケットというのは、一流市場を初め、店頭にしても、ちょうど今のアメリカのまさにNASDAQであるとか、ニューヨーク市場がまさに二年ぐらいで四千ドルから七千ドルまで飛び上がったというようなことは決して税制だけの問題ではありません。しかし、あらゆるものを駆使していかないとそういった効果は出てこないという意味で、この六つの改革、教育改革を除いたお互いに絡み合っている五つの改革の中では、もうちょっとそういう面で、税制という問題について、何かおまえはなけなしの金をさらに引き出すようなことしか言わないじゃないかと思われるかもしれませんけれども、きょうはこの特別措置に関してだけで申し上げているわけでありますので、そういう意味で、私は、この平成九年度の租税特別措置法の一部改正についての中身、これについては大変不満であります。
 このこと自体は悪いことじゃありませんけれども、この制度の改正、これをもって事足れりというような認識を当局がお持ちになるとしたら、これは私は、ほかの改革についても同じような意識で取り組んでおられるとしたら、これは大変な問題である、このように感ぜざるを得ません。そういう意味で申し上げたわけであります。この件について一言、大蔵大臣、御意見があればおっしゃってください。
○国務大臣(三塚博君) 物事に一〇〇%はないと私も思っております。いかな俊才といえども、解決案百があれば歴史の変化はなかったとすら思います。
 そういう点で、今日ただいま考えられる範囲の中で六改革を一斉に走らせる。しかし、フロントランナーで三改革がまずスタートを切って実績をあらわし信頼を得て前に進む、こういうことであろうと思います。御審議をいただきます以上、ベストだというのがまた提案者の責任でもございます。そういう中において、議会政治の成熟した我が国会であります。そこで、将来を憂い、今日を憂い、またよかれということで出される案件については謙虚に受けとめながら、今後とも検討、勉強、前進を図ると。特に、経済は生き物でございますから、万般の注意力を集中しながら、その中でわずかでも前進をするようにと、こういうことで努力をしておるつもりでございます。
 これからも御鞭撻のほどお願いを申し上げます。
○海野義孝君 最後にもう一問、大蔵大臣にお願いいたします。
 ただいまのお話で、一歩でも前進というような、そういう御認識をお述べになりましたけれども、私は今この時期においては、計画は大胆であるけれども実行は大変慎重だというのでは困るんです。これでは間に合わないと思う。
 最後にお聞きしたいのは、エンゼル税制じゃなくて、税制全般の問題に絡みまして、いわゆる日本版ビッグバン、金融制度の改革を推進される上で税制をどのように今後なさっていくのかと。これはもちろん税制改革、税体系の問題、直間比率の問題、いろいろ広範な問題を私はお聞きしているわけですから、これについては簡単にお答えいただきたいと思いますが、なかんずくこれについてはグローバルスタンダードとの関係において、いわゆるビッグバンの推進上、税制というものを国際的な基準というものを踏まえて今後どのようにかじをとっていかれるか、あるいはお考えになっていらっしゃるかといったことを、最後にお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 最初に、私から一言申し上げます。
 これからの金融システム改革が進む中での税制のあり方ということでございまして、御指摘のとおり、税制にはいろいろな原則がございますが、やはり経済との関係で中立的であるということが非常に重要になってくると思います。この中立ということを突き詰めていきますと、外国との関係でも差が余りないということかと思います。そういう意味では国際的な視点ということは十分持たなければいけないと思います。
 ただ、私思うに、金融というのは市場ですから、市場主義が徹底していくことは方向だと私も思っておりますが、税制はやはり市場ではなくてそれぞれの国が持っているものですから、これはその国がどういう福祉をやり、どういう教育をやるということの裏腹で総額が決まってくるものでもあります。ただし、総額が決まったときにどういう税金でどういう仕組みでいただくかというときには、中立的にしようということになるわけです。
 したがって、パーフェクトによその国と同じにしてしまって税収が足りなくなってしまうということは、これは本末転倒だと思いますので、税制の本質と、それから国際化の中で我が国の税制がどうあるべきかということを、どう調和させてい
 くかということかと思っております。
○国務大臣(三塚博君) 今、海野議員から有取税初めキャピタルゲイン課税等々を視野に入れて御提言をいただきました。市場全体の税制のあり方はまさにシステム改革、ビッグバンへの必須の条件でございますから、今後ともこの部分については平成十年度税制改正において適正に対応していかなければならないと。
 最後に、計画は大胆にそれで成果はビッグにという意味の御激励をいただきました。私の心の中にはそれはきちっと詰まっておりまして、今いろいろ国会の論議をお聞きしながら、いつのタイミングで大蔵省としてこのことが提示できるのかということで、あらゆる研究と検討を進めておることだけ申し上げさせていただきます。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。
○鈴木和美君 私は、まず第一に薄井局長にお尋ね申し上げたいと思います。
 酒税法の問題でございますが、私は昭和五十五年、一九八〇年に当選いたしまして、大蔵委員会で酒税法を議論するのはこれで三回目なのであります。私は、この昭和二十八年にでき上がった酒税法という法律の概念とか理念とか定義とかというものを考えたときに、日本の酒税法は伝統的に日本酒というものをベースに置いて考えてきたと思うんですね。それで、高いお酒には高い税金をかけるとか、それから小売価格に占める税負担を一定化するというような目的が第一義にあったように思うのです。
 今回、欧米諸国との間で協議なさった中で、欧米諸国はアルコール分一度当たりの税額を同一にするという基本方針に立っていると思います。そういう交渉の中で、今回、しょうちゅう、ウイスキー、スピリッツなどの蒸留酒間の税率をそろえたわけでございますから、これは伝統的な日本の酒税体系とは若干異なったことを受け入れたということになるんだろうと思うんです。そうしますと、私は三つの問題点をはっきりしてもらわなきゃいかぬと思うんです。
 その一つは、従来から伝統的に日本の税を考えてきたこの酒税法というもののとってきた経過というものをはっきりしておいてもらいたいと思うんです。二つ目は、これから業界がどういうふうな酒税法、つまり課税の方式を考えるかということは非常に関、心を持って聞いていると思うんです。三つ目は、仮に伝統的な酒税法の理念が変わるというのであれば、酒税法そのものを変えなきゃならぬというような問題が出てくると思うんです。
 従来、二十八年から何回か酒税法は改正されていますけれども、これは国内的な酒類間の税率をどうするかというようなことで決まったときにこの酒税法の改正が行われているのであって、理念のところまではまだ入っていないと思うんです。こういうことに対して、局長の見解を聞かせてください。
○政府委員(薄井信明君) お酒の税金となりますと、どこの国でもその国の税制の中では古い税金に属するわけでして、そうなりますと、それぞれの国の特徴というものが出てきているように思います。そういう意味で、ヨーロッパあるいはアメリカ、それに対して日本ということを比較しますと違う面が幾つかあるんですが、一方で見方を変えますと、どこの国も程度の差こそあれ我が国と同様に、お酒の飲み方なりなんなり違う部分を分類いたしまして異なる税負担を求めている、そういう意味では共通している面を私どもは感じるわけでございます。
 そういった中で、今御指摘のように、我が国はどうやってきたかといいますと、従来から酒類を品目や種類に分けまして、さらには同一の酒類であっても級別をつけて、高いものであるか安いものであるかということによって税率を張ってきたというのが我が国の伝統的なやり方であったと思います。これに対して、今回大きく方向が変わるのではないか、となると、全体のお酒の税制の体系がどうなるのか、どう考えるかというのが御質問の趣旨かと思います。
 私、前回のガットの勧告に応じまして感じたというか思い出しますのは、あのときに級別制度をやめております。従価制度もやめているということで、一つの方向が変わってきたわけです。今回もその流れの中でといいますか、蒸留酒に関していえば欧米型の考え方と日本の考え方、その分類の中ではかなり考え方が違っておりまして、これがぶつかったのが今回のWTOだったと思います。そういう意味では、蒸留酒に関しましては、高いお酒は高い税金、安いお酒は安い税金という考え方をとれなくなったというのは御指摘のとおりでございます。
 ただし、その場合に、それじゃどこに集中というか統一していくかという考え方につきましては、ウイスキーでも高いウイスキー安いウイスキーありますし、しょうちゅうでも高いしょうちゅう安いしょうちゅうあるわけでして、そういう意味では、平均的なところに今回税率を張らせていただいたということで、そのことによりまして、ほかの酒類との関係はバランスを保つことを考えて今回の税率水準を決めさせていただいたと思っております。そういう意味では、蒸留酒の中については確かに変更がありました。しかし、それは平均的に中央に持ってきたということであって、そのことと他の酒類への負担との関係は大きく変えなかったということで、今後ともそういう方式をとらせていただきたいと思っております。
 なお、アルコール度数に応じた税負担というのは、欧米各国においてもこれは蒸留酒において徹底されている世界でございまして、それ以外のお酒についてはまた全く別の考え方をとっております。国によっていろんなやり方をとっておりますので、すべてのお酒についてアルコール度数でやっているわけではない。したがって、そのことを我々が強いられることはないと思っております。
○鈴木和美君 なぜ私がそのことを聞くかというと、さっき益田委員からも御質問があったんですが、十五カ月と五年というこの違い、これがこれから問題になるんでしょう。それで、恐らく十五カ月と三十日というようなところで代償交渉にはなるんだと思いますが、つまり今大きな問題点というのは、税収の問題もさることながら私は文化の違いのところが大きな食い違いになっておると思うんです。だから、これから議論していくときに、我が国の、五年を通じてやりましょうということを本当に理解してくれるかということになると、私はちょっとさてなと思うんですよ。
 だから、今回法律を出すといって、例えば合意が成立したというのであればいいですよ。合意が成立しなくて妥協に入らなきゃならぬというのであれば、法の再改正はやるのかという問題と、それから別な収拾の道はあるのかということをはっきりしておかないと、これはしようちゅう業界だってこれからどういうことになるのかという心配をしているわけですね。そういう意味から今お尋ねしているのであって、先の展望についても明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 今回、提案させていただいております酒税法の改正の内容を二つに分けますと、一つはウイスキーなりしょうちゅう、スピリッツの間の税金の関係、税率水準の関係を変えるということが一つの分野です。これが本体であって、それをどの時期に完全に実施していくかというその経過措置の部分が二つ目でございます。
 前者につきましては、私は欧米各国もこれに異論はないというふうに考えていると思います。特にEUにおいては完全に合意しております。アメリカもこの点について言ってきてはいないわけです。それを、時間をかけてそこに到達するのか、それとも十五カ月でやるのかという、その完成するまでの期間の問題が今協議の対象になってくるということでございます。そうしますと、その間に、おくれることの代償措置をどうとるかということを考えることになってくるということであって、税率水準そのものに大きく変更を加えることが直ちには考えられないと思います。
 ただ、急にそれをやらなければならないとなると、私は、国内の事業者なりしょうちゅう愛飲家に非常に影響が大きいと考えますので、法律案どおりに実施していただくと。そのかわり、バーボン等の関税につきましては、一定の時期にこれはゼロになるということが既に決まっているわけですから、その途中段階を前倒ししてでも、それを代償措置として交渉の対象に持ち出してでも、この経過期間について守っていきたいという協議をしようということでございます。
○鈴木和美君 そうしますと、税率というかその点は、バーボンについても大体了解がされているからまあ大丈夫であろうと。でも、アメリカは相変わらずいちゃもんをつけているわけですね。
 そうすると、理解として、税率の方の妥協はないけれども、ほかの問題で妥協することはあり得るということになるわけですか。単なる期間だけじゃなくて別な問題を持ち出してきて、じゃこれで取引しようというような問題が出てくる可能性があると見ていいんですか。
○政府委員(薄井信明君) アメリカがこれからどう出てくるか、まだ読めません。予断を許さない面はありますが、これまでの流れからしますと、原則論をずっと主張してくる可能性があります。
 そうしますと、時期的な問題についてどう折り合いをつけるかという、時期的な問題について原則を向こうが主張してくるわけですから、これに対してどうするかという局面に観念的にはなるんですが、私どもとすれば、これから十一カ月あるわけです。なるべく早い時期にアメリカとの交渉を始めて、代償交渉といいますか経過期間を私どもはとりたいと、そのために何がそちらは欲しいのかということについて議論に入りたいと思います。
 外交交渉でもございますし、私ども、先方の意向がまだわかりませんので、それ以上のことについては御容赦いただきたいと思います。
○鈴木和美君 業界が大変興味を持って見ている問題ですから、これはしっかり対応していただきたいということを申し上げておきます。
 それからもう一つ、税制の問題で輸入促進税制の存続についてお尋ねしたいと思います。今回、卸業者や小売業者を対象とした輸入製品国内市場開拓準備金というのがありますね。これは廃止されるようでございますが、製造用機械の割り増し償却及び税額控除制度の方は存続させることになったということを聞いています。
 当初は、これは輸入額の急増で貿易黒字が大幅に縮小したため、両方これはなくしてもいいんじゃないかというような議論があったと思うんです。私もそれでいいと思うんです。ところが、何で片方は、準備金の方は廃止して割り増し償却及び税額控除は存続するということになったのか、その背景と理由についてお聞かせください。
○政府委員(薄井信明君) 輸入促進税制は、平成二年度の税制改正で創設させていただきました。その後、輸入が必要であるということがさらに生じてまいりまして、平成七年の改正、円高対策ということだったと思いますが、で拡充をされた制度でございます。その後、円安になり輸入促進をする時期ではないんではないかということで、委員御指摘のように、この種の税制についての見直しに私ども入ったわけでございます。
 その結果として、卸・小売事業者についてのいわゆる準備金の積み立てについては、これは廃止をすることにいたしました。一方、製造業者に認めています機械装置の割り増し償却あるいは一定の税額控除の選択制度というのがございますが、これについても十分議論をいたしました。
 結論的に申し上げますと、この割り増し償却あるいは税額控除の選択制度、輸入のインセンティブを高めるということを中心の目的としておりますが、このことが企業の体質といいますか、生産能力なりなんなりを含めての国内企業の質を高めることにも同時に役立っているということが言えるかと思います。
 日本の企業の技術の問題とか、先ほど来の御質問にありますように、今いろんな問題が提起されている中で、そういった面に役立っているという面も見受けられるということで、平成七年に上乗せした分、これは特に促進すべきだということで上乗せをいたしましたが、これはやめるということでもとの姿に戻すと。あわせて、今後この輸入についての政策的な位置づけがどうなるかということを見きわめる必要があるので、通常ですと二年間の延長ですが、これは一年間にとどめて、今後の状況を見きわめるという改正を今回の改正でさせていただいているということでございます。
○鈴木和美君 先ほども議論がありましたけれども、租税特別措置法というのは、どっちかというとおまけの部分ばかりなんですよね。けれども、もうおまけはいいじゃないかと。それで廃止、縮小の方向で各年努力しようということにしているわけですから、どうぞこの点も今お話の点がありましたように、きちっと押さえてもらいたいと思います。
 もう一つ、どうしても聞いておきたいことは、先ほどの議論にもつながるわけでございますが、今度は外為法に関連する問題ですが、来年度から施行予定の改正外為法によりますと、海外との資金移動が自由になることに伴って、課税逃れを防ぐ法案がございますね。これは、先般お話を聞いたときには、先にこの外為法の改正をやって、後から捕捉の方の法案をつくり出すというような御説明を受けたんですが、本来であればつまり捕捉をする方法というものと罰則というような問題を十分考えておかないと、この金利問題にかかわる情勢の中で、それこそ不正を働くというようなことが当然考えられるわけなんですがね。当初、大蔵省はこれを一緒に出そうという考え方じゃなかったんですか。それが、いつの間にか分離されちゃったと。ただ、施行期日が来年だからまあ間に合うじゃないかというような意見のようですが、そこはちょっと先急ぎの感が私はするんですね。それは、きちっと両方合わせてこういうことにするよということでなければ納得がいかないと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 金融のシステムを改革するということで、その最初にいわゆる為替管理の自由化ということが来年の四月から動き出します。そういったことを考えたときに、税制面でもそういう経済の実情に合ったものにしていかなければいけない、こういう発想からいろんな面で我々今議論をいたしております。その一部分に御指摘の資料情報制度の整備ということが極めて重要だと位置づけております。
 これは、御指摘ではございますが、私どもは外為法と一緒に出せるとは最初から思っていなかったと。正確に申し上げますと、昨年の秋に外為法がこの通常国会の三月に出てくるということがだんだんわかってまいりましたが、税制面で考えますと、金融機関なりあるいは個人のいろいろな取引との関係を考えますと、外為法の仕組みが、細目はどうなるかということをかなり見きわめて、それを関係者とすり合わせていかないと、簡単に仕組みをつくることがとても無理だと私ども思っておりました。
 急いでやったわけではございますが、これを外為法と一緒に制度化して提案するということは、かえって制度が動かなくなる可能性もあるというふうに感じたわけでございます。とはいえ来年四月から動き出しますから、これにおくれないようにやろうと思っておりまして、今後通常国会の後に臨時国会が開かれるのかどうか、これは国会の問題ではございますが、臨時国会が開催される場合にはそのような機会も含めて提案の機会をとらえてまいりたいと思っております。
○鈴木和美君 説明がよくわかりません。なぜかというと、この制度を実施するというときには、つまりその捕捉ができないということがあってはいかぬのだから、捕捉もきちっとこうしますよということが両方で出てくるならわかるんですよ。それで、今度の捕捉の方は秋の臨時国会に出しましょうということで今努力しているというんでしょう。それなら、この法案を秋まで先に持っていって一緒に出したらいいじゃないかという論議だってあるんです。なぜ、これだけ早くしなきゃいかぬのですか。
○政府委員(薄井信明君) 外為法自体はやはり早く出して、与える影響は私どもが今申し上げている税制面の、資料情報制度の整備というのは税制の中の部分です。しかし、外為制度の自由化というのは極めて経済に大きな影響を与える話でございますから、これは一刻も早く出ていくことが経済にとってプラスだと思います。
 税制の方も同時に出せるのが、委員御指摘のように一番ベストかもしれませんが、外為法自体がかなり努力をされて短期間にまとめて出てまいりました。これから細目についてまた詰めなくちゃいけないところもあろうかと思います。そういうところを見きわめて、金融機関あるいは郵便局等々に私ども資料情報の作成と税務署への提出をお願いするわけです。また、そのことについて国民の理解も求めなければいけないということで、そこは細目をきちっと見きわめておくれないように対応したいと思っております。
 なお、このことが必要なことにつきましては、多分先ほど委員が御指摘したことはそういうことだったと思いますが、昨年の年末の税制改正全部まとめたときに、こういうことがありますよと、このことは忘れないでいかなくちゃいけないんですということを私ども政府税調にもきちっと言ってありますし、また税調答申にもその旨を書き込んでいただいております。また、与党におかれましても、この点についてはきちっと去年の十二月段階に決めていると。ただ、細目についてはまだ詰め切れていない、申しわけございませんが、来年の四月に間に合うように手当てをさせていただきたいと思っております。
○鈴木和美君 この資料提出問題については、税務当局という問題もありましょうけれども、海外での問題ですから、これはもう銀行の送金その他に必ず影響しますね。そうなってくると、銀行業界も事務量がふえるということで反対だというような意見などもあるようでございますが、その点は銀行業界によく話をしてきちっと私はしてもらいたいと思うんです。いずれにしても、避けて通れない道、早くやった方がいいと思うんですよ、これはこれなりに。けれども、いわゆる捕捉のところは十分に考えて対応を間違いないように促進してもちいたいということをお願い申し上げておきたいと思います。
 次の問題は、ぜひ三塚大臣にもしっかり聞いておってもらってお願い申し上げたいんですが、私はきょうは税の不公平の是正という問題についてお聞かせをいただきたいと思っています。
 税の問題を議論するときには、制度上の不公平という問題と、執行上の不公平という問題がいつも議論になるわけですね。執行上の不公平というのは、毎年議論されて、それで附帯決議みたいなものをつけさせていただいているんですが、一向に実績が上がっていないんですよ、これは。一体これはどういうことかというように私は思うんです。
 ちょっと数字を申し上げますが、間違っていれば指摘してください。わかりやすくいえば、平成六年度を軸にしまして、十年前と今日と、どういう状態になっているかということを見ますと、納税者の数というものは大変増加しているわけですね。まず一つは、申告所得納税者数は七百十万から平成六年では八百二十万ぐらいになっています。これは二〇%、一・二倍になっていますね。それから、法人税では、百九十七万だったのが二百七十五万になっています。もうこれは一・四倍、四〇%ぐらい増加していますね。それから源泉徴収の義務者数は、三百二十万から三百九十万、そして特に顕著なものとして還付申告者の数というのがありますね。これは五百七十万から八百六十万にふえているわけです。これはもう約五〇%ふえているということになりますね。とりわけ、最近は相続税の物納状態というのがあります。この物納状態を見てみますと、五十九年には五百件ぐらいだったんですよ。ところが、平成六年では一万六千件になって、三十二倍に入っているわけですね。
 こういう状態の中で、これは税務職員というのは、いつも議論になっていると思いますが、職員の数というのは一〇%ぐらいしかふえていないんです。こういう状態が続いているということは、私は現場職員の方は非常に苦しんでやっているということがうかがえるんですが、これは今大臣に直ちにお答えいただこうとは思っていません。こういう状態で、非常に職員の方が苦労してやっているという実態だけはきちんと押さえてもらいたいと思うんです。
 そこで、もう一つの問題は、先ほど金田先生の話をお伺いしておって、法人税をまけろ、もう少し下げた方がいいんじゃないかという御意見があったんですが、適正な納税をやっている法人に対しては法人税を下げることもいいですよ。ところが、ちょろちょろ変なことばかりやっている法人に法人税を下げろといってみたって、これはどうにも私は理屈が合わないと思うんですよ。
 薄井局長にまず聞くけれども、先ほど赤字法人は近年ふえていますとあなたはおっしゃったですね。ふえているというのであれば、ふえているところに実調をやってそれで赤字だということがはっきりわかるんですか、ただ申告されたものだけで判断しているんですか、実調をやっているんですか。ちょっとそこのところだけ、まずお答えください。
○政府委員(堀田隆夫君) 赤字法人に対する調査でございますけれども、私ども、その申告書の内容をいろいろ分析いたしまして、課税上問題がありそうだと思われる件につきましては、必要に応じて実地調査を行っているということでございまして、その調査によって黒字に転換するという法人も二割弱ぐらいでございましょうか、ございますし、重点的に調査を実施しているということでございます。
○鈴木和美君 これも私の調査の数字ですから、間違っておれば指摘してください。
 先ほど申し上げましたように、法人の数というのは現在約二百七十万強ですね。法人税収は十二兆三千六百億ぐらいですね。それで先ほどこれも申し上げましたように、法人税を担当している職員数というのは約一万四千名ですね。それで、この二百七十万ある法人の数に対して現地に行って実地調査をしているのは、十七万九千しかないんですね。この実地の調査というのは六・五%です。それから、私が先ほど実調率が六・五%だと申し上げましたことは、一法人に十五年に一回調査に行くということでしょう。昭和五十九年のときは十年に一回だったんですよ。ところが今日、十五年に一回しか行かない。さて行った結果、修正とか更正等の追徴件数を見てみますと十三万二千ですね。つまり、申告した者に対してちょっとおかしな点があるよということで修正、更正等をかけて追徴した件数は七四%なんですよ。七四%であって、その更正額、追徴額を見てみますと四千百二十二億円ですね。
 仮に、単純に計算してみますと、法人税を担当する職員が一万四千名であって四千百二十二億円追徴されたということを単純に割ってみると、法人担当職員一人当たり二千九百万、約三千万くらい稼いでいるということになるんです。稼いでいるという言葉は適当でないかもしれませんけれども、大体三千万くらいです。行けば必ずこういう数字が出てくるんですよ。この数字に間違いがあるかないか、まずお聞かせください。
○政府委員(堀田隆夫君) 先生の御指摘のとおりでございます。
○鈴木和美君 もう少し大きい声で言ってください。
○政府委員(堀田隆夫君) 先生の御指摘のとおりでございまして、ちょっとコメントさせていただきますと、法人数はいわば課税対象の数ということでございますが、その増加の度合いに法人税の担当職員の増加の度合いは追いついていないということで一人当たりの事務量がふえている、それから実地調査率が先生御指摘になりましたように中期的に見ますと低下傾向にあるということでございます。
○鈴木和美君 私は、別に意地悪とか故意にと、か、それでごまかしているという言葉は使いたくないんですが、しかし適正な納税だけはしてもらうということがこれは大切だと思うんです。
 そういう面から見ると、いつも問題になってくるのが、十五年に一遍しか来ないというのであれば、それは人間だれでも大ざっぱというわけにもいかぬでしょうけれども、そこで申告するというのが大体通常行われているんじゃないかと思うんですね。それで、税務署がおれの店に来たというと、十五年に一遍なのに二年に一遍ぐらいずつちょこちょこ来るんですよ。この店はおかしいと思うと何回も来るんです。来ないところは一回も来ないんですよ。
 だから、こういう不公平という問題が一つあるよと。きょうはトーゴーサンピンとかクロヨンとかという議論は時間がありませんからやりませんけれども、それは勤労サラリーマンから見たらこれは大変なことでしょう。それで三塚大臣、約四千百億円稼ぐ、一人当たり三千万稼ぐということから見ると、法人のところに、十五分の一ですから実調をやっているのは、行けばこれは六兆円出てくるんですよ、六兆円。もちろん人件費とかその他のやつは差っ引けばいいんですけれども、単純な計算でも、今金がない金がないといってみたって、これはもう全部のところの法人を調査すれば六兆円上がるということは数字上明らかなんですよ。
 そういう問題があるのに、それは税務署の職員をふやせといったって、単に事務量が多いから人をふやせというだけの理解であってはいかぬと私は思うんですね。もう各年各大臣、おなりになって執行上の不公平ということを議論されると、そうだそうだと言うんです。けれども、おまえ税金をごまかしているんじゃないかということはPRはなかなかしにくいものですから。だけれども、適正納税ということをやっぱりやってもらわないと勤労サラリーマンとしてはもういたたまれない気持ちだと思うんです。
 そういうことを実態的に考えてみると、総定員法というのがあるから一挙にふやすことはできないと思いますよ。一挙にふやすということはできないかもしらぬけれども、例えば百人ふやしてごらんなさいよ。百人ふやしたらまず三十二億ぐらいぽっと入ってきますな、十人で三億かな。百人で三十何億ですよ。
 だから、そういう適正な納税ということを考えてもらわないと私はいかぬと思うんです。そういうことから考えてみて、三塚大臣の御見解などを聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(堀田隆夫君) 大臣の御答弁の前に事務的に申し上げさせていただきますが、一つは私ども、限られた稼働量の中でできるだけ効果的に、効率的に調査をしなきゃいかぬということでございまして、いろいろな資料情報を有効に活用しまして申告書の内容等突き合わせをいたしまして調査を実施しているわけでございますけれども、調査必要度の高い、不正を行っていると思われるような法人とか事業規模の大きな法人に重点的に調査をしている、それを心がけているということを一つ申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、全体といたしまして、先生御指摘になりましたように、法人数がふえるあるいは納税者数がふえるということがございますし、さらには経済取引が国際化する、広域化するあるいは高度情報化するということで、中身においても仕事が難しくなってきている、質量ともに難しくなってきているということは事実でございます。
 ただ、私どもはやはり何よりもまずは自助努力といいますか、コンピューターの活用によりまして内部事務を合理化する、効率化する、あるいは調査事務を少しでも効率的に、効果的に実施するように努力する技法を開発するというようなことをいたしまして、事務運営の合理化、効率化を図らなきゃいかぬということで今一生懸命やっているところでございます。
 ただ、今の状態というのは 仮えば国際化にしましても情報化にいたしましてもこれからどんどん進展していくわけでございますし、合理化努力というのもおのずから限界のある話でございますので、私どもといたしましては、やはりいつでも申し上げていることでございますけれども、税務の困難性、あるいは私ども歳入官庁でございますので歳入官庁としての特殊性がございますので、そういうことを関係方面に訴えまして、関係方面の御理解を少しでもいただいて、人をふやすとかあるいは機構を整備するとか努力をしていかなきゃいかぬと思っておりますし、現在一生懸命努力をしておるところでございます。
○鈴木和美君 大臣には一番最後にお答えいただくことにします。私の持ち時間もあるものですから。
 私、国税庁の今の答弁では不満なんですよ。それは大臣が言う答弁なんだよ。国税庁はもう人が足りぬでパンク寸前だと、何で言わぬのですか。それがコンピューターでどうだとかこうだとか言って、私はもうこれ十五年聞いているんだよ、それは。質問すると、そういう答弁なんですよ。同じ人間が言っているんだから。いや、毎年御指摘があってもそのとおりで、パンク寸前なんですと、そこは大臣にお願いしますと、そういう答弁をせにゃいかぬのですよ、ということだと思うんですよ。それはいろいろ立場がありますから、年々努力で増やしてもらっていることは事実です。
 それから、もう一つお尋ねしますけれども、今の税務署の職員の年齢構成というのはどういうことになっていますか。ちょっと教えてください。
○政府委員(堀田隆夫君) 国税組織に在職いたします事務職員の年齢別構成でございますけれども、平成八年十月一日現在、去年の十月一日現在で、まとめて申し上げますと二十歳代以下の人が約一万六千人おりまして、構成比としては二九%でございます。三十歳代の方が約一万七千百人おりまして三一%、四十歳代が約一万六千三百人、三〇%、五十歳代が約五千八百人、一〇%ということになっています。
○鈴木和美君 これも大臣に聞いていてほしいんですが、今国税庁から職員の構成の状況、お話があったんですが、私はこの問題にずっとタッチしてきたから思うんですが、今の職員の年齢構成の状況というのはこれも大変な不備を抱えていると私は思っています。
 なぜかというと、戦後すぐに多くの採用者がおったわけですね、終戦直後。この人たちはもうある程度卒業しちゃったんですよ。税理士になっている人もいましょうし、悠々自適の人もおりますし、とにかく卒業しちゃったことは確かです。それで、その採用のときに、何年に何百人退職するというとそれに見合った新規採用というのが行われていたんですよ。だから、ようやくこれでバランスがとれていたように思うんですね。ところが、その大量に採用した人たちがどっとやめちゃったから、今の最高の年齢のところはまだあと十年過ぎても退職がないんですよ。ということだとすると、逆に新規採用も少なくなっちゃうわけですね。そうすると、専門的であり国際的であり、非常に税務職員の高度な知識を要求されるというようなところから見ると、バランスが崩れちゃっているんですよ、今。
 それからもう一つは、だれだって十年ぐらい勤めれば係長になって、その次何になって何になってという、そういう夢と希望があるでしょうが。今の年齢構成から見たりポストの数から見ると、夢も希望もないみたいな状態なんですよ。それは税務職員としての責任とかそういうことは完全に思っているけれども、幾らやってみたって偉くなるわけじゃないんですよ。昔は税務署に勤めるというと、何年か勤めると税理士の資格が比較的取りやすかったんです。ところが、税理士の資格を取ってみても、今採用してくれる人ないんですよ、バブルのときはおいでおいでだったんですけれども。そういう状態が、今税務署の職員構成の中で問題点が私は出ていると思うんですね。
 だから、これは人事院にもお願いせにゃいかぬと思うんですけれども、ぜひ三塚大臣の方からも機会に触れて、ある程度夢と希望を与えるような意味でもポストを増加させるというようなことを私は考えてほしいと思うんですが、まず、これは所轄の国税庁から私の意見に同感かどうか、答えてください。
○政府委員(堀田隆夫君) 先ほど申し上げましたような年齢構成でございまして、先生お話ございましたように、今は退職者の少ない時代に入っておりまして、国家公務員の定員管理のありようからいたしまして、新規採用の数も少ないというのが現状でございます。
 私ども、こういう年齢構成でやはり問題といいますか、考えなきゃいかぬなと思っておりますのは、特に先生これ二番目の点でおっしゃいましたけれども、四十歳代の職員が多くなっている、あるいは三十歳代の職員が多くなっているということでございまして、退職者が少数であるのに対しまして、これから管理職のポストに登用するその登用の対象となる四十歳代の職員は大変多いわけでありますけれども、あくポストが少ないということになってきておりまして、いわゆる私ども中高年層職員と言っておりますけれども、処遇がなかなか難しい状況に入ってきているという現実でございます。
 私ども、これから税務行政もいよいよ複雑化し高度化していくと思いますので、特に四十歳代職員あたりの豊富な経験あるいはベテランの能力をいかにして十分に発揮してもらうかということが大事でございますし、それから、こういった職員の士気をいかに保持して国税組織全体としての職場の活性化をどう図っていくか、それを通じてまた適正、公平な行政をどうやって実施していくのかということが非常に重要な課題だと思っておりまして、その中高年層職員の処遇につきましては、これも結局関係方面に私どもとしては働きかけをする、事情を御説明してお願いをするという立場にございますけれども、これから従来以上に一生懸命やっていかなきゃいかぬなと思っているところでございます。
○鈴木和美君 もう一つ国税庁にお尋ねしますが、茶化しで言っているわけじゃないんですが、十五年ぐらい前の税務署の職員の状態と今の状態、大分変わっていますね。十五年前に税務署に行くと、みんな下からじろっとこう見るんですわ。何かもう税は徴収するみたいなそういうような感じで、牢獄に行ったみたいだというような話をした人もあるんです。今はちょっとにこつとし
 て、納めてもらうということですから、大分変わってきたですわ。これは渡辺大蔵大臣のときに私はその話をして、税務署の仲間から怒られたことがあるんですが、そんなことないよと。
 けれども、今税務署の庁舎の問題と宿舎の問題、こういう問題が必ずしも十分だとは言えないんですね。だから、庁舎の問題であるとか住宅の問題であるとかについても、これは国税庁の考え方、対応、ちょっと聞いておきたいと思います。
○政府委員(堀田隆夫君) 職場環境の充実あるいは個々の職員が安んじて仕事に専念していただくという意味で、宿舎の充実というのは非常に重要な課題だと思っておりまして、各地の庁舎あるいは宿舎の状況等を踏まえまして、老朽化したものの建てかえなど、できるだけ前向きに取り組んでいるということでございます。
 予算事情の制約の中で、どこまでできるかということになるわけでございますけれども、厳しい財政事情であることは私どももよく承知しておりますけれども、この庁舎、宿舎の改善につきましては、これからも引き続き努力をしていかなきゃいかぬと思っているところでございます。
○鈴木和美君 それでは最後に、私の意見を述べて大臣の見解を聞きたいと思います。
 ただいままで幾つかの実態についてお聞きしてまいりましたが、私は、現在の国税職員の勤務状態は、経済の発展に伴う納税人口の増加、取引規模の大型化、取引内容の複雑多様化、そして業務の国際化に加えまして、一つには政策目的による特別措置、いわゆる政策税制の拡大が行われている。二つ目には、高度情報化社会、機械化の進展など、社会環境の変化への対応が求められていること。三つ目には、消費税、地価税等の新しい税の導入が行われていること。四つ目に、政治資金規正法改正にかかわる個人寄附の税額控除制度の創設なども行われています。五つには、物納申請の増加及び滞納の増加が非常に多いことです。こういうことによって、税務の職場における事務量は急激に増大していると思っております。その上、脱税手口の巧妙化と増加、住専処理問題に関連する税金不払い運動等が発生して、神経的にも疲れ切っていると私は思っています。一人一人の税務職員はそれぞれの責任感において現在一生懸命やっていると思いますが、これ以上現在の職員に努力を要請しても無理だと思うんです。
 そういう意味からして、私は最後に大蔵大臣に、執行上の不公平税制に取り組む決意と、二つ目には職員の処遇改善、定員の増加に関する決意を、言葉ではなくて本当の意味でのお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) ただいま鈴木議員から、税務職員、調査第一線に当たっておる公務員各位の努力、また涙ぐましい頑張りの一端、御披歴をいただきました。
 昨今の経済情勢、物納制度の増加はお聞きをいたしておりますし、また政治資金、個人献金等が節税のといいますか、控除の対象になるということで件数がふえているようでもございます。そういう中にありまして全力を尽くされておりますこと、御苦労であると主管大臣としてもこの場をかりて申し上げたいと存じます。
 憲法に二つの義務がございます。教育を受ける義務、納税の義務とあります。この納税の義務がなかなかいまだしであると言われる昨今、そういう中であって、納税義務の重要さを身をもって実践しておると言っても過言ではないと私自身も思います。
 そういう中で、ただいま御指摘の処遇改善を含め、また増員の問題、庁舎、住宅等の問題等のお話がありました。堀田次長からも段々のお話があります。人事というのはいつでもどこでも難しいものではございます。しかし、国税の、申し上げましたような現況をお聞きしたわけであります。我が胸に落ちる思いがございます。今後とも、次長にも長官にも、以下担当の者にも御努力をいただき、歳入機関の重要性もこれあるわけでございますが、関係機関ともよく連携をとると言われておりますし、財政構造改革という基本的な厳しい中、行政改革の厳しい中でありますけれども、税の公正公平な御負担をいただく。義務としてこれが実行されていくためにも、国民としての税というものの基本的な認識をお一人お一人にいただく。公務員やお勤めの方は源泉徴収でございますけれども、それを除く民間の各位がそういうことで理解をいただくという意味におきましても極めて今後の重要なことであると思いますので、できる限りの努力を払ってまいらなければならないと。実態についても、私からも折を見、機会を得て説明申し上げることも必要だなと痛感をいたしました。
   〔委員長退席、理事石川弘君着席〕
○鈴木和美君 終わります。
○千葉景子君 午前中からさまざまな議論が続いておりますので、多少重なり合うところがあろうかと思いますけれども、確認もさせていただきながら何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 まず、酒税法の一部を改正する法律案につきまして、何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この中身につきましては、もう既に何回か御説明をいただいているところでございます。これは、WTOの勧告に対応いたしましてしょうちゅう及びリキュール類の税率を引き上げる、そしてウイスキー類の税率を引き下げる、こういう中で税率の格差を縮小していくというのが一つでございまして、そして、またその時期をいつにするかという点がございます。この税率については、ほぼ各国との合意が図られているということでございますけれども、その実施の時期については、先ほどからお話がございますように、アメリカでは九七年四月から実施せよと、こういう主張を一貫として続けていると。まあ、WTOの方では中間案というんでしょうか、十五カ月ということで裁定をされているということでございます。
 そんな中で、まず一点は、日本の場合には段階的に平成九年、そして十年、そして十三年ということで最終的に税率を縮小していくということでございますけれども、これは、いろいろな製造業者の今の実情や保護、こういう面もあろうかというふうに思いますが、平成十三年という、十年からここは三年ぽっと間を置きまして十三年ということで、今回の法案の中では盛り込まれております。この十三年というところにどういう意味があるのか、どういう条件のもとでこういう年を設定されているのか。そしてその間、いろいろな問題点がこの年数の中で解消されていくのかどうか、その点についてまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘のように、今回提案しております酒税法案のうち、税率の水準の関係につきましては御理解を得ているわけですが、それをいつ実施するかについてアメリカが納得していないという状況にあります。
 そこで、まず我が方が今回法律を出しております内容につきましては御指摘のとおりでございまして、私どもがそういう経過期間を設けた背景を簡単に御説明いたしますと、WTOの協定におきましても、特別の事情がある場合には、この実施の時期というものを原則の十五カ月よりも延長してもいい、あるいは短縮してもいいという規定がございまして、これに乗ることが可能である特別な事情があると私どもは考えて協議をしてきたわけでございます。全体的にはかなり大きな改正でございますので、少なくとも平成十年十月一日、つまり採択から二十三カ月でおおむね全体の調整を終えるということを基本にいたしました。全体としては二十三カ月。
 しかし、しょうちゅう乙につきましては、二・四倍以上の税率の引き上げということを実施するわけでございます。これだけ大きな税率の引き上げということは他に例がないわけでございまして、これの影響というものを慎重に考えていく必要がある。歳出面で措置いたしましたように、転廃業ということも考えないといけない状況も十分あると思います。単に売り方なりなんなりを工夫すればいいということでは済まない、転廃業にも事態は関係してくるということからすれば、さらに三年設けることはどうしても必要であろうと私ども業界とも話をしながら、こういう案にまとめたということでございます。
 この点につきましては、EUにおきましては関税の措置ということもありますが、合意を得ているということでございますが、アメリカは納得していないというのが実情でございます。
   〔理事石川弘君退席、委員長着席〕
○千葉景子君 今回、この法案を私ども審議させていただきまして決定をするということになりますと、それなりにやっぱり議会としても責任を持たなければいけないということになります。
 そうしますと、今後のやはり日米交渉などの推移によっては、この決定が本当にそのまま維持できるのかどうかと、そういう問題も当然出てこようかというふうに思います。これも先ほどお話も出ましたけれども、その見通しがどうもなかなかはっきりしてこない。万が一、再度実施時期などを見直すというようなことになりますと、一体この委員会で審議したということが何だったのだろうということにもなりかねませんし、それからやはり製造業者の方にとっても、この法案をもとにしていろいろな計画やらあるいは準備をなさると、こういうこともあろうかというふうに思います。
 そういう意味で、大変重ね重ねで恐縮ではございますけれども、今後のこの交渉の見通しについて、改めて御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 昨年十一月一日に 最終的な上級委員会の報告がWTOで確認されたという時点からいろんな具体的な問題を解決していかなければならないということがスタートしたわけでございますが、争いのあった部分のうち税率の関係につきましては幸いクリアをしてきたということで、そういう意味では今回の法律のその部分について前進を大きくしているということは言えるかと思います。
 もう一つ、実施の経過期間の問題ですが、税率の改正自体が極めて大きい以上、私どもも短い期間にこれが完成できるのが一番いいとは思いつつ、しかしこれが国内の業者あるいは愛飲家に与える影響を考えますとどうしても必要だということで主張してまいったわけでございまして、この両者セットにしたものが政府といたしましては、そういうことだと思うということで出させていただいたと。国会におきましても、この点についてやっぱりそうであるということとなれば日本としての考え方が対外的にもはっきりしてくるかと思います。そのことがアメリカにどういう影響を与えるかは、今度はアメリカの受けとめ方だとは思いますが、そういう意味で本日も御議論いただいているということでございます。
 今後の状況について、先ほど申し上げましたように、正直言って予断をもって何かを申し上げられるような状況にはございませんが、ただ、私ども誠心誠意これまでと同じようにアメリカと交渉を行い、日本の実情を伝え、少なくとも酒税法については法案どおりに実施できることを期待しているわけでございます。ただ、観念的にはいろんなケースが考え得るわけでして、そこを考える前に私どもも最善の努力を尽くしたいと思っております。
○千葉景子君 こういう問題があるときなものですから、余りそういう交渉などにかかわりがないことを願いながら、ちょっとこの点でもう一点お聞きしたいんですが、今回の租税特別法の改正の中で、課税移出数量が前年度千三百キロ以下の業者につきまして租税特別措置の適用期限を酒税について四年延長するという措置がとられております。これは非常に小さな製造業者ということにもなろうかというふうに思いますので、それに対する特別な措置という意味はわかるのですが、これを四年間という期間で延長するという何か特別の理由はございましょうか。
○政府委員(薄井信明君) 租税特別措置法によりまして、中小の酒屋さんにつきまして措置を講じてきておるわけでございますが、平成元年当時以来の酒税制度の改革の中で、中小零細の方々に制度の大きな変化が影響を与えないようにと、なるべくそれが小さく済むようにということでやってきているわけでございます。
 それが、さらに四年延長されるというのが位置づけでございますが、酒、特に清酒等につきましては、その消費動向が思わしくないところがございます。したがって、依然として厳しい状況にありまして、中小企業近代化促進法によりまして平成十二年度末を目標に近代化計画がつくられます。これを推進しているところでございます。これに配慮いたしまして、今回平成九年度かち四年間の措置として延長をさせていただく提案をしているということでございます。
○千葉景子君 これは私の気持ちですので、これがまた交渉などで何か問題にならないように祈っているところでございます。
 さて、次に租税特別措置についてお尋ねをしたいと思います。ちょっと基本的な話になりますけれども、租税特別措置、あるいは非課税等の特別措置というのは特定の政策目的を実現するためにとられる政策手段の一つであろうというふうに思います。そういう意味では税の原則でもございます公平、中立そして簡素と、こういう基本原則から見ると例外の措置であるということになるわけです。だとすると、この政策目的に照らして、その特別措置が本当に有意義なものか、あるいは効果を発揮しているものか、それをやはり不断に検討し、そして見直しなどを図っていくということが必要であろうというふうに思います。
 また、とりわけ今財政再建というものが大変緊急な課題となっているところでございますから、ある意味では歳入の面でもできる限りチェックをしていくということも、これは忘れてはならないことであろうというふうに思います。そういう原則に照らして租税特別措置というのを見ておりますと、これは大変なことでございまして、それぞれ一つ一つの政策目的がございますし、大変多岐にわたっているわけでございます。
 そんな中で、今回の整理で廃止されるものの一つに、特定の登録ホテル等の減価償却資産の耐用年数の特例、これが廃止をされるということになりました。私は、正直言いまして不勉強だったということもあるんですけれども、こういうものがこれまで継続をしていたのかということで、大変びっくりいたしました。そして、改めて資料なども拝見いたしますと、これは昭和二十四年に創設をされた一番古い特別措置の一つでもあるわけですね。これまでいろいろ検討はされてこられたのだと思うんですけれども、ここまで残されてきた理由、これはどんなことがあったんだろうか。ことし廃止されるということになった特別な理由というんですか、これまでと違った理由があるのかどうか、そこをお尋ねしたいというふうに思います。
 そしてそれと同様に、やはりこれも資料を拝見いたしますと、創設期からかなり長期にわたる特別措置というのが数多くございます。例えば、これは途中でいろいろな見直しや改正があったかと思いますけれども、四十五年以上たつものとしては船舶等の特別償却がございますし、四十年以上にわたるものとすれば昭和二十七年に創設された渇水準備金等幾つかの特別措置がございます。
 長期にわたるから何でも悪いということは私も申すつもりはございませんけれども、やはり数十年にわたるということになりますと、その間には社会経済状況の変化というのも当然大きくあるわけでございます。その間、政策目的に沿っているか、あるいは政策が時代にマッチしているものかどうか、こういう点検、検証は当然なされてきたというふうに思われますけれども、改めて財政問題が取りざたをされているこういう時期でございますので、この租税特別措置に対するこれまで以上に厳しい今後の取り組み方というのが求められると思います。そういう意味での考え方、そしてこれは下手をすると実質的には各分野に対する補助金的な性格も持ってしまうということにもなるわけですから、その辺の厳しいチェックをお願いしたいと思います。
 そういう意味で、この長期にわたるいろいろな措置について、もし特別なこういう理由だと、やはり存続が必要だというような何か例などがございましたら、少しそれも含めて御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府委員(薄井信明君) 御指摘は、租税特別措置の中のいわゆる企業関係の税制についての御指摘かと思います。
 租税特別措置、企業関係のみならず個人所得関係についてもかなり幅広くありまして、その全体について今委員御指摘のような感覚で、これからの新しい時代を迎えて、私どもはなるべく政策的な価値のないもの、ないものというのは当然のことですが、薄れてきているものはそいでいく。そのことによってどちらかというと一般的な課税ベースを広げていく、仮にそれで税収が出てくれば税率を下げていく、そういう形で対応していくのが方向であろうと思っております。ただ一方で、これまで、またこれからもそうかと思いますが、租税特別措置という仕組みによって、産業界なりあるいは個人生活について一定の方向のインセンチィブを与えていくことのプラス面は、これは否定できないわけです。
 そうなりますと、一度つくったからそれをずっと置いておくということはよくないわけでございまして、厳しく見直していかなければいけないということはもう全く御指摘のとおりでございます。
 そういう意味で、幾つかの古いのがなぜ残っているかという御指摘がありました。私どもなりに毎年のように見直しをしてきておりまして、幾つかございますが、例えば船舶等の特別償却というのが、これも昭和二十六年ということですから相当長く生きているわけですけれども、そのころにつくられて、日本における船舶の位置づけということから重要な措置として続いているわけですが、最近では大幅な縮減を行いつつ、船についてのインセンティブで誘導すべき局面が変わってきております。例えば、外航船舶の分野で、日本国籍の船舶を維持しないと船員の問題、いろんなことがありまして、非常に重要な問題であると私は聞いておりますが、そういう意味で古い制度ではありますけれども、そのころ、その時ごとにその重要性あるいは必要性が変わっている面もありまして、そういう意味では必要に応じて中身は変えてきている、あるいは縮減もしてきているということは申し上げることができるかと思います。
 ただ、いずれにしましても、ただ長いものがあるとすればそれはおかしいわけでして、厳しくこのことも見直してまいりたいと思っております。
○千葉景子君 ぜひ、そういう視点を持って対応をしていっていただきたいというふうに思います。
 今お話がありましたように、かといって今度は租税特別措置というのが政策的にすべて悪いというわけではないわけでして、今回、先ほども議論に出ておりますエンゼル税制が創設をされました。これは企業を後押しするエンゼル、エンゼルは先ほど羽とラッパというお話がございましたけれども、これは個人投資家ということを意味されているようでございますけれども、このすそ野を広げよう、こういうねらいがあるというふうに私も理解をしております。
 これは、これからの日本の新しい活力ということを考えたときにも、私は大変期待のできる一つの政策であろうというふうに思っておりますが、ただこれも先ほども指摘がございましたように、本当にこれで十分に効果が上がるんだろうかと。こういう点でやはり私も多少疑問が残るわけでございます。
 ここだけを見るとだめなんだと、先ほど局長おっしゃいましたけれども、例えば、これはできるだけ個人投資家に投資の意欲を持ってもらおうということだとすれば、なぜ投資の際の税額控除制というものがとれなかったのかどうか。これはイギリスなどではそういう方向がとられているというふうに私も承知をしておりますけれども、ここだけを見てはだめだと、またそういうお答えをいただくのかもしれませんけれども、やはり投資時に税額控除などができれば、ある程度余裕のある手持ち資金を持つ方にとっては、その資金をベンチャー企業に向けさせるという効果は大きいんじゃないかというふうに思います。
 また、今回の制度では、損益通算の対象が株の譲渡益に限られております。これも、本当に個人投資家をもっと投資に向けようということであると、アメリカや英国などのような通常所得と通算できる、こういう方向であればよりこの効果というのが大きくなるのではないかというふうに思います。個人投資家ですから、必ずしも株の譲渡益ということがたくさん出てくるということにも限りません。ある意味では、給与所得等を含めてそういう通常の所得との通算ができれば、より余裕のある、多少の資金を投資しようということもあるのではないかというふうに思います。
 今回はこういう形になったという意味、そして今後さらにこういう制度をどのような方向で考えていこうとされているのか、その点についてぜひお聞きをしたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 今回の、ベンチャー企業に対する個人投資家の投資を支援しょうという措置についての御質問でございます。
 繰り返しになりますので簡単にいたしますが、特定の株式を売ったときに損が出たら、それは三年間繰り越して控除できるという仕組みにしたわけです。それがぱっとしないという御指摘を先ほど来いただいているわけですが、先ほどの企業関係税制と比較していただくと御理解賜れるのではないかと思います。
 政策的に誘導しようとしていることが極めて望ましい、いいことであるとしても、そのことによって税負担が軽減することは確かなわけでございます。この構想を練るに当たりましては、例えば二百万円の投資税額控除、一千万円株を買ったらそのうち二〇%の二百万円を税額で控除したらどうかと、先ほど税額控除でもどうかという御指摘もありましたが、そういう御提案すらありました。そうすれば、それはプラスにならないはずはないとは思いますけれども、二百万円の税金を納めている方というのは大変な所得の方でございます。先ほど申し上げたように、年収七、八百万の普通のサラリーマンであれば、年間の税金は三十万足らずでございます。二百万も税金が安くなる方を優遇することの持つ意味を考えないといけない。
 それは、ややさかのぼって申し上げると、日本の所得税制は所得の高い人には相当重いです、しかしそうでないところには相当軽いわけでして、もともと軽い税制の中で、ヨーロッパの制度を、ヨーロッパが必ずしも先ほど私が申し上げたとおりではありませんけれども、これを入れることが適当かとなりますとおのずから限度があると思います。エンゼルがベンチャーを促進することについて、方向としては私もいい方向だと思いますが、税制の中でそれを措置するにはどうしたらいいか。
 それから税制の中でも、キャピタルゲイン課税自体が、日本の場合、一つのよその国と違う形をとっております。沿革もあり事情もあり、そういう形をとっておりまして、かなり一般的に株を持ちやすいようになっているのではないかと私は思っております。そうなりますと、先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、株を個人が持つ環境というものも含めて、そういう全体で考えていかないと、ピンホールでこのことだけに大きな税制を設けることはバランスを欠くのではないかと思います。
 ただ、経済全体としてどういう方向に持っていったらいいか、いろんなことがこれから大きく変わってくると思います。そういった中で、今回のエンゼル税制がどういう効果を持つのか、今後その実績を見ながら、今後の位置づけを考えてまいりたいと思っております。
○千葉景子君 時間が限られておりますので、細かい点になろうかと思いますが、ちょっと一点お聞きしておきたいと思います。
 登録免許税についてお尋ねをいたします。登録免許税というのは、今固定資産税評価額を課税標準にして課税されているわけですけれども、考えてみますと、固定資産税というのは土地の保有にかけている税金でもございます。登録免許税というのはそういう意味では全く意味が違うわけでして、登録免許税というのは固定資産税評価額を課税標準にするということがいいのかどうかという問題が一つあろうかというふうに思うんです。かといって、じゃ何にすればいいのかと言われると私も非常に困るんですけれども。このために、このところ固定資産税評価額がどんと上がった、そういうことによって特例を設けて調整を図っているわけです。今後、この調整をしながらずっとしばらくいくのか、それともこの際登録免許税の課税標準を一体どこにとるのか、その点について何か今後の見通しというか、考え方がもしございましたら教えていただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 不動産を登記いたします。その際に登録免許税がかかるというのが登録免許税制度でございますが、不動産だけではないんですけれども、不動産についてはそれでは何に対して何を課税標準にしてかけるかということになりますと、不動産の価額に対して課税するということになります。その不動産の価額とは何か、何をとったらいいかというのが御質問の趣旨でございますが、登録免許税自体が、個々人が登記所において登記をする、そこで完結していかなければならないわけです。すべての民有地について自分のところの評価はどうなのかということを確定的にわかるまた計算ができるということを考えると、固定資産税の場合はそれがはっきりしておりますので、これが一番適切であるということで、固定資産税の評価を用いさせていただいているという事情にあります。
 そこで、御指摘の点は、平成六年に固定資産税の方が評価の改定をしたと。そうした結果、非常にそれが高くなっていった。固定資産税自体は別の法律で調整措置を講じたわけですが、登録免許税の方は固定資産税の評価額をそのまま使うことになっておりますので、それですと負担が重くなってしまうということで、固定資産税の評価は三年に一度行われますから、平成六年と七年と八年分については、途中の経過は省略いたしますが、固定資産税評価額の六割減、つまり四割でいいですという措置を講じたわけです。
 今回、平成九年にまた固定資産税の評価がかえられますので、今回もそれを踏襲するということにいたしました。したがいまして、今回の固定資産税の評価がえは平成九、十、十一の三年間分ですので、その三年間について四割課税というものを踏襲する。その先につきましては、平成十一年ですか、十二年以降の次の固定資産税評価のときに、固定資産税の評価がどういうことになっているかということで判断してまいりたいと思っております。
○千葉景子君 時間ですので、終わります。
○小島慶三君 大蔵大臣、続いて御苦労さまでございます。
 私は、今回提案されています二つの法律についてお伺いしょうと思ったんですけれども、その前に一つ恐縮ですけれども大蔵大臣にお尋ねをしたいことがあるわけでございます。先般、橋本総理が新しい財政改革の五原則というものを提案されました。それから、赤字脱出の目標の年次も二年間ですか繰り上げるということになった。総理、大蔵大臣に今まで私が申し上げてきましたことと大体平仄が合っているといいますか、そういうことで大変結構だと思っておるわけです。
 ただ、赤字公債を、今七兆五千億ですか、これを二年繰り上げて消すということになりますと、かれこれ従来の一兆から一兆五千億ぐらいの赤字を消していかなければならぬということになるわけです。一方では、国民の高齢化というのはさらに進んでまいりまして、年金の給付対象は百万ずつふえると。そうしますと、大体これは一兆の支出がふえるということでございます。そういう点で、大変財政としては厳しい財政を迫られているというふうに思うのでございます。
 一つ気になることは、この緊縮財政のテンポをどう考えるかということは、非常に大きな問題だろうと思っています。つまり、今の改革は時間との勝負であろうと思いますので、そういった意味では早くやるにこしたことはない。鉄は熱いうちに打てと、大蔵大臣もこの前おっしゃいました。だから、そういうことでやる必要はあるし、それは日本人の気質に合っているのかもしれませんが、逆にそういうことはデフレ傾向化といいますか、そういうものを誘発するという危険がないわけでもないというふうに思います。また、その反面、これはずるずる延ばしてやるんだ、先延ばしでやるんだということになりますと、そういうことでは皆気がたるんでしまうということもありましょうし、かえってむだ遣いがふえるということもあろうとは思うんでございます。
 その辺の兼ね合いが、非常に難しいと思うんでございますが、大蔵大臣としてはお急ぎになる方に賛成ですか。それとも、ゆっくり延ばしてやる方に賛成ですか。これを、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 橋本首相のリーダーシップで二〇〇五年というのを二〇〇三年に前倒しで財政構造改革を達成したいと。もちろんそれは九カ年計画の二年短縮、三年短縮の六カ年計画と、こういうことでありまして、前三カ年がまさに集中改革期間と、こういうことで全体の制度の見直しを完全に行いながら、平成十年の予算編成は歳出においてマイナスシーリングでこれを断行したい、そういう意味ではすべての政治生命をかけたリーダーシップの発言であります。
 私も、めぐり合わせで請われ、御指名をいただいて大蔵大臣に就任をいたしました折に短い総理からの指示がありました。そこで、財政構造改革元年に向けての予算編成に、全力を尽くして指示のとおりに実行できるようにと思ってやり抜いてきたわけでございます。そして、二年度を迎えました平成十年度予算編成でございます。先ほどもお話し申し上げましたとおり、五月中旬をめどに、具体的な数値目標を含めたものが、最終的に与党三党及び総理経験者、大蔵大臣経験者を含め、内閣の代表が入りました財政構造改革全体会議において決定を見ていくと思います。
 そういうことの中で、新しい基準を設け、その点に取り組むわけでございますから、全力の限りを尽くしながら、国会の皆様方の深い理解、そして国民各位の、なぜ今これだけの厳しい財政構造改革なのかということをお訴えをしながら、二年度でありますけれども、財政構造改革元年にふさわしい予算編成を仕上げていくための基準を明示し、恐らく従前のように明示を、それは八月末までに概算要求を各省が出しまして、年末に内示をしてスタートということになるわけでございますが、これは同時に、基準を出して概算要求を出す。そして、引き続き制度の見直しと歳出の削減に入りますものでありますから、従前の形の編成とは大きく趣を異にしたものになってくるのではないでしょうか。よって、質問にお答えしますが、この年限は確実に守りながら全力を尽くしていきたいと思います。
○小島慶三君 ぜひ、そういう御決意で改革を完遂されますように、御祈念を申し上げておきます。
 ただ、私もう年寄りですから、心配性、苦労性といいますか、そういうことで考えてみますと、なかなか難しい問題が個別にはあるというふうに思っております。一般歳出の四十三兆の半分以上を占めますのは、社会保障費と公共事業費であろうと思います。合わせて一般歳出全体の半分以上になるというふうに思っておりますから、これに手をつけないわけにはいかないというふうに私は思います。あと防衛費とか文教費とか、いろいろございますが、例えば防衛費のようなものは、これは今第二の冷戦と言われる時代に私、差しかかっていると思いますので、これは余り削れないというふうに思います。それから、文教の方も義務教育の負担費、これの国庫負担、これを減らそうということになるわけでありますから、これも先生の首がかかっております。だから、これもそう簡単にはいかないだろうというふうに思います。
 そうすると、どうしても難しくても社会保障費と公共事業費に手をつけざるを得ないというふうに私は思うのでございます。例えば、社会保障費の方はこれは問題は薬価水準をどう下げるか、それから年金の一般の給付、これをどういうふうに考えるか。九九年までの年金の給付水準、これを何かもう決めなきゃいかぬわけでありますが、その場合に、例えばこれは厚生省の計算でありますと、思い切って減らすということになれば二〇%カットせざるを得ない。給付水準をそこまでカットせざるを得ないという計算が出ているようでありますが、それが果たしてできるかどうか。私は、この給付水準を下げるという問題は、一般の物価スライドのような思い切った手をとらない限り下がらないんじゃないかというふうに思っております。
 それから、公共事業費につきましても、これは公共事業費のこういうものを下げることはよくないと、国の基礎を築くのは公共事業であると、こういう御意見もあります。それももっともであります。しかし、この使い方が非常に効率が悪い、それからもう一つは環境破壊的である、さらに民間投資に連動しない、こういう大きな欠点があると思います。これは、やっぱり手をつけざるを得ないというふうに思っております。
 この間の、あれから後の改革会議のいろいろな計算では、公共事業費は五%下げるというようなことを言っておりますが、そうしますと九兆七千億の五%ということになって、余り大きな水準にはなりません。その辺で、果たして目的をうまく達することができるのかどうか。これは、これからの作業によるわけでありますから、私はどうしてもそこにもう一つ今の特殊法人に対する、非常に大きな、国の経済を左右するような金の出方、使い方、これを入れないと、来年度の予算編成ということにはならないんじゃないかというふうに思うのでございます。その辺の、一般的な支出のやりくりにつきまして、大蔵大臣、どういうふうな重点を考えておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 五原則に、橋本首相決心の項目が書いてあるわけでございますが、三番目に、「平成十年度予算においては、政策的経費である一般歳出を対九年度比マイナスとする。」と、こう明示をいたしたところでございます。そして同時に、「歳出の改革と縮減の具体的方策を議論するに当たっての基本的考え方」という具体的項目を記載いたしました三枚つづりの書類がございます。それによりますと、聖域なきマイナスシーリングの中における縮減、これを検討し進める、こうなっております。ただいま御指摘のように、社会保障、公共投資、文教予算、防衛、農林水産、国鉄清算事業団債務、整備新幹線、科学技術予算、エネルギー、中小企業対策、地方財政、こう明示をいたして、具体的にここに目標を書かさせていただいております。
 本件は、十八日の全体会議、そしてその後に行われました関係閣僚会議において了承をし、この目標実現のために取り組もう、こうさせていただきました。本日、閣議終了後の閣僚懇談会、一時間三十分ほどでございましたが、本件をさらに懇談の中で確認をし、これに取り組むことを決めたわけでございます。よって、聖域のない見直しと縮減ということに相なります。そういうことで、この問題は、これから三党代表、座長は自民党の加藤幹事長になろうと思いますが、このメンバーと関係閣僚、首相もできる限り出ていただこう、こういうことであります。企画委員会と言っておりますが、週三日程度、できるだけの時間をそこに投入をしながら、ただいまの項目を一つずつ検討し取り組む、こういうことになります。
 最終は五月中旬をめどに結論を得よう、それを受けて全体会議了承ということになろうと思いますので、それから本格的な基準が確定したことを受けて編成の作業に入る、こういうことになろうと思いまして、聖域のない形で、その中で創意工夫、制度の見直し等々が果敢に行われることによって国民各位の深い理解と協賛が得られるようなものにつくり上げたい、こういうことであります。
○小島慶三君 ありがとうございました。
 もう時間がなくなってきたんですけれども、もう一つ、本日の議題であります酒税の関係で、しょうちゅうのメーカーが非常に苦しい立場になるということで、いろいろ対策その他お伺いをいたしました。私もしょうちゅうファンでありますので大いにこれはやっていただきたいというふうに思っております。さらに、しょうちゅうだけでなくて、恐らくサツマイモをつくっている農家もかなり困ったことになりはしまいかと私は思っております。
 私の小島塾というのが全国に三十三ございますが、九州の小島塾では、サツマイモが世界の最後の食糧であるというので、サツマイモ世界センターというのをつくるべくメンバーがやっております。それから、同じメンバーで国際的なカライモ交流というのをやっておりまして、これは何十カ国から研修生を受け入れて、今まで十六年にわたってカライモ交流をやっているわけであります。そういうサツマイモにかけた青年たちの動きもございますので、何とかそのサツマイモに対してもいろんな配慮がお願いできればというふうに思うんでございます。この前、私、「飢餓の世紀」というレスター・ブラウンの本を翻訳しまして、つくづく思ったんですけれども、やっぱり日本は減反に次ぐ減反で、田んぼをつぶしてきてるんでありますが、最後になった場合に、果たしてそれでやれるのかどうかという心配もあります。
 そういった意味においても、小なりといえどもサツマイモの役割は大きいというふうに思っておりますが、この辺、農水省の方おいでになりましたらお伺いしたい。
○説明員(坂野雅敏君) 御説明いたします。
 現在、甘蔗の国内生産量の六%ぐらいが醸造用原料ということで仕向けられております。今回の税率改正の影響によりまして、酒造メーカー、蒸留酒メーカーの経営が厳しくなると見込まれまして、これに伴って蒸留酒原料用甘蔗の価格面においても厳しくなるものと考えております。
 このような事態に対処するためには、原料用甘蔗の生産性向上や省力化が課題になりますから、ハーベスターという機械でございます、それとか集出荷施設、さらにはいい種苗の供給、さらには合理的輪作体系の確立によりまして、畑作経営の安定に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小島慶三君 終わります。
○吉岡吉典君 まず、酒税法の問題ですが、薄井局長は、大体この酒税法の一部改正する法律案の方向で交渉すると、こういうお話でしたが、それでは困るというのが九州のメーカー、沖縄のメーカーの声になっているわけです。
 九州本格焼酎協議会というのがあるそうですが、そこの専務理事吉野さんという方が、しょうちゅうの増税でなくウイスキーの減税で対応してもらえないかということをおっしゃっている。そして、しょうちゅうの増税ということになれば、生き残れるのはせいぜい九州で二、三社だと、こういうふうにさえおっしゃっているんです。沖縄の泡盛メーカーからも、同じような心配が出されているわけです。こういう要求に対して、二、三社しか残らないという心配さえ持っておられる。
 大臣、どうですか。もうあきらめろとおっしゃるのか、どういうふうにこれにこたえるのか、最初にちょっとお伺いします。
○政府委員(薄井信明君) 経緯等々については省略いたしますが、WTOの有力な一員である日本に対して、お酒の税率格差の点につきましては問題があるということで、提訴をされました。
 私どもは、委員が御指摘のように、日本の酒税制度の考え方、これを誠心誠意説明してまいりましたし、この問題、十数年かけて議論をしてきているわけでございます。結果的には昨年の十一月一日に出た結論は大変厳しいもので、私ども非常に残念と思っておりますと同時に、その折衝に当たってきた者としまして、しょうちゅう関係者の皆様に大変申しわけないと私は思っております。
 その中で、どういう対応が日本としてあるかということを考えますと、先ほど申し上げたように、WTOの一員として、正規の手続を経てここまで来ておりますから、私どもができることは、国民の皆様の理解を得て上級委員会が出した答えに沿って、税率の格差を直していく。ただし、それは急激に直すわけにはいかないので、経過措置を十分とらせていただく。こういうことで、今回の案をつくらせていただきました。
 委員御指摘のように、地元の方々にとってみればこうでない方がいいというのは多分そのとおりだと思いますが、そうならざるを得ない事情を十分御理解賜りたいと思います。
○国務大臣(三塚博君) 今後の経過を見ながら、しかし法律を成立させていただくことによりまして、日米交渉は法律に定めましたように執行をしてまいりますことが私の責任であろうと思い、事務方はもちろんでありますが、私は私なりに米国との関係者との連携を深めているところでございます。同時に、近代化の支援ということで既に予算化をし、予算の中に、法律の中にも触れておるところでございます。
 産業として定着をした地域の企業でございますから、特に多くの方に愛用されておることでもございますので、近代化の支援、そして継続して営業が、活動ができ得ますように、転廃業ということになられる各位につきましては、これもできる限りの支援をいたすことによりまして、引き続き生活安定の道に行けるようにしていかなければならない、こう思っております。
○吉岡吉典君 例えば、沖縄のメーカーからは、泡盛の原料はタイ米だが政府管理のため価格が高い、政府が現地で安く買い付けて業界に高く売るからだ、こういうこともこの際改めてもらいたいというふうなことも出ていることも、大臣、念頭に置いて対応していただきたいと思います。
 この問題を考える場合に、もう一つお伺いしておきたいんですが、薄井局長は酒税の歴史についても大変詳しい模様で、私はこの「間接税の現状」という本を読んで勉強させていただきました。この本を読んで私わかったんですが、日本における酒税の起源は実に足利義満の時代に始まったと、ざっと六百年前なんですね。このときからの酒税の変遷が書かれておって大変勉強になりました。これを読んでみますと、日本の酒税というのは従量税でなく、品質が高い、よりよい高価な酒類ほど高い税負担をしてもらうというのを貫いてきたと。別の言葉で言えば、担税力に応じて課税するという酒税の制度を我が国ではとってきたと。これがWTOは輸入障壁だと、こういう裁定を下して日本に迫ってきたと。
 そこで、この改正というのは、日本自身もこれまでの日本の酒税制度というのはやっぱり輸入障壁だというふうに考えて改めるのか、もうやむを得ずこういうふうにせざるを得ないのか。これは一つの大事な問題だと思いますので、酒税の専門家である局長に答弁をお願いします。
○政府委員(薄井信明君) 十年来議論してきたポイントはそこでございまして、欧米から見ますと、ウイスキーを輸入したくないからウイスキーの税金を高くしている、国産品を優遇したいからしょうちゅうは安くしているということを主張し続けてきました。
 それに対して私どもは、私どもの日本の長い酒税の歴史の中で今御指摘のような考え方を中心にできているのであって、決して輸入を阻止するための税制ではないんだということをるる説明してきたわけでございます。
 そういう意味では、今回改正するに際してこれが障害であることを認めて改正するのかと言われれば、決してそういうことではなくて、そういうふうには思ってはおりませんが、先ほど来申し上げてきましたし、またきょうの御議論に貫かれているように、日本が国際社会の中で大きな位置づけとなっている中で、いろいろな問題がそれぞれにあるわけです。そういった中でWTOに私どもも正式に加盟しておりまして、手続も私どもが一緒に決めてきたものでございます。それに沿って淡々と来たことの結論として去年の十一月の答えがある。ある以上、私どもは日本の制度を維持しつつ、かつ考え方を守りつつ、蒸留酒の世界につきましてはWTOの最終的な採択したものに合わせていくということが日本の責務であるということから、今回の法案を出させていただいた次第でございます。
○吉岡吉典君 さっきも言いました九州本格焼酎協議会というところの吉野専務理事はこういうふうにも言っているんですね。鹿児島の芋しょうちゅうは半分が県内で消費され、残りは県外、輸出はゼロだと。だから、それを外圧でいじめるということは絶対許されないと、こう言うわけですね。
 先ほども、この問題は文化の問題であるというお話がありました。私もそれぞれの国、民族にそれぞれの食文化というものはあると思います。それを、日本が輸出攻勢をかけているのをどうこうしようというのならそれは問題になり得るとしても、ウイスキーを日本に輸出するためにこれを外部の圧力で強引に、日本の食文化がどうなるかという心配が起こるようなことが行われてはならないものだと私は思います。
 私は、今後の交渉の中でそういう点は貫いていただきたいということを要望して、次の租税特別措置法の問題に進みます。私もその審議に参加しましたが、九六年の税制国会で消費税の税率問題を含む論議があったときに、私の頭の中にあることでは、消費税の増税を行うことに先立って、まず不公平税制の是正が大事だということが一つの重要な論点になりました、それが一致した結論とは申しませんが。
 そして、その結果、見直し条項の中で日本の租税特別措置、租税特別措置法にとどまらないで本税にある我々が不公平だと思うもの、最近では税調の文書の中でもいろいろ指摘されるようになつている、こういうものについての抜本的な検討、こういうことが求められた。そして、そういう見直しというのは消費税の税率を最終的に決定する条件であったと私は思います。
 したがって、あなた方、四月から消費税の税率を五%にしようというのなら、同時にこの国会には、不公平税制是正、租特、本法を含めての見直しの抜本的な提案が行われるものであろうと私は思っていましたけれども、それは出ていない。今後、こういう抜本的な提案を提出する準備なら準備があって、いつ出すということ、そうでなく大体今までのような延長でいくんだというのならその考え、もしそうだとすれば、私どもは、九六年の税制国会で大蔵省、政府が言ったことは国民を偽るものだったと言わざるを得なくなるわけですけれども、そこら辺についてのお考え、まずお伺いしておきます。
○政府委員(薄井信明君) 平成六年秋に成立いたしましたいわゆる税制改革法の附則の二十五条に検討項目がございました。消費税の税率については云々と書いてありまして、四つの点を「総合的に勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成八年九月三十日までに所要の措置を講ずるものとする。」という法律を私ども通していただいたわけでございます。
 この際の考え方を短く申し上げれば、消費税率を地方消費税を含めて五%にする、一方で所得税、個人住民税のフラット化による減税を恒久的に行う、こういう組み合わせの中で実施するわけですが、当時、景気が悪いということで二年ちょっとの先行減税の期間がございました。
 そうなりますと、この法案をつくるに際しての議論はもっと福祉を拡充すること、例えば介護の問題とかいろいろ問題が残っているではないかと。平成九年四月から税率を上げるならば、それまで時間があるので、その間にそういったことが変わってくるならば、そして国民が理解をするならば、税率を変えてスタートすることもあり得べしというのがこの検討事項でございました。そのときに行財政改革はどう進んでいるか。これによってうまく進んで大きくできていればそれも勘案できるし、それから特別措置等々についても適正化が進んでいればその分も勘案できる等々のことであったかと思います。そういう意味で、平成七年度、八年度の予算あるいはその他の時期におきましても、この点については常に考えながら進めてきました。
 結論的には、去年の六月二十五日でしたか、二十五日ですね、この時点でこれまでいろいろ検討してきたけれども、福祉の関係で税率をさらに上げなければならないという答えは出ていない、一方で租特などやってきているけれども、それが大きな数字になっているわけではありません。今後の問題としてすべて、やるべきことは残っているわけではございますが、そういう事情の中で、平成八年九月三十日までに税率を上げることについて措置をする必要は認められないということを政府として確認させていただいたということでございます。
 したがいまして、したがいましてというか行財政改革あるいは租税特別措置の整理合理化につきましては、こういう時期、まさにこれまで以上に強力に進めていくべきことは私ども心に強く決心しているところであるということでございます。
○吉岡吉典君 単なる決心じゃなくて、私はこの国会にそれが出るべきであったと思っております。そういう附則で法律にも決められた義務、それを行わないで五%というのが決定された。これは私はやはり約束違反だ、そういうふうに言わざるを得ません。そして、そういう不公平税制の抜本的な見直しが行われなかった結果、大企業優遇という六十四年の税制国会でも大問題になった税制というのがいろいろな形で残され、また一部今度の法案で拡大をされようとしているものもあると、私はそういうふうに思います。
 私は、ここでひとつ具体的に確かめておきたいんですが、試験研究費の額が増加した場合の特別控除の規定の一つである基盤技術研究促進税制、それからもう一つは事業革新税制の一つである事業革新設備等の特別償却、この二つの延長が今度の改正案の中には織り込められていると思います。二年延長ですね。これは、もしこの法案が不成立になってしまえばこの二つの税制というのは、この制度は消えてしまうことになるかどうか、まず最初に、具体的に実務的にお伺いしておきます。
○政府委員(薄井信明君) 租税特別措置でございますので、期間を決めておりますので、それを徒過すれば効果を持たなくなるということになろうかと思います。
○吉岡吉典君 当然そうだと思いますね。
 それから、これがもし延長が成立すれば、その場合の対象設備というものは主務大臣の認定によるということになっていると思います。その対象設備は当然大蔵大臣が告示されることになると思いますが、これはいつごろ告示されることになりますか。
○政府委員(薄井信明君) 詳細、あるいは間違いがありましたら訂正しますが、平成九年四月一日以降に動けるように告示をするということでございます。
○吉岡吉典君 私どもは、これまで大蔵省からも通産省からも大体そのように聞いております。そうすると、今言いました二つの制度、控除制度、これはまだここで審議しているわけですから通っていない、告示もされていない。ところが、これがもう大宣伝されている、新たな税制だといって。それで私はきょうここでどういうことなのか聞いてみざるを得なくなりました。
 これは、通産省からコピーをもらった日本防衛装備工業会というところの月刊機関誌ジャディというんですかね、これに「お知らせ」というのが大きい活字で載っております。ちょっと読んでみますと、「お知らせ 防衛産業に対する税制措置について 概要 通産省は、冷戦の終結等を背景とした防衛需要の減少の中で、防衛産業の生産・技術基盤の確保を図るため、防衛関連事業者における効率化、高度化のための設備投資に対し、平成九年度より税制上の優遇措置を講じることとした。」と、「防衛産業関連税制は、航空機又は武器を製造する事業者が以下の設備を導入する場合、当該設備の取得価格の一定割合を法人税から控除する等の措置を講じるものである。」と、こう書かれております。具体的には、今ありました二つの控除制度、前者は税額控除、後者は償却控除となっておりまして、これ時間がないから一々読み上げませんけれども、この制度の中に新たに防衛産業にかかわる対象設備が織り込まれることになった、追加されることになったということで、例えばそれはミサイル、砲弾の何とかに活用できる設備であるとかいうふうなことが書かれているわけですね。
 今、一方で消費税を初め国民に対して新たな負担を求めるときに、防衛産業の拡大を図るために新たな税制控除をやらなきゃいかぬというのは、私はとても国民の理解できないことだと思います。防衛産業のこれはもう決まりとして書かれていて、通産省にもらった資料に基づいて書いたものだそうです。これまで防衛産業に適用されているこういう控除制度というのは次のようなものがあると、だあっと並んでおります。四十六項目が並んでおります、税制度の。それで、この工業会というのは会長が三菱重工だそうですが、大体日本の兵器メーカーというか防衛産業にかかわっている百三十四社が会員になっている、そこにこういう通達が出されているわけです。
 これは、大蔵大臣が告示出されることになるわけですよ、こういうものを追加するということを。この法案つくるときに大臣わかった上でこの法案つくって、やはり防衛産業を育成しなくちゃいかぬということでやられたのかどうなのか。案外そこまで抜けていたということではないかという気さえするんですが、いかがですか。
○政府委員(薄井信明君) 今、御紹介のありました雑誌の表現が不穏当というか適切ではないと私は思います。
 と申しますのは、防衛産業ということをおっしゃいましたが、そういう例えば防衛産業に属するようなところもいろんな機械を、汎用的な機械を使っているわけでございまして、四十幾つの租特を使っていると言われましても、それは例えばロボットとかなんとかを含めてどの産業でも使っているものをそういう業界でも使っているということにすぎないのでございます。今回の二つにつきましても、これを特定の防衛産業だけに適用する何か技術について規定を設けたつもりは全くありません。あるいはそういったところもカバーされる面はあろうかと思いますが、防衛産業を育成したり助成するためにこの今回の改正を、対象範囲の拡大をしたということではございません。
 最初に私から技術的な面を申し上げました。
○説明員(久郷達也君) 今、先生の御質問で事実関係にわたるところがございましたので、私どもの関係団体でございますので御説明を一言だけさせていただきます。
 今、主税局長の方からお話がございましたとおり、この機関誌の記事の中身、表現は正確性を欠くところがかなりございまして、例えば防衛産業関連税制という新しい税制がまさに創設されるかのように読めるくだりでございますとか、あるいは今回対象設備として追加をいたしました設備がいかにも防衛産業を支援することを政策目的としてとられるかのような表現がございますので、私どもも話をいたしまして、同工業会におきまして、この機関誌の内容につきましては、直近の四月号において訂正をすることになっております。
 以上、御説明申し上げました。
○吉岡吉典君 大臣には最後に答弁いただくことにしまして、今そういう説明がありましたけれども、これを通産省に私ども確かめたときに、このお知らせば通産省が提供した資料に基づいてつくられたものでありますということでした。それから、これは受け取った防衛産業関係がこれは我々の防衛産業を発展させるのにかくも役立つと思って喜んで書いているわけですよ。
 それで、約四十六項目の中は、これ読んでみてもらいたいんですが、ミサイルの誘導装置だとか、ミサイルが一番多いですね、砲弾だとか航空機用エンジンだとかミサイルの弾頭等々、盛んに書いているわけです。
 それで、まだこの法律通っていないんですよ。大臣、告示もまだなんですよ。それが二月の雑誌に書いてあるわけですから。私は、通産省は防衛産業に喜んでもらって、ええと思ってこのニュースを大蔵省のオーケーをとったというので提供したものだろうと思いますよ。提供した大蔵省はこういうつもりだったのか後からびっくりなのかどうかは知りませんけれども、こういうことを四月一日ごろに告示を予定しているものが二月号に出ていることだけでも、私はこれは機密漏えいとは言わないけれども、いかにも防衛産業に対する今の政府の姿勢の一端を示すものだと思いますけれども、訂正なんということできかないものだと思います。
 大臣、これ大変いい記事、お知らせが出たと思わないでしょう。
○国務大臣(三塚博君) 吉岡議員の段々のお話を拝聴しておりました。出どころの問題もあるようでございます。
 それはそれとしまして、ちゃんと聞きましたかということについては、隣の薄井主税局長から、政府税調が終わり、党の税調が終わりました折に租特の一覧表で簡単な説明を受けております。従前からのことであろうということで報告を徴したところでございます。
 業界誌が書くのまで、どうも私の権限から外れておりますし、そんなことでございますので。
○吉岡吉典君 最後に。
 私は通産省に説明を聞いたら、これは開発した結果は汎用品にも利用できるんだという強調で、そのとき僕の念頭に浮かび出たのは戦争は発明の母ということの発想が今もあるのかなと思いました。私は、こういうことのために租特を拡大して、それで不公平税制是正という約束は守らないでこういうことに拡大しておいて消費税の増税どころではない。私は、この点からも今なお五%への引き上げは留保してもらいたいということを要望しまして、終わります。
○山口哲夫君 通告は租税特別措置法からでございますけれども、ちょっと順序を変えまして、法人税関連についてまず一つだけ質問しておきたいと思います。
 ことしの一月に税制調査会から「これからの税制を考える」という報告書が出ております。その中で、法人税率の引き下げの財源として、次のように書かれてあります。大変重要な部分だと私は読みました。
 法人課税の実質的な負担軽減を議論する場合には、その財源をどのように賄うのかについて検討を進め国民の選択を求めていかなければなりません。具体的には、歳出削減で賄うのか、あるいは消費税など他税目の増税によるのが適当かなどを検討しなければなりません。
こう書いてあります。すなわち、この法人税の減税財源として消費税を挙げているわけです。これは大変私は問題があると思います。もともと、この消費税というのは高齢者対策のために導入をすると言っておりました。しかし、残念ながらその高齢者対策には非常にわずかしか使われていなかったわけです。こういうことで国民はこれは約束違反だということで大変な批判が上がったわけであります。
 そういう中で、今また企業の負担を軽減する目的で消費税の増額を検討しようなどというのは筋違いも甚だしいと思うんですけれども、これについてどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 政府税調がこの一月の二十四日にまとめました「これからの税制を考える」というものに今の記述がございます。「これからの税制を考える」というこのペーパーは、これからまさに今後二十一世紀を頭に置きながら税制を考えるときの国民との対話といいますか、問題提起といいますか、選択肢の提起といいますか、そういったようなことで書かれているものでございます。その中で、企業の活力を活発化させないといけないという趣旨から書かれている「企業の活力」というところに今お読みいただいた文章がございます。
 私が、政府税調の意を体するわけにはいかないのかもしれませんが、事務局として一緒にいた者として解説させていただきますと、法人税の税率を、法人課税の税率を下げようとすれば、これは高いという認識のもとなんですけれども、下げようとすれば財源が要ると。この財源は何で調達したらいいかということを学問的にといいますか、あり得る道を探っていきますと幾つかあるわけでございます。その一つが、赤字公債を発行してでもというのもあろうと思いますし、あるいは歳出を削減してというのもあろうと思いますし、さらには他の税目で財源を確保するというのもあるんだと思います、観念的には。それから、法人税の中で財源を見つけていく、この四つがあるわけでございまして、外国の例を見ておりましても、付加価値税を上げて法人税なり所得税を下げている例は見られるわけでございます。
 そういう意味で、いっこれをこうしたいとかああしたいということとは別に、法人税の税率を下げるということを実現する手法として考えられる手だてとして、列記した中に入っているということかと思います。
○山口哲夫君 法人税の減税、それと消費税の増税を組み合わせるということは、これまでタブー視されてきた問題だというふうに私は思うんですね。
 そういうことからいえば、こういう税制改革というものは少なくとも大蔵省としてはとるべきではないということを確認していただきたいんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 中長期的に将来を含めて税制がどうあるべきか、長い話はやめますが、先ほど申し上げたように、ある税負担を考えるときに何で負担することがその国のため、経済のため、国民のためにいいかというときに、法人税の実質減税をする、それを消費税で賄うという選択を否定することはできないと思います。
 ただ、私は今この四月に、消費税が上がるこの時期に、近々それに加えて法人税を下げるために消費税を上げるということが国民の御理解を得られるとは思っておりませんので、そういう意味では私どもは、成案を得ることはできませんでしたけれども、法人税の中で財源を見出していくのが現実的な手法だと思っております。
○山口哲夫君 今のお答えで、大体私の言っていることは御了解をいただいたものと解釈をいたしておきます。
 それから、次に連結納税制度について質問いたします。
 今後、この純粋持ち株会社が解禁されますと、この連結納税制度の導入を求める機運が高まることが予想されます。これを実施すると大企業優遇税制になる危険が多分にあると思っております。その結果大幅な税収減がまず生じてくるだろうと思います。そして、大企業に対する事実上の優遇措置になる、こういうふうに報道をされております。このことについては、大蔵省の主税局の幹部もそのように新聞で意見を述べております。
 そこで、まず一つお聞きしますけれども、連結納税制度を導入した場合の税収の減額というのは幾らになるんでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 連結納税制度と一言で言われておりますが、実はいろんな形がいろんなことを頭に描きながら言われておりまして、アメリカなりフランスで行われている非常に大きな意味での日本の制度と違う連結納税制度もあれば、イギリス方式、ドイツ方式、これを連結と言っていいのかどうかと思われるような制度まで幅広いわけでございます。特に連結をする中での取引をどう考えるかによって減収額は大きく違ってくるかと思います。
 したがいまして、数字として申し上げにくいところではございますけれども、例えば非常に大ざっぱに税務統計から大企業の子会社と見られる非同族の同族会社というのがあります。この非同族の同族会社の欠損金額というのは約三兆円と言われておりますので、こういったものから計算しますと、その際に連結納税制度が導入されてこの決算金額が親会社の利益と相殺されるという仕組みになったとしますと、一兆円程度は法人税が減るという計算もできると。ただし、その仕組み方次第ですし、企業がどう行動するか、これはわからないものですから、このこと自体がひとり歩きするのはいかがかとは思っております。
○山口哲夫君 どちらにしても相当の減収になることは間違いないと思うわけですね。そういう意味で、経済界からもこの連結納税制度というものは、いろいろなことが言われておりますけれども、相当強く大蔵省に対しては要請されているというふうに聞いているんですけれども、しかしその一部では、例えばDDIの会長である稲盛和夫さんですか、この方は大企業優遇はやっぱりアンフェアだなと、こういうふうに言って、導入に対しては否定的な立場をとっている方もいるわけです。大蔵省には相当強く要請されていると思いますけれども、これは受けるべきではないと、そう考えますけれども、どうでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 御質問の最初に、純粋持ち株会社との関係で連結納税制度のお話がありました。私ども、持ち株会社、現在でも事業持ち株会社というのがありまして、これと純粋持ち株会社では事業を別に持っているかどうかという違いであるわけですから、必ず純粋持ち株会社ができればあるいはできるために連結納税制度がなければならないというものではないと思っております。ただし、あっていけないということでもまたないとは思いますが、自動的に出てくるものではないと思っております。
 それからもう一つ、私どもがもう頭から連結納税制度はとらないだとか、あるいは否定するということを私ども申しておりませんで、連結納税制度を考えるということは、グループ単位で企業グループとして活動が行われているという実態が一般的になってきて、それを一体として見ないと税負担のあり方としておかしいという状況になれば、それは私ども決しておかしくないんだろうと思っております。
 ただ、日本の場合ですと、商法を初め個々の企業ごとの単位で考えてきましたし、その中で、国際的な経済活動をする中で大きな企業の中にはきちっとした形の連結納税制度を組み得るような経済活動をしているところも出てきているわけです。そういった中で、一般的に法人税の課税単位である現在の個別企業ごとの課税を連結納税制度ということに変えていくというには時期尚早だと思っておりますし、とはいえ時代は変わってきます。また、経済界は大きく変わっていこうとしております。そういった中で必要になる、あるいはそういう実情が積み重なってくるというときには、これは否定できない問題として出てくるかと思っております。
○山口哲夫君 持ち株会社が解禁されるということになると、どうしても今言ったような連結納税制度というものが業界の中で機運として高まってくることは間違いないと思うんですね。そういうことのために、莫大な税収減が起きるということについてはこれはやっぱり問題があるし、今申し上げたように、経済界の一部からでさえこれは大企業優遇にどうしてもなりがちだということを言われておりますので、この問題については慎重を期して、できればこういうものは行わないような方向で進んでいただきたいと、そのことをお願いしておきたいと思います。
 それでは、租税特別措置法の一部改正でございますけれども、この租税特別措置法は大変たくさんの項目にわたっておりまして、これをきちんと整理するためには一つ一つの項目についてどういう理由で改正をするのか、そういう理由とそれに関連する資料を十分に読んだ上で判断しなければいけない、そういう性格の法案だと思うわけです。
 それで、どういう理由でこれだけ多くの問題について提案しているのかなと思って見ましたら、その理由書がまことに簡単でありまして、何も理由にはならないようなことしか書いていないわけです。適用期限の延長が必要であるとか、あるいは税額控除の特例措置を講ずる等の必要があるとか、そんな程度しか書いていないわけです。これではとても審議できないわけですね。少なくともここに適用期限の延長が必要だと書いているんですから、なぜ必要なのか、そういう具体的な説明がなければとても私どもとしては審議に応じられないのではないだろうかと思うわけです。
 租税特別措置というのは、予算書には出てきませんけれども、機能的には予算と並ぶものですから、そういう意味では一種の補助金的なもの、よく隠れ補助金だと言われるのもそういう意味合いがあるんじゃないかと思うんです。それで、今後この租税特別措置法の審査に際しましては、あらかじめその理由を明らかにして、きちんと資料を提供するべきだと思うんです。少なくとも欧米では、税の減免、優遇措置についてはこれは租税支出ということで予算書にきちんと記載されているというふうに聞いております。どうかひとつ、そういう資料の提供等について今後十分注意を払ってもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) そもそもというか、もともと租税特別措置が多岐にわたっているということに問題点があろうかと思います。その点も含めて、私ども鋭意努力してまいらなければいけないわけですが、例えば平成九年度の租特の税制改正に当たりまして、例えば住宅取得促進税制だとか、あるいは先ほど来話題になっておりますエンゼル税制だとか、そういったものにつきましては説明資料を別途つくって御説明の必要に応じてやらせていただいておりまして、細かい項目すべてについてすべての説明が至っていないことは御指摘のとおりだと思います。
 今後とも、重要といいますか大きな項目につきまして、どういう趣旨で今回改正するのかということを説明資料等においてきちんと整理する工夫を考えてまいりたいと思います。
○山口哲夫君 そこで、資料をつくるに当たって、もう少し具体的に質問しておきたいと思います。
 これは税制調査会、平成六年の十二月に出されたものですけれども、その中で租税特別措置の基本方針としてこういうことが書かれてあります。「いわゆる企業関係の租税特別措置等を中心にして抜本的な整理合理化に取り組むこととし、具体的には、個々の特別措置について例外項目を作ることなく、」ということで、六項目挙がっております。「その目的が現下の喫緊の政策課題に資するものであるか」、二番目には「政策目的達成のために効果的な措置であるか」、三番目に「そもそも政策手段として税制が適当か」、四番目には「利用実態が特定の者に偏っていないか」、五番目に「利用実態が低調となっていないか」、六番目に「創設後長期間にわたっていないか」と、こういうことが書かれているわけです。
 そこで、例えば「政策目的達成のために効果的な措置であるか」どうかということですね。これはやっぱり政策目的があって租税特別措置をしていると思うんですね。それじゃ、一体どういうその政策なのか、その政策目的は何なのか、省庁別にきちんと出すべきだと思いますよ、これは。さっきの質問じゃないですけれども、防衛庁の関係についてはこうこうこういう理由でこういう政策のもとに租税特別措置をするんですと言わなければ、これは我々としては何にもわからないわけです。そういうことについては、どうですか。政策目的別に、省庁別に出す考えはありますか。
○政府委員(薄井信明君) 租税特別措置につきましては、毎国会、今回も出しておりますが、租税特別措置による減収額試算というものを出しております。ここで、例えば環境改善、地域開発のための促進税制というものがどういうものであるか、あるいは資源開発促進あるいは技術振興、設備の近代化、内部留保の充実、企業の体質強化といった政策目的別に分類いたしまして租特の減収額を示しているわけでございます。そういう意味では政策目的といいますか、グループ別にどういうものがどこに入っているかということは世の中にお示ししているつもりではございます。
○山口哲夫君 極めて大ざっぱには出しているんですよね。ですから、それが全然省庁ごとにはわからないわけですよ。やっぱりもう少し丁寧に、どこの省庁ではどういう政策のために必要なんだということぐらいは、これは資料として幾らでもつくれるものなんで、意識的に出していないんじゃないかとさえ勘ぐられるんですね、これは。ですから、それはぜひやっていただきたいと思います。
 それから四番目に、「利用実態が特定の者に偏っていないか」と書いてある。これは、判断するには企業名を明らかにして、きちんとどのぐらいの租税特別措置で恩恵を受けているのか、そういう企業名を発表したってこれは一向に構わないことだと思うんですよ、国民の税金をもってやるわけですから。どうですか。
○政府委員(薄井信明君) 例えば、各省ごとの名簿が出せないかということになりますと、もう御存じのように、例えば医療用機器の特別償却であれば厚生省であるわけですし、特定都市鉄道整備準備金であれば運輸省というように対応関係がむしろすぐにわかるわけで、それを改めて書くべきかどうかという御指摘かと思います。
 それと同時に、先ほどの御質問ではないんですけれども、ほとんどの省庁、あるいは産業関係省庁に全部関係しているというのがかなり多いわけです。私どもも個別にどこの会社のためとか、どこの企業のためというより、どちらかというとさつき申し上げたように、技術振興とか設備の近代化というような横断的な事柄から租特をつくってきておりますものですから、そういう意味では、企業名を書くということにも適していないし、各省庁ごとの、書けば書けますけれども、大体のものが横断的にどこでも使えるというようなものが多いと思っております。例外的に、今例示に申し上げたように、これは運輸省しかあり得ないじゃないかというのもあるかと思いますけれども、そういう実情にあるということがこの租特でございます。
○山口哲夫君 五番目に、「利用実態が低調となっていないか」と書いてある。そうすると、どの程度の企業がこれを利用しているのか、そういうことが明らかにならなければ、これは税調でもって指摘している、この利用実態が低調になっているのかいないのかというのを我々が判断できないんじゃないでしょうかね。
 とかく言われているわけでしょう。これは、租税特別措置というのは本当に大企業に偏り過ぎているということが言われているわけですからね。しかも、こういうふうに非常に利用実態というのが低調な面もあるよということさえも言われているわけです。ですから、税調のそういう意見というのを私たちは判断基準の一つとして審議していくということになると、そのぐらいの資料を出したって一向に構わないんじゃないかと思うんですがね。
○政府委員(薄井信明君) 利用実態の点につきましても、私ども常にこれを考えながら整理合理化を進めているわけでして、利用者が限られている、例えば準備金の中には限られているものがあります。こういったものについては、利用実態というのは把握できますので、それなりに私ども数字を持っておりますが、一方で一般的な措置、先ほど来申し上げている、それを全体的に把握するには、とても無理なものがあります。そういうものにつきましては、私ども各省庁に依頼してヒアリングをさせていただいているというような状況でございます。また、利用実態そのものが余り多くないことをして、だからこそ必要なんだというような問題もありますものですから、個々のケースによって説明が非常に難しい部分もあることは御理解いただきたいと思います。
 なお、先ほど申し上げましたように、租特の一部改正法案を出すような際に、解説書、説明資料的なものを拡充できないかと。今やっているものがあるわけですけれども、それを御指摘のような点から拡充できないかどうか、それは工夫をさせていただきたいと思っております。
○山口哲夫君 こういう改正案を審議する判断基準として、私どもとしては、今申し上げた程度のものは資料として提出する、これは提案者として義務があると思うんですね。ぜひひとつ、その点を今後十分配慮してもらいたいと思うんですけれども、大臣、どうですか。
○政府委員(薄井信明君) 先に一言申し上げます。
 現実にどういうものになるかにつきましては、工夫をしてからの問題だと思いますが、先ほど来申し上げているように、横断的あるいは一般のそれぞれの企業が使っているものを把握することがほとんど不可能なものがかなりあるかと思います。それは無理なものは無理だということで御理解いただけると思いますので、できる限りの工夫をして何ができるのか、今説明等に使っている資料をどう拡充できるのか、工夫してみたいと思っております。
○国務大臣(三塚博君) ただいま局長が言われましたとおり、審議のための必要なものは当然お出しをする、こういうことです。
○山口哲夫君 それで、もう二つほど質問しておきたいんですけれども、租税特別措置による減税額ですね。これは予算ベースでは見込み額ですか、示されているんですけれども、決算ベースの方では全然示されていないんですね、実績額というのが。これは結構差があるというふうにもとられるんですけれども、決算額でもこれは示す必要があるのではないでしょうか。
○政府委員(薄井信明君) 租特につきまして、それが各企業がどのようにこれを使ったかというのは、どうやって把握したらいいかということを考えてみますと、これもほとんど不可能なわけです。二百何十万社の企業が申告書を出しておりますが、その申告書をどう我々サイドで処理するかということを考えますと、これはほとんど不可能かと思います。そこで、サンプル的に、もしやるとなれば推計をしていくということになろうかと思います。サンプル的に推計をするとなれば、多分予算ベースでお出ししているかなり細かい減収額の計算とそれほど変わってこない。そういう推計しか不可能ではないかと、私ども技術的に思うわけです。
 そういう意味で、予算ベースがあるなら決算ベースというのは自然な発想だとは思うんですけれども、この種の一般の企業みんなが使っている租税特別措置について、どう使ったかを決算ベースできちっと数字で出すことは技術的に難しいと。それに当たるものを、現在予算ベースで推計して出しているというふうに御理解いただきたいと思います。
○山口哲夫君 それからもう一つは、この租税特別措置というのは、各省庁については大体自分のところで一回つくってもらうと、それはもう既得権のような感じで各省庁は私はいるのでないかと思うんですね。そういうものじゃないと思うんです。先ほど来お話があったように、何十年もたって当然目的達成しているじゃないかという思いさえあるわけですね。そういう点では、租税特別措置ということについても予算の歳出と同じように大蔵省が査定する対象にしてきちんとやるべきだと思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(薄井信明君) 予算の場合は、ゼロから毎年その予算を積み上げていくということですので、毎年そういう意味でのチェックがなされると思います。租税特別措置につきまして、その知恵、それに類する知恵として私ども期限を設けております。二年なり三年、一年のものもあります。そして、期限の到来の際に先方、要求する官庁の方が延ばしてほしいということを言ってくるに際しては、我々は今御指摘のような各項目について、本当にそれが必要なのかどうか、こういうことをチェックさせていただいているという形で、一度設けたらずっとということにならないように工夫はしているということでございます。
○山口哲夫君 この問題の最後に大臣にお聞きしておきたいと思うんですけれども、私どもの得る資料の中だけで見ますと、この租税特別措置というのは化学とか鉄鋼とか機械、こういう高度成長期の基幹産業に偏っているというのが私どもの考えです。識者においても大体そういうことを言っております。そういう面では、安定成長になった時代、国際化の時代には、これはもう大幅に租税特別措置の一つ一つについて見直しを図っていく、そういう時期だと思うんです。
 そういう観点に立って、この大幅な見直しについてぜひひとつ検討をしていただきたい、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(三塚博君) 租税特別措置法は、毎年全項目を政府税調、党税調、主税局としても最大の仕事としてそれをやり抜いておるものと理解をしております。御指摘のとおり、門限が来ておるものを延長する場合には、役目が終わったのかどうかという視点もあります。そういう点で、そこのところは明快に今後毎年見直していかなければならない問題であると思います。
○山口哲夫君 最後に、引当金のことについて質問したいと思います。
 この引当金についても、租税特別措置とほとんど私は変わらないものだと思うんです。確かに、引当金というのは税法の本則で書いてありますから、これは租税特別措置法とは違うんだというけれども、実際には、これは各企業にとっては相当の租税特別措置をしてもらっている、そういうものだと思うんです。これについても、先ほど資料の要請をいたしましたけれども、もう少し引当金等についても資料の提供をしていただきたいと思うんです。特に、企業名を明らかにしてもらわなければ、この引当金そのものだってやはり国民の税金として特別の措置をしているのと同じなわけですから、一種の補助金だと言われているわけです。
 それで、今までは、昭和六十三年ころにはきちっと出しているわけです。大きな種別に分けて、そのトップクラスの企業二十八社についてはきちっと出しているわけです。それが最近出なくなったわけです。これはどうして出なくなったのか非常に疑問を感ずるんですけれども、引当金についても同じように資料の提供について十分検討をしていただきたいと思います。
○政府委員(薄井信明君) 今お話ありましたように、引当金は法人税法の中で租税特別措置とは別に私ども整理しております。そういう引当金ではありますけれども、実情に合わなくなったところは直していくと、これは今後ともやっていきたいと思います。
 それから、個々の企業名を公表できるかどうかにつきましては、私ども、それを企業のプライバシーとの関係でどこまで許されるのかどうか、これまでどういうことでこれをやってきているのか、その辺については勉強させていただきたいと思います。
○委員長(松浦孝治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○海野義孝君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に反対し、酒税法の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。
 日本の経済は、バブル崩壊後、長期不況にあえいでおります。その最大の原因は、経済構造改革推進のおくれと、実効ある対策を講じなかった自社さ政権が続いてきたことにあります。
 とりわけ、六つの改革などと言葉が躍るだけで実態は何もしょうとしない橋本内閣の有言不実行ぶりは、我が国経済の低迷、先行きの不透明さに一層拍車をかけています。深刻な経済危機にもかかわらず、政府は、消費税率の引き上げ、特別減税の打ち切り、社会保障負担引き上げにより、九兆円もの負担増を国民に押しつけようとしています。
 政府は、税制の立場からは景気の活性化を行う意図はなく、例えば、近い将来の金融ビッグバンに対応するために証券市場の国際化が問われている中で、従来から要望の強い有価証券取引税や取引所税の廃止を先送りし、また、土地の流動化が阻害されていることが景気低迷の大きな要因の一つと言われているにもかかわらず、税制において流動化を促進させることについても十分に配慮が払われなかったのであります。
 政府は、平成九年度税制改正において、平成会が主張している地価税の一時凍結、新規取得土地等に係る負債利子の課税の特例の廃止、また個人の不動産所得に係る損益通算復活等は全く盛り込まれておりません。経済構造改革、土地流動化に対する措置は講じられなかったのであります。財政均衡を強く主張する余り、経済構造改革、グローバルスタンダードに対する対応で不十分である今回の租税特別措置法について、以上のような理由により反対するものであります。
 その他、酒税法の一部を改正する法律案については、国際貿易機関(WTO)の勧告に基づくものであるが、経営環境の激変が考えられることから、当該業界・企業に対する政府の十分な対応を条件として賛成するものであります。
 以上、政府提出の二法案につきまして、平成会の態度を表明し、私の討論を終わります。
○鈴木和美君 私は、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました二法律案について、賛成の立場から討論を行うものであります。
 まず、酒税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案におきましては、昨年十一月のWTOの勧告に対応するため、しょうちゅう、ウイスキー類、スピリッツ類及びリキュール類に係る税率格差の縮小を図ることとしております。
 本改正によって、中小零細なしょうちゅう事業者に対し、多大な困難を強いることになりますが、WTOの理念を推進する立場にある我が国として、その国際的責務を果たす観点から、ぎりぎりのやむを得ない措置と考えます。
 次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案におきましては、回復基調にある我が国経済の足取りをより確かなものとするため、住宅・土地税制について住宅需要を喚起する観点からの見直しを行うほか、経済構造の改革に対応するためベンチャー企業への投資活動を促進する措置を創設することとしております。また、沖縄の総合振興開発を促進するための一環として航空機燃料税の軽減等を行うほか、阪神・淡路大震災の被災者の住宅再建を支援するため、住宅取得促進税制の特例措置を創設することとしております。
 これらの措置は、現下の厳しい財政状況のもとで、社会経済情勢の変化に適切に対応するために必要不可欠の施策であり、また、沖縄県民の長年の御労苦や阪神・淡路大震災の被災者の方々の期待にこたえるための措置として高く評価し得ると考えます。
 以上、賛成の理由を申し述べましたが、最後に、政府におかれましては、今回の酒税法改正について関係国の理解が得られるよう最大限の努力を払うとともに、今後とも税制の公平、公正の見地から、租税特別措置について徹底した整理合理化を行うよう要望いたしまして、私の討論を終わります。
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法等の一部改正案及び酒税法の一部改正案の両案に対して反対の討論を行います。
 まず、租税特別措置法等改正案についてであります。ことし四月より消費税が増税されることになっていますが、これを決めた三年前の法律には、税率アップまでに租税特別措置を見直すことが規定されており、政府・与党も不公平税制を思い切って見直すことを何度も言明をしていました。
 ところが、今回の改正は、引当金は言うに及ばず、租税特別措置についてもわずかばかりの縮減で、そのほとんどの項目の適用期限を延長しており、大企業優遇税制に本格的なメスが入っておりません。改正案は住宅減税など賛成できる措置もとられていますが、基本的には国民には大増税を押しつける一方、大企業への優遇措置を温存するものであり、賛成できません。
 次に、酒税法改正案であります。
 今回の酒税法改正は、しょうちゅうの税率を大幅に引き上げる大衆課税の強化であります。我が国の酒税は、これまで担税力を基準に酒類ごとに税率を定めるという酒税体系をとってきており、大衆酒であるしょうちゅうが相対的に低税率であるのはそのためであります。
 ところが、WTOはこれを我が国の輸入障壁であると一方的に断定し、その是正を求めたのであります。この不当な決定に屈した我が国政府の責任も免れません。この結果、庶民に親しまれているしょうちゅうの価格は大幅に引き上げられるとともに、国内しょうちゅう製造の大半を占める中小業者の経営に深刻な影響を与えることは必至であり、強く反対するものであります。
 以上が両案に対する主な反対理由であります。
○委員長(松浦孝治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、酒税法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦孝治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、河本君から発言を求められておりますので、これを許します。河本君。
○河本英典君 私は、ただいま可決されました酒税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新社会党・平和連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    酒税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 WTO勧告に対応した酒税法改正については、消費者及び製造者に与える影響にかんがみ、今後とも、関係国の理解が得られるよう最大限努力すること。
 一 中小事業者の多いしょうちゅう乙類業界が、今回の大幅な税率引上げに対処して一層の近代化を促進できるよう、十分な指導を行うとともに所要の措置を講じること。
 一 財政物資としての酒類の特性に配慮し、酒税の円滑かつ適正な転嫁と公正な取引の確保が図られるよう十分に指導すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(松浦孝治君) ただいま河本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦孝治君) 全会一致と認めます。よって、河本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、三塚大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三塚大蔵大臣。
○国務大臣(三塚博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
○委員長(松浦孝治君) 次に、租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦孝治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、荒木君から発言を求められておりますので、これを許します。荒木君。
○荒木清寛君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党、新社会党・平和連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の
    被災者等に係る国税関係法律の臨時特例
    に関する法律の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべき
 である。
 一 国民の理解と信頼に基づく税制の確立のた
  め、公平・公正の見地から税制全般にわたる
  不断の見直しを行うとともに、特に租税特別
  措置については、その政策課題の緊急性、効
  果の有無、手段としての妥当性、利用の実態
  等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理
  化を推進すること。
 一 阪神・淡路大震災の被災者・被災企業の生
  活・事業活動の復興を引き続き支援する観点
  から、今後とも必要に応じて、税制面での適
  切かつ有効な対応を行うこと。
 一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・
  国際化・情報化、制度改正等に伴う事務量の
  増大及び税務執行面における負担の公平確保
  の見地から、国税職員については、その職員
  の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮
  し、今後とも処遇の改善、職場環境・機構の
  充実及び定員の一層の確保に特段の努力を払
  うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(松浦孝治君) ただいま荒木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(松浦孝治君) 全会一致と認めます。よって、荒木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、三塚大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三塚大蔵大臣。
○国務大臣(三塚博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。
○委員長(松浦孝治君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松浦孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(松浦孝治君) 次に、中東・北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。三塚大蔵大臣。
○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました中東・北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、中東・北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 この法律案は、別途本国会において御承認をお願いしております中東・北アフリカ経済協力開発銀行を設立する協定に基づき、我が国が同銀行へ加盟するために必要な措置を講ずることを目的とするものであります。
 中東・北アフリカ経済協力開発銀行、いわゆる中東開発銀行は、中東及び北アフリカ地域における経済開発、貧困削減及びこれを通じた地域の平和の促進を目的として、主として民間部門に対する投融資を行う機関として設立されることとなっております。
 政府といたしましては、中東開発銀行の役割の重要性にかんがみ、また、我が国が同銀行の活動を支援していくことは我が国と同地域との経済関係を一層緊密なものとするものであることから、米国及び欧州の国々等とともに同銀行に加盟いたしたいと考えております。
 本法律案の内容は、加盟に伴い、政府が同銀行に対し、約四百六十八億円の範囲内において出資することができることとする等の所要の措置を講ずるものであります。
 次に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行及び国際開発協会は、ともに世界銀行グループに属し、アジアの貧困国も含めた開発途上国の社会経済開発に重要な役割を果たしております。
 先般、世界銀行において、我が国の経済力及びこれまでの世界銀行グループへの貢献にふさわしい発言権が確保されるよう、我が国に対する特別の措置として、出資シェアを六・一五%から八・一五%へ引き上げる総務会決議が成立いたしました。また、国際開発協会において、九七年度以降三年間の融資財源を確保するための第十一次の増資に関する総務会決議が成立いたしました。
 政府といたしましては、両機関の役割の重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、これらの決議に従い、追加出資を行いたいと考えております。
 本法律案の内容は、政府が世界銀行に対して三十三億二千三百万協定ドルの範囲内において追加出資を、国際開発協会に対して約二千三百四億円の範囲内において追加出資を行い得るよう所要の措置を講ずるものであります。
 以上が、中東・北アフリカ経済協力開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案及び国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(松浦孝治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十五分散会
     ―――――・―――――