第140回国会 農林水産委員会 第2号
平成九年二月二十一日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         真島 一男君
    理 事
                浦田  勝君
                高木 正明君
                阿曽田 清君
                谷本  巍君
                一井 淳治君
    委 員
                井上 吉夫君
                岩永 浩美君
                佐藤 静雄君
                松村 龍二君
                三浦 一水君
                石井 一二君
                及川 順郎君
                高橋 令則君
                都築  譲君
                常田 享詳君
                村沢  牧君
                国井 正幸君
                須藤美也子君
   国務大臣
       農林水産大臣   藤本 孝雄君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       堤  英隆君
       農林水産省経済
       局長       熊澤 英昭君
       農林水産省構造
       改善局長     山本  徹君
       農林水産省農産
       園芸局長     高木  賢君
       農林水産省畜産
       局長       中須 勇雄君
       農林水産省食品
       流通局長     本田 浩次君
       食糧庁長官    高木 勇樹君
       林野庁長官    高橋  勲君
       水産庁長官    嶌田 道夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        秋本 達徳君
   説明員
       大蔵省関税局企
       画課長      塚原  治君
       通商産業省貿易
       局貿易調査課長  守谷  治君
       運輸省運輸政策
       局技術安全課長  釣谷  康君
       運輸省運輸政策
       局観光部観光地
       域振興課長    増井 健人君
       運輸省海上交通
       局総務課長    田村雄一郎君
       海上保安庁警備
       救難部管理課長  後藤 光征君
       労働省労働基準
       局労災管理課長  坂田  稔君
       労働省労働基準
       局補償課長    谷  義為君
       会計検査院事務
       総局第四局上席
       調査官      平川 素行君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (平成九年度の農林水産行政の基本施策に関す
 る件)
    ―――――――――――――
○委員長(真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する調査のうち、平成九年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○岩永浩美君 おはようございます。自民党の岩永浩美です。通告に従って、数項目にわたって質問をさせていただきたいと存じます。
 まず、ウルグアイ・ラウンドの後対策について質問をしたいと思います。
 今国会の中においても、ウルグアイ・ラウンドの後対策について農家、国民の理解が十分に得られているかというと、そうでない部分があることを率直に私は認めざるを得ないと思っています。特に、農業にいそしんでおられる農家の皆さん方は、国が六兆百億円の後対策を講じていただいた、その実感を十分に得ていただいていない。特に農免道路あるいは林道の整備等々について、農業土木、社会資本の整備でそれなりの効果はあるとしても、個々の農家の皆さん方がそういう実感を十分に得ていないのが率直な御意見ではないだろうかと私自身も思います。きょうは、その中で稲作機械あるいは園芸ハウス等々について、ひとつ例を挙げて率直な当局の御意見をお伺いしておきたいと思っております。
 特に、今回のウルグアイ・ラウンドの後対策について、農家の皆さん方は生産性の向上、稲作の体質強化を図っていくということを目安にして、農業機械の導入等について率直なそういう一つの希望があることは事実であります。しかし、その担い手の皆さん方は、機械を購入するに当たって国から出されているそれぞれの規則が非常に厳しくて、十分にそれに対応していくだけの状況ができ上がっていない。
 特に、農林水産事務次官の「農業用機械施設補助の整理合理化について」という通達において皆さん方がお出しになっておられるのは、自脱型コンバインについては特定農山村地域以外は補助の対象とならない、あるいは田植え機については乗用、六条以上のものじゃないとその対象にならないというふうな形になっています。
 しかし、平野部だけではなくて中山間の中で、六条以上じゃなくても田植え機を使いながら農業を営まなければいけないところが多々ございます。しかし、大型機械のみその規則に準じて採用される。そういうことがあって、普通の農家の皆さん方に具体的にそれを適用して補助の申請をしょうとしても、できるようになっていない。そういう観点から、ぜひもっと規制を緩和して、一般の皆さん方にもそういうものが使用できるようにしていくべきではないかということが一点であります。
 また、施設園芸について言えば、育苗用の共同利用施設あるいは省エネ温室はその対象になって、それに限定されてやっていただいておりますが、施設園芸、一般的なハウス等々についても、ぜひこのウルグアイ・ラウンドの後対策として適用されていいのではないかと思っております。
 特に、高付加価値の農産物を提供していくという上において、施設園芸は欠かすことのできない安定した一つの農家の経営になっていくだろう、稲作との複合経営等を考えても、今後の施設園芸は農家にとってどうしてもやっていかなければいけない一つの分野であると私は思っています。
 そういう観点からすると、この園芸ハウスの問題にしても機械利用にしても、余りにも規制が厳し過ぎて、一般の農家の皆さん方に十分に対応できるような形になっていない。そういう問題についてどういうふうに今後対処をしていこうとされるのか。今回の国会でも議論されているように、多くの皆さん方に理解が得られる後対策であってほしいし、そうでなければ何のためにやったのかわからないという農家の不信感を増幅することにつながっていく、そういうことにならない具体的な回答をお願いしたいと思います。
○政府委員(高木賢君) 御質問のありました農業用の機械につきましては、地域の農業生産の体質強化あるいは農業経営の改善を図るという点からは、大変重要なものであると思っております。ただ、財政事情というものが限られておりますので、全体的に効果的に推進していくためには、やはり補助の対象とするものと融資対象にするものと区分をしていくということが必要ではないかということで、補助対象につきましては先駆性、モデル性の高いもの、これを重点とするという考え方で整理をしているわけでございます。
 御指摘のありましたように、機械施設のうち、自脱型コンバインにつきましては山村等におきます不利な生産条件に対応したもの、あるいは田植え機につきましては高速の田植え機、温室につきましては省エネルギー型の共同利用温室というものを補助対象としております。
 そのほかのものは、やはりかなりもう既に普及も進んでおります、また個別経営にもなじむということもございます。補助による導入段階がある程度進行したということでございますので、無利子の農業改良資金制度、これも国費が三分の二原資としてつぎ込まれているものでございますが、こういうものを御活用していただくということで、補助と無利子融資の間の整理をしているところでございます。
○岩永浩美君 今、局長の答弁は、今回のウルグアイ・ラウンド後対策については、農家の対策としては先駆的な農家に対してのみその補助の対象にしていくということですか。一般の農家の皆さん方も平均的な力を蓄えていくことによって総じて農家の水準が上がっていくということになると思いますが、今の御答弁だと先駆的な農家の人たちに対してやっていくんであって、補助と融資とは別にしてやっていくというのは、それはそういう区分けをやっていくわけですか。
○政府委員(高木賢君) 先駆性、モデル性というのは、機械施設の性質でございます。したがいまして、農家自身が先駆的であるとかモデル的であるとかいうことではございません。
○岩永浩美君 そうすると、それはそれぞれの地域、ブロックに分けてやるんですか。そういう機械施設利用について先駆的な役割を果たしてもらおうとすれば、例えばその県に五カ所なら五カ所、十カ所なら十カ所モデルケースをつくっていって、それから後にずっと皆さん方はついていくという、そういう行政指導をやるということですか。
○政府委員(高木賢君) 必ずしも地域としてのモデルということまで限定はしておりません。その機械施設が能率がよくて、やっぱりこれから大いにそれを使っていただいた方が我が国の農業の体質の強化に役立つ、こういう性質の高いもの、こういったものをより導入していただく方がいいのではないかということで、機械施設に着目をしております。
○岩永浩美君 今、局長がおっしゃる機械利用をしていくということで、平野部と中山間の地域によってかなりその使い方が違ってきます。体力の差がだんだんでき上がって、格差が広がっていくことになる。
 特に中山間の農家の多い日本の国土の中で、農業後継者がいなくなっているという、ある面においては小回りのきく機械を活用しながらやっていく農業後継者を今一番つくっていかなければいけないときに、大型の機械のみそういう先駆的な役割を果たしていくということが果たして本当に農家の今後の育成のためになるのかどうかというと、甚だ疑問です。特に中山間の多い地域においては、今みたいな形の中であなた方が規制をされること、規則をつくられることについては、格差の助長にはなっても縮小には私はならないと思うけれども、それはどうですか。
○政府委員(高木賢君) 自脱型コンバインにつきましては、御指摘の点も踏まえまして、山村など不利な生産条件に対応した小回りのきくタイプにつきましては、これは補助対象といたしております。
○岩永浩美君 機械のことについて今これ以上私は皆さん方に問うことをいたしませんが、要するに、やっぱり今回のウルグアイ・ラウンドの後対策の個々の問題について細かな指導というものが十分に私はなされていないと思っています。それは、地域からそれぞれ出てきているものに対する具体的な答えにはなっていない。皆さん方が机上プランとして出しておられるこの要綱によると、見て読んで非常にいいようなことであっても、それぞれの地域に即した形の対策が講じられているというふうに思えない面が多々私には見受けられます。
 ぜひ、その件については機械利用のみに限らず、このウルグアイ・ラウンドの後対策の見直しについては十分に地域の声をお聞きいただいて、それぞれの地域に即した対策を講じていただくことを強くこの件については要望いたしておきたいと思います。
 このハウスの件については、一般のハウスについては今後対象にしょうとするお気持ちはございませんか。
○政府委員(高木賢君) ハウスにつきましては、石油エネルギーにかわる太陽熱あるいは地熱などを利用する省エネルギー型の共同利用の温室につきましては補助対象にいたしております。この考えで今後とも進めたいと考えております。
○岩永浩美君 ぜひ一般的な施設園芸についても適用の範囲が広がっていくようにお願いをいたしておきたいと思います。
 今、米作の機械利用等々について、今後そのモデル的な、先駆的な一つの役割を果たしながら農家の機械利用を促進していくための後対策を講じていく話がありました。
 そこで、新食糧法の施行に伴う米価の低落防止についてお伺いをしておきたいと思います。毎年毎年米価の決定については繰り返し同じような手法をもって今まで行われてまいりました。農家の生産調整と政府の備蓄対策だけが間接的な支えになって今日に至っておることは否めない事実だと私は思っておる。このバランスが崩れたときには、すぐ大きな問題に派生することは言うまでもありません。
 特に、国民の食糧を安定的に供給していくその体制の確立のためには、何としてでも米価の安定を図っていかなければいけないことは言うまでもありません。ぜひ、毎年行われている米価決定のあの一つのドラマをもう少しスムーズにきれいな形でやっておく必要がないのかなという思い、米価の最低価格保証制度というものがとれないのかどうか。あるいは、災害のときは農業共済制度の中で補完できると思いますけれども、共済制度の中にある程度収入保険みたいな、最低価格を保証していくような形の新しい制度というものができないのか。共済制度の中にできないのかどうか、まずそれをちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(熊澤英昭君) まず、先生今御指摘になりましたように、農業災害補償制度そのものは自然災害を中心とする農業災害によって受ける損失を保険の仕組みでカバーするということでございますので、いわば災害対策の一環として施策を実施しているということでございます。
 したがいまして、今先生がおっしゃいましたような自然災害によらない農産物の価格の低下に伴います収入の減少、それを現在の農業災害を補償する保険制度の仕組みの中で仕組むということはなかなか難しいというふうに考えられます。
○岩永浩美君 共済制度の中で非常に難しいとすれば、新たな一つの制度を設けて最低価格を保証するというような形のものはでき上がってきませんか。考えられませんか。
○政府委員(熊澤英昭君) これは、今まさにおっしゃったように、農産物の一般的な価格低下による損害を保険的手法でカバーするという仕組みになるかと思いますが、例えば技術的な問題点も幾つかあるわけでございまして、一つには、価格の低下と申しますと、災害と違いまして全国的に同時的に起こる、したがいまして、保険的な手法で危険分散を図るという仕組みがなかなかとりにくい。あるいは、保険料率の設定等、そういった保険設計、条件の設定、そういった点についてもなかなか難しい点があるというふうには考えられます。
 先生の御趣旨は、農家の経営安定のための施策をどう仕組んでいくかということかと思われますので、現在農林省として新農業基本法の検討に着手しておりますので、今後の基本法の検討の中でいろいろな御意見も伺いながら幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 米作農家の皆さん方が安心して米作に従事することができるように最低価格の保証が確立されるような形をぜひとっていただくことを、検討していただくことを強く求めておきたいと思います。
 また、今、農業後継者がだんだん不足しているということはもう言われて久しい。それは、農家の皆さん方が、現状において大変厳しい過酷な労働の割には収入が少ないということが一点。また、老後が大変不安だという一面もあろうかと思います。
 特に、農業者年金の受給者は厚生年金の受給者に比べて金額においてかなり少ない。その農業者年金が厚生年金並みにある程度給付できるようになれば、農家の皆さん方も安心して農業にいそしむことができるだろうし、また農業後継者も、両親並びに親族の後ろ姿を見て農業に一生懸命精を出していくことができると私は思います。農業者年金の給付水準を厚生年金並みに引き上げていくために、何か国の掛金に対する助成とか、そういうふうなものを今後検討していただく、そういう形のものをつくっていただいて農家の皆さん方に安心感を与えるという方法を政策的にしていかなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(山本徹君) 御指摘のとおり、農業者年金の給付額は厚生年金に比べて低いのは事実でございます。
 この理由は、農業・農村の現状のもとで年金額の算定の基礎となります加入者全体の平均農業所得でございますけれども、これが厚生年金の勤労者の給与所得に比べて相対的に低い水準にとどまっているということと、もう一つは、厚生年金の場合は終身雇用のもとで二十歳前後で就職されてリタイアされるまで三十四年程度の期間加入しておられますけれども、農業者年金の場合には他分野に一たん就職されたりすることもございまして、加入される時期が親がリタイアされる直前の三十歳代の後半ごろが一般でございまして、加入期間が二十一年間であるというようなこともございます。
 私ども、給付金には国の助成を行っておりまして、平成九年度の予算案でも九百二十二億円の予算を計上させていただいておりますけれども、これから農業者年金の支給額を向上いたすためには、基本的には年金額算定の基礎となります農業所得の向上、これは認定農業者の制度の推進等、担い手の育成ということが大変大事でございますし、また、これとあわせて、できる限り早期に年金に加入していただきまして加入期間の拡大を図るということも大変大事でございますので、制度の広報、普及などにも一層力を入れて農業者年金の給付額の改善に努力してまいりたいと思っております。
○岩永浩美君 給付率、金額が少ないということについては、農業者年金の掛ける年数が少ない、このこともわかります。ただ、専業農家の皆さん方で農業者年金を受けている人は農家の家主さんが中心になっていて、農業後継青年が年金を掛ける、そういう一つの制度の上でPRが少し足りないのではないかということが一点。
 それから、専業農家の皆さん方は農協との取引があるわけだから、自動引き落としみたいな形の制度として、農業者年金の分については預金の中から引いていくことをしていけば、それは実質的に掛ける年数としてふえていくと思うけれども、現実的に農協の中でそういう仕組みがなされているのかどうか。恐らく農家の皆さん方はそこまで十分に御存じなくているのではないかという思いがいたしますが、それはどうなのでしょうか。
○政府委員(山本徹君) 先生の御指摘のとおり、農業者年金制度のPRがまだ不十分であるというのは私ども十分反省いたしておるところでございまして、今御指摘のように、実際にこの制度が農業の構造政策上重要な政策として位置づけられ、一千億円近い予算を毎年投入しているというような制度の重要性の説明、それから具体的に自動引き落とし制度のお話がございましたけれども、これも制度の円滑な運用を図るために大変重要な課題でございまして、私どももこれの普及について今指導を進め始めたところでございます。
 先生御指摘のとおり、私ども行政部局、それから農業者年金基金、実施主体、またこの実施に関連いたします農業委員会系統組織、また農協系統組織等を挙げて、この年金制度のPR、普及推進にこれから努力させていただきたいと思っております。
○岩永浩美君 農家の農業後継者の皆さん方が、やっぱり老後が安心できる一つの形をつくり上げていくことは政治の場における我々の責任だという思いで、ぜひ皆さん方、そのPRと同時に、掛金率の問題、そして厚生年金の受給者と同じ受給ができるように、制度の改正も含めて鋭意また御努力していただくことを心からお願いを申し上げておきたいと思います。
 限られた三十分の時間に多岐にわたって大変恐縮ですが、質問の要項を数多く出していて中途半端になってしまっておりますが、一つ水産関係について質問をしておきたいと思います。
 昨年の通常国会において二百海里体制についての海洋法条約を批准いたしました。そして、参議院においてはその附帯決議もいたしました。今その附帯決議を踏まえて十分な対応がなされておるかというと、私は非常にそれは疑問だと思っております。
 きのう大臣の所信表明の中で、国連の海洋法条約の締結に伴ってTAC制度が導入されるなど、我が国水産業界は新たな段階を迎えたところでありますという大臣の所信表明がありました。しかし、九州の玄界並びに山陰地区においては、韓国、中国漁船の違反、無謀操法が野放し状態で今なされていること、そしてまた資源は枯渇して大変深刻な状況になっていること、そして、この海洋法条約は一年以内を目途に韓国、中国との間に新漁業協定が締結されるということでなされてきたはずであります。しかし、今なおその実際がなされていない。政府間交渉の決定を待っているといっになるかわからないという漁民の皆さん方の不安と不信感が大変強くなっておることを、まず皆さん方は認識をしてもらいたいと私は思っております。
 海洋法条約に基づいた新漁業協定の締結への道、そしてその現行協定の終了通告以外にないと私たちは思っていますが、まず排他的経済水域を設定した国が終了通告を行って交渉を始めることは通常行われていると現実に私たちは思っていますが、そのことが今どうなっているのか。
 それから、TAC制度が一月より実施されていますが、我が国の漁業にはその漁獲量についてその量は決められておりますけれども、韓国、中国漁船はお構いなしに操業を今ずっとやっておられる。これをいつまで放置しておこうとしておられるのか。それは全く私はバランスに欠けておるのではないかという思いがしています。
 そういう点で、今のままでやっていくならTAC制度そのものを白紙に戻すべきだと私は思います。国会の中で批准をし、参議院で附帯決議をしたことが、一年以内を目途にそのことをすべて締結をしていくという国会の決議とその批准をどういうふうに認識して、今後どう対応して漁民等に対する弁明をなされようとしておるのか、それをお伺いしたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 昨年の本院の附帯決議、並びに与党の方からも政府に対しまして一年以内に合意をしろと、さもなければ終了というような申し入れがなされているわけでございます。
 政府といたしましては、これらにつきまして非常に重く受けとめておりまして、これまでも新たな日韓、日中の漁業協定の締結に向けまして鋭意努力を行ってきたわけでございます。残された時間もそう多くありませんが、今後ともなお一層努力していきたいというふうに考えております。
 なお、TAC制度との関係でございますが、TAC制度につきましては、これは御承知のように海洋法条約を批准するに際しまして、沿岸国は排他的経済水域を設定した場合にはTACを決定するということが条約上義務づけられております。
 また、条約を離れましても、我が国の周辺海域におきます水産資源の保存管理を図るという観点からは、これは必要なものでございます。このようなこともございまして、本年の一月一日から実施しているところでございます。
 しかしながら、今先生言われましたように、現行日韓、日中漁業協定があるものでございますので、韓国、中国に対しましてはこのTAC制度が適用されていないという事情にございます。そういう意味では、まさしくTAC制度につきましては十分機能していないという状況にございます。そういう意味で、日本の漁業者だけにこれを当てはめた場合には確かに漁業者に対しましては不均衡が生ずるということがございますので、我が国漁業者に対しましては、この日韓、日中の漁業協定ができるまでの間はTAC制度に関します強制的な規定は適用しないという措置をとっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、このTAC制度に基づきます資源管理を実効あらしめますためには、日韓、日中漁業協定を早期に締結することが何よりも大事でございますので、今後とも一層努力してまいりたいというふうに考えております。
○岩永浩美君 過日、橋本総理と金大統領との懇談の中でも、竹島問題とは切り離してこの問題については協議をしていただく。漁業は生き物ですから、一方だけはその制度を守らずにやっぱり捕獲をしていく、一方は遵守をしながらやっていく、その不均衡。特に玄界地域の中におけるあの無謀操法、これは本当に目を覆いたくなるような現実があります。
 特に、漁民の皆さん方が大変不安な日々を送りながら漁場に出向いておられることを考えると、秩序のある水産行政がなされていかなければいけないし、そういう一つの制度の整備というものは、やっぱり決められたものについては安心して操業できるような形をいち早くとってもらうことを私たちは強く期待をし、要望をしたいと思っております。
 一日も早く安心して操業することができるように関係者のなお一層の御努力をお願い申し上げて、与えられた三十分の質問時間を終わらせていただき、残された質問はまた次の機会にぜひお願いをしたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 今いろいろな角度から日韓・日中漁業問題につきまして御指摘がございました。
 国会の附帯決議もあり、漁業関係者の問題もあり、我々といたしましてもこの新しい漁業協定を締結するということにつきましては今一生懸命に取り組んでおります。日中につきましては、沿岸国主義でいこうということで一歩前進しておるように思っておりますし、日韓の問題につきましては、首脳会談におきましても時期を決めて、その時期までに結論を出そうということを提案したことも事実でございます。
 そういう努力を今展開中でございまして、今言われましたように、漁業者の不安を解消するためにも、また不公平な今の状況を解消するためにも、私どもとしては全力を挙げて頑張ってまいりたいと考えております。
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。
 本日は、先般一月二日に島根県沖で沈没いたしましたロシア船籍タンカー・ナホトカ号に係る重油流出事故が漁業に対してどのような被害を与えて、またどのようにこの回復を図ろうとするのかということを中心に御質問させていただきます。
 ナホトカ号が沈没いたしまして、折からの日本海特有の荒天に船首があれよあれよという間に運ばれまして、福井県の三国沖の安島というところに着底したわけでございます。その間、五千キロリットルの重油が流出いたしまして、その後の調査ですとさらに千二百キロリットルの重油が漏れたという話でございます。
 かつてアラスカで、八九年三月にエクソンバルディーズ号というタンカーが油漏れを起こしまして四万一千キロの原油が流出したという事故がございまして、その後漁業その他大変な被害を与えた例があるわけでございます。アラスカを原状に復するということで大変な労力を払ってきたところでございます。
 現在、ようやく船首の油は抜いたわけでありまずけれども、肝心の船尾部分が二千五百メートルの海底に沈んでおる、そこからまた油が流出しているというような話もあるわけでございます。
 ロシア船籍タンカーが事故を起こしましたことが、折からの日本海特有の冬の天候にプラスされまして、甚大な被害を日本海沿岸の各府県に与え、多大な漁業被害、また観光産業に対しまして大きな打撃、風評による減収など大きな損害が見込まれますとともに、対策に追われる各府県、市町村の経費も膨大になっているということでございます。
 そこで、本日は農水委員会でございますので漁業に関連した事項について政府に伺うわけですが、まずこの漁業被害について政府はどのように把握しておられるのか、どのような種類の被害が、また分量的に、定量的にどの程度あったのか、そしてさらには漁港、釣り船の民宿等、漁業に関しましてどのような被害があったというふうに見積もっておられるのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 今回の重油流出事故によります漁業被害の状況でございますが、今のところ、これから漁業につきますと春以降操業するものもございます。また現在、影響調査などもやっておりますので実態はまだ把握していないという状況にございますが、関係府県より報告のありましたものについて申し上げますと、まず油が漂着した地域におきましては、岩ノリ、アワビ、サザエなどを対象といたします採貝藻漁業に被害が生じている。
 それから、底びき網漁業等でございますが、これらの漁船漁業におきましては、当然ながら操業海域の制約を受けたという被害を受けております。
 また、一部の定置網漁業におきましては、油を避けるために網揚げを行った、そのために言うなれば漁業ができなかったという被害を受けているという報告がございます。さらに、油の処理のために休業、休漁をせざるを得なかったという被害も生じております。さらに、操業を再開する場合におきましても、漁船が油で汚れておりますのでその洗浄作業に日数を要したという被害も生じております。
 また、漁港等につきましては、港内に重油が漂着しているというのもございます。さらに、釣り船などにおきましては、一部で利用者の減少が生じているという、もろもろの被害が生じているという報告を受けております。
 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、漁業につきますと春以降操業が本格化する漁業種類も多うございますので、現段階では漁業被害の状況の全容は把握できておりませんけれども、できるだけ早い段階で把握できますように、関係府県、漁業者団体等を通じまして実態把握に努めてまいりたいと考えております。
○松村龍二君 補償が今から始まるというようなことでございますのでなかなか定量的な御報告がしにくい。また、地元の漁民の方も漁協の方も、まず油を回収するということに全力を使っていたために、今から被害を算定するといった段階にあるんではないか。そのような意味におきまして定量的な御報告がしにくいということは理解できるわけでありますけれども、例えて申しまして、二年前に阪神・淡路大震災がございまして、このとき死者が六千人近く出たわけですけれども、あの日、お医者さんが確認した死者だけ数えていくと、午前中には二十人、四十人、八十人、午後一時になって二百人といった被害で、あれが初めから数千人の死者が出たかもしれないというふうな把握が行われておれば、政府がいわゆる危機管理について云々されることもなかったんではないかというふうに思うわけです。
 したがいまして、今回のナホトカ号の被害につきましても、正確に把握するということは大切かと思いますけれども、やはり大ざっぱにこれだけの被害がこういう分野であったという掌握がなければいろいろな対応ができないといった問題もあるんではないかというふうに思いますので、今後なるべく早く被害を掌握していただきたいというふうに思います。
 それでは、次に海上保安庁にお伺いするわけですが、島根県沖に沈没した船体から重油流出が続いておりますが、漁業被害をこれ以上拡大させないためにも、沈没船体の処理や湧出油の処理のための抜本的な対策を講じるべきではないかということが指摘され、また漁民の一番大きな関心ともなっているわけでございます。先般、三国の船首部分の油を抜き取らないことには安心できないといったことがございまして、一つ解決したわけですけれども、もう一つやはり船体部分がどうなっているのかといったこと、これについて運輸省でどのように把握し、またこれが漏れている場合どのように回収するべく対応しているのか、お伺いするわけです。
 間もなく春の盛漁期を迎えますけれども、定置網を今から敷設するかしないかといったことが漁民の最大の関心事になっておりまして、そのような時点においてただいまの質問に的確な回答をいただきたいと思います。
○説明員(釣谷康君) 先生の質問にお答えいたします。
 まず、船尾部からの現在の状況でございますけれども、船尾部から海面に湧出しております油、これは本年の一月十二日以降確認されております。その状況について御説明いたしますと、日ごと気象、海象条件によって違いがございますが、おおむね幅二百メートルから三百メートル、長さにいたしまして数キロから十数キロという帯状になって湧出しているという状況でございます。ただ、その先端部分につきましては、波等によって洗われまして、拡散、消滅しているという状況でございます。
 現在、これに対しまして、海上保安庁の方では巡視船あるいは航空機等によりまして監視を行っております。また巡視船によりまして、その湧出してきた油につきまして、航走拡散あるいは放水による拡散といったような防除作業を現在も続けているところでございます。引き続き、今後とも監視、警戒等の措置を行うということにいたしております。
 船尾部に残ります油についてどういうふうに処理をするかという対策の問題でございますけれども、これにつきましては運輸大臣の委嘱によりまして検討委員会を十四日に設置いたしまして、同日第一回目を開催いたしております。学識経験者あるいは専門家の方々にお集まりいただきまして、油の漏出あるいは船体につきまして現在の状況を正確に把握した上で、今後どういうように推移していくのかというようなことを検討いたしまして、今後の見通し、これを早急に結論をいただきたいというふうに考えております。また、あわせまして、どのような対策が講じられるのかということにつきましても検討していただきたいというふうに考えております。
 ただ、船尾部、御承知のように海底二千五百メートルという非常に深海に沈んでおります。これまで私どもの調べた範囲では、このような深海から大型の船体をそのまま引き上げる、あるいは油を抜いたりした事例は世界的に見てもございません。何らかの油回収策あるいは処理策を海底で講じるということは非常に技術的に難しいというふうに現在のところ認識しておる次第でございます。
○松村龍二君 また運輸省に伺うわけですけれども、船首部分の油は抜いたわけですけれども、殻がそのまま残っている。それから、仮設道路を国民が監視している中で大変な苦労をしてせっかくつくったわけでありますけれども、この建設は海上保安庁長官の指示に基づき海上災害防止センターが実施したというふうに伺っております。
 船首部分が漂着した三国町安島の海岸は越前加賀国定公園内にありまして、また越前ウニ、アワビ、サザエ等の沿岸資源の重要な宝庫となっております。あのように岩石を投入いたしまして、広がったあの石を取り除きませんと漁場が回復しない。また、海流に思わぬ変化を与えて、近隣の漁場が荒れてしまうとかいったことも予想されるわけでありまして、一日も早い撤去と漁場の原状復旧を地元の漁民は望んでいるわけですけれども、この見通しはいかがでしょうか。
○説明員(後藤光征君) お答えいたします。
 船首部分の撤去につきましては、油の抜き取りの後のタンク内の後処理、これを行った後に船主の責任において行うことになります。また、仮設道路の撤去につきましては、船首部の撤去作業を終了した後に撤去することとしております。
 今後の作業につきましては、その実施が風とか波などの非常に厳しい自然条件の影響を受けるものでありますので、冬の日本海の天候は予想を上回る厳しいものであるということで、現時点ではその見通しを申し上げる段階にはございませんが、今後とも関係機関の協力を得まして取り組んでまいる所存でございます。
○松村龍二君 なるべく早く原状復旧をお願いしたいと思います。
 次に、このたび零細な漁業者の、例えば海女さんがアワビ、サザエ、岩ノリ、海藻等をとりまして、これを行商によって売り歩くといったような、そのことは漁協を通じていませんので、収入の掌握が難しいといったような零細な漁業者、こういう方たちを救済しないといかぬということかと思います。例の保険が船主に過失がなかった場合、船主と保険会社の支払い限度額は二億六千万円、それを超える額は国際油濁補償基金から二百二十五億円を限度額として支払われるということでありますが、重油の回収経費や漁業被害など、今回の事故に伴い発生しました損害額は膨大な額になると見られますけれども、零細な漁業者の救済の観点から、漁業補償分を最優先して確保するような措置をとるべきではないか、国としても十分そのような配意をするべきではないかというふうに考えますが、運輸省、どのようにお考えでしょうか。
○説明員(田村雄一郎君) お答え申し上げます。
 現行の油濁損害賠償保障制度について御説明申し上げますと、この制度上は油濁関係条約及び国内法に基づきまして、民事上の手続によって債権者平等の原則に従って国際油濁補償基金から補償が行われるということになっているわけでございます。
 なお、先般開催されました国際油濁補償基金の理事会におきまして、示談により決着した額の六〇%を暫定的に仮払いするという権限が事務局長に与えられたところでございます。これによりまして、被害者の方々に対しまして早期に支払われる道が開かれたということになります。これによって円滑かつ速やかな補償の実施が今後図られていくのではないかと考えております。
○松村龍二君 漁業者の救済につきましてはまた後ほど水産庁長官、農水大臣にお伺いしたいと思います。
 今回、非常に広い地域に油が漂流したわけでございます。これらの海岸水域での水質、底質、水産生物等への影響調査を国が主導的立場をもって行うことが重要であると思います。その結果に基づき、水産物は安全であるとの見解を早急にまとめることが、あらぬ憶測、風評被害を防ぐことになり、漁業を立ち直らせるためには極めて効果的であると思います。
 かつて関東大震災のときに、井戸に毒物が投げ込まれているといったことで大きな悲劇があったわけですけれども、後ほど、そのような毒物を東京じゅうの井戸に入れるには膨大な量が要るはずであるからそのようなことはあり得ないということを、当時パニックを起こす人たちは考えられなかったということが言われたわけでございますけれども、今回も六千キロリットルの油というのが、日本海の海の量と比較したときに、本当に点のような分量なのか、あるいはそうでないのか。やはり漁場における水産生物に対する徹底した影響調査をしっかりやっていただきたい。
 またさらに、これからが一番重要でございますが、漁場回復のための事業に対する財政的支援を積極的に行うべきであると考えますが、水産庁長官のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) まず、被害を受けました漁業者に対しましては、農林水産省といたしましてできる限りの対策を講じてまいります。
 そういう観点からいたしまして、私も一月二十一日に三国町現地視察に参ったわけでございますが、いろんな方からいろんな御意見も承りました。そういう御意見の中で、私も一番そのことが最重要な課題だと思いましたのは、漁場をもとへ戻してもらいたい。つまり、漁場の再生をできるだけ早く願いたい、こういうことでございました。私も、今後の対策としては、この漁場の再生と保全、また漁港機能の保全という問題が最も基本的な対策の中心だと思っておるわけでございます。
 これらの対策につきましては、いろいろな対策の制度がございますので、その各現場の状況に応じまして適切な対策、対応をいろいろな制度を使いましてこれから進めていかなきやならぬというふうに思っております。
○松村龍二君 今回の事故が災害対策基本法による災害であるということで認められれば、広く国に救済してもらえるのではないだろうかといった議論が最初からありまして、これは災害であるということにつきまして政府も認めていただいているというふうに認識しております。
 ただいま大臣のお話がございましたように、現在あるいろいろな制度、補助金を支給する制度あるいは金融の問題、また場合によっては、今後地元等の要望をよく検討していただきまして、特別立法等によりまして対応をぜひ前向きにお願いしたいと思う次第でございます。
 先ほど来、農林水産の問題に絞って質問させていただいたわけでございますが、一面で漁村において釣り船、現在は釣りのシーズンではないわけですけれども、釣り船客を相手にしている民宿、あるいはこの冬のシーズンに日本海の魚、カニ等を食べるお客相手の民宿が今後予約がとれないといった大打撃を受けて、これが地域漁村の経済あるいは旅館等に対しましてボディーブローのように大きな経済的被害を与えているわけでございます。
 せっかく来ていただきましたので、運輸省、旅館についてはどれほどの被害があったのか教えていただきたいと思います。
○説明員(増井健人君) 旅館の被害につきましては政府として現在把握に努めているところでございますけれども、運輸省が関係しております旅館団体よりヒアリングしているところでは、やはり旅館の予約のキャンセル等が生じるなど影響が出ておりまして、一部地域の旅館につきましては相当の減収が見込まれるものと聞いているところでございます。
○松村龍二君 これは二月九日付の中日新聞でございますけれども、「福井県商工会連合会がまとめた沿岸十二市町村のホテル・旅館・民宿一約千七十軒)の予約キャンセルは一月だけで約一万二千人に上っている。」といった記事もあるわけでございます。
 最後に一つ農林水産以外の質問になったわけでございますが、ぜひ大臣におかれまして、漁民を守り、また日本海の漁業を守るといった観点から絶大なるお力を発揮していただきますよう心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(藤本孝雄君) そのような決意で頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○常田享詳君 平成会の常田享詳でございます。
 私も松村議員と同様日本海側に選挙区を持つものであります。その上に、私どもの地元の山陰の沖にいまだに一万一千キロリットルを積んだナホトカ号の船尾が沈没しております。そういう立場から、この問題は松村議員と同様私にとりましても大変深刻な問題と受けとめております。
 あわせて、先般、衆参の合同の視察団にも加わらせていただきまして、石川県そして福井県三国町にも入らせていただきました。本当にボランティアの方々、漁業者の方々、地元の方々が大変な思いで油の処理活動に当たっておられる姿を拝見して心痛んだ次第であります。
 私は、このたびの事故は初めての経験ではないということを申し上げたいわけであります。日本海側におきましても、京都沖、新潟沖で過去こういった事故は起こっております。しかしながら、その後、それらに対する再発防止といいますか、危機管理システムができていなかったというところにこのたびの事故の拡大を見たのではないかなというふうに思っております。
 そういう意味で、私は起こったことの責任をどうこうということよりも、まず農林水産大臣に対しまして、このたびの事故を今後の日本海側の危機管理、海洋国家でありますから、イギリス等はもうきちんとしたそういう海洋国家としての対応ができているのに比べて、同じ海洋国家である日本にそういうものができていない。特に、日本海側にそういったことができていなかったという現実を十分認識していただきたい。
 あわせまして、アメリカには、大臣御案内のとおり、FEMA、連邦緊急事態管理庁といった災害対策専門組織があるわけであります。これは農林水産大臣独自でつくるとかいう問題ではありませんが、政府の重要なポストにいらっしゃる農林水産大臣として、日本にもこういったものを内閣としてきちんとつくるという必要があると思いますが、その点に対する御所見を賜りたい。
 あわせて、日本海の公海でもC重油のみならずあらゆる種類の油の事故が想定されるわけであります。多くの船が油を積んで航行しておりますし、かなり老朽船が走っていることは御案内のとおりであります。
 そういうことからいきますと、京都の沖で事故があったときに、既に三菱重工は現在日本が持っているただ一隻の船の三倍、四倍という機能、それもC重油だけではなくていろんな油に対応できる船を開発して、京都はこれを京都に配備してくれということを国に求めたけれども、二百億円以上かかる、そんなの日本海でいつ事故が起こるかわからないのに配備できるかというようなことでけられたという経過もあるわけであります。
 こういつたこともこのたびの機会に農林水産大臣として、油が原因ではありますけれども、その被害の結果漁業者が泣くわけでありますから、そして環境汚染が取り返しのつかないような状況に陥るわけでありますから、こういつたことについても農林水産大臣としてきちんと対応していただくべきことだと思うのでありますが、まずそういった点についてお尋ねいたします。
○国務大臣(藤本孝雄君) 今回の重油流出事故に当たりましては、政府として、運輸大臣を本部長とする流出油災害対策本部、また農林水産省、運輸省などから成る流出油災害対策関係閣僚会議を設置いたしまして、政府を挙げて取り組んでおります。現在、関係閣僚会議のもとで被害対策再発防止策及び事故への即応態勢につきまして政府として検討を進めておるところでございまして、まさに危機管理の問題についてはそういう認識を持って取り組んでおるわけでございます。
 それで、先ほど油回収船の問題にお触れになりました。運輸大臣もしばしば国会で答弁をされておられますが、今の回収船は波の高さが二メートルのところまでの回収能力、技術といいますか、そういうようでございまして、波の高さが十メートル前後の日本海でどういうような油の回収ができる船が現実の問題として技術的にできるかどうかということについて検討をいたしておりますと、こういうことを言っておりました。私どもといたしましても、ぜひ技術的に、波の高さが高い日本海でございますけれども、今回の事故を教訓としてこのような対応はぜひ必要なことであるというふうに思っております。
 私も現地へ視察に参りまして、当日、風が瞬間風速三十二、三メーター、波の高さが十メートルという日本海の冬の非常な荒天の状況を見まして、これは大変難しい、本当に難しい状況にあるということを実感いたしました。しかし、極めて重大な問題でございますので、その点については運輸大臣がせっかく努力をしていただいておりますので、私もそれを大いにバックアップしていきたいというふうに考えております。
○常田享詳君 重ねて大臣にはお尋ねいたしませんけれども、なぜこの二点を取り上げたかといいますと、このたび石川県、福井県、また私どもの地元の知事を初めお話を伺いますと、やはり各省庁にまたがっていて、いわゆる省庁間の壁といいますか、そういうものが初動態勢のおくれにつながったという声を大変多く聞きました。そういうことで、アメリカの連邦緊急事態管理庁のような、こういつたことに対してきちっとすぐ対応できるようなものをつくっていただきたい。
 それから、回収船の問題につきましては、このたびも太平洋側に一隻だけあって、それが現地に着くまで五日間も六日間もかかっているわけです。そういう状況で初動態勢というのは、今回の場合も初動態勢がもっとスムーズにいっていればここまで拡大することはなかったのではないかという指摘もあるわけでありますので、今大臣からお答えをいただきましたように、どうか力を入れてこの点について御努力を賜りたいと思います。
 次に、悲しいことに、このたびの回収作業の中で六名の方がお亡くなりになっているということであります。お亡くなりになった方の補償についてでありますけれども、特に私はその中で労災の適用について大変不思議に思っているわけであります。
 といいますのは、石川県で回収作業参加の下見を兼ねた油回収作業中にお亡くなりになりました松原先生。松原先生についてはボランティア休暇中の事故が公務災害に当たるかが論議されたわけでありますが、その後、石川県の教育委員会が、これは公務性が高いと判断して労災の申請をされたということであります。これは国民から見て非常に納得のいく判断ではなかったかというふうに思います。
 ところが、その一方でどういうことが起こっているかといいますと、福井県越前町でお亡くなりになりました漁民の北瀬さんについては、労災保険は船上での漁獲作業中が条件だと、したがって保険がおりない可能性が大きいと報道されているわけであります。北瀬さんの御長男等も、報道で知る限りでは国や労働省は非常に冷たいということをおっしゃっている。私も、もしこれが今申し上げた船上での漁獲作業中が条件ということで切り捨てられているということであれば、これはとんでもないことではないかなというふうに思うわけであります。この辺、労働省、御説明いただきたいと思います。
○説明員(谷義為君) 先生御指摘の労災保険に特別加入をしております北瀬一宝さんの件でございます。まだ御遺族の方から遺族補償給付の請求が行われておりませんが、現地の労働基準局におきまして、北瀬さんが事務処理を委託しております漁業協同組合を通じまして請求手続等についてお知らせをしておるところでございます。請求が行われ次第、速やかに調査の上、その業務上災害の判断を行うこととしております
 北瀬さんにつきましては、漁業を営む上で障害となる流出重油を回収する際に被災している場合でございますので、業務従事中に発生した災害として取り扱われることになりますが、本件のお亡くなりになりました原因が心筋梗塞ということでございます。ということで、業務が原因で発症したか否かにつきましては、また調査を行った上で判断することとなります。
 以上でございます。
○常田享詳君 もちろん、申請が出てそれに基づいて調査をされるというのは当然だと思います。しかし、このたびの問題というのは、漁業者の方々が、みずからが生業を営んでいる漁場が油によって汚染されたと、もう早くこれを解決しなければ自分たちの生計も成り立たないわけでありますし、いても立ってもいられないということで出ておられるわけです。
 今のような御答弁でいきますと、じゃ船を洗っていて海に落ちて亡くなったらこれは補償されないというようなことにもなるわけでありますから、私はやはり今のようなしゃくし定規な答弁ではなくて、申請があったら、もう一つの石川県の教育委員会のような対応に向かってやっていくんだと、そういう気持ちでやっていくんだということでないと、国民から見たら省庁のあれはわかりませんからね、本当に大臣、失礼ですけれども、文部大臣は非常に国民に対してそういう思いやりがあると、農水大臣というのは漁民に対して非常に冷たいと……
○国務大臣(藤本孝雄君) いやいや、そんなことはないです。
○常田享詳君 いやいや、ないですよ、今申し上げたようにそれはないですよ。ないけれども、そういうことにもなりますから、そんなのわかってますよ、私もそんなことないというのは。ただ、そういう誤解を与えないためにもやはりしていただきたい。
 もう一回お願いします。
○説明員(谷義為君) 先生御指摘の件でございますが、船を洗っていて、そこで事故があってもそれは補償の対象となります。ただ、疾病のところの問題があるということだけでございますので、調査をさせていただきます。
○常田享詳君 よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは次に、賠償請求についてでありますけれども、運輸省にお尋ねをしたいと思います。
 賠償請求には六年の時効があるということについてであります。島根、鳥取沖の水深二千五百メートルの海底に船が沈んでいるわけでありまして、この間、橋本総理のところに視察団の報告をお願いに上がったときも橋本総理は大変心を痛めているということをおっしゃっていただいたわけであります。これらの船が、先ほど松村議員がおっしゃったように、油が漏れていて将来漁業資源や生態系に大規模な被害を及ぼす可能性は十分あるわけですね。六年の時効ということでありますと、六年間のうちにこれらのことを賠償請求できないんではないか、できないことも大いに想定されるのではないかというふうに思うわけであります。
 漁業資源の中には、山陰で言いますと松葉ガニ、松村議員のところで言いますと越前ガニ等を初め、こういうカニの幼生が油の汚染に極めて弱いんです。今、栽培漁業をやっています。これは今被害が出ないけれども、何年か後に、本当にただでさえ今漁獲量が減っている、それで栽培しようとしてやっているそのもの自体が壊滅的な被害を受ける可能性もあるわけであります。したがってこの船尾部分の対応については船主のみならずロシア政府との協議を進めていただきたいと思うわけであります。
 この点について、ロシア側とどのような交渉をしておられるのか、それから早急にロシア政府からこれらについての対策計画の提示を求めるべきだと思いますけれども、そういったこともやっておられるのかどうなのか。聞いておりますと、ロシアからの調査団は一人来られただけだということでありますが、私は冗談じゃないというふうに思っております。
○説明員(釣谷康君) お答えいたします。
 沈没しております船尾部分につきましては、特にロシア側との接触はしておりません。
○常田享詳君 といいますと、これちょっと驚くべきことでありまして、船が沈んでいるところというのは、これ海上保安庁からの資料でありますけれども、沈没位置は日本の海岸線から八十海里にあるわけでありまして、いわゆる二百海里以内で起きた海洋汚染事故については我が国に主権があるわけですね。したがって、ロシアに対してはその船尾部分の撤去を当然私は求めるべき立場にあるというふうに思っておるわけでありますが、違うんでしょうかね。八十海里のところに沈んでいるロシアの船、それに対して日本政府としてロシアにその撤去を求める、ついてはどういう方法があるかということも一緒にやっていく、あくまでも責任はロシア並びにロシアの船主も含めてですけれども、ロシアにあるということではないんですか。
○説明員(釣谷康君) とりあえず、私どものちょっと所管とは外れておりますけれども、私どもといたしましてはできる限りということでございまして、現在海底に残っております船尾部に対しましては、運輸大臣の委嘱によりまして処理対策についての検討を今現在やっておるということでございます。
○常田享詳君 今、私どもの所管ではないというふうにおっしゃいましたけれども、これ運輸省の所管ではないんですか。課という意味ですか。いや、それはまことに今の答弁、遺憾だということを申し上げておきたいと思います。これ、後日きちっとしたあれをいただきたいと思います。委員長、よろしいでしょうか。重要な問題だと認識しておりますので。
○委員長(真島一男君) そういうことで、重要な問題だと思いますので。
○常田享詳君 あわせて、船主の過失責任を追及する場合、船主に過失があれば賠償金は英国の保険組合、ナホトカ号は契約額約五億ドル、満額で六百億円の保険に入っていると聞いております。船主に責任があるということになればここから支払われるというふうに聞いているわけでありますけれども、石油海事協会によると、満額支払いは被害者が船主の過失を日本の裁判所に訴えて立証する必要があると。その際、裁判の長期化を考慮し、国際油濁補償基金が一たん支払いの一部を肩がわりして早急な補償を行う、後に基金が船主相手に裁判を起こすことになる。
 こういった例は過去に、一九八〇年のフランス・ブルターニュ沖での船体割れ事故の例もあります。こういうことがもしあるとするならば、きちっとロシアなりロシアの船主を訴訟の対象としてやっておく必要があるんじゃないんですか。
 六年という時効があって、船尾は沈んだままになっているということでしょう。ですから、そういうことになればやはり事故の究明をきちんと早く、これ条件は事故の究明ということがありますから、究明を早くきちんとして、訴訟すべきものだったらきちんと訴訟しておかないと、全部あれ日本が持たなきゃなりませんよ、船尾の引き揚げから、そこから拡大する、今度また油が漏れたりして日本海側へどんどん、それすべて今度は二百二十五億のような適用がされないわけでありますから、六年以降について。
 だから、私はこれらの訴訟についてはきちんと対応すべきだと思うんですけれども、訴訟できるようにすべきことはする、これらの準備の考えはしておられるんでしょか。
○説明員(田村雄一郎君) お答え申し上げます。
 先生今御指摘のとおり、実際に被害が生じ、その加害者であります船主に責任が、故意過失がありということになりますと、これは船主の無制限の責任が生ずる。一方、故意過失がない場合には船主の責任を一定額に制限し、それを超えるものにつきましては国際油濁補償基金から今おっしゃいましたように総額約二百二十五億まで補償する、こういう制度になっております。
 今、先生もおっしゃいましたとおり、なかなか過失がありゃ否や、故意がありゃ否やという認定には非常に時間もかかります。そのために、これまでの多くの事例でいきますと、通常は示談で解決しております。その交渉の中で故意過失につきましても関係者で話し合って、どこがどういうふうに持つ、あるいは補償をするべきかということが決まるわけでございます。
 今回の事例につきましてはどのような形でいくのかまだ定かではございませんけれども、過去の事例から申し上げますと以上申し上げましたようなことでございまして、示談で解決ができなかった場合には裁判所に訴えまして、裁判所の手続で最終的には決着をする、こういうことに相なるわけでございます。
 それから、時効の問題につきましてちょっと補足させていただきますと、確かに先生おっしゃるとおり、基金からの補償につきましては時効がございます。これはまず損害が発生した日から三年または事故が発生した日から六年以内に提訴しないとこの権利は消滅する、こういうことでございます。この考え方でございますが、例えば交通事故のように即座と申しますか、直ちに損害が明確になりますればそのときの判断で済むと思いますけれども、油濁損害のように後々まで損害が生じ得るという事例につきましては、これを余り短く切ってしまいますと、直ちに損害が出た人には補償があるけれども、一方、後から出た人には補償がなされない、こういう不公平も生じるということで、今のような時効期間をとっていることであると判断しております。
 ただ、一方これを無制限に長くいたしますと、例えば六年を超えて損害がわかったといったときに、それはもう補償できないわけでございますが、これをもっと長くいたしますと、それは先ほど申し上げましたとおり、補償基金からの総額が約二百二十五億ということでございまして、これは全体の額が確定いたしませんと、例えば早く確定した人が先取りして、後からの人が取れないというふうなことになっても困りますので、全体の額が確定をいたしませんと払えない、こういうことに相なるわけでございます。
 したがって、これをいつまでも延ばしますと、いつまでも全額が支払えないということでございますので、ある程度の合理的な期間内に時効を設定している、こういうことであろうかと思っております。
○常田享詳君 今起こっている被害ですね、先ほどの答弁された、各県から上がっている被害とかそういったことについて早く示談をした場合は六〇%ですか、についてはということで早くやっていくというのは私も賛成であります。
 しかしながら、今申し上げているのは沈んでいる船のことなんですよ。沈んでいる船の撤去の問題とか、それから沈んでいる船によって今後被害が起こった場合、じゃ簡単な質問、撤去とそれからその後被害が起こったものについてはどうなるんですか。
○説明員(田村雄一郎君) 今申し上げましたように六年以内に船尾部からの流出によると思われる被害が生じた場合には、これは補償の対象にはなりますが、六年を超えて起こったときには対象にはならない、こういうことになります。
○常田享詳君 もう一つ確認をしておきますが、先ほどの答弁で三国町の船首部分、これは船主責任で撤去させますとさっきおっしゃいましたよね。頭の方は船主の責任で、しっぽの方は船主の責任ではないということですか。頭が船主の責任ということは、しっぽの方、沈んでいる方も船主の責任ということではないんですか。だから、撤去させるとさつき答弁されたんでしょう。
 ところが、今のお話だと、いや、しっぽの方はこれから起こった時点なり状況を考えないとどこがあれするかわからぬ。六年以内だったら二百二十五億だけれども、暗にそれ以後だったらむにやむにやという話でございましてね。そこをどうなっているのかはっきり教えてください、はっきり。
○委員長(真島一男君) 所管外で答えられないんだったら、はっきりそう言ってください。
○説明員(釣谷康君) 申しわけございませんが、今の時点ではちょっとお答えできませんので、持って帰らせていただきたいと思います。
○常田享詳君 こういう重要な問題であるにもかかわらず、常設の委員会で、ましてや事前に通告しておいて答弁いただけないというのは大変不本意であります。事が事でありますので、きちんとした回答を委員長お願いしたいと思います。
 もう時間がそれで終わってしまいましたので、飛ばしまして、最後に水産庁の方にお尋ねをしたいと思います。
 処理剤の使用の問題であります。
 今回の事故発生後、油処理剤が総計六百キロリットル、ドラム缶三百本以上使用されたというふうに言われているわけでありますが、C重油には有効な処理剤が少ない。しかも、今回のような状況下ではほとんど効果がないと言われております。
 かえってアワビやプランクトンに悪影響があると言われていたものであります。また、細胞膜を表面に出しているエビやカニの、先ほど申し上げましたけれども、幼生は処理剤に接触すると死滅する可能性も指摘されているということであります。にもかかわらず使用され続けたのはなぜなのか。そういったことまで農水省として考えて使用の範囲なり使用の期間なりをきちっとお話といいますか、あれは海上保安庁がやったんですかね、まいたのは。処理剤を使用するについてそういう話し合いは十分なされたのでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 油の処理剤の話でございます。
 今回の事故は非常に広い範囲にわたっておりますし、生態系及び水産生物に対しまして広範な影響を与えている。こういう中で油処理剤についてでございますけれども、沿岸域に漂着した油の除去のために、数県におきましては生態系に配慮して油処理剤を極力しないようにしておりますけれども、沖合域におきましては物理的に回収が困難な流出重油の除去に使用されているという実態がございます。なお、この場合におきましても、地方公共団体でありますとか、漁業者の方々の了承を得て行われているという状況にございます。
 水産庁でございますが、水産庁といたしましては、環境庁とともに油処理剤の使用につきまして、生態系等への影響を考慮いたしまして、例えば沿岸の岩礁の洗浄に処理剤を使用する場合には、影響を最小限とするために、漂着固化した重油を処理剤により軟化させた後に早急に回収するというようなこと、それから、卵稚仔などは成体に比べて非常に影響を受けやすいわけですから、産卵期などは避けて使用するようにというようなことで、環境庁とともに水産庁は通達を出しております。
 そういうことで、生態系への影響が最小限となりますようにやっておるところでございます。
○常田享詳君 最後に、実はそのことにつきましては既に昭和六十二年三月に財団法人漁場油濁被害救済基金が漁場油濁被害防止対策事業報告書というのをまとめております。
 この中でも、多くは言いませんけれども、C重油は処理剤によって乳化させないで、廃油ボール、ムース状とかエマルジョン化したものをそのまま回収した方が魚介類、環境に対する影響が少ない、したがって、漂着させてしまうと非常に被害が拡大する、その結果、魚介類、鳥類、その他生物に付着して生理障害、その他人間においても呼吸器の問題等があるんだというような一つのマニュアルができているわけでありますね。
 したがって、私は、処理剤の使用につきましては、沖合で油を完全に拡散消滅させることが一番大切でありまして、沿岸への油の漂着を防ぐ目的以外は余り使用されるべきではないんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、最後にこのあたり、今後の処理剤に対する考え方をお聞きして質問を終わります。
○政府委員(嶌田道夫君) 油の処理剤につきましては、先ほど申しましたように、非常に水産生物並びに生態系に対します影響が懸念されますから、まず沿岸域におきましては極力しないことが望ましいという方針で行っております。
 なお、沖合域におきましては、先ほど申しましたように、物理的な回収ができないという流出重油のみを対象に使用することが望ましいと、しかし、やむを得ず使用する場合には早急に回収することや拡散させることが望ましいというような基本で行っております。
 今後とも引き続きこの油処理剤によります生態系、水産生物への影響を考慮して十分対応してまいりたいと思っております。
○常田享詳君 終わります。
○阿曽田清君 平成会の阿曽田でございます。
 今、ウルグアイ・ラウンド対策の見直しが高まっておる中ではございますが、ちょうど三年目を迎えまして、この見直しの中で緊急にぜひ取り上げていただきたいという点を二、三申し上げたいと思います。
 私は、このウルグアイ・ラウンド対策が六兆百億円ついたときに農業団体の若手の職員の方からこんなことをお聞きしました。
 それは、今でも脳裏に刻み込まれておるんですが、うそ八百と言います。花のお江戸も八百八町、その八兆より少ない六兆百億円、中身を見ればうそばっかり、そう言った職員の言葉が思い出されるわけでありますが、当時武村大蔵大臣も真水は三兆円に足らずというような御答弁をされておられます。私は、一つ一つ見ていきますと、二兆円に限りなく近づいていくんではなかろうか、そんな思いさえいたしております。
 このウルグアイ・ラウンド対策、三年度を迎えるわけでありますが、四つの大きな柱のもとに非公共事業ということで六つの対策がなされており、そして融資という形で二つの対策がなされております。
 この事業をそれぞれ見てみますと、大体今までの農林省がなされてきた、政府がなされてきた事業の前倒しかあるいは若干制度を緩和した形で取り入れておられるのが大半であります。中でも新規らしいものはどれかなというと、三つじゃなかろうかなと。その一つは農家負担軽減対策が一つであり、二つは土地改良負担金対策であり、三つは新規就農対策、この三つがウルグアイ・ラウンドで取り組まれた新しい事業になるのかな、そういう思いをいたしております。
 その中で、私が一番期待をいたしておりましたのは農家の負担軽減対策であります。この負担軽減対策の中に三つの融資事業が行われておりますが、一つは自作農維持資金の今までの事業にプラス二百五十万を上乗せするという内容のものであり、もう一つはし資金のいわゆる百億円分追加枠であり、そして目新しいというのが、今回取り上げていただいたものが負担軽減対策、農家負債の軽減対策であります。
 農業者の方々、それぞれお話をいたしてみますと、これに期待をしておったけれども、非常に現実的には利用しがたい内容であるということであります。まず、負担軽減対策のところの中身を見てみ、また聞いてみますと、いわゆる安定農家の方々には対象になりません、もちろんです。そして、負債を余計かぶっていて延滞金がもう既に発生してとても返せないというような人も、これもだめですと。返済に一部いわゆる滞納が出た人に対してのみ適用するというのがこの制度ですね。いわばAランク、Bランク、Cランク、Dランクというので農家群を分けております中で、Cランクの方々の中で一部返済が滞るような方だけを対象に適用いたしましょうというのが一つ。それから、五%以上の金利で返済をしている人でなければならないというような問題。
 さらには、こう言っておりました。何か承認を受けるようでなかなかこの手続をとるのに大変だ、というのはいわゆる審査が大変面倒であるし、三年間の経営状況あるいは資産台帳、そういうものをみんな持ってこいと言って、それぞれの県なりあるいは普及所なり、審査する、金を貸す機関等がみんなでそれぞれ審議をするというような形で、途中でもうこれは借りぬ方がええやといったことを農家の方々からよく聞くわけであります。もっと借りやすい、また対象者を広げるというようなことで、農業者の方々が重荷になっているものを少しでも軽くしてやって、元気を出して意欲が醸し出せるような対策というのが私はこの特別対策の中で取り組まれたことじゃなかろうかと思うんですが、その点の見直し等はいかがなものでありましょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) 先生御指摘になりました農家負担軽減支援資金の特別資金でございます。
 確かに、先生が御指摘になられましたような問題点というのは私どもも聞いているわけでございます。平成七年度が初年度でございまして、この資金につきましては、年間の融資枠で五百億円設定しておりますが、初年度での実績で申し上げますと、五百億円の融資枠に対して四百四十七億円の融資実績がございます。これは、その中では特に北海道とか東北あるいは九州といった地域では割合需要がされている、利用がされているというふうに思われます。ただ、県によりましては取り組みがおくれているというところもございまして、平成八年度、まだ見込みでございますけれども、それを上回る資金需要があるんではないかというふうに考えております。
 その中で先生が幾つが御指摘になりました点、私どもも重々承知をいたしておりますが、例えば審査手続がなかなか難しいということでございます。これは審査書類自体は必要最小限のものを指示いたしておりますけれども、ただ貸し手の農協の経営安定の面から、どうしても償還計画なりあるいは計画を立てる際にしっかり償還できる計画を立てるという要請もございます。そういった点で金融機関サイドからの審査書類の要求ということがあることも否めない事実でございます。そこは私どもこの資金の運用に当たりまして特別指導員の設置ということを指示しておりまして、いわばマン・ツー・マンでそういう特別指導員が農家の方に対して経営計画の作成からフォローアップまで指導するという体制をつくっておりますので、そういう指導員の方々ができるだけきめ細かく農家の方に密接に対応する、そういうことを今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
 それから、あるいは今、先生、五%を超える資金に限定されているというふうに御指摘になりましたけれども、実はこの資金、制度資金でなければ、一般資金でありますと五%に限っておりませんので、どういつだ資金でも借りかえの対象にいたしております。ただ、制度資金だけは全体の横並びの問題もございますので、五%を超える制度資金の借りかえだけ認めているということでございますが、ただ、それを救済する意味で、制度資金につきましては、先ほど触れられました自創資金によりまして、五%以下のものでも当年度の償還が難しいというものにつきましては、自創資金の中のいわばリリーフ資金と申しておりますが、それによって借りかえの対象にするということにいたしておりますので、そういったものを組み合わせて対応していただいてはいかがかというふうに考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、御指摘のような点も留意しながら、今後とも本資金のさらなる活用については十分指導してまいりたいと考えております。
○阿曽田清君 これが十年という一つの短い期間になりますものですから、今まで既に借りている資金の内容によってはそれを短く、仮に十年に縮めたとしたときは、かえって一年間に返さなきゃならぬ金額の方がふえてしまうということさえ出てくるんです。
 ですから、今申し上げましたことについては、できるだけ幅広い形の中で拾い上げて対応してやっていくということにするとそういう対象者がふえてくるんじゃないかということでもございますし、できれば十年というのを、やはりこれは農業団体のプロ。八一資金を使っているわけですから、長くするというようなこと、その利子対象の期間を伸ばしてやるというようなことでもさらに御検討いただければどうかなと思いますので、御検討いただきたいと思います。
 それから、関連しまして、L資金の百億円の枠を別に用立ててあります。通常の資金プラス今度百億円ということですが、よく負債農家の方々とお話をするときになると、低利でしかも長期で借りかえられぬかと、こういうようなことがよく出るんです。今度のウルグアイ・ラウンドのこの対策で、L資金がこういう二十五年、二%という取り上げ方の中で適用百億円の枠を別にとったということでありますが、それを借りようとした場合に、あなたはもう既に目いっぱい借りているからもう貸せませんと、大体査定の中でおろされてしまうんです。
 簡単にわかりやすく説明しますと、既に三千万の既借入金があるとすれば、大体平均、今、金利が安いといいましてもプロパーの資金七%等を含めますと五%か、超えるかなという程度だと思うんです。そうしますと、一年間の金利で百五十万ぐらい払わなきゃなりません。それに元金分含めます。元金は別にしまして、金利だけで百五十万になります。改めて牛を買うとか牛舎を建てるとか、あるいは施設、ハウスを建てるとか、そういうことで二千万さらに借りて規模拡大しようという方が、もう借りられませんよ、おたくの財産からすればもう目いっぱいですと。三千万の担保能力だったら、七割しか見ませんので、四千五百万以上の資産を持っていないと安全的に貸せないというのがありますから、そうしますと、もう五千万以上の資産を持っている農家というのは余りいないわけでして、それで二千万規模拡大しようとしても貸せないということになります。
 私は、ここでこういう提案をさせていただきたいんですが、荒っぽい話かもしれません。少なくとも認定農家という方々に対して、子供もおり、農業にさらに意欲的に取り組んでいこうとするその認定農家の方々に対しては、今までの三千万お借りしていて、そして二千万さらに規模拡大なり新しい近代的設備にしたいということでやられる場合は、二千万のL資金を借りるのではなくて、今まで借りていた三千万部分の既借入金部分も一緒になって五千万L資金で借りられないか、認定農家について。そうすると、二%で、五千万で百万の金利で、しかもそれが二十五年間で長期にわたって払いができれば元気がさらについてくる、意欲を増すことができる、私はそのように思うんです。
 せっかくのこの支援対策としてスーパーL資金、この中に織り込み済みでありますから、そういう使い方ということへ大きく踏み出していただけないものでしょうか。どうでしょうか。
○政府委員(熊澤英昭君) まず第一点の農家負担軽減支援資金の償還期限でございますが、確かに原則は十年の償還期間ということですけれども、経営の状況によりましては十五年の特例を認めているわけでございます。これは経営を立てる際に無理のない償還計画を立てるということで、個別のケースで判断しているわけでございますけれども、案際には十五年の償還期間で計画をやっておる例がかなり多うございます。
 平成七年度の実績で申し上げますと、この負担軽減資金で四千四百四十三件ございまして、そのうち特認の十五年を採用いたしておりますのが三千六百六十二件、つまり八二%強、八割強の方が十五年の償還期間で計画を立てているというのが実績でございますので、個々のケースによりまして相当、やはり十年というよりは十五年で償還計画を立てているという実例が多いのではないかというふうに考えます。
 それから、次のお尋ねのし資金でございます。ウルグアイ・ラウンド対策の中では、融資枠百億円ということで設定をしておりますけれども、実は本予算の方でも六百億円の枠を用意いたしておりまして、いわば金目に仕切りがないわけですので、両方合わせまして七百億円の枠に対しまして、実際の実績では平成七年度でも八百五十億円の融資実績がございますので、相当活用されているのではないかと思われます。
 今お尋ねのその次の問題で、二千万円の施設をつくる場合の担保でございますけれども、このL資金は公庫資金でございますが、施設を新設する場合にはその施設そのものが担保になりますので、従来の負債の借りかえと、それから今度の施設を新設する場合にはそのものが担保として融資の際の保証になりますので、そういった点は個々のケースでかなり弾力的に融資を組み合わせて償還計画を実施しているという事例もかなり私ども見られておりますので、それぞれの個々のケースで相当弾力的に活用されている例もあるのではないかと思われます。
 ただ、一部にはなかなか、個々のケースでは計画自体が過大であるとか、償還計画が過大であるというような例も間々見受けられまして、それは融資機関だけではなくて、融資機関と市町村なりの関係者が集まりまして推進協議会なんかで審査をしている場合が多いわけでありますけれども、そういう場合ですとなかなかその個々の農家のケースで計画自体が無理だというような例もございます。ただ、かなり多くの例は、相当弾力的に運用されている例が多いというふうにも私ども見受けておるところでございます。
○阿曽田清君 局長さん、私は安定農業者だけを対象に話しているわけじゃないんです。むしろそういう方々はL資金に限らずほかの制度資金で二千万円借りることは容易なんです。ところが、もう既に目いっぱい借りていて、専業農家というのは特に借金が多いですよ、そういう方々も、おたくの資産からすると貸せませんよというところに新たに規模拡大やっていかないと追いつけないということでやろうとしている人たちが大半なんです。
 だから、経営が借金もなくて安定している人の担保は十分それはあるでしょうし、今のところ安定しているところの人が新たに求めたから、そちらの方は建物施設も牛も担保能力になりますからとおっしゃるのは、それは百も承知の上でありまして、首が回らないくらいいわゆる借金を抱えておって、何とかやっている方々がこの急場を切り抜けるというときに、L資金を活用してひとつ自立していこう、安定化へ向けようという方々にこの資金の貴重な価値があるんですよ。だから、とらえ方が違うんです。
 大臣、決意をひとつ、考え方どうですか。
○国務大臣(藤本孝雄君) 学識と経験をお持ちの委員でございますから、先ほどから具体的な御意見を承りながら拝聴いたしておりました。
 それで、局長から御答弁申し上げました中に答えが入っておると私は思いながら聞いておったわけでございますが、それは弾力的な運用ということ、それから返済については、いろいろ過大な借り入れについて、そういうところに問題があるのではないかというようなことの答弁がございまして、私はその弾力的な運用というところでひとつ御理解いただければ、それは実際の事情をよく御承知の委員でございますから、今いろいろと言われたことについては対応できるのではないかなと思いながら拝聴いたしておりました。
○阿曽田清君 大臣の弾力的運用というのは、我々のとらえ方からすると、先ほど私が主張した方向で弾力的ととっていいのかということになりまして、既に今まで借りていた方々、先ほどわかりやすく説明しました、二千万新たに借りたい、三千万既に借りているその借金分も一緒に含めてL資金で対応できるというようなことも弾力的運用でできるということであれば、大変これは農業者から名大臣として私は称賛されることになろうと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 時間がだんだんなくなってまいりましたので、この六兆百億円、真水は限りなく二兆円に近づいてくるんじゃないかという思いをいたしておりますが、むしろ六兆百億円じゃ少な過ぎる、私はそんな思いをいたしております。
 もっと、この一から五までの事業の中身について、全体的な見直しについては後日また御議論させていただきたいと思いますが、早急にこの九年度からの取り組みの中で要綱等で改善していただければという思いで今申し上げているところでございます。
 もう一つは、先ほど三つ申し上げた中の二つ目の新規就農対策、これは非常に新しい事業として取り組んでいただいておりますが、利用率といいますのは三・六%しか利用されていない。これは、新しく就農するという方々、JターンとかUターンも含めてでありますが、農業大学校に行かれる場合は月五万円、あるいは先進農家で修行をされる方には十五万円、そして農業への支度金で百五十万、これを新しく創成していただいて後継者育成といいますか、担い手の方々に意欲を持たせようという計らいでありますが、これは卒業した後返せというお金でございます。
 もう御承知のとおりに、保健婦さんや看護婦さん、助産婦さん等の制度の中にその資金の融資があって、その学校なり修行が終わりますと、勤めて七年なりあるいは五年以上勤めたらそれは返さぬでよろしいという制度がありますね。
 私は、せっかくのこの新規就農対策の思い入れからいたしますと、そのような農業大学校に五万円学資資金として出される、あるいは先進農家に修行として入り込まれるために十五万円支援される、そして夢と希望を持って農業に踏み出そうということで農業に従事するときの百五十万の支度金、こういうものは、いわばそこで五年なり十年きちんと農業自立経営者として成長していく人であればもう返さぬでよろしい、そういう取り組みが私は逆に今農村に必要ではなかろうかなというふうに思います。
 看護婦さんや助産婦さん、そういう制度で非常に喜ばれておることが、いわゆる三Kと言われる産業になりましたこの農業、その後継者の方々にも温かい配慮があってしかるべきじゃなかろうかと思うんですが、その点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高木賢君) 就農支援資金についてのお尋ねでございます。
 まず最初に、実績でございますが、最近の数字でいきますと、大分伸びてまいりまして既にもう千五百件ぐらいの貸付件数が出ておりまして、このままの趨勢でいきますれば相当な活用が図られるという見込みでございます。
 それから二番目に、償還免除ができないかということでございますが、やはり今御指摘のありました看護婦さんなどの公共的サービスを提供する職業というところがら考えますと、農業者は基本的には経済活動の担い手であるということからなかなか性格的に難しい面がございます。また、同様に、中小企業などの他産業とのバランスということから見ても、これは率直に申し上げて大変難しい課題であるというふうに思っております。
○阿曽田清君 高木局長、しゃくし定規な話をされたんじゃ、こちらも、はい、そうですがなんという形じゃ下がれない話なんです。
 極論を言いますと、よく我々が相談を受けるのは、高校へ進学のときに農業高校にやった方がいいでしょうか、高校を卒業するときに農業を継がせていいんでしょうか、ほかのところに就職した方がいいと思いますかと、これは中堅農家の方々からよく相談を受けることなんです。
 そういう進路の土壇場で、やはり希望を持って取り組んでいただくということの誘導は私は政策的に必要じゃなかろうかなというふうに思いますので、しゃくし定規に御答弁いただいても非常におもしろくないことでありますし、まあそれはそれとして、見直しのときに御検討いただきたいと思います。
 時間がありませんので、幾つか用意した中で、一年前に私は農業者の方々にも労災保険の適用をということで質問をいたしました。当時、労働省の谷課長から御答弁をいただいて、努力いたします旨的な話があったわけでありますが、三十二年前に社会労働委員会で伊東正義先生から、農業も一から四号に入ってくるのではないかという質問がなされております。そのときに石黒さんの答弁では、十分経験と知識を得まして制度が軌道に乗ったときにはそうなるという答弁であります。
 ずっと今日までそれぞれの委員会で質疑がなされてきておりまして、指定農業機械作業従事者というところがらスタートをして、特別加入で認められて、平成三年に特定農作業従事者ということで五つの作業項目について農業者の範囲を広げていただいたんですね。
 それで、現在どれくらいの加入状況になっておるか、指定農業機械作業従事者が何人で、特定農作業従事者が何人御加入されているか、まず教えていただきたいと思います。これは、農林省か労働省、どちらでも結構です。
○説明員(坂田稔君) ただいま御質問のありました特定作業従事者にかかる特別加入の状況でございますが、ちょっと資料が古いわけでございますけれども、平成六年度末で約十三万人でございます。
○阿曽田清君 これは十年前に、このときまでは指定農業機械従事者の数、このときの答弁は社労委員会で社会党の村田先生からの御質問でありますけれども、当時十二万一千人と、こういうことになっておるんです。その後、伸びていないんですよね。
 それで、少なくともこの中身が私は農業者の方々にわかりにくいといいますか、そして普及しにくい内容のままである。少なくとも林業の方々や漁業の方々は、既に一人親方としての加入が認められておりますけれども、その工程の中での作業はすべて労災保険の対象になっている。農業している方だけ、まだこの一から四の中に入れていただいていない。それは何か障害があってのことでしょうか。教えていただきたいと思います。
○説明員(坂田稔君) 一人親方として労災保険の特別加入を認めるべきかどうかという問題につきましては、基本的に業務の危険性、それからまた私生活と業務との範囲が明確に区分できるかどうか、そういった観点から判断を行っております。
 こういった観点から、漁業あるいは林業の自営業者の一部につきましては、特別加入の対象としているところでございますけれども、農業の関係につきましては、私生活と業務との範囲がどこまで明確に区分できるか、そういった問題が依然としてあろうかと考えておりますので、現在のところ、特別加入の対象とすることはなかなか難しいという判断をいたしております。
 基本的に、例えば先生から御指摘のありました指定農業機械作業従事者、これはトラクター等の機械を扱うということで危険性があるわけでございます。それから、また特定農作業従事者といいますのも、例えばサイロ等の酸素の欠乏する危険な場所における作業が対象とされておりまして、そういった意味で一人親方につきましても、いずれにしても業務の危険性、あるいは私生活との関係、そういったことを総合的に判断して対象とすべきかどうか考えているところでございます。
○阿曽田清君 その仕分けが難しいというようなお話でありましたけれども、漁業者だって、波止場から漁場まで行ってそこで起こった事故が対象になるわけでしょう。農家の方々も、家でやっていることに対して補償せいとは言わないんです。家から圃場に向かっていって、その圃場の中で起こった事故については、限定された五つの作業項目じゃなくて、すべての事故に対して、圃場内で起こったことに対しては適用すべきではないですかと。だから、一人親方として三号に入れる必要があるのではないですかと、それもおかしくないことではありませんかということであります。
 しかも、農業者数三百四十四万人いらっしゃいます。そのうちの十三万人となるとごくわずかであります。確かにPR不足というのもありますし、せんだって労働省の方が農業者用のパンフレットをつくっていただいて、各末端まで、農協までそのパンフレットは参りました。だけど、それを農業者の方々に今度は説明しようとしたときに、こういう条件しかかかりませんよというような話では、さあ入りなさいというようなことの勧めにはちょっと内容不足だなと。むしろ自信を持って農業者に語ることを義務づけるぐらいの中身のものであってほしい。
 ですから、もう三十二年前に伊東正義先生が御質問されて以来まだそれが実現できないというのは、いわゆる農村の生活保障の観点における対応が私は極めておくれている、そう指摘されてもいたし方ないことではなかろうかなと。ですから、さきの野呂田大臣にも申し上げたんですけれども、農林省の方からも強く労働省の方に申し入れをしていただいて、省令改正すればできることでございますから、省令改正をして三号の方に入れていただくというようなことに特段の御努力をお願いいたす次第でございます。大臣、決意だけお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 農作業の事故の補償の充実につきましては、労働省とよく話を詰めていきたいと考えております。
○阿曽田清君 終わります。
○委員長(真島一男君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
○委員長(真島一男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、平成九年度の農林水産行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○高橋令則君 行政改革、各般にわたりまして現在の最大の課題になっておるわけでございますが、私はその中に国有林野事業の改革も当然含まれている、このように認識をしております。大臣の所信表明の中にもそのくだりが触れておられるわけでございまして、農水省の方もそのような御認識できちんとお取り組みになる、そのように理解をしております。
 そこで、私は幾つかの点について現時点のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 まず、その前提として、林野庁当局は国有林野事業の現在の経営状況、これをどのように認識しているか。これは極めて簡単にやってください、私も一応読んでいますから。
○政府委員(高橋勲君) お尋ねの国有林野事業の経営の実態でありますけれども、現在、国有林野事業につきましては、平成三年七月に策定しました国有林野事業の改善に関する計画に即しまして、民間実行の徹底とか要員規模の適正化とか組織機構の簡素化、合理化というふうな自主的な改善努力を尽くすとともに、一般会計からの繰り入れ等所要の財政措置を講じまして経営改善に努めているところでございます。しかしながら、その財務状況につきましては、林産物の収入が木材価格の低迷とか伐採量の減少あるいは地価の低迷というふうなことで大幅に減少しておりまして、自己収入が人件費を下回っているような状況であります。
 こうした中で、引き続き借入金に頼らざるを得ないというようなことから債務残高が増大しておりまして、平成七年度末には三・三兆円というふうな累積債務になっております。そしてまた、借入金の利子負担も増大しておりまして、大変厳しい状況というふうに認識しております。
○高橋令則君 会計検査院の平成七年度決算報告において、国有林野事業の経営について「特に掲記を要すると認めた事項」として指摘をされているわけであります。
 そこで、会計検査院から、検査報告においてなぜ今回このような、言うならば特記事項として指摘をしたか、その指摘をした背景、原因、それからどの点にポイントを置いて指摘をされたか、その点を御説明いただきたい、このように思います。
○説明員(平川素行君) 会計検査院では、従来から国有林野事業の経営につきましては重大な関心を持って検査を実施しているところでございます。既に昭和五十年度及び六十年度の検査報告におきましても「特に掲記を要すると認めた事項」として掲記したところでございます。その後、林野庁では、平成三年度に国有林野事業の改善に関する計画を定めまして経営改善の推進に努めておられます。
 しかし、その後の推移について見ますと、木材価格の低迷に加えまして伐採量の減少等から林産物収入の確保が困難となってきたことなどによりまして財務状況は一層厳しいものとなっております。このような事態は林野庁の努力だけで解決できる問題ではないということで、国会等の場で議論されることを期待しまして、再度「特に掲記を要すると認めた事項」として検査報告に掲記したものでございます。
 その内容につきましては、企業的な運営を旨として設置されている特別会計におきまして、現在は木材生産林に係る経費と公益林に係る経費とが混然と経理されているので、その実態を明らかにして広く国民の理解や支援が得られるような方途を講じること、それから木材生産林において自然保護等の立場から伐採制限を求められていることの理解を得ること、造林及び林道事業に対する投資並びに公益林の整備に係る経費につきまして、その財源のあり方を総合的に検討することなどによりまして事態の改善が図られることを期待しているものでございます。
○高橋令則君 私もここに会計検査院の検査報告をちょうだいして見ております。
 今御説明がありました中で、前段で、この問題はもう林野庁だけでは解決できない、非常に大きな問題だというふうな、取り上げた理由についてお話がございました。私もほぼそのような認識を持っているものでございます。
 この中で、特にちょっと突っ込んで一点お聞きしたいんですけれども、こういうくだりがあるんですね。「企業的な運営を旨として設置されている特別会計の枠内において、現在、」云々として、「混然と経理されている。しかし、国有林野の適切な管理経営の推進に資するため、特に公益林に係る経費が明確に把握できるような方途を講じ、その上で、特別会計のおかれた現状と公益林の実態を明らかにして、広く国民の理解・支援が得られるような方策を講ずる。」というのが(1)の指摘になっているわけですね。
 これは会計検査院の御意見だと思いましたが、これを読んでみて、「特別会計の枠内において、」というのが前段あるわけですが、これは現状の説明なんですけれども、後段に「特別会計のおかれた現状と」云々という中には、特別会計そのものの現状に照らしての適否というんですか、それについての会計検査院のお考えはどのようなことなんでしょうか、お尋ねします。
○説明員(平川素行君) 国有林野事業は、先生今御指摘のように、独立採算を旨とした企業特別会計として運営されております。林野庁としても改善計画に基づきましてさまざまな経営努力が行われているところでございますが、現状のまま推移しますと、木材価格の低迷、伐採量の減少などから見て、長期的には別としましても、当面は改善計画で定めた収支の均衡を回復し経営の健全性を確保するという目標の実現が困難になっているということを申し上げているものでございます。
○高橋令則君 特別会計がなじむかどうかという議論までは突っ込まなかったと、こういうことですか。
○説明員(平川素行君) 昨年の検査報告におきましては、現在、平成三年度に策定されました経営改善計画、これの目標が困難になっているということを収支などを分析しまして申し上げたものでございまして、特別会計がどうあるべきかということにつきましては、広く議論をいただきたいと考えております。
○高橋令則君 私はなぜそれをお聞きしたかというと、会計検査院というのはまさに会計に関しては御専門でいらっしゃると思うものですから、やはり会計制度の根幹といったことまで踏み込んで言っていただかないと、あるいは言っていただいた方がいいのではないかという気持ちがあるものですから申し上げたのです。今の話ですと単なる事実指摘にとどまっている、こういうふうにしか見えないんですが、特別会計のありようについての認識というものは特にないということでいいんですか、会計検査院のサイドでは。
○説明員(平川素行君) 昨年の検査報告におきましては、あくまで改善計画の目標の達成ということで分析をしておりまして、特別会計制度云々については取り上げてございません。
○高橋令則君 これ以上ちょっと事務当局とやりとりしてもしようがないなと、これだったら疋田さんに来ていただければよかったなと思ったんですけれども、まあそれはちょっと余談でございます。
 それはそれとして、会計検査院が御指摘になった五項目の指摘があるんですね。この指摘事項について林野庁当局はどのように受けとめていらっしゃるか、これをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(高橋勲君) 会計検査院からただいま御報告ありましたような御指摘を受けまして、私ども一番目の木材生産林における公益的機能の発揮に対する国民の理解とか支援、それから各種改善事項のより着実な推進、それから国有林材の販売方法の改善等、こういう自己収入の確保につきましてはこれまでも改善計画で取り組んできたところでありますが、御指摘の趣旨を踏まえまして、これからも一層努力をしていこうと。
 それから、公益林にかかわる経費の把握とか、公益林にかかわるその経費の財源のあり方というものの検討ということにつきましては、これから林政審議会における論議を踏まえまして、本年中に国有林野事業の経営の健全化のための抜本的な改善策を検討、策定する中で検討していきたいというふうに考えております。
○高橋令則君 非常に簡素な御答弁であるわけですけれども、いろいろ国有林野事業の、長官が最初におっしゃった経営の厳しい現状にかんがみて、このところ経営のあり方について突っ込んだ議論がマスコミその他で取り上げられているわけですね。その中にはいろんな意見がございます。
 これも先刻御承知だと思いますが、国有林の現状はもう一般企業だったら完全に倒産状態だと。普通だったらもうこれは所有財産を処分しちゃって、そして借金返済に充てるべきだとか、学者によってはこういう非常に厳しい意見をお述べであります。さらに、林野庁解体論があることは御承知のとおりであります。つまり、今の仕組みではもうとても国有林野の抜本的な改善、改革というものが期し得ないのではないかという論調が多いというふうに私は認識をしているわけでございます。
 これから林野庁あるいは農水省全体として、あるいは政府全体としてもこの問題についての突っ込んだ取り組みがなされるものと理解をしておりますが、まず私は長官に今の特別会計、それから申しわけありませんが、林野庁という枠組み、こういった既存の枠組みの中でこれからの国有林野事業の抜本的な経営改善の取り組みが可能というふうにお考えでいらっしゃるかどうか、端的にお伺いしたいと思います。
○政府委員(高橋勲君) 国有林野事業が特別会計の制度のもとで昭和二十二年から林政統一後発足したわけでありますけれども、五十年近くにわたってこの制度のもとで実行してまいりました。発足当初の昭和二十二年から昭和四十年ごろまでは木材需要も非常に活発で、そしてまた国民経済的にも国有林を初め民有林からも木材の生産、供給の増大、こういうものを大変求められまして、その間に相当な無理をしながら国有林野事業も伐採をしてその供給にこたえた、こういう時期がございます。
 会計制度的に見ますと、その時期は大変まさに収入も多くて、一般会計の方に逆に繰り出しといいますか、繰り入れをしていたような時期もあったわけでありますが、昭和四十五年ぐらいから国産材と外材との供給の比率が変わりまして、だんだん外材の影響によりまして木材価格が低迷してまいりまして、国有林野事業の収支も悪化してきた、こういう状況でございます。
 それで、昭和五十三年度から経営改善計画に取り組んで、四次の計画変更というふうなことで現在の改善計画でまさに自主的な努力をしておるわけであります。今いろんな面でこれまでのやり方とか組織、あるいは会計制度のあり方、これが変革を求められているわけでありまして、私どもの会計制度の方にも、国有林の使命を達成するためにこういう制度でいいのか、林野庁の枠組みの中でいいのか、こういう議論が先生御指摘のとおりほうふつとして沸いているわけでありまして、私どもとしても今真剣にそれについて論議をしておるところであります。その論議につきましては、現在のところはやはり林政審議会という国の審議会にまずはお諮りをし、その御意見を伺おうという状況と思っております。
○高橋令則君 長官の前段のお話ですと、まさに私がお尋ねしたような問題まで踏み込んで議論しなければならないという御認識だと承りまして、私も全くそのように思っております。
 報ぜられるところによりますと、林政審議会の古橋会長がお述べになったこととして、これは報ぜられたことをそのまま読みますと、国有林問題については三つのホワイ、これに答えなければならないと。一つはなぜ国が管理するのか、二つ目にはなぜ林野庁所管なのか、三つ目にはなぜ特別会計なのか、こういう端的な問題提起をされているようでございます。
 したがって、これもまた先ほど私が申し上げたことと軌を一にするわけでございまして、そういう根底からの議論にならなければこの後の国有林野事業のありようについての展望が開けてこないんだな、改革もできないんだなというふうな認識を私はしているわけでございます。
 これはもう済んだ話といえば済んだ話ですが、これまでの取り組みの中で今の国有林野の経営改善計画の取り組みが何遍となくなされてきているわけですが、最初が五十三年ですか、その次が五十九ですね、それから平成三年ですね。
○政府委員(高橋勲君) 六十二年です。
○高橋令則君 六十二年ですね、そうですね。
 平成三年のときには、平成二年七月に総務庁から勧告が出ているんですね。それを受けた形でいろんな検討をされて現在の経営改善計画ができているわけでございますけれども、私はこの当時の総務庁の勧告を読んでみますとこういうくだりがあるんですね。「自己収入によって累積債務の償還を行うという現行の処理方針を継続するとすれば、国有林野を適切に管理経営するための経費が圧迫を受け、国土保全等の公益的機能の発揮も危ぶまれることになる。」と。途中省略しまして、「基礎収支の均衡を前提として、国民の理解を得つつ累積債務の処理方策を検討する必要がある。」、こういうふうに書いてある。
 この書かれてある中身はよく御存じだと思いますのでとかく申し上げませんが、現実にそのときに、平成三年七月に策定されたその計画が今の計画なんですが、そのときと今の経過を見てみますと、累積債務は一向に減っていない。私からすると、どうも平成三年の計画自体もこの総務庁の勧告の趣旨とするところにきちんとこたえたものではなかったんではないかと、これは実績がそうなっているじゃないかとこう言いたいわけですが、この辺の分析はいかがですか。
○政府委員(高橋勲君) 平成三年七月に計画を樹立したときには、確かにその前の年のそういう総務庁の勧告ですとか、平成二年の間における林政審議会における論議を踏まえまして、三年七月にその計画ができたわけでありますが、このときの眼目は、経常事業の収支と累積債務の収支を明確に区分しまして、累積債務の方には土地の売り払いをもってその債務の返済に充てようと。で、経常事業の方で実行する国土の保全でありますとかあるいは自然維持林の保全でありますとか、そういうものに影響を与えないようにしょうと。そして、経常事業の方にはできるだけ一般会計からの必要な資金の導入を図ろうと。それから、累積債務の方にも必要な財源措置を講じようと。こういう形で、考え方としましては、それまでの三回の計画と違って経常事業と累積債務をきちんと仕分けをして、自己努力と一般会計からの導入を図りながら、平成十二年の経営の健全化ということを目標にして改善計画を十年として歩んできたわけであります。
 それが今になってみて実績が上がっていないじゃないかと、こういうお話であります。その間、経常事業の方でやっております自助努力の方の民間実行で徹底するというコストダウンというふうな考え方につきましては、請負の比率が当時の四六%から六一%、それから要員の規模も当時の三万一千人が、現在一万七千人、それから平成十二年度には一万人にしようと、こういうような努力、さらに営林局署の組織を非常に簡素化、スリム化する、そういう形で進んでおりまして、実効を上げているわけであります。
 しかし、収支の面につきまして、冒頭申し上げたように、林産物の価格の見通し、これが残念ながら、やはり円高等の基調もありまして、外材の安い価格で国産材もそれに引きずられて安くなって収入が落ちてしまう。あるいは自然保護というふうな面からの伐採量の規制というふうなものも強まりまして、量的にも減ってきております。あるいはまた地価も低迷しまして、累積債務の方で、これだけの土地は売って債務の返済に充てようと、こういう計画をしたところが、やはりその分が思うようには収入が上がらなかったということで、残念ながら財務の面につきましては、先ほど申し上げたような累積債務がふえてしまったというような実態でございます。
○高橋令則君 今、長官がおっしゃったように、平成三年の計画に対する林野庁の取り組みは、要員の削減とかそれから請負率の向上とかいろんな面で成績が上がっている点は私もデータを見て承知をしています。これは御努力を多とします。
 しかしながら、考えてみるとやっぱり収支改善、財務がよくならなければ、何にもならないとは言わないけれども、結局究極の目的を得られたことにはならないんです。平成三年の計画はおっしゃるように、一定の法律改正もし、今までにないような気持ちで、気持ちというか取り組みをなさってそれなりの改善措置もなさったと思うんですけれども、今考えてみると、結局その措置自体も実態に余りぴったりは合っていなかったんじゃないかと。だから、間もなくこういうことになるんじゃないかというふうに思うわけです。したがって、今度の取り組みに当たっては、よほど過去の反省に立ってその冷厳な事実を見詰めて取り組まなければいかぬのじゃないか。
 例えば、材価の問題をおっしゃいました。材価の問題も今のこういう国際化時代ですから、輸入を拒んでどんどん材価を上げると言っても限界があります。変な話ですけれども、今の林野庁が、木曽ヒノキとかそれから青森のヒバとか、ああいう特定のものは除いて、一般材でいいますととても太刀打ちできない。じゃ、材価を何割上げれば太刀打ちできるようになるかというと、収支均衡に持っていくためには今の材価の何倍にもしなければできないわけでしょう。そんなことはあり得ないことですよね。
 それから、伐採量をふやすと言っても、今の林齢をずっと資料を見てみますと、十五年ぐらいは伐採量をふやすなどということにはとてもなりませんね、今の蓄積を見ておると。せいぜいパーに年でならして一千万立米ぐらいですか。そして、一千万立米ぐらいというと要員の数でいいますと、これも資料を見てみましたら、林政統一前に、林政統一は二十二年ですか、以前の帝室林野局と山林局でやっていたときでは一千万立米ぐらいの経営を一万人ぐらいでやっていたというんですね。そうすると、いまだにまだ人が多いじゃないかという議論もある。
 いずれにしても、今の枠組みではとても考えられない、とても建設的な結果が出てこないということが、この平成三年のときの取り組みの経過とそしてその後の結果から見て論証されているじゃないかと、こう思うわけですね、厳しい言い方ですけれども。
 したがって、今後は、この後の抜本的な改善策をとるに当たってはその辺をきちんと掘り下げてやっていただきたいと思うわけですが、この国有林野事業の経営改善に対する今後の取り組みの方針、そしてまた進め方、スケジュール、こういつたことについてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(高橋勲君) これまでの改善計画の実施の実態を十分振り返りながら、新しい、そして国有林に期待されている使命を十分に果たしていくというふうな考え方で幅広く論議をしていただくことにしておりますけれども、昨年の十一月から林政審議会に森林・林業基本問題部会を設けまして、委員の先生方の議論はもちろん、これまでに市町村長あるいは公有林の経営者、民有林の経営者、そういう方の意見を大変広く聞きながら、意見交換を行って今論議を進めております。
 さらに、林政審議会の論点整理をできるだけ早く、この四月ぐらいには行いまして、平成九年度に入りましたら、林政審議会だけでなくて各界を代表するような有識者の方々から成る懇談会を設置いたしまして、その方々の御意見も伺おうと、こういう考え方でおります。
 そういう林政審議会や懇談会の論議を踏まえて、最終的に所要の法律案を平成十年の通常国会には提出したいというふうに考えております。
○高橋令則君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、私が見たところ、先ほどるる申し上げましたが、よほど非情の覚悟で取り組まないとこれはできないと思いますね。しかも林野庁の枠内でできないと思います。
 一方で、例の資金運用部資金を使っているわけですから、このいわゆる入り口の、こちらは受け口ですが、この資金運用部資金の活用のあり方等も含めて抜本的な国全体としての取り組みが必要だと思うんです。よほど農水省サイドでは腹をくくって、自分の城を守るというふうな考え方ではとても改善は期待できないと思いますね。
 そうじゃなくて、やっぱり国民共通の国有林野、いわゆる山村振興とかいろんな意味で欠くことのできない機能を果たしているわけですね。その働きは守るけれども、林野庁のあれを守るとか農水省の立場を守るということではなくて、国民経済なりそういった面で物すごく重要な役割を果たしているわけですから、それをなくさないということを根底に置きながら、本当に裸になって徹底的に議論して、そしてこの国民共通の財産である国有林野のありようを新しく立て直していくというふうな気持ちで取り組んでいただきたいと思うわけであります。この点についての大臣の御決意をお尋ねします。
○国務大臣(藤本孝雄君) 先ほどから国有林野の改善の問題についていろいろと御意見を承りまして、私も委員と同じ認識を持っております。
 やはり五十三年から四回にわたりましていろいろと改善策を講じてきたわけです。それなりに努力もしてきたと思うんですが、結果としてそれがうまくいかなかったわけでございまして、そういう点からすると、今までの考え方の延長線上でこの国有林野の改善策を考えるということはこれは無理があると。ですから、そういう点では抜本的な対策を考えていかなきやならぬというふうに考えております。
 それから、長官からもお話し申し上げましたように、今ちょうど国有林野のあり方につきまして審議会で議論していただいておりますので、この国有林野のあり方ということにつきまして、我々も徹底的に議論してみたいと思っております。
 それから、財投の関係でございますけれども、平均金利が五・四%になっておりまして、千八百億ほどの金利を払っておると。これは予算編成のときに私も、これは大変なことなんでこの五・四%の金利を安い金利に借りかえるということはこれまた非常に大事な問題でございますので、大蔵省とも九年度の予算編成のときに十分に話し合いました。残念ながら、それは実現しませんでしたけれども、これは今後の問題としてお互いに努力をし合うということで別れておるわけでございまして、これもこの平成九年度でひとつ解決してみたいな、また解決しなきゃならぬというふうに考えている大きな問題の一つでございます。
 いずれにいたしましても、国有林の持っている非常に大きな役割、それに対して我々も責任を持って対応していかなきやならぬわけでございますので、十分に頑張っていきたいと思いますから、どうぞひとつ御支援のほどお願い申し上げます。
○高橋令則君 終わります。
○谷本巍君 初めに、ウルグアイ・ラウンドの事後対策費の問題について伺いたいと存じます。
 民主党の菅代表が六兆百億円の事業費をやり玉に上げたというのが契機になりまして、民主党の中でもいろいろ議論が行われておるようでありまして、私どもの党内でもいろいろ検討の作業が進んでおる。また、自由民主党の中でも事業要件の検討問題も含めて検討していこうということで小委員会を中心にした議論が進められているというふうに伺っております。
 こうした一連の動きに対し、大臣はどのように受けとめておられるか、初めにその点について伺いたいと存じます。
○国務大臣(藤本孝雄君) ウルグアイ・ラウンド事業につきましては、委員先刻御承知でございますからその点については触れませんが、そもそもこの問題は、国会でも平成六年に両院で、六兆百億の金を使って足腰の強い農業をつくれという御決議もいただいたわけでございますし、また政府・与党といたしましても責任を持ってこの事業を決定したと、こういういきさつがございます。
 先ほど民主党の菅さんのお話が出ましたが、私もたまたま、あれはたしかNHKのテレビでお話をされておるところを拝聴したわけでございますが、六兆百億に対しては異論はないのであって、中身についていろいろ考えてみたらどうかと、こういうお話でございました。私どもも、六兆百億につきましては必要な事業費として、六年間にぜひきちっと足腰の強い農業をつくっていくために推進していかなきやならぬというふうに考えております。
 この見直し論がいろいろと国会の中で議論されてまいりまして、特にこの参議院の予算委員会、補正予算の審議のときにたしか御決議いただきました。そういう御決議を踏まえまして、我々といたしましてもこのウルグアイ・ラウンド対策費、また事業につきまして、六兆百億の問題は国会の御決議もあるわけでございますので、当然この金額がそのまま私はお認めいただけるものと思っております。見直しの問題につきましては、事業の今の推進状況であるとか、また地域におきますいろんな関係者の意見も十分に踏まえながら、この見直しにつきましては考えていかなければならぬというふうには思っておる次第でございます。
○谷本巍君 大臣がおっしゃられるように、六兆百億という総額が決まった背景には、一つは国会の決議があった。それからまた、これを決めるときにも政府はきちっと統一見解なるものを示して決めてきているという経緯がある。それからすれば、これは総額には手をつけるべきではないということは明確であろうと存じます。問題は、中身についていろいろな問題があるし、論議があってしかるべきだと私は思います。
 当時、この六兆百億を決める前の農水部会水準での与党三党の協議を顧みてみますというと、与党三党がそれぞれ事後対策についての政策提示をやって、そして議論をしながら政策大綱なるものを仕上げてきたという経過があるわけであります。そういう経過はあるのでありますが、議論の中で先送りになっているものとかいったような問題等々が幾つかありました。
 例えば、さきがけさんの方から出されましたものは環境保全型農政への思い切った転換ということを中心にしたものが出ておりました。私ども当時の社会党も同じような立場には立っておりますが、それの象徴的な問題提起として中山間地域におけるデカップリング政策の実施、これを提起いたしました。この点については、自民党さんの側が、党内での合意ができていないからちょっとこれは三党で議論するといっても難しい、ですから先送りさせてほしいといった話がございました。そこで私どもは、そういうことであったらいずれまた機会があるであろうということで先送りすることに合意をしながらも、例えば第三セクターについての人件費の補助、これを代替措置的にやることができぬかといった問題提起も行いましたが、これも実現に至らなかったという経過がございました。
 ウルグアイ・ラウンドの対策費は、ちょうど六年のうちの三年間を終わって、これからuターンしていくという状況であります。そしてまた、第二次橋本内閣をつくる場合も、与党三党の政策協議の中で中山間地域のデカップリング、これは検討課題の俎上にのせていこうということで与党三党が合意をしているわけですね。
 ですから、そういったような経緯も含めて、ひとつ中山間地域におけるデカップリング問題についての大臣の考え方をお聞かせいただきたいのであります。
○国務大臣(藤本孝雄君) ラウンド対策につきましては、平場それから中山間地域と二つに分かれるわけでございまして、平場の方は非常にわかりいい、大規模で生産性の高い、そういう農地を築いていく。しかし、四割の面積を持っております中山間地域の問題につきましては、これだという決め手がなかなか今のところ見つからないというのが実情だと思うんです、正直に申し上げまして。しかし、問題意識は私ども持っておりますし、今までの経過、経緯も十分に承知をいたしております。
 役所の中でも中山間地域の所得の補償のためのデカップリングの問題について議論をしておるわけでございますが、今一つの目標としては、新しい農業基本法をつくるその中で対策を講じていこうという一つのタイムリミットというものが我々としては頭の中にあります。それまでの間に、デカップリングの問題には直接結びつかないと思うんですけれども、間接的にはやはり中山間地域の環境をよくしていくとか、アクセスをよくしていくとか、それから情報の伝達、CATVだとかいろいろあると思うんで、そういうことを積み上げながら、結果としてそういう所得の補償につながっていくように基礎条件をつくっていって、その上でデカップリングの問題の結論を出していったらいいんじゃないかなと、そういうふうに思っておるわけでございます。
○谷本巍君 次に、農地の基盤整備の問題について伺いたいと存じます。
 六兆百億の事業費のうち、最も大きいのは公共事業費関係であり土地基盤整備関係であります。これがスタートした当時は割と農家の間で歓迎する意見が多かったのでありますが、最近はかなり変わり始めております。
 それは、農家負担の問題というのがあってのことであります。といいますのは、基盤整備などまだ行われていない農地というのは、どちらかというと条件が余りよくないところが残っておりますからどうしても事業費がかさみがちだという問題もありますが、さらには環境問題なども加味したやり方、工法に変えなきゃならぬといったようなことなどから事業費がかさみがちだという問題が一つあります。
 それからもう一つは、ウルグアイ・ラウンド以降変わった状況では、自主流通米価格がどうも際限なく下がっていきそうだという状況に今あるわけであります。でありますから、基盤整備をやっても受益者としてはメリットがないという声がかなり出てきているという状況があります。現に中山間地域でいいますというと、土地改良をやった農地については買い手がありません。このごろは、ただで上げるから引き取ってくださいといっても引き受けてくれる人がありません。返済金がついているからですよ。
 平場でもやっぱり以前とは変わった状況が生まれてきております。といいますのは、基盤整備した農地の実質価格の方が基盤整備をしなかった農地よりも安くなっているという状況が、あちらこちらでそういう話を耳にすることがあるということであります。ここで申し上げる実質価格というのは、基盤整備の負担金を差し引いた売り値、これと基盤整備をしていない農地の価格というのを対比したということであります。
 政府はこれまで、基盤整備事業をやれば生産性とともに地価が上がっていく、財産の値打ちが上がっていく、ですから農家の負担というのがあって当たり前だと、こう言ってまいりました。私どももそういう見解に立ってまいりました。ところが、ウルグアイ・ラウンド以降、その辺の根拠がどうも危うくなる可能性が出てきているということであります。
 したがいまして、この際、政府として、その辺の実態調査といいましょうか、これをやりながら、土地改良の負担金問題について必要によっては再検討するということをしてしかるべきだと私は思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(山本徹君) 先生御指摘の圃場整備地区の地価が未整備の地区より安くなるようなケースが出てきたという御指摘でございますけれども、これは未整備地区の農地の地価は整備地区に比べて転用が容易である場合が多くございますので、転用含み価格で未整備地区の農地の地価は形成される場合が多く、整備地区は転用が原則としてできませんので、純粋な耕作目的の農地価格として地価が形成されるということは大いにあり得る。その結果、未整備地区の方が価格水準が高いというケースはあり得ると思いますし、また事業を実施する前と後を比べた場合に、事業実施後に当該農地の地価が下がった事例も私ども承知いたしております。
 これも純農地価格としての地価水準となったという場合のほかに、事業実施前と後、これは十年前後かかるケースが多うございますので、事業実施前の一般的な日本の経済情勢、地価水準と、例えばバブル崩壊後となったときの地価水準のように、そのときの地価水準あるいは経済情勢が全般として変わってきて、これによって当該農地の価格も結果として下落しているというようなケースもあると思われます。
 このように、圃場整備と地価の関連は外部のいろんな経済情勢等が含まれますので、これを純粋に分析できるような調査を実施することは困難と思いますけれども、私ども、いずれにしても、先生御指摘のとおり、現在の土地改良事業というのは体質の強い日本農業を育成するために大変重要な事業であると考えておりますので、この事業が円滑に、また農民にも歓迎される事業としてこれからも発展していくように、負担金の軽減対策等の一層の活用を図っていく必要があると思っております。
○谷本巍君 農家の実感からしますと、やっぱり土地改良のメリットというのは少なくなりましたと、これはもう実感的な表現としての農家の言い分なんですよ。やっぱり事業費はかさんできている、それに米価が下がっていく、こういう状況が続いていけば、それは当然そういう状況が生まれてくるのは明らかなのでありまして、構造改善局でもさらなるひとつ検討をこの際お願いしておきたいと思います。
 次の問題は、やっぱり同じようなことなのでありますけれども、今水田農業で見てみますというと、担い手の皆さんが六十五歳以上の方が過半数になりました。地域によってかなりの違いはありますけれども、貸したい人、売りたい人、請負耕作に出したい人、これがどっとふえてくる、こんな状況に今来つつあるわけであります。そういう状況が起こっている地域もあります。ところが、引き受け手が意外と少ない。ところによっては引き受け手がなくて困ったというような状況が見られます。
 原因は一体何なのか。やっぱり中核的な農家の皆さんが、米価が下がってきちゃっていて米価水準が損益分岐点を割りそうな状況ないしは割ってしまった、こんな状況が出てきているわけであります。これはっくる銘柄によって大分違いがありますけれども、自主流通米の中でもランクが低いところではそういうふうな声を聞くようになってまいりました。
 そうしてみますというと、これはやっぱり問題は二つあるだろう。一つは米価問題というのがある、それからもう一つは小作料の問題というのが私はあるのではないかと思います。といいますのは、兼業農家の皆さんが圃場整備をやるときは、請負耕作などに出すのにも圃場整備に参加してないというと請負耕作で相手はやってくれないといったような問題等々がありまして圃場整備に参加をしてくるという状況がある。ところが、圃場整備に参加したために高い負担金を払わなきゃならぬから、したがって小作料水準を一般の水準よりも高い水準を要求せざるを得ない、こういう矛盾が生じてきているのであります。
 基盤整備事業というのは、一つは生産性を上げていくということが目的でありますが、同時にそれは規模拡大ということをねらいにしておるわけでありますから、そうした政策意図と反する状況というのが負担金との見合いで出てきている状況が間々見られる。したがいまして、負担金問題というのはそうした視点も含めて検討すべきではないかと思うのだが、いかがでしょうか。
○政府委員(山本徹君) 負担金につきましては、土地改良事業が円滑に実施できるように、この水準の軽減措置をこれまで事業の見直しとともに進めてまいっております。
 具体的には、これまで事業の円滑な実施を図るための負担金軽減対策といたしまして、まず本体の事業費をできるだけ抑制する、それから償還金の繰り延べ措置を講ずるというような措置を講ずるとともに、地方財政措置の面でも起債、交付税制度の導入による地方公共団体の事業費負担の円滑な導入によって農家の負担を軽減する措置を講じてきたところでございます。
 また、特にウルグアイ・ラウンドの農業合意に伴う土地改良の負担金対策として、償還金が十アール当たり一万円を超える地区につきましては、この償還金には御案内のとおり金利が例えば五%、六%というような比較的高いものも入っているわけでございますけれども、この金利部分について三・五%を超える金利の部分、これを軽減するという措置を新しく創設させていただいたり、また償還金のピーク時の水準が一万円を超える場合には、これは米、麦その他自由化関連作物についてはこれを一万円に引き下げて無利子で後送りできるというような措置を講じることにいたしたところでございます。この事業費はウルグアイ・ラウンド対策費の中で二千六百億円計上させていただいておりまして、この事業は平成七年度から実施しておりますけれども、これまで円滑に事業実施に取り組まれております。
 ただ、都道府県、地域間によってこの負担金対策というのがやや制度として複雑な面もございますので、まだ末端の土地改良区あるいは農家の方々に十分理解されてない面がございますので、現在行政あるいは団体を通じてこれの普及、推進、PR、それからまたやや複雑な計算になりますので、計算を代行してサービスするような事業にも取り組んでおるところでございます。
 また同時に、平成九年度予算案におきましても、負担金を軽減するという観点も含めて、担い手の育成を図る圃場整備事業、これは補助率が五〇%でございますけれども、この圃場整備を重点的に実施する。また、新しく九年度の予算案で農地の利用集積の度合いに応じて最大限事業費の五%の促進費を土地改良区に新しく交付する制度を設けまして、これによって農家負担の軽減を図る措置を講じたところでございます。
 これらによって、より一層農家負担の軽減に私ども努力してまいりたいと考えております。
○谷本巍君 六兆百億の事業費を決める前の、土地改良関係でもいろいろ農家負担軽減のための措置を講ずる、そのために役所の皆さんが財政当局との交渉でどれほど苦労されておるかということは私もよく存じておりますし、それから今あなたが御説明になったお話についてもこれまでも話を伺ってまいりました。まいりましたが、やっぱり経済状況の変化、それからまた農業状況の変化、それに合わせて財政当局に対してもかなり無理を言っていかなきやならぬ状況に来つつあるわけでありますから、その辺、特にお願いをしておきたいと思います。
 次に、食糧庁長官に米価問題について若干伺いたいと思います。
 新食糧法では百五十万トンプラス・マイナス五十万トン、つまり百万トンから二百万トンの備蓄を行うことにいたしました。そうした備蓄政策をやる場合は、私どもは価格暴落対策を新法の中に織り込むべきだということを強く主張してまいりましたが、残念ながら少数派でそれは実現いたしませんでした。その結果どういうことになってきたか。米価は下がっても上がることがない、こういう状況が実際問題としてつくられてしまったということであります。
 さあそうすると、あと価格支持政策をウルグアイ・ラウンドとの絡みでもってやれないとするなら、これどうしたらいいんだろうか。あと残された方法は私は一つしかないんじゃないのかと。過剰米の処理、これがきちっと一定程度広域的にやれるような、つまり米の需給調整ですね、そういう方法を考えるしかないのではないかという気がしてなりません。
 一昨日、私どもの党の主催で、中国政府の代表の方、それからまた韓国の研究者等に御参加いただきまして、この三つの国による東アジア食糧安全保障機構づくりに向けてのシンポジウムなるものを行いました。このシンポジウムの中で、やっぱり食糧備蓄ないしは安全保障機構をつくっていこうというのであれば、WTOやそれからまたFAOとの関係からかなり難しさがある。あるけれども、米の貸し借りならこれはかなりやれるんじゃないのかという点では意見が一致をいたしました。つまり、そうすることによって東アジア、同じジャポニカ種の米を食べている地域の中でもって相互扶助的な関係をつくっていこうということを確認すると同時に、共同の研究を進めていこうということを確認してまいりました。
 これまで世界食糧備蓄構想といったようなものもありました。私どもが東アジアという地域を限定したそうした考え方を提起いたしましたのは、これは世界環境サミットの論議を受け、それからまた昨年の世界食糧サミットの論議を受けてのことなのでありますが、こうした問題の検討というのも新食糧法の運用問題と合わせながらやらなきゃならぬ時期に来たのではないかと思うんですが、長官、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(高木勇樹君) お答え申し上げます。
 まず、今の備蓄制度の運用の問題もございましたが、この備蓄制度は先生御案内のとおり、平成五年の不作の経験、そのときに大変大きな国民的な議論があったわけでございますが、そういったことを踏まえまして、仕組みとして今の仕組みになったというふうに思います。
 これは当然備蓄を主体として政府がやっていくわけでございまして、基本的にはこの備蓄米については買い入れ価格、これは自主流通米の価格動向、それからコストの動向も踏まえて決めるわけでございます。この運営については、この備蓄米がきちっと売れていくということも必要ですし、そのことが価格全体に影響を与えないようにしていくことも重要でございますので、私どももそこについては大変慎重な対応をしておるつもりであります。
 ただ、この備蓄米がきちんと売れていきませんと、今回の食糧法の全体の運営がうまくいきません。したがって、そういったこともよく考えながら対応したいというのが備蓄に関することであります。
 それから、米価が自主流通米主体になって、ここ三二年の作況が一〇五、一〇二、一〇九ということでいわゆる豊作基調でございます。そういったことを反映して、若干弱含みではありますけれども、しかし基本的には需給を反映して、これまでの傾向を見れば、上がったり下がったりということであるかと思います。
 それから、東アジア食糧保障機構というような御提案があったこと、それから一昨日ですか、今先生からお話あったような各国が集まって御議論がなされたことは承知をいたしております。
 この問題につきましては、もう御案内のとおり、既存の食糧援助に関する国際機関の役割との重複問題、それから食糧援助に関する国際ルールとの整合性の問題、こういつたことに留意をしていかないといけないと思います。
 今御提案の米の貸し付けということだったらいいのではないかということではございますが、これも効果的な生産制限措置との関係で、これはWTO協定でそこが強く指摘されているわけでございます。現在、私どもが特例措置として行っている、大前提になっている効果的な生産制限措置に整合するかどうか、これも慎重に検討しなければならないと思います。それから、我が国の米の価格ということからいきますと、これは貸し借りでありましても、結局やはり財政負担に最後には逢着する、こういった問題いろいろございます。
 しかし、備蓄米の活用方策というのは非常に重要でありまして、大臣の指示もございまして、九年度に諸外国の備蓄食糧、それから余剰農産物の活用方策といったことについて調査研究を行うという予算を計上して今御審議をいただいておるところでありまして、これによりまして、いろいろな御意見も頭に置きながら調査研究をしていきたい、こういうふうに考えております。
○谷本巍君 次に、有機農産物の表示ガイドラインの問題について伺いたいと存じます。
 去年の十月、検討委員会の報告を出されたようでありまして、有機農産物と特別栽培農産物と区分していくという方向が示されました。
 ただ、私ども残念だなと思いましたのは、これまで消費者団体から指摘のあった表示のあいまいさというやつですね。その問題が依然としてどうも未解決のままの状況が継続するのかなという点が非常に残念に感じた次第であります。
 ところで、聞くところによりますというと、コーデックス委員会が早ければ七月ごろに有機農産物の国際基準を示すというふうに伝えられております。基準づくりの参考になるものは欧米の基準だと言われております。御存じのように、欧米のものは青果物から畜産物、加工品にわたり生産、加工、流通について厳しい基準を設けている。違反をすれば罰金、業務停止もあり得るとされております。したがって信頼度が非常に高い。高いから輸入業者の皆さんもそれに注目しながら業者がふえてきた。輸入品目もふえたし数量もふえているということであります。
 日本の表示のあいまいさというのが他方でそういう状況を生んでいるんですよという指摘もあります。これまでのあいまいな表示そのままでは農業が受けるダメージは非常に大きいと思いますよ。そうでなくてもこれまで一般消費者は、輸入物はどうもポストハーベストなどで危険だと、それよりは国産のものが安心して食べられると、そういうのが国産農産物についての信頼度につながっていたわけであります。ところが、有機農産物になってくるというとまるで違いますというふうな話になっては、これは農業全般が今度は受ける影響が大きくなっていきますよ。その点どうお考えになっておるか、初めにその点を伺いたいのであります。
○政府委員(本田浩次君) 先生御案内のとおり、平成五年四月から施行されました当初の有機農産物等特別表示ガイドラインにおきましては、有機農産物、無農薬栽培農産物、減農薬栽培農産物など六区分を詳細に規定しております。こうした区分を設けました理由は主として二点ございます。
 まず第一点は、有機農産物の我が国における生産の現状を考慮していたということ。それから、有機農産物の生産を目指しまして、無農薬栽培農産物などの生産を行っている生産者の皆様方がこうした無農薬栽培農産物などの表示を行うことによってそうした努力が評価されて、ひいては有機農産物を生産していこうという意欲を高めることに結びつくのではないかといった点でございます。
 しかしながら、このガイドラインにつきましては、先生御指摘のとおり、有機農産物と比較して無農薬栽培農産物をむしろ優良であるという形で消費者の皆様方が誤認しやすいといった点でありますとか、減農薬栽培農産物の基準が大変あいまいであるといったこと、それから、区分が多過ぎるといった問題点も指摘されてきたわけでございます。
 こうした状況を踏まえまして、先ほど御指摘のございましたように、私どもとしてはこのガイドラインの運用改善を図るために、平成七年五月に有機農産物等特別表示検討委員会を設置いたしまして、実施上の問題点について検討をしてきたわけでございます。昨年の十月に有機農産物とそれ以外の無農薬栽培農産物などの特別に栽培された農産物との違いができるだけわかりやすくなるようにと、両者を明確に区分する必要があるという旨の報告書が取りまとめられたところでございます。
 私どもといたしましては、この報告の趣旨に沿いまして、昨年の十二月にガイドラインを改正いたしまして、有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドラインを定めまして、有機農産物と特別栽培農産物の区分の明確化を図ったところでございます。私どもとしては、当面、今後はこのガイドラインの一層の普及啓発を図りながら、環境保全型農業の振興に努めることにしているところでございます。
 御指摘のとおり、諸外国におきましては米国なりEUにおきまして基準が定められているところでございますけれども、基準それ自体は、例えば有機農産物につきましては、農薬や化学肥料を使用せず三年を経過し、堆肥などにより土づくりを行った圃場において収穫されたものを言うという意味で、基準それ自体の明確性においては米国、EUと同様のものであるというふうに認識しているところでございます。
○谷本巍君 もう時間があと残り三分になってしまいました。簡潔に申し上げますので、簡潔にひとつお答えいただきたいのであります。
 やっぱり厳しい基準とあいまいな基準が生じるゆえんというのは、自然条件の違いからきているんですね。自然条件との違いからきているんですから、農家の努力だけではどうにもしようがない。そこのところは政策的にどうバックアップしていくか。例えばヨーロツパの場合でしたら化学肥料や農薬を減らすことへ助成金を出す、あるいはまた有機農業へ転換をしていきますというと当初は収量が減っていく、これについて何らかのやっぱり援助策をやっていくとか、いろいろ考えられる方法があると思うんですが、そういう助成策をやっていただきたいということが一つであります。
 それからもう一つは、大臣にお願いを申し上げたいのであります。これは表示問題であります。二つの点を要望しておきます。
 一つは、生産方法もわかるような表示を検討いただけないかということであります。単に捨てづくりで化学肥料と農薬を使いませんでしたというつくり方もあります。それからまた堆肥や天敵を使う、あるいは輪作体系でやっていくといったような耕作の仕方もありましょうし、さらにはまた遺伝子組みかえで虫のつかないトウモロコシなんか開発されてきておりますが、これなんかだったら初めから無農薬ですから、これを無農薬という表示で売られたんじゃたまったものじゃないといったような声等々も出ているわけであります。ですから、生産のありようがわかるような表示、これをやっていただきたいという要望が強い、これが一つであります。
 それからもう一つは、認証の制度化問題であります。御存じのようにアメリカの場合には自主認証であります。大臣のすぐ隣の岡山県でも、やっぱり欧米のものを学びながら県がこの種の制度づくりに今まで取り組んできたといったような経過等々もあるわけでありますが、やっぱり日本で認証がやれるような団体はまだ少ないのでありますけれども、そういうものを育てながら認証がきちっとできるような制度化、これをひとつ御検討いただけないかということであります。
○国務大臣(藤本孝雄君) 消費者の立場からいたしますと、自分で食するその食べ物がどういう内容の食べ物であるかということを知った上で選択するということは非常に重要なことだと思うんです。なかなか難しい問題ございますけれども、私はぜひ研究して対応してみたいと思っております。
○谷本巍君 終わります。
○一井淳治君 長い人類の歴史を振り返りますと、さまざまな文明が栄え、あるいはいつしか滅びておるわけであります。滅びる原因というものが幾つか挙げられておりますけれども、その中には環境破壊といいますか、森とか水とか土などの文明の基盤となるそういったものが失われたということが言われておるわけでございます。
 今、我が国は未来に向けて現在の繁栄をさらに継続し発展させていくにはどうしたらいいだろうかということがまさに問われておる時代であります。農林水産業といいますのは、大臣の所信にもございましたように、国土保全とか環境保全など多面的な機能を持っておるわけでございます。そして、今まさに緑の田畑や森林や清らかな水、そして土などの環境を守っていくということが非常に大切な時代に入っていると思います。
 大臣の御所信の中に世論調査の御引用がありました。八三・四%の人が外国産より高くても我が国の食糧ということでありますけれども、これはやはり我が国の農業を大切にしていこうという国民の心のあらわれであると思います。
 農林水産行政を担当なさっておられます大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 今、委員から我が国の農政及び林政の問題について基本的な考え方についてお尋ねがございました。
 私は、この農林業というのは国民の皆様方に必要とする食糧を安定的に供給する、それから国土、自然環境の保全という点についてはいろいろな役割を果たしているというふうに認識しております。また農山村につきましても、国土、自然環境の保全という面で非常に大きな役割を果たしておるわけでございます。これらの農林業及び農山村を基幹的な産業及び地域として次の世代に受け継いでいくことが重要なことだというふうに考えております。
○一井淳治君 次に、農業基本法についてお伺いいたします。
 現在の農業の状況とかあるいは農業がいかに大切であるかということは、もう今言うこともないと思いますけれども、現在の状況の中で早く農業基本法をまとめていただきたいと思うわけでございます。進行状況とか今後の見通し等について御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(堤英隆君) 農業基本法の問題につきましては、今御指摘のように、昭和三十六年以来、農業・農村あるいは食生活の変化、さまざまな変化が生じております。また、そういう中で国民各界各層の方からも見直しを求める声が強くなっていると認識をいたしております。
 したがいまして、農林水産省としましても、昨年の九月には学者の方々から御提言といいますか考え方のこれまでの整理をしていただきました。それから、農林水産省の中に基本法につきましての検討本部といいますか、そういうものを設けて鋭意検討に着手をいたしております。
 そういう中で、検討項目等を徐々に整理しながら現在やっているわけでございますが、平成九年の四月ごろには食料・農業・農村に関します調査会というものを設けまして、広く各界の方々の御意見をいただきながら検討を本格的に進めたいと思っております。この調査会は二年間の時限となっておりますので、私どもとしましては、その間に御提言をいただきながら、それを踏まえて予算、法律の制度改正、その他も含めまして対策を講じていきたいという考え方を持っております。
 いずれにしましても、この三十六年間におきます農業基本法の制定以降の状況の変化、それから農業基本法が果たした役割、そういうことの評価、それからその後の国際化の進展等々、農業と農村に関しますさまざまな状況の変化を踏まえまして、二十一世紀を間もなく迎えるわけでございますが、そういう中で新しい農政の展開方向というものを模索したいと思っております。
○一井淳治君 今、農地の荒廃が進んだりあるいは離農がふえているということは御承知のとおりであると思います。非常に農業に対するもろもろの環境あるいは農家の方々が厳しい状況になっておりまして、農業基本法が農業が相当衰退した段階でできたんではいけない、やはり早くつくってもらいたいと思うわけであります。農民の間でも非常に期待が高まっておりまして、農業団体の間でもさまざまな意見が、みずからパンフレットをつくってPRするとか相当農業団体の間にも盛り上がりがあります。
 とにかく、農業基本法というのは非常に困難な法律体系をつくり上げていることは、これもよくわかるんですけれども、しかし国民の合意を得なくちゃいけない。そのためには、やはり農業団体の人たちが相当盛り上がっている中で国民の論議が行われて初めていい意味での基本法ができ、それがうまく施行されていくと思うわけであります。
 今のお話では二年間かけてということなんですが、できるだけ早く、例えば素案の骨子でもいいですよ、そういったものを発表されてこれを国民の議論に供するとか、何か勢いをつけてといいますか、あるいは農業団体が長い論議にくたびれて低調になってから国の論議が進んだというのではいけませんので、そこのところを早めるようにお願いしたいと思うわけですけれども、もう一遍お考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(堤英隆君) 調査会自体は二年間の時限ということを申し上げたわけでございますが、その過程の中で、平成九年度中には例えば基本的な考え方をお取りまとめいただいて、それで最終的に平成十年、できるだけ早い方がいいと私ども思いますけれども、そういう中で最終的な答申もいただくと。しかしながら、最終答申を待ってすべての行動、政策あるいは法律改正あるいは新法を制定していくということだけにとどまらず、途中段階におきましても、国民の皆様の合意、それから関係農業団体を初めとして、そういう方々の御意見等でまとまったものがあれば、その都度法改正等もまた国会での御審議をいただく、そういう基本的な考え方でこの問題に対処してまいりたいと考えております。
○一井淳治君 次に、木材の問題に関連して質問をいたします。
 外材のシェアが八割にも達すると。価格が低迷しますし、後継者不足など、森林・林業関連産業は大変な厳しい状況に置かれておるわけであります。そういった中で、国産材の需要拡大ということに非常に力を入れて取り組んでくださっておるわけでありますけれども、さらに御努力を賜りたいと思うわけであります。
 そういった中で、木造のものとなればやはりコストが高くなりますので、公共的使途への利用の拡大ということが強く言われておるわけでありますが、この点をもっともっと強力に展開してもらいたいと思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(高橋勲君) 国産材の活用を一層推進する、大変大事なことだと思っておりまして、私どもも一生懸命取り組んでいるところでございます。特に、地域のシンボル的な建物が多い公共施設、これで木材を、特に国産材を利用してほしいということでお願いをしておりまして、地方自治体等関係者に十分それを周知徹底しております。
 それから、どういうところにそういう需要があるだろうかということをまず把握しなければいけませんので、営林局とか都道府県あるいは関係団体、そういうところを通じまして、いつごろどんな公共施設が建てられるかという情報を集めて、それに対しての国産材の供給体制を図ろうということを考えております。
 それから、文部省とか関係の省庁に対しましても、木材利用推進関係省庁連絡会議というふうな場がございますので、学校等の木造化、これをぜひ推進するように協力を要請しているところでございます。
○一井淳治君 農林省には立派な人材がいらっしゃるわけですから、それを活用して何とか平成九年度はさらなるいい方法を見つけ出していただきたいと思います。
 それからもう一つ、要望でありますけれども、人に頼む前にやはりみずからがやってもらわなくちゃいけないと思うんです。林野庁には確かに国産の木の机などが置かれてありまして、ぴかぴかに光ってよく使われていると思うんです。しかし、他の局ですね、さまざまな局がありますけれども、例えば局長さんの机がどんな机かといえば、まだ国産材の机が置かれているのは一つもないんじゃないかと思いますね、失礼ですけれども。
 ですから、やはり私は他の省庁に頼む前にまず農林省内で国産材を使うと、国産材でなくて外材でもいいですよ、木を使うということを、ぜひこれをやってもらいたいと。これは本気のお願いですよ。
○国務大臣(藤本孝雄君) 大臣のネームプレートは木でつくっておりますから。
○一井淳治君 ネームプレートでは非常に残念でございまして、どうか備品を、壁一面を張っていただければ一番いいんですけれども、一挙にそこまでいかないでしょうが、せめて備品を何とか御購入いただきまして、省を挙げてやっているという姿をぜひ示してもらいたいんですが、大臣のお答えを、いいお答えをぜひともお願いしたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 私が今、大臣室のテーブルの上にネームプレート、農林水産大臣というネームプレートを木で置いておりますということを申し上げましたら、横から、局長のところも同じように置いておると、こういう話でございます。これはそのとおりだと思いますので、よく調べた上で、そのようにこれを進めてまいるように考えます。
○一井淳治君 どうかよろしくお願いしたいと思います。
 それから、今度は牛乳の関係でありますけれども、飲用乳価も昨年下げられまして、酪農家が毎年廃業していくという大変これまた厳しい状況にあるわけであります。やはり需要拡大を考えていかなくてはいけないわけでありますけれども、需要拡大というのも相当お考えいただきまして、もう限界まで達しているような感じもいたします。
 例えば児童に酪農家を見学させたり牛の乳搾りの状態を見せたり、そういうような交流が進んだり、あるいは牛乳の生産とか加工などの副読本ができまして、百万部以上配付されるというふうに相当進んでおるわけであります。
 しかし、まだそういったものも農林行政の範囲内といいましょうか、例えば副読本を出しましても、これはあくまで給食の理解とか農林行政の範囲内での副読本にとどまっているわけです。やはりこれを一歩進めまして、これは他省庁の問題になってくるんですが、乳搾りとか牛乳の出る生理なんかはこれは理科の範疇だと思いますけれども、文部省の方の理科とか社会科とか、そういう正規の学校教育の中でも取り組んでいただけるように、学校の授業の中に農村と都市の交流が入るように要望していただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(中須勇雄君) 御指摘のとおり、酪農、乳業の今後の発展を図っていく上で、牛乳・乳製品の消費の安定的な拡大ということが極めて重要なことは言うまでもない、私どももさように承知しております。
 このため、ただいま先生がちょっとお話しくださいましたように、牛乳・乳製品に関する基礎的な知識の普及であるとか消費の拡大、啓蒙普及等、いろいろなことに取り組んでいるところでございます。
 そのうちの一つとして、現在都市住民と酪農あるいは酪農家との交流の促進を図る、こういうことで、酪農とか農村のすぐれた性質を都会の人に知っていただくという意味での交流イベント等に助成を行うというふうなことをかなりの規模で実施をしているということがございます。また、正しい牛乳・乳製品についての知識、情報を幅広く若い方、学童を中心とした子供たちに伝えるということから、文部省と連携をとりながら、小学校向けには入学児童等を対象にした学校給食に関する副読本、それから中学、高校生に対しましては保健体育及び家庭科用にカルシウムと食生活について解説したビデオテープ、こういうものをつくりまして教育関係者、現場に幅広く配付を行いまして、その活用をお願いしているところであります。
 ただいま先生から御指摘ございましたように、こういった私どもなりの努力を引き続き続けるとともに、こういったものを例えば文部省の学校教育の場でより生かしていただくという意味での働きかけも、私どもからもまた一層強めてまいりたいと思っております。
○一井淳治君 非常に多岐にわたって御努力いただいていることはよくわかるんですが、もう限界に達しているんです。ですから、他省庁の権限の中に入っていくんでしょうけれども、教育内容に取り入れていただくとか、そういうふうな御努力を賜りたいことを重ねて要望しておきたいと思います。
 それから、次は職員の方の倫理規程についてお尋ねをさせていただきます。
 これは、よその省庁の関係で大変な不祥事態が起こりまして国民のひんしゅくを買うと。その関係ですべての省庁において倫理規程をつくるというふうになったわけでありますけれども、農林水産省におかれましても、平成八年十二月二十五日に農林水産省職員倫理規程というものをおつくりになりました。
 今、農林水産業が非常な厳しい状況にあると、ですから、少しでも国民の農業に対する共感というものを深めてもらいたい、そういう中で農業の振興を図っていかなくちゃならないと思うわけであります。しかし、マスコミの中にはかなり農政批判の声も聞かれるわけであります。
 最近の新聞記事などを見ますと、都道府県の農林水産関係の職場でどうこうあったということも記事になっておるわけでありますが、これは職務規程とは関係ないことでありますから、今の言葉はちょっと適切じゃなかったかもしれませんけれども。そういう困難な環境の中で国民の農林水産省に対する信頼を確保していくということが農業の振興のために非常に大切であるというふうに思いますので、質問をさせていただくわけであります。
 この職員倫理規程が守られて国民の非難とかあるいは誤解の対象にならないようにしてもらわなくちゃならないと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(藤本孝雄君) 私も、大臣就任以来、この国家公務員の倫理の問題につきまして数回にわたりまして省内に徹底するように指示をいたしております。公務員が国民全体の奉仕者である、そういう自覚のもとに自信を持って行政を推進してもらいたい、このような気持ちでございまして、農林水産省全体といたしましては、私のこの考えに十分にこたえて立派に国家公務員としての自覚に基づいて頑張ってくれておると、そういうふうに思っております。
○一井淳治君 この倫理規程の三条には、関係業者等との接触の問題が書いてあります。第五条には職員と官公庁の方との接触の問題が書かれておるわけでありますけれども、農林省の職員の方と官公庁の方との接触の場合については、「国民の疑惑や不信を招くようなことの防止を基本として、職務上の必要性に留意しつつ、」と、そういうことの条件づきになっているわけでありますけれども、やや第三条の関係業者等との接触に比べて緩やかになっているということが言えると思うわけであります。
 そこで、お尋ねしたいんですが、ある程度具体的に、どういう範囲なら官公庁の職員と接触して会食等をしてもいいのか、そのあたりのことをお示しいただきたいと思います。
○政府委員(堤英隆君) 当省職員と他の官公庁職員との接触につきましては、機会あるごとにそれぞれ自粛といいますか、周知徹底方はこれまでも図ってきたところでございます。
 今御指摘の職員の倫理規程におきましては、関係業者等との接触等に関しまして国民の疑惑あるいは不信を招くような行為の防止ということを目的といたしまして、これらの規制あるいは手続を定めているわけでございますが、官公庁の職員との接触につきましてもこの規制や手続を準用いたしております。
 具体的に、接待を受けることでありますとか贈答品を受領するといったことにつきましては禁止をするということとともに、職務に関係のございます出版物への寄稿でありますとか職務に必要な会議等への出席という形で例外となります場合には、服務管理官に事前に届け出を行って了承を受けなければならないというふうにいたしております。
 したがいまして、この倫理規程を適正にきちんと守られるよう、今、大臣からもお話ございましたように、職員にその旨を周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
 なお、この官公庁の職員との接触の取り扱いにつきまして、事前に機械的に、ここまではいい、ここまではだめだとなかなか一義的には決めがたいものがございますので、そういう意味では、私どもとしましては、国民の皆様に疑惑あるいは不信を招くようなことがないように、そういう形できちんと対応させていただきたいと思っております。
○一井淳治君 おっしゃるとおりなんでありますけれども、しかしこの公務員の倫理の問題はもう古くから何度も取り上げられて、現実には完全には守られなかったと。大部分の人が守っておるんですけれども、完全には守られなかったという経過があるわけで、抽象論だけを言われても職員の方はわかりませんので、具体的にここまではいいんだというものが示されないと職員の方も判断に迷うんじゃないかと思うんですね。妙に萎縮してしまってもいけませんし、余り大きな気持ちになってもいけませんし、その辺をお聞きしているわけなんです。どうですか、ある程度示せませんでしょうか。
○政府委員(堤英隆君) 今申し上げましたように、機械的、統一的な形での仕切りというのはなかなか難しい面がございます。今、倫理規程は定められて運用いたしております。今後、そういう運用の蓄積の中でこの倫理規程を定めた趣旨がきちんと守られていくような運用に心がけていく、その積み上げをしていくということで御理解をいただきたいと思います。
○一井淳治君 先例集でもつくって公表されたら非常にわかりやすくなると思うんです。
 結局、今、市民団体が情報公開を求めておりますけれども、そういった方々が一番に情報公開を求めるのはこのあたりなんです。それで、一番不信の原因になってくるんです。ですから、具体的な事例が示されないと私はなかなか守れないんじゃないかと思うわけです。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 空港のCIQ体制について質問いたします。
 国際便を受け入れる空港におきましては、動物検疫とか植物防疫が不可欠であります。最近、地方の空港もだんだん充実いたしまして、地方の空港が国際航空線を受け入れるということが拡大しているわけでありますけれども、検疫とか防疫の担当者の対応ができないと飛行機は飛べないということが起こるわけでございます。
 岡山空港の具体的な事例に限定してお聞きしたいと思いますけれども、最近、岡山空港では岡山−ソウル線を毎日運航するということが認可されたわけであります。そういたしますと、毎日検疫や防疫をしていただかなくちゃならないということが起こるわけでありますけれども、それに支障がないように農林省の方では対応をしてくださるんでしょうか。
○政府委員(中須勇雄君) 岡山空港につきましては、平成三年六月に動物検疫の指定空港に指定いたしまして、家畜防疫官を便の来るたびに出張をさせまして検疫を実施しているところであります。岡山空港への増便は本年三月以降実施されるというふうにお話を伺っておりまして、そのお話を伺った時点で予算等の措置を措置済みでございまして、増便になった場合におきましても、引き続き出張により全便対応すると、こういう考え方で対応したいというふうに思っております。
○政府委員(高木賢君) 植物防疫につきましても、神戸植防の水島出張所から防疫官を出張させまして、すべての入港便に対して植物検疫を実施しております。ことしの四月から増便される予定の国際定期便に対しましても、植物防疫官を増員いたしまして、きちんと対応するということにいたしております。
○一井淳治君 そういたしますと、定期便の場合には、人員をここへ送り込んできて動物防疫にも植物防疫にも対応してくださるということでございますね。
 そういたしますと、チャーター便というのがありますね。旅行会社がチャーターして飛行機を飛ばしているのがございますが、チャーター便についてはどうでしょうか。チャーター便が外国から来る場合に、旅行会社がチャーター便を組んで、計画を立てて、これは急にということはありません、相当前に連絡を入れると思いますけれども、チャーター便についても今おっしゃったように対応していただけるんでしょうか。
○政府委員(中須勇雄君) 基本的に私どもは対応いたします。
○政府委員(高木賢君) 植物防疫についても同様でございます。
○一井淳治君 予算等に御配慮をいただかなくちゃならないということが起こると思いますけれども、どうぞ支障がないようによろしくお願いしたいと思います。
 最後に、国庫補助金の使用についてお尋ねをしたいと思います。
 マスコミの報道によりますと、まだこれ検討が終わっておりませんから、すべてが正しいかどうかは今後の検討の結果によると思いますけれども、都道府県の農林水産関連の部署において予算の不正使用ではないかと批判されるような事態が新聞の報道によると起こっているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、私はやはり誤解されるようなことがないように、批判されるようなことが起こらないように、農林水産行政の発展のために配慮していかなくちゃならないと思うわけでございます。とりわけ、補助金の不正使用が起こらないように、これは大切な税金を有効に使う必要があるわけですから、その補助金の不正使用が起こらないように、さらに厳重に対応をしていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(堤英隆君) 今お話しございましたように、一部の地方公共団体におきまして、農林水産省の国庫補助金につきまして、空出張でありますとか、そういった形での不正使用が行われているということでございます。そういう場合におきましては、補助金適正化法に基づきまして、違法行為という形でございますので、それは遺憾だというふうに私どもも思っております。したがいまして、こういうような事件が起こりました場合には、違反の事実を当該県から聞きまして、きちんとした対応をしていきたいと思っております。
 一つには、補助金等の取り消し処分を行うということと、加算金等を付しまして返還請求をする、返還命令をしていくという形で厳正な措置をとっていきたいというふうに思っております。これからの問題といたしまして、今御指摘のように、農政につきましてもさまざまな厳しい国民の御批判があるときでもございますし、もともと税金はそれぞれの補助目的に沿いまして適正に行われていくということは当然のことでございますので、そういった補助目的に沿いまして適正に補助金が執行されますよう、厳正に私どもとしては対処していきたいと思っております。
○一井淳治君 さっき最後の質問と言ったんですが、大分時間が余るようでございますので、もう一問質問をさせていただきます。
 UR対策について、どうもマスコミの批判が強いわけでありますけれども、十分な理解がなされていないがための批判というのも私は相当多いように思うわけであります。そこで、やはりこのUR対策については、真正面から、もっと広範な国民の理解が得られるように、事業内容とか効果とか、そういったものについてPRをしていただいたらどうであろうかと思うわけでありますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(堤英隆君) UR対策につきましては国会でもさまざまな御議論をちょうだいいたしておりますし、それからマスコミ等でもいろいろ御意見をいただいております。
 そういう中で、私よく考えるわけでございますが、例えばUR対策を使って農道空港をやっているのではないかというような御批判がございました。決してこれはUR対策でもって農道空港等の予算は一切使っていないわけでございますので、そういうことをお話を申し上げまして、その後はそういった御指摘はございません。
 それから、さらにUR対策で温泉ランド等に使っていることについての御指摘がございます。これも、それぞれの地域地域の個別の問題として考えていかなきやならない面もございますけれども、しかしながら、私どもとしましては例えばUR合意を受けました際に、平場地域におきましても大変大きな難しい問題を抱えるわけでございますが、中山間地域対策につきましてはコストダウン等がなかなか図りがたい。それから、都市から非常に離れているものですから、自分たちのつくったものをなかなか有利に販売ができない。そういう中で、そういう中山間地域の方々が、地域の資源を生かして何とか都市の方々にも来ていただき、地場で自分たちのつくった農産物を消費していただく。そういった意味での創意工夫の一環として、その地域に温泉が出るといった場合に、その温泉を利用して何とかお客さんをその地域に呼び集め、またそこでその地域の若い方々の就労の場ができると。そういった趣旨の中でこの対策が講じられたわけでございますが、ややそういった地域おこし、村おこしという趣旨が十分理解されずに、温泉という言葉のイメージだけが先行するといった形の御批判もあったと思います。
 私どもとしては、例えばそういうことにつきましても、事業内容についてもう少しきちんとした対応をするということは当然でございますけれども、そういった中山間地域の村おこし、なかなか難しいわけでございますけれども、そういった趣旨も同時に国民の皆様に理解していただくべく、もっと私どももPR等をしていかなきやならないと思っております。
 それから、UR対策本体全体としましても、新しい国際的な規律のもとで厳しい状況に置かれるわけでございますが、そういう中で、何とか農業者の方々も頑張っていこうと考えている方もおられるわけでございます。そういった方々を何とか側面から支援をする。そのためには区画整理をすることでありますとか、それから高度な加工流通施設を入れるとか、そういった面でさまざまな農家の方々の創意工夫を引き出せるような、そういった側面からの政策支援という本来の姿につきまして、もう少し国民の皆様にも理解をしていただけるような、そういったことでこれからいろいろな機会をとらえて対応してまいりたいと考えております。
○須藤美也子君 最初に重油問題について大臣にお尋ねをいたします。
 先ほど来御質問がございましたので、私は別の角度から質問したいと思うんですが、二月十八日、関係府県から緊急要望書が出されております。それから、二月十二日には全国漁協婦人部から六項目にわたる要望書が出ております。この中には、特に漁業者の生活不安を解消し生産活動が再開できるまでに必要な救済措置を講ずること、さらに、作業員の健康被害に対し医療費等の補償をすること、こういうことと含めて、関係府県からは、融資に係る利子補給等について国の財政支援をしてほしい、こういうことが出されております。
 これに対して大臣はきのうの所信表明で、こういう対策に対しては万遺漏なきよう万全の対策を尽くしますと、こういうことを申されました。ですから、最も今、現地の漁業者、それから住民のこういう切実な要望に対して新たに国として対策を講ずる必要があると思いますが、どう考えているのか、その点お聞きしたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 重油の流出事故に対しましては、今被害は続行中でございますけれども、これからますますこの被害というものは拡大していくと思います。現に休漁しておられる漁業者、また油の除去でその作業に従事していらっしゃる漁業者、その方々にとりましては生活の問題、漁業の経営上の問題、いろいろと問題が出ておるようなことを承っております。そういう方々に対しましては、融資の問題、金融の融通の問題、そういう問題が非常に大事でございますので、そういうことにつきましては十分に対応していかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、我々といたしましては、これらの漁業者で被害を受けた方々に対してその被害に対する不安を取り除くということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。
○須藤美也子君 仕事を奪われ、その上重油の回収に非常につらい思いをしている人たちの立場に立って、ぜひ具体的なこの要望にこたえていただくように、この問題については私からも強く要請をしたいと思います。
 時間がありませんので、重油問題については私からも強く要望をいたしまして、次に移りたいと思います。
 食糧自給率の問題について質問したいと思います。大臣は十一月二十八日のこの委員会の私の質問に対して、自給率は平成十七年まで四四%から四六%を維持して、しかも現在が四六%だからこれを下げないように努力をしてまいりたいと思いますと、こうきっぱり答弁なさいました。
 ところが、それから二カ月余りで四ポイント下がって今四二%。牛肉は四二%から三九%、小麦は九%から最低最悪の七%、大豆は二%です。穀物の自給率は三〇%。国連加盟国百六十四カ国中日本の食糧自給率は百四十八番目です。
 大臣、こういう状況を大臣としてどのように認識しているのか。さらに、国民の食糧自給率を回復するために具体的にどのような対策を講じられるのか、その点についてお尋ねをいたします。
○国務大臣(藤本孝雄君) 自給率の問題は、今、委員言われましたように四二%の自給率でございまして、先般申し上げましたときにはたしか四六でございましたか、それが下がりました。先進国の中では最低の自給率でございまして、この点は非常に深刻に受けとめております。
 そこで、いろいろこの自給率の低下傾向に無論歯どめをかけまして、できる限り国内で主要な食糧はつくっていくように努力するわけでありますが、自給率低下の内容を調べてみますと食生活の変化による影響の大きいことがわかってまいりました。この三十年間に自給率を三一ポイントも押し下げた要因といたしましては、米の消費の減少による寄与度が三一%、畜産物の消費の拡大による飼料穀物の輸入増加が一六%、食用油をつくるための大豆や菜種などの輸入増加が一六%を占めていると。つまり、自給率低下の三分の二が実は食糧の消費構造のさま変わりによるということがわかりました。
 我々といたしましても、この自給率の低下の原因といいますか内容がそういうことであるということがわかったわけでございますけれども、そういう原因は原因として、この自給率を高めていくということの努力は、これはやはり私ども農林水産省としては全力を挙げて取り組んでいかなきゃならぬと思っております。
 とにかく農業については、まず他産業並みの年間労働時間千八百から二千時間、それから生涯所得が二億円から二億五千万、こういう他産業並みの農家が農家経営の中心になるような、その農家を育成していくということが何よりも自給率を上げるために必要だと考えております。また、そのためにも構造改善対策であるとか農業の高度化のためにカントリーエレベーターなどの施設をつくるというようなことなどを中心にいろいろな施策を組み合わせながら、農業の発展のために努力をしていかなきやならぬと思っております。
 その結果として、自給率を上げていきたいというふうに思っておるわけで、先般お答えいたしました平成十七年に四四から四六、この目標達成のためにぜひ頑張っていきたいというふうに考えております。
○須藤美也子君 何か大臣の答弁ですと、消費の構造が変わったと。何か消費者の責任のようにとれるんですけれども。
 確かに商品によっては、生産品によってはそういう面もあるかもしれません。しかし、所信表明で大臣がおっしゃったように、少々高くとも安全性の高い国産物が欲しいと。総理府の調査でも八三・四%の国民がそう答えているわけですね。
 業界の農業新聞、これは、国産の大豆が欲しいと言っているんですよ。つまり、納豆とか豆腐とかそういうものが今どんどん消費者にとっては拡大されているんです。ところが、安全性の面で国産の有機製品が人気がある。しかし、国産のものは非常に高い。そのためには大豆交付金制度の交付基準価格を上げる、こういう工夫が必要ではないか、これは業界の方が言っているんです。それから、日本豆腐協会の専務さんはこう言っています。米作より三分の一と収入の低い大豆栽培に切りかえるのは難しいと。価格が低いわけですから。だから、大豆振興のための補助金を出すなどの政策が必要だと。こういうふうに訴えているんです。業者が訴えているんです。それから、消費者の八割は国産物が欲しい、こう言っているんです。
 ところが、確かにこの間の消費構造は変わったかもしれませんが、輸入農産物の拡大に大きな影響があるんではないですか。
○政府委員(高木賢君) 大豆につきましては、やはり搾油用の原料としての輸入がふえたということが、消費生活の油志向ということが背景にあって輸入がふえていると思います。御指摘のように、国産大豆はどちらかというと豆腐、油揚げ、煮豆、総菜、納豆と、こんなようなものに使われているわけでございます。これにつきましてはかなり根強い需要があり堅調なものというふうに私どもも思っております。
 価格につきましては、御案内のとおりでございますが、大豆なたね交付金暫定措置法というのがございまして、そこの二条には、販売を目的とする生産者の生産費その他の生産条件、需要と供給の動向、物価その他の経済事情を参酌し、再生産を確保することを旨とするとともに、生産性の向上と品質の改善に資するよう配慮して決定するということになっております。今後ともこの規定に従って適正に決定してまいりたいと考えております。
 それからまた、大豆の生産振興策でございます。
 これは、やはり単収の振れが非常に大きいというのがこの特徴でございますが、ぜひこれは単収の向上を図っていくということが必要であります。同時に、コストダウンを進めまして収益性の向上を図る。現に大豆生産に本格的に取り組んでいる地域というのは相当あります。そうでない地域との差が大きくできているということでございますので、私どもも、主産地の形成ということをキーワードにいたしまして、生産の組織化、団地化の推進、あるいは新しい技術の実証と普及、それから生産、流通、加工にかかわる条件の整備、こういうものにつきましては必要な予算措置も講じまして助成をしているわけでございます。これによりまして国産の大豆作の振興に努めてまいる、こういう考えでございます。
○須藤美也子君 生産者も消費者も今私が申し上げましたような要求を持っている。これに生産者がこたえなくちゃならないと思うんですね。業界もそういうふうに国産物が欲しいと。そのためには現場でどうなのか。大豆をつくっても採算がとれない、これが現状ですね。米の三分の一ですから、転作作物としても米の価格よりも三分の一の価格しかとれないわけですから採算がとれない。そういう点では、食糧の自給率と切っても切れない増産の問題、増産するにはやっぱり価格制度を国がきちんと確立させる、私はこれが第一の条件だと思うんです。
 例えば、国内の生産者価格はピーク時に比べると米がマイナス一二・二%、小麦がマイナス一七・九%、大豆がマイナス一七・四%、加工原料乳がマイナス一五・九%、これは昭和五十年代初頭の水準になっているんです。働く人たちの給料は少なくとも五十年代の水準ではないでしょう。
 そういう状況から比べるならば、自給率を引き上げよう、そう大臣がおっしゃっても、自給率を引き上げるような条件をつくらなければ農業はやっていけないんですよ。ですから後継者も育たない、やめる農家がどんどんふえてくる。そういう中で、自給率向上のためには一つは農業者が意欲を持って生産できるような価格保証制度をきちんとする、それを基本にした政策の転換を私は強く要求したいんです。
 こう言いますと、どんどん時間がたって最後に時間がなくなりますが、価格の問題については輸入農産物とのかかわり合いが非常に深いわけです。価格の問題で、特に輸入農産物をやはり規制する必要がある。価格保証制度をつくることと、それからもう一つはどんどんふえている農産物の輸入規制を行うこと、そのために緊急にセーフガードの発動をしてほしい、こういう要望が各地方自治体からもたくさん出ているはずです。全中もこういう要望を出しているはずであります。
 セーフガードに関する協定第二条には、生産する国内産業に重大な損害を与えるおそれがあるような場合はセーフガード措置をとることができる、第三条には、そのための調査を行う、こういうふうにあります。
 例えば、今大豆の話を申し上げました。もっと具体的に申し上げるならば、ニンニク、ショウガ、これは青森県が七割をニンニク生産で占めております。ところが、この問題について、昨年の八月に私は当時の食品流通局長さんに確認したわけですけれども、セーフガードの発動に必要な調査を大蔵省、通産省に要請する、こういうふうにおっしゃっておりました。
 その後「この発動に関する調査についてどうなっているのか、まず農水省の方からお聞きしたいと思います。
○政府委員(本田浩次君) ニンニクとショウガの輸入急増問題につきましては、一般セーフガードの政府調査の開始につきまして大蔵省、通産省と協議を行いますとともに、現実的な解決を図る見地から、あわせまして中国との協議を進めてきたところでございます。
 今般の協議におきまして、中国側からニンニク、ショウガの輸出の自主管理を強化する旨の一定の回答がありましたので、当面中国側の対応を注視することといたしまして、セーフガードの政府調査開始につきましての関係省庁との協議はいったん休止しているところでございます。
 今後、中国側の措置の効果があらわれずにニンニクの価格の下落、ショウガの輸入数量の増加といった状況が生じました場合には直ちに中国との協議を再開することとしております。
 また、このような場合におきましては、一般セーフガードの政府調査開始につきましても、これまでの関係省庁との議論も踏まえまして、早急に協議をしたいというふうに考えているところでございます。
○須藤美也子君 農水省の方では通産省と大蔵省にニンニク、ショウガのこういう状況について調査の依頼をしたわけですね。私はそれを確認したいんですよ、一言でいいです。
○政府委員(本田浩次君) そのとおりでございます。
○須藤美也子君 それに対して通産省は去年の九月十三日、記者会見をいたしました。牧野事務次官は、きちんとした要件があれば検討しないといけないが、要件は全然整っていない、こういう記者会見を通産省がやったわけです。ですから農水省は、今ニンニクが農家が大変な状況にある、そうでしょう、この状況を見ても。作付面積では三割減っています。所得は約四分の一減っています。こういう国内生産に大変な影響を与えているからこそ、農水省は通産省と大蔵省に調査をしてほしい、こういう依頼をしたにもかかわらず、通産省はそんな要件はない、そういうふうに拒否したその理由は何ですか、通産省。
○説明員(守谷治君) ニンニクとショウガの一般セーフガードの調査開始の問題につきましては、一般セーフガードの調査開始のための要件を満足しているかなどにつきまして、国際協定及び国内法令にのっとりまして厳正に検討してきたところでございます。
 この検討の過程におきまして、ニンニクの価格の上昇及びショウガの輸入量の減少が見られまして、また並行して行われてきました農林水産省による中国との交渉におきましても、今回の交渉で中国側からニンニク及びショウガについての輸出管理の強化につきまして一定の回答があったものであります。したがいまして、当面中国側の対応を注視することになったというところでございます。
○須藤美也子君 大蔵省は、どうですか。通産省とは違うと思いますから、違う立場で答えてください。
○説明員(塚原治君) お答えいたします。
 先生御承知のように、いわゆるセーフガードと言われるものには一般セーフガード以外にも繊維セーフガードその他があるわけでございますが、本件の一般セーフガードにつきましては発動要件が厳しく、また調査開始に当たっても輸入増加の事実及びこれによる本邦産業に与える重大な損害の事実について十分な証拠が必要とされているところでございます。
 このため、ニンニク、ショウガに係る一般セーフガード調査の開始につきまして、これまで大蔵省といたしましては農水省、通産省との間で緊密に連絡をとりつつ、その適否について慎重に検討してきたという経緯がございます。
 現時点におきましては、先ほど食品流通局長の御説明にもありましたように、中国側の対応を注視するということで一たん協議を休止している状況でございます。
○須藤美也子君 時間がなくなりましたのであれですけれども、農村の方でもう生産がやれないような状況になってがた減りになって、もう意欲もなくなってやめるようになってもその要件は整わない、だから調査もしない。これではあんまりじゃないですか。地方自治体の決議とか農協の要請とか、そういう問題が、私は国内で決めている農水省の要請にこたえて通産省と大蔵省の了解を得なければ調査もできないというところに問題があると思うんです。
 今、アメリカでは、アメリカでさえ、業者とか生産団体が発動しなさい、調査してほしいと言うと、国際貿易委員会というのがあって、第三者機関ですね、こういうところでできるわけです。国会が要請すればそこでできるわけですよ。そういうルールがちゃんと敷かれているわけです。
 ですから、私はこのように自給率が下がり、農産物がどんどん輸入拡大されている状況の中で、セーフガードの発動を要求した場合に調査できるように、農水省の立場からも調査できるように現在のこういうルールの見直しを強く要請したいんです。
 そういう点で、私は価格の問題それから輸入規制の問題、そして食糧自給率の向上を基本に据えた農政に転換すべきだと思うんです。ですから、そういう立場に立った上でもセーフガード発動のルールをつくるべきだ、現在の国内法を見直すべきだと思うんですが、最後に大臣の答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) ニンニク、ショウガの問題でございますけれども、これはちょうど十一月にローマで世界食糧会議、先生も行っておられましたよね。あのときに、中国側の代表者と食糧問題で個別に会談いたしましたときに、我が方からニンニク、ショウガの問題を持ち出しまして、そして相手がこの担当者でございませんので、帰ってからそれはよく話をすると、こういうことが一つありました。
 それから、今言われましたように、安いニンニク、ショウガがどんどん入ってくるということで、私の四国も高知はショウガ、それから青森はニンニク、よく実情を知っておりまして、これは農水省としては中国側が自主的にそういう対応ができなければこれはもうセーフガードの発動ということになりますので、両方の面で対応してきたわけでありますが、中国側が自主的に対応するということになりましたので、恐らくセーフガードということにはならなかったというふうに思います。
 それから、最後の点については、私ちょっとこの問題については恐縮でございますけれども内容をよくわかりませんので、勉強させていただきたいと思います。
○須藤美也子君 終わります。
○委員長(真島一男君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十八分散会