第142回国会 予算委員会 第17号
平成十年四月八日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 四月六日
    辞任         補欠選任
     寺澤 芳男君     直嶋 正行君
     平井 卓志君     田村 秀昭君
     栗原 君子君     山口 哲夫君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     緒方 靖夫君
     西川きよし君     島袋 宗康君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     常田 享詳君
     直嶋 正行君     平田 健二君
     高野 博師君     福本 潤一君
     照屋 寛徳君     梶原 敬義君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                岡部 三郎君
                小山 孝雄君
                佐藤 泰三君
                永田 良雄君
                成瀬 守重君
                小山 峰男君
                角田 義一君
                風間  昶君
                及川 一夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                板垣  正君
               大河原太一郎君
                大野つや子君
                金田 勝年君
                北岡 秀二君
                沓掛 哲男君
                田沢 智治君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                常田 享詳君
                南野知惠子君
                長谷川道郎君
                平田 耕一君
                真鍋 賢二君
                依田 智治君
                久保  亘君
                小林  元君
                平田 健二君
                広中和歌子君
                和田 洋子君
                魚住裕一郎君
                牛嶋  正君
                加藤 修一君
                福本 潤一君
                梶原 敬義君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                緒方 靖夫君
                笠井  亮君
                須藤美也子君
                田村 秀昭君
                星野 朋市君
                島袋 宗康君
                山口 哲夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       法務大臣     下稲葉耕吉君
       外務大臣     小渕 恵三君
       大蔵大臣     松永  光君
       文部大臣     町村 信孝君
       厚生大臣     小泉純一郎君
       農林水産大臣   島村 宜伸君
       通商産業大臣   堀内 光雄君
       運輸大臣     藤井 孝男君
       郵政大臣     自見庄三郎君
       労働大臣     伊吹 文明君
       建設大臣     瓦   力君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    上杉 光弘君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 村岡 兼造君
       国務大臣
       (総務庁長官)  小里 貞利君
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       鈴木 宗男君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  久間 章生君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       尾身 幸次君
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  大木  浩君
       国務大臣
       (国土庁長官)  亀井 久興君
   政府委員
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    佐藤 正紀君
       総務庁長官官房
       長        菊池 光興君
       防衛庁参事官   山崎隆一郎君
       防衛庁長官官房
       長        大越 康弘君
       防衛施設庁長官  萩  次郎君
       経済企画庁調整
       局長       塩谷 隆英君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       科学技術庁長官
       官房長      沖村 憲樹君
       科学技術庁長官
       官房審議官    今村  努君
       科学技術庁原子
       力安全局長    池田  要君
       環境庁企画調整
       局長       岡田 康彦君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
       外務省総合外交
       政策局軍備管理
       ・科学審議官   阿部 信泰君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  高野 紀元君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省条約局長  竹内 行夫君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局長  涌井 洋治君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省証券局長  長野 厖士君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
       文部省学術国際
       局長       雨宮  忠君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省児童家庭
       局長       横田 吉男君
       水産庁長官    嶌田 道夫君
       通商産業省環境
       立地局長     並木  徹君
       通商産業省基礎
       産業局長     作田 頴治君
       労働大臣官房長  渡邊  信君
       建設省建設経済
       局長       五十嵐健之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮本 武夫君
   参考人
       日本銀行総裁   速水  優君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○委嘱審査報告書に関する件
○平成十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
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○委員長(岩崎純三君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に及川一夫君を指名いたします。
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○委員長(岩崎純三君) この際、御報告いたします。
 本委員会は、平成十年度総予算三案につきまして、総務委員会外十二委員会にその審査を委嘱いたしておりましたが、各委員長からそれぞれ審査概要について報告書が提出されました。
 つきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆様に配付することといたします。
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○委員長(岩崎純三君) 平成十年度総予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 締めくくり総括質疑の割り当て時間の総計は百五分とし、各会派への割り当て時間は、民友連三十五分、公明二十五分、社会民主党・護憲連合十分、日本共産党十五分、自由党十分、二院クラブ五分、新社会党・平和連合五分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておるとおりでございます。
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○委員長(岩崎純三君) 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより締めくくり総括質疑に入ります。久保亘君。
○久保亘君 最初に、延期されましたエリツィン大統領の訪日日程は確定したのでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本日、このために出張いたしました外務当局から報告を聴取いたしました。十八日から二十日まで希望ということを正式に受けまして、これで今実務的な詰めを行っております。
 エリツィン大統領から冒頭ロンドンに電話をいただきましたときは十八、十九の二日間ということでありましたが、十八日から二十日ということで今事務的に連絡を受けている、それで準備に入っておるという状況でございます。
○久保亘君 日銀総裁は見えていますか。──昨日、衆議院の大蔵委員会において、一連の汚職事件についての調査をほぼ終了されたということのようでありますが、そのような御報告と聞いておりますが、これらの問題についての報告を当委員会にしていただきたいと思います。
○参考人(速水優君) お答えいたします。
 日本銀行におきましては、あの事件が起こりまして約六百人を、それぞれ直属の局長なり支店長が会いまして、どれぐらいの回数接待を受けているか、どういうことを話し合ったかといったようなことを調べまして、その大体の回答がまとまりました。それと同時に、逮捕されておりました営業局の証券課長吉澤の起訴が決まりました。
 その辺で、監督責任とそれぞれの人たちの行為責任等を勘案しながら処分を決める段階に来ておるということで、ここ数日、責任者の間で話し合いが進められまして、恐らく今週中か来週の初めには公表できるかと思っております。
 接待のお返しとして機密に属すると思われるものを漏らしたというのは、今逮捕されております吉澤と、その命令によって部下の二、三の者がやったことはわかりましたけれども、そのほかに機密の事項を漏らしたということはございません。
 そういうことで、近日中にかなりの人数、それぞれの段階での処分を決めて発表させていただきますので、それまでお待ちいただければと思います。
○久保亘君 いろいろと調査を進められてこれに決着をつけられるということでありますから、大変結構です。国会に対しても御報告があるということでありますから、報告を受けてまた意見があれば申し述べたいと思います。
 このことに関してかなりの人数の職員を処分しなければならない状況ということでありますが、そうなりますと、当時の役職にあった者の責任はどのようなことになるのでしょうか。
○参考人(速水優君) 本人の上司としての監督責任は当然とってもらうことになると思います。したがいまして、単に処分だけでなく、ポストにつきましても若干の変更が起こってくるというふうに考えております。
○久保亘君 大蔵省にお伺いいたしますが、この問題の調査に取りかかりましたのは日銀の方がずっと後だったと記憶いたしておりますが、大蔵省の方の調査や措置がおくれているのはどこに原因がございますか。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 既に先生御存じのとおり、金融服務監査官という制度を設けて、それが中心になって調査を進めてまいりました。大体の職員からの聞き取り調査はほぼ終了しかけておるわけでありますが、接待をした側の方から話を聞いて、そして突き合わせていきませんというと本当のことがわかってまいりませんので、現在そっちの方を一生懸命やっているところであります。
 銀行等からその裏づけ調査といいましょうか、そういう形の調査を今進めているところでございますが、銀行等は非常に口がかとうございますのでやや難渋しておりますけれども、何としてでも月内には終了させたい、こう思って督励しているところでございます。
○久保亘君 今、大蔵省が調査に当たって大変難渋を感じていると言われたことは、日銀の方も同じようなことでしたか。
○参考人(速水優君) 私どもの方も取引先の金融機関から報告をもらいました。それは全部出てまいりましたけれども、私どもが想像したよりも比較的控え目といいますか、先ほど御報告いたしましたように、今問題になりました件以外については漏えいはなかったということでございました。
○久保亘君 それで、日銀は調査を必要としたことに全部回答が出てきた、大蔵省の方はなかなか調査ができない、こういうのはどこに原因があるんですか。
○国務大臣(松永光君) どこに原因があるかよくわかりませんけれども、大蔵省の職員が銀行等に出向いて聞いておるわけでございます。ところが、大蔵省のどういう職員を銀行がいつごろ接待をしたかということを聞くわけでありますが、銀行の側に実は資料がないんです、当局に押収されておるものですから。そこで、その当時の担当者から記憶をよみがえらせてもらって聞いておるわけでございます。
 そして、本人の申し出と合ったならばそれは真実であろう、本人の申し出よりも多ければ本人の方の申し出が少ないなということになってくるわけでありますが、それをきちっと整理してまとめませんというと、後でぱらぱら出てきたらえらいことでございますから、そうならぬように今調査を鋭意進めておるというところでございまして、もう少しでございますのでしばらくお待ちを願いたい、こう思うわけでございます。
○久保亘君 後発の日銀が六百人の職員について調査している、大蔵省は五百五十人、それで調査をする相手方の銀行も大体似たようなところが多いわけですから、日銀の方は全部必要な回答はもらった、大蔵省の方はなかなか大変だ。何かこの問題と取り組むに当たって大蔵省と日銀の間に姿勢の違いはありませんかということを結果として思わざるを得ないものですから伺ったのです。総裁が速水さんで大臣が松永さんだから両方違うんですということにはならぬだろうと私は思いますものですから。
○国務大臣(松永光君) 本当に真剣に取り組んでいるところでございますので、もうしばらくお待ちを願いたいということでございます。
○久保亘君 この問題は、いずれ最終的な報告が出されました段階で、またお尋ねすることがあろうかと思います。
 次に、現下の経済・金融情勢をどのように見るかということについて、四月二日に日銀短観をお出しになりました日銀総裁に最初にお尋ねいたしたいと思います。
○参考人(速水優君) 私どもではこれまで景気は停滞を続けており、下押し圧力が強まりつつあるというふうに判断してまいりました。
 先週発表いたしました短観の調査結果を見ますと、内需の低迷などを受けまして企業マインドが一段と悪化している。また、企業収益がかなり下方修正となって設備投資も頭打ち傾向が一段と鮮明になってきている。このほか、個人消費も低迷を続けており、日本経済は極めて厳しい状況にある。輸出の増加持続や金融システムの安定化策、これらの具体化によって景気の下支え材料にはなっておりますけれども、所得形成の力の弱まり、あるいは国内需要の一層の減退、そういうものにつながっていく可能性も否定できないので、今後の情勢の展開につきましては引き続き十分注意深く点検してまいりたいというふうに考えております。
○久保亘君 そういたしますと、日銀総裁の、日銀の立場からの御判断としては、今の景気の状況は非常に悪くなり、これから先も極めて厳しい状況にあるという御判断と伺ってよろしゅうございますか。
○参考人(速水優君) ただいま申し上げましたように、景気が停滞を続けており下押し圧力が強まりつつあるという判断でございますが、そうした経済情勢のもとでは、やはり金融面から経済活動をしっかり下支えしていく必要があるというふうに考えております。
 このような観点から、先々週開催いたしました政策委員会の金融政策決定会合では、当面の金融政策運営について討議いたしました結果、これまでの金融緩和基調を維持することを決定したものでございます。
 また明日、四月になりまして初めて、新法のもとで新たに任命されました審議委員も加わりまして、新日銀法のもとで初めての金融政策決定会合を開催する予定でございます。私どもといたしましては、この会合で十分な討議を尽くして情勢判断、政策運営に誤りなきを期してまいりたいというふうに考えております。
○久保亘君 では次に、経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 平成九年度の年度末に当たります三月三十一日は大変注目される日でございました。だから新聞は、この日のドキュメントを時間を追って報道いたしております。この中で、「午後四時 経済企画庁首脳」、「オフレコだが、一万六千五百円なら年度を越すのに十分な水準だ。景気はもう大丈夫。四月になれば貸し渋りも緩和されるだろう。景気が悪いなんてまだ言っているのはマスコミだけだ」というドキュメントの記述がございます。この経済企画庁首脳というのはどなたのことか知りませんが、オフレコと頭に振っているので新聞は首脳という書き方をしていると思います。
 長官も首脳のお一人だと思いますけれども、このことについて御存じのことでございますか。
○国務大臣(尾身幸次君) 三十一日の記者会見におきまして、記者会見の時間のときには一万六千五百円前後であったというふうに記憶しておりますが、私自身、この程度の株価の状況であれば年度は越せると考えておりますというふうには申し上げました。景気が悪いと言っているのはマスコミだけであるというようなことを申した記憶は全くありません。
 私自身、経済の状況は停滞をしておりまして厳しい状況にあるというふうに認識している次第でございます。
○久保亘君 ただ新聞も、少なくとも経済企画庁の首脳の発言として括弧つきで書かれているわけですから、全然でたらめを報道されることはないと私は思うんです。
 それで、この言葉から受けとめられるのは、非常に景気に対する考え方が経済企画庁としては甘いのではないか、こういう感じがいたしましたので取り上げました。確かにあなたの名前入りの、午前九時三十分、「この程度の水準であれば、年度は越せる。私は一万八千円といったことは一度もないが、株価には注目している」という発言も載っております。それで、あなたが言われたことがそこへかなり正確に今言われたとおり載っておりますから、そうすると後の方もどなたかが言われたとおりに載っているんじゃないかと思うんです。
 このことは非常に問題のあることだと思うのです。このような月例経済報告をなさいます官庁の首脳がこういう発言をするとすれば、このことについて政府は本当の意味で景気に対する見方が甘いのではないかと思うんですが、総理はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、久保議員から御指摘のありましたような厳しい状況にあるという感じは私自身も肌身で感じております。先日久しぶりに大田区の中小企業、零細企業の代表の方々にじかにお話を伺う機会を得ました。以前からしばしば私自身が中小企業、零細企業のサンプリング調査等においても御協力をいただいた地域でありますだけに、以前との比較もしやすい場所であります。前回は円高の急速な進展のさなかの声を聞くことができましたが、今回それとあわせましても非常に厳しいという認識を持って帰ってまいりました。
○久保亘君 総理が今度ロンドンで御発言になりました中に、今の景気は第二次大戦後初めてと言っていいくらいあらゆる悪条件が重なり、極めて厳しい状況に直面していると、こういう御発言がございます。私もそういう感じはございますが、第二次大戦後というと半世紀以上前のことでありますから、相当今度の景気の状況というのは厳しいとお感じになっているんだと思うんですが、政府の経済見通しの誤りや経済政策の失敗といいますか、そういうものもあらゆる悪条件の中に入ってくるのかどうか。それはどうでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府はその折その折に必要と思われる施策を実行してまいりましたけれども、結果としてバブルの形成から崩壊、その後のプロセスを見てまいりましても、政府が判断したとおりに物事が進まなかったという事態は私は否定できないと存じます。その意味におきましては、私は議員の御指摘を正面から受けとめる部分というものはあると思います。
○久保亘君 そういう中で、今トリプル安と言われる国債、円、株の三つの分野で値下がりがありますが、このトリプル安の状況と円や株の現状をどのように評価するかということについて日銀総裁はどうお考えでしょうか。
○参考人(速水優君) 先週末、東京市場におきましておっしゃるようにトリプル安が起こったわけでございますが、これには御指摘の海外格付機関による日本国債の格付の見直しの報道が影響したように思います。ただ、今週に入りましてからはいずれも相場が値を戻してきております。
 民間の格付機関の方針につきまして私どもがとやかく言う立場にはないと思います。ただ、日本の対外的な支払い能力とか対外収支とか対外資産の残高とか、これらはいずれも盤石でございますし、また製造業の高い技術力や労働の質のよさ、あるいは民間の貯蓄の残高といったようなものを考えますときに、日本の潜在的な経済力というのはかなり高いものであるというふうに考えております。もちろん、こうした日本経済の潜在力を発揮させるためには、景気の回復と金融システムの立て直し、この二つを早期に実現することが重要であると思います。このことがひいては内外からも信認を回復させ、市場の一段の安定にも資するものと考えております。
 日本銀行といたしましても、中央銀行の立場から全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○久保亘君 今、総裁が円が値を戻してきているとおっしゃいましたが、この円が値を戻すに当たっては日銀は役割を果たされたのではないですか。
○参考人(速水優君) 私どもといたしましては、特別に市場に対して何かをやったということはございません。
 ただ、これだけ経常収支の黒字が月に百億ドル近くもある状況の中で円が弱いということは少し理解できない面もあるわけですけれども、その分が海外に投資として流れていく、あるいは海外の債券を買いに出ていく、その過程でドルが強くなっていくということもこれまた自然の流れかと思いますので、これは行き過ぎているということを市場が確認すれば、市場というのはまた適当な時期を経て必ず戻ってくるものだと、私は自分の経験から信じております。
○久保亘君 そうすると、今度百三十五円を超えようとしましたときに、日銀が相場に介入されたということはございませんですね。
○参考人(速水優君) 介入の件につきましては、私どもとしては公にやったとかやらないとか言う立場にございません。これはお答えをすることができませんので、あしからずお許しください。
○久保亘君 いや、先ほど日銀がこの為替の相場に介入するようなことはなかったとおっしゃったので、私はあえてお尋ねしておるんです。そうすると、さっきのことも言えないんじゃないか。
○参考人(速水優君) これまでやったかやらないかということにつきましても公の席で申し上げるわけにいきませんので、これもお許しください。
○久保亘君 総裁のお気持ちもわからぬではありませんからもうこれ以上申し上げませんが、先ほどはなかったとおっしゃっているんですから、今の答弁とは違うんです。
 それから次に、このようなトリプル安、それからジャパン・プレミアムが今かなり上がってきた、そういう状況について財政、金融の運営の担当者であります大蔵大臣はどういう見方をされておりますか。
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 金融政策は日銀の方でございますので、財政の方が私の方の責任だと承知しておるわけであります。今のジャパン・プレミアムの話でございますが、御存じのとおり、昨年の暮れあたりは〇・五とか〇・六という高いものでありましたけれども、金融システム安定化の緊急措置法を制定していただいて安定化措置をやったということもありまして、現在では〇・二%台で推移しておるというふうに理解いたしております。
○久保亘君 最近の状況は〇・二程度であるということでよろしいですか。
○国務大臣(松永光君) 望ましいのはゼロだと思うのでありますけれども、まだまだ本当の意味での日本の金融システムについての内外の信認が確立をしていないという面は否定できないと思うのでありまして、これからも日本の金融システムについての内外の信認がより強固なものになるように努力していく必要がある、こういうふうに考えております。
○久保亘君 事務当局で、これは数字の問題だから、直近のジャパン・プレミアムのパーセントをちょっと言ってみてください。
○政府委員(黒田東彦君) 先ほどの大臣の答弁を補足させていただきますが、答弁にありましたとおり、昨年かなり拡大をいたしまして一%からさらに高い水準にあったわけですが、その後〇・五ぐらいに落ちまして、金融システム安定化のための措置がとられた後は、具体的に申し上げますと〇・二%を切る〇・一七%程度になっておりました。
 ただ、その後〇・二八%程度まで拡大いたしまして、最近時点では〇・二七あるいは二六とかその程度の、〇・二%台の水準になっております。
○久保亘君 大臣が言われた〇・二と、今事務当局が言いました〇・二七とか〇・二八というのとでは随分違うんですよ。だから、かなり高い水準にあるんですよ、今も。これはそれぐらいは大したことないよというような数字じゃないと私は思っております。
 限られた時間ですから、お尋ねしたいことがたくさんございますので次へ進みますが、今どなたにお聞きしてもこのような非常に悪い状態です。日銀の短観などは余り例のない厳しい景況判断を示しておりますが、そういう非常に悪い経済状態の中で、当面する経済政策の運営方針はいかにあるべきか。
 私は、昨日大蔵大臣に、政策を転換したことによって問われる責任よりも、政策を転換しないことによって国益を誤った責任の方がはるかに大きい、こういうことも申し上げましたが、今もそういう考え方を私は強くいたしております。
 今度もまた日銀にお聞きしたいんだけれども、日銀総裁はたしかイギリスのフィナンシャル・タイムズのインタビューを受けられたときに、経済政策のあり方について御発言になったと思いますが、どのような御発言でありますか。
○参考人(速水優君) フィナンシャル・タイムズの当地の特派員にドクター・テッドという非常に国際通貨、国際金融に明るい、しかもビッグバンについて非常に詳しい知識を持った方がおられまして、私と議論したいというので来られて、一時間半ぐらい主としてビッグバンのお話をいたしまして、ビッグバンを完成することが必ず、雇用をふやしたり、波及効果をよくしていくものだという議論がございました。ただ、それをやる場合には税制を国際的なイコールレベルにしなければいけない。フリー、フェア、グローバルと掲げている旗印を早く実現しなきゃならないという先方の議論に対して、私もそう思いますということは申しましたが、景気対策として今何と何が必要だということをはっきり申したつもりはございません。
 そこで申しましたことを、そこだけピックアップして第一面に持っていき、その他の議論は十何面かにずっと長く書いてございますので、そちらの方をお読みいただければ私の言いたいことがおわかりいただけると思っております。
○久保亘君 それでは、内容についてちょっとお尋ねしたいんですが、当面の間は経済を刺激することが重要であって、財政赤字削減を一時棚上げしてでもそうすべきだ、そして恒久的な所得税減税を期待するということは、一番本論のところではなかったとおっしゃるかもしれませんが、そのようにおっしゃいましたか。言わないことをフィナンシャル・タイムズが書いたんですか。
○参考人(速水優君) 先ほど申し上げましたように、長い議論の中で、私もロンドンに二回おりましたし、ロンドンのビッグバンの話に乗って、その過程で、私見だけれども税制を早く国際並みにして景気をよくしていく必要があるということは申したように記憶しております。
 ただ、具体的な財政政策に関する中央銀行の公式見解と受けとめられているとすれば、それは私の本意ではございません。したがって、今後につきましてはより慎重に言葉を選んで発言してまいりたいというふうに考えております。
○久保亘君 せっかく日銀の総裁になられたんだから、そんな慎重になってできるだけ物を言わぬようにしようということじゃなくて、やはりあなたの信念に基づいて言うべきことはちゃんと言ってもらいたい。私はそれを期待しながら今お聞きしているんです。何かけしからぬことを言ったなどと言っているんじゃありませんよ。非常にいいことを言っていると思ってお聞きしているんであって、そんな腰を引かないでやってくださいよ。
 それから、総理がロンドンでおっしゃいましたことの中に、与党の経済対策に反応し、政府がどういう経済対策を打ち出すかというのを今国民も国際社会も期待しているんだ、こうおっしゃっておりますが、私は、もう少し宰相として政府みずからこの国難とも言うべき経済情勢に対応する考え方を的確にタイムリーに出していくことがその責任ではないかと思っております。
 何か総理は海外の会議にいらっしゃると、帰りに機中から国民に伝えられるメッセージが経済政策の具体的な変更の内容であるということがクアラルンプールからもロンドンからも聞こえてきたのであります。もう少し東京で、総理として経済対策について、与党の提言に反応するだけでなく、橋本内閣の首班として、あなたが今、国民のために、国際社会のためにかくあるべきだということをおっしゃった方がいいように私は思うんです。そして、それが今求められているのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いっときはともに肩を並べて仕事をさせていただいた友人としての御忠告と、私はこれは素直にちょうだいをいたしたいと思います。
 そして、従来からも私は、内外の経済・金融情勢の変化に対応して臨機応変の措置をとるということを申し上げてまいりました。必要なことは大胆に行わなければならないと思います。こうした考え方に沿って、アジア欧州会議、帰りの飛行機ではございません、現地の記者会見、これは共同記者会見と内外記者会見、二回の場がございましたけれども、記者会見の席上においてもその質問に答え、与党三党による総合経済対策の基本方針というものは重く受けとめて政府としてどういう景気対策を打ち出すべきか真剣に考えているということを申し上げてまいりました。
 同時に、参議院の予算の御審議中でありということも申し上げ、その席上で言いましたけれども、帰国後、本院の御論議でも、参議院の予算審議中に不見識というおしかりもちょうだいをいたしました。
 しかし、いずれにいたしましても、私は、国内の状況と先行き、そしてアジア、欧米などの状況、あるいは日本への期待などを見きわめながら真剣に検討をいたしておりますし、また今後もしてまいりたいと思います。
○久保亘君 今、補正予算の論議になったりしてまいりますと、予算の審議中に補正予算を含む経済対策が議論されていくということになれば、平成十年度の政府予算案というのは一体何だという議論になるのは、これは当然のことであります。
 だから、そのことを含めて、平成十年度の政府予算案には見通しに誤りがあったということを率直に認めて、補正という手段で予算の本格的な修正を行うということはやはりよくないことだと私は思うのでありまして、そのことをやる場合には、そのことに対して、国会に十年度予算の修正に当たる補正を行うということを明確にすべきものだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府としては、現在御提案申し上げております平成十年度予算案をともかく一刻も早く通していただきたい、そして執行に移させていただきたい、それが最大必要なことである、そう考えておりますことは御理解がいただけると存じます。
 そして、議員も今お触れになりましたような論点は今まで何遍も御論議がございました。私は繰り返し十年度予算を一刻も早く成立させていただきたいということをそれに対して申し上げ続けております。
○久保亘君 平成十年度の予算案は国会においては四月十八日をもってこれは必ず成立するわけです。それで、今の審議の状況からまいりますと、それよりも早くに成立することになるだろうと思いますが、しかしその後を追っかけるように大型の補正予算を伴う予算の事実上の修正が行われるということについては、なぜそうなるかということは国民に対して説明しなければならないことだと私は思っているからお尋ねしているのでありまして、大蔵大臣はどう考えておられますか。
○国務大臣(松永光君) 今、総理から御答弁がありましたように、御審議を願っている平成十年度の予算、何よりもこれを成立させていただいて早く実行に移させていただきたい、それをお願いする私の立場でございます。今、補正予算の話がございましたけれども、そのことについてもまだ私は何も言うわけにはいかぬわけでございますが、一般論として申し上げますと、財政法の規定を厳格に判断して、そして対応しなきゃならぬだろう、こう思っております。
○久保亘君 それは、例えば財政法二十九条も補正に当たっては厳格に守られると、こういう意味に解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(松永光君) 私の立場は、財政法もありますし、それからまた現状におきましては財政構造改革法という法律もありますし、そうした法律は厳正に守りながら職務を執行していかなきゃならぬという立場でございますので、その立場を申し上げた次第でございます。
○久保亘君 あなたも法律家の御出身ですから、法律を厳正に守るという言葉の意味はよくおわかりだと思います。財政法二十九条に反するような補正予算の執行は今の政府にはできません、こういうことですね。
○国務大臣(松永光君) 法律に基づいて行政事務は執行していかなきゃならぬわけでありますから、法律は厳正に守っていく、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○久保亘君 あなたの御覚悟のほどはよくわかりました。しかし、これは総理の言っておられる、与党の経済対策の提言に反応してやりますよということとは食い違いはありませんか。
○国務大臣(松永光君) 総理は、与党でお決め願った経済対策の基本というものについて真剣に研究していくという御発言でございます。研究された結果がいずれ出てくると思うのでございますが、それを具体化する場合に、委員の今おっしゃったようなことが問題となってくると思うのでありますけれども、財政を預かる私の立場からすれば、あくまでも法律は守りつつその職務を執行していかなきゃならぬ、こう思っているわけでございます。
○久保亘君 さすがに法律を専門にされている方の法律に対するお考えだとよくわかります。
 それならば、与党提言は十六兆の経済対策、そのうち財政出動を伴うものが、今論ぜられているのでは、これを提言された人たちの間で八兆とも十兆ともいう発言がございます。あなたの言われる法律をしっかり守りますという立場で財政法二十九条に触れずにそういうことが可能ですか。
○国務大臣(松永光君) 今の真水という話として出てきていることが、報道等で私も承知しておりますけれども、果たしてそれがどういうことなのかまだ私には定かでありません。そういった点もこれからよく話を承り、真剣に研究をして、そして今申したように、財政構造改革法もあれば財政法もあるわけでありますから、それを守りながら私は職務を執行していかなきゃならぬ、こう思っているところでございます。
○久保亘君 国家財政に責任を持つ、ひいては日本経済に責任を持つ立場にあられる方が、そういう現下の情勢にどう対応するかということで物を考えるのではなくて、今の法律の物差しに当ててそれ以上のことはやりません、こういうふうにきっぱりおっしゃってしまうと、これは内閣総理大臣としては大変お困りになるんじゃないですか。
○国務大臣(松永光君) 委員もよく御承知と思いますが、今般の与党の経済対策の基本方針の中にも前の方にきちっと、財政構造改革の精神を堅持しつつと、こうなっておるわけでございますので、私は堅持した形でやっていくことになるだろう、こう思っているわけです。
○久保亘君 精神を堅持するというのと、法律はきちっと守りますよと言い切ってしまうのとでは、随分違うんですよ。
 それじゃ、あなたの御発言からすると、よもや財政構造改革のこの法律を変更するような提案を今の内閣でなさることはない、大蔵大臣としてはそういうことはあり得ない、こうおっしゃっているのだと解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(松永光君) その問題はまた次元の異なる話でございまして、その点については、また法律が変われば変わった法律を守っていかざるを得ないんです。しかし、現在の段階では法律はきちっと存在しておりますし、存在している法律を私は厳正に守って職務は執行します、こう申し上げているわけでございます。
○委員長(岩崎純三君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(岩崎純三君) 速記を起こして。
 ただいまの久保亘君の質疑につきまして、答弁の内容に明確さを欠いた点がございますので、大蔵大臣から再度、明確なる御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(松永光君) 私は、現に有効に存在する法律というものは厳正に守っていかなきゃならぬということを申し上げているわけであります。
 将来、内閣の方針が変わったりして、それで新しい法律ができる等ということがあった場合には、またその法律に従って行動していくのは、これは法を守るという見地からいけばそういう筋道になるんだろうというふうに私は思います。
○久保亘君 日本の経済や財政の運営についての見識と、その見識に基づく具体的な意見というものを大蔵大臣としてはお持ちにならなければいけないんじゃないでしょうか。今はそういう状況下にあるんじゃないですか。
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げておりますように、現在ただいまは何としてでも平成十年度のこの予算を通していただきたい、そして速やかに実行に移させていただきたい、そしてその後のことは、与党の対策もありますので、それはそれとして真剣に研究させていただきたい、こう申し上げているわけでございます。
○久保亘君 それじゃ、与党側から提言がなければ、政府、とりわけ大蔵省として積極的に今日の事態に対応するという考えはない、こういうことですか。
○国務大臣(松永光君) そう言われても困るわけでございますが、現在、与党の方から大きな経済対策の基本というものが決められました。
 与党の上に成り立って現在の内閣は存立しておるわけでありますから、まずその与党の決定事項は重く受けとめて、そしてどういうことがなし得るか、どういうことをなすべきか、これは真剣な研究をして、その上で適切に対応していかなきゃならぬ、こう思っておるところでございます。
○委員長(岩崎純三君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(岩崎純三君) 速記を起こして。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 現在の我が国の経済情勢、景気の状況が厳しいということは私も深く認識しておるところでございまして、その認識は先ほど日銀総裁が申されたことと同じでございます。
 それの対応としては、今御審議願っておるこの予算を提案申し上げておるのが私でございますので、まずはこの予算を速やかに成立させていただきたい、それを現在お願いしているところでございます。
 その後のことにつきましては、まずこの予算を速やかに執行させていただく、そうした状況も踏まえながら、これからのことは検討していかなきゃならぬと。その検討の大変重要なものとして与党の経済対策の基本というものがありますので、そういったことも研究の材料にさせていただきながら、財政運営に誤りなきよう懸命に責任を持って努力をしていきたい、こう考えているところでございます。
○久保亘君 それじゃ、違った角度からお尋ねいたしますが、財政構造改革法に定める目標、二〇〇三年にどういう状態になるかということが目標として書かれておりますが、この目標を達成することについては今もお変わりになっていないんですね、あなたは。
○国務大臣(松永光君) 委員よく御承知のとおり、二〇〇三年度末までに国、地方の財政赤字、これをGDP比三%以下にするというのが大きな目標の一つでございます。同時にまた、特例公債依存からの脱却も大きな目標であります。そのほかに幾つかのことが決められておるわけでありますが、この大きな目標達成に向けて懸命に努力をしていくというのが私の立場でございますし、またその責任が私にある、こう思っております。
○久保亘君 そうすると、その達成を目標にするということは、今後の経済対策を、あなたの立場では、あなたの考え方によってしっかり縛っていくということになりますよ。それでいいですか。
○国務大臣(松永光君) 委員御承知のとおり、幾つかのことはきちっと決まっておるわけですね、二〇〇三年度末までにこういう状況ということが。その途中のことについては、アメリカのOBRAとは違いまして多少のことができるわけでありまして、例えば補正予算による追加措置等々はこの財政構造改革法の定め方としては可能になっております。
 それからまた、赤字公債、特例公債の発行高を前の年よりも減らさなきゃならぬというのがありますけれども、その範囲内ならばそういった措置もできることになっておるわけでございまして、この財政構造改革法の中でも相当のことはできる、こう思っておりますので、それはいわゆる臨機応変の措置としてやるべきことはやるということでございます。
○久保亘君 そうすると、首相は早い時期に財政構造改革会議を開きたい、こういうことをおっしゃっておりますが、この目的は何ですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 正確には、私は参議院で予算が今審議中、その予算の成立後できるだけ早く財政構造改革会議を開きたいというふうに申しました。それ以上何も申し上げておりませんが、まさに財政構造改革会議はその目標のために存在する会議であり、財政構造改革というその基本理念を忠実に守っていきながら、今後の経済運営、財政運営について、与党三党の中で意見をまとめてきた場であります。その御論議を久方ぶりに願いたいと私が考えて、お願いをしようと思っておることであります。
 しかし、いずれにいたしましても、それは現地での報道にも出ておったと思いますが、参議院の予算の御審議中である現在、それが成立した後できるだけ速やかにという言い方をしております。
○久保亘君 いや、この財政構造改革会議をお開きになることについてあなたからお考えを聞く機会はもう余りないと思うんで、それで何の目的で──参議院で予算が成立した後というのは、そう言っておられます、それはよくわかっております。しかし、その後会議を開きたいという意思を示されたのは何かの目的があってそうおっしゃっているんだと思います。だから、何をなさるんですかと聞いておるわけです。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今手元に持っておりませんので、正確なそのときの発言ぶりを記憶いたしておりませんけれども、与党からの経済対策に対する提言というものを重く受けとめ、何を実行すべきか、何ができるか、より実効性のある経済対策は何かを真剣に考え抜いているということを申した上で、私は財政構造改革会議の招集をお願いしたい、開催をお願いしたいと。その間に予算が参議院で御審議中ということがございました。現に参議院で御審議をいただいておりますさなかであります。前段に申しました与党からの提言というものを重く受けとめ、何をすべきか、何が一番効果的であり、実効が上がるかと真剣に考え続けているという文脈でとらえていただく、そこまで申し上げるのが委員に対してお答えをすべき部分であろうと思います。
○久保亘君 その中には、財源等を念頭に置きながら減税の問題を視野に入れてお考えになっておりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は今、ぎりぎりここまでと会見でも申しましたことを、そのとおりにできるだけ記憶をたどりながらその言葉の順番も申し上げてまいりました。今、政府として院にお願いを申し上げておりますのは、ともかくこの十年度予算を一分一秒でも早く成立させていただきたいということでありまして、その後のことに言及すべき状況ではないと存じます。
○久保亘君 橋本さんにしては珍しく、やるべきことは大胆に行うという言葉をお使いになっておりますね。
 それで、またその中に減税の問題もお触れになっておりますね。税でどのような手当てをいつするか、いろいろな課題と連動させながら判断していくべきだということをおっしゃっているのが報道されております。そうすると、税でどのような手当てをいつするかというのは、減税の問題を言っておられると解していいんじゃないですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) これも正確にちょっとやりとりを覚えておりませんが、質問者の質問は、減税という言葉を使い、その時期、内容等の明示を迫るような質問であったように記憶をいたします。
 そして、議員も今お読みをいただきましたように、私は減税という言葉を全く用いずに、その時点の答えをいたしたと記憶いたしております。今、議員が引用されましたものがそのとき申した言葉をほぼ忠実にメモされたものではないかと思います。税というものについてということで一般論を答えたと。そのように、今読み上げられたような内容のものであったと思います。
○久保亘君 大蔵大臣、もしあなたの言われるように、法律をしっかり守って、そして経済対策の中に必要な特例公債を発行して財源を生み出すということをやります場合に、私どもの計算ではその上限は一兆三千八百八十億になると思いますが、間違いありませんか。
○国務大臣(松永光君) 間違いございません。
○久保亘君 そうであるといたしますならば、赤字国債による経済対策のための補正措置というのは、この一兆三千八百八十億を限度としてしかできないということになれば、法律を変えなければそこから先は踏み込めないということはだれもがわかっていることですね。
○国務大臣(松永光君) 現行財政構造改革法の解釈としてはそのとおりでございます。
○久保亘君 そういたしますと、やはり与党から出されている提言だけではなく、野党からも積極的な減税の実施についての提言がございます。こういったものはかなりな規模の減税を行うということについては一致してきているわけですが、この減税を行う場合には当然に法律の改正を伴う、こういうことになると思いますが、このことは、もし補正予算を国会に提出されるということになりますならば、同時にこれらの法律の変更も伴ってくるというふうに解しておけばよろしいんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 審議の途中大変恐縮でありますが、先刻、委員長並びに理事の方々の御了承を得ておりますので、一つ御報告を申し上げます。
 本日十二時過ぎ、ジャカルタ時間でありまして、日本時間では午後二時過ぎ、インドネシア政府とIMF事務局との間におきましてIMFプログラムについての話し合いが合意に達したという連絡が今入りました。そして、今回の合意は、我が国からの働きかけもありまして、両者が弾力的に話し合いを続けてきた結果であり、日本としてもこれを歓迎したいと思います。
 今後、この合意が着実に実施されることにより、インドネシア経済に対する国際市場の信認が回復し、経済困難が克服されるものと確信いたします。
 我が国としては、インドネシアが経済困難を克服し、IMFとの合意を着実に実施していくことができるよう、既にコミットした五十億ドルの第二線準備のうち、十億ドルの前倒しによる外貨準備支援及び十億ドルの輸銀のツーステップローンの実行の合計二十億ドルの支援を行うことにより、喫緊の課題である貿易、金融の円滑化に貢献してまいりたいと考えます。
 さらに、さきに決定いたしました二百億円の構造調整支援のための円借款の供与を急ぐとともに、人道的支援としてさきに決定した医薬品等の供与のための総額四十億円の緊急無償援助のほか、食糧支援についても早急に具体化していきたいと考えております。
 また、民間企業の対外債務問題につきましても大きな進展が見られ、日、米、独の銀行の三議長体制のもとで話し合いが行われることとなりました。具体的処理策につきましても意見が収れんしつつあると報告を受けておりまして、早期に合意に達することを期待いたしております。
 ただいま報告が入りましたので、委員会を通じて御報告申し上げます。
○久保亘君 大変重要な課題に対して、首相みずからジャカルタへ行かれてスハルト大統領と会談を持たれるなどして、今日それが一つの成果として報告されましたことは率直に私どもも歓迎いたしたい、こう思っております。今後、このことを通じてアジアの経済の安定が一層進むためにその成果を私どもも見守っていきたい、こう思っております。
 余り時間がなくなりましたので、もう一つ、今度は金利の問題について日銀総裁に伺いたいと思うのであります。
 あなたは就任の記者会見のときに、我々民間にいた者の庶民の感覚からすれば、今の超低金利が長期に続いていることは厳しいことだという意味のことをおっしゃったのではなかったかと思っておりますが、間違いございませんか。
○参考人(速水優君) 私はつい三週間ぐらい前まで民間におりまして、当時は預金者として、また財団の理事長などの立場から、金利が低いことがいかに庶民の購買意欲を手控えさせ、財団の活動を不可能にしているかということを嫌というほど身にしみて感じておったわけでございます。
 昨年の中ごろまでは金利はもう少し上げたらどうかなということを感じておりましたし、日銀の人たちにもそういうことを言ったこともあるんですが、昨年の消費税の引き上げ、それを前倒しにしたことの反動が意外に大きかったこと、さらに健康保険、年金等の吸い上げが九兆円近く、一世帯三十万円ぐらい吸い上げられたというようなこと、そこへもってきてアジアの問題あるいは北拓、山一の金融不安というようなことが重なってきて一般の経済界の見方が非常に暗くなっていったことは御承知のとおりでございます。
 中央銀行としましては、やはりその時々の経済情勢全般に対してマクロ的な観点から適切な金融政策の運営に努めていくべきものでありますし、景気の停滞が続いて、最初に申し上げましたように、下押し圧力が強まりつつあるという現状で、何よりも金融面からの経済活動をしっかり下支えしていくことが大事であるというふうに思っております。金利水準がおのずから調整し得る局面に来るには、やはりまず経済が自律的な回復軌道に移行していくことが先決だと思います。
 今、私としましては、金融の緩和基調を維持することによってそのような経済状態ができる限り早く実現していくことに努めてまいりたいというふうに思っております。
○久保亘君 速水日銀総裁に対する国民的な期待というものは、あなたが就任されてからだんだんなくなっていっているんじゃないかと思うんです。
 それで、今何を言っておられるかというと、最初は庶民の感覚でこの超低金利問題は考えなきゃいかぬということをおっしゃったんですが、今はこれを上げると金融機関や企業の利益が減るので日本の経済が悪化する、上げられないと、こう言っておられるわけです。
 これは、庶民たるものは超低金利による犠牲を払って金融機関や企業の利益を保障せねばならぬということになるんですが、そういうお考えですか。
○参考人(速水優君) 年金生活者あるいは蓄積だけで生活しておられる方々にとっては、おっしゃるような議論は全くそのとおりでございますが、所得全体で考えますときには、今この時期で借り入れコストが上がるということは企業の収益を吸い上げることにもなるし、新しい設備投資へのコストも高くなって手控えるといったようなことも起こってくるわけで、庶民全体の所得からいえば、金利の引き上げによってふえる所得の増加と全体が低迷化して所得が減っていくことと両方を比較してみますと、やはり全体としての所得の方をとらざるを得ないというふうに思っております。
○久保亘君 総裁、何度もお立ちいただいて恐縮でございますが、庶民の感覚というのはどういう意味に解したらいいんですか。庶民とは何ですか。
○参考人(速水優君) 消費者ということでよろしいかと思います。
○久保亘君 私は辞書を引いてみました。あなたが庶民と言っておられるものだから、まさか自分のことを庶民と思っておられるのじゃないと思いまして辞書を引いてみましたら、特定の地位や財産を有しない一般の、普通の人々、こう書いてある。
 そうすると、やっぱり庶民の感覚というのは本当に庶民、大衆の中にある期待を言うのであって、庶民でない人が庶民の気持ちを考えるということじゃないんじゃないでしょうか。
○参考人(速水優君) 私は庶民という言葉を少し安易に使い過ぎたかもしれませんけれども、経済的な用語としては消費者と言った方がいいかと思います。
○久保亘君 消費者ということならば、これはすべての人が庶民ということになりますね。私は、そうではない、ましてやこの金利問題を論ずるときの庶民というのはそれは違うと思います。
○参考人(速水優君) やはり経済全体が下向きになってまいりますと所得は減っていくわけでございますから、そこのところは、今景気が低迷しながらむしろダウンサイドのプレッシャーがかかり始めたというふうに判断いたしますときに、やはり景気を盛り上げていくということの方が先だと思います。
 それが的確に出てまいりますのは、企業家の、大企業も中小企業も同じですけれども、仕事をふやしていくあるいは新しい仕事に飛び込んでいくという、この経営者の決断なり気力というものを生み出すことができるかどうかというところではないかと思います。景気が上向いてくれば、ほっておいても製造業であろうとサービス産業であろうと新しい仕事をやろうという空気が出てくると思うので、そのことが景気をさらに持ち上げていくことになろうかというふうに思っております。
○久保亘君 総裁、お立ちになって結構です。
○委員長(岩崎純三君) 速水参考人、どうぞお引き取りいただいて結構です。
○久保亘君 どうもありがとうございました。
 最後に一つ、財政構造改革法を弾力条項を持たすべきか目標を先送りすべきかという議論が与党の中にも起きているわけでありますが、その中で二年先送りされた教職員定数改善計画がございます。
 私は、この問題に関して文部大臣は、この教職員の定数だけが問題ではありませんけれども、今の学校の現場の状況、社会的な緊急の課題、こういうものをお考えになって計画どおり第六次計画を完結させるべきだというお考えはお持ちになりませんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 現下の財政構造の厳しい状況の中で、委員今御指摘のとおりに平成十年度末に完成のものをあと二年後倒しするということを財政構造改革法の中で昨年の十二月に決めたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、当面この十二年度の完成に向けてしっかりやっていかなければいけない、こう思っております。
 ただ、委員今御指摘のように、非常に荒れる学校と言われているわけでございまして、さまざまな問題を抱えております。その際に、私どもとしては人の問題というものも一つの考えるべき要素として、定員の問題でありますとか、人の配置の問題でありますとか、あるいはそれぞれの学級における教員の配置の仕方、チームティーチングとかいろいろあるわけでございますが、そうしたことを常に考えていかなければならないんだろうとは考えております。
○久保亘君 これはいろいろな社会情勢、経済情勢を通じて検討されるということになりました場合には、その検討の項目の中に文部大臣としては決意を込めて要求されるべき課題だと私は思うんです。あなたのような若くて情熱に燃えている方は、そういうことをやられてこそ私は文部大臣としての評価にたえ得るものだと思っておりますが、いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) 先輩の貴重な御指導として受けとめさせていただきます。
○久保亘君 どうもありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で久保亘君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
○魚住裕一郎君 公明の魚住裕一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今、久保委員から、日銀短観等を示されて、現下の経済情勢についての認識、経済政策等の質疑が行われました。
 けさほどのある新聞によりますと、民間の調査機関がまとめた経済予測というものが載っておったわけでありますが、大体は成長率一%割れというような認識を示している。しかも、自民党が十六兆円を超える経済対策を決めた三月の末以降に公表したものも実質成長率が〇・八からマイナス〇・五%にとどまっているというような評価が出ております。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 先ほど総理の御答弁の中では、今審議しております予算が最良、最適である、一分一秒早く成立させてもらいたいというようなお話でございますが、このような民間の予測を前提にしてもなおかつ今の予算が最良であるというような御認識なのか、お問いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど久保委員にお答えを申し上げました中に、私は最良とか最適とかいう言葉を用いておらないと存じます。冒頭、久保委員からお尋ねをいただきましたのは現状の認識でありました。そして、私自身が大田区の中小企業の方々に久しぶりにお話を伺ってみた、そして比較的何回か調査の対象にしたことのある地域でありますだけに、例えば円高の急速に進行したときと対比をいたしましても厳しい状況にあるという認識をお答えいたしました。
 その上で、本予算の成立がおくれること自身が私は一番、厄介と申してはいけませんけれども、土台がしっかりしないという意味で不安定さを残すわけでありますから、一分一秒でも早く成立をさせていただきたいということをお答え申し上げた。そう私は思いますし、議員にも、同じお尋ねでありますならば、やはりともかく一分一秒でも早く十年度予算案を成立、通過をお願いし、この執行に移らせていただきたいということを申し上げたいと存じます。
○魚住裕一郎君 また、この民間の調査機関の中には、今失業率が三・六%というような数値になっておりますが、予測として四%ぐらいに上昇するんではないかという結果も出ております。またさらに、企業収益と雇用環境の悪化で個人消費の回復はめどが立たず、低迷が続くというような表現になっておりますが、この失業率アップ、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 基本的には、短期的な雇用のあり方は経済の動向に左右をいたします。経済企画庁長官から種々お答えするのが適当かと思いますが、最大のポイントはやはり消費性向の下落による消費の低迷にあると思いますので、この消費性向の低下の原因がどこにあるのか、私は金融不安に根差した将来の生活に対する不安だと思います。
 したがって、金融二法等が的確に実施をされ、そしてただいま御審議を願っております予算に含まれております法人税減税等が実現をすれば、雇用の先行きはそんなに私は大きく悲観すべき状況にあるとは考えておりません。
○魚住裕一郎君 現下の経済情勢を心配して、与党の中で経済対策十六兆円という、あるいはその中で真水は八兆円だというようなことを言われておりますけれども、中身を見るとどうしても公共事業中心、今までの従来型以外にもいろんな通信産業であるとか考えておられるようであります。先般、新聞に、四日付でしたけれども、クリントン大統領の記者会見の話が出ておりました。日本の景気停滞に強い懸念を表明している、大胆な対策をとる必要がある、さらに官僚主導の過去の日本の戦略は現在は通用しないと述べた、規制緩和も含め日本経済の構造改革が必要との見解を示したという記事になっております。
 私も思い切った経済対策をとる必要があるんではないか、しかもその場合は経済構造の改革につながるような方針が必要かと思いますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私どもは平成十年度予算の御審議をいただいております。そして、私どもとして平成十年度予算を一分一秒でも早く成立をさせていただきたいという気持ちを持っていることは、先ほど来繰り返して申し上げてきていることでございます。
 そして、議員のお尋ねを一般的な形でとらえました場合、経済構造改革というのは、我が国がやり上げていかなければならないこの時期における改革の一つの柱であることは御指摘のとおりでありますが、それは同時に経済構造改革だけが独立して存在するものではない。さまざまな改革はそれぞれに有機的に連携をとりながら進められていくべきものであり、その手法としては政府における規制を緩和、撤廃する、こうしたことからも起きてまいりますし、他の要因でも行われる、そのように思います。
○魚住裕一郎君 先ほど久保委員からもお話しございましたけれども、閣僚の方あるいは与党のしかるべき立場の方、いろんな発言をされておりますが、なかなか景気あるいは株価を見てもよくなっていかない。もう大方は経済政策の転換をはっきり言うべきである、そういう声になってきております。
 今度、財政構造改革会議が招集されるというお話でございますけれども、総理の基本姿勢としてやはり国民の前で、国会の場でそういうことをはっきり物をおっしゃることが、国民の何か漠とした不安、このまま本当にどうなっちゃうんだろうかというような不安解消に一番資するんではないだろうかというふうに思うんですが、総理、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ASEMに参りましたロンドンでのブレア首相との共同記者会見、またその後の内外記者会見におきましても、私は、参議院で現在予算の御審議をいただいているさなかだということで非常に発言は気をつけてまいったつもりでございます。
 そして、帰国をいたしましてから、集中審議の終わりました日、理事懇談会におきまして、内閣に対し、また内閣総理大臣としての私、自由民主党総裁としての私に対し、本院予算委員会の理事懇談会として、発言を慎むように厳しい御注意があったこと、御承知のとおりでございます。
 そして、当日、これは自由民主党総裁という立場においてでありますが、私は党の役員会において、参議院予算委員会の理事の方々からこういう厳しいお申し入れを受けた、発言は御審議の妨害にならないようにということをきちんと申し伝え、その後そうした意見はとまっておると存じます。
 また、閣僚の中からそうした御審議に対し御迷惑をかけるような発言をした者があるとは私は考えておりませんけれども、政府としては、まずとにかくこの予算の成立を少しでも早くしていただきたい、そう願い続けていることに変わりはございません。
○魚住裕一郎君 確かに、審議がスムーズにいくようにといいますか、そういうふうな配慮はあってしかるべきだとは思いますけれども、総理は一国の責任者として、やはり自分は今の景気状況を踏まえてこうやっていかないと日本はもたないんだと、そういうことがあれば、別に理事懇で言われたからといって、正々堂々と発言あってしかるべきだと思うんですが、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 立法府の一方を形成する院の予算委員会の理事の方々からのお申し入れというものは、私は、それだけの重みがあるものと政府は受けとめるべきものと思います。
○魚住裕一郎君 そこで、いろんな方が減税減税というふうに言ってきております。先月末には政府税制調査会の加藤寛さんも十兆円ぐらい必要じゃないかというようなことを述べておりますし、また民間でございますけれども、経済同友会の牛尾代表幹事が減税は必要だと。もう国の内外、官民問わず減税論が出ているなというふうに思うんですが、規模もさることながら、やはり方法にも工夫があってしかるべきだと私は思っております。
 先ほど労働大臣ですか、消費性向云々というようなお話がございましたが、減税をやるにしても、今までの所得税減税、法人税減税、これも大事なことでございますが、これが本当に消費に回っていくのかというような懸念は確かにございます。減税した分の半分ぐらい回ればいい方なのかもしれません。
 そこで、前々から御説明を申し上げておりますが、我が公明としては、消費性向の高い方法でやる場合どうしたらいいだろうかということで、四兆円規模の戻し金をやろう、それが一番早いのではないか、消費性向も〇・八ぐらいではなかろうかというふうに思います。商品券の方法で、しかも千円であるとか五百円とか使いやすい方法、有効期限つきの、そしてデパートのみではなくて町の商店街でも使える、そういう金券でやったらいかがというふうに考えておりますが、このぐらいもう国民にとって目が覚めるような景気対策をやることが私は国民の気分も一気に変え得ると思いますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(松永光君) 商品券類似のものを配付するという仕組みについてはいろいろ難しい点があるのだそうでございまして、事務方が検討したことがありますので、事務方に答弁をさせたいと思います。
○政府委員(尾原榮夫君) 商品券で税金を戻したらどうかというお尋ねでございました。
 実は、よく例に引かれますのがアメリカの例でございますが、フォード大統領のときに小切手で税金を戻したことがございます。しかし、アメリカの税制と申しますのは、納税者番号制度のもとで全員申告する制度になっておりまして、納税申告時期が始まってから減税をすることが決まった。そこで小切手で返したことがあるというのが一例でございます。私どもが知っているのはこの一例だけでございまして、この例と申しますのは、アメリカが納税者番号制度をとっており、全員申告する仕組みになっているということからできる仕組みだと理解しております。
 したがいまして、減税を商品券でということでございますが、そうなってまいりますと、実はそれは税なのか、むしろ歳出の一種の給付金のようなものではないかというような気もいたします。いずれにいたしましても、税でお尋ねのような方法でやるということは困難であるというふうに考えている次第でございます。
○魚住裕一郎君 私どもが考えているのは、消費税率アップ分を戻し金という形で考えているわけであります。今の事務方のお話にもありましたように、確かにフォード・スタンプというのがありました。事務的な難しい問題もあるかもしれませんけれども、そのぐらいやってできないことはないんではないか。強制通用力を持たせるような形でやっていくということになるわけでございますけれども、再度その点について総理の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今の議員の御意見で補足されました部分を含めますと、私ちょっと、一層首をひねる部分が出てまいります。
 私は、実は事務方の諸君が言う技術的な難しさという問題とは別に、確かに消費という一点だけを考えた場合、通常の税金の還付ではなく、それをそうした商品券のような形というのは、これは人間の心理として消費に回るだろう。ただ、それは税の還付なんだろうかというまさにそういう気持ちは持っておりました。
 今、議員の御説明の中に消費税のアップ分を戻すというお話が入っておりました。そうすると、所得税、住民税の還付と必ずしもそこが、消費税という広く薄く皆さんにお互いの支え合いのような形で負担をしていただいております税額の部分と完全にリンクするんだろうか。それはちょっと論理的にすれ違ってしまうんではないだろうか。これは瞬間的な疑念であります。今初めて伺いましたので、ただそういう感じは率直に持ちました。
 基本的には私は、実は技術的な難しさとかそういうことではなく、税制だのというよりも一般歳出、すなわち福祉対策とか、あるいはどういう範疇に入るのか、いずれにしても歳出ではないかという考え方を持っておりましたので、今ちょっと補足をさせていただきます。
○魚住裕一郎君 広く浅くという消費税、それに見合うという形で私ども考えておりまして、今、総理は初めてお聞きになったというお話ございましたので、ぜひ前向きに検討をしていただければありがたいなと思っております。
 今、経済の情勢が非常に悪い中でございます。その一方で非常に教育費もかさむというような状況にございます。それで、去年の夏ですか、国民金融公庫が調査をいたしまして、高校生以上の一人当たりの年間教育費というものを出しております。百七十三万円というような金額でございまして、平均所得八百十一万円程度でございますが、二四・二%を占めている、大変な家計の負担という状況になっております。また、遠隔地で学ぶ学生に対しては仕送りが必要でございますが、大体年間百五十一万円というような金額がかかっております。
 そうすると、本当に家計的にも大変で多くの母親がパートに出る、あるいは学生自体がアルバイトをしなきゃいけないというような状態になっておりまして、人によっては、もう教育費というのが社会保険料負担に次いで第三の税金ではないかというような方もいます。
 今の奨学金制度、日本育英会が一生懸命やっていただいておりますが、この日本育英会の奨学金の概要というのは一体どういうものなんでしょうか。事務方で結構です。
○国務大臣(町村信孝君) 日本育英会の奨学金は、すぐれた学生であって経済的理由により修学が困難な者を対象として奨学金を出すということで、学力基準そして家計基準によって選考されるという姿になっているわけでございます。
○魚住裕一郎君 奨学金というのは、今、文部大臣から概要の御説明がございましたけれども、奨学金を受けた人が社会人になってから返すというようなことから考えたら、まず第一に学ぶ人にきちっとお金が行くような形というか、その責任でやる。だから、親の所得制限というのはそもそも要らないのではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(町村信孝君) 親の所得制限というのは、確かにこれは奨学金そのものをどう考えるかという、言うならコンセプトの問題かもしれません。一応、今までは育英であり奨学でありという両面をとっているわけです。であるがゆえに日本育英会という名前になっております。
 したがいまして、例えば委員御指摘のように、もう育英という部分は除いて奨学ということに限ってもいいんじゃないかとか、いろいろな奨学金の仕組み方というのはそれぞれの国によって考え方は成り立つのかなと、こうは思っております。現在の財政状況のもとで一定の制限をかけざるを得ないということを考えたときには、一応今のところ育英と奨学と二つの面があるのかなと思いますが、本当にいつまでもそれでいいんだろうかということにつきましては、文部省内でもいろいろ議論をしたり、また今大学審議会などでもそうしたことも幅広く御議論をいただいているところでございます。
○魚住裕一郎君 ぜひ前向きによろしくお願いします。
 それから、入学金というのも大変大きな金額でございまして、実はこれは奨学金の対象になっていないんですが、ぜひ入学金も給付対象に加えるべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 例えば大学一年生のときに少したくさんお金を奨学金としてお貸しするという方法も確かにあり得ないことではないかなと思っております。
 ただ、現実は今どうしているかというと、たしか国民金融公庫でしたでしょうか、そういうところの○○ローンというのを借りて、そしてそれをまとめて返すという仕組みになっております。それはそれなりのある種の、自然にそうなってきたのかどうか私よくわかりませんが、そういうある種の役割分担ができ上がっているのかなと、こう思っております。
 観念的に、それは全部一元的に日本育英会が貸すべきであるということは別に否定をすることでもないのかなとも思っておりますが、一応今はそういう仕分けができているという実情であろうかと思っております。
○魚住裕一郎君 入学金も大変大きな額でございますので、ぜひ十二分に検討をお願いしたいと思います。
 それから、奨学金の月額も平均学費の三〇%ぐらいをセットしているようでございますけれども、大変今の状況の中で生活のためにアルバイトばかりやっているというような学生もいるわけでございまして、これをせいぜい五〇%ぐらいにアップできないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(町村信孝君) これはアルバイトというか、アルバイトはどういうお金なのかなと。もちろん、中には生活費あるいはまさに学費、学納金という部分もあるんでしょうが、それは、場合によれば学生さんのレジャー資金かもしれませんし、いろんな面があるんだろうと思います。
 現在は、学生の生活費の三割あるいは四割程度をカバーできればということで一応月額の計算ができておりますが、委員の御提案の五割程度ということも、それも財政にゆとりがあれば、その五割がおかしいと別に否定するべくもないのでありますが、一応今の仕組みは三、四割ということで考えられているという状況にあることだけはとりあえず御報告をさせていただきます。
○魚住裕一郎君 これも五〇%ぐらいになるように努力していただきたいと思います。
 また、この育英会では、第一種奨学金と第二種奨学金というのがあるようでございますけれども、これは無利子かあるいは三%ぐらいの利子があるかないかというお話でございますが、これも本人が返していくということが前提でございまして、やはりこれは一律に無利子にしていくべきではないか。ただ、返さなければ、これは例えば延滞金をつける、税金も延滞すれば大変高い延滞金がつきますけれども、そういうふうにしていけば随分違うのではないかと思いますが、無利子にしていくというのはいかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 現在、無利子貸与が七五%程度、それから有利子貸与が二五%程度ということで、昭和五十九年からだったと記憶をしておりますが、この有利子制度というのができたわけであります。
 そのときの御議論以来、ずっとこれは廃止すべきであるといういろいろな議論があるわけでありますが、私は、むしろこれからの方向の一つとしては、それはできれば全部無利子でというのがいいんだろうと思いますが、これは相当やっぱり一般会計、税金の負担をしなければならないわけでありまして、むしろ私は、量の拡大を考えるのであれば、無利子部分を減らしてでもいいから有利子部分を量的に、全体のお貸しできる量をうんとふやしていく方に向けるという方がいいのではなかろうか。
 それは、条件もよくし量もふやすというのが一番いいのでありますが、現実それほど財政にゆとりがないということを考えた場合には、むしろ私は、これからの財投のあり方ともかかわるわけであります。財投も教育分野というのは今後の一つの対象ではないかという審議会の御意見もあるやに聞いておりますので、そんなことを考えたときに、一律に全部無利子ということで、かつ量の拡大というのは、両方はちょっとなかなか成り立たないんじゃないかな、率直に言ってそんな気持ちがいたしております。
○魚住裕一郎君 私ども公明では、庶民の意見をいろいろ吟味して新しい奨学金制度をつくったらどうかということで提言をさせていただいたんですが、特に入学金の部分と、それから今の無利子の部分、非常に大きな反響がございました。まだまだ詰めなければいけない部分はあろうかと思いますが、今後また前向きに対処していただきたいし、議論を進めていきたいというふうに思っております。
 それから、先般、私、報道と人権ということで質問をさせていただきました。テレビの放映に関して名誉毀損があったのではないかということでBRCの決定を受けての質問をさせていただいたわけでございますが、新聞界でも、新聞の労働組合の連合会ですか、こういう人権侵害があってはならないということで対策をいろいろ考えておられるようです。具体的には、現在の名誉毀損であるとかあるいはプライバシー侵害に対応するやり方としては、最終的には司法判断というか裁判所でやるという形にならざるを得ないだろうと思います。
 ただ、この名誉毀損等の裁判例のことを考えると、例えば損害賠償金というものが、精神的な負担、損害に比して余りにも低額なわけでありまして、何かもうやられ損みたいな世界になっているというのが実態ではないかなと思っております。
 いろいろ調べてみたら、アメリカですか、制裁的損害賠償というような制度があるようでございまして、高度情報化社会において非常に今後大きな問題になろうかと思いますが、今言ったような制裁的損害賠償等についてどのようにお考えなのか、法務大臣、よろしくお願いします。
○国務大臣(下稲葉耕吉君) 委員御指摘のように、最近、少年事件や刑事事件に関連いたしまして、関係者の名誉、プライバシーを侵害する事件が起きておりまして、大変遺憾に思います。
 申すまでもないことでございますが、この問題につきましては、憲法の保障する表現の自由にかかわることでございますから、先ほどお話がございましたように、自主的にそういうふうな関係者が規制されるということがまず前提に立つと思います。
 それにもかかわらず、マスコミ等の行き過ぎた報道により関係者の人権が侵害されたと。現在の体制では、人権擁護機関であります法務省といたしまして勧告するということにとどまっているわけでございますが、それについては法的根拠がございません。
 そこで、昨年の三月に人権擁護推進審議会、これは法律に基づいてできた審議会でございまして、そこでいろいろ実は検討を始めつつあるわけでございます。今お話しのように、被害者が損害賠償請求をやるのか、あるいは国等々がかわってやるようなことができるのかどうか、あるいは勧告に法的効果を持たせるのかどうか、そういうふうな法的措置の必要性も含めまして検討してまいりたいというふうなことで進めているところでございます。
○魚住裕一郎君 おっしゃるとおり、表現の自由、報道の自由に関することで、非常に微妙な問題であり、むやみに国家権力が介入すべきでないことはもちろんなのでございますが、最終的には民間同士が裁判所で争うというような形になるわけでございまして、そういう意味から、その民間同士における損害賠償額のアップということを今伺った次第でございます。
 同じような視点から、今、出版物であれば国立国会図書館に大体寄贈されてたまっているわけでございます。ところが、放送、電波メディア等によればもう一瞬のうちに消えてしまうわけでございます。しかし、雪崩的に報道をされて大変な名誉毀損の状況になるということがあります。
 そこで、そういう映像についてやはりきっちり保存しておくべき期間、そしてもし裁判で必要があれば出してくれる機関、そういうものがあったら私は非常に被害者にとっては便利かなというふうに思っておりますが、こういうような考えは法務省なりどのように考えて、そういう構想があるかどうか、お考えがあるかどうか、もちろん郵政大臣でも結構ですが。
○国務大臣(自見庄三郎君) 委員御存じのように、訂正放送という制度がございまして、実は以前は今より期間が短かったのでございますが、今、NHKを初め民間放送事業者は三カ月間放送を保存しておく義務がございます。その間に人権の問題だとかあるいは事実でない、こういったいろいろな訴えがあった場合に、それに備えて三カ月間に保存期間を延長するという制度を、これは数年前でございましたが法律改正をさせていただきまして、もともとこの制度はあったわけでございますが、その期間を延長させていただいたということでございます。
○魚住裕一郎君 ただ、知らないうちに侵害されているという状況もございまして、またこの議論についてはさらに詰めていきたいと思います。
 関連をお願いいたします。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。福本潤一君。
○福本潤一君 公明の福本潤一でございます。関連で質問します。
 まず、ダイオキシン対策、環境ホルモンでございます。
 公明は、ダイオキシン問題対策本部をつくりまして、私はその対策本部長として、今国会、関係大臣に申し入れ並びに国土・環境委員会で質問をさせていただきました。予算委員会でも公明の委員が何度も質問してまいりました。
 そこで、申し入れを行った厚生大臣、環境庁長官、通産大臣、質疑を行った建設大臣そして総理大臣にダイオキシン問題への認識の深化及び新たな対応策、対応予算についてお伺いいたします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 昨年来いろいろな御審議をいただき、また研究の成果、御意見を伺いまして、私自身、ダイオキシンに対しての認識を深められたことは大変有意義だったと思っています。
 最近、特に母乳にもダイオキシンが含まれて、これからの子供たちに大きな影響を与えていくのではないかと心配されている。私は、母乳に出てきているということは、もうかなり前からダイオキシンに日本は汚染されていたんじゃないか、それに気づかなかっただけだと。
 この問題というのは、単にダイオキシンだけじゃなくて、今のところ未解明な環境ホルモンとかいう問題もありますが、生態系全体、人類の環境全体がいろいろな物質に汚染されている。この環境対策について日本というのは重大な関心を持って、今後ともしっかりした対策を先進諸国の研究機関とも連携をとりながらしていかなきゃならないと感じております。
○国務大臣(大木浩君) 今、福本議員おっしゃいましたように、先生を中心とする公明の方のチームをおつくりになっていろいろと御研究になっていると。私どももその状況は伺っておりますし、動物実験ではかなりいろんな危ないことがあるんじゃないかなということは明らかに、明らかにといいますか、かなりそういった知見が得られつつありますけれども、人体に対する影響というと、なかなかこれは一言で言いますとはっきりしない。
 ただ、そういうことで、相当反復的に濃度の濃いものに接触するなり、あるいは食物等を経て体内に蓄積すれば、これは相当危ないということになりますので、私どもの方でも、まずは一番捕捉しやすい大気中にダイオキシンが出るところをとめるということで、委員も御存じのとおりに、今いろいろと焼却施設の基準等を強くしているということでございますから、これによって今後数年間に大気中に発散するダイオキシンというものは実質的にかなり抑えられると。まあ四、五年で今の一〇%程度に抑えられるというふうに期待をしております。
 そのほか、水あるいは土壌等にどういうふうにして浸透していくかということになりますと、なかなかまだ十分な知見は得られておりませんけれども、それも対象として今いろいろと調査をしておるということでございます。ダイオキシンにつきましては、平成十年度の予算を昨年のたしか十倍ぐらいにいたしまして約三億円いただいておりますが、これをもちましてこれから精力的にひとつ検査をしていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(堀内光雄君) お答え申し上げます。
 通産省では、環境問題の連絡会議、ダイオキシン対策検討会というものを開催いたしておりまして、環境庁、厚生省とも連携を図りながら、産業活動の中でのダイオキシンの排出の実態、こういうものを調査するとともに、排出抑制対策というものの検討をいたしているところでございます。
 これまでも、鉄鋼業の製鋼用電気炉、これは余熱の場合と高熱の溶鉱炉とを見ますと、余熱の方が非常に大きくダイオキシンが出て、高熱の溶鉱炉の方は少ないというようなこともございます。そういう成果が出ておりましたり、あるいは製紙業について検討を行ってまいったところでありますが、御党からのいろいろの御陳情もいただきまして、さらに国会審議等における御指摘も踏まえまして、速やかにアルミの製錬だとかその他の産業活動における排出実態、こういうものの把握と排出抑制の対策の検討を今進めているところでございます。
 また、よく指摘をされます塩化ビニール製品とダイオキシンとの発生の関係につきましては、科学的解明などに努力をする考えでございますが、ダイオキシン類の大部分がごみの焼却によって発生することから、発生を抑制する方法、これにやっぱりしっかり取り組んでいかなければならないというふうに考えておりまして、適切な焼却処理と同時に、焼却を少なくする意味で、リサイクルを中心として焼却ごみの減量化というものに取り組みをいたしております。
 平成十二年の四月からは、容器包装リサイクル法の対象として、従来のPETボトルに加えまして、塩化ビニールを含めたすべての容器、包装、プラスチックの回収あるいはリサイクルを開始する予定でございます。容器包装リサイクル法の円滑な運用と技術開発等によりまして、リサイクルの促進を図ってまいりたいと思っております。
 また、塩化ビニールの表示に関しましては、ダイオキシンの発生の原因とされる塩素でありますが、この塩素を含むごみが広範に非常に多く存在をしておりますので、そういう中で塩化ビニールだけについての表示を義務づけるというものの効果を見きわめなければならないというふうに思っておりますし、どのようなやり方がありますか、また同時に、今後ともどのような可能性があるかというような点を含めて総合的に検討してまいりたいというふうに思っております。
○国務大臣(瓦力君) ダイオキシン問題についての御質問でございますが、国民の健康を保護する観点から重要な課題だと、かように認識をいたしております。
 抑制するためには高温での焼却またはリサイクルの促進が重要でございまして、建設省におきましては、建設工事に伴い排出される建設混合廃棄物を分別いたしましてリサイクルを促進するよう建設業者に対しまして指導を行っておるところでございます。今後とも、発生を抑制するための方策を積極的に研究し、進めてまいりたい、こう思っております。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本国会の施政方針演説の中で、私は環境ホルモンの問題を提起するとともに、ダイオキシンの排出抑制ということを皆様にも申し上げたところでありますが、国民の健康を守るという観点から考えましても、これは大変大切な問題であります。
 殊に、かつてPCBが問題になりましたとき、やはり母乳の汚染、それはすなわち体内への蓄積と生体内濃縮という二つの視点から非常に問題という指摘がありました。今回も同様の問題を憂慮しなければならないことを懸念しています。
 そして、政府としては、既に廃棄物処理施設などからのダイオキシン類の排出抑制対策とともに、環境モニタリング、食品あるいは人の汚染実態の把握など、総合的な調査研究を進めているところでありますけれども、国会の御審議の中でさまざまな角度からの御意見をいただいてきました。こうした御指摘を受けた点も踏まえながら、各般の施策の充実に努めていきたいと考えます。
○福本潤一君 今の答弁で、環境庁長官、動物実験の段階で人間の因果関係は不明というお話がありました。これは、動物実験はできても人体実験はできないわけでして、今、所沢等へ行ったときに、あれだけの黒いもうもうとした、東京のごみの八割が行っているということになりますと、人体実験でできないときに、むしろあそこで人体実験をしておるんではなかろうかと思いかねないような状態なわけでございます。
 今まで薬害エイズ事件、水俣病、イタイイタイ病がありました。そういう意味では、因果関係ということじゃなくて、日本にばらまかれているダイオキシンはベトナム、いわば枯れ葉剤でまかれたダイオキシンともう同等に近いということもありますし、環境ホルモンもありますので、今後積極的な取り組みをお願いいたします。環境庁長官、どうですか。
○国務大臣(大木浩君) 今おっしゃいましたように、人体実験ができないというのは、実は実験という形ではなかなかできないということを申し上げましたけれども、これはやはりいろいろと人体に対して反復してさらされるとか、あるいは先ほど申し上げましたけれども、食糧を通じて蓄積されるということがあれば危険性があるということでございますから、どこかもとでできるだけとめるというような努力をしなければいけないというふうに考えております。
 そういうことで、先ほどからの焼却炉の話につきましては、これはまず集中的にやりますし、その他につきましてもできるだけひとつ明快な知見が得られるように、そしてまたその間におきましてもできるだけそういったものが進行しないということで抑止を、いろんな地点と申しますか、時点においてできるようにひとつ努力をしたいと思っております。
○福本潤一君 では、同様の問題、建設大臣並びに厚生大臣にお願いします。
○国務大臣(瓦力君) いろいろ課題がございますが、先ほど答弁申し上げたとおり、鋭意研究をしながら検討してまいらなきゃならぬ課題だと認識をいたしておりますし、人体に与える影響等も踏まえながら、建築資材に広く及ぶわけでありますので、検討を進めてまいることは当然のことと考えております。
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシンの削減は極めて重要な課題というふうに認識をいたしておりまして、先ほどもいろいろ御答弁ございましたけれども、ごみ焼却施設からのダイオキシンの削減対策というのは強力に進めていく必要があろうと思います。
 それから今、先生御指摘のいわゆる人体への影響、これは外国の例を見ましてもまだなかなかそこまで解明をされていないという状況がございます。しかしながら、さはさりながら、国民の皆さんに不安があるわけでございますので、現在母乳あるいは血液の汚染等々の調査を行っておりますし、どういう燃焼条件で一番発生しやすいかというふうな実験等も行っているところでございまして、これらの研究成果を踏まえて対処したいと考えております。
○福本潤一君 続いて、核燃料物質関係の質問に移りたいと思います。つまり、原子力発電、原爆の原料ともなり得ますウラン、プルトニウム、トリウムの管理について質問させていただきます。
 先日三月十七日の文教・科学委員会で質問しましたけれども、科学技術庁から核燃料物質というものの管理がある意味では原子炉等規制法の法令違反状態であるというデータを私の方に出していただきました。文部省の方では承知していないという回答がありました。その後、三月二十二日の読売新聞の記事によりますと、「核燃物質ズサン管理 東大など八国立大 千三百件登録怠る 文部省調査」という報道をされております。
 これは、科学技術庁、文部省は既にその時点で承知しておられて、私の質問のときはそのデータを出してくれなかったのかなと思いますが、これは私の質問でデータを出していただきたいということに対して隠そうとされたのではないかどうか、文部省にお伺いします。
○政府委員(雨宮忠君) 先生御指摘のデータでございますけれども、その三月半ばの時点におきましては研究者の方でまとめているという状況でございまして、私どもとして、しかとした報告を受けている段階ではございませんでしたので、そのようなお答えを申し上げたわけでございます。
○福本潤一君 核燃料物質じゃなくて、今度は放射性廃棄物の方、また動燃の「もんじゅ」の事故隠し、こういうものがありました。また、厚生省でもエイズの情報隠しという問題もありました。ある意味では、情報が私の方へそういう形で届かないときに新聞にはぽんと出るということがありました。
 そして、今回の質問におきまして、文部省は私の方に新しい資料を届けてくれました。原子炉等規制法上のいわゆる未登録の核燃料物質の中間集計量、このデータですが、これは三月十七日時点では全然わかっていなかったデータでしょうか。
○政府委員(雨宮忠君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、その時点ではわかっておらなかったということでございます。
○福本潤一君 科学技術庁の方は、何点か私にこの八大学のデータとは違うデータを提示していただきました、不許可利用という、研究所も含めてでございますが。これは原子炉等規制法違反になるんじゃないですか。
○政府委員(池田要君) 私ども科学技術庁から先生に御報告申し上げておりますのは、およそ核燃料物質を使います事業所におきましては、法令に基づきましてその使用物質の管理状況について報告をする義務がございます。あらかじめ許可を得ましたときもその許可の範囲というものがございます。こういったものをまとめた資料について先生にお届けしているものと承知しております。
○福本潤一君 いや、全然答えていないんですね。
 その前に聞きましょう。原子炉等規制法の届け出に違反したときはどういう罰則になりますか。
○政府委員(池田要君) 許可を得ず核燃料物質を使用したといったことになりますと、規制法上の罰則が適用されます。
○福本潤一君 その中身を問うているんです。
○政府委員(池田要君) その内容によりますけれども、科料等の罰則が適用されます。罰金刑でございます。
○福本潤一君 罰金刑だけですか。
○政府委員(池田要君) 最も厳しい場合でございますけれども、許可を得ずに核燃料物質を使いました場合には百万円以下の罰金もしくは一年以下の懲役といったような規定がございます。
○福本潤一君 今回、原子炉等規制法で届け出をする義務が昭和五十二年以後起こっています。それが実行されていなかったんではないですか。
○政府委員(池田要君) 先ほど一年と申しましたが、三年でございます。訂正させていただきます。
 それから、ただいま先生から御指摘の届け出をせずに使用している例があるのではないかといった事例でございますけれども、ただいま国立大学につきましては大学におきまして調査が進められております。これは文部省から今御紹介があったとおりでございますが、ほかにもこの必要な届け出等許可を得ずに核燃料物質が保有されている例が若干出てまいります。
 これは昨今の原子力につきましての関心の高まり、情報公開という中から事業所がそういう自発的に届け出を出してきているものがございます。これにつきまして、現在私どもが承知しております事例は、現時点では調査中のものが四十四件ほどございます。
○福本潤一君 外務省に聞きます。
 これは核不拡散条約の協定違反に当たりませんか。
○政府委員(阿部信泰君) 我が国が核不拡散条約に従いまして締結しております国際原子力機関との間の保障措置協定、これに掲げられている物質が含まれているようであります、今まで判明しました調査結果によりますと。したがいまして、その場合には問題なしとしないと考えております。
○福本潤一君 では、具体的なデータでお話ししたいと思います。
 平成十年の三月三十一日時点データ、八大学のものが今回はきちっと私の方へ届いております。例えば東北大学、ウラン九キログラム、トリウム五キログラム。東京大学、ウラン七キログラム、トリウム五キログラム、プルトニウム一個、プルトニウムもう一個、計二個ですね。こういういわば無届け未登録の核燃料物質というのが届いております。
 これは、私が前回の文教・科学委員会で質問した平成九年十一月十九日のデータ、要するにこの読売新聞のデータ、関西方面では大学機関が文部省に報告したというデータでございますが、このデータと若干違っておるわけですね。この理由は何ですか。
○政府委員(雨宮忠君) 新聞に出ましたデータの出所等につきましては私ども承知しておりませんけれども、今、先生御指摘のように、大学の専門の研究者による取りまとめが三月末に行われまして今月初めに報告を受けたわけでございまして、その結果を先生にもお届けしたものでございます。私どもとしては、その数字をもってその大学の研究者から成る調査の結果である、中間的な取りまとめではございますけれども、そういうように心得ておるところでございます。
○福本潤一君 では、平成十年三月三十一日、文部省が出してくれたこの資料、これは文部省の今年度の予算の中にも入っているものですけれども、どういう計画で、どういう題名の予算で、幾らだったんですか。
○政府委員(雨宮忠君) この調査でございますけれども、専門の研究者のいわばチームからの要請がございまして、平成八年度から国立学校特別会計の、具体の経費項目の名前はちょっと今持ち合わせておりませんが、国立学校特別会計の経費をもって充てておりまして、詳しくはあれでございますが、大体一年度当たり一千万円程度の経費で措置しているところでございます。
○福本潤一君 三年間で三千万円という金額ですけれども、これは税金で行われているものですが、今回でき上がった三月三十一日の資料は二枚だけですか。
○政府委員(雨宮忠君) 今月早々にとりあえずのまとめをいただいたということでございますので、本格的な取りまとめが行われましたら当然オープンされるべきことであるというように考えております。
○福本潤一君 では、この二枚だけのデータが二年間二千万の結果だ、さらに一千万をいただこうとしておるという段階の予算案だというふうに思います。
 要するに、登録せず不届けで利用されている核燃料物質、原子炉等規制法の違反になるような状態のものに今回もまた新たに一千万予算が出ている。これは最善だと思いますか、総理。
○国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。
 原子炉等規制法の仕組みは、使用するときに届け出をする、あるいは承認を得なければならないということになっております。今、先生が議論をされております国立大学等におきましては、この原子炉等規制法が規定される前、ちょっと細かに申し上げますと、国際規制物資という少量の核燃料物質等につきましては、昭和五十何年かに新たにできたわけでありますけれども、それ以前の段階には届け出義務が課される構造になっておりませんで、使用しないままに保管をしておりますと、法上は届け出をしなくてもよいことになっております。中には、大学等において保管していても全然気づかずに置いておったものもあるだろうと思いますし、また場合によっては、その間に使用していたけれども、あるいは届け出なかったものもあるのかもしれない、そこらの状態はまだ不明でございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、法上の義務ではありませんが、実際に大学等に保管しているものの所在をはっきり突きとめなければならない、こう思っております。
 今現在、大学では自主的に取り組んでいただいておりますけれども、今後、我々としては、その状況によっては立入検査等も、あるいは現場を踏むということも必要ではないか、こう思っております。
○福本潤一君 ただ、文部省が今回届けたものでも三十八キログラムのウラン、プルトニウム、トリウムというふうなデータが出ておるわけですね。
 そうしますと、これは核廃棄物と違いまして、放射能ももっと大きな量が出ていますよ。原子力発電等、核燃料物質としての、原爆にまで濃縮することはまた難しいかもわかりませんけれども、そういう材料の、ネタのものが放射能をまきながらこれだけ大量にあるというのは非常に問題がある体制だと思います。管理体制、また予算案は一千万、こういう状態でつけているということになりますと問題があると思います。
 では、このいただいたデータは無届けのものばかりですか。利用は全然していないんですね。そこの確認をお願いします。
○政府委員(池田要君) これまで大学で調査をされました状況につきましては、最近私どもも科学技術庁として承っているところでございます。
 状況を聞きます限りでは、一切使用はしていない、ただ管理されている状況というように承知しております。
○福本潤一君 使用していなかったらこういう形のデータ、例えば電子顕微鏡やなんかのときにトリウムを使いますね。そのときも使っていないと明言しております。もしうそだったら、これは罰則規定が適用されますよ。
○政府委員(池田要君) 先生ただいま御指摘のような点では、今回調査に当たっておられます方々は大学の先生、実際に現場をよく御存じの方々が取り組んでおられます。そうした意味で、私どもその報告を聞いておるわけでございますけれども、先ほど大臣からも御指摘がありましたように、この内容につきましては、私ども現地において確認する必要があると思っております。
 そうした意味では、必要に応じて、この調査の状況を見ながらそういうことで取り組ませていただきたいと思っております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど御答弁するときにちょっと言い忘れたんですが、委員がこれだけの量があると相当な放射線を出しているではないかという御指摘がございました。私どもが受けております報告は、それぞれ各大学等においても管理は適切に行われているということを聞いておりまして、保管したままになってはいるけれども、それぞれ管理は適正に行われているという報告を受けております。
○福本潤一君 また動燃と同じ状況になりかねない答弁をされておられますけれども、総理、今のこういうずさん管理状態、法に違反しているかどうかを含めて答弁をお願いします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来、関係閣僚からも御答弁を申し上げておりますように、今回の調査によって発見されましたウラン化合物あるいはトリウム化合物、これは学部や研究所の実験室の棚の奥などに瓶詰の状態で置かれたものが多かった。
 例えば、ウラン化合物では電子顕微鏡用の試料の染色剤として使われる酢酸ウラニル、またトリウム化合物では工業用の発色剤として使われる二酸化トリウムが典型的なもの、そしてこれらの物質の多くが昭和三十二年の原子炉等規制法の制定前に購入され、その後使用されなくなったもので関係研究者の異動後報告されていないもの、あるいは昭和五十二年に法律の規制が変更され、従来よりも少量の物質も規制対象にされた際に法律に則した対応がされなかったものと推測されている。
 そして、現行の原子炉等規制法による許可を得ていない少量の国際規制物質で、昭和五十二年の法整備が行われる以前に取得され使用が行われず所持にとどまっているものについては、五十二年改正法による規制は五十二年以前には遡及しないことから、厳密には無許可、法律違反とは言えないという説明を私は受けましたが、無許可、法律違反とは厳密に言えないことでありましても、法の趣旨を踏まえれば適切な管理が求められるものではないかと思います。
○福本潤一君 では、具体的な管理組織でお伺いします。
 東大のデータを出しておるところ、具体的にどういう管理体制ですか。
○政府委員(雨宮忠君) ただいま具体的にお尋ねの東大の原子力研究総合センターでございますが、核燃料物質を扱う許可を受けている施設でございまして、計量管理規定も定めているわけでございます。
 同センターにおきましては、助教授一名、助手一名、技官一名の体制をとっておりまして、核燃料物質につきましては、若干細かくなって恐縮でございますが、別館の保管廃棄庫内に施錠の上厳重に保管して、関係者以外立ち入ることのないよう管理されているということでございます。
○福本潤一君 今、私が聞いているのはそういう全体のセンターの体制じゃなくて、安全管理している責任者はどういう形の人員でやっているか、これです。
○政府委員(雨宮忠君) 届けと合致しているか今ちょっと確認できておりませんけれども、推測で恐縮でございますが、このセンターの助教授がその責任者であろうかというように考えております。
○福本潤一君 では、一人ということですね。
○政府委員(雨宮忠君) 失礼いたしました。
 責任者といたしましては、今申しました助教授、助手、技官、この三名ということでございます。
○福本潤一君 全然質問の答えになっていませんけれども、こういう状態が今後続きますと国際的にもイラクとか北朝鮮のように国際機関から信用を失うというおそれが大いにありますので、今回の質問を契機に、外交面も含めて、また科学技術庁、文部省、きちっとした対応をしていただきたいというふうに思います。これは八大学だけじゃなくて全大学、またこれを扱う全機関、対応をよろしくお願いします。
 以上です。
○委員長(岩崎純三君) 以上で魚住裕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、田英夫君の質疑を行います。田英夫君。
○田英夫君 去る四月二日から五日までロンドンで開かれましたASEMに総理、外務大臣、忙しい日程でおいでになって大変御苦労さまでした。
 ASEM、アジア欧州会議と言っておりますが、このASEMという会議は大変意味のある、あるいは今の世界情勢の中で注目すべき会議ではないかと。アメリカがいない会議ということが一つ大きな特徴になるわけであります。同時に、アジアとヨーロッパというのは非常に古い歴史があるわけでありまして、いわばイギリスから見て、ヨーロッパから見てファーイーストだと、極東という言葉も生まれた、そういう歴史のかかわりのある国々が一堂に会する、しかもアジアの経済危機の中で集まったということは大変意味があると思いますが、出席された総理大臣はどういう御印象を持っておられるか、まず伺います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今回のASEMは二つの点で非常によかったと思っております。
 第一回のASEMは、むしろアジアの首脳たち、ヨーロッパの首脳たち、初めて一堂に会するというそれ自体が一つの意義を持っておりました。今回、ASEMはそれとは全く違う状況の中で開かれたわけであります。そしてその中で、アジア経済における現在の混乱、金融情勢等々についての報告も行われ、同時に、それぞれの関連する国としてはその国が責任を持ってみずからの国の経済、金融の立て直しに努力していく、しかしヨーロッパはこれを我がこととして受けとめてともに解決のために協力していく、支援していく。私はこれがまず第一の成果だったと思います。
 対極的にヨーロッパは今、EUの拡大と新たなユーロという統一通貨を生もうとしております。当然ながらこれは基軸通貨になる、その一つになる運命を持った通貨でありましょう。これに対して、拡大するEUが内向きになりはしないかという懸念、あるいはその通貨統合の結果誕生するユーロというものがアジア側から見て使いにくい通貨にならないか、こうした懸念はアジア側の首脳が全体会合に臨みます前にアジア側だけで会合を持ちましたときにいろいろな立場からの発言がありました。
 調整国としての日本は、こうしたアジア側の見解をまとめてヨーロッパ側に提示し、ヨーロッパ側の回答を求めるという役回りを演じることになったわけですが、すべて私はその懸念が払拭されたかどうかは、これはお互いわかりません。
 しかし、少なくともEUの拡大について、ユーロの誕生について基本的に賛成の立場をとる、あるいは支持をするアジア、しかしその中で、内向きにならないでほしい、あるいはEUに権限があるのか各国に権限があるのか、そうしたそれぞれの問題についてこれ以上煩雑にならないでほしい、あるいはユーロがスタートするに当たって透明性を持ちながら各国の政府にだけではなく民間に対しても説明の努力を払ってほしいといった、そうした思いは伝わり、それに対する回答も一応なされたと。私はこれは非常に大きな成果であったと思っております。
○田英夫君 ユーロを例にとって言われました。確かに一つのこれからの世界の中の大きな意味のある動きになっていくと思いますが、アジアからは同じような国が出ている、アジア太平洋になりますが、APECと比較して、この双方に出席をされている総理、外務大臣、今度は外務大臣からお答えいただきましょうか、APECとASEMというものを日本の立場から比べて、どういうふうにそれぞれの役割を、あるいはその中での日本の役割を考えておられますか、感じておられますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど田委員もお話しのように、ASEMはアメリカも入っておらない、あるいはロシアも入っておらない、こういうことでございますが、APECは太平洋をめぐっての国々が集まって種々論議をいたしておるわけでございまして、APECには今後ロシアも含めて参加をされるということでございますので、太平洋を中心として関連する国々がお互いに多くの問題を話し合えるという意味でまた意義の深いことではないかと思います。
 ASEMにつきましては、先ほど総理からお話しのように、アジアとヨーロッパという形での話し合いの場として大変意義の深いことだ、こういうふうに考えております。
○田英夫君 これはちょっと細かな話になるかもしれませんが、オーストラリア、ニュージーランドの加盟の問題が今度は決まりませんでした。橋本総理を初め日本はその加盟を推進するお立場をとっておられたということは大変私も賛成でありますが、これに反対したマレーシアのマハティール首相、私はマハティールさんの言動というものに大変共感を覚えることも多いのでありますが、今度のこの問題についてはいささか、まあ少し強過ぎるかもしれませんが、アジア・モンロー主義のような印象もないではないと。
 この問題について、外務大臣、オーストラリア、ニュージーランドの加盟問題についての各国の反応や今度の結果についてどう思われますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 実は、新規加入の問題につきましては外相会談では提起されませんで、これは首脳会談でお話があったと聞いております。
 いずれにいたしましても、新しい参加国につきましては、さらにASEANとしてもミャンマー、ラオス等の参加についても主張するのではないかというようなお話もございまして、そうなりますと参加を希望される国々が大変多くなってまいりますので、次回の韓国の第三回に向けてこの問題は種々各国との話し合いを進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○田英夫君 今度のASEMでもう一つ注目されましたのは新しくリーダーになった中国の朱鎔基首相と韓国の金大中大統領、ジャーナリスティックな意味でも注目されたようでありますけれども、そのお二人の参加について、やや印象論になりますが、総理は、それぞれお会いになってどういう印象をお持ちになりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) その点にお答えをする前に、新規加盟問題について我が国の態度と論議を簡単に御紹介したいと思います。
 第一回のASEM会合以前からこれにアジア側として加わりたいという希望を表明しておられたのは、オーストラリア、ニュージーランド、そしてインド、パキスタンの四カ国でありました。そして、今回日本としては、この四カ国をアジア側に迎え入れようということを提案し、それを持って会議に臨みました。
 ただ、全体会合の前、アジア側の首脳で論議をいたしました結果として、アジア側の参加国として新規加盟について共通した基盤がないという状態であることが改めて確認をされました。そこで、むしろASEM本体におきましては、新規加盟問題について外相レベル、高級事務レベルにおきまして二年後の第三回会合までに何らかのルールをつくってもらおうと。というのは、ヨーロッパ側もEUの新規加盟と拡大をめぐりまして同様な問題を抱えております。
 そして、アジア側で、我が国に対して参加の要望は出されておりませんが、ASEANの中において、ASEANに新たに迎え入れられたグループの中から、ASEANにははいれたんだから当然のことながらASEMにも出られるんだろうというようなお話があるということも漏れ聞いておりまして、何らかのルールを必要とすると思います。
 それから、私はお人の批評をできるほどうぬぼれておりませんけれども、朱鎔基首相、金大中大統領双方ともに自国の国益を背負って非常に堂々とその舞台をこなされたと思います。これは二国間会談でも、それぞれそれほど長い時間をかけられた二国間会談ではございませんでしたが、そうした印象を持ちましたし、その後の全体会議においても、主張すべきことは主張され、まとめていく部分において協力すべきところは議長に協力される、そうした点で非常に見事に行動されたと思いますし、私自身も友人となれたことを大変喜んでおります。
○田英夫君 確かに、新しくということでジャーナリスティックに興味を持つだけでなくて、中国そのものの国としての今の世界における役割、これはもう言うまでもなく大変大きなものであります。その中で、改革・開放の先頭に立ってきた、そしてこれからもいくであろう朱鎔基さん、これはもう本当に世界の中で重要な役割を果たすことになると思いますし、金大中さんは南北の問題を中心にして、日本との関係はもちろん、これまた単にこの地域だけでなくて世界に対して大きな影響力を持つ人だと私は実は思っておりますのでお聞きしたわけであります。
 なぜ私がASEMのことに非常に興味を持つか、あるいは重要視するかといいますと、ヨーロッパというのはやはり歴史的に世界の政治の中心であるということ、これはアメリカの人はあるいはそうじゃないということを言うかもしれませんが、アメリカは何といっても若い国であります。歴史的に世界の政治の変化はヨーロッパから起こってきているということはもう間違いのない事実でありましょうし、現在、率直に言ってヨーロッパでは社会民主主義全盛というか、イギリス労働党、フランス社会党、ドイツの社民党、北欧の社民党、ということを申しますと、日本で何だと、こう言われると私どもは困るのでありますが、いずれにしても今ヨーロッパでは社会民主主義政党が政権をとったり、あるいは中心的な役割を果たしている。これは一体なぜだろうということを注目しているわけであります。
 そういう意味でいうと、ヨーロッパから今二十一世紀に向けて政治の変化が始まってきているんじゃないだろうか。これは、総理にこのことをお聞きしても余り興味がおありにならないかもしれませんが、あえて私が申し上げた意味がどの程度御理解いただけるかという意味で、お認めになられるかどうか、御質問をいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 社会民主主義の勝利が今ヨーロッパを変えているのだという断定でお話をいただきますと、私は大変お答えをしにくくなります。
 その上で、私は、これは私にお尋ねがありませんでしたのであえてお返事を申し上げませんでしたけれども、外務大臣からお答えをいたしましたAPECとASEMの差、これはもう一つ大きな相違点が、といいますより日本にとって大事なことがあると思います。
 APECは、従来から日米中三カ国の首脳が自然体で交流のできる場の一つでありました。今度、日本が推薦をしたといいますか支持をし、ロシアがここに加盟いたしました。次回のAPECからは、日米中ロ四カ国の首脳が自然体で交流できる場としてAPECは独特の地位を持つことになります。国連を除きましてそうした場というものはAPEC以外にございません。そして、この四カ国の自然体での交流というものは、私は確実に世界の中で大きな平和への、また地域の安定への役割を果たすことになると思います。
 EUとアジア、これはおのずからかかわりの違いがあります。EUは、これは社会民主主義の国ばかりではないと存じますけれども、NATOの中である程度統一した軍事力を持ち、防衛戦略というものを独自に立て、同時にEUの拡大という形で地域の垣根を取り払う努力に、これは私は本当に壮大な実験だと思いますけれども、取り組んでおります。統一された一つの通貨というのも大変なことでありましょう。
 このエネルギーを呼び覚ましたものが何であるのか。恐らく私は、第二次世界大戦に至る、そしてその第二次世界大戦後の勝者も敗者もない荒廃したヨーロッパ大陸を復興させてくる間の人間の英知がこうしたものを生み出したのではなかろうか、そのように考えております。
○田英夫君 私が言いたいのは、ヨーロッパで社会民主主義政党が今大いに活躍をしている、これは二十一世紀に向かって政治が新しい構造になりつつあるということで、私どもは反省を込めて考えていることなのでありますが、今までの東西対立、冷戦構造という時代は、まさに資本主義か社会主義か、二つのイデオロギーの優劣を争う、アメリカ中心の自由陣営とソ連中心の社会主義陣営というものが軍事面も含めて政治、経済すべての面で対立してきた、それが崩壊したのがまさに冷戦構造の崩壊であります。その崩壊もベルリンの壁というヨーロッパの劇的な変化の中から目に見えてきた。そういう中で、今世界の政治の新しい潮流は、強者優先か弱者に配慮するか、こういう二つの政治の流れになりつつあるんじゃないだろうか、こういうことを感じているからなんです。
 今ヨーロッパの社会民主党というのは、みんなかつてのイデオロギー時代のマルクス・レーニン主義に対する社会民主主義という意味の社会民主主義ではない。閣僚の皆さんにお説教をするつもりはありませんし、そんな資格はありませんけれども、もうお気づきのとおりであります。今の新しい社会民主主義というのは、弱い者への配慮をする、そういうことを非常に熱心にやっている。経済政策などはイギリスの労働党の場合ほとんど保守党と変わりませんから、しかしその中でもやはり弱者に配慮する。今度の景気対策などで私どもはそのことを感じております。
 それで、時間を気にしながらこういう問題を論ずるのは実は大変残念なことでありまして、本当は時間の制限のないところで各党の皆さんを含めてこういう議論をするのが国会ではないかと私は思いますが、したがって一方的に申し上げます。
 三月の初めの日曜日、たまたまテレビを見ておりましたら、「神々の詩」という、これは六チャンネル、東京放送ですが、熱帯雨林のドキュメンタリーをやっておりました。大変私は感動をいたしました。そのナレーションの中で、自然界は弱肉強食と言われるけれども、その自然界の中で今や共生が非常に注目される、こういうナレーションがありました。
 これからの人間社会というものもやはり弱肉強食であってはいけないんじゃないか、そうではなくて、どうやったらともに生きられるか、共生できるかということをみんなで考える、それはイデオロギーとか党派とか理念の違いを超えてやるべきではないかということを自然界が教えているんじゃないかとテレビを見ながら思ったわけであります。
 時間が来てしまいました。残念ですが、こういうことを考えながら、今新しい政治のあり方をひとつぜひ皆さんと議論をしたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(岩崎純三君) 以上で田英夫君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、緒方靖夫君の質疑を行います。緒方靖夫君。
○緒方靖夫君 予算の総括、最終質問の日となりました。
 大蔵省の責任がこれほど厳しく問われた国会はかつてなかったと思います。一つは、財革法にも関連して景気と国民生活を直撃するひどい予算を出したこと、さらに金融業界との癒着で大蔵省に捜査の手が及ぶなど汚職、腐敗の実態が明らかにされつつある、その点だと思います。
 日本共産党は今後とも総理並びに大蔵大臣の責任を厳しく追及するものですけれども、その一環として私はきょう大蔵大臣が監督責任を持つ大蔵所管の公益法人の問題について質問いたします。
 まず、大蔵省本省所管の公益法人は百十八あるとのことですけれども、大蔵省、国税庁OBの役員及び顧問等への天下りは何人になりますか。
○国務大臣(松永光君) ちょっと事務方の責任者が到着していませんので私の方からお答えいたしますが、平成九年十月一日現在において、大蔵省所管の公益法人の役員のうち大蔵省または国税庁……
○緒方靖夫君 大臣、結構でございます、政府委員で。
○政府委員(武藤敏郎君) 大変失礼いたしました。
 大蔵省所管の公益法人の役員のうち、平成九年十月一日現在におきまして大蔵省または国税庁の出身者の数は、常勤役員で四十八名、非常勤役員を含めますと百六十二名でございます。また、大蔵省または国税庁出身者が顧問あるいは参与等で就任している人数は三十八名でございます。
○緒方靖夫君 私は大蔵省提出のこの関係資料を一式全部研究いたしました。これをもとに独自に調べてみますと、天下りは合計二百七十三人おりました。この数、大蔵省、いかがですか。
○政府委員(武藤敏郎君) 全体の数につきましては、今申し上げましたとおり、公益法人のお尋ねでございますが、全体では大蔵省は平成九年の十月一日現在で百六十二名ということになっているわけでございます。
○緒方靖夫君 今言われた数というのは、大蔵省退職後十年以上経過したその数を抜いているわけでしょう。そういうことですね。──今うなずかれた。
 ですから、除かれた部分というのは事務次官とかそういう官僚のクラスの幹部なわけです。やはり私はそういう数の出し方も、大蔵省はいつもそうなんだけれども、実態をいつも小さく見せようとする、そういうことのあらわれだと私は思いますよ。ですから、そういう態度は即刻やめるべきだ、このことを述べておきたいと思います。
 こういうことで言うと、大蔵OBが代表を務めている法人は三十四団体あります。天下りしているのは八十三団体、全体の七割を受け入れているということになるんです。
 閣議決定の指導監督基準でありますけれども、理事構成で官庁OBが占める割合についてどんな基準があるのか、基準を設けた理由について伺います。
○政府委員(佐藤正紀君) お答えいたします。
 公益法人は積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする非営利の団体であるということから、特定の者が理事の多数を占めるよりも広範な分野の者が理事を構成することが望ましい、こう考えております。そのため、理事の構成につきましてある程度の制限を設けておりますが、同一の親族あるいは特定の企業の関係者につきましては理事数の三分の一以下、それから所管する官庁出身者につきましては三分の一以下、それから特定の業界団体につきましては二分の一以下という基準を設けております。
○緒方靖夫君 OBが代表を務める法人の一つに財政経済協会というのがありますけれども、理事、顧問の数、うち中央官庁OBの数、大蔵省での最終役職を挙げていただきたいと思います。
○政府委員(武藤敏郎君) 財政経済協会につきましては、大蔵省出身者はいずれも非常勤でございますけれども、平成九年十月一日現在で五名でございます。
○緒方靖夫君 総数、全員。非常勤、顧問と理事だけ、顧問と理事含めて全部。
○政府委員(武藤敏郎君) 財政経済協会の役員の顧問と理事の総数でございますけれども、八名でございます。
○緒方靖夫君 そのうち大蔵省出身者は。
○政府委員(武藤敏郎君) 今申し上げましたとおり、そのうち大蔵省の出身者が非常勤として五名いるわけでございます。
○緒方靖夫君 大蔵省から提出していただいたこの資料を見ても、皆さんが言われたものもそうなんだけれども、非常勤は全部大蔵省出身ですよ。それから、理事についても、いろんな役職がありますけれども、もとは全部大蔵省ですね。そうじゃないですか。十年経過した者も含めてですよ。
○政府委員(武藤敏郎君) 理事及び顧問につきましては御指摘のとおりでございます。
○緒方靖夫君 そうすると、話がつながるんですよ。結局、総数十名いるうち監事を除く全員が大蔵出身なんですよ、大蔵OBですよ。間違いありませんね。
○政府委員(武藤敏郎君) そのとおりでございます。
○緒方靖夫君 今、基準について説明がありました。しかし、大蔵省が所管する、大蔵大臣が責任者のこの団体は監事を除いて全員大蔵OB出身者、これはどういうことですか。なぜこういうことを放置しているんですか、大蔵大臣。
○政府委員(武藤敏郎君) この財団法人財政経済協会と申しますのは、財政経済政策に関しまして総合的な調査研究を行うということで、我が国の財政経済の健全な発展に資するということで昭和二十二年に設立されたわけでございます。
 そういう趣旨でございますので、今申し上げましたとおり、一名を除いて大蔵省の出身者というのは御指摘のとおりでございます。ただ、いずれも非常勤ということでございます。
○緒方靖夫君 常勤の理事もみんな大蔵OBなんですよ。非常勤はもちろんそうですよ。これは全部合わせると、大蔵事務次官は三名います、国税庁長官出身者は三名いますよ、それから財務官もいる。ですから、先ほど説明があったように、基準をせっかく設けている、その意味がないんですよ。やっぱり同族、行政官庁のそれがそのまま入ってしまう、そういう仕組みになっているわけです。
 ですから、その点で私はこうしたあり方は全く問題だと思うんです。こういうことがなぜ是正されずに来たか、これは大きな問題ですよ。
 その点で私が述べておきたいのは、この団体というのは、実は大蔵OBの親睦団体、大蔵同友会の事務局が置かれている。これは衆議院の予算委員会でも問題になった。現職官僚と業界に天下りしたOBとの接点になっているという、これが問題になったわけでしょう。閣議決定に反することを承知で大蔵官僚トップOBで役員を占めている、そういう状況じゃありませんか。
 大蔵大臣、これは正常ですか。
○政府委員(武藤敏郎君) 私どもも、御指摘の閣議決定といいますか、公益法人に対する基準はよく存じております。これは平成十一年の九月末までにこの基準に沿うようにという趣旨だと理解しておりまして、私どもはそのほかのものにつきましても、いろいろこの基準に合致しないものにつきましてはその基準を満たすべくこれから期限までには努力してまいりたいというふうに考えております。
○緒方靖夫君 大臣。
○国務大臣(松永光君) 今、官房長からもお答えをいたしましたけれども、平成八年九月の公益法人の設立許可及び指導監督基準という閣議決定に基づきまして、経過措置としてその閣議決定では平成十一年九月までに是正するようになっておりますので、期限までに是正するよう適切な指導監督に努めてまいる所存でございます。
○緒方靖夫君 来年までといっても、これだけ大きな問題になっているそのときにこれを放置している。それ、本当に異常だと思いませんか。私、本当におかしいと思いますよ。
 しかも、この協会は国から委託費を幾らもらっていますか、過去十年間。
○政府委員(武藤敏郎君) 過去十年間、昭和六十二年度から平成八年度までということで十年間をとらせていただきましたけれども、国の機関からの収入額は二億八千四百七十六万九千円と承知しております。
○緒方靖夫君 多額の委託費が流れている。しかも、公益法人の看板をかりて大蔵官僚の天下り、癒着の機構をつくっている、そう言わざるを得ないと思うんですね。
 こういう状況の中でもう一つ大きな問題があります。
 公益法人の役員には金融機関在職者が非常に多い。顧問も含めて何人かを言ってください。
○政府委員(武藤敏郎君) 大蔵省所管の公益法人の役員のうち、平成九年十月一日現在におきまして金融機関に在職しております者の人数は六百六十七人でございます。
○緒方靖夫君 顧問は。
○政府委員(武藤敏郎君) 顧問、相談役等につきましては、金融機関の在職者数は四十名でございます。
○緒方靖夫君 日銀などを含めると七百四十五人いるんですね。大蔵OBと合わせるとこういう関係者というのは全体の四〇%を占める。まさに癒着の温床と言われても仕方がない、そういう現状があると思うんです。
 閣議決定では業界からの役員の制限をしていますけれども、その内容と理由を述べてください。
○政府委員(佐藤正紀君) 公益法人の役員につきましては、同一の業界団体からは一応二分の一以下ということになっております。
○緒方靖夫君 理由は。
○政府委員(佐藤正紀君) 理由といたしましては、業界のみの利益や親睦を目指すものとなることを避けるためということになっております。
○緒方靖夫君 基準に合致していない団体はそれぞれ幾つありますか。
○政府委員(武藤敏郎君) これも平成九年十月一日現在におきまして、理事のうち同一の業界の関係者が占める割合が理事現在数の二分の一を超えている公益法人は五十七法人でございます。
○緒方靖夫君 それから特定企業。もう一つ、三分の一以上。(発言する者あり)
○委員長(岩崎純三君) 立って質問してください。
○緒方靖夫君 それぞれ質問している。漏れている。
○政府委員(武藤敏郎君) 理事のうちの特定の企業の関係者の占める割合が理事現在数の三分の一を超えるという公益法人は十法人でございます。
○緒方靖夫君 大蔵省OBが代表を務めている業界団体でも基準に適合していないのが非常に多いわけですね。
 資本市場研究会と国際金融情報センターはそれぞれどんな業界の人が理事を務めていて、占めているか、述べてください。
○政府委員(長野厖士君) 資本市場研究会につきまして御答弁申し上げます。
 ここには理事が十名という定員になっておりますけれども、特定業界というとらえ方をいたしますと、九年十月一日現在で証券会社の役員がその十名のうち七名でございます。
○政府委員(黒田東彦君) 国際金融情報センターの理事は現在十一名でございますが、同一業界の出身者の数が十一名中六名になっております。
○緒方靖夫君 私はこういう実態を許しておくこと自体が大蔵省と金融業界のなれ合いと言わざるを得ないと思うんですね。
 さらに大きな問題がある。公益法人と株の問題です。株式保有は原則禁止という基準があるわけですけれども、その内容と理由、また基準に不適合の法人名ごとに営利企業数、保有株式数、金額の合計をそれぞれ述べていただきたい。
○政府委員(佐藤正紀君) 最初に基準の方を申し上げます。
 公益法人は積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする非営利の法人であるということから、営利企業の支配を目的として株式を保有することは適当でないということから原則禁止となっております。そのため、基準におきましては、株式の保有につきましては、運用財産の管理運用の場合、これはあくまでも公開市場を通じて買う場合、それから財団法人において基本財産として寄附された場合を除きまして原則禁止といたしております。
○政府委員(武藤敏郎君) 原則禁止とされている株式を保有している法人名と法人ごとの株式保有数等のお尋ねでございます。
 平成十年四月一日現在、最近時点で申し上げますと、数といたしましては九法人ございます。大蔵財務協会が四千株、二百万円、金融財政事情研究会が一万八千四百株、三千六百八十五万円、日本塩工業会、これは一万株で二百五十万円、全国信連協会、六千百二十株で五百万円、新金融安定化基金、二億五千万株で九百億円、それから生命保険協会は二万株で十億円、印刷局朝陽会が二千四百株で一千万円、日本税務研究センターが四百株で二千万円、日本醸造協会が百七十六株、八百八十万円でございますが、今九百億と十億と申し上げました新金融安定化基金と生命保険協会はそれぞれ破綻金融機関の資本援助といたしまして株を保有しておりますので、これは金融システム安定のためのものという特殊な事情がございます。
○緒方靖夫君 今挙げた法人のうち四つが大蔵OBが代表の法人なんですね。しかも、八法人には役員に大蔵から二十五人も天下りしている、これが実態なわけですよ。
 大臣、以上見てきたように、大蔵OBほどひどい状況をつくっているわけですよ。それが現実なんですね。私はこういう今挙げてきた天下りの実態、それから金融機関等業界との癒着の問題等々、この公益法人の問題、これはどう見ても、株の問題もそうですが、ずさんそのものだと思うんですね。このずさんな実態にどうこれから対処していくのか。そして、先ほど来年までと言われたけれども、今大蔵省が襟を正さなきゃならない、そういうときに大臣としてこの責任をどう感じられるのか、このことについて大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(松永光君) 基本的には、先ほども申し上げました公益法人の設立許可及び指導監督基準、これを厳正に守っていかなきゃならぬわけでありまして、それに違反しているものがあれば遅くとも来年の九月末までには是正をしなきゃならぬ、そうなるように指導監督に努めてまいりますが、その前に私は実態をよく知りたい、こう思っております。
 きょう突然お聞きしただけでありますので、どうした運営状況になっているのか、まずそれを知った上で判断をしていきたい、こう考えております。
○緒方靖夫君 今、大臣が言われたように、この問題はしっかり調査していただきたい。それから、今大事なことは、経過措置の期限を来年まで待つことなくきちっと対応する、このことを要望しておきます。
 もう一つさらに重大な問題は、私は国会議員が関与する法人の問題だと思うんです。
 例えば大蔵省所管の場合、議員が役員を務める法人は八団体あります。そのうち、自民党総務会の役員である衆議院議員が理事長を務める公益法人日本経済研究会では不可解な実態があります。
 その一、記された所在地、港区赤坂七の二の十七の六〇一号となっているんだけれども、実際にはその議員の親族が住んでいる。その二、この財団には私設秘書のほか親族が複数役員に就任している。その三、この財団の理事をしている社長、会長の営利企業数社からこの議員はこの二年間で計二百八十二万円もの政治献金を得ている。公益法人の理事長の国会議員が公益法人を私物化している、こう言わざるを得ないと思うんです。
 大臣、こういう実態はおかしいと思われませんか。
○国務大臣(松永光君) 社団法人であろうと財団法人であろうと公益、非営利でございますから、今仰せのことはちょっと私には理解しにくい点があります。
 ちなみに、私もある財団法人の理事長をいたしておりますが、無給でありますし、その財団法人は立派な活動をしております。
○緒方靖夫君 これも調べていただきたい。
 そのほか、現衆議院議員で元総理が理事長を務める世界平和研究所には過去十年間に現職の大蔵官僚が計六人連続して出向している。これには特に基準がないんです。こういう不透明なこともある。こういうことを含めてきちっと調べていただきたい。
 総理、最後にお尋ねいたしますけれども、こういう幾つもの問題点があると思うんです。この点で総理の御所見をお伺いして、質問を終わります。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年十二月に新たな指導監督基準をつくった、その旨の御説明を申し上げました。そして、その内容はもう既に御承知のことでございます。
 こうした基準などに従って、今後ともに公益法人の適切な指導監督に努めていきたいと考えております。
○緒方靖夫君 それでは関連を。
○委員長(岩崎純三君) 関連質疑を許します。笠井亮君。
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 総理はことし年頭の記者会見で、編成を終えた九八年度予算について、現下の経済情勢、金融情勢というものを考えていただいたときに、財政構造改革法成立後初めての予算としてもしかるべき減額を達成することができたと私は思っています、十年度予算は財政健全化目標達成に向けてさらなる一歩を踏み出すということになると考えています、こう言われておりましたが、この予算案が財革法に沿った予算であること、この認識は今もお変わりありませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今御審議をいただいておりますとおり、私どもの当初申し上げました内容のものでございます。
○笠井亮君 総理は衆参の予算審議の中で、今じゃなくて、今ということはまた後で伺いますが、景気対策にとって本予算案は最善のものだから一日も早く成立をと繰り返し言っていらっしゃったこと、これは間違いありませんね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 一日も早くということは申し上げ続けております。しかし、お尋ねがあっていろいろと形容詞をつけられましたときに、その形容詞に返すやりとりを除きまして、私はむしろ最善とかそういう言葉は余り使っていないんじゃないでしょうか。
○笠井亮君 使っていらっしゃる。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いやいや、全然使っていないなんて言っていません。お尋ねがありましたときにそれに返す言葉として申し上げてまいったこともございますけれども、政府としては与えられた条件の中で当然ながら最善を尽くした予算を編成するのが責任だと、それは当然のことです。
○笠井亮君 質疑の中で使っていらっしゃった。これはそのとおりですね。
 日銀が二日に発表した三月の短観の結果ということで先ほどありました。景況感のすべての指標が劇的に悪化をして、そして九八年度設備投資計画も前年度比で四・三%減となったと。この冷厳な事実は、個人消費の低迷と相まって、景気の見通しが当面明らかに後退局面に入ったことを事実上認めるものだと思うんです。総理の認識も非常に厳しいということで、先ほど来その上に立った認識も述べられたと思うんです。
 先ほどの答弁では、こうした現状を踏まえて、今の時点では最良最善とは言っていらっしゃらないということで、この予算について言われました。つまり、これでは不十分だということですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) いろんな部分をつなぎ合わせて一つのストーリーをつくられるのはお許しをいただきたいと思うんです。
 ですから、私は最善といった言葉を全然使っていないなんてさっきから言っていません。同時に、一分一秒でも予算を早く通していただきたいというお願いをしておるということも申し上げております。そして、景気の現状認識につきましても他の委員にもお答えを申し上げてきました。部分部分をつなぎ合わせて、御自分でおまとめになったものを私の発言としてまとめられるのはちょっとひどいと思います。
○笠井亮君 総理の発言、答弁は重いんですよ。最善と言われた、そして一日も早く、これは会議録にはっきり書いてあります。それに立って、我々はその答弁を受けて審議をしているわけであります。
 それでは伺いますが、先ほど御答弁の中で、最善ではない、最良とは言わない、土台がしっかりしていないと不安定さを残す、だから一分一秒でも早くとお願いしているというふうに、これははっきり御答弁なさいました。
 そうしますと、予算というのは土台と上物があって、それでこそ最善だということになると思うんですよ。これはストーリーの話じゃないです。ところが、現時点では上物がないけれども、土台、それが今度の予算だと。となりますと、この予算というのは一体何なのかということになると思うんですが、先ほどの御答弁からしても欠陥があるということなんじゃないんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) そういう言われ方をするのであれば、先ほどの言い方も、御質問に対して御答弁を申し上げましたやりとりの中で出ました言葉ですけれども、一分一秒でも早く予算を通していただきたいということは間違いなしに私は繰り返し申し上げております。暫定予算のままで日数を過ごしていくことは、私はできるだけ短い期間であることが望ましいと、本当にそう思っております。
 そうして、あえて不安定、またこれしかられるのかもしれませんが、不安定という言葉を選ばせていただきましょう、不安定な期間は一日でも短くしていきたい。予算というものはある意味で経済運営その他についての土台になるものである、あるいは基盤になるものであると。すべての施策は予算によって実行されていくわけですから、そういう意味合いで申し上げた、そのとおり私は気持ちとして申し上げました。
 言葉がもし不適切だと言われますなら、御答弁を申し上げました委員にもおわびをしながらその言葉を取り消しますけれども、私は予算というものが国の基盤であるということは間違いのないことだと思っております。
○笠井亮君 それでは伺いますけれども、参議院の予算審議中に政府・与党が打ち出したのは、これももう明らかになっていることでありますけれども、景気対策を目玉にしてつくって、そしてこれを通すことが景気のためだと言われてきたこの予算そのものについては一切手をつけずに、その一方で専ら従来型の公共事業に重点を置く十六兆円規模の総合経済対策、そしてそのうち八兆円以上が財政支出だということも伝えられております。
 総理はロンドンで、与党の総合経済対策を参考にしながら真剣に考え続けている、やらなければならないことを大胆に行っていくということだということを述べられました。本予算審議中から、予算の二割以上にも匹敵するような超大型の景気対策を検討しなければならないこと自体が予算案の欠陥ぶりをみずから認めることになるんじゃないですか、政府の与党としては。その責任者としていかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) ことしは例年よりも国会を早く召集させていただきました。九年度補正予算案、そして特別減税、さらに金融安定化のための二法をまず御審議いただき、それで結果的に衆参両院の本予算の審議に御迷惑をかけたところがあることは私は申しわけないとは思っております。しかし同時に、一日も早く予算を成立させていただきたいとお願いをしておる気持ちも御理解がいただけるはずだと私は思います。
 確かに私は与党からの政策提言に対して重く受けとめるということを申しました。この中にさまざまなものが含まれておりますことも私は承知をし、その上で十分勉強をさせていただこうと思っている。必要なものは実行に移していく、この国の将来を考えるときに大切だと思うことをそれぞれ実行に移していこうとするのは私は当然のことだと思います。
 大変いろいろな問題を提起されましたので順番に答えているうちにわからなくなってしまったんですが、私ども政府の関係者が、政府・与党と言われましたが、与党からの政策提言に対して重く受けとめておりますけれども、数字、内容等について閣僚の中からこれに対して具体的に言及をしておる者はないと存じます。
○笠井亮君 それがあったらまた大変なことであります、具体的に今の時点で言及すると。
 しかも、予算が通ったらすぐということで出すのであれば、これはまた同じことだと思うんですよ。総理は、臨機応変とかという形で、そしてその時点で判断をするというふうに言われますけれども、要するに行き当たりばったりということで、おっしゃっていることとやられることが違うというのがもうこの予算審議の中で明白になったと思うんです。今日の深刻な不況を招いた橋本内閣による九兆円の国民負担増政策等、財革法路線の破綻がだれの目にも明らかになっている、こういうことだと思うわけであります。
 総理は、当委員会でもこの予算成立後できるだけ早い時期に財革会議を招集したいと言明されました。今の時点で何を検討するために総理が主宰する会議をやるのか。先ほどもありましたけれども、目的が問題になると思うんです。財革法どおりに、その枠の中で対策を検討する、こういうことであれば私は改めて会議を開いてやる必要もないと思うんです。要するに、景気対策ということで財革法の改正に着手することが必要だからじゃないんですか。それをはっきりおっしゃったらどうですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政構造改革会議は国会の御承認を得てつくっておるものではございません。政府と与党等の間のかかわりの中に存在するものでございます。これをどういう形で御相談するか、あるいは何を御相談しなければならないかについて御報告をする必要は、私は本委員会で今お答えをする必要のあるものだとは考えておりません。(「それはおごりだな」と呼ぶ者あり)
○笠井亮君 財政構造改革会議を開いて検討したいということまで国会答弁で、ここで言われた、そのことについて報告する必要がないなんてことは、これはあり得ないですよ。だって、景気対策を議論してそういうことを言われて、そこで検討すると言われたわけですから、それは重大な問題ですよ。
○国務大臣(橋本龍太郎君) おわびをして正確に言い直します。
 今、予算審議をしていただいております間において、言いかえますならば参議院の予算審議が終了いたしますまでの間において、この内容を云々すべきではないと思います。
 私は記者会見でもその点は非常に気をつけて、今参議院で予算を審議していただいている間と、成立をしたらできるだけ早くという言い回しを使うぐらいに注意してまいりました。現に、改めてもう一度その点は、おごりだというお話がありましたが、おごっているんじゃありません。むしろ、参議院の予算の御審議の間にその内容を云々すべきではないと私は本当に思います。
○笠井亮君 予算審議中は本音を言わずに、終わったら何をやってもいい、こういうことにはなりませんよ。四カ月余り前に我が党を初め野党の反対を押し切ってつくったばかりの財革法をみずから改正するということになれば、これは橋本内閣の財政構造改革路線の破綻をみずから証明することになります。
 だから、私は、財革会議をやって転換を行おうとしているんじゃないか、そういう責任をあいまいにして、なし崩しに政策転換をやってツケを回されるのは国民だと申し上げたいわけであります。
 今、景気対策上最も検討が必要だと私が思いますのは、消費税の引き下げなど不況の原因を取り除くことだと。きょうの新聞によりますと、宮澤元首相が、消費税をもとに戻せば橋本政権がもたないということで、ルービン米財務長官の意見を即座に拒んだということでありますが、政府・与党は要するに国民の暮らしや日本の経済をどうするかということよりも政権の維持を上に置いているのか、総理、その点ではいかがお考えですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は一日一日自分の責任を果たすだけで精いっぱいでありまして、今のようなお尋ねに対しては大変心外だということだけを申し上げたいと思います。
○笠井亮君 これだけ重大な問題で、報じられたことについて心外だという一言で済ますなんということでは私は済まないと思うんですよ、これは。全く心外であります。
 これだけ破綻がはっきりしたのに、橋本総理は責任をとろうとしない。六日の集中審議で、総理は、参議院選挙で国民の審判を受けるということが責任を明らかにする最大の道だということを言明されました。だが、景気対策上一日も早く予算を上げてと言いながら、参議院選挙で責任ということ、そんな悠長な問題じゃないと思うんですよ。きちっとこの責任をとられる。世論も退陣を求めている声がある。同時に、国会解散・総選挙でこれまでの経済政策と今後の対応について審判を仰ぐように、そういう世論があるわけであります。総理、どう考えておりますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変マスコミの皆さんからも後で問いかけがありまして、私は首をひねったんですが、質問された方が御自分の見解を述べられましたことに対し、それは確かに最大のことというお答えを申し上げましたものがひとり歩きしたようであります。
 そして、私は国民の審判というものは大変重いものだと心得ております。
○笠井亮君 景気対策の上からも私は内閣の退陣と国会解散が必要だ、深刻な不況から国民生活を守るために、消費税三%への引き下げ、中小企業の経営を守るための具体的な対応策、財革法の撤廃と社会保障制度の改悪中止など、きちっとした対策をとることこそ必要だということを最後に述べて、質問にしたいと思います。
 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で緒方靖夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、田村秀昭君の質疑を行います。田村秀昭君。
○田村秀昭君 自由党の田村でございます。
 本日は、総理と外務大臣と防衛庁長官に、自主憲法制定の件について、さらに国防省、自衛隊の位置づけを明確にすることについて、それと中国問題について、三点御質問させていただきます。
 大正大学の教授で文芸評論家の江藤淳先生が申しておられる言葉、今の日本は普通の国どころか、変な国ですらなく──変な国ですらないんですよ。国とは言えない奇妙な実態が国ごっこをしているにすぎない、こういうふうに言っておられます。これは、政治、経済、軍事、社会、文化、スポーツ等のあらゆる分野についてバランスがとれた国家でないということだと私は理解しております。
 昭和二十二年、連合軍の占領下で日本国憲法が施行され、自衛隊の位置づけは明確に示されないまま、二十七年の保安隊、二十九年の自衛隊と、五十年以上経過して、せんだっての集中審議で平井自由党参議院会長が述べられたように、武力には目を背ける、そういう五十年が経過した。そして、経済のみでバランスの欠けた国家になっている。
 それで、昭和三十年、一九五五年に緒方竹虎先生と三木武吉先生が自主憲法を制定しようということで保守合同をされ、吉田自由党と鳩山民主党が現在の自民党の結党につながり、そして自民党の党是として、憲法を改正して独立国としての自主憲法を制定するということで自民党が発足、結党されました。当時の緒方竹虎総理が憲法改正するということで保守合同をされたわけですが、保守合同をされた翌年の一月二十日に亡くなられてしまいました。非常に私は残念なことだというふうに思っております。
 その後、池田勇人内閣総理大臣がヨーロッパに行かれて、フランスに行かれたときに、トランジスタラジオのセールスマンが来たと新聞に書かれました。これはフランスの新聞です。彼がドゴール大統領に会われて、ドゴール大統領から、総理大臣というものはまず自主憲法を持つこと、軍事独立して国防軍を持つこと、これが内閣総理大臣にとって不可欠の条件であるということを言われて、当時の池田総理は強く心に秘めて日本に帰ってこられて、次の年にがんで亡くなられてしまいました。これも非常に残念なことだと私は思っております。
   〔委員長退席、理事岡部三郎君着席〕
 自来、佐藤総理になりましたけれども、憲法改正の意図はなく、その後、歴代の総理大臣は憲法改正に政治生命をかけるというようなことはありませんでした。そして今日に至っております。
 それで、私は、国会議員に当選させていただいてからずっと言い続けてきていることはもうたった一つ、自衛隊の位置づけを明確にして、命をかけて国を守る自衛隊員に対して誇りと地位を与えるような国家にしてほしいと。その御答弁は、憲法上は軍隊ではないが国際法上は軍隊であるとか、F15やエイジス艦を備えていながら軍隊ではありませんと詭弁を弄しているから周辺諸国から日本は疑惑のまなざしで見られる、そういう国になってしまっている。
 このことは、私は、猫だかトラだかわからないようなものを、憲法にも書かれていない、基本法にもない、そういう状態を二十一世紀に向かって続けていっていいものだろうか、本当にそれで日本は経済的にも発展していくんだろうか、経済だけが突出した国でいけるんだろうかという危惧を非常に持つものであります。
 こんなことはおかしいと私は思うんですが、外務大臣、おかしいとお思いになりませんか。
○国務大臣(小渕恵三君) 現在の自衛隊は国民に信頼をされて、自衛隊としての本務を忘れず、我が国のために十分な働きをいたしておる、このように考えております。
○田村秀昭君 私はそういうことを聞いているんじゃなくて、そういう状態を続けていって国家としておかしくないかなと。私はおかしいと言い続けてきているんですが、今度は防衛庁長官、いかがですか。
○国務大臣(久間章生君) 憲法をどういうふうに制定するか、改正するか、また自衛隊をその中でどういうふうに位置づけるか、これについてはいろいろ議論があっていいと思います。
 しかしながら、私ども政府としましては、決められた憲法の枠内でどういう行政を行っていくかということでやっておるわけでございまして、憲法の発議は、御承知のとおり憲法の中でも国会において発議するというふうになっております。今の学説では確かに政府も提案権はありますけれども、第一義的には国会において発議するというふうになっておりますので、私どもは与えられた憲法の枠内で一生懸命努力をしているところでございます。
○田村秀昭君 私は、政治信念で内閣総理大臣になられた方がやる以外に、国会の発議とかそういう話ではないと。
 それで、内閣総理大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、防衛庁長官から内閣としての立場を御説明申し上げました。私自身が、内閣の責任者として憲法を守りながら、その憲法の範囲内で仕事をしていく責任者であります。そして、憲法をめぐる議論というものは私は活発に行われて、何ら制約をされるべきものだとは思いませんし、私自身が私学助成の問題に関連してその改正を主張したこともございます。憲法を考えますとき、九十六条に改正手続を規定しているわけですから、永久不変のものではないということは間違いがありません。
 ただ、私は、同時に考えなければならないことがあると思います。少なくとも国の基本法である憲法を改正する、しない、これはやはり国民世論の成熟が必要なものである、十分な配慮を土台に置いてお互いに考えていかなければならないものである、私はそう考えております。
○田村秀昭君 また何回でもお尋ねしたいと思っております。
 時間が限られておりますので、中国の問題についてお尋ねいたします。
 私は、基本的に中国とのコミュニケーションを保ちつつ、友好、相互依存関係を強化して中国を国際社会の中に組み込んでいくべきであると強く考えるものであります。
 しかし、その中国の軍事的動向については極めて冷静に分析する必要があると私は考えております。冷戦崩壊後の現在、核弾頭装備の大陸間弾道弾、ICBMの照準を米国に合わせている国はひとり中国のみであります。そして、中印国境紛争、チベット反乱、中ソ国境紛争、西沙諸島の紛争、中越紛争に見られるように、政治目標を達成するためにはためらうことなく軍事力を行使したのは中国であり、天安門事件、台湾沖軍事演習で軍事力を内外に行使して威圧したことは記憶に新しいところであります。
 防衛庁長官から、中国の軍事力についてどう評価されておられるか、お尋ねいたします。
○国務大臣(久間章生君) 中国は、八〇年代の半ば以降、それまでの大規模戦争への対処を重視しましたゲリラ戦主体の人民戦争の態勢から、より局地的な戦争への対処に重点を置いた正規戦主体の態勢へ移行しつつありまして、軍事力の近代化を進め、量から質への転換を図っていると思います。
 中国の軍事力の近代化は、同国が経済建設を当面の最重要課題としておりますことから今後も漸進的に進むものと見られますけれども、核戦力や海空軍力の近代化の推進、海洋における活動範囲の拡大などについて今後とも注目していく必要があろうかと思います。
○田村秀昭君 識者によりますと、中国の戦略目標は日本を永久にアメリカや中国のような普通の国家にはしないこと、つまり安全保障をみずから考え、それに見合う軍事力を持つバランスのとれた主権国家にならないようにすることでありますと述べております。
 一九七八年の日中平和友好条約は戦争責任や戦後処理に触れていないにもかかわらず、条約が調印されたずっと後になって断続的に謝罪を要求してきているのは、日本人には戦争に対する罪悪感を、諸外国には日本の再武装への反対を強調する手段としてみずからの戦略目標を達成しようとしているのであります。そのような観点から、中国が日米防衛協力の指針の見直しを快く思うはずはありません。
 冷戦が終結した今、日本の弱さがアジアの平和と安定を脅かすことになるのであって、米国と本格的なパートナーシップを結んだバランスのとれた我が国がアジアの勢力均衡にとって不可欠だと私は考えておりますが、その点に関して総理の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私は議員の意見に真っ向から反論しようとも思いません。議員の御見解は御見解として尊重いたします。
 しかし、中国はいずれの地域においても覇権を求めない、そういう立場を明らかにしておりますし、現在、国内経済建設を最優先課題として周辺諸国を初めとする国際社会との間では良好な国際関係を求めていると私は思います。そして、我々は、中国に対して当然ながらさまざまな問題で日本としての立場を明確に主張しながら、その上で重要な隣国である中国との良好な関係を維持発展させていかなければなりません。
 昨年、私が訪中いたしました際、李鵬総理との間で安保・防衛分野での対話、交流を促進することも非常に大事なことということで合意をいたしましたが、それを受け本年二月には遅浩田国防部長が訪日をされるなど、現実に交流は進展しております。こうした安全保障の分野におきましても、私は両国の関係をよりスムーズなものにし合っていく努力を怠ることはできないと思います。
 同時に、日米両国がアジア太平洋地域における安全保障情勢というものをより平和で安定的なものにするためにも、共同でも個別でも努力をしていくことは一致しておることでありまして、日米間の安全保障面の関係に支えられましたこの地域への米国の関与というものがこうした努力の基盤となっておると思いますし、同時に、両国ともに中国が肯定的な役割、また建設的な役割をこの地域の安定と繁栄にとって果たすことが極めて重要だと考えております。
 そして、こうした関連からも我々は、日米両国ともにでありますけれども、中国との協力をさらに深めていくことに関心を持っておる、私はその点においては今のような考え方をとっておりますし、さらにAPECという場に今度ロシアを迎えることになりました。ここで、日、米、中、これにロという、この地域の平和と安定に非常に大きな役割を果たす可能性を持つこれらの国が自然体で会えるようになった場所も活用していかなければと思っております。
○田村秀昭君 最高指揮官というものは、自分に嫌な情報というものはなかなか報告する側も言いにくいものでありますが、ぜひ中国の軍事的動向については極めて冷静に分析して対処していただきたいと思います。
 ちょうど時間になりましたので、また時間をいただいて質問させていただきます。
○理事(岡部三郎君) 以上で田村秀昭君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○理事(岡部三郎君) 次に、島袋宗康君の質疑を行います。島袋宗康君。
○島袋宗康君 いわゆる県道一〇四号線越え砲撃演習が沖縄県の金武町から本土の演習場に移転してからちょうど一年になっております。この問題は県民の生活道路を封鎖して行われる実弾砲撃演習として有名でしたけれども、それが本土へ分散移転したことによってすべて解決したかのような印象を与えておりますが、そもそも百五十五ミリ実弾が県道の上空を飛び越えるという砲撃演習があったこと自体、本土では考えられないわけであります。この演習が狭い県内から移転したことは一歩前進だということは認めますけれども、それが本土でいろいろ害悪を発生させていることや、沖縄現地ではこの演習にかわって別のタイプの演習が激化しておることが新たな問題として浮上しております。
 そこで、問題の第一点でありますが、演習場における不発弾の処理の問題、金武町の演習場には昭和四十七年以降四万三千九百四十発のりゅう弾砲が撃ち込まれております。そこには現在何発の不発弾が存在しているのか、それを明らかにしていただきたい。まず不発弾の数、それをひとつ説明してください。
○政府委員(萩次郎君) キャンプ・ハンセンでございますが、ここの百五十五ミリりゅう弾砲、沖縄復帰以前からもちろん行われております。復帰後もずっと行われてきたわけでございます。
 したがって、発射弾数の詳細は私ども承知しておりませんが、米軍から通報を受けておりますのによりますと、年度によって差がありますが、少ない年で三千発弱、多い年で七千発ということでございます。
 不発弾の数につきましても私ども承知しておりませんが、米側における射場の清掃につきましては本土と同じやり方で処理をしているということを聞いております。
   〔理事岡部三郎君退席、委員長着席〕
○島袋宗康君 不発弾の数について調べていないということはどういうことですか。
○政府委員(萩次郎君) 先ほど申しましたように、米側は米国の射場におけると同様の方法で不発弾の処理をやっている。どういうことかといいますと、大体年に二回不発弾の処理をしているということを聞いておりますが、その際に何発の不発弾をどう処理しているかという報告は受けておりません。
○島袋宗康君 沖縄では、実弾砲撃演習が済んで後から不発弾の処理をしているという情報は一切入ってこないんです。だから、何発あるのかわからないんです。
 そこで、実弾砲撃演習の撃ったところは、現に百五十五ミリは撃っていないわけですけれども、その中で百五十五ミリの四万発余りの不発弾がまだ残っているというふうに我々は理解しております。ですから、その不発弾の数をもっと詳細に調べて、米軍と調整をした上でこっちに報告してください。
○国務大臣(久間章生君) 米軍は、米本土においてもそうだそうでございますけれども、要するに年に二回射場の清掃をやって、そのときに処理するようでございます。
 そして、撃った弾のうち何発が不発弾かというのを軍が公表するわけはないわけでございまして、その辺は米軍の運用に関する問題でございますから、私どもが聞いたとしても、そういうような中身について、自分の撃った弾の数は言うと思いますけれども、そのうちの何発が不発弾なんだということを公表するということはなかなか難しいという実情も御理解いただきたいと思います。
○島袋宗康君 ハワイでは実弾演習をやったその時点で、終わった時点で不発弾の処理をして、そして再びやっているというふうなことです。
 そこで、沖縄ではこの演習による不発弾の処理が全くなされていないというふうに思っております。本土の演習場で発生した不発弾は、一回の演習が終了した時点で直ちに自衛隊によって処理されているということを聞いております。それが事実であれば、どうして沖縄ではそういった問題について特にチェックしないのか、その辺はどう違うんですか。
○政府委員(萩次郎君) 米軍が現在、本土五カ所の演習場で一〇四の射撃訓練を代替でやっておりますが、これはやるたびに米軍も処理をしております。
○島袋宗康君 沖縄ではやるたびに処理をしていないということですけれども、どうして違うんですか。その内容について説明してください。
○政府委員(萩次郎君) 米側より、米軍の規則により米本土と同じやり方でやっているという報告を受けております。
○島袋宗康君 そういう実態は沖縄では全く信用ができていないわけですよ、信頼関係がない。そういう答弁でいいんですか。絶対信頼できない、不発弾の処理をやっているかどうかは。本土と同じようにやっているということが実態として全然沖縄では理解できない。
○国務大臣(久間章生君) 本土に今度移転しました百五十五ミリりゅう弾砲は本土でやっているわけでございますけれども、米軍が帰った後は今度は自衛隊が使うわけでございますから、そういう意味では、自衛隊がやっぱりそこのところは、使う以上は後のチェックをきちっとしなければならないし、しかも住民の方々にも不発弾の処理等にも日数を要してアメリカ軍はそこに残るからということでわざわざ説明をしておるわけでございますから、それはきちんとやっております。
 キャンプ・ハンセンの場合はもう射撃場として提供してしまっているわけでございますから、アメリカがアメリカ本土でやっていると同じように、年に二回射場の清掃をやるときに不発弾を処理するというような方法をとったとしても、これは言うなれば、向こうのルールでやっておるわけでございます。こちらの例えば北海道とか北富士とか、自衛隊の演習場を提供してやらせる場合にはこちらのルールでやってもらっているということでございますから、そこの運用上の違いはやっぱりあるのかもしれません。
 それをその都度その都度やるかどうかは、といいますのは、向こうはその同じ場所で小銃あるいはまた曳光弾、今度は火事になります、いろんな原因になります、そういうのも一緒にやっているわけでございまして、今度りゅう弾砲はなくなりましたけれども、それをやっておるわけでございますから、そういうものをひっくるめて年に二回射場の清掃をやっておる、そのときに処理しているものと聞いております。
○島袋宗康君 恩納村のブートゥ岳、四万発も撃たれているわけですから、その処理の方法についてはぜひひとつ取り組んでいただきたいというふうに思います。
 時間がないので、次に進みます。
 問題の第二点は、沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン演習場は、本土に移転実施されるまでの長年にわたって百五十五ミリ実弾砲撃演習が行われ、その結果、山肌が無残な姿を呈しております。しかも、赤土がむき出しになっている。このこと自体大きな環境問題ですが、そこで取り上げていきたいのは、砲弾演習が本土移転されるようになってから機関銃や迫撃砲等による実弾演習はかえって激化しており、そのことが原因となって火災が昨年だけでも十六回発生しているというふうな状況で、これは、民家の近くで火災が発生しているというような実態、こういう火災が発生していますね。(資料を示す)それから赤土の問題でも、このようにしてずっとその演習場から赤土が流れ出るというふうな状況です。そういうふうな状況ですから、ぜひその防止策といいますか、それに取り組んでいただきたい。
 それから、その赤土の汚濁防止について、金武町と防衛施設庁の間で話し合った結果、いわゆる砂防ダムを八基つくる予定のものが現在四基しかつくられていない。あと四基はいつやるかわからないというふうな状況ですけれども、そのあとの四基についてどのように実現していくのか、それについてお答え願います。
○国務大臣(久間章生君) 山火事の問題につきましては私どもも大変気にしている問題でございますから、これをなくすべく努力しようと思っております。
 その中で、やはり本土の場合、自衛隊の場合は、いろいろ調べてみますと野焼きが非常に効果があっておるわけですけれども、沖縄の場合は野焼きという習慣がございません。そして、この野焼きを今米軍にも話しかけておりますけれども、米軍だけではなくてやはり地元の理解もないといかぬものですから、この辺で、なかなか野焼きの風習がない地区でございますだけに、かえって野焼きをすると危ないというような話がございまして、その問題もちょっとございますが、これから先も努力していこうと思います。
 赤土の防止のためにはダムをつくるというのも一つの効果でございまして、今まで四基をつくったわけでございます。これから先も、また地元とも一時八基という話もしましたので、そういう話もあっておりますけれども、ただダムをつくるのと、それと同時に、また並行して緑化することの方が効果があるんじゃないかとか、いろいろ意見もございまして、今地元の町ともいろいろと相談しているようでございますから、ダムもあと四基を全部つくるのか、あるいは二基ぐらいにして緑化を進めるのか、その辺やっぱり予算の有効的な使用というふうなことも考えながら、地元の町ともまた相談していきたいと思っております。
○委員長(岩崎純三君) 時間でございます。
○島袋宗康君 終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で島袋宗康君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口哲夫君。
○山口哲夫君 きょうは、納税者権利基本法の問題について質問をいたします。
 大蔵大臣にお尋ねいたします。G7の国の中で納税者権利基本法あるいは納税者権利憲章等を持っていない国は日本とイタリアの二国だけだということを御存じでしょうか。
○国務大臣(松永光君) 私の理解としては、日本には納税者基本法という法律はないけれども、憲法、国税通則法、それからそれぞれの税法、それで納税者の権利を保障するということになっておりますので、内容的には納税者憲章のある国と同等になっているというふうに私は理解しておるわけです。
○山口哲夫君 全く存じないようですね。今世界的に問題になっているこの納税者の権利基本法ということをほとんど知っていらっしゃらない。
 そこで、質問を続けます。
 平成四年二月二十七日、衆議院の大蔵委員会におきまして、当時社会党の佐藤恒晴議員がこう言っています。我が国だけが納税者の権利を保障するような宣言とか憲章といったたぐいのものがないと、手続法の制定問題も含めて大臣の見解を実はただしたわけです。それに対して、当時の濱本主税局長がこう答弁しています。納税者の権利については、既にもろもろの租税法の中で定められている、大臣が今おっしゃったようなこと。例えば更正の請求、更正決定の手続、青色申告の理由の付記などを挙げて、諸外国のように納税者の権利は一つの法律になっていないが、日本は複数の法律全体として確立されていると、そういう答弁をしております。しかし間違いです、これは。
 日本の租税法、これには事後の更正請求、それから更正決定など事後の手続については述べられております。しかし、肝心の申告手続、調査手続、取引先に関する調査手続、課税処分手続など、事前手続については全く定められていないんです。これが問題なんです。
 実は、課税庁である国税庁と納税者との間のいろんなトラブルがありますけれども、その多くは事前の手続にあるということを私はやっぱり認識していただきたいと思うんです。この際、日本も先進資本主義国の中で最もおくれている納税者の権利を法律をもって定めるべきであるというふうに考えるけれども、大蔵大臣の見解をお聞きいたします。
○政府委員(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 納税者憲章のようなものを我が国で設けてはどうかということでございました。先ほど先生おっしゃいましたように、我が国では納税者の権利に関して一つの法令等にまとまったものがないということはそのとおりでございますけれども、今納税者憲章等で定められているような納税者の権利につきましては、憲法及び法律の規定などによって既に保障されているというふうに考えているところでございます。
 しかも、我が国の税務行政でございますが、執行権限の範囲内で納税者の権利保護に十分配意しながら適正に行われているというふうに考えておりまして、改めて納税者憲章等を制定する必要はないのではないかというふうに認識しているところでございます。
○山口哲夫君 主税局長ですか、今の答弁、中身をもう少し点検してみてください。全然違いますよ、これは。
 この質問を大蔵大臣にするということをちゃんと言っているのに、大蔵大臣に対して、今世界の各国がそういう憲章を持っているのかどうなのか、そういうことを何にも連絡していないじゃないですか。もっと大蔵大臣に、一体納税者権利基本法というものがどういうものなのか、そういうことをやはりきちっとレクチャーしてもらわなければ、これは余りにもちょっとひど過ぎますね。
 そこで、「OECDの報告書によりますと、」「納税者憲章等を特に有しない国でも納税者の権利は同様に尊重されており、事実上これらの憲章等で規定されている権利と同様な権利を有していることは強調されるべきであるというふうに記載されておりまして、我が国などの場合にはそれに当たっているのかな」という答弁を、実は前の濱本主税局長がしているわけなんです。しかし、これもまた間違いなんです。
 先進資本主義国での納税者の権利憲章の多くは、我が国にはない課税庁の納税者に対する取り扱いについて根本的に実は定めているんです。例えばカナダの納税者の権利憲章あるいはフランスの同じような宣言等では、納税者は不誠実と見られる証拠がない限り誠実であるとの推定を受けると書いてあります。そのほか日本にはない情報の提供、それから公平、丁重かつ配慮ある対応、プライバシーと秘密の保護など、一段と進んだ納税者の権利を実は明確に諸外国はしているわけです。
 そこで、大蔵大臣に聞きたいんですけれども、かつての主税局長の答弁は、OECD報告書のただし書きの部分に我が国が該当するから基本法は不要だと言わんばかりの、今も同じですけれども、そんな答弁をしておりますけれども、これは全くOECDの報告書を十分認識していない、しかも誤って考えていると私は思います。したがって、やはり日本でも納税者の権利を守るためには、一般の任意の税務調査に関する手続を中心とした基本法が必要であると考えます。いかがですか。
○国務大臣(松永光君) OECD報告書による、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ等々で納税者がどういう権利を持っているか、それと日本とどうなっているか、こう比べてみますというと、私は大差がないように感ずるわけです。単独法典はないけれども、国税通則法あるいはまたそれぞれの税法、それによってそれぞれ権利は認められておるというふうに、この報告書の比較を見ますというとそういうふうに私には感じられます。
○山口哲夫君 主税局からそういうレクチャーをしているとすれば、これは大変な問題です。全然認識していない、これは。私は、これを機会にもう少し大蔵大臣、当局から緻密にひとつ今の問題を聞いてみてください。
 最後に、韓国が昨年の七月一日に国税庁長、日本では国税庁長官が、国税基本法に基づいて納税者権利憲章を公布したことは御存じと思います。そこで、昨年の十一月に、我が国の国税庁が韓国の国税庁を訪問して韓国の納税者権利憲章に対して質疑応答を行っております。相当時間をかけてやっているようです。我が国でも同様な法制化を考えての訪問と思いますけれども、国税庁、いかがですか。
○政府委員(船橋晴雄君) お答え申し上げます。
 国税庁といたしましては、各国の税務の執行体制につきまして、相手国との相互信頼関係のもとで、機会あるごとに幅広い意見や情報の交換を行っておりまして、今、委員御指摘の韓国につきましても、こうした一般的な意見交換の一環といたしまして、これは税務署長の交流というのをもう二十年来やっております。相互に税務署長の交流をいたしまして、現場の職員の相互交流をしているわけでございます。
 そして、その交流した職員の質疑応答の中で、この問題についても議論をしたということでございます。その中に、韓国側から、一昨年六月の韓国の国税基本法の改正によって納税者の権利に関する新たな規定が追加され、昨年一月からこれが円滑に実施されているということを聞いております。
○山口哲夫君 大蔵大臣に特にお願いしておきますけれども、納税者が気持ちよく税金を納められるようにしていくためには、これはどうしてもやはり事前のいろいろな調査についてきちっとした手続を日本の法律においても定めていかなければならないんです。
 私は、今回のこの質問を機会に、ひとつ大蔵大臣、できれば総理も、国際的に見て納税者の権利基本法というのがどういう問題を持っているのか、どんな重要性を持っているのか、ぜひ勉強していただきたいと思っております。
 国税庁の答弁は実にけしからぬ、これは。一から十までまるっきり違うことを言っている。このことも強く指摘して、終わります。
○委員長(岩崎純三君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、平成十年度総予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
○委員長(岩崎純三君) それでは、これより討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。小山峰男君。
○小山峰男君 私は、民友連を代表し、政府提出の平成十年度一般会計予算外二案に反対する立場から討論を行うものであります。
 我が国経済は、昨年後半以降、GDPの約六割を占める個人消費が完全に冷え込み、企業の景況感も大幅に悪化しております。また、企業倒産が相次ぎ、さらに失業率は三・六%と過去最悪で、有効求人倍率も〇・六一倍と低下が続くなど、雇用情勢も悪化の一途をたどっております。
 かかる状況を招いた最大の要因が、消費税の引き上げ、特別減税の取りやめ、さらに医療負担の増加など、総額九兆円に上る国民負担の増加を強行し、しかもその後も景気対策とは名ばかりで、何ら有効な対策を講じてこなかった橋本内閣の経済運営の失政にあることは火を見るよりも明らかであります。無論、近い将来に少子・高齢化時代を迎える我が国において、財政構造改革を初めとする諸改革は確かに必要であります。しかし、景気が回復し、国民が安心して暮らせる経済運営が何よりも大切であることは論をまちません。
 我々は、国民の将来を暗たんたるものにしているにもかかわらず政権の座に居座り続ける橋本内閣を断固糾弾し、以下、本予算案に反対する主な理由を述べるものであります。
 反対の第一の理由は、本予算案が景気への配慮を欠いたデフレ予算となっていることであります。
 我が国経済は、第一次石油危機後の七四年度以来二十三年ぶりのマイナス成長が確実視されるなど、極めて厳しい状況にあります。しかるに、本予算案における所得税、法人税等の減税は景気浮揚にはタイミングを失した対策であり、全く期待外れに終わっております。さらに、公共事業費のシェアの見直しもほとんど行われておらず、個別の長期計画についても単に実施期間を延長しているだけで、コスト高、非効率な事業内容の見直しも見るべきものはなく、依然としてなりふり構わぬばらまき策が講じられております。
 我々は、景気の確実な回復のために、財政構造改革法を一時凍結し、総額六兆円規模の減税を実施するとともに、情報通信、環境、教育等に係る四兆円を超える公共投資を行うことを強く求めるものであります。
 反対の第二の理由は、国民への負担転嫁が目立ち、国民生活を圧迫する予算となっていることであります。
 社会保障関係費については、自己負担の顕著な増大など市民生活を直撃するものとなっている一方で、予算の伸びが大幅に抑制されており、国民軽視の政府の姿勢が如実にあらわれております。
 反対の第三の理由は、さきの補正予算に続き、単なる金融機関救済のための公的資金の導入が盛り込まれていることであります。
 政府は一般金融機関の優先株や劣後債の購入のための公的資金導入を強行しました。そこでは横並びの資金投入が行われるなど、まさに護送船団方式が温存されていることは明らかであります。
 我々は、こうした旧態依然のやり方を続ける橋本内閣の政策を厳しく糾弾するものであります。
 最後に、総理はこれまで本予算の成立が最善のものとの答弁を繰り返してまいりました。しかるに、本予算の成立前であるにもかかわらず、三月末には与党案として十年度補正予算案を想定した総合経済対策の基本方針が決定されました。
 こうした二枚舌の政権運営を行い続ける橋本内閣のやり方こそが国民の政治に対する不信、さらには無関心を助長していると断ぜざるを得ず、国民を愚弄した政策運営を続ける橋本内閣は即座に退陣することを強く求めて、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 次に、成瀬守重君。
○成瀬守重君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成十年度政府予算案三案について賛成の討論を行うものであります。
 日本経済は、昨年夏以降のアジア通貨危機及び大型金融破綻という予期せぬ要因により国内需要が低迷するとともに、先行き不安から、回復軌道にあった景気は停滞感を深めております。一方、我が国財政は財政赤字が先進主要国の中でも最悪の水準となり、国と地方を合わせた長期債務残高も五百三十兆円という極めて深刻な状態にあります。
 このような財政・経済情勢にかんがみ、本予算は財政構造改革法の趣旨に従い一般歳出を過去最大の一・三%削減する一方、厳しい経済情勢に対応する諸般の経済・金融施策が盛り込まれていることから、我が党として賛意を表するものであります。
 以下、具体的に理由を申し述べます。
 賛成の第一の理由は、限られた財源の中で最大の政策効果を実現すべく、重点的、効率的な予算配分が行われている点であります。
 社会保障関係費については、少子・高齢化が進む中で安定的な社会保障制度を構築する観点から、薬価の大幅な引き下げや老人医療費の負担の公正化を図るための制度改正が行われています。
 公共事業関係費については、事業の再評価システムを導入するとともに、物流効率化と生活関連分野について重点配分を行った結果、事業別シェアの変動幅は二・四%という二十三年ぶりの大幅な変化が実現されております。
 このほかの主要経費に関しても根本からの見直しが行われ、一般歳出一・三%の減少分を補って余りある政策効果が実現される内容となっております。
 賛成の第二の理由は、厳しい経済・金融情勢に対し実効性のある施策が盛り込まれている点であります。
 歳入面においては、法人税率の引き下げ、有価証券取引税の引き下げ及び地価税の凍結等が盛り込まれており、国と地方合わせて八千四百億円の減税が実施されることになっております。
 また、金融システムの安定化に資する措置として、預金保険機構の借入金に係る総額二十兆円の政府保証が予算総則に明記されており、金融不安を払拭するとともに貸し渋りの解消に資するものと確信いたしております。
 賛成の第三の理由は、長年懸案となっていた長期債務について抜本的処理が行われている点であります。
 三十兆円を超える旧国鉄債務と国有林野事業の累積債務の処理は長年の懸案事項でありましたが、債務の大半を一般会計が引き継ぐという国民にわかりやすい形でその処理にめどがつけられております。この措置により利子が利子を生み債務が膨張するという悪循環からの脱却が可能となり、政府の決断と御努力はもって多とすべきであります。
 以上、賛成の主な理由を申し述べました。
 最後に、政府に一言要望を申し上げます。
 行政改革、経済構造改革等に勇を奮って取り組まれることは当然でありますが、経済は生き物と言われるように、日々停滞感が強まっております。日本経済を一日も早く自律的回復軌道に乗せるべく、必要な施策を思い切って実行することで国民の期待にこたえられんことを強く要望し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 次に、牛嶋正君。
○牛嶋正君 私は、公明を代表して、ただいま議題になりました平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 反対する理由の第一は、予算には景気対策が盛り込まれていないことであります。
 本来、財政は景気動向や経済成長をコントロールする役割を持っており、不況時には財政を拡大し景気の落ち込みを下支えして雇用の安定を図る重大な役割を果たさねばなりません。しかし、橋本総理は、景気が悪化の一途をたどっているのに財政構造改革法に基づきデフレ予算を編成し、景気悪化に拍車をかけてきたのであります。
 予算審議を通じ、我々は予算を景気重視型に修正し、十兆円減税の実施を再三にわたって要求しましたが、総理は最善の予算であると強弁し続けたのであります。予算が最善の予算でないことは、与党幹部が予算の成立後直ちに大型補正予算の編成等の発言を繰り返していたことからも明らかであります。
 反対する理由の第二は、財政事情が悪化しているにもかかわらず経費の削減につながる行政改革が極めて不十分であることであります。
 我が国の財政赤字は、確かに巨額に達していることは事実でありますが、財政赤字を削減するために安易に国民へ負担を転嫁することは認められません。国民へ負担を求める前に、政府自身が徹底した経費の削減につながる抜本的な行革を断行すべきであります。
 公共事業の効率化は緊要の課題でありますが、依然として従来型の公共事業が続いており、改革の跡が見えません。確かにキャップをはめることで公共事業予算は減額されましたが、これは改革ではなく、単に公共事業十カ年計画を十三年に延長したにすぎないのであります。
 反対する第三の理由は、福祉切り捨て予算であることであります。
 少子・高齢化においても国民が安心して暮らせるようにすることが政治の第一の責任であります。しかし、政府は、十年度に当然増だけで八千億円となる社会保障関係費を五千億円も削減しております。
 もし削減するのであれば、将来の社会福祉、少子・高齢化社会における福祉ビジョンを明確にすることが前提になりますが、一切の聖域なしの美名に隠れ強引に削りやすいものから削っており、国民の先行き不安を一層増大させているのであります。受給母子家庭の生活費の一部になっている児童扶養手当の削減は直接家計を圧迫するものであり、まさに福祉切り捨てであります。
 いずれにしても、大型補正予算の編成に追われながら審議しなければならなかった平成十年度予算については到底賛成はできません。
 以上、主な反対の理由を申し述べまして、私の討論といたします。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 次に、日下部禧代子君。
○日下部禧代子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、平成十年度予算三案に対しまして、賛成の討論を行うものであります。
 本予算案は、長期的な経済の停滞、金融不安等に適切に対処し、財政構造改革を推進することを目標として編成されております。特に、歳出全般について聖域を設けることなく徹底した見直しに取り組むとの厳しい基本方針のもと、私たち社会民主党が与党の一員として予算編成に加わることにより、予算配分の見直しへ大きく一歩を踏み出すとともに、限られた財源の中で、社会的に弱い立場の方々への配慮を初め国民生活に配慮した予算となったと考えており、賛意を表するものであります。
 以下、平成十年度予算三案に賛成する主な理由を申し述べます。
 賛成の理由の第一は、本予算案が現下の厳しい経済情勢に対応した施策を盛り込んでいる点であります。
 昨年来、私たち社会民主党が強く主張し実現の運びとなった二兆円の特別減税の継続に加え、本予算案では法人課税や土地住宅税制などで思い切った減税を行うこととしており、減税額は総額三兆円規模となっております。さらに、深刻な貸し渋り問題に対して信用保証協会の保証枠拡大を行うなど、対策を強化しております。
 賛成の理由の第二は、経済構造改革を推進し環境と平和を重視する予算となっている点であります。
 厳しい財政状況のもとではありますが、創造的、基礎的研究の充実等に配慮し、科学振興費は四・九%の伸びが確保され、地球環境やダイオキシン対策などの環境分野にも予算を重点的に配分している一方、防衛費は九年度に比べ〇・二%削減することとしております。
 賛成の理由の第三は、国民生活重視の人に優しい予算となっている点であります。
 歳出の全分野にわたる厳しいキャップにもかかわらず、薬価の九・七%引き下げを初めとした医療費の効率化を図る一方、福祉関係予算の重点化により、社会保障費全体では二%増の予算を確保しております。とりわけ、少子・高齢社会に対応して、新ゴールドプラン、エンゼルプラン及び障害者プランの着実な推進を図ることとしており、保育料の値上げも抑えることとするなど、社会的に弱い立場に置かれている方々に配慮した予算となっております。
 賛成の理由の第四は、公共事業の見直しについて積極的な取り組みが見られる点であります。
 懸案の公共事業費のシェアについては、事業別変動幅で二%から四%、所管別で一・〇%と見直しがなされております。加えて、公共事業に対する再評価システムの導入、費用対効果分析の実施など公共事業改革の実現に向けた取り組みが盛り込まれており、政府の努力を多とするものであります。
 以上、本予算案への賛成の理由を申し述べました。
 厳しい経済情勢に対応し、社会的に弱い立場の方々や国民生活に配慮をした本予算案を早急に成立させることによって景気回復の第一歩が踏み出される、私たち社会民主党はそう確信しております。
 最後に、現下の厳しい経済情勢を打開し、日本経済を安定した回復軌道に乗せるため、今後も社会民主党は国民の視点から適時適切に対処することを表明いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 次に、須藤美也子君。
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、一九九八年度予算三案に対する反対討論を行います。
 日本経済は出口の見えない大不況の真っただ中にあります。今政治に問われているのは、国民の生活と営業を守り、日本経済を立て直す道筋を示すことであります。
 予算案に反対する第一の理由は、現在の緊急課題である不況打開どころか、危機を一層深める予算になっているからであります。
 今日の消費不況は橋本内閣の政策不況そのものです。橋本内閣の経済政策の破綻ぶりは、国民に押しつけた九兆円もの負担に加え、四カ月前に強行したばかりの財政構造改革法の改正も政府・与党で議論になってきたことにあらわれています。しかも、重大なのは、自民党が本予算の審議中に十六兆円規模の総合経済対策なるものを打ち出し、本予算の欠陥ぶりを事実上認めたことであります。
 本予算における橋本内閣の経済政策は従来型の公共事業、大企業奉仕が中心であります。これでは、危機打開どころか、一層苦境に追いやられることは明らかであります。
 景気を回復させるため必要なことは、取り急ぎ消費税を三%に引き下げて、国民の家計消費を温めることであります。
 反対の第二の理由は、社会保障の連続改悪を初め、教育、中小企業、農業など国民生活関連予算の徹底した切り捨てを進めるものだからであります。
 難病患者への自己負担を押しつけ、中小企業予算の削減、労働組合がこぞって反対している労働基準法の改悪は国民の将来への不安を増大させ、消費不況を一層深刻にするものにほかなりません。
 財政構造改革法を撤回し、社会保障制度の連続改悪は直ちに中止すべきであります。
 反対の第三の理由は、国民には財政危機を言いながら、財政の浪費構造に全くメスを入れず、これを温存、拡大する予算だからであります。
 ゼネコン型公共事業は温存され、軍事費はSACO関連経費や千三百億円余の支払い繰り延べ代金などを加えれば、実態は大幅な増額となっています。
 新ガイドラインの立法作業を直ちに中止するとともに、米軍への思いやり予算やSACO経費などは全廃すべきであります。
 最後に、三十兆円銀行支援と大蔵・日銀汚職の問題であります。
 政府は汚職の解明に必要な資料の提出を拒み続け、大蔵省の内部調査中間報告も行おうとしていません。国民の怒りがおさまらないのは当然であります。また、官と業の癒着をただすべき政治家が政治献金の名で汚職官僚の何百倍もの接待を受けているのも重大であります。国民の信頼を裏切る汚職腐敗政治は自民党政治の責任にほかなりません。
 国民の信頼を取り戻すために、橋本首相は政治責任を明確にすべきであります。そのためには、一日も早く国会を解散し、国民の審判を問う道しかないことを強調して、反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 次に、星野朋市君。
○星野朋市君 私は、自由党を代表して、政府提出平成十年度予算案外二案に反対の立場から討論を行います。
 今、日本経済は深刻な危機に直面しております。対応を誤れば大恐慌にさえなりかねない危機をはらんでおり、国民は生活不安におびえているのであります。九七年度十月―十二月期のGDPは実質で年率〇・七%のマイナス成長であり、九七年度の成長率が第一次オイルショック以来の実質マイナスになることも確実であります。
 我が国経済が立ち直りかけつつあった昨年、総理自身が、我々の主張した財政再建のためにもまず経済再建、そして日本経済を回復軌道に乗せるための減税という考えを一顧だにせず、自信満々に行ってきた数々の施策の結果がこのありさまであり、まさに橋本不況であります。
 今日の経済危機の本質的な原因は、今までの単なる不況とは異なり、日本経済が構造変革を迫られていることにあります。にもかかわらず、橋本内閣が何ら抜本的改革をなし遂げられないことが事態を一層深刻化させているのであります。
 総理は、みずから招いたこの不況に反省も謝罪もなく、みずから否定し続けてきた赤字国債を財源とする二兆円の特別減税を平成十年にずれ込みながら突如として復活させました。まさに大きな矛盾ではありませんか。
 また、本予算を審議している最中に自民党幹部が大型補正に言及するのをとめようともしません。財政民主主義に著しく反し、また平成十年度予算案が欠陥予算であることを与党みずから示すものであり、政府・与党の対応は支離滅裂であります。
 日本経済が単純な循環的要因による不況でない以上、これら従来型景気対策はすべて小手先のびほう策であり、かえって財政を悪化させるのみで、何ら問題の解決にはならないのであります。
 今、我が国が行わなければならないのは、政治、行政、経済、社会のすべてにわたる構造改革の断行であり、特に経済改革においては、民間活力が最大限に発揮でき、世界経済とも調和可能な経済の根本からの再構築であります。そのためには、国民の可処分所得をふやし、民間企業の活力を刺激するサプライサイド政策、つまり民力の回復のための政策が必要であり、経済の根本からの立て直しを何よりも優先しなければなりません。
 財政再建は、国、地方を合わせた行財政構造の徹底的な見直しによる歳出削減と経済再建による租税増収により行うべきであり、財政構造改革法は廃止するべきであります。平成十年度予算案も、財政構造改革法に縛られた史上空前のデフレ予算であり、日本経済に致命的なダメージを与えかねません。
 思えば橋本内閣は、経済の見通しを繰り返し誤ったばかりでなく、不良債権処理の見通しを誤り、本当の改革を避け続けてきました。国民が不安、不信を抱いているのは、政策の失敗はもちろんのこと、総理のこの先見性のなさ、抜本改革を行わない政治姿勢であります。橋本内閣が続く限り、日本経済が立ち直り、国際信用が回復することは残念ながらありません。速やかに財政構造改革法の廃止とともに退陣すべきであります。
 以上、政府提出平成十年度予算案外二案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
○委員長(岩崎純三君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成十年度一般会計予算、平成十年度特別会計予算、平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(岩崎純三君) 多数と認めます。よって、平成十年度総予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会