第142回国会 国民福祉委員会 第8号
平成十年四月十六日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 四月十四日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     今井  澄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                釘宮  磐君
                直嶋 正行君
                浜四津敏子君
                西山登紀子君
                木暮 山人君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生省保健医療
       局長       小林 秀資君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       厚生省医薬安全
       局長       中西 明典君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   説明員
       警察庁生活安全
       局薬物対策課長  樋口 建史君
       消防庁救急救助
       課長       高橋 正樹君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
 関する法律案(内閣提出)
○検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律
 案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として今井澄君が選任されました。
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○委員長(山本正和君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十一日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山本正和君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。
 まず、大臣、お元気でいらっしゃいましょうか。連日お疲れさまでございます。大臣にお伺い申し上げたいと思っております。
 明治三十年の伝染病予防法の制定以来百年が経過いたしましたが、もう少し早く対応すべきではなかったのでしょうか。今日になってこのように全面的に見直しを行うということになりましたが、その背景、理由をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 百年間の変化というのは、百年前の人から見れば想像もできなかったような状況に現在あると思います。むしろ、この百年間改正されなかった方が不思議なぐらいだと思います。
 いろいろ理由はあると思いますけれども、この百年間の中で法定伝染病の患者数が激減しているということ、さらには最近の新興感染症あるいは再興感染症の出現、そして特に患者の人権への配慮、こういう点が最近は重視されてきております。また、国際交流、国際間の交流というのは活発になりまして、人においても物においても活発化しておりますから、当然それに伴って感染症もいろいろ移動が活発に行われるということも考えられると思います。
 このような点と、医学医療の進歩というのはこれは目覚ましいものがある、当時は恐ろしい重篤な死に至る病というものも現在では大した重い病気ではないというぐらいになっている、この医学医療の進歩、こういうものに的確に対応していく必要がある、時代の変化に迅速に対応していく必要があるという観点等が主な背景にあると思います。
 しかも、この法案においては少なくとも五年ごとに見直しを図るということになっておりますので、そのような状況の変化に伴いまして適時的確な感染症対策に取り組む必要があると思っております。
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 次は、結核のことなんでございますけれども、もう結核はなくなったのではないかなと我々も一時思ったことがございました。でも、年間四万二千人の新しい患者さんが発生しているということを聞いております。インフルエンザに次ぎまして日本では最大の感染症となっている。それは大変びっくりすることなんでございますが、最近は院内感染が発生しております。さらにまた、看護婦もその感染を受けて死亡しております。
 そういうことに関連しまして、結核予防法は今回の感染症の見直しにおいて単に改正、統合したということだけで事が足りるのでしょうかということをちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えを申し上げます。
 先生が今御指摘されましたように、結核というのはまだ現在でも大変怖い感染症であると私どもは認識をいたしておるところでございます。
 結核は、新登録患者数が現在でも四万人を超えておりますし、死亡者数は平成八年では二千八百五十八人の方がお亡くなりになっておるところでございまして、現在では国内最大の感染症だと言って差し支えないわけであります。また、日本における結核の罹患率、かかる割合でありますけれども、これも他の先進諸国と比較いたしましても高い状態にある、高いということはよくうつる、かかるという状態でございまして、その対策が依然として揺るがせにできない状況にあると私どもは思っておるところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、結核予防法においては、きめ細かな健康診断や外来医療に関する適正医療の規定等結核対策上の固有の規定があることから、今回は法案の見直しの中には入れずに引き続き独立の法体系によって結核予防の推進を図ろうとしておるわけでございます。
 具体的な結核対策のうち特に重要なものとしては、薬剤耐性結核についての研究推進とか医療従事者への感染防止のための指導の徹底、それから新たな医学的知見に基づく治療方法の普及等が挙げられるわけでございますが、これらを着実に実施していかなくてはいけない、このように思っております。
 今、先生がお挙げになられました院内感染では、実は看護婦さん方が犠牲者というんですか、うつされてしまうというケースが最近出てまいりました。残念ながら、国立病院にも出ておるわけであります。
 そういうことで、この感染症法の検討と並行いたしまして、実は結核対策をもう一遍再度きちっと見るべきではないかということで専門家の方々にお集まりをいただきまして、国立病院がたくさん結核の患者さんを持っていて結核の専門医も多いものですから国立病院は病院グループとしてどんなことができるか、それから結核病学会の先生方はこの状態をどう考えるのかということで、それぞれ検討会をつくっていただいて今その検討会のレポートがこちらに寄せられているところでございます。それをばらばらで出すのもどうかと思って、厚生省ではまとめた局長通知を発したい、このように思って現在努力をしておるさなかでございます。
○南野知惠子君 ぜひそこら辺の環境もお願いしたいと思っております。
 例えば、建物などにおりましても空調のダストが新生児室、未熟児室、そこら辺を通ってということで、そういったところにも感染症が出たという過去の経緯もございます。ぜひ怠りなくお願いしたいと思っております。
 日本の性感染症の発生率に移りたいと思いますが、先進国では群を抜いております。こういったことは大変恥ずかしい限りだと思っております。
 我が国の国民衛生の動向によりますと、これは病気の名前になるのでございますけれども、トリコモナスというのは、これは普通のあれなんですが、減少傾向になっております。ですが、淋病様の疾患、それと痛みを伴うと思いますがヘルペス、それらは最近やや増加してきております。特に、陰部クラミジア、これは普通クラミジアと表現しておりますが、それは平成になってから本当に急増をいたしております。
 性感染症の中でも、今申し上げましたように自覚症状のあるものは早期に治療されるということはございましても、自覚症状の乏しいものは発見されにくく、そのまま放置してしまいますと不妊症の引き金になってしまう、それは少子化の要因をつくっていくことではないかなというふうにも思っております。助産婦の立場から私は、そこら辺を大変危惧し、我が国が抱える少子社会というものもこれにあわせて見ているわけでございます。
 性病予防法というものが廃止されるというのがこのたびの法案でございますが、感染症対策が後退してしまうおそれはないのでしょうか。お聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答え申し上げます。
 性感染症やエイズにつきましては、この法案では感染症に対する意識の向上や医学医療の進歩に照らしまして従来の法律の各規定が必要かどうかを検討いたしました。そして、公衆衛生審議会の意見を聞いた上で整理をさせていただくことにしたわけでございます。
 これらの感染症については、新法に基づく発生動向調査により状況を把握するとともに、特定感染症予防指針というのをつくることを法律で規定しておりますが、その特定感染症予防指針の対象とすることを考えておりまして、原因の究明、発生の予防、蔓延防止、医療の提供、研究開発の推進、国際的な連携等の総合的な対応を図ることといたしております。
 なお、性器クラミジア感染症につきましては四類感染症に位置づけておりまして、発生動向の把握及び感染症の予防のための情報の公表に努めてまいりたいと思います。また、四類感染症の中でも十二の疾患につきましては法律に名前を書いておるところでございまして、それは国民の皆さん方にその例示をすることで四類感染症のイメージをより的確に持っていただくことと同時に、余計関心を持っていただきたい病気ということで例示をしたわけでございまして、病原別にも拾っておるわけです。
 そういうことで、我々としては特に性器クラミジア感染症については注意を払っていこう、こういう意思で法律に明記をしたところでございます。
○南野知惠子君 今おっしゃっていただきました感染症類型の四でございますね。その感染症に、インフルエンザと並んでいわゆる性器クラミジア感染症があるわけです。また、後天性の免疫不全症候群、いわゆるエイズもその中に位置づけられております。今お示しいただいたお答えで理解できるわけでございますけれども、その問題についてのさらに十分なる対策というのをお考えいただきたいと思っております。
 第四類の感染症は発生動向調査を行っていくこととされておられますけれども、厚生省で定めます届け出事項、これはどういうことが含まれているのでしょうか。特に、後天性免疫不全症候群、いわゆるエイズにつきましては感染原因を届け出内容とするのかどうかということを教えていただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えいたします。
 四類感染症に関しまして厚生省令で定める届け出事項につきましては、今後、公衆衛生審議会の意見を踏まえながら検討することといたしておりますが、私どもの想定していることは、年齢、性別、診断日時、それから居住地域というのは都道府県別、保健所別など個人が特定できない範囲の居住地域であります。それと感染原因等を想定いたしておるところでございますが、正式には公衆衛生審議会にお諮りをして決めるということにしておるわけであります。
 エイズを含む四類感染症につきましては、個別の強制的な措置の対象にはならないことから個人が特定されるような情報は届け出内容としませんが、発生状況等の情報を収集し、その予防のための情報を積極的に公表することによって予防を図る感染症であることから、感染原因は届け出内容とすることにいたしておるところでございます。
 なお、現在行っているエイズ発生動向調査においても感染原因を六種類に分けて届け出を求めているところでありまして、この程度のものは今後も必要だと考えております。
○南野知惠子君 届け出内容を今お伺いいたしました。やはり感染原因というのは、我々医療に従事する者にしてみたらそれがはっきりわからないと予防対策が立てられないじゃないのというようなことも理解できますが、人権ということもありますので慎重によろしくお願いしたいと思っております。
 次の質問に移りたいと思います。低用量ビルの解禁ということについてお願いしたいところでございます。
 これは女性の自立の立場から、リプロダクティブヘルス・ライツという文言は我が国の法律の中にも附帯決議、特に母体保護という法律が優生保護法から改正されましたが、その母体保護法案の中に附帯決議として明記されております。その前の優生保護法改正のときにも附帯決議として明記されております。
 開発国では低用量ピルの解禁がなされておりますけれども、我が国だけがまだピルの解禁がされていない。そのことにつきましては、中央薬事審議会におきましてミニピルの安全性については検討済みと聞いております。また、性感染症予防のためのコンドームの着用というのは、これは当然大切なことだというPRがいろいろなところでされておりますが、望まない妊娠による心身の痛みというのは生涯消すことができない、女性の心と体にしみついているということがあるわけですが、これは女性にしか本当に心底理解できないものではないかなと思っております。
 公衆衛生審議会におきましては、ピルの使用と性感染症の感染の関連というものを結論づけることは困難であること、我が国においては性感染症予防への認識が低いままに低用量経口避妊薬が使用されると今後性感染症の増加の要因になることが懸念されること、使用が承認される場合には、国民に対する予防対策の充実強化や、処方を行う医師や保健婦、助産婦等の医療従事者によるカウンセリングの実施等の感染症予防の観点からの所要の対策が講じられる必要があることと、その趣旨の回答が出されております。そういったことを受けまして中央薬事審議会におきましては今なお審議が継続されているというふうにお伺いしております。
 専門医がピルを処方します際に感染症のチェックを義務づけ、さらに服用中のフォローアップは当然するわけでございますが、そういうことを継続していきながら、また感染症が発見されますならば相手の方への治療ということも継続していくということを前提にするならば、ビルの解禁とあわせてこれはむしろ感染予防対策ということにも資するのではないかなと考えますが、そういうところのお考えについてお伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) お答え申し上げます。
 現在、低用量経口避妊薬、いわゆるピルの承認の可否については、現在、中央薬事審議会において審議中でございます。
 そこで、先生が御提案をされました処方時の検査等を条件にピルを承認すれば感染症対策に資するのではないかという御提案でございますが、公衆衛生審議会の報告においても処方時の検査の重要性が指摘されているほか、検査を含めた処方時の指針の作成についての関係学会の取り組みが中央薬事審議会に報告され、またエイズ等の性感染症の予防を含むピル服用者向けの添付文書や小冊子についても検討されているところであり、引き続き中央薬事審議会での審議を見守りたい、このように思っております。
○南野知惠子君 海外などに支援または援助に出かけます。家族計画の実地指導員なども海外に出かけていきますけれども、我が国はビルが解禁されていないので、相手国の人口の多いところにどのような指導ができるかといいますときに、その項目についてはやっぱり指導ができない、実際向こうに援助に行っている人たちのそういういら立ちも直接聞いております。
 さらにもう一つ、我が国にこれが解禁されていないということについて、女性の自立したリプロダクティブヘルスまたはライツに関する選択肢がないというところが国際社会の中で女性会議の中でも不思議に思われている一つの大きな点でございますので、その点をよく、日本として誇れるそういった女性の自立というものもこの中の一つに加わってくるのではないかなと思っておりますので、ぜひよろしく御検討をお願いしたいと思っております。
 次は、保健所が感染症対策の中核機関として役割を果たしていくことになっておりますが、保健所はその任にたえることができるのでしょうか、またどのように保健所の機能強化をお図りになろうとしておられるのか、教えていただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 新法におきましては、感染症対策の広域性、専門性等の観点から、これまで市町村長の事務といたしておりました感染症患者の入院措置等の事務について、都道府県知事、実質的には保健所長でございますが、に移管することといたしております。したがいまして、保健所がたえられるのかというのではなくて、たえなくてはならないし、きちっとしていかなくちゃならないということであります。
 保健所には、医師、薬剤師、保健婦等が配置をされておりまして、これまでの結核対策の歴史を振り返っても感染症対策の中核機関としての役割を果たすことができるものと考えております。今後とも、保健所内の食品保健部門等関係部門間の連携をさらに強化して頑張ってまいりたいと思っております。
 なお、保健所長を初めとする保健所職員のさらなる資質向上ということも公衆衛生審議会からの意見書にその必要性が指摘をされておりまして、国立感染症研究所や国立公衆衛生院における研修体制の充実強化にも努めてまいりたい、このように思っております。
○南野知惠子君 今お話しになられましたように、保健所における保健婦または薬剤師、その人たちをもぜひ有効に活躍させていただきたい。今でも大きな資質を持っている人物が配属されているというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
 保健所にはそのほかに、やっぱりいろいろと地域の問題点のニーズに即対応できるような形で看護婦の職種も必要でしょうし、また最近必要になってきている母子保健の領域では助産婦を常置させるということも必要だろうと思っておりますので、満遍ない医療従事者をそこに配置することによっていろいろな問題点に即対応できるという保健所機能の強化ということをぜひお願いしたいと思っております。いかがでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 実は、私も若いとき保健所に勤めておりました。実際に現場で保健婦さんだとか薬剤師さん、獣医さんともども一緒に公衆衛生活動をやってまいりました。
 その保健所が、確かに世の中の社会が変わって公衆衛生事情が変わったということでいろいろ変化はしてきてはおりますけれども、いまだこの感染症を中心にして、さっきも話が出ましたように結核だってまたぶり返すのではないかという危険性もあり、新感染症の危機管理でも十分やっていかなくちゃいけない。そのためには、何にも増してそこで働く人たちの能力を絶えず磨いておく、よく勉強していただいておくことが非常に大切だと思って、今後ともそれらの方面に力を入れてまいりたい、このように思います。
○南野知惠子君 先ほども性感染症のところで母性、いわゆる女性の感染症ということを申し上げましたが、その母親と子供ということに関係しますと、やはり母子の感染対策ということも一番重要になろうかと思いますので、助産婦の配置、これはぜひお願いしたいところでございますが、いかがでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 助産婦さんの配置について、今それを義務づけるというのは大変難しいかと存じますが、私どもとしては助産婦さんの数の問題というのが一つ今背景にあると思います。それからもう一つ、助産婦さんというのは、私どもとしては本当にお産のところがもっと大切で、その点頑張っていただきたいというもう一つの思いがありまして、必置規制的なことについてまではちょっと今考えていない。
 しかし、先生がおっしゃられますように母子保健というのは大変に重要な、特にこの少子化の時代に生まれた子供さんについては立派に育ってほしい、まずその前に健康に生まれてほしいというところから始まるんですが、そういうところが重要だと思って、そういうことについては先生の御意見を十分今後とも頭によく銘じておきたいと思います。
○南野知惠子君 このことについてはまた後ほどということになると思います、このたびではございませんが。
 次は、感染症の対策におきまして、就業制限や入院などの人に対する措置の規定はもちろん必要でございますが、病原体に汚染されました物件、例えばマットレスとかベッド、そういったことの消毒や廃棄等の対物措置というものも必要であろうかと思っておりますが、この法案においてどのように対応を図ろうとしておられるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) 感染症対策におきまして、病原体を媒介するおそれがある物件の処置といった対物措置の重要性は高いものと認識をいたしております。
 今回の新法の中でも一類感染症から三類感染症について次のような措置が規定をされております。ひとつ挙げていきますと、消毒、それからネズミ族、昆虫等の駆除、それから飲食物、衣類、寝具その他の物件の移動制限、消毒、廃棄等、それから死体の移動制限、それから水の使用制限、こういう措置が規定をされておるわけであります。さらに、一類感染症が実際に発生した場合については、極めて限定された要件の中で汚染建物への立入禁止や交通の制限ができるようになっております。以上により、感染拡大防止の観点から、新法は対物措置についても十分な対応がとれるようになっていると考えております。
 なお、このような対物措置が必要以上に適用されないように、法文上その発動は最小限であるべき旨規定もつけておるところでございます。
○南野知惠子君 ありがとうございました。いろいろと配慮をされているというふうに思っております。
 次は、エボラ出血熱のウイルス性出血熱を媒介する動物といたしまして猿が挙げられております。今回の法案におきましては海外から持ち込まれる可能性のある危険な動物につきまして具体的にどのような対策を講じていかれるのか、お聞かせ願います。
○政府委員(小野昭雄君) 動物由来の感染症の中で、人への蔓延防止という観点から動物対策は極めて重要かつ有効であると考えられる感染症といたしましては、今、先生御指摘のございましたエボラ出血熱あるいはマールブルグ病、狂犬病等が挙げられるわけでございますが、これらの感染症が海外から侵入することを防ぎますために、今回新たに輸入時におきます猿の検疫を実施することといたしたところでございます。
 それからまた、狂犬病の我が国への侵入を防止する目的で、これは従来犬のみに実施していたわけでございますが、輸入検疫の対象動物につきまして、WHOの報告等を参考にいたしまして、猫、キツネ、アライグマ等に広げることといたしているところでございます。
○南野知惠子君 感染症予防を、ぜひ水際作戦などもよろしくお願いしたいと思います。
 海外からの感染症の侵入防止というものを考えましたときに検疫所の役割が極めて重要であるということはもう認識されることでございますが、今回の検疫法の改正におきまして検疫機能というものがどのように強化されるのでしょうか、または具体的にどのようにそれに取り組んでおられるのか、教えていただきたいです。
○政府委員(小林秀資君) 今回の感染症対策の見直しにおきましては、新興感染症を初めとした国内には常在しない感染症の海外からの侵入の防止を図るとともに、国内の感染症対策との連携のとれた防疫体制の整備、充実を図ることを目的として検疫法の一部改正案を提出させていただいているところであります。
 検疫法の改正案におきましては、出国者等に対して感染予防のための情報を提供するとともに、検疫所と保健所等の国内機関との連携の強化や、検疫感染症の中に一類感染症を加えまして検疫機能の強化を図ることといたしております。従来の検疫法には今回出している一類感染症というのはほとんど入っていませんので、今回は一類感染症を検疫法の中に入れてある、こういうことであります。
 今後、具体的には、検疫所職員を対象に海外の感染症に関する研修や検査に必要な機材の配置等を積極的に進めてまいりたい、このように思っております。
○南野知惠子君 次は、突発的な感染症の発生についてはどのように対応しておられるのでしょうか。危機管理の観点からも機動的かつ弾力的に対応できるプロジェクトチームというものを常時結成しておく必要があるのではないでしょうか、こういったものをふだんから準備を進めておくということについての御関心はいかがでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 突発的な感染症の発生に対しましては、危機管理の観点から適切な対応を図っていくことは国民の健康を守る上で極めて重要な課題である、このように思っております。
 そのために、今回の法案におきましては、積極的疫学調査、英語で言いますとアクティブサーベイランスと、こういう言葉を外国の方は使っていらっしゃいますが、その積極的疫学調査を初めとした感染症発生動向調査の法定化等、日ごろから対策準備を進めていく事前対応型の感染症対策を確立することといたしております。
 先生御提案の感染症発生時にプロジェクトチームを結成すべくふだんから準備しておくことについても、その必要性が公衆衛生審議会の意見書に記載をされております。そういうことで、今後は法律の施行段階において具体的に検討を進めてまいりたい、このように思っております。
○南野知惠子君 ありがとうございました。小泉大臣は横文字がお嫌いだろうと思いましてサーベイランスという言葉は使わなかったのでございます。
 次の問題に移らせていただきます。
 現在、感染症の専門家というのは千人ぐらいおられるというふうに聞いております。これは非常に少ないと思うんですが、この法案に基づきまして感染症対策を進めていかれるためにも、医師、看護婦等の人材養成を強力に進めていくべきではないかと思っております。大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 人は一番大事な点でありますから、人材育成、いかなるいい体制を整えてもその人材がそれに対応できる能力がなかったら効果的にいろいろな資源が活用できないわけでありますので、御指摘のとおり人材の養成というのは計画的に進めていく必要があると思います。
 本法案におきましても、国や地方公共団体がお互い連携をとりながら、人材の研修におきましても、海外での交流とか研修を進めていい人材ができるだけそろうような体制、これがひいては感染症の予防につながっていくものですから、大変重要であると認識しております。
 また、私は横文字が嫌いなわけではないんであって、わかりやすい日本語を使いなさいと言っているんです。英語をそのまま片仮名にして何でわかるのかと。サーベイランスなんというのは英語を勉強している人だって余り知っていない。それを、発生動向調査とか、監視体制とか、いろんな日本語は意味があるんです。そういう面においてわかりやすい、片仮名を使って結構だと、日本語のわかりやすい言葉をできるだけ使いなさいと言っていることを御理解いただきたいと思います。
○南野知惠子君 大臣のお説をお伺いしました。
 もう一つ大臣にお願いしたいと思っております。
 世界じゅうで約三十五万人もの人が何らかの形で感染していると国際的に見られております。途上国におきましてはまだ寄生虫予防対策というものがもう最高に必要であるというふうに言われております。
 感染症は、国内の問題だけではなく国際的な取り組みを進めていかなければならない、これはもう我が国の役割でもあろうかと思いますが、人類共通の課題であるとも思います。世界保健機構などと連携をとりながら進めていく必要があるというふうにも思っております。これらについて大臣の御決意をお伺いいたしてみたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 御指摘のとおりだと思います。
 感染症対策を進めていく上において今や国際的な連携協力はもう欠かせないと。寄生虫においてはむしろ日本ではなかなか研究できない体制だというような医学、環境の変化があるという点を考えてみても、国際的な研究機関、代表されるWHOとか国際的なそういう機関との連携、外国との連携というのは大変重要であると思います。そういう点も考えて、いろいろな国際交流を進めて感染症対策に取り組んでいく必要があると考えております。
○南野知惠子君 大臣の御説をお聞きすることができました。我々医療従事者もいろいろな面で頑張っていきたいと思っておりますので、さらなる人材育成、そういった問題を国際的にも広くお願いしたいところでございます。
 ありがとうございました。これで質問を終わります。
○常田享詳君 自由民主党の常田享詳でございます。四月十四日に引き続き、健康危機管理についてお伺いいたします。
 小泉厚生大臣も南野先生の冒頭の質問に大変健やかに笑っておられましたが、その後はたと扇子を落とすようないいことがもしあったとしたら、また別の機会に教えていただきたいと思いますが、そういう機会が多いことを願っております。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 さて、質問に入らせていただきますが、感染症問題に入る前に医療保険制度の抜本改革、とりわけ薬価基準制度の廃止、それにかわる新しい制度の組み立ての中でいろいろな問題点、先般は医薬品の適正使用と薬剤師の役割について冒頭にお尋ねしたわけでありますが、今回は医薬品の安定供給と医薬品卸の役割ということについてまず冒頭にお尋ねをしたいと思います。
 私は、健康危機管理上、医薬品の安定供給というのは非常に重要な問題だというふうに理解しております。医療保険制度の改革における日本型参照価格制度の検討に当たりましては、今申し上げました医薬品の安定供給が可能なこと、そして二番目に薬価差を生み出す値引き競争が解消されること、三番目に価格の透明性の確保が重要なポイントだと私は考えております。
 現在、医薬品卸は一万二千品目程度の薬価基準収載品、また非薬価収載品を合わせますと三万五千品目、包装数にしますと五万包装に上る数を取り扱っております。そして、配送先も病院、開業医、薬局を合わせると十四万軒に上っております。その上、阪神・淡路大震災のときのような災害時等の医薬品の備蓄センター的機能も担っているわけであります。まさに先ほど申し上げたように健康危機管理の一翼を担っていると言っても過言ではないと思います。しかしながら、大変な役割を担っている割にメーカーと医療機関のはざまで極めて不安定でかつ弱い立場にあると言わざるを得ません。このことは医薬品の安定供給上ゆゆしき問題だと私は思います。
 そこで、まず厚生大臣は我が国の医療保険制度下における医薬品卸の役割をどのように評価しておられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 医薬品の安定供給ということを考えますと、卸の役割というのは大変重要だと思っております。
 今回の抜本改革の中におきましても、できるだけ安い薬の使用を促進するために薬価基準制度を見直すということで今審議会で議論をしていただいているところでありますので、その中におきましても、この卸の役割の重要性というものを認識しながらいろいろ議論がされていると思っております。その審議を踏まえながら適切な制度を築いていきたいと考えております。
○常田享詳君 医薬品卸の重要性は十分認識しているという御答弁をいただきました。
 そこで、もう一点お尋ねをしておきたいことは、日本型参照価格制度では、償還基準以下においては、いわゆる参照価格以下については納入価イコール保険請求価ということになっているわけであります。しかし、それを立証するためには膨大な費用がかかって現実的ではないという指摘があるわけであります。本当に納入価で即請求されているかどうかということを立証するためには、相当卸にも伝票上のそういう情報の提供も求めなきゃなりませんし、膨大な費用がかかる、むしろそれは現実的ではない。
 そういうことをやるよりも、メーカーの仕切り価を透明にして仕切り価格イコール請求価とする。メーカーから卸に入る価格、即卸から医療機関に入る価格ということにして、そこに全くのフィーはないと。しかしながら、逆にそれでは卸は成り立ちませんから、流通フィーを公定化することで負担の公平、それから薬価差益解消も可能となるというふうに思いますし、そのことが結果的に医薬品の安定供給にもつながるんではないか、むしろこの方が経費的にも非常に安くて確実にできるんではないか。それから、価格の透明性がきちんとできるんではないか、また薬価差益というものも生まれ出ないんではないかということが言われているわけであります。
 そういう意味で、卸の流通フィーを公定化するということについて医療保険制度の改革の中で御検討をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(高木俊明君) 薬の価格につきまして、現在、薬価基準制度、公定価格でありますが、これを償還限度額を定めたシステムに改めていってはどうかということで今審議会で御議論いただいておるわけであります。
 そういった中で、現実の仕切り何なり、あるいはまた薬局あるいは医療機関が購入する価格なりというものをどういうふうに把握していくのかという問題がやはり一つございます。
 これについてはいろんなやり方があると思いますが、できるだけ医療機関等の事務が煩雑にならない、かつ透明化がなされるというシステムを考えていきたいというふうに思っております。これは、ドイツを初め外国で実際にこういう制度を導入しているシステム等も参考にしながら考えていく必要があるだろうということで考えております。そういった意味では、先般、私どもの職員をドイツ、フランス等に派遣しまして現実の調査というものをやってきてもらっております。
 そういったようなものをさらに参考にしながら具体的な案というものを考えていきたいというふうに考えておるわけでありますが、問題は卸における健全な安定ということが非常に重要ですし、また我が国の場合ですと流通の近代化といった面も非常に大事だというふうに思っております。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
 我が国の場合、御案内のとおり、自由な取引の中で、いわゆる市場経済の中で健全な発展というものがなされることを期待しておるわけであります。そういったような問題と、先生御指摘のとおり、いわゆる公定マージンのようなものをセットしていくということとの関係をどう考えていくか、これなかなか難しい問題でございます。そういった意味ではまだ審議会等において具体的なそこまでの議論がなされておりませんけれども、外国の例でそういった公定マージンを乗せているケースもあります。
 ただ、例えばドイツなんかですと参照価格制の導入前からそういうシステムをとっておりますし、そこら辺必ずしも参照価格制を導入することと公定マージンのようなものを導入することとが必然であるということでもないようであります。
 いずれにしても、先生御指摘のとおり、仕切り何なりあるいは価格の透明性あるいはできるだけ煩瑣にならない形での価格の把握、こういったものが必要でありますから、我が国の実態に合った形でどのようなものがいいのかということは考えていかなきゃならないというふうに思っております。
 そういった意味で、現段階では私どもとしては問題意識は持っておりますけれども、具体的にこういう方向性というものまでまだ検討している段階には至っていない、こういう状況でございます。
○常田享詳君 現在の状況はよくわかっているわけであります。ですから、私もさっき最後に申し上げたのは、これから二年間で抜本改革をやっていく、その審議の中でこのこともきちんと検討してください。今やってくださいと言っているわけじゃないんです、検討してくださいと言っているわけだから。検討するんですか、どうなんですか。
○政府委員(高木俊明君) 今申し上げたのは、だらだら御答弁いたしましたが、結論的に申し上げますと、やっぱりなかなか難しい問題だというふうに私は思います。そういったことの中でどういうふうにすべきなのかということを検討していかなきゃならないと思っております。
○常田享詳君 またこのことについてはいずれ議論をさせていただきたいと思いますが、私は今の局長の認識には納得はできないということだけは申し上げておきたいと思います。
 感染症予防・医療法についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 情報の収集、公開とコミュニケーション、特に開業医や関係医療機関の間の綿密な連携が必要だということについてお尋ねをしたいわけであります。
 先般の質問でも申し上げましたけれども、アメリカのCDC、疾病予防センターは感染症に対する予防戦略における重点項目として、もう一度申し上げますと次の四点を挙げております。いわゆる情報収集、公開とコミュニケーション、二番として開業医との連携、三番として人間の行動研究、そして四番として人材教育であります。
 このうち、コミュニケーションと連携についてお尋ねをいたしますが、ふだんから感染症予防に関連した機関が密接な連絡を保っていなければ、いざというときに即応態勢がとれないことは明らかであります。堺市でのO157集団感染の後指摘された反省点の中で、患者の発生状況、治療法などの情報伝達方法がシステム化されていないということがあったと思います。その結果、治療の最前線である医療現場、特に小規模な個人病院などに適切な情報が届かず対応がおくれたと言われております。にもかかわらず、我が国の状況は相変わらず縦割りで、例えば国の研究機関と地方衛生研究所、大学、病院、開業医、自治体等の間に密接な連携関係があるとはとても言えないのであります。
 また、このことは同一機関内でも同様だと思います。例えば、HIV感染で問題になった大阪府内の病院において、ミドリ十字の加熱製剤の購入が八六年四月に開始されていたにもかかわらず、担当医は薬が切りかわったことも何年間も気づかなかったといった証言が最近なされているわけであります。法律だけ衣がえしましても、このあたりを本気になって変えていかなければ真の感染症予防と治療提供体制はできないというふうに考えるものでありますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) 感染症の大量発生、堺のO157事件のような場合を考えますと、地元の患者さんを診られる開業医の先生方、また薬局に行かれる場合もある、そういう特に民間の医療関係者と行政当局、それからあとは学問的に指導していただける大学、研究所との連携というのは先生の御意見のとおり非常に重要だと、こう考えております。
 堺市のときも、私この局長ポストにおりまして、指定感染症にしたところでございます。私も堺に二度ほど足を運びまして実際見させていただきました。確かに初期のときに連携が悪かったというのはあったことは私もわかっています。
 ただ、一つお医者さんを弁護するというんですか、関係者の方を弁護するという気持ちになるのは、実はあのときにO157に対する治療方法というのが日本の学者さん方とアメリカの学者さん方と違っている。そこが学者の先生方、大学でも違うというようなことがありまして、そのことが実際には現場に私は大きく影響したような感じがいたしております。その折には、厚生大臣と日本医師会長の連名による治療指針というものを、前例がないことですけれどもつくっていただいて、それを配付することによって皆さん方落ちついていただいたということでありました。先生がおっしゃるように連携がうまくいけば大変いい、しかしそのバックにはもう一つ学問というものがうまく固まっていないとなかなかできないなと、こう思った次第でございます。
 それにいたしましても、今回の法案でも、厚生省が策定する基本指針、それから都道府県が策定するところの感染症予防計画において関係機関の連携に基づく危機管理の具体策を提示することといたしておりまして、よりきめ細かな地域の実情に即した対策が講じられるようになると私は思っておるところであります。
○常田享詳君 それでは次に、ワクチンの製造体制の整備と危機管理についてお尋ねをいたします。
 我が国では、一九九四年に義務的接種が任意に切りかえられて以来、人口十万人当たりの接種率はたったの一人にまで低下し、ワクチンの量産能力も落ち込んでしまっております。その一方で、新型ビールスによるインフルエンザの世界的規模の大流行が遠からず起こることは間違いないというふうにも言われているわけであります。そのときの被害がどれくらいになるのか予測もつかないとさえ言われております。
 欧米先進国では、新型ビールスに対するワクチンの開発、供給体制を整備する一方、社会不安に備えてワクチンを接種するグループの優先順位を決めるなど、危機管理を着々と進めているということであります。我が国も同様な危機管理が必要と考えますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) 国民の健康を守るというのは厚生行政の原点でございまして、新型インフルエンザを初めとする健康危機管理は本当に大事なことだと、このように思っております。
 厚生省では、この新型インフルエンザの香港の第一例が出る前に、実はもう学者の先生方があと何年後、数年後には起きるんではないかという話がございまして、昨年の五月の段階からこの新型インフルエンザに対する検討会をつくったところでございます。そうしたらその途中で香港の話が出てきたということでございますが、昨年の十月に検討会の報告をまとめさせていただきました。この中には、ワクチンの開発や供給体制の整備、それからワクチン接種の優先集団の考え方について総合的な対策の御提言が示されているところでございます。
 私どもとしては、これを踏まえましてさまざまな御意見も伺いながら健康危機管理の観点からさらなる検討を進めたい、このように思っております。
○常田享詳君 日本では、例のワクチンの問題があって接種をやめるということで有精卵をほとんど養鶏農家もつくらなくなった。成り立たないからです。ですから、いざつくろうと思ってもその原料となるもの、もとになるものが即できないというようなことでありますけれども、一方、日本以外の国においてはワクチンの製造技術というのは非常に進歩しているわけであります。特に、欧米で効果を上げているB型ワクチンは大変安全性も高く、例えば小児のインフルエンザ感染に伴う脳炎による死亡率は、欧米では日本よりはるかに低いという結果が出ております。
 このワクチンに限らず、このような優秀なワクチンは積極的に我が国にも導入すべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。また、最近大変注目されているDNAワクチンの我が国での研究開発の促進をぜひ行っていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、この点もあわせてお伺いをいたします。
○政府委員(中西明典君) インフルエンザB菌対策の必要性につきましては、我が国における今後の患者の発生状況やあるいは研究調査の進捗状況を見ながら判断していく必要があると認識しておりますが、こうしたワクチンに限らず、一般に専門家の間で、これはどうしても感染症予防上必要なワクチンである、それが海外で開発されてまだ日本に導入されていないというようなものがあるとすれば、その際には、開発企業に対して薬事法上の承認申請の検討を要請する等によりまして必要な措置を講じていく必要があるというふうに認識いたしております。
 それから、DNAワクチンにつきましては、厚生省として現在医薬品機構を通じ研究補助を行ってきておるところでございまして、引き続きこの研究の支援というものに取り組んでまいりたい、かように考えております。
○常田享詳君 最近、そういった点に着眼されて厚生省もいろいろ研究費等も増額して、やるべきところはきちんとやるという姿勢を強く打ち出しておられることは私は高く評価したいと思いますので、そういった中でこの問題も取り組んでいただきたいというふうに思います。
 先ほど申し上げましたCDCが、感染症に対する予防戦略における重点項目の一つとして、人間の行動研究を挙げているわけであります。特に、これまで知られていない強力な感染症や感染力の極めて強い新型インフルエンザなどが日本に上陸した際、国民やマスコミ、医療関係者や地方自治体などがパニック状態に陥らないようにするための対策には、人間の行動研究が欠かせないというふうに指摘されております。先日の本会議では、発生時の迅速な医療プロジェクトチームの編成の必要性ということを大臣もおっしゃっていたように思いますけれども、それと同時に、今申し上げた行動研究に基づいたパニック防止マニュアルの作成を危機管理の一環としてぜひ行っていただきたい。
 これをやっておきませんと、事が起こったときに、今申し上げたように国民もマスコミもあらゆるものがパニック状態になってしまってプロジェクトチームでなんて言っている状況でなくなる。ただ、プロジェクトチームをばっと組まれたときに、あらかじめマニュアルがあってそれに基づいて国民が安心できるような、またマスコミの協力も得られるような、そういったことが事前にマニュアルとしてなければならない。CDCでは既にそういうことをきちんとやるように研究も進められているということでありますが、我が国ではいかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) お答えいたします。
 エボラ出血熱等のような危険な感染症が発生した場合、感染症の集団発生の場合には社会的に大きな問題となることから、集団パニックのような国民が不安な状態に置かれることは先生御指摘のとおり十分想定されるわけであります。このような状況におきましては、必ずしも適切な感染症の発生拡大防止策が図れないことも考えられますので、危機管理の観点からすれば適切な対応が求められるわけであります。
 このため、国が策定する基本指針においてあらかじめ関係機関の連携を構築していくとともに、国や地方公共団体が国民に感染症を予防するための情報を適切に提供していく中で、国民がいたずらに不安に陥らないよう努めることが重要だと考えております。そういう意味では、国が指針をつくり各県が予防計画をつくる。今回の新型インフルエンザで言えば、たまたま厚生省が検討会をやってそのレポートができていたから皆さん割に安心をしていただけたという面があるので、きちっと将来起こることを想定して考えておくということが重要かと思います。
 ただ、そのことだけで十分ではないと思われることがあるわけです。そういう意味では、パニック防止マニュアルの作成と先生今御提案されました。これにつきましては、今後、公衆衛生審議会の御意見を伺いながらその必要性を含めて十分検討してまいりたい、このように思っております。
○常田享詳君 大変前向きな答弁をいただきましたが、私はこのことは人権の配慮という面でも大事なことだと思うんです。やはりそういうことが起こったときに、HIVのときのような不当に人権が侵害される、それからデマ、中傷があらゆることでされるようなことのない、そういうことをきちんとするためにもぜひこのことはやっていただきたいというふうに私は思っております。
 次に、感染症と関係ありませんが、健康危機管理という意味で覚せい剤、麻薬、合法ドラッグの問題を私は大変心配しております。
 この問題は、我が国の特に若者の健康管理にとって最も重要な問題の一つに今なりつつあります。私は、二十一世紀を担う若者たちの心と体を確実にむしばみつつある日本の麻薬、覚せい剤の実態に大いなる警鐘を鳴らしたいと思います。あわせて、私たち一人一人がそれぞれの立場でこの問題に正面から立ち向かわなければならない今ぎりぎりのところに来ているんではないかという危機感を私は持っております。
 そこで、まずこの問題を小泉厚生大臣はどのようにとらえておられるのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 薬物乱用というのは、個人も廃人同様になってしまう、健康をむしばむだけではなくて、これはもう家庭の崩壊にも結びついたり、あるいは社会的にも多大な迷惑をかけるということで大変憂慮すべき状況にある。特に最近では、薬物というのが低年齢といいますか、低学年に進行している。中には中高生だけではなくて小学生にも及んでいるという状況でありますので、この問題についてはより国民に薬物の恐ろしさというものを理解してもらわなきゃならないということです。
 昨日も薬物乱用防止キャラバンカーというんですか、私も見てまいりました。全国各地に出かけていって、学校等に出かけていって薬物の恐ろしさを訴えると。絶対にもうだめですよ、薬物を使っちゃいけませんよということで、この啓発活動というのは今後とも活発に行っていかなきゃならないなと。
 私の今までの印象ですと、薬物といいますと覚せい剤、よく粉を使って注射を打つというんですが、きのう見ていましたら、もう普通の錠剤と変わらないんですね。風邪薬、胃薬と変わらないような小さな薬物で、これは体に効くぞなんて飲まされて、知らない人が飲んじゃうと。これは恐ろしいことだと思います。
 薬物の恐ろしさをより多くの人に理解してもらって、特に大人が子供をだまして薬物を乱用させるというようなことがないような啓発活動を積極的に今後とも展開していかなきゃならないというふうに考えております。
○常田享詳君 大変力強い答弁をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。
 警察庁は、一月二十九日、我が国は第三次覚せい剤乱用期に突入したと発表いたしました。摘発人数は昨年一年間で二万人に近づき、しかも三年連続の増加を示したのであります。実際の常用者は百万人を超すと言われております。また、今回の汚染における覚せい剤の主要供給源は中国であることが警察庁の分析で明らかになったと報道されております。今最も重要なことは、言うまでもなくこの供給ルートをつぶすことであります。
 この点に関する現在の対策状況をまず警察庁にお尋ねをいたします。
○説明員(樋口建史君) 過去三年間の検挙人員の増加等の状況は大変深刻でございまして、この状況を踏まえまして、警察庁ではことしの一月、戦後三度目の覚せい剤乱用期に入ったものと認められるという旨公表させていただいたところでございます。
 この大きな原因の一つでございますけれども、先生御指摘のとおり、一九九〇年代に入りまして中国で覚せい剤の密造が始まりました。つまり、新たな大口の供給源が出現したことが非常に大きな原因として背景にあると認識しております。
 我が国で乱用される覚せい剤のほとんどは、国際的な犯罪シンジケートと暴力団等の密接な関与のもとに、船舶や航空機によりまして密輸入されているわけでございますが、このような現状を踏まえまして、警察では税関、海上保安庁等関係機関と連携を密にいたしまして監視体制を強化いたしております。さらに、捜査手法といたしましては、コントロールドデリバリー等の捜査手法を駆使いたしまして、覚せい剤の密輸・密売組織の壊滅に向けた強力な取り締まりを行っておるところであります。
 この種の事犯の取り締まりに当たりましては、関係各国の取り締まり機関との協力が非常に必要不可欠でございます。このようなことから、捜査官の派遣等を通じての情報交換、それからICPOを通じての具体的な捜査協力等も推進しているところでございます。
 それから最後でございますが、さらにそれに加えまして、毎年、アジア・太平洋薬物取締会議を東京で開催いたしておりまして、中国を初めミャンマー、タイ、ラオス等の関係の深い各国の取り締まり機関の責任ある担当者を招聘するなどいたしまして、情報交換、さらには相互の捜査協力の枠組みの強化に努めておるところでございます。
○常田享詳君 外務省にも来ていただいたんですが、ちょっと時間の関係で、今警察庁の方から話が出ましたので、次回にまた質問させていただきたいと思います。
 ただ、私は昨年ミャンマー、タイを訪問し、有志議員の方々と一緒に両国政府の高官に麻薬、覚せい剤の撲滅に対して協力を要請してまいりました。その際に強く言われましたのがケシにかわる代替作物を日本がきちんとODA等でやっていただきたい、その協力をやっていただきたいということでありました。
 幸い、日本がリーダーシップをとりまして、この三月三十一日、四月一日の二日にミャンマーのヤンゴンでケシの代替作物の国際支援に関する会議を外務省が取り仕切られたということを聞いております。このことも詳しくきょう聞きたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、ぜひともこういうリーダーシップをとっていただき、ODAに関しても、財政厳しい折でありますけれども、人口問題、食糧問題そしてエイズの問題、あわせて麻薬、覚せい剤の撲滅の問題等については、結果的には日本にはね返ってくる、日本の国民も同じ苦しい思いをすることでありますから、積極的なODAの支援を外務省に求めて、外務省の方にはまことに申しわけなかったんですけれども、質問は先送りさせていただきます。
 次に、合法ドラッグの2CBについてお尋ねいたします。
 新聞報道によりますと、幻覚成分を含んだマジックマッシュルームと呼ばれるキノコやペヨーテというサボテン、塩酸エフェドリンなどは街角やインターネットを通じて簡単に手に入る状況にあり、より強い違法薬物への入り口になると指摘されています。
 私が心配しているのは、我が国では合法ドラッグとして扱われている2CBと呼ばれる薬物であります。2CBは、メスカリンという幻覚剤によく似た化学構造を持ち、通常、錠剤の形で流通しております、先ほど大臣がちょっと言われました。パフォーマックスなどという商品名で販売されています。その幻覚作用の強さはメスカリン様ドラッグMDMAの数倍だと言われているんです。
 インターネットによる情報では、麻薬類に寛容なオランダでさえ、昨年七月、2CBをハードドラッグに分類して規制を始めております。ちなみに、米国は一九九三年から規制しており、英国、ドイツ、フランスなども次々と規制を打ち出しております。しかし、我が国では規制をしておりません。
 こういったものを野放しにしておくというのは大変なことであります。早急に規制すべきだと思いますが、厚生省の御見解をお伺いいたします。
○政府委員(中西明典君) 今、先生御指摘のいわゆる2CBにつきましては、厚生省といたしましてもこの薬剤の持つ依存性、幻覚作用などの精神毒性、それから乱用可能性に関して評価を行ったところでございまして、現在、麻薬及び向精神薬取締法による規制対象物質として指定を行うとともに、その物質の所持、使用の禁止等の規制を課す方向で準備を進めております。早急に取り組みたいと思います。
○常田享詳君 大変いい御答弁をいただいたと思っております。
 そういうことで、近々規制を課す方向でということでありますので、今の厚生省の答弁を受けて、警察庁は今後どのようにこの2CBに対して取り組んでいかれるのか、決意のほどをお伺いいたします。
○説明員(樋口建史君) この2CBにつきましては、私どもも依存性、幻覚作用を有する薬物であると承知いたしております。
 ここ数年の具体的事例といたしましては、例えば覚せい剤、コカイン、LSD、大麻等の規制薬物の所持で現行犯逮捕をいたしました被疑者がこの2CBを所持していた事例でありますとか、インターネットを通じて2CBを知り、購入、使用した者がみずから警察に届け出てきた事例でありますとか、数件を把握しておるところでございます。
 警察といたしましても、さらに把握に努めていきたいと考えているところでございますが、これがさらに将来、法の規制の対象になりました場合におきましては厳正に対処をしてまいりたいと考えております。
○常田享詳君 ぜひお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、インターネットを介した未承認、違法薬物の流通についてお尋ねいたします。
 WHOは本年一月、各国に対し、インターネットを介した薬物販売に対する現行法制度の検討を勧告するとともに、ヨーロッパに出回っている覚せい剤などの違法薬物が世界じゅうに流れる可能性があると警告をいたしました。
 我が国の現行の薬事法では、未承認薬でも個人輸入であれば違法にならない。報道によりますと、プロサックなどの抗うつ剤や睡眠薬などもインターネットを通じてどんどん入ってきていると言われております。国内でも、ケシの種や先ほど申し上げました2CB、さらには違法薬物のインターネットを介した売買が行われていると聞いております。
 今国会でも、わいせつ画像の規制に関しては準備が進められているわけでありますけれども、私は個人的にはむしろ違法薬物、合法ドラッグ、来承認薬などの流入と流通に対する対策の方が緊急性が高いというふうに考えるわけでありますが、インターネットを介した未承認薬、違法薬物の対策についてお尋ねをいたします。
○政府委員(中西明典君) 薬事法では、先生も先ほどお話しございましたように、いわゆる個人輸入については規制対象外でございますが、最近、インターネットなどで医薬品等の購入を広く呼びかけ、個人輸入のあっせんを行うという輸入販売業まがいの行為を行う業者が出てきているということは事実でございます。
 私どもといたしましては、これまで薬事法に照らし無許可の輸入販売業と認められる者につきましては、発見し次第必要な指導を行ってきておるところでありまして、引き続き絶えず監視の目を行き届かせていかなければならないというふうに考えております。
 ただ、先生おっしゃいましたように、国際的な問題でもございまして、WHOでもこうしたインターネットを使った医薬品等の宣伝、販売に関して国際的にどう規制していくかという規制のあり方について議論がなされている最中でございまして、こうした動向も十分留意しながらさらに対策のあり方について検討してまいりたい、かように考えております。
○常田享詳君 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、水道水の危機管理についてお尋ねをいたします。
 平成七年一月の阪神・淡路大震災は、我が国の危機管理体制の不十分さをまざまざと我々に見せつけたわけであります。その際、上水道が破損し、飲料水の確保が大きな問題となりましたが、大阪府薬剤師会の試験センターが全くの無償で百二十二件に及ぶ水質検査を昼夜を分かたず実施したわけであります。この事実を厚生省は把握されているかどうかをお伺いいたしたい。
 次に、現在、水道事業者の水質検査及び簡易専用水道設置者の水道管理については、国の指定する試験機関等に委託できることになっていますけれども、厚生省は、規制緩和の一環として営利企業の試験検査所等にも委託できるよう検討されていると聞いていますが、これは事実でありましょうか。
 そして最後に、私は、規制にも社会的規制と経済的規制があると思います。経済的規制はできるだけこれは取り払わなければならない。しかし、社会的規制は慎重に規制緩和をすべきであろうと私は思うわけであります。
 水のような人の生命や健康に直結する分野では、営利企業でない公益法人だからこそ可能な活動があり、大災害時等における危機管理体制の一環として、公益法人のそうした活動をむしろ育成強化する施策こそが必要だと私は考えるわけであります。私は公益法人のすべてが決していいとは言っておりません。先ほど申し上げましたように、社会的規制か経済的規制かということのあれをきちんとつけてやらなければならないけれども、水のような人体に強い影響を持つものについては、やはり環境問題等もあわせて公益性の高い試験研究機関を育てるべきではないかというふうに思うわけでありますが、御答弁をお願いいたします。
○政府委員(小野昭雄君) 三点のお尋ねであったと思います。
 まず、阪神・淡路大震災の際でございますが、兵庫県下におきましては、水質検査を行います機関が大きな被害を受けまして、一般細菌等の月一回の水質検査が義務づけられるいわゆる十項目の水質基準につきましては検査体制は確保されたわけでありますが、それ以外の重金属等必要に応じて実施するという水質検査につきましては実施できないという事態に至ったわけでございます。
 そのため、兵庫県下の水道事業者等の水質検査につきまして、兵庫県から大阪府薬剤師会に依頼があったものと聞いております。大阪府薬剤師会におきましては、神戸市等の被災地区におきまして緊急水質検査として三十五件、兵庫県の水道事業者等の水質検査につきましては平成七年三月末日までに九十件行ったと承知をいたしております。
 その次に、水質検査に関します規制緩和のお尋ねでございます。
 水道法におきましては、水道事業者は水質検査をみずから行うか、または地方公共団体の機関または厚生大臣の指定する者に委託して行うことができることとされているところでございます。
 現在、この厚生大臣の指定は水質検査を適正に行うことができる公益法人に限られているところでございますが、この指定のあり方につきましては、民間企業においても検査能力を十分備え、水道事業者の代行を果たし得る者がおりまして、公益法人に限ることは民間企業の参入制限に当たるという関係方面からの御意見もあったところでございます。平成九年の三月に閣議決定をされました規制緩和推進計画におきまして、生活環境審議会の審議を経まして十年度早期に結論を得る旨示されたところでございます。
 そこで、これを受けまして私どもといたしましては、指定検査機関等関係者の意見を広く聞きまして、公益法人に限定すべきではなく民間企業の参入を認めることが適当である旨意見の一致が見られましたために、その旨を去る三月二十四日に生活環境審議会に報告をいたしまして、その御意見に沿って指定企業を見直すとの審議会の結論を得たところでございます。
 こういったことを踏まえまして、私どもといたしまして、水道の水質検査につきましては、これは当然適正に行うことが必要でございます。そのための技術的な能力あるいは財政的基盤を有する者であれば、公益法人に限らず民間企業にも参入の道を開くことという方向で指定の基準を見直すことといたしております。
 それから、三点目の公益法人とのあり方の関係でございますが、当然水道水の水質検査につきましては、その安全性に直結をした正確な検査が求められるものでございますので、適正に行うことが必要であることは申すまでもございません。また、そういった技術的能力を有することが重要でございます。
 現在、指定検査機関であります公益法人は、これまで二十年近くの水質検査に関します経験や技術的蓄積を背景といたしまして、一般に高い技術水準を有しているというふうに私どもとしては考えておりますので、今後とも水質検査におきまして、その技術力あるいは信頼性に基づきましてこの分野での大きな役割を果たしていただくことになるというふうに考えております。
○常田享詳君 終わります。
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
 感染症関連二法についてお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど南野委員から動物由来の感染症についていろいろ御質問がありましたけれども、その中で猿を媒介とした感染症がいろいろあるという話もあります。私が習ったころには、ノミとかシラミとかつツガムシとか、あるいはネズミとか、そういうあれでしたけれども、最近は大きな動物、こういうものを輸入するときこれをチェックしなければいかぬ。大変な御苦労が要るんじゃないかなというふうに思うんですけれども、猿について言えば、大体どのくらい今輸入されておるのか、あるいはどういうところから輸入しているのか、あるいはその目的はどんなことであるのか、その辺からまずお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) 猿についてのお尋ねであります。
 ここ数年の統計を見てまいりますと、年間約三千頭から五千頭の猿が我が国に輸入をされております。この輸入地域につきましては、中国、フィリピン、インドネシア等のアジアからの輸入が多くを占めているところでございます。その用途でございますが、多くは学術研究用でございますが、そのほかに動物園の展示用、愛玩用等の目的で輸入されるものであるというふうに聞いております。
○田浦直君 現在はそういう動物由来の感染症、ここの新法の一類感染症に載っておりますようなペストとかエボラ出血熱とか、クリミア・コンゴ出血熱とかマールブルグ病、ラッサ熱、片仮名ばかりで、私も勉強したことも聞いたこともないんです。これは日本でまだ発病していないということで大変いいことではないかなというふうに思っておるところですけれども、そのようなことで禁止した場合に、今の学術研究とかあるいは動物園の展示とか、そういったものに影響はないものかどうか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) 本法によりまして、エボラ出血熱あるいはマールブルグ病等の発生状況、あるいは医療体制、検疫体制、防疫の状況、あるいは公衆衛生水準等を考慮して定められました地域からは猿の輸入が禁止されるということになるわけでございます。
 したがいまして、その特定の地域、このような地域以外の地域からの輸入でありまして、輸入時の検疫の要件を満たすものであれば輸入は可能でございます。したがって、非常にリスクの高い地域からの輸入というのは禁止ということになるわけでございます。
○田浦直君 わかりますけれども、そういうことでぜひこういう病気を持ち込まないようにお願いをしたいと思うんです。
 猿の輸入をいろいろ規制するということはそれでいいと思うんですが、日本国内における感染症の発生とか蔓延を防止するためには、国内に病原体を持ち込ませないということがまた何よりも大事だというふうに思うんです。
 そういう目的でだろうと思いますが、今回、検疫法についても改正が行われているわけでございますが、その検疫法の改正の趣旨、目的についてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 先ほども答弁をさせていただいたところでございますが、私から答弁をさせていただきます。
 近年、国際交流が大変盛んになりまして、いろんなものも入ってまいりますし、人もたくさん入ってまいります。その人も病気の発病、感染してから発病する閥の時間があるんですけれども、それよりも短い期間に日本に上陸をしてしまうというような状況で、結局なかなか水際では防ぎにくいという状況になっていることは事実でございますもしかし実際に、さっきも猿を今度は原則としては入れないようにしようとしているわけですけれども、人間についてもできるだけそういう病気を持ち込まないように水際で何とか作戦を立てようということが大変大切だと私ども思っておるわけであります。
 そういう意味で、感染症の法律を見直すときに、いわゆる検疫法には従来からマールブルグとかラッサ熱とかそういうものは入っていなかったんですけれども、今回は一番怖い一類感染症については検疫でも同じ病気に対応してそれを発見して防がないといけない、そうしないと国内に入ってきてから国内対策をやるのではどうにもなりませんので、そういう意味で両方整合させるために検疫法も改正をさせていただいたというのが一つでございます。
 もう一つ、検疫所で外国に出ていく人または入ってくる人に対していろんな呼びかけを今までも法律に関係なくやっていたんですけれども、検疫所長に対して、出ていく人にどこの国にはどういう病気がありますよ、どういうことは気をつけなさい、それから偏ってくるときにはちゃんと申告してくださいねという、外国と交流する日本人の方々にもコミュニケーションを持ってもらうということをやるよう検疫所長への義務づけということをもう一方でやっております。
 それから、従来は発見されますと隔離だとか停留措置ということをやっていたんですけれども、今回はそういうことはできるだけやめていこう、こういうことでその手続等の改正を行っておるということでございます。
 こうすることによって、検疫法と新しくできる感染症法と相まってこういう怖い病気から国民を何とか守っていこうということをやっているわけでございます。
○田浦直君 今回のこの法案、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律というこの法律によって園内対策をやろう、それから検疫法によって水際作戦をやろう、この二つで感染症を防止しようということだろうというふうに私も思うんですけれども、しかし両者の連帯感というのもまた必要じゃないかなというふうに思うんです。
 そういう意味で、両者の連帯をどのように図っていくかということについてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) まず、設置者が両方とも国だとか都道府県であるというのが一番連携が図りやすいんですけれども、現実問題としては、検疫所は国の機関でやる、それから後の実際の国内対策は、地方分権の時代でもあり、主体として都道府県にやっていただくということですから、先生がおただしのように、雨着の連携ということが非常に重要になるというわけでございます。
 そういう意味で、今回では、国はいろんな病気についての基本指針をつくっていく、そして都道府県はそれに対する予防計画をつくっていく、そういう中で両者が事前対応型でこういうことが起きたらどうしようかというすり合わせをしていくことによって両方が計画をきちっとつくって、それに整合性を持たせることによって雨着の連携を図っていこう、このように思っております。
 それから、もちろんそれを介在するところの情報網の整備等の必要性というのは当然のことでございます。
○田浦直君 私どもが外国に行って日本にまた入国するときもいろいろチェックを検疫所でされているだろうと思うんですけれども、実際は、飛行機の中で何か紙を持ってきていただいて、異常はありませんかというような丸をつけるぐらいなことしかないような気がするんです、今の僕らの体験から言うと。
 そういう意味で、何か心もとないなという気もしますけれども、そういったところを今度の法律で何らかの改正があるのかなというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
○政府委員(小林秀資君) 現在、検疫所での病気のチェックについては、まず基本的に御本人の申し出があった方についてその方を検査するということで大方の対応をしているところでございます。
 私も、前に生活衛生局も担当させていただいたことがあって、検疫所も見ておりますが、そこで担当者にお伺いをしてみますと、何か私たちぐらいの年齢というと、みんな昔の隔離のイメージがあるから、できるだけ検疫所には捕まりたくないから、何とかすっと抜けたいという気持ちが我々の世代はあるのかもしれません。検疫所の粗当職員によりますと、いやそんなことはない、今は皆さん自分から今下痢しているけれども心配だから調べてください、こういうふうに積極的に申される方が非常に多いと。それは先ほど言いましたように、今までだと隔離だとかなんかをするということをみんな意識の中に持っていましたが、言って隔離されてしまったんではうちへ帰れないという心配があるから言わないんではないかと。今は、そういうことを今度はなしにしておりますので、基本的にはもう皆さん方自発的に申し出られればそれで検査をするということで、その対応自体は特に変えていないところでございます。
 ただ、もちろんその飛行機内で非常に発熱をして激しい下痢をした、飛行機に乗っているスチュワーデスとかそういう方々が見てこれは異常だというものについては、御通報いただいて検査するということもそれはあるわけでございます。そこのやり方については特に今国は変えているわけではないわけであります。それでも私どもは、やっぱりバックが隔離をされる、されないということの違いで非常に国民の皆さんが変わってきたということだと思います。
 それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたように、検疫所が日本人の外国に行かれる方に対して事前にいろんな情報を提供してあげるということが、逆に言うと検疫所というのは私たちの健康を守ってくれているんだ、チェックしてくれているんだというふうに、何というんですか、自分の健康を守ってくれる友達の役所みたいな感じを持っていただけているんではないか。そんなふうで気楽に相談にも応じていただけているのではないか、こんなふうに思っているところであります。
○田浦直君 今の話では、確かに旅行する人の病気に対する意識が変わってきた、それは大変いいことではないかなと思うんです。
 それと今おっしゃられましたように、帰ってくるときだけじゃなくして、出るときに一つの知識を与えるといいますか、そういう話、情報を流すということも今回はされるということですね。それはどういうことですか。例えば、どこかではこういうものが今はやっておりますとか、どこかではこういうことですからこういうことを注意してくれと、そういうことをどういう方法でされるか、もしその辺具体的にわかれば教えていただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 具体的に私中身を直接見たことがないので、今ちょっと確認をしたんですが、実際に行かれる国の、例えば今コレラがはやっていますなら、はやっていますとか、マラリアという病気がありますから蚊には気をつけてくださいと。やっぱりその行かれる国に向けての日本の方々にそういう注意を与える。日本以外の方にももちろん対処していると思いますけれども、そういうふうにして行かれるところに対しての御注意を申し上げている、こういうことで臨んでございます。
○田浦直君 それから次に、数年前に病院とか老人ホームとかでたくさんMRSA感染症というのがはやったと思うんです、随分いろいろ騒がれて。最近は余り新聞にも載りませんし、落ちついてきたのかなというふうに思うんですが、その現状はどういうふうになっておるでしょうか。お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(中西明典君) 院内感染の発生動向につきましては、平成六年以降、院内感染対策総合研究において調査を行ってきているところでございまして、今御指摘のMRSAにつきましては病院内における大きな集団感染の報告はないということでございます。
 こうした院内感染の問題につきましては、まず各病院に院内感染対策委員会を設置していただくということ、その上で職員の教育でありますとか、院内での発生動向調査あるいは抗生物質の使用の適正化等、そうした問題を中心としました院内感染防止対策に取り組んでいただくということで、都道府県を通じて、あるいは日本感染症学会にお願いいたしまして院内感染対策講習会を開いて、そこを通じて指導しておりますほか、その学会に相談窓口も開きまして相談に応ずる、そういった施策を講じてきているところでございます。
○田浦直君 病院とかあるいは施設とか、随分そういう院内感染に対する意識というものが高まってきているという感じは私もするんです。私も時々そういうところに行くわけです。そうするともうちゃんと病室の入り口には手洗いが置いてあったり石けんが置いてあったり、いろいろしてありますね。そういう意味では随分意識が広がってきているんじゃないか、いいことだなというふうに思っておるわけですけれども、今回のこの法改正の中ではこれにどういうふうに取り組まれているのかということをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えします。
 MRSA、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症等の院内感染につきましては、今回の新法の中で病院等の施設の開設者等に対し、当該施設において感染症が発生、蔓延しないよう必要な措置を講ずるべき旨の規定を新たに設けておりまして、施設の開設者に院内感染防止の努力を促しているところでございます。
 また、新法に基づき感染症予防の総合的な推進を図るための基本指針を策定することにいたしておりますが、この基本指針の中で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症等の院内感染症対策に関する事項についても位置づけるとともに、医療提供施設等の関係者に対しその趣旨の徹底を図ってまいりたいと思っております。
 ただ、先ほど先生がおっしゃられましたように、今、ひところに比べますと本当に病院の先生方もそれから病院以外の施設の方々も大変御努力をされているというのは承知をしております。それでも病気を治すために病院に行くわけですから、そこで感染する、新しい病気になるということは、やっぱりそれは医療機関等であっていいことではありませんので、今後とも徹底してそういうことをやっていただきたい、こう思っております。
○田浦直君 そういうふうな感染症の発生とか蔓延を防ぐという意味では情報をまたキャッチするということも大事なことだろうと思うんです。その発生状況の把握というものはどのような仕組みで行うことになっておるのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 今回の新法では、感染症の発生状況の把握のために、まず疾病を一類、二類、三類、四類といった類型や疾患の特性に応じた整理をいたしておりまして、法律上位置づけております。
 感染症の発生状況について言えば、エボラ出血熱等については医師が患者等の診断に際して必ず届け出を行っていただく、またインフルエンザ等についてはあらかじめ都道府県知事の指定を受けた医療機関が届け出を行う、いわゆる定点方式の仕組みをとっておりまして、いずれの場合も医師等からの届け出を受けた都道府県知事が厚生大臣に報告を行うことといたしております。
 さらに、特定の感染症が特定地域で増加している場合や原因不明の感染症が認められる場合には、積極的な疫学調査、アクティブサーベイランスと言っておりますけれども、その地域へ特に出かけていって調べるというような積極的な疫学調査を実施することも規定しているところでございます。
○田浦直君 それともう一つは、保健所と現場の医師との連携というものもまた大事なことじゃないかなと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 先生のおっしゃられるとおり、そこの地域での保健所と現場の先生方の連携というのは大変重要であると思っております。そういうことを考えまして、都道府県が感染症予防計画を定める際に、あらかじめ診療に関する学識経験者の団体の意見を聞くように法律上規定しているところでございまして、日ごろから現場の先生方の意見を反映させてこの予防計画をつくっていただきたい、このように思っておるわけでございます。
 また、収集した情報の分析と予防のための情報の積極的な公表を法律上定めておるところでございまして、地域における医療機関への的確かつ迅速な情報提供に努めてまいりたい、このように思っております。
○田浦直君 この感染関連二法案、これは大変大事な法案でもあるし、ぜひ成立させなければいけないと私も思っているわけでございます。
 これは私の個人的なことで恐縮なんですけれども、皮膚科で帯状疱疹という病気があるんです。これは皮膚が非常にけばけばしく、胸にできたり顔にできたり、昔のお岩の幽霊のあれは帯状疱疹でなかったかというふうな話もあるんですけれども、痛みが非常にひどかったり、後を引いたりするという病気なんです。あれもビールスなんです。ああいうのはこの感染症にも入るんじゃないかなというふうに思うんですが、ああいったものはどういうふうな取り扱いをするのか。最近特にお年寄りに非常に多いんです。だから、結構大事な病気ではないかなという気がするんですけれども、余り見当たらないようなんですね、この法案を読んでも。その辺はどういうふうな取り扱いになっているんですか。
○政府委員(小林秀資君) 先生御指摘のように、帯状疱疹は水痘・帯状ヘルペスウイルスによる感染症でございまして、その感染初期には水痘が発症し、その後高齢など免疫力の低下した際に帯状疱疹が発病するものと私たちは承知をしておるところでございます。
 この水痘・帯状ヘルペスウイルスによる感染症につきましては、基本問題検討小委員会報告書において、感染症発生動向調査を行う際の疾患として水痘が例示をされているところでございますが、帯状疱疹の新法での取り扱いにつきましては、公衆衛生審議会の意見を聞いて厚生省令で四類感染症に位置づけるかどうか、これを検討してまいりたい、このように思っておるところであります。
○田浦直君 今回の法案では非常に人権に配慮をしていると、こうおっしゃられるんですけれども、実際に入院される患者さんに対して具体的にどのような配慮をされているのか、それをお尋ねしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 感染症新法に基づく入院は、身体に対する拘束という面を持つことから、その実施手続については特段の配慮が必要だと我々は考えております。
 具体的には、入院には患者の治療という意味が大きく、多くは自発的な対応が期待できることから、強制的な手段を当初から講じるのではなく、入院勧告をまず行うことにいたしておるところであります。
 また、感染拡大の防止のための応急的な入院期間を七十二時間に限っておりまして、入院期間を延長する場合には専門家から成る感染症の診査に関する協議会の意見を聞く、それで十日ごと延長していく。ですから、最初には保健所長のところに話が来て、これはまず緊急で七十二時間は保健所長の判断でやる。しかし、それを再度延長しようと思うときには感染症の診査に関する協議会にお諮りをする、そこで諮っていただいて十日間は認められるものは認められる。またそれは十日間で切れてしまう、それはまた再度会議を開いて延長すると、こういうような仕組みになっておるところでございます。
 さらに、入院患者からは感染症の病原体の有無の確認を都道府県知事に対して求めることができるようにするとともに、入院が三十日を超える場合は厚生大臣への審査請求を直接行うことができるようにしてありまして、そして五日以内に裁決を得ることができるという行政不服審査法の特例を設けておるところでございます。
 これらの各般の対応によりまして、具体的な手続においても患者の人権には十分な配慮がなされた法案となっていると考えております。
○田浦直君 こういうふうな感染症を予防するというのも社会保障費の一つで、お金は余計要るんだろうと思うんです。
 私は、これは最後になりますけれども、せっかく大臣に来ていただいておりますので、前回も質問させていただきましたけれども、財革法の中で今二%のキャップを外す、外さないという話があるような、マスコミ、新聞なんかで見るわけなんです。ぜひ御努力をいただいて、この感染症を初め社会保障のために頑張っていただきたいなというふうに思うんですが、最後に大臣の御意見を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 財政構造改革法の改正が今問題になっておりますが、きょうの夜にもまた会議が行われるようであります。
 去る月曜日、この問題に対して閣僚懇談会が行われまして、その際にもいろいろな議論が出て、基本骨格は変えないということで特例公債の弾力化を考えているような方向と私は受けとめましたけれども、その際にも、財政構造改革法を堅持することによって厚生省関係、社会保障関係の予算が編成されているんだと、それを改正する、しかも特例公債の弾力化を考えるんだったらば社会保障関係についても特例を設けていいじゃないかということを私は発言して会議は終わっております。
 閣僚懇談会は結論を出す会議ではありませんので、いろいろな意見を踏まえて今後検討をしていくということで終わりました。きょう決めるのか決めないのかわかりませんけれども、私は、財革会議の議論の推移を見ながら判断していきたい。かねがね主張した点について私の考えは変わりありませんので、今後どういう展開になるかわかりませんけれども、私はこの社会保障問題の重要性にかんがみ、単なる厚生省予算の拡充を陳情しているということではないということで、政治的判断は必要ではないかという意味からも発言しているわけでありまして、今後とも私の主張が生かされるように全力を尽くしていきたいと思っております。
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○水島裕君 本会議でも質問いたしましたように、この法律は、もう古くなりまして現代に対応できなくなった法律を改正し、しかも人権に配慮し、また危機管理ということを入れて、少なくともそう試みられた法律でございますので、この法律が正しい方向に、修正すべきところがあれば修正して成立するということは恐らく皆様方全員が願っていることじゃないかと思います。
 この法案は参議院に最初先議として参りましたので、やはり参議院で十分審査し、修正すべきところは修正し、附帯決議はきちっとつけなければならないと思います。それだけに、なるべく早くどういうところが一番問題かということを浮き彫りにして、そのことを重点的に討論していくべきだと思っております。
 私も代表質問で大体のことは申し上げましたので、きょうは、こういうところをどういうふうに考えたらいいか、あるいは修正すべきだったら修正した方がいいんじゃないかというようなことを頭に入れながら御質問をしていきたいと思います。
 その前に、感染症についていろいろ御意見を聞いておりますと、もう一つまだ理解がいってないんじゃないかというところもございます。私の医学の中の専門は免疫とか炎症でございますけれども、感染症も比較的近い分野でございますので、少し私なりの考えを述べさせていただいて、また私個人が経験した、今度の法律がぜひ必要であるというような話もさせていただいた後、御質問したいと思います。
 医学の本を見ていきますと、大体分野というのは二十五、六ぐらいあるんです、例えば耳鼻科とか泌尿器科とか。どの分野を見ても十とか二十ぐらいの感染症はあるのでございます。ですから、全体として、三百とか五百ぐらいは感染症というのはあるわけでございます。
 ですけれども、そういう感染症は、通常、菌はそれほど恐ろしくないわけで、体のぐあいが悪いとかあるいはどこか通過が悪いということで出てくる感染症でございまして、今日取り上げられております感染症というのは菌の方に問題がある、病原体の方に問題があるというものでございます。それでも百ぐらいはあると思います。例えば、一つ食中毒のサルモネラをとってみましても、その亜型、サブタイプというのは百ぐらいあるわけでございますので、感染症というのはもう本当に数限りなくある。そのうち今回問題になっている感染症はそのごく一部ということをまず御理解いただきたいと思います。
 局長、私の申し上げていることがどこか間違えていたり、御意見がありましたら、後でおっしゃっていただきたいと思います。
 それで、本会議でも申し上げましたけれども、日本では専門家が少ないんじゃないか、恐らく百人ちょっとぐらいしかいないんじゃないかということを申し上げました。実は、こういうものを扱っているのは日本感染症学会でございまして、そこで認定医というのをつくっております。昨日理事の人に聞いてみましたら、認定医というのは昨日現在で三百九十六人いるそうであります。でも私は、それは全体の感染症でございますので、その中で今回取り上げるような感染症について知っている人は恐らく百人ちょっとぐらいだろうと申しましたら、まあ半分ぐらいはできるんじゃないかという理事の答えでございました。それでも百数十人というのが、現在日本にいる、この法律に出てくる感染症がわかる人がそのくらいの人数という御理解でよろしいんじゃないかと思います。
 そういうことでございますから、本会議でも申し上げましたように、医師ばかりじゃなくて医療関係者の教育、育成というのが非常に大切だということをわかっていただきたいと思います。このことについては後でまた申し上げたいと思います。
 それで、私が議員になるちょっと前の経験ですけれども、一つ申し上げますと、私の大学の同僚、威勢のいい女性の助教授だったわけでございますが、それが伊豆の方に研究会に行くと言って出ていきました。そうしたら、二、三日したらえらく情けない声で電話がかかってきまして、どうもそこで血便が出た、便に血がまじっておなかが痛くてちょっと熱っぽいということで伊豆の病院に行ったら、変な階段の下か何かの病室に押し込められてしまって、多分赤痢かサルモネラか、O157はそのとき余り有名じゃございませんでしたけれども、そういうことも疑ってそういうところに入れられた。
 入れたのは私は正しいと思います。ただ、それから大急ぎで検査したんですけれども、なかなかわからない。病院というのはやはり医療スタッフというのがなかなか充実しておりませんので、そういうところに入れちゃうとお医者さんも看護婦さんも余り回ってこないんです、いろいろ言っても一つも来てくれない。ですから、そこで厳しく言えば、人権が侵害されたと言えばそういうことになるわけでございます。
 それで、電話がかかってきましたので、私がそちらの院長に電話しましたところ、院長は私のことをよく知っていてくださったので、先生が完全に責任を持ってくれるんでしたらすぐにでもお帰ししましょうということで、こちらの病院から車を差し向けて連れて帰ってきました。それで大急ぎで便の病原体の検査をして、一両日して赤痢もないしサルモネラそういうものも大丈夫だということで、ただ念のために抗生物質を飲んで食事なんかの注意をしてうちに帰ったということです。そういうことをしなければ、いつになってもということもないかもしれませんけれども、しばらくの間はそこの病院の妙な部屋に入れられていたと思うので、それが日本の感染症対策の現状、問題点をよくあらわしているんじゃないかと思います。
 ただ、私は、そのときに向こうの院長に、こういうふうにしてくれて正しい措置だったと。つまり、これからも何かが起きたときは、先ほどからプロジェクトチームとかいろいろなものが出ておりますけれども、はっきりした人が出向いていったり責任を持って処理すればいいのであって、私はそのときの病院の対応は、もちろん設備が悪かったとか知識が十分じゃなかったとかいろいろそういうことはありますけれども、対応はそれなりによかったんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。
 そういう二つばかりのことを念頭に置かれて、これからどういうところが問題かということを申し上げたいと思います。それで、修正とか附帯決議、こういうところを今後考えていかなくちゃならないというのは決して私の意見ではございませんで、先ほど午前中から南野委員あるいは常田委員からもお話がございました。また昨日、野党の方からも話がありました。ですから、与野党を通じてこういうところはよく確認した方がいいんじゃないか。これは質問で確認する手もありますし、必要でしたら修正するということだと思いますけれども、そういう一般的な意見をひとつお伺いしていきたいというふうに思います。
 特に、四点について全体としてお伺いしたいわけでございます。一つは検査のための基盤整備。法律を読んでいきますと、情報の収集とか研究ということはすごく出てくるんですけれども、最も大切なもの、あるいは一つの検査ということでは日本は非常におくれているわけでございます。
 例えば、一類感染症がばあっとありますけれども、あれは恐らく日本でどれも今検査上診断がつかないんじゃないかと思います。そういうことができるようにしなくちゃいけないし、何にも増して、一番恐れている新感染症が起きたときは、日本だけでそれを培養したり、分離したりあるいはその抗原をとったり遺伝子を決めたりとかしなくちゃならないんですけれども、それは恐らくP4の施設、P4の施設といってもおわかりにくいかもしれませんけれども、よくテレビなんかで見ますと宇宙服を着ておっかない細菌に手を突っ込んでこんなことをやっている、あれがP4の施設と思っていただきたいわけですけれども、日本では恐らくあれが全く稼働されていない。設備はどうもあるみたいなんですけれども、稼働されていないということでございます。
 だから、一番はそういう検査、研究も入ると思いますけれども、検査、研究のためのインフラの整備ということが一つ。
 それから二番目は、特にウイルス性疾患に関しては、きょうも午前中常田議員の方から強い意見が出ておりましたけれども、ワクチンが重要でありますので、ワクチンの製造のための設備をきちっと対策を練ってそれに責任を持っていただくというようなことがどうもこの法律からはもう一つ読み取れないというのが二番目でございます。
 それから三番目が、最も大切と思われる新感染症、ずっと読んでいきますと、主として自治体が全部やることになっております。知事を含め自治体がやっております。最後の方で確かに厚生大臣の指導を得る、あるいは厚生大臣は公衆衛生審議会に諮問をするというのがございます。ずっと読んでいきますと、どうも地方自治体だけでいろんなことをしてしまえそうだし、厚生大臣の指導は得るけれども、勝手にやっていいということではないと思いますが、そういうふうにも読み取れるところがあるというのが三番目。
 それから最後が、やはりこれまでの反省に立って今度の法律ができたといういきさつは当然あるわけでございますので、やはり何といっても医師が、私も医師でございますけれども、医師が感染症も含め医療の中心人物、責任も一番とれるといいますか、いろいろなことの権限があるのが医師でございますから、医師がやはり患者の人権に配慮するという文言があった方がいいと、その四点でございます。
 では、一つずつお尋ねしていきたいと思います。
 余りしゃべる方ばかり多くて恐縮でございますが、まず、新感染症及び指定感染症というのがこの法律の大きな目玉であります。この新感染症というのはこれから五年とか十年に、まあ全然出ないかもしれない、出ても一つか二つというくらいの認識をお持ちだと思いますけれども、そうでしょうか。やはり何か出てくるとすぐ新感染症とかというふうに危惧される方があるわけでございます。ただし、わけのわからないものが出てきたときは、これは本当の危機管理として思い切った対策をとるということが必要じゃないかと思いますが、同意見でございましょうか。
 もう一言言いましてから局長の御意見をお伺いしたいと思います。法律には新興感染症という言葉は出てこないんですけれども、新興感染症、未知の感染症、それからここの法律の中で新感染症、指定感染症という言葉が出てくるんです。もう一つ整理されていないというか、この法律だけ見てみますとよくわからないわけでございます。私はもちろんわかっているつもりでございます。
 ですから、新興感染症というのは最近起きてきたものですから、エイズもO157もそういうのはみんな新興感染症に入ると思いますが、ここで問題にしております新感染症、指定感染症ということに関しては、未知の感染症というのが非常に大きなウエートを持つわけであります。ですけれども、未知の感染症のうち新感染症の定義に入るもの、つまり非常に恐ろしいものというのが新感染症。未知の感染症のうち、新感染症に入らないもので、ある対策をとらなくてはいけないというのを指定感染症の一部にするということが正解だと思いますが、その辺の整理も含めて一度局長から御答弁をお願いいたします。
○政府委員(小林秀資君) お答えにもし欠けるところがありましたら御指摘をいただいて、再答弁をさせていただきたいと思います。
 まず、未知の感染症というのは、一般的な言葉として、感染症だけれども未知というのは今までだれもわからない、見たことがないというのが一般用語としての未知の感染症だろうと思います。
 それで、今回、私どもの御提案申し上げております法案では、新感染症、また後で指定感染症も出てまいりますが、新感染症というのを法律の中に書き込んであります。これは未知の感染症であって、そのうちで感染力それから感染した場合の重篤性等の危険性が極めて高いと判断されるものを位置づけております。
 したがって、例えばエボラ出血熱みたいなのは、今同じものが出てくればエボラ出血熱というのはわかりますが、大変致命率が高く、かかったらばたばたと亡くなられてしまうというような怖い病気、見たこともない病気というのが出てきた場合、対策を講ずることによって国民を守っていこう、こういうのは新感染症と位置づけているわけであります。
 それで、具体的にどのくらい起きるのかということですが、また新しい言葉を使って申しわけありません、今まで新興感染症という言葉が出ていますが、これはエマージングディシーズという英語のことを日本ではたまたま新興感染症と訳しているだけです。英語でいきますとエマージングディシーズと言っているんですが、これは未知の感染症であって、新たにいろいろ国民に、世界の人々に影響を与えている病気という意味では新感染症とほぼ同意義語かもしれませんが、これは一般用語で使われているわけです。
 それで、起こった数はWHOの報告によりますと、この三十年間に約三十の病気がと、こういうことになっていますから、世界のどこかで毎年一つぐらいは起きる可能性はあるのではないかなと我々は推測をしているところであります。
 次に、指定感染症というものは、これは既に知られている病気であって、一類感染症から三類感染症と規定されたものと同じ扱いをすべき病気、例えば、O157ではなくて大腸菌のほかの、普通の軽い下痢症だけの感染症ならいいんですけれども、O157でなくてもっと後のこれから出てくる病気でO300とか何かそんな新しい病気が出てきて、それが重篤の症状を呈し、致命率もある程度あるとか、人から人への感染も強いとかと言われたときには、今のO157は就業制限だけという今回は仕組みになっていますけれども、そうではなくて、それでは対応できない、これは入院が必要だというような場合にはいわゆる未知の感染症ではないんで、それは既存の感染症の菌が変化をしたと。
 こういうことでは、それは指定感染症ということで法律ではなくて政令で定めて、そして一類ないし三類のどれかに決められて、それと同等な扱いをするという形で、今回法律には新感染症と指定感染症というのをつくらさせていただいたと、こういうことでございます。
○水島裕君 小林局長とはこの三年随分いろいろディスカッションしていて大抵意見がいましたし、こちらの言うことも大概認めていただいたり、局長の言うこともよくわかったわけですけれども、きょうはもしかするとちょっとずれるんじゃないかと思ってきているわけでございます。局長がきちっと認識しないとやはりこれは随分問題であります。
 今局長は、指定感染症というのは既に知られている病気というふうにおっしゃいましたし、法律でも多分そうなんじゃないかと思います。
 そういたしますと、既に知られていない病気、未知の病気の中で、エボラみたいに恐ろしいものは新感染症として一類と同じように扱う、それ以外のものですね、例えば消毒だけしなくちゃいけないとか就業制限だけしなくちゃいけないというものがどこにも行くところがなくなってしまいます。衆議院の民主党の中でも新感染症は一類だけにするんじゃなくて二類とか三類に分類すべきじゃないかという意見があるので、もし今局長の御答弁が正しければそうしないといけないと思いますけれども、そうではなくて新感染症というのは一類に指定するぐらいのものだけにして残りは別に対応するというふうに説明しているのです。
 要するに申し上げたいことは、これも結論を今出さないといけないんですが、それと同時にこの法律の文章を読んでそういうことがわかるようにしておかないといけないと思いますけれども、まず今のは、私の言うのと局長の言うのとどっちが正しいんでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 私の説明が悪かったのかもしれませんが、新感染症というのは、まず未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等の危険性が極めて高いと判断されるものと位置づけておりますということであります。
 それで、今先生がおただしなのは、一類と言われるエボラのような、それほど怖くはないけれども未知の感染症についてどう扱うかということのおただしでしょうか。
○水島裕君 そのとおりでございます。それは何に入れるおつもりでございますか、局長が間違えているようじゃ困るのでございますけれども。
○政府委員(小林秀資君) 間違えるといけませんのでちゃんと読ませていただきます。
 新感染症は、未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性に基づき危険性が極めて高いと判断されるものと位置づけているところでございます。この点は、公衆衛生審議会基本問題検討小委員会においても慎重に審議されたところでありますが、未知で原因不明の段階の感染症への対応といっても、これは極めて危険なものに限定した取り扱いが必要であると判断されたところでございます。
 御指摘のように、比較的危険性の少ない未知の感染症を直接的に指定感染症として取り扱うことは法案においては想定していませんが、実際の発生にあっては、国民や医療関係者への情報提供を行うとともに、病原体や感染経路の特定のための積極的疫学調査や研究を進め、病原体等の究明を速やかに行った上で、所要の手続を得て指定感染症としていく必要があるものと認識をいたしておりますということでございます。
○水島裕君 今の答弁の方が私の申し上げているのと同じですから、先ほどの局長のが間違っていたわけでございます。ただ、そういう誤解が起きますので、この法律にそういう誤解がないようにやはりきちっとしておかなくちゃいけないということでございます。
 私、持ち時間が六十九分で、先ほど理事会で厚生省がちゃんと答えてもらったら六十分で終わると申し上げておきましたので、なるだけ時間を食わないように、間違えないように御答弁願いたいと思います。
 それでは、そのことはきちっとわかるようにしておかなくちゃいけないということでございます。
 次が、新感染症のときに四十五条から地方自治体がずっと対応していくということが書いてありまして、最後でもないんですけれども、それが終わりましてから、「厚生大臣の技術的指導及び助言」というところで指導を受けなければならないということが書いてあります。日本における新感染症と定義づけられる、あるいは新感染症もどきというのは今後多分五年にせいぜい一つだと私は思うのであります。
 私も言うことが間違っているといけないと思いまして、昨日も国立感染研とそれから国際医療センターに行っていろいろ意見を交わしてきたのでございますけれども、その人たちは、そういう病気が起こったら我々はそのために勉強して、研究しているようなものですから、すぐそこへ行ってきちっと調べて、もちろんそういうふうにいたしますと。それで、私が法律にはそんなような感じには書いてないですよと言ったら、ちょっとぎょっとされていた方もいるわけでございます。
 ですから、私は、新感染症に関しては、実際にいろいろなことを行うのは都道府県知事、地方でいいかと思いますが、やはり厚生大臣の指導ばかりではなくて、その言葉は私よくわかりませんけれども、同意とか許可とか、厚生大臣といいますと厚生省及び今の感染研とか医療センターあるいは公衆衛生審議会ということになると思います。そういうところのはっきりとした同意とか許可を得て、例えば四十六条は十日間は入院させてもいい、隔離してもいいというふうになっているわけでありますから、はっきりとしたそういうことを得てから入院命令とかを出すというふうにした方がいいし、実際はそうだと思うんです。思うんですけれども、そういう危惧がないような文章にした方がいいと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) 新感染症につきましては、健康診断、入院、物品の検査等の対応につきまして現地の実情に即してきめ細かく行う必要があることから、都道府県知事が判断することとしているところでございます。
 一方、新感染症に係る対応につきましては、最新の高度な医学的知見等が必要とされることから、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を得た上で都道府県知事に対する指導、助言を行うこととしております。
 このように、地域の実情を十分に把握した上できめ細かな判断が必要なこと、さらに厚生大臣と都道府県知事との責任、役割を明確にする必要があることから、厚生大臣の関与を都道府県知事に対する同意とするのではなく指導、助言とすることが適当であると考えております。また、新感染症患者の入院の手続のみを他の一連の措置と切り離すことも適当ではない、このように考えておるところでございます。
○水島裕君 確かに法律の文言としてはこういうことを言っていればこうなんだからということがあるわけでございましょうけれども、やはり法律もなるだけならだれが読んでもきちっとわかる方がよろしいわけでございまして、それだけ重要な病気の指定とか、それによって場合によると例えば秋田県全部を消毒しようということにだってなるわけでございます。
 そういうようなときに、指導だけでするというのではなくて、やはり同意を得て、あるいは命令を受けてするという方がよろしいと思いますけれども、大臣、感想だけで結構ですけれども、その辺はどうお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のお話を伺っていると指導も同意も似たようなものじゃないかと思うのです。事務的な問題だと思いますので、専門家にお任せして判断すればいいのではないかなと思います。
○水島裕君 私も、本質的にはそうだと思うんです。きちっとやることになっていると思いますけれども、これはまた議員の中で話をして、やはりこういう文言の方がみんなが安心するといえばまたそれはそれの一つの手だてではないかと思いますので、これはその辺にしておきます。
 それから次に、基盤整備と医療関係者の育成ということになります。
 今、こういうことに関係するのは、地方では保健所と地衛研、衛研でございますね、それから国の方は先ほどの審議会と感染研とか医療センターということになりますけれども、そこでの基盤整備についてまずお伺いしたいと思います。
 先ほど申しましたように、新感染症というのは何が何だかわからないわけでございます。何か失言しないように話さなくちゃいけませんけれども、これがエイズとかO157のようにアメリカとかヨーロッパが先で日本に来たものですと随分いいんですけれども、仮にこれが日本と中国ぐらいで爆発的に起こったわけのわからないもので、しかも今度は空気伝染するような、仮にそのような病気がはやったとしますと、これは日本が積極的に研究して、病原体の培養、分離、診断、それから治療法まで研究していかなくちゃいけないわけでございます。
 そのときに、先ほど申しました宇宙飛行士がやるようなP4の施設がなくて果たしてうまくいくんでしょうか。この施設は、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、もう全部あるんですよ。日本だけ稼動していない。こんな状態で法律に沿ったことができるかどうか、非常に危惧の念を得ております。もちろん国も何とかこれをおつくりになろうと努力なさったということは知っております。
○政府委員(小林秀資君) 病原体の培養とか固定とかということに関しての検査能力の話をおただしいただいたわけですけれども、実際、国では村山に国立感染症研究所、P4のための施設がつくってあります。しかし、現実は地域の御理解がいただけないということでそれが動けない、動かないというような現状にあるわけであります。
 国としては、今先生がおっしゃったようなアメリカだとか、そういう技術の高い国ができてあとの国ができないということでは、今言ったようにアジアが病気の中心になる、また日本が原発で出たというときには、大変お恥ずかしい話ですがどこもできないことになっちゃいますので、私は何とかしてP4の施設が運転できるようにまずもってすべきだと思っております。
 問題は、ただそう言うと何か非常に検査が何もできないような感じになっちゃうんですが、実は一類感染症でもすべてをP4でなくてはならぬということではなくて、P3の段階の施設でも検査ができるということでございまして、日本国ではP4以外の検査についてはほかの先進国に負けることなく検査ができる、私はこのように思っております。どうしてもできないところは、アメリカの疾病管理センターとの協力をもって検査体制をきちっとしておくということが今できることではないかと思いますが、いずれにしても検査をきちっとできるような体制の整備ということは非常に重要なことだと思っております。
○水島裕君 この法律に出ております一類感染症、こんなのどうってことないと言ってはいけませんが、これに関しては大したことないんで、この一部が仮に診断できても余り威張れた話じゃないのです。これは大臣によく聞いていただきたいんですけれども、ドイツにあってフランスにないなんというのはどうってことないんです、隣の国で同じ地域でございますから。だけれども、アジアのサイエンスの中心であるべき日本がないとアジア全体がゼロなんです。ですから、アジアだけに何か起こったら、これもうどうにもならない。
 ですから、これはよほど頑張って、私が思うのには、厚生省がちょっと評判悪いから厚生省がつくると言いに行くときっといけないんじゃないかと思いますので、国会も学会も、そういうことでぜひこれはやはり必要なものだからということでもう一回住民と御相談願うというふうに、これは大臣いかがでしょうか、そのぐらいしてつくらないと、そんな感染症が入ってきて、いや日本はそういうのはできませんなんというのでは本当にお粗末でございますので、いかがでございましょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 専門家、医療関係者だけじゃなく、これは一般市民といいますか、一般国民の協力を得るということも重要なもので、ぜひとも必要以上の不安は持たないでほしいというような啓発活動、協力、こういう観点からも努力していかなきゃならないと思っております。
○水島裕君 ぜひそういうことでお願いいたします。
 これは私が見てきたわけではないんですけれども、パリのパスツール研究所、これはこういう施設を持っているわけですけれども、それも何だかマンションの隣ぐらいにあるらしいですね。それでも全く問題なく運営しているわけでございますから、そういう事情もよくお調べになるというか、そういうこともきちっと説得材料に使って日本でできないと、この間も本会議で申しましたように、幾ら新興感染症こうこうといっても、すごいのが入ってきたらバンザイじゃ困るわけでございますので、どうぞ頑張っていただきたいと思います。
 次は、今度は地方に入りますと衛研がやっているわけでございます。まず御質問は、地方の保健所あるいは衛研、地衛研でもって現在この法律に出ている感染症はどの程度の固定が、診断ができるんでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) 地方にあります保健所や地方衛生研究所におきましては、これまでも感染症の病原体の検査能力の向上に努めてきたところでございまして、二類感染症、三類感染症、四類感染症においては多くの場合検査が可能となっているところでございます。
○水島裕君 私もそうだと思いますけれども、ただ衛研の中には事務職員しかいないところがあるらしいんです。それは絶対私も悪いとは申しませんけれども、そういうところに検体が来ても別な衛研のところに運んで調べてもらうという実情もありますので、その辺もはっきりと把握なさっていらした方がいいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 最近の地方分権の関係で、保健所についての整理統合が各地方自治体で進められておりまして、保健所の中には、住民の皆さん方から例えば検査を受け付けて、自分のところでできなくても同じ地方自治体の持っている衛生研究所に持っていくとか保健所へ持っていくかということでいわゆる経費の節減をやって、住民サービスは同じだけれども、実際の保健所の持っている機能は保健所ごとに違うというような形態をとっておられる地方自治体もあるわけであります。
 そうしますと、今先生がおっしゃられたように、保健所の検査といっても実際には自分のところではできなくて、同じ地方自治体のほかの保健所でやっているとか、また衛生研究所に持ち込むとかということで対応しているということだろうと思うのであります。実際には、地方自治体も都道府県、指定都市につきましては、厚生省の事務次官通知でもって衛生研究所をつくりなさい、こういうふうにお願いをしているところです。それは全部できておりまして、そこについては私は立派な検査ができるようになっている、このように思っております。
 それから、それ以外のところのブランチについては、その地域の交通事情等々住民の皆さんの利便は落とさないように、そこは地方自治体の中が連携することによって対応しているというのが実態ではないか、このように思っております。
 具体的に保健所のどこが細かく検査までできるのかどうかについては、残念ながらそこまでは承知をいたしておりません。
○水島裕君 申し上げ方が少し悪かったかもしれませんけれども、私も地方分権大賛成でございますので、このくらいの病気に関しては知事、県庁が完全に把握するようにということをよく言っておいていただければいいんじゃないかと思います。何でも何でも地方分権というのはやはりぐあい悪くて、先ほど申し上げた新感染症みたいな恐ろしいもの、これはやはり中央で完全に対応しないといけないと思います。どなたかの御答弁を聞いておりましたら、いやいやこれからは地方分権だから新感染症も地方でというのはやはりいただけないんじゃないかと思います。
 それでは次に、人材の育成でございますが、本会議でも申しましたように、ここに書いてあります一類、二類、三類のうち一例でも見たことがある医者というのは、私は日本の医者のうち恐らく十人に一人ぐらいじゃないかと思います。つまり、もうほとんどの人はこういう感染症は見たことがない。それから、先ほどから申し上げておりますように、検査も十分にはできない。
 こうなりますと、こんなのが起きて、きちっと診断して三日以内に帰せといって、もうわけわからなく帰しちゃったりなんかするともっと危険なわけでございますので、ぜひ研修を海外に行ってやっていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 実は、きのう国際医療センターの竹田研究所長とお会いしましたら、きのうからインドに行ってそのための相談をしてくると言うんですけれども、こちらは二十一日に参考人質疑があるし、竹田委員長が一番全体のことをおわかりになっているからと言いましたら、参考人質疑が終わってからインドに行くと言っていらっしゃいました。
 インドに行きましてカルカッタの伝染病病院に行きますと、コレラとか狂犬病とかもうごろごろあるんです。ですから、やはり日本の医者もそこに行って、日本で幾ら一カ月研修してもしようがない、そこに二、三日いて見てくればすごく違うわけでございます。国際医療センターでは今そういうプロジェクトを組んでいるかあるいはこれから組むそうでございますので、それは政府としても全力を挙げて応援していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) 先生のおっしゃられるとおりでございまして、我が国にない新異感染症の診断、治療に的確に対応するためにも医療関係者に対する海外研修を行っていくことは重要である、このように思っております。
 このため昨年度より、新異・再興感染症研究推進事業によりまして若手日本人研究者を海外の研究機関や大学等に派遣する事業を行っておりまして、今後とも当事業の評価を行いながら人材の養成に努めてまいりたい、このように思っております。
○水島裕君 次に、ワクチンのお話をしたいと思います。
 午前中、常田議員の方からもお話がありましたので多少重複することもあるかもしれませんけれども、やはり多くのウイルス性疾患はワクチンでなければ対処できないということが非常に多いわけでございます。
 このワクチンには結局二通りございまして、今もう既に知られている病原体のワクチン、これはつくろうと思えば、例えばこの間申しました有精卵とか組織が動けばかなりつくれるわけでございますけれども、未知のもの、新感染症、それからインフルエンザであっても新型インフルエンザというのはそのものを持ってきて大急ぎでつくらなくちゃいけませんので、できそうだといっても実際にやってみるとできないわけでございますし、また認可という点でも大変難しいと思うのであります。
 ですから、ワクチンは二通りに考え、しかもしょっちゅう練習していないといけないわけでございます。これはどの分野についても言えるんですけれども、練習するためには費用がかかるので、ある程度つくってはむだにしてというようなことを繰り返さないといけないところもあるわけなんでございます。
 ですから、国として、厚生省としてこの辺はどういうふうにお考えになっているか。これが本当に大切な予防・治療法になるわけでございますので、少しは損をしてもどこかがやるというふうにしなくちゃいけないのでありまして、例えば極端な例は常時幾らずつぐらいは買い上げるとかいうふうにしないといけないのでございます。
 いずれにしましても、国民が安心できるように国がここまでは指導してやるということを明確にしておかないといけないんじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(小林秀資君) まず、ワクチンというものが感染症対策上は大変有効であるということから、この安定供給を図るということは大変重要なことだと思っております。
 それで、さきの予防接種法の改正の見直しで予防接種を実際に打つ量が大変少なくなってしまった、そのために生産体制が落ち込んでいるということも事実でありますし、そういうことから、今後ワクチンをどうやって確保するのかというのは大変重要なことと思いますが、政府としては供給不安が生じることのないような体制整備を懸命に図っていきたい、このように考えておるところであります。
○水島裕君 ここで細かいことは議論することではないかとも思いますけれども、やはり困らないように対策といってもこれはなかなか大変なことなんです。
 この間、本会議の質問で厚生大臣は四百万本は大丈夫だというふうにおっしゃいましたけれども、本当に新型のインフルエンザなんかのときに四百万本できるだけの、それも半年もかかってできたのでは、もう流行は終わってしまい死亡者の山になってしまいますので、それでは間に合わないわけでございます。本当にそのぐらいでできるのかなと思って、私もワクチン製造のいろいろなことを知っている知人が多いのできょうまでに何とか調べようかなと思ったんですけれども、その時間もなくて調べではありませんが、ぜひこういう法律ができるとともに、実際実のある、その辺の検討もしていただいてまたいろいろお知らせいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(中西明典君) ワクチンの製造供給体制の問題でございますが、現在、各種のワクチンの需要に対応して必要な量を供給できるだけの製造体制は確保されているというふうに認識しております。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
 ただ、先生御指摘のように、今後のことを考えますと、国内の感染症患者の減少等による感染症に対する国民の関心が低下している、ワクチンに対する認識というのがまた低下しているというようなこともございましてワクチン需要が減少し、これに伴って国内のワクチンメーカーの製造能力といいますか経営基盤といいますか、それが脆弱化して安定供給能力が低下していくんじゃないかという危惧があるということもこれまた事実でございます。
 私どもといたしましては、緊急時の問題、それからまた希少ワクチンといいますか、必要不可欠であるけれども患者さんが少ない、そういったワクチンの供給問題を中心として体制の整備のあり方について十分検討を行っていかなければならない、かように認識しております。
○水島裕君 その場合にぜひ、数字はちょっと覚えていませんけれども、例えばH5N1とか、インフルエンザでしたらいろいろあるわけでございますけれども、今まではやったものと全然はやらなくて動物だけいたものとかというので随分ワクチンをつくるスピードが違うと思いますので、そういうことも御留意の上対策を立てていただいて、我々も議員として責任がございますので、一度ぜひ中間的な報告でもしていただければというふうに思います。
 いずれにしましても、製造、研究ともアメリカなんかはすごく一生懸命やっているんです。ワクチンの学会なんかでもアメリカの学会に日本がみんな行くというぐらいで、アメリカは何もウイルスばかりじゃなくて緑膿菌とかいろいろなものもワクチンで一生懸命やっているわけでございますので、その辺の情報も交換されてなさることをお勧めしたいと思います。
 それでは次に、人権問題とかかわり合うようなことをお話ししていきます。
 こんなことを申し上げるといけないので言わない方がいいと言う方もいらしたのでございますけれども、あえて申し上げますと、感染症の特徴というのは蔓延することなんです。それで予防が必要だと。それだけに、ある人の生活の自由を奪うこともあるので人権問題が必要であるという、ほとんど一点に尽きていると思うんです。ですから、言い方は悪いかもしれませんけれども、最初二、三人、数人がある感染症になってしまうのはもうやむを得ないというふうに考えませんと、これは人権問題と随分関係してきてしまうわけです。
 例えば、先ほどのカルカッタなんというのはコレラがはやっているわけですね。そうすると、カルカッタへ行った人は帰ってきたら全部検便するとか、そんなことをすればもっと安心といえば安心ですけれども、そういうことをやっていたら切りがないし人権問題にもなってしまうということで、ミニマムのリスクはある程度受け入れて、またそこからばあっと蔓延しないようにするのが感染症の予防であり治療であるという考え方を私はとっているわけです。そのためにこの法律も必要だということで、余り厳格にここでだれも感染症にならないというふうにすると物事はうまくいかないんじゃないかと思いますけれども、その点、大臣でも局長でも御意見がございましたらお願いいたします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 人権への配慮と蔓延を防止する、これは両方いかにうまく対処していくかということが重要だと思うんです。
 その際に、今言われたように人権への配慮なんというのは、つい最近、外国のある地域で暴行事件が起きたと。そしたら、その付近の住民一万人以上ですか、全部検査すると、DNA鑑定。これもある面においては、みんな疑われるのかという面においては人権侵害だと思われることもあると思うんですね。あるいは、飛行機に乗るときでも、これ持ち物検査。一部のテロ的な危険人物がいるために、全くそういう意図のない普通の一般の乗客までが持ち物検査しなきゃならないという不自由を覚悟しなきゃならない。
 この点につきましては、社会防衛的な見地と人権への配慮というものをどう両立していくかということをふだんからよく研究し対策を考えておかなきゃいかぬ、厚生省あるいは都道府県、医療関係者、この連携というのはふだんから考えておかなきゃならない。同時に、情報を正確に提供するということも大事でありますので、この問題につきましては今から適切な対処、事前事後、両方の対処を研究しておく必要があると思います。
○水島裕君 ありがとうございます。同じような意見でございます。
 次に、このHIV、エイズのときに実際どういうことが起きたかということを申し上げます。これは私の周りでもありましたから間違いないと思いますけれども、エイズの患者さんがある病院に行くと、うちはとても診られないからと言って診療拒否、門前払い。それから、本当は入れてあげたいんだけれども、入れるとほかの患者さんが来なくなっちゃうからと院長が言うので、お願いだからよその病院に行ってくださいと、そういう例があった。
 ですから、今現在ある感染症に関しては比較的そういうことはないんじゃないかと思いますけれども、これが次の新感染症あるいは指定感染症が出てきたときにまた同じようなことだけは絶対あっちゃいけないと思います。これは簡単にルールを決められるものでもないかもしれませんけれども、そういう患者さんが来たときに、自分の病院ではこういう病気は診る能力がないからということももちろんあると思いますけれども、そのときはここの病院へ行けば必ず親切にちゃんとやってくれるというルートをつくっておくということが大切なわけでございまして、この法案ができましたらその辺も十分整備をなさるおつもりかどうか、お伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) そもそも医師法におきまして、「医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と規定をされていることは先生御承知のとおりだと思います。したがって、医師であれば特段の事情がない限り応ずるのが当然でありまして、患者さんが来た、私は知らないから逃げるというわけにはいかないというのが法律上の規定になっておるわけであります。特に、エイズにつきましては、診療拒否等の対応が行われることのないように平成二年に通知を出しまして、その趣旨の徹底を図っておるところであります。
 ただ、先生もお話しになられましたように、今エイズのことを思い浮かべながら考えますと、新しい病気が出てきた、これが致命率が高い、命を落とす確率が高いと言われますと、やっぱりどなたも皆さん怖がるのは当たり前だと思うのであります。
 だから、そういうときに一番早く医師が勉強をして、そしてその患者さんに対して医師が立ち向かっていくということを皆さんに示してもらうということは大切ですけれども、ただ、医師は怖くはないんだということではなく、医師だって賄いんだということは国民の皆さん方も理解をし、そういう全体を理解した上で皆さんの協力のもとに、今、先生がおっしゃられましたように病院の機能分担をし、エイズでもフロックセンターをつくるとか地方に拠点病院をつくるとかというように今対応させていただいておりますけれども、そういうふうにエイズにあったようなことができるだけないように早い段階、時期でもって、すべてのお医者さんというか、きちっとシステマチックに病院の体系化をして、患者さん方が困らぬようにしていくということが大変大切だと思っております。
 そういう意味で、医師を含む医療関係者皆さん方に本当に適切な情報提供をし、それから必要なら研修も行って医療人の資質の向上に絶えず努めていく、これが大変大切ではないか、このように思っております。
○水島裕君 今おっしゃるように患者とともに医師も大変だと。我々もどっちかというといろいろ勉強している方だとは思いますけれども、一九八三年、八四年、ちょうどエイズがはやり出したとき、我々の仲間でアメリカへ調べに行って帰ってきた人が、僕はとうとうエイズの人と握手してきたんだと言って物すごく威張っているわけです、度胸があるだろうと。私も確かにそれは度胸があるなと思っていました。今から考えてみるとどうってことはないんですけれども、やはりその当時はエイズの人と握手してきたというだけで、これは立派な医者だなんて思ったりいたしましたので、そういうこともあるんです。
 それから、実際問題としてどういうことがあるかと申しますと、ある病院にエイズの人が来る、診てはあげたい、といってほかの人に知られるとほかの人が恐れたりするということと同時に、恐れられるということはエイズの人の人権を侵害していることになる。すると、どういうことが一番いいかというと、こっそりと個室にでも入れてあげてこっそりと診ているというのが、差し当たりそういうことが多分一番いいんじゃないかと思うんです。
 もちろん今は問題ないですけれども、その八五年当時、そういうことを確かにしようと思ったこともあるんだけれども、するとその部屋代はだれが払うんだということになってきてしまうわけです。ですから、それは国にそんなことを言うのは無理だとは思いますけれども、やはり各医療機関と各自治体なんかでその辺のことはある程度相談していただいて、多少の費用でほかの患者さんも恐れさせないで済むし、恐れるばかりじゃなくて本当にうつしちゃったら、医師である以上はほかの人にうつすということを一番恐れるわけでございます。それがまず第二前提でございます。
 それから、恐れさせるのもいけないし、といって患者さんの人権も守りたいしというときに、多少の費用があれば何とかできるということがあるわけですね。ですから、その辺はひとつ厚生省の方も親身になって、医療機関、地方自治体なんかと相談して、本当にわずかな努力でうまくいくということが今後もあると思いますので、その辺はまた何かの機会に御検討いただければと思います。
 それから、私もそういうことでどっちかといえば医師の立場に立つ者なんでございますけれども、やはりこの間のエイズでは医師も反省するところがあった。幾ら理事長とか病院長に言われたって頑張って診てあげたりなんかした方がよかったということもありますし、やはり医療においては医師の権限が一番あるわけでございますので、この法律でもやはり医師が国民と同様、感染症患者の人権に配慮するという文言が私はあってもいいんじゃないかと思います。
 法律を見ていきますと、第四条で「国民は、」「感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない。」と書いてあるんですけれども、医師のところにはこういうことは書いてないわけです。この間、国会の答弁もたしかそうでございましたけれども、どうしてかというと、医師も国民だからという答えなんです。
 医師が見ますと、医師は国民じゃなくてやっぱり医師だと思います。もちろん国民には間違いないんですけれども、やはり二つ並んでいると医師はという方が自分の責務だというふうに思います。私の意見はそうだし、またほかにもそういうことをおっしゃる方もございますけれども、もし御意見がございましたらお願いいたします。
○政府委員(小林秀資君) 今、先生は医師の責務の中に患者の人権に関連してその責務を入れたらどうかという御提案だと思いますが、我々としては、法文に書いてありますように、四条で国民の責務が書いてありますので、そのほかに医師に限ってこう書くということは必要性はないのではないかなとは思っております。
 ただ、第五条のところで、「医師その他の医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力し、」ということが書いてありまして、ここで実は国の方で特定感染症予防指針というのを今回エイズでも性病でもつくろうとしております。これは、国及び都道府県の行う措置の中に入っておりますので、そういう意味では医師が一生懸命この講ずる措置の中で人権等についてきちっとやるというのは当然のことだと、このように思っております。
○水島裕君 それでは、今回提出されているのが二法でございます。もう一つが狂犬病の方で、狂犬病に関してはまだ一問も多分質問がないので、狂犬病法案もかわいそうでございますので、ひとつ御質問をしたいと思います。
 狂犬病は、現在、私が認識しているというよりか何となく聞いた話では、日本と英国とオーストラリアには狂犬病の犬も患者さんもいないというふうに聞いているんですけれども、その辺は正しゅうございますでしょうか。
○政府委員(小野昭雄君) 御指摘のとおり、我が国と同様にイギリス、オーストラリアも狂犬病の発生がございません。いわゆる清浄国、清らかな国だというふうに言っておりますが、世界的に見ますと、こういった国は今申し上げましたイギリス、オーストラリアのほかにニュージーランド、シンガポールなどの島国等極めて限られた地域のみでございます。
 なお、世界におきます狂犬病の発生状況をせっかくでございますから少ししゃべらせていただきますと、WHOの統計によりますと、一九九五年のデータでございますが、人におきましては三万五千五百八十二例、それから動物におきましては五万六千百五十三例の発生が報告をされているところでございます。
○水島裕君 今、局長もおっしゃいましたように、これは島国の特性だと思うんです。やはり我々日本人は日本にいて犬にかまれても大したことない、痛いぐらいだというのは大変ありがたいわけでございます。これはヨーロッパじゃ幾らやっても国境で犬がしゅしゅっと来ちゃったらしようがないので、なかなかうまくいかないわけでございます。そういう点で日本も最近不景気で余り幸せなことはないという話でございますけれども、犬にかまれても大丈夫というのは大変幸せなわけでございます。
 ぜひ、猫その他危なっかしいものを十分検査なさって、しかもまたそういうものが入ってきたときにはすぐ絶滅するような方策をおとりになるべきだと思いますけれども、その辺の御意見あるいははっきりとした御決意があればお述べいただきたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) 現行の狂犬病予防法におきましては、狂犬病の感染源として最も重要な動物は犬でございますが、犬の予防注射の義務づけあるいは輸出入の際の検疫等の施策を行っているところでございます。
 したがいまして、狂犬病にかかりました犬が輸入されたとしましても、検疫でチェックをされますし、さらに国内の犬はワクチンによりまして抗体価が上がっておりますことから、狂犬病が蔓延するおそれはないものと考えております。
 なお、御指摘の今回の狂犬病予防法の一部改正でございますが、輸出入検疫等の対象動物を犬のほかに猫、キツネ、アライグマ、スカンクに広げることによりまして、海外からの狂犬病侵入防止に万全を期するものでございます。
 なお、この対象動物の選定に当たりましては、外国で比較的罹患した個体の多い動物種を挙げております。
○水島裕君 それでは、この件に関しては頑張っていただくことを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○渡辺孝男君 公明の渡辺でございます。
 先ほど水島委員の方からも質問されたわけですけれども、感染症の蔓延の防止と人権への配慮という非常に難しい調整をしなければならないわけでありますが、それに関しまして質問させていただきたいと思います。
 公衆衛生審議会伝染病予防部会の基本問題検討小委員会の報告によりますと、「新しい時代の感染症対策について」という報告書には、「予期せぬ大災害や犯罪・事故による病原体の放出といった事態に備えて、危機管理の観点から、国・地方公共団体が連携をとって総合的な対策を迅速かつ的確に講じることができる体制の整備が必要である。」というふうに述べられております。
 もし感染症病原菌を用いた犯罪とかテロ行為で感染症が起こった場合には、この法案のもとではどのような対応ができるのか、その点に関しまして教えていただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答え申し上げます。
 危機管理の観点からの感染症対策につきましては、これまでも国立感染症研究所の機能強化を初め、厚生省の中に健康危機管理調整会議というのを設置いたしておりまして、各局が相寄り合いまして連携を強め、対応を図っているところでございます。
 今回の新法の眼目の一つとしては、感染症が発生する前に万一の事態を想定いたしましてそのときの仕組みを構築しているのでありまして、具体的には、国における基本指針、都道府県における予防計画の策定、それから発生動向調査等の充実を行って、要はできるだけ事前対応でもって考える。
 だから、危機管理の場合でも、今、先生おっしゃったように、だれかが犯罪行為で菌をまくというようなことがあったときはどうしようかということも、これはそういう場合はどうするかということを国の指針でも考え、県なら県レベルの予防計画の方でも考えていくということをして、事前対応で事前に準備をしておくという仕組みをとろうと、このようにしておるわけであります。
○渡辺孝男君 事前対応的に国の基本指針あるいは地方自治体の予防計画ですか、そういうもので決めていくことでありますけれども、それがちょっとよくわからないところもありますので、どういう方向で決めていかれるのか、その点、もしわかっておれば、こういう方向でというふうに。
 例えば、原因としての感染症の蔓延にはさまざまなものがあると思うんです。輸入感染症の場合もありますし、先ほど申し上げましたけれども、そういう犯罪が絡んだような菌のばらまき、あるいはテロ行為が絡んだような菌のばらまきもあると思うんです。そういう場合にはもちろん刑法等で原因に関しましては対応しなければならないということがあると思うんですが、結果的に感染症が起こった患者さんに対して、あるいは地域の感染症の蔓延の予防に対しましてはこの法案のみで完全に対応できるということでやるのか、それとは別にまた違った感染症対策みたいなものを用意しなければならないのか、その点に関しまして厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 今申しましたように、厚生省の方ではこの法案が通ったら、いわゆる感染症予防の基本指針及び都道府県の感染症予防計画の策定によって、各分野の行政、国民、関係機関の協力を得ながら総力を挙げて危機管理に取り組む体制をつくることが必要だというふうに考えているわけであります。
 したがいまして、例えば新型インフルエンザが万一我が国に入ってきた場合どうするかということになりますと、それは、この前の厚生省の検討会でもやりましたが、今、新型インフルエンザに備えてどうするかというときに、やっぱり関係各省庁全部協力し合って、そして事前にプログラムをつくっておき、それに基づいて対応して動いていくということになろうと思います。県は県レベルで、それは衛生関係の所管のところだけでなくて、警察関係もその他学校関係も、いろんなところが集まって計画をつくっていただいて対応すべきだ、そういうふうに持っていくものと思っております。
○渡辺孝男君 今、そういういろんな、場合によっては警察関係の方あるいは学校関係の方と協議しながら対応していくというお話でありましたけれども、そうしますと、あくまでも感染症の治療あるいはそういう蔓延に対する対応というのはこの感染症予防・医療法の本法律でもって対応すると。特に、そういう特別な事態だから別な法律のもとで例えば強制入院、原則はこの法案では任意による入院になりますけれども、そういう場合に、特別な事態であるから強制入院させるとか、特別な事態であるから住民全員に健康診断をするとか調査をするとか、あるいは場合によっては、伝染病予防法の中では集会なんかも禁止されるというようなこともあります。
 国が定める基本指針あるいは都道府県が定める予防計画の中で決められていくということでありますけれども、そういうことがなきにしもあらずなのか、そういう規制がきつくなるようなことがあるのかないのか。もうこの法案でうたっているとおりでそれ以上のものは当然ない、別の法律でもそういう網がかかるというようなことはないということであるのかどうか、そこをちょっと確認したかったわけなんです。
○政府委員(小林秀資君) 感染症の関連でいけばこの感染症法でもって対応いたしますが、その余のいろんな関連事項が大きくなってパニックが起きてくるとかいうことになりますれば、そういう危機的な場合には、関係法令との連携の中で的確に感染症の拡大防止を図ることが必要になってくる場合もある、このように思って、おります。
○渡辺孝男君 その辺が、先ほども言いましたけれども、人権への配慮とやはり感染症の蔓延を防止するというところで微妙なところなものですから、そこが意外とあいまいなまま行くと困るのかなと。
 その基本指針あるいは予防計画で具体的なことが決まっていきますよということなんですけれども、また場合によっては違う法律で対応することもあり得るというふうなお話ですとなかなか、実際そういう特別なことが起きた場合に、例えば地下鉄サリン事件がありました。あの場合はそういう病原体ではありませんでした、毒素でありましたけれども。そういう場合に、本当にこういう場合を想定していろんな縛りをつけるということは非常に問題があるわけですが、ただ、事前対応型とおっしゃっていますので、そういうことも念頭に入れた対応も考えざるを得ないということなんだと思うんですが、その辺がよくわからないんです。
 そこをある程度きちんとさせていただいて、そういう場合にもそういう人権の保護というのは十分この法案の趣旨に沿った形で行われるということであると僕は思っているわけなんですけれども、それを確認したくて質問させていただいたんですが、その点は間違いないわけですね。
○政府委員(小林秀資君) 感染症の拡大でこの法律がありながら地法によって患者さんの人権の侵害が起こり得るというようなことは全然想定をいたしておりません。感染症である限り、その感染症の拡大を防止していく、蔓延を防止していく、それからもう一つ、患者さんにいい医療を提供するということは、それはもう前提は狂わないもの、このように考えているわけであります。
 ただ、事が、感染症が原因だけれども、その原因でほかのパニックが起きるとか何かということになってくると他省庁他法令との関連が出てくるということで、感染症対応としては私どものこの新しい法律で対応しよう、こう思っているところであります。
○渡辺孝男君 では、次の質問に入らせていただきます。
 一九九六年の三月に英国の政府諮問委員会の声明に端を発しました人畜感染症の可能性があるいわゆる狂牛病の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に関しましてはこれまでも私も質問させていただいたんですが、その件に関しまして質問させていただきたいと思います。
 厚生省にお尋ねいたしますけれども、その後の国内外の調査研究にてこの人畜感染症としての因果関係というものは明らかになってきたわけでしょうか、その点お伺いしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) イギリスの医学雑誌ランセットにおきまして、BSEと言っていますが、中海綿状脳症と新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連につきまして、直接的な証拠はないが、BSE病原体の暴露が新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発病との関連性があるのではないかというところが一九九六年の四月六日のランセットで報告をされたわけであります。これは、中海綿状脳症と新変異型ヤコブ病とのプリオンたんばくに類似性が認められたことを意味しており、疫学的な因果関係が認められたことまでは意味しているものではございませんでした。
 なお、我が国におきましては、平成八年に実施をいたしましたクロイツフェルト・ヤコブ病緊急調査や平成九年から実施をいたしております。その動向調査におきまして合計八百九十一例のヤコブ病の報告がされておりますが、この中には英国で報告されたような新変異型ヤコブ病は認められていないところでございます。
○渡辺孝男君 そうしますと、このプリオン病、新変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病は人畜感染症であるかどうかはまだはっきりしていないというふうに厚生省は認識されている、そういうふうに考えてよろしいということですか。
○政府委員(小林秀資君) 今申しましたことをまた繰り返しますと、牛海綿状脳症と新変異型ヤコブ病とのプリオンたんぱくに類似性が認められたことを意味しておりまして、疫学的な因果関係が認められたことまでを意味しているものではないということであります。
○渡辺孝男君 そういうことで、直接的な因果関係がまだはっきり明らかになったわけではないということだと思います。
 そうしますと、このクロイツフェルト・ヤコブ病、これはプリオンたんぱく質という特殊な物質で感染が起こるというふうに疑われておるわけでありますけれども、病気そのものはプリオン病というふうにも呼ばれております。この疾患は六感染症法案ではどこに分類されてくるんでしょうか、そこをお聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) クロイツフェルト・ヤコブ病については、今回の法案上の類型ではどのような位置づけにするか、今後公衆衛生審議会の意見を聞きながら前向きに検討したいということで、今のところは位置づけられておりません。
○渡辺孝男君 前回のこの委員会でも感染症とは何なのかというお話がありました。このプリオン病というのもプリオンたんぱく質でありまして、病原の細菌とかリケッチアとかそういうものではないわけです。特殊な感染症というふうに言われているわけです。そういうものがもしこの感染症法案の中で分類にもどこにも入らないということであればちょっと問題なのかなと。やはり新感染症を分類しているわけでありますから、当然こういう新しい種類の感染が疑われる病気もやはりどこかに分類されてきちんと対応すべきではないかというふうに思うわけであります。その点よく検討していただきたい、そのように思います。
 それに関連しまして、本年の一月に香港におきましてクロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなった患者さんの血液中のアルブミンで汚染された英国製の検査薬、それを用いたために百十一人の人がクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した疑い、その中の七人が死亡した疑いがあるという報道がなされましたが、その後の事実かどうかの結果は私は知らないものですから、厚生省としてはその後の情報を収集されているかどうか、もしわかっていれば教えていただきたい、そのように思います。
○政府委員(中西明典君) 本年一月に御指摘のヤコブ病患者の血液を原料としたアルブミン含有放射線医薬品が香港で使用されたという報道があったわけでありますが、一つはアマシャムの製品であります。この品目は日本には輸入されていないということを確認しております。
 その七名の死亡と検査薬との因果関係につきましては、香港当局は報道では死亡は患者のもともとの病気によるものあるいはCJDが死因であることはまずあり得ないことというふうに指摘しているところでございます。また、各国におきましてもこの問題を契機として特段新たな対策はとられていないと承知しているところでございますが、今後ともCJDに係る医薬品の安全性の問題については十分私どもとして注意してまいらなければならないというふうに考えております。
○渡辺孝男君 そうしますと、香港での報道というのは疑わしいというような厚生省の御判断ですか。そうであればありがたいわけなんですけれども、そういう結果なのかどうか、その後の私自身は情報を持っておりませんので正確なことはわからないんですが、疑わしいということであれば一安心なわけです。それが事実と違えばやはり感染症として十分な認識のもとに対応しなければならないんではないかというふうに思います。
 そこでもう一度、これも確認なんですけれども、クロイツフェルト・ヤコブ病は異常プリオンたんぱくにより人から人あるいは動物から人へ感染する疑いは、私自身は少しずつ状況証拠としては濃くなってきているんではないかというふうに思うわけであります。これまで日本でも、そういう少しでも可能性があるということで血液製剤あるいはヒトホルモンなどを介してこのクロイツフェルト・ヤコブ病に感染したと疑われるような症例があるのかどうか今まで調査されていると思うんですけれども、これまではないというふうに伺っておりましたが、現在でもそういう調査ではないということなのかどうか、そこを確認したいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 平成八年の緊急調査やクロイツフェルト・ヤコブ病動向調査において、血液製剤やヒトホルモン製剤を介した感染の疑いがある症例は報告をされておりません。なお、輸血歴がある人は動向調査で把握されていますが、発症の原因が輸血によるものかどうかは明確でなく、今後とも注意していくべきものと認識をいたしております。
○渡辺孝男君 輸血歴というのは普通の手術のときとか何かで輸血歴があったということで、これがクロイツフェルト・ヤコブ病に汚染されたものを使ったというわけではないわけですね。
 しばしば、その血液製剤をつくった後で、献血者の中にクロイツフェルト・ヤコブ病で亡くなったことが後でわかって製品を回収という事態が時々起こっているわけでありますけれども、今後ともやはり血液製剤疑わしいということで、クロイツフェルト・ヤコブ病のそういう新型ヤコブ病、そういう患者さんの血液からの感染というのは確実ではないにしても疑わしいとして対応すべきである、厚生省もそのように献血のときに対応しているということでありますけれども、それはやはり今後も続けるべきではないかというふうに思います。
 それに関連しまして、我が国では売血制度というのはなくなりましたけれども、外国ではまだ売血制度が残っているような国もありますので、そういう国からの血液製剤の輸入といいますか、それは献血制度と比べると売血制度での血液というのは、やはりそういう未知の感染症等が入り込む危険性が高いのではないかというふうに私自身思います。日本としてはそういう売血制度のもとでそういう血液が原料となっているような薬剤、製剤というものはやはり原則として禁止すべきではないかというふうに考えるわけであります。
 厚生大臣にお伺いしたいんですが、こういう製剤に対しましては、どうでしょうか、原則としては禁止すべきではないかと思いますが、御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(中西明典君) 血漿分画製剤でありますアルブミンやグロブリンにつきましては、近年自給率は上昇してきておりますが、アルブミンについては自給率が二五%、グロブリンが約五〇%となお輸入製剤に頼らざるを得ないのが現状でございます。
 厚生省といたしましては、倫理的な見地も含めて血液製剤の国内自給をさらに推進していかなければならないという観点から、血液事業の今後のあり方につきまして法制化も視野に入れて現在中央薬事審議会で御議論をいただいているところでございまして、今後とも輸入に依存しないで済む自給体制をつくっていくということを目標に努力してまいりたいと考えております。
 輸入製剤の安全性の問題につきましては、血漿分画製剤については、現在、製造工程におきましていろんな形でのウイルスの不活化処理あるいは除去というのが、これは日本、アメリカを含め先進国では常識になっておりまして、国内製剤、献血由来の製剤と同様の安全対策が講じられてきているところでございます。
○渡辺孝男君 質問に対して答えてもらえばいいんですよ。血液製剤全般を言っているわけじゃないんで、売血制度のもとで供給された血液製剤は禁止すべきであると。血液製剤を全部禁止しなさいとは言っていないんですよ。その答えをお聞きしたいんです。
○政府委員(中西明典君) 現在、アメリカから輸入されておりますアルブミンやグロブリン、これらにつきましては、アメリカはプラズマセンターというセンターを企業が持っておりまして、実態的には売血に頼っておるということは事実でございます。
 しかし、我が国といたしましては、そうした輸入製剤に現在の段階では頼らざるを得ないというのが現実でございまして、そうした実態をできるだけなくしていくためには自給体制を確立していく、そのための方策を講じていくということに向かって我々としては進まなければならない、かように考えておるところでございます。
○渡辺孝男君 もしアメリカがそういう売血制度をやめられないというのであれば、これはやはり日本として何らかの要求をしていくとか、売血制度を使った製剤と献血で持ってきた製剤とを別につくってもらうとか、そういう要望をしていくべきではないかというふうに私は思います。血液製剤輸入が現段階で全部ストップすることができないのであれば、少なくとも献血によってつくられたものに限るとか、そういう対応はやはり早急にすべきではないかというふうに思います。
 次の質問に入らせていただきます。
 先ほども報告ありましたけれども、一九九六年以来、クロイツフェルト・ヤコブ病等あるいは同症類縁疾患の調査は厚生省で行っておりますけれども、硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病の発症例が調査するたびにふえてきているわけでありますが、その実態はどうでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 平成八年のクロイツフェルト・ヤコブ病緊急調査や公衆衛生審議会の動向調査により硬膜移植歴のある方での症例について見てみますと、ここ五年間の発生数は、一九九三年が八例、九四年が三例、九五年が十二例、九六年四例、九七年四例ということで九五年だけが突出しているという形になっております。
 症例数が少なくて、硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病がふえているかどうかについて断定することはちょっと難しいかと考えておりますので、今後も引き続き動向調査を継続することといたしております。
○渡辺孝男君 やはりそういう人畜感染症の疑い、人から人への感染症の疑いがあるわけですから、今後とも調査研究をしっかりやって、また治療、原因解明のための研究事業もやっていただきたいと思います。
 そこで、最近、クロイツフェルト・ヤコブ病の検査でディフュージョンウェーテッドMRIというMRIの一つの検査の方法ですけれども、それが診断に有効ではないかというような報告がなされておるわけでありますが、厚生省の難病対策の中でこういう検査法を積極的に行っていって早期診断に役立てる、あるいは治療のために少しでも情報を得るというような方針を厚生省の方は考えておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 今、先生の御質問のディフュージョンウェーテッドMRIという器械ですが、この器械はうつ症状で発症することが多い新変異型ヤコブ病の早期診断に有効であるとの報告が欧米でありまして、先般のWHO専門家会議においても取り上げられたと聞いております。
 一方、初発症状がうつ症状ではなく、痴呆症状が急に進行する大部分のクロイツフェルト・ヤコブ病の診断においては、このような検査を待つことなく診断が可能であることからその有用性については限定的なものではないかという意見もございます。
 いずれにしても、早期診断と有効な治療法の開発が相まって難病対策が進むように今後より一層研究の推進を図ってまいりたい、このように思っております。
○渡辺孝男君 時間がないので用意した質問を少しカットしながらお聞きしたいと思います。
 クロイツフェルト・ヤコブ病関係の類縁疾患は、厚生省の難病指定を受けて、今そういう事業も進んでいると思うんですけれども、本年度の事業の状況を厚生省の方にお伺いしたいと思います。
 あと、この難病に対して今後どのような方針で臨まれるか、厚生大臣の決意もお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) まず私からお答えをさせていただきます。
 難病対策としては、調査研究、治療研究及び患者療養環境の整備の三本柱をもとに進めていることは先生御存じのことだと思います。研究におきましては、特定疾患調査研究事業において、昭和五十一年より、遅発性ウイルス研究班を設置し調査研究を実施するほか、平成十年度から、重点研究として家族性プリオン病及び外因性プリオン病の発症遅延の方策に関する介入研究を追加し、現在公募をしているところであります。
 治療研究につきましては、特定疾患治療研究事業の対象疾患に現在指定をされておりまして、クロイツフェルト・ヤコブ病患者については医療費の自己負担部分の全額公費負担を継続することといたしております。
 さらに、療養環境の整備を図るために、本年から難病に関する拠点病院の確保などを中心とする難病特別対策推進事業を実施することとしており、この中でもヤコブ病を初めとする神経難病に十分配慮をしてまいりたいと思っております。
 これら、ヤコブ病を含む難病対策に要する予算の総額については、大臣もこの前、国会で御答弁いただきましたように、大変予算が苦しい中、難病対策については対前年度比二〇%の二百五十五億円を今回予算案で出し、お認めいただいたところでございます。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今、局長から答弁ありましたように、依然不明な難病、これをどうやって克服していくかというのは大事な問題でありますので、今後クロイツフェルト・ヤコブ病という難病だけでなくて、難病に対しては患者動向調査による患者実態の把握とかあるいは原因解明、早期診断法や治療法を開発するための調査研究の推進、また全額公費負担の継続、訪問介護員の派遣、療養支援の充実という点を特に配慮しながら、非常に厳しい削減予算の中でも二%増しか認められませんでしたけれども、難病対策につきましては重点化、効率化を図って、二〇%増という予算を組んでいるところを見ましても、我々としてはこの難病対策について引き続き多くの苦しんでいる方、また悩んでいる方もおられるわけでありますので、この克服に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○渡辺孝男君 よろしく対応の方お願いしたいと思います。
 時間が余りないので、最後に一問だけ質問させていただきます。
 本邦には常在していない、あるいは主として熱帯地方に限られた伝染病、寄生虫疾患が旅行者や輸入食品などによって国内に持ち込まれる可能性がある、いわゆる輸入感染症であります。このような場合に、日本では希少疾患のために薬剤などの不足で対応に支障を来すというような事態もあります。実際、私も診療に当たっていて、寄生虫疾患でありましたけれども、日本で使える薬剤が当時見つからなかったという経験もありました。
 今後、厚生省としましてはそういう輸入感染症で日本で薬剤がなかなか手に入らないというような場合にどのような対応をされるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 御指摘のありましたように、マラリア等の我が国では発生がまれな輸入感染症に対する治療薬の確保や治療体制の整備は重要なことだと認識をいたしております。
 このため、厚生科学研究事業によりまして、熱帯病治療薬の開発研究班を設置いたしておりまして、輸入寄生虫病薬物療法の手引の作成、配布を行うなど、治療に当たる医師への最新情報の提供、専門家への連絡体制の整備、治療薬の入手方法の普及等、治療体制整備に努めてきたところでございます。
 今後は、厚生科学研究事業の活用や専門家の育成等を通じ、希少な輸入感染症への対策の充実にも努めてまいりたい、このように思っております。
○委員長(山本正和君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(山本正和君) 速記を起こして。
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子です。
 前回の質問で、今回の感染症予防・医療法案、過去の反省に立って感染症患者の人権擁護に配慮したという答弁をいただきました。
 また、この法案づくりのために審議されました公衆衛生審議会内の基本問題検討小委員会の報告書を見ますと、「新しい時代の感染症対策」においては、この感染症の蔓延時における国民に対する規制的措置を中心に据えた考え方から、各個人の感染症予防、治療対策の積み上げを通じた社会全体の感染症予防を図る考え方に重点を移すことが重要であると、こういうこれまでの我が国の感染症対策の姿勢を転換する非常に画期的な提言が行われております。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 特に、その観点から、新しい時代の感染症対策というのは、国、地方公共団体から国民に対する適時的確な情報の提供、そして公開をして、医師から患者、感染者に対する十分な説明と患者、感染者の同意に基づいた医療の提供が中心的機能を果たすものであると。これを読むと、非常になるほどこれからの感染症対策はこういうものでなければいけないのかと思うのですが、この法案を読んでいる限り、どうもこういう考え方が反映していないように見受けられます。そして、ここで言うこの法案の予防の概念というのは、ここで言っている提言とは非常に異なったもののように思います。
 例えば、提言には、いわゆる一次予防というだけじゃなくて、感染対策というんじゃなくて、治療、二次予防やそれからさらに社会復帰、三次予防の概念が含まれているわけなんですけれども、この法案はもう感染予防のみの一次予防に限定されているものになっていると思いますが、厚生省のこの法案に対する予防の考え方といいますか、定義というのはどういう内容なんでしょうか。なぜこの提言が生かされなかったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えをいたします。
 この法律に言う予防とは、感染症の発症をあらかじめ防ぐとともに、感染症が発生した際に社会に蔓延していくこと、すなわち感染症による被害が拡大していくことを防止することを意味しております。したがって、先生の御質問のことを意味しております。
 それで、HIVの感染者の事由を言いますと、HIV感染者であっても、まだ発症していない方々が発症を防ぐこともこの予防の中に含まれるという解釈をいたしておるところでございます。
 なお、小委員会では、後天性免疫不全症候群の無症状病原体保有者の発症予防については、特段の言及がなされていないものと認識をいたしておるところでございます。
○清水澄子君 被害が拡大していくというそこにやはり重点があるわけなんですね。だから、この法律に感染症の発生の予防ということがうたわれているわけですが、ここにはウイルスに感染していても発症していない人たちの発症予防の対応というのはどういうふうに、どこにあらわしてあるでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) エイズにつきましては第四類感染症に入っております。まず一つは、これらのエイズに関する情報、関係者の皆さん方の御協力を得ていわゆる動向調査を行い、そしてその結果を国民にお知らせすることによって皆さん方の各自の予防に対する考え方に資するということが一つありますし、もう一つは、今申し上げましたように、感染者の方々も医療を受けられて、そのことが発症しない、そのことも予防に当たると思っておりまして、それも医療も入るということであります。
○清水澄子君 何かよくわからなかったのですが、症状が出ていない方々の、エイズのように発症しない感染症の方の把握とか、そういう問題等もそこに含まれるんでしょうけれども、それらがこの法律の中でどういうふうになっているのかなということがわからなかったのですが、次に移ります。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
 つまり私は、今、予防活動の前提である患者の発生状況の把握ということは非常に正確な情報収集と提供が必要だろうと思うわけです。しかしその場合にも、やはり新たな差別と偏見を生み出さないために、それはあらゆる機関、関係者、国民に正しい知識の普及と啓発が必要だと思います。そしてその場合にも、個人のプライバシーの保護に十分配慮した特別の政策がないとなかなかこれは徹底しないと思うわけです。それをサーベイランスの充実と正確な情報の提供ということが求められていると思うわけですが、そのための具体的な政策というのはこの中ではどういうことをお考えでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) まことに済みません。ちょっと質問の意味がわからなかったのですが、まず私がお答えさせていただきますので、足りなければ再質問をお願いしたいと存じます。
 今回、サーベイランスということが実はこの法律の中で非常に重要でございます。いわゆる患者発生動向調査というのが大変重要な位置を占めております。そして、この情報を集めるときには患者さんのプライバシーということを大変重さに考えておりまして、患者さんの氏名だとかそういうことについてはとらない、それから住んでいるところでも実際に住んでいるところがわかるような細かい住所地まではとらないとかということをして、個人が固定できないような形で情報を集めて、そして集まった症例数、大数として見た場合に日本の実態がよくわかるというために、個人の犠牲に基づいてデータが出て、それで実態がわかるということをするのではなくて、患者さんの個人のプライバシーは出ないようにして情報を集め、それを国民の皆さん方に見える形で情報として提供していくということがサーベイランスの本旨であり、このこと自体が感染の予防につながっていくというふうな仕組みにこの法案はできているわけでございます。
○清水澄子君 それでは、総務庁の行政監察局がこの結核感染症サーベイランス事業を調査したわけですね。この報告によりますと、二十都道府県中十九の都道府県が実行していないということが出ているわけなんですが、基準を満たしていない、厚生省が決めた法律どおりになっておりませんという報告がされているわけです。
 そうすると、これまでに行われているこういう結核感染症の場合でもそれが実行されていない。そこにこれからさらに新しいさまざまな感染症への対応をしなきゃならないんです。状況を把握して、それを国民に知らせると。そういう問題では本当にこれをやっていけるという自信がおありなんでしょうか。総務庁の行政監察局の報告との関係から見て、これは本当に大丈夫なんですか。
○政府委員(小林秀資君) 発生患者数の多い感染症につきまして、定点医療機関を通じて発生動向状況を疫学的に把握していく上で、定点の適正な配置が極めて重要であると我々は認識しております。
 そうしているんですけれども、実態としては定点の基準数の不足というような問題があったということは我々も承知しているわけでございます。今までは、これは法律事項ではなくて、予算事業でやっていたためになかなか関係機関の御協力も得られない面もあったということで、今回は法律にこの患者動向調査を位置づけておりまして、そういう意味ではこの新法案においてはそれを盛り込みまして、これを機に、制度管理を含めた全国一律の基準に基づきまして、必要な定点数の充実、定点の適正な配置を行うことによりまして従来の問題点を解決したい、このように思っておる次第でございます。
○清水澄子君 サーベイランスをやるときにはもっと実態を調査して、本当に正確な実態把握がないとできないと思います。ましてやそれの体制も、現状がどうなっているかをやはり具体的に実情を把握した上で政策をお出しにならないと、法律の条文の解釈だけしてもらっても、実現可能性のないものが非常にこの法律にはたくさんあるように私は思います。
 次に、局長、この法律に「まん延の防止」という話句は何カ所あるとお思いですか。三十三カ所です。数えてみました。何回読んでいても蔓延蔓延蔓延ばかりが出てくるんです。
 私は、感染症の予防には確かに危機管理的な側面があると思います。しかし一方、人権尊重という二つの側面があるわけです。それだけに、より人権に配慮されたものでないと、やはり危機管理型に偏ってしまうというところがこれまでの反省しなければならないところだったと思います。
 しかし、この法律の予防というのは発生予防に限定していまして、そして「及びそのまん延の防止」という話句が三十二カ所も出てくるほど、この内容は小委員会が提言したような治療とか治療体制を伴った人権尊重の視点、それから個々の感染予防ということとは非常に大きくかけ離れて、やはり従来の社会防衛的な視点が非常に強く出ていると思いますが、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 私どもは、重大な生命の危急、命に関連するような怖い感染症にどうやって国民がかからないように守ってあげるかということ、そのためには行動制限を含む規制がある。ただ、そういうこと自体は、人権の尊重という面から見ると本当は少ない方がいいわけでございます。
 その調整をするためにこういう法律をつくっておるわけでありまして、そういう意味では、今回は前の法律と比べていただきましても、人権に配慮するためにいろんな手続が今回は設けてありまして、私どもとしては、いわゆる医療とそれから人権の尊重ということの両方を見ながら法案を調整したつもりであります。
○清水澄子君 私は、公衆衛生における予防医学上の予防という中には、感染予防である一次予防だけではなくて、発症の予防、それから発症後の治療を含む第二次予防と、それからやはりその予防に成功した後、職場復帰とか社会復帰を促していくような、社会全体で被害を未然に防止していくという第三次の予防までも含んでいるというのが学問的でもありますし、政策的でもありますし、それは普通の考え方でもあると思います。
 これら三つの機能が十分に補完し合って初めて予防が達成できると私は思うわけですし、それが先ほどから議論されておりましたように、まず診療所で拒否されてしまうのでは、それはもう医学的な治療もできないわけですから、医学的にも感染予防と治療は感染症対策としては常に一対のものだと思うわけです。
 その点について、この法律にはそれらが一対のものという形になっているでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 大変難しい御質問なんですが、一対になっているかと言われて、すっと思い出しますのが、この法律の名前が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律ということで、両方を大切に考えてこの法律をつくっているというふうに考えております。
○清水澄子君 医療の受け皿がどういう状況にあるかというのはこの次に質問させていただきます。そういうものがほとんどできていないのがこの法律だと思うんです。
 感染症の法律というのは、やはり治療法や予防法など医学的な知見の進歩に伴ってその内容を随時適切に見直していくということは欠かせないことだと思うわけです。そうしなければ不当な対策が継続していくことになると思いますし、そのことによって根拠のない差別が正当化されていくということになりかねないのがこれまでの体験であったと思います。ですから、感染症に対しては、たとえ成立した法律といえどもやはり定期的に見直すということはとても必要なことだと思います。
 しかし、一たん制度ができ上がってしまいますと、なかなか見直しが進まないというのが我が国の現実だと私は思います。伝染病予防法が制定以来百年間も放置されてきた、それがそれを証明していると思います。小林保健医療局長は、先日のこの委員会における質疑で、必要な見直しがおくれたのは伝染病予防法やエイズ予防法に見直し規定がなかったからだという答弁をされました。そうすると、今回の法案にはやはり見直し規定がなかったからということは言えないと私は思うんです。
 そこで私は、ここで提案をしておきたいわけですが、法案というのはやっぱり事前にいろいろ問題があるという疑問があっても、そのまま質問の意見が全部反映するわけではないかもしれない。しかし、それはすべて反映されるように政省令には入れていただかなければいけないと思うんです。それにはやはり実態が十分把握されていないと、ここにあらわれている法案が果たして適切であるか、実効性のあるものなのか、そして責任主体はこれでいいのか、幾つもの疑問があると思います。
 そこで、法案の附則第二条にいわゆる検討条項というのがあるわけです。しかし、この検討条項に考えている政府案、厚生省の対象としている検討条項は、第六条の用語の定義において規定されている感染症の範囲とその類型だけであるわけです。これでは私は全く不十分だと思います。ですから、この法律全体に対する見直し規定を置く、内容全体を見直していくことができるようにしないといけないと思うわけです。
 ですから、この政府案の附則第二条を同条第二項にして、そして第一項に、精神保健福祉法の検討条項と同じように、政府は、この法律の施行後五年を目途として、新法の規定の施行の状況を見て、感染症の発生状況及び保健医療を取り巻く環境の変化を勘案して、必要があると認めたときは新法の規定について検討を加えていく、その結果に基づいて所要の措置を講じていくのだという、新法全体を状況に応じてといいますか、実態に即さないときには見直してもいけるような、そういう条項を追加すべきと思いますが、そういうことを受け入れるお考えはおありでしょうか。これはこちら、委員がまたそれは出すという権利はあるんですけれども、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 委員会で決めていただきたいと思います。
○清水澄子君 これは委員会にも提起していきたいと思います。
 次に、交通制限または遮断についてというところですけれども、こういうことは人権の問題と非常に関係してくると思うんです。この場合、ここで書かれている交通制限をしたり遮断をする、例えば東京の中で交通制限と、これは大変なことになるんですが、どのような場合に実施をする想定なのでしょうか。
 また、小委員会の報告書ですね、そこでは患者の入院とか家屋の消毒等の措置によって交通制限は廃止して差し支えないと、廃止の方向を示しているわけですけれども、これはどういうことを考えていらっしゃるのか。ですから、この法案によりますと、その基準は政令にゆだねるとあるんですね。いつも政令が多いですから、ここでどういうことを指しているかというのは非常にわかりにくいんですが、政令でどういうことを定めるつもりでいらっしゃるんでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 交通遮断が発動される場合は、例えばペストやエボラ出血熱等の感染力が強く重篤になる感染症が、一定の地域において短期間に消毒や個々の患者の入院といった対応では感染症の蔓延が防止できない場合を想定いたしております。
 法案における政令の内容につきましては、今後子細に検討していくこととしておりますが、交通制限等を行う地域の特定の仕方、措置を行うことについての地域住民への連絡の仕方といった内容が想定をされるところであります。
 遮断された範囲の内側にいる方については、交通制限のもと、一定程度の交通が制限される場合もあると認識をいたしております。ただし、交通制限は単に域外への交通を制限することのみを目的とするのではなく、迅速に健康診断等を行って感染の有無を確認する目的もあわせて持っておりまして、健康診断の結果、病原体を保有していないことが確認された者については、当該地域から外へ出ることが可能であることは当然のことでございます。
 なお、交通制限等の適用につきましては、エボラ出血熱等の一類感染症及び新感染症に限定するとともに、措置の実施については必要最小限にとどめるべきことや、実施期間についても七十二時間に限定することを明文で規定し、発動条件を厳しく限定しているところでございます。
○清水澄子君 なかなかエボラというのは、映画で見ましたけれども、そういう想定をされてやられたら大変だなと思います。本当にそういう病気が来たときはこれは国民も納得する場合があるかもしれませんが、こういうのはやはりある程度とういう場合というのがきちんとわかるようにしていただきたいと思います。
 そして次に、患者のプライバシーの保護についてですが、これはHIVの感染者の皆さんから聞いたことですけれども、非常に皆さんはやはりまだ今でも、治療に当たってもしそれが会社にわかるとか自分の知り合いにわかったときにはいろんな不利益をこうむっているわけです。ですから、医者にかかるときも健康保険証を使わないらしいんです、それは知られたくないということが理由なんですけれども。会社に知られると解雇になるという、そのことを非常に恐れておられます。ですから、そういう人たちは皆自己負担をしているわけですね。そうなれば非常に経済的に困ってくるという状況を抱えていらっしゃるわけです。
 そこで私は、これも一つ提起したいんですけれども、現在、患者の守秘義務があるのは医師とか薬剤師とか歯科医師であって、この際、健康保険組合の職員にもこういう守秘義務を課していくべきではないか。そして健康保険法に患者のプライバシーを守ることをきちんと明示して、健康保険証をこういう感染症患者がもっと使えるような、そういう配慮をすべきではないかと思いますが、これはひとつ御検討いただけますでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 今回の法案には、感染症の患者である人の秘密を業務上知り得た者が、正当な理由なくその秘密を漏らした場合の罰則規定を設けておりまして、この規定は健保組合の職員に対しても適用されるものであります。したがいまして、今後は本条の趣旨を健康保険組合に対する指導等を通じて広め、議員の御指摘するような事態が生じないようにしてまいりたいと思っております。
○清水澄子君 このことについて、健康保険組合の内部に対しても徹底をしていただくようにぜひお願いいたします。このプライバシーの保護というのは、なかなかこれは繰り返し強力にやらないと普及しないし徹底しないと思うわけです。
 私のところにいろんな状況のアンケートとかそういうものが寄せられているわけです。先ほど水島先生もおっしゃっていまして、まさにHIV感染者の今それを取り巻く状況というのが来ているんですけれども、これを読んでいまして、ちょっと同じことで驚いていたんです。
 血友病患者を多数診ている総合病院であるけれども、そこに歯科治療をお願いしたところ、一般外来患者が終わった一時間後の夕方に呼び出された。そして、医者と看護婦全員が頭からすっぽり透明なビニール袋をかぶり、手足はまるで宇宙服のようで、いすや器具類にもビニールをかぶせていたので、びっくりして非常に悲しかったと、こういういろんな例が寄せられています。まだこういうことがあるんだなということを私たちの方が知らないわけですけれども、やはりそういう問題が起きております。
 それから、保健所に行った人たちの例も、やはりそこでプライバシーがきちんと保護されていない。匿名で検査が受けられないところが多いだけでなくて、さっきは住所とか氏名もと言っておられましたが、やはりまだまだ徹底していないようです。保健所の受付等で大きな声でエイズという言葉が行き交っており、非常に気恥ずかしくて帰りたい気持ちがする、そして検査室や結果の告知を受ける部屋が不十分な仕切りであるために、他の用件で来た人たちにそのまま筒抜けで聞こえていく、それから、HIVという専門用語を知らない担当者もいる、改めて何回も聞き直されるので、エイズと言うとわかってくれると。だから、こういう状況で自分たちが審査を受けるのにとても不安だと、こういう例も幾つも寄せられております。
 ですから、私は、プライバシーを保護するとか、こういう感染症患者への対応というのはまだまだ日本の中では非常におくれているんだと思いますので、私はこういうことを、第九条の「基本指針」というところがあるわけですけれども、これは厚生大臣が定められるところになっています。そこにやはりはっきり、今回の法律の目的である患者の良質かつ適切な医療を受ける権利とかプライバシーの保護とか人身の自由などの患者とか感染者の人権を保障していくというところが一項入るべきだと思います。この中に一つもそれがないんですね。第九条の二からずっと具体的に書いてあるんですが、この中に人権の保障が書いてありません。
 ですから、ぜひこのことを私はこの中に取り上げていくべき、第九条の「基本指針」は厚生大臣が定められますから、大臣、ぜひこの点をこの中に含めていくということをひとつお約束いただけないでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 従来から、保健所のエイズ相談、検査の実施や検査結果の告知等においてプライバシーの保護については十分配慮するように指導してきたところであります。
 今、先生からどこの保健所がわかりませんが、そんな事例があると聞かされて、それが現在行われているという話ならば大変私どもショックでございまして、ぜひともどこの保健所が、どこの地方自治体のものなのか教えていただければ大変ありがたいとまず存じます。ぜひともお教えをいただきたいと思います。
 本法案におきましては、職務上感染症の患者であることを知り得た者についての守秘義務が課されておりまして、その徹底については各種会議や研修を通じて指導してまいりたいと思います。また、公衆衛生審議会の意見を聞いて定める感染症の予防の総合的な推進を図るための基本方針においても、御提言の趣旨を踏まえて十分配慮してまいりたい、このように思っております。
○清水澄子君 最後に、エイズ予防法に対する成立過程の資料についてちょっと御質問をしておきたいと思います。
 薬害エイズ事件の真相究明のために、九六年にエイズ予防法の立案過程を含む厚生省のファイルがこの国会に提出をされたわけですが、先日も同僚議員が取り上げておりましたけれども、それは黒く塗りつぶされている箇所が非常に多いわけです。これについても保健医療局長は、黒く塗りつぶされている箇所に何が書いてあるのか私どもにはわからないとおっしゃったわけなんですが、それは東京地検に押収されているということでのお話でした。
 しかし、これは非常にちょっと問題があると思います。法務省にもきのう私は、押収された資料というのはどういう手続で閲覧できるのかと、それは当然押収した目録は……
○委員長(山本正和君) 清水君、時間になりましたから質問はやめてください。
○清水澄子君 そうですか。じゃ一言だけ申し上げます。
 衆議院の方では、もうその資料を出すために厚生省はいろいろ地検とお話しなさっているそうなので、私は、この参議院にもぜひきちんと資料を出して、厚生省の説明責任を果たしていただきたい。このことを最後に要望したいと思いますが、局長いかがですか。
○委員長(山本正和君) 時間が過ぎているから簡単に述べてください。
○政府委員(小林秀資君) はい、わかりました。
 黒塗りされた資料につきましては、当時は薬害エイズに関連がないことで黒塗りされておりまして、それについては、今、先生がおただしのように地検の方に押収をされておるものであります。したがいまして、私自体は何が中に入っているかまだわかりません。ただ、一昨日私答弁しました、あのときから実は地検の方へ行って調査を始めております。したがって、その黒塗りの中のものを見て、私どもがこれが公表できるものかどうかを判断して考えていきたいと思います。対応したいと思います。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 一昨日の質問で、私はエイズ予防法の制定過程の問題について質問をいたしました。この法律の提案理由説明の中には、伝染病予防法の廃止については理由が触れられているわけでございます。制定後百年もたって時代の要請に応じられなくなったと、これはもう余りにも明確であるわけですけれども、あと詳しく理由も書かれているわけでございます。らい予防法については触れられていないわけですけれども、九六年三月のらい予防法の廃止、当委員会でも質疑をいたしました。私も質問しましたけれども、そのときには厚生大臣からの謝罪がありました。
 しかし、エイズ予防法は、今回廃止が言われているわけですけれども、提案理由の中には謝罪も反省もありません。あるのは、この「性病及び後天性免疫不全症候群については、」という後ですが、「これらの法律の制定以降の医学・医療の進歩、これらの感染症に関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえ、」「廃止する」という説明があるわけです。反省も謝罪もないし、理由はこれだけでございます。
 それで、先日、私は質問をしたわけですけれども、局長はエイズ予防法の制定は適切であったと答弁をされたわけです。適切であったというふうに思っていらっしゃるのであれば、反省も謝罪もこの提案理由の中に出てこないのは、私はそれはそうだと思います。適切だと思っていらっしゃるんだったら出てきようがない。
 ところが、総理は本会議で、エイズ予防法についてその制定は、いろいろ言葉を選んで、「治療法がなく、エイズの急速な拡大が懸念されていたという当時の状況を踏まえて、その蔓延の防止を図るため、」「当時としてはやむを得なかったと考えておりますが、今日の時点で見れば、よりさまざまな御意見にも耳を傾けるべき点があるように思います。」と、非常に言葉を選んで答弁をされているわけです。
 先日の局長の適切であったという御答弁と総理のこの答弁の間には大きな食い違いがあるように私は思うんですけれども、これはもう大臣に御答弁いただかなければならないと思いますが、その点で大臣の御意見はどうか。それからまた、総理は、今日の時点で見れば耳を傾ける点がある、こんなふうにお答えをしているんですけれども、総理の耳を傾けるべき点というのは具体的に何なのか、説明をしていただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 総理の答弁が、今日の時点で見れば、さまざまな意見にも耳を傾ける点があるということではありますが、また、局長が、当時の状況においては適切なものと答えているということでありますが、法律制定時においてと現在の状況においては、医療関係者においても一般国民においても病気に対するとらえ方が違っていると思います。そういう点から、反省も踏まえてよりよきものにしていこうという点を総理は答えたのじゃないかというふうに私は考えております。
○西山登紀子君 ちょっと明確じゃないと思うんですけれども、総理は、まずは食い違いがあるんじゃないかという点、適切だという点とやむを得なかったというこの違いが私はあると思います。そうじゃなくて、いや適切だったというふうに今大臣は言われるのか、今でも大臣はそう言われるのか、そこをはっきりさせてください。
○国務大臣(小泉純一郎君) 成立した法律ですから、当時は適切だと思ったんでしょう、国会議員の過半数が賛成しなきゃ法律になりませんから。しかし、今から考えてみれば思い及ばぬこともあったんじゃないかということだと私は思います。
○西山登紀子君 国会が決めたというのですが、今の大臣の認識を聞いているんです。その当時適切だったんだと。大臣、今も先日の局長の答弁と同じく正しかった、エイズ予防法の制定は適切だったというふうに今大臣は思っていらっしゃるのかどうか。今です。
○国務大臣(小泉純一郎君) そういうことよりも、やはり今の時点で考えれば改正すべき点があったから改正の方向を出したという点が私は適切じゃないかなと思います。
○西山登紀子君 今、大臣がおっしゃったように、改正すべき点があったんですよね。だから、当時正しかったんだという居直ったような答弁というのはおかしいんじゃないですか。だから、局長が先日言った答弁は訂正をなさるのか、そこの点なんですが、正しかったんだというふうに、適切だったんだということを大臣も、私何度も聞いているんですが、大臣はそうじゃなくてやっぱり改正すべき点があったから廃止をするんだというふうにおっしゃっていますよね。そうですよね。
 それで、総理の「耳を傾けるべき点」という点、具体的にどういう点かといってちょっとお聞きしたんですけれども、余り具体的なお話がなかったので、質問を先に移します。
 やはり、私はこの点、はっきりエイズ予防法の制定過程の問題、それからその後の九年間にこの法律のもとでどのような事態が起こったのかということについての検証、これが非常に重要だと思うわけです。そういう検証がなければ、やはり正しい教訓というのは生まれてこないと思います。
 この法律を制定した当時、確かに国会が決めたわけですが、私たちは当時反対をいたしました。当委員会、当時は社会労働委員会ということであったわけですが、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議も反対討論をしております。当時のこの法案に対する私たちの反対討論は沓脱タケ子議員が立っているわけです。
 簡単に御紹介をさせていただきますと、エイズというのは性感染症であり、本来その対策は正しい知識の普及、プライバシーの保護のもとの検査や相談、治療の体制整備の確立こそ必要であるにもかかわらず、取り締まり法的性格が強いこと、医師に報告義務を課していることは医師と患者の信頼を破壊し、予防、治療上の障害を招くこと、血液凝固因子製剤の投与により感染したと認められる場合は適用除外するとしたことでかえって血友病患者は恐怖の集団と印象づけられること、我が国のエイズ問題の特徴は、HIV感染者の九二%が血友病患者であり、その半数が子供たちであること、血友病患者こそ最大の犠牲者であり、最大の責任は国と製薬会社であり、国家賠償の義務があることなどを主張いたしまして、制定には反対をしたわけです。
 今日、九年たって廃止をされるわけですけれども、やはり当時どのような知見に基づいてどのような議論が行われて制定がされたのか、歴史の検証が必要です。大臣も先ほど改正すべき点があったから廃止するというふうにおっしゃったわけですけれども、当時どのような知見に基づいてどのような議論が行われたかということを知る上で、先ほども指摘がありましたが、やはり資料の公開というものは私は不可欠だろうと思います。
 先日、私はその墨塗りの部分を出すようにということで要求をいたしましたが、問題は墨塗り部分だけではなくてその他のすべての資料を公開するべきだと思います。部分的には出ているわけですが、その部分的に出ている分だけでなくて全面的な資料の公開と、そして出ている中で墨が塗られているというこのこと自体が私は異常じゃないかと思うんですが、この点についてこういうふうに真っ黒で何枚も何枚も何枚も、これ、今日の時代にこういうふうなのが出たままで、私は済ませられないと思うんです。
 これ、どうですか、先日は出すようにとお願いをしたし、先ほど少しお話がありましたけれども。
○政府委員(小林秀資君) 今、黒塗りの資料についてのおただしでございますが、その資料は平成八年の二月から四月に、血液凝固因子製剤によるエイズ感染拡大の真相究明のうち、エイズ予防法案の策定過程に関する資料はこの真相究明とは直接関係ないことから非公開とし黒塗りとして公開されたものであります。これらの中には、個人的なメモなど省外の人の発言を記したもので本人に確認できないものなどが含まれると考えられるため、現時点ではこれをすべて公表することは適当でないと考えております。
 また、黒塗り前の資料の原本は現在地検に押収をされておりまして、押収された資料の中からこれを見つけ所要の手続を得るためにはかなりの時間を要するところでありまして、今後関係機関とも協議しながらその取り扱いについても検討してまいりたいと思っております。
 二日前の先生の御質問のときには私は何も知りませんで、中身知りませんと、今も知らないんですけれども、二日前に地検の方に出向き始めたところであります。それだけはお答えしておきます。
○西山登紀子君 局長、今御答弁でよくわからないんですが、この黒いところは、何ですか、個人の……。
○政府委員(小林秀資君) 黒いところの資料が何であるかということは、私も厚生省のうちの担当者もまだ知らないのであります。一部の人が見てきたというので一部分はわかっております。
 その中の黒いものの中は個人的なメモ、というのは、例えば審議会に出ていて厚生省の担当者がメモを書いた、それがどなたかの先生の発言であったり、何であるかわからないけれども、本人が自己覚えのために書いたメモであれば、これはだれが言ったのかもわからないこともあるし、また括弧してだれだれ委員と書かれても本人に正しくそうおっしゃられたんですかという確認はしていないわけで、本人が誤解、聞き間違いをした場合もあり得るわけでありまして、そういうものについては私どもは公開はできないものと考えておりますが、現時点ではその黒塗りされたものの中身が何であるかということはまだ承知をしておりません。これはおとといから調査を始めておりますけれども、その調査の結果を見て判断をさせていただこうと、このように思っておるわけであります。
○西山登紀子君 ちょっとよくわからない答弁なんですが、局長は中身は見ていないんだけれども中身にはメモがあるので出せないと、こんなふうに聞こえちゃうんですけれども、中身を見ていらっしゃるんじゃないんですか。
○政府委員(小林秀資君) 中身にメモがあるものがあればそれは公開できない事例として申し上げたのでありまして、そういうものもあるかもしれない、今現在の時点では黒塗りの中はよくは承知をしておりません。したがって、それは公表できるものもあるかもしれないし公表できないものかもしれません、今の段階ではわかりませんと申し上げたわけであります。
○西山登紀子君 私は、この黒塗りのページの項目も先日申し上げました、この黒塗りのところ。これは個人のメモとかそういうものじゃないですよ。エイズ対策の法制化についての案、取り扱い注意と書いてある。取り扱い注意とまでわざわざ書いてあるんですから、やはりこれは重要なものが書かれてあったと思います。そんな個人の会議録のメモじゃないですよ。
 それから、審議会のお話が出ましたけれども、局長も大臣も、平成八年六月十八日、当時エイズ国会ということで、参議院は薬害エイズ問題に関する小委員会をつくりまして熱心に議論をいたしました。そして、まとめをつくりました。これは全会派一致で報告を承認いたしました。
 私は思い出していただきたいと思うんです。その中にこういうふうに書いてあります。「薬害の再発を防止するためには、薬事行政における政策決定の在り方の見直し、厚生省薬務局の組織改革を含めた審査体制の拡充、中央薬事審議会の審議内容をはじめとする政策決定過程の情報公開が不可欠であり、そのための取り組みをさらに進めていく必要がある。」。これは中央薬事審議会という個別の名前は出ておりますけれども、政策決定過程の情報公開という点ではそれぞれの審議会に共通する問題だと思います。
 さらに、「民意による行政統制は国民の代表者で構成される国会の国民から負託された重大な使命であることにかんがみ、我々は、国会が薬害エイズ事件の真相を究明することにより、薬害の再発を防止する観点から薬事行政の在り方等について、引き続き、調査検討することが必要であるとの意見の一致をみた。」ということで、これはもう全会派一致で承認をした報告でございます。
 つまり、薬害の再発防止という点でも、今回のように人権侵害を起こさないような新感染症の対策を今新しい法律をつくってやろうじゃないかというときにはやはり真相の究明が必要だし、当時エイズ予防法についてどういう知見であるいはどのような議論が行われたか。
 先日御紹介いたしました大臣の談話のように、エイズの予防というのは、国民各自がエイズに関する正しい知識を持って予防に注意を払うことなんだ、感染力は極めて弱いし各自が適切な注意を払うことによって感染から身を守ることは容易な病気でありますと、大臣がちゃんと談話を出していらっしゃる。この談話のとおりにされなくて、エイズ予防法という極めて取り締まり的な法律が、しかも患者の医療とか治療だとかいうものは一切抜きにしたそういう法律をつくってしまった。一体どういう経過でつくられたのかというのは当然国民は知らなければなりません。
 ぜひこれは公表すべきでありますし、この点について大臣の御意見もお伺いしたいと思うんです。今どきこんな真っ黒な資料が国会に出てくるというのはおかしいんじゃないですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 人間は隠そうとすると見たがる、これは人間の心理だと思うんです。私も、そういう黒塗りがあれば見たいと思うのは率直だと思うんです。情報公開の考え方に沿ってできるだけ情報は公開した方がいいと私は思っています。
 どういうものを公開すべきでどういうものを公開すべきでないかということは既に決まっているようであります。私は、その決まった中で公開すべきものは全部公開すべきという考え方なんです。提出しないというものはどういうものかというと、個人的なメモ及び内部検討段階の資料については提出しない、党関係資料は提出しないと合意で決められているんです。こういうものは提出しろ、こういうものは提出しない、それに沿ってやればいいんじゃないかと私は思っています。
○西山登紀子君 それは厚生省の勝手な基準でありまして、国民が知りたいと思う情報を、勝手にこれは出せない出しますなんというのはおかしいと思うんです。
 だから、委員長にお願いしたいのは、こういうことだと、国会は国政調査権というのがあるわけですから、十分にその点は理事会で協議をしていただきたい。もちろん法務省といろいろ協議されていると思いますけれども、こんな真っ黒けのままでは私は納得することはできないので理事会で御協議いただきたいと思います。
○委員長(山本正和君) ただいまの件は、後ほど理事会において協議いたします。
 質問を続けてください。
○西山登紀子君 当時、エイズ予防法というのは公衆衛生審議会にも諮られていなかったわけですし、また日弁連とか関係する学会からも批判的な発言をされていたというのは事実でございます。当初、血友病の患者さんを含むことになっていたわけですけれども、患者団体の強い反対があって結局は除くという修正がされました。しかし、患者団体の要求は除くではありません。廃止してくれというのが要求であったわけです。
 その成立に至る過程と、それから除く条項によりまして、血友病患者もエイズ感染者として恐ろしい病気の感染者だというイメージが定着をいたしました。その結果、社会のさまざまな面で、就職・進学差別、退職の強要、通学の拒否、受診拒否等、十分な治療も受けられないような事態が生まれたわけでございます。
 当時、治療法がなかったという御発言が先日局長からありましたけれども、そうではなくて、当時も日和見感染症に対する治療法はございました。私も調べましたが、八七年では八十八件、八八年には八十四件の医学的な論文だって出ております。ですから、全く治療法がなかったわけではありません。しかし、その治療すら拒否されて亡くなる、こういう事態が起こりましたし、まして社会的に抹殺されるというような迫害も多くの方々が受けてまいりました。それは、受けたという過去のことではなくて現在もそうであります。
 九二%の血友病患者を除いてしまったエイズ予防法というのは一体だれのための何のための法律だったのかということです。まるでセミの抜け殻のような法律になったわけですけれども、残ったのは、血友病患者やあるいはHIV患者さんに対する差別という過酷な枠であったと思います。単独立法としては、もともとの対象者がほとんど抜けてしまうというもとでは、自己矛盾に当時既に陥っていたというふうに思います。
 そこで、エイズ予防法の九年目の姿を少し御紹介したいと思うんですけれども、これは私が勝手に言っているのではなくて、九州のHIV訴訟原告弁護団の弁護士の徳田先生が公衆衛生審議会基本問題検討小委員会の委員長さんに九七年十月十六日にあてた意見書でございます。その中で、九州のある田舎町に住んでいた当時二十歳の青年の例を挙げて迫害の実態を説明していらっしゃいます。
 彼の住んでいた小さな町では、彼が血友病であることを多くの人が知っていました。もちろん、親戚の中で知らない人はありませんでした。エイズは恐ろしい病気だといううわさが広がっていきました。やがて、そのうわさは彼の親族に伝わり、親族会議が開かれ、このままでは親族全体が村八分にされてしまう、この際本人を町から出し、うわさのおさまるのを待つ以外に方法がないという結論が出され、家族を村八分から守るために自分が犠牲になるしかないと覚悟を決めた彼は、だれ一人知る人のいない都会に出てアパートでのひとり暮らしを始めた。
 ほとんど外出をせず、食事はコンビニからパンや弁当を買ってきてアパートで一人で食べた。血液製剤の自己注射ができなかった彼は、出血しても痛みに耐えるだけで病院にも行きませんでした。全くの孤独地獄の中でお正月を七回数えたと彼は言っている。そのうちに変調を来した。幻聴が始まったということで、実は二十八歳のときにみずからの感染の事実を知るわけですが、彼は手首を切って自殺を図ったと。幸いにも家族の発見で命を取りとめたんですけれども、その後二年を経ても、今なお彼の変調は続いております。
 今は家族のもとに帰ってはいるんですけれども、迫害によって家を追われて既に十年、彼は完全に社会から封じ込められ、今幻聴が彼を苦しめているというわけですわ、帰れとか消えろとかいった幻聴が聞こえてくると。勇気を出して外に出ようと何度か試みるけれども彼の体は硬直化してしまう、こういうのが今現在の被害者の実態です。これは決して特殊なケースではない。多くの子供たちがあるいは幼稚園を追われ小学校や中学校でいじめを受けてきたというようなことが述べられて、これは高知パニックとエイズ予防法案とによって引き起こされた狂気であるというふうに意見書の中で述べていらっしゃるわけです。
 そこで、このような事態、これはもう過去のことではなくて今現在の九年目の姿であるわけですけれども、このような事態についてやはり深刻に受けとめる必要があるのではないでしょうか。エイズ予防法で恐ろしい病気の烙印が押されて、二次感染の加害者として血友病の患者が社会の指弾と取り締まりの対象になりました。キャリアであれノンキャリアであれ血友病患者全体が社会の差別の対象となった。差別を助長する結果をつくった。あるいはもっとはっきり言えば、差別を助長し増大させ固定化する結果をつくったエイズ予防法について、どのように反省をされるかということが私は今回の法案の審査ではやはり不可欠であろうと思います。
 今私が御紹介したようなそういう事態について深刻に受けとめる必要があるんじゃないでしょうか。あるいは社会の差別を助長する結果になったということについてお認めにはならないでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) エイズ予防法というのは、当時の関係者の意図とは違って、不必要な差別とか偏見を助長した面が私はあったと思います。今のお話を聞いても、患者さんにとっては耐えがたい苦痛を感じられたんだと思います。
 そういう点を反省しながら、今回、この法案で患者に対する人権の配慮も重視していこうということで新たな法律を準備したわけでありまして、今言ったような患者さんが受けた苦痛とかあるいは社会防衛の観点から不必要な人権の抑制、侵害ということのないような配慮というのは、今後も十分にしていかなきゃいかぬと思っております。
○西山登紀子君 今の大臣のお答えは、局長の答弁よりも総理の答弁よりも少しはやはりリアルに実態を見ていらっしゃる御答弁であったというふうに私は受けとめたいと思います。
 最後の質問ですけれども、今申し上げましたように、このエイズ予防法による患者さんに対する差別というのはそれはすさまじいものです。しかし、薬害エイズの原告団、あるいは弁護団の長期にわたる裁判闘争、あるいは国民の支持、九六年のエイズ国会などなどによりまして、また厚生省の謝罪と歴史的な勝利和解、こういうふうなことがありまして少しは正しい理解が広がってきたかなというようには思いますけれども、まだまだやはり根強いものがあると思います。
 したがって、当然被害者の人権の回復のためにも、ぜひ今度のこの法案に人権を配慮しての文言の前に従来の感染症施策の反省の文言を入れて、国民にも今回の法改正の重要な趣旨が伝わるようにすべきだと考えますが、大臣のお考えを伺って質問を終わります。
○国務大臣(小泉純一郎君) この法案において、今までの法制定の経緯とかあるいは実情というものを考えて人権に配慮しなきゃいかぬということはもう基本理念に明確にしております。さらには、入院等の手続等の規定の整備も具体的に図っているところでありますので、私はそういう趣旨というのをしっかりと理解していけば、また関係者のみならず国民一般も正確な知識を持つことによって今言われたような点を予防できる、また十分に患者さんに対する人権の配慮ができるものと思っております。
○木暮山人君 先日に引き続き、法案の省令事項について順次お尋ねいたします。
 まず、疑似症患者に対する法律の適用について、第八条第一項の「二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者」には何を予定しているかお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) お答えいたします。
 二類感染症のうち、公衆衛生審議会における審議過程において、現時点の医学医療の水準や予防接種の状況等を勘案し、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスの四疾患の感染症の疑似感染症患者については患者と同様に取り扱うべきとの意見をいただいており、これらの疾患について政令に定めることを考えております。
○木暮山人君 次に、基本指針等についてお伺いしたいと思います。
 基本指針の制定、変更に当たって、厚生大臣が協議する「関係行政機関の長」とは具体的にはだれを想定しているのでしょうか。また、第十一条の特定感染症予防指針の対象疾病には何を予定しているのかお示しいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 医療従事者の人材養成を厚生省と協力して行う文部省や、動物を対象とした感染症の発生動向調査で連携を図る農林水産省を想定しておりますが、今後、基本指針に盛り込む感染症対策の内容を検討するに当たり、具体的に関係する行政機関と協議をしていく予定でございます。
 また、特定感染症予防指針につきましては、当面、性感染症やエイズ、インフルエンザについて公衆衛生審議会の意見を聞きながら策定をしていく予定でございます。
○木暮山人君 次に、第十二条については厚生省にゆだねられている事項が六つあります。いずれも重要な内容を含んでおります。それぞれについて明らかに説明していただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 御指摘の第十二条は医師の届け出について規定したものでございまして、対象感染症、届け出事項、方法等が定められておりますが、その中において技術的な内容を厚生省令にゆだねているところでございます。
 いずれにしても、これらの省令の取り扱いについては、各感染症ごとに公衆衛生審議会の意見を聞きながら十分検討してまいりたいと考えております。
○木暮山人君 次に、第十三条であります。
 「政令で定める感染症ごとに」、「政令で定めるサルその他の動物」とは具体的に何を想定しているのでしょうか。また、届け出事項として「氏名その他厚生省令で定める事項」の内容をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) 御指摘の政令についてでございますが、エボラ出血熱あるいはマールブルグ病等の感染症を人に媒介するおそれのある動物を指定するものでございまして、現在のところは猿のみを予定しているところでございます。
 また、「氏名その他厚生省令で定める事項」についてのお尋ねでございますが、感染症の発生につきまして的確に情報を収集する目的で、氏名のほかに感染症の種類、動物の種類、飼育場所、購入先等を予定しているところでございます。
○木暮山人君 次に、サーベイランスについてであります。
 第十四条一項の「四類感染症のうち厚生省令で定めるもの」及び二項の「厚生省令で定める四類感染症の無症状病原体保有者」の内容についてお伺いいたします。
 また加えて、第十五条において都道府県知事が判断する「感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるとき」とは、どういう場合を想定しているか、お伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) おただしの第十四条は、発生数の比較的多い感染症を対象に指定届け出機関を通じて感染症の発生状況を把握する、いわゆる定点発生動向調査を定めた規定でありまして、第一項の「四類感染症のうち厚生省令で定めるもの」とは、水痘、風疹、A群溶連菌感染症等の全数把握ではなく、定点医療機関を定めて調査を行う感染症を想定しております。
 同条第二項の「厚生省令で定める四類感染症の無症状病原体保有者」とは、現段階においては特に想定をいたしておりません。
 次に、第十五条でございますが、十五条は感染症の原因や発生の状況及び動向を積極的に把握するいわゆる積極的疫学調査を定めた規定でございまして、「感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるとき」とは、定点医療機関における通常の感染症発生動向調査の結果等に基づいて、特定の感染症が特定地域で増加している場合や原因不明の感染症が認められる場合を想定しておるところでございます。
○木暮山人君 次に、第四章についてであります。
 まず、十七条では、「感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」が健康診断の対象となっております。そこで、正当な理由とは具体的に何を指しているのでしょうか。
○政府委員(小林秀資君) 第十七条についてのおただしでございますが、そこにあります「正当な理由のある」とは何ぞかということでございますが、「正当な理由のある」とは、感染症の患者に濃厚に接触したことなど、客観的に見て当該感染症にかかっている蓋然性が高いことを示すものと考えております。
○木暮山人君 次に、第十七条第三項についてです。
 書面で通知する措置の実施、理由その他の厚生省令で定める事項の具体的内容をお示しください。
 また、精神保健福祉法では退院請求等についても書面で知らせることを明記しておりますが、本法案で明記されていない理由をお示しください。
 さらに、同項ただし書きの「差し迫った必要がある場合」、第四項の「相当の期間内」の具体例をお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 本法案第二十二条におきまして、入院の際にも第十七条第三項及び第四項の書面通知の規定を準用いたしておりまして、第十七条三項及び四項の「その他の厚生省令で定める事項」の中で退院請求の手続についても書面による通知を行うことを考えております。
 また、第十七条第三項の「差し迫った必要がある場合」については、感染症の症状が著しくあらわれている者を緊急に入院させる必要があって書面で通知するいとまがないとき等を想定しております。
 なお、同条第四項の「相当の期間」の相当については画一的に示すことは困難でありますが、通知をできる状態になり次第速やかに対応されるべきものと考えております。
○木暮山人君 次に、第十八条の就業制限についてであります。
 第十八条第一項の「届出の内容その他の厚生省令で定める事項」の内容をお示しいただきたいと思います。
 また、第二項の「感染症ごとに厚生省令で定める業務」、「感染症ごとに厚生省令で定める期間」の具体例をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 御質問の第十八条関係は就業制限に関するところでございますが、今回の法案では、就業制限の対象となる者に医師からの届け出の内容その他の厚生省令で定める内容を書面により通知することといたしております。
 この通知は、一定の職業への就業が制限されることをお知らせするものであり、具体的には、感染症にかかっていると診断された日時、一定の職業への就業が制限されること、その期間、違反した場合の罰則が科せられること等を通知内容とすることを想定いたしております。
 就業制限の対象となる具体的な職種及び期間につきましては厚生省令で定めることとされておりますが、職種については調理の業務等が、期間については二十四時間以上の間隔を置いて行われる検査により病原体が存在しないと認められるまでの期間が考えられますが、具体的には公衆衛生審議会の意見を踏まえて適切に定めていくことといたしております。
○木暮山人君 次に、十九条の一項及び四項における「緊急その他やむを得ない理由があるとき」とは、それぞれどのような場合を想定しているのかお伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) 新法におきましては、一類感染症及び二類感染症の患者について原則として感染症指定医療機関に入院させることとしていますが、緊急その他やむを得ない理由があるときは都道府県知事が適当と認める病院または診療所に入院させることといたしております。
 「緊急その他やむを得ない理由があるとき」とは、感染症の集団発生により感染症指定医療機関が満床となった場合や、重篤な合併症をもともと有する患者で感染症指定医療機関に移送することが適当でない場合を想定いたしております。
 また、十九条四項において、感染症指定医療機関に入院している患者につきまして、緊急その他やむを得ない理由があるときは都道府県知事が適当と認める病院または診療所に入院させることができることとしております。これは、合併症により他の医療機関での治療が必要になった場合や、より重篤な感染症の患者の入院が必要となった場合を想定しているものでございます。
○木暮山人君 次に、感染症の診査に関する協議会についてお伺いいたしたいと思います。
 協議会の委員は全員が感染症指定医療機関の医師であることも可能か。また、類似の精神医療審査会は第三者構成で案件を審査することとしていますが、本法案でこうした規定がない理由をお示しいただきます。
○政府委員(小林秀資君) 感染症の診査に関する協議会についてのお尋ねでございますが、この協議会は委員三人以上で組織をいたしまして、感染症指定医療機関の医師、次に感染症の患者の医療に関し学識経験を有する者、もう一つのグループが医療以外の学識経験を有する者のうちから都道府県知事が任命することとし、委員の過半数は医師のうちから任命することといたしております。このため、全員を感染症指定医療機関の医師とすることは不可能であります。
 この協議会は、症状が急性で、迅速かつ的確な対応が必要とされる一類及び二類感染症等の患者の入院の必要性等について学問的、専門的に審査する機関であることから、精神医療審査会とはその性質を異にするものでございます。
 なお、委員の実際の任命については、地域の実情に応じて都道府県知事が判断するものと考えております。
○木暮山人君 次に、第三十八条の感染症指定医療機関についてであります。
 第二項の厚生省令で定める基準の具体的内容、現行の伝染病病床との相違点をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 第一種及び第二種の感染症指定医療機関についてのおただしでございますが、これらの医療機関は、国の基本指針及び都道府県の策定する予防計画に基づき、開設者の同意を得て都道府県知事の指定により確保していくことといたしておりまして、関係市町村等の理解と協力を得ながら、第一種指定医療機関は都道府県に一カ所程度、また第二種指定医療機関は原則として二次医療圏に一カ所程度確保してまいりたい、このように思っております。
 これらの指定医療機関の施設の具体的な基準については、今後、公衆衛生審議会の検討をいただきながら早急に定めることとしていますが、例えば、第一種指定医療機関については、前室を有し、病室内が外部より陰圧構造にすることができること、また第二種指定医療機関については現行の伝染病棟と同程度の施設基準とすることなどを想定しております。
 なお、御指摘の転換策につきましては、第二種指定医療機関の指定に際し、既存の伝染病隔離病舎等も指定可能である旨経過措置を設けているところでございます。
 したがいまして、従来の伝染病棟との違いは、第一種の方が明らかに高度の機能を持った病棟であるということだと思います。
○木暮山人君 また、感染症指定医療機関の配置、整備の年次計画及び現行の伝染病病床の指定医療機関への転換策についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 第一種の指定医療機関は各都道府県に一カ所程度、それから第二種の指定医療機関は二次医療圏に一カ所程度確保するということで進めてまいりたい、このように思っております。
○木暮山人君 先日の答弁では、入院患者の通信の保障等について、感染症指定医療機関の要件に定めるとしていますが、精神保健福祉法第三十七条のような規定を置かなかった理由をお示しください。
 また、第十九条一項ただし書きの指定医療機関以外の医療機関における通信の自由をどう保障するお考えであるか御説明願いたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 通信の自由と入院患者の処遇につきましては、感染症の患者が精神的に不安定な状況に追い込まれないように配慮が必要と考えていますが、症状が急性で精神保健福祉法の想定するような長期の入院が考えにくく、一類及び二類感染症等に係るものであることから、例えば感染症指定医療機関の指定にかかわる要件としては通信の自由等を規定することで十分であると考えております。
 また、新法においては、緊急その他やむを得ない理由があるときは都道府県知事が適当と認める医療機関に入院させることとしておりますが、当該医療機関においても感染症の患者に対する配慮は必要と考えており、感染症指定医療機関と同様の取り扱いがなされるよう指導してまいりたいと思っております。
○木暮山人君 次に、第三十七条の入院患者の医療についてお伺いいたします。
 第二項では所得に応じた自己負担について規定がありますが、具体的にはどのような基準を考えておいでになるのか。また、医療について保険導入が図られますが、その財政影響については国、地方公共団体、保険者及び患者ごとにどのようなことになるのかお示し願いたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 入院勧告等による一類及び二類感染症患者の医療費につきましては、今日、衛生水準が向上し医療体制が飛躍的に充実したことや、国民皆保険制度が定着しその給付水準も向上したことなどを踏まえ、医療保険を適用した上で残りの部分を公費で負担することといたしております。その際、患者またはその家族、扶養義務者が相当の負担能力を有する場合は一定の負担を求めることといたしております。その具体的基準については、法の施行に向けて、同様の仕組みである結核予防法に基づく命令入所等の例を参考としつつ検討をしてまいりたいと思っております。
 また、保険優先に伴う財政影響についてのおただしでございますが、過去五年間の患者数等をもとに試算をいたしますと、国が八千百万円の減額、地方公共団体が二億六千九百万円の減額、保険者が二億九千六百万円の増額となり、患者負担は総額としてはごくわずかではないかと考えております。
○木暮山人君 次に、三十三条の交通の制限または遮断についてお伺いします。
 まず、過去において現行伝染病予防法の第八条の規定が適用された事実についてお示しいただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 交通の制限または遮断につきまして、現行の伝染病予防法において発動されたという記録は残っておりませんが、エボラ出血熱等の感染力が強く重篤になる感染症が一定の地域において短期間に多数発生し、地域の消毒や患者の入院等の対応では感染症の蔓延を防止できないような緊急の場合が考えられることから、交通の制限及び遮断の規定を盛り込んだものでございます。
 この規定を受けることにより、緊急の事態が発生した場合に、地域の交通を制限し、または遮断して集中的に健康診断、消毒等の措置を実施し、病原体の外部への流出を確実に防止することができるものと考えております。
 なお、本条文の適用についてはエボラ出血熱等の一類感染症に限定するとともに、措置の実施について必要最小限にとどめるべきことを明文化し、実施期間についても七十二時間に限定することにより発動の条件を厳しく限定しているところでございます。
○木暮山人君 これだけ交通網が発達し、人の移動が頻繁な今日、交通の制限または遮断によって感染の拡大が防げるとお考えでしょうか。この規定を残した理由及びこの効果、実効性について厚生省はどういうふうな見解をお持ちでしょうか。
 さらに、蔓延防止のため緊急の必要があると認める場合とはどのような場合を想定するのでしょうか。あわせて、政令で定める基準の内容についてもひとつお伺いしたいと思います。
○委員長(山本正和君) 時間を超過したので、簡単に答えてください。
○政府委員(小林秀資君) この規定を残した理由、実効性でございますが、私どもでは、万が一大変恐ろしい病気が発生してそのことがもう蔓延を、病気が広がっていくという事態を、まずはそんなことはあり得ないと想定をしております。具体的なその効果とか実効性についてまでは計算をしておりませんけれども、それは最終的には公衆衛生審議会の御意見を聞いて、これらの措置を適用する場合にはそういう審議会の意見を聞いて対応してまいりたい、このように思っておるところでございます。
 あと、政令で定める基準につきましては、やはり今後検討していくことになりますけれども、交通制限等を行う地域の特定の仕方、措置を行うことについての地域住民への連絡の仕方といった内容が想定されると、このように思っております。
○木暮山人君 時間が参りましたのでこれで質問を終わらせてもらいます。どうもありがとうございました。
○西川きよし君 私の方からはインフルエンザの対策についてお伺いいたします。
 老人福祉施設などにおけるインフルエンザの対策からでございますけれども、近年、インフルエンザの流行によりまして老人福祉施設などの入所者が集団感染するなど、その予防対策の確立が求められているところですけれども、まずその実態の方からお伺いしたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人保健福祉施設におきますインフルエンザの流行の実態とそれから予防対策の実態ということでございます。
 先生今御指摘ございましたように、老人福祉施設、例えば特別養護老人ホーム等におきましてもインフルエンザの流行というのがございまして、それで死亡の方も出ておるというような実態がございます。例えば、平成八年の十一月から九年の一月までの間で調べましたところでは、インフルエンザで特別養護老人ホームにおきまして死亡された方が九十二名あるというような実態がございました。ことしもまた若干生じておるというようなことがございます。
 こうした状況を踏まえまして、私どもとしましても、昨年一月でございますが、老人福祉施設等におけるインフルエンザの予防対策につきまして通知を出しまして、なかなかこれ決定的に予防できる決め手というのはないわけでありますけれども、入所されている方あるいは職員につきまして手洗いだとかうがいを励行していただくこと、あるいは嘱託医の方々と連絡を密にとりまして、入っておられる方に対しましてきめ細やかな健康管理を行うこと、こういったようなことを徹底するということをいたしたわけであります。
 また、ことし一月におきましては、インフルエンザ予防対策の手引書をつくりまして、これを全国の特別養護老人ホームに配付をいたしました。このような少しカラー刷りのものを出しまして、全国の施設でさらに徹底を図るというようなことをいたしたところでございます。
○西川きよし君 どのような病気についても同じだと思うんですけれども、その初期の対応が非常に大切ではないかなというふうに思うわけです。インフルエンザの場合は特に初期の症状がわかりにくいということで、半日もほうっておけば犠牲者が出るというようなお話もお伺いいたしました。
 その場合に、例えば特別養護老人ホームに常勤のお医者様がいらっしゃる施設とそうでない施設とではその初期の対応に格差が出る、これは当たり前の話と思うわけですけれども、現在、特別養護老人ホームに医師が常勤をしている施設の割合などもお伺いしたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 特別養護老人ホームにおきます常勤、専任の医師の方々の割合でございますけれども、平成八年十月一日現在でございますが、絶対数でいきますと二百五十九人ということで報告を受けておりまして、これは特別養護老人ホームに勤務をしていただいております医師の約五・四%ということでございますから、特別養護老人ホームに配置されておられますお医者さんのうちの割合からいえば九〇%以上は非常勤という形になるということでございます。
○西川きよし君 医師が常勤していない場合でも、もちろん近くの協力病院と提携をしておるわけですから、また嘱託医の回診もあるわけですから問題がないといえばないのかもしれません。しかし一方で、常勤医の先生がいらっしゃる施設のお話などをお伺いいたしますと、入所者が受ける安心感はもちろんのことですけれども、こうしたインフルエンザに対しての対応にも大きな影響があることだと思います。
 しかし、そうした中でも特養は生活の場であるわけですから、なかなか若い先生はお越しにならない、来たがらないと申しましょうか、またその費用の負担についてもこれは大きな問題を抱えているというふうに思います。
 そういうことも施設の関係者からお話はお伺いするわけですけれども、特別養護老人ホームと常勤医という点について、厚生省の方ではどういうふうにお考えになっておられるか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 特別養護老人ホームは、御案内のとおり二十四時間介護を必要とするようなお年寄りの方々が入っていただくということで、身体介護等のサービスをする施設というのが基本的な施設の性格でございます。そこにお入りになっておられる方々も、治療を目的とするというよりは、そういう意味でのいわゆる医療を主体にした施設ではないわけであります。
 そういったことから、特別養護老人ホームにおきます医療というのは、専ら入っておられる方々の健康状態を注意いたしまして、必要に応じて健康保持のための適切な措置を講ずる、あるいは病気におなりになったときのまず初期的な対応をするというようなことからやっておるわけであります。
 そういったことから、必ず常勤でなくてはならないということはいたしておりませんで、そういうことがあって先ほどのような実態になっているわけてあります、ただ、医学的な手といいますか目が非常に行き渡る、それから先ほど先生お挙げになったような場合にも、できるだけそういう対応がとれるという意味では常勤でおられた方がよりよい対応がとれるということはおっしゃるとおりでございます。
 そういったこともありまして、私どもの方は医師の配置に対しまする評価、措置費等のお金の面での評価ということになるわけですが、例えば東京都区部の五十人定員の特別養護老人ホームで見ますというと、常勤医師を配置していただきました場合には、平成十年度予算のベースでいいますと、年間千二十六万円を、今申し上げたような規模の施設の場合に常勤医師が配置をされているとなればお払いするということになります。ちなみに非常勤の医師を配置した場合、これは必ず非常勤の医師は配置をしなさいということになっていますから、そういう場合には年間三百四十二万円という運営費が払われております。したがいまして、常勤医師をお雇いいただくというときには、それなりの費用面でも配慮をいたしておるところでございます。
 ただ、そうは言っても、今先生お挙げになりましたように、求めたいけれどもなかなか来てくださらないというような実態というのは私どもも目にいたします。それは、やはり特別養護老人ホームの医務室というのが基本的にはそこに入っている方々の施設なものですから、入所者以外の方でも自由に受診できるような開放性の確保の問題だとか、あるいは措置費で払われている部分と診療報酬の区別の明確化等のいろんな観点があって、必ずしも保険医療機関としてオープンな形での診療をするような形になかなか指定がされないというようなこともありまして、特別養護老人ホームに常勤医師を配置するというのがなかなか難しい実態もございます。
 そういったことで、配置される医師が非常勤にならざるを得ないという場合もこれはやっぱりあるわけであります。そういった非常勤のお医者さんでありましても協力関係を日ごろからきちっとしておくということがこういったインフルエンザ等が出ました場合にも非常に大事だと思いますので、そういった協力医療機関との連携ということを心がけてやっていくように、そういった方向で指導もし、私どもの方も対応しておるところでございます。
○西川きよし君 詳しくありがとうございました。
 次に、今度はインフルエンザの予防接種の問題についてお伺いしたいと思います。
 昨年、インフルエンザが流行した折には、先ほど御説明いただいたんですけれども、たくさんの方がお亡くなりになったということです。お年寄りのワクチンの接種の問題についてはさまざまな角度から御指摘がございましたけれども、高齢者のインフルエンザの予防接種の普及率はどうなっているのか、諸外国の例もわかりましたら御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 現行の予防接種法におきましては、インフルエンザがそもそも対象疾患になっていないのであります。したがいまして、高齢者も含めたインフルエンザの接種については、普及率についての正確な統計がないというのが現状であります。数字がわからないというのが現状であります。
 昨年の冬のインフルエンザワクチンの生産量、七十九万三千人分ありますが、このうち、仮に二%程度が高齢者に接種されていると推定して、接種率を約〇・一%と試算している研究者がいらっしゃいます。
 諸外国におきましては、アメリカ、フランスでは六〇%から七〇%、その他の欧州諸国においては二〇ないし七〇%と聞いております。
○西川きよし君 随分少ない感じがいたしますけれども。
 次に、お年寄りの予防接種の普及率を上げるべきではないかという意見ももちろん一方ではあるわけですけれども、その有効性の問題がはっきりしていないために、お医者さんとしてもなかなか予防接種を受けることをお年寄りに勧めにくい。今後、普及をさせていくためには国が根拠のあるデータを示す必要があるのではないかというふうにも思うわけです。厚生省でもこの予防接種の安全性と有効性の調査を進められたということでございますけれども、そのあたりの御説明をいただければと思います。
○政府委員(小林秀資君) 先生御指摘のとおり、国民が安心して予防接種が受けられるように、予防接種の安全性や有効性を提示していくことは重要な課題だと認識をいたしております。例えば、インフルエンザにつきましては、昨年十月に私どもでまとめました新型インフルエンザ検討会の報告書において、海外の文献に基づいて高齢者に対するワクチン接種の有効性が明記をされているところでございます。
 現在、厚生省においては、予防接種後の副反応や健康状況に関する調査を実施するとともに、厚生科学研究事業においてインフルエンザを初めとするワクチンの効果や副反応の発生要因に関する調査研究を進めております。これらの研究成果を引き続き分析評価するとともに、予防接種対策の推進に努めてまいりたいと思っております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 自己負担も四千円から六千円というお金にもなりますと、お年寄りの方々もそれは大変だと思います。
 次の質問は六番目でございますけれども、出ましたのでこれはカットさせていただきます。
 七番目に移りたいと思うんですけれども、昨年の十月の新型インフルエンザ対策報告書では、高齢者等の罹患した場合に重症化しやすい集団にワクチンを優先的に接種する旨書かれておるわけですけれども、この点について厚生省のお考えと、また逆に高齢者の方々は一般の方より予防接種の副作用の懸念も強いのではないかと思うわけですけれども、あわせてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 昨年の十月の報告書では、インフルエンザワクチンはインフルエンザに対する最大の防御手段であるということを位置づけておりまして、その中で、ワクチン接種の優先集団として、罹患した場合に重症化しやすい高齢者、重篤な基礎疾患を有する者、それから社会機能の維持の観点から優先すべき医療従事者、警察官等の集団を列挙いたしておるところであります。
 厚生省としては、もとより必要量のワクチンをできるだけ短期間に供給できるよう準備を行うことが基本でありますが、段階的にしか供給されない場合には、限られたワクチンをいかに効率的、効果的に接種するかを判断する必要性が生じ、その場合、上記の優先集団の考え方を参考とすることになると思っております。
 なお、高齢者についての予防接種の副反応の懸念についてでございますが、予防接種の一般的な考え方として、副反応の頻度は非常に低いものの、出現する可能性は皆無ではないというものが専門家の検討会報告書の結論でありまして、年齢による髪もこの結論を変えるほどのものではないと認識をしておりますが、最終的には個人個人がみずからの判断で接種するかどうか決定することが基本であると考えております。
○西川きよし君 次も、量産体制というのが出ましたので、一つカットさせていただきまして、今度は厚生大臣にお伺いしたいと思います。
 予防接種対策につきましては、基本問題検討小委員会の報告書の中でも課題といたしまして、「より良いワクチンの開発、高齢者等の免疫力が低下した者等の集団に対する接種、健康被害が生じた場合の迅速な救済制度のあり方が挙げられるが、厚生省において、今後引き続き検討していくことが必要である。」と、こういうふうに指摘されておるわけですけれども、今後、高齢者のインフルエンザ対策もあわせまして、予防接種対策についてどのようなお考えでこれから取り組んでいかれるのか、お伺いします。
○国務大臣(小泉純一郎君) インフルエンザの予防接種に対しての重要性というのは認識しております。これについてどういうふうにして今後検討していくかということでありますが、公衆衛生審議会の中にその委員会を設置して、どのように準備していくかということを今審議していただいておりますので、その中で今後の対策について具体的に検討していきたいと考えております。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 次に、患者の搬送体制についてお伺いしたいと思います。
 O157のように感染症の患者が集団で発生した場合の搬送体制の整備、そして医療機関との連携、非常に重要な問題であると思います。基本問題小委員会の報告書の中においてもさまざまな指摘がなされているわけですけれども、この搬送体制あるいは医療機関との連携という点について現状の認識からまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(小林秀資君) 伝染病予防法におきまして隔離の対象となっている患者の搬送については、現在、市町村により行われているところでございます。
 具体的には、医療機関で伝染病予防法の隔離の対象疾患として診断された段階で当該医療機関の存在する市町村が、それぞれまたは幾つかの市町村が合同で保有する患者輸送車によって当該医療機関から隔離病舎まで移送をしているところでございます。
○西川きよし君 そこで、具体的にこの搬送体制における患者さんへの配慮という点についてお伺いをしてみたいと思います。
 小委員会の報告書では、まず一つ目には、入院勧告または命令による感染症指定病棟への入院が必要でない感染症の患者の搬送、二つ目には、入院勧告または命令による感染症指定病棟への入院が必要な場合がある感染症であっても、実際に入院勧告または命令が発動される前の段階の搬送、三つ目には、実際に入院勧告または命令が発動された後の搬送の三つについて検討する必要があるという指摘がなされておるわけですけれども、この点について厚生省はどのように対応をお考えになっておられるのか、お伺いします。
○政府委員(小林秀資君) 新法に基づく入院措置が必要ない患者につきましては、感染力と感染した場合の重篤度等から総合的に判断した危険性が高くないと考えられるため、特別な対応は必要がなく、患者みずから病院に行くかあるいは救急用の車両により搬送することが適当であると考えております。
 一方、新感染症、一類感染症及び二類感染症患者については、新法において消防関係者ではなく都道府県において搬送されることといたしております。
 しかし、実際には、新感染症、一類感染症及び二類感染症患者であることが判明する前にその患者の搬送を行うのは消防関係者や患者の家族であることもあると考えておりまして、そういう状況に備え、当該者の安全と感染拡大の防止の観点から、消毒の方法等の情報の提供を行うための対応を図っていくことが必要であると考えております。
○西川きよし君 この搬送事業におきましても、患者さんへの適切な対応あるいは配慮というものが最も重要な問題であるわけですけれども、同時に、救急業務に従事される方々に対する感染防止対策、極めて重要な問題であると思います。この点について、保健所と消防機関との連携あるいは救急職員に対する対策について、厚生省と消防庁にお伺いします。
○政府委員(小林秀資君) 救急業務に従事される方々に関する感染防止対策につきましては、これらの方々の安全の面からも、またその他の人々への感染防止の観点からも重要であると認識をいたしております。
 新法におきましては、法律に基づく入院が必要な患者の移送について都道府県の業務と位置づけられておりますが、新感染症、一類感染症及び二類感染症の患者であることが判明する前の段階でその患者を搬送した方々、例えば消防機関の方々の安全対策の観点から、保健所、感染症指定医療機関、消防機関等の関係機関相互の感染症に関する情報の疎通が円滑に行われるような体制の整備、また実際に感染症が発生した際の消毒の方法といった情報の提供等がされるよう必要な対応を図ってまいりたいと思っております。
○説明員(高橋正樹君) 救急隊員の感染防止対策は、私どもも大変重要な問題であると認識しております。
 これまでも新たな感染症が問題となります都度、厚生省とも御相談いたしながら、その感染防止対策や消毒方法などにつきまして必要な指導を行ってまいったところでございます。
 今般の制度改正が行われますと、るる御議論されておられますように、新たな感染症類型の枠組みの中でこの救急業務を実施することとなりますので、消防庁といたしましても、傷病者はもちろんのことでございますが、救急隊員の安全を確保し、救急業務の実施に支障を生ずることのないよう厚生省とも連携いたしまして、各疾患ごとの感染防止対策や消毒方法等につきまして、必要な情報を提供するとともに、各消防機関が保健所や医療機関と一層緊密な連携が行われるよう、体制の整備につきまして指導を行ってまいりたいと考えております。
○西川きよし君 国民福祉委員会の前に私は地方行政委員会でお世話になっておりまして、救急業務に関連して、救急業務の未実施町村における役場救急について以前質問をさせていただきました。この役場救急が行われている現状を消防庁よりお伺いしたいと思います。
○説明員(高橋正樹君) いわゆる役場救急の現状についてでございますが、まず全体的な状況を申し上げますと、平成九年四月一日現在におきまして、全国の市町村三千二百三十二のうち、救急業務を実施している市町村と数えておりますのは三千百四十市町村でございます。このうち救急業務の実施を義務づけられた政令指定市町村は三千百十二市町村、残りの二十七町村は任意に救急業務を実施する町村となっております。したがいまして、差し引きいたしまして九十三町村が救急業務を実施していない未実施町村ということに相なるわけでございます。
 この九十三町村のうち、役場で一一九番通報を受信し役場職員などが救急用の自動車で出動するといういわゆる役場救急でございますが、この役場救急を行っている町村は六十九町村と相なっております。
 以上でございます。
○西川きよし君 この役場救急につきましては、平成七年七月、総務庁の行政監察局より監察結果と自治大臣に対しての勧告が出ておるわけです。当時、総務庁からいただいた御説明の内容は把握していただいていると思いますので、それに対する消防庁からの御答弁、八年にお伺いしました。その当時、昨年度というと平成七年度になるわけですけれども、非常備町村における救急業務の実施状況を調査いたしたわけですが、この調査結果を踏まえまして消防団員等の教育訓練の充実について検討してまいりたいと思いますということでございました。
 その後の対応について、またその中で感染症対策はどのようになさっておられるのか、消防庁に本日お伺いしたいと思います。
○説明員(高橋正樹君) 非常備町村におきます救急業務のその後の対応というお尋ねでございました。
 先ほど申し上げましたとおり、平成九年四月一日現在、九十三町村が救急業務未実施でございます。これは、前回御質問をいただきましたときに百八の町村が未実施であったとお答えいたしておると思いますが、この二年間に十五の町村が未実施から減少、すなわちこれらの町村が新たに救急を常備化したということに相なるわけでございます。
 未実施町村の地域の救急体制としては、やはり常備化をするということが望ましいわけでございまして、今後とも事務委託やあるいは広域化といったような手法によりまして、救急業務の実施体制が確立されるように努めてまいりたいと考えております。
 また、このような体制が確立されるまでの間におきましては、未実施町村におきまして搬送を担当する消防団員等に対しまして、お話のような感染症対策も含めまして教育訓練を行うことも必要なことと考えております。そのような教育訓練や研修の機会が与えられるよう、いろいろな機会をとらえてお願いをしてまいりたいと存じております。
 さらに、感染症対策につきましては、先ほどの答弁と重複となりますが、厚生省と連絡をとりつつ、感染防止方策や消毒方法等につきまして、非常備の町村に対しましても同様に適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○西川きよし君 引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 この搬送体制の整備につきましては、感染症対策の中においても非常に重要な問題であると思います。また、その整備については、医療機関、保健所、消防機関等との連携の強化ということが大変大切ではないか、また大きな課題ではないかなと思うわけですけれども、厚生大臣に今までのお話をお伺いしていただいて、最後に御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今回の法案では、患者の医療機関までの搬送については消防関係者ではなくて都道府県の業務、実際には保健所の業務として位置づけておりますが、今お話しのように、実態を考えてみますと、消防関係者の協力を現場では仰いでいるということもありますので、今後、関係機関と連携を深めてよりよい搬送体制の整備に努力をしていきたいと思っております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(山本正和君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時四十六分散会