第142回国会 国民福祉委員会 第12号
平成十年五月七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     阿曽田 清君     木暮 山人君
 五月一日
    辞任         補欠選任
     今泉  昭君     釘宮  磐君
     木暮 山人君     泉  信也君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     今井  澄君     朝日 俊弘君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 正和君
    理 事
                尾辻 秀久君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                渡辺 孝男君
                清水 澄子君
    委 員
                阿部 正俊君
                石井 道子君
                佐藤 泰三君
                田浦  直君
                常田 享詳君
                中原  爽君
                宮崎 秀樹君
                朝日 俊弘君
                直嶋 正行君
                浜四津敏子君
                西山登紀子君
                泉  信也君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  小泉純一郎君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     田中 泰弘君
       厚生省健康政策
       局長       谷  修一君
       厚生省保健医療
       局長       小林 秀資君
       厚生省医薬安全
       局長       中西 明典君
       厚生省老人保健
       福祉局長     羽毛田信吾君
       厚生省保険局長  高木 俊明君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局国民生活
       調査課長     太田  清君
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  本日の会議に付した案件
○国民健康保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○委員派遣承認要求に関する件
○社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国と
 の間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特
 例等に関する法律案(内閣提出)
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○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月三十日、阿曽田清君が委員を辞任され、その補欠として木暮山人君が選任されました。
 また、去る一日、今泉昭君及び木暮山人君が委員を辞任され、その補欠として釘宮磐君及び泉信也君が選任されました。
 また、昨六日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として朝日俊弘君が選任されました。
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○委員長(山本正和君) 国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○常田享詳君 自民党の常田享詳でございます。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案に入ります前に、一つお尋ねをしておきたい問題がございますので、先にそのことから入らせていただきます。
 四月十八日の朝日新聞に、「脳疾患四薬効かず痴呆症に多用 売上総額八千億円」という記事が出たわけであります。このことにつきましては、老人性痴呆症に広く使われている五種類の脳代謝改善剤のうち四つがプラセボ等との比較をやったところ効果がないということでありますけれども、私がここで問題にしたいのは、この記事の中で、「薬の評価基準として、偽薬との比較試験を求める指針が八七年にできた。にもかかわらず、厚生省は五種類の脳代謝改善剤について再評価を求めなかった。しかし、医療保険財政の悪化などを背景に大蔵省が再評価を強く要求。 厚生省は九六年、ようやく偽薬を使った臨床試験を指示した。」ということです。もう一つ、四月二十日の記事には、「厚生省、腰重かった 大蔵省が強い「圧力」」ということになっているわけですね。
 そもそもこういった薬の再評価の問題というのは、財政上の問題、視点から言われることではなくて、当然医療の質的な側面から、大蔵省からそういうことを言われるまでもなくきちんとされなければならない問題であろうと思うわけであります。
 そういうことから、まず最初に、今回の脳循環代謝改善薬に関する再評価はどのような観点で、どのような経緯で行っておられるのか。今申し上げましたように新聞で報道されているような、大蔵省から強く指示、圧力を受けてやったと言われているわけでありますけれども、これが本当に事実なのかどうなのか、そのあたりをまずお尋ねしたいと思います。
○政府委員(中西明典君) 医薬品につきましては、承認の際にはその時点における医学、薬学の知見に基づきまして審査が行われ、その上で承認が行われるわけでありますが、承認された後、当然のことながら医学、薬学の進歩あるいは医療水準の向上といった状況の変化があるわけでございまして、必要に応じ現時点において改めて医療上の有用性というものを評価し直すという観点から再評価を実施することといたしているところでございます。
 今回、御指摘のございました脳循環代謝改善薬五成分につきましては、昭和六十一年から六十三年にかけて承認された医薬品でございまして、これらにつきましては、平成五年七月に、これは中央薬事審議会の了承を受けまして二段階で再評価を行う方針を決定したところであります。それに基づきまして、第一段階として平成五年十月に脳動脈硬化症の適用につきまして再評価指定を行い、平成八年三月にこれに関する効能を削除し、直ちに第二段階として、平成八年四月に繁用されている今回の五成分につきまして再評価指定を行ったところでございます。
 したがいまして、おっしゃいましたような財政当局が云々したとかいう話では全くございませんで、これまでも医薬品の再評価というのは先ほど申し上げましたような方針に従って実施してきておりますし、今回の再評価の指定につきましても、平成五年七月に中央薬事審議会の了承を受けて既に方針として決定され、それに従って実行してきたというふうに御理解いただきたいと考えております。
○常田享詳君 そうしますと、今の局長の御答弁でいきますと、私が申しましたこの新聞に出ている「医療費の抑制を図ろうとする大蔵省の強い「圧力」があった。当初、大蔵省の要請を深刻に受け止めていなかった厚生省幹部はいま、「効果なし」の試験結果にあわてふためいている。」というような実態はない、これは報道の間違いであるというふうに理解してよろしいですね。
○政府委員(中西明典君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、私どもといたしましては、先ほどのレールの上に乗ってその再評価の手順というものを決めた上でやってきたものでございまして、そういう上でやってきたということを御理解いただきたいと思います。
○常田享詳君 そのように信じたいと思います。
 冒頭に申し上げましたように、私は薬の治験にしろ、また再評価にしろ、そういう財政的な側面から進められるべきことではない。あくまでも学問的な側面、また医療の質的な側面からきちんと定期的になされるべきものであると思っておりますので、ここに報道されているようなことがもしあるとすれば、これは大変な問題だと思い、質問させていただきました。
 そこで、この問題についてさらにこの新聞の報道によりますと、現在市販されている脳循環代謝改善薬の中で、最近行った臨床試験の結果、有効性が認められないものが四成分あったというふうに言われているわけでありますけれども、これは事実関係をちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(中西明典君) 今般、本年の四月二十日に再評価申請の期限を迎え、臨床試験成績が提出された医薬品は、イデベノン等の脳循環代謝改善薬五成分でございまして、これらの再評価につきましては、中央薬事審議会において早急に厳正な御審議をお願いするということで、データが提出された直後、直ちに中央薬事審議会に諮問いたしたところでございます。
 中央薬事審議会におきましては、今回の臨床試験成績を中心に検討いただくということになるわけでございますが、各申請者、メーカーによる臨床試験成績の解析結果、あるいはその他臨床試験成績に関する文献等の資料等もあわせ審議がなされることになっておりまして、今後中央薬事審議会で厳正な判断というのが出るものと考えておりまして、それを受けて必要な対応を図ってまいりたい、かように考えております。
○常田享詳君 今御答弁がありましたように早急に対処したいということでありますが、これはかなり繁用されている薬剤なんですね。そういうこともありまして、これはやはり速やかに対応していただかなければならないというふうに思いますので、今御答弁をいただきましたようにきちっとしていただきたいと思います。
 あわせて、副作用の問題等については、随分厚生省の方も最近副作用情報の収集等にネットワーク化をして取り組んでおられるわけでありますけれども、こういう一たん許可をした医薬品の再評価という問題については、学術的にもいろんな面で変わるわけですね。変わるというのは、許可した時点では有効性があると思っていたものが、その評価の基準がより学問的に進んでいけば、その基準に照らせばやはりおかしいということが起こってくる。それはもともとおかしいということではないけれども、より高い評価基準を設定すればおかしいということになる。
 これは薬に限らず今後も出てくると思うわけでありますけれども、薬の再評価という問題について、今後どのように進めていこうとしておられるのか。
○政府委員(中西明典君) 御指摘のとおり、承認された医薬品というのは薬理作用そのものは変わらないわけでございますが、その後の医療水準の向上、あるいはそれを超える新しい医薬品というものも出現してくるということは当然予想されるわけでございまして、そうしたその後の医療水準の変化を踏まえて医療上の有用性というものを必要に応じて見直していくということは極めて重要であるというふうに考えております。
 そうした視点に立って、これまでも随時再評価というものを実施してきているところでございますが、今後とも学会の考え方、それから臨床現場の意見に十分耳を傾けまして、適切な再評価を実施していかなければならないと考えております。
○常田享詳君 通告せずで大変恐縮なんですけれども、大臣に一点。
 実はこれはきのうの毎日新聞の夕刊ですけれども、アメリカのボストン小児病院でがん細胞を消滅させる新しいたんぱく質が見つかったということで、このたんぱく質を製造しているアメリカのバイオベンチャー企業の株価が一時七倍にまではね上がった、それで来年にはもう臨床試験をしてできるだけ早く、動物実験だけではなくて実際に人間のがんに有効性があるかどうかということを早く治験をして、出せるものなら市場に出したいということであります。
 ところが、日本の場合、こういった医薬品の研究開発、治験の問題もそうですし、今の再評価の問題もそうですけれども、例えばアメリカのFDAとかそういう機関に比べて、ずっとこの委員会でも指摘されていますけれども、やはり日本の人的な確保というのは非常に重要な問題じゃないかなと私は思うんですね。
 ですから、日本の場合でも私はかなり、こういうがんの薬にしろ、そのほかのことにしても研究を進めているところはあると思うんですけれども、随分アメリカとかに比べると、それが実際に治験に回って患者さんに使われるまでのプロセスというのは長い、スパンが長いということを思うわけであります。今本当に日本の国民も、特にがんのこういう薬なんかは一日も早く出てほしいという切実な思いがあるわけですから、今の再評価の問題とあわせて、こういう治験体制も含めて、そういうことを審査等をする人的な強化といいますか、改めてもう一回お尋ねをしておきたいと思います。今までも何遍も出ておりますけれども、決意を。
○国務大臣(小泉純一郎君) いろいろな御議論の中でも、アメリカの先進的な薬品開発あるいは治験等、日本はおくれているのではないかという御指摘もありました。言われているようないい例を参考にしながら、日本としても足らざるところをどのように改善していくか、先進諸国の例を見ながら参考にしていきたいと考えております。
○常田享詳君 ぜひとも進めていただきたいと思います。
 それでは、国民健康保険法等の一部を改正する法律案についてでありますが、その中の老人医療費拠出金に関する見直してあります。
 私は、行革・税制特別委員会、昨年の暮れにも小泉大臣にその特別委員会でも例のキャップのことを質問させていただいたんですが、そのことと、それからもう一つは医療保険制度の抜本改革を平成十二年までにやるんだ、それでその中身は薬価基準の問題、それから診療報酬体系の問題、出来高払い制度をどうするか、それから老人保健の問題、その三つの柱を中心とした改革を抜本的にやるんだと大臣はおっしゃっている。しかしながら、現実的には自然増の八千億円を何とか抑えなきゃいけない、ほかも抑えているんだから社会保障費だけが例外ではあり得ないということでキャップをかけたと。
 そういうことを総合的に両方から考えると、このたびのこの健康保険法の老人医療費拠出金に関する見直しというのは、なぜ私はこう拙速にここでやらなきゃならないのか、いま一つ理解が。ただ、確かに現実に赤字になっていると、それをだから十二年までつないでいくんだと、抜本改革するまでつないでいくためにやるんだということはわかりますが、大きな一つの方向を出しておられるにもかかわらず、私はこのことが本当にいいのかなと。
 といいますのは、この休みでも地元に帰ってみましても、今なぜ皆さんがお金を使わないんだという中に、やはり非常に強いのは先行き不安だと。特に医療とか福祉とか年金、そういう自分たちが年をとったとき、これから年を重ねたときにどうなるかわからない。そうなると、銀行に預けても利息がそんなにつくわけではないけれども、要はとっておくというか、使わないでためておかないと不安でしようがないと。だから、常田さん、そういう日本の国の将来、医療や福祉や年金がどうなるんだということを早く示してほしい。そうすれば安心して使うべきところは使える。だけれども、今の状態では使えないんだという声が強いんですね。
 そういう切実な声を聞きますと、余計に私はそういう抜本改革を示しておかれながら、一方で実質的にはこれはまた負担増につながっていく可能性のあることでありますから、何か全部国民にそういう負担増のしわ寄せが来るんではないかという、国民としてはまたより抑圧された将来不安を引き出すんではないかというふうに思うわけであります。
 そういうことで、この老人医療費拠出金に関する見直しについて、そのあたり、私は小泉大臣の日ごろからおっしゃっている前向きな問題、それから社会保障費にキャップをかけることに対しておかしいじゃないかと、ずっと総理大臣ともやってこられたことを、私どもは非常にそういうことに拍手を送っていたわけでありますけれども、何かこれはちょっとせこいなというような感じもしないでもないわけでありまして、今端的に、せこいという言葉おわかりでしょうか。その辺、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 結局、こういう改革というのは抜本改革につながらないんじゃないかというのがだんだんわかってきたと思うんですね。だからこそ抜本改革が必要だと、何年も言われていながらできなかった。もうそういう時代じゃないということでいろいろ議論が盛り上がってきて、抜本改革をしようという形になってきたと思います。
 今回、そうだといっても、高齢者の医療費をどうやって賄うのかという場合に、当然保険者集団の間で違いますから、その際にはこの保険財政というものを考えなきゃいかぬということから、小手先という御批判があると思いますけれども、保険財政も無視することはできない。現実の問題として、各保険者集団での拠出金の問題、それぞれ市町村の国保においてはこれはもう負担できないという声もありますから、その際にはお互いがどのような形で負担し合うかという問題で出てきた改革でありますので、率直に言って抜本改革とは違うじゃないかという御批判は甘んじて受けなきゃいけないと思います。だからこそ、私は平成十二年度を目指して、診療報酬とか薬価基準というのは大事でありますけれども、それだけでなくて、高齢者医療の問題、保険者集団の問題、これも含めて見直す必要があるのではないかと思います。
 将来にいろいろ不安があるから消費を控えているのではないかという御議論もありますけれども、これは私は単に医療費の問題だけじゃないと思います。医療保険制度とか年金制度をアメリカと日本を比較してみれば、日本の方が安定していると思います。にもかかわらずアメリカの方が景気がいいというのは、単なる医療問題だけじゃない、経済全体の問題があるのではないか。ただ医療制度、年金制度に不安だから消費を手控えているだけでは私はないと思います。
○常田享詳君 もちろんそのことだけではないと私も理解はしております。しかし、庶民的感覚から言えば、そういうグローバルな経済問題よりもやっぱり日々の身近な医療の問題、年金の問題、福祉の問題が一番実感として消費を抑制することに働いている、それだけではないけれども、それが大きな要素になっていることは否定できないと、今地元を回ってみまして私は思うわけであります。
 さて、そういうことで、この問題については私はやや大臣らしくない、せこいなという感じは持ちますけれども、今、大臣がおっしゃった、だからこそ抜本改革を平成十二年に向かってやるんだということを強く信じて次に移りたいと、またそうしていただきたいというふうに思っております。
 健康保険法改正案の第四十三条三の第四項において、病院、診療所の医師、歯科医師、看護婦その他の従業員の人員が医療法もしくは厚生省令で規定する員数に満たないときは保険医療機関の指定をしないこともあり得るという趣旨の実となっておりますが、この「其ノ他ノ従業者」には病院薬剤師も含まれているということは当然と考えておりますけれども、それでよいのでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) お尋ねの「其ノ他ノ従業者」の中身をどうするかということでありますが、これは考え方としまして、既存の保険医療機関であっても劣悪な医療機関については保険医療機関の更新の際にそれを拒むことができるという規定を入れさせていただいております。
 その際の医師等の人員の基準をどう定めていくかということなのでありますが、一応今私どもの念頭にありますのは、現在の診療報酬点数表の取り扱いの中でも、医師数が医療法の標準の五割以下であるとか、あるいはまた看護要員数が医療法の標準の五割以下である、それからまた医師数それから看護要員の数がいずれも医療法の標準の八割以下である、こういった場合には入院時医学管理料等につきまして減額をするという措置が行われております。私どもとして、今この診療報酬点数表上の基準というものを一応念頭に置きまして、これよりもさらに劣る基準のレベルにまず定めるのが現実論としては妥当なのかなという考え方に立っております。ただ、この問題は、この法律を成立させていただきましたならば、関係の審議会にお諮りしまして十分関係者の中で御議論いただきたい、こういうふうに思っております。
 そういった意味では、まだ明確に対象を限定しているわけではございませんけれども、今後幅広い御意見をちょうだいしながら検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
○常田享詳君 病院薬剤師の配置基準につきましては、先般の当委員会においても質問をさせていただいたところでありますが、その後まだ配置基準の決定は見ていないと聞いているわけであります。
 どこに問題があるのか、また今後の予定についてお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 先般の当委員会でも先生の方から御質問をいただきました。
 基本的な考え方といたしましては、病院におきます薬剤師の配置基準というものについては、まず一つは、病床の種別ごとに入院患者数に基づく人員配置基準を設ける、それから、外来の薬剤師の配置基準につきましては、外来患者に対する当該病院内において調剤するために処方した処方せん枚数に基づく基準を設けるということで、具体的な配置基準の議論を医療審議会の中でしていただいております。また、その前提としては、現状の病院薬剤師数の実態を踏まえたものとするということで議論をしております。
 具体的に申しますと、そのもとになりますデータといたしましては、厚生省のやりました医療施設調査、それから病院薬剤師会がやりました病院におきます薬剤師の調査、この二つの調査をもとにして議論をしておりますけれども、若干このデータについて、中小の病院あるいは精神病院についての実態が必ずしも十分反映されていないんじゃないかというような御議論がありまして、そういうようなことで現在、全日本病院協会等が中心になりまして再調査を行っております。五月中には調査が行われるということでございますので、この調査結果を見ながら改めてこの具体的な基準について検討が進められるというふうに理解をしております。
○常田享詳君 それではもう一点だけ、医療関係者審議会令についてお尋ねいたします。
 同審議会令第一条に、医療関係者審議会は医師、歯科医師、保健婦、助産婦、看護婦、准看護婦、理学療法士、作業療法士に関する重要事項について審議するとされている。この審議会令から薬剤師が抜けているわけでありますが、これは多分薬剤師は薬剤師法により中央薬事審議会で所管することになっているからであろうと私は理解しております。
 しかし、医薬分業が三〇%近くに進み、また病院薬剤師の病棟活動が進んでいる今日、医療関係者審議会の所管から薬剤師が外れていることはおかしいのではないか。このために、今回の病院薬剤師の配置基準についての論議も、健康政策局は病院経営サイドの物を言う一方、薬事審議会を所管する医薬安全局は薬剤師サイドの物を言うというような構図ができ上がっているのではないかというふうに私は思うわけであります。
 医療関係者審議会令、医療法、薬剤師法等の見直しが必要な時期になっているのではないかというふうに私は考えるわけでありますけれども、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 今お触れになりましたこの医療関係者審議会令に定めております重要事項ということにつきましては、具体的にはいわゆる国家試験に関する事項、それからそれぞれの医師あるいはその他の医療関係者の処分に関する事項、この二つが具体的な事項でございます。
 今お触れになりましたように、薬剤師につきましては薬剤師法に基づいて同様のことが行われ、あるいは薬事法に基づく中央薬事審議会において同様の審議がなされているわけでございます。
 一方、薬剤師さんの医療における役割ということに関しましては、医療提供体制の全体の問題としては医療審議会で議論をしていただいておりまして、この中には薬剤師の代表の方も委員として入っていただいております。先ほど申し上げました病院の薬剤師の配置基準の問題につきましては、医療審議会の中で関係者が集まって議論をしていただいております。
 この身分法の関係において、確かにそれぞれの身分法が独立した法律としてなっておりますので、これを一緒にするというのはなかなか現実問題としては難しいんじゃないかというふうに私どもは考えております。ただ、医療の提供体制全体の問題として薬剤師さんも含めた議論の場というのは、先ほど申しましたように医療審議会の中で私は関係者の合意を得ながら進められているというふうに考えております。
○常田享詳君 私は、先ほど申し上げましたように、分業が進んだ現在におきましては薬剤師は業務行政から医療行政にそろそろ移っていい時期にあるんではないかということで、これは要望をしておきます。
 最後に、これも要望であります。厚生大臣に要望して終わりたいと思いますが、いわゆる介護保険制度と高齢者医療の問題であります。
 介護保険制度が導入されるその大きな理由は、一つは六十五歳以上のお年寄りにかかる医療費が非常に高くつくということで、介護と医療とを分けようということにあるわけでありますが、ここで大変心配されるのは、みなし末期、私も知らなかったんですが、みなし末期という言葉であります。みなし末期という言葉は、末期でない病態を末期とみなすということであります。要するに、介護保険制度が進んでいく中で福祉の部分が非常にウエートが高くなる一方で、本来高齢者の場合は若い人たちよりもより医療を必要としているにもかかわらず、医療の分野から切り捨てられてしまうのではないか。したがって、まだ末期ではないのに、いわゆるみなし末期という格好で、これはもう治療の対象ではないという格好で医療の中から排除されてしまう危険性があるということが最近指摘をされております。
 そういうことで、抜本改革、あわせて介護保険制度の導入、大臣、重要な課題を抱えて大変だと思いますけれども、介護保険制度の導入が高齢者医療の切り捨てにつながるようなことのないように、そこらあたりも十分配慮して進めていただきたい、そのことを切に要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。久しぶりに古巣に戻ってきたような気持ちです。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、私は今回の国民健康保険法の一部を改正する法律案について、先ほど常田委員は一言でせこい改正というふうなことをおっしゃったんですが、どうも今回の改正案の中身は説得力に乏しいというか納得しがたい中身になっているというふうに思います。もう少し私の考え方を的確に言えば、むしろこれは社会保障制度審議会が諮問を受けて答申をされた中身に非常に適切に表現されておりますので、あえてその表現を引用したいと思います。
 社会保障制度審議会は今回の改正について、「現行の老人保健制度の枠組みの中で、負担の公平化を図ろうとするやむをえない面もあることも否定できない。」と、非常に持って回った言い方をしています。また、「診療報酬の不正請求防止等、国民の医療不信を解消する方策も盛り込まれていることは評価できる」としつつも、総括的には、予算編成上の緊急措置的な面が強く抜本改革との関係も明確ではない、財政対策を優先した改正の繰り返しは国民の不信感を強めることになりかねないと指摘をしております。その上で、早期の医療保険制度の抜本改革あるいはそれにかかわっての情報公開を要請する中身となっています。
 私も、この法案に対して、基本的にはこの社会保障制度審議会の答申が極めて適切にそのことを指摘しているんだろうというふうに考えています。
 さてその上で、きょうは、先日四月三十日の当院における本会議の同僚の千葉議員の質問に対して総理あるいは厚生大臣からお答えいただいた部分について、とりわけ老人医療費拠出金の算定方法の見直しの問題どこれに引き続く抜本改正の課題に焦点を絞って幾つかお尋ねをしたいと思います。
 四月三十日の本会議における答弁では、例えば橋本総理は、財政構造改革法の改正とはかかわりなく必要な改正なんだということを申されました。また厚生大臣は、一つは平成七年の改正の附則において老人医療費拠出金の問題について三年以内を目途として見直すということが定められていたこととか、あるいは予算編成までの間に審議会でまとめていただいた論点整理を踏まえて政府としての改正案を作成した、こんなふうにお答えになっています。
 ポイントは二つあると思うんです。
 そこで、まず最初にお伺いしたいのは、平成七年の改正の附則において老人医療費拠出金制度の抜本的な見直しについて三年以内を目途にその見直しをするという附則がつけられたことについて、その経緯というか、そのときの、なぜそのような附則をあえて改正に当たってつけられたのか、この点の経緯についてまず御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 平成七年改正法の附則がつきました経緯についてのお尋ねでございます。
 平成七年の老人保健制度の改正は、それまで老人加入率の上限が二〇%ということになっておりましたのですが、これを超えますような保険者というものが非常に増大をしてきたというようなことにかんがみまして、老人加入率の上限を上げるというようなこと等を主な内容とするものであったわけであります。
 その際に、御指摘の附則の検討規定がつけられたということでございますが、今申し上げましたような内容の改正を当時の老人保健福祉審議会で御審議をいただいております際に、そもそもという形で老人医療費拠出金のあり方についてさまざまな御意見が出ました。老人医療費拠出金のあり方そのものを検討すべきであるという非常にいろんな御意見がございましたものですから、これを踏まえまして、老人拠出金の加入率上限といういわば老人医療費拠出金の枠組みの中における上限の改正ということをやりますと同時に、老人医療費拠出金制度につきまして広範な視点から検討を行うことが必要であるということを考えまして、そういった趣旨の規定という意味で平成七年の改正法の附則の規定を置きました。
 したがいまして、老人保健福祉審議会におけるそういった論議を踏まえまして、老人医療費拠出金制度について広範な視点から検討を行うことが必要だという観点から、これは改正法案の政府原案の段階から実はつけておったものでございます。
○朝日俊弘君 今お聞きしたように、平成七年の改正では、今の老人保健制度の仕組みそのものがもうもたなくなってきているというか、対応できなくなってきているという問題意識のもとに、とにかく老人医療費拠出金のあり方、算定方法も含めて、抜本的にというか基本的に見直す必要があるんじゃないかという問題意識だったと思うんです。ところが、なかなかその問題についてすぐさまに結論を求めることになりがたいということで、とりあえず抜本的に見直すそれまでの間、老人加入率の上限の段階的な引き上げでもって対応しようということで、平成七年、平成八年について段階的に引き上げるということが決まった、こういうふうに私は理解しているわけです。
 ですから、今回の改正の一つの項目として老人加入率の上限を引き上げるということは、いわばそのときの延長線上の話を今回一つ盛り込んだにとどまっていて、老人医療費拠出金の算定方法の仕組みそのものについて抜本的に見直す、そしてその答えを出すという中身には到底なり得ていないのではないか、今回の改正案は。
 そういう点では非常に、三年以内を目途として老人医療費拠出金制度の見直しを行うということについて、今回の改正ではまだほんの一部しか答えが出されていないのであって、大きな宿題が残っているというふうに私は理解をしておりますが、その点はどうですか。
○政府委員(羽毛田信吾君) この平成七年法の改正法附則につきましては、老人医療費拠出金制度について広範な視点から見直しが必要であるという観点での規定であるということからいえば、今回の改正がそのことの最終的な回答になり得ているかどうかという点については、先生今御指摘のような御意見は当然あろうと思います。
 しかしながら、老人医療費拠出金制度の検討ということについてはこれもまた幅広いものがございまして、やはり最終的には私どもの方も、平成十二年度をめどに医療保険制度抜本改革の一環として老人医療制度、あるいはその老人医療制度の現行の基本になっております拠出金制度というものを抜本的に見直していくということについては、それはそういうこととしてやっていかなければなりませんけれども、それまでの間におきましても、やはり平成七年の改正法の附則にございますように、その現行の老人拠出金制度そのものの基本的な枠組みはおいたにしましても、やはり公平化という観点から見ますと、その後の高齢化の進展等を考えますと、やはりその抜本までの間におきましてもその拠出金制度の公平化という観点からは見直すべき視点があるということで、今回の改正をお願いしているということだというふうに考えております。
○朝日俊弘君 そういう意味で、老人医療費拠出金制度全体の見直しの必要性が指摘されていて、それに、すべてというかその大半に答えを出すという中身ではないけれども、その一部として今回の改正があるということだと思いますが、逆に言えば、基本的なというか構造的な仕組みの問題はそのまま残っているというふうに私は理解をしております。そのことをまず確認をしておきたいと思います。
 では、その次に、小泉大臣がお答えになった二段目の問題なんですが、もう一つ、予算編成までの間に審議会でまとめていただいた論点整理を踏まえて政府としての改正案を作成したと、そして審議会にお諮りをしたと、こういうお答えがあったわけです。ちょっとそのお答えぶりではよくわからないのであえて実務的にお尋ねをしますが、小泉大臣がお答えになった予算編成までの間に審議会でまとめていただいた論点整理というのは、一体どこの審議会でいつの時点で取りまとめたものなのか、そしてその主たる中身は何なのかについてお尋ねします。
○政府委員(羽毛田信吾君) お尋ねの論点整理でございますが、これは新しく設置をいたしました医療保険福祉審議会の運営部会におきまして、昨年十一月から老人医療費拠出金の算定方法の見直しについて、その前の老人保健福祉審議会における審議をいわば引き継いで議論をいただいたわけであります。
 その際に、精力的に御審議をいただきまして、十二月十九日でございますけれども、この日に、「老人医療費拠出金について(論点整理)」という文書をおまとめいただきました。具体的に申し上げておりますのはそれを指しております。
 その内容でございますけれども、この内容といたしましては、まず、医療保険全体について抜本改革の検討を急ぐべきこと、高齢者医療制度についても当然抜本改革の検討を急ぐべきこと、それから老人医療費の適正化に徹底して取り組むべきこと、こういったことにつきましてはおおむね各委員の意見が一致したという形での論点がございました。そのほかに、いわば各委員の意見が必ずしも一致をしなかったけれども、それぞれの意見として出されたものも整理をされてございます。その中には、老人加入率の上限の扱いの問題、それから老人医療費拠出金の算定対象として加入者の範囲、どこまでを対象にするか、全国民という形がいいのか、あるいは稼得階層という意味で一定年齢以上というような形がいいのかといったような点、あるいは老人医療費拠出金によります調整の範囲、つまり高齢者御自身が払われる保険料といったようなものをどのように評価をするかといったような点、それから退職被保険者等に係ります老人医療費拠出金についての、今回の改正に盛り込んでおりますけれども、こういったことについての点等につきましては必ずしも意見の一致は見ませんでしたけれども、こういう論議をしたということで、それぞれの御意見を整理していただいたというものが今御答弁を申し上げました論点整理というものの具体的な中身でございます。
○朝日俊弘君 ですから、この医療保険福祉審議会の運営部会において老人医療費拠出金について一定の論点整理を行った、十二月十九日、大臣がお答えになったのはそのことを指している、こういうことでありますが、今御説明いただいたようにあくまでもこれは論点整理ですよね。ですから、例えばさまざまな具体的項目について次のような意見があったという形で、こういう意見もあったけれどもああいう意見もあったという形の論点をとりあえず整理した形のものにとどまっているわけですね。
 ですから私は、この論点整理を踏まえてという大臣のお答えの仕方はいささか気になるんですよ。つまり論点整理は、こういう意見もあったしああいう意見もあった、ある意味では対立するような意見も含まれているわけです。通常であれば、論点整理から審議会としての一定の審議を踏まえて意見を取りまとめて、意見具申とか建議とかそういうのが出されて、それに基づいて改正案を作成しましたと、通常こういう段取りになりますよね。少なくともこれまでの通常の法案作成のプロセスはそうだったと理解しています。
 今回は実はそれがないんですよね。平成十年度の予算編成までに、つまり昨年末までに関係審議会においてこの問題について何とか論点整理をし意見集約をしたいということでやってきたけれども、集約できないまま今回は法改正の作業に入ってきているというのが経過だったんじゃないかと思うんです。
 そういう意味で、大臣はこの答弁の中でさらっと予算編成までの間に審議会でまとめていただいた論点整理を踏まえてというふうにおっしゃいましたけれども、実はこの間のプロセスは通常のとるべき手順を必ずしも順調に踏んできてはいなかったという、経過がすぽっと抜け落ちているような気が私はするんですね。ちょっとその辺の経過について補足的にもう少し説明いただけませんか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 論点整理の段階で審議会における意見の一致を見ていなかった、そういうことにつきましては先生御指摘のとおりでございます。
 この問題につきましては、既に老人保健福祉審議会の時代からやってまいりましたけれども、拠出金そのものについてはいろいろやはりそれぞれの利害もございまして、なかなか意見の一致を見ることが難しいという問題でございました。そういう意味では私どもとしても残念ではございましたけれども、論点整理の段階では審議会として一致した意見を見る段階に至りませんでした。
 そのことを踏まえまして、いろいろに検討を私どもとしてはいたしました。その場合に、そういう意見の一致をしていないので今回何もやらないというのも一つの答えではあったと思いますけれども、そうすること自体がそれはそれで一つの、その意見の一方をとったという格好になるわけでございます。その際には、したがいましてこれは厚生省として判断をしなければならないということで、大臣のもといろいろ検討いたしました結果、やはり抜本改正までの間においても現行制度の中における公平化ということを考えたならば、やはりこれはやるべきであろうという判断をいたしまして、そこで改めて厚生省案という形をとりまして今度はこの審議会に諮問をしたわけでございます。それで諮問をしまして、運営部会におきまして一月二十九日に御答申をいただきました。この間五回の審議をいただきました。
 したがいまして、そういう意味では、論点整理の段階における一つの段階、そしてそれを踏まえて種々に検討をいたしまして厚生省としての一つの案を固めましたのが一つの段階、そしてそれを諮問申し上げてさらに審議会としての御審議をいただいて答申をいただきましたのが次の段階で、それを経まして今回御提案をいたしたような次第でございます。
○朝日俊弘君 結局、そういう意味で今回の改正案の作成プロセスは、必ずしも順調にというか望ましいプロセスをきちんきちんと踏んで改正案として取りまとめたということではなかったというふうに私は理解をしています。
 もうちょっとありていに言えば、要するに平成十年度の予算編成の時期が迫ってきている、しかし関係審議会ではなかなかまとまった結論が出ない、予算編成の作業がせっぱ詰まってきているので、結局のところ大蔵と厚生の両大臣の事前折衝で決めたということなんじゃないかというふうに私は思うんですが、この認識について間違っていますか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 論点整理をいただきますまでの議論の間におきましても、確かに先生おっしゃるように、抜本改革が行われる間においても公平化の観点に立った改正は行うべきである、むしろ国保関係者はこれでは不十分でもっとやるべきであるというような御意見もありましたし、それから被用者保険サイドのように、抜本改正を待ってやるべきであって、今回こういう形で改正をすることについては慎重であるべきだという御意見の両方ございました。
 したがって、両方の接点が完全に求められるという状態まで行けなかったことは私どもとしても大変残念でございますけれども、しかし、そういう中で厚生省として、この十年度どうしていくかという判断をそこでやはりしなければならないという段階でもって先ほどのようなことで判断をして、再度審議会に御諮問を申し上げて答申をいただいて出させていただいたということでございます。
 その間、完全にいつも意見が一致していなかったことは残念だと思いますし、私どもの方でその間における努力をもっとすべきであったという御指摘についてはそれは甘んじて受けなければなりませんけれども、そのようなことだというふうに思います。
○朝日俊弘君 今後の医療保険制度の抜本的な改革についての審議を進めることを考えてみても、去年からことしにかけての関係審議会における議論のされ方というのは、私は率直に言ってやや反省すべき部分があるんじゃないかというふうに思っています。そういう経過があった、したがって、今回の改正案を取りまとめるいきさつとしては必ずしも望ましい手順を踏んでまとまったものではなかったという事実があったことは、あえてここで確認をしておきたいと思うんです。
 さて、この老人医療費拠出金のあり方の問題については、実は先ほども取り上げましたように、平成七年の法改正のときにあえて附則を付した形で問題が取り上げられています。しかも、その後、当時の老人保健福祉審議会が平成八年十二月に意見書という形で取りまとめて、ここでも老人医療費拠出金の算定方法のあり方について抜本的な措置が講じられる必要がある、こういうことが意見書として取りまとめられています。
 さてそこで、平成七年あるいは平成八年、さまざまな形で附則がつけられたり、あるいは審議会からの意見書が出されたり、そういう経過があって老人医療費拠出金の問題についてさまざまな検討がその後も進められてきていると思いますが、現時点で一体何が問題になっていて、問題はどの程度合意されてきているのか、それとも、相変わらず従来のままの対立構造が引き続いていて、その溝はほとんど埋まっていないのか。その後の検討の経過あるいは現時点での到達点みたいなところについて、少し内容も含めて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人医療制度をめぐりましては、現在の仕組みのままではそろそろ全体として限界に達しているのではないかというような意識については、各審議会等におきましても委員の皆さんの大分共通した認識になってきているという感じがいたします。そういう意味で、抜本的な改正が必要であるという点についてはほぼ一致した考え方でございます。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
 それからもう一点、どういう制度で負担制度を考えるにしましても、現在の老人医療費の伸びというものをこのまま前提にしていったのでは、今後の負担ということについて後々大変である。したがって、老人医療費をいかに適正なものにし、効率的な形にするかという点についての努力というものは制度論とあわせて必要であるという認識につきましては、それぞれ濃淡はございますけれども、同じような認識に立っておると思います。
 それで、そうした中で、今度は具体的にそれをどういう形で負担し合うかということにつきましては、各論については正直申し上げましてまだ諸案がございます。ただ、やはりその際に若年世代と老齢世代、こういった世代間の負担の公平といったようなことをきちっと考えた上でやっていかないと、将来的に安定していく制度としてはもっていかないというような点についてはほぼ共通した認識があると思っております。
 そうしたことで考えますと、やはり今後の方向としていえば、高齢者につきましても一つの自立自助の考え方に立ってしかるべき負担を願った上で、その残りについて公費なりあるいは芳年世代のどういう形にしろ支援なりというものを含めた形で老人医療費というものを支え合っていく、そういった制度、仕組みというところについては共通認識がございますけれども、それじゃそれを具体化したものをどういうふうにするかということにつきましては、これも幾つかの案がそれぞれ出ておりますから、そういう意味では論議が進んでおるとも言えますけれども、その案のうちで、これについて議論が集約をしてきているというところまでは現在いっていないのが状況でございます。むしろ、いろいろな諸案が現在出されているという状況でございます。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
○朝日俊弘君 そういう現状というか到達点だということでいきますと、では関連してちょっとお尋ねしておきたいんですが、老人保健制度全体の抜本的な見直しをずっと突き詰めていきますと、どうしても医療保険制度全体の再構築あるいはその中における新たな高齢者医療保険制度の創設などという課題にもつながってくる話だと思うんです。
 現時点において、医療保険福祉審議会においてはこの問題はどこまで審議が進んでいますか、そして今後どんな予定ですか、そのタイムスケジュールだけ確認しておきたいんですが。
○政府委員(羽毛田信吾君) 医療保険福祉審議会におきましては、医療保険制度の抜本改正に向けての審議を今企画部会というところで進めていただいております。ここにおきましては、まず診療報酬の問題、そして薬価制度の問題、これを今整理いただいております。企画部会自体のいわばスケジュールとして、それに引き続いて高齢者医療制度の問題を論議しようということでスケジュールには載っておりますけれども、まだ今日ただいまは診療報酬の問題、薬価の問題を議論していただいております。これは引き続いて高齢者医療の問題をやっていただくということになってございます。
 なお、もちろんこの審議会における具体的な審議に先立ちまして、去年の場面では、先生よく御案内のとおり、審議会における議論、そして与党における議論を通じまして高齢者医療制度を含めました一つの試案、厚生省もその間において一つの試案を打ち上げるというような段階が去年ございましたことは御案内のとおりでございます。
○朝日俊弘君 現時点ではまだいつからどのように審議会での審議を始めるのかについては確定的ではないようですが、先ほど来申し上げているように、もう随分前から老人医療費拠出金制度のあり方を含めて老人保健制度の抜本的な再構築の問題というのは課題になってきていますし、ここのところを避けて通るような抜本改革はないだろうというふうに思っていますから、ぜひそういう審議を今後さらに促進する方向での御努力をお願いしたいというふうに思います。
 さてそこで、ちょっと戻りますが、先ほども若干指摘をさせていただきましたけれども、どうも今回の改正案について、関係する審議会等々での意見の一致というか、あるいは合意形成というか、これが十分になされてこなかったということのために、随分といろんな関係者の方から今回の改正案の取りまとめの作業あるいは平成十年度の政府予算案の編成のあり方について批判が出されていることは御承知のとおりであります。
 例えば、その一つを紹介いたしますと、日経連、連合、それから健保連、この三者が共同声明という形で「平成十年度医療費関連予算案に対する共同声明」というのを去年の十二月二十二日に出しております。御存じだと思います。ここではこんなふうに書かれています。
 平成十年度政府予算案の編成に当たり、老人医療費に対する国の負担を被用者保険に転嫁する一方、二%を超える医療費の大幅な引上げを決定した。この決定は、医療保険福祉審議会並びに中央社会保険医療協議会における審議を無視し、正当な手続きを欠いた一方的なものであり、医療制度及び医療保険制度の抜本的改革を遅らせるその場しのぎに他ならない。
冒頭にこういうふうに共同声明では指摘をされております。
 こういうふうな指摘を受けながらの今回の改正案の取りまとめというのはやはり問題があるのではないかというふうに私は思いますが、この点、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 今、先生お読み上げをいただきました被用者保険サイドの御意見は、そのとおり私どもの方も承知をいたしておりますが、一方において国民健康保険サイドからは、今回の改正でもまだ公平化という意味ではいわば生ぬるいということで、もう少し進めるべきであるという御意見があったこともまた事実でございます。
 しかし、そうした中で、いわばこなれという意味では両方の意見がまだ非常にあるという段階であったことにつきまして、またそういうことが十分こなれなかったことにつきましては私どもとしても非常に残念なことだというふうに思っておりますし、今後の抜本改正に向けましてもそういった関係者の意見の一致を見る努力というのは当然いたさなければならないと思います。
 今回の改正につきましては、今御答弁申し上げておりますのは老人医療費の拠出金にかかわる部分についてでありますけれども、先ほど来繰り返しておりますように、現行制度の中におきましても既にその後の高齢化の進展におきまして、例えば加入率上限というようなところをとってみましても、二五%という現在のまま置けば、既に全保険者の四〇%になんなんとする保険者がその上限に張りついてしまう。つまり、上限に張りついた保険者につきましては、いわゆるみんなに公平に持ってもらうというルールの中からいうと、いわば例外的にそれが制限をされるという、そのところになってしまうという点について、それをそのまま置いておくのがいいであろうかというようなことを考えますと、やはり今回この改正は必要であろうということでお願いをしたことでございます。
 今後の抜本改正等の審議におきまして十分な論議をしていただく、そういったことについての努力をしなければならない、これは当然として、今後ともそういった姿勢で臨みたいと思いますけれども、今回の改正につきましては、そういったことでお願いをしておるものでございますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
○朝日俊弘君 大臣の答弁の具体的な中身についてずっと経過をいろいろお聞きしてきたわけですが、今回の改正案については正直言って経過はいろいろあって、先日も大臣はその経過については述べられているんですけれども、今回の改正案の本当のねらいというか意図というか、動機は何なのかというのが極めてやっぱり不明確なんです。逆に言うと明確なんです。財政構造改革法の縛りの中でこれをしなきゃいけなかったんだというふうに私なんかはすとんと考えちゃうんですけれども、逆にそうでないと言えば言うほど、じゃ何で改正するのかというところが物すごく不明確になっちゃうんですね。何を意図して出してきたのか、しかも、あえて抜本改革の前のこの時期に出してきたのかということがどうもすとんと落ちないわけであります。
 この間の幾つかの質問のやりとりを含めて、一体今回の改正案では、経過ではなくて改正案で一体何をねらっているのか、あるいはどういう動機に基づいて今回の改正案を提出されたのか、しかもこの時期に。この点について改めて大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 明確なのは、高齢者医療費をだれが負担するのか。あちら立てればこちら立たず、保険という制度は、現役世代だけの保険集団を考えれば、自分たちは何で高齢者の負担までしなきゃならないんだと。高齢者の多い集団は、高齢者が多ければ医療費がかかる、その中には、当然若年世代も入っている、その保険集団だけ負担させていいのかと。結局のところ、保険制度の原点に立ち返る問題じゃないかと思うんです。
 この医療保険制度というのは、病気にならない人にも負担してもらわなきゃならない。何回もお医者さんに行く人もかなり低い負担で医療のお世話になりたい。それではこれをどうやって公平化するかと。ある人から見ればほかが公平だと絶対不公平だと思う人は出てくると思います。例えば、自分たちは診査もきっちりやっている、健康管理もしている、若い保険集団の方にとってみれば、自分たちはこんなに病気にかからないように努力をしているのに、余り努力しない集団と一緒にされるのは迷惑だという方もいるでしょうし、もう自分たちは若くはない、幾ら努力してもやっぱり病院には行きたがる、行かなきゃならないという集団にとってみれば、それを全部おれたちに負担させるというのは無理じゃないか、やっぱりどこかで、国民全体で給付と負担の均衡を図らないと保険制度というのは成り立たないんじゃないかという議論は今まで全部あったんです。
 ところが、現行の集団から見れば、できるだけ負担は軽くしていきたいという共通の理念がある。それをどうやって調整するかというのは、現在の法案でもそうですし、抜本改革でも私は同じだと思うんです、基本的には。だから、厚生省で出した第一案、第二案、二つの案を出しましたけれども、これについても、結局のところ、病気にかからない人にもある程度負担してもらわなきゃならない。何回も病気にかかる人もできるだけ低い自己負担で、また低い保険料で済ますことができるような保険制度の改革を望んでいる。そういう中での改革でありますから、私は、この問題は現在の法案においても抜本改革においても、高齢者も若い世代も全体でどうやって納得のいくような給付と負担の均衡を得るかということに尽きるのではないかと思っています。
 この問題は今まで利害が対立してできなかったんです。今回もそうです。利害が対立しています。しかしながら。保険制度というのは、全然恩恵を受けない人でもある程度負担してもらわなきゃ保険制度は成り立たないわけです。その点をどうやって調整していくかというのがこれからの
 私は課題だと思っております。
○朝日俊弘君 あえてもう一度伺います。
 私がお尋ねしたのは、大臣がおっしゃったような基本的な考え方、あるいはある意味では哲学を踏まえてこれからの高齢者医療について新しい医療保険制度の仕組みをどう構築していくかということについて言えばおっしゃるとおりだと思います。同感です。
 ただ、私がすとんと落ちないのは、その抜本改革の前にあえてこの改正案を出した。先ほど常田委員はせこいというふうにおっしゃった。私は極めて不十分で説得力に乏しい改正案だというふうに申し上げた。その抜本改革の方向を既に去年の八月には幾つかの試案も含めて示して、そういうタイムスケジュールに入ってきているのに、なぜこの時期にあえてこのような改正案を出したのか、それがどうつながるのか、下手をすると抜本改革の方向をゆがめることになりはしないかという危惧も含めて、私は今回の改正案が今出されたことについてすとんと落ちないと、こう申し上げているんですが、その点もう一度大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 確かに、一方から見れば小手先だという批判はあると思います。だからこそ抜本改革をしなきゃならないという雰囲気が生まれてきたんじゃないでしょうか。こういう改正じゃもう済まないと。私は、国保から見れば不十分だと、健保から見れば不十分だと、両方あると思います。これではもうやっていけないのではないかと。なおかつ、それでは財政状況を考えなくていいのか。とんでもない。増税は嫌だ、国債増発は嫌だ、患者負担がふえるのは嫌だ。どういう改正があるんでしょうか。にっちもさっちもいかないからこれは抜本改正をしなきゃならない。
 財政状況が厳しいという状況はこれからずっと変わりません、当分、何十年先。財政をふやしていいという改革ならまだ楽なんですけれども、この状況は今後私は変わっていかないと思います。財政状況が厳しい中で、もうお金が使えないという中で今あらゆる改革をしなきゃならない。単に医療費だけじゃないと思います。そういう中での改革だということを私はぜひとも御理解いただきたいと思います。
○朝日俊弘君 これ以上お尋ねしませんけれども、ただ一点、どうしても指摘しておかなきゃいけないんですが、今回の改正案が出されてきて、それがさまざまな議論を呼んで、だから抜本改革が必要なんだということになってきているというのはそれはおかしいです。うそです。
 むしろ、去年の通常国会で健康保険法等の改正案を出して、そのときには専ら患者さんに自己負担を強いる、それで何とか健保財政の当面の危機をクリアしなきゃいけないということでやった。そのときにさまざまな議論がされて、ただ患者負担だけで財政のやりくりをするような改正ではだめだ、むしろ医療及び医療保険制度全体の抜本改革こそが必要なんだという議論から話が来たのであって、今回の改正案が議論されたから抜本改革をという話とは違うということ、スタートは去年の通常国会での議論にあったということは改めて私は指摘をしておきたいと思うんです。
 そういう意味からいうと、私が申し上げるのは、今回のようないわば小手先の改革、改正案をするのではなくて、むしろストレートに、去年の通常国会から、そしてその宿題を八月に厚生省なり与党三党がまとめた、それを踏まえて、それにストレートになぜいけなかったのか。そこにいかない前段に何かよくわからない、とりあえず財政上のやりくりだけこれでまたつけようかという改正案を出してきたところについて腑に落ちないということを申し上げているわけです。その点は私の意見として申し上げておきたいと思います。
 それでは、ちょっと時間がなくなってきましたので、あと一点、これまで余り議論してなかったんですが、この老人医療費拠出金の問題とかかわって、今回退職者医療制度で国保の方と二分の一、二分の一で負担をしようじゃないかという改正が出されていますが、このような改正案を取りまとめられた根拠といいますか、理由、理屈といいますか、これについてお尋ねしたいわけであります。
 率直に言えば、何で二分の一、二分の一にしたのか、結局は足して二で割ったんではないかという気がせぬでもないんですね。だから、これはそれなりに理由あるいは根拠があっての二分の一なのか、それともさまざまな協議の中でやむを得ず妥協的産物として二分の一になってきたのか、ちょっとその根拠についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 今回、退職者医療制度に伴う老人医療費の拠出金の見直しをお願いしているわけでありますが、この退職者医療制度ができた当時と現在とではやはり大分状況が変わってきているということが一つあります。
 退職者医療制度ができたときには、これが改正前の制度でありますが、退職者の必要とする保険給付費、それからまた退職者の方は市町村の国民健康保険に入りますから、国民健康保険に保険料を納めております。それぞれを区分経理しておるわけでありますが、その差、これは保険給付費の方がはるかに大きいわけでありまして、その差についてはこれは被用者保険のOBということから被用者保険全体で負担をする、こういう制度であるわけであります。その中で、当時から老人医療費拠出金の負担をどうするかという問題は当然やはり考えていかなきゃならない要素でありましたけれども、まだ退職者の方の市町村国保に占める割合というものも現在ほど大きくはなかったというような問題がございました。
 そういった中で、当時スタートしたときには退職者に係る老人医療費拠出金、要するに老人医療費拠出金というのは国民がそれぞれひとしく負担していこうという基本理念に立っておるわけでありますけれども、退職者の人もそういった意味では老人医療費拠出金を負担していただくわけでありますが、この分につきましては退職者医療制度の中では負担をしておりませんで、いわゆる市町村国保の加入者の方々がその分を負担している、こういうような姿、形になっているわけであります。
 今回の老人医療費拠出金の見直しの中でさらに負担の公平化ということをお願いするということであったわけでありますが、そうだとすれば、退職者の方も老人医療費拠出金についてやはりそれそれ御負担いただくというのが、これが一つの公平化という考え方が成り立つわけでありますけれども、一方、そういった場合にこれを被用者保険サイドで御負担いただくことになるわけでありまして、そういった中でこれをどうするかということであったわけであります。
 委員御指摘のとおり、なぜ二分の一なのかということについて算術計算的にぴたり出るということではないと、はっきり申し上げてそういうことであるわけでありまして、今回なぜ二分の一にそれではしたのかということでありますけれども、これは国保サイドとしては全額退職者医療制度で、ということは結局被用者保険サイドでということになるわけでありますが、負担すべきではないかという意見がありますし、それから被用者保険サイドからすればやはりそれは退職者医療制度そのものを根本的に考え直さなければいけないのではないかという議論があるわけであります。そういった中で、今回二分の一をお願いしたわけであります。
 これは一つには、やはりこの辺のところをどう考えるかということにつきましても、与党内におきまして十年度の予算編成に当たっていろいろ御議論がありました。その中における一つの合意といたしまして、退職者に係る老人医療費拠出金につきましては二分の一について退職者医療制度において負担していただいてはどうかと、そういった合意ができたわけでありまして、私どもとしてもそういった合意も踏まえて二分の一ずつ御負担いただくということにさせていただいた、こういうことでございます。
○朝日俊弘君 もう時間がなくなりましたので、続きは、また多分これからも何回かごの委員会はあると思いますから、後に残したいと思います。
 ただ一点だけ、私は、変に二分の一、二分の一というふうなルールを決めたことが後に障害になってひっかかってこないかということを心配しております。むしろ退職者医療のあり方については、例えば退職後から新たな高齢者の医療保険制度の対象となる年齢までの間、それが五年になるのか、十年になるのか、十五年になるのか、その部分をどうするかというのは、思い切って突き抜けてやれという議論だってあり得ると思うんです。
 そういう意味で、私は今回のこの二分の一負担というのはいささか中途半端な制度改正を抜本改革を前に小手先的にやってしまったのではないかという印象がぬぐい切れないということだけ指摘して、質問を終わります。
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男です。
 今回の国民健康保険法等の一部を改正する法律案に関しまして質問させていただきます。最初に、過剰病床の適正化に関する点について質問させていただきたいと思います。経済企画庁の方で去る五月三日に、新国民生活指標、通称豊かさ指標というものを公表されました。この豊かさ指標というものは、国民生活を多面的に把握するとともに、地域社会の生活実態や特徴、特色をとらえ、国民生活の質的向上に寄与することを目的として作成された生活統計体系であると。すなわち、生活に関連する多くの情報を個人の生活感覚をもとに体系的に整理して数量化したものである、個人の生活感覚をもとにした統計というような表現になっております。
 その中に「癒す」という項目がありますけれども、その「癒す」という項目が国民生活の豊かさという点でどのような指標でどのように評価されたのか、その点に関しまして経済企画庁の方から御説明をいただきたいと思います。
○説明員(太田清君) 先生御案内のとおり、新国民生活指標を私どもで作成しておりますが、この指標は国民生活を多面的に把握するということを目的としておりまして、それを生活に関連する多くの情報を個人の生活感覚をもとに体系的に整理して数量化したものでございます。今挙げられましたように、この国民生活指標は実は八つの活動領域を設定しておりまして、具体的には、「住む」「費やす」「働く」「育てる」「癒す」「遊ぶ」「学ぶ」「交わる」ということでございます。「癒す」は、この八つの活動領域のうちの一つということでございまして、これは国民生活を多面的に把握するという観点から設けているものでございます。
 この「癒す」の分野につきましては、医療、保健、福祉サービス等の状況について合計二十個の統計指標を採用しておりまして、具体的には例えば一般病院病床数、保健医療費への支出割合、平均余命、身体障害者更生援護施設定員数等でございます。このように「癒す」の分野につきまして二十個の指標を採用して、さまざまな面からこの「癒す」の分野の把握に努めているということでございます。
○渡辺孝男君 今お話がありましたけれども、例を挙げますと、一般病院病床数あるいは保健医療費への支出の割合、入院患者率というような三点に関しましては、これはそういう数値が出てきた場合にどういうふうに評価をしたのでしょうか。その点に関しましてお答えいただきたいと思います。
○説明員(太田清君) この「癒す」の分野では、今申し上げたとおり合計二十個の指標を採用しておりますが、その二十個の指標を採用することによって、医療、保健、福祉サービス等をさまざまな面からとらえたものとなっているということでございます。
 個々の指標としては、例えば平均余命というものを採用しておりますが、これは長ければ長いほどよいという観点から、この「癒す」の分野全体の指標に対してはプラスに寄与する指標として採用しているということでございます。それから、先生御指摘の保健医療費への支出割合でございますが、これにつきましてはその割合が高い場合は「癒す」の分野にはマイナスに寄与する指標として採用しております。また、もう一つ御指摘の一般病院病床数でございますが、これは具体的には厚生省の医療施設調査・病院報告のうち人口十万人当たりの一般病院の病床数という指標でございますが、ここではこの指標の値が大きいほど個々人にとっては受療の機会が多いという面があることに着目いたしまして、「癒す」の分野にプラスに寄与する指標の一つとして扱っております。
○渡辺孝男君 もう一つ入院患者率がありましたのですが、今回は病床数に関しまして質問させていただきますので、これは省いても結構であります。
 そういうふうに経済企画庁の方では個人の生活感覚をもとに「癒す」という分野での豊かさを評価したわけでありますけれども、一般病院の病床数に関しては多ければ多いほど個人の生活感覚からすればありがたい、「癒す」という意味では充実しているというふうに評価されているわけでありますけれども、このような評価に関しまして厚生省としてはどのように考えられますか。その点に関しまして厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 今、経済企画庁の方からお話がございました新国民生活指標の中の「癒す」の項目についての一般病院の病床数の評価ということでございます。
 新国民生活指標の中での病床数の評価というのは、今お話がございましたように、いわゆる病院に対するアクセスというか、そういうものを評価してプラスの評価をしているというように理解をしております。ただ、医療計画につきましては一定の数式に基づいて必要病床数というものを算定するわけでございます。したがって、いわゆる国民生活全体の評価を行うという観点からいろいろな指標を使う、その中に病床数を指標の一つとして使うということと、医療機関の適正な配置というものを政策的に行っていく、そのために必要病床数の算定を行うということとはおのずとやはり性格が違うのではないかというふうに考えております。
○渡辺孝男君 国民の経済という面を考えなければ、国民としてはなるべく医療機関は数が多くて自分でよい医療機関を選べるような環境が望ましいということの一表現なのかなというふうにも私は解釈するわけでありますが、そういう意味ではやはりいろんな意味で質的にも数的にも適切な配置というのが必要であるというふうに考えます。
 この統計に関しまして、また違う統計の指数も出ておりまして、昭和五十五年から平成七年あるいは八年までの時系列的な経過を追った中に、成人病死亡率とそれから入院患者率がともに高くなっているということが示されております。その原因に関しまして、厚生省の方からどういうふうに解釈されるのか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) この新国民生活指標の中で取り上げられております成人病死亡率あるいは入院患者率、これはいずれも厚生省の人口動態統計、あるいは厚生省の医療施設調査、あるいは病院報告をもとにして算定をされているというふうに理解をしております。
 成人病死亡率につきましては五十年代後半からずっと上昇しているということでございますが、その要因というお尋ねだったと思いますけれども、やはり一般的に疾病構造が変化をしてきている。その中で成人病、最近では生活習慣病というような呼び名で言っておりますが、生活習慣と密接な関係を持ったそういういわゆる成人病がふえてきている。がんとか循環器疾患。その背景としては、一つは人口が全体として高齢者がふえてきているということも一つ要因にあろうかというふうに思っております。
 また、入院患者率が上昇しているということでございますが、この数値そのものは、御承知のように、ちょっと細かい話で恐縮ですが、一般病院に在院中の患者延べ数の一日平均延べ数を示す指標でございますけれども、これもやはり老人の場合には入院期間が長いあるいは入院の割合が高いというようなこと、それから病床数が全体としては昭和五十五年と比べればふえてきているといったようなことも一つの要因だろうというふうに分析をしております。
○渡辺孝男君 経済企画庁の方への質問はこれで終わりますので、どうもありがとうございました。
 次は、厚生省の方にだけ質問させていただきます。
 今、入院患者率というのは病床数がふえてきたためというのが一因であるというようなお話もありましたけれども、今回の本改正案では、都道府県知事が医療法による病床過剰地域に対しまして、病院あるいは療養型病床群を有する診療所の病床の全部または一部について保険医療機関の指定を行わないことができるということが法案の中身の一つであります。この医療法における必要病床数の算定方法と、それに基づきます現在の各分野別の必要病床数についてお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 必要病床数の算定方法でございますが、この基本的な部分といいますか考え方としては、まず一般病床につきましては各都道府県におきます二次医療圏ごとに算定をすると、それから精神病床及び結核病床につきましては都道府県の区域ごと、都道府県単位に算定をするということでございまして、その算定の方法としては、性別、年齢階級別の人口、それから性別、年齢階級別の入院率、それからそれぞれの区域の流入患者、あるいはそこから出て他区域で受診をする患者、いわゆる流出患者、こういうものを勘案して必要病床数を算定しております。
 それで、現在の必要病床数でございますが、一般病床につきましては昨年の三月末現在で全国で約百二十万六千床、それから既存の病床数が同時点で約百二十五万三千床。それから、精神病床につきましては、必要病床数が三十四万六千床、既存病床数が約三十六万床。結核病床につきましては、必要病床数が二万六千八百床、既存の病床数が約三万床というふうになっております。
○渡辺孝男君 必要病床数から見れば、一般病床、精神科の病床、それから結核病床、いずれもオーバーしているというようなお答えであったと思いますけれども、先ほどの成人病の死亡率が上がってきているというような統計もあったことを考えますと、やはり時代が変わってきますと、少子・高齢化の影響、それから疾病構造の変化、それから国民の健康観の変化、そのようなものもありまして、入院をされる場合もいろいろ時代に応じて変わってくるのではないかと。
 例えば、現在は急性期の病気よりもやはり慢性期の治療のための病床が必要になってくるとか、あるいは救命救急のための病床も当然必要なんですけれども、医学的な国民の健康観からすれば、人生の質を勘案したような病棟、例えばホスピスの病棟みたいなものも必要とされてくるというようなことであると思います。それから、今後、治療という面を重視するよりは、やはり予防とか保健を重視するような、そういう国民の健康観になってきているんではないかなというふうに思うわけであります。
 そういう意味では、今までの病床の算定のグループ、一般病床、精神科の病床、結核の病床というような粗い病床の立て分けではやはり時代に合わなくなってくるのではないか。やはりもう少し違った立て分けも必要になってくるのではないか。一般病床につきましては急性期病床と慢性期病床ぐらいに分けまして、それでどれくらい必要なのかというような観点で必要病床数を算定する。あるいは、難病の患者さんもおられることでありまして、よく難病の患者さんの入る病床がないというような訴えも多いわけでありまして、難病用の患者さんの病床はどれくらい必要なのかということもまたきちんと計算していく必要があるのではないかというふうに考えるわけです。
 このような疾病構造とか少子・高齢化の影響とか、また国民の健康観によって求める病床、どういう病床が必要なのかというような変化にも応じた必要病床数の見直しというものも当然これから先必要になってくると思うんですが、この点に関しまして厚生省の今後の取り組みについてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 今の必要病床数の考え方なり算定方法を見直すべきではないかというお尋ねだと理解をいたしました。
 幾つか具体的な例をお触れになりましたけれども、私どもとしては、基本的にはやはり一般病床とそれから精神、結核というこの三つの大きな分類というのはこの方向で行くべきではないかと思っております。
 ホスピスの問題ですとかあるいは難病の問題という例示をお話しになりましたけれども、やはり現在の一般病床というのは余り細分化をしてそれぞれの目的別の病床にしていくということになりますと、現場での医療を行うに当たって、それが逆に言えばある意味では規制そのものでありますから、規制の強化ということにもなりかねませんので、やはりある程度大まかな分類というものは残しておく必要があるのではないかと。
 ただ、その中で、既に行政改革委員会の規制緩和小委員会の中でも指摘をされておりますが、一般病床について急性期の病床と慢性期の病床という形に分けるべきであるということ。また、同様の指摘は与党の医療保険制度改革協議会でも御指摘をいただいております。そういうような御指摘を踏まえまして、この必要病床数の今後のあり方ということに関しましては、厚生省の中に検討会を設置いたしまして、急性期の病床、慢性期の病床ごとの必要病床数の算定の方法、あるいはいわゆる平均在院日数を全体として短縮していくというような前提での算定方式ということについて検討をしているところでございまして、医療制度全体の改革の中でそういう検討を進めてまいりたいと考えております。
○渡辺孝男君 必要病床数と密接に関係してくると思うんですが、また国民の健康観の変化あるいは疾病構造の変化、これにも非常に関係してくると思うんですけれども、こういう医療提供体制の職種の方、医師、歯科医師、看護婦さん、薬剤師さん、さまざまおられるわけでありますけれども、今後のそういう需給体制に関しましての見通し、それから養成のあり方等に関しましてお伺いしたいと思うんです。
 今まで医師数に関しましては、医師会それから厚生省の方でも少し削減の方向というふうな形で動いているわけでありますけれども、歯科医師会の方もそのような方向で動いていると理解しております。ほかの医療関連のそういう職種の方の今後の需給見通し、養成の見通しに関しまして厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 需給の見直しというか見通しについてのお尋ねでございます。
 先生お触れになりましたように、医師、歯科医師につきましては改めて現時点での需給の見通しについて再検討するということで、現在それぞれ専門の委員会を設置しまして、将来の需給についての検討をいたしております。近く報告書をまとめていただくということで考えておりますが、将来的には供給が過剰になるのではないかというような方向で議論が進められております。
 それから、薬剤師につきましては、免許を取得した後の就業状況、今後の医薬分業の進展、それからいろいろ議論されております資質向上というような、こういう施策とあわせて考えていかなければならないというふうに考えております。
 また、看護婦につきましては、既に平成十一年末を目途にした需給計画というものが示されておりまして、それに基づいて現在看護職員の確保対策というのが進められているわけでございますが、現在の状況を踏まえて今後改めて看護婦の需給については検討していかなきゃいけないというふうに考えております。
 その他の職種、今申し上げた以外に、例えば作業療法士あるいは理学療法士につきましても、数年前に需給計画を設けた際、将来的には不足が予測されるということで養成数の確保を図っておりますが、ほぼ需給のバランスがとれてきたというような状況だというふうに今認識をしております。その他、臨床検査技師、例えば放射線技師等につきましては、現在は具体的な検討はしておりませんが、今後また必要に応じそういう検討はしてまいりたいというふうに考えております。○渡辺孝男君 大部分の医療職種については、これからのいろいろな変化、抜本改革も影響してくるんだとは思うんですけれども、検討中というお答えが多かったわけです。先ほどの病床数に関しましても、医療を受ける国民の側からは多くて質がよくて受療の機会がふえる方がありがたいというような希望でありますけれども、そういう国民の患者側、医療を受ける側のニーズにも適切にこたえられるような需給体制というのを整えていくべきではないかなというふうに私は考えております。
 今回の法案では、知事が過剰病床に対しまして勧告を与えることになっております。この過剰病床に対する勧告ですけれども、機械的に病床が過剰であるということですぐに勧告につながっていくのか、あるいはまた何らかの別の因子を考慮して勧告に至るのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 医療法によります勧告は、「医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合」ということで、その際、都道府県医療審議会の意見を聞いて知事が行うとされております。この「医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合」ということは、具体的には既存病床数が必要病床数を既に超えている場合、あるいは必要病床数を超えることとなる場合を言うというふうになっているわけでございます。
 ただ、例えば高度ながん治療施設ですとかあるいは小児医療など、特定のその地域に必要な医療を提供する病床につきましては、この医療計画の中でも特定病床制度あるいは特例制度というものによりまして勧告を行わない場合があるというふうに規定をしておりまして、既存病床数を超える場合すべてについて機械的に勧告を行うという仕組みにはなっておりません。
○渡辺孝男君 やはり住民あるいは地域のそういうニーズに応じて考えて、機械的な勧告という形ではない方が望ましいのではないかなと、私もそのように思います。
 それで、知事さんがそういう勧告を行う場合に、都道府県の医療審議会からの意見を参考にしてというお話でありましたけれども、この都道府県医療審議会のそういう判断の根拠といいますか、勧告をするかしないか、どういう場合にしたらいいのか、そういう判断の根拠みたいなもの、あるいは原則みたいなものがあればお聞きしたいということと、審議会の議論の内容みたいなものは情報公開がされているのかどうか、その点の現状をお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 判断の根拠は、先ほど申しました医療法三十条の七の規定に基づくわけでございまして、具体的には既存病床数が必要病床数を既に超えている場合、または必要病床数を超えることとなる場合ということでございます。
 ただ、いずれの場合におきましても、都道府県医療審議会の意見を聞くということでございますが、都道府県医療審議会の審議につきましては、これを公開とすべきか否かということはそれぞれの県段階の審議会において決定すべきものだというふうに考えております。ただ、私どもとしては、こういう時代でございますし、できる限り手続の透明性を確保するという観点から、今御議論がありますような医療計画の策定等の政策決定にかかわる審議については公開することが望ましいと考えております。
 私どもが調べた範囲では、現在検討中のものも含めて十八の都道府県の医療審議会が既に公開をされているというふうに承知をしております。
○渡辺孝男君 現在、十八の都道府県がそういう情報の公開をされているということでありますけれども、やはりなるべく国民にわかりやすいような情報公開をしながら、過剰病床かどうかという判断が国民にもわかるようにしていただいた方が望ましいのではないかと思います。
 この点に関しまして、厚生大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 各都道府県の審議会が基本的には決定する問題だと思いますけれども、これは私もまた省としてもできれば審議会というのは公開が望ましいということを言っているわけでありますので、そのような形で各審議会あるいは審議委員の方々も考えていただければいいなと思っております。基本的にはむしろ公開を進めていくという方針で臨んでいきたいと思っております。
○渡辺孝男君 今回の四月から、療養型の病床群の中に診療所にも療養型病床が認められるということになりまして、まだ恐らく四月から始まったばかりですので診療所に属する療養型病床群というのはどれくらいになったかというのは統計的にはあらわれていないのではないかなと思いますけれども、これまでの病院内のそういう療養型病床群というのはどのような経過でふえてきているのか、その点に関しまして現状をお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 療養型病床群の状況についてのお尋ねでございますが、平成十年、ことしの一月現在で七万一千床でございます。平成六年から実際上は整備がされております。平成六年の三月時点で約五千七百床。一年後に三倍にふえまして一万五千床。それから平成九年に四万七千床。その後一年間に約二万数千床ふえまして、先ほど申しました七万一千床がことし一月現在の数字でございます。
○渡辺孝男君 今後、介護保険が実際始まりますと、この療養型病床群というものも重要な役割を果たしてくることになると思うんですけれども、今後の整備目標等に関しまして厚生省の方のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 整備目標につきましては、昨年の暮れの医療法の改正によりまして、療養型病床群の整備目標も医療計画の中に記載をするというようなことにされました。各県において整備目標を設定するということになっております。
 お話しございましたように、この介護保険制度において重要な施設として位置づけられているわけでございますので、私どもとしては当面、平成十二年度当初の目標として全国ベースで約十九万床というものを目安として考えております。
○渡辺孝男君 続きまして、今回の法案は過剰病床数を抑制するというような観点でなされたのかなというように思うわけでありますけれども、これと並行してしなければならないものとしましては医療の過疎地域に対する対策というものが行われるべきであるというふうに考えるわけであります。現在の無医地区というものはどのようになっておるか、その点に関しましてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 無医地区というものは一応僻地医療対策の中で定義を決めておりまして、おおむね半径四キロの区域内に人口五十人以上は住んでいるけれども医療機関がないというところでございますが、無医地区の数といたしましては当然のことながら年々減ってきておりまして、これは平成六年のデータでありますが、約千カ所という数になってきております。以前は二千カ所、三千カ所というような数字でございましたが、年々減少してきております。
○渡辺孝男君 まだ千地区ぐらい残っているということでありますけれども、この改善策といいますか、タイムスケジュールを含めましてどのように改善していくのか、方針が決まっておりましたならばお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷修一君) 無医地区を中心としたいわゆる僻地医療対策というものを従来から進めておりますが、現在は平成八年度にスタートします第八次の僻地医療対策というものを推進しております。
 その中で新たに僻地診療所に対して支援をする医療機関を位置づけるとか、また僻地を抱える地域におきましてその医療計画の中に僻地医療対策も位置づけるとかというようなこと、また特に僻地医療については情報システムを整備していくというようなことで、十年度も大変厳しい財政事情の中ではございますが、僻地対策につきましてはわずかではございますが、予算の増を図ったところでございます。
○渡辺孝男君 このような無医地区が約千地区ぐらいまだ残っているということでありますけれども、もしこういう地区で介護保険が導入された場合にかかりつけ医というのがないに等しいということになるのかと思うんです。そういうかかりつけ医の要介護の診断とか介護保険制度に基づく療養管理などの医療面でのサービスというものがどういうふうに行われるのか、その点に関しまして厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 僻地におきます介護保険導入後の体制の問題でございます。
 先生具体的にお挙げになりましたようなかかりつけ医の方々の確保という点についても、確かに僻地にはそれなりのやっぱりハンディキャップがございます。したがって、今、健康政策局長がお答えを申し上げましたように並行して僻地における医療体制確保対策ということが進められなければならないということは当然あると思いますし、またそういった中で広域的な対応というようなことも考えていかなければならないと思います。
 さらにあわせまして、いわゆるかかりつけ医のみならず、僻地における体制整備という意味ではそこにお住まいになっておられる要介護のお年寄りの方が、ほかと違いましてやっぱりお住まいが点在をしておるというようなことから、なかなかいわゆるホームヘルパーの派遣にしましてもデイサービス、日帰り介護にしましても、それなりの非効率と申しますか、難しさがあることは事実でございます。しかし、やはり介護保険が目指しておりますできるだけ高齢者が可能な限り住みなれたところで家庭生活を続けていただけるような体制をバックアップしていくということの大事さというのは、たとえ僻地であってもそれは当然追求をしていかなければならないと思います。
 したがいまして、一方において施設整備を進めるということは当然でございますが、やはり基本は在宅サービスというものをいかに体制を整備していくかという観点から、いろいろな工夫といたしまして、例えばいわゆるデイサービスにつきましていえば、日帰りのデイサービス関係の施設を既存施設を活用してやっていくというような、公民館だとか空き教室だとか、そういったことを活用していくような弾力的なサービス事業の展開をする。あるいは公立学校等がだんだん過疎地であくというようなところを利用する、あるいは事業主体としましても農業協同組合の組織の方々に積極的に参入をしていただくという形での話し合いを進める。そういったようなことをやり、さらには日帰り介護に期間を限定いたしまして、いわゆる居住機能といいますか、宿泊機能といいますか、そういったものを付加いたしました形で、今ございます高齢者生活福祉センターというようなものを活用していく。
 そういったさまざまな工夫をしながら全体としてできるだけ僻地にお住まいになっていても、そして介護を要する状態になられても対応ができるようなことをまず考えていく。その上で、そういう対応のできない部分についてはやはり施設による受け入れということも考えていくということで進めていきたいと考えております。
○渡辺孝男君 僻地の場合にはそういう在宅介護に関しましてはやはり効率が悪い面もありますので、施設型介護の方が地域に適しているということであれば、そういう施設建設に対しましては国としても支援をしていくべきではないかなというふうに考えるわけであります。
 次の質問に移らさせていただきます、もう余り時間がないので一部になるかもしれませんが。
 私は高齢者医療はやはり公費負担で賄うべきではないかというふうに考えているわけであります。衆議院の厚生委員会の質疑の中で、老人保健福祉局長は、この高齢者医療は社会保険方式が適当であり、老人医療費がふえていく中で税で負担することには国民の理解は得られないというような趣旨の御発言をされておりますけれども、この国民の理解は得られないとされました根拠はどういうものなのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 高齢者医療をいわゆる税方式でやるか社会保険方式でやるかということに関するお尋ねでございます。
 衆議院における私の答弁につきまして御引用なさってのお尋ねでございましたけれども、私その際に、ちょっと議事録をきちっと見ないといけませんけれども、断定的に理解が得られないということを申し上げたのではなくて、そういう理解が得られるであろうか一そういう点について大いに心配があおということを申し上げた記憶がございます。あるいは、不正確でございましたらよく見させていただきますが。
 いずれにしましても、高齢者医療制度のあり方につきましては、先ほど来も御答弁申し上げておりますように、現在、今後の抜本改革の一環として、重要な課題として幅広く審議会で御検討いただくことになっておりますから、その際にどういう方式をやっていくかということも当然その議論の中でさらに議論を深めていただくことにはなるわけであります。
 私どもといたしましては、特にこの点に関します意識調査等をこれで具体的に行ったというわけではございませんけれども、そもそも医療というような問題を考える場合には、高齢者になられましてもやはり医療を要する状態になるときへの備えというものをみずからする、そしてそれを相互扶助で支えていくといういわゆる社会連帯の考え方に立ちます社会保険方式というものを基本にしていくべきであろう。そして、そういうことを可能にする、また高齢者の方々の経済的な状況の変化というものがありますということを述べながら、今後、それにしても医療費の増加は不可避でございますけれども、これを支えるときにすべて税で負担するということについて国民の皆様方の理解が得られるであろうかということの疑問を呈したわけであります。
 そういったことをもろもろ考えれば、やはり今申し上げましたことから言えば、税負担といわば保険料とを組み合わせた社会保険方式ということが今後の高齢者医療については基本になるということがいいのではないかというふうに今私どもは考えておりますと、そういうことを踏まえて今後さらに審議会で検討していただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
○渡辺孝男君 そういう税負担ですることに対しては国民の理解は得られないのではないかというような御発言であったということですので、実はそういう国民の意向を判断するような調査というものを厚生省がされているのかどうか、そこもお尋ねしたかったわけであります。今の御発言ではそういう国民の意向調査というのはまだ行われていないというようなことだとお聞きしましたけれども、やはり抜本改革の前にはきちんと国民の意向を調査して、それに反映していくということが大切かと思いますので、その点しっかりやっていただきたいな、そのように思います。
 時間ですので、これで質問は終わりにさせていただきます。
○委員長(山本正和君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(山本正和君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子です。
 まず第一に、厚生省は医療保険制度の抜本改革法案を今国会に提出すると言明をしてきたわけですが、その提出がなぜおくれているのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 医療保険制度の抜本改革の中身につきましては、現在、医療保険福祉審議会の制度企画部会で昨年の十一月以降御議論いただいてきております。作業にかなりの時間が必要であろうということで、まず診療報酬体系の見直し、それから薬価基準制度の見直し、この二つを最初の議題として御審議をお願いしてきております。
 それぞれについておおむね意見は出尽くしておりますけれども、まだ意見が分かれるところが何点かございまして、この審議をさらに今詰めた形でお願いしております。そういった中で、とりわけ薬価基準制度の見直しでありますけれども、これは与党協が、あるいは厚生省の案にもございますが、日本型の参照価格制度というものを提案いたしております。
 この日本型の参照価格制度の導入について御議論いただいてきましたけれども、約一万二千品目弱の現在の薬価基準の中では医薬品が計上されておりますが、これを仮に日本型の参照価格制度というような形にした場合にどういった形のグルーピングがなされ、それからまた償還限度額というものをどういうふうに具体的に設定するのか、その辺のある程度具体的なものがやはり見えないと、なかなかさらに議論を進めるにおいて議論しにくい。仰せその薬価基準制度というのは戦後から今日までずっと行われてきたものでありますから、そういった意味ではかなりの期間なじんだ制度でありまして、それをこのたび思い切って新しい制度に変えていこうということでもありますので、その辺の姿形というものをとらえた上でさらに議論を深めよう、そういうような状況になっております。そういうふうなことで、かなり慎重な御議論をお願いしているという面がございます。
 私どもとしましては、平成十二年度に抜本改革というものを実施したいと考えておりますが、これをスムーズに進めていく上においてはやはり十分な時間をかけながら議論を尽くしていただいた方が将来スムーズにいくであろう、こういうふうに考えておりまして、そういった意味で慎重に御審議をいただいている、そのために法案を提出するまでには至っていない、こういうことでございます。
○清水澄子君 昨年の八月に、与党の医療保険制度改革協議会において「二十一世紀の国民医療良質な医療と皆保険制度確保への指針」ということで、二十一世紀の医療の方向性といいますか、それを明確に打ち出されたわけです。その基本的な姿勢といいますのは、国民の立場に立った医療提供体制と医療保険制度の両面にわたって抜本的な改革案というものを提起しているわけであります。
 ところが、厚生省はこの改革案とは別に、同じような時期に厚生省案というものを医療保険福祉審議会に諮っているわけですけれども、このことは非常に与党医療協の認識と、この厚生省の案と与党医療協が作成したものとの関係はどうなっているのかというのは絶えずいろんなところで議論になるわけですが、厚生大臣はこの与党の医療改革案と厚生省案とどちらを優先されているのでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 与党の医療保険制度改革協議会においては、厚生省案をもとにしていろいろ御協議いただいたものと私は理解しております。そして与党案が出てきた。この与党案を今医療福祉審議会で議論していただいている。当然、与党案を基本にして今審議会で議論していただいておりますから、そのまとまったものから所要の改正をしていきたい。政党政治として与党の案というものを尊重するのは私は当然だと思います。
○清水澄子君 与党協に資料として出させたものなんですね。ですから、それをたたき台に協議するというものだったわけなんですが、それがそのまま医療保険福祉審議会にかけられている。そういう意味では約束違反であるというふうな認識に私どもは立っております。
 さらにそれに引き続いてお尋ねしたいのは、今も申し上げましたように、与党の医療協議会の改革案の基本的な考え方なんですが、その第一に患者の立場を尊重する、患者と医療従事者との信頼関係を維持していくためには、つまり医療不信ですね、それをなくすために、まず医療における情報公開を推進すること、そして医療内容の説明、インフォームド・コンセント等患者本位の医療の実現など、あるべき医療制度改革の姿を国民に示して、そしてさらにこの医療改革について国民的な論議と合意をつくり出さないと、二十一世紀の医療保険というものは非常な大きな今問題にぶつかっているわけですから、そういうことを順序立てて問題提起をしております。
 もちろん、薬価制度の改革とか、新しい診療報酬体系の構築というものはその後に続いているわけです。そして、これらの抜本改革とあわせて退職者医療制度のあり方を含めて、高齢者医療制度について検討するという論議になっているわけです。
 しかし、厚生省が出されてきた案と申しますのは、従来と同様に財政配慮を優先したものになって、そして患者の負担増を前提にしているものなんです。それは一体なぜわざわざ与党医療協議会で何回も審議をして、そしてまず国民に医療改革を納得してもらうには、やはり患者が求めているこれからの新しい医療体系をどうつくるかという形で提起したその精神のところは外されている。そういう意味で、やはり与党医療協議会がまとめた国民に開かれた医療提供の実現、つまり患者本位の改革案を今後尊重して具体化されるのかどうか、私はぜひ厚生大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 今、与党の基本案を軸にして医療保険福祉審議会で議論いただいておりますから、これを総合的に考えながら、順次、薬価とか診療報酬とか高齢者保険制度の問題がまとまり次第、十二年度実施を目指して準備をしております。
 基本的に私はその方向は違っていないと思いますが。
○清水澄子君 いや違っているわけです。だから、今再度そういうことを申し上げたんですが、私ども社会民主党は患者の権利法の制定を強く求めているわけです。それは、医療のこれからのすべての、診療報酬体系から薬価問題、それから地域医療からすべて、やはりもっと患者の立場、ニーズ、それを基本にした医療の改革というのは非常に重要な段階にあると思うんですね。そういう意味で、それを第一の課題にしていたわけですが、それらはほとんどこの厚生省案には出ていないわけです。
 今後、やはりそういう意味では、ぜひ大臣、これからの医療の抜本改革の基本的な精神、立場というのは、医者の立場からではなくて、やはり患者の立場に立った医療改革のあり方というものをぜひ追求していくべきだと、このように私は申し上げたいんですが、そのことは大臣にぜひ確認させていただいてよろしいですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) もちろん医療というのは、国民全体のためでありますし、病気になった方がどのような適切な治療を受けるかというのが基本であります。
 ただ、患者の権利を法律で明記したものが先だといいますと、いろいろな医療関係者の意見もございます。それは、診療報酬とか薬価基準とか医療保険制度あります。法律で明記するのが先だとなると、これはまたいろいろ議論がありますから、その辺はやっぱり若干立場によって違ってくるのではないか。
 私は、総合的に患者本位の医療をどうやって構築するかというのは、それは当然であります。しかし、順序がまず患者の権利を認める法律が先だということになると、ほかの問題がどうなるかという問題がありますので、その辺は必ずしも一致しているとは限らない。
○清水澄子君 私は患者の権利法が先だとは言っていないんです。患者の立場に立った医療というのは日本ではまだなかったんですよね。やっぱり、どうしても医療供給者の立場の医療なんです。ですから、患者自身も自分の健康とか医療というものにもっと主体的にかかわっていくという意味でも患者の権利法というのは非常に重要な意味を持つんですけれども、それがきょうの私の議論したいところではちょっとありませんので、またいずれその議論は続けたいと思います。せっかく医療の抜本改革をやるならばそういう視点を、やはり日本の場合は国際的にもおくれているわけですから、そこをきちんとやはり提起した改革にしていただきたい、このことをまず要望申し上げておきます。
 次に、今回の改正案であります退職者に係る老人医療費拠出金の見直しというのは、先ほどからも皆さん質問していらっしゃいますけれども、結局財革法によって医療費の予算が削減されたこととの関係によってこの五百六十億円の国庫負担を撤廃したというのは、もうこれは明らかだと思います。しかも、その撤廃した分は被用者保険に肩がわりさせるというものであれば、結局これは利用者の負担ということになるわけです。
 それで、私はここでぜひ、最近来大臣が、来年度予算編成においてこれまでの社会保障に対する、特に医療費削減のキャップという問題については来年度予算の編成ではそれらを外すような努力をされました。私は大変このことは大事なことだったと思いますが、そういう意味で、本来そのキャップがあれば来年もまた二分の一を削減しなければならなかったはずですが、今の状況では、今年度の予算編成時、昨年の秋のようなそういう厳しい状況ではない。
 それは大臣みずからがつくってくださった状況なんですけれども、そういう中で、やはりこの抜本的な改革の検討を、私はその方を先に急ぐ。来年一年だけなんですね、平成十二年に抜本改革をやるということになれば。ですから、ぜひ私は、この抜本改革の方の検討を先に急ぐべきではないか、このことを申し上げたいわけですが、大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(小泉純一郎君) その意見は私も十分理解しているつもりです。ただ、抜本改革の案は今年度間に合わない、十二年度実施ということでありますので。その間、医療保険財政あるいは高齢者の医療費に対する拠出金をどうやって負担するかという問題も今年度には出ているということから今回の法改正をお願いしているわけでありまして、当然、抜本改革というのはできるだけ早くしなきゃいかぬと。
 ただ、その抜本改革案をまとめるまでの時間というものが必要だし、それが若干おくれているということは否定いたしません。しかし、十二年度実施を目指してできるだけ早く抜本案の姿を示さなきゃいけないし、その方向で今努力している最中でございます。
○清水澄子君 先ほど同僚議員の質問に大臣は、高齢者医療をだれが負担するのか、それは結局医療保険制度の原点に立ち返る問題だと答弁をしておられました。私もそういう認識でおります。ですから、そうであれば、財政の必要性からある意味で小手先的に一年こういう改革をしていくというのではなくて、この高齢者医療の費用をだれが負担するかというのは、医療の抜本改革案の大きなビジョンの中でやはり本当に国民的な討論をする課題だと思います。
 しかもそれも、先ほど申し上げましたが、平成十二年までに医療の抜本改革法を出さなきゃいけないという、もう前が決まっているわけですね。そうしますと、来年度の予算という問題があるわけですが、今回のこの改正案で、衆議院の方でこの法律の施行期日が結学修正をされていますね。この法律は平成十年四月一日から施行というものなんですが、これが公布の日からと修正をされているわけですね。そうなると、たとえ六月にもしこの法案が成立しても、やはり四、五、六月の分は補正予算で手当てをされるわけですから、その後、もう来年の四月まで二次補正予算でやはり手当てをして、公布を延期をして、そして抜本改革までこの実施を見合わせる、そして、より本格的、本来的な高齢者医療のあり方というものを私は提案すべきと考えるわけですが、大臣、ぜひ御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) それは、各省庁の予算編成の段階におきまして財政的に余裕があればそれはできます。しかし、現実の問題として各省庁の予算は決まっています。
 医療費の国庫負担というものをこれ以上果たしてふやしていいのかというと、たとえ若干の財政的余裕が出てきたとしても、今の本年度予算において約七兆円税金を医療費に使っていますけれども、それ以上ふやしていいかというと、必ずしもその意見が多いとは限りません。医療費にそれだけの税金を使うんだったらもっとほかに使ったらいいんじゃないかという声も一部で出ております。
 その限られた予算の中でどうやって税金を効率的に社会保障全体に使っていくかということになると、私は、たとえ若干財政的な余裕が出たとしても、今以上に医療費の国庫負担を少なくしろ、あるいは多くしろ、もっと税金を医療費にかけるというのが果たしていろいろな改革を進めていく上において妥当かどうかというのは、また別の問題ではないでしょうか。
○清水澄子君 やはり国民が納得いく、もし国民に痛みを伴うことがあるとしても、それはやはり納得いくような本当の抜本的な改革案を示さない限り、いつも中途半端で、そして絶えず財政の枠にはめられてというところだけでやっていくと、本当にいろんな法律が非常にゆがめられたものになっていて、これはすっきりしたものになっていないですね。
 ですから、そういう意味で私は、それを税金の負担にするかどうか、これは今後の議論ですけれども、やはりもっともっとむだを早く省かなきゃならないといういろんな方法もあると思います。ですから、そういうことは、やっぱり抜本改革という以上はもう二年ぐらいは討論してもいいと思うわけです。ですから、ぜひそのことを私は、厚生大臣、これもう本当に腹を決めてひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、病床規制のところなんですが、地域医療計画が医療法の中に位置づけられてから過剰病床という概念がつくられたと思うんですけれども、いわゆる必要病床数を超えたものはすべて過剰病床というのでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 必要病床数を超える病床につきましては、医療法で言っております医療計画の考え方から申し上げれば過剰な病床というふうに位置づけられる、そういうふうに考えております。
 ただ、既存の病床数と必要病床数との関係をいいますと、これは全体としての病床過剰ということを言っているわけですが、個別の病床のどの部分が過剰であるかということを別に言っているわけじゃなくて、それぞれの医療圏で算定をされました必要病床数と現在ある病床との関係において、必要病床数を超える既存の病床がある地域については過剰病床の地域であるということで考えております。
○清水澄子君 厚生省の資料では、現在、二次医療圏の中で病床過剰の医療圏というのは百四十カ所ですね。そして、過剰な病床数というのが九万四千四百一となっていると思います。その一方で、病床不足の医療圏が二百八カ所、そして不足病床数は四万七千二百九十となっているわけですね。そういうものをただ数字上見ると、やはりベッド数だけ見れば四万七千百十一床が過剰病床になっている、こういうことになるんですが、そういうのは数字だけではかれるものでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 今、先生述べられました数字そのものは平成九年三月時点の数字だと思いますが、それは今おっしゃったとおりでございます。
 先ほども申しましたように、数字だけではかれるかということでございますが、一応必要病床数を算定する考え方といたしましては、きょうの午前中の御議論にもございましたように、それぞれの地域におきます人口ですとかあるいは入院率ですとか、またその地域へ入ってくる流入患者、あるいはそれ以外の地域で受診をする流出患者、そういうもの全体を勘案して計算いたしております。過剰地域と言われる百四十地域の全体の過剰病床数、必要病床数と現在ある病床数との差が九万四千ということでございますので、それぞれの地域によっていろんな事情はあると思いますけれども、医療計画上の考え方としては、その百四十の地域が過剰病床地域であるというふうに考えているわけでございます。
○清水澄子君 その過剰、過剰という場合に今申し上げたベッド数だけ見れば四万七千の過剰という数字が出てくるわけですが、これらはさきの規制のときに駆け込みで十九万床のベッドが増加したということも聞いているわけですが、それらはもういいわけですね、今度の法律には関係ないわけで。ですから、既に過剰になっている病床というのはそのままで、そしてこれからはだめですということを今回のように法律で規制するということは非常に公平と均衡を欠くことになるのではないかと思います。
 特に、これからつくる過剰病床への保険指定を認めない、こういうことを法律で決めるということになりますと一これは法のもとの平等に反するのではないか、特に職業選択の自由もありますし、そういう意味でこれは憲法違反だと私は思いますが、大臣はどのようにお考えになりますか。
○政府委員(高木俊明君) 今回お願いしておりますのは、これはこれまでの健康保険法の規定によりますと、今回法文化しようとしている明文の規定と同じような規定ではなくもうちょっと包括的な規定がございまして、保険医療機関として不適切な、不適当なものについてはいわゆる保険医療機関として指定しないというかなり包括的な規定がございます。それを受けて厚生省として、昭和六十二年だったと思いますが、医療法の医療計画というものが定められたときに、通知をもちまして、過剰病床地域においてさらに病院を建てたいといった場合、都道府県知事がそれはもう不必要であるということで勧告した場合には保険医療機関としての契約をしない、こういうふうな指導通知が出されておるわけであります。
 ただ、従来は、こういった過剰地域において病院の新設というものが勧告が出ているにもかかわらず行われてきたということは今までなかったわけでありますが、そういった中でこれまでの法律の規定というものをきちんと明確化する必要があるというふうに考えまして、今回改正をお願いしているわけでございます。
 そこで、今回の法律改正を行う際に法制局でもいろいろ議論をいたしました。今御指摘の法のもとの平等あるいは職業選択の自由、こういった憲法上の問題というものに抵触しないかどうかということも法制的にかなり議論をいたしました。そういった中で、今回のような形の規定ということであれば、これは憲法上問題にはならないという結論を得たわけであります。
 そこで、今回の措置というのは、病床過剰地域にさらに病院を建てたいといった場合に、過剰ベッド分、オーバーする分はこれは保険医療機関としての契約をしないというものであると同時に、既存の保険医療機関でありますが、既に開設している医療機関につきましても、いわゆる医師等の数等につきましてかなり劣悪な状態にあるというふうなケースにつきましては、これはやはり保険医療機関の更新の際に指定更新をしないことができるという規定も織り込んでおりまして、そういった意味で既得権を擁護するというような形にはならないということでございます。
 そういうような考え方に立って今回お願いしておりますが、これはひとえに医療というものの特性にかんがみますと、一人当たりの入院医療費とベッドの数というものの間には非常に強い相関関係がございます。必要以上の病床を確保していくということになりますと、やはり医療費に対する適正化という観点から見ますとむだを生ずるわけでありますから、非常に国民負担という面でも厳しくなってきている、また今後さらに厳しくなっていくであろう状況の中で、できるだけの合理化、適正化というものを医療保険サイドでも図る必要がある。こういう観点で明文化をお願いしている、こういうことでございますので、法律的には私どもとしては憲法に抵触をするというようなことはないというふうに考えております。
○清水澄子君 今おっしゃった問題は、憲法に反しないというのであれば、これは内閣法制局を通っているからそうおっしゃるんでしょうけれども、それは今後、非常に問題はやっぱりあると思いますね。
 過剰病床地域で既存の病床を認めるということになればこれは既得権益になりますし、それから今後新しく生まれてくるといいますか、意欲のある医師とか医療機関の新規参入というのが不可能になるという、こういうことはやっぱりもちろん医師の資格を持ちながら、その職業選択の自由という問題についてもこれは当然問題になってくると思います。それは今ちょっとおきましても、こういう状況を法律で固定化をしていくということになれば、そうすると患者がもっと求めているさまざまな医療のこれからのあり方があると思うんですね。そういう患者が最善の医療を受ける機会というものをやはり奪っていく。
 そういう意味からも、私は患者の立場に立って、これが本当にだれの立場でこういう法律規制をするのかという意味で私は再度お尋ねをしたいわけですが、いかがですか。
○政府委員(高木俊明君) 現行の病床については医療計画の中でいわゆる医療法に基づいて定めておるわけでありますが、医療法上は当該医療圏が過剰病床であるということになってまいりますと、都道府県知事は都道府県の医療審議会に諮りまして、そしてそこの地区についてさらに新しい病床は不必要であるということであれば都道府県知事が勧告をする。こういうことでありますから、私どもとしてはやはりそれぞれの各都道府県におけるあるいは地方における医療事情というものを勘案した形で、医療審議会なりあるいは都道府県知事が適切な判断がなされるというふうに考えております。またその判断に従って、そういう判断が出た場合には医療保険上は、健康保険上は保険医療機関としては当該病床については指定をしないという取り扱いでありますので、それぞれの地域における特性というものを踏まえて適切な知事の判断がなされるものというふうに考えております。
○清水澄子君 今、我が国はあらゆるシステムをグローバルスタンダードの方向に改革をしていると思うわけです。特に規制緩和小委員会では、社会的入院の是正を行わないで病床全体を規制するのは合理的でない、また病床規制のために既存の病床が既得権化して、意欲のある病院や医師の業務拡大や新規開業を困難にしている、それから仮に必要病床数を認めたとしても新陳代謝が図られるようにして患者が医療機関を選択できるようにすべきだなど、地域医療計画の病床規制に対して多くの問題点を指摘しております。
 こうした議論の上に立って行政改革委員会は最終意見として、まず、必要病床数の定義自体が適正な病床配置を妨げている、また病床規制の実施自体が地域間の不均衡を残存させているという認識に立って現行の必要病床数の算定方法を改める必要がある。二番目に、医療法の見直しについて検討する必要がある。三番目に、病床規制については、これらの見直しを進め、地域間格差の是正に向けて医療供給体制を良質かつ効率的なものにする必要があると指摘をしているわけですね。
 こういう行政改革委員会の最終意見を今回厚生省はどのようにこれを評価し、また、その意見を踏まえてやられたのか、それとも無視をされてこういう法案にされたのか、その辺についてお聞かせください。
○政府委員(谷修一君) 行政改革委員会の規制緩和小委員会の報告の中で、今、先生お触れになりましたような幾つかの点について指摘がございます。
 現行の必要病床数の算定方式を改めるということにつきましては、具体的には急性期病床と慢性期病床というような形で分けるということが指摘をされております。これは昨年の与党の医療保険改革協議会の中でも同様の指摘がされているところでございまして、そういうことから私どもとしては現在厚生省の中に専門家の検討委員会を設けまして、急性期病床と慢性期病床に分けるというその具体的なやり方、それからその際の必要病床数の算定の方式ということについて検討をしていただいております。
 また、必要病床数の枠内での新陳代謝ということもこの規制緩和の小委員会で指摘されておりますが、ただこの規制緩和の小委員会の中では具体的には、その際の考え方として、人員配置基準や何かが下回っている場合に病床を削減するというようなことについても検討すべきだというような指摘がされているわけでございます。そういう意味で、今回の法案とこの規制緩和の小委員会の意見というのは大まかな考え方なり方向というものは合致をしているというふうに考えておりますが、この急性期と慢性期に分けるということにつきましては今後検討していく課題だと考えております。
○清水澄子君 終わります。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 九八年度の予算では財革法によって社会保障関係予算の縮減が義務づけられていたわけでありまして、社会保障関係費は四千五百億円の削減、そのうち医療の予算の削減分は三千二百六十億円であります。この医療予算の削減の内訳の中に今回の法案の退職者医療制度の負担見直しと老健拠出金の算定方法の見直しによる五百六十億円が含まれております。したがって、本法案は直接には財革法の要請から出ているということは明らかだと思うわけです。
 財革法はもはや骨格が総崩れでありまして、改正の方向ということで出されているわけですけれども、もともとこの財革法の名目は赤字国債を減らすために聖域を設けず予算の削減を行うということが名目でございました。ところがその名目が、削減については、むだな公共事業の部分だけはキャップを外して上積みをするというふうなことになったために、もはやその名目がつじつまが合わなくなったわけでございます。大臣も当委員会で何回か答弁をされておりますけれども、公共事業費等については何兆円単位で増額をする、減税もまた何兆円単位で赤字国債を発行する、そういうことになって昨年暮れの予算編成の前提がもう崩れているというふうに率直にお述べになっているわけですね。
 ですから、もはや財革法というのは総崩れで破綻をしているということは明らかでございますので、それに基づく今回の法案も私は撤回をすべきではないかというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 財革法という法律があろうとなかろうと私は財政状況が厳しくて、あらゆる歳出を見直さなきゃならない状況には変わりないと思っています。
 これから赤字国債の増発だけでなく増税もしてはいけないということから行財政改革ということで各政党がその必要性を叫んでいるわけでありますので、法律があろうとなかろうと私は厳しい状況は続くと。このような中で財革法を廃止してじゃ予算をふやせとなったらば、必ず増税か国債の増発に行くと思います。それを避けるために行財政改革をやっているんであって、法律があろうとなかろうと私は財政構造改革の必要性、行政改革の必要性は何ら変わることはないと思っております。
○西山登紀子君 今、大臣の御答弁でこの法案は財革法との関係でリンクして出されたものではないというふうにお答えになるんでしょうか。
○国務大臣(小泉純一郎君) 関係ないということではありません。法律があろうとなかろうとあらゆる歳出項目を見直していく、財政の構造を変えていくという姿勢は変わらないということを言っているわけであります。
○西山登紀子君 これは財革法を論議するときに、法律でこの予算の編成をもともと決めるのは間違っているというような議論も、むしろ与党の議員の中からも出てきたようなことなんですが、財革法というのは、大臣がおっしゃるように法律に関係なくというのではなくて、法律でこれだけにしなさいということを義務づけているという点では非常にこれは問題のある法律であったわけです。ですから、当委員会では大臣も、無理をして削減の努力をしているんだということを何回となく言われたと思います。法律に関係なく予算の削減という仁とではなくて、財革法の立場からやらなければならなくて、無理なこともやっているんだということを何度も大臣は言われたと思います。私は率直にお認めになった方がいいと思います。
 四月三日の衆議院厚生委員会の中で、与党の委員の中からも率直にこういうような御質問がありました。「どうも財政構造改革法の実施のためのものであるという性格が否定しがたいというか、極めて強いという印象は否めないところだろうと思います。もっと言いますと、財政構造改革法の縛りに合わせるためのものであって、もっと言うと、医療制度あるいは医療保険制度の改善というためというよりも、財政上の必要に合わせた予算の数字合わせというために行われるものではないかということも心配をされるわけであります。」、これは与党の厚生委員の方の質問なんです。
 そして、こういうことも言っています。「仮にこの財政構造改革法というものがなかりせば、本改正というものは医療制度の改善という意味で必要なものであったのかどうかということも議論になる、このように思います。」ということで、衆議院厚生委員会で与党の議員がこういう問題提起をしているわけで、私はそういうことに同じような意見を持つわけでございます。
 さらに、医療福祉審議会の審議を見ておりましても、やはり財革法との関係で五百六十億削減先にありきというような審議が行われたということは、メモをいただいているわけですけれども、ありますね。
 ある委員なんかは、退職者の問題については拠出金の関係でこれまで議論したことがなく、十一月になって突然持ち出してくるのはおかしいというふうな御議論だとか、五百六十億円の国庫負担の減を前提で議論を行わなければならないのか、まずきょう議論する必要があるか否かについて議論してほしいというような意見などなど、審議会の中でも非常に唐突だというふうなことが出ております。退職者の拠出金負担を被用者保険に転嫁する際に国庫負担を廃止しようとしているが、年金受給者の老人医療費拠出金に国庫負担をつけることにも意味があるのではないかというような議論があったり、いろいろ議論がされているわけでございます。
 やはり私は、こういう議論からも財革法との関係で今回の法案が出されてきているということは明らかだというふうに思います。
 次の質問に移りたいと思います。
 来年度に限って財革法のキャップを外すという問題なんですけれども、大臣は、当委員会でも社会保障だけマイナスでは国民の理解が得られないということを何度か御答弁なさっているわけです。この点は財革法が制定された以降の四カ月の中で既に起こっている矛盾であります。しかし、もともと社会保障予算というのはほかが減らせば同時に減らしてもいいという性格のものではないと考えます。それは、社会保障というのは国民の命と健康を保ち日々の生活を直接支えていくためにもどうしても必要なものであります。この点については橋本総理も、例えば四月十三日の予算委員会で、一番国民に身近な問題を抱えるところだ、社会保障は、というふうな御答弁もされているし、大臣自身が、これも四月十七日の衆議院厚生委員会での御答弁ですけれども、好況不況に関係なく必要なものがあるというふうに答えているわけです。
 自然増というのが八千億円あるわけですけれども、それを無理に抑え込むということを予算の関係でやりました。私は、やはりこのキャップを外す場合には、九九年度一年ということではなくてすべてキャップを外すということでないと、大臣の言われる意味の国民の理解を得るという点でも得られないのじゃないかと思うんです。
○国務大臣(小泉純一郎君) これから高齢者がどんどんふえていく、若い人が減っていく、医療費一つでもって見ても高齢者の医療費というのは若い人に比べて五倍かかっている。これは経済成長の高低にかかわりなくふえていく。このまま放置しておきますと社会保障関係予算というのはどんどん伸びていきます。
 限られた税収しかない、ほかの省庁は減らさなきゃならないということで、財革法の中におきましても各省庁は前年度に比べてマイナス予算、厚生省関係は三千億円ふやすけれども、ほっておいたら約八千億円伸びるから、実質的には五千億削減ということになって厳しい予算。口ではみんな歳出削減しろと言います、補助金カットしろと言います。しかし、現実に削減したところ、カットしたところは全部批判、不満を受けるという状況からすると、いかに歳出削減というのは困難かというのがだんだんわかってきた。厚生省予算は各省庁マイナスなのにもかかわらず三千億円プラスだと言っても、いかに厳しいかというのは去年の予算編成でみんなわかってきたと思うんです。
 だから、これ以上さらに切り込むということに対して国民の理解が得られるのか、ほかの省庁が伸びるのだったならば九九年度に限っては社会保障関係の上限枠を外してもいいのではないかということが議論になって、私の主張が理解されたと思うんですが、今後とも社会保障だけは別だということになると、この負担をどこでさせればいいのかという問題が必ず出てくるんです。
 それは、私は、給付と負担の均衡を図るという点からいけば社会保障関係予算というのは不断の見直しが必要だ、改革が必要だと。社会保障だけ例外でこのまま制度改革をしなくてもいいという議論だと、若い世代にどれだけの負担がこのまま行くのか、各省庁の予算はどうなるのかという総合的な視野も必要ではないかということで、私は今回の予算が財革法と無縁とは言っていません、財革法が影響しているのは事実であります。しかし、財革法がなくなったから厚生省関係予算だけは削減しなくてもいいですよといった場合、制度改正しなくてもいいですよといった場合に、医療保険一つとってみても若い人の保険料はどんどん上がっていくわけだから、患者負担が嫌だったならば国庫負担をふやしていかなきゃならない、その増税の分はどうするのかと別の問題が出てくる。それをどう考えるかであります。
 厚生省だけふやせといった場合、ほかの予算はどうするんですかと、ほかの予算は減らすという声は余りないという点も私は同時に考えていただきたい。
○西山登紀子君 財源論についてはまたやりたいと思いますけれども、私は九九年度だけ外すということは、大臣が言っていらっしゃる意味においても国民の理解を得られないということを申し上げたいと思うんです。
 それと、今、大臣が削減をしてきたと言うんですけれども、どんな削減がされて、その結果、国民の医療が一体どんな状態になっているかということをやはり直視していただきたいというふうに私は思うわけです。最も弱い部分を直撃している切り込みをやったということなんです。
 五月一日から難病の自己負担がふえましたが、それについて私の手元にも非常に嘆かれている便りをいただいております。膠原病の方が、膠原病というのはいろんなところに症状が出てきて、この方は緑内障、高血圧、頭痛、それから精神病といろんな症状が出ているんですけれども、五月から負担が二千円徴収されるということになって、非常に苦しい生活の中でそのことだけで先行き不安で精神症状が悪くなった、こういうお便りをいただいているわけです。
 それでもう一つ、削減をした、切り込んだという例で、私はこれはもう一度考え直してほしい、見直してほしいと思いますのは、いわゆる低身長症の患者さんの問題です。
 これはいろんな方々が取り上げておられるわけですけれども、衆議院の段階で我が党の児玉議員がこの問題を取り上げまして、この低身長症の子供の国庫負担を減らすためにその適用する身長を下げたわけです。つまり、上限を男の子が百五十六・四センチ、女の子は百四十五・四センチということで身長を下げてしまったということなんです。それについて非常に全国で親御さんたちも要望なさいまして、男子については百六十二・〇、女子については百五十・四センチ、年間の成長センチというのがあって、これも今五センチという制限があるんですが、これを三センチ以下にしてほしいという陳情をしている。私このことを伺いまして、本当にこういうことがやられていいのかなと。
 私の手元にも直接お手紙いただきましたけれども、九七年度にようやく小人症の認定が行われたということなんですが、ようやく受けられたところを削られていくということで、一番成長が気になる時期にこういう保障が削られるということについて非常に親御さんから切々たるお手紙が来ているわけです。実にこの費用は年間約四十万ほどかかる。もちろん高額療養費六万三千六百円があるというけれども、これは非常に高いものであります。パートのお母さんからすれば、子供が、お母さんのパート代の半分だからもう僕いいよというようなことを言わざるを得ないような額でありますが、そういう事態になっているわけです。
 大臣は、そのときの答弁で、「今改正した時点においてすぐまた見直すというのもどうかと思いますので、今後専門家等、親御さん等の意見も聞きながら、所要の改正を講じた方がいいということであれば、やはりしかるべき検討がなされていいのではないかと思います。」というふうにお答えになっているわけです。ですから、そこで大臣は、もう全然だめだ、考える余地ないというふうに答弁をしているんじゃなくて、しかるべきときに検討がなされていいのではないかというふうにお答えになっているんです。
 それで、今改正した時点においてすぐまた見直すというのもどうかと思うとおっしゃいますけれども、財革法自身は四カ月で今見直しているんです。ですから、私はこの点は、子供から成長の機会も奪えばホルモンも奪って、成長するという希望も奪ってしまうという、こういうことこそ直ちに見直していただきたいと思いますが、大臣、この点どうですか。
○国務大臣(小泉純一郎君) それは、私の答弁で言っておりますように、今見直すという考えはない。しかし、将来のことですから医学の進歩、それは状況が違ってくると思います。将来まで私否定するものじゃありません。しかし、今回は、出してすぐ見直すというようなことは私はしない方がい。いんじゃないかと思っています。
○西山登紀子君 だから、その出してすぐというのも、結局子供たちの身長を抑えて、ここまでしか出さないよというふうにしたというのも結局は財革法が要求するところですよね。
 財革法でどうしても削減しなきゃいけないということで、そしていろいろ理屈をつけて、本当につじつま合わせで削れるところはないかということでターゲットになったのがこの低身長症の慢性特定疾患の子供さんたちなんです。百五十六・四、百四十五・四、こういうところまでしか伸ばさないというふうな、伸びる可能性があるものも伸ばさないと。これは単に家族性の低身長の子供さんたちとは違うんです。医療の対象になると言っていらっしゃるんです。
 医学の先生方も今審議会で、こういうふうな基準はあくまでも本事業としての範囲を示すものであって、医療の必要性の有無を示すものではない、保険診療の取り扱いを変えるものではないということに注意すべきであるということまで専門家の先生はおっしゃっているわけです。
 ですから、今財革法の関係でこういう無理な削減を行わざるを得なかったということなのですから、キャップ制を外す、あるいは補正予算を今議論されているその中では、こういう子供たちに対して成長の望み、あるいは生きる望みと言ってもいいかもしれません。それを削るというようなことは、やっぱりもとに戻すべきじゃないか。そのもとに戻すときに、今見直したのでまた見直すのはと今おっしゃいましたけれども、財政構造改革法はもう四カ月で破綻をして見直している、来年度はキャップも外すとおっしゃっているわけですから、それならばこの点を何とか見直していただけないかなと思うわけです。
 もう一度、大臣お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) これは財革法があるからということだけでなくて、今まで百七十センチ以上の人にもこういう治療をやっていいのか、審査に甘さがあるんじゃないかという批判も受けていたわけです。そういう点もあって見直していこうと。なおかつ、高額療養費制度というのがありまして医療保険を適用しないわけじゃない、負担はできるだけ低く抑えていこうという措置も講じております。その点は、私はむしろこの審査体制、これに甘さがあったんじゃないかという批判も考えながら、これは将来必要な見直してはないかということで今回いろんな専門家の意見を聞いてやったということを御理解いただきたいと思います。
○西山登紀子君 親の会の皆さんも百七十センチ、そういう要望を出していらっしゃるんじゃなくて、今私が申し上げましたように、男子は百六十二・〇、女子は百五十・四ということで、今、日本は平均身長は男性は百七十、女性は百六十と非常に高くなっているわけですが、そのもとで親御さんの御要望も出ている、医療の対象として認めてくれと言っている。
 今、高額療養費のお話がありましたけれども、六万というのはやはりなかなか大変な額でありまして、今私が紹介しましたように、お母さんのパート代の半分になるからもう僕いいよと、大変痛い注射だそうですけれども、子供がそういう声を出さなければならないような額なんですよ、高額療養費というのは。払えない人だっているわけですね。
 ですから、そういう意味で、私はやはりこういう子供たちに対する非情な措置をとっているということについては何らか、もう一度私は要望いたしますけれども、こういうことは考え直していただきたいというふうに思います。
 それから、次に移りますけれども、九九年度のみキャップを外すということなんですが、なぜ九九年度だけかということについては、やはり私は意味があるんだと思います。
 それは、二〇〇〇年以降はもっと国民の負担をふやしていかなきゃいけない、こういうことがあるんで九九年度だけということにしたんだろうというふうに思うわけですね。去年からずっと出されております抜本改革の方向というものについては、私は大変大きな危惧を持っております。それは、例えば健康保険を今の二割から三割にするだとか、それからお年寄りは定率性を入れて一割、二割にするだとか、大病院は五割負担とするだとかというようなことがいろいろ案として出されているわけですが、これはいずれの場合も国民の医療費の負担をふやすというオンパレードのような気がするわけです。
 こういうことを抜本改革としてやるということについて私は非常に危惧いたしますし、九九年度だけ財革法のキャップを外したということの意味はやはり二〇〇〇年以降そういう負担増が控えているから九九年だけにしたんだというふうに私は思います。それで、そんなことがされたら今度国民生活にどういう結果をもたらすかということについては、去年の九月からの医療費の自己負担増がもたらしている影響を見たら私は一目瞭然わかると思います。
 この医療費の削減ということが実は医療保険制度改革の第一歩だというふうに政府は言い続けているわけですけれども、この医療費の削減の影響、金額は幾ら、医療費のもたらした結果どれぐらい削減がされたのか、またその数字を厚生省はどのように評価をしておられるのか、お聞きをいたします。
○政府委員(高木俊明君) 昨年の九月から患者の一部負担の引き上げをいたしておりますが、実績が今わかっておりますのはことしの一月までの医療費の実績であります。二月以降どうなっていくかというのを見ないとまだ最終的には結論は出ないわけでありますが、私どもが昨年九月からこの一月までの実績を踏まえて見てみますと、約一兆三千億程度、これは九年度の満年度に仮にこのままで推移したというふうにした場合に、この九年度、満年度ベースで見ますと約一兆三千億程度の医療費の縮減といいますか、がなされておるというふうに見ております。
○西山登紀子君 その数字をどのように評価していらっしゃるか、厚生省。
○政府委員(高木俊明君) 一部負担の趣旨に戻るわけでありますけれども、患者の一部負担につきましては、これはやはり医療というものに対するコスト意識というものを持っていただく必要があるということ、それからまた医療にかかる人とかからない人との負担の公平というふうな観点もあるわけであります。
 いずれにしても、必要な医療費というものをどうやって負担するかということになりますと、我が国の場合は基本的には医療保険制度、保険システムでやっておりますから、まず保険料がありますし、それから国費の負担、いわゆる公費負担というものもございます。それからさらには実際に医療を必要とした患者さんの自己負担、こういうふうにあるわけでありまして、その辺のバランスをどういうふうに負担していただくかというのが、これがやはりこれからの医療保険制度を安定的に運営するにおいても国民的な合意が必要な事項であります。
 私どもとしては、昨年改正をお願いしましたのは、非常に急迫している医療保険制度、このまま放置しておきますと、やはり我が国の国民皆保険そのものが崩壊しかねないという大変危機的な状況にあったわけであります。そういった中で、患者の自己負担というものを引き上げるということにしていただいたわけでありますが、そういった意味では、私どもが当初考えておりました見込みと比べますと、若干それよりも少し何といいますか、抑制がきいているかなという感じはいたしますけれども、今の段階までで見ますと、大体昨年の予算編成の際に縮減を見込んでおりましたものとおおむね同じぐらいの額でありますので、そういった意味では、私どもとしては国民の御理解を得ながら負担をしていただいているというふうに考えております。
○西山登紀子君 局長の答弁だと抑制がきいている、当初の予想よりも抑制がきき過ぎている、きいているというふうに言ったんですか。
○政府委員(高木俊明君) これまでの一部負担、過去に引き上げが何度もございますけれども、そういったケースは大体一年間たちますともとに戻ってしまうという状況であります。したがって、その過程におきましても、やはりだんだんもとに戻るという、復元していくというばねが大体今まで働いてきたわけでありますが、今回はそういった中で引き続き当初見込んでいた状況に近い数字で推移しているというようなものを見ますと、そういった意味で、私どもやはり従来やってきたと同じような意味で、時間がたてばもとに戻っていくのではないかというふうに見た面もありますので、そういった意味では抑制がついておる、こういうことでございます。
○西山登紀子君 こういうことでしょうか。八千八百億円を見込んだけれども、今一兆三千億円、見込みとしては削減、減っている、見込みが減っているということは、厚生省の予測よりもおよそ一・五倍の削減になっているということでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) 参議院、こちらの委員会でも修正がなされまして、最終的には昨年の九月から施行されるような形になったわけでありますが、その参議院の修正後の見込みでは、従来の傾向等も加味して計算しますと、九年度の満年度ベースで八千八百億程度の縮減効果が出る、こういうふうな見込みを立てておりましたが、十年度の予算編成に当たりまして、九月の一カ月だけでありましたけれども、実績が出てまいりました。九月の実績を踏まえまして、もう一度この数字、見込みでありますから、そういった意味では不確定な要素がほとんどなわけでありますけれども、もう一度精査をさせていただきました。その精査をしたときの伸び、要するに九月一カ月分でしたけれども、かなり当初八千八百億を見込んだときよりも落ち込んでおりました。そういった九月一カ月の分の落ち込みをベースにして十年度の予測を立てたわけでありますが、その十年度の予測ベースとほぼとんとんで推移している、こういうことであります。
○西山登紀子君 その十年度の予測ベースということが、非常に落ち込みがきき過ぎたと。落ち込んでいるということで予測をすると一兆三千億円になったということでしょうか。ちょっとわかりにくい。
○政府委員(高木俊明君) これは九月以降十年度も含めましてどういうふうに推移するか、これから見ないと何とも結論は出せませんが、別に手前みそで申し上げているわけでも何でもなくて、十年度の予算編成のときに九年度一カ月分の落ち込みというものを加味して十年度の医療費の伸びというものを予測した、その予測したとおりに推移しているということであります。
 ですから、そういった意味では、何と申しましょうか、一応十年度予算編成に当たって精査した数字でおおむね推移しているということですから、今のところ私どもが見込んだ状況で推移しているということであります。
 それは、従来と比べますと、従来は一年もたつともとに戻るということですから、そんなに長くは落ち込みが続かなかったわけですが、今回はそういった意味でまだ当初十年度予算編成で見込んだベースで推移しておりますから、そういった意味で従来に比べて抑制がついている、こういう意味でございます。
○西山登紀子君 従来に比べて抑制がきいているということをお認めになったということなんですね。
 済みませんが、時間が来たので、あとの質問は後日に譲りたいと思います。
○泉信也君 自由党の泉信也でございます。
 まず、今回の法改正に先立つ関係審議会への諮問、答申につきまして、厚生省からいただきました資料によりますと、諮問から答申までは大変時間が短い。その答申の内容も、先ほど来お尋ねがございましたように、かなりいろんな意見があったんだなということを思わせるわけですが、平成七年の法改正に関連してこの問題に取り組んでこられ、そして審議会に諮問をし答申をいただくまでの経過について、事実について御説明いただけますか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 午前中の御質疑でもございましたけれども、平成七年の法改正の附則でもって検討規定というものか設けられまして、その後、私ども厚生省といたしましては、当時は老人保健福祉審議会という審議会の場がございました。この中で老人拠出金のあり方につきましての御議論をしてまいりました。その中でもやはりなかなかこの老人拠出金という制度そのものについては、どうしても負担をし合うという制度なものですから、片方の負担が減れば片方の負担がふえるという仕掛けの中になりますので、そこのあたりについての御議論というのがいろいろ一致を見るということにならなかった部分がございます。しかるところ、やはりそういう意味から言うと老人拠出金制度そのものをもう少し議論する必要があるんじゃないか、拠出金という制度の仕掛けがいいかどうかも議論する必要があるんではないかという御議論、いろいろ実はそこまでに前の審議会の段階ではとどまっておりました。
 それでもそこまでの間そういう審議をお願いはいたしまして、それでその後昨年に医療保険福祉審議会という形で新たに発足をいたしました審議会におきまして、これもいわゆる諮問、答申の前に十一月からこの拠出金制度のあり方についての御議論を願いまして、運営部会でございますけれども、精力的に御審議をいただきました。それが十二月十九日に一応論点の整理という形で、先ほど御披露申し上げましたように、一部についてはやはり議論の一致を見ないというか、議論の一致を見なかった部分が多かったわけですが、一致を見た部分もございますが、一致を見ないままにそれぞれの御議論を整理するという形での審議をされました。それを踏まえまして、ちょうど予算編成を経まして、厚生省として種々検討いたしまして、一月十三日に改めて諮問を申し上げ、その後これも短期間ではございましたけれども、五回の審議をいただいて答申をいただいたということが今までの経過の時を追っての状況でございます。
 したがいまして、諮問、答申の間のところは確かに短期間で五回ということでございますが、それに先立つ審議があったことは事実でございます。ただ、その間においても残念ながら意見の一致を見るというところまでいかなかったことにつきましては私どもとしても残念だと思いますし、今後もこういう抜本改正を控えておりますけれども、十分な審議が行われるように運営に関してはさらに意を用いてまいらなければならないというふうには考えておるところでございます。
○泉信也君 今の局長の御答弁でおよそ見当はつきましたけれども、なぜ大臣が正式に諮問をされる前にそうした実務的な議論を、審議会というんでしょうか、そういう場所でなさったのか、初めからなぜ大臣が諮問を審議会になさらなかったのか、それはどういうわけでしょうか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 審議会における御議論を願う場合のやり方というのはいろいろあると思います。この問題につきましては、既に平成七年のときに、そういう意味でいわばもう法律上の責務としてこの老人拠出金制度のあり方、算定方法の見直しということについて検討するということが出ておりましたので、それをどういうふうにするんだというところをいきなり御諮問を申し上げるのではなくて、それを幅広く議論をしていただくといういわば前段階の議論をしていただくことがある意味からいうと大事かなというふうに思いました。
 といいますのは、先ほど申し上げましたように老人医療費、どうやりましてもみんなで支え合うということになれば、それぞれのいわば痛みも含めて支え合ってこうなっているということでございますから、それぞれの御意見というものを十分そこの間で議論をしておいていただく必要があるだろうと。したがいまして、私どもでこういう案でお願いをします、いかがでございましょうか、御意見ちょうだいをしますという前の段階で、むしろ拠出金制度のあり方、算定方法の見直しそのものについて十分そういう幅広な議論をしておいていただくことが必要であろうということで、諮問に先立ちましてそういうことをいたしました。
 最終的に諮問をしてまいりますときには、これは当然予算にも絡んでまいります。予算関連の事柄でございます。そうしますというと、これは手続のことを申し上げますと、やはり予算が固まってまいりませんと政府としてこういうことでお願いをしたいと思いますということで申し上げる段階が来ないので、これはこれに限りませず、今までのいろんな改革の場合にもそういう前段階での御議論をいただいて、そこをも踏まえて、予算編成と同時にこの予算関連法案の諮問を申し上げているという手続を踏んでいるわけでございます。
 予算関連法案で、もう予算ができてから予算関連法案の提出期限までの間の審議だけをむしろお願いをするということになりますと、非常に短期間でどうしても十分な審議ができないおそれもございますから、そういう意味でもその前にそういった御議論を願うという段階を踏んでおるわけでございます。
○泉信也君 厚生省でなさるこういう審議会関係の諮問、答申についてはある一つの考え方があってなさっておると思いますけれども、同じメンバーの方に御相談をするのであれば、初めから諮問をしていただいて、大いに議論をしていただいて御答申をいただくということの方がある意味では審議会を重視するという観点からもいいのではないかというふうに思いますけれども、今回の件が、答申の文章に盛られているような特別なやり方でやった結果としてやや問題点がある答申を受けたということではないという理解をしておいてよろしゅうございますか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 今回の審議のいわば諮問の仕方あるいは意見をいただく場合のやり方、それが今回のこういう形で並行になったとは私どもは必ずしも考えておりません。
 といいますことは、やはり諮問といい、あるいは意見をちょうだいする、その前の今申し上げました諮問に先立っての御議論をいただくときも、さあ、御議論いただきたいということではなくて、その際には、当然平成七年のああいうこともございますから、老人拠出金のあり方について御議論をいただきたいという形で、まさに先生がむしろおっしゃったようなやり方で御議論くださいということを申し上げてやったわけです。
 ただ、それが結果において、そのときに論点の整理にとどまりますと、それ以上の意見の一致を見なかったという意味においてはもっとその間時間をかけてうんとやればそこもいったではないかという御議論はそれは当然あるだろうと思います。今後そういう点について、なかなか利害の対立する問題というのは難しい面はございますけれども、できるだけ今後ともそういう点については審議が十分行われるようにということについての配慮というものは今後も必要であろうと思います。
○泉信也君 それでは、お尋ねする点を変えまして、今回の改正の一つの目玉になっております保険医療機関の病床の指定等に関する改正点について、私は競争原理と申しましょうか、需給調整という観点から少しお尋ねをさせていただきたいと思います。
 今回の改正点で、入院医療の効率的な提供を図る上で保険医療機関として著しく不適当であると認められるときは云々ということがございます。私はこれは当然そういうことをやってしかるべきだと、今までも恐らくそうなさってこられただろうと思います。問題は、先ほど来も出ておりました過剰か過剰でないかという議論を少しさせていただきたいと思うわけです。
 厚生省が発表されました資料だと思いますけれども、横軸に人口をとって縦軸に一人当たりの入院医療費という資料がございますね。これは供給が需要を呼び起こしておるというふうな意味で厚生省側は説明をされ、したがって病床をふやすことは医療費のアップにつながるという論理の展開につなげておられると思いますが、そういう理解をしてよろしいでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) 先生のお持ちの資料は全国ベースだと思いますが、各都道府県ごとに見てみますと、一人当たりの入院医療費とそれからベッド数、これとの関係に非常に強い相関関係があるということをその図は示したものでございまして、そういった意味で私どもは相関関係をあらわした資料というふうに考えております。
   〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
○泉信也君 数学的な相関係数が〇・九に近いというような説明もついておりますから、確かにそうかと思いますが、例えばこの図でそのほかのこと、相関があるというだけで、そのほかのことはどんなことを厚生省としては読み取っておられるんでしょうか。
○政府委員(高木俊明君) 医療費の増嵩要因という面ではいろんなファクターが当然あるわけであります。そういった中で、ベッドと一人当たりの入院医療費との関係という意味ではまさにこの図にございますような非常に強い相関関係があります。
 もちろんそのほかの関係もいろいろありますけれども、私どもとしては、この辺のところは非常に強い相関関係があるということで、医療法の医療計画が法律上決められましたときから、これは指導通知という形でございますけれども、今回法律改正をお願いしておりますように、都道府県知事の勧告があった場合、病床過剰地域に新たに病院をつくりたいということで、しかしながら病床過剰地域であり、これ以上ベッドは要らないということで都道府県知事が勧告した場合には、いわゆる健康保険法上は保険医療機関としての契約はしない、こういうふうな指導をこれまでしてまいりました。それを今回は法律上きちっと明確化をする必要があると考えまして明確化をすることにしたわけであります。
 それと同時に、既存の医療機関につきましてもやはり劣悪なものについては指定更新の際に指定を拒否できる、こういうふうな規定もあわせて明文化をしたということであります。そういった意味では、基本的にはこれまで昭和六十二年以降行ってまいりました指導方針というものを、これは通知でありますし、その根拠となっている健康保険法自体もかなり包括的な規定でございますので、これをやはりもっと明確にする必要があると考えて今回お願いをしている、こういうことでございます。
○泉信也君 今の御説明は、けさほど来の質疑の中でもある程度私なりに理解をしたつもりですけれども、今回の法改正で、医療費のアップを抑えようとする際に、病床数との関係を意識して議論をされる、あるいは今回の法律改正の骨組みをつくられたという経緯はないんですか。
○政府委員(高木俊明君) 素直にプロセスを申し上げますと今申し上げたようなことでありますが、こういう傾向は、例えばドイツとかあるいはフランスにおきましても、必要以上の病床というものはふやさないという観点から医療保険上も法律で抑制をするという措置を講じております。そういった諸外国の流れというものも念頭に置いて考えた面はございますけれども、素直に申し上げますと冒頭申し上げたようなことで、私どもとしては、医療費の適正化という観点からしますとやはり必要以上にベッドというものを整備する必要はない、こういうふうな考え方で今回御提案しているわけでございます。
○泉信也君 それでは、ことし一月二十日の省内の部局長会議資料の中にあります必要病床数等に関する検討会というのが持たれておるということが言われておりますが、ここではどういう議論を今までなさっておられるんでしょうか。
   〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
○政府委員(谷修一君) 厚生省の中に設けておりますこの必要病床数についての検討の委員会でございますが、幾つかの視点がございます。
 一つは、この委員会でも幾つが御指摘がございますが、必要病床数の中でいわゆる特例的な病床ということが決められておりますが、その範囲というものが現行どおりの従来のものでいいかどうかということについて一つは議論をいたしました。それからもう一つの問題といたしましては、行政改革委員会からの指摘がございます、いわゆる急性期の病床それから慢性期の病床というものに分けたらどうかという御指摘がございます。その問題についても議論をいたしているところでございます。
○泉信也君 そういたしますと、私がお尋ねしたかった必要病床数の算定方法、こういうことを議論しておられるわけではないということですね。
○政府委員(谷修一君) 必要病床数の算定方法につきましては、この医療計画の制度ができました際に基本的な枠組みというのは決めております。必要に応じて見直し等を行ってきておりますが、先ほど申しましたこの必要病床数の検討委員会の中でも算定方式について議論はいたしております。
○泉信也君 そういたしますと、この算定式は変わることがあり得るということでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 特にこの急性期の病床と慢性期の病床に分けるということを前提に考えました場合に、先ほどちょっと触れませんでしたけれども、そもそも急性期というものが何で、慢性期というのをどういう定義にするのかということ。それから規制緩和小委員会の指摘の中では、現在の必要病床数の枠の中で急性期と慢性期に分けるということを前提にした指摘がございますので、もし現行の必要病床数の枠の中で急性期と慢性期に分けるということになれば、そのそれぞれについての算定の方式といいますか、それは検討していかなきゃいけないと。
 ただ、先ほど前の委員からの御質問にも申しましたが、これは今後まだかなり検討しなきゃいけないということでございますので、急性期と慢性期に分けるというのは私どもとしては医療制度全体の改革の中で対応していかなきゃいけないと、そういうふうに考えております。
○泉信也君 その中身を分けられるかどうかということは大変な問題だとは思いますけれども、私がしつこくお尋ねいたしておりますのは、先ほど来も議論がございましたが、この必要な病床数というものが基準になって過剰か過剰でないかの議論を展開しておられる、もちろん例外はあることは先ほどからお聞きしておりますけれども。そういたしますと、この算定式が本当に十分なのかどうかという検証が必要だというふうに私は思います。
 きょうはそのことに触れるわけではありませんが、先ほど来お聞きしておりますと、この病床数を超えた場合には新しい病院の増設あるいは新規の開業ということは基本的には認められないということになりますね。
 そこで、既存の医療機関の切磋琢磨ということについてはどんな手当てをされるのか。私どもとしては医療機関については余りにも保護され過ぎておるんではないかと。したがって、こういう計算式で出された、しかもこの数値が一位のけたまで出ていますね。この表の数値は、先ほどもございましたけれどもマイナス百十一だとかというふうに正確に出ておりますが、こういう一位のけたまでを原則的には重視しながら、ふえるか減るか、また足りないかというような議論をしている限り、医療機関の中での切磋琢磨、競争原理というのは働かないんじゃないか。どうやってその部分については手当てをしておられるんでしょうか。
○政府委員(谷修一君) 今回の法改正との関係で申し上げれば、先ほど保険局長が答弁しましたように、いわゆる過剰の病床についての保険指定という問題とあわせて、著しく不適当なものについての保険の指定をしないといったようなことが盛り込まれているわけでございます。今、先生お話しのございましたいわゆる医療の分野におきます競争ということに関しましては、確かに一般的なサービスというものについては供給者の自由な競争ということを原則としてサービスが提供されるということだと思いますが、医療の場合には通常の市場と違うといったような幾つかの側面がございます。そういうようなことから、私どもとしてはやはり一定の規制というものはどうしても必要ではないかというふうに考えております。
 ただ、そうはいいましても、やはり患者さんの立場あるいは消費者の立場ということから、医療についてもできるだけ情報公開といったようなことが進められるべきだというふうに考えております。そういう意味では、昨年の医療法の改正におきましても患者さんが医療機関の選択ができる、できやすいようにするということから広告規制の緩和を行いました。
 また、与党協の意見の中でも指摘をされておりますけれども、専門医というような表示につきまして広告が将来できるようにすべきだということから、これは具体的には専門医の認定基準の統一ということについて専門学会の方に既に検討をお願いしております。また、病院の機能の評価を進めていくということから、第三者によります病院機能の評価ということを進めております。これは、実際始めましたのは平成九年度からでございますが、その結果を認定を受けた医療機関については公表するといったようなことも進めてきております。
 そういうようなことで、私どもとしては、広い意味での医療機関の競争を促進していくという側面の一部ではございますけれども、できるだけ患者さんに医療機関の内容の情報を提供していくということが一つ取り組まなきゃいけない課題だというふうに思っております。
○泉信也君 私は、衆議院の委員会で神戸大学の先生が述べられた、医療計画というのは、過疎地とそれから過剰地域にあっても新設を抑制するというような趣旨ではないのではないか、医療法の医療計画というのはそういうものではないんじゃないかという御発言があったようでございますが、今、局長から御答弁のありました内容で本当に病床数を制約する理由がどこから出てくるのかなと。
 一番最初に私がお尋ねしましたのは、病床数とそれから医療費がリニアに増大するという前提で、だから病床数は制限するんだというお話かというふうにお聞きしましたところ、必ずしもそうでもないような御返答がございました。それならば、ベッド数については何のために制限をするのか、競争をやらせたらいいじゃないか、このことについてはどんな見解でしょうか。
○政府委員(谷修一君) 医療の分野におきまして一般のサービスと違う点というのが幾つか指摘をされております。
 それは、一つは現実問題として医療保険制度の中で価格が診療報酬という形で公定をされているということ、またいかに患者さんに情報を提供したにしても、いわゆる情報の非対称性と申しますか、医療を供給する側と医療を受ける側との間での情報の格差というものがある。また、そういう前提の上で本当に患者さんが自由な競争の中で適切な医療機関をみずからが完全に選べるかどうか、そういったような幾つかの医療サービスと他のサービスとの違いというようなことから、先ほど保険局長からもお話がございましたように、各国においても、特にこの医療保険制度との関係において、医療供給面についての規制も必要であるということが現実問題として行われております。
 したがいまして、特に供給面については病床数を制限する、あるいは病院の開設なり保険の指定を制限する、また医師なり歯科医師の数を抑制するというような形で供給面においての規制が行われている。
 また、医療保険サイドにおきましては、やはりこれはヨーロッパ諸国と同じでございますけれども、例えば給付率を制限するとか、幾つかのそういう規制が行われて、その上でなおかつ良質な医療サービス、かつまた質の高いサービスを提供していく、その調整をどうしていくかというところが各国の共通の課題だというふうに私は認識をしております。
 そういう意味で、我が国においても医療供給の面、それから医療保険の面、両面から医療費対策あるいは医療対策というものを考えていく、そういうのが私どもに課せられた課題だというふうに認識をしているわけでございます。
○泉信也君 医療が特殊な分野であることは私も理解をしないわけではありませんが、余りにも医療行政に対して保守的ではないか。本来、よりすぐれた医療サービスを受けられる、あるいは意欲的な医療機関がその地域に出たいというものを、もう一つ例外を言われましたけれども、病床数でもって規制をするということについてはもう一度やっぱり考え直すべきではないか。
 ある種の幅で議論をするとかあるいは一つの医療機関の一ベッド当たりの平均医療費が極端に高いもの、三割高いもの、五割高いものについては内容を調べて免許を取り消すとか、一つ一つもっときめ細かいことをやるべきであって、そういう中で競争原理、需給調整は図られるという方向にもう少し進めていただきたい。
 あるいは、廃業される病院のベッドが利権に絡んである種の新規開業者のもとに売られるというようなことが起きないことを、事実はどうか知りませんけれども、私は期待しておりまして、今回の法改正は現在の規制緩和あるいは自由競争という時代の流れに少し逆行しておるのではないか。局長通達で縛っておったものを法律の中に持ち込むということはそれなりの理由があってのことだとは思いますけれども、そういう思いを強く持ちました。
 以上で終わります。
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 本日は、私の方からは、診療報酬の不正請求防止に関連いたしまして、そしてまた診療報酬の請求、支払いに関する厚生省の取り組み等々についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この問題につきましては、厚生大臣も先日本会議で、「医療機関における医療費明細書の発行の推進や保険者によるレセプトの情報開示、」「関係審議会の公開等、医療における情報公開を引き続き推進していきたい」、こういうふうにお答えになっておられました。
 我々一人の患者あるいはまた被保険者の立場からいたしますと、病院へ参りまして、病状のことやお薬のこと、専門家でもないわけですからわからないことが多いわけですけれども、できる限りお医者さんから詳しく説明をお伺いしたい、理解したいということで一生懸命質問をする。そして診療が終わります、支払いに関してはほとんどむとんちゃくでございますので言われるままにお支払いをするということでございますけれども、これはほとんどこういうことが一般的ではないかと思います。
 しかし、今後は大臣がおっしゃったとおり、情報の公開が積極的に行われるということでございますので、患者サイドといたしましても、一人一人が素人なりにそれぞれチェックし、またそのための知識というか勉強していかなくてはならないと思うんですけれども、大臣もさもあれば一人の患者として病院にお伺いしたときなどは、そしてまた今後患者としての意識のあり方とかいうふうなお考えをまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) お医者さんと患者さんとの立場というのは、極端に言えば、患者さんの方はお医者さんに全部任せきりという方が多いと思うんですね。医療費についても言われたまま見ないで素直に払ってしまうということが多いと思います。
 最近は医療情報も、耳学問といいますか、いろいろな情報誌、雑誌等が出ております。医学の知識も国民全体向上していると思います。それだけ健康に関して、また病気に対しての関心が高まっているんだと思います。お互い健康は最終的には自己管理が大事だ、その上でお医者さんと薬も大事だという認識を持っていただきまして、お互いが自分はどういう病気なのか、またお医者さんも患者さんに対してどのように正確な病状を伝えるかということも大事でありますので、そういう情報面におきましては、費用の面においても病名の面においてもお互いよくわかるような情報開示が必要ではないかと。その面において、厚生省としても積極的に情報開示を進めるような方策をとっていきたいと思います。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、患者、被保険者の一人一人が知識を持って、今おっしゃったように関心を持つという観点からお伺いしたいのは、まず、窓口で一部負担を支払った後の診療報酬の請求ですけれども、支払いについてお伺いしたいんです。
 全体の業務内容については昨年十一月の衆議院決算委員会の議事録を勉強させていただいたんですけれども、その中から具体的にちょっとお伺いしたいと思うんです。
 まずは審査委員会の委員の構成についてですけれども、この委員については、診療担当者を代表する者、保険者を代表する者及び学識経験者の三者からの構成でございますけれども、この選任の方法と資格の有無、そして現状における医師が占める割合についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 審査委員会は、支払基金の審査委員会と国保連合会の審査委員会とそれぞれございます。国保の関係は国保連合会でありまして、そのほかが支払基金であります。構成は、今、先生御指摘のとおり、三者構成でありまして、診療担当者の代表、保険者の代表、それから学識経験者ということであります。
 それで、その委嘱でありますが、支払基金につきましては支払基金法に基づきましてそれぞれ同数を、支払基金は都道府県単位に支部がございますけれども、この各支部の幹事長が委嘱する、お願いする、こういう形をとっております。
 それで、診療担当者の代表一それから保険者の代表につきましては、所属の団体に推薦をいただきまして、これに基づいて委嘱をいたしております。それから、学識経験者の委員につきましては、知事の推薦に基づいてお願いしておるわけであります。国保連合会もおおむねこれと同じでありますけれども、こちらの方は都道府県の知事が委嘱をする形にしておりまして、同じように診療担当者代表、それから保険者代表につきましては所属団体の推薦に基づいて委嘱を行っております。
 それから、委員の資格でありますけれども、これは内容がレセプトの審査ということでございますので、専門的な医学上の知識が必要であるということでありますので、原則として医師または歯科医師ということでお願いするように指導いたしております。
 それからまた、委員の先生方の中における医師の占める割合でございますけれども、支払基金につきましては全員の方が医師または歯科医師ということでありますもそれから国保連合会につきましては、これは昨年の五月現在でございますが、九八%が医師でありまして、残りの二%が薬剤師、このような形になっております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 そこで、厚生省では、昭和六十年当時ですけれども、「学識経験者たる審査委員を都道府県知事が推薦するに当たっては、審査委員会が三者構成とされている趣旨に十分に配慮する必要があり、各推薦母体の長等の職にある者を推薦することは適当でない」、昭和六十年五月九日にこのような内容の通達があったわけですけれども、その後にも何度か出されておるわけです。
 その当時でございますが、例えばその時代背景といいましょうか、背景にはどういった問題があったのかということと現在の状況をあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 御指摘のとおり、六十年五月に通知が出ております。当時といいますか、この通知が出される以前から推薦母体の長等を学識経験者に当てることは適当ではないという指導をしてまいったわけであります。六十年に通知がまた出ておりますのは、審査委員の改選に当たって、特に当時医療費の適正化ということが非常に重要な課題に上っておりまして、そういった中で、やはり審査体制の公正というものを確保するということから、改めて認識を深める意味でこういった通知が出されたのではないかというふうに考えております。
 当時、特別の個別的な背景があったのか、ちょっと調べてみましたが、特段何か特別な事情があったということではないようでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
 被保険者の立場からいたしますと、医師の占める割合の大きさには素朴な疑問を感じるわけですけれども、最近では現実に薬剤師さんの委員も委嘱されているところもあるようでございます。
 我々からいたしますと、例えば看護婦さんであるとか、学識経験者ということでございますので、研究者の方とか学者さんへの委嘱がもっと数がふえてもいいのではないかというふうに思うわけですけれども、このあたりの実情と、それに対して厚生省はどういうふうに認識されておられるのか、お伺いいたします。
○政府委員(高木俊明君) メンバー構成でありますけれども、これはあらゆる関係者に参画いただくというのも一つの考え方だと思いますけれども、やはりレセプトの内容ということになってまいりますと、かなり専門的あるいはまた臨床上も医学的な知識というものがどうしても必要とされますから、そういった意味では、原則的にはやはり医師あるいは歯科医師という専門家の方に参画いただくのが適当ではないかというふうに考えておるわけであります。
 かつまた、かなり膨大な請求明細書をチェックするわけでありますから、そういった意味からしましても、やはりある程度総合的に見ることができる先生にお願いするということが適当ではないかというふうに考えております。
○西川きよし君 そこで、実際の審査業務についてお伺いをしたいわけですけれども、一年間のレセプトは、今も局長さんがおっしゃっておられますが、数字にいたしますと何と十一億枚、本当に大変な数字でございます。その数を数十人の審査委員で審査されるわけですから、事務職員の方々の補助があるといたしましても本当に大変な作業だと思います。やはり素人目には十分な審査が行われているのかなというふうに素朴な疑問を感じるわけですけれども、こういった点は局長さん、いかがでございましょうか。
○政府委員(高木俊明君) この辺がなかなか難しい点なのでありますが、現実の請求額に対する査定額と申しますか、こういったものをずっと通年で見てみますと、むしろ現行の審査のあり方、こういったものがそろそろ、そろそろというか、大分前かもしれませんが、やはり限界に来ているのではないかというような認識を私どもは持っております。
 今、先生御指摘のとおり、国保と支払基金と合わせますと十億枚の請求明細書をチェックする、しかも目審査ということになりますから、これは非常に無理がある。そういった意味で、支払基金等におきましてもいろいろ工夫を凝らしてできるだけ効率的でかつ的確な審査ができるようなことをやっておりますが、それでもやはり限界があるのではないか。とりわけ、今はもうコンピューターの時代でもありますし、それからまたコンピューターに載せる前の診療報酬点数表自体も非常に今複雑かつ膨大なものになっておる、もっと簡素化が必要だということを考えております。
 そういった意味では、医療保険制度が最初我が国で普及が始まったころと比べますと、やはり昭和三十六年の皆保険以降の状況、しかもそれからさらに三十年以上たっている状況を考えますと、この辺のところもあわせて私どもとして近代化といいますか、新しい時代に即応したものに変えていかなきゃいけないだろう。そういうような観点から、それぞれ支払基金を初めとしまして関係者の方々にもお話しし、そしてそういった角度からいろいろと検討をいたしております。
 一気に大きく変わるということにはかなり時間が要ると思いますけれども、私どもとしてはそういった意味で時代に合った形の審査体制というものをつくっていく必要があるだろう、今そんなふうに考えております。
○西川きよし君 今、局長の方からコンピューターというお話も出たわけですけれども、十一億枚近くというと、時間にして一枚にして大体四秒ぐらいというようなお話も聞いておるわけですけれども、これは大変なことだと思うわけです。
 次に、減点査定額の実情についてまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) 支払基金とそれから国保連合会とございますのでそれぞれについて申し上げたいと思いますが、ちょっと数字が平成七年度しかございませんので、これで申し上げたいと思います。
 これは、平成七年度支払基金のトータルが千八百七十七億円、査定をした形になっておりますが、厳密な意味での診療内容についてチェックをした分というのはそのうち九百四十一億円でございます。残りの九百三十六億円というのは、例えばA保険者にいた被保険者がそこの企業をやめてほかの保険に移ったという場合に、従来の保険証でかかっておるという場合があります。この場合には、単純に資格審査と言っておりますけれども、要するに査定というよりもむしろかかるべき保険証を間違えている、こういうことでありますので、それは単に資格上のやりくりでありますから、これは査定といってもちょっと減点とかそういうのと違いますけれども、これが九百三十六億で、合わせまして千八百七十七億であります。
 それで、さらに国保連合会でありますが、同じように診療内容の審査ということで見ますと六百七十四億、それから資格審査、資格が間違っておったという意味では六百七十一億でありまして、合わせて千三百四十五億円、こういうことでございます。
○西川きよし君 そこで、お伺いしたいのは審査の結果でございますけれども、例えば減点された場合の患者側の一部負担金がどのように扱われるかということでございます。患者が病院の窓口に一部負担を支払うのはもちろんこうした審査が行われる以前のことになりますね。そうした場合に、減点となったケースについては患者の過払いになるのでしょうか。もし、過払いということであれば当然患者さんにお返しをしなくてはならないというふうに思うわけですけれども、厚生省としてはどういうふうなお考えでございましょうか。
○政府委員(高木俊明君) 法的には御指摘のとおり、やはり減点がある、いわゆる減額された場合は被保険者の方が払った一部負担金、これも過払いになっておりますから、この過払い分につきましては患者に返還されるべきものであるということであります。
 ただ、これはなかなか実務的に見ますと非常に難しい問題がありますので、この辺のところを厳密に実行を期すということになりますとさらにもっと検討しなきゃいけないと思いますが、法的にはまさに返還されるべきものであるというふうに考えております。
○西川きよし君 国立病院のケースで結構でございますけれども、例えば過払いの発生した件数とかその後返還した件数とか、どのような実情になっているか、わかる範囲内で結構ですけれども、ここ数年間のことでもおわかりになれば教えていただきたいと思うんです。
○政府委員(高木俊明君) まことにそういった意味では個別医療機関との関係でありますので、私どもの方ではそういった返還状況については把握を合いたしておりませんので、問題意識としてこれをどういうふうにシステム的に考えていくべきなのかということについての検討はしておりますけれども、今のところ全体の状況というものは特に把握しておりません。
○西川きよし君 わかりました。
 質問に当たりまして自分自身でもいろいろ勉強させていただいたんですけれども、過払いが生じた場合に患者さんへの返還は余り行われていないというようなことであれば当然不信な声も出るわけですけれども、この点については例えば通達をこれからお出しになるとか徹底する必要が、今おっしゃいましたようなことを今後はどういうふうに進めていかれるのかということもあわせてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(高木俊明君) これまで例えば患者に対していわゆる保険者の方から、保険者のところに最終的には請求明細書が集まりますから、そういった中で患者に対して、あなたの場合にはこれこれこれだけ過払いになっていますよというような通知といいますか、そういうことがわかるようなことをやってはどうかということで、医療費通知の際の一つの付記項目といいますか、そういった形で通知を実は出しております。
 ただ、果たして本当に全体的にこれでうまくいくのか。患者さんにとっても、医療機関の窓口に行って、こういうことだから返してくださいということもなかなか言いづらいんじゃないかと思います。そういった意味で、この辺のところを法的にきちんとやっていくとすればやはり何らかの検討をしていかないと、一片の通知だけでは余りうまくいかないんじゃないかと私は考えております。そこら辺のところはもっとやはりシステムとしても検討をしていかなきゃならない課題ではないか、こんなふうに考えております。
○西川きよし君 自分自身もちゃんと質問をさせていただいて納得をしておきたかったものですから、余りその高額とか少額とかということではないんですけれども、十円だの二十円だのというようなことになればそれは大変なことですけれども、よりよい方向によろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、会計検査院の指摘についてお伺いをしたいわけです。
 会計検査院では、昭和六十二年から本格的に国の医療費の不当な負担についての検査と指摘が行われてきたわけですけれども、納税者、患者、被保険者の立場からいたしますと、会計検査院の指摘により不当不正な請求を是正されることには大きな意味があると私も思います。しかし、そもそも審査委員会が認めたレセプトに対して毎年毎年これだけの指摘が行われているということ自体、審査委員会のあり方についてやっぱり少々疑問を感じるわけです。この点についてはどういった問題があるのか、厚生省にお伺いします。
○政府委員(高木俊明君) 私どもとしても、会計検査院から指摘されるまでもなく、医療保険制度の仕組みの中でやはりきちんとしていくというのは、これが基本だというふうに考えております。
 ただ現実には、毎年やはり会計検査院の調査によってかなりの指摘がなされております。平成八年度にも指摘されておりますけれども、一つには請求明細書、月ごとに出しますけれども、これをある程度数カ月並べて見てみますと、やはりそこに不適当な事例というものが見つかるということがございます。いわゆる縦覧点検というような呼び方をしておりますけれども、こういったものをもっときちっとやっていくということが一つかなり有効な方法であります。
 それから、さらには保険医療機関に対する実地調査というようなことを、いわゆる指導監査ということになりますが、もっと小まめに徹底してやっていくことが必要だというふうに考えております。そのほか、いろんな不正事件等が出てきたりするわけでありますが、こういったものについては、それぞれ各県の保険担当部局においても情報に対して敏感に対応できるような、日ごろからそういう情報収集等についても十分目配りをしていくというふうなことが必要であります。
 そういった意味で、検査院は検査院として情報をつかんでいろんなチェックをしていると思いますけれども、保険サイドとしても、それを検査院から指摘される前に適切な対応をとるような格好で、私ども常に機会あるごとに指導をしておりますけれども、今後もそういった指導についてさらに充実をしていかなきゃいかぬなというふうに考えております。
○西川きよし君 朝から諸先生方の質問も聞かせていただきまして、自分自身もこうして質問をさせていただきまして、反対したらいいものなのか賛成をしたらいいものか、将来のことを考えますと大変私自身も本当に悩んでおります。ひょっとすると、厚生大臣以上に私の方が悩んでいるかもわかりません。患者、納税者の立場からいたしますと、ごく一部の医療機関のこととはいいましても、不正な請求を行うこと自体が患者との信頼関係を損なうわけですから、これは大変な問題だと思います。現実にそうした実態がある以上は、この不正の防止策の強化はやっぱり不可欠であると思います。
 そうした観点から、今後のこの審査体制のあり方について厚生大臣にお答えをお伺いいたしまして、質問の最後にしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) 不正と不当、似たようなものじゃないかという方もおられるんですが、不正請求というのは、架空請求のように詐欺その他の不正の行為による診療報酬の請求をいい、これらについては審査機関による書面での審査では限界があるため、都道府県が保険医療機関等に対し実地で行う指導監査の強化等によって対応していきたいと考えております。
 また、この不当請求ですが、これは過剰な検査、投薬が行われた場合のように、いわゆる医療保険上妥当性を欠いたものをいうことであって、その適正化を図るためには審査機関によるレセプト審査や保険者によるレセプト点検等が重要であると考えております。
 このため、レセプト審査については今年度、重点審査の対象拡大等、充実強化を図ったところでありますが、今後も一層診療報酬請求の適正化を図るように、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会を指導していきたいと考えております。
○尾辻秀久君 珍しく最後の質問者になりまして、お疲れのところだと思いますけれども、なるべく早く終えたいと思いますので、しばらくおつき合いいただきたいと存じます。
 私は、この法律案が出てきた背景をこのように考えております。社会保障制度改革が不可欠となりました。そこで、その第一弾として、介護保険法が成立をしました。次に、第二弾として、医療保険制度の抜本改革に取り組まなければなりません。既に多くの委員の皆さんが御指摘のとおりであります。しかし、その前に、市町村国保財政が余りに厳しいので、その手当てをしておかなければならない。そういうことでありますから、その意味においては余り財政構造改革と直接つながってはいないと私は考えております。
 社会保障制度審議会がまさに指摘していますように、平成十二年に予定される老人保健制度の抜本改革を待てない状況にありますから、今回の法改正、やむを得ない措置と考えておるのであります。
 ただ、確認をしておきたいことは二点あります。一点は、国保を助けるのはいいんですが、助けるために健保や政府管掌保険に寄っかかってしまって共倒れになっては困りますから、そうはならないんだということだけはやっぱり確認をしておかなきゃいけない、こう思います。それからもう一点は、これはもう既に何人かの委員の皆さんが質問されたことでありますけれども、病床規制措置が既得権擁護につながらない、このことは確認をしておかなきゃならないと思います。
 そこで、以下質問をいたします。
 まず、二十七兆円とも二十八兆円とを言われる医療費をどう適正化するかということが基本の問題であります。このことについて多くの問題点が挙げられますが、今回の改正では一つのポイントに不正請求の防止を挙げました。そのためにも、今も西川委員も御指摘されたところでありますけれども、年間十一億件以上の膨大なレセプト審査の合理化、効率化が急務であると考えるわけでありますが、全体としてこのことにどう取り組んでいくのか、まずお尋ねをいたします。
○政府委員(高木俊明君) まず、年間十億件以上のレセプト審査の合理化、効率化という点についてお答え申し上げたいと思います。
 これは先ほども申し上げましたとおり、目審査でやっていくにはかなり限界があると考えておりまして、そういった意味では私どもとしてはレセプトの電算処理という方向を今目指しておるわけであります。
 そういった意味で、まず十年度中におきましては、医療機関の方でレセプトを例えば電算処理をしている、それについては一々紙に落として請求をせずに、テープなりあるいはまたディスクなりフロッピーなりで請求できるように、それを支払基金の方で受け付けができるような体制というものを整えたいということで考えております。
 それからまた、現在におきましても高点数のレセプト、あるいは平均の請求点数が特に高い医療機関のレセプト、こういったものについては重点的に審査を行っております。
 また、支払基金においては、保険者別に振り分けるような機械化というようなことも進めておりまして、そういった意味では今後、レセプト処理の電算化に合わせまして、さらにそういった機械化という面も含めて合理化を図っていきたいと、こんなふうに考えております。
○尾辻秀久君 この問題についてはいろいろ議論したいことは多くあります。象徴的な事件が安田病院事件ですが、これについては後で時間でもあればお尋ねをいたします。
 また今、私の手元にある資料でも、国立医療・病院管理研究所の川渕孝一さんが、医療費適正化政策の効果を左右する五要素というふうに言って、一番目に医療保険でカバーされている人口の比率、二番目に保険者と医療機関の力関係、三番目に医療費のうち政府が支払う比率、四番目に医療システムの将来設計に関する政府の役割、五番目に医療政策に関する中央集権化の度合いなどを挙げておられますし、こうしたことについての厚生省の見解も聞いてみたいと思っておりますが、きょうは聞きません。
 いずれにしても、レセプト一枚当たりたしか何秒かという計算になるんだったと思いますけれども、そういうことでは実質審査は難しいんだということだけを申し上げておいて、またいずれかの機会に議論をさせてもらいたいと思います。
 次に、医療費の中で大きな割合を占める老人医療費の適正化を進めることが改正の前提であると考えますので、どのように取り組むおつもりか、お尋ねをいたします。
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生お挙げいただきましたように、現在の医療費の増加要因の中で老人医療費の占めますウエートというのは非常に大きいものがございます。したがいまして、老人医療費のむだや非効率を徹底的に排除をしていくということは非常に重要な課題でございますし、そういう意味で老人医療費への取り組みが非常に大事だというふうに思います。よく言われていますように、一人当たりでは若年世代の約五倍の医療費がかかっております。
 したがいまして、そういう観点から先ほど御答弁申し上げましたレセプト点検の充実強化のほかに、いわゆる社会的入院という形で本来急性期の治療というよりは介護的な要素で一般病床に入院をしておられるような方々については、できるだけ介護体制を整えるということの中で社会的入院を是正していく。あるいは保健婦の訪問活動等を通じまして適切な受診というものを指導していって、重複受診というようなことをできるだけ避けていくという体制づくりに力を入れますとともに、さらに進めましていわゆる健康づくり、まずお医者さんにかからなくて済む、そういう人をつくっていくという意味での健康づくり、寝たきり老人ゼロ作戦というような形で従来から展開してまいりましたこれをさらに力入れをしていくというようなことを総合的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○尾辻秀久君 いろいろお答えいただきましたが、この老人医療費が市町村国保財政を圧迫している要因の一つであります。今回の老人医療費拠出金に関する見直しが市町村国保にどのような作用を及ぼすのか、このことをお尋ねいたします。
○政府委員(高木俊明君) 今回の改正は、老人の拠出金という意味では二点あるわけであります。一つが、老人加入率の上限二五%の問題、それからもう一つは、退職者医療の老人拠出金の負担ということでありますけれども、国保サイドにおきましては、平成十年度で見てみますと合わせまして約千百億円の負担軽減になるということでございます。そのうち半分が国庫負担でございますので、国保サイドの保険料負担が、厳密に申し上げますと五百六十億軽減される、こういうことでございます。
○尾辻秀久君 今お答えいただきましたように、市町村国保財政はある程度は楽になるんだろうと思います。
 そこで、先ほど申しましたように、共倒れにならないかということでお尋ねをしておきたいと思います。今回の見直し等で、医療費施策全体で見た場合、各医療保険制度における保険料負担がどのようになるのか、要するに、ふえるのか減るのか、お尋ねをいたします。
○政府委員(高木俊明君) 今回、この見直しだけでありませんで、十年度はいわゆる薬価の引き下げあるいは医療材料の引き下げ等、医療費の適正化というのを行っておるわけであります。これは、むしろ各制度共通の減要因ということになるわけであります。一方、今回の法律改正によりまして、老人の拠出金の見直しをいたしますと、国保サイドは負担減になりますが、被用者保険サイドは負担増になるということであります。
 それらを全体で見ますと、平成十年度においては、各制度ともすべて負担減になるということでありまして、政管健保で見てみますと、千三百六十億の負担減、健保組合も四百三十億の負担減、それから共済、船保合わせまして百三十億の負担減、国保のいわゆる市町村国保サイドでありますが、千三百十億の負担減になる格好になります。
○尾辻秀久君 私がこういう表現をしていいのかどうかわかりませんが、時々厚生省の計算にだまされることがありますので、今度はきっちりその数字になるように祈りたいと思っております。
 次に、病床規制措置についてお尋ねをいたします。
 今回の措置は、病床過剰地域において不必要と認められた病床等を制限するものですから、私は妥当だと考えています。特に、この医療における需要と供給の関係というのはほかのものとちょっと違っていると私は思っているのですが、医療では供給すると需要が追いつくという性格があったりしますから、私は今度の措置というのは妥当だなと思っておるのであります。
 私はそのように考えておるのでありますけれども、今回の法制化を図る趣旨について、改めてでありますけれども、基本のことですから大臣にお尋ねをいたします。
○国務大臣(小泉純一郎君) 医療の分野においては、競争がさらに費用の低下をもたらすとは限らない分野であって、むしろ供給が需要を生むという状況になっています。また、自由価格というのは通用しない、ほとんど統制価格で政府が決めているということであり、極めて統制色の強い分野でありますので、普通の経済原則で言う市場原理が通用しない分野だと思うのであります。
 そういう中で、この病床規制措置というものは限られた医療資源をどのように効率的に有効に使うかということであって、私はやむを得ない措置ではないかなというふうに考えております。
○尾辻秀久君 たしか先ほどの泉委員の質問に対してだったと思いますが、ドイツ、フランスの話が出ました。もしお手元に資料があれば、どのような仕組みになっているか、お答えください。
○政府委員(高木俊明君) 私どもが調べた内容について申し上げますと、ドイツ、それからフランス、いずれも社会保険で医療費保障をやっているわけでありますが、これらにおきまして、病院あるいはまた病床数、こういったものについて地域ごとに計画的に整備すべきであるという基本的な考え方に立っているようであります。したがって、それぞれ地域ごとに病院計画というものを策定する。病床過剰地域においては、新規に病院開設等の申請があった場合には病院の許可を与えないということ、あるいはまた医療保険から給付をしないといったような措置が講じられる仕組みになっております。
 ちょっと長くなりますが、もうちょっと具体的に御説明申し上げますと、ドイツの場合ですと、一九七二年に病院財政安定法という法律がつくられまして、これに基づいて各州が地区ごとに必要病床数等を定めた病院計画というものを策定することとなっております。新規に病院開設等の申請があった場合には、州当局、ここでそれぞれの病院計画の必要病床数に照らしまして関係審議会の意見を聞いた上で妥当性を判断する、そして妥当と認められた場合には病院計画の中に採用する。そうなりますと医療保険からの給付が行われる、こんなふうな中身であります。
 しかしながら、州がその病院を不要として病院計画での採用を認めなかった、こういった場合には、開業は認められますが、ドイツの場合、疾病金庫、いわゆる日本の医療保険の保険者でありますが、保険者は当該病院と個別に契約を特別に結べばこれはその限りではありませんけれども、基本的には医療保険からは給付をしない、こういう仕組みになっておるわけであります。
 それから、フランスの場合でありますけれども、フランスにつきましては、一九七〇年に病院改革法という法律、それからまた、一九九一年に新病院改革法という法律を制定いたしまして、各州に地方病院庁というものが設置をされておりますけれども、これが地区ごとに必要病床数というものを定める、これを医療地図というふうに言っておりますが、それと医療機関の間の連携というものを定めた地方医療組織計画、こういったものを策定することになっております。
 新規の病院開設等の申請があった場合には、地方病院庁は当該計画の必要病床数に照らしまして、関係審議会の意見を聞いた上で妥当性を判断して、妥当と認められた場合にはその病院の開設等を許可する、しかしながら、その病院が不要であるというふうに病院庁の方で考えますとこれはそもそも医業そのものができない、こういうような仕組みを法律でとっておるのが現状であります。
○尾辻秀久君 今、ドイツ、フランスの例も挙げていただきましたけれども、大臣がお答えいただいたように、そして私もそう思っておるということを申し上げましたように、やむを得ないというか妥当な措置だとは思います。
 ただ、やっぱり幾つかの条件つきではあります。医療法上の必要病床数のあり方をより合理化することも必要でしょうし、先ほど申し上げましたように、既得権が過度に保護されることがないようにすることも必要なところであります。
 これらのことについては既にほかの委員の皆さんから質問もありましたので、私からは一点だけお尋ねをしておきたいと思います。
 今回の病床規制措置については、病床過剰地域、さっき申し上げましたように不必要と認められたものを制限するわけでありますから、そこの部分は申し上げたようにしようがない、しようがないというか妥当だとは思っております。ただ、どなたかもちらっと御指摘があったように思いますが、日本の大きな医療の特徴の一つでありますフリーアクセスが妨げられる。これは大変心配されることでありますから、今度の制限に当たっては医療機関の機能評価や医療提供体制の整備、医療情報の提供の促進といった施策、こうしたものはあわせて推進すべきであると私は考えるわけでありますが、このことについての見解をお尋ねいたします。
○政府委員(谷修一君) 今御指摘ございました幾つかの点について、非常に重要な施策としてやはり考えていかなきゃいけないというふうに考えております。
 まず、病院機能評価事業ということにつきましては、学術的な観点から第三者の立場で評価をする、そういうことによって評価を受けた病院が医療機能、病院機能の改善へ向けた努力を行うことを支援するということから、医療の質の向上ということにも資するというふうに考えております。
 具体的には、昨年の四月から本格的な病院機能評価事業というものを日本医療機能評価機構が行っておりますが、ことしの五月現在で六十五の病院に対して認定証が発行をされております。また、厚生省といたしましても、この事業を推進するため、評価調査者の養成事業への補助などの支援を行っております。
 また、医療提供体制の整備という観点からは、地域医療の体系化をさらに図るということの趣旨で、医療計画の中に医療機関の機能分担あるいは連携などを必ず記載するといったような法律の改正を昨年させていただいたところでございます。
 また、情報の提供ということにつきましては、先ほどもちょっとお答えを申し上げましたけれども、医療機関が広告し得る事項の拡大、あるいは患者に対するレセプトの開示、これは既に行ったところでございますが、今後カルテ等の診療情報の提供ということについても検討しているところでございます。
○尾辻秀久君 安田病院事件は後日に譲ることとして、最後の質問にいたします。
 まず、申し上げておきたいと思います。
 先ほど清水委員が質問されました。薬価基準制度の見直しを中心とした法案の今国会の提出をどうするのか、見送るのかどうなのかというような質問がありまして、わかったようなわからないような御答弁がありました。私もどうするんだということを聞いてみたいわけでありますが、そろそろはっきりなさった方がということを申し上げて、このことはそこまででとどめておきます。
 ただ、きょうほとんどすべての委員の皆さんが御指摘になったように、そして私も最初に申し上げたように、抜本改革だけはどうしてもきっちりこれはやらなきゃいけません。待ったなしですし、平成十二年には本当にやらなきゃならないと私は思っておるわけであります。
 そこで、この改革に向けた大臣の御決意を最後にお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(小泉純一郎君) この少子・高齢社会においても、二十一世紀続いていくわけですが、この医療皆保険制度というのは堅持していきたい、安定した良質な医療がだれでも受けられるというこの制度を維持していきたいために抜本改革は必要だということで鋭意取り組んでいるわけです。
 当初の見込みからすれば、できたら今国会に抜本改革案を提出したいなと思っておりましたけれども、薬価基準制度にしても診療報酬体系にしてもいざ審議を始めてみますと相当いろいろな意見が出ている、しかも専門的な要素が強いということで、取りまとめにおくれております。これはもう率直に認めざるを得ないと思います。
 しかしながら、十二年度実施を予定しておりますので、取りまとめがおくれたからといって十二年度実施をおくらせるつもりはない。若干おくれているということは認めますが、今後、十二年度実施に向けてできるだけ早い機会にこの法案を国会に提出して、十二年度実施を目指すために全力を傾注していきたい、御理解いただきたいと思います。
○委員長(山本正和君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民健康保険法等の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(山本正和君) 社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題となりました社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、我が国として社会保障の分野における初めての協定である社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を実施するため、厚生年金保険法を初めとする公的年金各法について、被保険者の資格、給付の支給要件及び給付の額の計算に関する特例等を設けるものであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、被保険者の資格等に関する特例であります。ドイツから我が国に一時的に派遣された者等は、公的年金各法に関し、被保険者としないなどの特例を設けることとしております。
 第二は、給付の支給要件に関する特例であります。公的年金各法の給付の支給要件について、ドイツの年金制度に加入していた期間を我が国の年金制度に加入していた期間に算入するなどの特例を設けることとしております。
 第三は、給付の額の計算に関する特例であります。ただいま申し上げました特例により支給要件を満たした場合、我が国の年金制度に加入した期間に応じた額を支給することとしております。
 最後に施行期日でありますが、協定の効力発生の日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(山本正和君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十分散会
     ―――――・―――――