第142回国会 予算委員会 第14号
平成十年四月一日(水曜日)
   午前九時一分開会
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   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     山口 哲夫君     栗原 君子君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     林  芳正君
     鈴木 政二君     沓掛 哲男君
     和田 洋子君     釘宮  磐君
     西山登紀子君     阿部 幸代君
     泉  信也君     平野 貞夫君
     島袋 宗康君     佐藤 道夫君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     魚住裕一郎君     山下 栄一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                小山 峰男君
                角田 義一君
                風間  昶君
                照屋 寛徳君
    委 員
                阿部 正俊君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                林  芳正君
                平田 耕一君
                真鍋 賢二君
                依田 智治君
                久保  亘君
                釘宮  磐君
                小林  元君
                直嶋 正行君
                広中和歌子君
                魚住裕一郎君
                牛嶋  正君
                加藤 修一君
                高野 博師君
                山下 栄一君
                及川 一夫君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                阿部 幸代君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                平野 貞夫君
                星野 朋市君
                佐藤 道夫君
                栗原 君子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法務大臣     下稲葉耕吉君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運輸大臣     藤井 孝男君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       労働大臣     伊吹 文明君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣     上杉 光弘君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
   政府委員
       内閣審議官    安達 俊雄君
       人事院総裁    中島 忠能君
       人事院事務総局
       給与局長     武政 和夫君
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
       公正取引委員会
       事務総局経済取
       引局取引部長   上杉 秋則君
       総務庁長官官房
       審議官      西村 正紀君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       総務庁行政監察
       局長       土屋  勲君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       防衛施設庁次長  小澤  毅君
       経済企画庁調整
       局長       塩谷 隆英君
       経済企画庁総合
       計画局長     中名生 隆君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       沖縄開発庁総務
       局長       玉城 一夫君
       国土庁長官官房
       水資源部長    齋藤  博君
       法務省刑事局長  原田 明夫君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省理財局長  伏屋 和彦君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       証券取引等監視
       委員会事務局長  堀田 隆夫君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部大臣官房総
       務審議官     高  為重君
       文部省生涯学習
       局長       富岡 賢治君
       文部省初等中等
       教育局長     辻村 哲夫君
       文部省教育助成
       局長       御手洗 康君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       文部省体育局長  工藤 智規君
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  篠崎 英夫君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       真野  章君
       通商産業省産業
       政策局長     江崎  格君
       資源エネルギー
       庁石油部長    林  良造君
       中小企業庁長官  林  康夫君
       運輸省航空局長  楠木 行雄君
       郵政省放送行政
       局長       品川 萬里君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       労働省職業安定
       局長       征矢 紀臣君
       建設大臣官房長  小野 邦久君
       建設省道路局長  佐藤 信彦君
       自治大臣官房長  嶋津  昭君
       自治省行政局選
       挙部長      牧之内隆久君
       自治省財政局長  二橋 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
       福山市立加茂中
       学校教諭     佐藤 泰典君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十年度総予算三案の審査のため、本日の委員会に福山市立加茂中学校教諭佐藤泰典君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 本日は、景気、教育、倫理に関する集中審議を行います。
 質疑者はお手元の質疑通告表のとおりでございます。
 それでは、これより質疑を行います。沓掛哲男君。
○沓掛哲男君 おはようございます。
 ただいまから、倫理と景気についての質問をさせていただきますが、その前に一、二分申させていただきます。
 実は自由民主党から中山正暉さんを団長とする朝鮮民主主義人民共和国への訪問団が昨日深夜帰ってまいりました。私もその一員として行かせていただきました。しかし、近くて遠い国だということを実感してまいりました。これからのアジアの平和と発展のために、日本と朝鮮民主主義人民共和国の関係者がさらなる汗をかくことが必要だし、また総理初め皆様方の強い御支援、御指導をも賜りたいことをお願い申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。
 最初に、倫理問題を四問ほどさせていただきたいと思います。
 一番最初に人事院総裁にお願いしたいんですが、国家公務員倫理に関する法制化が検討されております。自民党におきましても、昨日試案が出されて、党で一生懸命今検討もいたしております。
 罰で倫理の実践を担保しなければならないとは残念であり、情けない気持ちでいっぱいであります。国家公務員法にも服務規定等、公務員の倫理に関する規定がありますが、これでは法律上十分でないということでしょうか。必要ならば国家公務員法の一部改正を行うことも考えられますが、国家公務員法では国家公務員の倫理の実践を担保するのに限界があるということでしょうか。
 私の体験から申し上げれば、国家公務員の倫理実践の確保は、採用試験から勤務期間、退職後の処遇までの一連のライフサイクル全般の見地から見直してこそ効果があるというふうにも思います。国家公務員の採用試験において倫理に関するチェックはどのようにしておられるのでしょうか。また、勤務期間中の各種研修において倫理実践の担保についてどのように指導しておられるのか。これらの改善による効果は大きいと思いますが、人事院総裁、いかがでしょうか。
○政府委員(中島忠能君) お答えいたします。
 国家公務員法には、確かに先生がおっしゃいますように、倫理に関する規定がございます。ただ、その規定というのは二、三カ条に限られるわけでございまして、その二、三カ条の規定によってどの程度倫理の問題に対応できるかということを考えてみますと、やはり非常に心もとない気がいたします。
 そのもとにおいて昨今多くの不祥事が生じておるわけでございますので、それらをよく考えてみますと、法律による対応というものの限界を認識しつつも、公務員倫理というものを確保するためにどういうような予防規定というのが考えられるのか、あるいはまたその予防規定というものを担保するためにどういうシステムがいいのか、そしてまた不幸にして不祥事が生じた場合にどういうふうなことを考えていかなきゃならないかということを現在の国民世論というものを背景にして考えていきますと、やはり一つの体系立った法律というのがいいんだろうということで、現在、各政党で議論をされておるというふうに私は認識しております。
 その認識に基づいて各政党が議論されておるわけでございますので、私たちもできるだけ側面的にいろいろ知恵を出していくというお手伝いをさせていただいておるわけでございますけれども、先生が今おっしゃいますように、法律による対応というものには限界がございます。
 今回の不祥事というものをよく考えてみますと、そういう個人を対象にして考えるということと並びまして、公務員制あるいは人事管理そのもののあり方というものを考えていかなければなかなか不祥事というものはなくならないなという気がいたします。
 そこで、先生が今おっしゃいますように、採用に当たっての問題とか、あるいはまた研修に力を入れるとか、そういうことが考えられるわけでございますけれども、私たちは現在、採用に当たりましても、単なるペーパーテストだけではなくして、面接等におきまして人物を十分検証していくという試みもいたしておりますし、それにかける時間も徐々にふやしてきております。また、研修におきましても倫理というものに力を入れておりまして、概略でございますけれども、国家公務員の大体一〇%ぐらいに、年間、倫理に関する研修を受けていただいております。
 そういうことも含めまして、制度面あるいは人事管理面においていろいろ工夫をいたしまして、できるだけ不祥事というものが少なくなるように、また根絶できるように努力してまいりたいと考えております。
 いろいろな方のお知恵をかりながら、人事院といたしましても最大限努力をしてまいりますので、御指導をいただければというふうに思います。
○沓掛哲男君 次に、総務庁長官にお尋ねしたいんですが、国家公務員倫理規程は厚生省の元次官の収賄事件を受けて九六年十二月に整備されました。総務庁が中心になって事務次官等会議で申し合わせ、各省庁がほぼ横並びで導入されております。内容としては完璧だと思います。
 しかし、我が国ではいろんな分野で建前と本音をうまく使い分けてトラブルを少なくし、それなりに成果を上げてきました。もちろん法律に至らない問題が中心ですが、法律でも、例えば食管法などという法律もありましたし、また道交法の速度制限などもなかなか建前と本音が分けにくい、すっきりさせにくい、そういうような問題もございます。
 さて、公務員の倫理規程は、理想的なものであればあるほど、社会的常識を超えているものであればあるほど建前と本音の理論で解釈し、行動しがちであったと思います。
 例えば総務庁でまとめられた事務次官等会議申し合わせ、平成八年十二月十九日付の中の「関係業者等との接触に当たっての禁止事項」として、「ア 接待を受けること。」、「イ 会食(パーティーを含む。)をすること。」、「カ 講演、出版物への寄稿等に伴い報酬を受けること。」等が挙げられております。
 公的施設を使って業界等と業務上の話をする場合の弁当もだめなのか、講演する前の昼の弁当もだめなのか、講演や出版物への寄稿のためには土曜、日曜という私的時間を使ってそういうものをいろいろつくり上げるんですけれども、そうしても一切弁当もだめなのか、そういう問題がございます。
 倫理規程をさらに強化するに当たっては、個人の判断の入る余地の少ないもので、常識的に守れ、実行できる規則をぜひお願いしたいというふうに思いますが、総務庁長官、いかがでございましょうか。
○国務大臣(小里貞利君) お話がございましたように、一昨年十二月の公務員倫理規程は、なるほど何回となく読み返せば読み返すほど、ただいまお話がございましたように、極めて細目にわたりまして、いわば微に入り細をうがってこんなにまできちんと一つの基準というものを制定しなければならなかったのだろうかと思うぐらい極めて整ったものである、こう思っております。
 しかしながら、お話がございましたように、自今、しばしばと申し上げていいと思いますが、不祥事が頻発をいたしておりまして、大変遺憾なことであるわけでございます。これにどのように対応するか。総理大臣の方からも強力な指示がございまして、目下、簡単に申し上げますと二本立てで対応策を検討しておる。一つは、内閣官房、人事院、私ども総務庁、この政府機関の方で今積極的に対応を検討いたしております。もう一つは、公務員制度調査会の方におきまして検討を進めておるところでございます。
 その具体的内容につきましては目下検討中でございますが、とにかく綱紀の保持の実効性というものはどこにあるのか。先ほど議員のお話でも触れておいでになりましたが、極めて常識的なものであって、個人の主観、判断が入りがたいものでなければいかぬ。きちんと行動基準というものを整理するべきではなかろうか、そういう御指摘であろうかと思うのでございますが、ごもっともなお話であると思います。
 なおまた、先ほど若干お触れになりました現在の公務員倫理規程において、例えば接待等に対する対応はどうなっているのか、全く食事などできないのかというお話であったかと思うのでございますが、職務上のことであればこれは前もって上司の了解を得まして、そしてそれをある一定の節度を持ちまして対応はできる、そういうふうになっておるかと承知いたしておるところでございます。
○沓掛哲男君 次に、人事院総裁にお尋ねしたいんですが、人事院は各省庁の本省の職員の勤務状態をどのように把握しておられますか。各省庁、もちろん省庁によって差がありますが、予算のとき、国会開会時、法案審査時など、これらを通算すると年間ほとんど深夜まで厳しい勤務をしておられます。超勤の支払いはごく一部であり、深夜勤務帰りのタクシー代、夕食代の支払いも自己負担で行うなど、心身ともに大変過酷なものがあります。
 私が役人の若いとき、研修で人事院の課長さんにこのことをお尋ねしましたら、あなたは課長から超勤を命ぜられましたかと。それから、各省庁から人事院へは、超勤の支払い等は実施された職員にきちっと払っていると報告されているとのことでした。それは当然で、もう議論をする元気もありませんでした。建前と本音の違いを痛感いたしました。
 衣食足りて礼節を知るという中国の古語がありますが、公務員の倫理を徹底するとともに、国家公務員に払うべきものは支払う義務も徹底していただきたいと思います。
 しかし、中途半端にやるとまた別の問題が発生してきます。余り厳しくすると家へ持って帰って仕事をするなどといういろんな問題が出てきますから、それは総合的によく判断し、十分注意して実行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(中島忠能君) 超過勤務問題というのは非常に難しい問題でございますが、私たちもこの問題には大変頭を痛めております。なぜ超過勤務がこれほどあるのかということを考えてみますと、私は四つぐらい原因があるだろうというふうに思います。
 一つは、何といいましても行政が非常に複雑、高度化しておりまして、各省間の折衝というものが非常に多くなっておる、そしてまたこの各省間の折衝というのが非常に時間がかかるようになっておると思います。したがいまして、各省間の折衝で物事が解決しないときには、内閣官房等で強力に調整をしていただく必要があるだろうということを最近つくづく感ずるようになっております。
 それから第二番目は、行政の国際化ということに伴いまして国際的な業務がふえておる。したがって、国際的な業務に対応するためには、時差がございますので、ある程度の超過勤務というのは避けられないなという気がいたします。
 それから三番目は予算関係の対応でございますが、これは大蔵省の方にも御協力いただいて、できるだけ予算関係の超勤というのを少なくしていかなきゃならないなというふうに思います。
 そして最後は国会関係の超過勤務でございますが、これもなかなか言うべくして簡単にその関係の超過勤務というのが減らないというふうに思います。
 しかし、この問題は根の深い問題で、対応が難しいということで放置することはできませんので、できるだけ各方面に働きかけて超過勤務を少なくしていく努力を重ねなきゃならないなというふうに思います。その上で、やむを得ず超過勤務というものが生じた場合には、おっしゃるように超過勤務手当を払っていくということをしなければ、先ほど先生がお話しになりました不祥事のこととも私は関連すると思いますけれども、やはり払うべきものは払うということを公務組織としてはしっかりしていく、その上で守るべき規律はきっちり守っていただく、こういう慣習を公務の世界で確立することが必要だというふうに思います。
 先生がおっしゃることは身にしみて私たちよくわかりますので、微力ながら努力してまいりたいというふうに思います。(「そんなことやったら、むちゃくちゃになっちゃう」と呼ぶ者あり)
○沓掛哲男君 いや、そんなことはないよ。黙っていなさい、あなたは実態をよく御存じないでしょう。私はよくよく調べた上で申し上げているんです。
 では四番目、これは総理にお尋ねしたいんですが、公務員倫理規程を強化する際に配慮していただきたいことを申し述べたいと思います。
 従来から、国家公務員の倫理の実践を徹底するため、種々の措置がなされました。しかし、昨年暮れの大蔵官僚や日銀管理職職員の接待汚職事件をきっかけに、公務員倫理法の制定の必要性が言われておりますが、その検討に当たって次の三点に特に留意し、冷静に進めていただきたいと思います。
 まず第一点ですけれども、民間と交流せず、民間の生の声にも接しないで統計数字みたいなものだけを相手にする官僚では、反面では独善的行政の弊害が増す懸念がございます。かたい人ほどいいというわけでなくて、私たちも長い間やってきたんですが、かたい人ほどまた独善的なそういう弊害というのもございます。そういう点についてまずいろいろ配慮していただきたいというふうに思います。もちろん、そういう業界との関係を進めろということを言っているのでは決してありません。
 二番目、優秀な人材が公務員を敬遠するようになっては国民的な損失だというふうに思います。何といっても国は政治家と優秀な官僚によって支えられている面が多いわけでございますから、優秀な人が国家公務員にはそれならもう行かないよということではこれまた大変でございますので、そういう面での御配意もいただきたいと思います。
 それから三番目、官僚世界に倫理の筋を通す必要があるのは当然でありますが、その倫理の規程をつくるに当たりましては、広い視野からのバランスのとれた議論を進めていただきたいというふうに思います。士気が高く規律ある行政機構を確立するには、公務員が誇りを持って仕事ができる条件を整えることも必要だと思います。官僚バッシング的な視角からの議論だけではなく、こうした前向きの議論もしていただきたいと思います。
 私は今まで指弾されている官僚の人たちを守ろうとか、決してそういう気持ちで言っているのではありません。これからの官僚の世界をこうしていただきたいという願いでございますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員冒頭に、国家公務員法の中における倫理規定というものから議論を始められましたことを私も大変真剣に拝聴いたしておりました。そして、なぜ国家公務員法上の倫理規定が現実の運用上効果を発揮していなかったか、この点について人事院総裁からのお答えがあったことも真剣に聞いておりました。
 私自身、倫理規程をつくることで官僚の諸君がみずからの行動を律してくれると思っておりましただけに、その倫理規程をつくりました後に今回のような事件が起こりましたことは本当に情けない思いでありましたし、倫理法の制定まで考えざるを得ないという決断をいたしました。その気持ちも、長年公務員の世界に身を置かれた議員としておわかりがいただけることだと存じます。
 そしてその上で、確かに議員が御指摘になりましたように、ほとんどの公務員は国民の負託にこたえて真剣に働いてくれておると私は信じておりますし、そうした諸君が社会公共のためにという意気込みをなくし、やる気を失わせてしまうようなことはどんなことがあっても避けなければならないと思います。
 今、政府としても真剣に議論をいたしておりますが、自民党においてもこうした問題についての検討が行われ、与党三党の間でも協議が行われておりますことを承知しておりますので、これらと密接な連携をとりながら、今国会中に御議論がいただけますように早急に作業を進めている状況であります。
 その中で、ただいま議員から指摘がございました三つのポイント、すなわち民間との交流を可能ならしめるように、当然ながらそれには一定の節度はありますけれども、これは一つの大事なポイントでありますし、公務員に人材を確保するための努力というものも、またバランスのとれた議論をその上でしてほしいと言われましたことも、私はそれぞれ非常に重要な御指摘であると思います。
 そして、そのためにはやはり国民の信頼確保というものを基礎に置きながら、総合的、効率的かつ機動的な行政というものを考える場合、これを支える人事管理システムというものがどのような姿のものとして構築されなければならないのか、そして公務員のライフサイクルをどうとらえるのか、こうしたことをも含めながら、公務員制度調査会において国家公務員に対する制度及びその運用について今全般的な見直しの調査、審議を行っていただいております。
 いずれにいたしましても、倫理法をつくることは、それによって公務員を処罰することが目的ではありません。むしろ、それだけの誇りを持ち、強い使命感を持って職務に邁進できるような状況をつくり出す、それが一番望ましいことであります。御注意は大切に受けとめたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) さきに答弁いたしました総務庁長官から発言訂正の申し出がございます。小里総務庁長官。
○国務大臣(小里貞利君) どうも失礼いたしました。
 政府部内に公務員倫理問題に関する検討委員会を設けてとただいま総理の方からお話がございましたが、そのとおりでございまして、先ほど私はあるいは公務員制度調査会と申し上げたかと思うのでございますが、さよう訂正をさせていただきます。
○沓掛哲男君 では、これから景気・経済問題で質問させていただきます。
 最初に、大蔵大臣にお願いしたいと思います。
 今回のアジアの通貨・金融危機のショックは最近になく大きいものでした。危機の原因論は既に出尽くしている感もあり、質問時間の関係で省略させていただきます。
 さて、一年前の今ごろ、このたびのアジアの通貨・金融危機を事前に察知する、すなわち予知することはできなかったのでしょうか。どの程度の情報収集等をされ、その分析がなされていたのでしょうか。
 例えば一九九四年に中国人民元がドルに対して三〇%を超える大幅な切り下げをし、日本円も一九九五年の後半以降はドルに対して急速に切り下がっているのに、その他のアジアの通貨はドルと固定されていたので、円や人民元に対して切り上がることにより、それが国際収支を悪化させ無理が出ていたのではないか。九六年ころから国際金融界ではそろそろ危ないと言われていたとのことでございます。
 次の質問も一緒にさせていただきます。
 そこで、経済企画庁とか外務省とか大蔵省、日銀あるいは通産省には大変そういうことに詳しい方々がおられるわけですけれども、それぞれの情報を持ち寄り一体となって調査検討すれば、いつという時期は特定できなくても、アジアでの通貨危機、金融不安の起こることは予知できたのではないでしょうか。従来から言われている危機管理は武力行使や災害に伴うものですが、今回の金融危機を契機に、国内外の金融問題に対応する危機管理体制も早急に検討、策定する、そういうことも必要ではないかと思いますが、大蔵大臣の御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 委員御指摘のとおり、今回のアジアの経済危機は大変な影響を我が国にも及ぼしておるわけであります。
 そのことについて予知できなかったのかという御指摘でございますが、大蔵省としては、平素からアジア各国の経済・金融情勢については財務官、国際金融局を中心としてさまざまな方法で情報把握、そして分析に努めてきておるところでございます。具体的に言えば、アジア各国の通貨当局との緊密な連絡、あるいはIMF等国際機関からの情報収集、さらには外務省の協力をいただいてアジア各国に存在する在外公館からの情報収集、こういったことで状況の把握に努めておったわけであります。
 今回不安定な状況が生じた諸国については、硬直的な為替相場制度や大幅な経常収支赤字等の点について問題があるということは認識をしておりました。しかし、このような問題点を抱えながらも、アジア諸国の多くは極めて順調な経済発展を遂げておったことも事実であります。したがって、今申し上げましたような問題点があるからといって、今日の事態が生ずるであろうということを確信を持って予想することが極めて困難であったということが実情であります。
 なお、省庁間で十分な情報交換が行われておったのかどうかという点でございますが、大蔵省としては、平素より関係省庁と緊密に連絡をとり合っているところであり、最近のアジア諸国における情勢に関しても、随時、外務省等関係省庁と情報交換を行っておるところであります。
 今後ともこういう点についてはさらに緊密な連絡をとりつつ、また関係国の情勢等について情報収集をしっかりやってこれからの対応に誤りがないようにしていきたい、こう考えておるところでございます。
○沓掛哲男君 ありがとうございました。
 ただ、私から一言言わせていただくと、九五年三月の「エコノミスト」に前の日銀総裁の松下さんは今のことを、いわゆる不良債権処理問題については政府が今やっておると同じことを経済界の対談でおっしゃっているんですよ。九五年というともう三年余も前にそういうことをきちっと言っておられるので、そうなると、日本の優秀な方々はそういう情報をいっぱい持ってここにおられるけれども、それが形としてきちっとできないところに問題があるのじゃないかなと思ったので、今のような質問をさせていただきました。
 次に、総理にお願いしたいんですが、アジアの通貨危機等の調査のために、先般、自由民主党からは中山元外相を団長として、シンガポール、タイ、インドネシア、香港を訪問されました。その報告等によりますと、経済不況に苦しむアジア諸国においては、現地企業が事業活動を行う上で必要な部品、原材料のための輸入資金までが調達できないまでに信用収縮が進行しているということでありました。
 もとより、世界経済全体の観点に立っても、成長セクターであったアジアの回復は必要不可欠であります。そのため、貿易保険や日本輸出入銀行の活用により、深刻な信用収縮を解決するための具体的手だてを含めた東南アジア経済安定化等のための緊急対策を二月二十日に閣議決定しておられます。極めて時宜を得たものと思います。
 しかしながら、金融的な措置に加え、アジア諸国が潜在的な力を再び発揮して成長経路に復帰するためには、中長期的なスパンで各国が産業構造の高度化を図り、競争力の強化を図ることが肝要であります。そのために、我が国も総力を挙げてアジアの金融、経済に関する調査検討をし、的確なアドバイスと支援を行い、アジアから金融、経済で信頼される日本となることを強く願うものであります。それには、各省庁単独ではなく、関係省庁の持つ情報、知見等を総合して実行する仕組みが必要だと思います。
 これらにつきまして、先般、御多忙の中、寸暇を割いてインドネシアを訪問され、スハルト大統領等とインドネシアの経済危機を回避し回復するための有意義な会談をしてこられました総理の御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず冒頭、先ほど松永大臣から御答弁を申し上げた部分、私なりに補足をお許しいただきたいと思うのでありますが、昨年のサミットの時点において、既に私たち日本としては、タイのバーツについての予兆といいますか危険な様相になりかねないという印象を持ちまして、非公式首脳会合の席上でも実はその問題に触れた時期がございます。しかし、残念ながらそれほど他の関心が強くなかったということと、あくまでもこれは予兆でありますから、これを議題にしたということが外に聞こえた瞬間に引き金を引きかねないという危険性を感じ、それ以上の議論を避けたという事実がございます。
 そして、議員が御指摘になりますように、これは政府部内だけではなく、日銀あるいは民間の金融機関、我が国はアジアについての情報は確かに多数持っておりますし、それを実態的に突き合わせながら判断するということは今までもある程度は行ってまいりました。その上で、予兆としてとらえましたものをそっと相手に伝えられる場合はいいのですけれども、むしろそれが市場に影響を与えることを懸念する、そうしたこともあり得るということだけはぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
 今、議員からも御指摘をいただきましたように、アジア経済の回復のために我々が努力をしていくというのは当然のことでありますし、既にタイ、韓国そしてインドネシア、IMFの枠組みの中における二線準備としての日本の役割は欧米諸国を抜いてはるかに大きなウエートを持っております。
 しかし、そのIMFの枠組みだけがすべてではありません。そして、日本は貿易保険を活用する手法でIMFの枠組みとは別に各国に対しての支援の手を伸べたい。これは松永大臣自身御苦労いただきました先般のG7で、こういう方式を採用できないかということを強力に各国にも働きかけましたが、残念ながら必ずしもそれに対する合意を得ることはできませんでした。しかし、これはIMFのルールの外でありますから、日本は貿易保険の活用による信用の供与はきちんと行ってまいります。
 またそれ以外に、特にインドネシアに対しまして無償資金協力の形で、国民の暮らしを直撃しております例えば透析用注射器、これが一時期非常に不足し、人命にかかわるものとして第一回の無償供与の対象にいたしました。さらに、追加をいたしました資金の中から、粉ミルクでありますとか、そういう必要な品目をインドネシア側と相談の上で供与し、配給のルートが確保されておることを確認しながらこうした努力も進めております。
 そして先日、ちょうど新しいインドネシアの内閣が生まれました直後ジャカルタを訪問し、スハルト大統領と二時間半の会談を行ってまいりました。そのときスハルトさんにも私はより弾力的な対応を求めましたけれども、IMFとの合意の中で、島のたくさんあるインドネシアという国の特殊性というものを考えてもらうと。
 なぜなら、一万七千の島で構成されている国であります。一定以上の人口のある島が五千を超えるといいます。当然ながら、必要な物資の輸送も船舶あるいは航空機によらざるを得ない。これを一気に民間の流通にゆだねるといっても問題が生ずる。事実生じている。こうした特殊な問題点というものを指摘することによって、IMF合意の再検討の機会ができるように我々も協力をする、しかしインドネシア側もきちんと守るべき約束は守ってもらいたい、そのような話を申し上げる中から、スハルトさんも、守るべき約束、きちんと行ったらそれは守りますということを断言され、今IMFとの間での再協議がジャカルタで継続をいたしております。
 私は、明日、国会のお許しをいただいて第二回アジア欧州首脳会合、ASEMに出発をいたしますけれども、できればASEMまでにこの再検討の作業が終わっていることを期待いたしておりましたが、問題が広範なだけにまだ時間はかかっております。しかし、より実効性の上がる合意が形成されますように、日本も側面からの協力を惜しんでおりません。
 そして、日本経済が景気回復を強めるに従い、当然ながらそれはアジアにも好影響を与える部分として我々が果たしていく努力の一つの大きな要素になろう、そのように考えて取り組んでまいります。
○沓掛哲男君 では、公正取引委員長に質問したいと思います。
 現下の企業に対しての金融機関の貸し渋りは我が国の産業経済に大きな打撃を与えております。政府としても財政面等から種々その対策を立て実行しておりますが、依然として貸し渋りは続いております。
 そこで、悪質な貸し渋り金融機関に対して独禁法の発動はできないのかをお尋ねいたします。例えば、株価や土地価格の減少に伴い、担保積み増しの要求や貸し金の引き揚げ、あるいは金利を上げてしまうなどは独禁法第十九条、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」を適用できないのでしょうか。
 さらに、不公正な取引方法については告示で示されておりますが、その優越的地位の乱用で、「相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。」に該当しないのでしょうか。公取委員長の御所見をいただきたいと思います。
○政府委員(根來泰周君) ただいま御質問の点でございますが、いわゆる貸し渋りと独占禁止法との関係というのは、直接的なつながりはなかなか難しいと思います。ただ、仰せのように、貸し渋りの背景には、ただいま御指摘の独占禁止法第十九条の不公正取引なりあるいは優越的地位の利用という事案の伏在ということは当然考えられるわけでございます。
 私どもの方は、中小企業者、特に下請業者の保護ということを職務にしておりますので、そういう観点から、特に下請取引改善協力委員というのを委嘱しておりますけれども、こういう方からいろいろヒアリングを行いまして、ただいま仰せのような事案がないかどうかということを極力探査しているところでございます。したがいまして、当然のことながらそういう事案がございましたら厳正に対処する所存でございます。
○沓掛哲男君 実は大蔵大臣に質問を予告していなかったんですが、これはお耳に入れていただくだけでも結構だと思います。資本市場の育成ということについてお願いしておきたいと思います。
 企業が必要な資金を直接資本市場から調達しやすいよう、資本市場の規制緩和も強力に進めていただきたいと思います。
 私も、前に役所にいたときに、そういう債券を発行したり何なりする、そういうことをいろいろしたんですけれども、銀行等の条件が極めて厳しいんですね。資本市場から調達するということは普通の民間会社じゃもうできないほど厳しい条件がついております。
 市場におけるそういう債券等の安定化ということを強く言っておられ、それも大切なんですが、黒字が二期も三期も続いたら中小企業的なものでも債券市場が活用できるように、アメリカの場合でいえば、銀行が金利で得ている利益というのは四〇%ぐらいになっている、じゃ産業資本はどうなっているかと言えば資本市場でみんな調達しているわけですから、そういう面での資本市場での調達をぜひお願いしたい。これは大蔵大臣へのお願いとさせていただきます。よろしくお願いします。
 それから次に、日銀総裁、大変お忙しいところをお出ましいただきましてありがとうございました。
 そこで、まずお尋ねしたいんですが、長期債券市場では長期金利が三月二十五日に一・四九と過去最低を更新いたしました。三月二十六日に与党三党で過去最大の十六兆円規模の経済対策方針を決定しましたところ、二十七日には一・六一五というところまで上がりましたが、きのうの三月三十一日は一・五八と幾分下がっております。いずれにしろ、長期金利は非常に低い状況にあります。この低いということは一体どういうことでこうなるのか、これはどういうことを意味しているのかを教えていただきたいと思います。
○参考人(速水優君) お答えいたします前に、きょう四月一日から新日本銀行法が施行になりまして、けさ総理から山口副総裁及び三人の委員の任命を受けまして、きょうからスタートいたします。新しい法律、私どもにとりましては長年の宿願であったわけですけれども、独立性と透明性という二つの柱を持った立派な法律、諸外国にも負けない立派な法律をつくっていただきましたことを感謝申し上げます。
 ところで、御質問でございますが、市場金利は確かに下がっております。国債の指標銘柄で見ますと、おっしゃいましたように、二、三日前まで一・五を下回っておりましたが、また少し反発して一・六に近くなっております。これはそのときそのときの情勢で市場で動いていくものでございますけれども、そういうことは抜きにしましても、金利が歴史的にも、諸外国のかつての例を見ましても極めて低金利であるということは、これはもう万人の認めるところでございます。
 なぜこんなに低くなっているのかということでございますが、最近の景気動向を見ておりますと、低迷ということから、ダウンサイドプレッシャーといいますか、もう一歩下押しの圧力が動き始めているような、数字や市場の動きを見ておりますと感じがするわけでございます。
 もちろん機会があれば通常の金利水準に変えていかなきゃいけないわけでございますけれども、それにはもうしばらく自律的な回復軌道が見え始めないと、そういうことになってきますと金利の方も自動的に調整されてもいきますでしょうし、私どもとしましても金利引き上げを考える状況になっていくと思うんです。何分、今のところは出てくる数字が皆非常に悪いものですから、どうしても金利が下がっていくというのはこれまたやむを得ないところだと思います。
 個人の預金金利あるいは年金生活者等が非常に苦しい、御苦労であることは私どもも十分、私自身もこの間まで民間におりましたので承知いたしております。それと同時に、やはり景気が上向いていって、設備投資が起こり、企業の収益がふえ、所得がふえていかないと、一般の雇用者といいますか勤労者の所得がふえていかないと豊かにはなっていけないわけでございまして、そういうことをマクロ的な大きな立場で考えて、今まだ金利を上げていける状況にはないというのが私どもの判断でございます。
○沓掛哲男君 金利の問題についてはまた後ほどやらせていただきたいと思います。
 次に、経済企画庁長官にお願いいたします。
 昨年、総理主導のもとに進めてまいりました財政構造改革は極めて重要ですが、現在の我が国にとって大事なこととして同じく景気の回復、経済構造改革があります。私は、理論的に言えば、まず景気の回復を図りつつ経済構造改革をし、そうしながら財政構造改革を進めるということだと思います。
 さて、今までに政府のとられた景気対策としては、金融機関に対する資本充実等のための公的な支援とか、企業に対する法人税率の引き下げ、また貸し渋り対策として政府系金融機関や信用保証協会等への二十五兆円の支援とか、個人消費の増大のため二兆円の特別減税、さらにはゼロ国債一・五兆円を含め公共事業等二兆五千億円の追加実施等が行われております。これらによる景気回復効果をどのように見ておられるのか。
 さらに、自民、社民、新党さきがけの与党三党が三月二十六日に総合経済対策の基本方針を決定し、過去最大の総額十六兆円を上回る事業規模とするとのことですが、この十六兆円規模の経済対策を実施した場合の景気回復への効果をどのように見ておられるのか、経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 昨年秋以降、累次の経済対策の実行を進めておりまして、その中で、沓掛委員のお言葉のとおり、二兆円の特別減税、それから九年度補正予算あるいは金融システム安定化対策、貸し渋り対策等が既に実行されているところでございます。
 ただしかし、よく見てみますと、決定はされているけれどもまだ実行されていない部分もかなりございます。例えば十年度予算及び法人税の減税とか、あるいは有価証券取引税の減税、土地の譲渡益課税の減税等を含みます十年度予算関連法案、そういうものがまだ成立していないわけでございまして、これが実施に移されていない。それからまた、昨年十一月に決定いたしました規制緩和、例えば電気通信分野、労働者派遣事業、土地の有効利用等に関する規制緩和の法案も現在国会で審議中でございまして、これがまだ成立をしていないという状況にございます。
 これらの一連の措置が全部実行されて効果をあらわしてくる、少なくとも実行され始めるのが四月とか五月ということになると考えておりまして、そういう全体の措置が相乗的な効果を持っていくであろうというふうに期待をしているところでございます。
 先ほどのお話のとおり、経済は生き物でございますから、その時々の状況に応じまして臨機応変、適時適切な対応をしていかなければならないと考えているところでございまして、先日、自民党を中心とする与党三党から政府側に出されました総合対策の基本方針、私どもとしては現在の経済の状況から見て極めて適切なものであると思い、重く受けとめているところでございます。今後、これにつきましては諸般の状況を見きわめつつ、具体的な対応を決めてまいりたいと考えているところでございます。
 まだ具体的な内容が決まっていないわけでございまして何とも言えないわけでございますが、数字的に見ますと十六兆円という数字、内容にもよるわけでございますが、国内総生産、GDPの約三%に相当するかなり大きな金額のものでございまして、これが何らかの形で実行されれば経済の順調な回復に相当程度寄与するものと考えている次第でございます。
○沓掛哲男君 では、次はマーケットについて少し大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 最近、アジアのケースでも日本の状況でも、好むと好まざるにかかわらずマーケットが株価、金融、通貨、経済に及ぼす影響が大変大きくなってきております。昨年十一月の山一証券の廃業についても、最後のとどめを刺したのはマーケットとも言われています。
 マーケットとは何だということになりますが、要するにあそこはもうだめだという判断で株を売ってしまう、企業に貸している金を全部引き揚げてしまう、その結果倒産が起こるということのようであります。株価は経済を映す鏡だとか言われますが、ジョージ・ソロス等がヘッジファンド等を使って株価を動かすとも言われています。しかし、それがよいか悪いかを議論していてもしようがありません、現実にマーケットが経済を動かしているのですから。金融・経済政策も大変重要になってしまったマーケットというものを相手に立てなければならないと思いますが、政府はどのようにマーケットを考え、その対策を立てておられるのか。
 聞くところによりますと、アメリカではルービン財務長官も中央銀行総裁もマーケット育ちのマーケットで生きてきた人たちで、その感覚が役に立ち、国益と申しますか得をしているとも言われておりますが、大変この不可思議なマーケットについて政府はどのように考え、その対策を立てておられるのかを大蔵大臣に。
○政府委員(長野厖士君) マーケットというものに対するいわば政府側からの評価というのは、大変難しい問題ではございますけれども、しかし健全な経済が発展するところ、必ずそれを支えるのは投資家と資金調達者から成りますマーケットが健全に働いておる市場を持った国であるということは言えるかもしれません。
 その意味で、御指摘になりましたルービン財務長官、私も思い出しますが、昨年の十月二十八日、香港発の株の暴落が起こりましたときに声明を発表されました。日本で報道された部分は違う部分が報道されておりますけれども、第一に、きょうでもマーケットは正常に機能しておるということをルービン財務長官はまず声明の第一項でおっしゃっております。そういったマーケットを健全に働かしめ、その動きを当局側がきちんとウオッチしながら、そこから政策の指針を得ていくということが大切なのではないかと考えております。
 そういった視点に立ちまして、現在、金融システム改革の中で、先ほども先生が資本市場がこれから大切になるだろうとおっしゃいましたけれども、資本市場というのはまさにマーケットそのものでございます。そういったものが健全に機能していくような施策というものを、今国会に法律案でもお願いいたしたいと考えておるところでございます。
 もちろんそのマーケットは、ただいま若干の固有名詞を挙げて御指摘になりましたが、正常に働いてばかりいないような要素というのが働くところがございます。それは、不正な取引が入ってきて、それによって市場がゆがめられるといったような危険性でございますけれども、そういったものにつきましては、例えば風説の流布でありますとか相場操縦でありますとか、そういったことに働きがちな部分につきましては十分な監視チェック体制を整えていく必要があると考えております。
○沓掛哲男君 ちょっと時間が足りなくなってきましたので、前文をはしょって質問だけの形で大変恐縮ですけれども、大蔵大臣にお願いしたいと思います。
 アメリカのRTCの元総裁シードマンの体験に基づく次の提言は大変参考になると思います。日本政府のなすべき仕事は三つあるとこのRTC元総裁シードマンは言っております。
 まず第一に、債務超過に陥った銀行はつぶして資産を整理する。それから二番目に、救済可能な銀行は不良債権の処理を急がせる。三番目に、資本不足だが経営が良好で再生可能な銀行には適切な支援で資本を注入する。そのほかにつけ加えて、この場合、金融機関側にも、経営の透明性を高め企業会計を国際基準に合わせるほか、自己資本も国際基準を満たすよう増強することを求める。また、経営が破綻した金融機関の経営陣も株主も救済しないというRTCの元総裁シードマンの体験談が載っております。大変明確でだれにもわかりやすい提言だと思います。
 我が国政府も公的資金投入のための基準を設け金融危機管理審査委員会で審査を行っていますが、一般国民にとって大変複雑でわかりにくい面もございます。銀行の資本強化のための十三兆円のうち、既に二兆円近くは決まっておりますが、残り十一兆円の使用に当たりましてはひとつぜひ明快に執行していただきたいというふうに思います。
 大蔵大臣の御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 今、先生のおっしゃったシードマンの主張は私にもよく理解できるところでありますが、実は先般制定させていただき実行に移した金融安定化緊急措置法、あの中の規定を読んでいきますというと、同じようなことを考えながらの措置だと私は思うんです。
 例えば、どういう銀行に対して資本充実のための注入をしていくかということの基準があの法律には書いてありますが、二つに分けてありまして、一つは破綻処理をした金融機関の受け皿になっている金融機関、これはこういう基準で資本充実についてこの資金が使えますよということが書いてあり、それから一般銀行の場合には、経営の状況が著しく悪化していない金融機関というのが大前提になっております。
 今、委員仰せのとおり、債務超過の金融機関など経営の悪化した金融機関については今回の資本充実策の対象にはなっていないんです。そういう金融機関については、預金者保護を図りながら破綻処理という形で対応していくことに実はなっておるわけであります。
 そしてまた、資本注入を申請する銀行等については、経営健全化計画というのを書類で出させまして、その中で不良債権を的確に把握して、これに対する償却、引き当てが適切になされておるかどうか、これは厳しくチェックするわけであります。
 そしてさらに、いわゆる優良銀行でも、時にあっては金融市場において資金調達が困難になるという状況もありますので、そういう銀行等については、これもこの資本充実の対象になるわけでありますが、その場合でも先ほど申したとおり経営健全化計画書を出させまして、その中で、今申したような不良債権処理の計画あるいはまたそれに対する引き当てその他が適切になされておるかどうか、そしてさらにはいわゆる貸し渋りの解消のためにどんなことをしようとしているのか、そういった点についての計画書を出させまして、それによって資本注入をしていく、こういうふうに法律もあるいはまた基準の定めもそうなっておるわけでありまして、それに基づいて金融システムの安定化を図っていこう、こういったことでやっているところであります。
 法律及び予算を通していただきましたので資金は十分にあるわけでありますけれども、前回やったのは第一回目で、今後必要に応じて申請する銀行があれば、今申したような基準に基づいて自己資本充実の支援をし、そして全体としての日本の金融システムを安定化させ、同時にまた貸し渋り解消にも力を入れていく、こういうふうにやっていきたいと考えておるところでございます。
○沓掛哲男君 時間が少し足りなくなりましたので、途中を飛ばして申しわけありませんが、希望だけを大蔵大臣に申し述べて、移っていきたいと思います。
 一つは、不良債権の処理については全体像をわかりやすく示していただきたい。今度十三兆円を用意されましたが、これで金融機関、銀行の不良債権がきちっと処理されるのかどうか、そういうビジョンを示して国民にわかりやすく出していただきたいというふうに思います。
 私なりに感じを申し上げれば、十三兆円のうち二兆円近くはもう今お使いになっている。あとの十一兆円というのは、銀行の不良債権について悪い方から一、二の二つを足すと十一兆円あると一月の大蔵省発表で出ておりますから、その悪い方の下から一、二というのに十一兆円、それに今度の二兆円を都合すると大体十三兆円になるので、一番悪いところと下から一、二ぐらいは処理できるのかな。そうすれば、大体不良債権問題というのは、上の方にもっと悪いのが幾つかあるけれども、そのぐらいはきちっと自主自立、自己責任でやっていけるんだという、そういう何かわかりやすい全体像を描いてこの不良債権処理問題を御説明していただきたいなというふうに思います。これは希望にさせていただきます。
 それからもう一つは、銀行の株式保有についてですけれども、今回のいろいろな問題については、株価が上がったり下がったりするたびごとに金融機関の貸し渋り、そういうものがいろいろ起こってくるわけですけれども、アメリカでは銀行の株式保有は許されておりませんし、ドイツでは自己資本の六割までをその株式残高の限度とするとか、何らかの形でそういう規制があるんです。
 日本の場合は全然そういうものがないし、これからまた株価が動いたりいろんなことで左右される。そういうものをなくしていく上において、もう少し銀行の株式保有というものを検討する必要があるんではないかなというふうに思います。これは大変申しわけありませんが希望とさせていただきます。
 次に、日銀総裁に金利の問題でお尋ねしたいんですが、時間が少ないので、もう十分おわかりでございますので私から一方的にお話をさせていただきたい。
 その前に、日銀総裁は民間にいたとき、金利は余りにもひど過ぎる、自分の友人などのやっている、そういう基金を動かしているところでも金利が入らないので大変苦しいというふうにおっしゃっておりましたが、私は総裁の民間におられた感覚が本当の国民の求めている声だというふうに思います。あの日銀の白亜の殿堂に入るともう日銀総裁の本来の持ち味が生かしにくいような気もするので、そこで私から御希望をさっと申し上げたいと思います。
 九五年九月からの低金利は、当時の景気を落とさないことや経済の自律回復に資する面はありましたけれども、一方で倒れるべきものを倒さないという形で日本経済全体の体力を弱めてきました。
 それから二番目、発展途上国では金利の低い方が景気がよくなりますが、日本の場合、国民のGDPの六〇%が個人消費で、しかも個人資産千二百兆円、うち預貯金は六百六十兆円でしょうか、そういう国では事情が違うのではないでしょうか。成長期と同じ考えで経済政策をやるべきではないのではないでしょうか。
 それから三番目、金利政策は他の政策、財政、税制、金融と総合的に行われるべき時期に来ているのではないでしょうか。国じゅうが三種の神器を求めた時代はマネーサプライと金利で日銀が金融を支配しましたが、国民の金融資産千二百兆円の時代にはいろんな要素がかかわるので、従来ばかりにこだわらずに、総裁の民間におられたときの柔軟な発想をぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 そこで、公定歩合〇・五%の話をしていると時間がないので、この三番目の方の話に行きます。
 公定歩合の上げ下げにはその幅とタイミングが大切と言われますが、上げ幅は小刻みでも閉塞感を打破するということで大きな意義があると思います。タイミングは、平成十年度予算が執行され、かつ次期経済対策等明るい話題ができる四月ごろからが私は最適の時期だというふうに思います。私も三月はやるべきではないということを言っておりましたが、四月以降、こうやって明るいときに入ったときに踏み切るべきではないかと思います。
 世界じゅうどこを見てもこんな超低金利はなく、日本を除く先進国で一番低い公定歩合はドイツの二・五%、次がフランスの三・三%であることから見ましても、国際的に異常視される超低金利はチャンスをつかんで速やかに是正すべきではないでしょうか、もう二年半も超えているのですから。劇薬を長期間使用すると全身が麻痺して動かなくなる。徐々にその使用を改めるべきですが、まさに金利についても同じで、低金利にどっぷり日本中浸ってしまったので、もう動かない状態になっているんじゃないか。その機能というのが私は余り動かなくなっているのだと思います。
 ですから、仮に〇・二五%でも、少しでも明るい方向に動かせば、日銀という我が国で最高権威のあるところがやや新しい方向に動き出した、そういうことが私は非常に大きく効果を発揮するのではないかというふうに思いますので、ひとつ総裁から最後にお答えをいただいて、終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(速水優君) 委員のおっしゃることは私も十分理解できると思いますが、先ほども申し上げましたように、消費者、一般庶民だけでなくて、大きな企業というものは、あるいは大小をまぜて、やっぱりお金が安く借りられるということが新しい仕事をやれる一つの大きな魅力になるわけでございます。それが企業の採算を助けていくわけで、そういう広い面から考え、そしてまた自律的な回復軌道が今まだ下へ向かっているときに企業などが余計暗くなってしまうということは、これはちょっとまずいと思います。
 そういうことを考えながら、先生のおっしゃる明るい面への調整をできる時期を待っていたい、よく見ていきたい、新しい政策委員会で十分検討して間違いないようにしていきたいと思っております。自律的な回復が少しでも早く起こり始めることを期待いたしております。
 以上、私の考えを述べさせていただきました。
○沓掛哲男君 そこで、今おっしゃったいろいろなことですが、総理もこの前本会議で、そういう場合住宅のローンが云々というようなこともいろいろお話しになりました。
 例えば住宅ローンについてお話し申し上げれば、いわゆる住宅金融公庫が既に貸しているお金というのは七十兆円あるんです。もちろん住宅金融公庫から借りた人は民間も借りていますけれども。ですから、今金利を上げたからといって、それまでに借りた七十兆円がすぐ上がるものではありません。ことし一年ではどれぐらいかというと、大体十兆円強なんです。確かにことしの十兆円強、それに民間から借りるものは幾分は上がるでしょうけれども、全体から見ればそんなに大きな数字ではないんです。
 それから、総裁のような立派な偉い方にはおわかりにならないのだと思いますが、中小企業が今借りている金利というのは、公定歩合が幾らだからで借りているんじゃないんです。地方の銀行が目いっぱい利益を上げられる、そういうだけで、その企業がつぶれない限度において目いっぱい彼らは取るんです。要するに、にらみ預金とかいろんな手法でやっているので、〇・二五%動かしたから中小企業が設備投資するかどうか、何かするかということともうほとんどリンクしない状態なんです。もちろん、中小については政府側のいろんな金融機関もありますから、私は今やったから中小企業がどうだ云々ということには非常に薄いんだと思いますので、その辺も御配慮の上、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。小山孝雄君。
○小山孝雄君 関連質疑をお許しいただきましてありがとうございます。同じく自由民主党の小山孝雄でございます。
 私は、文教関係、教育問題に関しまして質疑をさせていただきます。
 今まさに、少年たちの反乱とでも言うべき現象が全国各地に起こっているところでございます。深く憂慮にたえない次第でございます。
 私は、きょうは学校の現場がどうなっているかということを、公立中学校の現場で教鞭をとっておられる先生に、この場に参考人として、委員長を初め、理事、委員の皆さんのお許しをいただいて来ていただきまして、いろいろお話を伺いたい。そこからまず質疑へ入りたいと思います。どうぞ閣僚の皆様も委員の皆様も、学校現場が今どうなっているかということをお聞きいただきたいと思います。
 おいでをいただきましたのは、広島県福山市立加茂中学校で社会科の先生をしていらっしゃる佐藤泰典さんでございます。
 福山市は、人口三十七万人、公立小学校が六十三、中学校が二十七校ある、極めて平均的な地方の中堅都市、こう言えると思います。
 橋本総理は剣道教士五段でありますが、佐藤教諭は柔道三段でございます。課外活動では柔道部の顧問として大変熱心に指導もしておられまして、かつては御指導なさった中学校が全国大会にも出場したことがあるという熱心な熱血先生でございます。さらにまた、生徒だけに規則を押しつけてはいけないということでみずから坊主頭で教壇に立っておられる、こういう方でございます。生活指導の面においても大変精力的に取り組んでおられるということであります。
 参考人にお尋ねをいたします。
 今、中学校の数は全国で国公私立合わせまして一万一千二百七十五校、生徒数は約四百四十八万、教員数は二十七万数千。この中で、総務庁長官もおいででございますが、直近の青少年白書では、校内暴力は全国で一千八百六十二校、件数にして八千百六十九件、約二割の中学校でいわゆる校内暴力という事件が表面化し、前年度に比較して四割近く増加している、こういう統計もあるわけでございます。こうした統計数字について、現場の教師としてどんなふうに受けとめられますか。まずお答えを願います。
○参考人(佐藤泰典君) お答えをさせていただく前に、参議院予算委員会の先生方、本日はこうした機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。ふなれですので至らない点もあるかと存じます。しかし、公務員として公正中立な立場で事実のみを伝えさせていただきたいと思います。
 さて、御質問の件ですが、今御発表のデータには、基本的に教育委員会に報告された数字が載っていると思われます。教育委員会に報告される校内暴力はかなり深刻なケースです。つまり、校内暴力が発生している中学校は基本的に荒れた学校と見ていいかと思います。ですから、全国的に見ても全体の二割が荒れた学校ということをこの数字は示していると思われます。
 これは私の住む福山市にもそのまま当てはまります。福山市には公立中学校が二十七校ありますが、程度の差はあれ、そのうち五、六校、つまり二割の中学校は現在荒れています。
○小山孝雄君 福山市でも全体の二割、これは全国統計と大体合っているというわけでございます。
 では、荒れているというのは、荒れた学校というのはどういう状態を指すんでしょうか、参考人にひとつ具体的にお話をいただきたいと思います。
○参考人(佐藤泰典君) 十二年間にわたる私の教員体験から申し上げますと、学校の荒れぐあいにはおおよそ五段階あるかと思われます。
 第一段階は、教室にあめやガムなどのごみが目につくようになり、机や壁への落書きが始まります。また、生徒がつばを廊下や階段に吐くようになります。どこの学校もそうでしょうが、調子が悪い、先生、熱をはかってくると言って授業を受けず保健室へ行く生徒がふえています。トイレへ行くと言って授業中に出ていき、そのまま教室に帰らないという状況もたびたび起こっています。荒れていない中学校でもほとんどがこの段階にあります。
 第二段階になりますと、先生の注意に対して、うるさいんじゃとか殺したろかといった暴言を吐くようになります。言うことを聞かなくなり、授業がしづらくなります。また、トイレにたばこの吸い殻が見られるようになります。
 第三段階になりますと、スイッチが壊されたり、トイレのドアがけ破られたり、窓ガラスをほうきで割ったりなど、器物破損が人の見えないところで行われるようになります。また、授業に出てこない生徒集団があらわれてきます。
 第四段階になりますと、生徒を少し注意しただけで暴れるということが頻繁に起こるようになってきます。トイレが壊され、使えなくなります。この段階では、生徒の喫煙も日常化しています。たばこも、最初は教師の見えないところ、つまり校舎の陰とかトイレの中で隠れて吸っていますが、だんだんエスカレートして、教師の前で平気で吸ったりします。この段階以降を基本的に荒れた学校と私たちは認識をしております。
 最後の第五段階になりますと、教員が暴力を振るわれるというケースが出てきます。ある教師が、授業中なのに校庭でたむろし、たばこを吸っている生徒たちを注意します。すると、その生徒たちが逆上して職員室に押しかけてきて、先公出てこいやと大声を上げて暴れるといった事態も生じています。廊下に設置してある消火器を教室や廊下にばらまくなど、学校の機能も麻痺状態になります。
○小山孝雄君 荒れていく模様が非常にリアルに伝わってまいるわけでございますけれども、続いて参考人にお尋ねしますが、そういう悪さをしたりあるいは暴力を振るう生徒を先生が制止するということは難しいんでしょうか。どうですか。
○参考人(佐藤泰典君) 毅然と注意する先生もいるんですが、注意をすると生徒たちはますます逆上して、殴られたりします。教員の側は、そういう状況でも生徒に手を出すわけにはいきません。手を出したら、その状況がどうであろうとマスコミに非難され、教育委員会に処分されるおそれがあります。
 ですから、十人ぐらいで生徒が暴れて向かってくると、教員は殴られるままで抵抗することもできません。しかも、けがをしても、職員会議で教員の中から、注意の仕方が悪かったからかえって怒らせてしまったんだろうとか、生徒の心を理解できなかったことが問題なんだ、被害届を出すことは教育の敗北だということが延々と話し合われまして、注意した教員が悪いということになります。警察に被害届を出すことはまずありません。
○小山孝雄君 三月二十四日に、文部省の児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議というところから「学校の「抱え込み」から開かれた「連携」へ」と題した報告書が提出されました。その中に、教員の正当防衛ということが明記されたとマスコミは大きく報じたわけでありますけれども、今お話を承っておりますと、なるほどと、こういう気がするわけでございます。
 参考人は、お聞きしますと柔道三段ということでありますけれども、そんな猛者的な先生にも生徒たちは暴力を振るうことはありますか。
○参考人(佐藤泰典君) 暴力を振るわれたこともございます。
 一年生の入学式後のホームルーム中、近くで上級生が騒いでいたので、自分の教室に帰りなさいと注意したわけです。そうしたらその生徒たちが私の教室に押しかけてきて、佐藤出てこいや、偉そうなことを言うな、やってやろうかとどなってきました。廊下に出たところ、生徒たちが私を取り囲んで殴ったりけったりしてくるわけです。彼らは教員の私が手を出せないことをよく知っていますから、まさにやりたい放題です。結局、私は逃げるしかありませんでした。
 もし手を出していたら教員を続けることはできなかったと思います。しかし、逃げることで教員としての権威は台なしです。荒れた生徒たちはますます増長し、入学したての一年生は教師に失望し、以後相談に来なくなり、一層生徒指導は難しくなりました。暴力を振るったぐらいでは学校が生徒を処分するということはとてもできません。
○小山孝雄君 大変な状態を今聞かせていただいたわけであります。
 結局は、教員というのは生徒から何をされても手は出せないし、逃げるわけにもいかない。しかし逃げるしかない。処分もできない。逃げたときには荒れた生徒は増長し、一般の生徒は失望した中でさらにそれに巻き込まれていくという悪循環が繰り返されるわけであります。
 そのことを今聞かせてもらったわけですが、一月二十八日、岩崎委員長の地元でもございます栃木県の黒磯市での女性教諭刺殺事件というショッキングな事件も、そういう状況の中で起こったのかなということを今想起するわけでございます。
 ところで、あの事件以来、特にナイフというものに世間の注目が集まっておりますが、参考人は、ナイフを持っている生徒を指導したり、あるいは持ち物検査などはどのようになさっておられるんでしょうか。聞かせていただけますか。
○参考人(佐藤泰典君) 実際、学校でナイフで人をおどかした生徒がおり、指導したことがあります。相当数の生徒が持っているおそれがあります。しかし、持ち物検査をしていないので実際の正確な数字はわかりません。
 持ち物検査ですが、検査をするためにはまず校長の許可が必要ですが、なかなかゴーサインが出ません。校長が許可をしても職員会議で諮ることになり、生徒を疑うことになるとか生徒の思いや背景を理解するべきだといった意見が出て、なかなか合意できません。もし職員会議で合意できても、クラスの全員にまず持ち物検査をすることを十分納得してもらわないといけません。そうしないと、保護者からプライバシーの侵害だと批判されますし、生徒も応じてくれないからです。しかし、ちょっと注意したぐらいで突っかかってくる生徒たちがおとなしく検査に応じてくれるわけがありません。結局、持ち物検査はできないということになります。
○小山孝雄君 持ち物検査については文部省もいろいろと教育委員会を通じてということで方針を出したりいたしておりますけれども、現状というのはかくのごとしであるということを今聞かせていただいたわけであります。この後、所感を聞かせていただきますが、参考人の意見をさらに続けて聞かせていただきます。
 どんなことがあっても先生は逃げるしかない、目の前でナイフを見せられればともかく、持っているかもしれないと思っても検査することはできない。こんな状態の中で、そうした荒れ放題の中で授業というのは一体どんなふうな状況でしょうか。
○参考人(佐藤泰典君) 率直に申し上げまして、授業にはなりません。
 どんな状況かといいますと、始業のチャイムが鳴って教員が教室に行ったとき、生徒はほとんど席に着いておりません。その生徒たちを教室に入れて席に着かせるのに五分から十分ぐらいかかります。やっとの思いで授業を始めても、教室の窓から抜け出たり、もっとひどいときは廊下を自転車で二人乗りをしてイエーイと声を上げながら手を振って他の先生や生徒をからかっているという状態です。教室に残った生徒も後ろの方でボール遊びをしたり机の上に足を上げて漫画を読んでいます。
 それでは先生はというと、生徒たちに背中を向け黒板に黙々と字を書いているという状態です。何名かの生徒が黒板の近くに行って字を写しています。しかし、こうしたまじめな生徒たちも言いがかりをつけられて校舎の裏や屋上に呼び出されて殴られたり、お金を取られたり、いじめられたりします。全国でいじめ自殺が相次いでいますが、その背景にはこういう荒れた学校の状況があります。
○小山孝雄君 本当にぞっとする思いがするわけでございます。
 総理、そして文部大臣、また閣僚の皆さん、これは決して福山の特殊事情ではないです。総理のすぐ近くで商売をやっていらっしゃる方がついこの前ある方の紹介で見えられまして、中学校の生徒を持っている親御さんでございましたが、自分も学校を視察に行きました、そうしたら本当にそんな状況、今お話しいただいたのと全く同じ状況があります、どうかこの現状を政治に携わる皆さんは御理解くださいということを訴えておられました。
 そしてまた、これはもう十年も前に出た本ですけれども、埼玉県の中学校の教師の皆さんが編集した「子どもが変だ!」という現場からの訴えが、今と全く同じような状況がたくさん出ております。「別冊 宝島」という子供たちにも非常に人気のある雑誌だそうでございますが、そんな光景がこの中にもたくさん書かれているわけでございます。
 こうした荒れた学校の状態に対して、教員側はまさに手も足も出ないままということなんでしょうか。佐藤参考人にお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐藤泰典君) 全くないというわけではありません。大多数の教員は生徒たちを何とかしたいと思って懸命に指導に当たっています。現に荒れた学校と荒れない学校があります。また、荒れた学校の中にもきちんとしたクラス、クラブもあるわけです。
 では、荒れる荒れないはどこからくるかといえば、やはり教員の指導力にかかっているのではないかと思います。
 この指導力について、ベテランの先生の話を紹介したいと思います。
 万引きの常習犯で月のうち一度は万引きをするという生徒がおりました。この生徒がお店で捕まりました。親に連絡するから電話番号を言いなさいと言われて、その生徒は親ではなくてその先輩教師の電話番号を言いました。電話連絡を受けた先生が飛んでいくと、お店の人から延々と怒られました。おまえは一体どんな教育をしているんだから始まって、ばり雑言を浴びせられ、その間その先生はひたすら頭を下げ続けました。一時間余り怒られ続けて、やっとのこと解放してもらいました。お店から出たとき、その男子生徒が、先生、何で自分は担任で親じゃないと言わんかったん、そしたらそんなに言われんかったのにとぽつんと言いました。それに対してその先生は、ばかじゃのう、学校じゃわしが担任じゃないかと言うと、その生徒は黙ったまま涙ぐんでいました。以後、万引きは一度もなくなりました。
 単に口先だけで注意しても生徒は変わりません。真心で生徒にぶつかっていくと生徒の心が動くと思います。教師の中に信念がないと、たばこや暴力、いじめの問題は解決できないと思っております。
○小山孝雄君 ことしはマハトマ・ガンジーの没後五十年だということでありますが、マハトマ・ガンジーが二十一世紀の先進国の模様を七つの項目に分けて描いた言葉があります。その中の一つの、人格なき教育が行われるようになる、こういう言葉を今思い起こすのでありますが、まさに今のお話は、教師の人格と生徒の人格がかちかちとぶつかり合って、そして生徒の目覚めがあったというすばらしいお話かな、こう思ったわけであります。
 参考人御自身も随分御苦労なされて荒れた学校を体当たりで立て直されたという御経験もおありだと、こう聞いておりますが、御紹介いただけますか。
○参考人(佐藤泰典君) 私が立て直したというよりも、同僚の先生や保護者の皆さんの協力で立ち直ったということです。
 荒れた生徒たちに共通していることは、学校にも家庭にも自分の居場所がないということです。自分は要らない人間なんだと思い込んでしまい、何とか学校やクラスメートに自分たちの存在意義を示そうとしてわざとたばこを吸ったり威張って暴力を振るっているというわけです。
 実はこうした生徒たちというのは、ある意味ですごいパワーがあり、影響力を持っています。そこで、これらの生徒たちにエネルギーの別の使い方を指導すればいいわけです。例えば体育大会のときに応援団のリーダーを任せたりするとうまくいくことが多いです。生徒たちも、自分で応援団をまとめ、チームを勝利に導く体験を持つと、自己実現、達成感を持つし、何よりも今までの疎外感が吹き飛んでしまいます。そうした生徒たちが変わると、影響力のある生徒たちばかりですから、学校の雰囲気も一変し、以後よい方向に進んでいきました。
 また、私は柔道部の顧問をしていて、チームが県大会で優勝したり全国大会に出場したりしたこともありますが、指導に際しては勝ち負けだけにこだわらないようにしています。社会のためになる人になってほしいとの願いを込めて、集団生活をしていく上での基本的なルールを教えています。具体的には、時間を守る、あいさつをする、正しい言葉遣いをするといったことです。当然、自分自身も生徒に要求したことは必ず守るようにしています。こういうことが生徒との信頼関係をつくるし、クラブの士気も高まるということになります。
 実は、時間を守ることができない、つまり遅刻やチャイムが鳴っても席に着かないといったささいなことから学校は荒れ始めていきます。
○小山孝雄君 今るる聞かせていただいたわけでございますが、まず町村文部大臣、今の現場からの報告、どのように受けとめられ、もろもろの投げかけがあったと思います。どうぞお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今、佐藤先生でいらっしゃいましたか、貴重なまた大変リアルな学校現場のお話を聞かせていただきました。
 私も、学校現場を訪れたり、中学校の先生あるいは養護教諭、こういう方々と話をする機会が最近多うございます。求めてそういう場でいろいろな話を伺いました。
 先般も千代田区のある中学校に行ってまいりました。そこでその荒れた姿というのをいろいろ伺いました。その学校も実は数年前大変に荒れていたそうであります。そして、それを正常な状態に戻すのに約二年かかったと。そこでは校長先生以下すべての教員が同じ方向を向いて一生懸命努力をする、約一年半から二年かけて。ただ、一人でも先生が崩れるとそれはだめになると言うんですね。やっぱり同じ方向でみんなが努力をするということによってこの学校も荒れた状態から回復することができた。そういう話を聞きまして、今の佐藤教諭のお話と非常に相通ずるものがあるな、こう思いました。
 例えば、持ち物検査のお話も今出ました。先般の黒磯の事件があった後、私は全国の教育委員会の皆さん方にお集まりをいただきまして、まず命の大切さを再三教えてもらう。そしてそれと同時に、必要あるときには持ち物検査もおやりください、毅然とした対応をしてください、ただ、全部やりなさいとかそういうことは申し上げない、クラスにより、学校により違いがあるわけでありますから、そこのところは申し上げました。ただ、先ほど、そうはいっても職員会議等々の場でそれが結局うまくいかないというのが今までの学校の確かに常識といいましょうか、社会の常識と学校の常識が著しくかけ離れていたんだろうと思います。
 でありますから、私は社会の常識が学校の中にも通ずるようにしてくださいねと申し上げましたら、相当の反発が現実に文部省にもありました。でも、そこは今明らかに少しずつでも変わってきているのかなというふうに私は受けとめております。少しずつ社会の常識が学校の中にも通用するように変わりつつある、こう思っております。
 また、協力者会議、三月の上旬におまとめをいただいたわけですが、これは問題行動が起きたときの対応の仕方ということで、一つは学校の中に全部抱え込まないでくれと。
 さっき、そういう届けを出すことはその学校現場の敗北である、そういう教員室でのお話があったというせりふがありましたけれども、まさにそういう雰囲気があるんです。それは、責任感を持って学校の中でよくしたいという気持ちは私はとうといと思います。
 ただ、もうどうしようもなくなったときに、なおかつそれを抱え込むのは無理があるということで、児童相談所とかあるいは警察等々と必要な連携を図ることもこの際はためらうべきではないといったようなこと、あるいは先ほど殴られるに任せたというお話もありました。これも一歩間違うと要するに体罰ということで、原因のいかんを問わず体罰を起こした教師は処分されるというこれまでの姿がありました。
 私は、もちろん学校の中で体罰を肯定するつもりはありません。ただ、もちろん正当防衛という言葉を使うこと自体が残念でありますが、それはそれで当然だれしもが持っている権利としてあってもいいだろうし、要は子供と先生との間に本当に信頼感が少しずつでも生まれてくればそうした問題というのはなくなってくるんだろうな、こう思っております。
 いずれにいたしましても、今伺いましたそうした生々しいお話、非常に難しい学校があることも事実でございましょう。このことをより根本的にどうやっていくかというのは、結局私どもが今進めております教育改革をやっていくしかないと思いますが、緊急対応ということで幾つか先般来私どもなりに対応を打たせていただいた、こういうことでございます。
○小山孝雄君 どうぞ教育改革をお進めになるその中で、今言った学校現場を直視して取り組んでいただきたいと強く思うわけであります。
 総理、御所感を伺わせていただけますでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、参考人として大変率直な話を聞かせていただきましたことに私からも心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 その上で、本院でも申し上げたことでございますけれども、私は自分の主義として、五人の子供たちを、恐らく参考人は地名を御存じでありましょう、岡山県総社市立の小学校、中学校に学ばせてまいりました。一番下の子供だけは、私の生活が変わりまして小学校の四年から転校して東京に連れてまいりましたけれども、それぞれの子供、中には県内の中高一貫の私立を選んだ子が一人おりますけれども、皆公立の中学、小学校をいずれも経験させております。それだけに、荒れてくる前兆、荒れている学校、父兄の立場から見てまいりましたそれぞれの子供たちの登校当時を振り返りますと、私はそれなりに今の参考人の御意見を事実関係として受け入れたいと思います。
 その上で、最近そうした時間がとれなくなりましたけれども、もともとのボーイスカウトであり、またスポーツ少年団の指導の一員でありました体験からは、今のお話の中で、子供たちと地域社会とのつながり、あるいは父母の学校に対する協力関係の中で学校外における活動への協力体制というものがどうなっているんだろうという感じをぬぐえませんでした。
 実は、私自身そのスポーツ少年団の中で、子供が選手に選ばれる選ばれないという親御さんのけんかを持ち込まれて、それが逆に学校にまでフィードバックされるような厄介なことにもぶつかりまして、スポーツ少年団自身をどうしたものかと悩んだこともございますけれども、おかげさまでお互いの理解が行き届くようになりましてから、今非常にしっかりと根づいております。そして、そうした活動があちこちで拡大していくにつれまして、私の郷里であります総社市の場合、そうした問題はいつの間にかだんだん減っていったというのが私の実感でありました。もちろん、それでも問題は時々起きます。
 そして同時に、暴力に対して暴力で返すのではありませんが、恐らく参考人も柔道の顧問という立場では遠慮なく生徒を鍛えておられると思います。課外活動の中で、授業中あるいは学校内の暴力に対して無抵抗でおられる先生方が、一たんスポーツマンとして教える立場に立ったとき本当はいかに強いか、そういうことを子供たちが知っているだけでも私は随分違うと思うんです。
 そして、最後に御紹介のありました、先輩の教諭が、万引きの現場から親への連絡ではなく先生への連絡を選び、そしてその先生が外に出てから、おれの受け持ちじゃないかという一言を言われた。大変すばらしい話と感じました。
 先日、次代を担う青少年について考える有識者会議にその日提出される資料の一部を御報告申し上げましたが、あれを思い起こしていただきたいと思うんです。補導の対象になる五人のうち三人までの親御さんがそれに対して感謝してくださるけれども、大体二人ぐらい、それがどうしたんだという答えが返ってくる。現場の悩みとして出されておりました。
 同時に、あの日御紹介をいたしましたものの中に、非常にたくさんの事例が集まっておりましたけれども、まさに非常に問題のある子供に全く違った切り口から、激励の言葉というよりもよくやっているじゃないかという言葉をかけられたところからその子ががらりと変わったという例もございました。
 今、学校だけにお任せをするのではなく、私たちも含め親、親というのを家庭と言いかえてもいいのかもしれません、地域社会、どう手を携えていけば子供たちの問題にこたえ得るのか。本年義務教育を終了いたしました子供を持ち、この四月一日から高校に進む子供の親としても、今非常に真剣に聞かせていただいた次第です。
○小山孝雄君 ありがとうございました。まさしくおっしゃるとおりだと思います。
 きょうの朝刊に一斉に中央教育審議会の中間答申が出ております。その中にも、家庭のしつけの基本を改めて提示したということで、幼児には親が本を読んで聞かせよとか、子供にも家事を分担させよ、朝のおはようから始めて礼儀を身につけさせよ、物の買い与え過ぎを控え子供に我慢を覚えさせよ、子供部屋を閉ざすなとかいった、こんなことが果たして中教審の中に盛り込まれなければいけないものなのかなと思うことがたくさん満載された答申が出されたわけでございます。
 今、この教育現場のすさまじさを見ましたときに、決してこれは、学校が悪い、教師が悪いあるいは家庭が悪い、世の中が悪いあるいは政治が悪いという言がかつてはあったやに記憶いたしておりますが、そのようなことで解決できる日本国の教育の現状ではないと強く思うわけでありまして、本当にみんなで立て直しを図っていかなきゃいけない、教育の立て直しがなければ経済の立て直しもない、私はそんなふうに強く感ずるわけであります。
 次に、文部省にお尋ねをいたしますが、きょうのこの中教審の中にもございますが、あるいはまた三月二十三日に先輩の中曽根弘文委員も取り上げられて文部大臣とやりとりをされたことがあります。それは、道徳教育の大きな問題点として、授業が十分確保されていない、こういう指摘がありました。
 お尋ねをいたします。
 小学校、中学校において必ず道徳の時間を週一時間時間割表に入れなければならないというのが法令上の決まりだと思いますが、確認をさせていただきます。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、小中学校におきましては道徳の時間を週一時間実施するということでございます。これは、学校教育法施行規則の上に明定されているものでございます。
○小山孝雄君 この規定に違反した場合はどういう処分がありますか。
○政府委員(御手洗康君) 学校におきます教育活動は、学校教育法施行規則あるいはこの規定に基づきます学習指導要領の具体的規定に従って実施されるべきものでございます。学校を設置、管理する教育委員会、あるいは教育課程を実際に責任を持って編成する校長並びに実際に道徳等の授業を担当する教員がこれらの規定を遵守しなければならないことは当然のことでございます。
 したがいまして、仮にこれらの規定に違反するような行為がある場合には、その具体的な事実関係に即して、まずはきちっとした是正措置をそれぞれの段階で教育委員会あるいは校長等の権限においてやっていただくということは必要でございますが、場合によっては、事実関係が極めて法令上著しく違反しているといったような場合が生じたとしますと、当然のことでございますけれども、地方公務員法の規定に基づきまして懲戒処分等の措置もとられることがあり得るものと考えております。
○小山孝雄君 かつて教科書を使わずに授業をしたということで懲戒免職になった高校教諭もおりました。これはまた最高裁まで争われまして、最高裁の支持するところでも懲戒免職処分はそのまま実行されたわけであります。ということでありますから、当然、学習指導要領に違反をして道徳の時間が設けられていないという場合には処分の対象になるということを今確認したわけであります。
 ところで、文部省、私はきのうのうちに提出しておりますが、本当にごくごく一部、一応北海道から沖縄まで、私が気安くしている方にお願いをして、もしあなたのところに中学生がいらっしゃったら、ことし一年の時間割表を送ってもらえませんかと。どんなことになっているのかと思って調べてみました。三十四校挙がってまいりまして、そのうち何と九校が道徳の時間がゼロでございました。そのうち二校はけさ早く参ったものですからお渡ししておりませんが、昨日まで七校が道徳の時間ゼロという、時間割表がこうなっているよという学校名、市町村名もお伝えしてあります。調査の結果、どうだったでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 先生から御指摘のありました学校につきまして、道徳の実施状況につきまして、関係都道府県を通じまして関係の市町村の教育委員会に確認をいたしましたところ、御指摘の学校につきましてはいずれも教育計画上は道徳の時間を設定している、その旨の報告を市町村教育委員会にしているということを確認いたしております。
○小山孝雄君 そうすると私の調査が間違っていたのか、各学校から市町村教育委員会に報告が上がった段階で虚偽の記載がなされたのか、どちらかだと思います。
 しかし、申すまでもなく、私は、子供さんたちが、お孫さんたちが使っている時間割表をそのまま送ってくださいと。何を申したわけでもございません。ないものを送ってくださいと言ったわけじゃないんです。たまたま知っている方に、アトランダムに頼む頼むということで電話を入れたらこれだけ集まってきた。その中の何と二五%の学校が時間割にすら、中身の問題はこれからです、時間割にすら道徳の時間が入っていない、その現実はどのように受けとめられるんでしょうか。
 学校管理規則に基づいて学校から教育委員会に提出される時間割表というのは、これは公文書でございます。その公文書に虚偽の報告があるということは虚偽公文書作成罪、刑法第百五十六条、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金ということも記載されております。どういうふうに思われますか。
○政府委員(辻村哲夫君) 一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、公務員がその職務に関しまして行使の目的で虚偽の文書等を作成した場合には、ただいま先生御指摘のとおり、刑法上の虚偽公文書作成罪に該当するというふうに思われます。
 具体の事案につきましては、これが虚偽公文書作成罪に当たり、犯罪が成立するか否かにつきましては、証拠に基づきまして個別に判断をされるものというふうに承知いたしております。
○小山孝雄君 文部省が過去四十年間、道徳教育の時間が法令で設けられてから四十年になりますが、その間で二回の調査をやっておりますが、その二回の調査の中で全く行われていないというのはゼロだったわけでありまして、結果として文部省はそのようなどうも怪しげな資料をもとに対策を立ててこざるを得なかったのかということを思うわけであります。
 私は、決して、処罰しろ、処分しろということを強調しているのではございません。道徳の教育がきっちりと時間割表に入って、そして中身をきっちりと教えなくちゃならないんだということはそれほどに重いんだということを確認をしたかったわけであります。
 文部省にお尋ねいたしますが、少なくとも私が提出をしたこの市のこの学校、具体名まであなたのところへ渡しております。あえてここで私はその具体名は申しませんが、その学校に対して個別の指導、調査を入れますか。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいま先生から具体の御指摘がありまして、私ども昨日、関係の市町村教委を通してこうした事実を承知したわけでございますので、さらに県の教育委員会を通しまして事実解明に努め、指導の徹底を期したいというふうに思います。
○小山孝雄君 ぜひしっかりと進めていただきたい、重ねて要請をいたします。
 そしてまた、文部大臣、前回の総括質問のときに、新年度にもまた道徳教育の実態調査を行うと、こういう御答弁がございました。その調査も、今までのようなやり方では全く意味がないということがもう証明されておりますので、どういうふうにこれからその調査、そして指導のあり方というものをお進めになるおつもりか、お聞かせをいただきます。
○国務大臣(町村信孝君) 昨日ですか、中央教育審議会の児童のころからの心の教育のあり方ということで中間報告をいただきました。その中でも、学校教育のより改善すべき一つの大きなポイントとして道徳教育の充実という項目が挙げられております。
 また今、教育課程審議会で最終答申に向けまして新しい指導要領作成に向けての作業が進んでおりますが、その中でも同様の、道徳教育重視という方針は今後とも当然のことながら維持されてしかるべきと、こういうふうに私は理解をいたしております。
 その方針に立ちまして、先般、中曽根弘文議員からの御指摘もございましたが、今年度早々にもそれぞれの学校でどういう道徳教育の授業が行われるかということについて調査をいたしたい、こう考えておりまして、調査のやり方等も十分検討して、そしてまた調査の結果がこの指導を行えるだけの十分な根拠になるような、そういう調査をやってみたい、こう思っております。
 前回は平成五年の時点での調査でございまして、それに基づいていろいろな実態を皆様方にも御報告したわけでございますが、いずれにしてもこれだけ心の問題というのが大きく取り上げられている昨今でございます。それだけに、道徳教育の重要性というものを多分すべての学校現場の先生方も私は改めて認識をしているのではないだろうか。
 ややもすると、組合の運動方針に基づいて、道徳教育の時間をできるだけその実態を薄めていこう、あるいはないものにしていこうという動きがこれまではありましたが、今の実態を見ていまだにそういう運動方針を維持するとは私は思いませんので、現にそうしたことも大きな方針として日本全体としては、県により地域により差は現実にあるわけでありますが、全体としてはいい方向に私は組合の皆さんだってもう向かわざるを得ない。先ほど佐藤教諭のようなお話が現場にあるわけでありますので、徐々にそうした面で改善が図られているものと期待をしているわけでございますし、私どもも努力をしてまいりたいと考えております。
○小山孝雄君 道徳というのは最低限法律を守るというところから始めなければならないわけでございまして、公文書をごまかしてみたり虚偽の報告をしたりということで、生徒たちに規則を守れとかルールを守れなんということは、そんなことは、生徒たちは大人の言っていることは信用ならないということをちゃんと見抜いているわけでありまして、大変大事なことじゃないかなと思って取り上げさせていただいたわけであります。
 私もまた文部省のそうした方針を支持し、そして応援をします。たくさんの皆さんから実際にどう行われているのか、時間割表を送っていただいたり、あるいはお話を聞いたりして、行政にそのまま率直に意見をぶつけていきたいと思いますので、よろしくどうぞお願いを申し上げたいと思います。
 実際どんなふうになっているかというのを二つばかり例を挙げます。(図表掲示)
 これは道徳の時間が全くゼロの時間割でございます。ちょっと変わった学科がございまして、「日本語」というのがあるんですが、日本語というのはないはずでございまして、そんなことも指摘したいわけでございますが、これは全く道徳教育がないと。これが教育委員会に上がるときにはちゃんと道徳の時間がありますという形で出ているんだということをぜひ御承知いただきたい、その現実をきっちりと受けとめていただきたいと思います。統計だけで物をおっしゃらないでいただきたい。強く要請をいたします。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 それから、これも道徳という時間はございません。これは現実に使われているある学校のそのままでございます。(図表掲示)この赤で囲んでいるところに「人権」と書いてあるんですが、人権という教科はあるんでしょうか。
○政府委員(辻村哲夫君) 人権という教科はございません。
○小山孝雄君 そうすると、これも虚偽公文書作成罪に当たりますね。どうですか。
○政府委員(辻村哲夫君) むしろ、そういった刑法上の犯罪要件を構成するというよりも、教育の内容をそういう名称であらわしているんだろうと思います。そして、それは現行の小中学校学習指導要領の中にはそういう名称の教科、領域等はない、そういうふうな点が問題であろうというふうに思われます。
○小山孝雄君 私は、人権教育がいけないとか人権が大事だということを生徒たちに教えることをとやかく申し上げているのではありません。そんなことは当然のことであります。こういう教科はないということを確認したかったまでであります。
 学習指導要領には道徳教育の内容を具体的に細かく記載しております。そして、各学年ごとに教育内容をまとめて、「日本人としての自覚をもって国を愛し、国家の発展に尽くすとともに、優れた伝統の継承と新しい文化の創造に役立つように努める。」と、実に立派なことが書いてあります。
 しかし、二、三の例を挙げますが、実際行われている授業は人権という、本当は届けられたときにはこれが道徳と改められたということも私は確証をつかんでおりますけれども、そのことはもうこれ以上申しません。
 そして、実際に行われているのは、ここに広島県の公立学校で広く使われております「人権学習指導案」という資料がございます。この中にはこんなふうにも書いてあります。一番の眼目、この人権学習の目標、天皇制(日の丸、君が代、元号)は差別を助長してきたものであることを生徒に理解させ、生き方を考えさせると学習のねらいが説明されているんです。国旗、日の丸を焼き捨てた人の意見陳述書を使用して、天皇や日の丸、元号が差別を生んでいると、こう教えております。
 学習指導要領の特別活動の中には、「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。」と、こうありますが、このようなことを実際に教室で教えるということは学習指導要領違反となると思いますが、いかがですか。
○政府委員(辻村哲夫君) ただいまのような指導は学習指導要領の指示に反しているというふうに考えます。
○小山孝雄君 続いて二、三紹介いたしますと、卒業式を迎える生徒全員に、人権学習で学んだことを生かし、西暦だけの卒業証書を希望する人は担任に早く申し出るようにと文書で呼びかけている資料もございます。そしてまた、中には、私は元号で欲しいと申し出た生徒に対しては、おまえは一年間何を学んできたのかといってしかりつけたという事実もあります。そんな状況でございます。
 文部大臣、どうでしょう、道徳の時間が設けられていないのがこんなにある。私が本当にアトランダムに当たった中で、中学校で三千二百校ぐらいが全く時間割にも設けられていない。そしてまた、設けられていても、今申し上げたような教育が行われている。この現実に対してどんな所感をお持ちでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 道徳の時間がどのように使われているかという、その個々の学校の中身にわたって全部文部省が把握することは不可能でございます。それは、それぞれの教育委員会、そして教育委員会と個々の学校との関係でどこまでそれを把握していただくかということかなと思います。
 その中で、委員から今広島県というお話がございました。広島県の教育のいろいろな、今言われた括弧つき人権教育の実態につきましては、既にいろいろなマスコミ等でも報道されているところでありまして、文部省としても重大な関心を持って、今広島県の教育委員会の方にその事実関係を調査の上回答ありたいということを申し入れている、指導を行っているところであります。したがって、目下、広島県教育委員会がその実態を調査しているもの、こう私は理解をしておりまして、その結果を待ちまして、またしかるべき指導、助言を行っていきたい、かように考えております。
○小山孝雄君 教育委員会に調査を命じている、お願いをしているということでありますが、この前も文部大臣は中学校現場に足を踏み入れられて視察をなさったように、またひどい災害があれば国土庁長官はすぐ飛んでいきますよ、やっぱりその現場を見るということを文部行政の中に取り入れていただきたい。県教育委員会そして市教育委員会という二段三段の壁があるところでは、なかなか本当の実情というのはとらまえられないのじゃないでしょうか。ぜひこれはお願いを申し上げます。(「広島へ行け」と呼ぶ者あり)
 今、委員の方から広島へ行けという発言もありましたけれども、いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) 私は今、日本の大きな教育の流れというものを考えたときに、先週の金曜日に、中央教育審議会のこれからの地方教育行政のあり方という中で、できるだけこれからは中央から、要するに文部省から地方へ権限をいろいろ移していく、地方の教育委員会もできるだけ学校の現場に権限を移していく、学校の現場中心にこれからは生き生きとした教育がやれるようにしようという地方分権の大きな流れの中でこれからの文部行政を展開していきたい、こう考えております。
 したがいまして、私は、個々の学校の一々について文部省が一々出張していってどうだこうだと言うことはやるべきではない、こう考えておりますし、それが現在の学校の教育に関する法令の立て方にもなっております。その原則を私は変えるつもりはございません。
○小山孝雄君 今、分権のお話が大臣からありましたが、果たしてそうした分権で生き生きとした教育が、正しい教育が行われていくのかなと強い疑問を持っております。そのことを表明しておきます。
 私に与えられた時間があと数分でありますので最後の質問になりますが、私が今申し上げたような道徳教育の実態等であります。先般も先輩委員が質問に立ちましたけれども、そして橋本総理、文部大臣に、せめて道徳教育の教科書をつくったらどうだという意見もありました。やっぱりこれは考え直していただかなくちゃいけないのじゃないかと強く思いますが、この点いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) 道徳教育の中身、やり方をより充実したものにしていく、委員の御指摘は私ももっともだと思っております。
 ただ、その際、その道徳の時間の進め方として果たして教科書というものがなじむのかなじまないのか、私はもっといろいろな手法があっていいんだろうと思います。
 例えば、老人ホームに行くとか、いろいろなそういう体験をすることも一つでしょうし、あるいはインターネットなどを通じて金メダルをとった清水選手の貴重な話を聞くという方法もあるでしょうし、あるいは地域のすぐれたリーダーに学校に来てもらってそこで話を聞くとか、余り座学で、項目一何々、項目二何々と、教科書をただ字づらだけ、表面だけ読むということでは、これは正直言っておもしろくありませんし、やっぱりそこにはもっともっと工夫があっていいんだろう。その辺を今教育課程審議会等でも議論をしてもらっていますし、その辺がまた中教審でも御示唆をいただいているところかなと思っております。
 しかしながら、いろいろな適切な副読本とか教材あるいは現場体験、いろんなものの組み合わせでその実を上げていくことが大切なんであろう、かように思っております。
○小山孝雄君 きょう発表になりました中教審の報告の中にも、子供の心に影響を及ぼすいい教材、物語や偉人の伝記などを中心とするそうした資料、テキストを提供したらどうかという提言もありますので、どうかひとつ前向きにお考えをいただきたい、こう思うわけであります。
 そしてまた、つい最近、朝日新聞、読売、産経等でも取り上げておりましたけれども、各地の社会教育の一環としてつくられております、いわゆる平和資料館の中身が余りにもひどいじゃないかということで、例えば長崎などでは数百カ所も訂正された。間違いの多い資料館ができて、巨額の費用が投じられている。東京都議会は、その内容を改めざる限り計画を凍結するという都議会の決議もつい先般行われたわけであります。
 こうしたことも、どうして私こんなことを教育の中で問題にするのかといいますと、修学旅行のコースになっているんですね。それで、誤った歴史観をそこで植えつけられてしまうということを憂えるからでございます。どうかこの点も文部大臣、視野に入れていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
 そしてまた、体を養う体育館などはたくさんできておるわけでございますが、心を養う道徳教育の時間は今検証したとおりであります。総理がたびたび答弁で申されましたように、その地域の伝承、その地域のすばらしさなどを学習することも必要だということは全くそのとおりだと思います。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 しかし、体を養う体育館はできても心を養う講堂がないよという有力な指摘もちょうだいをいたしております。文部大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御承知のように、体育館は実際それは体育で使われるわけですが、その他、卒業式等々の行事でありますとか学芸会等の発表会とか音楽の発表とか、あるいは保護者の集会をやったりとか、いろいろな目的に使われる。そういう意味では多目的に使われているのが実情かなと思います。
 したがいまして、確かに心の教育を進めるという観点から専用の講堂をつくるというのは一つのいい御示唆かなと思っておりますが、敷地の問題とかそれぞれの自治体の財政状況等、こんなこともございますので、今後、文部省としては各地方公共団体の御要望などもよく承りながら検討してまいりたいと思っております。
○小山孝雄君 どうもありがとうございました。
 私の質問は以上で終わらせていただきます。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。林芳正君。
○林芳正君 自民党の林芳正でございます。関連して質疑を続行させていただきたいと思います。
 きょうは、景気、そして倫理、また教育ということの集中審議でございますが、まさに教育については、今同僚の小山委員から、私がふだんもやもやとして言いたかったことをすべて代弁してもらったような気持ちでございまして、大変に印象に残るやりとりだったなと思っておりますし、また倫理についても先輩の沓掛委員の方からございましたが、景気そして倫理についても一言だけ冒頭に申し上げたい、こういうふうに思うわけでございます。
 実は、景気と倫理というのは違うテーマのようでございますが、外から我が国がどういうふうに見えるかという意味でつながっているところがあるのではないかと私は思うわけでございます。特に、公務員や市場に携わる方が隠れたところで何かおかしいことをやっているのではないか、外からそういうふうに見える。中国の言葉で李下に冠を正さずという言葉がございますが、そうやっていないとしても、外からそういうふうにとられるということ自体が非常に市場にとってマイナスになる、こういうふうに思うわけでございます。
 ダボス会議がこの年頭にありました。そこで、アジアの経済についてクローニーキャピタリズムというような言葉を言われたそうでございまして、クローニーというのは仲間内の、隠れたところで談合的なことをやっている資本主義だというような非常に悪口であるわけでございますが、そういうことも言われておるわけでございます。
 一方、政府・与党で公務員倫理法というのも今検討しておるところでございますが、やはりグローバルスタンダードということを見た場合に、この倫理というもの、特に公的なところに携わる方の倫理というのが確立していくことによってやっていることの透明性が高まっていくということが、まさにきょうから外為法改正でございますが、金融ビッグバンを通じて新しい我が国の形をつくっていくという中で大変に重要だと私は思っております。
 まさにきょう改正の外為法が施行されるということで、六大改革の中の一番のスタートを切るわけでございますが、クローニーキャピタリズムと言われないようにするためにも、この倫理の問題に六大改革とともに取り組んでいかなければならないと思うわけでございますが、まず、その辺を含めて総理の御所感を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が使われました用語、私は初めて耳にする言葉ですが、確かに非常に耳の痛い言葉であることも事実です。そして、ここしばらくの間に、総会屋への利益提供という事件から、捜査が進むにつれその様相が全く変わり、最終的に大蔵省あるいは日銀から逮捕者を出す贈収賄事件に発展をした、供応に発展をした、これは本当に情けないことでした。
 それだけに、きょう改正外為法が動き始める、そしてこれによって内外の資金の流れは一層スムーズになるわけでありますし、我が国の金融資本市場が当然のことながら活性化してくれなければなりません。しかし、その背後にあって行政あるいは中央銀行に対する信頼が崩れていたら、市場というものの果たす役割というのはより限定的なものになる、これは議員の御指摘のとおりでありますし、本日新たに国会でお認めをいただきました日銀の新しい副総裁への辞令交付とともに、政策委員の方々に対しても、改正日銀法による中央銀行としての業務に加えて、信認を取り戻すという作業がつけ加わっている重みをぜひ御理解いただきたいというお願いを申し上げました。
 自由化が進む、これは市場の参加者にとりましては創意工夫を発揮できるチャンスがふえるということでもありますけれども、同時に自分の責任で行動する半径がふえるということでもあります。既に改正外為法のスタートを受けていろいろな企画が行われているという話を聞いておりますけれども、フリー、フェア、まあグローバルというのは結果として出てくることでありますが、フリー、フェアなプレーヤーとして活動してもらいたい、心からそう願っております。
○林芳正君 総理、大変ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりだ、こういうふうに思っておるところでございます。
 そこで、きょうから総理がおっしゃったように改正外為法が施行されるわけでございまして、まさに資本が今よりももっと自由に世界を行き来するという中で、先ほど先輩の沓掛委員からも御指摘がありましたとおり、昨年はアジアの通貨危機という予想もしなかったような事態に見舞われたわけでございます。
 この原因についていろいろ諸説あるという沓掛先生のお言葉でもございましたけれども、一般には、構造的に我が国が急速に、プラザ合意の円高の後、逆に円安になっていったと。それから、中国が御指摘のとおり、人民元の切り下げを九四年のお正月だったと思いますが行った、こういうことが言われておるわけでございます。
 その結果として、アジアのほかの国の通貨はドルにペッグをしている場合が多いわけでございますが、非常にこの通貨が相対的に切り上がってしまったということでございまして、結果として輸出競争力が低下することによって、それまで入っていた資金が、健全な設備投資ではなくて、いわゆる投機的なところへ入っていった。それがだんだんといろんなコンフィデンスが落ちることによって、短期資金ですから短期で逃げていった。いわゆるキャピタルフライトという状況が起こったというふうに言われておるわけでございますが、この一般的な見方について御当局がどういうふうに思われておられますか、御見解をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(黒田東彦君) ただいま御指摘ございましたような要因が一般的に言われております。
 すなわち、三つほど御指摘になったわけでございますが、第一に、最近のアジア諸国の為替がいろいろな要因から過大評価をされていたということ。それから二番目に、そういうことを通じて競争力の低下あるいは経常収支の赤字が拡大したということ。三番目に、経常収支の赤字の拡大の裏側で大量な資金が海外から流入したわけでございますが、これらが不動産セクターなど必ずしも生産的でない分野で使われ、そのバブルの崩壊等によりまして金融セクターの信認が低下した。こういったようなことが組み合わさって今回のアジアの通貨危機、経済危機が生じたというふうに一般的に言われております。
○林芳正君 一般的に言われておることでございますが、若干私は深く掘り下げて、少し修正的な見方をいたしたい、こう思うわけでございます。
 といいますのは、一般的な見方によりますと、人民元が切り下がったので競争力がなくなったということですから、今度は逆にアジアの通貨が切り下がったものですから、中国の方も競争力を失って人民元を再び切り下げるのではないかと。そうすると、切り下げ競争でスパイラル的に通貨の下落が行われるのではないかというようなことを言う方がおられます。中国の当局は、こういうことは絶対にしないんだ、人民元は絶対に堅持するということを繰り返し強調なさっておられるわけでございますが、そもそも原因として、本当に人民元の切り下げが九四年に行われたことがそれほど影響力があったのかということに私は若干疑問を持っております。
 と申しますのは、人民元の切り下げの前に、賃金の水準といいますのが既にほかのASEANの国と比べて四倍ぐらいの格差がついておったわけでございます。中国の人件費の方が安いものですから、アパレルのような大変に労働集約的な産業というのは、既にもうすみ分けがASEANと中国の間で行われておったということがよく言われておるわけでございます。
 また、中国の外貨というのは実は二本立てで行われておりまして、外貨調整センターというところがございまして、そして公定レートと二本立てで切り下げ以前は行われておりました。外貨調整センターにおけるレートは、既に当時切り下げ前にドル当たり八・七元まで行っておった。公定レートが五・八元でございますから、しかもこの外貨調整センターで流通しておった為替の取引というのがもう八割ぐらい切り下げの前に行っておったという情報もあるわけでございまして、これをベースにしますと、実質的な切り下げというのはほとんど七%ぐらいにしかならない。しかも、切り下げた後の九四年、九五年というのは、中国のインフレが二二%と一五%、大変なインフレでございますから、実質的には余り言われるような切り下げの要因というのはなかったんではないか、こういうふうに思うわけでございますが、御当局、いかがでございましょうか。
○政府委員(黒田東彦君) ただいま御指摘の点は、まさにそのとおりでございます。
 つまり、第一に、中国の人民元が九四年に切り下げられましたが、御指摘のように、いわゆる公定レートが外貨調整センターレートの方にさや寄せられる形で切り下げられたわけでございまして、公定レートが三十数%切り下げられたからといって、中国人民元が貿易に使われていたレートとして三割以上も切り下げられたわけではございません。したがいまして、いろいろな計算があるようでございますけれども、実質的に少なくとも三割も九四年に切り下げられたというわけではございません。
 それから、第二点目として、その後の貿易の状況を見てみますと、確かに中国の輸出は九四年、九五年と非常に増加しておりますけれども、例えば九六年には余り伸びていない。他方、東南アジア諸国の輸出も実は九四年、九五年は伸びておりまして、九六年に伸びが鈍化したということで、確かに中国の人民元の切り下げが直ちに非常に大きな規模で東南アジア諸国の輸出に大きな影響を与えているようには見えないわけでございます。
 ただし、そうはいいましても、各国のいろいろな輸出産品によりまして、また市場によりまして、中国の産品と競合しているものも当然あるわけでございまして、中国の人民元の九四年における切り下げが何らかの形で東南アジアの通貨の過大評価の一部には影響があったと思いますが、御指摘のように、主たる影響が中国の人民元の九四年における切り下げにあったというふうには考えておりません。
 なお、先ほど申し上げたように、東南アジア諸国の通貨危機の原因は、通貨の過大評価が一つでございまして、そのほかに、先ほど申し上げたような形で経常収支が非常に大きく赤字になり、資本をいろいろな形で取り入れて、それが生産的でない用途に使われ、信認を低下させたという複合的な要因であったというふうに思っております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 詳細な分析をいただいたわけでございますが、まさに主たる要因ではなかったということですから、今度は逆に、ASEANの通貨下落によって中国の輸出が大打撃を受けて、これに対応して中国が人民元を切り下げるということも、それがもともと主たる要因でなければこういうことも起こる可能性は低い、こう思うわけでございまして、先ほど私が申し上げましたように、切り下げ競争というスパイラル的な悪いシナリオということは起こる可能性がこの観点から見れば大変に低いと思うわけでございますが、もう一度その点について御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(黒田東彦君) 外国の通貨制度あるいは為替レートの見通しについて、我々として公式的なコメントというのはなかなかやりにくいわけでございますが、先ほど申し上げたような実態、それから特に中国の当局者がこのところ一貫して人民元の切り下げはないということを公の場で繰り返し発言しているということを私どもとしても重く受けとめておる次第でございます。
○林芳正君 そこで、我が国の今回の対応と中国の対応について、特にワシントンあたりでは、中国は人民元を切り下げないんだということをはっきりアナウンスして後押ししておる、日本の方は対外的に要求するんだけれどもなかなか言うことを聞いてくれないというような皮相的な比較論をして、中国の方ができがいいというような報道が海外の新聞ではあるようでございます。
 私が今申し上げたかったのは、中国が人民元を切り下げないというのはほかにもいろんな理由があるんではないか、こういうふうに思っているわけでございまして、ただ単に、ASEANの国に対して通貨危機をもう一度起こさないために頑張っているというだけではないんではないかな、こういうふうに思っておるわけでございます。
 今申し上げましたように、中国からの輸出というのは余り影響を受けないと思うわけでございますが、逆に、ASEANの通貨が比較的下落することによりまして、ASEAN、ほかのアジアの国から中国へ向けての輸出というのは非常に価格競争力が出てくるわけでございます。
 中国は今国営企業、SOEというものを、改革を一生懸命やろうとしているというふうに伺っておるわけでございますが、ここはやはり国営企業を何とか民営化的な方向でやっていこうと苦しんでおるところですから、こう言ったら御無礼かもしれませんけれども、余り競争力があるとは思えない。そこへ切り下がった通貨で安いものが入ってきますと、一番苦しいのは中国では国営企業ではないか、こういうふうに思うわけでございます。むしろ、国内で政治的な要求として、人民元を切り下げて国営企業に一息つかせてくれというような話が出てくるという方が私はすっと頭に入ってくるわけでございます。
 一方で、先ほど申し上げましたように、外交的には人民元を切り下げないということでいい格好をしているわけでございますが、この背景には、これは微妙な話でございますけれども、台湾は豊富な外貨準備高を持っておりまして、いつでも私どもの外貨準備を使って支援に乗り出せる準備がありますよという外交的ないわばプレッシャーをかけておるということでございますから、こういうような国際政治のバランスの中で中国はいろいろと御判断をしてやっておるのではないかと。
 国内政治ではそういう政治的な国営企業からのプレッシャーがある、それから対外的にはやはり外交政策としては人民元の切り下げをしないということを維持しなければならないというふうに、なかなか微妙で難しいバランスが中国の中で今生じていると思うんですが、これは我が国にとっても座視することのできない状況でありまして、どのような判断を中国当局が下すのかというのはまさに我が国にも直接大きな影響を持つことでございます。
 先ほど沓掛委員からは、ああいうような通貨危機が起こることを予見できなかったのか、これだけ優秀な人がそろっておって何をしておったんだというお話もあったわけでございますが、今の状況、それから今後こういうバランスの中で中国がどういうふうな動きをとっていくかについて、我が国の外交当局として、外務省、どういうふうにごらんになっておられるのか、見解をお聞きしたいと思います。
○政府委員(阿南惟茂君) 中国の国内経済は、既に先生御指摘のようななかなか難しい問題を抱えた状況と承知しておりまして、中でも国有企業の不振ということが現在の政権の重要課題の一つとなっているほどでございます。そしてまた、これは国有企業に限ったことではございませんが、中国経済の対外経済に対する依存度は非常に高いわけでございまして、輸出が全体の二〇%を占めているというような経済の中で国有企業も例外ではないわけでございますので、ただでさえ競争力の弱い国有企業が周辺諸国の平価切り下げ等でますます輸出の面で難しい状況にある。そういう中から人民元の切り下げを経済的に要求する声が出てくるというのは当然考えられることでございます。
 先ほど国金局長の御答弁にもありましたように、中国は政治的に、先般の全人代でも、国務院総理が人民元は切り下げないということをはっきり言われるということで、どちらかというと香港への影響とか米中貿易に与える影響等々を考えて切り下げないという姿勢を堅持している状況だと理解しております。
 台湾につきましては、これも既に御指摘のとおりでございますが、今回のアジアの通貨危機、台湾にもある程度の影響がございましたが、昨年の秋以来、台湾元も一〇%ぐらい実質下がっているというようなことはございますが、台湾経済は依然として堅調である。そういう経済力を背景に東南アジア諸国に活発な外交攻勢をかけていて、これはマスコミ等では金融外交というような言い方もされておりますが、盛んに通貨危機で困っている東南アジア諸国に台湾側が働きかけを行っているということも事実でございまして、中国もこういう台湾の外交攻勢に懸念を表明しております。これも先般の全人代で、今回から台湾を専門に担当することになられました銭其シン副首相もこの点について懸念を表明しておられます。
 他方、このことが中国と台湾との関係、両岸関係を緊張させているとか対立度が高まっているかという状況ではないと思います。むしろ、今月あたりから両岸間で対話の動きが見られるというようなことで、先生の御質問の趣旨は、人民元の切り下げの決定にどう影響するかという点だと思いますが、両岸関係にそう悪い状況はない、その辺、今後の帰趨を見守っているところでございます。
○林芳正君 中台関係ということですから大変微妙なところでございまして、我が国のこういう公的な場でやった発言がまた影響を与えるということになっても大変にまずいわけでございまして、そういうような状況をよくウオッチしていただいて、微妙なバランスを保ったままで何とか人民元が切り下がらない、新しいスパイラル的な通貨下落の口火だけは切ってもらいたくないというふうに思っておるわけでございます。
 先ほど申し上げました中国人民元とともに、我が国の円安ということも一般的には言われております。私はこれも一因としてはあるかもしれないと思うわけでございますが、むしろ円安とともに我が国の経済が非常に低成長であったということが大きな一因ではないかな、こう思うわけでございます。中国と逆の意味で、我が国の通貨が安くなったからといって、ASEANの製品と我が国の輸出製品というのがそれほど競合しておって、通貨が少し変わったからといってすぐASEANの輸出を日本の輸出が食ってしまうというほど余りオーバーラップをしていないのではないか、こう思うわけでございます。
 むしろ、低成長ということで日本に対してのアジアからの輸出が低迷をすることによってアジア諸国のああいうような構造的な要因につながったんではないかという方が大きいんではないかというふうに思うわけでございますが、先ほど来の議論の流れの中で、総理、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の金融関係からの御議論というものを私は大変興味深く拝聴いたしておりました。それは、いろいろな機会にアジアの指導者あるいはヨーロッパの指導者と会合いたしますたびに、香港ドル、そして人民元、将来はというのは必ず何らかの形で議論になるテーマだからであります。そしてその上で、今度は輸出入の方に論議を移され、必ずしも競合しないのではないかという議論をされました。
 確かに、しばらく前に日本からの輸出、実はアジア、ASEANあるいはNIES含めまして、NIESの一部を除きますとすみ分けが既にある程度できてしまっている。そして、アジアの輸出が日本の輸出のシェアを奪う、あるいは日本の輸出がアジアの輸出のシェアを奪うという状況は非常に場面としても考える余地は少なくなったと思います。同時にその場合、アジア諸国の通貨が円に対しても下落をしておりますから、むしろそういう意味では価格競争力がアジアの商品についたということが言えるのかもしれません。
 その上で、今ちょっと手元に数字を持っていないので申しわけないんですが、たしか、ここしばらくを見ておりますと、アジアから日本に対する輸出というのはこのところ減少ぎみであったような記憶がございます。アメリカに対するアジアからの輸出は余り変わっておりませんけれども、対日輸出はある程度低下傾向にありました。そして非常に目立ちますのは、域内貿易の量はふえておることでありまして、その域内貿易の量、それはASEANそれぞれのやはり成長によってそれだけの市場が生まれてきていたということが言えると思います。
 ところが、日本からの輸出は余り変わっておりません。ということは、すそ野産業──部品産業でありますとか金型でありますとかいうすそ野産業がその割に育っておらず、むしろアセンブリーに大きなウエートを置く企業が多かった。そのために、むしろ日本から出ていく部品等は相手国が輸出能力を拡大し生産をふやせば自動的にある程度ふえていく傾向があった。そういう傾向は私は否めないと思うんですが、今その対日輸出について、言うならば日本の消費低迷ということよりも、むしろ現時点においては輸出国側の供給力あるいは金融面の混乱といったものをやはり主要な原因と考えなければならないと思います。
 そうしたことがありますだけに、我が国は当然ながら実はそれぞれの国に起きております状況に対して一番手厚い支援を既にIMFの枠組みで行っておりますし、また欧米の中には消極的な議論があるにもかかわらず、IMFのルールとは異なる分野としての貿易保険の活用ということで各国を助けようとしている。これは非常に喜んでいただいておりますけれども、これは無償とは全く違った世界のものとしてこの貿易保険の活用というものが生かされている、こういう状況を生んでいる要因もこうした点にあると考えられます。
 いずれにしても、IMFの合意の裏打ちをする二線準備等も含めまして、我々はこれからもアジアに対して、我が国の景気回復を図ることが当然プラスになるわけでありますけれども、数字的に見ると必ずしも大きなものではない、むしろこうした支援のスキームの中でそれぞれの国にどうすれば一番効果的なスキームをつくり出せるかということを非常に私は重く見ております。
○林芳正君 ありがとうございました。まさにそういうような方向できちっとした対応をしていくということが大事じゃないかなと。大変にポイントをつかれた御答弁をいただきまして安心をしておるわけでございます。
 この日本に対する輸出と、もう一つ低成長ということで申し上げますと、千二百兆円とよく言われますけれども、日本の国内で大きな金融資産があるわけでございますが、日本が低成長なものですからこのお金の行き場が比較的なくなってしまっているということを指摘する向きがございます。一方で、円安なものですから、黒字は随分あるものですからお金はたまってくる。
 九五年以降、この資産が国債のような非常に安全でローリスク・ローリターンのようなものと、それから外国資産へ行くハイリスク・ハイリターンのようなものに二極化しているんではないかという分析があるわけでございまして、この二極化した方のハイリスク・ハイリターンのお金が九五年以降アジアに流れたのではないか。日銀の統計によりますと、九五年はアメリカの国債へ行くよりもアジアへ流れた方が多かったというような数字も出ておるようでございますが、この辺について経企庁長官、いかがでございましょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 我が国の対外投資の中で、今おっしゃいましたように、近年急速に対外純資産が伸びているわけでございます。特に九五年以降、アジア向けの投資でありますけれども、直接投資につきましてはかなり増大をしておりまして、全世界の直接投資に占めますアジア向けの比率は、九五年には三七・五%でございましたが、昨年の上期、九七年の上期は四四・六%というふうにかなり増加をしている状況であります。
 ただ、直接投資だけではなしに、証券投資とか銀行貸し付けなどを含めました投資全体として見ますと、アジア向けの比率が九五年の四〇%から九七年上期には一八%へとむしろ低下をしているという状況であると認識しております。
○林芳正君 なかなか数字的にきちっと出てこないわけでございますが、感覚としてそういうことも一因としてあったのかなと。いずれにしましても、今構造的な分析を少し行わせていただきましたけれども、結果として現象として起こったのは、いろいろ御答弁いただいておりますように、最後は短期で入った資本が短期で出ていったと。それはマーケットの信認が落ちたということを原因としてそういうことが起こったということでありまして、これをIMFのカムドシュ専務理事は二十一世紀型の金融危機だと、こういうふうに言っておるわけでございます。これはもちろん、中南米のような財政赤字、こういう構造的なものが原因となって起こった二十世紀型の金融危機とは違うんだという意味でおっしゃっているんだと思いますけれども、この点につきまして、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(松永光君) アジア諸国の金融危機の問題、委員御指摘のように、民間の短期資本の過剰な流入、そして急激な流出、そういう一つの特色があったということは私は事実だろうと思います。御指摘のように、そういう特色をもって二十一世紀型の危機と、こういうふうに呼び得る事態であったろうというふうに思うわけでございます。
○林芳正君 ありがとうございました。
 そこで、先ほど総理からも御答弁いただきましたけれども、IMFが中心になっていろんな応急的な措置をとりまして、特に韓国やタイについては一応おさまっておる。インドネシアについてはまだまだ道半ばという印象もあるわけでございますが、その中で、昨今IMFへの批判というものも聞こえてくるわけでございます。例えば、IMFのコンディショナリティーというものがアジアの諸国の経済実態に即していないのではないかという批判も聞こえてくるわけでございます。
 実は、我が党の党大会にハーバードのジェフリー・サックス教授をお呼びしたときもそういうような話があったわけでございますが、我が国としてはどういうようにこれをとらえていったらいいのか。総理、御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、これはアジアに合う合わないと言う以前に、民間債務の急激な増大と、民間資金の短期間における大量流入、そして短期間における離脱という今まで経験のなかったタイプの危機というものに対するIMFプログラムの経験の薄さというものがある程度これは言われても仕方のない部分をつくったような感じがいたします。
 ただ、その上で、韓国、タイは既によくその中で立ち直りを見せておりますし、タイについてはレビューが行われて、実態に即した調整が既に行われました。そしてそれが効果を発揮して、現実に動いております。そして、IMFとインドネシアの間におきましても今、よりインドネシアの実情に即したプログラムをつくるということから、非常に精力的な作業が行われているさなかであります。
 私は、率直に申しますならば、インドネシアに対するプログラムの中でIMFが見落とした点は、一万七千の島から成っている国、一定以上の人口が定着している五千余の島から構成されている国、そしてその輸送は船または航空機を使わなければ食糧も何も輸送ができない。国の統制で行っていた部分を民間にゆだねるといっても、航空機あるいは船舶による輸送というものはそう簡単に代行できない。タイでありましたり、陸続きの国であれば、乱暴な言い方をしますならば人の背中で担いでいっても運べる。自動車なりなんなりでどんどん動かせる。でも、船か飛行機を使わなければ運べない場所がいっぱいある。これは本当にちょっとその辺の状況というのは甘く見た、率直に私はそう思います。
 スハルトさんと議論をしましたときにも、IMFの言うとおりにしたらば六千万の人間が僻地に住んでいると同じ結果になったという言葉を使われましたけれども、私はスハルト大統領の気持ちとすればまさにそういう気持ちがあったでしょうと思いました。そして、そういう説明をきちんとなさることで、IMFとの合意を修正しながら、そのかわり修正した合意については守るということが大事だということを申し上げてきたわけです。
 私は、その意味ではお互いが今、我々も含めて学びつつあるし、この中で日本は日本自身ができる役割を一生懸命に果たしながら、そのコンディショナリティーがアジア各国の実情により即したものになるように努力を続けているところでございます。
○林芳正君 大変よくわかりました。いろいろ言われている中で、本当はこういうことが行われていて、いい方向へ進んでいるということを自信を持って受けとめさせていただくことができました。
 時間が参りましたので、残りの質問は午後にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十年度総予算三案を一括して議題とし、質疑を行います。林芳正君。
○林芳正君 午前に引き続きまして質疑をさせていただきたいと思います。
 午前中にアジアの通貨危機について、その構造的な要因、そして結果として出てきた短期の資本の移動、急激な流入と急激な流出ということについてるる質疑を差し上げてきたわけでございますが、これについて、IMFを中心としてきちっとした対応をとって、応急的な対応をやっておるということでございます。そして、これはあくまで病気で倒れたものですから、カンフル剤を打って風邪を治してもらうようなたぐいのものではないかなというふうに思っておりまして、中長期的に見た場合に、やはり体質強化といいますか、予防的な中長期的措置をとらなければならないんではないか。二十一世紀型の金融危機に対する処方せんというのがあってしかるべきだろう。
 実は、この間の財政・金融委員会でもその質問を総理に差し上げて御答弁いただいたところでございますが、G7やマニラ・フレームワーク等、またこの間は蔵相デピュティーの会合が東京でも持たれました。あらゆるところで短期の国際間の資本移動については何らかのサーベイランスと申しますか、が必要ではないかと。議論はそこまで行くわけでございますが、その後なかなか、では具体的にどういったことをやればいいのかということは、これは大変に難しい問題であるという認識があるというふうに思っております。
 いろんな規制をしますと、その裏をついて民間の投機的な資本が入ってきて、そこから制度のひずみをついて利益を持っていくということがあるものですから、この兼ね合い。また、総理からも御答弁いただきましたとおり、一方で自由な資本はどんどん動いていってもらいたい、資本がいろんなことを選択しながら動いていくという、この資本の移動の自由というものを余り制限しては元も子もないわけですから、この二律背反の中で何をしていくかというのは大変難しいわけでございます。
 一般に言われておりますトービン・タックス、税金をかけてしまう、これは学者さんが言うことでありますが、実際的には大変に難しいだろうというふうに言われておりますし、また今申し上げましたようにサーベイランスをする、それからBISで検討されておられるようでございますけれども、銀行がだれにお金を貸しているのか、最初に名目的に貸している人だけではなくて、実際にその資金を使っている人がだれかということを報告させてはどうか、こんな議論もあるわけでございます。
 また、これは私論でございますけれども、短期資本を入れるのはそれぞれの国でありますから、それぞれの国がある程度政策協調して、いわばカルテル的に、いろんな条件のつけ方があると思いますけれども、政策協調によって短期資本の流入をある程度選別的に規制をしてはどうかというような考えを持っております。これは技術的に非常に難しいかもしれませんけれども、どこかの国が囚人のジレンマという状況の中でカルテル破りみたいに短期の資本を入れますと、その国が一時的に利益を得るものですから、広い枠組みの中で政策的協調がなされなければいけないというように思うわけでございます。
 そういうことを含めまして、今後これはやはり予防的な措置としていろんなところで議論をされていかなければならない問題でございますが、やはりこれはアジア発の危機だったものですから、我が国が中心になって国際機関でリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけでございますけれども、その点についていかがでございましょうか。
○政府委員(黒田東彦君) 御指摘の短期資金移動の国際的な監視、モニターができないかという点でございます。
 この点はいろいろな会議で御指摘のように議論が既になされております。特に、いわゆるマニラ・フレームワークの会合が昨年の十一月にできまして、その二回目の会合が東京で三月二十六、二十七日とございました。そこでの議論は、何といっても韓国、タイ、インドネシアの状況に議論が集中したわけでございますが、やや中期的な観点からアジア危機の教訓という点に議論が及びまして、その中で、特にこれは議長サマリーという形で公表されておりますけれども、世界的に統合された資本市場を踏まえた経済運営についても議論を行い、資本移動の監視を強化することの重要性について留意したというふうになっております。
 非常に強い問題意識を持っているわけでございますが、これも御指摘のように、これをコントロールするということは実際問題として不可能でございますので、資金を入れる側でまずよくモニターする、どういうふうに金融機関あるいは企業部門に短期の外貨資金、短期の借り入れというものが入っているかということをよくモニターするということが必要であると同時に、他方で貸している側の、国際銀行の側のいわば銀行監督という形でBISのルールその他を通じて監視を行う、こういった両面から短期資金の移動が国際的な問題を起こさないように、かつ他方でこの国際的な資金移動の経済に対するプラスの効果を最大限に発揮していけるようにいろいろな形で今後とも議論していきたい思っております。
 私どもとしても、特に御指摘のようにアジア通貨危機ということがこの問題に非常にフットライトを浴びさせたわけでございますので、問題意識を持って今後とも議論をリードしていけたらというふうに思っております。
○林芳正君 たくさんのお金を国際機関に拠出しております。ぜひ知恵の方もリードして拠出していただくようにお願いをいたしておきたいと思います。
 これに関連しまして、若干国内の経済にもかかわるわけでございますが、今BISの話を申し上げましたけれども、BISで今大変話題になっております自己資本比率規制というのがございます。これを達成するためにいろんな手だてをとって、またきのうが年度末でございましたけれども、それに向けていろんな対策を打ってきたわけでございますが、この根本になっております自己資本比率の計算の見直しということを今BISでやっておるということを私はちょっと聞いたことがあるわけでございます。
 それは民間向けの融資、これは全部分母に入って、しかもリスクウエート一〇〇%で全額入るわけでございますが、よく考えますと、例えば、私は三井物産に勤務しておりましたが、三井物産に対する貸し付けと、同じ民間であっても私の地元の中小企業に貸している債権と同じぐらいの危険があるというのはちょっと民間の常識では考えられないわけでございます。
 お金を貸す場合は審査というものをやりまして、どれぐらいリスクがあるかというのを相手のいろんなものを見ながら判断をするわけでございまして、民間であれば全部一〇〇%リスクウエートで分母に入るということはおかしいんではないかという観点から、この資産勘定に一〇〇%組み入れるというところを見直す動きがあるというふうに聞いておりますけれども、この辺は大蔵省いかがでございましょうか。
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 去る三月二十四、二十五にバーゼルでの会議がございまして、我が国もかなり影響のある結論が二点ばかり出ております。
 それもあわせて御報告させていただきますと、債務者預金のネッティングの容認でございます。対象債権の残存期間が定期性預金の残存期間より短期である場合、同一通貨である場合、このオンバランスネッティングが認められる。これは国内基準の適用銀行に既に適用したものが国際適用銀行にも認められるということでございます。
 それからもう一つは、証券会社に対する債権のリスクウエートの軽減、これは今まで一〇〇%でございましたが、これを二〇%に軽減する。これはOECD諸国の証券会社向けの債権のことでございます。こういった結論が出ました。
 したがいまして、先生がおっしゃいますようにリスクウエートのかけ方というのは絶えず見直しを行っているわけでございますが、今おっしゃったような例えば格付の高い融資先と格付の低い融資先とでリスクウエートを変えるかどうかというところまではまだ議論は進んでいないと思います。
 それは貸し出しというものについて一応一〇〇%のリスクウエートをかける、それに保証がついていれば例えば一〇%に軽減するというようなことでありますけれども、ただ、こういう信用リスクについてのBISの検討というのは将来はかなりもっと綿密かつモデル的なものになっていく可能性はあると思います。これは少し長期的な検討課題であろうと思っておりますが、絶えずこのバーゼル委員会ではリスクウエートのあり方という問題について検討を加えておりますので、我が国も積極的にこれに参加している次第でございます。
○林芳正君 ありがとうございました。
 やはり、インベストメントバンクというのがない我が国の金融、銀行にとって、ここのリスクウエートの話というのは大変に重要な話になってくるわけでございますから、先ほど黒田局長からも御答弁いただいたとおり、BISに対しても我が国やほかのアジアの国の実情を反映して、国際基準をつくるときに我が国の意向を本当にリーダーシップをとって反映させていくということをお願いしておきたいと思います。
 そして今、年度末のお話をいたしましたけれども、きのう、きょう株価がどうしたとか公的な資金が入った入らない、いろんな報道がなされておるわけでございます。いわゆるPKO、ピースキーピングではなくてプライス・キーピング・オペレーションということをよく言われておるわけでございますが、もちろん公的資金を使って安くなりそうな株を買い上げるなどというのはこれはもう論外の話でございまして、きのうの財政・金融委員会でも取り上げましたけれども、そういうことではなくて、預かったお金をきちっと運用する中でやっていくんだという御答弁はいただいておるわけでございます。
 きょう冒頭に申し上げましたとおり、李下に冠を正さずという言葉がございます。メディアがそういうことをやっておるのではないかというのを繰り返し繰り返し報道するものですから、どうもそれがひとり歩きをするような気もいたしておるわけでございまして、やはり透明性、きょうからビッグバンが始まるとすれば、こういうことは改革の方向性とは逆に行っているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 やはり、市場のことは市場に聞けという言葉がございますけれども、だれから見ても同じ条件で、総理がおっしゃいましたようにフリーでフェアだということが大変に大事ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、こういう外患を何とかなくしていかなければならないと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 郵貯など公的資金による株式の運用、これはそれぞれの公的機関が資産運用手段の多様化あるいは長期的、安定的な資金運用という視点から行うものと私は理解をしてきました。そして同時に、議員も今触れられましたけれども、公的資金が株式に運用される、それが市場操作に当たるような形というものは絶対に望ましいものではない、これは当然のことだと私も思います。
 そして、現在行われております株式の運用につきましても、指定単によって行われる、これは委託者はいつどの株をどれだけ売買するか、そうしたことは指示できない仕組みとなっていると承知をしています。
 ですから、私は、議員が今指摘された点はそのとおりだと思っております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 まさに、そういうような外患をなるべくつくらないような、実態はこうであるということをもっと前面に押し出していただきたい、こういうふうに思います。
 時間も迫ってまいりましたので総括的にお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思うわけでございますが、今いろんなことが景気対策また改革で言われておりますけれども、やはり総理がおっしゃっておられますこの六つの改革ということが最終的には大事になるなと改めて思うわけでございます。海外の投資家の見方も、PKOにしてもそうでございますし、一時的に財政出動等をやっても、将来的に公的部門の縮小をしてきちっと負担が少なくなってくるんだという見通しを持たないとなかなかこれが消費に結びついてこないだろう、こう思うわけでございます。
 きのうは規制緩和の新しい三年の計画が閣議決定されましたけれども、この総則にも大変に大事ないろんなことが盛り込まれておるわけでございまして、やはり総理が掲げられておりますこの六つの改革、教育も含めてやっていくことが私は最大の景気対策になると。ぜひ一日も早く、また着実にこの改革を進めていただくことをお願い申し上げまして、私の質問にさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で沓掛哲男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、直嶋正行君の質疑を行います。直嶋正行君。
○直嶋正行君 民友連の直嶋でございます。
 きょうは家計の問題、家計に焦点を当てまして政府の経済対策を議論させていただきたいと思います。
 御承知のとおり、今私ども新しい政党をつくろうということでいろいろ相談をさせていただいておりますが、先日まとまりました今度の新しい新民主党といいますか、この基本理念の中にも我々は生活者、納税者、消費者の立場を代表するということを明記させていただきました。そういう背景もありまして、きょうは特に生活者の視点に立って議論をさせていただきたい、こう思っております。
 ただ、本題に入る前に一、二ちょっとお伺いをしたいと思うんですが、今もお話がございました三月末の株価がこんなに注目されたというのも珍しいんじゃないかと思います。一万六千五百円強で終わったわけですが、この水準のことは別にしまして、これを機にちょっと総理にお願いがございます。
 といいますのは、振り返りますと、恐らく昨年の暮れぐらいからだと思うのでありますが、特に与党幹部がたびたび株価を意識した発言を繰り返されております。中にはもうストレートに株価そのものを口にされたというような発言もマスコミを経由して伝わっております。
 この数日、PKOが実施をされるのかどうかということもいろいろマスコミをにぎわせました。私は、こういうことが取りざたされる、ちょっと言葉は悪いんですが、この一連の発言をずっと見ていまして、特に与党幹部の皆さんの発言は目に余るものがあるんじゃないかと思うんです。
 こういうことが取りざたされますと、やはり我が国の市場の後進性といいますか、そういうものが言われるのではないかと思いますし、きょうから改正外為法がスタートいたしまして、これからいよいよビッグバンに入っていく、こういう状況でございます。
 私は、そういう意味でいいますと、ちょうど三月三十一日を終えたというこの時期を機に、ぜひ総理からこういった発言については今後慎むように御指導があってしかるべきだ、このように思うんです。
 総理、ぜひそうしていただきたいんですが。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員からも御注意をいただきました。また、我が党の所属議員からも、市場操作のような懸念を持たれるそうした行動は市場に与える影響を考えても慎むべきだという意見をいただきました。そして、先ほどの御意見に対しても、私もそういうことは望ましいものではないと思うと申し上げました。
 私自身、これは証券市場に対しましても為替市場に対しましても、当然のことながら注目はいたしております。しかしその上で、その時点におけるその水準を云々することは避け続けてまいりました。
 今の御注意は、党の役員会等に時間をいただいて出席ができましたときに、党幹部に対しても参議院の御議論の中でこういう御意見があった、お互いに慎むべきは慎みましょうということを伝えたいと思います。
○直嶋正行君 ありがとうございました。
 続きまして、大蔵大臣に一つお伺いをしたいと思います。
 この期末の株価がいろいろ議論されたんですが、銀行経営といいますか、金融機関の経営がこれだけ期末の株価とリンクして語られるといいますか、幾らを切ると危ないとか含み益がなくなるとか、私はもうこのこと自体が非常に異常なことではないかと思うんです。
 話に聞きますと、アメリカでは銀行には株式を持たせないといいますか保有を禁止するとされているようでありますし、ほかの国でも制限が加えられているようでありますが、期末の株価と銀行経営がこうして直結されて云々されることについて大臣は異常なことだというふうにお思いでしょうか、いかがでございましょうか。ちょっと所見をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(松永光君) 銀行の株式所有の制限の問題、これは後で銀行局長から答弁させますが、三月期末を迎えて株式の価格の変動のことの関連でいろいろ議論がなされたことは私も耳に入っております。結局、株価の下落は株式含み益の減少となってくるわけでありますので、そのことは金融機関の財務内容にマイナスの影響を与える、こういったことからいろいろなことが言われておったのだろうと思うんです。
 しかし、昨年末に公表したいわゆる貸し渋り対策において、銀行の保有する株式の評価については原価法と低価法との選択制を認めるということにいたしましたから、そういったことで自己資本比率の対策にはなっておる、株式の原価法、低価法の選択制を認められたことによって。二番目には、金融システムの安定のための資本注入を講じました。三番目には、昨日、土地の再評価に関する法律が成立し、そしていろいろ苦労をかけましたけれども執行に移されたということ等がありますので、期末の株価の動向が金融機関の経営に与える影響は相当程度小さいものになっておるというふうに考えておるところでございます。
 大蔵省としても、御指摘のようないろいろ言われるようなことがないように今後とも十分注意をしていきたい、こう考えておるところでございます。
○直嶋正行君 今、私が質問したことと大臣がお答えになったこととちょっとかみ合っていないんですね。大臣がいろいろ今御説明されましたが、そういう政策を打たなければいけないこと自体が、株価等の評価損が出て経営が云々される、このこと自体がもう銀行として不健全だと私は思うんです、はっきり申し上げて。要は含み益経営をやってきたからこういうことになったと思うんです。
 ですから、ぜひ私は大臣にお願いしたいのは、そういう意味でいいますと、銀行経営と株価との連動を断ち切るような方向で御指導いただきたい。でないと金融機関の信頼性というのはなかなか回復しない、このように思っておりますので、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 それで、家計の方の話に入っていきたいのでありますが、最初に総理にお伺いしたいんです。
 今さら申し上げるまでもないと思うんですが、現在の経済情勢といいますかこの不況は、いろんな要因があると思うんですが、やはり何といっても最大の要因はGDPの六割を占める個人消費の低迷である、このように思うわけであります。結局、私ずっとこの数年間振り返りますと、個人消費の担い手であるいわゆる生活者といいますか、言いかえれば家計、この家計がバブルの崩壊によって相当傷ついていた。ところが、実は失礼なんですが、総理を初め政府はその傷に気がつかなかったといいますかそれを見誤ったのではないか、そのことがやはり今日の状況をもたらしているのではないか、こう思うわけであります。
 ちょっと数字を挙げて恐縮なんですが、例えば八〇年代の家計所得の伸びというのは大体年率五・七%だったんです。ところが、九〇年代以降を見ますと、これが二・六%、したがって半分以下に減少しているんです。そして、消費支出も五・八から三、大体半分ぐらいになっている。
 ところが、もう一つ注目しなきゃいけないのは、この中でいわゆる社会保険料、これだけは一貫してふえ続けているんです。九七年の推計を見ますと家計の大体一一・六%を占めているんです。つまり、フローの面でいいますと、収入の伸びが半減して非常に厳しくなっていた、こういうことなんです。
 それからもう一つは、申し上げるまでもなく、バブルの崩壊による資産デフレで大変大きなダメージを受けた。例えば、個人保有の土地だけで約四百兆円ぐらい目減りをしている、こういう状況になっているわけです。
 つまり、ストックが目減りしている中でフローが落ちてきた。したがって、相当家計としては苦しい状況にあった。ここへ、昨年四月の消費税のアップを初めとする一連の政策がとられた。このことがやはり個人消費をぐっと冷やしてしまったんではないか。
 総理も、先日来予算委員会でも、消費税アップの反落について見誤った、こういうふうに率直に申されたわけですけれども、私はここの段階の御認識が甘かったことが今日に至っているんではないか、このように思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これまでも何回か同じ御答弁を申し上げてきましたが、消費税率を二%引き上げる、そのうち一%は地方消費税分でありますけれども、この引き上げというのは、平成七年度から先行実施をしておりました所得税、個人住民税の恒久減税の規模を踏まえ、同時に老人介護などの対策を立てていく上で必要な財源というものも考慮しながら、国民にと申しましょう、国民にお願いをする消費税の負担をぎりぎりのものにしていこう、そうしたことから平成六年秋の国会で約七十時間ぐらいの審議をさせていただいた上で法定をされ、平成九年四月という実施が決定をいたしました。そして、この増減税一体という税制改革、これは高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応しようとしたものであった、そして非常に大事なものだったということは私は申し上げなければならないと思います。
 そしてその上で、私も平成八年十月の総選挙を通じてこのことを国民に訴えてまいりました。そして、昨年の四月、消費税率の引き上げを含む一連の制度改革をお願いいたしました。そして今、議員からも御指摘がありましたように、私はその影響というものが全くないなどと言うつもりはありません。間違いなく一―三月に駆け込み需要が予想を超えて発生したこと、それが四―六に落ち込みをより大きくしたこと、私はそれを否定するものではありません。
 ただ、この場合に往々にして論議から外れてしまいますのが、十六兆五千億円に上る先行減税の実施というものを度外視して、九年度のみの税負担をとらえてその影響というものを議論する、これは私は必ずしも問題なしとは言えないと思います。そして、平成六年秋の税制改革というのは全体として経済水準を高める効果はあったと私は思います。
 同時に、もう一つ、これはよく申し上げて時々おしかりを受けますけれども、確かに四―六の落ち込みは私どもの予測を超えておりました。これは、家計消費支出を見ましても、民間最終消費支出を見ましても、一―三月が私どもの予想をオーバーして駆け込み需要が発生したのと同様に、四―六の落ち込みというものは事実あったわけですけれども、七―九でもってプラスに転じていたということも私はやはり事実の数字としてお認めをいただきたいと思います。これは事実の数字としてお認めをいただきたいと思います。
 なお、国会にも大変な御協力をいただき、九年度補正予算を初め一連の施策を年明け以降させていただきましたが、本日から新年度に入りました。今暫定予算でここをつなぐことになりましたけれども、この期間が一日でも早く終結をし、平成十年度予算そのもの並びに関連する施策が一日も早く実施に移せますように心から願っております。
○直嶋正行君 それで今、総理は消費税の話と、このときに特別減税も廃止されたわけなんですけれども、これは税制改革の一環としてやったんだ、こういう御説明なんです。
 ちょっとこれ、私はぜひ総理に本当に御検討いただきたいんですが、御承知のように、消費支出もさっき申し上げたようにとにかく今冷え込んじゃって、一月はマイナス五・九、これは勤労世帯の支出の動向なんですが、もう一つ実は重要な側面があるんですね、余り語られていないんですが。これは何かといいますと、実は厚生年金の保険料が平成六年と平成八年の二度にわたって値上げされているんです。
 結局、総理は確かに税金の部分だけをお触れになるんですが、国民の負担からいいますと税も保険料も全く同じなんです。平成九年の実収入に対する家計の非消費支出、つまり税と保険料ですね、これは消費税は入っていませんよ、消費税を除きですが、この割合を見ると実は一六・五%を占めているんです。この数字は、昭和三十八年に家計調査を開始以来最大の数字なんですよ。
 ですから、私は、税制改正だってそれはそのときの状況によって、それこそ先日来の総理ではありませんが、臨機応変にこれは考えるべきだというふうに思っていますが、それが税制改正の結果こうなっていたんだということでおっしゃられるんですけれども、結局国民負担から見ると、これは保険料の問題もあって、実質特別減税がなくなったことによって一六・五という非常に高い非消費支出の負担になっている。もちろん申し上げるまでもなく、消費税のアップによって物価も当然上がっているわけですね、一・六ぐらいという試算がありますが。つまり、これはダブルで効いてきているわけですよ。ですからこの間も、経企庁長官もこの三カ月ぐらいの消費の落ち込みを見ると大体十兆円以上に達する落ち込みだ、こういうふうにおっしゃっているんですけれども、私は当然だと思うんです。
 ですから、ここのところをどうも総理は失礼ですが見落としておられるんではないか。やっぱり今きちっと手を打つのは家計の部分ではないか。ここでまたこれを逃してしまうと再度状況を見誤ってしまう、こうなるんではないかということを危惧しておるわけなんですけれども、ぜひこれは総理、御検討いただきたいと思うんです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員のような御論議も意識をしながら、実は私はよく国民負担率でさまざまな場面でお答えをいたしてまいりました。そして、まさに議員が問題とされました社会保険、年金を含めました、あるいは医療を含めました社会保険料の負担というものをバランスをとって考えていかないと、今のままの制度を存続していた場合、その将来図がどうなるかということもよく申し上げてきたと思います。
 そして今、議員が家計あるいは消費者、生活者という言葉を用いられましたが、に目を向けた政策という観点から考えましても、今この経済の停滞から一日も早く脱却することが何より重要でありますし、そのためには、私は今までとってきた施策を一々並べ立てて云々するつもりはありませんけれども、むしろ予算が早期に成立をすること、そして中長期的には新たな科学技術研究等の中から新しい産業の芽生えが出てくることを期待いたしますけれども、その以前の段階においても景気を回復の軌道に乗せていくために全力を尽くさせていただく、これが一番大事なことではないか、そのように思っております。
○直嶋正行君 今、全力を尽くすというふうにおっしゃったんですが、なかなか答えにくいんでしょうが、ぜひ私は御検討されるときはやはり家計にもっと目を向けていただきたいということを今申し上げているんです。
 確かに、総理が今おっしゃったように、昨年来、政府も幾つか政策を打ち出しておられます。このことを私はすべてこんなものはだめだというふうに申し上げるつもりはありません。もちろんそれは総理なりに御検討されて、特に構造改革といいますか、経済構造の改革という視点に立って幾つか政策を出しておられる、このこともよく承知をしております。
 ですから、そのことも、それは回り回っていろんな効果が出てくるんではないかというふうに思いますが、ただ、やはり私が申し上げたいのは、状況というのはその効果を待っておれるような状況では残念ながらないんではないか。率直に申し上げまして、これまで政府が出してこられた政策というのは、構造改革という意味では重要なことが多いんですが、しかしながら経済に対する即効性といいますか、そういうものでいいますと必ずしもそういう性格のものではないというふうに思います。二兆円の特別減税を実施されましたが、これも実は一年限りということもあって、残念ながらなかなか思うような効果が出ていないということだと思います。そういう意味でいいますと、私はやはり恒久的な形で家計の今の痛みに直接政策で対処をしていく、こういうことが重要だと思うんです。
 私は、率直に言いまして、家計はやはり今かなりの痛みがある、こういうふうに思っています。その点を踏まえてぜひお願いを申し上げたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 家計の状況についていろいろお話がございましたが、可処分所得につきましては、例えばことしの一月で実質で対前年比マイナス〇・九という数字になっております。全体としてここのところ横ばいないしやや弱含みで推移しているわけでございます。
 ただしかし、先日来申し上げておりますとおり、昨年の七月―九月にはやや消費性向も正常化といいますか、七二%レベルのところまで戻りまして、順調な回復基調に乗ったかなというふうに考えたのでありますが、十月、十一月、十二月にかけまして、アジアの動向とかあるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりまして急激に消費性向が下がりまして、先ほどのお話のとおり、九月の七一・九%から一月の六八・六%まで三・三ポイント下がりました。これがGDPベースで申しますと実質的に約十兆円を超える消費の引き下げといいますか下落ということになりまして、可処分所得の影響よりもむしろ将来の先行き不信感、不安感というものが原因での消費性向の急激な低下というところが大変問題であるというふうに考えております。
 したがいまして、これに対する対策としては、やはり経済全体の活性化を実現して、そして消費性向を上げる、消費者の将来に対する信頼感を回復するということが何よりも大事な政策であると考えております。
○直嶋正行君 いや、そのことはおっしゃるとおりなんですよ。ですから、私は言っているんです。さっきも申し上げたとおり、今の消費の落ち込みが年間十兆円を超す、これは大変な落ち込みですよ。GDPでいいますと二%以上ですか、GDP比にしますとこれは大変な落ち込みだと思うんです。
 ですから、それはなぜかといいますと、実はさっきから申し上げているように、バブルの崩壊、それから消費税のアップ、それから今もちろん長官がおっしゃったように、昨年の秋以降の金融機関のさまざまな問題ももちろんあると思います。そういう意味でいいますと、先行きに対する問題もありますが、同時に家計そのものが厳しい状況にある、このことをやっぱり認識をしていただく必要があるんじゃないかというふうに私は申し上げているんです。
○国務大臣(尾身幸次君) 昨年の家計調査の消費性向が大体七月―九月で七一・九ということで七二%前後でございましたが、その前にちょっとさかのぼってみますと、一九八二年には七九%、それから九〇年には七五%ということで、七九、七五と下がってまいりまして、九七年には七二%レベルにまで下がってきたということでございます。
 これはやや構造的な要因として、先ほど直嶋委員もおっしゃいました土地あるいは株の資産デフレ、家計部門で私どもの試算によりますと株と土地を合わせまして約四百九十兆円の資産目減りがございまして、そういうものが全体としてやはり消費性向の低下につながっているというふうに考えている次第でございます。
 それから、また同じような期間に、九一年には失業率が二・一%でございました。それが徐々に上がって昨今三・六%という数字になっているわけでございまして、そういう経済の状況もやはり経済の先行き不安ということから消費性向に影響を及ぼしている。
 したがって、全体としての経済の活性化を規制緩和とかあるいは経済構造改革を進めることによって実現をし、将来の展望をもうちょっと明るいものにしていくことが何よりも大事であるというふうに考えている次第でございます。
○直嶋正行君 もうちょっと痛みの部分について率直に申し上げたいと思うんです。
 私は、総理今がさまざまにおっしゃっていましたが、構造改革そのものはいろんな意味でやっていかなきゃいけない、こう思っています。これは前から申し上げているとおりであります。それから、恐らく国民の皆さんも、そういう意味でいいますとやはりいろんな意味で構造改革をやっていかなきゃいけない、このことは多分御理解いただけると思うんです。そのためにお互いに痛みをある程度分かち合おうということについても、多分ある程度は御理解いただけると思うんです。
 問題は、実はここでずれがあるんです。どういうことかといいますと、結局、今政府は構造改革をいろいろおっしゃっている、おっしゃっているんだけれども実は余り実践に移されていないんです。一方では、痛みの部分は確実に来ているんです。先に来ているんです。
 例えば、これも余り議論されていませんが、政府が数年間にわたって〇・五という超低金利政策、これは政府じゃなくて日銀の専管事項かもしれませんが、このこと自体も本当に構造改革を伴わない、生活者から見ると大きな痛みだと思うんです。
 それからもう一つ申し上げますと、例えば医療費の問題。厚生大臣がいらしていますからぜひこれもお伺いしたいんですけれども、昨年、医療費の個人負担が上がりました。医療の抜本改革をしなければいけないということでいろいろ議論がありました。しかし、それは全くまだ手がついていないんですね。二〇〇〇年までこれは先送りされているわけです。
 つまり、国民から見ると負担だけ先。芝居で言いますと、もう料金を払って入っちゃった、だけれども全然幕があかない、幕があくのは二〇〇〇年よ、こういうふうに言われているのと同じなんです。
 最近何か、マスコミ報道なんか見ますとそれすらどうも、法案がこの国会に出るのも危ないというようなことが報道されております。そうすると、一体これはどうなってしまうんだろう。こういうことなんですよ。
 与党のおまとめになった医療改革によると、これは二〇〇三年だとかいう説もありました。ですから、これは政府よりさらに先送りです。だから、痛みは先に来るけれども、実際におっしゃっている改革は何年か先に行っちゃうわけですよ。これは本当にできるかどうかわからないじゃ、国民から見るとこれは私は大変な不安だと思いますし、痛みだと思うんですよ。
 厚生大臣、この医療の問題というのはいかがでございますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 改革はすべて痛みを伴うのであって、今痛みを伴っているのは家計だけじゃありません。企業も痛みを伴っている、中央政府も赤字で四苦八苦、地方政府も、すべてそうなんです。
 そこで、改革をどうしなきゃいかぬかということで、医療の場合もこのままでいきますとどんどん医療費がふえる。大体高齢者の医療費は、そうでない方に比べて、経済成長の有無にかかわらず五倍かかっている。これをどうするかということで、では税金をどのぐらい投入するか、病気になった場合に自己負担はどのぐらいにするか、医療のむだをどうなくすか、全部やろうということで今厚生省は抜本改革案を提示して、与党で一つの基本方針を決めたわけです。並行的にやるんです。それで二〇〇〇年を目標にしています。
 では、医療のむだをなくそうという場合に、今の基本的な医療の診療報酬制度というのは出来高払い制度です。どんな検査でもどんな治療でもどんな薬でも、上げただけどんどん医療費はかさんでいきます。これを全部保険で見る。これじゃいかぬということで、もっと定額払いを拡大したらいいんじゃないか。ある程度長年の経験によって、慢性的な、この病気だったらこのぐらいしかかからないんじゃないかという定額払いを導入する。これも三カ月や半年でできません。
 では、どの病気に定額制を導入して、どの病気に今までの出来高払い制を存続していくか。二〇〇〇年を目標にやっているので、あきらめているわけじゃないです。数カ月でそんなことが簡単にできたらいいですよ。しかし、どれを定額にしてどれを出来高払いにするというのは、専門家とか識者の意見を十分聞きましょう、その場合には時間がかかるでしょうということで、今審議していただいているわけです。
 薬もそうです。今まで病院に納入する薬、差が出る。これも薬価差が出ないような、効き目が同じだったらば高い薬じゃなくてできるだけ安い薬を使ってもらいましょうという制度を導入しよう。一つ一つ薬の値段を決めていたのを今抜本的に変えてしまおうと。グループ別に、効能別に、このぐらいの薬だったらもう上限価格を決めます。その上限価格よりも高い薬を使う場合は、お医者さんは高い薬代を患者さんから取ってください、一定の上限価格よりも安い薬だったらば、その安い値段で患者さんに与えてくださいという制度を設ける。
 では、一定の薬の効き目を決めるのにどの条件を決めるかといったって、これは数カ月ではできません。時間がかかる。専門家から聞かなきゃならない。その場合に、専門家の了承を得ないでえいやっとやるよりは、じっくりと議論を聞いて、まとまったものからやっていきましょう。それを二〇〇〇年の導入を目指してやっていこうと。
 それで、今患者さんの負担ばかりと言いますけれども、我々は総合的に出しているんです。マスコミ報道では患者の負担ばかり先行していますけれども、実際は総合的に出しているんです。国民健康保険に入っている方はかかった医療費の三割を負担していただいている。健康保険に入っている方は去年の九月から一割から二割になった。高齢者は今まで一カ月千二十円だった、それを五百円にしてもらおうと。
 ということで、それでは何割負担が適当かというのは、同時並行的に議論してもらわないとこの医療費全体の改革はできない。今二〇〇〇年導入を目指して、いろいろ識者なり国民各階各層の意見を聞きながら、制度全般の洗い直しに取りかかっているところであります。
○直嶋正行君 いや、厚生大臣は今たくさん話をされましたが、まだどれも実行されていないんですよ、患者負担以外は。私が言っているのはそこなんですよ。
 だから、いや、できないんじゃないんですよ。一緒にやればいいんです。何で国民負担だけ先に出てくるんですか、先に実行するんですか。そこのところを言っているんです。
 だから、それは簡単にできませんよとおっしゃれば、そうかもしれません。私は専門家じゃないからよくわかりません。しかし、そういう議論をして、私はやはり本当は国民負担というのは、国民から見れば制度改革をしていただいて一番最後にしてもらいたいというのが国民の気持ちだと思うんです。それが先に来るんです。実行できるのは二〇〇〇年でしょう。だから、私はそこを言っているんです。医療制度改革がいかぬと言っているんじゃないんです。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今言いましたように、診療報酬制度にしても薬価基準制度にしてもえいやっとすぐ来月からできる問題じゃありません。時間がかかります。国民皆保険制度をこのままやったら保険財政がもたない、どうするかといった場合に、応分の負担もしていただきましょう、抜本改革できるまですべてやらないというんじゃなくて。今言ったように、健保も一割負担していただいているところを二割負担、このぐらいは応分の負担としてできるんじゃないか、保険財政、皆保険制度を維持するというんだったらばということでやっているわけであります。
 ほかのことができないで、今のまま現状維持で受益者の負担は軽くしようということだったらば、保険財政どうするのかと新たなまた別の問題が出てくる、それをどうするかという問題であります。
○直嶋正行君 ですから、さっき何でもっと早くできないんだという話がありましたが、それはそうなんです。時間がかかるのはわかっているんですよ。だから、なぜここまでほうっておいたのかということになるかもしれませんが、先に負担だけ決めて後で制度面をいらうというのは、やり方としては私は間違っているんじゃないかと思います。
 ちょっと厚生大臣にもう一つお聞きしたいんです。
 これはけさもちょっとありましたが、与党の経済対策で十六兆円という話がありました。これをどうするかというのはこれからの話かもしれませんが、私たちの立場から言うと、そんなことをするなら予算を修正すべきだと思っているんですが、その話はちょっとおいておきましょう。その中で、これから経済対策のために公共事業を増額する、こういう議論がされています。
 実は、振り返りますと、去年の暮れに財政構造改革法案をつくって支出項目に全部キャップをはめました。公共事業は七%マイナスでキャップをはめました。その他経費もマイナス、例外もありますがね。福祉費用は、本来ですと八千数百億ふえるのを五千五百億経費を削減して三千五百億円のプラスにとどめた、こういう厳しいキャップをはめたんですよ。
 ところが、この予算を終わって、今度は経済対策をやります、公共事業を積み増ししますということになりますと、平成十年を通して見ますと公共事業費はふえますね、これは前年比にプラスになるのかどうか知りませんが。いずれにしても、去年みんなで分担し合って我慢しましょうといって決めたものから見ると公共事業費はふえていくわけです。結局は福祉費用だけはそのまま厳しく抑えたまま残る、こういうことになりますね。これは厚生大臣としてどうなんですか、よろしいんですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 財政構造改革ではあらゆる省庁が前年度に比べてマイナス予算を組もうという実に厳しい方針を立てたわけです。その中で例外と認められたのが科学技術関係費と福祉関係費。これは前年度より増額を認めようということで、厚生省も三千億円程度の増を認められましたけれども、実際、医療費にしても年金にしても、高齢者がふえますとどんどん費用がかかってくる。このまま制度を変えないんだったらば八千億円程度ふえちゃうのを、三千億円程度しか認められませんから五千億程度制度改正で削らなきゃならなかった。各省庁マイナスなんだから仕方ないじゃないかということで全部切っていったわけです。
 しかしながら、これからもし仮に何らかの事態が起こって補正予算を組もうというときに、それじゃ公共事業だけふやしましょうというんだったら、ちょっと話が違うじゃないかと。そのときには、去年のあの財政構造改革は何だったのかということを私は厚生大臣として主張しなきゃいけない。
 構造改革というのは、本当に歳出構造を変えるのが構造改革じゃないかと。歳出削減というのはだれも言うんです、総論。ところが、現実に国会の議論でもほとんどは、歳出を削ったところは非常に不満が多い、もっとふやせふやせと、あらゆる省庁。発想もやっぱり変えていかなきゃいけないんじゃないか。
 国の歳出を減らせということをみんな言います。ところが現実には、歳出を減らしたところに対しては不満が多い。もっとふやしてくれと言う。公共事業も例外ではない。その場合に、では、ほかのをふやして社会保障関係だけは今までどおりマイナスの予算を組めといったって、これは構造改革になりませんから、その場合には、去年の議論の原点から立ち上って、財政構造改革はどこへ行ったのかということを議論し直さないと真の構造改革にならないんじゃないかと私は思っております。
○直嶋正行君 私は今の部分は結構重要だと思うんですね、総理。もし仮に、これからあと補正をやって公共事業がふえて社会保障費用はそのままだということになりますと、これは本当に典型的に福祉切り捨て政策になりますから、私はそこは本当にきちっと踏まえて対応していただかなきゃいけないと思うんですが、総理、何か御見解はございますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、厚生大臣が述べられた十年度予算編成時の論議、まさにそういう思いでしてきたことはそのとおりであります。
 その上で申し上げたいことは、社会保障の構造も今のままで続けていけるかといえばいけない、将来にわたってセーフティーネットとして安定してこれが役立つようにするためには制度の見直しは避けて通れない、この事実は私は変わらないと思います。要はそれをどうバランスをとっていくかということであり、その点については、年金は年金として今までも五つの選択肢を示すことにより厚生省は御議論をいただこうといたしておりますし、医療保険制度にいたしましても種々の努力を積み重ねながら作業をしてきているわけでありまして、これはひとつやはりきちんとやっていかなければなりません。
 議員が言われるような御論議も私は一理なしとはしないと認めながらも、同時に、社会保障の構造というものも、将来ともセーフティーネットとして存続し得るようなものを今のうちにきちんとつくっておかなければならない必要があることはお認めを願いたいと思います。
○直嶋正行君 さっきから私が申し上げているのは、構造改革をやらなくていいというふうに申し上げているつもりは全くないんです、もう御理解いただいていると思うんですが。問題は、確かに非常にこういう問題というのは率直に言いまして利害調整が難しいですね。いろんな関係者がいますから利害調整は大変だと思います。そのことは私もある程度理解できるわけなんです。しかしながら、国民の立場に立ちますと、そういう利害調整も含めてやはりセットで、改革をやるというならセットでやってほしい、負担だけ先に来られたんじゃかなわないというのが私は根本的にあると思うんです。
 例えば、昨年の五月に総理府の調べた国民生活に関する世論調査というのがあります。この世論調査で、これからの生活の見通しについて、将来よくなっていくと思いますか、悪くなっていくと思いますかと、こういう項目がございます。実は、余り変わらないという方が半分以上おられるんですが、平成五年まではよくなっていくという人が悪くなるという人よりも多いんです。比率として高かったんです。ずっと時系列にこういう表がありますが、これを見ると、平成六年を境に実はこれが逆転しています。昨年の五月の調査を見ると、悪くなっていくという方が二一・八、よくなっていくは一二・七。ですから、国民の皆さんは、かなりの差がついてこれからの見通しを非常に暗く見ている、生活に関して言うと。
 ですから、私は今のような議論も含めて、バブル崩壊以降家計が、家計だけじゃなくてそれはいろんなところがあるかもしれませんが、少なくとも生活面で資産デフレや収入のダウンとかいろんなことがあった。しかも、セットでやられたのがこういう社会保障を初めとする制度改革論議なんです。その負担が着実に国民の生活にかかってきておる。こういう背景の中でやはり国民がどうしても生活防衛に走らざるを得ない、こういう背景があると思うんです。
 そういうことから考えますと、今やはり政府としてとるべき道はもっと国民のこういう意識なりあるいは生活にきちっと着眼をした政策をぜひとっていただきたい、このように思うんですけれども、この点についてはいかがでございますか、総理。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が引用されましたこの世論調査の結果、私も手元に持っております。そして、私は確かにこういう調査で出てきている空気というものがあると思うんです。だから、私はこれを事実ではないなんと言うつもりは全くありません。
 その上で、私は本当に国民にわかっていただきたい、議員にもわかっていただきたいのは、少子・高齢化がこうしてどんどん進行していく中で、現在の仕組みを放置していたらどうなるかということなんです。これは間違いなしに将来の世代の負担は非常に過重なものになります。そして、それは恐らく経済社会の活力を失うことになるでしょう。
 ですから、社会保障については、セーフティーネットとしての役割を堅持しながら、一体どうすればバランスのとれたものにできるかという、これは国民的な合意が本当になければうまくいきませんけれども、構造改革を進めなきゃなりません。
 そして、先ほど厚生大臣から申し上げたように、給付の水準を維持しようとすれば、保険料で賄うか税で賄うか、あるいは逆に給付の水準も見直すのか、そうした点について本当にお互いが議論をしなきゃなりません。そして、そこでつくり上げるセーフティーネットとして将来も保ち得る、そうした社会保障というものを組み上げることによって、私は安心できる社会を構築しなければならないと本当に思います。
 ですから、私も議員の議論を全く否定しているわけではありません。ただ、私は今という時期、確かに世論調査が示すとおり、厳しい見方をなされる方がふえていますけれども、だからそれじゃと言ってここで後に延ばしていって、より改善する見通しはあるのか。この高齢・少子化という現象が残念ながら人為的に変え得ない以上、我々は真剣にセーフティーネットとしての役割のできる社会保障を将来的に存続するためにはという命題を解かなければならないと思います。
○直嶋正行君 またこの問題は後ほど同僚議員からも議論があると思いますので、もう一点ちょっと重要な問題を確認しておきたいと思います。
 労働大臣、ちょっとお伺いしたいんですが、先日来、雇用に関するさまざまな統計が発表されています。失業率も三・六という大変高い数字なんですが、特に今の状況を見ますと、失業率の高い層というのは若年労働者層とそれからいわゆる中高年層といいますか、こういうところなんです。特に、私はこういった経済情勢であるとかこれからのことを考えますと、やはり中高年層、政府の統計で見ると六十歳以上が非常に高くなっていて、五十代、四十代といったらそんなに高い数字は出ていないんですが、実は一度職を離れるとなかなか職につけないというのがこの四十五歳以上ぐらいの方の特徴なんですね。
 これからのことを考えますと、この中高年の雇用対策というのは、やはり政府としても最も重要視していかなければいけない問題ではないかと思うんですけれども、労働大臣の現下の御見解を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま御指摘がありましたように、失業率は平均して三・六でございますが、それを上回って非常に高いのは、若い層とそれから中高年というか、むしろ高年齢層だろうと思います。
 この中で、二十五歳以下の方々については、有効求人倍率は一を上回っております。一を上回っているんだけれども、失業率は七・幾らという数字になっている。ということは、職は随分あるんだけれども、自分の気に入った職がないので職におつきにならないという若い方がたくさんおられるということです。そういうことができるほど余裕のある国に実は日本はなったのかな、あるいはまたそういうことをやりながらでも生活ができていく国になったのかなと。実は我々が就職をしたときの三十五年、四十年前のことを私は思い浮かべました。
 実は、それほどの国になったという国をつくってくださった高年齢の方に、先生がおっしゃったように最大の問題が今来ているわけです。有効求人倍率を見ますと、五十五歳以上の方では〇・一二でございます。これはやはり率直に言って職がない、働く方に比べて職がないということでありますし、職を現に持って就職をしておられる方でも、不況になった場合にはやはり一番最初に失業の危険にさらされておられる。その状況は私は十分厳しく認識をいたしております。
 中長期的には、職業能力開発であるとかいろいろな手を打っていかねばなりませんし、新たな雇用の受け皿をつくり出していくということ、いろいろな努力をしながらつくり出していくということが大切でございますが、短期的にはやはり景気の動向に大きくこれは左右されると思います。
 そういう中で労働省としては、高年齢の方を雇い入れていただいた場合に助成金を出すとか、あるいは不況業種について継続雇用の助成金の指定をいたしておりますが、その業種の拡大を労働組合あるいは産業界と話し合いながら考慮していくとか、あるいはまた職安も従来のように待ちの機能だけではなくて、積極的に打って出て、企業をお訪ねして、そして求人のリストをつくり上げて、特に中高年齢の方々にはそのマッチングをしていきたい。そういうことで、私も実は先般、各経済団体の中央の長の方々にお願いに行った、こういうのが現状でございます。
○直嶋正行君 それで、総理、ひとつ御見解を伺いたいんです。
 今、中高年の失業の話をしたんですが、実はちょうどこの中高年層というのは、今職についている人、現在は失業していない人、この人たちも非常に今、何と申し上げたらいいですかね、厳しい意識を持っておられる。
 これは実は、ある雑誌でアンケートをとった内容なんです。
 全体で七百数十名のアンケートなんですが、このうちの八六%が企業の部課長クラス、平均年齢四十七歳。企業の規模も、三百人未満のところもあれば三千人を上回る大きな企業もある。それから業種も製造業から保険、サービス業まで幅広いんですが、この統計を見まして実は私ちょっとびっくりしたことがあるんです。
 どういうことかといいますと、今現実に職について、管理職ですから、今の生活に対しては余り大きな不満はない、まあまあだという反応なんです。ところが、この人たちが将来をどう見ているかといいますと、今のような生活の安定はもう期待できないだろうという人が五〇%以上あるんです。それから、もっとびっくりしたのは、自分たちの子供の世代は親の世代ほどにはなれない、つまり親の世代より生活は悪くなる、こういうふうに見ている人は半数、五〇%あるんです。
 ということは四十七歳ぐらい、五十歳前ですね、これはいわゆる団塊の世代の方が多いんですが、人口を見ましても大体一番多い層ですし、それから今の日本の社会でいいますとまさに社会を支えている人たちです。大学生の子供なんかいたりして一番大変な世代でもあるんです。こういう人たちが自分たちの将来、それから子供の将来に対して非常に悲観的な見方をしている。これは労働大臣から今お話があった、リストラなんかで職を失った場合に職をどうするかという問題だけではないものを私は持っていると思うんです。この世代は、今職についていても現実に非常に大きなストレスを感じているし、なかなか将来の展望が持てない。こういう人たちは本当に将来に夢を持って二十年、三十年働いてきた人たちだと思うんです。
 ですから、少年のいろんな問題が、きょうも教育問題としていろいろ議論がありました。一種の社会問題として言われているんですけれども、余り注目されていませんが、この中高年の人たちが今ちょうどいろんな意味でリストラも含めて難しい状況に直面していて、こういう意識調査を見ると非常に大きなストレスを持っていて将来を悲観している。こういうことは、やはり単なる雇用問題を超えて、私はある種の社会問題じゃないかなというふうに思うんです。
 ですから、きょうはこれでもう終わりますけれども、最後にちょっと総理に御見解があればお伺いしたいと思いますが、これはこれから政府もぜひ関心を持って取り組んでいただきたい、このように思います。
 御見解を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) しばらく前に、アメリカが不況のとき非常に有効に機能したのが人材派遣業というものの存在でありました。そして、余り例示はよくないかもしれませんが、例えばNASAのトップクラスの技術者でも職を失ったような場合に、その人たちが実にスムーズな労働移動が行えた一つのかぎは、私は人材派遣というものの定着にあったと思います。
 そして、議員が今引用されました意識調査、私も手元に持っておりますし、これを見るといろいろ考えさせられることがありますが、率直に感じること、それはやはり年功序列型賃金の体系、そしてそれに裏打ちされた終身雇用制というものが変化を始めていることを、特に管理職クラスに既になっておられる、あるいはなろうとしておられる、その中におられる方々ですから、非常に敏感に感じておられるなという問題意識を持ちます。
 私は、これは通産大臣当時でありますけれども、連合の皆さんに対しても、人材派遣というものの窓口をもっとあけたらどうだ、そしてもっと弾力的に労働力の移動ができる、そういう舞台をつくるべきじゃないかということを申し上げました。労働省の諸君にも、職安というものに対して、かたくなにその権益を維持するというよりも、むしろ人材派遣業というものをもっと積極的に活用することを考えてはどうかということを申しました。
 そして、同じような進言を何カ所かでいたしてまいりましたが、私は本質的に日本の企業が完全に終身雇用制を捨て切ってしまうとは思いません。基幹部分においてこれは残ると思います。年功序列型の賃金体系というものもある程度までは残ると思います。その上で、やはり企業が要員のバッファーを持つ。そのバッファーの部分は人材派遣のような労働力の水平移動という形でカバーされるということがふえてくるのではないでしょうか。
 そしてその意味では、転職の自由も当然ながら今よりもはるかに大きくなるでありましょうけれども、その場合にその雇用をどうカバーしていくのか、国として支援していくのかといったようなことは今から考えておく必要のあることだと。数年前からそのような問題意識を持っておりましただけに、この数字を拝見しましたときに私は、現実に企業の中で管理職としておられるちょうど私どもより一回り下の年代層の方々の意識というものがこういうものを敏感に感じ取っておられる、我々も行政としてそういう意識を持ってこれからを見ていかなければならない、そのような感じを持っております。
○直嶋正行君 関連を。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。釘宮磐君。
○釘宮磐君 民友連の釘宮磐でございます。直嶋議員の関連質問をさせていただきたいと思います。
 まず、総理にお伺いをいたしますが、最近の衆議院の補欠選挙、これは東京四区、長崎一区と立て続けに行われたわけでありますが、東京四区が三七・六五%、長崎一区は三八・一%、極めて低投票率であります。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 ある新聞によりますと、八人中三人が投票をした、そしてその八人中一人が当選した候補者へ投票をした。これは一二・五%の得票率になるということであります。
 こういう状況を総理はどのように受けとめておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員からは最近の衆議院の補欠選挙のみを例示されましたけれども、私はしばらく以前から、投票率の低下傾向というものが非常に顕著になり始めて以来、この傾向を非常に心配いたしております。
 これでよく言われるのは、若年層の政治離れとか、あるいは政治的無関心とか、あるいは政治不信とかいろいろ言われております。しかし、例えばこれだけが解決すれば投票率が非常に高くなるといったような手法をお互いに見出すことができないでいるわけでありますけれども、このまま投票率の低下が続いていきますと、本当に民主主義というものが成立しなくなっちゃうんじゃないか、私はそんな心配さえいたします。
 ですから、これは政党政派の問題ではなく、お互いに政治にかかわるもの皆が力を合わせて、政治に関心を持っていただけるように、国民に政治に目を向け、投票という行動で参加していただけるような努力を積み重ねていかなければならないと考えておりますし、その意味では先般の臨時国会で、できるだけ投票していただきやすい環境を整えるということから、投票時間の延長あるいは不在者投票の事由の緩和などを主な内容とする公職選挙法の一部改正が行われました。こうしたものがこの投票率の低下傾向に少しでも歯どめをかけてくれることを願います。
 殊に不在者投票については、従来、せっかく投票しようという意思を持って行かれた方が断られてしまうなどというケースも耳にいたしましただけに、この改善が多少ともにという思いはございます。
 しかし、それだけで私はこの状況がやむとは思いませんし、お互いが全力を尽くして信頼を取り戻す、政治への関心を呼び戻す、その中で答えを模索しなければならないと思います。
○釘宮磐君 総理にお願いしたいんですが、質問時間が非常に短うございますので手短に答弁をお願いしたいと思うんです。実は私も選挙を控えていますから、今いろんな方とお会いをしています。いろんな意見を政治に対して寄せてきます。特に政治家や政党に対して、これは与野党を問わず、厳しい指摘をいただいているところであります。
 私は、そういう中で、先ほど直嶋議員との議論の中でもやりとりがありましたけれども、要するに政治家及び政党、この辺の皆さん方が国民に対してアピールしていることとやっていることとのギャップというものを非常に感じるわけです。
 例えば、議員定数を削減するというようなこともよく議員さんはおっしゃる。また、中央のいわゆる官僚の数を減らして、国民の皆さんの痛みに少しでも合わせられるような形で我々も一緒にやるんだ、そういうふうなことを言われているけれども、しかしいつも国民のツケばかりが先に来ちゃって、政治家や官僚を減らしていくというようなことについては先送りされていくだけではないか、こういうふうなことをよく言われるわけでありますが、この点について、総理、どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点申し上げたいこと、議員さんたちはよくとおっしゃいましたけれども、議員もそのお一人であります。そして私は、議員定数については各政党会派の中において十分議論をしていただくべき話と今まで申し上げてまいりました。
 現在も議員定数、一昨年十月、与党三党の政策合意におきまして、「議員定数の削減を前提にし、民意がより良く国政に反映されるよう、早急に選挙制度見直しを開始する。」とされており、与党三党の政治改革協議会を中心にその検討を行っておりますが、私は、いずれにいたしましても、これは各党各会派で十分御論議をいただきたい、その結果を踏まえて対応していくべき課題だと思います。
 また、行政改革についてもお触れになりました。ことし、国家公務員の純減はたしか三千何名かだったと思いますけれども、ちょっと正確な数字を今記憶しておりません。しかし、既に規制緩和推進三カ年計画を新たに今後の三年間に対して昨日策定いたしました。そして、地方分権推進委員会からいただきました四次にわたる勧告というものもこれは地方分権推進計画として今鋭意これをまとめつつあります。
 それを土台にして、中央省庁改革のための基本法を今国会でぜひ議了していただきたいと私どもはお願いをいたしておりますけれども、こうした中で大幅なスリム化を実現する体制はつくっておりまして、国会の御協力をも心からお願いを申し上げる次第であります。
○釘宮磐君 今、総理は、議員の定数については国会がお決めになることだというようなお話をなさいました。それはそうだと思います。私は常々総理のリーダーシップというものを今こそ発揮するときはないのではないかというふうに思う中で、決して自分がこの問題から逃げるつもりはありません。
 総理も自民党のポスターには「私は、逃げない。」というふうに言っていますが、今の日本の状況というのは非常に厳しい状況だということは国民もわかっているわけです。だから、国民も政治家もともども、総理が先頭になってやる、そういう姿が見えてくれば、私は、少なくともこうした低投票率にはなっていかないし、そのことが国会の中できちっと議論をされ、国民が見える状況になってくるということをやっぱり国民は望んでいるんだろう、このように思うわけです。
 ですから、たまたま私がこの質問をするということで、ある人がこういうふうに言ってきました。
 橋本総理は、国会での演説でしばしば痛みを乗り越えて改革を進めると述べ、さらには国民の皆様どうぞ御安心くださいとまで言い切っている。しかしながら、痛みを押しつけられているのは国民だけで、金融機関には預金者を守ると言って巨額の公的資金を投入し、庶民の預金にはゼロに近い金利を強いている。医療費は、介護保険料は、年金は今後どうなっていくのか。不透明な中でどうして安心などできるでしょうか。
 今、景気対策でいろんなことが議論をされていますけれども、まず政治に対する信頼感、そしてこの政治についていけば間違いない、我々は安心できるんだ、そういう状況ができてこないと、またつくっていかないと、庶民は財布のひもをきちっと締めてしまって、先行き不安ですからお金を使わない。きょう、十六兆円の補正の話も出てきましたけれども、こういうふうなことをやっても、また今、減税の問題も言われていますけれども、これがたんす預金になるのではないか、そういうことも言われています。要は、不安だから、また政治に対する不信感があるから国民はお金を使わないんだ、それが景気を、GDPの六割を支えるという個人消費を冷え切らせているんだ、このことを私は申し上げたくてこの問題について取り上げたわけであります。
 総理、何か意見がありましたらどうぞ、この方の意見に対して。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この席に本日呼ばれております全閣僚、政務次官を含めまして、内閣発足以来私どもは歳費の一割を国庫に返上した上で仕事に取り組んでおります。
 同時に、私は、議員が定数を論議されようとしておりますのが参議院の定数でありますのか衆議院の定数でありますのか、わかりません。そして、参議院の定数でありますなら、私は衆議院所属の議員として参議院の定数について云々すべきではないと存じます。
 また、衆議院は新たな選挙制度が生まれましてから一度選挙を体験いたしました。そして、それにつきましては、私どもの求めた選挙制度ではありましたが、自由民主党はそのもとで全力を尽くして戦ってまいりました。その上で、先ほども申し上げましたように、与党三党として協議会の中で議論をするということまで申し上げております。
 そして、この新しい衆議院の選挙制度につきまして大変長い議論がありましたことは御承知のとおりでありまして、私個人で云々すべき性格ではないと存じます。
○釘宮磐君 今の政治に対する信頼感、国民がこの政治についていけば将来安心だという意味での、ある意味では不信感からこの景気が低迷している、支出を手控えているということを指摘したわけでありますし、またそのことと補選の低投票率、これはリンクしている問題だということ、これもお話を私からさせていただいたわけであります。
 そこで、先ほど直嶋委員からもこの点についてお話がありましたが、いわゆる高齢化社会、成熟化社会の到来、これは社会保障改革を余儀なくしていかなきゃならない、これはもう当然のことであり、先ほど総理のお話の中にも将来にツケを回さない、これもそのとおりであります。
 しかしながら、私が心配をしているのは、要するに、現在進められている社会保障改革というのはどうも、まず財源論ありき、そして公的負担の抑制といった点が優先されているように思えてならないわけであります。医療費のいわゆる抜本改革との抱き合わせの中で、医療費を将来どういうふうに抑制し、しかも国民にそのことを理解してもらうかということは、昨年の医療保険改革の法案の中で小泉さんと私もきっちり議論したところでありますが、先ほどの議論を聞いていまして、これは小泉大臣にお願いしたいんですが、西暦二〇〇〇年に本当に間に合うんですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 抜本改革の法案を順次出すように今準備を進めて、二〇〇〇年に間に合うと私は確信しております。
○釘宮磐君 間に合うように確信しているでは困るんです。確信をしているということが先々になったらまた延びたというところに政治不信があるわけで、これは間違いなく二〇〇〇年にやれますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) これは手順がありますから、現在、診療報酬体系制度と薬価基準制度について審議会で議論いただいております。
 これは結論が出次第、法案を提出しますし、同時に医療提供体制、高齢者保険制度を順次やっていきますから、ことしは一九九八年、平成十年、平成十二年、二〇〇〇年を目途にしていますから、これまでに法案を提出するよう準備を進めております。
○釘宮磐君 医療保険の改革というのは、今医療費が年間一割伸びているという状況の中ですから、これから医療保険の抜本改革がきちっとできたからといって、私は必ずしも医療費の負担が下がるということにはなっていかないんではないかというような気もするんです。
 そうなれば、何となく医療費の抜本改革を行えば医療費の負担は下がるんだというようなある意味ではアナウンスが私はあるのではないかと思うんですけれども、その点については、厚生大臣、どうですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 私もそのような心配はわかります。去年の九月、健保が一割から二割になったということで一時的に若干抑制効果が働いています。しかし、何カ月かすると戻るんじゃないかと心配する方もたくさんいます。高齢者はどんどんふえていきますし、医療の技術も進歩しています。月々百万どころじゃない、一千万もかかる治療費もどんどん出てきた。去年は月だけで二千万円を超えた患者さんもいました。それでも負担は六万三千六百円以上要りませんよという制度ですから、たとえ三割負担といったって上限は六万三千六百円ですよというんですから、月百万かかろうが一千万かかろうが二千万かかろうが上限は六万三千六百円、これでいいんだろうかという議論を今しているわけです。
 ですから、当面、患者さんの負担が一割から二割にふえたということになっても、これがずっと薬価も下がる、診療費も下がるという状況にはないなと。先進国の例を見ても、患者さんの負担が若干上がるとしばらくは医療費は抑制されます。しかし、しばらくたつとまたもとに戻ってしまうという状況でありますから、私は必ずしも楽観していません。しかし、今のままじゃいけないということで制度を全部見直そうということでやっているわけですから、その点は総合的に見る必要があると考えております。
○釘宮磐君 先ほどの直嶋委員との議論の中で、小泉大臣は急にはできないという話をしていました。急にはできないというのはある意味では私は非常に無責任だと思うんです。やっぱり政治というのは少なくとも五年十年先、五十年先を見てある程度進めていかなきゃならない。その政治が今ほとんど行き詰まった状態になって、いわば立ち往生した状況だと私は思うんです。このことを全く国民にわびるわけでもなく、ただ、今の大臣の言い方をすれば、これはそんな急にはできない、それから当然上がっていくものは上がっていくんだと。これは国民から見たら私は納得ができないというふうに思うわけであります。
 時間がもうありませんので、大臣に一つだけもう一回聞かせていただきたいんですが、年金です。年金も今若い人はもうもらえないのではないかという不安を持っています。それからお年寄りは、今の年金が果たして本当にこれからもらえるんだろうか、しかもこれから介護保険料も取られる、こういう状況の中で一体我々の将来はどうなるんだろう、こういう不安を持っていますね。
 これについて五つの提案をなさいました。私は、この五つの提案を今になって国民の皆さんどれがいいですかというのは非常に無責任だと思うんですよ。少なくとも今までこういう状況にしておいて、そしてここに来て国民の皆さんどうぞ、これは私は非常に本末転倒だと思う。これは、ある意味では政治がきちっとこういうふうにやりますということを提示すべきだと思うんですけれども、どうですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) これはどっちをやっても必ず御不満なり批判を受けるんです。今医療費でも、何で早く決めないんだと。早く決めれば、合意もできないのに決めたとまたおしかりを受けます。しかし、専門家の意見を聞いてじっくりかけなさいよという方もいるわけです。年金にしてもそうです。私は、役所だけで考えてはいかぬと。国民全般からいろんな意見があるんだから、選択肢を提示して国民各界各層の意見を聞きなさい、そのために選択しやすいような、一つの核となるような議論を提供するために五つの選択肢を去年まとめ、今審議会で議論をしていただいているところであります。
 しかし、最終的には厚生省が決めなきゃいけません。それを選択肢も出さないで、国民各界各層から意見も聞かないで、じゃ厚生省は決めましたといったら、私は選択肢を出した以上の批判を浴びたんじゃないかと思います。今、各界各層から意見を聞いているところだ、しかし年内中にはこの五つの選択肢あるいはこの修正点というのが出てくる、その中で厚生省は選択しなきゃいけないんです、一つに。そのときには今までの議論を集約して、責任持った案を厚生省としてまとめる、それは年内中であります。
○釘宮磐君 各界各層に聞くというお話ですけれども、各界各層では決められないですよ。これは政治が決めなきゃ絶対決まらない、私はそのことは申し上げておきたいと思う。
 最後の質問にさせていただきたいと思うんですが、きょう午前中、学校現場の先生がおいでになって衝撃的な報告がありました。私は、今青少年が病んでいる中に、テレビ報道、テレビにおけるいろんなドラマとか、こういうような問題で影響がないかということについて若干議論させていただきたいと思うんです。
 ちょうど、これは週刊文春ですか、「テレビが病んでいる」というシリーズ物で連載がありました。この中には、極めて残虐なシーンだとか、それから殺人現場を描写したものであるとか、最近では我々がテレビを見ているとびっくりするようないわゆる男女の絡みがテレビの画面に出てきたり、こういった問題は、私は少なくとも青少年に与える影響というのは非常に大きい、学校現場だけではなくてテレビの影響というのは大きいんじゃないかと思うんですが、この点、郵政大臣、どうですか。
○国務大臣(自見庄三郎君) 釘宮委員にお答えをさせていただきます。
 テレビに残虐な暴力シーンなどが多いんじゃないか、こういう御質問でございますが、テレビは御存じのように、憲法で保障された表現の自由あるいは報道の自由があるわけでございます。一方、当然これは公共の福祉というのがございまして、そういった中で、私は、表現の自由と公共の福祉ということのいかなる調和点でこの放送法をきちっと守っていただくかということは大変大事な視点だというふうに思っております。
 御存じのように、この放送法には番組準則というのがございまして、この中には公序良俗を守りなさいとかそういったことがあるわけでございますけれども、同法に従って、みずから定める番組基準に基づいて放送を行うようになっております。
 試みにこの番組準則、例えば日本民間放送連盟がつくりました放送基準の中にも、今、先生御指摘のように、児童及び青少年への配慮として、武力や暴力を表現するときには青少年に対する影響を考慮しなければならないとか、児童向け番組で悪徳行為あるいは残忍、陰惨などの場面を取り扱うときには児童の気持ちを過度に刺激したり傷つけたりしないように配慮する。これは放送業者が自主的に実は決めていただいているわけでございますが、自主的に放送番組基準をつくっていただいて、そういった中で今テレビ放映というのはされておるわけでございます。
 しかしながら、視聴者、見る方は、先生今言われたように、送り手である放送事業者とは違うような意図の受けとめ方をすることもあるわけでございますから、そういった場合、時代によって変わってくると思っております。
 今、先生御指摘のように、報道の自由、表現の自由も大変大事でございます。しかし同時に、公共の福祉によって規律せねばならないところはあるわけでございますから、そういった意味で青少年の健全育成ということも大変私は大事な視点だというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、そういった視点で外国でも、御存じのようにアメリカではVチップと申しまして、親が子供に見せたくない番組を選択できるという権利を、そういった装置をつけることを法律上義務づけたわけでございます。アメリカ以外にも、英国あるいはドイツ、フランスでも時間帯で、例えば六時から九時までとか十二時までは青少年に対して悪い影響のあるような番組を流してはならない、こういったようなことも決めておるわけでございます。
 各国のいろいろ事情を探りながら、今度の予算の中にもそういった調査会をつくる予算をつくっておりますので、予算が成立すれば直ちに放送業者あるいは有識者、教育者、いろんな方に集まっていただいて真剣かつ深い論議をさせていただきたいというふうに思っております。
○理事(岡部三郎君) 以上で直嶋正行君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(岡部三郎君) 次に、山下栄一君の質疑を行います。山下栄一君。
○山下栄一君 公明の山下でございます。
 何点か大事な問題を取り上げさせていただきたいと思っておりますけれども、時間の配分に悩んでおりまして、できるだけ御出席の大臣に漏れなくお聞きしたいというふうに思っておるわけでございます。
 最初に取り上げさせていただきたい問題は、二カ月ほど前になりますけれども、一月二十九日に本委員会で平成九年度の補正予算の質疑のときに取り上げさせていただいた問題でございます。
 ことし一月に入りましてからさまざまな公務員不祥事が続いておるわけでございますけれども、大蔵官僚また日本銀行、その発端となりましたのが日本道路公団の財務担当理事、大蔵省OBの逮捕から始まりました。この問題は、日本道路公団という特殊法人が発行いたします債券、特に外債の主幹事の選定をめぐる接待攻勢の見返りとして不祥事があったというようなことがはっきりしたことが逮捕につながったわけでございます。
 私はこの問題を取り上げまして、道路公団のみならず、さまざまな特殊法人が発行される特に国内債にかかわる政府保証債の引受幹事、そしてまた登録機関、これが日本興業銀行に独占されている、これはもうここ数年というよりも昭和三十二年以来四十数年にわたり独占され、受託手数料、登録手数料、引受手数料等が独占的に興銀に入っているという仕組みがあったという問題を取り上げさせていただきました。図表も使わさせていただきました。これに対しまして、総理は、詳しく存じ上げていなかった、しかし委員の指摘によって非常に違和感を覚えると、こういう率直な発言がございまして、勉強をしたいというふうなこともあったと思います。
 それで、この見直しの動きがあるようでございます。特に、日本道路公団につきましては、政府保証債じゃございませんけれども、政府引受債、後から表を見せますが、政府引受債の三月度の債券発行の引受幹事を日本興業銀行を外して入札制度で決めた、こういうことをお聞きしておるわけでございますけれども、この点につきまして、建設大臣にお願いしたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 先般の日本道路公団における外債発行にかかわる不祥事を踏まえまして、一月二十一日、所管の公庫・公団長に対しまして資金調達システムにおける客観性、透明性を高めるよう改善を指示したところでございまして、委員御指摘のとおり、二十九日の委員会で御質問もあり、指示いたしましたことをお答えさせていただいたわけであります。
 公団では、早速、資金調達業務改善委員会を設置いたしまして、資金調達業務の客観性、透明性を高めるべく、外債及び国内債発行手続の見直しを行ったところでございます。
 国内債につきましては、受託候補会社の選定に関して受託候補会社選定基準を定めまして、受託手数料、登録手数料の入札によって受託会社を決定するということにしたわけでございます。
 なお、国内債の政府保証債の引受幹事の選定方法につきましても、次回の発行、本年の九月ごろになると聞いておるわけでございますが、客観性、透明性を高めるべく見直しを行うことといたしておりまして、委員御指摘のように、公団は先般の不祥事を踏まえて全力を挙げてさように取り組んでおるということを御報告させていただきます。
○山下栄一君 入札制度を採用することによって、政府引受債につきましては富士銀行が落札したということを、今御報告ございませんでしたが、というふうに聞いております。
 手数料が興銀のときと比べると十分の一以下で落札した、このように聞いておるわけでございます。十分の一というと、これは今までいかに興銀が癒着の中で暴利をむさぼっていたか、公的な機関とも言うべき日本道路公団の発行業務に絡んで独占的にこういう引受業務をやっていたことが暴利につながったというふうになっていくわけでございまして、このことについて、建設大臣、これでよろしゅうございますか。
○国務大臣(瓦力君) 今ほど答弁申し上げましたように、資金調達システムにおけるいわゆる客観性、透明性を高めるということは重要なことでございますので、さきに公庫・公団長に指示をいたしまして、それらのことを踏まえて、それぞれの責においていかにあるべきかということを検討し、今御報告をさせていただいたわけでありまして、これらの方途が改革、改善されますようにこれからも見守ってまいりたい、また適切な指示をいたしたい、こう考えておるところであります。
○山下栄一君 ちょっと具体的に答えていただきたい。今回六千億の債券発行についての政府引受債の具体的な問題でございます。
 手数料の割合が興銀と比べると著しく低い。入札制度を導入することで、私は十分の一以下と聞いておるわけでございますけれども、今までよりも相当安い手数料で富士銀行が請け負ったということを聞いておらないんですか、大臣。
○国務大臣(瓦力君) 具体的な御指摘でございますから、今、道路局長にかわりまして答弁をいたさせます。
○政府委員(佐藤信彦君) 入札の結果でございます。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 富士銀行が受託会社になった手数料でございますが、額面百円につきまして一厘三毛五糸であるので八百二万円ということになっております。それから、興銀の場合の手数料でいきますと、額面百円に対しまして二銭五毛ということで、この手数料を計算しますと一億二千百九十万円。したがいまして、差額といたしまして一億一千三百九十万円の節減というふうになっております。
○山下栄一君 明確にございましたように、興銀の場合は六千億の政府引受債の発行に伴ってやる手数料が一億を超えていた。総理、しっかり聞いていただきたいんですけれども、富士銀行になることによって八百万円になった。十分の一以下というか、そういう意味でございます。ということは、今までいかにひどい状態であったかということを示している。
 ほかの特殊法人につきまして、総理の方から御報告をお願いしたいと思います。御報告というか、きのうも質問通告で申し上げておりますので、具体的にお答えいただければありがたいと思っております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一つ一つの特殊法人について私から答えろということでありますけれども、これは主管閣僚からお答えをさせます。
○国務大臣(小里貞利君) まず、特殊法人の債券発行業務のあり方につきましては、先ほども一部建設大臣の方から御説明ございましたように、所要の見直しが具体的にその後進んでいる、そのように承っております。
 なおまた、私どもの立場から申し上げますと、それらの所要の見直しあるいは精査の状況を見詰めながら今後対応をしていきたい。どのような対応が可能であるのか、その検討をしてまいりたい、厳粛に検討しなけりゃいかぬ、さように思っております。
○山下栄一君 総務庁長官からまとめてというか、総理、私は具体的に見直しがもう始まっておるというふうに聞いておりまして、道路公団については不祥事があったからいち早くそういう見直しが具体的に始まっておる。しかし、ほかのところも始まっておるのを聞いておりましたので具体的にお聞きしたいと思っておったわけでございます。総理の方で、この前も私の質問に対しまして、違和感を覚える、ちょっとおかしいなと思うということがございましたので、早速いろいろと総理みずから指示があったか、お調べされたかというようなこともございましたので、総理からお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますけれども、私が一つ一つの特殊法人を訪ねてその実情を調べたわけではございません。ただ、特殊法人の新たなディスクロージャーということでありますならば、政府保証債や政府引受債などの債券の明細についても公表をいたしております。
 幾つかの特殊法人についてそれぞれの主管閣僚はお答えをいたす用意をしておりますから、必要なら順次お答えを申し上げさせます。
 今、私の手元には、公営企業金融公庫あるいは中小企業金融公庫、水資源開発公団等、調べておりますものがございますので、それぞれの閣僚からきちんと御答弁をさせます。
○山下栄一君 自治大臣から簡単にお願いします。
○国務大臣(上杉光弘君) 公営企業金融公庫の国内債についてでございますが、これまでの実績を勘案して日本興業銀行を受託会社としてきたところというのは経緯として御承知のとおりでございます。
 この受託会社の具体的な選定につきましては、現在、公庫におきまして公平な条件のもとでの参加を保証しつつ、入札等の競争原理を導入することを検討いたしておるところでございます。
 公庫は他の発行体と異なり、毎月多額の政府保証国内債を発行しておりますことから、金融機関の側で受託に伴い増大する業務に対応し得る業務処理体制などを整備する必要がございまして、競争入札というものの導入につきましてはある程度の準備期間が必要ではないか、こう考えております。
 なお、縁故債につきましては地方公務員共済組合連合会のみの引き受けでございます。
 率については事務方から答えさせます。
○政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。
 中小企業金融公庫の国内債の発行手続の問題でございますが、従来は公庫の国内政府保証債については興銀が主幹事であり、また受託会社でありましたが、今後につきましては、引受主幹事会社について選定手続の透明性、客観性を高めるために主幹事会社選定基準あるいは選定手続等について文書により規定を制定することとしております。
 それから、総裁、副総裁、担当理事等から構成される主幹事会社選定委員会を設置する等の手続を講じることとしておりまして、受託会社の選定につきましては、既に直近に発行された本年三月債より入札方式を導入しております。
 また、国内政府引受債の受託会社につきましても、政府保証債と同様の理由でこれまで興銀としてきたところでございますけれども、既に直近に発行された本年三月債より入札方式を導入して、他の銀行にかわっております。なお、縁故債につきましては、中小企業金融公庫においてはこれまで発行の実績はございません。今後発行する予定もございません。
 受託手数料でございますが、従来より約半分という水準に下がっております。
○政府委員(齋藤博君) 水資源開発公団についてお答えいたします。
 水資源開発公団では、資金調達の透明性及び客観性を高める観点から設置した資金調達業務検討委員会において国内債の発行事務の見直しを行い、平成十年度に発行する政府引受債から受託機関を入札により選定することを決定したところであります。
○山下栄一君 特に、今の中では中小企業金融公庫が三月の政府保証債、そして政府引受債、それぞれ興銀ではない。具体的には政府保証債は富士銀行だと思います。政府引受債は第一勧銀が落札している。そして、手数料が半分になったというお話でございました。公営企業についても入札制度導入に向けて検討に入った、水資源開発公団は既にそういう入札制度を決定したというお話でございました。ということで、見直しの動きが起こっているということをお聞きいたしました。(図表掲示)
 総理大臣にちょっとお聞きしたいと思いますが、これは発行機関、一番上は国鉄清算事業団。総理に資料を渡してあります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただ、一体どこを指していらっしゃるのかわからないんです。
○山下栄一君 一番上です。国鉄清算事業団を初めとして二十七機関がずっとございます。日本道路公団、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫も入っております。
 それぞれ特殊法人は国内債として政府保証債、政府引受債、縁故債、こういう三種類の債券を発行しておる。政府保証債は、二十七機関を合計いたしますと、平成八年度分だけで約三兆、二兆九千億。政府引受債の方は、日本道路公団が大変多いわけですけれども、二十七機関で約三兆七千億。縁故債、これは不思議な言葉ですけれども、これは二十七機関で一兆一千億。総合計いたしますと、八兆円近い七兆八千億。
 政府保証債については、これは引受幹事、それから登録機関、全部日本興業銀行が独占していたということを従来は申し上げておったわけです。それに伴って受託手数料、登録手数料が全部日本興業銀行に入っていたということです。政府引受債、縁故債につきましても大半が日本興業銀行が独占的に受託していた、こういうことでございます。二カ月前の本予算委員会でこのことを総理にお話し申し上げ、ちょっとおかしいな、このように違和感があるなとおっしゃったわけでございます。
 平成八年度に二十七発行体で約八兆円の国内債を発行している。これに伴って日本興業銀行には約三十億の手数料が入っていた。ところが、ただいま報告をいただきましたごく一部の機関、中小企業金融公庫、日本道路公団が入札を実施することによって十分の一あるいは半分の手数料で済んだ、こういうことになっているわけです。日本道路公団も二十数兆円の借金を抱えている特殊法人、そこには国の税金も入り、郵便貯金を初めとする財政投融資も入っている、そういう公的な機関がある意味では非常に損をしていた、日本興業銀行が不当な利益を得ていたということに結果的になる、こういうことから見直しをするべきだ、このことを申し上げたわけでございます。
 今幾つかの報告がありまして、検討が始まっているところと、既に入札制度を実施することによって手数料が低くなったところ等の報告があったわけでございます。
 これにつきまして、私は、もちろん各所管の監督すべき大臣の問題でもあるかと思いますけれども、行政改革にかかわることでもあるという観点から、総理大臣にこのことについて、多分掌握されていると思うんですけれども、この問題につきまして、今どういう状況で、総理大臣はどうとらえられておるかということをお聞きしたい。違和感を覚えるということはこの前お聞きいたしました。
○国務大臣(橋本龍太郎君) だから、先ほども申し上げましたように、議員から御指摘を受けた一月二十九日、私は確かに首をひねって、これはおかしい、何か違和感を覚えるという答弁を申し上げました。そして、議員から「反省は何もしないということになる。」という御指摘を受けて、「私は発行体と金融機関の間で決めるべき問題だという整理が本来のものだろうと思います。しかし、その上で監督当局が仮にその金融機関の業務運営の中に適正さを欠くものがあると認められた場合、法令にのっとって適切に処理することが必要である、」「その上で、私自身が今拝見をし、確かに非常に不思議な感じを持つぐらいすべての、」という答弁を申し上げました。そして今、それぞれの省庁がその指示を受けて、御報告を申し上げたような措置をとっております。
 必要であればほかの特殊法人も全部呼ばなきゃいけないのかもしれませんが、それぞれの所管閣僚のところで今申し上げたようにそれぞれが努力をいたしておりますし、新たなディスクロージャーにつきまして政府保証債あるいは政府引受債など債券の明細についても公表しておるという状況でありまして、債券発行業務の見直しは現在進行中であるということをもう一度繰り返して御答弁申し上げます。
○山下栄一君 本来は不祥事が起こってからとかじゃなくて、四十年以上続いてきた癒着の極めて厳しい慣行であったというふうに私は強く確信いたしますので、総理にこのことを申し上げているわけです。もう見直しが始まったからいいじゃないかという問題じゃない。もっときちっとこういうことは早く気がついてやるべきだったということだと思います。
 今、総理も発行条件等含めて発行主体と金融機関との関係の中で決めるべきというお話がございましたが、この発行条件には実は大蔵省理財局が具体的にかかわっているということを、私は自分の調査でございますけれども、お聞きしておるわけでございます。
 発行主体は、発行条件、例えば債券の利回りを決めるところに具体的にほとんどかかわれなくて、大蔵省理財局と日本興業銀行が具体的に決めているという実質的な実態があるというふうに聞いておるわけでございますけれども、この点、確認をしたいと思います。
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 委員御承知のように、政府保証債の発行につきましては、大きく分けまして発行の手続と政府保証の手続があるわけでございます。発行につきましては、これは各発行体がそれぞれの主務大臣の認可を受けて発行するわけでございまして、今、総理も御答弁されましたように、その発行手続については努力をされているところでございます。
 問題は、私ども理財局は保証の手続の方をやっております。これは、国が債務を負担する保証契約に関する事務ということを行っておりまして、具体的にはどういう観点から審査しているかといいますと、わかりやすく言いますと三点でございます。
 第一の点は、この債券の額面総額が国会で議決をいただきました各年度の一般会計の予算総則に規定されている保証限度額の範囲内かどうかということでございます。これは範囲を超えて保証するわけにはまいりません。
 それから二番目は、財政上の観点から、例えば政府保証の信用度とか、また高い利率でございますと、結局はこれは国民負担につながるおそれがあるものですから、その債券の利率及び価格が政府保証を付すものとして妥当な水準かどうか、できればより低いものがいいわけでございますが、そういう観点から審査しております。
 三番目は、いろんな条項がございまして、その他の条項の中で急に国の保証債務がどんと来るような条項があってはいかぬものですから、そういう影響するような条項があるかないかどうかの審査を行っております。そういう立場から保証の審査を行っておるのが理財局でございまして、先ほど先生が言われました発行そのものの条件は、これは各発行体が発行手続に基づいて決めているということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○山下栄一君 事実はそうじゃないということを私は申し上げておきます。
 「ファイナンス」という雑誌がございます。この雑誌の一九八八年、十年前ですけれども、十二月号、八九年十一月号、ここで大蔵省理財局総務課長補佐寺田稔という人です、現在官房広報室長。松田学さん、現在大蔵省大臣官房企画官が「政府保証債について」という論文を書いておられるわけです。その中でおっしゃっているのは、今発行条件には大蔵省はかかわっていないとおっしゃいましたけれども、発行条件の交渉は実質的に理財局総務課と日本興業銀行との間で行われている、このように明確におっしゃっております。
 今の答弁と全然違いますけれども、これはでたらめな雑誌なんでしょうか。
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 発行体が発行するに当たって、これは政府保証を付すのに妥当なものかどうかという内々の照会があります。いろんな照会がある中で、先ほど言いましたような観点から、政府保証を付す立場から、発行予定の債券の利率とか価格につきまして、一体保証を付す立場からどう考えているかということを事前に聞かれる場合もございます。そういう場合は、それなりに金利動向を踏まえまして、現実に実績は私ども政府保証債のクーポンは国債のクーポンと並びか、せいぜい最近は〇・一上乗せぐらいのところでございますが、そういうような意味で、政府保証を付すに相当な条件かどうかということについて意見を申し述べていることはございます。
 しかしながら、それは発行条件そのものを決めているわけではございません。あくまで政府保証をつける立場からの意見を申し上げているというところでございます。
○山下栄一君 保証をつける場合の相談に乗るとかそういうことを今おっしゃっておったわけでございますけれども、それは結局かかわっていないのじゃなくてかかわっていて、ここの論文では実質的に理財局総務課と日本興業銀行との間で行われている、こういうふうにおっしゃっているわけですよ。今、局長がおっしゃっていることは、先ほどは明確にかかわっていないと言われながら、今またちょっと違って答弁されましたけれども、いろいろ指導、相談に乗る場合もあるというようなことをおっしゃっております。だから、ここの論文は極めてストレートに具体的にわかりやすくおっしゃってくださっている。それを巧妙に粉飾するような言い方を局長がおっしゃっていると、そういうふうにとらざるを得ない。
 いかにしても非常に不透明な形で発行主体と金融機関との間で、金融機関といっても日本興業銀行です、政府保証債は日本興業銀行が一たん受けて、そして多くの金融機関にそれをまた、引受幹事会社が興業銀行であるわけですから、そこからまたシンジケート団会議というのをやって、そこで具体的にどれだけ引き受けるかということを決めていく手続になっているけれども、実質は日本興業銀行が大蔵省と話し合いで決めているという疑いが極めて濃いということ、譲って申し上げてもそういうふうに言えるのではないか。
 「ファイナンス」という雑誌で具体的に担当されている理財局の総務課長補佐さんがおっしゃっているわけでございますから、そういう非常に不透明なものを私は感じるわけですよ、大蔵省とのかかわり。
 もう一点申し上げます。
 これは総理にお聞きいたしますけれども、各年度の予算案を決定する直前に、政府保証債の年度発行額の決定のために国債発行等懇談会という大蔵大臣が出席されて意見を聞く場がある。例えば平成九年でしたら十二月十九日に開催されているわけですけれども、国債発行等懇談会に日本銀行総裁、財政制度審議会会長、金融制度調査会会長、証券取引審議会会長、全国銀行協会連合会会長、日本証券業協会会長代行が出席されているわけです。ここにはもちろん日本銀行、大蔵大臣が出席されるわけですけれども、その正規のメンバーの中に日本興業銀行が入っている、頭取さんが。
 毎年度行われる国債発行等懇談会、政府保証債も含めての懇談会があるそうでございますけれども、なぜこういうことになっているのかということも極めて不透明だなと。日本興業銀行が特別扱いされて頭取が出席されている、こういうことはもうやめるべきではないか。どうでしょうか。
○政府委員(伏屋和彦君) お答え申し上げます。
 毎年度発行いたします国債の発行量が膨大になってまいりますと、国債発行当局といたしましては、これらの国債を確実かつ円滑にできるだけ低コストで消化する必要がございまして、そういう意味で、国債発行計画の策定に当たりましては、国債発行懇というのを開かせていただきまして、民間の方々の御意見も聞きながら円滑に進めてまいりたい。それによりまして、市場関係者の意見等を踏まえて、市場のニーズを十分勘案しながら、償還年限別とか消化方式別に適切な発行計画を立てているという事情でございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
○山下栄一君 いや、理解できない。旧来の悪い慣行の中で行われてきた、日本興業銀行頭取が出席するのは政府保証債を独占的に引き受けているからそうなってきただけの話だと思うんです。
 今、見直しが始まっています。だから、日本興業銀行がなぜ毎回出席する必要があるのかということから考えても、こんな悪い慣例はやめるべきだ。大蔵大臣、どうですか。総理でも構いませんが。
○国務大臣(松永光君) 先ほど総理のお答えの中にもあったと思いますが、どういう金融機関が国内債の引き受けをするのか、こういったことは、発行体と金融機関との間で決めるべき問題なのでありまして、先ほど委員が御指摘になりました昨年の分までですか、そういった点について独占をしておったなどという事態があるとすれば、それは金融機関の業務の公共性、こういった点からいって問題がなしとは言えないなと、そういう感じを私も受けました。
 したがって、監督当局としては、仮に今申したような金融機関の業務運営の中に適正さを欠くようなことが認められるとすれば、法令にのっとり適正に適切に対処しなきゃならぬ問題だというふうに思うわけであります。
 いずれにしても、金融機関の業務の健全性を確保するために、引き続き適切な監督に努めてまいりたい、こう思います。
○山下栄一君 だから、今こういう金融不祥事が続いて金融機関に対する不信感が物すごくあるわけですよ、金融行政そのものに対して。健全性を確保するために考えてきたというものじゃなくて、非常に不透明な形でこういうことが行われてきた。その見直しが今始まっているにもかかわらず、大事な国債発行等懇談会、政府保証債の年度発行額を決定する会議に、今まで独占をずっとしてきたから日本興業銀行が出席していただけであって、見直しが始まって、具体的に入札も始まっているわけですから、何の出席する理由がない。
 このことも含めてちょっと総理大臣に最後にお聞きしたい。
 これはお手元に資料があるものでございますけれども、(資料を示す)二十七機関にわたる特殊法人の国内債、政府保証債はもう全部です、政府引受債、縁故債も一つの銀行が全部独占してきた。昭和三十二年以来の話ですからね。こういう非常に不透明なものがあって、一律手数料、発行主体に関係なく全部同じ手数料、同じ利率の手数料でというようなことで今見直しが始まっているわけであります。二十七の発行主体がそれぞれあるのに、全部同じ手数料で決まっていたと。極めて不健全であるし、大問題だと思うわけでございます。
 それぞれの公団、事業団が公募で本来やるべき主幹事、引受銀行を日本興業銀行がずっと四十数年独占してきた、極めて不健全であるというようなことを考えましたときに、抜本的な、こういう悪い慣例はやめるということを言わないと、もう金融行政の問題点というのは私は国民の不信感からぬぐえない、そのことを最後にまとめてお聞きしたいと思いますし、先ほど申し上げた国債発行等懇談会の中に日本興業銀行が今まで入っていたということについてもやめるべきだということについても総理のお考えをお聞きしたい。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、先ほども一月二十九日の議事録に目をもう一度通し、それを引用しながら、おかしいと素直に思ったという答弁をし、そしてその上で透明さを必要とするということも踏み込んで申し上げているということも過去の答弁を踏まえて申し上げました。
 そして、今見直しが進められておりますということも御報告をし、ディスクローズの状況も御報告をし、例示で関係閣僚並びに政府委員に呼んでいただいておりました幾つかの機関について具体的な御報告もさせました。そして、見直しを進めていますということを繰り返し御答弁申し上げております。その懇談会になぜ興銀がいたのか、私もわかりません、今初めて伺いましたから。それは調べてみます。そして、不必要なものならやめてもらいますし、その存在の理由が必要であるということでありましたなら、それはそのまま当然仕事をしてもらいます。
 いずれにしても、調べてみたいと思います。
○山下栄一君 次の問題に移ります。
 日本銀行の役員人事についてでございます。
 日本銀行幹部の不祥事によりまして日本銀行総裁が交代されました。新体制になって改めて役員の顔ぶれを見ましたら、総裁、副総裁、理事、監事──監事が三人いらっしゃいます。この中に矢崎さんという元会計検査院長が入っておられるわけです。これは平成九年、昨年から始まりまして平成十二年までの任期、今途中でございます。
 日本銀行というのは会計検査院の検査対象機関になっているわけです。この矢崎さんという方は大蔵省出身でございます。そして、防衛事務次官もおやりになって、検査官のトップである検査院長になられた人物でございます。その方が、よく事情はわかりませんけれども、日本銀行の役員の中の監事ということでいらっしゃる。これは会計検査院も対象機関である日本銀行を非常に調べにくいという状況が出てしまうとも思いますし、会計検査院そのものの使命が今非常に国民から期待されていることから考えましても、権威を守るためにもこういう人事はやめるべきだ、見直すべきだと。大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(松永光君) 本日から新しい日本銀行法が施行されることになったわけでございまして、日本銀行の役員についてあれこれ言う権限は大蔵省にはなくなった、そういうふうに日本銀行の独立性が非常に強くなった法律下にきょうからあるということを御理解願いたいと思います。
○山下栄一君 だから、国政の観点から、全体の観点から私は申し上げているんですよ。会計検査院の使命、これほど厳しい財政状況なので、執行状況というのを極めて厳格にチェックしなきゃいかぬ、国民の立場に立って会計検査院の使命は重大である。その会計検査院の院長を経験された方が日本銀行の役員として、日本銀行は会計検査院の検査対象機関だと、こういう状況というのは基本的におかしいと考えて当たり前ではないか。総理の御感想をお聞きします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、法律的には大蔵大臣が御答弁申し上げましたとおり、本日から新日銀法が動き始めております。そうした中におきまして、私は、日本銀行は新生日銀としてふさわしい陣容を整えるべく努力をし、そのような陣容でスタートをしたと考えております。
○山下栄一君 そういう、何というか、白々しい答弁はやめてくださいよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 白々しいって、実際にできないじゃないですか。
○山下栄一君 これ別に何とも、おかしいと思いませんか。会計検査の対象の日本銀行に会計検査院長をやっておられた方がいらっしゃって、まともな検査が行われますか、国民から見て。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今、議員が疑問を投げかけておられる人物が防衛事務次官としても、またその前の在職先でありました大蔵省におきましても、会計検査院長としても、その職を汚すような行動はなかった人間だと信じております。
 また、会計検査院は、その院の先輩が監事として就任しているいないにかかわらず、果たすべき役割はきちんと果たすと信じております。
○山下栄一君 信じておりますと言うのは勝手ですけれども、会計検査院の権威は守れませんよ、こんなのじゃ。国民への使命を果たせませんよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そんなことない。
○山下栄一君 そんなことないことない。
 時間がもうなくなってまいりましたけれども、運輸大臣、今から申し上げる問題は運輸大臣が非常に積極的に発言されている問題でございます、前向きに。
 これは、運輸省の職員が出張する際の航空券を民間航空会社よりただで、公務出張なんですけれども、無料航空券をもらって出張している。これはガバメントオーダーという国際的な仕組みだそうでございますけれども、この問題について、藤井大臣は、現在の日本の情勢から考えて、こういう悪い例はもう見直すべきだと発言されました。このことについて、今もそのように思っておられるかどうかも含めてお願いします。
○国務大臣(藤井孝男君) お答え申し上げます。
 航空行政を遂行するに当たりまして、この分野につきましては国の内外を問わず、大変出張する機会が多うございます。これまでも、ガバメントオーダーという制度を活用しながらこれら航空業務を遂行するに対処してきたところでございます。
 委員御承知のとおりだと思いますが、このガバメントオーダーというのは国際的にも認められた慣行でございまして、運輸省といたしまして、これまでも厳正な運用に努めながら、また一方では件数の抑制を図ってきたところでございます。
 しかしながら、今御質問にございましたように、最近の官と民との関係が厳しく問われておるこういった社会環境、あるいは航空会社を取り巻く経営環境は大変厳しいという状況を勘案しますと、やはりこうしたガバメントオーダーをこのまま続けていくというのはいたずらな誤解を招くということも私、大臣として認識をいたしまして、今後このガバメントオーダーにつきましては廃止をするという方向で取り組むことが必要ということで、先般記者会見等におきましても意見を申し上げたところであります。
 今後とも、この廃止に向けて一層の縮減を図り、またこの件数を厳正に取り扱うことも大変重要なのでございますけれども、ただこれは予算を伴うことでございますので、すぐに廃止というわけにはなかなかまいりません。こういった状況を十分踏まえて廃止に向けて一層これから努力をしていきたい、このように考えているところでございます。
○山下栄一君 予算を伴う問題か知りませんけれども、これが平成八年度、二年前の実績でございます。(図表掲示)一、二、三、四、五、六、七社、JALから始まりまして一番下は琉球エアーコミューターまで。本省関係、地方の役人。本省関係三百六十五件、地方二千七百三十六件。これは、要するに無料航空券で何をやっているかというと、検査に行くわけです。ただで乗っていって航空機や乗員等の検査をする。ということは、検査の日程までわかるはずですね。
 こういう無料航空券を発行してもらおうと思うと、航空会社はどういう無料航空券なのかということを調べなあきませんから、何日にその役人がうちの会社に来るのか、検査に来るのか必然的に全部わかってしまう。こういうのがそのために行われている。ほかにもありますよ、もちろん。会議、業務打ち合わせという名のもとに七百件近い、何の打ち合わせをしているのかわかりませんけれども。
 もっと問題なのは、例えばJTA、日本トランスオーシャンは国内線の十三路線しか持たない小さい会社でございます。この会社が物すごく多く三百九十五件。鹿児島県を中心とする地域航空会社でございます。鹿児島、沖縄、何でこんなに沖縄だけの会議が非常に多いのか。何のためにこういうことになるのか。運輸官僚の方で沖縄が好きな方がいらっしゃるのかもわかりませんけれども、これが公務と言えるかというふうな非常に不透明な部分があるということでございます。
 今、航空会社は大変な赤字経営を強いられている中で、二億数千万円のお金をただでこんなに乗って予算に計上しないということはとんでもないということでございます。もちろん、運輸大臣は見直すとおっしゃっておるわけですけれども、これは即刻全廃すべき問題なわけです。金がないというふうな問題じゃない、これは。まともな検査が行われるかという航空行政そのものが問われる問題だというふうに思うわけです。
 大臣は見直しをする方向でとおっしゃいましたけれども、私、総理にちょっとお聞きしたいんです。こういう慣行が残っていて、まだそういう問題点が、今具体的に申し上げましたけれども、非常に不透明なことを感じる。このことについての総理の御感想をお聞きしたい。
○国務大臣(藤井孝男君) お答え申し上げます。
 今、例示を挙げていろいろ御意見をお述べになられました。ただ、委員ぜひ御理解いただきたいのは、航空行政にいたしましても、鉄道行政にいたしましても、海運行政にいたしましても、運輸省の行政の基本は安全の確保でございます。このことはもう御理解をいただいているところであります。
 したがいまして、航空行政におきましても、安全を確保するため、航空保安施設の保守の巡回あるいは空港の検査、多数の現場での検査等々の業務がございます。しかも、御質問の中にありましたように、我が国は大変な数の離島空港を持っております。そういったところの航路というのは今例示を挙げられた航空会社が運航している。そういう状況の中で、迅速な対応も必要でございますので、中小航空企業のガバメントオーダーによる利用も多くならざるを得ないというのが現況でございます。
 ただ、先ほども答弁申し上げましたように、こういうことが現状でありますけれども、また財政状況厳しい折でありますけれども、こうした大手航空企業におきましても、あるいは中小航空企業におきましても大変厳しい状況にもありますし、また業務遂行に当たって官と民との関係等々を考えますと、やはりこういったことはもう改めた方がいいという私、運輸大臣としての決断をいたしまして、その方向で今後とも進めてまいりたいということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、運輸大臣が最後にまとめて申し上げましたように、こうした慣行、確かに私も今見ておりまして、国際的にもこの慣行があるということなので首をひねっておりましたけれども、こうしたものは最終的に廃止に向けて努力をしていくべきものであろう、そのように思います。
○山下栄一君 関連をお願いします。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。加藤修一君。
○加藤修一君 公明の加藤修一でございます。
 ただいま山下議員の方から不透明の話がございましたけれども、倫理的に政治家についてもその責任はきちっとあるわけでございますので、明確にすべきところは明確にしなければいけない、そういった観点から、私は自民党の献金自粛の問題について取り上げたいと思います。
 二月二日の予算委員会で、総理は、自民党の銀行からのいわゆる百億円の借入金の担保につきまして、自民党本部それ自体、建物それ自体が担保になっている、そういう発言をいただいたわけであります。しかし、登記簿を見ていく限りにおいてはそのような記述は一切ない、そういう旨の質問をしたわけですが、総理は重要な問題なので後ほど報告いたしますということをおっしゃいましたが、それから二カ月たってもまだ報告がございませんので、あえてまた同じ質問をさせていただきます。御回答をよろしくお願いしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、二月二日に議員から御質問をいただき、私は「過ちがあればいけませんので、もう一度、本日この委員会が終了いたしましたなら、私自身から経理局に確かめて、お答えを申し上げます。」というふうに申し上げ、改めてその後委員からもう一度繰り返し御質問がございましたので、「理事会の御決定に従って御報告をいたすということも申し上げております。」という答弁をいたしました。
 そして、調べておりますのでお答えを申し上げますと、確かに私の答弁に正確を欠いておりました点はおわびを冒頭申し上げます。そして、自由民主党から金融機関に対し、請求があり次第担保として差し入れること、承諾なくして他に担保を差し入れないことを約束した担保差し入れ念書を提出いたしております。
○加藤修一君 今の御答弁ですけれども、私はなかなか理解できないんですね、理解できないというのは納得しないということですけれども。ということは、担保差し入れ念書は登記上の抵当権は設定されていないが抵当権を設定しているのと同じ効力を持つ、そういう認識でいいのか、さらに法的には何ら問題ないと、そういう理解をすることになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政治資金規正法による収支報告書に借入先の銀行名及び金額も記載しておりましたし、かつ各行に対して約束手形を差し入れております。手形借り入れそのものが借用証書となると、そう認識をいたしております。
○加藤修一君 私の最初の質問、その辺についてお答えがないように思いますけれども、要するに、同じ効力を持つものと認識しているのかどうなのか、それは法的に何ら問題はないと考えるかどうか、その辺についてどうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私も必ずしもそうした手続、専門家ではございませんが、党本部に確認をいたしましたところ、間違いなく今申し上げましたように、金融機関に対して、請求があり次第担保として差し入れる、承諾なくして他に担保を差し入れない、こうした担保差し入れ念書を提出しておること、そしてそれと同等に、政治資金規正法による収支報告書に借入先の銀行名及び金額を記載し、各行に約束手形を入れる、この手形借り入れそのものが借用証書となると認識をしている、これは事実問題として私は世の中に通用することではないかと思います。
○加藤修一君 私は納得できません。
 要するに、担保差し入れ念書、これは確かに当事者間では有効になる場合もあります。有効だからやっているかもしれません、念書ということでは。しかし、民法の百七十七条、第三者に対して対抗力が及ばないじゃないですか、これは。第三者に対する対抗力が及ばない話になってしまいますよ、抵当権が設定された場合には。
 これについて総理の御見解をいただきたいと思いますけれども、この辺については非常に不鮮明だと私は思っています。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 不鮮明と仰せられますけれども、今私は、乏しい私のこうした知識の中では念書というものは守られるべきものでありますし、同時に政治資金規正法に基づく報告書に相手先、金額が明示されており、それに見合うきちんとした手形を、約束手形を入れている、その状況はこれを保証するものと思います。
○加藤修一君 それじゃ、借入金返済あるいは献金という形で政治資金規正法できちっとされていることについて記入があるということですね、報告の中身については。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 我が党の過去における借入金の返済に充てるため、平成七年からの計画として、各方面から御協力いただいております政治資金は我が党の経費に充てるための通常の献金に関する一般会計に入れておらず、両者は性格が異なるものとして全く区別して扱われているものでございますと、経理局を調べまして、そのような報告を受けております。
○委員長(岩崎純三君) 時間です。
○加藤修一君 時間がないから簡単に申し上げますけれども、非常にその辺についても解釈のあり方がおかしい。不鮮明です。借金に充てるから受ける献金については自粛の献金の対象から外れるというおっしゃり方ですから、私はこれについては別の機会にまた明確にしたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で山下栄一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、照屋寛徳君の質疑を行います。照屋寛徳君。
○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳です。
 私は、集中審議のテーマに従いまして、景気、倫理問題を中心に質問をいたします。
 なお、後ほど日下部議員から教育問題を中心に関連質問をお許しいただきたいと思います。
 さて、私の選挙区である沖縄県ではとっくに桜は終わり、海開きのうりずんの季節を迎えました。沖縄の経済はよく三K経済だと言われます。三K経済というのは、観光、基地、公共投資に依存する経済体質を指しておるのであります。沖縄の景気対策を考える上で、リゾート観光産業の振興は極めて重要だと考えます。どうか橋本総理を初め閣僚の皆さん、そして岩崎予算委員長を初め予算委員の皆さん、沖縄の観光産業振興のために沖縄にお運びくださることをお願い申し上げたいと思います。
 ところで、一昨日、沖縄振興開発特別措置法の一部改正法が成立をいたしました。総理を初め御尽力くださいましたすべての関係者に県民にかわりまして心から感謝を申し上げるものであります。
 沖縄の県民所得は全国最下位、失業率は全国平均の約二倍であります。沖縄と本土との経済格差は厳然として存在しております。沖縄にとっての景気対策は、自立を目指した振興策をどのように確立するかが重要であると思います。
 総理、去る三月二十七日、政府の委託で沖縄県の経済振興策を検討してきた総合研究開発機構、NIRAの最終報告がまとまりました。総理はこのNIRAの最終報告についてどのような御所感を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘をいただきましたように、昨年九月、沖縄振興中長期展望について検討、調査を依頼しておりました総合研究開発機構から三月二十七日、昨年十一月の中間報告に続きまして官房長官に対する最終報告が出てまいりました。
 このいただいた報告は、私がもう議員に今さら申し上げるまでもなく、香西委員長を初め有識者の熱心な御議論によりまとめていただいたものでありますので、沖縄振興策について今後の政府の取り組みにおいて最大限尊重し、重要な参考とさせていただきたいと思います。
 この中の細かい問題を今ここで触れることは避けますが、それぞれに非常に大きく将来に向けて大切な方向づけ、また国、県、地元ともどもに考えていくべきテーマを踏まえている非常に大きなもの、沖縄経済振興二十一世紀プラン、これは仮の名前でありますが、これを策定していくときにも、いろいろな意味でこのプランを検討する上でこの報告書は役立つもの、十分参考にさせていただきたいと思っております。
○照屋寛徳君 ぜひNIRAの最終報告を、総理が復帰二十五周年のときにお述べになりました沖縄経済振興二十一世紀プランに生かしていただきたい。そして、NIRAの最終報告で、沖縄振興策の成功は日本経済の活性化の実現に重要な布石となり刺激となる、こういうふうな指摘もありますので、可能な限り提言が生かせるようにぜひ総理の御奮闘を賜りたいというふうに思っております。
 さて、沖縄では官民一体となってサミット誘致推進協議会が組織をされ、二〇〇〇年開催のサミットを沖縄に誘致する取り組みを始めました。二〇〇〇年サミット誘致は沖縄の振興や国際都市沖縄の形成あるいはリゾート観光産業の振興を図る上で大きな意義を有しているものと私は考えております。
 二〇〇〇年サミット沖縄開催についての総理の所信をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) こればかりは、申しわけありませんが、我々はまだ全く検討に入っておりませんし、既に少なからぬ地方自治体から、正式あるいは非公式双方ございますが、開催の希望を持ち込んでおられるところもございます。
 ただ、これから先、それぞれの手を挙げておられるところを含めまして、それぞれの地域で開催される場合のプラス、マイナスさまざまな要素をチェックし、具体的な検討を進めていくことになりましょう。ただ、現時点においてはまだそうした作業に全く入っておりませんので、御要望として承るということで、と申しますのは、この中にもそれぞれの地元を連れて、ぜひサミットを我がふるさとでとおっしゃいました方が党派を超えておられますものですから、これ以上はお許しをいただきたいと存じます。
○照屋寛徳君 幾つかの県や市が名乗りを上げているというのも承知をいたしておりますけれども、やはり二〇〇〇年サミット開催地に一番ふさわしいのは沖縄県であるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 さて、総理の御努力によりまして沖縄政策協議会がつくられました。そして、十のプロジェクトチームをもって今沖縄の振興策をさまざま議論しているわけでありますが、私は、経済対策という意味でも沖縄の振興策という観点からも、沖縄振興策として施行されるさまざまな公共工事というものは可能な限り地元の業者に受注機会を与えるべきだ、こういうふうに考えておりますが、総理の所信をお伺いいたすものであります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 申しわけありませんが、これは政府委員から答えさせていただきたいと思います。
○政府委員(玉城一夫君) お答え申し上げます。
 公共工事の地元への発注機会が増大しますことは沖縄の地域経済にとっても大変重要であるというふうに考えております。
 沖縄開発庁では、工事内容に応じまして分離分割発注や混合入札を活用することによりまして、可能な限り地元業者の受注機会が確保されるように努めているところでございます。
 また、平成九年度補正予算の執行に当たりましては、二月六日の閣議後の記者会見におきまして、沖縄開発庁長官から地元中小中堅企業の受注機会の確保、補正及びゼロ国債の早期発注など切れ目のない発注管理などの方針が発表され、これに基づいて同日付で沖縄総合事務局に対して指示を行ったところでございます。現在、この方針に基づきまして公共工事の発注を行っているところでございます。
○照屋寛徳君 久間防衛庁長官、御苦労さまでございます。きょうは基地問題じゃありませんので、リラックスして御答弁をいただきたいと思います。
 よく言われますが、狭い県土の沖縄に在日米軍基地が七五%存在する。私は思いやり予算については大いに異論があるところでありますが、基地の犠牲や負担は私たち沖縄県民が多く担っているわけでありますから、基地内で行われる公共工事についてはこれまたやっぱり地元業者に受注機会を多く与えるべきだ、こういうふうに考えますが、長官、いかがでございましょうか。
○国務大臣(久間章生君) 当庁で実施している提供施設整備等の建設工事におきましても、委員が今御指摘になりましたような観点から、従来から可能な限り地元建設業者の受注機会の確保に努めてきたところでございます。
 特に最近の状況を見てみましても、例えば平成五年、六年あたりは金額にしましてもいわゆる県内業者が五五%ぐらいでございましたけれども、最近では、平成八年、九年を見ましても六五%とかなり伸ばしてきております。これは、一つには本体工事と附帯工事を分離する、あるいはまた工区分けなどによる分離分割発注方式を活用しておりますし、また地元優良建設業者の上位ランク工事への指名もいたしております。
 さらには、経常建設共同企業体の活用等をやってきておりまして、県内業者が六五%、これが件数でいきますと八四%が県内業者で、要するに沖縄県内の業者でございますが、技術の問題がいろいろありますから、これ以上はなかなか難しい、もうぎりぎりのところまで結構伸ばしてきておりまして、そういう実情についても御理解賜りたいと思います。
○照屋寛徳君 ありがとうございました。
 件数といい比率といい、数字とその実態がなかなか合わないようなところもあるやに聞いておりますが、引き続き御尽力を賜りたいと思います。
 経済企画庁長官にお伺いいたします。
 沖縄は離島県、島嶼県であります。その沖縄の景気の現況についてはどのような御認識をお持ちでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 沖縄経済の特徴といたしましては、他の地域に比べまして観光のウエートが高い、先ほど照屋委員のおっしゃったとおりであると考えております。
 最近の沖縄経済の状況を見ますと、昨年七月の航空運賃の引き下げ等の影響もあったと思いますが、観光が好調を維持しているわけでございます。そういう状況から見て、ほかの地域と比較いたしましてやや景気の停滞の度合いは相対的に小幅にとどまっているという認識をしております。
 しかしながら、個人消費は大型小売店の売り上げがこのところ弱い動きを示しておりますし、住宅建設も基調として弱いために雇用も厳しい状態が続いておりまして、楽観視はできない現状であると認識をしております。
○照屋寛徳君 それでは次に、総理に政治倫理の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 御承知のことだと思いますが、与党政治改革プロジェクトは去る三月二十五日、国会議員のあっせん利得罪の創設を含む政治腐敗防止法の制定、また国会議員の株取引の規制などを含む合意をいたしました。ところが、自民党の政治改革本部で異論が出まして、聞き及ぶところによりますと、本日の党首会談で決着が求められておるというふうに伺っております。
 この政治家、国会議員らによるあっせん利得罪の創設を含む政治腐敗防止法は社会民主党が重要政策として提起をしてきた課題でございます。
 公務員の倫理が問われておりますが、公務員の倫理を問うときにやはり政治家の高い倫理性がその前提でなければならない、私はこういうふうに考えるものであります。
 日本の政治風土の中にいわゆる陳情処理という政治活動がありますが、この与党政治改革プロジェクトで合意したあっせん利得罪はこれらの政治活動を禁ずるものではなくて、それによってお金をもらうことを禁じようという内容だと私は理解をいたしております。
 従来からの社民党の強い提起であり、同時に与党の合意でもありますこれら政治腐敗防止法の制定について、自民党総裁でもあられる総理の明確な御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本日、本委員会の休憩時間であります十二時半から与党三党首会談を開かせていただきました。これは、昨日三幹事長が会談された結果を受け、それを確認するためのものであります。
 この三党首会談の結果、議員は今あっせん利得罪の部分だけを言及されましたけれども、この腐敗防止法はそれだけが問題でないことは御承知のとおりでありまして、既に合意しているものを含めあと一週間から十日の間には結論を出すということを日限を切った形でお互いに確認いたしました。既に他の二党は党内の論議を終局しておられる、私どもはまだこれから論議をする部分を残しておるという差はありますが、その期間内に三党間で合意を得ること、これがきょうの三党首会談の結論であります。
○照屋寛徳君 ぜひ私は、この政治腐敗防止法、仮称でございますが、早期に実現されることを強く望みたいと思います。
 さて、大蔵大臣に先日この委員会でも大蔵不祥事と倫理の問題について質問をさせていただきました。私はやっぱり絶対権力は腐敗をするということが歴史の真実だろうというふうに思います。
 この続発をする大蔵不祥事を考えていく上で、その原因についてはいろんな人がいろんな言い方をしております。ある人に言わせますと、いわゆる裁量行政というか、行政の裁量の範囲が広過ぎる、あるいは過剰な規制と許認可による行政の過度の介入がその原因だとか、あいまいかつ無責任な行政指導に起因するものであるとおっしゃる人もおります。あるいはまた、あらゆる情報と資料の官僚による独占がその根っこにあるんだ、こうおっしゃる人もおるわけであります。
 ともあれ、大蔵省の財政と金融の分離というのは不可欠である、必要である、私はこういうふうに思っております。同時にまた、刑罰を強化するだけではこのような不祥事はなくならないのではないか、こういう思いも一方でしておるわけであります。
 そこで、改めてこの大蔵不祥事と公務員倫理のあり方について、あるいはまたキャリア、ノンキャリアという人事登用のあり方について大臣の所感をお伺いいたします。
○国務大臣(松永光君) 三月二十四日の当委員会で委員からこの問題についての質問をちょうだいいたしました。そのとき、私は自分の考え方を詳細に述べたつもりであります。その中には、今度の不祥事が起こったその原因の一つとして、本人自身の倫理観の欠如の問題を申し上げました。同時にまた、倫理倫理といっても、倫理に反する行為をした場合の何らかの制裁というか、とがめということがなければ、倫理規程をつくったというだけでは守られてこなかったという反省も含めまして、公務員倫理法の制定の必要性も申し上げました。同時にまた、行政のあり方として、従来の配慮型といいますか事前指導型の行政から、ルールを明確に定めてそれを明示して、そしてそのルールが守られているかどうかを事後的にチェックする形の行政にしていかなきゃならぬということも申し上げました。
 きょうは委員から、権力が集中しておるとどうしても腐敗しがちだという御指摘がございました。私もその点については同じ考え方を持つものであります。
 そういう点から、金融行政と財政との分離だと思うのでありますが、これは委員御承知のとおり、去年、金融監督庁設置法という法律を通していただきまして、六月までには大蔵省にある金融機関に関する監督・検査の権限、これは全部新しくできる金融監督庁に移ってしまうわけであります。現在の銀行局、証券局、それから大臣官房検査部の職員、大臣官房検査部の人は全員でありますけれども、銀行局、証券局の職員の七十数%が新しくできる金融監督庁に移ります。さらに証券取引等監視委員会、これも金融監督庁の方に六月までには移る、こういうことになるわけでありますから、金融機関に対する監督・検査の権限は全部と言っていいぐらいなくなるわけであります。これは一つの財政と金融行政分離の大きな前進だろうというふうに思います。
 そして、委員御承知のとおり、現在国会に提案されておる中央省庁再編基本法案、これが成立をすれば二〇〇三年までに再編が行われて、わずかに残っておる金融行政の中の破綻処理ないしは危機管理に関する部門だけが大蔵省、そのときには財務省になっているわけでありますが、そこに残って、あと全部金融監督庁が金融庁と改名されてそちらに移る、こういうことに実はなっておるわけなのであります。私は、金融監督庁の設置、そして中央省庁再編基本法というのができれば、委員御指摘の金融行政と財政の分離はほぼ実現するのではないか、こう思っておるわけでありまして、そういう方向に向かうことが大事だろうと思っております。
○照屋寛徳君 ありがとうございました。
 関連質問をお許しいただきたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。日下部禧代子君。
○日下部禧代子君 日下部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 橋本総理は、本国会における施政方針演説の中で、将来を担う子供たちが家庭でも学校でも居場所を見つけ出すことができないで悩んでいる、この深刻な教育の状況に対して真っ正面から取り組んでいくことを表明なさいました。この問題を放置すれば将来に禍根を残すことになるとの総理のお考えには私も全く同感でございます。
 そこで、本日は教育の最も根幹的な問題である学校のあり方についてお尋ねしたいと存じます。
 まず、総理にお伺いいたします。
 現在、子供たちが家庭においても学校においても居場所を見出すことができないその理由をどこにあるとお考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その原因はいろいろなものが積み重ねられているのではないでしょうか。
 一つは、出生率が低下し、学齢以前に兄弟でもつれ合いながら楽しむといった、あるいは兄弟げんかをするといった経験がなく、いきなり集団生活に入る。そして、初めてできた友人関係に悩んだり、なかなかうまく溶け込めなかったり、あるいは先生との間に関係を築き損なってしまう。いろんなケースが私はあると思うんです。
 ただ、学校が子供にとって楽しくない場所になってしまっているということは、これは否定できないわけでして、それは例えば授業がおもしろくないということがあるかもしれませんし、あるいはわからないということがあるのかもしれません。
 そういった意味では、私どもが大変工夫を必要とする部分が多いわけですが、先日も当委員会でちょっと御紹介をいたしました非行少年や不良行為少年に接する現場の立場の方たち、少年補導に携わる現場の声の中で、どれも非常に切実な話でありましたけれども、今の御質問に関連して触れますと、これはある県の婦人補導員の方からの声でありますが、非行少年との会話の中で、今の家に生まれて一応幸せ、けれども物すごく悲しいとか楽しいとかしかられたという経験がないというケースが多いと言われます。
 子供のことをきちんとしかれる大人がそれだけ減ってしまっているのかな、同時に、自分の子供に対してもそうであるとすれば、よその子供さんに対して責任を持って注意するといったようなことは今の大人はできなくなっているんだろうか、それは考えてみると怖いことだ、この意見を聞きましたときにそのような印象を持ちました。
 私どもが考えるべき点はこんなところにもあるような思いがいたします。
○日下部禧代子君 本当にそのようにも思います。
 学校ということになりますと、総理も今お触れになりましたように、授業がおもしろくない、わからないというふうなことが学校に行きたくなくなる大きな原因の一つかというふうにも思うわけでございます。
 ここに、第三回中学校国際数学・理科教育調査の報告書が国立教育研究所から出されております。興味深い結果がございます。
 日本の子供たちは、テストの結果は四十一カ国中三位、計算問題、暗記物はトップでございます。しかしながら、科学の本質あるいは創造的な思考を問う問題は平均を下回っております。また、数学、理科を好きだという生徒は四十一カ国中非常に少なく、また数学、理科が生活に大切であるという意識も非常に低い部類に入っております。したがって、数学、理科を使う仕事にもつきたくないという生徒が非常に多いのであります。非常に残念ではございますが、我が国の学校では大変な時間と労力を費やして理科、数学嫌いをつくっているような気がしてならないのでございます。
 この調査では、同時に学級生徒数及び学習形態の調査も行っております。日本はクラスの生徒数が最も多く、また一斉授業で学級単位で学習するという割合が七割を占めて、韓国に次いでトップでございます。アメリカは五〇%、カナダが三七%など、ヨーロッパ諸国はおおむね四〇%台にとどまっております。日本を除く、あるいは韓国を除く多くの国では、一斉指導ということもやっておりますけれども、むしろ教師の指導で個別学習あるいはグループ学習を採用している割合が高いということが示されております。
 私は、たとえ時間がかかったとしても自分で問題を解決する、その解決したときの達成感あるいは喜び、ただいま総理が本当に悲しい、うれしい、そういう感情がなかなかなかったとおっしゃいましたけれども、達成感、喜び、そして自分が問題を解決した、自分自身の手で解決したというその感動がやはり興味とやる気を起こさせるんじゃないか。教育とは一言で言えばやる気をいかにして起こさせるかということではないかと私は思うわけでございます。与える教育ではなくて引き出す教育というふうにも言えるのではないかなと私は思っております。
 二十一世紀に必要とされる資質というのは、自立心や想像力、クリエーティブな創造性、生きる力でございます。やはり対面的一斉指導中心という我が国の伝統的な授業方法から脱却する時期が来ているのではないかというふうに思いますが、総理はいかがでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、正直申しまして、イギリスのパブリックスクールに学んだ友人を持ち、その中で個別指導あるいはグループ学習というものが非常に定着していることを高校ぐらいだったと思いますけれども知って、すごくうらやましく感じたことがあります。
 それだけに、私は一斉指導の方がいい場合ももちろんあると思うんです。ですから、一斉指導はいかぬと私は決めつけるつもりはありません。その上で、子供たちの興味、関心を引くという意味では私はグループ学習もいいと思いますし、課題ごとの課題学習のような形あるいはチームティーチングのようなやり方、いろんな工夫があっていいと思います。
 既に文部省の諸君もいろいろ考えておりますけれども、我が国の学校あるいは先生方の工夫でそうした試みも行われているわけでありまして、私はこれから先、各学校がそれぞれの自主性の中でその実態に応じ、もちろん親御さん方の協力は得なければいけませんけれども、そうした意味での指導方法というものは一層工夫、改善していく、そういうことがあってよいと思います。
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
 学ぶことへの魅力あるいはまた学ぶことへの挑戦というふうなことを子供たちが体得していく、そのことが将来への禍根を残すことがないための非常に重要なことではないか、そのためにも発想とシステムの転換が今求められているように私は思うわけでございます。
 そのためにはさまざまな条件がございます。例えば教員の標準定数法の見直しも私は例外ではないというふうに思うのです。この法律というのは、いわゆる対面式授業、クラス単位ということを前提にして、いわば画一的に定められております。四十人学級ですから、四十一人になれば二十人と二十一人というふうにクラス分けされます。そして一方では、四十人のクラスと二十一人のクラスというふうになるわけでございます。そういう前提をここで私たちは少し発想の転換をいたしまして、子供たちの年齢とか授業の内容、そういうことに対応して弾力的に運用するものに改めなきゃならないんじゃないかというふうに思うわけです。
 また、クラスの人数というのは過疎地あるいは過密によっては随分違ってまいります。過疎地においてはもう既に複式学級が実施されているわけでございます。この発想は私が今申し上げた発想と同じではないかというふうに思うわけです。今、生徒の視点に立つ、そしてまた地域の実情に立つ法改正が必要ではないかというふうに思うのでございますが、文部大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 一斉に対面式で授業をやることの是非はただいま総理からお答えがあったとおりでございまして、現在でもチームティーチングでありますとか、個に応じた学習でありますとか、課題学習、グループ学習、いろんな姿が行われております。私も幾つかの学校を見てまいりましたが、そこはそれぞれの教室で、学校でかなり工夫が行われているなということは感じておりました。それはさらに今後進めていかなければいけないだろうと。
 今、定数を法律で確かに決めまして、それぞれの地域にそれを割り振っていくという姿になっております。いろんなやり方が考えられるのかもしれませんが、じゃそこのところを、あなたの県、あなたの市はうんと人数多くてもいいですよ、あなたの県はうんと少なくてもいいですよということになりますと、また余りそこはばらつきがあってもどうかなという感じもいたしますので、一つの目安、標準ということで一クラス四十人ということで今いろいろ進めておるわけでありますが、実態は、委員御承知のとおり、小学校では二十七・七人、中学校では三十二・九人、もちろん御指摘があったように過密の地域、過疎の地域、相当ばらつきはございます。
 他方、教員一人当たりの児童生徒数ということになりますと、小学校は十九・八人、中学校十七・一人ということで、これは欧米諸国とそう遜色のない水準に来ているのかなというような実態もあるようでございます。
 いずれにいたしましても、平成十二年までに現在の定数改善を進めるという中にありまして、委員今御指摘のありましたようなことも今後いろいろ検討しながら、その次の姿をどうしていったらいいかということをよく考えていきたいと思っております。
○日下部禧代子君 平均値でお話をするのではなくて、生きている、生活している地域、そして生徒がいるという、その生徒の視点で生きている地域でということを法改正の一番の基準にしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、学校の活性化ということでもう一つの重要な条件というのは私は地域社会だというふうに思うわけでございます。生徒の個性を生かしたり、そして開かれた学校づくりの推進にはどうしても学校、家庭、地域社会の連携が重要であろうかというふうに思います。
 三月二十七日に中央教育審議会から今後の地方教育行政のあり方についての中間報告が出されております。学校の自主性あるいは自律性の確立のために、校長の学校運営に関し地域住民や保護者からの助言と意見を求めることができるような仕組みを検討すべきだという御提言がございます。
 これはイギリスの例でございますけれども、イギリスでは初等中等学校というのは教会などを中心にした民間団体からスタートしておりますから、したがって学校理事会というものがございまして、それは保護者、地方教育当局、それに校長、教員、その他有識者からメンバーが構成されておりまして、権限は人件費を含む予算の運用権から教員の実質的な任用権まで持っているわけでございます。
 そこまで日本は地方分権というわけにはいかないかもわかりませんけれども、こういう中教審からの報告書も出ているところでございますので、総理となさいましては、学校の運営に対して家庭や地域社会はどこまでかかわるべきというふうにお考えなのか、その辺のところをお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(町村信孝君) 午前中の参考人の方の御意見にもございましたけれども、今までの学校というのは、ややもするとどうしても学校内で自己完結的に全部処理をする、情報も外に出さないというような体質があったと思います。
 それでうまくいっていた時代はまだいいのかもしれませんが、さまざまな問題があるのは御指摘のとおりでございまして、今まで以上にというか、ひとつ発想を変えまして学外との連携、もちろんそこにはPTAあるいは親、家庭というものが含まれるでありましょうし、一週間ずっと公開授業をやるといったような試みでありますとか、あるいは積極的に保護者との懇談会をやるとか、あるいはPTAと学校が連携してイベントをやってそこに地域の人も入ってもらうといったようないろいろな取り組みが今行われております。
 また、地域の非常にすぐれた文化とかスポーツとか、そういう方々に特別非常勤講師あるいはボランティアという形で学校に入っていただく、あるいは地域の企業に今度は子供たちが訪問して一体どういうものをつくったり売ったりしているのか見に行くなど、さまざまな取り組みをこれから大いにやっていきたい。そうした実情をかなり踏まえていただいて中央教育審議会の中間報告も出された、こう思っております。
 なかなかイギリス・スタイルというところまでいくかどうかちょっと難しい面もあるのかなと思いますが、とにかく開かれた学校、地域と常に対話のある学校ということを目指して今後一層の努力をしていく必要があると考えております。
○日下部禧代子君 時間が来てしまいました。
 最後に、総理にお伺いいたします。
 御承知のように、人生八十年時代を迎えております。私たちはあらゆる分野で先ほど申し上げましたように発想とシステムの転換が求められているわけでございます。教育も例外ではないというふうに思います。高校は十五歳、大学は十八歳と、進学のチャンスは一度しかないというのではなくて、適齢期は一度ではないという社会のシステム、それはいわば進学だけではございません。就職も、もちろん結婚も、あらゆるものが入るというふうに思います。それは敗者復活あるいはやり直しのきくシステムと言ってもよろしいかと思います。そのようなシステムづくりが今必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 また、今日の教育の危機的な状況を打破するには、やはり国民的な議論が不可欠だと思います。けさほど与党三党の中で教育問題を議論する場を特別につくろうではないかというお話も出たというふうに承っております。内閣の方でも、文部省も頑張っておりますし、中教審の委員の先生方も一生懸命に努力をしてくださっております。そういった取り組みを支えるためにも、総理直属の全省庁の協力が得られるような仕組みもお考えいただけないでございましょうか。
 二つの点でお答えをいただきまして、質問を終わりたいと存じます。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 便宜という言い方はよくありませんが、便宜ちょっと順番を逆さにしてお答えをさせていただきたいと思います。
 と申しますのは、先刻も答弁の中に引用をいたしました次代を担う青少年について考える有識者会議、これは教育ばかりではない各分野の青少年にかかわる審議会全部の会長さん方にお集まりをいただいて、これに有識者の方々、マスメディアの代表も、お母さんの代表も、さまざまな方々に入っていただき、さらに関係閣僚が入って組織をいたしております。そうした形の中で、この教育全体に対しての論議をし、あるいはその問題ごとの議論をいたしまして、それを関係審議会から各省にフィードバックする、このようなことを考えて、既に現実に動き始めました。ですから、ぜひそうした視点からの御協力も賜れれば幸いだと思います。
 同時に今、議員はチャレンジのチャンスは一回ではないと言われました。今までどちらかといいますと、むしろ飛び級の方が私の関心にありまして、高一なり高二なりから、あるいは中三になる前にその上級の学校に受験できる、そちらの方を中心に考えていろんな場合に議論してきました。そして、大学への高二からの受験というものはようやく現実のものになりましたが、これはまだ一部の学科です。
 同時に、ここから先必要なこと、これは今の大学もそうですし高校もそうですけれども、選抜のシステムをもっと変えていかなきゃならないだろう。それは論文もいいのかもしれませんし、面接主体での選抜もいいのかもしれません。そして、場合によっては職業の経験、これを評価するのは大変難しいと思うんですけれども、そうしたものも含めて、どうやったら評価尺度をふやしていけるか、あるいは方法をふやしていけるか、そうしたことを考えながら大学における社会人の受け入れ、大学だけではなく高等学校においても編入の受け入れというものがもう少し積極的にできる工夫を考えていかなければならないと思います。
 そして同時に、先ほど議員から理数系の問題が出ましたけれども、特に理数系において、大学、大学院の修士課程から博士課程にまで目を向けながら、どうすれば優秀な研究心のある子供たちを伸ばしていけるかを考えなければならないと思います。
○照屋寛徳君 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で照屋寛徳君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、笠井亮君の質疑を行います。笠井亮君。
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 カレンダーは変わりまして、四月になりました。しかし、国内総生産、GDPは二十三年ぶりにマイナス成長、完全失業率は三・六%、二百四十六万人であります。企業倒産も負債額で過去最悪、百貨店、スーパーとも売上高は昨年四月以来連続大幅減、ほとんどすべての指標で過去最悪とか何十年ぶりという大変な状況が脱し切れていないというのが四月へ入ったところだと思うんです。消費税増税、医療費の改悪など九兆円の国民負担、私は政治がもたらした大不況だと思うわけでございます。
 こういう中で、先日、三十兆円の銀行支援策に怒りを抑え切れずに、兵庫から被災者への個人補償を求めて初めて国会に来られたという西宮の女性のお話を伺いました。この方の御家庭は、家が全壊、四回目の転居でようやく地元に戻ったけれども、家賃は十五万円という状況で給料の四五%。土地があって家を建てたいんだけれども、今、更地になっている状況で、零細企業で働く五十五歳の夫はこの不況でいつ解雇されるかわからない、倒産するかもわからない、退職してもスズメの涙の退職金ではローンが組めない。その上、消費税が家計にのしかかって、先行きも不安でやり切れないという気持ちをぶつけていらっしゃいました。
 全国至るところで、不況のもとで国民の生活苦は頂点に達していると思うんです。総理は、こういう状態に国民を追い込んでいる政治の責任をどう感じていらっしゃいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 日本の今の現状を考えましたとき、確かに国民の景況感は非常に厳しいものがありますし、私どもに課せられている責任は極めて大きいと思います。そして、その中で我々はさまざまな責任を果たしていかなければなりませんけれども、景気の回復というものが直近のテーマとして大きなものであることは皆だれも疑うことはないと思います。
 そうした意味でも、本日から暫定予算の時期に入ったわけでありますが、一日も早く平成十年度本予算案が通過、成立をし、関連法案とともに直ちにこれが実施に移せますことを心から願っております。
○笠井亮君 私は、そういうことをおっしゃっても国民は納得しないと思うんです。
 先ほど午前中の質疑で、経企庁長官は、十六兆円の与党の総合経済対策について、これは適切だ、重く受けとめて今後考えていきたいということも言われました。総理が今言われたように片手で予算案の早期成立を求めながら、もう一方の手でそれを否定する、それじゃだめだと大型補正を組んでいく、具体化を進めていく、これは前代未聞の事態だと思うんです。こんなに国権の最高機関である国会をばかにした話はないと私は率直に思います。総理・総裁としての責任は私は重大だと思うんです。
 そこで、私は、きょう日本経済の二大主役である中小企業の経営が落ち込んで、そしてまた個人消費が冷え込んでいることがこの不況の大きな原因になっていることについて、これはもう議論の余地がないことだと思うんですけれども、そういう観点から景気対策ということで中小企業を活性化し、そして消費を温める上でどういう方策が有効なのかということを議論してみたいと思います。
 まず、中小企業の問題なんですけれども、深刻な貸し渋りなどに直面している、もうこれは本当にこの間も指摘されてきたとおりです。その対策が急務であることは言うまでもありません。同時に、個人事業主でいえばきのうがちょうど消費税の申告期限だったわけでありますが、中小業者にとっては五%消費税アップの影響は甚大であります。売り上げの激減に加えて、昨年と比べて納税額が数倍にもなるケースが続出をして怒りが渦巻いております。
 例えば、五人の従業員を抱える東京のある塗装業者の場合ですけれども、八月が決算です。昨年は年間約六十万円の消費税を納めましたが、三%時代は月々四万円だった消費税のための積み立てを、五%になった以降は月々八万円に増額をしました。そして、税理士の試算でことしは約百五十万円になる見込みで、その月八万円でも足りない。取引先から消費税をもらえないという事態もある、こういう業者が全国もう本当にたくさん今あちこちにいらっしゃって、その中で痛ましい自殺者を生む事態まで生まれているわけであります。
 中小企業庁は、昨年十一月、中小企業における消費税実態調査を行っています。中小企業全体で見て、消費税を転嫁し切れないでいる業者は、転嫁せずという回答、それからある程度転嫁ということを合わせて二四・一%という数字がありました。
 つまり、資本金一億円未満の中小企業数は約二百四十三万ですから、単純計算ということでいきますと約六十万の事業者が転嫁し切れないということになるんじゃないかと思うんですけれども、大体大ざっぱに言ってそういう状況ということでよろしいですね。
○政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。
 実は、昨年四月の消費税率引き上げに際して、中小企業者の転嫁状況等を調査して十二月に公表したわけでございますが、その結果によりますと、回答者数が約七千事業者のうち一四・七%の事業者がある程度転嫁していると回答しております。そして、九・四%の事業者が転嫁せずと回答しておりまして、これはもう先生御指摘のとおりでございます。これを足しますと二四・一%ということで、ある程度転嫁した、あるいは転嫁せずと回答した事業者の数が大体五十八万社ということでございます。
○笠井亮君 五十八万社。その額は相当な額に上ると思うんです。しかも、中小企業の六四%は赤字法人。だが、売り上げが三千万を超える限り消費税の納税義務がある。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
中小業者にとっては、経営は赤字でも、価格に転嫁していなくても消費税を課税されて、滞納すれば運転資金さえ差し押さえられるということにもなりかねない、そしてそういうことがある。
 私は、消費税というのは二重三重に経営を破壊する悪税だというふうに感じるわけですけれども、赤字法人という場合で見ますと、法人税を払っていませんから、法人税を減税してもその恩恵は受けられないということになるわけであります。
 総務庁の昨年十二月の家計調査によりますと、そういう中で勤労者世帯のボーナス支給額、対前年比の伸びですけれども、特に中小企業に働く人々が明らかに低いという状況が明らかになっていると思うんです。そういう中には、支給事業所割合で見ますと全体で八八・一%、その中で事業所の規模が五人から二十九人の場合は八六・七%、つまり一三・三%の小規模の事業者の場合は、一時金、ボーナスが支払われていないという状況だと思うんですけれども、そういう状況にあるということは事実ですね。
○政府委員(新保生二君) お答えします。
 家計調査によりますと、年末賞与支給事業所割合、これは毎勤統計調査でございますが、十一月から一月の合算によりますと、五人から二十九人の事業所の場合は八六・七%ということですから、先生御指摘のとおりの割合でございます。
○笠井亮君 そういう中で、結局、転嫁できない消費税分をやりくりしようと思えば、企業の売り上げから仕入れなどを差し引いた額、付加価値というふうに言われておりますけれども、このかなりを占める従業員の給与を今度はカットせざるを得ないということだと思うんです。
 その点で、この付加価値というのは何で構成されていますか。
○政府委員(尾原榮夫君) まず、企業の付加価値でございますが、法人企業統計におきましては、役員給与、従業員給与、福利厚生費、支払い利息割引料、動産不動産賃貸料、租税公課、営業純益を合算したものを付加価値というふうに言っております。
 なお、消費税は売り上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を引くものでございますが、必ずしもこの概念とは当たらないところがございます。
○笠井亮君 結局、転嫁できない場合に、そして大変な状況になった場合にどこから出してくるかということになるのですよ。
 その付加価値の中で、やりくりして削れる部分というのはどこですか。
○政府委員(尾原榮夫君) 消費税は、まさにその消費税の負担を売り値に転嫁して消費者に負担していただく税であるというふうに考えております。
○笠井亮君 要するに、そういう中で転嫁もできない、そういう場合にどうするかということが今問題になっているわけです。
 そういう点で、その付加価値の部分で、転嫁できないときにやりくりが困っていてどうするかということを今聞いているわけですから、質問に答えてください。付加価値のうちで、努力すれば削れる部分というのはどこですか。
○政府委員(尾原榮夫君) 消費税は、まさに売り値に消費税分を転嫁して御負担いただく税でございますが、転嫁するに当たっては、企業企業それぞれが努力をなさり転嫁されているものと承知しております。
○笠井亮君 何回言っても質問に答えないですから私が言いますけれども、転嫁できない場合にどうするかということで、企業が本当に苦労して削り削りどうやられるかということになるわけです、経営していこうと思えば。
 そのときに、付加価値の中で、今項目が挙がりました。五〇%は従業員給与、そのほかにいろいろ見て何とか削れるというふうに思われるのは役員給与があります。それから福利厚生費、これも削ったら大変なことですけれども、せいぜいその程度かということで、結局、大変な状況になった中小企業の場合は消費税の問題で転嫁できない、あるいはすべて転嫁できないという場合には、やっぱり従業員の給与をカットせざるを得ないという状況があるということはもう非常に明らかなことだと思うんです。
 こういうことが消費の落ち込みにも拍車をかけてくると、全体として中小企業の経営が大変になり、そしてその中でもやりくりをしている。消費税を転嫁できないで何とか払わなければいけない場合には、今言ったような従業員給与を削り込むということになるわけでありまして、こういう中小企業に対して消費税を二%減らして三%に戻すだけでも私は効果があると思うんです。負担を軽減すれば中小業者や従業員の所得もふやすことにもなる。しかも、従業員数の全体を見ますと、中小企業が八割を占めておりますので、個人消費全体に占めるウエートも非常に大きいという状況だと思うんです。
 総理に伺いたいんですけれども、中小企業の活性化、そしてそこに働く人たちの個人消費を温めていく、こういうことをやっていく上で消費税の減税というのは効果があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) しばしば御党とこの問題については議論をいたしております。そして、どうしてもいつも議論が本当にかみ合いません。御党の御論議の場合に、先行しております所得税減税等の減税はカウントされず、これに見合うもの、そして介護等新たな需要に応ずるものとして引き上げをいたしました消費税率二%の引き上げ、しかもそのうちの一%は地方消費税で地方財源であることもよく御承知の上で、その辺を省略されて引き上げを言われ、そして三%に下げろということを言われます。
 私は、長い目で見ましたときに、税制の構造を変えなければならない、直間比率の見直しということを非常に強く国会で御論議をいただいた中から生まれてきました税制改革のその流れは後戻りさせてはならないと考えております。
○笠井亮君 先行減税ということも言われましたけれども、先行減税、所得税減税あるいは消費税、ネットでサラリーマンの九割は差し引き増税であります。減税に財源は必要ですけれども、それを消費税分で充てる、減税のために増税するというのはおかしい。
 高齢化社会、将来のことを言われました。しかし、年金、医療、介護のいずれも今出されているのは負担のプランしかないわけであります。総理が我が党といつも議論をしてかみ合わないと言われましたけれども、私は議論をかみ合わなくしているのは総理の方じゃないかと思うんですね。私の質問をよく聞いていただきたい。
 総理が繰り返し今のことを言われ、そして地方税のことも言われる。地方税だって国民にとっては合わせて二%負担ですから。消費税五%増税の立場に立っていらっしゃることはよく私はわかっております。我々は消費税増税反対ですし、廃止の立場であります。財源も浪費型の公共事業のむだ遣いをやめればその他のことできちっと充てることができる、こう考えております。
 そういう税制や財源問題はまた時間があるときにじっくりとやらせていただきたいと思うわけでありますけれども、今重要な問題として伺っているのはそういうことじゃないんです。緊急に必要だ、今こんなに国民が大変だと。不況が続いて、四月に入ってもこうなっている中で、景気対策にとって三%に戻すことが効果がありますかどうかということを先ほど伺った。そういう議論をさせていただいているわけでありまして、議論をそらせていらっしゃるのは総理の方だというふうに今伺いながら改めて痛感したわけであります。
 それでは、角度を変えて伺います。個人消費をどう温めるかという問題であります。
 消費税導入からことし三月末まで、十年目ですから九年間ということでありますけれども、消費税収は年々増加していると思うわけであります。きょうは四月一日ということで導入されて十年目、そして三%から五%に引き上げられて二年目ということで全国各地で増税に対する怒りの行動が繰り広げられております。
 大蔵省に伺いますが、そういうふうにして増税を押し切ってきて、この九年間で消費税の増収は、九七年は地方消費税、まさに総理が言われた分も入ると思いますけれども、合わせて幾らになりますか。
○政府委員(尾原榮夫君) 平成元年度から九年度で申し上げますが、国税収入は全体で五百十九兆七千二十五億円でございます。そのうち消費税は平成元年から九年度分まで合計しますと六十一兆一千三百七十三億円、一一・八%になっております。ちなみに、このうち消費譲与税と地方交付税の分がございますので、これらを除いた国の手取り分、九年間の合計額は三十八兆一千九十三億円となっております。
○笠井亮君 六十一兆余りということで言われました。つまり、国民にとってみれば一人当たり約五十万円、四人家族でいくと約二百万円ということになって、この九年間に消費税を払ってきたことになる。そのうち二%の増税でどうか。総務庁のことし一月の家計調査、これも拝見しました。これを見ますと、消費支出は勤労者世帯平均で約三十三万八千円、家賃など消費税のかからない支出を除いて計算しましても消費税負担は月一万三千六百円、一年で十六万五千円弱ということでありますから、二%増税によって六万六千円もの負担増になっている。
 経済企画庁の「平成九年経済の回顧と課題」というのを見ますと、消費税率の引き上げが実質可処分所得に与える影響について、まさにその中で「消費税率の引上げは恒久的な増税であるため、恒常所得を引き下げる。」、「今回の消費税率引上げにより消費者物価が一・五%上昇したと仮定すると、九七年度の可処分所得に与えた影響はおおむね五・二兆円と考えられる。」、こう書いてあります。
 まさに二%増税で可処分所得を五・二兆円奪った、つまり消費に回せるお金が五・二兆円減ったと、そういうことだと思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 経済企画庁では、今大体概略おっしゃるとおりの計算をしております。
 消費税の引き上げ等は、活力ある福祉社会を目指し、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に対応した税制改正の一環として実施しているものでございまして、私ども、こういう意義を踏まえまして経済構造改革、財政構造改革を初めとする構造改革を進めていくことが中長期的に日本経済をより活性化する上で重要であるというふうに考えております。
 なお、消費税の引き下げあるいは五%が高過ぎるというお話でございますが、諸外国の例を見ますと、先進国で一番低いアメリカでも八・二五%という小売売上税がありますし、ヨーロッパの諸国ではイギリスが一七%、ドイツが一六%、フランスが二一%という水準になっております。
 私ども、消費の低迷はむしろ消費者の将来に対する、景気に対する信頼感というものが失われていることが最大の問題点であると考えておりまして、諸外国の例から見ましても、ああいう高い消費税を取っている国々がそのために景気が低迷しているというような話は聞いておりませんので、委員のお考えと私どもの考えは少し違うというふうに考えております。
○笠井亮君 将来の福祉社会に向けて、活力、活性化につながる、それが消費税だということを言われましたけれども、九年間、十年目に立って、国民が今活力ある、そして福祉に展望が見えるなんてことをだれが思っていますか。
 グローバルスタンダードのことを言われました、諸外国に比べてと。そんなことを本当に言っていいんですか。EU基準で一八%というのもあります。そして、ヨーロッパでは二〇%、十数%と言われましたけれども、今、企画庁長官の御発言は、日本もそれに合わせるからそういう増税をするということをおっしゃっているんですね。いいんですね、それで。
○国務大臣(尾身幸次君) そういうことを申し上げているわけではありませんで、ほかのヨーロッパの国々は、主な先進国は一五%から二〇%くらいの消費税、いわゆる付加価値税でございますが、そういう水準になっているというふうに申し上げているわけでございます。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
 そしてもう一つは、そういう高い水準の消費税があるから景気が低迷しているという実態にはなっていないのではないか。したがいまして、消費税五%という水準が現在の景気の低迷の原因であるというお考えは、多少方向違いかと考えております。
○笠井亮君 方向違いと思っているのはあなたぐらいじゃないですか。全く九兆円の国民負担増がどんな衝撃を与えているか、長官も総理もちょっと町に出てみてください。消費税増税に対する怒りはすごいですよ。実際体験していただきたいと思うわけであります。
 そして、先ほどの発言ですけれども、ヨーロッパのそういう水準がある、グローバルスタンダードを目指すのが当然日本の方向だと言われたから、私はそんな重大発言をしていいんですかと。さすがにそれは打ち消されたわけであります。
 私は、そのことを言った上で議論をしているのは、この消費税を減税することが個人消費そのものを温める上で効果があるかどうかということを聞きたいわけであります。
 先ほど、可処分所得五兆二千億円ということで、奪われたということをお認めになりました。そうしますと、これをもとに戻せば使えるお金がふやせるということになると思うんですよ。しかも、消費税の減税というのは消費をして初めて受けられるものであります。消費を直接温めて即効性があるということになれば、私は、これはだれが見ても個人消費を温める上で消費税減税というのが効果があるというのは明らかだと思うんですけれども、総理、いかがですか。
○国務大臣(尾身幸次君) 昨年の四―六月に、確かに消費税引き上げに伴いましていわゆる一―三月の駆け込み需要、そしてまたその反動減で消費あるいは住宅投資が低迷をしていた時期がございました。
 その後、七―九月の状況におきましては、消費もかなり回復をいたしまして、いわゆる消費性向も七一・九%という水準になっております。約七二%レベルに回復をしたわけでございます。
 しかし、その後、十月から一月にかけまして、相次ぐ金融機関の破綻あるいはアジアの経済の状況等を反映して、景気の将来に対する信頼感というものが低くなってまいりました。その結果として個人消費が非常に低迷をいたしまして、消費性向も六八・六%という数字になりました。九月の数字と比べると、三・三ポイント消費性向が低下をしたわけでございます。
 この三・三ポイントという消費性向の低下は実需ベースで、GDPベースで十兆円を超える消費性向の低下ということになっているわけでございまして、私どもは消費者の経済の将来に対する、あるいは企業家の経済の将来に対する信頼感というものを回復する、将来展望をしっかり立てることによりまして、この三・三%が仮に九月の水準に戻りますれば十兆円にも及ぶ需要拡大につながる。したがいまして、経済を規制緩和その他も含めましていろんな手段で活性化して、その消費性向を高めていくということが一番大事な手段であると考えております。
○笠井亮君 私、今の長官の答弁は本当に暗記できるぐらいに何回も伺いました。
 不況をもたらした責任を本当にお認めになろうとしない、今の橋本内閣の姿勢を本当に端的に示しているんじゃないかと私は思うんです。消費税増税がこの不況の引き金になって今日の事態の大きな要因になった。これはもう圧倒的多数の意見であります。私は、それを認めようとされないのは橋本内閣ぐらいではないかと思うんです。
 消費税の減税をする、これが個人消費そのものを温める。これは何も我が党だけが言っているわけじゃありません。今、専門家やそして多くの方々もそういう意見を持っているということだと思うんです。
 例えば、一月の日経新聞には東大の野口悠紀雄教授が「一刀両断」という記事の中で、「減税するなら消費税を」ということで、特別減税に関連して「消費支出を増加させることが目的なら、むしろ消費税率を引き下げるほうがよかった。」、「時限的な措置とすれば、効果はより確実になる。なぜなら、消費者は、消費計画を前倒しにして、減税期間中に支出しようとするからだ。」、こういう意見を述べられております。
 それから、これはこの間の日曜日にテレビの報道特集でやっておりました。鹿児島のある農協の経営のスーパーが大蔵省への抗議ということで、そういう取り組みとして一カ月に約八回、消費税ゼロの日というのを設けた。そうしましたら、売り上げが二倍以上になる、こういうこともあるわけであります。
 まさに、そういう点では実践の上でもそういうことがはっきりしてきているという状況だと思うんです。その点をよくこの消費税減税の効果という点では考えるべきだ。
 もう一つ申し上げたい。低所得者の皆さんに対する消費拡大策に何が有効か、この角度の問題であります。
 一年を通じて勤務をした給与所得者のうち、非納税者は、いろんな数字がありますし、私も政府の統計を拝見しましたが、五百万を超えているということでいってももっとあるという状況であろうと思うんです。これらの人々は、さきの所得税の特別減税の対象から漏れております。しかも、消費税は低所得者ほど負担が重い、逆進性がある、この強くあらわれるものだということは言われております。これはもうだれも明確だということで言っている。消費税が所得の低い層の家計を直撃して消費を落ち込ませている、こういう現実も明らかだと思うんです。こういう非納税者に対して、さきの特別減税ではどういう措置をとりましたか。
 早く答えてください。
○政府委員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 税金を納められていない方々に対する対策でございますが、臨時福祉特別給付金の支給というのを行っておりまして、千四百二十三万人の方々に千五百二億円の給付金が支給されたと承知しております。
○笠井亮君 一万円で、しかも一回限りというものであります。もらえない人もいる。二十万円の買い物をして消費税が一万円ですから。高齢者世帯でも可処分所得を見ますと二百九十二万円ほどあるわけです。年間で二十万で暮らせる人はいないわけですから、増税による負担増というのははるかに大きいということだと思うんです。
 私、特別減税を継続して恒久化する、これ自体は当然だと思いますが、それに加えて消費税を三%に戻すことはこういう低所得者の皆さんの消費を押し上げる上でも効果があるということは明らかだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 先ほど来申し上げておりますように、消費の低迷している原因は何かということでございます。先ほど申し上げましたアジアの経済等の要因はいわゆる短期的な要因でございまして、もう一つはやはりこの数年にわたります資産デフレがございました。株価の低迷とかあるいは土地価格の低迷、低下、そのことによってかなり資産の価値が減少した、そういう心理的な要因も長期にわたる消費性向の低下につながってきているというふうに感じている次第でございます。
 いずれにいたしましても、経済の先行き、活性化をいたしまして新しいベンチャーを育てる、あるいは技術開発を進めて新規産業を育てる、そういうような方向によりまして日本経済全体を活性化していく。そして、そういう将来の明るい見通しがついてきた場合に初めて消費が本格的に上がってくる、そのように期待をしている次第でございます。
○笠井亮君 バブルのツケだとかいろんなことを言われました。しかし私は、今の不況をこんなに深刻にしているその根本の要因、そしてその引き金となった問題をきちっと責任を明らかにして改めないと、ベンチャー企業の問題とかいろいろ言われましたけれども、そういう周辺をやってもこれは確実な景気対策にならない、有効にならないと思うんです。実際にこれだけ深刻な状況に追い込んだ、九兆円がある、こういう問題について、そのものを改める、それを上回る力をやっぱり対策として注がない限り、あれこれやっても、結局景気対策といっても空振りということになると思うんです。今十六兆円ということで、企画庁長官も適切だということで評価をした。中身を見ましても、その主要な部分というのは従来型の公共事業ということで言われております。
 しかし、これは宮澤内閣以来六次、こういう中で六十兆円ですか、やってきたけれども結局景気対策にならなかったということはもう実際明らかになっているわけでありまして、そういうことも含めて今の一番の問題にメスを入れる。そして、私申し上げましたけれども、日本の経済の主役としては、やはり個人消費を温めること、そして中小企業が圧倒的ですから、この経営を本当に活性化する、ここにこそ力を注ぐ、それをやるために有効なそういう手だてを打つということこそが必要だという、そこに焦点を当てなかったら何ともならないということを申し上げたいわけであります。
 そういう点で、私どもは消費税の減税と特別減税の継続ということで総額七兆円という景気対策、これが本当に必要だと思っております。まさに景気対策として消費税の減税を決断して、そして三%に戻すべきじゃないかと私は思うんですけれども、総理いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどもお答えをいたしましたように、長い論議の末に直間比率の変更を踏まえ、高齢・少子社会というものを見据えた税制改正をしようという議論の中からこの消費税というものが生まれてきたこと、賛否は別として議員も御承知のとおりであります。そして、所得税、住民税の減税が先行する中で、九年四月からと決められていた消費税率の引き上げのうちの二分の一は地方消費税であることも先ほどから申し上げてまいりました。
 今中小企業、なかんずく零細を含めまして小さい規模の業者の方々を支えていくことが大事であることは、私はそこは議員と意見は一致です。そして、貸し渋り対策等に対しましても、政府としてでき得る限りの努力をいたしておりますし、またこの予算を成立させていただきました後に出てくることも多数出てまいります。
 産業集積活性化法を活用して、技術集積の高い地域を振興していくことの必要性も私どもはよく承知をしているつもりであります。既に、二月六日にその認可をおろした地域も、京浜地区を初め幾つものものがございます。そして、国と都と区とがそれぞれの役割分担をしながら中小零細の企業群、技術集積度の高い企業群を支えていく必要性を考えることは人後に落ちません。
○委員長(岩崎純三君) 時間でございます。簡潔に。
○笠井亮君 一言申し上げます。
 政府の税調専門委員の神野直彦東大教授も、「景気刺激効果を期待するのであれば、消費税をダウンするしかない。一時的にも消費税率を下げれば、大きな消費拡大効果が出ると思います。」、まさにそういうことで、税調の専門委員も消費税減税の必要性を言われている。
 私は、先ほど総理が言われたことは、私の意見も申し上げました。そういう中で、本当に景気対策の立場から消費税の減税に踏み出すべきであることを重ねて強く求めて質問を終わりたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) 以上で笠井亮君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、平野貞夫君の質疑を行います。平野貞夫君。
○平野貞夫君 自由党の平野貞夫でございます。
 まず、政治倫理問題についてお尋ねしたいと思います。
 自民党の山崎政調会長は、昨年暮れから株価操作にかかわる発言を繰り返し、PKOをやるとか直接政府が介入するようにするとか、たび重なる口先介入、そしてあるときには外国企業の会合に出席してインサイダー取引とも思える行動がありました。内外の市場関係者からは、余りにもマーケットをばかにしているとか、こんな犯罪的なことを続けていては日本のマーケットは欧米から見放される、こういう厳しい批判を受けております。
 一連の山崎拓氏の言動は、証券取引法第百五十九条の相場操作の禁止規定に違反し、市場経済、資本主義経済を冒涜したものであり、政治家の倫理にもとるものだと私は思いますが、大蔵大臣、どのような御見解でございましょうか。
○国務大臣(松永光君) 相場操縦禁止規定に抵触するかどうかという御質問でございます。具体的な法律の解釈のことでございますから、担当局長に詳細答えさせますことをお許しください。
○政府委員(長野厖士君) 証取法百五十九条の相場操縦禁止規定は、公正な有価証券市場を確立するため、需給関係によって形成される相場に作為を加える詐欺的な取引を禁止しているものでございます。
 このような相場操縦禁止規定の対象としておりますのは相場に作為を加えるような有価証券等の売買でございますので、御指摘のケースは相場操縦禁止規定に抵触するものではないと法律論的には考えます。
○平野貞夫君 グローバルスタンダードということが言われるわけですが、証取法を素直に読みますと、常識的には私はああいう活動は違反としてやっぱり調査して厳重に処すべきだという意見でございます。そういう常識的な認識を当局も持ってもらいたいと思います。
 次に移ります。
 日興証券の利益供与問題で、政治家では故人となった新井氏に捜査が集中しました。一部の報道によりますと、山崎拓氏の名が供述されている日興証券元常務の濱平氏自筆の供述日誌が公正証書として残されているということですが、法務当局、確認しておりますか。
○政府委員(原田明夫君) お答え申し上げます。
 検察官におきまして、捜査の過程においていかなる証拠資料を入手し、またどのような事実を把握しているかということにつきましては、捜査の内容そのものにかかわることでございますので、法務当局として答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
○平野貞夫君 あなたの立場もわかりますので、それでは私の手元にそのコピーがありますので申し上げたいと思います。
 これは目黒公証役場の山本和敏公証人によって公正証書となったもののコピーでございます。こういう判こが押されております。
 これのポイントを申し上げますと、日にちは、多分昨年でしょう、平成九年十月十三日月曜日。場所、地検一三一〇号。時間、十四時から二十一時四十五分、二十分夕食。検事の名前は書いてありますが、読みません。ポイントは、検事が、新井将敬がたびたび出てくるがなぜかという質問に対して濱平氏は、三、四年前の経済政策について日興からレクチャーに行ってからのつき合い、将来的に政治家として期待している、他方、自民党は山崎へアドバイスしている、こういう記載がございます。
 濱平氏が自民党は山崎へアドバイスしているとわざわざ話しているところが問題だと思います。しかし、捜査は新井氏に集中して、新井氏以外の自民党の山崎氏や政界ルートについては十分な調査が行われたかどうか極めて疑問に思います。
 法務省、いかがでございますか。
○政府委員(原田明夫君) まず、ただいま委員お尋ねの前提となりました週刊誌は私自身も読んだのでございますけれども、その中で御指摘のような記事があり、委員、公正証書という御指摘でございますが、そういう公正証書がこういう場合につくられるものかどうかということについて、私もその経過がつまびらかにできないのでございますが、いずれにいたしましても、その報道と申しますか週刊誌では、検事調書にそういう名前があるという大きな見出しであったのでございますが、記事を読んでみますと、そういうことでもなさそうだということで、どのように理解していいのかよくわからない面があるわけでございます。
 いずれにいたしましても、供述日誌とされているものの存否、また内容そのものにつきまして、それがどのような事態であるかということは、まさに捜査官といたしましてそういうことが捜査の過程で必要ならば確認することになると思います。いずれにいたしましても、その中身につきまして、どういう事実が捜査官、あるいはこの場合でございますと検察官のところで把握されているかということにつきましては、捜査内容そのものになるわけでございます。
 一般論ということで申し上げることをお許しいただきますならば、検察官は常に証拠に基づきまして事実関係を確定してまいりまして、その判断に従いまして法律に従った処理を適切にするものと考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。
○平野貞夫君 この供述の内容は、取り調べた検事なら承知しているはずなんです。これを公正証書とした仕方がわからない、理解できないと刑事局長はおっしゃっていますが、濱平氏の供述が事実であるという証明をしようという意図だったと思います。
 濱平氏はその後、日興証券と特捜のしがらみの中で自供を撤回、自供と態度を変え、最終的には潔白主張を取り下げている。特捜と日興証券とで合意したシナリオと言うとちょっと言い過ぎかもわかりませんが、そういうものに沿って容疑事実を認めることになる。先日の濱平氏の公判でも潔白主張をせず、日興証券、特捜部のシナリオの線で対応しております。
 したがって、この供述日誌は幻の検事調書と言われるものだと思います。新井氏がもし御存命でしたらそういう形になったんじゃないかと私は思います。したがって、濱平氏の自供撤回、自供という流れの中で、この供述日誌の事実は宙に浮き、やみに葬られることになったと思います。そのため、政界ルート山崎氏への調査がだんだんと薄くなって消えていったんじゃないか、私はそう推測いたします。
 濱平氏が態度を変えた背景には、日興証券と検察の取引があったんではないか。あるいは、一部に報道されて、私も所持しておりますが、五億円を超える濱平氏の生涯資金を日興証券が出すということで、何とも言えない、問題がうやむやになったことがあるんじゃないか。極めて問題が大きいと思っております。これに対しては答弁は要りません。
 さて、山崎拓氏についてはもう一つ疑惑があります。大蔵省ルートの疑惑もみ消し問題でございます。
 週刊誌と言いましたんですが、一週間の週刊誌なら私もいろいろ考えますが、二週間続けて報道されていることですので、これは黙視できません。週刊ポストに報道されているものを四月三日と十日号をまとめて御説明しますと、大蔵省の某中枢幹部、これは某審議官ということになります、が我が身を守るため、部下であった地方勤務のキャリア官僚K氏、これは墳崎近畿財務局長ということになっております、を捜査線上から外すよう自民党有力者、これは山崎拓氏となっております、に要望し、有力者は検察当局に話をして逮捕が先送りされたということでございます。このような事実はまさかないと思います。しかし、二週間にわたって報道されている事実は重視しなきゃなりません。
 そこで、法務大臣、私は三月十二日の当院の法務委員会であなたに、証券、銀行、大蔵、日銀の疑惑問題は、日本の資本主義の構造問題であり、大変重要である、国民から手を抜いたとかもみ消しがあったと疑われると、政治不信だけではなくて司法への不信にもなると申し上げました。政治家と官僚の癒着の問題が一番たちが悪いのです。「大蔵高官逮捕に政治圧力か」といった見出しの報道が何度も出ることは問題だと思います。昨日あたりはこれらの事件に対してぼつぼつ幕引きかというような報道もなされております。
 そこで、法務大臣、どのような御見解か。また、大蔵大臣、こういったことに対してはさらに大蔵省内部でもそういうことがあったかどうかということを徹底して調査すべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) お答え申し上げます。
 お尋ねのような疑惑のもみ消し工作などという事実はなかったというふうに承知いたしております。
 なお、一般論として申し上げますれば、検察官は常に法と証拠に基づきまして、厳正公平、不偏不党、刑事事件の捜査処理を適切に行ってきたものだと思いますし、私は検察を信頼いたしております。
○平野貞夫君 このことについて、これ以上法務大臣と議論をいたしません。法務委員会もずっとこの国会中あることでございますので、そこで取り上げたいと思います。
 予算委員長にお願いがございます。(「大蔵大臣は」と呼ぶ者あり)失礼しました。
○国務大臣(松永光君) 今、平野委員がおっしゃいましたこと、私もかれこれ四十年ぐらい弁護士をしておりまして、いろんな刑事事件の弁護をしましたが、その経験からいうと、政治家に頼んで地検特捜部がやっている事件がもみ消されるなどというのは考えられないことです。
 以上です。
○平野貞夫君 お話の筋道はわかりますが、なおこういう問題が世間で流布されているということについて、大蔵大臣としてよく気をつけて、その都度調査、そういう気持ちでいていただきたいと思います。
 予算委員長にお願いがあります。
 山崎拓氏は以上の疑惑のほかに、泉井事件で巨額な献金を受けたと言われる疑惑問題も解明されておりません。当委員会に証人として喚問するようお取り計らいをお願いいたします。
○委員長(岩崎純三君) ただいまの発言につきましては、予算委員会理事会におきまして協議をいたします。
○平野貞夫君 時間がありませんから。
 なお、事務局を通じて濱平氏の供述日誌、公正証書のコピーと、濱平夫人の日興証券との交渉ノートのコピーを予算委員長に提出しますので、御参考にしていただきたいと思います。
 そこで、橋本総理にお尋ねしますが、山崎拓氏については以上のとおり、株価操作、証券会社との疑惑、大蔵省疑惑もみ消し問題、泉井事件との関係等、いろいろ政治倫理に反する言動は見逃すわけにはまいりません。一自民党を超えた日本の政治の問題であり恥だと思います。けさのテレビなんかでは、株価操作については見苦しいというような専門家からの指摘もございます。
 これは、任命者である総裁の責任問題でもあると思います。山崎氏の言動にどのような御所見か。昨年九月の改造人事で、たしか橋本総裁は、その希望どおり山崎氏を三役から外していたらこんなことはないし、またこんな不況にもならなかったと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から随分いろいろなお話を拝聴いたしました。もしそれぞれに問題がありますならば、捜査当局あるいは司法当局が厳正に対応しているでありましょうし、私が云々すべきことではないと思います。その上で、政務調査会長として非常によくやっていただいている、そのように思っております。
○平野貞夫君 引き続きまして橋本総理に、参議院の予算審議権の無視、参議院軽視、そしてまた政策転換の責任問題についてお尋ねいたします。
 まず最初に、補正予算問題について橋本首相は衆参両院において食言を行っていると私は指摘しておきたいと思います。
 あなたは国会の答弁で何回、最善の予算を編成したので原案どおり成立させてほしいという趣旨の発言をしましたか。二月後半からこの趣旨の答弁を繰り返しております。
 去る三月二十七日、私の質問に対して、総合経済対策の基本方針の考え方をまとめていくプロセスにおいて、党からという意味でしょうが、「相談は受け、また指示をいたした部分ももちろんございます」と答えております。これは、言いかえれば、補正予算編成について相談を受け、指示もしたという意味です。
 国会の公式答弁で繰り返し何回も、最善の予算を編成した、原案どおり成立させてほしいと発言しておいて、裏では本予算が欠陥だ、このままじゃ不況が大変なことになる、したがって大型の補正を組まなきゃだめだ、そういう意味のことを党から相談を受け、指示をしていた、こういうことになります。こういうことを図らずも答弁で露呈したものと私は思います。
 したがって、橋本首相の国会でのその関係のさきの答弁は全部食言だと思います。食言というのは虚言であり、うそであります。本予算が参議院で審議されるようになってから、自民党執行部は一斉に大型補正予算の編成または財革法改正を国会外で言及し、補正やむなしの雰囲気をつくっています。こんなに参議院の審議権を侵害した政治運営はありません。私は役人時代を含め四十年国会でお世話になっておりますが、これほど議会政治を冒涜した態度は知りません。この責任をどう感じるかということをまず一点聞きたいと思います。
 時間の関係でもう一点質問させていただきましてお答えいただきたいと思います。
 第二点は、なぜ今、総合経済対策として史上初と言われる大型補正予算を編成しなくてはならないかということです。このことに対する国家経営戦略があなたにないことが日本の悲劇だと思います。
 あなたの臨機応変という言葉は、長期的、総合的戦略を欠き、その場しのぎの対応で、抜本的対応をしないという意味です。それが日本経済全体をおかしくしたんです。六つの改革は七つの失政に転化したのであります。財政改革だといってブレーキをやたらにきかせたかと思うと、今度は、史上初か何か知りませんが、従来型公共事業のばらまき財政出動を、物すごい勢いでアクセルを踏もうとしております。こんなことを繰り返していたら、どんなに強い経済でもだめになるはずです。政府・与党の総合経済対策がこれからの日本の財政と経済をいかにだめにし破滅させるかということは、既に専門家が指摘しております。
 私たち自由党は、民力回復のため、まず十兆円、所得課税六兆円、法人課税四兆円の減税を直ちに行い、中長期的には十八兆円の減税で所得課税を半分にする、このような税制構造改革を断行しよう、そして民需を中心に新しい産業技術を起こし民力の回復を行う、これこそ現在の我が国の最大の戦略だという考え方でございます。
 橋本総理、あなたは二年三カ月にわたる経済政策の中で、消費税を上げ、医療費を上げ、そのほかさまざま国民に大きな負担を強いております。その結果、政策不況となっております。これをまず国民にわび、政治責任をとって、国家経営の理念と戦略を持つ政権に交代すべきだと思います。
 お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変長いお話をいただきまして、真剣に拝聴いたしておりましたが、もしすべてにお答えし切れなかったら抜けている点を御指摘いただいて、改めて補足させていただきます。
 議員、食言という言葉を使われましたが、私は今、自分の議事録を手元に持っておりませんけれども、議員のお尋ねに対して、与党が検討しておりました総合経済対策の基本方針については与党の決定であり、政府としては与党の案として重く受けとめ勉強させていただくという答弁をさせていただいたと思います。
 政府・与党の間におきまして、与党が考え方をまとめたもの、それを勉強することが許されないことだとは私は思いません。そして同時に、そのプロセスのお尋ねがございましたから、相談を受け、それに対して指示をしている、それは事実問題としてそのとおり申し上げました。しかし、それが食言と、おかしいですね、ここでお答えしたことなんですから、そのとおりの言葉なんです。
 そして、私は、とにかく平成十年度予算並びに関連法案を一日も早く通していただきたいと繰り返してお願いをしてまいりました。残念ながら本日から暫定予算になっております。しかし、平成十年度予算を一日も早く成立をさせていただきたいという願いは今も変わりはありませんし、関連法案の成立とともに、これが一日も早く実施に移せることを心から願っております。
 また、さまざまな角度から御論議をいただきましたが、今御主張のありましたポイントは、私の考え方にルールがないということのようであります。
 基本的に、六つの改革というものを通じて、この日本という国が二十一世紀になりましても活力のある社会を持ち続け、同時に、創造性とチャレンジ精神に富む人々がこの国のあすに向かって羽ばたくことのできるような社会をつくるためにも、さまざまな分野を今から変えていかなければならないということを申し上げてまいりました。
 そして、昨日の閣議で、例えばこれから三年間における規制緩和推進計画を決定したばかりでもございます。また、行政改革を進めていきますためのプログラムとしての基本法の審議も国会にお願いを申し上げております。情報公開法にいたしましても御審議を願おうといたしておりますし、目指していく方向というものはよく御理解がいただけておると存じますが、私どもとして、この国の将来を考える点で議員の御意見には残念ながら沿わないかもしれませんが、その考えている熱意において劣るとは考えておりません。
○平野貞夫君 最後に一言言わせてください。
 私は、昨年沖縄問題で、一昨年は総予算の議了の問題で総則修正ということを小沢党首の主導で党派を超えてやりました。新進党の中では袋だたきに遭いました。しかし、これは国家国民のためにやったことです。そのときの橋本総理は、国家国民のことを考えるという基盤があったと思いますが、現在は私はないと思います。
 食言かどうかということはこれはあなたと私の哲学の差でございます。そういうあなたのああ言えばこう言うというのはオウムの上祐さんとそっくりですよ。
 きょうは日経平均の終わり値が二百八十五円安くなりました。円だって百三十三円四十四銭と。始まったんじゃないですか、いよいよ日本の崩壊が。こういうあなたの政治に対する不誠実さ、これが日本社会の無責任さをつくり、教育の崩壊の遠因になっているということを申し上げて、終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で平野貞夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、佐藤道夫君の質疑を行います。佐藤道夫君。
○佐藤道夫君 朝来さぞお疲れだろうと思いますけれども、いましばらくおつき合いください。
 私は、政治倫理の問題を取り上げまして、総理と大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
 まず最初は、自民党に対する銀行業界からの政治献金の問題であります。
 実はこれ、先ほど加藤修一議員が取り上げまして、いささか二番せんじという気もいたすわけでありますけれども、どういうわけか加藤議員は結論までは至らなかったので、その間隙を縫いまして私の考えをちょっと述べさせていただきたいと思います。
 金融システムの安定のためということで銀行業界に対して膨大な公的資金が投入されている。国民サイドから見ますると、なぜ我々の税金であの銀行を保護してやる必要があるのかと素朴な感想があろうかと思います。銀行員は給与も高い。役員数もべらぼうに多い、五十名、六十名。その上に顧問だ相談役だという方がおられまして、一人を養うのに一億円近くもかかる。最高年齢者は何か百を超えておるとも言われておりますが、そういう人たちを養うために我々の税金か、こう国民が素朴に考えるのも無理からぬと思います。
 その上で、今度は銀行業界から自民党に対する政治献金、はてはて我々が納めた税金が銀行を経由して自民党に流れていっているのか、大変いぶかしい話だな、国民はそう思う者も多いでありましょう。多少理屈を言う国民は、政府・与党が一丸となって銀行の保護のために大車輪の頑張りをしていると。
 そうすれば、その時期に行われる政治献金というのは、いつもいつも大変御苦労さまでございます、これはわずかですがほんのお礼のしるしでございます、これからもよろしくお願いしたい、そういう趣旨がないとは言い切れないわけであります。まさしく李下に冠を正さずということで、政治不信の根源をつくためにもそういう疑わしい金のやりとりはもうおやめになったらどうだろうか、こういう感じがいたしておるわけであります。
 この件に関する総理の従来の国会での御答弁、自粛しておる、要するに政治献金本来の趣旨に従って政治活動に充てることは自粛しておる、そのかわり借入金の返済は差し支えないでしょう、帳簿も別になっておりますると、こういう説明だと思いますが、これは大変私は納得できない話であります。なかなか納得できる人はいないのではないか。
 受け取った金の性質が使い道によって変わる、そんなばかげたことはないわけであります。受け取るべきものでないものは受け取るべきではない、ただそれだけのことでありまして、例えばわいろを引き合いに出しますけれども、わいろを受け取って社会福祉施設に寄附する、あるいは借金の支払いに充てるとわいろがわいろでなくなるか。そんなばかげたことはないわけであります。
 自民党は何か百億近い借入金があって、その返済に充てておると。本来、それは党の金で返済すべきものだろうと思います。ところが、銀行から来た政治献金をそちらに回す、そうすると本来借金の支払いに充てるべき党の金が浮くわけですね。それは何に使うかというと、本来の政治活動資金に使う。この金はこっちに使う、この金はこう使う、全然どこにも差異はないわけでありまして、財布は一つと言いますけれども、経理を別にしているといっても国民がその経理をのぞくわけにもいきませんし、そんなことは何の理由にもならないわけであります。
 李下に冠を正さずと言います。金融システムの安定化が図られるまでこういう銀行の政治献金はもうお断りになったらどうか、こう思うわけであります。
 総理がよく大好きな言葉をお使いになる、恥を知る文化の国という言葉があります。私も好きな言葉で感銘を受けておりますが、こういうことは恥を知る文化の政府・与党のやることだろうかということを少しく真剣に受けとめて考えていただきたい。
 できましたらこの場で、これはテレビ中継がなされておるわけでありますから、全国民に向かいまして、もう銀行業界からの政治献金の受け取りはやめた、金融システムの安定化が図られるまでこれはもうやめにするということを実は宣言していただきたいと思います。しかし、どうも無理なようならば、しようがないから、もらうものはもらうんだという御答弁でも結構でありますので、どうかお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 繰り返し同じ話を何回かちょうだいいたしました。その上で正確に、検事御出身の議員に正確にお答えをすることが何より大事だと思います。
 政治資金規正法において、政治活動に関する寄附について特定の分野を対象とした規制が定められておりませんことは議員は御承知のとおりであります。
 その上で、自由民主党は、住専問題などによりまして都銀あるいは地銀等からの献金は自粛しておったところでありますが、金融システム安定のため公的資金が投入されることにかんがみまして、改めて過去における借入金の返済に充てるものを除きまして銀行業界からの政治献金を自粛することといたしました。これが政治資金規正法上の寄附に当たりますことは以前から私もまた自治省も認めておると思います。
 そして、経理を区分しておりますことももう既に議員は御承知のとおり、もう何回か聞いておられるとおりでありまして、両者は全く性格の異なるものとして区別して扱っております。そのように御理解をいただきたいと思います。
○委員長(岩崎純三君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(岩崎純三君) 速記を起こして。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま佐藤議員に対する答弁の中で不穏当と思われる発言があったという御注意をいただきました。もしそうした言辞がありましたら、これは私の不行き届きでありまして、おわびを申し上げ、取り消させていただきます。
○佐藤道夫君 私、実は細かな法律論を承ろうとしたんじゃないのでありまして、銀行業界に対して国民の税金がつぎ込まれている、政府・自民党が一生懸命銀行の立場を考えていろんな立案をしておる、そういうさなかに銀行業界からの献金を受けることが一体政治倫理としてどうなんだろうか、こういう問いかけでございます。もっと意味は深い、こういうふうに受け取っていただきたかったのであります。
 しかし、この問題はこれとして、ちょっと一言だけ追加いたしますと、銀行業界というのは今余った金は一銭もないはずですから、もしそういう金があるとすれば、それは貸し渋り対策とかあるいは不良債権の回収とかに回すべきなのでありまして、言葉はよくないんですけれども、政治道楽をしているような業界の状況ではない、政治道楽という言葉が悪いことはお断りしておきます。そういう感想を述べさせていただきます。
 次に、大蔵大臣の方にお尋ねいたします。
 ことしの二月三日、私は大蔵省の元主計局次長の中島氏の脱税問題について御意見を承りまして、プロ野球選手と比較して余りにも身内に甘過ぎるのではないかと。隠した所得も中島氏の方がはるかに多い。やり口も、片一方は所得を隠した、片方は借名口座までつくってそこで部外者の金を受け入れて、それを自分で引き出しては使っていた。そういうことにつきまして、何か中島氏が預金を引き出しているそのビデオまで撮られている、こういう話がありまして、手口はほとんど同じ、むしろ中島氏の方が悪質ではないかと。
 いずれにいたしましても、例えば法の番人である裁判官や検事が犯罪を犯せば、これは一般の人よりも厳しく処罰すべきことは明らかであります。それだけ重い仕事についているわけであります。一方、税の番人といえばだれかといえば、これは大蔵省の官僚たちであります。それが税のことは何もわからないとか、そんなことで済まそうとした、そのこと自体もう大変不見識なんであります。一般の人が多少の税をごまかそうとした、それは場合によっては告発を見送るという涙のある措置があってもよろしいわけですけれども、税の番人である大蔵省の高級官僚の場合にはもういささかたりといえども許すべきではない。これは当たり前の国民の常識じゃないでしょうか。
 私は、そういう前提に立って、この処分二つを比較してどう考えられるかということを大蔵大臣にお尋ねいたしましたら、大蔵大臣のお答えは、「今御指摘の問題、法のもとの平等ということには反していると思いますし、極めて不適切な措置であったというように思います。」と。そこで私は、そういうことならば「もう一回再調査を命じていただければありがたい」、こう穏やかに申し上げまして、大蔵大臣も、「委員御指摘のように、身内に甘いということは御指摘のとおりの結果になっておると思います。よく調査をさせたいと思っています。」、こういうふうにお答えになりました。
 調査をさせるということは、みずから憲法違反だと思っている事件についてやり直してほしいということですから、原点に立ち戻って記録をもう一度精査いたしまして、証拠物も点検いたします、足りない証拠は集める、それから関係者ももう一度事情聴取をする、特に中島元次長からは詳しく再度状況を調査する、その上で告発すべきかどうか検察の意見も聞く、こういうのを日本語で調査と言うのでありまして、当然のことながらあれから二カ月余りたっておりまするから大蔵省の調査は着々と進んでおると思いますので、どうか調査の中間報告でも最終結果でも結構でございますから、御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 今の中島問題の前に、先ほど委員の御発言の中に、私の所管事項でありますけれども、銀行に税金をつぎ込んだという言葉がございましたけれども、実は金融安定化緊急措置法では、預金者保護のために預金保険機構に国債を七兆円、そして政府保証債を十兆円、そして片方は金融の安定化措置のためにそれぞれ国債と政府保証債を用意しましたが、資本注入は、税金はまだつぎ込んでございませんから、その一点をひとつ誤解のないようにしていただきたい。まずそれを申し上げさせていただきます。
 それから、私のことについての御質問でございますが、二月の当委員会での委員の御質問は、プロ野球選手についての処分が極めて厳し過ぎるのじゃないか、一方において中島某についての処置は余りにも甘過ぎる、それは身内だからということを御指摘になり、それは法のもとの平等に反するのじゃないかというお話でございました。
 委員の仰せのとおりの事実関係ならばそういうことになろうかと思いますが、そこで私は、プロ野球関係のことが厳し過ぎることであるのかどうか、中島某のことが甘過ぎるのであるかどうか、それを調査しなきゃならぬという考え方で、言葉足らず、舌足らずでございましたけれども、まずそのことを調査させたい、こう思いまして、そこで調査させると申し上げたつもりでございます。
 私の言葉足らずあるいは舌足らずであったかもしれませんが、私は早速担当者に指示をして、プロ野球の場合のことはどういうことであったのかということを調査させて私に報告をさせました。同時にまた、中島何がしということの事案についてどういう調査をして、そして結論としてなぜ告発をしなかったのかということを詳しく報告をさせました。
 結論から申し上げますと、プロ野球の場合については、まず脱税請負グループがあって、それが数十名の人の脱税の請負をして、そしてうその文書までつくって脱税をした。これは……
○佐藤道夫君 なるべく簡単にしてください。
○国務大臣(松永光君) はい。
 これは許すべきでないということで告発、そして刑事裁判、こうなったということでございましたので、金額等も中島某よりも少ないということはなかったように思いますけれども、そういう事実関係ならばこれは妥当なことじゃないかな、こう思いました。
 中島については、これまた詳しく聞いたわけでありますけれども、五カ月余にわたって税務調査をし、百数十人の人たちの聞き取り調査もして、その結果、課税を逃れておる贈与所得その他の所得があることを当局は発見して、そしてそれに対してどうするかということを随分検討したらしゅうございますが、結局ポイントは、刑事事件になった場合の脱税の犯意の立証、それから不正行為の立証、それについて自信が持てなかったのでやむなく重加算税を課した、更正決定をしたという報告でありました。その間、甘くしたということはないという話でありましたので、それはそれとして、私はその報告を了としたところでございます。
 なお、調査後、新たな事実があったならば、国税当局はみずから改めて調査することにはやぶさかでないという返事ももらっております。
 以上です。
○佐藤道夫君 委員長、よろしいんですか。
○委員長(岩崎純三君) 時間ですので、次の機会にお願いいたします。
○佐藤道夫君 何か質問妨害みたいですね。大変問題ですよ。なぜ簡潔にお答えできないんでしょうか。私の質問が妨害されたとしか思えないですよ。これはまた取り上げさせてください。
○委員長(岩崎純三君) 以上で佐藤道夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、栗原君子君の質疑を行います。栗原君子君。
○栗原君子君 新社会党の栗原君子でございます。
 私の出身県でございます広島県の教育のことがけさほど取り上げられました。
 これだけ重要なことが校内で何一つ議論していない中でいきなり国会に出されているということで、職場の人も含めまして大変驚いているという報告が入ってまいりました。彼は、年休は出しているようではございますけれども、広島の教育の現場では、県外に旅行する場合、教育委員会に届け出ることになっておりますが、全く上司も知らない状況であった、こういったこともございます。
 とりわけ、広島は、被爆県広島ということもございまして、核兵器廃絶を願う地域や、そしてまた保護者の期待にこたえるためにも、小中高の教職員は身を挺して細やかな取り組みをしているところでもございます。
 とりわけ、現在のところ、広島県内では生徒の自殺者がいないことは私の救いのところでもございます。生きるとか命の大切さを教職員は子供たちに力説しているところでもございます。文部大臣の答弁は結構でございます。
 続きまして、私は、政治倫理にかかわりまして質問をさせていただきたいと思います。
 自民党の政治資金団体でございます国民政治協会には、大手銀行は三年間で一億円以上ずつ献金をしているわけでございます。今後もこれを受け取るということは、要するに金融機関がもらう救済資金の一部を政治献金で受け取ることになる、与党などの政党が国民の血税を金融機関を迂回して受けることになります。これでは納税者はたまったものではございません。
 巨額の公費を投入されて初めて安定化するような金融機関からの政治献金は当然やめるべきだと思いますが、総理、そうなさいますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政治資金規正法におきまして、政治活動に関する寄附について特定の分野を対象とした規制は定められておりません。
 自由民主党は、住専問題などにより、都銀、地銀などからの献金を自粛しておりましたが、先般、改めて、金融システムの安定のため公的資金が投入されることにかんがみ、過去における借入金の返済に充当するものを除き、銀行業界からの政治献金を自粛することといたしました。
○栗原君子君 自粛をなさっていらっしゃる、こういった答弁でございますけれども、実は国民政治協会を通じて自治省からいただきました政治献金の一覧表がございますが、これを見まして私は気が遠くなるような思いをいたしました。余りにも金額が多いからであります。そして、その中には全国の銀行からの献金が余りにも多いからでございます。
 そこで、例えば東京三菱銀行あるいは第一勧業銀行、住友銀行、あさひ銀行、日本興業銀行、これらはいずれも過去、一九九四年、九五年、九六年と三年間にわたりまして一億円以上の献金をしているわけでございます。こうしたことにつきまして、やはり良心というものがあろうと思いますけれども、私はぜひもう受け取らないということをお決めいただきたいと思います。
 続きまして、私たちは、あの九四年の政治改革法案の審議のときに、あくまでもこの政治改革は政治腐敗の防止と政治倫理の確立が基本だという考え方で進めてまいりました。しかし結局、小選挙区比例代表並立制という選挙制度にすりかえられてしまったわけでございます。
 当時、旧社会党の中で矢田部理議員を中心にいたしまして私たちはあっせん利得罪と企業・団体献金禁止を訴え、そうした法案をまとめたところでもございます。法案では、政治家、公務員にあっせんすることは構わないけれどもそれで利益を受け取るのは禁止している、そのような関係が今日政官財の癒着を深めるからだと、こういうことを言い続けてまいりました。総理もぜひこのことについては強く受けとめてほしいと思います。
 現在、社会民主党から出されておりますあっせん利得罪を設けるつもりがあるのかどうか、そしてまた、これはあくまでも骨抜きにしないでほしい、こういう願いを持っておりますけれども、総理、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政治腐敗防止のための立法措置につきましては、与党三党の間において精力的に検討されております。本日、本委員会の休憩時間である十二時半ごろから三党首会談を行いました結果、四月十日をめどに三党間でその内容について合意を得ることとしております。
○栗原君子君 もはや単なる心得とかあるいは通達、あるいはまた倫理規程では全く役に立たないことがはっきりしてまいりました。早急に公務員倫理法を制定する必要があると思います。
 ここで私は、政府はアメリカのやることなすことには往々にして無批判で支持をしていらっしゃいますけれども、よいことはなかなか参考になさらないという奇妙な態度をとり続けていらっしゃるようにも思います。アメリカのように一回が二十ドル以上、年間五十ドル以上の贈り物や接待は禁止するという制度を日本でも確立すべきではないでしょうか。円にいたしますと、それは二千円あるいはまた三千円以上になるわけでございまして、そのような制度をつくることによって何か支障がございますでしょうか、お伺いいたします。総理にお願いしたいと思います。
○国務大臣(小里貞利君) 法律で規制するべきものがどういうものであるのか、この基本的な検討が一つあります。それから、規制の範囲について検討をすることが一つあります。それから、同じく規制の内容について議員が今若干お触れになったようでございますが、そのようなことも含めまして今真剣に検討を進めておるところでございます。
○栗原君子君 今、総務庁長官にお答えいただきましたけれども、総理も全く見解は御一緒であるということでございますね。そう解釈していいですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本委員会におきましても、私は何回か、倫理規程で対応し公務員の諸君がそれに従ってくれると信じておりましたものが、現実に事件が起こりその信頼が裏切られた、倫理法をつくらざるを得ないと考えておりますということを申し上げてまいりました。その上で、国家公務員法上の懲戒規定と、あるいは刑法上のそれと、そしてこの倫理法の内容をどう整合させるかといった点に問題があります、議論をしておりますということも申し上げ、政府部内で検討しておることを申し上げております。
 これは法律で規制すべきものがどのようなものか、また規制をする範囲、内容、こうした問題点をクリアして倫理法を制定したいと考えておりますが、与党三党、自民党においても検討が進められておりますので、これと連携しながら進めていきたいと考えています。
○栗原君子君 続きまして、高級官僚の天下りが癒着と腐敗の温床の一つになっていることも明らかになっております。
 定年前に官職をやめて、二年間だけ別の業界団体などに再就職をし、二年が過ぎれば以前の仕事と関係の深かった企業などの役員に迎えられるというのは、制度の趣旨からして実効性が余りないと思います。せっかく仕事に精進したのならば定年まで働けるようにし、それでも転職するなら関係業界にはできないとか、少なくとも五年以上経過しなければならないとか、天下り規制を強化すべきではないのでしょうか。このことについてお伺いいたします。
○国務大臣(小里貞利君) 早期退職慣行の問題、あるいは途中におきまして退職する者などさまざまあるわけでございますが、これらのところに直接間接関連をいたしまして、ただいまお話がありましたいわゆる天下り問題に関連した公務員制度等の見直し問題は重要である、さように思っております。
 また、公務員の退職、再就職のあり方につきましては、公務員全体のいわばライフサイクル全般にわたる検討を行うべき課題として、現在、公務員制度調査会等におきまして公務員制度全般の見直しの一環として平成十年度内を一つの基本答申に向けての目標といたしまして調査、審議を行っておるところでございます。
○栗原君子君 最初に質問いたしましたことに少し戻らせていただきたいと思いますけれども、実は北海道拓殖銀行の政治団体等に対する寄附の調べというものを取り寄せて、私も一生懸命これを開きまして調べてまいりました。
 それによりますと、九四年に財団法人国民政治協会に対して四千六百万円、さらには九五年には四千二百四十八万円、九六年には千八百二十四万円、これだけ多額に政治献金をしているわけでございます。破綻寸前まで政治献金をさせていたということに対して、やはり私はこれは何か心にかかるものがあるのではなかろうか、こういうことを感じます。
 金融システムの安定化のために三十兆円もの税金を投じなければならないといいますけれども、それは金融システムの担い手であります金融機関を救済、支援するという面と表裏一体となっているわけでございます。
 金融機関の破綻や危機は、主にバブルの時期に土地や株などへの投機に走ったことが原因だとも言われております。私もそう思います。その経営責任はだれがどのようにとるのだと思われますか。大蔵大臣、お伺いいたします。
○国務大臣(松永光君) 金融機関の経営者が自分の経営する銀行を破綻に至らせた場合には、これは経営責任というものがきちっと追及されなきゃなりません。また、多額の不良債権等を抱えたような場合に、その抱えるに至ったいきさつの中で、自分の利益を図ろうとしたり、銀行に損害をかけることを承知しておったような場合には、これは背任罪という問題が出てこようかと思います。いずれにせよ、銀行というのは公共性のある仕組みでありますから、そういう立場に立っての経営をしていくべきものだというふうに思っております。
 なお、今回の金融安定のための緊急措置法、これは日本の金融システムへの内外の信頼をどうしても高めていかなきゃならぬ。そうしないというと金融不安が起こると。それが去年の十一月、十二月にかけて起こったわけです。それを打開するための緊急の措置として、委員御指摘のように三十兆の資金を用意しました。そのうちの七兆円の国債を預金保険機構の特別業務勘定に交付をし、三兆円の国債を預金保険機構の危機管理勘定に交付し、そのほかに預金保険機構の資金繰りの必要に応じて金が借りられるように実は政府保証したと、こういうことであります。
 今回、申請銀行に対して資本注入をして、そして資本充実をしたわけでありますけれども、その資金はすべて預金保険機構が日銀等から借り受けた金で注入したわけです。注入すれば劣後債とかあるいは優先株というので国の方に入ってくる、こういう仕組みなのでございます。
○委員長(岩崎純三君) 答弁を簡単にしてください。
○国務大臣(松永光君) したがって、税金を使ったということは正確じゃありませんので、ぜひ御理解を願いたいと思います。
○栗原君子君 ありがとうございました。
 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で栗原君子君の質疑は終了いたしました。
 これにて景気、教育、倫理に関する集中審議は終了いたしました。
 明日は午前十時に公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時八分散会