第142回国会 財政・金融委員会 第5号
平成十年二月十三日(金曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     角田 義一君
     菅川 健二君     山崎  力君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         石川  弘君
    理 事
                岡  利定君
                河本 英典君
                楢崎 泰昌君
                久保  亘君
                益田 洋介君
    委 員
               大河原太一郎君
                金田 勝年君
                野村 五男君
                林  芳正君
                保坂 三蔵君
                松浦 孝治君
                伊藤 基隆君
                今泉  昭君
                角田 義一君
                牛嶋  正君
                志苫  裕君
                三重野栄子君
                笠井  亮君
                星野 朋市君
                山崎  力君
   衆議院議員
       大蔵委員長    村上誠一郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   橋本龍太郎君
       大 蔵 大 臣  松永  光君
   政府委員
       総務庁人事局長  中川 良一君
       経済企画庁調査
       局長       新保 生二君
       大蔵政務次官   塩崎 恭久君
       大蔵大臣官房長  武藤 敏郎君
       大蔵大臣官房金
       融検査部長    原口 恒和君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     溝口善兵衛君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       大蔵省銀行局長  山口 公生君
       大蔵省国際金融
       局長       黒田 東彦君
       国税庁次長    船橋 晴雄君
       国税庁課税部長  乾  文男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林 正二君
   参考人
       株式会社日本興
       業銀行取締役会
       長        黒澤  洋君
       元大蔵省証券局
       長        松野 允彦君
       日本銀行理事   山口  泰君
       日本銀行信用機
       構局長      増渕  稔君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○平成九年度の新生産調整推進助成補助金等につ
 いての所得税及び法人税の臨時特例に関する法
 律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、岡崎トミ子君及び菅川健二君が委員を辞任され、その補欠として角田義一君及び山崎力君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行信用機構局長増渕稔君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。・
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(石川弘君) 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として株式会社日本興業銀行取締役会長黒澤洋君及び元大蔵省証券局長松野允彦君の御出席をいただいております。
 参考人の方々には、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 当委員会におきましては、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の審査を進めておりますが、本日は特に参考人の方々の御意見を伺うこととなりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○角田義一君 まず、黒澤参考人にお尋ねいたします。
 今回、おたくの銀行が検察庁の家宅捜索を受け、しかも当時の常務であった梅津さんが贈賄容疑で逮捕されるという事態が起きたことは参考人も御承知のとおりだと思います。世間様ではおたくの銀行は名門銀行、こういうふうに言っておるそうでございますが、その銀行でこのような不祥事が起きて、預金者を初め国民は大変怒っておると同時に、銀行の信用というものがこれによってまた失墜をするのじゃないか、こういう気持ちを持っておると思うんですが、会長さんとしてこの事態をどのように認識されておられるのか、お尋ねいたします。
○参考人(黒澤洋君) ただいま角田先生からの御指摘でございますが、おっしゃいましたように、私どもの元役員が道路公団に対する接待疑惑ということで逮捕されました。それから、私どもの銀行が家宅捜索を受けたということで、私どもも大変なショックを受けておりますけれども、それよりも世間に大変な御迷惑をおかけいたしましたことを心からおわび申し上げたいと思います。御列席の先生方にも大変御迷惑をおかけしました。非常に深く反省しております。
 この事態を厳粛に受けとめまして、興業銀行を今後こういうことが再び起こらないようにしっかりした銀行にすべく、役職員一同、決意を固めております。ということでございますので、角田先生の御了解をいただければと思います。
○角田義一君 参考人は、今回の事件の客観的な事実、報道されております逮捕事実、それがわいろの認識があったかなかったかとかという心情的な問題はさておきますが、客観的な事実そのものの存在はほぼ間違いないだろうなという御認識でございますか。
○参考人(黒澤洋君) ただいま角田先生のおっしゃいましたとおりでございまして、ただいま検察の捜査を受けておりますので詳細を申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、世間で言われていることはほぼ間違いないということでございます。深く反省しております。
○角田義一君 参考人はこの事件の当時は御行の頭取さんをやっておられたわけでございますが、この梅津元常務がやられたことは梅津さん御自身、単独でいろいろ計画されてやられたことだという御認識でしょうか。それとも、ちょっと言葉はきつうございますけれども、頭取さんも御承知の上でこういう接待をさせたというふうに理解してよろしいんでしょうか。明確にお答えいただきたいと思います。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの先生の御質問でございますが、一般に私ども接待を行いますときは各部単位でいたします。したがって、部長以下で相談して接待を決めます。ただ、頭取以下、あるいは先方の社長以下、あるいは公団であれば総裁以下。年一回ぐらいの、私どもトップ懇親会と言っておりますのですが、これは全体でやります。それは私どもも認識した上でやっておりますけれども、昔通の接待は部単位で行われます。
 以上でございます。
○角田義一君 参考人にお尋ねいたしますが、当時、道路公団が発行する外債の引き受けをめぐりまして、名前をはっきり言いますけれども、野村証券さんが幹事をとりたいということで非常な活動もされてきている、接待攻勢もかけてきていると。今まで伝統のあるおたくの銀行も、これは放置できない、対抗上やはりしかるべき接待もやらなくちゃいけないんじゃないか、こういう行内の雰囲気なりそういうものがあって梅津さんがおやりになったのではないかというふうに思うのが普通だと思うんです。梅津さん自身の判断でこれだけのことができたというふうには普通の人は考えないんじゃないかと思いますが、頭取さんはその辺のことは承知の上でやらせでおったということなんでしょうか。当時の頭取としては全く知らない、これはあくまで梅津個人でやったことだ、部長職としてやったことだということなんでございましょうか。再度お尋ねいたします。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの御質問でございますが、金融自由化以後、証券、銀行入り乱れまして大変な競争になったのは事実でございます。ただ、私どもは野村証券が非常に攻勢を強めておるので対抗上何かしなきゃならないという意識は全くございませんでした。
 以上でございます。
○角田義一君 私がお尋ねしておるのは、今、頭取が言った競争が激しいという中での接待攻勢が行われたというのは、そういう背景があって行われておることはもう事実なんですが、私がお尋ねしておるのは、井坂さんに対する接待攻勢というのはあくまでも元常務梅津さんが単独でおやりになったことなのか、独断でおやりになったことなのか、それとも上層部であるあなた方も承知の上でやらせたのか、そのことをお尋ねしているんです。
○参考人(黒澤洋君) 先ほど申し上げましたように、こういった接待は部単位で行われますので、接待について一々トップまで了解を求めてくるとか、あるいは事後報告が来るということはありません。
 ただ、これは梅津本人が一人でやったことではありませんで、証券部あるいは証券部担当常務という段階で行われております。
○角田義一君 それでは、興銀さんがずっと独占をしてきたものが野村さんに参入される、それをまた奪還するというような事実があるわけなんですけれども、そういう事実についで頭取は当時の常務さんから報告を受けておりますか。その事実は知っておったんじゃないんでしょうか。野村さんが入ってきたり、あるいはまた自分たちがとったりというような激しい競争をやられているという事実関係は頭取さんに報告があったんじゃないんですか。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの御質問でございますが、野村証券が入る前に東京銀行と日本長期信用銀行が幹事に入ってきておりまして、私どもは勝ったり負けたりと、野村も入ってきたなと、これは勝ったり負けたりの世界だという認識でございました。
○角田義一君 くどいようですけれども、そうすると接待攻勢の結果、あるいは接待とは全く関係ない、こういうふうに言い切れるのでございますか、どうでしょうか。
○参考人(黒澤洋君) 二つ申し上げたいと思いますが、接待の結果そういった幹事が決まるというふうには私どもは認識しておりません。
 ただ、接待というものが当時の社会通念といいますか、というようなことを私どもの頭取が記者会見で言ったというふうに報道されておりますけれども、西村頭取自身も当時の社会通念と思ったのは間違いであった、深く反省しているというふうに言っておりまして、私どもは、ああいった接待が幹事と関係するしないにかかわらず、ただいまの社会通念と関係なく、そもそも高額の接待を公務員ないしは準公務員にするのは間違いであるというふうに思っております。
○角田義一君 それは現在の御認識ですか、それとも当時からそういう御認識でございますか。
○参考人(黒澤洋君) これはやや個人的な感想になりますが、当時から例えばいろんな会社とか公団の総裁以下と頭取、副頭取以下で何人かで会食などをいたしますと、一人五万円とか七万円とかいうようなことになります。これは私は当時からちょっと高過ぎるなと。
 先生御承知のように、外国に行きますと、会食というのは大体一人百ドル、幾ら高いワインを飲んでも二百ドルまでいかないというのが普通でございまして、一万何千円というのが常識なんですが、我が国でやりますと五万円、七万円、あるいはそれ以上というようなことになりまして、ところが残念ながらこれは何十年と続けておりますので、おかしいなというふうに思いながら、やめることができずにやっておりましたのが実情でございます。
 ただ、私もよく、よくと申しますか、刑法に書いてありますように、百九十七条、百九十八条の条文に書いてありますように、公務員、準公務員にそういう行いをすること自体が間違いであるということはよくわかっておりますので深く反省しておるわけでございます。
○角田義一君 この問題については今検察が捜査していますからいずれ真実が明らかになってくると思いますけれども、日本の一流銀行が言うところの社会通念と当時考えておったものと庶民感覚とでは雲泥の違いがあるということをやはり人のお金を預かっている方は認識してもらわなきゃ困るんじゃないかというふうに私は率直に思いますね。
 まことに失礼ですけれども、おたくの銀行はかつて料亭恵川というところの尾上縫という一人の女性に四千百億円というお金を貸して、これが焦げつきになったようでありますが、現在、この始末はどうなったでしょうか。
○参考人(黒澤洋君) 先生のまず最初の御質問にお答えいたしますけれども、私どもは当時の社会通念でああいった接待は許されたというふうには考えておりません。あれ自体が間違いであったというふうに考えております。
 それから、今、料亭恵川に対する四千八百億円というお話がございまして……
○角田義一君 四千百億円ですよ。
○参考人(黒澤洋君) 四千百億円ですか。失礼いたしました。
○角田義一君 私が調べたところでは四千百億円。
○参考人(黒澤洋君) それは累計額でありまして、料亭恵川に対する貸出金は、すべてワリコーを買ってもらって、そのワリコーを担保に行われた貸し出してございます。ですから、百億買ってもらって九十九億五千万ぐらい貸す、こういう種類の話でございます。ただ、私どもは目が節穴だったわけでございますが、その百億を借りるお金を捻出するのに東洋信用金庫という信用金庫のにせ定期を使ってお金を調達したということが見抜けなかったわけでございまして、私どもは尾上縫を信用して貸したわけではなくて、私どもが売りましたワリコーを持ってきてお金を貸してくださいと、預金担保でございますので、そういうことで御了解いただければと思います。
○角田義一君 いや、私が聞いているのは結末はどうなったかということでございまして、おたくの銀行としては何の損失もなかったということになるんですか。
○参考人(黒澤洋君) 若干の損失はございました。これは、手会社の興銀リースが貸しておりましたのがございまして、それを引き取ったりなんかしたことがありますので百億前後の損がございますが、それだけでございます。
○角田義一君 頭取、申しわけないんだけれども、僕らの感覚で言うと、百億程度の損害、その程度でございますというのはもう全然ぴんときません。百億といったらえらい金ですよ、あなた。
 失礼だけれども、その百億の損失が出て、当時の頭取であったあなたはどういう責任をとられたんですか。おとがめなしですか。自分が頭取ですからあれですけれども、百億の損害を出しても頭取自身は何の責任をとらなくてもよかったんですか。それをちょっと聞きたいんです。
○参考人(黒澤洋君) 百億程度というのは約百億という意味で申し上げましたので、百億のように少ない金額というつもりで申し上げたつもりはございません。そういうことでございます。
○角田義一君 あなた自身はどうだったんですか。
○参考人(黒澤洋君) 私は、あのときも国会に呼ばれまして、こういうことを二度と繰り返さないように行内体制をきちんとしていくということが私に課せられた責務と思いますというふうに申しまして、その後、行内の審査体制などを厳しくいたしまして、私としては行内を厳しく刷新したつもりでございます。
○角田義一君 私は参考人と議論するつもりはありませんけれども、世間様の常識からいえば、百億という大きな大変な損失を銀行に与えて頭取さんが無傷でおるということは、私は我々の世間の常識からはちょっと通らないと思います。日本の一流銀行というものがそういう体質であるということは大変私は驚きであります。
 そこで、今回預金保険機構の改正案が出てきているわけでありますが、大蔵省は金融債も保証するという態度をとっておりますけれども、金融債等については御承知のとおり保険料を払われてございません。おたくの銀行も金融債を発行していると思いますが、おたくはそう心配はないと思いますけれども、これらが仮に制度として金融債まで保証するというときに、保険料を全然払わずに公的資金を導入するということになると、これはとてもじゃないけれども国民の理解は私は得られないと思いますけれども、これは銀行協会の内部で、あるいは興銀さんとしてその辺はどういうふうにお考えになっていますか。これは負担せにゃいかぬのかな、いやそれはもう負担せぬでもいいんだ、国家がやってくれることだから関係ないというふうにお考えになっておりますか。
○参考人(黒澤洋君) 本件につきましては、私どもだけでなくて、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、商工中金、農林中金、それから元東京銀行、今の東京三菱銀行、これだけ金融債を発行している銀行がございまして、この銀行がみずから発案するという性質のものではございませんで、御当局において金融債を預金保険機構に含める場合にはどの程度の保険料を取るべきかということを現在御審議中というふうに承っておりまして、私どもはその御結論に従うつもりでございます。
○角田義一君 それならそれでこれはもう政府に、はっきり私は申し上げて、保険料を徴収していただきましょう。そうじゃなかったら、とてもじゃないけれども国民は納得しないというふうに思います。
 それから、もう一つ最後にお尋ねいたしますが、御行は海外で約十億ドル程度の優先株を発行して資金を調達するというようなことが新聞報道でされております。今回のこの金融安定化のための措置法案では、銀行さんにも優先株を発行してもらうとか、あるいは劣後債を発行してもらうとか、いろいろ考えておるようですけれども、興銀さんとするとこの新しくできる日本の制度を利用するというお考えは全くないわけですか。もう海外で十分だ、資金調達はできると、こういうふうにお考えでございますか。そのことだけ最後にお聞きします。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの先生の御質問でございますが、昨日、ニューヨークで十億ドルの債券を発行いたしました。期限十年でございまして、これはいたずらに公的資金を待つだけでなくて自分でも努力せにゃいかぬという考えでやりましたことでございます。
 ただ、政府御当局におきまして、あるいは国会において御審議されております三十兆、十七兆と十三兆のこの金融安定化法案は非常に大事でございまして、私どもはこれに参加するということについて、あるいは公的資金をいただくということについて慎重に検討しておりまして、ただまだ御当局から正式のお話がございませんものですから、私どもとしてはもちろん前向きに受けとめております。自分で調達したから要らないなどということは決して考えておりません。
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○角田義一君 私、頼まれても困るんだけれども、まあわかりました。
 それでは、松野参考人にお尋ねいたします。
 国会に参考人で来ていただいておるわけでありますが、例の山一の関係で当時あなたが相談にあずかったことが歴代の証券局長には引き継ぎがされていなかったというようなことでございますけれども、証券局におきましてこの飛ばしのことを処理するのは業務課長であるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○参考人(松野允彦君) この飛ばしという言葉の問題でございますが、当時、私どもの認識では、飛ばしというのは基本的に企業と企業の間の株式を使った現先取引であるという認識でございました。その取引は、通常は企業間で直に行われる取引でございまして、もちろん中にはその取引を証券会社が仲介するという行為があるわけでございますけれども、そういう証券会社が仲介するということになりますとこれは証券会社の業務になりますので、そういう意味では、御指摘のように、担当は証券会社の業務一般を監督しております業務課であるということは言えると思います。
○角田義一君 あなたが証券局長をやっておるときの業務課長さんは堀田隆夫さんであると思いますけれども、間違いございませんか。
○参考人(松野允彦君) そのとおりでございます。
○角田義一君 その業務課長の堀田隆夫さんには山一から相談を受けたことについてあなたは話してございますか、当時。どうですか。
○参考人(松野允彦君) 私が相談を受けました内容は、今申し上げたような飛ばし取引の適法性の問題、つまり法律に違反するかどうかという問題でございまして、私はそれに対して、その当時は、今申し上げたように、株式を使った現先取引ということであればこれは証券取引法に違反する取引ではない、したがってそれを仲介する行為も違法取引にはならないと。ただ、証券会社がその過程で引き取ることを約束したりあるいは現実に引き取るということになりますと、その引き取り値段によっては損失補てんの問題が生ずるというような、当時、証取法を改正していただきまして損失補てんを新たに証券取引法の禁止行為にしたわけでございますが、そういったようなお話をして、あとは基本的には経営者の判断の問題であるというふうに申し上げたと記憶しております。
 したがいまして、法律の枠内で証券会社の経営者がどういう判断をするかという問題でございまして、あえて私はそれだけの問題だというふうに認識をしておりましたので特に担当の業務課長に話したこともございませんし、引き継いだこともございません。
○角田義一君 山一というのは、失礼ですけれども、前歴もあるし、要注意会社ですよね。要注意証券会社ですよ、これは。その相談を受けたことを業務課長に何も話していないというのは私は信じられない。そして、あなたの当時の部下の業務課長さんが今何をやっておるかといったら、証券取引等監視委員会の事務局長さんですよ。こういうことですよ、実態は。これ、どう思いますか、参考人。
○参考人(松野允彦君) 今申し上げましたように、この飛ばし取引に伴いましてもし証券会社に問題が起こるとすれば、その飛ばし取引を仲介している過程で証券会社が何らかの約束あるいは補償をするという行為、あるいはその飛ばしの対象になっております株式を時価よりも高い値段で引き取るというような行為でございまして、これはまさにそのとき損失補てんが非常に問題になりまして、証券取引法を改正して禁止行為にし、罰則まで適用できるようにしていただいた行為でございます。
 そういった行為をよもや行うというようなことは到底考えられなかったわけでございまして、今回の山一の破綻に際して、私詳細を知る立場にはございませんが、簿外債務があるというようなことが言われております。もしそういう飛ばし取引に絡んで行われたということであればこれは大変残念なことでございますけれども、当時の私の感じとしては、あれほど損失補てんについて大騒ぎをされた時点でありながら、あえでそういうことをするというようなことを考えることは到底できなかったというのが率直な感じでございます。
○角田義一君 同僚議員からもお尋ねがあると思いますが、きょうのある全国紙に載っておりまして、参考人はごらんになっているかどうかわかりませんけれども、大変ショックな記事が載っておるわけですね。要するに、当時の三木副社長が一九九一年にあなたを訪ねたときに、山一のいわば飛ばしの問題についての処理の仕方について、山一の体力に応じて数年かけて処理していくしかないと、山一の元役員は当時の三木さんから大蔵からはそういうふうに言われているんだということを闘いでいるふうにきょう出でいるわけですよ。だんだんいろんなぼろが出てくるわけですよ。
 これはやっぱりあなたは実態をちゃんと知っておって、数年かけて山一の体力に応じて処理する以外にないんじゃないかと、しかも海外での処理も含めた示唆をしているわけですから、全部承知しておったのと違うんですか。どうなんですか。これは最後の私の質問です。あとは同僚議員が続けて質問すると思います。
○参考人(松野允彦君) 私が三木副社長、当時たしか副社長だったと思いますが、から相談を受けましたのは、あくまでも今申し上げたような飛ばし取引の処理、適法性の問題、あるいは処理に絡んだ証券会社の責任といいますか、あるいは適法に処理できるというようなことの問題でございまして、私の記憶するところ、もちろん今御指摘のありましたような事実はございませんし、あるいは全体の一体どの程度あるのかというようなことを聞いた記憶も全くございません。あくまでも飛ばしの処理の問題ということで私が相談を受け、それに対して基本的に経営者が判断する問題だというふうにお答えをしたというのが私の記憶でございます。
○角田義一君 あと一分ありますからお伺いしますけれども、海外でも選択肢があるじゃないかというふうなニュアンスのことを衆議院の大蔵委員会でも言っておられるんですけれども、これはどういう趣旨ですか。
○参考人(松野允彦君) この飛ばし取引というのは、先ほど申し上げましたように、基本的に現先取引という形をとっているわけでございまして、現先取引というのは企業と企業、あるいは企業と機関投資家でもいいわけですが、そういったものの間で行われる短期の条件つきの売買、当事者間ではこれは株式担保の短期金融取引であるというふうに認識をされていたと思います。そういったことからいいますと、その仲介の相手先をだれというふうに特定する必要はないということをその当時申し上げたかもしれないという記憶がございますが、いずれにいたしましても証取法に触れる行為ではないということは明確に申し上げたのじゃないかと思います。
○角田義一君 じゃ、それは海外のペーパーカンパニーでもいいというふうに山一さんはとったんじゃないでしょうか。これが一つ。
 それからもう一つ、そういう飛ばしの処理をめぐって山一証券以外の証券会社から御相談を受けたことがあるでしょうか、ないでしょうか。そのことを聞いて私の質問を終わります。
○参考人(松野允彦君) ペーパーカンパニーということになりますと、これは今申し上げたようないわゆる実態のある企業間の現先取引ということにはなりません。これはもう証券会社がその取引の相手方となって引き取ったということになるわけでございますから、これは場合によっては損失補てんの問題が生じてくるわけでして、ペーパーカンパニーがいいというようなことは到底、私が言った記憶もございませんし、そんなことを言うことはあり得ないというふうに私は思います。
 ほかの会社からどうかというお話でございますが、私が証券局長をやっておりました間に飛ばしに関連いたしまして証券会社が幾つか自分で引き取ったケースがございます。これは法律の手続にのっとって行ったわけでございますが、そういった場合に、記憶は余り定かでございませんが、今申し上げたような一般的な処理の方法について意見を言ったことはあるかもしれませんが、基本的には私の記憶では証券会社がみずから判断してそういう処理をしたというふうに記憶しております。
○角田義一君 終わります。
○益田洋介君 お二人の参考人の方、本日は大変御苦労さまでございます。
 まず、私は黒澤参考人に若干の質問をさせていただきたいと思います。
 九日、東京地検特捜部が興銀の本店を家宅捜索いたしまして、そして元常務でありました梅津興三容疑者を贈賄容疑で逮捕しました。その際、同日、西村正雄現頭取が都内のホテルで記者会見をした。そして、この元常務による元道路公団財務担当理事への接待については、当時としては社会的通念の範囲内であった、こういうコメントを述べられている。それで、井坂前理事に対して梅津興三容疑者自身が贈賄をしたという対象となっている金額は百五十一万円相当。しかし、興銀全体としては四百七十五万円に上ると言われている。
 この辺について、やはりこうした接待というのは黒澤会長のお考えでは社会的通念の範囲内であると、そのようにお考えですか。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの益田先生の御指摘でございますが、私は当時としてもこれは社会的通念の範囲を出るものであるというふうに思っております。
 西村頭取も、記者会見で述べましたのは、当時社会的通念の範囲と思っていたこと自体が間違いであって最大の反省点であるというふうに申し上げたつもりであったんですが、新聞には当時の社会的通念の範囲内というふうに報道されて極めて残念であるので私にぜひその点は自分の真意も伝えでほしいというふうに言っておりました。
 私自身は、先ほどの角田先生の御質問にお答えいたしましたように、当時から五万円も七万円もするような宴会というのはおかしいなと思っておりました。こんなことをいつまでもやれるのかなというふうに思っておりましたが、先ほど申し上げましたように、だらしのない話なんですが、何十年と続いている習慣なものですから、やめることができずにこういうことになりまして、まことに残念でございます。
 ただ、先ほど申しましたように、これは刑法の百九十七条、百九十八条にも触れることでございますし、私どもとしては公務員、準公務員との接待は全面禁止ということでいたしております。
○益田洋介君 それでは、具体的にこの記者会見の内容について、西村正雄頭取に黒澤会長としては苦言を呈された、あるいは公の場で訂正をするようにという進言をされましたか。
○参考人(黒澤洋君) 私は、苦言を呈するということはありませんのですけれども、西村頭取から、いや、自分はこういうふうに言ったつもりなんだが、これが新聞に間違って報道された、これが残念であるということを聞いて、そうかということでございます。したがって、西村頭取としては当時の社会通念の範囲内であったということを言った覚えはないということでございます。
○益田洋介君 それでは、事実無根のことを報道されたと、そういう見解でいらしたならば名誉回復のために何らかの法的な手段を新聞社に対してとるおつもりですか。
○参考人(黒澤洋君) これは、事柄の性質からいって、新聞はコメントの前半もしくは後半を報道するというようなことは時々ございますし、ちょっと繰り返しますが、西村君が記者会見で言ったことは、当時社会的通念の範囲と思っていたこと自体が間違いであって最大の反省点であるというのが彼の趣旨でございます。当時は社会的通念と思っていたかもしれないが、それが間違いであったと、ただいま最大これを反省しているというのが彼の趣旨でございますので、ぜひ益田先生の御了解をいただければと思います。
○益田洋介君 報道されている内容はそういうことじゃないんですよ。社会的通念の範囲内だったと強調したと書いてある。大変な違いじゃないですか。
 ということは、こうした接待をしたこと自体が間違いではなかった、正しいことだった、社会的規範にのっとったことだと、そういう主張をされていることになり、反省が見られないということになるんですよ。いかがですか、その点はっきりしてください。もし間違った報道だったら訂正すべきでしょう、あるいは訂正を依頼すべきでしょう。そういう行動に出ないということは是認しているということですよ、この記事を。違いますか。
○参考人(黒澤洋君) 社会的通念を当時としても外れていたということは間違いのない事実でございまして、新聞に訂正を申し入れるなりなんなり、これは西村君と相談いたします。
○益田洋介君 相談した結果を報告していただきたい、当委員会に。よろしいですか。
 それで、要するに日本興業銀行というのは長信銀の中のトップなわけですよ。鉄鋼とか造船、鉄道、電力などという日本の基幹産業、国策産業に対して長期の資金を融資するいわば国策銀行として出発していたわけです。ところが、金融債の発行で資金を調達するのは、そうした独自性というのは、各大企業は、特に優良企業は資金調達を銀行借り入れからむしろ債券発行などにシフトし出している、興銀独自の独自性を発揮する場所がだんだん狭められてきた。例えば、七五年の長信銀の長期貸し出しにおけるシェアというのは二〇%あった、九五年に至っては一一%に低下して、逆に都銀がこの二十年間に二九%から四五%に上昇してきている。
 ですから、興銀として独自性を生かして生き延びる道がだんだん狭められてきた。そこで、うまみがなくても道路公団のメーンバンクであったとされている興銀がやはり二、三年に一度は外債発行の主幹事をやらなければならない、そういう立場に置かれていたのが今回の接待攻勢につながったというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒澤洋君) 益田先生の御指摘のとおり、長信銀行の長期貸しのシェアが年々下がっておるのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、長信銀行のやっております長期貸しと都市銀行のやっております長期貸しの間には大きな差がございまして、私ども長信銀行がやっております長期貸しは、十年四%といったら十年間四%です。都市銀行のやっておられる長期貸しは、六カ月ごとあるいは一年ごとにその金利がそのときの金利に応じて変わる長期貸してございます。したがって、十年とか十五年の年次で工場を建てる、あるいは工場を建てて償却する、あるいは建物を建てる、何を建てるというときに、興業銀行あるいは長信銀行から借りた資金は十年間四%固定でございますので非常に長期資金の質が違うということが言えるのではないかと思います。
 それから、先生の御指摘の第二点でございますが、私どもが長期貸しのシェアが下がったことに焦りを感じていろいろやったのではないかという御指摘でございますけれども、私どもはおっしゃったような七五年から九五年にかけて急速に国際化の業務を進展いたしました。七〇年代の初期まで興業銀行はほとんど国際業務をやっておりませんでした。現在、国際業務の割合は三割でございまして、アジアを初めとしていろんなところで資金需要がございます。プロジェクトファイナンスというのもございます。そういう部面で新しい分野を大いに生かして頑張ってやっております。
 したがって、長期信用銀行として私どもの分野がどんどん狭まって焦りを感じているということはないと私は思っておりますので、先生の御了解をいただければと思います。
○益田洋介君 それが了解できないからこういう問題が起きている。そんなに追い込まれでもいない十分な、またマーケットで好評な長期のローンを提供している銀行が何でこれだけの接待を道路公団の井坂元理事にしなきゃいけなかったのか。しかも、これは今始まったことじゃない。九一年当時から既に始まっている。大阪の信用金庫の事件、東洋信用金庫の事件あたりからもう既にそういうことが始まっている。
 三年で贈収賄罪の公訴時効というのがありますからその当時のことは検察当局としても関心は持っていないかもしれないが、なぜ長期にわたってこういう過大な接待をしなきゃいけなかったのか。私が言っているのが理由じゃなきゃ、ほかに理由はあったんですか。
○参考人(黒澤洋君) これは、益田先生のお言葉ではございますが、同じことの繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どもは主幹事をとろうとして接待しているのではなくて、従来からずっとやっておりました接待を繰り返していただけでございます。
 ただ、だからいいということは言っておりません。これは、当時としても社会通念を超えるような接待をしておったということでございまして、繰り返しになりますけれども、刑法の百九十七条、百九十八条に触れる問題でございますので私どもとしては大いに反省しております。
 それから、九一年の大阪の料亭の持ち主に対する貸し出してございますが、これは、先ほど申しましたように、普通の銀行でいいますと預金担保の貸し出してございますので、性質がちょっと違うことかと思います。
○益田洋介君 九一年の東洋信金のことは思い出したくないかもしれない、よくない記憶だと思いますけれども、預金証書を担保にしたと。この預金証書は偽造されたものだったんでしょう。だから性質が違うということにならないじゃないですか。それだけ不注意なことをやってきているわけです、おたくの銀行は。
 それと、もう一つ言えるのは、主幹事をとるために接待をしたんじゃないんだ、こういう接待を継続的に今までずっとしてきたということをおっしゃったが、それだったら、今回逮捕された梅津興三さんだけじゃなくて、今までもずっとおたくの銀行はこういう犯罪に匹敵するような接待をしてきたということになるわけで女が。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの益田先生の御質問の第一め点ですが、私が預金担保と申しましたのは言葉が足りませんで、ちょっとわかりやすくと申しますと、大変失礼なんですが……
○益田洋介君 預金証書を担保にしていた。
○参考人(黒澤洋君) そうではなくてワリコーを担保に、つまり普通の銀行でいうと預金担保と同じようなことをやったということで、私どもがワリコーを売りまして、そのワリコーを持ってきてお金を貸してくださいというと、普通の銀行が預金したから預金証書を担保でお金を貸してくれということと同じでございます。
 ただ、この女性がワリコーを買った資金は東洋信金のにせ定期預金証書でよその銀行から借りたお金であったということが後から判明したわけでございまして、これがまことに残念でございます。
 それから第二点でございますが、こういう接待を繰り返してきたというのは、当時としてもやはり過大であった、間違いであったということで、私ども深く反省しております。
 以上でございます。
○益田洋介君 数回の接待の中で、井坂前道路公団理事の部下である大蔵省からの出向者の当時の経理部長、それから資金課長らが同席したそうした宴席に頭取時代に黒澤会長は同席されたことはありますか。
○参考人(黒澤洋君) 今おっしゃったような井坂理事、経理部長などがされた席に私は出たことはございません。
○益田洋介君 間違いありませんね。一回もありませんか。
○参考人(黒澤洋君) 間違いございません。私が井坂理事と宴席で同席したのは二度か三度と思っておりますけれども、これは総裁以下、頭取以下、一年一回やる宴会がございまして、先方も四、五人様、こちらも四、五人出まして、これはごく昨今の経済情勢、一般情勢などについて意見を交換する席でございまして、そこは総裁、副総裁、理事の方だけが出る席でございまして、私どもは頭取、副頭取、担当役員という席でございます。
 以上でございます。
○益田洋介君 一九九一年八月三十日の衆議院の証券金融特別委員会、参考人はこのときも参考人として聴取を受けております。その中で、菅野委員からの質問で、興銀本体で九億二千万、関連会社で四百億円近く末野興産に融資しているではないかと、結局この東洋信金のにせ証書事件には背後に暴力団の影があったと当時言われていた、こういうふうな関連について黒澤参考人は一切否定をされている。末野興産についても否定をされている。
 ところが、五年たった一九九六年、住専問題が起きた。そのときに、興英コーポレーションは日本ハウジングローンの直接の子会社であり、日本ハウジングローンの母体行は興銀であった。そのときに改めて末野興産と日本ハウジングローンの関係が明らかになった。当時、八八年一月に貸し付けで、約八百億円の取引があった。したがって、九一年に参考人が否定したことは実は正しかったということが五年後には証明されている。この点についてどう思いますか。
○参考人(黒澤洋君) 末野興産に対する貸し出しが幾らであるかということを、当時共産党の菅野悦子委員から質問を受けました。私の答えは、個別の取引先に対する貸出残高は申し上げられませんというのが私の答えでした。そうしたらば菅野先生は、この雑誌にこういう数字が出ている、どうだと、こうおっしゃられましたので、雑誌に数字が出ていても私としてはその数字を申し上げるわけにはいきませんと、こういうことを申しました。そのときに、日本ハウジングローンが幾ら貸しているかという御質問は出ませんでした。
 それからもう一つ、今、益田先生は興英コーポレーションは日本ハウジングローンの子会社というふうにおっしゃいましたが、その事実はございません。
○益田洋介君 九一年の東洋信金事件、九六年の日本ハウジングローン事件、そして九一年のときには小口の取引、リテール取引部門をやみくもに伸ばしたためにこういう事態に至ったということで中村会長と池浦相談役が退任されている。黒澤会長は当時頭取であられた。九六年六月にはこの日本ハウジングローンの責任をおとりになって頭取から会長になられた、退かれた。
 今回、こういう問題を起こしている。これで起訴されたり有罪判決が出た場合に、あなたはどういうふうに責任をとるおつもりですか。
○参考人(黒澤洋君) 九六年の六月に私は頭取を辞任いたしまして会長になりました。総会の前の晩にJHLの社長が逮捕されました。私が退任するということは既に四月に発表しておりまして、このJHLの社長が逮捕されるというようなことは夢にも考えておりませんでした。この二つの間に関係はございません。
○益田洋介君 私が伺っているのは、今回のこの不祥事が発生して、その結果として容疑者が起訴されたり、それから梅津興三容疑者、今一人ですけれども、当然のことながら取締役、証券部長というのは歴代の方がいらっしゃったので嫌疑をかけられ、今取り調べ中だと思いますけれども、こうした刑事事件が今度立件された場合に黒澤会長御自身はどういうふうに責任をおとりになるつもりか、これが私の質問なんです。
○参考人(黒澤洋君) 梅津君がどういうことになりますか、検察で御捜査の最中であります。これについて私は予断を申し上げるわけにはいきません。
 それから、その後だれかがまた逮捕されるのでないかというお言葉もございましたけれども、私としてはそういうことがないことを祈っております。
 そういったことで事態の進展を見ていきたいというふうに思っております。
○益田洋介君 ありがとうございました。
 終わります。
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。
 松野参考人に伺いたいと思います。
 九一年の十二月に山一の三木副社長から飛ばしをめぐるトラブルの問題について相談を受けたということを衆議院でもおっしゃっておりますが、どこで相談をお受けになったのか。局長室ですね。
○参考人(松野允彦君) 私が申し上げましたのは十二月か、若干そこは記憶が不鮮明な点はございますが、当時の状況では大蔵省の外ということは考えられません。ですから局長室だと記憶しております。
○笠井亮君 相手は三木副社長お一人だったということでありますけれども、大蔵省側はその当時の局長お一人だったんですか。
○参考人(松野允彦君) よく覚えておりませんが、多分一人だったんじゃないかと思います。
○笠井亮君 山一の三木副社長がわざわざ局長室まで相談に来るということは、私はよほど思い余ってのことがあったのじゃないかと思うんです。重要な話があったということだと思うんです。そう簡単に記憶から消えるということはないはずだと思うんですよね。どういう問題なのかを当然聞かれたと思います。
 いつ、どういうトラブルが発生したということだったんですか。
○参考人(松野允彦君) 当時の状況をちょっと御説明しなきゃいけないんですが、御存じのように、証券不祥事が起こって大蔵省の証券局と証券界の間の意思疎通が非常に欠けたような状況になっていたわけです。損失補てんを禁止する証券取引法改正がたしか十月の初めに成立をいたしまして、その後証券市場が非常に不振に陥り、証券局と証券界との間の意思疎通についてもう少し考えなきゃいけないんじゃないかというような雰囲気があったと思います。
 そういったこともございまして、私は、当時の状況ではもう定例の昼食会等も全然やめておりましたからなかなか証券界との意思疎通を図る場所がなかったわけでございますが、基本的に証券局長室はオープンにしてある、だからいっても来て、どういう相談でもいいというような態度で、業界の人にはそういうお話をしていたと思います。
 したがいまして、今御指摘の三木副社長の件につきましても、私の記憶ではそれほど重要な問題というよりは、むしろ一般的な飛ばしについての考え方というようなことで受けとめたというふうに記憶しております。
○笠井亮君 私の質問に答えていただいていないんです。
 トラブルをめぐる相談ということですけれども、いつ、どういうトラブルが発生したという話はそこで出なかったんですか。
○参考人(松野允彦君) 私の記憶している限り、その点については余り私は聞いておりません。
○笠井亮君 トラブルの相手がだれだったかということも聞いておられませんか。
○参考人(松野允彦君) 聞いておりません。
○笠井亮君 金額かど机ぐらいのトラブルかということも聞いていませんか。
○参考人(松野允彦君) 私の記憶しているところでは金額も聞いておりません。
○笠井亮君 どうして飛ばしの損失の処理が問題になったのか聞いたんだと思うんですよ。これは大事な問題なので、思い出してぜひ話していただきたいんですけれども。
○参考人(松野允彦君) 飛ばしにつきましては、その当時新聞紙上でもいろいろ問題になっておりましたし、我々も飛ばしという行為についていろいろなことを聞いておりました。
 したがいまして、飛ばしというものについての証券局といいますか、行政当局の考え方というようなものを、あるいはその飛ばしに絡んで証券会社が処理をする場合にどういう問題があるかというようなことでおいでになったというふうに私は記憶をしておりまして、個別のトラブル案件の処理についておいでになったというふうには私は記憶しておりません。
○笠井亮君 飛ばしをめぐるトラブルの処理をめぐって相談に来たということで、副社長がわざわざ来たわけですね。そうしますと、私はどういう話だったかというのは聞くのが常識だと思うんですよ。中身は聞いていないということで、本当にこれは信じがたいことだと私は思うんです。
 もう一度伺いますけれども、きちっとその点思い出していただきたいんですけれども、どうですか。
○参考人(松野允彦君) 私は、当時局長をやっておりましたから個別案件の処理について直接証券会社の人とやるということは原則としてないわけでございまして、一般的な話として行政当局の考え方を説明し、経営者の判断に資するといいますか、材料にするというような観点からの意見交換というのはあるわけでございますが、個別の案件について私は直接その内容を聞くというようなことはないというふうに思いますし、また、さっき申し上げましたように、私の記憶にはそういうことを聞いた記憶は全くございません。
○笠井亮君 山一の場合、そのトラブルの相手が東急百貨店で、二百六十四億円の飛ばし取引の損失の処理をめぐる問題だったということではないのですか。
○参考人(松野允彦君) 私は、それはつい最近聞いたところでございまして、当時そういうふうな具体的な話を聞いた記憶はございません。
○笠井亮君 当時、局長でいらっしゃったときに、飛ばしの問題は十分認識しておられたと思うんです。先ほどもお話がありました。
 そうしますと、中身を聞かずに一般的にその対応について相談に乗ったということは全く信じがたいことであります。証券局長が相談を受けるのに、中身を知らずに相談に応じて一般論で答えると。相手の相談した側は具体的な問題を、どうしたらいいかということを想定してその問題を出した、あるいは出していなかった。そこはあなたはそういうふうに出していないというふうに言われますけれども、そうだとしても、一般論で答えて相手の側が都合のいいように解釈してやられたら、これは局長としては後で大変なことになるんじゃないですか。そういうことはお考えになりませんでしたか。
○参考人(松野允彦君) 私がその意見交換の中で答えましたのは、その飛ばし取引についての証取法上の評価の問題、つまり適法か違法がという問題、あるいはその仲介行為を行っている証券会社がどういう行為をすれば証取法に違反するかというようなことについての意見でございまして、それが誤解をされるというようなことは私は到底考えておりませんでした。
 証券会社というのは証取法で免許を受けている会社でございますから、飛ばし行為についてそれが証取法でどういうふうに法律上評価されるかとか、あるいはでき上がったばかりの損失補てんの問題についてどういうふうな手続をとれば法律的には認められるかというようなことについての意見交換でございますから、それが誤解をされるということは到底考えていなかったというのが率直な感じでございます。
○笠井亮君 その飛ばし取引をめぐる問題について関心を持って、そして監督する立場、指導する立場ならば、私は具体的に聞いて当然ではないかと思うんです。
 トラブルというのは取引をめぐって損失が生じた事案だった。それ以外にトラブルがあったとは考えられないんじゃないですか。その点はどうですか。
○参考人(松野允彦君) 一般的にトラブルについての行政当局の関与の問題だと思いますが、トラブルというのは基本的には当事者で話し合って解決をすべき問題で、それは法律の枠内であれば行政としては何も関与する必要はないということになるわけでございます。したがいまして、この飛ばしをめぐるトラブルというものにつきましても、当然その当時の飛ばしというようなものはかなり広く企業で行われていた取引であったと思います。
 しかし、そういう行為が法律に触れない限りは、トラブルが発生したとしても、それを証券会社と企業との間で話し合いによってどこまで解決するか、解決の仕方として法律に触れない解決の仕方であればそれは行政としては関与する必要はないわけでございまして、基本的には当事者の話し合いによって解決する問題だというのがトラブルについての我々の考え方でございました。
○笠井亮君 それでは伺いますけれども、飛ばしのトラブルの処理の問題で相談に来たと、山一側はこの問題をどうしたいということで相談を求めてきたんでしょうか。
○参考人(松野允彦君) 先ほど来申し上げておりますように、個別の案件についてどうしたいということで来たというふうには私は記憶をしておりません。むしろ、その飛ばしについてどういうふうな行政当局としては判断をしているのか、それを証券会社が何らかの処理をしようとすればどういう法律的な問題があってどういう処理をすれば法律に触れないのかというような問題で相談に来たというふうに記憶しております。
○笠井亮君 次々飛ばすと、そして損失補てんする以外に道がないということで特別の相談に来たんじゃないんですか。
○参考人(松野允彦君) 私の記憶している限り、そういうふうなことは聞いておりません。
○笠井亮君 この問題、相談を受けて証券事故として処理しなければ損失補てんになって違法になるということを言われたということで答弁もされておりますが、私はそんな解釈は副社長を相手に言わなくても山一自体がもう知っているはずだと思うんですよ。山一証券には顧問弁護士もいるでしょう。それから、副社長の部下の方もおり専門家もいると。どうしたらいいかという判断があれば、せいぜいそういう方から証券局の担当者のところに法律的にはどうかとかいうことは相談すれば済む話でありまして、わざわざ副社長が局長のところに来たことがやっぱり私は重大な問題だと思うんです。
 副社長がわざわざ行く、それはやっぱり違法行為の目こぼしを頼みに来るような特別な関係にあなたとあったということなんじゃないんですか。
○参考人(松野允彦君) 先ほどちょっと申し上げましたように、当時の状況では証券界と証券局との間の意思疎通が非常に欠けていたという状況があるわけでございまして、御指摘のように、法律を読めばわかるではないかということは言えると思います。
 ただ、私どもとしては、証券界との間の意見交換というようなものを考えたときに、それは法律を読めばわかるからというふうに突っぱねるというような態度をとるということは、当時の状況ではますます業界との意思疎通がうまくいかなくなるということで、これはもちろん法律を読めばわかることではありますけれども、それについて、特に飛ばし取引というものにつきましては法律的にどうかというのは一概になかなか、難しい。
 一面ではさっき申し上げたように条件つき売買ではありますけれども、一面では金融取引だという二面性を持っている取引でございまして、そういったものについで証取法上どう評価するのかという点についで意見を聞きに来るということは私はあり得ることだし、それをあえて拒む必要もなかったというような感じでいるわけでございます。
○笠井亮君 業界と意思疎通を図るという点ではさまざまなことでどういう形でやるかということはできるはずでありまして、わざわざそういう形で副社長がトラブルの処理について相談に来たということでありますから、これは具体的な問題なんですよ。
 それを、相談を受けて担当の業務課にも伝えていない、引き継いでもいない、まさにそういう問題だと思っていたと。それ自身が大変不自然でありまして、きょうの大手新聞でも出でいるという話もありましたが、私は山一の達法行為を意識的に隠してやったんじゃないかという疑問を抱かざるを得ないわけでありますが、その点はどうですか。
○参考人(松野允彦君) 当時の状況では、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、証券取引法を改正して損失補てんを禁止し、かつ罰則までつけて禁止をしたわけでして、世上言われているように、もしその損失補てん行為が行われ、かつ、さらにそれに加えでもし簿外処理をしたということになりますと、これはもう一つ、証券取引法にあります有価証券報告書等への虚偽記載、いわゆる粉飾決算の問題、これも罰則が適用されるわけでございまして、行政当局がどうこうできる問題ではないわけでございます。
 そういう損失補てんでいろいろと問題になった時期にあえて証取法に違反するようなそういう行為が行われ得るということを私は全く考えることができなかったというのが率直な当時の考え方でございます。
○笠井亮君 ますます疑惑が深まるばかりだと。これは理事会の協議事項になっておりますけれども、証人喚問は不可欠だということを申し上げて終わります。
○星野朋市君 時間に限りがありますので黒澤参考人についてのみお尋ねをいたします。
 私は、きのうのこの委員会で、大蔵省が三月危機説というのをかなり強調しますので、東京三菱と日本興業銀行は優先株の規定がないじゃないか、都市銀行全体についても自己資本の充実というのはさほどではないのじゃないかという質問をいたしました。時あたかも、それに呼応するがごとく、日本興業銀行はニューヨークで十億ドルの優先株を発行、そういう形で自己資本の充実を図られた。先ほども御答弁がありましたけれども、そういう形で自己努力だけで自己資本の充実を図られるだけではなくて、今度の金融二法案のうちの公的資金の導入も考えておるというようなお話がございました。
 とりあえずはここのところでそういう形で自己資本の充実を図られたわけですけれども、この後、例えば優先株の発行というような定款の変更、そういうようなことをお考えになっておられますか。
○参考人(黒澤洋君) ただいまの星野先生の御質問にお答え申し上げます。
 三月危機説ということがきのう議論されたようでございますけれども、やはり三月末の自己資本比率というのをみんな非常に気にしております。一つは、株が一万五千円を割るというような状況がありました。それが多少回復したということがございます。それから、やはり三十兆、十七兆プラス十三兆の法案を参議院と衆議院で御議論いただいているということは、私ども金融界にとっても大変な力強い援軍をいただいているという感じでまことにありがたいとお礼を申し上げるわけでございます。
 先ほど申しましたように、きのう実はニューヨークで十億ドル、千二百何十億円になりますけれども、これをやりましたのは自分でも努力しなきゃいかぬぞ、ただただ政府が助けてくれるのを待っているだけではだらしがないじゃないかというつもりでやりました。これは住友銀行さんもおやりになりました。同時に始めたんですけれども、住友銀行さんの方が一週間早くなりました。結果としては一週間ずれましたけれども、おかげさまで八・七ぐらいの条件で十年債が出ましたので、今の状況としては非常にいい条件だったというふうに思っております。
 ただ、それじゃおまえはもう十三兆の方は要らないのかというと、そんなことは決してございません。十三兆は日本の金融システム全体のために御当局あるいは国会で御審議いただいていることでございますので、ぜひこの金融安定化法案を通していただいて私どもの金融界についで特段の御配慮をいただきたいというふうに思っております。
○星野朋市君 私どもは、金融安定化法案については実は反対なんでございますよ。それは誤解のないようにお願いしたいんですけれども、その詳細について参考人に今お問い合わせをする時間はございません。
 私は、実は長い間日本興業銀行と取引をしておりまして、日本興業銀行の行員は他の銀行に比べて確かに金融産業の雄として一段すぐれている行員さんがそろっておられると私は思っております。例を挙げますと、一つのプロジェクトを考えたときに、その企画の段階から参加されて、資材、流通その他の面についても社員と同様になって一緒に参加されていろいろなさる。ですから、興業銀行はそのプロジェクトの成功、不成功ということにやはり銀行として一枚かんでいるというようなところがございます。これが他の銀行と違うところでありまして、興業銀行が認めたプロジェクトというのはそういう形で大体成功するというのが私どもの通例であったわけです。
 そういう銀行が今度の問題を起こしまして、興銀よ、おまえもか、こう言いたいところでありますけれども、一つここで黒澤参考人にどうしても強調しておきたいと思うことは、なぜ興銀が債券発行、それからCBとか外債発行の主幹事の大部分を占めたか。日本の債券発行の歴史の仕組みがあるはずなんですね。私も実はCBの発行について日本興業銀行を主幹事にした経験がございます。
 この仕組みというものをぜひとも詳しくお述べいただきたいと思います。
○参考人(黒澤洋君) ただいま星野先生からありがたいお言葉をいただきまして、まことにありがとうございました。長年お取引いただきまして、まことにありがとうございます。
 私どもの銀行が、興銀よ、おまえもかとおっしゃいましたが、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、当時としても社会通念を逸脱するようなことをしておるわけでございまして、まことに恥じ入る次第でございます。
 社債について大部分を興銀がやってきた、これはなぜかと、こういう御質問がございました。ちょっと歴史的な経緯がございまして、私どもの銀行、一九〇二年に日本興業銀行法という法律でできましたのですが、半官半民のようなことでございました。ただ、そのころはいわゆる銀行業務と証券業務を兼営しておりまして、実績といたしましては社債の引き受けの九〇%は興業銀行が終戦直後までずっと独占しておりました。
 ところが、一九四八年、終戦後三年たちましてアメリカ風の証券取引法というのが導入されまして、銀行が引き受けをするのはおかしいということで、GHQのアイデアだと思うんですけれども、証券会社にこれは引き渡せということになりましたのですが、その直後の一九五三年に戦後最初の政府保証債というのが出ました。実は、銀行がやるのはおかしい、証券会社に引き渡せということで、証取法でそうなりましたのですが、当時は証券会社は引き受けても販売能力が余りなかった、結局私どもが受託銀行として実質その販売を取り扱った、実態は協調融資であったようなことでございます。一九五三年に最初の政府保証債が出まして、そのときに御当局が、やはり起債会は興業銀行が何十年の経験があるからこれに相談しようということで、私どもを選んでいただいたということでございます。
 そういった歴史的な経緯から、政府保証債あるいはいろんな債券について私どもが主な幹事とか受託銀行の地位を占めさせていただいているようなことではないかというふうに思っております。まことにありがたいことだと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。
○星野朋市君 終わります。
○山崎力君 改革クラブの山崎と申します。
 まず最初に、松野参考人にお伺いしたいと思うんですが、今までの討論その他を聞いておりましての私の感想も含めてなんですけれども、証券、銀行とも松野参考人が局長をされていた当時はいわゆる護送船団方式という形で、なるべく破綻をさせたくない、丸くおさめていきたいということだったと思っております。その政策の是非はともかくといたしまして、となればそういった下世話に言うやばい状態になった証券会社、そういったものをどういうふうに立ち直らせていくか、救うかというようなことの業績悪化を防ぐための相談というのは局長レベルまで上がってきていたんでしょうか、どうでしょうか。
○参考人(松野允彦君) 私が証券局長をやっておりましたのは平成二年から四年まででございますけれども、当時、もちろん今御指摘のような護送船団方式といいますか、なるべく一番船足の遅い会社についても成り立つような行政が行われていたというような御指摘があります。確かにそういう面が全くなかったと言うつもりはございません。
 ただ、私が行政を行っておりました期間は、むしろそういうことをやめて証券、銀行、相乗りをする、証券市場もそれによって機能を拡大するというようなことで、いわゆる制度改革法を国会で御審議いただいて、ちょうど私がやめる寸前に成立をさせていただきまして、その後実施に移されているわけでございます。
 そういったようなことから、私としては護送船団方式が残っていたということについて否定するつもりはございませんけれども、方向としてはやはり、今申し上げましたように、銀行、証券、特に証券市場に新しいプレーヤーを導入して証券市場を拡大する、そのためには基本的に従来の証券会社も自己責任でもう少し競争をしなきゃいけないというような経営環境になっていくというのを覚悟してほしいということを申し上げておりました。あわせて、本当は破綻をした場合のいわゆるセーフティーネットをつくるということも必要だったわけでございますが、証券界についてのセーフティーネットにつきましては、残念ながら私の局長時代にはそこまで手がつかなかったということはございます。
 ただ、基本的に私の行政の姿勢としては、今申し上げたように、従来のような破綻をさせないで護送船団でいくというような考え方はとっていませんでしたし、また現実に私がやっておりましたときにそういう証券会社が出そうだというようなことは私はなかったと思います。
○山崎力君 黒澤参考人にお尋ねします。
 今回の審議している法案と絡むことなんですが、いわゆるビッグバンを控えて、会長の目から見て日本の銀行が今のままの姿ですべて、都銀以上ということで結構ですけれども、成り立つとお考えでしょうか。
○参考人(黒澤洋君) 日本の銀行、百四十八でございますけれども、そのすべての銀行が国際的なビッグバンに耐え得るということはあり得ないと思います。どこの国でも国際的な競争力を持っている銀行は四つとか五つとか六つとか、そのぐらいでございまして、日本はいわゆる部長銀、信託だけで十九行ございます。その上、地方銀行もニューヨーク、ロンドンに支店を持っておられるところが十も二十もありまして、ちょっとこれは多過ぎるわけでございまして、山崎先生御承知のように続々撤退しておりますけれども、そういうことで私は世界的なビッグバンの中で国際的な競争に耐え得る銀行というのは十行以下ではないかというふうに思っております。
○山崎力君 そういう御認識で、もしそうであるならば、今のいわゆる政府の十七兆の資金を導入できないといいますか、それで破綻するところは早目に破綻した方がいいんじゃないかと。それが日本の金融システムを揺るがす事態になるとしても、それは将来のビッグバンのときに、それが持ちこたえていたところが一斉に倒れるという事態に比べれば、かえってコントロール可能ではないかという考え方も成り立つと思うんですが、その辺の御感想はいかがですか。
○参考人(黒澤洋君) 今、山崎先生のおっしゃいましたことは非常に高度の政策判断を伴うようなことでございまして、御当局あるいは政府においていろいろお考えがあることと思います。私がいたずらに私見を申し述べるような性質のことを超えているような気がいたしますので御勘弁いただければと思います。
○山崎力君 であるならば、単に今の政府のやり方は非常に歓迎するということは余りおっしゃらない方がよろしいのではないかと思うわけでございます。
 それはさておきまして、本題といいますか、余り愉快でない話なんですが、今回の貴行の問題でいえば、世間一般の一番の関心はどこにあるかといえば、これは氷山の一角なのか、それとも特異な事例なのかというところだろうと思うわけでございます。世間は氷山の一角だろうと見ておると言っていいと思うんですが、会長の立場からすればこれは特異なケースだというふうにおっしゃりたい、その辺のところの接点がどこにあるのかということだろうと思うんです。
 その点でお伺いしたいのは、先ほどもおっしゃっていましたけれども、接待ということが今回は供応という形のあれになってくるわけですけれども、やり過ぎだったという、反省しているということは認めているわけですが、こういった接待が井坂何がしだけの問題であったのか。本来の民間企業とすれば、お得意様に対して御接待申し上げて商売をよりよくやろうとするのはある意味では当然なわけでございます。
 ですから、いわゆる対反間、それから対公務員、それから準公務員も含めて、そういったもので違いがあったのかなかったのか、当然お調べになっていると思いますが、その辺はどうなっておりますでしょうか。
○参考人(黒澤洋君) 山崎先生のおっしゃった接待あるいはお言葉を拝借すれば供応ということでございますが、公務員、準公務員につきましては、私どもとしてもそれなりの注意を払いまして控え目にやってきております。一般の取引先に対する接待、供応でございますが、それの方がはるかに大きな金額でございます。
 ただ、だからいいじゃないかということは言っておりませんで、特に公務員、準公務員に対する接待はもうやめるということにしました。かつてやっていたのが当時としては社会通念で許されるんじゃないかということも申しません。当時としても許されなかったことでございます。深く反省しております。
○山崎力君 そのことを余りおっしゃいますと、かつての公務員の方々も背筋が寒くなるような形になろうかと思うので、いい方向に行っているわけですからいいわけですけれども、むしろ正直にかつてはこの程度のことは許されると思ってやっていたけれども今振り返ってみるとというふうに言われた方がよろしいかと私は今までの発言を受けて思うわけでございます。
 そこで申し上げたいのは、今やめたということであるならば、井坂何がしに対する接待が注意していた公務員に対する、あるいは準公務員に対する接待あるいはそういったものと違っていたのか違っていなかったのか、そういった立場の公務員の方とのあれで。その辺はどう御認識でございますか。
○参考人(黒澤洋君) 井坂元理事に対する接待がどういうふうであったかということにつきましては、ただいま検察でお調べの最中でございますので、私どもといたしましては発言は控えさせていただきたいと思います。したがって、他とどうであるかということについでも御勘弁いただければと思います。
 正直に言えと、そのころは本当はいいと思っていたと、今考えると間違いだということの方がいいんじゃないかという山崎先生の御忠告でございますが、先ほど申し上げましたように、私はやっぱり五万円、七万円、あるいはもうちょっと超えるようなこういう接待をやっていでいいのかと、おかしいなということを当時から考えておりました。これは公務員、準公務員だけではございません。私個人の考えでございますが、民間でもこういう接待ということは、国際的に見てこんなことをやっているのは日本だけですから、順次改めていかなきゃならないことだというふうに考えております。
○山崎力君 言葉じりで恐縮なんですけれども、公務員に対して五万、七万という接待が過剰であったとするならば、民間にはどれだけの金額で接待していたのかというふうなこともあるわけで、それが成り立つ商売というのは非常にうらやましいとちょっとひがみ的な言葉も言いたくなるわけですが、まさに今おっしゃられた検察の捜査中であるからしてというこの言葉が今回の問題の核心だろうと思うわけでございます。
 要するに、行員としてほかの方たちと同じようなことをこの井坂何がしにしていたとすれば、それは一つの社員としての義務を果たしたにすぎないわけでございます。要するに、主幹事をとるために重要な人物である、とりたいと、だからふだんの接待を超えてやったということになれば、これはまさに社としての業務に伴う違法行為というふうになってまいりますし、それから逆に、井坂何がしという特異な人格がその地位を利用して接待を求めた、それを断り切れなかったということになればまた違った展開も出てくるわけです。
 そこのところをみずからはっきりしない限り、私は確かに公判を控えての問題点はあろうかと思いますけれども、その辺のところはもう既に行内ではしっかりした報告が会長に上がっていると思いますが、その辺のところを踏まえて、公判に差し支えない限りでの一歩踏み込んだ答弁は可能だと思いますのでその辺をお答え願えればということで、そろそろ時間でございますので私の質問を終わらせていただきます。
○参考人(黒澤洋君) ただいま山崎先生の難しい御質問でございますが、特に最後の方に山崎先生が言われました井坂理事からこういう接待をせよ、こういうことをせよという御要求、御要請があったことはただの一度もございません。
○委員長(石川弘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人御両名には御苦労さまでございました。
 参考人の方々は退席していただきまして結構でございます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(石川弘君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 平成九年度の新生産調整推進助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院大蔵委員長村上誠一郎君から趣旨説明を聴取いたします。村上大蔵委員長。
○衆議院議員(村上誠一郎君) ただいま議題となりました平成九年度の新生産調整推進助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 本案は、去る十日、衆議院大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものであります。
 御承知のように、望ましい水田利用形態に可能な限り誘導する見地から、稲作転換を行う者等に対し、政府等から新生産調整推進助成補助金等を交付することといたしておりますが、本案は、平成九年度の同補助金等に係る所得税及び法人税についてその負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。
 すなわち、同補助金等のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は、その収入を得るために支出した金額とみなし、また農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に、事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には圧縮記帳の特例を認めることといたしております。
 なお、本案による国税の減収額は平成九年度において約五億円と見込まれるのでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案の提出を決定するに際しまして内閣の意見を求めましたところ、稲作転換の必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。
 以上が本案の提案の趣旨とその概要であります。
 何とぞ速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(石川弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 質疑、討論も別にないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 平成九年度の新生産調整推進助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(石川弘君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についでお諮りいたします。
 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行理事山口泰君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(石川弘君) 預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 自民党の林でございます。
 時間が十分ということでございますので短い時間でございますが、せっかくでございますから重点を絞ってお聞きをいたしたいと思います。
 まず預金保険の方でございますが、この保険料についていろいろ同僚の諸先生からも御議論があったように記憶をしておりますが、この新しい法案といいますか、預金保険法五十一条の二項に、特定の金融機関についてはこの保険料率について差別的な取り扱いをしないという規定がございます。今回の法案云々ということではなくて将来的に、二〇〇一年三月からペイオフをやっていくということでございますが、私は、特にアメリカのように、ある程度これは保険でございますからリスクに応じて、リスクの高いところはそれに応じた料率を払っていただくということが検討されてしかるべきではないかな、こういうふうに思っております。
 例えば、早期是正措置を導入する場合に、八%を切ったらこうだ、六%を切ったらこうだ、その上はないわけでございますけれども、自己資本比率が多ければ多いほど銀行としては大変に安定をしておるということが言えると思いますので、そういうところには逆に保険料率を下げてあげるということも考えてもいいのではないかなと、こう思いますが、そういうような可変料率という考え方とこの五十一条の二項の特定の金融機関について差別的取り扱いをしないということが矛盾しないのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
 アメリカでも可変保険料率に変わっております。その考え方は、今、林先生のおっしゃったような考え方のとおりだと思いますが、現在の状況、我が国の場合を翻って考えてみますと、経営がいま一つという金融機関に高い保険料を課して優良な金融機関には安い保険料となりますと、せっかく自助努力でもって立ち直ろう、あるいはよりよい銀行になろうとしているところの再建を困難とするのではないかという感じがしますので、現在のところこの導入は非常に難しいと考えておるわけでございます。
 そこで、預金保険法の考え方も、今御紹介いただきましたように、差別的であってはならないとなっておりまして、予定しておるものはやはり一律の料率という考え方が基本だと思います。したがって、複数の保険料率を導入するということになりますと、この辺の規定をどういうふうに扱うべきかという問題が生じてくると私は考えております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 将来的にそのような必要性が出てきた場合はこの五十一条二項を含めて見直していかなければならないのではないかな、早くそういった正常な状態に戻すためにも今回の二法案というのは大変に大事になってくるな、こういうふうに思っておるわけでございます。
 きょうは日銀にも来ていただいておりますのでちょっとお聞きをするわけでございますけれども、今回のこの金融安定化のシステムづくりの中で、特に同僚の議員の皆様からも御議論になっていたのは、特定の銀行の救済ではなくて金融システム全体の安定性を守るといいますか、つける、こういうふうにやっていく、特定の銀行の経営の救済ではないということでありました。
 こういうところにかんがみまして、実は日銀でRTGSの導入というのを今やられておるわけでございます。これはどういうことかといいますと、銀行間で決済をいたしますときに、ほとんどの決済はまだ時点決済といいまして、例えば九時、十三時、十五時どここまでずっと持っていて、そこで一斉に決済をするという方式がとられておるわけでございますが、諸外国を見ますとほとんどこのRTGS、リアル・タイム・グロス・セトルメントといいましで、その決済が銀行から出てきた瞬間にそれぞれの取引を落としていく、こういう方法を導入しております。銀行にとってはその都度資金の需要が出るものですからまだまだ両方やっていいよということになっておりまして、RTGSを使っておる比率が一%に満たない、こういう状況でございます。日銀さんの方でもたしか二〇〇〇年だったと思いますが、をめどに全部これに移行するということをやっております。
 まさにこの時点ネット決済をやっていると、一つの銀行が破綻しますとほかの銀行にこの決済がどんどんと行く。RTGSにしてしまえばある程度そこは、一つの銀行が不渡りを出してもほかの決済に行くということをとめられるのではないかと私は思っておりまして、こういう趣旨で公的資金を入れるのであればこのRTGSの導入を二〇〇〇年と言わずもう少し前倒ししてやっていただいたらどうかな、こういうふうに思うわけでございますが、その点について日銀はいかがでございましょうか。
○参考人(増渕稔君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、中央銀行におきます決済のRTGS化をいたしますと、決済システムの安定性が向上いたしまして、金融システムの安定、信用秩序の維持に資するということでございまして、私どもでもこのRTGS化の早期実現に向けまして現在最大限の努力を重ねているところでございます。
 ただ、このRTGSへの切りかえということに当たりましては、金融機関の実務に相当大きな変更をもたらすということでございまして、私ども日本銀行、それから民間金融機関のそれぞれにおきまして相当大きなコンピューターシステムの新たな開発を行うとか、それからこれまでの取引や決済のやり方を見直す、変更するということが必要となってまいります。したがいまして、RTGSへの移行につきましては、その目標を現在西暦二〇〇〇年末というところに一応置きまして、その上で市場関係者が力を合わせていくというのが実務的に見ますると精いっぱいのところであるということでございます。
 ただ、そういうことでございますけれども、できるだけ早くRTGS化したいというのは私どもの願いでもございまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えておりますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○林芳正君 システムの変更等大変に難しいということはよくわかりますけれども、今回のこういう措置でありますから一刻も早くこのRTGSが入れるように、そして今でも使えるわけですからできたところからどんどんこのRTGSに移行してもらえるように御指導をお願いしておきたいと思います。資料によりますとまだ〇・一%だそうでございますからもっとどんどんと使うように、また大蔵省の方からもそういう御指導ができればしていただきたいと思います。
 それから、時間もございませんのでもう一問だけ大蔵省にお伺いをします。
 今度のこの公的資金を入れるかどうか最終的な判断というのは閣議まで行くわけでございますけれども、その前の金融危機管理審査委員会、これが七人の構成で一人でもだめだと言えば入らないという大事なところでございますが、ここにだれが入るかというのは大変に大事な問題だと思います。報道によりますと、何人かもう内定されておられるということが新聞に出ておりましたけれども、この法案が通ってから正式にそういう人選になると思いますが、私は、「経済又は金融に関して優れた識見と経験を有する者」という規定が十五条にございますけれども、これを日本人に限定して考える必要はないのではないか、こういうふうに思っております。
 特に今回は、金融システムの安定化ということをアメリカで十年前やった経験があるわけでございますから、例えばそういった方を起用することによって海外の格付機関に対する影響や資本市場や為替市場、株式市場に対するプラスの影響というのがあるのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、この定義を日本人に限るのかということを含めてお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 先生御承知のように、公務員に関しましては公権力の行使または公の意思の形成に参画するということから日本国籍を必要とするものとされております。今御議論の審査委員会の審議委員は公務員ではございません。しかし、その職務の内容は、閣議の決定を要するような国の信用秩序の維持にかかわる大変公共性の高い重要な意思決定に関与するものでございます。こうしたことを考えれば、審議委員に外国籍の者を任命することについては極めで慎重に考えることが適当だと思います。しかし、先生がおっしゃいましたいろいろな外国の人の御意見を聞くとか、プロセスにおいてそういった意見を参考にする、そういうことは大変大切なことだと思っております。
○林芳正君 専門委員というのもございますので、ぜひよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○今泉昭君 民友連の今泉でございます。
 最初に、昨日の夕刊に出ていた記事について大蔵大臣にお聞きをしたいと思うわけでございます。
 この報道によりますと、アメリカのルービン財務長官が十一日の下院歳入委員会の証言におきましてアジアの通貨・金融危機に絡む日本の役割についでコメントをしているわけでございます。日本が内需主導の高成長を達成することが最もアジアの経済安定のために重要だということを述べた上で、これまで日本政府との間でいろいろ話をしてきたことが必ずしも十分に達成されていない、日本に対しては公的にもあるいは私的にもこのことについでは要望しているはずである、大変不満であるというような、新聞によっていろいろ書き方は違いますけれども、出ているのは御存じだと思うわけであります。
 そしてまた、この報道によりますと、デーリー商務長官が十五日から日本を公式訪問しまして、日本の内需喚起についていろいろと日本政府との話し合いをするということになっているそうでございますが、このことにつきまして大蔵大臣も十分御承知のことだろうと思います。
 そこで、これまでアメリカ政府からどのようなことがこの内需刺激について、景気対策について言われてきたのか、そしてアメリカ側がそれを不満としてこの公聴会で言っているようなことはどういうことを意味しているのか、まず大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
 そして、あわせまして、こういうことが言われているわけでございますから、これまで自民党の首脳がいろいろと個人的にも発言をされているように、さらなる景気刺激が必要であるという言葉が方々から聞こえてくるわけでございますが、大蔵大臣としてこれらにつきまして今後そのような考え方を政策に取り入れていくつもりがあるのかどうか、まずお聞きをしたいというふうに思います。
○国務大臣(松永光君) 私が御答弁申し上げる前に過去の経緯について総務審議官の方から答弁させまして、その後に私の見解を申し上げたい、こう思います。
○政府委員(溝口善兵衛君) 米国を含めまして先進工業国間では、G7の会合だとかあるいは蔵相代理の会合だとかで世界経済の問題あるいはアジアの問題あるいは各国経済の問題が議論されます。そういう場を通じまして各国の経済政策等についての意見が交換されるわけでございます。
 そういう中で、例えば秋にG7の蔵相会議が香港でございますけれども、そういう場では成長が力強い国についてはインフレに気をつけなければいかぬというようなコミュニケがございますし、それからその他の国の主要課題は力強い内需主導の成長を物価の安定を損なうことなく達成することであるとか、そういう意見交換があるわけでございます。そういう中で、アメリカを含めほかの国々も、成長が弱いところは力強い成長を目指すべきであるというようなことは言っていると思います。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 今、委員の御指摘になりましたルービン財務長官の発言については、私どもも新聞等を見でほぼ承知しておるところでございます。要するに、日本に対して内需主導の経済成長をしっかりやってもらいたい、そういう要望的な演説だったろうと、こう思うのであります。
 私どもとしては、日本の財政状況、経済状況を考えて、二兆円の特別減税とかあるいは補正予算で公共事業の追加策とかを御協力によりまして成立させていただいて今それを実行に移しておるわけでありますが、それに加えて今御審議願っておる金融安定化二法案、これも成立させていただきましたならば直ちに実行に移して日本の金融システムの安定化をしっかりやってまいると。それにまた、間もなく本予算の審議をお願いするわけでありますが、本予算も成立したならば速やかな実行に移す。こういったもろもろの施策を総合的にかつ速やかに実行することによって相乗効果と相まって景気は順調に回復軌道に乗るものと、私どもはこう考えておるわけでありまして、ひたすら国会における法案の成立あるいは予算の成立をお願いしておる。そして、成立させていただきましたならばしっかり実行してその状況を見守るという姿勢でいくというのが現在の私の立場でございます。
○今泉昭君 今回提案されましたこの金融二法案、何回もお聞きしておりますように、我が国の金融システムの安定、それから信用の確立という意味でそれなりの大変重要な意味を持っていると私は思うわけでございますが、どうもこれまでの政府の対応というのは柔軟に物事に対応していくという姿勢が非常に欠ける一面が強いのじゃないかと思うわけです。
 例えば、昨年の臨時国会で論議をいたしました財政構造改革法案におきましても、景気対策というものには全く目をつぶってしまって、とにかく財政再建だ財政再建だと。あの問題は両面から押してできないわけではなかったにもかかわらず無理やりに財政再建のための法律を通してしまったという印象を大変強く持っているわけでありまして、その結果今日の抜き差しならないような不況の心配まで出てきているわけでございますけれども、この金融システムの安定におきましてもその一面が私は大変強いと思うわけです。
 例えば、今回出されている早期是正措置に見られるような対策に目を向けてみますと、要するに分母をできるだけ少なくして分子の部分をいかにして大きくしていくか、その部分の一つに公的資金の導入をされていくわけですけれども、分子の部分を大きくする場合には、公的資金導入だけではなくして、景気とのかかわり合いというものが大変強い分野が実はあるのじゃないかと思うんです。
 私が言うまでもないんですが、バブルの崩壊以来、我が国には株式市場というのはなくなってしまった、あるいは土地の市場が全くなくなってしまった。そこから生まれてきたところのいわゆるマイナス要素、経済の停滞要素というのは非常に大きいわけでありまして、実はこれらに焦点を当てた景気対策というものを大幅にとれば、今回の三十兆なんというような大きな金額を注入することだけじゃなくして、例えば景気刺激によって株式市場が活発化すれば当然内部資本の充実につながっていくわけでございまして、そういう面に向ける目が大変弱いのではないか、一方にばかり偏る面が強いのではないかと思うわけです。
 そういう点をアメリカサイドから見るならば、何ともじれったくてしようがない。こういう意味で盛んに内需刺激を要求してきているんじゃないかと思うわけでありまして、さらに景気刺激策という意味で考える余地は大蔵大臣としてはありませんか。
○国務大臣(松永光君) これから平成十年度の予算の審議をお願いするところでありまして、私どもはこの予算を日本の財政状況を考えると最良のものとして編成をし御審議を願うわけでございます。したがいまして、まずはこの予算の速やかな成立を図っていただけるようにお願いするのが第一でございます。
 今、委員御指摘のように、株式市場が活発化して株価が上がってくれば、それは銀行の内部資産がふえてくるわけであります。そのために何をすべきかという話でございますけれども、株価についてはこれは私がいろいろ発言することは差し控えなきゃならぬわけでありますが、ただ、先ほど申したように、二兆円の特別減税とか補正予算とか、そしてこの金融安定化法、こういったものが実行に移されてくればそれぞれが相乗効果を発揮して、それが結果的には株式市場の活性化にもつながっていくであろうと、そういうふうに私どもは期待をしておるわけでございます。
○今泉昭君 この問題は後ほど時間がありましたらもう一度突っ込んでお聞きしたいと思うんですが、きょうは日銀の方からお忙しいところおいでいただいておりますので日銀に金利政策について少しお聞きをしたいと思うわけであります。
 ここ数年間のいわゆる家計と金融機関の財産所得の動向を見てみますと、バブル崩壊以降の我が国の低金利政策によりまして家計におけるところの財産所得というのが急速に減ってきているわけです。これに比べまして金融機関のいわゆる財産所得というものが急激に伸びていっているわけです。
 例えば、国民所得統計で見てみますと、九年度はまだ出でおりませんが、平成八年度では何と二十四兆三千億まで膨れ上がっている。家計におけるところの財産所得と金融機関の財産所得を比較してみまして、金融機関の財産所得の方が一般家計の所得よりも上回ったことなんて今までないわけですよ。これは、逆転現象が起きているのは明らかにバブル以降の低金利政策でありまして、先ほど申し上げましたように、金融機関で何と二十四兆三千億の財産所得があるにもかかわらず、家計におけるところの財産所得というのはわずか十五兆六千億になってきまして、これは史上最低と言っていいぐらいに、ここ数年間の中では最低と言っていいぐらいに減ってきている。結局これは低金利政策のために所得の移転が行われたわけでございます。
 これまでこの委員会で日銀総裁にいろいろ同じようなことがお尋ねされているわけですけれども、その中で、いずれ平準化してくる、これは時間の問題だと言っておられたわけですけれども、八年度ですらこのように大幅な増加でございます。しかも、これはその前の年よりもまだふえているという状態でございまして、私はこういう状態において依然として低金利政策をとっているということが、今、大蔵大臣にも申し上げましたように、この金融システムの安定ということに対して、景気に対して足を引っ張る役目が大変大きいのではないだろうか、こういう懸念を実はしているわけであります。
 あわせまして、連続してお聞きしておきますけれども、実は今回の三十兆円の資金投入ということは、いわば金融機関のリストラということにつながるわけでございます。例えば、民間の一般的な企業がリストラをするときは、そこの経営者を初めそこに働いている人たちがリストラをするためにいろんな意味で不便を強いられるわけです。我慢を強いられるわけです。お互いに労使が我慢をし合ってその再建をやっていくということなんですが、今回の公的資金の投入というのは一般企業以上に国からいろいろな意味で面倒を見てもらっているわけです。
 ところが、週刊誌等の報道を見てみますと、一般の国民が預金をした場合に、普通預金はどうでしょうか、〇・何%ぐらい。一年物の定期預金でもそれこそ〇・三%か〇・五%ぐらいだと言われているにもかかわらず、銀行で働いている人たちは三%以上、あるところでは五%という特別の金利でもって預金をしているという状態。これは普通の事態ならば大いに結構だと私は思うんですよ。そこに働いている人たちの福利厚生という面で大いに結構なことなんですが、今、公的資金を導入しよう、それを受けようというような状況は異常事態、緊急事態。
 そういうところにおいてそういうことが行われているということは、一般の国民に対してこれは申し開きができないことじゃないかと思うんですが、どのように考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○参考人(山口泰君) お答え申し上げます。
 最初に金融機関の収益の動向についての御質問がございました。先生が御引用なさいました国民所得統計における金融機関の所得につきまして、実は大変申しわけないのでございますが、その内容をふだん私どもが使っております金融機関の業務純益というような数字とどこが同じでどこが違うのか十分詰め切れておりませんので、金融機関の業務純益というような数字でちょっと私どもの理解しているところを申し上げさせていただきたいのでございます。
 御指摘のとおり、公定歩合を現在の水準に引き下げました九五年度におきましては、この利益が前年対比で五〇%ほど大幅に増加いたしました。以後、公定歩合はその水準で据え置いてきているわけでございますけれども、九六年度になりますと業務純益が減少に転じまして、全国銀行で五%ほど減少しております。九七年度はまだ終わっておりませんので上半期しか数字が出ておりませんが、前年度対比で一〇%減少しております。年度を通計いたしますと、今まで出ております金融機関の決算見通しなどをベースに推計する限りは、恐らくこれは一〇%よりももうちょっと大きな減少になる可能性が強いというふうに考えております。
 したがいまして、まず最初に金利が下がりますとどうしても預金金利など期間の短いもののコストが下がりますので利益がふえるというくせがございますけれども、それは貸出金利の引き下げなどになって企業あるいは住宅ローンなどを利用なさる家計にだんだんそれが及んでいくということになってまいります。
 そういうわけで、金融機関にとりましては運用面での金利の引き下げの方がコスト面よりも多少おくれて出るというくせがございますのでただいま申し上げたような推移になってきているというふうに理解しております。大きな流れといたしましては金融機関の利益が減少方向に向かっているということではないかと理解しております。
 それから次に、金融機関の社内預金等の金利につきまして、これは日銀からお答え申し上げるのが適切かどうかよくわからない面もございますけれども、基本的にはこれは労働省が福利厚生行政の一環といたしまして社内預金制度についての労働省令というもので社内預金の最低金利というのを定めております。現在、社内預金の最低利率は一%ということになっているようでございます。私どもは、幾つかの金融機関におきまして一%より多少高目の金利がついているところがあるというふうに耳にすることはございますが、必ずしも全貌を把握しているというわけではございません。
 ただ、いずれにいたしましても、今、先生まさに御指摘のとおり、金融システムについて内外からの信頼を確立していく、取り戻していくということが何よりも大事な時期でございますから、金融機関におきまして自助努力を一層していただき、経営全般にわたりましてリストラなりディスクロージャーの拡充なり、そういった努力をぜひともお願いしたいと私ども考えております。
○今泉昭君 社内預金の問題はむしろ政府側に聞くべきだっただろうと思います。失礼しました。
 確かに、労働省では一%を最低にして指導していることは間違いないわけですが、どちらかといえばこの低金利の状態の中で社内預金をどんどんやめているような状態でございます。そういう意味で、ふだんのときならいいわけですけれども、こういう面について、これは一つの緊急事態の状態ですから、これらについて金融行政を預かる大蔵省としてはどう考えていらっしゃるのか、ひとつお聞きしたいということ。
 もう一つ、もう時間が全くなくなっちゃったのであれなんですが、私こういう話を実は聞いているわけです。これは利子の問題とは別ですが、実は銀行側としては、厳しい状況の中で、赤字決算をしたかったんだけれども、大蔵当局の行政指導において黒字決算をせい黒字決算をせいという形で大分指導をされたと。本当のことを言うならば赤字決算をしたかったんだと。それによって七兆円ぐらい銀行業界としては余分に税金を払わなきゃならなくなっていると。というのは、まだまだ銀行業界全体のリストラ、金融システムの安定というのは先の話だからという形で行政指導を受けていたという一面をうかがわせるような、銀行業界からの聞き取り調査なんですけれども、そういう形の指導をこれまでやってきたことがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。これで私の質問は終わります。
○政府委員(山口公生君) 社内預金等のそうした措置につきましては、これは福利厚生施設でも同じだと思います。いろいろそうしたごとについては、ある面では福利行政の観点からの必要性もあるでしょう、あると思います。しかし、一方でこういった公的資金の議論があり、国民の皆様の御理解が得られなければならない事態に立ち至っておりますので、そこは各銀行においで実態に照らし適切な対応をしてもらうのが筋であろうと思います。
 それから、先ほどおっしゃいました赤字なのに黒字の決算を強いたということについでは、私は具体的にはちょっとその例を今つまびらかにできるほど検証はしておりませんけれども、事前調整的な行政が過去に行われていたとすれば、その中の一環としてそういうふうなことが全然なかったのかと言い切れない面もあるかと思います。しかし、これからじゃなくて、最近そうだと言わせていただきたいんですが、事後チェック型といいましょうか、あるいは自律、自己規制型といいましょうか、そういう行政にどんどん変わってきておりますことをぜひ御理解賜りたいと思います。
○今泉昭君 終わります。
○牛嶋正君 公明の牛嶋正でございます。私も、非常に限られた時間でありますけれども、大蔵大臣に対しまして若干の質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 昨年の秋の金融機関の相次ぐ破綻により預金者の不安と動揺が広がりつつあったころに比べますと、ことしに入ってからの金融市場の状況というのは小康状態を保っているのではないか、私はこんなふうに思っているわけであります。
 こういった最近の金融市場の状況について、大蔵大臣はどのように考えておられるのか、また我が国の金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない危機的状態というのは一応遠のいたと見でいいのかどうか、このあたり大蔵大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 大臣のお答えの前にちょっと事実関係等を申させていただきたいのでございますが、確かに昨年の十一月、十二月は、よく最近でも報道もされますけれども、大変危機的な状況に近い状態であったと言わざるを得ません。それが年を越しましてから小康状態だという表現をなさいましたけれども、それも私はある程度当たっている議論だと思います。ただ、それもある意味ではいろんな対策が出てきたという面も、自画自賛してはいけないのでございますけれども、そういった面もあるのではないか、安心感が少し出始めているのではないかという感じがいたします。
 しかし、次の三月期末ということになりますと、やはりそこに向けては、完全にこれで信頼が回復されたと断言をできるほどの自信を皆さんがお持ちになっているかどうか、これは政府が持つよりは金融機関の方々あるいは企業の方々がどう持つかの問題でございますので、そういった状態に今あるんじゃないかという感じがいたします。
○国務大臣(松永光君) 今、局長が御答弁申し上げたと同じでございますが、おかげさまで一時の大変心配されるような状態は乗り越えてきたんじゃなかろうかと。委員の言葉をかりれば小康状態になってきているという感じ、私も同感でありますが、しかし三月期決算を前にして今後どう動いていくか、やはり懸念は残っておるわけでありまして、その懸念が完全に払拭できるように、そうするためにこの法案の審議をお願いし、速やかな成立をお願いしている、こういうことでございます。
○牛嶋正君 幾つかある懸念の一つなんですけれども、預金の全額保護のための対策をとられましたけれども、これに関連いたしまして私一つだけちょっと懸念するところがございます。
 それは、恐らく一般金融機関と信用組合に対する預金者の信頼度といいますか、信用度といいますか、これはやっぱり若干差があるんじゃないかと思うんですね。今回の預金保険法の一部改正によりまして、これまでの信用組合だけじゃなくて、一般金融機関につきましても差別なく保護をしていくということになりました。そういたしますと、今までの何か歯どめがここで取り払われてしまうのではないかと。そうしますと、信用組合から一般金融機関へ向かって預金が流れるんじゃないかと。もしそういうことになりますと信用組合の経営不安というものが考えられるわけですが、この点について大蔵省はどのようなお考えを持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 全体的な感じを正確に申し上げることはなかなか難しゅうございますが、私どもが見ている感じではややすみ分けは進んできたかなという感じがするわけでございます。
 といいますのは、店舗を出せばもうかるという時代ではなくなっているわけでございまして、昔は都銀がどんどん店舗を申請して店舗をたくさんもらってあらゆるところに出ていきました。そうしますと、もしそういう状態でありますと、今、牛嶋先生がおっしゃったような懸念というのはいろいろ出てくるかもしれません。しかし、最近はむしろ撤退しようとしている、あるいは店舗を統合しようとしているというような状況の方が強くなっております。
 店舗行政、昔はこれが切り札だというようなことを言われた時代があります。今はもう店舗はむしろ縮小傾向にあるということでございます。そうしますと、それぞれやはり得意な分野でのすみ分け、あるいは地域性でのすみ分け、あるいは職能別といいましょうか、お客様、顧客別のすみ分けというのはやはりむしろ進んでくる傾向ではないだろうかなという感じがいたしておりますので、懸念が全くないと私は断定はできませんけれども、少ないのではないかという感じはいたします。
○牛嶋正君 今回の措置によりまして預金保険機構に新設されます金融危機管理勘定でございますが、この勘定がうまく機能していって金融システムの安定化に寄与していくためには、この勘定が国民の目から見て極めて透明な形で運営されなければならない、これが大前提ではないかと思います。しかも、十三兆円の公的資金を導入するわけですから、その面からいいましても透明性の確保というのは非常に必要だと思います。
 そのためには、金融機関側からいたしますと、これまで言ってまいりましたように、自己責任原則を確立し、情報開示を徹底し、そしてまたできるだけ市場原理を活用していく、こういった前提条件を守っていかなければならないことはもう明らかだと思います。
 これに対しまして金融行政側はどうなのかということです。私は、金融機関の発行する優先株等の引き受けの場合の審査基準にできるだけ客観性を持たせる、これが第一番目に求められることではないかと思います。客観性であります。この点について大蔵大臣のお考えをお聞きいたします。
○国務大画(松永光君) 情報開示の必要性、これは委員御指摘のとおりだと思います。金融機関の方の申請に基づいて審査機関で審査をする場合の基準の話でございますが、これは審議を願っておる法律を土台にして、そして両院における委員会の審議状況等も参考にしていただいて委員の先生方が協議をして基準を定めていただくわけでございます。その基準に基づいて審査をしていただき、全会一致ということで、そして議事録の要旨は公表するということによって国民の前に明らかにする、そして決まったことはさらに閣議の了解を得る、こういう仕組みにいたしておりますので私はこれで公正さは確保されるというふうに思っておるところでございます。
○牛嶋正君 その審査委員会、この構成メンバーをいろいろとお考えになっておられますが、これが公正、公平に幾ら行われても、審査基準に裁量が入るような余地があればなかなか透明性を確保することは難しいのではないか、私はこんなふうに思っております。
 この審査基準に当たりましては、二つに分けておられます。一つは破綻処理における受け皿金融機関に対するもの、それからもう一つは一般金融機関に対するものであります。このうち受け皿金融機関に対するものにつきましては、私はこの基準の中には客観性が含まれていると思っております。
 それはどういうことかというと、受け皿金融機関になったために自己資本比率が悪化したということですね、これはもう非常にはっきりした客観性がある。ですから、この後の文言で、信用秩序の維持及び地域経済の安定に大きな支障が生ずる場合というふうに書かれております。ここはもう非常にあいまいであります。ここでは非常に裁量が入る余地があると思うんです。しかし、今私が申しましたように、受け皿金融機関ということで特定化していますから、ここでその透明性は確保できると私は思っております。
 ところが、もう一つの一般金融機関の場合ですね、ここでは経営の状況が悪化していない金融機関という定義がされているわけです。何の客観性もここにはございません。ですから、その後非常に厳しい条件をつけたとしても、やはり裁量性の入る余地はぬぐえないわけであります。救済というふうな呼び方をされても、この基準のままではその救済ではないかという意見に対して結局は反論できないのではないかと。
 先ほども申しましたように、いかに審査いたします委員会が公明、公正にやられたとしても、この基準のところで客観性を欠くということになりますと、これは十分な審査基準にはなり得ないのではないか、こんなふうに私は思いますけれども、この点についてお聞きをいたします。
○政府委員(山口公生君) 先生のおっしゃっておられることにつきましては、そういった御批判をずっと御指摘されている向きがありまして、私どもの方ではできるだけそれは審査機関の方で客観的な形でおつくりいただけるようにということで国会等の議論を参考にさせていただきたいと、こういうことを申し上げておりますけれども、事の性格からして先生がイメージしておられるまでの客観性といいましょうか、こういう条件で数量的に、この場合に限るとかということができるのかどうか、またそれが適当かどうかということになりますと、もともとこの一般金融機関に対するものが危機管理という性格を持っておりまして、またそれが金融機関の救済ではなくて信用秩序あるいは金融システムを通じたまた日本経済全体の危機を回避するということでございますので、例えばその危機の度合い、あるいはそれがどういう社会現象を起こしているのかというようなことにもよると思います。それから、個々の銀行におきましても、財務状況は非常にいいんだけれども資金繰りがちょっと、マネーポジションが今きつくて大変だ、あるいは財務状況はそれほど最優等ではないけれども若干ローンポジションに近いとかいろいろあると思うんです。
 ただそういったときに、やはり国全体の経済の危機を救うための手段でございますので、ある程度そこには審査委員の方々が判断をし得る余地がなければ、またかえってこれが動きにくい、動かない。動かないと、せっかくここまで準備をしてお認めいただきましても、それが有効に活用しないということになりますと、せっかくやっても、きのう参考人が申されておりましたけれども、国際的な評価も下がってしまうということだってあり得るわけでございます。その辺はできるだけ客観性をということで私どもも審査委員会の方にお願いしたいと思っておりますけれども、若干そういう限界があるということも御理解賜れば幸いでございます。
○牛嶋正君 私、これは提案でございますけれども、アメリカのRTCの場合にもそうですけれども、コストテストというのをやりますね。ですから、申し出があった金融機関に対しまして公的資金を投入するその資金量と、それによって今おっしゃいました信用秩序が回復するあるいは地域経済の安定化が図れる、そこのいわばベネフィットの部分を何らかの形で数量化する、そして投下された公的資金との間の比較を行うというふうなできるだけ客観性を保つような努力をされる必要があるのではないか、そういうことを申し上げまして質問を終わらせていただきます。
○志苫裕君 預金保険機構が本来の役割を果たすために必要とする資金を調達する方法は、このスキームにもあるように、機構が政府保証の債券を発行して日銀が融資をする方法、あるいは同じ債券を財投で購入する方法、あるいはまた機構に直接税金を投入する方法、金融機関に優先株や劣後債を発行させてそれを財投、日銀または民間で引き受ける方法、さらにまた金融システム安定化機構というようなものをつくって、その機構が金融機関に出資をしたり、あるいは証券化した不良債権を引き受けたり各種の方法があり得ますが、それぞれの長短と、結論として今次のスキームに落ちついたその理由を御説明いただけますか。
○政府委員(山口公生君) 確かに、先生おっしゃいますように、いろいろな方法というのは考えられるかもしれませんが、今般の自己資本充実策におきましては、資金調達の方法としまして政府保証債の発行、日銀、民間金融機関からの借り入れとしておるわけでございますが、財投資金というアイデアにつきましては、預金保険機構が民間からの出資の入った認可法人ということもありましてなかなか直接財投の対象とはなりにくいというような性格もありまして、従来から資金調達は日銀及び民間金融機関というふうにさせていただいているということが事情としてまずございます。
 それから、優先株の引き受けを公的資金を原資としまして整理回収銀行というところが行うことにさせていただいておりますけれども、これは市場の機能というものが、和しばしば申し上げているように、すくみ現象を起こしたというようなことで、機能が十分でないという状況に外からなるべくマーケットというものを壊さない形で関与するというやり方が一番適当ではないかという感じがいたしておるわけでございます。
 また、いろいろな財政資金がダイレクトにいくというようなことだって、それは例えば補助金を与えるとかいうことも立法論としてはあるかもしれませんが、いずれにせよ全体としてはそういう市場関係、マーケットを重視しながらの対応ということで御理解賜ればと思います。
○志苫裕君 このスキームでは優先株購入の対象行をどこにするかという線引きが焦点になります。
 審議をずっと振り返ってみますと、破綻銀行の受け皿への資金投入には比較的異論が少ないようだが、問題は受け皿以外の大手行を含む一般銀行の場合です。今、お隣の牛嶋委員もおっしゃいましたように、法案では信用秩序の維持に支障がある場合という漠然とした規定で、そこで俄然注目をされるのはこの七人の侍ということになるわけですが、余り厳しくてみんなはねつけられるようなら何のためのスキームかということになりますし、さりとてほいほいといってフリーパスというのであれば、もともと資本充実なんか必要のない銀行の話ですから必要ないということになるわけで、余計な世話をしていることにもなってしまうわけです。
 ならば私は、今も御意見がありましたように、例えば数量化できるような客観的な物差し、基準とでもいいますか、そういうふうなもの、ガイドラインのようなものが世の中に公表されることが望ましいと思いますが、先ほどの牛嶋先生の御意見に追加することがございましたらしてください。
○政府委員(山口公生君) 審査基準は審査委員会がお決めになりますが、これは公表していただきますので、恐らくそのときにはかなりこういった国会での御議論も踏まえた形になるものというふうに期待しております。
 具体的に数値がどうということまでは申すことはできません。
○志苫裕君 数量化は困難でしょうが、できるだけわかりやすい物差しが必要ですね。
 なぜ七兆円なのかということについては納得のいく説明があったわけではない。事が起こってみなきゃわからぬという性質のもののようでもある。破綻処理に必要な費用と預金保険料がどれぐらいたまっておるかの額で決まる。したがって、七兆円のうち実際にどれだけ使われるかはわからない。あるいは見せ金になるかもしれないですね。
 現在予想される破綻処理に必要な費用が破綻すると後から実はといって大体倍ぐらいになって出てくるのでその辺も少し輪をかけて見込んで、その上に北拓の今わかっている分を足すと大体七兆円だというお話ですが、大体どんなところから七兆円が出てきているんですか。
○政府委員(山口公生君) この間お示ししましたTからWの分類で、三とWを足すと十一兆というお話をしました。それで、かなりの部分これはまた償却が進みますのでそれよりは減りますけれども、そういった状況。それから、二十八兆ベースの公表不良債権のうち引き当て等が済んでいないものが四・三兆ぐらいあります。そういったことを勘案しながら、しかし全部の銀行が破綻するわけではもちろんありません、自分の力でもって償却していきますので七兆円を用意させていただければ国民の皆様には安心していただけるというふうに思っている次第でございます。
○志苫裕君 パンツのひもみたいに伸び縮み自由でも困るんです、これは。
 保険料に関連しまして、金融債も保護の対象になるのですから、とすれば長信銀にも都市銀行並みの保険料負担を求めてもいいのではないかという意見がこの間もあったようですが、いかがですか、改めて聞きましょう。
○政府委員(山口公生君) そういった御質問をしばしば受けて同じような御答弁を申し上げておりますけれども、この議論はもともと預金者保護のあり方の問題、預金保険法の基本的な考え方をどうするか、それを議論し、それに対しての保険料の負担という基本的な問題を議論していかなければいけないマターではあろうと思います。二〇〇一年三月までの特例の措置でございますので、その基本的な検討をこれからやっていく必要があるだろうと思っております。
○志苫裕君 きのう参考人の意見を伺ったところ、日ごろぐずぐずしておる大蔵省がよくもまあ踏み切ったと、大いに多とするという意見もありましたが、同時に、先ほど言いましたような七人の侍のところへ名乗って出る人が一体いるんだろうか、名乗って出る者がいなきゃ何のためのスキームかということになるわけでして、そういう意見も率直に言ってありました。名乗り出る者がなければ幾ら金を積んでも何の解決にもならぬという指摘なわけです。
 マクロ経済政策のためにこれが必要というのであれば、申請主義一本やりのほかに何か手段があり得るんじゃないかという気もしますが、いかがですか。
○政府委員(山口公生君) 先ほどもちょっと申し上げた中にありましたが、自由主義経済の中でのマーケットを基本に据えての考え方からしますと、よほどのことがあればそういう先生がおっしゃるようなことも必要なことだってそれは理論的にはあると思うんですけれども、マーケットの中でのそういう解決となりますと、やはり基本的には申請主義というのを保つのが正当だろうと思います。
○志苫裕君 ところで、議決権のない優先株を議決権のある株式に転換をする方法が仮に可能だとすれば、政府は実は銀行の大株主になります。日本じゅうの銀行の大株主は大蔵省というのでは、これまた護送船団どころの話ではなくなりますが、この辺にはどんな歯どめがあるのでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 国そのものが買うわけでなくて、整理回収銀行が買うわけです。間接的には国だという御理解だと思いますが、発行金融機関の経営に不当な関与をしてはならないというふうに規定しておりまして、したがって普通株を持って議決権を行使して経営を左右するということは避けるという考え方を貫きたいと思います。
○志苫裕君 最後にしますが、前回の委員会で、私は財政運営の基本的スタンスについてお伺いしました。
 改めて問いますが、国債発行の歯どめをどこに置きますか。例えば、量だけではなくて、償還の方法とかさまざまなことを含めて国債発行の歯どめをどこに置かれますか。
○政府委員(藤井秀人君) 先般もお答えしたと思いますけれども、財政法四条におきましては健全財政主義ということを大きな基本として打ち立てているわけでございます。そして、そのもとで公共事業等、いわば一定の資産を形成し得るものについては建設公債という例外的な規定が設けられているわけでございます。そういうことからいいまして、この財政法四条の思想というものは私どもは今後とも守っていく必要があるというふうに考えております。
 そういうことからいいまして、昨年成立させていただきました財政構造改革法におきましても、まずは特例公債につきまして平成十五年度までに脱却を図る、さらには国、地方を通じます財政赤字、対GDP比三%以下とする、さらには建設公債も含めます全体としての公債依存度、これを引き下げていくという目標が現にあるわけでございますので、私どもとしては、いろいろ難しい問題はあろうと思いますが、どうしてもこれは後世代のためにもなし遂げていく必要があるというように考えております。
○志苫裕君 いや、法律をつくっても、あなた方は抜け道ばかり探しておるから、私はあえて聞いている。
 この新型国債、貯蓄投資差額とかいう舌をかみそうな名前の交付公債は財政赤字にカウントされますか。
○政府委員(藤井秀人君) 今、先生御指摘の今回の国債につきましては、いわばこれは要求払いの債権という性格を有しております。したがいまして、これが交付された段階ではいまだ現実に所得が移転をされていないわけでございますので、この部分をもって財政赤字とは私どもは考えておりません。ただ、これが償還され、現金化されますと、現実に所得が移転をいたすわけでございますので、その部分について言えば、まさしく財政赤字の拡大要因になるということでございます。
○志苫裕君 局長、時価で買い取る不良債権の回収が不調に終わったら損失が膨らむことになりますが、これは一体だれのロスになりますか。どうやって処理されますか。
○政府委員(山口公生君) この特例期間中に不良債権を時価で買い取りますからプラスになるかマイナスになるかわかりませんが、仮に、今マイナスとおっしゃいましたが、マイナスのところはその七兆円の方でロス埋めをされる、こういうことになります。
○志苫裕君 終わります。
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。
 田辺信用組合以降の一連の金融機関の破綻処理で、九八年度に預金保険機構から見込まれる資金援助額は計算してみますと九千五百億円、うち法改正で新設される特例業務勘定からの支出というのは、ほぼその半分の四千七百五十億円を計上している、仮置きしているということでございます。一方で特例業務勘定の保険料収入は、局長も言われましたように、二千億円ということであります。ということは九八年度だけで差し引き二千七百五十億円の欠損が生じることになると思いますが、これは九八年度から国債の現金化が始まる、それが必至ではないかと思うんですが、それについてはどうですか。
○政府委員(山口公生君) いろいろな仮定を大胆に置きますと先生がおっしゃったような数字になりますし、それは国債の現金化ということにつながると思います。
○笠井亮君 その金利などをプラスしますと、大体仮置きとして幾らということになりますか。
○政府委員(山口公生君) 今、先生がおっしゃった二千七百五十億ですか、一応その程度の支出ということになろうかと思います。
○笠井亮君 来年度から二千七百五十億あるいは三千億程度の現金化ということであります。
 それでは次に、法案の仕組みとして伺いますが、仮に七兆円の交付国債が底をつくという事態になった場合、そのロスの穴埋めにも政府保証分を使うと思うんですけれども、その政府保証というのをどういうタイミングで実際には履行していくということになるんでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 七兆円が底をつくことはまずないというふうに思います。
 日銀からの借り入れというのは、あくまで不良債権の買い取りのためのファイナンスというふうにお考えいただきたいと思います。そうしますと、不良債権のために行われた借入金はその見合いに時価で買い取りますから、資産が見合いにあるわけです。それを回収して返していく、こういうことになるわけです。
○笠井亮君 今ちょっと質問の趣旨を御理解いただいていないのかもしれませんが、七兆円の交付国債が底をつくという場合だって仕組み上はあり得ると思うんです。その場合に、ロスの穴埋めにも政府保証分ということを使うんじゃないかと思うんですけれども、それについて政府保証をどういうタイミングで履行するのかということを仕組みの問題として聞いているんです、そういうことはあり得ないと思うということじゃなくて。
○政府委員(山口公生君) 私どもは、やはり現実的な議論をさせていただきたいと思いますが、七兆円で十分な手当てができるというふうに思っております。したがって、日銀からの借り入れ、これは政府保証をつけておりますが、これは借り入れを容易にする、日銀からだけではありません、民間金融機関からも借りることができますが、それを容易にするためのファイナンスのための手段だというふうに考えております。
○笠井亮君 仮に、法律の仕組みのことですから、そういうことになればその穴埋めにも使うということに仕組みとしてはなると思うんです。だから、そこのところはあり得ないと思っていますなんということじゃ話が通じないんだというふうに思うんです。
 じゃ、それは引き続きまたやりますが、特例業務勘定を締めるとき、日銀等からの借金残高があればどうするのか、日銀等からの借金残高というのが一般勘定に引き継がれるのか、それとも特例業務勘定の中で処理してしまうのかということについて聞いてみたいと思うんです。
 法案を見ますと、新法の方の附則の二十一条では、機構は平成十三年度末において、二〇〇二年三月ということですね、廃止する、その廃止の際、特例業務勘定に属する資産及び負債を一般勘定に帰属させるというふうにあります。一方、改正法案の附則の七条「検討」というところで、同勘定の廃止の時期を含めて検討を加えて平成十二年度宋までに、つまり二〇〇一年三月までに所要の措置を講ずるということもあわせて書いてあります。
 これは、特例業務勘定に負債があれば検討して廃止の時期を延長して、そしてその期間の中で政府保証を履行して処理するということなのか、ここの関係ですね、どういうことを想定してこのような検討事項をあえて設けているのか、説明してください。
○政府委員(山口公生君) 預金保険機構の特別資金援助あるいは協定銀行である整理回収銀行による資産買い取り業務というのは、二〇〇一年三月、つまり二〇〇〇年度末まででございます。このような業務の終了に伴って二〇〇一年度末には特例業務勘定は廃止するというふうになっております。
 今、御紹介いただきました特例業務勘定を廃止する場合には、同勘定の資産及び負債は一般勘定に帰属させることを基本的には予定しております。これは法律にもそう書いてあります。したがって、返済されていない借入金があれば資産もあわせて一般勘定に引き継がれます。ただ、今回の改正法の附則でもって検討規定を置いております。
 これは例えば、今後破綻の発生を見通すことは大変困難でございますけれども、個々の破綻処理の時期によっては特別資金援助を、二〇〇〇年度までですが、実際の実行が一年以内に完了しないような場合もあるかもしれない。また、仮に相当規模で預金保険機構または整理回収銀行によって資産の買い取りをしたときに、そのままの形で資産、負債を一般勘定に引き継いでいいものかどうか、それが適当かどうかという事態もあるだろうと、非常に大型のものが生じた場合ですよ。
 したがいまして、一般勘定に引き継ぐという原則はそのままでありますけれども、そのときにやはり状況によっては検討をしますということを法律ではっきりと書いて、諸情勢、いろいろ特例業務の実施状況とか金融機関の財務状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、十二年度末までに所要の措置を講ずるというふうにしておるわけでございます。
○笠井亮君 これは非常に重要な問題だと思うんですよ。二〇〇一年三月に特例業務勘定を締めた時点で負債を一般勘定に帰属させれば、その負債分というのは一般保険料で返していけばいいということになりますけれども、特例業務勘定をいろいろな状況の中で延長してその枠内で処理するとなりますと、これはその分全く銀行の負担なしに、いわば税金投入ということによって処理されることになるわけでありまして、衆議院の論議の中で銀行局長は、この検討事項から保険料の検討も排除されないという形で答弁されていると私は承知しておりますが、ならば特別保険料の継続も考えるべきだというふうに私は思っております。そのことを申し上げておきたい。
 最後に伺いますが、安定化法案の関連です。政府はこの十三兆円を貸し渋り対策になるということで言ってきました。しかし、この上二兆円がその対策に回るという保証はどこにもないんじゃないかというふうに思うんです。貸し渋り対策になるというならば、健全性確保のための計画というものの中に貸出枠の拡大という項目をはっきり入れるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(山口公生君) 審査委員会で御審議される際に、各金融機関が申請すると同時にいろいろな計画を出す。その中に経営の健全性確保のための計画というものも出していただきますが、そうしたものの中にその後の融資に対する基本的な考え方が盛り込まれるということもケースによってはあるだろうというふうに思います。
 しかし、それを義務づけて云々と言われますと、それは逆に余りにも状況を縛り過ぎてしまうという面もありますし、ケース・バイ・ケースによって審査委員会において適切にそこは計画の中に反映させるかどうかを御判断いただけるものというふうに考えております。
○笠井亮君 安定化のために十三兆円入れるといっても、そういう意味ではケース・バイ・ケース、義務づけるわけじゃないとなれば、これはもう銀行のいわば裁量次第ということで、もらえば後は何にたって使える、貸し渋り対策にしなくてもいいということでありまして、そういう点では重大問題だということを指摘申し上げで終わります。
○星野朋市君 銀行局長が現実的なお話をということなので現実的なお話を申し上げますけれども、きのう私は、今度のスキームについて、東京三菱と興銀は優先株の発行の規定がないじゃないかということで御質問をしたんですが、くしくも興銀がきのうニューヨークにおいて十億ドルの優先株の発行というのを行いました。
   〔委員長退席、理事楢崎泰昌君着席〕
きょう午前中の黒澤会長の御答弁では、非常にいい条件でもってできた、これは我々の自己努力だと、こういうふうなお話をされておりました。それは結構なことだと思うんですね、外国の銀行を使ってこれは合算できますから。
 もう一つ、今度は東京三菱の例で申し上げますと、ティア2、ティア1の関係で、含み益が少ないから今度は劣後債が発行できる可能性を持っておるけれども、このスキームができ上がって株価が上がれば劣後債を発行しても余り意味がないじゃないか、こういう感じを持っているんじゃないかと思うんですね。そうすると、優良行にとってはこれはやっぱり見せ金じゃないかという議論が起きると思うんですよ。
 それで、きょうの終わり値がどうなっているかわかりませんけれども、きょうの午前中は三百八十数円株価が下落しているんですね。株価というのはいろんな原因がありますから一概には言えませんけれども、要するにこれがもう成立ということできょうの新聞なんかには確定的に出ちゃっていますと、材料出尽くしという感じで落ちたのか、それとも我々が言っているようにこれは市場が不完全なものと受けとめてそういう反応をしたのか、なかなか難しいところですけれども、もし御感想がありましたら一言おっしゃってください。
○政府委員(山口公生君) きょう出てくるときに株価について情報をいろいろ収集しておけばよかったのでございますが、ちょっときょう三百四十円下がっているということ、その理由はいま一つはっきり私もわかりません。
 ただ、年初からの株価が私の印象では比較的堅調に推移してきた状況にはあると思うのでございます。それは、株価というのは毎日毎日見て、なぜ上がったか下がったかという議論をしましても、これはやはり売りたい人買いたい人はいるわけですから、さまざまな要素があると思います。ただ、年初からの株価の動きについていろんな方の御意見を聞きますと、何となくしっかりしてきた感じがあると。これはやはりいろいろな手段を用意されておるという安心感があるというふうにも聞くわけでございます。これは手前みそのように聞こえますとなかなか申し上げにくいんですけれども、そういった気持ちが安心感を与えていると。
 そうなりますと、例えば昨年の暮れごろに見えましたような、見透かしたような売り込みといいましょうか、何かいろいろな投機的な動きが比較的そこでそういった下からの力でもって抑えられる効果も出てきているのではないかと言う人もおりますので、株価について軽々に申し上げるべきではありませんけれども、そんなことを耳にしますということを御紹介させていただきます。
○星野朋市君 当然のごとく毎日毎日の動きで一喜一憂することはないんですけれども、やっぱり株価というのはその節目節目が何かを物語っていると私たちは解釈しているわけですね。株価の論議というのはやっていたら切りがありませんからここで終わります。
   〔理事楢崎泰昌君退席、委員長着席〕
 次は、阪和銀行の割り増し退職金の件についてお伺いをしたいんです。
 二月二日に我が党の木暮議員が予算委員会においで簡単な質問をいたしました。どういうことかというと、阪和銀行の行員がストライキを構えて割り増し退職金を要求した、通常なら二十九億円の退職金で済むのが何と八十五億も預金保険機構から金が出てそれだけ割り増し退職金が支払われた、こういうことで、それは何なんだという質問をいたしました。山口局長は、それは裁判の結果だというようにお答えになったんですが、これは正確に言えば民事調停なんですね。それで、この民事調停はどちら側から出されたものですか。
○政府委員(山口公生君) これは銀行側から申し立てをやっております。
○星野朋市君 大蔵省側ではないんですね。
 もちろん、阪和銀行というのはいろいろ問題のある銀行でありますけれども、やはりこれは大蔵省のOBが天下った銀行であります。それから、普通ならばいろいろな受け皿をつくって救済策を講ずるところが、いろいろ問題があるんで大蔵省が業務停止命令を出した、それを銀行の労働組合が逆手にとって、いわゆる民事調停に持ち込んだ。
 問題は、つぶれたところに割り増し退職金を支払う民事調停が出されて、しかも大蔵省が割に簡単にこの調停に応じちゃった。預金保険機構の金はそもそもどこから出てきたんだ。もしこんなことがほかで次々と起こっていたら、これからどうなるんだ。要するに、今度のスキームを、預金保険機構に入るお金、そういうものが何となくどこかへ出ちゃうというおそれを感じさせるような例なんですね。
 もう一度、銀行局長、この件に関しまして正確なお答えとこれからの対処の仕方、これは重要な問題だと思いますのでお答えを願いたいと思います。
○政府委員(山口公生君) 阪和銀行の破綻、業務停止命令につきましては、先生のおっしゃるとおりですが、退職金規程が自己都合の退職の場合しか規定されておりませんで、こうした業務停止命令に基づく、つまり会社都合といいましょうか、こういった場合の対応が不明確であったわけでございます。阪和銀行の労働組合としては、スト権を確立しストも辞さないということで先生のおっしゃったような労使紛争になったわけでございます。万一ストライキになって預金の払い戻しができないという状態になりますと、本当にこれはペイオフの状態に陥るということで大変重大な問題になったわけでございますが、そこで労使間のこの紛争については、労使問題という点にも十分配慮しながらも、やはり何か客観的な、公正な立場での御判断を仰がない以上はそうした破綻処理ができないということで、この場合におきましては裁判所に民事調停を申し立てて解決を図るという形になったわけでございます。
 その結果について、今おっしゃったようなことになりましたが、これにつきましても阪和銀行の処理の円滑化、信用秩序の維持という面からやはりどうしても必要だということで、預金保険機構の運営委員会においてもやむを得ないということでこれを認め、阪和銀行が一月二十六日に解散をしたということでございます。
 確かに、先生がおっしゃいますように、今後こういった問題についてどう扱うか、また労使の問題でございますから余りその辺を無視した行動も解決もとりにくいということで、規定がある場合、ない場合、それから従業員がほとんど全部引き継がれる場合、いろいろございますでしょう。あるいはそういったものが不十分であった場合には、やはり裁判所あるいは労働委員会に持ち込んで解決をしてもらうとか、やはりだれが見でもおかしくないという形でその解決を図ることが最低限必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
○星野朋市君 終わります。
○山崎力君 改革クラブの山崎と申します。
 時間が限られておりますので簡潔にお答え願えればと思います。
 まず、今回の金融二法案のいろいろな説明の中で、政府側より臨機応変の緊急、時限の措置であるというような形の表現がございます。確かにそのとおりなんでしょう。ということは、財政運営が予定どおりではなかった、予想されたものではなかった、それに対して変わったことをしなければいけないということなんですが、この臨機応変の措置をとらなければならない「機」、すなわちそういうきっかけ、そういう状況というものをどのようにまず把握されているのかお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山口公生君) これはしばしば申し上げておりますように、昨年の十一月から十二月にかけまして、株価の下落、格付の評価などの引き下げ、危機の報道等で個人レベルでは窓口へ預金の引き出しに人がかなり殺到した、コール市場ではすくみ現象が起きた、海外では外貨が取れなくなったというようなことを経験したわけでございます。みんなが自分のことを大事に考えるのは自然なことでありますけれども、金融はお金が回らないと金融の機能を発揮できません。そういったことを昨年深刻な事態として私どもとしては受けとめざるを得ない事態だったと思います。
 また、今度の三月期を考えてみましても、三月期を心配する余り、株価が下がったらどうしようということで、逆に分母であります貸し出しをどんどん絞ろうとする動き、これがよく御批判があります貸し渋りとか、あるいは回収現象という形であらわれてくる、こういうことは経済全体のある意味では危機を招来しかねないということでございます。
 先生がいみじくもおっしゃいました臨機応変の「機」という部分がまさに危機管理の「機」に通じるというような感じで、危機管理の「機」が我々としては今一番求められておる部分であろうと思っております。
○山崎力君 ということであろうと思うわけですけれども、そうしますと、例えば金融ビッグバン、午前中の参考人の中でもありましたけれども、日本を代表する銀行の責任者が十九行ある都銀のうち半分も将来残らぬのではないかと。こういうふうな大経済対策といいますか、経済問題であるということは、これはわかり切った話で、その当時から黒船来航に相当する日本の再度の開国だというようなことは言っていたわけです。そういったことから来て、今回程度のことで単に山一あるいは北拓がつぶれたというだけで、そういうふうなことになるということを予想していなかったのか。一行もつぶさない、そういった形でビッグバンに対応できるというふうに経済運営を考えられていたのかどうか、お尋ねします。
○政府委員(山口公生君) 破綻すべき銀行という表現は適切ではありませんが、破綻状態に陥った銀行は退出してもらうということは従前からの私どもの考え方ではあるわけでございます。ただ、昨年の暮れごろに出ましたこの不安心理の増幅効果、効果といってもいい意味じゃないです、増幅の悪循環と申しましょうか、これにつきましてはやはりここまでひどい状況に、また経済全体を巻き込む事態になるとは予想を超えるものがあったということは私は認めざるを得ないと思うわけでございます。
 ただ、今おっしゃいました金融ビッグバンという、護送船団方式をやめビッグバンに乗り出す、これは長期的にはこういう方針は変わりないわけで、これで体力を強くし日本経済をしっかりしたものにするということでございます。その前に取り急ぎ危機は乗り越えないといけないということでございまして、これは一つはこういった大型の破綻をある意味では戦後しばらく経験しなかったわけでございます。私ども個人も、マーケットの関係者も、みんなこういった大型破綻に遭遇して、かなりそこに気持ちの不安心理が生まれたということは私どもとしては貴重な経験であり、また教訓にしなければいけないことだったというふうに思っております。
○山崎力君 その辺のところの認識の問題なんですが、そうするとこれからビッグバンに向けての中で、こういったことが起こればまた奇貨にせにゃいかぬ。起こらなければそこまではもつだろうけれども、もっと何らかの大きな金融機関あるいはそういったものが破綻するのは目に見えているというふうな中で、大多数の方々がそういった形で確かにそこまで予想できなかったということは事実でございますし、予想した人は少なかったのかもしれません。別にあのときの取りつけ騒ぎが本当の意味での取りつけ騒ぎまで行ったかというと、そこまでは行っていない。要するに、株価といったものに対する心理上の問題を何とかせにゃいかぬということでやっていたというふうにしか私には思えないわけでございます。
 それが結局、不良行を早い時点で処理できればいいところが、こういうふうな形で支えていけばある時点でばたばたと行くか、もっと最終的に悪くなるんじゃないか、そこのところをどう考えているのかなという疑問はぬぐえないわけでございます。正直言いまして、この程度のことの影響で慌てふためいたのではないかという気もこの法案でするわけでございますけれども、そこのところは時間の関係で置いておくとしまして、大臣にお伺いしたいわけでございます。
 これは非常に言いにくいことですけれども、前任の三塚大蔵大臣は不祥事の責任をとってやめられたと報ぜられております、経済運営の方も入っていたんじゃないかというのもありますけれども。とすれば、今一連のこういった中で新たに大蔵省からしかるべきポジションの人がもし司直の手にかかるということになれば、改めて松永大蔵大臣自身の問題が出てきてしまうということになるんですが、その辺についての御認識を伺って、時間でございますので私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(松永光君) お答え申し上げます。
 委員が今申されましたように、前三塚大蔵大臣は、大蔵省の職員に逮捕者が出て、そして大蔵省の行政に対する国民の信頼を著しく傷つけた、そういったことの責任を全体としておとりになったというふうに思います。私はその後を受けて、そのような事態が二度と起こらないように綱紀の粛正、そして不祥事を起こした人の、これは刑事処分の方は検察当局がやるとしても、その後に事実関係が明らかになってきますからそれに基づく行政的な処分、さらにはそうした検察庁の手を煩わさなかった人であっても、もし過去において倫理にもとる行為があった人については内部調査を進めておるわけであります。その結果を見て適正な処置をして、そして綱紀の粛正と、それから職員一人一人が本来の公務員としての使命感を持って、しっかり国家、国民のために働くように、そういう状況の大蔵省をつくり上げるという責任を負って私はこの任に当たっておるわけであります。
 今後もそういう責任を果たすように全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○委員長(石川弘君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(石川弘君) 速記を起こしてください。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林芳正君 総理、お忙しいところを御苦労さまでございます。
 私の時間は十分ということで限られておりますので、絞ってお聞きしたいと思います。
 今回、金融二法案を審議しておるわけでございますが、せっかく総理お見えでございますから、海外からも大変にこれは注目を受けておりまして、先般来行われましたダボス会議でも各国、特にアジアの首脳からは日本がこの決断をしていただくことによって力強い牽引車になってもらいたいという声が多く出ておりました。そのアジアの中心になって我々がやっていくという意味で大変にこの二法案は大事なものだと思っております。
 そこで、今回、特に韓国、インドネシア、タイ等におきまして金融危機というものが起こったわけでございますが、ドル・ペッグをしておって金利が経済の状況と合わなくなったとか、いろんなことが言われておりますけれども、特にインドネシアについではまだまだ予断を許さないという状況を報道でも承知しておるわけでございますが、このアジアの金融危機について、どういったことが原因で、これからどういったことをこれに対して我が国として、また国際社会の一員としてやっていかなければならないのか、お尋ねを申し上げたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員から、韓国、タイ、インドネシアという三カ国を挙げられて、その通貨あるいは経済変動の原因についてのお尋ねがありました。
 率直に申しまして、三国ともにそれぞれの状況は異なっておりますから一概にこれをまとめることには多少無理があるかと思います。
 しかし、その上で申し上げられることは、一つは通貨の過大評価であり、またこれに伴う経常収支の赤字の拡大、そして海外から大量に流入をいたしました資本の一部が生産的じゃない用途に使われた、こうしたことから市場の信認の低下というものが起こったということは言えると思います。そして、通貨あるいは経済変動の再発防止という観点からは、それぞれの国がやはりマクロ経済運営と構造調整努力というものを適切に行う、そしてそれによって市場の信認を回復し、より強固なものにしていくということに対応は尽きようかと思います。
 現在、この問題に対し、IMFを中心とする国際的な枠組みを基本としながら、日本としても積極的恒支援を実施してまいりました。その支援の対応もまたそれぞれの国によって異なりますけれども、共通するものはやはりIMFを中心とした国際的な枠組みの中においてというところにあります。
 今後ともに、関係各国及びIMFあるいは世銀、さらにアジ銀等国際機関と連携を密にしながら、それぞれの国の状況とともに適切に判断をして我々は行動していくことが求められている、そのように考えております。
○林芳正君 ありがとうございました。
 今、総理もおっしゃっていただいたわけでございますけれども、この三カ国を中心とした問題の中で、一部の資本が入ったり出たりして、特に出ていっちゃったというキャピタルフライトについてお触れになったわけでございますけれども、先日行われましたダボス会議の中でもこの短期の資本の移動につきましてある程度、監視制度といいますか、国際的にサーベイランスしたらどうかという議論が芽生えてきておるように私も聞いておりまして、この間の予算委員会だったと思いますが、御質疑の中でトービン・タックスにお触れになった先生もいらっしゃったわけでございます。
 この為替の取引について、課税をすることによりまして投機的な為替の取引を少し抑制しようということでありますが、これについてはIMFのスタッフペーパーがございますけれども、余り積極的な評価というよりはちょっと難しいだろうということでございます。こういったマーケットに監視を入れたり規制を入れたりして資本の移動についてもう少しファンダメンタルズを反映したものにしようということを少し考えていくべきではないかと私は思っておりまして、今度G7もございますし、また夏にはサミットがございますけれども、我が国から積極的にこういったことについで取り組んでいかれるべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今、議員が御指摘になりましたように、今日の世界経済の中で金融市場の統合と同時に資本の自由化が進展をしております。そして、その結果として、資金の効率的な配分というものと裏腹に短期間におけるまた急激な資金の移動とリスクというものが生じておることは御指摘のとおりです。そして、今、議員からも御指摘がありましたように、短期的な資金の移動に対して国際的な監視を行うという考え方は今までも実は何回か議論の対象として出てまいりました。
 しかし同時に、その結果として供給されるべき資金が適切に移動しないのではないかといった反論もあり、必ずしも効率的なメカニズムが組み立てられていないという状況であります。しかし、いずれにしてもやはりこうした実際の問題に対しこの資本移動に対する問題というものは、何らかの工夫を必要とすることは、議員の御指摘のとおり、私も必要なことだと考えております。
 先般のアジアにおける通貨変動の中において、例えばマレーシアのマハティール首相がIMFに対して依頼された作業のように、まだ残念ながらその回答をIMFから受けるに至っておらないわけでありますけれども、既に国際機関においてそうした検討もなされております。
 今、G7、当然ながらこうした問題に議論は行くでしょうし、サミットまでの間にも第二回のASEMその他主要国の首脳会合あるいは蔵相会合、中銀総裁レベル、さまざまなレベルで当然のことながらこれは議論されますし、また何らかの工夫を我々もしていかなければならない。同時に、資本の移動がもたらす利益を阻害することがあってはならない。二律背反の課題としては非常に難しい回答を迫られる問題でありますが、我々も真剣に取り組んでいきたいと考え、また努力もいたしておる分野でございます。
○林芳正君 詳細な御答弁をいただきまして、大変にありがたく存じでおります。
 我が国のリーダーシップをそういった国際機関、国際会議の場で今からもぜひ発揮していっていただきたいと思います。特に、今回のIMFのパッケージに対しては、特にアジアの方からは余り実情も知らないでぽんと来てすぐやるものですからかえって角を短めで牛を殺すようなという批判も出ておるわけでございまして、まさに我が国の出番があると私は思っております。
 総理にぜひよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○伊藤基隆君 民友連の伊藤でございます。
 先に幾つか質問項目について御通知を申し上げておるわけですが、せっかく総理がおいでになっておるわけで、聞き漏らす場合があると大変なので一番聞きたい部分、最後に掲げた問題から少しお聞きしたいと思います。
 それは今回提案されている金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の第三条三項の二、いわゆる事態に関してでございます。
 私は、これらの事態というものが具体的にどのような状況を指すのか本会議において御質問いたしましたが、総理は法律上の要件として法律の内容の適用を述べただけで具体的な状況の説明までは述べませんでした。私は、二月十日、本委員会において大蔵省に質問しましたところ、銀行局長は、事実経過として昨年十一月段階からの日本の金融システムに対する内外の対応について述べられました。私は、それが三条三項二に言う事態とも類推するわけでございます。
 そこで、質問の一つは、私は今から三月末に至る期間においてかかる事態が起こることについて全く否定できないという危機感を持っておりますが、このことについでどういうふうにお考えでありましょうか。
 さらに、この法律の存在は危機に対する対応の側面と危機回避に向けた日本政府の内外へのメッセージというふうにも受けとめるわけでございますが、本法案が危機抑止力としての効果の発揮に力点を置いて実行されるべきではないかと考えておりますので、この点についても総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらにもっと詰めれば、この法律は危機を事前に回避する、あるいは危機の発生に即応した対策によって発生した事態の影響を抑え込むか、あるいは最小限にとどめる、そういうことに対する効力を持つと考えるわけでございます。
 さて、これらの対応をどこが行うのか、どのように行うのかについてでございます。
 国の営み、これは経済という言い方でもいいと思いますが、金融だけでもちろん成り立っているわけではございませんで、しかも金融政策の失敗が全産業、全社会的な営みに与える影響というのは極めて大きいわけでございます。したがって、国の運営の根幹である財政の主導のもとに金融政策が成り立っていく、あるいは両方が一体となって判断するということが私は大切なんじゃないかというふうに思っております。組織が一体であることとはまた別の考えでございます。
 財政・金融の一体的対応ということが今後も求められてくるわけでございますが、金融監督庁の問題をめぐって財政・金融の問題が与党の中でさまざま議論されて結論が出たように聞いておりますけれども、今後危険性を事前に回避するということをどういう体制で行おうとしているかということについてお答えいただきたいと思います。
 さらに、この法律が効力を発揮することになれば日本発というものに対してはかなり十分な対応が可能であろうかというふうには思います。しかし、日本発以外に対して強力な危機管理システムを果たして日本は持っているのか、あるいは持っているのかもしれませんけれども、私は危機管理システムを在外公館も含めて世界レベルで確立しておく必要があるだろうと。ハードとソフト面、すなわち情報の収集・分析・判断対応、さらには携わるメンバーの意思力が求められてくると思います。私は、意思力とは継続された組織の力というふうに考えておりますけれども、それが一方にあってこの法律は効果を発揮するのではないだろうか、そのことの確立がなければこの法律の効力は余り発揮されないんじゃないかというふうに考えます。
 さらに、実際に危機が発生してその影響が社会的な問題にまで発展したときに、この法律のレベルでは対応し切れないのではないかというふうにも考えております。
 以上、さまざま申し上げましたけれども、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が幾つかの側面を取り上げながら御質問をいただきましたその中心を整理していきますと、この法律に持たせる効果というものは危機回避に向けた抑止力が主なのか、それとも危機が起こった時点においてどう対応するか、一体どちらに比重を置いているんだろう、同時にその危機というものがこれだけのグローバル化している世界の中で日本国内だけで発生するものとは限らないが、国際的な変動の中において果たして有効に機能するのかという、大きく分けて三つぐらいの整理になるのかな、今伺いながらそのような思いを持っておりました。
 そしてまさに、これは恐らく事務方からも繰り返し御説明を申し上げておると思いますけれども、今回の金融システム安定化策、それは現下の危機的な金融情勢に対応して、公的資金を活用することにより日本の金融システムの安定性を断固として守るために危機管理対策として準備をしておるものであります。そして、この中には預金者の全面的な保護があり、同時に金融機関としてより自己資本力を強化していく、そうした対応策との二つの柱がございます。
 そして、その意味ではこの法案は御指摘のようにまさに抑止的な効果を期待する部分を持っております。そして、そうしたものが準備をされておることにより預金者も安心をしていただく、そういう意味で申しますなら金融システムの安定性を増す効果があるわけでありますが、これは例として申し上げることが適切かどうか、もし不適切でありましたならお許しをいただきたいと思いますが、北拓の破綻後、道内の北拓の業務の譲渡を受ける北洋銀行、これはまさに非常に健全な経営をしております金融機関でありますが規模としては小さい。これがそれを引き継ごうとするならば資本増強等は当然必要になるわけでありまして、そういう役割を果たすことによって危機を回避する、そうした役割も当然これには果たしてもらえる部分がある、私はそのように考えております。言いかえるなら、危機回避に必要な場合というものにも対応をすることになります。
 そして、一番お答えの難しい部分が、国内においてはその役割を子としても海外におけるシステムの破壊につながるような事態が起きたとき、その事前の情報の、事前といいますか、情報の入手を迅速に行う、かつそれを分析し国内においてどう対応するかという仕組みというものは、これは議員からは在外公館機能の中でこれを提起をされましたけれども、当然ながら在外公館の機能も十分役立ってもらわなければなりません。しかし、ほかに例えばジェトロの役割もありましょう。あるいは国際金融機関、IMFであるとか世銀でありますとかの情報、さらにはそれぞれの国の大使館がウォッチいたしております。その国々の金融情勢、経済情勢、さまざまなものが必要になろうかと思います。
 そして、むしろその場合に必要なのは、情報を集積しつつ、どこが分析し、そしてその分析の結果をいかに予備的にあるいは事態発生と同時に活用していくかという仕組みの問題になろうかと存じます。恐らくそうした問題意識から財政と金融が分離はできないのではないかという御意見に連なったと思います。しかし、今日まで本院を含めましてさまざまな角度から御論議がありました中で、財政と金融の分離を明確にすることがむしろ日本の金融システムを安定させる、あるいは健全性を増していく、そうした御指摘が多く行われたことも事実であります。
 そして、そういう御意見の中で行政改革会議が出しました結論は、新たに生まれます金融監督庁、これが将来もう一つ変わっていこうとするわけでありますけれども、そのプロセスにおいても、金融の破綻処理または危機管理というものは、新たに生まれます金融監督庁ではなく、財政と一体で残る部分も用意をいたしました。
 これについても世上さまざまな御批判があることは事実でありまして、財政と金融を分離した上で全く違った仕組みを用意することにより対応はよりたやすくなるという御意見もありますし、むしろもっと積極的に財政と金融をかかわらせるべきだという御意見もございます。
 政府の立場で今お尋ねをいただきますと、行政改革会議の結論をお答え申し上げる、それが一番正確なお答えになるかと存じますが、そうした問題意識も随分持ちながら、この問題は与党の中におきましても、また行政改革会議の中におきましても議論がなされてまいりました。本院あるいは衆議院における御議論におきましても、そうした点に十分思いをいたしながら、それぞれの皆さんの御意見というものをちょうだいしたと存じます。
 要は、海外からの情報はいかにしてそれが分析され生きた情報として活用されるか、こうした点に十分意を用いていくべきであるという御忠告、私はそのように今の御意見を拝聴し、承らせていただきました。
○伊藤基隆君 ありがとうございました。
 次に、銀行の経営責任についてお伺いしたいと思います。
 銀行は今日の金融不安を回避するためには十分な時間があったはずだというふうに思っております。バブル崩壊後八年余りに及ぶ日銀の超低金利政策と言われるものが一体何のためだったのか。それは銀行の調達コストを政策的に低く保つことによって銀行に業務純益を稼がせ、それを原資として不良債権を償却させるためにほかならなかったのではないだろうか。つまり、銀行は預金者が本来得るべき利子と引きかえに不良債権償却の原資が与えられていたのではないかと。これは私も何回も申し上げましたし、多くの人も言ってまいりました。
 さらに、不良債権の償却に当たって、共国債権買取機構を通じて担保の債権額と買取機構による買収額の差額を決算上売却損として損金処理ができるという法人税負担が軽減される方策もとられてきました。すなわち、超低金利政策によって不良債権償却の原資が与えられ、税制上の優遇を受けてきたのであります。これは民間金融機関の過剰な保護と言わざるを得ません。しかも、これだけ手厚い保護を受けたのでありますから、もう十分ではないかというふうにも考えております。
 銀行の経営者がこの間に求められてきたことは、人件費を初めとする高コスト構造を徹底的に見直した上で、得意分野に重点的に資源を投下するとともに、さらには金融の先進技術を取り入れて資産の流動化――資産流動化の市場が日本には未成立でありますけれども、ということだったし、しかし銀行はこうした努力をほとんどしていなかったのではないかというふうに思います。
 今、ビッグバンが進みつつあるわけでございます。日本の金融機関が競争力を回復し、魅力ある商品を提供することができなければ国民の千二百兆円という個人マネーはほとんど海外に流出してしまうという危険さえございます。その上、日本の金融市場は外資系金融機関にいわば席巻されてしまうというふうに考えられます。今、政府に求められる施策というのは、一日も早く金融システムの安定化を図ることがまず第一でありますが、その上に徹底したディスクロージャーを行った上で市場から退出すべき金融機関を金融市場への影響を最小限にとどめながら速やかに退出させることだ、政府は市場から退出すべき金融機関までも救うべきではないというふうに考えます。そうでないと、日本の金融システムはいつまでたっても蘇生できないし、公的資金が幾ら投入されても決して足りることはないというふうに思います。
 私はそのように考えますけれども、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、この金融システム改革に取り組みますとき、私はフリー、フェア、グローバルという理念を申し上げ、そのもとに国際的に開かれた本当に自由な市場を構築する、そしてそれぞれの金融機関というものが厳格な自己責任と自己規律というものを持って行動することが求められるということを申し上げたように思います。そして、そうした中で今御指摘をいただきますようなさまざまな課題が出できております。これは、金融システム改革というものを進めていきます中で、当然ながら商品あるいは業務形態あるいは組織形態、こうしたものを時代に合ったものに抜本的に変えていかなければならない。そして、その自由化・多様化の中で、さまざまな拡大された選択肢の中からそれぞれの金融機関が利用してくださる方々との関係で一番優位性のあるものをみずからの経営判断に基づいて選んでいく、そういうことが求められるのではないだろうかということを申し上げてまいりました。
 しかし、今日なお、むしろあるいは一時期以上にと申し上げた方が正確かもしれませんが、金融機関の合理化努力が不可欠であるのにそれが不十分である、あるいは金融機関の真摯な受けとめが感じられない、公的資金を投入する以上、より真摯な対応を求めてしかるべきである、こうした御指摘をちょうだいいたしております。
 私は、今回の公的資金投入という決断をいたしますについても、これを国民に御理解をいただくとするならば一層の努力が求められていることは間違いのないことであり、これは議員の御指摘のとおりだと思います。そして、政府としてはそれぞれの金融機関の状況に応じて一層の合理化努力を行うように強く促していく、同時に預金者や国民の御理解がいただけるようにするためにはその実施状況というものを積極的に開示していく、そうした方向をあわせて促していかなければならないものだと思います。
 同時に、金融システム改革を進めてまいります中で、当然のことながら利用される方々にとりましては多様な商品あるいは多様なサービスの選択が可能になるわけですが、その一方で各金融機関にとりましては規制に安住した経営は許されなくなります。そうしたところでどうやったら自分たちの特徴を生かした商品構成によって顧客に対してサービスを提供するのか、こうした意味からも情報開示の努力というものは当然ながら求められ、必要性は一層高くなります。
 今日、ディスクロージャーという点につきましては、政府自身もさまざまな努力をいたしておりますし、特に個別金融機関のディスクロージャーにつきまして、内外の信頼を回復するためにも、市場の信頼を回復するためにも国際的なレベルにおける経営情報の開示というものが求められている、そうした点での透明性を確保することがいかに重要かということから、とりわけ不良債権につきまして十年三月期からアメリカのSEC基準並みにディスクロージャーを拡充するように金融機関に対し鋭意促している最中であります。
 私は、こうした方向で金融機関は努力されると思いますし、また逆にそうした情報開示されないところが出てまいりましたら、それがなぜかということを必ず問いかけられるわけでありまして、そういう努力というものはなされていくことになると思います。
 そうした中で、結果として退出を願うべきものまで舞台の上に残すことのないようにという御注意は私は非常に真剣に聞かせていただきました。既に事務的にも御答弁を申し上げておりますとおりに、基本的に経営の悪化した金融機関を対象とするのではありませんということ、また法律に基づいて設置をされます公正中立な審査委員会は、当然のことながら法律にのっとり、また国会での御議論を踏まえて作成する審査基準に基づいて全会一致による議決を行い、しかも議事録等を公表する、こうしたことを定めておりますのも議員御指摘のようなものにおこたえをしていきたい、そのような思いであることをぜひ御理解賜りたいと思います。
○伊藤基隆君 ありがとうございました。
 終わります。
○牛嶋正君 公明の牛嶋でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、今の御議論を聞いておりまして、行政側がいかに適切な安定化策を提示いたしましても、金融システムの安定化を着実に進めていくためには、結局は個々の金融機関が徹底した情報開示を行い、リストラを進め、そして融資対応力の強化に努めていくことが基本ではないか、こんなふうに思っております。
 そして、金融行政のとるべき姿勢でございますが、これは安定化のための対策を通して個々の金融機関がその自助努力を行っていくに当たりまして、それが何らかの形で実を結んでいく、そういうような状況といいますか環境をつくっていく、これが行政に課せられた大きな役割ではないかなというふうに思っております。
 こういうことで、これまでの金融行政を振り返ってみますと、護送船団方式の名で呼ばれておりますように、少し金融機関の方に手を差し伸べ過ぎできたのではないか、こんな思いがございます。そして、このことたよりましてもし個々の金融機関の自助努力の姿勢が少しでも抑えられるということになりますと、私は護送船団方式と呼ばれてきたこの金融行政の責任は免れることはできないのではないか、こんなふうに思っておりますが、この点についての総理のお考えをまずお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その手を差し伸べ過ぎという御批判が過去について当たる部分のあることを否定はいたしません。いわゆる免許制のもとにおいて事前管理という仕組みをとり、結果として護送船団方式と言われるような仕組みをとってまいりました従来の金融行政、これにつきましては手を差し伸べ過ぎと言われるような部分があったことは事実であります。そして、それがいかなる問題を生んだかもまた私から申し上げるまでもないことであります。
 そして、今、金融に対して国が求められるもの、それは先ほども御指摘のありました情報開示を求める努力とともに事後におけるチェック、しかもそれはあら探しをするのではなく、金融機関としての健全性といったものを中心にした事後のチェックというものが求められ、そしてそれによる措置が求められるわけでありまして、従来のように事前管理型の行政から変わろうとしておりますし、また変えなければなりません。
 そうした中におきまして、公的に関与すべきこと、すべからざること、当然ながらその線引きというものは行われてまいりますし、事後チェック型になりました場合においては行政に対する金融機関の姿勢もおのずから変化するでありましょう。その中で自己改革の努力といいますか、リストラの努力といいますか、合理化の努力といいますか、どういう言葉を選んでもよろしゅうございますけれども、預金者の視点にたえられる、市場の信認にたえられる、こうした仕組みを金融機関としても当然のことながら個別に模索し求めていくことになろう、そのように思います。
○牛嶋正君 私は少し残念に思っておることがございます。
 この間も当委員会におきまして大蔵省の方にお尋ねしましたところ、護送船団方式からは完全に脱却しているんだというふうなお答えをいただいたわけですけれども、今行われております金融行政を見てみますと、まだやっぱりところどころで金融機関に対しまして前向きの姿勢を抑えるようなところが見受けられるわけでございます。
 ちょっと長くなりますけれども、二、三その例を挙げさせていただきたいと思いますが、その一つは早期是正措置の問題でございます。
 この早期是正措置は、自己資本の充実の状況に係る区分を自己資本比率一本で決めております。その区分に応じまして定められた命令が下されることになっておりまして、この命令の項目がいわゆる早期是正措置ということになろうかと思います。
 例えば第二区分に該当する金融機関に対しましてどういう命令が下っているかと申しますと、「配当又は役員賞与の禁止又はその額の抑制」、そしてまた「総資産の圧縮又は増加の抑制」、そして「一部の営業所における業務の縮小」、こういったものが挙げられております。まだほかにもありますけれども、私はむしろ今申しました命令項目というのは個々の金融機関が自主的にリストラを進めるべき項目ではないか、こんなふうに思っております。
 したがって、早期是正措置を進めるに当たりましては、個々の金融機関の自主努力を促すように持っていかなければならないということになりますと、この命令項目をむしろ区分する場合の基準の中に含めるべきではないかと。ですから、仮に自己資本比率でもって第二区分に区分されたといたしましても、これらの項目についてリストラの成果が上がっているならばそれを考慮して改めて命令は出さない、こういうふうなことにすれば私は個々の金融機関の自助努力というのはかなり行政側からもサポートするような形になるのではないかというふうに思っておるわけであります。
 もう一つ例を挙げさせていただきたいと思います。それは、今の貸し渋りの対応策の中にどちらかといいますと金融機関の自助努力を抑えるような項目が見られます。
 その中の一つに政府系の金融機関に新たな融資制度を設けるということがございまして、平成九年度十二兆円、それから十年度を合わせますと総額二十三兆円の資金量が準備されているわけです。それはそれで当面の対策としていいわけですけれども、個々の金融機関が先ほど申しました融資対応力を身につけていくためには、融資に当たりまして審査能力あるいは調査能力というのを早く身につけなければならないと。ところが、こういうふうに政府がどんどん融資をいたしますと、本来ならばそこで勉強しなければならない事例がどんどん銀行の方から逃げていってしまうわけですね。私は、こういうことをやっておりますと、中長期で見た場合にいつまでも銀行の力というのはつかないのではないかなというふうに思っているわけであります。
 こういう場面がいろいろな金融行政のところで見られるわけでございまして、このことが私は安定化策が必ずしも十分な成果を上げていない、また海外から見て我が国の金融行政の不透明さみたいなものを感じるのはそういうところにあるのではないかな、こんなふうに思っておりますが、この点について総理、御感想がございましたらお聞かせください。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、第一点の方のお尋ねにつきましては十分な知識がありませんでしたので銀行局長に確かめましたところ、省令の世界のことのようであります。そして、これは銀行局長が自分で答弁をしたがっておりますのでお許しがいただけましたらそれについては説明をさせたいと思いますが、客観的に今のお話を拝聴しておりまして、果たしてそれが全部命令という形が適切なのか、ある意味ではそれぞれの金融機関によってとりやすい策、とりにくい策、あるいは地域の環境によってその基準、省令によって定められました以上に進めなければならないもの、省令にありましてもそのところはスローダウンするかわりにほかの施策でそれを補うもの、そうしたものはあっていいように思います。
 ただ、それは実は議員がおっしゃいましたような基準に移しかえたとしても同じ問題は残るのかな、言いかえれば選択肢の重点の置き方をそれぞれの個別行が応用的に対応することが可能にするのに省令の世界がいいのか基準の世界がいいのかという違いではなかろうか、そのような感じを持ちました。これは私の率直な感想であります。
 また、第二点目の御指摘は私は大変大事な御指摘だと思います。しかし、私は、政府系金融機関がなおもっと努力をしてほしいという国民の声を受けておりますことを考えますと、現時点における状況の中においては政府系金融機関が本来の役割を果たすことに全力を挙げてもらいたい、その上で、それがいたずらに長期化するのではなく、健全な民間金融機関に着実に渡されていくような努力を我々も考えていかなければならない、この点の御指摘はそのように思います。
○政府委員(山口公生君) 大切な時間でございますので手短に申し上げます。
 今の早期是正措置は省令で決めておりますが、これは行政の透明性という側面を重視したからでございます。
 それから、第一区分につきましては、これは自助努力ということで計画を出してやりなさいというふうにしてございます。
 それから、第二区分、第三区分にありましても、制度導入時に合理的な計画を出してくれれば、特別こういう措置をやらないでその上の区分で措置をとれるという弾力的な措置もしております。
 事実関係だけ御説明させていただきました。
○牛嶋正君 実はこれだけはきょうは首相に聞いて帰りたいという質問を用意してまいりました。
 先ほどの大蔵大臣に対する質疑の中でも述べさせていただいたんですけれども、このところ金融市場は小康状態を保っているのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、経済の実態の方は、二月の月例経済報告にもありましたように、下げどまりの気配は見られますけれども依然として厳しい状況にあるというふうに見ざるを得ないわけであります。しかも、三月の決算期を控えていることを考えますと、まだまだ予断を許さないというふうに思います。しかも、今私が申しました金融市場の小康状態でありますけれども、今私たちが審議しておりますこの金融二法案の成立を一応織り込み済みではないかなというふうな気がいたします。そういう意味では非常に大きなアナウンスメント効果があったんだというふうに私は思っているわけです。
 そうだといたしますと、これは成立いたしましても直ちに景気が好転するということはちょっと期待できないわけであります。とりあえず今までの経済の後退局面が下げどまりになって、もう一つやっぱり手を打たなければ今度は前に進まないのではないか、そういう非常に大切な、しかも微妙な時期ではないかなというふうに私は思っております。ぜひもう一つの新しい手を極めて効果的に打っていただきたいと思いますけれども、この点についての総理のお考えをお尋ねいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) お答えに窮することを承知の上でお聞きになるんだから厳しいなと思いますが、議員が御指摘になりましたように、この安定化策そのもの、これは私は市場は織り込んでおると当然のことながら思います。それだけに、この法律案が通りましたからといってそれが直ちにプラスに変わるというほど私は事態を楽観いたしておりません。それは先般御審議をいただきました特別減税あるいは九年度補正予算、それぞれが皆実は全体の中の仕組みとして既に公表されましたものはそれなりに私は市場に織り込まれていると思います。それだけに、それが逆に市場の期待する期間内に届けられなかったマイナスの方が私は大きいと考えておりますし、その意味で衆参両院にも繰り返し早期の御審議をというお願いを申し上げてまいりました。
 その意味では、あえて今私の立場でお答えいたしますならば、引き続いて御審議を願うことになります十年度予算も意見はさまざまありますが、既に市場に織り込まれているもの、これが予定の期間の中で市場に届けられるかどうかということはこれからの経済運営の中で非常に大きい。ぜひ平成十年度予算が年度内に市場に届きますように院の御協力を心からお願い申し上げます。
○牛嶋正君 終わります。
○志苫裕君 総理、御苦労さまです。法案の審査も最終局面に来ましたので、私はこの際いささか諸説も述べで総理のお考えをただしたいと思います。
 この委員会は、大蔵当局の見解をただしながら、きのうはまた専門家の意見も徴しながら精力的に審議を重ねてきたところですが、率直に言って我が国の金融事情が今日の状況になったのは行政に責任なしとしないという論調が多かったようであります。また、住専処理の後遺症とでもいいましょうか、公的資金の投入にはアレルギーが強く見受けられました。
 それらの諸説を私なりに要約するとこういうことです。
 第一は、バブルのツケとも言うべき不良債権の始末がもたもたして十分でなかったということ。第二は、まだ病み上がりで体力が回復してもおらない病人にビッグバンだ、早期是正措置だという重労働を強いたこと。言いかえると、グローバルスタンダードという体裁にこだわって導入のタイミングがよくなかったということでしょう。そして第三に、頑固なまでに財政再建路線にこだわって対応が遅きに失したということです。
 およそこんなところが責任論ですが、その一方ではまあまあそれでもよくぞここまで踏み切ったという評価がないわけでもないので、けなすばかりが能じゃありませんから、一応申し上げておきましょう。
 総理は、行政の最高責任者としてこれらの諸説についてどのような御所見をお持ちでしょうか、伺いましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本委員会における御審議の中から出てまいりましたさまざまな御意見を要約してお知らせをいただきましたこと、お礼を申し上げます。
 そして、その上で私は、我が国の金融の状況というものを考えましたとき、バブルの発生から崩壊に至る、そしてその後の今日までのプロセスの中において金融機関が多くの不良債権を抱えることになった、そうした中において政府といいますか行政が全く責任がなかったと言い張るつもりはありません。そのときそのとき最善の策をと考えておりましても、過去に経験をしたことのない事態でありましただけに、後から振り返れば反省すべきことがあった、そういう御指摘は謙虚に受けるべきだと思います。
 その上で、なお私どもがこれに対して全力を尽くしながら努力をし、解決のために今も取り組んでいるわけでありますが、ビッグバンのタイミングということになりますと、私はいささか本院で専門家の方々がお述べになりましたことの中に違和感を覚える部分がございます。
 それは、EUにおける共通通貨のスタートというものを考えましたとき、世界に今ドルだけが一つの基軸通貨として存在をしている時代から複数の基軸通貨が生まれる可能性があるときに、果たして従来のままの日本の金融システムのまま時間を経過することが本当によかったかどうか、やはり金融システム改革というものにはどの時点がで取り組むべき課題があったと考えておりますし、それはやはりヨーロッパの共通通貨の出現というものをにらみながら払うべき努力ではなかっただろうか、私はそのように考えております。この点についてはさまざまな御意見もありましょうが、最高責任者としての政策判断をいたします場面で複数の基軸通貨というものが頭をかすめなかったわけではございません。
 また、頑固なまでにと言われましたけれども、余り私は頑固なつもりはないですけれども、財政構造改革というものが必要だということは私はどなたもお認めがいただけると思うんです。その上で臨機の対応というものを経済・金融あるいは国際状況の変化の中でとっていく、そういう点について一層努力をしろという御指摘と承って私はお答えにしたいと存じます。
○志苫裕君 政府は予定どおりビッグバンをお進めになるようですが、とするとこれと矛盾する一切の施策はそれまでに解消するか撤廃してなきゃなりません。しかし、それはなかなか容易なことじゃないし、混乱も予想されます。果たして二〇〇一年三月までにそれらの作業が可能か、スムーズに四月に移れるのか移行のシナリオが提示されなければ混乱すると思いますが、場合によってはビッグバンの棚上げとか、あるいは早期是正措置の先送りとかという意見もないわけではありませんが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、第一点の金融システム改革をスケジュールどおり進められるかという御指摘に対しましては、進めていかないとこれは日本が本当に大変だと、そして今国会におきましても関係の法案を御審議いただくべく現在鋭意検討を進めているところですというお答えを申し上げたいと存じます。
 なぜなら、既に外為管理は廃止されたわけであります。状況は変わりました。そして、その上で新たな仕組みについてルールが決まらないまま従来の形を引っ張っていて果たして日本がうまくいくか、私は金融システムの上では非常に大きな問題を残すことになると考えております。それだけに、やはり着実にスケジュールによって進めていく、その必要性があると思っておりますし、今国会におきましても関係の法律案の御審議というものはぜひお願いを申し上げたい、御協力を賜りたいと願っております。
○志苫裕君 先ほどアクションが遅過ぎたといって財政改革路線にこだわり過ぎたことに対する批判があったことを紹介しましたが、私は若干違う見解がございます。それは、財政改革か景気対策かは二者択一の問題ではない、両立させられる課題でもあるからです。したがって、財政再建は後回しでもいいという意見にはくみしません。まず景気対策をやれという意見にもくみしません。
 なぜなら、この国にはかつて戦費調達のためにと言えば何でもありの時代がありました。その教訓をもとに戦後を築いてきた我々にとっては、今日を景気対策のためにと言われて何でもありの時代にするわけにはいかない。財政を使っても景気がよくなればペイするじゃないか、おつりが来るだろうという右肩上がりの予定調和路線を主張する意見もないわけではありませんが、そういう経済環境でもないというふうにも思います。さりとて、国家財政の役割を期待し、積極財政運営を望む声が大きいのも事実です。
 これらを踏まえて、総理は財政運営に関して穏健派ですか、健全派ですか。総理の財政哲学というか、基本的なスタンスをちょっと聞いておきたいですね。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 穏健か、自分をそういうふうに分類したことが余りございませんでしたので大変難しいお問いかけですけれども、私は財政構造改革と景気に対する臨機応変の措置が二律背反のものだとは考えておりません。タイムスパンの違うものとして、当然ながら私はそのときそのとき必要な対応というものは許されることだと思いますし、同時に財政構造改革に努力していくことも必要なことだと考えております。
○志苫裕君 先ほども申し上げましたが、もともと財政改革と景気対策は矛盾せず、両立できるはずのもの。それなのになぜかかたくなに財政再建の一本道を進んできたことは否めない。それが三塚財政だったと総称することができるならば、松永財政への切りかえは積極財政への転換を意味しますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今のような決めつけられ方を恐らく松永大臣も余り楽しいと思われないと思いますが、三塚前大臣にいたしても、松永現大臣にいたしましても適時適切な対応をしていくものと信じております。
○志苫裕君 総理は本会議などの御答弁では、経済の実態や金融システムの状況に応じて臨機応変の対策をとると率直に言いまして当たりさわりのないお話をされておるんですが、歳入歳出にわたって厳しく縮減を規定した財革法の見直しを示唆しているものと受けとめてよろしいんですか、一部の報道では見直しの記事もあるようですが。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 報道には見直しと書かれたところもありますし、財革法に固執と書かれたところもありまして、同じ答弁が全く正反対に報ぜられておりましたことも事実であります。
 私は、まさに経済・金融の情勢の変化に対応して財政上、税制上の措置を講じるということは当然のことだと考えておりますし、これからもそうした意味で必要な施策につきましては国会に御同意をお願いしなければならない場合は当然あろうと存じます。しかし、それは財政構造改革法を云々という話と直接連動することではない、そのように思っております。
○志苫裕君 私は基本的には、先ほど申し上げましたが、国債が紙くずになる道は御免であります。さりとて、政府が市場に関与することを厳しく排除する小さな政府論に頼っているわけではない。福祉を除外して財政の機能を国防や治安などの基本的公共財に限定しようとする前時代的な夜警国家論にくみするわけでもない。
 総理の財政哲学とでもいうか、財政運営の基本路線をこの機会に伺えますか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政といいますより、議員のお尋ねはむしろ私自身の政策運営全般に関連する御質問のようにも思います。
 日本は現行憲法のもとにおきまして当然ながらみずからの安全保障を行うその努力を認められておりますけれども、同時に他民族に向けて撃つ武器を持つことを許されている国ではありません。同時に、国民の暮らしというものをでき得る限り豊かなものにしていく、それは心の面でも物の面でも両方言えると思いますけれども、そういう役割を国は負っていかなければなりません。
 そして、今、医療保険制度あるいは年金制度等、非常に厳しい運営を強いられておりますが、これが将来ともに国民の暮らしのセーフティーネットワークとして機能するための仕組みというものは、後世代の負担との公平というものも考えながら我々は真剣にその道を見出さなければならないと思っております。
 そうした中であえて、これは議員におしかりを受けるかもしれませんけれども、例えばしばらく前には公共投資というのが大変目のかたきにされていろいろおしかりを受けた時期がございますけれども、そのときに私はまだ必ずしも公共投資は我が国の場合に十分な水準まで来ていないということを申し上げました。同時に、景気対策として公共事業公共事業という声に対しましても、そうしたことだけが本当にこの国の将来を考える上でいいのだろうかということを申し上げてまいりました。その意味では、我々はバランスのとれた国をつくっていかなきゃならない、私はそう思っております。
○志苫裕君 最後になりますが、相次ぐ官僚の不祥事に関して私は大蔵大臣に若干の提起をいたしております。それを紹介して、総理からも真剣に検討してもらいたい。
 それは言うまでもありませんが、一連の不祥事の背景には長年にわたって培われた官僚社会の習慣、因習、伝統のようなものがありますが、それらは突き詰めて言うと官僚社会の価値観、それはまた男社会特有の論理であり倫理でもあるんですね。だから、女性の価値観で洗い直すことがこの際大事で有効だということを申し上げました。女性は御存じのように威張りません。地道な生活感覚があり行動規範があります。潔癖性が旺盛であります。およそわいろとかまいないなどというものが入り込む余地はない。報道されているような品のない風俗店での接待など全く無縁であります。
 そこで、女性を官庁のポストにできるだけ多く登用して、職員の採用に当たっても女性のクオータ制を設けるなど、そういうことをしてはいかがなものだろうと。大蔵省に先鞭をつけてやってくれと主張しておるんですが、政府全体のテーマにもして総理からも取り組んでほしいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府全体としてお答えを申し上げますなら、従来から国家公務員法に定める平等の取り扱いの原則、同時に成績主義の原則、この二つを踏まえながら社会の各分野における男女共同参画社会の実現という方向に向けてでき得る限り適切な人事管理等に努めてきたと思います。
 その上で、議員から今御指摘をいただきましたけれども、平成八年の十二月に男女共同参画二〇〇〇年プランというものを政府としては策定いたしました。そうした中におきまして女性公務員の採用、登用等の促進に努めてまいりたい、それだけのまた皆さんにもぜひ門戸をたたいていただきたい、そのように思います。
○志苫裕君 終わります。ありがとうございました。
○笠井亮君 総理に伺いたいと思います。
 金融システム安定化のためのということで政府が提案をしている三十兆の支援策の財源の問題でございます。十兆円という総額の交付国債の問題では、これはいわゆる内国債に含まれて、国の長期債務残高、広い意味での国債残高には加えるということであります。
 そこで、国、地方の財政赤字をGNP比三%以内にということを目標の一つに掲げている財革法がある一方で、この二法案はそういう意味では長期債務残高を十兆円ふやすということになるわけでございます。結局、こういう仕組みをつくる、そのことは財政構造改革法で決定をされた国債削減計画、その一角を崩すことになって、これは財政構造改革法と矛盾するのではないかと思うんですけれども、その点についての総理の認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政構造改革と経済・金融情勢を踏まえた景気対策、これは二者択一の問題ではなく、二〇〇三年度までの中期の目標と当面の対応というタイムスパンの異なるものだと考えておりますということは繰り返し御答弁を申し上げてまいりました。そして、財政構造改革は、我が国の少子・高齢社会というものに対応して活力ある経済を実現するためのものでありまして、その必要性は何ら変わるものではないということも繰り返し申し上げております。
 同時に、その時々の経済・金融情勢に対応して臨機応変の対策、措置をとっていくというのも当然のことでありますし、金融システム安定化のための、議員は十兆円の国債に限定してお尋ねでありましたけれども、政府保証も含めまして三十兆円の公的資金の活用など、幅の広い措置というものはこうした考え方の中でしっかりとした対応を行おうとするものでございます。
 そして、預金保険機構に交付されます国債、これにつきましては現金化の時点で政府の支出として計上されますからその分財政赤字が拡大することになりますけれども、その償還財源については財政構造改革を進める中でその時々の歳入歳出全般の状況を踏まえながらその確保を図ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、金融システム安定化の実を上げながら、同時に極力新たな国民負担が小さくなるよう努力をして財政健全化の当面の目標を達成するよう努力をしていきたいと考えております。
○笠井亮君 タイムスパンの問題、臨機応変ということですけれども、財政構造改革法では六年間ということで、相当厳しいことを毎年やらなきゃできないということで相当厳密な議論を政府の側もされていた。そういう中で、全部でないにしろ十兆円、今、総理は三十兆円と言われましたが、使っていく、そして現金化のときには支出になるということでありますが、実際それが七兆円になるのか十兆円になるのか三十兆円になるのか、そういう問題として現実にあるということが目前にあると思うんです。
 その財源としては国債整理基金、それからNTTの売却益優先というような問題もありますが、しかし、当面予定されている財源にしても、それはこれまでに累積している巨額の国債の償還財源に既になっている問題でありまして、そういうものを交付国債の現金化の財源にするとなりますと、まさにそれは先食いということになります。その点でも国債削減計画、今予定されている問題でも取り崩すことになりませんか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 国債の方に限定してお尋ねでありましたようで、政府保証まで言葉を広げましたのは失礼をいたしました。
 その上で、その国債が、御承知のように、七兆円は預金者保護のために、三兆円は金融機関の自己資本充足等に使われる予定になっていることももう既に御承知の上の御質問であります。
 確かに、国債整理基金特別会計に所属するNTT株式の売却収入金、これを今般の国債の債務償還に優先的に充てることによりまして一般の国債の償還に充て得る財源が減少するという点はこれは御指摘のとおりです。ただ、同時にこのNTTの株式の売却収入、これは通常のルールで一般会計などから繰り入れられる国債の償還財源に上乗せをされ償還財源を強化するものであることも御考慮をいただく必要があると思います。
 こうした事情にかんがみ、また今般の国債が緊急異例のものであることを踏まえましたなら、この国債の償還財源として直ちに国民負担を求めるのではなくて、NTT株式売却収入を償還財源とすることで国民負担を当面できるだけ抑制しようとすること、それには意味のあることだと思います。
○笠井亮君 国債整理基金等で当面やりくりができるということであったとしても、それで足りない場合はどうするかということは、仕組みをつくるわけですから、当然考えなきゃいけないと思うんです。その場合に補正等で赤字国債を発行するということもあり得るのか、そういうことは想定されるのか、総理、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今ちょっと一部を触れましたけれども、今般の十兆円の国債の償還のための財源、これは国債整理基金特別会計に所属しておりますNTT株式の今後の売り払い収入を優先して充てることにするほか、国債整理基金特別会計があらゆる国債の償還のために保有しております準備資金もこの国債の償還に充てることができる財源だと考えております。
 また、それらの財源によっても足らない場合には一般会計から償還財源として国債費の繰り入れを行うことになるわけでありますが、その財源としてはその時々の状況を踏まえながら歳入歳出全般にわたる努力を行い、その中で適切な確保を図ろうとすることになるわけでありまして、必ずしも特例国債の発行に直結するとは考えておりません。
 いずれにいたしましても、償還に当たりまして金融システム安定化の実を上げながら、同時に国民の新たな負担ができる限り少なくて済むように適切な運用に努めてまいりたいということも繰り返し申し上げているところであります。
○笠井亮君 社会保障費を見ますと、財政構造改革法の初年度となった九八年度予算案では当然増八千億円のうち五千億円以上も削減されたものが今出されているわけでありますが、財政構造改革法と矛盾しないように歳入歳出全般の努力をして適切な確保ということになりますと、今財政構造改革法があってキャップ制があるというもとで、社会保障、医療など国民生活部門について一層のカットということをやりくりする中ではせざるを得ないということにはなりませんか。そうはならないというふうに、総理、断言できますでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 社会保障、また社会保障制度というもの、これが国民生活にとってのセーフティーネットであるということは他の議員にも私はお答えを申し上げました。そして、そうした仕組みが本当に将来ともにきちんと国民の生活の中に位置づけられてまいりますためには、この少子・高齢社会というものの現実とあわせ、将来世代の負担というものもよく考えの中に入れながら無理なく維持できる制度をつくっていかなければこの維持運営は困難になると思います。そういう意味で社会保障の構造改革というものも真剣に議論をされております。そうした中で、当然ながら将来の国民の暮らしのセーフティーネットとしての役割をなくすことがあってはならない。そのためには年金の仕組みはどうあればいいか、医療保険制度はどうあればいいか、国会においてもさまざまな角度から御議論をいただいておりますし、広く国民の中にもさまざまな御意見がございます。しかし、セーフティーネットとしての社会保障の必要性を疑う方はないはずであります。
○笠井亮君 今十兆円の国債の財源の問題を伺いました。そして、二十兆円の政府保証の問題もあると、こういう仕組みをつくるわけでありまして、今お話を伺っていても、その負担が国民にしわ寄せされることがないんだというふうにはならない。やっぱり結局はそこのところに来るのではないかと、そういうことを強く感じましたので、そういうことがあってはならないということを申し上げて終わります。
○星野朋市君 総理にお伺いをいたします。
 先般の予算委員会で私が総理が大蔵大臣を兼任しておった一月三十日の財政・金融委員会においてのルービン財務長官とバーシェフスキー通商代表部代表の言を引例して御質問を申し上げました。二月三日の予算委員会であります。総理は、そのことは記憶にない、周辺の者にも聞いても、それに触れていない、こういう御答弁がございました。
 私は、そのときの速記録を調べてください、こう申し上げましたが、速記録を調べていただけましたでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) あの折は失念をしておりまして、大変失礼をいたしました。おわびを申し上げます。また、この財政・金融委員会に同行しておりました秘書官と当日の秘書官が異なりましたために、その点を確認いたしましたときにも私は委員に礼を失したと思います。
 速記録を調べてみますと、確かに委員からそういう御指摘がございました。そして、私自身が特定国の特定人の発言に対し発言をし返して、打ち返し合戦になることは決していいことだと思わないので論評は差し控えたいという御答弁を申し上げておりました。私自身が特定の名前を挙げることをいたしませんでしたために、とっさに記憶がよみがえりませんでしたことはおわびを申し上げます。
○星野朋市君 確かに、総理は大勢の方に質問され、お会いになり、だから難しいと思うんですね、すべてを覚えでいるということは。それで私はわざわざそのときに総理もよく御存じのという形容詞をつけて御質問申し上げたわけです。問題はそこではございませんで、そんなやりとりをしておりましたために、そのときの主題である質問についての御答弁がいまだにないんですね。
 そこで、私はきょう改めてその一部を申し上げます。それは、自民党の首脳が景気対策その他を個々に発表されておる、それに対して我が党の野田幹事長が当日、一種の声明を発表いたしました。時間がございませんのでさらに略してその一部だけ申し上げますので、どうか総理の御見解を承りたいと思います。
 「今国会に提出されている九八年度本予算案は、財政構造改革法に基づいて編成されている。しかるにその審議の始まる前から政府・与党がその補正を云々することは、九八年度本予算案が欠陥予算案であることを自ら公言するものであり、」「九八年度本予算案は、撤回の上、出し直すべきである。」、こういう声明を発表しております。これは一部でございますけれども、総理の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 申すまでもなく、政府・与党は一体で仕事をし、国政の中でそれぞれ政党としての役割、政府は政府としての役割、おのずからその節度はありますけれども、その役割を果たしております。そして、平成十年度予算案につきましても、政府・与党一体でこれに努力し、税制改正等も含めまして予算の編成をいたしました。そして、私どもは平成十年度予算が間もなく両院において御審議がいただけるであろうことを願っておりますし、これが年度内に成立し国民の手元に届けられることを願っておりますし、今、政府として全力を尽くしました予算を撤回の上、編成替えをするといった考え方は持っておりません。
○星野朋市君 私は、今度の金融二法案について、一貫して大蔵省が発表した銀行の自己査定の集計額について、この内容についてずっと質問を続けてまいりました。ある日は実例を挙げて、この数字の中にいかに隠された部分があるかというようなことも指摘してまいりました。
 昨日、参考人の陳述の中に、おや、まだこんな認識しか持っていないのかなと思われるような発言もございました。総理は高らかにビッグバンを掲げられておりますけれども、当事者がこんなことで日本のビッグバンは成功するのかなと思われる節々がございます。どういうことかというと、今度の集計額はもう去年から大蔵省が各銀行に集計をさせたんですね。それにもかかわらず、今度の分類はことしかう始まるんだというような陳述がございました。
 私がしばしば言っているように、既に外国からの支店の撤退は続々と行われております。
 総理、果たして日本のビッグバンにおいて相当な犠牲を出さないで済ませられるのかどうか。ビッグバンというのは、先ほどもどうしてもやらなくちゃならない問題であるということは申されましたが、それを覚悟しての御発言でございますか、最後にお伺いをいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) あえてのお尋ねでありますから私もできる限り率直に申し上げたいと保存します。
 数年前、ある日系金融機関の現地法人がアメリカから国外追放と言ってもいいような処分を受ける事態がございました。そのときにも、我が国の金融機関というものに対して非常に厳しい世界の目が浴びせられました。それ以外にもそうした事例を挙げることは幾つかのケースでできるわけでありますが、こうした中で、先ほども触れましたけれども、基軸通貨たり得る通貨が新たに今誕生しようといたしております。
 その中で、現在の金融システムをそのままに存続し、現在の金融機関すべてを倒れないように、親鳥が本当にひなを抱えるような感じで、いわゆる護送船団行政と言われるような形でもってまいりました金融システム、果たしてこのままそれでは存続できるんだろうか、円はその場合にキーカレンシーの一角を占めることができるんだろうか。金融システム改革というものを自分の口にのせるまでに、議員は高らかとおっしゃいましたけれども、私は高らかに言ったつもりはありません、本当におずおず申したんですけれども、踏み切るまでには相当迷いもございました。そして、金融システム改革というものを打ち出す打ち出さないにかかわらず、国際的な金融の市場の拡大、新商品の開発競争、そうした中における資産運用の場としての金融システム、これは今のままではいけないと私は本当にそう思いました。その上で、できる限りけがは少なく済ませたいとは思っております。できるならけが人は一人もないことが一番、言いかえれば国際スタンダードに立っての我が国のすべての金融機関が全く問題なく戦い抜けることがベストであります。
 しかし、事態はそれほど甘いものではございません。それだけに、金融システム安定化策というものを講じておきたい。万一の場合において、預金者が不安に駆られるようなことがないようにもしておきたい。競争に勝つために、当然ながら、退場すべきものは退場していくでしょう、しかしあと一息の自己資本の充足があれば国際競争の中で勝ち抜けるというケースだってあり得るわけです。そういうことまでを考えましたときに、私はこの御審議をいただいております金融システム安定化策というものは本当に必要だと信じて御審議を願ってまいりました。そして、国際競争にさらされます中でも、傷は少しでも少ないことを心か一b願います。
○星野朋市君 終わります。
○山崎力君 改革クラブの山崎でございます。
 最後の質問になります。お疲れのところとは存じますが、おつき合い願いたいと思います。最後でございますので大づかみにこの問題をとらえて質問させていただきます。
 今の一連の質問の中でも、牛嶋先生あるいは志苫先生の言葉もございました。先ほどの大蔵省当局からの御回答の中にもありましたけれども、今回の二法案、緊急時限の、臨機応変の措置であるということは繰り返し総理も申されてきたところであります。とすれば、このような措置をとらざるを得なかったということ自体がやはり大きく見れば金融政策、財政政策の失敗、失態が原因でこうなったのではないかというふうに私は感じているわけです。
 そういったときに、どのような責任を感じるか、あるいは責任をとるかということが、国民の信頼を取り戻す一つの策ではないかと私は思うんですが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、必要だと思う政策をその必要だと思うタイミングにつくり上げること、そしてまたその政策を実行するために必要な法律案を起草し国会に御審議を願うこと、これは行政としての当然の役割だと考えております。そして、先刻の他の議員の御議論の中にも国際的な影響というものまで含めての御論議がありましたように、国内の状況だけで我々が自国の経済を考えていることのできる状況ではございません。
 そうした中におきまして、私は、行政の責任は、その時点時点における最善の方策を考え、そしてそれを実行し、新たな法律が必要でありますならばそれを起草し国会に御審議をお願いし、その成立を待ってその対応をしていくことだと考えております。
○山崎力君 そこの点が一番の問題だろうと思うんです。
 まさにおっしゃるとおりなんですけれども、それではなぜその時点で必要な政策が出てきたのか、当初の方針どおり、考えどおりいけばそういう政策をとらなくてもいいのではないかと。あるいは、今これをやらなければ将来もっと悪くなりますよという提案に対して、それをその時点でする必要はないんだと言って先延ばしして、それである時点でやっぱり必要になったからやりますよというようなことでも今の総理の答弁からすると許されるということになると私は思うわけです。
 ですから、この際私は、やはり国民の率直な感想としては、今までの財政あるいは金融の運営に落ち度があったということをまず最高責任者として認めていただいて、つけ加えるならば、幸か不幸か、そのことによって総理の不信任が通るような国会の状況でもございませんし、まずそれを認めていただいた上で明確な方針、すなわち、各委員からも出ておりますけれども、並大抵のことでは乗り切れないというビッグバンに対して、これからの政府の方針はかくやる、今までのことを踏まえて、反省を踏まえてかくやるというふうにけじめをつけた形で再度出発される方がよっぽど国民の支持を得られるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども他の委員に対してお答えをいたしましたことと一部重複することをお許しいただきたいと思いますが、バブルの発生から崩壊に至るプロセス、そしてその崩壊から今日に至るプロセスの中で行政が常に正しかったかと言えば、正しかったと言う自信はありませんと私は率直に先ほどもそう申し上げました。そして、その時点その時点において政策担当者、政策責任者は最善と思う施策を当然ながら努力してきたわけでありますが、結果としてその努力が実らなかった部分があることも私は隠しておりません。同時に、バブルの発生から崩壊に至るプロセスというものが私どもの過去の経験に全くなかった状況でありましたから、その時点において十分考えたと思ったことでもそれが結果として十分でなかったという御批判を受ける部分はあると思います。私は素直に先ほどもそう申し上げましたし、改めてのお尋ねでありますからそのように同じお答えをさせていただきます。
 そして、その上で、その状態を受けて、この事態を乗り切っていくために全力を尽くして、また院の御協力も賜りたいとお願いを申し上げている次第であります。
○山崎力君 その御意見といいますか姿勢というものに関して、それなりの評価というものは当然出てくるわけだと私は思います。
 しかしながら、先ほどの議論の中でもございましたけれども、国民の意向というもの、国民の考え方、取りつけ騒ぎが起きるか起きないか、これは非常に心理的な問題がございます。
 今度の財政あるいは金融二法の問題でいけば、国民が大蔵省の、あるいは政府の金融政策、財政政策に対して信頼感を持つか持たないかというところが一番大きなポイントになるのではないかと思うわけでございます。
 その点に関して、個々のケースを言いたくはないんですけれども、大蔵省の今の現状の問題、あるいは倒産した北拓が予想以上の債務があって、それはもう北海道銀行との合併問題でそれがつぶれたという原因になっていたという問題、山一の問題でいえば簿外債務があったという問題、そういったことの一つ一つの積み重ねが私は国民の今の現状に対する問題意識といいますか、信用の失墜に至っているのではないかと。
 それが、申しわけない言い方で、これも戦後の総理としては初めてかもしれません、いわゆる株価によって政権の安定度が違ってくるという初めての事態を総理自身、今味わっていらっしゃると思うわけです。このことで思い返すのは、名君と言われた吉宗八代将軍が米相場に一喜一憂していたという、そういったことも考えるわけです。
 それはともかくとして、こういった事態に対して国民の一人一人が日本の財政、将来に対して安心を持てるという施策が先ほどの言葉で出できているのかといえば、私はそうは思えない。むしろ総理が素直に今までのことを、言葉じりでございますけれども、正しかったとは思わない、間違っていなかったとは思わない、そうは言い切れないと言うことよりも、むしろこの点の方が至らなかった、間違っていたと認めた上でこれを改めると言った方が国民の理解は得られるのではないかというふうに思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私個人の格好のいい悪いというようなことであれば、あるいは議員の御指摘どおりにする方がよいのかもしれません。
 同時に、証券市場も私は気になりますが、為替市場も気になりますし、殊に最近はアジアの他国の通貨の水準も大変気になっております。証券市場あるいは為替市場を心配された総理は私以外にもたくさんおられると思いますけれども、またそれだけの重みのある職だと思いますが、確かにアジアの他の通貨を心配するという場面に立ったのは私が初めでかもしれません。
 しかし、そういう状況に現に日本があり、その中で一定の役割を果たすことを期待され、現にまた日本は果たしつつあります。そして、それは議員のお目に触れておりますもの、お目に触れでおらないもの、さまざまなものがありましょう。報道されておりますもの、報道されておりませんもの、当然ながらこうした課題についてはございます。
 私としては、でき得る限りすべての御協力をいただきながらこの事態を乗り切っていき、それがアジアの安定にも寄与していくということを御理解賜りたいと心から願っております。
○山崎力君 終わります。
○委員長(石川弘君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたします。
 橋本内閣総理大臣は退席されて結構でございます。
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○今泉昭君 私は、民友連を代表して、内閣提出の預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案の両案に対して、反対の立場から討論を行います。
 我が国の金融システムの安定化を図ろうとする両法案が提案されると時を同じくして大蔵省金融検査部の収賄事件が発覚し、大蔵省に対する国民の信頼は地に落ちました。
 この事件は、これまでの金融行政が護送船団方式と呼ばれる裁量行政の極致にあったことを示しており、その官業癒着の体質の中で、公務員倫理が崩壊し、国民に奉仕することを忘れ、業界に奉仕していたのであります。業界とのなれ合いの中でのずさんで甘い検査が不良債権の不必要な累積を生み出し、今日の金融不安を招いたのであります。
 今、大蔵省がなすべきことは、長年の裁量行政の間にしみついた業界との癒着、なれ合い体質を一掃するために、徹底した内部調査を行い、その結果に基づき関係者の責任を明確にすることであります。そのことなくしで最大三十兆円にも上る公的資金の投入に国民の理解は全く得られないであろうことを強く指摘しておきたいと思います。
 今回の金融二法に反対する第一の理由は、公的資金は住専と信用組合の破綻処理以外に使用しないという政府のこれまでの公約に反しているからであります。
 公的資金を投入しないで済むような金融行政が展開できなかったその責任はまことに重大であります。さらに、政府提出の両法案は公的資金の投入について有効な歯どめを持っておりません。これは金融機関のモラルハザードを招き、安易に国民負担を増大させるおそれがあります。
 第二に、我々は、公的資金の投入については、徹底した情報開示と金融機関経営者の責任を明確にすることを前提に、金融機関の破綻処理に伴う預金者保護に限定すべきであると考えるからであります。また、金融機関の破綻処理に当たっては、公的資金を最小にするという原則を貫くことが重要であり、特別預金保険料という形での金融機関の自己負担の増大を求めていくべきであると考えます。
 第三に、公的資金による優先株等の引き受けについては、破綻処理に伴う受け皿銀行に限定して行うべきであり、一般金融機関への資本注入には反対であります。
 今回の金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案は、信用秩序の維持という大義名分のもとに、一般金融機関の救済を預金者保護の原則を超えて行おうとするものであります。
 第四に、預金保険法改正案の中での整理回収銀行の機能強化は、主に債務者の担保不動産への立入調査権にとどまっており、全く不十分なものであります。
 整理回収銀行を早急に公的機関である整理回収機構に改組し、これに日本版RTCの機能を持たせるべきであり、悪質な借り手のみならず、関係する銀行や経営者に不正があった場合には告発の義務を負わせるべきであります。このようにして初めて債権の回収が強力に推進されることになるのであります。
 最後に、今日の経済不況と金融不安を招いた原因はひとえに橋本内閣のとり続けてきた政策にあり、国民への公約に違反して最大三十兆円もの公的資金を投入せざるを得なくなった責任は内閣総辞職にも値するものであることを指摘して、私の反対討論を終わります。
○岡利定君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案について、賛成の立場から討論を行います。
 両法案は、我が国の金融環境の変化に対応して、破綻金融機関について的確な処理を行うとともに、金融機関の自己資本充実のための措置を講ずることにより、預金者の保護と信用秩序の維持を図ることを目的とするものであります。
 以下、両案に対する賛成の理由を申し上げます。
 賛成の第一の理由は、この措置により預金者を保護する体制が強化されることであります。
 第二には、不良債権の回収体制を強化する措置として預金保険機構に罰則つきの立入調査権を付与し、公平かつ適正な措置を講じてあることであります。
 第三は、金融システムの安定のため、金融機関に優先株等を導入して自己資本を充実させる制度を設ける点であります。
 さらに、安易な自己資本の注入にならないように経営の健全化計画を策定し、民間の有識者を含めた審査機関においで全員一致による議決、審査機関の議事録の公表及び閣議による了承が法律に盛り込まれており、破綻金融機関の救済や経営規律の低下を引き起こさないよう最大限配慮されたものであります。
 以上、賛成の理由を申し述べましたが、最後に、預金者保護は当然のことでありますが、政府において、優先株式等の引き受け等に当たり、透明性のある基準を設けること、さらに破綻金融機関の経営者の責任追及や経営合理化について適切に対応されますことを強く要望いたしまして、私の討論を終わります。
○牛嶋正君 私は、公明を代表し、ただいま議題になりました預金保険法の一部を改正する法律案に賛成の、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案に反対の討論を行うものであります。
 まず、申し上げたいことは、三十兆円に達する公的資金を導入せざるを得なくなった政府の責任が不明確であることであります。今回の金融不安の直接的な原因は、昨年、政府が景気判断を誤り、体力の弱っている我が国経済にGDPの約二%に近い九兆円に及ぶ消費税などの増税を強行し、加えてデフレ予算により景気が著しく悪化し、株価が暴落し、自己資本比率が低下したために起こったのであります。
 もし、九兆円に及ぶ増税等がなかったら景気は悪化せず、したがって金融不安は深刻化せず、三十兆円の投入もなかったと言わざるを得ません。政府は財政均衡路線に必要以上に固執したため、九兆円の増税等に加えて三十兆円の負担が国民の肩にかかろうとしておりますが、政府は何の責任もとっておらず、納得できないのであります。
 第二は、優先株等の引き受け条件が法律に明記されず、非効率金融機関を温存し、いわゆる護送船団的行政が継続されるおそれが大きいことであります。
 金融安定の根本は、自己責任の原則、情報開示の確立にあります。しかし、さきの大蔵省の金融検査官の不正問題はこの原則が完全に地に落ちたことを明らかにしました。こうした体質を温存したまま公的資金を導入することは許されるものではありません。
 また、優先株等の引き受けを決める金融危機管理審査委員会が果たして公正性の確保ができるかが疑問であります。この審査委員にはバブルを放置し、その収束に失敗した大蔵省や日銀等の大臣や総裁が入っており、さらに民間人の三人のメンバーは、国会の同意が必要とはいえ、内閣が任命することになっております。果たして本当に公平を期せるのか疑問であります。個別金融機関の救済になったり、裁量行政が続くのではないかという疑念は払拭できないのであります。
 第三に、リストラ、合理化が大幅におくれている金融機関の発行する優先株等を引き受けることについてであります。
 バブル崩壊後七年が経過していますが、不良債権の処理は大幅におくれており、また他の民間産業に比べ高水準の給与等の改善もほとんど進んでおりません。さらには、金融当局に対する接待や総会屋に対する利益の提供など目に余る不祥事を相次いで引き起こしており、自己改革に対する真剣な姿勢は全く見られないのであります。公的資金を投入することは困ったら助けてくれるということになり、モラルハザードを招きかねないのであります。
 進展する金融ビッグバン等を考えると、今後も金融機関の破綻は避けられないのではないかと思うのであります。国民の教育資金や住宅資金、老後の大切な預金を何としても守らなければなりません。したがって、二〇〇一年三月までの措置として預金保険法の一部改正案に賛成をするものであります。
 以上で私の討論を終わります。
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、預金保険法一部改正案及び金融機能安定化緊急措置法案に対して、反対の討論を行います。
 両法案は、昨年秋以降の北海道拓殖銀行、山一証券を初め、一連の金融機関の破綻が相次ぎ、我が国金融機関の健全性が問われ、内外の信用が急速に低下したことを発端としています。さらに、法案提出後、大蔵省の腐敗、不祥事が明るみに出され、大蔵省がこれらの破綻に大きくかかわっていた疑いが浮かび上がってきました。したがって、法案審議の前提として、金融機関の破綻の原因と責任、大蔵省がその過程でどうかかわったのかを明らかにすることが不可欠であります。
 ところが、本委員会において、これらの解明に最低限必要なものとして、野党が共同して要求している関係金融機関の検査資料などについていまだ提出されておりません。このままでは本法案の採決の最低条件をも満たしておりません。
 さて、二法案の内容についてであります。
 二法案は、金融機関の破綻処理のために十七兆円、一般金融機関の自己資本充実のための優先株引き受けで十三兆円、合わせて三十兆円の巨額の公的資金を投じる銀行支援法案であります。
 まず、預金保険法改正案についてであります。
 本法案は金融機関の破綻処理に不足する資金に公的資金を充てるものであり、その費用は金融システム内で賄うというこれまでの政府方針を大転換するものであり、国民に対する重大な公約違反であります。預金者保護のために必要なら、保険料の見直しで対応するのが筋であります。特に、負債に占める付保預金の比率の少ない大銀行は、現行の一律保険料率のもとで負担が過小となっており、さらに負担を求めることは可能であります。
 次に、金融安定化緊急措置法案についてであります。
 本法案は、第一に、健全な大銀行の発行する優先株等を引き受け、資本注入することによって自己資本をさらに大きくしようとするものであります。これは、金融ビッグバンの中で、我が国の大銀行が国際的な大競争で生き残れるようにさらに体力を増強するものにほかなりません。
 第二に、法案は、巨額の公的資金を投じる一方、それを受ける銀行の責任を問う仕組みは何ら設けられておりません。これでは幾ら乱脈経営を行ってもみずからにツケが回ってくる心配はなく、自己資本が不足すればいつでも公的資金が注入されるという、文字どおりのモラルハザードの仕組みであると言わざるを得ません。
 第三に、公的資金に依存して自己資本の増強を図ったとしても、我が国金融に対する内外の信用を回復することにはつながりません。また、貸し渋り対策としても、大銀行の貸国政策を変えない限り効果は期待できません。
 第四に、三十兆円の公的資金は未曾有の破綻状態にある我が国財政を一層悪化させ、いずれ国民の負担増となることは必至であります。
 以上の理由から、二法案には断固反対の意を表明して、討論といたします。
○星野朋市君 私は、自由党を代表して、政府提出の預金保険法の一部を改正する法律案に賛成し、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案に反対する立場から討論をいたします。
 続発する大蔵省関連の不祥事は、まさに政官業癒着の典型であり、護送船団行政のなれの果てであります。今や金融行政、銀行業界への国民の信頼など一がけらもありません。金融システムへの不安を解消するための第一歩は、事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政へと明確に転換し、行政の透明性を高めて市場の信頼を取り戻すことであります。さて、私ども自由党が今回の預金保険法改正案に賛成いたしますのは、二年間もおくれたとはいえ、住専処理の際、私ども旧新進党が主張しておりました日本版RTCの設立にようやく政府・与党が重い腰を上げたからであります。私たちは、会社更生法を前提とする法的処理によって破綻金融機関の経営者の民事上、刑事上の責任を追及し、また強力に不良債権を回収する機構を設立した上で、預金保証の不足資金に限り公的資金を投入する不良債権処理公社案を主張いたしました。
 今回の預金保険法改正案は、基本的には二年前から今日に至るまで私どもが一貫して主張していた線に沿っており、それゆえ極めて遅きに失したとはいえ賛成するものであります。
 次に、金融安定化法案に反対する理由を申し上げます。
 優先株等の公的資金による引き受けは、護送船団行政を強化して金融機関の経営を救済するものであり、真っ向から金融ビッグバンの原理に逆行します。
 健全な金融機関であればマーケットから資本を調達できるので、経営内容を政府に干渉されてまで公的資金の投入を望まないのは当然であります。不健全な金融機関は公的資金の投入を望んでおりますが、それでは不良行のレッテルを張られるのに等しく、信用は著しく失墜いたします。その結果、密室の行政指導が行われ、健全な金融機関に優先株などを強制的に発行させて公的資金を注入することになるのは目に見えております。これこそ官が民を指導、誘導する護送船団型の裁量行政への逆戻りであり、政官業癒着による不祥事の温床を再生産するものであります。
 このような公的な資本注入は、自主的な経営努力によって八%あるいは四%の自己資本比率をクリアしたまじめな金融機関との間に著しい不公平を生み出します。また、資本不足に陥って倒産していく一般企業に比べて、余りにも不公平な金融機関優遇であります。モラルハザードは日本全土に蔓延するに違いありません。
 さらに、国際的に見ても、公的資金の注入によって競争力を取り戻す日本の銀行に対して批判が集中し、その信用は失墜するに違いありません。公的な資本注入は、システミックリスクを回避するために受け皿銀行となった銀行が市場で資本調達ができなくなった場合に限らなければなりません。
 本来、預金者保護に限定されなければならない公的資金が、いつの間にか貸し渋り対策と混同され、金融機関の経営救済のために用意されようとしているのであります。
 以上、政府提出の預金保険法の一部を改正する法律案に賛成し、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。
○委員長(石川弘君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、預金保険法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(石川弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会