第142回国会 交通・情報通信委員会 第8号
平成十年四月二日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
     釜本 邦茂君     末広まきこ君
     長谷川道郎君     溝手 顕正君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     末広まきこ君     国井 正幸君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         川橋 幸子君
    理 事
                景山俊太郎君
                亀谷 博昭君
                陣内 孝雄君
                寺崎 昭久君
                但馬 久美君
    委 員
                加藤 紀文君
                国井 正幸君
                高木 正明君
                保坂 三蔵君
                守住 有信君
                山本 一太君
                中尾 則幸君
                松前 達郎君
                及川 一夫君
                渕上 貞雄君
                上田耕一郎君
                筆坂 秀世君
                戸田 邦司君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  自見庄三郎君
   政府委員
       郵政大臣官房総
       務審議官     濱田 弘二君
       郵政省放送行政
       局長       品川 萬里君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   参考人
       日本放送協会理
       事        酒井 治盛君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○委員長(川橋幸子君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事酒井治盛さんの出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川橋幸子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(川橋幸子君) 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○保坂三蔵君 おはようございます。自民党の保坂でございます。
 放送法の一部改正案につきましての質疑を行わせていただきたいと思います。
 既に過日のNHK予算の中でも大いに論議が出まして中心的な話題になりましたデジタル化の問題でございます。
 放送革命とも言われるような新しいポテンシャルを示しながらも、また一方ではグローバルスタンダードの波の中で拙速とも言えるような技術先行の論議がなされているのではないかという慎重論がありますが、当局並びにNHKも踏み切った、こういう段階で、全放送分野を巻き込んでの大きなうねりになっておりますことを痛感しております。
 お話に入ります前に、この放送デジタル化の問題につきまして、昨年十月でございましたが、民放連の第四十五回大会におきましてシンポジウムが行われました。ここで郵政省の専門調査官の高祖氏が発言をされております。これをかいつまんで御披瀝いたしますと、各分野でデジタル化が進んでいる現況を概観した上で、BS4後発機については一中継器でHDTV、ハイディフィニションテレビの二チャンネルが送出可能ということが判明したためにデジタル化に踏み切ったとの説明が行われております。
 そして、こう言っております。アナログが火縄銃だとすれば、デジタルは六連発銃に匹敵し、アナログ技術では及びもつかない多彩で高機能のサービスができる、受信端末の低廉化も期待できる、放送の全分野でデジタル化に取り組むが、地上波については希望する人が参入できるように二〇〇〇年度までに制度整備に取り組む、こう方向づけをされました。
 一方、民放連の方でございますが、氏家会長のこのときの御発言、またことしの年頭の談話などを拝見いたしますと、こういうことも言っております。
 放送界は今デジタル・多チャンネル時代を迎えて第二の創業期に直面している。二十一世紀の幕あけを目前にして、我が国の放送界は技術、制度両面にわたって既存放送の枠組みを根底から覆しかねない大きな変革の嵐に遭遇している。まさに海図なき航海の時代に突入したと言える。最大の課題であるデジタル化では、CS放送では既にデジタル化が始まっており、平成十年には三つの事業者が、結局二つになるそうでございますが、合わせて三百五十チャンネルの放送を開始する。BS4後発機では系列ごとに参入してもらって、BS放送の舞台で地上放送で培った経験を生かした新しいサービスを視聴者に提供していきたい。しかし、地上デジタル放送は各種固有の課題も多く、かつ民放、NHK合わせて一兆円に及ぶ莫大な移行経費からも、地上デジタル放送懇談会などを通じて真剣な検討をして、スケジュール優先の拙速は避けたい、こういうふうに発言をされております。
 この間、中尾議員からもお話がありましたが、きょう御出席の放送行政局長品川氏のデジタル化の配当というような論文もございまして、期待とそれから不安が交錯していることがいみじくも読めるわけでございます。
 そこでお尋ねをしたいわけでございますが、テレビのデジタル化、これが国際的な趨勢になっていることは当然承知しておりますし、見方によれば日本が立ちおくれている、こういう現状も認識せざるを得ないと思っております。
 しかし一方、先進のアメリカでは地上波のデジタル化に本年からいよいよ入るわけでございますが、デジタル化の多額な投資に応じた収入は見込めずメリットがないとか、ハイリスキーでしかも視聴者に評価される保証もない。アメリカだけではなくて、イギリスにおきましてもマードック氏の例のBスカイBがデジタル投資の大きな減収を計上したというお話も聞いております。
 そこでお尋ねでございますが、それでは我が国の放送革命と言われるデジタル放送の光と形といいましょうか、全放送のデジタル化のメリットと絶対的な必要性、これをもう少し私たちにわかりやすくお話をいただきたい。そして、特に品川局長のおっしゃるデジタルの配当というのは具体的にはどういうふうに理解したらよいのか、このあたりの概念も教えていただきたいと思います。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 今、放送も情報通信の重要な一翼を担っているわけでございますけれども、御案内のように、既に情報通信の世界はほぼ一〇〇%に近い形でデジタル化が完了している。あるいは放送の中でも例えばCATVにつきましては、あるいはCS放送もデジタル化の緒についている、着々と進んでいるという状況にございます。今、地上放送だけがアナログで放送されているという状況でございます。
 したがいまして、これからの放送のデジタル化というのは、それができることによりましてせっかくデジタル化の完了した情報通信システムを活用できるかどうか、地上放送分野がデジタル化することによりましてそうした大きな情報通信のデジタル化の成果あるいはコンピューターネットワークの成果というものを大いに活用できるということになるわけでございまして、アナログでいった場合にはそのような大きなチャンスをとらまえることはなかなか困難だろうという状況にこの技術の世界では、あるいはビジネスではなっておるわけでございます。
 この地上放送のデジタル化ということ、国会でもいろいろ御議論いただいておりますけれども、先般も申し上げましたけれども、放送のデジタル化というのは通信の世界のデジタル化と軌を一にしまして、国際電気通信、ITUの場でも議論されました。十五年の議論の経過があるわけでございます。
 国内的に見ましても、五年前の平成五年当時から、私どもの中でも、電気通信審議会でございますとか電波監理審議会でございますとか、大きくとらえましても十に及ぶ審議会の議論を経まして、今日、地上放送のデジタル化ということをいかに順調にやっていくかという一つの方向を具体的に議論していただくという状況になったわけでございます。
 ただいまの放送業界の状況と申しますと、今大変な経済不況でございますけれども、平成八年度の数字を見ますと、GDPの伸び率が三%でございましたが、放送事業の伸び率というのは一〇・四%ということで、大変好調な状況を示しております。民間放送の経営の基盤になります広告収入の状況を見ましても、平成六年に底を打ちまして、ラジオは横ばいでございますが、テレビにつきましてはいわゆる右肩上がりに広告収入市場も伸びているというような状況にございます。
 しかし、今申し上げましたように、これからデジタル化の技術を活用することによりまして放送分野もいろんなビジネスチャンスが広がる、またデジタル技術の活用によりまして通信の世界と同じように視聴者にもメリットが多々もたらされる。もちろんそのためには、新しい時代でございますから、政府にとってもあるいは事業者にとりましても大いに知恵を絞って、いわばデジタル化の成果を得るための産みの努力と申しましょうか、産みの苦労をしなければならないと思います。
 今先生がおっしゃったデジタル化のメリットとは何かということでございますが、地上放送のデジタル化に一歩先に踏み出したイギリスにおいて、実は、平和の配当という言葉に倣ったんでしょうか、デジタル化の配当、デジタルディビデンドという言葉が使われておりました。これはデジタル化のメリットというのは外国と日本で違うものではございませんで、純技術的に見れば同じでございます。
 具体的に申し上げますと、視聴者の目から見ますと、これは大臣からもたびたび御説明申し上げているように、今までにない非常に高画質の画面が見れるとか、あるいはテレビがコンピューター機能を持つわけでございます。そうしますとまさにマルチメディアの本命的な機能も果たせる。それから、移動体放送の媒体として非常にいい放送形態であるということが言えます。それから、受像機が、放送端末がコンピューター機能を持つことによりまして、これからの少子・高齢社会にとりまして高齢者あるいは障害者に優しいサービスも可能になる。例えば、字幕放送を法制化していただきまして努力義務が設けられまして今努力していただいておりますけれども、アナログ技術による字幕放送とそれからデジタル技術による場合とは大分違っておりまして字幕放送が容易になるとか、あるいはこれはNHKで研究しておられますけれども、音声のスピードを調整できるような放送ができるようになるとか、あるいは多くの機能を使うけれども今よりもあるいは今と変わらない操作性の簡単なテレビができる。こういったいろんな視聴者から見てのメリットがデジタル技術の特性から予想されるわけでございます。
 事業者にとりましても、これは既に東京キー局を初めローカル局でもスタジオのデジタル化がどんどん進んでいるわけでございますが、伺いますと、非常にメンテナンスが効率化された、あるいは省エネが図れる、それから周波数が非常に有効に活用されましていろんな分野でまた有効活用ができるというようなことで、視聴者あるいは放送事業者にとってもデジタル化によって多くのメリットが得られるということがいろんな議論から私どもうかがい知ることができるわけでございます。
 さらに、社会全体にとってみますと、今世界じゅうに十二億台テレビが普及しておりますが、これが新たな機能を付加される。国によっても同じでございまして、テレビが一番家庭に普及しているわけでございまして、これがデジタル技術によりましていわば情報リテラシーを得るのに非常に便利なシステムになっていく。先ほど移動体放送ということを申し上げましたけれども、この機能を考えますと、災害時に移動しながらあるいは状況を的確にとらえて放送するというようなことで、危機管理にも役に立っていくのではないかというふうに見ております。
 実は、国内でこのようにいろいろデジタル化の努力を政府あるいは民間事業者ともにさせていただいておりますけれども、この地上放送のデジタル化というのは国際的動向になっておりまして、既にシンガポールとは技術開発なりあるいは地上放送のデジタル化についていわば協力の申し合わせをしております。大変シンガポールにおいても熱心に取り組んでおられまして、大いに日本に協力してもらいたいというような要請もございます。
 それから、実はきょうインドネシアから放送の分野の幹部が来られまして、インドネシアでもぜひデジタル放送を導入したいので日本に協力してもらいたいと。こういった国際的なレベルでも我が国のデジタル放送の推進についての国際貢献を求められております。
 したがいまして、私どもといたしましては、先般のNHKの予算に付せられました附帯決議の趣旨にものっとりまして、できるだけデジタル化の成果というものが視聴者にもそれからまた放送事業者にとっても大きな成果が得られる、そしてまた社会的にも還元されるように最大限の努力をしてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
○保坂三蔵君 確かにいろんなポテンシャルを私たちに示してくれるという技術の上では大きなイノベーションを感じるわけですけれども、一方では、投資規模が非常に大きくなるというようなリスクもやはりあるわけでございますし、またそれは資本の論理でいってリーディングインダストリーになる、そういう経済界の期待だとか、それから異業種が参入できるとか、あるいはデータをデジタル化することによってあらゆる可能性が出てきて、通信と電波の融合などのそういう新しい時代をまさしく視野に入れられる可能性があるわけです。
 そういう一方、じゃそれを一つの方向として今TPOを選べと言われている業界の反応というのをもう一回見てみたいと思うのでございますが、ことしの三月十三日、民放連が地上デジタル放送テレビの経営シミュレーションというのを発表したんです。
 この試算結果を拝見してみますと、まず分析の結論から言いますと、予想される収入がほとんど伸びない中で、デジタル化に伴う番組制作費を含めて二〇%ぐらい経費が増大するであろう。そして、この結果、地上テレビの利益率が急速にかつ大幅に低下する。これは地上波のことなんです。それから、利益率の低下は大規模局でも二%水準にとどまるに至って、製造業平均の四%を大きく下回る。それから小規模局ですが、特に財務体質の弱いローカル局はデジタル化と同時に赤字に転落して、その後も二〇一〇年までの期間では単年度黒字への転換は困難だ、こう言っているわけです。それから、デジタル化への投資の回収は実現の可能性は低いのではないだろうかと、ここまでシミュレーションを行っているわけなんです。
 例のWOWOW、日本衛星放送の佐久間社長が平成九年十一月に民放連で講演をしております。このときの話も、関係者の人たちは愕然として、言ってみれば痛いところを明らかにされたというふうな感じなのでございますが、今の品川局長のお話とちょっと違うところがあるんです。それは衛星市場が拡大していないんじゃないかという見方をしているんですね。新規加入も実はここのところ少なかったらしいんです。結局、NHKやBSやWOWOWやあるいはCSデジタル、デジタル放送をすべて一体混然化してパイの奪い合いをやっているにすぎないんじゃないかと。
 それから、放送事業者と視聴者の意識のギャップというのはどうしてもある。一日たかだか三、四時間しかテレビなんて見れない。見たいと思って撮ったVTRの録画テープが部屋に入り切らなくなった人がいっぱいいる。それを一つ一つ撮ったものを見たいと思いつつ一生を終わった人がいるんじゃないかと、こういう皮肉なことも言っています。
 マルチメディアサービスがはんらんしている中で、そういうことも、視聴者の気持ちというか、それはやはり大事にしてもらいたい。しかし、提供しないでいいということではないと思うんですが、激しい視聴率競争の中で磨かれた地上波テレビがそこそこ楽しいやつが無料で楽しめるわけです。そうすると有料の方にいくだろうかというような言い方です。衛星放送に対して視聴者の財布のひもはかたい、こういうWOWOWの社長の話がありました。
 それからもう一つ、ちょっと御紹介したいと思って私メモってきたのでございますが、非常にローカル局が最初はデジタル化するからといってキー局から財務の分担も求められたり、あるいはまた自分のところでも、例えば小さなところでも、難視聴地域を持ったところなんというのは中継基地がいっぱいありますから、それをかえていくと投資額も大きい。成功したら、空から全国放送が降り注ぐ太陽の光のようにぱっと押し寄せてきた、そして広告収入はほとんどキー局に全国CMの七割ぐらいまで頼っているという局の悩みを、テレビュー福島の諌山という常務さんが二月十一二日に「民間放送」という新聞に投稿しているんです。
 これをちょっと御紹介いたしますと、ユー福島は百人足らずで頑張る開局十五年の後発U局である。ひたむきに走り続けてきたが、今、放送ビッグバンの衝撃波にぶっ飛ばされかねない雲行きにある。福島は四国全土に匹敵する面積で、西半分は二千メーター級の山岳地帯、難視聴地域が多く、こんな小さなテレビ局でも中継局が六十六局に達する。今回デジダル転換の費用を試算したら、何と三十億円と出た。当社の経常利益の五年半という恐ろしい数字となってしまった。我々相手のスポンサーは、宣伝費何千億円のスポンサーならいざ知らず、一本数万円のスポットを買ってくれる地元の商店などで、幾ら切り詰めても制作費まで回収できない。デジタル導入後のサイマル期間はデジタル受信機普及のためにデジタルとアナログは別番組を放送すべきだというし、地上波がデジタルになると複数のチャンネルが持てる、新しいビジネスチャンスが生まれるというが、え、そんなにチャンネルがあってどうやってスポンサーを見つけるのという思いが先に立つ。発想の転換が必要のようだが、しかしそれにつけてもあと二年で地上波をデジタル化しなければならない理由がどうしてもわからない。今は肝心の番組がお金がかけられずにやせ細り、すき間風の吹き抜ける編成になる危惧さえ感じている。チャンネル選択の多様性も大事だが、もっと大事なのはそのチャンネルの中身ではないだろうかと、こういう投書をしているんです。
 こういうのはたった一人の話ではなくて、例えば静岡朝日テレビの社長だとか、みんな各方面に投稿しております。これは大事なことはわかるけれども、しかし自分の力と比較して、これじゃCATVなんてあっという間に、ウィンブルドン効果じゃないけれども外資系のメディアの傘下に入ってしまうんじゃないだろうかなどということも言っております。
 もちろん、これはさっき申し上げたような非常に大きな可能性を持っていますし、特にデジタル化になって放送法と電気通信事業法がけじめがつかないぐらいの新たな可能性を示してまいりますから、法制度の見直しまで恐らく当局は視野に入れていると思うのでございますけれども、こういうような危惧をされる叫び、はっきり言って経営者側の、しかも体質の弱い側の叫び、品川局長、こういうものをどう現状としてお受けとめになってこられましたでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) ただいま先生からるる御紹介賜りました件、私どもも篤と、また十分承知しているわけでございます。
 先ほど御紹介のありました試算も、地上放送のデジタル化の段取りのよい実施のために設けられました地上デジタル放送懇談会で民放連の研究所の試算としてお示しいただいたものでございまして、実は放送会社は上場しておられる企業が少ないものですから、私どもその経営分析というのがなかなか難しいわけでございまして、その意味で民放連からのこうした数字を出していただいたことは大変議論にとって有益ではなかったかというふうに、意義あることと思っているわけでございます。
 この懇談会の事務局でも一つの試算を出しましたが、前提を同じにしますと数字的にはほぼ変わらないというような状況がございます。恐らく放送会社によって経営上の意味するところは千差万別だろうということもいろいろ共通に言われているところでございます。
 先日、NHKの海老沢会長からも、全体として三千億ぐらいかかるかもしらぬけれども、例えば県庁所在地だけですと一千億というような数字も示されまして、いろいろな具体的な試算それから計算というのが出されてきております。最近も民放連の方々からもいろいろ御意見をいただいておりますけれども、とにかくデジタル化の意義、重要性あるいはこれをやっていくということの意義についてはほぼ共通認識が得られてきているんではないかというふうに承知しておりますが、またそのためにも、十分周到な計算、準備が要るというようにお声として承っております。
 このデジタル化のための投資をどう受けとめるかということでございますけれども、今、衛星放送が始まるとかCS放送が始まるとかいろんな放送の変化が、先ほど先生おっしゃられたように革命という言葉を使うかどうかは別として、いろんな事象が同時並行的に起きておるものですから、デジタル化によることの問題なのか、それとも別な原因によるものなのかいろいろ錯綜しておりますけれども、少なくとも放送の世界でも、先ほど申し上げましたCATVもデジタル化の方向へ進んでいく、衛星放送もデジタル化ということで進んでいく。
 そうしますと、一体、デジタル技術を備えた放送メディアとして通信も放送もいく場合に、地上放送としてアナログでいく方が有利なのか、デジタルでいった方が有利なのかというふうに考えますと、よりこれからの技術可能性ということから考えますと、デジタル化のための設備投資が確かに要りますけれども、いわばこれはメンテナンスのための、単純再生産のための設備投資じゃなくて、言ってみれば拡大再生産のための設備投資、新たな可能性を開くための設備投資というふうに、目下の情報通信全体の動きからすれば受けとめることが適当ではないかと考えております。
 今、各放送会社あるいはNHKの方のデジタル化についての準備ということを拝見しておりますと、これは私もNHKの技術研究所へ伺っていろいろ感心したりしておるわけでございます。ISDBというようなことの御紹介がございましたけれども、デジタル放送のメリットをいかに視聴者に還元するか、あるいは経営に生かしていくかという準備も着々と進めておられる。
 それから放送会社を見ましては、例えばCS放送を使うことによりましてローカル番組を全国展開することもできるとか、あるいは将来に備えて自主番組の比率を上げるとか、いろいろな準備を進めておられるところと、千差ございまして、私どもといたしましては、そういう積極的な努力をされるところへはますますその努力の成果が実るように、それからデジタル化が必要だけれども具体的にどうやったらいいかということについていろいろお考えのところには、それに必要なサポートというものをまた考えなければならない。
 基本的には設備投資が要ることは確かでございますから、政府としてどのような対応措置ができるかというのを十分考えてまいりたいと思います。先般、民放連会長からも貴重な御提言がございました。こうしたことも真摯に受けとめまして、私ども政府としてとり得る最大限の措置を考えてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
○保坂三蔵君 時間がないので、論議というよりも私の方で多く問題提起しているような形になりまして恐縮でございますが、こういう動きでずっとまいりますと、結局、デジタル化が完成すれば世の中がバラ色になるというような、そういう一つのグランドデザインをお示しいただくのもいいんですが、その中でだれが主人公であるかということはやっぱり我々は見失ってはいけない。それは最大の主人公は視聴者なんですね。視聴者であり、また今日まで放送業界を培ってきた放送事業者も、だれにかわっても放送業界全体として発展すればいいということは、やっぱりそれではかわいそうな部分がある。決して護送船団方式とは言いませんけれども。
 そういうことをあえてお尋ねした上で、大臣にお願いをしたいのでございますが、例えば中継局だって今一万四千もあるんです。これを全部デジタル化に合わせて中継局やったら、それこそ民放の六千億とNHK三千億で軽く一兆円超えちゃうだろうと言われるような試算があるように、非常に負担が重くばる。
 そこで、例えば現在未償却、まだ償却し切っていない中継局などは何とか税制上の恩典でそれをフォローしていただけないだろうか。あるいはそのほかに、例えば機器。今アダプターをつければいい、アダプターは十万とか二十万とか言っています。五万ぐらいで手に入らなければと言っても、現実にはもう一方九千円出すと十四インチのカラーテレビが買えちゃうような秋葉原価格がある中で、普及をしかねるようなそういう阻害要因、機器の普及のための補助だとかいろんな方法があるわけですよ。そういうことを行政としてはやっぱり公的な支援といいましょうか、そういうものをはっきり打ち出すことによって、デジタル化に伴う放送業界の大きな前進をひとつバックアップしてもらいたい、こういう要望でありますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(自見庄三郎君) 保坂委員の大変よく勉強しておられる見識のある御意見をずっと拝聴させていただきました。まさに地上放送のデジタル化というのは私は大きな時代の流れだろうというふうに思っております。
 しかしながら、それに対しまして、政策というのは光があれば影があるということでございまして、特に今地方のローカル局、ユー福島の具体的な発表だとか、あるいはこの前の、昨年でございましたか、福岡市であった民放連、私も日帰りで福岡まで行かせていただいたわけでございますが、そのときにございましたシンポジウムの内容の御紹介等々あったわけでございます。
 御存じのように、地上デジタル放送懇談会でNHKの海老沢会長、また民放連の氏家会長にも御参加をいただきまして、いろいろそういったことを御検討いただいておるわけでございますが、今先生からいろいろな御要望がございました。やはり地上デジタル放送の普及につきまして、先般も民放連の氏家会長から一つの御提案があったわけでございまして、我々といたしましては、これは真剣に受けとめさせていただいておりますし、真摯に検討させていただかなければならないというふうに思っております。
 また、国民の方々にも御負担をかける。そういった中で、安いアダプターの開発はいかがなのか、こういう御意見もあったわけでございますが、基本的には国民と放送事業者あるいは番組制作者、機器製造業者等々が関係するわけでございますから、そういったきめの細かい地上デジタル放送導入に向かっての税制上の支援措置あるいは金融上、場合によれば財政上の支援措置を含めてやはり我々は真剣にかつ深くこれはきっちり検討していかねばならない大変重要な問題だと、そういうふうに認識をいたしております。
○保坂三蔵君 ぜひ御認識にとどまらないで、具体策として支援策を、氏家会長なんか中継基地をつくるときは補助金出せと、ここまでおっしゃっていますよ。そうやってくれないと、体質強化もしないまま、脆弱なまま、結局は放送ビッグバンはウィンブルドン効果で終わってしまったということになりかねないということを懸念しております。ひとつくれぐれもよろしくお願いいたします。
 それから最後に、時間もございませんので、増大する青少年犯罪とテレビの問題で、これは先日の委員会におきましても中尾委員と及川先生の両者からお話があって、賛否両論でございました。私もそれはわからないわけじゃないのでございますが、ちょうど一年前に同じことを、レーティングの問題、放送の事前格付とVチップ、これはペアレントロックで親が主体を持ってVチップで番組を選択してもらいたい、子供を魔手から防ぐというわけではないですけれども、そういうことを提案したんでございますが、一年たってこの論議が中教審でまで取り上げられてきて、三十一日に発表された中教審の対策の中で具体策として入ってきたということは、感慨無量なものがあります。
 また、一方では少年法の改正案などが議員立法で今もくろまれておりまして、少年の人権を守る、将来の芽を摘まない、こういうことも大事でございますけれども、一方、凶悪化する犯罪からどう少年の世界を守っていくかということは、どんな小さな可能性があることであってもこれは何としても親の立場から、社会の立場から防除していきたいと思っているんです。
 そこで、先進のアメリカでは、Vチップを十三インチ以上に追い込むということで、四大ネットワークが認証して、放送通信法改正を九六年にやって動いております。その背景をちょっと申し上げたいんですが、アメリカの少年犯罪あるいは銃や凶器に絡む犯罪というのは日本のけた違いですから比較にならないじゃないかという見方をしていますけれども、とにかく、きのうの予算委員会でも出ましたとおり、暴力教室みたいなことが全国の公立中学校の二割で展開しているというんですね。これを切れた学校と言われたそうですけれども。
 だけれども、本当に恐ろしい実態の中から大人の世界にSOSを出している子供を救うためには、その前の幼年期からのメディアと暴力の多発あるいは少年犯罪の因果関係というのをもう少し突っ込んで行政も、これは行政の介入というのでなくて、行政が先導的な役割をして解析してもらいたいと思うんです。
 暴力事件の本場のアメリカでは、子供と若者を巻き込む暴力は信じがたいほど広がっている。この分析と具体的な対策が実施されているのが実情です。アメリカの国立アカデミーを初めとする各研究機関は、暴力的な行動の原因を究明するのには非常に複雑な問題が、いろんなファクターが集まって、一点特記してこれという決め手はない、しかしマスメディアが現実社会の暴力に一定の責任を持っていることを結論づけた、こう言っているんです。これは既にアメリカでは定説になっておりまして、これに基づいてVチップの導入などが行われた、こういうふうに私たちは受けとめている。
 放送を一体だれがレーティングするかとか、そういう問題もあります。要するに、大人向けの番組である、アダルトであるということが認定されるような番組だったら、制作段階から、放送段階から全部チェックして、そして発表することによってそれをレーティングする、あるいはVチップでロックをする、子供に見せない、こういう方法と、それからもう一方では、ヨーロッパにあるように、もう夕方の六時から十時まではそういう放送は放送させない、入り口でふさぐ、こういう川上川下の問題があるわけです。
 しかし、いずれにいたしましても、日本ではこの問題は時期尚早と言っている問題ではなくて、現に起こっている問題、対策を立てても結果は後から出てくるわけですから、やっぱり今もうぎりぎりのところまで来ているんじゃないだろうか、こう思いまして、Vチップあるいはまたペアレントロック、そして格付、レーティングの問題など、当局はどの程度まで今これにつきまして分析をして、そしてそれぞれの関係機関と話し合われているのか、現状をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(品川萬里君) 先生御指摘の青少年問題あるいは青少年の健全育成と放送との関係ということは、私ども放送分野を所管する立場から深い関心を持っているわけでございますが、これは一郵政省に限りませんで政府を挙げて取り組んでいる課題でございます。中教審の中間報告も、政府の取り組みの一つとして私ども受けとめているわけでございます。
 放送と視聴者との関係については、今までいろんな研究会でも議論しておりまして、それから、内外の視聴者と放送の自律という関係についての調査もしてきたつもりでございます。現状におきまして、例えば先生御指摘の放送時間の制限、この時間帯には児童、子供に見せたくない番組は流さないとか、放送時間につきましては主要欧米諸国ではほとんど導入されているというふうに認識しておりますし、それからレーティングもほとんどの米欧諸国で導入されて、あるいは導入準備ということも聞いております。Vチップにつきましては、法制化されたのはアメリカだけと承知しております。
 いずれにしましても、放送というのはあくまで放送の自律というのが大原則でございます。また同時に、もっとさかのぼった原則は、公共の福祉、それから放送の自由、表現の自由というのが大原則でございますから、その大原則に立ちまして、青少年の保護育成そして表現の自由、両方の立場を尊重した対応が必要だろうというふうに考えております。
 これも何度か申し上げておりますけれども、Vチップを初めとしていろいろな先行事例が諸外国にございますので、そうした内外の調査をさらに深めまして、今後研究会を予定しておりますので、そこで関係者の御意見も深く伺いながら、十分かつ真剣な検討を進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
○保坂三蔵君 ちょっと要望だけ。済みません、時間が来ました、各委員には申しわけございません。
 大臣には、また閣議でこの問題が話題になると思うんでございますけれども、ぜひ、犯人探してはなく、やっぱり少しでも影響のあるものは除去していく、憲法上の表現の自由というような問題もあることは承知はしておりますけれども、中教審が警察官を学校に入れてもいいというような表現まで使い始めたという荒廃した子供たちの社会の実態を見るにつけまして、放置できないということであります。
 それから、ポケモンも原因が疎明されていないままに放送が再開に至っております。ポケモンの事件ではわざわざ一日質疑の時間を委員長にも与えていただいたんですが、できますれば当委員会におきましても、その後のレーティングを含めたVチップの実態を、当局は一千二百万円をかけて海外に調査に行かせたり、そういう調査研究を行うという予算要求も九八年度予算にはあったわけなんですけれども、それが現実に実っているかどうか、私は後をちょっとフォローしていないんですが、いずれにいたしましても、委員会といたしましてこの問題、子供の犯罪、青少年犯罪と放送あるいはメディアとの関係につきましての論議の場をぜひ一回チャンスを与えていただければこれに過ぐる喜びはありません。
 ありがとうございました。
○中尾則幸君 おはようございます。
 私は、今回の放送法の一部改正案について、BSデジタル放送でのNHKのあり方、それから衛星放送事業の規制緩和問題、さらには郵政省のソフト産業政策などについて質問をするつもりでございます。
 今回の法案の委託・受託放送制度の導入の意義あるいは総括原価主義の廃止についての具体的な効果を先にお尋ねしようと思っておりましたが、先ほどからやりとりを聞いておりますと、大変懇切丁寧で時間がかかるかなと思いまして、時間がありましたら後ほど聞くことにいたします。
 最初に、今回の措置はNHKのBSデジタル放送の参入を全面的に認めるというものでありますが、NHKはこれによって地上波が一波、地上音声波が三波、それから現在のBSの衛星放送、これはアナログですが、テレビが二波、さらに衛星ハイビジョン放送、これはNHKが主体的にやっておりますこれの主要部分、これら現行の波に加えてBSデジタル波を保有することになります。
 かつてNHKは、これは平成五年の二月ですが、そのときも当委員会で私は質問させていただきましたが、将来ビジョンというものを出しておりまして、この中で音声放送一波の削減を打ち出しているのでございます。その後、何かうやむやになっております。これは本当はNHKの予算の審議で聞く予定でございました。いかに公共的な役割を担うNHKといえども、民間放送との共存共栄体制をしっかりと培っていくんだと、これは平成五年の放送ビジョンでは言っているわけです。いたずらな肥大化はしないというような精神も盛り込んでございます。
 しかし、こう見ますと、今回のBSデジタル放送波への参入について、私は参入するなと言っているんではないんですが、全体的な放送の枠の中でNHKが極めて肥大化の一途をたどっているんじゃないかということについて、郵政大臣、どのような見識をお持ちでしょうか。
○国務大臣(自見庄三郎君) 中尾議員にお答えをさせていただきます。
 NHKがどれだけのチャンネルを保有すべきかについての御論議であったと思うわけでございますが、単に数の多寡のみを取り出して論議するのではなく、当然NHKは公共放送でございますし、先般もNHKの予算につきましては大変真剣な御論議をいただいたわけでございますが、そういったNHKの公共放送としての役割あるいは視聴者の方々の期待、あるいはまたこの前も附帯決議にも付していただいたと思いますけれども、経営の効率化のさらに一層の進展と申しますか、そういったことを勘案して、総合的な観点から私どもは検討していくべきものだというふうに思っております。
 郵政省といたしましても、平成十年度のNHK予算に関する附帯決議の趣旨にのっとりまして、NHKが最新の技術革新の成果を活用してデジタル化を積極的に推進し、より機動的、効率的な体制のもとで放送サービスの提供を行っていくことを期待いたしております。
○中尾則幸君 あえてこれ以上は言いませんが、その平成五年当時の放送ビジョンの一節をちょっと御紹介します。
 「公共放送と民間放送との調和ある併存体制は将来にわたって維持されるべきである。多メディア・多チャンネル時代においても、公共放送と民間放送全体の財政規模、チャンネル数」等々「適正なバランスが確保され、」「国の周波数利用政策上の配慮も必要である」と、こういうふうにNHKの放送ビジョンでは述べております。
 さて、大臣から今お話がありましたが、共存共栄、テレビ放送が四十五年、世界各国にも例がない、これは郵政省の指導もあったんでしょうけれども、ソフトにしても例のない発展をしてきたと私は認識しております。
 そこで、マスメディア集中排除の原則についてちょっと伺いたいんですが、衛星放送分野で、私はNHKを何も目のかたきにしているわけじゃないんですよ、この中でNHKが圧倒的な優位に立っている。これは私が今指摘したとおりです。
 一方、日本の民間放送、四十五年のテレビ放送の歴史がございますが、BS放送を例にとりますと、マスメディア集中排除の原則が適用されている。このマスメディア集中排除の原則が適用されているということは、ごく限定的にしか参入ができないことになっているんですね、これは。例えば、Aというテレビ放送会社はAという会社のままBSに参入できないんです。こういう決まりがあるわけです。
 このマスメディア集中排除の原則の精神は私も理解できます。ある特定のグループによるテレビの波の支配を防ぐというような、これも理解しておるんですが、このBS、CS、CATVあるいはデジタル、アナログと、もう多メディア・多チャンネル化の中で、果たしてこのマスメディア集中排除の原則が必要なのか。
 郵政省は今、規制緩和に向かっているというふうに聞きますが、電監審に二月二十日に諮問しましたね。例えば出資規制の今後はどうなるのか、簡単にお示しください。
○政府委員(品川萬里君) マスメディア集中排除の原則についてのお尋ねでございますけれども、このマスメディア集中排除原則というのは、これは我が国の放送制度に限らず各国においても、量の程度の差はありますけれども、いずれの国でもとられていることでございます。
 これは例えて言うと、よく集積の誤謬という言葉で、一社にとっていいことが全体にとっていいとは限らないと。放送の場合も、放送法にもございますように、できるだけ多くの方が表現の自由の機会を得る、また参画の機会を得るということでございます。したがいまして、この集中排除原則というのは、別な言葉で言えば放送の多様性維持原則と申しましょうか、そういう原則がいわゆるこのマスメディア集中排除でございます。
 もとより、技術革新によりまして多くのチャンネルがとれる、またあるいは放送の形態というのもいろいろ変わってくるわけでございますから、集中排除原則は重要であるにしましてもその運用方針というのは時代に応じておのずと変えていくべきものでございまして、今回の二月二十日の諮問では、そういう考え方から、既存の放送事業者が出資される場合には、地上放送事業者の場合は出資比率は三分の一未満、それからBSアナログ放送事業者及びCS委託放送事業者については一社までならば何%でもよいということで、メディアに応じて、また出資者の状況に応じて新たな運用方針を諮問した次第でございます。
○中尾則幸君 ということは、既存の民放のデジタル放送会社の出資枠、これが現行であれば一〇%、これを三分の一まで広げるということですか、ちょっと確認させてほしい。
○政府委員(品川萬里君) 今申し上げましたとおり、出資比率は三分の一未満まで可能にするというものでございます。
○中尾則幸君 先ほどから放送ビッグバンというふうな時代の中で三分の一、これは規制緩和なんですから、ちょっと中途半端だと私は思うんです。
 ということは、NHKの場合、同じ事業体で例えばBSデジタルに参入できるわけですよ。会社の名前はそのままです。ですから、その場合どういうメリットがあるかというと、ソフトの共有ができる、それから人員もNHKの現在の地上波の人員を応援にも行かせる。ところが、これは三分の一ですから、例えばAという民間の放送会社がAという会社そのままではできないわけです。BSデジタルに参入できない、三分の一未満と決められているわけですから。
 ですから、その場合に、ソフトの共有、例えばこれだってほかの会社になるわけですから、出資は三分の一未満にしているといってもほかの会社になるわけですから、そういうときのソフトの例えば放映権料、それから人員だって勝手にほかの会社へ派遣できない、いろいろ経費節減に逆行する。私はこれがマスメディア集中排除の原則だろうと思うんです。
 ただ、ある報道によりますと、郵政省もそこら辺のことを多分お気づきになっているのでしょう、地上波テレビ放送局のそのまま本体の参入もあり得るというような報道を目にしましたが、それは間違いでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) 私ども、電波監理審議会に諮問申し上げた内容は先ほど申し上げたとおりで、先生が御指摘の報道のような事実はございません。
○中尾則幸君 それじゃ、先ほど保坂委員からも、例えば民間放送のデジタル化による大変な経営に対する危機、あるいは優秀なソフトを提供してきた地方局の危機、多メディア・多チャンネル時代でもそういったよさを消してはならないという主張には私は大賛成でございます。つまりこのBSデジタル放送については、新規参入の道を開く、これは大いに結構だと思うんですよ。大いに市場原理でやればいいと思うんですが、既存の民間放送に手かせ足かせをはめて、それで今、国際的にソフトをどうするかというので大変な激烈な戦争になっているわけですよ。そういう手かせ足かせをはめておいで、郵政省はソフト育成策、産業策としてどうとらえているか。私は、通産省が自動車を育成してきたそのままをやれとは言いませんけれども、郵政省に何かしっかりとした対国際戦略をにらんだソフト戦略があるのかどうか、ちょっと伺ってみたいと思います。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、放送の運用制度というのは、できるだけたくさんの人に放送事業を行うチャンスを提供するということが一つの原則でございまして、その場合に、できるだけイコールフッティングで参入し、また放送事業を営んでいただくということが原則でございます。
 ただいま先生お話しございましたように、いろいろこれからチャンネル数いかんにかかわらず、最終的にはいかに視聴者にいい番組が提供されるかということが大事でございますから、私どもといたしましても、放送番組ソフトの制作、流通、保存というものについて、放送会社のみならず放送番組ソフトに関係される方々がより大きな事業展開ができるようにということを視野に入れておるわけでございます。
 これも放送のデジタル化ということによりまして世界的に放送番組ソフトのニーズというのは高まっていくわけでございますから、私どもといたしましては、単に国内の放送番組ソフトの市場がどうあるかということでなくて、世界に流通する放送番組ソフトの制作、流通、販売ということを考えなければならないと思っております。
 十年度予算でも、スタジオ制作のデジタル化のための融資制度でございますとかへあるいは国会図書館と共同しての調査研究とか要求しておりますけれども、実はこれは現在の予算の仕組みでは、こういう放送番組ソフトといいますかソフトの世界に投資的な経費の使い方をするというような予算の仕組みになっておりませんで、大々的に放送番組ソフトのみならずソフトの世界に公的資金を投入するというためには、大きな予算制度の考え方の変換ということがありませんと大胆な政策支援というのは困難な状況にございます。
 その点で、なかなか事務的折衝ということではらちの明かないような分野でございますので、ぜひ先生方にもこの点の御支援を賜りまして、最大限、放送番組ソフト支援体制というのを強化してまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げたいと存じます。
○中尾則幸君 よろしくお願い申し上げたいのは私の方でございまして、ただいまの局長のおっしゃるのはわかるんです。今の予算制度の中でソフト支援策というのはなかなか無理だと思うんですよ。だから、今回、例えば経済対策の中でそういうことが視野に入れられていると。十六兆円余りということは聞いておりますが、放送通信分野でやっていきたいというのは、恐らくそういった中でこういう論議がされていくんじゃないだろうかと私は思っております。
 さて、この放送ソフトについて、世界に通用する戦略というのは今局長からもお話しいただきました。ただ、世界に通用するのは最も大事なことでありますが、ただ、現行でやってきたソフトをどうやって守っていくかということも大事なんです。つまり、先ほど保坂先生からも御指摘ありました地上波デジタル化によって財政基盤の弱い地方局のテレビはとりわけ危機に瀕する、恐らく成り立っていかないだろうと。今の郵政省の考え方では、二〇一〇年で少なくともアナログ放送は一切廃止するというような考え方もおありなようですが、そうした中で、私は地上波のデジタル化というのはこれはもういわゆる世の流れであろうと思います。さきの委員会でも国民的な論議が必要だということは指摘させていただきました。
 しかし、このデジタル化による地方局の経営危機に対して、私はソフトの面からちょっと心配しております。つまり、今、地上波のテレビは民間放送、NHKを問わず、多くの情報量は中央から流れていくんですね。そして、ローカル各局はそれぞれ差しかえという形でローカル独自の番組編成をしておるわけでございますが、その中で地方でなければ見られない情報というのがあるわけです。とことこ神社のお祭りだとか、そういった細かいフォローがなされてきた。
 これは、郵政省の一県四波化政策、五年ぐらい前までは言っておりましたですね、各県に四つテレビ局をつくるというんですよ。私は、それは県の経済力もあるから、二局でいいところもあるんじゃないかというのが当時私の意見でございました。しかし郵政省は恐らく地域のソフトを大事にするためにやってきたんだなと。ところが、ここに来て四波化政策というのは全然出てこないんです。
 それは当然のことです。その背景にあるのは、地域の文化、情報、それを映像あるいは音声で伝えるという精神があったと思うんです、時代は変われどですね。ところが、今度デジタル化になる。経営が立ち行かない。恐らく再編になるだろうと私は思っているんです、四局は成り立たないだろう。
 それは市場原理ですから、もちろん民間事業者の経営努力というのはもう当然のことですが、努力してもできないというような、先ほど民放連の会長のお話も保坂先生から御指摘ありました。この地域の情報をどうするんだと。三百チャンネル時代になって、恐らくこのままでいくと、政策を誤ると非常にローカルの情報が先細りすると私は心配しているんですが、これについていかがですか。
○政府委員(品川萬里君) 放送全体で申し上げますと、実は予算のみならず税制面においても、通信のデジタル化等に比べますと大変税制措置もおくれておりまして、この点も強化してまいりたいと思いますが、今先生御指摘の地方文化の維持をどうするかということは、これも大変大事な問題であります。
 実は、先ほどデジタル化の配当という御質問がございましたが、イギリスでのデジタル化の配当の一つとして、これはBBCの挙げた点でございますが、見やすい時間帯での多くの地方番組の提供というのがデジタル化の配当の一つだということをBBCは挙げております。デジタル化による多チャンネルによりまして、地方ローカル番組をいわば全国的に流すということも可能になるということが一つ挙げられようかと思います。
 先ほど放送会社によって着々と準備を進めておられる会社もあるということを御紹介申し上げましたけれども、幾つか申し上げますと、例えば北海道のある放送会社では、平成四年では自主制作番組比率が一九%だったのを二七%に引き上げた、あるいは東京キー局でございますが、いわば地方としての東京の番組をCS放送を使いまして全国化していく、あるいは神奈川県のあるテレビ会社も同じように横浜の情報を全国に広げるというようなことで、個々具体的な新しい面が出ております。
 こうした積極的な動きをぜひ私どもも支援申し上げたいし、それから、まだこれから努力しようという方々にもそのニーズを篤と伺いまして、いろいろ知恵を出してまいりたいと考えております。
○中尾則幸君 今の放送行政局長のお話、当然放送事業者として私はもっともだなと思うんです。護送船団方式であってはならないと思うんですよね。ただ、根底にあるその部分だけはしっかり認識していただきたい。言わずもがなのことだろうと思いますけれども。
 ローカルでも、頑張っているところは今お話があったように四分の一以上の自主編成をしていると。それについては積極的に支援をしていく、そういう視点で地域の情報をしっかり守っていくというような、せっかくの伝統を築いたものを大事にしていただきたいとお願い申し上げます。
 さて、今回、法制度の中で受託・委託制度が導入される。これは次期BS4の後発機の運用についてでございますが、参入希望、いわゆる受託放送事業者が三社あると聞いています。SCC、それからJSAT、BSATですね。BSATは現在BSを保有、運用しているんですが、これを郵政省が一社に決められるというふうに私は伺っておりますけれども、これは委託放送事業者がこれから波の割り当てがあろうかと思います。つまり、BSの後発機であればサイマル、移行チャンネルでアナログ放送をデジタルで。これはトランスポンダー一中継器分。あと三つですから、例えば通常のあれだと一中継器分が六チャンネル、それからHDTVが二チャンネル、かなりの数に上るわけですね。しかし、この受託をされる会社の参入、これはやはり郵政省が審査して決めるものですか。簡単に。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 確かに先生おっしゃるように、受託放送事業者が一社がいいかどうかということでございますが、衛星の場合、いわば一つの衛星で運命共同体的に委託放送事業があるということでございます。したがいまして、受託放送事業者を二つということも考えられなくはないんですけれども、現に今CS、先発機の方は数社が区分所有の形のようでトランスポンダーを持っているわけでございます。そうしますと、いろんな使い方の変更をするときにその都度何か協議会を開いてやるというような状況にございまして、単純なる技術調整ならよろしいんですけれども、万が一の危機管理的な状況のときにおいて一々集まって何かやらなきゃいかぬということになりますと、やはり放送でございますから、一瞬の寸断も許されないということになります。その危機管理というようなことを考えますと、市場原理の点もあるんですが、やはり衛星放送の特徴を考えますと受託放送事業者は一社という形の方がトータルとして見てよろしいのではないかというふうに今のところ考えております。
○中尾則幸君 今局長のおっしゃることもわからないわけではないんですが、何か最近の放送ビッグバンの流れの中でちょっと違和感を感じているわけです。はしの上げおろしまで指導とは言いませんが、やはり郵政省が財政的基盤、運用方法などを審査して、申請三社だったら三社から審査してそのうち一社に決める。それから料金を、約款を決めて、それで委託放送事業者にこういう受託放送事業者に決まりましたよ、これをお使いくださいというようなことだろうと思うんですが、やってみなきゃわかりませんが、やっぱり厳正な審査、公平な審査をこれはやるべきだと思います。
 この運用について大変問題があれば郵政大臣が認可を取り消す等の措置が講じられるというふうに聞いておりますけれども、そういったところをしっかりと運用に当たっては気を使っていただきたいと思っております。
 次に、先日のNHK予算のときも聞きましたが、若干復習しておきたいんです。
 アナログ方式の現行ハイビジョン、これは郵政省にも本当はお伺いしたかったんですが、あたかもデジタル時代の旗手みたいなことは、私はこれは非常に違う。すべてアナログとは言いませんけれども、デジタルの方式が組み込まれていることは私も承知していますが、あくまでもこれはアナログなんですよ。それを何かデジタル時代の流れに乗じてデジタルだなんと言うから、よくよく見てごらんなさい、今回の法律案もそうですよ。移行チャンネルをつくっているというのは、それは激変緩和なんです。私はこれは仕方ないことだと思うんです。一チャンネル、トランスポンダーですよ。
 ところが、国民はそんなことわからないんです。だから、デジタルのハイビジョンを我々は買っているんだと思っている人も結構いるわけです。アナログ、デジタルの区分けなんかだれも必要ないわけですよ。だから、私は、これはNHKに申し上げましたけれども、郵政省も今回の法律の改正案をきっかけにしてこのBS4の後継機、これよくよく知っている人でなければわからないんですよ、トランスポンダーがどうだの帯域圧縮技術がどうだのわからないですよ。これをきちっと示さなかったら、グランドデザインを描けていない。
 確かに、テクノロジーの進歩はあります。帯域圧縮技術も随分進みました。しかし、デジタルそのものは今すぐできませんよ、技術はかなり進みましたが、まだそれほど行っていませんよ。だから、今回の法律改正を契機にきちっと、例えばBSの役割、BSアナログ、二〇〇〇年以降になろうかと言われているBSデジタル、それから地上波のデジタルはどういう考えなのか、これは国民的な議論をしてほしい。それから、地上波の今のアナログの役割はどうなのか、CATVはどうなのか。
 さまざまなグランドデザインを描かないで審議会ばかりやって、私的懇談会もいっぱいある。それでその都度新聞に発表して、一番迷うのは視聴者なんですよ、私は言いたいのは。だから、先日も但馬先生が指摘されたように、ハイビジョンの機材はどうなるんだ、そういう疑問にもしっかり答えていただきたい。
 だから、大臣に聞きたいんですが、そういう過渡期だと思うんです。こうした中で国民にきちっと何らかの形で説明する、あるいは意見を聞く機会はぜひ必要だと思うんです。そして、グランドデザインを描く、郵政省の例えば放送についての哲学をきちっと国民にわかりやすいようにする、そういう努力をされてきましたか、されてこなかったらこれからしますか。
○国絶大臣(自見庄三郎君) 今、中尾委員から御指摘のように、今からは特にデジタル技術の進歩によりまして、BSあるいはCS、これはデジタル化しておりますし、また地上放送もデジタル化を目指しているわけでございます。CSのデジタルの衛星放送、これはもう既にことしの四月で三百チャンネルぐらいになるわけでございますから、そういった非常にチャンネル数がふえてくる。多メディアの時代でございますから、おのおのやはり特徴、特質が私は違うものだろうというふうに思っております。
 例えば先般聞いたんですけれども、CSのデジタル衛星放送で一つの職業訓練にふさわしいような番組ばかりを流す、そういったアイデアもあるようでございます。やはり多メディア・多チャンネルの時代にはいろいろなメディアによって特徴を生かせる放送が可能だ、こういうふうに私は思うわけでございます。逆に言いますと、国民の側にとりましても情報の選択機会がふえるわけでございますから、そういった面もあるわけでございますから、そういったことを含めてしっかり、やはり国民のために我々は政治をさせていただくわけでございまして、国民のために、放送法の基本的な精神もやはりそこにあるわけでございますから、そういったことを含めて民主主義の健全な発展ということは私は大変大事な課題だと、こう思うわけでございます。
 また、先生から、しっかりその辺を国民にこうしなさい、知らせなさいということもあったわけでございますが、当然のことでございまして、私もそこら辺きちっと力点を置いてそういうふうにさせていただきたいというふうに思っております。
○中尾則幸君 これは放送に直接関係ありませんが、私も郵便貯金を利用させていただきますが、郵貯の論議は別としまして、よく郵便局に行って待ち時間を利用して見ると、例えば国際ボランティア貯金の制度だとか、例えば郵便制度のあり方、非常にわかりやすく随分出ているんです。それから「郵政」だとかいろいろ送ってこられまして、今回のデジタルの特集も読ませていただきました。そこに課長さんもいらっしゃいますけれども、大変いいんですが、せっかくですから、全国にたくさんある郵便局の中で、例えば放送のあり方を今こういうふうに考えています、こういうお話をしていますというような、こういう取り組みは僕は余り見たことがないんです。
 これからの二十一世紀、今大臣もお話しされましたように、放送というのは国民の生活に物すごく深い関係があるわけです。例えば、今回の放送法を契機に、アナログとは何かと、今あなたたちが見ているテレビはこうなんですよ、こういうふうになりますよと。余り先走らぬでほしいんですよ、デジタル万能だとは。私はデジタルは否定していないです。そういうようなお考えはないのか。この放送法の改正を機にぜひともやっていただきたいと思うんですが、それについての御感想を伺って、私の質問を終わります。
○政府委員(品川萬里君) まさに視聴者がチャンネルを選ぶ、選択する時代でございますから、いかに視聴者の希望に応じてチャンネルを選択できるよう多くの的確な情報を提供することが大事なことでございますし、また放送政策についてもどんどん広報体制を、郵便局を経由するという大変貴重な御示唆を賜りましたので、その点も含めて検討してまいりたいと思います。
 現在、本省にデジタル放送懇談会を設けておりますけれども、実は全国十一のブロックで地域の有識者の方々に集まっていただきまして、トータルしますと二百人ぐらいの方になるんですけれども、同じような勉強会を開いております。いろんなチャンネルを通じまして国民の皆様に的確な情報提供をするように努力してまいりたいと思います。
 ありがとうございました。
○中尾則幸君 終わります。
○但馬久美君 公明の但馬久美でございます。
 先ほどからお話を伺っておりながら、グランドデザインが本当に見えてこない。私もきのう質問させていただきましたけれども、もう少しやはり国民にわかるような、実態が見えてくるような、そういう質問をさせていただきますので、そういうお答えをお願いいたしたいと思います。
 今回の法改正案は、二〇〇〇年に打ち上げられるBS4の後発機によるデジタル放送の開始に合わせて、NHKが受託放送事業者に委託して国内向けの放送を行うことができるようにするということですね。そしてまた、受託放送事業者が衛星放送に使用される中継器、先ほどから出ておりますトランスポンダー、この料金を自由に定められるように規制緩和を行う。また三点目に、現在アナログで衛星放送を行っている放送事業者について、サイマル放送を行う場合に免許の特例措置を設けることということであります。
 まず、今回の改正案のポイントについてお伺いいたします。
 トランスポンダーの配分なんですけれども、デジタル化されるBS4の後発機において、四本のトランスポンダーのうちの一本を現行のBSのアナログのサイマル放送に使用したとします。残りの三本のトランスポンダーがハイビジョン、HDTVですね、これが六チャンネル、そしてSDTV、標準テレビで十八チャンネル使えるそうです。新規参入の希望者はどれぐらいになるのか。また、郵政省はHDTV主体で計画しているようですけれども、SDTVの参入を希望する人もいると思うんです。SDTVとHDTVのバランスをどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) BS4後発機をどのような放送の形にするかということにつきましては、既に方向としては電波監理審議会で方向が示されておりまして、デジタル、ハイビジョンを中心とした放送を主体としていくということでございますので、ハイビジョンを希望する会社が優先して認定されるというふうに基本的枠組みとしてあるわけでございます。
 現在、これはまだ意向調査という段階でございますが、昨年十月から十一月にかけまして約一カ月かけましてヒアリングをいたしました。その状況におきましては、ハイビジョン、HDTVの放送を希望される会社が九社、それからスタンダードテレビジョンの放送を希望される会社が九社、その他音声でございますとかデータ放送とかということでございます。
 したがいまして、これからこの法律をお認めいただきまして、具体的な認定等の作業はこれから先のことでございますけれども、仮にHDTVを希望する会社が六以上でございますとその会社が優先される、こういうような認定のスキームになろうかというふうに考えております。
○但馬久美君 このHDTVというのはハイビジョンですけれども、時間や曜日によって区分したり、それからまたハイビジョンと標準テレビ、SDTVを併用するなどの弾力的な運用という方法もあるんですけれども、この点、どのように進められていくのかお聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) 具体的にどのような計画を持たれるか、これからのことでございますけれども、二十四時間HDTVという会社もひょっとしたらあるかもしれませんが、多くはHDTVの時間と、あるいはHDTVによる時間以外は標準テレビジョン放送をするというようないろんな組み合わせの御希望があろうかと思っております。それぞれ時間を分けて、一つの放送会社がある時間帯はハイビジョン、HDTV、ある時間帯は標準テレビ放送ということも可能ではございます。
○但馬久美君 新規参入事業者への支援についてお伺いいたします。
 HDTVの方式はSDTVに比べて番組制作のコストがかかるということは聞いておるんですけれども、従来、財政支援措置が行われておりますけれども、今回、郵政省は新規参入事業者に対してどのような支援策を行われるんですか。
○政府委員(品川萬里君) ハイビジョン、高精細度テレビジョンの番組制作コストと、あるいはスタンダードのテレビジョンの制作コスト、どの程度高くなるか、なかなか一概に申し上げかねますが、普及の状況によって、これは需要と供給というのは鶏と卵のようなところがありますけれども、いずれにしましても今、衛星放送の分野に新規参入されたい方につきましては開銀の低利融資というのが唯一用意されている支援措置でございます。
 基本的には、やはり大きな経済の流れとしまして自助努力ということでございますけれども、現実に、かつては受信機の普及のためのいろいろな措置を講じたこともございますので、今後、具体的なまた新規参入を希望される方々の意向等も承りまして、政府として何か考えることがあればいろいろ知恵を出してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
○但馬久美君 まだまだこれからということなんですけれども、委託放送事業者の選定については、NHKとWOWOWがサイマル放送で参入した場合、HDTVの六チャンネルの分が新規参入の対象となりますけれども、希望者が多数の場合はどのように選定されるんですか。先ほどから選定の話が出ておりまして、現在二十六社と伺っておりますけれども。わかりますか、意味が。
○政府委員(品川萬里君) この受委託放送制度の認定スキームにつきましては、予定されるチャンネルよりも多くの希望があるということを想定しまして認定制度をつくっておりまして、これは比較審査というスキームで審査事務をさせていただいております。
 実は、私どもといたしましてはこれはCS放送で既に体験済みでございまして、公平な審査があった、この審査について特段異議の申し立てとかあるいは裁判になるとかいうようなケースもございませんで、妥当な認定作業を進められたというふうに考えておりまして、このBS4の認定作業につきましても、これまでの比較審査の体験を生かしまして公正かつ厳正に対処してまいりたい、かように存じております。
○但馬久美君 認定の場合、この比較審査、例えばどういうような形で審査なさるのかお聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) どういうポイントを見るかというのは、全部この審査の基準というものに決めてございまして、財政的基礎の確実性でございますとか、あるいは事業計画の確実性といった幾つかのポイント、これを法律上明記してございます。あるいは他の法規則にも明示した条件に従いまして審査をすることにいたしております。
○但馬久美君 公共福祉に適したような部分とか、本当にもっと国民に密着したような審査の部分をもっときちっと提案していただきたい、そういうふうに思います。
 委託制度の導入について、今度はNHKにお伺いいたします。
 今回の改正案では、NHKがBSで委託放送事業ができるようになると、衛星放送に関してハードとソフトの部分が分離されてそういうことが可能になりますね。これによってNHKの衛星分野の経費負担はどの程度軽減されるのか、お聞かせください。
○参考人(酒井治盛君) お答えします。
 ハード、ソフトにつきまして、経費、コスト面から申しますとさほど大きな差はないのではないのかなと。つまり、ハード、ソフト一致の場合は、私ども放送事業者が最初から自分で資金を調達して衛星を調達するわけですけれども、分離した場合も放送事業者にとってみますと、ほかの事業者が調達した衛星を利用料を払って借り受けることになる、こういうことになりまして、そういう違いがあるわけですけれども、したがいまして、かかる総額としてはそんなに変わらないのではないか。例えば、最初一括して百億円で調達した衛星を十年で償却するか、それともその分を利用料を払って毎年分割して支払うか、そういう違いがあるということだけで、かかる金額としてはさほど変わりはないんじゃないかなと考えております。よほど安くまけていただければありがたいと思うんですけれども、そう考えております。
○但馬久美君 わかりました。
 じゃ、NHKの業務追加についで、郵政省にお伺いいたします。
 デジタル放送を従来のアナログ放送と差別化する追加価値サービスにデータ放送があります。今回この改正では触れられていないんですけれども、今後これをどういうふうに考えていらっしゃるか、お聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) データ放送につきましては、先ほど申し上げました意向のヒヤリングにおきまして、NHK側からEPG、エレクトロニック・プログラム・ガイドとかあるいは自動録画サービスとか、こういったものにつきまして将来データ放送として放送したいという意向は承っております。
 ただ、先ほどもNHKの業務範囲というのはどうあったらいいのかという御議論がございましたが、NHKにおいてもこのデータ放送というのは具体的にどういうイメージでやっていくのかというのはまだ検討中と承っておりまして、NHKの役割というもの、それからまたそのデータ放送についての具体的な案というものがどのようなものか、双方照らし合わせまして、今後NHKの業務とすることが適当かどうか、やるとすればNHKの業務の追加ということになりますので、また放送法の改正をお願いすることになりますけれども、放送法を改正して公共放送としてのNHKの業務として適当かどうかということを今後検討する必要があるというふうに考えております。
○但馬久美君 データ放送はぜひ私は進めていただきたいなと思います。これは字幕とか、二カ国語とか、そういう意味において非常にこれからの大事な部分であると思います。
 先ほどからもマスメディアの集中排除原則というのが出でおりますけれども、これから本格的な多チャンネル時代になりまして、民放の活力を増進して放送事業のノウハウを最大限に活用するためには、今後どういうふうな形で進められていくのか、先ほどからお話しありますけれども、この点についてもう少し深くお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(品川萬里君) 集中排除原則の基本的な理念と申しますのは、先ほど申し上げましたように、できるだけたくさんの方が放送事業としての表現の自由を享受できる、あるいは参画できるという、いわば多様な放送機会の維持原則という趣旨がこの集中排除原則でございます。
 BSデジタル放送につきましても、これまでとはまた違う形でございますので、先ほど申し上げましたように地上放送の方々も大いにこの集中排除原則と申しますか、基本的なマクロの原則の中で、また新規参入された事業者が安定的な経営ができるということも大事でございますから、その両点を調和させる意味から、地上放送の事業者の方も、地上放送のような出資比率とは違いまして三分の一未満まで出資可能という運用方針を今電波監理審議会に諮問を申し上げたところでございます。
○但馬久美君 非常にバランスが難しいと思いますけれども、やはりその点、これからしっかりと討議していただきたいと思います。
 また、このBS4の後発機における新規参入放送事業は、有料にするのか、またCM、コマーシャルでそれを無料放送にするのか、これはこれからどういうふうに考えていかれるんでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) 新しいBS放送の形態というのはこれから新たな展開をするわけでございますが、基本的には、参入を希望される放送事業者の方々が、これだけの多くのチャンネルの中でどのようなサービスをどのようなコスト負担、経費負担原則で提供するのが適当かと、一義的には事業者の方々がお決めになる話だろうと思っております。したがいまして、我々としては、有料で行くべきであるとか無料で行くべきであるとかいうことを今申し上げる状況にないわけでございます。
 いずれにしましても、せっかくの放送衛星の機能でございますから、放送衛星のよさというものが十分国民視聴者の皆さんに利用される、それからまた地上放送、衛星放送、CATVあるいはCS放送とたくさんのメディアがある中で、全体として国民視聴者に有効に視聴されることになるように、これは行政の立場の願うところでございますので、そうした視聴者の立場からどうあったらいいのか、関心を持ってこの問題を見守ってまいりたい。
 そしてまた、放送会社の側から料金政策について郵政省として何かガイドラインを示すべきだということがあれば、また個別に御相談に乗ってまいりたい、かよう存ずる次第でございます。
○但馬久美君 ぜひ視聴者サイドに立って考えていただきたいと思います。
 次に、放送被害について、放送と人権についてお伺いいたします。
 昨年、NHKと民放放送局が共同でつくりました放送と人権等権利に関する委員会の機構でございますが、今回初めで被害者からの申し立てが決定いたしました。内容は、米国のサンディエゴで大学教授とその娘が殺された事件で、その妻を被疑者のごとく扱った放送に対して、被害の申し立てに対しての判断であります。
 この機構は四つの部門で構成されておりますが、特に放送と人権等権利に関する委員会がその柱となっておりまして、あと評議会とか理事会、事務局。このBRC、放送と人権等権利に関する委員会は成立以来まだ一年もたっておりませんので、いろいろと問題が指摘されております。
 その中で、どういう経緯で放送と人権委員会が発足したのか、またどういう資格を持った委員会なのか、その委員会の審理の意見がどれほど強制力を持っているのか、また罰則規定は明確に規定されているのかどうか、また郵政省はこの委員会にどうかかわっているのか、これらの問題点についてお聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 まず、一点目の経緯でございますけれども、これは放送多チャンネル、放送番組が多チャンネル化していく中で、やはり表現の自由ということとあわせて視聴者の保護あるいは視聴者の権利というものを重視すべきではないかということで、平成七年に多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というものが設けられまして、おととし、平成八年十二月にその成果が取りまとめられました。その中で、独立した民間の機関でありますけれども、放送事業者とは独立したいわば第三者機関でこうした視聴者と放送の関係についていろんな個別ケースについて審議する機関が必要ではないかという指摘がなされました。
 これに基づきまして、この報告書の方向を是認、お認めになったNHKと民放連各社が共同でこういった独立した第三者機関をつくろうではないかということで、昨年六月に設けられました。昨年六月から活動を開始したわけでございます。
 今申し上げましたように、BRCと称しておりますけれども、放送と人権等権利に関する委員会でございますが、これはあくまで民間の方々がつくった団体でございますから、大変立派な方々が入っておられますけれども、おのずと裁判とは違うわけでございますので、強制力とかそういう点ではあくまで民間の団体としてできる範囲に限られておるわけでございます。
 今回、先ほどございました大変不幸な事件にまつわることでございますけれども、一つの審理の結果がまとめられたわけでございます。これは書面できちんと関係した放送会社に通知されておりまして、当該放送局におかれましても、みずからの御努力でつくられた団体でございますから、十分その勧告の趣旨というのは尊重されておるものというふうに承知しております。
 既に同委員会には発足以来千件に近いいろんな問い合わせなり苦情が寄せられている。これはBRC、この委員会に対する国民視聴者の皆様の期待のあらわれと申しますか、信頼のあらわれと言うこともできるんではないかと思います。
 せっかくつくられた機関でございますので、関係者の方々がこの機関の意義というものを十分尊重されて、国民視聴者の信頼にこたえる活動をされるよう私どもも期待申し上げておる次第でございます。
○但馬久美君 今回のこの問題を取り上げましても、いろんな誤報などの訂正はもっと放送局自身が責任を持って行うべきである、また、ほかの新聞などの記事を発表することで訂正放送したというような姿勢は、被害者というよりもむしろ視聴者の存在を根底から無視したようなそういうようなところが見受けられます。テレビあるいはラジオの視聴者というのは何百万また何千万人と膨れ上がっておりますし、そうした視聴者を混乱させたところの罪の方が大きいと思うんですね。
 そういう中で、放送局側がこの誤報に対してどういうような責任をとるか、この責任のとり方が問題でありますけれども、郵政省としてはこういう問題を聞かれましてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) この放送と人権等権利に関する委員会にとりましては最初の一つの審理の結果をお出しになったということでございまして、大変な御努力の結果の一つの結論というふうに私ども御努力に敬意を表しているわけでございます。
 もとより、裁判ではございませんから、おのずとその限界というものがあろうかと思いますけれども、放送会社におきましても、このBRCからの見解あるいは勧告というものはこれは重く受けとめているという、あるいはそれを受けとめて対応するというそういう位置づけになっておりますので、放送事業者におかれましても、BRCの意義というものを十分理解されての対応をされているものと考えております。
○但馬久美君 その部分ですけれども、今回のこの審理の意見では、個々の放送、報道に人権にかかわる程度の侵害はないとおっしゃっていらっしゃいましたけれども、各局の報道によるこの相乗作用、事実と異なる方向に視聴者を扇動し、また疑惑を増幅させていくといったことが問題になっております。この指摘された放送局は、この審理の意見を重く受けとめるということと、それからまた談話を発表しておりますけれども、実際にはこの放送局サイドの責任のとり方が非常にあいまいな感じを受けます。従来の放送姿勢を改善しているとは思えませんので、私は、今回の被害者救済の不明確な点をやはりもっと、郵政省自身もどのようにこの点を考えていらっしゃるのか、もう一度お聞かせください。
○政府委員(品川萬里君) 先ほども申し上げましたように、この委員会は裁判ではございませんので、民間の団体でございますから、おのずと限界があろうかと思います。そういう中で大変な御努力の一つの御見識を示されたものというふうに認識しております。
 これを関係の放送会社は通知を受けておるわけでございますが、改めて申し上げるまでもございませんけれども、やはり報道機関には、放送会社には、放送法に基づきまして番組準則あるいはみずから設定した番組基準、そしてまた番組審議会を通じて視聴者の声をフィードバックされた意見を尊重して放送を運営するというのが基本でございますから、表現の自由、自律を原則とした放送法の精神を十分踏まえて今後放送事業を運営されるように私どもは期待し、また努力もされていくものと信じております。
○但馬久美君 時間ですので、どうもありがとうございました。
○上田耕一郎君 今度の法改正は二〇〇〇年からの衛星デジタル放送に対応するというもので、我々も対応は必要だろうと思っています。放送のデジタル化自体はもう世界的な技術の必然的な流れで、これは我々も認めて積極的に対応が必要だと思うんですけれども、いろんな問題があると思うんですね。例えば、これは去年の四月二十二日の読売で、大きな討論があります。放送評論家の佐怒賀三夫氏は、「企業、ビジネスベースで計画が進み、視聴者が置き去りにされる懸念がある。」ということでずっといろいろの問題点を指摘されているんです。
 ですから、この放送のデジタル化についても我々としては幾つか本当に考えなきゃならぬ。
 まず第一に、国際的な流れなんだが、日本としてどういう方向を目指し、どういう手段でどういう段取りで進めるのかという問題。二番目は、国民にどういう内容の放送サービスを提供していくか、特に多チャンネル時代になりますから、それが二番目の問題。三番目は、受信料の値上がりとかそれからセットの買いかえとかいう国民の経済的負担、これをできるだけ少なくする必要があるという問題。それから四番目に、これはなかなかわからないんだけれども、どんな弊害が生まれるだろうか、そういう弊害をどうやって防止していくかということなども考えなきゃならぬだろうと思うんですね。短い時間ですので、幾つか絞って問題をお聞きしたいと思うんです。
 まず第一の問題は、今度の法改正の直接的な目的で、NHKの業務に委託国内放送業務を追加するわけですね。この追加は、総括原価主義の廃止ということと結びつけると、参入が自由なBSデジタル放送市場、これをつくるということにあるんですか。これをまずお伺いします。
○政府委員(品川萬里君) 今回の受委託制度というのは既にCS放送で私ども体験済みなわけでございますが、基本的に二つがこの目的でございます。
 一つは、今先生おっしゃったように、参入をできるだけ容易たらしめる。一つの衛星を数社で調達するということになりますと、これは時間的な面でもあるいは調達プロセスにしましても大変不便になるということもございます。一社で購入して受託放送事業者としてサービスを提供するということがこの参入時もまた参入後も、先ほど非常時の危機管理のことを申し上げましたけれども、運営管理上も有利であろうということ。
 それから二点目といたしまして、そのような運営のマネジメント上のよさに加えまして、参入コストがそれだけ時間的にも労力的にもまた経費的にも節減されるところから、軽減されるところから、放送番組に編集権を持つ放送事業者として委託放送事業者という形をとる方が参入しやすい。
 この二つがこの受委託制度というものをBS放送についても導入したいという理由でございます。
 そういった考え方というのは、CS放送で既に所期の成果が上げられているなという私どもの体験も踏まえまして、BS放送についても同様な体制をとりたいということでこの法律改正をお願いした次第でございます。
○上田耕一郎君 参入自由と言われるんだけれども、実際にはNHKと今の民放五社が中心になった新しいネットワーク、それにWOWOWをやっているところ、その六つの枠がそうなるんじゃないかというふうに思うわけですね。
 というのは、先ほども出ましたけれども、ハイビジョンのデジタル放送になるわけでしょう。そうなると、どうしても限られできますね、先ほど希望も言われたけれども。
 それから、これは日経産業新聞の「メディアの実像 BSデジタル化」という連載があるんですけれども、その三回目、去年の十二月十二日の記事には、「受託・委託制度導入の見返りに、BSATを受託にするとの裏約束があった、とされる」、そういう記事まであるんですね。ですから、実際には今の幾つかの理由からいって、参入自由と言われても事実上はNHKと日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京、それからWOWOWをやっているところ、そこが主体になった企業が予想されざるを得ないんじゃないかと思うんです。これはいかがでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) このBS放送を後発機も四つの中継器で使用できるわけでございます。これは、先ほども申し上げておりますけれども、ITU、国際電気通信連合の場で放送衛星についてどれだけの軌道数といいましょうか、中継器を各国に認めるか、いわば国際権益争いの中で我が国として八中継器を確保したということでございます。そのうちの四つは既にBS4先発機で利用しているわけでございますが、残る四つをBS4後発機で活用しようということでございます。
 その活用のありようとして、一番効果的なものとして、これまでの五年間、十数回にわたるいろいろな審議の場を経由しまして、ハイビジョンを中心としたチャンネル設定ということが、参入というのを優先する方が望ましいのではないかという一つの方向をいただいて、そしてその方向にのっとって諮問を申し上げたわけでございます。
 したがいまして、この制度の目的ということと、結果としてどうなるかということもまた、いわば法律の実体論と解釈論という違いがございますけれども、私どもとして、この法制度の趣旨としましては、確かにHDTVによる参入というのはなかなか難しいところがあろうかと思いますけれども、せっかく我が国が獲得した四つの中継器の可能性でございますから、結果としてどうなるかは別として、制度としてはより多くの新しいビジネスチャンスとして活用いただければという願いを込めてこのような法律改正をお願いしているということでございます。
○上田耕一郎君 制度としては自由だけれども、事実上はかなり方向が決まっているとしか受け取れないと思うんです。
 二番目は、国民負担の上で一番大事な受信料問題です。
 先ほど、民放関係についてはこれは自主的にそれぞれが決めるというお答えでした。そうなりますと、NHKがこの問題でどういう受信料についての態度をとるかが民放にも非常に影響を及ぼすと思うんですね。昨年五月二十七日のエコノミストに「見る側にとってのデジタル多チャンネル時代」、こういう論文がありますけれども、これには「二〇〇〇年に開局されるBS新局もまた、何らかの形の有料放送となる可能性が高い。」、こう見ているんですね。だから、今までの民放地上波では広告放送で無料で見られたんだけれども、民放は大体有料になるだろうという観測、NHKがスクランブル放送で料金を取るということになれば、これは民放も当然そういうことになるだろうと思うんですね。
 そこで、スクランブル放送の問題について郵政大臣にお聞きしたい。
 三月三十一日、規制緩和推進三カ年計画、これは閣議決定したんですね。この中の「放送に係る規制」、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、その(g)は「NHKのBS放送のスクランブル化については、デジタル化、多チャンネル化が急速に進展する衛星放送の動向を踏まえ、NHKに期待される役割やデコーダ設置の負担等視聴者に及ぼす影響を勘案しつつ実施について検討する。」、これは閣議決定で、スクランブル化実施についで検討するということが決まっている。だから、郵政大臣もこれに参加しているわけです。それから、先日いろいろ問題になりましたNHKのデジタル時代のビジョン、この十ページにスクランブル方式の活用など慎重に検討する、こうなっているわけです。
 それで、今度の改正には放送法三十二条の契約、受信料についてはないわけですよ。だから、この三十二条を改正していないということは、スクランブル化によってお金を取るということは予定されていない法改正だと思うんですけれども、大臣、我が委員会にはスクランブル化など新しいお金を取らないという法案を出しておいて、閣議決定ではこれを実施するということを決めている。あなた、分裂しているんじゃないかと思うんだけれども、どうなんですか。
○国務大臣(自見庄三郎君) 先般のNHKの平成十年度の予算の審議のときにも申し上げたわけでございますが、御存じのように、スクランブル化というのは、規制緩和の視点から、公正競争の面から、要するにNHKがスクランブルをかけない、民法はかける、あるいは有料、無料、こういう話がお互いにあるわけでございますが、そういったところがお互い公正な競争なのか、こういう視点でございます。
 そういった視点からの私は指摘であったというふうに認識をいたしておりますが、今回のNHKの衛星デジタル放送を開始するということになった場合に、それを有料化するか、スクランブル化するかということは、やはり総合的な放送行政の観点で、なおかつNHKは公共放送でございますから、そういった点で私はそういったことを含めて検討していくべきものではないかというふうに思っております。
○上田耕一郎君 大変矛盾していると思うんですが、どうやら、政府、郵政省の態度は、衛星デジタル放送についてはNHKもスクランブル化で料金を新たに取るという方向で進んでいると思うんですね。
 NHKの酒井理事にお伺いします。
 NHKとしては、ここでスクランブル化は慎重検討と書いてあるんだけれども、海老沢会長は、ことしの二月十二日の定例会見で、アナログ放送は受信料、デジタル放送はスクランブル、この併用は視聴者と集金現場の混乱を招くということを理由にして、個人的には二〇〇〇年のBS4後発機からは難しいと思っている、こう述べておられるんですが、NHKはどういう方向を考えているんですか。
○参考人(酒井治盛君) お答えします。
 公共放送としての社会的役割あるいは使命を全うしていくためには、財源として今の受信料が最もふさわしいと考えているわけであります。ただ、規制緩和の参入自由化の時代の流れの中で、今るる御指摘があったような政府の推進計画の中でそういう提言を受けている以上、これを重く受けとめなければならないと考えております。したがって、私どもとしましても、先生御指摘がありましたように、ビジョンの中で慎重に検討すると表明しているわけでございます。
 検討に当たって、本当にスクランブル化した場合、公共放送の使命を損なうことにならないか、あるいは視聴者の皆さんにどう受けとめられることになるのか、あるいは課金システムにはどういう技術面での開発の仕方があるのか等々、相当多くの課題にわたって検討しなければならない、検討する必要があるだろうと、御指摘のように海老沢会長が二月十二日の定例会見でそういうふうに発言されております。二つの料金システムが併存する形になって視聴者に大きな混乱が生じるので大変難しいのではないか、こういう趣旨のことを述べております。
 会長も断っておりますけれども、その時点での会長の個人的見解、感想でございまして、NHKとしての正式な結論というのは今後経営委員会の御意見を伺いながら出すことになるわけでありまして、会長の見解も含めまして公共放送のNHKとしてどういう選択の道があり得るのか、今後幅広くかつ慎重に検討していきたい、こういうふうに思っております。
○上田耕一郎君 だから、衛星デジタル放送というのはどうやらかなり高いものにつくことがはっきりしてきているというふうに思うんです。そういう高いものを払って衛星デジタル放送が始まってどれだけ国民が見るのかという問題も出てきますし、コンテンツ、放送内容をどうするか、これも大きな問題になってくるんですけれども、例えばNHKの場合、受信料の収納率をもっと実際に上げることを考えて、スクランブルで金を取るというような方向でないことを選んでほしいと私は思うんです。
 酒井理事にお聞きしたいんですが、会長もいろいろ発言しているけれども、今BSのセットの普及台数は千二百万台と言われでいるんです。NHKの資料によりますと、契約しているのは八百七十八万台だというんです。普及台数は千二百万台だと言われている、ところが契約しているのは八百七十八万台だと。WOWOWを見ている人はNHKと契約している人が多いと思うんですけれども、この差額の三百万台というのは大体どうなっているんですか。
○参考人(酒井治盛君) 移動世帯が相当ふえてその捕捉に大変困難しておりますこと、それからISマンション等の増加、こういったことに対しての我々の捕捉の不足ということも正直言ってございます。そういうことで、受信契約に直になかなか結びついていかないということで苦労しておりますけれども、その差額をもっとさらに縮めたい、こういうふうに考えております。
○上田耕一郎君 この面では、私はこういう経験をしたんです。
 私も、おととしだったか、どんとたたかないと見えなくなるという状況になってテレビを買いかえたんです。そのとき全部カタログを集めてみたら、二十一インチしか私の部屋では置けないんだけれども、BSがついていないんですよ。数年前はちゃんとついていて、うちの娘が使っているのは二十一インチでちゃんとBSが見られる。
 それで、今度調べました。NHKの提出資料を見ますと、二十一インチ以下は主要メーカー九社の九七年製のカタログを集めますとBSはついていないんですよ。BSを見ようと思うと二十二インチ以上の大型の、特にワイドですね、それしかないんです。
 僕が非常に不思議なことだと思うのは、例えば事務所だとかそれからホテル、家庭もそうですけれども、狭いところはやっぱり小型のテレビを置いています。ホテルだってみんなそうです。それは全部BSをつけられないんだから。事業所数は六百五十万、ホテルの客室は五十一万五千、旅館の客室は約百万室あるんですよ。
 だから、家庭のことを考えますと、二〇〇〇年からBSのデジタル放送が始まるんだったら、本当にBS放送をみんなに見せよう、それで受信料も上げようと思ったら、メーカーが二十二インチ以上しかBSをつけていないというような、そういう業界優先のやり方はこれは実際大きな問題だと思うんですね。
 その点では、郵政省も、BSデジタル時代が始まるんだったらやっぱりメーカーが二十一インチ以下にはBSをつけているのが一台もないというような状態をきちんと指導すべきだと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○政府委員(品川萬里君) メーカーがどのような営業戦略で売っていくか、これはまさにそれぞれの企業において選択していくことでございますけれども、私どもは、放送の健全な発達を願う立場からいたしますとできるだけ視聴者のいろんな選択が可能なような機器が提供されることが望ましいかなというふうに考える次第でございます。
 今後、こうしたメーカーのいわば営業戦略と申しましょうか営業の考え方というのは、やはりマーケットの変化あるいは技術開発の変化によって変わっていくものと考えられます。したがいまして、私どもとしましてはそうしたできるだけ多様な、まさに視聴者が予算に応じていろんなものが選択できるような機器をメーカーにおいて開発できるようにいろいろ条件整備もしてまいりたいというふうに考えます。
 こうした問題については、私どもの関係しております電波産業会といういわば関係企業等が一緒にいろいろ共同研究する場もございますので、こういったところに今先生から伺ったような話を伝えまして、さらに検討を深めるように我々としてもその支援を考えてまいりたい、かように存じます。
○上田耕一郎君 もう時間が参りましたのでやめますけれども、地上波テレビのデジタル化問題でも今の問題はかなり大きい。郵政省から資料をいただいたんだけれども、郵政省の地上放送デジタル化の経済効果、何と三十八兆六千億円の経済効果がある、九千六百万台を超すセットも十年間で全部買いかえというような経済試算も郵政省としてしております。
 以上、今度のBSデジタル放送が二〇〇〇年から始まるに際して、本当に国民の立場、視聴者の立場が置き去りにならないようによく郵政省としてもNHKとしても検討して進めていただきたいと希望を申し述べて、質問を終わります。
○戸田邦司君 自由党の戸田でございます。
 今回の放送法の改正に関しまして、三、四点御見解をお伺いしておきたいと思います。
 まず第一に、これから衛星利用が相当高まっていくといいますか、チャンネルもふえていく。BSの後発機になりますとチャンネルが非常にふえている。二〇〇〇年からデジタル放送も始まるということですが、そのほかにCSを利用してのテレビ放送も始まっていく。
 そういうようなことで、例えばこれからいろんな用途で打ち上げる静止衛星、静止衛星の数も軌道上では限られることになるとは思いますが、Nーロケットの新しいタイプが出てくるとかいうようなことを考えますと、ペイロードが非常に余裕を持って設計された場合に、通信のトランスポンダーを積んでいるものも出てくるんじゃないか。そういったことになりますと、一体、衛星利用の放送の将来の可能性はどういうことになっていくのかという点についてはなかなか我々素人サイドでわからない。
 この点について郵政省はどのようにお考えになっておられるか、お話ししていただければと思います。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 二〇〇〇年にBS4後発機が打ち上げされる予定でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、せっかくの努力で得た貴重な四中継器でございますので、BS4、デジタル放送ならではの放送がなされればというふうに期待しておるわけでございます。また、認定等の諸作業もそういう考え方で進めてまいりたいと思っております。
 今先生お話しございましたように、衛星を使った放送も、いわばCS、通信衛星を使った放送あるいは放送衛星という衛星を使った放送、これは実は周波数の利用というのは大きくITUの場でこの波はこの用途でということで決まっておるわけでございまして、通信衛星を使った、国際的にこれは一義的には通信用に優先して使われる波を使う衛星を通信衛星と称しておるわけでございますが、しかしこれは放送として使うことを別に排除するものではございませんので、今通信衛星も衛星放送として活用されておるわけでございます。したがいまして、これから衛星といわず地上のCATVも、今まで放送だけだったものが放送通信にも使える、いわばデュアルユースと申しますかマルチユースと申しますか、そういったいろんな利用形態が考えられてくるわけでございます。
 したがいまして、これから、地上放送にしましても、この地上放送網をデジタル化することによりましていわば付加価値放送網といったサービスも提供できるような、そう言ってもいいようないろんなサービスも提供できるわけでございます。
 それから、衛星につきましても、今の衛星に使われている周波数帯よりもっと波長の短い、かつたくさんの情報が送れる衛星も使えるような技術開発が進んでおりまして、これも我が国として軌道位置が獲得できるように今ITUと調整中でございます。
 我々としては、国際的にも我が国で利用可能な資源をできるだけきちっと国としてこれは獲得する義務がございますから、できるだけたくさんそうした資源を獲得しまして、放送分野に参入したい方には存分に参入していただけるような条件を整備していくということが私どもの使命と感じております。そのためには、技術開発というのが大変大事でございますので、これからの放送、通信のキーテクノロジーでございますデジタル技術というものの成果が存分に発揮されますように、そうした面での支援というものも考えて放送全体の発展に対処してまいりたいと存じます。
○戸田邦司君 限られた資源とはいいながら、かなりの将来の可能性があるというふうに理解してよろしいかと思います。
 放送というのは、周波数帯というのはITUなどで決められますと、限られた資源と言っていいかと思うんですが、電波の利用を考えますと、国内放送で政治の問題とかあるいは社会、文化、そういったところに非常に大きな影響を持つ、それが放送の特色と言っていいかと思います。
 今、BS事業につきまして、外資の出資が五分の一というようなところで制限されているということでありますが、これから我が国の国内放送に参入したいという外国の事業者も出てくることが考えられますが、その辺については郵政省はどういうような対応を考えておられますか。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘ございましたように、放送事業につきましては五分の一未満という外資の上限がございます。放送衛星につきましても同様の考え方で対応してまいりたいと考えております。
○戸田邦司君 私は、先ほどからのデジタル放送についての議論を聞いていまして、いろんな考え方ができるかと、こう思っております。
 例えば、地上波によるデジタル放送化の問題につきましては、すべてデジタル化するとか、あるいはデジタル化しなければ淘汰されてしまうとか、そういうような話ではないように思います。これは、事業者の選択あるいは利用者の選択、そういったことも考えながら、デジタル化が企業として成り立っていくかどうかということも背後にあって進んでいくことだろうと思いますから、その辺について郵政省が意図的にデジタル化を進めていくんだというのも間違いであろうかと、こう思っておりますが、その辺についてはどうお考えになりますか。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 今日、地上放送のデジタル化をいかに進めていくかという議論、有識者の方々にもお集まりいただきまして、また全国的にもいろいろ議論させていただいておるところでございますけれども、かっては例えば今日御議論いただいておるBS4の放送方式についてもアナログが適当ではないかという時代もあったわけでございます。
 デジタル放送というものをやはり考えるべきではないかという時代の流れと申しますか、あるいは技術革新の背景といたしまして、我々といたしましても過去五年間、たびたび同じことを申し上げますけれども、いろんな審議会、研究会、十種類にわたる審議会の議論を経まして、今日やはり放送全体の発展のためにもデジタル技術をベースにした発展をしていくことが、通信全体がデジタル化の方向、例えばNTTの電話網というのはもう一〇〇%デジタル化しておるわけでございますから、放送全体の発展のためにもそうしたデジタル化した情報通信資源を活用していくことが放送事業の発展にもつながっていく。また、デジタル化のせっかくの技術開発の成果を視聴者の方々にも還元していくということが周波数の限られた資源の有効活用という点からも望ましいのではないかというようなことで、この放送のデジタル化ということについていろいろ御議論もいただき、またそのための政府としての措置も考慮しているところでございます。
 もちろん、先生今おっしゃいましたように、これは放送事業者がこれまでの長年の知恵と努力の結晶で今日の放送文化を築き上げてきたわけでございますから、アナログ方式からデジタルに変わりましてもこれは同じことでございます。したがいまして、放送事業者の方々の御意向も十分承りながら、また国全体としての望ましい政策方向と個別の放送事業者としての経営の考え方というものを十分すり合わせをしながら、円滑にデジタル放送時代に移行できるように、そしてより多くの国民の皆さんにデジタル放送の成果というものが還元されるようにという政策方針で臨んでまいりたい、かように存ずる次第でございます。
○戸田邦司君 デジタル化の問題は、多チャンネル化のチャンネルの活用とそれから新規投資のバランスといいますか、そういったことも一つ大きな要素になると思いますが、BSも含めてデジタル化した場合に、一体放送がどうなって受信サイドがどうなっていくかということについては郵政省は絵をかいてきちんと視聴者に説明すべきではないかという指摘が先ほど中尾委員の方からありましたが、私もそうではないかと、こう実は思っておりました。
 いろいろ考えてみますと、国がしなければならないことはどこまでなんだろうか。いろんな規制をやっていかなければならない、これは必要最小限の規制であるべきだという原則があると思いますが。それと、国がどこまでできるんだろうか、どこまで思い描くことができるだろうか。その辺については郵政省側も十分に絵をかき切れない部分があるんじゃないか。つまり、NHKも含め、また民間事業者も含めて、放送事業者がこれからどういうような企画を展開していくか、そこに大きくかかっている。そういうことになりますと、国はここまでが国の役割なんですということをはっきりさせた上で、その辺の可能性については、あるいは民間サイドと一緒になって、こういうようなことになるでしょうというようなことを視聴者、消費者にきちっと知らせるということになるのかなと思います。
 郵政省はどこまで絵をかくことができて、民間サイドはどこまで絵をかくことができるか、そういったところがあると思いますが、基本的には市場原理の問題もある。一方で、国としては消費者保護的な立場で物を見なければならない。そういったことがあると思いますので、郵政省の基本的な立場、役割、そういったものをはっきりさせておかないとこの議論というのは非常にこんがらがっていくような気がして仕方がありませんが、いかがですか。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 この情報通信の世界というのは、国内のみならず国際的にどうかということを絶えず考えざるを得ない分野でございまして、実は電波の使い方そのものが、この日本でどういう波をどの目的に使うかということ自身が国際的な会議の場で決まっていくというようなことがございます。
 したがいまして、この技術方式のあり方とか技術開発の方向でございますとか、あるいはアナログでやっていくのかデジタルでやっていくのかといったことは、もうこの通信、放送の世界では好むと好まざるとにかかわらず国際的な動向、最近の言葉で言えばグローバルスタンダードといったものを考慮せざるを得ない状況にあるわけでございます。
 まず、私どもの政府の役割としましては、そうした国際的に技術開発の動向、技術水準あるいは技術方式、技術の標準というのはどうなっているかということを我が国の実情を踏まえながら国際的なグローバルスタンダードの形成に貢献していく。またあわせて、国際的な動向におくれをとらずにその技術開発の成果を国民の皆さんに還元していくような方向に持っていくというのが、これがまず政府の役割だろうと思っております。
 そうした国際場裏での議論を踏まえてみますと、先ほど申し上げました、これからさらに高い周波数を使った音声放送や衛星放送をやろうというような道も開かれようという時代でございますが、幾つかそうした政策上具体的に日程に上げざるを得ないようなこともきちんとそれに対応していくということもまた私どもの課題だと思います。
 そういう大きな流れの中で、実際に放送の世界に限って申し上げれば、NHKと民放という二つの存在でこの放送分野の健全な発達を担っていくというところが基本でございます。
 当然、一方の雄であります民放の発展ということ、これは、基本的にはどのような経営をやっていくかということもこれまた放送会社のまさに経営の自己判断によって決めていく分野でございますから、そうした放送分野、言論の自由という大事な原則もございますので、そうした原則を十分踏まえながら、そしてまた国際的な動向、国民のためにどういうことをすべきかという、放送衛星もCS放送もCATVも同時並行でたくさん進んでおりますけれども、それぞれの分野で、段階で政府がどういう役割を果たすべきかということも、時代の進展とともに、また国民の価値観とともに変わっていくところでありますけれども、その辺を的確に見きわめながら、どうあるべきか最善の努力をしてまいりたいというのが政府のとるべき道ではないかというふうに考えております。
○戸田邦司君 今の部分というのは、行政と事業者との関係においで非常に重要な部分だと私は思っております。郵政省は全知全能でありたいと願っているか願っていないかわかりませんが、願っているにしても、やはり郵政省の分といいますか役割がおのずと決まってしまう。
 そこで、放送のあるべき姿というようなものを思い描きながら行政を進めていかなければならない非常に重要な役割を背負っていると私は思いますが、そういったことも踏まえまして、大臣、最後に一言、非常に重要な役割を背負っている立場での御感想をお伺いできればと思います。
○国務大臣(自見庄三郎君) 放送は、もう先生御存じのように、憲法で保障された表現の自由ということがございます。また一方、憲法の公共の福祉というのは大変大事な概念でございまして、表現の自由と公共の福祉をどう調和していくかということが、私は放送法に与えられた大変重要な基本的な価値だというふうに思っております。
 そういった中で、今技術革新が大変に進むわけでございまして、先般も申し上げたと思いますが、やはり高度情報化社会、あるいはいわゆるマルチメディア社会というのを支えた技術革新が大きく三つあるというふうに東大の斎藤教授なんか言っておられます。
 その一つは、今大変大きな議題になっておりますこのデジタルでございまして、私は本職は医者でございますが、もう先生御存じのように、人間の脳細胞の中の情報というのは〇一〇一というデジタルの実は信号でございまして、これを人間が手にしたということは一つ大きな進歩だと思います。
 二つ目は、コンピューターのダウンサイジング化でございまして、専門家の話によりますと大体一万分の一、あるいは一万倍ぐらいになったんじゃないかと。同じ価格であれば十年前に比べて一万倍の価値のある、能力のあるコンピューターを買えるようになった。
 それから、光ファイバーの開発でございまして、これももう先生御存じのように従来の一万倍ぐらい実は能力があるわけでございますから、このデジタル信号、あるいはコンピューターのダウンサイジング化、それといわゆる光ファイバーというこの三つの技術革新が今日の高度情報化社会、あるいはマルチメディア社会を築いた基本だと、こういったことを東大の斎藤教授なんかから教えていただいておるわけでございますが、一方にそういった技術革新がございます。
 そして、今放送の持っている貴重な価値というのがあるわけでございまして、なおかつ、私は、特にこの情報あるいは放送がやはり国民に広くあまねく利用されるということが大変大事だというふうに思うわけでございます。デジタル放送にすれば、高齢者の方々あるいは障害者の方々が字幕放送を活用するのに非常に有利であるというふうな話もあったわけでございまして、また、委員の中から、地方発信の情報、自主番組をしっかり上げなさいという話もあったわけでございまして、デジタルにすれば、イギリスの例なんかも出ておりましたけれども、地方発信の自主番組の比率が上がったというふうな話もあったわけでございますから、そういったことを織りまぜて、やはり適時適切に与えられた任務の重さを痛感しながら邁進させていただきたいというふうに思っております。
○戸田邦司君 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○委員長(川橋幸子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、末広まきこさんが委員を辞任され、その補欠として国井正幸さんが選任されました。
    ―――――――――――――
○及川一夫君 順番を変えていただきまして、両党の皆さんにはお礼を申し上げておきたいと思います。私、予算委員を兼ねているものですから、たまたま質問がダブりまして、こんなぐあいになりました。お許しをいただきたいと思います。
 まず、郵政大臣も衆議院では逓信委員を長くやっておられましたから、私の方からくどくど申し上げなくてもいいんだろうと思いますが、このデジタル化の問題については、アナログ方式の問題で、たしか郵政省は、放送行政局長を江川さんがやっておられたときに、アナログで行っているのをデジタルに変えるというふうなことが突然提案されて、えらい物議を醸し、マスコミもえらいにぎやかにやられた経過がありますよね。そのときには、少なくともNHKというものを主体にして、世界市場の中でデジタル化の方向はもう確実だからそういう方向をとるんだということになっておったんですが、そういう提案なんです。
 当時は、アナログでアダプターをつけることによって十分太刀打ちできるから、国益という立場からも産業の世界としてはそういう方向に向かって進むんだということを前提にして、それでその研究開発というのが進められておった。まだまだいわばその商品化といいますかそういうところまで行っていない段階であるけれども、必ず日本は打ちかつのだという意味合いを含めてあの当時アナログ方式ということで打ち出していったという経過があるんですよ。そういうときに突然郵政省がそういうことを言われたものですから、大騒ぎになったという経過があるんです。
 そのときの一番大きな理由は、とことん突き詰めていったらこのことに対しては当然産業界も含めてのお話になっていきますね。そうすると、研究開発にはさまざまな投資をしているわけだから、その投資したものが回収できない段階でアナログ方式がデジタルの方向に変わっちゃったということになると大変だというので大騒ぎになったことがあるんです。私もそれに巻き込まれました、正直言って。どっちに手を挙げたんだといったら、僕はNHKの方に手を挙げた。そういう議論の経過があるんですよ。
 これからこのデジタル化の問題については民放を含めて一体になって進めていかなきゃいかぬということですから、少なくとも郵政対NHK、民間という意味での対立行動というのはもうないんでしょうね。そんなことをあおるようなことはよもや自見郵政大臣はやらないだろう。また、品川放送行政局長も、多少個性があるが、やるかやらないかという問題で疑いをかける人もいるものですから、総括的な意味でそれはすべて話し合いでそういう方向に向かって進めていくことができるんだということになるのかどうかということをまず尋ねておきたい。
○国務大臣(自見庄三郎君) 及川先生も当時の責任者でございましたが、BS放送デジタル化の推移をたどってみますと、今お話があったように、平成六年だったと思いますが、一九九四年、当時の江川放送行政局長の発言が一つのきっかけになりデジタル化の検討が進められたことは私も事実だというふうに認識をいたしております。
 その後のデジタル化に関する政策につきましては、今さっきも局長が述べましたように、五年間で約十の審議会あるいは検討会を踏まえながら進めてきたところでございまして、このような十分な手続を経てBS放送のデジタル化の方針に至ったところでございまして、また地上放送のデジタル化についても御存じのように今いろいろ御議論をいただいておるわけでございます。
 及川先生のお話にもございましたように、基本的に、今さっきも言いましたようにデジタル化というのは大きな時代の流れでございますから、技術革新に乗りおくれるということはやはり日本国だけおくれるということもあるわけでございます。しかし同時に、さっきからデジタル化するに当たって、まずNHKのお立場あるいは民間放送事業者のお立場、あるいは何よりも大きな国民の立場、それから地方の立場、あるいは特に地方の放送局のお立場、大変いろいろ御意見を言われた方もおられるわけでございます。
 そういったことを踏まえつつ、やはり基本的に放送というのは国民に見ていただくわけでございます、国民が主人公でございますから、その視点を失わず、同時に技術革新もいっぱいあるわけでございます。同時に、特にきょうは地方の放送局が非常に経済的に厳しいというような話もあったわけでございますから、そういったところはやはり政府といたしましても税制上の誘導措置と申しますか、あるいは金融上あるいは財政上の措置を含めて、これは本当に真剣かつ深く私は検討していく大変重要な課題だというふうに思っておるわけでございます。
 そういった今までのアナログからデジタルに、特にBS放送が変わったというのは、当時多分私は野党だったと思いますが、大変鮮烈に受けとめておりまして、しかしいずれにしても行政は継続するわけでございますから、そういった先生初め委員の方々の御意見を外しながら、適切に間違いのないように行政を進めていきたいというふうに思っております。
○及川一夫君 ありがとうございました。
 いずれにしても、開会されて以来、各同僚議員の皆さんからさまざまな御指摘があったことを私も秘書からですけれども報告は受けていますから、十分理解したつもりですが、これから恐らく周波数の割り当ての問題から、あるいはチャンネルの確保の問題とか、いろいろとNHK対民放の間でも意見の違い、あるいは欲しい欲しくないで意見が出ることは私は当然だと思います。
 私は、この問題を考えたときには、NTT対第二電電というのがありましたね。あのときも、NTTは巨象で電電はアリだと。だからということで郵政省は一生懸命、NTTをいじめたとは言わないが、注文をどんどんつけたという経過があります。
 それはそれなりに必要なことではあるのかもしれませんけれども、やはりここまで来ると、NHKというのは民放から見ればかなりさまざまなことが条件的にそろっている巨象という形に見えるわけでして、したがってそういう意味でのいろんな注文は出てくるんですが、そこは郵政省の権力じゃないわけでありまして、やはり国益の立場に立った調整役ということになるんでしょうから、午前中出ている御意見に対してはまともに受けとめでもらって、少なくとも単なる争いということにならないようにぜひ御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、次の問題として申し上げておきたいのは、地上波のデジタル化に伴って、これはちょっとNHKに聞きたいんだけれども、一体どの部分にどれだけ金がかかるのか。どれだけ金がかかるかの問題は後でもいいんですけれども、いわば地上波をデジタル化していくに当たって、放送事業者として必要な投資というのはどういうものにわたって行わなければいけないのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたいというふうに思います。
○参考人(酒井治盛君) 私ども、今、三年後に迫りましたBSデジタル化に全力を挙げて取り組んでおるところでありまして、それに続く地上デジタル、これはまだ明確な全体像というものはつかんでおりませんけれども、検討は鋭意しております。
 そういう中で、どのくらい経費がかかるのかと。いろいろさまざまな計算の仕方がありますけれども、例えば全国あまねく電波を送り届けるということで、中継局、送信設備、そういったものを取り上げでみましても、全国に今アナログで約七千カ所ございます。これは約四十数年余りかけて順次整備してきたものでございます。これを地上波デジタル化するとなりますと、中継局の更新だけでいろいろな施設、現存の施設を使う場合もありますので七千カ所を全部改めるということはございませんが、大体六〇%、約四千カ所の中継局を建てていく必要があるだろう。その試算は大体三千億と見ております。
 これをどうしていくのか、財源問題。それから、デジタル化に伴うもろもろの送出設備、制作設備、さらにはそこへ至るデジタルチャンネルならではのソフト、コンテンツづくり、これはハードだけ整備すれば放送が出るというものではございませんので、あわせてデジタルならではのそういうコンテンツづくりに向けて我々どういうふうな体制なり、人材育成も含めて、これから国民視聴者の皆様方に楽しんでいただけて、期待の持てる放送ができるか、これはまだ検討中でございまして、そこまでの経費も含めた全体像というのはまだ出し得ない、こういう状況でございます。
○及川一夫君 中継器などはやはり相当金のかかる問題だなというふうに思っていますが、どちらにしても受信料の問題を含めてさまざまな問題が出てくると思いますが、その辺は的確な意味でさらに慎重に、またできるだけ早く問題を提起して論議してもらう。そして、身構えるんじゃなしに、なるほどな、そんなに便利になるのか、それほど我々の生活にプラスになるのかというふうなことが体得できるといいますか、会得できるような意味合いのものに私はせっかくの産業なんだから持っていくべきだというふうに思います。
 そういった点で、放送行政局長に聞きたいんだけれども、これは新社会資本と言われる情報通信産業という意味での枠内に入れて考えるか考えないかということも実はあると私は思っているわけです。つまり、財政的なさまざまな投資の関係からいうとかなりそういう意味合いのものが強いんじゃないか。今回の景気対策としての中に入るか入らないかは別にして、いずれにしても将来的にはどうなんだという、どういう位置づけで行くということになるんですか。
○政府委員(品川萬里君) 大きく申し上げまして、いわゆる社会資本の中にもいろいろあるわけでございますが、大きな予算制度の枠組みでございますと、なかなか放送分野についで全部がいわゆる公共投資というか、全面的に国の支援が得られるという仕組みにはなっておりません。
 ただ、私ども、このデジタル化のために要する設備投資分野、それから税制とかいろいろ研究しておりますけれども、これまでの予算のスキームで使い得るもの、それから新しいスキームを考えていただかなきゃいけない分野、これは例えば先ほども御回答申し上げましたが、映像放送のいろんな放送番組ソフトのための設備投資的なものになりますと、新しいスキームを考えていただかなきゃいけない。そのようにいろいろ分類しております。
 ですから、大きな枠組みづくりの方はぜひ先生方の御支援も賜らなければなりませんし、従来の枠組みでやれるものは最大限努力してとってまいりたい、支援措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
 また、税制も、これまでも通信分野のデジタル化につきましては過去十年間随分といろんな政策がとられできましたけれども、放送分野につきましては、特に地上放送分野につきましてはほとんど税制上の工夫もございませんで私ども反省しておるのでございますが、こういったところもいろいろ関係業界の方々から御意見を承りましていい知恵を出してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○及川一夫君 ぜひそういった考え方を、とりわけ通信と放送のいわば融合、つまり区別がなくなったという時代になってきているわけですから、そういった点では情報通信と放送というのを一体のものとしてとらえるということが必要になってくるし、基盤整備という意味合いで言えばNHKも民放もないじゃないか。要するに、国民生活というのを土台にして、基盤整備のエリアということでこれを位置づけでどう対応するかということをむしろ提言すべきじゃないかなという思いがありますから、検討していただきたいと思います。
 最後になりますが、Vチップの問題についてはNHKの予算の際にも論議をしたわけですが、中教審の正式の報告が出ましたね。これは、郵政省にはまさか事前に話があるということはないんだろうけれども、郵政省対文部省という意味では、例えばこちらから提起をした経緯とか、あるいは向こうの方からどんなものかなという意味で、技術的な意味合いだけ含めてもいいから、通信政策局なり放送行政局なりに意見が求められて、意見交換をしたということは今までありますか。
○政府委員(品川萬里君) お答え申し上げます。
 本件につきましては、あくまで文部省の中教審で独自に研究、審議をされたものでございまして、私どもの方から特に注文をつけたというようなことはございません。
 ただ、途中経過で、事務当局たる文部省の方から、一体そもそもVチップというのはどういう仕組みになっているのかとか、あるいは外国の法制はどうなっているかということでお問い合わせなりがあったことは事実ございました。それについてはあくまで事実関係についてのお問い合わせにお答えするという立場で情報提供はいたしております。
○及川一夫君 アメリカの話はよく出るんだけれども、その他の国々、欧州なんかではどうなっているんですか、これは。
○政府委員(品川萬里君) この視聴者と放送の関係というのは、大変我が国のみならず世界的にいろいろ重い問題意識の対象になっておるわけでございまして、このVチップについてはアメリカだけでございまして、まだヨーロッパではこのVチップについて法制化されたというようなところは聞いておりません。ただ、その前段となりますVチップを使って親が、親権者が番組を選択するというためには番組のレーティングが必要でございますが、これにつきましてはイギリス、それからフランス、ドイツでそれぞれいろんな工夫がなされております。
 また、内容についてのルールではございませんけれども、この時間帯には大人向けの、子供に見せたくない番組は流してはならないというような放送時間の制限は、例えば米国、英国、フランス、ドイツ、こういったところで既に実施されております。
 以上でございます。
○及川一夫君 ありがとうございました。
 我が国の場合には、教育という問題になっていくと特に強調されるんですが、内なるものの訓練とか、それを鍛えるとかいうことが非常によく言われますよね。ですから、我が国の場合にはどうしてもこの種の問題では、物理的にそういったものを排除するというやり方よりも、子供自身が選択できるというか、そういうことを確立することが重要なんだという論議が非常に多い。
 それから、この種の問題をやると、すぐ表現の自由を奪われるというところに発展しちゃうんですよね。私は、表現の自由はそれは大事なことだけれども、しかし表現の自由と言ったって、表現していいものと悪いものがあるじゃないかと。それを選択したら、これは悪いからだめだと言ったら表現の自由論に発展するというのは、僕は余りよくないなという思いと、一体表現の自由って何じゃというようなことを正直言って問いたくなるような、これは言論界に特に多いわけです。
 だから、そういう問題も郵政省はかかわるというふうに私は思うし、我々もかかわらなきゃならぬと思いますけれども、そういったことで、単なる内なる問題の、その訓練するというだけではこれは解決しない問題じゃないか、それよりも、放送事業者がどういう番組をつくるかということの方が本来的には私は非常に重要だと。それが基本であって、なおかつ選択できる、そういうものが機械的にできるなら、これはあなた、一〇〇%はいかないだろうけれども、いずれにしても子供を持つ親の気持ちにこたえるということになるんじゃないか、こういうふうに思いますから、ぜひそういう立場からもひとつ検討をしていただくようにお願いしたいと思います。
 終わります。
○委員長(川橋幸子君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(川橋幸子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(川橋幸子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会