第140回国会 農林水産委員会 第7号
平成九年三月二十五日(火曜日)
   午後二時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     畑   恵君     井上 吉夫君
     平田 耕一君     佐藤 静雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         真島 一男君
    理 事
                浦田  勝君
                高木 正明君
                阿曽田 清君
                谷本  巍君
                一井 淳治君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 吉夫君
                岩永 浩美君
                佐藤 静雄君
                松村 龍二君
                三浦 一水君
                石井 一二君
                及川 順郎君
                高橋 令則君
                都築  譲君
                常田 享詳君
                村沢  牧君
                国井 正幸君
                須藤美也子君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       農林水産大臣   藤本 孝雄君
   政府委員
       農林水産省経済
       局長       熊澤 英昭君
       農林水産省畜産
       局長       中須 勇雄君
       水産庁長官    嶌田 道夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        秋本 達徳君
   説明員
       外務省条約局国
       際協定課長    猪俣 弘司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
○家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(真島一男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、畑恵君及び平田耕一君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君及び佐藤静雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(真島一男君) 水産業協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○三浦一水君 水産業協同組合法の一部を改正する法律案について、若干質疑を行いたいと思います。
 その前に韓国、中国との漁業交渉が今行われているはずでありますが、その進捗状況について一、二点お尋ねをしたいと思います。
 昨年七月ですけれども、海洋法条約を批准いたしました。内容はと申しますと、先生方も御存じのとおり、我が国は周辺二百海里以内に排他的経済水域を設定し、この水域から韓国及び中国の漁船を原則として排除し、入漁を認めた一部の漁船についても、我が国が取り締まる権利を有することというふうになったわけでございます。
 しかしながら、ここでちょっと外務省に確認をさせていただきたいんですが、二国間協定と多国間条約、この優先の問題であります。どうも状況によってこれがはっきりとした認識が伝わってこないというところがありまして、これは交渉の中でも我が国の姿勢を決める根幹の問題ですので、外務省に質問に入る前に確認をさせていただきたいと思う、どちらが優先するのか。――じゃ、いらっしゃってから、もう一回聞き直させていただきたいと思います。
 そういうことでありますが、今の現状はと申しますと、御存じのとおり、韓国及び中国の漁船はそれぞれ日韓漁業協定及び日中の漁業協定に基づいて、周辺十二海里以内の領海以外であれば排他的経済水域でも自由に操業ができると。したがって、取り締まり権もそれぞれの船の所属国が有すると、そのような状態が続いております。
 両国の漁船は、中には悪質な操業も目立っていると聞いております。網を切ったとか故意に衝突をしたとか、あるいは暴力ざたまであったやに聞いております。この地域のいわゆる資源状況の悪化というものは目を覆うものがあるんではないか、そのように思っております。
 このような不条理な状況を解消するために、連立与党は我が党を初めとしまして、昨年三月、一年以内にはこの交渉の妥結を図るべきといった内容等を求めてきておりますが、いまだその交渉は決着を見ていない。それどころか、聞きますところでは、どうも見通しすら何かまだ立っていない、そういう状況ではないかと。大変残念な状況であります。
 そこで、協定改定のこの交渉が今どのくらい進捗しているのか、まずその点をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 国連海洋法条約の趣旨に沿った新たな日韓・日中漁業協定を早期に締結すると、これは非常に重要な問題でございます。資源の管理であるとか、また取り締まりの問題、さらに我が国はTAC制度を導入したわけでございますから、そういうことからいたしますと、ぜひ早急に新たな漁業協定を結ぶと、これは我々にとっては非常に重要な問題でございます。
 この新しい漁業協定を早く締結する、そういう目標のもとに今日まで首脳会談、外相会談、また事務レベルでの会談などを通じまして、辛抱強くといいますか、懸命な交渉を続けておることも御承知のことだと思います。
 しかしながら、この問題はそれぞれ国益が絡んでおりますし、また委員御承知のように領土問題も絡む、そういう複雑な問題がございまして、新しい漁業協定だけを結ぶと、そういう問題だけではない、そういう背景がございまして、なかなか我々からいたしますと、新しい漁業協定がまだ締結はされていない、こういう状況でございます。
 先日、韓国の金駐日大使を農水省にお呼びいたしまして、まず第一は、この日韓の新しい漁業協定の締結についてはタイムリミットといいますか、この時期までにひとつそういう協定を結ぼうと、こういうタイムリミット、期日の設定について、私の方から強く要望いたしました。それに対しましては、この問題について新しい漁業協定を結ぶということの必要性というものは十分承知しているけれども、いつまでに新しい漁業協定を結ぶということを決めるということは、この問題の解決には非常に支障があると。それは期日ということについてはなかなか約束はできない。しかし、重要性はよく承知をしておるということでありました。
 この問題については、お互いにこれからも熱心によく協議をしょうということでは一致をいたしました。
 それから、幾分前進を見ておるというふうに理解しておりますことは、対中国におきましても対韓国に対しましても、この問題の解決のためには考え方として沿岸国主義、そういう考え方でこの漁業協定を結ぶということについてはおおよその理解をいただいておるわけでございまして、このことについては非常に私どもは一歩前進したのかなというふうに理解をいたしております。
○三浦一水君 この交渉に当たりましては、私はやっぱり幾つか留意すべき点があるだろうと思うんですが、現状がまず我が国に有利になっていないという現状ですね。これはもう決定的なことでありまして、双方、両国にしてみればこの結論が延びれば延びるほど両国に有利だという点は、交渉に当たっての基本的な我が国が認識を持たなければいけないところじゃないかと思うわけです。
 加えて、これは私的な経験で申しわけないんですが、私は中国、香港に合計四年ぐらいおりまして、ビジネス上あるいは学生としていろいろ交渉を持たせていただいたわけですけれども、かなり交渉の場では相手の足元を見た話が多いんだという体験を身近な経験で持っております。
 特に私が心配をしておりますのは、日本のマスコミが両国の主張に対しまして、基準、軸足が大体我が国にあるのか、あるいは相手国にあるのかわからないような報道をされる場合が多いということがあります。言葉は悪うございますが、それを逆手にとった両国の交渉の場での姿勢というのがあるんじゃないかというふうに感じております。
 聞くところによりますと、中国側は大陸棚を自然延長するだとか、あるいは上部水域の問題では、いわゆる自分のところの有利な条件を伸ばそう伸ばそうといったような、国際法上あるいは慣習的には考えられないような要求も出てきているやに聞いております。
 そういう中で、期間的なめどが持てないんであれば、この国際条約に基づいて、我が国の一方的であっても経済水域を設定していくといったような姿勢がもう必要になってきているんではないか。それが今度は交渉のテクニックとしても私は必要ではないかと、そこまで考えておりますし、また国会内の議論の中でもいろいろそういった議論は多く見られるようであります。
 その点につきまして、大臣の御決意あるいは水産庁長官の御決意があればお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 委員御承知のように、与党三党におきましてこの新しい漁業協定の締結につきましてはほぼ一年以内というタイムリミットを設定されております。そのタイムリミットを仮に超えるというような場合も想定されるわけでございまして、そのときには我々としても与党の皆様と新たに御相談を申し上げなきゃならぬというふうに今のところは考えております。
 それから、もう一つの問題としては、中国におきましても韓国におきましても、この国連海洋法条約には加盟をして批准をしておるわけでございまして、その国連海洋法条約の内容については当然賛成をしてこれを締結しておるわけでございます。その点はまさしく我が国との間に共通項はあるわけでございまして、その共通項に基づいて我々としても辛抱強く交渉をしていかなければならない、こういうスタンスを持っておるわけでございます。
○三浦一水君 先ほどこの問題に先立って外務省の方にちょっと確認をいただきたいと。これは交渉の根幹にかかわる問題なんで改めて確認をさせてもらいたいんですが、この二国間協定あるいは多国間条約、我が国としてどういうふうな優先と申しますか、姿勢を持ちながらやっていくのか、この場でもう一度確認をいただきたいと思います。
○説明員(猪俣弘司君) お答えいたします。
 一般的に規定する多数国間条約と、あとは個別の二国間条約のまず優先関係について法的な観点から御説明させていただきますが、一般的に言いますと、やはり二国間条約の方が多数国間条約よりも優先するというのが国際法上の一つの原則と言えると思います。
○三浦一水君 二国間の方が優先をすると。いずれにしましても、二国間の内容を見させてもらいますと、対韓国は一年前の事前通告、対中国は三カ月前の事前通告によってその解消が図られるという内容にもなっておるようでございます。ここは、改めてそのような決意を外務省あるいは農林水産省にお持ちいただいて交渉に臨んでいただきますことをお願い申し上げて、次の質問に入りたいと思います。
 今回の法改正を見ますときに、これまでの信用金庫あるいは信用組合、あるいは農協法の改正、それらのものと非常に横並びにされた法改正になっていないか、そのような印象が強いわけでございますが、漁協におきましては漁業共同権の管理主体であると、漁場が共同だということが最も大きな特徴かと思います。
 そのほかの面におきましても、いわゆる農協におきます信用事業が経営上の柱になっていることと異なって、販売でその収益の大部分を上げていらっしゃるというようなことがありましょうし、一方では県に信用事業部門が切り離されて、漁協自体の合併は余り進まないが信用事業の合併は非常に進んでいると、統合は進んでいると、そのような状況もあるやに聞いております。
 いずれにしましても、貯金規模は十五億円というふうに聞いております。農協の二百八十一億円で考えますと、平均で見た場合二十分の一といったような経営上の脆弱さが指摘をできるんではないかと思っております。
 加えて、この漁協のいわゆる信用事業の基盤の強化ということが主点でありましょうが、漁協は住専問題には、住専への貸し付けば行っていなかったといったような客観的事実もあるようでございます。
 そこで、このような農協あるいはその他の信用組合とは違う漁協の性格をどのように認識されているか、まずお伺いをいたしたいと思いますし、全体的にこれをただ画一的に他の信用機関と横並びでの運用というものは私は現実的に非常に困難があるんじゃないかという感じを持っておりますが、その点につきまして大臣の所感をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 農協と比較いたしまして漁協の特殊性をどのように認識しているか、そういう御質問であると思いますが、これには大別いたしますと三つの特殊性があろうかと思います。
 一つは、農協に比べまして今、委員が御指摘のように事業活動に占める販売事業のウエートが非常に高い、具体的には農協の方は信用部門、共済部門が非常に高いウエートを占めておりますけれども、漁協の場合には購買部門、販売部門と全く逆のそういう関係がございます。
 それから、二番目の特殊性としては、漁協は漁業権の管理主体でございまして、資源の保護であるとか漁場の管理に中心的な役割を果たしておる、これは農協とは違う点であります。
 最後の点は、農協に比べまして事業基盤や業務執行体制が非常に弱い、こういうことでございまして、その強化が非常に必要であろうというふうに認識をしております。
○政府委員(嶌田道夫君) 先生の後で言われたことで、横並びに漁協を扱うのはいろいろ問題があるのではないだろうかというような御質問であったと思います。
 漁協系統の信用事業につきましては、金融自由化が急速に進展している中で、他の業態と同じように金融業務の高度化、専門化に対応いたしました業務執行体制の整備が要求されております。また、平成八年に成立いたしました金融健全化法、それから昨年の農協改革法でございますが、他業態の協同組織金融機関におきまして経営の健全性を確保するための措置が既に講じられているところでもございます。
 漁協も規模は小そうございますが、いろいろやはり一つの金融機関としてそれなりの健全性を確保しなきゃいけないということでございます。以上のような状況を踏まえまして、今回の法律改正で信用事業を中心といたしまして、漁協系統の経営の健全性を確保するために他の業態の協同組織金融機関並みの措置を講じようといたしているものでございます。
○三浦一水君 法案の中身について三点お尋ねをしたいと思います。
 まず、最低出資金でありますけれども、農協法改正で最低出資金制度が導入されました折には、連合会は十億円、単位農協は一億円と。今回の場合は、都道府県の連合会漁協におきましては一億円、単協では二千万。そのハードルが十分の一から五分の一というふうに高いように思えるわけですが、まず第一点はその理由についてお伺いをしたいと思います。
 続いては、いわゆる監査体制ということで員外監事、常勤監事の必置が義務づけられております。加えてまた、外部監査の義務づけが各県漁協なりあるいは一定規模を超えた単協については設けられているようであります。この点につきましても、現状でいきますと常勤の監事を置くところは単協当たり〇・一人というふうに聞いているわけでございますが、これは農協においてもほぼ同じ状況だというふうに聞いております。実際言って、監事さんを常勤で雇うというのは費用の面からも、農協においてもそれだけの仕事があるようには思えません。そのような状況から、実際の運用はどのぐらい幅を持って考えていかれるのか、その辺についてお尋ねをしたいと思います。
 いわゆる三十五の県レベルの信漁連についても全漁連による監査の義務づけということが唱えられているようでございますが、この点も同じ趣旨で、その負担が非常に大きいものになるんではないかという心配をしておりますので、その点どのような指導をしていかれるのか方針をお伺いしたいと思います。
 もう一点、兼職・兼業の禁止という項目についてお尋ねをしたいと思います。農協と違いまして、漁協の場合は何か地元の漁業会社の社員の方々が漁協の役員を務められている場合が非常に多いというふうに聞いております。そういうことになってきますと、非常にこれはまずなるべき人材が限定されるのではなかろうかと思いますし、この面での厳格な法適用、運用ということになりますと、混乱も生じざるを得ないのかなと、そのように心配をしております。この点についても御説明を賜りたいと思います。
 以上、三点です。
○政府委員(嶌田道夫君) まず第一点の、信漁連が一億円に対して漁協が二千万というのは農協に比べてハードルが高いのではないかという御質問でございます。
 今回、なぜ信漁連を一億としたかということにつきましては、これは他の業態、特に合併構想が実現したときの総合農協の貯金量の水準でございますとか、それから現在一億円と決められております信用金庫及び労働金庫の設立当時の貯金量の水準などを考えまして一億円としたわけでございます。
 漁協につきましては、他業態のほとんどが最低出資金一億円となっているわけでございますが、ただ漁協におきましては非常に経営基盤も弱い、それから信用事業の面からいってもなかなか十分じゃないというようなことで、信用事業の整備強化に取り組んできているところでございますので、できるだけ高いことが望ましいと考えているわけでございます。
 ただ、実現可能な水準であることも重要でございます。このようなことから、漁協につきましては、他業態の金融機関のうち信用組合の最低出資金、これは大都市の場合二千万、その他一千万、それもこれは昭和四十三年当時に決められているものでございますので、これらも一つの参考といたしまして、漁協の実現可能な水準として二千万を決めたところでございます。連合会の農協におきますような十分の一を目安とするような一律の考え方はとっておりませんで、信漁連、漁協のそれぞれの事情からこのような最低出資金の額を決めたところでございます。
 ただ、漁協の中には、離島とか半島を区域として事業を行っているものもございます。組合員が少なく増資による対応が困難な場合もございます。一律に最低出資金制度を導入するのは適当ではございませんので、このような一定の要件を満たす漁協につきましては、現行法上の最低水準でございます信用組合並みの一千万円を限度額とする特例を設けることといたしているところでございます。
 それから二点目の、常勤監事、員外監事、外部監査の問題でございます。
 先生の御質問の趣旨は、多分それぞれの義務づけとなる組合の範囲の話ではなかろうかと思います。信漁連は漁協系統信用事業の中核となるということからそのすべてを考えておりますし、それから、漁協につきましては、他の金融機関とのバランスを考慮しながら、貯金規模と社会的影響の度合いを勘案いたしまして、員外監事の必置につきましては貯金量一千億円、これは他業態も同様でございます。それから、常勤監事につきましては貯金量二千億円、これも他業態も同様でございます。それから、全漁連監査の義務づけにつきましては貯金量一千億円ということで、これも農協は一千億円、他業態は二千億円以上というふうになっておりますが、これを対象としたいと考えております。
 なお、事業規模が小さくて漁協に課されます規模要件に達しないような信漁連につきましては、施行期日であります平成十年度から三年間の経過措置を設けたいというふうに考えております。
 それから、三番目でございますが、兼職・兼業の問題でございます。
 一般的に漁協の役員は漁業会社の役員が多いということで問題があるのではないかというような御質問であったかと思いますが、金融の自由化によりまして、信用事業を行う漁協、信漁連の業務執行は著しく高度化、専門化しておりますし、他の法人の常務に従事し、または事業を営みながらこれを行うことでは対応がなかなか困難なものとなっております。
 したがいまして、漁協、信漁連の常勤役員となる以上は、他の常勤的職につくことや事業を継続して営むことは組合の健全な運営を図る上でやはり問題があるのではなかろうかというふうに考えておりまして、また組合員の利益に反するおそれもあります。このようなことから、今回兼職・兼業の禁止の規定を導入することとしたわけでございます。
 ただ、一律に兼職・兼業を制限しますと、これは実態にそぐわない場合も出てぐると思います。そういうことで認可の道を開いておりまして、この認可の運用につきましては、他業態とのバランスや漁協の実態を踏まえまして運用を検討していきたいと思っております。
 具体的には、例えば組合の代表理事の場合でございますと、他に適当な人材がいなくて、また他に常勤理事を置いているというような場合につきましては兼職・兼業を認める方向で検討したいというふうに考えております。
○三浦一水君 他業態等の動向を見ながら、全般的に特例ということも考えながらということでございます。
 いずれにしましても、再度念を押しておきたいと思いますのは、特に漁協の場合は脆弱な経営基盤の中での経営を強いられているという現状であります。これに対してはやっぱり運用上の十分な配慮が必要だと思いますので、その点を最後に重ねて要請を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○高橋令則君 水産業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。
 今回の改正は、大臣の趣旨説明を拝見いたしまして、信用事業を中心として漁協系統の経営の健全性を図るためということで理解をいたしております。それは、今日の漁協だけではなく銀行を含む我が国の金融秩序の現状からしてやむを得ないことかなという理解は私もいたしておるわけでございます。
 しかしながら、これは先ほど三浦委員がおっしゃいましたけれども、漁協は非常に基盤が違うんです。私も、実態から見てかなり脆弱である、それから態様も違うというふうな点から、金融秩序の一員としての整備はしなければならぬけれども、これをあるべき基準まで持っていくのにはやはり相当その他の力もつけていかないと、一気にやりますとこれはもたないだろうと思うんです。したがって、その点に対する配慮をまず前提として、これは私もお願いをしておきたいというふうに思います。
 質問に入らせていただきますが、今回このような改正をなさるについては、当然ながら現在の信用事業の実態はこうで、その問題点はこうで、これを今後このように持っていきたいんだというふうな展望というんですか、現状からの問題点の摘出と、あるべき姿に持っていくというふうな絵姿がなきやならないと私は思います。
 したがって、現在の漁協の信用事業の実態はどうなっているのか、その受け入れ貯金量、いただいた資料ですと二兆ちょっとですね、そしてそれに対して組合員に対する貸し金が八千三百九十六億ですか、こういう数字をいただいております。こういうふうな問題、その間には一兆二千億ぐらいの差があるわけですが、これは信漁連あるいは中金への預金だろうと思いますけれども、その他の自主運用があるのかないのか。それから俗に言う不良債権があるのかないのか、あるとすればその額と内容をどのように把握されているのか。
 まず、そういった点から長官の御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、漁協の信用事業の実態でございますが、平成七年度の漁協の貯金額は、今、先生が言われましたように全体で約二兆円、一漁協当たりの平均貯金残高で見ますと約十五億円、他業態に比べますと非常に規模が小そうございます。また、そういうことで収益力も非常に弱い状況にございます。漁協の貯貸率を見てみますと約四割、これは農協に比べますと高いものになっております。
 それから漁協から信漁連への事業譲渡、これは平成二年の水協法の改正によりまして平成四年から着実に進展しておりまして、現在までに三百一の漁協から十九の信漁連に対しまして信用事業譲渡が行われております。
 また、これはことしの三月末でございますけれども、また今後、漁協系統の計画では平成九年度末でございますから、来年の三月末までには九百三の漁協から二十六の信漁連に対しまして信用事業譲渡が行われるという計画にもなっております。
 このようなことで、今回の水協法改正によりまして最低出資金制度が導入されますので、信漁連への信用事業譲渡というのは一層加速化されるのではないだろうかというふうに考えております。
 なお、二点目の不良債権の状況でございますが、漁協系統の不良債権の実態につきましては、平成八年三月期より信漁連につきましては破綻先債権が開示されておりまして、これは九億円というふうになっております。なお、漁協系統といたしましては、平成十年の三月期までに漁協及び信漁連の破綻先債権それから延滞債権、金利減免等の債権のすべてを開示する予定となっております。
○高橋令則君 ちょっと確認をしたいんですけれども、二兆円集められていますね。八千億お貸しになっていますね。その差が一兆二千億ありますね。これは私は信漁連それから中金に行っているものだろうと思っていますが、そういうことでいいんですか。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、漁協系統の信用事業が極めて零細であるということから、上部機関であります信漁連それから農中に大部分を預け金として運用しているところでございます。これは七年度の数字がまだ十分整っていませんので恐縮でございますが、六年度の数字で言いますと、平成六年度の漁協の貯金残高は約二兆でございます。このうち八割を系統の預け金として運用しているという状況でございます。
 信漁連の方でございますが、信漁連の方は貯金残高は約二兆二千億でございまして、このうち一兆三千億を農林中金の方へ預け金として運用しているという状況にございます。
○高橋令則君 今の金額はわかりましたが、その差の部分で、員外貸し付けというふうな形で運用されているものがどのぐらいございますか。
○政府委員(嶌田道夫君) 漁協は貸し出しといたしまして約八千億ぐらい貸し出しておるわけでございますが、大体漁協の員外貸し出しはそのうちの約一〇%程度だろうというふうに思っております。
○高橋令則君 今のは単協の分ですね。信漁連の方では員外貸し出しはないですか。
○政府委員(嶌田道夫君) 信漁連の方でございますが、これは員外貸し出しが約千五百億程度となっております。
○高橋令則君 念のためですが、農協の場合は県信連の住専貸し出しが、員外貸し出しですね、これが非常に大きな問題になったわけです。先ほどの御説明ですと住専問題みたいのはないというふうにもお聞きをしたんですけれども、住専でなくて結構ですが、信漁連の千五百億の員外貸し出しには問題のあるようなものはございませんでしょうね。確認です。
○政府委員(嶌田道夫君) ちょっと今の数字間違えまして、信漁連の場合は六百五十億でございました。どうも失礼いたしました。
 それから、今先生が言われましたような住専の方でございますか、これにつきましてはほとんどないと承知しております。
○高橋令則君 それから関連してもう一つお尋ねをいたします。行政検査、それから全漁連監査、いわゆる監査、検査でもって信用事業について最近摘出をした、摘出というのは適当じゃありませんね、指摘をした問題あるいは見つけた不祥事件、信用事業にかかわる分だけで結構ですが、そういったものにはどのようなものがありますか。件数と主な内容をお聞かせいただけませんか。
○政府委員(嶌田道夫君) 多分信用事業に発生しました不正事件を言われているんだろうと思いますが、都道府県からの報告によりますと、漁協の信用事業部分におきます不正事件は、平成七年度に三件、それから平成六年度には三件、五年度には四件という状況になっています。
 内容といたしましては、業務上横領が多いというようなことで、この原因といたしまして、やはり漁協の経営管理体制、または業務執行体制が十分でないというところにあるんではなかろうかと思っております。
○高橋令則君 単協の窓口といいますと、非常に体制が弱いところが多いわけで、今の長官のお話は私もああそうかなというふうなことでうなずける面がございます。しかし、そうはいってもその種の事件が起きてもいいわけではありません。内容も大変遺憾なことですが、金額的にはどのくらいに上っておりますか。金額を押さえておられますか。
○政府委員(嶌田道夫君) 先ほど平成七年に三件と申しましたが、金額でいきますと約四億弱というふうになっております。
○高橋令則君 件数は少ないんですが、額は結構大きいんですね。当然ながら信用事業はもう信用が最大の問題ですから、そういう事件が起きないようにさまざまな手段をもってきちんと御指導なり対応をしていただくようにこの際お願いをしたい、このように思います。
 それでは次に、法案の中身に入って幾つかお尋ねをしたいと思います。
 三浦委員が御質問された点を抜きまして重複しないようにお尋ねをしたいと思います。法定準備金の積み立て基準として剰余金の五分の一という基準が出ておりますね。この五分の一というのは、現在が十分の一ですからこれを倍にしたと、それだけですよというような事務的な説明があったんですが、それでいいんですか。それが一つ。
 それからもう一つは、漁協は剰余金が出ますと全部配当してきているんですね。それで組合員はその配当を、楽しみにしていると言うのは変ですけれども、非常に頼りにしてきている面があるわけでして、内部留保をするということは大事なことではありますけれども、組合員の期待に反する、そしてそれがまた、組合離れと言うのはちょっと大げさですけれども、そういう影響も懸念をされるからというふうな感じを私は持ちます。
 ちょっと古い話で恐縮ですけれども、私の県の浜でも御承知のように、本邦の内陸産のサケの五〇%は北海道、二五%は岩手なんですね。それだけサケがとれるものですから、サケの収入が物すごい上がったときには、某漁協などは総会のお土産がテレビ一台だったなんということがありまして、それでいいんですかと言った覚えがあるんですけれども。それはちょっと行き過ぎにしても、いずれにしてもその剰余金の処分に対して組合員の関心は高いんですよね。その辺についてのお考えをお聞きしたいと思います。
 それから、剰余金の処分の方法が適当であるかどうかということを定めることになっていますね。この基準をどういうふうにお考えですか。この点をまずお尋ねします。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、第一点にハードルの話だったと思いますが、これは農協は十分の一でございますが、それと合わせてただ機械的に十分の一としたわけではない、それぞれの事情に基づきまして最低出資金の額を決めさせていただいたということを申し述べたところでございます。その結果、五分の一になったということでございます。
 それから、二点目の法定準備金の積み立て基準の引き上げによりまして、言うなれば組合員の配当が少なくなると、それによって組合離れが助長されないのかという御心配でございますが、先ほども申しましたように、金融自由化が進展してきていますし、特に漁協の場合でございますと、資源水準の低下によりまして漁獲量の減少でありますとか、産地魚価の低迷によりまして漁協経営も厳しさを増してきています。
 その中で、特に信用事業のリスクが拡大しているということで、漁協の事業を健全に運営していくためには、また組合員に対しまして適切な金融サービスを提供していくためには、やはり何と申しましても漁協みずからの自己資本、内部留保の充実が必要不可欠ではないかというふうに考えています。
 それから、これは比率の問題でございますが、水産庁といたしましては、従来から模範定款例によりまして、出資総額の二倍までは毎事業年度剰余金の五分の一に相当する金額以上は積み立てろというようなことを指導してきた経緯もございます。このようなこともございますので、今回の法改正によりまして、組合員のこの組合離れを助長するというようなことには即ならないんではないかというふうに考えております。
 また、もう一つの問題といたしましては、早期是正措置の導入が平成十年の四月に控えているという緊急な問題がございまして、漁協といたしましても、自己資本の充実にみずから取り組む必要があるということにつきましては、漁協並びに組合員も十分認識していただいているんではないだろうかと考えているところでございます。
 それから、三点目でございますが、剰余金の処分の基準、具体的にどのようなものであるかというようなことでございます。
 これにつきましては、先ほど先生が言われましたように、今まで漁協といいますのは、組合員に最大の奉仕をするということから剰余金を利用高配当という形で組合員に事後的に還元してきております。そういう意味では、実際の剰余金処分に当たりましても利用高配当を重視してきたということもございまして、先ほどのサケの例ではないんでしょうが、自己資本、それから内部留保は他の業態に比べますと薄いという状況にございます。
 しかしながら、先ほど言いましたように、他業態と同様に自己資本の充実、内部留保の増強が必要不可欠であるということでございます。こういうことで、他業態におきましても、いろいろ配当性向の上限の設定でありますとか、それから利用配当の自粛でありますとか、それから出資配当の上限の設定というようなことで剰余金の処分方法の基準を他業態においても定めております。
 漁協系統におきましても、このようなことを参考としながら、また自己資本比率の状況をよく見ながら、言うなれば内部留保の増強の必要性の高いところほどより内部留保を優先した剰余金処分が行われるようにこの基準を設定していきたいというふうに考えております。
○高橋令則君 早期是正措置対応などその必要性について私も理解をします。
 ただ、まさに漁協は規模的にも財務体質が非常に弱いわけですね。さらには、剰余金に対する、先ほど申し上げた組合員の期待もあるわけです。そういったことをもろもろ考えて他業態横並びといっても、なかなかそれと軌を一にできない事情もあるわけですから、その実態をよく見てその対応を決めていっていただきたい、これは要望を申し上げておきます。
 それから、次に移りますが、監査体制の強化というのが今回の大きな柱の二つ目になっています。
 員外監事と常勤監事等につきましては、先ほど三浦委員から御質問がありましたが、私は、その中の一つとして全漁連の監査についてお尋ねをしたいと思います。これも監査強化の一環として今回強化をすることになっておるわけですが、全漁連サイドの体制の整備も必要だと思うんですね。これをどのようになさるおつもりか、お尋ねをいたします。
○政府委員(嶌田道夫君) 今回、全漁連の監査を導入するということでございます。
 行う方の全漁連の監査体制の方でございますが、現在、全漁連におきましては十一名が監査に従事しているところでございます。今般の法改正に伴いまして、全漁連は信漁連に対する監査につきまして、公認会計士等と契約を締結し、監査のレベルアップを図るということのほかに、監査部門組織の強化、監査士養成の充実を行うということにしているというふうに承知しております。
○高橋令則君 この監査体制の充実というのは非常に大事だと思いますので、全漁連側がきちんと対応できるようによく連携をとって指導をお願いしたい、このように思います。
 それから次の点ですけれども、やはり今回の改正の一環として、事業別損益の状況を明らかにした書類を総会に出して組合員の理解を得るというくだりがあります。この目的と、それからこの事業別損益の状況を明らかにした書類というのはどのようなものか、組合員の理解が十分得られるような、そういう内容としてどのようなものを予定しているか、お尋ねします。
○政府委員(嶌田道夫君) 金融自由化の進展でございますとか、先ほど申しましたように漁獲量の減少でありますとか、そのようなもろもろのことで非常に漁協の事業運営が厳しさを増しているという中で、最近信用事業それから共済事業の赤字がふえてきているという状況となっていまして、先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、これを購買事業でありますとか販売事業の黒字で補うという状況になっております。
 今後の漁協経営を見てみますと、赤字となっております信用事業の譲渡を含めまして、自主的に各事業の内容でございますとか、その中の方法の見直しを行っていくことが組合の健全化のためにも必要であるというふうに考えております。
 この事業の見直しを行うためには、組合員に対しまして事業部門ごとの損益状況を明らかにしてそれを示すということが何よりも必要であると考えております。このようなことを考えまして、今回組合員に対します部門別開示、これも他業態と同様でございますが、これを義務づけることとしたわけでございます。
 具体的には今後さらに検討していきたいと思いますが、当然のことながら信用事業、共済事業、購買、販売の経済事業といった区分を基本にその部門別の開示を考えていきたいというふうに考えております。
○高橋令則君 ディスクロージャーの時代ですから、部門別開示、漁協の経営状況を明らかにするという意味で非常に大事なことだというふうに思います。
 ただそれによって、御存じのように、いただいている資料を拝見しますと、農協とは違って信用事業、例えば共済事業はむしろ赤字でして、販売に頼っているというような状況があるわけですね。このような状況等から推して、いわゆる経常利益の配分の問題とか、こういう問題が組合員の目から見ていいのか悪いのかというような議論も出てくるでしょうし、こういつたことには経営サイドできちんと対応できるように指導もしなければならないと思いますので、その辺も手抜かりのないようにお願いしたい、そのように思います。
 それから次に、今度また新しく入ったもので、行政検査等の充実の中で、行政庁は特に必要があると認めるときは組合の子会社に対して報告あるいは検査できるという規定が入りました。
 ここで言う組合の子会社というものはどういうものを指すのか。そして、これはどの程度数があるのか。そして、今つかまえている実態はどのようなものなのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、漁協等の子会社でございますが、これは近年水産物の加工、販売の促進を目的といたしまして会社の設立が増加しております。
 漁協につきましては、都道府県からの報告によりますと、昭和六十年に十七社でございましたものが平成四年では二十二社に、また漁連につきましては昭和六十年に十社でございましたものが平成六年には二十八社というふうになっております。
 また、子会社の定義でございますが、子会社につきましては、発行済み株式の総数または出資の総額の百分の五十を超える数または額の株式または持ち分を所有する会社というような定義になっております。
○高橋令則君 個々の会社の経営実態までというのはちょっと酷かもしれませんが、全体的に見てこの子会社の損益というのはどうなっているんですか。
○政府委員(嶌田道夫君) まさしくこれから報告徴収、検査を行うというような段階でございますので、大変申しわけございませんが、まだ把握しておりません。
○高橋令則君 民間企業ですと最近連結決算とか、いわゆる本体だけではなくてグループ総体の損益というものが非常に重要になってきております。私は、水産庁が今回このような改正をされて対応されるというのは結構なことだと思うんです。したがって、これから実態を把握するということですから、それはそれでしっかりやっていただきたい、そのように思います。
 それから、少し飛ばして、漁協合併の状況についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほど、信用事業について進捗状況を最初にお触れになられました。私は、漁協も一県一漁協というふうな最終的な統合目標を立てて進んでいるのかな、その前提としてまず信用事業をまとめるという形で進んでいるのかなというふうに承知をしております。
 まず、漁協サイドの合併の全体的な流れについて長官にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、漁協合併の流れでございますが、漁協系統組織は、平成四年に「漁協系統の組織・事業運営のあり方」を策定いたしまして、合併に取り組んできたところでございます。農水省といたしましても、当然ながら漁協合併助成法を初めといたしまして各種事業によりましてその合併を支援してきたという流れがございます。
 このような取り組みの結果、近年急速に漁協合併は進展してきておりますものの、農協の取り組みに比べますと大きく立ちおくれているという状況にございます。このために、漁協系統におきましては新たに、今先生言われましたように、一県一漁協または一県複数自立漁協を主な内容といたします漁協系統事業・組織改革の指針を平成八年十二月に取りまとめたところでございます。本年九月までに具体的な合併・事業統合計画を策定し、今後自立漁協への再編を目指しまして積極的に取り組むこととしております。
 農林水産省といたしましても、このような漁協系統の取り組みが円滑に進められますように適切に指導してまいりたいと考えております。
○高橋令則君 流れはわかりました。しかし、実際にはもう農協に比べると、長官もお答えになったように、非常に遅々として進まないんですね。私の地元でも、浜ごとにまだ漁協があるというところが結構あります。結局、漁業権と、そしてそれに乗っかった経営という形になっているものですから、なかなか一緒になりにくいという問題等々、合併を阻む要因が幾つかあるんです。これについて、水産庁の認識はいかがですか。合併を阻む要因。
○政府委員(嶌田道夫君) 今申しましたように、漁協合併、系統もいろいろ促進しているわけでございますが、今先生言われましたように、漁協合併を阻む原因といたしまして幾つかございます。
 そのうちの一つといたしましては、まず基本的には漁協の役職員及び組合員の合併に対します意識、意欲が不足しているというのがございます。それから財務格差など経営内容の問題がある。それから、合併した後どうなるのだろうかという展望の不透明さもございます。それから、今、先と言われましたように漁業権の問題もあるというようなこと、もろもろのことがございまして、なかなか漁協合併が農協ほど進んでいないという状況にございます。
○高橋令則君 まさにそのとおりなんですけれども、その意識の問題はいずれ役職員一緒になって啓発に努めて頑張っていかなきやなりませんし、また展望の問題も、こういう時代になってきているわけですから、厳しい経営環境から見て理解を求めていかなければならないと思うんですが、この中で一番難しいハードルというのは私は財務問題ではないかと思うんです。さっき、全体として俗に言う不良債権は九億しかないというふうにおっしゃいましたが、実際には合併を阻んでいる財務格差というのはそんなものじゃないんです。各県ごとに見たってもっとあるわけでして、これを何かの形できちんと手当てをしてやらないと進まないのではないかと私は思うんです。
 したがって、水産庁はこれまで漁協合併にどういう方策を講じてきたのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 合併を進めますために、水産庁としてもこれまでいろいろの手だてを行ってきたところでございます。
 大きく分けますと、一つは、合併した場合に漁業権の問題がどうなるかという問題がございまして、特に、合併した後にもとの組合が持っていました漁業権が合併後の組合によりまして行使規則などが変えられてしまうんじゃないかとか、場合によってはそれが放棄されるとか、そのような心配が合併される方の漁協等にございます。そういう意味で、そういうことの心配のないような手だてを合併助成法の中で既に手当てをしております。これは法制度の問題でございます。
 それから、あと予算の問題といたしまして、漁協合併を促進しますための予算措置を既に用意してございまして、例えばこれにつきましては、いろいろ県段階で協議会を設けるときの助成措置でございますとか、それから合併予定漁協に対します経営指導でございます。そういうことをやっておりますし、もう一つは、合併するときにやはり一番大きな問題となります欠損金、固定化債権の問題がございます。これらの問題に対処いたしますために、必要な資金に対します利子補給を行っているというふうなこともやっていまして、いろんな事業をやりながら、合併の促進につきまして水産庁としても支援をしているところでございます。
○高橋令則君 ちょっと古い資料になりますが、平成七年の漁業の動向に関する年次報告を見てみると、当期欠損金を有する漁協は三〇・一%、それから繰越欠損金を有する漁協は三〇・五%、こういう数字になっております。これは平成七年、ちょっと古いんですが、八年度の数字はと言ったらまだできていないと言うものですから、古い数字を申し上げて恐縮ですが。
 これを見ても、いわゆる漁協の財務内容の悪さというものが歴然とわかるんです。こういう状態で、いい漁協と悪い漁協を合併させるというのはなかなかこれは難しいですね。今、長官は利子補給もしているとおっしゃいましたが、これは私も承知をしています。行政としてとり得る手段としてはなかなか難しいものがあると思うんですけれども、どうも私は今のそれぐらいの措置では進まないのではないかな、こう思うんです。この辺の手当てに対する水産庁の認識はいかがですか。十分ですか。
○政府委員(嶌田道夫君) 確かに、先と言われますように、繰越欠損を抱えております組合の数も多うございます。
 そのような中で難しい漁協合併をどのように進めていくかということで、系統団体のみならず、水産庁としてもいろいろその対策を考えているところでございます。先ほど申しましたように、法律面の制度並びに予算面の対策、いろいろ講じているわけでございます。
 それが十分かどうかと言われますと、なかなか答えにくい面もあるわけでございますが、水産庁といたしましては、現時点でできるだけのことはやってきているということでございます。今後とも、合併の促進に向けまして、漁協系統の方を十分指導していきたいというふうに考えております。
○高橋令則君 実は、私の地元の方の漁協に聞きましたら、合併問題の一番のネックは、不振漁協の財務の健全化を図るための財政援助の措置を講じられたいという項目が入っているんです。
 ちょっとさっき私は触れましたけれども、長官は全国で不良債権は九億だけですよということをおっしゃいましたが、漁協が考えている困った固定化債権というのはそんなものじゃないですね、先ほど私が申し上げました。岩手県の場合だけでも、県下で約十億円の回収見込みのない固定化債権があると言っているんです。恐らくこれはいわゆる金融全体の中にいう不良債権とは違うものです。定義も違うんです。ですから、それは私は理解をいたします。
 ただ、この額がいわゆる合併を阻む要因になっている。したがって、それは不良債権の全体の九億などという額じゃないということを認識した上で、水産庁としては効果的な合併推進策を講じていただきたい。そうしないとなかなか進まないであろうということを私はこの際申し上げたいわけです。長官の今後の御努力は、まさにこれはお願いしなければなりません。
 私の質問の最後でありますけれども、大臣、いかがですか、お聞きになって、なかなか漁協は零細なんです。そして、合併といっても、長官がおっしゃるような数字じゃないものがぐっとデッドロックに乗っているんです。したがって、それに対する手当てを何らかの形でしませんと、今回企図された信用秩序を維持するために漁協をちゃんとしていくということだってこれは絵にかいたもちになりかねない。大げさに言いますとそういうことになりますが、この点についての大臣の御認識と御決意を承って、私の質問を終わります。
○国務大臣(藤本孝雄君) 今、委員御指摘のように、今後の漁協の活性化を図っていくためには、何よりも合併を促進しまして、経営基盤が零細で業務執行体制も非常に弱い状況にあるわけでございますから、何よりも合併を促進して、俗に言う、一合の升には一合の米しか盛れませんけれども一升の升には一升の米が盛れるわけでございまして、そういうことがまず大事だと思います。
 この合併の促進については、今言われましたように、その障害となる問題がございます。それを我々いろいろな面で努力をしまして、これを排除していきたいというふうに思っております。
 それからまた、生産物のブランド化、これも私の選挙区の香川ではハマチのブランドで有名でございますし、あと大分はセキアジまたセキサバというようなことで、非常にブランド化に成功しております。そういうことも漁協の活性化のために非常に大事だろうと思いますし、またスーパー等の量販店との提携も非常に大事な問題だと思っておるわけでございます。こういう連携また取り組みに加えまして、事業・組織の改革によって経営の合理化を進めていく、こういうことが必要だと思います。
 そのためにも、今言われました合併の促進については非常に基本的な問題だと考えておりますので、私どもも今度の法改正によりまして、信用事業の経営の健全化を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○阿曽田清君 高橋議員に関連いたしまして質問をさせていただきます。
 最近の漁業を取り巻く環境というのは、日増しに悪化をいたしておりまして、もう御承知のとおりに年々経営体数も減ってきておるし、水揚げ量も減ってきておる、さらに魚価は低迷をするし、就業者の方々も減少してくる、そういう状況であります。
 我々県議会時代に、とる漁業から育てる漁業をということで、資源管理型漁業を目指そうということで一生懸命、行政、漁協一体となって進めてまいっておりますけれども、なかなかそれが現実に大きく飛躍するところにいかない。どちらかというと、大勢に流れてしまっているというのが実態であります。
 漁協の経営そのものを見ましても、我が漁協管内におきましても、どちらかというと販売の収益と購買品の収益で辛うじて成り立っておるというところでございます。そういう年々状況が悪い中に事業量は減ってくる、そして信用事業も赤字がさらに拡大をするという現状の中で、いわゆる漁協を今後どのような形で育成されていこうと考えておられるのか、極めて難しい問題であります。漁協そのものが足腰の強い経営体として育っていくことがまずは漁民の方々、組合員の方々にサービスもできるわけでございます、奉仕もできるわけであります。
 まずは、脆弱化した経営基盤、漁協をどう育てていこうと思っておられるのか、合併しか道はないのか、その点の水産庁の認識をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 今、先と言われましたように、漁協は事業基盤も零細でございますし、最近の漁協経営も漁業の資源状況の問題でありますとか産地魚価の低迷というようなことで非常に悪化傾向にあります。そういう中で、漁協をどのように育てていくかということでございます。
 基本的には、一つは今、先と言われましたように合併でございますとか、あと不採算の事業部門を連合会の方に事業譲渡していくというようなことも必要だと思います。
 他方、先ほど来大臣から答弁がございましたように、漁協によりましても元気にやっておるところもあるわけでございます。先ほどの話にございますように、生産物のブランド化をしておるところもございますし、スーパーなどと提携して一生懸命やっておるところもあるわけでございます。そういう意味の活性化を図っていくというのも今後の漁協の方向だろうというふうに思っております。
 いろんなことをやりながら、漁協はやはり地域の金融だけではございませんで、これからTAC制度が導入される中での一番の基本となる組織でございますので、この漁協を健全なものにしていくようにいろんな事業を活用いたしまして、水産庁といたしましても漁協の健全化に対しまして指導、支援をしていきたいというふうに考えております。
○阿曽田清君 農協の場合は信用事業で収益を上げて、どちらかというと販売事業等は赤字、そして購買でまあまあというところが農協の事業の柱になっておりますが、漁協の場合はどちらかというと信用事業は赤字という傾向であります。ですから、この信用事業問題が一番問題になるわけであります。
 先ほどからの御質問の中で、二兆円預金高がある、約八千億が貸し付けられておる。ざっと考えて四割が貯貸率、こういうことになろうかと思います。私は、やはりもっと自主的運用といいますか、漁信連等によって、いわゆる資金の有効的活用を図っていくことによって、信用事業の利益を高めていくことができるんじゃないかというふうに思うんです。中金にそのまま上げて、中金の利ざやだけもらってやっていくということでは、なかなか信用事業の利益が生まれてくるのには容易ではない。
 どのような形で信用事業の利益を創出されようとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 確かに今、先と言われましたように、漁協の貯貸率は約四割になっているわけでございますが、問題はこの貯貸率といいますよりも、漁協の場合には他の金融機関、例えば農協に比べましても非常に額が、言うならばボリュームが少ないというところに問題があるわけでございまして、このボリューム、漁協でいいますと預貯金額が一経営体当たり十五億円でございます。ちなみに農協が約二百六十億円というような状況になっておりますので、いずれにいたしましても十五億円では幾ら頑張ってみましても、貯貸率を上げましてもなかなか利益は出ないというような状況でございます。
 そういうようなことでございますので、先ほど来御答弁申し上げてございますように、やっぱり規模を大きくしていくしかないんだろうということで、合併なり、その合併を前提といたしまして信用事業だけを譲渡していくというようなことで規模の大きさを求めていくというのが当面必要ではなかろうかと考えております。
○阿曽田清君 今の御答弁から拝察いたしまして、今回の改正案の中で農協法の改正と違っているところは、いわゆる資金運用規制の緩和という項目が入っておりません。恐らく、今の長官の考え方に基づいて、資金運用規制の緩和というところはあえて今回、改正が入らなかったんだろうと思います。
 もう一つは、経営管理委員会を導入するということも、これは今回入れられておりません。しかし、いずれこういう形で整備をしていく過程の中において、漁信連とかあるいはある程度合併した大型のちゃんとした漁協については、経営管理委員会制度も導入できるような道も必要ではないかなという思いもいたしておりますが、その点いかがでございましょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 漁協に経営管理委員会を導入しなかった理由でございますが、これはやはり一番の理由といたしましては、漁協の事業規模が農協に比べまして零細であるというところに尽きるわけでございます。そういう意味で、現行の員外理事枠、これは平成五年に水協法を改正させていただきまして、員外の理事枠を従来の四分の一から三分の一に拡大しておりますので、この現行法上の員外理事枠を活用いたしまして、漁協に求められます業務執行体制の専門性は確保できるんじゃないかというようなことで、今回はあえて取り上げなかったところでございますが、今確かに先と言われましたように、今後広域漁協が実現するというようなその過程におきまして、経営管理委員会の必要性が生じることも考えられるわけでございます。これにつきましては、今後の漁協系統組織の再編状況を見ながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○阿曽田清君 時間がございませんので、簡単に質問をいたします。
 最低出資金制度の導入、これはすなわち自己資本の充実を図るという観点で今回県漁連一億円、漁協二千万円以上と、こういうふうになっておりますが、三年間の経過措置はあるにいたしましても、その最低出資金に達しない組合、これについては増資かあるいは合併するかあるいは県漁連へ信用事業を譲渡するか、この三つの方法しかないと思いますが、この三年間の経過措置はあるけれども、それで達しなかった場合はどうされますかというのが一点。
 それからもう一点は、私の地元の漁協を見ましても、この兼職・兼業の禁止の中で特にこれから政令等で定められる場合に注意していただきたいのは、先ほど三浦委員からもお話がありましたが、魚屋を経営する社長とか、あるいは一本釣りの漁業者じゃなくて網元といいますか、そういう方々とか、さらには例えば漁業と関連しておるサービス業をやっている方々、その方々で組合長をなさっておる、漁協長をなさっておるという方々があるわけであります。したがいまして、零細漁協だけにそういう方々の力によって成り立っておるというのも組合の大きな存立の条件にもなっているようでございますので、その政令に当たっては私は農協よりももっときめ細かく配慮した兼職・兼業の禁止を定めていただきたい、これが要望でございます。
 先ほどの三年間の経過措置、これが過ぎた後はどうなるんですかと、ここをちょっと三つの方法でできなかったときはどうなるのかということだけお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 三年間で最低出資金の要件を満たさない場合にどうなのかという御質問でございます。
 漁協系統、確かに先と言われますように漁協の経営は非常に厳しいものもございますし、なかなか零細なものもございます。さはさりながら、人様の、言うなれば一つの金融機関として事業を行っているわけでございますので、他業態並みにやはりそこの経営基盤はしっかりしていただかなければいけないというふうに考えているところでございます。そのようなことから今回この制度を導入したわけでございます。
 確かに方法としては、先と言われますように、三つだろうと思います。この三つをできるだけ言うなれば合併でありますとか、信用事業譲渡でありますとか、そのようなことをやりまして、できるだけこのハードルをクリアしてもらうように水産庁としても指導していきたいというふうに考えております。
○阿曽田清君 できなかった場合を言っているわけです。
○政府委員(嶌田道夫君) できなかった場合でございますが、できなかった場合につきましてはやはりこれは先ほど言いましたように、金融の健全化措置、早期是正措置がもう既に来年の四月から導入されるわけでございますので、それとの兼ね合いもあると思います。そういうことでできない場合につきましては、信用事業というものにつきまして組合から何らかの形で切り離していただくしかないのではないだろうかというようなことも考えております。
○谷本巍君 漁業は資源水準の悪化、そして輸入水産物の増大で魚価が低迷をするという極度の不振状況に陥っております。こうした状況というのが組合経営の大きな打撃にもなっております。
 初めに大臣に伺いたいのでありますが、大臣は水産業の現状をどう認識しておられるか、また今後どんな役割を漁協に期待しているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
○国務大臣(藤本孝雄君) まず、最近の我が国漁業を取り巻く状況は、御承知のように一段と厳しさを増しております。そこで、この漁協に関しましては今後経営指導であるとか、また資源管理等への取り組みが期待されておるわけでございまして、そういうことについては漁協の役割というのは非常に大きいものだと思っております。
 したがいまして、この漁協系統の事業・組織改革への取り組みはますます重要なものになってくるわけでございまして、そういう取り組みに対しまして農林水産省といたしましては適切に対処してまいらなきゃならぬ、かように考えているわけでございます。
○谷本巍君 次に、漁協の合併問題について伺います。
 農協に比べますというと、漁協の合併は進んではいない。合併がなぜ進まないのか。長官は先ほど意識の問題だとおっしゃった。つまり、漁家の意識が低いから合併が進まないんだと言わんばかりの話になってくるのであります。そうでしょうか。私はそうは思わない。農協は地域の農家だけじゃなくて、これは農家以外の人たちも准組合員として幅広く組織しております。そして、事業も多様であります。つまり、事業体としての性格が極めて明確だ。
 それじゃ、漁協の方はどうなのか。漁協の方は先ほどもお話がありましたように、漁業権の管理団体としての成り立ちがあった。そして、そういう中で規模は小さいが、例えば経済事業の方でいえば立派な黒字を出しているというところは数多いのであります。赤字の方は信用事業だ。それはスケールメリットを追求できるだけのそういう規模になっていないからであります。ですから、漁協の方の合併が進んでこないというふうに見えることになってくるんではないのかと。
 成り立ち、歴史、そういうふうなものが農協との違いを出しているのであって、私はそれは意識の問題だというのはすりかえだろうと思う。長官、どうお考えになっておりますか。
○政府委員(嶌田道夫君) 確かに漁協が漁業権管理団体という一つの成り立ちがあるというのはおっしゃるとおりでございます。
 ただ、私は先ほど漁協合併の阻害要因の一つといたしまして漁協の役員の意識の問題だと申しましたのは、実は平成七年六月に全漁連が合併阻害要因をいろいろ調べたデータがございます。それによりますと、役員の意識の問題であるというのが、三十七の会員、これは連合会の数でございますけれども、その中で二十五を占めていまして、これ複数回答でございますが、約七割近く占めている。その他いろいろございますが、阻害要因の一番大きな原因として役員の意識、感情の問題というのが一つ項目がございます。このようなことがございますので、先ほど御答弁申し上げた次第でございます。
○谷本巍君 意識を規定しているものが何なのか、問われなきやならぬのはそこなんですよ。そこからやっていかなきゃ問題の解決は出てこないんです。
 そこで、長官にもう一度伺いますが、それじゃ合併が進んだところはどういうところでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 大変恐縮でございますが、先ほど阻害要因、この役員の意識の問題でございますとか、漁業権の問題でございますとか、合併後のビジョンの問題でございますとか、いろいろ申し上げたわけでございますが、逆に言いますと、合併が進んでいますのはこれらの問題が比較的少ない地域だというふうになりまして、そういう意味ではやはり合併しなきゃいけないんだという、そういうことに対します漁協の役員の意識とか意欲が高いところ、もう一つはやはり財務格差の少ないところが一番大きなところではないかと思っております。
○谷本巍君 私が感じていることを申し上げますと、一つは系統としての取り組みが積極的で財務状況に大きな格差がない、こういうところは割合合併しやすいという状況があって、合併ができたところがある。それともう一つ大きな状況というのは、漁村が漁村でなくなったところは合併が進んだんですよ。そうじやありませんか、長官。
○政府委員(嶌田道夫君) 先生のおっしゃるようなところも確かにあるかと思います。ちょっと大変恐縮でございますが、全体の、その辺の地域的なデータを今持ち合わせておりませんので何とも言えないわけでございますが、おっしゃるようなところも確かにあると思っております。
○谷本巍君 さてそこで、もう一つ長官に伺いたいのは、現状から見ますと、合併ということよりも信用事業の県連への統合の方がやりやすいのではないのかという気が私はするんです。そういう状況を考えてみますと、どうも合併合併とばかの一つ覚えのように言うんじゃなくて、もっと地域的な状況というのを勘案しながら進めるような弾力的な指導というのが必要なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 確かに先と言われますように、合併よりも信用事業等事業統合の方が進んできております。ただ、漁協系統組織といたしましても、合併をまず第一義的に考えておりまして、それに至る過程として漁協と連合会との間の信用事業統合というようなことも考えております。
 確かに、合併だけということじゃなくて信用事業譲渡、いろんなことを進めながら、最終的には系統組織の方が言っておりますように一県一自立漁協でございますとか一県複数自立漁協でございますとか、そういう目標がございますので、それに向けまして進んでいくということが必要であろうというふうに考えております。
○谷本巍君 それから、農協法の改正と大きく違う点が一つありました。それは、農協法の改正の場合には経営管理委員会制を新たに導入する、これは選択でありましたけれども、そういう状況がありました。漁協の場合、合併または信用部門の統合をしながら経営管理委員会を導入するといったことも考えられないではない、ところがこれは出てこなかった。ということは管理委員会構想というのは初めからなかったのかどうか、それともこれから検討しながら合併等が一定程度進んだ段階で新たな問題提起をしていくということなのか、その辺の状況はどうだったのでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 漁協は非常に農協等に比べますと事業規模も零細であるというようなことが一つ大きな特徴としてございます。このようなことでございますので、現行法上の員外理事枠を活用することによりまして、漁協に求められます業務執行体制の専門性を確保していきたいというふうに考えておるところでございまして、今先生言われましたように、今後合併等によりまして広域漁協が実現した場合におきましては、当然経営管理委員会の必要性も生ずるというふうに考えております。
 今後の漁協系統組織の再編状況を見ながら、この問題につきましては検討していきたいというふうに考えております。
○谷本巍君 次に、漁協のビジョンとでもいいますか、そうした問題について若干伺いたいと思います。
 どういう漁協にしていくのか、私はこれが一番大事だと思うのです。しっかりした未来像があればみんな頑張ることができるからであります。ところが、農協法の改正の方は御存じのような住専問題等々があって、これは急いで合理化しなきゃならぬなという話になって合理化をやった。漁協の方はそういう問題はなかったのであります。
 そういう問題がないところへ、今度の改正案で見ますというと、出資金はふやせの配当は削りますの、そして人件費増につながりかねない監査体制をひとつしっかりやれよというような話等々が続々と出てくるのであります。漁家にしますと、この法律によって過大な負担をさせられるのじゃないか、こうお受け取りになる向きというのが出てきても私は不思議じゃないと思います。
 でありますから、ここで決めるとしても、機械的にやってはならない。機械的にやっていきますというと、組合員の漁協離れをかえって促進させてしまうということになりかねない状況があるのではないか。そういう心配は全くないというぐあいに長官は考えているのかどうなのか、伺いたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 今回の制度を導入する一つの契機といたしましては、やはり漁協も一つの金融機関として他業態並みの経営の健全性を確保する必要があるということで、自己資本、内部留保の充実でございますとか監査体制の充実を図るということにしているわけでございます。
 そういう意味で、確かに先と言われますようにつらいことを漁協に要請し、その結果組合離れが起きるんじゃないかというような御心配もあるかと思いますけれども、ただ、この措置は漁協といたしまして信用事業をやっていく上におきましては最大限必要な措置であると考えておりますし、またこのような漁協にしていくことがめぐりめぐりますれば組合員のためになるというふうに考えたところでございます。
 それから、早期是正措置も来年の四月から導入されるということでもございますので、そういう意味では信用事業を行います漁協といたしましては、今回の措置につきましては納得していただいているところであるというふうに理解しているところでございます。
○谷本巍君 最後のところはよく聞こえなかったんですけれども、もう一度。
○政府委員(嶌田道夫君) このような措置を導入することにつきまして、漁協系統並びに組合員の方々におきましては理解されているものというふうに理解しております。
○谷本巍君 そこのところをやっていくと水かけ論になりますから。
 先がありますから、それじゃもう一つ伺いたいと思うのは、地域に根差した連帯性の発揮を重視していくべきではないかというふうに私は思うのです。例えば、農協と業務提携をやる、生協ともやる、あるいは川上で言えば森林組合と手を結ぶといったようなこと等が私はあっていいのではないかと思います。
 例えば、今、日本の農村で一番過大な問題になってきておりますのは高齢者福祉の問題です。こうした問題を扱うにしても、農協はそれをやりましょうということで今やっておるわけでありますけれども、農協だけじゃなくて、漁協があるところは漁協も一緒にやる、森林組合があるところは森林組合も一緒にやる、そういう状況があっていいのではないかと私は思います。
 これは食糧の問題についても同じようなことが言えるように思います。食糧自給が下がった最大の原因というのは、日本人の食べ方が変わったからだと言われております。そして、その食べ方の変化というのが若い人たちがそうでありますが、畜産加工型化という状況になり、成人病やアトピーなどさまざまな病気が出てくるようになったとも言われているところであります。
 農協、漁協、生協などが一体になって食べ方を変える運動をやる。そしてつくり方を安全なものに集中していく。そして地域型食生活を伸ばしていく、食糧自給率はかなり伸ばしていくことはできますよ。そういうことができれば、都市ときちんと結んでやっていくことができるような状況をつくっていくことができる。川上との提携もそうですね。漁業組合が植林運動を始めましたという話があっちでもこっちでも聞かれるような状況になり始めました。
 こうして見てみますと、川上から川下まで結ぶ形での地域に根差した連帯性の発揮ということを私は重視すべきときに来たのではないかと思うのです。長官、どうお考えでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 今、先と言われましたような協同組合間提携といいますのは、基本的に漁協も協同組合でございますし、これは一つの方向として大事であろうというふうに考えております。
 特に、漁協が農協等と例えば業務提携などを行いまして、それぞれの特性を生かしながら事業量の拡大、それからコストの削減を図るようなケースも十分に考えられるわけでございます。先と言われましたように、一例といたしましては、これは漁協と農協が同じ建物の中で産直をやりまして集客効果を上げるとか、それから例えばこれは漁連でございますが、漁連がJAの食材宅配事業の方に水産物を供給していくということで、これは九州の方の漁連でございますが、複数の農協の経済連と事業提携をしているというようなことがあります。それから、漁協と森林組合の例で申しますと、例えば、岡山の漁協とそれから鳥取の森林組合との間でもって岡山の方の養殖カキの棚の材料として、森林組合の方が杉だとかヒノキの間伐材を漁協を通して販売しておるというようなことで、いろいろな形でもって組合間提携というんでしょうか、そういうのも進んできているわけでございます。
 こういうことで、これはやはり漁協の活性化につながるものでございますので、水産庁といたしましてもこれを評価し、支援をしていきたいというふうに考えております。
○谷本巍君 長官、先ほど私が申し上げたことと関連するんですけれども、そういう運動で一緒に農協などとやられた漁協の組合長さんに私会って話を聞いたことがあるんです。そうした皆さんと一緒にやる中で共同漁業権の管理主体にとどまっていた漁協運動のあり方の脱皮ができるようになってきましたと、こういう話が出てまいりました。つまり、漁協モンローからの脱皮というのが、この合併問題についても対応できるような組合の力になったという話であります。
 こうして見てみますと、やっぱり協同組合は何でもそうでありますけれども、系統、つまり縦割りだけで物事を考えちゃならない、横の連携関係をやっていかなきゃ解決がつかない問題がいっぱい出てきているわけでありますから、そういうことを重視するということが大事になってきているのではないかということを一つ最後に私から強調させていただきます。
 次に、個別的な問題について若干伺いたいと思います。まず初めに、監査体制の確立の問題についてであります。
 改正案によりますというと、一定規模以下を除き一名以上の員外監事と常勤監事を置くべしというふうに言っております。これ置けるところは大体置いているんです。だから、そういうところが非常に少ないというところに問題があるのです。この場合の一定規模というのは何を指してのことでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) まず今回、員外監事、常勤監事の設置、それから全漁連監査を義務づけている組合の範囲、これは信漁連は一応系統信用事業の中核となりますからすべてでございますが、漁協につきましては他の金融機関とのバランスを考慮いたしまして、それからもう一つは貯金規模と社会的影響の度合いを勘案いたしまして、まず員外監事の必置につきましては貯金量は一千億円の漁協、それから常勤監事の必置につきましては貯金量二千億円以上の漁協、それから全漁連監査の義務づけにつきましては貯金量一千億円以上の漁協を対象としているところでございます。
○谷本巍君 この場合は経営の状態ということは一切問題ではないということですか。
○政府委員(嶌田道夫君) 今回の監査といいますのは他業態並みの措置を導入したということでございまして、この一千億円でありますとか二千億円でありますとかいうことにつきましては他業態と同じような考え方でやってきております。そういう意味で、客観的な基準でもって今回決めさせていただいたところでございます。
○谷本巍君 小さくても黒字を出して、そういう体制を持っているところも私は知っております。ですから、やっぱり質の問題というのをもう少しお考えになったらどうなのかなという気がいたしますが、時間がありませんので先へ進みます。
 次に、業務執行体制の強化について伺います。
 改正案によりますというと、理事それから常時従事する役員、参事、これは兼職・兼業を禁止するということであります。私が知っている例を一つ申し上げますというと、ある漁協で土建屋さんを組合長にしたんです。うまくいきました。経営感覚のある人だったからです。ですから、非常にこの辺難しいんですよ。地元の漁業会社の方が組合長におなりになった、さっぱり振るわなかったという例もあります。要は漁民の立場に立って、そして経営感覚を持った人が欲しいということなのであります。でありますから、兼職・兼業にこだわり過ぎますというと、角を矯めて牛を殺すという状況になりかねない場合も私はあると思うのです。
 そこで伺っておきたいのは、一つは兼職・兼業とはどういうものを禁止するのか、それから二つ目は行政庁の認可を受けた者はその限りにあらずと言っているが、具体的にどんなものを指すのかについて伺いたい。
○政府委員(嶌田道夫君) まず、兼業の場合どのようなことか、兼職の場合どのようなことかということでございますが、兼職につきましては他の会社の常務に従事するというようなことでございますし、兼業はまさしくみずから事業を営むということでございます。
 そういうことで、この二つの場合にはやはり漁協の代表理事等の職務専念性、特に最近は金融業務におきましては高度化してきているということもございますので、やはり責任ある業務執行体制を確保していただくというようなことから今回兼職・兼業の制限の規定を他業態並みに導入させていただいたところでございます。
○谷本巍君 時間が来ましたので終わります。
○国井正幸君 国井正幸でございます。
 何点かお伺いをしたいというふうに思いますけれども、まず最初に、先ほど谷本委員の質問にもあったわけでありますけれども、漁協なりあるいは漁連、これの組織整備の基本的な方針についてお伺いをしたいと思います。
 農協の場合は単協の広域合併ということで、専門的な機能を強化することとか、あるいは業務執行体制を確立していく、そういう意味で非常に単協の広域合併が進んでいる。あわせて連合組織においてはいわゆる県連と全国連の見直しを含めてよりスリム化するというか、重複した機能をなくする、こういうことで農協の組織整備というのが進んでいるわけです。
 漁協の状況というのを見ても、先ほど来答弁にもありますように、確かに千差万別な状況はあると思うんですが、その組織整備の基本的な方針というのはどういうふうに考えておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) 漁協はまさしくその地域の重要な組織といたしまして、これは漁民の信用事業だけではございませんで、各種の事業を総合的にやっておりますし、それから特に漁協の場合におきましては漁業権の管理主体でございますとか、これから二百海里体制の中でTAC制度が導入されますときのその一つの中心となる組織として、今後健全に発展していっていただかなければならない組織であるわけでございます。
 こういうことでございますので、水産庁といたしましても漁協組織が地域の組合員のための組織として健全に発展していただくために、いろんな各種の事業等によりましてその健全な発展のための支援、指導をしていきたいと考えております。
○国井正幸君 何か余りよく僕は理解できないんですけれども。
 このいただいた資料、今回の改正法案の参考資料の七ページ、これを見てみると、年々いわゆる経常利益が少なくなってきているんですね。大変厳しい経営環境にあるのだろうというふうに思います。そして、先ほど阿曽田委員の質問にもあったと思いますが、農協等においてはいわゆる信用事業なり共済事業というのは一つの経営の柱になっていて収益部門なんですね。ところが、ここで見る限りにおいては信用事業なり共済事業というのは、経営の中身という形だけで見ていくとちょっと厳しい状況にあるのだろうというふうにこの資料から読み取れるわけです。
 そういうことから考えると、これは抜本的な対応というのを何らかの形でやっていかないと、このままではやっぱり非常に難しくなるというふうに思うんですね。そして一方では、今度の法改正の中でも特に金融事業を行う漁協なりあるいは信漁連なり、これは他業態との兼ね合いでやっぱりきちっとした経営をしていかなければ我が国の金融秩序が保てない、こういうことを含めて今回の法改正の重要な部分を占めているというふうに思うんです。
 そういう意味からすると、やはりその組織整備を含めてこれは何とか対応をしていかなければいけないというふうに思っているんですが、先ほどの長官の答弁ですと、いろいろ合併ができなかったり何かの難しい理由はわかるんですけれども、しかし一それを乗り越えてもう一歩先に進むという部分がちょっとよく理解できないんですが、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 確かに、言われますように信用事業がこのような赤字になってきている一つの理由としては、やはりその事業規模が非常に零細であるというところに尽きるんだろうと思います。これは各一組合当たりにいたしまして貯金額が十五億円、農協に比べますと約二十分の一というような感じになっておりますので、やはりこの貯金額、この規模をやはり拡大いたしませんことには信用事業におきます利益も出ないというふうに考えております。
 そういう意味で、現実問題といたしましては、信漁連に対します信用事業譲渡でございますとか、それから合併というようなことをやっているわけでございまして、一応、現在合併よりも信用事業譲渡が進んできておりますので、この系統も一生懸命これについてはやっております。水産庁といたしましてもできるだけの指導、支援はしていきたいというふうに考えております。
○国井正幸君 そういう意味では、いわゆる信漁連への事業譲渡を含めて、ある一定のスケールメリットが出せるような状況を早くつくるべきだというふうに思いますから、ぜひそういう部分は積極的にやっていただきたいと思います。
 それから、先ほど阿曽田委員なり谷本委員からも質問があったんですが、今回のこの水協法の改正とこれまでの農協法改正との違いというのが、先ほど来お話ありますように、いわゆる経営管理委員会制度を農協法ではやったけれども、今回は出ていない、こういうふうなことなんですね。
 先ほどの回答では、漁協なりは非常に経営規模も小さいからと、こういうふうな話なんですが、これは当然信漁連なりはそれなりの規模なわけですよね、単協じゃなくて連合会も含めてね。そういう意味からすれば、農協法においてもこれは選択性であるわけですから、可能規定であるわけですから、やるということを義務づけているわけではなくてそういうこともできるという話ですから、やらなけりゃやらなくてもいいわけですわね。そのかわり、やれば組合員以外の理事、経営に当たる者は全部員外でもいいよ、こういうふうなことなんです。僕はやっぱり同じ農林水産省としてやっていれば、農協も漁協も含めていわゆる協同組合組織のあり方というものについてもう少し中で詰めたらどうなのかなというふうに率直に感じているんですよ。
 そういう意味で、いかがでしょうか、これ。しつこいようなんですが、単協だけではなくて連合会もあるわけですからね、積極的にやってもらいたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(嶌田道夫君) 実は当然ながら、農協でもって先般経営管理委員会制度が導入されたわけでございますので、今回の水協法の改正に当たりましても、その辺につきましてはいろいろ系統も含めまして水産庁といたしまして検討したところでございます。
 これにつきまして、先ほど来の話でございますけれども、やはり漁協の事業規模が単協段階では十五億円というようなこと、農協は二百六十億円でございますし、それから信漁連でいいましてもこれは約六百四十億円、信農連になりますともう一兆を超えているというような状況でございます。そういう状況を考えますと、やはり今の段階では現行法上の員外理事枠を活用した方がよりその専門性を確保するのには適当じゃないかというようなことで、今回はあえて経営管理委員会制度は導入しなかったわけでございます。
 ただ、今後その広域漁協の実現でありますとか、それから漁協系統組織の再編、先ほど来の話にございますが、一県一自立漁協でございますとか一県複数自立漁協というようないろいろの系統組織の方でも合併を進めておりますので、そのような系統組織の再編状況を見ながら、この経営管理委員会を採用するということにつきましても今後ひとつ検討していきたいと考えております。
○国井正幸君 次に、きょうは経済局長にも来ていただいているわけでありますが、この一連の漁協の組織整備についても、金融事業なりはできるだけ信漁連に集約をしていく、そういう形で農林中央金庫に資金運用等についてはできるだけ集約をしていく、こういうふうなことになってくるわけであります。
 それで、私はさきの農協法の改正のときにも今の農林中央金庫の業務執行体制はちょっとぐあいが悪いのではないかというふうな話をしたと思うんです。そういう意味で、今後の研究、検討課題にというふうなことでたしか大臣の御答弁もいただいているというふうに思うんですね。
 これは協同組合組織を、ここで言うならば水協法に基づく協同組合組織を会員に持つというか傘下に持つ、こういうふうなことで、一方では農協法に基づく協同組合組織を構成団体として農林中央金庫ができ上がってきているということになりますと、協同組合という一つの運動体であり、あるいは経営体であるという特殊性を十分反映できる体制になければならないのではないかなというふうに思っているんですね。
 そういう観点からすると、農林中央金庫には管理委員会という制度がありますよね。これはしつこいようですが、前にも申し上げたんですが、いわゆる役員を選ぶときだけ定款の定めによって総会に付議する前に管理委員会から推薦を受けた者が総会で選ばれる、こういうふうなことになっているわけですね。一方では審議委員制度というのがあるわけですけれども、この審議委員はいろいろ重要なことを、例えばワリノーなりリツノーなりの金利をどういうふうにするかとかを含めて重要な経営方針を審議していただく、こういうふうなことなんですね。
 僕はこの経営管理委員会を漁協なり漁連にも入れるべきだというふうに基本的には今後の課題として思っているわけです。そういうものを傘下に持っていくということになれば、当然農林中央金庫の今のあり方というものももう少し見直していただいて、協同組合組織の一員なんだと、こういうふうな位置づけの中でぜひやっていただきたいというふうに思っているんです。
 申し上げてからまだ三カ月という短い期間ですから、どうなったということではないかもしれませんが、その後そういう問題を含めてどのようになっているか、お聞かせをいただきたいと思うんです。
○政府委員(熊澤英昭君) お答えを申し上げます。
 先回の本委員会で先生から御質問もいただきました。確かに、農協あるいは漁協の資金の相当部分が農林中金に預けられているということで、中金の方が確かに系統団体の貸し付けとかあるいは有価証券の運用を行っているわけでございますけれども、そうした農林中金の運営自体につきましては、これも先刻先生御承知のとおり役職員とも完全に常勤できちっとした経営体制は確立されているというふうに思っております。そのほかに会員の意思を反映させるシステムとしては、これは今御指摘がございました、総代会のほかに審議委員の制度と管理委員会の制度がございます。それはもう先生今御指摘のとおりでございます。
 この審議委員の制度でございますけれども、この審議委員の方は今九名任命をされているわけでございますが、その中で農業の信用事業関係の代表の方が四名いらっしゃいます。また、漁業関係で代表される方が二名、森林組合関係で代表される方が二名、それから学識経験者たる立場から一名、合計九名の審議委員の方が任命されておりますので、そうした審議委員の御審議によってそうした会員の意思というのは運営の中に反映をされ得るのではないかというふうに考えております。
 特に、この審議委員におきましては、今、先生の方からワリノーの利率等の話もございました。そのほかに基本的には、業務運営の基本方針に関する事項あるいは事業執行の計画に関する事項、剰余金の処分に関する事項、そういった農林中金の経営に関する基本事項について御審議をいただくということでございますので、適正な運営がなされているというふうに理解をいたしておりますが、なお、先生の御趣旨も踏まえ、今後とも適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(藤本孝雄君) 先回の委員会におきまして、委員御指摘の趣旨、すなわち審議委員の役割など、会員組合の意思を反映させる点については農林中金におきましても十分承知をしているところでございますが、私どもといたしましても引き続き十分勉強をしてまいりたいと考えております。
 なお、御承知のように、農林中金におきましてはことしの三月三日に統合準備室を設置いたしております。この農漁協の合併等、系統組織の再編が進んでいく過程におきまして、農林中金の運営にいかに適正に会員の意思を反映させていくかということにつきましてもこの統合準備室で今後検討される、そういう課題の一つだと考えております。
○国井正幸君 ぜひそういう意味で、会員の意思が十分に反映されるように特段の御指導をお願いしたいと思うんですね。
 この間の農中法の改正においても、非居住者向け融資ができるということで、いわゆる海外の法人成り等についても融資ができるようにしたわけですね。そういう意味からすると、私は、局長の答弁にありましたように、審議委員制度については、審議委員は農林中央金庫の経営にかかわる基本的な事項をいろいろ審議していただくわけですから、極めて専門的な知識が要求されると思うんですね。それは組織内から出てきた人がわからないということを僕は言っているわけではないですよ。わかる人もいるでしょうが、わかりにくい部分もあるんだと。農林中央金庫というのは我が国最大の資金量を持っている金融機関ですよね。だから、そういう意味からすると、国際金融に精通した人もいなければならないし、これは専門家に任せた方がいい、その審議委員というのは。
 今度の改正農協法に定めるように、経営管理委員会、今は農林中央金庫の役員だけを推薦するという機能しかないけれども、組織運営上の基本的な事項はむしろ管理委員会でやっていただくようにすることの方が今度の改正農協法なんかの趣旨から見てスムーズにいくのかなと、このように思っているんです。いずれにしても、協同組織制というのが協同組合の中では非常に重要な問題ですから、そういうことが十分反映されるようにぜひお願いをしたいと思うんです。
 時間もありませんので最後の質問になるかというふうに思いますが、今回の改正水協法の第三十四条の十二項、いわゆる常勤監事の必置というのが出ているわけですね。いただいた参考資料の三ページと五ページを見させていただきますと、三ページには一漁協当たりの理事数の推移とかあるいは信漁連の理事というのが出ているわけですね。漁協においては常勤理事は一漁協当たり〇・四人、それから信漁連においては一・四人と、こういうふうなことですよね、そういう数字になる。それから監事の方を見ていくと、常勤監事は漁協においてない、それから信漁連においては〇・一ということですから、十信漁連で一人いる、こういうふうな状況だと思うんです。
 やはりこれも先ほど質問があったわけでありますけれども、信漁連においては常勤監事を置くんだと、こういうふうなことが言われたと思うんですが、私は他の金融機関というか他の業態との関連性において、経営の健全性を確保するという意味で常勤監事を置くということはある意味では理解できるんです。できるんですけれども、いわゆる業務執行体制という意味で理事と監事、このバランス、理事が常勤で一・四人しかいない中で監事だけが一人いたって、これはバランスを欠くというふうに思うんですよ。やっぱり執行していくのは基本的には理事ですからね。その理事のきちっとした常勤体制、経営体制ができていないところにいかに監事だけを置いてみたって、僕は余り意味がないんじゃないかと思うんです。
 そういう意味では、先ほどもお話がありましたけれども、余り監査だ監査だ、いや監事を置くんだと、こういうふうなことだけでやってコストをかけて、それこそ角を矯めて牛を殺す、こういうようなことになっても仕方ないというふうに思うんです。だから、この辺は理事と監事のバランスということからすれば余り機械的にやらぬ方がいいんではないか。結局、監事なんていうのは問題が起きて後からどっちかというと見ていく部分の方が多いわけですよね。むしろ、そういう意味では問題が起きないようにきちっとした経営をやっていく、そういう意味での常勤理事の体制を確立する、この方がどっちかというと先なんじゃないかというふうに僕は思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 先と言われましたように、監事の充実もさることながら、まず理事、特に常勤理事の充実を図るべきじゃないかということでございますが、おっしゃるとおりであろうと思っております。
 そういうことも踏まえまして、今回の法改正におきまして代表理事、それからその他の常務理事等におきましては兼職・兼業の制限というようなことをやりまして、職務に専念していただくということをやろうとしているわけでございます。そういう意味で、やはり基本は事業を執行していただく理事さんでございますので、これのちゃんとした充実を図っていく必要があろうというふうに考えております。
○国井正幸君 終わります。
○須藤美也子君 昨日の大臣の趣旨説明の中で、海洋法に関する国際連合条約の締結に伴い、本年一月に漁獲可能量制度が導入され、資源管理の推進等漁協の果たすべき役割がますます重要となっているとおっしゃいました。こう言われましたけれども、肝心の韓国と中国への二百海里適用がいつになるのか、それ抜きに資源管理も成り立たない、こういうふうに考えます。
 昨年の海洋法条約の審議のとき、私の質問に対して当時の大原大臣はこうおつしゃいました。一年をめどに交渉を進めていく、こうおっしゃったんです。外務省の方は、いたずらに妥結の見通しもないまま交渉を続けていくべきではない、このように答弁なさいました。あれからもう一年たちます。先ほど三浦委員の質問に対して大臣は、国益の問題あるいは領土問題等々るるおっしゃいましたけれども、このままの状況で二百海里に沿った新漁業協定を締結する、そういう見通しがあるのかどうか、これをまず一つお聞きをしたい。
 もう一つは、先ほどの答弁の中で中国も韓国も海洋法に賛成している、こうおっしゃいました。とすれば、日本はもちろん賛成ですから、三国が海洋法にそういう点では一致しているわけですね。だとすれば、大臣の姿勢を問わなければならなくなるわけです。というのは、つまり二百海里の新しい協定を締結するためには、枠外の現行の条約を最終的には終了の通告をする、そういうことが求められていると思うんです。できると思うんです。大臣の姿勢いかんによってはできると思うんです。
 そういう点について、そのことを抜きに漁業の資源もそれから漁業者の経営も守ることはできない、このように思いますので、その点、大臣の毅然とした政治姿勢をお尋ねしたい、このように思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 資源管理の問題、また取り締まりの問題、TAC制度導入の問題などからいたしまして、国連海洋法条約の趣旨にも沿った新しい日韓・日中漁業協定を早期に締結することが必要であるし、またそれを私は望んでおります。そういう基本的な考え方のもとに、日韓首脳会談におきましても、また外相会談におきましてもこの問題は常に取り上げられておりまして、強く我が方の国内事情、また新しい国連海洋法条約の締結に伴う漁業協定を結ぶことについての私どもの考え方は、毎回相手方に伝えておるわけであります。
 努力を積み重ねながら一歩前進したと申し上げましたのは、この新しい漁業協定を結ぶ場合の考え方の一つとして、取り締まりを旗国主義、現在はそうでありますけれども、それから沿岸主義ということに相手方がそれぞれ同意をしておるということは、これは我々から見ると一歩前進であるというふうに考えております。
 最初に申し上げましたように、漁業資源の問題、あと取り締まりの問題、それからTAC制度導入の問題からいたしますと、この新しい漁業協定を結ぶということは我々にとっては非常に重要なことでございまして、私どもはいろいろなレベルでできるだけ早く新しい漁業協定の締結に向けてこれからも全力を挙げてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○須藤美也子君 いろいろ努力をなさっているということはわかりますけれども、やっぱり一年たっているわけですから、そういう点では終了通告を持って相手に当たると、そういう姿勢が必要なのでないかと、こういうふうに思うんです。そうでなければ漁業資源は枯渇してしまいます。
 先ほどおっしゃったように、そういう点では今決断すべきときだと。そういう点で、通告は条約の権利でもあるわけです。そういう立場で話し合うのは何ら矛盾しているわけではありませんから、そういう立場でぜひ大臣からもう一つそういう毅然とした立場での交渉を強く要請をしておきたいと思います。
 次に、資源管理の問題についてお尋ねをいたします。
 漁獲可能量制度の問題ですけれども、現在の六魚種に加えて来年はイカも検討対象になっていると聞いておりますが、そうですが。
○政府委員(嶌田道夫君) 現在、確かに六魚種につきまして漁獲可能量を決めております。今言われましたイカでございますが、スルメイカにつきましては漁獲量も多いと、それから我が国の二百海里内で韓国、中国等の外国漁船も採捕しているということで、現在資源調査の充実に努めておりますほかに、漁獲可能量の対象とする上での技術的な課題につきまして鋭意検討を行っているところでございます。
○須藤美也子君 これから質問しようとする問題に答弁していただいたようですけれども、最近サバ、イワシの不漁からまき網船によるイカの漁獲が急増している。昨年の十一月に千葉の房総の沿岸漁民約千人近くが霞が関をデモ行進したというのは御存じかと思います。まき網船が大量に漁獲する結果、秋に釣れるイカがすっかりとれなくなってしまった。八戸では、釣りとまき網業者との対立が今続いています。そういう中で、漁獲可能量、TACが過去三年間の実績で決定されるわけなんです。ですから、ことしはますますまき網船も含めた漁獲競争が激烈化して沿岸漁民へのしわ寄せが激しくなっていく、こういう心配がされているわけです。
 ですから、水産庁として資源状況をよく把握して、昨年のような事態にならないように、適正な協定が結ばれるように御指導をしていただきたい。先ほど内容について触れられましたので、この協定が適切に結ばれるように指導できるかどうか、その点だけ答えていただきたいと思います。
○政府委員(嶌田道夫君) TACを決めますときには、先ほど言いましたように資源調査をすることが必要でございますし、技術的な課題につきましても検討する必要がございます。
 また今、先生が言われました沿岸とまき網漁業者の話でございますけれども、これにつきましては、まず資源管理を進める場合には、何といいましても、その関係する漁業者の理解と協力が不可欠でございます。そういう意味で、スルメイカにつきましてTACを決めると、それで資源管理を行う場合におきましても、そのスルメイカを漁獲対象としています沿岸漁業者それからまき網漁業者など関係漁業者の意見を十分に聴取いたしまして、また関係者の調整を図っていくことが必要であるというふうに考えております。
○須藤美也子君 ぜひこういう問題を、資源管理を水産庁がきちんとしていく、指導を強められるようにお願いしたいと思います。
 次に移りますけれども、今回の法案は、漁協、漁民の自助努力、一定の期間で漁協信用事業の改革を図るというものです。二千万円という最低出資金の導入、準備金の積み上げなど、信漁連では今でさえほとんど常勤監事がいないのに全部置かなければならなくなる。しかし、漁協は農協や信用金庫など他業態とは違って非常に零細であり、赤字も抱えている。漁民の努力のみ要請するだけでは信用事業、漁協経営は守れないと思います。そういう点で、国が責任を持って漁業を守り、漁協の経営の援助を新たに考えるときだと思いますが、そういう点ほどのようにお考えでしょうか。
 時間がありませんので、長官、申しわけありませんが、簡潔に答弁をお願いします。
○政府委員(嶌田道夫君) 日本の漁業を守るために政府としてどのような対策をやっているかという御質問だろうと思います。
 これにつきましては、各種の生産対策につきまして水産庁といたしましてもそれぞれの予算をつけておりますし、また流通加工対策、各般の面にわたりまして、いろいろな事業をやっておるところでございます。
○須藤美也子君 漁協に対する経営援助は、漁協経営強化総合対策事業等、今年度七億四千九百万円予算がついておりますけれども、五年前は九億一千九百万円でした。五年前から見て減っているわけです。多くは合併漁協に対する利子補給ですね。本来、合併するしないにかかわらず措置すべきことであると思いますが、この予算が減るという状況でいいのかどうか。法案で漁民の努力を要請するならば、漁協経営の援助をもっと国がやるべきではないのですか。
 もう一つ続けて質問いたします。
 水産予算の七割が公共事業であります。そのうち九割近くが漁港関係であります。五年前と比べて公共事業は二千五百三億円から七・二%ふえまして二千六百八十五億円です。これに対して、経営安定対策、資源管理、栽培、養殖等の公共以外の予算は、千七十二億円から逆に減って一千六十六億円です。昨年十二月の参議院予算委員会で問題になりました北海道の漁港のように、二百十億円をかけて港をつくった。ところが、そこを利用する漁船はたった二隻しかなかった、こういう例が問題になったわけです。本当に漁民が必要なところ、港をつくるのも大事であります、整備も大事であります、しかし、魚価の安定、資源の増大、経営の安定にこたえていく、これが漁民の最も望んでいる要望だと思います。
 そういう点で、公共事業のそういうむだ遣いをやめて、漁協経営の安定あるいは漁民の経営の安定を図るように予算の組み替えをすべきではないのか。この点は予算の問題ですから、大臣に聞いた方がよいのでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 水産予算、特に公共予算のウエートが高いわけでございます。これにつきましては、今、先と言われましたように、漁港の予算が多いわけでございます。漁港と沿整、これが水産予算の中では公共予算になっているわけでございますが、漁港につきましては、これは何といいましても漁業生産基盤といたしまして漁業の生産の中心となるものでございますので、これにつきましては長期的、計画的に積極的な整備をしていかなきゃいけないと考えております。
 先ほど先生、北海道の例を言われましたけれども、これもたまたま北洋減船ということでロシアとの関係でもって減船せざるを得なくなった。そこで当初入る予定の大型船が入らなくなったということでありまして、ただ、あそこの能取漁港につきましては、大型船のところは別でございますが、それ以外のところは現在でも十分活用されているような状況にございます。
 また、非公共予算でございますが、これにつきましてもシーリングの厳しい枠の中ではございますが、各種事業の要請にこたえまして、水産庁といたしましては栽培漁業でございますとか、そういう必要なところにつきましてはこれまでも予算の充実を図ってきたところでございます。
 今後ともシーリング等、いろいろ限られた条件がございますけれども、水産政策が十分いきますように予算面でも配慮していきたいと考えております。
○須藤美也子君 最後に、今回の改正案で代表理事の兼業制限について入っているわけです。この参考資料を見ますと、「「兼職」兼業」とは具体的にどこまでを指すのかを確認しておくとともに、どのような場合に行政庁の認可が受けられるのか、漁協の役員は、地元漁業会社の役員でもある場合が多く、この規定を厳密に適用すると、地域社会に大きな影響を与えかねない」と、こういうふうに書いてあります。
 それで、全漁連も漁協系統の実態を踏まえつつ法案を改正してほしい、こういうことを言っているわけで、これを機械的に兼業はだめという形でなく、含みというか、弾力的に地元の意見も聞いて、そういう形でよく協議し実態も踏まえて準備をしていく必要があると思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(嶌田道夫君) 今回の法改正におきまして、漁協につきましても他の協同組織金融機関と同様にその職務専念性を確保する、それから責任ある業務執行体制を確保するということから兼職・兼業制限の規定が整備されたところでございます。
 漁協につきましても、このようなことでその規定を設けたところでございますが、ただ一律に決めた場合にはいろいろ問題が出てくる場合も確かにございます。そういう場合にはいろいろ例外規定につきまして認可する予定にしておりまして、この認可に当たりましては他業態とのバランスや漁協の実態を十分踏まえましてその運用を検討していきたいというふうに考えております。
○須藤美也子君 ぜひ漁民が将来展望を持って、後継者も育成できるような活気ある漁協なり漁業地域にしていただくように、最後に強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(真島一男君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより採決に入ります。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(真島一男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、阿曽田君から発言を求められておりますので、これを許します。阿曽田君。
○阿曽田清君 私は、ただいま可決されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、日本共産党及び二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    水産業協同組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  水産業協同組合は、漁業者等の協同組織として、水産業の振興や漁村の活性化等に貢献しているばかりでなく、昨年の国連海洋法条約の締結に伴い、資源の管理についても重要な役割を果たすことが期待されている。
  よって政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
 一 自己資本及び内部留保の充実については、組合員の理解と協力を得ながら推進するよう、その実現に向けて十分指導すること。
 二 員外監事・常勤監事の必置等については、組合の信用事業の規模や地域の実情等にも配慮しつつ、監査体制の強化が図られるよう十分指導すること。また、全漁連による監査が公認会計士等の活用により充実したものとなるよう指導するとともに、行政検査の充実に努め、監査・検査の実効性の確保を図ること。
 三 役員等の兼職・兼業の制限の適用に当たっては、漁村の実情や組合事業の特性・専門性にも配慮しつつ、責任ある業務執行体制が確立されるよう十分指導すること。
 四 部門別損益の組合員への開示については、この制度が、組合員の理解を深め、組合の経営体質の強化に資することとなるよう指導すること。
 五 漁業経営の不振等に伴う漁協の財務の実情に対処し、地方公共団体とも連携して、漁協の経営基盤の強化のための諸対策の推進に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(真島一男君) ただいま阿曽田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(真島一男君) 全会一致と認めます。よって、阿曽田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、藤本農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。藤本農林水産大臣。
○国務大臣(藤本孝雄君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
○委員長(真島一男君) なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(真島一男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(真島一男君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤本農林水産大臣。
○国務大臣(藤本孝雄君) 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 畜産の振興を図るためには、家畜衛生、特に家畜の伝染性疾病の発生を予防し、蔓延を防止することが基本的に重要でありますので、農林水産省といたしましては、従来から家畜伝染病予防法に基づき、家畜の伝染性疾病の防圧に絶えざる努力を払ってきているところであります。
 しかしながら、近年、畜産経営の大規模化が進み、家畜の伝染性疾病の発生による被害の大型化が生ずるおそれがある中で、伝染性海綿状脳症のような新たな疾病が発生してきております。
 また、食肉等の輸入量の増大等に伴いまして、海外からの家畜の伝染性疾病の侵入機会が一段と増加しているところであります。
 このような状況に対処し、より効果的かつ効率的な家畜防疫制度を構築するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、家畜の伝染性疾病の危険度を再評価し、法定伝染病について伝染性海綿状脳症の追加等を行うこととしております。
 第二に、危険度の高い家畜の伝染性疾病の発生状況等の情報を全国的、組織的に把握し、その情報に基づき都道府県知事が発生予防措置を的確にとり得るようにするほか、これまで知られていない疾病を発見した獣医師から都道府県知事への届け出制度を設けることとしております。
 第三に、危険度の高い家畜の伝染性疾病の発生状況等の把握体制を整備することに伴いまして、輸入検疫においても同様に危険度の高い疾病を対象とした検疫を行うとともに、輸入検疫証明等、輸入検疫に係る手続を電子的に行えるようにすることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(真島一男君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会
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